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1971-03-26 第65回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十六日(金曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君      稻村左四郎君    加藤 陽三君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    堀田 政孝君       上原 康助君    木原  実君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    山田 太郎君       林  百郎君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   吉岡 邦夫君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君  委員外出席者         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       浜田  望君         日本国有鉄道施         設局長     北岡寛太郎君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君    稻村左四郎君   鬼木 勝利君     山田 太郎君   東中 光雄君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     鯨岡 兵輔君   山田 太郎君     鬼木 勝利君   林  百郎君     東中 光雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法  律の一部を改正する法律案起草の件      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として新東京国際空港公団総裁今井榮文君が出席されております。なお御意見は、委員からの質疑にお答えいただくという形で聴取することといたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 空港総裁がお忙しいようなので、最初にそちらのほうの問題から質問を始めたいと思います。  きのう穴倉に入っておりました農民警察力を使って出したようでございますけれども、これからの作業についてお尋ねをしたいと思うのですけれども、これからの農民との話し合いというのは、いろいろな問題がまだ残っていると思うのですけれども、どのように進められるお考えなのか、まずその辺からお尋ねをしたいと思います。
  4. 今井榮文

    今井参考人 従来も私どもはできるだけの努力をいたしまして、何とか反対同盟方々話し合いをするための努力を続けてまいったのでございますけれども、これがなかなか思うようにいかなかったというのが現状でございまして、今後私どもとしましても、反対同盟の中の、特に飛行場ができることによって実際に被害を受けるというふうな方々、たとえば、敷地の中に、第二工事区域に残存いたしております実際の反対派農家方方、それからまた騒音地区でございますが、特に空港の南側にあたります芝山地区農民方々、実際に飛行機が飛んだ場合の騒音について非常に心配しておられますから、そういうふうな方々と話し合って、先般も大臣から、いろいろな地元対策についての、地元の申請に対する積極的な御発言等もございまして、私どもはその線に沿って、あそこに無縁の方々話し合いをするということは実際問題としてあまり意味がないように実は感じておるのであります。敷地の中に住む農民方方騒音区域に住む農民方々、そういう方々と何とか話し合いをひとつやりたい、こういうふうに考えております。
  5. 横路孝弘

    横路委員 話し合い内容ですね。どういう方向で話をしていくのかという点、それから、いま無縁の人とは話し合いをしないということでございましたけれども、今度強制的に収用された、たとえばきのう閉じこもっていたような人たち、ああいう人たちとはもう話し合いはしないということなんですか。
  6. 今井榮文

    今井参考人 昨日四十数名の方が壕に入っておられたのですけれども、その中の一部は学生の方ですけれども、大部分の方は主として芝山地区農民の方が多いと思うのです。これはもちろん私どもとしては今後話し合いの対象にするわけであります。
  7. 横路孝弘

    横路委員 それで、その話し合いの具体的な内容ですけれども、たとえば騒音対策なら騒音対策という面について、具体的にこういう方向話し合いをするのだという内容はお持ちになっているのですか。
  8. 今井榮文

    今井参考人 持っておるわけでございますが、敷地内の農民方々、特に反対しておられる現在第二工事区域に住んでおられる方々に対しては、やはり十分御希望を伺って、敷地内面積と少なくとも同等以上の面積農地を適当なところに確保して、そちらに移っていただくという線で交渉する。現実に私どもは、現在の反対同盟委員長の石橋氏あたりと折衝する機会があって感ずるのでございますけれども、やはりそういった面で非常な心配をしておられるようなふうに感じます。それからまた騒音区域方々に対しては、これは総合的なやはり芝山町の開発計画に関連する問題でございますけれども騒音区域範囲を実質的に拡大するというふうな形で、希望があれば農地を買い上げてあげる、あるいはまた農耕するのだけれども、住居が飛行場に近いためにどこかに移りたいという方には移転補償するというふうなことが直接的な問題でございますけれども、それ以外に進入表面の直下に道路をつくるとか、あるいはまた工場団地を誘致する、あるいはまた農業共同施設をつくるとか、できるだけ農耕面積を広げるような方向でいく、あるいはまた九十九里に通ずる観光道路に沿って観光施設開発をやる。現にあそこは有名な仁王尊あるいは古墳群中心とする埴輪の記念館等もございますので、そういうふうな面で農業専業方々中心として全般的には芝山町の今後の開発のビジョンというものを実現していくということでありまして、これは主として千葉県がそういうふうな考え方を非常に強く打ち出しておるので、私どもとしてもできるだけお世話したい、かように考えております。
  9. 横路孝弘

    横路委員 その代替地の問題なんかの場合、一般的に話し合いをしても、それはなかなかつかないだろうと思うのです。これは具体的な案というものはすでに立てられておって、そうして農民のほうと話をしていくということでなければならないと思うのです。その辺のところはすでに具体案というものはお持ちになっておられるわけですか。
  10. 今井榮文

    今井参考人 代替地につきましては、空港建設が始まる以前に敷地内の農家約三百戸ございましたが、そのうちでほとんど二百四、五十戸の方は外にお移りになったのですけれども、その際に私どもは、民有地六百数十ヘクタールに対応するものとして、民有地三百ヘクタール、それから御料牧場残地が百ヘクタール、それから県有地で百ヘクタールというふうな、全体で五百ヘクタールの農地を用意いたしたわけでございまして、現在未配分で残っておるものが百ヘクタール近くございます。そのうちで現に、すでに県が三十ヘクタールの比較的造成のしやすいところは造成に着手しておるという状況でございます。私ども残った未配分代替地について、すでに当初取得した中で四十ヘクタール程度十分農耕にもたえ得るしまた配分も可能だというふうに考えております。ただ代替地については、公団は、先生承知のように農地法によって農地が持てないという関係もございますので、県に委託をして県に買っていただいておるという状況でございます。それからさらに私どもは、約六十ないし八十ヘクタールというものを別途新しく用意しようということで、これは千葉県知事が非常に強い気持ちを持っておられまして、特に千葉県の町村会を通じまして、すでに千葉県の町村会を通じまして、すでに千葉県の中部及び南部において数十ヘクタールのものを買収を進めておる。これは現実にあるわけでございます。ただ、そういう方々が現在敷地内で農耕をやって残っておられる。これは約八十ヘクタールでございますけれども、こういうふうな方々が、はたして用意した代替地がお気に入るかどうかということが、これからの具体的な話し合いになるのではないか、かように考えております。
  11. 横路孝弘

    横路委員 事態は、きのうの時点をもって新しい事態を迎えていると思いますので、ぜひそちらのほうの問題について、ひとつ積極的に農民の人と話し合いを重ねて解決をしてもらいたいと思うのです。  そこで現実飛行場のことなんですけれども、来年の三月までに飛行機を飛ばすというのが佐藤さんの言明で、その線に沿って非常に法律的な手続をとりながらきょうまで作業を進めてきたわけなんですが、これからの作業として、どういう手順をとって、来年の三月までにその飛行機をあそこに入れる予定になっているのか。これからの作業について、ひとつこれからお尋ねしたいのですけれども、まず最初に、来年三月までのいつごろまでに庁舎を完成して、機器をいつごろまでに入れて、そしてフライトチェックはいつごろまでにやって、それから保安要員もいつごろまでに配置してということについて、概略を御説明いただきたい。
  12. 今井榮文

    今井参考人 来年の三月ですから、四十六年度中に国際線への新空港供用開始をやるということで現在やっておるわけでございますが、御質問の各施設建設のスケジュールでございますけれども滑走路誘導路あるいはエプロンというふうな基幹施設については、すでに全部発注を終わっておるわけでございまして、中央部分の千五百メートル部分につきましては、すでに舗装まで始まっておるという状況でございます。それからまた、ターミナルビルディングにつきましては、すでにほとんど基礎工事から地上に鉄骨を建てるという段階までまいっておりまして、これも大体においてことし一ぱいにはでき上がるのではないかというふうに考えております。それからそれ以外に、保安施設については、これは工場製作でございますので、もうすでに発注をいたしております。航空灯についても同様でございます。それ以外に電気設備であるとか、あるいはまた冷暖房設備であるというようなもののセンターについてもすでにプラントとして工場製作中でございまして、私どもは現在ほとんど大部分工事については発注を終わっておるわけでございますが、その発注の契約上の工期からいたしましても、大体基幹施設につきましては、滑走路誘導路エプロン等については、あるいはまた保安施設については、九月下旬から十月初旬というふうに考えております。  先生のおっしゃるフライトチェックでございますけれどもフライトチェックは、大体十月ごろから航空局によって開始していただくという手順でおるわけでございまして、これにつきましては、滑走路はもちろんでございますが、保全施設、それからまた管制塔における対空通信機器であるとか、あるいは空港レーダーであるとかいうふうなもののチェックが必要でございますが、そういうものにつきましては、私どもは十月までにつくるという線で現在発注をしておりますので、間違いなくできるというふうに考えております。  それからフライトチェック期間でございますが、大体航空局の御見解では約三カ月、当然その三カ月の中には、フライトチェックだけではなしに、供用開始について各国に対するノータム、供用開始の通告をする期間も含めるというふうになっておりまして、したがって、フライトチェックの間に、フライトチェック関係のない残工事については進めるということで、暦年としまして来年のできるだけ早い時期には、私どもとしては全部完成をいたしたい、かように考えております。
  13. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、航空局のほうにお尋ねしますけれども、その要員ですね、管制官なり、あるいは無線の保守関係、これはいつごろまでに大体何人くらい配置をする予定なんですか。
  14. 内村信行

    内村(信)政府委員 ただいま今井公団総裁からお話がございましたように、大体施設が九月末ごろから十月初めごろにつくられる、そういう手順になっております。それから直ちに人員を配置いたしまして、それから機械のすり合わせ、あるいはフライトチェック、そういうようなことをやって、供用開始に備えるというふうにいたしたいと考えております。  それから人数につきましては、ただいま手元に持っております資料によりますと、所長以下百六十六名というふうな人員考えております。
  15. 横路孝弘

    横路委員 そこで、はたして来年の三月までに飛ばすことができるかどうかということに焦点を合わせながら議論をしていきたいと思うのですが、まず成田では、最初飛行場完成だけですか、それともターミナル完成も含めてここでおやりになるのですか。
  16. 内村信行

    内村(信)政府委員 ターミナル完成まで含めてやるつもりでおります。
  17. 横路孝弘

    横路委員 そこで、エリアの問題についてきのうも少し御質問があったようでございますけれどもお尋ねをしていきたいと思うのです。  成田空港への飛行機飛行経路ですね、たとえば香港から来た飛行機はどうする、アンカレッジから来た飛行機はどうする、そういう飛行経路はどういうことになっておりますか。
  18. 内村信行

    内村(信)政府委員 大体成田空港へ参りますのは、南から参るものと、それから北から入るものというふうに、両方分かれております。と申しますのは、成田空港ができますと、まず羽田とのセパレーション考えなければならない。それからもう一つ、百里とのセパレーション考えなければならぬということになります。したがいまして成田空港の場合には、北から来るものは土浦を経由して新空港に入ってくる。南から行くものは御宿を経由して入ってくるというようなかっこうになっております。  セパレーションについて申し上げますと、羽田の場合には、南から入るものは館山から木更津を経て羽田へ、北から来るものは柏を経由して入ってまいる。それから北へ抜けるものは春日部を経由して抜けてまいる。それに対しまして、成田空港の場合には、いまも申し上げたとおりの経路、それから利根川を境にしまして百里原とのセパレーションをやるというふうに考えております。
  19. 横路孝弘

    横路委員 その場合に、そうすると、来年の三月の段階から、成田に、いま羽田でやっておるような管制を、あそこに特別の区域を設けてやるということになるわけですか。
  20. 内村信行

    内村(信)政府委員 そういうことでございます。
  21. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、前におたくのほうの管制業務のほうで、新東京国際空港管制区域図、これは案でしょうけれども、大体この線に沿って、いろいろなポイント設定が、現実にことしの予算なんかでも三宅とか春日部とかできていますね。そういう点からいうと、御宿から成田空港へ入っていく飛行経路というのは、土浦ポイントの前のところで非常に急旋回をしなければ飛行場に入れないということになるのですね。つまり南風が吹いている場合です。そうすると、これまでこの案をつくったときにもいろいろ議論をされたようでありますけれどもジャンボその他の大型ジェット機の場合は無理だ、こういうことになっていたのじゃないか。当初のあれというのは変わっていないのですか。
  22. 内村信行

    内村(信)政府委員 無理ではないと思いますが、詳細は技術部長のほうから御説明させます。
  23. 金井洋

    金井説明員 局長が申し上げましたように、結論的には無理ではないということでございます。特に技術的には、羽田に現在ジャンボがおりておりますけれども羽田の場合と比較して、航法上あるいは操作上特に無理ということはないという結論になっております。
  24. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、土浦ポイントの前の角度はどのくらいになりますか、旋回の場合は。
  25. 金井洋

    金井説明員 角度は、いま手元資料はございませんけれども、大体羽田と同程度、もしくはそれ以下ということで考えております。
  26. 横路孝弘

    横路委員 この案が出たのは二年ぐらい前ですね。そのときいろいろ議論されて、現場の管制官そのほかでは、これは大体無理だということで一度白紙に戻ったのじゃないですか。
  27. 金井洋

    金井説明員 そういうことはございません。無理であるということで白紙に戻ったということではございません。
  28. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと角度を変えてお尋ねしますけれども、この場合、北から来た飛行機の場合、百里の飛行場経路が非常に接近をする、あるいはその上空を通るということになるのですね。そこで「ウィング」という、これは防衛庁関係で出している新聞があるのですけれども、その中で百里基地について区域の条件が非常に悪いということが指摘をされて、ニアミス防止防衛庁として懸命になっているのだ、こういうことが指摘をされているわけです。御承知のように、この基地上空の場合は、高度によって空域を分けているわけですね。この百里の上のところを大子から佐倉のほうに至るアンバー7という航空路が通っているわけです。千歳から飛行機羽田に向かって飛んでくる場合の経路ですね。そのアンバー7が通っていて、ここの交通量というのは非常に多い。それからもう一つは、この基地の西側に民間小型機飛行場があって、こういう小型機ニアミス防止の問題もある。またさらに水戸の射爆場のレンジ一二一があったり、原子力発電所があったり、さらにあそこに大宮から佐倉を通る航空路もあるわけですね。そしてまた太平洋のほうへ抜けて行く出入り口にもなっているわけですね。八本のOTRというのがあそこにあるわけです。  そうすると、この航空路設定として、百里の基地の問題、この問題を、少し横のほう、海岸のほうにずらさない限り、なかなかむずかしい問題が出てくるのではないか。防衛庁のほうでこういう心配をしているということは、逆に言うと、民間飛行機のほうから見ても、同じ問題が実は言えるわけでありまして、あそこの飛行場を飛び立って、いわゆる上の航路のほうに――あれはたしか千五百メートル、五千フィートくらいのところから上、下こう分けているはずなんです。つい走っていってしまうということになるわけですね。その辺のところの問題は、成田空港経路というものを考える場合に、航空局としては、これは頭に置いておられないのかどうか。この百里の基地の問題はどのようにお考えになっていますか。
  29. 金井洋

    金井説明員 百里基地の問題につきましては、先生指摘のとおり、いろいろ問題があるわけでございまして、これについては当局としても十分考えております。それで、もちろんもっと海のほうへ出すとか、あるいは狭めるとか、あるいはないというようなことであればいいと思いますけれども、そういうことにもいきませんので、この百里があるということを前提にして空域設定しておるわけです。百里の場合は、御承知のように高度を四千フィート以下に押えるとか、あるいはその他の保安施設をつくるとかレーダー管制をするとか、いうふうにして、現状のままの百里基地があると仮定してあのような空域設定しているということでございます。
  30. 横路孝弘

    横路委員 それは現行の場合ですね。そうじゃなくて、今度はそこにさらに成田ができるわけですね。そうすると、いまのままの空域でいいわけですか。
  31. 金井洋

    金井説明員 現状のままの百里の基地で、そこに成田ができたということを頭の中に置いて空域設定しているということでございます。
  32. 横路孝弘

    横路委員 いや、それは成田建設がきまってから空域変更をやりましたか。やっていないわけでしょう。だから、最初その空域設定をしたときには、成田のことなんか頭にない、そういう空域設定になっているはずですよ。だから、今度あそこに成田ができるわけですから、そうすると、あそこの空域変更ということを考えなければ――おたくのほうはレーダー管制から何から全部成田の場合に特別の空域設定をしてやるというわけでしょう。技術部長さん、成田羽田と同じような管制をやるというわけでしょう。成田に特別の空域を設けて、飛行場管制だけじゃなくて、レーダー管制から何から来年の三月から全部やるというように先ほど御発言になったわけですね。そうすると、やはりその空域設定をしなければ、下総基地もあるし百里の基地もあるということになれば、新しい空域設定というものをしなければ、現行でさえ問題があるのに、さらにこれは混雑が深まるわけですから、その辺のところをどうお考えになっているか。
  33. 金井洋

    金井説明員 ちょっと答弁がまずくて失礼いたしました。百里はいままでよりは高度を下げるとか、あるいは下総防衛庁基地との関連、そういうものを考慮して、成田ができた場合には当然以前と違った空域考えます。
  34. 横路孝弘

    横路委員 だから、その話し合い現実にやっておられるのですか。その内容というのはあるのですか。そのことはどうですか。
  35. 金井洋

    金井説明員 これについては関係各機関と相談しまして、大体の案はできております。
  36. 横路孝弘

    横路委員 それは内容はどういうことになっておりますか。
  37. 金井洋

    金井説明員 先ほど下総、百里の基地を考慮した空域について局長が説明申し上げましたように、たとえば下総の場合には、下総を利用する飛行機は千五百フィート以下にして洋上に出るとか、それから百里の基地の場合には四千フィート以下に押えるとか、そういうふうな内容でございます。
  38. 横路孝弘

    横路委員 そこで、空域の問題になりますと、いろいろあちこちの飛行場でも同じような問題が出てきているわけですね。ちょっとこの問題をはずれますけれども、ここだけでなく全体的に空域のそういう再編をやるお考えはあるのかないのか。つまり成田ばかりでなくて、どこの飛行場でもどんどん飛行機機数というものは伸びていっておるわけですね。昔のDC3ないし4くらいの、あるいはフレンドシップ程度のことを予想した空域設定がなされておる飛行場たくさんあるわけですね。それをこの際、やはりこういう機会に全体的に洗い直す必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  39. 金井洋

    金井説明員 御指摘のとおり洗い直す必要がございます。それで、これは空港整備五カ年計画とも関連いたしまして、全国の空港について空域を再編成しようということを計画しております。
  40. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、成田の場合は、飛行場管制だけでなく、レーダー管制も含めてやるということですと、その範囲というのはどの程度になるのですか。
  41. 金井洋

    金井説明員 正確な緯度、経度ということはいまわかりませんけれども成田中心としまして半経六十マイルの大体円の中、こういうことになっております。
  42. 横路孝弘

    横路委員 そこでもう一つ、また角度を変えてお尋ねしたいのですけれども羽田Bラン完成しましたね。Bラン最初計画内容というのは、要するに横風が吹いた場合飛行機の離発着をスムーズにしようというのがこのBランをつくる最大の理由だった。運用されて一週間か十日になりますね。どういう状態になっていますか。
  43. 金井洋

    金井説明員 Bラン設置の目的は、御指摘のように横風用ということもございますけれども大森地区騒音対策ということが一番大きな理由であったかと思います。運用当初は多少のごたごたがあったようですけれども、現在は平常に運用されておると聞いております。
  44. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、その騒音対策ということで、運輸省のほうとしては、Bランをどの程度使うような計画になっているのですか。それは現場にまかせてあるわけですか。
  45. 金井洋

    金井説明員 Bランの使用については、CランとBランをどういうふうに併用して使うかということについては、現場の関係官の意見その他も聞きまして、川崎コンビナートの上は飛べませんのでCランとの関連で離陸、それから着陸、どちらかに限定するというふうにいたしております。Bランができてから多少処理機数も上がりました。処理機数が約五%くらい上がっておりますけれどもその処理機数等の関係についても、現場の意見は十分聞いております。
  46. 横路孝弘

    横路委員 いろいろお話を聞いてみると、Bランができたためにかえってディレーがふえている。それは羽田の構造を見るとわかるわけでありますCランを横切ってBランがあるわけですね。おまけに駐機場あるいは誘導路というものがどうしてもBランを横切らざるを得ないわけですね。だから、かえって、飛行機が一機Bランを使っておりてくるということになると、飛び立つ飛行機、たとえばランウェー15のほうを使う飛行機考えてみますと、どうしてもあすこでたくさん待たざるを得ないから、ずっと並んでいる。私もつい四、五日前自分で経験してきているわけですね。そうすると、これは騒音防止ということもあるけれども横風用につくったというのを、無理していろいろといままで皆さん方のほうで、これができると処理機数たくさんふえるのだということを宣伝されてきたからでもあると思うのですけれども、実際こういう交差している滑走路をばく大なお金をかけてつくったわけですけれども現実的な機能としては、そういうことで、あまりお使いになるとかえって混乱ができる。ですからBランを使ってから以降、またホールディングが、四十分とか一時間というように飛行機に出ているわけですね。その辺のところ、ひとつ配慮してもらいたいと思うのです。  私がお尋ねしたいのは、そこにおりてくる飛行機飛行経路なんですけれども、たとえば南のほうから来た飛行機の場合ですと、御宿ポイントから船橋のほうを目ざしておりてきて、そこから江戸のポイントを通って着陸体制に入る、こういうことになっているわけですね。この飛行経路そのものも、下総基地との関係で、しかもすぐそばを大宮から佐倉に抜けるレッドワンという航路これが通っているわけです。これは飛行機のほうにも問題があって、この航空路の中に、特にYS11等の飛行機というのは、アプローチミスをして入ってしまうということがずいぶん多いようなんです。そのこともあとでお尋ねしますけれども、そうすると、これから成田ができたら、さらにこのBランも使うわけですね。下総基地があり、成田があり、百里があり、羽田がある。そうすると、羽田なら羽田で一括管制するのじゃなくて、羽田成田とそれぞれ別に空域を持って、そこから出る飛行機というのは、全部東京管制センターを通して、羽田成田と相互に打ち合わせをしながら、飛ばしたりおろしたりしなければならぬということになるわけですね。この管制の問題はあとでやりますけれども、今度Bランを使用する場合も、その辺のところ一体お考えになっているのかどうか。つまり飛行航路とか経路というものが複雑にからみ合って、しかもその周辺には小型飛行機あるいはヘリコプター等の離発着の場所もたくさんあるわけですね。この辺のところ、一体どういうような基本的な方向で整理されようとしているのか。そしてその場合は、実は大きなポイントというのは、成田空港というものを国際 だけにして、羽田は国際線に使わないようにするのかあるいは成田にも国際線を入れる、羽田にも国際線を入れるということなのか、あるいは成田の場合は国際線と北に向けての国内線、羽田の場合は南に向けての国際線と国内線、そういう分け方をするのかどうかということも実は飛行場の使い方とからみ合ってくる問題がここにあるわけですね。その辺のところを、空域設定をする場合あるいは空域の再編成をする場合に頭に入れないとならないのじゃないかと私は思うのです。その辺のところは、航空局のほうでもけっこうですし、公団のほうでもけっこうでございますけれども、どういうようにお考えになっているのか。
  47. 内村信行

