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1971-02-26 第65回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十六日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君    理事 坪川 信三君 理事 藤田 義光君    理事 細田 吉藏君 理事 大原  亨君    理事 田中 武夫君 理事 鈴切 康雄君    理事 今澄  勇君       足立 篤郎君    相川 勝六君       赤澤 正道君   稻村左四郎君       江崎 真澄君    小川 半次君       大坪 保雄君    大野 市郎君       大村 襄治君    奧野 誠亮君       賀屋 興宣君    川崎 秀二君       上林山榮吉君    小坂善太郎君       笹山茂太郎君    田中 龍夫君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    松浦周太郎君       松野 頼三君    森田重次郎君       渡辺 栄一君    井野 正揮君       阪上安太郎君    辻原 弘市君       中谷 鉄也君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    原   茂君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       横路 孝弘君    近江巳記夫君       坂井 弘一君    田中 昭二君       中野  明君    岡沢 完治君       谷口善太郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 内田 常雄君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         郵 政 大 臣 井出一太郎君         労 働 大 臣 野原 正勝君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (科学技術庁長         官)      西田 信一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         総理府人事局長 宮崎 清文君         警察庁交通局長 片岡  誠君         北海道開発庁総         務監理官    新保 實生君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省刑事局長 辻 辰三郎君         法務省保護局長 笛吹 亨三君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 井川 克一君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省理財局長 相澤 英之君         大蔵省理財局次         長       小口 芳彦君         農林大臣官房長 太田 康二君         農林省農地局長 岩本 道夫君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         食糧庁長官   亀長 友義君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省財政局長 長野 士郎君         消防庁長官   降矢 敬義君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局行政局長  瀬戸 正二君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員異動 二月十九日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     島本 虎三君   辻原 弘市君     堀  昌雄君   西宮  弘君     山口 鶴男君   原   茂君     長谷部七郎君   安井 吉典君     田邊  誠君   相沢 武彦君     沖本 泰幸君   矢野 絢也君     伊藤惣助丸君   渡部 一郎君     小川新一郎君   竹本 孫一君     栗山 礼行君   谷口善太郎君     土橋 一吉君   松本 善明君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     阪上安太郎君   田邊  誠君     安井 吉典君   長谷部七郎君     藤田 高敏君   堀  昌雄君     辻原 弘市君   山口 鶴男君     大出  俊君   伊藤惣助丸君     近江巳記夫君   小川新一郎君     古寺  宏君   沖本 泰幸君     大橋 敏雄君   栗山 礼行君     竹本 孫一君   土橋 一吉君     谷口善太郎君   不破 哲三君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     華山 親義君   藤田 高敏君     後藤 俊男君   大橋 敏雄君     相沢 武彦君   近江巳記夫君     貝沼 次郎君   古寺  宏君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     石川 次夫君   華山 親義君     中谷 鉄也君   貝沼 次郎君     桑名 義治君 同日  辞任         補欠選任   石川 次夫君     米田 東吾君   中谷 鉄也君     阿部喜男君   桑名 義治君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     西宮  弘君   米田 東吾君     原   茂君 同月二十日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     山本 政弘君   楢崎弥之助君     平林  剛君   原   茂君     武部  文君   細谷 治嘉君     中谷 鉄也君   相沢 武彦君     岡本 富夫君   矢野 絢也君     小川新一郎君   渡部 一郎君     桑名 義治君   竹本 孫一君     曽祢  益君   松本 善明君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   武部  文君     原   茂君   中谷 鉄也君     細谷 治嘉君   平林  剛君     楢崎弥之助君   山本 政弘君     辻原 弘市君   小川新一郎君     松尾 正吉君   岡本 富夫君     相沢 武彦君   桑名 義治君     渡部 一郎君   曽祢  益君     竹本 孫一君   東中 光雄君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松尾 正吉君     松本 忠助君 同日  辞任         補欠選任   松本 忠助君     矢野 絢也君 同月二十二日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     正示啓次郎君   松野 頼三君     宇野 宗佑君   阪上安太郎君     島本 虎三君   田中 武夫君     井上 普方君   辻原 弘市君     小林  進君   楢崎弥之助君     久保 三郎君   西宮  弘君     堀  昌雄君   原   茂君     小林 信一君   細谷 治嘉君     華山 親義君   安井 吉典君     山口 鶴男君   相沢 武彦君     樋上 新一君   坂井 弘一君     山田 太郎君   鈴切 康雄君     沖本 泰幸君   矢野 絢也君     近江巳記夫君   渡部 一郎君     岡本 富夫君   竹本 孫一君     吉田 之久君   谷口善太郎君     寺前  巖君   松本 善明君     青柳 盛雄君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     松野 頼三君   正示啓次郎君     赤澤 正道君   井上 普方君     田中 武夫君   久保 三郎君     平林  剛君   小林 信一君     原   茂君   小林  進君     辻原 弘一君   島本 虎三君     井野 正揮君   華山 親義君     金丸 徳重君   堀  昌雄君     田邊  誠君   山口 鶴男君     横路 孝弘君   近江巳記夫君     北側 義一君   岡本 富夫君     中野  明君   沖本 泰幸君     鈴切 康雄君   樋上 新一君     鶴岡  洋君   山田 太郎君     有島 重武君   吉田 之久君     寒川 喜一君   青柳 盛雄君     小林 政子君   寺前  巖君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     阪上安太郎君   金丸 徳重君     細谷 治嘉君   田邊  誠君     中村 重光君   平林  剛君     芳賀  貢君   横路 孝弘君     長谷部七郎君   有島 重武君     坂井 弘一君   北側 義一君     大橋 敏雄君   鶴岡  洋君     相沢 武彦君   中野  明君     古寺  宏君   寒川 喜一君     和田 春生君   小林 政子君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   中村 重光君     後藤 俊男君   芳賀  貢君     楢崎弥之助君   長谷部七郎君     安井 吉典君   大橋 敏雄君     伊藤惣助丸君   古寺  宏君     瀬野栄次郎君   和田 春生君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     西宮  弘君   伊藤惣助丸君     田中 昭二君   瀬野栄次郎君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     和田 一郎君 同日  辞任         補欠選任   和田 一郎君     矢野 絢也君 同月二十三日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     岡田 利春君   辻原 弘市君     小林  進君   西宮  弘君     堀  昌雄君   原   茂君     久保 三郎君   安井 吉典君     内藤 良平君   相沢 武彦君     渡部 通子君   坂井 弘一君     樋上 新一君   鈴切 康雄君     沖本 泰幸君   矢野 絢也君     近江巳記夫君   渡部 一郎君     山田 太郎君   竹本 孫一君     内海  清君   谷口善太郎君     山原健二郎君   松本 善明君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     島本 虎三君   久保 三郎君     原   茂君   小林  進君     ト部 政巳君   内藤 良平君     阿部 助哉君   堀  昌雄君     山口 鶴男君   近江巳記夫君     矢野 絢也君   沖本 泰幸君     鬼木 勝利君   樋上 新一君     多田 時子君   山田 太郎君     渡部 一郎君   渡部 通子君     西中  清君   内海  清君     塚本 三郎君   津川 武一君     松本 善明君   山原健二郎君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   阿部 助哉君     勝澤 芳雄君   ト部 政巳君     松浦 利尚君   島本 虎三君     小林 信一君   山口 鶴男君     井野 正揮君   鬼木 勝利君     古寺  宏君   多田 時子君     中野  明君   西中  清君     瀬野栄次郎君   塚本 三郎君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     西宮  弘君   勝澤 芳雄君     安井 吉典君   小林 信一君     土井たか子君   松浦 利尚君     井上 普方君   古寺  宏君     鈴切 康雄君   瀬野栄次郎君     相沢 武彦君   中野  明君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     辻原 弘市君   土井たか子君     高田 富之君 同日  辞任         補欠選任   高田 富之君     阪上安太郎君 同月二十四日  辞任         補欠選任   笹山茂太郎君     藤尾 正行君   阪上安太郎君     内藤 良平君   辻原 弘市君     井野 正揮君   西宮  弘君     中谷 鉄也君   原   茂君     後藤 俊男君   細谷 治嘉君     井岡 大治君   相沢 武彦君     近江巳記夫君   坂井 弘一君     小川新一郎君   鈴切 康雄君     沖本 泰幸君   矢野 絢也君     桑名 義治君   渡部 一郎君     小濱 新次君   今澄  勇君     和田 春生君   岡沢 完治君     栗山 礼行君   竹本 孫一君     田畑 金光君 同日  辞任         補欠選任   藤尾 正行君     笹山茂太郎君   井岡 大治君     松浦 利尚君   井野 正揮君     上原 康助君   後藤 俊男君     山中 吾郎君   内藤 良平君     阪上安太郎君   中谷 鉄也君     中村 重光君   小川新一郎君     坂井 弘一君   近江巳記夫君     有島 重武君   沖本 泰幸君     瀬野栄次郎君   桑名 義治君     矢野 絢也君   小濱 新次君     中野  明君   栗山 礼行君     塚本 三郎君   田畑 金光君     竹本 孫一君   和田 春生君     今澄  勇君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     島本 虎三君   中村 重光君     西宮  弘君   松浦 利尚君     藤田 高敏君   山中 吾郎君     原   茂君   有島 重武君     田中 昭二君   瀬野栄次郎君     新井 彬之君   中野  明君     伊藤惣助丸君   塚本 三郎君     岡沢 完治君 同日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     堀  昌雄君   田中 昭二君     相沢 武彦君   藤田 高敏君     細谷 治嘉君   新井 彬之君     鈴切 康雄君   伊藤惣助丸君     古川 雅司君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     畑   和君   古川 雅司君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   畑   和君     辻原 弘市君 同月二十五日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     島本 虎三君   田中 武夫君     久保 三郎君   辻原 弘市君     勝澤 芳雄君   楢崎弥之助君     北山 愛郎君   西宮  弘君     華山 親義君   原   茂君     横路 孝弘君   相沢 武彦君     有島 重武君   坂井 弘一君     松尾 正吉君   鈴切 康雄君     小川新一郎君   竹本 孫一君     吉田 賢一君   松本 善明君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     辻原 弘市君   北山 愛郎君     藤田 高敏君   久保 三郎君     井上 普方君   島本 虎三君     堀  昌雄君   華山 親義君     中谷 鉄也君   横路 孝弘君     原   茂君   有島 重武君     貝沼 次郎君   小川新一郎君     近江巳記夫君   松尾 正吉君     沖本 泰幸君   吉田 賢一君     川端 文夫君   米原  昶君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     田中 武夫君   中谷 鉄也君     小林  進君   藤田 高敏君     楢崎弥之助君   堀  昌雄君     阪上安太郎君   近江巳記夫君     鈴切 康雄君   沖本 泰幸君     樋上 新一君   貝沼 次郎君     古寺  宏君   川端 文夫君     内海  清君   田代 文久君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   小林  進君     西宮  弘君   古寺  宏君     相沢 武彦君   樋上 新一君     瀬野栄次郎君   内海  清君     竹本 孫一君   浦井  洋君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     古川 雅司君 同日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     坂井 弘一君 同月二十六日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君    稻村左四郎君   松野 幸泰君     江崎 真澄君   渡辺 栄一君     小川 半次君   阪上安太郎君     中谷 鉄也君   細谷 治嘉君     井野 正揮君   相沢 武彦君     鶴岡  洋君   矢野 絢也君     近江巳記夫君   渡部 一郎君     中野  明君   竹本 孫一君     渡辺 武三君   松本 善明君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     細谷 治嘉君   中谷 鉄也君     横路 孝弘君   鶴岡  洋君     田中 昭二君   渡辺 武三君     竹本 孫一君   不破 哲三君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     阪上安太郎君 同日  理事田中武夫君及び鈴切康雄君同月二十二日委  員辞任につき、その補欠として田中武夫君及び  鈴切康雄君が理事に当選した。 同日  理事今澄勇君同月二十四日委員辞任につき、そ  の補欠として今澄勇君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年度一般会計予算  昭和四十六年度特別会計予算  昭和四十六年度政府関係機関予算  主査からの報告聴取      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりをいたします。  委員異動によりまして現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、田中武夫君及び鈴切康雄君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 中野四郎

    中野委員長 昭和四十六年度一般会計予算昭和四十六年度特別会計予算昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  去る十九日から六日間にわたって審査してまいりました分科会は、昨二十五日をもって全部終了いたしました。  この際、各分科会主査より、それぞれ分科会における審査報告を求めます。まず第一分科会主査田中龍夫君。
  5. 田中龍夫

    田中(龍)委員 第一分科会における審査の経過並びに結果につきまして、御報告を申し上げます。  本分科会審査の対象は、昭和四十六年度総予算皇室費、国会、裁判所内閣総理府のうち防衛庁経済企画庁を除く分、法務省文部省所管及び他の分科会所管以外の事項でありまして、去る二月十九日より昨日まで慎重に審査いたしました。  審査は、各省庁当局より予算の説明を聴取いたした後に、質疑を行ないました。その間、質疑者の数は延べ四十七名、質疑時間は約二十八時間に及びましたが、各分科員の協力を得まして円滑に審査が行なわれました。  質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては会議録に譲ることといたしまして、ここでは簡単にその概要を申し上げます。  まず総理府関係では、沖繩復帰対策要綱について、第二次要綱はいつ発表するのか、また開発庁構想についてはどのように考えているか、との趣旨質疑に対しまして、政府から、第二次要綱については、琉球政府との意見の一致を見たいので、三月上旬ごろになると思うが、できるだけ早く発表したい。開発庁については最終的には政府全体できめるべき問題であるが、予算などをまとめて処理するためにも大臣を長とする開発庁の設置は望ましいと思っている、しかし沖繩意見を十分聞いた上できめたいとの趣旨答弁がありました。  このほか沖繩復帰対策予算沖繩糖蜜対策沖繩医療対策、無過失損害賠償責任公害被害者救済日米公害閣僚会議運転免許行政、元事務次官の農地取得同和対策等の諸問題につきまして質疑が行なわれました。  次に、法務省関係では、司法修習制度の「分離について、」分離修習という法曹養成制度の根幹に触れる制度改正についてはどのような見解を持つかとの趣旨質疑に対しまして、政府からは、これは司法制度根本にかかわる重要な問題であり、最高裁や弁護士会などとも連絡をとって、この取り扱いには十分気をつけたい。もし現行制度を直すために法律を改正しなければならぬとか、新しい立法が必要な場合には、法制審議会で十分練ってもらってよい結論を得たいとの趣旨答弁がありました。  このほか、無過失損害賠償責任沖繩恩赦人権擁護公害検察の姿勢、監獄法改正等の諸問題につきまして質疑が行なわれました。  次に、文部省関係では、公害に基因する学童の疾病が増加しているが、法令を改正して健康診断の検査項目に公害による疾病を取り入れてはどうかとの趣旨質疑に対しまして、政府から、公害による疾病については現行の定期健康診断による検査項目でも疾病自体は一応把握できるが、保健体育審議会の答申が五月ごろに出るので法令改正を含めて検討させてもらいたい。しかし公害病ということばそのものは検査項目に入らないかもしれないとの趣旨答弁がありました。  このほか、特殊教育の振興、学校給食、公立医大への優先入学、育友会活動、歴史教育、文化財保護、社会教育の振興、在外日本人学校の教育、私学に対する財政援助、大学病院の排水汚濁処理等の諸問題につきまして質疑が行なわれました。  以上のほか、皇室費関係では、葉山御用邸の火災と本邸の再建、下田御用邸の新営、皇族殿邸の建設等の諸問題、国会関係では、衆議院傍聴規則の改正、議員の健康管理、事務局庁舎の建設等の諸問題、裁判所関係では、最高裁判所庁舎の新営、書記官及び速記官の定員、札幌弁護士会のアンケート等の諸問題につきまして、活発かつ熱心に質疑応答が行なわれました。  なお、質疑者から次のような趣旨の発言がありましたので申し上げておきます。すなわち、その一は、人権擁護について人権を無視するような労務対策を行なっている企業に対して法務省と労働省が協議の上、共同あるいは別々の名前で警告を発してもらいたい。これについて明確な答弁を求める。  その二は、歴史教育について「少年日本史」という歴史書が教育委員会を通じて学校に配布されているが、その実態を調査の上報告してもらいたい。  その三は、兵庫県下の小学校四年生の児童が、育友会の仕事をしているときに負傷し、その後死亡した事故について、その事故の責任の所在を調査の上報告をしてもらいたい。  最後に、元北海道開発庁事務次官の北海道標茶の農地取得問題について、本問題をさらに明確にするよう要求するということでありました。  かくて昨日、質疑を終了し、分科会の討論、採決は本委員会に譲ることと決定いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  6. 中野四郎

    中野委員長 次に、第二分科会主査大坪保雄君。
  7. 大坪保雄

    ○大坪委員 第二分科会審査の経過及び結果を御報告いたします。  第二分科会審査の対象は、昭和四十六年度総予算中会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管のものでありまして、去る二月十九日より二十五日まで慎重に審査いたしました。  まず、各省庁ごとに予算の説明を聴取した後、質疑を行ないました。質疑者は延べ五十名、質疑時間は約二十八時間余に及び、終始熱心かつ活発に行なわれたのでありますが、その詳細は会議録でごらん願うこととし、ここでは、一、二の点についてその概要を報告することにとどめます。  防衛庁関係では、駐留軍関係離職者対策について、多くの分科員から、基地返還計画はどうなっているか、解雇者に対する就職、生活態勢の立て直し等を考慮し手厚い援助の措置を考慮しているか、解雇の事前通告期間の取り扱い等について質疑があり、政府当局より駐留米軍の基地返還は、昨年十二月二十一日の日米安全保障協議委員会で、三沢、横田、板付、厚木、横須賀等の基地の返還または縮小の計画がきまり、これら基地に働く従業員の大量解雇が予定されるので、従来の駐留軍関係離職者等臨時措置法等による対策にも増して、去る二月十九日駐留軍関係離職者対策の大綱を策定し、その万全を期しており、その内容は、特別給付金の増額、職業紹介、職業訓練、事業資金の融資保証、従業員の官公庁等における採用、返還施設の活用等についてであり、これらの措置を関係各省庁並びに地方公共団体の協力を得て実施するとともに、解雇予告の取り扱いについても九十日を守るよう米側と話し合う旨の答弁がありました。  その他、自衛隊の募集問題、自衛隊の部外工事と防衛協会、早期航空警戒機の採用問題、駐留軍による有料道路の通行料金の取り扱い、ヘリコプター・ダッシュの購入、米軍の弾薬輸送、防衛研究と武器輸出、海外資源と防衛、科学技術行政と防衛、米軍基地の返還と跡地利用、自衛隊の基地設置、沖繩の基地返還等に関する質疑が行なわれました。  大蔵省関係では、自動車重量税について、この財源は道路建設を目的とした特定財源であるか、道路整備特別会計との関係はどうなるか、総合交通体系の中でこの税はどのように取り扱われるのか、自動車に関連する諸税とこの新税の関係を調整する考えはないか、新税は付加価値税へ発展する足がかりではないのか等の質疑がありました。これに対し政府当局より、この新税はそもそも道路整備五ケ年計画の財源として考慮されたものであるが、道路に限らず地下鉄、新幹線、フェリー等、他の交通機関の財源としても幅広く充当するために検討中であり、昭和四十六年度は一般財源とし、特別会計の設置についてもいまだ決定していない。自動車に賦課されている従来の諸税と新税の関係は違った立場で課税しているものであるが、将来、何かの機会に整理されると思う。また、付加価値税については、過去に不評を買ったこともあり、国民の理解が前提であるが、諸外国も積極的に検討しているので前向きに考えるが、いまは慎重なかまえで対処するとの答弁がありました。  その他、国と地方団体との財源配分、超過負担、万国博の跡地利用、通貨インフレと物価、重症児の福祉対策「塩の生産と専売制度、生産米価の決定方法、予算編成のあり方、老人福祉対策、米軍施設返還による跡地利用、国有農地の売り渡し価格の改善策、物品税、ベトナム等への経済援助、同和対策、果実酒に対する課税、日中貿易に対する関税の取り扱い、在沖繩米国資産の引き継ぎ等について、質疑が行なわれました。  外務省関係では、天皇、皇后両陛下の訪欧計画、ラオス情勢に対する日本の態度、中国問題、情報啓発事業等の経費、在外公館の整備計画、在外公館の調査機能、安全操業に関する日ソ交渉、海外文化情報事業費、沖繩復帰と基地の提供、LST乗り組み員の処遇等について政府当局に対し質疑がありました。  会計検査院関係については、各省庁の購入する定期刊行物の取り扱い等について、その検査状況の質疑がなされました。  質疑終了後、分科員の討論、採決は本委員会に譲ることに決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手)
  8. 中野四郎

  9. 登坂重次郎

    ○登坂委員 第三分科会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。  本分科会審査の対象は、昭和四十六年度総予算経済企画庁、厚生省及び自省治所管でありまして、去る二月十九日より二月二十五日まで慎重に審査を行ないました。  審査は、自治省、厚生省及び経済企画庁の順に、それぞれ各省庁ごとに所管予算の説明を聴取した後、質問を行なったのでありますが、その間、質疑者数延べ五十八人、質疑時間約三十四時間半に及びましたが、各分科員の御協力により、終始円滑に熱心な審査が行なわれました。  質疑の内容は、きわめて広範多岐にわたりますので、その詳細は会議録でごらん願うこととし、ここでは簡単におもな事項について御報告を申し上げます。  まず、自治省所管につきましては、来年度の経済が政府の見通し以上に落ち込み、地方財政に悪影響を来たした場合、いかに対処するか。また、来年度の予算は、景気の動向により、機動的、弾力的に運用するとのことであるが、従来、地方債の決定があまりにおそきに失し、一般公共事業の遂行に支障を来たしている。起債の許可を早め、今後の運用に特段の配慮をすべきではないかとの質疑に対し、政府側より、景気の動向により、万一国税三税の落ち込み等の事態が生じた場合は、その時点で状況を見、地方債の増発、政府資金の融資等の特別の措置をとり、地方財政の運営に支障のないようにしたいとの趣旨答弁がありました。  次に、最近、全国各地において火災が発生し、多数の焼死者を出す等の悲惨な事故が起きているが、その原因は何か。最近、消防官になり手が少ないとか、また、装備が不十分ともいわれている。防火予防体制については、どのような措置が講じられているか等の質疑がありましたが、これに対し、火災の発生原因の八四%は失火であり、また、死傷事故の原因としては、不完全燃焼によるもの、新建材等の可燃性資材または有毒発煙性のものが多く使われ出したこと、木造建築の旅館等で構造上欠陥のあるもの、消火器具の不完全なもの、避難誘導訓練が十分でないこと等が考えられるが、その対策としては、早期の避難通報ができるよう、煙感自動火災報知機の整備その他、科学的消防設備を充実するほか、不燃材料、難燃性の内装材の開発等を進める必要がある、また、消防官の優遇についても、十分配慮したいとの趣旨答弁がありました。  以上のほか、大都市周辺の市町村の人口増加と地方財政の困窮、首都圏整備圏内の工場立地の規制、市街化調整区域と都市計画税、地方自治体と公害防止問題、石油コンビナートの防災、交通反則金と保証協会、同和対策事業と補助金、公営企業金融公庫と資金運用部資金の貸し出し一本化と事務の簡素化、公立医科大学と財源措置、新しいコミュニティーの形成、東京都の区長公選、道州制の問題、小笠原復興暫定措置法の期限切れと民間不動産業者の進出、沖繩返還と憲法第九十五条との関係、国鉄財政再建と地方自治体の協力問題等についても質疑がありました。  次に、厚生省の所管といたしましては、懸案の医療保険制度の抜本改正のうち、特に医療供給面について、一、医療技術が正しく評価され、技術中心の良心的医療が行なわれるように改善すべきではないか。二、医薬分業が行なわれていないため、売薬医療が横行し、薬の使い過ぎにより、国民の健康を害している事実もあるが、これらにどのように対処するのか。三、医薬品企業の体質改善と薬の総点検を行なうべきではないかとの質疑が行なわれました。  これに対し、医療の国民皆保険というたてまえから、医療関係機関を整備し、医療技術を尊重し、薬事法の改正と医薬分業について検討するほか、診療報酬及び薬価基準の適正化、合理化をはかるほか、国民の健康管理制度についても改善していきたいとの答弁がありました。  また、老人問題は、わが国の老齢人口の増加に伴い、七十年代のわが国社会保障制度のうち、最重点を置くべきものと思うが、老後の生活保障としての老齢年金額は、西欧先進国に比し少な過ぎるから、その増額をはかるべきではないか。年金制度は、種別ごとに支給開始年齢が異なっているが、これを一律に六十歳に引き下げられないか。老人医療費を無料化できないか。二十万人に達する寝たきり老人の収容施設は、わずかに収容希望者の一%にすぎないから、その増設をはかるとともに、介護人制度の充実をもあわせてはかるべきではないか。また、就業を希望する者に対しては、雇用対策を講ずべきではないか等の質疑が行なわれましたところ、日本の人口構造は老齢化の方向に急速に進んでいるので、今後、老人福祉問題に関しては、最重点的に対処していきたい。老後の生活保障としての老齢年金は、現在、厚生年金は六十歳以上、国民年金は六十五歳以上、老齢福祉年金は七十歳以上に支給するが、老齢福祉年金は、一部身体障害者について六十五歳に引き下げた。給付金額は、制度の違いにより異なるが、漸次改善していきたい。老人医療に関しては、国保については国が四割五分支出しており、すでに一部地方自治体では、被保険者の自己負担分を負担し、全額公費負担を実施しているところもある。今後は、無料医療の方向へ進みたい。また、寝たきり老人対策としては、特別養護老人ホーム等の施設を増設し、家庭で介護を望む者以外の者については、五カ年計画くらいで全員収容できるようにしたい。一人暮らしの寝たきり老人に対しては、ホームヘルパーのほかに、介護人による巡回看護を実施する等、今後、積極的に施策を進めたいとの答弁がありました。  以上のほか、献血対策と保存血液の価格問題、スモン病、ベーチェット病、ネフローゼ等の原因不明の疾病対策、廃棄物処理と再生利用、食品衛生と添加物、冷凍食品と消費者保護、乳酸菌製品と薬事法の関係、医師の不正請求と医療専門官制度、予防接種事件、僻地の医療問題、医師の研修指定病院、らい対策、公害被害者救済措置、上水道と水資源確保、公害功労者に対する脅迫事件、保健所整備、同和対策、戦没者の遺骨収集、催涙ガス(CN、CS)使用の問題、薬の再販売価格の問題、米飯提供者登録制度、無認可保育所、社会福祉施設の改善、酒害防止対策、生活協同組合、新経済社会発展計画と社会保障等の諸問題が取り上げられました。  次に、経済企画庁の関係について、地域開発と新全国総合開発計画の問題が取り上げられ、新産業都市の建設と工業整備特別地域の整備の実績をどう評価するか、これらの地域開発と新全総との関係はどうなるのか、また、新全総は、経済開発的色彩が強過ぎるから、国民の福祉という観点から練り直すべきではないかとの質疑がありました。  これに対して、政府は、新産都市の建設及び工特地域の整備は、全国的に見ると、予算の面でも、工業出荷額の面でも、ほぼ順調に進捗している。ただ、進出業種が当初の予定と若干変わっていたり、公害が予想以上にふえている点は指摘できる。これらの地域開発は、今後は、新全総計画の線に沿いながら、具体的な方針を立てていきたい。なお、新全総は、大きな方向づけをするという点においては、問題点を網羅しており、十分存在価値があるものと思うとの趣旨答弁がありました。また、さきの国会において、水質保全法と工場排水規制法を廃止し、新たに水質汚濁防止法が成立したが、水質監視測定体制について、河川法にある清潔、流量等の保持について、河川の管理上、行政が二元化されるのではないか、また、水質審議会の議事は非公開であるが、運営上問題があるとの質疑が行なわれたが、従来、国、地方公共団体がばらばらであった監視測定体制は、今後、都道府県知事に委任されて一元化され、行政が集中的に行なわれること、審議会の非公開は、運用規則により、水質基準決定に際し、自由な発言の場とするためであるとの答弁がありました。  以上のほか、休廃止鉱山と公害問題、経済成長と物価問題、薬価の引き下げ、国際石油資本と石油値上げ問題、東北開発事業、生活協同組合等に関する質疑がありました。  かくて、昨二十五日、質疑を終了いたしましたが、本分科会の討論、採決は先例により本委員会に譲ることに決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  10. 中野四郎

