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1971-05-12 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君    加藤 六月君       佐藤 守良君    坪川 信三君       羽田  孜君    長谷川 峻君       林  義郎君    森  喜朗君       阿部喜男君    武部  文君       中野  明君    池田 禎治君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省簡易保険         局長      中田 正一君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     中村庸一郎君   加藤 六月君     山手 滿男君   坪川 信三君     中村 梅吉君   羽田  孜君     島村 一郎君   森  喜朗君     千葉 三郎君 同日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     羽田  孜君   千葉 三郎君     森  喜朗君   中村 梅吉君     坪川 信三君   山手 滿男君     加藤 六月君     ――――――――――――― 四月二十八日  有線テレビジョン放送法案内閣提出第一〇二  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第七四号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第八七号)      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、この郵便貯金法の一部を改正する法律案並びに簡易生命保険法の一部を改正する法律案の二つの法案については、原則的に賛成をする立場を明らかにしながら、なお幾つかの点について政府考えを聞きたいと思います。  具体的な内容質問に先立ちまして、法案審議に対する政府姿勢でございますけれども、特に大臣にお伺いしたいのですが、先般この委員会栗山委員からも御質問がありましたが、そのとき大臣は、やはり政府としては原案のまま通したいのだ、そういう意欲があるという御答弁がございました。その気持ちがわからないわけではないのですけれども、しかし、全国民的な視野に立って、原案よりもすぐれた意見充実をした内容になるものがあれば、やはり原案にこだわらずに、少数の意見でも修正すべきものは修正をし、取り入れるべきものは取り入れる、それがこの委員会の任務であろうし、また政府当局のお考えでなければならないのではないか。特に非公式であるあるいは公式であるとを問わず、一応その法案について了解を与えた与党の立場としてはなかなか修正に応じにくいとすれば、むしろそういう建設的な意見については政府当局のほうで進んでいいものを取り上げるという姿勢がほしいものだ、こういうふうに私は考えますが、大臣のお考えに変わりはないかどうか、お伺いしたいと思います。
  4. 井出一太郎

    井出国務大臣 先般栗山さんその他にお答えをいたしましたが、たとえば予算等関連がございまして、そういうところから制約を受けるというような法案もございます。それからしからざるものもあろうかと思うのでありますが、何としましても国会の御審議におゆだねをいたしまして、そこでいろいろと御意見が集中して、いま阿部さんおっしゃるような、原案よりもさらにけっこうだというような場合は、これは私どもは弾力的に対処はいたすつもりでございますが、いずれにもせよ、ひとつ審議をちょうだいいたしまして、しかる上にまたお答えをしたい、かように存じます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで貯金法の一部改正保険法の一部改正について、実は昨年の大臣所掌事項重点施策として、貯金については総額制限を二百万円に引き上げたい、保険についても新種保険の設定と同時に、できるならば保険金金額引き上げを行ないたい。私も特に大臣にその点については関係各省との御努力お願いをし、大臣も、こういうことばでしたが、大部分財投に回る関係もあって、いわばにしきの御旗だ、極力そういうふうに実現努力をするというおことばをいただいたのですけれども、今回提案された改正内容を見ますと、保険についても保険金額引き上げは行なわれていない、貯金についても二百万円という総額制限引き上げが行なわれていない、こういうふうになっておりますが、これは一体どういう経過を踏んだのか。大臣努力が足らなかったのか、事務当局努力が足らなかったのか、その辺の経緯について少し御説明を願いたいと思います。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 確かに昨年そういうふうな、これは願望を含めて私の口から申し上げてあると思います。したがいまして、いまおっしゃるような額の問題等方向は相変わらずその方向に向かって希望を持ち、努力を続けておるわけでありますが、まあ諸般の情勢もございまして、量の問題あるいは質の問題、いろいろありますから、相手のあることでもございますし、今回は中身でもって充実をするならば、額のほうはまあ少しがまんもせねばなるまいかと、こういうふうな点は賢明なる阿部さんお察しをいただける点だろうと思いますので、努力いたしましたことはもとよりでありますし、今後もまたその方向を決して放棄しておるというのでは断じてございませんことを申し上げる次第であります。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは続いてお伺いしますが、その最も障害になった点、いわゆる貯金総額制限なり保険金引き上げなりで、それが実現できなかった最も大きい障害になった内容といいましょうか、いま大臣は賢明なあなたのことだから察してくれということでしたけれども、どうもその辺が、かつてお話し合いしましたように、いわゆるにしきの御旗である財投へ回すお金でもありますし、また今日のようにある意味では貨幣価値も非常に下がっておる時期でもありますので、当然私は二百万円なり保険金の三百万円くらいまではできるものというふうに理解しておったのですけれども、その最も大きい障害になった理由は何なのか、差しつかえなければ聞かしてもらいたいと思います。
  8. 山本博

    山本(博)政府委員 先ほど大臣が答弁されましたように、郵政省といたしましては二百万ということを願望として持っておりましたし、その後の問題の解決にあたっても、常にこの線の実現というものを企図いたしまして努力をいたしたわけでございます。基本的にこの問題にからみまして税制の問題、それから民間金融機関とのある程度のバランスの問題、こういうような問題が、問題の中身といたしましては最高制限額をきめる過程において一番大きな問題でございました。結果におきまして、こういういろいろな問題を総合的に判断しまして、政府として百五十万が今回においては妥当である。したがいまして、これは郵便貯金のみならず、一般の少額貯蓄非課税限度の問題も同じ数字できまるということになりました。政府全体といたしまして、問題はそういうところにございましたけれども、最終的な判断としては百五十万ということになったということが経緯であります。
  9. 中田正一

    中田政府委員 簡易保険につきましては、当初保険金最高制限額を三百万円にしたいということで努力いたしたのでございますが、現在簡易保険は御承知のとおり独占でございませんで、民間生命保険のほうの無審査限度というものも実際問題としていろいろ考慮しなければならぬというようなこと、現在民間生命保険のほうでは無審査限度が二百万円あるいは二百十万円、二百五十万円というところもございますけれども、二百万円というようなところが大宗でございますので、そういった状況も十分踏まえて、生命保険全体が競争的に進み得るというふうな立場から、今回は二百万円の限度額を据え置くということにしたのでございますが、今後の経済情勢、また民間動きども勘案しながら、さらに努力をしていきたいというふうに考えております。
  10. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、いまの特に保険局長お話を聞きますと、大臣がおっしゃったにしきの御旗は一向輝いていないような気がするわけです。少なくとも民間でも大宗二百万が無審査加入一つの基準であるといういまお話でございますれば、にしきの御旗のある簡易保険が同じ水準に据え置かれるということになると、にしきの御旗の輝きは一体どこに行ったか。特に私がこれを質問するのは、その当時も申し上げましたように、第一線で保険の募集に当たっておる職員の一つの行き詰まった状態、非常な労苦を考えるがゆえに、この保険金最高額引き上げを極力努力をしていただくようにお願いしたわけですけれども、どうもいまのお話経過ではにしきの御旗の輝きはないようですが、これは一体どういうわけでしょうか。
  11. 井出一太郎

    井出国務大臣 にしきの御旗は最前線にはためいている場合もありましょうし、あるいはしんがりにあって隠然重きをなしているという場合もあろうと思います。そんな次第でありますから、私は輝きが薄れておるとは思わないのであります。これがいずれ前線へ繰り出すという場合もございましょう。今回は質的なメリットも得て、これを充実させていきつつ、さらに旗じるしにものをいわせる機会を次の際に求めるということも一方法である、こう思うわけであります。
  12. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、それはその辺にしておきます。  次に、官房長にお伺いしますが、委員会に提案をしていただく郵政省のこの議案法律案ですけれども、少しどうも不親切なような気がするのです。たとえば簡易生命保険法の一部を改正する法律案目次を見ていただきますと、これは法律案要綱が一にあって、その次に法律案が載って、その次に理由が載っていますね。貯金法の一部を改正する法律案を見ますと、これは法律案が一番で理由が二番目、それから貯金法改正要綱が三番目に目次がなっておる。これはまた違うのですよ。ささいなことかもわかりませんけれども、やっぱり郵政省が出す議案については、せめて目次順序くらいは統一したものにしておいてもらったほうがわれわれとしても勉強しやすいし、こちらの原本の法律と対照する場合にも非常にやりやすいわけなんですが、これは特段の意図があってこういうふうにかってに、ばらばらにやっておるのかどうか、ちょっとお伺いしておきたいのです。
  13. 野田誠二郎

    野田政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、郵政省から提出しております、いうところの白表紙法律案につきまして、郵便貯金保険法ばらばらになっておる。この点非常に不統一と申しますか、不手ぎわであった点、御指摘のとおりでございます。実はこれは、法律的にどうせい、こうせいというふうに規則なり手続的のものできまっておるわけのものではございません。ただ閣議それから次官会議に出します法律案、これは審議の際に出します法律の案につきましては、一応事務処理要綱におきまして要綱それから法律案理由新旧対照参照条文参考資料、こういうふうに順序がきまっておる。ただ、国会に出します分につきましては、先ほど申しましたとおりこういう内規的なもの、手続的なものもきまっておりませんが、今回郵政省から五法案出してございますが、簡易生命保険法公衆電気通信法それから有線テレビ法、この三つにつきましては、簡易生命保険法と同じような白表紙目次といいますか順序で出してございます。いま御指摘もございましたので、次回以降ひとつ承知しまして、統一をとりまして先生方審議に便宜なように編成がえをいたしたいと思います。
  14. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その点はわかりました。  次に、具体的左内容に少し触れさせてもらいたいと思いますが、まず保険局長にお伺いしますけれども、法第十四条の保険種類の中から特別養老保険というものが削除されることになっておりますが、これはどういう意味か、ちょっと聞かしてもらいたいのです。
  15. 中田正一

    中田政府委員 今回法律の規定上からは特別養老というものを省きましたけれども約款上はそのまま残すことにしておりますので、実質的、実体的には変更ございません。  なぜこういうふうに変えたかということでございますが、今回学資保険を創設する、また特別終身保険というものを創設するということに関連いたしまして、簡易保険の体系をわかりやすくする。その場合に、大別して養老保険終身保険それから家族保険というふうに三つに分類いたしました。それから終身保険をさらに、従来の終身保険普通終身保険、新しいものを特別終身保険というふうにしたい。それに関連して、従来は法律で規定してあった特別養老というものを法律上は養老保険の中に入れて、約款の中で普通養老特別養老に分けようという趣旨でございまして、これを格別今回削除するというようなことは全然ございません。  なお、特別養老保険法律的には削除して約款で具体的に定めるということになりましたために、従来は特別養老の倍数、二倍型でございましたけれども、そういうものは今後は約款できめ得るということで、むしろ機動的にそういった面が処理し得るというプラスがあろうというふうに存じております。
  16. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この保険法約款関連からいえば、約款保険法内容がほとんどうたわれておることになりますから、その限りで私は手続上そう困った問題は起こらぬと思いますけれども、しかし、たとえばこの十五条の終身保険の中にさらに特別終身保険、あるいはまた学資保険という種類を加えても法定上差しつかえ互い。いわゆる保険種類というものについての認識が非常にまちまちになってくる。いま保険局長がおっしゃったように、終身保険の中に終身保険特別終身保険がまた約款上分かれてくる、養老保険の中に養老保険学資保険が分かれてくる、こういうことになってくると、これは約款でまた分けて定義するよりもむしろ十四条で、保険種類として終身保険特別終身保険と、養老保険特別養老保険家族保険、こういうふうな分け方のほうがはっきりするんじゃないかという気がするのです。その点はどういう解釈か。むしろ保険局長からいえば、統一したというお考えですけれども、私どもからすれば、保険種類として明らかに法定しておいたほうがわかりやすいんじゃないか、こういう気もするのですが、どういうお考えでしょう。
  17. 中田正一

    中田政府委員 従来の特別養老というものも中身を見てみますと、養老保険の大きなワクの中の一つであった。ただ、満期の場合の保険金と死亡した場合の保険金を違えるというようなことで特別養老といたしておるわけでありますが、そういった満期、死亡の場合の保険金額定め方というふうなものは約款で具体的に定められることであるから、それを一々法律ではっきりと種類立てするというようなことは、かえって制度定め方としていかがかというふうなことで整理したつもりでございます。がしかし、いろいろ考え方によって、法律の中で具体的に各種類を明定すべきであるということもございましょうけれども、現在の全体のあり方からいって、むしろ体系的にすっきりするという立場から今回のような措置をとった次第でございます。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険局長お話では、もともとこの十四条に特別養老保険という種類があった、そのことのほうがむしろ間違いであって、これは本来的に約款のほうに入るべきものであった、今回はたまたま学資保険ができることになったのでそういう方法をとった、こういうことになるわけですか。
  19. 中田正一

    中田政府委員 大体御指摘のとおりでございます。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それからもう一つお伺いをしておきたいのですけれども特別終身保険関係ですが、この約款と法の関係です。大体一つ法律をつくると、たとえば今度の場合、学資保険なり特別終身保険というものを創設をするということになりますと、法律の上ではこれはほんのわずかのものしか出てこないわけですね。一体、そういう法律をつくる上で、約款ではどういうことがきめられるのだろうかということをわれわれ承知しなければ、その法律が妥当かどうかという判断はできないことになります。学資保険なるものの内容終身保険なるものの内容というものが、法文を見ただけでは理解のできるしろものではないわけですよ。しかし逆に、法律ができないことにはあなたのほうでも約款もできないし、審議会にもかけられないということにもなろうと思います。鶏が先か卵が先かという論議になりますけれども、しかし、少なくとも法律審議するにあたっては、その法律約款にゆだねる部分がこういう内容のものであるということを承知しない限り、法律審議はできない、私どもとしてはそういう気もするわけなんで、法律を見ただけでは学資保険内容終身保険内容も一向にわからぬわけですよ。ところが、おたくのほうからその内容について一向説明を承ることができない。そうすると、法律だけ審議をしても、内容のわからぬ法律がぼっと出されたことになるわけですが、約款の場合、そのほかの場合は政令、省令ということになると思いますけれども、そういうものと法律との関係をどういうように考えておられるのですか。
  21. 中田正一

    中田政府委員 現在の簡易保険法におきましても、制度の基本的な事柄については法律で定めるけれども、それに基づく具体的な問題については約款で定めよということを第六条で規定してあるわけでございます。その中で、加入年齢とか保険期間とか保険金額とか保険料額とか、ある意味では相当重要な事柄もすべて第六条において、そういうものはこの法律に定めるもの以外は約款で定めるということで規定されておるところでございます。どの程度のものを法律で規定し、どの程度以下のものを約款に定めるかということは、いろいろ問題もあるところでございますが、このことについては、すでに簡易生命保険法が制定された際に、またその後のいろいろな機会に御審議いただいて、大体このようなことでよかろうということで現在に至っておるところでございます。また、民間生命保険動きに即応いたしまして簡易保険が動いていく、情勢に適合して制度を改善するというようなたてまえから、ある程度のものは約款にまかせるということが簡易保険全体のために好ましいのではなかろうかというふうに存じておるところでございます。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の質問が悪かったのかもわかりませんけれども、私が言う法と約款との関係というのは、たとえば私どもがここで審議するのは法律であって、約款審議はしないわけです。しかし、この白表紙の一九ページの十五条に明らかなように、法律上でいくと終身保険の場合でも、法律では単に「被保険者が死亡したことの外その者の生存中に保険約款の定める期間が満了したことに因り」、こういうことになっておりますね。この約款により定めるという、ここの約款によりどういうことが一体定められるのだろうか、それがわからなければこの法律審議はできないと私は言うのです。約款内容をあらかじめ知らせてもらって、こういう内容約款を持っておるから、こういう法律改正が必要なんだというふうなことを聞かせてもらわなければ、法律審議ができない。しかし、理屈からいえば、おたくのほうは、法ができないと約款ができません、こういう理屈があろうと思うのです。しかし、約款内容を想定せずに法律だけの改正はあり得ぬわけですから、そうなりますと、事前約款内容についてわれわれに漏らしてもらわなければ、法律の実際の内容に立ち入って審議ができないじゃありませんか。そういう点で、法律約款をどういうように考えるのですか、こう聞いておるわけです。
  23. 中田正一

    中田政府委員 今回簡易生命保険法改正お願いするにあたりましては、当局としては当然その内容約款で具体的に考えておるわけでございます。その案につきましては、現在手持ちをしておりますし、資料も取りそろえてここに持っておりますので、この席に提出して御審議いただいてけっこうだと思います。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、お聞きのような事情で、私も、これは確かに取り扱いとしてはむずかしい問題だと思うのです。しかし、私どもとしては、ただ法律案だけをぽっと配付されても、ほとんどは約款に譲る部分になるわけですから、たとえば学資保険というものの内容がどういうものかわからずして、学資保険をつくることはいいですよとはなかなか言えない。しかし事務当局としては、法律ができぬうちに約款内容を公表するわけにいかぬという理屈もあるだろうと思います。しかし、この席に持ち合わせておりますから必要ならばひとつ検討してください、こういうことですけれども、いまここで配られて審議ができるしろものではないと思うのですね。そうすると、事前にやはり少なくとも、当局考えて寄る約款内容はこういうものでございます、この法改正ができればこの約款によってかくかくの内容を持つ学資保険ができます、特別終身保険ができますというような説明がなければ、ほんとうの意味法案審議はできません。これは規則、規約、同じになるわけですが、この関連大臣、どうお考えになりますか。この委員会ではすべて、公表ということばは問題ありましょうが、われわれ審議をする委員にも約款内容については触れさせるべきじゃないというふうにお考えなのか、約款内容につきましてはあらかじめ承知をさせた上で法律審議をさせる、そのほうが望ましいとお考えか、大臣のお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  25. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは法律の御審議を願うときに、すべて政令に譲るというふうな文言がありました場合には、政令内容をある程度示しをするということが常識であろうと思っております。したがいまして、いま局長から約款をお目にかける、こう申しました。これは本来ならば事前に、たとえばそれが未定稿なら未定稿と判をついてお示しをいたしまして、御審議の便に供するのが至当であろう。きょうはたいへんどろなわみたいになって相すみませんが、私はさように考えております。
  26. 中田正一

    中田政府委員 公式のこの席ではまだ差し上げてございませんけれども逓信委員会委員の方々には別の機会に個別に資料を、約款そのものではございませんが、約款をわかりやすく体系的に表示して、約款内容が一目瞭然おわかりになるようなものをお届けしてございますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険局長、論争はしませんが、私はなかったのですよ。これはきのう調査室よりもらったのです。それでやっと私は学資保険なり特別終身保険内容というものを了知するに至ったのですけれども、それまではもらっていない。もらったものを申し上げますと、この白表紙と、それからこういう冊子と、もう一つもっと厚いもの、その三つをもらいましたけれども、これはないのです。しかし、私の考えからするならば、これはいまどこまで配っているのか知りませんけれども、こういうものが約款内容であるというものが配られるのに、われわれ委員にこの程度のものさえ事前に配られないのかということで、私は実は腹を立てていたわけです。もし事前に配っておるとするならば、私のところに着いてないわけですから、これはなお気をつけてもらわなければぐあいが悪い。この点を特にお願いをし、いま大臣のおことばもありましたから、私はそれで了承いたしますが、これからひとつ気をつけてもらいたいと思います。  続いて、少し具体的な内容についてお聞きしたいのですけれども、まず、この一部改正要綱によりまして、これは学資保険でも特別終身保険でもいいのですが、「学資保険の創設について」の一番しまいに、「学資保険の名称、」云々とずっとあって、約款でこれを定める、こうなっておりますね。ところがその一番初めのところ「名称および加入年齢」というところに「十八歳満期学資保険」というのがここにきまっておるようです、名称が。これは名称がここできまっておるのか、こっちで約款で定めるというのがほんとうか、どっちですか。
  28. 中田正一

