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1971-03-23 第65回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十三日(火曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       伊藤宗一郎君    加藤 陽三君       笠岡  喬君    辻  寛一君       中山 利生君    堀田 政孝君       山口 敏夫君    横路 孝弘君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         総理府人事局長 宮崎 清文君         行政管理庁長官         官房審議官   浅古  迪君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         行政管理庁行政         監察局長    岡内  豊君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    葛西 嘉隆君         林野庁職員部長 齋藤 誠三君         労働省職業安定         局参事官    中島 寧綱君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ————————————— 三月十九日  国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に  伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提  出第一〇五号) 同月二十二日  旧軍人に対する恩給改善等に関する請願(大橋  武夫君紹介)(第二五七二号)  同(倉成正紹介)(第二五七三号)  同(野中英二紹介)(第二六四六号)  靖国神社国家護持早期実現に関する請願外二  件(瀬戸山三男紹介)(第二五七四号)  同外一件(荒木萬壽夫紹介)(第二六四七号)  同(進藤一馬紹介)(第二六四八号)  靖国神社国家管理反対に関する請願上原康  助君紹介)(第二五七五号)  同(川村継義紹介)(第二五七六号)  同(八木昇紹介)(第二五七七号)  同(佐藤観樹紹介)(第二五七八号)  同(山中吾郎紹介)(第二五七九号)  同(山本政弘紹介)(第二五八〇号)  同(上原康助紹介)(第二六四九号)  同(岡田利春紹介)(第二六五〇号)  同(川村継義紹介)(第二六五一号)  同(佐藤観樹紹介)(第二六五二号)  同(中嶋英夫紹介)(第二六五三号)  同(林百郎君紹介)(第二六五四号)  同(平林剛紹介)(第二六五五号)  同(八木昇紹介)(第二六五六号)  同(山中吾郎紹介)(第二六五七号)  同(山本政弘紹介)(第二六五八号)  同(上原康助紹介)(第二七一二号)  同外一件(勝間田清一紹介)(第二七一三号)  同(川村継義紹介)(第二七一四号)  同(佐藤観樹紹介)(第二七一五号)  同(林百郎君紹介)(第二七一六号)  同(八木昇紹介)(第二七一七号)  同(山中吾郎紹介)(第二七一八号)  同(山本政弘紹介)(第二七一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第九四号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  許可認可等整理に関する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 天野公義

    天野委員長 まず、趣旨説明を求めます。荒木行政管理庁長官
  4. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ただいま議題となりました許可認可等整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府は、行政簡素化及び合理化を促進するために許可認可等整理をはかってまいりましたが、さらにその推進をはかるため、さきに政府において決定いたしました行政改革三カ年計画に基づき、計画的に許可認可等整理を行なうこととし、この法律案を提出することとした次第であります。  法律案内容について御説明申し上げますと、第一に、許可認可等による規制を継続する必要性が認められないものにつきましてはこれを廃止し、第二に、規制の方法または手続を簡素化することが適当と認められるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関等において迅速かつ能率的に処理することが適当なものにつきましては処分権限地方支分部局の長等に委譲し、第四に、統一的に処理することを要するものにつきましてはこれを統合することとしております。  以上により廃止するもの二十二、規制を緩和するもの三十二、権限を委譲するもの十五、統合をはかるもの一、計七十について、三十法律にわたり所要の改正を行なうことといたしました。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 天野公義

    天野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  6. 天野公義

    天野委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  7. 大出俊

    大出委員 許認可そのものが実はずいぶんたくさんありまして、歴史的に見て、いまになればあまり必要ないと思われるものもありますけれども、中に幾つか気になる点もありますので、できれば各省皆さんにお集まりいただきたいと思ったのですけれども、きょうはたまたま分科会関係常任委員会もやっておるようで、御都合がよくないということでございますから、その点はひとつ各省皆さんに御出席願えるときにさせてもらいたいと思います。  そこで、ひとつ冒頭に承っておきたいのでありますが、これは臨調答申その他もあってのことでございますけれども許認可整理というのは今後どういうふうにお進めになるおつもりなのか。かつまた、あとどのくらいの整理ができるとお考えなのか。各省別にひとつ御説明いただきたいと思います。
  8. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  9. 岡内豊

    岡内政府委員 お答えいたします。  許可認可整理は、行革三カ年計画できまっておりまして、今回の提案が終わりまして、明年度もう一ぺん提案する予定になっております。それによりまして当初の三カ年計画は完了するという予定に相なっております。  今後の問題といたしましてどういうふうに考えておるかということでございますが、これは先般も、定員削減に関連いたしまして事務整理簡素化を一そう進めるという趣旨閣議決定がございまして、私どものほうといたしましては、現在、国の行政事務簡素合理化に関する監察実施中でございますので、それによりましてさらに今後とも事務整理を進めていきたい、かように考えております。
  10. 大出俊

    大出委員 さっぱりわからないですけれどもね。先般もというお話がございましたが、私は、十一月の閣議決定内容、十二月の閣議決定内容資料としてお出しをいただきたいと申し上げておいたのですが、実はまだいただいておりませんけれども、そこにお持ちでございますか。
  11. 岡内豊

    岡内政府委員 八月二十五日の閣議決定の中に、定員削減に関連いたしまして、「なお、この措置の実施に際し、省庁を通ずる職員配置転換を強力に行なうとともに、行政事務簡素合理化をさらに推進するものとする。」こういう閣議決定がございます。
  12. 大出俊

    大出委員 行政事務簡素合理化というのはいまに始まったことじゃないんですね。まだ塚田十一郎さんが行管庁長官をやっておられるときからいままで言い続けてこられたんですね。それじゃわからぬからその具体的な中身というのはどうなんだと言ったら、閣議決定でだんだんこまかくなっているんだと言うから、じゃこまかいものを出していただきたい、こういうふうに申し上げているはずですね。私のほうへまだ資料をいただいていないので、十一月の閣議決定、十二月の閣議決定ともお届けしていただくことになっている。それはそこにはございませんか。ここにあるのは四十五年八月二十五日の閣議決定、いまお話に出たものは私は持っておりますよ。これはきわめて抽象的で、より具体的に二回閣議決定が行なわれているとおっしゃるので、その中身がわかるようにひとつ資料をお出しいただきたい、具体的にとおっしゃるからその具体的なものをお出しをいただきたい、こう申し上げておいたんですが、いただいていないのですけれども、お持ちならいただきたいのです。私はここに、皆さんと話して、おっしゃったことを書いてある。私の持っているのは四十五年八月二十五日の閣議決定、いまあなたがおっしゃった。これじゃわからぬ、いまの簡素合理化を進めると書いてある、これではわからぬ、もう少し具体的なものがないかと言ったら、おたくのほうの私に対する回答は、十一月の閣議でもおきめになっているそうです、かつ十二月の閣議決定もあってきわめて具体的なものがありますとおっしゃるから、そのきわめて具体的なものを行管資料を添えてお出しを賜わりたいというふうに申し上げている。きょう私が質問することはわかっているんですから。そうでしょう。質問にならぬじゃないですか。私の質問の終わるころまでに、いま十一月、十二月の閣議決定とより具体的なものがあるとおっしゃるわけだから、それをひとつ質問の終わるまででけっこうですからお持ちいただきたい。  ところで、許認可整理に関する法律案要綱の中で、実は行管皆さんだけではわからぬと思われるものが幾つもあるのであります。たとえば六ページに、通運事業法の一部改正中身が前にありまして、そのあと「九、自動車ターミナル法の一部改正」ですね。この自動車ターミナル法の一部改正ども、「運輸大臣認可のうち、軽微な事項については、」というのですが、「軽微な事項」というのは一体どういう基準に基づいて「軽微な事項」という認定をするのかという点があります。これなども私実は前の東京陸運局長をやっておられた小林さん、いまの業務部長さんですか、お見えいただいていろいろ承ってみたんですが、どうも納得いきかねる点もある。そこらのところは一体どういうワクで行管はこの「軽徴な事項」をお取り上げになったのか。
  13. 岡内豊

    岡内政府委員 この許可認可等整理に関する法律は、各省庁共同提議になっておりまして、各省庁と打ち合わせまして、各省庁から申し入れがあったものにつきまして、私どものほうも意見を加えましてこの法案の中に組み入れておるわけでございます。  この一部改正の中の「軽微な事項」ということは、工事計画変更認可のうち、この工事中身の非常に軽微なものにつきましては、この権限を委任したり届け出制に改める、こういうことでございます。
  14. 大出俊

    大出委員 自動車ターミナルをバースをきめて申請をした、ところが最終的に一つ要らなくなったからそこを直しますというと、これは「軽微な事項」になりますか。もっと簡単に言えば、バスが何台ということを全部設計をあれして申請をする、ところが車線の関係を調べてみたら一つ要らなくなった、だからそこは変更しますと出した場合に、これは一体ここでいうところの「軽微な事項」に入るかと聞いている。これは法律上大きな問題なんで、どういう基準一体おきめになっておるのかという点ですよ。
  15. 岡内豊

    岡内政府委員 これは工事計画変更でございますので、そういう場合は入らない、こういうふうに聞いております。
  16. 大出俊

    大出委員 運輸省の課長さんのお話では、そういうことは入るということです。大臣認可事項と、あとでその委任権限でやれる事項に分けて、一つの何とか要綱というのがあるのだそうですけれども、それによってやるのだというわけですけれども、どうもそう一々答弁が違ったのでは……。  それでは次にもう二つばかり説明していただきたいのですが、八の「通運事業法の一部改正」、この中で(一)の「通運事業者自動車新規使用に関する運輸大臣認可を廃止すること。」新規使用というのは、具体的にいまお話しいただきますとどういうふうなものをさしますか。  それから(二)のところの「通運事業運賃および料金に関する運輸大臣認可について、これを定額で定めることを要しない」、こうなっておりますが、ここのところを少し説明をしていただいて、再度質問をしたいと思います。
  17. 岡内豊

    岡内政府委員 通運事業と申しますのは、御承知のように鉄道との端末の作業を行なう事業でございまして、隔地取引を特色としておる、こういうことでございます。そこで的確な取引の確保をはかるとともに、荷主大衆保護をはかる必要があるということでございますので、いろいろの規制が行なわれておる、こういうことでございます。  その次の御質問でございますけれども定額制というのは、要するに荷主保護ということも考えまして、一定の金額を上げても下げてもいけないという制度に現在なっておるわけでございますけれども、それは取引実情に合わないということで、若干幅を持たせました料金にして、経済の実情に合うようにしたいというのが今回の改正趣旨でございます。
  18. 大出俊

    大出委員 そこに問題が一つあるのです。あとのほうから言いますと、一定の幅を持たせて取引実情に合うようにするというのは、これは政策なんです。料金政策政策の問題を事務的にそう簡単に整理されちゃ困る。二つの理論があるのですから。ここで、その必要はないとあなたのほうはおっしゃるけれども料金に関する運輸大臣認可のことは、取引実情に合わせるようにするということは何かというと政策なんですね。そうすると、これは運賃政策という面で、政策を少し承らなければいかぬことになる。なぜ一体定額では取引実情に合わないのか。たとえば港湾運送なんかでもよくありますけれども料金完全収受という問題が非常に大きく論議されている、運輸省関係審議会の中でも。ところがなかなか完全収受ができない。そこに実情と非常に大きな相違が出てきて問題になっているのですね。もう少し幅を持たしてくれれば、たとえば幾らにまけろと言う、過当競争になっておりますから、しかしきめられている運賃を下げるわけにいかない。だからやみで下げる。ところが運輸省完全収受、つまりダンピングしないで完全にとれという。非常に大きな問題になっておりますけれども、事は大きくても小さくても政策ですから、あなたのほうに運輸政策について述べてもらうということはできないわけです、実際あなたは所管じゃないから。私の質問はそこにポイントがあって聞いているのですけれども、そういった意味のことを行管からぽんと出されても、これはまことに迷惑しごくです。したがって、これらの問題は、あらためて運輸省なり、ほかにたくさんありますけれども関係省庁おいでいただかないとやれない。これはそれ以上聞いてもしようがない。あまりないからこの際整理をしたというようなお話がある。あまり件数がないからというのならば、整理したってしなくたってたいしてかわりはない。これは初めからないのだから意味はないですね。そういう意味で少し各省方々おいでをいただかぬと、行管は単に運輸省がこう言ったからこうだというので法律出してくる。これはずいぶんふかしぎな話だと思うのですよ。本来ならば運輸委員会その他関係委員会合同審議をしなければならないようなものまで実はこの中にある。ところが皆さんのほうに質問してみても、事務的におやりになったということなんだろうと思うんですね、いまの御答弁を聞いていると。これはひとつあらためて理事会なりで論議させていただきたいと思うのであります。そこで時間もございませんので、閣議決定というのがひとつ頭についておりますから、その閣議決定中身なるものを、具体的におっしゃるのを後ほどお出しをいただいて、そこでさらに質問を続けさせていただきます。  その間、旧来問題になっておりまして、私に言わせれば古くて新しい問題だといわなければならぬ問題がございまして、これは実は行管皆さんのものの考え方とも大きく関連をする問題でございますから、それだけひとつ先に質問させていただきまして、その間に閣議決定の具体的な中身等をいただいて、さらに質問を継続させていただきます。  そこで、林野庁にからむ問題でございますので、きょうは林野庁から齋藤職員部長さんお見えになっておるようですが、林野庁に、例の常用作業員林野庁皆さんが名をつけておられる方々おいでになるわけでありますが、この常用作業員の問題で、現状は一体どんなふうになっているかということを、まず簡単に御説明いただきたい。
  19. 齋藤誠三

    齋藤説明員 お答えいたします。  林野庁作業員の現在の雇用区分は、常用定期臨時になっておりますが、常用作業員は、昨年の七月で一万六千人おります。常用作業員雇用のやり方といたしましては、雇用期間二カ月で、特に指示のない場合には雇用が継続するというたてまえになっております。雇用要件といたしましては、十二カ月以上勤務することが可能であること、勤務地変更に応ぜられること等、若干の要件がございます。  以上、お答え申し上げました。
  20. 大出俊

    大出委員 これは何べんか変わってはおりますけれども、おたくの「「定員外職員雇用区分雇用基準および試用期間に関する覚書」の締結について」というのがございますね。昭和四十四年四月二十五日、四四林野労第四二号ですか。これは現場の営林局長さん以下関係のところにあてたものだろうと思うのでありますが、これを出すに至った経緯はどういうことになっているのですか。
  21. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林野庁雇用区分につきましては、二十五年に一度確定いたしまして、三十年、それから三十五年と改正がございまして、四十四年に団体交渉できめましたものは、当時、従来常用定期、月雇い、日雇いでございましたが、そういう四区分を改めまして、常用作業員定期作業員、それから月雇い、日雇いを一緒にいたしまして、臨時作業員ということで一括いたしました。考え方といたしましては、雇用形態が非常に複雑でございますので、漸次勤務実態に合わせまして、常用作業員定期作業員を重点とした雇用区分改正したわけでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 もう一つ承りたいのですが、「定員外職員雇用区分雇用基準及び解雇の場合に関する覚書」というのがありますね。これは昭和二十九年三月十七日、二九協第四号というのですね。この中に、常用作業員というところがありますが、ここで、林野庁常用作業員は、一が、「年間継続して勤務する必要があり、且つその見込があること。」、間違いないですな。二番目が「一年以上の期間継続して勤務した実績を有すること。」、つまり、この言い方からすると、一年以上継続していた人が対象になる。もう一ぺん言いますが、二は、「一年以上の期間継続して勤務した実績を有すること。」、こういうことになっておりますね。そうすると、この定員外職員というのは、一年以上継続して勤務した実績を有する人、これが一つの前提になる。これは二十九年三月十七日のいま読み上げました覚え書きです。さて、それが四十四年四月、先ほど指摘をいたしました覚え書きによりますと、「十二カ月をこえて継続して勤務する必要があり、かつ、その見込があること。」、こういう一項がここに入っている。二十九年から四十四年です。十五年ばかり期間がたっておりますね。十五年たってこの覚え書きが新たにここで出されたということになりますと、十五年間の経過というものを踏まえて出ている、こういう勘定になっている。これはなみなみならぬことだと私は思うのです。昔、私が官公労事務局長時代に、群馬県の山の中まで行って育苗などを見てきました。造林作業をやっている方を見たり、伐木その他をやっているところを見に行ったりしましたが、あのころにもたいへん大きな問題があった。大蔵省の前に全部すわり込んじゃったり、きゃはん巻いておの一本ぶち込んで全部押しかけてきた時代もあった。そのころから実はたいへん不遇な皆さんだったわけでありますが、十五年もたった今日、この覚え書きが四十四年にまた出されるということになると、率直のところ林野庁は何をやっておったのだということになるのだ。林野庁は一体何をやっておったのですか。
  23. 齋藤誠三

    齋藤説明員 作業員雇用区分につきましては、二十六年の処遇規定以来、三十年及びただいま先生御指摘の四十四年に大幅な改正をいたしております。その間、林業労働形態も、戦後あるいは戦前の手労働的な段階から、次第に機械等が三十年以降入りまして、作業形態生産様式等もずいぶん変わってきたわけでございます。そこで二十九年当時は、いまお話のございましたような実績主義でやっておりましたが、だんだんそういった雇用区分定着化いたしまして、一方また定期作業員も、徐々に通年常用作業員へ変えまして雇用の安定に努力しているわけでございます。そういうことで、ここ十五年、十年、相当林業生産事情あるいは雇用事情、あるいは雇用内容等変化してきておりましたので、四十四年にも雇用区分改正ということでその定着化といいますか、制度改正を行なったわけでございます。生産力の発展と申しますか、そういう労働形態変化に応じまして、林野庁としても徐々ながら、まだ十分な努力とは申しませんが、実態に沿うようにできるだけ努力しているわけでございます。
  24. 大出俊

    大出委員 生産様式変化近代化というお話がいまありましたが、だとすると、これは世の中十五年もたったのですから、そうなると、様式変化に伴う労働条件なり賃金なり、そこいらのほうも近代化されぬと、これはいまの世の中に適合しない。あたりまえのことです。そこに不満が内在をする。労使間の騒動が起こる。ストライキをやろうなんということになってしまう。賃金でなくてこの種のことで労働組合ストライキをやるということは、しかもこれは官庁労働組合ですから公務員法という身分法にしばられておるのですから、私はそう並みたいていのことじゃないと思っておるのです。そこらのところが所管林野庁職員部長さんにわからぬことはない。だから十分とは申しませんがということが口の端に出てくるわけであります。ところが十分とは申しませんがでは済まない今日的実情にある。私もいろいろ調べてみましたが、そう思わざるを得ない。  そこで林野庁皆さんとしては、現状認識という意味で、一体生産手Aなり生産手Bなりという方々はどんな気持で今日おられるかということ。あなた方のところで仕事をしておる職員の諸君ですから、あなたが一番よく知っておらなければならぬ。一年以上みんなつとめている。一年、二年、三年。十五年前に出ておる覚え書きがあるのですから、十五年間続いて勤務してきた人たちたくさんいる。そこら人たちは一体何を考えておるのかという点をあなたのほうがどういうふうにつかんでおるかということ。これは非常に大きなことですけれどもそこらをまずひとつ現状を御説明いただきたいのです。
  25. 齋藤誠三

    齋藤説明員 お答えいたします。  労使関係を通じまして、こういった作業員の気持ちを推測いたしますに、第一点としましては、雇用は、御承知のように十年も継続しておる方々たくさんおられます。そういう意味では雇用の安定という角度からの問題はないわけでございますが、やはり勤務態様が、御承知のように非常勤職員等ということでございますと、そういった身分的な不安感といいますか、そういうものがやはり根底に内在しているように存じます。  第二点といたしましては、処遇の問題でございますが、例年仲裁等によりまして逐次改善はしてきておりますものの、なお処遇面におきまして常に問題になりますのは、月給制との開差でございます。われわれといたしましては、賃金体系の性質を異にしておりますので、内容といたしまして必ずしも月給制と同様なものでなければならないというぐあいには考えておらないわけでありますけれども、処遇一般にわたりましてそういう開差を縮小してほしい、そういういわゆる差別撤廃と申しますか、そういう意味の主張がきわめて強く、こういった主張の基礎に作業員の個々の心情があろうと存じます。
  26. 大出俊

    大出委員 必ずしも定員内の皆さんと一緒でなければならぬと思っていないというあなたの言い方なんですが、ずいぶんひどいですな。あなたほんとうにそんなこと思っているのですか。十五年前に私は林野庁長官にお目にかかっていろいろやりとりしたこともある。たいへんお気の毒で、何としても定員内にしたいと思っているけれども、周囲の実情がなかなかそれを許さないというお話があった。十五年たって、もう少し前に進んでいるのかと思ったら、逆にその必要はないなんてことを言われたんじゃ——必要があるのだけれども、周囲の実情でやむを得ぬというならまだ話はわかる。古くて新しくはない。それは古くて古い。そこら一体どうなんですか。気の毒過ぎるじゃないですか。
  27. 齋藤誠三

    齋藤説明員 ただいま意を尽くしませんでしたが、私の申し上げましたのは、日給制と月給制との賃金体系の内容に相当な違いがございます。月給制は職務給であり、また年功給でございますが、作業員の日給制の体系は労働力自体を主体にした賃金体系でございまして、賃金が月給制よりもうんと高い——平均よりは高い者もおりますし、また作業の種別によりましては低い者もおります。そういう意味で水準の絶対的な比較を申し上げたのではなく、体系の内容が違うから同じような形にはならない、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  28. 大出俊

    大出委員 言いわけなさるので、それならそれでいいのですけれども、そこで作業実態に即して承りたいのですけれども、生産手AなりBなりという皆さんの大体人員と、どのくらい勤続している人がどのくらいあるのかというような点ですな、勤続年数別人員分布とでも申し上げたらいいと思うのでありますが、そこらのところはどういうふうに把握されておりますか。
  29. 齋藤誠三

    齋藤説明員 ちょっと常用作業員の職種別までの資料は持ってきておりませんが、勤続年数は平均いたしますと、常用になりましてから七年三カ月でございます。勤続の分布を申し上げますと、現在一万六千の中で五年未満の者が八千八百人、これは最近常用化を相当進めておる結果でございますが、あと六年から二十年前後の者が六千人くらいでございます。
  30. 大出俊

    大出委員 どうですか、せっかくあなたそこまで言っておられるのですから、もう少し的確にどのくらいだという数字が出ませんですか。
  31. 齋藤誠三

    齋藤説明員 ただいま常用作業員全体について勤続年数別の人員の構成を申し上げましたが、職種別にはちょっといま資料を持ってまいりませんでしたので、後ほど資料でお答えいたしたいと思います。
  32. 大出俊

    大出委員 皆さんのいま把握するところ、最高大体どのくらい勤続されておりますか。
  33. 齋藤誠三

    齋藤説明員 常用作業員で最高の者は二十六年以上でございまして、約四百名くらいでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 私のところのこの資料によりますと、常用作業員勤続年数別の割合、これは四十二年七月一日現在でありますが、四年までの皆さんが男子の方で二・三%、それから五年から九年までの方が二〇・七%、十年から十四年の方が三一・七%、十五年から十九年までつとめておられる方々が二五・九%、二十年から二十四年つとめている人がなお一二%いるのですね。二十五年から二十九年にわたって長期勤続をしている人が五%まだおられる。三十年以上という方は二・五%おいでになる。この方々を合計して男子で八千五百七十三名、平均勤続年数で計算し直しますと、十四・六年。さっき私が取り上げました二つ覚え書きの数がちょうどそのくらいになる。かれこれ十五年近い。だからこの間ほとんど勤続していた方々が今日なおいる、こういうことになる。いかがですかな、間違いないですか。
  35. 齋藤誠三

    齋藤説明員 ただいまおっしゃいました資料は四十二年のものでございまして、われわれも四十二年当時の資料としては、平均勤続が十五年弱に出ております。人員構成も年齢構成もそのとおりであろうと思いますが、その後退職あるいは定期からの常用化、そういうことで内容がだいぶ変わってまいりまして、私が申し上げましたものは四十五年十月現在の調査でございます。
  36. 大出俊

    大出委員 そこまであなたはおっしゃるなら、四十五年の正確な数字をなぜお出しにならないのですか。そんなふざけた話はないじゃないですか。
  37. 齋藤誠三

    齋藤説明員 職種別の資料は持ち合わせておりませんが、総数について正確に申し上げますと、勤続五年未満が八千八百三人、六年から十年が二千百二十四人、十一年から十五年が千七百二十九人、十六年から二十年が二千三百六十一人、二十一年から二十五年が六百八十二人、二十六年以上が三百八十一人でございまして、総計一万六千八十人、平均勤続年数が七・三年でございます。
  38. 大出俊

    大出委員 大して別に変わっていないじゃないですか。二十六年以上が三百八十一人あるのでしょう。二十一年以上が六百八十二人あるのでしょう。おまけにこれは二十年以下のところが二千三百六十一人ある。いまのお話ではそうでしょう。あなたが言うように変わってないじゃないですか。長期勤続の方々、いっぱいいるじゃないですか。こういう長期に勤続している方が現実にいる。まずこの点を指摘をしておいて、これはあなたのほうとそう変わってない。大きな筋で見れば、それは四十二年から四年たてば四年分変わる、それはあたりまえです。あなたはそんな、ろくなことをしてないじゃないですか。口の先で言ったって何にもやらなくちゃしかたがない。  それでこの方々は、実際に定員のワク内にある方々とどういう点が具体的にどう違いますか。さっき二つばかりおあげになりましたが、違う点を全部言ってください。
  39. 齋藤誠三

    齋藤説明員 お答えいたします。  第一の違いとしましては、定員内と、定員外の非常勤職員であるという違いがございます。第二には、処遇の問題でございますが、特に退職手当法の適用の問題でございます。手当法の三条はもちろん適用になりますが、四条の中での二十年から二十五年以上の長期勤続の退職の適用がない、あるいは共済組合にいたしましても十二カ月以上の実績がなければ共済組合に入れないという制度的な問題もございます。また処遇の問題につきましては、賃金の点は先ほど申し上げたようなことでございますが、基準外の手当等につきましては、たとえば寒冷地手当につきましては月給制との差が現に相当あるわけでございます。それにつきましては、林野庁といたしましても逐次改善をする考え方でございます。特に差といたしましては、休日、休暇等の取り扱いにつきまして、月給制のほうは年次休暇あるいは国民祝祭日等、満度にそういった休暇があるわけでございますが、常用作業員につきましては、現在年次休暇につきましては勤続段階別に差を設けておりますし、また国民の祝日につきましては満度に有給の休暇といたしておらないわけでございます。そのほか、生理休暇等につきましても、現在の時点では無給にいたしております。そういう意味の処遇面の差がなお残っておるわけでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 一つずつこれは確かめていきたいのですが、いまの違いという点の中に入ってないのですかね。一つ聞きますが、退職手当はまずどういうことになっていますか。もう一ぺん言い直してください。
  41. 齋藤誠三

    齋藤説明員 退職手当につきましては、現在定員内の職員につきましては、普通退職及び長期勤続あるいは整理退職等、全面的に適用がなされますが、常用作業員につきましては普通退職は適用がございますが、四条の長期勤続については、二十五年以上の勤続者について適用がございますけれども、二十年から二十五年の者については適用がないわけでございます。
  42. 大出俊

    大出委員 そうすると、先ほどの御説明の、人員の一番多いところが二十年以上二十五年未満というところですね。これは国家公務員の退職手当法の適用がない。いいですな。そういうことですな。
  43. 齋藤誠三

    齋藤説明員 二十年以上の勤続者は、先ほど申し上げましたように千数百名でございますが、十五年から二十年というのが二千数百名ございますので、間もなくそういった層が二十年以上の層になるわけでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 共済組合法の適用はどうなっていますか。
  45. 齋藤誠三

    齋藤説明員 共済組合法は、十二カ月以上の常用実績を持てば共済組合員になれるということでございますが、定員内におきましては、定員内になったら即時共済組合員の資格を得ることになっております。十二カ月の実績の違いがございます。
  46. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまの常用作業員方々で、十二カ月以上の方々は、共済組合法の適用を受けておりますか。
  47. 齋藤誠三

    齋藤説明員 十二カ月の実績がある者は受けております。
  48. 大出俊

    大出委員 間違いないですな。全部受けておりますな。
  49. 齋藤誠三

    齋藤説明員 はい、受けております。
  50. 大出俊

    大出委員 国家公務員災害補償法の点につきましてはどうなっていますか。
  51. 齋藤誠三

    齋藤説明員 災害補償法については同一でございます。
  52. 大出俊

    大出委員 厚生施設なんという点につきましては、山の中で仕事をしている方が多いわけですけれども、具体的にはどういうことになっていますか。
  53. 齋藤誠三

    齋藤説明員 お答えいたします。  厚生施設につきましては、常用定員内とに全然差はございません。利用度合いはちょっと正確に申し上げられませんが、平等でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 そんなにりっぱな共済施設がありますか。  公務員宿舎というのはどうなっていますか。どのくらい割り当ててありますか。
  55. 齋藤誠三

    齋藤説明員 いわゆる公務員宿舎は、常用作業員は入れないわけでございますが、林野庁におきましては現在約六千の事業宿舎がございまして、現時点で常用作業員三千名ほどが宿舎に入っております。
  56. 大出俊

    大出委員 何名中三千名でございますか。
  57. 齋藤誠三

    齋藤説明員 現在の一万六千名中一二千名、正確には二千八百人だったと記憶いたしております。
  58. 大出俊

    大出委員 この公務員法に基づく不服審査請求はどうなっていますか。
  59. 齋藤誠三

    齋藤説明員 変わりはないものと存じております。
  60. 大出俊

    大出委員 あなた、ばかにはっきりお答えになるけれども、いいのですかな。  最後まで聞いてしまいましょう。被服なんかはどうなっていますか。
  61. 齋藤誠三

    齋藤説明員 定員職員には現在、営林署の職員には制規の制服を支給いたしております。作業員につきましては規程に基づきまして作業衣、それからいろいろの基準に合わせまして、たとえば手袋であるとか、そういった種類のものを備えつけ貸与をいたしております。
  62. 大出俊

    大出委員 労働時間はどういうことになっていますか。
  63. 齋藤誠三

    齋藤説明員 労働時間は、就業規則によりまして一日八時間でございます。
  64. 大出俊

    大出委員 週四十八時間ですな。  特別休暇などの取り扱いはどうなっていますか。
  65. 齋藤誠三

    齋藤説明員 特別休暇につきましては、官公署への出頭、公民権の行使、それから能率増進計画等は定員内と変わらないわけでございますが、伝染病隔離、天災による交通遮断等については、若干そういう有給率が一〇〇%ではございませんで六〇%にとどまっております。
  66. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは特別休暇などの場合も定員職員と比べて、実はここにあって百も承知して聞いていて恐縮なんだけれども、だいぶ違いがある、差がある、そうお答えいただいていいでしょう。いかがですか。
  67. 齋藤誠三

    齋藤説明員 大差があることは事実でございます。
  68. 大出俊

    大出委員 何かさっきから聞いていますと、一生懸命あまり差がないほうにものを言おうと苦心をして話をされておるようだが、何もあまりそう言わなくたって、この際現状を明らかにした上で、これはやはり行管長官もきょうはお見えになっているし、人事院総裁もせっかくおいでいただきましたから、改めるべきものはやはり改める必要があると思って私は質問しているわけでありますので、そう林野庁みずからの立場を——先ほど私の言い方も悪かったかもしらぬけれども、何もやっていないじゃないか、こういう言い方をしたから、やっているのですと言わんとするそういう気持ちがあると思うので、それはそうなってくれなければ困りますけれども、やはり現状をはっきりしていただかないと困る。一々こまかく反論しても意味がありませんけれども、この辺で少し核心に触れて承りたいのでございます。  生産手AなりBなりという、この生産手Aといっておりますのは昔流に言えば集材関係作業をやっている方、切った材木を集めている。それから生産手Bという方は、いわゆる伐木、昔伐木といっていた。百から職種が昔ありましたが、こういうところに携わる方なんですが、つまりそういう意味で実は第一線の仕事をしている方々なんですけれども、この方々が長きにわたってたいへんな人員、一万六千からの人員、常用とそうでない方と入れますと合計三万七千二百二十人もいるわけでありますが、実際はこれは林野庁の主力部隊ですね。まず、主力部隊であることに間違いないと私は思っておりますが、職員部長はそこのところはどうですか。
  69. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林野庁ではいろいろな職種がございますが、常識的に伐木あるいは造林が基幹的な作業であると思います。
  70. 大出俊

