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1971-05-14 第65回国会 衆議院 法務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十四日(金曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 小澤 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊佐次君 理事 羽田野忠文君    理事 福永 健司君 理事 畑   和君    理事 沖本 泰幸君 理事 岡沢 完治君       石井  桂君    島村 一郎君       中尾 栄一君    永田 亮一君       松本 十郎君    勝澤 芳雄君       黒田 寿男君    林  孝矩君       青柳 盛雄君  出席政府委員         法務政務次官  大竹 太郎君         法務大臣官房長 安原 美穂君         法務大臣官房司         法法制調査部長 貞家 克巳君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  長井  澄君         法務委員会調査         室長      福山 忠義君     ————————————— 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     八木  昇君   日野 吉夫君     田中 武夫君   三宅 正一君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     日野 吉夫君   中谷 鉄也君     三宅 正一君 同月十一日  辞任         補欠選任   日野 吉夫君     中谷 鉄也君   八木  昇君     田中 武夫君 同日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     勝澤 芳雄君   中谷 鉄也君     日野 吉夫君 同月十二日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     田中 武夫君   日野 吉夫君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     勝澤 芳雄君   中谷 鉄也君     日野 吉夫君 同月十三日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     八木  昇君 同日  辞任         補欠選任   八木  昇君     勝澤 芳雄君 同月十四日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     八木  昇君 同日  辞任         補欠選任   八木  昇君     勝澤 芳雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第八四号)      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  最高裁判所総務局長長井澄君から、本日の委員会出席説明要求があり、これを承認いたしましたので、この際、御報告申し上げておきます。  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。羽田野忠文君。
  3. 羽田野忠文

    羽田野委員 この法律案につきまして、政府委員並びに最高裁のほうからお答えを願いたいと思います。  まず第一に、法務省のほうにちょっと聞きたいと思います。  この案を見ますと、これは市町村行政区画あるいは町村名前だとか所在地名前とかいうようなのが変わった、そのために簡易裁判所所在地とかあるいは管轄区域、こういうふうなのを事務的な整理のように改めるということがこの法律案の要旨のようですが、大体そういうことですね。
  4. 貞家克巳

    貞家政府委員 さようでございます。
  5. 羽田野忠文

    羽田野委員 これはもちろん行政区域名称所在地など一致させるためにこういう改正をするという必要さはわかるのですけれども、そういうほんとうに事務的な整理を一々国会にかけて法律改正という形でやるという、それまでせなければならないという理由があるのかどうか、ちょっと疑問を持つのだけれども、どういう理由でこれは国会にかけて、一々そういう改正名称変更や何かまで国会にかけなければならないのか。もし国会にかけないで、そういう事務的な整理は簡単にやれるような方法があるなら、どういうふうな方法があるのか、そういう点についてちょっとお聞きしたい。
  6. 貞家克巳

    貞家政府委員 まことにごもっともな御指摘でございまして、たびたびこういった非常に機械的な技術的なものについて御審議をわずらわしているのでございます。実は、この裁判所管轄区域につきましては裁判所法規定がございまして、裁判所法の第二条でございますか、「下級裁判所設立、廃止及び管轄区域は、別に法律でこれを定める。」ということになっておりまして、裁判所関係に関する基本法でございます裁判所法におきまして、一応法律でこれを定めることを予想しているのでございます。その趣旨は、おそらく裁判所管轄というものが、裁判を受けることについての国民の憲法上の権利と密接な関係にあるということを考えたからだと思うのでございます。しかしながら、御指摘のとおり非常に技術的な、裁量の余地を入れることのできないようなものにつきまして、一々法律でこれを必ず改正しなければならないのかということは実質的には疑問の存するところでございます。したがいまして、かりに裁判所法の、いま申し上げました規定改正いたしまして、一部政令に委任する、あるいは最高裁判所規則に委任するというふうにいたしますことも絶対に不可能ではないかと思うのでございますが、これは確かに簡便な方法でございます。しかしながら、同時に先ほども申し上げましたように、やはり管轄区域の実態ということになりますると、これは国民裁判を受ける権利に非常な影響を及ぼす問題でございます。さらに、簡易裁判所設立をどうするかというふうなことは、やはりどうしても法律規定すべき事項ではなかろうかと一応考えられるわけであります。  したがいまして、その内容の一部を、機械的なものだけ政令等に委任するというふうな方法が可能かどうかというようなことも検討してみる必要があるのでございますけれども、おそらくは非常に技術的にむずかしいのではなかろうか。部分的に、機械的な問題に限りまして読みかえをするというような、かりにそういった規定を設けましても、やはり一般の方々裁判所管轄区域の表をごらんになる場合には、読みかえてこれを見なければならないというふうなことになるわげでございまして、技術的な困難性があるのではないかということから、現在までそういった立法措置ということを考えておりませんのでございますが、確かに御指摘のとおり、こういうようなものまで国会の御審議をわずらわす必要があるだろうかということは実質的に問題でございます。今後の問題といたしまして研究させていただくことにいたしたいと考えます。
  7. 羽田野忠文