  11. 森田重次郎

    ○森田委員 第四分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本分科会審査の対象は、昭和四十六年度総予算中、農林省、通商産業省及び労働省所管でありまして、去る十九日から昨二十五日まで慎重に審査を行ないました。  審査は、労働省、農林省及び通商産業省の順に、それぞれ所管予算の説明を聴取した後、質疑を行なったのでありますが、その間、質疑者数延べ五十六名、質疑時間約三十一時間に及びましたが、各分科員の御協力により、終始円滑に審査が行なわれました。  質疑の内容は、きわめて広範多岐にわたりますので、その詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、ここでは簡単に要点のみ御報告申し上げます。  まず労働省所管について申し上げますと、出かせぎ対策については、求人の際と実際との労働条件の違い、労災補償の不備、下請の賃金の不払い、留守家族対策等の諸問題について質疑があり、政府は、労働条件については、職安の求人受理の際、この確認を徹底することで是正し、賃金不払いについては、本請の責任分担等について、目下行政指導中であり、留守家族についても相談員の家庭訪問等を行なっているが、なお、それらの問題について検討し、是正していきたい旨の答弁がありました。  また通勤途上の災害を、業務上災害とすべきであり、ILO百二十一号条約を批准すべきだとの質疑には、衆参の社会労働委員会の決議もあり、早晩、通勤途上災害を労働災害の中に入れられることと思うが、通勤途上災害調査会の結論をまって実施可能になれば批准を要請したい旨の答弁がありました。  定年制については、現在の定年制年齢は、平均寿命が低いときにつくられたもので、不合理であり、是正すべきだとの質疑に対し、年功序列型の賃金のままでは無理があろうが、国民経済的立場からも、早く結論を出して定年延長を行ないたい旨の答弁がありました。  消防団員の身分と職務については、消防団員の職務は、当然労働基準法七条の公の職務に入り、使用者はその職務の執行を拒めないと思うが、締めくくり総括質疑までに、政府にその解釈を明らかにせよとの質疑もありました。  また雇用促進事業団の住宅団地用の用地の取得方法等に、不明瞭な点が多いとして、政府に、その調査と資料要求をする等の質疑もありました。  以上のほか、失対事業の継続の期間、同和対策事業の予算、公害と監督、有害物質の取り扱いと安全衛生対策、労災適用事業の範囲の拡大、安全衛生基準法の立法問題、身障者の実態把握と就労促進、公害で閉鎖した会社の解雇者の再採用についての問題、従業員の思想問題への会社側の関与等、労働者の権利擁護を中心とした質疑応答がありました。  次に、農林省所管について申し上げますと、米の生産調整の根拠は何か、生産調整に協力しない場合はどうするか、米の買い入れ制限は不当ではないか、余り米が出たらどうするか等の質疑があり、政府は、わが国農政を考えたとき、単年度需給の均衡上、二百三十万トンの生産調整はなまやさしいものではないが、やらねばならない数字であり、生産対策協議会もできたことでもあり、関係団体の協力を得て達成できると確信している。米の買い入れ制限は、食管法に基づく政令改正により行なうもので、正当なものと考えており、生産調整をすれば、余り米は生じない予定である等の答弁がありました。  また日ソ漁業条約の改定の必要性と大陸だな条約に加入の意思があるかどうか、領海三海里に固執せず、専管水域を設けるべきだとの質疑に対しましては、日ソ漁業交渉は、カニについてはモスクワで、サケ、マス、ニシンは東京で、三月初めにそれぞれ行なうが、大陸だな条約については、これに加入するとわが国がカニ等の水産資源をとれなくなるので、加入の意思はなく、専管水域については、わが国遠洋漁業の保護も必要なので、それらを勘案して検討すべきであるが、領海三海里には必ずしも固執せず、国際世論の動向等を見ながら漁業安全の立場で措置してまいりたいとの答弁がありました。  以上のほか、国有農地の売り渡し問題、国土保全、公害対策としての林業諸施策のあり方、北洋漁業と沿岸漁業対策、ソ連漁船の日本沿岸操業による漁具の被害と補償問題競馬観客の事故対策、競種馬育成と外国産馬の自由化、競馬益金の使途、野菜を中心とする生鮮食料の需給安定策と流通機構の改善等、価格対策、残留性農薬の規制と基準、汚染米処理と汚染土壌対策、海外での農産物の開発生産、ビタミン強化米の販売、八郎潟の入植者の営農、高浜干拓と漁業権の補償、標茶地区の開発事業計画と農地取得等の諸問題について質疑応答がありました。  最後に、通商産業省所管につきましては、将来の産業のあり方は、資源消費型産業よりも技術集約型の産業、付加価値の高い産業に重点を置くべきで、特に航空機産業の育成が必要であり、YXの開発と国際協力を今後どうするのか、YS11の生産をどうするのか等の質疑に対して、政府は、YXについては、開発費が膨大であり、リスクも大きいので、共同開発のメリット、デメリットを考えながら、世界の流れもあるので、慎重に検討したい。YS11については、目下、経営改善専門委員会で日航製の経営内容の精査、赤字処理等を検討中であり、三月末までには報告があることと思うが、日航製の方針を受けて早急にきめたい旨の答弁がありました。  また、重油の原産地脱硫を行なうべきだとの質疑に対しては、現地脱硫には水を使用するため、その設備投資がコスト高となり、また、高度の技術を要する運転要員が必要であり、精油後の輸送タンカーが小型となり、荷上げコストも割り高である等の問題もあるが、大きな流れとしては、将来現地脱硫の方向に行かざるを得ないのではないか等の答弁がありました。  以上のほか、集中脱硫方式、石油のパイプライン問題、地下資源開発のあり方、鉄鋼政策と独禁法、地盤沈下対策と地下水くみ上げ規制、自治体と企業の公害防止協定、産業廃棄物処理と公害融資、微生物応用の公害防止策と大型プロジェクトの対象等大型プロジェクトのあり方、農産物の自由化と果樹農業、中小企業経営指導員と商工会への助成、特恵対策と中小企業金融、印刷業等の構造改善、電気工事事業関係の法の運用、外国商社の書籍の割賦販売とその規制、ゴルフ業の適正化対策、同和関係予算の強化等の諸問題について質疑応答がありました。  昨二十五日、質疑をすべて終了し、質疑終了後、本分科会の討論、採決は、先例により本委員会に譲ることと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  12. 中野四郎

    中野委員長 次に、第五分科会主査大野市郎君。
  13. 大野市郎

    ○大野(市)委員 第五分科会について御報告申し上げます。  審査は、郵政省、運輸省、建設省の所管につき行なわれ、各省ごとに所管予算の説明を聞いた後、質疑に入り、質疑者は延べ六十二名、質疑時間は三十五時間二十六分に及びました。  質疑の詳細は会議録に譲ることとし、ここでは簡単に御報告申し上げます。  まず郵政省関係について申し上げます。  郵政事業の公社化について、大綱は基本的には変わりはないのかとの趣旨質疑があり、これに対して、公社化の基本方針には変わりがなく、郵政事業の一体化として進めてまいりたいとの答弁がありました。  次に、郵便料金の改定について、赤字解消のため料金を改定することは納得しがたいとの質疑がありましたが、これに対しては、業務の面でさらにきめのこまかい努力をいたし改善をしたいが、この際、受益者にも負担をしてもらいたいという趣旨答弁がありました。  情報化産業については、国としての基本政策が明らかにされないままに進められているが、国民生活に及ぼす影響などから情報基本法などの制定によって明らかにすべきではないかとの趣旨質疑があり、これに対し情報基本法をどうするかという問題は十分注意を払わなければならない問題で、諸般の点を考慮しながら誤りのないように対処したいとの答弁がありました。  その他、放送大学の問題、東京FMの問題、電電公社の電話拡充計画、放送事業の免許行政、一般加入電話の積滞状況と設備料の値上げなどの諸問題について質疑応答がありました。  次に建設省関係について申し上げます。  まず地震対策について、ロサンゼルスの地震の教訓からわが国の地震対策はどのように考えるかとの質疑に対しまして、ロックフィルダムはだいじょうぶと思う、構造物の安全基準は外国を上回っておるが、避難対策や防火対策がおくれているように思われる、地震による直接の被害というよりも人心の動揺による被害が特に大きく想定されるので、避難訓練などについては、たとえばビル単位または町ごとの単位というふうにこれを積み重ねて訓練をやっていただきたいと思う、またマスコミなどの協力を得て、きめのこまかい避難訓練を指導していきたい。なお、政府は目下ロサンゼルスに調査団を派遣して、調査結果を待って、教訓となるものがあれば十二分に考慮してダム、道路、避難個所などの総点検を行ない、対応措置を講じたいとの趣旨答弁がありました。  次いで、下水道整備五カ年計画についてはその国の補助率を引き上げるべきではないか、また、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置法案についても下水道事業に対する補助率の引き上げが入っていないようだが入れるべきではないかとの趣旨質疑があり、これに対し、下水道事業は事業量の拡大が第一で、これに対して起債ワクの拡大などで補ってまいりたい。計画達成のための財政措置については起債ワクの拡大、起債条件の緩和、補助対象額の引き上げの措置などで計画どおりできるものと思う。また自治省の提出を予定している措置法案の中にも終末処理についてはぜひ織り込みたいと思うとの趣旨答弁がありました。  そのほか、重油の脱硫によりましてアスファルトが堆積されておるので、これを利用して市町村道や農道あるいは林道にまで舗装にこれを利用する方途いかんとの注目すべき発意に対しまして、十二分にこれを考慮したいという答弁がありました。  その他、琵琶湖総合開発計画と近畿整備圏の関係、ダム建設と天然記念物の保護、ホテルなどの火災と防火対策、特に新建材の煙の発生源としての性格の分析などについて応答があり、下請の労務者に不払い賃金の問題は、建設業法の改正によって元請がこれを負担すべきものであろうとの趣旨答弁が方向づけられました。道路整備五カ年計画、住宅対策五カ年計画、砂利採取業の認可行政等の問題についての質疑応答がありました。  続いて運輸省関係について申し上げます。  公害防止対策について、海洋汚染防止法は政省令への委任事項が多過ぎる、政省令の内容はどうなっているかとの質疑がありまして、これに対して、この法律は相異なる二つの条約の内容を一つの法律に織り込んだ新しい趣向のものであるだけに、法律として書き切れないため、政省令への委任事項が多くなった、この内容につきましては早急に提出をいたす所存である旨の答弁がありました。  次に、成田新空港の代執行について質疑があり、国会議員に対する暴行事件をどう思うか、国会議員と知って意識的に行動したのではないか、これを放置したのは警察の責任ではないか、混乱のうちの代執行は一応中止すべきではないかとの趣旨質疑がありましたが、これに対して、興奮状態でこのような事件が起きたことは遺憾に思います、今後二度と起きないように指導をしていきたい、また、国会議員と知って意識的にやったとは思えません、警察は現地に行ってトラブル防止につとめております、代執行の中止について、ここで直ちに中止するということは全体計画に影響を与えるので、公団や県に対し、人身事故の防止のたてまえから、問題を起こさないで計画を進めるよう指示をし、円満なる処置をとりたいとの趣旨答弁がありました。  次に、国鉄関係については、新幹線鉄道整備の基本計画に九州、北海道を入れなかった理由いかん、この質疑に対しまして、国鉄の本来のこの新幹線整備の基本計画は、根幹としては北海道から九州まで一貫するものを考えておるが、必要な調査が整っておらないために基本計画には入れなかった旨の答弁があり、早急に調査を進めて、調査の完了次第いずれ計画に入れていきたい旨の答弁がありました。  また、国鉄再建方法につきまして、いわゆる公共性と独立採算制との二律背反に苦しんでいるとの話があるが、これは公共の福祉の増進が国鉄法の根幹の精神であって、それが目的であって、独立採算制はそれを達成する手段であるから、二律背反ではないのじゃないかとの質疑がありましたが、これに対しまして、本が立って道が生ずる旨の答弁がありました。  なお、空港整備五カ年計画、空港周辺の騒音、関西新国際空港、瀬戸内海の汚染と水産資源の確保、陸運行政のあり方、大都市交通の整備、踏切対策、国鉄の合理化と新線建設問題、パイプライン構想、過疎バス対策、国鉄の財政再建対策にちなんでの国鉄所有財産の適正なる処理、開発事業と自然環境の調和などの問題に対して質疑応答が行なわれました。  かくて、昨二十五日質疑を終了しましたが、本分科会の討論、採決は、先例により本委員会に譲ることに決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  14. 中野四郎

    中野委員長 以上をもちまして分科会主査報告は終了いたしました。      ————◇—————
  15. 中野四郎

    中野委員長 一般質疑を続行いたします。坂井弘一君。     〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
  16. 坂井弘一

    坂井委員 朝刊の報ずるところによりますと、国際石油資本からの原油の大幅値上げの通告に対しまして、四月一日を目標に製品値上げに踏み切る意向を固めた、こういう報道がなされているわけでございます。  そこで、このことにつきましては、すでにわが党の二見議員あるいはまた貝沼議員の質問に対しまして、石油製品の値上げは絶対にやらない、押える、こういう答弁がございました。業界としては、OPECあるいはまた国際石油資本からの原油の値上げ通告に対しまして、値引きの交渉はするけれども、しかしながら、どうしてもこれは製品への値上げをやらざるを得ない、このような強い意向を固めたようでございます。  そこで、重ねてお聞きしたいわけでございますけれども、この石油製品の値上げは絶対に阻止するということにつきましては今日も変わりないかどうか、通産大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
  17. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 正確に申し上げますと、前回もそのように御答弁したわけではないのでございまして、ただいまの段階でそれを議論することは私は有益でない、メージャーがOPECときめた価格をそのままわが国の精製業者にかぶせるというようなことは適当なことでない、そこをまず防げ、そこに抵抗しろということを私どもはいま言っている段階であります。
  18. 坂井弘一

    坂井委員 いまの発言は私はきわめて重大な発言だと思います。二見議員の質問の際には、これらはやはり産業界、ことに電力料金等の値上がりにはね返ってくるのではないか、そういう点をあらかじめ憂慮いたしまして、危惧いたしまして念を押してお尋ねをしたということに対する答弁であったはずであります。また、その後におきまして、貝沼議員の質問におきましても、やはり同じような趣旨の、ことに一般消費石油、これはガソリンあるいは灯油等についての値上げは心配ないか、こういう意味の質問をいたしております。答弁は同じであります。同時にまた、経企庁長官に対しまして、これは近江議員が同じような趣旨で質問をいたしましたところ、やはり通産大臣答弁のあとを受けまして、製品の値上げはやらない、押える、こういう答弁があったはずでございます。いまあなたの答弁を聞いておりますと、どうやら値上げもやむを得ないのではないか、こういうようなニュアンスに受け取れるわけでございますけれども、そうなってまいりますと、これははなはだ問題は大きゅうございます。すでに業界では、原油一キロリットル当たり千二十円、この負担増を製品ごとに振り分ける、そういたしますと、ガソリンが一キロリットル二千円、これは一リットル二円ですね。あるいは灯油は一かん十八リットルが五十円の値上げ、こうなる。あるいはまた、産業界にもこの原油の値上げを振り当てるというようなことがあるのですけれども、こうなってまいりますと、ここにはまた、一種のカルテルの疑いも出てくるのではないか。そういうことになってまいりますと、ますますこの値上げに対しましてはやはり重大な関心を持たざるを得ないし、どうしてもこの値上げは阻止しなければならない、こう私考えるわけであります。そういう点につきまして、重ねて通産大臣のひとつ明確な責任のある御答弁をお願いいたしたい。
  19. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 振り分けるというようなことをおっしゃいましても、需要者がそれを拒否すれば振り分けることはできないわけであります。でありますから、需要者もいまは団結をしろ、そうしてそれを受けて、精製業者も安易に振り分けができると思うな、したがって、そういう態度でメージャーと接触をしろ、こういうことを言っておるわけであります。
  20. 坂井弘一

    坂井委員 この問題につきまして、私はあえてこれ以上は触れません。ただ、しかしながら、原油の値上げがやはり直接製品の値上げにはね返ってくるということになってまいりますと、これは私たち国民としても、ことに、今日物価の問題が大きく取り上げられておりますさなかにこういうことが許されてまいりますと、これはたちまち、他の物価に対する影響というものは非常に大きゅうございます。したがってこのことにつきましては、また機会を改めましてお尋ねしていくといたしまして、いずれにいたしましても製品の値上げには絶対にはね返らないような十分な対策を御検討の上講じていただきたい、これは要望といたしておきます。  次に沖繩の復帰対策について、山中長官にいささかお尋ねをいたしたいと思います。  実は去る二十一日付の琉球新報の報ずるところによりますと、琉球政府が復帰対策要綱の第二次以降分の要請を発表いたしました。これは全文が掲載されております。私手元にいただいておるわけでございますが、この内容を見てみますと、非常に広範多岐であります。かつまた沖繩経済、沖繩県民生活に非常に密接な重大な問題が網羅されております。この要請書自身はまだ県民会議も通過しておらないと思います。したがって政府のほうでは、これは非公式な受け取り方ではあろうかと思います。しかしすでに昨年の十一月の二十日の閣議決定におきまして、第一次分の発表を見ております。目下第二次分の検討を慎重になされておるさなかであると思います。毎日非常に御多忙だと思います。そういう中におきましてこの第二次以降分の要請を見てまいりましたときに、これはひとり沖繩県民の方々のみならず全国民の非常に大きな関心事でございますし、かつまた非常に重要な問題であります。そこで、私きわめて簡単に数点長官にお尋ねいたしたいと思いますので、ひとつ御答弁のほうも明確にお願いをいたしたい。  まず第一に沖繩農業の基幹作目でありますところのサトウキビの問題であります。甘蔗づくりの振興につきましては復帰対策要綱の第一次分ですでに明らかにされております。しかしながらこれはいわゆる分みつ糖の生産者に対する措置でございまして、含みつ糖には触れておりません。しかしながら沖繩には例の離島があまたございまして、ことに離島におきます含みつ糖の生産者、これは非常に深刻でございます。この含みつ糖の生産者に対しては一体どのような振興策を講じようとしておられるのか。一昨日、やはり近江議員の質問に対しまして、長官、非常に前向きな御答弁をなさっていらっしゃるようでございます。しかし私は含みつ糖の買い入れは、政府においては保障できない、そういうむずかしい問題があろうと思います。といたしますと、他に何か特別な措置を講じられよう、そして含みつ糖の生産者を守ろう、こういうお考えであるのかどうか、その辺を少し具体的にお聞かせ願えればお願いいたしたいと思います。
  21. 山中貞則

    山中国務大臣 近江君にだいぶ詳しく答えてあるのですが、これ以上具体的になりますと、琉球政府側のほうも具体的な構想としてはまだ提示がありませんので、やはり事前の相談が要ることと思います。ただ本土のほうの地域を指定します根拠法である甘味資源特別措置法の対象にはいまのところなり得ませんし、糖価安定法の根拠による事業団買い入れの対象にもなり得ない、これが含みつ糖でございます。しかしながら沖繩における含みつ糖生産の現状は、問答するまでもなく含みつ糖しかできない、そしてそれ以外に転作できない、そして分みつ糖へ大型化、近代化できない、そしてそれのみが唯一の生産の、あるいは生活の手段であるという、島の人々に関係する問題でありますので、どうしても放置するわけにまいりません。そこで新たなる買い入れとかあるいは価格の保障とかの立法措置等もいろいろと研究をいたしてみましたが、含みつ糖の場合には、二百数十万トンの需要に対して、国内生産がビート糖も含めても、あるいは沖繩を含めても五分の一くらいでございます。したがってどんどん増産をしてもらってもだいじょうぶなわけでありますが、しかし黒糖の需要というものは二万数千トンに限られておりますので、これを大いに振興増産いたしますと、売る当てのない品物を事業団がかかえていなければならないし、あるいはその保管方法がたいへん黒糖はむずかしゅうございます。そこで現在の事態においてはまだ黒糖の需要のうちの沖繩生産数量は半分に満たないわけでございますから、まだ振興の余地がございます。したがって現在の沖繩の黒糖生産者の人々がさらに現在以上に所得もふえ、そして工場も採算がとれますように、現在の琉球政府がとっております琉球政府の措置、これを本土に返りました後も国の措置として、琉球政府にワンクッションを置いた形で、預けた形において財源等のめんどうを見ていくことにより措置できるのではなかろうかということで、そこまでいま来ておりますが、琉球政府がどのような形でそれを受け入れられるか、原料価格の告示等の問題も伴いますので、それらについては十分琉球政府と合意を得るための努力をしたいと存じます。明日私どもの長官に次ぐ責任者である調整部長を現地に派遣いたすつもりでございます。
  22. 坂井弘一

    坂井委員 同じく農業につきまして、パインアップルの問題でございますけれども、これは現在パインアップル産業振興法によりまして保護されております。しかしながら復帰後におきましてはこの保護措置がなくなる、こういうことになってまいりますと、生産者は非常に大きな不安をいま感じておるようなことでございますが、復帰対策要綱の第一次分を見ますと、果樹農業振興特別措置法を活用いたしまして、原料果実の取引価格については指導する、こううたわれておるわけでございます。ただしかし私、行政指導はなかなか価格維持が非常に困難である、むしろ不可能に近い。これは今日の生鮮食料品の例を見ても明らかでございます。したがってこの行政指導というだけでは、どうも価格安定、維持は期し得ないのではないか、したがってそこに何か具体的な価格支持策をお考えになっていらっしゃるのかどうかという点が一点。  同時にパインかん詰めにつきましては、もし自由化が実施されるということになってまいりますと、沖繩のパインかん詰め業者は全滅的な壊滅を受ける、こういう心配があろうかと私は思います。したがって自由化は沖繩についてはやらないということが、沖繩のパイン業者の一番の要望ではなかろうかと思うわけでございますけれども、その辺のところをどのような対策をお持ちなのか、お尋ねをいたしたい。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、パインのかん詰めの自由化の問題ですが、この問題は死活の問題でございますから、こちらのほうからまず沖繩のパイン産業の未来にとってのやはり大きな課題として、結論を申し上げますと、パインの自由化をしない。沖繩がキビ、パインという基幹作目をかかえて、それによって立ち上がろうとされる以上は、当分の間、それも相当長期にわたって、沖繩のパイン産業の合理化が進み、企業コストの低下等によって台湾産等を含む外国の輸入品に競合できる、明らかに太刀打ちして勝てるという時代が来るまでは、これを援助するために自由化はやらないという方針をはっきりと打ち出してまいるつもりでございます。  さらに、そういう自由化をしないことによって、沖繩のパイン産業は存立可能なわけでありますが、しかしその前に生産者の原料価格の告示、現在はパインの直径の三段階に分けた原料価格の告示がございますので、これによって生産者が保護されております。これをパインの製品を買い上げないで、国が原料についてだけ価格を告示することは、ただいまも御指摘になりましたように非常に困難な仕組みになりますし、そこで第一次要綱についてはそれらの業界と生産者との間において公的な交渉において値段の取りきめが行なわれる際は、本土政府側もそれにタッチをしながら、琉球政府を通じて公正な価格の決定、すなわち生産者の所得の維持できるような、再生産できるような価格の公正をはかりたい、そういう念願をもって第一次要綱の表現をいたしたわけであります。しかしながら長期的に見ますと、やはり生産者の段階で、サトウキビも同じように台風常襲地帯でありまするだけに、豊凶の差が非常に大きうございます。そこでやはり、現在の本土の共済にはキビもパインももちろん対象となっておりませんが、果樹共済あるいは作物共済の対象としてキビとパインを取り込むことができないであろうか、そうすると不測の事態等における収入の激減等に対しては共済制度の中で農民の人々の最悪の状態、これを防遏することができる、抑止することができるということで、いまその検討もいたしておるところでございます。
  24. 坂井弘一

    坂井委員 次に漁業権の損害補償の件でございますが、本土におきましては、昭和二十四年に旧漁業権を消滅させまして、旧漁業権者に対して補償を行なっております。ところで、沖繩におきましては昭和二十七年に新たに漁業法を立法いたしまして、そして漁業権の切りかえを行なったのでありますけれども、補償は行なわれておりません。本土では補償されまして、沖繩では補償されない、これは私は一種の差別であり、きわめて不当ではないか、こう考えるわけであります。特に本土におきましてはいわゆる旧漁業権に対する補償金をもちまして、これが漁業再建の大きな資金となった、そういうことにかんがみまして、やはり沖繩の漁業の再出発のためにはぜひとも旧漁業権の補償を行なうべきではないか、こう思うわけであります。また同時に漁港の整備あるいはまた沿岸漁業の振興策、これは非常に身近な大事な問題だと思うのですが、いまの問題に対しまして長官の御構想をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  25. 山中貞則

    山中国務大臣 これは北方領土の問題も含めて漁業権の問題が存在をいたしておるわけでございます。  そこで漁業権については、一応沖繩が本土から切り離されて施政権下に入った時点というものも、一つの根拠になるわけですけれども、本土において補償された時点との比較においては、沖繩が敗戦の結果一切の日本の支配の及ばない立場に立ち至ったことによって、法律的に申しますと漁業権というものがその時点において消滅をしてしまったものと言える、そういう法律的な解釈になると考えます。しかしながら漁業権の問題は非常に重大な問題でありますし、この問題についてはもう少し慎重に検討を重ねて、法律的にも現実的にも納得いく手段を考えてみたいと思っておるところであります。  なお、漁港の整備、それから漁船の大型化、近代化等は、漁場のまん中に浮かんでいる島といってもいい沖繩の各島々において、くり舟操業六〇%という異常な低生産性の状態でありますし、近代化などは及びもつかない。漁港においてもまた本土と比べられない状態のままに放置されておりますので、現在本年度の三万トンの米(こめ)資金の援助による二十億並びに四十六年度予定いたしております三十三億、五万トンの米資金の援助等によって長期低利融資を主として大型化、近代化等に振り分けて、漁民自体の方々の自分たちの漁場にさっそうと乗り出していかれる条件をつくり上げることに努力いたしておりますが、一方におきましては漁港整備について予算の許す範囲においてなるべく重点的に琉球政府の要求いたしておられます個所等については、ほとんど漏れなく予算をつけて、漁港整備の基盤をまずつくっておるところでございます。
  26. 坂井弘一

    坂井委員 次に、要請書を見ますと自由貿易地域のことについて要望いたしております。私は沖繩の自由貿易制度、いわゆるフリーゾーンにつきましては、これは本土法にないきわめて特殊な制度でございまして、長官のほうも非常に御熱意のあるところであると思います。このフリーゾーンが過去沖繩経済に果たしてきた役割り、貢献度というものはきわめて大きかったと高く評価いたしております。  ところで、この沖繩におきますところの第二次産業の育成は非常に大事だと思うのですが、沖繩経済の重要な課題であると同時に、沖繩地帯がやはり東南アジア貿易における日本の玄関としての役割りを十分発揮するためにやはりフリーゾーン制度を拡大すべきではなかろうか、こう考えるわけでございますが、これに対して長官いかがお考えでございましょうか。
  27. 山中貞則

    山中国務大臣 現在置かれておりますフリーゾーンは、那覇港の北側にわずかな面積のもとに置かれておるわけでありまして、企業も四社ほどございますが、いずれも本土から見ますと零細企業でございます。しかしその果たしておる効果というものは非常に大きいわけでございますが、私の念頭にはアメリカがプエルトリコにとりました措置あるいは中華民国において高雄の自由貿易地域が非常に大きな、予測よりも数倍の効果をあげたために、さらに沖繩においては那覇のみならず内陸部、北部等においても同じようなものを設定しようという新しい計画を立てておるようでありますが、これらの問題を念頭に置いて見まするときに、台湾ほど、あるいはプエルトリコほど、賃金その他において沖繩においては格差があるとは思えませんが、しかし沖繩においても日本における唯一のフリーゾーン設定を可能ならしめる地域であることは間違いのない立地条件下にございますので、現在の小規模のフリーゾーン地帯を残すことももちろんでありますが、場合によってはこれらの入っております企業も全部含めて新しい立地をするということで、現在建設中の新那覇港といわれております安謝港の北側の浦添市の地先一帯の埋め立てをいたしまして、そしてそこに本土企業もあるいは沖繩企業もあるいは外国の企業も内国税、関税、その他の一切を免除されて、そこで操業された付加価値が沖繩に落ちていく、あるいは雇用、賃金収入等となっていくというようなことを一応考えておるわけでありますが、その埋め立て等については浦添市でおやりになるか那覇市でおやりになるかあるいは沖繩県でおやりになるか、いずれにしてもこれに対して起債、その他の援助をすることによってでき上がりますれば、これは進出企業に償還可能な金額で売れるわけでありますので、そういう計画を念頭に置いてやっておるわけでございます。
  28. 坂井弘一

    坂井委員 もう一問だけお願いいたしたいと思いますが、対策庁の第一次の発表によりますと、税制の問題でございますけれども、これは観光税制だけでございまして、今度の二次分につきましてやはり大きな中心的な課題となるものは税制の問題ではなかろうかと思うのです。そういたしますと、市町村民税あるいは県民税、この準備措置を  一体どうするのか。税率等きわめてむずかしい問題があろうかと思うのですけれども、あらあらの構想がまとまっておりますようでしたらばひとつお聞かせを願いたい。
  29. 山中貞則

    山中国務大臣 二次要綱には国税、県税、地方税、それぞれ全部列挙して書き分けるつもりでございます。ただ一、二、沖繩において県民税が復帰の時点においてはまだ立法されておりませんからどうなるかという琉球政府側との相談、あるいは事業税が町村税でございますので、不動産取得税とともに沖繩県の県税に移さなければならない作業、あるいは電気ガス税等がございませんが、電気ガス税を課税いたしますと、沖繩の普通の生活の人たち大部分は免税点以下になるとも思われますけれども、電気ガス税の創設等が非常に大きな生活のショックになりはしないか等々のきめこまかな配慮が必要であろうと考えますので、一応国税、県税、市町村税全体に触れますけれども、これについては沖繩側とこれから意見をよく調整したいということで、原則としては復帰と同時に本土税制とひとしき税制にするというのが原則でございます。
  30. 坂井弘一