    大出委員 つまりいろいろな職種というのは、いまの三万七千二百二十を計算いたしますと、生産手Aつまり集材関係作業をやっている方が七千三百三十四名。これは四十五年十月の資料です。それから生産手B、この方々は伐木関係で、二千五百七十一名。機械運転手の方々が千二百三十三名。機械造林手の方が四千七百五十三名。造林手の方が一万百九十一名。育苗関係の方が五千三十四名。林道土木手の皆さんが二千六百三十三名。その他炊事関係をやっている方が二千五百二十二名。製品の調査手の方々が二百八名。一般作業手が二百九十名。その他が四百四十七名。合計三万七千二百二十名。こういう数字なんです。ですからいま三万七千二百二十名、こう申し上げたのだけれども、この方々がいずれにせよ中心である。林野というのは現業庁ですから、そう理解してよろしいかということなんですが、もう一ぺん答えてください。
  71. 齋藤誠三

    齋藤説明員 さようでございます。
  72. 大出俊

    大出委員 ということになると、私は郵便局の出身で郵便配達を自分でやってきた一人ですけれども、これは公共性があるとかなんとかいってみたって、郵便局というのは、窓口事務をやっている人とかあるいは配達をする人であるとかあるいは区分をする人であるとか、現業職員を抜いてしまえば成り立たない。同じ意味で、国がやっている林野庁、帝室林野庁以来の仕事ということになりますと、この方々がいずれにしても基幹職員である。いわく現業といわれるゆえんがここにある、こういうことになる。このことをお認めになっているわけでありますね。その中心部隊が、先ほど私は二十九年の覚え書き、ここから話を始めたわけでありますが、あと覚え書きは十五年もたっている。その間どうもそのままほっぽられたままになっていていいはずがない。控え目に答弁をされておられますけれども、これは定員内と比べてたいへんな差がある。しかも覚え書き自体が十二カ月以上勤務している実績を前提にしてお考えになっている。だから長期勤続の方々がこれだけたくさんおられる、こういうことになっているわけであります。  さてそこでということになると、これは公務員法の適用を受けておられる皆さんでありますから、そうなると公務員法の解釈上この方々は当然定員内に置かれてしかるべき、実態としてそういう仕事をしておられる、こういうふうに考えざるを得ないわけでありますけれども、そこのところの御見解を、私は人事院側から——もちろんこれは、定員にするしないという問題は人事院の所管ではありません。ありませんが、しかし、公務員であることに間違いない。すると、この公務の実態というのがどういう性格のものなのかという点、私、人事官、参事官の方等といろいろお話もしてみましたが、当然この作業実態というのは、定員内の職員であるべき姿である、こういう趣旨の、直接のお話をした結果、答えはいただいておりますが、やはり公の席でございますから、あらためて総裁から御答弁をいただきたいと思います。
  73. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実情はいろいろな機会に承っておりますし、いままた大出委員から分析された結果の指摘があって、相変わらずむずかしい問題であるということは痛感いたします。要するに、むずかしいということは、いまのお話にも出ましたように、組織法あるいは定員法系あるいは任命権系統の問題と公務員法系の問題との接点になるというきわどいところにある問題だと思います。したがって、実態の問題がこれを決する一番のきめ手になるのじゃないか。ただ、いまのお話になりますと、十年、二十年というような勤続の話が出てきたりしまして、そのままお話の上から拝聴すれば、これは普通の定員内の公務員と同じじゃないかという気もいたします。さらに、これは、任命権の行使の実態が、どういう任命権が行使されているかというと、一般職の常勤職員とはまた違った扱いがされております。そうすると、その方々のお仕事の実態というものを的確に把握して、これを尺度に合わしてみなければならないということです。したがって、きわめて簡単明瞭にいえば、定員内の職員と同じ仕事をしているということがはっきりするならば、この定員内の扱いをしていけば簡単明瞭じゃございませんか、それらしいことを言うたことはありますけれども、しかし、それは実態の問題とのからみ合いの問題でございますから、軽率には申し上げられませんけれども、大まかにいえばそういうことじゃないか、これはきわめて明快なる結論じゃないかと思います。
  74. 大出俊

    大出委員 私も、実は昭和二十三年の暮れからですかな、公務員法ができて、妙な法律ができたと思って読んだ時代から、いままで公務員法におつき合いをしてきたのですけれども、しかもずいぶん林野の皆さんの職場に行って直接お話を聞き、お話をし、人事院に当時何べんもお伺いをして話した、いにしえのなまなましい記憶があるんですね。だから、冒頭に、古くてなおかつ新しい問題だということを申し上げたのですけれども、それがいまだにくすぶっていて、ストライキの問題が起こる、労使間で。これは捨てておけないという気がいたしますので、この際取り上げさしていただいたわけでございますが、当時から、実は総裁のお話しになったような人事院の見解はあった。にもかかわらず、なかなかこれが実現をしない。しないのにはしないだけの理由がある、こういうことになると思うのであります。  そこで、もう一つ林野庁皆さんに承っておきたいのでありますが、標準作業量、作業日数というふうなものがあると思うのでありますが、ここらのところはどういうことになっておりますか。
  75. 齋藤誠三

    齋藤説明員 勤務の標準作業日数は二十四日でございます。週休日と作業休日が月二日ございます。それから標準作業量のほうは、各営林署の現場現場ごとで、そういう山の自然条件に応じまして標準作業量をきめることになっておりまして、そういうきめる過程におきまして、労使で十分協議するというたてまえになっております。
  76. 大出俊

    大出委員 ところで、勤務実態として、この方々が、いま総裁が口にされた公務のいわゆる実態定員職員実態との相違点、どこが違うとお考えでございますか。林野庁に承りたい。
  77. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林業作業は普通の定員職員の仕事と非常に異なっております。すなわち、定員内の職員の大部分は、そういう技能等もございますが、事務的な仕事でございます。わが作業員は、もっぱらそういう肉体といいますか、肉体的な労働に従事しているという一つの特色を持っておると考えます。
  78. 大出俊

    大出委員 そんなことを聞いているんじゃないですよ。仕事の量と質の関係は別だ。勤務の態様というものはどうなんだ、どこが違うのかと言っている。そんなことを言えば、郵便配達をさっき私は例にあげましたけれども、これだって一般の、あなたの言う事務なんかと——私の時代は地下たびをはいて配っていたんですから、雨が降ればどこからどこまでぬれてしまう、郵袋をかついで歩いていれば。肉体労働やっているから定員にならないという理屈はない。肉体労働やっていっているところ、重労働やっているところはずいぶんある。そうすると、勤務の態様としてどこが違うのかということは、職員部長をおやりになっているんだから、そのくらいおわかりでしょう。
  79. 齋藤誠三

    齋藤説明員 ちょっと、御質問趣旨を取り違えました。勤務の態様といたしましては、先ほど申し上げましたように、標準作業日数二十四日、毎日の勤務が八時間ということできまっておりまして、ほとんど定員職員と変わっておりません。ただ賃金の処遇の問題といたしましては、賃金の支払い形態として出来高払い等をやっておりますので、日給制を基礎にしておるという点が違っております。
  80. 大出俊

    大出委員 出来高払いなんというものは、これは私ここでそれをやっていると一時間ぐらいかかってしまいますが、資料をここにみんな持っておりますが、帝室林野庁以来の変遷、なぜ出来高払い制というものができたかというようなことは、根源的にわかっていますけれども、そんなことは何でもない。たいしたことはない。たとえば、いま郵便の例をあげたから郵便の話をすれば、外勤手当なんというものは去年の春闘で三千円も特別にくっついている。それは、作業実態が違うから。だから、定員内に入れてしまえば、出来高払い制に見合うものは何かということを考えればいい。世の中には調整手当がくっついているところもたくさんある。とんでもない遠くのほうで仕事をしていれば隔遠地手当がくっついているものもある。何でカバーすればいいのかというと、日本の賃金体系自体が生活賃金という方向にどんどん傾いていっているところに、外で働いて通勤をする通勤手当から、ことしの人事院勧告では住居手当がくっついたという、うちの中の家族手当もふえてきたという、それは、生活給部門に相当なウエートがいかざるを得ない状況にあるからだ。だからその点は、作業実態というものをどういうふうに把握をして、いま出来高払い制云々と言われている賃金をどう処理すればいいかという問題、それが中心じゃないか。これは勤務の態様が中心だ。だから、そういう意味で、いま部長お話しのように、そう違ったことはしていないといまおっしゃっておられる勤務の態様だとすれば、さっき総裁がお答えになっているように、これは定員内の職員にすべきであって、二カ月雇用したあと引き続き勤務してはいけないということが、おたくのほうの就業規則その他の基準によると書いてある。だから、とんでもないところで一日切ってみたり、わざわざ一日切って引き続かないという形をとろうとしてみたり、いろいろなことをされる。これは意味がない。それは、たいへんな雪が降ってどうにもならぬというときだってある。あるけれども、それは一緒なんだ。郵便を配達する人間だって、雪が降れば配達はできない、一軒一軒配るのだから。だから一週間に何回という形で、そりに乗って配っていくわけです、北海道なんかみんなそうだ。その間はみんな行けない、猛ふぶきでふぶいているのだから。そのときはそりに乗っかって、あとでまとめて、鈴を鳴らして配達に行くわけですよ。皆さんの筆法でいけば、その間これは仕事ができないのだからということで、一々切ることになる。そんな不合理な話はない。だから、そういう意味では勤務の態様というのは、林野の組合の皆さん方の資料の中には郵便現場の例を引いて書いてありますけれども、私はその郵便現場の出身だからよく知っておるのだけれども、やっていることだって変わっていない。それは木を切っているのと郵便かついで配達しているのとの相違だけです。そうなってくると、そういう方々を、私が知ってから十五年以上にもなるのに、なぜ一体これだけ大きな差別取り扱いのままで定員内に入れないでおいておくのかという点が非常に大きな問題だと思っているのです。皆さんのほうは、確かに何にもしなかったわけじゃない。ないけれども、今日まであなたのほうで何回か組合との間で約束をして進めてきている中で、なおかつ満足にいっていないということだけは間違いない。だから私は、この辺でこの問題のけりをつけていただきたいと思っている。  そこで、人事院の総裁からは、一ぺんいまお答えをいただきましたので、行政管理庁長官、きょうせっかくお忙しい中を来ていただいておりますので、この辺でひとつ——当該林野庁皆さんの言い方はいまお聞きのとおり、人事院総裁がいにしえのことを承知でいまおっしゃっておるのもお聞きのとおり、私がこの問題を知っておってものを言っておるのもお聞きのとおり、そういう意味で、閣議決定というのも一つありますけれども、この前後のいきさつというものも非常に不合理な話でございます。そうすると、行政管理庁設置法にのっとって、行管の仕事というのは一体何であるかということを前提にしてひとつこの問題についてどうお考えであるかを承りたい。
  81. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 行管としましては、定員内の定員管理をいたしておりまして、定員外の臨時職員は、総理府で処理をいたしております。ということで、現に臨時職員であるものが臨時職員として定員内にあるものは、定員内にあるものとしての定員管理をやっていくという、守備範囲からいけばそんなふうなことでございます。いまお話が出ておりますように、臨時職員であるものを定員内に入れるべきである、業務内容、勤労形態その他から見ても、何ら定員内のものと差別がないから定員内に入れるべきであるという主張は、当該主管庁で立論さるべきものと思います。  そういうことで、いまお話しの林野庁の問題についても言えることかと思いますが、先般臨時職員の調査をしましたときに一応の結論が出たのでありますが、その官職が季節的に置かれる官職であるということ、自然的条件による影響をこうむるために勤務が断続的になる場合があること、業務の性質上毎日の作業量による出来高給が適当であること等を考慮して、作業員の官職を非常勤官職として設定し、非常勤職員として任用してきたと承知いたしておりまして、その考え方に立って、定員外職員であるものは定員外職員としての扱いをされるのが至当であろう、そういうたてまえでございます。
  82. 大出俊

    大出委員 前提になる点についてまず一つ申し上げますが、行政管理庁設置法の二条の四号に「各行政機関の機構の新設、改正及び廃止並びに定員の設置、増減及び廃止に関する審査を行うこと。」こういう項目が明確にある。あなたは定員外の人間、こういうふうに言われるけれども行政管理庁設置法二条四号が指摘しているとおり、これはあなた方の職責です。定員についての増減、あなたのところは定員をつくる仕事もしなければならぬのですよ。これは、だから三年五%といったって、その五%を取ってきてどうするかといえば、新しく仕事が必要だというところに配算する、そこの定員をふやす、これは定員の増です。それをあなたのほうは提案してきている。あなたの話を聞いていると、定員外にある人間、それは全く関係ない。そうじゃない。そこの仕事の状態が、それが恒常的な職であるというものの考え方に立つ限りは、これは国家行政組織法上のものの考え方、恒常的な職である以上は定員にしなければならぬ設置法上のその責任がある。だから定員管理をあなたはやっている。ふやすこと、減らすこと、廃止すること、そこのところが抜けてしまっては困るじゃないですか。いかがですか。
  83. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、定員の増減を管理いたしております。しかしながら、それは定員としての増減のことであって、現在定員外職員であるものを定員内に入れろという発想は、当該主管庁の主張に基づいて相談をしてきめるものであるという意味のことを申し上げたわけであります。
  84. 大出俊

    大出委員 そうすると当該の主管庁が、これは定員に入れるということになって、その主張が正当であれば、行管のほうは、その点は管理という面から見て必要だというふうにお考えならば、ふやすことにやぶさかでない、そういう筋になりますね。
  85. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 もちろん、そういう意味であります。
  86. 大出俊

    大出委員 そこで人事院の側は、いまお話がございましたように、この問題は人事院も、もうそれこそ何年来大きな問題になっておりますから、よく御存じの上で総裁は答えておられるのでありますか、勤務実態として——先ほど私が質問をして、いまの職員部長答弁は、仕事の質が肉体労働であるという意味で違うという答弁をまずされて、そうでないではないか、勤務の態様というのは仕事の質の相違をさしてはいない、どういう勤務態様に今日まであったかということが問題になる、その点については変わらない、こうお答えになった。変わらないのだとすると、これは当然定員内に繰り入れるべき筋合いである、こういう結論が出る。だから、非公式に人事院の担当の参事官なり専門家の方々と話してみても、当然今日までに定員内に入れておくべきものであった。そこから先の話は私のほうが責任を持って言いますけれども、その方々の口からも出てきておりますが、もってこれ林野庁の怠慢なりと言われている。ですから、総裁はそこまではおっしゃいませんけれども勤務の態様として定員内と変わっていないのだとすれば当然定員にすべきである、こう言っておられる。とすればということばをお使いになっているのは、みずからが林野庁所管していないからあたりまえ。そこで林野庁職員部長が変わらないとおっしゃる限りは、出来高払い制だけをあなたはあげておられるが、じゃ、この方々に出来高払い制を取っ払って定員内に入れますが、反対しますかと聞いてごらんなさい、反対はしない。私もこの方々に念を押している。この間、違うところについては、片や特殊勤務手当というものもあれば、あるいは号俸的には調整する方法もある。先生の号俸だって、今回は別な形で考えようという法案が出ているわけでしょう。質の違いだからですよ。ということになれば、これは当然林野庁が怠慢だということになる。  だから、きょうは私、林野庁長官に御出席いただこうと思ったが、長官おいでにならぬようでありますから、やはりこれは職員部長の責任において答えていただかなければ困る。自然的条件、これは私のほうの資料にもある。自然的条件といったら、郵便配達だって自然的条件に左右される。山の中を、谷を越えて一軒家に行くんだって、行程二十キロでも一日かかって配達する責任と義務がある。同じことでしょう。雪が降れば行けないですよ。それは同じことです。あなたのほうは、林野庁常用を付与する、常勤性を付与すると言っている。人事院の附則その他の関係には常勤労務職というものもあった。その時代にあなたのほうは常勤性を付与すると言っている。つまり常勤性、そういう性格のものであることは、あなたのほうは認めている。認めていて、なぜ一体あなたのほうは措置をしようとしないのですか。厚いとか厚くないとかいったって、林野庁皆さんのほうが実際に仕事を把握しておって行政管理庁にものを言ったときに、行政管理庁が、林野庁はほんとうにこういうことなんだということにいたすことを否定しようがない、行管所管しておるわけじゃないから。そこのところはどうなんですか、職員部長
  87. 齋藤誠三

    齋藤説明員 お答えいたします。  作業員定員化の問題でございますが、われわれといたしましては、作業員の職が恒常的に置く必要があるかどうかという点につきまして、まだ恒常的に置く必要のある職に該当しないので、定員化の対象とすることは非常に困難だと考えておるわけであります。その理由といたしましては、国有林野事業事業量自体は、さほど急激に変動するものではございませんが、いろいろな直営のやり方、あるいは請負、その他の立木処分等のやり方がございますし、また事業の実行にあたりましても、機械化等も相当進んでおりまして、そういった面のの所要労働業務量が非常に流動的である。それから、もちろん林業でございますので、造林その他季節的な制約を受ける面が非常に多いということで、現在ではそういう定員化にふさわしい職であるとは考えておりません。  したがいまして、定員外職員として、われわれはそういう中でできるだけの改善をはかっていきたいということで、定員外職員として常勤性を付与すると申しますか、常勤職員として考えていきたいということでございます。しかし、公務員の制度の問題でもございますので、林野庁独自で判断いたしかねるので、これが現在関係省庁に対して御検討願っておる次第でございます。
  88. 大出俊

    大出委員 関係省庁というのは、どことどこですか。
  89. 齋藤誠三

    齋藤説明員 現在、人事院、行政管理庁、総理府の人事局であります。
  90. 大出俊

    大出委員 総理府の人事局の方はお見えになっておりますか。——たいへんお忙しいところを恐縮でございますが、総理府の人事局としてはこれをどういうふうにお考えになっておりますか。
  91. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 御指摘の問題点につきましては、総理府人事局の固有の権限といたしましては、先ほども議論に出ました退職手当法の適用の問題だけでございます。この点につきましては、まだ非公式でございますが、林野庁当局からもいろいろと御希望等出ております。私どもで検討中でございますが、先ほど人事院総裁の御答弁にございましたように、一つはやはり非常勤作業員作業実態にからんでくる問題ではなかろうかと存じます。実を申しますと、退職手当法におきましては、先生御承知だと思いますが、いわゆる常勤労務者と呼ばれております、一般会計、特別会計、常勤職員の給与の目で処理されて賃金を払っております者と、それ以外の者で大体現在暫定的に六カ月以上勤務しております者とがございまして、問題になっております林野庁の非常勤職員はその二番目のほうに大体該当するわけでございますが、これを常勤労務者並みにしたらどうかという御意見に対しましては、その実態が問題になるわけでございます。  それからまた反面、私ども制度を預かっております以上、他の一般の非常勤の職員がまだ各省庁にもおられるわけでございまして、それらの方々との権衡、これも実態論になりますが、はたして差別ができるのかあるいはできないのか、こういう問題、今後も慎重に検討いたさなければならない、かように考えております。
  92. 大出俊

    大出委員 答弁になるようなならぬような話でありますが、北海道開発庁の問題があることを、私もこれは百も承知しておる。だがしかし問題は、定員内に入れなければならぬものは勇断をふるってやはり入れなければ、十五年も二十年も——実際考えてごらんなさい。定員内の者と定員外の者とどれだけ差があるか。六割ですよ。予算で計算していくと四割損している。ずうっと二十年間、これはどこにも行けない、十二カ月以上を想定して採用しているのですから。しきりに非常勤でいいんだと言うのならば、じゃあほんとうに結束していなくなっちゃったらどうするんだ、全部やめちゃったら。やりかねないところにいま来ているのですよ。ストライキの寸前まで来ているんですから。それなら、かつて八郎潟のように、何も直営でやることはないんだ。林野庁は全部やめてしまって全部民間に移してしまったらいい。何であなた方はいままで長い間三万何千の人を確保して、雇ってきたかということになる。雇われておるほうにしてみればたまったものではない。たいへんな仕事をしている。  だから問題は、どこが一体責任を負うのか。捨て子にされっぱなしで、あるいは女房、子供を持っているんだからたいへんなわけです。行政管理庁に行けば、行政管理庁は定員内について管理しているんだ、わだほうはそこから先は責任がないんだと言う。人事局に行けば、退職手当だけが私ども所管でございます、あと関係ございませんと言う。人事院にものを言えば、任用ということことになってくればこれは別で、公務員となった人間について、これは間違いじゃないかということを幾らでも言える、けれども、入ってこない限りは何とも言いようがない、だがしかし、定員内にすべき性格のものだと思う、しかし所管林野庁だからというんじゃ、これは一体どこへ持っていけばいいのかということになる。これは三万七千人もいて、しかもこの三万七千人の中から二万人くらいは常勤性を持たせてやりたいなんということを林野庁は言っておる。そうすると一万六千何がしの問題ではない。三万何千、常用化とそうでない人おしなべて。その中の二万人という言い方をされておる。そうなると一体どこが責任を持ってこの問題を片づけるのか。少なくとも国家公務員、そういう身分にちゃんとランクされておる方々との違いを一体どこが責任を負うのかという問題。  林野庁の部長、先ほどの話の中に、請負だっていいのだという意味のことをおっしゃったのですが、ほんとうにいいんですかな。やりますか、請負で全部。重大な問題です。
  93. 齋藤誠三

    齋藤説明員 お答えいたします。  請負が全部いいとか……(大出委員「請負が現にあると言ったじゃないか」と呼ぶ)現に若干請負もございますし、直用の方式、立木処分等の請負の方式等が多々あるということを申し上げたわけでございます。
  94. 大出俊

    大出委員 多々あるということと現実にできるということとは違う。多々あってやれるならば、いままでだってやったらいいじゃないですか、いままでそんなひどいことをしておかないで。やれないからこれだけの人間を雇ってきておるんでしょう、二十年も二十五年も三十年も。あなたそんなことをぬけぬけと、やれるなんと言うのだったらやったらどうですか。やれるんですか、やれないんですか。いま何人くらい請負で立木処分その他についてやっておるのですか。
  95. 齋藤誠三

    齋藤説明員 現在の製品生産、そういう木を販売する角度から申し上げますと、立木処分が約六割、直営が四割、その中で、四割の二割弱が請負でございます。
  96. 大出俊

    大出委員 四割の二割くらいが請負だとあなたは言う。あなた、請負でやれっこないじゃないか。いま、この世の中でそんなに人が集まりますか。世の中で、木を切ったり造林をやるのに請負でやっておったりする方々は——私は去年群馬県の沼田の山のてっぺんへ行ってきた。山の頂上の方々が、あんなところでも公務員という身分だからと思ってがまんしてやっておる。やり手はありはしないんですよ。そんなこと言ったって、ほんとうにやれますか。造林から集材から育苗から、みんなそれじゃ民間の請負でやれる見通しがあなたのほうはありますか。はっきりしてください。そこのところをあらためて林野庁長官を呼んでやりますよ。
  97. 齋藤誠三

    齋藤説明員 ただいま御指摘の山村の労働力等の事情が違っておりますので、次第に製品事業等につきましては請負が少なくなってきております。現に四、五年前には直営生産の割合が三十一、二%でございましたが、現在三十七、八%まで直営はふえておりまして、いわゆる直直の方針を拡大する方針でございます。
  98. 大出俊

    大出委員 つまりそのことは、こういう方法があるということと現にできるということとは違うということなんですね。方法は幾らでもありましょう。いまの世の中ながめてごらんなさい。ハイヤー、タクシーといったって運転手はありゃしない。どこの会社に行ったって一割くらいみんなほこりをかぶってとまっている。それは過疎、過密の現象を考えたっておわかりだ。こういう時代に請負なんかできっこないじゃないですか。国家公務員だという身分を与えていままであなた方のほうはつないできたから、これだけの人を確保できているということなんです。しかも直営のパーセンテージがふえつつある。ますますふえるかもしらぬ、年寄りじゃできないのだから。中高年齢層がいまから山へ行って木を切りましょう、そんなことはできない。若年層はどんどん町へ出てくる、あたりまえでしょう。そうなると、あなたのほうは作業実態からして、直営で、しかも身分を公務員にして使っていかなければやっていけない仕事をあなた方は所管しているのです。そうだとすると、請負でもできるから、だから常勤制は認められない。冗談じゃないですよ、できないでしょうが現実に、仕事の実態というのは。それを言うのですよ。さっき申し上げた郵便だって請負でやろうといって、電通の吉田さんあたりが提起したことがある。実際にはできない。同じようなことですよ。だからそこのところの出発の問題。  いま総理府がお答えになりましたが、私は総理府の山中総務長官とこの問題について話してみた。山中さんも鹿児島だから百も承知だ。彼が何と言ったかというと、林野庁の腰が抜けておると言うのですよ。連中一体何をやっているんだと言う。だから山中さんに言わせれば、おれが舞台へあげて幕をあけることは一向かまわぬ、やってもいいのですよ、しかし林野庁の腰が抜けているところだけは何とかしなければしようがなかろう。あとは総理府はその気はあるから、人事院もその気があるから、行政管理庁の荒木さんだってあまり高一点ではなくなっているから、話してわからないことはない。そうなると、これは林野庁がしゃんとしてくれなければものは前へ進まぬ。あなた方が直接的に雇用されておって、その雇用責任者であるあなたがいまのように大風に灰をまいたようなことを言ったのじゃだめですよ。もう一ぺん言い直してください。もう少し何とかしなければ気の毒だとあなた自身が思いませんか。やっている身になってごらんなさい。
  99. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林野庁といたしましては、過去の経過等にかんがみまして、この改善をはかるべくここ二、三年いろいろ検討を続けてまいりましたが、その結果、常勤性付与ということで考えをまとめまして、先ほど申し上げましたように、公務員制度の問題でもございますので、独自できめられませんので、関係各省にいま実際の説明等努力をいたしている次第でございます。
  100. 大出俊

    大出委員 一つ大蔵省が抜けておりますけれども齋藤職員部長さん、いまあなた関係各省とおっしゃるけれども関係各省のうち人事院はそこに総裁がおいでになる。総裁は先ほど、総裁の立場としては言いにくいことまで触れておるのですね。定員内にすべき性格のもの、ただし勤務の態様がということ。最後に、そうであればという言い方をしている。それは林野庁がそのことを主張されればそれにかみ合うようにものを言っておられる。先ほどこちらのほうで言っているのは、退職手当法との関連ではあるけれども、つまり賃金支払いのたてまえ上言っておられる。目が違う。そうすると、あなたのほうでそこのところをどうするんだという主体性を持たなければ、総理府とだってかみ合わないでしょう。しかも山中総務長官は私にはっきり言い切っている。林野庁が腰伸ばしてしゃんとしてやるのだということになれば、おれが幕引いたっていい、あけたっていい、責任の所在がどこにもないというばかなことは言っておられない。総務長官は鹿児島でそこまで知っておられて言っている。それをあなたのほうがいまのようなわけのわらぬよかうなことではしようがないじゃないですか。  実は林野庁長官が御出席なければ延ばそうと思ったのだけれども、かつて、おたくのほうの林野庁長官あるいは農林大臣は、坂田さんの時代もそうですけれども、これはやむを得ずかどうかしらぬ、責められたからかもしらぬ、しらぬけれども、何とか調査をして前向きで前進をさせようという答え方をしておられる場面が幾つかある。一々ここで申し上げてもいい。しかもあなたのほうは、これ何回になるのですか。私がここに持っておる資料からいったって、いにしえから何べん——四十年の三月、公社化の答申があった時代から始まりまして、四十一年の春の賃上げの問題のときに二確認などという雇用安定、臨時雇用廃止、そういうやりとりをしておられるでしょう。これは四十一年。その後四十二年の十二月、臨時雇用廃止のNO1確認というのがある、常用化ということ。四十三年の四月、NO2の確認がある。四十三年の十二月にNO3、四十四年の一二月にNO4、さらに四十五年十二月にNO5、こういうふうにあなたのほうはずっと、あなたは口先でいろいろおっしゃるけれども、やむを得ずにこういうふうに進めてきておるでしょう。勤務実態、つまり仕事をしている方々からあなたはいろいろつかれて、やむを得ずここまできている。その中に常勤性の付与の問題が出てきている。そうでしょう。それはあなたが口の先で言っておることと実際と違うということなんです。だからこの辺で林野庁がやはり踏み切らなければ、これはたくさんの人を前に進めることはできないでしょう。  もう一ぺん聞きますが、あなた自身、この問題をどう解決しようとしておるのですか。こういうことでストライキなどさせるべきでもないし、これはほかの政治的な問題じゃない。実際に十五年も二十年も木を切っていて、切った材木を集めていて、しかも苗木を育てて国の直営であるところの造林をやっている。こういう方々について、これは週休を一日もらったからといって帰ってきても、一日じゃ帰って家族に会って戻れない。しかも仕事が激しいから別な休暇まであなたのほうは出している。だから週休とそれをくっつけて、せめて二日ぐらいにしなければ、山から出てきてうちに帰って子供の顔を見て戻っていくわけにいかないのだ。こういう状態にある方々を何でほうっておくのですか。どうするつもりですか、この最後のストライキなどというときに。
  101. 齋藤誠三

    齋藤説明員 現在、常勤性付与につきまして関係各省と鋭意折衝をしておりますが、先ほどの御答弁もございましたけれども、われわれとしてはまだ最終的な結論と申しますか、それに至っておりませんので、努力しているところでございます。
  102. 大出俊

    大出委員 常勤性付与といま言いましたが、中身はどういうことなんですか。角度を変えて聞きましょう。説明してください。
  103. 齋藤誠三

    齋藤説明員 先ほども申し上げましたように、林野庁としては、先生の御意見に沿わないわけでございますが、定員化は無理であろう、いろいろ理屈もあり得るわけでございますが、そこで定員外職員として考えるしかない。その場合に、定員外職員となりますと、現在非常勤職員の扱いになっておりますが、非常勤職員のままであるということについてはいろいろ矛盾点も多い。そこで定員外の常勤労務者という制度がございますが、それにならった形での定員外の常勤の職員として取り扱ってまいりたい、これがわれわれが現在考えておる常勤性付与ということでございます。
  104. 大出俊

    大出委員 常動労務職員、こういう名称でいいですか。いまちょっとそこの点、名称をはっきりしてください。それは林野庁独自なものですか、それとも各官庁相談の上で……。
  105. 齋藤誠三

    齋藤説明員 名称は雇用区分におきまして基幹作業員という名称でございますが、その公務員制度上の性格といたしましては定員外の常勤職員ということでございます。
  106. 大出俊

    大出委員 人事院に承りたいのですが、定員外の常勤職員というのは公務員法上どういうものでございますか。
  107. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 何か聞くところによりますと、昭和二十五年ごろ、暫定的か経過的か知らぬですけれども、何かそういう扱いをした時代があったということを聞いておる。それをまた盛り返そうというようなお気持ちじゃないかと思います。われわれとしては、どうもその問題になりますと、いま非常に精密な追及を受けると、この場で明確なる御答弁をするわけにいきませんけれども、しかし、何かそういう例が一つあって、それを考えておられるのじゃないか。われわれとしてはそうむちゃに、皆さんがしあわせになるものなら理屈にこだわってたたき伏せようとは思いませんけれども、しかし、りっぱな制度ですということをここで申し上げるだけの自信はありません。
  108. 大出俊

