運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-04-26 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十六日(月曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君   稻村左四郎君       江藤 隆美君    加藤 六月君       木村 武雄君    佐藤 守良君       坪川 信三君    羽田  孜君       浜田 幸一君    林  義郎君       三池  信君    森  喜朗君       森山 欽司君    安宅 常彦君       阿部未喜男君    武部  文君       堀  昌雄君    中野  明君       池田 禎治君    土橋 一吉君       中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部補償課長   佐久間 章君         法務省刑事局刑         事課長     前田  宏君         農林省農政局参         事官      岡安  誠君         通商産業省重工         業局電子政策課         長       平松 守彦君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         労働省職業安定         局雇用政策課長 岩田 照良君         自治省行政局行         政課長     遠藤 文夫君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   井上 俊雄君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         日本電信電話公         社運用局長   中林 正夫君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         参  考  人         (日本経営情報         開発協会理事         長)      稻葉 秀三君         参  考  人         (日本情報処理         開発センター会         長)      難波 捷吾君         参  考  人         (法政大学助教         授)      岡本 秀昭君         参  考  人         (日本消費者連         盟代表委員)  岩田 友和君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     江藤 隆美君   園田  直君     浜田 幸一君   坪川 信三君    稻村左四郎君   八百板 正君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     長谷川四郎君   浜田 幸一君     木村 武雄君   堀  昌雄君     八百板 正君 同日  辞任         補欠選任   長谷川四郎君     坪川 信三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五九号)      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、参考人より御意見を聴取いたします。  本日、本案審査のため参考人として御出席いただいた方々は、日本経営情報開発協会理事長稻葉秀三君、日本情報処理開発センター会長難波捷吾君、法政大学助教授岡本秀昭君及び日本消費者連盟代表委員岩田友和君であります。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ本委員会に御出席いただき、厚く御礼を申し上げます。本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査参考といたしたいと存じます。ただ、時間の都合もありますので、最初にお述べいただく時間はお一人十五分程度にお願いし、後刻委員からの質疑もあろうかと存じますが、その際十分お答えくださるようお願い申し上げます。  それでは、御発言の順序ははなはだかってながら委員長に御一任願い、稻葉参考人からお願いいたします。稻葉参考人
  3. 稻葉秀三

    稻葉参考人 ただいま御紹介にあずかりました稻葉でございます。  きょうは公衆電気通信法の一部改正に関する改定案に対しまして意見開陳をさせていただくわけでございますが、私見によりますと、今回の改正案三つの側面を持っていると思われます。  その一つは、電報料金改正であります。その二つは、電話料金是正及び施設費是正でございます。その三つデータ通信のための回線開放ということになります。このうち一と二につきましては、広義の意味の料金問題でございまして、現状あり方が必ずしも情勢に即応しない、また現状あり方では公社赤字が累増していく、こういうことを配慮をいたしまして、そして料金体系合理化、このようなものを行なおうとするものでございます。また、三のデータ通信改正につきましては、後述いたしまするように別個の意味を持っております。  まず、電報料金電話料金につきまして私見開陳させていただきます。  最近、公共料金の値上げが問題になっております。これにつきましていろいろの見解が出ているということは事実でございます。ですけれども、人件費増大、また新しい情勢に即応した近代化をやっていくというための原資を獲得をしていく、そのためには私は原則として利用者負担増大させていくということはやむを得ないものだと思っております。国民負担増大、つまり国民税金負担でこれをカバーするということにつきましては、こういう見方、考え方もあろうと思いますけれども、これは非進歩的、非能率的、非民主的なやり方である、このように思っております。と同時に、この公共企業体につきましては、新しい情勢に即応して近代化を実行していくということがぜひとも必要であり、現状維持的なやり方をとっていくというのは必ずしも正しいことではない、このように思っておる次第でございます。  このような点から申しますと、たとえば電報につきましては、昭和四十四年で収支比率が七二〇%という大幅な赤字になっております。電報事業は言うまでもなく人手を要するものであり、今後も人件費が毎年増大をしていくということは避けがたい、このような結果として赤字がさらにさらに大きくなっていく、このように思われます。このような事態がはっきり予見できたときには、私たち電話やテレックスにかえるということを政策的に誘導していく、そして配達制度合理化していくということが必要であり、そしてまた、これと並行いたしまして、電報料金を引き上げるということはやむを得ないことだといわざるを得ないのであります。  また、電話につきましても、現在の料金制度には不合理がございます。市内と市外料金格差、また遠距離につきまして逓減制度は必ずしも十分ではない、このように思われます。ここでこれらのやり方を思い切って再検討をしなければならない。そうしませんとやはり情勢に即応いたしませんし、不公平という感じをより大きくしていくのではないかと思われます。その意味では利用者の一部の負担増になりましても今回の広域時分割は前進策であると考えます。また広域的利用をこれから進めていくものであると考えます。そして広域的な利用を進めていくということは今後の電話利用ということにつきましてどうしても必要なことだ、このように思っておる次第でございます。私個人といたしましては、もう少し今回のやり方よりも傾斜をつけて、そして将来に即応するような考え方をしていただきたいと思っております。しかし、現状よりは、今回提示をせられました方向は、広域的であり合理的だと思っておる次第でございます。  市外通話料の値下げというものも、できるならばもっと早く、そして大きくしていただきたい、このように思っておる次第でございます。さらに、今後加入電話の増設を大々的にやっていかねばならない。これにつきましては、受益者負担意味から、設備料を五万円にしていくということもやむを得ないことだ、このように思う次第でございます。以上の料金問題や施設費について、いろいろ申し上げるべきことも多いと思いますけれども、一応ごく簡単に私の要旨を開陳をさせていただいた次第でございます。  次に、データ通信について私見を申し上げさしていただきたいと思うのであります。私は、ここ数年以来、政府電電公社は、もっと大幅に回線利用というものを民間開放していただきたい、こういうことを主張してまいりました。また、そのようなことにつきまして若干の啓蒙活動展開をして現在に至っているのでございます。ですけれども、申し上げたいことは、その意味は、決して国民の意思を無視するとか財界や大企業に奉仕をするということではないのでございます。ここで詳述する時間はございませんけれども、すでに皆さま方も御承知のように、いま日本経済は新しい方向に向かって動いております。日本だけではなくて、いな世界の経済が新しい方向、つまり新しい技術社会的な方向に向かって動いている、このように申し上げても差しつかえないのであります。そしてそのような移り変わりに対しましては、コンピューターというものが非常に大きな役割りを果たしていくということも、これまた否定することのできない現実だと思っております。すでにアメリカヨーロッパでも公衆通信回線というものが開放されております。その意味から申しますと、私たちは、ただ政府だけではなくて日本民間もあげてその利用推進をしていく、このようなことをしてまいりませんと、次の社会に即応していくという立場がだんだんだんだん希薄になっていくのではないか、このように思う次第でございます。そしてそれにつきましては、私たちは、わが国がもっとデータ通信につきまして政府のみならず民間利用推進していく。ただ回線開放だけが全部であると申しませんけれども、ハードウェア、ソフトウェアの面につきまして、もっと大きな前進策をとっていくということを政府が指導され、また民間もそれに呼応いたしまして進めていくということがどうしても必要だ、このように思っている次第でございます。その意味におきまして、開放をおくらすということは、それだけ日本の進歩というものをおくらすものではなかろうか、このように思う次第でございます。このような意味から申しまして、社会経済活動を営む上におきまして、電話も必要でございますけれども、データ通信もまた必要である、このように申し上げたいのでございます。  電電公社直営データ通信と並行いたしまして民間データ通信推進をしていかねばならない。そして電電公社データ通信をやるべきでないという意見がある一方、民間には通信回線開放すべきではないという意見がございます。これは両極端の意見であるかもしれませんけれども、事実そのような主張展開をされているという事態は否定できないのでございます。私に言わせますと、これらは双方ともやや極端な意見であり過ぎる、いずれの意見も適当ではない、このように思います。  と申しまするのは、私たちはすでに各面においてコンピューターというものが利用されているということを知っております。つまり科学技術計算だけではなくて、プロセスオートメーションに、また各般の役所や民間事務処理コンピューターというものは欠くべからざるものでございます。そして、これがいま一年三〇%ぐらいの速度でだんだん増大をしていく。またそれに即応いたしまして、多元的な利用、多角的な利用というものを推進をしていかねばならないといたしますと、電電公社データ通信と並行いたしまして、どうしてもこのような通信回線開放していただくということが必要ではなかろうか。したがってこの改正案は、民間にもやらせるけれども、電電公社にも一定の範囲内で行なわせようとするものでございまして、現実的な妥当な措置である、このように思います。できれば、私たちは、もっと民間利用推進をするように各種措置を郵政省や電電公社におとり願いたい、このように考えておる次第でございます。  次に、通信回線利用基準が省令とか認可ということになっております。データ通信というものは、すでに御存じのように、日進月歩でどんどんどんどん進んでいるものでございます。そして今後の利用技術なり利用動向というものは、なかなかこれを正確に予測することができない、このような面がございます。したがいまして、行政指導によりまして弾力的な運用ができるようにしておいたほうがよいと考える次第でございます。私も若干、この問題につきまして諸外国を回りまして一体どのようなことが行なわれているのかということを調査をいたしました。諸外国でも、このような基準法律できめるというようなことはしていないのでございます。郵政当局はこの改正案を今回御提示になり、また皆さま方の御審議に供せられている次第でございますけれども、私は、そのような観点から、慎重御審議の上で、民間回線開放されるということにつきまして御決定賜わらんことを切願をする次第でございます。  最後にもう一つ申し上げたいことは、先ほど私が申し上げましたように、コンピューター利用データ通信というものは日進月歩である。またこれが社会にどのような影響を及ぼしてくるかということは、いろいろそれについて専門家の御検討というものもございますけれども、なかなか予測しがたいものである。だとするならば、むしろ旧来の電報電話というものを主とした通信体系、こういうものに加えまして、新しい情報化ということも考えて、基本的な認識、それに基づくいろいろな基本的な方策を進めるべきではないか、そしてそのようなこともあまり考えないで、ここで回線開放するということはあまり合理的ではないのではなかろうか、このような意見が出ている次第でございます。必ずしも、これが全部の方々の御意見だ、このようには思っておりませんけれども、私は、この主張につきましては、十分これを聞くべき必要があると思っております。ですけれども、申し上げたいことは、私たちはすでに日本におきましてもここ十数年来いろいろコンピューター利用推進をされ、そしてだんだん最近になりましてどうしても多角的な回線利用というものをしていかねばならない、このような必要性を感じておる次第でございます。私はいま、コンピューター利用推進をするための財団法人日本経営情報開発協会理事長であり、またソフトウエアときわめて関係の深い日本計算センターのほとんどのメーカーを網羅いたしました情報センター協会会長であり、また各種コンピューター利用推進をするユーザー団体連合会のお仕事にも御協力申し上げております。また、私たち利用者の声がどういうことになっているのかということも年に一回必ず調査をいたしております。そして、おととしと比べて去年、さらに最近になりまして、どうしても一経営単位、一社単位コンピューター利用ではなくて、もっともっと広範にこれを利用するという道を開いていただきたい、このような熱意がだんだん強くなりつつあるというのを身にしみて感じておる次第でございます。また、今後の日本社会というものを考えますと、やはりそのようなことをどうしても推進をしていかねばならない。このようにいたしますと、私自身の申し上げたいことは、やはり今回の通信回線開放措置というものは認めていただきたい。そしてこういったような措置をお認めくださいましても、情報産業全体のあり方ということにつきまして、二年かかり、三年かかって新しい事態にどう対処するかということを検討していただきたい。そして、そのためには、私はその双方の面におきまして、いわゆる御理解と御協力が必要ではなかろうか、このような点を強く強く感じて、どうか皆さま方にこの点をお願い申し上げたい次第でございます。  ちょうど時間が参りましたので、あとは御質問に応じて答えさしていただきます。
  4. 金子岩三

    金子委員長 次に、岡本参考人から御意見を賜わりたいと存じます。岡本参考人
  5. 岡本秀昭

    岡本参考人 岡本でございます。産業社会学をやっております立場から、本法案に対していささか意見を申し上げます。  御承知のように、コンピューター通信回線結合情報処理システムというものを形成いたします。したがって、そのシステムの持つ能力というものが人間の情報処理能力を飛躍的に拡大させるという観点から、多くの経済学社会学の分野において潜在的な影響に関する論稿調査展開をされてきております。本日はそのような業績ないしは日本のあり得べき可能性についての展望の上に立って、本法案に対していささか意見を申し上げたいというふうに思うわけでございます。  コンピューター通信回線結合によるシステムは、たいへん強力な情報処理システムでありまして、それはたとえばソフトウエア開発でありますとか、あるいは通信回線利用に関する個個の立法において断片的にそれに適合するような法律措置によって促進をはかる、情報化や普及の促進をはかるというふうな性格のものではないというふうに判断いたします。したがいまして、アメリカやあるいはイギリスヨーロッパの各国におきましても、この問題については何らかの形で情報産業の将来に対する展望ガイドポストというものを政府は明らかにして、その上で行政委員会や必要な管理組織を前提として個々の立法推進しているという状況でございます。そういう情報処理システムの持つ社会経済的な影響というものを判断いたします際には、現実社会経済の基本的な諸趨勢との関連においてその作用を判断すべきであるというふうに思います。  第一は、今日は技術革新時代というふうにいわれておりますが、それは次第にコンピューター主導による技術革新時代となり、専門家はこれをテクノトロニクス時代というふうに称しております。問題の発見に、それから管理に、たくさんの可能性を拡大し、技術革新を刺激しつつ、また技術革新によって刺激されて情報技術が高度化するという社会で、それが持ちます雇用面やあるいは就業構造への影響はきわめて大なるものがございます。わが国におきましても、昭和四十四年九月末現在において、コンピューターはその設置額にして五千億円でありましたが、そして設置台数にして五万六千台でありましたが、たとえば電電公社長期計画の見通しによりますと、五十二年には設置額にして五兆円、そして設置台数にして六万台のコンピューターが稼働する見込みであります。あとでやや詳しく申しますように、こうしたものが持つ就業構造やあるいは労働問題への潜在的な影響はきわめて大きいというふうにいわなければならないと思います。  第二に、現代は大量消費時代というふうにいわれますが、これがコンピューター結合いたしまして商品情報化時代展開をしております。そうして今日先進的な工業国で見られるように、過剰広告情報独占というものがあらわれてくる傾向性が大きい。これに対しまして、たとえばイギリスなどでは、広告費の規制であるとか、あるいは社会的に見て望ましい優良商品公認証票制度の提言であるとか、あるいは広告白書などの必要性が唱えられております。わが国におきましては、商業活動においてそれを規制する倫理はもっぱら企業内倫理段階にとどまっており、こうした状況のもとにおいて商品情報化時代が全面的に拡充するということには問題があるといわなければなりません。同時に大量消費時代は、平均的所得大衆市場として予定いたしますから、したがって低所得層窮乏化はよけいに増大するという問題があり、また余暇の市場化という問題が出てまいります。  第三に、産業構造の上からは集中化時代で、これはテクノトロニクスと相まって情報独占という問題を生み出す可能性を持ちます。現在でも情報組織に対して敏感に反応しておりますのは、巨大企業企業集団であり、そしてそこにおいてネットワークが形成され、それは市場と生産の各領域において支配的な影響力を持ってくるということが考えられるわけであります。  第四に、国際化の問題があります。情報化はすでに国際的なネットワークに進展しており、たとえば圧倒的な情報テクノロジー技術ギャップを背景といたしまして、アメリカを中心とする国際的な情報網の持つ影響力はきわめて大きい。こういう段階において世界的なネットワークとの結合わが国情報産業やその他の自立性というものに対していかなる影響を与えるかということは、慎重に検討さるべきだというふうに思うわけであります。  以上の観点から、やはり情報産業というものを方向づける国民的ないわば抱負を体現したところのガイドポストというものが先行をして、そうしてそれに基づいて各個別の立法展開すべきであるというふうに思うわけでございます。  本法案データ通信関係に注目をしてみますと、それは第一に、企業レベル専用回線奨励的促進という趣旨に基づいて、この専用回線については全面的にこれを促進する趣旨が盛られているわけでございます。そのこと自体の是非はともかくとして、それは結果として企業内のいわゆるMIS、管理統合システム促進いたします。わが国の場合、標準化が先行し、次いで機械化があり、次いでシステム化があるという順序を踏んで経営管理のいわば合理化展開したのではなく、システム化機械化が同時並行的に行なわれ、標準化がこれに次ぐというふうな状況にあり、かつまた労働力構成の上から間接労働の比重が大きいということを考えてみますと、雇用問題の発生可能性に対する懸念は大きいというふうに言わざるを得ません。こうした諸問題に対して、たとえば西ドイツやあるいはスウェーデンの労働組合やあるいは労働関係各省は、テクノトロニックに備えた基本的な雇用政策を用意しておりますが、遺憾ながらわが国の場合には産業別職業別雇用構造長期展望すら欠けているという状態であります。  第二に、グループ共同ネットワーク促進というものがありますが、これはシステム独占というものを展開する可能性を持っておる。有名なアメリカ連邦通信委員会の例にございますように、ATTとウェスタン・エレクトリックのいわば企業間関係独禁法に触れるかいなかということがたいへん問題になっており、そして現在でもなっておりますが、そのようなシステム独占というものに対して独禁法はどういう態度で臨むのであるか、それから企業秘密の問題はどういうふうに考えるべきか、系列支配経営権の問題は中小企業保護観点からどのように考えるべきかというふうな一連の問題が伴うわけでございます。同時に計算センター情報処理業界の発展は、やはり非常に大量には市場情報結合する可能性が強いわけでございますが、そのことは先ほど申しましたように、大量消費社会における情報公害という問題と関連をしてくるわけでございます。したがって、この個別企業内の通信回線展開企業間の連携やあるいはその情報センターとの結合というそれぞれの今回の法的措置の諸項目においてそれが無政府的に行なわれた場合には、出てくる問題性の可能的な重要性に対する懸念を私は抱かざるを得ないわけでございます。  次に、通信回線利用の問題がありますが、これはやはり資源配分の問題と不可分にからみついてきます。具体的に申しますと、公衆通信との疎通競合関係でございます。これは一面においては通信回線の容量の増大によって対応することができますが、現在の法律でいうように、郵政省の事前の判断で競合するかいなかということをあとでチェックできる技術的な保証は考えられないという問題があります。したがって、これはあとで申し上げます電話の問題と不可分であります。  さて、通信回線に関する問題点は多々その他申し上げたいわけでありますが、時間が経過をしておりますので、結論的に言って、可能態として重大な社会経済的な問題をはらんでいる。そのような場合であればあるだけガイドポストを内容とするような基本法が必要であるということと、第二に、そうした諸問題の発生に応じて諸影響を研究し、問題を提起し、そうして情報産業展開を全体として国民生活の向上に関連づけていくところのそういう機能を持つ情報委員会というものが必要であるというふうに主張いたします。  次に、料金の問題でございますが、立案当局の御苦心のほどはいろいろ読み取れるわけでございますが、電話に関する事項について、まず次の事実を申し上げたいと思うわけであります。  御承知のように、今日では生活圏の拡大や経済圏の拡大に伴いまして、住宅電話はいわば必需品化してきているわけでございます。それは政府当局も公社もたびたび申されるとおりでございます。第二次五カ年計画においては、昭和四十七年に少なくとも顕在需要は充足するということが内外において公約されてきているわけでございますが、いまだその目標は果たされず、現段階においては昭和五十二年まで延長して、その時点でようやく充足するということになっております。こういう段階においては、つまり情報化の進展を予想すればするほど電話国民的な普及はいわばその前提であるべきであって、かつまた国際的に見ればわが国電話普及率は十二位というランクであり、これはコンピューターの普及率世界第二位と比較すれば画然とした差異があるのでございます。こういう段階においては電話の普及を促進する措置を考えるべきであれこそすれ、いわばそれの需要を抑制するようなことは考えるべきではないと思うわけでございます。  この段階において、電話設備料を三万円から五万円に引き上げるということは、むしろそういう促進措置の逆行であるというふうに考えられます。その理由として、電話関係の収支が赤字であるかいなかということが問題でありますが、これは公社会計のいわば現在のメカニズムからいたしますと、判定いたしかねるという状況にある。このような状況では一挙に設備料値上げに対しては賛成いたしかねると申さざるを得ないわけでございます。  それと関連して、電話料金体系の改定でありますが、御承知のように、生活圏の拡大に対応するように御苦心をなさった、その全体の趣旨は賛成でありますが、しかしながら、その範域の設定がいわば従来の行政区域をやや拡大したものにすぎない。したがいまして、現在のようにメトロポリタンやあるいはメガロポリスの成立というふうなコミュニティーの成立を考えますと、地域社会現実に合わず、そうしてまた生態学的ないわば生活圏と適合しないという問題がございます。  最後に電報でありますが、やはりよりきめのこまかい料率設定が必要ではないか。公社組織はその本質において企業性と公共性を持っており、その公共性においては社会政策的観点は不可分に重要でございます。こうした段階において、いわば事業収支の原価計算は総括原価でありながら、採算は製品別に行なうということは会計上矛盾したものでありますし、そうしてまたそれは公社組織に対する今日的な国際的な考え方にそぐわない。と申しますのは、製品別のいわば収支決算は明確にして、そして公共性を持つ商品に対する赤字は、これを国家財政で補てんするというのが今日的な意味での公社経営のたてまえであります。そうした観点から見るときは、経理的に見ても、そして社会政策的な見地から見ても、そしてまた電話の普及がいまなお顕在需要さえ満たさないという状況である段階における電報料値上げは、全体の趣旨からして、本立法が必ずしも国民生活の向上に保障を与えないという意味合いを持つものであるということを象徴的にいわば示唆するように思えるのであります。  したがいまして、以上の諸点について諸先生の賢明な御討議をお願いいたしたいというふうに思います。
  6. 金子岩三

    金子委員長 次に、難波参考人から御意見を賜わりたいと存じます。難波参考人
  7. 難波捷吾

    難波参考人 ただいま御紹介にあずかりました難波でございます。私はこの改正法案につきまして、主としてデータ通信の面について私の意見を申し上げたいと存じます。  わが国の戦後の経済の発展は非常に目ざましいものがございますが、さらにこの国力を増進いたしますために、現在いろいろな政策が考えられております。その中で運輸、通信の面におきまして、戦争前には全く考えておられなかった重要方針がただいま幾つか実行されております。その最初は、御承知のごとく高速自動車道というものでございます。それから第二は、国鉄の鉄道新幹線というものでございます。それから第三がただいま問題になっておりまする電気通信のハイウエーでございまして、これはアメリカあたりでは今度デジタルハイウエーという名前がついておりますが、要するに大量の通信を高速度に伝送処理するという電気通信網でございまして、これは近年における電子計算機の著しい進歩に促されて、新たなる大きな通信のネットワークとして登場いたしたものでございます。  さて、わが国は戦後荒廃いたしました国土において、焼失した電話網の復旧整備に多年努力を続けてまいりました。その結果、今日、電話網につきましては先進国の仲間として恥ずかしからぬところまで立ち至っておりますが、しかし、データ通信網につきましては、現状は全く不十分でございまして、先進国アメリカに比べてかなり遜色がございます。この立ちおくれの原因を考えてみますと、一言にして申しますならば、敗戦による不幸な現実と申すべきものでございまして、戦後の日本におきましては電話の復旧がまあ精一ばいで、データ通信の拡充ということはとうていそこまでは手が回らなかったというのが真相であろうと存ずるのでございます。  ところで、いまやわが国の国力の伸展は著しいものがございまして、経済的にも技術的にもデータ通信の拡充をなし得る実力を備えてまいりました。ところで、データ通信の場合は電話とかなり違った面がございまして、電話の場合には申すまでもなく針金の先に電話機が、この電話機というのはきわめて標準化されました電話機が接続されているだけでございますが、データ通信の場合には、目的によりまして電子計算機の種類とか関連機器とか、あるいはまたソフトウエア等の使い方も、まことに多種多様でございまして、従来の電話ネットワークのようにシステムとして単純なものではございません。そこで、われわれは整備された基本的のデータ通信回線国民開放いたしまして、利用者と使用技術上の協力を行ないながら仕事を進めるという形式をとることが大局的に見まして国力増進に寄与するところが大きいと考えておるものでございます。もちろん、この際技術上の見地から定められました適当な基準を用いまして、データ通信と既設の電気通信との間に運用上の混乱が起こらないように配慮するということは、これは当然なすべきことでございます。  以上のような基本的な考えから、私は今回国会に提出されます改正法案の内容は、わが国の現在の事情におきましては、きわめて妥当であるものと信じて、たいへんけっこうだと存じておる次第でございます。  なお、この機会にこの法案が成立いたしました場合に、国内の情報産業関連においてどういうような問題が起こるかということにつきまして、二、三私の私見を申し述べたいと思います。  まず第一に、外国資本の問題でございます。御承知のごとく通信事業というものにつきましては、わが国は世界の主要国との間に結びました航海通商条約によりまして、外資の進出から守られておる状態になっております。しかし、情報処理産業というものにつきましては、そういう条約の関係がございませんので、この法案の成立とともに外資、少なくとも一部外資によりますオンライン方式の情報処理事業がわが国においてもある程度興るということを予期せなければならない状態でございましょう。この場合にこのオンライン事業に使用されます一連の電子計算機といたしましては、ある程度外国の有力製造会社の機械が使用される可能性がございまして、その結果として国産の電算機の占めますシェアが少なくともある期間内は現在よりも少しく低下することが考えられるのでございます。この問題にどうして対処するかという点につきましては、たとえば政府及び公益的のネットワークにおきましては国産機の採用を奨励すること、これは現在イギリスなどでも採用しております政策でございますが、かような政策を採用することも必要でございましょう。それからまた国産機の製造の合理化ということも一つの問題でございましょう。現に今日の日本産業界の実力をもっていたしましても、米国における電産機の製造は、年産額におきましてわが国の約二十倍という大差がございます。これはいわゆるハードウエアという範囲の比較でございますが、その他ソフトウエアの比較ではさらに大きな懸隔があるものと考えられております。  しかし、これは今日の状態でございまして、あすの状態ではございません。日本は高度に教育された潜在的人間の資源を持っておりますし、それから特に電子計算機のような高度の頭脳産業は日本人に今後最も適したものと思われるのでございます。そこで、今日の生産額が一対二十であるという現実のこの比率に失望することなく、非常に勇気を持って立ち上がることが必要でありまして、この点としてわが国は国全体としての非常に慎重な強力な政策が必要であると信ぜられます。このようにいたしまして、本法案の精神であります通信回線利用社会に容易にする、そして社会活動を盛んにするという政策と同時に、国内電算機の製造が沈滞しないようにするということを、同時に私は政策として解決することが可能であると存ずるのでございます。  次に、ある方面で懸念されております秘密保護と申しますか、あるいはプライバシーの侵害という問題がございます。本質的に申しますと、これは通信回線開放という問題とは直接関係のないことでございますが、この際、私、これにつきまして一、二見解を述べさせていただきます。要するにこの問題に対する対策は、人間と技術の両面にございまして、磁気テープとかあるいは機械装置とかを取り扱う人間の管理を厳重にして、モラルを高揚するということが一つでございましょう。それから技術面では、秘密保護の必要性の高いものほど、たとえばデータファイルから取り出し、検索する場合の信号を複雑にするということが原則でございます。つまり、一種の暗号解読の原理と同じでございまして、あるいはまた金庫の合いかぎを複雑にするという理屈と同じでございます。しかし、一般論といたしましては、まずどういう範囲のデータをファイルすべきか、また一たんファイルされたものはどの程度の秘密保護を必要とするのかという基本方針をあらかじめはっきり樹立することが大切でありまして、その辺をあいまいにして出発いたしますと、せっかくの情報検索能力をむだに使うということになるのであります。  ただいま述べましたような若干の心配は抽象的にはございますが、電算機によりますこの情報処理社会の発展にきわめて強力でありますることは言を待たないところでありまして、他の卑近な例をもって申しますならば、自動車というものは誤って運転すれば人をひき殺すおそれがあるから廃止すべきであるという議論と同様でございます。要は、信号とか安全施設とか運転法規とかあるいは人間のモラルとか、こういう一連の関係事項を整備いたしまして、その結果、自動車が本来持っております特徴を社会において有効に生かすということを具現せなければならぬのでございます。  以上のように、データ通信を発展させることは、いまの日本といたしまして非常に緊急な問題でございますが、これには非常に大きな投資とそれから技術の開発とを必要といたします。そこで私は、今後この計画を基本的に立案される側と、それから現実にこのデータ通信を建設、保守をいたします側と、それからこのデータ通信を実際に利用してその利益を享受しようという側と、この三者が緊密に話し合う場というものを持つことが非常に必要でございまして、できればこういう常設的の機構をつくって非常に能率よく運用いたしまして、この法案の精神を生かすように努力することが私は最も肝要と思うのでございます。ありがとうございました。
  8. 金子岩三

