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1971-05-19 第65回国会 衆議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十九日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 河野 洋平君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 櫻内 義雄君 理事 谷川 和穗君    理事 山中 吾郎君 理事 正木 良明君    理事 鈴木  一君       塩崎  潤君    高見 三郎君       床次 徳二君    野中 英二君       森  喜朗君    吉田  実君       川村 継義君    小林 信一君       多田 時子君    山原健二郎君       安里積千代君  出席国務大臣         文部大臣臨時代         理       秋田 大助君  出席政府委員         文部政務次官  西岡 武夫君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         文部省管理局長 岩間英太郎君  委員外出席者         議     員 川村 継義君         議     員 鈴木  一君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 五月十五日  学校砂場施設整備に関する請願外一件(床次  徳二紹介)(第五七一六号)  同外一件(小平久雄紹介)(第五八四八号)  同外一件(湊徹郎紹介)(第五八四九号)  同外一件(塩川正十郎紹介)(第五八五〇号)  同(大出俊紹介)(第六一六〇号)  同外一件(梶山静六紹介)(第六一六一号)  同外一件(西田八郎紹介)(第六一六二号)  教育職員超過勤務手当支給等法制化に関す  る請願木原実紹介)(第五七一七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第五七一八号)  同(川村継義紹介)(第五七六五号)  同(田邊誠紹介)(第五七六六号)  同(長谷部七郎紹介)(第五八五二号)  同(大出俊紹介)(第六一六七号)  教員超過勤務制度確立等に関する請願外一件  (川村継義紹介)(第五七六四号)  同(鈴木一紹介)(第五九六七号)  各種学校制度確立に関する請願湊徹郎君紹  介)(第五八五三号)  同(竹内黎一君紹介)(第五九六八号)  和裁学校教育必修科目として採用に関する  請願早稻田柳右エ門紹介)(第六一五九号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願久野忠治紹介)(第六一六三号)  同(小林信一紹介)(第六一六四号)  同(福田篤泰紹介)(第六一六五号)  宗教情操教育振興に関する請願増田甲子七君  紹介)(第六一六六号)  幼稚園教育振興に関する請願相川勝六紹介)  (第六一六八号)  同(赤澤正道紹介)(第六一六九号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第六一七〇号)  同(大坪保雄紹介)(第六一七一号)  同(大村襄治紹介)(第六一七二号)  同(小澤太郎紹介)(第六一七三号)  同(大久保武雄紹介)(第六一七四号)  同(菅野和太郎紹介)(第六一七五号)  同(倉成正紹介)(第六一七六号)  同(小山長規紹介)(第六一七七号)  同(左藤恵紹介)(第六一七八号)  同(正示啓次郎紹介)(第六一七九号)  同(白浜仁吉紹介)(第六一八〇号)  同(砂田重民紹介)(第六一八一号)  同(砂原格紹介)(第六一八二号)  同(瀬戸山三男紹介)(第六一八三号)  同(田中伊三次君紹介)(第六一八四号)  同(谷垣專一君紹介)(第六一八五号)  同(谷川和穗紹介)(第六一八六号)  同(中山正暉紹介)(第六一八七号)  同(永山忠則紹介)(第六一八八号)  同(灘尾弘吉紹介)(第六一八九号)  同(羽田野忠文紹介)(第六一九〇号)  同(橋本龍太郎紹介)(第六一九一号)  同(林義郎紹介)(第六一九二号)  同(原健三郎紹介)(第六一九三号)  同(原田憲紹介)(第六一九四号)  同(古川丈吉紹介)(第六一九五号)  同(保利茂紹介)(第六一九六号)  同(坊秀男紹介)(第六一九七号)  同(三池信紹介)(第六一九八号)  同(宮澤喜一紹介)(第六一九九号)  同(山下元利紹介)(第六二〇〇号)  同(山下徳夫紹介)(第六二〇一号) 同月十七日  幼稚園教育振興に関する請願天野公義紹介)  (第六二八五号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第六二八六号)  同(石田博英紹介)(第六二八七号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第六二八八号)  同(小此木彦三郎紹介)(第六二八九号)  同(小沢辰男紹介)(第六二九〇号)  同(奧野誠亮紹介)(第六二九一号)  同(岡崎英城紹介)(第六二九二号)  同(賀屋興宣紹介)(第六二九三号)  同(鴨田宗一紹介)(第六二九四号)  同(久保田円次紹介)(第六二九五号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第六二九六号)  同(熊谷義雄紹介)(第六二九七号)  同(小坂徳三郎紹介)(第六二九八号)  同(小峯柳多君紹介)(第六二九九号)  同(小宮山重四郎紹介)(第六三〇〇号)  同(小山省二紹介)(第六三〇一号)  同(河野洋平紹介)(第六三〇二号)  同(齋藤邦吉紹介)(第六三〇三号)  同(佐々木義武紹介)(第六三〇四号)  同(椎名悦三郎紹介)(第六三〇五号)  同(島村一郎紹介)(第六三〇六号)  同(鈴木善幸紹介)(第六三〇七号)  同(田川誠一紹介)(第六三〇八号)  同(田澤吉郎紹介)(第六三〇九号)  同(田中榮一紹介)(第六三一〇号)  同(田中正巳紹介)(第六三一一号)  同(竹内黎一君紹介)(第六三一二号)  同(千葉三郎紹介)(第六三一三号)  同(地崎宇三郎紹介)(第六三一四号)  同(床次徳二紹介)(第六三一五号)  同(中川一郎紹介)(第六三一六号)  同(中島源太郎紹介)(第六三一七号)  同(中村梅吉紹介)(第六三一八号)  同(野中英二紹介)(第六三一九号)  同(葉梨信行紹介)(第六三二〇号)  同(八田貞義紹介)(第六三二一号)  同(濱野清吾紹介)(第六三二二号)  同(福田篤泰紹介)(第六三二三号)  同(福田赳夫紹介)(第六三二四号)  同(福永健司紹介)(第六三二五号)  同(堀田政孝紹介)(第六三二六号)  同(松浦周太郎紹介)(第六三二七号)  同(松永光紹介)(第六三二八号)  同(三原朝雄紹介)(第六三二九号)  同(水野清紹介)(第六三三〇号)  同(粟山ひで紹介)(第六三三一号)  同(森下國雄紹介)(第六三三二号)  同(山田久就君紹介)(第六三三三号)  同(渡部恒三紹介)(第六三三四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第六三三五号)  同(足立篤郎紹介)(第六五五二号)  