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1971-02-22 第65回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十二日(月曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主 査 大野 市郎君       宇野 宗佑君    大村 襄治君       上林山榮吉君    藤田 義光君       細田 吉藏君    松野 頼三君       長谷部七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       山口 鶴男君    有島 重武君       坂井 弘一君    山田 太郎君    兼務 後藤 俊男君 兼務 島本 虎三君    兼務 田邊  誠君 兼務 沖本 泰幸君    兼務 和田 一郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      播磨 雅雄君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     大塩洋一郎君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省計画局宅         地部長     朝日 邦夫君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君         自治省行政局長 宮澤  弘君         消防庁次長   皆川 迪夫君  分科員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質公害         課長      白井 和徳君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         文化庁文化財保         護部長     内山  正君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     中西 正雄君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   松野 頼三君     宇野 宗佑君   細谷 治嘉君     華山 親義君   安井 吉典君     山口 鶴男君   坂井 弘一君     山田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     松野 頼三君   華山 親義君     金丸 徳重君   山口 鶴男君     横路 孝弘君   山田 太郎君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   金丸 徳重君     細谷 治嘉君   横路 孝弘君     長谷部七郎君   有島 重武君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   長谷部七郎君     安井 吉典君 同日  第一分科員沖本泰幸君、第二分科員和田一郎  君、第三分科員後藤俊男君、田邊誠君及び第四  分科員島本虎三君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算建設省所管  昭和四十六年度特別会計予算建設省所管      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野主査 これより予算第五分科会を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。根本建設大臣
  3. 根本龍太郎

    根本国務大臣 建設省関係昭和四十六年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は四十三億七百余万円を、歳出は一兆五百三十七億一千七百余万円をそれぞれ予定いたしております。  歳出におきましては、このほかに総理府の所管予算として計上されておりますが実質上建設省所管事業として実施される予定の経費がありますので、これらを合わせますと、昭和四十六年度の建設省関係予算は、一兆一千九百七十七億三百余万円となり、前年度の予算に比べ一千八百二十六億三千二百余万円の増加となっております。  なお、国庫債務負担行為として、総額五百七十八億六千七百余万円を予定いたしております。  次に、特別会計の概略を申し上げます。  まず、道路整備特別会計予算総額は、歳入歳出とも七千八百十五億三千三百余万円を予定しており、これは前年度の予算に比べ一千二百十七億八千二百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ六千八百六十四億一千八百万円、地方公共団体工事費負担金収入七百二十九億七千六百万円、前年度剰余金受け入れ二十億円を予定しております。  なお、国庫債務負担行為として三百八十八億七千九百万円を予定しております。  次に、治水特別会計でありまするが、本特別会計予算総額は、歳入歳出とも二千七百二十八億二千七百余万円を予定しており、これは前年度の予算に比べ四百四十二億五千六百余万円の増加となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額二千四百五十三億五百余万円で、前年度の予算に比べ四百七億五千四百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ二千九億四千二百余万円、地方公共団体工事費負担金収入三百十六億六千三百余万円、電気事業者等工事費負担金収入三億五千五百余万円、前年度剰余金受け入れ七千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百七十五億二千二百余万円で、前年度の予算に比べ三十五億百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては一般会計からの受け入れ百六十七億七千余万円、地方公共団体工事費負担金収入三十億八千八百余万円、電気事業者等工事費負担金収入六十三億二千四百余万円、前年度剰余金受け入れ一億九千万円を予定しております。  なお、国庫債務負担行為として二百九十六億七千二百余万円を予定しております。  次に、都市開発資金融通特別会計でありまするが、本特別会計予算総額は、歳入歳出とも百十二億九百余万円を予定しており、これは前年度の予算に比べ十八億一千余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ七億円、資金運用部資金からの借り入れ金八十四億円を予定しております。  次に、大蔵省との共管による特定国有財産整備特別会計でありますが、このうち、建設省関係分歳出は三十四億九百余万円を予定いたしており、これは前年度の予算に比べ十六億三千三百余余万円の増加であります。  なお、国庫債務負担行為として六億一千三百余万円を予定しております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、相対的立ちおくれが著しい社会資本の充実、適切な土地対策等の各般の施策を進め、国民生活安定向上経済発展基盤整備をはかり、もって住みよい豊かな国土の建設努力する所存であります。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してありまする昭和四十六年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 大野市郎

    大野主査 以上をもちまして説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 大野市郎

    大野主査 質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。上林山栄吉君。
  6. 上林山榮吉

    上林分科員 政府道路問題に対して非常に積極的に予算を組んで推進しておることにまず敬意を表しますが、なかんずく、五道の問題に対しても、最近急ピッチで、重点的に施策を推進していることも、また力強く感じております。私は、その五道のうちの一つである九州縦貫道路に関連して、少しばかり要望をかねて質疑をいたしたいと思っております。  九州縦貫道路は、いま用地買収工事をそれぞれ場所場所によって進めておるわけですが、九州の南部、特に鹿児島県に関する部分について強く要請したいことは、これと重要な関連を持つ大型空港昭和四十七年に完成をして、飛行機はもう飛ぶようになるわけです。同時に国体が、ちょうどこれとピントを合わして鹿児島で行なわれるわけでございまして、きわめて重要な時期にも来ておる。決して国体を単に便乗させるという意味ではなしに、これはやはりそうしたような地方に行なわれる重要行事というものを無視しては、血が通った政治というものはやれないわけで、この辺に、単に事務的や単に予算的に考える以外に、そうしたような要素をやはり政治の中に取り入れていかなきゃならない。私はそういう意味からも申し上げるのですが、いまの速度をもってすると、はなはだしくおくれはいたしませんけれども――はなはだしくそれに間に合わないというのであれば、これはわれわれが言うのが無理でありますけれども、ちょっと努力をしていただくと、それに間に合うのですよ、やり方によって。ここが大事な点でありますが、たとえば県のほうにおいて、あるいは市町村関係者のほうにおいては、非常にピッチを上げまして、用地買収などに非常なる協力態勢をもってやっておりまして、三月の末にはほとんど用地買収は済むんじゃないかというくらいに非常に精力的なんですね。だから、そういう意味からいけば、たとえば工事やり方も、おざなりの、いままでの単なる慣習による受注関係を少し細分化してやっていく。たとえば工区を十工区なら十工区ぐらいにして、単価を十億なら十億ぐらいにしていきますと、これはやれるんですね。だから、工事能力がないとかどうとかおっしゃらないで、この辺にピントを合わしてやっていっていただかないと、非常に失望する。道路はできない、飛行場だけはできた、何となくちぐはぐなんですね。今度の国体は、南の国であるせいか、従来以上に盛んであろうと、全国的に非常に関心が寄せられておる、こういう状態なんですね。これについて、大臣あるいは関係者からひとつ御答弁を願いたい、こう思います。
  7. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御趣旨の点は地元からも要請がございまして、できるだけその御要請にこたえるつもりでございますが、具体的な問題については道路局長から説明いたさせます。
  8. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 最初の御質問の九州縦貫道えびの-加治木間のことでございますが、これは先生承知のように、昭和四十二年十一月に基本計画をつくりまして、整備計画調査を始めたわけでございますが、たまたま鹿児島空港がきまりましたので、ルートをそのために変更することになりまして、昨年の六月の審議会ルート変更をする基本計画変更がなされたわけでございます。ただいまは、その基本計画変更に基づきまして、整備計画を現在鋭意検討中でございます。これはできるだけ早い機会の次の審議会までには整備計画ができるように、われわれとしては事務的には一生懸命進めておるような状況でございます。  その次、第二点の空港の供用までに間に合うかということでございますけれども、空港が開通いたしますのは来年というふうに聞いております。ただいまの状況ですと、空港までの間の加治木のインターから鹿児島までの整備計画の出ている区間でも急ぐ必要があろうかということで、用地買収にようやく入ったような状況でございますから、用地買収が全然なされておりませんので、このままの状況ですと、とても空港の開通までには間に合わぬじゃないかと考えております。御承知と思いますが、用地買収が済んだあと、従来の例ですと工事にどうしても二年間かかる、物理的にそういう時期が必要になりますので、いまお話のような空港完成までには、加治木-鹿児島間の高速道路も、ちょっとむずかしいんじゃないかというふうに考えております。
  9. 上林山榮吉

    上林分科員 私のことばが足らなかったので、答弁がちぐはぐのようでございますが、私の申し上げているのは、第一次的には鹿児島から加治木間の問題ですね。この問題の用地買収を少なくとも三月一ぱいで完了したいというように、非常に積極的に協力態勢ができて実施中であります。これは国体にひとつ間に合わせようという意図もあるし、あるいは大型空港完成するというのに半ばピントを合わせて工事を急いでおる、こういうことでございますが、この区間を、少なくとも三月一ぱい用地買収が済めば、これを十工区なら十工区ぐらいに分断してやりますと、これは工事能力もあるんじゃないか、そういうふうにひとつ推進をしてもらいたい。  それから加治木-えびの間は、これはひとつ実施計画を立ててもらう時期じゃないのか。実施計画を立ててもらわなければ、あなたの言うように、これは順押しで長くかかってしまう。それじゃいまぼくが申し上げたのよりか、第二段ではありますけれども、これでもまた空港ができて非常に不便じゃないか、こういう意味です。  それからバイパスの問題は、もうあなた方これに関連したバイパスの点は御了承でありますから多くは申し上げませんが、そういう意味要請しているんですから、加治木-えびの間を七一年に完成しろ、こう要請しているわけじゃないんですね。その辺をひとつもう少し――大臣は総括的に前向きなんだが、あなた方事務的に慎重なんだが、慎重はけっこうですよ。だけれども、これはもうすでに公団に移されているものの、やっぱり建設省が密接な関係があられるのですから、この辺をもっと急いでやれないのか、いま予定されているものよりも。こういう意味なんです。
  10. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 最初鹿児島加治木間でございますが、先生おっしゃいますように、地元といたしましても、先日も知事が参りまして、三月末までぐらいには用地を全面完成したいというふうに、たいへん急いでやっておるようでございます。これは事実でございますが、実は現在全線用地買収の交渉に入っておりますが、確かに知事さんもおっしゃるように、年度末、三月末までに全部完了すれば、国体までに――国体が一年八カ月後くらいになりますので、一年半以上ございますから、全力をあげればあるいは間に合うかどうかということになろうかと思います。ただ、いままでの経緯から申しまして、三月末というと、あと一カ月くらいしかございません。とても全線用地買収ができないのではないかというようにわれわれ感じがいたしますので、先ほどちょっとそういうような御答弁を申し上げたわけでございますが、用地買収が終わりまして通常二年かかるわけでございますが、全力をかければあるいは一年八カ月程度で完了すると存じますが、それには、いま申し上げましたように、三月末までに用地買収が完了すればという条件になろうかと思います。従来のわれわれの経験では、なかなか一カ月や二カ月では用地というものは全部まとまることが非常にむずかしいということを感じたものでございますので、そういう答弁を申し上げたわけでございます。  なお第二点のえびの――加治木間につきましては、御承知のようにだいぶ調査が進んでおりますので、次の審議会にはぜひ整備計画を出して工事に着工するようにしたいと考えております。
  11. 上林山榮吉

    上林分科員 加治木-えびの間の実施計画を早急にやるという点は了承をいたしましたが、鹿児島-加治木間ですね、三月一ぱい用地買収がもしできれば、スピードアップすれば、また従来の受注その他の方式を少し変えれば、あるいは間に合うようにやれるかもしれないという希望的観測に基づく道路局長の話だが、その希望的観測が実現するようにひとつ理解と努力を大いにやってもらいたい、こういうように考えるわけで、これは公団の人が――公団の人は政府委員になっていないんだな。だから、大臣道路局長を通じて、公団側にも私は強く要請しておきたいと思います。  この問題はその程度にいたしますが、従来、建設省においては、過疎対策道路奥地開発道路山村振興道路は、こういうものを含めて地方生活圏構想に基づくものを優先的に整備する方針だ、こういうように言うておられますが、言うまでもなく裕福な市町村というのはもうほんのわずかで、ほとんど大部分がみな道路はつくりたいけれども負担が重いとやれないという市町村であるわけですね。そういう意味で、それぞれのこういう目的を持った道路整備を推進しておることはわれわれもよく承知しておるわけですけれども、過疎対策あるいは奥地開発山村振興というのは、大体目的は違うというものの、大部分が似たような同じ効果をあげることになるのじゃないかと思うが、これはこれからも何年かこういう方針で進めていく予定なのかどうか、これをまず承っておきたいと思います。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでありますが、これは立法経過が御承知のように国会における諸先生が、やはりこれはそれぞれの特殊立法がいいのだということでできたのでございまして、若干の国会内における情勢も見て考えなければならぬと思います。われわれのほうといたしましては、これらの特殊立法によってできたものと、それからいわゆる縦貫道国道、それから重要地方産業道路というようなものとの連関性考えなければ、これはそれぞれの立法趣旨はわかりますけれども、効果が必ずしも十分にあがらないということで、実は御承知のように生活圏構想をもちまして、これらの特殊立法とあわせて道路のネットワークを効率的に考えなければいけないというように考えておる次第です。しかし、これらの奥地産業道路とか、あるいは過疎地帯道路とか、いろいろのものをいま一本にまとめるということは、どうもまだその機が熟しておらないような気がして、今後十分に検討してまいりたいと思っておる次第であります。
  13. 上林山榮吉

    上林分科員 ちょっとぼくはリストを忘れてしまって持ってこなかったのですが、この過疎対策奥地開発山村振興地元負担の率ですね、これをだれか事務当局からまず……。
  14. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 過疎立法に基づきます市町村道整備につきましては、補助率が三分の二になっております。それから奥地産業開発道路につきましては、四分の三になっております。それから山村振興に基づきます、これは主として市町村道整備でございますが、これは通常道路法に基づきます道路と同様に、改築事業三分の二でございます。以上でございます。ただいま申し上げましたのは、国の補助でございます。
  15. 上林山榮吉

    上林分科員 それぞれ一応の目的が違う、大臣答弁のようにそれぞれ立法経過があって、将来機が熟せば一本にしていいかもしれない、こういう慎重な答弁で、もっともなことだと思います。ただ、いまお聞きのとおり、大体似たような性質の道路ですが、地元負担全額全然負担しないもの、あるいは四分の三負担するもの、あるいは三分の二負担するもの、はなはだしくとまでは言わないが、まあはなはだしくと言っていいでしょう、相当に違っている。だから、こうした道路は、いまおっしゃるように、市町村道路といっても特殊なものだから、こういうものは全額国補助を出すとか、あるいはせめて県市町村分は五分の一の負担にとどめるとかいうくらいの、それこそこういう問題に限ってはもう少し前向きでいいのではないだろうか、こういうふうな将来の私の青写真的願望でありますが、これに対してどういうふうにお考えになりますか。あまりに違い過ぎるとは思いませんか。
  16. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、市町村道を今後相当重点を入れてやらなければなりませんが、その選択が実をいいますとたいへんなんです。おそらく市町村自体において自分のほうの市町村道路が何キロ延長があるかわからないくらい、実は昔は人や動物が通ればすぐに市町村道になってしまうものが多かった。その中から選択して、そういう特殊の目的をもって特別なる補助をするということでできたものでございます。そうしたものを今後まとめた場合、特別の助成をさらにうんとかさ上げしていくべきだという気持ちはわかりますけれども、そういうような要請が出てきた場合には、特殊な道路にそうしたほうがいいのか、あるいはそうしたものをむしろ府県道あるいは国道に昇格していったほうがいいかという、実は研究もあるわけでございます。そのほうが、そういうふうに市町村道のこういうふうに特殊の補助をするというよりも、むしろそれだけの重要性地域開発のためにあるならば、地方産業道路とかいうものに昇格したほうがいいじゃないか、実はこういう要請もあるわけでございます。それとのからみ合わせもございまするので、十分検討して今後対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
  17. 上林山榮吉

    上林分科員 いま私が指摘した三つの道路を、機が熟したならば一本化することもいいだろう、こういう御意見でありますので、この問題は私はその程度にしておくわけですけれども、現在のまま実施するとしても、補助率といいますか、地元負担の軽減といいますか、そういうものは、やはりそれぞれ負担を軽くしてやったらいいじゃないか。ゼロもあれば、四分の三もあり、三分の二もある。こういうのなら、一本化しないでも、補助率の問題については、これは特別な道路なんだから、かさ上げして負担を軽くしたらいいじゃないか、こういう意見なんで、それもそうだが、その中からたとえば開発道路のようなものをピックアップして県道なり二級国道なりに昇格させることもあるので云々という大臣の御答弁、これも私はわかるし、これはしかし全体的の議論じゃないので、その中からわずかばかり拾い上げ得るものなのでございまして、そういう点を考えて、この問題に対しておざなりでなく、三年後にはひとつ考えてみるか、実施に移してみるように研究してみるかというようなところのポイントを、やはり大臣ほか省の幹部の諸君はお考えになっていてもいいだろう、こういうことでこの問題はおきます。  分科会になりますと、どうも地域代表になりがちでございますが、これからは九州縦貫道路を離れて、さらに小さな、地域代表というとおかしいけれども、これは切実なる地域民願望でございますので申し上げますが、国道に編入しました二百二十六号線あるいは二百七十号線でございます。これは二つとも薩摩半島を通っている道路でございますが、この二百二十六号は、これは何といっても薩摩半島を一周する道路なんですよ。これは観光道路としても、産業道路としても、重要な道路です。指宿、開聞、頴娃、枕崎、知覧というようなところを含んでおるところでございますから、これは重要な道路であります。また、二百七十号も、それこそ青松白砂の吹上浜という名所、こういうところを通って伊集院に出て鹿児島本線につなぐ。鉄道もあり、道路もつくらなければならない、こういうことでやっているわけなんです。ところがどうですか、これよりもおくれて編入された、たとえば二百七十号以下の各府県道路、こういうものと比べて、その工事進捗率はどういうふうに建設省考えておるか。私はあげ足をとるのはやめますから、安心して御答弁願っていいと思います。ただすなおにお答え願って、善処を求めるだけですから、ひとつどうぞお答え願いたいと思います。
  18. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 二百二十六号と二百七十号の整備状況でございますが、二百二十六号はまことに恐縮でございますが、間違えまして調べておりません。二百七十号につきましては調べてまいりましたので、御説明申し上げますと、二百七十号については、改良率が六八・八%になっております。実延長五二・九キロのうち改良済みが三十六・四キロでございますので、改良率は六八・八%でございます。舗装済み延長が三十六・五キロでございますので、舗装率は六九%というふうに、非常に高率になっておりまして、これは現在の昇格した二級国道では最高に属するかと思います。従来の二級国道でも、平均よりもやや上位に位しております。  御指摘の二百二十六号は、私どもの事務局の手違いで二百六十五号ということで聞いたもので、それを調べてまいりましたので、たいへん失礼いたしました。それはまだ調べておりませんので、後ほど御説明申し上げます。
  19. 上林山榮吉

    上林分科員 申しわけないと言うからそれでいいですが、二百二十六号は、二百二十五号と一緒に国道に編入したのです。これは私が担当したのだから、よく知っております。二百二十五号はおかげさまでりっぱにでき上がりまして、公開の席上ながらありがとうとお礼を申し上げたいくらいでございますが、二百二十六号のほうは、非常におくれております。だから、もうここでとやかくあなたが資料を持ってきていないから申し上げませんが、この工事能力をもう少し急ピッチで急いでもらいたい、こういう要望だけしておきましょう。  二百七十号は、その当時に入ったものとしては大体いいところだということでありますが、私もいいところだと実は思っているのですけれども、地元では悪い悪いといっていますから、あなた方の答弁を通じて地元の諸君もよく了解しただろう、こういうふうに考えております。  次に申し上げたいのは、今度はそれよりまた下の、いわゆる野間池-枕崎港線というのがあります。これは地方道ですが、これを奥地開発でやってみたりその他の予算でやってみたり、ちぐはぐの予算を編成してやっておられて、長い間かかっているが、なかなか思ったようにできておらぬ。最初の何年かは、建設省にしてはなかなか理解があるわい、あるいは県当局もなかなか熱心だわと、こう私も考えておりましたが、ここ最近になって、どうも奥地林道に切りかえてやってみたりその他の工事でやってきたりしておるわけなんですよ。奥地林道では、幅員が狭いでしょう。幅員が狭いから、いままでここまでは広くできておるけれども、これから先は道路が狭くなっている。これではやはり自動車の交通にも障害があるので、奥地開発の問題では、幅員などをもっと広げたり、予算のかさを大きくしたりすればそれでけっこうなんですけれども、いまのようでは、これはどうもいかぬのではないか、こう思っておるのです。この問題も、あの野間池というところからその沿線は、漁山村で非常に不便なところで、道路がなかったわけなんです。いまでもないわけですので、これはひとつ早くつないでやらなければなりませんが、あと何年間で――どうですか、昭和四十六年度にはでき上がりませんか。これはもう長い間の話でございまして、これくらいはひとつ通してもらわなければ、あそこは鹿児島県では陸の孤島だといわれているところなんです。陸の孤島だ、こういうようにいわれて、一番悪いところです。道路が、県道もその他の道路も悪いところで、非常に地域民が熱望している地域なんです。これをひとつ、あと一年ぐらいでやってのけよう、あるいは一年半ぐらいで必ずやってのけよう、こういうお考えなのかどうか。これも行き当たりばったりなのか。三年ぐらいかかりますよというような、のんびりした答弁では困るのですがね。地方課長は来ていませんか。
  20. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの野間池と坊崎港線でございますが、これは路線名では笠沙-枕崎港線といっておりますけれども、先生承知のように、交通不能の区間がございまして、笠沙町と坊津町の秋日というところまで三・九キロメートルばかりでございます。この間につきましては、国庫補助継続事業といたしましてすでに実施中でございますが、四十五年度までの予算は、御指摘のようにあまり多くございません。したがいまして、四十六年度より大幅に事業促進をはかって、四十七年度には全通させたいというふうに現在検討をさしておるわけでございます。なお、もうすでに開通している区間でも、先生の御指摘のように、幅員が狭いところが随所にございます。こういうところにつきましても、同時に改良事業なりあるいは特殊改良一種事業なりの工事を行ないまして、拡幅を行ないたいというふうに考えております。  それから先ほどの御質問にお答え申し上げますが、手元に資料がございまして、二百二十六号枕崎から鹿児島間でございますが、これの実延長七十七キロのうち、舗装率は七四%になっておりまして、これも全国の二級国道としては非常に上位に入っております。
  21. 上林山榮吉

    上林分科員 時間の協定があるので、あと一間だけ質疑を続けますが、いま薩摩半島の指宿から、御承知のように県の有料道路が喜入というところまで来ております。これでは効果が半分しかあがらないわけなんです。県のほうでも、第二期工事をやりたい、少なくとも四十七年には着工したい、こういうような熱意に燃えているわけなんですよ。私はこれを鹿児島市まで乗り入れてもらうように知事とも打ち合わせをして、督励をしておるのですが、やがて九州縦貫道路も少し延ばしてもらって、これとつなぐことが有効である。ことに谷山には、御承知のように臨海工業地帯が地方の港としては大きいぐらいにできておるのです。臨海工業地帯、これができるのですから、これとつなぐ。この三つをつなぐ。薩摩半島の交通の緩和、いまは東京と同じで、ある時間には、わずかの距離を二十分も三十分も待機していなければならぬという時期があるのですよ。そういうようなところですから、この三つの臨海工業地帯と九州縦貫道路をつなぐ。これはあまり遠くないのです、わずかですから、それをつなぐ。それからスカイラインの有料道路とをつなぐ。このことを、もうひとつ青写真じゃなくて、ぼつぼつもっと具体化した案を考えていただいて、地元ともよくひとつ協議をされまして、これが推進をぜひともはかってもらいたい。これは私の強い要請ですが、いまの段階であなたが答え得るものがあればお答え願っていいし、なければそれでもけっこうだが、この点をひとつしっかりとやってもらいたい、こう思います。
  22. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 九州縦貫道の終点が鹿児島市になっておりまして、当初鹿児島市の終点は国道三号線に取りつけておったわけでございますが、国道三号線が市内に入るところに非常に狭い部分がございまして、拡幅がほとんど困難である。したがいまして、もし高速道路ができた場合には、市内に入るところでネックになるだろうということから、国道三号線のバイパスを南のほうにつくる計画ができましたので、そのバイパスの位置まで終点を延ばしたような結果になっておりまして、これは先生も御承知のとおりでございます。なお、現在の終点をさらに延長して南に持っていくという意見もあるようでございますが、先日も知事さんといろいろ御相談いたしまして、できれば、先ほど先生御指摘の南のほうに県の有料道路がございまして、喜入まできております、この県営の有料道路をさらに延ばしまして高速道路につなげるほうがよろしいのではないかというふうな話を進めておりますので、この点につきまして検討さしていただきたいというふうに考えております。なお、そういうふうにいたしますと、御承知のように、工業計画でも、埋め立ても相当進んでおるようでございますし、一体になりますので、非常に効果があがるかと思いますが、現在われわれの検討は、県営の有料道路を北のほうに延伸して高速道路につないではどうかというふうなことを考えておるわけでございます。
  23. 上林山榮吉

    上林分科員 県営の有料道路をもっと伸ばすということ、これはみんな一致しておるのです。しかし、九州縦貫道をもう少し伸ばしてもらってこれとつなぐ。そうすると臨海工業地帯というものが生きてくる、こういう意味なんですから、これだけ申し上げて私の質疑を終わります。
  24. 大野市郎

    大野主査 関連して宇野宗佑君。
  25. 宇野宗佑

    宇野分科員 上林先生から貴重な時間を拝借いたしまして、関連質問をいたしたいと思います。  質問は、従来より非常に御関心を持っていただいておりました琵琶湖総合開発についてでございます。この問題に対しましては、本年度十億の予算が計上されまして、なおかつ、建設大臣近畿圏整備本部長という御資格でこの問題を担当していただき、われわれといたしましても非常に力強く存じておるような次第でございます。特に、この問題は滋賀県におきましても、与野党という分野を超越いたしました共通の課題として、議会もまた国会議員も関心を抱いておる問題であること、第二番目は、従来まではややもいたしますと、上流、下流が対立するというような関係が見受けられたわけでありまするが、本年度の予算編成に関しましては、特に自民党のわれわれ代議士は、上流、下流相寄りまして、お互いの合意によりまして一つの琵琶湖総合開発に関する基本的なものの考え方、そうしたものを作成したような次第であります。たぶんそれに基づきまして十億の予算も計上されたと私たちは考えております。そのときに、関係各省庁の次官の会議におきまして、今後この問題にどういうふうに処していくかということについて連絡会議というものもつくられたと承っておりまするが、近くその幹事会も発足し、いよいよ政府が本格的にこの問題に取り組んでいただくということは、私ははなはだ敬意を表する次第でございます。つきましては、この機会に今後のスケジュールをひとつ明らかにしていただきたいと思いますが、これは事務当局からでけっこうでございます。  時間の関係上続いて伺いますが、これは大臣からぜひとも御所見を承っておきたいという問題についてお伺いをいたしておきたいと思います。  それは、かねて、われわれが主張いたしておりました琵琶湖総合開発に関する特別立法、これを将来ぜひとも御検討賜わりたいと思いまするが、そのことについてでございます。従来までの大都市周辺の湖の果たす役割りを申し上げますると、これはもちろん大都市に水を供給するというふうな目的で水資源が開発されたものでございました。しかし、最近は、特に人口問題、あるいは公害問題あるいは都市問題、そうした問題から発展いたしまして、単に水を供給するだけではなくて、むしろ進んで人間社会、豊かな環境をつくり出すと申しましょうか、言うならば、めぐまれた自然を生かしながら、その自然の中において資源も開発する、そうした新しい使命というものが、大都市周辺の湖というものに与えられたのではないかと考えておるのであります。もちろん、日本で一番大きな琵琶湖にその使命が課せられたことは、言うまでもありません。したがいまして、われわれといたしましては、自民党の基本的な考え方にも明らかにされておりますように、琵琶湖並びにその周辺の開発事業と、下流の水の需要に見合う水資源の開発をし、それに伴う対策事業、この二つの事業を一本化いたしまして、一体としてすみやかにぜひともこれは促進していただきたい、かように存じておるような次第でございます。なぜかならば、琵琶湖におきましても、実のところは他の河川よりもなお一そうきびしい水質基準をもって臨んでおるわけでありますが、最近場所によりましては非常に汚染されておるということでございまして、この水の汚染を防ぎ、そして今日のきれいないわゆるクリーンウォーターを守るということは、県民のためにもまた下流のためにも、私は必要なことではないか、こういうふうに考えておるのであります。そうなりますと、勢い、たとえば下水道なんかも布設していかなくちゃならないわけでありまするが、幸いにも明年度予算が通過いたしますと、建設省で滋賀県南部に広域下水道というものを布設しようというお考えを承っておりますので、非常に心強く思っておりまするが、さらには流域下水道と申し上げまして、もっと大規模な、すべての下水道の幹線下水道とでも申しましょうか、そうしたものに・よって琵琶湖の水質を保全しなくちゃならないというような構想も、私たちは持っておるような次第であります。当然これに対しまして国もいろいろとよくアドバイスをしていただいておるわけでありますが、そうしたことを考えましても、非常にばく大な経費というものがきわめて短期間に必要とされるであろう、こう想像いたしますと、いろいろな面におきましても、やはり特別の財源措置なり、あるいは体制を一本化する強力なる法的措置なり、そうしたものが今後当然必要になってくるのではなかろうかと、われわれとしては考えておるような次第であります。したがいまして、冒頭に申し上げましたがごとく、将来におきましては、そうした琵琶湖の上流、下流を通じての権利・義務を明らかにし、なおかつそうした重要な事業をすみやかに促進せしめるという目的におきましても、私自身といたしましてはあるいは特別立法というものが必要ではないかと考えておるような次第でございます。  先般の予算委員会におきまして、滋賀県選出でございますが、同僚の議員からそういうような質問がありましたときに、ややニュアンスが異なってこれが県下に伝えられましたので、いろいろと取りざたをされたわけでありますが、はなはだ失礼でございましたが、私が大臣のそのときの速記録を拝見いたしますると、決してそういうふうに言っていらっしゃるのではなくして、滋賀県の琵琶湖に関しては、これは当然大臣は従来から御関心を持っていただいておりますから、いろいろ将来検討していただけると思いますが、あのときの御答弁がやや誤り伝えられまして、何かもう検討したがそれは不必要だというふうな感じが伝えられました。速記録を読ませていただきますと、決してさようではございません。したがいまして、この辺を非常に県といたしましてもあやぶんでおります。多くの漁民もおり、農業者もおる、また一般産業もあるというようなことで、非常に琵琶湖周辺の住民は、この問題に最大の関心を寄せておりますので、いま申し上げましたがごとく、いろいろと御高配を賜わりたいと存じまするが、そうした面における大臣の御所見を承りたいと存ずる次第でございます。
  26. 播磨雅雄

    ○播磨政府委員 先に、今後の事務的なプログラムを御説明申し上げます。  琵琶湖総合開発計画のまとめ方といたしましては、ただいまお話のございました琵琶湖総合開発連絡協議会というものが先般設けられましたが、来月に入りますと、この協議会を発足させていただきまして、いわゆる関連開発事業の詰めを早急に進めたいと思っております。御承知のとおり、七月から八月に四十七年度の予算の作業が始まるわけでございますので、関連開発事業の全貌はきまらないまでも、できるだけ多くのものにつきまして見通しをつけたいということで、こういった時期を目安として一つの計画を進めております。  それから、この琵琶湖総合開発は、御承知のとおり、水資源開発促進法によりますところの淀川水系の基本計画の改定問題がからんでおりまして、またいわゆる基幹事業につきましても、若干事前に調整を要するものも残っておるようでございます。そういった三つのものが、一つの関連を持ちまして話が進んでまいるわけでございます。そういった点でかなりな問題を含んでおりますが、私どもといたしましては、できれば十月一ぱいには総体的に話がまとまるような形で持ってまいりたい、こういう希望的な計画も持っておるわけでございます。個々の具体的な扱いにつきましては、今後事態の進展に伴いまして関係当局間で、あるいは各省とも十分連絡をいたしまして、段取りをきめてまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、琵琶湖の総合開発は、最初は阪神の水不足をどうするかという水対策で発足したために、どうしても地域的な利害関係が対立して、かなりの時間を費やしたのでございます。これではいけないということで、結局琵琶湖を総合開発する、その結果として水の高度利用が考えられ、そうして下流地域もその恩恵を受ける、こういう発想でなければこの問題はなかなか解決できないというような方向づけで、ようやくいまその緒についたということでございます。  そこで、御指摘のように、いま関係省庁と地元関係府県が集まって、この総合開発をどうするかということについて、今後密接なる連携のもとに事業を進めようという組織をいま進めたわけでございます。  そこで、先ほども御指摘になりましたように、いま近畿圏で一つの非常に大きな問題でありますが、全体としてあの付近が工業、産業の過密地域になりつつある。そうなればなるほど、実は住民の豊かな生活への要求が強くなってくる。したがって広範囲にわたるレジャーと申しますか、より健康なるいこいの場を提供しなければならぬということになってきます。そうしますと、琵琶湖というものは、ここに非常に大きな意味が出てくる。あの水を利用して高度の工業地帯を設置する以上に、自然を保護して、そこに人間のいこいと緑と光の豊かなところを保護しなければ、近畿圏そのものの総合的な政策の一つの欠陥になるのじゃないか。こういう観点から、琵琶湖総合開発がさらに一段とアクセントをそこに持ってきた、こういうことになります。そういう観点からいたしまして、今回設置しました連絡会議で具体的なスケジュールを組んでいった過程において、どうも各関係官庁がいままでのような法制体系ではなかなかそこがうまくいかないということが現実に指摘されますれば、これは一つの立法措置が必要とあらばそれも必要であろう、こう考えております。ただ、現在の段階で、この総合開発ということを取り上げたからすぐにそのまま立法措置ということには、ちょっといまそこまでは踏み切っておらないという段階で、したがって問題は、いかなる体制、いかなる運用をしたならば琵琶湖総合開発を兼ねた近畿全体のよりよき環境がつくられるかというところに焦点を合わせていくわけであります。そのために必要とあれば、これは特別立法もやってもよろしいと私は考えております。先般あなたも速記録を見ていただいて御理解なさったというので、端的にそれはいけないというのではなくて、いまその段階ではないけれども、検討はするという意味です。従来ダムを建設するにあたって、ダム開発のための特別立法をせいという議論は、相当強く知事会から出てきております。それとの関連では、そこまでまだいってないというふうに申し上げたのは、ダムと水資源開発との関係において議論した場合でああいうふうにお答えしたのであって、琵琶湖総合開発、近畿圏全体の均衡ある発展のためには、いま私の申し上げたのが私の心境でございます。
  28. 宇野宗佑