    金子委員長 次に、岩田参考人から御意見を賜わりたいと存じます。岩田参考人
  9. 岩田友和

    岩田参考人 私は、消費者の立場から、今回の公衆電気通信法の一部改正法律案に対して意見を述べたいと思います。  第一点は、今回の改正の中に盛り込まれております電報料金の改定についてであります。現行まで十字で打てばそれなりに支出を防ぐことができた、そういうものを、今度は二十五字までという制限に変えることによって一挙に百五十円に上げるということにつきましては、これは十字で三十円で済んだ市内電報が、たとえ十字であっても百五十円払わなければならないという結果に追い入まれるわけでありまして、したがって、これは一般の企業におきましてはとうてい考えられない、いわゆる公社であるからこういう売り方をすることができるという、消費者にとっては非常に迷惑な売り方、商法であると思うのであります。これは、食品に例をとりますれば、一方的にメーカーが、いままでは小袋詰めであったものが今度は一箱買ってくれなければ売らないという商法の転換をしたというのと同じでありまして、通常の経済社会においてこのような一方的なさら盛りの売り方というのは、それを必要としない人については非常に迷惑な売り方であるわけであります。したがって、消費者にとって電報という存在が、非常に緊急な場合に簡単に連絡をする方法として重要視されてきている存在の中で、こうしたものまでも赤字であるという一言をもって値上げをしていくという考え方について、多くの疑問を持たざるを得ません。公共料金の抑制をするということは、国会においても政府の最高責任者が国民に向かって幾たびか公約した事柄であるはずでありまして、赤字であればすべて黒字にしなければならないとするその考え方と、政府の最高首脳部が国民に対して約束をしたそのことと、どちらが重要なんだろうということを実は私どもは疑問に思うわけであります。すべてを黒字にするまで値上げをしていくということでありますれば、政府が公約をなさいました公共料金の抑制というのは不可能な話でありまして、単にこれは郵政の関係だけではなくて、すべての独立採算の原則、受益者がすべてをまかなっていくという考え方については、あとでもう少し触れたいと思いますが、消費者にとっては非常に重要な、そして議会制民主主義をこういう関連の中でみずからぶちこわそうとなさろうとすることに対して、私どもは心配をいたします。議会制民主主義の信頼は、やはり国民に対する政府公約をまず守るということから始めなければ回復できるものではないと信ずるからであります。  さらに、現状維持で電報赤字をそのまま負担していけという思想は私どもも持ってはおりません。しかし、電報の取り扱いについて最大の赤字といわれます人件費の問題につきましても、いわゆる電話の潜在需要を満たすという約束が公社において積極的に果たされていたならば、いわゆる電話を通じて電報を取り次ぐという方法も決して不可能ではないわけなんでありまして、またはもよりのところに電話で取り次ぐ、そういうような合理化をはかる余地はまだまだ残されておると思います。またこういう人件費のかからない電話電報というような取り扱いを優遇するという考え方が出てきますれば、必ずしも人間が配達をしていかなくても済む地区は多くなり、そして部分的に人間が配達しなければならない特殊な地区について総体の中でやはりこれの採算をとっていくという姿勢をぜひ望みたいわけでありまして、赤字になればすべて取ればいいんだということになりますれば、これは政策も何も不要な存在になってしまうと思うわけであります。  それからその次に、広域時分制の実施についてでありますが、現行の市内通話の度数制を三分刻みで取っていくということにつきまして、私どもはきわめて困った事態だと考えております。これはすでに実施をされました公衆電話の三分打ち切りによって、出先から通話をしようとする人々は非常に迷惑を受けているわけでありまして、議事録によりますると、郵政当局は定着をしつつあるということを申されておりまするが、これは一方的に自動的に打ち切られているためにやむを得ずもう一回かけ直さなければならないということが繰り返されているにすぎないわけでありまして、これを定着ということに見る郵政当局の感覚のズレは、全く私どもとしては迷惑な話であるといわざるを得ません。三分でかけるためには、まず向こうへ、連絡個所に電話をかけて、そして何分後に電話するからまとめておいてくれと言ってもう一回かけなければまともな話は通じ得られない、そういう不便さをわれわれは現実の問題として強制されているわけでありまして、これが今度は住宅用電話――公衆電話の場合には長話の防止ということで押しまくられたわけでありますが、今度はそういう心配のないいわゆる住宅用電話において料金で強制されるということについては、これは通話をする者の立場といたしましては非常に迷惑な話であります。さらに、データによりますると、公社のとりましたデータでは、通話の平均が百十一秒と示されており、説明をされております。百十一秒であるならば、言うところの長話をなくせという御主張は、このデータから見る限り全く矛盾しているわけでありまして、三分間以内の平均値が出ているそういうデータを示しながら、片方において電話の長話にかかわるしつけの問題みたいな話が展開されてきている。また別なデータでは、増収が百六十億見込まれるということが出されておるわけでありまして、これらを一緒に考えますと、一体、三分以内の平均値であって、それがなおかつ三分ごとの改定をすることによって、どうして百六十億が浮くのであろうか。ここらの関連については非常に疑問を感ぜざるを得ません。特に先ほども申し上げましたように、これらの疑問を残したまま、たとえばの話でありますが、一つのデータをとってもこういうような矛盾が存在する。それが議会の中で十分資料提示やその他のことが検討されないままにもし採決をされ、成立をしたというようなことになってまいりますれば、一般国民の議会審議に対する信頼感はますます失われるということを特に申し上げておかなければならないわけでありまして、諸先生方の十分なる御検討をお願いしたいわけであります。  それからその次の問題といたしまして、「試験実施」という問題が附則の中で書かれておるわけでありますが、この処置については、私どもは重大な関心を持たざるを得ません。いつ、どこの地区が指定されるのか、これは電話をかけるほうの消費者の立場に立ちますれば、全く一方的に公社がきめることができる。郵政大臣が認めさえすればどこの地区でもかってに選択をして指定することができる。指定されたところは新料金で払わなければならないという義務を生ずる。これは無差別爆撃を突然受けるような心境でありまして、一体こういう処置が公然と認められてくるということについては、他のものについてもこういう慣行ができたらたいへんなことになる。われわれの仲間の中にもこれは経済ファッショだ、官僚ファッショだという声すらあがりました。このような法律の中で一部分の人たちだけが抜き出されて被害をこうむるというような立場に立たせられるということは、法の公平のたてまえからいっても、またこの法律自体の第一条の精神からいっても、おおよそ考えられない事柄がこの中に組み込まれてきているということについて、これが実施されれば、おそらくわれわれのいままでの討議の中で参加した人々、消団連傘下の、特に団地自治会、そういうところを中心とした指定地区反対運動は必ず起きるといわざるを得ないわけでありますし、また民間団体におきましても、これの法律的な裁判上の争いも検討せざるを得ないというふうに言われている重大な個所であるということをお伝え申し上げておくわけであります。  それからその次は、前後いたしましたが、電話設備料の値上げについてであります。これはある日、法律改正によって価格が変わった。そのことによって、いままで長いこと一方的に待たされていた人たちは新しい基準によって支払わなければならない。そういう人々に対する考慮というものがやはり払われてしかるべきだと思うわけであります。それはどこかで実施をしようとすれば、当然そういうボーダーラインにかかる者はおるわけでありますが、少なくとも一年以上前から待たされているそういう人たちに対する考慮は払われてしかるべきだというふうに考えます。ここいらはどうか審議の中で――申し込み者のせいではなくて、公社の都合でいままで待たされている人たち、極端に待たされている人たちについては、やはりそれなりの考慮が払われてしかるべきなのに、そういうことが払われていない。特にこのことを申し上げておきたいと思うわけであります。  次に、データ通信のことについてでありますが、先ほど来三人の参考人方々がるる述べられましたように、データ通信関係については今後非常に重要な位置づけがされてくるであろうとわれわれも考えております。これを部分的にこうした法律の一部改正の手だてとして突っ込むのではなくて、岡本参考人も言われましたように、まず基本法をつくって、そして電報電話というような種類とは性格を異にするこれらのものについて、そのあるべき姿、規制しなければならない点、それからその影響するいろいろな問題を、別個に検討するに十分な存在であると思うのであります。コンピューターが導入されることについては、それなりに便利さもまた進歩もあることは認めておりますが、反面、機械でありますから、そのために起こる事故も決して少なくない。アメリカにおいてもそういうコンピューター事故によるいろいろな困った問題が起きている。本来何でもない人が信用取引を中止されて、データの間違いである、または機械の故障であるというような事例が出たり、またアメリカの話ではなくて、現実日本でも料金計算において、全く留守にしていた期間の電話料が通常より八万円も高く請求された。そして再三再四足を運んでその不在を証明し、かつそういう中で幾らかまけてもらって妥協せざるを得ない、そういうような消費者の立場からすると困った事故も発生しておるわけであります。それらの点から、コンピューターを否定はいたしませんが、コンピューターにかかわる取り扱いはそれだけに慎重な、十分な検討を必要としますし、また、こういった部分改正ではなくて、基本的な基本法の制定等を通じて十分な御審議をいただかなければならない点が多々残されていると思うのであります。  最後に、受益者負担の問題について一言申し上げて終わりたいと思います。最近、この受益者負担という原則がいろいろな方面で積極的に用いられております。高速道路をつくる、それについて受益者負担としてガソリン税を財源とするというように、もうすべてが受益者負担の原則で押しつけられてきている。これはまともに税金を払っている納税者の立場からいいますと、受益者負担という名前において税金が二重三重にかけられてきている、そういう感じを免れないわけでありまして、一体税金というのは何のために使われているのかということが問題になり、そして政治への不信へ次第につながりつつあるという事実を国会においてもぜひ重要視して考えていただきたい問題だと思うのであります。これは何でも利益を受ける者がすべてを負担していくんだという原則でありますれば、そこにおける財政的な政策も不要でありましょうし、一番簡単な方法ではありましょう。しかし、それでいいのかということが、議会政治というものを中心にして運営されるという国民感覚の維持のためには、やはりもっともっと検討されてしかるべきだと思うのであります。  以上、大要を急いで申し上げましたが、結論といたしまして、特に今年に入りましてからの郵政関係の値上げは、すべての面において一斉に行なわれているという感じを消費者に与えています。小包料金の値上げがつい最近行なわれました。また郵便料金の値上げがただいま公聴会にかかったという時点であります。さらに電報電話、こうした料金が値上げをされていく。これらの事柄につきましては、企業はそれらの経費増加を物の値段に転嫁して補給することは可能であります。しかし、これは明らかに物価の問題にはね返ってまいります。消費者は、住宅用の電話の値上げだけではなくて、こうした一連の通信、連絡、そういうものにかかわる一切の経費増を商品で受け、また自己負担の形で受けとめていかなければならない、そういう物価値上げの誘発という問題を非常におそれます。したがって、政府が再三公約なさいました物価安定の大方針と公共料金抑制の大方針を貫かれるという意味におきましては、今回出されております一連の配慮の中でぜひこれらの問題を再検討していただきまして、国民にかかわる負担の軽減に最大限に努力した上で、これらの問題の提示をしていただきたいものだといわざるを得ません。したがって、消費者の立場から、今回出されましたこの法律改正につきまして、結論として反対であるということを申し上げざるを得ないことを非常に残念に思うわけであります。  意を尽くしませんでしたが、いま国民生活が置かれているこの窮乏感なり反発感なり、こういうものをどうか十分におくみ取りいただきまして、十分な御考慮を政策の中で生かしていただきたいということを申し上げて、私の参考意見を終わりたいと思います。
  10. 金子岩三

    金子委員長 以上で参考人方々の御意見開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 金子岩三

    金子委員長 参考人方々に質疑の申し出がありますので、順次これを許します。羽田孜君。
  12. 羽田孜

    ○羽田委員 参考人の皆さまには、何かと御多用中のおりにもかかわりませず本委員会に御出席賜わりまして、先ほど来それぞれのお立場から種々私どもに公衆電気通信法の一部改正にかかわる諸問題につきまして御示唆を賜わりましたことを、まず御礼申し上げるものでございます。  なお、この機会をいただきまして、私ども日ごろ感じておりますこと、また先生方の御意見の中から、非常に初歩的な問題でございますけれども、各項目につきまして御質問申し上げてみたいと思います。たいへん時間の関係がございまして、私どものほうで項目別にお願い申し上げますので、簡単でけっこうでございますから、御答弁いただきたいと思います。  まず、稻葉先生にお聞きしたいわけでございますけれども、このたびの改正案によります通信回線開放の範囲についてどのようにお考えになるかということでございます。一部では完全開放しなさいとか、また今度の法改正は不十分であるというようなお声もあるわけでございますけれども、この点につきましてお聞きしたいと思います。
  13. 稻葉秀三

    稻葉参考人 私たちは先ほど申し上げましたように、やはり漸次日本の実力を発揮をして、そして通信回線開放を通じてだんだん日本の威力が世界的に伸びていかねばならぬということを感じております。したがいまして、完全開放という考え方もございますけれども、やはり現状から出発いたしまして、こういったような順序開放していただくというのが現実的な立場ではなかろうかと思っております。  ただ、いままで私たちがお願いをしておりましたことについて若干申し上げますと、これが今度開放されますと、いままでの特定回線につきましてはその範囲が大きくなります。また一年か二年後には電話線と連結をする、こういったようなことも取り運びができます。しかし、できるならば公衆電気通信を利用するというものにつきましては、公社はこの九月からおやりになるわけでございますから、やはり民間につきましても一年後、二年後ということではなくて、条件がそろえばひとつやっていく、そして政府民間双方によりまして、この情報化社会に向かいまして立ちおくれた日本が前進をする、こういったような配慮をしていただきたいということをお願いいたしております。
  14. 羽田孜

    ○羽田委員 ありがとうございます。それでは次の問題に移らせていただきますけれども、稻葉先生並びに難波先生からちょっとお聞きしたいと思います。現在の電電公社が大規模にデータ通信業務を行なうと民間企業が太刀打ちができないという声があるわけでございますけれども、公社が提供しますデータ通信システムといったものはどうあるべきか、こういった問題について、簡単でけっこうでございますけれども、お聞きしたいと思います。
  15. 難波捷吾

    難波参考人 これはデータ通信というものが将来どういうふうに発展するかということの期待によって多少感覚は違いますけれども、私ども考えておりますのは、データ通信というものは相当大きく発展するでありましょうけれども、電電公社がいま現在考えておられるシステムだけではとうてい全部カバーできない、そういう基本的な考えでおります。ですから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、公共的な問題とか、たとえば非常に広域性のある全国的のネットワークとか、そういうものは当然電電公社がおやりになることが私はいいと思いますけれども、何でもかんでもやるというのは、これは能率をかえって非常に下げるのではないかと存じております。
  16. 稻葉秀三

    稻葉参考人 簡単にお答えいたします。  先ほど私、実は全国の有力電子計算センターを網羅した情報センター協会会長をしておるということを申し上げましたが、事実として次のような問題が起こっておるということを御報告申し上げたいと思います。  その一つは、いままで地方では、これは決して大企業のためではなくて、自然発生的に計算センターというのができまして、そして市町村のサービスをさしていただくとか、県のサービスをさしていただくとか、いろいろな農業のサービスをするとか、また大企業、中小企業のサービスをするとかいったようなものがございます。そして事実はまだこれからのことでございますけれども、そのような特に地方の機関からは、まだ専門化が進んでいないということもございまして、電電公社さんが今度は御存じのようにこの九月から本格的にデータ通信をおやりになると自分たちはマイナスになるのではなかろうか、こういったようなことを言ってきておられます。そしてこのようなことにつきましては、通産省や郵政省に対しましても私たちはその旨を連絡をいたしております。  しかし、基本的に私の申し上げたい点は、やはり今後公社はこれらを通じて将来どのようなサービスを日本全体にしていくのかということをもう少し明確に進めていただきたい。そしてまた地方や中央のセンターも、今度は何でもかんでもやるというのではなくて、それぞれ特別の技能のあるものについてやはり自分たちでできねばならぬものをやっていただきたい。そうすることによりまして、双方がプラスになり合うという条件をこれからつくっていくし、またそれに必要な措置をひとつやっていかねばならないのじゃなかろうか、こういったようなことで、今後私たちもこの間に立って善処いたしたい、このように思っております。
  17. 羽田孜

    ○羽田委員 次に、難波先生にお聞きしたいのでございますけれども、先ほど来各先生からもいろいろとお話がありましたが、データ通信回線使用契約に関する料金はすべて認可料金となっておるということでございます。将来は法定料金とすべきであるという論もあるわけでございますけれども、データ通信に関する料金のあり方についてどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 難波捷吾

    難波参考人 データ通信の料金は、伝送に使います電話で申しますと市外料金に該当する料金が非常に大きなウエートを占めることになりますので、その伝送料金をどういうふうにきめるかということが、これが将来非常に広範囲に発展するかどうかの私はかぎだと存じます。ところが、現在使用いたしまする電話線は、すでにその電話線を電話という他の類似の目的のために使っておりまして、その電話料金というものが、百年の歴史と申しますと少し大き過ぎますけれども、非常に長い歴史を持ってできておるわけでございますので、その間の調整をとること。ことに市内線と市外線との料金の差というものが日本は非常に独特の立場にございます。ですから、日本データ通信を将来普及いたしますには、まず電話料金の市内線と市外線の問題を解決しながら、このデータ通信の料金というものを一括して解決していかなければならぬというところに少し特殊性があると私は存じます。
  19. 羽田孜

    ○羽田委員 次に移らしていただきます。岡本先生と稻葉先生にお尋ねしたいわけでございますけれども、先ほどまた岡本先生からもたしか情報基本法というようなお話があったと思うのです。これは非常に大きな問題でございますので、簡単にお答えいただくといっても非常にむずかしいことかと思いますけれども、これからのこういった問題を進めていくにあたりまして、非常に大きな問題でございますけれども、ちょっと簡単にお答えいただいてみたいと思うのです。情報産業の将来について一体どのように展望されますか。たとえばいまお話がありました情報基本法の制定等の問題を含めまして、まず岡本先生からちょっとお尋ねしたいと思います。
  20. 岡本秀昭

    岡本参考人 情報産業につきましては、定義自体がたいへん広範なものと、それから狭量なものとあることは御存じでありますが、当面問題になっておりますのはシステムとしての情報産業で、情報の加工、販売を中心とする産業とその関連産業であろうというふうに思います。  で、これの将来につきましては、先ほど申しましたように、五十二年に六万台の予測が電電公社あたりで行なわれておるわけでありますが、かつて通産省の情報産業振興のある部会での通産省による説明におきましても、値段にして三兆幾らが昭和五十年代に実現されるということで、展望としては急速に伸びる産業である。そして潜在需要がたいへんに大きな産業であるというふうに思うわけでございます。そのようなことから関連エフェクトがたいへん大きく予想されるということで、先ほど申しましたように、各国におきましては行政委員会を中心にして論議をされておる。  それで、情報基本法でたいへん問題にしていただきたいことは、まず第一に、日本情報産業を振興させるために技術ギャップを埋めるということを重視する。そのためにはたいへん膨大なスケールの予算やあるいは国家的意思決定が必要であろうというふうに思うわけです。情報産業そのものの歴史をさかのぼって見ますと、ある意味ではたいへん不幸な歴史を持っている。それはすなわち、第二次世界大戦中の軍事技術のドロップアウトとして発展してきたという過去の経過があります。わが国はその国是を平和国家、文化国家としておるわけでありますから、平和利用それから民生の安定的拡大という目的のために、たとえば大規模な工業開発あるいは工業立地の問題解決、交通管制、公害問題のような諸問題に適用できるようなソフトウエア開発する、それを重視するということが、たとえば非常に大きな基本法の精神の一つとなり得るだろうと思います。  第二は、国際関係におきまして、低開発国の工業化の問題に対して、教育的な側面からこれを促進する、そのことによって世界平和に貢献していくという可能性の領域としてはたいへん大きな領域であるというふうに思います。  第三に、その持つ社会的、経済的なエフェクトが大きいということを勘案して、民主的な管理がぜひとも必要である。したがって、そのために管理システムの民主化、その代表制化をはかるということがたいへん重要である。  第四にはプライバシーの保護でありますが、この問題については、単に企業機密のみならず端末機において将来たいへんな需要が予想されるところの家庭ないしは個人の秘密の擁護ないしはソフトウエアの特許権に関する個人的な権利の擁護、それらの諸問題は容易に予想されるわけであります。  そうしたいわば全体としては不確定要素を多分に持ちながら、しかし問題領域としてはさまざまの事例的な論拠があげ得るような問題領域でありますから、この際ぜひ指導精神を生かした基本法が必要であるということを主張するわけであります。
  21. 稻葉秀三

    稻葉参考人 情報化社会に対して日本がどのような道行きをたどっていくのかということにつきましては、実はきょう御報告申し上げる時間がございません。そこで、基本法について若干コメントをさしていただきますが、私、たしか去年か一昨年開かれましたこの逓信委員会参考人として招かれましたときにやはりそれについて触れました。私は別に基本法に反対はいたしません。しかし、おそらく私が当時申し上げましたのは、早くて三年、おそければ七、八年かかるだろうというのが私の意見でございます。おそらく、やはりそれだけの検討をしてみなければ、コンピューターを通じてどういう変革が起こって、それに対して大所高所からどういうふうにしていくのかということは出てこないと思っております。  もう一つ申し上げたいことは、それができるまで通信回線開放をストップしろということを学者さんの一部がおっしゃるということが、私はもうふしぎでふしぎでならないのであります。というのは、何ごともやはりトライアル・アンド・エラーでございます。したがいまして、そういうことを前提としながら通信回線をこういう形で開放していただいて、そして現実に情報を処理した場合においてどういう問題が起こっていくかということを知らないで、次の情報化とかそういうふうなことに対してどういう措置ができるのか。または先ほど、イギリスアメリカではそういうことをしているじゃないかとおっしゃいましたけれども、イギリスアメリカ通信回線開放しながらやはりそういったような問題と取り組んでおります。そして、みながわかるまで何もしていてはならぬという理屈は、何もしないで日本現状維持をしておれという理屈を進歩の名前でおっしゃっているということにすぎないのであります。したがいまして、私はやはり今度通信回線開放されてどういう問題が――ここで集団的に利用して統計がどうなる、いろいろなものがどうしていく、中小企業に対してどういう問題が起こるかという問題を現実に調べないで、基本法というものはできないだろう、私はこういうふうに思っております。
  22. 羽田孜

    ○羽田委員 どうもありがとうございました。実はほんとうにこの問題につきましてもう少しお聞きしたいわけでございますし、また実は電報電話につきましても多少お聞きしたいわけでございますけれども、質問時間もあれでございましたので、あとの問題につきましては同僚の議員の質問にお譲りしたいと思います。どうもありがとうございました。
  23. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  24. 武部文

    ○武部委員 稻葉参考人にお尋ねをいたします。いまの基本法の問題は単刀直入におっしゃったわけでありまして、そういう意見もあろうかと思います。しかし、私どもは産業構造審議会の提言にもありますように、ガイドポストというものが必要である、基本法というものが必要である。国会でもそういう決議をいたしておるのであります。そういうものが全然無視をされて、現実問題としてそういう具体化が進んでおるのだから、そういうものは先になって考えればいいのじゃないかということは、私どもとしては若干うなずけない点があるわけでありますが、いまお述べになりましたように、基本法というものは、それならば一体どういう方向でもって進むべきか、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。これが第一点です。  第二点は、お述べになりました御意見を聞いておりますと、今度の法案の持っておる内容、電報なりあるいは電話の料金の改定すべてについて、これはやむを得ない、またデータについても一定の範囲内でやらせるべきだ、あるいは省令なり政令については弾力的運用をやればいいじゃないか、こういうお話でございました。特に料金問題について、遠距離の逓減制度というものは思い切ってやるべきだ、不公平な点は是正すべきだという点や、広域時分制度は前進的だということをおっしゃったわけですが、市内通話の三分刻みのことについてはお触れにならなかったようでありますが、この点についてはどういうようにお考えなのか。この二つをお伺いいたします。
  25. 稻葉秀三

    稻葉参考人 実は私、先ほど先生が触れられました通産省の産業構造審議会の情報産業部会の委員でございます。そして将来をにらんでどのように情報産業を進めていかねばならぬかということをいろいろ論議をし、すでに中間報告というものを出しているわけでございます。そしてそのような考え方をふえんしで申し上げますと、私は、やはり行政の面及び民間のいろいろな面、それから情報をどのように扱うかといったような面におきまして、基本的にここでもっと精密な調査あるいはそれに対する国としての対処方針をとっていかねばならぬ。また、コンピューター利用というものを進めてまいりますと、やはり行政機構そのものもだんだんと改善をされねばならぬ、そういったようなことがございます。さらにこの問題は、日本が新しい技術革新に対してどのように対処をしていかねばならぬかということとも結びつきます。  それで、私は終戦以来何回か政府の長期経済計画のお仕事にお手伝いをいたしました。また、事務局長、部会長、そういったようなものとしてお手伝いをいたしております。しかし、率直に申しまして、こういったような現状のもとにおいて、ここで十年、二十年、三十年先を見通して、こういうことであらねばならぬということを決定をしていくということは、ほんとうにむずかしいと思います。私たちがいま基本法をつくっていただきたいというのは、これの取り扱い方が各省によってあまりにもばらばらであり過ぎる。また、この問題は国の行政、地方の問題にも影響するところが多い。このような観点からいたしまして、いま私は政府のお手伝いをいたしまして、行政管理システムを五年、十年、二十年先にどのようにすれば一番能率的なものか、こういったようなことを検討しておりますが、これですらやはり三年以上かかると思います。そのようなことで、これだけ日本が大きな変革に直面をしていく。しかも私たち日本人は、事コンピューターにつきましては、数学に強い、原理、原則に強い、また非常にバイタリティーのある国民で、これを活用する潜在的な能力アメリカ人以上に持っていると思っております。しかし、それをするためには相当の長期間がかかります。私たちが中間報告として出しましたのは、先生もお読み願えればおわかりくださいまするけれども、一応現実を中心にしてどのようなことが予想されるか、このようなことで申し上げた次第でございます。どうかその点誤解のないように申し上げておきたいと思います。  次に、料金の問題でございますけれども、私は三分刻みというその線を支持いたします。現にあまりにも東京都内については低廉に過ぎまして、地方の利用者との間にあまりに大きな隔たりがあり過ぎる、このように思っております。現に私に娘が二人ございますけれども、三十分も四十分も電話をかけて、それから友達に会いに行くというようなことをしておりますから、これはやはり是正をするといったようなことをしていただく。それと同時に、今回そこまでまいりませんでしたけれども、私は、少なくとも遠距離は半分ぐらいの線に将来は料金を安くしていただくということを考えていただきたい。その意味の一つは、いままで電話データ通信というものを切り離してお考えになっているようでございますけれども、だんだん通信回線開放され、大規模の利用ができてくる、また電話線も開放されるということになりますれば、その面からの収入というものは相当将来は多額に計上し得るはずだと思っております。そして私は、何も外国の人のように、通信回線まで全部民間開放してしまえというわけのものではございません。それを能率的に何とか使っていただきたい。またそういう条件ができれば、電話コンピューターをつないでもっと料金体系を安くしていく、こういったようなことも可能であり、私は、これが電話の問題も間接に将来は解き得る一つの要素ではなかろうか、このように思っております。しかし、当面につきましては度数制を支持いたします。
  26. 武部文

    ○武部委員 いまの御意見でもう一回お伺いいたしたいのですが、いまのお話ですと、将来市外電話料は現在の半分ぐらいにしてほしいというような御希望です。三分制は支持されるということですね。私どもが考えますと、今度の改正は、そういう面からいうと、個人の負担が増加をして企業の側が軽減をされるというような一般的な声があるということを知っております。確かに三分制の問題なりから見ますとそういうことがいえるわけでありますが、企業負担が軽くなって個人の負担が重くなる、こういう世論に対してどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 稻葉秀三

    稻葉参考人 前提として間接的なお話から申し上げたいと思います。  実は私、自分の時間の六〇%ぐらいはガバメントサービスをしておりまして、政府のいろいろな仕事に御協力を申し上げております。その中で、たとえば国鉄をどうしていったらいいのか、食管をどうしていったらいいのか、それからさらに林野がことしから大幅に赤字になりまして、それをどのようにしていったらよいかという問題がございます。その点から申しますと、電電公社さんの会計は、どちらかと申しますと、電報を除きましては公共企業体の中ではわりあい健全だと思います。しかし、将来の投資とか今後増大する人件費というものを考えてまいりますと、現在の料金収入というのは、そういったような線におきまして今後もずっとその黒字を、当面は苦しいのですけれども、やっていくというベースでは必ずしもなかろうと思っております。そのためには、公共企業体といえども、やはり内部の近代化合理化というのは民間と同じようにおやりになってしかるべきではなかろうか。そしてそのようなことを前提といたしまして利用者がそれにお手伝いをするということはやむを得ない。その際、個人的な消費者の負担増大をして、遠距離をやっていく企業負担が軽くなる、こういったようなお話でございますけれども、私は必ずしもそれには同感ではございません。  と申しまするのは、だんだん電話が普及するにつれますと、確かに住宅電話につきましては利用度が減ってまいります。したがいまして、電話一台当たりの利用回数というのが減ってきて、それが将来マイナスの可能性になる、このように思いますけれども、将来は、いまの条件がいれられれば、日本は何か遠距離の電話というのは高いものだというふうに思われ過ぎていると思うのですけれども、それがだんだんアメリカヨーロッパ並みに開かれていく、またそのようにしていかないと電話というものの広域利用というのは進んでいかない、このように仮定をいたしております。したがいまして、先生の御指摘の面が全然ないとはいえませんけれども、将来を考えました場合において、私は、東京のような恵まれた市内のあり方はやや返上して度数制にして、そして遠いところからかけられる電話料金については是正をしていただく、こういったようなことが国民経済上望ましいのではなかろうかと思う次第でございます。
  28. 武部文

    ○武部委員 岡本参考人にお尋ねいたします。先ほどのお話の中で、ガイドポストの問題に触れておられまして、基本法のこともお触れになったわけですが、その中でお話のありました情報委員会というものの役割りというものは、一体どういうことをお考えになっておるのか。これがまず一つです。  二つ目は、さっきもちょっとお触れになりましたが、コンピューターデータ通信関係で、情報公害とかあるいはコンピューター公害というような名前がとうとう出始めてきたわけですが、これについてどういうふうにお考えか。さっきはちょっとプライバシーの問題だけにお触れになったようですが、その点ちょっとお伺いしたい。
  29. 岡本秀昭

    岡本参考人 先ほど稻葉先生からマイナスの現状維持の議論であるというお話がございましたが、現在はつど的な需要に備えて、いわば試行錯誤的にものを見ていく段階であるかどうかということを、むしろ逆に伺いたいぐらいであります。やはり国家的な意思決定の上に立って大規模な振興が要るということは、産業構造審議会でも出した結論でありますし、また自民党の情報産業委員会でもそういう結論が出、またそれに対しては問題の重要性を自覚して、ガイドポストが必要であるという認識はあったというふうに思うわけでありますが、今日の事態に至ってなぜそのような議論の変更をされたか、むしろふしぎなくらいであります。  さて、情報委員会というふうに申しましたのは、やはり基本的な指導精神の上に立って、現実の推移を分析的に見て、問題を提起していくという仕事がまず大きくあると思います。商法やあるいは税法や、そしてそれらの諸改正を伴うような問題にMISは不可避的に触れてくるわけで、同時にまた先ほど申しました広告倫理の諸問題などにも不可避的にかかわってくるわけです。こういった事柄の事例的な研究はOECDを中心としてヨーロッパの研究者にはかなりありますし、またアメリカの場合にも大学やあるいはFCCなどにおいて個別的に行なわれておるわけですね。予想される事態というのはたくさんあるわけであります。  さて、それが第二の質問の情報公害につながっていくわけでございますが、先ほど来申しましたように、それは単にコンピューター通信回線結合からなるシステムだけの公害の範囲にとどまらない。システムだけの問題でありますと、プライバシーやあるいは集権化した管理志向性を高めるシステムをつくり出しがちでありまして、管理社会の傾向を深めるということがまず第一にいえるわけでありますが、それが技術革新結合したテクノトロニクスになり、そしてまた大量消費結合して、そうして商品の情報化という市場操作の体系をつくり出す、そしてまた行政分野におきましても大量の情報処理能力の導入が、たとえば住民生活、それから教育、それから司法などの諸情報を総合いたしますと、個々人はナショナルワイドなネットワークの中に捕捉されるというふうなことになるわけです。そうして個別的な事例はさまざまにあげられるわけでありますけれども、そういった意味での、つまり人間疎外というふうな一括して唱えられるような問題性が出てくるわけで、こうした事柄は不可避的にやはりそれぞれの側において制度的なくふうやその倫理規範が必要となるわけです。そうした事柄を組織的に取り上げるということは、たとえばFCCなどのアメリカの通信委員会などでも取り上げられて、そういう目的のためのスタッフ拡充がたとえば大統領に提言されるという状態であるわけで、情報委員会のたいへん重要な機能になる。  それから第二には、やはりそのナショナルなシステム開発ということがあります。もちろん、この情報産業振興協会などが成立をしてソフトウエアで汎用性に富むものは研究をされておるわけでありますが、問題はさらにより組織的な基礎研究が必要であろうというふうに思うわけであります。ソフトウエアにおけるテクノロジカルギャップを埋めるためには、たとえ日本人がいかに器用であれ、原理、原則的な思考によく訓練された国民であれ、やはり次の産業を指導する基礎的な研究の開発というのは、ソフトウエア開発には欠くべからざる前提になるというふうに思われるわけであります。  第三に、その情報産業開発の利点は、単に企業のものだけにとどまるだけでなくて、そして企業を通して一般国民に対して得られる利点だけでなくて、直接に国民に対する情報提供があろうというふうに思うわけであります。それらは情報委員会にやはり付属いたします情報処理センターの大きな役割りである。以上、三点を申し上げます。
  30. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  31. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  32. 中野明