    坂井委員 では次に交通問題に移りたいと思いますが、今日の交通戦争が非常に激増の一途をたどっておりますことは御承知のとおりでございます。まことに残念なことであります。試みに昨年四十五年度におきます交通事故による死者が一万六千七百六十五人、これは三十分に一人死んでおる、私の持ち時間は一時間半でございますから、この質問時間中に三人死ぬ、こういう実績であります。負傷者に至りましては九十八万一千九十六人でございますから、これは三十秒に一人けがをしておる。まことにゆゆしき事態、まさに交通戦争、その名の示すとおりであると思います。さらに本年に入りまして、一月の事故を見てまいりますと、昨年が死者が千二百三十七名でございましたのが千三百三名、したがって六十六名やはりふえております。この交通事故による死傷者の推移をずっと過去何年間かグラフで見てまいりますと、大体二〇%前後、これはきわめて確実な伸びを示してきておる、こういう現状でございます。  そこで、昨年警察庁が交通安全のために、事故を防止するためにいわゆる安全施設五カ年計画なるものを発表いたしました。総務長官も実に御熱意がありました。公安委員長もこの五カ年計画につきましてはきわめて積極的な姿勢でもって、何としても実現さしていくんだ、こういうようにおっしゃっております。五カ年計画によりますと、私もつぶさにこれを見せてもらいましたが、非常に科学的でございます。またこの五カ年計画によりますならば、五年後、すなわち昭和五十年におきます事故の推定死者が二万二千名を一万名に押える、こういうことでございます。ところで、そのときの警察庁の要求なさった予算が三千七百二十六億、これが今回提案されたものを見ますと、千六百億、約半分でございます。そうなってまいりますと、悲願でございます事故撲滅のための、しかも五十年死者を一万名に押えるという悲願がどうやら達成できない、こういうことに相なるのではないか、非常に心配をするわけでございます。  そこで私具体的にお尋ねいたしますけれども、当初計画、これは昭和四十六年度は五百三十四億の要求であったかと思います。それが削られまして六十億、しかもこれは地方が半分持ちます。予算の面におきましてもぐんと縮小されたわけであります。当初の五百三十四億によりますと、昭和四十六年度の死者は一万八千に押える、こういう計画であった。ところが今回提案されました六十億の予算によりますならば、目標の一万八千名が達成できるかどうか、これは私はできないと思います。死者に限定いたしますけれども、一体どれくらい昭和四十六年度は死者が出ると見込まれておりますか、その点をまずお聞かせいただきたい。
  31. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 交通局長からお答えいたします。
  32. 片岡誠

    ○片岡政府委員 一万八千名ぐらいを推測しておりますが、幸い二月に入りまして事故件数が減りまして、現在昨年に比べて四十名ばかり死亡者が減ってまいって、私うれしく思っております。
  33. 坂井弘一

    坂井委員 交通局長、それは答えになっていないんです。私は単純に一万八千と申しましたけれども、それは四十七年度は一万七千に押える、ここで千の差がございます。それを積み重ねてまいりまして、昭和五十年には二万二千——このままならば二万二千と予測されるものを一万に押える、こういう一万に対するきわめて科学的な積み重ねがございました。いま私単純に一万八千と申しましたけれども、この効果は直ちに四十六年度にあらわれるものではございません。これは四十七年度になってくる分もあるでしょう。しかしながら、かりに一万八千と仮定いたします。あなたのほうで出されております一万八千といたしましたときに、これは五百三十四億でもって一万八千であります。今回六十億なんであります。お答えできなければ私から申し上げますけれども、あなた方がこの五カ年計画を積み上げました計算方式を、いわゆる自動車の伸び数あるいは事故の発生数あるいはそれに対する安全の投資、そういう比率を科学的に、ただ単なる算術的な計算ではなくして、そういうものをグラフ等統計によりまして一定の計算方式にはめてまいりますと、一万八千が私の計算では一万八千四百名になる。したがって、みすみす四百名の人を見殺しにするという結果が、この予算の上からあらわれている、こう私は指摘せざるを得ないわけでございますけれども、四百名という数字については、これは御異論もあろうかと思います。しかし、いま申しましたような計算を私は立てておるのでございますけれども、交通局長でけっこうでございますが、一万八千には押えられない、少なくとも一万八千四百、それが三百になりますか三百五十になりますか、ふえる、目標はどうしても達成はでき得ないということになるのではないですか、どうですか。その辺のところだけをひとつ明確にお答えをいただきたい。
  34. 片岡誠

    ○片岡政府委員 お答えいたします。  いま六十億とおっしゃっていましたが、これは特定事業でございまして、補助事業でございます。それ以外に地方単独事業で九十九億でございますが、見込んでおります。したがいまして、百五十九億が四十六年度の関係予算でございます。  それから、私ども当初科学的な計算をいたしまして、三千七百億のビジョンを持ちました。そして私どものできる限りの力で努力をいたしました。しかしながら、結果的に御指摘のように千六百億の規模になりました。したがいまして、当初期待したとおりのことになろうとは私は思いません。しかしながら、道路管理者のほうの行ないます事業であるとか、私どものほうの取り締まり、安全運転教育とか、その他の施策を強力に推進いたしまして、努力目標としては歩行者事故半減ということを目標に今後も続けてまいりたいと思っております。
  35. 坂井弘一

    坂井委員 お答えによりますと、当初期待した効果はこれではあらわれない、期待できないということでございます。これをずっと私計算してまいりますと、昭和五十年、当初の要望されました予算の三千七百二十六億、これをこのまま持ってまいりますと、一万名には押えられる。しかし千六百億でございます。いまお話ございました、今年度につきましては百五十九億、これは地方単独事業も入っております。最終的に昭和五十年を見てまいりますと、一万名のところが、私の計算によりますと約一万六千になるのではないか、こう予測されるわけです。昨年すでに一万六千七百いっておる。千六百億の安全投資では、昭和五十年の時点において昨年よりは減るけれども、やはり一万六千ぐらい。三千七百二十六億投資をしておれば一万名に押えることはできる。これは私、納得できます、一万名に押えられるということは。非常にこの警察庁の方式につきましては、これはいわゆる原因者対策と申しますか、事故を未然に防止する、こういう積極的な安全対策でございます。おもにその分野は、六・五メートル以上の幹線道路、そういうところに信号機を数多く設置いたしまして、そうして交通管制センターによりまして、コンピューターによりまして系統的に一体的にこれを連結させる、作動させる、そういうことでもってこの事故を未然に防ぐ、きわめて積極的な、いわゆる原因者対策であります。これがなされておらなかったというところに、今日の日本の交通事故の激増がある。むしろ基本的に根本的に、この警察庁の安全五カ年計画、これをもっと早く取り入れておかなければいけなかったのではないか、おそきに失したのではないか、そういう感じすらするわけであります。ときたまたま、これだけの大きな社会問題となってまいりましたときにおいて、警察庁が計画なさったことが半分になった、これは私ははなはだ残念であります。のみならず、いわゆる事故半減は期せられないということがここではっきりしてきた、こういわなければならぬと思うわけであります。  ところで、これに対しまして建設省のほうでは、これは道路管理者として道路そのものに対する安全対策、安全投資をしていこう、こういうお考えのようであります。はなはだけっこうでございます。しかしながら、これはいわゆる歩行者を事故から守ろうという、いわゆる被害者の保護策といいますか、そういうことでございまして、主とした分野は、やはり裏通りであるとか一般混合道路、そういう部分におきますところの歩車道の区分、歩行者を守るところの歩道をつくっていこう、あるいは小規模の車用のバイパスをつくろう、そういうことにおもに力点が注がれているように思います。そういたしますと、両者相まってもちん事故防止ということが期せられるわけでございます。建設省は非常にけっこうでありますけれども、一方において警察庁予算が消減された。いわゆる事故防止対策としての積極的な五カ年計画がくずれたというところに私は問題があろうかと思うのです。ですから、そういうようなところを踏まえて考えてまいりますと、これは何としても警察庁計画の予算を、事故半減を期するために拡大改定していかなければならぬのではないか、こう思うわけでございますけれども、これは大蔵大臣あるいは総務長官どちらでもけっこうでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 私どもの交通安全対策本部で一応まとめました数字では、現在の昭和四十五年の実績が、お話のありましたように一万六千七百六十五名という数字を示しておりますが、これを五カ年計画を実施しなかったと仮定した場合に幾らに伸びるであろうかという点は、先ほど片岡交通局長が申しました二万九百五名ぐらいに達するのではなかろうか。これが五十年まで実施するわけですから大体五十一年目ぐらいにそういうことになるのではなかろうか。しかしながら、五カ年計画を実施いたしますと、道路等の安全施設等の効果等は含まれておりませんが、一万四千四百七十二名くらいに押えられる。そこで私どもが半減という悲願を掲げて政治の目標といたしておりますものは、自動車のいわゆる走る凶器としての事故ですね。それに対して歩行者あるいは自転車に乗っている人、そういう人たちの事故を半分に減らしたいという悲願であります。ということは、死ぬ人は同じことなんですが、走る棺おけ型の車対車、車プロパーという事故が非常にふえつつありまして、これは高速道路その他の普及に伴ってある程度避けがたい要因等も持っております。これらのほうも今後取り締まるといたしましても、やはりきちんと目標を立てていくのは、一番弱い立場の歩行者、自転車乗りを車から守るという、走る凶器型に対する対策であると考えますと、歩行者の死者が現在昭和四十五年で五千九百三十九名でございまして、これが五カ年計画を実施しなかったと仮定いたしますと五十一年にはおそらく八千二百九十三名に達することであろう。それを五カ年計画を実施いたしますと三千六百四十一名に減らし得るものと思う。その際においていわゆる減少率は五六・一%でありますから、半減という悲願を達成できるかもしれないということで、勇を鼓してやっておりますが、御指摘にもありましたように、道路管理者としての建設省の道路計画の中で具体的な五カ年計画を策定して、指定道路における街路については、一〇〇%歩道を設ける等の企画を中心にして、これまた事故防止には相当大きな効果をあげると思います。そして他方においては運輸省の踏切道改良五カ年計画を三本柱とすることによりまして、一そう事故の減少に努力を続けていくことができるのではないかとわれわれは考えて、いま予算の金額は確かに要求額とセットいたしました最終の予算額と違っておりますけれども、しかしそれには指定する都市の数等を、警察庁等においてはやはり理想的な数と申しますか全国あまねく一挙にいこうというような計画でありましたものを、さしあたり交通事故の多いような都市においては全部設置できるような計画等に変えておりますので、何とかこの悲願は達成できるのではないか。また自動車重量税等の今後の伸びあるいは配分のあり方等において、財源の事情が許しますならば、これらの五カ年計画の改定もその悲願の目標の達成の足取りのいかんと相まって、人命の問題でございますので、途中においても御相談し得る時期が来るのであろうと考えておるわけでございます。
  37. 坂井弘一

    坂井委員 私はどうしてもこの悲願であります死者半減、一万に押えるということはできない、こう思います。いま長官途中においても拡大改定するような方向のものが、こうおっしゃっております。もうできるだけ早い機会においてそうしなければいけないのじゃないか。いまもお話しございましたけれども、やはり死者という、事故にあうという立場から考えますと、歩行者であれ車の人であれ変わりはないです、人間には。確かに歩行者を凶器から守るということはよくわかります。しかし、また最近の事故を見てまいりますと、いままで車対人の事故から車対車の事故に移行しつつある。しかもこれをずっと調べてまいりますと実に車対車の事故が多いですね。七五%です。あとは車対人の事故、二五%であります。そういうようなことになってまいりますと、やはり積極的な事故防止、ドライバーに対する原因者対策というものがここで必要ではないかということを私強調しているわけでございます。建設省において道路管理者としての立場から歩行者を守る、これはよくわかります。これはもちろん進めてもらわなければいけない。しかし、いま申しましたような理由におきまして、死者の半減を目ざすならば、今日やはり車対車の事故がふえつつあるというような状況を勘案いたしまして、今後もさらに伸びていくでありましょう。毎年一ないし二%ずつふえておる。ですから、事故を半減するんだというならば、積極的な対策をむしろ優先して取り入れるべきではないかということを私申し上げているわけでございます。さらに、この歩行者が原因になった事故というものは四・六%で、車両の運転者による事故、第一原因ですが、これが実に九三・三%である。この辺から車は凶器であるという定義が出てくるのであろうと思いますけれども、これはみずからドライバーには気をつけてもらわなければいけませんけれども、気をつけろという以前に、やはりドライバーが安心して運転できるような環境をつくり上げる。これにはやはり交通管制方式等十分な安全投資をやらなければいけない。それが私先ほどから申し上げておりますところの警察庁の三千七百二十六億ではないかということをいっておるわけでございます。  そこで、それはそれといたしまして、建設大臣にお伺いしますが、いま長官が言われておりました指定道路につきましては全部一〇〇%歩道つけるのだ、こうおっしゃっておりますけれども、現実の問題といたしましていま全国に七十五万キロくらいある。市街地だけで二万数千キロ、せめて市街地の二万数千キロは全部一〇〇%歩道をつける、こうおっしゃっておるようでございますけれども、現実に可能でございますか。どうですか。
  38. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。  御承知のように、街路のうちでも私道的な街路も相当あります。そういうところは非常に狭いのでございまして、車の入れないところもございます。そういうところがこれは全部歩道になっておるわけでございます。それからもう一つは、それほどではないけれども、車は入るけれども、車が入っちゃったら全然これは非常に危険だというようなところは、これは警察のほうと連絡をして、そこには車の入れないようにしてもらう。それから一方交通をやる。こういうふうな措置をして、そうして一方交通のようなところでもできるだけこれは歩道をつくるように、これは都市計画におけるやり方もございます、公共事業でやることもいたします、こういうふうにして、従来に比べますれば相当綿密に道路管理者たる地方庁とも連絡をし、警察とも連絡をして、歩道の整備は積極的に進めるということにいたしておる次第でございます。
  39. 坂井弘一

    坂井委員 あとでまた通行規制のところで関係ございますので、そのことにつきましてはまたあとで触れるといたしまして、例の五カ年計画のほうでございますが、管制センターは、当初は八十四を目標にしておりました。ところがこれが二十八に減ってしまいました。信号機が五万九千、これが三万五千、大幅なダウンであります。特に私、警察庁の交通管制システムというものは、集中的にコンピューターとセットしたところに相乗的な効果があらわれる、こう理解をいたしております。ところがいま申しましたように、相当全国的に薄くばらまかれる、こういう形になります。そうなりますと、せっかく信号機等がふえましても、ふえたことにおいてかえって安心をいたしまして事故が誘発されるのではないか、むしろそのような心配すらいたします。そういうことについては御心配がないかどうかお尋ねをいたしたいと思います。
  40. 片岡誠

    ○片岡政府委員 御承知のように、信号機を交差点につけますと、歩行者も安心して渡れますし、車同士の出会いがしらの事故もなくなります。したがいまして、私どもとしましては、往復二車線があるような道路の交差点は必ず信等機をつけていきたいというのが私どもの考えでございます。しかしながら、御指摘がありましたように、信号機の設置件数が若干減りましたので、重点的にそういうところから安全のために信号機をつけていきたい。ところが、信号機がたくさんできますと、車の流れの円滑のほうは若干阻害されてまいります。そこで、御指摘のありましたように、管制センターをつくる、あるいは地域的な制御をしていく、あるいは路線として制御をしていくというような、信号機の近代化をはかりまして、コンピュータを使いまして車が安全であると同時に円滑にも流れるというシステムを考えたわけでございます。現にそれをやりだしておりますが、そういう方向で強化をしてまいりたいと思っております。
  41. 坂井弘一

    坂井委員 自治大臣にお尋ねをしておきたいと思います。いまの安全施設でございますけれども、基準単価が旧単価で予算の関係で押えられてしまった、こういういきさつがあるようでございます。したがって、この差額、超過負担を見なければならない。あるいは安全施設の設置工事費、これは地方で見なければならぬじゃないか。あるいは維持費、これも地方負担になってくる。さらに補助裏及び地方単独事業を合わせますと、地方では総額九百二十億くらい持たなければならないだろう。安全施設が強化されるということは非常にけっこうでありますけれども、地方財政がこのような大きな負担をしいられるということになってまいりますと、地方としては財政的にはきわめて困ることではないか。自治大臣、大蔵大臣にもお尋ねいたしたいと思うのですけれども、そういう点については自治大臣のほうでだいじょうぶでしょうか。どういう対策を考えていらっしゃるか。
  42. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 交通安全施設の整備ということは、国と協力いたしまして至急に解決すべき緊急の課題であります。そこで交通の実態に即した措置を講じなければなりませんが、国からいただいておる補助金をもってする補助事業、その補助裏は地方公共団体で負担をしなければなりませんので、その地方負担分がございます。それから地方単独ですべき事業もございます。これらの所要経費につきましては年次計画を立てまして、いやしくも地方の持ち出しにならないように配慮を重点的に講じております。また単価等につきましても実情に即したものを考慮いたしておりまして、今後その点について不都合がありますれば改善をしてまいりたいと考えておりますが、ちなみに昭和四十六年度は補助事業が三百八十五億円を予定しておりまして、この中で国費負担分が二百十八億、そこで地方費の負担が百六十七億、それから単独事業として三百四十四億、合わせますと五百十一億、ちゃんと予算措置をしなければならぬわけでありまして、これに対しましては、交通安全対策特別交付金、例の交通反則金の収入、これが百三十七億円を予定いたしております。残り三百七十四億円が地方の負担になります。この分につきましては地方交付税交付金の基準財政需要額に所要額を計算をいたしまして予算上の措置を講じております。今後こういう方法によりまして、いやしくも過重な地方負担にならないように予算措置を十分気をつけてまいりたいと考えております。
  43. 坂井弘一

    坂井委員 もう一点、これは警察庁の五カ年計画で一つ致命的なのは、高速道路関係の対策費が全額削られておりますね。当初百八十七億盛っておりました。これは先ほど申しましたように、最近は車対車の事故が多くなっておる。特に高速道路の事故は激増しております。これを全部削除されてしまった。この辺に非常に大きな問題があるのではないか。このことは今度道路法の改正によりまして道路公団職員に交通取り締まりの権限を一部持たせるというような内容であるかに思います。いわゆる駐車違反あるいは積み荷違反等の取り締まり権、それを公団職員に一部を渡す、こういうことでありますが、これは本来警察署が行なうべき仕事であろうと私は思う。そうなってまいりますと、そこにおのずから二重行政というような形のものがあらわれてまいりますし、ことにハイウエーにつきましては、鉄道なんかと違いまして直接ハイウエーが一般道路につながっております。したがって、そのような道路公団職員に権限を持たせるということになってまいりますと、いわゆる司法警察権の拡大につながっていくのではないか。これはきわめて危険な要素を持っておる。こう思うのですけれども、法制局おいでなっていらっしゃいますか。その点について見解だけを伺っておきたいと思います。簡単でけっこうであります。
  44. 荒井勇

    ○荒井説明員 その点につきましては関係省で目下検討中でございまして、まだ具体的な案として内閣法制局のほうまで上がっておりません。おっしゃるような御懸念の点もあるかと思いますけれども、高速道路における交通の安全を確保するという観点から見て、現在の警察による交通取り締まりの能力との相関関係においてやはり検討する余地はある、しかしそういう場合の弊害を防止するための措置は十分講じなければならないのではないかというふうに存じます。
  45. 坂井弘一

    坂井委員 大蔵大臣に、取りまとめてひとつお願いいたしたいと思うのですが、大臣が昨年の閣議、五月でありましたか、その席上におきまして、道路の新五カ年計画十兆三千五百億、これのせめて三%ないし四%は道路安全投資のほうへ持っていくべきではないか、安全投資のほうに回すべきではないか、これは公安委員長のほうからでしょうが、そういう要請がなされた。そのことが閣議の中で出まして、結論的には、大蔵大臣は、それはなかなかむずかしいのじゃないかというようなお話をなさったようでありますが、総務長官がいられまして、安全対策のためには道路投資のせめて三%くらいのものは安全投資に回すべではないかということで、その間種々折衝がなされたかのように承っております。私は、やはりこれだけの道路投資をする以上は、それに見合うところの安全投資は当然すべきだ、こう考えます。それがなされてこなかったところに今日の、特に日本は歴史的にも道路状況が外国と違います。したがって事故が起こるんだといってしまえばそれまでのこと、しかし、そこにおのずから政治の責任という立場から考えましてこれだけの公共投資、道路投資をするならば、それに見合うところの安全投資は当然すべきだ。それがたまたま手薄になっておった。そういうところに事故の多発があったのだという反省を踏まえた上での今回の大幅な安全投資の予算が見られたわけでございますから、さらにそういうお考えであるならば、それを一歩進めまして、先ほどから何回も申し上げておりますように、いわゆるこの安全防止のための予算は道路投資の三%とするならば約四千億くらいの投資はしてもいいのではないか。またその投資をするならば必ずそれだけの効果は期待できる。こういうことでありますので、これはそれこそ大蔵大臣の勇断をひとつお願いいたしたい。したがって、いま申しますような五カ年計画等も、将来と言わなくして、いまと言いたいのですけれども、いまできなければきわめて早い機会において拡大改定をすべきである。大蔵大臣としてもそういう方向についてはいささかも御異論はないと思うのですが、ただ金の問題でございますから、ひとつ大臣の御決意のあるところを御答弁をお願いいたしたい。
  46. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 坂井さんの力説されておるような方向で諸事対処をいたしております。すなわち道路五カ年計画は十兆三千五百億円となっております。これは四十五年度から始まりまして四十九年度に終わるわけでありまするが、一年おくれますが、安全対策の問題につきましては新たに五カ年計画を立てまして、五千億をこえるという額でありますので、まさに御力説のとおりの予算措置になっておるわけであります。これだけの予算が着実に執行されますならばかなりの効果をあげ得る、かように確信をいたしております。
  47. 坂井弘一

    坂井委員 次に、私、交通遺児の問題に移りたいと思うのです。  これは非常に痛ましい交通事故の犠牲者の集約、象徴と申しますか、遺児の姿を見ますと、私、いつもほんとうに胸をかきむしられるような感じがいたします。昨年読売新聞の追跡調査によりますと、一時間に一人ずつの遺児が生まれておる、こういうことが調査の結果明らかにされております。このことは先ほどから申しますように、やはり交通政策そのものが、非常に一貫された体系的なものがなかった。言うならば一つの失敗の帰結がそういうところに遺児の姿になってあらわれてきておるのではないか、また戦後の高度経済成長、その一つの成長の陰に生じた悲劇を私は遺児の姿の中に見ることができるのではないか、そのようにも思います。佐藤総理が常々高福祉、高負担ということを言っておりますけれども、私はむしろ遺児は、福祉がなかったから経済が成長したのではないか、われわれの姿を見ろ、こう訴えているようにすら実は思うわけでございます。「天国にいるおとうさま」遺児のあの作文集を読みました、実に胸の痛む思いをいたしました、だれしも同じであろうと思います。  そういう立場に立ちまして御質問したいわけでございますが、昨年の十二月二十八日付の読売新聞を読みますと、政府が四十六年度に交通遺児の全国調査をやるということになったという報道がございました。その調査の内容と方法を具体的にひとつお示しを願いたいと思うのですが、前回行なわれておりますが、これは二万八千三百数名調査の結果あらわれた、しかし実態は六万とも七万ともいわれております。この調査はただ単なる氏名、住所等の調査では意味をなさない、生活の状況等、かなり詳しく突っ込んだ調査をしなければせっかくの調査が生きてこないではないか、そう思うわけでございますが、今回政府が行なわれようとしている全国調査というのは一体どのくらいの規模で、どういう内容で具体的に進められるのかどうか、総務長官ひとつお願いいたしたい。
  48. 山中貞則

    山中国務大臣 四十三年に全国調査をいたしまして、その結果交通遺児育英会ができて、国のほうは二千万の予算補助を毎年やっておりますが、さらに育英資金等の貸与等もやっておるわけであります。ただその後の実情を見ますと、交通遺児の立場に置かれました子供たちがただ交通遺児になってしまった件数とか、そういうものを調べるだけではだめであるということが注意もされましたし、わかってまいりました。そこで今回の調査は三百万円の予算でございますが、そのやり方によっては有効に使えますので、主として追跡調査と申しますか交通遺児になった子がいる、その子がその後どうなっているのか、あるいは転校をした子もおりましょうし、県外に出ている、転出している子もおりましょうし、あるいはその他家庭の生活状況が一変したために学校の成績のみならず、家庭生活そのものが脅かされている子もおりましょう、そういう子の実態追跡調査をやって政府、はそれに対してどう対処すべき新たなる政策を持つべきかということをそこからくみ取っていこうという意味の新しい調査をやるわけでございます。
  49. 坂井弘一

    坂井委員 大体その調査結果はいつごろまでにやろうというめどでもってお進めになるかという点なんでございますけれども、その点をひとつお願いいたしたい。同時にまた未就学児等の調査ですね、これを一体どうしてやるか。いわゆるゼロ歳から十八歳まで全国調査、全体的な調査になりますと全部をつかまえなければならぬと思いますし、そういうことになってまいりますと、前のような教育委員会、文部省等でやられたような形では、これはちょっと至難でありますし、いまも長官、非常に前向きな御答弁でございますけれども、そういう点もあわせまして、これはひとついつごろできるか。せっかく遺児のために、いままで政治が非常に冷たかった、しかしやっとこの通い始めたあたたかい血と申しますか、せっかく予算をもって調査をするのですから、効果のあるしかも実態をつぶさに掌握ができてそれが生かされていくという調査がされてこそ初めて意義があろうかと思います。そういう点も含めまして、大体いつごろまでにおやりになろうというお考えなのかという点についてお願いしたい。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 確かに前回は小中学校の生徒の在籍者に対して調べたわけでありますが、しかし小学校に通わない子供たちをどう調べるかという問題は交通事故の遺族その他の調査が概略あると思われる公安委員会、警察行政、そういうところの協力を得なければできないだろうと思います。これらの点の御協力も、関係各省庁よく相談をして協力を得つつ、いつから始めるかはいまのところ予定いたしておる時期、まだそこまで来ておりませんが、要するに来年度予算編成の際には、その調査の結果が施策の上に反映させられるような調査でなければ意味をなさないと考えておりますので、なるべく急いで、しかも綿密に、手落ちのないように調査をしてみたいと思っております。
  51. 坂井弘一

    坂井委員 いまのようなことで積極的に調査を進めていただきたいとお願いいたしたいと思います。  この交通遺児育英会におきまして、募金目標四十億を掲げまして募金を始めました。現在でやっと約束分を含めまして十八億ほどだそうであります。政府はこれに対しまして自賠責保険の保障事業勘定の剰余金利子から二千万補助を出しておる。今回もまた二千万計上されておるようであります。これらを合わせて六千万ということになろうかと思いますが、しかしながらなかなか四十億の目標が達成できないために全体的なスタートができない、こういうことで非常にお困りなようであります。  そこでお尋ねいたしたいのですが、従来しばしば交通遺児だけが遺児ではないんだ、したがって税金の中から金を出すということはどうかと思う、全部の遺児の中で考えなければいけない問題である、こういうような答弁が総理また関係大臣のほうから答えられておるわけであります。しかし私はその論法はいささかおかしいのではないか、少なくともこの自賠責保険そのものはいわゆる被害者救済のために立法をされたものでございます。したがって自賠責保険の中からこの交通遺児を救済しよう、これは私は何らおかしくはない、むしろ当然であろう、したがって一般財源云々の議論ははまらない、ましてやいま現在自賠責保険の中から二千万出しておるわけでありますから、こういういまいいますような交通遺児だけが遺児ではない、したがって税金からは使えないという議論には全然抵触をしない、育英会でいま国民募金で集めなければならないのが十億といわれておりますけれども、これをそっくり自賠責のほうで肩がわりすることも理論的には可能なはずだ、こう思うのですけれどもいかがお考えになりますか。
  52. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 とにかく二千万円であれ、自賠責から出しておるのですからこれが量的に拡大する、これは理論的におかしくはない、かように考えます。しかし実際問題として自賠責からそうそう出すということもまたいろいろ問題もありますので、私どもとしては財界で交通遺児育英会、これを設立した、これは非常に有力な方々が主宰しておるわけなんです。かなりの力を持っておるというふうに思っておりますので、その活動に期待をしたい、こういうふうに考え、また私どもができることがありますればこの協会の活動を援護したい、かように考えております。
  53. 坂井弘一

    坂井委員 いま二千万円の援護をしていただいておるわけであります。いま大蔵大臣、確かに理論的にはこれを拡大していけないことはない、こういう御答弁でありました。したがって、この関係各位は非常に御熱意のある活動をなさっていらっしゃいます。しかしながら、いま申しましたように、なかなか四十億、これが集まらない。それで非常にお困りなんですね。で、これを援護していこうと、こう大蔵大臣がおっしゃる以上は、私は、この二千万をもっともっとふやしてもいいのではないか。ふやせられないことはない。むしろ、私は、被害者救済という立法精神から言いましたならば、これは当然のことではなかろうか。もしここに自賠責に金がないというならば、一般財源から手をつけても私は決しておかしくはないというくらいに思います。なぜかならば、交通遺児だけが遺児ではないといいますけれども、交通遺児は、ある日突然遺児になったのではない一般の病気等によりましての遺児と、確かにその不幸なことにおいては同じでありますけれども、しかし、交通遺児の今日遺児になったゆえんのものは何か、こう考えてまいりますと、グラフを見ましても、日本の経済力の伸長が自動車の伸びと全く並行して伸びてきております。これはもうまぎれもない事実であります。日本の自動車産業というのが日本経済の大きなささえになってきた、この功績はこれはまぎれもない事実であります。しかしながら、その陰において同じように遺児がふえてきた、これまたまぎれもない事実であります。したがって、やはり政治はその間責任を持たなければいけない。それで遺児に対して何をもって援護していくか。これはいま自賠責の保険もあるではないか。むしろ、自賠責の保険の中に、たとえば救急医療施設整備事業、これは一億二千万も計上されております。この間ちょっとお聞きしたのですけれども、これは元来自賠責保険から支出すべきではなくして、一般財源から出したほうがもっと妥当ではないか。なぜかならば、一般救急患者といいますけれども、これは交通事故だけじゃなくして、一般の病気で行く人も入院する人もかなりたくさんあります。厚生省のほうは一般財源からのほうを希望していらっしゃるように聞いているわけですけれども、ですから、これは決して少なくしろというのじゃないのです。一般財源でこういう救急医療施設等はもっともっとふやしていくべきだとは思います。しかし、このようなことが行なわれているとするならば、交通遺児に対してもっと手厚い援護ができないはずはないということを私は申し上げたい。したがっていま大臣せっかくの御答弁でありますけれども、さらに一そう援護を強力に財政的、金の上でやっていこう、こういうところをひとつお聞かせをいただきたい、こういうわけであります。     〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまのところといたしますと、とにかく財界の有力者が中心になりまして、ただいま坂井さんのおっしゃるような社会的事実に着目をされまして、何とか救済をいたしたい、こういうことで協会をつくられている。かなりこれが業務が進展をいたしておるわけなんです。まあ税の問題とかいろいろ出てくるだろうと思います。そういうようなこともありますが、とにかくこの事業がこれらの方々によって強化されていくということについて、あらゆる便益を与えていきたい。自賠責のほうから出す金をふやす、これは理論上は可能でございまするけれども、しかし暴風、台風によって急に孤児になった人をどうするかとか、あるいは炭鉱の爆発だ、あるいはガス管の爆発だ、そういうようなことで急に孤児になった人をどうするかとか、いろいろ問題もあるのです。しかし、私はそういうことを言いたくない。社会的な大きな交通事故という問題で出てきた孤児でございまするから、これに対しましては特別の配慮をしなければならぬ、そういう気持ち、しかしそういう気持ちを持ちながらも他の諸問題との関連、権衡というものを考えて、いま協会が一生懸命やっておる、その協会の事業を援護する、これが妥当な考え方ではないか、かように存じまして、この上ともその協会に対して御協力をするということにいたしたいと存じます。
  55. 坂井弘一