    大出委員 これは総裁、たいへんありがたい答弁をしていただきました。実は私もここで腹のうちを正直に言うと、私は現場を歩いて知っておりますだけに、本来当然定員内に入れるべきであるという考え方を一貫して持ってきておる。ただ年度予算も組まれておる今日この時期に、しかも私も閣議決定のときのいきさつを知らないわけではないのです。林野庁というところはふざけたところだというふうに思って、そういう意味でこの閣議決定のいきさつというのは知っているわけですが、歴代林野庁長官というのはふざけた人がそろっている——これは言い過ぎで、別な面ではりっぱな方々でしょうけれども、そのくらいの気にならざるを得ぬ。このいきさつ、三十七年の閣議決定のいきさつその他ここにあります。「定員外職員定員繰り入れに伴う措置について」なんというのがここにあります。それから「定員外職員の常勤化の防止について」なんというのがあります。しかも、この閣議決定をめぐる林野庁がこたえた中身などというものがあります。全部申し上げてもいいのですけれども、やはりいまの時期、中途はんぱな時期に、さて定員に入れろといっても、そのことが直ちにちょっとできないことは百も承知している。だから当面は常勤性付与ということを林野庁が言ったのだから、そのみずからの言質の上に乗って最大の措置をとり、働いている皆さんのために最大限のことをやる、この腹をきめてもらいたいと思って私はものを言っておる。  そこで、いま人事院総裁お話しになったのはここにございますが、これは昭和二十五年の九月十二日でございます。したがいまして、これは浅井さんが人事院総裁時代であります。昭和二十五年の九月十二日、ここに「任用」ということで「人夫、作業員その他これに類する者の取り扱いについて」、前書きがありまして、同じ年の二十五年九月二十二日付で「人夫、作業員その他これに類する者の取り扱いについて」というので、運用が人事院事務総長通牒という形で出ているのであります。この通牒の中に「常勤労務者の範囲」というので「実質的に十二カ月をこえて継続して勤務することを例とする官職にある者に限る」ということで、一年をこえる者については常勤労務者なんだというワクを一つつくった。そして「二カ月の雇用期間及び雇用期間満了の際何らの通知をしない限りそれが繰り返し更新される旨を明記する。」こうなっておる。だから、これでいけば一々引っこ抜いて切ったりする必要はない。二カ月後ではあるけれども、その終期を明らかにしないでおく。だから二カ月の雇用期間及びこの雇用期間満了の際何らの通知をしない限り自動更新、こういうかっこうで二年、三年と続いていく者を常勤労務職員、こういうふうにこのときに規定しておる。  私は、やはりどこか公務員制度に乗せていただいて、つまり先ほど来お話がありました国家公務員退職手当法であるとか、あるいは共済組合法であるとか、あるいは特別休暇であるとか、あるいは苦情処理、不服審査請求などというものを含めて、不服審査請求などにもいろいろ支障が出てくるようなことでなくて、ここらのところは、現に二十五年も三十年もつとめておる人がたくさんおるのですから、同じ取り扱い、そして給与全体をながめてみた場合に、確かに出来高払い制というものを含んでおりますけれどもそこらも話し合っていただいて、六割で切っておるなんという形の計算のしかたを腹でして、この制度を存続させるということでなくて、つまり結論を言えば差別をなくすということにしていただきたい、こう思っておるのです。それをどうすれば一体できるかという点、ここが論点だというふうに私は思っておるわけであります。そういうことを前置きをして、やはり何らかの制度をひとつお考えいただきたいと思うのですが、総裁、もう一ぺん御答弁をいただきたいのです。
  109. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 事の推移は、いまの二十五年の場合といえども、これは最初に申し上げました定員法系あるいは組織法系あるいは任命権系統の問題でありますので、私どもこのときには受け身の立場に立っておりました。こちらから積極的に出しゃばる立場ではないということで、先ほどことばを濁しましたように、二十五年の事務総長通達ですか、これもなかなかどうもわれわれとしてはまだすっきりそれをのみ込めないという点がございますから、したがってかりにこの問題が再燃した場合には、前向きの態度では検討しますけれども、そのとおりのものをやりますというのは、ここでは明快なる御答弁はいたしかねるということを先ほど申し上げたわけであります。
  110. 大出俊

    大出委員 前向きの態度でやりますという前段がございますので、これはぜひひとつ前向きで——古くて新しい問題をいつまでもほっておくわけにいきません、どこかでやはり決着をつけていただかなければならぬ。少なくとも公務員法のワク内で考えなければならぬ人たちなんですから、そういうふうに実は考えるわけでありまして、いまの世の中で二十五年九月のものをそのまま持ってきてそうしろと言っても無理な話でありますが、これは捨て子されてしまうと三万七千人の人が困るのです。だから、これはどこも責任がないと言わないで、受け身の形でもけっこうだから、やはりどこかで責任を負っていただくところは負っていただく。これは総裁に私から言うのはおかしいけれども、学校の先生の給与の問題だって、ほんとうは人事院が言うべき筋のものじゃないですよ。国会でさんざんこね回して、荒木さん百も御存じだから笑っておるけれども、これは何党も言いにくい、こっちの党も言いにくい、人事院におっつけて出させろということで——総裁首を振っておるけれども、それは幾ら振っていただいてもいいんだが、人事院はそういう責めを負わざるを得ない場合もある。がからひとつそういう意味で、さっき御答弁いただきましたが、山中総務長官自身がそれじゃ舞台の幕をおれがあけようか、しかし締めくくりのほうをどうするかという話、ざっくばらんに言ってしまえば、荒木さんがおいでになって、締めくくりは行管もっていかにこたえるかということが問題になりまして、そこのところさえはっきりしていればおれはやってもいいんだという考え方、そこまで総理府はお考えをいただいているんだから、さっき冗談を申し上げたように、荒木さんのところだってわからないことはない、総裁もいま前向きで、そこまでおっしゃるんだから、関係各省の、つまり政治的にものを考える分野というものはそういう意味でできておると私は思うのです。  職員部長、そこで承りたいのですが、さっきお話をいただいた、つまり常勤労務、私が官公労事務局長時代というのは常勤労務だったのですけれども、この話をされておる。だからそれは公務員法上どうなるかと言ったら、いまの御答弁になったんだから、人事院総裁がいま二十五年の話をされた、だからこのままおっつけるわけにいかぬけれども、前向きに考えるということを申された、こういうことです。やはりそれは責任を負ってもらうところは片棒をかついでいただいて、関係省庁との関係の中で、先ほどの話はわかるが、私の言いたいのは、差別をなくすということを考えなければ解決にならぬ。その差別撤廃ということについて林野庁はどういうお考えを持って折衝されておるのですか。
  111. 齋藤誠三

    齋藤説明員 労使問題といたしましては、差別撤廃ということでございますので、われわれとしても、そういう面のあらゆるものを総合して、そういう労使問題としてと同時に、当局といたしまして、差別撤廃とかいうことばは使っておりませんけれども実態の不合理な点をいろいろ御説明して各省の御検討を願っておるわけでございます。
  112. 大出俊

    大出委員 さて、実態の不合理な点というのは一体どういう点をさすのですか。
  113. 齋藤誠三

    齋藤説明員 先ほど来申し上げましたようないろいろな諸制度の適用におきまして差がある点、それから勤務面におきましても休日、休暇等差がありますが、やはりその基本になりますものはわれわれとしては、身分制度といったら非常に語弊がありますけれども、やはり勤務態様といいますか、常勤であるか非常勤であるかが一つ考え方のよりどころになっておりますので、そういう意味定員外の常勤にしたいということを骨子にしていま折衝しているわけでございます。
  114. 大出俊

    大出委員 いまお話しの定員外の常勤というのはどういう意味なんですか。どういうことをさして定員外の常勤というのですか。
  115. 齋藤誠三

    齋藤説明員 定員外には常勤労務者の制度がございますが、これは給与の目がきまっております。ただわれわれのほうは出来高給が相当部分おりますので、一定定額の常勤職員給与というものはなかなか組みがたいわけでございます。そういう意味で、いま経過的に認められております常勤労務者制度に近い業務費支弁のそういう常勤の労務者といいますか、そういう新たな制度でございまして、現時点では認められておらないと申しますか、常勤労務者制度しかないほかに新しい制度をつくりたいということでございます。
  116. 大出俊

    大出委員 制度にそれを乗せるということになりますと、つまり関係法律の中で、私は差別撤廃と言いたいのですけれどもそこらを含めてどういうふうに変わってまいりますか。
  117. 齋藤誠三

    齋藤説明員 それは常勤になるという勤務態様の違いが第一点でございます。非常勤から常勤でございます。それからそれに伴いまして退職手当法あるいは共済組合法、これは必ずしも制度に直結するものでもないと思いますが、そういった考え方一つの有力な基礎になりまして、定員職員並みのそういう扱いになることができると思いますので、その辺はいま各省で御検討をいただいているところでございます。
  118. 大出俊

    大出委員 この共済組合法にしても十二カ月以上という規定があります。つまりいま目の話が出ましたが、そこらのところが大蔵省その他を含めてなかなかやかましいことを言うところがある。そこのところをやはり踏み切っていただかぬと、林野庁は共済組合法にしろ退職手当法にしろ、それをあなたが定員職員と変わらぬようにしてあげたいと思っても、法律的に技術的にできない。ここに一つの論点がある。そこのところは人事院の側でどういうふうにお考えになりますか。方法ございませんか。
  119. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは非常にむずかしい問題だと思っております。
  120. 大出俊

    大出委員 むずかしいから聞いているのです。
  121. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 よく検討しませんと、なかなかむずかしいのではないかと思っております。
  122. 大出俊

    大出委員 この三万何千かの方の、しかも勤続二十年にも三十年にもなる方がたくさんいるのですから、ほっとけないと私は思っているのです。だから公務員法上の制度的なかつまた技術的な面から、実態はわかっていて、気の毒だと思っていてしてやれないということではいけないと私は思うのです。これは、だからそこを何とか制度に乗せて、安上がりでいいという考え方は捨てていただいて、きのうやきょうつとめたんじゃないのですから、だからそこのところを何とか解決してあげるという気になっていただかぬと、そういう意味で総裁のあり余る頭脳をしぼっていただかぬと、ものが前に進まない、こういうふうに思って心配しているのです。ここのところはむずかしいから聞いておるのです。くどいようですが、前向きで御検討いただけますか、そこのところは。
  123. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど申し上げましたように、前向きで検討いたしますけれども、これは中間的な線を行こうというのですから、しかもこれはみんなわれわれの分野の中に押し込まれてわれわれが大いに苦労しなければならぬという問題でありますから、なかなかこれは軽々しくお答えはできない。十分これは検討しなければいかぬということになるわけでございます。
  124. 大出俊

    大出委員 持ち込んで苦労はするが、捨て子してあるものを拾ってくればたいてい苦労することになっている。だから持ち込まれて苦労するが、いま苦労することになるとおっしゃるのだから、苦労する気ならば、ことばじりをとらえるわけではないけれども、持ち込まなくはない。どこもへたに持ち込むと苦労するから、わしのほうは知らぬ、わしのほうは知らぬ、荒木さんのほうだって、わしのほうは知らぬ。みんなわしのほうは知らぬと言うものだから捨て子になってしまう。力のない林野庁はどうにもならぬということになる。これは一つの水平運動なんですから、落ち込んでいるのがはい上がろうというのですから、だれかが手を貸してやらなければ、手を出して頼むというのを取っ払っちゃいけませんよ。落っこっちゃうじゃないですか。総裁、苦労する気になってくださいよ。いかがですか。
  125. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 苦労する気にはもちろんなります。
  126. 大出俊

    大出委員 苦労する気になっていただきましたので、ついでに、荒木さんそこでいま笑っておられましたけれども、私が心配しているのは——これは理屈をこねてとやかくという気はない。長らく知っている現場だけに気の毒過ぎるじゃないか。しかもその請負の方法はあるなどとおっしゃるけれども、現実にできないではないか。しかも直営直用の形がふえるではないか、そこに三十年からの人もいるではないか、だとすれば、せめて差別というものをできるだけなくすということだけはやっていただきたい、こう思うのです。当然なことじゃないかと私は思うのです。確かにこの設置法のたてまえからいっていろいろ問題はあります。ありますが、やはりこれは前向きで御検討いただきたいと思うのでありますが、行管長官、いかがでございますか。
  127. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 なるべく幸福にしてあげたいという気持ちは私もあります。守備範囲のことから申し上げれば、定員外職員の常勤化の課題は私の知ったことじゃないと言えないこともありませんけれども、国務大臣としてそういう線が出てきました場合に理解ある態度をもって臨みたいと思います。
  128. 大出俊

    大出委員 たいへんどうも前向きでありがたい御答弁をいただきました。実は山中総務長官がお見えになっている場面でと思っておったのでありますが、その場を逸しましたので、先ほど山中長官と私のやりとりを申し上げたわけです。山中さんも筋はいろいろある、あるけれども、しかし、ずいぶん長くつとめている方々で非常にお気の毒だ、そのことは私の鹿児島でも林野の方はおいでになるのでよく知っておる、直接現場の方から話も聞いている、したがって何とかひとつ差別をなくすという方向で努力をしたい。私も実は定員化ということを冒頭から申しましたのは、筋論として申し上げたので、当面現実的なものの考え方、解釈からいけば、どこまでたいへんな差別があるものをなくせるかということなんでございまして、そこらはおそらく林野庁皆さんも長らく苦労されてきただけに数々お考えがあるのだろうと思うのであります。関係省庁と相談をして行政管理庁にお願いをすることになると思うのでありますが、ぜひいまの御答弁のような形で前向きで考えていただきたい、こう思うわけであります。  そこで、実は大蔵省の担当主計官の藤井さんがお見えになることになっておりましたが、御病気で休んでおられるということでございまして、まことに残念でございますけれども、予算官庁の側が、私が推定する限り、定員職員にした場合と現状と比べてみると、六割くらいになっているのじゃないかと思うのです。三割ないし四割、金の面からいけば助かっている勘定になると思うのです。ぜひひとつそこらはいま御出席いただいております関係官庁の皆さんのほうで、金という面でだけ問題にしてはいけません。したがって、ぜひそういう際にはお力添えを賜わりたいと思います。その点をひとつつけ加えさしていただきたいのです。  そこで、これは齋藤職員部長さんに最後に承りたいんですが、お互いに林野庁皆さんも人事院の皆さん行政管理庁の皆さんも総理府の人事局の皆さんも、きょう大蔵省おいでになりませんが大蔵省の方も、事の所在はみんなわかっているはずなんです。三十七年の閣議決定のときにも、自今このおかしげな非常勤と名のつく定員みたいなものはつくらぬというようなこと、だからこの際あるものは全部整理したいということで閣議でものをきめているわけです。ところが、おたくのほうでとった考え方は少しひねりまして、おたくの通達なんか読みますと、まことにうまいぐあいに定員じゃないんだというようなことの理由づけをして末端におろしている。このときの行管とのやりとりなんかからすると、いささか皆さんのほうに非がある、そういう意見が出てきます。そこに非常に大きな責任が私は林野庁にあると思っているんですけれども、当面日にちもないわけでありますから、こういう問題で山で木を切っている人なんか相手にストライキにまで持ち込んではいけませんよ、制度の問題ですから。そこらを何とかする気におなりなのかどうか。いまのやりとりをお聞きになっているわけでありますから、総括的にもう一ぺん考え方を聞かしていただきたいと思います。
  129. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林野庁といたしましては、四十三年以来の労使問題としても懸案の問題でございますので、何とかうまい解決のしかたがないものかと現在各省にお願いしているわけでございます。
  130. 大出俊

    大出委員 これがずるずるとお願いしつばなしでいってしまっては不測な事態が起こる。私どもの好まないところなんですよ、事の性格上。水平運動をやって、一生懸命幾らかでもよくなろうという皆さんなんですから、しかも特殊な職場におることは御存じなんですから、お気の毒ですから、きょうは二十三日でございますが、ひとつ早急にめどをつけていただかぬと困ると思うのでありますけれども、そこの近い将来の展望はどういうことになりますか。
  131. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林野庁といたしましては、数年前から関係省ともいろいろ検討をお願いしておりますが、特に先月以来各省庁をたいへんわずらわしておるわけでございます。そういうことでわれわれもあまりじんぜん日をむなしゅうするわけにもまいりませんので、その結論なり解決策が早く出ることを期待いたしておりますが、林野庁としてはできるだけの努力をしたいと考えております。
  132. 大出俊

    大出委員 ここに資料がありますが、申し上げるひまもなかったのですが、三十六年二月二十八日の閣議決定の「定員外職員の常勤化の防止について」の実状況調査表というのがここにありまして、ここであなたのほうは末端職場の長に対して行政管理庁の通達をうたった皆さんの通達を流しておるわけです。これは多く申し上げませんが、「継続して日々雇い入れることを予定する職員については、必ず発令日の属する会計年度の範囲内で任用予定期間を定めること。」に始まりまして、この通達がある。なぜこのときにもう少し前向きに、今日こういうことにならぬうちに林野庁が大胆にものを言って処理をしなかったかという気が実は痛切にするのです。ただ繰り言になりますからやめますけれども、いまお話がございましたように、関係省庁に早急な結論をということでお願いしているというお話と、またひとつここで早急な結論をということで林野庁は努力をする、こういうお話でございますから、私は基本的には定員化すべきであると考えているのですけれども、当面の問題の処理のしかたとしては、さっきから申し上げておりますように、どこまで関係法律を適用できるか、どこまでその意味における差別をなくせるかというところあたりに大きくウエートを置いて、いわゆる常勤性の付与というのは何であるか、どこまでのメリットがあるかというそこのところを早く明らかにしていただいて、問題の解決に当たっていただきたいとお願いしたいのです。御努力をいただきたい。いかがでありますか。
  133. 齋藤誠三

    齋藤説明員 林野庁としてできるだけの努力をいたしたいと思います。
  134. 大出俊

    大出委員 理事懇談会の予定もございまして、あまり長い質問をしているわけにまいりませんので、こまかいことを避けてまいりましたが、よろしくお願いしたいと思います。  それから荒木長官に承りたいのでありますが、十一月の閣議決定なり十二月の閣議決定まであるはずでありますけれども、今後の行政機構その他を含む、つまり簡素合理化という問題を含めて、一番当面いたしますのは、四十五年八月二十五日の人事院勧告の完全実施をおきめになったときにお出しになったものが基礎になっておると思いますが、おおむねどういう方向でこれからお進めになるおつもりなのか、そこらのところを概略構想をお示しいただきたいと思います。
  135. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答えいたします。  一つには、総定員法と相並んで、定員管理のことは総定員法でまかなえますが、組織機構の拡大について同様の考慮のもとに、国家行政組織法改正をもくろみまして御審議をお願いしておるわけでございます。それが一つと、現行の定員五%削減計画をさらに推し進めまして、第二次の削減計画予定しております。昭和四十六年度実施予定のものを含めますと、非現業については九五・三%、五現業については一〇〇%実施する内容のもとに、同じく三年間にこの目標を達成すべく努力をするつもりでございます。
  136. 大出俊

    大出委員 管理局長の河合さんに承りたいのですが、具体的に少し突っ込んでどこをどういうふうにするかというようなところを。この間河合さんではありませんでしたけれども行管皆さんおいでになったときに承りましたら、相当具体的にものをお考えのように私に言っておられましたが、いま長官が大筋をお話しになりましたが、そこから先のところをどうお考えでございますか。
  137. 河合三良

    ○河合政府委員 ただいま長官から申し上げました全般の方針の内容についてお尋ねがありましたが、まず第一に八月二十五日、それから十一月二十日、十二月二十二日の閣議決定三つを通じまして、行政機構の簡素合理化閣議決定をお願いしております。また、それに関連いたしまして、そのうちの法律事項に属する分につきまして、国会の御審議をいただくべく提案をすでにいたしております。これは内容行政機構の簡素合理化でございますが、十一月二十日の閣議決定におきましてその基本方針をきめております。  その基本方針は、大きく分けて二つございまして、第一は、国家行政組織法改正による組織編成の流動化、弾力化でございます。第二点は、地方出先機関の整理等でございまして、おもな点は、現在ブロック機関と府県段階の機関と出先機関として両方ございます機関につきましては、現行のような社会経済情勢の発達あるいは交通通信事情の発達というような点から見まして、より合理的な業務の運営のしかたがあるのではないかという点から検討いたしました結果、六つのブロック機関及び六つの省庁の出先につきまして、その府県段階機関の簡素合理化をはかる案を立てたわけでございます。そのうち三つにつきまして今回の法律案として御審議いただく予定でございます。それからさらに府県段階よりも下の非常にこまかな出先機関につきましては、その幾つかにつきまして、たとえば食糧事務所の出張所でございますとか、あるいは統計調査事務所の出張所でございますとか、あるいは地方法務局の出張所でございますとか、そういう点につきまして、やはり現今のような交通通信事情の発達という点から考えまして、国民の利便を害さない範囲でできる限りそういう零細な、あるいは分散度の高い小さな組織を統合するということを考えております。それが行政機構の簡素合理化に関する閣議決定でございます。  また、三年五%削減計画につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、現行の三年五%削減計画につきましては、非現業につきまして約九五%を若干上回る達成率でございますし、現業につきましては一〇〇%の達成率でございますが、八月二十五日の閣議決定に従いまして、今後四十七年から三年間に五%を上回る削減計画を立てるという予定でございまして、この具体的な内容につきましては、いまだきまっておりません。今後も検討いたす所存でございます。
  138. 大出俊

    大出委員 四十五年八月二十五日の閣議決定によると「この場合、非現業の一般の職員については、年間九%程度を目途に削減する」こうなっていますが、この九%というのは何が基準ですか。
  139. 河合三良

    ○河合政府委員 非現業の一般行政職員という範囲もまだ完全に確定いたしておりませんで、非現業の一般行政職員全部が九%ということには確定いたしておりませんが、そのうちで離職率の三年間九%という削減が可能なものにつきまして、またその業務の態様におきまして削減可能なものにつきましては削減をする計画を立てるということでございまして、九%と申しますのは大体公務員全体の平均の離職率から考えまして、この程度の削減は業務の態様によっては可能ではないかということから考えたわけでございます。
  140. 大出俊

    大出委員 そうすると九%というのは非現業の一般の職員の離職率、それが九%、こういう意味ですか。
  141. 河合三良

    ○河合政府委員 新規採用その他いろいろと考慮に入れまして考えておりますが、現在はっきりした数字は明確に覚えてはおりませんが、非現業の一般行政職員の離職率は年四%をこえているはずでございます。そういうことでございますので、三年間九%と申しますと年間三%になりますので、その離職率の範囲内でまかなえるわけでありまして、若干の余裕ができるというふうに考えております。
  142. 大出俊

    大出委員 そうするとそのやめた人、その定員だけ落としていく、早い話が、そういう発想ですか。
  143. 河合三良

    ○河合政府委員 欠員を補充せずということでございますので、大体いまのお話のとおりかと思います。
  144. 大出俊

    大出委員 あらためて承りたいのですが、「三年間に五%を上回る削除」というのがこのあとにありますね。つまり「特別の配慮を要する職員を含め非現業職員全体として、三年間に五%を上回る削除を行なうものとする。」一体この基準はどこにありますか。
  145. 河合三良

    ○河合政府委員 「五%を上回る」という表現が非常にばくといたしておりますので、その点につきまして明確なお答えができないことは申しわけないと思っておりますが、三年間五%というものをどこまで上回るかということにつきましては、現実に各省庁との話し合い、いろいろの折衝、御相談の上できまることになると思います。
  146. 大出俊

    大出委員 まあつかみで、この辺でやろうじゃないかということですな。要するにあまり確たるものはないですね。まあ五%以上にしておけということになったんですか。
  147. 河合三良

    ○河合政府委員 まあ最低五%という意味でございます。
  148. 大出俊

    大出委員 だからそれが非常に前近代的だと私は言うんです。これは恒常的な職、その恒常的な職を法律によって定員にするわけですから、そういうものの筋道からいけば、霞が関のヘドロ役人なんということを週刊誌が書いたりするんですけれども、パチンコばかりやっている。そこら辺の虎の門の近所のパチンコ屋に行けば、昼から二時三時まで、みんな霞が関近辺の役人が袋をさげてパチンコをはじいているというようなことが書いてある。ところが、現場のほうにいくと、飯も食えないでやっている。そっちのほうに三年五%なんということをやってきたら腹を立てる。真剣になっている連中がたくさんいる。行管なんか何ていうことを言うんだ。しかもその地方支分部局のところへ全部一生懸命ものを持っていこうとする。つまりこういうことを言い出す前に、そのいわゆるヘドロ役人ならヘドロ役人をなくさなければいかぬならなくさなければいかぬで、やはりはっきり強いところであっても、こういうわけだからこれは要らないんだということを出したらいい。それが三年五%なんといってかんなをかけるものだから、弱いところ弱いところにしわが寄って、そこばかり減っていく。こういうことでは、これは庶民一般に行政サービスの行きわたらないという面、先ほどそういう面で支障がないようになんておっしゃるけれども、全くこれは本末転倒なんですね。聞いてみれば五%以上、何が以上かはっきりしないのだという。今度はここで聞いてみれば、閣議できまったと言うんです、非現業の一般職員については。非現業一般職員というものは何か、これはきまっていない。きまっていないものを、閣議でこんなものをこしらえて発表するから、おれのところは非現業だと思っているところは大騒ぎになってしまう。こういうきわめて不親切なやり方というのは私はおかしいと思うのです。  前から何べんも言っているのだけれども、各省庁行政機構というのをながめてみて、ほんとうに行政というのは何のためにあるかということはもう繰り返すまでもないので、そういった中で、こういうふうに積み上げていったらここのところはこう要らなくなったのだという、やっぱりちゃんと絵をかいて見せなければ、そうするとそれはこのぐらい減るんだということにならなければ、何か知らぬけれども何%ぐらいでいこうやぐらいの調子の出し方では、それはそれで生活している末端の公務員はたまったものじゃないですよ。そういうところに説得力のない方針がいつも出てしまうということになる。もう少し行政機構全体を考えてみて、たとえば一つの省だけでもいいから、この省全体を当たってみたらこういうふうにすべきなんだという、そしてどう間違っても末端における行政サービスが市民一般に対してあるいは庶民一般に対して落ちないように、ここに中心がなければならぬ。現業というのはどこを現業というかといえば、庶民と接触しているその接点が現業なんです。郵便配達している人が現業なんです。管理職は山ほどいたって意味はないのです。この中に公団まで入っているでしょう、これを見ると。三公社、公庫、公団。私はかつて公団の質問をここでずっとしたことがありますけれども皆さんは公団をちっとも知っちゃいない。いないでこんなものをばっとくっつける。公団の中に住宅公団もある。私はこの間住宅公団の機構について、こんな頭でっかちな——新日鉄という日本一の会社ができたんだけれども、この頭とあとのファンクションもラインとスタッフと両方ありますけれども、それを全部合わせてみて、比率をとってみて、住宅公団なんというのはあの新日鉄の機構の倍ぐらい頭がでかい。こんなばかな機構はないという話をこの間したんだけれども、それは全部関係官庁から行った方々ばかり。  だからこういうふうに出すなら、どこがどうなんだということをやっぱり具体的におたく資料を持っていて、閣議できまるときには出さぬでもいいけれども、われわれ機構を扱っている内閣委員会ぐらいには、こういうふうに書く以上は公団というのは一体どうなんだという形のものを出し説明しなければ、これに準ずる——準ずるなんていったってさっぱり真に準ずる腹もなくていったってしようがないので、そういうところをなぜ一体お出しにならないのか。この間から何べんも私は、具体的にやっているとおっしゃるから、じゃ具体的にやっている資料をくれと言うんだけれども閣議決定だけあってそこから先は何もない。何もないんじゃ論議のしようがない。これは設置法の改正一つ出ているけれども、合わせて三つしかない。それじゃ私は困る。あの法だって、では一体将来どうなるのかと言ったら、いや当面はこうなんだ、人は減らない、こういう説明だけです。それでは困るでしょう。だからやっぱりこれはもう少し、なるほどここまで考えているのかということがわかる、そういう仕事はできぬですか、行管で。
  149. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  三年五%削減計画につきましては、ただいま御指摘のような内容につきましてこれから各省庁と十分に打ち合わせをいたしまして、はっきりした数を閣議決定いたす予定でございまして、八月二十五日の閣議決定は方針を定めたのでございますので、これは具体的なものはまだきまっておりません。もちろん御承知のとおり、それぞれ各省庁行政の責任は各省大臣がお持ちになっておられるわけでございますので、各省大臣の責任を遂行されるという点と、それから定員の管理につきまして、簡素合理的な定員の管理をしていくということとの接点でこれを処理していきたいということで、十分各省庁、その仕事がやりにくくならないように御相談申し上げるべきだと思っています。  また、機構のほうにつきましては、これは十二月二十二日の閣議決定にはある程度具体的にこの内容も書いてあるつもりでございますし、さらに、さらにこまかな点につきましては、これは五カ年間の計画になっておりますので、ずっと先までどうということはきまっておりませんが、当面につきまして若干きまっているものもございます。これはまたいろいろと機会をとらえまして御説明を申し上げたいと思いますが、十二月二十二日の閣議決定にはある程度具体的にこれを載せてございます。それにつきましてお手元にお届けいたしてあったつもりでございましたが、その点、閣議決定をごらんいただきますればある程度の具体的なものは出ているというふうに考えております。
  150. 大出俊

    大出委員 具体的なものがやはりあるようなお話でございますが、それを一つ一つ端から承れば私にもわかると思うのでありますが、そこら時間をいただければ一つずつ端から——いつかどうしても資料をお出しにならぬから、河合さんが管理局長におなりになって間もなく、端から聞いたら全部言っていただいたこともありましたが、聞いてもいいのですけれども、ただ、ここで時間の浪費をするとどうも理事懇談会が開けないということになっても困りますから、したがって、ひとついまお話しのこまかいことを、お考えならばお考えのように、これは閣議決定にこだわらずに、閣議決定の背景になるあなた方のこういう計画を立てているのだというのであればそれをぜひひとつ早目に出していただいて、省渡り配置転換だなんということになって各省庁いろいろ騒ぎがありますから、そこのところはぜひ、早目にお出しいただきたいのですが、出していただけますか。
  151. 河合三良

    ○河合政府委員 ただいま御審議をお願いいたしております設置法改正及びこれに関連いたしまして閣議決定いたしました十二月二十二日の閣議決定——失礼いたしました、これは閣議決定でございません、閣議報告でございましたが、それの内容につきましては若干こまかいものについて御報告するようにいたしたいと思います。
  152. 大出俊

    大出委員 それじゃその資料をお出しをいただいて、その上で、まだ私のほうはその気はありませんけれども行政管理庁設置法あるいは特にまたいまごろ国家行政組織法なんというものを出して一体どうするおつもりなのかどうか疑わしいのでありますけれども、選挙が始まっちゃって選挙休みで、今度は連休が来ちゃって、そのあと参議院選挙休みだというときに国家行政組織法などお出しをいただくということは私のほうは当惑するわけでありますけれども、できるだけひとつ資料出していただいて、そういう際にまた質問さしていただきたいと思います。  たいへんきょうはお忙しいところ恐縮でした。
  153. 天野公義

    天野委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後二時三十二分開議
  154. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  155. 大出俊

    大出委員 今回のこの設置法についてでございますが、統計調査部を情報管理部に改組するということがございますが、もうひとつこれを具体的に御説明をいただくとどういうことになりますか。
  156. 高林康一

    ○高林政府委員 現在統計調査部がございますけれども、今後の調査、解析というようなものを考えていきますと、やはりコンピューターなりその他通信回路等を利用いたしまして、いろんな情報を集積しかつそれを解析していくということ、そういうことがやはり調査といたしましては一番必要になってくる、また今後動態的に統計調査を処理いたしますためには、そういうようなコンピューター等の利用が一番必要になってくるというふうに考えられます。それで、それに対応いたしますところの組織というものを従来の統計調査のほかに対応する組織を確立したいと考えておりますのがこの情報管理部への改組の基本的な考え方でございます。
  157. 大出俊

    大出委員 自動車関係の登録にコンピューターを、つまりデータ通信だろうと思うのですが、始めてどのくらいになりますか。
  158. 高林康一

    ○高林政府委員 始めまして大体四年ぐらいでございます。
  159. 大出俊

    大出委員 これはあした逓信委員会で私、質問をこまかくその辺をしようと思っておりますが、この登録業務についてのデータの導入というのは四年の経過の上に立ってどの程度簡素化されたというふうに数字的にお考えでございますか。
  160. 高林康一

    ○高林政府委員 現在自動車の台数が非常にふえております。この非常にふえておりますにもかかわりませず、大体四十一年の定員に対しまして今日の定員というものは倍に足らないような程度でこれを進めていく、まあ不十分な点もございましょうけれども、常異な自動車の伸びにもかかわりませず、大体倍足らずの定員でもってこれを処理することができつつあるということ、これはやはりそういうようないろいろデータを入れたということによっての一番大きな効果であるというふうに考えております。
  161. 大出俊

    大出委員 これは公社あたりからすると、回線をもって地銀協だとかいろいろなところに情報処理機能を持たした形で、試行段階から、これから実際に回線開放まで含めてやっていこうというわけでありますが、将来の展望といいますか見通しといいますか、皆さんがここに情報管理部というものを改組してつくろうというわけでありますから、運輸省全体の業務の中で情報管理部にするという以上は相当な部門の計画がなければならぬと思うのでありますが、そこらの展望を大体どうお考えになっておりますか。
  162. 高林康一

