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1971-04-14 第65回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十四日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君    理事 仮谷 忠男君 理事 丹羽 兵助君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 千葉 七郎君    理事 小平  忠君       江藤 隆美君    鹿野 彦吉君       熊谷 義雄君    瀬戸山三男君       高見 三郎君    別川悠紀夫君       森下 元晴君    山崎平八郎君       渡辺  肇君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    芳賀  貢君       松沢 俊昭君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       合沢  栄君    小宮 武喜君       津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    新保 實生君         北海道開発庁主         幹       村山  進君         水産庁長官   大和田啓気君         水産庁次長   藤村 弘毅君         海上保安庁次長 上原  啓君  委員外出席者         水産庁漁政部企         画課長     劒持 浩裕君         水産庁漁港部長 瀬尾 五一君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第三  二号)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号)  海洋水産資源開発促進法案内閣提出第五八  号)      ————◇—————
  2. 草野一郎平

    ○草野委員長 これより会議を開きます。  漁港法の一部を改正する法律案水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、ただいま議題となりました漁港法の一部改正水産業協同組合法の一部改正、並びに新しく新法として出されました海洋水産資源開発促進法案、この三法案を中心にいたしまして、水産関係の諸問題について少しくお伺いをいたしたいと思います。  過般、政府のほうから第六十五回国会、今次国会に対しまして、「昭和四十五年度漁業動向に関する年次報告」並びに「昭和四十六年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」この二つが提出されたわけでありますが、申し上げるまでもなく、わが国漁業は、この漁業白書の中でも触れられておりますように、漁獲高においてはペリーに次ぎまして日本が第二位、そのあとソ連、中共、アメリカ、ノルウェー等漁獲高においては続いておるわけでありますが、同時に漁獲金額においてはペルーをこえて世界第一位、こういうふうになっておるわけであります。しかし、考えてみますと、国際的にも、国内的にも日本をめぐる漁業情勢というのはなかなかきびしいものがある。そういう情勢の中で沿岸、沖合い、遠洋漁業を含めてわが国水産業をいわゆる海洋日本にふさわしい形にどう発展さしていくかということは、日本経済から見ても非常に重大な問題だというふうに思うのであります。  この際、冒頭に「漁業動向に関する年次報告」「昭和四十六年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」というものを提出した政府立場から、わが国漁業をめぐる情勢をどうとらえ、これからどういうふうに持っていこうとするか、基本的な考え方についてまず冒頭お話を願いたいと思います。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 白書でも申しておりますように、漁業全体につきましては、いまお話しのございましたように、いろいろきびしい状況にございますけれども漁獲高は逐年増加いたしておりまして、いまお話しのように、世界で一応第二番目でありますけれどもペルーはああいう特殊な漁獲でありますので、バラエティーに富んでいる点においては、日本世界第一位の漁業国であることは間違いありませんが、しかしいま資源の問題、それから国際的に漁業に対する各国の考え方等状況を勘案いたしてみますと、やはりわが国漁業全体を取り巻く情勢はきびしいものであると考えなければなりません。ことにいろいろ問題はありますが、とにかく資源の点から考慮いたしましても、これはなかなか楽観のできない点もあるかと存じますが、そこで私どもといたしましては、やはり沿岸については特段の助成をいたしつつ、この沿岸発展計画を進めてまいると同時にに、その他については、新漁場の開発等、それからまた国際間の交渉等についても御存じのような状況に対処いたしまして、わが国漁業維持拡大をはかってまいるために、それぞれの特定のケースはあとでいずれお話もあるかと思いますが、そういうことについて全力をあげてまいると同時に、やはりとる漁業からつくる漁業という、そういう観点から、私ども予算的措置等を講じつつ、全力をあげて養殖等に真剣に取り組んでまいらなければならない、まあ大ざっぱに申して、そういうような方向で進めてまいりたい、こう思っております。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 水産三法を議論する前提としての日本漁業をめぐる内外の諸問題ということについては、多くの議論をしなければなりませんが、ただ当面、御承知のように日ソ漁業交渉が終盤を迎えておるわけでありますが、これは申し上げるまでもなく、昭和三十一年に日ソ漁業条約が締結されて以降、サケマスニシンについては、第十五回目の委員会日本ですでに開催されておるわけでありますし、また日ソカニの問題については、従来はこの日ソ漁業委員会の中で行なわれておりましたけれども、数年来ソ連側カニの問題について大陸だな資源というふうな主張等が出てまいりましてから、四十四年以降日ソカニ協定に基づいて、この点はモスクワでいま交渉大詰めに来ておるわけであります。この際、まず政府から、日ソ漁業交渉サケマスニシンカニを含む交渉状況がどういうふうになっておるか、さらに政府としてどういう基本方針日ソ漁業交渉に当たっておるのかという点について、御答弁を願いたいと思います。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お示しのように、第十五回日ソ漁業委員会は三月の二日から東京で開催されておりますが、三月中旬までに資源状態検討を終えまして、現在サケマスニシン規制措置及びサケマス漁獲量について話し合いを進めております。ソ連側は、サケマスニシンのいずれについても資源状態は悪化いたしておりますし、大胆な規制措置が必要であるという主張を繰り返しております。わがほうといたしましては、サケマスにつきましては、御存じのように本年は豊漁年でございますし、資源状態も前豊漁年と同様か、または若干よいと考えておりますので、規制の強化は必要ではない、またニシンにつきましても、一般資源は安定いたしておりますので、従来の規制の緩和がむしろ必要である、このように考えておりますが、今後十分意見交換を行ないまして、漁期までには適正な合意に達するように、ただいま最善努力を傾倒いたしておる次第であります。  それから、第三次日ソカニ交渉は、三月一日からモスクワにおいて開催されておりますが、資源状態につきましての検討を三月中旬に終えまして、それ以来ソ連側は、ただいまお話しのありましたような大陸だなに関する自国の管理権前提といたしまして、従来の協定の変更を求めてまいっております。これが解決しない限り、実態的な討議に入れないと主張いたしております。わがほうといたしましては、ソ連側のこのような主張はとうてい受け入れることはできません。ソ連側に従来の交渉の経緯、それからわが国立場などを説明いたしまして、ソ連側に反論いたしてまいりましたために、交渉例年に比べまして遅延いたしておることは、御承知のとおりであります。しかしながら、このほどこの問題につきましては、おおむね双方合意ができまして、引き続き各水域における漁獲量それから隻数等、実態問題について話し合いが進められる段階になってまいりました。わがほうといたしましては、長年にわたって開発してまいりましたわが国カニ漁業の実績を確保いたすべくつとめますとともに、すみやかに交渉妥結するようただいま最善努力をいたしておる最中であります。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま大臣から全般的な日ソ漁業交渉状況について御答弁がございましたが、特に急がなければなりませんのは、カニ交渉の点についてもう一両日中にも解決の方向を見出すという時間的な制約に御承知のように来ておるわけでありまして、すでに解禁日の問題から考えてみますれば、十一日に北海道沿岸三角水域であるとか二丈岩周辺ではもうその時期に来ておったわけでありますし、この十五日には西カムチャッカ解禁日を迎えておるという状況の中で、函館等この日ソカニ交渉妥結を待望いたしまして待機しております諸君につきましても出漁許可を与えなければならないぎりぎりのところに来ておるわけであります。  ただいま大臣からもお話しのように、数年来の大陸だな条約との関連の問題の中で、ソ連側カニの問題について大陸だなの天然資源である、日本政府はこれは公海漁業資源であるということの論争が、ことしの場合にも非常に激しくなされたようであります。問題は今日大詰めに来ておりますが、この公海漁業資源あるいは大陸だなの天然資源という意見の対立の話し合いの中で、それらの問題についての合意に達したといわれるその合意の点は、どういう点で合意に達したと判断をしておるか。  さらにこれからの取り締まりの問題等についても、ソ連側大陸だなの天然資源という立場から従来以上の強い要求をしてきておったというふうに承知しております。日本側としては当然公海漁業資源であるという立場から、これらの問題についても強く日本側立場としての主張を出してきたといわれておるわけですが、これらの問題を含めてここ一両日中にも出漁できる態勢にいくと判断をしていいのかどうか。場合によっては洋上待機等の手段もとらなければならぬという情勢判断を持っておられるのか。そうでなくて、スムーズにいわゆる出漁ができる態勢であると、当面の情勢をそういうふうに判断しているのかどうか。さらにお答えを願いたいと思います。
  8. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまのところきわめてデリケートな関係にあるわけでありますが、お話しのように、第一の大陸だなの問題につきましては、申すまでもなくわがほうは大陸だな条約等にも参加いたしておりませんし、それからまた事実的に見て、ソ連側主張というものは、これはわがほうは承認することはできない、こういう立場を継続してとっておるわけでありますから、そういう問題につきましては、いわば本年はたな上げでございまして、実質的問題について検討をし合う、こういうことであります。そこでお示しのように例年出漁の期日はもう来ておるわけでありますが、北方海域流氷等の問題もあるようでありまして、いろいろ私のほうとわがほうの漁業者との間に緊密な連絡をいたしながら、いつでも出港のできるような用意はいたしておりますが、ここ一両日中に何らかのそういう点について合意を得らるべく、最善努力をいたしておる、こういうのが現状の、今日ただいまの状況でございます。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 この日ソ漁業交渉の問題は、三十一年以来今日までの経過を見てみましても、これはサケマスニシンにいたしましても、あるいは別途交渉になりましたカニ交渉にいたしましても、まず資源論争双方で非常に議論があるわけですね。本来もう十五年もなってくれば、資源については共通広場ができていいはずなんですけれどもサケマスについてもいわゆる豊漁年不漁年が隔年に来る。昭和三十一年以来の、たとえばサケマス漁獲高の取りきめを見ても、最高の場合が十二万一千トン、最低の場合で九万トンというふうな幅の中で、大体だんだんと減少傾向で、相手側から強要されておるわけですけれども、それにしてもその前提になる資源論争——きょうの報道を見ますと、モイセーエフ氏が十三日ですか、新聞記者会見か何かで、とにかく日本側資源に対する観察というのは甘いというふうなことをいまだに言っているわけですけれども、この点では日本資源調査という点では共同調査等もやるわけですし、同時にまた、日本独自でもそういう面には努力をするわけですから、どうしてこういう点についての共通広場——十五年もたって依然として資源論争が続く状態にあるのかという点が、ちょっと私どもには理解しかねる点もあるわけです。それからもう一つは、とる漁業より育てる漁業という全般的なこれからの漁業に対する基本方針等も出ました。けれども、たとえばサケマス等についても人工ふ化放流というふうなことを今日までもやってきておるわけであります。これは御承知のように北海道における国営のサケマス人工ふ化放流事業あるいは東北六県、茨城県、新潟県及び富山県における県営サケマス放流事業に対する助成とか、あるいは日本鮭鱒資源保護協会種苗移植センター及び漁協等サケマスふ化施設の整備に対する助成とか、いろいろな形でこういうサケマス源資保護立場からやっているわけですけれども、ことしの予算書を見ますと、さらに新しく政府として「北太平洋のさけ・ます資源の持続的再生産を確保するためソ連内の河川において日ソ共同による人工ふ化放流を行なうことを検討するための現地調査の実施を予定している。」ということで、予算的な措置等も新しく組まれたわけでありますけれども、質問をしたいのは、もちろん一方では資源問題に対する共同調査等も積極的に両国で進めなければならぬ。他面においてはサケマス等についても人工ふ化放流等を通じて資源開発、保存をやっていかなければならぬということで、双方ともにやってきておるわけですから、もう少しくこれらの点についてなぜ共通広場ができないのだろうか。  それと私どもとしては、かつてなくなった河野さん当時でもそういう提唱があったりしたわけですけれども、毎年毎年出漁期制約を受けるような、あわただしい中で漁獲量その他の問題がきまっていくというのでなしに、長期協定というふうな形に踏み切れないものか。せめて来年度についての内取りきめといふうなことが、もうここまでくればできないものかというふうな感じを、率直にいって持っておるわけであります。これらの問題は日本側からの主張として提起してないのか。あるいは提起しておるけれども、数年来の状況の中ではそこまでの形にいかないのかどうか。これはやはり漁獲期というものが制限をされておりますからして、もう押し詰まった段階交渉するということになると、なかなか十分な形にならない。長期協定の問題、あるいはせめて来年度の内取りきめというふうな形等を通じて、日ソ漁業交渉がもっと安定的に友好的にいく道はないのかどうかという点も含めて、お伺いをしておきたいと思います。
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 長期協定のことでありますが、実は私のほうも先方交渉いたしておる過程において、長期協定を結ぼうではないかということは、たびたび話が出ておるわけでありますが、もしこちらが長期協定についてほんとうにやるということになりますというと、現状の彼らの主張から申しますというと、こちらが非常に強い制限を受けざれば長期協定が結ばれない、そういう状況にあることがまことに遺憾千万であると思っております。お話しのように私ども長期協定は望ましいことでありますので、たびたびそういうことについてわりあいにハイレベルの話をいたしたのでありますけれども、現在のところではいま申し上げたようなことであります。そこで基本的にいろいろな問題が日ソ双方にはございますので、そういう高度の見地に立って、私はただいまお話しのような長期的、安定的な協定が結ばれることを望むわけでありますので、そういう点について努力は続けてまいりますが、現在の段階でそういうことを結ぼうといたしますと、非常にきびしいことが要求される、こういう状態であります。さらにただいまの一般のことにつきまして、水産庁のほうからお答えいたさせます。
  11. 大和田啓気

    大和田政府委員 サケマス人工ふ化協力につきましては、ここ数年来いろいろな機会を通じてソ連と話し合っておるわけであります。昨年におきましても日ソ漁業委員会開催機会にその話を持ち出しまして、その結果昨年の秋に当方から専門家がナホトカに参りまして、ソ連専門家と十分な話し合いをいたしたわけであります。私ども日ソ漁業委員会がいわばサケマス割り当て量とかニシン規制とか、そういうディスマルな問題の議論をするばかりではなしに、サケマス人工ふ化放流ということで、多少はおおらかになるような話をしたほうがいいではないかということが基本的な方針で、相当熱意をもってこの問題に取り組んでおるわけでございますが、人工ふ化の問題につきます評価が、どうも日本側ソ連側と若干の食い違いがあるようでありまして、人工ふ化の話をいたしますときでも、必ずソ連日本がもしサケマスをとらなければ、自然の再生産がもっと行なわれるのであって、結局日本がとらないことが一番いいのだというような話に絶えず戻るわけでございまして、私ども熱意が不幸にしてなかなかソ連に通じないという状況でございます。しかし先ほどもお話にございましたように約一千万円程度の調査費を今年度の予算に組みまして、私どものほうから専門家が向こうに出かけていって調査もし、またできるだけこの問題を積極的に進めていきたいというつもりは、ますます強く固めておるわけでございます。
  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 再度お伺いをしたいわけでありますけれども日ソカニ交渉の問題はもうここ数日のうちに妥結見通しをつけなければならぬという段階にきておるわけですが、この点については報道等を通じてでも難関の大陸だなに関する資源問題、こういうソ連側主張に対する大臣の御答弁からいきますと、いわば実質的なたな上げということに基づいて、あとはどれだけそれぞれのところでとるかという段階にきておる。したがってこれはスムーズに出漁ができるというふうに期待していいのかどうかという点が第一点。  それからもう一つは、サケマスニシンの問題については、まだ出漁までに若干時間があるわけですね。そういう交渉で、モイセーエフ氏の新聞記者会見の談話等見ましても、資源の問題についても、やはり依然きびしいことを言っているのですが、先ほど私がお尋ねした長期協定あるいは来年度の内取りきめというふうなこと等も含めて、日ソの全体的な友好関係というものを、漁業交渉等を通じてお互いに気まずい形にならないようにするということは非常に必要なことだと思うのですけれども、そういう点で、ことしはソ連側からモイセーエフ氏を団長にしてこちらに来ておるわけですから、大臣自身もそういう問題で適当な機会に会われて、今後の問題について話し合われるというふうな用意等もしておられるのか、あるいは団長の藤田さん等に一切おまかせをするという姿勢でおられるのか、それらの点も含めてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  13. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 カニ交渉につきましては実質的な話し合いを進められる段階にきておりますが、やはり先方はその実質的な交渉の中でも相当きびしい条件を現在までは提出いたしておりますので、その点もスムーズに合意を得られるかどうかということについては、現在モスクワにおいて鋭意努力中でございますので、その成果を期待いたしておるというのが今日の段階でありますが、出漁までにはできるだけこちらの要望が達成されるように最後努力を継続させておるということでございます。  それから長期条約を含め、わがほうと隣合っておる国でありますので、政府も十分そういうことを念頭に置きまして、ほかの種々多くの問題がございますので、そういう点については、ただいまお話しのように、政府といたしましては日ソ友好を深めるという立場から、最善努力をなお継続いたしてまいるつもりであります。
  14. 角屋堅次郎

    角屋委員 日ソ漁業交渉外交交渉の問題でありますし、責任ある大臣立場としては、大詰めにきておる交渉の今後の見通し等の問題についてあまり十分なことを明言することはできない点もあろうかと思います。いずれにしてもことしは、例年日ソ漁業交渉から考えてみますと、ソ連側は、カニ交渉にいたしましてもあるいはサケマスニシン交渉にいたしましても、印象としては従来以上に相当きびしい姿勢のように感じておるわけでありますが、今後日ソ漁業交渉妥結する段階において、従来以上に新たな規制が追加をされる、そういう形にならない、いわゆるこれらの関係業界の期待にこたえるような立場で、最後までひとつ最善努力をお願いをいたしたい、こういうふうに思います。  国際漁業関係の問題については日米加の問題、あるいは日韓なりあるいは日中の民間漁業協定の問題なり、インドネシアその他各般の問題があるわけでありますけれども、これは、法案の審議の問題もありますので、その点は別の機会に譲りたいと思います。  ただ今度の「漁業動向に関する年次報告」の中で、付録として、「世界漁業日本漁業」という点に数ページをさいて書いておられるわけでありますが、その中で、「わが国漁業国際的課題漁業分野における経済協力」という問題に触れておられます。これは逐年海外に、国際漁業舞台に出て行く日本漁業立場として、やはり沿岸国がそれぞれの漁業に対する権益の拡大主張する傾向にある、国際的規制は強まる方向に出ておる、したがってわが国としても、国際漁業舞台において、やはり可能な限りの漁業分野国際協力等も進めなければならぬ立場があると私ども判断をするわけでありますが、漁業分野における経済協力のこれまでとってきた措置なり、あるいはこれから新たにどういうふうなことをやろうとしておるのかという点について、これは水産庁長官でもけっこうでありますけれども、御説明願いたいと思います。
  15. 大和田啓気

