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1971-02-24 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十四日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 松山千惠子君    理事 武藤 嘉文君 理事 武部  文君    理事 渡部 通子君 理事 和田 耕作君       小坂徳三郎君    正示啓次郎君       粟山 ひで君    田中 恒利君       戸叶 里子君    松浦 利尚君       有島 重武君    栗山 礼行君       谷口善太郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         食糧庁次長   内村 良英君  委員外出席者         厚生大臣官房審         議官      横田 陽吉君         農林大臣官房参         事官      大場 敏彦君         農林省農林経済         局企業流通部長 森  整治君         農林省農林経済         局統計調査部長 中沢 三郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     栗山 礼行君     ――――――――――――― 二月二十日  諸物価値上げ反対に関する陳情書外五件  (第一一五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 きょうは特に消費者米価に関して、物統令廃止後の消費者米価の問題について具体的にお尋ねをいたしたいと存じます。食糧庁からおいでいただいておると思いますが、まず、食糧庁のほうにお尋ねをしておきたいと思います。  これはもう率直に国民の判断として——いままでは物統令というかさがあったわけですね。物統令というかさがありましたから、これから上に出ていこうとしても、物統令かさによって、屋根によって押えておったわけです。下は幾らで売ってもいい。しかし、実質的に政府が介入した米価でありますから、一定の水準で消費者に売られておった。ところが、この物統令かさを、屋根を取りはずしてしまうわけでありますから、米の値段が上がるというふうに理解をすることが普通であって、いま、ある政府の方が言われるように、いや、物統令をはずしても、屋根をはずしてもお米は上がらないんだという言い方があるわけですが、国民の直感的に感ずる、屋根をはずしたら上がるじゃないかという発想の考え方が間違っておるとお考えになるのかどうか、その点を食糧庁の方にお尋ねをいたします。
  4. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  物統令を、新米が出回ります十月ないし十一月ごろからはずします理由は、最近米が余ってまいりまして、配給制度にもかかわらず、消費者のほうから質の選択という問題が起こってきているためでございます。したがいまして、米の質に応じた価格形成が行なわれるようにしようというのが、物統令撤廃目的でございます。  そこで、はずせば高くなるのではないかというお話でございます。御承知のとおり現在米は余っておりますし、自主流通米がございますが、ほとんど大部分は政府が買い入れ、これを卸売り業者に売り渡す、こういう制度になっておるわけでございます。そこで、はずした場合に、いまのままはずせば値段が上がるのじゃないかという御批判が各方面からございます。そこで、食糧庁といたしましても、物統令撤廃の際、これに対する対策が必要だというふうに考えております。  そこで、その対策はどういうものであるかということでございますが、まず第一に、現在の米の登録業者、すなわち卸売り業者小売り業者の経営の改善と申しますか合理化と申しますかを行なって流通コストを下げるということを考えております。  それから第二には、現在米の卸売り業者及び小売り業者登録制になっておりますが、これをやや緩和いたしまして、競争原理の導入と申しますか新規参入をやって、競争原則をそこで働かしていきたい。  それから第三の手段としては、政府米の売り方について弾力的に需要に応じた売り方をしようというふうに考えております。  その他、現在検討中でございますが、標準米制度をつくるとかあるいは表示制度をやるというようなことで、消費者の利益を十分守れるような形において物統令撤廃をしたいということで、現在いろいろ準備中でございます。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの次長の説明を聞いておりますと、下限ですね、米価最低というのは政府標準価格というのですか、こういうものによって市場をリードしようという一つ考え方というふうに思うのです。そうすると上のほうは野放しだ、こういうことですね。その点間違いありませんか。
  6. 内村良英

    内村(良)政府委員 四十四年度から、いわゆる上のほうにつきましては、優良銘柄二十五種類につきましていわゆる自主流通米制度というのが行なわれております。これは政府を通さずに指定集荷業者から登録業者に売るという形で、非常に品質のいい米は、自主流通米ということでかなり高い値段で売られております。  そこで、その標準米制度というのはどういうことかと申しますと、現在食糧庁検討しておりますのは標準米、これは技術的になかなかむずかしい問題がございますが、標準米制度というものをつくって、その値段は現行の価格にして、その米は常に小売りに行けば買えるというような制度を考えてみてはどうかということで、現在いろいろ検討しております。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 問題は、現在の配給米最低キロ百五十二円、その上が百六十円から百七十円程度自主流通米キロ二百円から二百三十円程度で売られているわけですね。そうすると、私が心配をするのは、上のほうは野放しなので、下のほう自体がずんずん上の相場につられて上がっていくということをおそれるのです。だから、現実的に、物統令を廃止したら、現在のキロ当たり百五十二円の米が買えるという保証があるのかないのかということが、私は一番問題だと思うのです。しかも、政府米を必ず標準米で買わなければならないという規定現実的にはないわけですね、もう物統令をはずしているのですから。百五十二円という最低価格というものが一体どうやって維持されるのか。あなたが言うように、ただ、標準価格を設けて袋に書いてやれといったって、現実的にそういうことが小売り店で守られるという保証は、法律的にも何にもないわけですから。確かに言われるように、なるほどなという、観念的に理解することはできますよ。しかし、それでは具体的に、この上と下の格差が出てきておる、その下が上がらないという保証については、何らまだ農林省なり食糧庁は示しておらぬと思うのです。その点どうですか。
  8. 内村良英

    内村(良)政府委員 現在食糧庁検討中の政府米の売り方について、若干御説明申し上げたいと思います。  御承知のとおり、現在、流通する米の大宗は政府が持っておるわけでございます。したがいまして、政府の売り値というものが市場価格に非常に大きな影響を与えます。現在は、消費者価格が十キロ千五百二十円になるような値段で、政府は、政府の持っておる米を売っております。これは一本の価格で、品質のことは全然考えないで売っております。  そこで、今後の売り方としましては、現在検討中の問題でございますが、上米、中米、並み米あるいは下米というようなことで、多少格差を設けて政府米を売りたいというふうに考えております。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに突っ込んでお聞きしますが、佐藤総理は、米を政府直売すると言われたのですよ。私は、いまでも直売方式だと思うのです。政府管理をして、食糧庁を通して政府が指定した卸売り業者におろして、登録した小売り業者から消費者に行くわけですから、これが政府直売なんですね。  それでは、具体的に、政府手持ち米をどのようにして直売をするのですか。登録業者を集めて入札するのか、あるいは現状のようなルートの中で流そうとするのか、一体どういうかっこう政府米放出するのですか。私は、佐藤総理が言う政府手持ち米直売するという、その直売方式というのがまだ理解できないのです。国民もおそらく理解できないと思うのです。その点を具体的に御説明願いたいと思います。
  10. 内村良英

    内村(良)政府委員 私ども承知しておるところでは、総理の御答弁の際の政府直売方式というのは、米価が非常に騰貴したという場合ではないかと思います。  そこで非常事態、たとえば大正七年の米騒動のような事態は、現在政府がこれだけの米を持っている段階において、ああいう事態が起こるとは全然考えられませんが、万一米価が非常に暴騰した場合に、直売というのは、現在の登録販売業者を通じないで、たとえば食糧庁市町村に直接売る、あるいは県に売るというようなことになるのかと思います。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっとまたわからぬのですが、食糧庁地方自治団体に売るというその方法はどうなんですか。そうすると、各市町村の財源というのは一体どういうふうな形で処理されるのですか。極端にいうと、いまの構想は、市町村段階に現在の食管的な、地方食管といいますかそういうものをつくらせる。二重米価ではないが、一つのそういった食管を扱う会計をつくらせるということ以外に、地方自治体に売るということはできないと私は思うのです。貸し付けるということは可能であっても、売るということはできないと思うのですが、その点どうですか。
  12. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま申し上げました直売というのは、よほど非常な事態でございまして、たとえば米価が異常に上がるというような事態で、通常の場合には、われわれはそういうことは全く想定しておりません。しかし、異常な場合も万一あり得るということもございますので、その場合、現在食糧管理法によれば、米は、いわゆる登録販売業者以外に、農林大臣の指定するものに売ることができます。その規定を用いまして、そういった非常事態、これはほんとう異常事態でございます。そういう場合には直売するということを考えているわけでございまして、まず、いまの状況で、政府がこれだけの米を持っている段階では、そういった異常事態はまずないというふうに判断していいのではないかと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次長非常時というのは大正年間米騒動、それが非常時というようにあなたは言われたけれども消費者の立場に立ってみれば、極端にいうと、現在の百五十二円という価格、現在の百七十円という価格、こういうものがさらに二百円とか二百二十円とかと上がっていくということに対して、非常に敏感に反応するんですよ。あの大正のときのように、そういう暴動が起こるような、米があって米がないというようなかっこうではなくて、現実にいま直接くるのは——将来の問題としては、私はあとで質問しようとは思いますけれども、いますぐ、物統令をはずしてもそういう事態にはならないと思うのです。いま物統令をはずしてすぐくるというのは、現在最低の百五十二円で買っておる、あるいは百六十円、百七十円で買っておる米が、じりじりと二百円台ぐらいに上がるのではないかというのが消費者の危惧なんですよ。そういう大正米騒動のようなことを、私は質問しているつもりはないのです。そういう場合にどうするのかということなんです。そのときには、政府手持ち米は出さないのでしょう。出すのですか。どうですか。
  14. 内村良英

    内村(良)政府委員 物統令をはずしまして米がじりじり上がっていくというような段階におきましては、政府といたしましては、現在米をたくさん持っておりますから、それを機動的に操作いたしまして、そのようなことがないようにするわけでございます。直売の問題は、ただいま申し上げましたように、これは非常事態においてわれわれは考えているということでございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 佐藤総理が言った直売というのは、大正米騒動のようなときに直売をするのだ。そうすると、じりじり米が上がったときには、食糧庁のほうが放出というのですか、直売ではなくて、配給ルートにじわじわと乗せていくのだ、こういうふうに理解されると思うのです。そういう理解でいいわけでしょう。
  16. 内村良英

    内村(良)政府委員 その場合には、政府が、政府手持ち米を操作いたしまして価格の安定をはかるということでございます。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、いま言われたことが具体的に可能かどうかということを、現在の事態の中からひとつ次長さん、検討してもらいたいと思うのです。  日経新聞だったと思うのですが、昨年の九月十二日に——これは農林省の方来ておられないのですが、渡辺政務次官自由米相場が立っておるところに視察に行っておるんですね。そうして、そのことが九月十三日の日経にすっぱ抜かれて、現職の政務次官が、現在の食管法に違反する自由米相場が立っておるところを現地視察するということはけしからぬ、というような批判が出たことがあると思うのです。そのことは次長御存じですか。そういうことがあったということは御存じですか、どうですか。
  18. 内村良英

    内村(良)政府委員 私も、そのことは新聞で承知しております。しかし、あの民間の正米市場のごときものは、現在くず米がはずれておりますので、くず米についてそういうことが行なわれておることは承知しております。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも次長と私の感覚がずれておるのです。そのくず米とか加工米酒米、こういうものは意外に、現実農家庭先から消費者が買っておるのですね。農家庭先現実小売り人が行って買ってきて、それを仲買いに渡して、仲買いを通して今度は自由米業者のところに行って、そして自由米業者から政府登録米屋さんのところにその米が流れていって、堂々と政府登録米屋さんで、自由米——昔でいえばやみ米ですね、昔は細々とやっておった。細々と裏口で営業しておったものが、今度は堂々と政府登録のところに出てきておるわけですよ。しかもその自由米たるや、値段はどうかというと、たいへんに高いんですね。自主流通米あるいは現在の配給米より以上に高い。なぜ高いか。これは銘柄品だというんですね。これは銘柄品だから高いんですよといって高く売られておるという実態がある。そのことについてあなたはどう思われますか。そういう事実が現在あるでしょう。そのことについてどう思われますか。
  20. 内村良英

    内村(良)政府委員 そのような事実があることは、遺憾ながら事実だと思います。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 結局そのように、現在の食管という制度の中でも自由米というものが公然と大手を振って、しかもそれが価格をつり上げておるんですね。  ここでこういうことは言いたくありませんが、小売り店の御主人に私は直接会って聞いてみた。ところが、小売り店の御主人がどういうことをするかといいますと、混米といいまして、自由米で流れてきたお米と政府食糧庁を通して流した、政府登録卸商から来た配給米とまぜて、そして、これは自由米ですよと高く売っておるのです、現実的に。ほんとうなら消費者は、政府の手を通ってきたお米だから安く買えるはずだけれども現実的に末端では、自由米配給米混米されて、これがおいしいお米だといって袋詰めになって売られておる事実があるのです。そのことが、結果的に配給米価格をつり上げておるということです。政府ルートに乗っておる米すらつり上げておるということですよ。  そういう現実を思ったときに、あなたが言うような、物統令をはずしたら絶対に上がりませんということが保証できますか、私はできないと思う、現在の中ですらできないのだから。その点は、あなたどう思われますか、できると思われますか。
  22. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま、いわゆる小売り格上げ販売と申しますか、混米と申しますか、そういうことがあるのも、残念ながら事実でございます。特にこれは東京大阪等の大都会において多いように、私ども承知しております。そこで、この点につきましては、従来から都道府県の業務監査等を行なわせまして指導しておりますが、いずれにせよ、日本に米の小売り屋さんは五万六千軒あるものでございますから、そういったケースがあるということは、遺憾ながら事実であると思います。  そうした現実がある。そうなれば、物統令がはずれれば、まさに公然とそういうことが行なわれて値段が上がるのじゃないかという御質問かと思います。その点につきましては、先ほど申しましたように、今度は政府が、政府米の売り方につきましてきわめて弾力的な売り方をしまして、そのことがはっきりするような形で発表したい。そうなりますと、政府一定価格で売っておるのが小売り価格で非常に上がっておるということになれば、流通段階で何かおかしなことがあるのじゃないかというようなことがはっきりするわけでございます。そうなりますと、食糧庁といたしましては、現在の登録小売り業者の数をふやす、すなわち新規参入をもっと大幅にして、たとえばスーパーマーケットとかあるいは生活協同組合でもどんどん扱わせるというふうにすれば、値段がそう上がることはないのじゃないかということで、先ほど最初に申し上げました対策を、現実の動きを見ながら運用したい、それによって消費者価格の安定をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先ほど言ったことはここにおいて、あなたはそういうふうにして押えると言った。ところが、現実にはこういうふうにして押えられない。現在の法体系の中でも押えられないのです。物統令ワクの中でも、現実的に自由米が押えられずに、価格がずっと上がってきておるでしょう。しかも、配給米で安く食べさせる政府ルートの米ですら、混米という形で高く売られておるという現実があるんですよ。いまですら、物統令というワクの中でそういうことが公然と行なわれておるという事実を見て、あなたが言うように政府が安い米を放出したら、その安い米で利ざやをたくさんかせいで、下のほうではさらにもうけを大きくするということが可能ではありませんか、流通段階で。あなたは流通合理化する合理化すると言うけれども、公の機関が流通機構を握るなら別ですよ。食糧庁なら食糧庁末端小売りまで完全に——公的なものが私的なものと競合する。よく市場の競合というが、確かに競争させるということは必要なことでしょう。しかし、その場合に私が非常におそれるのは、政府が言うように安い米を放出するという競争は、結果的に政府の思惑どおりいかずに、やはり利ざやをかせぐものが出るだけであって、米というものは一つも鎮静しない。政府が言う米の放出というのが、ほんとう食糧庁自体末端まで機構を握る、公のものと私的なものとが市場競争するというなら、騰貴した米を鎮静する役割りというものは果たすだろうと私は思うのですよ。あなたは、放出する米がマーケットに行くとかなんとかいうことを言っておられるけれども、実際問題として具体的にやるなら、政府自体末端まで、私的なものと競合する公的な流通機構というものをつくり上げる。そうしなければ、将来に向かって米が絶対に上がらないという保証はないと私は思うのです。その点、そういうことをしなくてもだいじょうぶですか。
  24. 内村良英