    ○中野(明)委員 時間がずいぶん過ぎておりますので、簡単にお尋ねしたいと思います。  最初に、稻葉先生にお願いしたいと存じますが、先ほどからデータ通信のことでいろいろお話がありまして、通信回線の自由化ということにつきましては、これは確かに通信回線を活用して国力増進ということの御意見、私どももそれにはまっこうから反対するものではございませんが、ただ国策としてデータ通信をやるべきであるというそういう考え方の上に立ちますと、日ごろから私たち電電公社データ通信を直営でやるということよりも別会社をつくってやるべきではないか、なぜならば公社というのは結局加入者にささえられている、そういう観点から考えましたとき、この公社データ通信にあまり力を入れるということはそういう面で抵抗があるのじゃないか、ですから別に会社をつくってデータ通信をやって、通信回線をそれによって利用していけばいい、こういう考え方を私どもは持っておるわけなのですが、この点、先生の御見解をお聞きしたいと思います。
  33. 稻葉秀三

    稻葉参考人 いま御質問にございました点につきましては、現実的な民間の一部の要望といたしまして、そのような点が主張されてまいったという事実がございます。そしてそのことは第二電電公社みたいなものをおつくり願って、そしてその中でひとつデータ通信についてこれをおやり願う、こういうことにしていくのが電電公社にとってもまた日本の将来にとってもプラスではなかろうか、現にイギリスあたりはそういったような構想で進めているのではなかろうか、こういったようなことでございます。そして、今度法案として出されておりまする裏にあります電電公社さんの考え方は、まあ電電公社の中だけれどもやはり特別の扱いをして、そして通信回線利用についても、電電公社だけであれば、特別に安い料金で回線を使うというのではない、しかしやはり事が始まり出すとまたどのような展望になるかわからない、こういったような段階においてはやはり電電公社の中に一種の別会計みたいなものをしてそしてこれを明らかにしていく、こういったような方針になっているというふうに私たちは聞いております。  それでこのどちらがよいのかということになりますが、私は、まあ基本的な考え方であれば前者のほうがよいと思います。しかし、現実的な考え方であればやはり後者のような形でお進め願うということが、これから新しい事業をやっていくという面におきまして、やはり電電公社さんとしてはそういったような方向をお出しにならねば責任がとれない、むずかしい、こういったようなことでなってきたのではないかと思う次第でございます。ですから現実の、いま私が理解いたしました電電公社の中でいま言ったようなことをしていこうということは、従来の形よりもより一歩進められたものとして評価をし、それなりに、絶対反対だと、こういうふうには申し上げていないわけでございます。しかし、今後だんだんこの機能が大きくなるにつれまして、また、民間との間をどのようにしていくのか、こういったようなことにつきまして、三年、五年たてば、先ほどおしかりを受けましたけれども、私はやはりそういったようなことを経過をしていかねばならない。アメリカで私が聞きましたところによると、通信回線開放については、かつて日本でいわれたほど何でも自由に回線開放されているというものではないが、しかしでき得る限りやはり民間利用を認めるという形で行なわれて、そうしてある程度これが一つの段階に達したところで、ナショナルポリシーとしてどういうことをしたらいいのかといったようなことが論議され、そういったような角度に立って、じゃ、これから一体どうしていくのかという問題が進められている、こういうふうに思いますので、必ずしも私は、やはり将来のあらゆる可能性をいまの段階に見きわめをつけるまでは回線開放すべきではない、そういう日本におきまする一部の御主張には賛成しかねる次第でございます。
  34. 中野明

    ○中野(明)委員 非常にこのデータ通信というのは、将来のことにつきまして、いま先生がお話しのように種々議論もございますし、非常に大事な問題だと思うのですが、こういう大事な問題を公衆電気通信法の一部改正の中のごく一部分で処理されようとしていること、そこら辺もっともっと大きなところからとらえて考えなければならぬのじゃないか、このように思って疑問を持っておるわけであります。  それで、もう二点ほど、先ほど電報料金の問題にもちょっとお触れになりましたのですが、人件費、確かにそのとおりだと思いますが、現在電話の積滞が公称三百万、潜在的に申し上げれば、これはたいへんな積滞があるわけであります。おそらく公社が七カ年でつけようとしているのは全部積滞と考えて私差しつかえないと思いますが、そういう時点で、先ほど岩田参考人も述べておられましたが、このような大幅な値上げ、これが電話のない人たちにとっては電報というのは非常に重要な通信の手段になっております。積滞がこんなにあるときに、このような大幅な値上げということは、はたして公共事業として、先生はまあやむを得ないという表現でおっしゃっておりましたが、時期として私妥当じゃないんじゃないか、このように思いますので、この点、いま一度お考えをお聞きしたいことと、それから設備料国民感情と社会通念の上からいきましても、電話を申し込んで、大体いなかのほうに行きますと、三年ぐらいはもう十分待たされているわけです。そういうような時点でこの改正になって、すぐもう六月からは五万円払わなければならぬ、こういうことになりますと、三年もそれ以上も待っている人たちの感情的な問題あるいは社会通念の上からいっても、そこら辺少し経過措置か何かで処置していくのが親切じゃないか、そういうような気もするのですが、この点あわせて二点お願いできればと思います。
  35. 稻葉秀三

    稻葉参考人 私にだけ貴重な御質問が集中してまことに申しわけないと思いますが、一応簡単にお答えをいたしますと、国民感情としては、やはり施設料も電話料金も上げていただいては困る、こういったような点は私は否定できない事実だと思っております。現に、私が今度は値上げの賛成の案に行くんだと言ったら、私の娘が反対いたしました。しかし私自身は、先生も御存じかもしれませんけれども、いろいろの立場でこういういろいろな問題を検討さしていただいております。そして大所高所から申しますと、日本電報制度というものについては、そろそろ根本的に考え直してはどうかという感じがいたします。と申しまするのは、やはりだんだんと経済が発展をするにつれ、またいろいろな形の通信、交通手段が変わるにつれまして、世界的なほぼ共通の傾向といたしまして、電報の取り扱い高がだんだん減っている、こういう傾向がございます。  それから第二点といたしまして、戦前に対する電報の倍率は、資料によりますと約二百倍である。そして一般の消費者物価の上昇よりも半分以下である。さらにこの事業というものは、先ほども申し上げましたように戸別配達制度、しかも二十四時間制、こういったようなものを原則としており、そして公社創設以来そのために三千五百億円の赤字ができている。しかし、おそらくこの三千五百億円の赤字は、現状をもとにして考えまする限りにおいてはもっともっと累積をしていく、赤字になっていくというのが不可避だと思います。そして先ほど参考人の御意見がございましたけれども、それでは今度の電報料金になれば赤字はなくなっていくのかというと、実はそうではないのでございます。つまり赤字の半分もこれによって消えていくということはできない。このようにいたしますと、まことに申しわけない次第でございますけれども、これを国の一般会計で補てんをするというやり方はあまり合理的ではない。しかし、過渡的にはやはりある程度公社の会計とか何らかの操作において補てんをしていかないといけない、こういう形のジレンマというものに直面をしているのではないか。そのような意味におきまして、私は、第一にここで思い切ってその電報関係の事業の近代化合理化と、こういうものを推進していただきたい。それと同時に、やはりこの程度の値上げというのはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに意見を申し上げさしていただいたわけでございます。別に他意があって申し上げるわけではございません。
  36. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは時間があれですので、岩田参考人に一点だけお尋ねしたいと思います。先ほど受益者負担のことについて御意見がありましたが、私どもも、この公共料金ということにつきまして、非常に最近企業性ということを強く表に出されて、公共性ということが薄れ、独立採算制ということを強く公共事業に表に出してきているような傾向が非常に強くて、公共事業の性格というものに私どもも少し疑問を持つことが間々あるわけであります。この受益者負担ということ、特に公共料金受益者負担ということについて、岩田参考人のいま少し御意見を聞かしていただいておけばと思います。
  37. 岩田友和

    岩田参考人 受ける側の立場から、受け方としまして一番はっきりしないのは、公共性の問題について国がどれだけ配慮したかということがはっきり出されない。そして受益者負担ということだけが大幅に前面に出てくる。そうしていわゆるそういうところは非常に不親切であり、マイナスであると思うのであります。それからもう一つは、必要なものは必要なものから取るのだという考え方であれば、これは自動販売機と同じで、一方的に値段をきめて、それに値いするものを払わないものは一切使わせない、求めることができないというような、私企業的なところならそれも通用するでしょうけれども、これはほかに競争原理やいろいろなものがありますから通用するでしょうけれども、公共性を持ったものについては、これを選びとることができない、いわゆる独占的な存在がもうほぼ大部分であります。  したがって、そういう中において、受益者負担という私企業的なものの考え方がいわゆる大幅に出されてくる。それからさらに最近問題になっております付加価値税というような形で、これも形を変えた間接税の増徴でありますから、したがってこれも受益者負担。それから税金が安いという感じを受けていない。それらの関連において受益者負担ということに対する反発は最近ことに強くなっている。そういう中において、やはり国政の場で十分そういう国民感情というものをとらえて適正な施策がそこに示されていく。そして国としての負担、受益者としての負担、それがやむを得ない事情だということが親切にやはり提示される必要がある。その中では必ずしも受益者にすべてをおっかぶせるんではないんだという姿勢は少なくとも明らかにされる必要があると思うのであります。そういう事柄がなくしてすべてが受益者負担ということでやっていくならば、やはり納税者としての不満は選挙のときに明らかになってくるだろう、選挙でこたえざるを得ない、もうそういうふうなところに徐々に来つつある、そういう時期であるということを御留意いただきたいということであります。いわゆる国の責務として公共のサービスを行なうという責務があるわけでありますし、これはあまねく公平にとこの法律の中にも書かれておりますように、すべてそういう性格のものだと思うのであります。そういう中でやはり十分に国民の生活実態というものを掘り下げて、実感として受けとめられるような政策がやはり反映してこなければ、これは国政不信という形または代議制の否定というようなはね上がった考え方に移行してくる危険もありますので、やはり国政の場で十分御留意いただきたいというふうに思っております。
  38. 中野明

    ○中野(明)委員 終わります。
  39. 金子岩三

    金子委員長 栗山礼行君。
  40. 栗山礼行

    ○栗山委員 十二時に終わります予定がたいへん時間を経過いたしまして、十五分ちょうだいをいたしておりまして、その中で御質問申し上げ御答弁もいただく、こういうわけで留意をしつつお尋ねをいたしてまいりたいと考えておりますが、御答弁もできるだけそういう点を、時間内の制約を御配慮いただきたい、かように思うわけであります。  御承知のとおり私、稻葉先生の聴講生として研修会にしばしば出てまいった、言うなら門下生の孫ぐらいのものでございまして、いろいろ御意見を拝聴いたしまして、端的に稻葉先生にお伺いいたしたいのでありますが、例のコモンキャリアの問題ですね。公社はひとつ線貸し業に徹するということが望ましいのでないか、こういう論者もございます。あるいはまた民間にゆだねるべきじゃないかという論者もございます。また別途の情報公社といいますか電電公社の別途公社を創立する、こういうふうなものが望ましいのでないか。いまの省と電電公社総裁は、特別会計だ、こういうふうな形で御説明をされておるやに質問を通じて承るわけでありますが、この点について端的にどういう体系が望ましいか、こういう一点を稻葉先生にお伺いをいたしたい。  二点の問題でございます。どうも稻葉先生の電報料金の問題と電話料金の問題については、事情やむを得ないのでないか、こういうふうな結論的な内容を伺ってまいったのであります。電報の構造的な変化、これまたひとつ私ども理解ができます。それから二十八年以来累積赤字と称せられております四千百億ですか、そういうふうな数字をいわれておるわけなんで、この点もこれなりに理解をいたすのでありますけれども、これは総括いたしまして、電電公社電報でそれだけの累積赤字を出しましても電電公社の収入減にはなってないのです。電話でふえておるんです。同じワク内の財政の中でこれはそういう収支の内容を持っておる、こういうことだけは事実であろうか、こういうふうに思うのであります。あまりに高い電報料金、こういうようなことになってまいったということを端的に私ども理解をいたしておる。そこで、まあまあ妥当だ、こうお師匠さんが言われるので、これはちょっと困ったねという感じをいたすのでありますが、この点についてやはりもう少し掘り下げていくべきでなかろうか。  それから特に稻葉先生に伺っておきたいのでありますが、今度は慶弔電報すら廃止する、こういうことでございます。これは廃止する沿革、その理由というものについて那辺に存したかということも理解ができないのでありますが、これは赤字ということになりますか原価高ということになりますかそれはわからないのでありますけれども、やはり長い、いい習慣は持続すべきである、こういうふうな論者もございますし、私もその一人でありますが、この問題についてどう稻葉先生が把握、御理解をされておるか。  それから時分制の問題については、私は原則的に賛成であります。通信回線の問題もございましょう。ノーズロで無制限というような市内通話はございません。ところが市外はそうではない。こういうふうな相矛盾した内容等も持っておる。こういうことでございますから、私は原則的に賛成なんです。ところが料金の問題になりますと、御承知のように、電電公社のほうでは大都市では黒字、小中都市では赤字だ、こう言っておられるんです。時分制になりますと、これは御承知のとおり東京、大阪なんてとんでもない料金の値上げになる、こういう事実をこれは見落とされておるのでないか。午後、私は当局と電電公社にひとついろいろ御答弁を願いたい、こう考えておるのでありますけれども、この点も稻葉先生が何か与党的、政府的、一つの何か同調的なような感をいたしますので、私はこの問題に限って三点お尋ねを申し上げたい、こういうことでございます。
  41. 稻葉秀三

    稻葉参考人 私は、実は民主主義の運営におきましては、国会が最終の国民の意思を決定されるという機関だと思っております。したがいまして、私は別に先生の前で先生ぶろうという意図は全然ございませんし、むしろ先生方が大所高所から何とかひとつ日本の将来のことを考えて御審議していただきたい、こういったような気持ちでお伺いしたわけでございます。  そこで、第一のコモンキャリアと電電公社は別途会計にしろということにつきましては、私は理論的に申せばその意見に賛成でございます。しかし先ほども申し上げましたように、公社とされましてもやはり内部的な事情それからいろいろなことがあり、さらに今度は私たち意見もおいれ願って、それで私たち自身もやはり新法は前進的でなければならない、こういうふうに思っておる次第でございまして、一〇〇%というわけではございませんけれども、今回につきましては、私は電電公社さんのデータ通信につきましてこれを進めていただきたい、現状よりはプラスになるのではなかろうか、またこれを通じまして予想以上の大きな変化が起こってくる、このように思っておりますので、御支持申し上げたいと思っております。  それから第二点に、電報料金のことでございますけれども、端的に申しまして、私は、戦前また戦争直後と実は電報というものの性格というのが日本の中で変わっているのではないかと思っております。つまり、昔は緊急性、こういったようなことが中心で電報が広く大きく活用されております。しかし、最近になりましては緊急性のほうは世界的に電話のほうへ移るということになりまして、そしてお祝いだとかお悔やみだとか、そのほか一般的な陳情、こういったようなことで電報利用される、こういったような割合が大きくなっている。もう一つ申し上げたいことは、現在の電報制度、つまり配達制度というものをとる限りにおきまして、やはりそれぞれの地域には配達要員というものを置いていかねばならない。そして配達要員の方々に対しましては、やはりそれだけの一般のベースアップというものを保障していなければならないとなりますと、案外コストがかかる、このように思います。  さて、そのような観点から申しまして、私は先ほど先生がおっしゃいました構造変化というものを大きくして、そしてむしろここでは一〇〇%の料金ではございませんけれども、やはり赤字を少なくする、またそれによって近代化を進めていく、こういったような制度をとるべきときがきたのではなかろうかという見方、考え方でございます。しかし、もしも政府やあるいは議会の御決議でどうしてもこれはひとつやっていかねばならぬサービスであり、ほかの、たとえば公共料金に優先するんだ、私はそうは思いませんけれども、そういうふうにおきめ願いますれば、賛成いたします。
  42. 栗山礼行

    ○栗山委員 次に、岡本先生に電話の問題で設備料の問題についてちょっとお伺いいたします。御承知のとおり、この沿革は四千円から一万円になり、一万円から三万円になり、三万円から今度は五万円だ、こういうことなんですが、設備料という一つの定義の問題なんですが、何か受益者負担の、公共料金のほうからワクをはずしたような考え方でこの設備料というものの解釈をもって臨んでこられておる、こういうふうな理解をするのであります。これは私、たいへん残念に思っておるのです。もう少しこの法律を見てみますと、これは明らかに公共料金の規定があるんですね。それをこうワク外に離して受益者の一部の負担金、こういう公共料金外の受益者負担の一つの制度的な内容かのごとく運んでこられる感がある。私は非常に法律的にじゅうりんしたものだ、こういうふうに考えておるわけなんですが、この点をひとつ先生どうお考えになっていらっしゃるか。  それからコンピューターの問題について、稻葉先生の理論は弾力的運用、そうして一つ基本法というものについてのとらえ方については非常に意味深な表現をされましたが、先生はやはり基本法を制定して取り組んでまいらなくちゃならぬ。今度も、御承知のように、大臣の認可行為にはこれは五つございます。それから省令にゆだねるものが七つもございます。そして試行錯誤的にものをはかっていくというような感を深めるのでありますが、そうすると先生のお話のように、一体どこでチェックするんだということについてもきわめて権威のある御意見として拝聴いたしたのでありますが、この二点についてお伺い申し上げたい。
  43. 岡本秀昭

    岡本参考人 お答えいたします。  その問題は、公企体というものの持っている基本的な性格から考えて、二つの論点を一緒に議論できるというふうに思うわけです。御指摘のように、設備料はぐんぐん上げられてきて、そうして電電公社の予算の費目の中では外部資金の中に入っておる。したがって、それは料金扱いに位置づけされておらないというものでありますが、消費者の側から見ますと、いわば設備料と同時に債券も負担するという二重の負担の中で、事実上それは料金にひとしい。したがって、単に時分制の採用ではなくて、設備料のほうはたいへん重視すべきだというふうに私は思いましたわけです。とりわけ電報について、国際的な近代化の波がありますが、それが自動的に一括引き上げとなるかどうかは別として、たとえば緊急電報については、料金的に特別な配慮を加えるというふうなことは十分考えられますし、夜間配達はたとえば廃止する、そういうさまざまなきめこまかい方策が十分考えられるわけで、そういう電報近代化、それからデータ通信の発達、それに伴って、たとえば通話時間の制限ということが一連として出てくる中で、なおかつ料金もそういういわば生活必需品として、そして情報産業化に伴っては前提的に普及を奨励すべきものが抑制的になされるということについては、先ほど申しましたように、たいへん問題があるというわけであります。  それから第二の問題は、わが国の場合には事業計画やあるいは資金計画というものが、公社制度のもとでは国会の承認事項となっておりますが、諸外国の場合には行政委員会のいわば管理下にある。そこではたいへん細部的に事業計画において専門的な検討が、公共性を持ちながら加えられるというシステムができ上がっておるわけで、特にたとえば内閣や大統領直轄の情報委員会がなくてもある程度チェック作用をしますが、わが国の場合にはそのいずれも欠けているという問題がある。そこで私は、やはりこの際情報委員会というものを、その基本的な趣旨においては超党派的にいわば理解されていると思いますので、事柄の重要性にかんがみて、単に試行的なやり方といわずに、そしてすべてを省令にまかせるのではなくて、やはり各省庁を大きく統括した、国民世論を反映するような組織がぜひとも必要であるという意見を変えません。
  44. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうもありがとうございました。
  45. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  46. 土橋一吉

    ○土橋委員 参考人の皆さん、ほんとうに御苦労さまでございます。ありがとうございます。  私は、稻葉参考人にお尋ねをいたしますが、稻葉さんもおっしゃいましたように、ガバメントの協力的な仕事を六〇%やっておる、こういう御説明でございまして、私は岩田参考人がおっしゃいました電報料金の引き上げの問題、それから広域時分制による三分の問題で、百六十億の収益があるではないかというような問題をいろいろお話しになって、たいへん国民的な立場、消費者の立場を強く主張されまして、全く同感でございますが、この岩田さんの御意見によりますと、最近物価も上がっております。昨年の秋には私鉄の運賃を二三%、今回は郵便料金を三五%以上、そしてこの四月の十七日から小包が約八〇%上がったわけです。最近は、御承知のように、新聞料金も五大新聞をはじめとしてたいへん上がっております。ガソリン代も上がりました。タクシー代も上がりました。牛乳代もいま上がろうとしております。こういう物価引き上げということがいかに国民生活を破壊をするかということは、稻葉参考人もよく御承知だと存じます。あえてそういうことを賛成しておるのは、自由民主党と佐藤内閣だけであります。おそらく国民全体は反対しておるわけであります。それであるにかかわらず、参考人が、どういう根拠で――この物価問題を安定しなきゃならないと政府もそういうことを言っておるわけです。にもかかわらず、こういう料金を上げることによって――特に電話の架設料は、先ほどからいわれておりますように、三万円が五万円、約七〇%近い値上がりになるわけです。こういうことについてなぜ賛成をされるのか、そのおもな根拠、あるいはどういう理由でこんなに物価を上げることにあなたは賛成をされるのか、この理由をひとつ簡単に聞かしていただきたい。
  47. 稻葉秀三

    稻葉参考人 初めにお断わりしておかねばなりませんが、私は、政府委員会に参加をしております。いろいろな仕事をお手伝いをしておりますけれども、別に自由民主党の意見にそのまま賛成だと、こういう人間ではございません。したがいまして、私自身の意見で申し上げるわけでございます。  しかし、まず土橋先生に申し上げたいのは、まあ私も戦後いろいろな経済の計画とか仕事というものに参加をさしていただいておりますけれども、やはり物価というものが現在世界的に非常に大きな上昇になっている、こういったような事実は、私は無視できないと思います。そしてそれの根本的な原因といたしましては、やはり社会の構造が移り変わっていく。それからさらに人の問題も含めまして、いろいろな問題がかつてないほど複雑な形になっている。そしてそのようなことを見きわめないで、個別的な対策をとるという限りにおきましては、矛盾はますます拡大をしていくのではなかろうか、このような観点に立っております。そして特に公共料金としてむずかしい問題は、私、実はけさから始まりまする米価審議会の委員もいたしておりますけれども、やはり都市並みの賃金にプラスアルファで農民にお米を買って差し上げねばならないという現行制度のもとにおきましては、必然的に生産者米価というものが上がってまいります。そして消費者米価を据え置きにする限りにおきましては、赤字は累積をしていかねばならぬという必然性を持っております。  また、電報にいたしましても、需要が減って、そして電電公社あるいは郵政省としては何とかひとつ収入を増大をするといったようなことでいろいろ努力をされて、そしてまあ慶弔電報とかいろいろなくふうをされましても、現実の場合におきまして、いまの制度をとる限りにおきましては、ずっと赤字がふえていく、こういったような点は避けがたいように思います。  したがいまして私は、決して物価安定という趣旨を除外をするわけではございませんけれども、たとえば土橋先生のかつて専門的におやりになりました郵政あるいは電報等におきましても、やはり国鉄の問題やあるいはまた米の問題と関連をして、どのような態度をとるべきか、こういったようなことに帰着をする。そしてそれが実は、物価対策のきめ手だと思っております。そしてそのような観点から、私がまず申し上げたいのは、もしも物価安定というものが必要でありとするならば、公共料金是正をするために国民はもっと税金を払う、こういうことをやはり覚悟しなければならないと思います。しかし、そのようなことをいたしますと、今度は他の場合におきまする社会的な矛盾、こういったようなものが拡大をしてまいります。また、私たちは、現在の発展の結果といたしまして、公害といったような問題に非常に苦労いたしております。しかし、これもただゼスチュアだけの対策ではだめだといたしますと、どうしてもやはりそれに対する資金を増大をしなければなりません。ですけれども、なかなかいまの政治のたてまえでは、はっきり申せば、税金負担は少なくする、そして支出は多くする、おまけに役人の月給は上げる、そして行政改革については反対だ、その姿勢が私は問題だと申し上げたいのであります。もしもほんとうに先生がそういったようなお立場になるとするならば、むしろほんとうの共産党の政策はもっと現実的に変わったものにならなければならないと、そのように思っております。  決して私は、先ほども申し上げましたように、物価が上昇する、また公共料金が上がるということに賛成ではございませんが、世界的ないまの趨勢から申しますと、そこの根本的な問題にまでメスを入れて、それに対する答えを出すということを、政党やあるいは議会でもっとおきめになっていただきませんと、実は私どものようなうろちょろして枝葉末節の仕事をしている人間はますます戸惑いするばかりであるということを申し上げたい次第でございます。
  48. 土橋一吉

    ○土橋委員 たいへんな御高説をいただきましてほんとうにありがとうございます。私は、ことばを返すわけじゃございませんが、現在の佐藤政府が第四次防などでばく大な金を使うとか、あるいは対外投資などで金を使っておるというような問題についてお触れにならなかった点をたいへん残念に思っておるわけですが、次は、私は岡本参考人にお尋ねしたいと思うのです。  たいへんりっぱないろいろな御説をいただきましてほんとうにありがとうございます。私は、あなたにお尋ねしたい点は、この公衆電気通信法の第一条の規定に「迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供すること」ということが書いてあるわけです。これが基本でございまして、第二条のところでこういうことが書いてあります。御承知かと思いますが、「一 電気通信 有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること。」これが基本であるわけです。私は、このデータ通信制度については、ここに書いてある基本的な内容をさらに越えまして、たとえば加工したデータを出すとか、あるいは加工しながら特別の符号のものを音声に変えるとか、こういう一定の操作が行なわれるわけです。したがって、この公衆電気通信法第一条、第二条の規定から見るならば、データ通信というのは、いわゆる有線、無線によって一定のそういうものを送るけれども、情報産業全体というものは一つのシステム的なものであって、それは回線コンピューターがつくとか、あるいは端末機器を備えるとか、一定の一つの体系をなしたものだというふうに私は考えておるのです。したがって、この第一条、第二条の規定から見るならば、情報化産業というもの自身、それはかなり別の法体系を持たなければいかぬじゃないかというふうに私は考えておりますが、そういう点について先生の御意見、これが一つです。  第二番目の点は、稻葉参考人は、大資本に奉仕をするものではないということを三回ほどおっしゃいました。私は残念ながら、どうもいまの段階におきましては、先生もちょっとそういう点間接的に触れられましたけれども、これはやはり大資本のつまり生産あるいは販売あるいは人事管理あるいは輸送というものに至大の影響を与えて、それで大資本奉仕の傾向が非常に顕著じゃないか。むしろさっきおっしゃいました、計算をお願いしたいとか、ちょっとお医者さんに私の心電図を見ていただきたいとか、ここまでになるのには少なくとも五年、六年かかると思うのです。この法案の制定は明らかに大資本を中心といたしまして、そうしていま問題になっておる沖繩では二十六ドルで電話がつくわけです。これは日本の金に換算すれば一万円です。高度に発展をした資本主義国家であって、非常に通信を誇っておる電電公社は、五万円の架設料を取って、つけたらば基本料金も取って、そして時分制をとりながら、債券まで買わしておるわけですね。こういう因業な方法で、要するに全国的なネットワークをつくる。不届き千万ではないか。これはやはり第一条の規定からいうならば、稻葉先生のお話ではございますけれども、これはあまねく公益に寄与しなければならないし、人民の持っておる電話電報であるわけです。こういう点から、いまの状態では、あなたがおっしゃいますように、やはり基本的なワクを特に大資本に対しては、特にそういう金もうけをもくろんでこれを利用させようというものについては相当な規制をしなければいけない。これが第二番目。こういうことについて先生はどうお考えになっておるか。  第三番目は混乱の問題です。これはもうアメリカのATT、ウェスタン・エレクトリックの問題もございますけれども、現に昨年ニューヨークで米澤総裁がいらっしゃったときに大混乱を引き起こしまして、総裁も御承知になっておると思うのですが、そういうことに対する規制といいましょうか、一番肝心な電話の積滞も解消しないでおいて電話をかける人や電信の方々に迷惑をかけるようなそういうことが起こり得るということをわれわれは考えるわけです。こういう点について先生の簡単な御意見をひとつお伺いしたい。
  49. 岡本秀昭

    岡本参考人 それでは簡単にお答えします。  まず第一の点でありますが、冒頭に申しましたように、データ通信コンピューター結合するシステムというものは、電気通信法やあるいはソフトウエアに関する立法で処理し得るような範囲の問題を出ているということですね。したがって、それに対してはその情報化の問題としてあらためて大きく全体的な立法のワク内において考えていくべきだということであります。ただし、まだお話にありますようなナショナルなシステムが具体的に、たとえば産業あるいは政治の世界において顕在化しているかというと、それはやはりまだまだ将来の問題であろうというふうに思うわけです。ただ、そういうナショナルなシステム、これはたとえば各業種ごとに、あるいは専門監督官庁機関ごとに、あるいはそれらを統合したものとして、やがて出てくると思いますが、それらがどういう目的のために使われるかということがたいへん大きい問題で、それは第三点にお話しになりましたような、かりにたとえば電気の産業で全国的に成立しておりますネットワークの中枢部が混乱したらどうなるかという問題も生むわけで、それに対しては、たとえば東京と大阪にセンターを分散する、そのような広い意味での福祉から見たら配慮、国民的なセキュリティーから見た配慮が必要である、これもやはり情報基本法のレベルで取り上げられる大きな問題であるというふうに思います。  第二点の問題でありますが、今回の法案は、部分的に見れば、たとえば電話に関する財産権のより大きな保障でありますとか、たとえば移動してよろしいという問題やあるいは生活圏の拡大に応じて適合しようとしているというふうな試みもある程度認められるわけで、そういう意味でその条項のすべてが広い意味での国民的福祉に違反するものとは思いませんが、たいへん大きくマクロに見た場合には、やはり直接データ通信に関する通信網の開放という、いわば大企業の要請にこたえて、それに対する付随的な改正をやりながら、かつまた公社経営の財政の健全化を目ざしたという性格は、この法案の全体を見る限りにおいてやはりはっきりしているというふうに思うわけです。  以上で終わります。
  50. 金子岩三