    大和田政府委員 国際規制漁業に対してだんだんきびしくなるわけでございますから、それらの問題は国としていろいろ解決すべき方途もございますが、その一つの行き方として、海外事業との合弁をはかって漁業協力という形で海外における水産資源開発をはかるということも私はきわめて肝要なことであろうと思います。現在海外投資につきましては、国際漁業条約等の対象となっている漁業でありますとか、あるいは漁業法により指定されている漁業でありますとか、真珠の養殖業でありますとか、そういう特別のものを除きまして、投融資残高が百万ドル相当額以下のものの許可事務日本銀行に委託をして、相当自由化を進めておるわけでございます。その結果、海外投資相当活発でございまして、ことしの一月現在、国数にいたしまして三十四カ国、六十一の現地法人への投資が行なわれておるわけで、わが国投資総額は六十一億でございます。事業といたしましては、大きいのは底びき網漁業でございまして、なかんずくエビをとる漁業が多いわけでございます。  またこのほか、日本は、韓国に対しまして四十年十二月に「漁業に関する交換公文」等の発効がございまして、それによる経済協力を行なっておるわけでございます。またインドネシア等につきまして、インドネシアとの民間協定を延長いたしますことを一つのきっかけといたしまして、四十五年に五百万ドルの円借款の供与の話をいたしまして、これは現在その内容をインドネシア政府において具体的に詰めておる段階でございます。  右のほか、技術協力の面におきましては、研修員の受け入れ、あるいは専門家等を相当各地に派遣を行なっておるのが実情でございます。
  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 水産庁の公害関係の問題でありますけれども、主要水域における公害の総点検というのを昨年の九月以降各都道府県に対して行なってまいりました。たしか前の機会に参議院の委員会で、これは予算委員会でありますけれども、野党の質問に対して水産庁の長官のほうから調査の中間報告というものをなされたのが大々的に新聞等に報道されました。この機会に、あれから若干たっておりますが、その後の調査の集約等も含めて水産庁が行なった調査の要領と実際の調査の内容等について、現状の中間報告をしていただきたいと思います。
  17. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども昨年の九月に都道府県に委託をいたしまして、やや心配と思えるような海域を中心にいたしまして、一斉点検をいたしたわけでございます。  その水域の数は海域で百三十七、河川で七十九、湖沼で十一ということで、東京と群馬県を除く各都道府県にわたっておるわけでございます。  その結果、この調査で取り上げました内容を申し上げますと、たとえばPHでありますとかBOD、COD、それから懸濁物質、SSといわれるもの、それから溶存酸素、アンモニア態窒素等の水質、それから強熱減量あるいはCOD等の底質、それからさらに問題の地点につきましては水銀、カドミウム等の重金属の調査をいたしたわけでございます。この重金属関係調査が、県の衛生試験所がいろいろ公害問題で忙殺をされておりまして、なかなか私ども調査の資料の検討に入ることがおくれている状態で、まだ重金属関係調査が終わっておりませんので概略申し上げますと、海域につきましては、CODで見ますと、報告のありました百二十九のうちでおおむね半数程度の海域が相当水質が悪化をいたしておるという報告でございます。ただ私どものこの調査をやりましたときに一定の基準を設けて調査を進めたわけでございますが、やはり水産庁調査ではございませんで県の調査でございますので、相当地点にばらつきがございまして、相当悪いとされている海域のものを綿密に検討いたしますと、たとえば工場の排水口に近いところの調査地点が非常に多いとか、あるいは非常に濁った川の出口に近いところが非常に多いということで、いま私が申し上げました半分程度の水域がかなり漁場としての価値が問題になっているということも、そういう含みがあるということをひとつ御了承をいただきたいと思います。さらに、同じように河川で見ますと、これも報告のありました五十七の水域のうちで半数程度の河川については、全部の区域ということではありませんけれども、一部の区域について相当水質の悪化が認められるところがあるわけでございます。湖沼についても大体同じ程度でございます。  私ども重金属に関する調査が終わり次第、全体として、日本全体の海域あるいは河川、湖沼等の汚染の大体の姿がわかるわけでございますから、各県に指導をいたしまして、一体そこでどういうふうにしてこの汚染を改善するか、あるいはこれ以上汚染が進まないようにどういうくふうが必要かということについて、各県とよく打ち合わせてこの問題を前進させたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 海上保安庁からもおいでを願っておりますが、これは海上保安庁プロパーのお仕事もありますし、同時にこういう海域等の汚染問題については、いろいろ公害総点検という立場で活躍をしておられるわけでありますが、御承知のように昨年の秋に公害国会とも称すべき臨時国会が開催をされまして、水域、海域等の問題については水質汚濁防止法とかあるいは海洋汚染防止法とか、こういうそれぞれ新法ないしは新しく法改正等を含めた立法措置が十数項目にわたってできたわけであります。いま水産庁のほうから主要水域におきます公害総点検の中間報告をいただいたわけでありますけれども、海上保安庁等がこの公害の水域、海域等の問題を見ておられて、ますます悪化の状況に進んでおると見ておられるのか、あるいは昨年来の公害の非常な大キャンペーンということがある程度効果をあげてまいりまして、逐次企業の姿勢も変わってまいるというようなことで、好転の傾向を見せていくだろうというふうに判断しておられるかという、そういう点等も含めて海上保安庁のほうからも御答弁を願いたいと思います。
  19. 上原啓

    ○上原(啓)政府委員 お答え申し上げます。  昨年の公害国会におきまして海洋汚染防止法その他制定されまして、非常に従来とは打って変わった法的には強力な措置が講ぜられたわけでございます。これによりまして国民一般、特に中央側の公害に対する姿勢、関心というものは非常に大きく変わってまいったと思っております。昨年制定せられました海洋汚染防止法、水質汚濁防止法その他まだ完全実施には至っておりませんが、すでにその趣旨は相当徹底いたしておる。また海上保安庁の第一線の職員も非常に張り切った気持ちでやっておりますので、実効は着々あがっておるというぐあいに私どもは考えております。ただし、現在の姿でまだ完全なものとは考えておりません。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 水産庁長官が参議院の内閣委員会から要請があってちょっと出られるというので、質問はあれですけれども、要請があればけっこうだと思います。そこで水産庁長官の留守中は、大臣に関する以外の点は次長以下、その辺のところでお答えを願いたいと思います。  御承知のように、いま公害の問題を特に中間報告と関連をして取り上げましたが、沿岸漁業関係では、一番大敵というのは、公害問題が激発してまいりますると、くさい魚その他の関係で、とにかく沿岸漁業としては成り立ち得ないというところへ追い込まれるわけでありますし、三十年代の経済の高度成長の中で公害列島といわれる状態は、沿岸漁業に一番致命的な影響を与えてきていることは間違いがないのでありまして、水産庁がおそまきながらやはり公害の総点検ということに乗り出された姿勢は、私ども多とするわけでありますけれども、これは水産庁だけの問題ではなしに、政府あるいは関係省全体の問題でありますが、さらに水産庁としても優良漁場を守る立場から積極的にこの問題には取り組んでいきたいというふうに考えます。  そこで、これからの漁業問題を考える場合には、やはり漁業の需給関係問題という判断を一応しなければならぬわけでありますが、御承知のように昭和四十四年の十月二十七日、水産庁として「水産物の需給の動向とその対策について」ということで、いわば中期見通しを出されたわけであります。これは若干最近の情勢等も含めて今後長期見通し等も立ててまいらなければならない。農業の場合には農業基本法に基づいて主要農産物の長期見通しは立てなければならぬということになっていますけれども漁業の場合には必ずしもそういう規制をされた形になっていない。もちろん、後ほど質問をいたします海洋水産源資開発促進法の関係では、水産物の生産と需給の関係については、そういうものに即して基本方針あるいはその他のものを立てていくようになっておりますから、当然これは整備されてまいると思いますけれども、現実に昭和四十四年の段階で立てた「水産物の需給の動向とその対策」あるいはその後の修正という立場から、需給の関係をどういうふうに判断をしておられるか、この点御答弁を願いたいと思います。
  21. 劔持浩裕

    ○劒持説明員 昭和四十四年に水産庁で推定いたしました五十二年の需要と生産見通しがございますが、これによりますと、五十二年では、需要と国内生産の間でほぼ二百九十万トン程度のギャップと申しますか、生産の不足が生ずるということになっております。そこで現在新たな法律を提出することとの関連におきまして、新たな見地からその需要と生産につきましての見直しの作業を作業中でございます。と申しますのは、四十四年の時点での生産見通しと申しますのは、いわゆる単純見通しということで作業してまいったわけでございますけれども、現在いわば意欲見通し的なもので作業を進めているということでございます。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 四十四年のときの見通しの内容と、それからこれからのことを少し……。
  23. 劔持浩裕

    ○劒持説明員 四十四年の見通しの内容を申し上げますと、五十二年時点で需要が千二百三十四万トン程度というふうに見通しております。それに対しまして国内生産はほぼ九百五十万トン程度ということで、その差が二百九十万トンということになるわけでございます。
  24. 角屋堅次郎

    角屋委員 今度の新法との関係では、この水産物の需給の見通しというものをもっと精査をしなければならぬ段階に私は来ておると思いますけれども、いずれにしても昭和四十四年十月の水産庁の立てた「水産物の需給の動向とその対策」という中で見通しておる昭和五十二年の見通しで、需要の関係は魚介類で——ちょっといまのあれは数字が落ちておったのかどうかわかりませんけれども、魚介類では千百五十七万一万トンと承知しております。それから海藻類で七十六万九千トン、国内の供給量として魚介類が八百九十万トン、海藻類六十万トンというふうなことから見て、先ほども答弁がありましたように、供給が二百九十万トンから不足の見通しである。これは大体大勢はそう違わないと思います。問題は、これからは積極的な施策を通じてこの需給のアンバランスを、差をさらに縮めたいということも含めた考え方を打ち出そうということだろうと思いますけれども、それは趣旨としてはけっこうだと思うのです。いずれにしても、そういう点について積極的にこれから取り組まなければならぬ。そうなりますと、先ほどの公害の問題あるいは長期見通し等の問題と関連をして、これからの沿岸漁業資源、漁場、こういうものの開発とかあるいはこれからの育成強化等をどうするかということが問題になるわけです。これはきのう与党の質問の中でも取り上げられましたが、御承知のとおり、昭和四十五年十一月の取りまとめとして、沿岸漁業開発対策研究会あるいは全国漁業協同組合連合会という形で「沿岸漁業資源・漁場開発の背景と対策」ということで積極的な提言が行なわれておるわけですね。これを受けていわば新法が生まれてきておるという背景が私は一つあると思うのですけれども、ただ、この中では事業団構想その他を含めて年間百億台の国家予算を少なくとも投資をして、大々的な資源開発をやるべきだということを提唱しているわけでありますが、これらの問題についてはどういう受けとめ方をしておるのか、あらためてひとつお伺いをしておきたいと思います。
  25. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまお話に対して政府委員からお答えいたしました。五十二年の需要それから国内生産量等についてはいま申し上げました。  そこで私どもといたしましては、先ほどもお答えの中に申し上げましたように、一つは増殖並びに養殖について重点的に力を入れること。それからただいま御審議を願っておりますことの中にありますような新漁場の開発、そういうようなことについて力を入れてまいらなければならない、こう思っておるわけであります。それにもかかわらず、やはり先ほど申し上げましたように、若干の不足を生ずるという傾向についてどのように対処すべきであるかということが将来に残された大きな問題でありますが、私どもといたしましては、いま御存じのように、各地における養殖それから新漁場の開発、こういうことに全力をあげてまいって、この五十二年の見通しについての需給のバランスがとれるように最善努力をいたしてまいりたい、こういう考えでございます。
  26. 角屋堅次郎

    角屋委員 倉石農林大臣水産庁長官がおられないと手元不如意だと思いますので、私漁港の比較的わかりやすい問題に入って、そこからまた質問していきたいと思います。漁港部長も来ておると思います。  今回の漁港法の一部改正は、附則の第二でもって御承知のように、国以外の者が北海道において漁港修築事業を施行する場合、これは「当分の間、」ということで、いわゆる本法の「第二十条第二項又は第三項の定める割合によらず、」にとにかく補助率を引き上げておったわけであります。その全額としておった補助率を今度は百分の九十に引き下げるという改正をやろうとしておるわけであります。これは漁港に限らず、建設関係あるいは運輸省関係等についても、港湾はいま直ちにということではなしに、私ども承知しておるところでは来年以降やる。建設についてはすでに政令でもって四月一日からすべり出しておるというふうに承知しておるわけであります。ここで漁港法の一部改正を通じて、いままで全額であった補助率を百分の九十にする、この考え方の基礎は提案理由の説明でも出ておりますけれども、どういうところに基礎を置いてこういう改正をしたのか、これをまず簡単に御答弁願いたいと思います。
  27. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 北海道の漁港修築事業につきましては、漁港法の附則によりまして、従来は当分の間水域、外郭施設は全額ということに相なっております。その当分の間というのは、漁港法ができたのは昭和二十五年で、その規定の入りましたのは昭和二十六年でございます。その時代には北海道の総合開発という観点から、また北海道わが国漁業という立場で非常に重要な位置を占めておりますので、そういう観点から漁港整備を促進しなければならないということで、そのために当時の北海道の財政事情等も勘案いたしまして、当分の間は水域、外郭のような金のかかる基本施設は全額で処理をするということに相なっております。これは港湾等も同様でございます。ところが最近におきましては北海道の財政事情等もかなり好転を見てきておりますし、また北海道総合開発もそれぞれ成果をおさめておる段階におきまして、この際地方の費用も一部入れまして、補助率を多少ダウンをいたしまして事業を伸ばしたほうが効率的ではないだろうか、こういうようなことに相なりまして、これにつきましては北海道及び関係のところとも十分検討いたしまして、了解の上でそういうことにいたすことにしたわけでございます。なおこの一割ダウンにつきまして地方負担がそれだけふえるわけでございますけれども、それにつきましては北海道の市町村には負担をさせないで、全額道が持つということに相なっておるわけでございます。
  28. 角屋堅次郎

    角屋委員 北海道開発庁からもおいで願っておると思うのでありますが、漁港それから建設関係、それから運輸の港湾関係を含めての漁港に準じた措置等の具体的な段取りと内容についてお話を願いたいと思います。同時に、いまちょっと漁港の問題についての財政的な問題に触れられましたが、これは大蔵省、自治省等との関連の問題の中で財政的な点についてはどういうふうな申し合わせになったのかという点も北海道開発庁のほうからお話を願いたいと思います。
  29. 新保實生

    ○新保政府委員 北海道開発に関しましてはその国家的な重要性にかんがみまして、戦前からほかにない行政機構と、行財政制度に対しましても若干の特例制度のもとにその開発を進めてまいったわけでございます。ただいま問題になっております国庫負担率の問題も、ここ数年来関係省の間において問題にされておったことでございまして、ここに至るまでには道とも十分御相談をし、また大蔵省あるいは自治省とも十分御相談の上でこういう措置をとることに相なったわけでございます。  そこで、お尋ねの公共事業の負担率の特例は漁港だけでございませんので、ほかにもいろいろございます。御承知のように北海道におきましては国が総合開発計画をつくりまして、それに基づいて各種の事業を行なうことになっております。第二期北海道総合開発計画と申しますのがこの四十五年度、昨年度で終わりまして、四十六年度からは第三期の十カ年計画が始まる、そういう切れ目にも当たるわけでございます。その機会に、先ほど漁港部長から申し上げましたような趣旨において公共事業の負担率の調整を行なったわけでございますが、まず建設省の関係におきましては河川、道路につきましてこれを行なったわけでございます。河川につきましては河川の改修事業がございますが、これは従来十分の十、十割国庫負担でやってまいったわけでございますが、四十六年度からは大規模の工事、事業費五億円以上の工事につきましては十分の九・五にする。それ以外の工事につきましては十分の九に下げる。それから一級水系の補助河川がございますが、その河川改修の補助につきましても従来の十分の十から十分の九にする。多目的ダムの建設につきましては従来の十分の十を十分の九・五にする。それから一級水系の補助で治水ダムの補助がございますが、これは十分の十を十分の九にする。以上は改修関係でございますが、河川の維持とかあるいは直轄堰堤の維持という事業がございます。これも十割でございましたが、これは十分の八、こういうふうに四十六年度からいたしたいと考えておるわけでございます。  道路に関しましては国道の一次改築、これは十分の十を十分の九・五、それから積寒の道路の維持あるいは交通安全施設の施設整備事業でございますが、これは十割を九割負担にするということにいたしております。それから直轄道路の維持、修繕でございますが、従来は十割でございましたが、これを十分の八、八割負担、かように四十六年度から改めたいと考えておるわけでございます。  この具体的な内容につきましては予算の、いわゆる大蔵省原案の内示前におきまして道庁あるいは自治省、大蔵省と十分協議の上この措置をとることに決定いたしたわけでございます。
  30. 角屋堅次郎

    角屋委員 建設関係、たいへん親切に内容まで、大綱でよかったわけですが、恐縮でございました。  そこで、自治省から来ていただいておると思うのですけれども、当然補助率を引き下げれば漁港については漁民の負担には直接かけない、道自身で考える、こういうお話がございましたが、北海道の負担の増加分は、昭和四十六年度の漁港について一応試算の数字を資料としていただいたのを見ますと、実質的な増加分が五億二千五百万円程度というふうに資料として出ておりますが、それに建設その他を含めていわゆる補助率の引き下げによる北海道自身の負担の増加分があるわけでありますが、これは北海道自身ですべてまかなうというわけには当然いかない問題でありまして、いわゆる昭和四十六年度の地方財政計画というふうな中で道の負担の増の分についてどういうふうな形でアロケートしていくか、国と道の間でアロケートしていこうかという問題を含んでおると判断をいたしておるわけであります。これら補助率の建設、農林等の引き下げに伴います地方財政に対する手当ての問題については、自治省としてどういうふうにやっていくつもりであるのか、御答弁を願っておきたいと思います。
  31. 森岡敞