同(秋田大助紹介)(第六五五三号)  同(上村千一郎紹介)(第六五五四号)  同(江崎真澄紹介)(第六五五五号)  同(遠藤三郎紹介)(第六五五六号)  同(大西正男紹介)(第六五五七号)  同(大平正芳紹介)(第六五五八号)  同(奥田敬和紹介)(第六五五九号)  同(鍛冶良作紹介)(第六五六〇号)  同(海部俊樹紹介)(第六五六一号)  同(久野忠治紹介)(第六五六二号)  同(塩崎潤紹介)(第六五六三号)  同(高橋英吉紹介)(第六五六四号)  同(辻寛一紹介)(第六五六五号)  同(坪川信三紹介)(第六五六六号)  同(西村直己紹介)(第六五六七号)  同(野田卯一紹介)(第六五六八号)  同(野呂恭一紹介)(第六五六九号)  同(長谷川峻紹介)(第六五七〇号)  同(原田憲紹介)(第六五七一号)  同(藤本孝雄紹介)(第六五七二号)  同(村上信二郎紹介)(第六五七三号)  同(綿貫民輔紹介)(第六五七四号)  同(坂本三十次君紹介)(第六六九四号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願外一件(川村継義紹介)(第六三三六号)  同(美濃政市紹介)(第六三三七号)  同(山本弥之助紹介)(第六三三八号)  同(川俣健二郎紹介)(第六五七五号)  同(多田時子紹介)(第六五七六号)  同(千葉七郎紹介)(第六五七七号)  同外一件(土井たか子紹介)(第六五七八号)  同外三件(戸叶里子紹介)(第六五七九号)  同(中井徳次郎紹介)(第六五八〇号)  同(山中吾郎紹介)(第六五八一号)  同(津川武一紹介)(第六六九三号)  養護教諭全校必置に関する請願外一件(卜部  政巳紹介)(第六三三九号)  同外一件(川村継義紹介)(第六三四〇号)  同(島本虎三紹介)(第六三四一号)  同(辻原弘市君紹介)(第六三四二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六三四三号)  同外一件(美濃政市紹介)(第六三四四号)  同外二件(加藤清二紹介)(第六五四六号)  同外二件(小林進紹介)(第六五四七号)  同外一件(千葉七郎紹介)(第六五四八号)  同外一件(中澤茂一紹介)(第六五四九号)  同(西宮弘紹介)(第六五五〇号)  同(山本弥之助紹介)(第六五五一号)  同外一件(小林信一紹介)(第六六八九号)  同外二件(楯兼次郎君紹介)(第六六九〇号)  同外一件(堂森芳夫紹介)(第六六九一号)  同外二件(横山利秋紹介)(第六六九二号)  学校砂場施設整備に関する請願稲森利幸君  紹介)(第六三四五号)  同外一件(中川一郎紹介)(第六三四六号)  同外二件(加藤清二紹介)(第六五四一号)  同外一件(川俣健二郎紹介)(第六五四二号)  同(田中武夫紹介)(第六五四三号)  同(中井徳次郎紹介)(第六五四四号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第六五四五号)  同外一件(勝間田清一紹介)(第六六八五号)  同外一件(後藤俊男紹介)(第六六八六号)  同外一件(山本弥之助紹介)(第六六八七号)  同外一件(横路孝弘紹介)(第六六八八号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願灘尾弘吉紹介)(第六三四七号)  教員超過勤務制度確立等に関する請願鈴木  一君紹介)(第六六九五号)  和裁学校教育必修科目として採用に関する  請願佐々木良作紹介)(第六六九六号)  同(進藤一馬紹介)(第六六九七号) 同月十八日  国立大学医学部付属養護学校設置に関する請  願(村上信二郎紹介)(第六八一〇号)  肢体不自由児等養護学校就学義務化等に関す  る請願村上信二郎紹介)(第六八一一号)  学校砂場施設整備に関する請願外一件(白浜  仁吉紹介)(第六八三三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六八三四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第六八三五号)  同(井岡大治紹介)(第六八三六号)  同(柳田秀一紹介)(第六八三七号)  同外一件(松本七郎紹介)(第六八三八号)  同外一件(北山愛郎紹介)(第六八三九号)  同(成田知巳紹介)(第六八四〇号)  同(辻原弘市君紹介)(第六八四一号)  同外二件(井上普方紹介)(第六九三二号)  同外五件(井野正揮君紹介)(第六九三三号)  同外五件(ト部政巳紹介)(第六九三四号)  同外四件(岡田利春紹介)(第六九三五号)  同(大橋敏雄紹介)(第六九三六号)  同外三件(川崎寛治紹介)(第六九三七号)  同(下平正一紹介)(第六九三八号)  同(松浦利尚君紹介)(第六九三九号)  幼稚園教育振興に関する請願江藤隆美紹介)  (第六八四二号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願(稻葉修君紹介)(第六八四三号)  同(江崎真澄紹介)(第六八四四号)  同(床次徳二紹介)(第六八四五号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願(辻原弘市君紹介)(第六八四六号)  同(多田時子紹介)(第六九四〇号)  同(土井たか子紹介)(第六九四一号)  教育職員超過勤務手当支給等法制化に関す  る請願松平忠久紹介)(第六八四七号)  国立大学学生寮建設に関する請願山原健二  郎君紹介)(第六九四二号)  和裁学校教育必修科目として採用に関する  請願小沢辰男紹介)(第六九四三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  広島県に第三十四回国民体育大会誘致に関する  陳情書(第二六六号)  教育施設整備促進に関する陳情書  (第二六  七号)  日本私学振興財団法の一部改正に関する陳情書  外百十四件  (第三一七号)  各種学校制度確立に関する陳情書  (第三  一八号) 同月十七日  各種学校制度確立に関する陳情書  (第三五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度及び昭和四十五年度における私  立学校教職員共済組合法規定による年金の額  の改定に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第六四号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案  (川村継義君外五名提出衆法第九号)大学基本  法案鈴木一君外三名提出衆法第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 これより会議を開きます。  昭和四十四年度及び昭和四十五年度における私立学校教職員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。      ————◇—————
  4. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、野中英二君外四名より附帯決議を付すべしとの動議提出されております。提出者趣旨説明を求めます。野中英二君。
  5. 野中英二