    中田政府委員 事前にお届けした資料の中の「名称および加入年齢」というものは、これは「制度内容」という項の中で、名前はこういうものになりますということを書きしるしまして、先ほど御指摘の点は、「法律改正点」という別の項目の中で、今度そういった名称は約款の中で定めるというふうにしるしてございまして、御指摘のとおりこの名称というものは法律の中には出てまいりませんで、約款の中で学資保険とかあるいは十八歳満期とか十五歳満期とかいうものも約款の中で定めることにいたしております。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もちろんこの約款の中で定める、けっこうなんです。したがって、約款の中で定めるなら約款の中で定めるで、まだこの名称はきまらないことになるはずなんです、約款ができてないわけですから。ところが、名称はきまっておるんです。ところがそのあとの支払い期間とか保険期間とか保険料の払い込みの免除の要件などについては、ここには出てないんです。だから、それらすべてが約款できめるなら約款できめるでけっこうですが、約款できめるというものの中に、すでにここにきまっておるものがある。これはどういうわけですかと聞いたんです。名称だけはこれはきまっておるんでしょう。
  30. 中田正一

    中田政府委員 これはいろいろ資料の書き方が不十分でございますが、法律改正の暁には約款でそういうふうにきめさせていただきたいという案でございます。名称にしても加入年齢にしても、すべて案でございまして、まだきまっておるわけでございません。大体そういう腹案を用意しておるということでございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  それからその次ですが、こういうパンフレットをお出しになっております。ところで、こういうものができたならば、加入しようと思う希望君たちは一番先に何を考えるでしょうか、一体。学資保険の場合に、ここに年齢も書いてありますが、十二歳までは加入ができる、あるいは十歳までは加入ができる。そのときに、たとえば十歳で十八歳満期の大学に行くときに保険を取れる百万円に入りたいとするならば、おおよそどのくらいの掛け金が要るんだろうかというようなことくらいのこと、とれが一番先に頭に浮かぶんじゃないでしょうか。その点については、おおよそも何にも全然出てないんです。それは審議会関係もあろうかと思いますけれども、それは大体仮定をして百万の保険に十二歳でお入りになるときには大体このくらいになりましょう程度のことはやはり出しておくべきではないか。宣伝としては私は最もまずいような気がするんですが、これはなぜ出さなかったのか。これは大体どのくらいになるのですか、これは事務当局でけっこうですから答えてください。
  32. 中田正一

    中田政府委員 先ほどお示しのパンフレットは、これは契約者に対して配る用意のものでございませんで、今回の法案審議にあたりまして、関係の方々にわかりやすく見ていただくというために用意したものでございます。いざ発足の際には、契約者にもちろん保険料からその他すべて必要な事柄について網羅するつもりでございます。  なお、ただいま御指摘のどの程度保険料がなるのかということでございますが、大体学資保険の場合、十八歳満期、これは大学入学時を対象にしておりますから、現在の学資の動きからいって百万円程度が必要ではなかろうかというふうに存じますが、百万円の場合に保険料は、月額にいたしまして、三歳で加入するというような場合には月額五千百円、それから八歳の場合は八千二百五十円ということになっております。大体こういうものを用意して発足の際には契約者の方々に十分PRいたしたいというふうに考えております。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つお伺いしたいのは、同じく学資保険関係で十八歳満期の場合は十二歳までは加入できる。それから十五歳満期の場合には十歳までしか加入ができない。この年齢の制限を設けるというのはどういうわけですか。
  34. 中田正一

    中田政府委員 加入年齢制限はもっぱら保険料の観点からいたしたわけであります。と申しますのは、年齢をもう少し高くいたしました場合には保険料が非常に高いものになって、保険としての妙味が薄れるというようなこと、もっぱらそういった観点からの制限でございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体この学資保険というのは本来の意味では短期性のもの、一番長くて十八年にしかならぬわけです。しかし経済事情の変更で、たとえば十二歳になるまではなかなか余裕がなかった。しかし子供が十三になっておやじのほうの月給も上がった。この際、一ぺんに学資を出すのはたいへんだから、十三だけれども加入をしたい、あるいは十四になったけれども加入をしたいというふうに、経済事情の変動で、貯金というような意味をかねてこの保険に加入しようかというような希望者もあらわれてくるような気がするわけです。そういう意味では十二歳で、単に保険料の関係から保険料が高くなるからというだけで制限を設けることがいいのかどうか。もう少し検討の余地があるのじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  36. 中田正一

    中田政府委員 満期を何歳にするかという事柄関連してくると思います。満期を二十歳とか二十三歳とか大学卒業時とか就職時を目標にしたようなものでありますれば、十三歳、十四歳でもこれはけっこう保険として妙味のあるものになりますが、十八歳満期の場合に、十三歳、十四歳で加入いたしますと保険料が非常に高いものになります。御本人がそれでよろしいとおっしゃるからそれでいいじゃないかという御意見でございますが、こういった制度をつくる場合に、いろいろ取り扱い上やはり一つの型をきめましてそれで処理する。大量の申し込みに応ずる場合には一つの型が必要であるという観点からこういった制約を設けたわけでございます。  なお、十三歳、十四歳になってなお必要ありという加入者の方には、今回の学資保険はそれに当たりませんけれども、従来の養老保険が依然としてございますので、そちらのほうを選択していただくということになろうかと思います。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が聞いておるのは、十二歳まではたまたま経済事情で大学にはとてもやれぬだろう。学資保険は大体そういうところを目当てにしているわけでしょう。本来、入学金を一ぺんにぽんと出すのはなかなか困難だから、あらかじめためておいてそのとき出そうというのが目標なんでしょう、もともと金がたくさんある人はこんなものに入る必要はないのだから。そうすると、子供が十二くらいの年齢までというのは家庭の収入の上からも、おやじの収入から考えてもなかなか苦しい時期だ、とても大学にやれぬと思っておったが、少し収入もふえてきた、中学の成績もいいようだ、大学にやろうかといったときはたまたま十三になっておった、ところがこの法では十二になっておるから、保険で大学の資金をかけることができない、こういうようなうらみがあるのではないか。そうすると、十二というところでぴしゃっと線を引いてしまうことがどうなのか、あと一、二歳ぐらいまでは本人の希望がある場合には加入をさせるというふうな弾力性のあるものにしておいたらどうか、そういう質問なんですが、どうでしょうか。
  38. 中田正一

    中田政府委員 繰り返して申し上げて恐縮でございますけれども、十三歳、十四歳の場合には、掛け金、保険料が非常に高くなりますので、そういう場合にはこの学資保険制度でなしに、むしろ従来の養老保険なりあるいは他の貯蓄制度を御利用いただいたほうが御本人のためにより好都合ではなかろうかというような観点から、十二歳というような年齢はあまり動かさないほうがよろしいのではないかと思っております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはほかの保険じゃだめなんですよ、学資にするのですから。保険の利用はだめですからあとは山本貯金局長のほうに譲って、貯金でいってもらいますということになるわけですね。それはそういうふうならやむを得ぬでしょう。  その次に、学資保険の場合に、保険契約者が保険料の払い込みを免除される、この要件は一体具体的にはどういうものを考えておられるのですか。
  40. 中田正一

    中田政府委員 保険契約者が死亡した場合、それから廃疾状態になった場合、これは簡易保険で現在廃疾保険金というものを支給しておりますが、それと同じ条件でございます。両手、両足、両眼失明というような場合にはその後の保険料を免除しようということにいたしております。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、法の二十一条の二のカッコの中の告知義務違反というあの項をちょっと具体的に説明してくれませんか。
  42. 中田正一

    中田政府委員 簡易保険には無審査ではございますけれども、その場合に加入者、被保険者に一定のことについて告知していただくというような制度になっておりまして、そういったことをおやりいただかぬと、告知義務違反の場合には契約を解除し得るというような規定が二十一条の第一項でございますが、その場合に第二項では、そういった解除権は、国が解除の原因を知ったときから一カ月間これを行なわないときには消滅する。あるいは保険契約の効力発生の日から三年たった場合にも告知義務違反による解除権は消失するということになっているわけでございますが、今回の二十一条の二項の改正点は、カッコ書きの中が問題の点でございます。非常に複雑に書いてございますが、これは学資保険のことでございます。  保険約款の定めるところにより保険契約者が死亡したことに因り将来の保険料の払込みを要しないこととする学資保険保険契約にあっては、その期間内に保険契約者が死亡した場合において――三年以内に保険契約者が死亡した場合には、その契約が効力発生の日から三年たっておった場合でも、学資保険の場合には別でございますよ、という規定でございます。一般的には契約発生後三年たてば解除権は行使できない。しかし、学資保険の場合には契約者が三年前に死亡しておったという場合には、三年たったあとにおいても契約を解除できるといううらはらのことを規定しておるわけでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もそういう解釈をしたのです。どうもそうなるような気がするのですが、普通の場合でも三年たったならばこの解除権は消滅する、こうなっておるのに、学資保険の場合には保険契約者が三年過ぎておっても告知義務違反があった場合には解除権は消滅しない、逆にいえばこうなるでしょう。そこのところ、どうなるのですか。いまの保険局長説明ではそうなるのですよ。
  44. 中田正一

    中田政府委員 従来の契約の場合には被保険者が三年たってから死ぬというのがたてまえでございますが、今回の場合には契約者が三年前に死んでなお契約は保険料免除いたしますから、継続するというようなことのために、こういう規定を設けるというわけでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは、もうここで論議しておってもひまが要るばかりで、どうもすっきりしませんけれども――これは、法律用語であろうけれども、ちょっと読んだくらいではこのカッコの中はわからないのです。何べん繰り返して読んでみてもなかなかわからない。それで、いま二十一条の告知義務違反のカッコのところでお伺いしたわけです。これは保険局長もあまりよくわからないでしょう、率直に言うと。私もここのところは読んでみてわからないのです。もう少しわかりやすい書き方はないものかという気がしたのですが、それにこだわっておると時間がかかるから、次に進みます。  そこで、この資料の(3)の特別養老保険のほうですが、ここに告知義務違反の事実があったときは契約を解除することができるとなっておるですね。(3)のアですが、「国は、保険契約の解除をすることができるものとすること」とある。この「できるものとする」ということば意味ですが、これは必ずしも解除をしない意味があるのか、告知義務違反があった場合には必ず解除をするのか、ここのところをちょっと聞かしてください。
  46. 中田正一

    中田政府委員 おそれ入りますが、ただいま御指摘の点は資料のどこでございましょうか。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 「法律改正点」の(3)のアの項です。「告知義務違反の事実があったときは、国は、保険契約の解除をすることができるものとすること」とありますね。
  48. 中田正一

    中田政府委員 これは法律で、することができるものとするというふうにしてございまして、実際にはそういう場合には、告知義務違反によって解除するということを約款できめておるわけでございます。「することができる」ということは、そういう権限――権限というか、そういうことをきめて実際には解除するということでございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 同じくそこのウの項で、「保険金額を減額することができるものとすること」という新設がありますね。これも同じ理屈でございますか。
  50. 中田正一

    中田政府委員 これも同様、約款において具体的に金額をきめまして減額するということにいたしたいと思っております。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  次に、この保険金額の減額ですけれども保険契約者が一年以内で死亡したときの減額ですが、一年以内でも、三カ月掛けて普通病気で死亡する場合もあれば、十一カ月掛けて保険契約者が死亡する場合もあり得る。その場合も減額はそれぞれ額は違うのか、一年以内の場合には全部減額の率は同じ額なのか、その点をちょっとお伺いしたい。
  52. 中田正一

    中田政府委員 こまかに見ていきますと、いろいろ段階的に減額率を定めるということが考えられますけれども、そもそも一年ということ自体がそれほど長い年月でございませんので、約款においては一律に大体五〇%減額するということにいたしたいというふうに考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  それからもう一つ学資保険特別終身保険が新設されるわけですけれども、たとえばいま五十五歳の方が普通の終身保険にお入りになっておる。そういう便利な制度ができるのならば自分も六十でもらいたい、あるいは六十五でもらいたい、生きているうちにもらいたいものだという希望は当然起こってくると思うのです。しかし、新たに加入するのにはもうお年でなかなか掛け金をかけるのが困難だ。いわゆる従来いわれた乗りかえ、いま入っておる終身保険特別終身保険に乗りかえる、あるいは養老保険学資保険に乗りかえる、そういう希望は加入者の側からするならば相当たくさん出てくるだろうと思いますが、その乗りかえ契約というようなものについてどういうようにお考えか、伺います。
  54. 中田正一

    中田政府委員 従来の終身保険から新しい特別終身保険に乗りかえるという問題は、結論的に申し上げますと、生命保険の仕組みの内容から申して困難と申しましょうか、できないということに在ろうと思います。理由は、いまちょっと申し上げましたように、簡易保険の仕組みが、簡易保険に限りませんけれども生命保険の仕組みが、長期の期間にわたって死亡率その他の要素をかみ合わせて保険料をきめておるわけであります。したがいまして、おのおの違った内容を持っておりますので、従来の終身保険から新しいものに乗りかえるということは、これは仕組み上できないということになろうかと思います。  ただその際に、そういった要望が出てくることは十分察知できますので、当局といたしても他の方法を考えております。と申しますのは、従来簡易保険の場合には剰余金の分配は保険金の支払いの際に行なうということになっております。これは契約件数が非常に多いということ、したがって民間保険のようにそのつど配当するということができないというようなことからこういうことになっているわけでございますが、終身保険については、保険金の支払い以前、したがって生存中にも剰余金の分配ができるように、すべてというわけにはなかなかまいりませんから、終身保険の中で一定の条件を限って措置したいということで現在検討中でございます。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険という制度がいずれも大数の法則から割り出したものだから、私は保険局長の言うことがわからないわけではないのですけれども、しかし私は、不可能ということはないという気がするのです。いま大臣もお聞きと思うのですが、すでに終身保険に加入しておる方が、そういうりっぱな制度ができたのならば、ひとつ私も生きているうちに二割なり六割なりもらいたい、こういう気持ちが起こってくるのは当然だろうと思うのですが、何かこの制度の検討が全然できないものかどうか。いま保険局長は無理でございますと言うけれども、今日コンピューターもできていて、無理もハチの頭もないと思うのです。やるという気があればできると思うのです。それは手続はなかなか煩瑣でございましょう。ございましょうけれども保険事業の性格から考えて、零細な金を積み立てて死んだときの死に金といいますか、そういうものに充てようとしている方が、おっしゃるように今日寿命が延びてきたから、生きているうちにあめ玉の一つも孫に買うてやりたいという気が起こるのは当然なんです。木で鼻をくくったようにそれはできませんというのではなくて、私は検討してみる余地があるのではないかと思うのですが、もう一ぺん大臣のほうからでもいいですから、どうです。
  56. 中田正一

    中田政府委員 御指摘のように、いろいろのくふうをこらせば、できないこともなかろうと思います。ただその場合には、保険料が非常に高いものにつくというようなこともございますが、しかしさらに、どの程度保険料になるか、どういうふうにしたらできるか、検討を進めていきたいと思います。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険のほうはこれで最後ですが、もう一つお伺いしておきたいのですけれども、倍額保険関係です。今度の法改正によりますと、倍額保険を支払う場合に、その剰余金の配分が倍額以上にわたる場合には、それをもって保険金とする、こういう意味のようですから、たとえば基本契約二百万、それの剰余金の配分が二百十万あれば、四百十万円を保険金として渡す、こういう趣旨だろうというふうに理解しておるわけですけれども、しかし私は、剰余金の性格からしますと、たとえば二十年満期保険に入っておられて十年目に不時の事故でなくなった方も四百万円もらえるわけです。十九年目になくなった人もやはり四百万円です。それは四百万をこえておれば別ですよ。こさない限りは、四百万円の範囲内においては、三年目になくなった方も四百万円、十九年目になくなった方も四百万円とするならば、剰余金というものは本来運営の中で生まれてきたお金ですから、早く死んだ人が得をするというとおかしいけれども、もともと保険は早く死んだ人が得をするということになっておりますけれども、しかし剰余金の性格からするならば、貢献した期間が長かった人と短かった人と、掛け金の払い込んだ期間が長かった人と短かった人は何らかの差を設けるというか、長い人に何らかの剰余金の配分についての優遇措置を考えるべきだと思うのですけれども、いまの二百万基本契約の場合には、四百万に満たない場合には差がない、そうなると思うのですが、これはどういうふうにお考えですか。
  58. 中田正一

    中田政府委員 御指摘のとおり剰余金の問題につきましては、現在の簡易保険の状態にまで至ったことに貢献した度合いによって行なうというのが筋道でございます。したがって、大体加入期間の長短によって剰余金の分配はきめておるわけでございます。ただ、それと倍額支払いとをからめて倍額保険金を年数によって操作したらどうかというようなことについては問題があろうかと思います。倍額保険金の支払いというのは、御承知のとおり簡易保険の大きな特色の一つでございます。したがってこの倍額保険金について、また加入期間の年月に応じて調整するということになりますというと、簡易保険の大きな特色が失われるというようなことになりますし、また倍額保険金の支払いの件数というものは、大体死亡保険金支払いの三%程度でございますので、そういった点からも、せっかく現在好評である制度については、これを加入者の不利にならないように存置しておくのがよろしいのではなかろうかというふうに考えております。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう趣旨からいいますと、不時の事故のときには倍額を差し上げるのですから、かりに保険金の剰余金の配分が、二百万基本契約の場合、あとの二百万をこす剰余金の分配があってもそれはしかたがありません、やはり四百万で打ち切りますという理屈も成り立つわけです。しかし四百万をこえて倍額をこえる場合には、倍額をこえただけやるというのでしょう。それは明らかに剰余金の性格を組み入れて剰余金で差し上げることが得だからそれを保険金として差し上げるというのならば、明らかにこれは年数に応じた分配になることになるわけです。そうするとこえた分については年数に応じてたくさん剰余金を差し上げるが、こえなかった分については一律ですよというのはやはり保険局長理屈が成り立たぬじゃないですか。
  60. 中田正一

    中田政府委員 剰余金の分配は、これは再三申し上げておりますように契約の長短によってきめられる。したがいまして、だんだん簡易保険の経営状態がよくなりますれば基本契約の倍以上の剰余金が出るということがこれから起こり得るわけでございます。そのものを特別制限するというわけにはまいらないと思います。一方倍額保険金の場合には、これは交通事故その他不慮の災害によって死亡した場合に剰余金と関係表しに倍額お支払いするということでございまして、ただ倍額よりも剰余金としてもらったほうがよろしいという場合には剰余金を差し上げますということでございますので、格別その間に矛盾はないと思います。  なお一つ申し上げますと、原則的に現在は倍額保険金の支払いを受けた者は剰余金を重複しては支払わないというたてまえがありますので、その上に立って今回のような措置を設けたわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険局長、これはもう保険の性格上やむを得ない、いわゆる剰余金をもって倍額支払いに充てるのですから、金がないからやむを得ないのだというのならばこれは私は理屈がいくのです。矛盾はしません。しかし私は矛盾をすると思うのです。剰余金の性格からいくならば、保険局長言うとおり、その貢献した期間によって剰余金を返すわけですから、それを不慮の事故で死んだ人に差し上げたからあなたにはもう上げませんとかいうようなことはおかしな話で、やはり明らかに年数に応じて剰余金を分配をするというその原則からいうならば、これは矛盾をしておると私は考えるのですが、だれか事務当局のほかの人からでもけっこうです。
  62. 中田正一

