○登坂
委員 第三
分科会における
審査の経過並びに結果について、御
報告申し上げます。
本
分科会の
審査の対象は、
昭和四十六年度総
予算中
経済企画庁、厚生省及び自省治
所管でありまして、去る二月十九日より二月二十五日まで慎重に
審査を行ないました。
審査は、自治省、厚生省及び
経済企画庁の順に、それぞれ各省庁ごとに
所管予算の説明を聴取した後、質問を行なったのでありますが、その間、
質疑者数延べ五十八人、
質疑時間約三十四時間半に及びましたが、各
分科員の御協力により、終始円滑に熱心な
審査が行なわれました。
質疑の内容は、きわめて
広範多岐にわたりますので、その詳細は
会議録でごらん願うこととし、ここでは簡単におもな事項について御
報告を申し上げます。
まず、自治省
所管につきましては、来年度の経済が
政府の見通し以上に落ち込み、地方財政に悪影響を来たした場合、いかに対処するか。また、来年度の
予算は、景気の動向により、機動的、弾力的に運用するとのことであるが、従来、地方債の決定があまりにおそきに失し、一般公共事業の遂行に支障を来たしている。起債の許可を早め、今後の運用に特段の配慮をすべきではないかとの
質疑に対し、
政府側より、景気の動向により、万一国税三税の落ち込み等の事態が生じた場合は、その時点で状況を見、地方債の増発、
政府資金の融資等の特別の措置をとり、地方財政の運営に支障のないようにしたいとの
趣旨の
答弁がありました。
次に、最近、全国各地において火災が発生し、多数の焼死者を出す等の悲惨な事故が起きているが、その原因は何か。最近、消防官になり手が少ないとか、また、装備が不十分ともいわれている。防火予防体制については、どのような措置が講じられているか等の
質疑がありましたが、これに対し、火災の発生原因の八四%は失火であり、また、死傷事故の原因としては、不完全燃焼によるもの、新建材等の可燃性資材または有毒発煙性のものが多く使われ出したこと、木造建築の旅館等で構造上欠陥のあるもの、消火器具の不完全なもの、避難誘導訓練が十分でないこと等が考えられるが、その対策としては、早期の避難通報ができるよう、煙感自動火災報知機の整備その他、科学的消防設備を充実するほか、不燃材料、難燃性の内装材の開発等を進める必要がある、また、消防官の優遇についても、十分配慮したいとの
趣旨の
答弁がありました。
以上のほか、大都市周辺の市町村の人口増加と地方財政の困窮、首都圏整備圏内の工場立地の規制、市街化調整区域と都市計画税、地方自治体と公害防止問題、石油コンビナートの防災、交通反則金と保証協会、同和対策事業と補助金、公営企業金融公庫と資金運用部資金の貸し出し一本化と事務の簡素化、公立医科大学と財源措置、新しいコミュニティーの形成、東京都の区長公選、道州制の問題、小笠原復興暫定措置法の期限切れと民間不動産業者の進出、
沖繩返還と憲法第九十五条との関係、国鉄財政再建と地方自治体の協力問題等についても
質疑がありました。
次に、厚生省の
所管といたしましては、懸案の医療保険
制度の抜本
改正のうち、特に医療供給面について、一、医療技術が正しく評価され、技術中心の良心的医療が行なわれるように改善すべきではないか。二、医薬分業が行なわれていないため、売薬医療が横行し、薬の使い過ぎにより、国民の健康を害している事実もあるが、これらにどのように対処するのか。三、医薬品企業の体質改善と薬の総点検を行なうべきではないかとの
質疑が行なわれました。
これに対し、医療の国民皆保険というたてまえから、医療関係機関を整備し、医療技術を尊重し、薬事法の
改正と医薬分業について検討するほか、診療報酬及び薬価基準の適正化、合理化をはかるほか、国民の健康管理
制度についても改善していきたいとの
答弁がありました。
また、老人問題は、わが国の老齢人口の増加に伴い、七十年代のわが国社会保障
制度のうち、最重点を置くべきものと思うが、老後の生活保障としての老齢年金額は、西欧先進国に比し少な過ぎるから、その増額をはかるべきではないか。年金
