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1971-04-28 第65回国会 衆議院 文教委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十八日(水曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 代理理事 河野 洋平君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 櫻内 義雄君 理事 谷川 和穗君    理事 山中 吾郎君 理事 正木 良明君    理事 鈴木  一君       稲葉  修君    小沢 一郎君       塩崎  潤君    高見 三郎君       床次 徳二君    野中 英二君       堀田 政孝君    松永  光君       森  喜朗君    豊  永光君       吉田  実君    渡部 恒三君       川村 継義君    木島喜兵衞君       小林 信一君    三木 喜夫君       有島 重武君    小川新一郎君       山原健二郎君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 坂田 道太君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房長 安嶋  彌君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   有田 喜一君     豊  永光君   地崎宇三郎君     吉田  実君   楯 兼次郎君     大原  亨君   多田 時子君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   豊  永光君     有田 喜一君   大原  亨君     楯 兼次郎君   小川新一郎君     多田 時子君     ————————————— 四月二十六日  和裁を学校教育必修科目として採用に関する  請願外四件(前尾繁三郎紹介)(第四九七九  号)  学校砂場施設整備に関する請願外一件(大野  明君紹介)(第四九八〇号)  同外一件(益谷秀次紹介)(第五〇二七号)  同外三件(稻葉修君紹介)(第五〇二八号)  同外一件(田村元紹介)(第五〇二九号)  同外一件(藤本孝雄紹介)(第五〇三〇号)  同(徳安實藏紹介)(第五〇三一号)  同外一件(菅野和太郎紹介)(第五一二四  号)  同外一件(木原実紹介)(第五一二五号)  教員超過勤務制度確立等に関する請願(青柳  盛雄君紹介)(第四九八一号)  同(浦井洋紹介)(第四九八二号)  同(小林政子紹介)(第四九八三号)  同(田代文久紹介)(第四九八四号)  同(谷口善太郎紹介)(第四九八五号)  同(津川武一紹介)(第四九八六号)  同(寺前巖紹介)(第四九八七号)  同(土橋一吉紹介)(第四九八八号)  同(林百郎君紹介)(第四九八九号)  同(東中光雄紹介)(第四九九〇号)  同(不破哲三紹介)(第四九九一号)  同(松本善明君紹介)(第四九九二号)  同(山原健二郎紹介)(第四九九三号)  同(米原昶紹介)(第四九九四号)  教育職員超過勤務手当支給等法制化に関す  る請願(阿部未喜男君紹介)(第五〇三二号)  同(合沢栄紹介)(第五〇三三号)  同(井上普方紹介)(第五〇三四号)  同(内海清紹介)(第五〇三五号)  同外一件(大出俊紹介)(第五〇三六号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第五〇三七  号)  同外一件(川崎寛治紹介)(第五〇三八号)  同外二件(川俣健二郎紹介)(第五〇三九  号)  同外三件(久保三郎紹介)(第五〇四〇号)  同(小林信一紹介)(第五〇四一号)  同(斉藤正男紹介)(第五〇四二号)  同外二件(阪上安太郎紹介)(第五〇四三  号)  同外一件(鈴木一紹介)(第五〇四四号)  同(田中恒利紹介)(第五〇四五号)  同(田畑金光紹介)(第五〇四六号)  同(竹本孫一紹介)(第五〇四七号)  同(武部文紹介)(第五〇四八号)  同外二件(土井たか子紹介)(第五〇四九  号)  同(中谷鉄也紹介)(第五〇五〇号)  同(古川喜一紹介)(第五〇五一号)  同外二件(堀昌雄紹介)(第五〇五二号)  同(松浦利尚君紹介)(第五〇五三号)  同外二件(安井吉典紹介)(第五〇五四号)  同(山中吾郎紹介)(第五〇五五号)  同(田中武夫紹介)(第五一二六号)  同(松浦利尚君紹介)(第五一二七号)  同外二件(山中吾郎紹介)(第五一二八号)  同(山原健二郎紹介)(第五一二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立及び公立義務教育学校等教育職員の  給与等に関する特別措置法案内閣提出第六三  号)      ————◇—————
  2. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 これより会議を開きます。  国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島喜兵衞君。
  3. 木島喜兵衞

    木島委員 私は、この前予算委員会でもって、人事院が勧告をしてかつまだ本法案が出ない間に御質問をいたしました。したがって、その時点では人事院総裁中心に御質問申し上げましたけれども、その後は法律が出たものでありますから、法律中心に御質問申し上げたいと思うのであります。  ただその間に、中央労働基準審議会建議を出しておる。それは立法にあたっての要望であり、建議であります。したがって、その会長石井さんの出席要求をいたしておりましたけれども参考人になったために出てこれないということです。しかし、この問題の最大の問題点労働基準法適用除外するかどうかという問題であり、そのことにからんで建議をしていらっしゃるのでありますから、これは人事院意見申し出とは関係なく、法律に対して中央労働基準審議会との関係なり御意見というものを聞かなければ、率直なところ審議が進まないわけであります。ですけれども、きょう御出席がどうしてもできないということでありますから、それは一応たなに上げておきます。しかし、いま理事会では委員長代行がこれからも出席のための御努力をいただくそうでありますから、それに期待をして、私の質問は、石井会長に対する保留をしながら御質問を申し上げたいと思います。  労働大臣がまだお見えになりませんから先に基準局長にお聞きをいたしておきたいと思うのでありますが、この法律は、労基法適用除外あるいは第十条の地公法の読みかえからいうならば、実質的な労基法改正考えていい法律案ではないかと思いますが、その点は局長はどうお考えになりますか。
  4. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 お答え申し上げます。  法律のたてまえといたしましては、いま提出しております法律によりまして地方公務員法規定改正いたしまして、それによって基準法適用除外が行なわれる、こういうことでございます。したがいまして、法律的には基準法そのもの改正するという趣旨ではなくて、地方公務員法で援用しておりました基準法規定適用をはずすということになるというふうに考えます。
  5. 木島喜兵衞

    木島委員 実質的な基準法改正にひとしいよりなことが他の法律によってなされたり、あるいは適用除外がなされることについて、少なくとも憲法二十七条に発する労働者生存権的基本権としての労働条件最低基準規定した労基法が、他の法律によって適用除外がされるということについては、労働省としては原則的にどうお考えでありますか。
  6. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 労働省といたしましては、適用される労働者の適正な労働条件が確保されることが必要であろうという立場から、適用されている労働基準法規定を排除する場合には、それ相応の慎重な考慮が払われるべきだというふうに考えております。
  7. 木島喜兵衞

    木島委員 慎重な配慮というのは具体的にはどういうことですか。
  8. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 いままでたとえば適用されておりました規定によって実質的に確保されるべき目標と定めておりましたものが、別な形でもいいから保障されるというようなことについての配慮を払うべきだ、こういうふうに考えております。
  9. 木島喜兵衞

    木島委員 いままでこの労基法最低基準を示したものである、それがこの法律によって適用が排除される、この場合に労働省とすれば慎重に配慮せねばならない、その慎重に配慮とは、実質的な労働者労働条件最低保障が、基準法保障されているものが実質的に確保されねばならないということが労働省原則立場とするならば、本法案についてはその点はどのようにお考えですか。
  10. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 本法案につきましては、教職員労働時間に関しまして原則として超過勤務手当制度を廃止する。そのことに伴いまして超過勤務をどういう形で行なうかということについて、いろいろ新しい角度から規制をされるということになります。したがいまして、その規制に基づきまして労働者、具体的には教職員勤務時間が適正に保障され、運営されることが必要であろう。そういうことの手だてがどの程度できているものかということが焦点になろうかと思います。   〔河野(洋)委員長代理退席久保田委員長代理着席
  11. 木島喜兵衞

    木島委員 この法案政府が提出された。したがって、私が労働大臣出席を求めているのはそこなんでありますけれども、まだおいでにならないからあとにするとしまして、だから手だてが必要だと思うじゃなくて、労働大臣も入っておる閣議で決定して提出されておる中において、政府提案の中で政府の一環として労働省が、いままで確保されているところの労働条件が実質的に確保されておるということが労働省原則とするならば、この法律によって、いままでの教員という労働者に確保されていた基準が確保されておると具体的に考えるかどうか。この法律についてということを聞いているわけです。
  12. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 この法律によりまして具体的には教職員超過勤務範囲の問題、超過勤務のしかたの問題が労働関係の面から重要な問題になってまいりまして、そこで基準が明確にされて、超過勤務手当制度を廃止することに伴う新しい超過勤務が、十分な歯どめが得られて実施されることが保障されるというたてまえから、この法案については、その運用がそういう形で十分確保されるということを前提といたしまして、適正なものと考えておるわけでございます。
  13. 木島喜兵衞

    木島委員 そうすると、この法律で超勤の範囲が明確に歯どめがされて、保障されておると労働省考えておるわけですか。
  14. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 私ども基審からの建議を受けまして、その線に労働大臣も賛成いたしまして、そういう建議の線が十分生かされるように文部当局にも申し入れをいたしました。その結果、超過勤務のやり得る範囲につきましては明確な基準人事院と協議して設ける、その際、労働者勤務条件の実態が十分保障、確保されるということが配慮されるという法律条項によりまして、またそれが具体的にその方向で現実にも運用されるということでございますので、私どもとしては、それが労働関係の面からも、また審議会建議趣旨も生かされておるものと考えておる次第でございます。
  15. 木島喜兵衞

    木島委員 いまあなたが、建議趣旨がこの法律案の中に生かされておると確信しておるとおっしゃいましたね。それではまず第一に、この建議の第一項に「労働基準法が他の法律によって安易にその適用除外されるようなことは適当でないので、そのような場合においては、労働大臣は、本審議会意向をきくよう努められたい。」とあります。これは生きておるのですか。このとおりなさったのですか。
  16. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 中基審には、人事院からの意見申し出がありましたその日と、それから法案を作成する前の二月十二日におはかりいたしまして、御意見をいただいたわけでございます。
  17. 木島喜兵衞

    木島委員 これは十二日とおっしゃったが、十三日に建議を出しておるのです。人事院意見が出てあなたはばかったとおっしゃったけれども建議は十三日に出ておる。それではその建議が出てから労働省は、この建議の第一項に基づいて、中基審の「意向をきくよう努められたい。」という石井会長のその第一項を生かして、中基審に、この法律労働基準法に照らしてどうか、労働基準法適用除外をすることがどうかという意向をお聞きになりましたか。
  18. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 お答え申し上げます。  十三日となっておりますが、審議会現実に十二日に行なわれて夜中までかかりましたので、建議は十三日の日付で出ております。それから、その後法律案国会に提出されましたあと三月十一日に中基審が開かれまして、このときはほかの案件もございましたですが、このときに、この法律につきまして中基審からの建議をいただいたそのあとの経緯と法律がどうなったかということについての報告をして、そこで御審議をいただいたということになっております。
  19. 木島喜兵衞

    木島委員 労働省設置法の第十三条(「その他の附属機関)」の中で、「中央労働基準審議会」、「労働大臣諮問に応じ、労働基準法施行及び改正に関する事項、」を審議するという項目がありますね。すると、これによっておはかりになっていらっしゃると理解してよろしゅうございますか。
  20. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 お答えいたします。  設置法と同時に労働基準法規定がございまして、九十八条でございますが、「この法律施行及び改正に関する事項審議するため、」労働省に「労働基準審議会を置く。」ということになっておりまして、実体的にはこの規定によって御審議を願っておる、こういうことでございます。
  21. 木島喜兵衞