    内村(良)政府委員 御質問のいわゆる格上げ混米が行なわれますのは、小売り業者がそれぞれ自分の店に鳩精機を持っておるということが大きな原因だと、私どもは考えております。普通一般の商品の場合には、卸から小売りに製品が参りまして、小売りはそれを何ら手を加えずに消費者に売る、これが一般流通でございます。ところが、東京大阪等では小売りが搗精機を持っておりますので、そこでいろいろな混米等が行なわれるという事実がございます。  食糧庁といたしましては、将来の米の流通というものは、現在補助して各地につくっております大型精米所から、袋詰めということではっきりそれに表示して、それを小売り店に持っていって、小売り店がそれを売るということにすれば、格上げ混米等もある程度防げるのじゃないかというふうに考えておりまして、行く行くは、大型精米小袋詰めというものを米の流通の主体としたいというふうに考えている次第でございます。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま、政府米については袋詰めで出すのだ、こう言っておられますね。
  26. 内村良英

    内村(良)政府委員 それは卸売り業者大型精米所精米いたしまして、それを小袋に詰めまして、はっきり十キロなら十キロ、いつ搗精したということ等を表示いたしまして、それを小売りに売る、小売りはそのままその米を売る、こういうことでございます。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その卸ですね、登録した卸業者がそういう小袋詰めをするのだ、そういうふうに言っておられますね。それは政府米放出についてのみやるのですか、それとも全体の米についてやるのですか。その点どうです。
  28. 内村良英

    内村(良)政府委員 現在自主流通米でもそういった米が出ておりますけれども自主流通米及び政府が売った配給米、両方について、そういった形態の流通が確立されることが望ましい。しかし、現在大型精米の能力とかその他の問題から、完全に全部そのようにすることはできませんけれども、将来の米の流通というものはそういったふうに持っていきたい、そのような行政指導をしたい、かように考えております。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その大型精米は、私が聞くところでは、農林省では産地でつくりたい、農林省がその大型精米所産地でつくりたいという意味は、銘柄格差で売りたい、こういうことらしいですね。たとえば新潟の何米とか山形の何米という形で、産地精米して袋詰めにして売る。それは消費者に対して、銘柄によって選別させる。そういうことで農林省としては産地につくりたいんだ、こういうふうに発表されておるし、また、そういうふうに私は聞いておるのです。  ところが、いまあなたのお話を聞くと、そうではなくて、卸商がそういうものをつくるんだ。こういうことになってきますと、卸商大型精米所において、具体的に言うなら、そういった政府放出したお米と現在の機構の中での自由米——承知のように買い上げ制限、二段米価制をとってくれば、当然自主流通米以外に自由米がたくさん出てきますね。そういった自由米自主流通米政府放出米というものが、卸商大型精米所によって精米されて出されるということが起こり得るのじゃないですか。その点どうですか。
  30. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生から、農林省産地精米を奨励しておるのではないかというお話がございましたけれども農業団体からは、産地精米でそれを消費地で売りたいという要望はございます。しかし、農林省といたしましては、現在のところ、消費地大型精米工場の建設というものに主として助成をしております。  それから、卸に精米をやらせれば、卸段階でいろいろな米の混米というものが行なわれるのではないかというお話でございます。大型精米の場合には、作業も流れ作業で非常に機械的になっておりますし、そう小売り格上げ混米というようなことはなかなかできにくいようなことになっております。さらに、大きなところでやる場合には、行政庁としても監督の目が届きやすいということでございまして、私どもといたしましては、卸の段階でそういった小袋詰め精米をつくるということになりますと、大体所期の目的どおりの米ができるんじゃないかというふうに考えております。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政府放出米政府放出米として、もう混米などさせないように監督をして、政府が出したお米ですよといって小袋詰めになる、そういうふうに理解していいですか。
  32. 内村良英

    内村(良)政府委員 政府放出した米が主たる米でございまして、自主流通米はそれ以外に別にございます。そこで、私どもといたしましては、やはり政府米を中心として、政府米政府米ということで小袋詰めをつくらせるように指導したいと思っております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに突っ込んでお尋ねをいたしますが、うまい米、おいしい米、まずい米ということばがありますね。実際にうまい米、まずい米というのは、消費者は見ただけで判別することが可能ですか。食糧庁の専門家なら可能ですか。どうですか。
  34. 内村良英

    内村(良)政府委員 うまい、まずいというのは食味の問題でございます。したがいまして、米を見ただけで、これがうまいかまずいかということはまずわからないと思います。ただ、食べてみればこれはうまい、まずいということは、米についてある程度ございます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま農林省は二十六品目ですか、奨励品目に指定して、これはうまい米だということで盛んに作付の奨励をしておりますね。そうすると、見ただけではわからないということになると、消費者は、産地銘柄によって嗜好を選択するということにならざるを得ませんね。そういうことでしょう。その点はどうです。
  36. 内村良英

    内村(良)政府委員 消費者は、食べてみて、それがうまい、まずい、そうすると、この前のこういう米はおいしかったから、またそれをくれというような、選択的な行動をとるのではないかと見ております。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたようなことで政府が行なう奨励品種というものが作付けられてきて、そして嗜好というものが銘柄によって、だんだんと消費者の好みに合った銘柄によって出てくるということになりますと、極端にいうと、政府に売り渡す米、農民が農協を通じて食糧庁に出荷するという米——逆に自主流通米、さらには、先ほど言った買い付け制限その他の行為によって、そういう銘柄品種というのは、自由米にほとんど流れていってしまうという可能性が出てくるんじゃありませんか。そうなってくると、極端にいうと、政府から出てくる米はまずいのだ、自主流通米ないし自由米として出てくる米はうまいのだという感覚が、国民の間にずっと出てきますね。そういうふうに政府が指導するわけだから、そういう方向に国民の嗜好がずっと回っていくということになると、結果的に国民というのは、政府放出する米よりも、そういったものに人間の本能として嗜好が向く、購買が向くということは、私はあり得ることだと思うのですが、その点どうですか。
  38. 内村良英

    内村(良)政府委員 現実問題といたしまして、現在二十五優良銘柄自主流通米として出回っているわけでございます。しかし、それでは、政府の持っている米にはそういう銘柄が全然ないのかということでございますが、政府もそういったような、たとえば宮城のササニシキとか新潟のコシヒカリというような銘柄は、もちろん持っております。しかしながら、将来一般的傾向として、いい米が自主流通米で売られて、いわゆるまずい米が政府に入ってくるという事態は、ある程度避けられないのではないかと私どもは考えております。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だから、極端にいうと、物統令をはずすことによって、政府は意識するとしないとにかかわらず、そういう方向に消費者の米というものを指導していくということは、結果的に米価というものを上げるんじゃないですか。現在の政府のお米の中に、おいしい米も入っておると思いますね。そして各人に配給されてきている。新米はいまおいしいという、そういう形でずっと嗜好が平均化されておるにかかわらず、今度は、そういう米が自主流通米の中に流れていけば、あなたの言われたように、政府の手元にまずい米だけが残る、品質の悪いものだけが残るということになれば、結果的に、私たち消費者は高いお米を食べさせられるという結果が生まれてくるんじゃないですか。いまあなたからずっとお聞きをしてきましたが、結果的に消費者というものは高い米を買わされ、食わされる、こういうことが結論として出てきはしませんか。
  40. 内村良英

    内村(良)政府委員 物統令撤廃目的は、米の消費者価格の中に消費者の質的な選択というものが入ってきておりますから、そういった傾向を現実に反映させていこうということがねらいでございます。したがいまして、ただいま先生がおっしゃりましたように、いい米が高くなるということは、これはある程度避けられないんじゃないか。しかし、水準としての消費者米価というものは、現在、政府の売り渡し価格を変える気持ちは全然ございませんから、大体現行水準を維持できるんではないか。ただ、いい米は高くなるということは、これは物統令をはずす以上、ある程度避けられないんではないかというように考えます。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だから、いい米をはずすということは、結果的に米の値段が上がるということでしょう。だから、平均化されないんだから、おまえたちが自主流通米を食いたければ高いやつを食え、安い米を食いたければ政府のやつを食え、こういう行政のしかたですわね。間違いありませんね、あなたの言ったとおりだから。——だとするなら、自主流通米と、今度自由米というものが現在でもある。さっきあると言ったんです。配給米自主流通米、自主米というものがあるんです。少なくとも自主流通米というものは、現在の食管法ワクの外ではあるけれども、一応国会の議論を通じてなされておるものです。自由米というものは、先ほど言ったように、仲買い人がかってに庭先で買っていくやつです。それがいまの米の相場をつり上げているわけです。そして結果的に自主流通米値段もつり上げているわけです。それを政府が奨励するということに、結果的にはなるんじゃありませんか。  私が非常に心配するのは、銘柄品種によって現在でも相場が立っておるんですよ。九月の十二日に、渡辺政務次官がわざわざその相場の立っている現場に行ってみたんです。そのことが、九月十三日の日経でたたかれたわけです。現在食管法の中で監督する政務次官が、そういうものを見に行くのはけしからぬじゃないか、なぜ取り締まらないかという新聞記事が出たんです。しかし、善意に解釈すると、そういう状態にもなっておるから、もう米の統制ははずしてしまえ、もう物統令ははずしてしまえという原因を調査するために見に行ったという言い方もあるわけです、逆説的にいうと。ところが、国民の側からいえば、これはたいへんな問題だと思う。二兆という取引ですからね。  皆さんも御承知のように、いま大商社というのは養鶏に手を出していらっしゃいますね。養豚に手を出しておりますね。果樹に手を出しておりますね。この人たちがいま、これだけ養豚なり養鶏なり果樹というものに手を出して、もう農協とは別個に、すでに流通機構というものをつくり上げているでしょう。これは食糖庁の分野でないかもしれないけれども現実的にもうそういうルートというものができ上がってきておる。だとすると、将来の方向として、ある商社が、まあ丸紅飯田がするかどうかわかりませんけれども、そういった商社自体が、銘柄品種別に流通機構というものを整備をする。養鶏、養豚でやっておるんだから、そして末端の配給機構まで商社がずっとつくり上げてしまったわけです。消費者というものは一体どういう状態に置かれてしまうのか。高い米を食わされてしまうんじゃないか。政府放出したお米も、結果的にそういう商社の流通機構を通して末端に行ってしまう、こういうことにならざるを得ないですよ、極端にいうと。米に対する商社の管理価格というものが、これからの米の市場を支配するという可能性も出てくるのですよ。  そういうものに対して、いま食糧庁はどういう防御策、どういう方法でこういうものに対して規制を加えようとしておるのか。現実にもう、ある本なんかに書いてありますね。果樹とか畜産とか養鶏、養豚等に手を出しておるのは、これが目的ではない、この流通機構をいつの日か米に切りかえようというのを商社は待っておるのだということを、ある学者たちが最近、新聞や本やらにたくさん書いておりますけれども、それに対してどういう防御措置をとるのか、どういう方法でそれを防ぐのか、そういうことについて、ひとつ詳しく食糧庁次長さんのほうから説明してください。
  42. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず第一点の、自由米価格米価を押し上げているのではないかという点でございます。  先ほども申し上げましたように、遺憾ながら自由米流通しております。しかしながら、私どもの判断では、流通量が必ずしも多くないということから、自由米価格自主流通米価格を押し上げているという事態はないのではないか。自主流通米価格は、御承知のように、現在、指定集荷業者である全販連と、それから米屋の団体である全糧連、全米商連との間で値段を相談して、値ぎめをしておるわけであります。その値ぎめの実態を見ましても、自由米価格が考えられているというふうには私どもは思っておりません。したがって、自由米価格自主流通米価格を押し上げるような、それほどの量もないし、それだけの影響もないのではないかというふうに、食糧庁としては判断しております。  それから第二点の、商社がだんだん米の流通に介入してきて、最後は商社の管理価格のようなことになるのではないかという御心配の点でございます。  現在、商社が逐次米の流通に介入してきていることは事実でございます。そこで、大きな商社がどういうことをやっているかと申しますと、現在、ほとんどの流通自主流通米になっております。いわゆる酒米の米の買い付けにつきまして、酒屋さんの代行という形で米の集荷をやっております。そういったようなことから、だんだん商社が米の流通に入ってくるのではないかということでございます。  その点につきましては、今後の米の流通の系路をどうするかということと非常に関係がございます。そこで、かりに米を完全に自由取引にしてしまう、政府も一切介入しないというようなことになれば、相当商社が資金力を利用して米の流通に出てくるであろうということは起こり得るかと思います。しかしながら、現在の食糧管理制度というものは、大正十年の米穀法にそもそも緒を発しておりまして、今日いろいろな議論が世の中でなされておりますが、米を完全な自由取引にしてしまえというようなことを論ずる人は、一人もいないわけであります。したがいまして、今後におきましても、米というものは国民生活上非常に重要な商品でございますから、やはり政府が介入していくということになるだろうと思います。そうすると、その場合の配給系路をどうするか、これにつきましては、やはり現在の登録卸・小売り制度というような配給ルートだけは政府が把握していくということでやっていきますと、なかなか商社は入ってこられないということになるのではないかということで、私どもといたしましては、現在の商社の活動というものが、いわゆる主食用の米にまで及んでくるということはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 食糧庁次長さんですね、もう少し実態を詳しく御説明いただきたいと思うのですが、御説明があると思ったけれども、私のほうから御説明いたしますと、これは小売り店の御主人の話だから、私は間違いないと思うのです。  いま商社が、確かに政府登録配給ルートというものがあるから、これに、たとえばAという商社名で介入することは、これはもう実質的に不可能ですね。政府が免許登録をしなければ、もうこれは絶対だめなんですから……。それで、現実的に米屋の登録が二百万ないし三百万で売買されておるわけですよ。その売買をされておる相手先というのはどこかというと、商社の形を変えた、ほんとはAという商社の名前なんだけれども、それでは問題があるからというので、別名でその登録がえをしておる。しかも、その登録の変更は、——私は、登録が売買できるのかどうか非常に疑問だと思いますけれども現実的には、タクシーの免許だって、一台について二百万、三百万といってタクシーの免許が売買されておるという実態を、運輸省は野放しにしておる。陸運局は野放しにしておる。それと同じように、食糧庁のほうは、米屋の登録の売買というものを野放しにして、規制していないでしょう。現実にそういうことについて、あなたは把握しておられますか、どうです。
  44. 内村良英