    野中委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の五党を代表して、ただいまの法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。   昭和四十四年度及び昭和四十五年度における私立学校教職員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   私立学校教育重要性私立学校教職員共済組合実情にかんがみ、政府は左記の事項について検討し、すみやかにその実現をはかるべきである。  一 短期給付事業健全化をはかるため、必要な対策を講ずること。  二 長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十に引き上げるよう努めること。  三 いわゆる年金スライド原則規定基準を明確化し、すみやかに実現方途を講ずること。  四 私立学校教職員共済組合法適用外にある私立学校教職員ならびに私学振興を目的とする関係団体職員に対し、すみやかに、同法を適用するため必要な措置を講ずること。  五 私立学校に優秀な人材を確保する方途一つとして、国・公立学校教職員期間私立学校教職員期間退職年金等基礎となる組合員期間に合算する措置を講ずるよう努めること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の審査に際し十分御承知のことと存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 起立総員。よって、本案附帯決議を付すことに決しました。  附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。秋田文部大臣臨時代理
  8. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、誠意をもって検討してまいりたいと存じます。     —————————————
  9. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  11. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 川村継義君外五名提出公立義務教育学校学級編成及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  12. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 速記を始めてください。  質疑申し出がありますので、これを許します。正木良明君。
  13. 正木良明