    ○高林政府委員 現在運輸省関係所管事業といたしまして、たとえば日航あるいは国鉄あるいは日本通運、それらのところでかなりの程度、たとえばみどりの窓口というようなもので、いろいろ機械の導入によりまして相当の事務能率、サービスの向上ということをはかっておるわけでございます。そういうような点、今後の考え方といたしましては、やはり基幹輸送部門でありますところの航空あるいは鉄道あるいはトラックのいろいろな輸送、そういうようなものについてデータセンターというようなものを考えていく必要があるであろう。そういうようなデータセンターといたしまして、運輸省の組織といたしましてこの情報管理部というようなものが中心になって機能していくことが必要であろうというふうにおぼろげながら考えておるわけでございます。そういうような点で、いまございますところの各種のデータをここの情報管理部におきますところのシステム分析というような組織によりまして、なるべく広く交通体系全体に通じますところのコンピューター化というものをそういうような情報管理部を中心といたしまして進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  163. 大出俊

    大出委員 もう少し具体的に、統計調査部を情報管理部にするとなりますと、中身がどう違いますか。
  164. 高林康一

    ○高林政府委員 まず定員的には、統計調査部を、現在八十一名でございますけれども、これを八十五名にするというふうに若干変わりますのと、従来の統計調査部の組織を改めまして情報管理課というようなものを設ける、あるいは情報解析課というようなものを設ける、あるいは情報システム企画官というものを設けたい。この情報システム企画官というようなものによりまして、いま先生御指摘の全体的な運輸交通のシステム化というようなものを中心として進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  165. 大出俊

    大出委員 もう一つ聞いておきたいのですが、電電公社の公衆電話等の回線を使うという形が当然考えられるのだろうと思うのでありますけれどもそこらは、公社との間はどういうふうになっておりますか。
  166. 高林康一

    ○高林政府委員 公社の検査登録事務につきましても、電電公社と緊密な協力のもとに、電電公社のいろいろ提供される材料によりまして、これもシステム化をはかってまいったわけでございます。運輸省行政につきまして、御指摘のございましたような全般的な情報化というものを進める必要がございますので、これを電電公社と目下のところは私どもとの間で、どういうふうにやればいいか、その辺の考え方なんかをいろいろ討議しておるという段階でございますけれども、いよいよ諸組織が発足いたしますれば、さらに電電とより一そう緊密な連携を保っていろいろ材料をもらいながら進めていきたいというふうに考えておる状況でございます。
  167. 大出俊

    大出委員 地銀協などの例をとりますと、これデータを始めてかれこれ五年くらいになると思うのですがね、いまだに電電公社の側から見ると大赤字になっておりまして、赤字の累積になっているわけですね。運輸省は将来情報管理課までつくって、現在のこの官房の統計調査部を改組しよう、こういうわけでありますが、予算等を含めた規模というのは一体どのくらいのことになりそうでございますか。
  168. 高林康一

    ○高林政府委員 情報管理部の四十六年度におきますところの予算は、二億八百万を予定しておりまして、四十五年度は一億七千九百万でございます。さらに、今後これの質的な内容の充実をはかってまいりたいと考えております。
  169. 大出俊

    大出委員 旧来自動車部門その他について毎年やりとりをしてまいりましたが、コンピューターを入れてという話が出てまいりましたのが、鈴木さんが自動車局長をおやりになる少し前からでございましてね、そこらも一ぺん少しこまかく資料を、採算、不採算がございまして、公社側から見て採算とれぬものをほっぽっておくわけにいかぬわけでございまして、どうもやればやるほどいまのところは赤字で、電話料金のほうの収入で埋めているというのが現在の状況であります。これは明日逓信委員会で私、質問をするつもりでございますから、こまかくは触れません。なお、この設置法にからむ改正の二点、附属機関の例の航空保安職員研修所の名称変更等がありますが、これは同僚の横路孝弘君がこのあと質問をする予定を立てておりますので、そちらのほうの質問等をながめましてあらためて質問したいと思います。  その間、これはもうここ五、六年、私質問を続けてきている問題なんでありますが、きょうは労働省の皆さんにもお見えをいただいておるつもりでありますので、また総理府からもお出かけをいただているのでありますが、港湾労働法ができまして久しくなるのでありますけれども、最近の港湾の就労状況その他をながめておりますと、常用日雇い登録、日雇い皆さんの締め出しといいますか、仕事が全くなくなるという現実がありまして、どうも業の皆さんの地区審等の中における発言等を見ますと、きわめて穏やかならぬものが実はあるのでありまして、そこらの問題をまず承っておきたいのであります。  そこで、この調整審議会がございますのは総理府でございますが、総理府の側で定数その他をおきめになっているわけでありますけれども、そちら側から見た今日の港湾労働現状は、これは一体どういうふうにおとらえになっておるのか、まずひとつ冒頭に御報告をいただきたいのであります。
  170. 葛西嘉隆

    ○葛西説明員 御承知のように、港湾調整審議会は港湾労働法に基づきまして労働大臣の諮問に対しまして毎年度ごとに港湾雇用調整計画、これを審議いたしまして、答申いたしておるわけでございます。一番最近の、昭和四十六年度の港湾雇用調整計画の諮問がございまして、その答申を本年の三月十三日に出しております。  お尋ねは、港湾労働者の数ということでございますが、御存じのように六大港でございますが、それは六大港全体で港湾労働者の数は七万五千九百七十人、このうち登録日雇い労働者をもって充足する数が八千六百二十人、かように相なっております。
  171. 大出俊

    大出委員 いまのは四十五年三月十七日のですね。そうでございますね。
  172. 葛西嘉隆

    ○葛西説明員 四十六年のでございます。
  173. 大出俊

    大出委員 そうですか、四十六年度となりますと、これは本年四月からになりますな。  念のために承りたいのですが、四十五年三月十七日に出されておりますね、そちらのほうはどうなっておりますか。いま、来年度でなくて、今年度えらいことになっておるわけでありますから、今年度の分についてひとつ再度お答えいただきたい。
  174. 中島寧綱

    ○中島説明員 四十五年度の港湾の雇用調整計画の中で人数をきめておりますが、それは御承知のように、港湾調整審議会の答申をいただきまして、そうして労働大臣が定めております四十五年度の定数は総数が七万六千五百五十でございます。その中で日雇いをもって充足すべき数が九千七百八十でございます。ちなみに、常用は六万六千七百七十人になっております。
  175. 大出俊

    大出委員 この三月十七日の答申によりますと、——労働大臣あてに出ております。ここに現物がございますが、港湾調整審議会、石井さんの名前です。幾つかこの中に問題があるのでありますが、登録日雇い労働者の数、これがここに約五千五百人、三六%、五千五百人をこえる減少となっている。たいへんな減少ぶりなんですね。これは一体この原因はどこにあるとお考えでございますか。
  176. 中島寧綱

    ○中島説明員 労働省のほうからお答えいたします。  この総理府の港湾調整審議会のほうから出されております建議の中身になるわけでございますが、五千五百人をこえる数となっておるという状況とか、理由でございますが、これは御承知のように港湾運送の場合、コンテナ化とか、あるいは輸送の機械化、設備の近代化等で、漸次できるだけ常用労働者でもって充てよう、あるいは全体の数からいって生産性が伸びておりますので労働者を少なく使う傾向がある程度あるわけでございます。そういったことを含めて日雇い労働者の数が漸次減少してきておる、こう思っております。ただ、そうすると常用労働者の数がどのように推移しているか見てみますと、常用労働者の数は減少ではなくて若干漸増の傾向を示しております。これはいま申しました機械化、近代化等によってできるだけ常用でまかなおうという傾向が出てきておるのではないか、こういうことも見られるわけでございます。
  177. 大出俊

    大出委員 これはあとからこまかく詰めますけれども、中島さん、この間私はあなたと話をしたから、あまりどうもこの席であなた困るようなことを言ってもしようがないのですけれども、ただ私はきょう問題を解決したいので取り上げたいと思っておるわけでありまして、そういう角度でひとつお答えをいただきたいと思っております。また、いただければ幸いだと思っております。  実はいまの文書、石井さんの答申、正式に申し上げてもいいと思いますが、四十五年三月十七日、港湾調整審議会の会長石井照久さんの答申、これによりますと常用港湾労働者について見ればその移動は激しく、昭和四十四年の離職者数が二万八千九人、入職者数、これが二万九千五百三十三人ですね。だから平均して四四・三%の離職率。これは各業種どう並べてみたってこんなべらぼうな離職率はない。半分かわっちゃうばかはない。中には六〇%をこえる港もある。常用労働者の六割がやめちゃうのですね。そうするといま言われる定着しつつあるというのはまっかな偽りで、一つも定着していない。ただ頭数からいって、ひどい港は六割やめちゃって入れかわっているわけですね。入れかわっているんだけれども、しかし頭数からいけば多少はふえてきているという傾向にある、こういうことになる。職業安定という立場からすると労働省の所管事項からいえば、これは中島さん労働省でございますから、こういう不安定な職場をほっておくわけにはいかぬ。また運輸大臣の側からいけば、港湾には三・三答申なるものには業の立場というものが明確になっている。労働者だけじゃない。だからこそ集約という問題も出てきているわけであります。近年三・二七答申もあるわけでありますから、そうなるとそこらの問題を含めて考えた場合に、何とかこれは行政的な面から、港湾労働法の趣旨もあるわけでございまして、常用そのものについてもこれが日雇い化するのではなくて——この現象というのは早い話が日雇いですね。きょう入ってきたかと思うとあしたやめちゃうという形ですね。ですから常用といまおっしゃるけれども、そちらが定着してきつつあるというのはとんでもない話で、常用自体がまさに日雇いですね。こういうことなんです。これくらい不安定な職場というのは世の中にはない。そうすると業の諸君は一体どう考えているのかということがまず問題の一つになってこなければならぬ。それは運輸省のほうの所管。そうなると、これだけ不安定な職場をほっておくということになると、これは労働省の側の所管でございますから、つまり運輸省労働省双方の側から考えて、どうすればいいかということが当然出てこなければならぬ筋合いだと思う。  そこで振り返ってもう一ぺん、日雇いのほうをながめてみますと、これは五千五百人、三六%をこえる減少になっていると言うんだけれども、ずいぶんがまんをして長年港で働いていた、たとえば上肩の皆さん、重量物運搬をやっている人の例をとると、横浜の港なんかではまさにこの方々が昔なつかしいというくらいの歴史を持っているんですね。だからここの方々にお目にかかって話を聞いてみると、一生やる商売なんだという認識。ですからそれがよしんば登録日雇いであってもがまんをして、いかに苦労をしてもおれは上肩なんだというので長い間やっているというのですよ。だからいまだに、たいへんなものをかついだっていともかろやかに処理をするという方々がずらっとそろっているということですね。それが時代に追いつかないものであるとすれば、将来の展望をやはり立てなければならぬ。官庁の立場から職場環境の変化あるいはコンテナ化その他の問題とあわせて、どういうふうに職業の安定という意味で指導すべきなのか、業はどういうように対処すべきなのか、そこらが出てこなければならぬ筋合いですね。だからやむなく仕事がないからといって減っていく、こういう現象がある。  さてそこでもう一つ大きな問題は、これははっきり承っておきたいのでありますが、皆さんがいま口にされない、されないのだけれども、いま横浜の港には上肩の皆さんの職場に千名くらいの——私は千名をこえていると思っておりますが、千名をこえる季節労働者の皆さんが入ってきている。四月になればばらばらみんな東北の寒村等に帰っちゃう方々、十一月ごろになるとまたばらばらやってくる。この方々は実際にはやみからやみなんです。そういう形のものをなぜ一体放任しておくか。長年やってきた上房の皆さん、この方には歴史があるから、賃金なんというものについてもそう値切れない。だが季節労務者で入ってくる方々については、どこでもこれは働くのですから、そうすると安いからいいわでそっちのほうを入れていくことを認めるとすると、これは何のために所管の省が、運輸省があり労働省があるのかということにこれはなる。なぜ一体港湾労働法というものをつくったかという淵源にさかのぼらなければならぬことになるということで、ここらの現状を、いま労働省の中島さんのお話では季節の問題が出てこない。ただ単にコンテナ化であり機械化であるということしか出てこない。そうではない現状があるから、そこのところを一体どう認識するのかということが前になければならぬ、こう思うわけでありますが、そこらのところはどうでありますか。
  178. 中島寧綱

    ○中島説明員 いまお話がありました点についてお答えいたします。  一番目に常用の問題が出てまいりました。常用の問題が、雇用安定の関係からいまのままでいいかという意味の御質問だと思います。御指摘のように昨年の港湾調整審議会の建議の中に、常用労働者の移動率が四四%にのぼっておる、こういう指摘がございます。この率は四十四年中の率でございましたが、四十五年は若干落ちてはおりますものの、まだ四三%程度にのぼっております。これはほかの産業に比べまして、ほかの産業は約二〇%程度の移動率でございますから、それの二倍程度にのぼっておる。これは御指摘のように常用労働者の雇用安定ということはなかなか望めないことになります。でありますから、こういった方々が港湾労働の職場に長く定着してもらって移動率が減るようにすることが雇用安定の第一でなければならぬと思います。そのためには現在働いております常用労働者の労働条件雇用条件、こういったものがレベルが高くなって、落ちつくような方向に進まなければいけないのではないかと思います。  それから第二の季節労働者の問題でございます。季節労働者は、御承知のように通常横浜あたりに参ります者は東北地方を中心としました農閑期の利用者でございます。でありますから、大体十一月前後から三月前後まで働くのが普通のことになっております。この数は私どものほうでなかなかっかみにくいわけでございますが、これは港湾労働法のたてまえからいいますと二カ月以上の雇用期間になりますので、一応常用労働者として法律上は扱うことになっております。でありますから、この季節労働者が常用労働者の中に入ってまいりますために、この意味からでも移動率は高くなってくる、こういうことも言えるだろうと思います。ところがこの季節労働者の雇用ということは、港に登録しております日雇い労働者の仕事のほうと競合するわけでございます。端的にいいますと、季節労働者を雇用しますと、その分だけは登録日雇い労働者が要らなくなる、こういうことにもなります。その意味で、登録日雇い労働者の雇用の場を減らすことにもなりますので、先ほどお触れになりました昨年の十一月三十日の港湾調整審議会の建議の中にも、季節労働者は原則として使用しないこと、こういうふうな建議の一項目が出ておりました。私どもは、この季節労働についてはそういう問題をかかえておりますので、これを減らすように、なくすように、四十六年度は労使の御協力を得て努力してまいりたい、こう思っております。
  179. 大出俊

    大出委員 いま審議会の建議の中身というものが中島さんの口から出ましたが、もう一つここでつけ加えて大臣にひとつ承りたいのでありますが、相変わらずいわゆる旧来いってまいりました門前募集といいまして、港労法十六条ただし書きによって、法の抜け道でございますけれども、つまりやみ紹介あとを断たない。横浜の場合相当数ありますね。もう少しこまかく申し上げてもいいのですけれども、三年ばかり前に、やみ紹介、やみ手配師というのがいて、雨が降れば何がしかの金をやっている。そして自分のやみ手配の組織というのを確立をしている。三十七名ばかりやみ手配師の所在から名前まで明確になっておった。この方々について、私は実はやみ紹介をみずから入っていって受ける一人になって、一カ月まるまるこの港へ通った。つまりやみ手配に乗って働くギャングかせぎをしている方々、一緒になってやって、毎日金をもらって帰ってきたのをずっと一カ月全部内訳を並べて資料にして、実は私ここで質問をしたことがある。初めて承ってたいへんなことだというので、これは明らかに法律違反である、雇い入れているほうもたいへんなことになる、こういうことで、将来に向かってはそういうことがないようにしたいという実はお話をいただいた。これは栗栖さんの時代でない前の時代でございますが、責任の継承の原則というのがありますが、局長もおかわりになりましたからその責任追及はしませんが、自今しからば一体どうなっているかということで最近また少し調べてみた。ところが減るどころの騒ぎじゃない、ふえている。アパートの小部屋を借りまして、その中に一人女性がおって、夜の夜中の二時、三時に電話をかけて手配をやっている。手配師の奥さんか彼女か知りませんが、そういうことです。夜が明けてやみ手配が全部片づいて終わると、この方はサウナぶろへ飛び込んで寝るという仕事をずっとやっているんですね。まことに立体的に組織化されて、完全に根を張ってしまった、こういう状態です。だからこちらのルートに乗って入っていく。ちゃんともう業の方々はその手配師にあらかじめ金をやっている。雨が降るということになると、すぐそれというので全部手配をする。金をもらっている。日雇い港湾労働者の皆さんのほうは、法に基づいて正規に登録しておられる登録労働者だ、この方々はまともに安定所に出頭する。港湾労働職業安定所に出頭する。だから今度はこちらのほうは——ここに港湾労働手帳が、横浜の安定所で配ったやつが全部あります。これだけあります。これもあなた方が公に出しておられる青手帳、全部ナンバーが入っている、写真も入っている。これ、どれをとらえたって——今月です。きょうは二十三日、この一番最初にありますのは佐藤勘治さんという方のです。うしろへきょう傍聴でお見えになっていますが、この方はわずかに二回しか紹介にありついていない。全部これ、判こついてありますね。これは一日から始まって十日に一ぺん輪番で回ってきた。あとは二十一日、こうなると、輪番紹介という形式をとっておられますから、順番がきまっている、登録してあって。順番によって働きにいく。そうすると、この一面が一カ月分です。二回しか紹介がないとすると、二回しか働かないとすると、あと判こがべたべた押してあるのは仕事がなかったということで、調整手当は払っている。つまり俗に言えばあぶれ手当というやつです。言うならばこの登録日雇い皆さんの日雇港湾労働者手帳というのは不就労証明書だ、就労ございませんという証明書です。それでもなおかつまじめに皆さん出ているんですね。輪番で回ってこないんだからしようがない。これは来ないという背景に、さっき申し上げた、一つは季節労働者の皆さん一つはやみ手配でがっちり根を張ってしまったということ——業の方々はこちらのほうが得なんですね。健康保険だ、やれ関係三法だとかいう法律の分担金はみな払わぬで済むわけですから。しかもこの雇用調整手当に関する負担も免れるでしょう、数が少ないし、表に出ないですから。そういうことになっているという現実があるにもかかわらず、これをほっぽっておいて一体いいのかどうかという問題が、まずあるわけであります。  したがって、私はここでひとつ大臣に承りたいのは、この石井照久さんが、さすがにこれは見かねて、昨年四十五年十一月三十日——四十五年三月十七日にまず答申をした。港湾調整審議会で、港湾労働常用日雇いはこのぐらいのことにしてこういうふうにやるのだということを各港別に出した。ところが、さすがに石井さん専門家でございますから心配をされて、昨年十一月三十日、わざわざこの文書を持って橋本運輸大臣に直接会って、石井さんの言によれば、とくと御説明をしてお願いをしたというのです。これは昨年の十一月でございますから、いま本年三月でございますので、もう四カ月ばかりたっている。この中に、さっきお話しの季節労働者というのはこれはいかぬのだ、港湾労働法の趣旨からいって、日雇の港湾労働者、登録日雇い皆さんの職場を狭くする、あるいはみななくしてしまう、まずいということを特に指摘をしておる。ここらのところを、受けておられる大臣として、この常用日雇い化の問題、さらに日雇い港湾労働者の皆さんの職場がなくなってしまうという問題、ないのじゃない、いま申し上げた二つの大きな理由があってなくなってしまうということ、これは放任できる筋合いかどうかという問題、法律もあるわけですから、港湾労働法がございますから、、そこらを一体大臣、どういうふうにお考えになっていますか。
  180. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 石井さんが昨年の暮れに参りまして、一時間ほどいろいろ説明を聞きました。私もその方面はふなれでありますので、港湾局長も同席しまして、そうしてとくと石井さんの説明等についてお聞きしたのですが、石井さんもなかなかむずかしい問題であるということをおっしゃっていました。やはりやみ手配師の問題及び、まあいろいろ政府行政指導をして、そうして一つのきまった組織を進めていくという努力をしておるようだけれども、なかなかやはり性質柄、どうも実効があがっておらないようである。私もその方面についてはもちろんこれは不案内でありますので、いろいろ港湾局長なりまた労働省とよく打ち合わせて、そして石井さんが持ってこられたこの案に対する対処を十分に考えて善処するようにという指示はいたしてまいったのでありますが、いま大出さんが言われるように、その実効がなかなかあがっておらないことはまことに遺憾と存じております。詳しい具体的な問題については港湾局長からも御説明があると思います。
  181. 大出俊

    大出委員 まあ大臣、これはあんまり気の毒で私も見ていられぬものですから、たくさんございますが、参考までにここに幾つかありますので、これは就労をしたのです。(大出委員、手帳を示す)あとはこれは全部不就労で、つまりこれはどれも一緒ですが、一日しかない人もありますが、これはもうほんとうにこのままでは食っていけないですからね。これはいま傍聴に来ている人です。この佐藤さんという人、この人たちも、それじゃどうにもやれないということでございまして、これはこの席でなんですけれども皆さんの気持ちで差し上げてくれというお話でございますから……。あとで私要点だけ御説明いたしますが、家族がないんじゃないわけでございます。  私は、実はいま橋本運輸大臣おっしゃっておられるように、大臣とはいにしえから長いおつき合いで、逓信をずっとおやりになっておられて、そちらのほうではたいへん詳しいわけでありますが、港湾のほうはそれほどどうも現場にわたってまで知っておられるわけではない。ただ問題は、ものごと政治的な処理が必要な段階でございますから、そういう意味で、ひとつ末端職場の事情は御存じないにしても、それはそれでけっこうでございますが、政治的にやはりこの辺で処理を願いたい、こう考えているのでありますが、この点について、まず労働省の中島さんのほうから、幾つか石井さんも指摘をしているのでありますが、どうしたらいいかということですね。この点について、私はきょうは、皆さんがこれを知っているかといって責めるつもりで来ているのじゃないんで、ものを何とか前向きに処理をしてあげなければ生活ができないという現実でございますから、あまりひど過ぎるので、一カ月のうちに二日しか賃金をもらえる日がない、これでは困る、そういう意味でお伺いしたいわけであります。
  182. 中島寧綱

    ○中島説明員 いま登録日雇い港湾労働者の方の就労率が非常に落ちておる、その対策をどうするか、こういうお話でございます。これにつきましては、私どももほかの事業と違って、国や地方公共団体で仕事をつくり出すということは非常にむずかしゅうございます。結局、港湾の港湾運送事業の動きにつれてしか労働力の需要がございませんので、その動きができるだけ活発になることを願うわけでありますが、これは願うだけでは対策になりません。  そこで、まず最近の六大港の就労状況を見てみますと、就労状況そのものは、六大港全般的に見まして昨年よりは若干よくなっておるわけですけれども、港ごとにあるいは職種ごとに見ますと、非常にアンバランスがございます。特に御指摘の横浜の場合は、上肩とか、従来沿岸の技能労働者といわれた方にことに不就労の日数が多くなっております。そこで従来は、職種別に区分をたいへんこまかく分けまして紹介いたしておりましたが、ある一方の職場ではわりかた日数があるのに、ある一方の職種は非常に減っている、こういうことで、もし同じような状況の職種でございますならば、できるならばこれは労使の話し合いをいたしまして、公募したりして就労の機会をならすとか、こういうこともやっておりますが、これはまたそれぞれ一長一短がございまして、話し合いを続けております。そのほかに選抜紹介と申しまして、ある特定の求人者がある特定の労働者をしょっちゅう使いたい、こういうことから指名をしてそれに充てる制度がございます。これがやはりある港の、特に横浜のある一部の職種については率が非常に高いために、一般の就労機会が均等にならない、こういう問題もありますので、この際、これだけあぶれておれば、こういったことをできるだけ直して機会の均等をはかりたい、こういうことも考えているわけでございます。  それから御指摘のあった常用労働者であるにもかかわらず、常用労働者らしからぬ待遇を受けている者、あるいはやみ雇用とか季節労働とか、こういったもののコントロールをできるだけして、たとえば立ち入り検査等を励行いたしまして、それが登録日雇いの就労の機会を少なくしているわけですから、これがなくなるようにもっと努力を傾けてまいりたい、そういったことでできるだけ就労機会を多くする努力はいたしてまいりたいと思っております。  大体、対策としてはこんなことを考えておりますが、最近やや貿易の沈滞といいますか、そういったことから荷役量全体が落ちておる傾向も少し出ておりまして、私どもこの点特に憂慮をいたしております。
  183. 大出俊

    大出委員 どうすればいいかということで、結論は実は簡単なんですね。皆さんがやる腹があるかないかということに尽きるのでありますが、季節労働者というのは、港湾調整審議会の石井さんの側でも指摘してきておるように、これは過疎過密等の関係を踏まえての特殊な現象でございます。出かせぎ問題というのは、国会でも至るところで論じられて、これは当然その面で考えなければならぬ問題です。かといって、これは旧来から、私は水平運動と言うんだけれども、けが、事故などというものも山のようにある。しかも生活環境その他を含めて決してよくはない方々、だから、それを引き上げなければならぬというのに、そういう職場にとうとうなだれ込ましているという不手ぎわさ、これは行政上のたいへんな問題だと私は思っているのですね。これは何も石井さんに言われなくたって、とっくの昔にやっておかなければならぬ筋合い。これは安定所があるのですから、そこへ入っておるというなら安定所は知っておるはずだから、安定所を通していなければならない。だから何で一体知りながら黙っておったのかという問題になる。そうだとすると、これはやはり国の行政上の大きなミスだと私は思っている。その結果がどうなってしまうかくらいはわかっているはずです。だから、これは、たまたま石井さんの調整審議会から言われなければ手がつかぬじゃ困る。まして言われたのだから、これははっきり決着をつけていただきたい、これが一つ。  もう一つの問題は、これまた結論は簡単なんです。十六条ただし書きというものについては、それこそ私どもは苦心惨たんしてものを言ってきたところです、長年。港労法をつくるときから、つまり安定所というものを通じなければ港湾労働者は雇えませんということになぜしないのかということ。確かに港湾の仕事は、月頭月末の集中配船的な波動があります。それを知らぬわけじゃない。知らぬわけじゃないけれども、しからばその波動性に対応する雇用というのはどうあるべきかということを当然考えるべきだ。だから港湾労働者というものは、安定所の窓口を通さなければ雇えないのだということにしてしまわなければだめなんだということを再三言ってきているわけです。その点については、ただし書きがついているけれども——十八日以上の就労は確保するということをしきりに御吹聴なさったのは、ほかならぬ労働省です。今日的実態をながめて、なおかつ行政的にそこのところをチェックできないのだとすると、労働省は一体何をやっている役所かということになってしまう。だからそこのポイントに問題の焦点を合わせれば、けりがつかぬはずはない。ただ皆さんがやる気があるのかないのかということになる。そこの問題ですね。横浜でいうならば、港湾労働職業紹介所というところで、百も二百もやみ手配師が横行していることは知っているはずだ。腕章を巻いている人までいる。それが現実にあることを知っていて、なぜ一体手をつけようとしないのか。警察に持っていったら、警察はそんな者を押えるのは簡単だと言うのです、署長さんは。やみ手配師がどこにいて何をやっているかということはわかっている、それは簡単だ、簡単だから警察がどけてしまえ、やめさせてしまえというのであれは——道路でバッジまでつけている者がたくさんいる、しかし、やったあと行政官庁、行政機関がどう責任を負ってくれるのか、こっちのものを向こうへ持っていけば向こうが困るということになる、これが警察の言い分ですよ。そうすると、そこのところを、所管の省である運輸省労働省と二つの省があって、しかも総理府が調整審議会を持っておられて、そこではちゃんと言うことを言っているのに、なぜ一体ほうっておくかという問題、ここのところを、これは運輸省の側と総理府の側と労働省の側からお答えをいただきたいのです。
  184. 中島寧綱

    ○中島説明員 まず労働省からお答えいたします。  就労の確保対策は、先ほど言ったとおりでございますが、今後四十六年度の雇用調整計画ができましたら、この雇用調整計画中身にも、どういう措置をとっていくかということを入れていきたいと思っております。そこで、この季節労働者の問題なり、やみ雇用、擬装雇用的なものの摘発等の問題も重点的にやろうという考え方で、いまのところ四月一日付で四十六年度の雇用調整計画を定めるようにしておりますが、その線で大いにがんばってみたいと思っているわけでございます。  それから、やみ手配師の問題につきましては、かねがね先生から御指摘を受けているところでございます。これは、われわれの手で実態をつかむのになかなかむずかしい点もありますけれども、さらに、これは協力してやみ手配師の絶滅を期してまいりたい、こう思っております。
  185. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま労働省のほうからお話がございましたけれども、私のほうは、むしろ雇用者と申しますか、事業者を監督する立場から申し上げますと、先生の御指摘一々ごもっともでございます。いま労働省から、四月から新しくいろいろな施策が行なわれるというようなお話でございますので、私どもこれと歩調を合わせまして、事業者の経営姿勢の問題だと私は考えますので、それを直すという形で労働省と一緒に進めてまいりたいというふうに考えております。
  186. 大出俊

    大出委員 いま運輸省の栗栖港湾局長さんからお話がございましたように、まさに経営者の経営姿勢の問題なんですね。どこの組、どこの会社がどうやっておるかということを全部申し上げたっていい。三年ばかり前に私はずいぶんこまかく言ったことがあります。桜木町の駅前の青空労働市場に取りに来る車のナンバーまで教えたことがあります。ただそれをいまここで繰り返しても問題の解決にはならない。だからそういう意味で、冒頭から念を押しておりますように、片づけていただきたいのです。私はこれだけ皆さんの手帳を持っております。この皆さんが、いまお見せしたように、全部同じように輪番なんですから、だから月のうち一日から始まって二十三日までくるきょうまで二日しかないということでは困る。だからそうでなくて、子供さんをかかえて、奥さんをかかえて生活がしていけるようにしてもらわなければ困る、そのために国の機関があるのだから。そこで、いまたまたまお話の出ました点に少し触れて申し上げておきたいのでありますけれども、実はこの横浜の場合で——その前に少し前置きをしておきたいと思いますが、船内という方々がいる。沿岸、シップサイドですね。船のそばで仕事をする沿岸といわれる職種の方々おいでになる。一般倉庫、これは前に水切りから山側に向かって五百メートルなどという一つの港政課長通達などもあって、これもずいぶん実態調査を、私はこの席でやかましく言ってまいりまして、やっていただいた。ただ倉庫寄託と書いてあるからこれも倉庫だけなんだ。これは間違いないじゃないか、これは仕事の量と質から言って。だからこれは片や港湾労働法の適用を受けるのに、片やそうじゃないというばかな話があるか。だから水切りから五百メートルという港政課長通達もあるが、さてここに一体どういう線を引くべきかという再検討を願いたいということで、これは解決していただいた。そこでいま一般倉庫が出てきているわけでありますが、さて上肩——六十キロ以上のものをかつぐ職種の方々、この方々は上肩あるいは肩といわれておる方々であります。そこでこういう方々おのおのの問題がありまして、特に若手に大きな問題があるということで、横浜で地区審議会が上肩の就労対策についてということで開かれている。第一回は本年の二月十九日、第二回が二月二十四日というふうなことで、労働省の出先機関である港湾労働職業安定所の所長さん以下みんなお出になって、ここにありますが、職業安定所の課長さんも出ている、次長さんも出ている、所長さんも出ている。相手方もほとんどの会社が出ておるけれども、業の方々も、これは楠原の楠井さんという方が出ておる。また組合の側も、そこにお見えになっておりますが、横浜の全港湾の支部の皆さんが出席をされておる。四人ばかり出ておられる。こういう席上で上肩の就労対策が問題になったのですね。横浜港運協会という形で業の皆さん方が出席された。どこがいい、どこが悪いということはさておいて、つまり全体的な姿勢の問題だ、これはどうなっているかというと、つまり就労が減って、はなはだこれは遺憾である、何とかしなければ困る、実はこういう問題の提起をしておるわけでありますが、業の皆さん方のほうは、港労法なんか、そんなものはくそ食らえだというのですね。こう口に出して言っておられる。そんなものはもうわれわれは相手にしないのだ、ちゃんとやみ手配が確立しておって、金は先にやっておる、確保しておるのですから要らない、そういう言い方をしておるところへ出席した何人かの方々に聞いてみた。じゃ一体横浜の労働省の安定所の所長さんは、新任だそうであまり詳しくはないのだろうと思いますが、何とかかんとか言ったのですが、港湾労働法というもの、そんなものはくそ食らえだと言われて、何か一言あってしかるべきじゃないかと言ったら、にやにや笑って何も言わなかった。そこに安定所長さん、次長さん、課長さんとずらり三人も並んでおって、にやにや笑って、くそ食らえだと言われて黙っている姿勢で、これは一体何ができるかということです。これでは片をつけようにもつけようがないです。いま中島参事官がしきりに、さっそく四月からとおっしゃるけれども、末端のこういう姿勢というものはどこから出てくるのですか。これでは、これだけ手帳を持って、毎日職業安定所に通っている方々の身になってみてください。この方々にも上肩かたぎがありましょう。だから気に食わぬところもあるかもしれない。あるかもしれないが、その背後には奥さんもあれば子供さんもあるのだ。てにをはを言ってもしようがない。やはり生活を何とかしてあげなければならない、歴史的に続いている職業なんだから。そこの末端の方々がどなたがいいとか悪いとかいうことじゃなくて、姿勢の問題だと私は申し上げておるのです。そこをあなた方のほうからはっきりさせる。これが行なわれていなければ幾らあなたのほうで立ち入り調査をするなどといっても、どだい調査にならない。どういうわけでそういう姿勢になるのか。その辺を承りたいのです。
  187. 中島寧綱