    内村(信)政府委員 いささか考え方の問題になりますので、私から御答弁いたします。  成田につきましての使い方、これは国際線ということに限ります。それから羽田は国内線、大きく考えればそうでございます。ただ成田につきましては、国際線でございますけれども、国内線との連絡便というふうなものが若干入ることは想定されます。しかし性格はあくまでも国際線というふうな考え方、これが基本的な考え方になると思います。  それから空域設定の問題でございますけれども、先ほど申し上げたような空域設定考えておるわけでございますが、先生指摘のように確かにいろんな飛行場がございますと、その間が非常に錯雑してまいるということがございますので、将来の方向としては、成田でもってこれを一元的にコントロールするという方法を考えるべきではないかということで検討したいと思っております。
  48. 横路孝弘

    横路委員 そこで下総基地というものは、やはりいろいろな経路とまじわり合って一番危険なところにあるわけですね。これを移転する、厚木が返ってきて、皆さん方結局厚木の飛行場防衛庁にとられてしまったわけですね。その前提としてやはり下総云々という話があったわけですね。ところが下総が厚木に移ったとしても、そのあとにまたどこかの飛行隊が入ってくるというような話も聞いておるので、その辺のところの経過を、厚木の返還の過程の中で皆さん方何かお話し合いなさっていると思うのです。私は下総は少なくとも移すべきだと思うのです。さらに言えば、百里だって横にどかさないならばニアミスがこれからどんどん出てくると思うのです。この下総基地の取り扱いについてはどうなっていますか。
  49. 内村信行

    内村(信)政府委員 先般厚木の問題でいろいろと先生から御指摘もございましたし、また御答弁申し上げたわけでございますけれども、その際に下総との関連でもつでものを考えております。私どもは元来厚木は使わないでいいでしょう、下総を使ったらいいでしょう、こういうようなことを申しておったわけであります。しかし防衛庁には防衛庁のいろいろな考え方がありまして、厚木を使わざるを得ない。そうなれば、先ほど先生の御指摘があったように、下総をなくして見たらどうかということを申し上げてみたのであります。しかしこれは相手のあることでありまして、先方の事情としては使わざるを得ない。そこで下総については、成田ができた場合にどうなるかという問題が出てくるわけでございます。ただいまでも羽田下総関係はあるわけでございまして、現在は、下総飛行機というものは海上に出て練習するわけですから、海のほうへ出なければならぬ。そこで海に出るにはどういう経路をとるかということですが、それは千五百フィートくらいの低高度でもって、いままでは成田を通って銚子に出るというような経路をとってきたわけでございます。しかし今後成田ができますとそれができなくなるということでいろいろな問題が出ておりますけれども、これもいろいろ防衛庁のほうと折衝いたしました結果、成田を通らずにもっと御宿寄りのほうに経路をとって太平洋に出てまいるということで、高度はやはり千五百フィートということで、これは解決できるであろうということで、一応その間の調整はできておるというのが現状でございます。
  50. 横路孝弘

    横路委員 もう一点、先ほどの点を確認しておきますが、百里の場合も高度を下げるということですね。確かにいまのままの高度で空域を分けていると、空域設定からいうと、かなり無理をして急降下しなければ成田におりられないということになるわけですね。先ほどのあれですと、いまのは五千フィート、これを四千フィートにするということですか。
  51. 金井洋

    金井説明員 四千フィートにするということでございます。
  52. 横路孝弘

    横路委員 そこで、ちょっと話が横にそれますけれども、いまBランの話が出てきましたので、ちょっとその点に関して一点だけ。これはお願いになるわけなんですけれどもBランが出てきてこういう問題が明らかになったわけですね。というのは、全日空そのほかのYS11あるいはフレンドシップもそうなんですけれども、VORの受信機の関係が、飛行機に実は一つしか実際の機械というものが入っていないのですね。飛行機の操縦席そのものを見てみると、これは全日空のほうの運航規程も、これは運輸省のほうでも認可されているわけですが、機械装置だけは、ボタンとかそのほか表面だけはついているわけですね。ところが、中身の機械というものは入っていない。経費を節約する意味で全日空のほうではこれを取り除いているのだろうと思うのですけれども、それをまた運輸省のほうでもお認めになっている。ところが、Bランから入ってくる場合には、二つのポイントを見ながら位置決定をしなければならないVORだから方位になりますね。これを決定しながら江戸のポイントから着陸をしていく。なかなか船橋あたりのポイントをつかむことがむずかしいらしいのです。どうしてもVORというのは、受信機の関係は二つとも積んでおかないと位置決定ができない、方位決定ができないという問題があるらしいのですけれども、その辺のところ、もしおわかりだったらお答えいただきたいと思いますし、もしあれでしたらひとつ調査をしていただいて、これは飛行機の安全確保という面からぜひ――表面の計器盤だけあって、中身の機械を積んでいないなんということはとんでもない話なんで、必要だからこそ飛行機をつくる場合にきちんとできているわけですね。そういうのは実は全日空の場合、VORの受信機ばかりじゃなくて、たとえば飛行機のウェザーレーダー、そのほかフライトレコーダーの関係も、全日空の例の事故のあといろいろ問題になりましたけれども、まだまだこのYS以下の飛行機にはフライトレコーダーも全然ついてないということのようなんですが、その辺のところ、運輸省のほうで御存じかどうかお尋ねしたいと思います。
  53. 金井洋

    金井説明員 まず最初のVORのことでございますけれども、御指摘のとおりこれが二つあったほうが望ましいと思います。現在規則上一つでもいいので、VORとADFと、二つを使用しておるということでございますけれども、これは二つ積むように指導したいと思います。  それから第二点のフライトレコーダーでございますけれども、事故後ジェット機にはフライトレコーダーを義務づけました。ところが、YSだとかフレンドシップのターボプロップには義務づけていなかったわけでございますけれども、これは二年以内に、昭和四十七年の十二月までにはすべての旅客機にフライトレコーダーを装着するということを義務づけました。それからさらに、四十一年の時点では義務づけていなかった操縦室音声記録装置、ボイスレコーダーといいますけれども、ボイスレコーダーはパイロットがしゃべったことは全部録音されるわけですけれども、このボイスレコーダーも義務づけております。したがって、今後は事故調査その他に非常な威力を発揮するのではないかというように考えております。
  54. 横路孝弘

    横路委員 そういうことで、まだまだこのYS11には問題があるのですが、これは時間を改めてまたお尋ねすることにします。  そこで空域の問題にまた戻るわけですけれども、ブルー14に沿った横田の壁があるということは従来から言われているわけですね。厚木なり横田なり立川なり、いまいろいろ問題が動いているようでありますけれども、やはりここに壁があるということは、非常に管制上あるいは早く飛ばすという意味でも――名古屋に行くだけでも、横田の壁がないのと遠回りして大島回りで行くのとでは、飛行時間も変わってくるわけですね。その辺のところについては、運輸省としてはこの壁をどうするかという話し合いの動きがいま非常にあるわけですから、厚木も返ってくるということになるこの際、これは考えるべきじゃないか、交渉すべきじゃないか、あるいは政府として、できるだけ空は日本に返してもらうという方向での話し合いをすべきじゃないかと思うのですけれども、横田の壁についてはどのようにお考えになっていますか
  55. 内村信行

    内村(信)政府委員 御存じのとおり、例のブルー14でございますけれども、これにつきましては従来は全然触れることはできなかった。しかし、だいぶ前のことですね、四十三年ごろだったと思いますが、このころ米軍のほうと交渉いたしまして、二本の横断ルートをつくった。すなわち羽田リバーサル、浜松直行ルート、これをつくりまして、西行便はこれに乗っけていくということにいたしまして、ただいま西行便の大体八〇%くらいかと思いますが、それくらいはそのルートを使っているということでございますので、その辺は前に比べますとだいぶよくなったというふうに考えられるわけでございます。
  56. 横路孝弘

    横路委員 しかしその場合でも、羽田飛行機を飛ばす場合に、管制センターに連絡して、そこから横田に連絡をとって、オーケーをとってやるという手続になっております。オーケーが出なかった場合には回さなければならない。オーケーが出たらそのまま飛ばすことができる。ですから、基本的な姿勢としてはやはり空域というものは日本で管理すべきじゃないか。そういう方向での話し合いは全然なさるお考えはないわけですか。
  57. 金井洋

    金井説明員 御指摘のとおり、横田の米軍等と一々管制官が連絡をとるということはわずらわしいわけで、ないにこしたことはありません。この交渉につきましては、外務省その他にわれわれのほうとしても今後そういう働きかけはするつもりでございます。
  58. 横路孝弘

    横路委員 時間もございませんので、次に管制官の問題について、これは成田とも関連をしてくるわけですが、お尋ねをしていきたいと思うのです。  毎年確かに定員はふえているわけですね。定員はふえているけれども、それに伴う実員がいるのかいないのかということになりますと、はなはだ心細い次第なんで、そこで最初お尋ねしたいのは、羽田の場合、定員とその資格の有無――無資格者も相当いるようなんですが、その辺のところからまずお答えを願いたい。
  59. 内村信行

    内村(信)政府委員 管制官について申し上げますと、羽田の場合には配置人員が六十七名ございます。その中で技能証明を持っております者が五十七名、未取得の者が十名、大体八五%が技能証明を持っておりまして、残りが未取得、こういうかっこうになっております。
  60. 横路孝弘

    横路委員 未取得の者が、つまり無資格の全然資格のない者が十名ほどいるわけですね。さらにその資格というのも、席によっていろいろ分かれているということになっているわけですね。  たとえば一つだけ指摘したいのですが、羽田の場合でも、ターミナル管制の入出域調整席あるいはFDRという捜索管制席、これについては各チーム大体十三名から十二名ということで五チーム編成になっていますけれども、やはり有資格者でない者がすわらざるを得ないような、そういう要員配置になっていますね。どうしても無資格者、つまりそこの席にすわる資格のない者がすわらざるを得ない、私はいま現在の各チームについての、それぞれどういう資格を持っていてどこにすわっているかという表を持っているわけですけれどもそれを見ると、必ずいま私のほうで話をしたFDRあるいは入出域調整席にはそんな資格がない者がすわらざるを得ないような、そういう状況になっているようですね。ですから、十名の無資格者がいる。各チーム大体二人ないし三人ですね。これも忙しくなると、ときにはいろいろ連絡せざるを得なくなる、さらにそういうような問題があるわけですね。こういう問題を要員の養成の問題としてどのようにお考えになっているのか。大体無資格者が、ここにすわる資格のない者がやっているのですから、それだって大きな問題だと思うのですが、養成のほうを含めてどのようにお考えになっているのか、お答え願いたいと思います。
  61. 内村信行

    内村(信)政府委員 確かに先生指摘のようにワンシフト、つまり十二名ないし十三名、そのうち平均的に一、二名は無資格者がすわっているというような現実であります。というのはなぜかと申しますと、毎年毎年新人が出てまいります。そして仕事も膨張してまいりますし、あるいは職員の自然減耗もございますので、そのために、いま設置法で御審議を願っております航空保安大学校いまの航空保安職員研修所でございますが、そこで新人を養成いたしまして、その課程を終了して卒業した者を現場に送り込み、現場でどうしてもオン・ザ・ジョブ・トレーニングというものをやらざるを得ないわけであります。これはいずれの国においてもそういうことでございまして、アメリカなどにつきましても二〇%くらいはオン・ザ・ジョブ・トレーニングというものが入っておるということであります。そして、こういう新人を養成して、それを現場につけてまいりますためには、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというものをどうしてもやらざるを得ないのでございまして、どうしても入れざるを得ない。ただ、これが一カ所に非常に多く入ってくるということになってまいりますと、全体の関係から安全性にも支障を及ぼすということでございますので、なるべくこれを平均化してまいりたいということで、現在におきましてはどのシフトをとってみても八五%以上は有資格者が占めるということにしたいということでやっておりまして、平均的にまとまっておる。それからまた、オン・ザ・ジョブ・トレーニングは、各シフトにつきまして、なるべくひまな時間帯を見てそこに入れていくということを配慮しておるつもりでございます。そういうことをやっておるわけですが、さらに訓練主幹というものを新しく定員がとれたので、そういう者を配置して、指導責任者をつけまして、その指導のもとにめんどうを見ていくという方法をとっております。
  62. 横路孝弘

    横路委員 そこでお尋ねしたいのですが、板付の飛行場が返還されますね。これはいつから運用開始をなさるお考えですか。
  63. 内村信行

    内村(信)政府委員 この七月からの予定でございます。
  64. 横路孝弘

    横路委員 四十六年度の予算を見ますと四十三名がついているが、この管制官はいつから配置するわけですか。
  65. 内村信行

    内村(信)政府委員 四月から配置するつもりでおります。
  66. 横路孝弘

    横路委員 それは四十三名全員について、四月から配置するのですか。
  67. 内村信行

    内村(信)政府委員 最初は二十八名、それから十月から十五名という配置計画を持っております。
  68. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、板付の飛行場については、これは管制飛行場管制だけですか。それともレーダー管制も含めておやりになるのですか。
  69. 内村信行

    内村(信)政府委員 レーダー管制はあとになると思います。さしあたりはやりません。
  70. 横路孝弘

    横路委員 いまそのレーダーを米軍がどんどんこれは持っていってしまっているわけですね。そうすると、この板付の飛行場という、非常にこれは重要な飛行場で、はたしてレーダー管制をやらぬということになりますと、まあこれは二種空港並みになるわけですね。いわゆるウェザーミニマムというものが非常に悪くなって、欠航率が多くなるということは当然予想されるわけですね。福岡の管制センターで、出発とか着陸とか指示を与えるということになるわけですね。そうすると、飛行場管制だけをやるということになるわけですね。これは、ここは具体的にこれからどうお考えになっているのですか。これは早急にレーダー管制をやらなければ、どうしようもなくなると思います。
  71. 金井洋

    金井説明員 御指摘のとおり、レーダー管制は早急にやることがベター、望ましいのですが、当初飛行場管制と進入管制を二十八名でやります。ILSがあるということと、東京、大阪ほどの交通量ではないということで、当初はレーダー管制なしで二十八名でやりたい。要員を養成し次第、レーダー管制要員として十五名配置するということを考えております。
  72. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、四十三名のうち十五名というのはレーダー管制要員なのですか。
  73. 金井洋

    金井説明員 そうです。レーダー要員です。
  74. 横路孝弘

    横路委員 それをことしの秋までに配置するということなのですね。
  75. 金井洋

    金井説明員 そうです。
  76. 横路孝弘

    横路委員 それで板付の要員というのは四十三名ですね。一体どこから持ってくるお考えなのですか。
  77. 金井洋

    金井説明員 先ほど局長からのお話がありましたように、全国の各空港あるいは管制部等からできるだけ均一に充てたいというふうに考えております。
  78. 横路孝弘

    横路委員 具体的にはどこから何名、どこから何名というものはできているわけでしょう。
  79. 内村信行

    内村(信)政府委員 実情を御説明申し上げたいと思います。  これにつきましては、もう少し全体的にいいますと、四十六年度の定員増でございますが、板付が先ほど先生指摘のとおり四十三名、それから成田が新たに三十七名、これには十月以降配置のことは先ほど申し上げたとおりでございます。それから、そのほかのものを加えまして大体百二十名程度というのが、四十六年度の増員分ということになります。そのうち二名程度は研修要員が入っておるかと存じます。したがいまして、こういうものを充当していかなければいかぬわけでありますが、これに対しまして航空保安職員研修所、ここでもってこの三月末にもう卒業いたしましたが、これは三十三名おります。それから、さらにことしの九月末までに専修科の学生を六十二名誉成いたします。そういった者を合わせて九十五名程度というものが充当されることになりますが、先ほどの数字でもおわかりのように、これではまだ不足でございます。そこで、さらに不足分については、防衛庁からの割愛というふうなことも考えてまいりたいというように考えております。  それから、なおもう少し詳細に申し上げますと、四十六年度の管制要員というものは、成田の運用開始というものがありまして、相当大幅に膨張いたします。それにかてて加えまして、板付の移管というものが非常に急に決定いたしました。われわれに言わせるならば、ある程度卒然としてきまったような感じでございまして、そのために急に多数の要員が一挙に必要になったというような状況でございます。したがいまして、従来の養成計画に入っていなかったというふうなことがございまして、また先ほど申し上げたような養成計画では必ずしも十全なものとはいえないわけでございます。しかし、一方そういったものをやらなければいかぬという必然性もございますので、そのためには、東京国際空港とかあるいは大阪国際空港における業務を一部縮小できるものは縮小する、あるいはそのほかの空港においても、あるいは管制官管制通信官に置きかえていくようなこともできる場所もある、そういうふうなところからこういったものを捻出して、肩がわりをしてやっていくということで、これをまかなってまいりたいというのが偽らざる実情でございます。
  80. 横路孝弘

    横路委員 一般論としてはそのとおりだろうと思うのです。しかし研修所から出るといっても、これは使いものになるまでには、少なくとも飛行場管制官の資格をとるまでに一年かかるわけでしょう。副席の資格をとるまでに半年、あとさらに半年必要なわけです。そういうことを考えてみますと、どうも一般論だけではなかなか納得できないので、その四十三名について、いま大阪や東京の業務を縮小する、さらに管制官を置いているところを廃止するというお話もいま出てきたわけなんですけれども、四十三名は一体どこから持ってくるのか。具体的には七月一日運用開始でしょう。そうすると四月までに配置しなければならぬということですね。それは具体的に当然計画をお持ちになっていると思うのです。だから、その具体的な中身を一つずつ出してもらって、それによって少し問題を洗っていきたいと思うのです。
  81. 金井洋

    金井説明員 当初四月に配置します二十八名については、どこから何名持っていくということはすでにきまっておりますが、残りの十五名についてはまだきまっておりません。
  82. 横路孝弘

    横路委員 その二十八名はどこから持ってくるのですか。
  83. 金井洋

    金井説明員 いま手元に何名というこまかい資料がございませんので、あとで御報告いたします。
  84. 横路孝弘

    横路委員 では、その一部縮小というのは、大阪と東京の管制の何の業務を縮小するのですか。
  85. 金井洋

    金井説明員 東京と大阪の場合のPAR要員五名ということをいま考えておりますけれども、この縮小する時期につきましては、現場の意見等を聞きまして、東京については十月、大阪については六月過ぎに、要員がある程度熟練を積んでからその五名を引き揚げるというふうに考えております。
  86. 横路孝弘

    横路委員 いや、その二十八名についてはもうできているというようにいまお答えになったわけでしょう。そうすると、十月とか六月というのはおかしいのじゃないですか。
  87. 金井洋

    金井説明員 ただいま申し上げました東京と大阪のPARについては、残りの十五名分でございます。
  88. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、東京と大阪のPAR分これを廃止することだってほんとうは問題があるPARが故障するとかいった場合に一体どうするかということになる。これは大問題になるわけでしょう。ですからその問題もあるわけです。業務を縮小するといったって、必要だからいままでずっと置いていたものを、要員が足らぬ、配置をしなければならぬというのを、業務を縮小してやめる、これは、やはり安全性の点から考えていままでそういう席があったのを、それを簡単にやめてしまうというのは大きな問題だと思うのですよ。しかし、私のほうでいままでいろいろ調べた範囲では、その五名というのは二十八名の中に入っているのじゃありませんか。この五名、五名、十名というのは。
  89. 金井洋

    金井説明員 これはあくまでも十名は、配置しようとしておる残り十五名の中のもので、二十八名の中には入っておりません。
  90. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、いまわかりませんか、二十八名をどこから持ってくるかというのは。
  91. 金井洋

    金井説明員 これはたまたま資料をきょう持ってきておりませんので、早急にお知らせしたいと思っております。
  92. 横路孝弘

    横路委員 それは資料がないのじゃなくて、持ってくるところがないのじゃないかと私は思うのですよ。五名、五名というのは、それは板付に持っていくために縮小するというようにいろいろな経過の中では話を私は聞いておるわけなんで、ほんとうはそれはぜひお答えをいただいて次の質問に進みたいわけですけれども、では広島空港、これはレーダー施設が四十六年度四月一日運用開始ということで十名予算がついていますね。この十名はどこから持ってくるのですか。
  93. 内村信行

    内村(信)政府委員 たいへん恐縮でございますけれども、こまかい資料はいま持ってきておりませんので、あとでお届け申し上げますけれども、大体の考え方を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、各特定の場所につぎ込む要員については、やはり各ポジションから均等に持っていかないと、取られた部分が非常にショックを受けるということで、全体的なものとして考えております。その場合には、少なくともいかなるポジションにおいても、資格取得者が八〇%を割ることがないようにというふうな基準でこのことをやっております。なお、詳細につきましては、後ほど資料として提出させていただきたいと存じます。
  94. 横路孝弘

    横路委員 広島だって、これは予算がついているわけですから、四月一日からほんとうは供用開始ということになれば、これは訓令か何かで、二カ月前からそこに要員を配置して訓練をしなければならぬことになっているわけでしょう。おたくのほうの試験規則でもって、たしかそういうことになっているはずです。二カ月前から配置をしてやることになっているわけですね。まだこれはだれも配置されていないわけでしょう。予算をつけた、レーダー施設をつくった、しかし、これだって一体、四月一日から予算はついているけれども、ほんとうに供用開始されるものかどうか、これはそんな態勢にないでしょう、運輸省としてどうですか。
  95. 金井洋

    金井説明員 広島のレーダーにつきましては、四十六年十月から運用するというふうに計画しておりますので、これの要員はいずれきめたいというふうに思っております。
  96. 横路孝弘

    横路委員 さらに、これは沖繩の問題もあるわけですよ。沖繩の要員ということになれば、これは四十七年度からですね。これも管制官を相当出す必要があるわけでしょう、那覇と管制センターと、二つ必要なわけですから。そうして成田ですね。要員を配置することは実際できますか、現実の問題として。それは、卒業生が出てきたって、これは一年間使いものにならぬということになれば、どこをどういうぐあいに計算してみたって、それは成田に必要な――本年度じゅうに、これは予算を見ると、少なくとも三十七名は配置するということでしょう。成田にこれだけ三十七名なんか――順番からいってですよ、必要性からいって板付にまずやる、それから広島にもやる、それから今度は成田、さらに沖繩と、こういうことになると、一体成田に回す人間なんかいないじゃありませんか。
  97. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほど御説明申し上げましたけれども、板付、成田、それを加えまして、その他の分を合わせまして、四十六年度の増員分が約百二十名でございます。それに対しまして、養成できる者、もうすでに卒業いたしました者、この三月末に卒業いたしました者が三十三名、これはすでにおります。それからそのほかに、半年でもって卒業、つまり九月末に卒業する専修科生が六十二名おります。そういう者を合わせますと大体九十五名、それに不足分につきましては、防衛庁の割愛をお願いする。さらに不足分につきましては、先ほど申し上げましたように、これはいろいろ御議論もあったようでございますけれども、業務の縮小と申しますか、合理化と申しますか、そういうことによって捻出する。それによって大体カバーできると思っております。  さらに沖繩について申し上げますと、沖繩は先生指摘のように非常に人数が要りまして、全体必要人数からいきますと、管制官が大体百十八名、百二十名前後の人数が要ると思います。その中で特に多いのがセンターの七、八十名ぐらい、それから那覇のものとしまして、これは大体四十名前後じゃないかと考えております。それから那覇につきましては、これは沖繩返還のときとそう遠からざる時点において引き継ぐということでございますけれども、これはことしの問題ではなく、四十七年度の問題として考えております。それからさらにセンターの分でございますけれども、これは事実問題として施設を引き継ぐということが相当おそくなりそうであります。と申しますのは、嘉手納で先方は施設を持っているわけでございますけれども、嘉手納の施設はそのままこちらに引き継がしてくれない。そこでどうしますかというと、施設は新しく日本がっくりなさい、それによって施設ができてからテークオーバーするということにせざるを得ないと思います。施設をつくりますためには、これが調査に約一年間、その他の調査、それから電波の割り当てその他をもらいますので、それが竣工いたしますのには約二年間、合計三年間ぐらいかかるということにならざるを得ないわけであります。したがいまして、その沖繩のセンター分、コントロールの引き継ぎというものは、事実問題として相当おくれざるを得ない。したがいまして、要員もそれまでに充足したいというふうに考えておるわけでございます。
  98. 横路孝弘