    内村(良)政府委員 登録の売買ということはできないと思います。ただ、商社がこういうことをやっておるということは、私どもは聞いております。と申しますのは、小売りではなくて卸について、主として株式会社の卸について、その株を支配していくといいますか、株を買っていくというような形で卸を支配しようという動きをしたことがあるということは、若干のケースについて聞いておりますが、完全にその株式会社の株が商社に支配されてしまった卸は、現在のところ、私ども承知している範囲では、ございません。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、小売り店の名前をここで申し上げませんけれども、実際に商社が小売り段階にまでもうおりてきておるのですね。そうして、いつの日かその米の流通機構というものを完全にわが掌中におさめようという準備を、現実にもう始めているのです。しかし、こういうことに対して、私は、ある本か雑誌でしたか、農林省の担当官の談話を読んだんですが、二兆という取引をやれるような財源措置がない、そういう金を持った商社というのはおらないんだ、こういうふうに言っておるわけですよ。だから、将来にわたって、商社が流通機構を支配する、流通機構の中に介入してくるということは想像できないんだということを言っておられるのです。  しかし、よく考えてみると、一つの商社でやろうとしたらそれは無理かもしれないけれども現実的にそういう流通機構を支配しようとして動いておる商社というのは、もうすでに四つか五つ出てきておるということは、もう次長さん御存じだと思うのですが、そういうことを考えてまいりますと、この米の統制をはずしたということは、逆にいうと、いままで食管法ワク外に置いておいた自由米を生き返らせて、しかも消費者に対して、おいしいお米を食べたければ高いお米になりますぞ、安い米が食いたければ政府放出する米を食いなさい、こう言いたいところだけれども、結果的に、その政府放出する米も、商社が握るこの流通機構にしかない。  そういう状態を想像すると、そういうことが絶対ないということをあなたがここで保証されても、先ほど言われた経過から見るならば、なかなかそれに歯どめをするような方法というものは見つからないわけですから、結果的に物統令をはずしたというそのはずしたという行為が、私は、将来に向かっては、食管法そのものをもうくずしてしまって、米が結果的には政府の手から離れてしまうという方向の第一歩になるのではないか。いますぐそうなると言っているのじゃないですよ。これから五年、六年、七年とたつうちに、いつの間にか消費者は、米というものはそういった流れの中で買わされてしまうという状況が生まれてくるのではないかということを非常に心配するのです。だから消費者が騒ぐのですよ。だから主婦団体の人たちが、消費者米価が上がるのじゃないかと、こう言って騒ぐのです。ところが、どうも最近の政府は、いますぐ上がると言っておるが、だいじょうぶですといって、こうやっておるのですね。ところが、そうじゃないと思うのです。消費者が敏感に反応しておるのは、実は、将来にわたって米が上がるのではないかというところの危惧を盛んに心配しておるのです。  いま私がいろいろと回りくどく申し上げましたが、私は、私自身も、どうもいま次長さんのお話を聞いておっただけでは、米が絶対に上がらないという保証はないと思うのですね。そういう状態が出てきたときに、米は絶対に上げないような方策をきめて物統令をはずして、そういう状態が——かりにですよ、これはできるかできないかわかりませんが、結果的にそういう事態が起こってきたときに、政府がこれに対してどういう歯どめ策を持っていますか。こういうことが起こったときにはこういう歯どめをするから、消費者諸君、だいじょうぶだ、こういう歯どめ、そういうことを具体的にきちっと教えていただきたいと思います。
  46. 内村良英

    内村(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、政府としては、配給の流通ルートだけは押えていきたい。すなわち、登録の卸・小売り制度というものはこれを継続して、米はどこにあるか、どういう数量がどこにあるかということを常に把握できるようにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。大正六年の場合は極端な例でございまして、あのときには、政府が全然流通に介入しておらなかったものでございますから、米がどこに行ってしまったかわからないということで、それに投機がからんで米価が急騰したというのが大正六年の経験でございます。したがいまして、食糧庁といたしましては、今後におきましても配給流通ルートだけはきちっと押えていきたい。政府は常に、米がどこにあるかということをきちっと把握しておくということをやりたいと考えております。  そこで、先ほど商社の話が出ました。私も申し上げましたように、商社が株式会社である卸の株を支配しようとしている、あるいは将来、経営上の関係で商社が安全に支配するようなところが、卸についてできるかもしれません。しかし、問題は、商社がスペキュレーションをやるかどうか、投機的な行為に出るかどうかという点が問題なわけであります。その点につきましては、政府が現在実質的にも米の流通するものの大宗は握っておりますから、とても商社のスペキュレーションが、政府のそういったものに対抗できるとは私は思いません。さらに、先生の御指摘のありました資金の問題、現在食糧庁の予算の総額は二兆六千億でございます。そこで、そういった運転資金を調達するということもできないということで、投機のおそれはないということをだれかが言ったのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、米が投機の対象となるということは絶対にないように私どもはやりたい、というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、将来におきましても、政府は米の大宗を握って操作をするわけでございますから、消費者米価が急騰するというような事態はまず全然考えられないのではないかというふうに考えております。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 米の投機は絶対にさせないんだ、こういうふうに言っておられますね。米の投機は絶対にさせないんだという何らかの形の法的な規制をしない限り、私は米相場というのはむずかしいと思いますね。大体二兆六千億という膨大なものであればあるだけに、しかも全部の家庭に必要であればあるだけに、私は投機というものは起こり得ると思う。これを保障するものはやはり私は法的なものじゃないかと思うのですね。現実政務次官が現場を見に行っているのですから。米相場が立っておる現場を見て、見た人が写真をとっているわけですからね。それをあなたが絶対にそういうことは起こり得ないということは、期待、可能性であって、確実にということになるなら、何らかの形で米を投機の対象から除外しなければならぬ。それを投機の対象にしたものは云々という法制的な締めつけというものがなければ、私は無理だと思うのですね。そういうことまで考えて、米の投機というものはさせないということを次長さんは考えておられるのか。これは非常に政策的な意味ですから、農林大臣なりその他の方にお聞きしなければならぬ問題かもしれませんが、あなたの食糧庁としての立場からの御答弁をいただきたいと思います。
  48. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま申し上げましたように、現在の需給事情のもとでは投機が起こるということは考えられない。しかし、将来そういうことが起こったときに法制上の措置はあるかということでございますが、物価統制令の中に、買い占めの禁止とか暴利行為の禁止という一般的な規定はございます。この規定は生きておりますので、そういうことはまずないと思いますが、その場合の法制的な裏づけは、現在の物価統制令の中にあるわけでございます。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それはわかるのですよ。しかし、先ほど、だから例として申し上げたでしょう。政務次官が、政府の中心におられる方が、その投機の現場に行って見ておられるのですよ。それなら、なぜそこで取り締まらぬのかということですよ。投機的な対象として米を扱っておるのだから、自主米についての、その現場に対してぴしっとした行政的な指導をすればいいのに、そういうことはなさっておらないでしょう。だから私は心配をしておるのですよ。あなたがいま言うように、すきっとしたそういうことを言うなら、この前の渡辺政務次官がとった行動は明らかに間違いである、政府としてとるべき態度ではなかったということを、あなたはここで明確に言い切ることができますか。
  50. 内村良英

    内村(良)政府委員 渡辺政務次官の行かれた、いわゆる正米取引類似行為をやっておるところの民間のそういった、市場ではないわけでございますが、市場類似のものに何が上場されていたか、私は伺っておりません。現在、くず米につきまして、あるいは統制がはずれました古い外米について、そういうことが民間で行なわれていることは承知しております。しかし、政務次官が出られたその民間の市場類似のところで何が上場されていたかは、私は伺っておりません。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この前NHKがみごとに追跡し終わっているのですね。庭先からずっとやったのを全部、NHKがそのAという個人を追跡して、米が投機の対象になっているということを、NHKを通じて全国の国民に暴露していますね。政務次官か行ったのも、実は米の投機の現場だったのです。その現場に行っておられたのが、九月十三日の日経新聞でちゃんと批判して書いてあるのです。これは明らかに物統令に対しての違反行為をしておる現場に政務次官が立ち会われて、何で注意しなかったかということが、きびしく指摘されておるのですよ。  それで、私がさっきから言うように、いまの物統令というのはあってもなくても同じような状態にされてしまっておるじゃないか、だから、将来に向かってそういう投機に米が使われることに対する規制というのはどうするのかというのを聞いているのです。いまの物統令じゃだめになっておる。政務次官現実に何もしないのだから。こんなことを言っては政務次官に悪いけれども、これは事実は事実ですから、そういうことについてあなたはどうですか。
  52. 内村良英

    内村(良)政府委員 米が投機の対象になってそれが非常に米価をつり上げるというような事態は、いまの需給事情あるいは政府が考えていることからいってまずないのではないかというふうに考えております。仲間相場的なものが行なわれているということでございますが、それが非常に大きな投機的な、米価を非常につり上げるというようなことになるのかどうか、私はつまびらかではございません。
  53. 松浦利尚

    松浦(利)委員 つまびらかであるかないかわからない人に質問しても、これは水かけ論になりますから、私は、ここでその問題についてはもう触れないでおこうと思いますけれども、いずれにしても、米が将来投機的なものとして扱われるような段階には、やっぱり投機的なものにしないという歯どめが必要だ。そうしなければ米は絶対投機の対象になるのだ。見解の相違かもしれませんが、私はあなたに申し上げておきたいと思うのです。  最後に一つだけ、実は小売りのマージンの問題です。政府がこれを容認しておるとかなんとかいうことは別にして、一応現在の小売り店のマージンというのは、政府売り渡しに対して七%程度のマージン、七%弱、六・七、八%ですかのマージンをかけて消費者に売るというのが、大体総体的な現在の小売り商のマージンだということを聞いておるのです。ところが、そのマージンだけで米の売買をやっておったら、食っていけないというのですね。税務署のほうの申告は一体どうなっておるかというと、税務署のほうは、おまえのところは、大体米屋だから最低一四%のマージンはかけておるという申告査定になるというのです。それは、申告をすると、計算をして、おまえのところのマージンは一四%の計算になっておらぬから、もう一ぺんやり直せ。国税庁の人が来ておらぬから、詳しくはここで申し上げませんけれども、実質的にはそういうふうに、申告では一四%のマージン率というものを見込まれるというのですね。倍ですね。ですから、結果的に、現在のワクの中でも混米にして売らざるを得ない。配給で来たものと、自主流通米あるいは自主米等を持ってきて混米にして、あるいは自主米を主体にして売るというようなことをしなければ、一四%の課税が当然のようにかかってくるわけですからどうにもならない、こう言っておるのですよ。こういう制度について、もう少しチェックしてみる必要があるのではないか。片方では、一四%マージンがあるといって税金をかける。片方のマージンは七%だ。そこで公然とそういうことが行なわれている。私はそのことが悪いとかどうとかいうことを言おうとするのではない。現実に食えないのですから。だとするなら、そういう配給機構の最高指導監督庁である食糧庁は、こういう実態に対してこれをどう改善しようとするのか。こういう改善ができなければ、私は、物統令を取っ払ったあと、いますぐにでも値をつり上げようと思ったらやれると思うのです。下のほうで登録業者が値上げができる。だから、いますぐやらなければならない問題として、こうしたものについてどういうふうにプッシュし、行政指導をしようとするのか、その点をお聞かせ願いたい。
  54. 内村良英

    内村(良)政府委員 現在、政府配給米小売りマージンは、先生御指摘のとおり六・七%でございます。これが四十六年度からは七・一%に上がることになっております。しかし、いずれにいたしましても、こういった配給品でございますから、一般の自由商品よりもマージンが多少低いというような形になっております。  そこで、そのようなマージンにもかかわらず、税金のほうは一〇%以上のマージンということでかけているのではないかということでございます。これは私どもといたしましても、米の卸屋さん、小売り屋さんを所管している官庁でございますから、いろいろ非常に関心を持っているところでございます。そこで一つ問題になりますのは、現在、米の小売りだけをやっているというのはほとんどないわけでございます。私どものほうの調べによりますと、ほとんど大部分の小売り屋さんが、たとえば調味料、たとえば燃料、たとえばパン、その他いろいろなものを扱っておるわけでございます。そこで、小売りが米の単品だけでしたら、確かに一〇%というのはおかしいわけでございますが、乾物だとか、いなかでは肥料、雑穀まで扱っておる。精麦はほとんどの米屋さんが扱っておるというようなことで、その辺に、課税の対象とするマージンの率をどうするかということに一つの問題があるのではないかというふうに思っております。もちろん私どもといたしましても、米を所管している官庁として、この問題については非常に関心を持っております。
  55. 松浦利尚