    正木委員 川村議員外、御提出になっておられます公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案内容を慎重に拝見いたしましたが、いま新しい時代の教育が要望されているときに、非常に適切な御提案であるという結論を持っております。しかしながら、この内容につきましていま少し深くただしておきたい点がございますので、まずその点についての御質問を申し上げたいと思います。  この教職員定数につきましては、それぞれもとの法律の中に、その算出基礎というものがある程度示されております。しかしながら、今度のこの教職員定数の一部改正案につきまして、この算出基礎は、この法律では何を目ざしているのかということをまず御質問申し上げたいわけであります。たとえて申し上げますと、学級数基準にしているのか、または生徒児童数基準にしているのか、また授業時間数を基準にしているのか、その点について御説明を承りたいと思うわけであります。
  14. 川村継義

    川村議員 お答えいたします。  この法案は、提案理由趣旨でもつぶさに申し上げましたように、今日当面をしておる義務教育学校の実態からして、ぜひここまではいますぐにでも実現をしたいものだ、こういう考え方に立っております。したがって、学級編制にいたしましても、教職員定数にいたしましても、われわれはもっと理想的なあり方を考えているわけでありますけれども、ただ理想を追うただけではなかなか実現可能性がなく、そういう意味で現実的な実現可能性のあるところに目標を置いてこの法案を作成したのであります。近時教育は量よりも質だとだれでもが口に唱えるようになりましたがそういう意味で今日の義務教育の状態を見ると、質を向上させるというねらいも当然そこに置いて実はやっているわけであります。  そこで、いま正木先生の御質問でございますがこの算出基礎は、これは法文をごらんいただけばおわかりと思いますけれども、学級数の問題とそれからもちろん生徒数の問題、あるいは専科教員というものの存置を考える場合には担当時間数の問題、その三方面から実は考えておるわけであります。たとえば複式学級で三個学年複式はつくらない、二個学年複式にとどめる、その場合の生徒を二十二人という現行の規定を十五人にする、こういうことが一つの例でございましょうし、僻地とか特殊の地域における生徒児童は、その数の基準を三十人にする、こういうようなことで見てまいりますと、学級編制の問題あるいは児童生徒の数の問題等々をにらみ合わせながら実は算出基礎に置いているわけでございます。  どうかひとつその点を十分御理解いただきまして、御鞭撻いただきたいと思います。
  15. 正木良明

    正木委員 理想理想として、実現可能な現実的な改正、しかもそれは、もしやろうとするならば直ちにでき得るという立場においての改正案であるという御趣旨は、全く了解できますし、私も同感であります。願わくば、そういうお考えがこの委員会で支持されまして、そういう現実的な一歩一歩の積み上げによって、義務教育の水準が向上されるということが最も望ましいのではないか。川村先生の御意見、全く私も同感であります。  さて、そういう立場から重ねて御質問申し上げたいと思いますが、小学校には専科教員というのはごく限られてあるわけでありまして、たとえば音楽体育理科などの専科教員というものが置かれております。置かれておりますが、まだまだ充実しなければならないというふうに私は考えておるわけでございますが、そういう点について、この定員法との関係はどうなっているか。先ほど実現可能な問題からまず手をつけたのだという立場で、これには触れてない、もしくは今後は触れていきたいというふうに考えておる、いずれかのお考えがあろうかと思いますが、その点についての御説明をいただきたいと思います。
  16. 川村継義

    川村議員 お答えいたします。  法案の第七条三号に表が出てまいりますが、この表の考え方についてお答えいたすと、いま先生の御指摘にお答えができるのではないかと思います。  実は専科教員の問題につきましていろいろ検討をしてまいりました。小学校専科教員を置くとするならば、一体どういう教科を担当する専科教員を置けばよろしいか、これにはいろいろ考え方があろうかと思います。しかし、教科の中の特に技術等を要する専門的な立場から検討してまいりますと、私たちは大体次のような教科考えてみました。その一つ音楽であります、その一つ図工であります、その一つ理科であります、その一つは家庭であります、体育であります。この五つの教科専科先生配当したらば、実はこう考えたのでありますけれども、これは先ほども申し上げましたように、いわゆるあまりにも理想過ぎるという点を考えなければなりませんし、はたしてそれだけの専科教員資格を持っている先生方を吸収できるかというような問題も考えねばなりません。また、学校教員配置の現状を分析してみると、画一的にこのようなものを配置することも、これはなかなか困難であるというようなことを考えまして、私たちは、小学校においては二教科にしぼって実は考えたわけであります。  そこで、実は小学校の場合には、音楽図工というようなものを中心に置いてずっと計算をいたしてみました。そこで学級数が一学級から四十学級まで並ぶ学校、それから配当率の問題、配当人員の問題、そういうのをつぶさに計算いたしてみましたら、いまの二教科考えておけば、音楽であろうと図工であろうと理科であろうと、免許資格を持っておる者またその学校実情によって、こういう先生方が有機的に弾力的に配当できる、こういう考え方に立ちまして算出いたしましたところ、六学級に一人増員できる、六学級から十一学級までは一人配当できる、十二学級から十七学級までは二人できる、十八学級から二十三学級までは三人できる、二十四学級から二十九学級までは四人できる、三十学級から三十五学級までは五人できる、三十六学級以上は六人配当ができる、こういうように実は数を算出いたしまして、そこの七条の三号に示しますような表の改正を、学校規模、乗ずる数、こういう形で実は算出をいたしたわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、もっともっと専科先生を置きたいのでありますけれども、先ほど申し上げましたような三つばかりの理由によりまして、なかなか一挙にいくものではない。しかし、今日の小学校等授業あるいはその密度あるいは学習指導要領改定等をにらみ合わせてみますと、どうしてもそういう専科先生が必要であるというような結論に達して、最低限に押えたというのが実はこの法案算出一つ考え方専科教員配当基礎的な考え方、こういうことになってまいっておるわけでございます。御了解いただきます。
  17. 正木良明