    金子委員長 ほかに御質疑はございませんか。――別にないようでありますので、これにて参考人意見聴取は終わります。  参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見を伺い、まことにありがとうございました。おかげをもちまして本案審査に資するところ大なるものがあったと存じます。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  午後一時五十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十九分開議
  51. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出郵政大臣。
  52. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 前回の当委員会におきまして、堀委員が保留されました特定通信回線に関する予算の範囲内という問題につきまして釈明をいたします。  特定通信回線は専用線と設備的には同じものであり、従来専用線として販売してきたものでありますので、予算編成の時点では両者を込みにして専用線工程として積算しておりました。しかし、本法案審議にあたっては、専用線のうち、特定通信回線使用契約にかかわる部分の予算の範囲を明定することが当然でありましたが、事務当局の手落ちのためそれが明らかにされていなかったことはまことに申しわけない次第と思っております。今後はかかることのないように十分注意をいたします。
  53. 金子岩三

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  54. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとあわせてひとつ。その範囲を定めたということでありますから、事務当局から答弁をいただきたいと思います。
  55. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  特定通信回線として定めました個数は、市内回線につきましては千五百二十回線、それから市外回線につきましては七百八十回線、金額といたしまして十三億円、こういうふうに定めた次第でございます。
  56. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの問題は大臣から御釈明がありましたから了解をいたします。  引き続き、前回残っております問題の一つは、電話計算に関する二十一秒七円という問題について、一体回線使用料はどうなるのかということについてお答えがございませんで、追って調査をして答えたいということでありましたから、この点についてひとつお答えをお願いいたします。
  57. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  現在電話計算システムの料金は二十一秒までごとに七円となっております。したがいまして、七円を二十一秒で除しますと、一秒当たり三十三銭になるわけでございます。ところで、一方この料金をきめますときに、一秒当たりの回収額と申しますか、それをきめましたわけですが、計算をいたしましたわけですが、その中には、項目として二つございまして、一つは電子計算機の一秒当たりの処理料と、もう一つはこの回線の一秒当たりの使用料と、この二つの要素がございます。この二つを計算いたしますと一秒当たり二十八銭というのが妥当な数字になるわけでございます。これの内訳を申し上げますと、二十三銭に相当いたします部分が先ほど申し上げました電子計算機の一秒当たりの処理料でございまして、残りの五銭が一秒当たりの回線使用料になります。ところが、これを今度は七円が単位でございますから七円にいたしますと、七円でどれだけ秒数利用できるかということを逆算いたしますと、七円で二十四秒、二十四秒使って七円という単位でお金をいただけば、先ほど申し上げました一秒当たり二十八銭のコストが回収されるわけでございます。ところが、この課金装置が、二十四秒という課金装置がちょうどありませんので、二十一秒のところで課金装置をいたしております。したがいまして、その結果、一番最初に申し上げましたように、一秒当たりの単価は、回線と電子計算機の使用料両方合わせまして三十三銭、こういうぐあいになろうかと思います。
  58. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお答えを聞いておりますと、三十三銭というのは二十一秒七円から計算されたものですから、電子計算機の使用料と回線の使用料との合計である。いまのお答えで、電子計算機の使用料は一応二十三銭、こういうふうに計算が出た。ですから、そうすると、いまのあなたのお答えでは、回線の使用料は五銭であるけれども、しかしその度数計が二十四秒というのがないから二十一秒にした結果、五銭の回線使用料は十銭になった、こういうことですね。そうすると、実際はいまの公衆通信回線をこれから使用する形になるときに、これはまた変わってくるのではないかと思いますが、いまやっておる電子計算システムは、今後広域時分になっても、この二十一秒七円というのは動かないのかどうか、それをちょっと承っておきたいと思います。
  59. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えをいたします。  ただいまの御趣旨のようなことで、三分七円というぐあいの時分制に市内通話がなりました場合に、これに対応して電話計算サービスの回線使用料を再計算いたしまして、必要なれば修正をいたしたいと思っております。
  60. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでちょっともう一つお伺いをしておきたいのは、販売在庫管理というシステムがあって、十二月三十一日現在で三十三回線数が使用されておる、こういうことでありますが、この現在の販売、管理システムというのは、おそらくいろいろなものの販売をすれば、すぐそれを打ち込まなければあとにデータとして処理できませんから、そのつど打っていますから、私は、回線の使用回数、使用頻度というものはかなり高いのじゃないか、こう思いますが、一体この三十三回線に基づく販売、在庫管理の、一カ月でも一日でも、どこか平均的なところでいいのですが、大体これらで平均して、一体一日なり一カ月に回線が何回ぐらい使用されておるということになっておるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  61. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  販売、在庫管理につきましては、回線使用料は定額制をとっておりまして、この定額制の根拠になっておりますのは、市内専用料の平均額をとっております。市内専用料の平均額は、月額千七百円という数字を使っております。
  62. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると販売、在庫管理は市内専用線の平均額でやり、電話計算のほうは度数料的に処理をする。これは何かそういう法律的根拠というか、こういうふうに区分けをする基準といいますか、これは電話計算なら円秒だ、片一方の回線部分は市内専用線の平均額で処理をする、なぜこういうふうにしておるのか、その理由をちょっと承りたい。
  63. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  現在の電話計算あるいは販売、在庫管理システムの料金は、いずれも試行サービスといたしまして認可を受けておるわけでございますが、この法律が通過をいたしますればあらためてまた認可をいただくわけでございます。現在の考え方といたしましては、この販売、在庫管理は、その時点で特定の方がお使いになるわけでございます。ところが、電話計算のほうは、プッシュホンをお持ちの方はどなたでもお使いになれるという点が違います。したがいまして、その前者の部分につきましては市内専用料という見方で、平均市内専用料の定額制をそのまま使っておる、これが現在の試行料金の中での考え方でございます。
  64. 堀昌雄

    ○堀委員 この法律が通ったあと公衆通信回線を使用して行なうものは、要するに広域時分制が導入をされてからである、こういうふうになっていますね。そうすると、いまの販売、在庫管理システムというのは、この法律が通ったらこれは特定通信回線になる、こういうことですか。私は、これはやはり特定通信回線ではなくて、公衆電気通信回線のほうに入るのではないかと思うのですが、その点、これはどちらに入るのですか。
  65. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 この法律が通りますと、これはいわゆる公社直営のデータ通信として正式に認められることになります。その場合に使います回線といたしましては、公衆通信回線的なものであることははっきりしております、販売、在庫管理は。したがいまして、広域時分制になりました時点では、これは当然いまの定額制をやめまして、時分制というような形で再計算をして料金を改めるのが私は当然だと思っております。そういう形で再認可をいただく予定にいたしております。
  66. 堀昌雄

    ○堀委員 いまやっておるのは、最初のお話では、要するに試験的にやっておるという話ですね。試験的にやっておるものを、片方の電話計算のほうは、同じ試験的だけれども、将来の公衆通信回線になっても変化がないような仕組みにしてある。そうしてこちらのほうは、同じ公衆通信回線を使うことになり、現在も使っておるのだと思います。専用線じゃないと思うのです。その公衆通信回線を使いながら専用線の定額にしておいて、しかし、それは先に行けばまた時分制に戻すのだというなら、試験的に処理をするやり方としてもおかしいのじゃないですか。要するに、先を見通して、当然それはそういうことでやっておかなければ著しく差が出てくるのじゃありませんか、もし広域時分制にしたときに。  私がいまこれを伺っておるのは、電話計算システムというようなものは一体どのくらい頻度があるかということは非常に測定困難だと思いますが、しかし、少なくとも販売、在庫管理のようなものはある一定の頻度がなければ実は用をなさない性格のものですから、相当頻度が高い。その頻度の高いものに対する回線の使用を、いまは定額制である、これは非常に疑問があるのですね。試験的だからということで、エクスキューズがあるかもわかりませんが、公衆通信回線をこういう市内専用線の平均額のようなことで処理をしているほかの例がありますか。
  67. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  ただいまの販売、在庫管理と科学計算システムのほかにございません。先ほど申し上げましたのは、いまの状態で従量制にいたしますためには、電話計算と同じに別に課金装置をつくることが必要でございます。それをやりますよりは、現在の試行の段階でそのまま定額制でやっておきまして、時分制になりましたときにそういう新しい再計算をしたほうが妥当ではないかと私ども考えたわけでございます。
  68. 堀昌雄

    ○堀委員 計算をし直すという形にしたらこれは安くなりますか、高くなりますか。皆さんはもうすでに、大体広域時分制についての機械的な処理はおくれているでしょうが、要するにメカニズムの計算のシステムはできているのでしょうから、これはいまの人たち広域時分制になって、時分制に置きかわったときに、大体千七百円より高くなるのですか、安くなるのですか。
  69. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  これはいまの販売、在庫管理にいたしましても、平均どのくらいお使いになるかというデータがまだそろっておりませんのでわかりかねるのですが、定額制よりは確かに安くなる方も出てまいりましょうし、また、従量制になりますから、非常に頻度の高い方は高くなる。その具体的な差は、使用頻度がある程度安定いたしまして資料が整うまではちょっとはっきりわからないのじゃないかと思います。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、最初に頻度を伺ったのは、昨年の十二月に三十三システムあって、そして今日もう四月ですから、当然それを試験的にやっているのでしょうからね、これを試験的にやっている以上、それについては頻度なり何かを全部計算されながら、それで一体先へいったらどうなるかということで、それをやるのが試験的にやっているということじゃないでしょうか。ただサービスだけしておればいい、こういうことになっておるのじゃないと私は思うのです。その点はどうですか。いままでの頻度はとれるはずだと思うのですが、その点ひとつ明らかにしてください。
  71. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答えをいたします。  販売、在庫管理システムの端末当たりの実際のコンピューターの使用時間につきましては、十月からサービス開始をした関係もありまして、現在詳細なデータはまだとれておらないわけでございますが、現在分析中でございます。  一方、端末当たりの収入という面から、 コンピューター並びに端末の使用の状態というものは把握できるわけでございます。その面から見ますと逐次ビルドアップしておりまして、当初予定しておりましたのは端末当たり平均二十二万円ぐらいのところになっておるわけでございますが、大体十七万円ぐらいの使用の量になっておる、こういうことでございまして、数字的なトラフィックの面につきましては暫時御猶予を賜わりたいと思っております。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 じゃ、皆さんのほうで予定された二十二万円というのは、一体使用頻度幾らとして二十二万円ですか。
  73. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  コンピューターの使用時間は一年におおむね二千七百時間ぐらいだったかと思うのでございますが、ちょっとこの点はさだかでありませんが、おおむね一年二千七百時間使うという前提に立ちまして、それからユーザーのほうの仕事の内容をお打ち合わせいたしまして、そうして伝票の処理件数、それから一枚当たりの伝票の処理時間というものから割り算をいたしまして、そこでこの程度であるという前提に立って計算をしている、こういうことなんでございます。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 伝票の数をいまあなたのほうでは基礎にしておると、こういうことですから、それは一枚ずつの伝票になるのかどうなるのかわかりません。私も事情はよくわかりませんが、いまの二千七百時間というものを予定をした以上、さっきも電話計算については平均が百十一秒ですか、というようなことになっておるようですが、やはり一回当たり、一計算当たりの単位時間というものは何らかの想定を皆さんしておられるはずだし、この想定した単位時間でいまのコンピューター使用時間を割れば、当然使用頻度が出てくるんじゃないでしょうか。どうでしょうか、そこは。
  75. 井上俊雄

    ○井上説明員 販売、在庫管理システムの端末からアクセスします一件当たりの処理時間はおおむね二十分ということでございます。当初の設定はそういうことにしております。
  76. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がありませんから、これは少し皆さんのほうも準備不十分でありますから――この問題は非常に重要な問題で、私がこれをずっとこだわってやっていますのは、特定通信回線利用する人が今後非常に回線使用料としてフェーバーを受けて、そうして公衆通信回線を使っておる人はあくまでも度数で取られていくということになれば、データ通信というものは日に二、三回使えばそれで済むということではなくて、相当使用頻度が高いというのがあるべき姿だと、こう私は考えているわけです。使用頻度があの程度高いとすれば、さっきの話のように千七百円というような、これはたまたまいま市内専用線の平均額を出されたから、これが今度特定回線を、おそらく市内線における定額の形にこの千七百円というものがもしかりになるとすれば、この千七百円をいまの単位当たりの時間で割ってみて、そうしたときに、一体これの使用料ですね、回線の、要するに度数料との比較で見ると、度数料のほうがかなり割り高になるのじゃないか。第一、いまの計算の電子計算そのもので見ても、本来回線でペイするものをたまたま度数計ですか何かが三十秒と二十一秒しかない。だから、二十四秒のところは三十秒に持っていったら公社が損するから切り上げて二十一秒へ持っていっている。その結果五銭が十銭になっている。こういうことで、そうでなくてもいま実際よりは負担を高くされておるわけですね。いまですら高くなっておる。これはまあ将来三分七円になれば当然もうちょっと下がると思います。なぜかといえば、いま皆さんのほうが普通の通信ですか、あれを百何秒かに見ておられるけれども、実際にはこれは三分になれば百八十秒ぐらいになる。ですから、割り戻した単位というのはもっと小さくなりますけれども、いまでもそういうことでやや割り高な負担をかけておる。これがおそらく特定通信回線とさっきの公衆電話網のほうを使う者との間に非常に格段の差が出てきて、要するに特定通信回線を使うものが非常に大きな利益を受けて、度数制のものは非常に割り高になる。これでは、私は、この前から申し上げておる公衆電気通信法第一条の、あまねく公正な価格ということにはたしてなるのかどうか、これは非常に疑問があるわけです。きょうは私も持ち時間もありませんので、これでこの問題は終わりますが、これはいずれひとつこの委員会で、私がきょう御質問をしておる頻度の問題、現在における販売、在庫管理の頻度その他の問題を正確に出していただいて、この千七百円と、現在の頻度から見たらこれは一体割り安なのか割り高なのか。要するに、そのことは何を意味しておるかといえば、特定通信回線、公衆電気通信回線の将来のあり方の一つの目安がここの中にあらわれておる、こういうふうに私は理解をしておるわけでありますから、これらの問題について十分ひとつ資料を整備をしていただいた上で、適当な時期にもう一回この問題については質問をさしていただくことを委員長にお願いをしておきたいと思います。  最後に、実は、今回の法案の中で設備料を再び引き上げるとか、公社としては国民負担をかける提案がされているわけです。ところが一方、近畿の通信局は、中之島にある約三千坪余りの土地を、今度大阪地区開発株式会社というのに土地を貸して、そこに大阪地区開発株式会社というのは三十何階建てかのビルを建てるということが伝えられております。もうすでに問題はだいぶ進捗をしておるようでありますが、片や今度は、私は阪大でありますが、この阪大の微生物研究所のあと地に二十四階建てのデータ通信の何かセンターをつくる。その二十四階建てのデータ通信のセンターをつくることは、その北側に住んでおる住民に日照権の問題としておそらく問題を残すことになるだろうと思うのですが、二十四階まで建ててもなおかつ全部これでまかないきれないというので、データ通信の部分の一部は、その他の部分、たとえば新しいODDのビルの中に入るのではないかというふうに伝え聞いておるわけであります。これらの問題については、公社の財産が民間に貸与されるということになるわけですから、その貸与については公社が不当な損失を受けるようなことがあってはならない、私はこう考えておるわけですが、この間私、大蔵委員会で、この問題に関連して、国有財産の取り扱いについて理財局長と大蔵大臣の間で、少し前提となる質問をしておきました。いまこういうことになっておりますから、これを御了承の上次回の適当なときの委員会でけっこうですから、報告を求めておきたいと思います。  それは、この土地は時価として一体幾らに評価しておられるのか、公社及び郵政省がどういうふうに評価しておるのか、賃貸料は一体どういうことになっておるのか、そうして問題は、民間に貸し与えてそこへ鉄筋のビルができるということは、将来的にはその土地はその会社に売り渡すことになるのか、公社があくまで保有していくことになるのか、そのことに関連することは、要するに地上権の問題、将来的には借地権に転化するところの地上権に相当するものを公社はその民間の会社から取る意思があるのかどうか、取るとすれば、その地上権は一体幾らのものを想定しておるのか。これはこの間の大蔵委員会で大蔵大臣及び理財局長との間に、今後国有地を民間に貸与する場合には地上権の問題を含めて処理をいたしますということを大蔵省は答弁をしておりますから、私は、国有地であろうと公社の財産であろうと、少なくとも公社の財産というものは国有地に準じた取り扱いを受けるべき性格のものであろう、こう考えておりますから、これらの問題についてひとつ詳しい資料の御提出をいただいて、追ってこの問題は質問さしていただきたいと思います。  というのは、片方で国民設備料を上げろといって負担を求めながら、片一方に公社にある土地を民間に安く貸し与えるのでは、国民立場として納得できない、要するにやはり公正な費用をもって処理されなければならない性格のものだ、私はこう考えておるわけでありまして、これらについての資料を一回御提出をいただいて、その上でひとつこの問題についての質問をさしていただくということを委員長にもお願いをいたしまして、私の質問をこれで終わらしていただきます。
  77. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  78. 武部文

    ○武部委員 大臣は中座されるようなことでしたが――大臣が中座されますので、話は前後いたしますけれども、御了承いただきたいと思います。  最初に法務省にお尋ねをいたしたいと思います。先日、堀委員のほうからプライバシーの問題について質問がありまして、あなた方のほうから答弁がございました。去る二十三日参議院の本会議で、久保等議員の質問に対して法務大臣がこの問題に答えておられるようであります。そこで私は、最初にこの問題をお尋ねするわけでありますが、情報の価値とその保護、そうした問題についての必要性についてはすでに確認をされたというふうに理解をいたします。このプライバシーの問題は、先般あのリーダーズ・ダイジェストとそれから日経マグロウヒルとの間に問題が起きました電磁テープの写し取り問題、こういう問題がすでに発生をいたしておりますし、今後もこの種の問題が起きる可能性は当然予想されるところであります。したがいまして、このプライバシーの保護の問題は、公衆電気通信法による通信の秘密保持、こういう形だけでは律し切れない、このように私どもとしては理解をするわけであります。したがって、この点について、先般法務省のほうから企業の秘密漏洩防止に関する法律、こういうものに対処をして考えたいというような答弁があったわけですが、ただ単に企業の秘密漏洩というようなことではこの問題は解決できないのじゃないか。あの際にも堀委員のほうからもお話しがありましたように、医師あるいは病院におけるカルテ、さらには戸籍、人事記録カード、こういうようなもの、いわゆる個人の個々の記録に関する情報というようなものが非常に多くなっておる。それらの保護、いわゆる基本的人権に至るものまで含めて広い意味におけるところのプライバシーが完全に保護される、そういう必要があると思うのです。そういう意味で、すでに予想されるものについて対処するということはこれは当然であって、そのための法的な措置が事前に講じられなければならぬ、このように思います。したがって、あの際法務省からの答弁がございましたが、そういうことだけではこの問題は解決できない、こう思います。この点は官房長官もこのことを肯定されておるわけであります。ところが、参議院の本会議において法務大臣の答弁を見ますと、現在刑法の全面改正審議しておる法制審議会刑事法特別部会においてその作業の一環として検討が進められておる、こういうような答弁がございましたが、一体このめどはいつごろなのか、どういう作業工程でいつごろこのプライバシーの問題を法的にはっきりしたものにしようとしておるのか、このめどをひとつ明らかにしてもらいたい。でないと、先般の答弁のように、いつごろかわからない、三年先なのか五年先なのかわからぬというようなことでは、これはたいへん問題が大きいので、この際一応のめどを明らかにしていただきたい。この点が法務省に対する質問であります。
  79. 前田宏

    ○前田説明員 ただいまの御質問のことでございますが、前回、堀委員の御質問に対しまして、いまおっしゃいましたような、企業秘密の漏示ということにいわば重点を置いてお答え申したような感じがいたしますけれども、いま仰せの問題はむしろそれではなくて、一般的なプライバシーと申しますか、秘密の問題に重点を置いての御質問のように承ったわけでございます。その点につきましては、たしか前回でも少し触れたかと思いますけれども、たとえば先ほどもお話しにございましたようなお医者さんの問題であるとかいうようなことにつきましてでございますが、その点は現在の刑法でも百三十四条に秘密の保護の規定がございます。ただ、その点につきましてもなお整備の要があるということで、先ほど来の企業秘密の漏示とはまた別途、現在の法制審議会で審議されております参考案で申しますと三百三十五条のほうで、もう少し幅を広げるというような検討作業が行なわれておるわけでございまして、いわば企業秘密だけを問題にしているわけではないということをまずお断わりしておきたいと思います。  その点で、そういう意味でございますので、いろいろな個人の秘密の問題は、現行法でも、いま申しました刑法なりほかの特別法でも相当程度保護されておるわけでございますし、また、いわゆるデータ関係のそれにまつわる犯罪につきましては、窃盗罪であるとか、あるいは贓物罪であるとか、さらには背任罪であるとか、そういう現行のいろいろな規定があるわけでございます。そういう意味で相当程度まかなえる面があるというふうに考えておるわけでございますけれども、なお、これまで御議論のございますように、この情報処理技術の進歩というものは非常に目ざましいわけでございまして、そういう意味では、現行法では必ずしもぴたりとしない面があるというようなことで、そういう意味で、この前も申しましたような、現行法を少し補うといいますか、そういう観点での検討が続けられておるわけでございます。したがいまして、くどいようでございますが、現行法でも相当程度はまかなえるということを前提に御理解いただきたいわけでございます。  そこで、いま申しました刑法改正作業のことでございますが、これも前回申しましたように、実はいつごろということを確定的に申し上げられないのは恐縮でございますけれども現況は、法制審議会の刑事法特別部会でここ数年来、この規定に限らず、あらゆる問題につきまして検討が続けられておるわけでございまして、その特別部会の審議は本年の末ごろには大体部会としての審議は終わる、こういう状況でございます。なお、その後法制審議会のいわゆる総会にかけまして、ここでも従来の例で見ますと、こまかい御議論が重ねられるのが通例でございますので、その総会がどのくらいかかるかというような点は私どもとしてはちょっとはっきりしたことを申し上げかねるわけでございますが、それもなるべく早い機会に御検討いただきまして、法制審議会としての答申をいただいて、それから正式な法案の作成にかかる、こういう意味でございます。したがいまして、そういう経過をたどりまして、法案提出ということになりますにつきましては、なお若干日時がかかると申し上げざるを得ないわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたようなこと、またこの情報処理技術の急速な進歩というようなことに即応するために刑罰法の上で足りない点があるかどうかということは、当然この刑法全面改正と並行し、あるいはまたそれと離れても十分検討しなければならない問題だというふうに私どもも考えておるわけでございます。  そういう意味で、どういうような形での法律をつくるべきかどうか、また、その場合の内容はどうあるべきか、またその時期はどうかという点を十分検討しなければならないというふうに考えておるわけでございますし、たしか先ほど御指摘のございました四月二十三日の本会議の大臣の答弁におきましても、法制審議会のことを申し上げました上で、大臣が、自分としてもこの制定の要否については十分検討したいということをお答えしたように聞いておるわけでございます。
  80. 武部文

    ○武部委員 そうしますと、法制審議会の最終答申というのは本年末ごろだというふうに予想をしておられるわけですね。そういたしますと、本年末ごろには最終答申が出て、それに基づいて総会を行なって法律改正の手順をするということならば、大体一年くらいのうちにこの問題についての法務省の態度というものが明確になる、このように理解してよろしゅうございますか。
  81. 前田宏

    ○前田説明員 あるいは先ほどちょっと御理解いただくのに十分でなかったかと思いますが、先ほど申しました趣旨は、刑事法特別部会というのが本年末ごろに大体めどがつくだろうというふうに申したつもりでございまして、それからまた総会が慎重に検討されるということになるわけでございます。その意味で、刑事法特別部会が一応の見込みどおり本年じゅうにめどがつくといたしましても、なおそれからまた総会という問題がございますわけなので、法制審議会での答申が本年じゅうにあるということでは実はないわけでございます。
  82. 武部文

    ○武部委員 どうも前回のこの会議録を読んでみましてもはっきりいたしませんし、いまお話を聞きますと、現行法でも相当程度まかなえるのではないかというふうな御理解のようです。ただ、私どもといたしましては、堀委員も言っておったように、またきょう私が申し上げるように、内容というものは現行法で私はまかなえないという気持ちを持っておるわけです。したがって、法務大臣が言っておるように、そういう審議会の答申を得てできるだけ早くやるということですから、これはデータ通信はどんどん進むわけですから、いまおっしゃったような法制審議会の刑事法特別部会の答申が出次第、早急にひとつ法務省としては態度をきめて、私どもの要望に沿っていただきたい。この点を特に要望しておきたいと思います。お急ぎのようですからよろしゅうございます。  そこで、データ通信の問題に入る前に、公社側にちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、この間から電話料金の苦情の問題がたいへん新聞に出ております。私は、いつかこの委員会で、電話料の請求が間違っておるのではないかという新聞の投書を二、三引例いたしまして申し上げましたところ、何か非常に誤差が少なくて、心配ないという話でした。あのときにも非常に疑問を持っておったわけですが、その後ことしになってから相当新聞に投書が出まして、特にこの新聞、私、記事を持ってきておりますが、苦情が千件のうち、東京の場合で百件も間違いがあったというような記事がここへ出ております。それから、例の明石の警察官の奥さんが、日誌をつけて電話料の間違いを突きとめて、電話局に苦情を申し入れて、とうとう電話局が負けた、間違ってほかの線へつないでおったということがわかって、これは奥さんの勝利だというようなことが出ておりますが、そういうようなことが、実は前から私、問題にしておったわけですが、相も変わらずどうも続いておる。  そこで、電電公社は度数計監査装置、こういうものは一体いまどのくらいやっておるのか。いま言ったようないろんな苦情がたくさん出てくるというので、あなたのほうでは、今後こういう苦情をなくすために、また間違いを早期に発見するために、何か対策を立てておるようにいわれておるのですが、この辺の事情をひとつお聞かせいただきたい。
  83. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  最初に、ちょっと数字を申し上げさしていただきたいと思うのですが、私どものほうの統計では、電話料がおかしいじゃないかという申告がございますのは、一万加入当たり大体月十二件という数字でございます。したがって、数としてはなかなか少ないとは言いがたい数字でございます。ところが、その中で八件は、大体窓口で御説明いたしますとおわかりをいただいておるわけでございまして、残りの四件が、それでもわかりかねるということで、二度、三度といわゆる応対になるわけでございますが、その中で、さらに度数計の機械的な事故によった、それが原因であったといわれるものは〇・〇六件でございまして、機械そのものによる事故というのは非常に少ない数字になっております。  なぜ、そういうぐあいに機械の事故のはっきりしているものは少ないにもかかわらず、一万加入当たり十二件もあるかと申しますと、いろいろ事務的な不親切と申しますか、整備されておらないところがございまして、現在の料金の請求そのものが非常にわかりにくい要素がございます。たとえて申しますと、市外通話という欄と度数料という欄がございますが、こういう点も一つ皆さま方には非常にわかりにくい点でございますし、また料金月と申しまして、必ずしも一日から三十一日までの料金を御請求するのではなくて、ブロックごとに違った一カ月間を請求いたしたりしております。そういったような点の事務的な整備をはっきりいたしまして、お客さまに少しでも疑問の残らないように請求書の様式を変えますとか、あるいは名称を変えますとかいう点についても、その後御指摘がございましたので、私どものほうでその作業を進めております。  それから、もう一つは応対の態度でございまして、ただいまお話のございました明石の件も、確かにその点で私どものたいへんな不備でございましたが、何かおかしいというような御申告がありましたものは、ただ一方的に機械が正確だからということではなくて、いまおっしゃいましたような監査機に必ず入れて調べるということを徹底をさすようにいたしました。そういったような点で、その後現場を指導いたしております。
  84. 武部文

    ○武部委員 確かにこの一万人加入について十二件ということについても、私ども承知いたしております。ただ、ここにこういう記事が載っておりますが、これは間違いでしょうか。東京のことなんですが、東京では、おかしい、高過ぎるとかいろんなことを言って加入者が申し出るのが月に一千件をこしておる。この一千件のうち解決のつくのが――加入者の思い違いもあったということはいま局長のおっしゃったとおりですが、この二千件のうち解決のつくのが半数。残り半数は「使った」、「使わない」の水かけ論になって翌月に持ち越し。なかに局側の調べで機械ミスを認めるのが百件近くもある。」こういう報道になっています。そうすると、一千件のうち一割は機械のミスだった、こういうことが報道されておるのです。私どもたくさん聞くので、前回もああいう質問をしたわけですが、いまのあなたのお話ですと、どうもこの記事と違うようなんだが、そういうことはないわけですか。
  85. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  私、その記事を実は読んでおりませんのですが、通信興業新聞という業界紙に載っております数字でございましたらミスプリントでございまして、たしか新聞社のほうで訂正記事があとで出ておるように伺っております。そうでございましょうか。
  86. 武部文

    ○武部委員 二月十七日の読売新聞の全国版です。そしてこれは内容が非常に詳細になっておるのです。人の名前も全部あげてありますから。そういうことが相当出ておるんですね。私が前回から非常に疑問に思って言ったことが相も変わらず起きておるから、この点については監査機構というものはその後整備されて、これからそういう苦情については親切に受け答えして、間違いなら間違い、またさっき言うように、一万台に二個の監査計算機ですか、それを十台にふやすとかいうことをいわれておるが、間違いございませんか、こういうことなんです。
  87. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 大体間違いございません。そのとおりやらしていただいております。
  88. 武部文