    宇野分科員 琵琶湖総合開発につきまして非常に御理解の深い大臣の御答弁をちょうだいいたしまして、私といたしましては非常に満足いたしております。いま石油問題がやかましくいわれておりまするが、よく私は申すんですが、石油と水とはおのずから違うとはいえ、年間二十五億トン世界で石油を消費いたしておりますが、じゃどれだけの大きさかと一がいに申しましても、なかなか二十五億トンの全貌を把握することはできません。ところが、琵琶湖は御承知のとおり全水量二百七十五億トン、しからば全世界の消費量の十一年分があの湖である、こういうふうに考えますと、わが国といたしましても、いかに巨大なるエネルギーであり、また自然であるかということがわかるはずでございます。どうか大臣をはじめ事務当局といたされましても、わが国のモデルともいうべきこの地帯の開発には格段の御理解のほどをお願いいたしまして、私の質問をこれで終了いたします。
  29. 大野市郎

  30. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 日本時間で二月の九日午後十一時五分、現地時間では二月九日の午前六時五分だったそうですが、ロサンゼルス、またロサンゼルスの西北にありますサンフェルナンド、この地域でマグニチュード六・五という大きな地震が起こりました。この地震のために、サンフェルナンドにバンノーマン・ダムというダムがありますが、このダムに亀裂が走り、水が流れ出した。ロサンゼルス市長は、決壊のおそれがあるということで、当該地域の何千という民家の人たちに避難命令を出したということが伝えられました。これは、ダムのみならず、都会が地震に対してどれだけの強さを持っているかということで、今後真剣に検討しなければならない大きな課題だとは思いますが、とりあえずダムに対して、このような決壊のおそれありというような被害が起こったわけであります。わが国にもバンノーマン・ダムと同様なロックフィルダムが全国に相当数あると思います。これと同様なダムが全国にどのくらいあり、またそのロックフィルダムがどの程度の地震に耐え得る構造になっておりますか、事務当局でけっこうでありますからお答えいただきたいと思います。
  31. 川崎精一

    ○川崎政府委員 これは数年前の資料でございますが、一九六六年末現在で、十五メートル以上の高さのロックフィルダムが全国で約千四百余りでございます。その中で、フィルタイプのダムが千四百、ロックフィルタイプのやつが約十四くらいでございます。これらの大半は、主として農業用水用のため池を目的としておるようなダムでございまして、工法的に見ますと、最近のような進歩した工法をとっていないものが非常に多いようでございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 わが国は世界有数の地震国であり、太平洋のわが国の側、それからまた南北アメリカの太平洋岸、これは世界的にも著しい地震地帯だということになっているわけでございまして、関東大震災クラスのものが六十九年周期で来るというような説もあるよう下あります。最近の報道によりますと、相模湾にエネルギーが蓄積いたしまして、マグニチュード七くらいの地震が起こり得る可能性があるということも報道されております。有数の地震国でありますわが国としては、ダムに対して当然地震に対する配慮がなされていなければいかぬと思うのです。いまのお話ですと、フィルタイプが千四百、ロックフィルダムが十四ばかりという話ですが、私ども群馬県にも、農業用水ではない発電用のロックフィルダムが一つございます。こういったものはやはり総点検してみる必要があるのじゃないですか。また国民も心配していることですから、どの程度の地震ならば耐えることになっているということくらいは、やはり国会を通じて明らかにしていただきまして、国民に安心をさせていただきたいと思うのですが、重ねてお答えいただきたいと思います。
  33. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先生お話しのように、われわれの日本は非常に地震が多いわけでございますが、先般ロスで起こりましたのは、たしかマグニチュードが六・五ぐらいじゃなかったかと存じます。関東大震災等の例を見ましても、かなり八前後程度のものを示しております。ロス程度のものは、実は最近の松代なりえびのなり、各地で日本では起こっておるような状況でございますので、私どもとすれば、設計の条件には、当然もっと程度の高い、関東大震災程度のものでも差しつかえない程度の設計条件を与えまして仕事をやらしておるわけでございます。なお、その後のダムの管理につきましては、それぞれのダムに操作規程等を設けまして、ダムの堤体の変化等について年々報告を聴取するようにしておるわけでございます。ただ最近、たまたまああいった都市周辺に近いところで大地震が起こりまして避難命令を出したとかというようなこともございますので、防災的な見地からも私どももう一度見直してみたいとは思いますけれども、概括的には、日本のダムは相当耐震的にはだいじょうぶじゃないかというふうに考えております。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大体だいじょうぶじゃないかというお話ですが、少なくとも十四もあるロックフィルダムは一体どうなんですか。構造からいっても、これは一番危険性の高いものだと思いますけれども、これはだいじょうぶですか、十四のロックフィルダムというのは。
  35. 川崎精一

    ○川崎政府委員 これにつきましては、最近いろいろ土質の解析の問題、それからいろいろ突き固めのための施工機械の進歩等がございまして、相当慎重に私どもも設計等を指導しておりますので、この点は自信を持ってだいじょうぶとお答えして差しつかえないと思います。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 過去のものもだいじょうぶですか。
  37. 川崎精一

    ○川崎政府委員 古いダムですと、中にはもう数百年も経過したものもございますし、主として農業用水のため池でございまして、私どもが直接管理監督をしていないものがむしろ数が相当多いわけでございます。そういった点につきましては、私どものほうも農林省等とよく連絡をとりまして、御趣旨のような危険がないかどうか十分調査した上で、もしそういった処置をする必要があればそれぞれ手を打ちたいというふうに思っております。現在特にそういった危険な報告は受けておりません。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣に承っておきたいと思うのですが、ダムもそうですが、ロサンゼルスでは高速道路がずいぶんやられたようでございますし、また建物の崩壊もだいぶあったようでございます。死傷者も相当な数にのぼったようでございますが、有数の地震国であるわが国、しかも年々都市に――都市と申しますか、東京、大阪はややドーナツ現象を来たしておりますけれども、その周辺は人口急増地帯でございまして、いわゆる太平洋ベルト地帯の人口集中というのは今後さらに進むことは明らかだと思います。たまたまそういう地域が地震地帯にも当たるわけでございまして、そういう意味では、今後の都市再開発、都市の改造、都市の建設等にあたりましては、やはり地震の対策というものを十分に念頭に置かれて対処していただく必要があると思うのですが、御決意だけ伺っておきたい。
  39. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、震災の場合における道路の混乱あるいはその破壊に基づくパニック現象が一番大きな心配だと私は思います。ところで、関東大震災後にできた日本の構造物は、ほとんど関東大震災以上のものに耐え得ることを規格として、道路はもとよりのこと建築もそういうふうにして指導しておるのでありますが、特に高架高速道路のごときは、いま特別に注意させております。しかしながら、先般のロスの状況を見ると、いままで日本でやってきたことは、これではたして十分かどうか、もう一回、念には念を入れて総点検、再点検をすべきだと思いまして、専門の、関係調査団を設けまして、いま向こうに派遣して鋭意検討させておる次第であります。帰ってまいりましたら、その結果に基づいて、改善すべきものがあればすみやかに改善はしなければならない。また、現在で安心だというならば、国民を安心させるために、これこれの理由でロスではああいうことがあったけれども、こちらでは安全だということを国民に知らせる義務があると思うし、この問題については、非常に大事な問題でありますので、内閣全体としてもそういうふうな方向で進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 災害対策につきましては、重要な課題として、いま御答弁がありましたような趣旨で内閣全体として取り組むことを強くお願いいたしておきたいと思います。  それでは、具体的なダムの問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  予算委員会分科会で毎年、地元の八ッ場ダムのことについてお尋ねをいたしておりますが、まず事務当局にお尋ねしたいと思います。  昭和四十五年度の建設事業計画によりますと、五億円の予算が計上されまして、そのうち一般会計からの受け入れが七千万円、電気事業者等工事費負担金収入が四億六百万円、以下、地方公共団体からの受け入れ等々がございます。一般会計からの受け入れ七千万円は、まだ年度の途中でありますから明確なことは言えないかと思いますが、使えるものは七千万円しかないだろうと思いますが、この七千万円はほぼ使い切る、こういう状況にございますか、どうですか。
  41. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在のところ、事務費、人件費等の支出の予定がございますので、そういったやつに大半は使われるのじゃないかというふうに考えております。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうすると、結局、本年度使えるのは七千万円だけだというふうに理解してよろしいわけですね。
  43. 川崎精一

    ○川崎政府委員 そのとおりでございます。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 昭和四十六年度の事業計画表を拝見いたしますと六億円、そのうち一般会計からの受け入れが二億三千三百万円、地方公共団体ないし電気事業者等工事費負担金収入等で合計六億円になるんだろうと思いますが、そうしますと、ことしは昨年に比べまして工事費は一億しかふえていないんですが、いわば予算執行の可能な一般会計からの受け入れが昨年から見ると非常に急増している。七千万円に比べまして二億三千三百万円ですから、三倍以上伸びておる。これは一体どういう事情なんですか。本年度に増してことしは大いに仕事が進む、また進める、こういうおつもりなんですか。進めるとすれば、一体どういうようなお仕事をお進めになるつもりでございますか。
  45. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どもといたしましては、八ッ場ダムはずいぶんおくれておりますので、できるだけ促進いたしたいというふうに考えておるわけでございます。四十六年度の予定といたしましては、種々の測量あるいは調査、そのほかにダムサイト関係工事あるいは調査のためのつけかえの道路の一部等がおもな事業の内容でございますが、そういったものに重点を置きまして、なお、何といいましてもやはり地元との話し合いというのは一番大事でございますので、そういったものと並行しながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ことしは測量、調査、つけかえ道路建設等、地元と話し合いながら進めたい、こういうお話ですが、そこで問題になりますのは、この地区に天然記念物と名勝があるわけですね。文化財の保護部長が見えておられると思うのですが、これにつきましては、私、昨年来お尋ねをいたしまして、一体どうするつもりだ。文化庁としては、貴重な文化財であるので、できるだけ建設省予定している地点は避けたいということで、予定地点よりも上流に変更したらどうだというような意思表示も行ないましたが、その地区を調べたところが、地質の上からいって問題がある、建設省が当初予定したダムサイト地点を調査したい、ではボーリングについてだけは許可しましょう。しかし、この天然記念物並びに名勝を現状変更する場合は、当然文化庁の許可が要るわけでございまして、この地点に着工を認めるかどうかについては、名勝部会の専門委員が現地調査した上で判断をするんだ、こう言ってこられたと思います。その後調査はいたしましたか。また、この貴重な名勝並びに天然記念物をだめにするといいますか、建設省予定しているダムサイトにダムをつくれば、当然この二つは水没をするということになるわけでございまして、文化財の保護の上からいって相矛盾することになると思うのですが、このことについては、文化庁としてはどういう態度をおとりになっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  47. 内山正

    ○内山説明員 ただいまお話がございましたように、建設省が当初に予定されております地区については、吾妻峡に対しまして相当大きな影響があると判断せられましたので、上流地点に場所を変えての検討をお願いしておったわけでございますが、その地点は必ずしも地質的に適当でないという結論が出ました。その後、もとの案でございます下流サイトの調査につきましての同意の協議がございました。これにつきましては、ただいまお話がございましたように、その調査だけについては、現状変更に対しまして同意いたしたわけでございますが、名勝部会並びに天然記念物部会の専門委員の調査実施すると昨年もお答え申し上げましたが、その後実はまだ調査はいたしておりません。と申しますのは、現地の地元のいろいろお話し合いの結論もまだ十分出ていないようでございますし、また比較検討のための下流サイトの調査の結果も得た上で、十分資料を得た上で、比較検討、総合勘案をして結論を出したいということでございまして、調査はまだ実施をいたしておりません。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、建設省と現地との話し合いの動向等を見たいということであれば、調査をいつごろやるというようなことはちょっと言えぬだろうと思うのです。そうしますと、あくまでも建設省と現地との話し合いの進まぬ限り調査には行かないというふうに了解をしてよろしいわけですか。
  49. 内山正

    ○内山説明員 現地との話し合いは相当時間がかかるかとも判断されますが、特に下流サイトの調査の結果を得られましたならば、適当な機会に調査実施したいというふうに考えております。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 古い話で恐縮なんですけれども、ひとつよく調べていただきたいと私はお願いしておきたいと思うのですが、実はあそこの地点に、今度政治駅というので予算委員会で大きく問題になりました長野原線、今度は吾妻線というふうに名前を変えるわけでありますが、鉄道が通っております。長野原まですでにできておって、それから先に延ばしまして、そこに袋倉駅というのと群馬大津駅というのをつくる。片方が中曽根駅で片方が福田駅だというのでたいへん予算委員会で有名になりましたが、とにかく鉄道が通っているわけです。この鉄道は、戦争中、長野原の奥に鉄の鉱山がございまして、鉄の鉱石を運搬をすることをおもな目的としてつくった鉄道であります。したがって、この鉄道を通しましたのは戦争中、昭和十八年、十九年、二十年にかけて計画が進められ、実は突貫工事完成をした鉄道であります。この鉄道をどのような形で敷設をするかというので当時各省間で議論をしたわけです。その際に文部省から出ました局長、当時は何局長であったか私も存じませんが、文化財担当の局長だろうと思いますが、少なくともここには吾妻渓谷という名勝と岩脈という天然記念物がある、これを破壊することは文部省としては絶対に承服しがたいということを強く主張いたしまして、そうしてこの二つに影響のないような路線を引いたという経過があるわけです。そういうことは文化庁御存じですか。
  51. 内山正

    ○内山説明員 私は存じておりません。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それは、戦争中の資料ですけれども、あると思いますから、ひとつ調べてください。とにかくあなた方の大先輩が、文化財と名勝を守るために、当時の軍部とすれば、最短距離に引けということを非常に強く主張したそうですけれども、あくまでも抵抗してこの二つを残されたという経過があるわけです。それがいま平和な時代にダムをつくるとすれば、全国どこにだってダム地点というのはあるわけでして、戦争中ですら文部省の皆さんの先輩ががんばったのを、この平和な時代にむざむざ水没させるなんということは、私は文部省、文化庁としてはできがたい話だと思うのです。ひとつ早急に調査をいただけますね。
  53. 内山正

    ○内山説明員 調査をしたいと思います。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そこで建設省にお尋ねしたいのですが、昭和四十二年九月十六日に建設省の関東地建が「八ッ場ダム建設に関する諸問題に対する基本方針」というのを作成いたしまして、現地の住民の一部の方でありますが、お示しをしたようであります。それを見ますと、「名勝天然記念物、即ち、名勝「吾妻峡」、天然記念物「川原湯岩脈」については、関係当局と十分協議のうえ、遺憾のないよう措置する。」こういうことをはっきり約束をしておるのですね。そういう事実は河川局長御存じですか。
  55. 川崎精一

    ○川崎政府委員 関東地方建設局から出されましたPRのパンフレットじゃないかと思いますが、その内容については大体承知をいたしております。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 文化庁としても、天然記念物、名勝はできるだけ保存をしたいという気持ちは変わらないと思うのですね。そうでしょう。それで建設省としてもこういう文書を出しているのですから、「遺憾のないよう措置する。」というのですから、これは水没さしてしまったのでは遺憾ある措置になるでしょう。そうすると建設省としても、この吾妻峡と岩脈は残すというつもりでダムをつくるならやるのだ、こういうふうに受け取ってよろしいわけですね。
  57. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どもといたしましても、むやみやたらに天然記念物なり名勝をこわしてダムをつくるという意思は毛頭ございません。したがいまして、ダムサイトにつきましても、なるべくそういったものを残せるような地点はなかろうかというようなことで、上下流二カ所の調査を進めてきたわけでございます。結果的には、上流のほうはあまりおもしろくないというようなことでございますので、そういった時点で、今後ただいまの名勝なり天然記念物をどういうふうに扱うかということにつきましてはいろいろ問題があろうかと存じますが、さらに文化庁等とも十分御相談を申し上げたいと思っております。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 現在建設省考えております、またボーリング等の調査をいたしました地点につくれば、岩脈は完全に水没をしますね。これはお認めになるでしょう。それから吾妻峡も最も重要な地点にダムがずばりできるわけですから、この吾妻峡も全く破壊されたと同様の事態になるということは局長もお認めになると私は思うのですが、どうですか。
  59. 川崎精一

    ○川崎政府委員 おっしゃるとおり、下流側のダムサイトをとりますれば、名勝の約半分余り、それから天然記念物の岩脈についてはほとんど水没するような状態になると私どもは考えております。
  60. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そのような点を文化庁は許すつもりですか、そういうことは絶対避けるというつもりですか、どうですか、重ねて聞きましょう。
  61. 内山正

    ○内山説明員 文化財の保存にあたりましては、開発と公益との調整をはかるということも一つございます。このダムがほんとうに治水上あるいは利水上どうしても必要であるかどうか、そしてまた、この地域で名勝や天然記念物に影響を与えてでなければできないのかどうか、その点についてはさらに建設省で検討をお願いしたいと考えますし、私どもとしては、できるだけこの名勝なり天然記念物が保存されるような措置をお願いしたいと考えておるものでございます。
  62. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 自治省の行政局長さんがお見えですからお尋ねしたいのですが、こういう開発をいたします場合、当然文化財との調整の問題も考える必要があると思いますが、同時にやはり地域住民の意思というものを考えなければいかぬと思います。文化庁もその点は配慮している趣旨のことがございました。この当該地域は長野原町という町でありますが、ここはもう繰り返し絶対反対という議決を町議会がやっているわけです。自治省は当然地方自治を守るという立場に立つわけでありますが、こういう開発と、それから住民の意思というものについては、どうお考えでございますか。
  63. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 開発と住民の意思というものが最終的には調整されなければならないと私は思っております。この問題も、おそらくダム建設自身は首都圏全般の利益という見地でございましょう。しかし同時に、ダムが建設をされます地域住民の生活その他の問題というのはやはり重要な問題でございます。したがいまして、そういう事業につきましては、やはり地域の人たちの十分な理解と納得の上に仕事が進められるということを私ども期待しているわけでございます。また、そういう利害関係を円満に調整するというところにおよそ政治なり行政なりの機能があるのではないかというふうに私は考えております。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 最後に大臣にお尋ねして質問を終わりたいと思いますが、もちろん利水の面から建設省がこのダムを進めたいというお気持ちは、一面私ども一〇〇%それを否定しようというものではありませんが、問題は文化庁と建設省、言うならば文化財の保護と開発。それからまた、自治省の行政局長が答弁いたしましたように、絶対反対をきめている住民の意思との調整という問題も十分考えなければならぬ問題だと思うのです。したがいまして、ダムをつくります場合、やはり住民の意思を尊重し、住民の納得がなければやらぬということは歴代の建設大臣おっしゃいました。また昨年、根本建設大臣もそういう趣旨をおっしゃったわけでありますが、同時に文化財の保護――いま日本の文化財がどんどん荒らされている、破壊されているという状況の中で、文化財を守るということもたいへん必要な仕事だと思います。それらを総合勘案いたしまして、私はやはり無理はすべきでないと思うのです。文化財をいかにして守るか、また住民の意思をいかに尊重するかという観点を踏まえた上でこの問題については対処をすべきだ、かように思うわけでありますが、大臣の所信を承りまして質問を終わりたいと思います。
  65. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この問題は、昨年の分科会でもお答えしたとおりでございまして、その心境は変わっておりません。ただ、こういう水資源開発等については、一たん反対したらなかなか反対がとれないということがあったり、だんだん話してみたら、こういう条件なら協力してもいいというふうに、時間の経過でかなり変わり得る場合が従来あったわけでございます。文化財を全面的に破壊してまでこれをやらなければならぬかどうかということは、私もそこまで無理にする必要はないと思います。ただ、ある程度まで両方の意見の調整ができていけるという場合がありますので、せっかくいま事務当局が現場において多年積み重ねていろいろとやった結果も少しずつ前進しておる方向もありますので、それをいま見守っておるわけでございますが、決して非常な無理押しはいたしません。できるだけ了解のもとに円満に解決したいと考えておる次第でございます。
  66. 大野市郎

  67. 坂井弘一

    坂井分科員 去る一月二日の未明に発生しました和歌浦の観光旅館寿司由楼の火災につきまして、何点かの問題点についてお尋ねしたいと思います。  もう御承知のとおり、今回の火災で十六名のまことに痛ましい犠牲者を出しました。この十六名の旅館の宿泊者の犠牲者と、さらにもう一つ忘れてはならないことは、この火災の消火作業あるいは遺体の発掘作業に従事いたしました消防団の老分団長戸塚功さん、この方がなくなられたことです。常に戸塚さんは、新聞にもございますが、年末来、夜警のたびに旅館に対して、おくれております防火対策、これを指摘し、早く自動火災報知器などしっかりした防火対策をと、こういうふうに訴え続けておる。年は七十四歳、非常な老齢であります。この火災が発生いたしまして、直ちに戸塚さんが現場に飛んでいった。ところが、あれほど火の用心を呼びかけていたのに、また旅館に対してそのような訴えを何回もしておったのにかかわらず、しっかりした防火体制がとられないままにこのような大きな事故を起こしてしまった。現場でがっくりと肩を落としてくやし涙を流していた、こういう記事であります。実は私もあの火災が起こりましてすぐに現場に走りました。あとでこの新聞を見まして、ああ、あのときの消防団の老分団長が戸塚さんだったのだなということに気がついたのです。まことにあのときの消防団の皆さん方の活躍というものは、これはもうたいへんな活躍であったことは、私も現場におりましてこの目で見て、ほんとうに心から敬意を表した次第でございます。ただ残念ながら十六名のまことに痛ましい犠牲者を出した。過去何年か常に旅館の火災が大きな犠牲者を出すということで、そのときには、何とかこの教訓を生かして再びこのような悲惨な痛ましい事故を起こしてはならぬと、常に繰り返されてきたことでございます。その反省がどっかへ飛んでしまった、教訓が生かされてなかったということが、私一口に言いまして、今回の寿司由楼の火災にもそのまま言えるのではないか。そういう点につきましてはまことに残念であります。また責任官庁に対し私は強くこの反省を求めたい、そう思う次第でございます。  そこで、具体的な問題に入っていきたいと思いますが、この出火原因につきましては目下究明中でございましてまだ結論が出ない、こういうことだそうでございますけれども、大体いっこの出火原因が判明するものか。この辺が非常な大きな関心の焦点になっているようでございますけれども、見通しは大体ついておるのでしょうか。
  68. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 火災の出火原因は、ただいま警察と消防で共同で調査中でございますけれども、あとの状況が完全に焼失したというようなこともございまして、確認が困難な状況でございます。いまお話のありました、いつまでということも、したがって私たちとしてはなかなかはっきり申し上げられない、こういう状況でございます。
  69. 坂井弘一

    坂井分科員 いま申しましたように、十六名という多数の死者、またほかに負傷者も出したわけであります。このような多くの死傷者を出したというその原因、理由、それは一体どこにあるのでしょうか。今日までの調査の段階でどういうところに問題があったか、お尋ねいたします。
  70. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 いろいろの事情が錯綜しておるわけでございますが、この旅館の建物が非常に古い建物に一部増築をしたという旅館の構造、これが一つには大きな原因であったかと思います。しかし、そういうことがありましても、早い時期に火災を発見して通報ができれば、これもある程度避け得たと思うのでありますが、非常に悪いことには階段部分で火災が発生した、それが老朽の建物であったために火の回りが非常に早くて、その一番奥の上階に泊まっていた方々に連絡ができなかった。連絡のできた方々は避難できたわけですが、連絡のとれません方々が避難路を失って痛ましい犠牲者を出した、こういうことでございまして、さらに加えるならば、実は一月の十日に自動火災報知器をつける工事予定しておったわけでございますが、それがおくれておった。これが一番原因でございますけれども、そういう事情と、たまたま発生した場所が通報なり避難に非常にぐあいが悪かった、こういうことが折り重なって大きな惨状を呈したわけでございます。
  71. 坂井弘一

    坂井分科員 理由をいまお述べになったのですが、私は、一番大きな理由は、自動火災報知器が設置されていなかった、これがこれだけ大きな事故になったという最大の原因ではなかっただろうか、こう考えるわけであります。なおまた、そのために旧館の三、四階にいた宿泊者が全員死亡というようなことになっているのですけれども、その人たちに対する通報なりあるいはまた避難誘導、これが全く行なわれなかった、そういう問題。同時に、ここで特に注意しなきゃいけないことは、観光ブームに便乗した建て増しの、非常に迷路の多い、さっぱり中の内容がわけのわからない、そういう建物であった、そういうような点が指摘されるのではないか、こう思うわけです。この自動火災報知器のことについてはあとでお伺いしたいと思うのですが、その前に、この十六名の犠牲者、死者の死亡の原因は、何によってなくなられたのか、おわかりでしょうか。
  72. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 全部が全部、解剖とかその状況の判断はできがたいわけでございますが、状況からして、逃げ惑っているうちに煙に巻かれた、あるいは部屋の中に寝たまま煙に巻かれて焼死したという状況のようでございますので、多くは煙によって死亡したということではなかろうかと思います。
  73. 坂井弘一

    坂井分科員 確かにガス中毒死と、解剖の結果でしょうか、そういうことになっているようであります。そこで、これは建築の問題と大きに関係いたしてまいりますので、特にそのことについて後ほどまたお尋ねをしたいと思うのですが、その前に、この自動火災報知器につきましては、消防法施行令の改正によりまして、本年の四月一日から自動火災報知器の設置が義務づけられているわけです。この前に昭和四十三年の十一月、有馬の池之坊満月城、あの火災の際も多数の犠牲者を出した。このときの刑事責任をいま問われまして、出火原因はいま不明でありますが、不明のままに、社長が業務上過失致死傷で送検されて、そこで消防法違反の疑いというようなことで、今日なお公判が続行中のようであります。この公判におきましては、火災報知器を備えておればこのような惨事は防げたんじゃないかということ、この因果関係の立証が一つの争点になっております。自動火災報知器、これが争点になっている。そこで、有馬の場合は、いわゆる地方自治体の条例によりまして設置を義務づけられておったということで、その責任を問われておるということになっているわけであります。和歌山市の場合は条例が制定されておらない。したがって、今回改正によりましてこの四月一日から発効する、こういうことでありますけれども、しかし、よくよく考えてまいりますと、どこの観光旅館へ泊まっても人の命に変わりはない。有馬の旅館に泊まった人は、自動火災報知器が備えつけられてなかったからということが刑事責任の一つの争点になっておるという。しかし、和歌山においてはそれが条例で制定化されておらない。したがって、まだ三月三十一日までの猶予期間があったのだ、だからこれには問題がないのだ、そういうようなことが正面から言われてまいりますと、私はこの点についてはいささか納得がいかない。そこでむしろ、そういう猶予期間があるというならば、あのときの火災の教訓を生かすとするならば、消防法の施行令の改正は四月一日からといたしましても、事前に特にそういうような大きな観光旅館をかかえたような市においては、当然条例等をすみやかに制定をして、そうして事故未然防止という点について、もっともっと強力な行政指導なり何らかの方法でもって対処できなかったものであろうか、そういう点が非常に解せないわけでございます。したがって、三月末まで猶予期間があったから責任はないのだというような言い方は、私はそれはまさに無責任な言い方である、そう言わざるを得ないのでありますけれども、次長のお考えはいかがでしょうか。
  74. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ことしの三月まで施行を延期しておりましたのは、必要がないから延期しておったのではもちろんないわけであります。必要があることはもう十分認識されて、国会の議決を経て制定されたわけでございます。ただ、それを延期しましたのは、相当の準備期間を置かないと、過去の建物、これは五万軒近い旅館でございますから、これに全部法律上の義務として取り付けさせるのは無理であろうということで、そういう措置をいたしたのであります。したがって、その間は、なるべく早い時期に取り付けると同時に、それを欠いても、火災の場合に客が安全に避難できるようないわゆる防火管理体制を他のいろいろな部面からするのが、これは当然旅館業者としての責任でありまして、私は、自動火災報知器が設置されなかったことが法律上の義務でないからといって、直ちに刑事責任を免除されるという考えであってはいけないと思っております。
  75. 坂井弘一

    坂井分科員 そこで、先ほどこの大火になった理由をお聞きしたわけですけれども、一体この火災の教訓は何かということであります。これは和歌山市消防局の「寿司由楼火災概要 一月二十日現在」であります。この教訓といたしましては、やはり早期発見、早期通報、早期避難、この三原則、そうしてこの通報がおくれたということが致命的であったということ、その点をこれは冒頭にうたいまして、自動火災報知器を一刻も早く設置させる必要がある、不寝番制度等の措置の取り入れ、あるいはまた避難経路の単純化、あるいは防火区画をさせる、あるいはまた接岸地の確保等々、これをあげております。これが今回における火災の教訓である。これを読んでみますと、まさにこのとおりでありまして、こういう教訓が過去何回かいわれながらできてなかったということを、私は重ねて指摘しなければならないということを非常に残念に思うわけでございます。  そこでお尋ねしたいわけでありますが、この寿司由楼の建物の建設年月日、あるいはまた内部構造が一体どうなっておったのか、これはおわかりですか。
  76. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 古い旧館の部分はたしか大正の末期の建設で、その後最近になりまして増設をしておるということであります。
  77. 坂井弘一

    坂井分科員 要するに、これはわからないということなんです。
  78. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 失礼しました。ちょっといま記憶になかったものですから。  旧館は大正八年のころにつくりまして、その後数回増築をいたしております。そのこまかいことははっきりしておりませんが……。それから、新館の部分昭和三十六年に建築をいたしております。
  79. 坂井弘一

    坂井分科員 これは消防局の概要の報告ですが、「建築年月、内部詳細等について、旧館部分は大正年間から十数回にわたり、増改築等を行っており、新館部分にあっても、戦後展望台として使用していた部分昭和三十年前後三回にわたり増改築して現在に至っていたため殆んど不明である。」、それから、県の確認申請についても、五年保存のために現在ありません。そこで、この火災のあとで、この建物の原状回復のための図面を引くのにずいぶん困難を来たした。いまだにわからないのです。旅館主もわからない。迷路から迷路、それから増築に増築、改築、それからタコ足状に廊下が伸びており、これは何階だと聞くと、実は何回か階段があるから、いまのそこの部分は、二階の部分が三階になるんじゃないかということで、要するにとてもわからないわけです。そうでしょう皆川さん。これは明らかに建築にもやはり問題がある。あるいは建築基準法にも問題があるんじゃないか。そういう点から前回、消防法の七条と、それから建築基準法九十三条、これにいま同趣旨の規定を設けまして、一体の許認可行政をやるということになったようでありますが、しかし現実には、さっぱりその効果があらわれてないではないか。したがって、今回のこの教訓の中にも大きく指摘されている一つの建築上の問題点は、やはり建築構造にあった、こういう点が指摘されているわけであります。そこで新しく建てるものについては別といたしましても、いま既存のものについても、もう一回この辺でこの建築構造の徹底的な総点検をやりまして、悪い部分については改善命令を出す、それくらいな措置をしたらどうでしょうか、そういうお考えはございませんか。
  80. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 全くお話のとおりでございまして、われわれ既存不適格と申しておりますが、法律の施行前にすでにでき上がっている建物につきまして、新しい規定から申しますとこれは不適格だ、ただしすでにできておったものは違法にはならないで不適格ということになるわけでありまして、お話のように、古い建物の中にはそういったものが非常にたくさんございます。特に旅館、ホテル等、公衆の集まる場所につきまして、特に温泉旅館その他については相当古い建物がいまだに残っておりまして、これらは既存不適格ということになるわけでございます。したがいまして、ただいまお話のございましたように、これにつきましては、保安上、衛生上非常に危険であるという場合には、建築基準法に基づいて改善の命令を出すということができる道が開かれておるわけでございまして、われわれといたしましても、今回の教訓をもとにいたしまして、三月早々から全国的にこういったホテル、旅館の総点検をやりたいということで、目下準備を進めている次第でございます。
  81. 坂井弘一

    坂井分科員 けっこうでございます。どうかひとつあれしてやっていただきたいと思います。  で、和歌山県におきましても、これは建築のほうではなくして設備のほうになると思うのですが、各県から市町村に対しまして、防災特別査察命令を出しまして、何でも今月の末までにその結果報告を出されるというような措置を講じておるようであります。しかしこれには同時に、こういう防火設備、あるいはまた建築のほうもあるのかもしれませんが、そのような点検だけではなくて、これを改善するには一体どれくらいの資金が要るのか、資金面の総点検もあわせて行なったならば、それを裏づけるものとして総点検自体が生きてくるのではないか。従来ともすれば、総点検というものが悪い部分を指摘するのにとどまって、そのあとの対策がさっぱり進まなかった。だから、うんとこの総点検を生かして前向きに進めていくためには、少なくとも、そのような点検の結果指摘される悪い部分についてはこのように改善すべきであるとすれば、その改善に要する資金はいかほどのものかというような資金面の総点検も、いまあわせて行なったならば非常にけっこうなのではないかと思うわけでありますが、いかがなものでしょうか。
  82. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 その点も全くお話のとおりでございまして、われわれといたしましても、新しく来年度からその道を開きたいということで、昨年以来努力をいたしまして、そのめどがついたというふうに考えておりますが、実はお話のように、従来、既存不適格の建物につきまして、建築の防災の責任官庁の面から見ますと、非常に危険であるという建築物がまだ多数残っておるわけでございますから、これを改善したいということで改善命令を出す段階までは行くわけでございますけれども、はたして改善命令を出してその命令どおりの改善が行なわれるか。特に、経済的な裏づけという面で、建築主がそれだけの改善命令に応じるだけの資力がない、そのためになかなか改善命令が出せぬというのが責任官庁の悩みでございまして、来年度から、環境衛生金融公庫に特別の資金ワクが設けてございまして、これに対して、建築基準法に基づきまして、危険な建物に改善命令を出したという場合には優先的に融資をしてもらうということで、目下、環境衛生金融公庫と話し合いを進めておりまして、大体われわれの目的は達成できるのではないかというふうに非常に明るい希望を持っておるわけでございます。
  83. 坂井弘一