    正木委員 了解しました。周到な考えのもとに進めているのだということがよくわかりました。われわれの求めるところは、なかなか欲が深くて非常に無理な求め方しているのかもわかりませんが、しかし、それを踏まえた上での第一段階の措置であるということがよくわかったわけであります。  そこで、この専科教員に関連をいたしまして中学校でございますが、中学校では一人の教員で三科目を担当している場合、二科目を担当しているという場合、そういうのが数多く見られるわけでありますが、一教科一教師というような専科の担当のしかた、これが理想的じゃないかというふうに考えておりますが、この法律案ではそれに対する考え方はどのように盛り込もうとし、また、盛り込まれていなくてもどのようなものを目ざしているか、その点をひとつ重ねてお答えをいただきたいと思います。
  18. 川村継義

    川村議員 先生いま御指摘になりましたように、中学校になれば、やはり一教科を一教員が担当するということが理想であろうと思います。しかし、御存じのとおり、現在の教員学級編制基準あるいは教員定数法に基づいてなかなかそうはいっておりません。大きな学級を持つ学校では大体一教科ということになりましょうが、学級規模が減少するに連なって、その学校では担当する先生が二教科、三教科、特に資格を持たない先生が仮免という形で教えている。特にいなかの僻地あたりの学校へ行きますと、一人の先生がすべての学科を担当しなければならぬというような状態が生まれております。御存じのとおりであります。そこで、先生御指摘のように、一教科を一人の先生が担当するということが理想ではございましょうけれども、なかなか現実はそういきませんし、また、実際問題として不可能な状況にあることは認めねばならぬと思います。そこでこの法律では、いま中学校については別途考えるべきことでございまして、中学校において教科考えての教員を増員するというようなことは、直接には手をつけておらないのであります。ただ、複式の場合に、二個学年というところに学級編成を押えてまいります。あるいは小さい学校生徒編制は三十人を標準にする。こういうことになりますと、当然先生の増員ということが必要になってまいりますから、いままでは五つの教科を担当しておった先生が、三つなら三つというような教科担当が可能になる、それだけ指導の効果があがるということは指摘できるのではないか、こう考えておるわけでございます。
  19. 正木良明

    正木委員 まあ大体私が疑問点といたしましたものが川村さんの御説明で非常に明確になってまいりました。私といたしましては、賛成するにますます確信を深めたというべきでありましょう。どうもありがとうございました。
  20. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 次に鈴木一君外三名提出大学基本法案議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。山中吾郎君。
  21. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、鈴木一君以下提案されております大学基本法案について質問いたしたいと思いますが、大学紛争のあと、大学のあり方の基本的な問題を吟味されて法案として提案された熱意に対して、まず敬意を表したいと思います。  内容について、これは日本の学校制度に重大な影響を与えるものでありますので、慎重に審議をし論議をすべきものと思いますので、この法案内容に即しながら基本的なことをお聞きしておきたいと思うのであります。  まず第一に、大学の新しい理念といいますか、いままで社会の変遷に適応しなくなってしまった、戦前の伝統の中に埋没しておるエリート大学、これに対する矛盾がああいう紛争を起こしておるということが常識として考えられると思うのでありますが、この法案の背後になる、そのバックグラウンドになる大学の新しい理念についてお聞きしておきたいと思います。
  22. 鈴木一

    鈴木(一)議員 お答えいたします。  その前に一言申し上げたいわけでありますが、あれだけの大学紛争が一昨年行なわれたにもかかわらず、一応その紛争は終わっておりますけれども、大学そのものの制度に対する改革というのは全然行なわれていないわけでございます。また、あれほどにぎにぎしく取り上げましたマスコミも、いまや大学のことはどこへ行ったのか全然取り上げていないというふうな状態でございますが、しかし、大学問題そのものは決してこれによって解決したわけじゃなくて、深く問題は潜行し、またいつの日かこういう紛争が起こらないという保証はどこにもないと私は思うわけでございます。したがって、国会としてはこうした問題を真剣に時間をかけて取り上げて、大学問題の施策を探求するのが責務だと思うわけでありますが、きょうこうした機会を与えていただきましたことに対しまして、心から御礼を申し上げる次第であります。  いま新しい大学の理念というものについての御質問があったわけでございますが、いままでの大学は、日本全体が知的水準が低かった時代でございますので、ごく少数のエリートを、そこに何らの人間関係もない形で、一方的に教育すればそれで事が足りたというのが実情だったと思うわけであります。しかし、戦後、大学が大衆化されたと申しますか、同一年齢層の約二〇%近くのものが大学に進学するというふうな状態になってきておるわけであります。これは戦前の中学校の就学率とほぼ似ておるわけでございますが、将来この就学率はもっともっと高まるだろうと思うわけでございます。したがって、これからの大学というふうなものは、そうした実情を踏まえて、単に学のうんのうをきわめるというような戦前の大学であってはならないのでありまして、大学の使命は広く人間能力の開発並びに人間性の開発に置かれるべきであり、したがって大学は、広く国民大衆に高等教育を授けるというのが大学の使命でなければならないと思う。しかし同時に、それだけでは学問の進歩がないわけでございますので、さらに、そういう大学を終えた者を収容する大学院大学というものをその上につくりまして、いまの大学も含めた形で大学院大学をつくりまして、そこで深く学のうんのうをきわめるというふうな、もっと高度の学問の探求が行なわれるべきだというふうな考え方からこの法案提出したわけでございます。
  23. 山中吾郎