    ○武部委員 ぜひそういうふうにしていただきたい。そうしないと、これは電電公社に対する不信なんですから、間違いは間違いなんですから、機械だけは間違いないというようなことでなしにやっていただかなければならぬ。これは前回に補足して、今回さらに私のほうから要望しておきたいと思います。  そこで、今度は通産省にお見えをいただきまして、公社と両方で御答弁いただきたいと思います。  通産省は、第四次貿易自由化の対象品目から電算機をはずして、将来、五十年度を目標にソフトウエア開発することによって、IBM等の外資と対抗する、こういう方針を述べておられます。それから、電電公社はDIPSの開発によって対抗できる、こういうことを自信を持って述べておられるようであります。しかしながら、現在オンラインによるところのものは、大型機はすべて外国機だということは、この間のこの委員会で答弁があったとおりであります。また、高速回線利用外国機械を使っていない、そういう実態にあるわけですし、それから先般、これまた読売新聞が載せておったわけですが、IBMがわが国に研究開発機関を設けるということで、すでに百名に及ぶ研究員の陣容をそろえて準備をしておる。これは藤沢工場の近くに約百人の技術陣を備えるハードウエア専門の研究所にする構想である、こういうことがいわれております。さらに四月九日には、世界の最大のコンピューターを誇るアメリカのCDC社、これが日本における販売会社として日本CDCの設立、これが認可をされております。このようないわゆる多様な外資の上陸が行なわれようとしているのを、どういうふうに電電公社としては見ておるのか。単に、あなた方のほうの答弁のように、外資の比率は五〇%以内に押えるというようなことだけでは、ソフトウエアの進出ということを押えることはできぬじゃないかということは、当委員会でも論議のあったところであります。  そういう点について、電電公社の見解とさらに通産省の見解を承りたいわけですが、特に公衆電気通信法においては外資についての規制は何らない。したがって、IBMあるいはCDCがそれぞれ販売会社を通じて巨大なシステムと、それに伴うソフトウエアわが国に所有するということは、これは当然考えなければならぬ。また、それは決して不可能じゃない、こういうことになるわけです。郵政大臣はおられませんが、法の運用でそれを押えることができる、いわゆる外資の五〇%、そういうことで押えることができる、こういうような答弁をされたわけですが、具体的にどういうように対処するのか。こういうIBMとかCDCの進出です。それをどういうふうに押えようとしておるのか、この点を郵政省にお伺いをいたしたいのです。そうでないと、システムを通じてソフトウエア市場が外資に荒らされてしまって、その結果わが国の産業が外資に従属するというかっこうになるおそれがあるのじゃないかということが、私どもの一番心配するところです。この点について、通産省なり郵政省の見解をひとつ承りたい。
  89. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  情報産業部門におけるところのいろいろ外資その他の問題でございますが、日米間におきますところの技術格差というものは確かにきわめて大きいことは、先ほどの参考人の論述にもございました。今回、このデータ通信制度を法定するに伴いまして、どうしても大型の計算機の輸入という問題が、あるいはこの外資系の企業日本への進出ということは、これは大体先ほどのお話のようにやはり予想されるのでございますが、公衆電気通信法というものの法のたてまえから、これを外資系だからいけないというような差別扱いをするということは、適当でないとわれわれは考えておるのでございます。たとえば、電話電報もこれはひとしく公平に利用できるように定めておるわけでございまして、外資系の会社だから、電報とか電話とかは使えないということにならないのと同じ筆法であるわけでございます。  しかしながら、公衆通信の秩序を維持する、こういう立場から考えました場合に、外資系企業データ通信回線利用いたしまして、データ通信回線を多量に使ってといいますか、使用契約を結んで、そうして全国的な規模において電気通信事業と同様な形のものをやる、こういうようなことは、これは認めない方針でございます。これはこの法案の中に盛られているところでございまして、その点は認めないということで適切にそれぞれを規制してまいりたい、こういうふうに考えておる次第で、大臣の運用というお話の意味も、そこにあったのではなかろうかと考える次第でございます。
  90. 武部文

    ○武部委員 私がいま申し上げているのは――あなたはいま、全国的な規模で日本に進出してくるということは認めない、そしてそれは適切に規制をするんだと、そういう御答弁のようですね。私どもが言っているのは、いまのような日本と特にアメリカとの間の技術の大きな差、そういうものから、どんどんIBMなりCDCというものが、先ほど藤沢工場のことを言いましたが、そういうふうに技術陣が大量に押し込んでこられて、日本で使っておるものはみな外国のものだ。その場合に、あなた方のほうは全国的に認めないとか、適切な規制をすると言っておるが、いまのことでは現実にできないんじゃないか、外資によってそういうことが現実に起きてくるのではないか、それを一体どういう歯どめをするのか、それをただ五〇%以下にとどめるというようなことだけでは、問題が解決しないんじゃないかということを私は言っておるのです。そういう点は自信があるのですか。
  91. 平松守彦

    ○平松説明員 お答え申し上げます。  通産省としましては、電子計算機というのは今後の情報化社会における中心、中核的な産業の機器になるわけでございますので、これの資本の自由化につきましては、特に慎重な態度で臨みたいということは、この委員会の席上でも大臣から御答弁申し上げたところでございまして、近く行なわれます第四次の資本自由化の際にも、ネガティブリスト、つまり自由化しないということを、これは直接的には外資審議会で決定するわけでございますけれども、通産省としてはそういった方針で臨みたいと考えておるわけでございます。一方、物の自由化につきましても、いまのところ自由化するつもりはございません。そういった面におきまして、波打ちぎわにおいて資本の進出なり機器の輸入というものをチェックしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  92. 武部文

    ○武部委員 ですから、第四次の自由化の対象品目から電算機をはずすということは、きめておられるようですからそれはいいですが、電電公社はDIPSの開発によって外資と対抗できる、そういうような自信をお持ちですね。そういうような答弁がいままであったので、この点についてはそうですか。
  93. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社は行政的な措置ということではなくて、実力を培養しまして外国のそういうものに対抗したい、こういうように考えておる次第でございます。いま通研でやっておりますDIPSといっておりますものは、最近IBMでできましたものとかなり最高レベルにおいて一致しておるわけでありまして、もちろん性能は若干違っておりますけれども、おそらく世界の最高水準をいっておるものではないか。同時にまた、通産省の工業技術院で大型プロジェクトとして研究されました成果というものを十分取り入れまして、能率よく研究するということで進んでおる次第でございます。
  94. 武部文

    ○武部委員 さらに外資に関連してもう一つ、これは質問なり私どもの意見を申し上げたいと思うのです。  それは、今日のわが国におけるところの電子機器のメーカーの問題であります。自治体に例をとってみますと、現在二十三都道府県、百六十一団体が今日コンピューターを導入しております。その会社、これは富士通、日立、日電、IBM、ユニバク、東芝、そういうものが多様な形で入っておる、いわゆるメーカーの市場競争みたいな形になっておる、このように私ども理解をするわけです。  そこで、いろいろ意見を戦わしておるわけですが、そういうようないわゆる市場に対する競争、そういう自由競争が技術の進歩と多様化をもたらすのだというのが通産省の考え方のようですね。そういうふうに私ども伺っておるわけです。ところが、メーカーごとにソフトウエアが違う、異なる。それから互換用のプログラムの開発もおくれておる。そういうような実態の中で、こういう企業競争の中でむだな面が多いんじゃないか。われわれから見ると、いま申し上げたようなことからむだな面が多い。  したがって、いま電電公社はメーカーとの間に共同開発をやっておりますね。そういう点で私どもが指摘をしたいのは、アメリカに例をとってみても、大型プロジェクトの開発にあたっては、政府がイニシアチブをとって、そしてメーカーを研究段階から開発段階まで、予算を含めてコントロールしておる。そういう点で、いま申し上げたように、わが国の電子機器の実態を見ると、その企業の基盤が非常に弱い。したがって、いまのような段階では外資に太刀打ちができないじゃないか。こういうことを考えると、むしろ電電公社がこういうような公共システム開発を通じてメーカーをコントロールするというような点について、この際、そういう考え方を持つべきではないだろうかという気持ちを持ちます。したがって、いまたくさんそういう弱体の電子機器メーカーがあるわけですが、そういうものを何社かに統合するというような、国の方針がいまの段階では必要じゃないだろうかという気持ちを持つわけですが、これについて郵政省なり電電公社意見をひとつお聞きしたい。そして、メーカーの指導を具体的にやるということによって、IBMなりあるいはCDCというものと対抗できる、こういうものは一体どんなものだろうか。これはどうでしょう。
  95. 平松守彦

    ○平松説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましても、電算機産業がきわめて弱体であり、現在の電算機市場に対して六社は非常に多過ぎる。確かに競争によって技術の開発が進んでいくわけでございますけれども、行き過ぎた競争ということについては過度にわたらないように、たとえば研究面につきましても、いま先生の御指摘がありましたようなソフトウエア開発につきましては、富士通、日本電気、日立、三社による共同の日本ソフトウエア株式会社というのをこしらえまして、また工業技術院の来年、四十六年度で完成いたします大型プロジェクトにつきましても、政府が指導いたしまして、三社の共同開発というようなことも進めてまいったようなわけでございます。また、販売にあたりましても、六社の共同の日本電子計算機株式会社という会社をこしらえまして、そこが一手買い上げしてレンタルをするというようなことで、販売面、技術開発面についても共同化、むだなところがないような方針で指導をいたしておりますが、やはり末端にいきますと、御指摘のような過度にわたる競争もあろうかと思いますが、一番根幹におきます技術の共同開発といった点は、これからもますます必要でございますので、そういった方針で電子計算機業界を指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  96. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  全般的な行政措置は、ただいま通産当局から説明がありましたが、電電公社といたしましては、いわゆるバッチ処理のコンピューターではなくて、オンラインに使うコンピューターシステムというものをやることにいたしております。先ほど申し上げました通信研究所でやる場合も、メーカーと共同の研究委員会をつくりまして、そしてその研究委員会を通じてむだの排除と、それから同時にまたアイデアの競争というものをやることにいたしまして、最も効率よく技術を開発するということにいたしております。
  97. 武部文

    ○武部委員 そうしますと、先ほど総裁は通研の話をされました。そこで私は、この問題についてお聞きをいたしたいわけであります。  先般も問題になりましたが、産業構造審議会、この提言を見ますと、ナショナルプロジェクトについての提言を行なっておりますが、その中で、具体的には公害対策とそれから都市開発等のシステムをあげております。総裁は当委員会で、公社が行なうデータ通信については、国益と国民の要望に沿うということを何回も言っておられます。その内容は、全国ネットワーク、それから公共的開発の先導的役割りを果たすというような意味のことを述べておられるわけです。一体それは具体的にどういうプロジェクトを開発するのか、これが明らかになっていない。私どもは、答弁を聞いておってそのように感じました。そこで、国益と国民の要望に沿うという公共的なシステムは、われわれ納得できるものを明示してもらわなければならぬ、このように思います。ただ単に国会答弁でどうだというようなことでなしに、具体的にこういうことをするのだということを明らかにしてもらわなければならぬのです。  そういう意味で、先ほど総裁は通研のことを言われたわけですが、それならば、通研で研究開発項目としては具体的にどのようなものを考えておるのか、この点ひとつもう一回明らかにしていただきたいし、同時に、公社データ通信本部が四十六年度あるいは四十七年度くらいに開発を予定しておるシステム、そのことを明らかにしていただきたい。
  98. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  公社といたしましては、しばしば全国的な規模にわたるもの、公共性の強いもの、あるいは開発的なもの、そういうものを中心に今後のデータ業務を実行してまいりたい、こういうことを申し上げておるのでございます。  ただいまお尋ねのございました点のうち、たとえば公共性の強いシステムというものを、どういうものをいま公社は考えておるのか、こういうことでございますが、これにつきましては、すでに、たとえば運輸省の自動車の登録システム、これはこの四月十五日に全国の陸運事務所を全部そのシステムに結集をいたしまして、これが相当公共的な意味合いにおいて成果をあげ始めておると確信をいたしております。なおさらに、たとえば販売、在庫管理であるとかそういったようなものも、一つ一つのユーザーがみずからコンピューターを持ちまして、データ通信をやらない方々に対して共同利用の道を開く、すでにそれはスタートをしておるわけでございます。今後といたしましては、たとえば医療検診の診断システムであるとか、あるいは公害の監視、通報のシステムでありますとか、あるいは道路交通管制のシステムでございますとか、あるいは流通面のシステムでありますとか、そういう面につきまして、すでに公社のほうからそれぞれの委員会に人を派遣をいたしまして、と同時に、先方さんのほうからもそれを求められまして、そうして、そういうデータシステムのいわゆるシステムエンジニアリングを目下進めつつある、あるいはそれに対して御協力を申し上げておる、こういうことでございます。  なお、ただいまDIPSのお話が出ましたけれども、DIPSにつきましては、これが公社の基本的な業務とも私たちは考えております全国的なシステム、公共的なシステムをオンラインで能率よくやってまいりますために、非常に大事なあるいは多くの期待を持っておるシステムであると考えておりまして、これを使いまして、いわゆるマルチプロセッサ方式によります多目的利用広域利用、あるいは現在の通信回線ないしはこれから開発されてさらに進められてまいりますそういう高度のデータ処理サービスに対応する高速データ伝送網にも能率よく直結できるシステムにいたしまして、これを使いまして、ただいま申し上げました多くの公共システムを総合的に、場合によりましたらば多目的な機能を持たせて、これを用いて公共的な面についてさらに進めてまいりたい、こういうことでございます。
  99. 武部文

    ○武部委員 大臣お見えになりましたから、いまの問題またあとでちょっと触れることにいたしまして、この基本法の問題であります。  午前中にも参考人の方にいろいろ御意見を承った中に、やはりこのガイドポスト、基本法の問題等の発言がございました。この基本法の制定については、前国会においても御承知のような経過にになった。必要性があるということはお認めになったわですが、今国会には残念ながらその基本法の法案の提出はなかったわけであります。しかし、この間までの国会の審議を通して、基本法が必要であるということはお認めになった。これは大臣もそのとおりにお認めになったと私どもは理解をいたします。ただその基本法を、きょうの参考人ではありませんが、現実問題に対処するために公衆法の改正が先になったのだ、こういうような話がきょうの参考人からもありました。基本法、基本法と言っておったのでは一歩も先に進まぬから、現実にやってみて、そこからいろいろ考えるのだというお話がありましたが、まさにそのとおりに郵政省はやってきておると私は思うのです。ところが、官房長官もこの間ここで答弁されたように、あのときの答弁は、あとになってどうにもならぬということのないように対処したいというような答弁がありました。しかし、このままずっといくならば私どもの心配は消えぬと思うのです。  そこで、基本法制定のめどを明らかにしてもらいたい。一体どのような構想で、いつごろをめどに基本法の整備をやるのか、こういうことをぜひひとつこの最後の委員会で大臣から明確にしていただきたい。私どもは、少なくともいままでの討議で確認をされたと思いますが、平和的利用の問題あるいは民主的管理、さらにはプライバシーの保護、こういう三原則ということはあくまでも基本法の基本であるということを主張して、ほぼこれは何人も否定できないというところになったと理解をいたしますが、この点は間違いないか、その点が二つ目であります。さらにいま一つは、この基本法をつくるために国民各階層の意見を聞く必要があるじゃないか。そういうために政府民間、学識経験者あるいは労働団体、そういうものを網羅した審議会を設けて、基本法策定をはかるべきではないか、こういう意見を持っておるわけですが、郵政大臣としての見解を承りたいのです。
  100. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ちょっと中座しておりましたが、御質問にお答えをいたします。  情報化の進展は、政治、経済等の全般にわたり多大の影響を及ぼすものである点にかんがみまして、情報化に関する基本法というようなものを制定したらどうかという点は、私どもも同様に考えておるのでございますが、情報処理わが国においてはまだきわめて新しい分野でございますし、関係するところが広範多岐にわたり、いろいろな省庁にも関連を持っておりますので、ただいまはこういう方面と緊密な連絡をとりながら慎重に検討しておるというのが、現時点における状況であります。  そこで、いまおよそ三つの点についてお示しになりましたが、先般いわゆる三原則、こういうものをお出しになりましたことも承知をしております。平和利用国民生活の向上、民主的な運営、プライバシーの保護と、これらいずれも大切な項目でございまして、基本法というものを取り上げる暁においては、これらはやはり基調をなすべきものである、こういうふうに承知をするわけであります。また、先般の情報処理振興事業協会法が成立いたしましたときの附帯決議、これまた同様でございまして、これを十分に尊重していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。当委員会において先般来この問題について皆さま方からお触れになりました点を、十分に考慮をしてまいるつもりでありますが、いま武部さん、あるいは時期を示せというような意味をも含めての御質問だと思いますが、まだ現状、しからば次の国会にというようなところまでは、ちょっとお答えにくい段階にあろうかと思うのであります。それで、ものごとは帰納的にいく場合と演繹的にいく場合とあると思うのです。言うならば現象形態のいろいろな分野にわたってそれぞれ具体の問題を提起する、それを最終的に取りまとめる、こういう行き方が穏当ではないか。いきなり頭からプリンシプルを示して、さてこれですべてをおおい尽くすということになりますと、時あって独断におちいるというような憂いもなしとしない。私は、実は昔農業基本法の立案に汗をたらしたことがあるのでありますが、農業面におけるいろいろな現象を最終的に集約をしたというような形だったと記憶するわけであります。したがいまして、大体私も御趣旨はよくわかりますし、その方向にひとつ慎重に検討をさせていただく、きょうのところはその程度にひとつ御了承願いとうございます。
  101. 武部文

    ○武部委員 官房長官もこのことについては触れておったわけですし、それから総理も趣旨説明のあの本会議の際に、基本法の策定については十分検討してつくりたいという答弁があったわけであります。いま私も、何もすぐに次の国会にあなた方がお出しになるというふうなことまでは考えていない。しかし、少なくともある程度のめどを立てなければ、もうすでにデータ通信が始まるわけなんで、そういう現実の姿が出てくるのですから、この基本法の問題については真剣に取り組んで早急に――いま私が申し上げた三つの原則、これはお認めになったわけですから、そういう面で、後段の審議会というものを設けて基本法を策定をするといったような、私どもの見解についてはどのようにお感じですか。
  102. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 基本的には同感でございます。畳の上の水練ということばがございますが、今度のデータ通信は少しはやはり水に泳がしてみないと、畳の上でかれこれ言っておっても、これだめでないかというような気持ちに出ておる次第であります。そこで基本法策定という場合は、当然各界各層、学識経験豊かな人々の意見を聞かなければなりませんが、審議会というような機構になりますかどうか、その辺はおまかせをいただくといたしまして、基本法を推進する上の一つの段階なり過程なりとしては、武部さんおっしゃるような仕組みが必要であろう、かように心得ております。
  103. 武部文

    ○武部委員 畳の上で泳いでおって、水の中に入ったら沈んでしまって出てこないというようなことがないように、ぜひひとつ泳いでもらわなければいけない。いまのままでは沈んでしまうような気がしてならぬものですから、そういうことを言ったわけです。ぜひひとつそういう面で進めていただかなければならぬ。  さらに私は機構の問題について、機構というよりも一元化の問題についてお尋ねをいたしたいわけですが、郵政大臣は私どもの質問に答えて、情報化問題というのはまだ模索の段階だというようなことを言って、政策策定には時間がかかるのだというようなことをおっしゃっておったわけですね。これは通信興業という新聞ですが、これを見ますと、郵政省はすでに本年の二月から八つの分科会を設けて通信行政のビジョンづくりを始めて、五月末にはその草案ができて、六月ごろまでには最終案をつくり上げるというようなことが載っております。これは郵政省の中に八つの分科会があるということであります。このビジョンというのは、内容を見ますと、宇宙、情報処理、こういうあらゆる分野にわたって郵政省は分科会をつくって、五月末をめどにやっておるんだ、こういうことが報道されております。これを見ますと、私どもとしては郵政省の考え方は一応わかります。一応わかりますが、これからの電気通信というものはそういうようなものではなしに、情報処理技術、そういうものを中心にした経済社会のあらゆる面で電気通信事業というものが発展していくんだ、そういう気持ちを持っております。したがって、これは非常に影響が広範なものだというふうに理解をするのであって、ただ単に通信行政として郵政省のワクの中で論じられるというようなものじゃない、このように私どもは思います。  さらに、先ほど申し上げましたが、一昨年六月に出されたところの産業構造審議会の情報産業部会の答申における「当面する課題」こういう中で政府のとるべき施策というのが載っております。この施策は三つの項に分かれております。その一つは、積極的にガイドポストの策定、きょうも参考人から意見があったとおりでありますが、それを提示しなさい。あるいは情報化時代に即応した行政体制の確立、ナショナルプロジェクトに関する情報システム開発すること。それから三番目は、基礎環境整備の観点から、現行の各種の制度、体制、慣行について積極的に改善措置を講ずるとともに、民間の活動に対して援助を行なう。こういう三つの点をこの産業構造審議会は進言、指摘をいたしております。したがって、ここにいわれておるところの政府のとるべき課題というのは、三つというものが一体とならなければならぬ、こういうふうに思うのです。  ところが、いまの郵政省の考え方として、三番目に申し上げたような、民間の活動に対して援助を行なう、この点だけが先に行ってしまって、一点と二点というものがおろそかになっておるじゃないか。この三つの点は三位一体であって、三つが一緒に動くということでなければならぬ、このように私どもは思うわけです。さらに、一昨年七月に自民党情報産業振興議員連盟、これが国としての政策確立のために、行政委員会の設置というものを提言しております。これらの点から見ると、いまの政府の活動というものは、全くこの点をなおざりにしておるじゃないかということが私どもとしては指摘をされるところであります。そこで、こうしたばらばらのことについて十分考慮したい、配慮したいというような答弁が保利官房長官からなされました。  そこで、私どもが指摘をしたいのは、データ通信というものはすでに動いておる。もう動き出しておる。したがって、こうした問題についていたずらに時日を遷延することは許されないという気持ちを持つわけです。そこで、一元的に対処する機関というものをつくる必要があるのじゃないか。きょうまた持ってきましたが、逓信文化というのを見ますと、公社は学識経験者二十一氏参加の、これからの社会とコミュニケーションに関する研究懇談会、こういうものを設けるというようなことが出ておりますが、このように全くばらばらに、郵政省も電電公社産業構造審議会ですか、ばらばらなかっこうで出ておる。これを統合して一元化をすべきではないかということが、与党の自民党の中からも出ておるのです。こういう点について、郵政大臣としてどういうふうにお考えなのか。私はこれは一元化すべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  104. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいまの御質問は、たいへん広範囲にわたっておると思いますが、まず産業構造審議会の答申が三つの点に分かれて指摘をしておる、こういうことをおっしゃいました。これにつきまして、その第一でありますガイドポストの策定を提示しておりますけれども、これに関して、情報処理振興事業協会等に関する法律に基づきまして、電子計算機利用高度化計画を定めることとしておりまして、現在これは作業中でありますから、これは策定次第公表する予定になっておりまして、こういう点から緒についておる、こう御承知を願いとうございます。  第二の、情報化時代に即応した行政体制の確立をせよという点でございますが、これに関しましても、先般電子計算機利用の今後の方策についてという閣議決定をいたしまして、政府における電子計算機利用の高度化をはかるということが、行政管理庁を中心に行なわれておりますことは御承知のとおりでございまして、その他の基本的な調査研究を工業技術院が中心になって進めておるようなわけでございまして、各省庁積極的に電子計算機の導入等によって、情報化時代に対応する行政体制を確立する、こういう努力をいたしておるわけであります。  第三に、各種制度、体制及び慣行の改善と民間活動に対する援助があげられておりますが、これにつきましても、データ通信に関する利用制度の整備のための公衆電気通信法改正、法制審議会における経理帳簿としてのテープの取り扱いや企業秘密の漏示の有無に関する検討等々、それぞれ改善の問題に取り組んでおるようなわけでございまして、具体的なデータ通信を所管をしておるという意味において、郵政省の動きというものが一番目につくわけでありましょうし、また、事実非常に重要な段階でありまするから、そういう面において、私どもも時代の進運におくれてはいけないということで、今回改正案を御提示をしておるようなわけであります。  そこで各個ばらばらに、産業構造審議会は以上のようなことをやる、また自民党の情報化に関する情報産業調査会ですか、これもかってな動きをしておっていかぬというふうな御指摘でありますが、言うならばいまは一種のケーオスとでもいうべき時期でありまして、これからいろいろな問題が固まっていく、具体的な問題はこれから出ていくという時期でございますから、若干御指摘のようなてんでんばらばらな動きに見えるような事象は、これは避けられまいかと思うのであります。しかし、それを総合調整をしなければならぬ。このことは、先般官房長官からもお答えをいたしたような次第で、先ほどの前段、私が申し上げた情報基本法の問題等ともあわせまして、そういう点に意を用いて誤りなきを期したい、こう考えるわけであります。  それから、いまの御質問の最初にお示しになりました、郵政省の中で研究会を持っておるようであるがという、これはマスコミのほうの記事をお取り上げになったようでありますが、これも何も郵政省だけでひとりよがりでやっておるのではございません。とりあえず内野側の守備を固めて、当然これは外野にも及ぶチームワークを考えなければいけませんが、とにかく時運におくれてはいけないということで、そういった勉強会がスタートをしておるわけでございまして、これはもう少し詳しくは、必要があれば監理官のほうからお答えしてもけっこうでございます。
  105. 武部文

    ○武部委員 私は、自民党がかってな動きをしておると言ったんじゃないんですよ。いいことを言っておるんですよ。自民党の情報産業振興議員連盟というのは、国としての政策確立のために行政委員会の設置を提言しておる。これは私ども賛成なんですよ。そういうことをやるべきじゃないか。にもかかわらず、郵政省は八つの分科会をつくって、そうして何かやっておる。その郵政省のワクの中で、いまそういう電気通信の問題をやるような問題じゃないのだ。この電気通信の問題というのは、非常に広範な影響力があるので、したがって一元化をして、その中できちんとしたものをやりなさいということを自民党もいっておるのですから、私どももそういう点では賛成なんです。ですから、郵政省はこういうことをやる、今度はそこへ、電電公社はこれに負けずにいまやっておるかどうか知りませんが、そういうようなことをやるというようなことではなしに、一元的にやったらどうだということを言っておるのですから、この点についても官房長官も肯定されたのですから、そういうばらばらで、郵政省はおれのほうのワクの中でやるということではなしにやってもらいたいというのが私どもの願いなんですから、自民党がどうだ、こうだということは、間違いですから訂正しておきます。
  106. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ちょっと私が誤解をしたかもしれませんから申し上げますが、いま自民党の委員会をたいへん評価していただきました次第で、郵政省のやっておることもその大きなワクの中で、その一翼を受け持っておるという意味においてはこれまた必要なことであろう、こういうふうに存じておる次第で、武部さんの御意見と決して違うものではない、私、こう思っております。
  107. 武部文

    ○武部委員 次に、二月二十六日の本会議趣旨説明がありましたときに、私の質問に答えて郵政大臣はこういう答弁をされました。「電電公社データ通信サービスを提供するにあたりまして、独立採算をたてまえとして運営することになっておりますので、データ通信サービスの料金は、サービスの提供に見合うものを利用者において御負担をいただく、こういう考え方に立っておる」こういう答弁でありました。電電公社側も独立採算だということは早くから明らかにしてきたとおりであります。しかし、現状ではまだ収支を償うほどになっていない。その理由は、開発途上だからというような意味の答弁がされておるわけです。私は、独立採算というたてまえをとった以上、独立採算制というのはそういうものじゃないと思うのです。したがって、独立採算制をやるのだといったならば、当然明確にそのようにやってもらわなければならぬ。しかし、現実には開発途上だから収支は償わぬとおっしゃるけれども、それならば将来技術開発、そういうものによってコストが下がった場合に、料金を下げればいいのですよ。いまは、やはり独立採算制であるというならば、当然独立採算制でやって、将来あなた方の技術開発によってどんどんコストが下がってきた、そのときに料金を下げればいいのです。私はそういうふうな態度をとるべきだと思うのです。そうでなければ、電報の料金が赤字だからといって電話のほうから持っていくというようなのはおかしいのですよ。そういうふうに私は思いますが、一体データ通信の独立採算制ということについて、どういうふうにお考えでしょうか。
  108. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、データ通信に対しまして独立採算制でいきたいというふうに思っております。機構的にも、従来各局ばらばらでしておりましたものを、データ通信本部というものを設けまして、そこで他の局の仕事と分離して本社機構としてやる。また通信局段階におきましても、データ通信部というものを各通信局に、初めは全国の半分でありましたが、最近は各通信局に置きまして、そこで設計あるいはソフトウエアの作成というようなことを分担していろいろやらせておる次第であります。  ところで、特にこれまでオンラインのコンピューターというものは、日本ではどっちかというとおくれておったのでありまして、バッチ処理のコンピューターは相当あったが、オンラインがおくれておったことは事実でありまして、通研の中にもDIPSという先ほどお答えいたしました大型の、世界の大体最高レベルと並べられる――最高とは言いませんが、最高レベルと並べられるものをいま開発させておる次第であります。  ところで、独立採算の問題は、いますぐできれば確かにいいのでありますけれども、やはりこれはある期間を考えてやる必要があるのではないか。それからまた、現在、たとえばいろいろやっておりますものも、試行サービスとして郵政大臣の認可を受けて料金をきめておるわけでありますけれども、たとえば在庫管理みたいなものにしたら、端末がこの範囲に入れば、一つのコンピューターをいわゆるタイムシェアリングで使っておるのでありますから、一つのコンピューターを一つのシステムで使っておる場合はわりあいに明快でありますが、一つのコンピューターの大型のものをタイムシェアリングで使っておりますと、やはりある量というものが入ってこないと独立採算にならないという問題が一つございます。  もう一つは、やはりいろいろ訓練が必要ではないか。これまでデータ通信関係をやっていなかったわけでありまして、公社の中の人、素質はあると思いますが、そういう人たちの訓練費用というものはやはり見てやらなければならない。全然訓練なしでやらせるといってもこれは不可能でありまして、そういう意味で急速にレベルアップを考えておるわけでありまして、確かに初めから独立採算でいければいいのでありますが、そういったタイムシェアリングによる共同利用という性格並びに訓練、開発、こういう点を考えますと、とにかくある時点におきまして完全独立採算にするというふうに考えておるのでございます。
  109. 武部文

    ○武部委員 私は、さっきから言うように、開発費等を電話から持っていくということならば、電報だって同じではないかということを指摘しているわけです。いま総裁の説明は、ある期間ということをおっしゃっておる。ある期間というのは、一体どの程度のことなんですか。
  110. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  データ通信の独立採算というものは、そのシステムが平常状態において稼働しておる状態において、公正報酬を見込みまして完全に収支相償う、その時点をおおむね一般的にはサービス開始後四年前後、こういうふうに置いておるわけでございます。そうして、サービス開始後まる八カ年というものを、全体で完全に収支相償う、こういうことに考えております。
  111. 武部文

    ○武部委員 まる八年たって完全な独立採算制ということですか。
  112. 井上俊雄

    ○井上説明員 完全に収支相償う時点が、大体四年前後たったところでなりまして、自後収益状態もプラス状態になってまいりまして、そうして八年間通算いたしまして、公正報酬をも含めまして完全に独立採算、収支相償う、こういうことでございます。
  113. 武部文