    横路委員 新しい飛行場に配置する要員というのは、これはまず、資格を持っている人でなければならないわけですね。資格を持っておる人間でなければ使いものにならぬわけです。しかも、その場合には二カ月間の猶予期間を持っていかなければならない。場合によっては六カ月というように、いろいろ資格によってきまっていますね。そうしますと、その成田あるいは板付あるいは広島、あるいは沖繩ということになると、そういう要員を出してやらなければならないわけでしょう。そうすると、これは無理に、どうしても確保しなければならぬということで話を進めると、さっきも言ったように、卒業生が出るったって、一年間は何も使いものにならぬわけですから、そうすると無理はどこにいくかというと、いままですでにあるところの管制業務に非常に無理がいくわけですね。飛行機は毎年どんどん伸びているわけですよ。だからこれはもう、いまのままの現状でいったら――沖繩は、それは私たちも運輸省の所管に、ぜひこれはしてもらいたい。那覇にしたって――センターはもちろんそうなんでしょうけれども、那覇空港の場合だって、またこれは防衛庁といろいろやり合っているわけです。防衛庁から人をもらうったって、きょうは防衛庁は呼ばなかったのですけれども、実際は防衛庁のほうではそんな人を出すなんて言ってないのですね。二人か三人くらいですよ、出すといっても。毎年毎年二十人くらいずつは管制官というものはやめていっているわけですね。その分だって見なければならないでしょう。そうすると、要員を確保するといっても、定員だけはついても、実員のほうはいないということになる。これは管制官だけを例にとってお話ししている。あとの無線の技術そのほか航空管制技術、この関係だって全く同じ問題ですね。だから皆さんのほうは、成田をたとえば三月一日開始なんという前提を置いてやっているからこういう無理が出てくるのです。先に延ばしたらいいじゃないですか。そうしたらその要員計画に合わせて、ほかのところに無理をかけないでスムーズにいくのですよ。いま業務を合理化だとおっしゃったけれども、これは合理化じゃなくて縮小でしょう。また、その人が養成できれば復活するというお考えが皆さんのほうにあるはずなんです、これは必要なんですから。さらに、管制官を置くところをやめると言ったけれども、いまやめるところは、皆さん方の基準からいったって、一カ所か二カ所くらいしかないじゃないですか。一万機以上というところを基準におけば、やめるところはどこになりますか。奄美大島ですとか、この近くの江東のヘリポートですか、そこくらいしかないのですね。しかし、これだってなくすのは本来非常に大きな問題なんですよ。これはあとで、もうちょっと時間を見て、ローカル空港のところで少しお話をしますけれども、非常に無理があるのですね。  そこで大臣お尋ねしたいのですけれども、ともかくいままでのやりとりの中でおわかりのように、管制官あるいは全部の保守、保安の要員というものは非常に不足をしているというのが現状なんです。たとえば、管制官ばかりじゃなくて、航空管制技術あるいは無線技術の要員というものも、五百五十二名中七十九名が資格なしなんですね。そしてことしから必要なのは八十四名ですね。成田とか広島とか東京のBランもできたということになると八十四名も必要だ。そうすると無線の保守をする人員だって、一体成田に要る人間はいるのかどうか。これも詰めて議論すれば、どこから持ってくるかということになれば、やはり人はいないわけです。そこのところを、大臣いままで御承知されているのかどうか。ともかく三月一日に佐藤さんが命令をしたから飛ばさなければならぬという前提でものを始めると、空域の問題だって十分じゃない、保安の要員だって十分じゃない、管制だって十分じゃない、こういう状態の中で出発させるというのは非常に無理が出てくると思うのです。特に成田の場合は、大型のいろいろなジェット機が入ってくるということになると、そういう保安の要員というものは、とにかくきちんと確保しておいて飛ばすということでなければ、事故でも起きたら、ほんとに世界に対してだって非常に大きな影響を与えるわけですね。日本の恥をさらすことになるわけです。その辺のところを大臣として、そういう期日設定をしてものごとを進めるのじゃなくて、いまの態勢に合わせて進めていくというようにお考えを変えられることが、私は必要ではないかと思うのですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  99. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 成田空港建設につきましては、御承知のとおりに昭和四十年度に決定をして、それ以来工事進捗の日取り並びに保安関係等も十分吟味し、あるいは百里との関係のエリアの問題につきましても、当時十分な話し合いの上において成田に決定をする、こういう万全の措置を考えてやってまいったことでございますから、おっしゃるように、必ずしも飛行機の増勢に対して十分とはいえないかもしれませんが、しかし人命を守りかつまた航空安全を期する上においては、運輸省当局の計画というものは信頼してよろしい、私はこう考えておりますので、特に総理の三月までにやれ、こういう命令のもとにいわゆる工事を進めておるのではなくして、すでに事前においては、四十年度において、昭和四十六年のおそくも六月には出発する、こういう予定工事計画が進められたわけであります。いろいろ収用等の問題がありまして半年以上もおくれることになりました。したがってそれらは保安関係要員についても万全を期しておりますので、私といたしましてはそれを変更する必要はもちろん考えておりません。ただ、今後ともに十分なる措置をしていくことは必要でありますから、したがってこの国会におきましても設置法の中で航空保安大学校に昇格をし、かつまた収容人員も増加をして、そして将来ともに改善の五カ年計画のいわゆる充足に対しては、これにこたえるべく設置法の改正をお願いいたしておるようなわけでありますから、成田空港に関しては全く心配はない、私はかように考えております。  なお、御承知のように板付あるいは沖繩が返ってまいりますれば、それに対する要員は当然に必要であります。しかしながら、政府としては、また運輸省といたしましても、航空安全は最大の要件でありますから、それに沿うべく十分なる措置を講じてまいる所存であります。
  100. 横路孝弘

    横路委員 いろいろ数字をあげて積み重ねていくと、つまりどこから人を持ってくるかということで話を進めて考えてみると、成田に持っていく人員なんというのは、それは人はいるわけですから、ほかをつぶせばできますよ。ほかに無資格者ばかりどんどんふやせばそれはできますよ。しかし、そうではなくて、いまでさえ非常に無資格者が多くて困るという現状の中から、さらにそれを薄くまでして四十七年の三月までに、つまり四十六年度末までにやらなければならないという問題ではないと私は思うのです。どうしても無理があるから管制官を引き揚げてくる。いままで管制官を置いていた飛行場から引き揚げてくる。引き揚げた結果どうなるかというのは、北海道の例を見ても、これはあとでお話ししますけれどもニアミスが非常に発生しておる。管制官を置いてないのですから、管制通信官だけでやっている。女満別その他の二種空港の実態というものはそういう実態になっているのですから、これはまたあとでお話しいたしますけれども大臣はだいじょうぶだだいじょうぶだとおっしゃるけれども、中身は決してだいじょうぶじゃないんだということを一時間かけてお話ししてきたわけなんです。少し話も聞いてもらわなければ困るわけなんですけれども、そういうことで養成計画のほうですね。たとえば無線の問題について少し話をしてもいいのですけれども、無線の問題あるいは無線技術あるいは航空管制の技術の要員保安要員の点について話をしても同じ問題が出てくる。管制よりむしろきびしい状況になっているわけです。ですから、その保安大学校にしてやるといったって、そこの定員そのものは別にふやさないわけでしょう。これは大幅にふやさなければほんとうはどうしようもない時点に来ているわけです。先に定員の予算がついている。あとからそれに合わせて何とかいくといういまの仕組みになっていますから、それはやむを得ないのかもしれませんけれども、しかし、現状はそんなことを言っていられるような状況ではないと思うのです。  ですから、話を元に戻しますけれども、この成田の問題についていまお考えになる必要はない、こういうことでしたが、一つずつ積み重ねの数字をやっていくと、考え直さざるを得ない状況に来ていると私は思いますけれども、これは航空局長どうですか。
  101. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほども御説明申し上げたわけでございますけれども、確かに成田とか板付とかに人員たくさん要ります。それに見合う人員は養成しているというふうに申し上げたわけでございますが、これは新人であるからいきなり回すわけにはいかないではないか、どこかから持ってくれば、どこかとられるところがショックを受けるぞ、こういう御意見であろうと思います。しかし、これは先ほど御説明しましたけれども、もちろんこの新人を全部成田なり板付に回すというわけではございませんで、当然経験を持った人が行かなければならないわけでございまして、これはほかからいままでの経験者を確保する。その持っていく場合にも、一カ所からすっと持っていけば、そこがインパクトを受けますから、そういうことはできない。したがいまして、そこの新人は全国的に薄く広くばらまく。大体平均的にばらまいて、その上で平均的に全国から有資格者を摘出して新しいところに回してまいるというような考え方でございます。そしてその結果が、どこの場所をとっても平均的にいいますと大体八〇%は有資格者がいるという形にしてまいるというふうなことでございます。  それで先ほども申しましたが、アメリカその他各国、ソ連もおそらくそうだと思いますけれどもそういった例を見ましても、有資格者は大体八〇%ぐらい、残りの二〇%はオン・ザ・ジョブ・トレーニングでやるというような事情もございますので、そういうことで決して不完全ではないと考えておるわけであります。
  102. 横路孝弘

    横路委員 管制の問題は時間がありませんのでこれで終わりにしますけれども、ソビエトなんかの場合は席に管制官がそれぞれ二人ずつついてやっているわけでしょう。日本のように一人でもって無資格者も中に入って、全くの無資格者も指導しながらやるなんという、そんな状態にはなっていないわけですね。ですから数字だけぽんと出してきて比較されたって、中身が違うのですからそれは議論にならぬと思うのです。  そこで時間がございませんのでローカル空港の問題について簡単に御質問したいと思うのですけれども、その前に空港整備五カ年計画の第一次は、たしか四〇%程度の達成率で終わってしまって、去年の十二月五日に第二次空港整備五カ年計画が決定されたわけですね。総額五千六百億円ということですけれども、この骨子については例の答申の中に出ているわけですが、具体的な政策の達成目標というのは一体どこに置いているのかという点が、今年度予算を見てもはなはだわからぬわけです。この具体的な五カ年間の政策目標というのを、時間もありませんので簡潔にお答え願いたい。
  103. 内村信行

    内村(信)政府委員 達成目標と申しますと、具代的にどの空港をどうするということでございましょうか。(横路委員「そういうようなことですね。」と呼ぶ)それは実はまだできていないわけでございます。と申しますのは、この前いま先生指摘のような骨子ができまして、五千六百億ということで大体それについての考え方の大まかなものをお示ししたわけでございますけれども、それの内容につきましては現在計画中でございまして、さらにこれを航空審議会等にかけて、そこでいろいろ御議論を願いまして、その上できめたいと思っておりますので、現在まだありません。
  104. 横路孝弘

    横路委員 ところが、現在ないというのもおかしい話なんですね。なぜおかしいかというと、この答申の中で航空旅客のたとえば需要について、国内線の場合、昭和五十年には四千万人になる昭和六十年には一億二千万人だか一億三千万人になる、こういう伸びを一応予想しているわけですね。そうすると、今度の第二次整備五カ年計画というのは、たとえば一億二千万人に国内の旅客がふえるだろうということになりますと、それはたとえば各空港からいうと北海道なら大体どのくらい旅客は伸びるだろう、九州ならどうなるだろう、東北の仙台ならどうなるだろうということが基礎になって一億二千万という数字は出てきておるわけですね。そうすると、それを輸送するためには、たとえばこの飛行場にはエアバスを入れる、ここはジェット化するということがあって、そうしてその上で、じゃ飛行場滑走路は、たとえばどこは千二百メートル、どこは二千メートル、そういう政策目標があって、その中での五カ年計画ということにならぬと、第一次五カ年整備計画、これはとにかく失敗したわけですね、達成率が三七%ですからね。これは最後のときに達成できないというので第二次だということでやって、どんぶり勘定で総額五千六百億をきめて、適当にその中でやるというのでは、皆さん方がおっしゃる総合交通体系云々、これはまだ議論されているところでしょうけれども、おかしいのですね。何カ年計画というのは、やはり政策目標があって、そのうちの初年度どれだけやります、五カ年ではどれだけやりますということでなければ、計画ということの名に値しないものだと思うのですね。  じゃ、そこまでの作業はまだ進められないで今度の第二次整備計画は出発された、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  105. 内村信行

    内村(信)政府委員 もちろんその需要をはじくときに六十年一億二千万とか、そういう数字を出したわけでありまして、それにつきましてはいろいろ積み上げを実はやっております。しかし、それもいろいろな御議論が出まして、こういうふうなことはいえるけれども、はたしてそうなるかどうか非常に疑問がある、いろいろなことで種々な角度から議論が出されたわけであります。しかし結論として、マクロ的に見て大体この辺でほぼ間違いはないだろう、少なくとも趨勢としてはこんなものではないだろうかということで、一億二千万とか一億三千万というものが審議会でも承認されたというようないきさつでございまして、それにつきましては考え方はいろいろ出しましたけれども、さらにその詳細についてはいろいろな御意見もある。さらに、これはどちらかといえば航空というものプロパーというか、航空の面からだけ強く見過ぎておるきらいなきにしもあらず、そういうことで、大臣もよく言っておられる総合交通というような面からもう一回積み直してから具体的なものをつくりたいというふうに考えておるわけであります。
  106. 横路孝弘

    横路委員 だから、そうするとほんとうに何をやっておるかさっぱりわからないので、たとえばYSだったら、千五百メートル滑走路、ボーイング727なら二千メートル、大型のエアバス、DC8-61型だったら二千五百メートルから三千メートルの滑走路が必要だということで、やはり長期的な見通しに立って空港の整備をやっていかなければならぬと思うのです。いまのお話を聞いていますと、何か第一次計画が失敗した、最後までやってしまうとそれが明らかになりますから、途中から第二次に切りかえたというような、そんな印象があるわけです。この第一次が失敗した原因というのは財源の問題が一つあるわけです。そういう意味では、今度はその点での考慮が払われているわけですけれども、そこで一つだけちょっとお尋ねしておきたいのは、この五千六百億の財源ですね。聞くところによると財政投融資で二千六百億、一般会計から千三百五十億、地方団体から二百五十億で、あと一千二百五十億程度については、航空会社の負担だというように聞いているわけです。その線に沿って着地料を二〇%上げる、あるいは航行援助施設利用料を新設するというようなお話ですけれども、これもIATAとの関係その他で何か話が解決していないように聞いているのですけれども、どういう現状になっていますか。
  107. 内村信行

    内村(信)政府委員 私も具体的数字は持っておりませんが、大体の考え方はおっしゃるとおりであります。IATAの問題は先般来いろいろIATAのほうと交渉いたしまして大体まとまりました。したがいまして、IATAのほうは、これがなくても十一月にはそれを含んだものの運賃値上げを申請すると思っております。それとはまた別個に日本政府としては、航行援助料というものを外国の航空会社から徴収しようということについてほぼ了承を得たわけであります。
  108. 横路孝弘

    横路委員 IATAのほうで運賃値上げというのは、旅客運賃の値上げですね。
  109. 内村信行

    内村(信)政府委員 そういうかっこうになると思います。
  110. 横路孝弘

    横路委員 それはどのくらい値上げする予定になっていますか。
  111. 内村信行

    内村(信)政府委員 IATAの決議でございますから、まだこちらが認めたとか認めぬとかいう段階ではございませんけれども、IATAという国際航空輸送協会、そこの中で私も詳しく存じませんが、旅客については大体エコノミーフィーの一%程度ではないかと思いますが、それを徴収して、そういうものを航行援助施設設置、あるいは維持費用に充てよう、こういうような考え方と承知しております。
  112. 横路孝弘

    横路委員 そこで国内航空運賃の値上げも何か一〇%程度考えておられるというような話も聞いておるわけですね。航空会社のほうが着地料の値上げや航行援助料を認めたのは、どうも運輸省のほうでそれと引きかえに約束を与えているように私も思うわけですけれども、現在の航空会社の利益、日本航空の四十五年三月決算で見ますと、計上利益というのは二百三十一億円ですかもあるわけですね。そうすると、これは運賃値上げをしなくたってやれると思うのです。大蔵あたりもそういうようなお考えのようですけれども、これは運輸大臣お尋ねしますが、公共料金の抑制という国の方針もあるわけですから、これは運賃値上げをしないで、当分の間は、いままで利益をどんどんあげている航空会社に負担をさせるという方向でこの財源を考えるべきだと思いますけれども、運輸大臣どうですか。
  113. 内村信行

    内村(信)政府委員 確かに先生指摘のような点もあるかと思います。しかし航空会社は、日本航空のほかに全日空もあり、国内航空も東亜航空もありまして、必ずしも全体がそう大きな利益をあげていない。しかしおっしゃるとおりのこともありますので、私はこういうふうに考えております。つまり今度の空港整備につきまして五千六百億の金が要るのです。その中で、当然これは受益者負担というようなことにならざるを得ないわけでございまして、その中で、ある一定の額をどうしても負担しなければならぬということになりますと、これは航空会社としての原価項目に入ってくるのだろうというふうに思います。その場合に、原価項目に入ってくるのでありますから、ほかの原価も一緒に考えまして、それを現行のものに加えて適正原価というものを出してみて、適正原価にプラス適正利潤、これが航空運賃の、航空法上の基準でございますから、そういうものと比べて、それ以内に十分いまの運賃がおさまっているのでしたら運賃値上げの必要はないけれども、適正原価プラス適正利潤というものに入らない。それではそれをどうするかということになれば、適正原価プラス適正利潤だけの運賃は上げなければいけないのだろうというふうに考えているわけであります。  そこで先ほど運賃値上げの了解があったかどうかというようなことでございますけれども、私どもといたしましては――私どもといったらいいのか私といったらいいのかわかりませんけれども、私といたしましては、本来空港を整備するということについては、それが必要であると観念すれば財源が当然要るだろう、その財源を捻出する場合には、税金で持つか、あるいは受益者が持つかよりしようがないであろうというような考え方に立っているわけでございます。したがいまして、もしその空港整備が必要でないという議論ならこれはまた全然別でございますけれども空港整備が必要であるということになれば、むしろ一般の税金で負担するよりも、受益者によって負担するのが一応の筋ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、そういう場合には当然、本来は航空会社と申しますか、いわゆる旅客から負担していただいていいのではないかというような議論もあったようでありますけれども、いろいろ議論をしました結果、受益者の主体は航空機であろう、したがって、旅客に直接いくのはおかしい、航空機から取るべきであるというようなことになりました。航空機から取るとすれば、先ほども申し上げたように当然適正原価プラス適正利潤をこえる部分についてはやはり旅客に転嫁させていただいて、旅客を受益者として考えることがやはり筋であろうというように考えておるわけでございます。したがいまして、そういうような旅客が負担する。受益者が負担することによって、空港整備をはかるというようなことがやはり適切であろうと思います。これは空港整備をしないで旅客運賃を上げないでいくか、あるいは空港整備をして税金でまかなうか、あるいは空港整備をして受益者負担にするか、これは選択の問題でございますから私どもは第三の選択をしたわけでございます。
  114. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 大体航空局長からお答えいたしましたが、この航空料金の値上げにつきましては慎重な態度で処理したいと存じます。ただ、ただいま説明がありましたように、たとえば国鉄のようなものになりますと、従来ほとんど国の出資がなくて受益者負担であれだけの事業をやっております。航空事業は当初開発の時期でありましたから、かなり国が飛行場の整備については金を出す、あるいは地方団体の金で対処してきたのでありますが、これだけ発達してまいりまして企業として相当成り立つようになってまいりました今日では、ただいま説明したような、受益者がある程度持つという主張を取り入れる必要があろう、こういうように考えておりますけれども、いま物価問題がやかましいおりでありますからして、もし申請があった場合は、十分に各社の事情を調べた上で、そうして慎重な態度をもって臨みたい、かように考えております。
  115. 横路孝弘

    横路委員 そういう、まだ航空会社のほうに約束を与えていないということであれば、やはり政府のそういう料金を抑制するという方針もあるし、さらに日本航空なんかの場合は、五〇%という政府の持ち株に対して利益が八%以上あがると配当しなければならぬということになるから、内部留保のほうにあがった利益を全部回してしまって八%にならないように抑えておるというわけです。だから大蔵省のほうからいろいろな問題が提起されてきておるのが現状だろうと思うのです。だから大蔵省のほうでは航空運賃を値上げしないでも内部留保しておる分を吐き出すことによって当面は十分やっていけるのではないか、こういう方針のようでありますので、ぜひ運賃値上げということで旅客にはね返らない方向でこの問題は解決をしていただきたいと思うのです。空港を整備しなくてもいいなんていうことをいってない。何もそれは択一の問題では決してない。空港整備を進めながら運賃値上げしないでも済むわけですから、ぜひそういう方向で問題を解決していただきたいと思うのです。  そこで、第二次空港整備五カ年計画についてもいろいろと議論をしなければならないと思うのですけれども、時間もありませんので、その前に、滑走路をどんどん長くして大型機をどんどん入れるんだ、次のエアバスをどうするかというような調査団も行っておるようでありますけれども、その前にまだまだ地方のローカル空港の実態というものを点検をしなければならないと思うのです。航空安全会議という、これは民間のいろいろな航空関係あるいはおたくのほうの関係の人も入って総点検をした結果が出ておるわけです。これを見て私は実は非常にびっくりしたわけです。私も全部その空港を回っているわけじゃありませんけれども、しかし話を聞いてみてびっくりいたしましたので、その点を二、三お尋ねしてみたいと思うのです。  まず最初に、空港設定ですね。これから一県に一つ空港が必要だ、あるいは必要であればどんどん飛行場もつくるんだということで、たとえば答申なんかも非常にその辺に重点を置いた内容になっておるわけですけれども、地形の関係で、たとえば南紀白浜、福江、秋田、青森、これはみな第三種空港ですね。青森なんか飛行場があって滑走路の両側ががけになっておる。ずいぶん深い。五百メートルか千メートルのがけになっておる。その上を飛行機が離発着しておるように聞いておるわけです。南紀白浜にしても福江にしても、やはり滑走路の両端は相当差がある。こういうような飛行場について一体どういうようにされるお考えか。これはもう延ばすといったって延ばしようがないわけです。あるいは少々のところなら埋め立てをすることもできるでしょうが、南紀白浜の場合は、飛行場について地盤沈下も起きているというのですね。非常に危険な状態になっているわけですが、こういう空港設定、それからローカル空港のこういう地形上のいろいろな危険な空港、旭川の空港だって山のところにあって、あそこはあれ以上延ばすわけにはいかない。せっかくつくったけれども、あれだったらほかに飛行場をつくらなければならぬという問題もあるわけです。その辺のところを、まず地形の関係あるいは滑走路関係で、私がいま指摘したこれらの危険な飛行場について、運輸省としてどのようにされるお考えなのか。
  116. 金井洋