    山中(吾)委員 時代に即応する大学についての一つのお考えをお聞きしたのでありますが、ここで一つ提案者に確かめておきたいと思いますのは、私は、大学制度というのは、人類の発明した制度で最高の知恵だと思っておるのです。一つの社会が特定の政治権力で支配体制ができたときに、それに影響を受けない、支配をされないで新しい価値観、新しい学問をつくり出す保障として、権力から自由な、いわゆる大学自治という一つの原理をバックグラウンドとして大学が自由に真理を探求することができる、そこから古いものに対して新しいものを生み出す、人類の知恵の窓として、この大学は人類の創造したところの最高の知恵だこれを残さないと、伝統的な価値観の中でその社会が退廃をし、進歩が停止をするのだ、したがって大学の最大の機能は、やはり自由なる真理の探求である、したがって、大学が大衆化することによって権力体制の中に入り込むのでは大学の意味がない、そういうことでありますので、大学の改革のときに、あくまでも一番大事な学問の自由、それを保障する大学の自治というものが確立されていなければならない。そこの関係大学基本法という法案の題名でありますが、この辺をお互いに明確にして審議をする必要があると思いますので、その辺の御意見をもう一度お聞きしておきたいと思います。
  24. 鈴木一

    鈴木(一)議員 山中さんの御意見、大学は人類がつくり出した最高の知恵の所産であるかどうかということについては評価はまちまちだと思いますけれども、私は、確かにそういうような一面があろうと思っております。したがって、人類の進歩のために学問の自由をあくまでも制度的に尊重するということは当然のことでございまして、われわれもそういう前提に立ってこの法案提出しておるわけでございますので、その点はひとつ御理解願いたいと思います。
  25. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでは、法案内容の二、三の柱についてお聞きしておきたいと思います。  提案理由の第一に、大学教育内容をなす教育課程の改革、これを重点としていわれておるのでありますが、現在の大学に教養学部、それから専門学部があって、前期二カ年、後期二カ年ということの中に教育が重複する、それが非常に批判になっている。これを改革するということがやはり新しい大学の一つのあり方として課題になっていると思いますが、この点についてはどういう方向を考えておられますか。
  26. 鈴木一

    鈴木(一)議員 前期二年で教養課程を終わり、それからさらに二年で専門課程に入るというふうな分け方は、私たちはとらないつもりでございます。やはり大体高等学校で相当の教養課程を終えておるわけでございますから、直ちに専門課程に入る。また一般教養課程もこれと並行しながら、お互いに交錯しながら進めていくというふうに考えておるわけであります。大学紛争を見てみましても、またわれわれがいろいろと接触して世論調査的なものをやってみましても、高校でやってきたことと同じようなことをさらに二年間やる、そこで非常に大学に対する失望——あれほどむずかしい試験を突破してきて大学に入った、しかし、やっていることは高校時代とちっとも変わりないようなこと、ことばは悪いかもしれませんが、高校時代に毛のはえたようなことをやっておるということから大学に対する失望感が特に強くなり、それがまたああした暴力問題にも発展するような感じがいたしますので、最初から教養と専門課程を分離せずに並行して行ないたい、こういうふうな考え方でございます。
  27. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その方向について私も賛成であります。教養学部は廃止して、四カ年の一貫した大学教育、そういう方向の改革について具体的にどうするかということは、今後またお互いに論議をして深めたいと思います。賛意を表します。  次に、大学の管理運営について、第二の柱としてこの大学基本法を提案されておるのでありますが、これについて閉ざされた大学に対して開かれた大学というふうなアイデアを出しておられるようであります。その一つの方法として、大学の管理運営機構として学長、教授代表、職員代表、卒業者代表並びに社会代表という構成をこの基本法に出しておられるようでありますが、この点について、大学人だけが管理をするところに、何か偏向があって世間、社会と断絶したような弊害も出ておるようでありますが、一方に、日本の風土からいいまして、私立大学の理事会その他の運営を見て私、言うのでありますが、卒業生とかあるいは一般の社会人を入れますと、その人々はどうも大学を私物化する傾向がある。裏口入学のあっせん役をしたり、あるいは自分の私的な考えだけで大学の運営に干渉し過ぎるというふうな日本的風土がどうもあるように思うので、そういう意味から私は、単純に大学は開かれた大学にするという理念、抽象的には賛成であるけれども、その具体的方法として、大学人以外の者を単純に入れることによって大学が社会と結びつくように直結して考えることについては疑問があるのです。その点について御意見を伺っておきたいと思います。
  28. 鈴木一