    ○武部委員 その点はわかりましたが、その計画でずっといくのですか。その計画でいこうとしておるのですか。
  114. 井上俊雄

    ○井上説明員 現時点においては、そのように考えております。
  115. 武部文

    ○武部委員 一応内容はわかりました。  労働省、来ておられますか。――島本委員から話がありましたことに関連をしてお尋ねをいたします。  あのときもいろいろ話が出ておったわけでありますけれども、今後データ通信が広く行なわれるようになりますと、事務労働あるいは生産労働に限らず、労働者に配置転換あるいは職種転換、そういうものが起きてくる、これは当然のことであります。さらに監視労働、ただ単に監視をしておるだけ、そういうような単純労働によって、いわゆる人間疎外ということが起こってくる、こういうことも当然予想されることだと私どもは思います。さらに、コンピューターの稼働によって夜間労働というものが出てくる、これも当然のことであります。すでにこういうことはかなりの企業でいま起きておる事実でございますが、私がいま申し上げたようなことが、いわゆるコンピューターに対する労働者のアレルギー症状になってあらわれておる、こういうふうに見てもいいのではないかという気持ちを持っております。  したがって、きょうここで労働省に、今後の雇用政策ということについてお伺いをいたしたいことは、データ通信がいわゆる公衆電気通信法による公衆電気通信役務というふうに規定された以上、そのように規定されたわけでありますから、データ通信の発生に伴って起こるもろもろの現象に対しては、政府みずからがその責任を負わなければならぬ、かように思います。したがって、国際的にいま週休二日制が三日制になるというような動きもあるわけです。したがって、これからの変動していく労働情勢、そういうものに即応する政策というものは、非常に労働者に不安を与えるわけですから、この面について不安を排除する方向に向かっていかなければならぬ。  そこで、これは非常にむずかしい国の政策になると思うのですが、私たちが希望したいことは、特に中高年齢層、こういう者に対してはこれから問題の発生が多いと思うのです。それを、ただ単に失業救済というだけで片づけるわけにいかぬと思うのです。またそういうことであってはならぬと思う。またそこで、情報化社会展望に対して、これから労働雇用政策というものは一つの方向を持っていかなければならぬのではないか。したがって、これは週休制の増加、たとえば、いまのところは週休の二日制の問題、あるいは労働時間の短縮問題、あるいは賃金の増加、あるいは訓練の充実、こういうことについて労働政策を今後どのように考えていくのか、これは民間、官公労を問わず非常に重要な問題だと思うのです。先般、私ここで答弁を聞いておりましたが、週休制の問題については答弁があったようでありますが、いま言った週休制の問題なり、あるいは労働時間の短縮の問題なり、さらには賃金水準の問題なり、訓練の充実なり、そういうもの、それから中高年齢層の起きてきた問題をただ単に失業救済だ、失業対策だというようなこそく的な手段で解決するようなことでないような、そういう労働政策が必要じゃないか、こう思うわけですが、労働省は、一体今後のこういう情報化社会の急速な発展に対して、雇用政策をどのように考えておるのか、これを伺いたい。
  116. 岩田照良

    岩田説明員 お答えいたします。  いま先生御指摘になりましたように、いろいろデータ通信等の発達によりまして、労働条件の問題等むずかしい問題が出てくることになると思いますが、雇用政策立場からいいますと、やはりいろいろのむずかしい機器等の操作、こういったものにつきまして、これがあまり急速に行なわれたりいたしますと、従来の中高年齢者等でこういった新しい問題に対処しにくいような人たちも出てくることになります。こういった人たちに対しましては、中高年齢者の雇用の促進に関する特別の法案等も用意いたしまして、今後の雇用問題に対処することになると思いますが、今後労働市場状況から見まして、やはり一番の問題は中高年齢者の雇用の促進の問題になると思います。十分慎重な配慮をいたしまして、実態に合わせました雇用政策を今後十分検討し、実施していくつもりでございます。
  117. 武部文

    ○武部委員 これで終わりますが、労働省はいわゆる週休制の問題、これは世界の傾向です。週休制の増加あるいは労働時間の短縮、そういうことについて労働省の労働政策としてどのように考えておるのか。いま私が言ったようなことは、現実問題として起きてくるわけですが、それと関連をしながら、この労働政策というものは当然行なっていかなければならぬ、こう思うのですが、その点どうですか。
  118. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  ただいまの週休二日制等最近の動きでございますが、現在、労働省の調査によりますと、週休二日制を何らかの形でやっておる事業場は五・九%でございます。そのうち、現状としまして、完全週休二日制を実施しておりますのは三%程度でございますが、技術革新の進展、あるいは労働態様の変化、あるいは若い青少年の動き、こういったようなことから、週休制の普及ということにつきましていろいろ検討していかなければならぬ、かように存じているわけでございますが、特に中小企業等につきましては、なかなかその点が困難なところがございますので、法定の労働条件の確保、これはもちろんのことでございますが、さらにこういった制度の普及指導を行なっていくということともに、大企業におきましては、現在出つつある週休二日制をさらに自主的な観点からこれを促進するようにはかってまいる、このようなことで私どもは今後ともその方向検討してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  119. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  120. 金子岩三

    金子委員長 安宅常彦君。
  121. 安宅常彦

    ○安宅委員 ただいま武部さんから、相当高度な理論的なお話がございましたが、私は詰めるような意味で、若干職人的なこまかい質問に入るかと思いますから、そのつもりでひとつ答弁をしていただきたいと思うのであります。したがって、大臣のように形容詞で非常にうまくまるめるというようなことは通用しませんから、御了承願います。  データ通信関連して、企業の秘密を漏洩したり、あるいは個人の履歴や患者のカルテなど、いろいろの個人に関する情報が盗まれる場合、どんな具体的な刑罰が適用されるかということは、先ほど話がありまして、法務省ではいつのことやらわからない立法のことを何か言っておりましたが、現時点でいろいろな問題が起きておる。たとえば、新聞の名前を言っては失礼になりますから名前は言いませんけれども、データ通信というものを民間開放しろということを、年がら年じゅう社説で掲げておる新聞がある。ところが、二月の初めだったと思いますが、リーダース・ダイジェストの情報どろぼうみたいなことが新聞に載った。これはたいへんだ、データ通信というものはおそろしいもんだ、コンピューターによってそういうことをやられたらかなわぬという記事が、こんなに大きく出ておるのですね。半分ぐらい紙面をとって、すごく大きく載せていますね。そうして今度はコラム欄みたいなところに、コンピューターは油断ならない、こういうことになったらたいへんな時代が来るだろう、われわれも関心が薄かったり警戒心が薄かったが、こういうものはある程度きちっと締めなければならないという意味のことを書いてある。ところが、この新聞はデータ通信の大幅な民間開放をすべきだということを盛んにいっていた。この社会的に問題が起きた記事は、これとはまるっきり異質な記事なんですね。そうしてコラム欄で、こういう時代になったときの警報みたいなことを書いておって、その次に今度はどうなったかといいますと、二月の中旬ですか牧野さんと、あるところで、とんでもないところであなたと会ったと思いますが、率直に言いますと、通産省筋から横やりが入って、法制局といろいろな交渉をしておるために法案提出がおくれた時期です。こういう時期で、相当郵政省が意欲的にこういう点を締めようと思っていたのを、ある程度オンラインの場合の一部を民間開放するという方向法案にまとまりかけてきた。そういう原案が新聞に発表になったら、この新聞はある程度民間の――この場合の民間というのは、人民ということじゃないのですよ。いわゆる企業民間の要望を受け入れて運用面でも弾力化をはかった、だからなかなかいい法律だという意味の解説を書いているのです。そうしたら、今度は次の日あたりの社説を見たら、あんな法律はでたらめで、やはり官僚統制で利権につながるだろうと、またひっぱたいているのです。  こういうことで、非常に観念的に民間開放しろということをいっている。そういう人々の頭の中は、てんでこれは国民、人民に対する開放ではなくて、企業に関する開放だということをみずから知っていて、それを締められると別のことをいう。そしてあわてて政府筋に嘆願をするなり、財界あたりを代表しているものですから、こういうところから、郵政省の独善におちいるのではないかということで盛んに警告を発する社説を載せる、こういうことになっておるのです。しかし、そのときには、社会面で取り上げた通信の秘密ということは、どこかへ吹っ飛んでいっているのですね。吹っ飛んでいるのですよ。こういうことは非常に重大だと思うのです。  たとえば、英国の場合だって公衆通信網を使ってデータ通信を行なっているが、そこではIBMでしたかゼネラルエレクトリックかの支店がイギリスのロンドンにあって、そしてそれが一括的に情報を集めてアメリカに集中されている。これはテープでアメリカにすべていっている。そうすると、何か大福帳みたいなものをつけておった時代と違って、帳簿も何もない、全部何もかもコンピューターにたたき込まれておりますから、これは貿易の関係から英国の統計から、すべてアメリカに集中されている結果になって、相当問題が起きているということをわれわれは聞いているわけですよ。  こういうことを含めて、国益の問題と、それから個人の秘密保護という問題について、規制する措置がほんとうにとられるのか、とられないのか、これは電気通信監理官から具体的に答弁してもらいたいと思います。
  122. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  秘密の漏洩につきます公衆電気通信法上の規制につきましては、御案内のとおり、これに携わる者の規制措置その他につきましては、法律で定めてあるところでございます。  それから、外国へ流出の心配があり、国の危機を招くおそれが多分にあるという御質問でございますけれども、こういうことはそれぞれの法律に伴いまして、先ほどの法務省の御答弁のように処置してまいるべきかと存じますが、技術的な面につきますれば、これはそれぞれの技術措置によりまして、これを防止することは可能でございます。
  123. 安宅常彦

    ○安宅委員 あとで可能でないことを証拠立てますから、まあそれはいいでしょう。  郵政大臣に聞きますが、私、これは聞き間違いだったら訂正いたします。資本の自由化あるいは機材の輸入の自由化、こういうものを阻止しながらやっていくという答弁とあわせて、あなたは、何か外資が入ってきた場合でも、外国資本を五〇%以下に押えるなど、そういう運用の妙でここを切り抜けていくのだ、外国の資本に取られてしまうことはないという意味の答弁をしたように聞いておりましたが、大体そんなことをおっしゃった記憶がありますか。
  124. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 明確に速記録のどの点ということは、私もちょっといま資料はありませんが、おっしゃる意味は、日本コンピューター産業はたいへん発達がおくれておるし、外国大型資本、そういったものの上陸によってじゅうりんされはしないかという懸念のあることは事実でございます。  それに対しましては、いわゆる自由化という問題を扱いまする場合に、他の物資よりもこの電子計算機に関する限りは、一番最終的にこれが扱われるということで、そういう面から、貿易政策の上から防御手段が講じられる、こういうふうに心得ております。そうして、この公衆電気通信法が直接外国企業なり資本なりを抑圧するというわけにはこれはまいらないので、そういう面は外資法その他によって規制をすべきであろう、こういう答弁を申し上げたことがございます。
  125. 安宅常彦

    ○安宅委員 五〇%というような話も、ちょっと口から出たように……。
  126. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 それは私、ちょっと記憶にございません。
  127. 安宅常彦

    ○安宅委員 じゃ通産省の方にお伺いいたしますが、これは運用ということで切りがつくものかどうか。これはアメリカよりも機械が劣っているとか劣っていないとかという問題とは別だと思うのですね。これは国益の問題だということになりますと、私は、日本の統計、習慣、それからこういういろいろな貿易、産業の構造、すべてこれが握られてしまうおそれがあるようなものについては、法の運用面で規制するなんということではいけない。これは民族の独立に関係することだと思うのですよ。非常に重要なことだと思うのです。産業だけがどこかの国の影響下にあって、植民地化したみたいな産業になるのではないかという心配を、先ほど武部さんが言われましたけれども、そういう問題じゃないと思うのですね。通産省としてはどんなことを考えておるのか、ちょっとお伺いしたいと思うのです。非常にきつく考えておらないと困るのですよ、あなたのほうは。あなた、商売のほうですから、商売の面からだけ答弁できるのだ。たいへんあなたは私の気にさわることをさっき言っておるのですよ。このコンピューター関係データ通信関係では、通産省は今後中核体となっていくみたいな話ですが、あなたのところは中核体みたいなもの一つも持っていない。あなたのところが中核体になられると困ることになるのですよ。そんな思い上がったことを言わないで、きちっとあなたの分野で答弁してもらいたい。
  128. 平松守彦

    ○平松説明員 お答え申し上げます。  コンピューター産業をこれから育成していくということは、通産省では一番重点の一つとして取り上げておるわけでございまして、アメリカとの技術的なギャップを改善するために、大型プロジェクトの開発、それから日本電子計算機株式会社というのをつくりまして、IBMが行なっておりますレンタル金融に対抗するために資金力の面で補完をするということで、日本電子計算機に対しては、今年度につきましては二百九十億円の財投を入れまして、資金面、技術面、それからハードの面、ソフトの面、両面合わせて早く日本アメリカと伍していくような技術力にまで引き上げていきたい、こういう方向で政策をとっているわけでございますが、当面、最後の自由化計画といわれます第四次の資本自由化につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、ネガティブリスト、つまり自由化をしないという方向日本の産業を興してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  129. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは機材そのものの輸入だけではなくて、資本の輸入というか、資本の進出も許さない、こういうことですか。
  130. 平松守彦

    ○平松説明員 いま申し上げましたのは資本の自由化の面でございまして、物の自由化はいまのところいたしておりませんけれども、国内でできない機材、計算機というものは、一件一件審査をしながら輸入をしてまいっております。
  131. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、たいへんいいように聞こえるのです、その資本のほうは、いまのところですね。日本政府というのは、あとでまたアメリカからおこられるとふらふらになるかもしらぬし、あなたのところは私はあまり信用していないのです。自由化をしてくれといって、わあわあ郵政省に泣きついたのだかおどかすか何かしたのでしょうから、私は信用していませんよ。信用していないということは何かというと、日本の国の政策がこうだ、だからだいじょうぶだということは、憲法でも自衛隊でもみんなそうなっていますね。今度原爆なんか、使ってもかまわないみたいなふうに流動的に変わっていくのです。そうじゃいかぬから、法的な措置をする必要があるのではないかという前提に立って私、言っているのです。だから、これは誤解のないようにあなたのほうもしてもらいたいし、いまのあなたの意気は壮といたします。私はそれはそれでよろしいと思うのです。ふらふらしないようにしてもらわないといけません。  それから郵政大臣、その外資の面や何かで運用よろしきを得て、そういうことを防ぐつもりでありますと、私の聞くところでは、外資が入っても五〇%以上にしないなどという話が出たと聞いております。もし議事録に載っておったら、それを訂正してもらわなければならない。これは日本が中国を侵略しておった当時、注政権というかいらい政権をつくった。そのかいらい政権がどういうことを言ったかというと、日本の資本は幾ら入ってもいいというわけにはわが国はまいりません、日本は四九%までにして、あと五一%はわが国にしてもらいたいということを汪政権という人が言ったという有名な話があります。ところが、それは今日の自動車産業その他の産業を見てもわかりますとおり、五〇%以下だから安心だなんということは絶対に言えませんよ。こんなことをもし大臣が考えておったら大間違いですから、このことについて私ども将来にわたって監視するつもりです。そういうことについて、コンピューターによってどんなことが起きるかわからないと先ほどから参考人なんかも言っておりますが、終局的にどういうことになるかはわかっていますね。これはあらゆる産業、国家の構造までたいへん大きな変化を来たすだろうということくらいはわかっておるのですから、そういう意味で、国益というものについての考え方は、運用で何とかやるというのではなくて、公衆電気通信法はあまねく公平にというんで、外国人も公平にやるみたいな話をあなたは先ほどしておりましたが、通信の役務としてこの公衆電気通信法の中に入れた以上、今度は別な法律でそれをやるのかどうか、法体系の問題はしろうとだからよくわかりませんが、こういうことについて万間違いない方針を今後とりますということを、大臣から言ってもらわないと、この法律はおそろしい化けものになるのではないかということを心配しておるわけで、もしそういうことをなるほどなと思われましたら、万遺憾ないようなそういう方針を、そのつど国会に相談をしながらきめるとか、そういうことの答弁がいただければたいへん心強いと思っているわけです。
  132. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 コンピューター産業が情報化社会の非常に大きな支柱になるということは、これは間違いございませんし、これにいまにして十分なる関心を払わなければならぬということも、御指摘のとおりであります。したがいまして、先ほど通産省からも答えられましたように、ヨーロッパの米国コンピューター上陸による惨たんたるじゅうりんぶりなども、これは参考にしなければなりませんので、この点は、私ども十分意を用いるつもりでございます。  そこで、先ほどの五〇%云々というお話は、どうも私の記憶になく、たしか私の口からは出ていないはずであります。  さらに、この公衆電気通信法、これは私どもはこの守護神でなければならぬ、これを忠実に守り抜くのが私どもの使命である、こういう気持ちで臨む次第でございます。
  133. 安宅常彦

    ○安宅委員 公衆電気通信法を死をもって守ったってだめだと、私はさっきから言っているのです。だから、法体系のことはしろうとだからよくわからぬが、公衆電気通信法にそういう、つまり外国から経済的に、政治的にいろいろな日本の構造なりそういうものが、ことばは悪いけれども、侵略ということばを使うのですが、あなたは、欧州はアメリカ資本によってじゅうりんされたと言いましたけれども、じゅうりんされないような歯どめの法律が別に必要だとすれば、つくらなければならないと私は思うのですけれども、そういう必要があるかないかについてあなたから……。
  134. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 そういう点を十分に警戒しながら、当面これはスタートとさせていただきますが、いまおっしゃるような御懸念がありとするならば、そういう対処のしかたをいまから検討すべきであろう、こう考えます。
  135. 安宅常彦

    ○安宅委員 これはコンピューターにならない時代、現在でもあるのです。電話でもあるんですよ。電話の、いまの電電公社が運営しておるシステムの中であるんです。どういうことがあるか。たとえばアメリカの軍の基地がたくさん日本にありますね。私の知り合いの人が上陸用舟艇、LSTで南ベトナムあたりに、アメリカの軍に徴用されて日本人が行ったでしょう。それから沖繩あたりに行っておる人も相当あったのですよ、あの当時。いまでも行っておるのじゃないですか。そして日本人がベトナムで戦死したんですか殺されたんですか、そういうことが新聞に報道せられたことがあります。そういうときに外国通信で、そういうところからアメリカの基地に向かって電話をして、そしてその基地のPBXですか、そこから私の郷里の何番につないでくださいよというて、外国から、私はこういう船に乗っているから、おやじさん心配しないで、二月間くらい行ってくるつもりだというようなことが、すっと市内通話と同じように入ってくるのです。いまはそういうことになっておるのですよ。それを私らが具体的に調べようとすると、電電公社は必死になって隠します。これは隠す必要はないのじゃないですか。そういうことを技術的に、法的にとめられるものかというと、とめられないから隠すのじゃないですか。いまでもそういうことがあるのですよ。公衆線にはつながないことになっておるのです、法律的に。これは日米安保条約と地位協定、それからサービス協定によって、国内の公衆線にはつながないことになっておるはずです。監理官、それはそうでしょう。そうだとすれば、完全に違法なことをしておる。これは相手がアメリカだからそうしておるのかどうか知りませんけれども、いまでさえも法的に、技術的にできない。コンピューターになったら、法を幾ら守ったってできないじゃないかという例を私はこれで言おうとしたのです。どうですか監理官、できますか。
  136. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答えいたします。  純技術的な立場で申し上げれば、絶対にそれを防ぐという方法はあるいはできないかもしれませんけれども、それを防ぐべき技術、手段を考案し、それを設置するということは可能かと存じます。
  137. 安宅常彦

    ○安宅委員 アメリカ日本を占領してから何年になる。四分の一世紀ですね。その間、あなたは技術的な改良の手段も講じなかったし、違法な行為をそのまま二十数年間許しておいて、技術的には可能だと思います。コンピューターのときは一生懸命やるが、電話はかまわないでおくのですか。できないのじゃないですか。
  138. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  コンピューターであろうとそのほかの電話の設備であろうと、そういうことを設置するということは可能であると申し上げたわけでございます。
  139. 安宅常彦

    ○安宅委員 可能であるものを、なぜいままでしなかったのですか、電話の通信網の場合。
  140. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 さような事実については、私自身現在まだ知得いたしておりません。
  141. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしたら、あなた方の部下は怠慢だということになる。そういうことをやられているならどういう形式で――たとえば、私も昔は電電公社につとめておりましたが、たいへん機械が進歩しまして、いまでは浦島太郎みたいなものでございますから、昔の古い機械しか頭の中にないから、もっと進んだ機械でうまくつながるようにしてやるというのか、あるいは電話の交換手が、いいわ、ないしょでつないでやるわと言ってやるのか、そういうことを具体的に調べようかと思ったら、必死になって隠した。なぜ先生そういうことをお調べになるのですか。そういうことが安宅常彦から出たぞ、危険だから気をつけろぐらいはあなたのほうに届いていると思ったが、二十何年間たってまだ聞いたことがございませんか。こんなばかな話があるのですが、知りまんか。
  142. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 二十何年間たっておまえは知らないのかと言われますと、私は現在の監理官の立場になってからは存じておらないということでございます。何とぞよろしく。
  143. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは聞きますよ。運用局長どうですか。それから、前に運用局長をやって、そのポストを経てえらくなった人がずらりとそこにおられますし、あるいは営業局長を経過して総務理事になった人もおるんじゃないですか。二十何年間、あなた方はそういうことを知らなかったのですか。一人一人答えてもらいます、そんなことを言うのならば。知らぬとは何ですか。一人一人答えなさいよ、そんなことを言うなら。
  144. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  いまのようなことが、具体的にいつどこであったかは私も存じませんけれども、ただいま申されました件は、大きく分けると二つあるかと思います。  一つは、アメリカの基地を世界的に全部自動即時化をして結ぶ計画がございます。そのうち一部が完成をしておりまして、それをオートボン計画と呼んでおるようでございますが、それと国内の公衆回線が連結する可能性というのはございます。これに対しましては、米軍と昭和四十三年に文書を取りかわしまして、外国の米軍基地内の電話と米軍の通信網を通じて日本の公衆通信系と接続することはしない、こういう約束をいたしております。それが一つの形式でございます。  もう一つは、国内の米軍基地間を専用線でありますとか、ただいま先生のおっしゃいましたPBXでありますとか、私設回線等で結んでおるものがございます。これとの関係も同じようなことが発生をいたすのでございます。これにつきましても、昭和四十四年に米軍と文書を取りかわしまして、具体的には手動台を設置いたしまして、純然たる軍用の通信以外は接続を認めない、こういうことを双方了解のもとに約束をいたしております。したがいまして、そういう事実はないと思っております。
  145. 安宅常彦

    ○安宅委員 ないと思っておりますというのだったらかわいいところがあるのですが、ないと断言したら、これはたいへんなことになるのです。こういうことを私が言うのは、この問題でつつこうとはしないし、それからコンピューターの問題にしても、まかり間違えば、アメリカの軍事的なそういう通信網とぴたり一致するという危険があるんだということを、われわれが常日ごろ言っている、そういうことが裏づけされるような答弁なんです。これは危険ではないでしょうか。そうしてアメリカ軍に使われている人が、うちに電話したりなんかすることは平気の平左衛門でいまやられているという事実は、あなた方は知らないとは言わせないですよ。そういう約束をしたけれども、沖繩には毒ガスはないはずだけれども、アメリカと約束しておったから核兵器はなかったはずだけれども、そういう約束をしていますと佐藤榮作さんという人はしょっちゅう言いますよ、本会議でも。調べてみたら毒ガスがあったりするんですね。そして核兵器もちゃんとあったりしますね。そういう約束はなっているけれども、あるのですよ。と同じように、約束はなっておるけれども、そういう違法なことをやった者に対する罰則も適用できなければ、摘発することもできない。そうでしょう。だから公衆電気通信法、死力をもって守っていくのが私の任務なんでありますと、大臣うまいこと言ったってだめなんだ。つまり手動の交換機を据えつけてみたところで、できないということはあり得ないでしょう。そうじゃないですか。かえって、これを待たしておいてつなげば、手動でもあと国内のダイヤル、別に回せば通ずるのじゃありませんか。そういう約束をしたって、遠藤さんだめなんじゃないんですか。機械の設備を変えてもだめなんじゃないですか。
  146. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  米軍とのただいまの電話サービスの関係は、先生御存じのように、公衆電気通信法ではなくて、地位協定に基づく米軍との協定になっております。したがいまして、この協定は毎年度更新でございますが、もしそのような事実がございますれば、十分調査をいたします。
  147. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは名前が出たりいろんなことをするから、武士の情けで実例を言わないだけなんです。もしそういうことがあったら処置しますでは困るのですよ。それはあなた方幹部の人は気がついているはずなんです。だから私が言うのは、今日の電話でさえもそのとおりじゃありませんかと言っているのです。これは何もアメリカと結びつけるだけで私は言うつもりはありません。  たとえば、こんなことを言っちゃいけませんけれども、局番をぐるぐると回すと交換手の人が出てくる、まだほんとうの自動化にならない局がありますね。局番だけ回すと交換手がはいはいと出てくる。そうして牧野さんのうちにつないでくださいと言うとオーケーということになる、知り合いだと。それは料金もらえないでしょう、電電公社。そうですね。具体的に言いますよ。あなたが山形県の私の住んでいるところのちょっといなかにいたとします。私、東京から、そこに出張しておる牧野さんに電話したいな、料金惜しいなというときに、もし交換手がおって〇二三何ぼ何ぼと回すと交換手が出てくる。牧野さんそっちに出張しているでしょう、ちょっと出してください。はあ、そうですかと交換手が言ったら、料金もらえないですね。そうですね。いまの電電公社の構造はそうなっているのですよ。アメリカ軍はそれを極端に利用しているのじゃないですか。
  148. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  いまの設例がちょっとわかりかねますのですが、私が山形まで電話をいたしまして、山形の基地へ電話するという意味でございますか。
  149. 安宅常彦

    ○安宅委員 こういうことですよ。たとえば自動式になっていない局、小さないなかの局、そこに電話をする。その加入者は、一五〇番だとか六〇番だとかいう小さな番号しかありません。それで〇二三七五四だとか、山形あたりそうですよ。ずっと局番呼ぶと、自動式じゃないですから、局の交換手が出てきますよ、東京から呼ぶと、ダイヤルを回すと。それで何番つないでくださいと言うと、そこから通話が始まって、料金はあなたのほうに入る。交換手に知っておる人がおって、そうして遠藤さんがそこに出張しているはずだけれども、私、友だちだから特別何とかしてくださいと言ったら、知っている人なら、遠藤さんのことならえんやこらと、そのままやったら、あなたのところには料金が入らない仕組みでしょう。アメリカだけじゃないのですよ、これは。
  150. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 わかりました。それはいわゆる半自動の場合だと思いますが、そのとおりでございましょう、もしそういうことをやれば。私はそういうことはないと思います。
  151. 安宅常彦

    ○安宅委員 たとえばそういうことをやられても、技術的に規制することがいまのところできないはずだと言っているのですよ。それから法律的にもわからないはずだと言っているのですよ、そういうことをやったことは。そうですね。だからアメリカの場合には、もう東京から岩国でも横田でも三沢でも、みなやっていることはあたりまえのことだということを言っているのです。これはたいへんなことだ。今度コンピューターになったらますますわからないですよ。オンラインでやって、そしてそこからやってもかまわない。あるいは端末機をつけてうまくやったらするりと逃げられるような、そういうことがたくさん出てきはしませんか。電話だってそうなんですよ。だから、そういう場合には契約を取り消すということを法律に書いてありますね。罰則も何もないのですね。こんなことでいいのですか。どうなんですか。
  152. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのお話のケースは、通信規制の対象になっていない問題ではないかと思います。つまり公衆通信法の規制対象外の問題ではないのか、こういうふうに理解するのでございますが、いかがでございましょう。
  153. 安宅常彦

    ○安宅委員 郵政大臣が認可した分はどうですか。――もういいですよ。電話だってそういうことをやられているのに、コンピューターデータ通信のときは、もっと精密なことになっているかわりに、非常にそういうデリケートなところがあるのですよ。だから秘密の漏洩、そういうことを私はある新聞社の記事をもって皆さんに示したけれども、結局どこでどうやったかわからないでしょう。公衆電気通信法では、あなた方がやる以上そういうことは予想されるのじゃないですか、ああいう産業スパイだとかいろんなことに関することが。そういう場合に契約を取り消すだけで、罰則もなしに、技術的にもそれを摘発する手段というのが、いまのところ電話でさえもないのに、コンピューターなんかになったら、予想もしていないじゃないかということを聞いているのです。電電公社の中で予想しているのですか。そういうことを検討して何か論議をしたことがありますか。
  154. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  先ほどから半自即の場合でも、公社の交換手といいますか、そういうことがあればという御質問でございましたが、私どもは、一応たてまえといたしましてそういうことはないと思っているわけでございます。  それから、データの秘密漏洩につきましては、先生御存じのように、公衆電気通信役務でございますから、現在、有線電気通信法あるいは公衆法の中で秘密の漏洩に対する罰則がございます。それはそのまま適用になると私は聞いております。
  155. 安宅常彦

    ○安宅委員 たとえばオンラインの場合には、それは公衆電気通信法のらち外じゃないかと簡単に監理官おっしゃるけれども、郵政大臣が個別に認可したものとか、それから実際は技術水準がそれに達していればオーケーというようないろんな通信回線利用する場合、区別があるようですけれども、どっちもあなたの監督下に入る分の中でそういうことが起こり得る。それを阻止する技術的な手段、それからこれを摘発する手段は電話でさえもない。アメリカ軍の中にそういう不正なことをやっているかどうか、試験機でも入れてぴしっとやるならいいけれども、単なる文書の取りかわしではどうにもならない現実の問題があるわけですから、こういうことを検討したことがありますかと聞いているのです。ないのでしょう、そういうことは。
  156. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  データ通信としてのデータ通信系から秘密を取り出す、内容を取り出すということは、現在の公衆法の規制に触れるわけでございまして、それに従う罰則にも適用される、こういうふうに考えております。
  157. 安宅常彦

    ○安宅委員 秘密を取り出すだけじゃなくて、そういうことがやられるようなことになりかねませんよ。これは必ずなると思うのですね、あなたは首を振っているけれども。それはいいです。そういうことについて検討したことはあるかと言っても、あるともないとも返事ができないところを見ると、検討したことがないと断定いたします。  それでは聞きますが、先ほどアメリカ軍の話をいたしましたが、そういうことまでやっているアメリカ軍の専用の施設、ここからは料金を取れないのじゃないですか、電電公社は。どうなんですか。
  158. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 正式に専用料としていただいております。
  159. 安宅常彦

    ○安宅委員 何か専用料としていただいておりますと言いますが、補修をしたとかこわれたとかの分は、電電公社でなしに日本政府アメリカは払っているけれども、電話の料金は、いま外務省との間に日米合同委員会で、何億あるかなんということで詰めているという話を聞いておりましたが、いただいてるのですか、どっちなんですか。
  160. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 現在、折衝していただいておりますのは、終戦処理費と安全保障諸費によって建設をされたものでありまして、それ以後専用線として提供いたしておりますものについては、正規の料金をいただいております。
  161. 安宅常彦

    ○安宅委員 それ以後というのは、どこの区間を前後に分けたのでしょうか。
  162. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 そういうことを申しますのも、ただいま申し上げました、いわゆるTOW、JGCP以外のものでありまして、種類というものは相当たくさんございますけれども、金額にいたしますと、専用収入として現在までに三百四十八億ばかりいただいております。
  163. 安宅常彦