    木島委員 いまおっしゃるように、設置法の十三条の付属機関としてあり、かつ労基法の九十八条及び施行令の二十四条以下の各条文によっておかけになっていらっしゃるのですね。これはかけなければなりませんね。
  22. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 実は今回のこの問題が正式に審議事項であるかどうかということについて、いろいろ法律上の議論がございまして、私どもは、正式な諮問事項ではない、しかしながら、労働基準法条項適用されているものが事実上はずれるのであるから中基審としては重大な関心を持つ、したがいまして、それについて御意見を承るということで、御意見を承るための審議をお願いしたわけでございます。したがいまして、中基審からは、答申ということではございませんで、建議という形で意見が提出されたわけでございますので、通常基準法改正するような場合の諮問による答申という形ではございませんで、事実上の御審議を願って、その結果建議という形で御意見をいただいた、こういうことでございます。
  23. 木島喜兵衞

    木島委員 いまのお話だと正式な諮問事項ではない。先ほど言いました設置法の十三条の中では、労働基準法施行及び改正に関する事項審議するとありますね。すると、この除外は、この十条からいうと、地公法の五十八条の基準法適用の項を書いておるのですが、実質的には基準法改正にひとしいものだと私自身は思うのですけれども、そういう施行及び改正に関するという、実質的にそういうものがこの法律の中に含まれておる。それが労働省設置法の十三条による労働基準法施行及び改正に関する事項審議せよという、この中央審議会にかけないでいいという理由はどこにありますか。
  24. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 九十八条の第一項では、いま先生の御指摘のような事項について審議するということになっておりますが、その二項でございますか、それには労働基準に関して必要な事項については、関係行政機関建議をするという建議の権限もあるわけでございます。したがいまして、中基審は、一つは正式に諮問を受けたものに対する答申という形で意見を出すことと、もう一つ労働基準に関しての必要な事項について一般建議をするという形で意見を出す、この二つの形があろう。それで今回、この問題についてのいろいろ審議過程におきまして、中基審でもいろいろ御意見がございましたが、結局現実にこの問題について審議をし、意見を提出するということが非常に大事である。またそれで済む。それから現実には、基準法のいまの条項適用されておるわけでございますが、その場合にも、一般基準法適用の場合には、基準監督機関がこの法律適用に関しての責任を持ちましてやることになっておりますが、地方公務員の場合には、監督機関は一切これに手を触れませんで、人事委員会等におまかせしているということであって、適用のしかたがおのずから違っているわけでございます。そういうような点を総合いたしまして、先般のときには建議をする、そのための審議をするということで中基審としては建議の形で意見を出されたわけでございます。
  25. 木島喜兵衞

    木島委員 それで人事院意見書が出た、意見申し出があった、だからかけたとおっしゃいましたね。それによる建議によって皆さんかけた、相談なさった、諮問なさった——諮問であるかどうかは別といたしまして、かけた。そこで、その建議を、第一項として皆さんに相談をかけられた。そのかけられたものの返ってきたものが、第一項によって労働基準法の、他の法律によって安易に適用除外されることは適当でない。すると、本審議会意向労働大臣が聞かなければならぬとあえて言っているものは何ですか。
  26. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 実はこの問題につきましては、今回ばかりではございませんで、その前にもいろいろ中基審として問題がございました。そのときから中基審としてはこの問題には非常に関心を持っておったわけでございますが、そのかけ方について、必ずしもはっきりした見解がございません。そこで従来は、報告をするというようなことで手続を進めたようないきさつもございましたけれども、今回はそういうことではなくて、事実上御審議をいただいて必要な御意見を承る、この手続をとるべきだということで、そういう角度から御審議をお願いしたわけでございます。  そこで、その審議会の中では、今後もいろいろこういう問題が、ほかの事項でも起こってくるかもしれない、そこでその場合には、いずれにせよ、この審議会意見を十分聞くということをすべきだということを、いわば今後に向かってはっきりさせるという意味で建議に盛り込まれたものと考えております。
  27. 木島喜兵衞

    木島委員 いま意見を伺っているとおっしゃいましたが、それでは審議会結論が現在出たのですか。この法律が出た後、二月十三日にこの建議が出ましたね。法律が十五日か十六日かに出たわけですね。その後にも三月何日だったか、意見を聞いているところだ、こうおっしゃいましたね。その結論は出たのですか。
  28. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 この問題について審議会としてどういう手続でやるかということで、とにかく法案ができる前に一度——予想される法案あるいは要綱を中心にしてでございますが、基準審議会としてもっぱら関心を持つ点につきまして、ともかく法案が作成される前に審議会意向が盛られるような手続をとるべきだということで、先ほど申しましたように、十二日に一回やったわけでございます。それから、それが出まして、その後一体どういう形で審議会意見が盛り込まれたかということを、審議会としては報告すべきだという御意見もございました。そこで三月十二日でしたか開いたわけでございます。そこでいろいろな御意見がございまして、必ずしも法律そのもの審議会意向が十分盛り込まれていないという御意見もございましたけれども、一方において審議会意見はすべてを法律に盛り込むべきだという建議趣旨では必ずしもない、全体的にこの問題の具体的な処理が、事実上建議趣旨が十分生かされるということをもって足りるのだというような御意見もいろいろございました。そこで審議会としては、すでに法案については何らかの形で審議会意見が反映されたことは間違いない、そこで、すでに国会に提出された段階であるので、この審議を十分見守りながらその間にいろいろなことがさらに明らかにされるであろう、そこでその状況を見守って、必要があれば審議会を開くことあるべしということで、先般の審議会はそういうような御意見が出たわけでございます。
  29. 木島喜兵衞

    木島委員 そうすると、審議会は、この法案国会における審議過程を見守って、その中でさらに結論を出す。いままでおっしゃったように、いろいろな意見があった。意見があったけれども、実質的にこの法案に生かされたかどうかということは、これは審議過程において——だからまだ結論が出ていない。委員長、だから石井さんを呼ばなければ質問が続けられないという第一項なんです。
  30. 久保田円次

    久保田委員長代理 それは先ほど理事会でもいろいろ案が出ましたけれども、いま委員長代行が折衝に行っておりますから、御了承ください。
  31. 木島喜兵衞

    木島委員 その委員長がいま行っている、しかし審議を始めろという話ですから始めました。しかし、ここでもってやはり聞かなければ、これ以上審議が進められないという第一点に差しかかったわけです。だから、いま委員長代行が行っているというのですから、それまでの間休憩をしてくださいませんか。
  32. 久保田円次

    久保田委員長代理 速記をとめてください。   〔速記中止
  33. 久保田円次

    久保田委員長代理 速記を始めてください。
  34. 木島喜兵衞

    木島委員 いま建議の第一項だけをお聞きしましたけれども、その第二項について聞いておきたいと思うのです。  この間、私が予算委員会でもって質問した一番最後に、労働大臣は、この建議の「趣旨を十分に理解して、閣僚の一員として努力なさることをわれわれは信頼してよろしゅうございますか。」という質問に対して、「その考えで進めたいと思います。」と大臣お答えになっていらっしゃるわけです。そのお答え前提としてお聞きするのでありますけれども、この建議が十三日に出た。法律は十六日に閣議決定なさっておりますが、その建議第二項を受けて労働大臣立法過程においてどのような努力をなされましたか。
  35. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 労働大臣は、直ちに労働大臣名文書にいたしまして、文部大臣あてに、中基審からこういう建議が出されたので、法案作成にあたってはその趣旨を十分生かすようにとお願いをいたしました。さらに事務的にその線に沿って、具体的な立法作業にあたって、並びにその法律に基づく具体的な運営等の面を含めて、この建議趣旨が生かされるよう努力すべきだという指示をいただきまして、私がその指示を受けまして文部省担当局長相談をいたしまして、努力をいたした次第でございます。
  36. 木島喜兵衞

    木島委員 文部大臣に出された文書は資料としていただけますか。
  37. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 ございますので、提出いたします。
  38. 木島喜兵衞

    木島委員 そこで、そのように努力をなさった結果、建議第二項が生かされたとお考えでございますか。
  39. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 建議第二は、「文部大臣人事院と協議して超過勤務を命じうる場合を定めるときは、命じうる職務の内容及びその限度について関係労働者意向が反映されるよう適切な措置がとられるよう努められたい。」こういう趣旨でございまして、私どもはその建議を受けまして、法律そのものにつきましては、第七条の「正規の勤務時間をこえる勤務等」という項目規定しておる最後のところに、「文部大臣人事院と協議して定める場合に限るものとする。この場合においては、教育職員の健康と福祉を害することとならないよう勤務実情について充分な配慮がされなければならない。」この規定を入れてもらったわけでございます。それはこの建議が、関係労働者意向現実に反映されるようにという趣旨でございますので、その反映されることを前提といたしまして、勤務実情が、この基準を定めるにあたっても十分配慮されることを必要とする、こういう趣旨規定をいたしたわけでございます。  さらに私どもは、この法律を受けまして現実に具体的な運営をされる——特に国立でない地方の教職員につきましては、これを受けて現実には各地方公共団体できめられる事項が多い、そういうようなことも考慮いたしまして、具体的な運営について十分配慮されるよう、さらに必要な申し入れをすべきだということで、これは事務の問題でもございますので、労働基準局長と初中局長との間で、そういうことが保障されるような覚え書きを取りかわしておる次第でございます。
  40. 木島喜兵衞

    木島委員 現実労働者意向が反映されることを前提として、法律の中に、あなたの努力によって健康と福祉を害さないようにと入れた。しからば健康と福祉を害さないようというのは、これはばくとして私はわからない。これはあとであなたに具体的に聞きたいと思うのだが、あなたはわかるのか。私はわからぬのだ。だが同時に、それでは具体的に、現実労働者意向が反映することを前提とするというけれども、その保障がこの法律にはちっとも見えません。それがなければ建議を生かしたということにはなりません。その点はどうなんですか。
  41. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 お答えを申し上げます。  建議そのものにつきましても、職務の内容とその限度について関係労働者意向が反映されるようにという抽象的な書き方をしておるわけでございます。そこで具体的に地方の職員の場合には、たとえば基準法で申しますと事業主がその労働者ときめるということになっております。その場合の事業主は一体どこになるのか。学校当局ということになろうかと思いますが、その場合に、現実には各学校当局とそこの労働者意向が反映されるということで、ばらばらになるということもいろいろ問題でございます。そこで基準をきめて進めるという必要があろう。したがいまして、基準をきめる場合のことが法律規定になっておりますので、その場合に、単に文部省人事院がおきめになるというだけでなくて、その基準をきめるにあたっても十分関係労働者意向あるいは労働者勤務の実態が反映されるようにすべきだという規定をいたしまして、さらに、先ほどちょっと触れました覚え書きにおきましては、教職員勤務ができるだけ正規の勤務時間内に行なわれるように配慮する、あるいは時間外を命ずる場合には、その職務についてはやむを得ないものに限る、それからそういう場合には関係職員の意向が反映されるようにするというようなことを、現実の運営上保障してもらうということが必要であろうということのために、そういう運用につきましての覚え書きといいますか、約束をいたすことにしたわけでございます。
  42. 木島喜兵衞

    木島委員 ところが前の予算委員会のときに、私が、この建議の第二項における「労働者意向が反映されるよう適切な措置がとられるよう」という適切な措置とは何か、法律を含めて何らかの根拠がなければならないと聞いておるけれどもどうかと言ったら、あなたはそのとおりです。すると、労働者意向を反映させるその根拠は、一体この法律の中のどこにあるのですか。そうでなかったらこの建議の第二項は生きておらない。労働省はこの建議を生かしておらないことになる。
  43. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 立案の過程におきまして法制局を含めて私どもいろいろ話し合いをいたしまして、具体的にたとえば意見を聞くというような規定を入れるべきかどうかということも検討いたしたわけでございますが、どの段階でどことどこの意見を聞くかという具体的なことになりますと、必ずしもいまの法律上それを入れることが適当であるかどうかという立法技術上の問題もございました。そこで先ほど申しました、きめる場合に勤務の実態について十分配慮をするということの中に、具体的に関係労働者意向も聞く、あるいは意見を聞く、あるいは実情の調査をやる、いろいろなことが入ってまいる、そういうことを通じて、ここに申します関係労働者意向が反映されるということも含められるというふうに考えて、最終的にこの規定にすることにしたわけでございます。
  44. 木島喜兵衞