    鈴木(一)議員 閉ざされたる大学というか、社会から閉鎖された大学というふうなことは、もっと常識的にいえば世間一般の常識が通るような大学にしたい、こういうことでございます。  具体的には、象徴的な学長がおって、そして何らの権限もない、そして実際は学部の自治に全部ゆだねられて、何か紛争があってもにっちもさっちもいかない、学長は何をしていいかわからないというのがいままでの大学の実情だと思うのです。また勉強したい人が大部分であっても、一部過激学生によって学校が封鎖されるというふうなことになってみたり、あるいはまた、東大の文学部の林部長が長期にわたって実質上監禁される、しかし、これに対して何らの手も打たれないというふうな、ドクターストップによって初めて解放されたというようなことですね。それからまた、安田講堂が相当破壊をされた、しかし、これも自分たちの学問をする貴重な場所でもあるにもかかわらず、こういうふうなものが破壊されるというようなことに対して何らの良心の苛責もないというふうな状態、あるいはまた、法政大学にあったわけでありますが、学内でリンチ事件、殺人事件が起こるというふうなことであります。また学生の処分なんかも、一方的に教授会できめてしまうともうそれに従わなければならないというふうなことで、こんなような世間一般には考えられないようなことがたくさん現在の大学にあるわけでありまして、われわれとしては、あくまでも世間の常識がまかり通る大学にしたいということでございます。  そういう面から、この法案にありますような一般の学識経験者なり卒業生の代表だとか学生の代表とか、そういう者を入れて学校の管理運営をやっていくというのでございますが、確かに、おっしゃるとおり、日本の風土にはそうしたものがなじまない点もあるかもしれませんけれども、しかし、真にわれわれが民主主義というものを実現しようとすれば、やはりそういった市民社会的な秩序というものをみずからの手によって築き上げていかなければならないというふうに考えますので、多少そういったような御指摘の点の弊害はあるかもしれませんけれども、これはやはりお互いの知恵、努力によって乗り越えていかなければならないというふうに考えて、こうした管理運営方法を考えたわけでございます。
  29. 山中吾郎

    山中(吾)委員 御心境よくわかりました。そこで、たとえば学識経験者あるいは社会人で国会に籍のある者が運営に入りますと、私はプラスよりマイナスが出るというふうに心配をするので、これはお互いに吟味してみたいと思う。  なお、この問題について私の問題と思うのは、大学の構成者、現在の大学の自治は教授会自治になっておる。したがってほんとうの大学の自治でない。教授会の封建的な人間関係あるいは学者の非常に狭い社会的認識というふうなものが弊害をつくっておるので、大学の構成員全体が参加するということがまず第一に開かれた大学の方向ではないか。それで大学の構成というのは、教授、職員、学生三者の構成というものが全部参加できるような中で、正当なる大学の自治を確立していくことが先決ではないかと私は思うのです。  そこで私は、大体一般論を言えば、権力を与えられない者、無権力者というものは暴力に訴えるしか自分の目的、希望を達成する道がないから、権力を与えられない者にとっては暴力でも正当化が出てくる。そこで、すでに成人に達し一般の教養を持っておる学生が無権力の地位に置かれるから、その権利に基づいて訴える道がないので暴力に訴えざるを得ないという現象が出る、逆説的に言えば。権力を持った者は暴力で主張する必要がない。権力があればその筋で意見を述べ、参加をし、承認を求めることができる。だから私は、現代の大学の自治の混乱の中に、無権力の地位に置かれた学生、その学生が非合法的な訴えしかできない、権利がないので、そこに一つの大きな問題があるんじゃないかという分析をしておる。そこで、管理運営の場合には、まず大学を構成しておる学生の地位、それに一定の権利を与える、それから管理の職員に対する地位も与える、そして単なる教授会の自治を、教授、学生、職員全体の自治の方向に持っていく、そのあとに第三者が参加すべきかどうかということが順序ではないかと思うものであって、これはお互いに今後吟味していきたいと思います。  そこで、こういう構成員を全部大学の運営に参加させるというふうな思想を立てているときには、一体大学観というものをどう持つか。やはり大学を一つの学問、学術を研究する社会として見て、その社会の構成員である教授、学生、職員が参加、承認することによって運営していくという考え方は、われわれが大学基本法の中で考えるときには、その大学に対する考え方はやはり社会観でなければならぬのじゃないか。ところが、文部省の伝統的な考え方は、依然として大学営造物観である。そこで、大学問題のときに、私の質問に対して大学営造物観を固執して一歩もあとに譲らなかった大学局長がおるんだが、そういう営造物観の立場に立つと、博物館、図書館の入場者と同じようにお客さんである。営造物規則に従うだけが与えられた地位であって、その博物館、図書館の運営に参加する権利はない。無権利者だ。その無権利に置かれた学生が、ああいうふうな暴力に訴えざるを得ない。無権利者の表現の方途としてはそれしかないんだというところに出ておると見ておるので、そのときに営造物観というものを変革しないと学生の地位も出てこない。  そこで、鈴木さんの提案されておる大学基本法の奥の大学観は、少なくとも文部省の伝統的な考え方の営造物観を克服した大学社会観であろうと思う。それでなければ発展はないと思うのですが、いかがでしょう。
  30. 鈴木一