    坂井分科員 それから、この新建材にも非常に問題があるようなんですね。ガス中毒死、全員がそうであろう、こういうことでございます。これは新建材に一つは問題がある。本年一月から建材の規定がなされておるようでありまして、これはやはり既存のものにつきましても、この補助対象のワクの中に入れて改良させていくというような方向が大事であろうと思うのですけれども、ただしこの新建材につきましてはいままだ多くの議論がある、なかなかむずかしい問題であろうと思いますが、これはやはりこの考え方の根本には、このような多数の人の旅館ということになりますと、よほどきびしい態度で臨まなければ前向きの改善、改良はなされていかないのではないか。新建材に非常に問題があるということを一点指摘しておきます。  同時に、この内部構造なり設備の面等につきましていろいろ不備な個所がございまして、そして法令違反等の指摘をいたしております。ところがこの指摘を受けたもののうちの改善率がきわめて悪いんですね。たとえば、これは少し古いですけれども、四十四年十月です。これは点検実施後の改善状況ということで出ておりますが、この中に「改善された旅館、ホテル数、四百三十市町村二万三千百三十五軒の旅館・ホテルのうち、前回のいっせい点検で建築基準法上の防火又避難施設及び消防法上の消防用設備等の設置に関する法令違反の指摘を受けたものは一万六千百七十九軒であったが、このうち改善されて違反箇所のなくなったものは六千七百二十五軒で、改善率四一・六%となっている。」、これは少しひどいのじゃないか。まあ査察をやる、あるいはそれに基づいて勧告、通達をやる、けっこうでございますが、これはやりっぱなしである。これではさっぱり責任を持ったことにはならぬのじゃないか。したがって、消防法に規定するところの使用停止措置なり、あるいは場合によっては告発もするくらいのかまえで、この法令違反の部分の指摘を厳重にやるべきではないか、そう思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
  84. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 いまお話のありましたような状況でございまして、確かに改善率が思うとおりに進んでいないという状況でございます。ただこれは途中の段階でございますので、逐次改善をしてもらうように強く指導をしております。その後の状況を見ますと、これはまとまった統計にはなっておりませんけれども、逐次そういうことに向かっておるようでございます。私たちとしましては、なるべく行政上の措置で改善をさせていきたい、しかし、どうしても重要な部分についてその命令に従わない、勧告に従わないというようなことがあれば、いまお話にありましたような強い措置もとらざるを得ない、かように思っております。
  85. 坂井弘一

    坂井分科員 ひとつ強い措置で臨んでいただきたい。人命にかかわる問題です。そういうことがそのまま何回も指摘され続けておる現状にかんがみまして、各旅館とも非常に積極的な対策を進めていこうとしているようであります。先般和歌浦に参りましたときに、双子島荘という旅館がございまして、六階建てなんですが、屋上から地上へ脱出できるようにすべり台を備えつけました。長さは二十一メートル、幅五十センチ、ステンレス製でございます。五十万円でできた。非常にいいアイデアではないか。これは観光旅館ごとによっていささか違いはあろうと思いますけれども、ことに和歌浦の場合は非常に紆余曲折したところがたくさんあります。片や山はだ、片側は海べに断崖絶壁、非常に景色のいいところであります。そういうところに旅館が散在するわけであります。この寿司由楼の場合を見ましても、屋上に追い詰められてガスでもって死亡した。下に脱出できない。したがって、屋上から下にすぐ逃げられるということをやっておることを御参考までに申し上げておきますが、私は、これは非常にいい積極的なアイデアであり、対策ではないか、こう思うわけであります。これもひとつ御参考にしていただきたいと思います。  それから、これは旅館において防火責任体制を再検討いたしまして、緊急時の各従業員の連絡手順、あるいは受け持ち責任を明確に図式化いたしまして、そういう表をフロントに掲げておく、あるいはまた旅館の案内図を宿泊者全員に配る、こういうようなことも各旅館で考えているようであります。そういう積極的な対策がいろいろなされるようでございますが、これはやはり国なりの強力な援助がなければ、それも一つのアイデアで、こういうときの一つのショック療法にとどまって終わってしまう。そういうことであっては意味をなさないと思います。そういう点もひとつ十分研究、御検討いただいて、しかるべき国のこれに対する援助等を考えてやっていただきたいと思うわけであります。  なお、ここで一つ問題になりましたことは消火せんの問題がございました。幾つかの消火せんがございます。水はいささか出たようでありますけれども、問題は、先ほど申しましたように、すぐ海であります。できれば海水を使って消火する。これは常に考えられておったことのようでありますけれども、これがなかなかはかばかしくいかなかった。消防車をつけるところの場所がないわけですね。これはやはり早急に対策を講じなければいけない問題ではないか。前々から言われながら消防車が入らない。接岸できない。そういう接岸地を早急につくる必要がある。  それから水の問題につきまして、ここに貯水池がございます。この貯水地は大体六百トンの水をためることができる。ところが、夜間一番大事な十一時ごろから夜中の二時ごろまでほとんど水はないのです。皆無です。その点はこれにも指摘しております。水は全然なし。消火活動ができるわけがない。幾らかの消火せんを使って消火に当たる。しかし、これもよく考えてみますと、消防は非常に早く現場には着いております。ただ通報はいささかおくれております。着いたときにはもうすでに火の海です。いかに水があっても間に合わなかったでありましょう。ですから、冒頭に申し上げましたように、一番大事なことは、やはり自動火災報知器を備えつけることが先決じゃないか。同時に、機械にたよるだけではなくて、やはり人間の配置も大事でありましょう。夜間の警備だとか、見張り、そういうことも義務づける必要もある。今回の改正によれば、管理者を置くとかいうようなこともありますけれども、管理者等につきましても、むしろもっともっと責任を明確にした管理者、たとえば工場におけるボイラーを扱う一つの資格を持った人が運転し、管理をし、もし事故のあった場合には責任を負う、こういうくらいの強い防火責任者というものを義務づけるようにしたらどうであろうか。きょうは、お答えをいただくよりも、幾つかの提案にとどめておきます。そうでありませんと、これを即時にどうしろこうしろとここで答弁を求めましてもすぐにはいかぬ問題である。過去何回かありましたから、したがって、それらの問題を含めて、もう再びこういう事故は起こさないのだという御決意に立って対策を進めていただきたい。それが私がきょう御質問申し上げる本意でございまして、いろいろ問題点を指摘すればまだたくさん出てまいりますけれども、そういう問題を詰めてすぐに責任問題云云ということを私は言いたくない。少なくとも前向きの積極的な対策を望みたい、そういう真意から申し上げているわけでございます。  このことにつきましては、多分に建築関係の問題がございます。したがって、きょうせっかく建設大臣御出席でございますので、そういう点を含めましてひとつ御決意なりをお伺いいたしたい。
  86. 根本龍太郎

    根本国務大臣 数々の御提案、私も非常に重大な関心をもって拝聴いたしました。これらは直ちに是正すべきものもあるし、また、従来の累積の結果、方向づけはできても、現実にこれを措置するにはかなりの努力をしなければならぬものがございます。しかし、最近における火災、これに基づく死傷が多くあったことは、まことにこれは重大な問題でありますので、建築行政上の措置については、万全を期するためにさらに一段と事務当局を督励し、また、各都道府県市町村に至るまで徹底して成果をあげるように努力いたしたいと思います。
  87. 坂井弘一

    坂井分科員 御答弁いただきましたので、この問題はこれでとどめたいと思いますが、ただ、遺族に対する補償の問題等、いま非常に難航しているようであります。旅館側は、平均でありますけれども四百七十万円提示をいたしましたところ、交渉が決裂をしたというようなことに相なっているようでありまして、このことにつきましては、やはり交通公社の協定旅館連盟契約、あるいはまた対人賠償、建物保険等、いろいろ保険上の問題があろうかと思います。そういう点も含めてひとつ御検討していただきたい。これは火災が発生して事故が起きた場合における事後の問題でございます。が、しかし、非常に大事なことだと思います。これは旅館側と遺族との間の問題であって一切タッチし得る問題ではないということではありますけれども、しかし、そういう点についても、やはり側面からの何らかの形の対策なり、援助なり、助言なりができるのではないか、私はこう思いますので、そういう点もあわせてひとつ御検討いただきたいと思います。和歌山におきましてはことしは国体を開催する。三万人の人が見込まれているわけでありまして、各宿泊施設等もずいぶん体制を完備しなければならぬというわけで、もっぱらそのほうに非常に力を入れているようなわけでございまして、そういう点も勘案していただきまして、県あるいは旅館側の積極的な対策に呼応する消防庁なりあるいは国の各行政機関の対策、援助というものを心からお願いいたしたいと思う次第でございます。  以上、火災問題を終わりまして、実は砂利採取にかかる問題についていささかお尋ねをいたしたいと思います。  これは最近非常に問題になってきております川砂利あるいは山砂利。この建築ブームによりまして非常に砂利の需要量が多くなってまいりました。しかしながら、砂利というものは天然資源のものでありますし、やはり絶対量に限りがございます。だんだんだんだん川が砂利採取のために荒らされていく。砂利の宝庫といわれました和歌山の有名な紀ノ川でありますが、あの紀ノ川もごたぶんに漏れず掘り尽くしたような感じでございまして、いつも砂利の採取で物議をかもしております。また最近、実は和歌山砂利組合が紀ノ川の桃山町の段地区の砂利採取の認可申請を出しました。この認可の申請は昨年十二月の二十二日に申請をしております。建設省の近畿地建和歌山工事事務所でこれを受け付けましたのが同月二十四日であります。ところが、二十四日に受付をいたしておるわけでございますが、砂利採取法三十六条第三項に、申請があった場合にはその旨市町村長に通報しなければならない、こういうようにございます。一体この申請がなされたという通報は、これは当該市町村といいますと桃山町だと思いますが、いつ、どのような方法でなされたか、まずそれをお聞きしたい。
  88. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま御質問の市町村に対する通報でございますが、私どものところには実は正確な日にちが入っておりませんが、地元市町村並びに公安委員会には通知をしたというふうに私は聞いております。
  89. 坂井弘一

    坂井分科員 通知は確かにいたしております。確かにいたしておりますが、私が調べましたのは、同じく十二月の二十八日に申請がありましたよという通報を桃山町に対し公文書でいたしております。ところで、この通報を受けた桃山町は、そういう通報を受けたわけでございますが、さてこの申請者に対して、認可したという通報が出ているわけでありますけれども、それは一体いつ出されておりますか。――おわかりになりませんか。なければこちらで……。
  90. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私のほうにはこまかい――手元の資料で、十二月の二十八日に許可をしたという報告が参っておりますが、先ほど来の申請の時点での通報、それから許可時点での通報等につきましては、実は詳細な報告が入っておりませんので、まことに申しわけございません。
  91. 坂井弘一

    坂井分科員 じゃ、私のほうから申し上げましょう。その前に申請が出されたのは二十二日、これを受け付けたのが十二月二十四日であります。二十四日に受け付けまして、こう受け付けたということに対して桃山町に申請の通報が出されたのが、申請がありましたよという通報がなされたのが同月の二十八日でございます。そして同じ二十八日に申請者に対して認可を与えております。同時に、同日二十八日に、認可の通報を桃山町に対して公文書で行なっております。つまり、申請の通報をしなければならないということは、先ほど申しました三十六条第三項でございますかによってここでうたわれているわけでありまして、通報を受けた市町村においては、その通報に基づきまして、ここで砂利を採取さしてもいいかどうか検討いたしまして、これは報告がある。異議の申し立ての項も三十七条にございます。ところが、そういう期間も待たないで、同じ日に、通報しましたよと、こう言っておいて一方には認可を与えておる。そうして今度は認可をいたしましたよという通報も同じ日に桃山町に来ておる。これは一体どういうことでしょうか。
  92. 川崎精一

    ○川崎政府委員 砂利採取法の精神からいきますと、多少その間の事務手続的に徹底を欠いておったのじゃないかと存じます。ただ、在来、紀ノ川筋につきましては、段地区等につきましても、連年採取をしておるところでございますので、あるいは事務的に、単なる連絡等で、地元に対して、たいして被害等がないのじゃないかというような事務所の安易な考えで運用上やったのじゃなかろうかという気がいたしますが、詳細につきましてはさらに調べてみたいと思います。
  93. 坂井弘一

    坂井分科員 いま、事務手続上多少の不徹底というのか、それがあったのではないかと思われるという御答弁でございますが、私はそれをお受けするわけにはまいりません。それはきわめて遺憾であります。なぜかならば、あなたもよく御承知だと思うが、紀ノ川のいまの砂利採取の問題がどれほど地元で大きな問題になっておるか、特に、この段地区におきましても、地元の桃山町も全然住民は知らない。知らないままに建設省が申請者に対してかってに――それこそかってです。かってに認可を与えておいて、認可しましたよという通報が同じ日に桃山町に来ておる。それでは砂利採取法の三十六条並びに三十七条はどこにも生かされていない。あってなきがごとしだ。そういうやり方はけしからぬじゃないか。以前にここではずいぶんいろいろ問題が起こっております。実は、この部分で砂利の採取をいたしました量が、私が調べました範囲では、昭和三十二年から三十九年にわたって、これは和歌山県が管理したころでありますが、すでに五十四万二千六百五十立方メートル採取されておる。もうこの時点ですでに水がかれ始めて、井戸水が出ない、あるいはたんぼに引く水が不足を来たしておるというようなことがたびたび起こっておりました。それにもかかわらず、いま問題になっております和歌山砂利組合がさらに二万四千立方メートルの採取の認可申請を出した。それで、いまのあなたのことばをかりれば、多少の事務上の問題があったのではないか、しかし今後そうたいして問題ではないと判断したのではないか、こういうことですが、その判断は当たらない。少なくともその以前にそのような問題がすでにあった。しかも、この地点というのは、この下流約三百メートルのところに橋があります。これは非常に大事な橋でございます。井阪橋、全長三百九十四メートル、幅員九・五メートル。この井阪橋は非常に交通量が多い橋でありまして、特に大型トラック等がしばしば通行する橋であります。一たん洪水時にはこの橋は危険にさらされるのではないか。上で、三百メートルのところでまた二万四千立米掘られる。しかも、掘る砂利がないものですから、いまブルドーザーを入れて川床をどんどん掘り起こしておる。そんなことをされたのではたまったものではない。井戸水もすでにかれ始めた。来年のたんぼはどうしようか、井阪橋はだいじょうぶなんだろうか、もろもろのそういう心配がどんどんどんどんと起こってきておる。事前にそういうことがすでに地元で問題になっておった。そういうやさきに、地元が全然わからないままに二万四千立方メートルの砂利採取の認可を与えておる。認可しましたよといって、そのあとでやってきた。しかも、それは全部同日であります。こういうやり方は砂利採取法に明らかに違反である。だから、この採取は取り消すべきである。この採取を始めたのがいつかというと、一月四日から始まっております。全く電光石火であります。私は、こういうやり方に対しては、建設省と砂利組合との間に何らかの約束ごとなり何か、そういうことがあったのか、特に、問題になっておる地区民に対して隠さなければならないような事情があったのかどうか、疑わしくさえ思われます。明確にしていただかない限り、私は認めるわけにまいらない。明らかに砂利採取法においてもこれは違法であります。違法であるとするならば、取り消されますか、どうですか。
  94. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に事務的に手落ちがあったことは確かでございます。一般には、砂利採取業者が申請をしてまいりますときに、大体地元了承等を得て申請するのが通常になっておりますので、その間に、在来から事務的になれておって、多少そういったことをおろそかにしたのではないかという気がいたします。  それから、採取許可を取り消すかどうかということでございますが、私どもの現在報告を受けておりますのは、あの段地区の少し下流、紀ノ川との合流点の下流に岩出井ぜきがございます。したがいまして、ある程度の水位は確保されておるように聞いております。したがいまして、地下水が著しく変動を受けるということはちょっと常識的には考えられないと私は思っております。   〔主査退席、大村主査代理着席〕  なお、事務所に照会いたしましたところ、その運搬経路等につきましても、なるべく付近の畑等を荒らさないようにということで、橋の直上流等に搬路を移しまして、いろいろ事務所なりには指導をいたしておるようでございますが、なお先生の御指摘もございますので、さらに十分私どものほうで実態を調査いたしたいと思います。その上で、申請の趣旨と違うようなところがございましたら、改善の命令をするなり、適切な処置を私どものほうでいたしたいということでございます。
  95. 坂井弘一

    坂井分科員 改善命令なり適切な処置をいたしたい。もし違法であるとか、いま言ったようなことが懸念される、とするならばということを踏まえて、こういうことであろうと思いますが、そのことは採取法十九条の中にも明記されているところでございます。私が申し上げましたことは、従来そのような水の問題だとか、あるいはまた農地の問題だとか、ずいぶん問題があったという点、これは事実でございますので、そのことを申し上げました。したがって、これはひとつよく調査をしていただきたいと思います。  ただ、もう一つ、私はあえて申し上げますけれども、先ほど申しましたように、同じ二十八日に申請の通報が桃山町へ公文書でもって出された。同じ二十八日に業者に、申請者に対して認可をし、同じ二十八日に、この認可の通報を桃山町へ同じく公文書で出しておる。受け取りましたよという公文書が行った同じ日に、許可をいたしましたよという公文書が行っておる。それでは砂利採取法の三十七条が生きてこない。またその事前に、十六条によって、地元がそれだけの問題をかかえておるとするならば、建設省が十分調査をいたしまして、この申請どおりでは許可するわけには相ならぬということが――やはり事前にそういう点についても十分留意した上で、地元市町村、桃山町に対して心配はないかということをよく相談し、調査をしておかなければならぬ問題であります。  特に、私は、なぜこれを言うかといいますと、いま、紀ノ川等におきましても、砂利採取で乱掘するために川底が深く掘られた。伏流水がそのために死んでしまって井戸水がかれるということは、これはもうたちまち命につながる問題であります。生活の問題であります。同時に、直接には、たとえばここ数年前でございましたが、子供が川で泳ぎまして、深く掘られているところをわからないで、そこの深みにはまって死亡するという事故も起こっておる。業者は何事だ、それを管理する――当時は県でありますが、県は一体なぜこういうところを許可したのか、非難ごうごうであります。そういうところをわざわざ掘らなくても、もっとほかにあるではないか。こういうことが住民なり地域の人々の非常に大きな反発の声になってきておるということ、そういうことを十分ひとつ考えられて、やはり適切な許認可行政をやってもらわぬとはなはだ困るということであります。したがって、さらに重ねて申しますけれども、いま私が申しましたような二十八日、その同じ日にもしそのような方法でもって認可が行なわれておるということでありますならば、これは明らかに違法でありますから、その点については十分御調査されまして、先ほどの十六条を適用いたしましてしかるべく改善命令等を出すなり、さらにこれはそれ以前の問題でありますから、直ちにこれは採取の停止命令、この申請許可の無効、これを私は出してもいいとは思うのですけれども、そういう点も含めて御検討いただきたいことをお願いをいたしておきたいと思います。  建設大臣、いまお聞きになっていただいて概要をおわかりになっていただいたと思いますけれども、これは一紀ノ川のみならず、全国の河川の問題でもあろうかと思うのであります。一方におきましては、砂利需要の増大は、これはもう資源に限度がございまして、勢いそういうことにならざるを得ないような状態になってきておる。なってきておるどころではない、もうすでにそういうことがしばしば各地においてやられてきておるというような現状等を幾つか私も聞き及んでおりますので、そういう点につきましても十分ひとつ御留意されまして、河川管理上それに対する十分な対策等もお考えになっていただきたい、こう思うわけでございます。ひとつそういう点について大臣の御見解等を伺っておきたいと思います。
  96. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、公共事業が非常に増大したために骨材の需要が非常に多くなりまして、これに関連して、いま御指摘のあった点は、紀ノ川のみならずあちこちあるように聞いております。砂利採取の事業があるいは交通事故を起こし、いわゆる砂利トラなどの横行によって国民の不安をかき立てておる。一方においては乱掘をしておる。乱掘から盗掘までいっておる。このために地域住民に非常な不安と憤激をかもし出しておるという点も、私も二、三聞いておるのでございます。したがいまして、これについては、本来、実際の仕事は建設省の出先の者とそれから府県がやっておるものもございますが、御指摘の点は非常に重大な問題でありますために、さきに実は砂利採取等の基本要綱までつくって示しておりまするが、必ずしもその成果が十分にあがっていない。そこで、あらためてこの問題を実は令達しまして、いやしくも国民の不利になるような、あるいは疑惑を招くようなことは一切やらないようにこれから指導いたしたいと思います。  なおまた、実は、昨年来、砂利採取の問題について、従来のようにただ砂利業者に許可するというだけでいいかどうかということを私は考えてみたのです。むしろ、これは河川管理上の問題ともあわせて、しかも一方においてはできるだけ砂利資源を開発してやらなければならぬということになるならば、管理権を持っておる都道府県に公社みたいなものをつくらせて、それで都道府県に砂利採取事業とあとの保管事業をやらせる、そうして砂利業者に販売してやるというほうがかえっていいじゃないかということで、実は、一、二の県でそういうことをやっておるところもあります。そういうようなことであって、一々の砂利採取業者というものは、トラックを二台か一台持ったのが名義を借りて、実際上採取から運搬までしてきているというわけで、なかなか監督が困難である。ならば、現在各地方自治体に公社制度を持っておるようだから、そこにやらして、あと地の整理、それからいま御指摘になりました安全性、それを他産業に対する水源を枯渇せしめないというような責任ある体制でやらしていく、それを砂利業者に販売させるということもひとつ考えたらどうかということも実は指示しているところでございます。  いずれにいたしましても、きょう御指摘になりましたことは非常に重要な問題でございますので、あらためて事務当局に再検討を命ずるとともに、過去の問題については調査をし、適切なる行政指導をさせるようにいたしたいと思います。
  97. 坂井弘一

    坂井分科員 終わります。
  98. 大村襄治

    ○大村主査代理 田邊誠君。
  99. 田邊誠

    田邊分科員 私の地元の群馬県では、御案内のとおり、多目的ダムがかなり数多くつくられておるわけでありますけれども、先ほど山口鶴男君が八ッ場ダムについて質問したのではないかと思いますが、すでに建設がきまっておりまする草木ダムについて若干お伺いしたいと思うのです。  草木ダムについてはすでにかなりの準備が進んでおるように見受けられまするけれども、一番大きな問題は、どこのダムでもそうでありまするけれども、地元との補償の折衝がなかなか円滑にいかないことであります。それはそれなりに理由があると思うのでありまするが、草木ダムの場合においても、この補償問題が現在いまだ最終的な妥結を見ていない、こういうことは非常に遺憾であろうと思うのですが、水資源開発公団は、昨年の七月にこの草木ダムの第一次の補償基準というものを提示いたしておるわけでございまするけれども、これは地元民のたいへんな不満、反発を買いまして、一時は一括返上するのではないか、こういう話もあったようでありまするけれども、その後の成り行きは一体どういうふうになっていましょうか。
  100. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまお話しのように、昨年の七月に補償基準を発表いたしました。全体的に言いますと、道路等の公共補償の問題、それから国鉄の足尾線の問題等かなり了解に達しまして、一部工事も進んでおるような次第でございまして、個人補償につきましても、公団から、直接ごく最近の事情を聞いたわけではございませんけれども、何とか近いうちに妥結する方向で進んでおる、こういうふうに私どもは承っております。
  101. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、公団は第一次の補償基準を出したようでありまするけれども、その後、地元の折衝の中で、さらにそれを上積みするところの第二次の補償についての中身を提示したというように聞いておるわけですけれども、これは第一次の補償基準とはかなり違いますか。
  102. 川崎精一

    ○川崎政府委員 昨年の七月に第一回の補償基準を発表したわけでございます。一般的に全国どのダムにつきましてもやはりかなり調査をして、その上で補償基準を発表いたしておりますけれども、やはり、こまかい点になりますと地元の種々の特殊な問題等もございますので、最終妥結の段階では、やはり第一回の補償基準を多少上回っておるというようなところがかなり見受けられるわけでございますので、それらは最終的にどの程度の基準で妥結するかというようなことにつきましての水資源開発公団からの河川局に対する相談はまだなされておりません。
  103. 田邊誠

    田邊分科員 公団でもって示されたところのこの補償基準は、これを総額に直しますると大体何ほどになりますか。ダムの工事費の一体どのくらいの割合になるわけですか。
  104. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在のところ、草木ダムは約三百億余りかかるというふうに私どもも見ておりますが、その中で具体的に今回の補償基準の対象になっておるのはどのくらいかというようなことにつきましては、現在ちょっと手元に資料がございませんのでわかりかねております。
  105. 田邊誠

    田邊分科員 ひとつあとで資料を御提示いただきたいと思います。  私の聞いておるところでは三十億に満たないといわれておるのであります。大体二十二、三億といわれておるのでありますが、やはりいま各地によって事情は異なります。しかし、この草木ダムは特別な山の奥につくられようとしておるわけではございませんで、従前全国の各地につくられておるところのこの種のダムとそう大差はないのではないかと思うのです。大体一割から一割五分というのが補償というようにわれわれは常識的に承っておるわけでありますから、そういった点から見ますならば、この補償基準は全国の標準をかなり下回っておるのではないか、こういうふうに実は考えられるわけですけれども、なぜこういうように、金額的にいっても、割合からいってもかなり下回るような補償基準が提示をされたのか、きわめて不可解に思っておるわけでありますけれども、その点はどうですか。
  106. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どもといたしましては、特に草木ダムの補償を安くするとか、そういったような指導は決して行なってはいないわけでございまして、具体的にどういうような積算をいたしておりますか、それにつきましては、ただいま申し上げましたとおり、現在公団地元でいろいろ折衝あるいは妥結の過程にあるものもあろうかと存じますので、そういった点で、公表して差しつかえない範囲で先生の御要望の資料は提出いたしたいと思います。
  107. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、個人補償でいろいろな面のネックがあると聞いておるのですが、たとえば家屋は坪当たり最高十一万円から最低五万円くらいというふうなことを聞いておるわけでございますけれども、この程度のものでは、他に移転してうちを新しくつくるにしてもとても満足なうちはできないのではないかというふうに私は思っておるわけでありまして、いまの時価に照合いたしてみましても、これらの物件の補償というものが低きに失しておる一つの例ではないかと考えるわけであります。  私は、昨年、この種の問題について公団にお伺いいたしましたけれども、たとえば国道についても、田一律七十五万円、畑は六十万円が国道建設に伴う買収価格であります。ところが、この草木ダムの場合については、一級地、これは幾らも一級地にならぬはずでありますけれども、これは田が七十万円、畑五十五万円ということで、すでに国道建設に伴うところの買収価格を下回っておる。しかも、一級地だけではありませんから、当然それ以下の級についてはさらに下回る、こういう状態になっておるわけでありますけれども、これは私どもが常識的に見てもあまりにも低いのではないか、こういうように思っておるわけでありまして、これらは、他との均衡からいっても改むべきものは率直に改めて差しつかえないのではないかというように思っておりますけれども、その辺の考え方は私の言うとおりですね。
  108. 川崎精一

    ○川崎政府委員 用地の補償基準につきましては、全国一律のものというものはございませんけれども、ただいまお話しのように、近傍の公共事業等で買収をしております単価等につきましては十分参照するように、私どもも公団のほうを指導いたしております。
  109. 田邊誠

    田邊分科員 そうなっていないのです。
  110. 川崎精一

    ○川崎政府委員 なお、補償の額につきましては、内容的に、単なる地代といいますか、その地代のほかに、耕作物に対する離作の補償とかいろいろな名目で加算されまして補償される場合も多いわけでございますが、中身を見てみないと、そういったものを参照をして考慮しているかどうかということにつきましての判断がちょっといたしかねるわけでございますが、お話しのような点は十分しんしゃくをして補償価格をきめるように、私どもも公団のほうを前々から指導をいたしておるつもりでございます。
  111. 田邊誠

    田邊分科員 いま私が言った国道の価格補償が、田については一律七十五万円、この草木ダムのいわゆる田の補償の一級は七十万円。国道の沿線にはたんぼがあるでしょう。すでにこれは五万円違う。そんなことがあっていいはずはないでしょう。したがって、そういう価格の比較の面からいっても低きに失しておるのじゃないか、私はこういうふうに思いますが、こういう点は当然改めるように指導すべきではないかと思います。
  112. 川崎精一

    ○川崎政府委員 不十分なところがあれば、改めるように指導していきたいと思います。
  113. 田邊誠

    田邊分科員 その他、内容的にはここでこまかくお聞きをする時間はありませんけれども、私は一つだけ言いたいのは、補償額を出す際に、たとえば移転をするところのいろいろな費用、物件に対して、村内の移転に対する額と村外への移転に対する額とが補償額が違うのです。村外に出たほうが多いのです。それは遠いから多いのだ、こういう話になってくるのですけれども、この種の、いわば過疎地帯においてダムがつくられて、それを機会に村外と村内に人が分かれるということは、必ずしも好ましいことではないと私は思うのです。したがって、できれば、村内に土地があり、村内に仕事があれば、村内にとどまってもらう努力を為政者たる者はすることが望ましいじゃないかと私は思うのです。それを補償を出す場合に、村内移転よりも村外移転のほうが多い、こういうきめつけ方が私は基本的に間違いじゃないかと思うのです。それよりも、地元の住民が公団の補償基準に対応して出してまいりましたいわば要求額、要求の補償基準と称しているものがありまするけれども、この中を見ますると近距離、遠距離と書いてあるのです。これによって補償額を変える。これのほうが合理的ではないかと思うのです。距離的に、何キロ以内は幾ら、何キロ以上は幾ら、こういう形であれば、それがたとえ村外であれ、村内であれ、それに対して補償の額は違ってくるというのであるならば、私は幾らか合理的であると思うのです。それを村外は幾ら、村内は幾らなんて、村外のほうが多い額を頭からきめてかかるような考え方というものは、公団考え方としても私はがえんずることはできない。こういうように思っているのでありますけれども、それは常識的にそうでしょう。
  114. 川崎精一

    ○川崎政府委員 やはり、水没地域の地形なり、あるいは生活習慣等もございまして、いろいろ場所によっては異なりますけれども、私どもが村外に出ていきなさいということを奨励するということは、これはおかしいことでございます。ただ、いろいろな条件から、どうしても遠距離でないと代替地がないといったような状況もあろうと思います。そういった場合には、無理な要求でなければ一般的にそういったものの費用は考慮せざるを得ないのではないか、こういうことでございます。
  115. 田邊誠

    田邊分科員 私の言うとおりだから、そういうふうな考え方がある。私は距離によって変えていいと言っておるのだから、それを村外、村内という区別でもってやることは間違いだろう、私はこう思っておるのであります。  そこで、公共補償については大体片がつきましたか。私は、国道の問題や県道の問題、それからあそこの駅の問題等は公団にもお伺いし、建設省にもお伺いしておりますし、課長もおいでですからよく知っておられると思いますけれども、そういった点は大体われわれも中へ入って決着をつけるようにいたしてまいったわけですけれども、その他の、たとえば例の東京農工大学の演習林を払い下げしてもらいたいという問題について、林野庁との交渉がなかなかうまくいかなかったというようなこともあるわけですが、これらの問題は大体解決をいたしましたか。
  116. 川崎精一

    ○川崎政府委員 大筋につきましては、大体解決の方向に進んでおります。ただ、最終的に額もきめて決着したというところまではいっておりませんが、方向とすれば大体順調に進んでおるというふうに考えております。
  117. 田邊誠

    田邊分科員 あなたは事情をよくおわかりでないような点が多いようでありますから、もうちょっと詳しく調べて、私のところに、公共補償についての状態についてもお話しをいただきたいと思うのです。  そこで、最終の段階でありまするけれども、いまの進捗状態で見ますると、ダムの工事の前提となるところの補償については、一体いつごろこれが解決をつけるわけでしょうか。これが事業計画の上からいって、一体いつごろがタイムリミットでございますか。
  118. 川崎精一

    ○川崎政府委員 四十六年度中には大体の問題を全部解決したい、こういうふうに考えております。
  119. 田邊誠

    田邊分科員 そういう観点であれば、やはり地元の要望を聞きながら、できるものはできるだけあなたのほうも譲られて、解決のために最大の努力をしてもらいたいと私は思うのです。われわれもまたこれに協力することにやぶさかでありません。ところが、あそこに河川敷がございますけれども、そこにダムをつくられるということがいわれた直後から急造のバラックがたくさん立っておるわけでありまして、これをダム屋と称しているのでありますが、補償目当ての人たちのいわばバラック住宅が立っているのであります。私は、これは良心的な住民の切実な声を反映をしている住民の立場とは全く違うものである、こういうふうに思うわけでありまして、この点、このダム屋によるところの河川敷、これは河川法違反にも当たるところがあると思うのでありまするけれども、これに対しては厳重な取り締まりをして、補償についても区別をしてかかってもらわなければ――ダムをつくる場合に、その補償を目当てにしてアリのごとく寄ってくるようなそういう者と、家を追われ、土地を追われていく者と同じ基準で補償が出されるなどということがあったならば、これは行政上からいっても大きな誤りではないかと私は思うのですけれども、この辺は一体どういうふうになっていますか。
  120. 川崎精一

    ○川崎政府委員 草木ダムにつきましては、昔からの地元の方以外に、へんな人たちがいろいろ入ってきまして新聞をにぎわしたりしたこともございますが、そういった点で、私どもといたしましては、補償目当てだけで出てきたというような人と、長年その土地で生活をしてきた人たちとは、やはり当然補償の考え方にも区別すべきものがあるというふうに考えております。
  121. 田邊誠