    坂井委員 協会がやっておられる。私は、本来ならば、むしろ政府がやるべき仕事ではないか、それを私は言っておるわけです。幸いにいたしましてといいますか、そのような御熱意のある方々が、交通遺児のためにせっかくこうして一生懸命になってやっていらっしゃる。政府はお手伝いをするとか援助するとかそういうような姿勢ではなくして、むしろ一緒になってやるのだ、それくらいの姿勢があってもしかるべきではないか。非常に気の毒であります。交通遺児の実態というのは、私も二、三の方に会いました、実にかわいそうです。こういうことがただ一時的なことによって起こったのではない。毎日毎日一時間に一人もあらわれておる、そういうような実情から私は申し上げておるわけであります。したがって、大蔵大臣、いま御答弁でございますけれども、ひとつできるだけの手厚い援助を進めてもらいたい。強くこのことを要請、要望いたしまして、今回はこれは終わっておきたいと思います。またあらためてこのことにつきまして、さらに一そういろいろな問題点をあげながら、対策を進めていくように、私やってまいりたいと思います。     〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕  次に、自動車の大気汚染公害、これがまたきわめて深刻な状態にございます。最初にお聞きしたいのですけれども、最近東京の亀有で、車の中の二人が、車庫の中だったそうですが、死亡したという事件がございました。これは一酸化炭素の中毒死であった、こういわれております。これはきわめて密閉された車庫内というわけでありますから、特殊な事例ではあろうと思いますけれども全国的にこのような一酸化炭素中毒死という事故が何件ぐらいあるか調査されましたか、あるいは実態をつかんでいらっしゃいますか、ひとつ御答弁いただきたい。
  56. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 お答え申し上げます。  救急の活動の面から見ますと、一般的に救急事故というものについて、われわれとしては、火災とか風水害とか、こういう関係で外見的にわかるような分類をやっておりますが、いわゆる一酸化ガスによる中毒かどうかということになりますと、救急隊員においては医学的な判断というものができませんので、そういう統計は救急統計としてはやっておりません。したがって、いま御質問のような全体の数は把握しておりません。
  57. 坂井弘一

    坂井委員 数はつかんでないということですが、実は私は北海道の実態を調べてみました。北海道では一酸化炭素による死者が四十四年に十九名出ております。昨年四十五年は十六名。これはどういう状態で死んだかと申しますと、四十四年の十九名のうち、過失によるものが十五名、自殺が四名ございます。この過失はどういう状態かといいますと、車を運転しておりまして、それで雪だとか道の状態が非常に悪い。ストップしてしまった。中でエンジンをかけたままである。それが車中において一酸化炭素中毒のために死んだ。こういう事例が非常に多いわけであります。そういたしますと、これは必ずしも亀有でありましたところの密閉された室内、特殊事例だけにとどまるものではない。現実に車を運転しておるわけであります。そういう中で死亡する。こういう事故が現に北海道において起こっているわけであります。     〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 なお詳しいことはわかりません。警察本部の調べでございます。  そこで、このような一酸化炭素等による事故死が、どれくらいあるものか、この際一回調査なさったらどうであろうか、こう思うわけでございますけれども、調査なさいますか。おやりになるでしょうか。
  58. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防庁といたしまして、救急を扱っておりますが、いまお話のあるようなことは、死亡の原因につながる問題でございまして、私のほうで調査するということは差し控えたいと思います。
  59. 坂井弘一

    坂井委員 いま調査はそこではできないということですが、私、なぜこのことを申し上げるかといいますと、非常に排気ガス公害が深刻な状態でございます。たとえば現実に自動車の排気ガス、ことに一酸化炭素によります大気汚染、この環境破壊そのものが非常に進行しておる。現実に昨年アメリカのカリフォルニア州の公衆衛生局でありましたか、発表によりますと、ロサンゼルス地区でも毎年五百人近い人が一酸化炭素中毒で死んでおる、こういうことを発表しております。日本におきましても、たとえば東京の例を見ますと、大気汚染のうち一酸化炭素の総量というものが八十七万七千トン。これはほとんどが自動車です。九九・七%までが自動車の排気ガスによるものでありますね。重量比から申しますと、一番問題になります火力発電所あるいは他の工場等の硫黄酸化物(SOx)、これは四十五万一千トン、これに対しまして一酸化炭素は八十七万七千トン。したがって一酸化炭素のほうは重量比にいたしまして二倍ある、こういうような状態でございます。したがってアメリカにおきましてはマスキー法等によりまして七五年以降自動車の排気ガスについてはきわめてきびしい規制を行なうということであります。要するに現状は非常に環境破壊が進行いたしまして、それが刻々とわれわれの生命の危機、健康をきわめて悪化させるという状態があらわれつつあるという、そういう認識の上に立たなければ、今日のこの自動車排気ガス公害を一体どうするかということは前向きには進んでいかない。したがってそのような現状であるということを踏まえまして、そこでお尋ねをいたしたいわけでありますが、いま自動車につきましてはこの排気ガスは濃度規制によっております。この濃度規制では意味がなさない。絶対量そのものが減らないわけでありますから、きわめて不合理であります。これは当然重量規制に切りかえるべきだ。まあこの重量規制の切りかえにつきましては昭和四十八年ぐらいからやりたいという計画だと思います。いずれにもしろ、今日の濃度規制そのものが非常に不合理である、これが大気汚染を進行させているところの元凶なんだということから、重量規制に切りかえる。これは運輸審議会等における答申にも示されております。それで四十八年というような時期を待つのではなくして、もっと早い時期に重量規制に切りかえるべきではないか、こう思うのですが、その辺はいかがでしょう。
  60. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。現在のところ運輸技術審議会にはかりまして、四十八年度から重量規制に移行するということをきめております。重量規制のほうが濃度規制よりも有効であることは先生の御指摘のとおりでございますが、重量規制に移行いたしますと、その規制の方法あるいは測定の方法というものについて、新たな技術開発をいたさなければなりません。したがいまして私ども四十八年度から重量規制に移行するように、目下関係の研究所等において努力をいたしておりますが、現在のところまだそのめどは立っておりませんが、四十八年度から移行するということで現在研究をしております。もし研究が進めば早くなることも可能でございます。
  61. 坂井弘一

    坂井委員 これは早くやらなければ意味がない、いよいよ汚染が進行するということを、私警告を申し上げているわけであります。同時にいまいわゆる排気ガスの排出ガス基準、これは使用過程車では五・五%ということでございますが、これをオーバーする分についてはすでに処罰をされております。一種の処罰でありますね。処罰をされております。しかしそのこと自体がこのような不合理な濃度規制のもとに行なわれる道路交通法によるところの取り締まり、処罰ということは、きわめて公平の原則が無視されておる、そういわなければならぬのではないか、私はこう思うわけでございますが、それがまた今回の道交法改正案を見てまいりますと、さらに一そう処罰が強化される方向にございます。もしまたこれが成立いたしますと、これがいま申しましたような理由によりまして、ずいぶんおかしいことになるのではないか、非常に問題があろうかと思うのです。実害のない、このような不合理、不平等なものを処罰することに対して、私、非常に疑問を感ずるわけでございますけれども、法制局おいででございましたらば、その辺に対する見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  62. 荒井勇

    ○荒井政府委員 道路交通法の改正案、目下検討しておりますが、その中で現在第六十二条の二で規定されております装置不良車両の運転の禁止というようなものを、現行の六十二条の整備不良車両の運転の禁止と統合するというような案で検討をいたしておりますが、それは道路交通法につきましては、昨年年末の臨時国会におきまして「道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」ということで、従来の「道路にかける危険を防止」する、あるいは「その他交通の安全と円滑を図る」というだけの目的ではなくて、その第二条の二十二号に定義としても「交通公害」というものを設けて、その交通公害の抑制、防止のためには各種の規制をしなければならないのだというので、その改正の第一歩をとったわけでございますが、そういう観点からいいますと、道路を走行する車両が公害をまき散らすということ、それによって一般大衆に迷惑を及ぼすという事態があります場合に、それについての罰則を一段階強化する結果になりますが、そういうことは道交法の目的、第一条の規定自体が改正されたという現在の状況のもとにおいては、方向としてやむを得ないのじゃないか。ただその規制の内容が先生のおっしゃるようにより合理的な内容にすべきではないかという点については、おっしゃるような点があるかと思いますが、それはそれで進めていただきたいと私どもは思っております。
  63. 坂井弘一

    坂井委員 それからいま申しましたように道交法改正案によりますと排気ガスの規制値、これをオーバーした場合に罰則規定がより強化されるわけであります。そうなってまいりましたときに、車の構造上の欠陥はこれはドライバーの責任ではない。また排気ガスについてはドライバー自身は自覚することはできません。車の構造上の欠陥による排気ガスの保安基準をオーバーした場合においては、これは当然メーカーに対していわゆる欠陥車と同じような考え方を用いまして、リコールさせるべきではないか。たとえば車検の際にそういう構造上の欠陥によって排気ガスが保安基準を上回っておる、オーバーしておる、それは明らかに構造上の欠陥である。そういうことが発見された場合においては、これはリコールさせるべきではないか、そう思うのでありますけれども、その辺に対して御見解を承りたいと思います。
  64. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  ただいまリコールをやっておりますのは、新車について欠陥車の場合、あるいは保安基準に該当しない場合の著しく悪質なものについては、リコールをやっております。使用過程車についても公害防止の見地からリコールをやれないかという御質問でございますが、使用過程車につきましては、いわゆるユーザーが常に自分の使用する自動車について定期点検整備というものを行なうように義務づけられております。したがいましてユーザーとして点検整備等怠りますと、たとえば全然使いっぱなしで車を使いますと、三万キロ走ればその二倍に一酸化炭素がなるというようなことでございまして、やはり使用過程車、いわゆる中古車につきましては、ユーザーの定期点検整備というものが相当車がいい状態に保有されるかどうかということにかかって、ユーザーの使用上の責任というものが大きいと思います。したがいまして、現在のところ私どもは新車につきましてはリコールを考えておりますが、ユーザーが相当使ったあとの車の状態につきましてリコールということは、なかなかこれはむずかしい問題であろうと考えます。
  65. 坂井弘一

    坂井委員 いま私申し上げておるのは、排気ガスの分です。それは新車につきましては、構造上の欠陥車についてはリコールをさせると、こういう意味ですか。
  66. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。中古車と申しますか、使用過程車は、その使用の状況及び整備の状況によって非常に左右されるところが大きいものでございますので、排気ガスの問題につきましても、安全と同じように使用の状態並びに整備の状態というものが非常に影響しますので、これは直ちに構造上の欠陥ということでリコールするということには問題があろうかと存じます。
  67. 坂井弘一

    坂井委員 いわゆる新車につきましては、排気ガスにつきましても構造上の欠陥によるものはリコールさせるべきではないか、こう言っているわけです。簡単であります、お答えいただきたい、簡単に。
  68. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。新車につきまして、もちろん構造、設計上の欠陥ということがはっきりすれば、リコールの対象になると考えます。
  69. 坂井弘一

    坂井委員 けっこうであります。  実際このような、これは農業試験場でとったものです。ほこりです。ダスト。これは鉛、それから自動車の排気ガスの中に含まれる物質。こういうような黒色のこれはダストでありますけれども、多量に含まれておる。ここに試験結果が出ておりますが、これを見ますと、鉛の人体に対する影響がつぶさに人体実験によって出ております。相当、私はこれは深刻な状態ではないか。たとえば普通健康人の血中の鉛濃度というものは百CC当たり十マイクログラム、それが東京の梶原におきましては十九・四、平和橋では十三・一、姥ケ橋交差点におきましては二十・九、あるいは新荒川大橋においては十五・五等々、鉛の血中濃度というものは倍から三倍というような非常に大きな量、数値が、これは検査によって出ております。これは先般も日本科学者公害シンポジウムにおきまして科学者自体が深刻な反省の上に立たなければならぬ、こういうようなことで決議までいたしまして、対策を何とか前向きに講じなければと、こういうことで検討されていたようでございますけれども、そういう非常に深刻な事態にあるということをさらにひとつ認識を改めていただきたい。  同時に、通産大臣にひとつお伺いしておきたいのですが、マスキー法がいよいよ七五年からということでございますが、そうなった場合に、いまわが国の自動車産業、これは輸出等非常に大きな影響を受けるのではないか。マスキー法によるところのわが国の自動車産業に及ぼす影響、これは非常に大事な大きな問題でございますので、一体どう対処されようとしておるのか、その辺のところをあらあらの構想がございましたらば、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 マスキー法によりますと、大体昭和五十年というのがほぼ見当でございますが、いままで私どもが考えておりました規制の、内応的には倍ほどのきびしい規制になるわけでございます。したがって、こちらのプログラムを変えたければいけません。幸いにしてこれについては、しかし国際的な協力関係がいろいろございますから、お互いに協力しながらその基準を満たすようにやっていきたい。まだ時間は相当にございますから、私は一生懸命やれば、これはできるというふうに考えております。
  71. 坂井弘一

    坂井委員 どうかひとつ国際協力、国際間の協定等もあろうと思います。そういう点で十分ひとつわが国がむしろリードしていくというような方向で、この自動車排気ガス公害、いわゆる無公害車の開発等十分なひとつ対策を進めていっていただきたい。排気ガス公害が起こりました後においてこの対策を考えるというようなことであったならば、これは私はならない。あくまでもやはり企業が公害については第一義的に責任がある。今日ことにこの自動車排気ガス公害というものが非常に深刻な状態に来つつあるという、そういう現状でございますので、どうか地球全体の汚染をなくする国際信義上の問題等もあろうかと思いますので、通産省においてはひとつ積極的に進めていっていただきたいことを重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  72. 中野四郎

    中野委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。  午後は本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩をいたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後三時十分開議
  73. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、おはかりをいたします。  理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、今澄勇君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  75. 中野四郎

    中野委員長 一般質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
  76. 中谷鉄也

    中谷委員 時間の許す限り沖繩問題を中心に質問をいたしたいと思います。  政府従来の答弁は、沖繩が返還された場合には憲法、安保条約、地位協定、その取りきめ、国内法は何らの変更なしに沖繩に適用される、これは従来の答弁であります。質問の導入として外務大臣の御答弁をいただきたい。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは従来からしばしば申し上げているとおりでございます。本土並みでございますから、あらゆる法令が完全に本土並みに適用される、完全に本土と同様になるわけでございます。
  78. 中谷鉄也

    中谷委員 施設庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  きわめて不満な法律、土地の特別措置法の施行令と規則をお聞きいただきたい。この法律もしたがってまさに何らの変更なしに沖繩に適用されることになるわけです。それは政府の従来の答弁を先ほど確認したとおり。といたしますると、政府の見解を推測いたしまするに、引き続き使用するための特別措置をとる。しかし、その後土地を収用するためには土地の特別措置法が必要、こういうことに相なっております。それはもう法律上明らか。施行令、規則によりますると、土地の収用については図面が要りますね。地点、面積は画定されねばなりません。     〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 そのとおりでございますか、お答えをいただきたい。
  79. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いわゆる特別措置法に基づきまして強制的な使用権の設定をいたそうと思う場合におきましては、ただいま御指摘のように、土地の範囲なりあるいは面積等について画定をする必要があろうかと思います。
  80. 中谷鉄也

    中谷委員 外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  従来、沖繩の基地は住民は一歩も入ることができない地区にされておった。かつて山であったところ、谷であったところ、全く原形をとどめていない。土地の地点と区域と面積の画定については、外務大臣従来の御答弁のとおり、極力地主の承諾を求めることをこい願っている。そうして個々に契約をしていく。したがって契約に応ずるか応じないかはともかくとして、いずれにいたしましてもそれらの土地の地点と区域と面積の画定については、地主は提供はする、しかし面積について争いがある場合には当然基地内における立ち会いを必要といたしますね。この点については一体日米間どのような合意に相なっておるでしょうか。また合意をされる予定でしょうか。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 二月十六日に沖繩特別委員会で中谷委員から非常に詳しく御質問があり、私からも詳細に答弁申し上げましたが、そのとおりでございます。
  82. 中谷鉄也

    中谷委員 私がお尋ねしていることはそういうことではございません。何もあの日には私はそういうことはお尋ねをいたしません。要するに地主四万。たとえば、大臣見ていただきたい。これがこのAという地主の土地だとする。そうすると関係者だけでも甲、乙、丙、丁、最も単純な場合でも五人ございますね。四万地主、それに五人をかければ二十万、これらの人についての基地内での立ち入りというものは当然認めることに相なるわけでございますね。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まあ時間の関係もございますから簡潔に申し上げる意味で先ほどお答えしたわけですが、日米で合意して提供する施設、区域については、これは日本政府が、民有地であります場合には地主さん方と御相談で御納得を得て、そうして提供するということになりますから、その前提としていまお述べになりましたような手続をとられる、これは当然だと思います。そうして誠意を尽くして話し合いを行なってまいりますが、この前中谷さんが、どうしても話がつかぬ場合どうなるか、どうしてもつかぬ場合はそのときに備えるような何らかの措置を考えておかなければなりますまい、こういうわけでございます。
  84. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないんです。提供を任意にする、しないにかかわらず土地の画定というものは現在沖繩ではなされていない。すべての帳簿は散逸をしている。原形はかつての原状をとどめておらない。個々の契約をするということは政府の方針。だとするとこれらの地主はまず自分の土地の面積が幾らあるのか、こういう問題について立ち会いをすることは当然。立ち会いを求めた場合に、基地内への立ち入りということは当然許されるのですね。しかもそれは四万地主ですから、私の試算によればおそらく二十万の地主、これは立ち入りをしなければなりません。立ち入りができるのかできないのか。立ち入りをさすということは土地収用法上の前提であります。そのことについて私は成田を想起しながらお尋ねをしている。成田はたいへんな問題があるけれども、地主の数わずか八百人、沖繩は四万、立ち会いについて認められるわけなんでございますね。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 関係の地主さんとの御納得のいくようなやり方で円満に事を運んでいかなければならないということを申し上げておるのであって、その内容、方法等については、これからそれぞれの担当の方々によって十分なくふうがこらされることと思います。
  86. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないんです。重ねてお尋ねをいたします。百五十一坪というふうに政府は言う。地主のほうは百五十二坪だと言う。わずか一坪の違いがあった。提供はしましょう。しかし自分の面積というのは、土地というのはどの地点なんですか、北から一体何度の方向へ何メートルなんですか、そして同じく南から何度の方向へ何メートルなんですかということで、土地というものは画定されなければなりません。そういう問題について立ち入りをして、立ち会いが許されるのか許されないのか。立ち会いをしない以上提供ということはあり得ない。この点について、立ち会いを求めた場合はじゃ一体どうなるのですかという、ストレートに私はお尋ねをしている。納得がいくということじゃないのです。それは当然のことなのです。土地収用の前提だというのです。その点についてひとつ端的にお答えいただきたい。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 問題としては、イエスとかノーとかお答えすることのできる場合もございますけれども、この場合においては、何といっても民有地であります場合には地主さんとの間の話し合いが円滑にいくということでなければならないと思いますから、その方法論その他においては中谷さんも非常にお詳しいわけですから、法律的にいえば現在はまだアメリカの施政権下にある、現在は日本の本土の法制は通用しない、こういう複雑な状態下において、平和的な話し合いで沖繩全体の施政権が、本土並みに某月某日を期して返るということのためには、その目的が円滑に達成できるように、あらゆる知恵と、そしてそれに基づく関係者の御協力ということが、前向きにその目的に沿うようにされなければならない、私はそう言っているのでありまして、お尋ねになっておるような点も含めて、これは最善の努力をすべきものであると考えます。
  88. 中谷鉄也

    中谷委員 沖繩が返還前にというふうなことをお尋ねしているのではないのです。土地収用法の適用を受ける、特別措置法の適用を受けたという段階、その関係について、日米間においてどのようになるのか。地主の立ち会いがなければ区域、面積の画定はできない。立ち入りはできるのですね、立ち会いはできるのですね。そういうことをお尋ねしているのです。返還前の話はあらためてお尋ねをいたします。立ち会い、立ち入り、それができるのかできないのか。できなければ収用の対象にはなり得ない。その点だけをお答えいただきたい。
  89. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 完全に本土並みになって本土の中と同様な状況になりますれば、特別措置法ですか、それに基づくいろいろの措置というものは、その法律できめられている条件が具備されなければならない、これはもう当然のことであろうと思います。
  90. 中谷鉄也

    中谷委員 はたして、特別措置法という、きわめてわれわれにとっては不満な法律ではありまするけれども、その法律は何ら変更しないと言っておられる。  施設庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、施行規則、そうして施行規則に基づくところの様式第一号、これによりますると、区域と面積についての確定を必要としておりますね。これらについては当然立ち会いが前提となると思いまするけれども、実務上の問題としてお答えをいただきたい。
  91. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩の場合におきましては、昭和二十六年でございましたか、所有権の確認の行為が行なわれておりまして、その秩序と申しますか、それが約二十年間今日まで継続いたしておるわけでございます。大部分の者がそういうことで所有権の確認をいたしておりまして、ごくわずかの者が収用という形で提供している、こういう形になっておるわけでございまして……
  92. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないのです。所有権の確認が前提になるのです。所有権は確認されているのです。面積については施行令、施行規則どおりおやりになりますねと聞いているのです。
  93. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 地主との間に合意が成立いたしますれば、従来の所有権確認行為に基づくそういう諸資料に基づきまして使用権を設定する、こういうことになろうかと思います。
  94. 中谷鉄也

    中谷委員 沖繩担当大臣山中さんにお尋ねをいたします。  Aという沖繩住民の地主が嘉手納の飛行場で自分の土地を収用されているという場合、自分の土地が嘉手納飛行場の自分の村から見て、基地外から見て、どこの区域にあるというようなことを言える村民というものは、四万地主のうち一体何人おるでしょうか、黙認耕作地を除いて。この点について一言簡単にお答えいただきたい。——感じをお尋ねしているのです。黙認耕作地というのは、とにかく住民は中へ入っていますね。住民が全然入れない海兵隊の区域だとか、ゲリラ訓練所だとか、嘉手納飛行場だとか、そういうものについて収用された地主が、自分の土地はあの飛行場のどの部分だというふうなことが確認できる可能性はありますかという質問なんです。
  95. 山中貞則

    山中国務大臣 これは非常に困難であると思います。ことに嘉手納の場合においては、旧嘉手納村の八割が軍用地に取られて、残りの二割の土地に押し込められて、海岸にびっしりかたまって生活しておられるわけですから、その比率からいっても、村民の八割はその軍事基地に自分たちの財産を提供しておるということになると思いますが、その確認の手段は全くといっていいほどないのではないかと私は思っております。
  96. 中谷鉄也

    中谷委員 防衛庁長官にお尋ねをいたします。  要するに確認の方法は、基地に入って、立ち入りをしない限り、自分の土地の画定はできないはずです。憲法二十九条の立場からいって、任意に提供するといったって、自分の土地の地点、区域、面積、それについて争いのある場合というのは、四万地主のうちほとんど大部分だと私は思う。境界の争いだってあります。一番単純なものだって、一つの土地について五人が関係してくる。これらについては全部憲法二十九条で、あなたの土地は、地主は百五十一坪だといっているけれども、おまえの土地は百五十坪だとみなすのだというふうなことは、絶対にあり得ないでございましょうね。
  97. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは防衛庁の私が答える筋のものかどうか、私、疑問に思いますが……。  いままですでに使用料を払っておるところでもあります。使用料を払う以上は、何坪とか何平方メートルと一応きめられて払っているのだろうと思います。ですから、一応それが基準になって確認して支払いを進め、あるいは接収を進めるということになると思います。しかし、その中にまた係争の問題が起こるかもしれません。そういう問題については、ケース・バイ・ケースによって、いままでの既存の法令を生かしながらこれを解決していくという非常に大きな努力が必要であると思っております。
  98. 中谷鉄也

    中谷委員 各大臣とも、何人も、四万地主、関係者を入れれば二十万、これが一体基地に入れるのかという私の全くストレートな質問について、明確にお答えにならない。そうでございますね、お答えにならない。しかし、個々の契約をするのだとおっしゃったことは政府の統一見解。すでに明らか。防衛庁長官のおっしゃるように、契約をしているからといって、個々の契約の場合には、これは完全に土地の面積についてのいろいろな問題は出ます。特別措置法によれば、その地点がどこかということが一分一秒の違いないように画定されなければならない。そうでございますね。そういうことはおやりになるわけですね。特別措置法が……。
  99. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は必ずしもはいれないと言っているのじゃありません。内地の法令というものを原則として、そしてこれを適用するように努力するのはあたりまえのことであります。しかし、その実態がどういうふうになっているか、これはそういうケースが起きてみないと、その対応策というのは出てこないわけです。ですから、返還協定調印後、その実態をよく見きわめて、その実態を前にして、どういう解決方法を講じたらいいか、その方針は場合によっては米軍に交渉して内地の法令を適用させるようにやるということもありましょうし、あるいは地元の皆さん方の御了解を求めるという便法を講ずることもありましょうし、それは要するにそのときの実態に応じて対策が講ぜられていくべきである。しかし原則としてもちろんこれは内地の法令が適用されるということは、私は当然のことであろうと思います。
  100. 中谷鉄也

    中谷委員 外務大臣にお伺いするよりも防衛庁長官にお伺いしたほうが、答えのはね返り方が私は響きがいいと思うので、ではお尋ねいたしますけれども、そうすると、それは従来から本国会で問題になった心理部隊だとかゲリラ訓練所だとか、あるいは知花の弾薬庫だとか、その他等々、そういうふうな、本来安保の目的に沿わないのじゃないかと思われているような基地についても、四万地主、おそらく地点の画定のためには立ち会い人二十万が私は要ると思う。これの立ち会いというものは認められるという方針で特別措置法が適用される、施行令、規則は絶対に変更ないのだと先ほど政府答弁された。そういうふうに理解してよろしいのですね。
  101. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは、いまも申し上げましたように、実態に応じて、ともかく返還協定調印後施設庁なりあるいは開発庁からちゃんと責任者が出て、その実態をよく見きわめるわけでありますから、どの地点がどういう実態になっているか、それは米軍側の情勢も聞き、あるいは地元の皆さんの御意見も承り、事態を洗い出してみて、そうしてその洗い出した事態によってケース・バイ・ケースで最善の策を講ずる、そういうことだと私は思っております。
  102. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、じゃ次にお尋ねをいたしまするけれども、再契約に応じたものはいい、再契約に応じないものについて、当然引き続き使用ということになってまいりますると、これは従来総理が言っている、また外務大臣がちらっと示唆された特別措置のことだろうと私は思う。これについては、もう当然行政不服審査法による申し立て、さらにまた行政訴訟、さらに土地の特別措置法に対する行政不服審査の申し立て、さらに行政訴訟というものが起こってくる。司法権は米軍基地にどの程度及びますか。条約局長にお答えいただきたい。
  103. 井川克一

    ○井川政府委員 申しわけありませんけれども、中谷先生、ただいま土地収用のことをお話しになっているわけでございますか。それで司法権といいますか、刑事、民事全部でございますか。
  104. 中谷鉄也

    中谷委員 土地の話をしているんですよ。引き続き使用するという場合についても裁判所の対象になりますね。その場合、一体司法権は基地にどの程度及びますかと聞いているのです。
  105. 井川克一

    ○井川政府委員 申しわけありませんが、ほんとうにまだ私、御質問の趣旨が理解できませんけれども、かりにそのような土地を収用しました、その収用したことが争いの対象になりまして、行政処分の効力を争われるということになりますると、日本国政府と地主との間のその問題は、当然日本国の裁判権の対象となります。
  106. 中谷鉄也

    中谷委員 裁判権の対象になることはあたりまえなんですよ。裁判権の対象になった場合に、では無条件に司法権は及ぶんですね。
  107. 井川克一

    ○井川政府委員 ほんとうに申しわけない、私の不勉強だと思いますけれども、司法権が及ぶというおことばが、そのときに、そういう場合に具体的事件がございまして、その行政処分が争われた、これについて司法権が当然判断をするということは、いま申し上げましたように、当然のことでございます。これは、いま土地の問題に限りますが……。
  108. 中谷鉄也