    中田政府委員 私の説明が不十分のために十分御納得いただけないようでございますが、剰余金の分配というのは、御指摘のとおり保険期間の長短によってきめておるわけでございます。一方倍額保険金制度というものは剰余金の制度とは全然別個の問題でございます。ただ現在は、倍額保険金を支払った場合には大体剰余金がそれ以下でございますが、重複して剰余金を出せないということにしておるのでありますが、剰余金のほうが多い場合には倍額保険金だけではお気の毒だから倍額保険金にかえて剰余金のほうにいたしましょうということで、制度が別個でございますので、この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 制度が別個であっても、しかしその原資として充当するものはやはり剰余金から充当しておると私は理解しておるのです。それは間違いであれば指摘をしてもらいたいのですが、制度が全然別個のものならば、これはどこから持ってくるか知りませんけれども、もともと集めた保険料の中で倍額を払うべきであって、剰余金をそれに充当すべきじゃないと私は思うのです。剰余金はあくまで剰余金ですから、貢献した年数によって分配すべきであって、制度が別ならなおのこと、剰余金をもってこれに充当して剰余金を上げませんというのはおかしな話で、剰余金はあくまでも年数によって分配すべきであって、別の制度なら別の制度で配分されればいい。それに保険金が足らなければ保険料をふやせばいいのであって、保険金を倍額上げますから剰余金は上げませんという理屈は私はやはり成り立たぬと思うのですよ。どうですか。
  64. 中田正一

    中田政府委員 倍額保険金支払いと剰余金支払いのもとになる原資はこれは別個でございまして、剰余金はこれは申し上げるまでもなくすべての支払いを了したあとのそれこそ剰余金の分配でございます。でありますから、倍額保険金とかその他のものを支払ったあとそれを剰余金として期間の長短に応じてお支払い申し上げるということでございます。また御意見の点を突き詰めていきますると、現在の倍額保険金期間の長短によって差をつけよということになろうかと存じますが、それではせっかく簡易保険として妙味ある制度がそこなわれる。現在、簡易保険保険金の最高制限が本日最初の御指摘のとおり二百万で必ずしも高くないという場合に、災害等の場合に倍額を支払うということによってそういう簡易保険金額制限されておる面もカバーされるということを思い合わせますと、このせっかく現在ありますところの倍額保険金については、これを契約者の不利になるような取り扱いはいたすべきではなかろうというふうに思います。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、歴史がわからないのですけれども、少なくともこの倍額支払いの制度をつくったときに、それまでの契約をなさっておる方の掛け金をふやしたはずはないのです。従来の掛け金のまま倍額制度を設けたはずです。そうすると、倍額制度というものはやはり保険運営の中から生まれた剰余金をもって充当しておるという限りにおいては、制度が別個のものであるかどうかは別にして、保険運営上全体の利益の中で倍額という制度を設けたものだ、私はそう理解をするわけです。保険局長お話だと全然別個の制度ですが、別個の制度で初めから倍額保険というものをつくったのならば倍額保険は掛け金が高くならなければならぬはずなんです。しかし、保険料額は従来のまま、こういう事故の場合には倍額を上げますということができるのは、保険運営の中から生まれた剰余金があったからできるのだというふうに私は理解をするのです。ただ、それはそれでいいです。倍額の制度が悪いというのではないのです。悪いというのではないが、同じ倍額をもらうのに、三年しか掛けてなくて倍額をもらう人と十八年も掛けておってやはり倍額しかもらえない方では、剰余金の配分という性格からするならばどうも少し片手落ちであるというようなことを私は申し上げておる。何かほかに方法を考えて、倍額のほかに剰余金があるならばそういうものについても幾らかずつ上げましょうとか、何らかの方法があるかないかということをお伺いしておるわけですよ。
  66. 中田正一

    中田政府委員 御指摘のとおり、広い意味から申しますれば、倍額保険金の支払いの制度簡易保険全体の剰余から生まれたものの充当でございます。そういう意味では御指摘のとおりでございます。また現に倍額保険金支払いのために格別保険料をその分だけ徴収するということではございません。そのことも御指摘のとおりでございます。したがいまして、理論としては御指摘のように、倍額保険金についても年月の長短に応じて措置することはなし得るわけでございます。ただ再三申し上げておりますように、すでに簡易保険に定着した制度でございますので、これはこのまま存置して事業全体をさらに伸ばして剰余金をよりふやし加入者の皆さん方に有利なようなものを分配申し上げるように努力したいというふうに存じます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次いで貯金のほうをひとつお願いしたいと思います。昨年の前の六十三国会でしたかの委員会貯金局長お願いをして、いまの通常貯金貯金通帳の冊数制限について、これは二冊以上持ってはならないことになっておる、しかし実際の問題としては二十七条との関係もあって、預金は現金がないときは払わなくとも損害賠償の責めに応じない、こう郵政省はきめつけておるわけです。そうなれば小さい局ではたまたま手持ち現金がなかったりして不自由をするので、小口は自分の近所の郵便局で、少し大きいお金を扱うのは本局のほうへ、こういう意味では通常貯金の通帳も二冊くらい持つ必要があるのじゃないかということのお話を申し上げて、貯金局長もその方向考えてみたいというふうに御答弁をいただいておったので、今回法改正が行なわれるならば、その制限がなくなるかは別として、少なくとも一冊だけだということについては少し矛盾があるように思っておりましたのですが、その点全然法改正に触れられておらないと思うのですが、その後どういう取り扱いになっておるか、お伺いしたいのです。
  68. 山本博

    山本(博)政府委員 前の国会の場で、私が検討いたしたいと申し上げたことは事実でございます。その後いろいろ検討いたしましたけれども、実は昨年、郵便局の窓口で他の郵便局で預け入れをいたしました郵便貯金を引きおろしますときに、従来十万円であったものを三十万円まで引き上げました。したがいまして、現在どこの郵便局へ行きましても三十万までは預け入れた郵便局以外でもおろせるということになったわけでございます。したがいまして、通帳を二冊持っている必要度というようなものがどういうケースがあるのかということもいろいろ検討してみましたけれども、本来定額貯金ないし積立貯金、これは通常貯金のほかに別個に利用することができるようになっておりますので、貯金全体を総合的にお使いをいただくということにいたしまして、またどこの局でもおろせる金額の点で相当引き上げをいたしましたということも考えまして、二冊以上を公に認めるという必要性と、それから出てくるいろいろな問題、そういうものを勘案いたしまして、今回は従来どおりでよろしいではないかというふうに考えておるのがその後の実情でございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それから貯金局長にもお願いしておきたいのですが、保険の際に言いましたからくどくは申し上げませんが、政令、省令に委任をする事項等についての内容がやはり手元に届いていないために非常に苦労しましたので申し添えておきますが、貯金法の附則で住宅公庫法が改正になる。その二十二条の二でできる限り資金の配分について配慮をするというようなことばが使われておるわけですけれども、これは住宅貯金に加入した者は必ず金が借りられるということなのか、資金で制限が設けられるのか、預入で制限が設けられるのか、その辺についてひとつ……。
  70. 山本博

    山本(博)政府委員 公庫法に今回書いてございます内容郵便貯金との関係でございますけれども、私のほうといたしましては、郵便貯金、住宅積立貯金に契約をした加入者の方、利用者の方は、法律の上では、これは極端なケースになりますけれども、たとえば百万人の利用者が郵便局にお申し込みになったという場合に、あらかじめ百万人の方の資金を準備するというような例はないだろう、またそこまできたときには、この法律のワクの中で解決をするということは困難だろうと思います。そこに書いてありますのは、従来こういう個人住宅の融資をしております住宅金融公庫の大体の実績、それから政府が立てております第二次五カ年の住宅計画、こういうものを合わせまして、大体この住宅郵便貯金のほうに利用するということで起こってくる需要というものがどのくらいあるか、それからそちらの従来のワクの中から流れてくるものがどのくらいあるか、こういうものを総合的に検討いたしまして、先ほど申し上げました極端な場合もそれではだいじょうぶかといわれますと、そこの点についてはまだ法律上の一〇〇%の保証ということはなかなか困難でございますので、そこに書いてありますように、できる限り配慮をするという表現で、十分各関係当事者の間で、落ちこぼれといいますか、郵便貯金の加入契約をしたにもかかわらず借りられないという人のないように、いろいろな資料その他を検討いたしまして、そういうことのないように最大限の努力を払うという、そういう意味努力義務をそこに書いたということでございます。     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おたくのほうが専門ですから、これによると五十万円までですか、三年ないし五年で五十万円の貯金をすれば、その一年前から公庫の貸し出しの請求のあっせんをしてもらう。こうなると非常に申し込みが多いというふうに考えるわけであります。その場合に、いま貯金局長お話によりますと、大体落ちこぼれがないように住宅貯金に加入した人については公庫のお金が借りられるのだというお話だったと思うのですけれども、そうなると公庫のほうでもしそれだけの資金の準備がない、住宅貯金の加入者のほうが非常に多くなったということになりますと、加入者に対してうそをついたということになりますし、この条文の解釈がやはり問題になってきますので、いまおっしゃるように、おそらく第一線では、これに加入してもらえば間違いなく公庫からお金が借りられますということに実際問題としてなると思うのです。そういって加入をさせて契約をしておいて、さて実際三年たった、五年たったら公庫のほうからの融資は、この条項をたてにとられてできるだけの努力はするのであって、努力をしてみたけれども公庫のワクはこれだけですからおたくはできません、こういうことになったらたいへんなことになると思いますが、その辺どうでしょう。
  72. 山本博

    山本(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に極端な例をとりまして、たとえば百万人とか二百万人とかいういわば予想し得る限界の外の数字が参ったときまで法律で保証をあらかじめしておくというのはなかなか困難なことでございます。そういう事態が起こったときにそれをどう解決するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在関係各当事者の間で、あらかじめ従来のそういういろいろな需要の趨勢というようなものを十分しんしゃくいたしましてそういうことのないように、そこの条文にも書いてありますように、住宅金融公庫の年度の前に郵政省側から来年度はこのくらいの需要があるのでということの通知を郵政大臣からすることになっております。それに基づいて金融公庫がそれの裏づけをするために最大限の努力をするという法律上の裏づけをしております。  それの運用のことでございますけれども、ただいま御指摘がありましたように、国民が住宅郵便貯金はしたけれども、三年なり五年たって借りられなかったということになりますと、これはもうこの制度の一番悪い誤った運用という形になると思いますし、郵便貯金それ自身の信用ということにも在りますので、実際上の運用の上で、実際の金の貸し付けという形になりますのは早くて二年後、その次が三年後、四年後、五年後、あるいは一番長いのは七年後ということになりますので、これはある程度資金の裏づけが先のほうになりますので、これの見通しというものも郵便貯金の趨勢で立たないわけではございません。実際の運用上にはそういう事態の起こらないように、これはむしろわれわれの非常に大きな責任としてそういうことの起こらぬように努力をするということは当然でございます。そういうふうにいたしたいと思います。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も貯金局長のおっしゃるように、大体この見通しは立つと思うのです。立つから困るので、立つから加入者が非常にたくさん殺到した場合にどっちかを制限しなければならぬ。たとえば融資のワクのほうで、ないからこらえてくださいといって断わるか、融資がないから加入せぬでくれということになるかもしれない。その当時この法律があって、住宅貯金というものがありながら、金のほうがありませんのであなたは加入せぬでくださいといって断われるかどうか、それが断われないとすれば、融資のほうでこの法律がたてにとられてせっかく加入をしてもらいましたけれども、最大限努力しましたが金がありませんので貸すほうを断わるか、どっちかを断わらなければならぬ事態が想定されるわけです。それが大体初めからあらかじめわかるものですから、貯金局として責任者としてどっちを押える気か、そのときは預入のほうを押える気か、貸し出しのほうを押えて断わるつもりか、どっちかということを聞いておるのです。
  74. 山本博

    山本(博)政府委員 繰り返しになって恐縮ですけれども、この制度というものは、法律的に一〇〇%どういう事態があってもそれを吸収できるという条文というものはなかなかつけかねますけれども、実際の運用ではいま申し上げましたように、郵便貯金それ自身の国民からの信頼を裏切るということになりますと、それ自身の存立も疑われるというような大きな問題でございますので、ただいま御指摘がありましたように、相当前の年数で予測ができる事態がございますので、また、かたがた郵便貯金の毎年の増勢というものは非常に順調に参っておりますので、私たちが予測できるくらいの数字の誤差というようなものについては、郵便貯金の増勢からいって当然吸収できるのではないか、こういうふうに思っております。重ねて申し上げますけれども、そういう事態の起こらないようにしたいと考えております。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは予測できる問題ですから、十分事前に配慮しておいて、少なくともこの制度をつくったために国民の不信を買うとか不満を買うことのないように御配慮願いたいと思います。  それから、この白表紙の一二ページでございますけれども、この一番初めの五の項の三行目に「第二十二条の二の規定の適用のある資金の貸付けを受け、かつ、必要な」こうなっています。これはしたがって、あくまでも貸し付けを受けるということがこの貯金の条件になると私は思うのですけれども、たまたま貯金をしておった、しかし何かの都合で家が建たなかった、そういう場合にはこの住宅積立貯金ではなくなってくるという気がするわけです。その場合には、もちろん利率については審議会の議を経てきめるものでありましょうけれども、想定される利率は、住宅積立貯金についてはかなり高いものが予定されておるようでございますけれども、「貸付けを受け、かつ、」という、この受けなかった場合は一体どう扱うのか、そこのところをひとつ……。
  76. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいま御指摘がありましたとおりの問題が起こってまいります。その場合には、一般的にこの法律の趣旨に沿った場合の利率よりもある程度下げまして、この目的を喪失したという分だけ、普通の積立貯金の場合の利子と同じ程度に下げたい。本来の趣旨に沿った貯金のほうにつきましては、この年限に応じまして、定額貯金として預けられた年数として換算した利率をあげるということで、その間にある程度、約二割近い誤差が出てくるというふうに扱っていきたいと思っております。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その問題はさっきの問題と関連してくるのですが、これはあくまでも法律ではっきり「貸付けを受け、」こうなっているわけですね。本人に受ける意思はあったけれども、こちらの都合で受けられなかった、この場合はどういうふうにお考えでしょうか。
  78. 山本博

    山本(博)政府委員 こちらの都合で受けられなかったということは、一応想定はいたしておりませんけれども、たとえば自分の持っております土地を、公共用地の利用のために強制的に買い上げられたというような場合とか、あるいは海外に転勤をしてしまったとかやむを得ざる事情の場合は、これは従来どおりの利子を付与しよう、こういうふうに考えております。従来と申しますか、高いほうの利子をそのまま付与しようというふうに考えておりますので、そういう場合も想定しろとおっしゃられれば、もし万が一こちらの側の事情でそういう事態が起こった場合には、当然当初予定された正常の利子を付与したいと考えております。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それからもう一つ、同じ条項の中で「これに附随する土地若しくは借地権の取得につき、」となっています。いま公庫にも確かにこういう条文はあるけれども、公庫の融資ではいま対象にされていないように記憶しているのですが、これは住宅貯金のほうでは対象になっておるわけですが、この取り扱いは公庫と同じように入れてあるけれども、対象としないのか、対象になるのか、ここのところをちょっと……。
  80. 山本博

    山本(博)政府委員 御指摘のとおりでありまして、この法律の条文自身は、公庫法の貸し付けをする場合の条文と同じ条文を使ってございます。しかし事実上、昭和四十四年から金融公庫の土地に対する貸し付けというのは、資金の面からだと思いますけれども現在停止をいたしております。したがいまして、私のほうも、現在金融公庫の行なっております貸し付けのワクの中でしかこのあっせんというものができませんので、土地に対する貸し付けというものはこの住宅郵便貯金のほうでもいたさないということになると思います。将来、この土地に対する貸し付けを住宅金融公庫が再開いたしましたときには、当然この貯金の利用者にもその道が開けるということになると思います。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 最後に一つ。住宅公庫の貸し付けの金利は、たしか普通の場合五分五厘だったと思うのですが、この住宅積立貯金のほうでは六分ということになっております。せっかく自分で貯金をして公庫の融資を受けるわけですのに、公庫のほうが利息が安くて、積立貯金に入って貸してもらうほうが高く在る。これはどういういきさつでしょうか。
  82. 山本博

    山本(博)政府委員 この貸し付けの金額でございますけれども、一般の方が住宅金融公庫から貸し付けを受けるときは、現在不燃住宅ですと百万円、今度百五万円になりますけれども、この貯金をしている人はそれの五割増しを受けられるという、一般の方よりも有利な条件で貸し付けを受けるということになっております。したがいまして、利率の場合も、五割増しで受けられるそれだけの有利さと相応いたしまして、いわば受益者負担という考えで、他の一般の方より非常に有利な金額を受けられるかわりに利子が五厘高い。いわば相関関係でこういうことにいたしたというのが経緯でございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 以上で質問を終わります。私もいろいろ申し上げて御意見を聞かしていただいたわけですけれども、この二つの法律案について、こまかな約款なりあるいは省令、政令に委譲する部分内容、すべてを含めて必ずしも全面的にりっぱなものだというふうには考えません。やはりまだ幾つか問題点が残るような気もしますけれども、それらはひとつこれから約款なり政令、省令を設ける上で十分配慮していただいて、運営に万全を期していただくことを期待をして、この二つの法案については賛成の意思を表明して質問を終わります。ありがとうございました。
  84. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 中野明君。
  85. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、大臣が時間の関係があるようですから、郵便貯金のほうから二、三点と、簡易保険法のほうで一、二点お尋ねしたいと思います。  まず、いまも阿部委員のほうからお話がございましたが、郵便貯金法改正して、今度住宅の積立郵便貯金が新設されることになったわけですが、この基本的友考え方なんですが、いま住宅が不足しているということは周知のとおりでありまして、先般私どもも住宅の総点検を行ないましたが、低所得階層の住宅難というものはまことに深刻であります。今度住宅積立貯金を新設されるということは、おそらくそういう意味で国策に協力するという意味も多分に含まれていると存じます。ところが、いま住宅対策として政府で五カ年計画を四十一年にもつくりましたし、四十六年からまた五カ年計画ができておりますが、この住宅計画の内容が公的資金が非常に少ない。四分六の関係になっているように私は記憶しますが、そういう関係で、結局住宅を幾ら幾ら建てるのだという発表はなっておりますけれども、その内容民間の自力建設に六割をたよっておるという現状であります。そういう中で、このたび郵便貯金法改正で住宅の積立貯金ができるということは、ある意味からいいますと、私は、建設省の住宅建設に郵政省のほうとして側面から協力をする、そういう意味が含まれておる、このように解釈しておるのですけれども、この点大臣は基本的にどうお考えでしょうか。
  86. 井出一太郎

    井出国務大臣 御案内のように、衣食住のうち衣食はある程度充足されておりますが、住宅がまことに立ちおくれておる。したがいまして、これにはいろんな知恵を出して推進をしたい、こういう気持ちから、たとえば労働省における勤労者持ち家の問題もその一環でございましょうし、私どもの今回の構想も、広くとらえますならば、おっしゃるようにこれは担当は建設省でありましょう。あるいは地価の問題などがもっと先行的に解決されなければならぬというネックもあると思います。いろんな手を用いて住宅建設の推進をするその一環とお考えいただいてけっこうだと思います。
  87. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの御返事で大体わかるのですが、結局公営住宅が少なく、民間自力建設がなかなか進んでいない現状から考えて、いつまでたっても住宅難が解消しない。そういう現状の中で、このたび住宅の積立貯金制度を発足させられて、その面から結局民間自力建設の意欲を起こさせる、そういう一つの働きですから、基本的には住宅不足の解消という国策に協力をするという意味が多分に含まれておる考え方だ、このように了解をしているわけです。それから考えまして、私の言いたいのは、そういう基本的な考え方があるのならば、いま阿部さんもおっしゃったように、住宅を建てるにあたりまして住宅金融公庫から金を借りますね、そのときの利子です。それが普通の住宅金融公庫で借りる人よりも利率が高いという問題なんです。そうすると、協力はさせられる、させられるということばはどうかと思いますが、郵政省のほうとして、基本的に住宅不足を解消しなければならぬというのが政府の当然の責任ですから、それに対してこういう制度を設けて、そして住宅の解消をするのを側面からもっと強く援護射撃しよう、こういうふうな意味も半分以上含まれての改正であろうというふうに私は了解をしております。  そうしますと、現在の利率を先日お聞きしましたところ、住宅金融公庫から借りている人たちの利率が五・五%、ところが今回の場合は六%、そういうことになっていると思います。そこの間のことでございますが、その辺おそらく一般会計から利子補給をして五・五%になっていると思います。こちらの場合、どうしてそういう利子補給の恩典が受けられないのか。お金を借りる人にとりましては、利子というのは金額では非常にわずかかもしれませんけれども、大きな金を借りるときの条件の一つであります。いただいた説明資料によりますと「住宅積立郵便貯金を設け、その預金者に対し住宅金融公庫から住宅建設の資金を特別な条件で貸付けることにより、預金者の福祉を増進する」こういう趣旨になっております。ですから「特別な条件で貸付ける」という中に、いまの利子だけは逆に特別悪い条件になっている。この点について、この制度が発足しましても実際にお金を借りるようになりますまで二年なり三年なり期間がかかると思いますが、その間大臣として利子を同じ条件の五・五%に持っていくだけの努力をしていただきたい、またその用意があるかどうか、その辺をお尋ねしたいのです。
  88. 井出一太郎