    ○森岡説明員 ただいま北海道開発庁のほうからの御答弁がございましたが、北海道のいわゆる十割補助の制度につきまして、漁港だけでなくて、河川、道路、それぞれにつきまして若干の手直しが行なわれております。それによります道の負担の増加額は、四十六年度予算ベースでおおむね五十七億円程度というふうに見ております。その中で漁港分は、いま御指摘のように五億強でございます。この負担増につきましては、基本的に、開発庁から御答弁がございましたように、やはり事業を伸ばしていきたい、そのためには道の負担も若干増加を求めていく、こういう考え方から出たものだと私どもは考えております。しかし、道財政必ずしも十分であるとは申せませんので、私どもといたしましては、道財政の状況を見ながら、主として地方交付税を中心にいたしまして、事業実施に支障の生じないように適切な財源措置を講じていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  32. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁港法の一部改正北海道に関する部分と関連をいたしまして、この際漁港整備に対する若干の問題についてもお尋ねをいたしておきたいと思います。  御承知のように、現在四十四年度から四十八年度にわたる第四次漁港整備計画の実施過程にあるわけであります。大体三年を経過しておるわけでありますけれども、この三年間の漁港の修築事業の進捗率というものを見てまいりますと、全国的には四五・七%程度の進捗率だと承知をしております。本土が四六・一、北海道四六・九、離島が四三・二、こういうふうに承知をしておるわけですが、あと二年のことを考えてまいりますと、必ずしもテンポとして順調にいっておるよりは、少しおくれぎみであるという感じもします。事業費二千三百億円の問題にいたしましても、最近の物価の上昇等から見ますと、さらに増額等の問題ももちろんあろうと思いますが、それにいたしましてもこの進捗度というものでは必ずしも順調にいっているとはいえない面があるように思います。そういう問題について、いわゆる四十七年、四十八年、二年度では一〇〇%完遂にいくという見通しを持って、現在の三カ年までの漁港整備計画を進めてこられたのかどうか。  さらに、御承知のように漁港の問題については、修築事業のみならず改修事業、さらに局改事業——局改といえば事業費が三千万円程度まで、それから三千万円から一億程度までの改修事業というものが数年前から新しく設けられたわけでありますけれども、それに漁港整備計画に基づく修築事業、こういうことになりますが、ここでやはり第四次の漁港整備計画にあたっての漁港整備の基本方針として、従来からいわれておりますところの拠点漁港といいますかあるいは中核漁港といいますか、いわゆる漁業地域におきます漁業経済圏の拡大、あるいは漁業協同組合のいわば合併というのは、必ずしも順調にいっておりませんし、今度五カ年間延長してどこまで成果があるかというのはこれからの努力の問題でありますけれども、いずれにいたしましても、いわば地先漁業的な性格から漁業経済圏の拡大に伴うところの漁業協同組合の合併問題というふうなものも、漁業権等でなかなか制約がございますけれども、これもやはり進めてまいらなければならぬ。進めるとすれば、やはり従来の障害条件に対する新しいくふう等の問題ももちろんあろうと思いますけれども、それは水協法の問題のときにさらに議論をするといたしまして、いわゆる漁港整備の基本方針として、総花的ではなく、拠点漁港あるいは中核漁港というふうなものを中心にした漁業経済圏を構想に入れた整備計画というものが路線に乗っておるのか、あるいはなかなか、政治的な、地域的な条件からいっても、そういう考え方はとりにくい条件等もあって、やはりそれぞれの地域の要望というものを消化しながら漁港整備を進めるという姿勢で臨んでおるのか、いわばこれからの漁港整備に対する取り組みの基本姿勢というものも含めて御答弁を願っておきたいと思います。
  33. 大和田啓気

    大和田政府委員 御指摘のように、第四次の漁港整備計画、四十六年度はその三年目でございますが、修築事業で約四六%、改修と局部改良とを含めまして約四五%程度の進捗率を示しておりまして、四十七年度、四十八年度におきまして、漁港整備計画の第四次分を一〇〇%完遂いたしますことは、これはなかなか容易なことではございませんけれども、漁港予算は過去三年相当な勢いで伸びておりますので、私は、この勢いに乗って、四十七年度、四十八年度予算は漁港第四次計画を完遂するつもりでやっておるわけでございます。その可能性もあるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから漁港の整備の基本方針でございますが、これは御指摘のように、漁港の数は二千七百七十もあるわけでございますから、それを総花的に整備するということは、はなはだ純粋に、経済合理主義の立場から考えますと、割りに合わないという点が確かにあるわけで、拠点に集中して工事をしたらどうかという意見も現にあるわけでございますが、そういう小さな漁港も、これはまた漁村にとりましては漁業生産の拠点であるばかりでなしに、やはり生活の中心でもあるわけでございますので、捨てて大きなところだけをかまえばいいというふうにも私どもは考えない。その調和の問題でございまして、漁港で三種あるいは特定三種等についても相当な力を加え、また大きな水揚げ漁港につきましては、本年度から流通加工センターという相当大規模な事業もやっておりますけれども、第一種の漁港につきましても、やはりほどほどに整備を進めてまいりたい。両方やはりやるということが漁港整備の基本的な考え方でございます。
  34. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁港の整備の問題と関連して、従来からも、漁港整備計画等の議論をするときにも議論になったわけでありますが、第一種漁港から始まりまして、二種、三種、特定三種、さらに四種と、こういう漁港種類がございますが、それらの、やはり北海道とその他の地域で、本法においても補助率を分けておりますけれども、いわば補助率の引き上げ問題、これは一種、二種、三種、四種を含めてでありますけれども、こういう補助率の引き上げ問題というのを、現時点で今後の方針としてどう考えておられるか。さらにまた、漁港の整備の場合の、国から都道府県、市町村、いわば国と地方公共団体、こういう負担が全国的に、資料で見るまでもなく都道府県、市町村の段階の負担というものが全国的にもまちまちであります。そして漁協あるいは漁民の負担の全然ない漁港整備のできるところと、やはりある程度漁協や漁民の負担が伴っておる県と、そういうふうに分かれておるわけであります。資料によりますと、全然漁協あるいは漁民等の負担にならないところが約半数近く、その他の県は大なり小なり漁協等の負担あるいは漁民の負担が伴っておるというふうに分かれておるわけでありますが、これは水産庁の漁港整備という方針から見て、国の負担は、一応北海道とその他地域ということで分かれて、そういう仕分けをしておるわけであります。それに補助率の引き上げ問題はもちろんありますけれども、これをどう考えるかということと同時に、都道府県、市町村というのは、これは義務負担ではありませんから、若干そのばらつきはございますけれども基本方針として、第一線の漁民の負担をかけずに、公費負担でいこうという指導の方針で今日までやってきておられるのか、あるいは若干のそういう漁協等の負担になっておる分については今後解消していきたいという方針で臨んでおられるか、それらの問題も含めて、ひとつ御答弁を願いたいと思う。
  35. 大和田啓気

    大和田政府委員 御指摘のように、漁港整備につきまして漁協がある程度の負担をしておる県があるわけでございます。   〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕 私ども、指導方針といたしましては、できるだけ漁協に負担をかけないようにということを絶えずいろいろな会議等を通じて話しておるわけで、その方針は今後も続けていきたいと思います。  それから補助率の問題でございますが、これは、いままで大勢として少しずつ補助率アップをいたしてまいりました。一種、二種、あるいは特定三種につきましても、ここ数年の間にかなりの改善を見てまいったわけでございまして、補助率の問題というのは、これは他の公共事業等との振り合いもございますし、ただいまのところ、私どもの率直な気持ちを言わしていただきますれば、補助率アップということはけっこうで、できるだけそういう方針で進みたいと思いますけれども、しかし、まず第四次の漁港計画の完遂というところに重点を置いて、全精力をそれに充てるという、そういう基本的なかまえでございます。
  36. 角屋堅次郎

    角屋委員 自治省から来ておられる担当にこの際若干お伺いしておきたいのでありますが、いま取り上げました国の補助率というのは漁港法できまるわけでありますが、都道府県あるいは市町村というのは、これはそれぞれの若干のばらつきがございます。そういうことで、漁協等の負担のある地域の県と、それからそれが全然要らない県とあるわけですが、自治省として、これは義務負担には必ずしもなっておるわけではありませんけれども、都道府県あるいは市町村負担というふうなものについては、何か一定の指導方針をお示しになっておられるのかどうか。これは単に漁港ばかりではございません。その他公共事業等の実施にあたっての、いわば地方自治体に対する助成姿勢といいますか、考え方といいますか、そういうものについてはどういう方針をおろされておるのか、それをちょっとお答えを願っておきたいと思います。
  37. 森岡敞

    ○森岡説明員 御指摘のように、各種の事業につきまして受益者負担という問題がそれぞれあろうかと思います。これはもう申し上げるまでもないことでございますが、地方財政法では、県が行ないます土木その他の建設事業につきまして、市町村に、利益の限度において分担を求めることができるという規定がございます。また地方自治法で、これは地域住民に対しまして、これまた利益の限度において受益者分担金を求めることができるという規定がございます。漁港のみならず、それぞれの事業につきまして、利益があります場合に負担を求めておりますのは、いま申し上げた規定に基づいてそれぞれ負担をお願いしておる、こういうことであろうかと思います。そこで、その受益者負担のあり方についてでございますが、実は仕事の中身がいろいろでございますし、同時にまたその受益の程度というものが必ずしも一定しておりません。したがいまして、これを一律の基準と申しますか、指導方針と申しますか、そういうことで受益者負担のあり方を統一してしまうということはきわめて困難なことだと考えております。したがいまして私どもといたしましては、漁港のみならず、全般的に受益者負担は事業費の何割がいいとか、そういうふうな統一的な指導は、いまのところいたしておらないのでございまして、それぞれの地域の実情に応じまして適切な措置を講じていっておるものと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 角屋堅次郎

    角屋委員 ちょうど十二時になりましたので、区切りもいいと思いますので、午後引き続き質問をいたしますが、午前はこの程度にいたしたいと思います。  ただ、漁港はこの程度で終わりますが、先ほど漁港整備の問題については水産庁長官から御答弁のように、零細な漁民の地元負担をむしろ解消して、公費負担でやっていくという積極的な姿勢を含めて、今後の第四次漁港整備計画の一〇〇%実現、内容の充実という点をひとつ努力してもらうようにお願いをしておきたいと思います。  午前の質問は以上で終わりまして、午後引き続きあとの問題について質問させていただきます。
  39. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 午後一時より再開することとし、これにて休憩いたします。    正午休憩      ————◇—————    午後一時二十七分開議
  40. 草野一郎平

    ○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  41. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁港法の一部改正の質問に引き続きまして議題となっております水産業協同組合法の一部改正について引き続き質問をいたします。  本法は、御承知のように昭和二十三年十二月十五日、法二百四十二号で制定をされましてから以降、二回にわたる修正が行なわれてまいりまして、今回三度目の修正をやろうということに相なっておるわけであります。そこで法制定以来昭和二十五年の改正、それから昭和三十七年の改正、この二度の改正が行なわれましたが、この二十五年並びに三十七年の改正の要点についてまず水産庁長官から御答弁を願いたいと思います。
  42. 大和田啓気

    大和田政府委員 三十七年の改正一つの要点は、当時の漁業近代化の勢いに乗りまして法人を正組合員にどういう形でやるかということが問題になったわけでございます。そこで、常時従業者三百人以下で、かつ使用漁船総トン数三百トン以下のものを漁業協同組合の正組合員とする、あわせまして地区漁協につきましては千トンまでのものを准組合員にする、業種別組合につきましては二千トンまでのものを准組合員にするということが、一つの大きな改正であったわけでございます。
  43. 角屋堅次郎

    角屋委員 長官、二十五年の改正の問題にはお触れになりませんでしたが、要するに二十五年の改正を通じて、漁業協同組合の准組合員に、常時従業者三百人以下、かつ使用漁船の総トン数三百トン以下の漁業を営む法人を准組合員に加える、あるいは水産加工業協同組合の准組合員に、常時従事者四十人以下の法人を加えるというのが昭和二十五年の改正で行なわれまして、これが三十七年の改正を通じて、いずれも法人については正組合員という形に格上げになる。したがって内容的には准組合員から正組合員になるに伴いまして、今度は新しく法人の准組合員資格のものが当然出てまいるわけでありますけれども、それと長官からも御答弁がありました以外に漁民の正組合員資格要件についての漁業日数の下限を年間三十日から九十日に引き上げる等々の改正が三十七年の改正で行なわれて、今度は三度目の八年ぶりの改正案として組合員資格の範囲の拡大等を含む改正案をやろう、こういうことに御承知のようになっておるわけであります。  そこで、この水協法の改正をやるにあたりまして、御承知のように水産庁としては水産業協同組合問題の検討会というのを持たれまして昭和四十五年の十月三十日に「水産業協同組合問題の検討結果要旨」というものを検討会として取りまとめられ、これを受けてこの趣旨を尊重して今回の改正の運びになった、こういうふうに承知をしておるわけでございますが、特にこの機会にやはり改正を行なわなければならぬいわゆる水産業協同組合をめぐる条件といいますか、そういうものについてどういうふうに考えておられるか、お答えを願いたいと思います。
  44. 大和田啓気

    大和田政府委員 沿岸漁民が所得とその生活水準とを高めるためにはやはり国なり県なりの公的な援助がもちろん必要でございますけれども、それにも増してやはり自力で協同組織の力をかりて生産と生活を伸ばすということが一番大事であろうと私は思います。そういうことで今後ますます漁業協同組合が地区別組合にしろあるいは業種別組合にしろ、その組織を拡大し、また事業量をふやして流通加工の面にも漸次進出をして、やはり漁村経済の中核的な存在にならなければならないというふうに思うのであります。しかし現行法で見ますと、一つの問題点は、最近の漁業近代化の波に乗ると申しますか、漁業の経営規模が相当大規模化してきておるわけでございます。また経営の近代化ということに関連して個人企業が漸次会社企業に移りつつあるわけでございまして、それらの中堅的な漁業者、法人になりましたものを協同組合の中に含めることがやはり協同組合を強くし、また協同組合が漁村経済の中核的な存在になることの一つの大事な点であろうというふうに思います。それ以外にも水産加工組合等の問題もございますけれども、組織の面で漁業の実態に合わして法律を改正すべきではないかということが第一点でございます。  それから漁業協同組合ができるだけ身軽にまた能率的に、しかも組合民主主義といいますか漁民民主主義といいますか、民主主義の線に沿うてできるだけ合理的に組合を運営するためには、先ほど農業協同組合法の改正でやりましたように、たとえば総代会の問題あるいは連合会の一人一票制の問題あるいは選挙にかわる選任制の導入の問題等々協同組合法に新しい経営原則といいますか、管理運営についての新しい方法を入れることが必要ではないか。したがいまして、今回の法律の改正はまず漁業の実態に即して組合員の構成要件を改めること、また組合の経営管理をできるだけ合理的なものにするための改正、この二点が法律改正のねらいであるわけでございます。
  45. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで今回の改正を通じまして、先ほど申しました検討会の集約等も尊重しながら改正を提案をしておるわけでありますが、改正の項目とすれば、漁業協同組合の組合員の資格の規定の整備であるとかあるいは漁業協同組合の事業に関する規定の整備あるいは役員に関する規定の整備、あるいは総代会に関する規定の整備、漁業協同組合の剰余金の配当に関する規定の整備、漁業生産組合に関する規定の整備、漁業協同組合の連合会に関する規定の整備、あと水産加工業協同組合と連合会及び水産業協同組合共済会に関する規定の整備というように多面的になっておるわけでありますが、第一に漁業協同組合の組合員に関する規定の整備として、いわゆる正組合員の法人の資格あるいはまた法人の准組合員の資格の範囲というものを変更をしてまいりました。これは当初二十五年改正のときに法人が准組合員の資格を得、それが三十七年の改正を通じて正組合員資格に人ってくる。さらに正組合員に入った法人の資格について従来の三百人、三百トン以下という形のものについて、三百人はそのままでありますけれども、これを千五百トン以下というふうに引き上げたのが正組合員資格でありますし、准組合員につきましても三百人以下でかつ使用する漁船の合計トン数千トン、業種別については二千トンというふうになっておったのを一括三千トン以下というふうに変えてまいっておるわけであります。そこで、こういう改正を通じていわゆる法人の形態として、正組合員の場合あるいは准組合員の場合にどの程度のものが新しくそれぞれの正組合員あるいは准組合員に増加されていくかという実態について御答弁を願いたいと思います。
  46. 大和田啓気

    大和田政府委員 現在漁業協同組合の正組合員の資格は、先ほど申し上げましたように三百人以下、かつ三百トン以下ということになっておるわけですが、今回それを千五百トン以下に改めることによりまして、新しく組合の正組合員になれるものは四十三年の漁業センサスによりまして三百七十会社ほどでございます。また千五百トンないし三千トンまでのものは准組合員の資格があるわけでございますが、これも漁業センサスの結果によりますと三十七会社でございまして、三百七十会社、三十七会社と申しましても、数としてはわりあい少ないものでございますけれども、これがそれぞれカツオ・マグロ漁業あるいはまき網漁業等々の相当中堅的な漁業者であるわけでございます。
  47. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは昭和四十三年十一月一日現在の第四次漁業センサスに基づく御答弁だと承知をしております。これは漁船漁業法人についてでありまして、定置とか養殖その他の漁業法人がそのほかに形態としては四百四十六あるということになっておりますが、漁船漁業法人の階層別経営体数としては三百トン以下が七百十八、三百トンから千五百トンが三百七十、さらに千五百トンから三千トンが三十七。今度は千五百トンから三千トンというふうに正、准組合員資格のそれぞれの改定が行なわれて、したがって繰り上げあるいは新規に入るというものが出てまいったわけでありますが、そのほかに三千トン以上というのが二十三ございまして、これは法人数からいえば二%でありますけれども漁獲金額からいけば五〇・九%を占める。これはいわば大資本漁業経営体というふうなものがその中に大多数含まれておるということを実態的にあらわしておると思うのであります。そこでこういうふうに法人の組合員、正組合員、准組合員の資格の引き上げに伴いまして漁業協同組合本来の性格との関連ということを一体どう考えるか。申し上げるまでもなく、漁業協同組合本来は漁業者というふうなものを組織原則にして漁業協同組合が構成される、そういう立場から、水産業協同組合法の中でも、第一条の目的でもって「この法律は、漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、もってその経済的社会的地位の向上と水産業生産力の増進とを図り、国民経済の発展を期することを目的とする。」つまり、この法律の目的の中では「漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、」ということで、協同組合の組織原則として個人を組織構成の原則にいたしておるわけであります。それに法人組織のものが准組合員に二十五年改正を通じて入り、それが正組合員に三十七年改正を通じて入り、さらに今回の三度目の改正を通じてそれが範囲を引き上げられる。これは漁業のこれからの、漁業協同組合を含めた水産業協同組合のいわば強力な発展という立場から、これがいけないというわけではありませんけれども、しかし協同組合の組織原則との関連において今後ともにこれが上限をどんどん引き上げていっていいのかどうか、そういう点のメリットをどこに考えて今回の改正に踏み切ることになったのかということがやはり一つの問題だろうと思いますし、同時にやはり水産業協同組合法の目的その他の点についての改正を行なわずしてこういう正組合員あるいは准組合員の資格を上げていくということは、立法全体の総合的な体系から見て、疑問が残るのではないか、そういうことも含めて一体どういうふうに考えておるのか、あるいは今後の正組合員、准組合員の資格等の引き上げ問題について、今後の問題をどう考えるのかという点も含めて基本的な考え方を聞いておきたい。
  48. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業協同組合の組合員の本質が漁民という個人であることはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、漁業協同組合の正組合員になれる法人というものは性格としてやはり一つの限界があると私は思います。その限界と申しますのは、個人でも当然二千トン、三千トン級の個人があるわけでございますから、個人経営と実質的にそう変わらない、もう少し別なことばでいいますれば、やはり中小企業的な漁業経営が協同組合の正組合員になれる限度であろうというふうに私は思います。また今回千五百トンで線を引きました、その漁業者を見ますと、実質的には個人経営、漁民の名に値するような者であることは御無知のとおりでございます。将来の問題といたしましては、いま申し上げましたことが原則でございますから、片方ではやはり漁業経営自体の動きがございましょう。だんだん大規模化していくわけでございます。それからもう一つは中小企業協同組合法等の法制の変化、あちらの側で中小企業というものの規模が変わる可能性もあるわけでございますから、その両者を見合わせて、漁業の実態に合わせて正組合員の資格を検討すべきものであろうと私は思います。これは無制限に大きくすればいいというものではなくて、やはり現在三千トン級以上の経営が二十三ほどあるわけでございますけれども、それは多少その中にいろいろニュアンスがございますけれども、いわゆる大会社と称するものは漁業協同組合の正組合員としてはふさわしくないというふうに私は考えます。
  49. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで漁業協同組合の正組合員資格あるいは准組合員資格の法人適用の問題に関連をして、先ほども私申し上げましたいわゆる「水産業協同組合問題の検討結果要旨」という中で「現行法の定める常時従業者数および使用漁船総トン数の二重要件については、選択的要件とすることが適当である。」ということを検討会では言っておるわけですね。本法は従来から「かつ、」ということで御承知のように二重要件にしているわけですね。これを「選択的要件とすることが適当である」というふうな検討会としての意見を出しているわけですが、これは当然こういう問題についても検討されて、従来の姿勢改正法案を出されたということだと思うのです。問題はこういう問題に関連をして、例の独占禁止法のいわゆる公取委員会の働き、締め出し規定等との問題も関係があると思うのですけれども、これはどういう検討に基づいて従来のような考え方をとられたのか、あるいは今後の問題についてはどういうふうな考え方を持っておられるのかという点を明らかにしてもらいたい。
  50. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業協同組合につきましては、たとえば中小企業等協同組合法の規定にございますように、一定の規模以上、従業者百名以上の組合につきましてふさわしいものが入っていない場合に排除命令が出るような規定があるわけでございますが、私どもの態度といたしましては、水産業協同組合につきましては、やはりこの排除命令を置かないことがいいのではないかというふうに考えます。そして排除命令を置かない限度で、一体漁業の実態に合わして法人をどれだけ水産業協同組合の正組合員として認めるかという問題でございます。三百人以下、かつ何百トン以下ということに対しまして、「かつ、」ではなくて「あるいは」ということがいいのではないかという御意見が研究会でも出たわけでございますけれども、私ども判断は、やはり先ほど申し上げましたように、中小企業の実態を持っているということと、もう一つは独禁法との関係で中小企業等協同組合法の百七条のような規定が置かれない限度をどこに線を引くかという点から、研究会の結論とはやや反しましたけれども、私どものような三百人以下、かつ千五百トン以下というふうにいたしたわけでございます。将来の問題はまた漁業の実態に合わして、あるいは独禁法との関係に合わして、私ども検討をいたすことにやぶさかではございません。
  51. 角屋堅次郎