    中谷委員 民事訴訟法がまず適用されますね。民事訴訟法の規定は、全部間違いなしに基地に及びますか、条約局長。——じゃ私のほうから言います。昭和二十七年七月、日米合同委員会において合意された事項、安保特別委員会提出民事裁判管轄権に関する事項、訴訟手続上の協力の方法手続について、この地位協定の合意書というものがあるということを聞いたんです。そうなのかと聞いているのですよ。——冗談じゃないですよ、条約局長。そこで外務大臣にお尋ねをいたします。要するに民事訴訟手続上の協力の方法手続についてという、こういう合意書は、すでに昭和二十七年にできております。土地の地点、区域、面積等を画定するための合意手続というものは、現在日米間にありますか、ありませんか。ないとすれば、将来おつくりになる意思がありますか。
  109. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 突然のお尋ねですから、正確なお答えはできませんが、私の記憶では、いま中谷さんがおっしゃるようなこまかいものは、協議されて議事録に残っているというようなものはないと思います。  将来いかにするかというお尋ねに対しては、時宜によって、必要があれば両国で相談をして議事録にとどめるということも考えられると思いますけれども、現在さような考えは持っておりません。
  110. 中谷鉄也

    中谷委員 私の本日の質問というのは、国と国との約束、すなわち条約、私の質問のスタンドポイントというのは、あくまでも県民と政府、国民と政府、そういう観点に立って質問いたしております。私は、先ほどの土地の特別措置法と、そうしてその施行令、規則、これは何らの変更なしに適用されるということは——私はあえて、こういうことは失言になるかもしれない、食言になるかもしれない。しかし私はあえて言いたい。成田さえもあれだけの問題が起こっている。四万地主。土地の特別措置法というものが何らの変更なしにということは、外務大臣答弁されました。防衛庁長官もそれをお認めになった。二十万地主が立ち会いを求めるということは、私は必定だと思う。重ねて私は、七一年、七二年を見通して、土地問題というものが重大な問題として浮かび上がってくるという前提でお尋ねしておきたいと思いまするけれども、土地の特別措置法、その施行令、規則は何ら変更されませんね。重ねてこの点については確認をとっておきたい。外務大臣にお答えをいただきたい。
  111. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 返還に際しては、一切の法令等が本土並みであることは、申すまでもないところでございます。同時に、これは沖特でお答えしたと思いますけれども、沖繩県民の方々のために特別になるようなことについて、本土と違う立法が必要だということもあり得ましょうし、かねがね政府として申し上げておりますように、復帰に伴っては、これは総務長官の守備範囲でございますけれども、あるいは七百件とかあるいは六百件といわれるような立法措置も、やはりこの返還に際しては必要なんでありますから、そういうところもあわせて御勘考いただきたいと思います。  それから私は、冒頭に近くお答えしたとおりでございまして、この返還に際して提供すべき施設、区域については、いま私どもといたしましても、安保の目的に沿うようなものの提供にとどめるといいますか、そういうことにしたい。また一方におきましては、沖繩県民の方々に役に立つことが顕著であるようなものについては、提供からはずしたいという基本線でいま折衝に入っているところでございますが、そういうところも、県民の方々にも十分御理解をいただいて——この契約関係等につきましては、法律論といたしましては、詳細にわたって御議論が展開されております。私もよくわかります。同時に、こういう大事業に際しましては、私は、大所高所からの御協力もぜひお願いいたしたい、こういうことをお願いいたしたいと思います。
  112. 中谷鉄也

    中谷委員 私は、きょうの質問は、那覇空港の次には那覇軍港がいつ返るのですか。那覇市のうちの三分の一の軍事基地はおそらく参議院選前に返ってくるのだろうというような見通しがある、そんなふうな政府の手の平の上に乗るような質問はしたくない。そこで私がお尋ねいたしたいのは、先ほどの大臣の御答弁は、暫定措置とか経過措置の話を聞いているのじゃないのです。重ねてお尋ねいたしますよ。安保条約、地位協定、その取りきめ、それに伴う国内法は何ら変更することがないとおっしゃった。先ほどの答弁と違うじゃないですか。そのことについては、もしその法令についての施行令、規則というものが変更されるとなれば、本土並みじゃないじゃありませんか。いかがですか。
  113. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 日米の関係におきましては安保条約、交換公文、関連取りきめ、了解事項、すべて本土と何らの変更なしに適用されるということはしばしば申し上げているとおり、これに狂いはございません。
  114. 中谷鉄也

    中谷委員 私は大臣のほうからおっしゃった十六日の沖特、それからきょうの私の質問の導入部分としての前提としての最初の質問、地位協定の取りきめとその国内法は何らの変更なしに適用されるのですねとお尋ねをした、そのとおりですとお答えになった答弁といまの答弁と、そうすると先ほどの答弁は違うのですか。もし違うとすれば本土並みじゃないじゃないですか。
  115. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いま正確に申しましたように、日米間の関係におきまして、沖繩返還については本土並みでございまして、何らの変更もございません、日米間の取りきめについては。これはもう全然疑う余地のないところでありますこと、本土並みでございます。しかし先ほど申しましたように、返還に伴っては幾多の国内としての立法事項も必要であるということはお認めになっていらっしゃるわけですね。そうしてそういう法律関係において全部本土並みで、何らの特別立法もないというのでなければ本土並みでない、こういう御主張ならば、それは違いますという趣旨を言っているのであって、国内的な関係におきましては、返還に伴って幾多の立法ができるわけでございます。
  116. 中谷鉄也

    中谷委員 このことにばかり時間をとりますけれども、これは私は一つの最大の問題だと思うのでお尋ねをします。あなたのほうは、政府は、引き続き使用するための特別立法というものを考えている。これについてはわれわれも重大な関心を寄せている。このことをきょうは論議しようとするのじゃない。あなたには私は二回聞いたんですよ。地位協定、その取りきめ、それに伴う国内法は何らの変更なしに適用されるのですね。六百件、七百件というその他の法律、これらの問題については経過措置その他いろいろなものがあるでしょう。しかし地位協定その他の取りきめ及びそれに伴うところの国内法、すなわち最大の焦点たる土地の特別措置法というのは、われわれの立場から見てきわめて不満な法律だけれども、これは一体どうなのかと聞いたら、あなたは沖特でも、そのとおりですと答えられた。本日も最初の質問にそのとおりだと答えられた。そのとおりだと答えられたら、私はもうその答弁でけっこうなんです。絶対土地収用なんてできませんよ。しかしあなたのほうは、だから食言だったのだ、間違いだったのだと——正確な答弁だなんていって、二回聞いたことについていまになって変更されることは私は納得できない。
  117. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それですから、一番最初に二月十六日、衆議院沖繩特別委員会における中谷委員の御質疑が非常に長いのですが、私も非常に長く答弁申し上げておりますが、全体のこのコンテクストの中で私の申し上げておりますことと、ただいま申し上げておりますことと何ら違いございません。日米間の取りきめについては何らの変更はございませんよ。本土並みでございますよ。しかし沖繩の返還に伴って幾多の立法事項が要るということが一つ、これはお認めになっているとおり、それから提供すべき施設区域についての、民有地である場合の地主さんと日本政府との関係におきましては、私の姿勢といたしましては、円満な話し合いでこれは解決していただきたいのだ、あくまでこれを目標にし、理想として私は努力いたしたいと思います。これで終始しておるのですが、しかしそんならできませんよと中谷さんがおっしゃってくださるから、そういうどうしてもできぬような場合には特別の措置が必要でございましょう。これは二月十六日に、ちゃんと持っておりますが、正確にそのとおりにお答えいたしております。
  118. 中谷鉄也

    中谷委員 その話、じゃ会議録をもう一度お読みいただいたらけっこうです。引き続きの話をしている。外務大臣のこれは守備範囲じゃないかもしれないけれども、面積、区域、地点を画定しないで、おまえの土地は大体千坪ぐらいだろうなんといって取り上げるなんということは憲法で許されますか。常識として私は大臣に聞きたい。
  119. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 中谷さんも言ってくださるように、私の守備範囲でございませんから、私からはお答えを差し控えます。
  120. 中谷鉄也

    中谷委員 私は委員長にひとつ……。この問題について二回私は大臣と——きょうはこの委員会で冒頭にお尋ねをした。地位協定の取りきめに基づくところの国内法というのは特別措置法だ、これは適用されるのですね、変更なしにねと言ったら、大臣、そのとおりだとおっしゃった。それを引き続き使用するということは、おそらく返還協定をつくるのでしょう。その特別立法とすりかえて答弁をされる。私は許せない。特別措置法さえも、じゃ変更しようとされるのですか。現にある特別措置法は変更しないというふうにあなた答弁してこられた。その点いかがなんですか。
  121. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは何べん申し上げても同じことなんですが、(中谷委員「そうじゃない」と呼ぶ)いいえそうなんです。そういうふうにお聞き取りになったり、あるいはそういうふうな言い方があったりしたら、それはただいま正確にいたします。何べん申し上げても、要するに日米間の取りきめ、協定、それに関連する両国間の了解事項という、この体系のものについては何らの変更はございません。そのままぴしゃりと沖繩に適用されるのです。これは本土並みなんです。しかしその沖繩の返還に際して幾多の法律ができるということも、またつくらなければいかぬということも事実あるわけですね。  それからもう一つの問題は、要するに平たく言って、地主さんと日本政府との関係については、これは話し合いで円満に解決していただきたいということが趣旨で、そのためにあらゆる努力を続けていくべきである。しかしどうしてもそれができないようなときには特別の措置というものが必要でございましょうというのが、これが政府の、私の必ずしも守備範囲でございませんけれども、担当の省庁を含めてのいわば政府の統一の考え方でございます。政府の統一の解釈でございます。
  122. 中谷鉄也

    中谷委員 重ねて、じゃ私のほうから主張として申し上げておきたいと思う。暫定措置などというところの特別立法をつくることについても問題がある。しかも地点が画定できないからといって基地の中に立ち入りすることは当然、立ち会いをすることは当然、だからといって、その問題についてさえも沖繩県民の土地について収用しようというようなことは、県民の、四万地主のみならず、沖繩百万の県民の権利を奪うもの、同時にそれは憲法の秩序を乱すもの、まさにそんなものは本土並みなんということは絶対に言えない。この点だけは私は明確に申し上げておきたい。  次の質問に移りたいと思いますけれども、請求権の問題です。請求権は断じて放棄すべきでないという強力な主張があります。請求権があるという前提の前には、請求権の金額がまず明定されねばならない。政府は従来から請求権については、その実態の調査につとめているということを言っておられる。返還交渉締結までに請求権十項目の件数、金額、これらについては国会において明らかにされることが当然だと思いまするけれども、外務大臣いかがでしょうか。
  123. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 返還協定の締結にあたりまして、対米関係におきましては、これは本質的に一番交渉の中の主要な点でございますから、これは明らかにいたしたい。またしなければならぬ問題だと考えます。
  124. 中谷鉄也

    中谷委員 しからば十項目について現在どの程度のものがわかっているのか、それについてひとつお答えをいただきたいと思います。十項目について、件数そうして金額、どの程度のものが現在判明をしておるか、政府委員からお答弁をいただきたい。
  125. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私としては、中谷さん御承知のとおりと思いますけれども、なるべく詳細に現在の過程を御説明したい、こう思いまして、私が自分で琉政、それから立法院、それから地主会、その他公私の団体等から出ましたいわゆる請求の問題を、全部ひとつ大きく分けてみればどういうことになるかと思いまして、私の手元でやりましたいわば非公式の私の分け方でございます。そのくらいでございますから、これが政府全体の公式の見解として、十項目に分けて、そのそれぞれが幾ら幾らになって、この性格はどういうふうになっているというところまではまだ御説明できる段階になっていない。これは、いままで御説明した経緯をそのまま振り返ってごらんになりますとおわかりいただけることかと思います。
  126. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねをいたします。  いずれにしても返還交渉による協定締結までには——よろしゅうございますか、締結までには、請求権を放棄するなんてなことは、非常におかしなことだという前提で私は質問いたしております。そうすると、返還交渉による返還協定締結までには、外務省で分類された十項目の件数、金額、これらについては国会で明らかにされるわけですね。そうでなければ、放棄ということはあり得ない。これだけの金額と件数があるということになります。その点について明確にお答えいただきたい。
  127. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 明確にお答えいたしますと、ただいま申しましたように、琉政から出てきて取りまとめられておるものもございますし、その他公私の団体から出ているものもございますから、いわば要求額というふうな資料としてはごらんに入れることもできようかと思いますけれども、その評価あるいは実態というもの、あるいは時間的な要素というものを入れてみますと、実にこれ千差万別でございますから、そういう点も十分お含みの上でごらんをいただきたいと思うのです、出ます場合も。  それから、先ほど申しましたことでまた恐縮ですけれども、日米間においてどういう姿でこの種の問題が解決されることになるとかいうことについては、これは協定ができますそのときに明らかにされなければならないことでございますけれども、それ以外のものも実はあるわけですね。そういう点については、必ずしもその処理がその時点では明らかにならないかもしれないと思いますが、それらの点は前々から申し上げておりますように、いずれお願いをいたしますいわゆる批准国会で詳細に御審議が願えるようにいたさなければならないということで、関係省庁等にお願いをして十分ただいま準備を進めつつあるところでございます。
  128. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣は、請求権の問題については実態の調査につとめているとおっしゃった。返還交渉締結までに、その実態について十項目の分類をされたんだから、件数と金額はそれまでに国会において明らかにすべきではないか、すべきであるのは当然だ、できますねと聞いているのです。端的にひとつお答えをいただきたい。
  129. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、端的にイエス、ノーとお答えできないような種類の問題でございますから、詳しくお答えをしているわけでございます。つまり、請求の問題は、これは私がかってに十項目ばかりに分類してみましたけれども、これは対米請求権として十項目に分類しているわけではないのでございます。したがいまして、日米間において処理を要する、また処理せられるべき問題については、もちろん日米間の協定の中でこれは明らかにさるべきことでございますけれども、そのほかの処理方法になるようなものについては、必ずしもそのときまでに明らかにならないことがある、こういう事柄でございますから、そのまま御説明申し上げているわけであります。
  130. 中谷鉄也

    中谷委員 私は、だから意見だけ申し上げておきます。  請求権の放棄ということだけについてもうすでに頭にあるのではないか、こういう点についての危惧を持ちます。要するに実態についての調査をするというけれども、その調査については何ら努力をしておられない。少なくとも現在の時点において、これだけのものが判明してきているということについてお答えができないというようなことは、沖繩県民の願いというものを裏切るもはなはだしいものだと、こういうふうに私は言わざるを得ないと思います。  私は、次の質問に移りたいと思いまするけれども、通産大臣たいへんお待たせをいたしましたけれども、通産大臣に私はお尋ねをいたしたい。次のような質問であります。  外資の取扱いの問題について。ガルフだけに私はしぼってお尋ねをいたしたい。石油のですね。これは私は明らかにかけ込み的なものだというふうに思います。そこで、要するに施設が完成すれば、たしか私の調査によれば二十万バーレルまでいく、こういうふうな問題について、出資比率を五〇以下に押えるというようなことではなしに、少なくとも三〇ないし四〇というような点で押えるべきだ。そうでなければ日本の過当競争の石油業界に対して非常な悪い影響を与えると私は思う。これらの点について通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは前もって日本では一〇〇%のものは許さないぞということと、新しく元売りは設けさせないぞということをいってありまして、すなわち一緒になりましたら、われわれの石油政策に従うということと、日本の内地の精製、流通に大きな影響を与えさせないということをいってございまして、先方も一応原則はそれとして承知をしておるわけでございますから、何かそれらの範囲内であまりごたごたしませんように行政的に処置ができるであろう、こう思っております。
  132. 中谷鉄也

    中谷委員 次に私は運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  同じく外資の取り扱いの問題でありまするけれども、ノースの問題については、これも国際法上の、まずとにかく条約上の原則がある。この問題については、だからもはや返還交渉の中で問題になるというようなことは私はあり得ないと思うのです。これは確認をしておきたいと思うのです。一点ですね。ただトランスワールド航空の問題についてでありまするけれども、いずれにいたしましても現在沖繩は航空協定上の日本国外の地点であるという前提を運輸省としては当然お持ちになっておられる。そういう前提の中で、航空協定上の日本国内の地点としての取りきめがない限りは、そういう地位を取得しない限りは、トランスワールドの問題というのは、これはもう返還後の沖繩、すなわち日本に入ってくるということは当然あり得ないことだと私は思う。そこで、この問題はむしろ日本の航空権益を守るという立場から日米航空協定交渉の中で行なわるべき問題ではないでしょうかというのが私の質問であります。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  133. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいまの御質問は、原則として航空協定の中で取り扱われる問題であり、かつまた従来の国際慣習から見まして、そのような点につきましては、もしギブ・アンド・テークという問題が別個にありますれば、これは別問題でございまするが、ただ問題は、沖繩返還協定に関連いたしますので、外務省等がどういう考え方でこれを扱っているかどうか、私どもとしては、まだ詳しく事態を了承をいたしておらないわけでございます。
  134. 中谷鉄也

    中谷委員 かなり時間が経過をしたようでありますので、私は、外務大臣に、沖繩返還交渉のその姿勢というふうなものについてお尋ねをしたいと思うのであります。  軍用地の問題を一つとりましても、あらゆる問題について、大臣は常に、不要不急の軍用地は返還を求めるんだ、民生の安定、そうして経済の発展、これらの問題について十分配慮をするんだ、こういうふうに言っておられる。これはもうとにかく何べんも、耳にたこができるくらい聞きました。しかし、先ほどの請求権の問題一つとりましても、請求権の実態調査なんてことについて、外務省は実際どれだけ調査しておられるのか、私ははなはだ疑問を感ぜざるを得ないわけなんです。  そこで、私は、これらの問題は、沖繩担当大臣山中さんが非常に努力していることは野党としても非常に評価したいと思う。しかし、その沖繩の経済、民生、社会保障、農業、中小企業、あらゆる問題というものは、一体外務省はどの程度御存じなのか。そんなことを知って返還交渉に臨んでおられるのか。この点、私はきわめて遺憾であります。  私は、こういうところで別にあげ足をとりたくもないし、あるいはまた、こういう問題について変な質問はしたくないけれども、外務大臣のおられる前で、私は外務省の政府委員にお尋ねをいたしたい。私は、こんなことを外務省の政府委員はおそらく御存じないだろうと思う。  お尋ねをいたしまするけれども、こんなことは常識ですね、たとえば沖繩のサトウキビというのは沖繩の全面積のどれだけを占めておるか、知っておったら手をあげていただきたい。条約局長、知っておったら手をあげていただきたい。御存じないでしょう。外務省の政府委員全部、知っておられたら手をあげていただきたい。パイナップルのかん詰めは、一年間に本土へどのくらい輸出されているか、こういうことを、外務省の政府委員のおられる中で、知っておられたら手をあげていただきたい。それから、一体沖繩県民の農家の一戸当たりの耕地面積はどれだけか、こんなことを知っておる人があったら手をあげていただきたい。私は、そういうことを言いたくはないけれども、全部、沖繩の小学生と中学生の持っておるところの副読本の中にそのことが書いてある。要するに返還交渉を経済の発展、民生の安定ということの観点においてやるんだというけれども、どなたも、そういう問題については御存じないでしょう。私は、邦家のために、そういうふうな状態をきわめて残念に思うわけであります。  私は、沖繩担当大臣にお尋ねいたしたいと思いますけれども、担当大臣が、沖繩の民生の安定、経済の発展ということに日夜努力している、そういうことが一体どの程度返還交渉の中に生かされているのですか。一体、民生の安定とか経済の発展ということがどこかへ飛んでしまって、その中で返還交渉が行なわれているんじゃないですか。私は、山中さんの率直な御答弁をいただきたい。簡単に、ひとつ一分程度で答えていただきたい。
  135. 山中貞則

    山中国務大臣 私のほうは、沖繩、なかんずく本島、なかんずく中南部における基地の占める面積その他の比重から考えて、やはり那覇市内の、たとえば、例をとるならば、都市計画上絶対に欠くべからざる上ノ屋住宅街あるいは現在の那覇軍港あるいは与儀タンク、そういうようなもの等について、外務省に、今後の経済開発のためにぜひ必要な土地だから、軍用地であってもすみやかに返還してもらうように交渉してほしいというお願いをしておる次第でございまして、全面的にあちこち一々例をあげる必要はないと思いますが、私の姿勢はそういうことでお願いをいたしております。
  136. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで私は、官房長官、ずいぶんお待たせいたしましたけれども、お尋ねをいたしたいのです。  返還交渉というものが、たとえば外務省、防衛庁のルートで返還交渉というものが行なわれている。沖繩の経済、それから民生の安定、こんな問題が外務省の政府委員の諸君のかばんの中に入っていないというふうなことでは、お話にもなんにもなりません。これらの問題について私は非常に不満なんです。この問題について、沖繩担当大臣は、かつて沖繩の特別委員会において、自分はとにかく外務省にどんどんいろいろなことを言うけれども、自分は、どういうふうに返還交渉が行なわれているか、全くつんぼさじきだということを言われたことを、私は非常に残念にも思うし、印象深く聞いた。こんな問題について、一体どういうふうに返還交渉を政府としておやりになるのか。抽象的じゃなしに、どういう機構をもってやるのか、その点が一点と、いま一つは、何といっても重大な問題であります、この問題について、私は、返還協定の締結前に、かつて安保のときに、藤山外務大臣がやったような中間報告内閣としてされるべきだ、こういうふうに考えまするけれども、官房長官の御所見を承りたい。
  137. 保利茂

    ○保利国務大臣 お尋ねでございますが、御承知のように、佐藤総理大臣も、日本民族としての信念と情熱を傾けてこの沖繩返還に取り組んでおります。それは内閣全体の姿勢でございます。したがって、それぞれ外務大臣、総務長官、その他関係の各大臣、総理大臣のその気持ちを体して、何とか沖繩を、いわれるところの核抜き本土並み、そのままの形でとにかく一日も早く返遺をしなければならぬ。いまいろいろ、あのかばんには何が入っておらぬとか、こういう話もございますけれども、私はそう信じません。どの方も沖繩については各省とも真剣に、沖繩には沖繩の事務所もございますし、それぞれの資料を集めて——いま折衝されておることは非常に困難だろうと思うのです。しかし、その点はひとつ御信頼をいただいて、ばらばらで何も連絡なしにやっておるというようなことでは、私は、政府内部の事情は絶対にそうではございませんから、その点は御安心をいただいて、足らざるところは御鞭撻をいただく、しかし、一生懸命でやっておりますことだけはひとつ御信頼をいただきたい。
  138. 中谷鉄也

    中谷委員 中間報告の点は……。
  139. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはなかなかいろいろむずかしい問題もございましょうが、当該大臣、外務大臣が、沖繩返還、条約ですか協定でございますか、これが国会に御審議をいただくような段階には当然御審議をいただくわけでございましょうが、中間的な御報告がどの程度にできるものか、これは私からちょっとお答えできる筋のものではなかろう、当該大臣がお考えになることであろうと思います。
  140. 中谷鉄也

    中谷委員 大蔵大臣には、資産承継——買い取りから承継に変わってまいりましたが、この問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  県民に有益なものはとにかく承継をしていくという考え方です。そこで、考え方としてお答えをいただきたいと思うのでありまするけれども、琉球の水道公社、それから電力公社、これは地位協定によりまして返還後優先的に米軍に水道と電力を提供しなければならないものでございますね。そういうことに地位協定には相なっておりますね。そのことは、とにかく承継金額を下げる事由に私は当然相なろうかと思うのであります。同時に、基地外軍用道路についても、あの軍用道路の下というのは、とにかく何本もパイプが通っております、油送管その他。これも地位協定に基づいてとにかくそういうようなものを提供する。これもまさに米軍に有益なものとして、承継する場合に、当然それは資産承継金額から大幅に引かるべきものだ、こういうふうに私は考えるわけなんですが、この点についての考え方をひとつ承りたい。
  141. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 まだそこの、金額をどうするかというところまで話がいっていないのです。話がいっておりませんで、話は、承継する対象をどんなふうにするかという程度の段階であります。もちろん先般来私申し上げているのですが、この承継、これはあくまでも承継であって、買い取りではない。しかし承継に当たりまして、アメリカ政府が置いていく資産、これは日本のために有効なものが多々あるわけです。これをただでいただくというのもいかがか、こういうふうに存じまして、何がしかの支払いをいたしたい、そのいたす見当を一体どういうふうにつけるかという意味合いにおいて、そういう有益なる資産がどのくらいになるんだろうかという検算というか計算をしてみたい、こういうふうに考えておるのですが、まだそこまでの段階にならない、きょうはまだお答えいたしがたいのであります。
  142. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで私は、きょうは、おそらく問題になるであろう七一年から七二年にかけての軍用地の問題を中心にお尋ねをいたしました。率直に申し上げますけれども、本土並みでないということを、私は、特別措置法の問題の中で、沖繩県民の中でも非常な衝撃をもって迎えるだろうと思う。この点だけは明確に申し上げておきます。  たいへん恐縮ですが、私は官房長官にお残りをいただいて、次に国鉄の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  国鉄の再建問題についての方針、あり方などということを私はきょうは総裁にお尋ねをするために来ていただいたわけではございません。しかし率直に申しまして、国鉄の赤字をどうするかという問題は、これは全く国民の悲願であります。これはもうたいへんな願いだと思う。そういうふうな問題は、結局要は人の問題が私はかぎだと思う。国鉄総裁として非常に大きな、独占大企業の経営者として、官僚的な姿勢というようなもので国鉄の経営あるいは再建というようなことはとうてい私はなし得ないと思うのです。要するに総裁というものが全職員の信望を集めなければならぬと思う。  そこでお尋ねをいたしたいと思うのです。前提としての精神訓話的な方針や心がまえをお尋ねするのではない。昭和四十五年の五月十五日、国鉄本社の監察局の課長補佐の菅沼徳造、当時四十二歳が総武線汚職にからんで警視庁に逮捕されましたね。現在公判中であり、まことに意外にも休職中であります。その事実がある。しかも事件はどういうふうな事件かということは、すでに総裁御存じのとおり、世間周知のとおり、文精社という印刷屋が国鉄第一工事局、本社監察局に出入りしておった、そういう関係をたどって発展をしてきた。しかもこの本人菅沼というのは汚職の監察官であった。そういうふうなことで、私の調査によれば、国鉄の中では全くゲー・ペー・ウーのようにこわがられておった人、その人がそういうことをやった。結局検察的な役割りを、監察をしておる人間がそういうことをやった。そうなるとすると、一体国鉄というのは警察のようなものじゃないか、警察国家のようなものじゃないか、こういうふうに言わざるを得ないと私は思うのであります。要するに特命調査官であるとかあるいはまた特別調査官であるとか、そういうような国鉄職名にないところのものを使ってやっておった、そういうことを私は御指摘をする。これはもう全くあり得べからざる、考えられもしないところの事件というものが起こった。だから総裁に私は端的にお答えをいただきたいと思いますけれども、菅沼という人物を総裁は御存じですかどうか、この点について御弁答をいただきたい。
  143. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私は存じております。
  144. 中谷鉄也

    中谷委員 どの程度存じておりますか。
  145. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 本社の職員として、大体普通と同じ程度に知っております。
  146. 中谷鉄也

    中谷委員 はたしてそうでしょうか。そんな知り合いでしょうか。国鉄本社の中では、磯崎のあるところに菅沼あり、磯崎の秘蔵っ子だということのうわさはもうすでに周知の事実であります。そもそも菅沼という人物は警視庁の巡査をしておった、それが国鉄人事で、そういうことははたしてあるんでしょうか。昭和二十七年に警視庁巡査から国鉄本社文書課に採用された。いまだかつて、早稲田大学中退と称しているけれども、早稲田実業中退の人間が国鉄文書課に採用されたというふうな事実はあるんでしょうか。しかも多くの五十万近くの国鉄職員の三十年、三十五年つとめたところの栄光の道というものは、最後は助役、この程度がせいぜい一ぱい。彼は最後はどこまで行きましたか、地方でいえば部長まで行った。一般の職員程度に知っておるというふうなことでしょうか。  重ねて私はあなたにお尋ねをいたしたい。まずあなたの輝かしい経歴、あなたの経歴というものを見てみますと、ちょうど菅沼が国鉄文書課に異例の就職をした、中学校中退、警視庁巡査、これが文書課に就職したのは昭和二十七年一月、そうでございますね。そのときの文書課長は一体だれですか。すなわち、昭和二十四年八月総裁室文書課長になられた輝かしい経歴の持ち主のあなた、あなたが文書課長のときに、菅沼はあなたの文書課長の下に文書課勤務になった。そうしてあなたは昭和三十年三月三十一日、広島鉄道局長をおやめになって調査役になられた。そのときに一体菅沼は何になったか。昭和三十年文書課から監察局に転勤、予算物品を担当、このあたりから、資材物品の購入に資材局に出入りするようになり、国鉄出入り業者となじみになったという重要な事実がある。そしてあなたは一度退職をされて、昭和三十八年五月に副総裁につかれた、これはあなたの輝かしい経歴の一ページ。そのときに、昭和四十年、菅沼は異例の抜てきで首席に抜てきをされておる、そうしてあなたは昭和四十四年五月総裁になられた。そこで菅沼は今度は新庁舎移転と同時に昭和四十四年七月副監事指定職に抜擢、課長補佐となる、そして同時に菅沼だけに個室が与えられた。稟議その他については、副総裁当時から、まずあなたのところへ菅沼は稟議に行って、あなたの判をもらって、そうして総裁の調査だ、総裁の特命だということで、あっちこっちの職員について調査をしておる。一般の職員程度に知っておるというふうなものではありません。あなたは一般の職員程度に知っているということなんですか。まず一体、なぜそれでは菅沼という人間が、あなたが文書課長時代に警視庁巡査から文書課勤務になったのか。国鉄四十万あるいは五十万といわれた職員の中に、そんな例がありますか。しかも、そういうふうな菅沼のように異例の抜てきをされて課長補佐というふうな経歴になった例がありますか。磯崎あるところに菅沼ありということ、あなたのその経歴と菅沼の経歴というものはまさに符節をするじゃありませんか。この点についてあなたは一体どう思われますか。
  147. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私はたしか昭和二十七年の三月の下旬に広島の鉄道局長に出たと思います。したがって、菅沼が来たとすれば、たぶん私の文書課長在任中だったと思います。ただ、そのころは非常に人の出入りの多いときで、外地から帰ってきたりいたしておりますので、特にどれがどうという記憶は私はございませんが、警視庁から人が来たいというふうな話は聞いたことがございます。     〔坪川委員長代理退席、小平(坪川委員長代理着席〕 しかし、その後、いまお読み上げになった私の経歴の中で、たとえば私が広島から本社の調査役に戻ってきた。私はそのときにすぐ外国へ出張いたしております。そして、しばらく、三カ月ほどフランスで電化の勉強をしてまいりまして、帰ってきて間もなく広報部長になっております。したがって、そのとき菅沼がどこにいたか私は全く存じません。しかも、私は昭和三十七年ですか、一たん職を退きまして、もちろん副総裁に戻るなどということは毛頭思っておりませんでしたが、偶然の結果戻ってきたわけでございまして、その後私は菅沼を特に引き立てるとか特にどうしろとかいった覚えは全くございません。
  148. 中谷鉄也

