○草野一郎平君 ただいま
議題となりました農
林水産委員長提出、
国有農地等の売払いに関する
特別措置法案について、提案の趣旨を申し上げます。
本案は、最近における
社会経済の
発展に伴い、国民
生活の安定
向上をはかるための
社会施設用地の確保に資するため、農林大臣が管理する農地等について、公
共用または公用の用途へ積極的な活用
促進をはかるとともに、農地法第八十条第二項の
規定を
改正して、当該売り払い価額が健全な
社会常識に合致するよう
適正化する等、農地法第八十条第二項の
規定による買収前の所有者またはその一般承継人に対し、売り払う場合における対価等に関し、
特例等を定めたものであります。
農地法第八十条の
運用に関しましては、本年一月二十日の最高裁判所の判決により、同条第一項に基づく不要地
認定に関する同法施行令第十六条が、新たに生じた公
共用等の
目的に供される場合に限る等、限定的に
規定しているのは、法の委任を越えた無効のものとされ、
政府は、二月十三日、施行令第十六条の
認定の
範囲を、自作農の創設または土地の農業上の利用の増進の
目的に供しないことが相当である土地等にまで
拡大した
改正を行ない、施行したのであります。
政府のこの政令の
改正を契機として、
政府が売り払いの義務を負う農地法第八十条第二項の買収前の所有者への売り戻しについての価額については、これを適正な価額によるべきであるとする批判と、その売り払いの対象となる農地等について、これを公
共用または公用への転用の
促進をはかるべきであるとする要望が、国民各層より起こってきたことは、すでに御承知のとおりであります。
この問題につきましては、
自由民主党、
日本社会党、
公明党及び
民社党の各党は、これらの国民的要望にこたえるべく、鋭意協議検討した結果に基づき、農林水産
委員会は、三月二十五日、草案を作成して、これを
委員会の成案とし、
委員長提出の
法律案とすることに決定しました。これをもって、国民の期待に沿うこととしたのであります。
以下、
本案のおもな
内容を申し上げます。
第一に、農地等の売り払いの対価等につきましては、農地法第八十条第二項の「買収の対価に相当する額」を「適正な価額」に改め、政令で定めるところにより算出した額とするとともに、売り払い代金の納付については、五年以内の長期の分割払いを認めることといたしました。
第二に、不要地
認定した農地等の公
共用または公用への転用の
促進についてでありますが、旧所有者等に売り払うべき農地等につき、
特定の場合には、直接これを公
共用または公用へ転用し得る旨を法定したことであります。
また、右以外の場合でも、旧所有者等に農地等を売り払うべきであるというたてまえのもとにおいて、当該農地等につき、
政府は公
共用または公用に転用を
促進するような
措置を講ずべき旨を定めたことであります。
すなわち、
政府は、
地方公共団体等が農地等を公
共用または公用に供するため、買い受けの申し出をした場合においては、極力これらの用に供されるよう行政指導を行なう等、適切な
措置を講ずるようにしなければならないこととするとともに、特に、公
共用または公用に供する緊急の必要があり、かつ、そのことが確実である場合においては、
政府は、旧所有者等に対して、優先的にこれを譲渡すべき旨の申し入れをすることができるようにしたことであります。
第三に、譲渡
所得の
課税の
特例につきましては、不要地
認定した農地等の公
共用または公用への活用に資するため、旧所有者等が売り払いを受けた農地等を転売した場合の譲渡
所得の
課税に関する
租税特別措置法の適用につき、その売り払いを受けた年、またはその翌年中に、これを公
共用または公用として政令で定めるものに供するため転売した場合には、長期譲渡
所得として軽減税率を適用することとし、それ以外の場合には、短期譲渡
所得として
課税することといたしました。
第四に、この
法律は、公布の日から起算して三十日をこえない
範囲内で政令で定める日から施行すること。
その他の事項として、すでに農地等の売り払いの
措置が進行中の
特定のものに限っては、従前の例によるものとすること、及び農地法第八十条第二項中の売り払い対価は、買収の対価によるとする
規定を削除するものとすること等必要な
規定を設けることといたしました。
以上が、この
法律案の提案の趣旨及びそのおもな
内容であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御
可決くださいますようお願い申し上げます。(
拍手)
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