    ○安宅委員 じゃ、いただいていないのは、その後というふうにあなた言いましたが、その以前というのは、どこを区間として前後というふうにおっしゃったかということを聞いておるのですがね。
  164. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  ただいま問題になっておりますのは、いわゆる終戦処理費と安全保障諸費によって建設をされたもの、その区間のものであります。
  165. 安宅常彦

    ○安宅委員 私の頭が悪いのかもしれませんけれども、たとえば講和条約、安保条約の結ばれた以前のものとか以後のものとかという区別じゃなしに、つまり終戦処理費によってやったもの、そういうものはまだ料金の裁定ができない、こういう意味なんですか、どっちなんですか。その以前というのは、その前につくったものか、あとの分はみんないただいておるのか、前の分もみんないただいているのか、どっちなんですか。
  166. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 ただいま申し上げましたように、その期間の問題は、当時のものもございますけれども、終戦処理費と安全保障諸費で支弁をされまして、その後公社に移管されたものについていま問題になっておる、こういう意味でございます。
  167. 安宅常彦

    ○安宅委員 監理官、その金額は幾らくらいになりますか。またたいへん気の毒なんですけれども、外務省に出てくださいと私、言ったら、きょうは日米合同委員会があるから国会に出られないというのですよ。そんなばかなことないと思うのですね。それでたいへん気の毒だけれども……。
  168. 金子岩三

    金子委員長 外務省見えておりますよ。
  169. 安宅常彦

    ○安宅委員 担当係じゃないのが来られても困るのですよ。
  170. 金子岩三

    金子委員長 アメリカ局松田首席事務官という人を呼んでいる。
  171. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなばかな話ありません。そのために政府委員なり、そういうものを任命しておくのです、国会は。あなたかわってかわいそうだが……。そんなに外務省はアメリカがこわいのかね。
  172. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  終戦処理費とそれから安全保障諸費で支弁してつくられた施設についての専用の料金の問題については、いわゆる日本紛争料金ということで長年にわたって懸案になっている次第のものでございます。それでこれが解決につきましては、米側と外交レベルにおきまして鋭意折衝を重ねている現状でございます。いわゆる終戦処理費、それから安全保障諸費、これらでつくりました設備は、これは一つのアメリカの専用に属する特別の目的を持った政府資金でつくって、先ほど申し上げましたように、専用的にアメリカ軍基地の運営の用に供するための施設のものでございます。この設備がどのくらいたっているかと申し上げますと、かなりの年月がたっておるわけでありますが、これを永続的に使うというようなふうにはわれわれは考えておらないわけでございまして、したがって、向こうとの約束におきましても、これが障害になりましたり、あるいは故障が起きたりしたときだけ修理して、だんだんと老朽していけばそれを使えなくなる、現実にございます回線数も徐々に減っておりまして、そうしてこれが米軍自身でつくりましたほかのマイクロウエーブその他の回線に乗りかわっているということになってきております。そこでわれわれはこれらの問題がその料金――料金を調停できないままにいることははなはだ問題がございますので、なるべく早くこれが解決するように向こうと鋭意折衝を重ねている次第でございます。
  173. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、それは施設だけではなくて、日本の国内において、日本人と同じようにアメリカ軍の基地だけであるかもしれぬが通話もしているだろうし、何か日本の従業員もその中に入れておったのじゃないですか、日本の従業員、電電公社の従業員をそういう施設に対して。どうなんですか。
  174. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私が申しました範囲のものにつきましては、基地外にわたる部分の主としてケーブル線路に関する部分のことでございます。
  175. 安宅常彦

    ○安宅委員 では具体的に聞きますが、あるキャンプがある。その中に特別電話局というのをつくって、日本の従業員を入れて、日本の従業員よりもたいへん高い月給で昔入れておったものですが、そういう分のもの、料金なりあるいは電電公社でかかった経費、こういうものは料金をもらっているのですか、裁定不能の分になっているのですか、どっちですか。
  176. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  それは料金をもらっております。そうしてそれはいわゆる私設交換機、構内交換機、それと同じような取り扱いにしておる次第でございます。
  177. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは総理府の方どなたか来ておりますか。総理府の調達関係の人は来ておりませんか。どなたかわからないので……。
  178. 金子岩三

    金子委員長 防衛施設庁補償課長がいます。
  179. 安宅常彦

    ○安宅委員 それではなぜこういう問題で二十年間も、何というのでしょうか紛争料金というのでしょうか、安保条約によって施設を提供する、そういう場合どういう料金の支払い方をするかということが今日までまとまらなかったか、そのいきさつをちょっとあなたから説明していただきたい。
  180. 佐久間章

    ○佐久間説明員 お答えいたします。  私、実はことしの四月一日付で補償課長に任命されたものでございまして、私のほうは地位協定の十八条と申しまして、公務上、公務外のいろいろな事故、いわゆる米軍と日本側、あるいは第三者との間の事故を取り扱っている課でございまして、施設の問題につきましては、部局が違いますもので何ともお答え申し上げかねます。まことに失礼します。
  181. 安宅常彦

    ○安宅委員 委員長、こういう問題で聞きたいからおいで願いたいと言ったのに、まるっきり管轄が違う人が来たってこれは話にならないし、だれかみたいに通信監理官になってから二年でございましてなんて同じような答弁をされたのではこっちも困るので、それではこういういきさつというものをぴしっとしない日本政府というものがいけないのじゃないでしょうか、私はそう思うのですよ。アメリカのことなら何でも下手に出なければならないというような考え方は間違いですよ。それではその金額は、監理官、いま問題になっている、紛争になっている金は一体どのくらい見積もられておりますか。
  182. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  現在紛争中の料金でございますので、金額が幾らということは確定しておりませんので、申し上げることはむずかしいのでございますけれども、いまもしかりに公社の専用料金と同様に計算するならば八十三億程度になるということがかりに計算できるわけでございまして、これはその料金が当然調停できる料金ということではなくて、調停できないままになっている料金であります。
  183. 安宅常彦

    ○安宅委員 国会ですからね、監理官。あなたのほうでアメリカにどれだけ要求するか――外交的に外務省がそういうことをやるんだったらいいのですよ。日米合同委員会あたりでやるんだったら、やったってけっこうですが、電電公社としては、どういう根拠によってこれだけ要求していますというふうに答えなければいけませんよ。それにもかかわらず何だか奥歯にもののはさまったみたいな答弁をする場所では、ここはないはずなんです。あなたもそういうことはいかぬですよ。ただ八十三億円を要求しているけれども、外務省とアメリカの折衝で、外交ルートでやっていますから、私らではどうも権限がございませんというのだったら話はりっぱです。どうなんです。かりにとかなんとか言ったって、向こうが、かりにと言うんだったら、それじゃ払わないと言われたらどうするのですか。
  184. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申します。  先生先刻御存じのとおり、現在外交ルートにおいて交渉中の問題でございますので、ただいま内容を申し上げるわけにはいかない、こういうことになっております。(「内容じゃなく請求だ」と呼ぶ者あり)請求も同様でございます。
  185. 安宅常彦

    ○安宅委員 請求額が言えないなんて、そんなばかなことはありませんよ。これははっきり言ってください。そんなこと一言ったら、私は次の質問に立たない。だから国益というのは重大だと一番初めに限定したのはそういう意味なんです。だめだ。
  186. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  いま請求額という形で御質問がございましたので、請求額ということならあるいはむずかしいかもわからないのですが、御存じのように、本件は数年前から本委員会でも問題になっておりました。その場合に、公社が請求をしているという意味ではございませんで、先ほど監理官からお答えいたしましたように、一般専用の場合と同じ計算をいたしました金額を計算をいたしております。その積み上げた金額が八十三億円でございます。しかし、これは公社の債権として確定をしているとかあるいは滞納料金とかという形で財務諸表に載っておるものでないということも、本委員会に御答弁をしておるとおりでございます。したがいまして、いま一般専用として計算をいたしました場合の金額といたしましては、八十三億円という金額が一応本件について残されておる数字でございます。
  187. 安宅常彦

    ○安宅委員 おかしいですね。紛争というのは――私が質問に立たないといってがんばっているのはそれなんです。紛争だったら、こっちが何ぼ主張し、向こうが何ぼ主張し、したがって合わないというんだったら紛争ですよ。損金もしてないし、請求もしてないし、貸し倒れでもない、何だかわからないけれども、そういうことを要求しているなんていったら、向こうだって払うわけがない。おれだって払わない。そんなばかなことがあるものか。はっきりしてくださいよ。
  188. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま日米の間で考え方について大いに議論いたしておりまして、その考え方の内容等につきましては外交交渉上に遷移いたしておりますので、申し上げることを差し控えさしていただきたい、こう申し上げておる次第でございます。
  189. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは私、もう質問に立たないと言ったけれども、質問します。そうしますと、あなた方の言うのはおかしいではありませんか。これは俗なことばで言うと交通事故みたいなもので、電電公社としては損した覚えもないけれども、つくってやったんだから、あとで金よこせ、いや、つくってやったとき、おれのほうで負担するという意味ではなかったはずだから払わぬよと言われたら、どうにもならないところでしょう。交通事故だってそうですね。それと同じことで、こっちが何ぼ要求して、しかも根拠がかちっとあって、日米合同委員会にかけるんだったら、なぜアメリカが払わなければならない義務があるのかということを理論的にも組み立てて、そしてその金額はこれこれになりますといわなければ話にならない。紛争というのはそこから起きるのでしょう。それをありませんとか、仮定すればこうだとか、こんなことではいけませんよ。何もここ国会というのはそういうことまで秘密にしなければならないなどということはありませんよ。国家機密でも何でもあるまいし、そんなことはおかしいです。どういう経過になっているか、外交上の問題だからいまは答弁できないというのは、どういうふうな経過をたどっているかは答弁できないという微妙な段階でありますというんだったらある程度わかるけれども、請求した金額まで言わないというばかなことはないでしょう。どうなんです。
  190. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 私の答弁がたいへん不徹底で失礼申し上げました。この紛争料金のもとになりました問題は、日米安全保障条約第六条に基づきますところの地位協定第二条及び七条の問題から発しているわけでございます。米軍は、これは米軍のためにある施設であって、これが当然提供さるべき、無償で使えるものだという解釈に二条によって立っておるのと、そうではなくて、これは公共の役務として日本政府が提供しておるもので、当然有償で提供されるものだというところの解釈の相違から出発して今日に至っている次第でございます。
  191. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはわかっているのですよ。だから紛争が起きているのでしょう。そんなことは前からわかっていますよ。だけれども有償でやるべきだという主張日本政府はしたのでしょう。だから紛争が起きているのでしょう。電電公社でそれを計算して、どれくらい損したといわれたからあなたのほうで出したのか、日本政府からいわれてそうしたのか、あるいは電電公社があなた方の利益を代表してアメリカ側に当たっているのか、そのいきさつはどうなのか聞きたいと思って、特別調達庁というのですか、そっちのほうのお役人さんを呼んだら係の違う人が来たから、かわいそうだけれども、あなたをいじめることになりますがというのでこういう話をしているのです。あなた汗ふきふきだからたいへん気の毒なんだが、これはいいでしょう。絶対これだけは言えないということはない。請求額は言ってもらわなければなりませんよ。これだけ言ったらあとは言いませんよ。これは具体的に、コンピューターになった場合のいろいろな犯罪や行き違いが起きる一つの例として引用しただけでありますから、あとで詰めますよ。だけれども請求額は言ってもらわなければいけませんよ。
  192. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 長年にわたる紛争ではございますけれども、昭和三十年にこの保守協定を締結いたしました際に、これに要する保守の実費を請求をしておりますし、その日からまた専用線として計算するならば、この程度の額になるということを向こうに通知をいたしております。
  193. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかった。  それで今度は、料金の問題に私は入らせていただきます。公衆電気通信法第一条、これは土橋さんなんかもこの間も何回も読んでおられましたが、あまりにも不公平ですよ。だからアメリカあたりだと、アメリカには公平過ぎるみたいなことをやっておきながら、あまり公平でないことをあなた方は日本国民にはうんとやっている。だからさっき堀さんが質問しておったその専用線と同じ料金を取るか、度数制でやるかによってコンピューター利用のしかたがたいへん違うのじゃないかという話まで出ておるようですけれども、私らの本能的な感覚でいきますと、大体どういう発展をするかということは別にして、たいへん大きな産業だけがこのデータ通信の施設を使うためにたいへん大きな受益がある。そして小さい企業なんかはなかなか金がないからつけられない。やっとつけたと思っても大した効果がない。それから一般の国民の中に、私、安宅常彦が端末機器をつけるということは考えられないですよ。八百屋さんだって本屋さんだって、いまの時代そんなこと考えられませんよ。そういう状態で公平でない事態がこのデータ通信利用やり方によっては判然と出てくるのじゃないですか。そういうことについてどういうふうに調整をしたらいいかなどという討論を電電公社の中であるいは郵政省の中でやったことがありますか、監理官。
  194. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  データ通信の料金につきましては、電電公社からの申請に基づきまして、私らが審査をいたしまして大臣の認可を得て認可するわけでございますが、その際、ただいま大企業に偏するとか偏しないとかいうことは一切考えの中に入れないで、公平にこれを認可いたしておるものと考えております。
  195. 安宅常彦

    ○安宅委員 牧野さん、何か電電公社のPRのときに、あなたうまいこと言っていますよ。大きな産業なんかかってにやりますよ、そういうようにして民間開放するのが正しいとある人が言ったら、高くつきますよとあなた言っているのです、書いてあるのだから。電電公社がやったほうがいい、つまり大資本が自前でやろうとすればすごく高くつく、電電公社では安くつきますよと、裏返しのことを言っているんですから。そういうことで、電電公社のこのデータ通信利用することによって、大きな産業は不自由かもしれぬけれども、一々大臣の認可を取るから、大臣の顔を見るだけでいやな産業があるかもしれぬけれども、利用したらよろしいですよということをあなた発言しているじゃありませんか。
  196. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 電電公社データ通信民間が行なうデータ通信との間は、これは全く公平に取り扱うべき問題でございまして、電電公社だから安くするということは毛頭考えておりません。それから回線の使用料につきましては、電電公社は自前の回線を使うからおそらく安くするであろうという、巷間伝えられるうわさがございますが、そういうことは一切いたしておりません。今後もいたす意図はございません。回線の使用料につきましては、民間が行なうデータ通信の使用料も、公社の行なう回線使用料も同額にこれを計算して料金を設定するようにいたしております。
  197. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、いまの電話を使う専用料金などをこえないような範囲内でひとつ料金決定をしようじゃないかという、通産省側と何かいろいろ約束ごとがあると私聞いておるのですが、それはありませんか。
  198. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。そういうことは一切ございません。
  199. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、これはその予算の範囲内でという法律はおかしいではないかと堀さんが追及いたしましたね。それに関連をするのですが、したがって私たちは、これは法定料金にしてもらわなければならないという考え方をあくまで変えません。したがって、どうしてもあなた方がそれを拒否されるのだったら――これはいま始まることですから、途中じゃないんですよ。そのときどんな料金になるかも知らないで、国会議員がぼやっとして賛成なんて言って通過させることはできないじゃないですか。国会はそれほどもののわからない者の集まりだと思っておるのかどうか知りませんけれども、そういう料金を含めた政令なり、そういうものの大まかな範囲というものをいまここであなたは明らかにすることはできませんか。
  200. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  データ通信というのは、御案内のとおり、ただいま始まったばかりの一つの通信形態でございますが、これの技術というものは日進月歩で、とどまるところ知らないほど進むものでございます。そしてこれを固定的にきめてしまうことによって、将来の発達の阻害になりあるいはいたずらに高い料金になってしまうということを防ぐために、これをそのつどのケース・バイ・ケースで大臣の認可によって定めようというのがこの趣旨でございます。
  201. 安宅常彦

    ○安宅委員 裏を返せば、国会議員さんは頭がかたいからなかなか事態に対応できないので、役人さんできめればそういう流動的な事態に対処できるのでわれわれがきめます、こういう答弁としか、私はひねくれ者だから聞こえない。それだったら、そういう政令を出す場合に、この法律は私は反対ですから通るとは思っていませんけれども、万が一通った場合には、たとえばいろいろな委員会を設けろとか、さっきから話がありますが、そういう政令をお出しになるという場合に、今日こういう状況なのでこういうふうにしたいということを国会に相談するなり、そういう心がまえはないでしょうか、大臣、どうですか。
  202. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 法律のたてまえは大臣認可ということでございますから、これを実施するにあたりましては、いまおっしゃるように、郵便の場合は郵政審議会というものがございますが、何かそれに類似したようなそういう機関というものをひとつ考えてみよう、こういうふうに思っております。
  203. 安宅常彦

    ○安宅委員 もし通った場合は、法律はあなたの権限だから、たとえば事前にこういうふうにしたらどうかということで本委員会あたりに相談をするといいますか、そういうことは考えていないわけですか、考えているのですか、どっちですか。別な機関をつくるみたいなあなたのお話ですが、私は相談するかしないかと聞いているのです。
  204. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 直接国会との関連において考えてはおりません。しかし委員会等は始終あるわけでありますから、御報告を申し上げるということはございましょう。
  205. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。  それで、このデータ通信を始める前提として、日本的なグループ料金制だとあなた方が言っているいわゆる広域時分制というものをとられたわけですが、この問題で私はどうもこのつくり方があまりぎこちないんじゃないかと思っているのです。ほかの国でも、たとえば英国あたりの例もありますが、それをまねしろという意味じゃありませんよ。日本独自の方針でけっこうですけれども、隣接地域もこれは何というのでしょうか、区域内通話と同じ料金であったっていいじゃないか、私はそう思っているのですが、このことについて電電公社のほうからは、それはいいじゃないかとあなたは思うかもしれないけれども、思わないという答弁しか出てこないと思いますが、こういうことについて何か検討したことありますか。
  206. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  グループ料金制と申しますと、大体イギリスのことがいつも中心点でございます。いま先生のおっしゃいましたのもイギリスのいわゆるグループ料金制の状況でございますが、これについては私ども十分に検討いたしました。その結果、これを直ちに日本に導入することができない一つの理由は、これは御存じのように、基本料というものが大体日本の倍ぐらいの高さで全国均一で定められておる点が一点ございます。それからこれは英国の地理的な特徴であろうかと思うのでございますが、隣接の次の段階へ行くときに、大体現在の英国で申しましても中と外とで十八倍の格差になります。この格差につきましては現在英国でもすでに批判の声が上がっているようでございますが、特に日本のように人家連檐の傾向の激しいところでは、これは隣接まではよろしいのですが、その次の非隣接へ行きますときに十八倍の格差が出るという点は英国以上に問題ではなかろうか。そういったような諸点を検討いたしまして、そのままとるということではなく、先ほど先生もおっしゃいましたように、今度の広域時分制というのが私どもがいわゆる日本式グループ料金制として現状ででき得る制度であろう、こういうぐあいに考えております。
  207. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、隣接地域まではまあ何とか同じにかりにしたとしても、その次の段階の階段がいきなり上がるから少し上げてやれ、こういうことになったという意味にとっていいですか。
  208. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  もちろんこれを日本に適用しますときには、収支の点も考えなくちゃいけないのでありますが、その点は別にいたしまして、純粋に英国の形をそのままとりました場合に、いま先生のおっしゃいましたように非隣接のところで十八倍というような格差が出るよりは、もっと全体的な非常になだらかな形のほうがわが国の実情に合うのじゃないか、こういうぐあいに思っているわけでございます。
  209. 安宅常彦

    ○安宅委員 たいへん都合のいいときはあなた方そう言うのですよ、上げたいときは、階段をなめらかにしたいから少し上げたいのだということでしょう。いいじゃないですか、いままでの料金はこっちのほうは上げないのですから、隣接以外のところはそのままなんですから。だからそういうところは本来ならば、そうしなくたって一向そう影響がないのじゃないですか。この前までの逓信委員会のいろいろな質疑応答を聞いておったら、この隣接の料金を少し上げたからといって電電公社の収支というのはあまり影響ないのだと盛んにいままで言っておったはずですから。そういうことまで言っているあなた方が、隣接地域というものを区域内の料金と同じにしてみたところでどれぐらいの収支の違いがあるのでしょうか、それをちょっと聞きたいですね。その次の段階へいきなり上がったとか上がらないとかいうのは理由にならないですよ。
  210. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  いま安宅先生のおっしゃいましたように、隣接区域のいまの案のそのままをとりますと、三分ということになろうかと思います。そういたしますと、いまの案では八十秒でございますから、これはたいへんな減収になります。したがいまして、増収分と減収分の割り振りをいたしますと、その案は実際問題としてこのままではとれないわけでございます。ただ私が先ほど申し上げましたのは、かりにそういう収支面を別にいたしましても、今度は非隣接に行きますときに三分から一挙に六十秒以下になっていくという点があまりにも格差が激しいのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  211. 安宅常彦

    ○安宅委員 それであなたのほうでは、この間の委員会で聞いていたら、どんなところに電話をかけるかという公社の資料を出しておりましたが、私らあの資料がどういうところをピックアップしてお調べになったかわかりませんけれども、やっぱり商売をなさっている方や企業をやっている人たちを中心にピックアップした調査じゃないかと思うのです。私らの場合ずっと階層別に見てみますと、一般の市民、一般の国民というのは、区域内通話か隣接地にかける通話が大部分なんですよ。だからこういう場合には、私らは大体普通市内通話と同じようなそういう考え方でいったほうがいいのではないか。そして広域時分制が採用されるということになるともろにかぶるのが一般の国民であって、隣接区域は少し値下げをしたのだというふうにあなた方は言うけれども、三分に切られた区域内通話との関連で計算しますと、たいへんな値上がりになるのですね。大体一三%くらいの値上がりになります。そういうことになるのですよ。だから、いつでしたか市外通話を三分三分とか三分一分制とかいうので議論したときにも、あなたのほうではこれは公社の収支はとんとんでございます、値上げではございませんと言って盛んにがんばったのですが、あのときだってそれ以後もうかったのじゃないですか。とんとんだったですか。あなたのほうでとんとんだと言うときは、大体もうかるようなうまいしかけになっているのじゃないですか。
  212. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、一般の方は旧市内通話あるいは新しい区域内通話あるいは隣接の区域内の通話が一番多いことは私もそのとおりだと思うのでございます。ただ旧市内通話加入区域というものは、いなかに参りますと非常に狭うございまして、東京のような広いところ以外では、旧市内通話よりもむしろ先生のおっしゃいましたように、新しい区域内通話あるいは隣接区域内通話が占める率がもっと高いかと思います。そこらの区域につきましては、現在におきましても御承知のように八十秒七円という区切りをいたしておるわけでございます。これを八十秒から百八十秒に、つまり百秒安くなるわけでございます。隣接に参りますと、六十秒七円という区切りを現在もやっておるわけでございます。これが六十秒から八十秒というように三分の一ばかり安くなるわけでございます。したがいまして、それらの点から申しまして、私は一般の方には、むしろいなかの方により多くでございましょうけれども、通話としては御便利になるのじゃないか。それに対応する旧市内通話の無制限が三分区切りになるというのを補って余りがあるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  213. 安宅常彦

    ○安宅委員 これはたいへんな答弁ですね。余りがあるということはないはずだというのです、ぼくは。隣接地域は少し安くしたかっこうを見せて、実際安くしたのですから、かっこうだけじゃないでしょうが、市内通話、つまり区域内通話を三分でしっぽをちょん切ったために、そういうことでもろにかぶる料金値上げの実際のかぶる分と、隣接地域を少し下げてもらった分でどれくらいのことになるかというと、大体市内や隣接地域だけ電話をかけておる人方からみれば、たいへんな値上げになるのだと私は見ている。何とかして余りがあるとあなたは言いますが、これはたいへんな違いが出てくるのですけれども、それはデータのとり方が違うのじゃないでしょうか。どうでしょうか。そう思っていますか。あとでもし電電公社がそのためにたいへん増収になったということが明らかになったら、あなたは責任を持たなければなりませんよ、何とかに余りがあるなんということを言ったら。どうですか。
  214. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  私は、先ほどの先生のおっしゃいましたように、区域内通話あるいは隣接区域内通話というものが非常に一般の方のおかけになる面としては多い面があるという面に着目をいたしまして、そこに今度重点的に秒数をふやしたわけでございますから、そういう意味で申し上げておるわけでございます。
  215. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう気持ちはわかりますがね。大体中小商店でも何でも、鹿児島とか札幌あたりに山形あたりから電話をかける人というのはあまりいないのですよ。隣接地域あたりが取引は多いのですよ。だから、そういう人を含めると、私は一般の人、サラリーマンを対象にしているのではない。小さな商店とかみんなそうでしょう。ですから、もしあなたのほうでそういうふうにがんばるのだったら、私は言いますけれども、隣接地域を少し下げたというのだったら、それで料金値上げをもろにかぶる中小零細の企業者もあるのだから、私どもはそれじゃ三分で七円といわないで、たとえば今度隣接地域との階段があまりなさ過ぎるというのだったら、階段をびっこにしないためにも区域内通話は大体三分できめるといったって、三分できまらない通話が案外あるのですよ。あなたのほうでは統計上ないと先ほどずっと言っていましたけれども、これは五分くらいにやってみたらどうかと思うのです。そうすると階段は、区域内通話と隣接地帯とそれからその次の地域との階段はたいへんうまく平均がとれるのじゃないかと私は思うのですね。私の個人の考え方ですが、どうですか。そうすると、国民影響というのは、一般の中小零細企業や一般の国民負担増というものはある程度消される、私はこう思っているのです。どうですか。
  216. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  いまの増減ゼロという原則をそのまま貫かしていただきますと、五分という案にいたしますと、増収分に立つ分が非常に減るわけでございまして、したがいまして、その分で隣接、非隣接をいたそうといたしましても、増減収ゼロという範囲の中でやるためには、現在の案のような形はできないわけでございます。現在の八十秒でございますね、区域内の八十秒を三分にする、あるいは隣接六十秒を八十秒にするというようなこともできなくなるわけでございまして、格差がますます激しくなろうかと思うのであります。
  217. 安宅常彦

    ○安宅委員 なぜできないのですか。
  218. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 私は、申し上げましたように、増減収ゼロという原則に立ちますと、五分七円ということにいたしますと、増収面が四十四年ベースで申しますと、百六十億というのが非常に減るわけでございまして、したがいまして、減収面を立てる場合に、その原資がそれだけなくなるわけでございますから、事実上不可能になる、こういうわけでございます。
  219. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。あなた方は、国民が物価値上げということに非常にいま神経をとがらしている時代だということを頭から離して、公社の収支をおもに頭に置いてそういうことを答弁していられると私は思います。しかも私らの計算でいけば、それは増収が減るということは、どこまでもプラス、マイナスで考えてみた場合に、私が言ったような案でいけばマイナスになるということだとあなた方は断定しておるようですけれども、私らの計算でいけばマイナスにならない。私らの考え方でいったところで、ちょうどとんとんになるのではないかという考え方を持っている。それで言っているのですが、どうにもしかたがないというのだったら、いいでしょう、もう譲る気もないようですから。  ただ、私はサービス面でいくならば、たとえば区域内通話について一〇〇番の制度、取り扱いをやらないということになっておるそうですけれども、事実だとすれば、これはたいへんなことじゃないでしょうかね。たとえば私の町を例にとりますと、私は村山というところに住んでいますが、隣に東根という温泉がありますよ。そうすると、そこに旅館から、ここにいるから今晩泊まるぞなんて細君に電話をかけたときに、いままでだったらどうということはないんですがね。旅館の場合、一日じゅうかけたって七円だったものが、今度三分で切られた場合に、たいへん困ったことになるのじゃないですか、旅館やなんかは。それであなたはそれに対して何か度数計みたいなものを配るのだなんて言っていましたが、何か聞くところによると、砂時計みたいなもので、変なものらしいですね。あれはどうなんですかね、こんなことをやったって、おかしいじゃありませんかな。
  220. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  ちょっと先生誤解をされておるのかもわかりませんが、たいへん失礼でございますが、区域内通話の中の旧市内通話だけは従前どおり一〇〇番扱いをいたしません。しかし、準市内通話の部分は一〇〇番扱いをいたします。したがいまして、その旧市内通話の三分のところについて簡単な時分計をサービスとして提供するつもりでおりますが、それは砂時計というようなものではございませんで、まあそれよりはやや高級でございます。そういう時分計でございます
  221. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、あれですか、一〇〇番というのは、その区域内通話というのは広がったでしょう。もとの市内通話とは違った意味での区域内通話になります。そうじゃないですか、そうですね。そういうところあるのじゃないですか。現実にそういうところは困るじゃないかということを聞いているのです。誤解も何もないですよ。
  222. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 そのとおりでございます。旧市内通話についてでございます。
  223. 安宅常彦

    ○安宅委員 広がった分ですね。三分で区切られるでしょう。そうしたら、十分も二十分も三十分も長話されたら、その旅館は困るじゃないかといことを聞いているんです。いままで通り七円置かれて、はい、さようならと言われたら困るじゃないですかと、そういうことを言っているのです。
  224. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  そのとおりでございます。したがいまして、一〇〇番扱いはいたしませんかわりに三分の時分計を、非常によくお使いになる方とか、いまの旅館のような方には提供するつもりで検討いたしております。
  225. 安宅常彦

    ○安宅委員 時間がないようですから、料金の制度の基本的な問題についてきょうは言いたかったのですが、あと迷惑をかけている分を言いますと、さっき言ったのですけれども、そのために時間を食っちゃいましたが、私、最後に迷惑をかけている実例をちょっと申し上げてみたいと思うのです。  もとの農集電話、いまの地集電話ですね、こういう場合の料金の取り扱いはどうなっているのでしょうか。
  226. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  地集の料金につきましては、地集はほとんど農協が関係でございますので、農協というものを利用しておらなかったのでございますけれども、一昨年から農協を公社の正式な収納取り扱い機関として扱っております。したがいまして、具体的には県信用農業協同組合と通信部で契約をして、農協が一括徴収事務をやる、こういう形にしておりまして、それに対して請求書、領収証等を郵送する郵便代等は、負担をいたしております。
  227. 安宅常彦

    ○安宅委員 これはサービスの面からいうと重要な問題ですよ。これは軽視をしてもらいたくないのですけれども、農協とこういう契約を結んだって、農協は支払うところの義務はないでしょう。電話料を払うということで貯金をしてもらうか、それによって徴収する手続をするだけですから、それはいいですよ。もし料金を払いないような人がおった場合には、その地集の代表者に催促がいくのです。そうでしょう。農協は催促してくれないんです。ですから、その代表者は何とか地集をとりたいと思って、安宅常彦なら安宅常彦が代表者になっていった。その代表者が死ぬまで責任を持たされて、電話局から集めてくれとかなんとかいってくるのです。あなたは農協に貯金もしてないから何とかしてくださいよ。通信文でいったり、自転車で走ったりしてたいへん忙しいのです。電電公社は報酬もくれなければ、ただ走りさせているのですよ。そんな制度は改める意思はありませんか。
  228. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  今後検討させていただきます。
  229. 安宅常彦