    松浦(利)委員 現実的にそういったことが行なわれておるということについて、ぜひもう一ぺんチェックしてもらって、そして改められるところに善後措置を講じてもらいたいというふうに、私は申し上げておきたいと思うのです。  そこで、国民生活局長おいでいただいておるわけでありますが、食糧庁との間にいろいろ議論をいたしました。しかし、先のことですから、だいじょうぶです、そう思います、こういう発言が非常に多い。それはそうだと思うのです。十年先、五、六年先のことは、いまこういうふうにしたらいいだろうと思っていたけれども、結果的に米が上がったという場合があると思うのですね。実際に米というものは、やはり国民生活の中の最重要部分を占めておると思うのです。米が上がれば賃金が上がる、こういう関連も昔いわれたぐらい、米というのは生活に非常に関係のあるものですね。実際にいま物統令をはずした場合に、経済企画庁としては、いま食糧庁次長お話になったような形で、米は絶対に上がらない、消費者の諸君よ安心せよ、国民よ絶対だいじょうぶだ、経済企画庁も太鼓判を押すと、生活局長は言い切ることができますか。
  56. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いまいろいろと御指摘になりました問題、物統令廃止ということが議論になりましてから、私どもの中でもいろいろ検討いたしました。食糧庁とも何回かにわたって打ち合わせをいたしておるところでございます。実際の実施は秋からということに一応予定されておりますので、まだ内容的に十分詰まらないというのがほんとうのところでございます。  ただ、私ども考えておりますのは、少なくとも現在の需給事情というところから見まして、もしかりに食管制度のようなものがない場合を考えてみますと、おそらく米は相当暴落をしておるだろう、そういうふうに考えざるを得ません。それは食管制度というものがございますから、余った米は全部政府管理する、これを保管するという形で市場と遮断しておるわけでございます。したがって、いま御指摘になりましたように、マージンの問題その他の問題から、どうも米が上がるおそれがあるのではないかという点がいろいろと出てまいります。こういう点から見まして、一つはいま食糧庁のほうで言われましたように、政府の売り方というところにいろいろくふうをこらしてみてはどうか、これはまだ、どの程度のことをやるべきかということの内容は十分詰まっておりませんけれども、少なくとも現在のように、毎月の配給計画で非常にかっちりと米を出しておるというようなやり方を、かなり弾力的に動かすということになれば、そういう意味での効果がかなり期待できるのではないか、これが一つの問題でございます。  それから、もう一つの問題は、登録制度ということで、米屋さん、卸、小売りを通じまして、長い期間にわたって統制のもとにあったわけでございますが、この面につきましても、もう少し競争を導入していくということによりまして、合理化なりあるいは競争による価格引き下げというようなことに努力させる、こういうことも考え得るのではないかと考えております。  そういった点につきまして、これから流通の実態ということも十分踏まえまして、また、政府管理米の動かし方というようなことについても技術的に十分詰めてまいりまして、そうして実際に実施する段階になりましたならば、これが消費者米価の実際の水準を引き上げることにならないように、これは制度としてもつくりたいし、また運用をそういうふうにやってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、われわれが考えている問題だけでは、あるいはまだ不十分な点もあるかもしれません。そういった点もこれから詰めてまいりまして、私どもとしては、これだったら絶対だいじょうぶだろうというような形ができましたならば、この問題の実行ということに踏み切っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  57. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは国民生活局長に御質問するよりも、長官に御質問する内容かとも思いますけれども委員会の関係でおいでになりませんから……。  国民は、米の問題とは別に、今度の問題に対して不信感を持っているのですよ。どういう不信感かといいますと、物統令を廃止しますという結論を先に出して、米が上がらないようなことは、九月までまだ時間がありますから、その間にひとつ検討いたしましょう、こういうことなんです。結果だけ先にきめておいて、その手段、方法をあとからやるという行き方については、疑惑を持つし、どうなるのだろうかという心配が出てくるし、そういう政策的なあり方に対して非常に不満を持っているのです。特にこれが米であり、物価に直接影響のあるものだから、なお頭にくるのだと思うのです。  こういう政策の立て方、これは国民生活局長質問する事項じゃないとお断わりしたわけですが、実際に経済企画庁の生活を担当する局長さんとして、こういうあり方についてはどう思われますか。
  58. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま先生の御指摘のような事態というふうに一般に伝えられておりますけれども、実は物価統制令の適用をはずしてはどうかという問題は、四十二年にも一ぺん問題になりました。その際にもかなり検討が行なわれたようでございますが、一応時期尚早ということで見送られた経緯がございます。  この四十六年度の予算編成にあたりましても、事務的には、実は十二月に入りましてから、この問題についての検討ということを食糧庁でもやっておられたようでありますし、私のほうでもやはり議論をしておったわけでございますが、何といいましても、事は非常に重要な政治的な決定になるべきものでございますから、予算編成の最後の段階でこれがきめられた、こういうふうに私ども承知をいたしております。  事そのものが、ああいった一番最後のぎりぎりの段階でございますから、やや唐突の感がございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしてはそういった決定に従いまして、どうしたら消費者米価水準を上げないように実際の実行の仕組みが組めるか、これをとにかく努力をしましてつくっていく、これが私どもの仕事と考えている次第でございます。
  59. 松浦利尚

    松浦(利)委員 持ち時間一時間十分で、十分こえましたけれども、最後に、委員長にお願いしておきます。  米の問題については、たいへんいろいろと臆測が飛んで、重要だと思うのです。それでこの際、食糧庁と経済企画庁のほうで、このようにすれば、物統令をはずしても米は上がらない、政策的にこういうふうにいたしますというようなものを、骨格だけでいいですから、本委員会に具体的に、なるたけ早く提出していただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  60. 小林進

    小林委員 長松浦委員の要望は、そのまま経済企画庁並びに食糧庁に申し入れいたします。  次は、有島重武君。
  61. 有島重武

    ○有島委員 きょうは、アフラトキシンにつきまして、厚生省に対して若干の説明を求めたいと思っております。  バターピーナツから、発ガン性物質であるアフラトキシンが発見されて、マスコミにも大きく扱われました。国民としては、これは大きなショックを受けているわけでございます。日常に食べているものが、去年、一時有害食品というのが騒がれましたけれども、ことしは冒頭からこうしたことが起こって、ちょっとあ然としている状態であります。  このアフラトキシンがどのような発ガン性があるのか、このことについて、具体的なことをまずお聞きしておきたいと思います。
  62. 横田陽吉

    ○横田説明員 アフラトキシンは、名称はアスペルギルス・フラブスというカビが産出する毒性物質でございまして、これは穀類等に非常に生じやすいといわれております。ただ、このアフラトキシンが、現実に日本国内で流通いたしております食品について発見されましたのは、今回のピーナツバターが初めてでございまして、私どもも、その意味では非常にショックを受けたわけでございます。  このアフラトキシンの毒性につきましては、まず、急性毒性の点について申し上げますと、これは非常に広い範囲の動物に対して肝臓障害を起こす、しかも、その感受性というものが動物の種類によって非常に異なっておる、こういった非常にややこしい毒性物質でございます。最も感受性が高いとされておりますのはアヒルのひなでございまして、経口による急性毒性は、体重一キログラム当たりに換算いたしますとLD50、つまり実験動物の半数の致死量でございますが、そういったものが二百四十マイクログラムというふうにいわれております。ですから、アヒルのひなに対しましては非常に強烈な急性毒性を発現する、こういうことでございます。  それから、お尋ねの発ガン性の問題でございますが、この発ガン性の問題について、現在まで一番権威のある研究とされておりますのは、アメリカのマサチューセッツ工科大学で、動物実験をラットについていたしました。この結果は、アフラトキシンを一五PPB——このPPBと申しますのは、いろいろいわれておりますPPMのさらに千分の一の単位でございますが、一五PPB含んだ飼料を毎日投与いたしました際に、雌については八十二週、雄については六十八週で一〇〇%発ガン性があった、こういうことでございます。これは毎日投与したということ、それから相当期間、長期でございますから、カビのはえる物質というものは、食品中にはそれほど多いわけではございませんので、これだからといって、非常におそろしいというふうに言うことはできないと思いますけれども、ただ問題は、一〇〇%発ガン性を見た、この点が非常に特徴的でございます。  そこで、それなら世界各国で、このアフラトキシンにつきましてどのような規制のやり方をやっておるかという問題でございますが、FAO、WHO等では、食品につきまして、三〇PPB以下の線でアフラトキシンを規制すべきだということになっておるようでございますが、これはまだ正式に、これらの国際機関の勧告として、各国に勧告はなされておりません。それからアメリカでは、業界に対するガイドラインとして、三〇PPBよりもちょっと低い二〇PPBでガイドラインが引かれておるというようなことでございます。  いずれにいたしましても、カビ毒の問題は初めてのことでもございますので、私どもといたしましては、この許容基準の設定作業を大急ぎやることにいたしておりますが、さしあたっては、これが具体的に発見されましたバターピーナツにつきまして、当該メーカーの製品の製造停止、販売停止を即刻いたしたわけでございます。
  63. 有島重武

    ○有島委員 詳しいお話は伺いましたけれども、こうした有害なカビ毒がある場合に、ほかにもこういうことがやはりあるのじゃないかというふうな不安を、われわれとしても持つわけでございます。去年の三月ごろでございましたか、古々米について、やはりアフラトキシンがあるのじゃないか、そういった疑いがあるということが報道されたこともございまして、こうしたことから考えまして、このカビがどのような条件でもって発生するのであるか、そういったことは明らかになっておりますか。
  64. 横田陽吉

    ○横田説明員 このアフラトキシンは、先ほど申し上げましたように、ある種類のカビが産出する毒素でございまして、どのようなカビが、どのような条件でこういった毒素を産出するかということにつきましては、きわめて明確な学問的な知見というものはございません。したがって、このアフラトキシンが現実に産出されておるかということについては、具体的な食品についてこれを検出するという以外に方法はないわけでございます。
  65. 有島重武

    ○有島委員 いまの横田さんのお話、きわめて明確にわかっておりません、とおっしゃいましたか。その点だけ聞きたいのです。いまどういう条件なんですかということを聞きたいのですけれども、いまのお話をもう一度……。
  66. 横田陽吉

    ○横田説明員 アフラトキシンは、カビの産出する毒性の物質でございまして、どのようなカビが、どのような条件においてこのアフラトキシンを産出するかということにつきまして、きわめてはっきりした学問的な知見というものはないわけです。ただ、たとえば相当水分が多い穀類等につきまして、ある程度の温度条件等がありますと、こういったものが産出しやすいということはいわれております。したがって、具体的には、食品あるいは食品の原材料に使います穀類等につきましては、なるべくカビのはえたものを使わないようにとか、そういったことをいたす以外にはございませんし、また、現実にカビのはえておる食品あるいはそれを原料といたしました物品につきましては、アフラトキシンがどの程度入っておるかということを個々に検出する以外に方法はない、こういうことでございます。
  67. 有島重武

    ○有島委員 こうしたある一定の水分、それから温度ですか一ある種のカビとおっしゃいましたか。いまはまだ特定のカビではないわけなんですね。このカビから出るんだ、このカビからは出ないんだというその範囲も、まだはっきりさせられないのでしょうか。その点はどうなんですか。
  68. 横田陽吉

    ○横田説明員 最初申しましたように、アスペルギルス・フラブスというカビ、こういうことでございまして、現実にアフラトキシンを産出しやすいこういうカビがありましても、それが現実にアフラトキシンを産出するかどうかという点については、どのような条件の場合にこれが出、どのような条件の場合には出ないということについてはっきりしたことはない、こういうことです。ただ、これを産出しやすいカビの種類についてはある程度わかっておりますので、そういったカビが検出されましたならば、このアフラトキシン産出の可能性がありますので、そのようなカビを除去した上で食品として使うとか、あるいは食品の原料に使う、こういうふうにやる以外はないということでございます。
  69. 有島重武

    ○有島委員 この前の公害国会で、危険のおそれがあるという場合と、それから危険がある場合ということでもってしばしば議論があったようでございますけれども、いまアスペルギルス・フラブスですか、私はむずかしいことはわからないけれども、そういったものが発生しやすいおそれのある条件というものは、これはきわめて明確にはわかっていないかもしれないけれども、この近傍、この範囲内である、この範囲が一つのリミットであるというようなことは、少し外側からでも寄ったところにリミットを立てなければならないようですが、学者としてはそうかもしれませんけれども、人命を守っていくのだという立場からは、かなりのゆるいリミットのところでも早く押えて、そして防止策をしなければならぬじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  70. 横田陽吉

    ○横田説明員 一番問題は、カビがはえておるということが問題でございまして、カビが非常にはえやすい条件といいますのは、大体水分が一五%をこえますと非常にはえやすい、こういうことがいわれております。したがって、カビのはえやすい穀類等につきましては、できるだけ乾燥のよいような状態で食品としては使わなければならない、こういうことでございますし、それから輸入の検査等につきましても、こういった穀類のカビのチェックをいたします際には、水分の含有量がどうであるかというようなことを一つの目安にいたしまして、重点的にカビの発生の有無をチェックする、こういうふうなことにいたしておるわけでございます。
  71. 有島重武

    ○有島委員 今回のアフラトキシンの場合でございますけれども、まだこの原因が調査中であるというようなお話でございますが、これは輸入の段階ではえたんだと私は思いますけれども、その点はいかがですか。
  72. 横田陽吉

    ○横田説明員 私どもは、実は同じような疑念を持っております。今回アフラトキシンが検出されましたピーナツバターは、現実にまだその原料等の立ち入り検査が済んでおりませんので、はっきりしたことは申せませんけれども、おそらく輸入のピーナツを原料にしたものであろう。輸入のピーナツにつきましてはいろいろな等級がございまして、相当等級のいいものでございますと、カビの発生の可能性は非常に少ないというようにいわれておりますし、特にまた、くずピーナツ等になりますと、先ほど申しました水分の条件のほかに、割れておる断面等にはカビが非常に発生しやすいとか、いろいろなことがございますので、その辺どんなことになっておるのか。実は昨日あたりから、メーカーの工場に立ち入って検査をいたしておりますので、その結果が判明次第御報告いたしたいと存じます。ただ可能性といたしましては、先生の御指摘のような可能性を、私どもは実は考えておるわけでございます。
  73. 有島重武

    ○有島委員 私は、しろうと考えで一応そう思うわけでございますけれども、国内産のピーナツからであったという、そっちの可能性は全くないという判断ができる根拠があるのですか。
  74. 横田陽吉

    ○横田説明員 実はアフラトキシンの検出の経過でございますが、私どものほうの国立予防衛生研究所で、ガンの成因に関する研究をいたしておりましたその際に、具体的に検出をいたしたものでございますが、その場合には、実は最初検出いたしましたのは、輸入のピーナツについて検出いたしたわけでございます。しかし、同じようなものが御承知のように国内にもございますので、念のために国内のもの等についても、可能な限り早急に検体を集めまして、同じような実験をいたしたわけでございますが、現在までのところは、国内産のものについてはこれが発見されておりません。
  75. 有島重武