    中谷委員 あなたの経歴は、なるほど昭和三十年四月十四日欧州フランスへ出張されたというこの経歴がちゃんと明確に書いてあります。しかし、あなたが文書課長をしておられるときに菅沼が入ってきた。そしてあなたが調査役になられたのは昭和三十年三月三十一日。そして菅沼が結局文書課から監察局に転勤になったのはまさにそのとき、あなたがお帰りになってから、そういうふうな事情がある。そうして昭和四十年に首席になった。あなたが昭和三十八年に副総裁になられた、そういうふうな状態の中で、四十年に首席に抜てきをされている。まさに符節を合わしている。本社の人に一ぺん聞いてみなさい。菅沼のあるところに磯崎がある。あなたの名前を使って——そうじゃない、むしろあなた自身が菅沼という人間に個室を与えて、そうしていわゆる監察の仕事にしろ名をかりて、そうしてありとあらゆる問題について調査をさせる、これじゃ国鉄じゃなくて警察じゃないですか。そういうようなことについて、全く特別扱いをした事実がないとおっしゃるけれども、じゃ菅沼が特別調査官だとか、あるいはまた特命調査官だとか、そういうような名刺を持ち歩いていた事実をあなたは御存じですか。  さらに私はお尋ねいたしたい。一般の職員とほとんど変わらない程度のつき合いでしかなかったとあなたはおっしゃる。菅沼は現在公判中であります。公判はいつかは確定をいたします。公判記録の中で、一般職員以上のつき合いというものが出てきた場合に、菅沼の自供調書から出てきた場合に、あなたは、国会の中の答弁なんです、政治責任をおとりになりますね。
  149. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私の経歴とその菅沼の経歴とがたまたま符節を合わしていたということで、私がどうこうということは、私は全く関知しないところでございます。
  150. 中谷鉄也

    中谷委員 重ねてお尋ねをいたします。  一般職員としての程度のつき合いしかないのだということについて、あなたとの特殊な関係が菅沼の自供調書の中から出てきた場合に、あなたは責任をとられますねと聞いているのです。
  151. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 菅沼がどういうふうに言いますか、それは私は知りません。しかし、何と申しましょうか、自供でございますか、自供調書でございますか、そういうときに何というか、それは一方的なことでもって私は知らないことでございます。私はいままで申し上げましたとおり、私の経歴と菅沼の経歴とは何ら関係ないということをはっきり申し上げておきます。
  152. 中谷鉄也

    中谷委員 重ねて私はお尋ねをいたしまするけれども、文精社という印刷会社は、国鉄職員に対して贈賄をした会社でございますね。それはもう総裁確認をされますね。さて、その文精社という会社が、昭和四十四年以前は随意契約でどの程度の契約があったか、国鉄総裁にお供をしてこられた方は御存じだったら言ってください。
  153. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私、事務の人間を連れてまいりませんで、一人で参りました。あとは連絡役だけでございますので、手元に数字を持ち合わしておりません。
  154. 中谷鉄也

    中谷委員 総裁、こういうふうな事実を私は指摘をいたしたい。昭和四十四年以降は随意契約で年間三千万くらいあった。よろしゅうございますか。昭和四十五年度前半は仕事がない。昭和四十五年前半は仕事がないということは、どういうことか。これはまさに菅沼が国鉄の監察局の職員でありながら、監察に名をかりて贈賄を受けた、収賄をした。調べておって、そうして金を受け取った、こういうことで文精社の責任者も贈賄でつかまっておる。国鉄職員に贈賄、そうして菅沼は調べの中において収賄が出た。そうでございますね。そこで、現在四十五年の九月ごろからは小さいものからぼつぼつ入札契約に参加させている。驚くべきことです。そうして主管局と随意契約的に仕事をしておる。そうして資材局に何らかの形で契約が入ってきておる。資材局のある課、ここにメモがありますけれども、ある課でかなりの仕事を引き受けているという事実を私は知った。こんなことが一体あり得ていいことなのかどうか、この点について、総裁、どのように考えられますか。
  155. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 事件を起こした文精社と申しましたか、印刷屋でございますが、それはもちろん公判中はうちとは出入り禁止のはずでございます。いま先生のおっしゃったのはどこの課か存じませんが、即刻それは取り調べます。
  156. 中谷鉄也

    中谷委員 委員長にお願いをいたしますけれども、そうすると、この点については資料の提出をいただけるという趣旨でございますね。
  157. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 出しますね。——はい、じゃ出すそうです。
  158. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、そういうふうなことで、文精社の人間が国鉄本社をいまなおとにかく大手を振って歩いておる。しかも贈賄をしたあと、こういう問題について契約をしている。はなはだ私は疑惑のあることはなはだしいと思う。一体、あなた自身の栄光の経歴の中に、ずいぶん大ぜいの人があなたの職責上といえ首を切られていますよ。これは当然あなた自身としては、首を切る理由があったから首を切ると言っている。国鉄監察局の職員で、そんな人間、しかも特段に地下室に一室を設けられておって、あなたのところへはフリーパス、まずあなたの判をもらって、そうしてそれから磯崎の判をもらったのだと言って、総裁の判をもらったのだと言って、そうしてあっちこっちをとにかくおどかして回っておる。こんな男が職員録によれば、現に休職という手続になっておる。こんなことで一体国鉄職員は承知しますか、五十万近い国鉄職員は承知しますか。あなたは、たしか就任のあいさつのときには、次のように言われましたね。結局、これからの国鉄の再建のためには人の和が大切なんだ、人の和を守るために全力を尽くしたいんだと言われた。しかし、あなたの言っておられる人の和というのは結局、そうだとするならばあなた自身を取り巻いているお茶坊主、そういう人間との人の和だということにしかならないじゃないですか。この点についてはどのようにお考えになりますか。
  159. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 事件を起こしたその印刷屋が出入りいたしているとすれば、私の監督不行き届きで、その点は後刻調べましてしかるべき処置をいたします。  それから全般的に私といたしましては就任のときに申しましたとおり、これだけの大きな組織を動かしていくには、やはり人の和が一番大事だということは、いまでも考えております。私は全身全霊をあげてそれでつとめておりますが、もちろん足らざる面が多々ございますけれども、私としては全力をあげてやっているつもりでございます。
  160. 中谷鉄也

    中谷委員 国鉄の昭和四十四年七月一日、その職員録によれば、菅沼徳造というところの人間は、地下の一一二、電話番号一一二内線、地下の一一二号室、ここに個室を持っておる。こんなことが従来の取り扱いとしてありましたか。この点について総裁どういうように思われますか。
  161. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私は本社の中の部屋のすみずみまで知りませんが、そのことは菅沼事件が起こったあと聞きました。もちろんそういうことは許されないが、ただいろいろ監察局で部内監察する場合に、人の目に触れないようにしろということは言っております。その意味で私は監察局に、これは部内監察の権限を持たしてございます、監察局長には。そういう意味であるいはそういうような扱い方をしてあったのかとも思いますが、私は事件の起きるまでは残念ながら知っておりませんでした。
  162. 中谷鉄也

    中谷委員 総裁、私はお尋ねをいたしたいのですけれども、私はここに職員録を持ってきている。昭和四十四年七月一日職員録によれば、菅沼は一室を与えられている。その後検事のような仕事をしておった人間、むしろゲー・ペー・ウーのような仕事をしている。そんな人間が休職になっている。このことについて私はあとであなたの御所見を承りたいと思いまするけれども、四十五年十一月十日、この職員録によりますると、その地下室は一体どうなっていますか。あなたはいま地下室があることは合理的な理由があるように言われた。その後その地下室はどうなっていますか。私はここに四十四年七月一日の職員録と、四十五年十一月十日の職員録を持ってきた。あなたはいま地下室があること、地下に一室を与えていること、それは合理的な理由があるんだと言われた。そうですね。人の目につかないような、合理的な理由があるように言われた。現在その地下室にだれかおりますか。職員録ここにあります。何だったらお貸ししましょうか。どうなっていますか。
  163. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私は、現在その部屋がどうなっているか存じておりません。
  164. 中谷鉄也

    中谷委員 そこに赤鉛筆でしるしをつけてありますから見てください。あなたはそういう部屋がある、地下室がある、地下に一室を与えたことは合理的だと言われた。ところがその点について、現在においては菅沼は休職、そしてそういうような地下室はありません。この点についてはどうなんですか。どちらが一体——そのことは本社あるいは国鉄職員は、菅沼ゲー・ペー・ウー、そういうふうに言っている。ゲー・ペー・ウーだと言ったら、それじゃ一体ベリヤはだれなんだというふうなことまで言っている。ガンジーじゃない、ベリヤじゃないかと言っている。そのくらいとにかく国鉄職員が怨嗟の目をもって菅沼を見ている。そんなことで一体国鉄の再建ができるのでしょうか。その職員録を見て、あなたは地下室があることが合理的な理由があるようなことを説明された。そのことについて、その後にはそういうものはありませんよ。その点についてどういうように考えられますか。
  165. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いまその部屋がどうなっているか、私確認いたしておりませんが、もし部内の職員の中で何かそういう疑いがあって、そして監察局でもって調べなければならぬというふうなときには、やはりどこか部屋をつくって、そこでなるべく人目に触れないでいろいろ話を聞いてやるというのが一番いいことだというふうに私は思います。
  166. 中谷鉄也

    中谷委員 話が違うのですよ。菅沼の常勤の部屋がこの職員録に名前が出ているのです。特別の個室を与えられていたのです。それほどの強大な権力を持っておる、その人間が——とにかくあなた一ぺん国鉄本社へ行って聞いてごらんなさいよ。当時から菅沼というのは、磯崎あるところに菅沼あり、菅沼というのは磯崎の秘蔵っ子だ、こういうふうに言われておった。人を調べるのに大ぜいの目の前で調べるなんというような非常識なことはしないというのは、あたりまえの人権問題ですよ。しかし個室を与えてやったという事実がある。それほど強大な権限を持っておった。そうしてそのことをあなたは合理性があるようなことを言われた。その後、職員録によって見ると個室というものが消えてなくなっている。菅沼だけに個室が必要だったのです。それは菅沼という人間にはそれだけの特殊な任務、特殊な仕事、それを与えておった。そうして私は考える、その特殊な任務というのはあなたに直結している任務、そういうものを与えておったということになるのじゃないですか。地下室における一室を菅沼に与えておったということの合理性があなたはあると言われた。じゃ現在ないのは一体おかしいのかどうなのか。
  167. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほど申し上げましたように、私は彼が一室持っていることを全く知りませんでした。これは職員録に書いてあるといえばそれまでですが、私も実は一々職員録を詳しく見ておりません。それは全く知りませんでした。ですから菅沼事件があった後にその話を聞きました。まあその後そういうことが幸い起こっておりませんけれども、もしそういうふうな間違いがある、あるいは業者の中で間違いがありそうだというふうなときには、やはりなるべく人目に触れないようなところでいろいろ話を聞くということは私は大事なことだ、それは先ほど先生もおっしゃった人権の問題にもなるというふうに思います。ただ常時そういう部屋が要るか要らないかは、それはそのときの局長の判断だというふうに私は思います。
  168. 中谷鉄也

    中谷委員 この機会に私は法務大臣にひとつお尋ねをしたいと思うのです。  私はこの問題は運輸大臣にお尋ねするよりも、とにかく法務大臣にお聞きするべき種類の問題だろうと思う。非常に私は疑惑があると思います。いろいろな問題がある。現在公判中であります。しかし警視庁には多数の書類がとにかく押収されておる。     〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 これらの問題について、監察に名をかりたところの行為がずいぶん行なわれておる。しかもそれは、私は磯崎の秘蔵っ子なんだ、総裁の直命なんだというようなことでやられておる。これらの問題については、私はいまあなたに捜査の端緒を報告したつもりでおる。法務大臣として、これらの問題について捜査の端緒を得られたならば、厳正な捜査をされるということを私は希望いたしますが、法務大臣、いかがでしょうか。
  169. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 お答えいたします。  先刻来御質問の内容を拝聴しておりまして、私としては実は初めて耳に入った問題で、新聞にそういう点については出ておるかどうか知りませんが、何にも存じません。  ところで御質問の趣旨ですが、こういう問題についてどう考えるか、思うかということにあろうと思いますが、その点につきましては、私も御承知のとおりそうした仕事には携わった経験もございませんし、またそうした方々と、特別なそういう仕事のやり方とかあるいはそういうものをいかに調査をして、そしてそれを立件するとかしないとかいう問題をきめるのか、そうした方法論等も何も存じないのであります。つきましては、私といま一緒にこちらへ来ておりまする専門の経験の豊かな人もおるかと思いますから、いまもしおりましたら、私にかわってお答えさせてもけっこうだと思います。
  170. 中谷鉄也

    中谷委員 官房長官にお尋ねをいたしたいと思いまするけれども、国鉄再建というのは、私は全くこれはもう国民の悲願だと思う。重大な問題です。そこで国鉄内部でそのような特別な権限を持った人間、二十七年に巡査、警視庁から何かの調子で文書課長の時代に文書課へ引き抜かれた。その人間が、形影相伴うごとくと私はあえて断定をした、そうして特別に栄進をしていく人間がおる、その下で下積みになっている人間がおる。栄進をした人間が権力をかさに着て、そうしてどんどん監察に名をかりていろいろなところであくどいことをやる。あまつさえ収賄までやって現在公判中。しかもそのような人間が休職処分というふうなことに相なっておる。どんどん人の首を切るというふうなやり方がいいか悪いか、それは別として、こんな人間の首が休職ということで残っておる、何かあると思うのは私は当然だと思うのです。私は国鉄のあり方、政治の姿勢の問題として、官房長官の御所見を承りたい。こんなことが政治的のあり方として許されていいはずがないと思うのです。この点についての御所見を私は承りたい。一体どうしてこういうふうなことで国鉄の再建ができると思われますか。人の和がないところに国鉄の再建は私はないと思う。こんな問題について、私は監督大臣としての運輸大臣の問題という以前に、政府全体の問題として政治の姿勢をただすということであってほしいと思う。官房長官の御所見を承りたい。これが一点であります。  同時に私は法務大臣、先ほどそういうふうな御答弁がありましたけれども、非常にこの菅沼の問題については、警視庁に多数の資料が押収されております。刑事局長おられるようでしたら、これらの問題については今後厳正に調査をするという点についての御答弁をいただきたい。この点を私は質問いたしたいと思います。
  171. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほどからの国鉄総裁とのやりとりを伺っておりまして、どうも中谷さんがおっしゃるようなのと、総裁がお答えしているのと、こうなっておるような感じがいたしますが、いずれにいたしましても、この国鉄は準役所でございましょうけれども、役所も非常に仕事が——私ども実際体験をいろいろ持ちますが、世の中はやっぱり人と人とのつながりによってある。何か役所へ行きますと別のところに来たような感じ、これは日本の役所にある意味では疑いを持ちますけれども、ある意味では官紀をやかましく言われる、その姿が、庶民からいいますと何か取りつきにくいような感じを与えるところじゃないだろうか。そこに役所の仕事の非常にむずかしいところがあるのじゃないか。しかし、それぞれのやはり有能な人が配せられて、国民のための行政をやっていかなければならぬ。この間依命通達を出しまして、公害問題等についていろいろ御論議もございましたので、通達を出しましたときにも、私どもの実感としまして、きびしくやってください、適法妥当の行政をどんどんやってもらうということになるというと、どっちかといいますと、国民に対してはつれなく感じてくるのじゃないか。そこが大事なところで、やはりその前に懇切といいましょうか親切という第一が、そこが必要じゃないかというようなところが、私は非常に役所の仕事のむずかしいところがあり、何といいましても国民のための行政でございますから、国民の方々から疑惑を持たれないように、しかし親切にやっていかなければならない。先ほどからお話しの、国鉄総裁、私は絶対にお人柄を信頼いたしておりますから、国鉄総裁のおっしゃることを聞いておりますと、少し中谷さんのお話と食い違いがあるような感じがいたしますけれども、そういうことでここで御論議をいただけますことが、たいへん全体に姿勢をただしていくもとになろうかと思います。気をつけてまいるようにいたします。
  172. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 ただいまの御指摘の事件でございますが、承っておりますと、警察のほうに証拠物がたくさんあるということでございまして、検察庁のほうにはまだ送致してないと思うのでございますが、警察のほうで当然適正な捜査をするものと考えております。検察庁に事件が送致されるということになりますれば、そういう事態におきましては、検察一般の方針どおり、厳正公平に処理をいたすものと確信いたしております。
  173. 中野四郎

    中野委員長 中谷君の質疑は終了いたしました。  これにて一般質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  174. 中野四郎

    中野委員長 次に、井野揮君近江巳記夫君及び岡沢完治君より質疑の申し出があります。理事会の協議に基づき順次これを許します。井野揮君
  175. 井野正揮

    井野委員 二十三日の分科会で農林大臣、二十四日の分科会北海道開発庁長官にそれぞれお尋ねをしたうち、短い質疑時間でございましたので、開発庁につきましては分科会委員長の御了承をいただいて、文書をもって回答をお願いをした件について、本日資料をいただきましたが、大方の点は御回答いただけないで、実は開発庁遮務課長大西昭一君の名前で回答書をいただいたわけでありますが、これは長官からいただいたもの、国務大臣からいただいた回答書と理解をしてよろしゅうございますか。
  176. 西田信一

    ○西田国務大臣 資料に対する確認の問題につきましては、私も承知しておりますから、そのようなことになってけっこうでございます。
  177. 井野正揮

    井野委員 実は質問の整理をいたしまして、あらかじめ連絡をしてまいったのでありますが、全く意外な回答をいただきましたので、若干順序が変わることを、いろいろ御連絡くださった皆さんにおわびをしておきたいと思います。  まずこの資料につきまして、各項目に分けて御返事をいただいたわけでありますが、資料3、4について、土地登記に関して「登記官吏の誤記によるものである。」すなわち堂垣内尚弘として登記をして、すぐその場で香千枝と名前を書きかえてあるわけであります。これは「登記官吏の誤記によるものである。」こう御回答なさっておるのでありますが、標茶の法務省の出張所の登記官吏は堂垣内尚弘君も香千枝君も全然知らぬ人であります。したがって申請人の意思がなければ誤記は生じてこないわけであります。たとえば私をしか知らない人が、井野正揮の名前を知っておっても、井野正揮の家内の名前は知らぬわけでありますから、誤記のしょうがないのであります。どういうわけでこれを誤記と御認定になったのか、ひとつお伺いします。
  178. 新保實生

    ○新保政府委員 これは標茶の法務出張所に道庁を通じまして調査いたしましたところ、登記官吏の誤謬である、こういう回答がございました。  なお御参考までに申し上げますが、売買契約は先生御承知のように三十九年の十二月に成立いたしておりまして、そのときの名義は堂垣内香千枝さんになっておるわけでございます。そういういきさつもあるわけでございます。
  179. 井野正揮

    井野委員 道庁職員をもって調べたことだからそういうふうに報告したのだということでありますが、これは国会の論議を通じて要求をしておることでありますから、まあ聞いてみようかという性格のものではないわけでありまして、正確を期さなければならない事柄だと私は思いますが、時間がありませんから、この問題はこの問題で置きます。  その次に、実は西田長官の御答弁とも符節が合うわけでありますが、要するに、開発庁開発局建設部長堂垣内尚弘ですね。この人はのちにはこれは局長、事務次官になったわけでありますが、この人は、この土地取得の事件は、これは西田開発庁長官の御答弁をずっと総合してみますと、堂垣内君が妻のためか子孫のためかは知らないけれども、全く個人の意思で、堂垣内個人が開建技術長近藤君に個人として頼んだ私用である、こういうふうに理解をしてよろしいわけですか。
  180. 西田信一

    ○西田国務大臣 調査の結果はそのとおりでございます。
  181. 井野正揮

    井野委員 そうしますと、開発局長堂垣内という男は執務時間中に私的な瞑想にふけって、私有財産の取得に意欲を燃やして、釧路開建技術長に公的な立場で私的に頼んで適当な土地の買い受けの交渉を、執務中に職務の公的な立場の人に私的な不動産のあっせんを依頼したものである、こういうふうに理解をしなければならぬと思うのですが、このとおりですか。
  182. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと待ってください。井野君、この御質疑分科会でもこの委員会においても、再三再四いろいろ御質問があったわけであります。そこで北海道開発庁長官、この際総括的に事案の経緯を報告してください。そうしてその後井野君の質疑を続けていただく。どうぞ御報告をお願いいたします。
  183. 井野正揮

    井野委員 委員長、ちょっと待ってください。わかっております。答弁書と比べて食い違いのある点を確認して言っているのですから、それはそのとおりやらしてください。答弁で答えてないのですから、いままで全部。質問に答えてないのです。
  184. 中野四郎

    中野委員長 北海道開発庁長官委員長から申し上げましたからやってください。
  185. 西田信一

    ○西田国務大臣 委員長から御指示がございましたので、私から概括的に調査いたしました内容について経緯を申し上げます。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕  井野議員から御指摘になっておりまする本件は、元当庁の事務次官でありました堂垣内尚弘君が北海道開発局建設部長であった昭和三十九年十二月に、北海道川上郡標茶町において標茶開拓農業協同組合の所有しておりまする原野十ヘクタールを購入したことについての御質問でございまして、私は開発局並びに現地にも職員を派遣いたしまして、そうして当時の状況について十分調査をさせました次第でございますが、以下簡潔に申し上げてみます。  まず、当時堂垣内君は根釧原野に広がる泥炭湿原の自然的変化に関心を持っておりまして、その観察にふさわしい土地を希望しておって、このことを個人的に人を介して依頼をした模様であります。また標茶町は、戦後における根釧原野開拓の西側の中心地ともいえる町であります。ところが三十年代に入って離農者が相次いで、標茶開拓農協は離農者の債務の肩がわり等のため極度に財務状態が悪化をいたしまして、開拓農協を含め標茶町の総意として同開拓農協が所有しておる原野を処分して組合の再建をはかろうとしておったのであります。  このような状況下で標茶開拓農協は、その所有する土地の処分を促進する目的を持ちまして三十七年九月同町農業委員会に本件土地を含め約一千町歩の現地目証明願いを提出いたしまして、同年十二月の農業委員会で、このうち九百二十九町歩、これは十八筆で三地域に散在をしておりますが、これを未利用原野として認定をいたしておりまして、その土地の大半を現在までに処分をしておるのであります。  そこで、開拓農協の原野は容易に取得できる状態に置かれておりまして、堂垣内君が希望していた泥炭湿原はとうてい買い手のつかないような劣等地であり、当時の関係者の言によりますと、そのような湿原が処分できたことは、むしろ当時土地を売って、非常に極度に困っている財政状態を再建したいという農協といたしましては、むしろ歓迎されるような状況にあったようであります。  堂垣内君の土地取得の希望を取り次いだ人は、近藤釧路開建技術長、それから水口標茶町開発室長、続いて溝井同町開拓係長、大井という開協参事、こういうふうな経路でございまして、泥炭過湿地の状態に関心を有する個人が、農業に使えない土地十ヘクタール程度を求めておるということで話を進めておりまして、北海道開発局の試験用地に使うなどと偽って取得したものでないことは、これらの方々の証言がい、ずれも一致をいたしております。  なお、この土地を含め四十四年度から九百五十六ヘクタールを対象に農地開発事業基本計画調査を始めましたが、この事業調査は、その後既存農家の経営規模拡大の要請が出てまいりまして、四十四年三月地元の申請に基づいて行なわれたものでありまして、堂垣内君の土地取得とは直接に何らの関係もないものでございます。  堂垣内君の土地取得価格十ヘクタール五万二千五百円は不当ではないかというようなお尋ねもございましたが、標茶開拓農協に設置されました牧野処分委員会では、それらの土地を処分するために標準処分価格というものをきめておりまして、一番劣等地はヘタール当たり三千円、中等地は五千円、上等地は八千円となっておるようでありますから、これらに比べまして、この土地は大体ヘクタール当たり五千円でございますから、決して不当なものではないと考えます。  それから農地開発事業調査の進展に伴いまして、昨四十五年の後半に至りまして、堂垣内君の土地を周辺農家の経営安定のためにこの計画に組み入れたい、こういう意向が町当局から同君に伝えられました。これに対して堂垣内君は、協力にやぶさかでないという返事をいたしております。そして続いて本年の二月に至りまして、標茶町町長及び開拓農協の組合長から文書によりまして、同君所有の土地の譲渡方の要請がございまして、これに対しまして同君は、地元農業の発展のために役立つのであれば、無条件でその処置を標茶町町長並びに開拓組合長におまかせいたします、こういう返答をいたしておるのであります。  以上のとおり堂垣内君は、その地位を利用して不当な手続により土地を取得したというようなことは全然ございませんし、また官職を利用して開発利益の先取りをしたということでもないことは、調査の結果明瞭になったと考えております。  しかし、事態の進展のうちに何らかの疑いを招いたことがもしあるといたしますならばまことに遺憾でありまして、今後このようなことのないように十分に指導してまいる所存でございます。事は個人の名誉にも関することであります。堂垣内君におかれましてはそのような、御懸念をお持ちになっておるようなそういう気持ちはみじんもなかったものと確信をいたしております。
  186. 井野正揮

    井野委員 聞きもしないこと、言いもしないことを先取りなさって、こうも疑われたのではないか、ああも疑われたのではないかという御心配のほうが先に出たようでございまして、まことに御愁傷に存じます。私は過般の長官の速記録を詳細に見まして収録をしたことを申し上げておるのでありまして、大臣の御答弁は、先ほども言いましたように、あくまでも堂垣内君個人の用務であった。開建の技術長の近藤君も個人のものとしてやった。標茶町の水口室長も溝井係長もすべて個人でやった。しかしそのやった場所は役場であり、開建の事務所であり開発局の事務所である。しかも公務執務中に行なっておる。  そこで、私は山中長官にお尋ねをします。  北海道開発法十二条に問うまでもなく、開発局の仕事は法律で一項起こしてその任務が規定をされております。人事権を持ち、決裁権を持ち、独立して北海道で勤務する部局長であります。この人が執務中に自分の部下である開建の技術長に、こういう希望の土地があるから取得をしてくれと頼んだ。これは部下としては公務命令と考えるのは当然だと私は思うのです。総理府の中では、ただいま公務執行中、ただいまは私用執行中と札をかけないと、公務だか私用だかわらかないような、こういうような執務状態があるのですか、お尋ねをします。
  187. 山中貞則

    山中国務大臣 総理府と申しましても北海道開発庁総理府の外局でありますから、私の所管できる総理府というものとはちょっと形が違うわけです。しかしながら私の総理府の中には人事局という公務員の身分その他について担当しておる内閣全体の局がありますから、その局の姿勢からいえば、ただいま言われた問題については、公務員として私用に部下を使うべきでなく、また私用で部下が使われるべきでないというものが原則であろうと思います。しかし、事実関係は私はよく知りません。その問題点について、いま言われたことであるならばそういうふうに思う、ということでございます。
  188. 井野正揮

    井野委員 時間がございませんから速記録を一一読み上げませんけれども、私の言うことは天地神明に誓ってあなたのおっしゃった速記録と違いがありませんから。  人事局長にお尋ねをしたいと思います。  公務員法九十六条でいう専念の義務とはどういうことをいいますか。
  189. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 お答えいたします。  国家公務員法のただいま御指摘の条文の解釈そのものにつきましては、あるいは人事院の所管かとも存じますが、私たち職務に専念するということばは、たいへん妙な表現で恐縮でございますが、文字どおり職務に専念する、こういうことと理解いたしております。
  190. 井野正揮

    井野委員 そうしますと、執務中に妻や子供のために土地を買ってやりたいから、あるいは私利のために土地を取得したいから適当な土地があったらさがしてくれと、私用で頼んでも公用で頼んでも——公用で頼めば官位利用になりましょうし、私用で頼めば職務専念の義務に違反することになると思いますが、これは大臣もお認めになるでしょう。
  191. 西田信一

    ○西田国務大臣 堂垣内君が頼んだのは、役所ではなくて、たまたま出張中車の中で、こういう土地はどうなるかなというようなことから、どこか適当なところがあったらということで、別にいま問題になっておるその土地を指定したわけでもありませんし、適当なところがあったら買いたいなというようなことを話をしたのだそうでございまして、執務中云々ということは、車の中のことでございますから——それもいまの御指摘の役所の中に入るかどうかわかりませんが、私は車の中で言ったことがそう問題であるとは思いません。
  192. 井野正揮

    井野委員 新保監理官の過般のお答えでは、近藤技術長が公用を兼ねて出張の途次、開発局長報告をしたと言われましたので、私は重ねて、途次というからには、札幌の役所へ行く途中堂垣内さんのお宅へお寄りになったのですかと聞いたら、そうではございません、開発局長室において報告をいたしました。——この資料によりますと、その報告を受けて堂垣内氏は、そういう土地だとは知らないで、一切を調べもしないでまかせて頼むと依頼をした、こう報告してあるんですよ。これは開発局の中でしょう。
  193. 新保實生