    田邊分科員 これは具体的な取り締まりをし、あるいはまた補償をする際にその点はかなり明確になるわけですけれども、当時の事情をつまびらかにすれば、一体ほんとうに永住しておった人たちなのか、あるいはダム補償目当てにやってきたのか、これははっきりわかるわけです。これは別の取り締まりを警察当局がして、これを追っ払っているという事実もありまするけれども、しかし、最終的な段階における補償の際に、彼らにうまい汁を吸われるようなことが絶対ないようにしてもらいたいと私は思うのです。それはしかとよろしゅうございますか。   〔大村主査代理退席、主査着席〕
  122. 川崎精一

    ○川崎政府委員 警察にお願いをして処置をしなければいけないものは、これは当然また警察にお願いして処置をいたしますし、河川法等の違反で私どものほうで責任をもって処分しなければいけないものは処分をいたします。  なお、補償につきましても、先生お話のように、やはり長年永住しておられる方との間にいろいろな問題の上で当然区別があるはずでございますので、そういったものにつきましては区別した補償基準でもって臨むように指導していきたいと思います。
  123. 田邊誠

    田邊分科員 大臣、実は、草木ダムあるいは八ッ場ダム等、現実的ないろいろと問題になっておるところも多いわけで、建設省としてもいろいろ苦心の多いところだろうと思うのですが、実は、毎年予算分科会建設委員会でお伺いしてまいっておるのが沼田ダム、岩本ダムであります。大臣がかわるたびにニュアンスの違う発言があったりして、地元を非常に不安におとしいれておるわけでありまするけれども、幸いに根本大臣は昨年から引き続いて大臣の職におられて、その間の事情もよくわかっておられるわけでありまするし、また自民党の政調会長なり、要識におられて、その間の事情についてもよくおわかりの方であります。  この問題は、御案内のとおり、一つには治山治水の問題に関連をいたすのであります。もう一つは首都圏の水の需要の問題に関連をしておるわけであります。昭和六十年に首都圏の水の需要量というのは総額百二十億トン、首都圏整備委員会事務局の資料によりますると、百十・〇七億トンといわれている。毎秒四百三十七・九立方メートルという形であります。この水の利用、その中でもって河川の利用が占める割合というのは八〇%ぐらいだといわれておるんですが、しかも利根川に依存するものが大体五十三億トンと前の河川局長は答弁をいたしておるのでありまするけれども、新しく開発を要するものが二十億トン必要だというのであります。しかし、下久保ダムの一億三千万トン、矢木沢の二億四百万トン、八ッ場の一億七百万トンと、既設なりあるいは計画されているところのダム群を合わせてもとうていこれに及ばない、こういう実情に立つわけであります。しかも、人口の集中度は、私は時間がありませんから申し上げませんけれども、六十年において、三大都市圏の中における、特に首都圏に集中する度合いは非常に多い、こういう状態であります。とするならば、この首都圏の水の需要の問題からいって一体どうするのか。これは私らしろうとが言わずもがなで、一つには都市構造の変革をしなければならないでしょう。しかし、もう一つには、水の需要についての政府の明確な見通しと、それに対する計画が必要になってくるというふうに思っておるわけであります。これと沼田ダムとの関係は一体どうなるのか。もう一つは、利根川のいわゆる洪水調節量、八斗島におけるところの最大洪水調節量は一万七千トンでありましたけれども、これが五〇%増だといっておるんですね。これは一体どうなっているか、ちょっとあとでお聞きをいたしまするけれども、そういう状態の中で従前の三千トンカットを上流でやってまいりました。既設のダム群等でやってまいりました。しかし、これも約二千トンぐらいのカットでありまするから、それでも足らない、こういうのであります。この治山治水上の問題それから五十五年から六十年にかけての東京における水需要の問題、これらを考えたときに、建設省自身は、政府自身は一体どうするのか。そこで沼田ダムという問題が常に頭にのぼってくるわけであります。言うなれば、群馬県における奥利根開発というのは、この沼田ダムができるのか、できないのか、つくるのか、つくらないのかということによって非常に大きく左右されるのであります。地元民は、いわばあそこに工場を誘致しようと思っても、あるいは仕事をしようと思っても、沼田ダムができるんじゃとってもできないじゃないか、こういう形になってまいるのでありまするけれども、これに対して、もうずいぶん長い間いろいろなことをやってまいったのでありまするから、この辺でもって政治判断をしなければならぬところにきているんじゃないかと私は思うのであります。昨年の十一月十一日に産業計画論議が再びこの問題に対するところの提言をしているわけです。これは松永安左衛門さんの執念からくるのでありましょうけれども、実はたいへんな長い年数の間これらの問題について提言をしてきているのであります。地元民のこの不安を解消するために、もう沼田ダムはやらぬならやらぬと――これはたいへんな犠牲をしている形になるわけで、そういったものは奥地山村のダムと違うわけでありまするから、そういった点でやらぬというのか。政府としてはやはりやるという意欲があるというので実はやるというもくろみがあるのであるから、そうした点で、この段階にくれば、さらに竿頭一歩進めなければならないのか。この辺ひとつ大臣の、昨年に引き続きの明確なお答えをこの際いただきたいというふうに思います。
  124. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは非常に重大な問題でございまして、私は、ここで、従来の首部圏の開発構想自身について再検討すべきだという考えを実は持っておるわけです。と申しますのは、従来の産業計画会議等も非常に善意な、しかもまた非常に良心的な資料を進めてああいう提言をしておりますけれども、究極するところ、やはり東京あるいは埼玉、神奈川、千葉、ここに人口並びに産業が集中する。これは必然的だ。そうすると、そちらのために必要な土地、工業用水をどうしてもつくらなければならぬというところが一つの発想点です。はっきり言うならば。それのためには北関東の水源地帯をずっと開発し、それでもなおかつ足りないから岩本ダムをつくらなければこれは間に合わない、こういうふうに見られております。これに対して水源地帯では、下流のためにわれわれを犠牲にするとは何事だ、こういう、いわば地域的な対立感情が相当あることも事実だと思います。  ところで、これをいろいろのいままでの前提条件を抜きにして、すなおに首都圏の現状なり将来を見通してみると、私は、非常に大きな一つの仮定が、みんなに迷信的に信ぜられておるところに問題があると思うのです。それは、従来、日本の都市学者あるいは数量経済学者等みんなが、大都市に人口並びに産業を集中するのが人類の二十一世紀における一つの必然性なんだというふうな見方をして、そのためにメガロポリス論あるいはベルト地帯論――これは日本のみならず、世界的現象なんです。したがって、その方面がメリットがあるのだ、こういう考え方からきているということです。ところが、今日のような交通問題、公害問題あらゆる問題から見ると、それは必ずしも妥当な科学的な判断ではないというふうに私は方向転換すべきだと思うのです。私はそういう主張を三年前から、特に二年前から主張し、そのために新全総も変えなければならぬ――特に、東京湾にあらゆるものがみんな集まってきている。そして東京湾は死の海になる。そして浦賀水道は羽田の空港以上の過密現象でたいへんなことではないか――そこで私は、実は、昨年就任と同時に関東地区をずっと一番に回ってみました。ところが、水資源のあるところは土地も豊富なんです。そして労働力もたくさんある。それをわざわざ過疎化して、ダムサイトばかりつくって、そのまま今度はみなこっちへ持ってきて、こっちの過密化をさらに推進するということはいかがなものかというふうな判断をいたしました。そこで、きょうは時間がありませんから端的に申し上げますと、北関東に新しい近代的な都市機能を持ったところの都市をつくるべきだ。現在南関東に集中しているものを、むしろ逆に向こうに持っていくことが正しいことじゃないか。そうすれば、都市用水、工業用水、水もあるし、緑もある。ただ、あそこには社会資本の投入がないから、あそこが逆に過疎化されている。そこで、私は、群馬県に少なくとも一つの百万都市をつくる。これは二つに分けてもよろしい。それから栃木県、茨城県、そして道路を横断してしまう。おそらく、いまでも北関東の工業生産量は一兆二、三千億になると私は思っております。私は、これは数年後に、少なくとも昭和五十年にはこの倍になるだろうと思う。そして、その生産物を太平洋に直結する。私のいま一つの想定でございますが、水戸の射爆場のあとに外国と貿易する港をつくるべきだ。それに接続する。そうしていきますと、今度は群馬県は自分の郷里の総合開発のために水も開発する。そして一部は南関東にもやるということになる。そこに県民の気持ちが変わってくる。そういう手法を講じますれば、沼田ダム、あそこが――三万かそこらの人口でしょうが、新しく計画的にこれから開発される。そこにあるいは工場として、あるいはまた工業要員あるいは一般の都市人口として入ってくるということになれば、ここに非常に変わってくる形が出てくる。これが必要だということで、三県の知事並びに国会議員の方にも提案しているのです。それで大部分の方は、これはおもしろい構想じゃないかということで、具体的に今度の予算で約一億円の調査費をつけまして、関係省でこのプロジェクトを検討する。これでいいということになれば初めて沼田ダムに着工できるのであって、いままでのように、単に下流のほうが必要だから何とか補償してやるから協力せいといってもなかなかむずかしいだろうと思っております。それで、そういう発想のもとに今度はまず各県の地元で検討してもらう、そうしてそれに対する具体的なプロジェクトができたならば、それを中心として具体的な国の政策をきめていきたい、こういうふうに私は感じている次第でございます。
  125. 田邊誠

    田邊分科員 時間がありませんから、それではいまの大臣の発想を私は一応受けまして、また建設委員会等でもって具体的にいろいろと承ってみたいと思うのであります。沼田ダム構想については、従前の考え方を変えた形で、大臣の計画を今後いろいろと具体的に考究をしてもらいたいと思います。  最後に、河川局長、予備費は来年度幾らつけるのですか。
  126. 川崎精一

    ○川崎政府委員 大体例年五千万ないし六千万ついておったと思いますが、同程度のものを計上いたしたいと思っております。基本的な流量の解析あるいは利水の検討のほかに、先ほど大臣のおっしゃいましたような、今後の北関東を見詰めたものにダムの予備調査費を使えるものがあれば、そういうものにもできるだけ重点的に使っていきたいと思います。
  127. 田邊誠

    田邊分科員 それでは終わりますけれども、私は大臣の発想を一応受けながら、沼田ダム問題はもちろんでありますけれども、東京の都市構造の変革の問題あるいは首都圏の利水の問題について、ひとつ今後新しい観点のもとで政府考え方を煮詰めていただくことをお願いいたします。
  128. 大野市郎

    大野主査 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三分休憩      ――――◇―――――    午後二時二分開議
  129. 大野市郎

    大野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。長谷部七郎君。
  130. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 私は、先般の予算委員会の一般質問におきまして建設大臣にお尋ねをする予定でございましたが、時間がございませんために意を十分尽くすことができませんでしたので、この機会をおかりしまして、二、三質問をいたしたい、かように考えます。  その第一点は、出かせぎ者の対策についてでございますけれども、家族の方々と別れて不自然な出かせぎ労働をやっておる方々の大部分は、建設産業に働いておることは御承知のとおりであります。私どもは、これは政府も同じ考えと思うのですが、こういう家族と別れ別れになっての出かせぎというものは、できれば解消しなければならない、そのために今度の国会に対しましても、農村に工場を導入するのだ、こういうことで努力をされておられるようでございますけれども、いままでの工場進出の実態を見ておりますると、確かに規模の小さい工場はかなり進出をしておりますけれども、大きな雇用力をもつ大工場はなかなかもって地方への進出は期待できない、こういうのが実情であろうと思うのであります。そこで私、出かせぎしなくとも地元で仕事につける、あるいは地元で家族と一緒に暮らしながら賃金収入を得ることができる、そのためには、どうしても公共事業の拡大ということが非常に重要な一環であろうと考えるのであります。もちろん農村地帯は御承知のとおり後進県であり、未開発の地域でございます。したがいまして、道路、河川あるいは港湾、すべての面で立ちおくれておる現状でございます。したがって、これらの地域を開発し、あわせて地元で就労の機会をつくるためには国の公共事業をもっと後進地域に重点的に配分をするということが当然政府としても考えていただかなければならぬ問題であろうと思うのでありますが、まずこれに対する建設大臣の御見解をひとつ承っておきたい、かように思うわけであります。
  131. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、現在は非常に日本は社会構造の変化の時代なものでありますから、それに伴いまして、御承知のような大都市は過密現象がますますエスカレートしていき、農村地帯は過疎現象が深刻になっておる、こういうことだと思います。その間において、出かせぎ問題等も御承知のような問題になっておるということでございます。  そこで私は、建設委員会その他の委員会でも申し上げましたが、従来の新全総の計画はそうした地域も含めておりまするけれども、どちらかというと、従来日本の都市学者並びに近代経済学者の諸君が提唱したいわゆるメガロポリス論あるいはベルト地帯というような発想からして、社会資本の集中しておる都市に公共投資をいわゆる実績主義でやっているものを変えて、そうして都市の過密現象をなくすところに焦点を合わせてやっていく必要がある。現在一番大きく人間生活を豊かにしつつ経済成長を安定的に確保するというためにはむしろ一番大事なのは水になりました。水のないところにはとてもこれはできません。それから水と緑と光と申しますか、空気、こういう発想からしますと、新全総をもう一回こうした観点から練り直すべきだという意見相当強く野党の皆さんもさようでございますが、いわゆる国民世論の中でそれが出てきました。  そこで、私も実は一昨年から、そういう発想を強く主張し、その一端として昨年もこの首都圏で、先ほど実は御質問に答えておいたところでございますが、北関東方面に水と土地と自然の豊かなものがあるから、こちらにひとつ産業を立地させるべきだ、その具体的ないまプロジェクトの研究に入っておるということを申し上げましたが、そういう発想を全国的にやるべきだ。そのための一つのあらわれとして北海道の新苫小牧に大きな産業基地をつくるべきだ、あるいは北九州山口の一部におけるところの周防灘開発の問題あるいは陸奥湾の小川原湖の開発、秋田県でも秋田湾並びに八郎潟を一体にしたところの地方総合開発、あるいは四国等出ておりまするので、そういう意味ではそうした計画に合わせて公共事業をやることについては私も全く賛成であります。  ただし、ここで私は注意しなければならないと思っておりまするのは、かつての新産都市で苦い経験をしたところでありまするが、土地の入手をはっきりと国並びに県が把握しないで、どこそこにどういう大きな計画、プロジェクトをつくるということにしてそうして道路とか港湾をつくると、もう全面的にいわゆる民間デベロッパーあるいは土地投機する連中が出ていって、そうしたところの整備ができないうちに土地の値上がりのために挫折してしまうという傾向が非常に強いのです。そこで私は現在のような土地収用法等が先行取得、しかも相当いま申し上げたようなプロジェクトをつくるための目的のために土地を大幅に取得することができるという裏づけがない限り、なかなかこれは困難でありまするので、国もしくは地方自治体でそうしたプロジェクトを実施するところの土地をまず最初に優先的に確保するのでなければ、これが実は逆の現象になると思っております。  そこで私は、いわれるところの総合農政などの場合においても、長谷部さんが言われるように小規模のものではなかなかいかない。そこで通産省と農林省が相連携して、地方農村において農工一体の一つのプロジェクトをつくるという計画がございますれば、それに合わせてまず道路は優先的に予算づけしようということを昨年から私は意思表示をしており、これは関係閣僚の了承も得ているわけなんです。そういうところでは、たとえ市町村道であろうとも公共事業道路をつくってあげる、あるいはまた水資源の開発、これもやりましょう、必要な場合においてはそういうところに一つの都市計画をそれと並行してやらせる、こういう意思表示をし、すでにその方針関係の機関にも示しておるのでありまして、そういうことによってお示しの点を充実して対処してまいりたいと思っております。
  132. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 いずれにいたしましても、現在の新全総の内容を見ましても、これは過密地帯集中の考え方がはっきりしておるわけであります。この考え方でまいりますると、ますます過密過疎という問題が大きな問題になることはもう必然でございます。したがいまして、ただいまるる見解を承りましたが、いわゆる農村地帯に工場団地を造成する、それに関連して道路、港湾あるいは都市計画あるいは水資源の開発というようなものをひとつ集中的に整備をして、地方にも公共事業を都市と同じ条件で実施をしていただく、こういう方向にひとつ特段の善処をお願いをいたしたい、かように考えておる次第でございます。  なお、次に移りますけれども、御承知のとおり、出かせぎ農民が働いておるその八五%は建設産業である。しかも、ここで一番問題になっておりますることは、いわゆる労働災害の激増、それから一つは賃金の不払いによる泣き寝入りという問題が出ておることは御承知のとおりであります。先般の建設大臣に対する私の質問に対して、過失責任を問われるような業者については、いわゆるその継続中の工事はそのまま続けさせるけれども、次回の入札あるいは指名等においては、そういう事故を起こした業者に対しては対策を立てるのだ、こういう意味の御発言があったわけであります。  そこで、まあそれはそれとしていいわけでございますが、ぜひ強めていただきたいと思うのですが、建設産業の中でも事故の最も多いのは、五十人規模以下のいわゆる零細な下請業者が、全死亡者数の八五%を占めておるのが実態でございます。その事故原因は、言うまでもなく安全衛生規則違反、こういう問題が非常に多いのであります。いろいろ考えてみまするに、これは一つは労災の最終的責任は、法的に元請業者が負うことになっているわけでありますけれども、問題は、元請業者がかかる下請業者に対して安全対策についての十分な指導が行き届いておらないというところに問題があるわけでございます。と同時に、公共事業費の中に含まれておる安全対策費というものが、必ずしも下請あるいは孫請の段階までおりておらない。したがって、元請が下請業者の指導をきびしく点検をすることができないでおるというのが実態のようでございます。  したがって、この際私は、公共事業の設計にあたって、安全対策費というものを各設計項目の中に織りまぜないで、独立した予算項目としてこの安全対策費というものを見るべきではないか、そうしてもっときびしく、それが下請、孫請の段階まで点検、指導を加えるべきではないか、かように考えますが、これに対する御見解を承っておきたい。
  133. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりです。そのために、従来建設業法において建設業は届け出制度でございまして、若干の金を納めさえすればいかなる人でも建設事業が行なえる、そこに非常に責任体制が確立しないということで、現在建設業法を許可事業にする、そうして下請をすることのできるような業者を特定建設事業として明定して、そうしていま御指摘のように下請、孫請に対する責任を法律上明定する、こういうふうにいたしたいと思っております。  幸い、昨年の衆議院ではこれが通過いたしまして、いま参議院で継続審議になっておりまして、参議院の建設委員会でも、ぜひこの立法趣旨を理解していただいて、協力していただくことを強く要請し、大体できると思っております。そういたしますれば、大部分の問題は、いま御指摘の点は解決するはずでございます。  なお、安全施設に対する経費は従前も計算に入れておりますが、もっと明確に、しかも最近の情勢からして、安全施設等も従来以上に強化する必要があるだろうと思います。というのは、非常に条件の悪いところで、そうしてしかもまた訓練の行き届かない人たちがこれをやっているところにこういう問題が起こるので、その点は十分配慮していきたいと思います。ただ現在、出かせぎのいわゆる建設労務者の大部分が公的な職業紹介所を経ずに、いわゆるもぐりと申しますか個人的な関係で行って、どこからどこに移転し、どういうような手続をしたかということがないために、非常に事後の救済がおくれておる。これは私のほうの問題よりもむしろ労働省の問題で、これはぜひその点の改善と同時に、出かせぎに来られる農家の方々もたいへんこれは大事なことですからひとつ自覚して、やはり公的機関による就労あっせんを受けていただくように奨励していただきたいと思っている次第でございます。
  134. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 要するに、零細な下請業者あるいは孫請業者の指導監督というものを徹底をするということと同時に、やはり問題は、その裏づけとなる安全管理費、安全施設に対する経費が十分織り込まれていかなければならない、かように私は考えるわけであります。ただいまの御答弁では、もっと将来は明確にする、しかも増額をする、こういう見解でありますので、各項目にまんべんなく安全対策費を織り込むのじゃなくて、別途安全対策費を考えていただく、そして、それが下請、元請に的確に届いておるかどうか、届いておって初めて安全対策の姿勢を正すことが可能になってくるんじゃないか、かように私は考えますので、ぜひひとつそういう方向に御努力願いたい、かように考えます。  それからもう一つの問題は、賃金の不払いの問題でありますが、御案内のとおり、昭和四十五年、昨年でございますが、昨年九月末日現在において、労働基準監督署に賃金不払いの訴えが出されまして、その時点で未解決になっているものが建設関係だけで全国で一千四十四件ございます。前年よりもかなり増加の傾向を示しておるわけであります。金額にいたしまして、賃金不払いの金額は二億二千七百六十余万円になっております。これはただいまも申し上げたとおり、労働基準監督署に届け出られたいわゆる表面化した問題だけでございまして、世間ていなどを考えまして、実際には不払いにあっているけれども、監督署に届け出ないという泣き寝入りのものを推定いたしますと、おそらくこれの数十倍に匹敵するものではなかろうか、かように私どもは見ているところでございます。  そこでこの不払い解消のためにはいろいろいままで努力もされてこられたと思います。特に昭和四十年の十二月二十七日には建設事務次官通達が出されております。この内容は申し上げるまでもなく、下請業者が賃金の不払い等を起こしました場合は元請が一切その責任を負うのだ、もしその元請業者が責任を負わない場合は、そういった約束を破るような場合は、公共事業の発注あるいは指名等において考えなければならない、こういう意味建設事務次官通達が出されておるわけでありますけれども、依然としてこの通達が行政上生かされておらない、残念ながらそう言わざるを得ないのじゃないか、かように私は考える次第であります。  そこでお尋ねをいたしたい点は、これは過去のことでございますから、少なくとも昨年、昭和四十五年度ですね、労働省のほうから、下請業者としてどの程度賃金が不払いになっておる、不払い事件を起こした業者はこれこれだ、こういう通報が建設省に届いておるはずだと私は思うのであります。その数字等がおわかりになっておられますれば、ひとつこの際承っておきたい。これは大臣でなくてもいいです。
  135. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 お尋ねの労働省から建設省に賃金不払いの業者の通報の問題でございます。昨年労働省から通報があったようでございますけれども、ただいま資料を持ち合わせませんので件数その他わかりませんので、調べましてまた後ほど……。
  136. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 労働省から不払い業者の通報があったその調書を、ひとつ後刻ちょうだいをすることにいたしまして先に進めますけれども、こういう労働省からの通報に基づいて建設業者の指導監督に当たっておられる建設省は、一体この事務次官の通達に基づいてどのくらいの行政処分が行なわれておるのか、その姿もひとつ明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  137. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま御質問のございました下請業者の賃金不払いに対しましての問題でございますけれども、御承知のように県の直轄工事におきましては、資格審査の際にこれを十分審査をいたしまして、賃金の不払いを前年度起こしました業者につきましては点数を減点する、そしてその順位を下げるという措置をとっておるわけでございます。同時に、そういう労働基準法に違反したというものにつきましては行政処分を行なっておるのでございますけれども、賃金不払いだけについては実は手持ちの資料にございませんが、労働基準法違反によって行政処分をいたしましたものが昭和四十五年度に四十四件という数字になっておる次第でございます。
  138. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 この問題は、業者の姿勢を正すという意味において私はきわめて重大だと思う。すでに数年にわたって毎回の国会で、この賃金不払い解消の問題について労働省あるいは建設省にその対策の強化をお願いしてきておるところであります。しかし、依然として不払い事件があとを断たない、あとを断たないどころか年々増加の傾向にある。これはやはり指導監督に当たる行政府のき然たる態度に欠けるところがあるからではないか、かように考えるのであります。ひとついままで労働省から通報があった業者に対して直轄の地方建設局、あるいは各府県がどういう態度で臨んだかという具体的な資料を後刻ちょうだいをいたしたい、こう思うわけであります。と同時に、再度建設省はこの事件を解消するために、関係業界、関係都道府県に対しまして厳重な通達を出すべきではないか、私はかように考えるわけであります。  同時に、建設大臣にお尋ねをしておきますが、この賃金不払い解消の問題は、そのつどそのつど国会において建設大臣から何とかひとつ法的な措置を考えたい、こういうたびたびの言明をいただいておる、私はかように承知しておるわけであります。四十一年の国会における瀬戸山建設大臣も、働いた賃金すらも受け取ることができないというような悲劇はなくさなければならない、そのためには下請、孫請が不払いを起こした場合は元請が一切の法的責任を持つような立法措置を講じなければならないのだということを声を大にして国民に約束をしておられるわけであります。そうして今日まで時間もかなり経過をしておりますが、いまだそれが実現を見ておりません。したがって、労働災害を起こした場合は元請業者が責任を持つという法的根拠があります。賃金不払い等もこの二十世紀の時代にこういうことが平然として行なわれているということを許すわけにいかぬと私は思うのであります。そういう意味で、何とか法的根拠、立法措置を講ずべきではないか、かように考えるわけでありますが、大臣の御見解を承りたい。
  139. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、そのために建設業法を改正いたしまして、その建設業法の改正の中に全部それを織り込んでおります。これが国会を通過することがなかなか困難でございましたが、昨年の衆議院ではこれが通過をしていただきまして、いま参議院のほうに回っておりまして、今国会にはおそらく成立できるだろう、こういうふうに見通しております。そういたしますれば、いま御指摘の点は全部法律上明定されて、それの違反の者はそれぞれの行政処分なりあるいはまた弁償の責任を負わされることになりまして、これで相当程度改善できると考えておる次第でございます。
  140. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 これは事務当局にちょっとお尋ねをしておきますが、いわゆる建設事業における労務費の問題でございます。三省協定等によりまして、建設省でも各都道府県単位に建設産業に働く労務者の労務単価というものがそれぞれ定められておることは承知をしております。ところで実際に現地に参りますと、その設計上の基準となっておる単価が必ずしもそのとおり労務者に支払われてはおらない、いわゆる労務費のピンはねというものがいまだに横行しておるのが現実でございます。特にこの問題をめぐりまして、こういう問題がございます。いま職業安定所では失業保険の最低の給付は千四百円、それから今度改正になりまして、千八百円になっておることは御承知のとおりであります。ところで、職業安定所へ仕事を求めてまいりますと、実際あっせんされる建設業は千二百円ないし千百円、こういうきわめて低い賃金であっせんをしようとしておるわけであります。ところで、失業保険を受給すると千四百円もらえるというのに、実際に自腹を切る建設業の単価は千二、三百円だ。いわゆる失業保険より安い。こういうことではなかなかあっせんを受けました建設業に就労する気持ちにはなれないというのが最近の実態でございます。一体こういうものをどのように事務当局考えておられるのか、ひとつこの点はっきりしておいていただきたい。是正すべきものであれば、是正するためにどういう手を打っておるのか、ひとつ御見解を承っておきたい。
  141. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 建設労務の設計単価につきましては、先生御指摘のとおり、関係の三省で来年度から実態に合うように実際の調査をもとにして、設計単価をきめるように近く決定をいたす次第でございます。それを今度は発注者が請負業者と契約をいたす際に、その単価どおりにしなければ、これは今度の建設業法の改正の中にも不当に低い請負代金の禁止というものがございまして、極端に低い単価で契約を締結するということは禁止されておる次第でございます。したがって、適正にこれは契約ができると考えておる次第でございますが、これを契約いたしました請負業者がさらに今度労務者に支払う際にどういうふうに支払うかという実態につきましては、私ども現在手元に資料はございませんが、これにつきましては、不当に低くなって労働基準法違反というようなものになりますれば、建設業法の行政処分の対象になりますので、しかるべき実情に応じて行政処分の内容をきめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 長谷部七郎

    ○長谷部分科員 以上で私の質問を終わります。
  143. 大野市郎

  144. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、主として先般建設大臣のほうから御発表になりました交通停滞に対する立体交差五カ年計画というものに関連いたしましてお伺いいたしたいと思います。  この交通停滞は、交通事故とともに慢性化してしまいまして、重大な現在の社会問題である、こう考えていいと思われるわけで、そういう関係からも、特にあなたのほうでこういう五カ年計画をお立てになったんだ、こういうふうに考えておるわけでございますが、それにつきまして、具体的にこの五カ年計画によってどの程度交通停滞、どういう形で将来に向かって解決できるか、こういう点の御構想を先にお伺いしたいと思います。
  145. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま御指摘のとおり、踏切道の改善の問題は両省にまたがっておるのです。ところが、従来道路財源はかなり皆さんの御協力を得ておるが、鉄道関係が赤字のために、極力避けて負担をなくしてやるということのために、なかなか合意にまで達しなかったのです。一つ一つこういう交渉をしておったのではとても現状にそぐわない。そこで政府全体として踏切道をこういうふうな、あるいは立体交差をしなければならぬようなところ、これを総括的に五カ年計画を立てて総合的な対策をやらなければならぬということで進めて、ようやくこれが合意を見たわけでございます。この内容については、かなり事務的な問題が多うございますから、私計数にあまり強いほうではございませんから、事務当局から御説明させまして、しかる後、また御質問がございますれば私のほうからお答えいたします。
  146. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 昭和四十六年度から昭和五十年度までの五カ年間において踏切道の整備事業を行なうわけでございますけれども、その内容を御説明申し上げますと、踏切除却を伴うような連続立体交差につきましては、約百キロメートル程度でございます。それから単独の立体交差、鉄道と道路が単独で交差するものが約六百カ所、それから踏切除却は伴わない単独立体交差が約四百カ所、それから踏切の前後の見通しの悪いところの見通しをよくしたりあるいは勾配がきつくて踏切の上でエンストを起こしてはいけませんので、そういう勾配を直したり踏み切りだけが狭いとか、前後の道路の狭いところを広げるというような改良事業とわれわれ言っておりますが、これが約千三百カ所を予定いたしておるわけでございます。なお、この事業費につきましては、今後個所別に調査いたしまして決定するわけでございますが、おおむね約四千億円程度というふうに考えております。
  147. 沖本泰幸

    沖本分科員 大臣がおっしゃるとおり両省にまたがっている。初めはわれわれ間違えまして、踏切問題は運輸省だけだ、こういうふうなことで運輸省にいろいろな問題を投げかけてみるわけですが、大臣のおっしゃるとおり赤字赤字、あるいは私鉄のほうで財源関係、運賃にはね返ってくる、こういうふうな事柄からなかなか解決しない。また立体交差につきましても、国鉄はもちろんですけれども、私鉄のほうでもそういうふうな直接収益にかかってこない、抜けてしまう投資、こういうふうなものに関しては、もう何十年来私鉄はなかなか応じない。そこへもってきて私鉄のほうは主としてですけれども、軌道敷内は自分の屋敷内だ、こういう従来からの観念がございます。そういうことのために地元の住民とかあるいはそのことによっていろいろな迷惑のかかる人たちがいろいろな形で問題を投げかけていってもなかなか応じない。そういうところから建設省がこの問題に対して十分見ていこうこういう形は、前に向かって進んでいく問題で、私たちは非常にいい、こういうふうに考えておるわけです。したがいまして、結局交通停滞の激しい、いま一番ネックになっているようなところから工事にかかっていただきたい、実現を早めていただきたいわけなんでございますが、それにつきましても、この五カ年計画に対する財源というものはどういう形でお埋めになっていかれるか。完全に財源確保していらっしゃるのか。ただ最近、私、非常に疑問を持っているわけですが、最近の政府のあり方というのは、いままでできている法律に対する財源措置というものが削られながらどうにかいく、それすらなかなかできないわけですから新しい政策を掲げても、ただ政策を掲げただけで、新しい政策が実現していくところの財源というものは全然見込みが立たない。こういうことから、結局五カ年が十カ年になっていってみたり、計画倒れというようなことが非常にあるわけです。そういうことで当然大臣のことでございますから、完全に財源の見通しというものはお立てになっていらっしゃると思うわけですが、財源についてひとつお伺いしたいと思います。
  148. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そういうおしかりを受けないように、今度の新しい道路五カ年計画の中に入れております。ただし、この五カ年計画は一年ずれておりますから、最後の一年分はまだ入っておりません。これはその後に予算措置をするつもりでございます。
  149. 沖本泰幸

    沖本分科員 これは漏れ承るのですが、自動車新税を充ててもいいというような御構想もあるとか、われわれはこの自動車新税についでは、新しい問題として反対という立場に全部おりますけれども、そういうことについて、あるいはそういうものを回すような財源見通しで、そういうことは閣議でいろいろなお話が出ているのでしょうか、どうでしょう。
  150. 根本龍太郎

    根本国務大臣 あなたのほうでは自動車新税反対だそうですが、われわれのほうではちゃんといただくことにして立法措置まで講ずるつもりでございますが、それを充てるということではなくて、自動車新税の一部が道路特別会計に入ってくるわけです。したがって、道路特別会計でこのような措置をすることでありまするから、間接には自動車新税を充てるといっても差しつかえないかもしれませんが、自動車新税だけを別にして充てるということではなくて、ただいま申し上げましたように、道路特別会計の中に自動車新税が入り、道路特別会計でこれを処置していく、こう御理解いただければけっこうでございます。
  151. 沖本泰幸