    羽田野委員 これからは最高裁にちょっとお伺いしたい。  この法案についての直接の質問というのはほとんどありません。これはもう事務的な、事務整理みたいなことですから。ただ、関連しまして、今回のこの管轄区域についての改正の中に、全く事務をやっていない、未開庁簡易裁判所管轄区域変更があります。横浜南、それから愛知横須賀、それから鹿野、これは管轄区域変更がありますけれども、いずれも未開庁でございますね。そこで、関連してちょっとお伺いしたいのでございますが、現在簡易裁判所未開庁のもの、これは幾つありますか。
  8. 長井澄

    長井最高裁判所長官代理者 未開庁と申しますのは、裁判所法上は第三十八条の事務移転という措置をいたしました庁を申すわけでございまして、これを通常未開庁と申しておりますが、未開庁は現在十五庁ございます。未開庁のうちには、当初から、法律に設置すべく定められておりながら開庁しなかった庁と、一たん開庁いたしましたが、その後特別な事情が生じましたために開庁を取りやめた庁、この二種類ございまして、これを合わせて十五庁あるわけでございます。
  9. 羽田野忠文

    羽田野委員 この十五庁のうち、初めから全く開いてない庁が何庁で、それから、初めは開いておったんだけれども、その後事務移転をして現在は開いてないのが何庁あるのか。それから、初め開いておってその後事務移転をして現在は開いてないのはどういう事情でその後実際に事務をやらないようになったのか。それからもう一つは、この事務移転関係裁判所法三十八条で「特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、」その事務の全部または一部をほかの簡易裁判所に取り扱わせる、こういう規定になっております。この特別な事情というのは、どういう場合に特別な事情というふうに解しておられるか。その点の御説明をお伺いしたいと思います。
  10. 長井澄

    長井最高裁判所長官代理者 法律制定の当初から未開庁の庁が八庁、一たん開庁いたしましてから、先ほど御指摘の特別の事情が生じましたために事務移転措置を講じまして、後発的に未開庁という形になりましたのが七庁ございます。ただいまお尋ねの、一たん開庁したけれども裁判所法三十八条の規定によりまして事務を移転しまして、その後未開庁の扱いになりました庁、七庁について簡単に御説明申し上げたいと思います。   〔委員長退席小島委員長代理着席〕  その一番早いものは宝塚簡易裁判所でございます。これは神戸地方裁判所管轄に属しますが、昭和二十二年五月三日に兵庫県武庫郡良元村役場の一部を借りまして宝塚簡易裁判所開庁したわけでございます。備品も役場のものを借りて執務しておりました状況ですが、その後適当な庁舎もしくは仮庁舎入手できませんでしたために、昭和二十三年の四月十一日に、その事務を伊丹の簡易裁判所で扱うことにいたしまして今日に至っておりますが、宝塚管内交通が非常に便利でございまして、事務移転に伴う支障もさしたるものもございません。地元方々の関心も、このような関係で、簡易裁判所の設置の要望ということにまで高まりませんために、今日未開庁のままという状態になっております。  次に、和歌山地方裁判所管内すさみ簡易裁判所昭和二十二年の五月に和歌山地方法務局周参見出張所庁舎の中に開庁したわけでございますけれども、事件の数が非常に少なく、また裁判所としての敷地庁舎、仮庁舎入手の見込みも立ちませんでしたために、昭和二十九年三月一日に田辺簡易裁判所事務を移転いたしました。今日に至りましても、すさみ簡易裁判所管轄地域内の事件はきわめてわずかでございまして、地元のほうでも簡易裁判所をぜひ開設するようにというような御要望もございませんので、これもこのままにしておる状態であります。  それから第三番目には、名古屋地方裁判所管轄に属します愛知横須賀簡易裁判所でございますが、昭和二十三年五月三日に開庁されまして、同年七月一日に横須賀町の役場開庁されましたが、これは昭和二十九年の十一月に火災で類焼いたしまして、同じ町内の小学校に一時移転いたしましたが、ここも老朽建築物でございましたために、昭和三十年初めから半田簡易裁判所事務を移転いたしました。やはり事件数が僅少、交通事情は非常に改善されておりますために、再開の要望がないまま今日に至っております。  第四番目は、名古屋地方裁判所管内西枇杷島簡易裁判所でございます。この簡易裁判所西枇杷島町村会館の一部を借りて開庁いたしましたが、事件数が非常に少ないために、まず民事訴訟事務名古屋簡易裁判所に移転いたしまして、その後庁舎が非常に老朽化いたしまして、昭和三十八年、名古屋簡易裁判所に全部の事務を移転いたしました。やはり交通事情が非常によくなりましたために、その後開設の要望がないまま今日に至っております。  第五番目は、横浜地方裁判所管内横浜南簡易裁判所でございます。これは検察庁の一部を借りて開庁いたしまして、その後民事訴訟事務横浜簡易裁判所に移転いたしましたところの経緯がございましたが、何ぶんにも庁舎老朽化し狭隘であることと、この庁舎敷地横浜の中区の日本大通りという繁華街にございまして、地元発展のためにはむしろ横浜事務を移しまして、ここは町の発展に利用したほうがよいというような地元の御意向もございまして、事務を移転したまま今日に至っております。  次は、第六番目の横浜地方裁判所津久井簡易裁判所でございます。これも町から借り上げました土地建物開庁いたしましたけれども、やはり庁舎老朽化がはなはだしく、その後敷地、仮庁舎、このようなものの入手もできませんために、昭和三十九年に相模原簡易裁判所事務移転をいたしました。そのような経緯をとりまして、今日に至っております。  最後に、山口地方裁判所管内本郷簡易裁判所でございます。これは裁判所検察庁法務局出張所が村役場明け渡しを受けて開庁いたしましたけれども、事件数が非常に僅少でございまして、昭和三十四年には民事訴訟事務岩国簡易裁判所に移転いたしました。その後地元から庁舎明け渡しを求められまして、昭和四十三年に岩国簡易裁判所事務を全部移転いたしました。この地方岩国を中心とした交通網が整備されまして、本郷よりは岩国のほうがいろいろな観点から便利であるというような事情で、本郷簡易裁判所事務岩国に移転したまま未開庁という形になっております。  最後に、特別事由による事務移転という、この特別事由とはどういう事由をさすかということでありますけれども、この法文の解釈といたしましては、天災地変、騒乱、疾病の流行、庁舎の腐朽、庁舎の確保の困難、このような事情に基づきまして官舎としての簡易裁判所の人的、物的施設について長期にわたる故障が生じておりますこと、それから地方民事訴訟事件状況その他の事情によって裁判の公平を維持することができないというような事情、このような事情特別事由に当たるものとして事務移転措置をとっております。何よりもそれほどの大きな施設でもございませんので、やはり地元要望がそれほど強くないというような事情か加わりますと、未開庁状態が続くというような現状になっておるわけでございます。
  11. 羽田野忠文