    木島委員 あなたが言うのは、法律的には立法上技術的に困難だとか言っていらっしゃるけれども、それでは、労基法三十六条の精神を労働省前提にしているかと私はこの前の予算委員会で聞いたら、そうだとおっしゃった。その労働基準法第三十六条というのは、いまさら言うまでもないのでありますけれども、この前言ったとおり、三十二条で一日八時間、一週四十八時間、それを最低として、それを原則とする。だから、時間外勤務は元来禁止的なものの例外措置である。それだけに労働を売るか売らないかだから、だから労働者と使用者が交渉し、文書協定をする、労働者の同意がなければ超勤ができないというのが三十六条の精神である。その精神、少なくとも最低基準になる労働者の憲法であるこの基準法の精神というものを、労働省が、いまあなたのおっしゃるように根処なくやるから、だから建議は第一項のように、こういうものは審議会にかけなければならぬというようにくぎを打ち、そして第二項においては、第三十六条の労働者の同意というものが労働基準法の時間外勤務原則である、だから意向が反映されるような措置をとれということをいっておる。けれども、ちっとも根拠がないじゃないですか。あなたは覚え書きとかなんとか言っていらっしゃるが、それは法律的にはどんな効果があるのですか。われわれ示されておりませんし、何もわかりません。
  45. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 御指摘のように、覚え書きそのものは、法律上の効果を何ら持つものではありません。これは御指摘のとおりであります。そこで、法律上どういう規定を入れるかということでございますけれども基準法規定は、御指摘のとおり事業主と労働者が協定をする、こういうことを規定しておるわけです。そこで、今回の法律の立て方は、文部大臣教職員勤務の態様について一定の基準あるいは規制によって一律に超過勤務の問題についての考え方を明示して、その基準、方針に従って各学校が運営をしていく、こういうたてまえになっておりますので、まずその基準によって十分この超過勤務に歯どめが加えられ、かつその間に関係労働者意向が十分反映されるような形を織り込んで基準が定められる、それが適正に確保され実施されるならば、超過勤務についても適正な管理が行なわれるものというたてまえに立ちまして、私どもは、いま法律にただいまの文言を入れることによりそれを適正に運用の過程で保証されるならば、適正な管理が行なわれるものというふうに考えておるわけでございます。
  46. 木島喜兵衞

    木島委員 適正に管理されるならば労働基準法三十六条の精神が生きるであろう。しかし、何もその根拠がない。されるならばという仮定の上に立っている。いまここで労働省考えなければならないことは、労働基準法という労働者労働条件の憲法といわれるものを守るのかどうかが問題なのであって、それが保証がなければこれは拒否すべきです。この法律を何とかつくらなければならないから、だが三十六条の精神を生かすことは立法技術上非常に困難である。だから、そういうものを期待して、管理が適切であれば生きるであろうということで一体労働省の任務が果たされますか。いま問題になっているのは、いま問われているのは、労働省はどういう立場に立つかという一番基本が問題なんです。こういうものをつくらなければならぬ、だから技術的にどうしたらいいかということで、それで完全な保証がされればいいですよ、されておらぬでしょう。おらないときに、労働省は一体、この憲法を守るかどうかがあなたの任務じゃないですか。そうでしょう。それがちっとも生かされておらぬじゃないですか。
  47. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 私ども基準法施行しておる責任者といたしまして、基準法の少なくとも基本的な考え方が生かされるということは必要であろう。そこでたとえば、しかし現実には国家公務員については基準法適用をすでにはずしております。地方公務員につきましては規定適用いたしておりますけれども、その監督そのものについては、人事委員会に事実上まかしておるというような法体制になっております。  そこで、今回の措置につきましては、教員勤務のあり方について、そのものについてどうするかということについては、中基審でもこれは中基審が取り扱うべき問題ではない。そこで、それに関連して基準法の問題に触れてきた場合に、それについてどうするかということになるわけです。そこで、基準法の基本的な考え方は、勤務条件に、勤務時間につきまして普通の形で超過勤務がある場合のことを想定して三十六条は規定しておるわけでございます。そこで、このたびの改定によりまする教職員についての超過勤務の問題につきましては、人事院からの申し出趣旨もあり、また法案におきまして基本的に歯どめをつくって、それで超過勤務をするのだという立て方になっておりまして、それに応じての超過勤務手当制度そのものをもうこれは廃止していくのだ、そのかわり別な給与体系できめていくのだという総合的ないろいろな考え方が打ち出されておりますので、その一環といたしまして私どもは、行政上の措置によっていろいろと適正な運営がなされる、ただ、その場合に、基本的な精神は十分法律的にも生かされておらなければならないということで、法律上の先ほどの規定を、まあ先生御指摘のように必ずしも趣旨が明確でない、十分でないという点はあるかとは思いますけれども、いまの形で入れておったわけでございまして、私どもは、今後の文部省の運営によりまして、十分基準法の基本的な精神も生かされながら運営されるものと思っておるわけでございます。
  48. 木島喜兵衞

    木島委員 いつでも法律がむずかしくなるとそういうように期待するということあたりでもって法律が通って、その期待が常に裏切られているのが今日の歴史でしょう。労働省みずからが、基準法の第一条の「この法律で定める労働条件基準最低のものであるから、」そして「その向上を図るように努めなければならない。」というものを踏まえておらない。低下することにあなたは同意をしておる。労働省基準法の第一条をみずから踏みにじっておる。こういうことは労働基準審議会の見解を求めなければならない。しかも建議の第二項は、「関係労働者意向が反映されるよう適切な措置」ということは根拠だ。根拠がなければならない。これは、この間もあなたはお答えになっておる。その根拠が何もないでしょう。さっきあなたの言うたとおり、覚え書きがあるだけだ。その覚え書きの効果は、私はよく知りません。しかし、その覚え書きだって何ですか、これは精神が生きていると思っているのですか。「文部大臣人事院と協議して時間外勤務を命じ得る場合を定めるときは、命じ得る職務については、やむを得ないものに限ること。なお、この場合において関係教育職員意向を反映すること等により勤務実情について充分配慮すること。」、「勤務実情について充分配慮すること。」が中心で、そのために「意向を反映すること等」、三十六条は労働者の同意を前提とする意向が反映される等によって、反映が完全にされる、されなければならぬということならわかる。「等により勤務実情について充分配慮すること。」これでは建議の第二項が生きておらぬじゃないでしょうか。生きていると思いますか。これが根拠になりますか、お答えいただきたい。
  49. 岡部實夫

    岡部(實)政府委員 その覚え書きのその条項、その点につきましては実はこういう考え方でおったわけでございます。法律には勤務実情について配慮する、こういう規定しか置きませんでしたので、ただ、その実情については配慮するということを具体的にどういうふうに考えるべきか。その場合、地方の場合には一般的には勤務条件その他については条例できめられるというようなこともあります。その場合に、一般地方公務員については地方公務員法で交渉の規定もあるわけでございます。そこでこの問題については、私どもは、直接その関係労働者意向が反映される等と申しましたのは、そのほか実情を十分調べるとかいうようなことも含めて、現実にただ意見を聞きさえすればいいのだということだけでも困るのだ。そこで意向が反映されるということは、その場合には実情も十分把握されてその上でというような手だてもございますので、それらも含めて、要すれば超過勤務については、原則としてその歯どめなくやらないんだ、原則超過勤務はできるだけしないというたてまえに立って貫かれるんだ、そういうようなことも全体に含めましていまのようなこの覚え書きの規定をいたしたわけでございまして、その趣旨とするところは、むしろどうでもいいんだということではございませんで、できるだけ反映されること、その他実情を十分調べてその意図に反して無制限な、また必要以上の超過勤務が行なわれないようなことで運営すべきだという、その運営の実効を考えての規定でございますので、趣旨はいま申しましたように、それを基準法の精神がどうでもいいんだということではない、まさにその逆の立場から考えてこれをした次第でございます。
  50. 木島喜兵衞

    木島委員 いまあなた、はしなくもおっしゃったでしょう。できるだけ労働者意向を反映したり調査をしたり、これでは根拠にならないし、三十六条の精神が生きないでしょう。三十六条は労働者の同意が前提、あなたは、いまできるだけ労働者意向を反映するようにおっしゃった。これでは労働省労働基準法というものをどう考えるかという一番基本的な問題にぶつかってくる。たとえば限度の問題でもあなたは、命じ得る職務の内容がたとえ一定していても、それに該当していれば無制限にいつでもやれるのでは三十六条の精神に違反するから、限度というものをこの建議の第二項はうたっておるんだ、いわゆる量の問題ですね。ところが、あなたのこの覚え書きには、量の問題は全然入ってないでしょう。「命じ得る職務については、やむを得ないものに限ること。」とありますね。もちろんあなたのお答えでは、「勤務実情について充分配慮すること。」の中には量が入るのですとおっしゃるでしょう。しかし、無制限の、無定量の可能性をここには秘めておる。禁止はできない、歯どめは具体的にない。根拠にならない。少なくとも建議の第二項には合っておらない、沿っておらない。委員長、だから石井会長を呼ばなければ質疑ができないというのはそこなんです。建議はなさった、その受ける労働省がこの法律についてどのような措置をとられたか、中基審建議が生かされているかいなかというものは、先ほど局長お答えのようにこの審議の中でもって考えるとおっしゃるが、こういう中でもって明らかになったときに石井会長意見を聞かなければ審議はできません。理事会におはかりください。
  51. 久保田円次

    久保田委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止
  52. 久保田円次

    久保田委員長代理 速記を始めてください。  本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後五時三十七分開議
  53. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  この際、山中吾郎君外二名から、日本社会党、公明党、日本共産党三派共同提案にかかる本案に対する修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山中吾郎君。
  54. 山中吾郎