    沖本分科員 この問題のために論議するつもりはなかったのですが、結局先詰まりになるような財源でなくて、はっきりしたものを十分当て込んでやっていただきたい。もし反対が多くて実現しなかったら、その分だけくずれていくことのないように大臣にぜひとも責任を持ってこの計画だけは実現していただきたい。  それで同時に、地元のことにかかりますけれども、立体交差の中で、これは大阪の新聞に出ておったわけですが、南海電車の本線をかさ上げする、こういうものがきまりまして、地方のことですから大臣はおわかりになるかどうかわかりませんが、一応玉出という地域から大和川という間の立体交差だけはさまって、いま調査費が出て調査しているということなんです。ところが、最近になって私鉄は市の中心部へ中心部へと線を延ばしてきておりますが、ほとんど現在の交通事情に合わせて地下にもぐって入ってきている。市中の中に入ってくるような工事をやっておりますが、南海だけはずっと以前に市のどまん中に飛び込んできているわけです。一番中心部はすでに初めから高架にしてきておりますが、あまり激しくなかった地域を平地の上につくったわけですが、現在はその辺が全部市のどまん中、こういうことで、これがあるために、東西の交通を全部遮断しているわけです。どうしてもそれを上げなければならないというところから立体交差問題が起きて、玉出という地域まで上げる、こういうことの初めの計画ができたわけですが、この際、大和川から萩ノ茶屋という上げている地点まで全部をあげよう、こういう話が出てきているわけです。ということは、区切り、区切り工事をやっても、その工事単価を見ていくと、そのほうが非常に高くなる。全体計画を立てて区切ってやっていくほうが工事単価は安い。こういう考え方から全体を上げよう、こういうことで話を大体まとめてきて、今月一ぱいくらいでまとまるんじゃないか、こういうふうに考えられるわけですけれども、建設省のこれに対する予算の割りつけがまだ全然わかっていないというところから十分の構想もできない、こういうふうなところで停滞しているということになっております。私たちとしましては、いままで上げることを計画したところよりも、全体計画に立って上げるというところを上げたほうが、交通停滞は十分解決できる、こういうことになりますから、ぜひともそういう点から実現していただきたい、こう考えているわけでございますが、建設省のほうの御計画、御予定をお教えいただきたいと思うのです。
  152. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいまお尋ねの南海本線の高架化事業でありますが、先生御案内のとおり、私どもは昭和四十五年度にこの路線は調査路線に採択いたしております。目下その調査の作業を進めているわけでございますが、非常に緊急にやらなければならぬという路線でございますので、引き続きまして、あまり例がございませんが、四十六年度に新規の着工路線としてこれを取り上げる予定にいたしております。  ところで、四十六年度のこの南海の高架化事業予算でございますが、これは他の路線も同様でありますが、目下私どものほうで来年度の予算の個所づけの作業中でございます。いま進行中でございますので、きょうこの段階でこの路線に幾らということを申し上げることができないことははなはだ遺憾でございますけれども、いずれにいたしましても、初年度でございますし、そう大きな金をつけましてもそうすぐ立ち上がれるものではございませんので、実質上はいろいろな実施設計の調査を組むとか、そういうような予算になろうかと思います。
  153. 沖本泰幸

    沖本分科員 局長にお伺いしたいわけですが、いま申し上げましたとおり、全体計画に立った計画のほうが、予算関係とかいろいろな点で、立体的でもあるし交通停滞の解決にもいい、こういうふうにお考えでございましょうか、そういう方向でこの計画をお考えになっていく御予定でございますか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  154. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 南海は御指摘のとおり、天下茶屋でありますか萩ノ茶屋でありますか、都心からそこまで高架になっております。それから南のほうがまだ高架になっておりません。将来の方向としては、天下茶屋、萩ノ茶屋まで高架にすべきではないか、私はかように考えますが、何しろまだ完全に試算しておりませんが、二百五、六十億以上の膨大な事業費がかかります。現に私どもがやっておりますところの二十数カ所の中で、一番大きいものである総武線の高架につきましても百四、五十億円でございます。これは非常に大きな事業になります。そういう点を勘案いたしまして、段階的にどこからやっていったほうがいいかということを当然考えなければならない、かように思っております。
  155. 沖本泰幸

    沖本分科員 大阪市のほうも最近になって考え方を変えて、全体の立体計画を立てて全体計画の中から区分してやっていこう、こういうような考えで検討しておるようでございます。その点はどうぞ、一カ所だけがよくなって、他がまだひっかかっていく、むしろゆるいほうが上がって、きついほうが上がらない、こういうふうなことのないようにお願いしたいわけです。  さらに、これは運輸省に関係があることなんですが、最近私たちは、踏切の事故に対して、踏切番の人たちの給与とかいろいろな点が悪いのでむしろ事故が大きくなっているということを指摘したのですが、そのために今度きびしい通達がいって、結局無番の踏切も全部遮断機をつける、こういうことになったのです。つけたのはいいのですが、自動遮断機になったわけなんです。自動遮断機になりますと、相当向こうから予報がきて遮断機がおりてしまう。そのために今度は交通停滞が激しくなっているわけです。ですから、複々線のようなことになると両方から来る、信号が鳴りづめで、いままで幾らか通っていたのが全然通らない。鳴りづめに鳴って遮断機がおりている。こういうふうなことも常時あるようなことになってまいりました。同時に今度、そういう間隙が相当あるものですから、その間を縫って人が下をくぐって渡ってしまう。こういうふうな新しい問題が出てきております。運輸省のほうに十分申し上げてはおるのですが、こういう点も立体交差という点について御考慮の中に入れて考えていただきたいと考えるわけです。  さらに大阪の国鉄の阪和線の高架の問題なんですが、これは国鉄のほうはやはり立体交差ですでに予算をつけて高架化することになっておったのですが、その後阪神道路公団がその高架の上にもう一つ高架を出して高速道路をつくる、こういう計画がどちらから出たかわからないのですが出てきて、結局それに対するはっきりした答えが出ないので計画待ちというのが国鉄のほうらしいのですが、道路公団のほうもこの問題について方向づけが十分できないので、結局地元の人たちにしますと、立体交差の予算がついてめどがついたわけですね。踏切は立体交差していただける。予算もついたけれども、国鉄の赤字が引っかかってきてなかなか工事をやってもらえない。そこへ加えて今度新しい計画が出てきた。その計画が決定し、軌道にのるまではまた踏切は停滞したまま延びる。こういうふうな地元迷惑という問題がずいぶん起きてきているわけです。こういうことにつきまして、いわゆる高架にした路線の上に軌道、軌道の上にまたさらに高速道路をつくるということは日本では初めての構想ではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、この問題は四国の本四架橋というようなものができてくれば、当然二階建ての鉄橋がかかったりする構想もあるわけですから、まんざら一番珍しいということではないわけですけれども、地上の上にそういうものをつくるということは珍しいことでもありまして、同時にこれができるようになりますと、ほかの私鉄の上あるいは現在できている国鉄の上もやはりまたがして道路ができる。用地買収という点についても非常に条件がよくなってくる。あとは各地の道路公団あるいは国鉄、私鉄との折衝、こういうような関係で、わりかたこれは実現が可能ではないか。ただ、あとはそういう問題だから建設省がどういう決定を下してくれるか、こういうことで時間待ちというふうに私は承っておるわけです。そういう点について法律を改正しなければできないんじゃないかというような意見もちらちらしておるわけですが、建設省としてはこの新しい方式に対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
  156. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘のとおりに、鉄道と道路がダブルでしかもかなり縦断の方向に向かって長い区間共用するという例は全国にはないわけであります。それだけに鉄道施設と道路施設の管理をどうするかといった点でいろいろ制度的にむずかしい問題がございます。私は必ずしも道路法なりそういうものを改正しなければできないというふうには思っておりません。現行法の運用の中でもやれる方法もあるのではないかと思っております。いずれにいたしましても道路側の計画、道路があとから乗っかっていったようなことになって、鉄道のほうの事業にちょっとストップをかけたようなことになっておるわけでございまして、早急に、少なくとも四十六年度中にそういうことの両者の計画の調整なり管理をどういうふうに受け持つかといったようなことも含めまして話を詰めまして、四十七年度から可能な限りこれが立ち上がれるように私どもも努力してまいりたい、かように思っております。
  157. 沖本泰幸

    沖本分科員 これは国鉄のほうが赤字続きで、結局いろいろ突き詰めていきますと、計画はできて予算もついたんだけれども、赤字が続いているんで工事にかかりかねている。そのまま置いてあるわけですね。そこへたまたま話が出てきたということで、むしろ国鉄側から言わせれば、私のほうは関係ないんです、そういう話が乗っかってきたので、どうぞやるのなら御随意にというような立場でこの問題をとらえている、こういうふうなお話なんです。ですから、幸いに赤字で工事をやらなくてもいい、延ばせる、裏から考えたらそういうことも考えられないことはないという点があるわけですね。結局そういうふうになったということは、非常に踏切が狭隘で、新しい広い道路ができたのにそこのところだけが首根っこを押えられて、両方とも車が通れない、こういうかっこうで、早急に立体交差をということが問題になって予算がついたのですが、その予算をまるまるかかえ込んだなり、じりじり、じりじり延びているわけです。こういうことは全く言語道断といわざるを得ないわけなんですが、そういう点について、私から見れば国鉄のほうが責任のがれをしているのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけなので、結局なわ張りということはないでしょうけれども、責任の分担のなすり合いということでこの問題が膠着状態になっているというふうに考えられます。  建設省のほうとしては、建設省のほうから金を出して工事をやらすのに、はたのほうでそういうことはもってのほかだとお考えになるかもわかりませんが、やはり地元のそういう内容に応じていくというお考えに立っていただいて、この話の進め方は十分早めていただきたいし、早くその実現に向ってもいただきたいし、新しい構想も打ち出していただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、局長の御意見いかがでございますか。
  158. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 実は四十六年度の新規路線としまして、この阪神高速道路公団の泉北線の要求をしたのでございますけれども、いろいろ予算の詰めの段階で話を煮詰めていっている過程におきまして、前段に申し上げましたような根本的な問題で少しまだ詰めが足りないというふうなことでございまして、そういう点を十分に計画を固めずしてかりに予算をつけましても、結局一年間予算消化ができないということになったのでは何にもならぬということから、新規路線としましては一年見送りというかっこうになったわけでございまして、そういうことのために地元関係の方々に非常に御迷惑をかけるということになったわけでございますが、事は非常にむずかしい、初めてのケースでございますので、これは今後の前例になるわけでございます。しかもこういうケースは全国的にかなり出てくるのじゃないか、今後十分に私どもは鉄道側と公団を交えましてすみやかに協議を遂げまして、すみやかに立ち上がれるというふうな方向に努力してまいりたい、かように思っております。
  159. 沖本泰幸

    沖本分科員 いまのお話で、非常にもとへ戻すようで恐縮なんですけれども、建設省としてはこれはやるべきだとお考えになっていらっしゃるわけですか、まだこれは新しいので、四十七年度実施という考えでこれからじっくりと一ぺん検討してみようということなのでしょうか、これはぜひともやるべきだ、こうお考えなのでしょうか。  もう一つ、先ほどは新しい法律をつくらなくてもいいというような考え方もある、こういうお話なので、新しく法律をつくらないでやるおつもりなのか、法律をつくらなければならないのじゃないだろうか、こうお考えなのか、どちらなんでしょうか。
  160. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 制度的な問題は、法律を改正するのも一つの方法ですけれども、そうでなくても、現行法の運用でやれる面があるのじゃないかと私は思うのであります。それからあとは鉄道と道路のアロケートの問題だと思います。前例がございませんので、いろいろ議論しますと非常にむずかしい問題があるわけでございます。そういう点をまず早急に詰めなければならぬと思います。
  161. 沖本泰幸

    沖本分科員 それを詰めながら、大体法律を改正しないまでもできるのじゃないか、こういうふうなお考えのもとに実現をしてみよう、こうお考えでございますね。
  162. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 道路法の運用の問題でございますので、道路局長が見えておられますが、私の意見としましては、そういうことで現行法の運用でいけるという面もあるのじゃないか、かように思っておりますので、運用でできるのならそれが一番簡便でありますし、この辺は、もう少し道路局とも話を詰めていきたいと思います。
  163. 沖本泰幸

    沖本分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  164. 大野市郎

  165. 華山親義

    華山分科員 先ほど長谷部議員から、出かせぎ者の問題について、いろいろ御質疑なり御要望なり申し上げたと思います。私、そこに出ておればよかったのですけれども、ほかの用事もございまして出られませんので、重複する点もあろうと思いますけれども、ひとつ御了承願っておきたい。  この問題につきましては、私、六、七年前から、毎回労働省なり関係分科会等に出まして申し上げてまいりました。それで建設省の所管でもございますので、主として建設省のことについてお願いを申し上げ、また一般的なこともお願い申し上げたいのでございますけれども、実態を見ますというと、出かせぎ者が出てまいりましていろいろな災害にあいましたり、それから賃金の未払いがあるというふうな実態は、下請業に多く出ております。建設業は総合的なものでございますから、ほんとうの意味での下請というものに仕事が分散されるということは避けがたいことだとは思いますけれども、同じような仕事が下請から下請に変わっていく、移っていく。そうして最後の末端では、ただ人入れ稼業のようなかっこうになって、そういう人たちが無責任なことをする、こういうふうなことになっているのが実態でございます。そこに私は根本の誤りがあるのじゃないかと思っております。  現在、もう大臣承知のとおり、東北のわれわれの地方からは出かせぎがどんどん出ております。最近では、冬になりますというと、床屋さんの仕事がなくなったので、床屋さんまで出かせぎをするという状態でございます。また貧弱な市町村が多いので、まことに気の毒だとも思うのでございますけれども、そこのたばこ消費税が入らない。したがって、そのたばこ消費税を補うために、出かせぎ者に対しまして、たばこの切れたときには地元のたばこ売り業者に注文してもらいたいというふうなことで、輸送料を役場で持ったり、あるいは注文するはがきを刷ってみたり、いろいろな苦労算段をしておる実態であります。最近では、大臣も御承知のとおり、米産地の小都市等におきましては、まことに冬のさびれというものが強いわけでございます。  そういうふうな実態でございまして、現在出かせぎというものがだんだん増加して、これが日本の産業、特に建設業においてはもう欠くことのできない労働要員になっているわけです。そういう面からいたしまして、この出かせぎの問題につきましては特に関心を払っていただきたいのでございますけれども、先ほど申し上げました重畳的な、重なるところの下請、こういうものは配慮ができないものか、是正ができないものか、建設省のほうからお話を伺いたい。
  166. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほども長谷部議員にお答えしましたが、御承知のように、現在の建設業法は届け出制でありまして、若干の金をつけて届け出をすれば、いかなる人間も自由に建設事業、しかも、それが規模のいかんを問わず許されるということでございます。そういうことが、他の企業に見えない二重、三重の責任転嫁になるような下請、孫請という、そして末端で労務者に責任を負わせる、そこにいろいろな問題があるわけでございます。  これを法律上規制しなければならないと思いまして、実は私が十三年前に建設大臣のときも、これは公共事業であり、しかも生命、財産に関係あることだから、許可事業にしようじゃないかということを提案したことがありまするが、なかなかこれが理解できずに今日に及んでおりまするが、昨年の国会において、そうした問題をも含めて、これは根本的な対策だということで衆議院は通過さしていただきました。現在参議院に継続審議になっておりまするので、この問題が法律が通過しますと、御指摘のように、下請というものは建設業にやむを得ないところもありまするが、その弱点をほとんど大部分これで解決できると思います。というのは、そうした下請負をすることができるところの業種を特定します。そのかわりいろいろの制約事項、いわば責任体制をいたさせます。それから、今度はまた下請負の責任も明定いたしまして、不払いとかあるいは安全管理上の欠点のあるものは法律に基づいてそれぞれの処分ができるようにいたしまして、御指摘の点は改善したいと思っておる次第でございます。
  167. 華山親義

    華山分科員 よく御趣旨はわかりますし、私、そのほうの専門的なことを見ておりませんのでなんでございますが、そういうことのために、現在農村地帯では、大工といいましても下請でなく大工をやっている人がある。そういうふうなこともありますので、そういう面につきまして私、相当の考慮が要るだろうと思っております。そういう点を御配慮の上措置していただきたい。  それから、私、この点につきましてはかねがね申しておるのでございますけれども、現在公害についての無過失責任の問題が出ております。無過失責任を元請者に持たせたらどうか。下請がいろいろな点で問題を起こした場合に、障害につきましては一番元請が責任を持つことになっております。ところが、賃金につきましてはそういうふうな制度がない。こういうことを考えますと、労働災害についてそういうことができるならば、賃金についてもできるんじゃないか、こういうふうなことでしばしばお願いをしてまいったのでございますけれども、その点については、法律上の問題等もありましてむずかしい問題があるとかいうふうなことで、まだ実現をしておりません。公害につきまして事業者の無過失責任ということがいわれるようにもなってまいりましたので、この際に真剣にそのことができるものかどうか、そういう点につきましては、これは建設省の問題ではなくて、あるいは労働省の問題かもしれませんが、ひとつ御配慮を願いたいと思いますけれども、これは大臣からでも、労働省からでも……。
  168. 根本龍太郎

    根本国務大臣 下請負の資金不払いに基づくところの責任は、今度の業法が通れば、これはほとんど大部分が解決できると思っております。下請のできないものに対しては、親業者と申しますか、下請さしたものに責任を転嫁してやらせるような措置をしております。したがいまして、これは最初は融資等の措置もとらせますが、最終的には、できないときには親元に立てかえ払いをさせまして、あとは今度はその下請負と親請負との権利義務関係にさせまして、労務者にはあれがないようにいたします。こういうような措置を講じてまいります。
  169. 華山親義

    華山分科員 このことにつきましては、私、いろいろお願いいたしまして、私がお願いしたためでもないでしょうけれども、とにかく下請のほうで賃金の不払いがあった場合には、元請が責任を負うということを指導してくだすって、大体そういうふうなことにいまなっているかと思いますけれども、その点を励行させていただきたいとともに、実態を申し上げますと、これらの問題にあたりまして実態を見ますと、おおむねの場合、今度は元請が、下請、下請、下請とこうなっている場合、たとえば三人あるとしますと、三人を集めまして、そうして君らがやれ、君らがやらなければ来年からはもう下請させないぞというふうなことをやっているわけです。これはほとんど例外なしにやっているわけです。そういうふうなことで非常に時間もかかりますし、その間にややこしい問題も起きるわけでもございますので、私は、ずばり元請がそういう場合には責任を負うというふうにひとつ御配慮を願いたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、これは建設省とともに労働省のほうでもひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思いますことは、現在、私たちも出かせぎ者に対しましては、職安を通じて行きなさいということをほんとうに口すっぱく言っているわけです。その点の指導が、私はまだ労働省等にも足りないのじゃないかとも思いますけれども、その点ひとつやっていただきたいのでございますが、それにつけましても、もう少し職安というものとそれから監督署ですか、そういう末端の結びつきを強固にしてもらいたいと思う。そしてそのことが出かせぎ者にもわかるようにしてもらいたいと思う。たとえば、いまここで職安でお世話をした、その際には労働手帳を出して、どこの職安でやった、その職安では、出先の労働条件はこういうふうなことでお世話をしたんだ、何らかの事故があった場合には、あなたの行く職場の労働関係の監督署はここだから、そこに行って申し出なさい。それから、職安の末端からは監督の末端に対しまして、これこれの者があなたの管下のこういう職場に行くからめんどうを見てもらいたい、そういうふうな連絡を十分にして、そして安全と賃金の未払い等のないように、また、住宅等のいろいろの処遇等の問題について手落ちのないようにしていただきたい、こういうふうにお願いするのですが、そういう点が足りませんと、私のほうからも、職安を通じて行けというふうなことを強く言えないわけです。あなた方も言えないんだろうと思いますので、その点につきまして、もっと具体的な連絡関係というものを明らかにして、それをまた職安で世話をした人にはよくわかるようにしていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、これは大臣よりも、労働省関係の方のほうがいいかとも思いますが、ひとつ御答弁を願いたい。
  170. 保科真一

    ○保科説明員 ただいま先生のおっしゃいました、職安を通じて就労するということでございますが、これは労働条件の相違等を防止する上から見まして非常に重要なことだと思っております。安定機関といたしましては、市町村あるいは農業団体と連携をとりまして、安定所を通じて就労するように努力しておるところでございます。  また、出かせぎ先で安心して働ける事業所へ紹介できますように、需要地の安定所、供給地の安定所の間の求人連絡、安定所では事業所台帳をつくるようにいたしまして、安心して働ける職場への紹介ということで努力いたしておるわけでございます。今後ともなお一そう努力してまいりたいと思います。  それからまた、監督署と安定所の連携でございますが、従来からも連携はとっておったところでございますが、たとえば、賃金不払いを起こした事業所がどういう事業所であるか、あるいは職場の安全面におきまして管理の足りない事業所、こういうふうな安定所と監督署の相互通報制度というものをきめこまかく考えまして、先生御指摘のように、安定所も監督署もまだ連絡が不十分な面も現状においてはあるかと存じますので、今後前向きに検討してまいりたいと思っております。
  171. 華山親義

    華山分科員 どういうふうな連絡があるかということの手帳もお出しになっているようでございますから、それに書き込んで、事故があったらこの監督署に行きなさいよというふうなことを、私は明示しておいていただきたい。まことに不本意なことでございますけれども、出かせぎ者の事故の問題がありますというと、私のところに申し込んでこられる人が多々あるわけです。そういたしますと、私は労働省に、ここの職場というものは一体どこの監督署なのかということを聞いて、そして労働省からその監督署に電話をかけてもらって、その私に申し出た人に、その監督署に行ってごらんなさい、こんなことをしているわけですけれども、自分らでも何か不審なことがあったら労働監督署にすぐ行けるように、何かそういうふうな、出しておられるとすれば、いわゆる出かせぎ労働手帳というふうなものについてはもっと完備したもので、ひとつ改善をしてもらいたいと思う。そういうふうな制度を重ねて、もうこうなったら重要な労働資源でございますから、私は何らかここに立法措置が出るのじゃないか。いま一ぺんにはいかないとしても、そういう事実を積み重ねた上で、ひとつ出かせぎ者のための立法措置をとっていただきたい。  私から言うのもおかしい話ですけれども、ヨーロッパ等に参りますというと、スイスにしたところが、フランス、ロンドン、あの辺に行きますと、出かせぎ者が非常に多い。その出かせぎ者というものは外国人なんですね。南イタリアとか、あるいはアフリカとか、あるいは英連邦のインドとかそういうところが多い。そういうふうな実情で、あちらでは後進国であるけれども、日本では後進地域ということになっておる。そういうふうなことでございまして、同じ国民でございますから、ひとつあの労働者が堂々と胸を張って安心して産業に参加のできるように、ひとつ特に大臣からも御配慮を願いたい、こういうふうに思う次第でございます。
  172. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この出かせぎに対する立法措置による保護ということになりますと、これは私の所管よりもむしろ労働省の問題であり、かつ、これは農林省が非常に重大な関心を持ってもらわなければならぬと思います。われわれのほうは、むしろそうした整備によって建設労働者の質的向上と相まって、今後日本の公共事業の推進の大きな役目をしていっていただきたいと思います。御指摘の点は、労働大臣並びに農林大臣にも申し伝えまして、お互いにこの問題に前向きで取り組むようにいたしたいと思います。
  173. 華山親義

    華山分科員 こんなことを言うのは恐縮ですけれども、大臣も出かせぎ地の中心にいられるわけですし、それから労働大臣も岩手県でいらっしゃるようでございますし、労働者に一番理解のある方々でなければならないと思いますので、私は絶好の機会だと思っている。よろしくどうぞひとつお願いをいたしたい。  それから、いろいろお聞きしたいことがあるのですが、非常にくどいようでございますけれども、新四ツ木橋の事故のことについてお話を申し上げて、大臣からも承りたいと思うのでございますが、これは四十四年の四月一日に新四ツ木橋、荒川放水路で起きました事故でございます。これについては御承知のとおり、特に緊急に本会議に上程されまして、そして緊急質問等があった問題でございまして、その際に建設大臣それから労働大臣は、特に調査団をつくって調査をして、その事故の原因を明らかにする、それから、このリングビームの工法は当分中止する、こういうふうに言われたわけであります。  そこで、その後これにつきまして、労働省からは労働災害科学調査団、それから建設省からも特に調査団をつくりまして調査されまして、その結果報告が出ております。それから、警察はまた警察で独自の立場でこれを捜査してその結果が出ておりまして、私も、それにつきまして警察からいろいろの話を聞きました。それで、この前私、決算委員会でこのことを申したのでございますけれども、大臣もいらっしゃいませんでしたし、お出になっているのが道路局の次長等でいらっしゃいました。私は責任ある御答弁が願えないだろうと思いますし、また警察におきましても、道路関係の人を監督の責任が欠けたものとして検察庁に送っているわけです。送検しているわけです。そういうような立場からいえば、建設省事務当局からほんとうの気持ちのお話は承れなかった。これは私も役人上がりですからわかりますけれども、私は当然のことだと思うので、そういう人たちを責めるつもりは一つもございません。  ただ私、非常に長いものですから一々申し上げられませんが、あの席でも申し上げましたけれども、私、非常に残念に思うことは、建設省調査団の報告、それから労働災害科学調査団の報告、警察の捜査したところというものを比べてみますと、建設省調査というものが一どれが正確だなんと言うのじゃありませんよ。そういう意味じゃありませんけれども、客観的に見ますると非常に甘いわけです。それから労働省の科学調査団の調査というものは相当辛らつです。そして警察のほうは、ここに誤りがあった、ここに過失があったということで、実態についてこれを検察庁に送っているわけです。同じ事故についてこのような相違があるという点、私はまことに残念だと思う。それで、いまここでとても、われわれにはわからない要素もありますし、一々は申し上げかねますけれども、私がこの労働省の調査結果というものを見ますと、いろいろな点で幾多の疑問を投げかけているわけです。建設省調査団の調査ではそういうふうな疑問の点について、重複する面はあるけれども、これは世界の科学でもわかってない点なんだと逃げているわけです。あるいはそういう点はあったけれども、これは直接災害にはつながらなかったのだ、こういって逃げているわけです。それに対しまして、科学調査団は多くの疑問を投げかけ、くどいようでございますけれども、警察のほうは具体的にいろいろの欠陥を調べて検察庁に送っている、こういう実態であります。それで、先日の決算委員会で私がお尋ねをしたときの答弁、あの答弁では、私は無理からぬ答弁だとは思いますけれども、これではなくなられた人、なくなられた人の遺族に対して申しわけないと思っている。  それで、特に大臣がおいでになりますので私は申し上げるわけでありますが、ここで一々のことは申し上げませんが、たとえば労働省の科学調査団の報告では、本工法については過去において若干の事故が生じている。人身に被害はなかったけれども、事故が生じている。その内容については、といって文献等出しているわけでありますけれども、これにつきましては、本会議等の答弁等におきましては、いままで事故がなかったのだということ一点ばりできたわけです。ところがここでは、若干の事故を生じているとこう書いてある。それから調整ピースというものを現場でつくっている、その現場加工に問題があるということを労働省の調査ではいっております。それから「調整矢板と隣接矢板との溶接は、片側は六段目のRBの位置より上方の全域にわたり外れており、他の側は上記の二つの破断位置に挾まれる区域のみ外れていて、その溶接は必ずしもすぐれたものであるとは云えない。」こういうふうにいっておるわけです。こういうことについては触れておらないで、そういうことはあったけれども、事故にはつながったものではないというふうな書き方が、建設省調査団の言いぶりであります。その他幾多の面がありますけれども、こういうふうな状態。  それで、労働省のほうに伺うのでございますけれども、そのときに労働省のほうは、労働の安全に関する法律、ここにありますけれども、一々出すのはたいへんですが、何かそういうことで告訴していらっしゃいますね。これは形式的な問題でございまして、避けられないと思いますけれども、どういう点で、告訴といいますか、送検されたのか。
  174. 中西正雄

    ○中西説明員 この事故に関連いたしまして、四十四年の六月二十四日付で、労働基準法に基づきます労働安全衛生規則百六十三条の十八の違反容疑で送っております。  お尋ねの規則の趣旨でございますが、これは、「使用者は、土止め支保工を組み立てる場合には、」このリングビーム工法も土どめ支保工法の一種でございますが、「組み立てる場合には、組立図に基づいて行なわなければならない。」という規定がございます。これは一般的な規定でございます。この事故につきまして調べました結果、一部について、この組み立て図に基づかないで施工したという面がございました。この点に関して、この容疑に基づきまして書類送検をしたわけでございます。
  175. 華山親義

    華山分科員 それで、その順序というものは、安全に保てるか保てないかの非常に大きな問題なんです。このことにつきましては、この特許を持っている業者は、こういう順序でやりなさいということを言っているわけですよ。そういうふうな特許権者の言っているところの順序でやったのかどうか、それが報告がないからわからない。それで途中でその順序を――時間のことも書いてあったんじゃないですか、検察庁に送ったときには。そういうふうなことで、どういう順序でやったかということがわからない。しかし、この順序はこの工法の非常に重要な部分なんだ。そういう点があるわけであります。  それから、そういうふうなことはうかが見るのでございますけれども、一つ一つ申し上げますとたいへんでございますから申し上げませんが、たとえて申し上げますけれども、本来あの工法はまっすぐに真円でなければいけない。これが特許の要点なんだ。そうしてくずれないようにリングビームで押えるというのが要点。ところが、警察のほうでは真円でなかったと言っている。そしてまっすぐに立っておらないから、上のほうよりも下のほうがふくらむ、細くなってくる。そういう関係で、リングビームを打ち込んだものが設計どおりにできておらないということも指摘してある。もう警察のほうではどういうことを言ったかということは御承知だと思いますけれども、一つ一つ申し上げるまでもないのでございますけれども、われわれ外部からいいますと、しろうとからいいますと、これはどうしてもどこかに間違いがあったんじゃないか、こういう気持ちがしてしかたありません。これが検察庁に送られて、はたして検察庁がどういう裁断をするか、あるいは不幸にしてこれが裁判になった場合に、裁判ではどういうふうな裁判を下すか、これは私からかれこれ言う問題じゃありませんけれども、その結果いかんにかかわらず、私は、この三者を総合いたしまして、それらの欠点が直ちに破壊に結びついたのかどうかわかりませんけれども、確かにこの工程及び設計、そういうものについては大きな疑問を第三者として持たざるを得ないわけです。建設省が、建設省調査団の意見だけによって、あれが正しいのでございます、間違いはありませんでしたということでは済まないのじゃないか。  それだから、あのときに行なわれた遺族に対する補償等について、また蒸し返せなどということは私から言うべき立場にありませんけれども、いまここで大臣に、遺憾であった、必ずしも完全なものではなかったということを、遺族の人たちに対して言っていただきたい。そうでないと、これは妙な問題があとまで幾らも残りますよ。大臣どうでしょう、それが遺族等に対する、またなくなられた人に対する一つの道義じゃないかと思います。
  176. 根本龍太郎

    根本国務大臣 新四ツ木橋の事故については、私、当時は責任ある地位にはついておりませんでしたけれども、私もかつて建設大臣をした身をもって、実は非常に重大な関心を持ちまして、その原因がどこにあるにしろ、現実にこういう災害が起こったということは、何らかの欠陥があったことは認めざるを得ないと私は思います。それが設計上のミスであるか、あるいは工事をする場合における御指摘のような順序の誤りであるか、あるいはまたそのものをつくるときにおける何らかのミス、そうしたものが複合して出たのか、いずれにしても、結果的にああいう被害を起こしたことは非常に遺憾なことでございます。私は、建設業を遂行するにあたりましては、もちろんその成果そのものが一般国民に幸いをもたらすことは必要でありますけれども、その工事自体に安全性がなければたいへんなことだと思います。たとえそれが経済的、技術的に一応是認されるものであっても、少なくとも工事をやることにおいてその従業者に不安を与えることは、一切これはとるべきではないと思っております。  そういう意味で、このリングビーム工法については、特許も得ているようでありますけれども、まだ完全なる安全ということが解明されていません。建設省の報告によると、やむを得ないとかあるいはいろいろ天災に類するようなことだというような意味のこともあるようですけれども、しかしながら、これが完全に安全であるということが、あの事態以後証明されていません。これは引き続いて土木研究所等において検討してもらうことにして、それが確立するまでは、当分これは工法として採用すべきでない、こういう判断をいたしておる次第でございます。  どういう原因にしろ、せっかく地方から出てこられて困難な仕事をして、こういう事業に従事された方がああいうふうな形で悲惨な死を遂げられ、またその遺族の方はほんとうにお気の毒で、この点に対しては、私も深く遺憾の意を表する次第でございます。
  177. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 大臣のお答えですっかり済んでおるわけでございますが、一言だけ道路局長として御答弁申し上げたいと思います。  新四ツ木橋におきます事故では、貴重な人命が失われまして、まことに遺憾なことだと、深く哀悼の意を表する次第であります。  ただ、事故が起こりまして、直ちに建設省調査委員会をつくりまして、真剣にこの問題に取り組んだわけでございます。御案内のように、委員長は福岡正巳さんと申しまして、たまたま当時土木研究所長でございましたが、世界的に有名な土質学者でございます。その委員の中には、福岡さんの恩師であります最上という東大の教授、この方は土の世界的な権威者でございます。それと奥村という先生、この方は主として硫黄鉄ないしは鉄構造の権威者で、やはり東大教授でございます。それ以外に、日本におきます、考えられる最高の権威者を網羅して、まじめに、また一年間、土木研究所の総力をあげて調査をやったわけであります。御承知のように、奥村先生はその後労働省の調査団の団長になったわけでございます。ですから、奥村先生はこの委員会に再三出ております。そういうふうな、われわれとしては最高の権威者を網羅しまして、ほんとうに純粋に技術的に事故の原因の究明に当たったわけであります。  つけ加えて申し上げますと、労働省等のレポートに載っておりますデータは、一切われわれ建設省のデータを提出いたしまして、それをすっかりお見せして、そこから出たものでございます。われわれのレポートの中には細部については触れておりませんが、これは一々全部検討されております。労働省の出されましたものは、私ども時間がございますればある程度答弁申し上げますが、一切触れております。議論されましたが、真の原因でなかったために、最終的なレポートには載せてありません。実は調査資料と申しますと、私の背たけよりもまだ大きな資料でございまして、まさに建設省の総力をあげて、全力を尽くして原因の究明に当たったことは間違いございません。その点だけ御強調申し上げたいと思います。われわれのものが間違いであるかどうか、これはおそらくは後世の技術が批判することになると思いますが、少なくとも日本の総力をあげてやった結果、世界の学者もいまだにわからなかった軟弱地盤における土質の調査というものが初めて考えられたわけでございます。これはアメリカにおいて若干最近そういう議論がなされたことは、私は存じておりますが、世界の土質学者のだれも知らなかった資料がございます。これは確かに現在の技術における未熟さのゆえでございまして、これについて深く議論に至らなかったためにこういう事故が起きたことについては、遺憾の意を表さなければならぬと思いますが、われわれは故意に原因をよそにしたようなことは絶対にございません。これだけは強調させていただきまして、お答え申し上げます。
  178. 華山親義

    華山分科員 最後に、大臣に申し上げておきますが、この問題につきましては、一度検察庁のほうをお呼びになりまして、どういうものについて検察庁に送ったのか、これはその業者とあなたの建設省の監督と二つの面の責任を追及しておりますから、ひとつよくごらんになって話を聞いてください。このことにつきましては、専門家は専門家で御意見があるでしょうけれども、私も大臣もしろうとなんですね。しろうとはしろうととしての見方があるわけでございますから、ひとつその点、大臣も一度書類なり、あるいは検察庁のほうをお呼びになって話を聞いてみてくださいませんか。  それでは、これで質問を終わります。
  179. 大野市郎