    金井説明員 飛行場設定する場合には、風向の問題だとかあるいは地形、土地の要因とか、いろいろな要因があると思いますけれども、全国のローカル空港につきましては、御指摘のとおり、がけがあったり、あるいはじゃまものがあったりというようなところがあることは事実でございます。そしてそういうことは決して望ましいことではございませんけれども、それではどうやって安全性を確保するのかということでございますけれども、これにつきましては、運航制限、あるいは重量の制限だとか速度の制限だとか、こういう運航制限をしながら安全性を確保しておるということでございます。
  117. 横路孝弘

    横路委員 これらの空港についてこれからどうしようということはないんですか。どういうように整備していこう、つまり、こういう両端ががけになっているような空港、これからはそういうようなところには認めないとか、そういう何か基本的な方針というのはどうですか。青森飛行場なんというのは、飛行機がオーバーランしたら落ちてしまう。そういう飛行場は困るわけですね。たしかこれは千二百メートル滑走路だと思いますけれども、私はそういうことについての総点検をまずやる必要があるのじゃないかと思うのです。
  118. 内村信行

    内村(信)政府委員 滑走路の短いものはいろいろ理由があると思いますが、これは青森ではなく、基本的、全般的なことで申し上げますと、YSについては大体千二百くらいで足りるというようなことをいわれておりますが、しかし安全を考えまして、できるだけ千五百くらいには延ばしていきたいというのが基本的な考えでございます。ただその中でも、どうしても地形の関係で延ばせないというものがある。それならばそこに飛行場をつくらないかといえば、そのほかにどうしてもつくる場所がない、したがって飛行場は悪くてもこれ以外にどうしてもないというような場合には、やはりそこにつくりますけれども、その場合には、やはり運航上の制限をいたしまして、安全には最大の配慮をいたすということをしていかなければならぬ。青森なんかについてもそういうふうなことでございまして、両端ががけになっておりますと、そこで天候状態によって気流の悪い場合が生じます。そういう場合には危険でございますので、天候によって運航制限をきびしくするということをやってまいりたいと思います。
  119. 横路孝弘

    横路委員 これは鹿児島空港の場合ですが、今度新空港ができるようでありますけれども、近くに体育館があって、そういう関係で進入角度等の関係から、滑走路についてのおたくのほうの告示は、千八十メートルということになっているわけです。ところが現実には、あそこはボーイング737だったと思いますが、運航している。ところが737ということになりますと、千八十メートルでは足りないのですが、実際は使用している。ですから滑走路の強度そのものも、たしかバイカウントか何かの飛行機用につくられている飛行場が、実際は737がそこから離陸しているというわけですね。おたくのほうでつくった告示とかなんとかを無視して、これはまたおたくのほうで認めて入れている、こういう実態もあるわけですね。これは鹿児島空港はあと一年間使うわけでしょう。こういうような問題についてはどういうようにお考えですか。
  120. 内村信行

    内村(信)政府委員 その点は私どもも聞いております。そこで私どもといたしましては、あれは本来千八十メートルの滑走路で告示をしている飛行場であります。一般的にはそれなりにそれに合うような飛行機が入ってくるということであると思います。ただ全日空が737を入れてということでございますけれども、これにつきましては具体的に調査をしてみたわけでございます。そういたしますと、737がフルロードでもって飛ぶのはちょっと無理だろう。しかしある程度ロード制限をするというようなことをいたしました場合には、体育館の屋根ということがあっても安全に運航ができるだろう。つまり運航規程というものによって飛び方をしっかりときめれば――定期航空会社の場合には運航規定というものがございまして、運航規定に服するたてまえになっております。したがいまして、そういうふうな運航の方法について制限をつけますならば安全に飛べるだろうというようなことでありますので、そういうことをして飛ばしているということでございます。
  121. 横路孝弘

    横路委員 進入角度や上昇率や何かがいいから結局安全なんだということのようですけれども、しかしこれだって重量その他の関係、風の関係その他でもって、いつもいつも同じような上昇率で上がるわけじゃないですから、やはりこの問題は残るわけですね。これは新空港ができますから、あと一年間事故が起きなければいいと思いますけれども、これだってやはり大きな問題があるわけです。そういうことで、滑走路についても非常に問題がある。さらにそのほか駐機場の問題から誘導路の問題から非常にいろいろありますけれども、時間がございませんので、次に照明施設、赤と白のやつですね、あの進入角指示灯さえ、たとえば北海道の丘珠飛行場、あそこには全然ないわけですね。そしてあの辺は飛行場の周辺に家が建って、夕方になるとあかりがつく。そうなると一体どこがどうなのかさっぱりわからぬというパイロットのことばもある。進入角指示灯さえついていない飛行場というのは、奄美大島、それからさらに滑走路が短いということで問題になった福江、富山、大島、八丈、三宅、山形、丘珠、帯広の飛行場は、そういう進入角指示灯さえついていない。これは運輸省としてはどういうようにお考えになっていますか。これは保安施設としては最低の要件だろうと思います。
  122. 内村信行

    内村(信)政府委員 進入角指示灯等の問題、いわゆる航空保安施設全般の問題になると思いますけれども、私ども、ただいま御指摘のような事実はあるかもしれませんが、そこで今後の問題といたしましては、やはり飛行場がある限り保安施設というものをそれに並行してつくっていくというようなことを考えなければならぬと思っております。従来は、ややもすると全体の飛行場の予算が少ないもので、少ないにもかかわらずいろいろ方々でつくってほしいという要請が強いので、勢い総花的につくらざるを得ないということが実情だったかと思いますけれども、今後はそういうことではなくて、新しい特別会計制度ができ、その財源もある程度確保できるということになったわけでありますから、やはり飛行場があればまず保安施設もきちっとつけてまいるという方向に進むべきであろうと思います。
  123. 横路孝弘

    横路委員 これはあたりまえの話なんで、いままでやられていないのがおかしいわけです。とにかく進入角指示灯というのは、まず第一に全国の飛行場につけなければならぬわけです。ところが航空法を見たって、航空法の施行規則の百十七条ですか、その関係では、丘珠、帯広というような飛行場には、やはりこれはつけるようになっているわけですね。だからこれはまず第一に進入角指示灯くらいはつけてもらいたいというように思います。先ほどお伺いしますと、将来できれば、十年とか十五年先の展望の中から今度の第二次計画が始まったんじゃないようにお話になりましたので、最初は、まず今度の第二次五カ年計画の中では、こういう航空保安施設というものに全力投球するのだということでなければならないと思うのです。どうですか。
  124. 金井洋

    金井説明員 先生の御指摘は一々ごもっともでございますので、空港整備五カ年計画と並行いたしまして、それとともに航空保安施設五カ年計画というものもいま案がすでにできておりまして、これも航空審議会にかけてつくりたい。従来は空港整備しかありませんので、今回は特に保安施設五カ年計画というものをつくって逐次整備していきたいというふうに考えております。
  125. 横路孝弘

    横路委員 その保安施設の五カ年計画というのはいつから始められる予定ですか。
  126. 金井洋

    金井説明員 この保安施設五カ年計画は、昭和四十六年度を初年度とするものでございます。
  127. 横路孝弘

    横路委員 その総額は大体どのくらいで計画されているのですか。
  128. 金井洋

    金井説明員 約六百億くらいでございます。
  129. 横路孝弘

    横路委員 それで大体照明の施設や何かの問題は解決されるんですか、全体的につけるということで、六百八十億という金額の中で。
  130. 内村信行

    内村(信)政府委員 ちょっとこの点誤解があるかもしれませんけれども、閣議の了解をとってつくった五カ年計画というものは五千六百億、この中には、空港整備の問題と航空路整備と両方入っております。航空路整備のほうは二百五十億くらいだったかと思いますけれども、そういうふうになっております。  そこで、いま技術部長の申し上げましたのは、空港の中の保安施設については、当然空港整備五カ年計画の中に入るわけでございますけれども、その中でやはり空港の中の保安施設についてはこのくらいのものをつくっていきたいというものでございます。そのほかにさらに航空路についても五カ年計画設定すべくいま準備中でございます。
  131. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、その保安のほうの五カ年計画というのは、空港整備五カ年計画とは別につくるということで了解していいわけでしょう。
  132. 金井洋

    金井説明員 空港内における保安施設については、空港整備五カ年計画の一部に入るわけでございます。それから航空路関係については、これは別でございます。(横路委員航空路だけですか」と呼ぶ)航空路だけは、先ほど局長も申し上げましたように二百五十億くらい、それから、空港内の保安施設を合わせまして約六百億ということで、これは空港整備の一部になるわけでございます。
  133. 横路孝弘

    横路委員 空港内ということも問題になってきますけれども、たとえば大阪空港なんかの場合、進入灯自身だって、あれはたしか全部はついていないですね。あと二つか三つ足りなくて、つけるところがなくて、そのままになっておりますね。大空港でさえそういう実態なんですから、これからどんどん飛行機を新しくつくっていくことも、それは需要に対応するという面で必要だけれども、やはりそういう保安施設の面で、ローカル空港の小さいところもこれから洗っていってもらいたいと思う。  そこでもう一つ問題なのは、管制塔です。管制塔というのは、管制通信官なんかの場合、飛行場に離発着する飛行機を見ていて、いまそこには人はだれもいませんよということを飛行機に通報してやらなければならない。ところが、滑走路全体が見えない管制塔というのが、実はこれまたたくさんあるわけですね。奄美大島、鹿児島、福江、白浜は、管制塔から飛行場滑走路がよく見えない。山があったり何かして地形上から、ひどい場合には三分の一か四分の一くらいしか見えない。大体そんなところに管制塔をつくったって意味ないわけですね。こんな飛行場なんというのは、ほんとうに話を聞く 恥ずかしい話なんで、滑走路が見えない管制塔なんて、こういう実態についてはどういうようにお考えになっていますか。
  134. 内村信行

    内村(信)政府委員 先生指摘のように、いろいろ山の関係がありましたり、あるいはサトウキビがはえておったりというようなことで、直接見えない部分があるというような空港があるようでございます。これはもちろんいろいろな理由はあったと思います。何も初めから見えないものがいいというわけではございませんけれども、いろいろの理由があってこうなっておりますが、確かに、おっしゃるように、望ましいことではございません。したがいまして、現在の運用といたしましては、管制塔から見えればいいわけでございますが、見えない場合には、あらかじめ補助者か何かがランウェーの状況を離発着の前に見るというようなことで、コンディションを確認した上で情報を流すというようなことに運用上やっておるわけでございますけれども、将来におきましては、そういうものが撤去できるものは撤去するし、もしできなければ、テレビカメラ等において状況を把握するというような方法を講じるとか、いろいろなことを考えていきたいと思っております。
  135. 横路孝弘

    横路委員 テレビカメラをつけてやるというのは非常にいいアイデアなんで、そういうようなことをやらぬと、福江の空港なんかの場合、ほんとうに三百メートルも四百メートルも見えないのです。その先ががけになっているわけです。飛行機が落ちたって管制官にわからないわけですよ。そんな状態がたくさんあるわけです。それから、たとえば管制塔があって、そこは見えるようになっていても、管制塔の設計そのものが悪くて、サッシや柱がぽんぽん立っていて、仙台空港なんか、柱が立っていて、飛行機がちょっと見えたら柱で見えなくなって、またちょっと見えるというような、つまり飛行場管制の役目を果たしていない。こんなことはすぐ直すことができるわけでしょう。サッシの関係、柱の関係飛行場が見えない管制塔なんて、大体つくるほうがおかしいんだ。これは仙台ばかりじゃなくて岡山もそうですね。そういうすぐ直せるものについてはどうですか。
  136. 金井洋

    金井説明員 仙台それから岡山は、サッシのワクの幅が通常のものより広い。これは強度を持たせるとか、そういう必要があったわけでございますが、飛行機の一部が見えない、尾翼が見えない、前のほうが見えない、そういうことは確かにございます。しかし、これは管制官が、こんな二とを言っておしかりを受けるかもわかりませんが、管制官がすわって全然動かずにおるとそういうことになるわけでございますけれども、ちょっとしりを動かせば見えるということでございますので、現時点では、特に疲労度を伴うほど動くことはございませんので、その点御容赦いただきたい、こういうふうに思っております。
  137. 横路孝弘

    横路委員 それはやはりおしかりを受けますよ。そんなからだを動かして見ろなんて言ったって、やはり管制というのは大事な仕事ですよ。これは一発間違えるとやはり事故につながるわけですから、それは柱をちょっと切って何とかするくらい、いまの技術で簡単にできることですからね。管制官のほうに、動き回って見ろ、飛行機が柱に来たら動かして、またそっちへ行ったらこうして見ろというようなことを要求するのは、私は、行政の責任的な地位にある方の発言としてはやはり問題じゃないかと思うのです。  次は、滑走路への進入やなにかの問題です。これもほんとうに笑い話みたいな話なんですけれども現実にあるらしいですね。たとえば熊本空港宮崎空港なんというのは、トンビが飛び回っていて、トンビ退治がなかなかたいへんな空港だそうですね。これは笑い話だが、エンジンに吸い込まれてしまったら即事故になるわけですよ。大分空港なんかの場合は犬が一ぱいいる。北海道のローカル空港なんか、飛行機が降りようと思ったら牛が滑走路にいたのであわててゴーアラウンドして飛び上がった、そんな空港が全国至るところにあるわけです。熊本、宮崎、大分空港、北海道の三種空港、みんなそうですね。こういうところはやはり対策をとってもらいたいと思いますね。  それから、もう一つは気象の通報の問題です。これは気象庁との関係もあるのでしょうけれども、たとえば岡山発七時四十分、函館発七時四十五分、帯広発八時二十分、秋田発八時五十五分、小倉発七時二十分、宇部発八時五分なんて飛行機は、気象庁との時間の関係なんでしょうけれども、気象の通報を受けないで飛び立たざるを得ない。だから、たとえば全日空の場合、福井空港なんかの場合何をやっているか、話を聞いてみると、これも情なくなる話なんですけれども空港ロビーのコックさんに毎朝電話を入れるんだそうです。飛行機どうだ、空の状況はどうだというと、コックさんが電話を受けて、毎朝定時に外に出てみて、いま曇ってるとか雨が降ってるとかきょうは天気だとか、きょうは風が強いですということを言って、それじゃ飛べるだろうということで飛行機が飛び立つというんですね。これは気象庁との時間の関係もあるのでしょうけれども、そうすると、本来ならばこういう時間の設定なら、これを認めるほうがおかしいということになりますね。航空会社がちゃんとそこに責任者を置いておく、気象関係の専門家を置いて通報するという態勢を確立しなければ、ほんとうは運輸省としてはこういう便を認めるというのはおかしいと私は思うのです。これはどうですか。
  138. 金井洋

    金井説明員 まず最初の鳥の問題でございますけれども、鳥の問題につきましては、鳥がなぜ空港に集まるかということでございますけれども、これは世界各国でいま研究、あるいは日本でもわかっておることでございますけれども、まず残飯があるとか、それからこん虫がいるとか、こういうふうなために鳥が勢い飛行場に集まってくるわけでございます。それで、虫がいないようにするとか残飯整理をするとか残飯をやたら捨てないとか、こういうふうに各空港事務所には指導しておるつもりでございます。それから、どうしても鳥が集まる場合には、地元の猟友会等を通じましてこれを撃つというふうにしておりますが、全部退治し切れないわけでございます。これはなるべくそういうふうにしたいと思っております。  それから、土番目の気象関係でございますけれども、福井等についてはなるほどコックさんがおるかもわかりませんけれども、これはコックさんが気象を見て、全日空はそれに基づいて判断しておるということではございません。たまたまこの福井の場合には、気象庁の勤務時間前に東京を飛び立つわけです。そのときには現地の情報は得られておりませんけれども、福井地方全般の上空を見ると、あの山に雲がかかっておるとか、コックさんがそういう程度の情報を流すわけです。そうしますと、全日空の中央運航管理統制室においては、それをもとにある程度の判断をする。ただし、条件がございまして、あるポイントに行ったときまでに、福井空港に着く前に必ず、気象庁がもうすでに勤務に入って、それから情報が得られるというある地点をきめてございますので、全然気象情報がなしに、やみくもに飛んでおるというようなことはございません。
  139. 横路孝弘

    横路委員 それは気象状況はわからぬですね。山に雲があるかどうか通報してもらって、ともかく飛んでいかなければわからぬわけでしょう。そのポイント設定までしてあるならば、そういう前提を立ててやっているのが大体おかしいのですよ。それはポイントまであれしたら、福井まで行ったらどうせ名古屋に戻れるだろうということで運航されているのでしょうけれども、それをおたくのほうで御承知だったら、そんなことお認めにならないで、もうちょっとちゃんとしたものを空港に配置するように全日空のほうに指導するということでなければ、コックさんがやっている、いろいろ、どこの山に雲があるかないかということを調べてやっているからいいというようなことでは、ちょっとどうかと思いますね。晴れてたって乱気流が発生するときだってあるわけですね。それは雲がかかっているかかかっていないかだけじゃないわけですから、ぜひその辺のところをお考え願いたいと思うのです。  そこで、時間が来ましたので、これで終わりますけれども大臣、日本のローカル空港現状というのはこういうような状況なわけですね。一方でそういう状況にある。さらに航空の需要はどんどん伸びているから、大型化しジェット化していかなければならないということなわけですけれども、ジェット化し大型化する前に、こういうローカル空港の問題で――皆さん方の方針というものをお伺いしていると、ローカル空港を強化していく、安全の面から強化していくということよりは、手を抜けるところはどんどん抜いていこうということなんですね。たとえば北海道の場合ですと、女満別の飛行場なんというのは四十三年が年間二百二十機、それが四十五年になったら何と五千百機にふえたわけです。ところがこの管制をどこでやっているかというと、釧路の空港でやっているわけで、釧路の空港で女満別の管制をやれるかというと、実際はやれないわけですね。パイロットまかせです。管制通信官というのは、飛行場におりられる状況にあるかどうかということを通信しているだけです。そうすると、おりる順番そのほかというのはどうかというと、現実にはもう飛行機のパイロット同士がお互いに、今度はおれの番、今度はおれだということでおりる。だから飛行場におりてから、おれのほうが先に着陸地点に来たのにおまえ何で追い越しておりたんだということで、パイロット同士がけんかをしている。女満別空港ですよ。去年は実に三件ここでもってニアミスが発生しているというのです。年間五千百機ということになりますと、それは一万機の基準に達してないから管制官は要らないのだ、さっきも成田に配置するためにまた奄美大島とかなんとかをやめるという、おたくのほうではお考え方でしょう。そうではなしに、そういうローカル空港だって年間五千機、それは確かに羽田の十七万なんというのに比べれば問題になりませんけれども、しかしこういうところの設備というものをもう一度きちんと点検をして、何も働いている組合員にまかせないで、皆さん方の立場から点検をして、そして整備五カ年計画の中に、ともかく総額をきめで、やみくもに、ことしは大蔵省と折衝してこれだけ予算がついたんだからこの分はこうやってやろうなんていう、そういうことじゃなくて、全体の政策目標はこうなんだということをきちっと立てられて――立てるためには現状をつかまなければならないわけですよ。現状をつかまえて政策目標を立てて、そしてそれに向けてことしはどうしていく、そのうちのことしはこうなんだ、来年はこうなんだということで、ローカル空港を整備してもらわなければ困ると思うのです。これは大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。
  140. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 たいへん貴重な御意見を拝聴しまして、参考になりましたので、五カ年計画の中で十分、改善すべきものは改善していきたい。ただむやみに地方空港をふやすのはどうかと私は考えております。ある意味においては、実際上整備できないものは多少は整理してもいいと考えておるわけであります。というのは、何といっても、お話のように非常に危険な仕事でもあり、航空安全というものは非常に大事な問題ですから、いわゆる薄く広くというようなものとは性質が違う。そういう意味においては、よほどこれからは考え方を、ただむやみに飛行場をつくればいいのだという考え方はある程度考え直す必要がありはしないか、こう考えております。しかし現在使われている飛行場は、もちろん必要であってできたものでありますから、これは最善の道を通じて、五カ年計画の中で十分に、設備を改善すべきものは改善して、大型化ばかりがもちろん飛行機の目的じゃありませんので、お話の点を十分に考慮しながら改善してまいりたい、かように考えております。
  141. 横路孝弘

    横路委員 改善してもらうというのは、それはやってもらわなければならないわけですけれども、その前に現状の把握というのがどうも運輸省のほうでなされていないのじゃないかと私は思うのです。知っていたら、こんなところ、管制塔から滑走路が見えないような飛行場なんか放置しておくはずがないと思うのです。そういう現状把握をまずおやりになって、政策目標を設定されて、その上で整備計画の中に織り込んでやっていくということでなければ、大蔵省と折衝して予算がこれだけになった、だからこれはまず成田空港に幾らの予算、関西空港が必要だから幾らの予算、残った部分が保安なんということにどうしてもなると思うのです。そうじゃなくて、まず現状を調査されて、そして政策目標を設定されておやりになったほうがいいのじゃないか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  142. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 もちろんこれは各飛行場会議等もやっておりますから、現状把握は運輸省においても相当十分にやっておると考えます。ただ、横路さんの御質問の重点は、一つはこういうところにあると思います。成田飛行場完成をおくらせても、当然各方面の整備を先にやるべきじゃないのか……、どうも成田飛行場工事をおくらせるための質問もある程度あるのじゃないかという気がいたしますが、これは御承知のように、たとえば日本の全国の総合開発をやっていく上において、根本といいますか拠点としての開発というものは地方の開発というものは当然並行しなければできないのであります。したがって根幹飛行場といいますか、基幹飛行場の整備がなければ、地方飛行場の整備ができないということになるわけですね。地方から地方に飛ぶ飛行機はないとは思いませんが、地方から地方に飛ぶ飛行機というものは、全体の一〇%もないのでありまして、九割はいわゆる基幹飛行場から地方に行くのであります。したがって基幹飛行場である羽田もしくは成田飛行場というものが整備をされなければ、結局地方飛行場の有効な活用はできない。したがってやはり成田飛行場完成は焦眉の急である、これを何としても完成しなければ、結局は地方の空港が役に立たない。たとえは御承知のように羽田でもって、往復にしまして少なくとも十便前後の減便をしておる状態、これはいまのままでいけば、今後お客さんがふえるのに対して対処できない状態でありますから、そうなれば地方空港というものが役に立たないということになる。こっちから飛んでいかなければ、飛行場というものは役に立たないのですから、成田飛行場の整備は急を要することは御了承を願いたい。その方面を何とか引き延ばそうということで御質問があったとすれば――私は必ずしもそうじゃないと思いますけれども、もちろんこれは地方飛行場のそうした点検等は十分にやらなければなりませんし、当然年何回かの関係者の協議もやっておりますから、いまお話しになった点は十分に考慮に入れながら整備をしてまいりたい、かように考えます。
  143. 横路孝弘

