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貞家政府委員 まことにごもっともな御
指摘でございまして、たびたびこういった非常に機械的な技術的なものについて御
審議をわずらわしているのでございます。実は、この
裁判所の
管轄区域につきましては
裁判所法に
規定がございまして、
裁判所法の第二条でございますか、「
下級裁判所の
設立、廃止及び
管轄区域は、別に
法律でこれを定める。」ということになっておりまして、
裁判所関係に関する
基本法でございます
裁判所法におきまして、一応
法律でこれを定めることを予想しているのでございます。その趣旨は、おそらく
裁判所の
管轄というものが、
裁判を受けることについての
国民の憲法上の
権利と密接な
関係にあるということを考えたからだと思うのでございます。しかしながら、御
指摘のとおり非常に技術的な、裁量の余地を入れることのできないようなものにつきまして、一々
法律でこれを必ず
改正しなければならないのかということは実質的には疑問の存するところでございます。したがいまして、かりに
裁判所法の、いま申し上げました
規定を
改正いたしまして、一部
政令に委任する、あるいは
最高裁判所規則に委任するというふうにいたしますことも絶対に不可能ではないかと思うのでございますが、これは確かに簡便な
方法でございます。しかしながら、同時に先ほども申し上げましたように、やはり
管轄区域の実態ということになりますると、これは
国民の
裁判を受ける
権利に非常な影響を及ぼす問題でございます。さらに、
簡易裁判所の
設立をどうするかというふうなことは、やはりどうしても
法律で
規定すべき事項ではなかろうかと一応考えられるわけであります。
したがいまして、その内容の一部を、機械的なものだけ
政令等に委任するというふうな
方法が可能かどうかというようなことも検討してみる必要があるのでございますけれども、おそらくは非常に技術的にむずかしいのではなかろうか。部分的に、機械的な問題に限りまして読みかえをするというような、かりにそういった
規定を設けましても、やはり一般の
方々が
裁判所の
管轄区域の表をごらんになる場合には、読みかえてこれを見なければならないというふうなことになる
わげでございまして、技術的な
困難性があるのではないかということから、現在までそういった
立法措置ということを考えておりませんのでございますが、確かに御
指摘のとおり、こういうようなものまで
国会の御
審議をわずらわす必要があるだろうかということは実質的に問題でございます。今後の問題といたしまして研究させていただくことにいたしたいと考えます。