    大野主査 山田太郎君。  なお、この際政府委員に申し上げますが、時間の関係がありますので、ひとつ簡潔に御協力を願います。
  180. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間が三十分という制約をされた時間でございますので、ただいま主査からの御発言がありましたように、まず御答弁を明快にお願いしておきたいと思います。といって、肝心なところを簡単に済まさないようにお願いしておいて、まず大臣を中心に、高速道路の耐震性なりあるいは償還期限の問題、またあわせて山陽自動車道の問題と、できれば里道、水路の問題についてお伺いしたいと思っております。  そこで、まずお伺いしたいことは、先日新聞等にも報道されましたが、例のロサンゼルスの地震でございますが、予想以上に大きな被害を出しておるようです。同じ太平洋地震帯に属するわが国といたしましても、対岸の火事というわけにはいかないと思います。ことに、御承知のように六十九年周期説、関東震災についての周期説もあります。したがって、もしそれが事実とするならば、十二、三年以内に関東大震災程度の地震があるやも知れないということもいわれております。したがって、そのときのことを考えますと、防災体制がことに心配になるわけです。ロサンゼルスの大地震のときは、サンフランシスコへ通ずる五号線と百十八号線の合流点近くでくずれ落ちて、そのもろさをあらわしております。わが国のように高速道路の利用台数が非常に多い道路においては、非常に大きな被害が出るのではないかということも巷間心配されております。ことに東京や大阪の高層建築、最近建築技術の進歩とともに続々と建設されておりますが、防災の立場から憂うるべき事態にならないように、前もって処置をしなければならないと思っております。ことにこの高速道について、陥没等々の不可抗力ということもあるかもしれません。   〔主査退席、大村主査代理着席〕 しかし、結果から見て、人災によってこのようなことがあったというあとの後悔になってはいけないと思いますので、その点をお伺いしておきたいと思います。
  181. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、震災の場合における人間の恐慌状況あるいはそれに基づくところの惨害は、まことに深刻なものであるということは、関東大震災はもとよりのこと、あるいは名古屋地震といろいろあります。日本の公共施設はもとよりのこと、建築等も、関東震災を非常に大きな教訓としてこれに耐え得ることを前提として、いろいろ建築基準法、あるいは道路構築、あるいは港湾等もみなできておるのでありまするが、しかし、今回のロサンゼルスの災害を見まして、これは理論上だいじょうぶだ、過去、今日までだいじょうぶであったというだけでは安心できぬ、こう私も思いまして、さっそくその方面におけるわが国の最高の技術者を派遣しまして、向こうの教訓を綿密に研究して、そして、その結果に基づいて日本の地震対策を総点検したい、こう思って派遣したわけであります。  そこで、建設省のみならず、東京都もそれぞれ陣容を持っておりますから、東京都のほうにも出てもらい、あるいは警察、消防庁のほうからも人を出していただいて、いませっかく調査中でございます。この結果に基づいて、日本においてダム、あるいは橋梁、あるいは建築物、港湾等、そういう問題について十分に再検討して、もし少しでも不安がありますれば、それを改善するために努力しなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
  182. 山田太郎

    山田(太)分科員 大臣が御答弁になりましたように、調査団がロスへ派遣されたと、昨日ですか報道もされておりますが、ただいま大臣が御答弁になりましたように、その結果を発表して、周知させて、そしてそれに対する対応策も具体的に発表する、その点を大臣からお約束していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  183. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのつもりです。それでこれは専門家だけが、いや、だいじょうぶだ、だいじょうぶだと言っても、実際に震災の場合は人心の動揺によるいろいろの連鎖障害が多いから、ロサンゼルスの調査の結果ああいうふうな状況が日本に起きた場合にどうなるんだということ、それから現在、日本はこれに対してどういう措置をとっておるかということもあわせて発表し、そして、今度はさらに点検させたいと私は思います。これは東京都と私のほうと、また関係省とやって、そして、いままで安全だと言っておったけれどももう一回再検討すべきだ、そして、その結果だいじょうぶだ、あるいはまたどこに欠陥がある、これはどういうふうに補強するということをはっきりすることが――私はいま山田さん御指摘のように、マスコミが盛んに六十九年説とかいろいろいっておるために、やっぱり非常に不安感を持っています。私自身も、実はこれどうなるんだろうというしろうとなりの不安感と、したがって、そういう場合にはどう自分自身処置すべきかということもときどき考えるわけですから、両方の意味において、いま御指摘の点は私はやりたいと思っております。これは私の権限でやれることは全部やります。私の権限外以のことは、閣議にはかり、関係者の協力を得て措置をしてまいりたいと思っております。
  184. 山田太郎

    山田(太)分科員 大臣の御答弁によって、その点はまず了承させていただいて、では、次にお伺いしたいことは、日本道路公団によってつくられた名神高速にしましても、一カ年余りで路面に欠陥が出て、昨年夏あたりは多くの事故を起こしたことは御承知のとおりです。また、首都高速道路についても、当初十年は絶対にだいじょうぶといわれておりました。ところが、羽田線はすでに六年くらいで補修工事にかからなければならない実態だといわれておりますが、なぜこのように予想以上の欠陥が起きたのかという点について、まずお伺いしてみたいと思います。
  185. 根本龍太郎

    根本国務大臣 かなり技術的な問題が多うございますから、事務当局から答弁させます。
  186. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 首都高速の欠陥というお話でございましたが、舗装は年々摩耗するものでございます。それで、そういうものに対する補修というのが絶えず伴うものでございます。昨年の東名高速道路の補修というのは、実は私、存じませんけれども、東名高速道路については、現在のところないと私は感じております。ただ、名神高速道路に一部不陸が生じております。それは、橋の取りつけ部分、橋はコンクリートの基礎の上につくられておりますけれども、その取りつけ部分の盛り土部分がやや沈下いたしまして、波を打つという現象が起きまして補修しておる例はございます。これは日本の、特に軟弱地帯を高速道路が通る場合は、こういう実情はどうしてもやむを得ないことでございまして、単に日本だけに限らず、どこの国でも軟弱地帯を通りますというと、こういう波を打つ現象が出ますので、それはそのつど修理が必要になると思います。  また、もう一つ考えられますことは、高速道路に最近トラック類がかなりたくさん通っておりますが、相当大きな荷重、つまり積載をオーバーした荷重で相当通りますので、これに対する手当ては別に考慮しております。
  187. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの答弁ですと、軟弱の地帯、それが一つの原因。それからもう一つは、重量の多いトラックの通行。そのほかに、新聞の報道するところによりますと、予想をはるかに上回った利用率がある。この予想をはるかに上回った利用率があるという点については、どのような状況になっておりますか。
  188. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 交通量が予想より多かったということは事実でございまして、名神高速道路は、当初われわれが想定しましたもののたしか二二、三%の交通量のオーバーになっておるはずでございます。  なお、荷重につきましては、先ほど申し上げましたように、大型車が非常に多く、その大型車の半分以上が積載をオーバーしておりまして、これが一番大きな舗装をいためておる原因になっておるのじゃないかと思っております。したがいまして、最近大型車が乗り入れる場合に、言うなれば台ばかりみたいな重量を測定する機械を取りつけまして、これによって、オーバーするものは荷物をおろさせて通すような方法を考えておるわけであります。これは道路管理者だけではございませんで、警察と一緒になってやらなければいけないことでありますが、すでに施設を準備いたしまして、積載過重の車は荷物をおろさせて通すような方法を現在進めておる次第であります。
  189. 山田太郎

    山田(太)分科員 積載過重の問題については了承いたしますが、利用率が予想を二十数%上回ったということによって、これは当然償還期限の問題にも影響してくるのじゃないかと思います。これは朝日新聞の報道でございますが、最初二十三年から二十五年で償還するという当初計画が、早ければ十数年で償還を終わる見通しもある、このような報道が出ております。二十数%予想よりも利用率が上回ったということによる計算は、この計算と合うかどうかは別といたしまして、事実はるかに利用者が多いということは、それだけ償還期間が短くなるということになるわけです。その点についての現在の調査は、どのようになっておりますか。
  190. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 おっしゃるとおり、名神高速道路につきましては、昭和三十八年七月に供用開始いたしまして、約十八年間に償還する予定であったわけでございますが、先ほどの説明のように、収入で約二三%程度増加しておりますので、償還が早くなることになろうかと思います。   〔大村主査代理退席、主査着席〕  ただ、現在われわれで検討いたしておりますのは、高速自動車国道につきまして、これは全国どこの地域でも同じ値段でもって利用されるべきじゃなかろうか。たとえば、大阪周辺がキロ当たり七円五十銭で、東北へ行ったらそれが三倍になったとか四倍になったというようなことじゃちょっとおかしいので、全部同じような料金体系にしなければいかぬのじゃないかというような検討、プール制とわれわれいっておりますが、プール制の検討がなされておりますので、それと関連いたしまして、償還がすべて終わった時点で無料に開放するかどうかということは、別の議論になろうかと思います。その一つのプロジェクトごとに償還がされるとすれば、御承知のように、十八年よりも短くなることになろうかと考えておりますが、現在プール制を検討しておりますので、必ずしもそういうふうにならないのじゃないかと思います。
  191. 山田太郎

    山田(太)分科員 償還が終わっても、無料にできないということにいま私には聞こえたのですが、これは全国同じ料金にしなければならないためにそれができないのである。そうすると、全国の有料道路の料金を全部一律にするということをおっしゃったわけですか。
  192. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは政治的問題を含んでおりますので、私からお答えいたします。  御承知のように、従前日本においては道路は無料公開の原則だということが一応のたてまえでございました。ところがその後、このような状況道路がどんどん必要になってきて、しかも、相当高い経費をかけてもこれは産業発展のために、国民経済のために必要だということになってきてから、たしか東名のようなものは、鳩山内閣のときに実は採用いたしました。そのときにも、ワンプロジェクトの独立、償還したら無料にするというたてまえで実はやってみたのです。ところが、現在はもう全国いわゆる縦貫自動車道といわれる道路が、各選挙区から国会議員の皆さんの要請によって計画されております。そこで、もしいままでのように一つの道路を償還したななら無料にするということになりますと、都会地だけが非常に有利になりまして、今後縦貫国道をつくらなければならぬところのへんぴなところは、非常に高くて償還はほとんど不可能だというようになると、これはもう断念せざるを得ないということになりかねないのです。そういう状況を受けまして、御承知のように国会でも、これは党によっていろいろあるかもしれないけれども、大きな趨勢としては、むしろ高速自動車網をつくって、その自動車網を完成するまではプール計算すべきだという議論が、うんと出てきております。それを受けて、現在建設省もこの問題を研究中なんです。いずれそう長くないうちに結論が出るだろうと思いますが、そうしますれば、東名だけで償還したからあとここは無料にするということになりますと、今度は東名が無料になったということでだっとみんな来ますと、東名が麻痺状況になってしまう。そうすると、全ネットワークを考えたのが、一番あそこが梗塞してしまってどうにもならなくなる、こういう危険がありますので、やはりこれはプール計算をしていく、そのほうがより妥当性があると思います。そうしてそうなった場合に、東名あるいは名神あたりは、もう一本つくらざるを得ないような情勢になってくるのではないかと思うのです。そうすれば、いまのプール計算でやってできた――現在は御承知のように道路公団で全部やっていますから、その場合に二つつくってやれば、片方を無料にしてやるよりも道路政策上はより有効じゃないかというふうに考えて、そういう点を含めていまの御質問にこたえたい、こう思っているわけでございます。
  193. 山田太郎

    山田(太)分科員 くどいようですが、ちょっと納得しかねる点が一点ありますのでお伺いしておきたいのですが、そうしますと、この有料道路は永久に無料にはならない、そういうふうな心配がある点が一つと、もう一つは、過去の、すでにもう償還して無料開放されているその道路との公平の原則の立場からいうと、どのような観点になるか、その二点をお伺いして、次の質問に移りたいと思います。
  194. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私がいま申し上げたのは、永久に無料公開しないということではないのです。一応現在、日本全国を高速自動車網でネットワークをつくり、それが完成した暁には、そうしてこれが全部償還された場合には、これは無料にしてもそう大きな支障はこないだろう。そうすると、いまの大体の予想では、昭和六十年度までに全体の七千六百キロの有料高速自動車網ができるとわれわれは推定しています。それから後は、償還ができればこれは全部無料にする、こういう構想でいくではないか。これによって、いまの山田さんの御質問にこたえることができるというふうな考えをいたしております。
  195. 山田太郎

    山田(太)分科員 この点についてはまだ問題点も多々あると思いますので、時間の都合でまた他の機会に譲りたいと思います。  そこで、それに関連いたしまして、山陽自動車道のことについて先にお伺いしておきたいと思います。これはもう御承知のとおりでございますので、私が多く語ることは避けて、事実、岡山から十数キロのある地点、西のほうの倉敷の方面に向かって、普通ならば十分で行けるところが、先日一時間以上かかっております。それから広島まで行きました。これが現実に六時間以上かかっております。特急で二時間のところです。東に行きますと三石方面、これは兵庫県との県境ですが、やはり数時間かかった体験も持っております。これが岡山バイパスあるいは尾道、三原バイパス、あるいは西広島バイパスとか、周南、防府、小郡と、それぞれバイパスが一応あげられているようでございますが、しかし、数年ならずしていまの交通量は倍加されるという計算も成り立っております。その点について、ことに中国縦貫道地域開発の点から考えても、非常に当然大切な道路でございます。しかし、交通の面からいいますと、また現在の経済の状態からいいましても、近畿圏、あるいは瀬戸内海圏、あるいは九州圏と、これを円滑に交通網で結ぶということは、非常に大切な――いまの地元の要望のみならす、全国的に見て非常に大切なことじゃないかと思います。この点について、山陽自動車道について、現在どこまで――もうすでに調査は終わって、そして基本計画の段階になった、それも終わって審議会にかける段階になったというところも聞いてはおります。その点のプロセスと、できるならば、ここでは発表できないかどうか、これは別といたしまして、その主要点も含めて、調査がどの程度進んだか、あるいは基本計画はどのようになっておるのか、あるいは整備計画はどのようになっておるのか、次々とお伺いするつもりでございましたが、時間の関係でもう一つお伺いしておきます。  これは財源についてはどのように考えておられるか、あるいは着工についてはどのような構想であるかという四点について、まとめてお伺いしておきたいと思います。
  196. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 山陽自動車道の調査につきましては、現在鋭意進んでおりまして、ただいまの段階では、基礎的な調査は安全に終了いたしまして、計画線の調査に入っておるわけでございます。したがいまして、この調査もおおむね完了に近づいておりますので、この次の高速自動車道の審議会が開かれる機会に、基本計画が提案できるんじゃなかろうかというふうに考えられます。  なお、整備計画につきましては、基本計画ができたあと、引き続き整備計画のための調査に入るわけでございますが、通常基本計画整備計画が出るまでには、一年ないし二年の日子を必要とするかと思われます。整備計画が出たあと、建設大臣から施工命令が発せられまして、日本道路公団で施工することになろうかと思われますが、その時期は整備計画の時期によってきまることになろうかというふうに考えられます。  なお、財源でございますけれども、財源につきましては、御案内のように道路整備五カ年計画の中でやることになりまして、ほかのすでに着工しております高速道路と一緒になって財源は検討されることになるわけでございまして、整備計画の立案のときにおおむね何年ごろ完成かということもわかるようになろうかと考えます。以上でございます。
  197. 山田太郎

    山田(太)分科員 あまり大ざっぱに答えられたようでございますので、私がもっと突っ込んで聞きたい点を少し聞いておきたいと思います。  その審議会で、基本計画は大体終了した、そうとってよろしいですね。
  198. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 基本計画は、今度の審議会に提案できるというように考えております。
  199. 山田太郎

    山田(太)分科員 今度の審議会は、いつごろ開かれる予定になっておりますか。
  200. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 事務的には五、六月か、六、七のその時点になるのじゃないかと思います。
  201. 山田太郎

    山田(太)分科員 そういたしますと、実はこれは昨年の十二月十一日の議事録でございますが、この中で、社会党の三木議員からの質問に対して、このように答えていらっしゃるのです。この答弁は、同じく道路局長答弁になっております。前のほうは省略いたしまして肝心のところだけを言いますが、「そうしておきましても、何としても姫路バイパスが完了すれば太子町でまた交通混雑を起こすおそれは十分ございますので、現在は高速自動車国道、山陽自動車道とわれわれは言っておりますが、その調査がかなり進んでおりますので、それでやるか、ないしはいままで申し上げました日本道路公団の行なう一般有料道路でやるか、いずれかの方法であろうということで検討を進めております。」このところでございますね。これは姫路バイパスの西のほうから進めていきたいというふうにとれるわけです。また、そうとって当然だと思うのですが、この点についてはどうでしょうか。
  202. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 建設省の姫路バイパスの西、通称西播バイパスと言っておりますけれども、これにつきましては、先ほど議事録でお読みのとおり、一般の有料道路でやるか、高速自動車国道の一部としてやるかという検討を進めておるわけでございます。高速道路の一部としてやることになりますと、基本計画を出して、さらに整備計画を出して、大臣の施行命令が出て着工することになると思います。そういう検討を現在進めておる段階でございます。
  203. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間が来たようでございますので、まだお伺いしたいのでございますが、この山陽自動車道については、先ほど申し上げましたが、強力な推進と早期策定を特に要望して、質問を終わりたいと思います。
  204. 大野市郎

  205. 島本虎三

    島本分科員 せっかくこの機会でございますので、道路建設の問題でいろいろ伺いたそと思います。  その前に、大臣昭和四十四年七月二十三日、衆議院の商工委員会で、硫黄対策の確立に関する件という附帯決議が通っているのです。それの中に「石油精製業界の硫黄対策への協力を促進するため、低硫黄化対策の積極的推進に必要な助成並びにアスファルト需要の拡大等総合的な措置を確立すること。」これがあるわけです。私どもも、いま公害の問題を通じまして、関係各省庁との間でいろいろ連絡をとってやっておるわけであります。諸外国の施設に比べて、日本の道路行政というものはもう少し総合的に見てこれをやる必要がある。たとえば、これは大臣にお伺いしなければならないのでありますけれども、今回のいわゆる道路整備特別会計、こっちのほうでは、七千八百十五億円組まれておる。道路予算の中でも、農道や林道、こういうようなものでも、昨年から二〇%程度ふえている、こういうようなことになっております。私どもも、いまの公害行政を推進する中で道路行政と一致する面は、石油精製の過程で、間接脱硫の過程でどうしてもアスファルトが出る、これを最高限度に利用することから始まると思うのであります。値上げされても、何としても中近東から出る油を輸入しなければ、日本はもうどこの油にもあまり手をつけられないような国際的な情勢の中にありますから。与えられた場所は中近東であるが、硫黄分が多い。硫黄分の多いものを持ってきて脱硫装置にかけなければならない。直脱の場合は十分じゃないけれども、間接脱硫にすると、最後にはどうしても純粋な油とともにアスファルトが残る。このアスファルトは、現在、年間二百八十万トンほどあればいい。しかし、もうすでに五百万トンほどできている。四十八年から九年までの間には一千万トンできる、こういうような見通しになっておるわけであります。こういうようなものに対するはっきりした見通しの上に立って行政を進める、これが公害防除の対策にもなり、道路行政を進めるための一助にもなり、本来の仕事を生かす道にもつながるわけであります。いままでは、こういうのがばらばらに行なわれておった。今後は、大臣のもとで一貫した道路対策として公害防除の政策の中にこれを取り入れて、ひとつ画期的な発想のもとにこれを展開してもらいたい、こういうふうに思うわけでありますけれども、大臣の所見からお伺いしていきたいと思います。
  206. 根本龍太郎

    根本国務大臣 全体の発想には、私も賛成です。その意味で、実は十三年前、私が岸内閣の建設大臣の当時、むしろ事務当局、技術当局を鞭韃しまして、アスファルト道路の推進を始めたのです。その当時までは、アスファルト工法は日本であまり進んでいなかった。それを、例のプラントの改善、それから工法、いろいろの研究をさせて、どんどん進めてまいりまして、現在では、日本の舗装材料としてはセメントをオーバーしておるはずでございます。なお、現在では、市町村道なんかも、セメントで舗装するよりアスファルト工法のほうがよりやりやすい。それでこのごろは、農免道路等においてもアスファルトを使うようにわれわれも進めておる状況でございまして、全体の発想については賛成でございますので、前向きにさらに推進してまいりたいと思っておる次第でございます。
  207. 島本虎三

    島本分科員 それで、前向きに進めるという大臣努力、発想、私も同じですから、この点では鞭韃を申し上げ、大いにやってもらわなければならない。これは見解を一つにします。しかし、国道のほうはまずまず進んでいますが、農道と林道と市町村所管の市町村道、こういうふうなものに対しては、全然いくところまでいってないのです。国道をはずれ、県道をはずれていきますと、もうすでに道路という概念じゃなくなるわけです。バラスを敷いているのはいいほうでしょう。バラスも敷いてない。普通、かき分けて歩くようなところが道路ということになってしまって、これが道路だとされている。道路というのは、舗装されたのが道路だ。バラスぐらい敷いてあるのは、道路予定地だ。何にも敷いてないのは、地球の表面じゃありませんか。地球の表面を歩かせながら、これは道路だと称しているのが、現在の農道であり、林道であり、市町村道なんであります。市町村道に限っては、合計七%ほどしか舗装されておらないのです。しかし、アスファルトは依然として余っておるではありませんか。今後は、これをどこかに結びつけて、行政の中に取り入れるのでなければ、依然として市町村道並びに農道、林道は置いていかれるのではありますまいか。国道はよろしい。県道はまずまずだ。そうであっても、残されるものに対する対策、これは発想を一つにしても、その辺の行政的な手落ちがある場合には何にもならないのでありまして、この点についてはひとつはっきり対処してもらいたいと思うのであります。
  208. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、農道、林道は私のほうの所管じゃありませんのでね。現在は、道路網との関係において、実は農林省と道路局とが連携しております。その際に、できるだけアスファルト道路をつくるように、勧奨といいますか、要請したいと思います。それから市町村道については、現在はほんの一部が国の助成でありますが、今度いわゆる自動車重量税がかかりますと、その一部、約四分の一が地方財源として市町村にまいります。これが一つの財源の裏づけになると思いまするが、この市町村道の大部分の市道は、自治省との関係がございます、それで、自治省でも、いま御指摘のようにこれだけのモータリゼーションの進んだ時代でありまするから、舗装しない道路道路でないという概念になってきました。ところが、従来の市町村道は、市町村自体延長何キロあるかはっきり把握しておらないという状態でございます。これは長い間人間が歩いて通れば、これが市町村道になってしまう、こう  いう状況でございまするので、いまにわかに七%だからこれを一〇%に、何兆円かかるというようなことでは、なかなか実現性がありませんので、われわれのほうとしましては、いま生活圏構想を進めまして、国道地方主要道路市町村道で、その市町村の生活圏を裏づけるところの最小限度の道路については舗装させていきたい。これについてはわれわれのほうも補助助成する、こういう形をとっています。そういうような生活圏構想道路のネットワークができた場合には、当然舗装を必要といたしますから、それを進めます。その際にできるだけアスファルト道路を採用するように、私のほうからも行政指導をいたしたいと思っております。
  209. 島本虎三

    島本分科員 そのためには、いまの場合、昭和四十五年度の予算で農道は二百三十二億あったのが、四十六年度で三百二十三億に組まれております。それから林道のほうは四十五年には百四十一億であったのが、今度また百六十九億組まれておる。また大臣の今後の腕の見せどころである下水道、これも四割以上ふえております。こういうふうにして、いわゆる公害と名のつくこういうような方面にはふえておるのであります。しかし、この内容を見ますと、依然として、農道のほうには若干の簡易舗装はあっても、林道でアスファルトを使うものは皆無である。それから市町村道は、ほんの先年まで四%台であったのがいまようやく七%に届くところまでいった程度で、七〇%ならいいのですが、七%であります。これは道路全体の計画を市町村を含めて考えるのは建設省ですから、建設省のほうからそれぞれ道路計画を立ててこれを市町村実施させ、大蔵省から交付税等によって対処させる、こういうようなことでなければ、ただ単に上増しをしてやる程度のものでは解決にならないのであります。  そこで、大臣は今後その発想を極力進めるためにも、ひとつ――公害防除のための唯一のきめ手だというところに、私、今後の日本の課題があると思うのです、解決するための近道が存在するということになるわけであります。どうしても昭和四十八年から四十九年までに一千万トンのアスファルトが余るのですから、いまでも二百七、八十万トンほどしか使っていないのに四百万トンから五百万トンのアスファルトが出ている状態でありますから、そうしてそれを精製して硫黄分の含有率〇・三くらいのりっぱな油ができるにもかかわらず、また二%ほど加えて二・一か二・三%にして使って、現に空をけがしている状態でございましょう。これを純粋な油にして使うためには、空をきれいにするためには、アスファルトにして特に道路行政を進めることが裏表になるわけであります。ところが施策を見ると、今後は農道の場合は、これはもう分子が少ないですからなんですけれども、建設関係は大きうございますから、どうしてもそっちのほうにゆだねる部分が多いのであります。しかし、政府考えでは、こういうものを道路行政のほうに積極的にやらないで、インドネシアをはじめ対外的な一つの援助政策の中にこれを組み入れて、そして外国でできるようなこういう産業の指導方針の中に、道路建設、港湾の建設、環境整備の条件にこういうものを組み入れて指導しているようではありませんか。そうなったら、日本で余ったものを日本で使わないで、外国へ持っていって指導の中に入れようとするわけです。結果は、やはり日本では一%から二%アスファルトを油の中にまぜて使う。すなわち空はけがれるということになる。けがさないためには、対外援助も必要だ。指導も必要だ。しかし、自分の中の農道、林道、市町村道、こういうようなものを完全にして一千万トンのものをやったなら、十年間に七〇%から八〇%まで舗装可能だということになるのです。ナポレオン三世の時代にフランスのあの大下水道ができて、いまだにセーヌ河の水はきれいだ。GNPが自由主義諸国世界第二位を誇る東京。東京の川は隅田川だとすると、まさにぶよぶよとして出てきて、隅田どぶにひとしいような状態だ。こういうふうにしてみると、ナポレオン時代にできた土木行政を、これほどの、いま世界第二位の日本がやれない、こういうわけはないのでありまして、やはりやることにこしたことはないし、これはやる方法は必ずあるのですから、ひとつ土木行政とあわせて、今度は道路行政を、的確にそういうような状態を把握の上でやってもらいたいと思うのであります。これはやれないことはないです。あと年次計画を立てて、市町村道、それから農道、林道――これは重要であります。いま緑はだんだん失なわれていっております。そういうようなことに対して、こういうような状態の中に、人間としても環境としてもいつも保全されるような状態にしておく。これが指導できるのは建設省ではありませんか。発想の転換、大いにけっこうであります。公害対策のためのアスファルト利用、大いにけっこうです。これは年次的に使って計画して、市町村まで十分行き渡らしてもらいたい。それとあわせて、林道、農道、この方面まで、農林省の方面とよく打ち合わせされて、今度予算の中に盛って実施さしてもらいたいのであります。毎年少しずつふやすのでは足りないから、これは年次計画にしてはっきり計画を出さしてもらいたいのであります。そういうことが私は大事だと思うのですが、それを閣内でやれるものは私は建設大臣だと思うから、大臣に質問するのでありますが、こういう発想は間違っておるでしょうか。
  210. 根本龍太郎

    根本国務大臣 考え方はけっこうと思いますが、私は総理大臣でもないものだから、その全部を私が指示するわけにはいきませんが、私は先ほど御答弁申し上げましたように、農林大臣にも、それから自治大臣にも連絡いたしまして、今度ぜひそういうふうな前向きに道路舗装を進める。その道路舗装のときにはアスファルトを極力使うようにお互いに協力しようじゃないかということは申し入れると同時に、事務当局からも関係方面に連絡させます。  ただ、御承知のように、日本の石油需要といいますか、この消費量は世界最大の伸び率であります。今度は公害対策のためにそれを全部国内で消費するということは、なかなかむずかしいと思います。現在でも、大体二億バーレルくらいの消費量である。これが四、五年たちますれば、もう三億、四億となってくる。そのときに、脱硫のために出たところのものを全部日本国内だけで道路でやろうということは、それを裏づけするところの予算措置がなかなかできないと思います。しかし、私はできるだけそれを使うようにくふうさせるようにはいたさせますけれども、そういうように日本でできたところのアスファルトは全部道路が引き受けましたといって胸をたたいて引き受けるほどにはまだいきませんが、真剣に、今後できるだけこれを日本の道路政策に使うように努力したいと思います。
  211. 島本虎三

    島本分科員 少しはしょって由しわけありませんが、次のほうへいく準備があって、ここで十分できないのであります。しかし、その分は答弁のほうをよくしてくれれば早く終わるということになりますので……。  そういうようなことですが、ちょっと違うと思うのは、油を使う量がふえる、これはそのとおりなのです。幾ら使っても、来るのは中近東の油であって、硫黄分の含有率の高い油だ。そのとおりです。それを直脱にかけても、直脱のほうはいま十分成果があがらないから、間接脱硫にかけると、どうしてもアスファルトと純粋度の高い油になるのだ。そのアスファルトのほうを使って、いま七%くらいの町村道を全部舗装してやって、林道、農道をやって、それから対外援助にうんと持っていく。それならばいいんですよ。まだそれをそのままにしておいて、地球の表面を歩かせながらこれを道路だと称して、対外援助だと称してほかのほうへ持っていって指導する。これは、建設大臣としては少し恥ずかしいのではないか。いま通産省のほうではそういうような発想のようでありますから、これは建設省のほうでは国内に利用する、こういうようなことでやって、ここに大臣の自意識を確立することです。通産省のほうは対外援助で向こうへ持っていくほうですから、あなたのほうは日本の道路をよくすることですから、この辺はあまり遠慮なさらぬほうがいいと思いますので、この点激励をしておきます。答弁は要りません。  それで今度は、大臣も御存じのように、国会の公害論争、昨年末は法案を中心に、今回の場合はそれを促進させるために、わが党の石橋書記長によって重大な指摘が行なわれました。そのあとで、今後連続的な自動測定の促進をする必要があるということ、これもはっきり答弁の中に出ました。企業内に公害監視体制をとる必要もある、これもはっきり出ました。そして科学的技術陣営の強化、再訓練の必要も当然あるということを各取り締まり官庁が認めておるわけであります。そういうような点からして、昭和四十年に河川法が実施されました。河川法ができて、それから約三年余りの間、これは政令がなかったわけであります。政令のないままに、法ができても全然実施の段階まで至らない、こういうようなのが三年以上あったわけであります。ついに去年、この政令ができたようであります。政令ができたということは、これをもう実施に移している、こういうようなことに私は理解しておるわけでありますが、これはどうでしょうか。去年の八月か九月ごろに政令ができたわけです。それと同時に、去年の暮れにもうすでに河川法によってちゃんと取り締まり体制が建設省にあるわけです。ところが、今度の新しい法律で、今後水に関しての取り締まりは経済企画庁が行なう、こういうようなことになっているようであります。そうすると、河川法で流量、清潔、こういうようなのも一つの取り締まりの状態になって、監理員がこれを実施するようになるわけであります。清潔の状態まで見るとするならば、これはもう法の中にありますから、そうなりますと、これは河川法によって建設省が当然行なわなければならない。また行なう。これを行なわせるのが大臣だ。しかし、実際経済企画庁が、水に関しては、沿岸まで含めて、湖沼、河川並びに流域、こういうようなものも全部責任をもって監視、測定し、流量その他も調べてやるということになる。同じ立場に立つのが建設省と経済企画庁だということになってしまうわけであります。この水の清潔の度合い、清潔の段階は、いずれのほうの管理が主たる管理になるのでしょうか。法律では両方になるわけでありますが、これは大臣の所感を承っておきたいと思います。
  212. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘の河川法に基づく政令が、従来各官庁の意見の合意が得ないために制定されなかった。これは昨年の予算委員会で、たしか社会党の田中武夫さんが指摘した問題であります。私は、こういうことははなはだ遺憾であるということで、さっそく閣議で大きく取り上げまして、関係閣僚の協力を得て、これは直ちに政令をつくるべきだということで推進してできたいきさつでございます。その当時、去年の春ごろは公害がちらほら出ていたが、実はこれほど国会がひどくなかったもので、水のみならず、若干そういう空気がございました。しかし、今度環境庁もでき、それから経済企画庁の権限も若干移動されるということで、この問題については、十分各省庁の権限の調整と申しますか、監督の権限調整はしているのでございまするが、これは行政的な事務的なことでございますので、河川局長から説明させます。
  213. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先生のお話のように、行政的にはいろいろ入り組んだり重なったりしているところがあろうかと思います。ただ、私ども河川を管理する者の立場からいきますと、現在水質汚濁防止法等いろいろ企画庁で所管をしておられますのは、環境保全の面から見ておられるわけでございますけれども、河川を管理する上から、利水上の問題とか、いろいろ環境保全以外に川を、水系を一貫しまして見詰めていかなければいけない面も多々あるわけでございます。したがいまして、行政的には多少重複はいたしておるかもしれませんけれども、これはいわば念には念を入れというような形になろうかと思いますが、事務的なオーバーラップという点につきましては、十分調整をしながら、できるだけみんなで水質をよくするように努力していこう、こういう姿勢で臨んでおるわけでございます。
  214. 島本虎三

    島本分科員 したがって、河川法によるところの川の水の清潔、それから経済企画庁が今後管理するのは、やはり環境整備のためのきれいな水にすることだったら、この清潔ということと同じことになるわけです。片や河川法では清潔ということばを使い、向こうは環境整備ということばを使う。同じなんです。そうすると、この体系は、建設大臣のもとに、環境の保全を保つために経済企画庁の長官からの命令はどういうふうなことになるのですか、直接いくのですか。大臣を通って下にまで行くのですか。それでどっちの命令に服することになるのですか。この際はっきりしておかなければ困るのであります。
  215. 川崎精一