    ○有島委員 おっしゃり方が非常に精密なのか専門的なのかわかりませんけれども、可能な限りやっていて現在までは発見されておらないという、そのとおりだと思いますけれども、今回のことを通じて、さらに一そうしっかりやっていただきたいわけなんです。  それで、輸入だということになりますと、これは、この委員会でもしばしば問題にされておったんでございますけれども、検査機関の問題です。最近は、食生活も非常に多様化してまいりまして、非常に多種多様なものが、世界じゅうのあらゆるところから集まってきておる。これは十年前と比較いたしますと、輸入食品は約十六倍だと聞いております。これらの輸入食品がほんとうに安全であるか、安全でないか、これを検査する調査機関というものは、昔よりも十倍も二十倍もこれはしっかりしてもらわなければならない、国民の側ではそう思うわけでございますが、実際いまどのくらいになっておりますか。今度、四十六年はどのくらいふえるのですか。
  76. 横田陽吉

    ○横田説明員 輸入食品の現状は、先生言われたようなことでございまして、件数で申しますと、大体毎年八%くらいずつふえておるわけでございます。それからまた、先生のお話の中にもちょっとございましたように、いろんな種類の食品が入っております。特に食品の規格につきましては、世界各国で食生活が違っておる等の事情もございまして、必ずしも同じような規格になっておりませんので、この検査をいたします際にも、その点に非常にむずかしい問題があります。ある国では合格したものが、日本の食品としては違法な食品である、こういうようなこともごいざまして、検査自体非常に複雑をきわめるわけでございます。  実はこの輸入食品のチェックにつきましては、御承知のように全国の主要な港に食品衛生監視員を常駐させて、そこでもってまず水ぎわでチェックする。そのチェックのしかたは、あまり詳しく長々御説明するとなんですが、簡単に申し上げますと、たとえば、国内では許されておる色素以外の色素が使われておるかどうかという点等につきましては、大体これは書類審査によってチェックをいたしておるわけでございます。それから、アフラトキシンのようにカビの発生の有無等につきましては、現品を抜き取ってこれを検査をする。その場合に、大体カビがはえておらなければそれで通過するわけでございますけれども、カビがはえておるものについては、一体そのカビが、アフラトキシンのような有毒な物質を産出しておるかどうか。これは相当厳密な化学検査あるいは器械等を使いました検査をやらなければならない。その検査が実は港ではなかなかできませんので、現実問題といたしましては、国立衛生試験所に一々その検体を送って検査をいたしておるわけです。しかし、最初申し上げましたように、輸入の件数も相当激増しておりますし、それから国によって規格が違うこと等もございまして、この検査がなかなか思うようにできる状態には実際問題としてはございません。  それで、全部の輸入品につきましてこのような検査がどの程度行なわれておるかという点について申し上げますと、数字の上ではたいへん恥ずかしい数字でございますが、大体検査の率は輸入件数に対して六%程度、こういうことでございます。それで、こういった状態では非常に困りますので、輸入検査自体の、港でチェックする検査員の増員等についてもいろいろ努力はいたしておるわけでございますが、現在、正規の検査員として港に常駐しております人間が二十二名、これに補助職員も入れますと三十一名でございます。来年度は二名の増員を見ることになりますので、これは食品衛生監視員として二十四名、補助職員等入れますと三十三名、こういう数字になります。  それからもう一つは、港の検査自体のほかに、先ほどちょっと申し上げましたように、厳密な化学検査等を実施いたします際の国立衛生試験所等の検査機関の整備の問題でございますけれども、国立衛生試験所等につきましても、検査そのものを効率化するために相当いろいろな器械類を導入するとか、あるいはもっと大事なことは、大学その他の民間の研究機関等に対する御協力の求め方というものがなければ、従来どうもあまりはかばかしくなかったというような事情を考えまして、そういったものに対しても、信用のおけるりっぱな研究機関である限りにおいては御協力をいただいて、汚染の可能性のある食品の検査等に十全を期したい、このような考え方をいたしております。
  77. 有島重武

    ○有島委員 いまの食品検査官の問題は、国民生活局長にも御意見を承っておきたいのだけれども、四十四年度の輸入件数は十五万三千件である、このうちの実際に検査した件数は九千三百八十件、これはいまおっしゃった、六%だというのですね。その中の不合格件数が一千六十件だ。ですから、検査数のうちの不合格数は二%くらいになっている。そういった数字を厚生省のほうからいただきました。  こういった実情ですけれども、こんな状態で、国民の食生活を安全に守っていくということ、できるとお思いになりますか。これまでも、検査員はふやさなきゃいかぬというようなことはたびたびありました。ことしふえるのは二名ですか、それでいいとお思いになるのですか。こうした事件が起こったこれを契機として、もう一押し大蔵省なりにかけ合って、国民生活をほんとうに守るために、これはどうしてもしなきゃならぬ、それをひとつがんばりませんか。
  78. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 実は昨年秋、消費者保護基本法によります消費者保護会議が行なわれました。この際に、消費者行政に関するいろいろの具体策をきめていただいたわけでありますが、特に、食品添加物とか残留農薬とか、最近問題になっておりますいろいろのものにつきまして、検査をできるだけ早期にやる、そのための試験研究機関あるいは人員の増員というようなことも思い切ってやるということをきめていただいたわけでありますけれども、いま問題になっております輸入検査体制の問題、これも同様の趣旨で、やはり強化をしていかなければならないということは当然のことであろうと思います。  ただ、その際に、いろいろ私もしろうとながら勉強いたしたわけでございますが、たとえば食品添加物などにつきましては、現在いろいろ問題になっておるのですから、二年ぐらいのうちに、いま問題になっているものは全部検査して、どちらかに決着をつけたらどうかということで、だいぶ厚生省のほうともお話ししてみたのでありますが、予算の制約とかそういったことは、あまり問題ではございません。予算としてはたいしたものではございません。ただ、実際のこういうことに当たれる、相当の経験を持ち、また専門家というものが、なかなかそういないということがあるようでございます。また、これを検査する施設等の問題も、急にはそう大きくできないというようなことで、食品添加物などにつきましても、今後まだ三年ぐらいかけてやろうかということに、結局、結論はなっておりますが、このいまの検査の問題につきましても、私ども直接、これはあまり承知をいたしておらなかったわけでありますが、もしこの制約が、予算とかあるいは行政管理庁のほうの定員の問題、そういったことが障害になっておるのだとすれば、私どもとしても、それぞれ当該の部局にかけ合いまして、これはひとつ、厚生省のほうでこれならばというところに、できるだけ早く近づくように努力をしたい、こういうふうに考えます。
  79. 有島重武

    ○有島委員 これはいいことを伺ったわけでありますけれども、厚生省に問い合わせたら、これは金の問題じゃなくて適当な人材がおらぬからというようなお話でございましたけれども、これはちょっとあれですね、輸入検査ということがどのくらいむずかしいことか、私はまあよくわかりませんけれども、日本の中にそれができる人があと二名しかおらぬ、そういうことはとても信じられないですね。適当な人材がほんとうに二名しかいないのですか。人材があれば、いま国民生活局長は、行政管理庁にも大蔵省にもちゃんとかけ合ってあげると、そういうお話でございました。ここは大臣もいらっしゃらぬのだから、そこでもって言ってもしょうがないことでございますけれども、私どもみんな、ここで確かにいま聞いたお話でございますから、よく御報告していただいて、検討していただいて、即刻にこれは答えを出していただきたい。国民側としては、この際、こうした国民的な関心の集まっているときに、久しく念願しておったこういう監視体制を一歩でも二歩でも前進させてもらいたい。これはお願いしておきます。よろしゅうございますね。
  80. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いまのこと、ちょっと私の答弁があるいは誤解を招いているとするといけませんので、ちょっと申し添えておきますが、実は、主として施設とかあるいは適当な人員というのが制約になると言ったのは、食品添加物についての問題でございます。この輸入食品の検査の問題については、私どもとしては、特にこの問題をそれほど、その際も勉強したわけでもございませんので、どういう事情でなかなかふえないのかというようなことは、私、いま知りませんけれども、もしかりにそれが予算とか行政管理庁のほうの問題ということであるならば、これは私ども、行政的にかけ合いができるわけですから、やってまいりたいと思います。いま四十六年度の予算は審議中でございますから、これをすぐ変えるとかなんとかいうことにはならないと思いますけれども、こういったことでございますし、それほど大きな金が要るような話でもありませんから、それはいろいろ方法があるのではないかと私は考えております。
  81. 有島重武

    ○有島委員 たよりにしていますよ。では、次にいきます。  輸入検査の抜き取りの話がございましたけれども、これも私が伺ったところでは、あらゆるものを全部抜き取りにするわけにはいかない。だから、新規に入ってきたものについては特にきびしく、それから、定常的になっているような場合にはまああまりやらない。そういったところに、ゆだんということがどうしても出てくるんじゃないかと思います。また、やはりその人員が足りないのじゃないか。そういう点でそういうことが起こるのじゃないか、私はそういうふうに思うわけでございます。  それで、今度の発ガン性のカビを出したピーナツですね。このピーナツに関しては、調査をやったものであるのか。調査をやったのだけれども調査漏れであったのか。それで、これは定常的なものであったから、調査をしないで素通りで通ってしまったのか。この辺のところはどうだったんですか。これからの調査だと思いますけれども、そこら辺のところをしっかり報告していただきたいと思います。  それから、検査体制がこんなふうに不十分である、それで、こうしたものがほかのところにも、今度見つかったところ以外にも国内に流れているんじゃないか、これは当然思うわけでございますけれども、こうしたことがありましたらこれはたいへんなわけですね。こうしたものもさがし当てていくという捜査はやはりやっておるわけですね。
  82. 横田陽吉

    ○横田説明員 まず最初の、現実にアフラトキシンが検出されましたピーナツバターの原料であるピーナツが、港における抜き取り検査を受けたものであったどうか、これは先生ただいまのお話しのように、現在立ち入り検査実施中でございますので、そのものがどうであったかということは、後刻はっきりし次第御報告申し上げます。  それから、同じような種類のものについて一体ほかではどうなのかという点につきましても、流通しております限りのものをできるだけ広く集めまして、同じような検査を急いで実施することにいたしております。  それからもう一つは、先ほどのお話にも関連するわけでございますが、私ども、この二十二名の港の輸入検査のための監視員が、決して十分な数だとは思っておりません。それからもう一つは、これらの検査員が検査をいたします際の検査のやり方というものも、必ずしも十分に合理的ではないという感じがしております。と申しますのは、輸入食品全部について抜き取りをするということは、これはなかなか言うべくして実行の困難な問題でございますので、できるだけ重点的な検査をいたすということでございます。  まず一例を申し上げますと、いままで汚染食品を輸出した実績が多かったか少なかったかというふうなことによる輸入国別の重点の置き方がございます。それからまた、食品によりましては染汚物質が付着ないし混入しやすい食品というものがございますので、そういったものをできるだけ現実に多く抜き取るというふうな配慮も必要でございます。また、カビなどの場合でございますと、季節的にカビのはえやすい季節とそうでない季節がございますから、はえやすい季節につきましては、カビの検査を現品についてできるだけ多く行なうとか、それからまた、国際的ないろいろな情報等を探知いたしまして、それによって、ある国から来るある食品につきましては特に重点を置くとか、そういったきめのこまかい重点の置き方というものも、十分港の検査員に対して指示いたしまして、可能な限り現在の人員でも相当の実績が上がるような、こういった努力はいたしたいと思います。
  83. 有島重武

    ○有島委員 今回のアフラトキシンのこれをつくった工場というものはごく限定されておるわけでございますけれども、このメーカーがどのくらいの数量で、どのくらいの価格でこれを市場に出しておったのか。それでまた、どういうきっかけで、どういう機縁でこうしたものが今度も発見されたのか、その辺はいかがです。
  84. 横田陽吉

    ○横田説明員 製造数量及び価格の点については詳細承知いたしておりませんので、これははっきりし次第御報告いたします。  それから、これが発見されましたきっかけは、先ほどもちょっと申し上げましたように、実はガンの研究の関係で、いろいろな物質から発ガン性物質を検出する段階で、四十五年末の輸入ピーナツミールについてこれを行なったところ、これがたまたま検出された。きっかけとしてはそのようなことでございます。
  85. 有島重武

    ○有島委員 たまたま発見された日がいつだったのでしょうか。それから、それの発表の日、それからまた、処置をとられた日ですね、それはどのくらいの日の隔たりがございましたですか。おのかおのの日がわかれば教えていただきたい。
  86. 横田陽吉

    ○横田説明員 先ほど申しました四十五年末のピーナツミールにつきましては、たしか十二月の二十八日か九日、そのころ報告を受けております。それから、同じようなピーナツあるいはそれを原料とするピーナツバターについてもその可能性があるということで、さっそく今年に入りましてから同じような検査をいたしまして、たしか数日前に、二村の製品についてこれが現実に検出されたというふうな報告を受けましたので、販売停止その他の措置をとりましたのが二月二十二日でございます。
  87. 有島重武

    ○有島委員 十二月二十五日から二月二十三日でございますね。発ガン性の物質があるのではないかという疑いを持ってからちょうど二カ月間、疑いのあるままで伏せられてきたような状態でございます。そういった期間、疑いがあるんだといわれたままでもってそれが停止にならない。そういうことについて、国民生活局長、これはどういうふうにお考えになりますか。
  88. 横田陽吉

    ○横田説明員 実は、昨年末検出されましたのは動物のえさでございます。同じようにピーナツを原料とする食品があるからというので、検査を始めましたのが今年でございまして、その結果、先ほど申し上げました二社の製品についてアフラトキシンの存在を確認したのが、数日前でございます。したがいまして、この食品につきまして、アフラトキシンの検出と、それから販売停止、製造停止等を命じましたその日の隔たりは、たしか一、二日だったはずでございます。
  89. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 こういった食品等に対する危険の問題につきましては、非常に世間の関心が高いわけでございまして、検査の結果等を得まして、そういったおそれがあればできるだけ早く行政措置をとっていただくということで、昨年あたりから、こういうことで厚生省のほうもやっていただいていると思います。ただいまの問題も、実際に判明してから時間をおかずに措置をとられたということでありますので、こういった形でやっていただければ適切ではないかと思います。
  90. 有島重武