    山中(吾)委員 本案に対して、日本社会党、公明党、日本共産党共同提案で、民社党の賛意を得て、修正案を提案いたしたいと思います。修正案の内容について申し上げます。     国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法案に対する修正案   国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法案の一部を次のように修正する。   第三条第一項中「第三項及び」を削り、同条第三項を削る。   第七条第一項を次のように改める。    国立義務教育学校等教育職員(俸給の特別調整額を受ける者を除く。以下この条において同じ。)を正規の勤務時間(給与法第十四条に規定する勤務時間をいう。第三項において同じ。)をこえて勤務させる場合は、文部大臣国立義務教育学校等教育職員の過半数で組織する職員団体(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の三の規定により登録された職員団体をいう。以下この項において同じ。)があるときはその職員団体、当該教育職員の過半数で組織する職員団体がないときは当該教育職員の過半数を代表する者との書面による協定で定める場合に限るものとする。   第七条第二項中「一般の職員に対して」を削り、「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。  2 前項の協定においては、その勤務させることのできる限度についても定めるものとする。  第十条及び第十一条を次のように改める。(公立義務教育学校等教育職員に関する読替え)  第十条 公立義務教育学校等教育職員については、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十八条第三項本文中「第二十四条第一項」とあるのは「第二十四条第一項、第三十六条」と読み替えて同項の規定適用するものとする。(公立義務教育学校等教育職員の正規の勤務時間をこえる勤務等)  第十一条 公立義務教育学校等教育職員(管理職手当を受ける者を除く。以下この条において同じ。)については、当該公立義務教育学校等を設置する地方公共団体の教育委員会とその設置する義務教育学校等教育職員の過半数で組織する職員団体(地方公務員法第五十三条の規定により登録された職員団体をいう。以下この項において同じ。)があるときはその職員団体、当該教育職員の過半数で組織する職員団体がないときは当該教育職員の過半数を代表する者との書面による協定をした場合においては、当該教育職員を正規の勤務時間(給与法第十四条の規定に相当する条例の規定による勤務時間をいう。以下この項において同じ。)をこえて勤務させ、又は給与法第十七条第二項の規定に相当する条例の規定により休日勤務手当が一般の職員に対して支給される日において正規の勤務時間中に勤務させることができる。  2 前項の協定においては、その勤務の内容及び限度について定めるものとする。  3 市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する職員で教育職員であるものに対する第一項の規定適用については、当該教育職員は、当該都道府県の設置する義務教育学校等教育職員とみなす。  以上が修正の内容であります。  提案の理由を簡明に申し上げたいと思います。  第一は、この法案は、教職調整額四%を支給することと引きかえに、近代労働関係の憲法とも称さるべき労働基準法適用除外を企図しておることを、われわれは承服することはできない。あくまでも労働基準法第三十六条の規定に基づいて、教育関係労働者文書による協定に基づいて超過勤務手当というものを支給することは、近代労働の大原則であり、これを無視する法案には賛成できない、これが第一の理由であります。  第二、人事院意見の中に、教育及び教師の勤務の特殊性、特に自発性及び創造性に期待することが多いという趣旨のもとに、超過勤務手当を否定をしておる、なじまないという人事院意見でありますけれども、自発性、創造性を期待するならば、勤務命令こそなじまないのであって、一定の労働を特定の人間に命じた場合には給与の公平の原則に基づいて何らかの手当は支給すべきであるという原則はなじまないという論理がわからない。この意味において、超過勤務手当は支給すべきである。もし実態において測定不可能なものについては調整額は正当であると思うが、測定可能なるものについては、超過勤務を命じた者に対して公平の原則に基づいて支給すべきである、この趣旨の修正であります。この点については、専門職であろうが、あるいはいかなる職業であろうが、勤務を命じた者に対してそれ相応の手当を支給するという原則は、近代労働関係のいかなる場合でも否定できないと考えるからであります。  第三に、労働基準審議会からの建議が出ておるのでありますが、その中に、超過勤務手当を支給すること自体は最小限にとどむべきであるという基準法の精神に基づいて、関係職員の意向が反映するように、そしてまた、超過勤務手当支給については限度も明らかにするという建議がございます。この建議が、この法案に、法律上に何ら明示されていない。  この三点で、どうしてもこの法案に対してわれわれは賛意を表することができない。  教員の給与改善、賃金向上については、われわれ熾烈なる要望を持っており、さらにもっと国の理想実現のために、また教育基本法に基づいて、民主的、文化的な国の理想実現のためには、教育基本法の前文にあるように、根本においては教育に待つべきであるというあの精神を踏まえてみたときに、さらに賃金向上、労働条件の改善、給与の改善はすべきである、今後その方向にあらゆる努力を払うべきであるという信念にわれわれ立っておるのでございますが、そういう意味において、この法案が前進基地になるのかあるいは抑制の基地になるのかということについて、いま三点われわれの修正の提案理由を説明した中に非常に疑問がある。こういう意味においてこの修正案を提案した次第であります。  委員会においては、提案趣旨の説明をいたしましたわれわれの修正案に、慎重御審議をいただきまして、賛同されることを切望いたしまして、提案の説明を終ります。(拍手)
  55. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  本修正案は歳出の増加を伴うものとなりますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば、この際発言を許します。坂田文部大臣
  56. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいま御提案の議員修正案につきましては、人事院意見申し出趣旨にも反しますので、政府といたしましては反対でございます。     —————————————
  57. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 原案及び修正案について質疑を続行いたします。木島喜兵衞君。
  58. 木島喜兵衞

    木島委員 けさほど来の私の質問については、中央労働基準審議会会長の御出席を求めておりましたところ、理事会及び委員長代行からたいへんお骨折りをいただきましたことを多謝いたしますが、御出席にならないということです。なお、いま会長代行が出席されるかいなかということを委員長代行が御努力中であります。そうでありますので、けさほど来申しておりますように、この法案の一番中心労働基準法適用除外ないしは実質的な労働基準法改正である限り、労基法の九十八条によって、その場合は審議会にかけることになっていると私は理解します。したがって、その意見を聞かないことには、以後の質問をしても意味がないという私の感じでありますし、出席されるよういま御努力中でありますので、それまでの間、私の質問を留保したいと思います。
  59. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 有島重武君。
  60. 有島重武

    ○有島委員 本法の審査の初めに、振り出しに戻りまして、出発点に戻りまして第一条に「(趣旨)」というふうに書いてございます。ここから始めてまいりたいと思うのでございますが、法律はたいがい第一条目的、こう書かれておるのが多いように思います。施行規則その他付随的な法律には趣旨という場合もございますが、この法律のほんとうの目的は一体どこにあるのか。趣旨はここに明記してございますが、この目的について一番最初に文部大臣から承っておきたいと思います。
  61. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この法案は、教職員の給与問題等に関しまして、専門的見地から詳細に検討されました第三者機関でございます人事院から政府に対する意見申し出がございました。私どもは、この人事院から勧告されました事柄に対しまして、人事院勧告を忠実に守り、人事院申し出を完全に実施するということが、文部大臣といたしまして、文部省といたしましての責任であるということで作成をいたしたわけでございます。そういうわけでございますが、この教職員の調整額の基準にかかわる法案は、長い間教職員にとりましても重大な関心事であったことは御案内のとおりでございます。私どもといたしましても、関係教職員団体等の意見、要望等を聞きますとともに、これらの意見、要望等を十分参酌しながら、かつ人事院意見趣旨を尊重する立場法案の作成を行なったのでございます。  そういうわけでございまして、私どもといたしましては、教育界に人材を求めるということが教育を振興する上においてきわめて大事である、そういうわけでございますけれども、今日の状況は産業界が非常にいんしんをきわめまして、ともいたしますると、よき人材が産業界に流れていくということを心配いたしておるわけでございます。教職員の方々が非常に大事な教育に安心して当たられるためには、その待遇を十分考えてあげるということが大事である。ただいま中教審におきまして幼稚園から大学までの制度改革をやっておりますけれども、この制度改革がいかような最終答申を得るにいたしましても、私は、何と申しましてもりっぱなよき人材が教育界に入り、また定着をし、そして次代の青少年の教育に専念できる、そういうことをやっていただかなければならない、かように考えまして、そういうような教職員の待遇改善の一環といたしまして、私どもといたしましてはこの法案を提出いたしました次第でございます。
  62. 有島重武

    ○有島委員 ただいまの大臣のお話、前段は経過をお話しになったと思います。私が伺っているのは目的なんです。どういう目的でもってこの法律を提出されたのか、それをもう少し率直に言っていただきたいと思うのでありますが、教育界に人材を求めるということが目的なのであるか。それならそれでよろしいんですけれども、その目的をはっきり言っていただきたい。
  63. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私の気持ちといたしましては、やはりこの法案教職員の待遇改善の一環として考えておるわけでございます。しかし、いまさらにお尋ねがございましたから、この法案の目的ということについて申し上げたいと思います。  教職員超過勤務問題を解決いたしますことは、前々からの懸案でございました。政府におきましても、昭和四十三年の第五十八回国会に教育公務員特例法の一部を改正する法律案を提出する等、種々努力を重ねてまいったところでございます。このたびの小学校、中学校、高等学校等教育職員について、その職務と勤務態様の特殊性にかんがみまして、超過勤務手当制度はなじまないので、この制度は適用しないこととするとともに、新たに俸給相当の性格を有する給与として教職調整額を支給することとする等の措置を講ずることが必要であるとの人事院意見申し出が行なわれましたが、この意見は、従来からの懸案でありました当面の緊要な課題でもございます。超過勤務問題の解決にも役立つものでございます。また、政府といたしましても従来から人事院の勧告を尊重するという態度をとってきておりますので、この人事院意見に沿いまして必要な立法措置を講ずるため、この法律案を提出したわけでございます。
  64. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話ですと、超勤の問題を解決するためにこの法律をお出しになった、そういうふうにおっしゃったように私は受け取りました。そういうことですか。
  65. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 端的に申せばそうでございます。
  66. 有島重武

    ○有島委員 それはたいへん問題だと思うのですね。超勤問題というのは、教育行政全般の目的からいたしますと、これは教育を重視することといい教師を集めることがその一番の眼目である。そういう一つの目的の一つの系列があると思います。それとはちょっとはずれたお話なんですね。
  67. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 だから最初に私が申し上げたわけでございまして、待遇改善の一環として超勤問題を含めてこれを解決しよう、こういう意味で申し上げたつもりでございましたけれども、それは二番目の答弁が舌足らずであったと思います。
  68. 有島重武

    ○有島委員 待遇改善と超勤問題の解決とはどっちが主目的なんですか。
  69. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私といたしましては、先ほど申し上げましたように、待遇改善の一環としてこれを考えておるというふうに御理解いただければけっこうだと思います。
  70. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、待遇改善ということが主目的なんですか。目的がほんとうのところどっちにあるのですか。それをはっきりしていただきたい。しつこいようですけれども、もう一度お願いいたしたい。
  71. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 待遇改善の一環というその中に超勤問題の解決も含まれておる、こういうふうに御理解いただければいいんじゃないかと思います。
  72. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、私どもは非常に善意に解して待遇改善が一番の主目的であろう。いまもおっしゃいましたその一環としてということですから、従属的な話だ、そういうことでございますね。そういうふうに受け取ってよろしいのでしょうか。そこをはっきりしていただきたい。
  73. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 従属的という意味ではなくて、教職員の待遇改善という一つの目的の中に、従来問題になっておりました超勤問題も含まれて解決される、こういうふうに御理解をいただきたいということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
  74. 有島重武

    ○有島委員 含まれているといまおっしゃいましたけれども、それが相矛盾する面があるのではないかという見解もあるわけでございますね。それで第一の目的というのは待遇改善にあるのだ、大臣にはそういうことは言い切れないわけなんですね。
  75. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御案内のように、今度の場合は、教職員の調整額というのは四%でございます。しかしながら、これは給与にはね返っていくわけでございますから、年金、退職金その他にはね返りがございまして実質六%という形になっておる。本俸ということでございまして、やはり教職員の待遇改善というふうに見てけっこうだと私は思います。
  76. 有島重武

    ○有島委員 もう一つ、いま待遇改善ということで議論がありますから、では待遇改善をなさる目的は何なんですか。たいへん失礼な質問ですけれども、それを確認しておきたいと思います。
  77. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教職員の方々が、日夜次の世代を背負う青少年の育成のために懸命の努力を続けておられる。こういう方々に対してその労働に対する当然の報酬あるいは待遇というものを考えて、そして専心していただくということは文部大臣として当然考えなければならないわけでございます。また、いたずらに過重なる労働をしいるというような非近代的なことがあってはならない、こういうふうに私ども考えまして、従来超勤問題が云々されておりましたけれども、実態といたしましては命じてはいないけれども相当の時間外の勤務がある、こういうようなことをほっておくわけにいかないと私どもは思ったわけでございまして、こういうものをカバーし、そして同時に教職員の待遇の改善の一歩になる、さらに抜本的な待遇改善というものもあわせて考えていく、こういうような強い決意のもとに私どもは今度の法案を提出し、御審議を願っておる次第でございます。
  78. 有島重武

    ○有島委員 いまおっしゃったのは、教員が本来のつとめを果たすことができるように、教務に専心することができるということが目的ですね。そういたしますと、その目的のためにはどんな努力でもなさる、そういうことが大臣のお立場じゃないかと思います。それで、教務に専心すること、そして待遇を改善すること、そういったことがまず果たされなければならないまず第一番の目的である、そういうことでございますね。それをもう一ぺん確認させていただきたい、たいへんしつこいようだけれども……。
  79. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そうでございます。
  80. 有島重武