    ○中島説明員 いまお話がありました地区審議会の状況は、実はわれわれよく知らなかったわけですが、そういう業界側の発言があって、それに対して何ら受け答えをしなかったことはまことに遺憾でございます。どういうところからこういう姿勢が出てくるのかということでございましょうか。——ちょっと答えに窮しますけれども、われわれの考え方が十二分に徹底していないと思いますので、こういった点はさらに改めさしていただきたいと思います。
  188. 大出俊

    大出委員 私は、所長さんのところへ電話を入れて、何で一体最近上肩の皆さんのほうの仕事がなくなっちゃったのか、常用日雇い化ということは、一体何でこういうことになったのか。いや港湾が近代化されてフォークリフトでございますとか、各種のクレーン等が入ってまいりまして、だからなくなりました、こういう答弁です。そうじゃないのです。そうじゃないことは百も承知しておるのです。やみ手配がどうなっておるかということも全部承知なんですね。これは皆さんが輪番で回ってきておいでになると、やみ手配の者から入ってくるほうと混在をするのです。あらゆる職場で一緒に働くわけです。だから皆さんには全部わかっておるのです、そのことは。そのことを口に出して言っておるのに、安定所長さん以下が知らない、そんなことはない。そうでしょう。そうすると、単なる機械化で上肩の仕事がなくなったのじゃない。減っていることは事実にしても、やみがあり、季節がありということでこうなっておることはだれでも知っておる。だから石井照久さんだってそこを指摘しようとしておる。そうでしょう。そうすると、そこのところがなぜそうなるかということをいま初めて知ったといまも中島さんはおっしゃるけれども、これは私がいつもこの問題を旧来取り上げると、必ず全体の問題でいろいろ言ってまいりましたが、いま初めて知ったことばかりあるという、それでは困るのですよ。やはりここまで苦労しておる現場の皆さんの気持ちをお考えいただかぬと労働行政はできないと思う。だからなぜ一体こういう姿勢、業にかくのごとく労働省の出先機関は弱いのかということ、このところの問題ですね。これは再度お答えをいただきたいのです。  そうして運輸省皆さんには、こういった港労法くそ食らえというような形の姿勢をなぜ一体業のほうの皆さんにとらしておくのかということ、この両方からものを考えていただかぬと、業の皆さんだってめしを食っているのですから、自分の会社が損をすることはできない。私は実は業の皆さん——ここに鈴江さんだとか、藤木さんとか、楠原さんとか、港湾作業だとか、みんな代表が出ておられる。私は労働組合皆さんともずっと仲がいいし、業の方とも仲がいいのです。だからそこの事情はわかっておる。だから私に言わせれば、なぜ弱いのかということもわかっておる。がしかし、行政官庁がものを言う姿勢をとらなければものごとは前に進まないし、運輸省がものを言うようにならなければ、労働省が幾ら突っついても言おうとなさらない。だから両方からお願いしなければならぬと私は申し上げておるのですが、そういう意味で、最近は昔と違って——栗栖さんにこんなことを言うのは恐縮だけれども、そんなに何も港運協会の皆さんに弱くはなかったはずです、業の集約問題その他を通じてやってきた今日の状況というのは。だから、いまここにこれだけの問題が出てきたんだということになれば、もう少し具体的に仕事をしてほしいと思うのです。そういう気持ちがおありになるのかならぬのか、そこらをひとつ承りたいわけですが……。
  189. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま御指摘の横浜の問題は、またおしかりをいただくかもしれませんけれども、実は私、そういうことがあったということを存じておりませんけれども、しかし基本的には先ほど申し上げましたように、そういうことを口にするということそのものは結局問題だと思います。で、先生が御指摘のとおり、これは横浜港運協会という形かもしれませんけれども、全国の日本港運協会を通じましてそういうことのないように、むしろ積極的に労働省の御施策に協力するというふうに進めたいと思っております。
  190. 大出俊

    大出委員 これはまあ検数などの問題についてもいろいろ問題がございまして、私、栗栖さんのところへ直接お願いに行って、検数協会の方をお呼びいただいてお話しいただいたケースなんかもございました。世の中じゅうがとばっちりを食って往生している検数の皆さんの七団体のストライキというものも、無期限ストライキを明らかにした段階で運輸省のほうで——労使間の問題に介入はできません、できませんけれども、ノータリーで金だけもらっているということを行政官庁はほっておけるわけではないから、側面的な話し合いをしていただいたこともございましたが、労使間の介入じゃありません。そこまで運輸省の持っている所管事項の中で足を踏み入れていただきますと、御存じのとおりもののみごとに即決で片づいたという形になった。御努力に感謝すると同時に、ずいぶん片づいた側の働く皆さんの側も喜んでいるわけです。あとになってみれば検数の管理者の皆さんだって肩の荷がおりた、ほっとしたという言い方なんです。  だから私はこの際、ここまでくると、これはもう大臣にお願いしたいのですけれども、港湾局長のところで業界の関係方々をひとつ運輸省にお招きをいただいて、やはりこういう現実を捨ててはおけない、ほんとうに業の方々が、これは表街道、正規にものを考えて、なおかつどうしても仕事がないのだとなれば、これは冒頭に申し上げたように調整審議会にもはからなければいけませんでしょうし、あるいは運輸省の全般の問題として取り上げていただかなければいけませんし、あるいは労働省の政策の面で考えていただかなければいけませんしということで、さてどうするかということで新しい方向を考えなければならぬ。まだその前にやることがある、それを私はいま言っているわけでありますから、ぜひこれはそういうふうに大臣、御指示をいただいて、業の方々に徹底をするように——これはなかなか商売の性格上、仕事の性格上、荒っぽい諸君もいますから、口の端にのぼることばというのも正常でないことを言う人もある。それはそれでいい。いいけれども、つまり行政官庁の側が同席していたりして、ほっぽっておいてはいけない。それは正すものは正して、港湾労働法という法律趣旨に沿わなければいけないということになると私は思う。そこらのところを、あげ足はとりませんけれども、とにかくやみ手配というものは、殺すものは殺して、そうして労働省も協力をして、むしろ労働省の仕事が多いわけですから、そこでひとつこの方々の生活が、働く気を十分持っておる方々ばかりおって、やみに取られ、季節に取られて仕事がないというばかなことをほっておけない。いまさっきちょっとお話がありましたが、中島さんからあったのですが、実はまあ上肩仕事だけでないものとの関係が出てくる。倉庫なら倉庫、一般倉庫という問題があるから突っ込みでという話もあった。それは皆さんにすれば、六十キロからのものをかついでいる人は小回りがきかない。きかないから、それは本質的にいやがると思うのです。賃金の関係もある。だけれども、そういうぜいたくを言っていられないところまできていた。それでもなおかつ仕事がない、そういう場面だってあった。だからそこまでお考えをいただいて、ぜひひとつこれは大臣、業の皆さんに言うべきところはかっちりひとつ言っていただくようにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  191. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いろいろお話を聞いておりまして、港湾労務者が一カ月に二回ほどしか仕事がないということは、これはべらぼうな話だろうと思います。もちろんこれは全組合の人をフルに使うだけの仕事があるかどうかは問題でありましょうけれども、それにいたしましても一カ月のうちに二日ということはこれはたいへんな問題でございますので、この点は十分責任を持って考えなくちゃいかぬと思います。ただ、そのとき私は石井さんともいろいろお話をしたのですが、なぜその手配師の労務者を使ってそして港湾労働組合の人を使わぬのか、職安の人を使わないのか、これにはいろいろの事情があると思います。しかしながら賃金が少しくらい高いとか安いとかの問題だけではないと考えられる。まさか季節労務者を港湾労務者の五分の一とか八分の一で使っているわけじゃない、二、三割は安いことがあるかもしれませんけれども。そうしますと、そこに有機的に活動する労働力となっていないのじゃないか、港湾労働組合といいますかそれらが。そういう点は企業家も積極的に指導しなくちゃいかぬし、また組合のほうもやはりその点は考えていくべき性質のものであろう、時代が変わってきたんですから。仕事自体が昔のような単純労働ではない。多少はあるいは機械的な頭を使う場合もありましょう。そういう点も考えて、当時港湾局長に、企業家との間でも十分に労働組合の諸君とあるいは組合の本部の人たちと、安定所を通じてよく話し合いができて意思疎通ができるような状態になれば、一カ月に二日ということでは、ただかっこうをつけている——かっこうにもならぬですね、二日では。せめて十日使うとか十二日使っているならばかっこうになる。こういう状態は私はいろいろな問題があるのだろうと思うのです。まあ大出さんがおっしゃったような問題もさることながら、これ以外にやはり全体としての労働生産性という問題そういう問題もあるのじゃないか。こういう意味においては港湾局長に対して、関係者とも十分協議するように、あるいは必要によっては組合の諸君と一緒になって、そういう、何といいますか、専業というわけじゃないけれども、マネージメントをつくるようなことも考えてはどうか、こういうことも私はサゼスチョンとして与えたのでありますが、まあお話しのようになるべく早い機会に企業者も呼んで、また安定所の諸君とも打ち合わせて、いかにしてこの港湾労働組合人たちが機能的に仕事ができるか、したがって少なくとも二十日以上の仕事ができる、こういう状態をつくっていくような指導をしてまいりたい。港湾局長も聞いておりますから積極的にやってもらおうと思いますが、また組合の諸君もいわゆるそういう事態も十分にお考えなさって、私は決して季節労働者が港湾組合の諸君の二分の一、三分の一の賃金で働いているとは思いません、やはり雇うほうから見れば全体としての労働力の価値があるのかないのかということが問題だと思いますから、そういう点も頭に入れて十分に積極的に港湾労働組合の諸君が生活できるような状態をつくるべく、港湾局長及び、ちょうど労働省からも見えておりますから、協力してこれが積極的な打開策をつくるようにいたしたい、かように思います。
  192. 大出俊

    大出委員 大臣の前向きの御答弁をいただいてありがたいわけでありますが、これはいろいろな理屈が労使間には昔からある問題でございまして、登録日雇い皆さんが全港湾という労働組合を組織したのはそう古いことじゃない、、歴史的にも非常に浅いんですね。これは出発は港労法ができまして、登録日雇い皆さんが置かれている立場があまりどうも個々でございまして、片一方にやみの組織がありますから、したがってこれは少し助けなければならぬという発想でできてきたことなんです。だから、その経過は私もよく知っている。いま言われる生産性云々という点で、業の側から見れば不満足の点もあるかもしれない。それならそれで、それはその職業を天職としてやってきた方々なんだから、それなりのやはり上肩かたぎがあると私はさっきから申し上げているのであります。そういう特殊な仕事をする方というのは特殊な仕事をするきっぷがありますから、だからそこらのところは必要であれば、組織された労働者になっておるわけでありますから、やはり業の方と話をする。いろいろなことが出てくるとすれば、これは調整審議会だって何も組合の諸君を入れてないわけじゃないのです。したがって、やはり組合の諸君も呼んで、そしてそこらの注文が必要ならばつければいい。それを両方でこなしていけばいい。ともかく全体的にいろいろ理屈をくっつけたって、公的機関が輪番紹介をしているのですから、法律上責任をとっているのですから、それで仕事がないということになるとすれば、生活ができないということになるとすれば、これはとにかく何とかしなければならない、これだけはもう間違いない事実です、生活の問題ですから。いま大臣もそこに触れておられましたが、ひとつそれを起点にしていただいて、いま三月でございますが、四月以降すみやかに——輪番という制度をとっておりますから、順番が回ってこないのですから、かといって出ていかなければ、これはランクが下がる一方なんです。港湾調整手当なんかもどんどん下がる。五百円なんていうのじゃ食っていけないです。それからまた日雇い健保ですけれども、これも予定就労日数がなければ、健保の適用を受けられないのです。現実にいま受けられる人はほとんどなくなってしまった。実はここに数字がございますが、日雇い健康保険というのは二カ月二十八枚、一カ月十四枚ですね、六カ月七十八枚、一カ月平均で十三枚、これがないと医者にかかれない。資格を失う。ところがこの方々は、仕事がないのですから、就労してないのですから、しようがない。だから一カ月に二日なんということで、現実に法律日雇い健保の適用ができなくなってしまっている。金はもらえない、仕事はない。出て行ってあぶれ手当をもらってくるというだけ。それも五百円や七百八十円じゃ、家族をかかえてやっていけない。学校へ行っている子供さんもいる。しかも子供さんが医者にかかるったって、日雇い健保が切れてしまってかかれない。これはどこからいってもほおっておけないでしょう。実はそういうもう一つの側面があるわけですが、日雇い健保は厚生省の所管ですけれども労働省はそこら現状認識をどういうふうにお考えになるか、あわせて承っておきたい。
  193. 中島寧綱

    ○中島説明員 御指摘のように日雇い健保のほうは厚生省の所管ですが、前二カ月に二十八枚以上の印紙を張ってないと、当月からもう健保の給付を受けられないわけです。これについては非常に問題が多いところでございます。現在健康保険の制度のほうは特別な法律日雇い健保法でやられておりますので、それの問題を法的に解決するというのは容易なことではございません。そこで六大港ではときどきこういう事例が起こるわけでございます。船がほとんど入らない、あるいは荷役がとまってしまう、こういったときには、非常にまずい措置かもわかりませんけれども、急場のしのぎに、港湾以外の仕事にも働いてもらう、そして日雇い健保の印紙を張ってもらう。これは特に労働者側の希望がないとできないことでございますが、そういうことも相談しながら、できるものはやっていくということ以外にちょっと手がない状態でございます。
  194. 大出俊

    大出委員 念のために申し上げるのですが、安定所に行った。仕事がない。ないからというので、ここに判こを押してもらって調整手当をもらった。もらって、さて今度別のところにつとめた。働いた。やはり港の仕事。そしたら、これは非常に大きな問題になった。私はこの席上で、そういう例があってもしようがないじゃないかという話をした。私がここでいろいろやったら、いま衆議院議員をやっている有馬さんが労働省の職業安定局長時代大出なる代議士がこうこうこういうことを言ったというので、横浜の安定所長あてに、調整手当をもらってどこかで働いたやつはいないかすぐ調べろということで、片っ端から調べた。大きな問題になった。そうすると、やはり出頭を正直にしている皆さんからすれば、調整手当をもらっている限りは、そのほかの港のどこかの仕事といったって、そうはいかないのです。安定所の表ガイドに仕事が出てこなければ、——出てこないからというので金をもらうのですから、判こをついてあるのですから。そうでしょう。だから、もらうものはもらってかってに働けというなら、毎日黙ってもらってかってに働くかもしれぬけれども、現実になかなかそうはいかない。いまそうおっしゃるけれども、そう簡単にいかない。だから私が冒頭に申し上げているのは、もしも皆さんの認識がほんとうに仕事がないのだというならば、皆さんの生活を考えて、職業安定というのは皆さんの仕事なんだから、他に安定した職場というものが確保できるような助成、補助をすればいい。ところがそれもなさらぬということになると、あまりといえば片手落ちではないかということになる。そこらのところはどうお考えですか。手当をもらってほかで働けということならそれでいいです。
  195. 中島寧綱

    ○中島説明員 私が先ほど、港湾の仕事がなくて、一方で日雇い健保の印紙が足りない、こういう場合に、本人の希望があればほかへあっせんすることもできないではない、こう申しましたが、これは制度的にいいますとできることでございますが、御質問の中にありました、手帳に不就労の証明をしてもらって、手当をもらってよそへ行くということになりますと、制度的には、よそへ行って働かれましたならばそれは就労ができたということになりますので、あとで、受け取った手当は返していただく、こういう仕組みになっております。だから安定所がほかの職場にあっせんしますときに、そういうことはよくお話しして行っていただく、こういうことになるわけでございまして、それを制度を越えてどうするということは、いまのところむずかしかろうと思います。
  196. 大出俊

    大出委員 だから、時間が早いわけですから、朝六時ごろからやみ手配なんですね。前は八時、九時くらいまで何とか待った、安定所長さんがうるさいことを言った時代はしようがないから。いまはとんでもない話で、初めから片方の別なルートでどんどん青空でやみ紹介をやっているのですから、そうすれば、これを持っていった方が仕事がないといわれた。じゃこれは調整手当はいただけません、ほかに行きますと言ったって、時間のズレが出てくるでしょう。そうすると金をもらわなかったら、これはあらかじめ計画的にやっていれば別ですよ、そうでなければ、いまもらえなかった、ほかに仕事がないとなると、まるきりこれはあぶれてしまう。現実の問題としては、あなたがおっしゃるようなわけにはいかない。もらうものはもらっておかなかったら、仕事がなかったときには全く食えない。だからそこのところはあなたがおっしゃるようなわけにはいかない。これも法律的な盲点の一つですよ。かといって五百円や七百幾らで食えやしない。何か働かなければならなくなる。しかし仕事がない。こういう状態が現実にあり過ぎる。だからいまあなたのおっしゃったのはそう簡単なことではないので、念のために聞いたわけであります。返さなければならぬということになれば、確実にあれば別だけれども、なければこれは困るわけですから、そうはいかない。だから私はこの問題を、仕事があるのかないのかという点に疑問があるのなら、早くそういう措置をとっていって、四月以降あるのかないのか、どうしてもないのだということになれば、じゃどうするのだということを——港労法という法律のたてまえがあるのですから、私が申し上げているように十六条のただし書きというものは使わせないのだという意識があって、やるのなら別だけれども、あけっぱなしでそれをやらしているのじゃ、これは行政努力というものはどこにも認められない、こういうわけですから、そこのところもう一ぺんひとつ、どうお考えですか。
  197. 中島寧綱

    ○中島説明員 最後の話の十六条ただし書きのことは、あぶれの多い職種については私どもやめていきたい、こういうことでございます。ですからそういう考え方で、実態に応じてやっていこうということでございます。
  198. 大出俊

    大出委員 この問題は締めくくりますが、時間の関係もございますので、そう長くやっておれませんが、この方々は輪番紹介で就労できた日が、十二月が平均六日です。一月が四日、二月が二日、三月がまた二日ですね。こうなるともう捨てておけない。こういう状態です。たとえば皆さんが横浜へくると、万国橋というものがありまして、そこは古い港なんですけれども、ここの方なんかも、ここに数字がありますが、百十六名おる。それが一月は四日しか就労日がない。二月は二日しかない。これはもう捨てておける筋合いではないわけであります。  そこで結論的に少し承っておきたいわけでありますが、労働省の皆さん、どうですか。いまから早急に手を打って、この四月という月、ここをとらえて——三月はだいぶ景気の落ち込みもありますから、陸上輸送なんかもだいぶ落ちています。そういう点も、確かに荷動きが少ないという面があります。ありますが、四月という段階をとらえて、何とか希望が持てそうなところまで持っていけるかどうかという点、それなら皆さんも何とか行政努力に期待をして待とうという気になると私は思う。だけれども、それがどうしてもできないということになると、また今月二日で来月二日でということで、生きていけない。だから、極端なことを言うようだけれども大臣、実はつい数日前に神奈川県の労働部の次長さんのところに皆さんが陳情に行った。行って、何とかしてくれ、どうにもならぬならばこの青手帳を、やめるから買い上げてくれ、当面食えないから買い上げてくれという話をしたら、法律的にそういう制度がないという断わり方をした。一応表面的な断わり方としてはわかりますけれども、せっぱ詰まったこの方々はどういうことになったかというと、機動隊なんかに、これ以上すわってもらっちゃ困るというので追い出されても、ちょっとやそっとでどける人じゃない。たたかれて血が出るくらいなことは、港湾で長年仕事をやっているから、へでもない。だからいささか血の雨でも降るような、取り上げないというならばそこまでいくんじゃないかという相談まで持ちかけられたので、私も実は少しここで言わなければならぬと思っていたのですけれども、その間に、私は今月何とか三日や四日や五日出てくるかと思ったら、二日しかない。そうすると、なお心理的にたいへんだということになるから、そこまでせっぱ詰まった気持ちに皆さんなっている。だから、そういう意味で、先ほど申し上げているように上肩かたぎもあるわけですから、まじめな皆さんが多いわけですが、不測なことになっては困る、こういう意味で私は申し上げているのです。だからそういう意味で、今月三月はしかたがありませんから、四月の月を目して改善方の努力をしていただいて、そうしてどの程度の見通しに立てるのかという点についても御相談をしていただき、かつて港湾労働法をつくった後に十八日以上と言った労働省がおいでになるのですから、だからそういう見通しに立てるのか立てないのかという、そこらのところも一ぺん御相談をいただいて、その上で、皆さんいささかやけのやんぱちめいているけれども、手帳を買い上げろという主張、これも無理からぬということになるのかもしれないという気もする、皆さんのやり方いかんでは。だから、そういうところを今月のうちにぜひ打つべき手は打ってみていただいて、善処をしていただきたいという気がするのでありますが、これはいかがでございますか。
  199. 中島寧綱

    ○中島説明員 特におっしゃいました横浜港の上肩の問題は、当面非常に重大な問題になっておることはよく承知いたしております。横浜港の現地でもいろいろ取り組んでおるわけでありますが、労働省もその中に入りまして、さらに運輸省の御協力も得て、さらに関係方面の御協力も得て十分取り組んでまいりたいと思います。
  200. 大出俊

    大出委員 ここに新聞記事が二つございまして、一つは、港湾労働者に中学生採用というので、九人を書類送検というので、職安にも疑惑、安定所も承知でやっていたというのですね。これは三月五日の読売新聞です。これを見ると、岸野組などというところを中心にいたしまして、中学生などの雇用者名簿をこしらえて、出田町というところの出張所ですが、ここでアルバイト学生でいいからというので従業員に指示して集めさせた。このうちの二十八人が労働基準法で重労働させてはならないということになっている十五歳未満、こういうわけですね。これは安田倉庫とか、幾つかございます。こういうばかげたことが一方では行なわれている。片一方では、就労にどうしてもありつけない方々が一ぱいいる。これはたいへんなアンバランスで、こんなばかなことはあっていい筋合いはないのですが、そういう記事が出ている。これは職安法違反です。基準法違反です。そういうことを業の方々がやっておられる。そうかと思うと、ここには浜の上肩さんというので、これは毎日新聞の三月七日ですが、こんな大きな記事が出ている。仕事がなくてまさに路頭に迷う。医者にもかかれぬ。これはやはり新聞記者も見かねて、一つの社会問題として取り上げているのですね。五百円の補償ではあぶれだ。仕事は八日に一度。これでは生活できない。こういうことでここに取り上げて書かれているのです。したがって、ここまで参りますと生活問題だけに、新聞もここまで取り上げるようになってきているのです。ですから、そういう意味の社会問題でもございます。したがって、流動的ないまの港湾の仕事ではありますけれども、とにかく手帳をどうしても買い上げろと言って皆さんがすわり込む。中央官庁にまで出てくる。そこで妙なトラブルが起こるという形にならぬように、ぜひひとつそういう意味皆さんのほうの御尽力をいただいて、せっかく港湾調整審議会の石井照久会長も心配をして、幾つかの解決策を、つまりさっき大臣が触れました話の中にあるのですけれども、港湾の業の方々が、自分の職域で働いてくれる労働者なんだ、そういう共同認識を持ってもらわぬと、そしてこの方々が長年やってきた実績の上に立って仕事をしていっていただけるような形に業の方々が姿勢を変えていただかないと問題が解決しない。その姿勢を変えるところを、運輸省皆さんからぜひひとつ業界の方々にとくと懇談をして、こっちの方向に向けていく。労働省の皆さんが本気でチェックするものはして、ある意味でびしびしやるところはやっていただく。基準法違反というならば、片っ端幾らでもある。やみ手当で仕事を持ってきているところは、みんな基準法上の、安定法上の罰則がついているのです。だから、そこらのところをやる腹をきめればずいぶん変わる。だから、そういう意味でこれはやっていただきたいと思うわけであります。この点、お願いをいたしておきたいと思います。  時間の関係がございまして、ほかに二つ三つ御質問しておかなければならない問題がありますので、いまの点はぜひそういうことで、大臣、もう一ぺんだけ、早急にこれは手を打っていただくように申し上げたいのでありますが、御回答いただきたいと思います。
  201. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 全く同情にたえませんので、私は前から取り次ぎしておったのですが、十分な手配ができておらぬようでありますから、積極的に関係業者と運輸省、さらに労働省にも協力してもらいまして、積極的に——ただ今月中に片がつくかどうか、なるべく早い機会に皆さんがある程度安心して仕事ができるような措置をしていきたいと思います。
  202. 大出俊

    大出委員 いまの問題はまたあとで、しかつめらしい形でなしに、局長さんなりお入りいただいて、労使双方の者を呼んでお話しいただくなり、労働省の皆さん方のほうもぜひひとつ——安定局長の住さん、おいでにならぬようでありますが、ぜひ言い分を聞いていただいて御善処方をお願いしておきたいのであります。その結果についてまた判断を下したいと思います。  そこで、時間がありませんので、トラック、タクシーの問題につきまして簡単に承りたいのでありますが、このトラック運賃の問題をめぐりまして、路線トラックといわれるもの、日通であるとか西濃運輸であるとか大和運輸であるとかいうところ、これは企業が大きいですから、その意味では比較的安定性がございますけれども、たしか北海道と九州と、先般多少のトラック運送料金の値上げ等の手をつけたはずでありますが、ところで、地場トラックと申しますか、区域トラックと申しますか、こちらの側については三十八年ですか、七年ですか、手直しがありましたが、あれは下がるところと上がるところありましたから、言うならばプラス・マイナス・ゼロですね。そういうことになると、十数年上がっていないことになる。私も実は業界の皆さんの言い方を聞いておりまして、つまり収入と言ったらここしかないわけでありますから、最近は雇用安定の面でも気を使っておりますから、そういう意味の人件費コストも高いということもあわせてみて、私も党の性格上値上げに賛成ができがたい立場にあります。ありますが、踏み切るべきときには踏み切らぬと企業がもたぬ。同時にそこで働く人々がもたぬわけであります。世の中片っ端からいろいろなものが上がっちゃってる中にほっぽっておかれては、それだけ経営の苦しさも当然でしょうし、働いている諸君も困ることは当然でしょう。そういう意味でこのところを、特に区域トラック、地場トラックの地場運賃、ここらのところをどう考えおられるのか承っておきたいと思います。
  203. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  区域トラックの運賃改定の問題につきましては、二、三年前に全国の区域トラックの業者から改定の申請がございました。自後私どもといたしましては、その申請内容それからデータについていろいろ検討いたしまして、あるいは原価計算の検討等見直しをしておりまして、大体私どもとして一つ資料を得たわけでございます。したがいまして、いま先生の御指摘のように、大型化その他機械化等の合理化についてもおのずから一つの限度がございますし、諸物価の値上がりそれから人件費の値上がり等のコストアップの要因がございますので、それは運賃の改定について検討をすべきであるという結論をもちまして検討を開始いたしました。そしてまず全国を一本といたしまして、対荷主折衝を全国のトラック協会の担当の代表の方とそれから全国の荷主団体の代表の方とが、これはもうずっと折衝を重ねてまいりまして、現時点におきましてはほぼ基本的な運賃制度の問題、距離の刻みをどうするかとか、そういう基本的な制度の問題につきましてほぼ話し合いがついている段階でございます。したがいまして、この対荷主折衝がきまりますと、あとはその基本的な荷主折衝の考え方に基づきまして、区域トラックでございますから、各それぞれの地域ごとに原価計算をもう一ぺん見直しまして、そしてそれがまとまりますと、私どもとしては関係官庁と折衝をいたすわけでございますが、これはケース・バイ・ケースと申しますか、路線トラックと違いまして地域ごとに特性もございますし、ニュアンスの差もございますので、そういうような地域的な資料の整ったものから関係方面と折衝して、上げるべきものについては上げるような方向で検討したい、かように思っております。ほぼいま中央の荷主折衝がつきましたので、あとは具体的にこれを各地区の特性を加味して検討するということで進んでおるところでございます。
  204. 大出俊

    大出委員 これは品目、距離平均ということになると思いますが、そこらで、路線トラックは先般北海道と九州等をお上げになっておりますが、どのくらいのパーセンテージになっているのでございますか。
  205. 野村一彦

    ○野村政府委員 区域トラックは路線トラックと違いまして、レートとしては一律に——もちろん特殊のタンクローリーとかそういうものは別でございますが、一般のものにつきましては一律に考えておりまして、申請が二、三%アップになっておりますので、これをどう査定するかという問題でございます。
  206. 大出俊

    大出委員 先般の路線の例からいきますと、品目、距離平均等の計算のしかたが一二・八前後くらい、八ちょっとこえているかもしれませんが、そのくらいの数字になっていたと思うのですよ。確かに三〇%ないし四〇%、地域によって違いますから四〇%の申請も出ているはずですが、そこらを踏まえてこれはあと追いの形になるのですね、つまり申請者側から言わせれば。それにはそれで経済企画庁の考え方もありますし、いろいろありますから一がいにはまいりませんでしょう。しかし、かといって、これはなかなか資料というのはぼくらから見ておっても、ぼくらが資料をくれぬかと言っても出しにくいものなんですね。まあ小さいところはどんぶり勘定ですし、いろいろなことになっておりますし、これは税金のこともありますし、あけすけにみな言わしてしまっては困る人も中にはありますからね。そういうつらいところも少しは考えてあげなければいかぬと思っている。私が見てもずいぶん資料のつくり方はへたくそだと思うわけですけれども、へたくそにならざるを得ぬ弱いところがあるのですね。これは伊能先生のほうが詳しいかもしれないけれどもそこらのところも踏まえて考えてみて、時期の問題が一つと上げ幅の問題が一つと、つまり人件費コストその他を皆さんのほうでながめてみて、そこらのところをどう一体お考えになるかという点を聞いておきたいのです。
  207. 野村一彦

    ○野村政府委員 時期の問題につきましては、中央における荷主折衝の基本的な考えがほぼ煮詰まりましたので、あとはこれを地方の特性を加味してやるということでございますが、地方におきましても、先生御指摘のように各個々の業者の原価計算、収支を見るということはなかなか技術的にも困難でございますので、やはり典型的なモデルの企業を選びまして、各地区のトラック協会等が作業を代表的にするわけでございますが、そういうこともなるべく早くやって窮境を救いたいと思っております。  それから上げ幅につきましては、いまここではっきり申し上げかねますけれども、おそらく十数%という程度のものが私どもとして計算上も妥当な線として出てくるのじゃないかと考えております。
  208. 大出俊