    ○有島委員 今回の形が、これで非常に望ましい形であるというお話ですね。私どもから考えますと、動物のえさで発見された、これはおそらくわれわれ人間の食べている食品の中にもあるであろう、そういった一つの類推、疑いがすぐ出たわけですね。それで、それを検証するまでは何にも手が打てないというこういった問題について、これでやっぱり適当だと思いますか。これは二カ月ぐらいでありましたけれども、検出するのがさらにおくれて一年なり二年なりを経過するというようなことがもしあれば、いまおっしゃった方法自体、こうしたルール自体に問題があるのじゃないか、それを私は心配するのです。これは今度は二カ月でたいへんよかった。いままでのから比較してよかったと思うのです。私どもは、二カ月でもずいぶんあぶなかったのだろうと思うのですけれども、その点のルールの点で、このままでよいとお思いになるかどうか、もう一ぺん国民生活局長に伺います。
  91. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 こういった問題は、それぞれのケースについてだいぶ事情も違うと思いますので、なかなか一律にということはむずかしいと思いますが、ただいまのお話を伺っておりますと、結局、動物のえさについての問題が年末に出まして、そして同じようなものを原料にした人間の食べるピーナツバターのようなものについて、同じようなおそれがないかということで調査されたようでございます。これが原料は一つで、それを使って国内のものが全部つくられておるということでありますと、これは年末の段階で非常にそういったおそれ濃厚ということになるのでありましょうが、いまのお話のように、国内産もあり輸入もある。輸入もいろいろあるのでありましょう。そういったものについて抜き取り検査をしていく、こういった形でございますので、年末の段階で一気に、全部のこういった製品をとめてしまう必要があるのかどうか、その辺は、厚生省の専門的な判断でおきめ願うのが私はけっこうだと思います。いずれにしましても、今回の問題につきましては、比較的早くその検査も出まして、そして間髪を入れぬような形で行政措置がとられたわけでございまして、私どもとしては、この行政措置のとり方としてはこういった形でやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  92. 有島重武

    ○有島委員 先ほどおっしゃった二月二十三日の通達ですが、これの「措置及び対策」というのでございますが、「上記食品については販売停止の措置を講ずること。」とこういうことになっております。これは、販売停止は当然であると思いますけれども、緊急に回収するということはしないのですか。
  93. 横田陽吉

    ○横田説明員 実はアフラトキシンの許容基準につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、WHOやFAOでは三〇PPBというようなことをいっておるわけでございます。実は、今回検出されました一社の製品について申し上げますと、一番検出量の高いもので四一・六PPB、低いものは三PPB、九PPBというようなことで、この低いものについて申しますと、WHOやFAOのほうで現在検討されており、あるいは近く勧告されるかもしれませんその許容基準から申しますと、それ以下だということがあるわけです。したがいまして、ものの手順といたしましては、実は普通のやり方といたしましては、許容基準というものをまずはっきりきめて、それからはずれるものについては、これは違法な食品だということで手を打つべきでございますけれども、アフラトキシン自体は、わが国で食品について発見されたのは初めてのことでございますし、それからまた、発ガン性につきましては、さっき申しましたように、ある一定量を一定期間与えました場合に、動物実験で一〇〇%発ガンということがございましたので、非常に慎重な態度をとる必要があるというようなことで、許容基準の設定については、来週早々あたりから食品衛生調査会でさっそく作業に入っていただく予定にいたしておりますが、とりあえずこういったものは、現実に摂取されないような手を打つのが妥当であるというようなことで、販売停止の措置をいたしたわけでございます。したがいまして、食品衛生調査会等で許容基準の設定作業が進みまして、その結果、現に検出されました量以上の量が許容基準として線を引かれる場合には、これらのものは食べてかまわない食品だ、こういうふうになる可能性もございますので、したがって、この段階では販売停止だけにいたしまして、回収その他まで云々することはいたさなかったわけでございます。
  94. 有島重武

    ○有島委員 FAOの基準からいうと三分の一ぐらいの微量である。だけれども、片一方ではそれは一〇〇%発病するというデータも出ておる。そうすると、あと期間の問題になるわけですね。三分の一だから、十年でもって発ガンするところが三十年かかるだろう、そういうことになるのじゃないですか。そうすると、この程度のことならば、たとえ効力があらわれて発ガンするとしても二十年、三十年、四十年後になるかもしれない、そういうような時間の上の問題になるのじゃないですか。しかも毎日毎日それを食べているのは実験動物であって、人間はそれほどでもないからというようなこともあるのでしょうけれども、そういう発想が、国民としては非常に心配なわけですね。厚生省の科学的な手法なのかどうか知りませんけれども、でき得るならばそれは一ぺん回収するというところまでやるべきじゃないか、そのおそれのあるものがとにかく混入しているんだから。一つの会社でつくったものがすでに出回っているものについては、この程度ならばだいじょうぶだろうというその根拠は、発ガン性はあるけれども時間的なだいじょうぶさである。そういうようなことでは、これはほかのものと相乗効果やなんかもあるかもしれません。とにかく悪いとわかったら、これはさっそく回収するというところまでなされるべきじゃないかと私は提案したいわけです。  それから、もう時間がありませんから申し上げるのですけれども、今回の場合、責任所在がどこにあるのか。それは検査にあったのか、あるいは材料の貯蔵段階にあったのか、あるいはメーカーにあったのか、いろいろあると思うのですけれども、いずれにせよ一生懸命つくったものが——これはおそらく悪意でつくったわけじゃないわけであります。それが販売停止となる。この損害の補償というものはどうなんですか。メーカーが全部かぶることになっておりますか。  もう一つは、材料の品質検査ということは義務づけられておりますか。  もう一つは、大メーカーならば材料を試験する機関を持っているわけですが、小さいメーカーは、委託して検査してもらわなければならない、そういうふうになると思います。こういうような問題についてどういうふうになっているのでしょうか、最後に伺いたいと思います。
  95. 横田陽吉

    ○横田説明員 お尋ねの三点でございますが、つくりました食品が食べてはならない食品だ、そうなりまして、その食品を廃棄したりした場合の損失の補償の問題でございますが、実はしばらく以前に、チクロの問題でも同じような問題があったわけでございますけれども、食品メーカーというものはそういった有害な食品は使ってはならないのだ、ある時点でそれが有害だとわかりました際には、自己の負担でそういったものを廃棄するなり何なりすべきものなんだということで、国として、これらのメーカーに対する損失の補償云々ということは、実は考えておらないわけでございます。  それから、原材料の品質のチェックの問題でございますが、これは非常に大事なことでございまして、ただ、この点について、現在の食品衛生法その他の法令が、非常に事こまかに、いろいろな検査等について義務づけておるかという点になりますと、必ずしもその辺は、事こまかに義務づけてはおりませんけれども、食品衛生に関するいろいろな問題を処理するための管理者という者がいまして、そういった管理者の業務上の注意義務の内容として、そのようなことをやっていただくことを期待しておる、こういうふうなしかけになっております。ただ、そうはいいましても、いろいろこういった問題等が続出してまいりますので、食品衛生法の施行全般をよく総点検いたしまして、これらの事こまかな義務づけ等についても、できるだけ早い機会にいろいろな手当てをいたしたいと存じております。
  96. 有島重武

    ○有島委員 私が心配いたしますのは、たとえば厚生省自身にしても、一生懸命発見した、検査した、世間からいろいろ言われる、あまりわりの合う仕事ではないと思うのです。こうなりますと、なるべくほっかぶりしていってしまったほうが楽だということはお考えにならないでしょうけれども、こちらから見ると、そういったそぶりが見える場合もあるわけなんですね。今回のことについて、不良品を自分のところでつくってしまったような場合、あるいはつくるおそれがあるという場合に、それをうっかり届けると、その損害は全部こっちに来るというようなシステムになっておりますと、国民の食生活を守っていくという本来の趣旨からはずれた方向にいきやすいようなふうに、追いやってしまう結果になると思うのです。今度の場合は小さいメーカーであると思います。小さいメーカーがこのことによって非常な損害をこうむってしまったということになりますと、これはあぶないから、あまり文句を言われない先にどんどんはかしてしまえというような動きが起こらないように、何かの補償をしなければならない。これは横田さんの御担当ではないと思いますけれども、厚生省の関係も少しはあると思うのです。通産省の関係もあると思いますけれども……。そういったことを今後配慮してもらいたい。いまのお答えは別に要りません。  以上でもって質問を終わります。
  97. 小林進

    小林委員長 和田耕作君。
  98. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最初に、野菜の問題で、この前の連合審査のときに質問する時間がなかった問題について、農林省の関係の方から基本的な見解をただしておきたいと思います。  今後どうしたらいいかというような問題は、今後、大臣がお見えになったときに質問してみたいと思うのでありますけれども、昭和三十六年から四十年までの野菜のトータルの価格の上昇というのは、かなり異常に高いですね。十何ぼですか、一二・三%。それから、昭和四十年から四十四年の五カ年には乱高下はありますけれども、年率として三・八%。こういう非常に違った傾向が、四十年を境にして、それ以前とそれ以後の五カ年間にあるわけですけれども、これはどういうふうな原因でこのような状態が出てきたのかという問題について、最初にお伺いしたい。
  99. 大場敏彦

    ○大場説明員 確かに先生の御指摘になりましたように、年次のとり方によって非常に野菜の価格変動、これが波がありますことは御指摘のとおりでございます。その事由につきましては、いろいろ錯綜した事由があろうかと思います。たとえば野菜の生鮮性といいますか、生鮮食料品としての特性、そういったこともございますが、あるいは供給のほうの事情、あるいは需要のほうの事情、そういったもろもろの事情が錯綜して、年によって大きなぶれがあるというようなことじゃないかと思っております。  最近におきます野菜価格の上昇傾向、これは何回も皆さまから御指摘になっておられることでございますが、それにつきましては、やはり何といいましても強い需要に生産がなかなか対応できないというところに根本的な原因があるわけでありまして、たとえば都市化現象、都市化の大きな波にあおられて、従来生産しておった農民自身がむしろ消費者のサイドに回ってしまう。そういった意味で、供給者が今度は需要者になってしまう。あるいは農家としてとどまっておっても、むしろ自家用蔬菜をつくらないで買うという側に回る。出かせぎにいってしまって、都会での消費者に変わってしまう。こういった形での影響、そういうことが需給ギャップにダブルの効果を与えている。こういったこともございますし、消費者のほうにおきましても、需要もいろいろ複雑化してくるし、多様化してくる。そういったいろいろの事情があろうかと思います。
  100. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私の質問は、四十年以前の五ケ年間には、年率にしてかなり異常な野菜の価格の高騰があった。四十年から四十四年までは三・八%という、一般消費者物価よりはずっと下回るような年率の価格の上昇の状態になっている。これはどういうわけかということなんです。この違いはどういうわけか。
  101. 大場敏彦

    ○大場説明員 最近の数年間、野菜の価格の上昇は、一般物価の上昇に比べて、御指摘のとおりかなり上がっております。それに先立つ数年は、むしろ一般物価の値上がりに比べて特に野菜の上昇が——見方によっては、とり方によっては、野菜の上昇のほうはそれほど上がっていないという数値もとり得るわけでございます。  これはいろいろあろうかと思いますが、最近におきます野菜のラジカルな値動き、これはやはりいろいろ天候だとかそういったことも作用しておりますが、先ほど申し上げました需給構造の大きな変化というものが大きな影響を及ぼしているのではないかと思っております。それから、それ以前の野菜、比較的安定しておった。これはややてまえみそになるかもしれませんが、ちょうど野菜の指定産地制という制度を始めましたし、また、野菜の価格安定制度という制度を始めましたし、そういう意味で、従来それまで野菜に対する対策がやや不備であった、そういう時代から脱却いたしまして、法制の整備もいたしました。そういうしっかりした野菜の産地づくり、あるいは価格安定制度、そういったものも、ややてまえみそになるかもしれませんが、影響があって価格の安定というものを見たのではないかと思っております。それなりの効果はあったのではないかと判断しておるわけであります。  それが最近におきまして、いろいろそれだけではなかなかむずかしいというような、何といいますか需給の激しい構造的変化というものが、やはり価格を押し上げたというふうに判断しておるわけであります。
  102. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの答弁は、あまりはっきりしない答弁だと思うのですけれども、経済企画庁の生活局長さん、この問題、どういうふうにお考えになっていますか。
  103. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 私どものほうでも、物価安定政策会議の第一調査部会というところで、主として野菜流通問題を研究をいたしまして、昨年提言をいたしましたが、その際の検討の結果によりますと、いろいろの理由はあるようでありますが、最も大きな問題としていわれたのは、三十五年からいわゆる高度成長が始まりまして非常に所得も上がったわけでありますが、それに対して、やはり野菜の供給体制のほうが十分に追いついていけなかったという、長期的に見た需給のアンバランスということが、三十五年から大体四十年くらいまでの上昇ということの理由ではないか。その辺で一応供給体制のほうも固まりまして、大体趨勢的に見て需給のアンバランスがないという形で、四十四年くらいまで推移してきた。最近またちょっと、これが状況がおかしくなりまして、やはり生産体制の供給体制に問題がまた戻ってきたような状況でございますが、大体そういうふうに理解をいたしております。
  104. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 野菜のいろいろ品目によって内容の違いはありますけれども、全体としての野菜の供給量というのは、三十六年から四十年と、四十年から四十四年との間に、どういうふうな変化がありますか。生産量、供給量の推移。
  105. 大場敏彦

    ○大場説明員 野菜の生産事情は、最近のおもな野菜について申し上げますと、たとえば作付面積の点におきましてはここ数年間横ばい、むしろものによっては減少していくものもございます。全体的に見まして横ばい。しかし、それを反収の増加ということでカバーして、全体の収穫量といたしましては、年次のとり方によって天候の影響を受けますから、指数はそれによってのいろいろ変化は出てまいりますけれども、逐次上昇してきているということでございます。
  106. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 四十年まではどうですか。トータルの生産量だけでけっこうです。
  107. 大場敏彦

    ○大場説明員 三十五年から四十年までの収穫量を申し上げますと、野菜全体で、三十五年を一〇〇といたしますと四十年では一二七というぐあいの伸びを示しております。
  108. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 絶対量を願います。
  109. 大場敏彦

    ○大場説明員 全野菜で三十五年が約千十六万トン、それから四十四年が千二百九十三万トンという数字になっておりまして、指数で一二七、こういうことであります。
  110. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、トータルの数字をお伺いしたのは、三十五年と四十四年の十年間の変化をいまお聞きしたのでありますけれども、三十八年、九年ごろの生産量はどれぐらいになりますか。
  111. 大場敏彦