    ○有島委員 教務に専心することができるために給与の上でも待遇改善をやっていく、そういう目的のために労働基準法の三十六条、三十七条というものを除外しなければどうしてもならないのですか。そのことがどうしても不可欠になるのかどうか。
  81. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 今回の私たちの法案は、先ほども申し上げましたように、人事院の勧告を完全実施するということでございます。また同時に、やはり労働関係がございますから、中央労働基準審議会建議というものを尊重しながら法案を作成いたしたわけでございます。私どもといたしましては、やはり教育というものが、特に教職員の自発性あるいは創造性に基づく勤務に期待する面が非常に多いということ、あるいは夏休みのように長期の学校休業期間があるというようなことを考慮いたしました場合に、その勤務のすべてにわたって一般の行政事務に従事する職員と同様な時間的管理を行なうということは必ずしも適当ではない。とりわけ超過勤務手当制度教員にはなじまない、こういう人事院のお考えは私たちもそのように考えておるわけでございまして、勤務時間の管理について、そういうような人事院の勧告に従いまして完全実施の方向でこの法案を御提出申し上げておる、こういうことであります。
  82. 有島重武

    ○有島委員 この法律の目的である教員の待遇改善のためには、どうしても労基法三十六条、三十七条を除外するという条件が不可欠なことになるのですかということです。もう一ぺんお願いします。
  83. 宮地茂

    ○宮地政府委員 大臣が先ほど来答えておられますように、この法律はもちろん政府として責任を持ってつくりましたが、基本的には人事院勧告の趣旨を尊重いたしまして、そのもとにこの法律案はつくりました。そして教師の勤務時間につきまして、とりわけ超過勤務手当につきましては、いままでの本委員会で、おいでになりました総裁からるる相当詳細な御説明がございました。私どももそのように解しております。そういうことで超勤手当というものはなじまない。そこで、さらばといって超勤手当はやらないんだということだけではなくて、超勤手当にかわるべきものも含まれて、しかもそれは手当ではなくて給与の一部としましていわゆる調整額として支給する、こういうふうにいたしました。したがいまして、労基法の三十七条は割り増し賃金のことでございますから、その規定は当然除外になるということでございます。したがって、三十六条のいわゆる三六協定は、そういう職員につきましては——現在地方公務員につきましても例の労基法の三十三条三項職員でございます。この職員については三六協定は適用する余地がないという解釈でございます。これも労働省が、基準局長もおられますから、そちらの法律は何でございましたら基準局長からお聞きいただきたいと思いますが、そういうことで三十七条は適用除外する、三十六条は当然適用の余地がなくなる、そういうことでございます。
  84. 有島重武

    ○有島委員 私が伺いたいのは、いい先生を教育界に集めたい、そしてその先生方に十分仕事をしていただきたい、雑務を除外してほんとうに教育に専念してもらいたいということと、三十六条、三十七条を除外しなければどうしてもいい先生が集まらない、また三十六条、三十七条を除外しなければ先生は雑務に追われてかなわないという何か論理的な筋合いがあるのかないのか、その辺を伺いたいわけなんです。
  85. 宮地茂

    ○宮地政府委員 現在の三十七条の規定適用すれば絶対によい先生が集まらないというほど、それほど直接に、ストレートに因果関係があるものではなかろうと思います。しかし、本来先生には三十七条規定はなじまないんだということで、三十七条規定ははずしたということでございます。
  86. 有島重武

    ○有島委員 私は、そのいまのお話はたびたびこの委員会でもって承ってきたわけなんです。私の伺いたい点は、三十六条、三十七条をはずすということがどうしてもこれは不可欠な問題なのか、どうしても固執しなければならない問題なのか、その一番最初の法の目的に照らしてみて不可欠なものか、その辺を大臣は一体どう考えていらっしゃるのか、それを伺いたいのです。
  87. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 一つには、たとえば先ほども申し上げましたけれども、先生方の教職という職業は、自発性と創造性という性格があるわけなんですね。そういう意味からいいますと、労働を売ったり買ったりというものではなくて、私も英語はあまりよくわかりませんが、たとえばレーバーという場合とあるいはワークという場合との違いですね。ワークの場合は、むしろ自主性及び創造性というものをするというふうにも一般的にはいわれるわけです。レーバーの場合は、もう余儀なくこれだけのことを働いたらこれだけ、一時間幾らだ。こういうふうなことには実は教職員というものはなじまないのではないだろうか、こういう一つ考え方が基本に実はあるわけでございます。そしてまた同時に、国家公務員については昭和二十三年でございましたか二十四年に、すでにその条項がはずされておりますし、人事院総裁お答えによりましても、まあそれは地方公務員あるいは地方の先生方とはだいぶ違う部面もあるかもしれませんけれども、そう問題も起こっておらないということから考えれば、そうむちゃくちゃなことでないのではないか、こういうことでございますし、それからやはり地方公務員の中においても、先生方の勤務というものは一般の行政職とは違うということ、あるいは裁判官その他の職務等も例外がございますけれども、そういう形に将来行く行く持っていかなければいけないんじゃないか、こういうわれわれの願いが実はこれに込められておるというふうに受け取っていただけば、ある程度は御理解いただけるんじゃないかというふうに思います。
  88. 有島重武

    ○有島委員 いまのレーバーということばとワークということばでございますけれども、これは多分に主観的な問題でございまして、同じ仕事をしておりましても、それをレーバーとして受けている人とワークとして受けている人といるわけですよ。こうやっていまお話ししているのでも、これが一体ワークであるのかレーバーであるのか、これはいろいろであるわけですよ。そういった問題とどうしても労基法をはずさなければならないのかという問題と——それでまあ逆にいえば、労基法をはずすとレーバーがワークになって自発性を発揮するというふうなお考えだったら、これまたちょっとおかしい、非常に飛躍ではないかと思うのですよ。私が伺いたいのは、何が何でも労基法をはずさなければいけないのか、いやそうでもないんだというお話か、それともこれはどうしても事情があってはずさなければならないのだ。それはどっちかのお話になるんじゃないですか。
  89. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 まあレーバー、ワークの議論は別といたしまして、それはとにもかくにも先生方というのは自発性と創造性が大事だ、このことはやはりよく御理解賜われる事柄だと思うので、このことを割り増し賃金の形でやるという、そういう行き方もないわけじゃございませんでしょう。絶無だとは言えないけれども、どちらがベターかというならばこちらのほうがベターだということで、われわれはこちらのほうをいいものとして提出をいたしたわけで、かてて加えて、人事院のほうでもそのような見解に立ってわれわれに勧告をされたわけでございます。従来、人事院の勧告について、われわれもあんまり十分それにこたえなかったわけでございますが、ようやく完全実施ができたわけでございますが、今度人事院から勧告されましたことについては、われわれも不満なところもまだないわけじゃございませんけれども、しかしながら、またわが意を得たりというところも実はあるわけでございまして、つまりベターな点がわれわれと同意見でございまして、今回の法案を提出するということに相なったわけでございます。
  90. 有島重武

    ○有島委員 いまの自発性と創造性ということも、中身はさっき横文字でおっしゃったことと同じだと思うのですよ。そしていまベターということばが出てまいりました。ということは、不可欠ではないのだということですね。さっきからの質問の続きでございますけれども労働基準法をはずすということは不可欠な条件ではない、そういうふうにいまおっしゃったことになりますか。いまいい先生を集める、その先生方に自主的な創造的な仕事をしていただく、そのためにどうしても労働基準法の三十六、三十七をはずさなければならないのか。必ずしもそうではないんだ、けれどもというようなお話ですか、いまのは。
  91. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 というのはちょっと違うのでして、それは先生方は、先ほどの修正案にあるように、はずすことをベターだと考えて出されておるというふうに……(「先生とはどっちだ、われわれのことか」と呼ぶ者あり)もちろんそうです。ということでございますが、私どもといたしましては、この法案は、そういう考えを入れればこの法案そのものが、たてまえがくずれてしまうわけでございます。ここが一番のポイントだと私ども考えております。でございますから、先生方のいわゆる自発性、創造性というものを皆さん方がお認めいただくならば、むしろそのふさわしいものは超勤がなじまない、こう考えたほうが一般的には自然だ、これが私たちの考え方でございます。
  92. 有島重武

    ○有島委員 その議論はほんとうに再々伺っているわけなんですよ。私はいまこの大詰めのときに来て一言伺っておきたいのは、どうでもこうでも労基法をはずさなければならないのか、これはどうしてもその必須条件なのであるか。
  93. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私たちがこの法案を通す以上は、それはもう不可欠なものでございます。通すというのは語弊がございますが、私ども意見、論理を展開していくということを貫くならば、やはりそれとは違うということでございます。
  94. 有島重武

    ○有島委員 それはちょっと問題だと思うのですよ。法案を通すというのが目的であるならば、それはけっこう。だけれども、いま法案を通すということが目的なんじゃなくて、教育界にいい人材を集めること、そうしてその先生方にいい仕事をしていただくことが目的なんじゃないですか。いまのは間違いじゃないですか。
  95. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 皆さん方は、あの修正案でもっていい人材を得たいと考えておられるかもしれない。私どもは、この法案でもっていい人材を得たい、こういうふうに考えておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  96. 有島重武

    ○有島委員 それでやや立場が違うようだけれども、いまそこの中間線をちょっと議論しているところです。だからどうあってもそれは不可欠な問題なのか、それを聞きたい。
  97. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私から申し上げますと、私は教職員のつまり自発性、創造性ということが教育には一番大事だ、こういうことをもしお認めになるならば、私たちの考えのほうがすなおじゃなかろうか。むしろもしこの自発性と創造性というものをなくした形に考えられれば、先生方のお考えは成り立つのじゃなかろうかというふうに私は思うのです。
  98. 有島重武

    ○有島委員 先ほどレーバーとワークのお話が出たときに言ったのと同じことになるのです。創造性とか自発性という問題は、やはり同じ仕事をしていてもこちらの持っているステータスが違うわけですね。ですから、そういった問題とこの労働基準法の問題がどうしても密接にくっついているのだ。労働基準法適用していくということであると創造性がそがれる、それから自発性がそがれる、そういうふうな御判断に立っていらっしゃるというようないまのお話ですね。そういたしますと、労働基準法適用を受けているすべての勤労者というものは、全部自発性、創造性がないのだ、そのようなひどい話になると思うのですよ。そういうことは間違いじゃないか。
  99. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は、すべての労働者の人たちに自発性あるいは創造性がないというふうには考えておりません。すべての労働者、勤労者の人でも、この自発性と創造性を持ってもらわなければならない。しかしながら、ぎりぎりのところを言った場合は、労働という場合においては労働を売るか買うか、この端的な、あるいは冷厳な事実ということに対して、労使関係においては団体交渉権も付与されておりますし、また同時に、ストライキ権も与えられておるわけなんです。しかしながら、たとえば教職員とか国家公務員の場合には、労働者に与えられておるような団交権とかあるいはまたストライキ権というものは付与されておらないという意味は、やはりその職分が多少違う。それがどっちがいいとか悪いとかじゃないけれども教職員という職務あるいは者はそういうものである。われわれは専門職としての認識を持っておるわけで、このほうがむしろ先生方に対しまして、やはり昔から先生ということばが残っておるように、単なる労働を切り売りする、こういうふうには一般的には認められておらないじゃないか、そういう特殊性というものはやはりある。そこに着眼をして、やはり今回の教職調整額というものが超勤手当をやるよりもベターである、こういうふうにわれわれは考えております。単に文部省が判断したのみならず、私の言うことも聞き入れていただくこともあれば、十分には聞き入れてくれないこともある、そういう第三者機関である人事院総裁までがわれわれの考え方と同じであるということでもって、私たちだけの恣意な判断でないというふうにひとつ御理解を賜わりたいというふうに思います。
  100. 有島重武

    ○有島委員 労働基準法除外するということは、不可欠ではないけれどもベターである、そういう結論でよろしゅうございますか。大臣おっしゃってください。
  101. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 たとえば、一方に修正案をお出しになっているように、それをはずすような考え方があるわけですから、この世の中にその存在があることはあるわけです。ただ、私どものほうからいえば、その法案よりもわれわれのほうがベターであると信じておる。そして第三者機関である人事院もわれわれの考え方に賛成してくださっておる、こういうことは単に文部省だけのわがままな解釈ではない、あるいは独断ではない、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  102. 有島重武

