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1971-02-03 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月三日(水曜日)     午前九時四十七分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 松山千惠子君    理事 武部  文君 理事 渡部 通子君       小坂徳三郎君    向山 一人君       粟山 ひで君    田中 恒利君       松浦 利尚君    谷口善太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(物価対策及び消費者保  護対策等)      ————◇—————
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、佐藤経済企画庁長官から、政府物価対策及び消費者保護対策について発言を求められておりますので、これを許します。佐藤経済企画庁長官
  3. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 開会にあたり、一言ごあいさつを申し上げます。  わが国経済の最近の動向を見ますと、景気調整措置の結果、昨年夏ごろから景気は次第に落ちつきの方向に向かい、その後、二度にわたる公定歩合の引き下げが行なわれましたが、景気はこのところ鎮静化の度を強めております。  物価面におきましても、卸売り物価は、工業製品中心とする国内需給の緩和に海外市況の軟化も加わって、落ちついた動きをいたしております。  しかしながら、消費者物価につきましては、景気鎮静下にありながら、最近一段と騰勢を強めております。生鮮食料品の大幅な値上がりに加えて、中小企業製品サービス料金等値上がりが著しく、全般的な物価上昇傾向が顕著となってきており、景気停滞下における物価高という、最も憂慮すべき事態に立ち至ることが危惧されるのであります。  政府といたしましては、このような物価情勢に対し、最大の政策努力を傾注することによって、現在の根強い物価上昇を、経済見通しで想定した五・五%以内に押えてまいる所存であります。  このため、生鮮食料品安定供給確保、農業、中小企業等構造改善を強力に推進することといたしております。  また、輸入政策の活用、競争条件整備等の諸施策につきましても、これを積極的に進めるとともに、昨年八月の地価対策閣僚協議会決定された総合対策を着実に実施することによって、地価の安定につとめてまいります。  さらに、政府は、率先して物価安定のための強い決意を示し、現在の全般的物価上昇ムードを断ち切るため、公共料金についてきびしい抑制方針をとっております。  以上のような諸施策を強力に推進するために、昭和四十六年度予算においては、一般会計及び特別会計を合わせて、前年度比二五%増の物価対策関係経費を計上しており、また、財政投融資計画においても事業規模の大幅な拡充をはかるなど、物価対策には特に配慮いたしております。  しかしながら、物価の安定には、政府自身政策努力に対応する国民各位の理解と協力があって初めて効果を期待し得るものも少なくありません。  特に、最近における物価上昇賃金関係に留意すべきだと考えます。ここ数年間、長期にわたる好況、企業収益の好調、労働需給の逼迫という事情を背景に、賃金は加速度的に上昇してまいりました。しかし、最近のように景気鎮静化する中で、これまでのような賃金上昇が継続すれば、賃金コスト上昇とその価格への転嫁という形で、物価情勢はさらに深刻化するおそれが強いのであります。今後の賃金価格決定に際しましては、労使とも、国民経済的観点から節度ある行動をとられることが望まれるのであります。また、この際、便乗値上げ等を厳に戒め、高い生産性を実現している分野においては、その成果を適切に消費者に還元するようつとめることが期待されるのであります。  この意味で、各種の競争制限的要素を排除し、価格競争機能を通じて適正に形成されることが必要であります。このため政府といたしましては、独占禁止政策の強化、価格支持政策事業認可制の再検討等施策を引き続いて充実させてまいる所存であります。  なお、物価政策と並んで国民生活において重要な消費者行政につきましては、消費者保護基本法の精神に従い、また、消費者行政に関する本委員会の決議を尊重して施策を進めてまいっており、今日までのところ、次第に成果をあげつつあると考えております。  しかし、有害食品虚偽表示等消費者にとって問題となる事例は依然としてあとを断たず、このため施策をさらに強化する必要が痛感されております。  その一環といたしまして、政府は、昨年十一月の消費者保護会議において、食品等による危害防止中心として、規格及び表示適正化不動産取引適正化等に関し、制度改善整備等具体的施策決定いたしたところであります。  また、国民の直面する生活上の諸問題について、円滑な情報、意見の交流をはかるため、昨年十月に国民生活センターを発足させましたが、今後、その充実をはかり、国民との対話の場を確保していく考えであります。  政府は、これらの諸施策の一そう強力な推進をはかってまいる所存でありますが、本委員会におかれましても、以上のような政府の考え方を御理解いただきまして、よろしく御支援を賜わりますようお願いいたす次第でございます。     —————————————