    羽田野委員 最後に、初め開庁しておってそれから現在事務移転をして未開庁状態になっておる。いずれも置く必要がないというような状態のようです。そういうところを事務移転でどんどんほかへ移しておるということはきわめて適切だと思うのです。  そこで、基本問題に立ち返って、そういう置く必要のないものをいつまでも簡易裁判所として置くようにしておくことがいいか悪いかという問題が起こってきます。二十何年か初めから全く開庁しないところと、途中でもう必要がないということで事務移転をしておるもの、こういうようなものは簡易裁判所整理統合の基本問題です。この点について臨時司法制度調査会の答申でも多数意見として、やはり時代に適合するようにもう整理統合をすべきだというような意見もありますし、それからこの問題をこの委員会でも前に何回も取り上げて論議されて、最高裁答弁でも、その問題については大体調査の段階が終了しておるというようなことも述べられておる。そこでこの未開庁簡易裁判所を今後どういうふうにおやりになるつもりがあるのか、最高裁のお考えをこの際ひとつお聞きしておきたいと思います。
  12. 長井澄

    長井最高裁判所長官代理者 お説のとおりでございまして、法律規定現状に合わなくなりました場合には、法律の目的とする観点から、法律のとおりに実施いたすか、あるいは改正によりまして法律の施行を適正円滑ならしめるという措置が望ましいことでございまして、ただいま御指摘のございました十五の庁につきましては、法律改正措置をとっていただくことがきわめて適切ではないかと私ども考えておるわけでございますが、中には地元の一部の方から違う御意見等も出ておりますために、御意見の調整、調査というような観点で、法務省御当局のほうで法案提出について、なお慎重な御検討を必要とされている点もあるのではないかと思っております。なお、この点につきましては、法務省の所管の方と十分に協議をいたしまして、法律が適正な形で運用されますように、私どもも努力したい、このように考えておるわけでございます。
  13. 羽田野忠文

    羽田野委員 最後に、政務次官、いまの答弁にありましたように、実際には全くないのに十五庁も裁判所があるように載っておるということは、もう整理すべき時期だと思いますので、適当な時期に御考慮いただきたいと思います。  終わります。
  14. 大竹太郎

    大竹政府委員 承知いたしました。
  15. 小島徹三

    小島委員長代理 本案に関する質疑は、次回に続行することといたします。      ————◇—————
  16. 小島徹三

    小島委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  裁判所司法行政に関する件について、来たる十九日、参考人出頭を求め、その意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 小島徹三

    小島委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は来たる十八日午前十時理事会散会委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。  午前十一時四十二分散会