    井出国務大臣 さっき貯金局長からもお答えをしたと思いますが、なるほど一般的には五分五厘、郵便貯金にこれだけの預金をしながら六分は少しおかしい、こういう仰せでございますが、一方において借りる額が五割増しという特典もあるわけでありまして、そういう点を総合判定をいたしますならば、それを込みで考えますとこれはやはり一つの特典であろう、こう心得ておりますが、この間貯金局長たいへん苦心をいたしましたから、その内幕の事情も申し上げ、それからおっしゃるように、まだこれが実際に発動しますのには少し時間もありますので、それには私は当然前向きで考えていこう、こう思っておるわけであります。  もうちょっと補足を貯金局長からいたします。
  89. 山本博

    山本(博)政府委員 この利子付与につきましてはいろいろな方法がございますので、当初考えましたのは、全体として包括的に一般の方よりも五割増しの金額が借りられる。ただいま御指摘がありましたように、五分五厘については一般会計からの利子補給がございます。こちらの六分につきましても一部利子補給がございます。六分五厘との差だけ一般会計から利子補給しておるわけでございます。ただ、この付与方法につきましては、一般の貸し付け金額までは同じ利率にして、その頭をこえたものについて高いものにしようか、こういうことも考えましていろいろ検討してみましたけれども、どうも建てる建坪の大きさによっていろいろ変わってまいりますので、この際一本化したほうがいいだろうということで、根っこから六分という形を技術的な意味でとったということが一つございますし、それから六分それ自身について御指摘のような問題があることは確かでございます。ただ、郵便貯金を住宅建設のために利用する方の条件全体と、それから一般の方の条件と比較をいたしまして、利子については大体ここいらぐらいのところが穏当でないかという意見から、最終的には六分ということにきまったというのが実情でございますけれども、ただいま御指摘になりましたように、日本のこれからの住宅政策全体の問題としてこの問題をどう扱うかということについては、私はなお問題が残っておると思います。したがいまして、今後ともそういう問題について郵便貯金利用者という形で住宅を建てる方についてハンディキャップみたいなものが起こらないように、これについては今後なお問題として十分受けとめて解決していくことにいたしたいと思います。
  90. 中野明

    ○中野(明)委員 私が申し上げたいのは、いま大体前向きの御返事ですから了解はできるわけですけれども、要するに住宅がこんなに不足をして、そして一般国民はやはり現状から見まして公営住宅の建設を望んでいるわけです。しかし実情として、第一次五カ年計画におきましてもやはり四分六の割合で、公営が四、民間自力建設が六というような現状で、そして民間のほうはなかなか進まない。そういう関係で非常に住宅難であえいでいる。ここで第二次五カ年計画が四十六年度から五十年ですか、これが発表されて、その内容を見てみますと、やはり四分六になっておる、民間自力建設に依存をしておる、こういう現状なんです。ですから、私が申し上げたいのは、郵政省姿勢というのですか、大臣として受け入れたこの住宅積立郵便貯金を創設するにあたりまして、もう最初からこちらが、こちらがと言うことはどうでしょうか、弱気にならないで、国策にそれだけ協力しているのですから、そういう面では条件を非常によくして、いま貯金局長もおっしゃっていましたけれども、せめて利率の面で、金額で言えばほんとうにわずかでしょう、〇・五%の差ですから月々に直しますと、金額で言うたらほんとうにわずかな金額でございましょうけれども、条件を同じにする。そして他の条件を有利にする。利子は同じ条件だ。それでこそ初めてこの制度を新設された意義があるし、郵政大臣としてそれくらいの強い姿勢で大蔵省とも折衝してもらいたい。そこら辺を何かかえって逆に、こういう制度に踏み切れたことについて、こちらが受け身になる必要はさらさらないのじゃないか。もともと住宅というのは郵政省の本来の仕事じゃないわけですから、その本来の仕事ではないけれども貯金ということ、この仕事を推進していく上において、いまの国策で住宅建設とかね合いでやっていくということになりますと、こちらもそれだけの協力をする、協力するかわりに、ここにもありますように特別な条件で貸し付けろ、その中で相殺じゃなしに、やはり一番ぴんとくるのは利子でしょう。これは姿勢が弱いんじゃないだろうか、私の申し上げたいのはこういうことなんです。ですから先ほど御答弁がありましたが、あとこれからこの制度が始まったからといって、すぐに貸し付けがどんどん始まるというわけのものでもないでしょうから、少し時間的に余裕がありますから、その貸し付けが始まるまでほんとうに、前向きの姿勢とおっしゃっていますけれども、公庫と同じ条件で現在五・五%、大体六・五%のところを五・五%で、一%利子補給しているわけですから、こちらのほうもそのようにして歩調をそろえて、あらゆる面で、結局住宅不足を解消しようとしているという政府姿勢を、郵政大臣としては閣議にも出られて、これは国民の大臣でもあるわけですから、強く大蔵大臣に折衝していただいて、私のいま申し上げようとしている結論が一日も早く出るようにお骨折りを願いたい、そういうことでありますからもう一度……。
  91. 井出一太郎

    井出国務大臣 御趣旨はよくわかりました。さっき申し上げたように、借りられる金額と利子とをワンパッケージみたいに考えたものですから、とりあえずはこういう決定をしていると思いますが、おっしゃるような線でこれは十分心得てやってまいりたいと思います。
  92. 中野明

    ○中野(明)委員 ではその一点にしておきます。  それから簡易保険ですが、そのほうをお願いしたいと思います。これは両法案とも私ども非常に前向きの法案と受けとめまして、細部につきましては後ほど、午後に樋上委員のほうから具体的な問題も御質問いただけるというふうに私承知しておりますので、大臣おられる時間内で感じているままを申し上げて御答弁を願いたいのですが、この簡易生命保険もかねがね私どもが主張しておりました学資保険の新設、これは過日当委員会でもそういう前向きの御返事がありました。ようやくそれが実現の運びになったことで、内容につきましてはまだまだもっと拡大、充実してほしいという気持ちもいたしますが、一応この制度が発足するということについては私どもも非常に喜んでおります。同時に、その時点で私お尋ねしましたことが、今度目はこの法律改正生命保険約款の定めるところになってきておるようでありますが、いただきました資料の二ページですか「被保険者の廃疾による保険金の支払の対象となる身体障害の範囲は、簡易生命保険約款の定めるところによるものとすること(第四十五条第一項)。」こうなっております。これによりますと「保険金の支払の対象となる身体障害の範囲」これに過日私、質問をいたしました喉頭ガンによるところの全摘出手術、そのことによって言語もしくはそしゃくの機能をすべてなくしたこの人たちのことはこの法文の表には出てこないのですが、約款の中できちんと民間保険並みに支給されることに相なるのでしょうか、どうでしょうか。もう一度確認のために……。
  93. 中田正一

    中田政府委員 廃疾保険金の支払い対象となるものを約款に委任するという場合に、その約款におきましては御指摘のような喉頭ガンによるそしゃく機能の喪失あるいはその他につきまして具体的に約款で定めるという用意をしております。
  94. 中野明

    ○中野(明)委員 それでそのことによりまして一応民間保険簡易保険とのそういう障害の支払いの条件ですね、これは大体歩調をそろえたことになるのでしょうか、まだほかに民間よりも条件の悪いのがあるのかどうか、そこら辺が、先ほども阿部さんもおっしゃっておったように、どうもそういうのを資料として私どものほうに出していただかないと、結局どうなったのやら、ここでお尋ねしてみなければわからぬというようなことでは、実際問題として審議をするのに困るわけです。後ほどそれは資料として、できれば簡易保険ではこういう約款にする、民間では現行はこうなっておるというのを比較対照して御提出願えればと思うのですが、そしていまここで御答弁願いたいことは、いまの喉頭ガンの言語障害とそしゃくの機能を廃したという、その分を新しく約款にうたうことによって民間との差が全然なくなったかどうか、そこらのところを……。
  95. 中田正一

    中田政府委員 今回の法律改正の趣旨が、民間の実情に機動的に即応し得るようにということで、約款に付させていただきたいということでございますので、約款に移行した暁には、民間の廃疾保険金の支払いに遜色ないように進めてまいる所存でございます。
  96. 中野明

    ○中野(明)委員 あとで比較した資料は出していただけますか。
  97. 中田正一

    中田政府委員 提出いたします。
  98. 中野明

    ○中野(明)委員 それからいま遜色のないというようなお話であったのでありますけれども、私ども考え方としては、国が主体となって運営をしている、非常に簡易に入れる、大衆、低所得者を対象とした保険、これが趣旨としまして民間保険におくれておるようなことでは実際問題として困るわけです。それはいろいろの民間とのかね合いもございましょうけれども、どちらかといいますと先に進んで、一つぐらいは民間よりもより有利な条件でやっておりますという、そういうふうなことがあってもいいのじゃないか。けれどもいまの局長さんのお話では、何か民間にそろえますという非常に消極的な、民間のあとからくっついて、民間が先に進んでそのあとからくっついて、それに極力合わせるようにしますというような、そういう非常に受け身な答弁に感じるわけです。だからすべてがそういうふうに感じられるわけです。さっきの住宅問題にしてもそうなんです。せっかく法律改正される以上は、やはり自分の所管で取り組んでいる担当者として、またその責任を持って仕事をしておる者としては、むしろ一歩も二歩も民間よりも前に出て、そして民間があわててそれの条件に合わせてくるというくらいにして、やはり責任を持って仕事をやっていただきたいような気がするわけです。いまのお話を聞いておっても何かさびしいような、民間が先にやって、それから何年かおくれてあとからそれに歩調をそろえますというふうにしかとれないのですが、その辺どうでしょう。  この言語障害の問題だって民間よりもずいぶんおくれているのです。そうでしょう。これはこの前私が指摘しましたように、あれからすでに二年たっているわけです。ですからその間、同じ病院でベッドを並べていて、民間保険に入っている人はちゃんと支給されている。ところが簡易保険に入っていた人は支給されないで、文句を言ってきたら、それは法律に載っかっておりません、約款にない、そのために簡易保険はだめなんだと、そういうふうに不公平で、せっかく簡易保険に入っておる人たちが、同じ病気でありながら、同じ障害でありながら、全国であれは約一万八千人おると私は聞きますが、その人たちがやっとここでもって――一万八千人のうち何人簡易保険に入っておるかそこまではわかりません。わかりませんが、喉頭ガンで言語障害とそしゃく機能を廃した人が一万八千人おるとかいう話です。そのうちたとえば半分が簡易保険に入っておるとしたならば、九千人の人たちが不公平だといって、簡易保険に対する不信を持ちながら、ぶつぶつ言いながら今日まで待っておったわけですから、そういうことを考えますと、民間よりおくれるというようなことではこの簡易保険の本来の趣旨に反するのじゃないか、私はこう思うわけです。ですからもう一度、局長のここでひとつ積極的な答弁を残していただいて、今後のお仕事ぶりを私も拝見させていただきたい、こう思うわけです。その点についてもう一度御答弁をお願いしたい。
  99. 中田正一

    中田政府委員 ただいま問題になっておりましたような事柄について、簡易保険民間よりもおくれておったことは事実でございます。そういった点を改善するためにも法律改正していただいて、機動的にひとまずおくれているところは取り戻すということが第一段階でございますが、簡易保険としてはそういった点に安住しておるわけでは毛頭ございません。簡易保険の特色を生かせるところはさらに伸ばしていきたい。これは単に廃疾保険の問題に限らず、全般についてそういう方向でいきたいというふうに思っております。先ほど問題になりました災害時の倍額保険金の支払いなどというものは、これはもう簡易保険の大きな特徴の一つでありますが、そういったようなものも込めて今後さらに前向きの姿勢で取り組んでいきたいと思います。
  100. 中野明

    ○中野(明)委員 いまおっしゃったように確かに法律改正が、ほんとうにその積極的な姿勢があるのでしたら昨年でもできたはずだと思うのですがね。そういう点が昨年は全然そういうことに手を触れないでことしに回っている。そういうことなんかでそれだけ――私はその間になくなった人もずいぶんおるのじゃないかという気もします。待ち焦がれておる人たちもおるわけですから、この改正を機に、いまの積極的な御答弁があったわけですから、ぜひ努力をしていただきたい、そのように思います。  それと、もう一点お尋ねしておきたいですが、精神関係とか神経あるいは胸部疾患というようなことで障害が出ておる病気があります。これについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  101. 中田正一

    中田政府委員 廃疾保険金の問題に限定して考えていきますと、廃疾という状態、これは一定の段階になった場合に再びもとに復帰する見込みの互いというようなときにこの廃疾保険が適用に在るということでございますので、精神病関係というような場合にはこれはなかなか微妙な問題がございます。医師の診断、その他一般社会的な事実に基づきまして、これは慎重に判断したいと思いますが、ただその時点において、ある一定の状態であるから直ちに廃疾保険金というわけになかなかまいらない。将来の十分な見通しを持たなければならぬというふうに思います。
  102. 中野明

    ○中野(明)委員 現在、それで終身まあだめだというふうに認定をして支給しているのはあるのですか、ないのですか。
  103. 中田正一

    中田政府委員 簡易保険につきましても民間生命保険につきましても、ただいまのところそのような事柄について廃疾保険金を支給しているということはないようでございます。
  104. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣もいまお聞きいただいたとおりでありまして、いろいろそれは技術的にむずかしい問題もありましょうけれども、専門の医者もおることですし、精神、神経系統という病気が、何か最近ふえてきているような気もいたします。同時に、いろいろの内臓関係でも生涯、おそらく一生再起不能というような病気もあるやに聞いておりますが、そういう点につきましても、今後この法律改正される、そして約款に移されるわけですから、いま局長の答弁で私も大体積極的に民間におくれるどころか先に進んでやっていきたいというお気持ちがわかりましたので、了としておりますけれども大臣のほうとしましても、そういう点、せっかく法律改正して約款事項になったらかえって逆に民間よりもまたおくれだしたというようなことがあったのでは何にもなりません。私どももそういう意味では柔軟性をもって、こういう民間保険という対象があるのですから、法律にうたわないで約款に落とすということについても、基本的に肯定しておるわけであります。この間の郵便のときみたいに、ああいうのはちょっと困るわけですけれども、こういうものは大いに柔軟な姿勢で、民間におくれをとらないようにやっていただくことについては、私ども基本的に賛成であります。それだけに、そういう趣旨をよくのみ込んでいただきまして、本来の簡易保険の姿と申しましょうか、民間よりも積極的にそういう救済については有利な条件で、さすがはやはり国がやっている簡易保険だけのことはあって、簡易保険に入っておって非常によかった、そういうふうにいわれるような運営をぜひお願いしたい、そう思うわけであります。  以上申し上げて、大臣の決意をお聞きして終わりたいと思います。
  105. 井出一太郎

    井出国務大臣 今回の法改正でそれを約款に落とす部分を広げていただきますから、機動的、弾力的な運営ができるわけであります。この仕事は、まあ民間を一方においては意識しながらそこに競争的共存ですか、そういうことで仕事をやっていく必要があろうと思いますが、何といいましても十一兆円をこす、資産だけで二兆五千億円もあるのでございますから、そういう意味においては民間の指標にならなければいかぬ性格もあります。おっしゃるような点十分心得てまいるつもりでございます。
  106. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 午後二時再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時六分開議
  107. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。樋上新一君。
  108. 樋上新一

    ○樋上委員 今回学資保険を創設されたという、その理由をお伺いしたいのですが……。
  109. 中田正一

    中田政府委員 従来、簡易保険の新契約の中で幼少者、若年者が比較的多いわけでございます。ゼロ歳から十数歳までの者の新契約が非常に多いというのが簡易保険の実態でございます。したがいまして、そういった新契約加入者層に対して、もっと充実した保険を提供したいというのが基本趣旨でございます。  具体的には、ではどういう方法でそれを充実するかということでございますが、最近一般国民の中で教育熱というのが高い結果、進学率が非常に高くなっております。したがいまして、そういった進学時になった場合のことをおもんぱかって簡易保険内容充実したらば、簡易保険の特色が生かせるのじゃなかろうかというような観点から、学資保険というようなことを創設したいと思っているわけでありますが、法律上はそういった学資保険というような名前は出ませんで、抽象的な表現になっておりますが、内容はそういうことでございます。
  110. 樋上新一

    ○樋上委員 高校、大学の進学率は一体どうなっていましょうか。
  111. 中田正一

    中田政府委員 文部省の発表した資料によりますというと、大学の進学率は、大学の進学年齢に達した人の二三・二%ということに最近資料で相なっております。
  112. 樋上新一

    ○樋上委員 こちらにちょっと調査したのがあるのですけれども、これは間違いがあるかないか答弁願いたいのです。  大学は昭和三十二年度が二八・一%、四十四年度は二三・二%になっている。高校の進学率は昭和三十二年度が五一・四%、四十四年度は七九・四%と調査が出ておるのですが、間違いありませんか。
  113. 中田正一

    中田政府委員 先ほど私が御説明申し上げましたのは、昭和四十四年度の率でございますが、いまお示しの数字、四十四年度については、大学、高等学校とも同一の数字になっております。以前の古い資料については、ただいま手元にございませんので、よく把握いたしておりません。
  114. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ最近の高校または大学の学資等の状況はどうなっていましょうか。
  115. 中田正一

    中田政府委員 これまた文部省発表の資料でございますが、昭和四十三年度には、大学の場合学生の学資と生活費両方合わせまして、年間二十八万二千円でございます。四年間では百十三万円ということでございます。また、高等学校の場合には、昭和四十三年度には、年間五万三千円、三年間で十六万円というような数字が発表されております。
  116. 樋上新一