  4. 小林進

    小林委員長 次に、公正取引委員会業務の状況について、谷村公正取引委員会委員長から説明を聴取することといたします。谷村公正取引委員会委員長
  5. 谷村裕

    谷村政府委員 昭和四十五年中における公正取引委員会物価対策関係業務について、御説明をいたします。  御承知のとおり、ここ数年来、物価問題が非常に大きな課題として取り上げられてまいりましたが、物価対策の面で公正取引委員会の果たすべき役割りは、独占禁止法等を厳正に運用いたしまして、公正かつ自由な競争促進することによって経済の発展を促進し、究極において一般消費者利益確保するという本来の任務に尽きるわけであり、具体的には次の四点に重点を置いております。  第一点は、価格協定等違法なカルテルについて厳重な取り締まりを行なうとともに、独占禁止法適用除外となっておりますカルテルの許容についての主務大臣等からの協議にあたりまして、きびしい態度をとることでございます。第二点は、再販売価格維持行為規制についてであります。第三点は、いわゆる管理価格など硬直的な価格の実態を究明いたしまして、その対策検討することであります。第四点は、商品の不当な表示を排除し、過大な景品つき販売規制することにより、消費者商品選択にあたっての価格意識を高めるようにつとめることであります。  まず、第一点の違法な価格協定等取り締まりでございますが、独占禁止法ではこれを不当な取引制限といっております。すなわち、事業者協定などによって価格決定したり、維持したり、引き上げたり、あるいは生産数量販売数量などを制限したりすることによって、一定の取引分野における競争を実質的に制限することがこれでありまして、第三条において禁止いたしております。  昭和四十五年中における審査件数二百十六件のうち、価格カルテルに関するものが百五十一件を占めており、また、審査いたしました事件のうち法的措置をとりましたものは四十件でありますが、価格に関するものは三十七件にのぼっております。  次に、独占禁止法では、原則としてカルテルを禁止いたしておりますものの、例外といたしまして、中小企業関係として中小企業団体組織に関する法律環境衛生関係営業運営適正化に関する法律貿易対策見地から輸出入取引法など、四十の法律によってカルテルを認めておりますが、その数は、昭和四十五年十二月末現在八百四十七件にのぼっております。これらのうち、中小企業団体組織に関する法律に基づくカルテルが一番多く四百四十四件、次いで、輸出入取引法に基づくカルテルが百九十九件、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律に基づくものが百二十三件となっており、これらが大部分を占めております。  公正取引委員会といたしましては、これらの認可にあたって主務大臣から同意あるいは協議を求められました場合には、それが必要最小限度のものであるかどうか、あるいはそれが関連事業者一般消費者利益を不当に害するおそれがないかどうか等を厳重に審査いたしまして、同意または協議に応じております。  なお、独占禁止法におきましても不況カルテル制度が認められておりますが、現在では不況カルテルを実施しているものはございません。  第二点は、再販売価格維持行為規制の問題でございます。  再販売価格維持行為は、製造業者卸売り業者小売り業者販売価格を指定し、これを守らせる等の行為でありまして、これは、原則として独占禁止法の不公正な取引方法の態様の一つとして禁止されているところでありますが、特定の商品につきましては、製造業者卸売り業者間あるいは卸売り業者小売り業者間の再販売価格維持契約独占禁止法適用除外といたしております。しかしながら、この再販売価格維持契約制度が安易に用いられる傾向がありますので、物価対策見地から、昭和四十五年において、その弊害の規制について検討を進めてまいりましたが、今後も引き続き、個々の契約につきまして、それが正当な行為の範囲を逸脱したり、また、一般消費者利益を不当に害することのないよう厳重に規制を加えていく所存であります。  なお、昭和四十五年中における再販売価格維持契約成立届け出は十五社、十八件でありまして、これを累計いたしますと、昭和四十五年十二月末現在九十九社、百三十六件となっております。  他方、違法な再販売価格維持行為については、昭和四十五年には九件の審査を行ない、そのうち一件について法的措置をとりました。  第三点は、いわゆる管理価格調査であります。  これは、比較的少数の大企業が支配的な地位を占めているような業界におきましてある程度価格が硬直しているような商品につき、その原因がどこにあるかということを調査することであります。最近、物価対策見地から、大企業における生産性向上成果の一部を消費者にも還元すべきであるというようなことがいわれておりますが、いわゆる管理価格についての調査はこのような要請にも寄与するものと存じます。公正取引委員会といたしましては、調査の結果、たとえば価格協定などの事実がある場合、あるいは新規企業の進出を不当にはばむ等の行為が行なわれているような場合には、いずれも独占禁止法違反行為として排除措置をとるほか、独占禁止政策観点から、広く競争条件整備等の諸施策検討いたすことといたしております。  公正取引委員会は、管理価格調査として、昭和四十五年中に写真用フイルムアルミ地金家庭用合成洗剤について結果を発表いたしましたが、引き続き、ビール、化学調味料、ピアノ及び板ガラスにつきまして調査を実施いたしております。