    ○大場説明員 ちょっといま、なまの数字は持っておりませんが、四十年を一〇〇といたしますと三十九年が九六、三十八年が九七というぐあいに、四十年よりはやや下がっております。
  112. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 三十五年との比較はあまり問題にならないと思うのですけれども、生産量は、トータルはあまり違わないのに、四十年以前の五年間は、価格が年率一二・何%ですか、一三%上がってきた。そして、四十年から四十四年までは三・八%、年率の平均の価格はそういうものだということですね。この問題は、私は検討に値すると思うのです。つまり裕福な者はどんどん野菜を買っていくけれども、裕福でない、所得の低い者は、高くなると野菜を買わないのじゃないか。十買うものなら三か四に控えるのじゃないか。こういうふうな角度から需給の問題を検討したことがありますか。
  113. 大場敏彦

    ○大場説明員 野菜の需給問題の検討は非常にむずかしいわけでございますが、いろいろ私ども従来からも検討いたしておりますし、こういう最近の野菜の事情に照らしまして、検討はさらに深めてまいりたいと思っております。
  114. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 同じ問題を、ひとつ経済企画庁の国民生活局長からも……。
  115. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 先ほども申し上げましたように、この物価安定政策会議検討過程では、その辺のところをかなり数字的にも、またいろいろの種類別にも相当検討いたしました。全体としての考え方は先ほど申し上げたようなことでございますが、そういった過程で四十年以降の問題として、主として趨勢的な面ではそれほど、いままでのところ値上がりがあまり問題にならなかった。むしろ価格の乱高下が非常に激しいというところに注目をいたしまして、流通機構中心の提言が行なわれたわけであります。  われわれもそういうふうに考えておったわけでありますが、昨年夏ごろからの動きを見ておりますと、どうも、やはりまた需給の問題が基本にあるのではないか、こういうふうに考えられるようになってまいりました。先ほど農林省のほうからもお話がありましたように、いろいろの原因があげられておりますが、この点を徹底的にもう一ぺん洗い直して、生産体制の建て直しをしなければなるまい、こういうことでいろいろ御相談をいたしておるわけでございます。農林省のほうでも、この問題について本部をつくりまして、いまいろいろと調査もし、検討しておられるわけでありまして、四月ごろには、われわれとしてもそういった点についてのはっきりした、ある程度の方向づけができるようになるのではないかと、いま勉強しておるところでございます。
  116. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は、初めのうちは、四十年から四十四年までの年率の平均した価格がほとんど上がっていない、普通の消費者物価よりもずっと低目に押えられておる、したがって需給問題だけだという感じを持っておったのですけれども、しかし、この問題は、特に米なんかと違った野菜という問題を考えた場合に、単にそれだけでいいのかという不信を最近持っているのです。つまり野菜はうんと上がってきますと、消費者特に一般の低所得の人たちは野菜を食わなくなる。お金持ちはどんどんやたらに買っていきますけれども、低所得者は買わなくなるというような性質を、野菜というものは持っているのじゃないか。つまりこのことは、国民の健康上の問題からすればかなりゆゆしいことであって、そういう点からも、私は初め、二年ほど前に農林省のほうから聞いたときに、驚いたのですよ。野菜は四十年から四十四年までの間は三・八%という非常に低いトータルの平均の価格しか上がっていないという事実を見て、そうかな、やはり需給の問題だけかなという感じを持ったのですけれども、そう単純な問題じゃないと私は思うのです。この点を特に今後の問題として検討していただきたいと思うのです。  同時に、いま国民生活局長がおっしゃられたように、四十五年、昨年あたりから、この問題がまた状態が変わってきているという問題なんですけれども、つまり供給が、絶対量が不足してきておるのじゃないかというふうなそういう意味ですね。そういうふうなことになれば、先ほど農林省の担当者がお話しになったように、四十年からは農林省の施策がだんだんと効果を示してきて、そして指定産地の問題が、その他の野菜に対する計画がうまくいってきたというような甘い展望でこの問題に対処できるかどうか、こういう問題について根本的な不安を感ずるのですけれども、この問題はどうでしょう。
  117. 大場敏彦

    ○大場説明員 別に、従来私どもがやってきましたことについての過大評価をするつもりは毛頭ございません。ただ、それなりの効果はあるいはあったのではないだろうか、こう思ったので申し上げたわけでありますが、野菜の収入階級別のいろいろな消費の変化だとか、また所得の弾性の問題だとかそういった問題野菜については、単にいま先生のおっしゃいました需給の問題だけで説明できないいろいろな要素がございますから、そういった点はさらに検討を加えまして、きめのこまかい野菜対策を樹立していきたい、かように考えております。
  118. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 企画庁の方にもお願いしたいのですけれども、いま私申し上げたような、低所得者の人が野菜の消費を控えているのじゃないかというような問題を明らかにするような調査を、農林省も協力をして、ぜひともしていただきたいと思うのです。  その問題はその程度にいたしますけれども、何といっても、私どもから見ましても野菜問題は非常に重要になってきた。実は野菜問題というのは、四十年以降特に問題になってきていますね。安定したと思えるこの数字のうしろにある——この時期で問題になってきている。これは確かに乱高下の状態が背後にあるわけですけれども農林省のこの問題に対する取り組みの姿勢というものが、いかにも本気でないという印象を受けるのですね。  これはこの前も申し上げたのですけれども、現地で働いておる、農林省の一番の一線で働いている人の感じとして、農林省として、これは施設野菜とかそういう指定産地の問題は一応別にしまして、全般の問題として、野菜をつくれという指導をほとんどしていませんね。野菜をどの程度につくれ、昨年の稲作から転換したときでも、転換用地について、野菜を今度こういうものをつくったらいいじゃないかというような指導を、農民に対してほとんどしてないですね。農林省は、あまりつくったらあぶないぞ、農協でも、そういうあぶないぞという指導はしているけれども、野菜に対してのそういう指導はほとんどしてない。ところによって、農民は自身で、農林省と違ったことをやったほうがもうける率が多いのだからやるのだということで、結果的には作付転換の相当部分が野菜にかわっているようですけれども農林省の指導としては、この問題で適切な指導が行なわれていない、こういうふうに私は思うのですけれども、事実と違いますか。
  119. 大場敏彦

    ○大場説明員 農林省として野菜をつくることについて消極的な態度をとった、こういう見方があるいはあるかもしれませんが、そういうつもりは毛頭ございません。現に、いまも御指摘になりましたように、昨年の稲の転換対策におきましても、一部においては、値下がりするのではなかろうか、こういった心配もあったのでございますが、結果として二万九千ヘクタールに近い野菜の作付というものを進めましたし、また本年度におきましても、これからの予定でございますけれども、野菜の転作をさらに進めまして六万ヘクタール、冬野菜を含めますと七万ヘクタール近いような積極的な姿勢を示してきた、かように考えております。
  120. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは、農林省が野菜をつくりなさいという指導に基づいてやった結果ですか。あるいは、農民が自発的に野菜をつくった結果ですか。あなたは、農林省が指導してやったという自信がありますか。
  121. 大場敏彦

    ○大場説明員 これはちょっとお答えになるかどうか知りませんが、両方だろうと思っているわけでございます。農林省といたしましては、当然、やたらにつくれつくれ、こう農民に指導するのも何でございますから、やはり地域別に、ブロック別に野菜の需要動向というものを把握しながら、総体的にはもちろん把握するわけでございますが、それに基づきまして、野菜の見通しというものを従来からつくっているわけでございます。そういう需要に基づきまして、また地域の実情に即しまして、野菜の生産、野菜の産地の育成というものを進めている次第でございます。
  122. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は、たくさんじゃないのですよ、一線の農事指導員、普及員等の人から、農林省の指導として野菜をつくりなさいということを一ぺんも聞いたことはありません、あまりつくるとおれは責任を持たないよ、下がってしまうぞということはしょっちゅう聞きましたけれども農林省から一ぺんもそういうことは聞いたことありません、ということを聞いているのです。その人はたぶん、ものによっては指定産地農林省はやっているから、これの価格に影響したらいかぬということがあるかもしれませんけれども、とにかく、その指定産地そのものの指導も徹底してない、こういう感想を、農業の一線で働いている、あなた方が指導なさっている人たちは、そういう印象を持っているのです。  これは無理のないこともあるのですよ。いままであなた方は、価格の上昇の問題を論ずるときに、経済企画庁も、いつも野菜の問題だ、これは同じものだ、何ともならないんだというような状態が、確かに数年前まであったわけですから、あなた方がそういう指導のできなかったこともよくわかる。よくわかるけれども、いまやそういう消極的な態度ではなくて、去年あたりからいまの本部をつくってがんばっておられるようですけれども、そういうふうな意味で、私はもっと本気にこの問題と取り組む時期に来ているということを指摘したいがために、いままでもいろいろなことを申し上げたのですけれども、さて、農林省で野菜の生産流通の問題について、どこが中心で、その中心に向かって本部というのはどういう形で力を集中しておるのですか。
  123. 大場敏彦

    ○大場説明員 農林省の組織、いろいろ多岐にわたっておりますけれども、私は蚕糸園芸局の者でございますが、生産面の担当は、私のほうの局で担当しております。それが現実市場等に出荷され、せりにかけられ、それから消費者の手に届くというのは、経済局でやっております。それからなお、生産あるいは流通の統計面、ことに生産面でございますが、そういったものは、同じく経済局の統計調査部で担当しておる、こういった状態でございます。大ざっぱに分けますれば、生産面はわが蚕糸園芸局で担当しておりますが、流通面、統計の把握、こういったものは経済局で担当しております。そういった局にまたがっておりますから、それを総合調整して農林省の一本の姿で問題と取り組もう、こういう大臣の強い指示がございましたので、先般来本部を設置して、一緒に意識を、頭を一つにして取り組んでおる状態でございます。
  124. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いままで片手間にといったら語弊があるのですけれども、当然のことですけれども、お米の生産に力がぐっと入っておった、あるいは畜産は畜産でかなり力が入ってきておる。また、水産なんかあれですけれども、この野菜の問題は、農林省のいままでの執務体制の一つルートに乗っていませんよね。もうそろそろ、こういうふうに国民の保健の上からいっても、物価の上からいっても大きな影響を持っていることは決定的になっている段階であるし、お米からの転換という問題も直接問題になっているときだから、もっと体制を固めていく。本気で、野菜の生産と出荷の流通問題について責任を持った個所をつくる必要があると思うのですけれども、これはあなたに申し上げてもなんですが、そういう時期に来ていると思うんですね。  そこで、私は、具体的の問題についてお伺いしたいのですけれども、生産地は、指定産地あるいは施設園芸の二つの軸からなっているわけですが、施設園芸のほうは一応別問題にしまして、指定産地をおつくりになって、その指導というものが十分に行なわれておるかどうか。指定産地というのは指定消費地と見合う関係になるのですけれども、この二つをつくった趣旨を責任を持って実行する体制になっておるかどうかということをお伺いしたいのです。
  125. 大場敏彦

    ○大場説明員 野菜の価格安定をはかるために、これは先生も御指摘になっていらっしゃるとおり、産地と指定消費地にまたがり計画的に、野菜をまとまった形で出荷する、そういったしっかりした集団的な産地づくりというものが基本であることは申し上げるまでもございません。そういう意味で私ども、指定産地制度というものを数年前からしきまして、いろいろ政府の助成もありましたし、融資その他のめんどうも見てきております。また、いろいろ技術指導、それから出荷の計画化、適正化、こういった点について団体等の職員の配置に対する政府負担もいたしております。そういったもろもろのこと、あるいは普及員等につきましても、従来、率直に申し上げまして、これも先生が御指摘になっていらっしゃいますが、農林省の仕事の大部分が、とかく米のほうに流れておったということは事実でございますから、そういう点につきましては十分であったかどうか、これは御批判の余地があろうかと思いますが、普及員の活用等もいたしております。もちろんこの点は、今後さらに力を強めていかなければならないと思います。それから、統計調査組織も活用いたしまして、そういった指定産地消費地を結ぶ流通情報の伝達、そういった点も最近強化してきておるつもりでございます。
  126. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 指定産地の問題は、一応またあとで問題にしていきますけれども、やはり野菜の問題は卸売り市場価格がきめられるわけですけれども、この問題については、この前の連合審査のときに質問をいたしましたが、いまの卸売市場での野菜の価格形成ということが適当——これは今度の卸売市場改正の問題を前提としての話でけっこうでございますけれども、そういうものを前提にして、いまの卸売市場の野菜の価格の形成がそれで十分である、あるいはやむを得ないのだというふうにお考えになっておりますか。あるいは、もっと改革しなければならないとお考えになっておりますか、どちらでしょう。
  127. 森整治

    ○森説明員 ちょっと抽象的な御質問でございますので、お答えが非常にむずかしいのでございますが、われわれは、やはりこれだけ大量のものがいま市場を通じて流れておる、過半数があそこを通じて流れておる。また大消費地はこれに依存しておるという状態でございますから、これをよりよくする方法をいろいろ検討すべきである。その中で、売り方ですとかいろいろ技術論もございますし、施設の問題もございます。そういうものを全体を含めて、できるだけ公正な価格、と同時に——この前の物価政策会議の御提言のように、日々の安定だけをおまえ求めているのかと言われますと、まさにそういう面もいままでございましたので、やはり十日間くらいの価格を安定させる。そういうことも、今後の市場法の改正の中で重点的に取り上げて考えてまいりたい、こういうことを実は考えておるわけでございます。
  128. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この前指摘しました中に、片一方では百姓さんが、たくさんの人が生産をして、片一方は無数の人が——無数というわけじゃありませんが、小売り商が物を売っている。それらの中継ぎが中央卸売市場であるし、そこの市場の中心になるのが荷受け人、集荷人、卸売り人というものであるし、それがせりにかけてあれをしている。しかも、あれは場所が非常に限られておるというようなことで、いまの卸売市場というものが正しい価格形成の場にならないのじゃないか、むしろ現在ある供給の実勢をもっと反映できるような方法が必要じゃないかというのが、私のこの前の質問の焦点なんですね。そういうことで、つまり見本取引の問題を取り上げてきたのですけれども、今度の卸売市場法の改正の中にもそれがいろいろ載っておりますけれども、それをどの程度に考慮なさっておるのか、これがはっきりしない。見本取引の問題をどういうふうな段取り、順序で、具体的に登場さしてこようとしておるのか、その問題についてお伺いしたい。
  129. 森整治