    大出委員 まあ問題のあるところでありまして、私が実はこの間この業界の方々何人かの方といろいろお話しをしておりましたところが、ずいぶん深刻な話が出てくるわけであります。実はここにこまかく当時の諸君の言うことを書いたものもありますが、最近は人を定着させるために、本来ならば厚生省年金局所管の資金導入等を考えて、つまり運転者の住宅建設その他をやりたいと思う人もいるのですけれども、なかなかそこまで資金に余裕がない。だから町の中で家を借りて、そこに家族ぐるみで住まわせて、しかも何人かを対象にして地域的に乗用車を割り当てて持たして、朝一人の人が一回り回ってみんなを乗せて連れてくるというふうなことをやらざるを得ない。そうしなければハンドルを持つ人は定着をしない。そういうふうなものをどういうふうに一体考えるかということですね。その意味ではたいへんな人件費のコスト高になる。こんな人件費の見方はないじゃないかという意見がある面から出てくる。出てくるけれども、実際にはそうしなければ確保ができない、だからやっているという問題があるわけですね。そうして計算した時点からすると、ずいぶん時間的なズレもあるということで、その後の様相も変わっているという問題もある。そこにもってきて二月から三月末にかけてたいへん荷動きが少なくなっていて、私の知っているところで、これはほんとうの中小企業なんですけれども、二十台くらいのトラックでございますが、ここなんかも比較的大きなところの下請をやりますから、そうすると頭をすぱっと切ってくる。この業界の慣行でございまして、口約束になっている。自分のところは二十台だが足りない。なぜならば運転手が事故を起こしてどうにも動けなくなった連中だとか、ほかのほうに行ったのを入れると、二十台のうち七人くらい運転者がつぶれている。しようがないからほかを頼むというかっこうをとっている。そうして輸送は続けている。ところがこの三月末苦しくなって、元請のほうが頭をすっぽり切ってきた、契約の口約束を。契約は正規なものはないですから、けんかの持っていきようがない。かといってここでごねてすぱっと切られると、これまた困る。弱い面が出てくる。そうすると下請泣き送りになっちゃうんです。そうすると無理な融資をはからなければならない。金利がかさむ。こういうつなぎ資金がどうしても要るようになる。つなぎ資金の金利がかさむ。こういうものを正規にものを言えないところがあるのです、実際には。だから弱いところにこれまたしわが寄るという結果にしかならない。特に区域のトラックというものはそういう性格を本来持っている。そこら皆さんがお考えいただければ、いまの御答弁趣旨はもう少し私は違ったものになったような気もするのですけれども、そういうふうな実情について皆さんはどういうふうにごらんになっているのかということをあわせて承っておきたいのです。
  209. 野村一彦

    ○野村政府委員 区域トラックの事業者の方が雇用の定着等のために、また定着を促進するために、また運転手やその他の従業者の待遇改善等のためにいろいろと御苦心をなさっておられる状態は私どももよく存じております。特に私どもといたしましては、従来こういう中小企業の方々の育成ということについてはいろいろと考えたわけでございますが、必ずしも施策等は十分でございませんでした。したがいまして私どもとしては、一応この区域トラックを中心とする中小事業者の方々については長期的な融資を確保したいという  ことで、実は四十六年度の今度の政府予算原案を編成する過程におきましても長期、低利の融資の確保ということをいろいろやったわけでございますが、私ども考え方が十分煮詰め方が足らなかったということがおもな原因だと思いますが、ものになりませんでした。これは今後とも十分努力をしたいと思います。  それから、ただいまお話のございました大手業者と下請との関係でございますが、これにつきましては私ども、できれば業界におきましてそういう不安定な下請、元請の関係でないような、一種の共同荷受け的な業務というようなことが法的にもできると考えておりますので、そういうことを地区のトラック協会等が中心になって、あるいは事業協同組合でもけっこうだと思いますが、そういうシステムを考えていくということであれば、私どもとしてまことにけっこうだと思いますし、そういう趣旨行政指導と申しますか、そういうことはやりたいと思っております。  さらに、税金等につきましても、長期、低利の融資の確保とともに事業者の今後の税制の改善というようなことについても検討をしていきたいと思っております。
  210. 大出俊

    大出委員 御存じだとは思いますが、これまた先ほどちょっと申し上げた古くて新しい問題がありまして、業界の慣行というのは抜きがたいものがあるのですね。しかしこの慣行で泣かされるのは弱い末端の下請、再下請の方々なんですよ、常に。税務署の当たり方はみなそこにいくのです。だから二重、三重に中小の零細な地場トラック運送業者というのはしぼられ続けるわけですよ。トラックの例をあげるというと、大出君、君の言っているのはどこだろうということになっても困るから、別な例をあげます。  港湾運送の分野でも、はしけの下請、再下請をやる。ある回漕店が船を十六隻持っていると、第十六何々丸というのがある。そうすると、税務署が調べてみたら第十六番目の船がない。何々丸がない。つくった形跡もない。しかし帳簿上第十六何々丸という、つまり回漕店の店名を付した船があることになっている。見ると、労賃、燃料その他で金が落ちている。ないのに何で帳簿上十六があるのか。十五隻までしかないじゃないか。三年さかのぼって計算して七百何十万税金をよけい取ります、過少申告だ、こうなる。ところが現実はそうじゃないのですね。つまり回漕店の元請がある。藤木さんだとか、さっき申し上げたように幾らもいる。そういう大きなところへ出かけていって営業の係長、課長さんに現金で二十万なら二十万ぽんと持っていく。持っていかなければ仕事をくれないのですよ、早い話が。何の契約もない。現金二十万、三十万持っていって頼みますといって、よろしいというんで、これをやれということになる。が、金は帳簿上落としようがない。落としようがないから、船は十五隻なんだが十六隻目をつくって、そこの労賃なり燃料費なり諸経費なりで落としていって、それが続いていた。さて税務署は何というか。その回漕店から、過少申告だから税金を七百何十万取ろうとする。そんなこといったってこの会社はもうかっていないのだからとごねる。それでは何月何日に何という人に幾らやった、全部言ってくれ、そうすれば過少申告は、ふところに入れた人なんだからそっちから税金を取るという。かといって、しからばそのことを全部明らかにしたら業界の村八分で、二度と再び仕事はこない。その税金でよしんばその会社がつぶれても、言わなければ仕事をくれるから、金を借りてきて細々やれることになる。つぶしても再建がやれるということになっている。常に大企業、元請けのしわ寄せというのはそこに寄る。税務署は百も承知で取ろうとし、取られることになる。これの繰り返しですよ。このことは運送業全般に当てはまる。何がしかのことを金でしなければ仕事がこないことになる。特に荷受けが詰まれば詰まるほどそういうことになる。そういう中を切り抜けてこなければならぬ性格なんですから、いまおっしゃるようなことは簡単に口の先で言ったってできない。それは共同荷受けのようなかっこうとおっしゃるけれども、なかなかそうはいかない。運輸省がこう言うのだからと、へたにそんな開き直ったら、おまえのところにはいかないと、ほかへいってしまう。だから、そこのところ立ち入って考えてやるという姿勢が実は行政官庁になければ、この中小零細の企業というのは成り立たないのですね。私は料金値上げというものについてこんなことを言っておるのは、そういう中小零細な企業の苦しさというものを見かねるから実は言うのです。だから、さっきおっしゃる制度金融的な方式も、やはりそこまで考えて言っていただかぬと、私さっきここで例をあげたのと同じで、業がどうしてあんなに弱いのかということになるのと同じことですよ。そこらのところをどういうふうにごらんになるのですか。
  211. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御指摘のように、非常にこの問題むずかしい問題でございますが、業界におきましていろいろ考えておりますし、また私ども考えておりますのは、中小企業対策といたしまして輸送情報の処理のシステム化ということをやりたい。先ほど申し上げました、実は私どもの考えが十分固まらないために実らなかったというのはこれでございますが、この情報システム化をやりまして、そうして中小企業が一つのグループをつくって帰り荷のあっせん。たとえばA地からB地まで荷物を運んでいく、そうしてB地から自分のところにからで帰らなければならぬ、そういうケースがございますが、そういうところに共同の荷受け機関をつくりまして、そこが電算化されたシステムによって帰り荷のあっせんをするというようなことにして、小さい人たちが団結をして、自分たちの力で直接荷主から荷を受けるというようなことも、これは理論的には可能でございますので、問題はこれをどうして実現化するかということだと思います。したがいまして、いまトラック協会の中に貨物運送事業協同組合連合会という比較的中小の方々が集まった組織がございますので、これを中心にもう一ぺんいま申し上げましたような方策を考えながら、いかにしてこれを実行可能にするかということを少し私ども突き詰めて検討して、ただいま先生のおっしゃいましたようなそういうピンはねと申しますか、下請による中小業者の被害と申しますか、そういうことをなくするように業界と十分情報交換しながら検討していきたいと思っております。
  212. 大出俊

    大出委員 これはタクシー業界につきましても同じことで、あわせてちょっと承っておきたいのでありますが、昨年料金値上げをされたわけでありまして、野村さんの時代でなくて黒住さんが自動車局長でございましたが、この席で御同席の伊能先輩あたりが経済企画庁長官にこわ談判された一幕などもありましたが、ハンドルを持つ人の側に立つ私どもの立場としても、あるいは零細なタクシー業界の立場に立つ私どもとしても、いろいろな物価にはね返る寄与率その他の理屈はあります。ありますが、世の中片っ端から上がってしまって、ここにしわが寄るということでは困るということで、私はずいぶんこのやりとりを経済企画庁ともしましたが、さて現状その後どうなったというふうにお考えなのか。その間にタクシー業務適正化臨時措置法という法律も通っているはずでありますし、これに関する登録などめぐりまして幾つかの附帯決議もついているはずでありますが、現状タクシー、ハイヤー運送業者というのはどうなっておるのか。そうしてまたたいへん大幅な料金値上げの申請が出ておりますが、諸外国との比較の上に立ってこれをどう処理なさろうと考えておられるのか、ここらをひとつ承っておきたいのであります。
  213. 野村一彦

    ○野村政府委員 大都市におきますタクシーの運賃改定の問題でございますが、東京につきましては本年の二月十九日、それから川崎を含む横浜地区におきましては一月十六日に、タクシーの基本料金の改定の申請が出ております。これはまだ東京陸運局においていずれも検討をしておる段階でございまして、私どもまだ詳細な資料を見ておりませんが、東京につきましては昨年の三月一日、それから横浜につきましては一月一日値上げしたばかりでございまして、特に東京は二二・五%という値上がり率を計算上やったわけでございますが、業界の経営が非常に苦しいということは私どもよく知っております。その基本的な原因はいろいろございますが、結局タクシーというものが労働集約産業でございまして、いわゆる省力化ということが非常にできない、それから、タクシー事業者の経営の姿勢というものにもいろいろまだ合理化が進まないという問題はあろうかと思いますが、そういう基本的問題があろうと思います。一方、昨年国会におきまして御決定いただきましたタクシー業務適正化臨時措置法に基づく近代化業務を東京及び大阪の二カ所においてやっておるわけでございます。この場合、大阪におきましては、タクシーの近代化センターの業務計画とそれから負担金も比較的スムーズにいったわけでございますが、東京につきましては、これについていろいろと甲論乙駁がセンターの中で行なわれまして、ことしの一月になりましてやっと負担金の額もきまり、それから近代化センターの業務、したがいまして業務計画もきまったということでございます。この間、タクシー業務のサービスの改善、あの値上げ当時、昨年お約束いたしましたサービスの改善というものがどの程度行なわれたかということでございますが、私ども率直に申しまして、まだ乗車拒否というようなものはかなりございますし、サービスの改善ということは必ずしもはかばかしくないということは、非常に残念なことでございますが事実でございます。そこで私どもは、業界の経営の苦しいということはよくわかるけれども、しかしサービスの改善ということがなければ、タクシー料金はもちろん道路運送法の八条によってコスト主義による原価計算をして出してはおるけれども、同時に利用者から見ればサービスの対価である、したがって、経営が苦しいから値上げをしろといっても、それは簡単に世論の納得を得るところではないというようなことで、もうしょっちゅう、特に東京につきましてはタクシー業界といろいろと話をいたしました結果、タクシー業界としても一本来ならば役所が出すべきものでございましょうが、いわゆる「タクシー白書」というものをシリーズもので出しまして、一巻、二巻が出て、近く三巻になろうとしておるということで、私どもはそれは一つの進歩であると考えております。それからもう一つは、タクシーの経営が苦しいという事情も、単に役所に訴えるだけではなくて、もっと一般の人に訴えなさいというようなことから、先般値上げ申請いたしましたときには、私どものほうの運輸省の記者クラブにタクシー協会の幹部の方が来られていろいろと説明をされた、これも一つの進歩であると思います。それから、私実はまだ正式な報告を受けておりませんが、私どももかねてから言っておったわけでございますけれども、タクシー近代化センターの中に各男女あるいは年齢別、地域別、階層別のモニターを選んで、そういう人々にタクシーのサービスの状態を率直に意見を述べてもらう、そうしてそれを参考にしてサービスの改善のあがっていると認められるものについては私どもは原価計算に基づいて料金を上げることあるべし、そういうことでいこうではないかという主張をいまいたしておるわけでございます。したがいまして、目下タクシー界の経営は非常に苦しいということはわかっておりますが、サービスの改善ということが必ずしも十分でない、あるいはきわめて不十分であるというところから、大臣からもそういう御指示をいただいておりますので、私どもいま直ちに、この大都市におきまするタクシーの料金の改定についてはまだその時期ではないというふうに考えております。ただ、経営が苦しいということについては、当面それをしのぐための緊急対策をしなければなりませんので、大蔵省、通産省等にお願いをいたしまして、東京都と大阪につきましては緊急融資という形で当座の危機を切り抜けるという方法をとるということで、これは幸いに関係方面の御了承を得まして、緊急融資を東京、大阪含めまして十数億でございますが、こういうものを確保して急場をしのごう、こういうことをいまやっておるわけでございますが、なおサービスの改善につきましては今後ともモニターあるいは「タクシー白書」による世論の啓蒙というようなこともあわせ考えながら努力をしてまいりたいと思っております。
  214. 大出俊

    大出委員 この間の値上げの結果、経営は楽になったか苦しくなったか、いずれというふうにお考えでございますか。
  215. 野村一彦

    ○野村政府委員 値上げの結果、所期のような、東京で申しますと、二二・五%というような増収にはならなかった。したがいまして、そういう意味で、値上げはしたけれども所期の増収にならないために、それが一つの、経営に対する改善にはあまり役に立たなかったということは言えると思います。
  216. 大出俊

    大出委員 いまあなたがおっしゃった東旅協のシリーズもの、私もこれは読んでみているのですよ。それから私の足元の横浜のコスト分析その他の資料もここにあるわけですよ。それから、東京じゅう全部ですけれども、東京じゅうのハイヤー、タクシーの組合の側でこれはまとめておりまして、昨年の値上げ以後の、春闘が終わって賃金がみんな確定しましたね、これはここに全部ございますが、十三日乗務で計算しておりますが、十三日乗務で計算して、大体十八万ぐらいのところを標準にして、十万から二十万まで全部ありますけれども、水揚げでいきましてそれで一体幾らになるかという数字を全部私ここに持っている。組合の側が見る、値上げの結果組合の賃金にどう響いたのかということ、それから経営の側が考える、東旅協がここで言っている、つまり値上げが経営にどう響いたのかということ、かくてまた賃金コストというものはどこにどうなっているのかということ、タクシーのコスト計算ですね、これは東旅協がここに書いています。この中には、そのほかに言うならばタクシー原価ですね、それからこの中には、いま乗車拒否ということがここに出ましたが、需給関係というのは一体どうなっているのか。乗る人と運転をされる側の皆さんとの間のですね。それから、問題は大量輸送という意味の、つまり都民の足、あるいは横浜でいえば市民の足という意味での大衆大量輸送方式というものの考え方が一面あるのでありますけれども、どの程度の輸送能力をタクシーは持っておるのかということ。そうすると、ほかの大量輸送、バスその他と比べてみて、一体タクシー運賃というものは高いのか安いのかという問題、さらにそれを国際比較をしてみたらこれまた高いのか安いのかという問題、問題は数々ある。そこらのところをとらえて、さっき私が申し上げたように、一体経営という面から見て改善につながっているのかどうかということ、また、上げればそれで経営は全く磐石になるのかどうかということ、逆にもう一つそれと相前後して考えなければいけませんのは、どこへ行っても休車現象が相次いで、一割前後の車がみんなほこりをかぶって寝ているというところだらけである。そうすると、たとえば六十台規模の会社でいうならば、どれだけ経営に一車の休車というのは響くのかという問題、そこにやはり免許の返上だとかなんとかいう問題が出てくるのでありますけれどもそこらのところを運輸省の側がやはり一つの私どもに納得のできる資料をつくってほしいのですよ。先ほど一つの進歩だと言ったが、それは東旅協の経営者の側がつくった資料です。そうでしょう。いままで実は皆さんのほうの資料の中で組織的、体系的に、これはなるほどと思われるものにあまりお目にかかっていない。そんなことないとおっしゃるかもしれないけれども、私は何代かの自動車局長さんとやりとりをしておりますのでね。だから、そういうところを全部ひっくるめて考えたら、どうすればいいのかという結論が出なければおかしい。だから運輸政策審議会というものもあるわけであります。そうすると、何を一体ポイントに——乗客がいるのですから、市民、国民がいるのですから、そして経営者がいて、政府行政責任というものがあるのですから、そこらのところをあわせ考えて、その中にハンドルを持つ人の立場がある。総合的にタクシー産業としてとらえて、一体どうすれば生きられるのかというこの危機現象の乗り切り方をあなた方が指導してやる必要がある。責任がある。ここまで実は言わざるを得ないわけであります。時間がないので幾つも申し上げましたが、そこらは一体どうなんですか。
  217. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  先生のお説のように、タクシーの基本的な問題、特に大都市における基本的な問題につきましては、実は私どもただいま運輸政策審議会の都市交通部会において審議をお願いをして、いままでも五、六回会合をいたしております。この会合のねらいは、結局大都市における主としてバスとタクシーとのあり方いかんという輸送分野、それからその輸送分野と現状との比較というようなことで、基本的にはタクシーとバスとの位置づけ、あり方、輸送分野というような大きな方向づけをお願いをしておるわけでございます。これは私どもとしてはことしの初夏の候くらいまでには結論をいただきたいというふうに考えております。その中で位置づけ、役割りというものができますと、おのずから先ほど先生からお話のございました運賃の基本的な——個々の運賃の額は別といたしまして、運賃の基本的なあり方、諸外国の運賃との比較あるいはバスの運賃とタクシーの運賃との相対的な比較というような考え方の基本もこの審議の過程において出てくると思います。  それからまたバスの大都会における需給の関係といいますか、実車率というようなものは大体どの程度のものがスムーズにいくゆえんであろうかというような一つの見当もつくと思いますが、基本的にはいま申し上げました運政審の都市交通部会における位置づけ論にさかのぼって検討をしていくという、いまやタクシーの経営につきましてはそういう時代であろうというふうに思っております。したがいまして、その私どもの集めました資料の中に、ただいま先生が言及されました問題点につきましても私ども実は用意をしておりまして、この場には持っておりませんが、これはまたいずれ先生にもそれをまとめまして差し上げまして、いろいろ御意見を承りたいと思いますが、基本的にはいま運政審の都市交通部会の場におきまして、いま先生の御指摘のような点を含めた検討を鋭意進めておる、こういう状況でございます。
  218. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから締めくくっていきたいのでありますが、この東京の例からいきまして、一日東京のタクシーというのは二百五十万人の人を運んでおるんですね。一日ですよ。そうすると、一日二百五十万人の輸送量というのは、東京の交通機関全部の約一五%になるんですね。そうすると東京にはバスも走っていれば電車も走っていますけれども、このうちで一五%の輸送能力を持っている、つまり一日に二百五十万の人を運んでいる、タクシーの分野はこれだけの分野です。だからそういうとらえ方をすると、これはもうタクシー産業として、大衆の足としてどういうふうにこれを位置づけるかということになってきていると思うのですね。単に一つの経営のつぶれるつぶれないじゃない。全体を一つの産業としてどういうふうに皆さんが考えていくかという問題、ここまできていると私は思うのですね。そういう意味で、前回の値上げというのは、結果的に経営をなさる中小の方を含めた皆さんにどういう影響を与えたのか。中には値上げしたってよくならぬと言っている人がたくさんいる、経営者の方で。だけれども、それにもかかわらずたいへん高額の値上げ要求が出ている。これまた現実ですね。そうすると、そこのところを運輸省はどう見るのかということですね。値上げしてほんとうに大衆の足としてのタクシーがいまの様相を一変して、需給関係も含めて、新免もどんどん出した、もちろん道路事情その他もありますが、それも評価できる、そういうことになっていくというふうにごらんになるのか、いまここで値上げしてもそうはならぬとお考えなのか。値上げしないで、それじゃ個々の企業、中小企業というのは中途はんぱなところはなお悪いのですけれども、経営が一体成り立っていくとお考えなのか、そこらはどうでしょう。
  219. 野村一彦

    ○野村政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的には、特に大都市におきましてはバスとの関係で、タクシーとバスとの位置づけ論というものを明確にしなければならないと思います。ただいま御指摘のように、現在タクシーは一五%の乗客を運んでおるということは先生の御指摘のとおりでございますが、私ども現在の輸送の姿を見ますと、たとえば深夜の団地輸送その他におきまして、たとえばバスや地下鉄がもう少し通学、通勤その他の輸送の面を加えてもいいのではないか、その分までタクシーがあるいは過重な負担をさせられているんではないか、そういうことも私どもは考えられるわけでございますが、そういう点もあわせて考えておるわけでございます。したがいましてこのタクシーのあるべき姿というものを発見をするということが、一つのあるべき輸送分野ということを見きわめるということが、一つの仕事でございますが、それに関連してやはり適正運賃ということを考えなければならないと思います。しかし適正運賃といいましても、ただこれを値上げをするということだけでは解決はいたしませんで、これに対して合理化ということもやらなければなりませんが、こういう労働集約産業におきましては、いま各産業でやっております省力化ということが一番できにくい事業でございます。したがいまして、その点は非常にむずかしいのでございますが、私はこれとても、たとえば労働条件を均一にして、あるいは人の採用、募集、養成というような業務をなるべく共同に、近代化センターなら近代化センターというものがあると思いますが、そういうところで共同求人をし、共同養成をし、そして労働条件が均一であれば、そのメンバーに公平にその養成した運転者を配っていくというようなことをすれば、ある程度の合理化はできる。それから資材の共同購入、それから長期、低利の融資というようなことを考えて、そして適正な運賃が確保できるように考えるということであろうと思います。  その意味で、ただいま申請になっております運賃は、たとえば東京でいいますと初乗り料金五四%アップという非常に大きなものでございますが、こういう表現を使うのは適切でないかと思いますが、多少私は水増しといいますか、どうせ査定されるからこのぐらいは持っていかないとということ、おそらくそういう気分もあるかと思いますが、私どもはそういうことではなくて、モデルを使ってなるべく厳密な原価計算をして、そうしてタクシーの役割りにふさわしい道路運送法第八条に書いてあります能率的な原価計算のもとにおけるコストというものを十分はじきまして、そしてその運賃を確保する。ですから運賃の値上げも必要なものは、必要な運賃は確保しなければならない。しかしそれにあわせて企業自身の体質改善なり合理化ということはさらにくふうをして推し進めなければならない。両々相まってタクシーとしての経営が成り立っていくのではないか、かように考えます。
  220. 大出俊

    大出委員 いまいろいろお話しになったのを聞いていると、経営者の諸君も働くハンドルを持つ方も、両方おこり出してしまいそうな話も実はあるのですよ。きょうは時間がありませんから、あらためてまた場所を考えながらこまかく申し上げたいと思うのですけれども、まず三つばかり、これは最後に締めくくり的に承りたいのです。  自動車の強制賠償保険料ですね、一つは。それから任意保険料の値上げ、LPガス税などの徴収、これは経営にどれぐらい響くと思いますか、  コストの面からいって。時間がないから私申し上げますが、これは横浜の自動車強制賠償保険料、これは四万五千百四十円だったのが昨年の十一月から十五万二千三百円、たいへんな値上がりです。これは確かに、ここに運賃の負担能力の限界を越えておりますと書いてありますが、そう言えないこともない。任意保険料も規定保険料の約三倍ですね。そうなると、この上にまたLPガスの増税の問題、これだけとらえてもこれは非常に苦しいですよ、そういう面では。大きな千台前後になっているところと五、六十台でぴたりとまっているところと、中途はんぱな二百台というところとありまして、これは病院の経営と同じで、中途はんぱなところほど苦しい。ふえるなら思い切って千台ぐらいにしないとかえって苦しい。経営の資金の関係等がいろいろありますけれども、そこにいまのようなことになると、苦しいところはどうにもならぬことになってしまう。これは現実ですよ。こういう点も皆さんのほうでやはり相当考えないと、こういう面から経営を苦しくしてしまったのでは、そのあおりを食うのは労使関係なんですよ。その労使関係のこじれ一つで、十年からいた運転手さんも、ハンドルを握る人もよそへ流れてしまう。これはとてもじゃないがもう見切りをつけたというので、横浜でいうならば市バスなどにたくさん入ってしまっておる。それからトラック関係のところにさらに入っている人もある。これはなぜかというと、住宅その他至れり尽くせりにしてあげているからなんですね。とてもじゃないがタコ部屋みたいなことをやっていたのではという気になって行ってしまう、こういうことになるのですね。そうするとだんだんと運転者の確保について、さっき局長がおっしゃるような簡単なわけにはいかないのです、運転手さんの気持ちというのは。だからそういう点を、もう少し緻密に現実を御検討いただきたいという気がする。  それから、もう少し大どころでものを考えてみて、さっき私が申し上げました各会社のこの賃金の試算ですね。これを見ても、旧来から見るとだいぶ寄ってはきました、そうでないと運転手が来ないから。だからこれは、十三乗で十八万というところをにらんでものを考えますと、大体八万五千から——低いところで八万二千、五千、七千、八万九千ぐらいまでというところですね、可能な限りのところで言えば。これ以上というのは、信号がパッと変わったら飛び出すというかっこうにならなければとてもいけないわけですから。そうなると、この辺をながめてみて、八万円台の賃金、こうなるのだと思うのです。固定給の部分が最近は大体上がってきております。そうでないといないからですよ。げたの鼻緒だから、平均四年だから、すり切れたらすげかえればいいという時代は過ぎた。そちらのほうにも当然金がかかる。これも何とかしてもらわなければ、それこそ二百五十万の人を運ぶ車の運転者の確保ができないのですから、その意味では、大量大衆輸送という意味で、非常に大きな問題になる。需給関係という問題ですね。やはりこれを見てみると、大体八万円台をこえたところに追いつかなければいないのだということになる。だから、大体基本給部分というのが上がってきて、五万円前後から六万円をこすところが幾つも出てきている。ここまできているわけですね。だからこれらをとらえて、タクシー運転手の賃金というのは、国際的な面から考えてみてどの辺が妥当な基準なのかということ、またどの辺に線を引けば類似産業との間でタクシーの運転手というのは確保できるのかということ。これは退職金も当然です。退職金なんかも実際には話にならぬのですからね。最近は十年、十五年というタクシー運転手の方もふえているわけですから、そこらを踏まえて、運転手の賃金というものをどういうふうに考えれば、他産業あるいは類似産業と比べて定着するのかということ、一面、経営というのはどうすれば成り立つかということ。さっきの強制、任意の保険料その他を踏まえて、両方御検討をいただかないと困る。それにはやはり国際的な賃金の比較も必要になってくるわけでありますし、あるいは料金の比較も必要になってくるわけであります。  たまたまこのおしまいに、国際的な料金比較がありますね。これはなかなかよく調べて、私も実はここに前の資料を持ってきているのですけれども、そう違っていない。必ずしも日本のタクシー料金というものは高くはない、これは料金計算の基準が違うからですけれども。九千メートル、一万メートル、一万一千メートル、こうずっとありますが、これは日本のタクシー運送料金というのは長距離になればなるほど安い。そこらのことも考え合わせますと、そこらを含めて一体どういうふうに国民に対して言えば、つまり大衆輸送されるほうの側、需要者一般という形でものを考えた場合に、最近の旅協の調査なんかによれば、買いものに行くのにタクシーを使うというふうにアンケートに答えた人がたくさんいる。そこまで来ているので、そうするとその方々に納得のいただける、そういう観点からものを考えた場合に一体どうなのかという、そういうところをやはり皆さんのほうで線を出してもらわないと、業界おまえたちで考えろ、それだけでは私は行政機関の意味がない。一体どういうことになっているのかということを、コスト計算してみて、運送料金はこの辺のところ、そこでハンドルを持つ人の賃金というのは大体このくらいのところ、コスト計算上こうなる、国際比較をしてみたらこうなる、そこでバスその他の大衆輸送機関とのかね合いから見ると一体どういう結果が出てくるのかという、そこらをやはり総合的にとらえていただいて、さて資金という面から考えてみて三月末の年度末の金融みたいなものをどうすればいいかとか、それからもう一つ近代化センターとの関連、タクシー業務適正化臨時措置法との関連からするならば、外国の例からいけば、タクシーの運転手さんが腹を減らして駐車場をさがしながら人を運んでいるということでなくて、国やあるいは自治体の行政責任で、それなりの通路をつくり、そこには運転手しか入れないということになっておって、総合的なレストハウスもある、食堂もある、浴場もある、休憩所もある、睡眠所もある、そういうことにする。そこで、乗車拒否と一がいに言うけれども、運転手に乗車拒否の権限をある意味では与えていい。パリでやっているように、夜の十時過ぎにブローニュの森の向こうまでと言ったら断わっていいとか、酒気を帯びていたら断わっていいとか、そういうふうにタクシー運転手の人格を認めて、一つ権限を与えていい、そのかわりに仕事に責任を負わせるということが必要になる。世間一般と比べてみて、人が寝ているときに運転している、しかし社会一般のレベルと比べてみて自分の収入は低くないし、それなりの権利がある、そのかわり義務を果たす、やはりそういう権利義務関係というものは確立されなければいかぬということになる。私はこの点は、イギリスがやっているように、仮免の形で二年、三年とやらして、市内の地理、建物について、また道路について十分に知らなければ——これは業務適正化臨時措置法の中にもありますが、そういう位置づけというものもして、そのかわり社会的な地位、収入というものを確保してあげるという、つまり経営の近代化を含む、そういうところまで持っていかなければ、タクシー産業としての位置づけはできない、こう私は思う。ILO条約もありますよ。だからそこらをやはり運輸省はぼやぼやと——ぼやぼやと言っては大臣がいて恐縮だけれども、ほんとうにぼやぼやっとしてないで、ここまでくると——また値上げを申請する、そんな状態を国民が新聞で見て何と思うか。そして運転している人が乗っかったお客さんに、おまえのところまた値上げかよ、ろくな親切もしないくせに何だと言われたのでは、ハンドルを持っているほうはたまったものではない。だから、そこらのところを運輸省は国民に責任を持ってあげるというその気持ちがなければ、そういう意味の国の責任、そういう意味の地方の自治体の責任というものがなければ、さっきおっしゃるようなことだけでは、とてもじゃないがいまのタクシー産業というものの改善はできない、こう私は思いますが、御意見を聞かしておいていただきたいと思います。
  221. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生のおっしゃるように、タクシー事業につきまして、道路運送法に基づく監督というものは私ども運輸省でやっておるわけでございます。ただ業界あるいは運転者、そういう方々の希望とかそういうことだけでなくて、私どもが積極的にタクシーの事業のあるべき姿、これに関連しまして運賃のあるべき状態、これは先ほどもお話がございましたように、国際比較あるいは他産業との比較、それから労働者の賃金、これも国際比較あるいは他産業に従事する、たとえばバス、トラックの運転手の賃金との比較、そういうことにつきましても一つの見通しというものを持って、それでもって私どもが業界を指導しなければならないということはお説のとおりでございます。そういう意味で、私どもも先ほど申し上げました運政審の都市交通部会におきまして論議を尽くして、私ども考え方もほぼ固まってまいりましたので、これを運政審の委員の方々におはかりをして、そうしていま先生のおっしゃいましたいろいろな賃金の問題あるいは運賃の問題、それから輸送分野の問題、それからさらに、これはただいま数字を持ちませんで恐縮でございますが、保険料とかあるいはそういうものの経費の中に占める割合、あるべき姿、そういうことも含めまして全体的な一つのものさしというものを私ども自身として早急につくって持たなければならないと思います。そういうものさしを持って、それでもって業界を指導するということに、これは早急に私どもとしてもそういう体制を固めたいと思っておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。
  222. 大出俊