    横路委員 やめようと思ったのですがどうもよけいなことを言われるから……。何も引き延ばすためにローカル飛行場の問題や管制官要員の問題を取り上げているのじゃないのですよ。いまの運輸省の航空行政の中でやはり安全が第一です。そのためには保安施設保安要員が必要なわけですよ。その保安要員保安施設の問題は不十分じゃないかということを指摘しているわけですね。そういう態勢が整った中で空港づくりというものを考えていかなければ、政策的に空港をつくるなどということだけでもって、あとからあわてて保安施設要員が追っかけていくようなことでは、これは無理が必ずどこかに来ますよということをいままでの質問の中で指摘をしたので、何も成田を引き延ばすために質問をしたのじゃないのです。いまのお話ですけれども、これは総合交通体系の関連にもなるのでしょうけれども、たとえば北海道と東京を考えてみても、あそこは幹線でありますからどんどん飛行機を飛ばす。さらに新幹線でしょう。さらに縦貫道路ですね。札幌まで五時間で行くようになる。五時間で行くようになれば、私だって飛行機なんか使わないで新幹線で行くということになるわけです。さらにフェリーだってこれからどんどん行くようになるわけですね。そうすると、貨物なり旅客なりを一体どういうふうにして配分をして運ぼうとしておるのか、さっぱりわけがわからぬことをやっておると私は思うわけです。それは総合交通体系との関係ですから、また時間を改めてお尋ねすることとして、きょうはこれで終わります。
  144. 天野公義

  145. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 時間がありませんので、ほんの二、三  の点について大臣にお伺いしたいと思います。  先般、同僚受田議員から、またいま横路議員も最後に触れられましたが、総合交通体系の確立ということが現在の日本の陸海空の交通の上から焦眉の急といってもいい状況になっております。しかもその一環である国鉄の再建については、ついに来年度の問題としてはなかなかはっきりしないかたがた陸海空の総合交通体系確立の中で、特に私ども指摘したいのは陸上交通です。陸上交通が海、空に対して非常にアンバランスになっておる、混乱を来たしておる。この点については私ども非常に心配しております。運輸省の中ではすでに運輸政策審議会等で鋭意検討中と伺っておりますが、昭和四十七年度の予算に間に合うように何としてもこの問題をまとめていただきたいと思うので、それについての大臣のお考え並びに決意をこの際お伺いしたい。
  146. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 総合交通体系という中で、やはり柱になりますものは、長距離、中距離というものを何と何が受け持つべきか、一つはもちろん鉄道であり、もう一つ飛行機だろうと思います。それから通勤、通学あるいは大都市交通といっていますが、そういうものはやはり何と何が受け持つべきか、これは当然鉄道とバスというものがこれの責任を負うことになると思います。同時にまた長距離輸送については、最近カーフェリー等の発達から見て、これはお客さんだけでなく貨物等もこれに依存する度合いが相当高くなってまいると思いますので、これらの問題をやはり総合的に組み合わせた上で考えなければならぬ。同時にまた交通機関というものが、その経営のいかんを問わず、企業的な性格をどの程度まで考えるかというのが、これは政治の課題として十分にお互いに考えなければならぬ問題であると思います。いわゆる純粋なといいますか、そういう意味での独立採算制というような形でいくべきものなのであろうか、あるいは交通機関というものはかなり高度の公共機関であるから、それの運営が国営であれ、あるいは国営に近いものであれ、あるいは私営であっても、その性格上から見てこれを公共的機関として国が平等の立場を与える、こういう考え方をはっきりとしなければいかぬのではないだろうか。そういうことによってその企業体に対する国の助成なりあるいは補助なり、何らか助成策というものを考えていくということを考えないと、いまのように、これは私営であるから、これに対しては全く考慮する必要がないのだ。たとえば日本の場合、これは外国でもそうですけれども、日本の場合も、最近におきましては、鉄道収入によっては私営というものが全く成り立っておりません。かろうじて従来からある程度付帯事業、ことに土地造成事業等によっての収入をプールして、それで初めて一応の配当を行なっておるというのが現状であります。もうこれも限界に来ておる、こういう状態でありますから、したがって、公共機関であるその企業体が、それが公共企業体であれ、私企業であれ、そういう観点からこれをどう助成し、かつまた交通状態において円滑化をはかるための措置をどう行なうべきかという根本問題をお互いが考えませんというと、この問題の解決はできない、こう考えておりますので、私は、総合交通体系の中で、国営とか私営とか公共企業体ということで考えるのでなくて、いわゆる交通機関の持つべき性格、これに対する国の考え方、これを明らかにしていきたい、こう考えておる次第であります。
  147. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 総合交通体系における大臣の基本的な立場の一端をお伺いして、たいへんに参考になりますが、私ども指摘したいところは、例を陸上交通にとってみましても、かねて私の年来の主張である海空については、戦後格別な助成、保護措置がとられ、したがって、今日の隆昌を見ておる。ところが、陸上交通については、国鉄をはじめとしてバス、トラック、大臣の見解によれば若干公共性の低いタクシー、ハイヤー等については、現在本来の機能を十二分に発揮できない情勢にある。そこまで窮迫してしまった。この点が私はたいへんに心配でございます。  例をバスにとってみますと、過疎地域のバスが、四国を中心に九州の一部、山陰の一部、北海道等で非常な窮迫の状態で、一部は倒産をするというようなことでありますが、都会においても過密の弊害というか、過密の影響を受けて、バスの経営が困難になっている。その基本は運賃の問題にかかっておるということで、運賃についてはかねて政府でみずから基準賃率というものを設けて、これによって民間のバス運賃、公営、国営のバス運賃を規制をするということを提唱しながら、みずから定めた基準賃率――私が道路運送法の法律の条文を引き合いに出すまでもなく、行政措置として基準賃率の問題を政府みずから無視する、こういう状態にあって、現状ではほんとうにそれぞれの陸上交通機関がその機能を発揮し得ない。タクシーについては現にたいへんな窮迫で、破産に瀕する会社が非常に多く出ておる。これをいまにして救済しないと、私はたいへん大きな事態が陸上交通について起こるのではないか。国鉄またしかりでございます。  そこで窮迫しておる総合交通体系、なかんずく陸上交通のそれぞれの分野における機能の発揮のためには、いままでやっていたようなことではとてもやれない。現に運輸省においてはきわめて少ない金額の助成金をバス等に出しておる。しかしそれでは九牛の一毛で、このままほうっておいたら、私は昭和四十七年度に総合交通体系について運輸省が予算を盛り込むまでに、陸上交通機関の各分野において相当国民の期待に沿い得ない事態ができてくるから、これにどうして対応するかというところがいま現に問題になっておると思うのですが、まだまだだいじょうぶだとお考えなのか、これに対して急速に何らかの措置を講じなければならぬとお考えになっておるのか、その辺のところを伺いたい。
  148. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 過疎地域というものの考え方ですが、過疎地域振興法という法律ができておりますけれども、あの場合における過疎地域というのは、非常に狭い範囲の過疎地域というように思います。事態はそうじゃなくて、必ずしも狭い意味での過疎地域だけを考えておったのでは、交通問題からいうと、これは解決にならない。そうじゃなくして、かなり広い意味で、あるいは大きくいうなれば、四国全体がそうなるかもしれません、四国についていうならば。そこまで広げませんでも、一県単位で交通機関の必要性及び交通機関の過疎性、こういう問題から考えないと、いわゆる過疎地域の交通機関の問題は、これは解決ができない。これは国鉄も同様なんです。したがって、いわゆる過疎地域ということばを交通機関の上で用いることは私は不適当だと思う。いままでのいわゆる法律上皆さんがお使いになっておる過疎地域というものはそうじゃなくて、ある一町村なり二町村の範囲をさしてああいう振興策というものができておる。そうではなくてもっと大きな少なくとも県単位の過疎地域、交通上でいえば、こういうようなことが考えられないと基本的な解決策にならない。  そこで、根本問題といいますと、これはことしのうちに間に合わなくはなりますけれども、いまの交付税の中のあり方も、やはり交通機関というものも積算の根拠に私は入れるべきだと思うのです。道路その他の問題だけではなくて、何といっても地域住民に必要な交通機関なのでありますから、それが経済上引き合う、引き合わないの問題が今日出てまいったのでありますから、それをもし受益者負担だけにまかせるということになれば、おそらく倍くらいの運賃に上げなければできないだろうと思うのです。せんだってニューヨークにおいて八〇%のタクシーの値上げをした。その結果はちっとも収入にはならないで結果的にはマイナス、収入の二〇%減収になった。これはいろいろの事情がありましょう。とにかくこの交通機関というものは、自分の生活を脅威するほどの支出になれば、利用しなくなってしまうのはあたりまえでありますから、単なる値上げによってだけで解決はできない。そこで、いわゆる国なり地方公共団体が地方交通機関に対してどう考えるかということが根本の問題であろうと思います。  また、タクシーの料金問題につきましても、これはタクシーの状況も非常に悪いのであります。したがって、政府はできるだけこの現状を救うために、とりあえず融資という方面でいろいろ骨を折りまして、一応東京、大阪等にはその手当てをいたすことに相なったわけでありますけれども、もちろんこれは結局は借金でありますから、返す道を考えなければならぬ。そこで、東京、大阪、その他神奈川県等からもタクシー料金の値上げがいま申請されております。しかし、現在の物価問題等から考えまして、いま直ちにこれをわれわれは審議をし、処理をするというわけにはまいらないのは御承知のとおりであります。しかし、さればといって、この状態でおれば、タクシー会社であれあるいは個人タクシーであれ、非常な窮境におちいり、あるいは廃車倒産の憂いもないことはありませんので、したがって、できるだけ暫定措置を講ずると同時に、抜本的な措置も考えていかなければならないと存じます。ただ、いまのタクシー料金の制度がいいのか、あるいはタクシー制度のあり方がいいのか、これは根本問題でありますけれども、これから考えてまいりませんと、ただある程度の値上げを認めたからそれで解決できるかというと、私は、いまのような状態では必ずしもそうはいかないのではないだろうか。タクシーなどは合理化の面の非常に少ない仕事でございます。運転をする場合において半分の人間が運転をするというわけにはいかない。どうしても一台には一人の運転手が必要なんでありますから、いわゆる人件費等の合理化というものは、営業面においては多少ありましょうけれども、原則として合理化の余地はない。そうなりますと、一体どこで近代化すべきかということ、料金の近代化、従来の立て方がはたしていいのかどうか、これは考え直す必要があるだろうし、あるいは制度としても、いわゆる一人乗っけて歩くという制度のいまのタクシーのあり方、これも考えていかなければならない。  そういういろいろな問題がありますが、それでは間に合わぬというおしかりでありましょう、もちろんそうと存じます。したがって、暫定的には何としてもこれら倒産を防ぎ、あるいは交通機関として少なくなれば、いまや大衆的な量を運んでおるのでありますから、一般国民にもたいへんだ迷惑をかけますから、したがって、暫定的に何とか営業のできる状態を続けることのできるように自動車局に対しては強く指示をし、かつまた協力さしているのが現在の状態でございます。
  149. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 最後に、希望を込めてお尋ねをしたいと思うのですが、いまの陸上交通業界の現状がいかに窮迫しておるかということについての認識が国民の間で十分でない。石炭が窮迫したとき、また最近繊維がアメリカとの輸出の関係で非常に窮迫したとき、政府がばく大な金を出して助成措置をとる。ところが、陸上交通機関については、御承知のように助成どころか課税、課税、重税に次ぐ重税、八つの税金を自動車業界が課せられている上に、また今回も重量税をかけよう。LPG一つとってごらんなさい、一万数千円の税金を毎月払っておる。自賠責を一例にとってごらんなさい、数十万円の金を払わなければならぬ。そんなことをタクシーやバスに課して非常な過重負担を与えておる。これらの問題をまず合理的な税制に改正をする、合理的な助成をする、そしてあるべき姿に直すということでなければ、いまの状態ではたいへんに大きな負担です。自動車関係ほど税金を過重に負担しておるところは私は少ないと思う。しかも助成はほとんどない。融資ですら、最近暫定的にタクシーにああいう措置がとられておるが、その融資すら受けられないほど窮迫しておるものが二〇%もある。ですから、これは大臣に何としても昭和四十七年度の予算までに、夏までに総合交通体系、なかんずく陸上交通における鉄道、トラック、バス、タクシーの分野が健全に経営し得る基盤をつくっていただく、その基盤の政策を考えていただかなければならぬと思います。昨日なんか全交運が大臣に陳情をされた。これについても基本の趣旨は、労働組合の人々の陳情であっても、それぞれが公平に経営し得る体系についても陳情があったやに伺っておりますが、どうぞそういうつもりで昭和四十七年度の予算に間に合うような施策を急速に確立していただきたいということを重ねてお願いをして、御意見を伺いたいと思います。
  150. 野村一彦

    ○野村政府委員 基本的な考え方につきましては、先ほど大臣が申されたとおりでございます。私どもはそういう大臣の方針に基づきまして、早急に抜本的な対策を講じたいと考えております。  そこで、一つ方向といたしましては、ただいま審議をしております運輸政策審議会の都市交通部会において早く結論を出していただいて、輸送分野のあり方、特にバスとタクシーについての輸送分野のあり方というものは、従来ともすれば結果論としてできておりました輸送分野のあり方をビジョンとして確立をしたい。そうしてそれとの関連におきまして、先生指摘の運賃体系のあり方についても基本的な考え方が導き出せるような方向に答申をいただくべく、ただいま審議をいたしておるところでございます。  それからもう一つは、私の担当しております自動車の分野について申し上げますと、これは自動車局内におきましてまだ十分論議を尽くしておりませんが、少なくとも私といたしましては、従来のバス事業につきましても、単に経営の悪いものに対して国家の補助金を交付するということではなくて、やはり過疎バス対策協議会、過疎ということばの意味は、先ほど大臣が言われたように、普通言われていることばより広い地域を考えておるわけでございますが、そういう現状を把握して、都会以外のそういう地域におけるバス路線網の再配分を含めたあるべき姿というものを考え出しまして、それに対する融資とか、あるいは先生指摘の税制とか、あるいはどうしてもやむを得なくて赤字が生ずるけれども、その住民の足のために必要な路線網に対しては補助金を出す、そういうようなことを含めました再建整備法ともいうべき法案に裏打ちされた国家の助成策というものをぜひまとめたいということで、いま鋭意努力をしておるところでございます。
  151. 天野公義

    天野委員長 上原康助君。
  152. 上原康助

    ○上原委員 まず、提案されました法律案の改正の点について二、三点お伺いしたいつもりでしたが、時間がちょっと制約されましたので、一点だけお伺いをしておきたいのです。  今回の設置法の一部改正は、三点ほどあげられているわけですが、特に先ほど横路委員質問でもいろいろありましたように、今回の改正される三点で、急速に拡大されていく航空あるいは運輸行政面で、特に管制官あるいは保安要員その他の航空行政に携わる資格要件を満たしていく職員の養成なりそういうものが十分なされるというお考えなのか、そこらについてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  153. 内村信行

    内村(信)政府委員 先生指摘のように、確かにいまの航空需要というものは非常にふえておりまして、したがって、航空保安業務というものはますます拡大せざるを得ないというのが実情でございます。そこで、私どもといたしましては、従来、航空保安職員研修所というのがございまして、そこでもって航空管制科、それから電子科、これはつまり無線関係をやっておるものであります。それから通信科、この三つの職種というものを養成しておったわけでございます。そこで、この管制官のほうは、管制科の本科が二年制、それから専修科が六カ月、それから電子科は二カ年、それに対しまして、通信科が一カ年というふうなことがその内容でございます。そういったものに対しまして、先ほど申し上げましたように、だんだん需要も多くなってまいりますので、質的にも、学生に一つのプライドを持たせるというふうなこともまた一つの重要なことでございますので、この際、保安職員研修所を保安大学校というように名称を変更いたしまして、大いに士気をあげてまいりたいということでございます。  それから、その内容といたしましては、従来、通信科だけは一年制であったわけでございますけれども、これをほかの科と同じように二年制にいたしてまいるということによって、通信科の質を向上させてまいりたいというふうなことがねらいになっておりまして、こういうふうなことによりまして、今後、質量ともにいい学生を養成してまいりたいというふうに考えます。
  154. 上原康助

    ○上原委員 いまの御説明で、大体将来を展望する中でのそういった機構の充実、改革というようなものは受け取れるわけですが、私もあまりそういった面わかりませんので、それに関係する資料をひとつ提供していただきたいと思います。たとえば学生の養成されている人数あるいはその制度の内容等について、最近の資料をいただきたいわけですが、その点についてお約束できますか。
  155. 内村信行

    内村(信)政府委員 追って御提出申し上げます。
  156. 上原康助

    ○上原委員 次に、航空行政の面は、先ほどいろいろ議論をお聞きしても、本土においても相当問題があるということを私も理解をいたしますが、特に沖繩の施政権の返還に伴って、航空の管理の問題やその他運輸行政いろいろ問題が出てくるわけですが、政府がすでに発表いたしました第一次あるいは第二次の、おもに第二次の復帰要綱の中で出ている件ですが、今後沖繩が返還されるにあたって、あるいは返還後の保安設備――保安設備の面は県に委託あるいは市町村との面での関連があると思うのですが、基本的な航空の管理の問題と運輸関係について、どう運輸省として方針なり御計画なりを進めていらっしゃるのか、まずその概要を現段階で御説明できる点をお伺いして、さらに質問を続けていきたいと思います。
  157. 内村信行

    内村(信)政府委員 沖繩の返還におきまして、いわゆる航空関係の行政と申しますか、航空関係の問題がどういうふうになってくるかということでございますが、これにつきまして、あるいは那覇の返還の問題その他、これはまだはっきりしておりませんので、現在どうこうということまではっきりしたことは申し上げかねるわけでございます。ただ希望を申し上げますと、私どもといたしましては、那覇空港というものは、民間空港といたしまして私どもが管理してまいりたいというのが希望でございます。  それからもう一つは、いわゆる航空交通管制センターの問題でございます。これは現在、沖繩FIRの範囲につきまして米軍が航空交通管制をやっているわけでございますけれども、それにつきましても、沖繩が返還された暁には、やはり日本政府においてこれを引き継ぐということにすべきであろうというふうに考えております。  それから航空保安施設、これにつきましては、保安通信につきまして、沖繩ではいまエアリンクという会社がたしかやっているように思っておりますけれども、そのエアリンクにつきましては、やはり航空通信関係は現在、日本といたしましては、政府でこれを行なうというふうなたてまえになっておりますので、それを政府に引き継いでまいりたいというふうに考えております。  概要以上のようであります。
  158. 上原康助

    ○上原委員 那覇空港の問題については、また少しあとでお聞きいたしますが、まずその前に、政府が第二次の復帰要綱の中で打ち出しておられる「空港の整備」の面で「復帰後は、航空法の定める基準に適合せしめるための整備を促進するとともに、引き続き需要の動向を勘案して整備を図るものとする。」ということで、現在、定期便の就航している離島空港について、いろいろ整備改善をやるという方針が打ち出されているわけなんです。この件は、現段階では、対策庁のほうで総括しておやりになっていると思うのですが、しかし、実際の管理あるいは具体的にその改築工事等、施設設備の改善をやっていく段階においては、運輸省のほうで管轄すべき面も出てくると思うのです。ここでただ文言として出してある程度なのか。こういう各関係省庁のほうとも十分煮詰めた段階で具体的なプランをお立てになって作業を進めておられるのか。あるいは、それを執行していくためには、当然、予算措置というものも考えなければいかないわけですが、そういった総体的どいいますか、あるいは具体的に、今後対策要綱の中で打ち出された問題を進めていくことについてはどうなっているのか、ひとつ運輸省のお考えなり方針というものを明らかにしていただきたいと思うのです。
  159. 内村信行

    内村(信)政府委員 この問題は、本来やはり沖繩対策庁におきまして総合的に考えていくべき問題であろうとは存じます。しかし、私どもといたしましても、これは当然、飛行場その他航空関係につきましては、少なくともそのテクニカルな面におきまして十分しっかりしたものをつくっていくということはしなくちゃいかぬわけでございます。  そこで、問題は、財政の問題でございますけれども、これは沖繩全体に対して一体どうするのか、あるいは、沖繩振興法的なものができるのかどうか、これによって、援助費をどうするのかということとも関連いたしますので、これについては、私どもの立場としてはいま申し上げられないのでありますけれども、そういったものともからみ合わせまして、先ほども先生のおっしゃいましたように、やはり離島空港につきまして、航空法の定める要件を具備するようなものとして整備をしてまいりたいと考えます。
  160. 上原康助

    ○上原委員 現段階では、まだ確たる、いわゆるはっきりした方針なり計画というのはお持ちでない、そこまではまだいっていないというふうに承ってよろしいですか。
  161. 内村信行

    内村(信)政府委員 まだ具体的にはっきり詰めた段階ではございません。
  162. 上原康助

    ○上原委員 これは一応要望として申し上げるわけですが、確かに政府部内の横の計画の立て方、あるいは連絡を密にした方針まで固まっていないということはある程度理解をいたすわけですが、しかし、ここではっきりこういう方向でやっていくという一つの大綱は出ているわけですから、その面、運輸省に関係のあるものについてはぜひ運輸省としても積極的にひとつ御努力を賜わりたいと思うのです。  そこで、先ほど出まして御答弁ありました那覇空港の件ですが、これまで参議院における大臣の御答弁、あるいはわれわれが知る限りにおいては運輸省としてもぜひ民間空港に持っていきたいし、その管理権というものを運輸省へ持っていきたいという姿勢があると聞いているわけです。しかし、実際問題として返還後の基地の態様なりあるいは施設区域の提供の問題等協定内容そのものがまだ明らかにされていない段階で、外務省、防衛庁等等の関係もあってはっきりしたお答えが出ていないわけですが、この点大臣にお伺いをしたいわけです。われわれの立場としては、あくまで那覇空港というのは民間空港にすべきである。そして、その航空管理権を含めて日本政府、運輸省の管轄下において純然たる民間空港にすべきであって、自衛隊が使うとかあるいは米軍との共同使用をやるということには基本的に強く反対しているわけなんです。運輸省として、現段階でこの件についてどうお考えなのか。まだ対米交渉そのものは外務省がおやりになっていらっしゃると思うのですが、少なくともいま私が申し上げた、あるいは沖繩の県民なり一般世論が強く求めている方向で、今後那覇空港の問題について運輸省の立場でおやり願っていくお考えがあるかどうか。また大臣の今後のこの問題に対しての基本的な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  163. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 政府全体のことでありますから、私の希望が必ずしも通るとは限りますまいけれども、運輸省としては那覇空港民間空港として使いたい、これらの方針で交渉に当たる方針であります。
  164. 上原康助