    ○樋上委員 その学資保険内容の詳細はわかりますか。
  117. 中田正一

    中田政府委員 学資保険の具体的内容約款できめるように、ただいま準備しておりますが、中身は以下のようなことでございます。  大体二通り設けるというように考えておりますが、大学進学時を対象とする十八歳満期学資保険というものと、高等学校入学時を対象とする十五歳満期学資保険というものを設けたい。この場合に、被保険者の年齢は、大学進学時を対象とするものは十二歳以下、それから高等学校進学時を対象とするものは十歳以下。もう一つ保険契約者、大体父あるいは母ということになろうと思いますが、保険契約者についても加入年齢の幅を設けようということでございます。大学進学時を対象とする学資保険については契約者が二十歳から五十歳まで、高等学校進学時を対象とするものは保険契約者は同じく二十歳から五十歳というようなことでございます。  保険金の支払いでございますが、大学入学時を対象とする十八歳満期学資保険の場合は、被保険者が高等学校の進学年齢に達したときに、保険金額の一割相当額をまず支払う。大学の進学年齢に達したときには残りの九割ということでございます。被保険者が途中死亡した場合には、一般の養老保険と同じように保険金を全額支払うということは、これは当然の仕組みになっております。次に、高等学校進学時を対象とする十五歳満期の場合には、中学に進学したときに一時金を払うということはいたしませず、もっぱら高等学校入学時と被保険者が死亡した場合に保険金を支払うということでございます。  以上は、大体いままでの養老保険とそう違いがないわけでございますが、今回学資保険として特色を発揮いたしますのは、保険料の払い込み免除ということでございます。保険契約者が死亡する、あるいは廃疾状態になったというような場合には、将来にわたっての保険料を免除する、そして被保険者、子供の進学時には当初契約した保険金額をお支払いする、これが今回の学資保険の大きな特色であろうと思います。大体内容は以上でございます。
  118. 樋上新一

    ○樋上委員 今回のこの名称のことですけれども、なぜ学資保険という名称を法律に規定しないのか。何か理由があるのか。パンフレットなどでは学資保険と呼んでおりますが、この中を見ましても、学資保険というものがないのですね。これは何か理由があるのですか。
  119. 中田正一

    中田政府委員 格別深い理由があるわけでございませんで、学資保険と申しましても、これは養老保険の一種であるということで、法律上は養老保険のワクの中に含めまして、約款学資保険というものをつくる。と申しますのは、養老保険の中には、現在でもいろいろな種類がございます。三十年満期とか十五年満期とか現在でも養老保険にはいろいろ種類がございますが、それと同じように学資保険についても処理していけばよろしいのではなかろうかというので、法律の上では学資保険という名前を出さなかったわけでございます。
  120. 樋上新一

    ○樋上委員 この簡易生命保険法の一部を改正する法律案の十四条に「簡易生命保険は、終身保険養老保険及び家族保険とする。」この中にこの学資保険というのが入っておるのですか。また、この次のページに太文字で「又はこれらの事由の外被保険者の生存中に保険期間内の保険約款の定める期間が満了したことに因り保険金の支払をするもの」という、この中に学資保険が入るのですか。
  121. 中田正一

    中田政府委員 大きな意味では、第十四条の保険種類終身保険養老保険家族保険とする、この中の養老保険に含まれておるわけでございますが、先ほどもちょっと説明申し上げましたように、大学進学時を対象とする学資保険の場合には、高等学校に進学する場合に、保険金額の一割をお支払いしようというようなことを考えましたために、養老保険の第十六条の定義の中にその分を含めて、「又はこれらの事由の外被保険者の生存中に保険期間内の保険約款の定める期間が満了した」ものというのを入れて、その点を明らかにしたということでございます。
  122. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険という別の名前をつけずに、こういうような中に含まれておるということで了承するのですが、いま私の言ったとおりですね。学資保険という別の名前をなぜつけないかと言ったら、別にこれというような理由はないのだとおっしゃっておりますが、私は学資保険とつければいいと思うのですよ。なぜかならば、これから新種の保険ができた場合は、この十六条でこれはやっていけるのですか。やっていってもいいというのですか。
  123. 中田正一

    中田政府委員 今後新しい保険をつくっていくという場合におきましても、十四条の中で処理できるわけでございます。なお、十四条、十六条の範疇に入らないようなもの、これは現在あまり考えておりませんが、そういうものを創設する場合には、また法律でもってそういうことをおきめいただくということになろうかと思いますが、まあ現状では大体この十四条それから十六条によって、これからの新しい保険についても処理できるというふうに思っております。
  124. 樋上新一

    ○樋上委員 民保の中に学資保険に類似したものはどういうものがあるか、またその契約状況はわかりませんか。
  125. 中田正一

    中田政府委員 現在、民間生命保険二十社ございますが、そのうちの十九社が、子供保険というようなことで、大体似たような保険を運営しております。内容は似たり寄ったりでございますが、今回簡易保険でつくろうとするものは、十八歳満期が最長でございますが、民間の場合には二十二歳満期とか二十三歳満期というようなものもございます。これは就職時あたりを対象にしておるもののようでございます。また、保険金の支払い、簡易保険の場合には大学進学時を対象とする保険について、高等学校に入学するとき一回だけ一時金を払うというものでありますが、民間の場合には、中学校、高等学校あるいは五年目ごとに一時金を支払う、いろいろそういった複雑な仕組みのものもございます。総じて保険契約者が死亡した場合、廃疾になった場合に保険料を免除しようというようなことについては、各民間保険の子供保険等についても共通の事柄になっております。件数は、民間におきましては絶対的には相当あるようでございますが、ウエートから申しますと、民間保険の個人保険の中に占めるウエートは三、四%であるというふうに聞いております。
  126. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険は、民間のいわゆる子供保険、子供ですか、子供学資保険というんですか、それと比較いたしまして長所短所あると思うんですけれども簡易保険のほうの長所、また民間の子供保険の長短のことについてお聞かせ願いたいと思うのです。
  127. 中田正一

    中田政府委員 簡易保険で今回創設しようというものの長所と申しますと、仕組みがわりあい単純にできておるということで内容がわかりやすい。また、単純にできておりますために、保険料も比較的安いものになっております。民間の場合には、いろいろ給付内容が複雑になっておる。一時金の支払い回数が多いとか、また場合によりましては、保険契約者が死亡した場合に保険料の免除だけでなしに、契約者の死亡に伴った保険金さえも支払おうというものもあるようでございます。そういうことで給付内容がそういう面では充実しているということにもなりましょうが、またある意味では複雑であるということもあります。したがって、保険料については割り高になっておるように見えるというようなところ、これはおのおの一長一短と申しますか、差異がございますが、一がいにどちらがということは断定できがたいと思いますが、いろいろそういったふうに違いはございます。
  128. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険を創設した場合、契約状況は年間どのくらいに見込んでおられるんですか。
  129. 中田正一

    中田政府委員 先ほども申し上げましたように、簡易保険の新契約の中に占める幼少者、ゼロ歳から十二、三歳までの者のウエートは総契約の中で大体二四、五%になっております。そこでこの面の充実をはかろうとしたわけでありますが、では、新しい学資保険が創設された場合にどの程度契約がふえるかということにつきましては、われわれとしてはこの保険をつくった場合にこれだけふやさなければならぬというような観点から進めていくというようなことで表しに、従来のそういった幼少者の保険を質的に充実しようという面から進めていきたいというふうに思っております。しかし結果的には、そういった充実がありますれば、学資保険を通じての簡易保険全体の伸びが若干見込憧れるであろうというふうには考えておりますが、数字的にいまはっきりとこれだけというようなものを設定しておるわけではございません。
  130. 樋上新一

    ○樋上委員 数字的にどれだけという見込みを読んでおらないということは、創設してその伸びを期待しているのではなしに、そういう新しい保険ができたらどのくらい簡易保険の中でパーセンテージを占めるかということはやってみなければわからぬというところですね。先ほど午前中にも同僚の中野議員が、郵便貯金法の問題で積極的に住宅問題を解決するのなら積極的にやっていけばどうかというような話がございましたように、今回のこの保険は非常に前進的な、新しい視野に立って学資保険というものが創設されることは、私たちもこの法案はできるならば非常にけっこうだというぐあいに思っているのですけれども、やっぱりやるからには積極的にこれを徹底して、これの利用者というものが増加し、喜ばれねばならぬと思うのです。いまのお話ですと、まだどれくらいの年間の契約ということは考えておらぬということは少し消極的ではなかろうかと思うのですが、この点、もう一ぺん重ねてお伺いします。
  131. 中田正一

    中田政府委員 先ほども申し上げましたように、学資保険創設で具体的に何%ふやさなくちゃならぬという目標をつくっておるわけではございませんが、従来の簡易保険の伸び、また新しい制度をつくった場合の伸びというものから、学資保険を中心とする年齢層の契約は四、五%伸びるであろうという予測はしておりまして、それに対応していろいろの準備をしておることはこれは事実でございます。
  132. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険に傷害特約を付することができるのかということを、ちょっとお伺いしたいのです。
  133. 中田正一

    中田政府委員 これは一般の養老保険あるいは終身保険の場合と同じように傷害特約をつけることができます。
  134. 樋上新一

    ○樋上委員 契約者はどうなるのですか、契約者につけることは。
  135. 中田正一

    中田政府委員 保険契約者についてはこれは傷害特約はつけていただかないように、これは被保険者について、したがって子供について傷害特約をつけていただく。保険契約者についてはまた別途の契約をお結びいただきたいということでございます。
  136. 樋上新一

    ○樋上委員 政務次官にお伺いするのですけれども、いまいろいろやりとり、質問いたしておりました。今後の見通しでありますが、新種保険として成人または大学卒業のときに満期となる成人保険ですか、民間でやっておるこういったものに対する保険考えられますか、どうですか。
  137. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 先生御指摘のような考え方もあろうかと思いますが、いまの時点におきましては、当面はいま提出いたしております法案示しました新種の保険を創設することをもって、その後におきましてその推移を見ながら、そういった考え方も実現いたしてまいりたいと考えております。
  138. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、そういう保険ができればいいのにと、こういうような希望を持っておる次第でございます。民間でもそういうのはやっておるのですから、せっかく学資保険というものが創設されるべく積極的に置かれたのですから、成人保険、そういうものがあるならばなおいいんじゃなかろうか、これは私の個人の意見でありますけれども、いまのところは考えておらないけれども、将来でもまた考えてもらったらどうかと思うのでございます。  それでは、学資保険保険料は、一般の養老保険の場合と比較して一体どうなんでしょうか。高いのか安いのか、その点お伺いしたいと思います。
  139. 中田正一

    中田政府委員 今回創設いたそうとする学資保険について民間との比較でございますが、給付内容が先ほど申し上げましたようにいろいろ違いますので、一がいにどちらが高い、安いということは言いにくいわけでありますが、絶対額から申しますならば、簡易保険学資保険保険料は民間に比べて安うございます。
  140. 樋上新一

    ○樋上委員 民間保険に比べて安い、こういうことですね。  これはここに出ているのだろうと思うのですけれども、契約者が死んだ場合はあとは掛けなくてもいい、免除されるんでしょう。ところが、あとかりに母親が残っていた場合、これは引き継いでいかなければならぬですが、母親が引き継ぎになった場合に、母親は払わなくてもよいのかどうか。それからもう一つ、両親がなくなった場合はどうなるか。これは本人がもらえるのか、それとも両親がなくなった場合にほかの者がそれを取るという場合がありますね、おじさんだとかなんとかが。それは本人が満期になったらもらえるのか、その点お伺いしてみたい。
  141. 中田正一

    中田政府委員 保険契約者が死亡した場合に将来にわたっての保険料を免除するということでございますが、父親が保険契約者であって父親が死んだ場合には、母親が健在でありましても保険料は免除するということでございます。  それから両親が死亡した場合、結局保険契約者が死亡した場合に保険金が出ないのかという御趣旨かと思いますが、これは保険料だけは免除するけれども、両親、契約者が死亡したことによって、その時点において保険金を支払うというようなことはこの保険では考えていないわけでございます。
  142. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、両親がなくなった場合は本人がもらえるというのですね。
  143. 中田正一

    中田政府委員 さようでございます。
  144. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険保険契約者にも傷害特約を付することができるのでしょうか。
  145. 中田正一

    中田政府委員 保険契約者につきましては傷害特約をつけることはできない、被保険者についてであれば学資保険の場合もつけれるということでございます。
  146. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険の契約者の加入年齢の範囲が五十歳となっておるのですけれども特別養老保険の場合は六十歳となっておりますから、六十歳に上げたらどうかと思うのですが、この点どうでしょうか。
  147. 中田正一

    中田政府委員 学資保険の場合には、被保険者、子供の加入年齢は十二歳ということでひとまず制限してございます。それとの関係で、契約者も大体五十歳であれば実情に応じ得るということが一つと、それから五十歳以上に引き上げますと、保険料がまた非常に高くなるというわけでございます。保険の場合には大体被保険者の死亡ということが重点でございますが、今回の学資保険の場合には、保険契約者が死亡した場合には保険料を免除するということになっておりますので、保険契約者の死亡率というようなものも保険料の計算の基礎に入れるということになりますので、五十歳を過ぎますとだんだん死亡率も高まる。したがって保険料が高いものになって、学資保険としてどうも魅力が薄れていくのではなかろうかというようなことで、ただいまのところは五十歳。またこの推移を見まして、そういった面の調整は検討していきたいというように思います。
  148. 樋上新一

    ○樋上委員 このごろ平均寿命七十歳と世間ではいわれているのですが、五十歳という制限をされて、五十歳以上は死亡率が高いと言われると心細くなってくる。われわれは六十歳以上ですけれども、まだまだ大学に行く子供もありますし、五十歳以上でも子供は生まれますよ。とにかく五十歳以上は死亡率が高い、保険料が高くなるのは当然でしょう。けれども、最近ずっと平均寿命は伸びているのだから、六十歳ぐらいにしてもだいじょうぶと私は思うのですが、六十歳以上はえらい危険視されたのですね。
  149. 中田正一

    中田政府委員 現在の簡易保険の場合でも、保険種類によりまして、終身保険などにつきましては五十歳以上のものもございます。しかし、今回の学資保険については、その趣旨とする子供の学資を確保するに役立つというような観点から、子供の年齢を十二歳ということにしてあれば、大体それブラス三十歳ないし三十数歳であれば、五十歳であればまあまあ学資保険の目的は達せられるのではなかろうかという観点からでございます。もちろん六十歳以上にしてもよろしいわけでございますが、これは比較の問題でございますけれども保険料が非常に割り高なものになって実益が薄いのではなかろうかということでございます。今後さらに検討さしてもらいたいと思います。
  150. 樋上新一

    ○樋上委員 まあこれはなかなかむずかしい問題です。  十八歳満期学資保険の生存保険金の額を保険金額の一割にしたのはどういう理由なんでしょうか。
  151. 中田正一

    中田政府委員 これは別に一割でなければならぬとか、そういう理屈でもって行なっておるわけでありませんで、およそ一割ぐらい高等学校進学時に払えば常識的によろしいのじゃなかろうか、またあまりこれを高くいたしますと肝心の大学進学時に支払われる額が少なくなる、やはり九割ぐらいは残しておかぬと満期のときに妙味がないのではなかろうかといったようなことから、目の子で大体こういうところでというようにきめたわけでございます。
  152. 樋上新一

    ○樋上委員 わかりました。何か大きな意味があるのかと思いましたら、目の子でそういうことになっているということなんですね。  学資保険最高制限額の規定はどの保険金について適用されるのでしょうか。
  153. 中田正一

    中田政府委員 高等学校入学時を対象とするものについては全体について二百万まで、それから大学進学時を対象とする保険につきましては途中で一割、それから残りに九割ということになっていますが、合わせてのものが二百万以内ということでございます。
  154. 樋上新一

    ○樋上委員 学資保険において生存保険金を支払った後、倍額保険金の支払い事由が発生した場合は、支払うべき保険金の額はどうなるのか。また傷害特約を付加した契約の場合はどうなるのか、こういう点についてお伺いしたいと思うのです。
  155. 中田正一

    中田政府委員 倍額保険金の支払いは、現在の法律の規定にありますように、死亡したとき支払う保険金と同額、結局その倍額ということになるわけでございますが、学資保険の場合に、先に一割を支払われておりますれば、残りのものについての倍額ということになる仕組みでございます。なお、傷害の特約の場合は、それで死亡した場合には基本契約の倍額というふうにしたいというので、現在約款を準備中でございます。
  156. 樋上新一

    ○樋上委員 午前中もいろいろ質問がありまして、詳しいことは約款の上でなければ決定的なことはできないということでございますが、大体こういう学資保険という新設された保険であるならば、私は名称も堂々と学資保険として、もっともっと世間がこれに対して積極的に協力し、やっていけるようになればいい、こういう点に約款の詳しいそういうことも早急に作成してもらって、目の子勘定でこうだああだ、こういうようなことでなくして、もう少しこれは創設した場合、約款の定めるものをまた検討し、そしてわれわれはこういう前向きの保険には協力を惜しまない、私たちもこれに対しては大いに協力していきたい、かように思っている次第でございます。  以上、申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  157. 金子岩三

  158. 栗山礼行

    栗山委員 この両法案が珍しく全会一致して賛成法案であるというようなことで、二法案を一括してきょうの決定を見たい、こういう委員会でございますことを私、承知をいたしておるわけでありますが、原則的に賛成でございましても、それぞれいろいろ質疑がございますことは、きわめて当然なことであろうかと思うのであります。  私は、大臣にお伺いをいたしますまでに、本論に入るまでに、中田保険局長にお尋ねをいたしてまいりたい。きょうも私は物特の質問がございましたので、終始お伺いすることができなかったのでありますけれども、少なくとも賛成法案であるがゆえに、われわれにより具体的な資料を提示をされ、あるいはまたそれについて懇切な説明をされて、この委員会でりっぱな成果をあげてまいる、こういう運びが、私は行政当局者の委員会委員との間における常識上の取り扱いの慣習ではなかろうか、またそういう姿勢でなければならないのではないか、こういうように考えておるわけなんであります。貯金のほうは、私の質疑の内容について、幾らでも御必要な資料を持って御説明に上がりたい。その必要もあまりございませんがということでございましたが、管理課長がお見えになりまして、若干私の意見を申し上げて、こういうようなことについて質疑をいたしてまいりたいのだ。これは当然なことであろうかと思うのです。保険局に至りましては、当初総括的な御説明を承り、あるいはその後の大ざっぱな説明を承り、資料を送付された。私が阿部委員質問の中にわずかな時間ちょっと顔を出してまいったのでありますけれども、あの中にも、全く関係資料が不備じゃないか、こういうような質疑をされておったやに承るわけです。私は、その賛否はいろいろございますが、当然われわれに与えられました審議の権限に属することでございますから、皆さんの関与を受ける何らの義務もない、また権利もない、こう考えておるのでございますけれども、ただ当局の提案された問題については、やはり必要なる資料提示、説明をされて、そしてスムーズにこの質疑が行なわれる、こういう方向づけがきわめて当然だと思うのであります。  私は、事例を申し上げますと、いろいろのことで選挙区に帰っておりました。帰るまでに、調査室にかくかくの資料を求めたい、こういうことでお願いをいたしていまして、その限りについては、調査室は運んでいただきました。ただ、少しその間において、私の疑問点を抱いておるものについて、資料要求を重ねていたしました。昨日、間に合わない、こういうことでありますから、けさの時間でけっこうだということで、それを調査室と私の間において取り運んでまいった。これは余儀ないことでございます。突如とした私の資料要求でございますから当然なんでございます。それにつけ加えまして、若干補足説明をしたいから、こういうことで何かことづけをされたようである。私はむっとしたのだが、少なくともそういう報告を受ければ、当局者が私に向かって、こういう説明に行こうと思うが、こういうことがあってしかるべきだ。調査室を通じて、そしてそのことに関して突如として会ってくれないか、こういうような経過をたどってまいった。私はまことに遺憾だ。反対の法案でございましても、あるいは賛成の法案でございましたらなおさらに、そういう同意を求めて取り運んでいく、こういうことが望ましい行政当局者の姿勢でなければならぬ、私はかように思うのでありますが、あまりにも傲慢無礼と申しますか、まことに許しがたい一つ経過処置を踏まえて今日に至ったと私は理解をいたしておるのでありますが、中田君の御答弁をお願いしたいと思います。
  159. 中田正一