    大出委員 時間がありませんので、かけ足でものを言いましたが、実は数字をあげて少し議論をしたかったのですけれども、時間の関係もありますので、たいへんなかけ足になって恐縮なんですけれども、ただ私いまのお話を聞きまして一つ申し上げておきたいのは、おのおの立場があるんですね。ハンドルを持つ皆さんにすれば、客を乗っけて走ろうとするところを、信号が赤になっているのにのこのこ人が歩いているわけですから、これは腹が立ちますよ。それは時間でかせいでいるのですから。ぼくらのような仕事も時間戦争みたいなものだけれども一つのノルマがある。確かに、十数年前の神風タクシー追放のときに、総理府で本部をこしらえて、通達を出して、キロ制限三百七十キロなんというものを出したりしたことがありますよ。そのときに、累進歩合というものはなくせと言った、単純歩合はしかたがないにしても。それがいまようやく累進歩合というのはなくなってきたですね。これはずいぶんばかな話でございましてね。そして、いま私があげたような賃金体系になってきている。私は、いま、タクシー運転者の賃金体系は考え直さなければならぬところに来ているという気がしますけれども、それでも前とはだいぶ変わってはきている。だから、そういう中で働く、交通煩瑣な、交通行政の貧弱なところに、やはり犠牲者という立場のタクシー運転を業とする方がいるんだから、そこをやはり考えてあげないと、休車現象はなくならない。これは、どこまで強くその気持ちを為政者の側が持つかということだと私は思う。またいいかげんにお役所仕事でやってやがるというふうにハンドルを持つ人が思うようでは、幾ら二・九通達を出してもだめだ。基本給というものを、固定部分を六割なんていったって、あのときすでに六割をこしているものはたくさんあった。それじゃだめなんですよ、やはり少し先に出てものを言ってくれないと……。そのかわり、今度は経営する側の方々、長年もうけ過ぎてはいるけれども、かといって、いま、大量大衆輸送機関と見なければならぬタクシー業界なんだから、タクシー産業というとらえ方をしなければならぬのだから、その中で経営者というものはどうすれば生きているかということを、税金の面その他まで含めて考えなければいかぬのですよ。これまた、時の為政者が、時の行政機関に携わる方々がどこまで真剣に考えているかという、その両方が出てきて、そこに経営者の立場というものもおのずから明らかにならざるを得ない。世論があるんですから、利用者があるんですから、これは国民なんですから。だから、そこまでいったときに、一体国民、つまり利用者側が、料金が上がっても納得するのかしないのかということ、ここまでの線を引けば、経営者がこうなり、働く人はこうなり、利用者の立場はこうなる、やはりそういうところまでとらえて考えていただいて、それに対する金融措置を含む、税制を含む、つまり行政機関の責任という形のもの、そういうふうに実は私はここで議論をしたかったのですけれども、時間がないので、残念ながら抽象的な話になりましたが、ぜひひとつそこらを、これは大臣のほうでもお考えをいただいて——また値上げ申請が行なわれている。何言ってやがんだ、不親切きわまるじゃないか。不親切きわまるには不親切きわまるだけの事情があるんだから、ばかばかしくてそんなに親切にできるかという気持ちになる。だから、そこらのところを、単に集中的に片っ方だけたたいたってしようがないんだ。だから、銀座かいわいで、かつてこの委員会でも問題になりましたが、国際ライオンズクラブの集会があって、乗車拒否云々と……。一つの地域に集中的にぽかんとタクシー事業の穴があくという場合に、あるいは恒常的にそこは穴場になっているというところに——諸外国の例じゃありませんけれども、地下鉄が深夜走っている例だってある。そうでしょう。そうなれば、二時以降走っていないことになっているタクシーなんでありますから、それならばそのように国が行政責任をとるべきなんですよ。だから、そこらのところを、大臣、総合的にひとつ検討していただきたいと思うのです。おととしから去年にかけて、あらゆる総合雑誌が片っ端から乗車拒否云々というので——ハンドルを持つ人間、それはいい人ばかりいないかもしらぬ。しかし、それにしても、新聞を含めて一大キャンペーンを張っただけでは片づかないと思いますので、今回もまたこの値上げ申請が出ている、運輸政策審議会が論議をされておるという時点でございますので、さっきいわれる、国民への業者のPRというのでなしに、そっちにばかり責任を負わせないで、やはり国が大衆大量輸送機関なりととらえるんなら、責任を持って、それこそPRをしていただきたいものだという気がするのです。そこら大臣いかがでございますか、最後に……。
  223. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 だんだんのお話、たいへんけっこうでございますが、ただ、私はタクシーは大量交通機関だと思っておりません。いわゆる大都市交通における大量交通公共機関は国鉄、東京でいえば国電、それから私鉄、そして地下鉄、バスで、タクシーは補助機関である、こう考えております。これは世界の大勢であります。しかし現実は、もちろんおっしゃるように二百五十万の人を運んでいるのですから、大衆的な交通機関と扱われておりますが、そういう状態は無理なんです。これは私よりも大出さんのほうが外国に行っている数が多いですから、経験はおありでしょうが、たとえばロンドンのような大都会でも、タクシーは八千台にすぎません。ニューヨークでもやはりその前後でございます。パリが少し多いのですが、それでも一万台。東京は、ロンドン、ニューヨークと同じ人口で三万台です。もしハイヤーを加えれば四万台という四倍に近い数なんですね。これはもちろん原因があります。一つは、日本は地下鉄が非常におくれておったということ、それから道路事情が非常に悪い。道路事情が悪いのは、戦後初めて道路らしい道路をつくってきた。ロンドン、ニューヨーク、パリに至っては、百年前、二百年前から道路をやってましたから、したがって幹線道路は片道五車線以下の幹線道路はない。日本で幹線道路といえば大体四車線ですね。ですから、最近バスの優先レーンというものを言ってますが、優先というのは結局走れないということなんです。前にタクシーがおれば走れないのですから、したがって、外国でやっておるように専用レーンでなくては意味をなさないのです。ところが、日本は道路事情があるからできない。また地下鉄が、御承知のように、まだロンドンの十分の一という程度でありますから、これもまだ十分な機能を果たしていない。その意味において、現在のタクシーというものがやはり大衆的な機関でありますが、これを生かす必要はあります。しかし、それはもう将来を考えますと、私は、タクシーというものはタクシー産業とは思っていません。ロンドンのごときはほとんど会社はありません。全く個人です。あっても、二、三十台ぐらい持っている会社が三つ四つあるくらいです。全部個人です。それはもう産業として成り立たないんですね。さっき自動車局長も言ってましたが、合理化の面がない。少ないと申しますが、ほんとうは全然ないのです。一台の自動車を動かす場合に、これはもう半分の人間で自動車を動かすわけにはいかないのですから、したがって、四人、五人乗りの自動車は四人、五人乗りの自動車で、十人乗りのタクシーはできてないですから、したがって、これはもう合理化の余地はない。  実はタクシーが無線をやったときに私もちょっとお世話したのですけれども、七、八年前ですが、これは、関係者は、無線を利用することによって車の効率をよくしようというのが出発点なんです、遊んでる車がないように。ところが、情勢がこの七、八年間で変わってきまして、いわゆる通勤、通学というものは、東京都内に都市集中化といいますか、ことにセントラルのところに集中化してくる、住宅がどんどん外へ伸びていく、こういうことからして、いわゆる通勤、通学というものが大都会における——これは日本だけではありませんけれども、日本は特にはなはだしい。東京、大阪では、いわゆる通勤、通学が輸送の大きな問題になってきたわけなんですね。ですから、いまタクシーのいわゆる乗車効率といいますか、実車率というものが大体六二%くらいだと思います。五〇%をこえれば必ず乗れない人が出てくる。これは原則なんです。五〇%をこえれば、いわゆる五台に一台、十台に一台ぐらいしか、から車がない。そして時間を考えてみますと、朝の七、八時から九時ごろまでは、もうタクシーを通勤用に使う人があるものですから、この時間には乗車拒否というのがある意味においては行なわれる。最もひどいのは、夕方の五時から七時ごろまではタクシーがフルに使われますから、そこでタクシーが足りない。その間の昼間期間はどうかといいますと、やはりタクシーに乗る人も非常に少ない。そうしても大体六二、三%であります。これはもう異常なる状態です。実際から言えば、タクシーがここちよく乗れる状態といいますか、円滑なる乗車効率というのは五〇%が限度だ、こう言われているんですね。ことに、いまのように通勤、通学というものを考えますと、それ以下でなければならぬのですが、まあまあ五〇%の乗車効率ならばスムーズにタクシーの乗車が行なわれるわけです。こういう状態から見ると、タクシーというものについて、私は世間の人とはちょっと違った見方をしているのです。大衆大量交通機関だというとらえ方をするなれば、これはどうにもタクシーというものの解決策がついてこない。たとえばタクシーに対して国がタクシー一台を買うごとに補助金を出せるかというと出せない。バスのような場合になりますと、これは大衆交通機関でありますから、純然たる通学、通勤用に使わなくちゃなりませんから、これなどは将来考えなければならぬ。たとえ私鉄であろうと国鉄であろうと、こういうものに対しては国が考えてやらなくちゃならぬ。バス一台の購入に対して国が安い金を貸すかもしくは補助金を出すか、地下鉄に対してやっているようなことをやって、そこで料金を押える。ですから、純然たる公共大量交通機関は国が積極的に助成すべきだ。そのことによって料金をある程度押えていく。これが全体のわれわれの国民生活の中で占める大きな比重になるわけですね。ところが、タクシーの場合は国が助成するといいましても、最近私は大蔵省と交渉しまして、開銀の資金で幾らか融通資金を出すことにした。この程度くらいしか実際はできないのです。助成金を出すということはむずかしい。その意味において、タクシーに対しては適正な料金、独立採算制で私企業としてやれる適正な料金を考えてやるべきものであるというのが私の主張なんです。従来の料金の設定のしかたか——たいへん大出さんはタクシーに対する理解ある、愛情あるお話でありまして、私もその意味においては大出さんの御意見に全く賛成であります。へたをしておくと、法人タクシーと個人タクシーとを問わない、これは非常な苦境におちいって、かえって現在の交通飽和の状態に拍車をかける結果になる。ただ問題は、現在の場合に物価問題その他がありますから、そこで思い切った措置がやれるか、適正料金というものにある程度料金改定ということを含めるなれば、そこに政治上の問題があるわけなんですが、ただ従来の料金決定のしかたにおいて、先ほど来大出さんからありました愛情のある措置がある程度配慮されておったかどうか。この点私も疑問の点が——疑問というと変でありまするが、もっといろいろな点を計算に入れて考えてやるべき点が多くあったのじゃなかろうか。ただ頭から削るばかりが能ではないという気がいたします。  それにいたしましても、やはり交通機関の重要な面をになっておることは事実でありますから、したがって、これは利用するほうもある程度利用しやすいように、かつまた経営する人も適正な経営ができるような措置は積極的に講じなければならぬと思います。最近ニューヨークにおいて七〇%の値上げをしたところが、結果においては減収二〇%になった、こういう例が報じられております。これなどはいろいろの事情がございましょう。感情の問題も利用者との間にあったのじゃないかと思いますが、そういう結果を来たしても意味がありませんので、いろいろ運輸省としてやる場合においては、十分に業者も積極的に指導をする、あるいはまた利用者に対しても理解を持ってもらうという点で、将来料金問題は適正な措置を講じていく必要があろうと思います。ただ、いま御承知のように物価問題等もやかましいおりからでありますから、なかなかその点についての別な意味での配慮が要るものでありますから、いまここでそういうことについての明確なお答えもできぬことはまことに恐縮でありますが、お話のようないろいろの理解のある、また一方においては使用者にも迷惑のかからないたいへんけっこうなことになりましょうけれども、いろいろな点を考慮いたしまして積極的な指導をしてまいりたいと考えております。  なお、トラックの料金問題でお話がありましたが、御承知のように路線トラックについてはせんだって料金改定を行ないました。これについても御意見があった点は非常に傾聴すべき点があると思います。そこで残っておるのは区域トラックでありますが、私はこれも少し乱暴な考え方かもしれませんけれども運輸省は許認可事項がある意味においては少し多過ぎるのじゃないか。ことに区域トラックというのは小荷物を持って歩くトラックじゃないので、これはどっちかといえばいわゆるトラックごと物を運ぶものです。貨車と同じことです。こういう問題に対してどうして認可制度があるのか。実は私自身、私がやっておったわけではないが、私の弟がだいぶ前にトラック業をやっておったことがありました。したがって、たまには話を聞く、最近はいやになってやめましたけれども。区域トラックになぜ認可を必要とするのか、十数年前に料金を設定した当時、公定料金ですね。公定料金で運べるトラックは一台もありません。それを二割も三割も安くしなければ運べなかった。今日ではその公定料金が今度じゃまになって、いま公定料金で頼めるようなトラックは一台もない。路線トラックの場合は原則が小荷物を運ぶのです。もちろんそれ以外のものもあります、七割くらいは大量貨物のようでありますが、これは認可制度があってもいいと思います、それは汽車等あるいはそういうようなものとの関係もありますから。しかし、区域トラックの問題は、車を持っている人と契約者、いわゆる荷主との関係ですから、こういうものに原則として認可制度は要らない。でありますから、もし車を持っておる人が高いことを言うなれば、ユーザー側で自分で今度はトラックを持つようになるでしょう。自然と需要供給によってこれはきめられるのでありますから、ほんとうは区域トラックなどは料金制度は原則として要らぬのじゃないか、こういう気が私はするのですが、そこまでやると問題がありましょう。  そこで、検討の問題ではありましょうが、現在のところは路線トラックはなお料金認可制度にしておりますけれども、先ほどお話がありましたように、こういう中小企業というより小企業あるいは個人企業と言ってもいい、こういう人には役所では計算できないいろいろな問題があるのです。私は弟がやっておりましたから、そういう点よく知っております。ですから、政府できめた料金だけで事が運ぶかというとなかなか運ばない、こういう点もあるわけであります。しかし、こういう制度がある以上は、お話のあったような点もはやり腹の中におさめて、料金をきめるときにはきめてやらないと、先ほど来お話のあるように、去年きめてまた今度は七〇%の値上げだ、こういうあほらしいことが起きてくるのであります。この点は十分に配慮して、今後これらの認可行政についてはやってまいりたい、かように考えております。
  224. 大出俊

    大出委員 これで終わりますけれども考え方はいろいろありまして、大臣が言っておること全くわからぬわけでもない。ただ問題は、日本の場合には特徴的な問題があって、ここまで言うとこれまた大きな論争になってしまいますが、池田さんの内閣ができて、年産百万台計画という自動車生産の目標をきめた。きめて次々に資金的な裏づけもして、日産以下たくさんの自動車会社がどんどん工場新設をして生産に携わった。私どもから言わせれば、アメリカの五大メーカーが一番栄えたときがアメリカの資本主義の最盛期ですから、日本も自動車産業を中心に相当な金をつぎ込んで、一世帯に何台くらいというやり方をした。道路のほうに金はさっぱりつぎ込まないで、自動車をつくるほうに集中的に金が動いていった時代があった。したがって、どんどん輸出を伸ばさなければならぬ、それで国内に売らなければならぬということで、むしろ国が積極的に増車をさしていった時代があるのです。そういう時代を経過して今日に至っておるわけです。三万台東京にある、こうおっしゃる。同じ規模で片一方に八千台しかないと言われる。言われるといってみたところで、そういう政策を本来とった。しばらくおくれてきておる道路問題がやかましくなり、さて道路整備五カ年計画、やれ十カ年計画、やれ二兆円なんて始まった。幾ら使ったかといったら、四割しか使ってないということになる。そういうアンバランスがそういう道路の事情をどんどん立ちおくらせて、片や車をどんどん生産して、国内にあの手この手で売ったのです。そういう歴史があって、今日はその歴史を踏まえてものを考えざるを得ないわけです。  だから、おっしゃる意味のことが全くわからぬわけではないけれども、現実に二百五十万人の足を運んでいるということになるとすると、それをどう見るか、大都市の場合、そこまで考えざるを得ないということですね。だからこれが大臣の言うように、初めからそういう政策なら、区域バスもあるいは路線バスもあるいは地下鉄もということで、そこに資金が集中していればいい。皆さんが御存じのとおり、ニューヨークの地下鉄のように、あるいはパリの地下鉄のように——私もパリに七回も八回も行きましたけれども、とにかく昔私が行ったころなんというのは、おひまならばどうかタクシーであるいは自動車で、お急ぎならばメトロで、こういうことでしょう。いやでも応でもメトロに行くように政策的にできていた。日本の場合もそうしてあれば、大量大衆輸送機関というものはメトロであり、あるいは路線バス、区域バスということになる。ところが、そうでないからいま妙なかっこうができているということであって、そうすると、今日的に当面どう考えるかというと、二百五十万人の足を運んでいることに間違いない。ないとすれば、それだけの世論が起こることも間違いない。労使間の争いがふえることも間違いない。政策が問われることも当然ということになる。実はそういう観点でものを言っていますから、そこに大臣の言われることとの食い違いが出るわけです。だからこそ私は将来に向かって大量大衆輸送機関というもののあるべき姿ということを考えていただいて、展望を明らかにしてもらわないと間違いはせぬか。だから私は個人タクシーと法人タクシーのウエート云々など、きょう質問していても一つも言ってない。そんなものは個人タクシーをふやしたからどうなるものじゃない。これはそういうとらえ方じゃなしに、一体どう位置づけるのか、現状二百五十万人の足なんだということで、これは事実でしかたがないということになるとすればほってはおけぬだろう、ほっておけなければ、じゃ一体政策的にどうするのか、企業の側、東旅協なら東旅協だけに宣伝すればいい、そうでない、国民一般を納得させなければいかぬのです。新聞を見て、この間上げたばかりでまたこんなに上げるのかとなると、そんなばかな話はないじゃないかということになる。そうすると運転者も責められる。たださえどうも感じよく運転してない諸君だから、しゃくにさわってやめるのも出てくれば、まして労働条件はよくないんだから、そうなると、おそらく乗客につらく当たる人も出てくるだろう。だからそういう意味で、あるべき姿というものを、現状でどうすべきなのかということを将来の展望を踏まえて運輸省がものを言うべきではないか、こう言っているわけでして、この点はあとのほうの大臣お話の中でそう食い違っていないようでありますから、そこはそれでいいのでありますけれども、いずれにせよ、時間がありませんからこの辺にいたしますが、ぜひ突っ込んだ御検討をいただいて、大臣が言われることがそうであるとすれば——原田憲さんが大臣のときに私が質問をしたら、やはり大量大衆輸送機関だとおっしゃったのだけれども大臣がかわるたびに別なことになってしまうと困る。橋本さんのあとに別な大臣が七月以降出てきて、いや、大量大衆輸送機関じゃないというようなことを言うかもしれない。それでは困るので、したがってどういうふうに将来に向かって考えていくのかというきちんとしたものをひとつ立てていただいて、あと政府機関の皆さんは責任継承の原則を守っていただいて、人がかわったらころころ言うことが変わったのじゃ困る、そういうふうに御処理いただきたい、こう思っているわけであります。  以上で終わります。
  225. 天野公義

    天野委員長 受田新吉君。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 運輸省設置法改正法案に関連しまして、重要な運輸政策の問題点を取り上げまして、時間にして四十分ほどお尋ねいたします。  大臣非常に有能なお方ですけれども、お疲れで御迷惑ですが、国家のために御答弁を願いたい。私、橋本さんのような実力を持たれる閣僚が運輸省におられる間にいろいろな仕事をなさろうとするお気持ちがよくわかります。今回は任期が相当長くなっておりますので、手腕、力量を発揮されるよいチャンスでもあるわけですが、ひとつ交通政策の中で新総合交通政策を推進されるお気持ちの大臣に、その点からお尋ねをしたいことがあるわけです。  先ほどから質疑応答をされていることを聞いていてその片りんを伺ったわけでございますが、私は陸、海、空という三つの交通機関を最高に利用しながら、最も有効な輸送目的を果たすように、政府が配慮してあげることが新交通政策のねらいであると思うのですが、空でいくか海でいくか陸でいくか、とにかくおのおの目標とするところへ自分のからだを運ぶ、また物資を運ぶということになるわけですが、総合交通体系の中で、日本の置かれている特殊の地形、そういうものを背景にして、鉄道を主軸とする日本の交通機関に、最近新幹線が登場して、非常に意義を持っておりますけれども、その他の鉄道輸送というものの置かれている部位の評価に変化はございませんか。まずこれを大臣にお尋ねしたいのです。
  227. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 交通機関はそれぞれ特色がありますから、その特色をどう生かすかということが一つの問題になるだろうと思います。  そこで、私の考えておる総合交通体系というものは、鉄道及び飛行機、高速自動車道路、もちろん一般道路も入ります。それと港湾、そういうものが旅客もしくは貨物等の流通体系における主要な役割りだと思います。その中で国鉄の持つ役割りは何といっても中距離及び長距離のお客さん及び貨物を運ぶ。それにおいてこれが中心だといえば、またほかから文句が出ましょうけれども、国鉄というものはかなり重要な役割りを持っておる。そこでたとえば飛行機の場合において、飛行機はこれから十年間に十倍前後お客さんがふえるわけでありますけれども、東京−札幌間のいわゆる旅客輸送率を見ますと、これが直通のお客さんを見ますと、大体二七%が汽車であって、あと七三%が飛行機で行っております。しかし、一方また今度は西のほうの東京−福岡を調べますと、約三〇%が飛行機で、七〇%が汽車で行っております。これは一つは大阪まで新幹線ができたということも理由になると思います。そういうことから考えますと、やはり長距離はかなり飛行機を利用する人が、飛行機、飛行場の整備によって多くなっていくと思いますが、同時に相当の間、団体を中心にしたお客さんはやはり鉄道によることになると思います。  そういう意味において、結局新幹線というものは中距離及び長距離を原則として大量に運ぶ機関として、これから花形的な存在になるであろうし、またそういう意味において新幹線網というものを考えざる得ない。従来の在来線はこういう新幹線ができ上がりますというと、これは原則としてはいわゆる貨物輸送に使われるであろう。貨物は昭和六十年の時点で計算しますと、大体において流通は現在の六倍くらいのものの流通の増加、六倍くらいにふえる、こう計算をしております。そうなりますと、高速自動車道路もできますけれども、長距離を高速自動車道路で運ぶということは原則として無理です。大体五百キロ前後が主たるものだろうと思う。五百キロ前後以下が主たるものになりますからして、五百キロ以上になりますと、やはりレールによって大量に運ぶというのが原則であろうと思います。もちろんこれは品物によっても違います。こういうような計算から考えて、いわゆる在来線というものは主として貨物を運ぶ線として確保されなければならぬ。同時にまた、近いところではいわゆる通勤線としてこれは利用せられる。しかし、もっと大都市になりますと、貨物はやはり中央から出たり地方から入ってきますから、したがって、貨物線を併用することは困難でありますから、東京でいえば五十キロ圏内は、主たるものは複々線とした通勤線というものをつくらざるを得ない、これが現状だろうと思います。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 非常に的確な御答弁と思います。私自身東北の視察をしばしばしてみまして、鉄道の複線もしくは複々線の需要度の必要性も十分認めてきたわけですが、しかし、原則的に申し上げると、鉄道輸送から一般的に自動車の交通という方向へ流れている国際的な動きがある。日本のように山が多くて一平地が少ないところにおいて、特に鉄道というものの必要性が残っておるように印象づけられるのですが、この点、わが国の地形からくる鉄道の重要性が特別に考えられるという、そういう御判断はございませんか。
  229. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 おっしゃるように、最近はトンネル技術が非常に発達をしてきまして、ことに日本のトンネル技術というものは世界一といわれておる状態でありますから、御承知のような青函トンネルの大工事も日本でこそやれるわけであります。こういう意味において、いわゆる山岳地帯の多い日本におきましてもやはり鉄道は中心の輸送になる、道路はやはりそう山のてっぺんまで行くわけにまいりませんから、また長大トンネルも無理がありますから、どうしても鉄道が中心になるだろう、地形的にもそうなる、そういうことが言えると思います。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 国鉄法という法律、これは国鉄の鉄道事業及び付帯事業という目的を持って仕事をしておられるわけでございますが、わが国においては自動車交通だけの繁栄でなくて、いわゆる鉄路を持つ交通というものが依然として並行される性質のものだと思います。この時点において国鉄が赤字を、長期債を含むと二兆二千億以上もかかえておる現状で、大臣御自身が悩んでおられること、国民が悩んでおること、私よく知っておるのでございますが、どうでしょうか、国の総合交通政策の上で赤字路線をかかえた国鉄、しかし、それもその地域の社会開発に貢献したり、人間尊重に貢献しておるという意味であるならば、それは投下した資本に対して得る利益が少なくてもその赤字路線の意義はあるわけです。九州のように石炭というものが斜陽になって後に急激に社会変化をしたところもありますけれども、おおむね赤字路線には赤字路線なりの敷設の理由があったわけです。そういうものを自動車道にかえていくという考え方が一般的に行なわれてきたのですけれども、トンネルをくぐっていくあの鉄路による輸送機関というもの、これにもまた特別の味わいがあると思うのです。そういう意味において、社会政策的な部分の経費負担、すなわち、公共性を持った経費というようなものは当然一般会計から負担して、国策に協力した国鉄に報いるべきだと私は思うのです。運賃の割り引き等も当然でございますけれども、こういう基本的な考え方というものを忘れて、国鉄の赤字解決に非常な苦労をされなければならぬということはいささか気の毒に思うのでございますが、そうした社会政策的に、人道的に貢献し、また国鉄がサービス的に当然一般会計の性格を持つ経費を負担した部分を一般会計に御苦労願うということは、私は筋として間違いでない、かように思います。御答弁を願いたい。
  231. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 問題は、赤字に二種類あるわけであります。一つは幹線における赤字、国鉄が経営しなければならぬ線においても赤字があるわけであります。もう一つは、必ずしも国鉄がやらなくても、地方鉄道としてやってもいい。まあどの辺で押えるか問題はあります。この前国鉄の諮問委員会で出されましたように、二千六百キロという見方もあるし、最近はまた五千キロというような見方もありますが、いわゆる国鉄の全体的な国土総合開発というような役割りから離れて、全く地方の開発もしくは地方交通線、こういう線もあります。ただ、その赤字というものは二千六百キロという点でいうなれば、一千億円の赤字でありますから、たいした赤字ではありません。五千キロというところまで持っていきますと、これは赤字が倍近くくらい出ることになりましょう。いずれにせよどこで押えるかは別問題にしまして、したがって、何キロがどうのこうのということは、まず理論構成の上からいって、これは別問題にしましても、国鉄が総合開発、国の全体的な開発を行なうということは、これは幹線は十分に一体的運用をする、こういう意味でありますが、そういう線の赤字は、当然国が考えていったらよろしいと思います。しかしながら、必ずしも国鉄のいわゆる一貫輸送の中で特別な役割りを持っておらない、ただいわゆる鉄道敷設法というものがしかれ、別表で敷設せられました当時考えられましたような非常に広範囲な地方線の敷設というものが、今日はたして必要であろうかどうかということになりますと、もちろん私はこれは全部自動車道にかえればよろしいと言っておるのではありません。もちろんこれは一部は自動車道にかえ得るものもありましょうけれども、大部分はやはり地方交通線として残していいものもあると思われます。そういうものをいわゆる国の一般会計なり国鉄が責任を持たなくちゃならぬというよりは、私は経営上から考えても、そういうようなほんの地域的な地方交通線というもの、あるいは国鉄ではやれないたとえば地域開発、工場を持ってくるとか、あるいは住宅団地を持ってくるとかいうことを、そのまま地方交通線の付帯事業としてやることが可能である、あるいは観光地においては特にそういうものがたくさんあると思われます。そういう点を考えることが一つと、もう一つは、たとえば道路については県道、地方道等につきましても、もちろんこれは無料であるという点が違ってはおります。使用料を取らないという意味で事情は多少違いますけれども、これは地方財政からこれに対して建設をしておるわけですね。あるいは国が補助金を出しておる。こういう国の補助金と地方財政でもって道路ができておる。これにおいて純然たる地方のための交通線であるならば、国と地方の財政が協力してそれが普及発達をはかり、あるいは確保をするということも一つの方法ではないだろうか、私はかように考えておるわけであります。もちろんこれは地方と言いましても町村が持てと言っておるのではありません。少なくとも最小限度県単位で考えたらよろしいし、それも県が全部持つというのではなくして、国がそれに対してある程度の助成も行なう、こういう措置によってやはり国鉄の持つ一つの役割りとは多少切り離して考えていったほうが、全体の総合的な発展の上からはいいのではないだろうか。  しかしながら、先ほど申しました国が、国鉄がやるべき線をどれくらいに考えるかは別にしましても、新幹線等を加えまして、あるいは複線電化、こういうものを加えますと、現在のいわゆる国からほとんど助成金がない状態で新幹線網ができるか、あるいは複線電化というものを全部やれるか、これはできません。したがって、四十六年度予算には、御承知のように一般会計からは新幹線に対して三十億円あるいは複線電化に対して二十億円、青函トンネルに対して三十億円といういわゆる財政助成金が出る。これでいいとは私は思っておりませんけれども、少なくとも一歩前進をしたという、非常に意味があると思います。そういう意味において従来二兆何千億円という借金がありますけれども、その借金はおそれることはない。問題は、それから出てくる利子、いわゆる国鉄がやるべき仕事として国の開発をしょっておるにかかわらず平均七%近いところの利子を払わなければならぬ状態であることは好ましくない。したがって、形式上はどういう形でもけっこうですが、国がそういうような意味において思い切った利子補給をすることによって国鉄の財政を助けてもらう、こういう方向で進んでもらいたいということからして、従来六分五厘に対しての利子補給でありましたが、四十六年度においては五分五厘まで下げたのですが、とても五分五厘では国鉄の再建にはむずかしい、こう考えておりますので、次の年度にはなお一そうわれわれとしては国の助成方を努力いたしたい、こう考えております。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 つまり国鉄本来の目的にかなった事業から出る赤字、特に赤字路線などの場合、いま大臣が言われたような社会政策的にどうしても必要なところなどの路線から出る赤字などというものを指摘してきたのですけれども、同時に、国鉄の赤字のいまのような利率の低下の問題は問題として別途考慮していただくこととして、私、海外旅行をしばしばやっておる人間から見ると、こうした輸送関係の、特に鉄道、バス会社等が、民間企業がばかに営利事業をやっておるのですね。たとえば土地開発をやっておる、ホテル、レジャー機関というものを各所に持っておる。日本ではまたそういうもので大いに利益を上げている私鉄があるわけです。国鉄は国有鉄道法の制約を受けてなかなかそういうものをなし得ない。私、なし得る事業となし得ない事業があると思うのです。民間企業を圧迫してまでしてはならぬことはちゃんと国鉄法の規定するところでありますが、特にとかく問題の多い土地開発などについては、むしろ国鉄が国鉄周辺の土地の開発に乗り出して、安くこれを利用者に提供するというような事業をなさってもいいんじゃないか。つまり法外な地価を用意しておかしな建物をつくって大衆をごまかす不動産業者などが多いときに、国鉄が国家的見地から安く土地を提供し、そこにりっぱな家もつくって住宅建築に貢献する、こういうようなことこそむしろ国鉄法を改正して積極的にやってもいいんじゃないか。つまり公共の福祉に貢献するわけです。民間を圧迫するというのは、不正業者を圧迫するのであって、正常な業者への圧迫にならぬ方法があると思うのです。そういうことをひとつ考えらるべきである。  と同時に、民間企業を圧迫するような、つまり鉄道事業とその付帯事業の範囲を逸脱した方向へ今度は別途いってはならぬ問題が逆に出てくる。たとえばいま一つ問題として指摘したいのは、きょうも本会議で通った旅行あっ旋業法、これなどに三種業者が認められて、国際、国内、そしてその代理業務というのが認められておるが、こういう人々の業務を国鉄はなし得るのであるということになっておるわけです。ところが、国鉄がなし得ることになると、国鉄の専用電話を利用できない業者はまたその点国鉄と比べて非常に不利な立場に立つわけですが、専用電話を日本交通公社や日本旅行会、その他一、二がいま利用しておられるようでありますが、ああいう特権的な専用電話の利用などに料金を取り立てるとか他の業者とのバランスをとる方法などもとり、また国鉄の運賃のリベートを割り当てるときに、その納入期をずらしてその間の利ざやをかせぐことができるような制度が用意してあるようでございまするが、そういうものをきちっとして特定の業者にだけ有利な制度を設けないで、みんなを公平にする。専用電話の料金調達制度などを一斉に置いて、他の業者にも基本的に、たとえば今度の旅行あっ旋業法の従来の一般のあっせん業者のようなものには必要に応じて専用電話を与えるか料金を取る、こういうふうな形で公平な配慮をすべきではないか、かように思うのです。これは大臣の腹一つでできる問題だと思うのですが、どうでしょうかね。
  233. 山口真弘