    ○上原委員 現在御案内のように、高等弁務官布令があって、布令第六十二号ですか、当然施政権が返還された後は、布令、布告というのはなくなるべきものであるし、またなくなると思うわけですが、あの布令の第二章の総則第二-一節で、「領空権、航空機の運営」については、「対日講和条約第三条により、アメリカ合衆国は琉球列島の領空権を完全かつ排他的に保有する。」ということが明確に打ち出されているわけですね。もちろん現在施政権をアメリカが握っている限りにおいては、こういう独断的な布令というものも存在するわけですが、軍事面と関係のない民間航空権、領空権なり管理権というものは当然日本政府に属すべきものと考えられるし、またそうあるべきだと思うのですが、復帰後の那覇空港を単にそういう姿勢でおやりになっていくということだけではなくて、この種の布令との関係において、今後の航空権の問題あるいは航空行政の問題についてどうなっていくのか。また、いまの基本姿勢でいきますと当然アメリカ側が排他的に握っておるということは許容されない問題だとわれわれは思うのですが、この点についてどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  165. 内村信行

    内村(信)政府委員 当然沖繩が返還されればわが国の本土と同じようになりますから、領空主権というものはわが国に帰属するというふうに考えます。
  166. 上原康助

    ○上原委員 その場合にいま施政権がわが国に戻ってくるので、わが国の航空法なりそういう管理権が及ぶということですが、那覇空港が万一大臣がいま御答弁なさった方向で日米の合意が取りつけられなかった、あるいは民間空港としての使用というものが不可能にならないとも限らないわけですね、管理権の問題。その点については確実に航空管理について政府の権能が及ぶという判断というものが出てくるわけですか。
  167. 内村信行

    内村(信)政府委員 私の申し上げましたのは、一般的な意味におきまして領空主権というものが日本に帰属するという意味でございまして、ただいま本土でも米国の基地というものはあります。したがいまして、先ほど申し上げましたように、FIRというふうなものはわが国に帰属するであろう、したがいまして、センターのコントロールもわが国に帰属するであろうと思いますけれども、個々の基地ができるかどうかということにつきましては、これはまた別の問題であると思います。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
  168. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁とも若干関係いたしますが、先ほどの航空管制コントロールセンターについては現在嘉手納基地にあるわけですね。これは米軍のほうです。しかし復帰後、そのセンターについての施設は日本政府が新たに設置すべきだということになっている。それには大体二、三年かかるだろうという局長の御答弁が横路委員質問に対してございましたが、運輸省としてそういったセンター建設、センターを設立をしていくという場所の選定とかあるいは具体的な御計画というのは進んでいるわけですか。
  169. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたが、誤解を生じないためにちょっと申し上げておきますが、コントロールセンターをこちらに復帰してもらう、あるいは那覇を民間航空で使うことは、まだ固まって政府全体として結果的に米軍との合意ができたという問題でございませんから、私ども希望としてお聞き取りいただきたいということを付け加えて先生に申し上げます。  それから、その上でいまの御質問にお答えいたしますが、センターの位置についてでございますけれども、これはやはりかりに米軍から現在のコントロールセンターの仕事を引き継ぐということになるといたしましても、先生おっしゃいましたように、現在嘉手納で米軍がやっておるわけでありまして、嘉手納があるいは基地として残ればその施設はこちらに受け入れるわけにいかないというようなことになりますので、いずれその施設のほうは別個にどこかにつくらなければならぬということになります。したがいまして、その点につきましては、四十六年度におきまして調査をいたしまして、その調査によりましてしかるべきところを選定いたしたいと考えております。
  170. 上原康助

    ○上原委員 現在那覇空港で通信あるいは管理、保安要員として勤務しているエアリンクの職員がおります。たぶん四十名前後だと思うのですが、復帰後那覇空港がどうなるかは現在まだいまの御答弁では出てこないわけでございますが、しかし、エアリンクが使用している施設、職員の身分等に異動があるということは言えると思うのです。その取り扱いについてはどうなるのか、あるいはまたそういった職員の実情についての御調査なり何らかの接触等というものは持っておられるのかどうか。
  171. 内村信行

    内村(信)政府委員 この点、先ほど申し上げましたけれども、エアリンクについては日本政府で引き継ぐというふうなことを考えております。職員につきましても、一応そういうふうなことで引き継いで、日本政府に来ていただけるかどうかというふうなこともエアリンク当局のほうでサウンドしているという段階でございます。相当程度はおいでいただけるように聞いております。
  172. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁からいたしますと、エアリンクの職員については、復帰後職員の解雇等あるいは不利益にならない対策を運輸省としてはおとりになるという方向で御検討していると受け取ってよろしいですか。
  173. 内村信行

    内村(信)政府委員 そのとおりでございまして、御希望のある方はなるべく来ていただきたい、そのままこちらに移っていただきたいというふうに考えております。
  174. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと時間がありませんので、さらに大臣にもう一度お尋ねしたいわけですが、先ほど那覇空港の今後の取り扱いについての御見解を賜わったわけですが、昨日も沖特委のほうでも、ほかの省を引き合いに出してたいへん恐縮ですが、総理府総務長官も、ぜひ那覇空港というものは民間空港に持っていきたい、また、そういう面では運輸省とも十分話し合って、話し合いが政府部内でも進んでいるんだという御答弁もございました。先ほどの簡単な御答弁だけではどうも外務省やあるいは防衛施設庁に押し切られる可能性もないとも言えないわけです。今後の沖繩の観光事業の問題や地域開発、経済開発を含めて、少なくとも那覇空港だけは完全に民に移管をする、開放してもらう、返還をしてもらうという立場でぜひやっていただきたいということを強く申し上げたいと思います。これに対してお答えいただきたい。  さらにもう一つ、時間がございませんので。宮古の下地島のパイロット訓練飛行場の問題が長い間議論をされ、いろいろ問題もあるわけです。私も基本的には同意しかねる面もたくさんございますが、これについて政府の御見解を承っておきたいことは、パイロット飛行場は現地側の要望として、建設後はあくまで県営に持っていってもらいたいという現地の要望があるわけですが、これに対して政府として現地の要望を受け入れるお考えなのか、あるいは今後下地パイロットがかりに建設された場合にどういう方向で管理運営をしていかれるお考えなのか、その二点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  175. 内村信行

    内村(信)政府委員 それでは下地島の件については私から御答弁申し上げますが、現地の御要望に沿って考えてまいりたいと思っております。
  176. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 那覇空港を純粋の民間飛行場として使うように努力せよというお話でありますが、私もその方針でおります。  御承知のように、これは上原さんは現地の人ですから十分御承知ですが、軍関係飛行場としていわゆる嘉手納飛行場等十分な飛行場があるわけでありますから、那覇飛行場を純粋の民間飛行場としてこれを使用いたしましても、自衛隊もしくは米軍等におきまして差しつかえがあるとは舞えておりません。御承知のように、もちろん沖繩基地は本土並みということになっておりますから、いわゆる日米安保条約によってどのようなな民間飛行場でも必要なるときには制約を受けることは、これは安保条約がありますからその範囲内においてはやむを得ませんけれども、平常時においては民間飛行場としてこれを十分に活用していくという方針で総務長官とも協力し、かつまた防衛庁長官にもその旨を強く伝えておるのでありまして、皆さんの御協力を得てそのように持ってまいりたいと思っております。  なお訓練飛行場、パイロット養成飛行場の問題ですが、現地でもこれに対してかなり協力的な体制になってまいりましたので、これはなるべく早く、ことに大型化が進んでおりますときでいわゆるジェットパイロットを急速につくっていかなければなりませんので、ぜひこれは一日も早くここに訓練飛行場をつくりたいと思います。  ただ、企業体を県営にするかどうか、できるだけ地元の御意見も聞いて処理いたしたいと思いますけれども、問題はこれに対する施設の問題等もありますから、はたして県営でやったほうがいいのか、それとも企業でやったほうがいいのかという問題もあろうと思います。問題は名前にとらわれることではなくて、その地域一帯がいかにしていわゆる沖繩の開発に役立つかということが重要な問題であります。このためには相当の資金を投下しなければならぬ。そういう資金を投下する上において、県営でやったほうがいいのか、あるいは県の意向も十分いれながら別な企業体なり何かの形でやったほうがいいのか、これらは十分に審議した上で沖繩のためになるような措置、県営がよければもちろん県営でけっこうだと思いますが、中途半ぱなものをつくったのでは沖繩の開発に役に立ちませんので、やる以上は十分設備をして思い切ったものをつくって、やはり沖繩の開発に役立つ、こういう方向へ持ってまいりたいと考えております。
  177. 上原康助

    ○上原委員 約束の時間が参りましたので終えますが、下地のパイロット飛行場の問題については問題が非常に複雑ですので、ここでこれ以上どうだという見解は控えたいと思います。  ただ、いま大臣あるいは航空局長の御見解の中で政府のお考えというものがある程度明らかにされましたので、少なくとも現地側の意思というものが無視されることのないように特に御配慮をいただきたいと思います。それと、やはり那覇空港がどう今後返ってくるかということで、沖繩の返還の全貌についての一つのバロメーターにもなりかねない。その意味でも私が先ほど申し上げた、また大臣からいまお答えいただいたような前向きの姿勢で県民の要望というものがいれられるように御努力をいただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  178. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 次は山田太郎君。
  179. 山田太郎

    山田(太)委員 当該運輸省設置法の一部改正の法案については、同僚あるいは先輩議員から種々論じられてきましたので、時間の制約された関係もありまして、私は一、二点についてお伺いして、その他は関連して、先ほど先輩議員の質問にもありましたが、過疎地帯のバスの問題あるいは三大都市、ことに大阪周辺の通勤、通学難の問題と、新幹線の公害といわれる騒音あるいは電波障害についてお伺いしたいと思います。  そこでまず第一点は、この法案によって統計調査部が情報管理部と名称を改めて、機構も整備されるようでありますが、この情報管理部の所掌する情報処理についてはどんなものをやらんとするのか、その点についてまずお伺いしておきたいと思います。
  180. 高林康一

    ○高林政府委員 お答えいたします。  情報処理とは大体二つの点を考えておりまして、一つは運輸省の内部の情報処理でございまして、現在運輸省におきましては二十三の電子計算機を導入しておりますけれども、これらの電子計算機の利用によりまして、各種のデータその他を解析し収集し、またシステム化する、こういうことが一つでございます。  それから第二点といたしましては、運輸関係事業に情報処理システムをさらに積極的に導入するということでございます。現在国鉄のみどりの窓口あるいは日航の各種の座席予約、そのような点につきまして、コンピューターの導入によりまして種々の輸送サービスの向上をはかっております。それらの点をさらに拡充いたしまして、運輸産業全体を通じますところの情報のシステム化、こういうようなことを調整し指導してまいるということ、この二点を主として目標として考えているものでございます。
  181. 山田太郎

    山田(太)委員 もう少し具体的な面が考えられていいはずと思うのですが、みどりの窓口等の拡充整備等々、それのみのためですか。
  182. 高林康一

    ○高林政府委員 それのみではございませんで、各種の輸送、トラックの貨物配送のシステム、あるいは旅客あるいは荷主に対するところのサービスに電子計算機を利用して輸送サービスを向上する、あるいは船会社のコンテナのコントロールシステム、こういうようなものを確保するということを部外的に考えておりますし、また対内的には、現在各種の研究所あるいはまた車検登録、あるいは気象業務、こういうようなところに電算機を導入しておりますけれども、これをさらに拡充してまいる。そうして運輸省全体の行政を、今後の情報化社会に対応いたしまして、大量の情報を収集し、そしてデータシステムを確立する、こういうような目標で進めていきたいと考えておる次第でございます。
  183. 山田太郎

    山田(太)委員 では次に、航空保安職員研修所を航空保安大学校とする、この点について。  これは、同じ大学校という名前をつけながら、たとえば宮崎の航空大学校とかあるいはその他の水産大学校とか、そういうふうな国立学校設置法によって設置される大学と、それからこのような大学校という同じ名称を使いながらその相違点、その間について文部省との話し合いは――そのこと自体に異論があるわけではないのです。だけれども、同じ大学校という名称を使っていることはどのような関連性があるのか、あるいは全くなくて同じ名称を使うのか、文部省との関連も兼ね合わせてその点をお伺いしておきたいと思います。
  184. 高林康一

    ○高林政府委員 文部省におきましては、国立学校につきましては大学という名称でこれを統一しております。その場合に大学の設置基準等がございまして、それぞれ施設、定員あるいは教員その他についての全体的な基準が、ございます。これは主として一般社会に巣立つところの者を対象にしておるというのが実態でございますけれども、各省の設置法で制定されておりますところの大学校につきましては、主としてこれは部内職員というものを対象にいたしまして、ないしはそういうごく専門的な特殊な技能というものを養成することを中心にして、そしてそれに一般教養を兼ね合わせて考えるという点で、国立学校設置法によります大学とは、一般教養ということを主として考えますところと性格をやや異にするわけでございます。それらの点につきましては、現在各種の大学校、運輸省におきましても航空大学校あるいは海上保安大学校、あるいはまた他省におきましても消防大学校とか自治大学校とか、各種のそれぞれの行政目的に沿いましたところの大学校が設置されております。これらの点については、文部省とも十分意見を調整して、そしてその間の教育の内容の相違その他を勘案しながら、各省の行政事勝に即応する大学校を設定しておる。今回の航空保安大学校につきましても、そのような種類のものの一つでございます。
  185. 山田太郎

    山田(太)委員 私の聞いた論点の根本は、同じ大学校という名称を使うという、この点です。これはほかにもあるからそれでいいじゃないかという問題ではないと思う。この点についてはまだ論ずる点があると思いますが、しかし、時間の問題で次の質問に移りたいと思います。  そこで、先ほど先輩議員からの質問もありましたが、よく答弁の聞こえない点もありましたので重複する点もあるかとも存じますが、一般のバス路線が過疎化に伴って休止あるいは廃止されて、利用者は自家用車のない限りは再び昔の時代に返ったようなものだということで、非常に苦痛を感じております。そこで、私もその過疎化現象によってバス路線が廃止あるいは休止された場所の住民の方々と、克明とは言えませんけれども話し合ってみますと、やはり利用なさっている方は、老人とかあるいは御婦人とか子供さんとか、そういう方々が非常に多いわけです。いかに過疎現象とはいえども、そういう弱い方々が一番の被害者になっているのが実情でございます。先ほど先輩議員からのお話では、高知県あるいはその他の問題が出ておりましたが、この点について、私の岡山県内における休廃止件数を調べてみたところが、休止が五十八件、キロ数が六百三十九・五キロ、廃止が二件あります。この全国の休止並びに廃止――この休止は更新できるわけですから一年で終わるとか六カ月で終わるとは限りませんが、全国においての休止あるいは廃止の件数並びにキロ数、それによって被害を受ける住民の戸数あるいは人数等を掌握しておられますか。
  186. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御指摘でございますが、岡山県下につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりのキロ数に休止及び廃止がなっております。  全国につきましての休止及び廃止のキロ数、それからそれが与える影響につきましては、手元資料がございませんので後ほど御報告したいと思います。御了承いただきたいと思います。
  187. 山田太郎

    山田(太)委員 高知県とか北海道、ことにマスコミで騒がれたところではございますが、いま全国で山間部においては、これはおしなべての現象でございます。したがって、真に交通行政というものを考えるならば、この現状の把握ということがまず大切ではないか。この現状の把握なくして、いかにこう対策をすると言ってみたところで真の対策は立ち得べくもないと思いますので、その点後ほど資料を当方に渡してもらうとともに、先ほどの大臣の御答弁で明確に聞こえなかった点もありますので、先ほどからの質問の点も兼ね合わせて、大臣からこの点について答弁をいただきたいと思います。
  188. 野村一彦

    ○野村政府委員 まず、私から御説明申し上げたいと思います。  大臣の御指示もございまして、私どもとしては、現在運輸省全体におきまして総合交通体系ということの審議をいたしておるわけでございます。その中の一部分といたしまして、私どもといたしましては、特にバス、タクシーにつきまして、大都会における過密地域と、それからそれ以外の過疎、ということばの意味は、普通言われていることよりも広く考えておるわけでございますが、その過疎地域におきますバスのあり方等につきまして検討を集めております。過密の問題は、これは先生直接のいまの御質問でございませんので、過疎について申し上げます。  現在、私ども四十六年度予算でもお願いをしてございますが、各県ごとに過疎バス対策協議会というものを置きまして、そこに県及び私どもの陸運局、陸運事務所、それから事業者、そういうものが集まりまして、その地域内における、バスについて申しますと、路線網のあり方、これは採算いかんにかかわらずぜひ維持しなければならない路線網と、それから採算の点から見てあるいはその利用度の点から見てやむを得ないものということを一応識別をしようというような検討を、いまもうすでに事実上開始している地域がかなりございます。それ以外の地域につきましても、四十六年度予算が成立いたしますと、若干の庁費もついておりますので、それでもってこれを発足さしてやる。そしてそれを全国的に検討を広げていこうということをやっております。  それからもう一つは、そういうどうしてもその地方の足として維持しなければならないものについてどうするかということでございますが、私どもは、現在ございます、これも四十六年度予算に一億五千万ほどのいわゆる国家助成金がありまして、またこれに応じまして、地方公共団体の交付金をもって、バス路線の運行維持あるいは車両購入ということをやっておりますが、これはきわめて微々たるものでございまして、とうてい抜本的な対策になり得ないということから、私どもとしましては、各地方の実情をいま申し上げました過疎バス対策協議会をもって把握し、また各地方の今後の路線網のあり方をそこで一応整理いたしまして、そしてそれに対する対策、これは長期低利の融資の確保、それから税制、それからどうしてもやむを得ないものについての国家の補助金、そういうものを含みますところの助成、これはあるべき姿というものを地域ごとにビジョンを考えまして、そのビジョンに応じてそういう助成を考えようということで事務的に進めておりまして、先ほど大臣が申されましたように、運輸省全体としての総合的な交通体系の中の一つのバスを中心とした過疎対策、いわばその各論として私ども考えたいということでやっておるわけでございます。
  189. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 過疎地域における交通路線、これはバスに限りませんが、鉄道等も含めて問題になるわけであります。これはいかに考えているか、先ほど来の議員の質問に対してもお答えしたのですが、交通機関というものは、公企業であっても私企業であっても、やはりこれは公共事業として取り扱うべきものである、私はこういう考え方を持っております。ただ、私企業の場合は、政府資金じゃありませんので、いわゆる配当すべき金、逆に言うならば利子を払うべき金、こういうものをもって仕事をしておるのですから、ある程度の配当はやむを得ない。それを、もちろん限度を越える必要はありませんが、最小限度の配当はこれは私企業としてやむを得ない。しかし、現状はどうかというと、とても配当どころじゃないのが相当数にのぼっておるのが現状であります。これはどういう現象からきたかといえば、要するに通勤通学の時間に合わせてある程度の運行もせざるを得ない。ところが、それがある区間は乗る人が非常に少ない、こういうことから一つ考えております。したがって、乗車効率は、おそらく地方におきましても五〇%前後あると思います。これは通勤、通学を入れれば五〇%前後はある。けれども、通勤通学というものは、大体国鉄でも、私鉄でもそうですが、いわゆるコストに見合うような料金制度じゃないわけなんです。ある程度これは切っておる。でありますから、いまのように一般の料金を上げましたから、それで収入が十分に確保できるかというと、これはなかなかむずかしい状態になりつつある。こういう意味から言いますと、経営構成の上から考えていかなければ解決がつかない、こういう公共事業であろう。あるいは私企業であっても、これが公共的な事業としての性格が一〇〇%近いものであるならば、これに対してはやはり税制の面でも考えてやらなければならぬ。ところが、赤字で倒産寸前の会社に対しても固定資産税がかかっておる。私はおかしいと思います。これはわれわれも考えなくちゃならぬが、皆さんもお考えおきを願いたい。そうして、これは国鉄も同様に百十数億の固定資産税を取られておる。名前は納付金でありますが、実際は同じであります。私企業におきましても、赤字であろうと倒産寸前であろうと、やはりそれを納めなければならぬ。こういうものの考え方を根本的に変えなければ、いわゆる地方交通――これは地方交通だけではありません。東京でもそうです。たとえば都営地下鉄というものは何百億の赤字をちゃんと積んで経営しておる。ところが、営団はそういうものを積むことができませんから、いわゆる借金で一応片をつけておる。結局これはあとに赤字が残っていくわけですね。ですから、地方と大都市とを問わず、交通事業というものは昔のような特別の利益を伴う仕事じゃないのだ、情勢が変わってきたのだ、社会構造が変わってきたのだ、通勤、通学というものが主たるところの輸送実態になってきておる。こういうことを考えますと、そういう資本構成あるいは税制の面、こういうことを根本的に考えなければ、これは解決のつかない問題である。タクシーにつきましては、非常に窮屈になっております。そこで、一応国が資金のあっせんをして当座をしのいでおるのでありますけれども、これすらも借金なんです。ですから、結局は赤字が積み重なっていくことになるわけです。タクシー問題は別問題としまして、バス事業といえども同様でありまして、こういうことから考えていかなければ抜本的な改革はできない。  こういう点で、政府としても考えなくちゃなりませんので、少なくともなるべく早い機会に交通体系というものによってその位置づけをすると同時に、こういう地方交通線区を国もどうすべきか、同時にまた、地方公共団体もどうすべきかということを真剣に考えなければ足がとまってしまう、こういうことを言わざるを得ないのであります。
  190. 山田太郎

    山田(太)委員 いま大臣の御答弁の固定資産税等の問題、これは非常に大きな問題ですので、論議を呼ぶ問題も非常に多いことだと思います。  それはさておいて、やはり運輸省として、このバス事業、地方公共団体等も含めて、これに対する助成措置というものを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。  そこで、先ほどお断わり申し上げた、いわゆる新幹線公害と世間にいわれる問題でございますが、東海道新幹線の問題は時間の関係であとに譲るといたしまして、山陽新幹線開通については、これは各地で非常に待望されていることであります。といって、東海道新幹線のごときいろいろな騒音の問題だとかあるいは電波障害等の問題だとか、そういうものは未然に防がれなければならないと思います。これは国鉄の問題とはいいながら、やはり運輸省として、また大臣として、この大きな山陽新幹線あるいは次々と建設される新幹線のこのような問題についてどのようなお考えでいらっしゃるか、まず大臣にお伺いしておきたいと思います。
  191. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 山陽新幹線の建設につきまして、私ども東海道新幹線の経験等に徴しまして、これによる騒音とかあるいは振動あるいは電波障害というような問題につきまして、十分に検討いたしまして、それによる被害というものが軽減、除去できるように努力してまいっております。  若干具体的になりますけれども、東海道新幹線の場合に、非常に大きな騒音問題として問題であったのは、無道床鉄げたという問題でございまして、これが東海道新幹線の一番大きな騒音源であったわけでございますが、山陽新幹線におきましてはこれを避けまして、コンクリート橋あるいは有道床橋というようなことで騒音の低減をはかった、あるいは人家の密集区域だとかあるいは学校、病院の隣接する区域におきます防音壁の高さあるいは材資の考慮というようなことによりまして、遮音効果を高めるというようなことで、これも東海道新幹線の実績に照らしましてそういった方面を配慮する。それから鉄道騒音の場合には、施設だけでなくて、車両自体の構造、それから車両と軌道との相関関係ということで騒音が発生いたしますので、その意味でも、車両につきましても、あるいはサイドスカートを伸ばすとかいろいろ対策を講じまして、あるいは軌道構造につきましても、あるいは軌道パットを入れるとかしてそういうような騒音低減をはかる、あるいは高速の電車のパンタグラフが発生する異常鳴音の防止とか、そういう各種の方法を考えまして、現在の技術レベルで可能な限りできるような防音対策を進めるということでやっております。  それから電波障害につきましても、これは実は東海道新幹線で経験がございまして、これはNHKとも相談いたしまして、そうしてアンテナ位置の高上だとかあるいは利得の高いアンテナの設置とかいうようなことで対策を講じてまいったのでありますが、山陽新幹線におきましても、NHKにいろいろ調査をお願いいたしまして、アンテナの改善等によりまして大体障害が除去できると思うのでございまして、その点はNHKと十分相談の上で、御迷惑をかけないような工事をするということにいたしております。
  192. 山田太郎