    ○森説明員 見本取引といいまして、われわれが見本取引ということばと、先生がおっしゃるものと、ちょっと違うかと思います。  まず、われわれが見本取引と言っておりますものは、現実段階では、結局移動ぜりでなしに——要するに品物をいろいろ並べておきまして、人間がその品物をせっていく。これでは非常に混雑する。そこで見本取引といいまして、みんなに見本を一応全部見てもらうわけです。みんなで、どれを見本にするかきめるわけですけれども、その見本を、人間がおりまして、その前を見本だけを見せて値をつける。こういうやり方が、現実に青果物を中心に行なわれておりまして、おそらく先生のおっしゃいますのは、それをもう一歩進めて、今度は荷物を外へ持っていくようなことまでお考えではなかろうかと思うのですが、この問題も、現在は、暮れあたりに神田あたりが非常に混雑します場合に、ストックポイントみたいなものを東京都が指定した場所では、取引といいますか物の授受ができる、そういうことで運用をいたしております。こういう方向をもっと伸ばすという考え方は、法案の中でもございます。  もし具体的な御説明が必要でありますれば、してもよろしゅうございますが……。
  130. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまのストックポイントをもっと広域に広げたらどうだということが、まさしく一番の焦点です。それを現にやろうとしている品目がありますか。
  131. 森整治

    ○森説明員 現在やろうとしている品目、こうおっしゃいますが、結局これは貯蔵性がある、規格があるということ。規格性があるということは必要でございます。これは、つくろうと思えばできるわけでございます。また、そういう方向で考えていくべきだと思いますが、要は貯蔵性があるかどうかという問題にからんでくるのではないか。したがいまして、われわれがそういうものとして考え得るものとしましては、たとえばタマネギですとかジャガイモですとか、そういうものは、これはまだきまっているわけではございませんけれども、田端の国鉄の操車場を利用して、ホクレンと国鉄が会社をつくって——まだできておりませんが、これからつくりまして、そういうようなところで北海道のジャガイモ、タマネギの受け渡しをする、そういうことは可能であろう、むしろわれわれは進めていくべきことだろうというふうに思っております。
  132. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 進めていくべきことだろうというのでなくて、現在の卸売市場法の中にあるそういうことばは、現実にどういう品目、たとえばジャガイモならジャガイモ、タマネギならタマネギ、そのほかにあればあれですけれども、どういう品目を、どことどことにストックポイントを配置してやろうというような、そういう計画に裏づけられておりますか。
  133. 森整治

    ○森説明員 今度の、御審議を願っております市場法案というのは、結局そういうことがどの程度まで可能か、やってよろしいかどうかという基本原則をきめておるわけでございます。具体的には、あの法律をもし御承諾いただいて実行いたすということになりますと、計画を立てて、まず市場がきまっていく、場所もきまっていく。それに伴ういろいろな施設として、地方公共団体がいろいろ、この場所が狭いから、とりあえずこういうストックポイントを設けるとか、むしろこういうストックポイントでこれだけのものについてはやっていきたいという具体的な計画というのは、そういう段階で実際の問題として出てくるべきものであろうというふうに思います。ただ、考え方としましては、いまのように開設地域がございます地域の外であっても、今度はストックポイントを持ってよろしいのです。もっと広域的に物の流通を考えていきましょうという考え方は、法律の中に書いてございます。
  134. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 よくわかりました。  いまの、原則として貯蔵性のものとかいうのが一つの前提になって、例として北海道のジャガイモだとか、あるいはタマネギは名前を言わなかったと思うけれども、タマネギなんかもその可能性があるものですか。
  135. 森整治

    ○森説明員 これはやはり、低温といいますか、そういう貯蔵施設を持ちますれば可能だと思います。  それから、ついででございますからもう一言申し上げますと、結局、ものをきめるかどうかということは、いまの貯蔵性があるということは、逆に裏返しますとそういう施設があるかどうか、施設がございませんと結局そういうことが成り立たない。もう一つは、施設をつくることができて、また物理的に可能であっても、それが経済的に引き合うかどうか。たとえばキャベツあたりが非常に問題になると思います。軟弱野菜はちょっと無理だと思いますが、キャベツあたりになりますと、ある程度まで低温で置いておく。そのコストが引き合うかどうかという経済判断ももう一つ入ってこないと、貯蔵性があるかということの判定が非常にむずかしい。ですから、それとのうらはらで、技術なり値段なり、そういうものを全部総合して、実際的にはどういうものをやっていくかということがきまっていくのではないか、こういうふうに思います。
  136. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 こういう重要な野菜の価格の決定、しかも正確な価格を卸売市場で決定しなければならないという大きな問題なんですから、ストックポイントの施設等については、それは国がいろいろ助成するとか、いろいろ方法はあると思います。問題は、中央卸売市場の機能として一番大きな機能は、現在の問題は正しい価格を形成する場所ということでしょう。そういう目から見て、現在の卸売市場は、いまの神田にしても築地にしても、いろいろな悪い問題も行なわれる可能性がある。現にそういうふうな状態があると私は思うのですけれども、その根本をなくするためには、そういうようなストックポイントを広域的な視野で配置していくというようなことが必要だと申し上げているわけです。  それで、いまの貯蔵性のあるものは、それはだれが考えてももう早くやるべきだという判断になるのですけれども、施設ものはどうですか。
  137. 森整治

    ○森説明員 これは規格が整いまして、ある程度まで保存といいますかがきけば、それは可能だと思います。ただ、値段が張っておるものですから、それから施設ものというのはわりあいに計画的に生産をされておりますから、そう値段がぶれない、そういうことはあろうと思います。よけいな話ですが、われわれの中でも、たとえばイチゴなんかは逆に腐敗性があるからこそやったっていいではないかという議論もございます。だが、これは現実には、どうもそういうふうになっておらない。やはり貯蔵性とかいろいろ必要な条件がないとできないというのが、どうも通説のようでございます。
  138. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 低温流通のいろいろな施設を完備するとかいろいろな問題があると思いますけれども、施設ものは可能であるという御判断ですね。
  139. 森整治

    ○森説明員 私が申し上げました施設ものというのは、たとえばキュウリとかそういうもので、施設もの全部が可能であるということではございません。やはり規格性、貯蔵性があるという一般論がかぶさってまいるということでございます。
  140. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはむずかしくてもやる意思があるのだ、やらなければならぬのだぞという立場で考える場合と、いや、そんなことはというふうに消極的に考える場合と、非常に違ってきますね。私は、この問題はぜひとも積極的に考えるべき時期に来ていると思うのです。いまの施設ものについては可能性があると言われる。ものによってはというフォローはありますけれども、ジャガイモとかあるいはタマネギとか、あるいは施設もののキュウリだとかイチゴだとかピーマンとか、いろいろなものがある。そのほかに、現在問題になっているのは大衆の露地野菜ですね、特に大根、白菜、キャベツ、そのほかいろいろなものがありますけれども、この三つの問題について、その考え方をできるだけ拡大して、できないかどうかやってみよう、検討してみようという気持ちはありませんか。
  141. 森整治

    ○森説明員 率直に申し上げまして、いま先生は、非常にむずかしい品物を御指摘になったと思うのです。その中でも、たとえば先ほど申しましたキャベツあたりは、どうも値段との関係がございます。たとえば築地に低温の冷蔵庫といいますか低温倉庫がやっとできた段階でございまして、むしろそういうのを今度外へつくるということが伴っていかないと、なかなかできないわけですが、そういう場合に、そういう場所で、いま御指摘のようなことが経済計算としてはたして成り立つだろうかという問題があろうかと思います。  それからもう一つ、ちょっとお断わりしておきますけれども、いまの市場になぜみんなあれだけ無理して、とあえて申しますけれども、たくさんの人が来るかと申しますと、あそこへ行けば何でも買える、いろいろな品物がそろうという点があるわけでございます。ストックポイントでは、そういう全体のものがそろうという取引が非常に困難である。むしろ大口の取引がそういうところで行なわれる。あるいは業務的なものがそういうところで行なわれる。そういう需要面からの限定がもう一つございます。  いずれにいたしましても、先生は一番最後に、非常にむずかしい品物についての御指摘をされたのでございますけれども、われわれ、これは確かに理想だと思います。現に、まず先に全国規格をつくるという作業を、園芸局のほうで始めておるわけでございます。現在、全国規格はございません。ですから全国規格をつくって、施設面でいまの貯蔵面を解決をして、そういう線に乗せると方向ではわれわれは検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
  142. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 経済性問題でいろいろ強調されておるようですけれども、野菜の公正な値段をつくりあげるという大きな目的のためには、国は相当の援助をしていいと思うのです。もっと具体的に考えますと、たとえば埼玉の大根を神田まで持ってこないで、あそこに二、三カ所のストックポイントを置いて、そうして東京の三多摩の都民は市場で見本を見て取引をする、そして、ものは埼玉のストックポイントから三多摩に移す、こういうふうなことですね。ところが、そういうふうなことはしきたりであって、いままでの小売り商にしても仲買いにしても、ものを直に見て、それでこの品物はここにありますということを頭に描きながら判断をしていく。これが従来の行き方です。しかし、この行き方では正しい価格形成はできないと私は判断をしております。  その例として、この前の年末の神田と築地のあの常識はずれの値段を例にあげたのですけれども、これはあちらこちらにありますよ。しかし、そういう場合に問題なのは、高い値段に右へならえするという状態をつくりだしていく。これは明らかに狭い場所で、そこへ集めてきた荷物を前提にして、しかも、いろいろな人がこれをそうなるとしてきめた価格、これに右へならえになっていく。一定の場所に一定の荷物ですから、卸売りにしてもその他にしても、思惑が自由自在に行なわれる可能性を持っている。これの改善は非常に困難です。いまの大衆露地野菜になると非常に困難ですけれども、そういうふうなことを改善するためにいろいろな施設を国が援助をして、それで何とかやってみよう、正しい価格の形成と安定のためにがんばってつくってみようという気持ちさえあれば、不可能じゃないと私は思うのですね。  貯蔵性そのものが第一で、一定の規格の一応はっきりしておる、供給の目安のつく施設ものも可能性があるとおっしゃる。大衆露地野菜にしてもそうでしょう。指定産地というものをつくっておられる。指定産地の作付と出荷についてもっと計画的な計画を持っておれば、できるものに対して、たとえば農林省の経済局統計調査部ですか、そこの人たちをだんだん訓練をして、その品種の規格検査をやり、格づけをする。それは非常に不十分な問題もありましょう。そういうふうな取引に次第に変えていくということが必要ではないのか。従来の、市場で取引をしているそういう頭から見れば、従来の慣行がありますから、そんなことはぐあいが悪いなという感覚がするのは当然のことだと思いますけれども、それを越えていかなければ、現在の非常に複雑な野菜の生産と流通、消費の新しい状態についていけないじゃないか、こういうふうな意味で申し上げているわけですけれども、ひとつぜひともそういう方向を——できないらしいというのではなくて、やってみようという積極的な意欲を出していただきたい。私はできると思います。アメリカなんか、一部白菜とかキャベツなんかについてやっているじゃないですか。アメリカがやっていることが日本にどうしてできないのか。こういう問題、どういうふうにお考えになりますか。
  143. 森整治

    ○森説明員 私ども、やらないということを申し上げているわけではございません。非常にむずかしい問題だし、結局施設的なものは、要するにそういう施設なり技術でその商品の性格を変えられるもの、変えて初めてそういうルールへ乗っけられる。そこで、まず施設整備につきましては、またストックポイントを設けていくことにつきましては、われわれ、全面的に前向きで進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。先生のおっしゃるような状態が一日も早く来ることを、私どもも祈っておるわけでございます。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  144. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つの例は、そういうふうにあちらこちらに品物が貯蔵される、あるいは六百幾つもの指定産地からものがつくられるということで、いろいろな産地の正確な情報というものが必要になってくる。コンピューターという話はそういうところから出てくる。現にいろいろなコンピューターが市場に入っているようですけれども、せり機ですね、ああいう機械をせっかくはめても、それがほとんど働いていないという実情を御存じですか。
  145. 森整治

    ○森説明員 まあほとんど働いていないということではないのでございまして、やはり実情としては、青果物にほとんど利用されておるということでございます。  それから逆に、たとえば場所を言ってはいかぬかもしれませんけれども、大阪の東部市場にあります教室みたいなところですね、ああいう固定的なところで見本を流します。そうしますと、あるいはこういう理屈はあるのです。買う人のほうが談合してしまって機械で処理をされますと、その売り手としてはなかなか、何も魅力がない。——魅力がないどころか、捨て値同然で買われてしまうという逆のマイナスの要素も考えられ得るわけです。  まあ、それやこれやございまして、いろいろ全面的にせりの機械化に踏み切ってということではないですけれども、やはり新しい市場をつくる場合、それから、やはり大都市のこれだけ混雑をしておるそういうところには、積極的にせりの機械を入れさせておるわけでございまして、規格、荷姿が非常に統一されている青果物を中心に考えていくべきであろうというふうに考えております。
  146. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これで終わりますけれども、ひとついまの問題ですね、市場というのをある一定の狭い範囲、そこへきたごく一部の荷物を前提にして大事な野菜の価格を決定するようなことを、もう少し前向きに、どうしたら正しい価格形成ができるか。野菜の流通も、中央卸売市場を通る通らぬにかかわらず、やはり現在では神田、築地その他の中央卸売市場での価格がずっと影響しているわけです。この間、世田谷の上馬生活協同組合値段をきめるのもそうなんですね。直接取引をしても、卸売市場価格が標準になってきまってくる。したがって、中央卸売市場の問題として一番大事なことは、正しい価格形成が行なわれるかどうかということなんですね。ぜひともひとつこの問題について、積極的な一つの配慮をお願いしたいと思います。  最後に、生産者がいろいろと指定産地その他の方法で組織化されてくると、小売りからずっと消費者の側の組織化が逆に行なわれないと、生産者のほうの出荷の組織化が行なわれるということは、全体として野菜の価格を引き上げる役割りを私は持つと思うのですけれども、この問題は、経済企画庁のほうはどういうふうにお考えになっていますか。
  147. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 ちょっと私のほうに関係がないと思いまして、聞いておりませんでした。
  148. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 わかりました。経済企画庁の前の国民生活局長の矢野さんがおいでになって、いまの局長さんはお帰りになったから……。  それでは、私のきょうの質問はこれで終わります。どうぞよろしくお願いいたします。
  149. 小林進

    小林委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十四分散会