    角屋委員 なお、先ほど来中小企業とのバランス問題ということがいわれておるわけでございますが、水産加工業者の場合の法人の組合員資格という点については、今回四十人以下を百人以下というふうに改正案を出されておるわけでございますけれども、これも検討会の意見ということと関連しますが、検討会の意見の中では、中小企業等協同組合法においては常時従業者三百人以下の法人組合の組合員資格を認めておるということと関連して、水産業協同組合法上の資格を中小企業等協同組合法と同程度に引き上げるべきである。つまり四十人以下を百人以下に改めたわけでありますが、研究会の意見としては、これを三百人まで引き上げてはどうかという意味に解すべきだと思うのでありますが、これらの意見についてもどういう検討に基づいて百人以下というふうにされたのか、あるいは今後の問題についてはこの意見と関連してどういうふうに考えておられるのか、これもひとつあわせてお答えを願いたい。
  52. 大和田啓気

    大和田政府委員 水産加工の協同組合関係で正組合員の資格として常時従業者百人以下といたしましたことは、先ほども申し上げましたように、一つは独禁法との関係で、中小企業等協同組合法の百七条のような規定を置かない限度ということが一つでございます。  それからもう一つは、水産加工業の実態といたしまして、常時従事者百人以下ということでくくりますと、九八%以上の業者が正組合員になれるわけでございますから、ほんの一握りの人たちが残るということで、これはそう中小企業等協同組合法の百七条のようなものを置いてまで組合員資格を拡大する必要はないということが私どもの結論でございます。ただ加工業の協同組合の正組合員の資格につきましても、先ほど申し上げましたように、一つは業界の実態の動きと、それから中小企業等協同組合法の改正等との問題にからんで、適当な機会にまた検討いたしたい、私どもそういうふうに考えております。
  53. 角屋堅次郎

    角屋委員 今回の漁業協同組合等における正組合員あるいは准組合員の法人に関する部分の範囲の拡大問題と関連をいたしまして、水産関係におきましては水産法令が他に幾つかあるわけであります。たとえば沿岸漁業等振興法あるいは中小漁業振興特別措置法、漁業生産調整組合法あるいは漁業災害補償法、中小漁業融資保証法、漁業近代化資金助成法あるいは漁船損害補償法あるいは農林漁業金融公庫法というふうな、中小企業者等の水産法令に関する部分については、常時使用する従業者の数は三百人以下ということになりますけれども、使用漁船の合計総トン数ということになりますと、いわば今回の水協法の一部改正が先行した形になってまいるわけであります。今後他の水産関係の法律との関係をどういうふうに考えていくか。たとえば公庫融資その他いろいろな問題を考えてまいりましても、公庫融資ばかりではありませんけれども、いわゆる千五百トンあるいは三千トンという形で、正組合員資格あるいは准組合員資格があがってまいるわけでありますが、これは他の水産関係諸法令から見ると、いわば先行した形になる。他の諸法令とのバランス問題、ある意味では橋頭堡として、すみやかな機会に他の諸法令もこれとバランスをとって改正するというふうな考え方を持っておられるのじゃないかという判断もありますけれども、そういう問題については今後どういうふうに措置されていくか。また現実に他の法令との関係において、取り扱い上若干問題になってくるような点のとりあえずの措置というふうなものをどういうふうにしていかれるのか、これらの点についてひとつ答弁を願いたい。
  54. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回の水協法改正の措置は、漁業の実態に合わせて漁業者を正式の組合員にして漁協の利用あるいは漁協のほうからいえば、その業者の経済力の利用、そういうことをはかろうとしたわけでございまして、公庫の融資等々と確かに食い違いがあることは私どももよく承知いたしております。これは本来必ず一致すべきものというふうにも必ずしも考えませんけれども、私は、千五百トン以下というふうに漁業協同組合の正組合員の資格を改めた以上は、ほかの制度もできるだけそれに合わせて逐次直していくことがよいのではないかというつもりで、今後公庫の融資等についての配慮をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 角屋堅次郎

    角屋委員 総会との関連で、総代会の権限拡大等の問題もありますし、また代理人の代理できる組合員の数というものが、いままで原則としては二人だったのを四人にするとかという、幾つかの改正点を含めて、あるいはまた今回の改正を通じて、漁業協同組合の総会というのは必ずやらなければならぬという形のものを解くといった、漁業協同組合の運営に関する問題が幾つかあるわけであります。これは、必要性に基づいたこういう問題提起だと思います。役員の改選にあたりましても、総会選挙というのを今回は総会外で選挙することもできるし、あるいはまた投票を省略するという形も可能であるし、あるいは総会で選任することもできるという、新しく三つの方法を追加されるというやり方をとっておるわけであります。これら一連の改正を行なう必要性という問題については、どういうふうに判断をして今回の改正を出されたのか、あるいは本来組合は、やはり全員の意思の反映というものが当然はかられなければならない。実際に成立条件からずっと計算をしていくと、今回の代理人の拡大等に伴って、きわめて限定された数でものごとをきめることも立法的には可能であるというふうなことも出てまいりますし、総代会の権限強化等と関連をして、いわゆる組合民主主義というものを運営上どういうふうに指導をしていくかという問題も含めて、お答えを願っておきたいと思います。
  56. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども漁業協同組合が、総会の運営によって組合員の意思を十分反映させるということは、一番望ましいことだろうと思います。したがいまして、総代会の制度をこのようにつくりましても、総代会をつくれという指導を特別にするつもりはございません。ただ、実際の漁業協同組合の運営を見ますと、漁村は非常に交通が不便であるばかりでなしに、ときとして離島を含めて組合の組織ができておる場合もございまして、総会を開くといいましても、物理的にも経済的にもなかなかむずかしいわけで、それを形式的に、あくまで総会でやらなければ大事な仕事はできないというふうにいたしますことも、組合民主主義を守るようで、かえってそれをそこなうという結果にもなるわけでございますから、そういう総会がほんとうに開きにくいような場合は、総代会を開いて相当な権限を持たせる。しかし、また別途総会を開きます場合に、代理する組合員の数をふやすと同時に、代理するには正組合員を中心として、だれでも代理できるという状態にはしないというのは、これは見方によっては矛盾のように思われる方があるかもわかりませんけれども、私どもは組合の運営をできるだけ合理的にやるということと、あくまで組合の民主主義を貫きたいということとのいわば折衷といいますか、そういう両者の思いを込めてこういう制度にいたしたわけでございまして、繰り返して申し上げますれば、形式的に総代会を開けばそれで組合民主主義が貫かれるというものではございませんし、といって、総会が容易に開かれるところで総代会を開いて、相当な権限を持って組合員大衆の意思を無視するということも困りますので、その辺の指導は全漁連その他の漁業団体との協力問題に当然なるわけでございますけれども、私どもも誤りないような指導をいたしたいと思います。
  57. 角屋堅次郎

    角屋委員 今回の水協法の改正は、一つは前に行なわれました農業協同組合法の改正の中で、総代の選挙をはじめ、代理人の資格あるいは人数あるいは役員の選出方法、役員の任期、あるいはまた総代会の設置要件、定数、あるいは総代の任期、選出方法、通常総会の開催義務の問題、財務基準、いろいろな問題が、農協と漁協は性格的に違った点がありますから若干の違いはございますけれども、大綱としては右へならえをしたというふうに判断をしていいかと思うのですけれども、特に違う点といえば、漁協の場合は法人が入る関係もあって、代理人の資格に組合員の使用人が入る、それが農協ではない。あるいは除名の場合の弁明の機会というのは、水協法では七日前、農協法でいえば十日前という点や、あるいは総代会の設置要件が今回の改正で、水協法では二百人をこえる組合、農協であれば五百人をこえる場合、こういう点、それぞれ若干の違いはありますけれども、これに右へならえをしたという点が大綱的に多いと思います。問題は、そういうことを通じて漁業協同組合の運営方法について変えてまいるわけですけれども、ここで一つ聞いておきたいのは、漁業協同組合合併助成法を通じて漁業協同組合の合併を推進してまいる。過般本委員会で、委員長提案を通じて、さらに漁業協同組合合併助成法については五年の延長をするという法案が衆参両院でそれぞれ通過したわけであります。この新しい事態、しかも漁業協同組合の合併については、阻害要件として、いわゆる漁業協同組合が漁業権の保有主体であるという一つの固有の性格を持っている、それをどういうふうに合併の中で考えていくのか。これは、漁業権小組合、農林漁業基本問題調査会における漁業問題に対する答申の中でも、いわゆる漁業権問題と漁業協同組合の今後の拡大問題との関連については、御承知のように意見の提示もあったわけでありますが、これから五カ年間、漁業協同組合の合併を進めるにあたって、過去においていろいろ障害になった点、あるいは苦労の多かった点、こういうものに精査を加えて、今後関係団体の協力を得てこれをやっていかなければならぬという状況にきておると思うのです。これはそうはいってもなかなかむずかしい問題も、私ども地元の状態その他を全部通観してみて感ずるわけですけれども漁業協同組合の合併の今日までの実績、あるいはこれから五カ年延長が行なわれた時点において、今後どういう方針に基づいて従来の障害をそれぞれくふうして除去しながら指導していこうというのか、これらの問題についての考え方を聞いておきたいと思います。
  58. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業協同組合の合併の実績でございますが、漁業協同組合整備促進法に基づきますもの、これは、三十五年から四十二年の三月まででございますが、合併の件数にして二百十九、組合の数にして六百七十五でございます。次いで漁業協同組合合併助成法に基づきますものは、四十二年七月から四十六年三月までの数字で、件数にして八十、関係組合数にして二百四十四でございます。これは、農協に比べますと、合併の進度というのははなはだおそいわけでございます。最近幸いに漁業協同組合合併助成法の継続が行なわれましたので、私ども、これは役所がそう無理押しに合併を進めていくということはなかなか無理な、また控えるべきことであろうと思いますが、全漁連その他の関係団体ともよく相談をいたしまして——ども言いたいことは、これから流通問題等々で漁協もなかなかきびしい世界にさらされるわけでありますから、そう従来の惰性になずんで小組合に甘んじていると、組合の存立自体が危うくなるということもあり得るわけでございますので、できるだけ無理のない形で合併を進めていくことに努力を尽くすつもりでございます。
  59. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁業協同組合関係改正問題では、剰余金の配当に関する規定の改正あるいは財務基準に関する規定の整備等の問題もあり、また漁業生産組合に関する規定の整備等も出ておるわけでありますが、この際、漁業協同組合連合会に関する規定といたしまして、これは農協のときにも議論があったわけでありますけれども、いわゆる連合会の会員に対しては、政令で定める基準に従い、定款の定めるところにより、その組合員の数に基づいて、二個以上の議決権及び選挙権を与えることができることとするという、いわば一人一票制の問題に対する修正ということを考えておられるわけであります。これは農業協同組合法の改正のときも議論をし、また国際的にこうならば、この問題については、国際協同組合原則の四十一年における総会の修正等もあったのに関連をしておるわけでありますが、これらの改正の事実上の運営問題、どういうふうに考えてやっていくか、いわば連合会運営というものについて、組合の大小はありましても、やはり全体的な協調した運営ということが、協同組合の運営原則からいって当然やられなければならないわけですけれども、こういう改正を今回農協に準じて行なうということをいたしましたが、今後の運営の指導方針としてはどう考えていかれるのか、この点をお答えを願っておきたい。
  60. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁協の合併の速度は非常ににぶいわけですけれども、それでも相当大きな組合がございまして、最近の調査でも正組合員千人以上のものが二十幾つかあるわけでございます。  そこで、連合会につきまして、やはり単位組合の実力によって発言のウエートも変えることがむしろ連合会の運営にとってベターである、そういう見地から今回の改正をいたしたわけでございますが、そういう利点がありますと同時に、また非常に強力な単位組合の意向だけで連合会が運営されるということでもマイナスの面が出てくるわけでございますから、議決権その他について差等を設けます場合でも、少数の強力な組合だけの意思によって全体が動かされるということがないように、極力私どもその運営に力を尽くすつもりでございます。
  61. 角屋堅次郎

    角屋委員 この際ひとつ、国際協同組合原則に一人一票制の修正が御承知の四十一年の総会で行なわれたわけでありますけれども、先進諸国における一会員一票制の特例というような実態がどういうふうになっておるかお答えを願っておきたいと思います。
  62. 大和田啓気

    大和田政府委員 連合会につきまして一会員一票制の特例を設けます場合に、私どものように組合員の数によってきめる場合と、出資金あるいは利用高によってきめる場合と、世界各国の例としてはいろいろまちまちのようでございます。  例をあげますと、イギリスでは生産協同組合は出資金によってやっております。卸売り協同組合が利用高。それからイギリスに次いで相当協同組合運動の盛んなオランダでは、組合員数によってやっておるわけでございます。そのほかスイス、ベルギー等が利用高によって生協を運営しておるようでございます。それからまた組合員の数によって、一会員一票制に差等をつけておりますものは、数としては一番多いわけで、たとえばポーランドの農協、アメリカでは諸種のものがございます。スウェーデンでは協同組合一般、ドイツでは生協、フランスでも生協というように相当各国で一会員一票制についての特例を設けて処置をいたしております。
  63. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁業協同組合等に関しますたとえば事業の面の改正問題あるいは漁業協同組合の財務基準に関する規定の整備というような問題と関連をして、漁業協同組合プロパーの信用事業問題をどう考えていくのかということが出てまいるわけであります。本来、農協や漁協を含めた地域の農村漁村地帯におきましては、いわば信用事業については農協が非常なウエートを占めておるところが相当数でありまして、漁協のウエートが地域の中で全く圧倒的であるというところでは、これはまた漁協が力を持っておるところももちろんありますけれども、しかし漁業協同組合が今後やはり経済活動——漁業権の保有主体の性格というものももちろんありますけれども、同時に事業運営というものを考えていく場合には、資金量を相当やはり持っていく、あるいは拡大していくということが当然考えられなければならない。そういう点で、漁業協同組合あるいは同連合会なり全漁連なりを含めたそういう系統の信用事業現状と将来の指導の方向をどうしていくわか、当然これは強化の方向政府としても指導されると思うのでありますが、その点ひとつ考え方を聞いておきたいと思います。
  64. 大和田啓気

    大和田政府委員 全漁連がかねて二千億貯蓄達成運動というのをやっておりまして、昨年の三月末ではそれを二、三百億こえるような成果をあげて、信用事業の面において相当な充実を示してきたわけです。またさらに全漁連は昨年の三月に二千億を達成いたしましてから直ちに五カ年計画で五千億貯蓄達成運動というのを始めておるわけですが、四十五年三月現在で漁業協同組合の貯金について見ますと、一組合当たり一億四千万、貸し付け金で見ますと公庫の資金を除きまして一億一千八百万円というふうに貯貸率が非常に高いわけです。資金量が少ないわけです。また漁業協同組合の経営の実態から見ますと、農協では信用事業相当黒字でほかの事業の赤を埋めておるという状態でございますが、漁業協同組合にありましては信用事業ではそう黒字は生んでおりません。むしろ販売事業漁業協同組合をささえておるという実態でございます。私ども、全漁連が大いに貯蓄推進運動をやっておるのはけっこうでございますから、それを極力応援いたしますとともに、やはりこれからの金融事情を見ますと、零細な組合ではなかなか競争場裏に立って自分の持ち場を守るということはできませんので、その面からもやはり適宜合併を進めていくことが私は非常に必要ではないかと、そういうふうに考えております。
  65. 角屋堅次郎

    角屋委員 それから検討会の中でも出ておりましたけれども漁業協同組合の自営という問題が、これは漁協にもよりまするけれども、必ずしも実績をあげておらぬところがあるわけです。まあ漁業生産組合の問題ももちろんありまするけれども、こういう漁業自営という問題の現状と将来の指導方針についてはどういうふうに考えておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
  66. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業協同組合をつくりますときの一つの理想として漁業自営ということが私はあったと思いますけれども、御指摘のように黒字の組合というのは案外少なくて、相当赤字を出しておる場合が多いわけでございます。今回の改正によりまして財務処理基準令を直します場合にも、私ども漁業自営の場合はいわば特別経理といいますか、全体の経理と分けて合理的に赤、黒がはっきり組合自身にもわかるような処置を講じたいと思います。  ただ、漁業協同組合というのは、これはまた大小、あるいは仕事の内容、相当バラエティーがあるわけでございますが、漁業自営をうまくこなしておるものもあるわけで、それをやめろという必要もないわけでございますので、極端な赤字を出して全体の組合の運営を危うくしないようにという指導は十分いたしますけれども漁業自営についてはそう冷たい態度をとらないで育てていくというつもりでやっております。
  67. 角屋堅次郎