    山田(太)委員 そのNHKとの相談の上でという問題でございますが、いま私の聞いている範囲内では、国鉄とNHKとの協定が、今月一ぱいくらいにやりたい、その目途をもっていま進められているということなのでございますが、その点についてはいかがでございますか。
  193. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 いまおっしゃいましたように、NHKとの間でごく近い将来に協定が結ばれる、これはだいぶ前から協議を進めておりましたけれども、近いうちにまとまる予定になっております。
  194. 山田太郎

    山田(太)委員 それは、山陽新幹線についてですか、あるいは、これから敷設される新幹線についても協定が結ばれるということですか。
  195. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 一応山陽新幹線につきましての協定でございます。
  196. 山田太郎

    山田(太)委員 まだこれから新幹線はどんどん敷設される計画であるのは御承知のとおりですが、これはなぜ山陽新幹線だけに限るというふうになるのか、その理由がよくわからないのですが、その点についてはどうでしょう。
  197. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 技術的な問題につきましてはもっぱらNHKのほうにお願いをせざるを得ない立場でございますが、いろいろお伺いしております範囲で、電波障害の問題につきましては技術的に個個のケースで非常にむずかしい問題があるというぐあいに聞いておりますが、そのつど問題を解決しようということで話し合いを進めております。とりあえず今回進めておりますのは、山陽新幹線ということで進めておりまして、今後の問題につきましては、これはまた別個に処置をいたしたいというふうに考えております。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  198. 山田太郎

    山田(太)委員 その内容についてでございますが、これは係属中の裁判問題でもありませず、また、三月一ぱいを目途としておるということも聞いておりますので、どのような内容で――ことに被害者に対して負担をかけない、これをまず根本義としなければならないと思います。ことに現在まで、いま現在山陽新幹線はすでにもう高架が岡山までできておりますが非常に見にくくなったり、既得権を侵害されているという点が著しいところもあります。また、開通すればいろいろな障害が出てくるわけですが、この障害について、たとえばゴースト障害あるいはフラッター障害とかあるいはノイズ障害だとか、基本的人権の知る権利を阻害される人々が出てくるわけです。これに対して、被害を受けた場合ならばこれはもう損害賠償として見ていかなくてはならないことと思いますし、その点について、個人の負担にならないような措置が盛られておるかどうか。それがなければ、これはゆゆしい問題だと思いますので、この点はことに強く強調して質問申し上げるとともに、内容のアウトラインを示してもらいたいと思います。
  199. 天野公義

    天野委員長 政府側に申し上げます。本会議の時間も迫っておりますので、答弁はできるだけ簡明にお願いをいたします。
  200. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 協定の内容につきましては、技術的にとにかくNHKのほうにすべてを依存しておりますので、中身につきましてここでちょっと申し上げかねるのですけれども……。  それからもう一つ、被害をこうむられる方々の負担云々の問題につきましても、実は実態が、内容が千差万別でございますので、非常に技術的な判定を要する問題であるということで、その判定につきましてはNHKに一任しているような形になっております。私どもとしても、気持ちの上からは当然負担のかからないようにということで話は進めておりますけれども内容についてはいろいろのケースが出てくるのではないかというぐあいに考えます。
  201. 山田太郎

    山田(太)委員 判定のポイントは当然技術的な問題でしょうし、白黒とカラーテレビでは差がつくでしょうし、あるいはいままで白黒では見えておったけれどもカラーではこれが判然としなくなってきた、そのような面も出てくると思いますしたがって、そのような問題は当然ですが、それによって被害を受ける、既得権を侵害される、その点については個人負担があるべきではない、それが当然ではないかと思うのですが、いかがですか。
  202. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 その判断につきまして、私どもとしてはNHKに技術的に一任をしておるという形でございます。
  203. 山田太郎

    山田(太)委員 これはちょっとおかしいですね。判定は、技術的な問題だからNHKにある程度依存するのは当然でしょう。しかし、原因者は国鉄なんです。その点についてあなたが明確な答弁ができないならば大臣に……。これは常識ですよ。
  204. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お話のように、原則としては被害者の負担にすべきものではありませんので、その方向で検討してまいりたいと思います。
  205. 山田太郎

    山田(太)委員 当然いまの大臣の答弁が常識でもあるし、また妥当性があるものだと思います。  そこで、きょうは郵政省にも来ていただいておりますので、この被害の範囲ですが、私の聞く範囲では、テレビ塔の側が五十メートル、その反対側が二百メートル、そういうふうな線をきめていらっしゃるやに聞いておりますけれども、しかし、実情においてはこの範囲内でおさまってない、もっと広範囲に広がっている場所もあるわけです。また東海道新幹線の実情から見てもそういう例もあるわけですが、この点についての問題点と、それからもう一つは、技術的にこれを排除することが可能であるかどうか。東海道新幹線の場合は、いわゆるノイズ障害は開通後四、五年たってあらわれている、私の調べた範囲内ではこのように出てきておりますが、そういう点についてはどのように判断されますか。
  206. 浜田望

    ○浜田説明員 お答え申し上げます。  先ほど国鉄のほうからお答えになりましたように、技術的な判定そのものはNHKのほうで具体的にやっておりますので、いかなる技術基準ということにつきましてはここでは申し上げられないわけでございますが、山陽新幹線全般にわたりまして約一万三千世帯が障害を受けている、現在のところでは調査の結果そのように出ておるわけでございます。それにつきましては、ただいま先生指摘になりましたノイズの問題はちょっと電波の問題と性質を異にいたしますので、解決策については申し上げられませんが、現在の段階ではアンテナの位置改善等によりましてそのうち八千五百世帯が改善できる、なお共同アンテナ施設を用いまして四千五百世帯が改善をされる見込みである、このような報告を受けております。
  207. 山田太郎

    山田(太)委員 あわせてこれからの新幹線、岡山以西もこれからできるわけですが、この予防措置、これが一点。  それからもう一つは、現在すでに難視聴になっておる家庭に対しての、これはNHKに言うべき問題であるとは思いますけれども参考人としての時間が間に合わなかったので郵政省に答えてもらうのですが、その聴視料の問題ですね。見えない、それについてはどのような判断を指導当局として、あるいは監督当局として持っていらっしゃるか。
  208. 浜田望

    ○浜田説明員 ただいま申しましたように、これは日照権と違いまして、実際にはただいまのような改善措置で十分に映像、音声ともに良質なものが得られると思っておりますので、現在のところ、これに対して受信料免除その他については考えておりません。  なお、山陽新幹線につきましても、従来から東海道新幹線の体験にかんがみまして、予防的な措置ということで国鉄、NHKともに話し合ってまいっておりますが、私どもといたしましては、先ほど御指摘のありましたように、これはやはり加害者、いわゆる原因者負担主義という原則によってやるようにということを指導いたしておる段階でございます。
  209. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの答弁では、現在いま見えない、これに対して聴視料を依然として取るというのは、これはちょっとおかしいと思うのです。簡単です。
  210. 浜田望

    ○浜田説明員 放送法の規定によりまして、日本放送協会の放送を受信できる受信設備――これはテレビに限ります――を持っておる者は契約して、かつ受信料を負担しなければならないということになっておりまするので、全く受信できないということであれば、これは受信料を払うということは実際上必要ないわけでございますか、やはりこれについては直ちに対策をとるべきものと考えております。
  211. 山田太郎

    山田(太)委員 御承知のように、放送法の七条と、それから九条の四項、これは厳然として力がある、効力があるものですが、当然減免措置を考えてしかるべきじゃないか。全く見えないからというのではなしに、画面には映りますよ。だけれどもしっかり、判読でなしに、明確には見えない。明確には見えないということは、それだけ被害を及ぼしていることである。原因者負担といいながらも、この点については、これは国鉄とNHKとの問題であって、被害者の問題じゃないわけですから、その点についてもっと被害者の立場を考えた考慮をしてもらいたいと思う。
  212. 浜田望

    ○浜田説明員 おっしゃるように七条という規定がございまして、これはあまねく受信できるように放送を行なうということでございますが、ただいまのようにやはり新しい第三者の施設によってできた場合、これに対してむしろ受信改善ということがNHKがまずやらなければならない義務だというふうに感じております。したがって、その点で受信改善を遂行すべきものであって――受信障害といいましても、現在自動車その他によります障害、いろいろございまして、それではどこまでが見えるというべきかどうかという点については問題があるわけでございますが、原則としてはやはり受信改善に全力を尽くすべきものだというふうに考えておるわけでございます。
  213. 山田太郎

    山田(太)委員 時間がないので――受信改善だけではこれは納得しませんよ、だれが考えてみても。現状何カ月も見えないんだし。その点を論じておったのでは時間がなくなるけれども、この点は、そういういまのあなたの考え方は妥当とは思いません。したがって時をあらためてこの点については論じる。  もう一つは、現在建築中の家とかあるいはこれから――普通の公害の場合でも、騒音公害あるいは木工場騒音等の場合でも、工場を建てたときには回りには住宅はなかった、あとから来た住宅であっても、この騒音公害によっての被害に対しては、工場はそれぞれ処置しているわけです、騒音のみならず。したがって、ある年限をおいてアフターケアの問題が一つと、それからある年限をおいてそこへ来て、やはりそれだけの費用を負担しなければならない人に対しては、このようなことを講じなければならないという点も、これは郵政省のほうの問題でなしに国鉄のほうの問題ですが、その点も考えてしかるべきだということを強く要望しておきまして、時間がもうあと数分しかないので、次の質問に移りたいと思います。  そこで大臣にお伺いしたいことでございますが、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法とか、あるいは飛行機の問題では、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律とか、これは羽田とか伊丹とか、いま成田も入っているそうでございますが、そのほか防衛施設周辺の整備等に関する法律とか、このような規制、あるいは住民に対しての障害を防止する法律ができております。したがって、新幹線においても以上に類するような法律を設けて、民生安定の行政措置を講ずべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  214. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいま郵政省関係及び国鉄関係者から答弁がありましたように、この問題は技術開発によって、あるいは措置によってある程度解決のできる問題だ、こう言われております。飛行場の周辺の問題になりますと、それじゃとても追いつかない問題がありますので、少し質的に内容が違っておりますので、いま当面の措置としてそのような法律をつくる考えは持っておりません。
  215. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで最後にお伺いしたいことは、一番最初にお断わりいたしました大阪周辺の通勤通学難の解決の問題でございますが、大阪における国鉄城東貨物線の複線電化、客車運行でありますが、聞くところによりますと、現在用地買収がすでに済んでおる、またそれをいまだに単線の貨物輸送のみに使用しているという状況でございます。現在の大阪の通勤通学難の状況を見るときに、国鉄のこの内環状線は全く飽和状態になっております。現在駅の拡張はしておりますけれども、激しい人口集中によって――東西線はあります、東西線はありますが、大阪には南北線の鉄道網がないということを考えますと、この城東貨物線沿線に南北に通る鉄道網はどうしても必要ではないか。また地元民の要望も非常に多い状況でございます。私の聞いた範囲によりますと、大阪市あるいは東大阪市あるいは吹田、八尾、堺、守口、大東市の各市の住民の声も非常に強烈なものがあります。またこれらの市においては過去において利用債を引き受けて、高架に伴う負担金についても協力している、そう聞いておりますが、この点についていま現状計画――聞く範囲においては、第三期で完成するという計画であったということを聞いておりますが、この点についてあわせて答弁願いたいと思います。
  216. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 ただいま先生指摘の問題は、新大阪と南紀を結びまする旅客ルートの新設、それと東海道-阪和方面の貨物ルートの強化、そのために新大阪から片町線の放出、関西本線の加美を通って、阪和線の杉本町に至る二十七キロの既設貨物線、そこに一線増設をし、さらに電化を行なうという趣旨の工事であろうと思います。これにつきましては現在用地の買収に一部着手をしております。ただ何ぶんにもこの工事は総額二百五十億円の巨費を要する工事でございまして、いままで手をつけたところが用地関係で約十億程度でございます。したがって、今後輸送需要の動向だとか、国鉄の財政事情を勘案しながら、もう少し工事の進め方を検討してまいるというふうに考えております。
  217. 山田太郎

    山田(太)委員 時間が来たので質問を終わりたいと思いますが、いまの答弁では私の聞いたことに答えてないですね。現在の環状線が全くいま飽和状態になっている。六両編成を八両編成にする、それで駅を直している。しかし、これだけではもうすでに飽和状態になっている。大事故を起こしかねない状況になっている。前の企画は、第三期でやるという企画であったのに、ただ国鉄の都合によって計画変更したというだけでは、住民は納得しないと思います。この飽和状況をいかにして解決するかという点についての、その計画を聞いているわけです。いまのでは答弁をいただけたとは思えないわけです。
  218. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 これは、先ほど申しましたように、非常に巨費を要するわけでございます。したがって、財政再建の計画の中身としては、私ども当然この種の通勤輸送対策というものを考えているわけでございますが、ただ具体的なお金の問題、国鉄の財政状況というものを勘案して今後きめていくということで、ございまして、いつまでにこれを完成するというところまで現在お答えする段階になっておりません。
  219. 山田太郎

    山田(太)委員 もう質問をやめるところですが、いまの御答弁では、簡単にいえば、ただ金の問題で、どのような計画ということまで現在では考えられない、そういうふうに聞こえるわけです。ところが第三期でやるという計画であった。それが私の聞く範囲では削除されている。それでは一体どうやって飽和状況を解決するのか。こんなむちゃな計画がありますか。
  220. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 大阪付近のいわゆる交通整理、これは国鉄を中心にしまして、まあ私鉄のほうはわりあい進んでいるのですが、国鉄のほうがかえっておくれておる。全体から見れば、大阪に対する投資が少ない、これは皆さんの御指摘のとおりであります。問題は、先ほど来局長から答えましたように、財政問題等が含まれておりますが、いま検討しておりまするいわゆる自動車重量税、これはこの国会にかかっておりますが、これによって将来どの程度までの金が入るかということと、そのうちから国鉄の複線、電化等に対して相当大幅な金を入れることができれば、もう少し具体的な計画がはっきり出てまいると思います。いずれにしろ大阪付近の状況はこのままでは放置できませんので、私のほうからも国鉄に対して積極的な施策を進めるようにいたしたいと思いますので、また皆さんの御協力を願いたいと思います。
  221. 山田太郎

    山田(太)委員 では以上で、まだ大臣の御答弁をいただいてもうちょっと具体的なものを詰めたいとは思いますが、これは別に機会をあらためて質問したいと思います。  以上で終わります。
  222. 天野公義