    ○川崎政府委員 河川の清潔の中にも、単に河川の流水の清潔だけではなくて、河川敷とかそういったような河川の管理施設についても、やはりいろいろな生活環境上の問題もございます。したがいまして、経済企画庁では、水質に対する一つの国の環境保全の立場から見た基準が出されておりますので、私どもも少なくとも水質についてはそういうものを見詰めながらやっていくわけでございます。その辺でおのずから、一般的な河川の管理の立場から見る清潔の問題と、それからいわゆる水の環境保全から見た一つの企画庁で出されております基準と、これは一つの行政の指標になろうかと思います。それぞれ分担しておる立場が異なるもので、特に先生のおっしゃるように、企画庁の命令を受けてどうとかというようなことはないと私は思っております。
  216. 島本虎三

    島本分科員 終わります。
  217. 大野市郎

  218. 和田一郎

    和田(一)分科員 わずかな時間ですけれども、まず治水についてちょっとお尋ねしたいと思います。  昭和四十六年度の建設省関係予算を見ますと、その大勢は、四十五年度に比べていわゆる道路、都市、住宅方面には強い関心が払われておりますが、治水五カ年計画について、公共事業の根幹であるところの治水行政がやや軽視されている向きがないでもないと思うのです。四十三年度を初年度とするところの第三次治水五カ年計画が作成されておりますが、その第四年次に四十六年は当たるわけです。その計画達成率が七〇%の予算要求にもかかわらず、政府原案では六八%に押えられた。四十五年度に比して二〇%の伸びにすぎない。四十七年度は四九%増の事業をしなければならない。でないと、この五カ年計画が達成されない、こう思うのですが、その点についてお答え願いたいと思います。
  219. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、河川行政は治水、利水両面にわたっております。ところで、従来水の問題は、災害の多いために非常にこれに重点を入れてきましたが、日本の社会構造の進展の過程において、全国の総合的な開発という点からら、道路がまずクローズアップされてきました。それから社会構造の変化に伴う人口の移動、これが過密、過疎現象になって、そこで住宅問題がこれまた大きな問題として出てきたわけです。その間、ずっと建設行政の主流は河川行政であったわけです。ところで、今度新たに下水問題が出てきました。下水も、実は広義にいえば治水計画の一つというわけでございます。そういう関係で、いまのいわゆる河川局に計上されておるものだけが治水と考えれば、若干伸び率が他に比べてスローダウンしているように見られるかもしれませんが、下水道はある意味においてはこの水の再処理にも関係してきます。それから水の清潔のいま指摘された保持ということにも関連してきますので、特に都市中小河川は、これはほとんど下水と同じようなものでございます。そういうような観点からして、御指摘の点はわかりますけれども、決して実体的にはいわゆる治水、利水関係が軽視されておるのではない。組み方の態様が変わってきた。従来の河川行政は治水、それから災害防止が重点でありましたが、いま申し上げたように、社会経済情勢の変化に対応する予算の組み方の変更と御理解していただければ幸いと存じます。
  220. 和田一郎

    和田(一)分科員 そのことでひとつ具体的に、これは治水計画全体に当てはまるわけじゃございませんけれども、ひとつお聞きしたいと思うのですが、実は有名な明治三十八年、九年にさかのぼるわけですけれども、足尾の鉱毒事件がありまして、そして谷中村の取りこわしが起きた。これは例の田中正造代議士の大活躍の物語がそこから始まるわけでございますけれども、私ここにちょっと文献を持っているので、これを読みますと、足尾の鉱毒のために谷中村の取りつぶしがきまった。そしてこの写真等を見ますと、実に悲惨なんですね。しかも発狂した農民まで出ている。しかも、これはあとの歴史家が見ましたところでは、全部時の権力に屈したという姿である。現在あそこに赤麻沼、いわゆる渡良瀬遊水池というのができております。これもいままでの国の治水事業の一つだと思うのですけれども、それについて、早くいえばあの中には約五、六十戸の取りつぶしになった人たちの恨みがこもっているかもわからない、そういうほんとうに悲惨な歴史を持っているところが例の赤麻沼なんですね。それが現在どうかということが問題なんですけれども、そのことについて、大きな犠牲のもとにつくられたあの赤麻遊水池が、これは歴史的な事実を考えまして、さらに今後どういうふうな構想を持っていらっしゃるかということを、まず大臣からひとつ、そういう観点に立った上からの答弁をお願いしたいと思います。
  221. 根本龍太郎

    根本国務大臣 あそこの渡良瀬の遊水池は、私は二つの点から実は過去において見ております。私は実は若いときにいまの宇都宮大学で学んだので、栃木、宇都宮の連中に非常に親近感を持ちまして、いまから二十年前私が農林大臣のときに、あれはたしかいまの小平久雄君のおとうさんが知事をしておられまして、何とかあそこの活用方法はなかろうか、実はあそこに約三千数百ヘクタールの面積がある、この河川敷を米の増産に使わしてくれぬかというような話もあったわけでございます。ところがあそこを水田にすると、治水上いろいろ問題が出てくるし、権利関係の問題があるというので、これはとうとう実を結ばないで終わったのです。現在の横川知事は当時の私が農林大臣のときの林野庁長官で、個人的にも非常に親しいので、いろいろ地元国会議員の皆さんからも、あれの活用方法を何とかならぬかということがございまして、私は、ある意味では、首都圏の水が非常に足らないから、あの遊水池を、ほんとうにこれはしろうと着想であるが、あそこに相当砂利もあるので、その砂利を取って、この関東の足らない砂利に使い、あとは若干あそこに水をためて、浅いダム化して活用してはどうかということも、実は地元で検討をしてみたらどうか、もしそれが可能であり、みなが賛成するならば、あそこの活用の仕事を栃木県と群馬県、主として栃木県ですが、その、両県で考えたらどうかという、それが一つの案。それからあの土地を、いまの関東にはいわゆるレジャーの場所がないから、そうした意味においてあれを活用できるかどうか検討してみてくれということを申し出ていますが、なかなか適当な案が出ないようです。あれを掘さくすると、先ほど御指摘になりました鉱毒の沈でんした酸が再び出てきはせぬかという非常に心配がある。なかなかこれはむずかしい。あの広大な面積をレクリエーションの場にするとすると、少し大き過ぎて適当な案がないというので、実はいま関係者も何か名案がないかということを待ちあぐんでおります。何か適当な措置ができますれば、特にあそこの地元の人たちがたいへんな犠牲を払ってきて、あのままになっていると非常に惜しいという感じがいたしますから、それの活用方法ができたら、私も協力したいと思っておる次第であります。
  222. 和田一郎

    和田(一)分科員 新全国総合開発計画の中にも、あの渡良瀬遊水池を一大レクリエーションのような形にしていくというふうに載っておりますね。ですから、これはもう閣議決定されたのですから、方向はいまおっしゃったとおりに私はきまったと思うのです。  そこで、また具体的に聞いてまいりますけれども、現在三千三百ヘクタールに及ぶ大きな土地です、ほんとうに広大な土地です。これが遊水池として現在十分に機能を果たしておるのかどうかということ、これをひとつ専門家の立場から局長に御説明いただきたい。
  223. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまのお話の渡良瀬の遊水池でございますが、私どもの計画では、これを第一、第二、第三というふうに調整池の区画を分けまして、全体で、これは堤防の面積を全部入れますと約三十三平方キロでございますが、まあ使えるところになりますと約二十二平方キロぐらいになろうかと思いますが、その中で第一調整池、これが一番大きい池でございます、これが約十五平方キロ、約千五百ヘクタールでございますが、これが大体四十五年度で完成をいたします。引き続きまして、四十三年からこれはオーバーラップいたしまして着工をいたしておりますが、第二調整池、これは約五百ヘクタールでございますが、これを四十七年までには完成をさせたい。まあ引き続き第三に移るという予定でございますが、第三は非常に規模としても小そうございますので、大体予定どおり進められるのじゃないかと思います。  これによります効果は、御承知のように渡良瀬川、これは本川でございますが、その支川に巴波川とか思川というものが入ってきます。これが一緒になりまして利根川本川に合流するわけでございますが、そのときの下流のピークの流量が毎秒約九千四百トンございます。これをこの調整池でためまして、利根川本川にいろいろダム等を計画いたしまして治水上の対策を立てておるわけでございますが、なかなか上流のダムだけでは十分にまいりませんので、少なくとも渡良瀬の出水の被害を本川に及ぼさぬように、この調整池で調節をいたしたいというようなことで、現在進めておるところでございます。
  224. 和田一郎

    和田(一)分科員 いまの御計画は、いまそれを聞きましたけれども、谷中村が取りつぶしになった。その後何回も何回も渡良瀬の洪水があったわけなんです。利根水系を中心にしたところの洪水が何回もありました。これは、もう現在の皆さん方には責任はございませんけれども、歴史的に見て、あの遊水池がはたしてりっぱな調整池になっておったかどうかという問題なんですが、ある文献によりますと、確かに谷中村の中へ利根川の流量が逆流して一時そこは水がめになるけれども、あまりにもそれではそれとしては小さ過ぎるということが一つと、もう一つは、あそこに遊水池があったために、水引きが、普通は二日か三日で引くところが、一週間くらいたたなければ引けない。ですから、そのために浸水された田畑のものもくさってしまう、こういう被害があったということが文献に出ておりますけれども、現在までにあの遊水池としては、ただその谷中村の人たちが犠牲になっただけであって、それが報いられたかどうかということは、ちょっと疑問だと思うのです。その点について、ひとつ過去のことについて、御感想をお聞かせ願いたいと思うのです。
  225. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私も、実はあまり過去の歴史をよく存じませんけれども、関東の利根川周辺では、単に渡良瀬の遊水池だけではございませんで、管生沼だとか稲戸井、田中というふうに、あの辺は沼地が多いわけでございます。そこに渡良瀬川が入ってきて、かなり自然調節の効果があったんじゃなかろうか。それをいろいろ足尾鉱山等の鉱毒の問題とも関連しまして、あの辺をできるだけ遊水池化して、治水とそれから鉱毒による被害というものをそこで吸収しようというような方策じゃなかったかと思います。したがいまして、現在の技術から見ますと、必ずしも効率的な治水操作が行なわれるような状況であったかということにつきましては、私どもはかなり幼稚な、単純な調節池であったろうと思います。今回私どもが計画いたしておりますのは、ある程度以上の水位になりますと、初めて調節池に水が流れ込むというようなことで、できるだけ洪水のピークの流量を切るように、それから本川からのバックにつきましても、これは水門等を設けてその辺の調節をはかって、できるだけ効率的に調節池を使って洪水調節を行ないたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  226. 和田一郎

    和田(一)分科員 あまりいままでとしては効果はなかった、こういうわけなんですが、実は、今後渡良瀬の上流に、草木ダムと思いましたが、それから利根川に八ッ場ダムだとか、いわゆる沼田ダムですか、そういったダムが計画されておりますね。そういうダムができ上がった場合、あの遊水池はやはり必要であるかどうかということなんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  227. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在すでに渡良瀬の計画を入れまして、それからお話のございました上流ダム群の中で八ッ場ダム、草木ダム、こういったものを入れまして、利根川の本川の基準点におきます流量も、一万七千トンを約三千トン切る。下流の流量等につきましては、渡良瀬遊水池等を利用いたしまして本川の流量を上げないという計画で進めておるわけでございます。ただ、最近の集中豪雨の状況、あるいは非常に流域の開発が進んでおりますので、在来の、上流でかなり自然遊水をしておったものが次第に本川に一時に集中してくる、こういうような傾向で、流出の度合いがずいぶん変わってきております。こういったものを検討いたしますと、むしろ本川の、私どもが考えておりましたものが、非常に安全度が低いといいますか、もう五割ぐらいは流量の増というものを一時的には覚悟しないと、利根川の治水というものは万全ではないんではないかというようなことで、現在検討されております。したがいまして、岩本ダムはまだ今後の問題でございますけれども、少なくとも、そういったものも合わせましても、やはり渡良瀬の必要性というものは決して低下するものではない。特に下流部におきまして、鬼怒川、それから小貝川、こういったものが合流してまいるわけでございます。そういったものの処置の一環としても、やはりぜひ必要な計画であるというふうに私ども信じておるわけでございます。
  228. 和田一郎

    和田(一)分科員 この渡良瀬遊水池のいろいろな調査費に対して、四十五年度は千八百三十六万円が計上されておるわけですが、先ほども大臣いろいろおっしゃっておりますけれども、四十六年度はどれぐらいの調査費がつく予定ですか。
  229. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お話しのように、四十五年度は私どものほうの河川の一般的な予備調査が約六百万、それから経済企画庁関係の調整費が千二百万余りで、約千八百万でございます。大臣からもお話がございましたように、渡良瀬遊水池内の地下資源の関係がどういうふうになっているか、主として砂利、砂でございますが、それからまた水質の問題、底質土壌の問題、それからこの遊水池の得がたい空間と水、こういったものをどういうふうに利用するか。たびたび洪水が来るわけではございませんので、三つの遊水池の中では比較的水をかぶらないところもあるわけでございますから、そういったものを何かうまく自然公園等に利用できないかというような目的で、現在基礎的なボーリング等の調査を進めておるわけです。ただ、具体的な利用計画になりますと、いろいろまた名案とかそういったものが飛び出してきまして、私どもまだ十分その辺で方向を出すところまでは至っておりません。  四十六年度につきましても、私どものほうはほぼ同様の予算を、あるいは必要によってはもう少しふやしてもいいのではないかと思っております。調整費のほうにつきましては、現在まだ企画庁との折衝に具体的に入っておりませんので、今後折衝をしました上できめるようにいたしたいと思っております。
  230. 和田一郎

    和田(一)分科員 先ほども御答弁にありましたとおり、あそこは鉱毒がたまっているのじゃないかということなんですけれども、鉱毒の状態ですね、いままでに調査された結果、大体どのような結果が出たかどうか。とにかく千八百万でおやりになったのですから、多少の結果は出ていると思うのですけれども、おっしゃっていただきたいと思います。
  231. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在、場所によりましては多少砒素等が含んでおるところがあるのじゃないか、あるいはカドミウム等の含有なんかも若干考えられるようでございます。それがどの程度のものか、それから範囲がどの程度であるか、こういったことも十分検討する必要があろうかと思います。ただ、これは底質を撹乱をしたときにいろいろそういった問題が心配になるので、現在流れておる、あるいは貯溜する水自身はおそらく影響はないとは思いますけれども、その点もさらに今後十分調査をいたしたい、こういうふうに思っております。具体的な調査の数字はちょっと持ち合わせませんので、また必要がございましたら、私のほうから御説明いたしたいと思います。
  232. 和田一郎

    和田(一)分科員 幾つかの団体が、これは官庁関係ですけれども、あの空閑地を使わしてもらいたいというような話があるように聞いているのですけれども、そういうことについて、現状どうなっておりましょうか。
  233. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私のほうでは、現在、先ほど来申し上げましたような土壌の調査、あるいは資源の賦存の調査、こういったものと、それから河川の管理上支障のない範囲はどの範囲であろうか、水の浸水します頻度等がございますので、そういった点からも主として調査を進めておるわけでございます。ただ、これにつきましては、栃木県その他におきまして、そういったところをもっと有効に、レクリエーション等に使いたいという御希望もございまして、県等ではそれぞれいろいろ考えを研究しておられるようでございます。したがいまして、何かの機会に私どもを中心にいたしまして協議会等を持ちまして、その辺の思想の統一なり連絡を今後はかっていくようにしたい、こういうふうに考えております。
  234. 和田一郎

    和田(一)分科員 私の質問は、たとえば電電公社が送信所をつくりたいからとか、そういうのがあったのじゃないかというお尋ねなんです。だから、地元のそういった計画等もやっておりますけれども、もし送信所の鉄柱をつくりたいとか、そういうふうな申し入れがあった場合にどう考えられますかという御質問を申し上げたわけです。
  235. 川崎精一

    ○川崎政府委員 渡良瀬遊水池というのは、非常に大規模な空間でございますので、現在私どものほうにも、正式な話ではございませんけれども、先生のおっしゃいましたような話がいろいろ入ってきております。ただ、それを簡単に許可するとか、そういうことをやってしまいますと、全体の利用に今後支障を来たすこともあろうかと思いますので、できるだけ私どものほうでも早目に全体の絵をつくりまして、その方針に沿ったものであれば、そして公共の福祉なり利用の増進に寄与するものであれば認めていきたい、こういうふうに考えております。
  236. 和田一郎

    和田(一)分科員 時間がありませんから結論を急ぎますけれども、先ほども申しましたとおり、多大な犠牲をしいられて、そしてでき上がった遊水池であるということは、大臣もよく御承知でございますけれども、さらにお忘れなくお願いしたいと思うのです。そして特に、あそこの地元に藤岡という町があるのですが、あの町の面積の約四十六%が遊水池なんです。ですから、ちょうど町が三つにも四つにも仕切られているような地形でございます。さらに、地元のいろいろな経済的な問題にしても、実に現在不便をきわめるということもあるわけです。そういうことで、ここでひとつ、学者であるとか、文化人であるとか、それから地元の代表者等を集めての、何か利用を考えていく審議会であるとか、そういったものをつくって、そして新全総にもきめられておるのですから、また大臣も宇都宮大学で学ばれた私たちからいえば先輩ですから、そういった意味で、この点については谷中村の人たちが浮かび上がれるような対策をぜひお願いしたいと思うのです。ずいぶん心情的なお話でございますけれども、そういったことで、そういう審議会の構成についてお考えであるかどうか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  237. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在、渡良瀬の活用についての審議会をつくるという構想は、中央では持っておりませんけれども、私はむしろ、いまあなたが言われたように、地域社会と密接な関係において考えたほうがいいと思うのです。そこで、でき得れば私は、栃木県にあそこの活用に関するそうした一つの研究委員会みたいなものをつくっていただいて、その中に地元の人も入っていただいて、そこで一応の案が出た場合に、中央で私のほうと関係省庁と協議してこれを具体的なプログラムに入れる、そのほうが適当ではないかと考えますが、今後さらに前向きで検討したいと思っております。
  238. 和田一郎

    和田(一)分科員 遊水池につきましては一応終わります。ひとつ前向きの御検討をお願いします。  もう一つついでにお聞きしておきますけれども、群馬県の前橋から栃木県の小山に至る国道五十号線なんですが、これは関東全体を対象にして私は申しますけれども、実は東京または京浜地区の建設に関して骨材がどんどん運び込まれる。いわゆるダンプですね。現在、東京のすばらしい発展の陰に、関東諸県はいま砂ぼこりを浴びている現状なんです。先ほど島本先生もおっしゃいましたけれども、国道は一応舗装されている。しかし、一つを例にとりますと、栃木県に葛生というところがありますが、あそこからは最盛期に一日一万台のダンプが出るというのですよ。それも、国道に至るまでは、ほとんど町道だとか市道、県道を通るわけです。しかも先ほどもお話のあったように、市町村道は舗装がわずか七%ですか。県道なんかは三〇%ぐらいだと思うのです。ですから向こうの住民はどうしようもないのが現状なんです。ほんとうに関東近県は東京の砂ぼこりという感じです。しかもダンプは夜中に走るのです。大体、夜の十一時から明け方の四時ごろまで、あのでっかいのが十二、三トン車で三十トンくらい積みまして、ずっとつながって走っていく。ものすごいですね。それも全部細い道を通るということであります。その一番被害を受けているのが、国道五十号線であるとか国道四号線、その辺なんです。そういう面に対して国道五十号線の計画はどうなっているか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  239. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 国道五十号線の栃木県内の計画を申し上げますと、ただいま足利バイパスはすでに着工しておりますが、これはただいま用地がかなり難航しておりまして、用地買収はまだ完全に済んでおりません。  それからその手前の佐野バイパスでありますが、これは先ほど御説明のありました葛生の車が通る道路かと思いますが、そのバイパスにつきましては、これも、たまたま東北縦貫道のインターチェンジが佐野にできる関係から、急遽急いで工事中でございまして、これは高速道路の完了の時点には佐野バイパスは完了するように努力中でございます。  それをさらに東に参りまして、小山に至るところに思川に橋がかかっておりますが、これは非常に狭隘でありますし、壬生のほうからの県道が合流いたしまして非常に混雑しますので、新しく思川に橋を架設しましてバイパスをつくっておる状況でございます。これも四十七年度には供用開始になるような予定になっております。
  240. 和田一郎

    和田(一)分科員 今度は大臣にお願いしたいのですが、先ほど申しましたいわゆるダンプの通る県道、市町村道ですね。自動車重量税等のことがありますが、それは別にしまして、もう少し国側も考えてもらったほうがいいのじゃないかと思うのです。とにかく首都圏建設のために一番被害を受けているのがそういうところであるということです。その点についてひとつ前向きな御答弁をいただけませんか。どうでしょうか。
  241. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これはどうもあの連中は、はなはだ失礼ながら実に無法なやり方をやっているもので、しかもあれは、建設省でここを通っていけないとか何か言えないのです。しかもそういう体制にないものだから、これはぜひ警察当局の取り締まりを……(和田(一)分科員 「そうじゃない、道路を何とか直してもらいたいということです。特に県道を」と呼ぶ)そういう道路については、十分県からの要請に基づいて舗装その他の改良をしたいと思っております。ただし、そういうものをやってもすぐにこわしてしまうくらい、いまの重量規制が全然きかない。それからまた、あのとおりのダンプなものだから、道なき道を通ってやってくるということは、これは私のほうでも規制のしようがない。だからむしろ、地元の警察あたりがよほどあれは処置してもらわなければいけないと思いますが、よく具体的な問題について御指示をいただきまして、地元とも連絡していわゆるダンプ公害をなくするように努力したいと思います。
  242. 和田一郎

    和田(一)分科員 じゃ終わります。
  243. 大野市郎

  244. 後藤俊男

    後藤分科員 最初大臣にお尋ねいたしたいわけですが、これはときどき問題になり、さらに去年の分科会でも大臣にお尋ねしたわけでございますが、琵琶湖の総合開発の問題でございます。  現在、近畿圏整備本部が中心になりまして、そこの本部長が建設大臣であるが、さらに地元なり近畿の皆さんと連絡をとりながら力強く推進をしていただいておる。これにつきましては、私も大体のことはわかっておるわけでございます。去年お尋ねをいたしましたときには、去年の話で大体十月ごろまでには、琵琶湖総合開発について政府としてはこういうような案でやりたいというのをひとつ作成したい、こういうような御説明を私やはり分科会でお聞きしたわけでございます。だからといって、かなりの大事業でございますので、予定どおりに全部進むとは私も考えておりません。また現在におきましても、最終的な政府の案というのはできておらないように聞いております。それじゃ一体、近畿圏整備本部が中心になられまして、地元の県なり関係県とも打ち合わせをされまして、最終的に具体案が政府案としてつくられるのは、現在の見通しとしてどれくらいになるだろうか、どういうふうな見通しになっておるだろうか、立っておればその点について御説明をいただきたいと思います。
  245. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この琵琶湖総合開発については、実は午前中、宇野委員からも質問がありまして、大体答えておきましたが、後藤さんもよく御承知のように、これは相当長い歴史的経過がございまして、実は私が十三年前建設大臣をしたときからの問題でございます。ところが、何しろ地域的な利害関係が相対立するし、そうして率直のことを申しますと、いずれも選挙にからんでこれがなかなか軌道に乗らないのです。そのためにずっと時間がかかってきまして、昨年私は、十月ころまでには何とかしたいということで盛んに叫びかけました。それで関係省庁も、中央側は大体意見調整が出てきましたが、何しろ滋賀県の受け入れ体制がなかなかさびしくて、しかもいわゆる選挙のあれがからみまして、なかなかここで停滞しておりました。しかし最近に至りまして、非常にその関係が緩和されてきまして、地元も、従来の考えをさらに弾力性を持ちまして、前向きになってくださいました。  そこで、私のほうといたしましては、現在この琵琶湖総合開発に関する連絡会議を正式に設置することにしまして、ここで地元関係の自治体と関係官庁、これが積極的に具体案をつくるために進める一つの軌道に乗せたわけであります。それで、これの世話は主として近畿圏整備本部がいたすようにさせて、今後さらに作業を進めてまいる。本年は若干の事業費もつきましたので、本年中にはぜひとも私は結論を出してもらいたい。そうしますれば、これに基づいて具体的な琵琶湖総合開発の全体の計画が今度は樹立できる、そして予算化ができる、こうなります。  そこで、おそらく質問あると思いますから申し上げまするが、実は先般の予算委員会で西田さんから、このための総合立法、特別立法をする意思がないか、こう端的に聞かれました。そのときに、いまの段階ではこれをどういうふうにして総合立法化するかについてのめどがつかないのです。けれども、いま申し上げたように連絡会議が正式に持たれて、そうして近畿圏全体の総合開発の一環としての琵琶湖総合開発計画が相当の具体性を持った見通しが立ち、しかも、これを実施するためにはどうしても特別立法しなければならぬというような結論が出ますれば、その時点において前向きで考慮する、こういうふうに考えている次第でございます。
  246. 後藤俊男

    後藤分科員 私、別に特別立法の問題には、毎度毎度のことでございますので、触れる気持ちはなかったわけでございますけれども、ただ一つ、この大事業でございますので、現在のところは、近畿圏整備本部が中心でやっておられる、滋賀県の知事選挙も終わった、非常に前向きでうまく進むムードになってきておる、これはもう大臣説明のとおりだと思うわけでございますけれども、しかしながら、近畿圏の整備本部長として、これだけの大事業を年内に政府の具体案をつくりまして進めるということになれば、どういうような機構のもとにこの事業を進めるべきであろうか。これらのことにつきましてはやはりお考えがあると思うのです。別に立法がどうこうということは私は言いませんけれども、そういうような構想がやはり近畿圏整備本部の中にも、表面化はしておらぬにいたしましても、その方向というか、方針というか、考え方があるのではないかというふうに私は思うわけでございますけれども、やや先回ってお答えいただいた問題と似通った点があるかもしれませんけれども、先ほど大臣が言われました以外の問題で私の質問に当てはまるような考え方があれば、もう一ぺん補足的に御説明をいただきたい、こう思います。
  247. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま申し上げましたように、連絡会議を正式に設けましたから、そこでまず関係各自治体、それから官庁、ここで具体的に、それぞれから出ておる要望というか、条件といいますか、そういうものを詰めていってみたいと思います。そうした結果、この琵琶湖総合開発をどういう方向でどういうふうな具体的な施策をやるべきか、それには各官庁並びに自治体がこれからどういう体制を持つべきかということがまず出てくると思います。その結果、これを進めるために何らかの機構が必要であるというようなことも出てくるかとも思います。さらに先ほど申し上げました、その結果特別立法が必要であるかどうかということも出てくるだろう、そうした一応の見通しを本年中に確立したい。これは私の願望です。
  248. 後藤俊男

    後藤分科員 それで、いま大臣が言われましたことで大体描けるわけなんですがね。これから年末に向かいまして、いま言われました方向で長い間の問題である琵琶湖総合開発の政府の具体的方針をつくるべく、関係者一同が力を合わせて進めていく、そうして最終的に具体案ができたというか、できかけた時点において、どういうかまえでこの大事業をやっていくか。それはその時点になりまして十分考えてやろう、必要ならば立法措置も行なう、あるいは必要ならば必要なような機構もひとつ考えていこう。さらに、財政的にもこれはかなりの予算を食う問題でございますから、それらの点につきましても、現在あるいろいろな法律のほかの助成金でやっていけるかどうか。これでやっていけないというのなら、財政的問題についても特別立法と申しましょうか、あるいは各法律ごとの改正といいましょうか、そういうような具体的なことも、その時点において十分ひとつ考えていきたい、こういうふうなことだとこれは思うわけでございます。  そこで、滋賀県の特に地元といたしましては、大臣のほうへも行っておると思いますが、最終的に六項目か七項目でございますか、出ておるわけです。これらを要約しますと、まず第一番には、地元滋賀県が納得する具体案でなければいけない。さらに二つ目の問題としましては、下流県の各市町村が喜んでもらえるような総合開発でなければいけない。それから三つ目の問題といたしましては、国なり、さらにこの総合開発に関係のある県、市町村、お互いに協力し合ってこれはやっていくのだということでございましょうし、最後に、この琵琶湖総合開発によって、特に滋賀県民九十万の関係が大きいかと思いますけれども、犠牲の出るような総合開発は絶対行なってもらっては困る。大きく分けまして四つの方針ぐらいでこれから進めていっていただくことになろうと思うわけでございます。  そこで、先ほど大臣もちょっと触れましたが、四十六年度に十億円の予算がついておるわけなんです。この予算というのは水資源の開発公団のほうへおりるのだと思うわけです。この十億円の予算を四十六年度としてどのようにお使いになる方針なのか、その点がわかればひとつ御説明をいただきたいと思うわけです。
  249. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまお話しの十億の予算は、これは琵琶湖総合開発事業の中で、琵琶湖周辺の治水の問題、それから下流の水資源の問題、これを中心にいたしました水資源開発公団事業として実施する分でございます。したがいまして、先ほど来のいろいろな琵琶湖総合開発に対する基本的な方針がきまりまして、いわゆる淀川水系の水資源開発基本計画、こういうものがまとまって、さらに水公団に対しまして実施方針を出して初めてスタートされるというような性質のものでございます。したがいまして、現在の情勢では、すぐ直ちに四月一日から着手できるというような状況ではなかろうかと思います。  なお、私どもの着手しました時点での、どういうことをやろうかという内容でございますけれども、これにつきましては、当面湖岸堤等の用地の取得並びに一部建設、こういったものから手始めをいたしたいというふうに考えております。
  250. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われましたこの十億円の問題については、水資源開発公団へ出まして、それをどうやっていくか。この水資源開発公団として基本的な具体的な方針というものは、何にもきまっておらぬと私は聞いておるわけなんです、ただ一行ずっとこう書いてあるだけで。そうなりますと、このいまの十億円を、何に基づいて琵琶湖総合開発の関係でもなく――これは全然関係がないわけですね、いま説明された分は。総合開発をやろうとやるまいと、これは治水関係でやらなければいけないことをやっていく、そういうふうに解釈していいわけなんですか。
  251. 川崎精一

    ○川崎政府委員 水資源開発公団事業実施をいたしたいと考えております十億円の事業につきましては、これはやはり先ほど大臣並びに先生の二人のお話にございますように、琵琶湖総合開発事業の中の一つの基幹事業でございまして、したがって、全体の事業方針がきまれば、それに並行して進めるべき性質のものであろうというふうに考えます。その上に立って私どもも、水資源開発基本計画なりあるいは琵琶湖総合開発事業実施方針をつくっていく、こういうような手順になろうかと思います。したがいまして、全体の事業が円滑に進みませんとこの事業もスタートしがたい、こういうようなことになるんじゃないか、こういうふうに思っております。
  252. 後藤俊男

    後藤分科員 もう一つ大臣にお尋ねするのですが、いまから二、三年前、建設省の案ですと琵琶湖の水面が二メートル下がるとか、一メートル五十下がるとか、いや県のほうはどこどことかということで、だいぶ新聞でやったわけなんです。滋賀県内に住んでおる漁民の人なり農村の人なり、おのおのみんなが、二メートル下がったらどうしようか、上がったらどうしようかということでだいぶ話題をまいておりました。ところが、水面の問題は全然出ないのですね、ここ半年や一年の間は。ただ何となしにこう進みつつありますけれども、一番中心になる琵琶湖の水利のときに水面の問題を一体どうだというような問題は、最近出ないわけなんです。そうなりますと、この水面がどうこうという問題ではなしに、総合開発の中からおのずからそれはきまっていく問題だというふうな考え方に、ちょっと考え方が、右から入るか、左から入るか、うしろから入るか、前から入るかの違いでございますけれども、そういうふうな方向に変わりつつあるような感じを受けるわけなんです。これはいかがでしょうか。
  253. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私も具体的にまだはっきり見通しがついておりませんけれども、やはりいま後藤さんが言われたように、水を何ぼ下げるかなんというと、下流のために琵琶湖の関係漁民、端的にいえば滋賀県民を犠牲にするのだというような感じのために、感情的な対立が出てきたと思うのです。そうじゃなくて、今度は、琵琶湖をどうしたならば、あの美しい自然と水資源と緑とあのりっぱな空間をよりよく郷土開発のために活用ができるか、そうしてその結果、水がどの程度地元並びに下流の方面にアロケートできるか、そのことによって近畿圏がどうよくなるかというふうにみんなが考えてきた。一つの前進だと私は思っております。そういう意味で私は、この琵琶湖総合開発が、下流県と資源県との何か奪い合い、あるいは引っぱり合いということから、近畿圏を全体として考えて、しかもそのときには、まず優先的に滋賀県を今後日本の総合開発の中でいかなる位置づけをしていくか、それにはどういうプロジェクトをやるべきかといったところで合意ができたと思いますので、そういう方針考えるべきだと思っております。
  254. 後藤俊男

    後藤分科員 そこで、いま大臣も触れられました、琵琶湖の現在の自然の環境なりその他水を守るということで、いまから一カ月ぐらい前でございますか、琵琶湖の水の汚染度、これは滋賀大学で調査されたわけなんです。カドミウムなり水銀、これがかなりひどいわけなんです。底のほうへいけばいくほどひどい。このまま放置しておくと、琵琶湖の魚なり全国に放流されておる子アユあるいはその他にも大きな影響がある、だからこれは何とかしなければいかぬのだ、こういうような滋賀県民の個人の投書等も当時新聞にかなり出ておりました。私百全くそのとおりだと思うわけなんですけれども、現在、政府のほうといたしましては、カドミウムなり水銀の基準というか、規制はまだ出ておらないわけなんです。地元の滋賀県としては、先ほどから大臣がいろいろ言われましたように、滋賀県にありながら琵琶湖の水はやはり近畿圏として考えなければいけない。その水がどんどん日がたつにつれて汚染されていく。全く汚染されてしまったら一体どうなるのだ。これは重大な問題だと思うのです。ところがこれに対する規制の基準もまだ政府のほうではできておらぬ。地元滋賀県としては、政府でできたらそれ以上にきびしいものをつくろうということで、今日審議会等で審議をしておられる、こういう情勢だと思うのです。先ほどから大臣もおっしゃっておられるように、琵琶湖そのものは、滋賀県に所在するとはいいながら、まことに貴重な水資源でもございますので、いわば滋賀県民、滋賀県だけが琵琶湖の水を守るのではなしに、日本の国としても、どんどん汚染される滋賀県の水を一体どうするんだ、これは近畿圏の整備本部長としても当然責任のあることじゃないかと私は思うわけでございますけれども、琵琶湖の水を守るいわゆる研究調査機関とでも申しましょうか、ただ政府で基準を出した、地元でそれ以上にきびしいやつをやっている、あるいは公害の排水とかその他をいろいろとめてやっておるというふうな、ありきたりの考え方ではなしに、国としてこの琵琶湖の水を守るための何らかの方法を具体的に考える時期に来ているんじゃないだろうかということを私考えるわけでございますけれども、大臣なり関係の方も来ておられると思いますが、いかがでございましょうか。
  255. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず私からお答えいたします。  御指摘のとおり、私も琵琶湖の特に南部のほうが非常に悪化しておるということを聞いて、それで四十六年度の下水道の事業のうち、流域下水道を南部に予算措置をして、まずあそこをやらせなければいかぬ。それから例の大津市のほう、あそこが一番南部だから、大津のほうには公共下水道をやらせるということで、県あるいは市とタイアップして、むしろ国からあそこを積極的にやらしたいと思っております。なお、あそこの水質基準等のことについては、経済企画庁の事務当局から説明させます。
  256. 白井和徳