    中田政府委員 今回の簡易生命保険法改正案を国会提出するにあたりまして、各党の政策審議会におきまして一応説明申し上げ、その後も資料を差し上げまして、直接御説明申し上げる機会を得たいというふうに考えておったのでありますが、いろいろ行き違いがございまして、資料だけ差し上げて直接説明申し上げなかったというようなことはまことに申しわけないと思っております。またこの一両日の間の動き、われわれといたしましては審議を円滑に進めていただくために事前にいろいろの説明を申し上げ、またポイントもあらかじめお伺いできればしたいというのがこれは当然のことでございまして、そういう方針、気持ちで進んでおったのでありますが、今回たまたま手違いでいろいろ御迷惑をおかけしました。まことに申しわけないと思っております。今後は十分こういった点配慮をいたしまして、委員会における審議を能率的に円滑に進められるように、われわれとしても努力しなければならぬと思っております。
  160. 栗山礼行

    栗山委員 どうも私がお尋ねしていることについて、やや一つの公式の感があると思うのです。特に各党の政審に説明に行かれる。はたして十分なる資料をもって説明されたか。これは総括したものでありますゆえにこそ、きょうの審議にあたって関係資料がない、こういう阿部委員の御指摘であった。私はざっとその質問内容を聞いた。私のごときに至ってはその事理を申し上げた。だから手違いではなくて、そういう行政の姿勢ということが、一体国民に奉仕する行政の責任者の姿勢であってよろしいことであるかどうか、こういう問題であります。あなたの言うように、委員会と行政当局とが円滑に運ぶためにものを運んでいくというそういうような公式ではなくて、あなたのほうの傲慢無礼であり、しかもそういうことが当然の処置だという姿勢を疑わざるを得ないような態度をおとりになるということは、私は国民を代表する機関として明らかにいたしておかなくちゃならぬ。私からいったらはなはだ年が若い。人生経験も浅い。しかしやり方は傲慢である。こういう姿について、私は有能な能吏に精一ぱい国民奉仕への行政の分野で働いてもらいたいということを切に望む一人でありますから、私はそういう立場であえて質問を申し上げる。謙虚に自己反省して姿勢を改めるという態度でなければならぬ、私はこのように考えるのですが、あなたの答弁の要旨を伺って、形式的、事務的に手違いであった、今後は円滑にものをはかっていきたい、こういうような、行政分野と委員会審議の機能とは違うのでありまして、私は、中田局長の基本的な姿勢、あなたの国家公務員としてあるいは一つ保険の担当者の分限責任者としてのその態度が局の姿勢だ、さらにひいては郵政当局姿勢になるのではないか、こういうことを念じつつ申し上げたのでありまして、再答弁を求めたい。
  161. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま栗山先生からたいへんきついおことばでおしかりをちょうだいいたしました。今度法律改正するにあたりまして、この法律が各党それぞれ御反対ではなく、むしろ力づけをしていただいておる、こういうことであるがゆえに、安易にわたったというふうなことであってはこれは私、相済まないと思うのでございます。きょうも阿部さんにもお答えしましたが、もうちょっと行き届いた資料の前もっての御配付、こういうことをしなければいかぬはずでございまして、これは私もその際お答えしましたように十分気をつけなければならないと考えております。中田君をお名ざしでおしかりでございますが、これは中田局長のことについては栗山さんも常々御案内のとおり、決して他意のある人物ではございません。そういう点、本人もあるいはことばの足らぬ点もありましたことはどうかひとつ御寛恕のほどをちょうだいしたい。私から先におわびを申し上げる次第でございます。
  162. 中田正一

    中田政府委員 先ほど御指摘のとおり、国家公務員の一員として国民に奉仕しなければならぬという者が国会の場において糾弾を受けるということは、まことに申しわけない次第と思って深く反省しております。もっぱら簡易保険を通じまして国民の皆さん方に御奉公しようという気持ちには変わりございませんので、何ぶんよろしく御容赦願いたいと思います。
  163. 栗山礼行

    栗山委員 どうも井出大臣にはぼくは弱いのだ。たいして借金はないのだが、あなたの人徳というか、何か弱いのであります。本来言うと、中田局長質問申し上げて、大臣の人徳をしばしば言明されておることについて、行政分野が必ずしも大臣の意思のもとにおける行政運営がされておらない、そういうふうな感も持つので、ひとつ重ねて郵政大臣に聞いてみたいと思ったのですが、私の性格をすうっと先取りされてしまって大臣が答弁されましたので、私も別に他意がございません。大言壮語するのみが委員会審議でございません。私どもの分野と行政のそういう一つの役割りを相互に円滑に果たしつついかにあるべきか、こういう観点からいささか私も頭に参った、こういうことでございまして、以上をもちましてこの問題は打ち切りまして本論に入ります。  同僚の諸氏からいろいろ御質疑があったと承知をいたします。したがってよく存じませんけれども、あまり多くの問題をお尋ねをしてまいりたいと考えておりません。したがいまして、第一点としては、今回の改正によります新しい保険姿勢の問題、あるべき姿ということはいかがなものであるかということを第一点にお伺いしたい。  第二点としては、民保とのいわゆる競合と申しますかかね合いと申しますか、これらの関係と国が行なう簡保のあるべき性格といいますか問題点といいますか、そういう点を基本的にお伺いをいたしてまいりたい。  第三点について、今回の改正によります新種保険の募集方針についてどのような具体的に方針を持っていらっしゃるか。必ずしも大臣の答弁を求めません。以上三点にわたってお尋ねを申し上げたい。
  164. 中田正一

    中田政府委員 第一点の保険の奨励上のあるべき姿ということについてでございますが、簡易保険の使命が生命保険をあまねく国民に普及するということでございますので、そういう観点から普及率の向上につとめるという点に第一の力を注いでおります。現在いろいろの調査がございますが、簡易保険にも加入していない、民間保険にも加入していないという層がなお十数%ございます。したがいまして、簡易保険といたしましては、そういったまだ簡易保険といわず民間保険といわず生命保険のいわば利便を受けていない方々に対して積極的に生命保険の妙味というものをお伝えして、保険の普及に各層にわたってつとめるということ、これが基本でございます。その場合には、当然いろいろな問題が起きてきますが、募集にあたっては正しい姿で国民の方々から保険の募集についてとやかくの疑惑を抱かれないように、国営事業としての信用をいやしくもそこなうことのないような観点から募集に当たりたいということが一点でございます。第三としては、保険事業を経営する場合にはやはり安定した形で進めなくてはなりませんから、新規の契約については長期のまた比較的高額の、保険として価値あるようなものを確保していく。十万とか二十万というような保険、これも保険でございますけれども保険としては妙味は少のうございますので、いざという場合の保障になるという、そういった内容の比較的高い保険金のものをおすすめしていこうということが第三番目でございます。大体以上が簡易保険の奨励上のあるべき姿ということでございます。  第二点、民保との関係でございますが、これは先ほども少しく申し述べましたように、現在簡易保険にも民間生命保険にも加入していない層がまだ相当ございますので、簡易生命保険民間生命保険手を取り合って相ともに進むということで、格別民間保険、簡易生命保険が重複するというようなことはなかろう、互いに競争的に刺激を与えながら仕事を進めていくということが基本でございます。  第三番目は、新種保険ができました場合の募集方針、これは第一番目に申した線に沿うことが基本でございます。今回の新種保険、具体的には学資保険でありますので、従来簡易保険の非常に得意と申しますか、ウエートの高かった層でありますので、この点そういったことを従業員よくわきまえまして、今回の質的改善を頭に置きながら簡易保険の職員としての自信をもって加入者の方におすすめできる、そういう立場から積極的にこの新種保険学資保険についても特別終身保険についてもすすめていく。またその際、繰り返しますが、保険金額については学資を確保するに必要というか、値するだけの相当高いものを目ざして募集するというようなことで従業員を指導してまいりたいというふうに考えております。
  165. 栗山礼行

    栗山委員 大体三点にわたって御答弁をいただいたのでありますが、私は、特にこの保険の募集方針についてということについて、多くの疑義と問題を持っておるわけであります。民間保険はいろいろ民間保険一つのベースと方式がございまして募集方式があると思います。特に私の関知いたしておる点は、やはり経験と技能を持った人たちが中核になって、そして縁故とか関連関係をひとつ歩かす。その限界がくればそれでその募集員は終わりである。こういうふうに残ってまいりますものは、新しい一つの分野を開拓する、こういうような人のみが保険外交員として残っておる。したがって、アルバイト的募集職員が非常に民間保険関係では多い。こういうような総括していうなら民保の保険募集の一つのシステム、方針、こういうふうなことに私は理解をいたしておるわけです。  そこでお伺いいたしますが、従来とも私の承知する範囲によりますと、郵政部内職員の特殊勤務手当支給規程、こういう条項の中でそれぞれの保険の募集員に対する手当をいろいろ支給されておった、こういうふうに理解をいたすのであります。時間がございませんから、私もその資料を持っておりますが、やはり保険の勧誘外務員というものについてはそれぞれ一つの特技がございましょう。それから努力目標に向かってひとつ敢闘しなければならぬ、こういうふうな役割り等もこれは当然あろうかと思います。私は内勤においてもしかりだと思うのです。内勤は内勤のビジネスの分野においてひとつ努力をいたしてまいるということがきわめて当然だ。しかし、外勤というものはやはり内勤と違った諸費用や活動的要因というものがあるので、そういう手当制度というようなものが設けられておる。これは原則的には私は肯定をいたしてまいりたい。問題の残ります点は、その規程の問題であります。少なくとも外勤手当のあり方というものがそういう能力、努力、勤勉にこたえる一つの資格条件のワク内においてこれは手当制度というものを私は奨励して払っていかなくちゃならぬということも、これは常識の問題だと思うわけなんでありますが、特に国の経営する問題でございますから、外務員が一般の民間保険の外務員的な姿勢で、どれだけ取ればどれだけの報酬があるんだというようなことで、それのみを目的として保険外交、勧誘外交をいたすということでは、私はその姿勢に問題が存するんじゃないのか、かようにも理解ができるわけであります。特に多種多様の新しい保険一つの創設ということをしてまいったのでありますから、現在の規定にかんがみ、及び将来これの実施されるにあたっての勧誘外交のあるべき一つ姿勢、方針、そしてそれに値する能力給といいますか、努力給といいますか、そういう手当の一つのシステムを検討いたしてまいらなくちゃならぬ。いろいろ資料をちょうだいいたしておりますから、私はあえてこれをここで質問をいたしてまいろうというようなことはいたしません。しかし、基本だけは明瞭にいたしてまいらなくちゃならないのじゃないか。少なくとも外勤と内勤とのいわゆる大きな格差があってはならぬ、それぞれの事務と能力と勤勉に値する諸条件ということを勘案しつつ進めてまいらなくちゃならぬ、こういうものが原則ではなかろうか、かように思うわけでありますが、そういう原則論について、これは局長からということになりますか、大臣からということになりますか、私は非常にオーソドックスにものを申し上げたのでありますが、御答弁をいただきたい。
  166. 中田正一

    中田政府委員 簡易保険の外勤職員の仕事は非常に特殊な仕事でございます。外に向かって働きかける、また契約を締結し終わるまでのいろいろの技術、苦労というものがございますので、従来とも保険の外勤職員については特殊の手当が支給されております。したがいまして、内勤職員とはある程度異なった手当を支給するということは、これはもう当然であろうと思います。  また、国営事業であるから民間生命保険と同じようなシステムではおかしいではないかという御指摘でありますが、やはり生命保険の仕事の性格からして、民間保険動きというものを常に考えていかなければならぬということもこれまた一つの事実でありますが、一方御指摘のように、国営事業としての立場からの制約というものは、もちろん考慮に入れなければならぬというふうに思います。そういたしまして、募集手当の支給方法というものが簡易保険の契約締結に非常に大きな力があるということから、またこれは同じ新契約募集するのでも、どういう層、どういう年齢をねらう、対象にするということも手当と関係ありますので、総合的に現在の簡易保険の契約の状況から見て、募集手当をどういうふうに運営していくかということはきわめて大きな問題でございます。常に実情に沿うように、また世間から見ましても妥当のようにしていかなければならぬ。現在も検討しておりますが、今後とも引き続いて検討していきたいと思っております。
  167. 井出一太郎

    井出国務大臣 大体局長からお答えをいたしたとおりでありますが、内勤と外勤、その給与体系というものについては、同じ郵政の職員、一視同仁でなければならぬというたてまえもございますし、同時にいわゆる出来高払い、能率給、こういう要素、保険の場合は一つのこれが活力になって成績があがってくるという面もあろうかと思うのでございます。したがいまして、その辺のかね合いをどこに曲線を交わらせるかというあたり、これからひとつ十分注意をして検討したいと思います。
  168. 栗山礼行

    栗山委員 総括としては、たいへん大臣の御答弁もいいんですが、ただ中田局長のおっしゃるとおり、現在も検討を加えておる、将来も検討を加えてまいるというが、現在の時点においての制度内容にも問題点があるのじゃないか、こういう私の質問の要旨であります。いわんや、かてて加えて新しく創設される保険制度簡易保険、こういう一つの条件がございますので、私はさらに深い内容を持つものでなくちゃならぬ、こういうことの御答弁を願いたいということを申し上げた、こういうことであろうかと思うのです。  それで、これ以上申し上げません。ただ、外勤というものは、時間外勤務もありましょう。昼行って、そしてそれが契約できるというものでもない。また夜、深夜にたたいて、ひとつ押し込みに参らなくちゃならぬというような特技と条件を持っておるということも、私はよく存じておるわけなんです。ただ大臣がおっしゃったように、そのかね合いをどうするかというところの一つの問題点を、真摯に検討してまいらなくちゃならぬということが問題点でなかろうか。そうでないと、外勤のみに特殊な手当を払うのは当然でございますということであると、私は非常に問題点が残ってまいるということだ。だから時間外勤務、特技、技能、勤勉、いろいろけっこうでございますが、やはりそういう諸条件を満たすべきものとしての制度内容を勘案をせなくちゃならないんじゃないか、君の意見はどうか、こういうことをお尋ね申し上げたということでございます。これは再答弁を必要といたしませんけれども、十分心していただくべき諸内容を持っておるということだけぼくは指摘を申し上げてまいりたい、かように考えておるわけであります。  貯金の問題も同様でございまして、いろいろ質疑がかわされたと思います。それは細部にわたっては問題点もあろうかと思います。しかし総括して、いろいろ民間とのかね合い、大蔵省の見解等々も私よくわからないけれども限度額引き上げの問題やあるいは住宅ローンを適用する積み立て制度の問題というようなものの一つ方向までおはかりになったということについては、私はその努力に敬意を表することにやぶさかではないわけであります。こういう前提に立ちつつも、私は、そこに若干の郵便貯金種類別利用条件としての利息関係があるんですね。その中で、据え置き期間及び預け入れ期間内に払い戻しした場合の利率は、たとえば大きく利息がダウンされておる、こういうところにも一つの問題点が存するのではないか、こういうことが一つであります。一体どういう根拠でそのようになさるか。特に住宅積立郵便貯金制度の概要等をお伺いいたしますと、いろいろ「郵政大臣が定める事由に該当するときを除いて、利率を三年もの年四・四四%、四年もの年四・六八%、五年もの年四・九二%」ということで、資料としてちょうだいいたしたものではその根拠がわからないのです。「なお、郵政大臣が定める事由は、次のものを予定している。」その一は「預金者が死亡、疾病、失業および被災した場合」二番目は「所有していた土地が強制収用された場合」三番目は「公共の用に供するため借地権を失った場合」ここまではわかるのですが、次に「その他これらの事由に準ずるもの」というきわめて抽象的にものを表明されておるのです。私の常識では、質問もあったと思いますけれども、いま土地政策が貧困であり、土地の価格が非常に都市化された中で、住宅も非常に至難な条件にある。こういう一つ問題等もございまして、おのずから、土地を購入できなくても借地権の高騰というものが当然付随する問題の一つだとも考えております。建築費の高騰というものもいまの客観的なとらえ方をすれば、いつ建築費が安く在るかということを想定できないようないわゆる国際、国内のインフレ要因というような一つの問題からながめてまいらなければならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、こういうふうにすると、ただ、これで借りたものだけはこれを適用するけれども、借りなくて、そして単にこれを実行しなかったものは利息がダウンだ、こういうような一つの概念規定といいますか、そういうふうなことにこれで見るとなっておる。これは少しおかしいのではないか。自己の住宅ローンを利用して建てるということは国民の願望であります。家を持たざる人の願望であります。その願望が満たされない。こういう諸条件の要因については、この書いておるような問題だけで解決できるような問題ではない。制度の創設にあたっては、これは住宅建設の一環としての積み立て、新しい制度の問題でございますから、これを貫くことが原則でありますけれども、いかようにしてもこれをなし得ないという状況が生まれてくる場合というものの想定を否定するわけにはまいらない、これが私の見解の一つであります。それに向かって、適用は合格者である。利用しないのはこれは欠陥者として利息は要するにダウンするんだ、こういうようなお考えのもとの資料のように私は理解をいたすのであります。間違いは指摘していただけば修正をいたします。勉強が足らざるものがあろうかと思うのでありますが、この点だけをひとつ当局からお答えをいただきたいと思います。
  169. 山本博

    山本(博)政府委員 御指摘のありました第一の問題でございますけれども、現在郵便貯金全般につきまして据え置き期間というものがきめられておりますものに、たとえば積立貯金もそうでございます。定額貯金その他のものもございまして、その場合に据え置き期間内に払い戻しますのはすべて期間の長短を問わず三%に利子を下げておるというのが実態でございます。今度の新しい貯金を創設いたします場合に期間内に払い戻しをするというのは、これは他の貯金の場合と同じように一応私ども考えまして、自己の事由により途中でこれを解約をしたいという申し出のある場合には、これは事情を他の貯金と同じように生計困難その他これに類するような事情の場合だけに限定いたしまして、この場合はこの貯金の性格というものと離れてしまいますので、他の貯金の場合と同じように三%にダウンをいたしましたということが第一の問題でございます。三%が妥当かどうかということでございますが、確かにいままでの貯金ですと、一番長いので積立の二年間でございますが、これはたとえば三年間ないし五年間という長期にこれを据え置くということにされますので、それが途中で解約をされましたときに、いろいろな時期の差がございますので、それを一つ一つ取り上げて利率に差をつけるということはなかなか技術的にも困難でございます。しかし、非常にお気の毒な事情もあるいはあるんじゃないかということは想定されますけれども、ただいま私たちが考えておりますのは、そういうもろもろの差はございますけれども、たてまえといたしまして、他の貯金と同じようなところまでダウンをさせた利子にしたいということが第一の考えでございます。  第二の御指摘になった問題でございますが、先ほどおあげになりました私たちのほうの資料の中に書いてあります貸し付けを受けなかった場合に、郵政大臣が定める事由に該当する場合を除いて、利率を下げております。この郵政大臣が定める事由ということの中に「その他これらの事由に準ずるもの」というのがございますが、これは先ほど御指摘になったようなことを実は私たちも考えたわけでございます。具体的に事例として、これから利率をきめて政令の中に書くことでございまして、これからきめていくことでございます。この資料というものはまだほんの試案というところでございますので、「その他これらの事由に準ずるもの」というのは、実は私たちが想定できない問題というものが相当出てくるのではないか、したがって、列挙したものだけではとても包含できないだろうということを実は想定いたしまして、さしむき列挙したものだけでなくて「その他これらの事由に準ずるもの」としておいて、これから政令段階でそういうものを規定していく中で、もろもろの御指摘になったような、本人の責めに帰し得ないような事由、こういうものはやはりここに包括していくべきではないかという基本的な考えは、御指摘になったとおり私たちも考えております。この適用その他については今後御指摘の線に沿って解釈をしていきたいというふうに考えております。
  170. 栗山礼行