    山口(真)政府委員 旅行あっせん業者等に対する国鉄の関係でございますが、現在先生おっしゃいましたのは、おそらく乗車券の販売等を国鉄が委託をしておりまして、その委託をしている限りで国鉄の電話を使ってもらって旅客の便益に供しておる、こういう形でございます。それで問題は料金を取ってやるということになりますと、これはむしろ公衆電気通信業務を行なうということでございまして、このことはむしろ電電公社の独占業務ということになっておりますので、そういうような扱いというものはできない性格のものではないかと思います。旅行あっせん業者一般に料金を取って公平にやるということでなくして、これはやはり国鉄のやっていることの代替業務等をうまくやって、そして国鉄の利益を増進するという意味で専用電話の使用をさせておるということであります。  なお、その運営につきましては、先生おっしゃいますように、公平にかつ弊害のないようにやるべきものであると考えております。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 その専用電話をもうけ主義に使っておるわけです。ことに私たちがそこに行ってみましても金もうけのために使っているわけです。国鉄との連絡じゃなくして、一般旅行あっせん業務をやるために使っておるのです。つまり専用電話の目的以外にこれを使用することを絶対に禁止しているというはっきりした言明ができれば御答弁願いたいのです。
  235. 山口真弘

    山口(真)政府委員 当然専用電話は国鉄の業務のために使用させる性格のものでございますから、もしこれが不当な使われ方をするということになれば、これは大いに是正をしなければならぬことでございますので、十分に監督をしたいと思います。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 局長として、あの専用電話が旅行あっせん業あるいは国内の旅行業のために、利益追求のために、つまり国鉄との連絡だけでなくて、それに使われていることがむしろ多い実情どもあなた自身が知っておられなければならぬ。つまり便利がいいから、ただでかけられる電話だから、特に長距離などはただでかけられる、これは五百円も六百円もするところをただで使える電話である。それを使わして料金を取り立てていないというところに不合理性があるので、つまり国鉄との連絡事項以外には一切使ってはならない、使った場合には別途罰則金を取り上げるというような制度がつくってあるのかどうか。そういうものがあって厳重な監督ということがそういうところでやられておるならいいが、事実問題を、局長、私がいま指摘したようなことは全然ないと言明できれば御答弁願いたい。
  237. 山口真弘

    山口(真)政府委員 電話の使用に対しまして、罰則金であろうと、その他の料金を取り立てるということになりますと、これは公衆電気通信法という範疇からそれはできないことでございますので、むしろ使用の方法について先生おっしゃいますようなことがないように十分監督をしてまいりたい、このように考えます。
  238. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ねしているのは、そういうことは現実にないと言明できるかどうかということです。監督の結果ないということか。
  239. 山口真弘

    山口(真)政府委員 国鉄と関係のないことには使ってないというふうに私ども思っておりますけれども、さらに十分に調べまして監督をいたしたいと思います。
  240. 受田新吉

    ○受田委員 私は、そうした公平さを期するという上から国鉄のいわゆる付帯事業としてなさる事業についても一つの限界がある、かように思うのです。だから、ほんとうに大衆のためになるような私がいま言った土地開発などは、これは国鉄自身がむしろやられたほうが国民が安心できる。ごまかされるものがわりあい多い。国鉄ということになれば、もし間違いがあれば国が責任を負うのだから、そういうかっこうでやるべきだ。もし今度は逆に民間にやらしてしかるべきものを、政府自身がやり過ぎては困る問題も一つできてくるのです。  きょうも私、新聞で拝見したのですが、石油のパイプラインについて運輸省としては国鉄にこれをやらせたいという閣議決定の方針を踏襲されて、四月からでもこれを実行に移したいという御意見があり、またこれに対する反発もある。この間から、この数日新聞記事を見て気にかかることが一つある。つまり民間企業に圧迫を加えないという原則でやっておられると思うのですけれども、結果的には民間企業に圧迫を加えることになり、民間業者等の要望する線とは逸脱するとか、また建設省とか通産省とかの間になわ張り的な紛争があるような印象を与える報道もされておるわけです。これは大臣どういう経緯があるのか、現時点にどういう御決意をしておられるのか、ちょっとお答え願いたいのです。
  241. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 この問題はひとつこう分けてお考えおき願いたいのです。問題は、このパイプライン輸送というものは輸送業務と考えるか考えないか、これが問題なんです。国鉄でやらせるか会社側にやらせるかは第二、第三の問題なのです。たとえば石炭なら石炭——あるいは日本で一番いいのは石炭でしょう。こういうものをたくさん自分のところで出すから、それを運ぶ仕事は自分のほうでやる、たとえばトラックで運ぼうが汽車で運ぼうが。したがって、それは運輸省の監督下に置かないのだ。こういうことと同じように、これは液体であるといっておりましても、将来はパイプを利用して運ぶことができるようになるかもしれません。問題は、こういう油をパイプラインで送るという事業は、輸送事業と考えるかあるいは単なる供給事業、供給だ、だからAという会社がB、Cというところの使用者に対して送るだけの問題だ、こう考えていいのか。あるいはそうじゃなくして、やはり他の荷物と同じように、これは輸送事業である、こういう観点に立つのかどうだろうか、こういう問題なんです。  私及び運輸省は、パイプラインで物を送る、たとえそれが油であろうと固体であろうと、これは輸送事業である。輸送事業ということであるなれば当然主務官庁は運輸省でなければならぬ。それは国鉄がやろうが会社がやろうが、だれがやったってけっこうなんです。それに対していわゆる主務官庁として許認可事項運輸省が考えなければならぬ、こういう考え方であるわけなんです。いわゆる主務官庁が運輸省であるということは、国鉄にモノポライズさせるという意味ではありません。当然たとえば国鉄バスもあれば私鉄バスもあるわけである。国鉄もあれば私鉄もある。これは全部主務官庁である運輸省許認可を行なう、こういうことであります。したがって、パイプラインというものを使って物を送るのは輸送事業であるかどうかという問題がまず第一点なんですね。その第一点に立って、もしこれが輸送事業でないということになれば適当な主務官庁が考えたらよろしい、輸送事業であるとなれば主務官庁は運輸省でなければならぬ、運輸大臣でなければならぬ、こういうことになる。これがまず第一点なんです。  第二点として、これを許可する場合に、国鉄がやったほうがいいところは国鉄に認可したらよろしい、それから一般会社がやったほうがいいものは一般会社に認可したらよろしい。これは運輸省認可するわけですね。この線は国鉄、この線は私鉄あるいはこの線は国鉄バス、この線は私鉄バスというふうに、同じように公平に状態を見て認可したらよろしい。しかし、現在はその点の法律がまだありませんから明確でありません。したがって、現在の状態で法律がないままにやる場合には、輸送事業であるかないかという法定基礎がありませんから、したがって、いわゆる国鉄がいろいろの都合で自分のところでやりたいということでやることも可能であるし、あるいは石油輸送会社というパイプライン会社ができておるようでありますが、そのパイプライン会社がおやりになってもけっこうなんです。あしたからでもできるのです。認可は要らないのです。なぜやらないか、いろいろの問題がありましょう。それにはどうも土地収用法がなければなかなか工事ができないとかいう問題があると思います。実際に土地収用法は皆さん承知のとおりに、ほとんど鉄道においても使った例はないようでありますし、電力会社にしても土地収用法は持っておりますが、収用法は使ってはおらない。道路の場合においても、おそらく土地収用法によって土地を収用した例は非常にまれだろうと思う。全然ないとは言いません。そういうぐあいに土地収用法がなければできない仕事ではありません。でありますから、法律がない現在でありますなれば、これは国鉄でもやれますし、いわゆる会社でもやれるのです。だから二年ほど前に輸送会社ができたわけです。ただ工事をやらないだけなんです。ですから所管争いとかなんとかいう問題ではなくして、要するにこの事業は輸送事業としての範疇に入れるか、それとも輸送事業じゃないのだ、ちょうど電気やガスと同じように、あるAという会社が直接に需要者、ユーザーに対して配給する会社なんだ、こういうことになれば、これはもう輸送事業じゃありません。しかし、数社もしくは全然油に関係せずしてそういうパイプ会社をつくってもいいわけですね。何も石油会社でなければパイプライン会社がつくれないというわけではない。金があってパイプラインとして仕事がもうかるということになれば、ちょうど国鉄以外に私鉄があるように、他の一般の資本を集めてパイプラインの事業をやってもよろしいのです。ですからして、国鉄とかあるいはいわゆる石油会社とかいう問題ではないのです。要するに輸送会社として、輸送事業として考えられるのであれば、国鉄が自分でやってある程度利益が上がるというところは国鉄も申請するでしょう。しかし、国鉄が全然自分とは関係ないところにまでやったってもうかるはずがありませんから、これは持ってこないだろうと思う。あるいは一般の資本家でも、自分がやったらもうかると思ったら、それは事業としておやりになったらいい。だが、それは輸送事業であるならば、当然これは運輸省が主管庁である。これはもう皆さんも御承知のとおりであります。  ただそれだけの問題であって、いわゆる運輸省が主管官庁であるということは、国鉄をしてモノポライズさせるのだ、独占的にやらせるのだとか、他の輸送会社にはやらせないのだ、こんな考え方はだれも持っておらないのです。鉄道の場合でも先ほど申しましたように、これは国鉄がやるといえば国鉄がやるし、私鉄がやりたいといえば私鉄がやるし、あるいは市営——市営とういのは東京都営とかあるいは大阪市営の地下鉄のような場合でも、これは都でやるならやったらいい、都営を許可しておる、あるいは営団がやるなら営団、これを認可する主務官庁はいわゆる運輸省である、このたてまえは明らかにしておかなければ、もし二つの官庁がそうだということになると、その申請する人は同じものを二つの窓口に出さなければならぬということになる。幸いにして意見が一緒ならいいけれども、意見が合わなかったときはたいへんな迷惑をかける、こういうことで役所の仕事は民間に対しては必ず窓口は一つでなければならぬ。その一つの場合にはだれが適当なんだ、そうすると、輸送事業であるという観点からするならば運輸省が主務官庁であるべきである、こういうのが私及び運輸省の見解であります。
  242. 受田新吉

    ○受田委員 大体大臣の見解及び運輸省の見解を伺ったのですが、製油所から油槽所まで油を運搬する、それを単なる運送業務と見るか、あるいはエネルギー資源というものがだれでも利用できるという意味でなくして、私たちから見るとどうも石油業界が、自分の会社の製油所から油槽所へこれを送り届ける、つまり総合的一貫作業一つのような印象を受けて、一般に、つまりそういう業界以外の人が利用することができないものであると判断しておるわけですが、これは単なる輸送業務ということになるとだれでも利用してもいいということになるのですが、利用する関係者というものは石油業界のメーカー関係皆さんがやっているので一般の人がこれを利用するわけにいかないわけです。そういう意味からいくと、運輸省の考えておられる単なる輸送業務という考えよりはそうしたエネルギー資源の総合的一貫運営の一つの管をパイプラインというんだ、こう理解したほうがいいんじゃないかと思うのですがね。
  243. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 そこで、皆さんは日本の石油会社のことだけを考えておるようですが、将来やはり国際経済が幅広く発展してきますと、外国の石油業者もあるいはその他大口需要者も、たとえば国鉄などもたくさんの油を使っているわけです、年間百万トンぐらい使っていましたか、これは非常な大口です。これは現在は日本の石油会社から買っていますが、あれは外国から買ったってかまわないわけです。ただ国のためには日本の石油会社から買う。ですから、きまった数社だけのいわゆる特定利用じゃないのです。ですから、石油を使わない人がパイプライン事業としてやってもいいのです。現在でもパイプラインとして、よしこれは皆さんのあれを受けてやろう。たとえばいま羽田の飛行場の場合、あれは羽田のビル会社ですか、それがやっているんじゃなくて三愛かなんかがやっているのでしょう。今度の成田空港の場合は成田空港が自分で設備をして、そしてこれは自家用だということでもありましょうが、かつんと入ってくる。受田さんも電話のことはよく御承知だと思うのですが、たとえば電話の場合でもある会社の中の電話の施設というものはいわゆる自家用ですね。その場合でもやはり電気通信法で郵政大臣認可を必要とするのです。決してこの工場をやっておるところの通産省とかあるいは建設省とかの所管にならないのです。あるいは鉄道の使っておるところの通信線でもこれは自家用でありますにしても、これは電気通信法という法律に従って郵政大臣認可を得なければならないのです。それと同じことなんですね。ですから、やはり行政というものはそこが明確でありませんと責任の所在が明らかにならない。ましていま言ったパイプライン事業のようにこれは形式論にはなりますけれども、石油業者以外でもパイプラインの事業は可能なんだ、たとえば国鉄のごとく、やれば現実にやれるんですね、やってはいけないという法律がありませんから。あるいは石油業者のように皆さんがお集まりになってやってもけっこうなんです。そういう意味においていわゆる主務官庁、窓口としては、やはり輸送事業であるという観点から、そこで運輸省許認可の件を扱う。それを幾つかの官庁が一緒になって——一緒になればいいけれども、これは法律上は別々ですからね。橋本登美三郎がパイプラインをやりたいといってAのところに持っていって、またBのところに持っていく、Cのところにも持っていく、こういう行政はいまだかつてないですよ、お調べになっても。やったらこれは国民から非難されます。ですから協議することはけっこうです、関係がありますから。たとえば河川敷を使うとか道路を使う場合がありますから、したがって建設省なり通産省と石油を運ぶということを相談することはけっこうですから、主務官庁いわゆる運輸大臣なら運輸大臣が建設大臣なりあるいは通産大臣なりと協議してこれをきめる、これが法律のたてまえなんです。私はそういう意味でもって主務官庁は運輸大臣でなければならぬ、それからこれは輸送事業である、それ以外にこれはとらえようがないのです。これは学者のほとんどがそれを明らかにしておる。もしこの事業を他にとらえられるという法的なあるいは社会的な学問的な見地があればお知らせ願いたいのであります。
  244. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、私も実は四年前に南フランスのコンコルドの飛行場を見に行ったついでに南フランスの油送パイプの工場を見てきたわけです。そのターミナルの数カ所を見てきたのですが、あれが今度はパリからドイツにも一部いくという非常に雄大な工事をどんどん進めている場面を、福永一臣団長のもとに私もフランスの実態調査に行ったときにながめてきたのです。ところが、フランスの説明を聞いてみると、フランスの工業省が担当しておる、こういうことでございました。つまり一つの通産行政の一環としてこの石油の輸送は考えられるべきものであるという説明で、これは福永一臣氏も十分それを知っております。その説明を聞いたときにふと私も、この数日、新聞に建設省、運輸省、通産省などが協議してきめるとかあるいは共管にするとかいうような意見もあるというような記事が出ているわけですが、これは結果的にこのパイプラインの効果があがれば、これはどういう形であろうと最も効果のあがる方法をとるべきであって、どの省だ、主管省どれだという前提で私は申し上げているわけじゃないのですが、運輸省の国鉄の鉄道事業及び付帯事業の中へ入るかどうかという問題、つまり鉄道を利用するということになってくるわけでございまして、鉄道の側溝を利用していく。これは外国ではアメリカが少々やっていると思いますけれども、ヨーロッパなどにはそういうのがないんです。全部鉄道の側溝を避けております。そういう意味鉄道を特に今度利用されるというのはヨーロッパ形態から見たときにちょっと変わっているなという感じをいま私は受けたわけです。これは福永さんにお聞きになってみれば、あの当時の南フランスの石油を揚げてパイプに送り込むターミナルを拝見した私たちとしてはその雄渾なる構想にいささか打たれておったわけで、日本にもほしいなと、これは四年前です。これはどういう関係か、まあその役所の問題は別としまして、そうしたヨーロッパの国々はちょうどみずからの国で油を生産しないものですから、他国からタンカーで運んでそれをパイプラインに送り込むという操作をしているだけに、興味しんしんたるものを感じたのですけれども、日本とよく似ている国柄の実態というものを私自身が体験したので、ひとついまの点について御報告をして検討材料にしていただきたいと思います。
  245. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 こまかい点また政府委員から御答弁しますが、私の知っておるといいますか、考え方では、ヨーロッパの場合は鉄道はみな国営なのです、運輸省がやっていますね。したがって、たとえば鉄道は貨物が行きますと、現在まだ国際条約ができておらないのでありまして、そこでジョイントをしたり、一時そこで査証等をやるわけなのですが、これはパイプラインではできないのです。油が中に入っていってしまうのです。だから、そこで査証することもできないのですね。したがって、その公共事業ということで——それは道路がそういう関係にあります、そういう関係で、いわゆる行政上の必要からそういう公共事業等が行なわれる、もしくは公共事業等は通産省でやっておるところは通産省がやる。アメリカの例になりますというと、これは違う。逆にアメリカは一切石油資本はパイプライン事業に投下してはいけない。もちろん権利も認めない。これは一つはいろいろなアメリカの石油の事情があります。石油が巨大資本であるということであります。そういうことからしてなお一そう、民間の末端までそれがいく場合には全く国民生活は石油資本に押えられてしまうという、アメリカの非常に潔癖なものの考え方がああしたのだろうと思います。私は、これは非常に妥当だと思うのですね。日本でもいまや石油資本が、外国の資本も入っておりますが、まさに非常に巨大資本になりつつある。でありますからして、それらがやることがいいか悪いかということは、これは先ほどの輸送事業という本体から離れますけれども、アメリカではそういうようなものの考え方から、石油資本がこれに参加してはいけない。そうして別個ないわゆる鉄道事業のほうで、輸送事業としてこれをやらしておる、こういうアメリカの考え方。私は、そういう巨大資本であるからどうのこうのということは別問題にして、やはり輸送事業としてとらえるべきだ、また一部の人がいわゆるもうけをやらない、ただ全く実費だけで物を送るのだからという、こういう考え方を言っておる人があります。ノー損失、ノー利益といいますか、何というか無ロス、そして無利益といいますか、何か言っておりますが、しかし、その資本というものはもともと私の資本ですよ、国の資本じゃないのですよ。たとえば石油会社というものは、年に一割とか一割二分の配当をする会社でしょう。その会社の持ってきた金で敷設をして、それが形式上、もちろんいわゆる無利益をあげるような計算で使用料はきめましょう。けれども、その資本は、親会社は一割か一割二分配当しているのでしょう。結局、親会社の石油のもとでよけいな金を取らざるを得ないでしょう。国家資本であればもちろんこれは全然そういうことはありませんね。けれども、親会社自身が国家資本じゃないのですから、私企業なんですから、その私企業の金を持ってきて、いわゆるノーロス、ノープロフィットといっても、いわゆるただの金は、どこかでもうけなければ配当できないでしょう、親会社のほうで。これはもう理論的に成り立たないということですよ。  ですから、これはいわゆる公共事業として国がやる、したがって国営事業として、いわゆるパイプラインを別個の会社としてやるというなら、これはいわゆる、ノーロス、ノープロフィットということはできます。けれども、、そうでない場合は、これは私企業の会社がやるならば、結局親会社に負担してもらわなければ配当できないでしょう。その面だけで一割を八分に低くするのですか、そんなことはできないでしょう。ですからこれは、私は理論としても成り立たない。ただ一貫輸送という点等、いろいろ議論がありましょう。しかし私は、必ずしもそれを設立した会社だけではなくて、ほかのものだって参加して入れなくちゃいけない、あるいは極端になれば、米軍のものだって入れなくてはいかぬです、あるいは国鉄が買ってきた油を入れなければいかぬでしょう。ですから、自分で買ったものを運ぶものだったら、全く自分の構内を走るパイプライン、運ぶものをつくるなら別です。しかしながら、一般に不特定とは言わぬけれども、多数特定ですね、そういうものを入れてくる。だから構成した会社だけのものではないのですから、もちろんそういうものができてもいいのですよ。私はつくっちゃいかぬと言ってない。もちろんそういう会社もつくってよろしい。あるいは石油資本に関係ない、パイプラインとして、商売として成り立つ会社としてやってよろしい。国鉄が自分の軌道を利用してやれば、いわゆる計算上成り立つならばこれもやってよろしい。だが、それらを認可する主務官庁は、運輸省が他の官庁と協議をしてきめるというのが一貫した行政のあり方ではないか、これが私の考え方であります。
  246. 受田新吉

    ○受田委員 時間も過ぎますから結論的な御質問をするのですが、結局いま伝えられるように、国鉄が御計画されている東京湾西部地域の精製された石油を、数社のものを八王子パイプラインによって送り込む。ところが、その該当しないところはそこまで運ばねばいかぬ、ターミナルまで運ぶ。その運ぶのはどうしていったらいいか、その料金はどうするかとか、それは今度鉄道の線に沿うていくのですから、鉄道のないところはどうなるか、鉄道の曲がっているところは曲げなければいかぬとか、いろいろな問題がありますから、それを全部克服しておられるお立場でありましょうから、私は時間もありませんから結論をお尋ねしたいのです。  八王子パイプラインという、もうすでに伝えられておるこのパイプラインを直接利用できる業界と、直接利用できなくて、そこまで運びつけなければならぬ業界と、こういうものを一体どういうふうにつないでいくのか。そういうものはまだ業者との話し合いもできておらぬ、そんなことも聞いておることですし、これはもうみんな知っておることなんですが、国鉄としては、運輸省としては十分関係業者と話をして、最もいい知恵を出すという努力をされるのかどうか。それとは関係なしに、国鉄も一応やってみる、それからあなた方もやればまた別にパイプラインを敷きなさい、いまお話によれば、自由に敷けるわけです、こういうことで、それに対しては運輸省も筋が通れば認める、こういう形の方針かどうか。  それから、橋本先生御自身として、四月という目標はそういう業界との話し合い等も経ないでやらなければならぬような時点になったら、その話し合いができるだけでき上がる形で、その日までできるだけみんなでよい知恵を出し合うという意味で、ある期間待とうとされておるのか、その点をお聞きしたいのです。
  247. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 そのもとのところ、製油所からそこへ持ってくるもの、これは計画だから、お互いだから、国鉄も出資をして、石油会社も出資をして別会社をつくってやろうということのようです。もし国鉄がつくれといえばつくりましょうけれども、これはたとえば臨海鉄道がそうです、臨海鉄道は国鉄も出資し、関係会社も金を出し合ってできている。ですから、これは国鉄が出資をし、関係会社も出して、そうしてパイプラインをつくったらよろしい。ただし、認可運輸省であくまでやる、そういうものを認可する場合は、主務官庁は、協議をするけれども。  それから、もう一つのいわゆる四月にやるのかというお話ですが、これは御承知と思いますが、現在レールの上に油の貨車を乗っけていっているわけですね。これが大体いまの状態でふえてまいりますと、四十七年一ぱいでもう運べなくなると思うのです。運べなくなれば、当然これはもうトラックでもって運ばざるを得ない。そういうことになったら東京都内はどういうことになりますか、火だるまを持って歩いているようなものですから、それを私たちは非常におそれるわけです。ですから、どうしても四月中に認可をして工事を始めませんと、これに間に合わない。その前にお話があったように、当然これは石油業者とよく話し合って、そしてこれは話をつけてもらいたい。しかし、いろいろな複雑な問題があって、話がつかなければやらないのかというと、私は行政官の責任者としてこれはやらざるを得ない。やらなければこの何百万の都民に迷惑をかける、こういう結果になりますから、どうしても話し合いがつかなければ、いまレールの上を運んでおる油をパイプラインに移すだけでも、今度は一方においてはレールがあきますから、あかなければいまの神奈川方面の貨物を運べないのですから、実際からいって、将来どんどん荷物がふえてきて。そういう状態でありますから、時期はもう延ばせない、しかし一日、二日は延ばせない問題じゃありませんから、十分に国鉄として業者と話し合った上で、そうして料金の問題もありましょう。私は国鉄は特別にもうける必要はない、適正な料金であればいいと思いますから、それらの問題を含めて業者と十分に話し合った上で処理はしたい。しかし、ただ漫然と何カ月も待っておったら、最後にはあのときの運輸大臣は何をしておったのだ。——そのころまで私は運輸大臣をやっておらぬからいいかもしらぬが、そのときまで政府は何をしておったのだ、このようなあぶないトラックが何百台町の中を走っておるというのは何事だ、こういうそしりを免れ得ない。したがって、話し合いがどうしてもつかなければ、私としてはこれを許可せざるを得ない。この工事だけですよ、何もかもというわけではない。ただいまの計画しているものだけはやらせるようにしなければ、たいへんなことが四十七年以降において起きてくるであろう、かように思います。しかし、前提としては十分に業者とも話し合って、そうして円満な処理を講じたい、かように考えております。
  248. 受田新吉

    ○受田委員 よくわかりました。ここに伊能さんもおられるが、千葉県側にも精製工場が幾つもあるわけです。西側と東側にそれぞれある。そしてそれを最高に生かす道に、パージによって、まとめて運ぶ手も一つ考えられぬこともない、そういういろんな案があると思うのです。そういう案を両方を十分生かしながら、輸送の安全、料金の低廉、そういうものを生かしながら総合的な立場で、橋本先生、御検討を願いたい。国家のためにこのままにしてはおけぬわけだけれども、同時に、千葉県側のほうもそれから神奈川県側のほうも、両方をそれぞれ生かす別の道が一つまたあるのじゃないか、こういうことも検討していただいて……(「賛成」と呼ぶ者あり)賛成だろう。そういうことでひとつ大臣、きょうはあとの問題は、航空局御苦労願いましたが、きょうは時間の関係で……。
  249. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいまの受田さんのたいへん貴重なアドバイス、そのとおり私はやってまいりたいと思います。
  250. 受田新吉

    ○受田委員 それでは一言、私ぜひお尋ねしておきたいことがあるものですから、もう五、六分だけお待ちを願って……。  私、交通総合計画の中で、陸海空の三つを生かしながらいくためには、中央に運輸省があり、また道路の管理は建設省などがある、こういう行政機関があると同時に、地方にも陸海空の総合的な調整機関というのが必要なんじゃないでしょうか。新交通政策を進める上において地方ごとに陸と海と空、そのどの交通機関を利用するのが一番有効か。ここは海のほうをやったり、ここは陸のほうをやったり、ここは空を大いに伸ばさしたりというような総合的な新交通政策をやる。そこを十分総合調整する機関が地方にも要る。これは行政機構上いたずらに機関ができることには反対のわれわれでございますが、交通の安全とそして新交通体系の樹立という大目標を果たすためには、そういう調整総合機関が地方に必要である、かように考えるのです。基本的な問題ですが、お答えを願いたい。
  251. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 機構を本格的ないまおっしゃったようなことに考える必要がないとはいえないかもしれませんけれども、そういう総合交通体系という大きな問題になりますと、かえって中央でやったほうがいい点があります。しかし、地方の問題といいますか、地方にもいろいろ問題がありますから、これから飛行機でもSTOLという小型の飛行機ができて、近距離、百キロぐらいのところはそういうもので運ぶようになりましょう。そういう問題もありますからして、いわゆる地方交通協議会というものを制度上つくることになっております。ただ、いま考えておる地方交通協議会というのは、どうもバス中心といいますか、そういうところがあるようですから、いまお話しがあったように、いわゆる私鉄、国鉄あるいは道路あるいは飛行機まで含めた一つの地方交通協議会という形にして、そうしてそれによって地方における総合交通の調整、そういうことを、お話しのようなサゼスチョンがありましたから、内容を強化した上でこれを進めていく、かようにいたしたいと考えております。
  252. 受田新吉

    ○受田委員 いま一つ私は、空の交通というのはこれからますます発展するはずでありますし、発展させなければならない。ところが、新国際空港もいよいよ待望の完成の日が迎えられるかっこうになってきたし、その前進する喜びの胸中をお察しできるわけでございますが、私としてはそうした第一種、二種、三種という空港のほかに、やがてヘリコプターによる自家用機というものを使う、小型機を使う時期もきっと来ると思うのです。日本のようにこういう細長い国であると、鉄路あるいは自動車道でなくして、ヘリコプターあるいは別の小型機でちょっと鹿児島へ、ちょっと北海道へ家族打ち連れて行く、そういうヘリコプターなどを含む小型機の発着のための空港というものを整備する計画はないのか。  それから、ヨーロッパやアメリカなどでしばしば見られる貨物専用のつまりサブ空港というものができるならば、これはほんとうに航空安全のためにも貢献すると思うのですけれども、そうしたサブ空港の設置計画というものはないのか。空の交通がいよいよ発展しようという段階に、そういう夢をお持ちではないか、ちょっとお聞きしておきたいのです。
  253. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま御質問のまず第一の小型機の問題でございます。先生御指摘のように、これからますます時間価値が高くなれば、自家用機、小型機、そういったものがだんだんふえてくるということは想像にかたくないというふうに考えます。そこで、それに対する空港あるいは離発着をどう考えるかという問題でございますが、空港整備につきましては、御承知のとおり四十六年度から第二期の空港整備五カ年計画、これは五千六百億円でもって第二期の五カ年計画をつくっております。そこで、先般閣議の了解を得たわけでございますけれども、その中にはそういった小型の自家用機のための飛行場あるいはヘリポートといったものは含まれておりません。  御承知のように、ヘリポートと申しますのは比較的小さな面積で離着陸できるわけでございますから、それほど大きな金とか労力を経ずして、比較的容易に設置できるのではないかということで、それから小型機につきましても大体六百メートルないし八百メートルくらいの滑走路があればこれはできるということで、いま考えておりますような二千メートルとかあるいは二千五百メートルとか、それほどの規模のものはなくとも済むというふうに考えております。したがいまして、こういうものにつきましては、ある場合にはプライベートな飛行場として民間に設置を認めるという方法が一つ。さらにこれがどうしてもそういかないで、特に国なりあるいは公共団体の援助が要るというふうな場合には、この五千六百億の中に予備費が五百億ございますから、そういうふうなものも考えるということもあるいは場合によっては必要であるというふうに考えております。  それからもう一つ、貨物空港でございますけれども、これは確かに航空貨物というものは、いままでの増勢を見ましても非常に多うございます。昭和四十四年度をとりますと、大体国際の輸出入貨物、この国際航空貨物が約九万八千トンぐらいございます。これは約十年前に比べますと約十九倍程度に伸びております。そこで、今後の問題といたしましても、こういった貨物の伸び、特に国際航空貨物が非常に大きく伸びるであろうということは、やはり想像されるわけでございます。ただ、これは非常にマクロで見た場合でございますけれども、この航空貨物の将来の想定につきましては、これは人と違いまして、単にマクロ的なものではなくて、産業構造、貿易構造というふうな面からもう少しミクロな分析をいたしまして、この将来の予想をしなければならないというふうに感じます。その点につきましては、いま運輸政策審議会の中の物流部会、その中に特に航空貨物のための小委員会をつくりまして、そこで検討をいただいておるわけでございますが、そういったことをやっております。いずれにしても相当大きくふえるだろう、それにつきましても、いま御指摘がございました貨物専用空港というふうなものはやはり将来考えていかなければいかぬじゃないか。これは特に大臣が前から申されていることでございますけれども、将来、こういったものは単なる貨物空港ではなくて、一つのちょうど港湾について臨海工業地帯というものがあると同じように、航空貨物についての一つの臨空工業地帯と申しますか、空港を中心として、その周囲に航空適性産業というものを興す。それと一体として空港というものができてくる。そういったような意味の貨物専用空港というものがやはり将来必要になってくるであろう。そういったものに対する立地条件とか、あるいはターミナルシステムというようなものをいまから考えていかなければならぬということが、この五カ年の中に入っておりませんが、さらにその次に来たるべき問題として十分考えながら調査を進めるべきであるというふうに考えます。
  254. 受田新吉

    ○受田委員 私は、これで質問は終わりますが、橋本先生、あなたいまちょっと気にかかるおことばが一つあったわけですが、いまのおことばの中身を解剖すると、今度七月改造にでもおやめになるような御意思があるように思われる。私は、あなたのような誠意を持った、実力を持った大臣には、引き続き御苦労願いたいですから、ひとつその点、御遠慮されないで堂々とがんばっていただきたい、これを申し上げて、質問を終わります。
  255. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  256. 天野公義

    天野委員長 次回は、明二十四日水曜日正午、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十一分散会