    角屋委員 あと水産業協同組合法の一部改正についても同僚の諸君からさらにいろいろ質問があると思いますので、私は次の法案に移る前に大臣に御見解を承っておきたいと思うのですが、これは本委員会の中でも、漁業協同組合、農業協同組合あるいは森林組合と、こういう一次産業の組合の問題について、たとえば海岸地帯に行くと半農半漁、あるいは山間部に行けば雰細な、山持ちというわけではありませんが、ちょっとした山を持ち林業もやりながら、しかも農業もささやかにやっておるという、いわば平場地帯でない、漁村を含む、あるいは山村地帯というふうな日本の多くのそういう地帯の実態から見て、農業協同組合あるいは漁業協同組合あるいは森林組合というプロパーの系統組織というものと同時に、そういう地帯では混合方式というものを検討していったらどうかという議論がやはり行なわれてまいったわけですね。そういう問題を今後の問題としてどう考えていくのかという点は、大臣何かお考え方でもございましょうか。あるいは今後そういう問題についてはひとつ積極的に検討してみたいというお気持ちがございましょうか。これは水産庁長官では魚のことだけですから答弁させるというわけにいかぬので、これはもう大臣でなければいかぬと思うのです。笑っておられますけれども、やはりいま直ちにという問題でなくても農協は農協、漁協は漁協、森林組合は森林組合、こういう形で農協はある程度の組織体の力を、単協まで私はある意味では持っていると思いますけれども、森林組合を考えても看板だけという実態が必ずしもなくはないのですね。漁協の場合にも今後ある程度合併が進むということを期待すればもっと変わってくるかもしれませんけれども、なかなかそれも一挙にいかない面も、ささやかな地先漁業であるというふうな実態もあるわけですから、そういう組織を混合形態として考えるという以外に、やはりその相互連携というものをもっと地域の実態に即して考えていくということが考えられなければならぬじゃないか、こう思うのですけれども、それらの問題について大臣としてのお考えをひとつ聞いておきたいと思います。
  68. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話しのように漁業をやっておりながら半面若干の農業をやっておられる者も、この間私北海道に行きまして漁村の協同組合で晩に会合がありまして、やはりそういう話を海岸でしておられました。それから森林はもうもちろん農業者が大部分おります。そういう点につきましては将来の全体の農業、林業、水産業等の系統、それぞれございますけれども、上に系統的なものもありますが、やはり経済機構がだんだんこういうふうに変転してまいります間においては、私どもといたしましても十分検討してみなければなりませんし、同時にまた、たとえば漁業振興のために魚道というようなものを、片一方においては農免道もございます、いろいろ総合的に検討してまいらなければならぬ問題であると思いますので、政府におきましても学識経験者等の意見も徴し、たいへん大事な問題でありますので検討してまいりたい、こう思っております。
  69. 角屋堅次郎

    角屋委員 水産業協同組合法の一部改正については議論すべきことはまだたくさんありますけれども、同僚委員の諸君に譲りまして、引き続き海洋水産資源開発促進法案の問題について若干お尋ねしておきたいと思います。  これはまさに新法でありまして、この新法の評価をどう考えるかという問題ももちろんございます。私ども判断からいたしますならば、三十年来の経済の高度成長の中で、いわば水産サイドは押されっぱなし、公害も出てまいりましょうし、あるいはまたいろいろな面で経済の高度成長で労働力もとられていく、したがって沿岸、沖合い、遠洋漁業を含めまして労働力問題についてもやはり困難な条件がさらに増大をしてくる。しかしながら動物性たん白資源の供給源として、午前中の議論でも出ておりましたように、要するに需要に対して供給が十分それにマッチしない、積極的な政策をこの際とっていかなければならぬ、いわば水産サイドからいえば攻勢に出なければならぬ、そのことは今日までのいわば工業偏重主義の姿勢を直し、もっと自然あるいはまた地場産業というものを尊重した考え方を含めて、漁業についても積極的な開発と育成強化をやらなければならぬという一つ姿勢として、私は海洋水産資源開発促進法案というものが提案されてきたと読み取っておるわけです。しかしこれは通産サイドなりいろいろなところからの意見や抵抗がございまして、産後の肥立ちとして十分育っていない面もあると思うのですけれども、まあしかしこの法案を生むに至った努力だけは私どもは評価するのにやぶさかではございません。問題は、そういうことでこの法案が出てまいったと思うのでありますが、政府側からこの法案提出の目的と今後の考え方というものについて、どういう趣旨に基づいてこの新法を出すに至ったかということ、私の判断だけでいきませんので、政府見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
  70. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 本法に対する提案理由でも申し上げておりますように、最近における水産物の需要は中高級魚類を中心といたしまして増大を続けてまいっておるわけでありますが、沿岸漁業におきましては、先ほどお話のありましたような公害等の問題もあり、漁場条件が悪化している面もございます。遠洋漁業におきましては、先ほどのお話のように、国際規制が非常にきびしくなりますなど、漁業をめぐる内外の諸情勢はきわめてきびしいものがありますことは、提案の場合にも御説明申し上げたとおりであります。需要の動向に即応いたしました水産物の生産が必ずしも十分に行なわれておらない実情でございますことは御存じのとおりでありますが、このような情勢にかんがみまして、沿岸海域における水産動植物の増殖、それから養殖等を計画的に推進いたしますとともに、重要な漁場における他産業との必要な調整の制度を定めまして、同時にまた海洋における新しい漁場の開発のための調査などを行なう必要がございますので、海洋水産資源開発センターを設立することといたしたわけでありますが、海洋水産資源開発、それから利用の合理化を積極的に促進いたしまして、漁業の健全な発展と水産物の供給の安定に資することが必要である、こういう考え方でこの法案を提出いたしておる次第であります。
  71. 角屋堅次郎

    角屋委員 第一章の総則のところで、目的、定義が一、二条にございますが、これは本法制定の提案の趣旨の大臣の御説明とも関連する点でありますけれども、第二章の「海洋水産資源開発を図るための基本方針」として、第三条のところに、開発基本方針というものを定めなければならぬということが農林大臣の任務として書かれております。そして第二項のところで、開発基本方針において、次に掲げる事項を定めなければならぬということで「沿岸海域における水産動植物の増殖及び養殖の推進に関する次の事項」としてイ、ロ、ハということで書かれ、さらに第二号といたしまして「海洋の新漁場における漁業生産の企業化の促進に関する次の事項」としてイ、ロの二つの項目がございまして、三号として「その他海洋水産資源開発に関する重要事項」ということで、しかも第三項におきまして「開発基本方針は、水産物の需要及び生産動向に即するとともに、漁業に関する技術の進歩等の状況を考慮して定めるものとする。」。午前中に質問いたしました水産物の需要及び生産動向というものは、法文上は従来は農業基本法に基づく主要農産物の長期需給見通しというような形のものはありませんでしたが、この新法に基づいてやはり水産物の需要及び生産動向というものを精査して出してこなければならぬというものを含んでいると思うのであります。しかもこれは開発基本方針については中央漁業調整審議会の意見を聞かなければならぬというようなことで、これはきまりますれば公表ということになっているのでありますが、そこでこの開発基本方針というのは、目途としては一応どの程度の目途のもので開発基本方針というふうなものを考えておられるのか。五年あるいは十年、あるいはもっと中期的なものとして考えておられるのか。そういう点と、この第三条の第二項の第一号、イ、ロ、ハになっておりますたとえばハのところで「イの目標を達成するために必要な漁業生産の基盤の整備及び開発並びに施設の整備に関する基本的な事項」、こういうふうに書いてありまするけれども、この内容的なものは基本方針ではどの程度のものを示そうとしておるのかという点等についてまずお答えを願っておきたいと思います。
  72. 大和田啓気

    大和田政府委員 まず開発基本方針の策定の期間等の問題でございますが、魚は水ものといわれておりますので、あまり長い先を想定することもむずかしいことですけれども、しかし増養殖にしろ、あるいは新漁場の開発にしろ、相当長い先を見ないと、これもまたまずいわけでございますので、私どものただいまの考え方といたしましては、大体十年先を見て、それを前期後期の五年ずつ見て作成するというふうにしたらどうかというふうに考えております。  それから第三条の第二項の一号のハでございますが、これは増養殖をいたします場合に、当然漁礁、並み型魚礁にしろ大型魚礁にしろ魚礁の設置の問題がございます。それから現在松島湾なりあるいは浜名湖なりでやっております数千ヘクタールを対象といたします浅海漁場開発事業どもございます。それの小規模なものもございます。そういうものにつきまして、これはただいま構造改善事業においても当然そういう計画があるわけでございますけれども、構造改善事業との関連を考えまして沿岸の増養殖を進めるために、いま私が申し上げましたような漁業生産基盤の整備についての基本的な事項あるいは施設の整備に関する基本的な事項を大まかに基本方針の中に盛り込んで交渉をいたすつもりでございます。
  73. 角屋堅次郎

    角屋委員 第五条のところで沿岸水産資源開発区域を指定することになっておるわけです。これは条文にもございますように、この「基本方針において定められた第三条第二項第一号ロの自然的条件に関する基準に適合する一定の区域で、その区域内において漁業を営む者の経営の状況、その区域内の海域の利用状況等からみて、水産動植物の増殖又は養殖を推進することにより漁業生産の増大を図ることが相当と認められるものを、沿岸水産資源開発区域として指定することができる。」こうなっているわけです。都道府県知事は、これを指定するときには関係市町村の意見を聞くとともに農林大臣に協議しなければならぬ、農林大臣関係行政機関の長の意見を聞かなければならぬということで、結局開発区域の指定は農林省令で公告するという形をとっておるわけでありますが、これはきのう与党の質問の中でも出ておったわけでありますけれども、この沿岸水産資源開発区域を指定をする——おそらくこれは一県で幾つかの開発区域の指定も可能だと思うんですけれども、同時に海は共通でございますから、当然数県にまたがるという、いわばこじんまりしたものでなしに、数県にまたがるという、やはりそういう開発区域というものも当然考えられなければならぬと思うのです。私はもうこのスタートのときにおいて、各県でそういうものをやはりこじんまりと、あるいは県の相当部分にわたってきめていくということももちろん考えていいことですけれども、同時に立法の当初から、やはり数県にまたがる開発区域というものも積極的に考えていく姿勢が必要ではないか。これは何も土地改良における国営、県営、団体営というものを想定したものでなしに、現実にこれからの沿岸あるいは一定の沖合いも含めた積極的な攻勢の姿勢ということで考えてまいりますと、たとえば開発区域の問題についても、当初からこういう限定された中でなしに、もっと開かれた姿勢で考えていくことが必要だろうというふうに考えるわけですけれども、立法の検討段階あるいは提案の考え方からいってこれらの問題をどう見ておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  74. 大和田啓気

    大和田政府委員 開発区域の指定に関連いたしまして、養殖の問題は、これは当然漁業権に基づく養殖が多いわけでございますから、これは県限りの措置でよろしかろうと思います。増殖の問題でございますが、当面大きく人工ふ化放流として考えられますものは、大体クルマエビをお考えいただけばそうその地先から方々かけめぐるというものではございませんので、大体県知事で私は処理できるだろうと考えております。  それから、数県にまたがる問題というのは、これは法案作成の過程で私どもの内部でも相当議論がございまして、いまおっしゃいましたようなことで、法律をつくることがいいかどうかということをだいぶ議論をいたしたわけでございますが、将来の問題といたしまして、たとえばタイの人工ふ化放流を考えますと、これは瀬戸内海をかけめぐるわけですから、一つの県で措置をするということはなかなかむずかしいわけでございますが、その場合には二県あるいは数県の知事が話し合ってきめるということで、法律的な措置としてはこれでいいのではないか。実際問題として処置できるというふうに判断をいたしまして、知事が開発区域を指定するということだけにとどめたわけでございます。
  75. 角屋堅次郎

    角屋委員 この開発区域に伴います第七条で、「沿岸水産資源開発計画の作成」ということで「開発区域を指定したときは、遅滞なく、当該開発区域について、」結局「沿岸水産資源開発計画」というものを「定めなければならない。」ということになっておるわけでありまして、開発計画において定めるべき事項というものが次の第七条の第二項第百万、第二号、第三号というところに書いてございまして、当然これは第三項にもありますように、関係市町村の意見を都道府県としては聞き、そしてその概要を公表するという形に法案としてはなっておるわけでありますが、そこでこの開発計画の第七条第二項第一号、第二号、特に第二号のハのところで「水産動植物の生育環境の保全に関する事項」というのがございます。そこで従来から水産資源保護法というのが御承知のようにございまして、水産庁としても今日まで保護水面の設定をやってきたわけでございますが、この水産資源保護法に基づく保護水面の現状は一体どういう状況になっておるのか。あるいは保護水面の設定について今後の運営をどう持っていこうとしておるのか。さらに、その問題と関連をして、いま申しましたこの保護水面と開発区域との関連というものをどういうふうに考えていかれようとしているのか。あわせお答え願いたいと思います。
  76. 大和田啓気

    大和田政府委員 保護水面の現状を申し上げますと、四十六年度の予算措置を含めまして、海面で貝類が十五カ所、モ場が十二カ所、内水面でサケマスが十五カ所、アユが七カ所、ワカサギが一カ所ということで計五十でございます。これは貝類あるいはモ場等につきましては、比較的限られた面積でやっておるわけでございまして、自然に生育する稚魚等の保護をいたすことがいわばその性格でございます。開発区域におきましては、養殖は別といたしまして、増殖の場合でも、天然に稚魚が育つのを助けるということよりも、むしろそこに人工ふ化した稚魚を放流をするということがらねいでございますから、矛盾いたさないで、私は両々相まって進むべきもので、保護水面につきましても今後も決して見捨ててこれを軽視するつもりはございません。また場合によりましては、たとえばホタテガイの例などについて申し上げますと、ホタテガイの保護水面の周辺あるいはそれを含む海域をホタテガイの増養殖のための開発区域として指定するということも、私は運用によってあり得ると思いますので、両々相まって進めていきたいというふうに考えます。
  77. 角屋堅次郎

    角屋委員 第九条の「開発区域における行為の届出等」並びに第十条の「水質汚濁等の監視」この辺のところがやはり公害その他の問題と関連をして重要な条項であります。しかも、そういう観点から見て、第九条がこれで有効な効果を発揮し得るメリットを持つかどうかという点がやはり問題だと思うのであります。  つまり、第九条では「開発区域内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者」ということで、国の機関等を除いて、他の者について都道府県知事にその旨を届けるということで「海底の掘削その他海底の形質の変更(海面の埋立て、干拓及び政令で定めるその他のものを除)いた「海底の掘削その他海底の形質の変更」というのがございます。そのほかに、「前号に掲げるもののほか、当該開発区域に係る開発計画の達成に支障を及ぼすおそれのある行為で、政令で定めるもの」こういうことで、そういうものについて、開発計画の達成をはかるために必要があると都道府県知事が認めるときに、一開発区域内において、前項各号に掲げる行為をし、若しくはしようとする者又は海面の埋立て若しくは干拓をする者に対して、必要な勧告をすることができる。」こういうふうに「必要な勧告をすることができる。」ということになっておるわけですが、せっかく開発区域を設け、そこでやはり水産サイドのいわば積極的な施策をやろうとする、そういう趣旨からいって開発区域における行為等の届け出の問題、あるいは都道府県知事の必要な勧告問題というのは、十分なメリットを発揮し得るかどうかということが基本的に問題だと私は思うのであります。そういう点についてどういうふうに考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  78. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもこれは一つの公害対策というふうにも考えておるわけでございますが、公害対策は昨年の暮れに成立いたしましたいろいろな公害の法律を厳正に執行することが私はまず第一であろうと思います。  それから先ほどのお話にもございましたが、実は水産関係では水産資源保護法が昭和二十年代に成立いたしまして以来他産業との調整に関する法律というのはなかったわけでございますので、水産庁を含めまして関係者はなかなか苦労をいたしたのでございますけれども、他産業との調整では後手後手に回ることがわりあい多かったわけでございます。そこで今回たとえば開発区域内で砂利をとるということを考えますと、砂利をとるのに対していままで漁業権者が文句を言う、あるいは漁業者が実際的な行動に出て反対をするということでございましたが、法律上の措置として知事なり、あるいはその他の行政機関に何か打つ手というのはなかったわけでございます。そこで、ここでは砂利をとるというような場合に知事に届けさして、砂利のとり方その他に不当な点があれば、改めるように勧告をするということで措置するわけで、私はこういう制度を設けることによって、これだけですべてが措置されるというふうには毛頭考えません。それは公害関係法律を厳正に執行するということが何より大事でございますけれども、まず水産関係行政機関が水産関係に公害を及ぼすところに対して行政上の措置がとれるという点で、私は相当な前進をいたしたというふうに思います。また届け出、勧告では足らないのではないかという御趣旨は私もよくわかりますけれども、これはなかなかむずかしい問題でありますのは、海は魚をとるだけで、ほかはもう何も使うなというふうにも言えませんし、いままでは、どちらかというと、そこのけそこのけということで、魚をとる人たちがいわば疎外をされていたわけで、それを対等の土俵にのぼらすということがこの規定の本旨であって、この規定を知事その他が十分使うことによって、御心配のようなことは、まずまず十分やっていけるというふうに現在考えております。
  79. 角屋堅次郎

    角屋委員 自治省はきょう午後来ていますか。——自治省にちょっとお伺いをしておきたいと思うわけですが、都道府県知事は、一方においては地域開発ということで、ここにもありますような海面の埋め立てとか、あるいは場合によっては干拓とか、そういうふうなことをやろうとする考え方が一方においてはある。他面においては、やはりここで新しく新法として生まれてまいりましたこの法律に基づく開発区域あるいは開発計画ということで、水産サイドの施策を強化するということをやっていかなければならぬ。そうすると、国の機関等ということで、国の機関や都道府県その他政令で定める者を除いておるわけでありますけれども、第九条第二項のところに、都道府県知事が、実際は第一項の問題について心要な勧告をするわけですけれども、知事自身は、地域開発では別のことをやはり考えておる。一方では、水産の漁場の条件から見てこれは開発区域にしなければならぬ。いわば二面性を同じ地方自治体の首長として持っておる。知事が知事に対して勧告をするという形に立法上は取り除いてあるわけですけれども、いわば地域開発問題と水産政策の強化としての新しいこういう施策との総合的な調整というものを、どういうふうに自治省としてはこれから考えていかれようとするのか。きょう来られた人で責任をもってお考えを聞けるかどうかわかりませんけれども、一応御答弁を願いたいと思います。
  80. 立田清士