    ○有島委員 私が初めから伺っているのは、これはどうしても不可欠な問題なのか、それを聞いておるのですよ。なじまないとかいう話はさんざん聞いておるわけです。それから人事院の御意見も、そうであったという話も私は承知しているわけでございますが、どうしても不可欠な問題なのかどうかという点だけをすらっと言っていただければ、私はどんどん先に行くのですよ。
  103. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 繰り返し申し上げますように、私どもといたしましては、そういう考え方は教職員の職務にかんがみましてなじまないというふうに思います。
  104. 有島重武

    ○有島委員 では、大臣はどうしても不可欠ということばは言いたくない、そういうふうに受け取りますよ。それを言っては困る、ただし、さっきお話を伺っておりますとベターであるというお話です。  それから、労働というものは創造性と自発性がないというようなお話だけれども、こんなものをここで読むのはちょっと申しわけないみたいだが、労働基準法の第一条は、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」というだけの話ですよ。それから、「この法律で定める労働条件基準最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」それだけの話でございますよ。こういう趣旨の、こういう目的のものをどうでもはずさなければならないということは、これは非常におかしな問題だと思うのです。この一条を見る限り、人たるに最低の条件を確保するだけの話ですから、それで、いまおっしゃったように教員というものは先生といわれるように、もっとずっと十分な待遇を与えてもいいはずのものでございますから、そういったことの論議にどうしてもこだわるということは、これは見方を変えて言いますと、最低基準をまだ下回るという、歯どめをとられてしまったのと同じようなことになるのじゃないかと考えてもしかたがないんじゃないですか。もう一ぺん伺っておきますが、どうしても労働基準法をはずすのは不可欠なのか。
  105. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 質問の意味が私、どうしてもわからないわけなのでございますけれども、先生のお話を聞いていますと、それでもって全部を律しなければいかぬというふうに思っておられるのじゃないかと思うのです。というのは、国家公務員の教職員についてはすでに除外されておりますね。それはそれなりの理論構成がちゃんとあるわけです。あるいはまた、これは待遇がかなりいいですけれども、最高裁判所の方々だってそうなので、先生をはずすということは絶対相ならないということも、またこれは私にはわからないのです。そういうふうに私は思うわけでございます。
  106. 有島重武

    ○有島委員 こちらも入れなければならないとか、そういうことを言っているのじゃないのです。全然そういうことを言っているのじゃないのですよ。教育界に人材を集める、そして教員に十分な仕事をしていただく、その目的のためにはどうしても労働基準法の一部の適用除外しなければならないのか、そのことがどうしても必要不可欠な条件になるとお考えになっていらっしゃるのかどうか、そのことだけを伺っている。
  107. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そこが、実を申しますと一番最初に私が答えた意味と関連を持つわけなので、やはりその意味を振り返ってお考えいただきたいと思うのです。これは、端的に申し上げますならば、やはり教職員の調整額という形で、従来の懸案事項を含めて待遇改善の一環として法案を提出いたしております。しかしながら、将来人材を求める意味におきましては、教職員のいまの自発性と創造性という職務に値するような抜本的な待遇改善をやるのだ、その第一歩である、その意味合いにおいてよくお考えをいただきたい、こういうことをずっと申し上げておるわけです。そういうようなことがこの法律にはむいじゃないかということは山中先生からもるるお話がございましたけれども、そのお話しになりましたことも私はよくわかるわけでございまして、私のその当時の答弁資料をお読みいただきますならばおわかりいただけると思いますけれども、こういうような国会の場において責任者である私が申し上げて、そしてそれが速記にとどまるということは、同時に私どもとしては責任が生ずることでございますから、その点はひとつ御信頼をいただきたい、こういうふうにいま私は思うわけでございます。でございますから、構成といたしましては、将来とにもかくにも教職員の待遇改善というものはやはり抜本的にやらなければならない、その第一歩であるというふうにこれをお考えいただくならば、すなおにいま、はずした意味もおわかりいただけるんじゃなかろうかと私は思うのでございます。
  108. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 ちょっと有島君、初中局長から補足をさせましょう。
  109. 宮地茂

    ○宮地政府委員 労基法三十七条の割り増し賃金があれば絶対によい先生は来ないというほどの関連があるかどうかという御質問だと思いますが、超過勤務手当、割り増し賃金、三十七条があれば絶対にもうよい先先は来ないんだというほど、そんな大げさな関連はないと思います。しかし、三十七条で割り増し賃金を払うということはなじまないのだから、それよりよりベターな調整額を支給しましょうというだけだと思います。  それから、先生がお読みになられました労基法の第一条は当然適用になりますから、そういうものまで今度教員にはずしておるわけではありません。
  110. 有島重武

    ○有島委員 いまの最後の話からしますと、第一条は、三十六条にも三十七条にも全部貫き通っている話だから言ったんですよね。最後の話は、あれはちょっといただけない話ですよね。  それから、いま明らかになった話は、だからこれは絶対不可欠のものではないんだ、ベターなんだというお考えだ。ですから、どうしても労働基準法適用除外をしなければならないという問題ではないけれども、しかも特別な事情でそれをやっておるんだ、そういう結論であると私はこの場で判断いたします。さっきから不可欠だということは、とうとう大臣から言えないんだから、ないわけですね。不可欠ということは、とうとうおっしゃらないわけですよ。いろいろなことをおっしゃったけれども、そのことばだけは言われないわけなんです。だから不可欠ではない、そういうことになりますね。  それでは、その問題から次の問題にいきます。この法案が、当分暫定の処置である、近い将来には抜本的な教職員給与体系に基づく給与法を成立させるべきである、そういうように私ども考えます。それで、大臣もそれに非常に近いようなお話はなさいましたけれども、それをしっかりと確認をしておきたいわけなんです。大臣の御見解はいかがでございましょうか。
  111. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 もうそれは、先ほどから繰り返し私申し上げておりますことでございますから、そのとおりでございます。
  112. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、ごく近い将来に抜本的な給与法というものが提示される、そのごく近いということになりますと、これはいつごろかという問題になるわけですよ。それからもう一つは、抜本的な給与体系の柱は一体どこら辺に置かれるのか、そのことだけ承っておきたいと思います。
  113. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御承知のように、中教審の最終答申も近く出ることになりますけれども、すでに昨年の十一月の中間報告でございますが、「初等・中等教育の改革に関する基本構想」の中で、「教員の養成確保とその地位の向上のための施策」の一環として、「教員の給与は、すぐれた人材が進んで教職を志望することを助長するにたる高い水準とし、同時により高い専門性と管理指導上の責任に対応するじゅうぶんな給与が受けられるように給与体系を改めること。」ということを提案いたしておるわけでございます。私どもといたしましてもその具体化に全力を注ぎたいというふうに考えるわけでございますが、それにいたしましても、まずもってこの多年の問題である超勤問題を含めた、待遇改善の一環であります本法案、しかも人事院が勧告をされたこれを完全実施するというような、このことができないようなことであってはまことに私は意欲をそがれてしまう気になるわけでございますが、どうかひとつ皆さま方の御協力のもとに、これを通していただきたい、かように考える次第でございます。
  114. 有島重武

    ○有島委員 中教審はすでに去年ですか、いまお読みになったのは……。   〔「いまのは作文だよ」「違う違う」と呼ぶ者あり〕
  115. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御静粛に願います。
  116. 有島重武

    ○有島委員 四十五年の十一月五日ですか、そういうことになっておりますね。確かにこれは、「すぐれた人材が進んで教職を志望することを助長するにたる高い水準とし、同時により高い専門性と管理指導上の責任に対応するじゅうぶんな給与が受けられるように給与体系を改めること。」が必要だということをいってるわけですよ。その改められるのは一体いつのことか、どういう柱をお立てになるのか、それを伺いたい。
  117. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは最終の答申を待って具体的に検討して、その実現に努力したい、かように考えております。
  118. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、いつごろにはつくろうという意欲は全然なしというわけだ。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)だって、もう最終答申は五月には出るのですよ。それからゆっくり考えようっていうのですか。いつやるというのですか。
  119. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは中央教育審議会諮問をいたしまして、いませっかく懸命の検討をされ、そうして近く出るわけでございます。その出る前に私がいろいろ申し上げるということは差し控えたいというふうに考えます。ただ、私の気持ちといたしまして、一般的に教職員の待遇改善には抜本的な給与体系をつくらなければならないという決意を秘めておるということだけは、ひとつ御理解を賜わりたいと存じます。
  120. 有島重武

    ○有島委員 それも私の聞いている答えではないんですよ。じゃ、中教審が五月に答申を出しまして、いついつまでにそういうものをつくるべしというようなことまで中教審がいうのですか。いまこちらは、いつごろまでにつくるのか、それを伺っているわけです。
  121. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その御質問が非常に無理な御質問でございまして、私が無責任に言うならばなんでございますが、責任をもって言う以上は、私としてやはり中教審の最終答申を見ました上で、そうして私どもでこれをつぶさに検討をし、そしてしかるべき具体案を練るべきである、それがやはり文部大臣としての社会に対する責任である、かように考えておるわけでございまして、いろいろの考え方はございますけれども、それをここで、まだきまりもしないものを申し上げるということは慎みたいということを申し上げておるわけであります。そのことはおわかりいただきたい、こういうふうに思います。
  122. 有島重武

    ○有島委員 私は、そんなこまかいことを全部言えということじゃない。いつごろまでにつくるかという話なんですよ。さっき大臣が決意を述べられましたよね。そういった御決意も、この前の委員会にもあったかもしれませんけれども、そういう御決意は、代々の文部大臣は皆さん言っていらっしゃるわけじゃないですか。  たとえば、これは三十八年の六月十二日、荒木萬壽夫文部大臣が、国立大学総長の任免、給与等の特例に関する法律案、この審議の際にこういうことを言っていらっしゃるわけです。「元来、ひとしく公務員の中でも教職にある公務員につきまして、国家的、社会的立場でいかにこれを評価するかという課題は、戦前からの問題でもございますし、戦後において特に重視さるべき課題であったにかかわらず、十分な検討がなされないままに今日に来ておるとも言い得ると思うのであります。いつかも申し上げたことがございますが、むろん戦前との比較だけがすべてではございませんけれども、いまもお話に出ましたように、いわゆる人づくり、大事な児童生徒、学生等の責少年を育成していく教職員は、他の公務員よりも違った評価でもって考えられるべき本質を持っておろうかと思うのであります。」云々。それから、「同時に、それにふさわしい給与を与えるという制度を確立することが、冒頭から申し上げました教職に対する国家的、社会的評価を十分に国民的立場考えるよすがになるであろう、」こんなことを昭和三十八年にもうすでに言っていらっしゃるわけですよ。いまの御決意は、三十八年から一歩も前進していないという感じがするわけですね。まだまだ同じような話がたくさんあるのです。四十一年三月二十五日、中村梅吉大臣も言っていらっしゃる。四十一年には有田喜一文部大臣、同じようなことを言っていらっしゃる。剱木さんの話も伺いました。灘尾さんのお話も伺いました。ずっとそんなことばかり言っているんじゃないですか。  そしていまもって——これは昭和三十八年、もっと前を調べればもっとあったかもしれないけれども、いつごろまでにつくらなければならないかということはあると思うのです。そのことを示さないで、いつかやるという、何かアスナロ・ヒノキのお話みたいに、そういっためどの大筋をやはり示されないということは、さっき無責任なことはできないとおっしゃったけれども、そういったものを示さないでいて決意ばかり述べても、やはりそれは無責任な決意じゃないか。そういうふうになりませんか。いつごろまでにおつくりになるという気持ち、それがはっきりしますと話はずいぶん楽になるのですよ。
  123. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 なかなかそれはむずかしいお答えでございまして、そうおっしゃいますけれども、たとえば人事院勧告についても、政府は長い間やるやると言いながら、なかなかやれなかった。しかしながら、実際においてやりました。やはりこれは、一歩一歩積み上げていってあそこまでいくわけです。でございますから、私が申し上げましたのは、抜本改正、抜本改正と言うことは言いやすいけれども、実はそのいく前にやるべきこともあるわけなんです。それをやらないで、単に抜本改正、抜本改正と言っても抜本改正につながらない。むしろその抜本改正をやる入り口であるこの法案を、ひとつぜひ通していただきたい。  とにかく来年の一月から一般の先生方に四千円プラスするんです。あるいは年金その他退職金には相当の額がはね返っていくわけです。これが通らないということは、私はほんとうに身を裂かれるような思いなんです。それを私はぜひすることが文部大臣の責任であるし、それで私は十分だと思っていないので、これはまた人事院にも御相談申し上げます。そして同時に、われわれ自身としても、中教審の最終答申を得まして抜本改正をやろう、こう言っておるのにどうして私の気持ちがわかっていただけないか、こういう非常につらい気持ちなんでございます。ここのところはよくひとつお考えいただきたいと思うので、本年度、とにもかくにも四十億予算をとりまして御審議をわずらわして、これは通過しておる。そのお金をそのまま、またおじゃんにしてしまうかと思うと、非常につらい気がするのです。そういうもので四百数億になるわけでございますから、これは相当の給与改善の法案だ、優遇法案だというふうに私は信じておるのです。  でございますから、ひとつぜひともこれを通していただきたい。また、こういうことを積み重ねていって、初めて先生がおっしゃる抜本改正ができるのだ。だから、これが通らなかったならば、私は、何カ月あるいは一年後にこうしますなんということはとても言えませんですよ。私は、ほんとうにそういう気にならないことになってしまいます。ですから、ここはひとつぜひお考えをいただきまして、抜本改正の突破口である、こういうふうにお考えをいただいて、ひとつ御協力を賜わりたい。これは、私は全国の教職員のためにお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いします。
  124. 有島重武