    栗山委員 住宅積立貯金だけを引例いたしまして、その他のダウンされた問題は二間としてお尋ねをいたしたい、こう考えておったのですが、あなたは頭がいいものだからずっと言うてしまわれたけれども、私はいまの御答弁をされるなら、住宅問題に限って、「その他これらの事由に準ずるもの」という表現は冷かしいということなんです。あらゆる想定できるものが、あるいは想定でき得ざるものもあるかもしれない。だけれども、想定できる一つのものがあるわけですから、目的を持った貯金なんです。その目的を持った貯金が、これが実行でき得ないという場合の想定上の問題ですから、それを一方的に欠陥者である、片一方が一つの適正合格者であるという皆さんの発想がおかしい、こういう私の基本を踏まえつつお尋ね申し上げておる。だからもうあなたのところはしゃくし定木なんだ。実際役所は苦労したことのない人ばっかりだから、もっとやはり血の通った、社会生活の実態からなし得べきことがなし得なかったという事柄について、どう善意に理解をし、把握して行政の方向を立てていくかということなくして行政になりませんよ。私はそういうふうに考える場合について、きわめてこの点は残念ながら不親切であり、皆さんが行政分野で苦労が足らない。これだけのもので黙っておけば、この「ア」「イ」「ウ」となっておって、「工」の問題について「その他これらの事由に準ずるもの」こういうことになっておって、あなたが言われておることと、それからこの文書に表現されておるものについては、なぜあなたが言われているような内容のものを具体的に、想定上の問題ですから書けないのか。そういう発想のような表現があってしかるべきだ、いわんや政令その他で定められる場合については、やはりそういう制度の原則を踏まえて行政の適正な運びをしていただく、こういうことが望ましいのではないかということが私の考えで、あなたの考え方とだいぶ違う。だいぶ違うということは、見解の相違ということであるし、行政とはそういう高い姿勢のものではない、法律の精神に準拠しつつ、あるいは諸制度によってその適正な運用をはかってまいる、局長、こういうことが基本でしょう。これがなかったら、行政の価値がないでしょう。その点ちょっと、あなたの論理に矛盾があるというふうに私は考える。その他の問題についてあなたは得々と言われた。貯金は本来、庶民的なものです。しかも日本経済の大きな基盤になる財投的要因というものを持っておる。これは零細な庶民ですから、ローンは別といたしまして、ほかのもので金融を受けるわけじゃない。ただ預金集めだ。零細なものを国民からあまねく集め、一つに積んで、適正な利息を払う。その金は日本経済の繁栄につながる財投資金として有効に活用する。もししかりとすれば、いろいろ制度がありましても、庶民についてはその制度が十分理解できざるものがある。また理解をいたしておりましても、庶民ですから、低額所得者ですから、これを実行でき得ざる実情等がある。もしそうだといたしますならば、私が前段で申し上げたように、これも欠陥者である、これは制度上不適格だから利息をダウンするという論理はやはりおかしい。何ぼが適正かということについてはいろいろ説がございましょう、財投との関連で。元来、零細な貯金というものが基盤なんですよ、局長。皆さんは財産家や金持ちの人で、一つも御苦労がない。ぬくぬくとお育ちになって、そして頭が優秀だということで、そういうふうな官界のエリートになられたと思うのだけれども、私の経験を一ぺん申し上げますと、貯金とは、一銭をいかように積み上げていくかということが貯金の本来的なものなんです。そういうものでなければ貯金にならない。金を借りるための貯金、資産用の貯金は別ですよ。一銭ある、五銭ある、十銭あるというものを積み重ねていく、そしてそれを味わっていくということがほんとうの貯蓄であり、貯金の本来的なものだ、私はそういう哲学を持っております。  御参考に供するのでありますけれども、私は貧乏人に生まれて、突如として選挙をやれといわれた。また育ちが、一定の収入で生活設計を立てるという家庭に置かれたものではない。家内とぼくは何をしたかというと、一銭玉を貯金しましょう、五銭玉を寝る前に必ず入れましょう、あか銭玉だけは貯金箱に入れましょう、こういうことを子供にしつけておるし、私もみずから、今日まで長い間貯金をするのが習性になっております。これが貯金できる一つの条件なんです。十万円を一括してやるなんというのは、ほんとうの貯金ではないのです。こういうふうに考えてくると、貯蓄とか貯金というもののあり方についてもっと真剣に考えていただかなくちゃならぬ。三十五年の総選挙をやるときに、金がないということで、家内のものを一つあけました。私のものもあけました。一銭、五銭ですよ。私が少しずつためたものである。毎日やる。あす一ぺんに百円振り込んでやろうかとか、五十銭銀貨は絶対に入れない。こういうことをしてまいったのでありますが、私の金で知らぬ間に六十七万何がしかできておった。家内はもっと多くございました。私は貧乏で、母親にそういう教育を受けてまいったのか、あるいは私の社会哲学に在ったのか存じませんけれども貯金とはさようなものだ。やはり貯金の本来性、特に郵便貯金の本来性というものを考えていただかなくちゃならぬ。このように、私自身の経験を踏まえてこれをやるのです。こういうものでありますが、日本人は大ざっぱでございまして、平素そういうようなものがなかなかできにくいのです。しかし、そういう制度に持っていくことが私は望ましいのであります。だけれども、実行できざる者は欠陥者であるということで利息を下げてまいるというようなことは、私は行政上問題があると思うのです。制度上に問題があると思うし、政治の論議をする場としては私は肯定しかねるというような考え方でありまして、局長の再答弁を求めたい。これは大臣も、サラブレッドであるけれども、やはり貯金を担当されておる人であるから、貯金のこういう矛盾した一つの利息の問題ということについての所見を一ぺんお伺いいたしたいと思います。
  171. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいまのいろいろなお話、私たちも自分の仕事の上に大いに参考になると思います。ただ、こういう一つ制度というものをつくりますときは、少し理屈になって恐縮ですけれども法律なり政令なりというものは一応つじつまの合った形にしておかなければ在りません。ただ、運用上において、どこまでそういうものを広げて解釈していくかという余地は残りますけれども法律なり政令なりをつくる段階におきましては、全体としてのつじつまといいますか、一つの体系というものがなければならないというのが私たちの考えでございます。したがいまして、この貯金につきましては、一般の通常、積立、定額、こういうものについては御趣旨のとおりだと思いますが、これは初めから住宅を建てるということを直接の目的にした貯金でございまして、契約のときから、やがて住宅を建てるためにいろいろなプラスの、他の条件と違った貸し付けを受けられるということで契約をいたします。ところが、そういう契約の途中で、本人がもう住宅をつくる意図がなくなった、したがって、これをそのまま貯金として、住宅資金を借りる契約が達成された貯金と同じ利子を払うべきかどうかというときには、これは目的を失った貯金であるので、一般の積立貯金と同じ利率のところまで下げて、本来住宅資金を借りて住宅を建てた方にお支払いをする利子は、定額貯金の歩どまり期間に換算した利子を支払うものと差をつける。すなわち、こういう目的貯金と、その目的を喪失した場合と二本立てにしまして、後者の場合にもかかわらず、なお高いほうの利子を差し上げる場合はどういう場合であるかというのは、郵政大臣政令で予想をする場合として列挙されたものと、その他これに準ずる事由というようなもので救済をしよう、こういうことであの例を考えておったわけでございます。仕組みとしましては、やはりそういう目的貯金の円満に遂行されたものと、途中で目的を喪失したものとの間に何がしかの差があってしかるべきではないかと私は思います。ただ、御指摘がありましたように、実際の運用上において、ほんとうに本人の責めに期し得ないいろいろな事情というものをくみ取って救い上げていくような余地といいますか、解釈上の幅というのは、今後政令をきめていく段階においては十分考慮していかなければならないというふうに考えております。
  172. 栗山礼行

    栗山委員 それで大体わかるが、あなたの御答弁も公式過ぎるのです。腹の中からの、経験をふまえた御答弁ではない。いかにじょうずな答弁をするかということに終始されておる御答弁の内容のように私は受けとめる。だから栗山坊主のお説教申し上げたゆえんのものは、もっと本来の行政任務をしなさい、こういうことを申し上げたい。制度が必要だということは私は知っている。だけれども制度は手段だ。いかなることを行なうためにはどういう一つのシステムをもって制度化するか、これは手段なんです。目的じゃないのです。目的というものは本旨がある。それを行なうための一つのシステムであり、制度の問題だというとらえ方をしなければならないのに、皆さんの頭はもう固定化している。固定化してそして体系立てをするということについては実に鋭い感覚を持っておられる。中身からいったら分裂症なんだ。こういうのが行政分野における一つ内容が、一端があるのだ。すべてだとぼくは指摘を申し上げているのではないのであって、そこにぼんぼんや若さんといまの国民のほんとうの国民生活の感情や実態と遊離した根源があるのだということを、重ねて答弁は求めませんけれども、心してこういう矛盾撞着にならないように運んでいただきたい、こういうことで御要望を強く申し上げておきたい。  これも簡単にいたします。そうでないと、またどこかのおじさんが、時間が参りましたということで伝票が回ってまいろうかと思いますので、要点だけ申し上げます。  いま貯金会館が建設をされておる。これはいろいろ定めによりまして、貯金保険、郵政業務の周知徹底そしてPR、こういう郵政省の本来的業務を補完するという一面をとらえて貯金会館を建設されておる。また一面は、庶民の貯金を集めて、日本経済の一翼をになっていただいておる財投資金として、御苦労さん、こういうことに関連するという施設だ、私は性格的にはそういうように理解をいたしておるので、その基本原則には非常に賛成であります。  ただし、伺いますところによりますと、私の地元で、大阪で、りっぱな地上五階地下二階というようなものが、四十四年三月から着工いただいて、四十五年十月に完成いたしました。大阪における行事であるお年玉の抽せん会も、大臣も御出席され、私どももお招きを受けて参って、いろいろ会場を拝見しました。なかなか至れり尽くせりのものでございます。費用を調べてみたのだが、これは何と十一億五千万円の資金をお使いになっておる、こういうことなんです。その他にも、大体何次計画か存じませんけれども、東京に一カ所目下着工中であります。広島で着工中であり、それから名古屋においては建設設計中、熊本においては四十五年三月から着工中でことしの八月に完成予定だ。松山は四十六年この三月にすでに着工されて四十七年九月完成予定で、仙台においても建物設計中である。長野は施設内容検討中、それから札幌については建物が四十七年度予算要求の予定である。金沢におきましては土地を四十七年度予算要求予定である。こういうようなことで、相当長期にわたって貯金会館の建設を意欲的に取り組んでいただいておる。その後の計画路線は、資料をちょうだいいたしますと、ここには載っておりません。制度としては私はいい。  ただ、ここで問題が残りますのは、大阪の一例を引きますと、これだけ大きな金を使って、はたして貯金普及という郵政事業の普及事業その他また職員の研修というような条件、一つはあまねく貯金者について活用していただこう、こういうふうな規模と構造で建てていらっしゃる、こういうことなんでありますが、御承知のとおり、もう大都市にはいろんなそういうような福祉センターがあるのです。そこへ十一億以上のものをつぎ込んで貯金会館だ。豪壮だけが誇りということで、国民的な還元や内容が、少しこれは頭の狂いがありはしないか、私はこういう感じをいたすのであります。特にいろいろ役員構成も調べてまいりました。いろいろ長いこと説明いたしません。財団法人によってやられ、そして独立採算制でやる。事業行為及び予算、決算については大臣の認可制である。これもけっこうでございますが、人事をながめてまいりますと、行政管理庁また国民の効率的行政ということで行政がやかましく論議をされておる渦中において、全部皆さんの天下り人事です。大阪をながめました場合に松山の電波監理局長、その他の人事をながめますと定年による某郵便局の局長中身はいろいろの食堂であるとか特殊の施設についてはこれを委任行為にする、こういうような一つの建設の内容をされておる。ここにまた問題があるのじゃないか。  大都市に膨大なものを建てて、不必要な、とは申しませんけれども、幾らでもいろいろ地方自治体なりまた民間企業が、あるいは財団法人としての選択的要素がある中に、郵便貯金会館というようなお城のようなものを建てて、一体これが貯金の普及と目的の要素の条件に合うものであるかどうか、この点が私の非常に疑問に存ずるところであります。特に私が申せば、いまそういう施設を必要としておりますところは、大都市の周辺の中都市、小都市にそういう施設がないということであります。地方自治体の財政能力が乏しい、国のそういうような福祉施設というものも貧困な状況の中に悩んでおる、こういうのが私は全国的視野における一つの検討でなかろうか。場合によれば、あまねく国民の貯金を求めるというなら、農漁村ということも問題になりましょう。これは施設と規模の問題で解決をさるべき問題だと私は思うのです。だから、私自身としては、十カ所の建設の中心計画に狂いがあるのじゃないか。地域はけっこうです。大阪だけできてありがとう、こう言いたいのだが、それだけでは喜べないものがあるのでありまして、やはり全国の現在の都道府県にいかなるところに設けるべきか、あるいはその規模と内容というようなものがどういうところで効力的な効果を発揮すべきか、こういうひとつの施策が完全でないわけなんです。天下り人事、あなたのところの老後の生活保障というようなものだけを、りっぱなところで大きないすにすわって事業をやろう、こういうふうなことでは貯金会館の本来の趣旨が泣きますよ。  だから、私はこれは大臣にお問いいたします。地方自治体に少額といえども郵政省がこれを助成して、そして何がしかの貯金の本来的任務を踏まえてもらって、そういう施設に補助をするという一環もありましょう。民間施設についても、やはりその財源の一部は郵政省がこれを出資して、そしてあまねく一つの用途を理想と業務をかかえて取り組んでいただくというところに、より私は――大都市に貯金を求める。大都市とは商人とか事業というような集中であります。都市の集中の高度化を見ますと、そんなところで一つ郵便貯金の集積した効果をあげようということはナンセンスだ、こういうふうに私は考えてまいりますときに、もう少し地方自治体やあるいはそういう民間による財団法人に適用するものについて若干の参加をいたしていく。お年玉一つでもそうでしょう。いろいろな方面に特定な金を出してもらってそれを配分さしておるということをされるのなら、貯金会館というようなものをおつくりになる場合について、なぜもっときめのこまかい配慮を必要とせなかったか、こういう疑問を、大臣、私は持たざるを得ないのです、実際は。だからこの間の大臣の話ではないが、大きなところはひとつ政治の分野で、行政のこまかいところは栗山さんほじくらぬで、ひとつ能率的に行政分野にまかしてもらおうじゃないか。議論はけっこうなんです。この議論は私は反対いたしませんでした。しかし立法もしっかりしなければならぬ。そういうゆがんだ行政の方向を正してまいるということがやっぱり国会の役割りであり責務であります。国民の声を聞いてごらんなさい。だからもっと還元し、そういう施設の活用を通じて一億郵政の事業をになっていこうとするなら、私はこれ以上申しませんけれども、そういう設置、運用という問題について検討し、新たにいたしてまいらなくちゃならない問題点があるのじゃないか、こう考えます。貯金法改正の点と関連をいたしまして非常に重大な施策の問題だ、こういうことに考えますので、大臣の御所見を伺いたい。
  173. 井出一太郎

    井出国務大臣 いろいろ御示唆に富んだ御意見でございます。貯金会館という発想はもうすでに数年前からスタートしておりまして、ある意味においては走り出しておるようにも思います。したがいまして、郵政局の所在地という路線は何か一つの既定事実みたいなことで進行はしておるようであります。しかし、御指摘のように何千万という郵便貯金を積み上げていただいておる国民の全部に網羅的に福祉を還元するという施設としましては、全国十カ所に集中して、それではたして事が足りるか、こういう問題が残ろうと私は思うのです。簡易保険のほうは保養所がかなり全国都道府県にまたがっております。ああいう行き方があるいは一つのサンプルになるのかもしれませんし、スタートいたしましてはたして十カ所でそれを打ち切ってしかるべきものか、もう少しきめこまかに網羅的にこれを建設すべきか、こういうことはいまの御意見を十分に参考にいたしまして今後の検討事項にしたい、かように存じます。  それから、天下り人事ということについての御指摘もございましたが、これは貯金の仕事というものを多年やってきた人材を活用する、こういう面で何がしかは許されてしかるべきではないか。しかし、現にああいうところの経営という段になりますと、これはなかなか役人のキャリアを持った人だけでいいというものではございません。だからホテルなどの経営も経験したような人も採用しています。そういう人的構成はもう少し多面的なものにしたほうが独立採算を貫く意味においても、いまの十何億という膨大な投資をしてこれをペイするというためには尋常一様な腹がまえではだめだ、こういうふうに思います。そういう点も十分に今後注意をしてまいりたい、かように申し上げておきます。
  174. 栗山礼行

    栗山委員 御答弁をいただきましたので、重ねて御要望や質問をしたいとは思いませんし、また計画策定を、馬が走っておるわけですからこれをちょっと中止というわけにはなかなか騎手がいかぬという御苦労のほどはわかりますけれども大臣をいつまでも郵政大臣に置いておくわけにはいかぬというような党内事情もございましょうし、残されました期間内において、私が与党で任命権を持っておったら井出大臣留任というようなことをやるのでありますが、そうはやっぱりまいりません。したがいまして私は、やはり運用について大臣の意思の問題を、大臣を補佐する行政分野の人たちももっと心して、全国民的視野において貯金事業の本来的使命、国民への還元ということなら福祉還元という名に値する施設を心新たにして再検討を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  175. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  176. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、郵政大臣にお尋ねしたいのですが、あなたのほうから昭和四十四年度郵政統計年報というのをいただきました。そして二九八ページの大蔵省資金運用部状況の運用の部というところの内容なんですが、ここで拝見をしますと、四十四年度十一兆八千九百六十二億六千百万円の金があるわけです。この中で郵便貯金と郵便振替預託金及び簡易保険の金が大まかに申しまして大体六兆五千億ほどあるわけです。そうしますと、全体の比率から言うと大体六割は郵便貯金簡易保険の金が入っておるというふうに大まかに見ていいと思います。そこで、政府の資金の散布の状態を見ますと、たとえば貸付金というので地方公共団体等貸付金それから政府関係機関貸付金というところの項目がございます。それを見ますと、地方公共団体等貸付金についてはその比率がずっと減ってきておるわけです。政府関係機関に対する貸付金の割合からいうとだんだん減ってきておるわけです。つまり地方公共団体に対する援助、協力という体制が薄くなってきておるわけです。金額は四十四年度で一兆九千六百四十三億九千七百万円ということになっておるのです。ところが政府関係の機関に対する貸付金は五兆三千百五十億二百万円ということになっておるわけです。その割合が、たとえば三十四年を比較してごらんになるとわかりますが、三割増しになっている。ところがずっと読むと、四十四年度になってくればはるかに政府関係の機関に支出をしているものが多いわけです。倍以上になっておるわけです。これはどういう理由でこういうふうになっておるのか、ちょっと聞いてみたいと思います。
  177. 井出一太郎

    井出国務大臣 財政投融資の大宗として郵便貯金や簡保の金がいま御指摘のように六割にも及ぶ、こういうことになっておることは事実であります。そこでこれが融資先という問題になるわけでありますが、私どもの調査いたしました国民生活の基盤の強化、こういう点を中心にとらえてみますならば、全体計画の中に占める割合は四十三年度で三二・三%、四十六年度で三七・四%というぐあいに着実に増加をし、改善の方向にあるというふうに私は信じておるのでございますが、しかし、土橋さんはおそらくそれでは足らぬ、こうおっしゃるわけであります。カイザーのものはカイザーに返せ、民のものは民に返せ、こうおっしゃるのだと思いますが、さて、土橋さんは政府関係機関に集中しておるということがけしからぬとでも仰せられるのか、政府というものは大企業とか大資本とかそういうものに奉仕をしておるのだということが何か前提におありになるのではないか。そこのところは私どもと少し見解が違うのでありまして、政府機関といえどもこれはやはり一部は産業基盤育成に必要でありましょうし、同時に政府を通してこれまた散布される資金というものは総体的に考えれば日本の国全体に及んでおる、私どもはさように信じておるわけでございます。
  178. 土橋一吉