    鈴木(一)議員 文部省の考え方が、大学は営造物だというふうなものであったかどうか、私もちょっと記憶がないのでわかりませんが、私たちはそういう考え方をとっておりません。あくまでも教育の場である、大学はお互いのものである、そういうふうな考えでこの法案をつくったわけでございます。  ただ、先ほど御指摘がありました学生の地位の問題でございますが、われわれもこれは非常に議論したところでございます。学生も構成員として理事会に入れるべきかどうかということで甲論乙騒したわけでございますが、われわれの落ちついたところは、この法案にありますように、理事会から大幅に権限をまかされておる学長に対して、学生は意見を具申する権利を有する。その意見の具申のしかたも、やはり学生協議会というふうな民主的な自治組織が組織されて、そこで十分な討論と多数決原理によってきまったものを学長に対してどしどし具申する。また、学長もそれを尊重しなければならないという立場をとっておるわけでございます。  山中さんがおっしゃるように、いま一歩学生の地位を引き上げて、対等な形で大学の構成員として参加させるべきかどうかということにつきましては、今後私たちも、山中さんの貴重な御見解を参考にしまして、一そう考えてみたいと思っております。
  31. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法案は議員立法でありますから、政府提案よりさらに格調の高い、歴史に残るような法案にしないと国会の権威にかかわるので、これを吟味したいと思います。  この法案の十一条に、「学生は、教授等及び職員とともに、大学の構成員とする。」これは、ここに私は新しい大学観が入っておるので、敬意を表していまお聞きをしたのであります。  そこで、そのうしろにおる大学局長にちょっとお聞きしたいのです。無表情のままそこにすわっておられますが、大学観論について文部省は、いま民社の鈴木さんは——私の大体の大学観というものは営造物を克服した考えなんだが、依然として文部省はそういう考えを持っているか、あるいは持っておってもこれは検討するという気持ちがあるのか、どっちですか。
  32. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 現行法に即して観察いたしますと、特に国立大学の場合はやはり国の機関ということでございます。そこで、国の機関の運営に当たる者は、これは公務員でなければならないわけでありまして、学生はそういう意味での大学の構成員ではないといわざるを得ないわけでございます。もっとも、大学というものが、教職員と学生というものを不可欠の構成の要素とするという意味におきましては、まあ構成員という言い方もできるかと思いますけれども、管理運営の主体という意味での構成員ということでは、現行法では少なくともないわけでございます。  ただ、将来の課題としては、いろいろな議論がございます。その議論の帰趨によりまして、私どもとしては必要な改革をはかっていくという基本的な態度でおるわけでございます。
  33. 山中吾郎

    山中(吾)委員 国会において議員立法を中心として論議をするベースは、営造物を克服した、こういう社会観的な立場に立っているのだから、最高の立法機関における論議を尊重して行政庁はすなおに検討すべきであると私は思うので、そういう姿勢をもって今後検討されることを要望しておきます。  次に、第四に、この法案提案理由の中に、国公私立の区別を廃止して一切の大学を大学法人立とする、これも私は新しい大学改革の方向として敬意を表するのでありますが、この国公私立の廃止ということも含んで、いわゆる法人格を与えるという方向は検討に値する日本の大学制度の課題であると思いますが、鈴木さんのほうでは、この大学法人という法人の性格をどうお考えになっておるのか、お聞きしたい。
  34. 鈴木一

    鈴木(一)議員 非常に公共性の高い法人というふうに考えております。
  35. 山中吾郎

    山中(吾)委員 公共性の高い法人、大体わかるのですけれども、いま現状に特殊法人、民法上の法人、学校法人、いろいろあるのですが、それとも違う新しい何かお考えなんでしょうか。
  36. 鈴木一

    鈴木(一)議員 まあ公団的な、現在そういうふうなものよりもう少し公共性を高めたいと思っておるわけであります。
  37. 山中吾郎

    山中(吾)委員 法人格を与えるという方向は、これはまた確認をお互いにしていきたいと思うので、その法人にいかなる性格づけをするかということは、論議の対象として残したいと思うのであります。  そこで、少なくとも法人格を与えるということになると、確かに国立、私立の設置者差別主義も克服できるし、あるいは法人格を与えることによって授業料その他の徴収権は学校法人にくるのではないか。あるいは人事については、前の大学紛争のときに文部大臣に任命権がある、ないというような論議が解消されて、法人格を有する大学当局が学内の選挙によってとか、方法は選択するにしても、学内において、法人格を有するがゆえにきまったら、そのとおりずばりきまるというような、人事権とかそういうようなものが付随をしていろいろな問題が出てくるのだと思うので、この法人格を与えるということは、大学制度としては重要ないろいろな制度に波及するものでありますから、その点今後も精細なる論議をして、誤りのないように結論は出すようにすべきだと思うので、私の意見も申し上げておきます。  以上、私、この法案について基本的なものをお聞きいたしたのであります。法案についての本日の私の質疑は、一応これで終わります。  そこで、少し時間があるのですが、政務次官はいない。一般質問をちょっと関連してしたいのですが……。
  38. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  39. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 速記を始めて。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十一分散会