    ○有島委員 身を裂かれる思いはむしろこっち側、教師側なんです。四%について、何もそれを修正して低くしろなんということは一つも言っていないのです。いまの話は、全然話が別ですよ。抜本的な改正をするのだ、そういった給与法をつくらなければならないのだということをずっと言っていらっしゃる。それはいつおつくりになるのか、そのめどだけでもお示しください、そういうことなんですよ。これが突破口なんだから、これを突破してくれないくらいなら、とても先のことはやる気がしないみたいな、いまのはちょっとまずいお話じゃないかと思うのですよ。それから、これを通さなかったなら先は考えられないみたいな話ですけれども、そんなことを言ったら、どの法案だってみんなそういうことになってしまう。これを通さなかったらなんて、それじゃまるでおどかしみたいです。  いま、入り口というお話があって、入り口に入れろというのだけれども、では中にだれがいるのだということを、入る前に知らしてもらいたいと言う人もいるわけですよ。とにかくこれをあげなかったならば何だ、そういった立場、それこそ兵隊さんでいえば、一番先兵になって突破してとにかくあそこのところだけ破ればいいのだ、それだけの兵隊さんもいます。しかし、ここは兵隊さんの集まりというよりはむしろ参謀部に当たるので、もっと広い範囲の、視野の大きい話をしているのじゃないかと思うのですよ。そこを破らなければだめだというような、それは仕事の段取りの上ではそうかもしれないけれども、ここはやはり大きな視野を持つべき国会の場ではないですか。それをどうして示せないとおっしゃるのか。中教審の答申に、いついつまでにやれなんということはおそらく出てこないでしょう。中教審としては、ただこういったような問題があるという問題点の列記、そういったことは中教審で述べることができる。これはむしろ技術上の問題ですよ。ほんとうの意欲を持っているのは大臣であるべきじゃないですか。その意欲のもとに、いろいろ具体的な論議がかわされてでき上がっていくべきじゃないですか。いまのはまるで逆だと思う。そうじゃないですか。ですから、大臣としては、いついつまでには私としては断固としてこれをつくりたい、それだけでもけっこうです。それがはっきりすれば、ずいぶん話は通るのです。
  125. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいまそれは非常にむずかしいので、(「めどぐらい言え」と呼ぶ者あり)それはそちらのほうではむずかしくないかもしれませんが、私のほうとしては、やはりここでもって責任を持ってお答えします以上は、そう簡単には申し上げられない課題でございます。  ただ、申し上げておきたいことは、今度の最終答申におきましては一応長期教育計画というものを立てます。それに対しまして計量計算をいたします。あるいは毎年どれくらいの国民所得に対するパーセントを考えていったならば、たとえば幼稚園、小中校の充実あるいは新しい大学改革あるいは抜本的なこういう給与等をも含めたお金が、どのくらいになるかという大ざっぱな積算は出るのではなかろうかというふうに思います。あるいは中教審でそこまで出ておらないとするならば、われわれといたしましては、やはり中教審の答申が五月末に出るといたしますならば、それから一年くらいかかってこの問題を検討しなければならないだろうということくらいは申し上げられるんじゃなかろうかと思います。
  126. 有島重武

    ○有島委員 検討のスケジュールは大体一年くらいかかるであろう、一年以内に大体できるであろう、そうするとその次には、抜本的な給与体系の一つの提案をすることができるであろう、そういうような見通しにわれわれが立ってもいいのかどうか。そういったような見通しなしに、とにかくこれを通さなければどうにも話が始まらないということは、これは、この法案に限らず、そういったような行き方というのは一種の愚民政策といいますか、ちょっとひどい話になってしまうと思うのです。ちゃんと見通しはこうなる、いついつまでにこうしたい、それだったら、そのための努力には協力しなければならない、こういうことになる。
  127. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御承知のように、私が決心いたしますと同時に、給与に関しましては人事院あるいは財政当局というものを説得しなければならない。説得するにつきましては、相当の精密なる調査とそうして説得力ある立案根拠というものがなければ、とうてい財政当局や人事院の方々に御理解を賜わることはできない。ものごとというものはそういうものでございまして、私どもといたしましては、そういう私自身としてまだ十分精査していない問題について、むしろ私はここではっきりお答えできないと申し上げたほうがいいと思うのでございます。
  128. 有島重武

    ○有島委員 最近では灘尾文部大臣が、これにより教員の給与の実態を的確に把握するために調査し、抜本的な給与の改善をはかり、魅力ある教育界の形成に資したい、こうおっしゃっているわけです。そういったことから一歩も前進がない。これは、先日もおっしゃったように抜本的な改正ではないわけです。それでもって一つ努力のあらわれであるというふうな受け取り方を私はできますけれども、それには、抜本的な改正をこういうふうにしたいのだ、についてはこうなんだ、それが普通の人間の論理じゃないかと思うのです。それがどうしても言えないということになりますと、これは信頼せいとおっしゃるけれども、一体信頼していいものか悪いものか、先がわからないのだから……。  大臣、二つ目ですが、ですから、文部当局が結局先のめども示さずに今回の給与法の改定を行なっていく、そういう言い方になってしまうと思いますね。これはおっしゃれないというのだから、しかたがない。そう言われてもしようがないわけですね。  それで、今度は少し人事院総裁にお伺いします。人事院総裁としては、この答申をお出しになる前後に、ずいぶん教員団体の方々とはお話しになったと思うのです。どういった方々とお話しになったか、教えていただけますか。
  129. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもは、もうしょっちゅう、あらゆる問題について職員団体の方々とお会いしておるわけであります。特にいまのこの問題をめぐってというお話でありますから、メモによって申し上げますと、日本教職員組合、日本教職員連盟、日本高等学校教職員組合(右派)(左派)、日本新職員組合連合会、全国小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、教育長協議会、その他関係機関の意見を十分伺っております。  それからもう一つは、この前の四十三年の文部省案の際にも、ずっと夜通しおつき合いいたしまして、特に皆さん方の御意見を拝聴しておる。それらを十分参考にいたしております。
  130. 有島重武

    ○有島委員 いろいろな意見をお聞きになってそれぞれに判定を下されて、文部大臣ともそのことについてはお話し合いになったのでしょうね、聞いただけではなくて。聞いたことについても一つの判断をお下しになって、そういうことが、やっぱり文部大臣との間にもお話し合いがあったわけでございますか。
  131. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 あまり文部大臣とは話はしておりませんけれども、大体われわれのほうの成案がまとまりまして、お金のほうの問題としてはまあ実質六%ぐらいになるだろうというめどがつきましたので、普通の八月の給与勧告ですと、お金も何も、それは大蔵大臣が卒倒しようと失心しようと、われわれは官民給与の比較でいきますからこれはやりますけれども、これはちょっと官民給与の比較の問題とは違いますから、やっぱり文部大臣にひとつ予算の獲得のほうを一はだ脱いでいただいたほうがよかろうということで、その意味で文部大臣に、大体実質六%ぐらいになるがということを申し上げた、これは事実でございます。それから歯どめの問題ですね、歯どめの問題はこれは重要ですぞということを申し上げている。(「それだけか」と呼ぶ者あり)それだけです。
  132. 有島重武

    ○有島委員 これはこの前の質問ですからもう省略いたしますが、さらにさらに抜本改正に向かって努力を積み重ねていらっしゃるというお話ですから……。たとえば四本立ての問題、これについて全日本中学校長会の調査でございますけれども、中、小、高、それから高専、大学、これすべて一本立てでいい、そういった意見がございましたですね。それからまた、大学だけ別にしてあとは一本立て、二つにやっていくという意見もございましたですね。それから三本立てがいいというような意見もあったようでございますね。このことについては、現在はいまのままですからこれはこれでいいかもしれません。将来はどうあるべきだという御意見ですか。
  133. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これはだいぶんこの間責められまして、結論においては私の答弁が合格したというふうに考えておりますけれども、その際にも申し上げましたように、いまの何本立ての問題これは将来の一つの大きな問題であろうというふうな自覚を持って、意識を持って検討しておりますが、しかし、これは御推察のように、みんな、たとえば教員団体そのものがいろいろ利害関係が錯綜しております。なかなか一本にまとまった御意見というものは拝聴できないわけです。そういう点もありますし、いま中教審の話も出ておりますように、それらの専門的な調査機関の結論をもあわせ勘案して、われわれとしては適切な解答といいますか、答案を書きたいという心がまえで臨んでおる。問題意識は十分持って臨んでおります。
  134. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、まだその結論は出せない。  文部大臣に伺いますけれども文部大臣は、この問題についてはどういう御意見を持っていらっしゃいますか。現状が一番いいという御意見を持っていらっしゃいますか、それとも将来変えなければならないと思っていらっしゃいますか。
  135. 宮地茂

    ○宮地政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、いろんな意見がございますが、よくいわれますのは、現在、小学校、中学校一つ、それから高等学校一つ、高専が一つ、大学が一つ、こういうふうになっているわけで、その場合、小中高等学校は少なくとも一本で済むではないかといったような御意見が組合等からよく出てまいります。中教審も抜本的な問題を御提示になっておられますが、私どもとしても常時検討いたしております。その場合に、一つ考えとして同一学歴同一賃金という問題がございます。昔は、師範学校を卒業した人は小学校の先生になり、高専、大学を出た人は中学の免許状が取れた。その場合に、スクーリングが師範学校と高専、大学ではやはり違っておりました。そういうことで、同一学歴でございませんので賃金が別であった。ところが新制大学になって、小中高いずれも新制大学で、同一の学歴ではないかという説がございます。ところで、教員の場合は一級の免許状、二級の免許状と、免許状にまた等級がございます。したがいまして、同一学歴同一賃金ということも一つ考えでございましょうが、免許状によりまして——二級の先生は、一級を取るためにいろいろ勉強されて一級をお取りになる。そうすると、一級と二級が同じだというのもおかしいといったようなことで、いろんな要素を勘案して検討いたしております。これがよいという案がございますれば、いままでにも当然そういうことを人事院にもお願いし、また法律改正案も出すべきですが、そういったことで目下検討もいたしておりますが、さらに中教審の御答申も受けまして、より一そう広い立場から検討したい、これがいま私どもの持っておる考えでございます。
  136. 有島重武