    ○立田説明員 ただいま御指摘のとおり、都道府県たとえば地方団体においては各種の事務なり事業を行なっております。そこで地域開発関係でございますけれども、地域開発を地方団体で考えます場合に、やはり計画の面でも、具体的に今度はその地方団体が事業の施行者になる場合におきましても、公害の未然防止あるいは資源の保護、環境保全ということを、一応十分にその点を総合的に考えて、今後地域開発を進めていく必要があるというふうに私たち考えております。したがいまして、県が計画をつくられる場合において、やはり計画自体でも、あらゆる観点から検討をされる必要があると思いますし、それから具体的にその事業を、たとえば埋め立て事業等を県が施行者としておやりになる場合におきましても、水産資源の保護その他水質の関係とか、あらゆる観点の調整を県、地方団体内部において十分はかって、その上で計画なり、計画の実施を進めていく必要があるというふうに私たちは考えております。
  81. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは、たとえば私の地元の三重で考えてみましても、伊勢湾の内海で漁船漁業やノリ等の養殖で、四日市周辺のああいう水質汚濁の問題はございますけれども、南の地帯では相当やはり水産漁獲高をあげておるわけです。そこで、中南勢開発ということで、海面千五百六十万坪ばかり埋め立てて工場誘致をしようというような問題が現実の話題になっておる。そうすると、漁場として相当な価値のあるところが一方では地域開発の問題がやはり提起されている点等も含めて、私は先ほどのような質問を一般論としてやったわけですけれども、おそらく今後の問題として、本法に基づいて開発区域とか開発計画ということを漁業団体としては望むだろう。他面、知事としては、現状において指定をしていく条件は十分あると思っていても、他面で都道府県知事自身が他の開発のことを考えておるということになると、一体それらの総合調整をどうするのかということが基本的に問題になる。私はここで地元のそういう今後の重要な問題について政府考え方を聞こうということで言っているのじゃない。現実に本法の施行に関連をしてそういう問題が至るところで提起される可能性を持っておるだろう、こういうふうに思います。水産庁といいますか、水産サイドの新法に基づく姿勢としては、やはり優良漁場を確保するという姿勢で積極的にそれらの問題も含めて取り組んでもらいたいということを希望しておきたいと思います。  次いで第十二条の「指定海域における行為の届出等」の問題でありますが、これは「開発区域以外の一定の海域で、海底の地形、海流、餌料生物の分布その他の自然的条件がすぐれているため漁場としての効用が高く、かつ、漁業生産において重要な地位を占める海域として政令で指定するもの(以下「指定海域」という。)において、漁場としての効用を著しく低下させ、又は喪失させるおそれがある海底の掘削、工作物の設置その他の行為で政令で定めるもの(以下「特定行為」という。)をしようとする者(国の機関等を除く。)は、農林省令で定めるところにより、当該指定海域を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。」こういうことで、第二項のところで、第九条と同じように「必要な勧告をすることができる。」という形になっておるわけでありますが、ここでこの指定海域というのはおそらくこの法案の趣旨からいって、優良漁場という趣旨に解すべきだと思うのですけれども、そう理解していいわけですか。
  82. 大和田啓気

    大和田政府委員 おっしゃるとおり、優良漁場といいますか、重要漁場といいますか、そういうものでございます。
  83. 角屋堅次郎

    角屋委員 十二条の指定海域というのは、行政府としては大体どれくらいなものを指定することになるだろうと判断をしておるわけですか。
  84. 大和田啓気

    大和田政府委員 重要漁場あるいは優良漁場といいますと、例をあげて申し上げますれば、たとえば八戸沖とか釧路沖とか、暖寒流の交わるところがございます。それから大和堆とかあるいは静岡の銭州というように、天然の岩礁あるいは海底の土地が高くなっておるところがございます。その他、私どもが普通漁業関係者ならばだれでもあそこは当然漁場優先といいますか、漁業相当強く守っていくべきだという、そういうところが具体的に頭に浮かぶわけでありますけれども、そういうところを、広さとしては相当広く指定をいたすつもりでございます。
  85. 角屋堅次郎

    角屋委員 そういう指定海域、これは広さとしては相当広く考える。それで、きのうの与党の方の質問のときに、国際漁業舞台一つの問題になっておりますいわゆる領海問題、日本でいえば三海里、国際的には必ずしも統一的な一元的な形になっておりませんけれども水産庁長官は、きのうの御答弁では、国際海洋法会議等の今後の舞台では必ずしも領海三海里にこだわらないという趣旨のことも言われましたが、それは別として、指定海域というのは、これは領海の範囲じゃなしに、公海の部分までおそらく入っていくということになるだろうと思います。それはそう解釈していいわけですか。
  86. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは当然領海の範囲に限りません。公海にも及ぶわけでございます。
  87. 角屋堅次郎

    角屋委員 公海の範囲にも当然及ぶだろうと私も思います。  そこで、この十二条に基づく指定海域というものが公海の範囲にまで及んでこれが指定されてくる。それで、従来からも議論がありましたように、公海は、これは日本世界至るところへ国際漁業として出ておるわけでありますが、同時に逆に相手側からも日本の周辺の公海の区域に来るという問題は、ソ連船の問題初め、今後ともやはり予想しておかなければならぬ。そういう場合に、指定海域というのは公海にまで範囲が及んでくる。そこで諸外国といいますか周辺の国の漁業の操業が行なわれるというふうなことが現実に従来もあるわけですし、これからも指定海域においてそういう事態が起こると予想しなければならぬ。その場合に本法の指定海域の持つ法的な有効性というものを、国際的に見てどういうふうに理解をしたらいいのか。国際的に見てどういうふうに理解をしたらいいのかということでは、ちょっとわかりかねるかもしれませんが、公海では、これは公海自由の原則で操業はできるはずである。しかし、少なくとも日本の国益の立場であるいは水産サイドの立場で優良漁場、重要漁場としてそこは指定海域として指定をし、またそのためのやはり育てる漁業としてのいろいろな諸施策もやっていくということを含めて考えてまいりますと、国際外交舞台においても、そういうものについてやはり相手国に対して有効な日本の意思が示されてしかるべきだろうというふうにも理解をするわけですけれども、この指定海域のこれからの運用問題について、いまお尋ねした点も含めてお考えを聞いておきたいと思います。
  88. 大和田啓気

    大和田政府委員 この指定海域の制度は、実は具体的に申し上げますと、ただいま島根県の浜田沖で海底の石油の開発をやっておりますが、ああいうものでございます。重要海域といいますか指定海域で石油を掘さくをするような場合は、知事あるいは場合によって農林大臣に届け出をさせて、そして必要な場合は勧告をする。要するに漁業と海底鉱物資源との利用の調整をやろうというわけでございます。したがいまして、ソ連船その他の漁業との調整はまたこれは別問題でございまして、指定海域にかりにソ連の漁船が乗り込んでまいります場合に、それが公海でありますればただそれだけの理由では抗議を申し込むことは私どもなかなかむずかしいだろうと思います。ただ銭州で、あれは太平洋のサバの産卵地帯として非常に重要なところでございまして、私どもも銭州でサバのまき網の漁業は禁止して一本釣りだけしか許しておらないのに、一昨年でございますか、ソ連がまき網で銭州でサバをまいたということに対しまして、私ども資源保護上ソ連に対してきつい申し入れをいたしたわけで、資源保護上あるいは日本の漁船の漁具を痛めつける場合に、ソ連に対して抗議を申し込むことはいたしますけれども、指定海域で漁業をするということだけではなかなか国際法上、特に日本公海の自由ということをソ連に対して強く主張しておりますたてまえからいって、それは少し無理ではないかと思います。
  89. 角屋堅次郎

    角屋委員 次は海洋水産資源開発センターの問題でありますけれども、時間も相当予定の時間が迫っておりますので、集約して申し上げたいと思います。  いわば本法は沿岸漁業関係の問題については、主として十二条までの間に多くのものを示し、それからこの第四章の十三条以下のところでいわば遠洋漁業面にウエートを置いた視点で新しく海洋水産資源開発センターを設けて、ここの十三条にも書いてありますように「海洋水産資源開発センターは、海洋水産資源開発を図るための調査並びに情報又は資料の収集及び提供等の業務を行なう」こういうことで新しくセンターをつくろうとしているのですが、私ども考えてみましても、今日多くの先進諸国において、新漁場開発というものと積極的に取り組んでおる。日本の場合も水産庁で、あるいは関係水産業界の協力を得ながら新漁場の開発を進めてきたわけでありますけれども国際的ないろいろな状況等も判断をして、この際、そういう新漁場開発等も含めた新しいセンターをつくろうという趣旨は、これはそれなりにわれわれも首肯できるわけであります。  そこで当初、やはり本年度の場合は政府から一億円の出資、関係団体から一億円の出資ということで発足をし、陣容等についても必ずしもそう規模の大きいものじゃないというふうに聞いておるわけでありますが、新漁場の開発等をやる場合には、やはり政府自身で、農林省自身で持っておる調査船がありますね、これは開洋丸という調査船があるわけですけれども、これからやはりこういうセンターの設置に伴いまして調査船等についてもさらに新しくつくっていくとか、あるいは資本金についても拡大をするとか、あるいは陣容についてもさらに整備をはかるとか、あるいは新漁場の開発のこれからの方向について、昭和四十六年度の当面の問題としての新漁場の対象はどういうところに、あるいは今後の新漁場の開拓はどこに求めていくのかという問題を、総括的にひとつ御答弁を願いたいと思います。
  90. 大和田啓気

    大和田政府委員 開発センターの四十六年度におきます政府の出資は一億で、民間からも一億の出資を願うつもりでございますが、仕事がだんだん発展いたしますについて、私ども出資の増加について十分努力をいたしたいと思います。  それから、五年、十年先をながめての新漁場の開発の重点でございますが、地図をごらんになりましても、大西洋、太平洋とも北は相当陸地が出っぱっておりますけれども、南は海が広くて、しかも利用されること、北に比べて南は非常にわずかでございますので、赤道付近から南半球の大西洋、太平洋にかけて相当な重点を置きたいというふうに思います。  四十六年度の事業といたしましては、先ほどもちょっとお触れになりましたが、遠洋漁業のバックアップが大きなねらいであることは間違いございませんが、沿岸といいますか沖合いといいますか、中小漁業のためにも、たとえば日本太平洋岸の大陸だなの下で、大体水深六百メートル以上のところで、沖合い底びきの操業試験といいますか、新漁場の開発もやるつもりで、ただ遠洋漁業だけのセンターというふうにも私ども考えておらない。イカの問題でありますとかあるいはサンマの問題でありますとか、そう遠くへ行かなくても、また現在利用しておらないところの海面において新しい漁場を開発するつもりでございます。
  91. 角屋堅次郎

    角屋委員 水産庁長官、ちょっと答弁漏れがありましたが、本年度の新漁場開発の計画あるいは今後の新漁場開発のプランというものについてお答えを願いたい。
  92. 大和田啓気

    大和田政府委員 簡単に触れたつもりでおりますが、今年の計画といたしましては、まずマグロはえなわ漁業で大西洋南部の高緯度海域、それから海外トロール漁業といたしまして、ニュージーランドの周辺海域、アフリカの東海岸の沖合い海域、まき網漁業といたしまして東部の太平洋海域、南東部大西洋海域、サンマ漁業といたしまして北東部の太平洋海域、スルメイカ漁業としてニュージーランド周辺海域、沖合い底びき網漁業として日本沖合い海域、大体太平洋の南部、カツオ漁業としてパラオ、トラック周辺海域、以上九海域でございます。  将来の重点といたしまして、太平洋あるいは大西洋の北部にもかなりの力を差し向けますけれども、おもな重点としては太平洋及び大西洋の南部地帯というふうに考えております。
  93. 角屋堅次郎

    角屋委員 問題は新漁場開発をやる地域あるいは漁業種類を見ますと、大半は指定漁業、指定漁業でないものも一部ございますけれども、結局指定漁業大臣許可問題あるいは指定漁業でないものについての大臣の承認問題あるいは新しく漁業権の切りかえということが、次のときになると昭和四十七年ということになるわけですけれども、こういった指定漁業の問題と関連をして、新しい漁場を開発をし、企業的な経営が可能になるというふうな調査に基づいて、いわゆるそういうところに対する指定漁業の指定をどういうふうに運営としてやっていくのかという点等についても、ひとつ考え方をお聞きしておきたいと思います。
  94. 大和田啓気

    大和田政府委員 新漁場の開発によりまして、きわめて有望な、また相当多数の漁船が行っても差しつかえないような漁場を発見いたします場合には、私ども許可等について十分検討いたすつもりであります。
  95. 角屋堅次郎

    角屋委員 最後に、大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、今回特に海洋水産資源開発促進法案というものを提起されたわけですが、これはやはり運営いかんによっては、沿岸、沖合い、遠洋漁業も含めて相当有効な手段になるというふうに私は判断をいたしております。この内容の点については、やはり産後の肥立らが必ずしもよくないという不満な面ももちろんありますけれども、積極的にはやはり水産サイドからの施策というものの情熱をもって運営をやっていく、あるいは予算その他の問題についても裏づけをしていくということで、大臣自身が臨まれていくならば、やはり相当有効な立法たり得るというふうに私は判断しておるわけですが、今後こういう海洋水産資源開発促進法案等も含めて、これからの日本漁業の発展のための農林大臣の決意というものを、最後にお伺いをしておきたいと思います。
  96. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御激励を賜わってまことに感謝にたえないのでありますが、私どもも、ただいまの水産関係につきましては、先ほども申し上げましたように、ペルーはああいう特殊な、カタクチイワシのようなものでありますが、わが国世界第一の漁業国、しかも日本人としては、動物性たん白の摂取量の中で、肉類よりは魚のほうが多く、全体の五〇%を上回っておる、こういうこともあり、栄養上からも大切な産業であります。したがって、今度御審議を願っておりますようなこの法律の精神は、先ほど来質疑応答で政府側の考えを申し上げておるとおりでありますが、私どもといたしましては、いま遠洋等につきましても、調査船の形態等から見まして、アメリカ、ソ連等にはるかに劣っているということを痛感せざるを得ない状況であります。しかしその他については、私どももかなりな技術を持っておるわけでありますから、私どもといたしましては、この遠洋の調査、それから沖合い及び沿岸について、さらに一段と力を人れまして、海洋日本というものの本質をしっかりいたしたい、こういう決意で、政府も、予算面等においても、その方面に力を注いでまいるつもりであります。
  97. 角屋堅次郎

    角屋委員 以上をもって、三法案に対する質問を終わります。どうも長時間ありがとうございました。
  98. 草野一郎平

    ○草野委員長 瀬野栄次郎君。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産三法の中で、水産業協同組合法の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに水産庁長官関係当局に質問をいたします。漁港法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案については次の委員会に質問を譲ることにいたしまして、水産業協同組合法の一部改正にしぼって本日は質問いたしたいと思います。  先ほどの答弁で、改正の内容についてはおおむね二点あるということで、組織の面で漁業の実態に即した改正を行なう、もう一点は、民主主義の線に沿って合理的に運営をする、すなわち組合の経営を合理的に運営していく、こういったことが改正の二つのおもな点であると、こういうふうに御答弁があったわけでございますが、まず最初にお伺いしたいのは、農林大臣にお尋ねいたしますが、水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、いかなる背景のもとに改正をするのか、その真意をさらにお伺いをいたしたいのでございます。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  100. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 わが国漁業生産は、先ほど来御質疑がございましたように、近年順調な伸びを示してはおりますが、資源制約、公害の進行と、漁業をめぐる環境はだんだんきびしさを加えております。こうした動向に対処いたしますために、水産資源開発、増養殖漁業の展開、それから漁業経営の近代化、流通、加工の合理化等の諸施策を強力に推進する必要があると存ずる次第であります。これらの課題に対しまして構造改善事業等、具体的諸施策を推進するにあたりましては、漁業協同組合その他水産業協同組合の経済活動を強化することが最も必要であると考えられますので、水産業系統組織の充実強化については今後とも一そうの努力をいたす考えであります。そのような趣旨で、このたび改正をいたしたい、こういう考え方に立っておるわけであります。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 業種別協同組合の代表で、カツオ・マグロ漁業者の経営が、漁業権の保有主体になれないという一つの問題が背景にあることは御承知のとおりだと思います。この点が運営に一番困るということにあると私は考えておるわけであります。さらに現状からして、一ぱいでは経営は安定しない。すなわち複船経営にしたい——政府は、去る四十二年と思いましたが、制定されました中小漁業振興特別措置法によって、複船移行を指導し、法人化して税金の軽減等をはかり、公庫の安い金を借りる、こういったことで指導をしておられるようでありますが、こういったことが一つの背景となって今回の改正になっていると、こういうふうに私も考えておるわけでございますけれども、この点についてもひとつさらに御説明をお願いしたいのであります。
  102. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回の漁業協同組合の正組合員の資格の引き上げの問題は、漁業の近代化といいますか、法人化が進むと同時に、漁業経営規模の大型化が行なわれまして、現在の法規では漁業の実態に合わないということが改正の理由でございます。その一つのあらわれといたしまして、御指摘のとおりカツオ・マグロ漁業の近代化の指標といいますか、方向といたしまして、四船化の問題がございます。三百五十トン程度の漁船を四はい持つことが一つの合理化のひな形であるという指導も私どもいたしておるわけでございますが、そういたしますと、三百五十トン型の船で四隻といいますと千四百トンでございますから、私どもが千五百トンに法人の正組合員の資格を引き上げましたのも、そういうことを実は頭に置いてやったわけでございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、一ぱいが、大体建造費が三百トンで二億円というふうに私は聞いておりますが、千四百トンとなりますと十数億という建造費になってまいります。そういったことをも配慮に入れて融資の道等も考えてこのような対策を立てておられるのか、その点関連してお伺いをいたしておきます。
  104. 大和田啓気

    大和田政府委員 融資の道といたしましては、公庫の道もございますし、それから千五百トン程度になりますと開発銀行の例の七分五厘で四十六年度に四十億の融資ワクを持っておりますものもございますので、公庫の融資のワクあるいは開発銀行のワクの増加についても今後努力をいたしまして、いま申し上げたトン数程度のいわば中堅的なカツオ・マグロ業者の漁業経営にとって金融が非常にリミッテイングファクターにならないように私ども努力いたすつもりでおります。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 後ほどまたこの点については若干触れることにいたしまして、次に漁業権の保有主体についてお尋ねをいたしたいのでありますが、漁業協同組合は漁民等の協同組織として活発な経済活動を行ない、漁民等の経済的社会的地位の向上をはかるための組織であるとともに、漁業権の保有主体として重要な役割りを果たしている組織体であることは御承知のとおりであります。漁民の生産活動の場を与えている共同漁業権に基づく共同漁業、ノリ養殖業等の特定区画漁業権に基づく漁業については、一定の要件を備える漁業協同組合にこれらの漁業権を保有させ、その管理権を認めた漁業権制度を採用していることも御承知のとおりでありますが、このように漁業生産に関する基本的制度を定める漁業法水産業協同組合法とは車の両輪のようなものでございまして、漁業協同組合の組合員資格の範囲は漁民を中心として厳格にそれぞれ法で定められておるところでございます。しかも本来漁業権の保有主体としての組合の範囲のあり方と経済事業体としての組合の範囲のあり方とは地域的にも内容的にもおのずから異なるものがあるわけでございまして、従来からこの点はこの調整に問題があったことも御承知のとおりでありますが、現在漁業協同組合以外に漁業権の保有主体が求められないとされており、問題の解決が将来に残されておるわけでございますが、このような点を考える場合に、組合員資格の変更というものは重大な問題となる。特に法人組合員の範囲を拡大するということについては慎重にやるべきである、こういった意見があるわけでございます。この機会にこの問題についてこの関係をどのように調整をされたか、基本的な方針をお伺いしておきたいわけでございます。
  106. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業権の保有団体として、たとえば漁業協同組合のほかに漁業権小組合をつくってはどうかという御意見があるわけでございます。私ども水産業協同組合法改正にあたりまして、昨年学識経験者を集めまして研究会を設けましたときも、実はその議論相当活発に行なわれたわけでございます。しかし大勢の御意見もまた私ども意見も、漁村にそう団体を幾つもつくることはまずいのではなかろうか。これは当然漁民の経済的な負担になるわけでございますから、また漁業権と漁業協同組合というのは発生的にも相当結びつきが強いわけでございますから、現状漁業協同組合が漁業権の主体となっていることについて非常にまずいことがあれば別でございますけれども、まずこれで運用して差しつかえないではないか。新しい団体をつくることはかえって漁村の団体の力を弱めることになりはしないかということで、私ども漁業権小組合の思想というのは今回もとらないで、その点は従前どおりといたしたわけでございます。  それから法人経営で三百人以下、かつ三百トン以下というものはすでに現行法でございますから、法人に正組合員の資格を与えることが是が非かという問題は私は三十七年の法改正のときいわば決着がついた問題であって、漁民と並んで漁民にほぼひとしいような会社経営のものが協同組合を正規の組合員として構成するということは、私はそれでいいというふうに考えるわけでございます。ただどういう範囲の法人を組合の正組合員に認めるかということは、これは先ほども繰り返し申し上げましたように大企業を入れるわけにはいかない。現実に漁業経営の規模が相当大きくなってきておるわけでございますから、その現実を踏まえて、漁民並みに扱って差しつかえない程度のいわば中小企業的なものは正規の組合員にして差しつかえないという、そういう判断で今回の改正をいたしたわけでございます。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの答弁に関連してここで確認しておきたいのですが、現在は一町村で部落ごとに三ないし四つの組合がある。そうすると、その村ないしは町の地先のサザエだとかノリだとか、こういった特定の漁業権については、あくまでも自分の村の地先における水産物については権利があったわけでございますが、今度の法改正によってそういったものは従来どおりに権利を与えていく、こういうふうな意味にその点は理解してよろしいか、その点もここではっきり御答弁を承っておきたい。
  108. 大和田啓気