    ○新保政府委員 三十九年の秋ごろでございますが、近藤技術局が札幌に出てまいりましたのはこのために出てきたのではございませんで、ほかの公務がありまして、それで出張してまいったのでございます。それで、土地の件につきまして堂垣内氏に返事をいたしましたのは、役所の中でございますが、聞きますと、それは昼休み中でございます。
  194. 井野正揮

    井野委員 昼休みであろうと夜の休みであろうと、その報告をした行為は——今日になって、近藤さんも堂垣内さんも役所をおやめになっているから、そういう御答弁をなさると私は思うのであります。しかしながらこのことは行政の範例にもなってまいります。自後総理府の皆さん方は、そういうふうに言われたときには、昼休みだと言えば公務員法の適用をのがれられる、こうなるわけでありますよ。そうですね。昼休みと言えば、今度は国会でも認めてくれたんだから、のがれられるということになると思うのであります。かつて公務員の綱紀を粛正するときに、給仕にお茶をくませることはどうか、たばこを買わせることはどうか、税務職員についてはお茶菓子なら何円までよろしい、というふうに通知をしてあるではございませんか。この人事権を持つ局長局長室で——お昼休みに、ただいま公務ではありませんと札をかけてありますか。お昼の時間であろうと何の時間であろうと、ここへ順番を待って報告に入る人、連絡に来る業者、こういう人々はすべて北海道開発局長として扱うのであって、昼休み中の堂垣内尚弘個人として話をする者があるでしょうか。この点山中長官、こういう農地ですね、原野でもよろしいです、特定の団体が議決をしなければ譲り受けられない土地の取得を、事情も調べないで部下の報告を聞いてよろしゅう頼む、おれは土地がほしいんだ、こういうこと開発局長室で——これはいろいろな手続があるわけですから相当時間がかかるわけです。報告をし、まかせるといって委任状まで渡すだけの決定を下すのにちょっとの時間ではないと思うのですが、そういうのは昼休み時間は免除されますか。
  195. 山中貞則

    山中国務大臣 私は事実関係もよく知りませんし、開発庁長官もここにおられるわけですから、事実関係については開発庁長官とお話し合いを願いたいと思いますが、原則論として、私自身の人事局として管理しております立場からいって、綱紀は厳正に守らるべきであるということしか、いまのところ言えません。
  196. 井野正揮

    井野委員 じゃもう一つ聞きましょう。公の部屋で公と私用と区分のつかないような、業務命令なんだが頼んだかわからないような話をする。そういうしかたは、一般論として好ましいですか好ましくないですか。
  197. 山中貞則

    山中国務大臣 事実関係を一切前提としないで、好ましくありません。
  198. 井野正揮

    井野委員 次に倉石農林大臣にお尋ねをしたいと思います。  過般、農業委員会の指導、管理は食糧生産、農政の上の農林大臣の重要な骨幹である、こういうことについては大臣と合意を得たわけであります。ところがこの報告書を見ますと、昭和四十年四月二十八日の標茶町農業委員会の議事録は誤りであると開発局はおっしゃっておるのです。ところが私が一月の二十三日に標茶開協で——これは繰り返して言いたくないのですが、関係者一同が会合したときに同じものを持ってまいりまして、これは農業委員会事務局でお出しになったのですかと聞いたところが、小場さんは、開発局の根岸技術長、役場の助役その他全部の前でこういうふうに言っています。先生が持ってこられた議事録はこれは私のところから出たものでありますが、それには証明がありませんので私文書にしかなりません。きょうはこのことでおいでになったのだと思うので、あらためて証明のついたものをお渡しをいたしますというので、根岸技術長の前で私に手渡されたのがこの議事録なんです。ところがきょう開発庁がお出しになられた答弁書には、以下開発局が取得するというような文書は全部誤りだとなっている。標茶町事務局長が公式に証明をつけて私に出したこの議事録を、内容が誤りだとだれが一体きめたのですか。これをひとつお聞かせください。管理されるのは大臣のほうなんですから、御相談なさったんでしょう。
  199. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私はよく存じませんが、事務当局が参っておりますから知っておるかどうか……。
  200. 岩本道夫

    ○岩本政府委員 お答え申し上げます。先生の御指摘の日の標茶町農業委員会の議事録に御指摘のようなことが記載されておることは事実でございます。しかしその内容につきましては十分確認をいたしておりませんので、事実関係についての判断は差し控えたいと思います。
  201. 井野正揮

    井野委員 そうすると大臣、話が違うじゃないですか。この農業委員会の管理その他の問題については、長々時間をかけて御説明した結果、これは農林省の所管であるから、事柄も重大であるし、厳重に調べて適正な処理をする、こうお答えくださったのですが、この議事録についてはまだ調べてないということならば、本件の解明はまた不明のままいってしまうことになるわけでありますが、この答弁書によりますと、一つ二つ、「現況」と「現地」とは違っておるとかいうようなことを書いて、いちゃもんをつけたあとん「泥炭地調査のためにこの土地を使用したいと、それで開発局という名前では土地を取得出来ませんので開発局長が個人の名前でこれを取得して泥炭地の試験研究に使いたい」といっていることは事実に反するか、誤りである、と断定された答弁書が出たのです。ところが、実際に管理をしない開発局がこれに答弁をして、農林省のほうではわからぬということでは、一体だれがこういう公認の書類を認めることができるのですか。
  202. 西田信一

    ○西田国務大臣 私のほうが書きましたのは何に基づいているかと根拠を申し上げますと、実際にこの土地を売買するのに仲に入った人は、仲に入ったというか口をきいた人は近藤技術長と水口という役場の開発室長それから溝井という開拓係長それから大井という開協の参事、この四人しかないのです。この四人の人がいずれもそういう理由では申し入れがあったのではない、全く個人の売買の取り次ぎをしたんだということをはっきり申しております。ですから、議事録そのものは、書いてあることを否定するのではありませんけれども、その中身はこれらの点からいって誤りであろう、こういうふうに書いておるのであります。
  203. 井野正揮

    井野委員 そうすると開発局は標茶町農業委員会議事録という公的の文書を否定して、公務中に釧路開発建設部技術長、標茶町開発室長、標茶町開拓係長、標茶町開協参事大井浩君、この四名がひそかに私事でやった、そのことばのほうが正しいんだという判断ですか。
  204. 西田信一

    ○西田国務大臣 その当事者について調査いたしましたところが、いずれもそういう事実はないということでありますから、その議事録は誤りであろう。それからもう一つ、私は報告を受けておりますのはその議事録にある発言をしました小場という人ですか、その人が役場で、町議会か何かでもこの問題を討議した際に議事録に言っておるのと同じようなことは答弁しておらないという報告を受けております。でございますから、それは総合いたしまして、そういう事実は、そこに書いてあるような、公用に使うんだという理由で申し込み、土地を取得したというその議事録の発言は誤りであろう、こういうふうに考えます。
  205. 井野正揮

    井野委員 会議がこの議事録の発言を了承して議決をされて初めて法的根拠を持っているのです。国会の議事録が後日生存者が全部そんなことでなかった、あれはだれかが書いたんだということで国会の議事録が抹消されますか。私は何らの事情も起こらないときに、きわめて平面的に正常な形で論議をされ、議事録にとどめられ、議事録委員がこれに判を押しているこの公的な議事録を伝聞によって否定するという考え方には承服できません。しかしこれは水かけ論になりますから、幾らやってもしかたがないので、この問題はこれでおきます。これは後日、国会の判断を仰ぐべきことだと思いますし、西田長官のことばは標茶町農業委員会を侮辱することにもなります。この間の小林さんの発言とそっくりであります。  次に、今度は一歩譲って、近藤さんもおやめになった人ですけれども、この人は堂垣内さんから個人的の依頼を受けて、その後たくさんの仕事をなさらなければこの手続はできないわけであります。そこまでお調べになったのであれば、この土地は札幌に店を持つ北洋相互銀行に三百万円の抵当権で入っておったことは御承知のとおりであります。しかも、四千三百万の赤字をかかえている。そして六百万円の金でこれを処分しようとした約四百余町歩の土地の問題でありますが、この抵当から抜くということは、個人に五万二千円で売るという理由で銀行がこれを承諾するわけがございません。開拓農協の組合長で抵当権を抜くことは、抜こうとすれば、かわりのものを持ってきてもっとふやせということになるのですから、できるわけはないのであります。公用取得という場合にのみ銀行がこれに協力してくれることは、いままでの例で明らかであります。一体この北洋相互銀行から、抵当権抹消のときに開拓農協だけでできたと思いますか。それとも町なり道なりあるいは開発局の口添えなり、公用という問題が入らなくてこういう非常に信用性の薄い債務者から抵当権を抹消するという行為が、今日の北海道の金融事情の中でできるとお考えですか。
  206. 西田信一

    ○西田国務大臣 その問題をお答えする前に先ほどの問題についてちょっと一言申し上げたいのでありますが、開発局はそういう試験地を購入するというような計画は一切なかったことと、もう一つは、その試験地つまり公用地でなければ取得はできないという状態でなくて、むしろそういう目的で開発局が買うならば、かりに農地であっても 一切その制約を受けないということでございますし、その点からもはっきりしておると思います。  それから、いまのお尋ねの、先生からお持ちになりましたものを拝見いたしました。それによりますと、何百町歩、五百町歩くらいになりましょうか、そのくらいで三百万円を限度額として根担保に入っているのです。そこで、このあれについて抵当権から抹消しなければなりませんから、抹消されたと思いますが、これはごく一部でございますし、それは銀行の判断によってそういう開発局とか何かの口添えがなくても銀行の判断でこれは抹消したものと考えております。
  207. 井野正揮

    井野委員 その議論も水かけ論になりますからよすことにいたします。  そうしますと、繰り返して言いますけれども、近藤技術長、標茶町の室長と係長の二人、この人たちは——堂垣内さんから委任を受けたのはそうすると近藤さんだということになりますか。速記録では、まかせると言ったということで書いてありますよ。
  208. 新保實生

    ○新保政府委員 近藤技術長が堂垣内氏に三十九年の秋ごろ土地の話の返事をいたしました。その結果は、近藤氏を通じまして水口氏に行きまして、さらに開拓農協へ行っております。その後の手続は、調査の結果によりますと、開拓農協とそれから堂垣内さんのほうから、両方からの委任を受けまして、司法書士の土田という方が事務処理を行なっております。
  209. 井野正揮

    井野委員 そうしますと、土田司法書士が委任を受けたのに、なぜ申請書から大臣の名前を抹消したのですか。
  210. 新保實生

    ○新保政府委員 先生の御指摘の書類は、地目変換の申請書だと存じますが、これは所有者たる開拓農協が申請を行なうわけでございまして、あの書類を見ますと、所有者たる開拓農協の組合長たる川村さんが申請をなさっておるわけでございまして、あえて代理人を記載する必要がない、そういう意味で抹消されておるわけでございます。
  211. 井野正揮

    井野委員 さて、西田さん、もう一つお尋ねいたします。  あなたは、先ほど開拓農協の大井参事はそういうことはない、そういう話も聞いてない、堂垣内さん個人のものだと理解した、こうおっしゃっておられるのですが、そうすると、この答弁書とはたいへん食い違いがあるわけであります。開拓農協の引き継ぎ書は、大井君が一方的に書いて承認されるものでないことは御承知のとおりであります。引き継ぎ書でありますから、大井君は退職するほう、それと新しくつくほう、組合長が立ち会いますから、川村組合長がやめて、今日の松本組合長が就任をしたわけで、これには両組合長、両参事が立ち会って、その正確を期すものであります。ところが、この引き継ぎ書には、開発局に譲り渡した理由に違反をしている、個人のものになっているではないか。したがって、これを認めるわけにいかないから、戻しなさいという手続をするということをきめておるわけであります。そのことを申し継いでおるわけであります。私は根岸さん、小場さん、松本さん、大井さん、種徳助役さん、一緒に会して写真もとってきておりますよ。その席で、根岸さんの前で、確認をいたしたことはこれなんです。したがって、私は恐喝もいたしておりませんし、助役室で深々といすにすわって静かに話をして、ではこの点は重要であるから、確認をいたしましょう、根岸さんあなたはこのことを間違いなく私が東京に帰る前に上司に報告をしてくださいということを私は言ってきているのです。そうすると、私もこの人たちを信ずることができません。しかし先ほども言ったように、国会でも道会でも問題にならないうちに、昭和四十三年の引き継ぎ書、しかも割り印をした正式の文書ですと出されたこの文書を否定をし、この答弁書によりますと、大井君がこんなことを言うのはおかしいと書いてある。これはもうこうなりますと、証人を国会に呼ばないと、水かけ論になってしまうわけですが、片方においては公書を認めておいて、片方においては公書の内容を認めないという考え方は、今日のわが国の裁判であろうと、あるいは証言、実証の問題であろうと、私は通らない問題だと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  212. 西田信一

    ○西田国務大臣 私はその議事録を否定しているのではないのです。ただ議事録に書いてあることはわれわれの調査の結果の事実とは違うということを申しておるのです。誤りであるということはそういう意味でございますから……。  それから引き継ぎ書の件ですが、引き継ぎ書は私のほうでは見せてもらっておりませんから、実際には確認できないでおるようなのであります。しかし、先生のお持ちになったのには書いてあるようでありますが、そういうことは全く事実がないのでありますから、どうしてそういう引き継ぎを書いたのか、われわれには理解できない、こういうことであります。
  213. 井野正揮

    井野委員 大臣、冗談を言わぬでくださいよ。私はこのままでは承知できませんので、分科会主査の了承を得て、この六つの資料を委員会に提出いたします、よって、これに基づいて私の以下質問することに答えてくださいという文書を出したのです。したがって、この開拓農協の引き継ぎ書、このものは北海道庁が入手しようと、開発局が入手しようと、裁判所が入手しようと、検察庁が入手しようと、これ以外にないのですよ。そしてこの公式の文書を、自由な立場の個人の申し立てを根拠にして否定するということは、私は実証的に間違っていると思う。そういう実証のしかたはないと思う。それならば、それらの証言を全部宣誓をさせて、この証言は間違いありませんという確たる証拠たる条件をそろえておられますか。
  214. 西田信一

    ○西田国務大臣 これは私どもが現地に人を派し、そうして調査をいたしました結果に基づいて申し上げておるのでございまして、その限りにおいてはそういうことはあり得ない、こういうふうに申し上げたわけであります。
  215. 井野正揮

    井野委員 私はそう言っているんじゃないですよ。その調査した人はだれか知りませんけれども、私も国会議員ですよ。私は提出された場所を示し、物証を示して証明しているのです。あなたのほうはだれの何べえが、どういう者が調査に行ったでもなければ、そうしてこういう文書を持ってきた、このとおり証言の判もとってきましたというものでもないのじゃないですか。何をもってあなたのことばを実証するのですか。長官どうなんですか、何で実証するのですか。伝え聞きは証拠にならないというのは常識ですよ。
  216. 新保實生

    ○新保政府委員 大井参事の引き継ぎ書の中にいろいろの方の名前が出ておりますので、その方に直接私どものほうから御照会申し上げた、あるいは二月十九日に現地に職員が参りました際にお尋ねしたその結果でございます。
  217. 井野正揮

    井野委員 それも答えにならぬじゃないですか。だれが行って、だれからどういう証言を得て、そのことはいつでも実証しますという印をとった証拠がなければだめでしょう。あなた方、時間だけかせげばこのことを実証できると思っているのですか。いやしくも法律に基づいて設けられた農業委員会の、しかもこの議事決定によって財産の処分が行なわれるわけなんです。しかも法律はこれに最大の委任をしているのです。六十日たてば都道府県の知事は再議を命ずることができないまでに権限を持たせてあるわけです。だからいま逃げようとすれば農業委員会が唯一のよりどころになっている。この農業委員会の公的な議事録を、その議事録のあることは認めるけれども、中は間違いだという断定を、何をもってできるのですか。
  218. 新保實生

    ○新保政府委員 農業委員会における小場事務局長の発言は、議事録に記載されておるとおりでございますが、昨年その発言内容が問題になりまして、標茶町の議会においてそのことが議論されておるわけでございます。その標茶町議会における議事録を拝見いたしますと、小場事務局長の御発言は、問題の土地の使用目的を厳密に調査した上での発言とは受け取られないような発言をなさっております。それが一つの根拠でございます。
  219. 井野正揮

    井野委員 町議会はこのことに関して議決する権限を持っておりません。農政全般の問題として経緯を議員が尋ねたのにすぎないと私は思うのです。そのために農業委員会法が設けられ、農業委員会の決議をもって決定することに相なっておるわけでありますから、農業委員会の事務局長が町議会の証言の中であいまいな発言があったからといって、この決議を左右することはできないことは自明の理だと思います。農林大臣いかがですか。番外として農業委員会の議案について説明を行なった事務局長、それは提案までの責任であります。審議が確定すれば農業委員会の決定であります。農業委員会の決定を、国会といえども左右をすることはできないと私は思います。農業委員会に与えられた独自権限であります。これが法律に違反をしない限り、農業委員会の権限は守られるべきものだと思います。農林大臣、いかがですか。
  220. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 一般論としては、やはり農業委員会の議決というのはそれなりに効力を持っておると思います。
  221. 井野正揮

    井野委員 ちょっと声が低かったのですが、大臣、もう一度確かめますから、そのとおりならもうお立ちにならなくてもいいですが、農業委員会の決定ですね。農業委員会の議題として決定したものは法律違反をすればこれは別ですね、日本の法律に違反をすれば別ですが、それ以外は農業委員会の決定は他の機関によって左右されることはない、このことは間違いございませんね。
  222. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 だいぶ法律論になってきましたから事務当局から申し上げます。
  223. 岩本道夫

    ○岩本政府委員 一般論といたしまして農業委員会の決定は委員の意思の一致によって決定するわけでございます。
  224. 井野正揮

    井野委員 御答弁で明らかなように、西田長官、農業委員会の決定は、町議会において事務局長が証人として呼ばれたときの発言があいまいだからといってこの決定が誤りであるという断定は誤りなんです。農業委員会が意思を変えてこの決議内容を変えない限り厳然としてこれは効力を持っている。しかるに開発局はこの農業委員会の議事録内容は誤りであるという不遜な報告書を国会に出した。私は以上の問題を照らしてみて、堂垣内君が開発局長あるいは開発建設部長の名をもって近藤技術長及び標茶町農業関係者にまき散らした開発局の用地取得というのは偶然に出てきたものではないと思います。井野正揮がつくったものでもありません、私はことしの一月まで知らなかったのですから。しかしながらその事実を詳細に調べてみますと、政府の提出した資料はことごとく堂垣内君をかばうために今後の綱紀のことも考えないし、農政のことも考えないで、この非合法を合法化している。そして退職した二人が遡及して公務員法の適用を受ける危険のないことを考えて、ここにしわ寄せをすれば問題は済むと思っております。(発言する者あり)私は何もそこら辺でやじられているような選挙のことを問題にしておるのではありません。こういう形ではどうして農政を守ることができるか、これからの農地を取得したり開発したりすることができるか、それでなくても不動産業者によって農地がどんどん侵食され、表だけは農民の言うままになっておりながら、陰では二束三文の値段で貧困につけ込まれて取り上げられている、こういう実態の中でどうして農民を守ることができるか、私はまさに農地制度の崩壊だといわなければならぬと思うのであります。私はこの機会に、きょうは総理がおられませんから申し上げることはできませんけれども、一言だけ言っておきたいと思います。国会では、選挙区は違ってもその都道府県には国政調査にすら委員として派遣をしない。しかるに西田さん、あなたは不幸な大臣になられた。北海道一円の地方区の参議院議員でありながら、国務大臣として、北海道だけの行政庁の長官になられた。初めてのことであるけれども、全くまずい。私は、今回のような問題のときは、党派を越えて役人の綱紀を粛正をし、真に国民に対する奉仕者としての姿勢をとらしめるのがあなたの姿勢だと思う。にもかかわらず権限もない、国家権力と北海道区の権力をかさに着て農業委員会の決定、厳粛に守られるべき農業委員会の決定まであなたの報告書によってゆがめようとしている。許せない問題だと思います。したがって、私はもう時間がありませんので、しかるべき方法を委員長に講じていただきまして、総理からも個人の名誉に関するきわめて重大な問題であるから厳重に調査をして報告をするという答弁をいただいておりますので、このことについての処置を求めまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  225. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 横路君より関連質疑の申し出があります。井野君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。横路孝弘君。
  226. 横路孝弘

    横路委員 先日の古々米の味噌工業協会に対する払い下げの問題でありますが、農林省のほうで調査をして報告するということでございましたので、この機会にその結果を御報告願いたいと思います。
  227. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 突然のお話でございますので、そのほうの係が来ておりませんので、すぐに呼ぶようにいたします。
  228. 横路孝弘

    横路委員 その報告を受けないと次の質問進みませんよ。——連絡いっていませんか。
  229. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  230. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 速記を起こして。  横路君の質疑につきましては、政府委員が打ち合わせ不十分のため参っておりませんから後刻に回します。  近江巳記夫君。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 きわめて短い時間しかございませんので、数項目お聞きいたしますが、関係大臣も簡潔に要点をよろしくお願いしたいとおもいます。  まず初めに通産大臣にお尋ねをいたしますが、いま石油の問題が非常に大きな問題になっておるわけでございますが、原油輸入に外貨の割り当て、そうした方針について通産省が検討なさっておる、その点につきましてそのねらいは何であるか、また本気にそれをなさるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  232. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆるメジャーがOPECと相談しました価格をそのままわが国の精製業界にかぶせようとしていることは、私は非常に不満足に考えておりますので、それに対して、われわれとしてどういう対策を講じ得るか考えております。一つの研究課題であるわけでございます。ねらいといたしますところは、原油の輸入について外貨を割り当てることによって、割り当てられた外貨を最も有効に使わせる。すなわち安いものを買わせるための一つの効果のある方策であろう。そういうねらいでございますけれども、それなりにまたいろいろ付随した作用も考えられますので、研究課題として私が事務当局に申したものであります。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、このメジャーと国内石油業者の交渉が続いておるわけでございますが、現在まで大臣としてつかんでいらっしゃるその後の経過等につきまして、簡単に御報告願いたいと思うのです。
  234. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今週の月曜であったと思いますが、わが国の石油連盟の代表者が、メジャーの代表者おのおのを呼びまして、業界の考えておることを伝えましたところ、おのおの本社と相談をいたします——自分のほうの立場についてはいろいろ説明いたしました後に、ともかく相談いたしますという返事でありまして、まだどの社からも回答があったということを聞いておりません。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、繊維の問題でございますが、業界の自主規制のそういう動きが非常に顕著になってきたわけでございますが、この点につきまして、通産大臣並びに外務大臣は、どのようにそれを受けとめていらっしゃるかということについて、まずお聞きしたいと思います。
  236. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 業界の首脳数名の人々が昨日そのような決心をしたという報告は受けたわけでございますけれども、その内容につきましては、まだ業界の中にも、御存じのようにいろいろな業態がございますので、どのような形をとるかということについてまとまっていないようでございます。私としては、それがまとまりましたら、連絡があることと期待をいたしております。  なお、別途政府としては、御承知のように、昨年来政府間において交渉をしておるわけでございまして、これは昨年末で一応とぎれたかっこうにはなっておりますけれども、チャンネルは存在をしておるわけでございますから、その間政府間に不信あるいは悪い感情が残るようなことがあってはならないと考えておりますから、これはいまのことでなく、かりにわが国の業界の案がまとまりました段階でよろしいわけでございますけれども、どのようにそれらのことを扱っていくか。これは外交当局の判断を求めまして、それに従いたいと考えておるわけでございます。
  237. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま通産大臣からお答えいたしましたとおりでございまして、自主規制のこの問題については、私といたしましてもその成り行きに大きな関心を持って、ただいま見守っているわけでございます。従来からも長きにわたって両国政府間の折衝が続けられて、現在停滞状態でありますことは御承知のとおりでございますけれども、これからの進み方によりまして、それとの調整といいますか、外交的にどういうふうにやっていくかということについては、事態の進捗に伴いまして通産省あるいは業界の方々等ともよく御相談をして、最も賢明な方途を講じたいと思っております。
  238. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあいまの業界のそうした動きを見ておりますと、この自主規制というのがいくのじゃないかというような見方がだいぶん強くなってきておるように思います。  そこで両大臣からお話がございましたが、現在の牛場・フラニガン会談が続行しておるわけでございます。もしもそのように業界が一方的に自主規制した場合を想定しますと、やはり外交上の問題——あとの取り扱い等についてやはり問題が相当あるのじゃないか、このように思うわけですが、それでこの業界の自主規制が通ったと、このように仮定した場合、外務大臣としてはどういう処置をおとりになるおつもりでございますか。
  239. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これからの推移いかんによりますが、私は何とかして、いずれにいたしましても、円満にこの問題に終止符が打てることが両国のために非常にけっこうなことだと思っておりますので、いまはまだ仮定の問題ですけれども、かりにこの自主規制の話がずっとうまい姿になりました場合には、これで全部がきれいにもう片づくような形で収拾ができるようにいたしたい。原則的にかように考えておる次第でございます。
  240. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこでこの自主規制になった場合に、繊維業界は御承知のように、いまもう非常に悪いわけでありますし、特にまた打撃を受けます。私も分科会で指摘をしたわけでございますが、現在、倒産が非常にふえてきております。中小企業も非常にきびしい状態に立たされております。そういう中で行なわれるこの自主規制ということを考えますと、相当ここは政府としても力を入れて、救済策を立てなければならないのじゃないか、このように思うわけですが、通産大臣としてはどのようにお考えですか。
  241. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 産地等で、昨年末からただいまにかけましてかなり商況が悪いということは、御指摘のとおりでございましたので、実はかねて大蔵大臣と御相談をいたしておりましたが、本日、かって例の少ないことでございますが、年度末にかけましての金融を、政府関係三公庫の追加投資あるいは運転資金の貸し出しワクの増額等々、あまり例のない措置といたしまして今日決定をいたしましたようなわけでございます。これは当面の商況に対処するところのものでございます。
  242. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間が限られておりますので、次の問題に行きたいと思います。  沖繩に関する問題をお聞きしたいと思いますが、この前に、十日、十一日と沖繩で全軍労のストがあったわけでございます。そのときに非常に現地業者と流血のそういう心配があるということで、私も本委員会におきまして政府のそうした対策を要請したわけでございますが、それに対して、分科会でも山中総務長官からお答えをいただきましたが、きょうは外務大臣もお見えでございますのでお聞きしたいと思いますが、一時的な対策にすぎないという声がやはり聞かれるわけでありまして、その証拠に、今度また三月に入って、すぐにまたストが行なわれる。また業者とのそうした対立も心配されておるというような状況でございますが、こういう状況に際しまして、外務大臣としてはどういう適切な対策をとっていかれるか。その点についてお聞きしたいと思います。
  243. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 三月の二日、三日に第二波のストが行なわれるというような情報があります環境の中で、ただいまもお話しのように、これは長期的な対策とさしむきの対策とあるわけでございますが、私のほうとしては、主として対米折衝の関係でございます。御案内のように、この前のときにも、これはストを回避していただきたいという意味ではございませんけれども、総理府のお骨折りで、本土の労務者の退職金との差額の補てんというようなことが関係各当局の間で合意ができました。こういう面は、対米折衝をする上でもたいへんわれわれの立場を強くしておるわけでございますが、対米の接触のほうでは退職予告期間の問題、それから配置転換の問題等々いろいろございます。それから、何ぶんにも沖繩におきましては、本土と違いまして他の職場を早急に求めることは非常に困難である、この特殊な状況のもとにおいて特段と米軍当局の配慮、高等弁務官の配慮を必要とします。また、それに対しては米本国政府のバックアップを必要といたしますので、その点について今後におきましても格段の努力を必要と考えております。  それから、非常に具体的な問題ですが、この前のときにもたいへん気にいたしたわけですが、いわゆる第二ゲートの問題がございます。これは非常に具体的な問題ですが、これらの点については、山中長官からもお話があることと思いますが、私ども対米折衝の路線にある者といたましても、こういう点について特段の配慮をいたしたいと考えております。
  244. 近江巳記夫

    ○近江委員 山中長官にはきのうお聞きしたわけでございますが、その後、また今後考えるということをおっしゃっておりましたし、きのう答弁のほかに、もう一歩こういうことを考えておるということがございましたら答弁願いたいと思います。
  245. 山中貞則

    山中国務大臣 きのう以後の変化でございますから、その目立ったものはありませんが、公的に米側より現地において、私どもが愛知外務大臣を通じて折衝いたしておりましたポイントの一つである解雇予定の数の中から配置転換で救われ得る者、これが四百名程度発表になりましたので、幾ぶんなりと現実に首を切られる者が少なくなるということで、さらにこの配転はふえる見込みでございます。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  246. 近江巳記夫

    ○近江委員 沖繩の復帰に伴いまして非常に県民の心配する点は、物価の問題でございますが、この問題だけでも論じていけば何時間もかかるわけでございますので、私は現行の輸入制度及び低関税制度を維持する措置を講ずるべきじゃないかと思うのでありますが、長官としてはどのように思われるか、その点についてお聞きしたいと思います。
  247. 山中貞則