    ○有島委員 大臣に承りたいのですが、どうしても局長の方々は、それを実施していらっしゃる立場でございますから、現在のものを土台にして——さっきの抜本改正への意欲が十分におありになるということを私は信じているわけなんですよ。この四本立ての問題あるいは初任給八万という問題が出ておりましたね。それからILOの、十五年間で二倍になるというような問題、そうしたことについてどのような御意見を持っていらっしゃるのか、どういう判定を下されたのか、それを承りたい。
  137. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいま局長から御答弁を申し上げましたように、私どもといたしましては、いまどれがよろしいという結論に達しておりません。やはりそういうことを含めまして、抜本改正の際に検討をして結論を出したい、かように考えておる次第であります。
  138. 有島重武

    ○有島委員 さっきの法律の目的の論議のときに、先生にほんとうにいい仕事をしてもらいたいんだ、こういうことでございました。教員団体のほうの御意見としても、本務と雑務といいますか、そういったものの分離ということについてずいぶん論議があったようでございますけれども、このことについてはどういう御意見を持っていらっしゃいますか。
  139. 宮地茂

    ○宮地政府委員 この委員会である先生からも御意見がございましたが、教師は子供を教えるのが本務である、したがって大体授業が中心になる。だから、事務のようなものは本務ではないのだといったようなお話がございましたが、私ども、本来の仕事とか本務とかいう分け方でなくて、主たる仕事と従たる仕事というふうに分けますれば、なるほど学校の先生としては子供の教育ということが主たる業務であろうと思います。しかしながら……。   〔「学校教育法二十八条と違う」と呼ぶ者あり〕
  140. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 私語は御遠慮いただきたいと存じます。
  141. 宮地茂

    ○宮地政府委員 学校教育法は、「教諭は、児童の教育を掌る。」ということでございますが、それは主たる仕事であろうと思います。しかし、学校は組織体ですし、先生も組織の一員でございますから、組織運営上いろいろな仕事がある。たとえば事務は雑務だ、本来の仕事でないという言い方がよくございますが、私ども、本来の仕事というのじゃなくて、主たる仕事か従たる仕事かといえば、事務的なものは従たる仕事であろうと思います。
  142. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、先ほど総裁、各方面から意見をお聞きになったと思うのです。そのときに、いまの本務と雑務のお話もたくさんお聞きになったんじゃないかと思いますが、本務と雑務について、総裁のほうの御意見はいかがですか。
  143. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは、いまこの問題をめぐって急に起こった問題ではございません。給与勧告のたびごとに、各教員の団体の方々がいろいろな要望をひっさげてこられる。みな私どもはお会いしております。そういう要望の中にそれはいつも入っておるのですね。したがいまして、今度は文部大臣が賃上げの要望にまた私どものところに来られますが、そのときをつかまえまして、何でも給与給与でしわ寄せされるということは迷惑だ。たとえば参考資料になるものあるいは参考書のようなものの整備なんかも、月給で買わないで済むように整備していただきたい。それから、いまの雑務などにあまり教員の方々が忙殺されないように適当な措置をおとりいただきたい。これは、お会いするたびごとに歴代文部大臣にしょっちゅう申し上げております。
  144. 有島重武

    ○有島委員 文部大臣に伺いますが、いまの人事院総裁のお話でございますけれども、今度のこれは一つの突破口だとおっしゃった。これはものの軽重もあると思いますが、いまのようないろいろな問題もやはり大きな突破口じゃないですか。この法案が通らなければ、いまのお話のようなことにはとても及ばないのかどうか。この法案が通らなければ、いまの本務、雑務の問題あるいはILOの勧告の問題、そうした問題にタッチすることは絶対できないのか、あるいはそうではないのか。私はそんなことはないと推察しますけれども大臣の口からはっきりそのことを言っておいていただきたい。
  145. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そんなことはございません。
  146. 有島重武

    ○有島委員 そうですね。だから、さっきの、これが通らなければほかのことは何もできないということは間違いである、そういうことですよ。
  147. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そうではなくて、やはりこれを通していただくことは、教職員の専門職としての位置づけをはっきりさせることでございますから、これは非常に意味があるというふうに思います。いま御指摘のようなことをやるにつきましても、やりやすくなっていくというふうにお考えをいただきたいと思います。私どもといたしましては、この法案がどうあれこうあれ、教職員の待遇改善については、またそのときはそのときで考えなければいけないということですが、どちらかというならば、これを通していただくと、いま御指摘になりましたような問題もやりやすくなりますし、またそれとあわせまして事務職員をふやしていくとかあるいは定員を改善していくとか、たゆみなく教育条件の整備をやるということが、教職員の方々に労働過重をしいることがなくなるもとであるというふうに私は思うわけでございまして、その辺は自然にと申しますか、ほんとうにそういうようなつもりで私どもはこの法案を出しておるわけでございますから、どうかひとつ御賢察を賜わりたいというふうに思います。
  148. 有島重武

    ○有島委員 初中局長の宮地さんに伺いますけれども、この法律がどういう経過をたどるにしろ、これがもし通れば、いま大臣のおっしゃったように、大臣のおっしゃった内容の一つは、たとえば学校教育法二十八条のただし書きを取るというような問題ですね、これもずいぶん多年の懸案でございますが、二十八条のただし書きを取ることがずっとやりやすくなるのですね。このいま問題になっております法律がどういう経過をたどろうとも、これが通れば、懸案であった学校教育法二十八条のあとのただし書き、それは本来のようにただし書きを取ることがずっとやりやすくなる、そういうことが言えますか。
  149. 宮地茂

    ○宮地政府委員 二十八条ただし書きは事務職員のことと思いますが、御指摘のように事務職員は、養護教諭も同じでありますが、各学校に少なくとも一人は置きたいというのが私どもの念願でありますが、今日そのようになっておりません。そこで、先生いまこの法案との因果関係をおっしゃいましたが、この法案が成立していない現在においても、教職員の定数の増加ということは、別の法律規定に基づきまして、従来から五年計画で三回進めております。その場合に、事務職員の定数も、その中で年次計画で充実いたしております。でございますので、ただいま御審議いただいておりますこの調整額についての法律のいかんにかかわらず、従来から定数については、事務職員はもちろん養護教諭その他努力いたしております。そういう意味で、この法律が通りますれば、その事務職員のほうがどうということは直接には関連がないのじゃないかと思いますが、もちろんこの法律が通りまして、先生方が調整額を受けられ、適切な処遇が漸次受けられていくようになる。そうすれば、また次には事務職員の問題といったようなプライオリティーを考える人がおるとすれば、非常にベターであろうと思います。
  150. 有島重武

    ○有島委員 大臣のおっしゃった、この法案が通るといろいろなことをやりやすくなるというお話ですけれども、いまの局長さんのお話だと必ずしもその因果関係というのはないわけです。それもやはりおかしい問題だと思うのですね。ですから、これがとにかく通らなかったならばほかのことはできないと先ほどおっしゃったのは、ちょっとお間違いではなかったかと思いますが……。
  151. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 直接関係がないというふうに考えれば、そのとおりだと思います。ただ、私は政治家でございますから、やはりある一つのことに集中して、そしてそれを、皆さん方の御協力を得て一歩一歩実現していく。そういう立場から申しますと、先ほどから両先生のお話、剱木先生や中村先生のお話をお出しになり、こんなに言っておるじゃないか、抜本改正ということをおっしゃっておりますけれども、とにもかくにも超勤問題を何とかわれわれとしては処理したいという考え方がずっと続いておるわけですね。そうすると、精力がどうしてもそっちのほうに行ってしまうわけです。そういうことは考えではならないことでございますけれども、実際上はあり得ることだ。これは、役人の人たちの答弁としては先ほどのことが正確だと思いますけれども、政治家として、また皆さん方も政治家でいらっしゃいますから、私としては、そういう意味におきまして今度この法案を通していただきますと、精力をそちらのほうへ向けて抜本改正あるいは事務職員あるいは養護教諭というような問題に集中できるという意味においては、これはプラスになっていきますということを率直に申し上げたわけでございます。もしそうでない意味でございますならば、ただいま局長が答弁したとおりでございますから、訂正を申しても差しつかえございません。
  152. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私が言いましたのが多少足りなかったと思いますので、補足させていただきます。  そういった意味の理論的な因果関係はございませんが、現実の仕事をいたします場合、これはいま大臣も言われましたが、いま調整額を中心としましたこの法案のために相当精力もさきますし、予算も最優先するようなことでございます。しかし、一つの問題が軌道に乗りますれば、いまの定数法のほうは第三次五年計画をやっておりますが、四十八年度で終わって、次の五カ年計画に入りたい。そのためにいま調査もいたしておりますし、そろそろ大蔵省等とも相談することにいたしております。そういった意味では非常に関係がございます。具体的な行政を進めていく上には非常に影響があると思います。
  153. 有島重武

    ○有島委員 ただいま政治家としてあるいは行政の立場として、やはり仕事を運んでいく上に、一歩一歩やっていくのに非常に関係があるのだ、そういうお話です。私は、行政と政治とちょっと違う点は、一歩一歩やるのに、政治という立場はちゃんと行き先を示しながら一歩一歩やっていくべきじゃないかと思うのですよ。それができないとおっしゃる。それは非常に残念でございます。ですから、これをやったらば次にはこのことを必ずやるのだ、そうしてこれをやる、そういう積み上げでもいいのです。あるいは終着駅を、いついつまでにはこうしたい、それでもいいのです。それをきょうは全然お答えいただけないのですね。全然だめですか、それとも少しはおっしゃいますか。
  154. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 それはやはりものによるわけですね。できる問題とできない問題とがある。たとえば私なんかは、少しおかしい話、私から申し上げてなんですけれども、たとえば多年の懸案だった私学に対する経常費助成みたいな問題、これはいわれてきたことですけれども、少なくとも私はやろうと決心した。そしてそれは現実にやりました。こういったことも一つの私の信念として目標を定めて、そしてやったわけです。でございますから、できることとできないことがあるということはお認めいただきたいと思います。それだからといって、文部大臣はそれに対して意欲がないのかと言われても、それは私として、政治家としてしかたがないことで、皆さん方で御判断いただきたいというふうに思います。でございますけれども、先ほどからの問題は、いま直ちに先ほど御答弁申しました以上には申し上げられないということがむしろ私の政治家としての責任だ、こういうふうに考えております。
  155. 有島重武

    ○有島委員 ではもう一つ、先ほど、超勤問題をどうしても片づけないともうほかのところに気が回らないくらいたいへんなのだ、そういうようなお話でございました。そうなりますとまた議論が長くなると思うのですよ。では超勤問題がどうして起こったのかというその因果関係をほんとうにきわめていかないと、それは根本的に解決できないのじゃないか。ほんとうに解決することができるのか、ただそれをばんそうこう的に張りつけておいたのではまた爆発するのではないか、別な面でまた問題が起こるのじゃないか、そういった議論は、これはちょっと長くなると思いますから、また次の機会に譲らなければならないと思います。  それからもう一つ、私も木島さんのさっきおっしゃいました石井基審会長またはその代理の方にお尋ねしたいことがあるのでございますけれども、きょうおいでになりませんので、私の質問は留保させていただきたい。委員長にお願いします。
  156. 松永光

    ○松永委員 原案及び修正案について……(発言する者多く、聴取不能)されんことを望みます。
  157. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 ただいまの松永君の動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔離席する者、発言する者多く、聴取不能〕
  158. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 起立多数。これにて質疑は終局いたしました。  原案及び修正案を一括して……(発言する者多く、聴取不能)討論の通告が……(聴取不能)採決いたします。……(聴取不能)修正案……(聴取不能)諸君の起立を求めます。——起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に原案……(聴取不能)賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって……(聴取不能)可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました法律案に関する……(聴取不能)作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、……(聴取不能)よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十一分散会      ————◇—————   〔報告書は附録に掲載〕