    ○土橋委員 きわめて抽象的なお話でございまして、私には率直に申しましてよくわかりません。で、政府関係の機関はたくさんございまして、いろいろな機関がございます。私のほうでも研究をいたしております。しかしこの中で特に日本開発銀行、日本輸出入銀行などにかなり入っておると見て差しつかえないと思うわけです。これは先ほど同僚議員からも指摘がございましたように、ことしのあなたのほうの資料を拝見いたしましても、大体郵便貯金を入れての口が一億八千万ほどの口数になっておるわけです。平均しまして三万四千二百一円の零細な庶民の金が預けられているわけです。もちろんこの中には一番多いのは活動口座の五万円という口もありましょうし、また定額貯金の五万九千七百九十六円というような口もございますけれども、全般的には非常に零細な貯金の金が一億八千万口も入ってできた金であるわけです。ですから私の言うことは、こういう零細な金でことしあなた方の御努力によると七兆三千七百九十三億円となりましたというのは官房のあなたのほうで出した資料なんです。そうしますと、資金の運用面においても地方公共団体などで財源が非常に困っておるというようなところの資金にこれを散布するということは非常に正しいいき方だとわれわれは考えておるわけです。しかし、いまあげましたように、日本開発銀行とか日本輸出入銀行というものがこの融資を受けてしかるべく活動されることについてはかなり問題があるのじゃないか。でありますから、私はそういう面をやはり相当、この口数から見ましてもほとんど国民のかなりの部分郵便貯金というのには参画をしておる。しかも金額は平均すれば三万四千円程度の金であるということになれば、その資金の散布はおのずと考慮して考えなければならないという観点に立っておるわけです。ですから年々これは減ってきて、しかも一方においては政府関係の貸付金が非常にふえておるという傾向は正しくないんじゃないか。基本的に零細な金を集めておるものならば、零細な県のほうに直接あるいは間接にこれがはね返るような資金の散布をしなければならぬじゃないかということが根拠でございます。決して独占資本なんか一口も私は言ってないわけですよ。そういうことです。ですから特に私はここで疑問になっておるのは、「その他」に一兆四千億の金を使っているのですが、この「その他」という口はどういう口であるのかちょっと説明していただきたい。財政投融資一兆四千億、どこへ使っている。
  179. 山本博

    山本(博)政府委員 ちょっと調べましてから御返事いたします。
  180. 井出一太郎

    井出国務大臣 いま一兆四千億は調べております。  その前段の基本的な問題について申し上げますならば、庶民から集めたものは庶民に返せ、こういう御主張でありましょうが、私は開発銀行なり長期信用銀行なり、こういうものをクッションにして、バイブにしてそれが企業のほうへ回る。企業の経営はこれは決して資本の立場だけじゃない。これは労働の立場というものも大きく寄与してやるわけでありますから、そういう意味においてはこれは労働大衆の直接の給与にはならぬかもしれませんが、それは生産過程を通じてそういう人々にもやはりその福祉は循環的に回っておるのだ、こういうふうに少しブロードマインドに考えていただけば、庶民の金必ずしも特定の大企業に奉仕しておるものではない、こういうふうには思うわけでございます。
  181. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はここで、資金散布で有価証券のところで問題が一つあると思いますが、この社債の購入額がやはり一兆五千億円ほどあるわけです。これと国債を約一兆二千億ほど買っておるようですが、これはかなり目に見えた内容ですからわかりますけれども、この社債の内容もつぶさにいろいろ検討してみる必要があるんじゃないか、こういう疑問を持っておるのです。ですからこの問題と、それからあなたのほうの資料によって七兆三千億余円の金を集めた従業員諸君の奮闘に対して私はほんとうに敬意を表します。しかしながら、この金はいま申し上げるように零細な一般庶民の預金に直接あるいは間接にほど遠いところに使われて、そして特に地方公共団体など、先ほどから話が出ておりますように非常に財源に困っておる。そういったところの金は割合がずっと減ってきておるわけです。こういうところに私は非常に疑問を持っておるわけです。それと労働者に対する、要するに全逓関係ですが、非常に賃金が低いのですね。これは改善をする必要があるし、他の金融機関の職員に比べてあまりにも低いじゃないか。今度春闘では一万円以上要求されておるのですが、私は至当だと思うのです。当然のことでございますが、こういう点から考えて、非常に今度の郵便貯金法一部改正については基本的な問題について相当検討を加えるものがあるというふうに考えます。考えますが、私は部分的な改良をしておると思うのです。この部分的な改良の面も軽視できないと思うのです。それは百万円が百五十万に上がるとか、あるいは住宅積立金制度をつくるということは部分的なごく大ざっぱに一つの改良の面だと私は考えます。そういう面でこの法案には私は賛成します。賛成をしますが、次の点についてまた考えなければいけない。  それはどういう点か。物価は御承知のように佐藤政府は昨年は四・三%の約束が七・四%も上がったというのです。ことしもあなたがお出しになった郵便法規の改正によって三五%も上がる。また電電の電話の架設料でも公共料金を上げるようなことがある。その結果、先ほどから話があるまじめに貯金したものは定額貯金にしましてもあるいは積立貯金にしてもその貯金をもらったときにかなり物が買えるとか、家が建つというような予算で貯金をしていくわけです。ところがもらった金を見ると、自民党政府のもとでこれががったりと落ちておるわけです。金の値打ちが落ちておるわけです。その責任は、一体郵政省はどう考えておるのか。特に零細な、先ほど申し上げるように一口五万四千円とかあるいは八万円とか、十万円という零細な金で、それが金を積み重ねて百万になったとか、百五十万になったときに今度それで家が建つか、建ちやしない。その責任は一体政府はどう考えておりますか。いまのような政策を強行してまいりますと、零細な金を集めてそういうところにつぎ込んでいく。佐藤政府の高度経済成長政策の波に乗ってそれが使われていく。そして新全総だあるいは社会経済発展計画だというので物価がどんどん上がってくる。まじめに貯金したものは今度は受けたときにその金でどうにもできない。こういうまことに何と申しましょうか、言うに言われない収奪をしておるわけですね。そうなってくると貯金制度、あるいは簡易保険もそうですが、これは一体まじめに貯金という内容に値するものであるかどうか。これはおそらく物価について正しい政策を持っておる政府がやればちゃんと予定しただけの金を受けたときには家ができる、土地が買える、あるいは子供をちゃんと学校に上げることができる。ところが、佐藤政府、自民党の政策によって物価を上げてくるものだから、もらったときには金額はなるほど同じ百五十万円だけれども使うときにはどうにもならない。こんな収奪政策をやっておって貯金をやれやれということがはたしていえるかどうか。この一部改良の点は私は認めます。さっき言ったように時勢の波に乗っていま要するに百万円じゃ少ないから百五十万円ということは、これは世間の相場だ。だれが考えても考えられることです。それにわれわれは反対できない。しかし、それをやりなさいといって奨励したら、今度は金もらったときには何にも買えなかった、こういう政策におちいるこの責任というのは、佐藤政府はどうするのか、確たる返答をしてもらいたいと私は思います。  このばく大な人がそういう結果になるわけですよ。金を投機的に預金をしておる人は別ですよ。あなた方自民党の政府のもとでそういうことが起こってくるのだから、この責任は一体どういうふうに政府考えているか。これは郵政大臣の責任の問題ですよ。あなたは貯金を盛んに奨励して、こんなものを出しておって、今度は一兆三千億できたからよかったというのでこんな宣伝までやっているけれども、これをやってきている人々はそういう結果におちいるわけです。これはどうですか郵政大臣、この問題についてどう考えていますか。スライド制を実施して、そういう救済の措置を講ずるかどうか、私はちゃんと聞きたい。そうでなかったら、この一部改正的なものだって賛成できないわけだ。一応世間がこれを希望しておるから、われわれは基本的にここは賛成せざるを得ないからということに落ち込んでしまっておって、物価は上がってしまったら、えらいことになってくる。そうすると、共産党はそういうことを知っておって賛成したかということになってくるのですよ。自民党だってそうでしょう。参議院選挙を控えて、これは問題になるでしょう。どうです。
  182. 井出一太郎

    井出国務大臣 非常に本質的な問題でございます。物価が最近上昇をしておることは事実であり、私もこの資料を用意いたしたのですが、四十一年に五・一%、四十二年が四%、四十三年五・三%、四十四年には五・二%、ここまでは定額郵便貯金六%のワクの中にどうやらおさまってきた。その次がどうもぐあいが悪い。四十五年七・七%、これは私もはなはだ遺憾でございます。これをどうやって是正をするか。物価政策は、これはあなたのおっしゃる佐藤政府としては懸命にいま取り組んでいる問題でございまして、一方御承知のように、経済成長を全然ゼロにするわけにはいかぬ。これも一方ににらまえながら、しかも物価をどういう数字に安定さすかというところに実は苦心があるわけでございます。このことは日本だけでなく、土橋さんも御承知のように、これはいま各国とも悩み続けておる点でございまして、私は、共産圏といえども、たとえばポーランドの現状だとか東ドイツの現状などは、これは非常な物価騰貴に悩んでおるのだということも仄聞をしておるわけであります。そこで、経済成長をしていきまするがゆえに、一方においてはさっき賃金の問題にお触れになりましたが、一〇数%の昨年に比べての春闘の結果どうなりますかはともかくとして、物価を上回る賃金水準を獲得しておるという現実もあるわけであります。こういう悪循環を一体どこで断ち切るかということに政策の方向が向けられなければならぬことはもちろんでございます。ひとつそういう面に鋭意取り組む、こういうことだけこの機会に申し上げさせていただきたいわけであります。
  183. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、井出さんの真摯な回答には了解をいたしますけれども、あなたがどのように回答してくださっても、誠意を示してくださいましても、自由民主党、佐藤内閣全体がこの姿勢をとってくれば、一郵政大臣はどうもできない。しかし、国民は政府貯金をしておるわけです。だから、そういう点では非常に安心をして、利は少なくてもこれは確実だ。ところが、そういう全体の中から集めた金が、当初考えておっただけの金の半分あるいは七割しか使えない、こういう収奪政策が行なわれていることについて、私はやはり、零細な人であればあるだけに、この問題については相当な考慮をし、あるいはもしあなたの説明で、また来年のいまごろになって討論するようなことになってくると思いますけれども、この趨勢から見るならば、おそらく七%前後に上がってくるでしょう、郵便料金を三五%も上げたのですから。小包料金なんか八〇%も上げておるのですから。電話料金も御承知のように五〇%近いものを上げてきた。こういうことになってまいりますと、一方では国民が非常に期待をして貯金をするけれども、払い受けたときには金は使えない、こういう結果について、やはり国として、零細な一億八千万口の方々に対してどういう処置を講ずるかを考えておかなければ、そういう点がわかってきたら郵便貯金はしなくなってきますよ。おそらく、残念なことだけれども、その実態を国民がわかってきたときには、とてもじゃないが、もっと別の方向に生活の道を考えて金を使ってくると思うのです。これは国全体として大きな問題です。これはおそらく日本の銀行の中では郵便局が一番大きい銀行だと私は思っています。違いますか。あれだけの統一した勧業銀行と第一銀行だって三兆五千億しか持っておらぬじゃないですか。これは八兆円以上の金を持っているじゃありませんか。それがそういう事態になってくるということはゆゆしき問題です。ですから、あなたも最善の努力をされまして、これをどう食いとめるか、あるいはどのようにそういうことに至った事態について責任を負われるのか、これは政府全体の問題だと思います。いま一度明確な答弁をお願いしたいと思います。
  184. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま物価問題というのは、なかなかどんぴしゃりと土橋さんの御要請にすぐこたえるような状態でないことは、これは私もはなはだ遺憾とするところでございます。まあ日本人の旺盛な貯蓄心が経済成長の有力なバックになっておったことは間違いございません。したがいまして、国民がもはや貯金をすることに関心を持たぬというような事態となってはたいへんでございますので、そういう点、心しまして何としても取り組まなければならぬのは、物価政策をどういうふうにこれから有効適切にやっていくか、私はこういうことに帰すると思います。いまにわかにここで腹痛に頓服を飲んですぐきくという答えができぬのは遺憾としますけれども、その方向に私はもとより、ひとつ佐藤内閣あげて努力をいたすということを申し上げるわけであります。
  185. 土橋一吉

    ○土橋委員 貯金の問題は、まだほかにもたくさんございますが、私は、地方還元とか多数の貯金者のためになる部分ができるだけ多くなって、国家が自由に資金散布をするというふうな方向に置いて、先ほど申し上げましたような開発銀行とかあるいは輸出入銀行などに投資をする体制をできるだけ少なくやることが必要だと思いますし、また「その他」という項目の中に入っているのは、おそらくあなたは答えられぬと思うけれども、都市開発資金だとか国立病院だとか中小企業金融公庫とか環境衛生公庫とか、いろいろありますが、要するに、そういうところの内容においてもやはり地域、零細な庶民に深く関係をしておる部門にこの金が散布されるようにとおっしゃるような形をとることが望ましいと私は考えておるわけです。そういうわけで、部分的な改良で本来非常に問題を含んでおることであるけれども、一応郵便貯金法の一部改正の案件については、われわれは賛成しております。  それから、簡易保険法律の一部改正についても、大体基本的な論旨は同じです。基本的な論旨は同じですが、ただ問題は、非常に私にわかりにくい点はこの点なんです。簡易保険金額、約三兆円あるといわれておりますが、ここで財政投融資の中に入れておるのは二千六百三十五億四百万円しか入れてないのですけれども、どういう面で簡易保険局自身がある程度保険者などに利益の便益を与えておるかという点が出てくるんじゃないかと思うのです。契約高は十兆円といわれておりますが、金額は三兆円ないでしょう。
  186. 中田正一

    中田政府委員 現在、簡易保険の保有契約高といたしましては十一兆円をこえておりますが、資産といたしましては二兆五千億円でございます。簡易保険につきましては、昭和二十六年か七年から郵政大臣が運用権をもちまして運営しております。現在、二兆五千億円につきまして、大部分が財政投融資の原資として活用されておるという事情にございます。
  187. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのほうから提出をした資料によりますと、昭和三十六年から四十五年度まで、件数においては、三十六年、いまから十年ほど前の件数よりもまだ少ないのですね。金額は約十兆百三十四億三千何ぼですか、要するに金額は高騰しておりますけれども、件数においてはずっと減ってきて、昭和三十七年度にも及ばない件数になっておるわけですよ、件数から見ますと。そうすると、これは一体どういうことを意味しておるのですか。いまから十年前の簡易保険の件数が現在よりも多かった、それがだんだん減ってきた。特に四十年、いまから六年ほど前よりは件数がうんと減っちゃった。しかし金額は張ってきておるわけですね。これはどういう傾向でこういうふうになったのですか。
  188. 中田正一

    中田政府委員 昭和三十六年度におきまして件数が非常に多かったといいます事情は、大体終戦・直後、昭和二十四、五年ごろに簡易保険の危機がございまして、そのときに相当小額の契約をたくさん締結したというようなことでございます。したがいまして、三十六年当時には件数が多うございましたが、その後そういった契約が消滅したという事情でございます。最近は、一年間における新しい契約件数も昨年度におきましては四百万件をこえまして、一年間に四百万件を突破するというのはここ十数年なかったことでございまして、件数としても最近は伸びておる、金額においても伸びておるというようなことで、両面から見て好ましい状況にあろうと思います。
  189. 土橋一吉

    ○土橋委員 なるほどおっしゃるように、去年は約三百七十九万件ほどふえました。ことしは二百八十万件、つまり四十五年度は減っておるわけです。つまりこういう趨勢は日本の経済の現状を示しておるのではないかというふうに私は思うのです。ですからこの内容についてとやかく申しませんが、要するに人口の普及率からいっても、三十六年、十年前よりもはるかにずっと劣っておる。したがって、この簡易保険の魅力、先ほどあなたが何回もおっしゃったこの魅力というものがだんだん失われておるのではないかということを私は危惧をいたします。それは、基本的にはやはり簡易保険で金をもらってみた、いまから何年も前に想像しておったほど使いでがなかったということに原因を持っておるように私は推定をするわけなんです。このことは簡易保険制度の基本的な問題に触れる問題です。つまり政府所管の簡易保険制度というものが民間に比べて非常にあじけないというか、妙味がないというか、もらった金の使いでがなかったといおうか、こういうことに起因をするので、この点からもやはり郵政大臣はこの簡易保険制度を国民に知らせるためには、いま申し上げたようにスライド制を加味する法律をすみやかにつくって、零細な金を貯蓄した者が最後に報いられるような体制を考慮すべきであるというふうに私は考えております。そうでなければ、この簡易保険制度にしても、普及率全体から見て、あなたもごらんになっておるように非常に劣ってきておるわけです。この現象はまた郵便貯金にもあらわれはしないかということを私は危惧をするわけです。ですからこういう問題について、簡易保険制度の基本的な趨勢の動きについて考慮してみる、あるいはスライド制をとる、あるいは郵便貯金はいうに及ばず、こういう真摯な態度をとることについて郵政大臣はどういう決意を持っておられるのか伺いたい。
  190. 中田正一

    中田政府委員 ただいま昭和四十五年度について前年度よりも減っておるという御指摘でございますが、この資料に注をつけてございますように、四十五年度は四月から十二月までの件数でございまして、年度一ぱいでは先ほど申しましたように四百万件をこえましてここ数年来の好調、国民各位から非常な好評を受けておるという状況でございます。普及率も世帯別に見ましても十数年前に比べて劣ることはございません。
  191. 井出一太郎

    井出国務大臣 ちょっと補足をいたしますが、土橋さん、スライド制あるいは安定価値計算というようなことを言われましたが、これは一国の通貨政策、財政政策等考えますと、しかく簡単なものではございません。各国の例を見てもおわかりだろうと思うのです。したがいまして、要はやはり基本的には物価問題と取り組む以外にないというふうに私は考えるわけでありますが、さてそこで貯金なり保険なりについてるるお触れになりましたが、従来簡易保険終身保険というものを一番の柱にしておったようでありまして、それには低料金でなるべく長期なものというような、保険そのものからいえばじみなあり方であったと思います。それを今回は学資保険なりあるいは特別養老なり少し新機軸を出しまして大方の御希望にこたえたい、こういうことでございます。いま局長から申し上げましたように、幸いにして簡易保険の成積、あるいは貯金のほうも同様でございますが、かなりいいわけであります。こういう点はやはり国家の信用がしからしめておるものだと私は思うのでありまして、その上にいたずらにあぐらをかいておってはいけない、これを常日ごろ戒めておるわけでありますが、庶民のお金を預かるという意味において十分注意をしてまいる所存でございます。
  192. 土橋一吉

    ○土橋委員 以上、私の質問をやめるにあたりまして、簡易保険法の一部改正の案件につきましてもそういう点を非常に危惧しながら、この部分的な改良については、一応他の情勢から考えまして私は至当であるというふうに思うわけであります。したがって、保険の案件には一応われわれは賛成しますけれども、そういう基本的な問題についてはまだ多くの疑点と研究すべきものがあると思います。特に物価政策、それから簡易保険郵便貯金の労働者の賃金、労働条件の問題、私はこの点を非常に危惧するものです。これをやはり高める、あるいは充実をするということを条件にして、私は本法律案に賛成の意を表する次第であります。
  193. 金子岩三

    金子委員長 これにて簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  194. 金子岩三

    金子委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  195. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  196. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  198. 金子岩三

    金子委員長 この際、おはかりいたします。  逓信行政に関する件調査のため、来たる十九日国際電信電話公社から参考人の出席を願い、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は来たる十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会