    大和田政府委員 いまのお話しの点は今回の改正とは関係ございません。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで次の問題ですが、漁業権の保有主体をいま従来どおりということでございましたけれども、このように今回の改正によって法が施行されますと、従来のいわば零細漁民の中に組合の執行部等が入ってくる、いわばかなり資本を持った人が入ってくる、こういうことになってまいりますと、このことは組合自体の信用が増し、また資金の融通等もかなり大きく扱われるということにもなるメリットもあるわけですが、反面漁業協同組合の零細漁民に対する圧迫等がかなり行なわれてくる、いわゆる零細漁民の保護に心配が持たれる、こういうような懸念もするのですが、この点の検討はどのようになされておるかお伺いをいたしたいのであります。
  110. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業就業者の数は大体五十七万人でございます。それがほとんどすべて漁業協同組合に加入をしておるわけでございます。今回の法改正によりまして新たに正規の組合員となる資格のある会社は三百七十でございます。全国にそれが散らばっておるわけではございませんで、カツオ・マグロ地帯あるいはまき網地帯、底びき網の地帯、そういうところにあるわけでございますが、大体その人たちが加入をしたいと思われる組合にはすでに三百トン以下の組合員が入っておるわけでございまして、そういう中に全国的に見て三百七十の会社が新しく入るということでございますから、これによっていままでの沿岸漁民の選挙権あるいは議決権が事実上大きな影響を受けるということは私はまずないというふうに思います。もしそういう事態がありますればそれは私ども十分の手当てをして漁協の指導をいたしますけれども、まずそういう御心配はないというふうにお考えいただいてよろしかろうと思います。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 業種別の漁業協同組合と地域漁業協同組合が同じ条文になっているところにいろいろ混乱と問題があるように見受けるわけでありますが、これらは別途に断ち分けて一章を設けて別の条文にすべきじゃなかったか。すなわち地区漁業は個人とし業種別漁業は個人を圧迫しないように改正すべきじゃなかったか、こういう意見もあるわけでございますが、この点についてはどのような見解をお持ちであるか、お答えいただきたい。
  112. 大和田啓気

    大和田政府委員 法人組合員は業種別漁協に属すると同時に大体地区漁協にも属しておるわけでございます。また地区漁協に属するいわば漁民がだんだん大きくなって、カツオ・マグロ、まき網等々、千五百トン以下の法人にまで成長するというのが現実でございます。確かにいまのお話のように抽象的と言うと適切ではございませんけれども、理屈として考えますと地区別漁協と業種別漁協というのは確かに活動の分野その他において違いますから、法律の規定においてもこれを別章を設けて規定することが適当ではないかというふうにお考えいただくと思いますけれども、実際地区漁協あるいは業種別漁協がやっておりますこと、それから組織の実態等を考えますと両者それほどの区別はございません。したがいまして、地区別漁協でありながら実態として業種別漁協の実態を持っておるものも現にございます。したがいまして、私ども、さらに漁業が発展をいたしまして、会社企業と漁民、したがいまして業種別漁協と地区漁協と非常に異質のものになりました暁には、法律の点でも両方を別に規定するということがあるいは検討されるべき課題であるかもわかりませんけれども、現在の段階ではむしろ両者を分けましても分けるだけの実益があまりないのではないかというふうに思います。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 業種別漁業協同組合と地区漁協の組合員を分けることによって零細な正組合員の個人が利益を十分守られるということから私質問をいたしたわけでありますが、水産庁長官答弁によって、将来異質のものが起きた場合には検討する、こういうような御答弁でございました。現在はまあ実益がないということでございますが、これらのことがやはり末端ではいろいろ取りざたされ問題になっておりますので、ひとつ十分検討されて今後さらに調査等を進めていただきたい、かように思います。  なおこの機会に、戦後、昭和二十四年と思いましたが、百八十一億円で政府は全国の漁業権を買い取ったわけですけれども、これによって、今度の法改正でまた昔に逆戻りするというような批判等も起きておるわけですが、この点について国民に対する不安のないようにひとつ御答弁をいただきたい、かように思います。
  114. 大和田啓気

    大和田政府委員 戦後の新漁業法の制定、いわゆる漁業改革によりまして漁業権を喪失させるかわりに、御指摘のように百八十億程度の漁業権証券をもって支払いをしたということがございます。このことと、それから現在いま御審議をお願いいたしております水協法の改正とは実は直接の関連はございませんで、先ほど申し上げましたように、法人の組合員の資格を引き上げるといいましても、該当者は三百七十でございます。三百七十で数は小さいわけでございますが、これがカツオ・マグロあるいはまき網等の中堅でございますから、それを組合に入れるという意味は非常に大きいわけでございますけれども、しかしいずれにいたしましても三百七十の会社を組合に組み入れる、そういうことでございますから、漁業改革以前の古い形の組合なりあるいは漁村の実態に戻るということは私ども毛頭考えておりません。この点は御心配は御無用というふうに思うわけでございます。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 従来における組合員の資格要件の拡大ということでございますが、協同組合の構成を定める組合員の資格要件をどの程度の範囲にとどめるか、あるいは組合が行なうことができる事業をどこまで認めるかということは、漁業制度の本質に関する最も重要な問題であります。組合員の資格については、二度にわたって組合員の資格要件の緩和についての改正が行なわれておりまして、個人に限られていた組合員資格を法人に拡大する等、組合員資格の範囲拡大がはかられてきたわけであります。すなわち昭和二十五年の改正、三十七年の改正と、先ほども論議があったところでございますが、さらにこのことについて昭和三十七年八月二十四日の当委員会における附帯決議の中に「中小漁業者のための組織の在り方についても、今後の漁業の発展に即応し得るようすみやかに検討を加えるべきである。」こういった附帯決議がついておるわけでございますが、以上の経緯と今回の改正の内容との関係についてさらに明らかにしていただきたい。
  116. 大和田啓気

    大和田政府委員 三十七年の法律改正に際しまして、漁業協同組合の正組合員の資格を法人として従業者三百人以下、かつ使用トン数三百トン以下というものにいたしたことは、先ほども申し上げたとおりでございますが、この点に関連いたしまして、そういういわば中小企業的な漁業者をあるいは漁業会社を漁業協同組合の中に入れ込むことがいいのか、あるいは別に組織をつくることがいいのかという、そういう御議論がその附帯決議の背景にあったわけでございます。私どももこの附帯決議を受けて、今回の改正をいたします過程において、研究会その他で十分討議、研究をいたしたわけでございますけれども、業者自体が新しい組織をつくって漁協を弱めることに賛成をいたさないという事情もございますし、それからまた、さなきだに強くはない漁業者の経済的な勢力を幾つかの団体に分散させることは決して好ましいわけではございませんから、結論といたしまして新しい組織をつくらないで漁業協同組合の中の問題として解決をしよう、そして法人組合員の資格を引き上げる場合も、先ほど御説明いたしましたけれども、やはり中小企業者的なものに限るという精神はあくまで貫こうということが今回の改正の本旨であるわけでございます。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産業協同組合の目的は、第一条の中に「この法律は、漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、もってその経済的社会的地位の向上と水産業生産力の増進とを図り、国民経済の発展を期することを目的とする。」このように目的がうたわれ、さらに定義は第十条に「この法律において「漁民」とは、漁業を営む個人又は漁業を営む者のために水産動植物の採捕若しくは養殖に従事する個人をいい、「水産加工業者」とは、水産加工業を営む個人をいう。」と規定されておるわけでありますが、今回の場合も法律の中身の改正はそれぞれ行なわれておりますけれども、法律の目的あるいは定義の改正というものが取り上げられていないのであります。すなわち法律の目的と定義の規定から理解されることは、水産業協同組合の制度は原則として個人の協同組織であるべきことをたてまえとしていることは明らかでありますが、二十三年の水協法制定以来、去る昭和三十七年における制度改正が行なわれるまでの間は、正組合員たる資格者は個人に限られており、また昭和三十七年の法改正の際にも法人について正組合員資格を認めたとはいえ、その法人の規模については個人と大差なく、一応漁民と同様に取り扱って支障がないと考えられる小規模の者に限って法の目的を忠実に守るようにつとめておるわけであります。そこで、この組合員資格の要件の緩和をはかる必要がある場合には、法律の目的の規定との調整を十分に検討する必要がある、こういうことでありますが、法の目的を改正することなくして組合員の資格要件を緩和できるなど、これらの限界、ひとつこの関連性についていかなる検討をしてこられたか、お伺いいたしたいわけです。すなわち、当然これは内容からして目的を改正すべきである、こういうように私は思うのですが、それにはいろいろ検討された立法の精神があろうと思いますが、それを明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  118. 大和田啓気

    大和田政府委員 水産業協同組合といいますか、漁業協同組合が個人を主体とする組織であることはお説のとおりであります。しかし、現実に漁民と同じような実態を持っておる会社を取り組むことが協同組合の本質にとって決して矛盾したものでなく、また協同組合自体の成果を盛り上げるものだという御判断で、三十七年に水産業協同組合法改正があったというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、個人だけでなくして、会社組織のものを組合員とすることが是か非かという議論ではなくて、協同組合の中にどの程度の会社組織を入れることがいいかという、そういう問題であります。その問題でありますれば、私は外の実態の変化に応じて漁民と大差がない中小企業的な会社は、これを正規の組合員として認めることが、むしろ漁業協同組合を強くし、また漁業者の経済的な地位の向上に役立つのではないか、そういう判断が今回の改正の趣旨でございまして、したがいまして、第一条の字句の改正——字句の改正ということではございませんで、それはおそらく法の相当本質的なものの改正につながると思いますけれども、私は第一条の改正もまたその必要はない、そういうふうに考えるわけでございます。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そういうことについて再度お尋ねするのですが、従来の三百トンから一挙に五倍の千五百トン、こういうふうなことになったわけでございます。そこで、内容を変えておるにもかかわらず、その看板というか、その目的というものが変わっていない。当然変えるべきではないか、こういうように思うのですが、その点はさらにひとつどのように検討されたか、もっと御答弁をいただきたい、かように思います。
  120. 大和田啓気

    大和田政府委員 千五百トン程度の使用トン数の漁船を持っております会社は、個人で相当大きな業者とほとんど大差がないわけでございますが、また同時に私ども漁業経営の近代化といいますか、経営の改善といいますか、中小漁業振興特別措置法を中心としてカツオ・マグロ、まき網その他について一定の標準をつくって指導いたしておるわけでございます。カツオ・マグロにつきましては、先ほど申し上げましたように、一隻三百五十トン程度のものを四はい、それからまき網につきましては一カ統五百トン程度のものを三カ統、これも計千五百トンになるわけでございますが、そこまでしなければ、とても今後の競争場裏に立てないぞという、そういう指導方針でやっておりますものが大体千五百トン程度でございまして、これがまた同時に、会社経営としてばかりでなしに、カツオ・マグロあるいはまき網、底びき、その他等々にとっても一つの目安になるものでありますので、相当有力な個人でも、あるいは会社でも、中小企業的なものの範囲の中で、正規の組合員の資格がどの程度であるべきかということを十分考えての措置でございます。したがいまして、もし今回のような改正をいたしませんと、はなはだ妙なことを申し上げるようでございますが、三百トン以上ないし千五百トン程度の船の持ち主といいますか、漁業者は、カツオ・マグロ等ほんとうの中堅的な経営主でございますから、その人たちは協同組合に入ることもできず、協同組合の事業も利用できない、議決権も選挙権も当然持てないという、そういう事態になりまして、このまま放置をいたしますと、片方では経営の合理化のために法人成りを進められ、片方では法人になれば漁業協同組合から出ていかなくてはならないという、そういうきわめて矛盾した事態が生ずるわけでございます。したがいまして、私は、今回の千五百トン程度のもので、これは実態的に中小企業でございますから、それを漁業協同組合の中に入れても、水産業協同組合法の本来の趣旨をそこねることは万ないというふうに確信をいたしておる次第でございます。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに念を押してお尋ねをいたしておきますが、第一条の目的を優先させるのか、逆に法人の組合員資格要件の緩和を優先させるのか、こういったことについては、いかなる見解を持っておられるか、お伺いしたいのであります。
  122. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども当然法律を執行する立場からいえば、この法律の第一条というのは金科玉条でございます。「漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、」云々というのは、これは当然守られなければならない第一のものでございますけれども、問題は、漁民と同じような会社を協同組合の中に入れて、組合員も利益を得、組合も利益を得るということをはかることが水産業の行政として賢明ではないか、そういう立場でございます。したがいまして、法律の第一条をないがしろにして、漁業協同組合の組合員の資格を引き上げるだけを優先的に考えておるわけでは決してございません。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、いまいろいろと質問をしてまいりましたが、第一条はやはり金科玉条であるという御答弁でありますが、第一条の「漁民」、すなわち個人を優先させる考えというふうに理解するならば、あくまでも目的順守の姿勢を明らかにするためにも何らかの漁民に対しての保護対策というのを考えるべきではないか、こういうように思うわけです。もちろん私は、この法案については、ぜひ法案を成立させていきたいという立場に立っていろいろ質問もいたしておりますが、この法案が成立した場合に、従来のいわゆる零細漁民に対する保護のためにこのような組合がなされてきたわけでございまして、実際今日末端をながめてみましても、今回のこの水協法の改正については、いわば末端組合員の——理事以上はある程度知っておる。また上層部になるほどこれは知っておりますが、末端の零細漁民はこういった問題について理解が少ないわけであります。そこで公害問題その他からいろいろと漁場が狭められ、漁民もいまは生活にたいへんあえいでおるときでございますので、この改正によって零細漁民の不安がないために大臣からもこういったところを明らかにして、今後審議の過程でまたいろいろ論議をされるわけでありますが、漁民に対する保護対策はこうなっているのだということのあたたかい答弁をいただきたい、かように思って私、このような質問をしておるわけです。このままであれば、零細漁民、すなわち組合員である個人は権限が無視されて、あだかも窮地に追い込まれるようなおそれが起きてくる、こういうふうなことをいろいろお聞きしておるわけでありますし、またそのように思うわけです。そういったことから大臣にお尋ねをいたしておきたいのであります。
  124. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 水産庁長官からも申し上げましたように、本法の第一条の目的については少しも変更はないわけでありまして、その趣旨は貫かれておるわけであります。そこでいまお話のございました御精神は、たぶん沿岸の零細な漁業等について十分な配慮をする必要があるではないかということと、もう一つは、これらの零細な人々の権利も無視されるようなことのないようにということもあると思いますが、御存じのように、総会では一会員一票制でありますからして、議決権については当然変更はございませんし、それから沿岸について特段私ども沿岸漁業政策についてウエートを置いて考えておることも御存じのとおりであります。ただ今回の改正につきましては、限度を千五百トンというふうにいたしましたのは、これは農協法の合併のときも、いろいろそれに類するお話がございましたし、それから先ほど来ここで他の委員と政府側との質疑応答にもございましたように、今度のような改正をいたしますことによって漁協がかえってしっかりするのではないかということの考え方のもとにやるわけでございますので、傘下の、つまり水協に入っております個人個人の漁業者の御不安というものはもちろん全然ないわけだと思います。ことに運営してまいります間に、農協の場合もそうでありましたけれども政府は運営の段階において、もちろん何か私どもいま想定することはありませんけれどもお話しのような点については十分考慮いたしまして、そういう零細な沿岸の方々に御不安なからしめるための指導は当然十分やってまいるつもりであります。
  125. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 准組合員の資格要件の変更についてでありますけれども、准組合員というのは、組合員のうち議決権及び役員または総代の選挙権を有しない者、これは法第二十一条でうたわれておりますが、この准組合員を認めるか認めないかは、組合が実情に応じて自主的に定款で定めることができる、このように私理解しておるんですが、准組合員を定款で認めるということがあるのか、また、認めていくについてはどういうふうに御見解をお持ちであるか、水産庁長官の御答弁を念のために伺っておきたいのであります。
  126. 大和田啓気

    大和田政府委員 千五百トンないし三千トンの漁業会社、これは准組合員の資格を新たに得るわけでございます。少し正確に申し上げますれば、地区組合では千トン以下、業種別組合では二千トン以下ということになっておりますから、それが三千トンに引き上げられるわけで、千五百トンないし三千トンの漁業会社というのは、先ほど申し上げました三十七あるわけでございます。これは毎々申し上げておりますように、カツオ・マグロとかあるいはまき網等々で正組合員と並んでやはりその地において中堅的な漁業会社であるわけで、ただ容易に千五百トンないし三千トンのものを漁業協同組合の正組合員にいたしませんでしたのは、業態としてやや類似をいたしておりますけれども、中小企業等協同組合法第百七条にございます排除命令の対象にしないで漁業協同組合の法人組合員の資格を引き上げるための限度はどれくらいかということの検討に際しまして、千五百トン以下ということにいたしまして、三千トン以下のものは今回正規の組合員の資格を与えなかったわけでございますが、実態としてこれもやはり中小企業的なものであることには変わりはございませんので、組合が定款に規定いたしまして、それらの者たちを准組合員として入れ、貯金を吸収しあるいは販売事業、購買事業等々の利用をしてもらう。そういうことがよいという判断をいたしますれば、これは組合が定款をもってそれらの者を准組合員といたすわけでございます。私どもは特別にこれを組合に対して准組合員にぜひするようにという積極的に指導をいたすつもりはございません。これはそれぞれの組合の事情がございますし、非常に数として少ないわけでございます。焼津あるいは三崎等々、組合の名前をあげましてもおそらくそうたくさんのものにはならぬわけでありますから、これは組合自身がおきめになればいいのではないかというふうに思います。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 第四次漁業センサスのデータによりますと、漁船漁業法人の階層別経営体数、漁獲金額等が出ておりますが、ただいま長官からも御答弁がありましたように、千五百トンから三千トン、准組合員が三十七、これは全体の三・二%。ところが三百トン以下は七百十八組合で六二・六%、三百トンないし千五百トンが正組合員三百七十で三二・二%、合計九八%となっております。なお三千トン以上が二十三で二%、こういうふうに表が出ておりますが、法人の中で二十三だけが抜けるということになると思うのですが、構成比からいけばほんとうにわずかであって、ほとんどが今回の法改正によって組合員に入っていくということになろうかと思うのです。それだけに目的改正も必要である、こういうふうに申し上げているんですが、先ほどから答弁がございましたので、この点は一応おくとしましても、二十三の法人、これは明確に言えるのか、どういうふうな会社がこれに入るのか。全部言うと時間もかかると思いますが、おもなものを若干あげていただいて、いずれまた質問のあとで資料でも見せていただけばけっこうでありますが、二十三というのははっきりとしておるのか、念のためにこの機会に伺っておきたいのであります。
  128. 大和田啓気