    ○白井説明員 御指摘のように、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、琵琶湖の水質汚濁問題については、経済企画庁としても非常に関心を持っております。それで、四十五年度に水質基準のための調査費をつけまして、現在、南部を中心にいたしまして、工場排水等の調査をやっております。その調査結果に基づきまして、来年基準設定いたしたいと考えております。また、琵琶湖全体の環境基準の設定につきましては、やはり四十五年度の予算でもって、現地小委員会というものを滋賀県に設置していただくように考えておりまして、その現地小委員会でもって環境基準の検討をやっていくというふうに考えております。  なお、水銀の問題でございますが、あそこに農薬工場が野州川のところにありまして、ここの農薬工場から出るエチル水銀につきましては、これは水質保全法に基づきまして、四十五年三月にアルキル水銀を検出してはならないというような規制をしたところでございます。また、先生御指摘のように、滋賀大学の調査でございますが、カドミウムが土壌中から出た。それから流水について若干あるということについては、われわれも承知しておりますが、現在のところ、それほど問題になる量ではございませんが、琵琶湖として非常に重要な問題でございますので、今後基準設定の調査に対応いたしまして必要な規制をいたしたい、かように考えております。
  257. 後藤俊男

    後藤分科員 ぜひひとつ、琵琶湖そのものの水を守るためにも、今後とも十分なる国としての配慮をお願いいたししたいと思うわけであります。  最後に、北陸縦貫自動車道の問題でございますけれども、これも五カ年計画の中で完成するものだと私たちは考えておるわけでございますが、時間がございませんので簡潔でけっこうでございますが、現状をお知らせいただきたいと思います。
  258. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 北陸縦貫道につきましては、滋賀県内のほうは第二次の基本計画整備計画区間でございますので、この五カ年間内の完成はむずかしゅうございます。
  259. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、もう時間の関係で私のほうからしゃべりますけれども、富山-武生間は五カ年計画の中で完成する。四十九年完成でございますか。それから武生-米原間ですね。これはいま局長が言われました二次のほうです。五カ年計画より一年ないし二年ぐらいおくれるのではないか、そういうことだと思います。  そこで話を一歩進めまして、この北陸縦貫自動車道に伴いまして、インターチェンジの要求がこの沿線から多く出ておると思うのです。特にわれわれ強く聞いておりますし、さらに、ときどき衆参の建設委員長が滋賀県に来られますと、かなり強い陳情のあるところが米原なんでございます。御承知のように、米原というのは新幹線の停車駅ではございますけれども、さらに北陸線との接続の駅である。あの付近の開発というのは、滋賀県といたしましても、将来の問題として非常にやっていかなければいけないという重要な地点でもあるわけでございますので、この米原におけるインターチェンジの設置につきまして、現在御相談が煮詰まっておるとするならばどういうふうなことになるだろうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  260. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 すでに供用しました高速自動車国道ないしは建設中の高速自動車国道のインターチェンジ設置の要望が、全国から約五十数カ所出ております。米原もその一つでございまして、これらにつきましては、現在一つ一つ検討を加えております。米原につきましては、私たちとして設置がよいか悪いか検討中でございますが、次の審議会までにはその結論を出したいと考えております。
  261. 後藤俊男

    後藤分科員 いいか悪いか検討中だが次の審議会に結論を出す、そのとおりでありましょうけれども、これは滋賀県としても、先ほど言うような非常に重要な地点でございますので、設置という方向で前向きにひとつ十分なる御審議をいただく、これだけはお約束いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  262. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 米原のインターチェンジにつきましては、背後地の人口、あるいは産業立地の問題あるいは観光等の観点から、いろいろ勘案して検討しておりますが、インターチェンジの設置にはわりによい条件がそろっておるのではないかと考えております。
  263. 後藤俊男

    後藤分科員 それ以上言わぬほうがいいような気がしますので、インターチェンジの問題につきましてはたくさん要望がありますけれども、特にということで前向きで御検討いただく、条件も非常にいい、こうありがたい御説明もございましたので、お願いをいたしたいと思います。  それからさらに国道八号線の問題でございますけれども、あのバイパスがいま工事中なんです。あの国道八号線というのは、中には歩道がなくて非常に危険なところが多いわけであります。ところが、やがてバイパスができるからということで、それをよくしてくれないわけです。ところが、そのバイパスがなかなか完成しないで、これもおそらく四十九年一ぱいかかるのではないか、こう思いますし、さらにそのバイパスが米原から長浜で終わっておるわけです。なぜあれを木之本まで延長しないんだろうか。いますぐにここで延長しますことはむずかしいとは思いますけれども、ぜひひとつあのバイパスは将来の計画として木之本まで延長するのだ、そういうような方向で御尽力をいただきたい、そういう方向で御検討いただく、これをお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  264. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘のとおり、国道八号線の長浜バイパスにつきましては、四十二年から四十四年の間に市が中心になりましてすでに用地の買収が済んでいるわけでございますが、たまたま遺跡が出たために、文化財保護委員会のほうから調査を依頼されまして、現在県の教育委員会を通じまして文化財の調査を行なっているわけでございます。この調査がどうも四十七年度までかかるというように聞いております。いま申し上げましたように、用地買収は済んでいるわけでございますので、文化財の調査が終わり次第工事にかかって、できるだけ早い機会に完了したいと思います。  なお、長浜から木之本にかけますバイパスでございますが、御指摘のように、今後前向きに検討したいというふうに思います。
  265. 後藤俊男

    後藤分科員 では終わります。
  266. 大野市郎

    大野主査 有島重武君。
  267. 有島重武

    有島分科員 先日、九日でございますか、現地時間で六時一分、ロサンゼルスにおいて大地震がございました。六・三から七マグニチュードですか、この大きい地震のわりあいには被害が少なかったという報道でございますけれども、このことについて、一月二十八日にはカリフォルニア州の海洋大気局が報告書をもって警告した直後であった、そのようにこれも新聞の報道で私は見ました。日本でも昨年の秋に、地震予知連絡会の会長である萩原東大名誉教授がまとめた日本列島の「地震カルテ」、こういうのを読みますと、関東、東海など九地区に注意信号が出ておる。これによりますと、過去の地殻の動きなどのデータから、もうそろそろ大型地震が発生してもおかしくない時期に差しかかっておる。またこの二月にはもう一歩進んだ赤信号が出たというようなことも私は聞いておりますが、こうしたことをあまり安直に結びつけて言うことは、かえって社会不安のもとであるということもございますので、あくまでも慎重にやらなければなりませんけれども、こうした警告についてどのような対応策を準備しておられるか、そのことについてきょうはずっと聞いていきたいと思います。
  268. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、震災の及ぼす影響は、これはまことに深刻かつ重大なものでございまするので、政府といたしましても、これについては非常に心を砕いておるわけでございまして、総合的には、御承知のように内閣にある災害対策中央本部でやっておりまするが、主として建設省は、構造物の安全、あるいはまた都市計画上におけるところの予防措置、いろいろの問題がございますので、特に配慮しているところでございます。  従来、関東大震災の教訓を受けまして、世界のいずれの国よりも、実は建築行政においては、あらゆる構造物についても配慮しているところでございまするが、いま日本において一番大きな難点は、よその国に比べて、災害が起きた場合における避難場所、あるいは防火措置、これが一番おくれていることだと私は感じております。その点については、建築基準法あるいは都市再開発、その他いろいろの点で配慮しておるところでございまするが、しかも、これについては、地震によって起こる現実の直接的な被害よりも、地震が来た場合における人心の動揺によるパニック、そのパニックによって起こるところの連鎖反応の災害が一番日本では大きいんじゃないか、こう私は思います。これはまず第一に、一人一人の心がまえと、それに対応するところの常日ごろの準備、それからまた、これの訓練その他は大規模にはやれませんので、主として、これは東京で申しますならば区の、さらにその町内くらいを範囲にして、何回も繰り返してやってもらわなければ困るということで、地方自治体にそういう訓練や予防措置についての配慮を実はお願いしているところでございます。今回、いま御指摘のように、ロサンゼルスの震災は、ある意味においては日本にとっての再点検あるいは再検討の一つのいい機会だ、こうも思いまして、私はさっそく関係各省にも連絡の上、私のほうでは総合的な視察調査に行くことにしたのであります。これに各省庁でも協力してほしいということを申し入れまして、私のほうを中心とする調査団が昨日参りました。東京都からも出ていただいた、こういうことです。ここで現実の状況をよく調査していただいて、そして教訓となるべきものがあるならば、単にこれを専門家だけでふところに入れて対策をやっただけでは、これは足らぬ。むしろロサンゼルスの震災の状況を一般国民に啓蒙の材料として発表したい。私はそういう意味でも、国民に知らせる意味においての資料も集めてくるように指示しております。それと同時に今度は、この視察研究の結果明らかになったところに基づいて、日本のダムとか、あるいは道路、建築、あるいは避難場所、そうしたものについて総点検をしたい。そうして、その結果をも今度は国会を通じて明らかにして、それに基づいて改善すべきところはすみやかに改善の措置を講ずる、これくらいの配慮を――いま有島さんが言われた、一般国民には何となく、もう地震が近づいているのだ、はたして安全だろうか、政府は何しているんだろうというかなりの不安感と、ある意味においては恐怖心があると思いますので、それに対応する措置を講じたいと思っておる次第でございます。
  269. 有島重武

    有島分科員 私は、日本で最も地盤が軟弱であり沈下がひどいという江東デルタ地帯をいつも見ておるわけでございますが、内部河川よりか二メートルくらい低いところに家が建っておりまして、毎日毎日心配しているんですね。その内部河川の岸にも亀裂が入っていて、水がにじみ出ておる。下のところには水たまりができておる。そんなような、そらおそろしいところがたくさんあります。そしてあるお店の主人も、人間の住むところじゃないということをぐちをこぼしながら言っておりますし、この間会った学生が、東京駅まで十五分だという、そういったことでもってここへ住んだんだけれども、これは徳川時代以来同じようなふうになっているんじゃないか。それで、建設大臣のような方が一ぺんこういったところにお住みになったらいいんじゃないだろうか、というようなことも言っておりました。今度のロスの災害に一つの刺激を受けて、いま大臣が非常に前向きな御発言をなさったわけでございますけれども、関東大震災の当時から比較してみても、産業の集中、市街が拡大してごちゃごちゃになっておる、それからまた過密の状況ということは、これはもうたいへんなことだと思うわけであります。大震災当時は東京市でもって人口二百十二万だったのが、現在八百九十万ですか、約五倍だ。自動車は四千五百台だったのが現在では二百六万台、四百倍でございます。それから危険物の貯蔵量ということについても、大規模な製造所が、三十五年時点でもって製造許可施設が一万七百七十九カ所だったのが、現在は二万百七十カ所、どんどんふえているわけでございますね。小規模の製造所も、三十五年には六千五百五十九カ所だったのが現在は三万七百八十五カ所。量的な比較をいたしますれば、石油の使用量は、東京でもって当時およそ十二万キロリットル、現在では二千五百六万キロリットル、こういうような数字が出ておりますが、これは二百倍くらいになるわけですね。  それで私どもは、関東大震災と、それからまた、あの第二次大戦のときの戦災の経験があるわけでございますけれども、どのような想定のもとに、どんな方針でどういう計画を立ててやっていくか。このことについて、いま対策中央本部でもってやっているというお話でございますね。それで、地域にどんどんお願いしてその対策の基本に従ってやっている、そういうお話でございましたけれども、その地域の中でも、これは東京のことでございますけれども、東京はかなり一生懸命やっているはずなんですね。ところ、が先日、これは二月二十日、つい最近でございますけれども、東京都議会でもって地域の防災計画の審議を行なった際に、江東デルタ地域なんかについては計画は確かにある。あるけれども、いざというときにはこれは全くお手あげである。消防総監が見えまして、こういった場合はどうか、こういった場合はどうかと言われると、返答ができない。お手あげである。東京都知事もお手あげである。これは緊急に災害条例をつくらなければならないというようなことになったわけでございますけれども、たとえば避難する場合でございますが、避難していく最中に、平均風速が秒速三・五メートルとして江東、葛飾の二区などは避難経路を火災から守ることは不可能である、そういう状況にあるわけですね。これはもうぜひとも急いでいかなければならない問題であると思うわけであります。それで、いま大臣がおっしゃったのは、避難、それから防火がございましたけれども、その上にあちらのほうでは地盤沈下がある。水がある。そういうような状況があるわけでございますが、私ここでもって大臣から伺っておきたいことは、ことし四十六年度、国としての避難訓練計画のようなことをお考えになるかどうか。毎年九月一日というと、地方公共団体ではやっておるようでございますけれども、全国規模でもって国の計画と地方の計画とタイアップしたような、そういうような一つの災害の避難訓練計画というものをお考えになるかどうか、その点いかがですか。
  270. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一に、基本的の問題ですから若干私の意見を申し上げたいと思いまするが、実は私が十三年前も建設大臣をしたときに、あの江東地区は、当時は、高潮対策、これに非常に集中しました。それから地盤沈下。ところが何か高潮が来ると、わっと騒ぎますけれども、あそこ全体が工業並びに人間の生活環境じゃ最も劣悪なところだ、でき得ればあそこから出ていただいて、いわゆる中小企業の団地とかなんとかということをだんだんあそこに持っていって、あそこはむしろできるだけ空間にしておいて、できればレクリエーションの場なんかにしたいと思っていろいろ提案してみたけれども、先ほど有島さんが言われたように、都市に近いものだし常に便利なものだから、どうしても住民も企業者もあそこから移ろうとしないんです。むしろ逆にそっちのほうにみんな集中してしまって今日のようになっちゃった。そしてみんなが震災になったらたいへんだといいながら、それは観念的にはそう思っているけれども、まあまさかというような気持ちがあそこに集中さしているというような結果になっていると思います。これは日本全体に、どこでもそうだと思いますが、みんなが心配しながらみんなが東京に集まってきているんです。これは千葉県の市川あたりの、あのとおり一年に十五センチも下がっているようなところに、たいへんだ、たいへんだといってみんな住んでいる。これは、政府の行政施策だけではどうしても守り切れない、人間のある意味における安心感というか、蓋然的な不安感はあるけれども、まさかというような、この二つの錯綜した気持ちがこういうふうになって、そうして一切の責任は政府はどうするか、こういわれてもなかなかこれは措置が困難だと思います。そこで、これはちょうど防衛の問題で、どこに世界が日本に押し寄せてくるんだ、しかるにこういうものははなはだ不見識だというのと同じようなものなんですね。ですから、この点はやっぱり私はみんな国民の合意を得てやらなければ、幾ら国民に対して叫びかけてもできないから、まずこれは一つの国民の意識を改め直してもらわなければならない。  それから、その次に具体的な問題として、本年、政府が中心になって、災害対策に対する、特に震災害に対する全国的ないわゆる動員演習をやる計画があるか。これは一時私も考えたけれども、どうもこれは言うべくして行なわれない。これをやるとむしろ非常な不安感を持たせてしまう。そうして実質上これは実施困難なんです。社会経済機能をストップさせなければできないようなことを図上でやっても、何だ、つまらない、人騒がせしてやったというだけの非難を受けることが多いようでございますので、先ほど申しましたように、決して責任のがれでなく、私は東京都とかそういう都市を中心にして、しかも区域別にこれはやっていただきたい、こう思うのでございます。たとえばビル街の総合的な訓練なんかしたならば、とてもこれはできませんから、一つ一つのビルで、火災の起こった場合の避難訓練、それから施設点検、これを積み重ねていって、ビル街の安全訓練をすると同じようなことをやらざるを得ない、こう思っています。それで従来みんな、一応は国会あるいは地方議会で問題に出されても、その場で答弁すると、まあそれで終わりとなったのが多いと思います。そこでなかなか議論はするけれども実行は進まない。だから私は、今度のロサンゼルスのあの機会に、とにかく全貌を明らかにして国民に訴えると同時に、その機会に総点検をする。そうして今度はその次に地方自治体に対して、この教訓をもってこういうふうな措置、こういうふうな訓練をやるようにというふうに、少しきめこまかに、これはいやがられてもやらざるを得ない、こう思って、先ほど申し上げたような措置をいたしているわけでございまして、日本もマスコミが非常に発達しているところだから、今度はテレビ、そういうものを利用しても、震災が来たならば、みんながどう対応して、心がまえをすべきか。それから常には、家庭内にいてはどういうことを訓練しておくべきか、どういう設備をすべきかというようなことまで、今度帰ってきたならばひとつ検討した上、報道機関とも御相談して、全国民の生命と、それから地域を守るための国民総動員の一つのキャンペーンをする時期じゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  271. 有島重武

    有島分科員 いまの総点検、または災害時のいろいろな心得のようなものを国民にどんどんPRしていく、これはたいへん望ましいことで、私どもいまの大臣のお話を聞いて非常に期待しておりますけれども、これはいつごろになるかということがやはり気になるわけでございます。大体秋のシーズン、さっき申しました九月の一日に間に合うようにやっていただきたいと思うのですけれども、その辺はどうですか。
  272. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは私一人でここではっきり明言できませんが、なるべくそういうふうにするように一これは完ぺきなものというものはなかなかできないと思いますので、その時点でまとまったものだけでも、漸次あとから補正することにして出発させたいと私は思っている次第でございます。
  273. 有島重武

    有島分科員 全国的な動員はしない、これはいまはっきりと伺ったので私もやや安心したわけでございますけれども、これは確かに弊害を伴うと思います。ただその規模ですね。どの程度の規模でもってやっていったならばいいかということは十分検討してやっていただきたい。  それから、これは非常に簡単なことなんですけれども、災害時になったときに、唯一の情報はトランジスタラジオからになると思いますけれども、それは各家庭にトランジスタラジオはあるようですけれども、私もよく考えてみますと、電池のほうはどうなっているかわかりません。そういったようなこまかいことですね。一ぺんはみんながトランジスタラジオを使わなければならないような状況をつくるというようなことは、できるのじゃないかと思います。  それから、特に消防庁の関係で私はよく伺うのだけれども、PRの費用ですね。これは非常にお粗末であると今度大臣がおっしゃったのですから、閣議の問題となって、その点は十分配慮していただけることと私は思います。  それから、そうした意識革命の問題と並行して、防災の避難拠点をどうしても急がなければならない。それで全国に何カ所かそういった危険地帯があると思いますけれども、都市部の混雑してしまっているところは一これはいま大臣は、政府が悪いのじゃなくて、国民が不安だといいながらそっちに集まっていっちゃうからいけないのだとおっしゃるけれども、これはやはり政府の経済政策の一つの方針とも関連し合ったことでございまして、まるきり責任がないわけじゃないですよ。ですから、そういうところは避難場所をやはりちゃんと確保してあげるということは、地方公共団体でかってにやってくださいということでなしに、政府が本腰を入れてやっていただかなければならないことであると私は思います。こうした避難拠点の中で一つのモデルとなるのが、あの江東デルタ地帯に六カ所の拠点をつくるということになっておりますけれども、その進捗状況についてはどうなっておりましょうか。
  274. 根本龍太郎

    根本国務大臣 後ほど事務当局から答弁いたさせますが、みんな避難場所を知らないために混乱する。そこで、いま東京でたしか六十数カ所、現在公共用地というほどではないけれども一あとでだれかに言ってもらいますが、あるいは宮城前広場、あるいは東大の構内だとか、浜離宮だとか、あるいは墓地だとか、こういうものがあるのです。そこで、各区別で、こういうところは避難場所に使いますよということを、よく知らしめるということが必要だと思うのです。それから、東京のどまん中にはないけれども、河川敷、これもまた相当活用できると思いますから、そういうところに行く経路、よくこの地域住民が利用し得る空閑地、これを示しておくということも必要だと思います。それから、現在の既成市街地内における避難場所をつくると膨大な金がかかる。何しろ高い土地ですから。しかもなかなか買収に応じない。そこに非常に難点がございますが、せめて江東地区については、相当無理してもあそこの土地再開発とあわせていま若干の計画を持っておりますし、これは本年から着手いたします。これについては都市局長から御説明いたさせます。
  275. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 江東地区の防災拠点構想は、先生御存じのとおりでありまして、最終的にはいま基本方針をきめる段階になっておりますが、四十六年度はそれのうちの第一期事業といたしまして、白髪東地区から拠点構想に基づきましたいわゆる再開発事業に着手をいたしたいということで、予算的にも再開発事業のための必要な経費、これは事業費といたしまして一億二千七百万円程度でございます。それから避難緑地を確保いたしますための事業費といたしまして一億五千万円、これを予算に計上いたすことにいたしております。これは建設省のいわゆる助成事業費でございまして、これに基づきまして東京都が事業主体になって実施をいたす事業でございます。拠点関係は、まず来年からそういう地点から緒についたということでございまして、あと内部河川の整備事業関係等につきましては、別途、河川局関係の耐震対策河川事業費というような予算についてのお話は河川局長からあるかと思いますが、現在の状況はそういうことであります。
  276. 川崎精一

    ○川崎政府委員 河川並びに高潮の関係でございますが、外郭の堤防等につきましては、伊勢湾クラスの高潮、あるいは関東大震災程度の震災に対しましては、十分安全にできております。問題は内部の河川の始末でございますが、これにつきましては、江東三角区内でも、東の半分と西の半分とでは事情が多少違うようでありまして、そういった点で、東京都庁でも、その使い方等についていろいろ検討しておられるようでございまして、私どもといたしましても、基本的には、東の半分については内部の水位をまず下げる、それから特に老朽しておる施設については補強をはかる、こういうことで、常時水位を下げますことによって、地震時におけるいろんな水の災害から守られるのじゃないか、こういうふうに考えております。特に四十六年度より、そういった意味で江東三角地帯をモデルに耐震対策事業等を新しく起こすことにいたしまして、四十六年度は当面六億程度の一これは初年度でございまして、将来ますます増強していきたいと思っておりますが、そういった水位を低下いたしますためのポンプの施設並びに老朽護岸の復旧等を来年から始めたい、こういうふうに考えております。
  277. 有島重武

    有島分科員 大臣からお答えがございました、避難場所を知らしめることが必要なんだ、それから河川敷なんかもある、そういうことでございますけれども、いま話題の集中した江東デルタ地区について、まさにそのことについて、この間の都議会の際に一あそこはそれぞれに指定地区はございます。ございますけれども、それじゃ老人の人たちはそこまで行かれるのか。よほど足の強い人じゃないと十キロも行かれないわけなんです。それじゃ、やはり近い一キロか二キロぐらいのところになければ、避難場所としては役に立たない。ところが御承知のように、そういったところにはない。しかもその経路ですね。経路は幾ら知っていても、知っているところが大体通れるのかどうか。そういったことでもって、実際上はほんとうにどうなんだと詰めていったらば、これは逃げることはできないということになってしまったわけです。こまかい話は、都のほうでもって詰めた話でございますから、内容をいまここでもって論ずる必要はないと思いますけれども、そうなりますと、どうしたってその区域内にちゃんと逃げられるところをどうにかしなければならない、そういうわけでございますね。  それで、いま局長さんのほうからお話がございましたけれども、今年度からはほんとうに緒につくのだ。緒につくとはいっても、先ほど大臣が言われたように、また住民がほんとうに安心してそれに協力してくれるかどうかという問題がございますね。再開発と兼ねてといっても、いろんな利害関係がからんでおることでございますから、どうしたらスムーズにうまく協力させるかというような、これもPRが非常に大切なんじゃないかと思います。  それで、これは私、提案したいのだけれども、一つの例として建設省用地を団地にしようという計画がございました。その図面なんか見せていただくと、非常に魅力的なんですね。そういうものをその場所に張っておく。たくさん張っておくというのは非常にいいのじゃないか。その図を私も少し見せて歩きますと、それじゃといって話がまた変わってくるのですね。そういったことが一つあると思います。こういった、PRの技術であるとか費用であるとかいうことは、これは惜しまないでやっていただいたほうが結局いいのじゃないか。  それからもう一つは、いまどうして建設省用地のことを言ったかと申しますと、あそこは別に避難場所としての目的でつくるのじゃないわけでありますけれども、そういうものが一つできますと、今度は、白髪なら白髪の人たち行ってみろ、ひとつ目にもの見せるということを、どうしてもやらなければなるまい。一つの、コンセンサスをつくっていくリーダーのようなものですね。そうした意味において、あれは建設省のお持ちものでありますから、そういった意味づけをもってどんどんお進めになるべきじゃないか、そういうように私、御提案申し上げたいのですけれども、大臣いかがでしょうか。
  278. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのとおりだと思います。やはりこういうものは、現在の欠点だけを論じても何にもならないのです。問題は、どう具体的にこれを解決する糸口を見つけるか。それに対しては、国民の同意を得るということで進んでいかなければならぬと思います。私は実は昨年拝命してから、この問題を自分自分の問題として考えてみて、これは非常に深刻だということで、いろいろ事務当局に勉強してもらいまして、防災地区の設定とかそういうこともずっとやってきまして、ようやく今度予算化することができたということです。この前の国会はいわば公害国会だけれども、私はほんとうをいえば、近く災害対策をひとつ問題にした臨時国会を開いていただくと、国民は、なるほど国会政府が本気になってやっているという気がするのじゃないかとすら思っているのです。ただ、このときにお互いに、これは結局佐藤高度成長内閣の何にもしなかった結果だとか、いやそうでない、そんなこと言ったのではこれはくだらないことになるので、お互いに具体的に、この困難な問題の中で現実に実行性のあるものをどう前向きに提案するか、いわゆる提案国会にしたら非常に役立つのじゃないかと私は思うのです。そうじゃないと、たまたま何か関連した事件が起こるとわっと騒いで、それに対して一とおりの答弁をすれば終わった形になる。追及してそれで終わりということでは、私はたいへんに心もとないと思いまして、はなはだ脱線した発言をいたしましたが、私の政治家根本としての心境を申し上げればそういうことでございます。その意味で、きょうの有島さんの御提案は、私は非常に共鳴すると同時に、これに対して私もできるだけの措置を講じて国民の期待に沿いたいと思う次第でございます。
  279. 有島重武

    有島分科員 いま大臣から、災害国会を提起するというようなお話で、私も非常に心強く思います。努力していただくことを私は期待しております。  それで、先ほど、建築基準法などによって耐震耐火といった問題を十分に考えておるというようなお話があったと思いますけれども、いまの建築基準法は、個々の建築についての基準はたいへんよくできているのじゃないかと思います。それがほんとうに実施できればなおさらいいわけでございますけれども。ところが集合体の中に入った場合の基準というものがどの程度明らかになっておるか。これは、火災に対して屋根をこうしておくとか、へいはこうしておくとかいうことはございますけれども、一つの集合体としての計画は、都市計画とのかね合いでの規制というものがもう一ぺん考えられなければならないのじゃないか。どちらかと申しますと、いままでの建築というものは、美観の見地から、あるいは使用の上の便利さとか使いいいという見地から――多少災害の見地ということもあったのだろうけれども、ここでやはり、だだっ広いところではそんなことをする必要はありませんけれども、地域によっては、そういった都市計画とのかね合いでの一つの建築基準ということをもう一ぺん検討なさったほうがいいのじゃないかというふうに私は考えるのでございますが、その点はいかがですか。
  280. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、都市計画法、都市再開発法、それから建築基準法、これは一連の体系としてできておるのでございます。したがいまして、建築基準法は、個々の建築物の規制と、それから地区の用途指定もやっております。それに相対応してまた都市計画法並びに再開発法ということで、いま有島さんが言われたことは、これが全部整備すれば、大体、いま御指摘になりました、個々の建築基準の上に総合的な建築基準的な構想を組むべきだということで、実はやっているつもりでございます。ただ、いまそれがやられて、たとえば住宅専用地域と商業地域、あるいは工業地域が若干まだ未整理のものがございます。これが整理されていきますと、その点はだいぶ整理されてくる。それからさらに、いままでの既成の市街地を再開発しなければ、いま言われたような難点がございます。これもあわせてやっていかないと、個々の建築基準法で規定したほかにその地区もやれといっても、これは観念的にはできるけれども、もうみんなそれぞれの権利を持っている人たちを、実は建築基準法ではいいけれどももう一回やり直せということはたいへんです。だから、そういうところは市街地再開発というような形で整理していくというふうなことでいかなければならぬと思いますが、あなたの言われることは、全くそのとおりだと思っております。
  281. 有島重武

    有島分科員 もう時間が過ぎてしまったということで、あとカットしてもう少しお許しを願います。  さっき局長から、内部河川の工事をやっていくんだというお話がございました。内部河川は、岸もさることながら、その底のほうは一体やるのかどうか。底からどの程度水がリークしておるか、しみ出しておるかというようなことは、まだおそらくつかんでいらっしゃらないのじゃないかと思うのでございますけれども、そういったことに対しての配慮はどうなっておりましょうか。
  282. 川崎精一

    ○川崎政府委員 内部河川で非常に地盤沈下の激しいところでございますので、水位の高いときには、やはりかなりの漏水現象が見られておるようでございます。これにつきましては、東京都が全部管理をしておりますので、そのほうにも、十分注意をし点検をして災害時に遺憾のないようにということで、現在指導をいたしておるところでございます。ただし、詳細な数字等につきましては、私どもの手元にまだ報告が参っておりません。
  283. 有島重武

    有島分科員 やっていることはやっているんですね。
  284. 川崎精一

    ○川崎政府委員 はい。
  285. 有島重武

    有島分科員 これも、しみ出した水がたどって、二メートルも下がっている地帯が近所にあるわけでございますから、そういったところにずいぶん影響するんじゃないかと思いますので、大きいポンプを入れて、どんどんもう少し水位を下げるとか、そういうようなこともしなければならないと思いますし、それからもう一つには、ある内部河川を全部生かさなければならないということにはならないと思うのですね。越中島のほうではあの内部河川を埋めてしまって、そこに緑地帯をつくってしまった。そういうことをも考慮していかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、そういう計画については、そちらの局ではどうにもならないわけですね。いまのあるものをただ直していくというその範囲でございますか。それとも、そういった計画まで入ってやっていらっしゃるのでしょうか。
  286. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど申し上げましたように、当面まず排水施設を増強することと、それから老朽施設に対する補強をはかるということで、当面四十六年度からスタートしよう、こういうことでございます。ただ、詳細な、河川としてどういうような考え方で進めるかということについては、江東地区全体の防災計画との関連もございますし、今後なお東京都と十分話し合いをしていきたいというように考えておりますが、たとえば旧中川とか横十間川とか、こういったところで将来水位が低下しまして、しかも屎尿等につきまして、これを陸送に転換するなりというような措置が十分とられますならば、現在のような広い断面は要らないというようなところにつきましては、いわゆる河川の洪水敷に相当するようなところを整備しまして、いろいろ公園等に多目的に利用できるようにいたしたいと思っております。越中島につきましては、これは詰めておりますが、下水道等を整備しまして、排水機能に支障のないようにした上で、たしか上を公園に利用しておるというように思っております。そういった構想で現在河川局はいろいろ検討しておりますが、最終的にどういう形にするかはまだきまっていない、こういうわけでございます。
  287. 有島重武

    有島分科員 最後に一問。  私、きょう地盤沈下の問題をもう少しやりたいと思っていたのですけれども、また次の機会に譲りまして、その中のごく一部分だけちょっと伺っておきたいのですけれども、地盤沈下したところの工場あと地、そこをかさ上げするということを考慮していらっしゃるかどうか。地盤沈下の対策について、過去の地盤沈下についてこれをどのように修復するかという問題が一つあると思うのですね。それから、現在行なわれている地盤沈下について、これをどう食いとめるかという話が一つあると思うのですね。それから、将来に向かってということになると思いますけれども、都市再開発の総合計画の中に、低い土地のかさ上げということがちっとも見当たらないのです。私の知る限りでは、そのかさ上げの計画というものはあまりないように思いますけれども、こういったことも考慮していただいたほうがいいと思うのです。  それから、先ほどの災害のことと関連いたしますけれども、くみ上げ規制のことを考える場合に、いまのところ、大体二百メートルから二百五十メートルくらいまでは浅い井戸になっている。それ以上深ければいいというようなことになっておりますけれども、これは地盤沈下の観点が一つございますが、さっきの災害の観点から考えても、焼け野原になって水道がおかしくなった、それで人間は水さえあればどうにかなるので、そのときに二百メートルの井戸ではくめないわけですね。そういった点からも、井戸の水位というものは、やはり手押しポンプでもってくめる程度のところにやっておくということ、これがやはり人命を守るということにも通ずると思うわけであります。  それで、いまのようなことを含めまして、都市再開発の問題をしっかりとさらに検討を加えていっていただきたいと要望申し上げる次第ですが、大臣から一言いただいて終わります。
  288. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのままに御提案をすぐにやるということは、なかなかむずかしいと思います。事務当局でそうしたことの効果あるいは可能性等を十分に検討して、今後対処したいと思います。
  289. 大野市郎

    大野主査 次回は、明二十三日午前十時より開会し、引き続き建設省所管を審査することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会