    山中国務大臣 すでに第一次要綱で、観光ショッピング関係の低関税据え置きについては決定をいたしておりますが、その他の残りの輸入、純粋の復帰後も輸入にかかる海外からのものと、それから大部分を占める本土からの現在は輸入といっておりまするものの物品税というものの問題がございます。輸入のものにつきましては、主として原材料、加工原料等については、現在の沖繩に対する特別の制度というものを何らかの——幸いにして離島でもございますので、横流れその他も排除できると思われる物資等については指定してまいるつもりで、目下その仕分けをいたしております。  それから、本土と沖繩との間で、現在は関税にかわる物品税によって格差が設けられることによって、主として沖繩の人たちの企業の、零細企業が中心でありますが、保護という立場から設けられておるもの、これについては引き続き設けられますと、本土並みの物価に安くなるはずのものがならないということにもなります。かといって、これを一ぺんに取っ払いますと、本土の猛烈な現在の企業のシェア拡大、血も情けもない過当競争の中では一ぺんに沖繩の中小零細企業は踏みつぶされるということは目に見えておりますので、ここらのところに税制の検討もいたしておりますが、独禁法等の排除等も念頭に置きながら、何らかの沖繩産業の一定期間の保護ということを考えながら、そして一方においてはその保護が消費者の生活に著しい打撃を与えることのない範囲においてということの、いま苦肉の案を作成中でございます。
  248. 近江巳記夫

    ○近江委員 大蔵大臣、同じ問題で、いま総務長官がお述べになったわけでございますが、さらにバックアップしたお答えをいただきたいと思います。
  249. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 関税問題は、ただいま総務長官からお答えしたとおりなんです。沖繩の現行関税が低くて、わが国の本土の関税が高い。その際に、まあ問題があるというふうに思いますが、これはどうも原則論からいいますと、そのままに暫定的にしておくといたしますれば、沖繩を通じまして本土にどんどんと品物が入ってくるというような脱法的な現象もあろうかということで、どうもそういうことは好ましくない。これは本土とこの際統一をしけなればならぬということでございますが、そのために沖繩の物価等に及ぼす影響等もありましょう。そういうことにつきましては、総務長官からお話がありましたように、最善の努力を払いたい、かように考えております。
  250. 近江巳記夫

    ○近江委員 南方同胞援護会の問題でございますが、復帰後これがなくなったとした場合、その資産の問題になるわけでございますが、やはりその機能というものは十分発揮できるように、それを管理するためのそういう各種の団体があるわけです。そういうところが無償で譲渡してもらいたいというようなことも強いわけでございますが、その点の処置については、政府としてはどのようにお考えでございますか。
  251. 山中貞則

    山中国務大臣 南方同胞援護会のやっておりまする業務は、主として社会福祉関係の業務でございますので、これは復帰後は沖繩県が県として行なうべき事務については、御指摘のような無償で沖繩県が行なえるように譲渡をいたし、さらに県が直接行なうことがややふさわしくないものは、それらの半公的な民間団体等においていままでの機能を失わないよう運営していくように、無償で移しかえるというような措置を考えているところでございます。
  252. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常にもう時間がありませんので……。  それから私も沖繩へ参りまして八重山のほうへ参りますと、台湾からたくさん労務者がパイン等の仕事でこっちへ来ておりますが、そういう季節労務者の供給体制というものが確立されるまで、台湾のそういう労務者を置いてもらったほうがいいんじゃないかという声も非常に強いわけなんですが、その点については政府としてはどのようにお考えであるか、その点を伺いたいと思います。
  253. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩側の要望どおり生パイン等が、主として台湾の労務者でありますが、海外から人手を連れてこなくてもやっていけるような体制ができるまでは、法務省等あるいは労働省等も若干の異論はございますが、現地沖繩の現状として、季節の労務者でございますから、それらの点について配慮をしつつ特例を相当大幅に残しておきたいと考えております。
  254. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから向こうへ参りまして、やはり一番われわれが驚くのは台風の問題であり、しかもその台風の災害が家屋あるいは農作物に非常に大きな被害を及ぼしておるわけでございます。しかし、向こうで聞いてみますと、気象関係のそうした整備というものがやはり本土に比べますと非常におくれておるように思います。そういう点、本土の気象観測の重要な最前線にもなるわけでございますし、その点沖繩のそういう整備に相当力を入れなければならないのじゃないか、このように思うわけですが、長官としてはどのようにお考えでございますか。
  255. 山中貞則

    山中国務大臣 これは復帰後も管区気象台本部を設けるつもりでおりますが、その具体的な独立した機構にするかどうかについては沖繩に置かれる復帰後の国の出先機関の機構のあり方等も関連をいたしますので、方針はそのとおり定めておりますが、あるいは第二次要綱に間に合わないかもしれないと思っております。
  256. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ沖繩は非常に水が足らないわけでありますが、その点についていろいろ構想があろうかと思うのですが、いままで長官も発表されておりますし、きょうは科学技術庁長官もお見えでございますし、海水の淡水化ですね。ちょうど沖繩では海洋博覧会も開かれますし、その点、海水の淡水化等について今後力を入れられるかどうか、科学技術庁長官にお伺いしたいと思います。
  257. 西田信一

    ○西田国務大臣 沖繩は水源地が少なくて人口も多うございますので、今後の経済発展、生活の向上のためには、どうしても水の確保が必要だと考えます。そのためにいろいろダムの建設なんかもはかられておるようでございますが、先生お尋ねの海水の淡水化ということも将来の大きな期待になると思います。  そこで、海水の淡水化技術につきましては、これは小規模なものにつきましては、御承知のとおり、船舶であるとか離島あるいは砂漠地帯などにおきまして、特殊条件下において若干のものが実用化されておりまするけれども、まだコスト面で非常に高いわけでございます。そこで、通産省におきまして、工業技術院になりますが、大型プロジェクトの海水淡水化、これの大規模な研究が行なわれておりますことは御承知のとおりでありまして、四十四年から始まっております。これはすでに十六億くらい本年度を含めましてつぎ込んでおるわけでありますが、五十年度くらいを目標にいたしまして、そしてコストを引き下げるということをねらいとした研究が進められておるわけでございまして、沖繩の水不足の大きな問題に十分これが役立つように、この技術の解明をすることにわれわれも力を注ぎたい、かように考えております。
  258. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは時間も間もなく参りますので、時間の範囲内で田中君に譲ります。
  259. 中野四郎

    中野委員長 この際、田中昭二君より、去る二月二十四日の第五分科会の発言に関して発言を求められておりまするので、特に、理事会の協議に基づき、近江君の持ち時間内にてこれを許します。田中君。
  260. 田中昭二

    田中(昭)委員 二月二十四日の予算委員会の第五分科会で、私の質問の中で、国鉄の志免炭鉱のボタ山処理と仲原農協の融資問題をめぐりまして、疑惑のある手形の裏書き人が、元運輸大臣の某氏であると受け取られる発言は、私の本意ではなく、誤りであります。手形の裏書き人は全然別の人物であり、某氏はこの手形の件については全く関係がありません。これに関する私の発言は取り消しますと同時に、このことについて、元運輸大臣の某氏にはたいへん御迷惑をおかけしましたことを深くおわびするものであります。  また、この件について、予算委員長理事委員の各位に御迷惑をかけましたことをあわせて深く遺憾の意を表するものであります。
  261. 中野四郎

    中野委員長 この際、農林大臣より、先ほどの横路君の質疑の際の答弁を求められております。これを許します。倉石農林大臣
  262. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 事務当局からお答えいたさせます。
  263. 亀長友義

    亀長政府委員 先般御質問のございました、一月二十日全国味噌工業協会役員会において決定した特別賦課金に関する件につきまして、全国味噌工業協会会長藤森氏につき調査をいたしましたところ、てんまつ書を提出をしてまいりまして、すでに当委員会の委員部のほうに、午前中に、その農林大臣報告のございました書面の写しを提出してございます。  その要旨は、簡単に申し上げますと、一月二十日、かねてから消費宣伝——みそが最近需要か横ばい状況であるということから、需要宣伝の拡大の必要を痛感いたしており、一月二十日、消費宣伝活動を目的とする提案をいたしましたところ、全員これに賛成了承の上、この賦課方法について会長一任となりました。役員会終了後副会長と相談をして、おおむね五百万円を目途として賦課金の額及び徴収の方法を内定し、専務理事をして会員に通知するよう指示をしたということであります。  この一月二十日の役員会に先立ち、全国味噌工業協会のブロック会長会議を開いたところ、会議終了後の雑談中一部の役員から、国民協会への寄付等についての発言がありましたが、これについて何らの決定や合意があったわけではありませんということであります。  二月三日に至り、徳島県理事長から、特別賦課金は国民協会への寄付等に使用するものであると自分は考え、一月二十五日開催の理事会でその旨説明したが、疑義が出たので確認したいとの照会が二月三日にあり、これに対して常務理事から、特別賦課金は消費宣伝に使用することを目的とするものである旨の回答を行なったとのことであります。  この藤森会長は、常務理事からこの照会についての報告を受け、一月二十日ブロック会長会議後の雑談が誤解を招いているように感ぜられたので、その責任の重大さを感じ、特別賦課金については、再度役員会を開きこれを再検討することを適当と判断し、二月九日別添のとおり本特別賦課金の取り消しを会員に通知をしたとのことであります。  なお、特別賦課金の徴収は、送金依頼書により徴収する従来のたてまえであり、二月九日現在までに送金を受けた事実はないとのことであります。  なお、この藤森会長が徳島県の組合長から聴取した事情として、徳島の組合長は、宣伝費とともに一部国民協会への寄付等に向けてはどうかとの発言を合意されたものと思い、この旨二十五日の役員会で説明をした。  一月三十日付味噌工業協会からの通知文書が来たので、二月二日にそれをそのまま組合員に発送をした。徳島の組合長は、二十五日の役員会の際某役員から賦課金の内容について質問が出たため、この点が気がかりとなり、二月三日に電話で全国協会田村理事に確認を求めたところ、田村理事から、前記のとおり需要拡大のための目的であるという回答があり、二月九日の役員会で、二十五日の説明は誤りであるということを報告して了解を得たとのことであります。  なお、この会長の報告によりますと、傘下の全国各県の組合につき調査した結果、一月三十日以降組合員に賦課の通知を出した県は四県ありますが、二月九日までに一部の組合員から特別賦課金を受領していた組合は三県の組合であり、これらの入金額は全国協会には納付せず、二月十九日までに二月九日の取り消し通知に基づいて全額各人に返還をした。  以上のとおり全国味噌工業協会長から農林大臣報告がございました。詳細は書面でごらんを願います。
  264. 横路孝弘

    横路委員 いまの報告によりますと、結局二月十八日の予算委員会で私のほうで指摘をいたしました点は、事実であることを御確認いただいたものというように思いますけれども、そこで、一、二点だけ時間がございませんのでお伺いしたいのですが、このみそ用の原料米の古々米についての払い下げについて、食糧庁とみそ業界でこの件についての協議会を設けることになっているようでありますけれども、この協議会はいつからできているのか、それを明確にしていただきたいと思います。
  265. 亀長友義

    亀長政府委員 食糧庁の担当の者と味噌協会との間で、みそ原料等について意見を交換する会合を、そういうふうに名前をつけて俗に呼んでおるということでございます。
  266. 横路孝弘

    横路委員 この食糧庁のお役人とみそ業界と、それから先ほどの徳島県のこの役員会の議事録によりますと、みそ議員懇談会というのがあるようでありまして、その会長を大久保議員がやっているようでありますけれども、この三者の中でいろいろこの話し合いがあったようであります。そこでお伺いしたいのは、一月十二日の日に赤坂の東急ホテルに食糧庁の次長、業務部長、加工食品課長、企画課長補佐、この方たちがこの工業協同組合の方と、あとそのほかいろいろな方含めて、会合を持ったようでありますけれども、その時点では食糧庁のほうの意向としては準内地米の価格まで引き下げることは非常にむずかしい状況であるという何か話があったように、この工業会のほうの味噌通信によると——味噌通信というのが出ておりますけれども、その中には出ているようでありますけれども、これは間違いないかどうか、そういう会合があったかどうか。そこでそういう話し合いがなされたということについて、間違いがないかどうかを確認していただきたい。
  267. 亀長友義

    亀長政府委員 いま出席しておりました業務部長に聞きますと、出席をしたそうであります。その際には業界の要望等についていろいろ聞きましたけれども、政府側の特段の方針はきまっておりませんので、準内地米を売るとか売らぬとかいうような決定的な話はいたしておらないということでございます。
  268. 横路孝弘

    横路委員 しかし、その話し合いの内容については、この全国味噌工業協同組合連合会で出している味噌通信の四十六年一月十三日、六百九十八号の中にはかなり明確に出ているわけです。  時間がありませんので、ちょっともう一点お尋ねしておきたいのは、私が質問したのが二月の十八日、そしてこの報告によると、二月十九日までに集めたこの特別賦課金は返したという、そういうこの報告でありますけれども、いまこの御報告の中で、徳島県のほうでは国民協会への寄付等だというように考えて、その旨この組合に通達を流している。こういうように国民協会への寄付だと考えて、そういう取り扱いをしたのは、徳島県のほかにも何県かあるはずですけれども、それはどうですか。その調査の結果は。
  269. 亀長友義

    亀長政府委員 最初に私が聞きましたのは、十九日というのは全部のものが終わったときであって、かなり早くから中止ということを通知を受けて返したところもあり、最終日が十九日だというふうに私は理解をいたしております。  なお、徳島と同じような説明をした県があるかどうかということでございますが、私の聞いておる限りでは一つだけであるというふうに聞いておりますが、なおこの点はもう少しよく調査をしてみなければ、私もわからぬのじゃないかというふうに考えております。一応私の聞いた範囲はさようでございます。
  270. 横路孝弘

    横路委員 私の調べた範囲では、東京そのほかまだ二、三の県でそういう説明をして、特別賦課金を集めたところがあるというように聞いているわけでありまして、いまその調査をするということでございますから、さらにその点について調査をしていただきたいと思うのです。  いまの御説明ですと、その味噌工業協会の会議終了後の雑談中、その一部の役員から国民協会の寄付等について発言があった、こういう説明になっているわけでありますけれども、雑談の中の話を真に受けて、そしてわざわざ各県に持ち帰って理事会を開いて、そこで決定をして、組合員に通達をするなんということをするはずもありません。しかもこのいまの報告を見ても、取り消しの通達を出したのは田中議員がこの委員会で発言をした翌日の二月九日の日、そしてこの特別賦課金の返済が完了したのは、私がここで質問をした二月十八日の翌日であるところの二月の十九日になっているわけであります。そんな点からいいますと、これは事件としては黒であるけれども未遂に終わった事件だ。お金は国民協会にいかなかったわけでありますから、未遂に終わった事件だと私は思いますけれども、いずれにしてもいまの食管の赤字の問題で財政負担をできるだけかけないように処理をしよう、こういう基本的方針にある中で、一般の消費者米価に比べて非常に安い値段で処理をしている。このみそに対する払い下げなんかそうですね。ですからこういう疑惑を招かないような行政指導というものを、やはりこれは農林省としてやっていってもらわなければ困ると思うわけでありまして、最後にその点に関して農林大臣の発言を求めて終わりにしたいと思います。
  271. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農林省におきましては、いわゆる綱紀の粛正について常々部下に厳重に言っておりますので、なお今後も私どもといたしましてはそういう指導方針でやってまいるつもりでございます。
  272. 中野四郎

    中野委員長 この際、おはかりをいたします。  岡沢君の質疑に際し、最高裁判所当局の出席、説明の承認をいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  274. 中野四郎

  275. 岡沢完治

    岡沢委員 私は、持ち時間が十五分でございますので、尋ねるほうも簡潔にいたしますから、御答弁も要点だけで簡潔にお答えいただきたいと思います。  最初に、最高裁判所にお尋ねをいたします。問題になっております国有農地の売り戻し問題に関連する判決として、きわめて有名になりました四十六年一月二十日の大法廷の判決の判示内容につきましては、私が先般法務委員会でお尋ねをいたしました場合に、その判示内容は農地法八十条と農地法施行令第十六条四号との関係につき判示しておる、売り戻し価格が幾らであるべきかについては何ら判示するところではないという御答弁がございました。この点につきましては重ねてお尋ねをいたしませんけれども、さらにその判決の中に、これは判決書の六ページでございますけれども、「私有財産の収用が正当な補償のもとに行なわれた場合においてその後にいたり収用目的が消滅したとしても、法律上当然に、これを被収用者に返還しなければならないものではない。しかし、収用が行なわれた後当該収用物件につきその収用目的となった公共の用に供しないことを相当とする事実が生じた場合には、なお、国にこれを保有させ、その処置を原則として国の裁量にまかせるべきであるとする合理的理由はない。したがって、このような場合には、被収用者にこれを回復する権利を保障する措置をとることが立法政策上当を得たものというべく、法八〇条の買収農地売払制度も右の趣旨で設けられたものと解すべきである。」この部分がいわゆる先ほど申しました一月二十日の判決の判示内容に含まれるかどうか、その点だけお尋ねいたします。
  276. 瀬戸正二

    ○瀬戸最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  判決文に岡沢委員御指摘のとおりの判文があることは事実でございます。これは判決文の一部であることもまた事実でございます。
  277. 岡沢完治

    岡沢委員 ちょっと局長、そこにおってください。  あなたは、私の法務委員会の質問に対する答弁では、判示は農地法八十条と農地法施行令十六条四号との関係につき判示したのだ、これは記録文にあることは明らかなんですが、この内容がいわゆる下級審を拘束する判示の内容であるかどうかという点だけを聞いているのです。法律と、幾ら最高裁といえども判決とは違うわけなので、判決の一言一句が国民をも拘束したり、国会をも拘束することはない。憲法と法律はわれわれ国会議員も国務大臣も、あるいは法務委員も拘束します。そういう点から判決のすべてが、全文章がわれわれを拘束するものではないわけなんです。そういう意味から判示の内容が、先ほども前回の法務委員会であなたが御答弁になりましたように、農地法八十条と農地法施行令十六条四号との関係だけの判示なのか、いま私が読み上げた部分もいわゆる判示の中に入るのか、その辺をお聞きしておるのです。
  278. 瀬戸正二

    ○瀬戸最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  岡沢委員が御指摘の判文が判決の中でどういう意味を持つか、あるいはどう解釈さるべきかということについては、各機関それぞれ御検討せらるべき事項でございまして、事務当局としては、判決の内容にわたってこれ以上の御説明を申し上げる立場にもございませんので、説明を差し控えさしていただきたいと存じます。さよう御了承ください。
  279. 岡沢完治

    岡沢委員 そうしましたら、私が、たしか二月十六日の法務委員会であなたにお尋ねをしたときに、この判決の判示は、農地法八十条と農地法施行令十六条の四号との関係につき判示したものである、それから、先ほど申しましたように、価格については判示するところがない、この答弁は間違いではございませんね。
  280. 瀬戸正二

    ○瀬戸最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
  281. 岡沢完治

    岡沢委員 大蔵大臣、農林大臣、それから長官も聞いておられたと思います。私は、ここで法律論争だけをやる気持ちはございません。また、われわれは、国権の最高機関として、最高裁の判決を無視するわけにはいきませんが、それにすべて従うわけではないわけです。三権分立という厳然たる事実がございます。アメリカにおきましても、ニューディールの政策に反対するような最高裁判決が出た場合に、それにまた反するような国会の立法化がなされたことも事実であります。私は、そこに三権分立の妙味があるだろうと思います。また、私が申し述べました判決も、現在の憲法と現行法をたてまえにした判断であることは明らかなんです。そういたしますと、われわれは、いかなる法律をつくるかということは、憲法に反するわけにはまいりませんけれども、また、憲法を変えることすらも手続に従えば可能なわけなんで、まして、立法論として、どういう法律をつくるかということは、政策的に、立法的にわれわれ自身が判断すべきことだと思いますが、その点の道理間違いありませんか、法制局長官。
  282. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お尋ねの点は、私あらためて申すまでもないことだと思います。むろん、憲法と法律の上位の規範に違反することはできませんが、そうでない限りは、国会は自由に法律を制定することができることはあたりまえのことだと思います。
  283. 岡沢完治

    岡沢委員 そうしますと、専門的なことですので、重ねて法制局長官にお尋ねいたしますが、私が先ほど読みました判決の中の文章の一つ、「立法政策上当を得たものというべく、」ということばがございます。これは、私は、最高裁判所が、現行憲法と現行法を前提にして希望を述べられたものであって、われわれ国会を拘束するというものではないと解すべきだと思いますが、いかがでございますか。
  284. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 私はいまここに判決を持っておりますが、御指摘の点は、いまの農地法の八十条を解釈するよすがとして、こういうふうにするのが立法政策上妥当であろう、そういう目から見れば八十条の解釈としてはこういうのが正しいだろう、こういう立論の過程をここに言っているわけでございまして……(岡沢委員「それはわかっている。われわれを拘束するかどうか」と呼ぶ)むろん、憲法に違反するものでなければ、先ほど申し上げたように、拘束することはいたしません。ただ、現在の論点は、実は私の理解するところではそういうところではないんではないかと思っておりますが、お尋ねに関する限りは、そのとおりだと思います。
  285. 岡沢完治

    岡沢委員 財産権に関しましては、憲法二十九条がございます。「財産権は、これを侵してはならない。」これは大原則でございますが、同時に、第二項もございます。「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」この「法律」は、われわれが、国会がさしてもらうわけです。それから、「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という規定もございます。  私は、今度のこの農地売り戻し問題が大きな焦点を浴びましたものは、その価格が二円五十三銭という、常識を逸した低いものであったということが一点でございますけれども、そのもっと大きな背景には、私は、土地の異常な高騰、しいていえば土地政策に対する政治の失敗のしりぬぐい、よく、土地の高騰は諸悪の元凶といわれますが、この法律解釈、売り戻し問題の元凶もまたここにあると申し上げてもいいと私は思うんです。そういう点からいたしますと、いま与野党四党間で協議が進められておりますように、売り戻し価格の問題について国民の納得するような立法措置あるいは解釈論をとることも一つの方法だし、それが必要だと思います。あわせまして、土地政策に逆行するような行政なり政治が行なわれないということをわれわれ心がけるべきでないかと思うわけでございます。  大蔵大臣は、私の質問にお答えになりまして、土地問題につきましては、もう現時点では、土地は所有するためにあるのではなしに利用するためにある、そういうふうに解釈をすべき時期に来ておると私は思うということをお答えになりましたが、そのとおり間違いございませんか、現在の御心境も。
  286. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そのとおり間違いございませんです。
  287. 岡沢完治

    岡沢委員 もしそういたしますならば、私は農林大臣にお尋ねいたしたい。  現在のこの国有農地がいわゆる農地に適さないというような状態になったのは、何もここ一、二年ではないと思うのです。大部分の土地はもう買収して二十年たっている。やはり土地利用についての政府の怠慢と——現に不法占拠されたり、あるいはごみ捨て場になったりしている農地も対象農地の中に多いといわれております。いわゆる利用を第一に考えなかった。国有農地でありながら、農地としては別として、国有地として積極的に国民の土地に対する要望あるいは公共社会資本としての活用についての怠慢があったと指摘されてもしかたがないと思いますが、御同感いただけますか。
  288. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 経過につきましては、もうすでに何年か前にも、この同じ案件につきまして、当時の政府は、政府部内でその処置について相談をいたしましたけれども、やはりこういう政府の持っておる土地は公共の用に供するのがいいのではないかということで、その当時、ただいままで持っておりましたような政令の改正について考えたのでありますけれども、いま申し上げましたように、公共の用に供することができないだろうかということでいろいろ研究をさしておる間に、昭和四十二年にこの事件が最高裁に係属することになりましたので、せっかく私どもは研究しておったのでありますが、こうなってきた以上は、やはり最高裁の判決を待つべきではないか、こういうことで延引いたしておったわけであります。
  289. 岡沢完治

    岡沢委員 農林大臣は、現実に私の質問に答えていただいてないのです。管理について手落ちはなかったかということをお尋ねしたかったわけです。けっこうです。  建設大臣をお呼びしておりませんけれども、建設大臣は、この予算委員会におきましても、たとえば土地収用法を改正して公共用地のためには土地先買いを認めるというような方向で検討すべきではないかということを言明された事実がございます。私は、せっかく国有農地として国が所有しておられる現在の農地を、これは立法論として、あるいは政策論として、先ほど申し上げましたように、土地の性質が所有のためよりも利用のためにある、あるいは活用するのが——あるいはまた土地の異常な高騰が、あるいは不足がどれだけ国民に迷惑を与え、あるいはまた国民の生活環境を悪くしているかというようなことを考えました場合、せっかく持っておるこの国有農地を、われわれの立法措置として、あるいは解釈論として国民のために活用する、公共の用に供する道を開くのが政治ではないかと思いますし、立法論としても十分に、私は理論的な障害はないと思いますし、また土地収用法の精神からいたしましても、収用目的がなくなっても、当然にその被収用者の所有権がなくなるものでないということは、先ほどの判決もうたっております。私は、収用目的、現在の対象農地にいたしましたならば、農業用に供するというのと同程度に、あるいはそれ以上に公共の用に供するという場合には、当然に公共用のほうに転用できる道を立法政策上あるいは政治的な立場としてとるべきだと思いますが、これについて大蔵大臣から、その方向での解決、私の意見についての見解、また法制局長官は、それに法律上の障害があるかどうか、お尋ねいたします。
  290. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法律上の障害があるかどうかということでございますが、要するに、憲法等の規範に違反することがなければ、むろん立法上政策的に妥当と思われるものを立法すればいいわけでございますから、要するに、その点があるかないか、それこそが議論の焦点になるのではないかと思います。むろんその焦点は、いま御指摘になるわけではありませんから私も申し上げませんが、そういう点の御検討をお願いをいたしまして、その御検討について自信を持たれましたらりっぱな法律をつくっていただくのがけっこうだと思っております。
  291. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 問題の法的解釈につきましては、私は内閣の構成員でありますから、内閣法制局長官の見解に従います。しかし、これは社会公平、また政策論、そういう面から見ると非常にむずかしい問題を含んでおると思うのです。いませっかく四党においてこの法解釈の問題と政策論、また社会公平と、こういう問題をどういうふうに調和させるかということについて話し合いをされている、そういう由でございますので、その成果に期待をいたしております。
  292. 岡沢完治

    岡沢委員 もう一点、私は無過失賠償責任の問題を聞きたいために、この問題についてはこれ以上述べませんけれども、しかし、法律というのはやはり社会正義の実現であり、国民の常識、世論を納得させるものであるというのが当然であり、そして憲法二十九条の先ほどの解釈からいたしましても、公共の福祉に適応するように財産権を制限できるわけなんです。それから大蔵大臣も御指摘になりましたように、土地は所有のためよりも利用のためにあるということを考えました場合、こういう私が指摘いたしましたような公共用に使うという道を開く立法措置は十分、理論的にもそしてまた政治の立場としても、可能であるし必要であるという点だけを指摘させていただきます。  あと時間がございませんので一点だけ、山中総務長官とそれから法務省の民事局長がお見えのはずでございます。私は無過失賠償責任制度の必要性について、ここでもうちょうちょうする時間はございません。ただ、山中総務長官はこの問題につきまして、二十四日の予算第一分科会におきまして島本議員、あるいはきのうの畑和議員の御質問に答えられまして、いわゆる個別的な立法、せめて有機水銀については今国会じゅうにでも立法化したいという意欲的な御発言がございまして、それは山中長官の昨年来の御主張であったかと思います。ところが、私がこの二月二十二日に新しい植木法務大臣のもとでただしました範囲では、無過失賠償責任の立法化については、その席におられました法務省の民事局長、各省のまた具体的などの省からもどの法律についても個別的な意味での無過失賠償責任の立法化については何らの相談にあずかってない、内閣法制局のほうも、同じ御答弁がございました。まだ今会期中あるから、これから相談をするのだとおっしゃるならばそれでもけっこうでございますが、現時点で内閣法制局にもあるいは所管の——所管と申しますか法務省の民事局にも、立法過程について、立法措置について何らの御相談のないままに、ほんとうに山中長官がおっしゃるように——われわれの三野党が出しておりますように、横断的な無過失賠償責任制度の立法化は無理であっても、せめて個別的な立法をこの国会にお出しになる真意、ほんとうの意思があるのかどうか。私は内閣としては、山中総務長官のように非常に意欲的な方と法務省のようにかたくななのとが、いわゆる硬軟使い分けをして国民に対する世論操作をしておられるという印象すら持つわけでございます。この問題につきましては、昨年の一日国会以来の総理の言明でもあるわけでございまして、この点につきまして山中総務長官の見解を聞きます。
  293. 山中貞則

    山中国務大臣 法務省は民法の特例としては困難であるといっておりますので、初めから法務省に相談する必要はないと思っております。しかしながら、法律をつくる場合においては、法務省も共同請議をして閣議決定する立場にありますので、いずれ相談はいたしますが、法制局はさらに立法化の過程の技術の問題としての憲法上の立場その他からの相談をいたしますからさらにおくれるわけでございます。でありますから、いま私の手元では今国会に間に合わせるべく、民法の特例としてではなく、人の健康に影響を与えるものについて特定の物質を限って、そして鉱業法や原子力損害賠償法等に準ずる法律として特別の立法をしたい、いま今国会中に提出したいと思って努力をいたしております。
  294. 岡沢完治

    岡沢委員 いまの答弁と関係しますので、法務省は無過失賠償責任は困難だということをいま言っておるということを山中長官おっしゃいました。しかし、法務省の民事局長は少なくとも、公式にか非公式にか、理論的には無過失賠償責任制度を立法化することは問題はない、法制局長官もお答えになったことがございます。法務省、理論的に無過失賠償責任制度を民法の特例としてあるいは特別法として立法化することは困難かどうか、その点だけを明らかにしていただきたいと思います。
  295. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 お答えいたします。  理論的には無過失賠償責任法案をつくることは問題はない、このように考えております。問題は実体であるということでございます。
  296. 岡沢完治

    岡沢委員 終わります。      ————◇—————
  297. 中野四郎

    中野委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりをいたします。  明二十七日、新東京国際空港公団総裁今井榮文君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  明二十七日は、午前十時より委員会を開会し、締めくくり総括質疑に入ります。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十六分散会