    大和田政府委員 この使用船舶三千トン以上の法人二十三の中には当然、大洋、日水、極洋、日魯、宝幸、報国、北水等々、いわゆる大企業会社が含まれているわけでございます。
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 二十三の企業が全部チェックしてあられると思いますので、いずれ後ほどまた資料を見せていただくことにいたしまして、次の質問に入ってまいりたいと思います。  水協法を除く他の水産関係法令においては、法人に関する中小漁業者等の定義をどのように規定しているか、これについて明示をしていただきたいのであります。すなわち、ばらばらになっておるわけですね。人については規定がありますけれども、船についてはばらばらになっております。人と船とものさしが二つあるわけでございますけれども、この点についての御見解を承っておきたいのであります。
  130. 大和田啓気

    大和田政府委員 ちょっと繁雑になりましてお聞き苦しいかもわかりませんけれども、お尋ねでございますので申し上げますと、沿岸漁業等振興法によります中小漁業者は「その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が千トン以下である漁業者」そういうふうになっております。  それから、中小漁業振興特別措置法の中小漁業者は、こまかいところは省略しますが、「常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が二千トンをこえない範囲内において政令で定めるトン数以下であるもの」となっております。  それから、底びき網漁業につきましてはまたさらに非常にこまかい規定になっておるわけで、底びき網漁業に「使用する漁船の合計総トン数がその者の使用する漁船の合計総トン数の三分の二以上であるものにあっては、千五百トン」とする。ただし、業種別組合の組合員については二千トン、これが中小漁業振興特別措置法に基づく中小漁業者でございます。  それから漁業生産調整組合法におきましては「使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が千トン以下」というふうになっております。  漁業災害補償法における中小漁業者は三百人以下、合計総トン数が千トン以下、ただし業種別組合の組合員たる法人にあっては二千トン以下、そういうことになっております。  以下、中小漁業融資保証法等々たくさんございますけれども、省略させていただきます。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、いま省略されましたけれども、現在農林漁業金融公庫法によるもの等がございますが、今回の改正では現行法どおりで、この使用漁船の総トン数は改正しようとしていないわけであります。すなわち農林漁業金融公庫法の場合は、いわばギャップがあるというふうに思われるわけであります。水協法の資格者、業種別には三千トンまでは認める、組合員の資格は千五百トンまで認めることになりますが、公庫法は千トン以下でないと貸さない、業種別には二千トンまでは貸す、こうなっておりまして、他の制度との関連がはかられていないというように思うのでありますが、これについてはおそらくこの法案を提案されて一挙にやると、いろいろ大蔵省の抵抗等もあったのではないかと思いますが、すでに新年度予算もはっきりしておる段階でございますから、いろいろその点の問題はあったかと思いますけれども、これはどういうふうな見解でこのようになったのか、明らかにしていただきたいのであります。
  132. 大和田啓気

    大和田政府委員 私は、漁業協同組合の正組合員の資格と、それから国が財政金融的な援助をする場合と、必ず一緒でなければならぬというふうにも考えておりませんけれども、できるならば一緒にしたほうがいいものが相当あることも事実でございます。私は、時を追うて順次協同組合法の改正の資格に合わせて他の問題にもこれを及ぼしていきたい、そういうふうに考えております。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣が所用のために四時からお出かけになるそうですから、そのことについて一点、大臣に伺っておきますが、いま水産庁長官からそのような話がありましたけれども、これは当然このような法改正によって今回施行するという段階になれば、これらがかなり問題になってくると思う。大臣としては、本年度は予算決定後でありますのでたいへんな問題もあろうかと思いますが、四十七年度については当然これは金融措置を考えていくということになろうかと思うのですが、これに対する大臣の御見解を承っておきたいのであります。
  134. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまのお話のようなことにつきましては、事情を見ながら漸次それに対処してまいるように努力しなければいけないと思っております。
  135. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと農林大臣に対する質問が若干ありますが、はしょってやるわけにいきませんので、いずれまた機会がございますので、けっこうでございます。  では、質問を続けてまいります。  総代会の設置基準ということについてお尋ねいたしますが、正組合員の総数が百一人から二百一人以上に引き上げられたわけでありますけれども、これについての根拠をひとつ水産庁長官から明らかにしていただきたいと思います。
  136. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもできるだけ組合の運営を総代会よりもむしろ総会でやることが筋であろうというふうに考えますので、総会につきまして、先ほども申し上げましたように、代理の問題等について相当改正をいたしたわけでございますが、今回総代会でなければなかなかうまく運営できないという組合につきましては、総代会の権限を拡大をいたした次第でございます。この場合、従来は百人ということが一つの基準でございましたが、今回は二百人ということにいたしましたのは、一つは総会でやるのが筋であろうということと、それからもう一つは、現在の漁業協同組合の組合員の平均が大体二百人前後ということでございますので、平均的な規模のものであれば総会と総代会とに振り分けていいのではないか、平均よりも著しく小さいような組合はまず総会をやってもらいたい、そういう趣旨でございます。
  137. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 総代会については、組合員は総代の選挙権を有し、代理人は、二人以上の総代を代理することができない。総会にあっては、五人以上の組合員を代理することができない。さらに、正組合員が二百人をこえる組合は、総会にかわるべき総代会を設けることができる。総代の定数は、正組合員の四分の一以上、正組合員が四百人をこえる組合は百人以上、こういったことになっておりますが、農協等では御承知のように、いわゆる正組合員が五百人以上の場合、こういうふうに規模の大きいものになっておるわけであります。水協法では二百一人であるとしますと、結局過半数というのは百人になる。しかも代理というものがきくわけでございまして、四人までがきくわけですから、本人を入れて五票ということになります。そうすると結局二十数人ないし三十人ぐらいで要件が満たされる、こういうことになってくるわけです。こういったことから考えますと、今後いわゆる一部の者にこれが牛耳られて組合軽視になっていく、零細漁民の意思が反映していかないというような懸念が持たれますが、こういったことは政府当局においても論議をせられたところであろうと思いますけれども、これらについての政府の見解を承っておきたいと思うのであります。
  138. 大和田啓気

    大和田政府委員 総会あるいは総代会その他漁業協同組合の運営についての改正の趣旨は、先ほども申し上げましたが、組合民主主義といいますか、組合員の声を正当に組合に反映させるためにはどうしたらいいかということに合わせて、組合の運営を合理的にしたいということでございます。したがいまして、今回の改正は、一つは総会をできるだけやりやすいような形にいたしておるわけで、できるならば私どもは総会によって組合員の意思を反映させることが一番いい方法であると思います。そのために代理し得る組合員の人数もふやしたわけでございます。しかし、それと同時に、離島を含めた組合、あるいはきわめて交通不便な漁村地帯をかなり取り込んだような協同組合につきましては、総会を開催すること自体経済的にも物理的にもなかなかむずかしい問題がございますので、そこで無理に総会を開かせても決してうまく運営はできない。俗に言いますれば、金がかかるばかりで決して組合の健全な発達に資することはできない、そういう事実も現にございますので、総会がやれるところはぜひ総会で、総会がどうしても無理なようなところは総代会で、ともに組合員の意向を正当に組合に反映させるようにしてほしい、そういうことが今回の改正の真意でございます。
  139. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産庁長官は総会ができるならば総会でやったがよい。まあ離島の例をとらえて、実際に経費もかかるし、なかなか総会が無理だというところは総代会で、そこはよくわかりますけれども、離島ばかりでもありませんし、またその程度でありますと、結局ほとんど総代会になってしまう。総会をやるとなれば、組合の解散とかあるいは合併、こういったときだけに限られて、ほとんどの組合が総会をやらずに総代会でやる。しかもさっき申しましたように、二十人か三十人くらいの数でこれが行なわれるという可能性が起きてくるわけです。そういったことは指導するとか行政指導でやるとか言われるかと思いますけれども、そういったことについては十分行政指導を強くやるなり何かの歯どめなりないと、いろいろ心配を持たれるわけです。そういったことからお聞きしてみたのでありますが、そこでこの組合の二百一人を、農協ほどまではいかなくても、三百人とか三百五十人あるいは四百人とか、もう少し上げるというようなことについてはどのような検討をしておられたか、この機会にあわせお伺いをいたしておきたいのであります。
  140. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもこの問題を議論いたします場合に、農協との比較でずいぶん検討いたしたわけでございますが、農協五百人と漁協二百人というふうに比べてみますと、私は、組合員の数からいいますれば、漁協のほうがむしろ総代会に譲ることがむずかしくなっておるだろうと思います。平均の数字にいたしましても、漁協の組合員の平均の数字は大体二百人でございますし、まず二百人平均程度の組合であれば、総代会に切りかえてもいいのではないか。先ほども申し上げましたように、私ども無理に総代会に持っていくつもりは毛頭ございません。やむを得ない場合に総代会ということは、行政指導としてもかたく守っていくつもりでございますし、それから実際の動きを見ましても、ほとんどすべての組合が、総代会を設けて総会は非常の際だけに開くということではないのではないか。河川組合といいますか、内水面の組合で地域が非常に広くて組合員の数もばらばらで、しかも組合員の関心が非常に少ない、そういうところにおきましては総代会が案外活用されるかもわかりませんけれども、沿海の普通の地区漁協におきましては、総代会よりも総会をという声が相当強くて、総代会で一色に塗りつぶされるということにはならないのではないか。私のほうもそういう無理な指導はいたすつもりはございません。
  141. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 協同組合の原則の一つとされてきましたところの一会員一票制というものが、今回連合会については特例を設けてその修正をしようということでありますが、組合員数に応じた票を与えるということになっておりますけれども、もちろん単協の組合員もおれば県漁連の組合員もおるわけでございまして、これらのことについてその平均組合員数を何名につき一票を与えよう、こういうように考えておられるのか、その基準について明らにしていただきたいと思います。
  142. 大和田啓気

    大和田政府委員 一人一票制の例外として付加する票の総体は、基本票の総体の範囲内というふうに指導をいたすつもりでおります。
  143. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次の問題ですが、漁協の現状からいたしまして、昭和四十三年度における沿海地区の出資漁業協同組合の調査結果によりますと、地区別組合数は、規模が小さく、勢い一組合平均の正組合員数も農協の八百九十一名に対して二百四名、約二三%に当たっております。この調査によりますと、旧市町村未満の組合は千百七十で五〇・九%、半数以上が占めておる。すなわち一つの村、町に部落組合とか二つも三つも、あるいは四つとあるわけでございます。旧市町村一円の組合というものは七百九十、三四・四%でございまして、県一円の場合など、すなわち旧市町村以上の組合というのが三百三十九、一四・七%、このように調査結果がまとめられておりますが、この中で旧市町村一円の組合、すなわち七百九十、三四・四%、これを強化していく、少なくとも五〇%以上くらいに持っていくべきではないか、こういうようにわれわれは考えておるわけでございますけれども政府当局はこのことについてはいかなる見解を持っておられるか、この機会に御答弁をいただきたいと思います。
  144. 大和田啓気

    大和田政府委員 組合の合併を推進いたしますときの基準といたしましては、まず事業規模からいって組合が自立できる程度ということが一つの目安でございますが、実際組合の合併が進んでおります経過を見ますと、たとえば山形県におきましては一県一組合というふうになっております。それから南伊豆におきましても、相当広い範囲で、市町村の区域を越えて組合合併が現実にできておって、相当うまく運営されておるようでございます。一市町村一組合——一市町村といいますと、お説でありますれば旧市町村でございますが、旧市町村一組合というのも私は一つの目安となるとは思いますけれども、組合員の漁業条件あるいは立地条件等非常に複雑でございますので、あまり機械的に旧市町村一組合という指導はいかがかというふうに思います。とにかく組合の合併に対する熱意と、それからそれによって組合が自立できる基盤がつくられるということを目途に、できるだけ広い規模で組合の合併をはかっていく、そういうつもりでやっておるわけでございます。
  145. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 組合の合併については、先般いわゆる助成法を五年間延長してきたところでありますが、現在合併の目標に対して一三%しか進んでいないという現状でございますが、これらを踏まえまして、どのような進捗状況であるか、今後どのように推進をしていくか、水産庁長官の御答弁をいただきたいのであります。
  146. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁協の合併の動きは、先ほども御説明いたしましたけれども、漁協整備促進法の時代は三十五年から四十二年にかけて二百十九件で、組合の数にして六百七十五で相当なはずみがついたわけでございますが、それが終わりますと漁協組合合併助成法によりまして四十二年から四十六年にかけまして八十件、二百四十四というふうに相当スピードが落ちたわけでございます。関係者も組合の合併について相当熱意があるわけでございますが、現実の問題といたしますと漁業権の問題がからまるというお説がございます。それがほんとうであるかあるいは組合が熱意がないことの口実であるか、私どもなかなかわからない面があるわけでございますが、漁業権の問題がございます。それから組合による経営の格差の問題がございます。それから、あまりに地域が広くなって組合と組合員の結びつきが弱くなるという判断もございまして、なかなか組合の合併は進まないのが現実でございます。また私どもも役所の立場で合併というものを強力にあるいは強烈に進めることがいいというふうにも必ずしも思いませんで、やはり団体の盛り上がった空気を私どもあと押しするということが、この問題の扱い方としては正しいと思います。いずれにいたしましても、信用事業あるいは販売事業等々、小さくてはとてもやり切れない時代がだんだんにくるわけでございますから、幸いに漁協の合併助成法の延長も認められたわけでございますから、ここ数年の間に全漁連その他の系統組織とも手を組んで、できるだけ合併の問題を進めたいというつもりでおるわけでございます。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産庁長官は、合併についてはいろいろ事情があるから積極的にはどうかと思う、団体の盛り上がりがあることが大事だという意味の答弁でございましたが、目標を立てて合併を促進しながらその目標に対して一三%、実に低い数字であります。あまりにも目標が大きかったといえばそれまでのことでありますけれども、いずれにしてもこの合併に対しては、農協の場合も同じでありますけれども、人と誠意というか熱意ということが最も大事であると思うわけです。現に北海道をはじめ静岡各地でも相当進んでおる例があります。それらをよく見ましても、当局の関係者がすごい熱意をもって臨んでおります。もちろん本法の改正も大事であるが、その前にこの合併促進を大いにやっていくことが最も水産庁としても大事なことではないか、かようにわれわれは思っているわけです。  そういった意味からさらにお尋ねをしておきたいのですが、この合併にはいろいろ問題もあります。合併の地先というものに優劣がある。いま長官の御答弁の中にもありましたけれども、アワビがとれるとかあるいはノリがとれるとかいろいろありまして、そういった地先の問題がからんできますので、いろいろ優劣があって困難だ。しかし合併したことによって、むしろ公害によってその地先が汚染されてアワビあるいはノリがとれなくなった、そのために合併によって今度は別な地先へまたいくというようなメリットもあるわけでございます。そういったことからいろいろ問題がある。またもう一つは人の問題。すなわち合併をすることによって組合長あるいは理事がそれだけ減ってくる。いわゆる人的問題から、強い反発があるもの等にはそういった傾向が強いわけであります。こういった二つのことが大きな問題となって合併が促進されない。しかし、当局の熱意、また指導によっては合併が促進されていくわけでありますので、こういったことについて水産庁のもっと前向きのいわゆる零細漁民を保護育成していくという意味の姿勢がほしい、私はこういうふうに思うわけです。そういったことについてさらに御答弁をいただかないと、どうもさっきのような答弁ではこれはあとで私たち地元に帰って問題になると思うのですが、さらに長官の決意を承っておきたい、かように思います。
  148. 大和田啓気

    大和田政府委員 水産庁として合併に熱心でないということではございません。私ども、合併をしなければなかなか漁業協同組合というのはこれからのむずかしい世の中にうまく処していけませんぞ、そういう啓蒙は大いにやるつもりでございます。ただ自主的な組合でございますから、自主的な組合を役所がいわば強制的に合併を進めるというのはまずい、そういう判断でございまして、合併自体に対する熱意は決して弱いものではございません。それは非常に強く進めるつもりでございます。
  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に一、二点お伺いして終わりたいと思いますが、水産加工業協同組合の現状というものは、昭和四十四年度、全国で百九十二組合設立されております。組合員総数が六千六百六十六名で、一組合平均組合員数四十三名となっておりまして、また水産加工業協同組合連合会は全国でわずかに九連合会設置されておるにすぎない現状であります。そこで水産加工業者のうち中小企業等協同組合法に基づく協同組合を組織している組合が約二百組合あるということでありますが、これらのことから水産加工業協同組合については漁業協同組合における場合と異なりまして准組合を認めていない。今度の法案には准組合員として認めていない、こういうふうになっておりますが、これは検討段階でどのようにされてきたのか。准組合員についてはこれは制度の中で抜けておるのか、または何か理由があってこれを入れなかったのか。この点明確に御答弁をいただきたい、かように思います。
  150. 大和田啓気

    大和田政府委員 加工関係の組合の現在の法人組合員の資格は四十人以下の使用者ということでございますが、それを百人以下に改正いたしますことによって一万五千ほどの水産加工業者の大体九八%以上が網羅されるわけでございます。したがいまして法律の改正の手続をいたします過程で准組合員を認めるべきかどうかということをずいぶん議論をいたしたわけでございますが、九八%以上の加工業者を正組合員として含むことができるならば、准組合員の制度は従来からないわけでございますが、それを新しく准組合員の制度をつくる必要はまずないのじゃないかという、そういう判断でございます。
  151. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは将来といえとも准組合員制度をこの場合は取り入れない、こういうふうに理解してよいか、その点お伺いしておきます。
  152. 大和田啓気

    大和田政府委員 加工関係の組合の資格百人以下というものは加工業界の実態の推移、だんだん大型化をしてまいるわけでございますから、その実態の推移と、さらに先ほども申し上げましたが、中小企業等協同組合法も改正されるという問題もあるわけでございますが、中小企業等協同組合によるいわゆる中小企業の形がだんだん大きくなるという問題、それにあわせて百人以下ということも私は将来当然検討してしかるべきものであろうと思います。准組合員を置くかどうかという問題もその際にあわせて検討をいたすつもりでございます。
  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣に対する質問が若干ありますけれども、一応本日の質問は以上で終わりまして、次の機会に譲らせていただきます。どうもありがとうございました。
  154. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 次回は来たる二十一日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会