なお、管理価格問題につきましては、この問題の重要性にかんがみ、広く各界の意見を聞くことが肝要であるので、これまでに独占禁止懇話会で十回にわたり討議をお願いいたしましたが、その討議結果につきましては、昭和四十五年七月に「管理価格問題についての中間的とりまとめ」を得ております。  第四点は、過大な景品つき販売及び不当表示規制であります。  過大な景品つき販売、虚偽誇大な表示は、消費者の正しい商品選択を妨げるばかりでなく、これが行なわれるときは、品質や価格による本来の競争が回避されがちになるため、公正取引委員会といたしましては、不当景品類及び不当表示防止法を厳正に運用することにより、これらの規制につとめております。中でも、昭和四十五年には、家庭用電気製品において、メーカーのつけている現金正価と実際に売買されている価格との間に大きな隔たりがあることが、消費者の正しい商品選択を妨げるものであるとして、これらの不当な価格表示の是正につとめてまいりました。昭和四十五年中には、過大な景品の提供十五件、不当表示三十五件につきまして排除命令を行ない、また、景品関係一件、表示関係三件の公正競争規約の認定を行ないました。  以上が昭和四十五年中における物価対策関係業務概要でありますが、今後、公正取引委員会業務は一そう重要性を増すものと考えられますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。     —————————————
  6. 小林進

    小林委員長 次に、昭和四十六年度物価対策関係経費及び消費者行政関係予算概要について、宮崎国民生活局長から説明を聴取することといたします。宮崎国民生活局長
  7. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 お手元に差し上げてございます資料によりまして、簡単に御説明をいたしたいと思います。  まず最初に、横書きの資料で「昭和四十六年度物価対策関係経費」というものがございます。その一ページに、一般会計及び特別会計についての総括表が書いてございます。総額で見まして、昭和四十六年度物価関係経費は八千百七十五億四千四百万円、対前年度千六百四十九億の増加でございまして、増加率は約二五%、かなり一般の伸びよりも増加をいたしております。  その内容は、低生産性部門生産性向上、これは農林中小企業関係等でございます。それから流通対策労働力流動化促進競争条件整備生活必需物資等安定的供給の問題、住宅及び地価の安定、その他、こういったことでございまして、その内容は、各項別に二ページ以下に書いてございます。内容をお話しいたしますと非常にこまかくなりますので、一応資料ごらんをいただきたいと考えます。  それから、七ページからあと財政投融資関係の、やはり物価関係資金計画が書いてございます。農林漁業金融公庫以下、やはり低生産性部門生産性向上関係。それから八ページには流通対策、これは農林漁業金融公庫開発銀行その他ございます。それから労働力流動化で、雇用促進事業団等がございます。九ページには、生活必需物資等安定的供給というので、交通関係等がここにまとめてございます。それから、一〇ページには住宅及び地価の安定。住宅公庫、公団、それから開銀等資金計画が書いてございます。  大体そういった形でございまして、全体といたしましてはかなりの増額をいたしました。特にこのうちで、経済企画庁といたしまして昨年六月に決定をいたしました物価対策関係予算、これにつきましては、大蔵省のほうにも全額これを認めてもらいたいということで強力に要請をいたしましたが、大体数字は全部認められまして、ほぼ九割近い予算が結果としてついております。そういった関係かなりの前進を見ておるというふうに私どもは考えておる次第でございます。  次に、もう一つ資料で「消費者行政関係予算額」という資料がございます。これも総括表でちょっと見ていただきますと、一ページにございますが、昭和四十六年度の消費者行政関係予算額は、総額二十四億六千七百万余円でございまして、前年度に比べて八億四千六百万の増加、約五二%増加いたしております。  このうち特に第一の危害防止、これは食品添加物の点検その他、いろいろ最近問題になっております関係予算でございますが、これにつきましては前年に比べて八割増ということで、いろいろと計画を立てておったものは、ほぼそのまま認められております。計量の適正化規格適正化等予算は、そこにございますとおりであります。表示適正化、公正自由な競争確保、この辺もかなり伸びております。  それから、消費者金融及び不動産取引適正化消費者啓発関係予算意見の反映というので、各省のモニター等いろいろのものがございます。それから、試験検査関係苦情処理消費者組織の育成、こういった形になっておりまして、「その他」は、主として経済企画庁国民生活センター予算でございます。  この内容につきましては、二ページ以降に詳細に書いてございますので、これでごらんおきをいただきたいと思います。  簡単でございますが、以上で説明を終わります。
  8. 小林進

    小林委員長 以上で説明は終わりました。  本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会をいたします。     午前十時七分散会