制度は、種別ごとに支給開始年齢が異なっているが、これを一律に六十歳に引き下げられないか。老人医療費を無料化できないか。二十万人に達する寝たきり老人の収容施設は、わずかに収容希望者の一%にすぎないから、その増設をはかるとともに、介護人
制度の充実をもあわせてはかるべきではないか。また、就業を希望する者に対しては、雇用対策を講ずべきではないか等の
質疑が行なわれましたところ、日本の人口構造は老齢化の方向に急速に進んでいるので、今後、老人福祉問題に関しては、最重点的に対処していきたい。老後の生活保障としての老齢年金は、現在、厚生年金は六十歳以上、国民年金は六十五歳以上、老齢福祉年金は七十歳以上に支給するが、老齢福祉年金は、一部身体障害者について六十五歳に引き下げた。給付金額は、
制度の違いにより異なるが、漸次改善していきたい。老人医療に関しては、国保については国が四割五分支出しており、すでに一部地方自治体では、被保険者の自己負担分を負担し、全額公費負担を実施しているところもある。今後は、無料医療の方向へ進みたい。また、寝たきり老人対策としては、特別養護老人ホーム等の施設を増設し、家庭で介護を望む者以外の者については、五カ年計画くらいで全員収容できるようにしたい。一人暮らしの寝たきり老人に対しては、ホームヘルパーのほかに、介護人による巡回看護を実施する等、今後、積極的に施策を進めたいとの
答弁がありました。
以上のほか、献血対策と保存血液の価格問題、スモン病、ベーチェット病、ネフローゼ等の原因不明の疾病対策、廃棄物処理と再生利用、食品衛生と添加物、冷凍食品と消費者保護、乳酸菌製品と薬事法の関係、医師の不正請求と医療専門官
制度、予防接種事件、僻地の医療問題、医師の研修指定病院、らい対策、
公害被害者救済措置、上水道と水資源確保、公害功労者に対する脅迫事件、保健所整備、同和対策、戦没者の遺骨収集、催涙ガス(CN、CS)使用の問題、薬の再販売価格の問題、米飯提供者登録
制度、無認可保育所、社会福祉施設の改善、酒害防止対策、生活協同組合、新経済社会発展計画と社会保障等の諸問題が取り上げられました。
次に、
経済企画庁の関係について、地域開発と新全国総合開発計画の問題が取り上げられ、新産業都市の建設と工業整備特別地域の整備の実績をどう評価するか、これらの地域開発と新全総との関係はどうなるのか、また、新全総は、経済開発的色彩が強過ぎるから、国民の福祉という観点から練り直すべきではないかとの
質疑がありました。
これに対して、
政府は、新産都市の建設及び工特地域の整備は、全国的に見ると、
予算の面でも、工業出荷額の面でも、ほぼ順調に進捗している。ただ、進出業種が当初の予定と若干変わっていたり、公害が予想以上にふえている点は指摘できる。これらの地域開発は、今後は、新全総計画の線に沿いながら、具体的な方針を立てていきたい。なお、新全総は、大きな方向づけをするという点においては、問題点を網羅しており、十分存在価値があるものと思うとの
趣旨の
答弁がありました。また、さきの国会において、水質保全法と工場排水規制法を廃止し、新たに水質汚濁防止法が成立したが、水質監視測定体制について、河川法にある清潔、流量等の保持について、河川の管理上、行政が二元化されるのではないか、また、水質審議会の議事は非公開であるが、運営上問題があるとの
質疑が行なわれたが、従来、国、地方公共団体がばらばらであった監視測定体制は、今後、都道府県知事に委任されて一元化され、行政が集中的に行なわれること、審議会の非公開は、運用規則により、水質基準決定に際し、自由な発言の場とするためであるとの
答弁がありました。
以上のほか、休廃止鉱山と公害問題、経済成長と物価問題、薬価の引き下げ、国際石油資本と石油値上げ問題、東北開発事業、生活協同組合等に関する
質疑がありました。
かくて、昨二十五日、
質疑を終了いたしましたが、本
分科会の討論、採決は先例により本
委員会に譲ることに決定いたした次第であります。
以上、御
報告申し上げます。