    天野委員長 和田耕作君。
  223. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 せんだっての代執行の途中で、私も党の代表として成田空港に参ったのでございますけれども、友納知事あるいは空港公団人たち、あるいは地元反対派農民の有志の何人か、あるいは子供たちのおる学校長、あるいは警察署長等々、できるだけ関係方々と面談をしまして、なぜこのような混乱した状態になったかということについていろいろ調べたわけです。そのときはそれなりのいろいろな案を出しておいたのでございますけれども、ごく最近の段階で、成田市議会が超党派でもってこの事態の収拾のために一つの案を示して運輸大臣と懇談をなさった。その中に「従来反対派農民に対し、明確な条件が提示されていないのが今日の緊急事態をまねいた要因の一つであり」という一節があるのですけれども大臣、この問題について、いままでの経過を振り返りまして、どういうふうにお考えになりますか。
  224. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 経過をずっと申しますと非常に長くなりますから省略いたしますが、代執行後の状況については、詳しくは佐々木書記長にも報告してございますので、ごらん願えば御理解願えると思います。ただ問題は、御承知のように農民全部がいわゆる空港建設に反対しておるわけではないのであります。御承知のようにほとんど、まあ現在残っておりますのは反別にして約一割程度の人が反対、その反対の諸君の、全部とは申しませんけれども、その一部は空港をここに建設することか反対なんだ――われわれをどうしてくれるんだということではなくして、ここに飛行場をつくることがもう反対なんだ^だから話し合う必要はないんだ……。私も社会党の木原、加瀬両氏にもいろいろお願いもし、かつまたよく検討してもらいましたし、また与党の方々もいろいろ努力してくれまして、そこで話し合う機会を求めたい、私のほうからも、関係者に対してはいつでも話し合う機会をつくってもらいたい、こういう要請をしたのでありまするが、残念ながら問答無用、空港建設を前提とする話し合いには応じられない、こういうことで再三再四、あるいは山村君を三度にわたって現地に派遣したが、これも門前払いを食った、こういう状況であります。もちろん、これには従来からの感情問題もありましょうし、もう一つ大きなことは、その一部のいわゆるイデオロギーにとらわれた闘争ということが一つの大きな原因であり、同時にまた感情的にも、もちろんこれは公団のいわゆる繊細な考え方等が十分にわかってもらえなかった、あるいはまた感情問題を引き起こすような状態があったということも事実でありましょうけれども、とにかく私たちも話し合い機会を得たい、こう考えておりましたが、ついに話し合いに応じられなかったということで、空港をつくることは目下の急務でありますから、やむを得ず代執行を行ない、かつまた、穴に入っている方々に対してはこれを外に出す処置をとらざるを得なかった、こういうことであります。
  225. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 農民側の、あるいはこれを扇動しておる一部の学生、イデオロギストの言動は、私もよくわかります。しかし、ここでいま御質問を申し上げておりますのは、この最後の段階に来まして、成田市議会が超党派でもって申し入れをしておるわけですね。この申し入れ書の第二項に「従来反対派農民に対し、明確な条件が提示されていないのが今日の緊急事態をまねいた要因の一つであり」、こう書いてあるわけですね。これは反対派農民の言うことじゃないのです。成田市議会が超党派でもって、この紛争を顧みてこういうふうに要約をしておるわけですが、この点についての大臣の所見を伺っているわけです。
  226. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 私のほうは必ずしもさようには考えておりません。明確な意思表示がなかったんじゃなく、県知事を通じましてもあるいは公団を通じましても、これは明示をいたしましたが、それを受け付けないというだけの話です。したがって、せんだって市会の諸君が参りましたときに、これに対して私は一つ一つ責任をもって答えて、そうして今後の新しい措置についても責任をもってやりましょう。たとえば代替地の確保の問題及び代替地に移転後における最低三年間の生活保障というのは、従来もやっておることであります。形はこういう形ではありませんけれども、実質的にはこういうことをやっておる。あるいは買収価格につきましても、もちろんその金利等を含めて、今度いたします場合におきましてはこれらを含めてこれはやりましょう。あるいは中高年齢層のいわゆる離農者ですね、こういう者に対しては責任をもって、公団または公団の傍系会社が数十できるわけでありますから、臨時雇いではなく準社員もしくは社員としてこれは採用いたしましょう。騒音対策につきましても、従来よりは区域を広げて、芝山区域方々に対しては何か迷惑がかからぬように処置をしましょう、あるいは線を引いてそこからわずか離れたらだめだ、そういうことは言わない。あるいはそういうものも実際上必要があれば、ちゃんとした話があれば、移転等についても措置しましょう。これだけ具体的なことを申し上げておるのですが、残念ながら問答無用なんです、会わないのですから。しかもわれわれは山村政務次官を三回もやって、とにかく話し合ったらどうだ、われわれも責任をもって答えるからということまで言っても、とにかく空港建設を前提にする話し合いには応じるわけにいかぬ……。もちろんわれわれは全部とは思いません、ごく一部の十数名かもしれませんけれども、こういう人たちによってリードされた状態がせんだっての状態である、こう私は理解いたします。
  227. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 代執行後の経過については詳細な資料をいただきました。私は、これで公団あるいは運輸省が相当誠意を尽くして、手を尽くしておるということは認めております。いま問題にしておりますのはそのことではありません。つまり問題は、このように紛糾をした、長い時間かかっての全過程の問題をいま問題にしているわけです。したがって、いまの成田市議会が超党派で全体を総括して、こういう点に反省するところがないのかという項目として、いまの「従来反対派農民に対し、明確な条件が提示されていないのが今日の緊急事態をまねいた要因の一つであり」、こういうことを成田市議会が、一番地元の市議会が、自民党を含めて超党派でもって、このような申し入れをしているわけなんです。いま大臣がおっしゃるのは、代執行後の事態を特に念頭に入れて申されております。これは私もいま申し上げたことでよくわかる。これをよく読みましたことと現地を見たことと勘案して、いろいろ誠意を尽くして話し合いをしているという事実は認めておりますけれども、現在ここで問題にし、大臣としても今後の問題も含めて考えなければならないのは、ということをいま念頭に置きながら質問をしているわけです。つまり、もう一つ、具体的になりますけれども最初にこの問題が起こったときに、一応富里に土地を選定をされた。それが今度は三里塚に変ってきたという問題が一つあると思います。もう一つの問題は、時間がありませんからかいつまんで申し上げますけれども、私、現地で友納さんと話したときに、高速道路の用地買収あるいは新幹線の用地の買収、これは関係者が非常に努力をしてよく事前に農民とも話し合い、土地所有者とも話し合って、わりあいスムーズにいったんだ。しかしこの飛行場用地の買収については、そのような努力において公団側に欠けるところはなかったのかというそういう印象も漏らしておりました。つまり、このような点について、いままでの空港用地の買収等について政府として全体的に顧みて反省する幾つかの問題がありはしないか、そのことを問題にしているわけなんです。
  228. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 運輸省当局あるいは公団当局、特に公団当局が責任者でありますから、できるだけのことをやったとは思いますけれども、ある意味においては不十分な点もあったということであったろうと思いまして、公団当局も当然これは十分に反省をいたしておるようであります。運輸省といたしましても、これは公団の直接の仕事であるからということだけじゃなく、もっとやはり運輸省自身も積極的に話し合い機会をつくるべきであったと思います。ただ、御承知のように富里から三里塚を中心とした地帯に変えました当時の計画は七百五十万坪であります。しかもこれは大部分農地でありました。私は当時官房長官でありましたが、七百五十万坪、しかも大部分農地、これを買収するということはとうてい不可能に近い。そこでとにかく規模を最小限度に縮小しろということで、半分の三百二十万坪に限定しまして、しかもその三分の一強が三里塚という比較的話し合いのつくところを選んだ。大体地形的には、飛行場の場所としてはそう遠いところではありませんから、そういうことによって、まあできるだけ農地を少なくしたい。そうしてまた買収上においてもできるだけ話をするように、こういう前提のもとでやってまいったのでありましたが、和田さんのおっしゃるとおり、必ずしも万全の措置でなかった点もあったろうと思います。これは十分にわれわれも反省して今後に対処しなければならぬと存じます。  同時にまた、やはり飛行場建設が急がれておりますので、したがって、工事の仕事に追われて、その後の問題についての十分なる相談にあずかる機会がなかったようです。これがまたあとから、反対しておる連中も、どうだ、公団は親切じゃないじゃないか、こういうような空気も出ておったようであります。そこで私は、最近総裁に対しまして、工事工事だ、しかしながら工事をやって――条件派の連中といいましょうか、賛成した諸君も売ってしまうということは、法律的な手続とかなんとかいろいろありますね。一たん売ったら建築規則の問題もありましょう、こういうようなこまかい問題で、農民方々はこの方面にはふなれであるから、したがって、公団当局に相談に来てみても、忙しいからそっちへ行けというようなことがないとはいえないようであります。そこで、最近私は情勢をいろいろ聞きまして、専門のいわゆる理事の一人か、少なくとも数名の苦情相談といいますか、まあそういうようなものをつくってはどうだ。そうしてあるいは建築あるいは移転、あるいは登記その他の問題について十分に事情を聞くような専門の相談室といいますか、そういうものをつくってはどうかということを指示して、そのようにいたしたいと私は考えております。二、三の方からして、われわれはせっかく公団に協力して売ったけれども、その後のことについてはいろいろ相談に行ってもだれも振り向いてくれない、こういうような意見があるようでありますから、これに対しては、総裁に対して多少費用がかかることではあるけれども工事も大事だが、やはりアフターサービスというものはぜひ必要であるからして、そのような相談室のようなものをつくれ、こういうことで指示し、相談をしておるわけであります。
  229. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 よく労働争議、労使の紛争でも、初めから誠意のある態度が示されないと、エスカレートするたびに、いろいろないい条件がだんだんと積み重ねられて、ますます解決が困難になるという戦後の事例がたくさんあるのです。この問題をずっと関係者の人と話し合ってみると、そういう最も悪いケースが、この成田空港設置について重なり合ってきているという感じがいたします。ここで先ほど大臣が強調されておるような一部のイデオロギストのわけのわからぬ行動というものは、これは度外視しても、つまりこのような人たちの跳梁を許したというのは、その背景がいままで双方側にあると私は思うのです。そういう意味からの一つの問題、いまの、初め一応内定した場所を変更するということによって、富里で反対しておった例を三里塚の人たちは見ている。三里塚に変わると同時にもうさっそく反対同盟の者が、イデオロギストとかいろいろな者を含め、あるいは政党なんかも含めて、これに対する反対の態度が初めから、しかも非常に能率的につくり上げられていったというようなこともあるわけです。やはりこういう問題については軽々に変更すべき問題ではないと私は思うのですけれども、したがってその前に、予定地の検討については十分な一つの検討が必要だと思うのですけれども、この問題について非常に不十分な点があったと思うのです。  もう一つの問題は、飛行場について、現在羽田の問題でもそうですけれども、あの騒音というのは非常に重要な問題でございます。騒音地区というのは、大体飛行場ができた場合、いろいろな経済的な効果のないところに騒音が集中するという妙な関係になるわけです。したがって成田市のほうは空港ができればいろいろな施設ができるので、経済的にもいろいろ繁栄する条件も出てくるから反対も少ない。しかし、芝山地区のほうは騒音ばかりをもらって何らメリットのようなものが考えられない。こういう問題で空港が非常にめんどうな問題になった。現在の反対同盟の主力が、騒音地区芝山人たち中心であるという状態もそこにあると思うのですね。こういう問題を初めから運輸省なりあるいは公団が、特にこれは運輸省の問題だと思うのですけれども、よく考えておれば、それに対してもっと適切な手が打てたはずだと思うのですね。特に芝山地区騒音対象地区についてもっと周到な、現在各市長会やあるいは町村会長が出しておるような、いろいろな案があります。こういう案についても当然考えられなければならなかった。これは羽田の問題を考えればすぐわかります。そういう点について、むずかしくなるたびにいろいろないい条件が出てきたという、こういう最もまずい運営のしかたがあったのじゃないか。この問題について、今後の問題もありますので、率直に反省する点は反省をしなければならないと私は思うのですけれども、この問題について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  230. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 陸地にああいう大規模な飛行場というのはなかなかむずかしい問題でありまして、騒音問題は特にやかましいわけですが、もちろん今後陸地にああいう大規模な飛行場は、まあ北海道の特別な地区なら別でありますけれども、原則としては今後はつくることは不可能であろう。したがって大阪の場合は、大阪湾内の海上にこれをつくって、騒音関係をできるだけ少なくしたい、こう考えております。まあ成田空港の場合におきましてもいろいろ御指示がありましたが、そういう点においてある意味においては欠けるところがないとはいえないかもしれませんが、いま私が関係者に相談をしておりますのは、芝山地区を単なる騒音地区として残したのではこれは気の毒である。したがって芝山地区の振興策ですね。団地開発とかあるいは成田方面から入ってきます京成電車でありますが、これらのところとよく相談をして、これから芝山を通って九十九里浜に出るというような、こういうような鉄道のことも考えてやってはどうか。そういうことができますれば、当然ある意味における工業団地でありますとかあるいは住宅団地でありますとか、そういうこともここに一応構想することができる。これに対して公団施設の一部もそちらに移すことができるのでありますから、これら振興策等もあわせて考えて、今後十分に芝山の諸君とも話し合うように、こういう指示をいたしておるわけであります。
  231. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今度、子供の一つの闘争の部隊、組織ができておる。今度出てきた特徴なんですけれども、あの中核になっている芝山中学ですね、あそこへ行ってまいりました。そして何人かの子供の家族とも会いました。あの地区なんかは、つまり騒音地区の典型的なところですね。こういうような問題は、今後やはり飛行場の場合は騒音の問題を中心考えなければならぬ。これは東京の道路でもそうです。外郭環状線の問題について、立ちのく人が反対すると言っているのじゃないのです。主力は残って道路に直面する人、つまりいままで喜んだはずの人が反対の中心になっている。東京の道路の新しい外郭環状線の問題現にそうなんです。こういう問題は、特に飛行場の問題については、当初からもっと綿密な計画を立て、十分話し合いの上で対策を立てるべきであった。そういうふうに私は思うのですから、特にこの問題について大臣の所見を伺ったわけでございますけれども、今後もいろいろと対策を考慮しているようですから、まあその問題については触れません。  それから今後の問題として、社会党が一坪運動をやったという、現にあるわけです。社会党さんとの話し合いというのは、これはまあ妙な質問ですけれども、できておりますか、あるいは今後うまく話し合いができる見通しがつきますか。
  232. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 先日代執行後の状況等を報告に、三党の首脳部にお目にかかりまして、その際、社会党の成田委員長は福岡に出張中でありました関係上、また石橋書記長もどこかへ遊説に行っておられまして会えませんでしたが、楯国対委員長と約一時間にわたっていろいろ話をしまして、その経過を説明すると同時に、一坪反対運動に社会党の一部の方が参加しておられることは、私のほうとしてもまことにやりにくい問題であるからして、ぜひひとつこれらの問題は、政治問題として国会で討議されることは、これはけっこうでありまするが、何かこの機会に一坪運動から国会議員の方方だけは、まあ引っ込むといいますか、やめてもらうことはできないだろうかということを、私からそういう話があったということをひとつ委員長にお伝え願いたい。それはやはりもちろん社会党の参加した方々にも一つの目的意識があったのでしょうから、その問題は当然私のほうでもお聞きしますけれども空港建設反対前提ではこれは話になりませんが、その他の諸問題について御意見があれば十分に聞き、それを十分尊重してまいりたい。そういうことを一つの契機としてこの運動から抜けてもらうことはできないものだろうかということを検討してほしい、という申し入れをいたしました。そして楯国対委員長も、よく相談してみましょう、ことに加瀬、木原両議員は現地の者であるから、現地の人の意見も聞きながら、十分検討の申し入れがあったということを受けて検討していきましょう、こういうお話でありましたが、それ以上のことは進展いたしておりません。
  233. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは非常に異常な事態であったと私は思うのですけれども、やはりこの背景としては、成田空港というものが単に経済的なあるいは社会的あるいは輸送という必要ではなくて、軍事的な一つの目標を持っておるという判断があったということが、この異常な事態の前提みたいな感じがするわけなんですね。同時に政府の、先ほど申し上げたような、あまり計画のない、わりあいに強引な――公団と言ってもいいかもしれませんが、強引なこの問題の運営に対しての抵抗というような気持ちもあったと思います。私は、こういうような一坪運動の形で代表される抵抗の姿勢をあくまでも社会党が固執するとは考えておりません。ただ、いまの軍事基地的な雰囲気というものを、政府としては、これはその後社会党が反対するしないにかかわらず払拭していく。純経済的な、世界の中の日本としての必要なところであるということを十分に説明するような政治姿勢が必要であるし、反対派農民に対しても、強引な姿勢ではなくて、話し合いをする姿勢も今後とるということによって解決できるように思うし、ぜひそうしていただきたいと思います。  もう一つの問題は、共産党が持っておる――党として持っておるかよくわかりませんが、共産党がやっておるといわれる平和の塔の問題です。あの問題についてのいままでの経過あるいは今後の方針についてお伺いしたい。   〔林(百)委員「共産党が持っておるんではないよ。そんなばかなことがあるか。反対の農民が建てたんだ」と呼ぶ〕
  234. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 平和の塔はせんだって、二十三日、二十四日の緊急裁決の中に入っております。これがその後もう一つ第三次、第四次と合わせまして十七件ありますが、これらは逐次予定に従って緊急裁決を行ないます。したがって、もし話し合いがつきませんければ、残念ながらやはり六月ごろには代執行せざるを得ない。しかし、できるだけ代執行などという権力のにおいのするものはやめにして、話し合いで進みたいと思っておりますので、もし共産党の国会議員の方が持っておるとすれば、私がまたいろいろお話を申し上げて、ひとつ理解ある態度で処理していただきたい、こう考えております。
  235. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまうしろのほうから共産党は持ってないという声がありましたけれども、あれはだれが所有しておるものですか。あるいはどういうふうな人たちがあれをつくったわけですか。
  236. 内村信行

    内村(信)政府委員 佐藤行通という坊さんが持っておられると承知しております。
  237. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは共産党との関係はどのように政府は見ておられるのですか。
  238. 内村信行

    内村(信)政府委員 その辺は明確にはわかっておりません。   〔林(百)委員「そんなことを聞く必要はない   じゃないか」と呼ぶ〕
  239. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題を私がお聞きしますのは、飛行場の開設という問題については、軍事的な飛行場ではない、世界の中の日本として必要であるということが次第に日本の国民の中にも政党の中にも明らかになってきつつあるという状況のもとで、十分地元の反対の人たちに対して、先ほどから申し上げているように、政府がいままで足らなかった努力をもっとして、誠心誠意地元人たちに、関係の団体によく話をしなければならない、そのようにしてこれは解決していかなければならないという意味で平和の塔の問題を問題にしているわけです。現地で私が聞きましたところは、あれは共産党さんが持っておるのだ、共産党さんがやっておるのだということを聞いたわけですから、現地でそういうことを聞いたのだがということで質問しているわけです。政府は、これは単に個人のもので、個人の自発的な運動であると考えておりますか。
  240. 内村信行

    内村(信)政府委員 私どもも、そういう先生のおっしゃいましたようなうわさと申しますか、そういうふうなことは聞いておりますけれども、明確にあとづけをし、裏づけをしておるものではございません。
  241. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は現地でいろいろの人の話を聞きまして、共産党さんがもし関係があるとすれば、非常に合理的な、しかもよく筋の通った運動をしておると判断をしたのです。三派の人たちが、わけのわからぬ連中がやっているのと違って、筋が通っているなという感じを持ったから質問をしているわけなんだ。しかし、この問題については十分、つまり先ほど言ったように、この背景が軍事的な一つ基地のようなものをつくろうとしておるという意図と、住民の反対に対して、政府が意を尽くした説得的な態度がなかったということが、政党があるいは関係しているとすれば、政党がそのような形の反対をせざるを得なかった一つ理由であるということを先ほど申し上げているわけですね。そういう点を政府はよく反省をなさって、この段階に来て、そして各党もし関係を持っておるとすれば、誠意をもって話し合う必要がありはしないかという意味で質問をしているわけでございまして、共産党を攻撃しているわけじゃございません。そういうことで申し上げているわけなんです。  もう時間もありませんけれでも、この空港の絶対最小限必要な建設の時期というのはいつですか。
  242. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 最初に、軍事基地に使われはしないかという御質問でありますが、これは前国会におきましても加瀬議員あるいは木原議員から質問がありましたので、私は、政府としてはこれをさように使う意思は全くない。しかしそのときの質問で、しかしながら安保条約と行政協定がある以上は拒めないではないか、こういう話がありましたが、しかしながら飛行場はあれ一つじゃありませんし、かつまた、日本の防衛上から考えて、万が一の場合は、これはまた別になりましょうけれども、平時において、それはアメリカに事情を言うならば、これを使う必要は全くないから、少なくとも今後これをいわゆる軍事基地もしくはそれに準ずるものとして使用する考えはないということを明確に答弁をいたしておいたのであります。  供用の時期ですが、これは御存じのように実は四十六年の半ばごろには供用を開始したいということは、御承知のように羽田飛行場はすでに減便を実行いたしております。飛行機を利用なさる方にはたいへん御迷惑をかけておる状況でございますので、おそくとも四十六年度中に、すなわち来年の一三月までには供用開始をしたい、かように考えて、その目標のもとに仕事を進めてまいっておる、こういう状況でございます。
  243. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まだたくさん質問したいことがありますけれども、時間がないようでございますから、ここらで打ち切りたいと思いますけれども、最後に成田空港設置全体の問題について、政府としても大いに反省しなければならぬ点があると私は思います。こういうふうな大計画に対して、いたずらに当初から計画変更するとか、あるいは用地の買収について高速道路とかそういうふうなことがわりあいスムーズにいった例を見ると、当局者が誠意を尽くして、必要があれば百姓さんのところにお酒を一本持っていって、そして話し込んでよく理解をしてもらう、そういうふうな努力がほとんどなされていない。なされることができなかった条件があったということもわからぬじゃありません。ありませんけれども、そういう努力がなかったということが、成田市の市議会で自民党さんを含めての超党派の申し入れ書にもあるわけなんです。そういう点は誠意を尽くして今後の問題の解決にあたっていただきたい。私はそれを要望いたしまして、質問を終わります。
  244. 天野公義

    天野委員長 本案に対する質疑は、これにて終了いたしました。     ―――――――――――――
  245. 天野公義

    天野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  246. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。
  247. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいま御採択を願いましてありがとうございます。
  248. 天野公義

    天野委員長 なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  250. 天野公義

    天野委員長 法制一般に関する件について調査を進めます。  引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、理事会等において協議が行なわれてまいりましたが、その結果に基づき、伊能繁次郎君、大出俊君、伊藤惣助丸君及び和田耕作君から、四派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの提案がなされております。     ―――――――――――――
  251. 天野公義

    天野委員長 この際、その趣旨について説明を求めます。伊能繁次郎君。
  252. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。  引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律は、長年の懸案であった在外財産問題の最終的解決をはかるため、引き揚げ者、その遺族及び引き揚げ前死亡者の遺族に対して、特別の措置として特別交付金を支給する趣旨により昭和四十二年に制定されたものであります。  この特別交付金は、制定当時、原則として昭和四十五年三月三十一日まで請求しなかった者に対しては支給しないこととなっていたのでありますが、その請求状況等にかんがみ、御承知のように、昨年その請求の期限を一年延長して、本年三月三十一日までと改めたのであります。  すでに大部分方々はその請求手続を終了されているのでありますが、戦後二千五年余を経過しておりますため、請求に必要な資料の収集などの理由により、いまだなお、請求されない方々もあるように見受けられます。  そこで、この法律制定の趣旨からして、一人でも多くの方々がその利益に均てんできるようにその請求の期限をさらに一年延長し、昭和四十七年三月三十一日までとするとともに、引き揚げ者の引き揚げの日または死亡者の死亡の事実が判明した日が昭和四十三年四月二日以後である場合におけるその請求の期限についても一年延長して、それぞれそれらの日から起算して四年を経過する日に改めようとするものであります。  これが本案の趣旨でございます。
  253. 天野公義

    天野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  254. 天野公義

    天野委員長 本起草案について発言の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  255. 大出俊

    ○大出委員 二回目の延期ですから、あとのこともありますので、少し聞いておきたいことがあります。  私のところで調べた中身からいたしますと、対象人員が三百四十九万、そこで昨年の三月末日以前に一年延ばしたわけでありますが、一年延びたその間に手続を済ました方々が、数字上は二十三万くらいありますが、昨年三月末という時点を区切って集中的にこの手続がとられて、つまりずれ込みという形になっておりますものが相当数あるわけでありますから、純粋にこの一年延期したことによって手続がとられた方々は四万余くらい、五万足らずになるのじゃないかと思うのです。  以上のような経過で、パーセンテージでいいますと九二%くらい処理ができている、こういうわけです。これは三十二年の見舞い金当時のいきさつからいたしますと、当時三百四十五万の対象者で三百十八万の処理ができて終わっている。これも一ぺん二カ年という月日を延ばしておりますが、これもまた九二%という形で終わっておるわけでございます。そういう事情にありますので、一体これから一年延ばした際にどういう方々がいま手続をとられていないのか、あるいはこの三月末にどの程度――昨年の三月末と同じ意味で、期限一ぱいで何らかの形の意思表示があったものは処理するとかいろいろなことになっておるわけでありますから、どのくらいのものがこの三月末で見込まれているのかという点、その辺の予測をお聞かせをいただきたいのと、これは実は予算との関係がありまして、金がないのにやるということになりますというと、いろいろなものの考え方の方がおりますから、地方自治体で質問でも出た場合に、議員立法で延期したのはいいけれども、そこらの予算措置も何もしないなんていうふざけた無責任な話があるか、そういう問題もありますから、そこらが気になりますので、その辺のところをお聞かせいただきたい、このように思います。
  256. 吉岡邦夫

    ○吉岡政府委員 四十五年の三月末までで一応終わって、議員立法によって一年延長したわけでございますが、そのときはちょうど三カ年間の終了期間でございまして、非常にたくさんの方が最後の段階で申し込まれまして、それが四十五年の四、五月にずれ込んだわけでございます。そういたしますと、大体十五、六万の方がずれ込んだわけでございますが、その後の経過から見まして、申し込んだ者が大体四、五万の間ぐらい、かように考えるわけでございますが、その伸び率を見ますとこれからあと数日でございますが、その間に、ことしの一月から三月までの間に大々的に広報を行ないましたもので、かなりの申し込み者が出ております。しかし昨年みたいに非常にたくさんの方が申請する、それが四十六年の四、五にずれ込むというケースは、昨年ほど多くはないんじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。  それからもう一点は、ずれ込みではなくて新たに一年延ばされた場合にどれくらい伸びるであろうかという問題でございますが、これは私どもとしてはこの一年間に比べてそう多くはないのではなかろうか、かように考えるわけでございます。ただ、どれくらいの数字かという問題になりますと、これはちょっといまのところわかりかねるわけでございます。
  257. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいまの後段のお尋ねに関する件ですが、四十六年度の予算に二千三百三十八万計上しております。これは残務整理として地方に委託費として支出する額であります。大体現在の、ただいま室長の申しましたような見通し等に立って、これを残務整理でなくてなお法律に基づく実際上の支給事務経費ということで振りかえましても、おおむねこの程度で四十六年度予算は処理できる、ただし残務整理が残りますから、四十七年度予算においてこれは別途必要な予算が出てくることはやむを得ないことでありますが、現在参議院で審議中で成立していない来年度予算の案について、予算の増を伴うものということに確定的に言えませんので、したがって政府が予算増を伴う議員立法であるという立場をとらないで、そのまま既定経費の委託費を、実務費委託として残務整理から実務費に振りかえるということで事務上の支障もありませんから、一応閣議にそのような私の報告をもって、本日の議員立法に処する態度をとっているわけでございます。
  258. 大出俊

    ○大出委員 実はこの委員会の理事懇談会で一年延期をきめるにあたりまして、私は実は予算が心配なんで、この点の予算が措置できればという条件を付して賛成をしておいたのでありますが、その日に総理府の事務当局の皆さんのほうから、どうも予算的に無理があるというので、半年ぐらいにしてもらえぬかという御連絡をいただいたりいたしましたから、なお私はその意味で心配になっておりますので、したがっていまお話にありました残務整理というものの来年度予算からという点について、これはやはりこの委員会で意思統一をしておいていただきませんと、地方自治体に迷惑をかけるわけにもいかない筋合いのものであります。その辺のところをはっきりしておいていただければ私も賛成ができる、こういう立場であります。ひとついまの総務長官の御発言で、予算の措置はできる、こう受け取ってよろしゅうございますな。
  259. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そこらが明らかになれば賛成するとおっしゃったのでありますが、もう賛成されたのじゃないですか。そうでしょう。だから、御疑問に答えるということで答弁をいたします。
  260. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと違うのです。理事会で、予算措置が伴えば賛成をする、私はこう言っておりますから、まだやっておりませんから、これからですから、ひとつかまわずにお答えいただきたい。
  261. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、各党の共同提案というふうに受け取っておりますので、まだ共同提案でないというならば、あらためてまた政府としても態度を協議し直さなければなりません。そのことはまだ知らなかったことであります。  そこで、半年ほどにしてもらえぬかという希望は、金額上の問題ではなくて、実質は、地方の職員の方々をこの実務に三年間の約束で出向、張りつけしておるわけです。それを議員立法で一年延ばされましたから、予定よりか一年よけいに勤務してもらっております。しかし、やはり地方職員といえども、それぞれの一応の役人としてのコースがあるわけです。さらに、その場合に、議員立法とはいえ成立すれば法は法ですから、そうすると本人たちの意に反して一年間の張りつけを行なわなければならない。この点が少し、親元の本省として、心配だったようであります。しかし、一方、件数が実務として相当減少すると思いますので、賃金職員等で臨時に雇っておる諸君の作業というもの等を勘案をいたしますと、予算操作の上において、それらの点の不安は解消するということで、私が最終的に断を下したということでありますから、理事段階における半年の議論その他については、私の責任で処断いたしました原案について政府は異議はないということをもって正式の政府の態度といたします。
  262. 大出俊

    ○大出委員 言いにくい点があって触れなかったのですが、総務長官のほうからお話が出ましたが、実は私も二、三その話を承っておりまして、たいへん心配しておったのですが、事個人のことにかかわりますから、そこに触れての御答弁でありますので、了解いたします。     ―――――――――――――
  263. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。  引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  264. 天野公義

    天野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十三分散会