    ○安宅委員 改めるように検討するのですか。一生一代、死ぬまでやったって、初めのうちはいいけれども……。
  230. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 前向きの姿勢で検討させていただきます。
  231. 安宅常彦

    ○安宅委員 もうここまできたら時間だ、時間だと攻められて、重要なところがおかしくなったのですが、電報の料金ですね。たいへん配達の人件費でまいっているのだということだから、あまり関係がないなんて笑われるかもしれませんが、もし料金をこんなに大幅に値上げをするのだったら――私反対ですよ、しかしながら、たとえば「チチキトク」だとか、それから重要な非常に利用数の多い電文、こういうものを例文か何か簡単な符号にして、通信文を短くして料金を実質上安くしてやる、そういうような意図はありませんか。
  232. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  ただいまの安宅委員のお説は、社会政策的な見地からの御意見かと思いますが、現実的な問題といたしまして、緊急電報というものに略号を設けるということにつきましては、この略号を設ける範囲というものをどういったふうに限定をするかというようなこと、あるいはまた緊急電報と申しましても非常にいろいろなケース、いろいろな場合がございまして、こういったものを一つのパターン化するということは非常に困難であるというような点、それからもう一つは、いわゆる緊急電報といったようなものは、たとえば月に一回だとかあるいは一年に何回も打つ、そういったことでなくて、一年に一度か二度といった御利用でございますので、現在の電報の事業の赤字の実態というようなものから見れば、二十五字百五十円という程度の御負担というものもお許しを願えるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  233. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなた方は赤字になるか黒字になるかだけで頭が一ばいだから、そうなるんですよ。そういう大きな値上げをして国民から指弾を食うというような場合には、これくらいのサービスをしたっていいじゃないかという意味で私は言っているのですが、全然そういう気はないのですか。
  234. 中林正夫

    ○中林説明員 基本料だけをとりますと、六十円から百五十円といった相当大幅な値上げになりますが、二十五字という点に着目いたしますと、現行料金で九十円というものが百五十円ということで一・七倍程度になりますか、こういった値上げでございますし、それから今回の基本料というものも戦前の物価に比較いたしますと、戦前の基本料がたしか十五字三十銭でございまして、今度百五十円となりますと五百倍でございます。ほかの公共料金といったものが大体戦前の六百倍前後でございますから、今度値上げをいたしましても、バランスからいってもまだ低い程度でございますから、この程度は御理解願いたいと思います。
  235. 安宅常彦

    ○安宅委員 最後です。公衆電気通信法の第一条に「あまねく、且つ、公平に」ということが書いてあるんですが、たとえば設備料がめちゃくちゃ上がる。そのほかに債券を買わなければならない。二重の――設備料と債券の関係というのは非常に重要なことだと思うのですけれども、電話の料金決定の原則というものをきちんとしようではないかということは、もうずっと前からこの逓信委員会で何回も何回も論議をされたことでありますから、きょうはあまり詳しくは言いませんけれども、結局チータ通信にいたしましても――これはデータ通信をつくるためにこういういろいろな制限を受けてしまっているわけですよ。それで大衆は非常に高い電話でやらなければならないし、そうして専用線を使うデータ通信の人というのは、何というんですか、企業に対する利益がものすごく大きい、こういうことを私らはぬぐい去るわけにまいりません。そうかというと、今度はアメリカあたりの料金も取るのか取らないのか、さっぱりわからない。農集電話、地集電話の場合には、今度料金の徴収事務までただ働きをさせて、そうして放置をしておく。あるいはまた電話をつけようと思って一万円のときに電話を申し込んだのに、公社の都合でおそくなったんです。これは申し込んだ人の都合でおそくなったんじゃない。そして四年間も五年間も投げておいて、結局は五万円のときにつけざるを得ない。こんな商取引は世の中にないです。これはあまねく公平じゃないと思うのです。大都市の場合はすぐつきまして、いなかの場合はすぐつかないから、あまねく公平じゃないでしょう。そういうことをそのままにして、経過措置もとらないで、そうして料金をいきなり上げるということは、これはすべて大衆のための公衆電気通信ではなくて、もはやアメリカさんが料金をただでうまくかけても摘発することもできなければ、あるいはそれを阻止することも技術的にもできなければということでそのまま、片方は投げておいてこういうことをしておくなんというような、要すれば、特に設備料なんというものは詐欺みたいなものじゃないかと思うのです。電話を一万円でつけますよといって、今度は途中から、まだつけないうちからいきなり料金を上げますよという契約は世の中にないですよ。こういうことは経過措置をとるなり、もう少しあなた方は考えなければならないんじゃないかと思います。こんなことは常識ですよ。そういう大衆を無視したあり方ということは、私はどうしても納得できませんね。こんなものは詐欺行為みたいなものです。これは問題じゃないですか。郵政大臣、これはもうきょうで質疑は終わりだから、どうせ討論だろうと思ってあなたは目をつぶっておられるかもしれぬが、そういうことについて、最終的な段階で、四年も待っておる人で一万円くらいのときから申し込んでおる人には半分にするとか何かするというあなた方の意見、こういうことを述べるくらいの意思はないですか。私らは一万円で申し込んだ人は一万円だと思っていましたよ。そういうことについて、与党の皆さんも、時間だ、安宅君などと言わないで、もう少し真剣に考えて、これは役所だけいじめたってどうにもならない、おかしいというところはお互いにお互いの討論の中で結論を出すのが正しいのでございますから、与野党が相談する機会が最後にあってもいいのじゃないかと思うのですが、どうですか、委員長。あなたはそういうことを考えてみてもいいのじゃないでしょうか。委員長に質問するということもおかしいから私は言いませんけれども、大臣、どうですか、そういうことで委員長と話をするくらいの度量はありませんかね。
  236. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほどからずっと傾聴しておりました。安宅さん、非常に大衆の立場に立って種種御指摘のありましたことは、私どもも十分拳々服膺しなければならぬ点であります。ただ問題は、従来もお答えをしてまいりまして、これはどうも御満足のいくというところへ参りかねるわけでありまして、御指摘の点はそれぞれ一理あるというふうに私も思うのでありますが、さりとて一方においては料金の今回の体系というものも、まずこう踏み切らなければならぬという私どもの苦衷をもひとつおくみ取りをいただきまして、この点は御容赦をお願いしたいわけであります。
  237. 安宅常彦

    ○安宅委員 いまの大臣の答弁は、拳々服膺するということばとはまるきり反対な答弁だということを確認して、私の質問を終わります。
  238. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  239. 中野明

    ○中野(明)委員 だいぶ皆さんお疲れのところですが、引き続いてやらしていただきます。  最初に、いま四月の終わりですが、四十五年度の決算の状況が大体わかっているのじゃないかと思うのですが、あらまし報告していただきたいのです。
  240. 好本巧

    ○好本説明員 お答え申し上げます。  四十五年度の決算状況でございますが、六月の末日までに完了するという目途で目下作業中でございますので、したがって、現在の時点では、最も新しいものといたしましては二月末の現在でございます。決算数値が確定しておりませんけれども、この四十六年二月末の現在で見ますと、まず事業収入の面におきましては、四十五年度予算の収入額一兆四百四十四億円でございますが、これに対しまして、二月末現在で九千八百五十八億円でございます。これは年間の予算額に対しまして九四・四%に相なるわけでございます。ちなみに前年度同期、四十五年の二月末の達成率を見ますと、九五・五%でございますので、約一%下回っております。これは、四十五年の十月以降景気の停滞と符節を合しまして収入が伸び悩んでまいりました。こういうふうな関係で、昨年の前年度同期と比べまして約一%下回っております九四・四%の収入実績が出ております。また、事業支出の面でございますが、御案内のような職員の給与に関する四十五年度の仲裁裁定の実施、これは四百三十億ばかりかかったわけでございますが、そういうもの、あるいは業績手当その他四十五年度予算に計上しておりません、予定していなかった支出が相当高くございますので、今年度は前年度と比べますと、四十四年度の決算におきましては二百六十八億円の利益を生んだわけでございますが、四十五年度の決算では、利益額はどうも前年度のような利益をあげることは困難ではないかというふうにただいま考えておる次第でございます。
  241. 中野明

    ○中野(明)委員 大体の利益の推定額はどの程度見ておられますか。
  242. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、二月まではわかっておりまして、あと一カ月がわからないのでございますが、例年三月期は非常に大きな支出が、普通の、三月以外の月の二倍くらいの支出がございますし、またその他いろいろ勘定間のやりくりその他もございますので、明確にはちょっと見通しがむずかしゅうございますけれども、相当大胆に考えてみますと、先ほど申し上げました四十五年度のベースアップというのは、電電公社にとりましては例年にない相当大きな額でございました。それから、一兆四百四十四億円の予算の収入額に対しまして大体三・五%くらいの増収が二月までであったのではないかと思われますので、大体三・五%くらいの予算額に対する増収があったといたしますと、予算に対しまして大体三百五、六十億の増収がある。しかしながら、先ほど申し上げましたようないろいろ大きな予算に計上しなかった、見込まなかった支出増がございますので、いろいろやりまして、昨年度の利益が二百六十八億でございますので、今年度は大体これの半分くらいか百四、五十億くらいではなかろうかというふうに考えておりますが、これもまだ私の見込みでございます。
  243. 中野明

    ○中野(明)委員 決算を六月をめどとおっしゃっているわけですが、公社データ通信も力を入れてやられるというのでりっぱなコンピューターもあるのではないかと思うのですが、そういう観点からいきますと、いまごろ、もう三月が終わって一カ月、まさに五月になろうとしているのですから、この時点でまだいまのようないいかげんなお話はどうも私うなずけないのですが、相当利益があがっているんじゃないか、そういう見通しがあればこそ弾力条項もやられたのではないか、そのように考えているわけですが、先ほど安宅さんもお話しになっていましたように、改正のときにはいつもプラスマイナス・ゼロになるということで絶えず国会で議論になっているのですが、決算を見てみますとたいてい大幅な黒字になっております。ですから、そういうことから見ますと、今度の問題も順を追って私、尋ねていきたいと思いますが、収入のほうはかなり控え目に見られてプラスマイナス・ゼロになっているというふうにしかとれないわけですが、いままだはっきりしたことが言えないとおっしゃるので、これ以上申し上げても押し問答のように思いますが、ほんとうならば、これだけデータ通信コンピューターもやかましくなってきているわけですから、三月三十日が終わったらもう十日くらいの間には大体の決算の見通しがついて次の手が打っていけるというふうになっていなければ意味がないのではないか、私はこのように思うわけです。しかし、いまそうおっしゃるので、それ以上申し上げても並行線でしょうから、いま私の申し上げている意味をおわかりいただければけっこうだと思います。  法案の順番に従ってちょっとお尋ねしていきたいと思います。最初に料金の問題でございますが、やはり最初から電報の問題が大きな問題として出てまいっております。「現行利用制度の大部分は実情にそぐわないものとなっている。」七カ年計画ではそういうふうに電報のところでおっしゃっているわけです。大部分の電報が実情にそぐわないものとなっているというふうにおっしゃっているのですが、具体的にどの点が実情にそぐわなくなっているのか。
  244. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  現在の電報利用制度というものは、まあ大体戦前あるいは戦後でもまだ印刷通信になる前に、あるいは中継機械化になる前にでき上がった制度でございまして、たとえば市内電報制度というものがございますが、これを一般の市外電報に対しまして割引をしておるわけでございますけれども、これは昔の市内というものが非常に狭い時代――現在のように市町村合併というものによって市内というものが非常に広くなっておる、こういった時代現状というものにそぐわなくなっている。あるいはまた各種の市内電報もそうでございますが、同文電報でありますとか、あるいは翌日配達電報でございますとか、こういったものはすべてかつてのモールス通信の時代で、そして人手によって中継をやっておったという時代電報事業の中で通信というものの比重が非常に大きかった。大体戦後、二十七、八年、まだ公社になるかならぬかのころには、大ざっぱにいって通信の比重というのは電報の三分の二くらいを占めておったように考えておるのでございますが、それがその後通信というものも全部印刷化される、それからまた中継というものも人手によらないで全部機械化される。現在通信というものは、全体における比率というものはその大体三分の一程度に減ってまいっておりまして、むしろ配達のほうに大きな比重がかかってきておる。配達のほうはなかなか合理化というものもできがたい現状でございまして、各種の割引制度というのはそういった通信部門の節約、それからまた回線というものも非常に少なく、また貴重であったという時代の通信の節約といいますか、省略といいますか、そういったものから割引の理由があった、そういう時代に設けたもので、現状というものとは非常にそぐわなくなってまいっておる、こういうことでございます。
  245. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの御説明ではどうも私ぴんときませんが、たとえて言えば、この前わが党の樋上さんが聞いたときに、ちょっと結論が出てないようですけれども、この慶弔電報ですね、これなんかは非常に伸びてきているようです。その趣旨からいいましても、実情にそぐわないものではないと思います。この慶弔電報というのは、その内容がかなり伸びてきているということは、それだけ必要性があるということですが、こういう点も、慶弔電報を廃止してはたしてどれだけ公社が得をするかということなんですが、決して私、得になっているように思いません。事実必要ならば慶弔電報と同じ内容で、同じ電文で打てば同じことですから、ただきれいな紙で封筒に入れて持っていくというだけの紙代が違うだけでしょう。そういう点、慶弔電報を廃止された根本の理由は何でしょうか。
  246. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  お説のとおり、慶弔電報につきましては、例年これは相当伸びてまいっております。最近ここ一、二年、二千数百万通というところで若干頭打ち的ではありますけれども、減ってはおりません。全体の通数の中で占める比率といたしましては、全体の通数というものは減っておりますから、比率の点におきましては相当大きな比重を占めております。お説のとおり、慶弔電報につきましては、私ども当初慶弔電報制度そのものを廃止するといったような考え方ではなくして、慶弔電報につきましてはこのいわば社交的、儀礼的な性格といったようなものから、大体原価の半分くらいの料金を御負担いただこう、こういったような考え方から基本料二十五字三百五十円、こういった案でお願いをいたしておったわけでございます。しかし、昨年の予算の政府原案というものが作成されます段階におきまして、基本料だけをながめますと、六十円という基本料から三百五十円という上げ幅はいかにも大きいといったようなことから、また慶弔電報制度そのものを廃止をしても、実際に必要な慶弔の意味電報は普通の電報でも打てる、こういったことから、慶弔電報の大幅値上げということをやめて、制度をやめるということで電報事業合理化をする、こういうことにきまったわけでございまして、公社としてもその線に沿って考えておるわけでございますが、現実に中野委員のおっしゃいますように、大部分の慶弔電報というものはいまの赤や黒の封筒のものから白の普通電報に移るではないか、こういったような御意見でございますけれども、この点は私ども、これは実は非常にむずかしい予測でございますけれども、今度慶弔電報につきましては結局一般電報と同じくなり略語割引というものも廃止になる、それから料金が現在の十字六十円という基本料から二十五字百五十円になる、それから赤とか黒の色紙がなくなる、こういったようなことから、一般電報につきましては大体一〇%程度の通数の減というものを私ども考えておるのでございますが、いわゆる慶弔電報につきましては一応二〇%程度の通数の減というものを予測をいたしておるのでございます。こういった通数の減に伴う人の節約、こういうものによって電報事業の改善、近代化というものに資していきたい、かように考えておるわけでございます。
  247. 中野明

    ○中野(明)委員 私は、慶弔電報をやめたからといってあまり赤字が解消されるように思わぬものですから申し上げておるわけですが、けさほど参考人からもいろいろ物価対策の上からも意見が出ておりましたが、電報料の大幅の値上げというものは、私もけさほど意見を述べましたが、電話がたいへんな積滞で、電話がないという人たち利用されているのが電報であるという考え方は確かに持てると思うのです。そういう人たちは、結局電話を頼んでもつけてくれない、それで今度は電報にたよって緊急の通信をしようとしているのを、今度のように大幅な値上げになる。こうなってまいりますと、電話を持っていない人というものはたいへんな迷惑であり、同時にそれは物価問題の上からいっても、上がるということは物価にはね返ってくることは当然なんですが、そういうことで非常に不公平になっております。だから、その大幅の値上げというものの理由をいま聞いてみますと、やはり人件費というようなお話なんですが、公社のほうからいただいた資料で見ますと、電話の送達がたいへんな比率を占めているようです。配達じゃなしに電話電報の内容を向こうに送る。こういうことになりますと、これは全然人件費はかからぬわけですから、そういう性質の電報ですね。結局、打つときに、これは電話で向こうに言ってくれればよろしい、こういうふうな性質の電報は割引をするというような制度、そういうお考えはないかどうか。そうしないと、今度の料金改正の理由が人件費がかさむからというようなお話なんですけれども、電話で送る通数が二〇%近くを占めているようです。それは経費はかからぬわけですから、そういう特別の電報というのは制度を設けて、電話で送る分は料金を安くいたします、そういうような制度を考える必要があるのじゃないか、こう思うのですけれども、この点どうでしょう。運用局長でぐあい悪ければ総裁でもけっこうです。
  248. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  いま電話で送達をしておるものにつきましては、確かに御指摘のように二割ぐらいございます。しかし、こういったものの率というものはだんだん減ってまいっております。御案内のとおり、昭和四十年ごろには二五%ほどございましたが、四十四年には一八%ぐらいになっております。これは加入電話のほうがこの間非常に飛躍的に伸びて住宅などにもついておりますが、逆に電話での送達というものは減ってきておる。と申しますのは、電報全体の中における慶弔電報なんかの比率がふえてきている。これはやはりどうしても配達というものを必要とされる、こういったことに起因するかと思うわけでありますが、それでなお先生のおっしゃいますように、電話送達の場合には確かに足で配達するよりも経費がかからないことはございますが、一面これは加入者の方に電話送達でよろしいか、こういった問い合わせも一応電話で一般的にやっておるわけでございますけれども、受信人の方のほうから見てもそのほうが電報が早く着くし、こういったことで便利もある。それからまた、後ほど電報を届けてほしい、こういうなにがありますれば、やはりこれは電報は届けなければならぬ。こういうこともございまして、一応私は考え方としてはわからないではありませんけれども、現在の電報事業全体の中から考えますれば、むしろ配達のほうのなにには、もっとこれを基本料なり何なりで料金をちょうだいをいたしたいというくらいの気持ちでおるわけでございます。
  249. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほどの答弁で人件費が非常にかさむから、だから電報赤字だ、それで今度のように料金を大幅に値上げしなければならぬのだ、そういうお話なんです。だから、それは実情としてはそうだろうと思いますが、それならば電話で送達するという条件つきの電報を安くしてもいいのじゃないか。実際理屈の上から言って、一緒の値段にするのは不合理だと思うのです。そうでしょう。初めからそういう条件をつけて、これは電話で言ってくれてけっこうですと向こうの電話番号まで書いて電報を打てば、その料金は特別に電話送達電報として割引をするという制度を設けてもいいのじゃないでしょうか、こういうお話を私はしているわけですがね。いまの答弁では、何かかえってもっと高うほしいというような議論になってきたのですが、これは一体どういうことですかね。
  250. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電報の料金改定につきましては、ただいま中野委員の言われましたように、配達した場合だけはいわゆる配達料というものを特別にもらってはどうかということも一応検討はいたしました。しかし、これは実際事務的にやると何か非常にむずかしいそうであります。何となれば、たとえばあるアパートの中に一緒に人が入っている、同居しているというような場合もある。その人が電話があるのかないのかわからないという場合もあって、この問題は結局とても実際不可能だということで今回のような形になった次第でありまして、もっと詳しくは事務当局から答えさせますが、一応検討問題にはいたしたのでありますけれども、結局実行上電話送達に差をつけることができないということでやめた次第であります。
  251. 中野明

    ○中野(明)委員 いや、総裁は配達料をもらおうかということをおっしゃっていますけれども、電報というのはもともと配達するのがたてまえでしょう。その上また新たに配達料を取るという、そういう基本的な考え方が私は合点がいきません。私は、配達するのがたてまえだ、たてまえなのを電話で送るから、それだけは手数が省けるからその分は安くしたらどうか、こういうお話をしているのに、また配達料をもらおうかと思っていると言う。それでは二重も三重も――もともと電報というのは向こうへ配達するのがたてまえなんですよ。そのたてまえをくずされては困ると思うのです。そこら辺のお考えが狂ってくると、これはもう議論になりません。  私の申し上げようとしているのはおわかりいただけると思うのですが、電報というのは配達するのがたてまえだ。そのたてまえで料金というものを考えて進んでいる。そのたてまえをくずしてしまったら、これはもう話にならぬです。そこを今度は電話でいくのだ。初めから電話の番号も書いて、これは電話で言ってくれてよろしい、こういうふうに言う電報は何割引きかしたってかまわぬのじゃないでしょうか、こういうことなんです。それを検討される意思があるかないかということを聞いているのですが、それを配達料をまた取るというのでは、こっちが質問するたびにだんだん悪くなってくるじゃありませんか。そんなばかな話はないと思うのですがね。
  252. 米澤滋

    ○米澤説明員 私の答弁が不十分でたいへん申しわけないのでありますが、ただいまおっしゃいましたように、電報は配達するのが原則でありまして、そのとおりでありますが、ただ電報赤字といいますか、公社としては過去において電報合理化に対して非常に努力したつもりでございます。機械化、中継機械化全国三十カ所をやるとか、あるいは配達の区域を合併するとか、あるいはまた夜間の窓口を置くかわりに公衆電話を置くとか、そういうことをいろいろやったのでありますけれども、それにいたしましても年間の赤字が約五百億をこす、これがまただんだんふえていくということで、電報料金をかりに改定するにしても何とかその値上げの幅を少なくできないかというようなことも考えて、いま中野委員の指摘されておりましたように、電話送達した場合に安くする、そういうふうに申し上げなければいけなかったのでありますが、そういう問題も検討いたしましたけれども、どうもこれは事務的に非常にむずかしいのだということで、結局今回のような案でお願いした次第であります。
  253. 中野明

    ○中野(明)委員 別にむずかしいと私は思いませんがね。本人が電報を打つときに、相手の電話番号を言って、そしてこれは電話送達でよろしいからと、そういう電報は何割引きか割引をするというのは、私はちっともむずかしいように思わぬのですが、どこら辺がむずかしいでしょう。
  254. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  ただいまの私どもの電報事業現状あるいはいろんな不合理というようなものを一応たなに上げまして、今日の電報をお客さまに届ける中で、片や半分以上電話宅送で届けられる、片やほんとうに交通困難な中を若い者が届けていく、こういうことを考えますと、それだけをとらえればこれは非常な不合理でございまして、おそらく値段にすればたいへんな違いが出てくると思います。しかし、それだけをとらえれば、現在の私どもの電報収入、わずか七十五億前後でございますが、これを配達が要らないという方はその分だけ割引するということになれば、非常に大きな減収になると思います。  そこで、さっき申しましたように、今日の電報料金の問題は、過去のいきさつから全部検討いたしますると、この制度というものは昭和二十八年に改正してそのままになっておりますけれども、当時の様子から見ますると、その利用状況というものが非常に大きな激変をしております。個条書きにおもな点だけを申し上げれば、先生十分御案内のように、今日の電報の収支というものは二割、三割の赤字というのではなくて、八倍の赤字を持っている。それからまた当時電報というものは電話のない方々の、いわゆる庶民の唯一の通信手段であった。その業績は十分に果たしてきたと思いますが、今日電話を持っている人が大部分お使いになっておる。具体的に申しますると、今日ではおそらく七割くらいの方々が、電話を持っている人から電話を持っている人にお使いになっておる。それから電報はだれが一体使っているかと申しますと、当時は確かにほんとうに大衆の貴重な通信の用具でございましたけれども、今日ではむしろ大部分が大企業あるいは法人、商社、そうした産業用の電報が大部分になっております。それから何のために使っているかと申しますと、これまた非常に大きな変化を来たしておりまして、大昔は御案内のように慶弔電報というものはございませんでしたけれども、この慶弔電報の制度は非常にまだ新しゅうございますが、今日それも非常に大きな変化を来たしまして、東京あたりでは大安日等は六割ぐらいが慶弔電報になってくるというようなことを考えますると、非常にこれは問題ではなかろうか。慶弔電報必ずしも悪いことじゃなくて、これは所得あるいは生活の向上とともにやはり一つの生活の潤いだと思います。アクセサリーだと思います。必ずしも不必要なことだとは断言できません。しかし、それが緊急な内容のものとそれからやや慶弔、社交的なものにだんだん変われば、多少この辺で料金の問題につきましても国民の皆さんに訴えまして、御判断願って、一挙にはできませんけれども、まあ慶弔などは原価の半分くらい赤字で、それも不可能ならばせめて最初はいまの値段の五分の一か六分の一くらいのものでございますけれども、とうていそれによって赤字が解消するなんということを考えておりません。しかし、その程度のことを御協力願ってここで一まず是正をして様子を見たい、こういう考え方でございます。御了承願いたいと思います。
  255. 中野明

    ○中野(明)委員 いまそれがために相当大幅な値上げをなさったのじゃないかと思うのです。だから物価の問題がやかましいときにかかわらず、これだけの大幅の値上げをなさるのですから、先ほど安宅さんもおっしゃっておったように、その反面でそのかわりにこういうところは経費がかからぬ電報ですからこの分は割引をいたします、そういう考え方があってもしかるべきじゃないかということなんです。それは私どもは電報は一切値上げは認めない、そういうとんでもないことを言っているのじゃないのです。しかしながら、電報の実情から考えてある程度の値上げはやむを得ぬかもしれないけれども、ただもう何もかも値上げをして収入をふやしていく、内容を調べてみればそういう経費の非常に安くつくようなものまで十ぱ一からげにして同じ値段で値上げをしていこう、そういう考え方、そういう荒っぽいやり方ではなしに、実際に経費がかからぬわけですから、その分は割引をしたってかまわぬのじゃないか、そういう考え方で私はいま申し上げているわけです。だから、これはぜひ検討していただきたいと思うわけです。  それで、時間ばっかり食っちゃいますし、こんなことをしておってあしたになったら困りますので、次に行きます。もう一つ、この公衆電気通信法の公平の原則からいきまして、私、これはぜひ変えてもらいたいと思いますが、電報を打つ場合、自宅から電話電報を打った場合は度数料が取られますね。ところが公衆電話電報を打った場合は度数料は要らないことになっているように承知しておるのですが、そのとおりですか。
  256. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  お説のとおり、いわゆる黒電話等から電報を打ちますと七円の度数料がかかります。それからいわゆる赤電話といいますか、いわゆる公衆電話から打ちました場合には度数料はかかりません。
  257. 中野明

    ○中野(明)委員 それは不合理じゃないでしょうか。
  258. 中林正夫

    ○中林説明員 現在、黒電話から打ちました場合には、それは電話設備を使いますので、その通話料として度数料をちょうだいしておるわけでございますが、いわゆる公衆電話利用する場合には、公衆電話考え方といたしまして、電報取り扱い局の窓口が公衆電話のあるところまで出張っておる、そういった考え方によりまして度数料というものをちょうだいいたしていないわけでございます。
  259. 中野明

    ○中野(明)委員 それは度数料を取るというのですか。電報電話で打つ場合は公衆電話並みに窓口が出張っていると同じことですから、なくしたらどうなんでしょう。そうしないと、この法律では三分でどうとかこうとかいう話が出てきているのですが、これからへたな電報を打って、電話で往復して確認し合っているうちに、三分をこえるとまた十四円になる、そういうふうな問題も起こってくるわけです。片方赤電話から打つ場合は一切度数料は要らぬ、電報料金だけだ、こういう点まことに不公平のように思うのです。それを是正する考えがあるのですか、ないのですか。電話で打っていく場合は要らないようにしたらどうでしょう。一一五番でしょう、一一五番は料金は要らない、ほかの一〇四と同じように料金を要らないようにする、そういうことは機械の上から簡単でしょうから、そういうふうにできないものでしょうか。その辺検討される気持ちがあるのかないのか。
  260. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  広域時分制が採用されますにつきまして、一一五等での応待のうまいへたによって度数料が七円になったりあるいは二度数になったりいろいろな問題も起きますので、広域時分制の実施後におきます加入電話から電報を打った場合の通話料の取り扱いにつきましては、現在検討中でございます。
  261. 中野明

    ○中野(明)委員 もう一度確認しておきますが、度数料を取らないように検討しているのか、それとも公衆電話のほうも取るようにするのか。よく気をつけないと、すぐ取るほうへ全部そろえてしまうというほうが多いものですから、計算をなかなかじょうずになさるので再確認しておきますが、黒電話から一一五番、これは取らないという方向検討される、そういうふうに了解していいのですか、どうですか、もう一度。
  262. 中林正夫

    ○中林説明員 公衆電話公社の窓口の出張ったものである、こういった考え方については今後も変わらないわけでございますが、加入電話から電報を打つ場合の通話料につきましては、前向きの方向検討をいたしております。
  263. 中野明

    ○中野(明)委員 それじゃ取らないという方向検討するというお話のように受け取れますので、……(「そうじゃない、取るという方向だ」と呼ぶ者あり)取るという方向ですか、どうですか。非常にこまかい話ですけれども、不公平になっておるから申し上げているわけです。取らないという方向なのか取るという方向なのか。
  264. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  無料化の方向検討をいたしております。
  265. 中野明

    ○中野(明)委員 では電報のほうはそういうことにしまして、次に電話料金でございます。料金の算出の基準についてこのたびいろいろ改正が行なわれているわけですが、公社としては料金算出の基準をどこに置いて考えておられるのか。そして今後算出の基準をはっきりさせてだれが見ても納得のできるような線に持っていかれようとしているのか。いろいろ算出の基準があろうと思いますが、コスト主義でいくのか距離別時間差法というのですか、そういう方向でいくのか、あるいはそれを織りまぜた折衷法でいくのか、いろいろな方法があろうと思うのですが、合理的な料金あるいは公共の福祉ということを公衆法の第一条でうたっているわけですが、この料金算出の基準を現在どうお考えになっているのか。これがないということになると思いつきで料金を算出しているという以外にないのですけれども。
  266. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  公社全体といたしましてはいわゆる総括原価主義、そういう原則をたてまえにいたしておりますが、いま中野委員の御質問のように、個別の料金になりますと市内、市外あるいは市外の中でも距離によりまして差がございます。この料金は、やはり私どもといたしましては原則手には個々の原価主義に近づけるようにいたすべきだと考えております。しかしながら御存じのように、料金そのものにつきましては過去の歴史的な過程でございますとかあるいは国際的な均衡でございますとかいろいろな点がございまして、一挙にそこへ持っていくことは非常にむずかしゅうございますし、また原価主義と申しましても、技術の進歩等によって非常に変わる部分もございますので、できるだけそういう形へ機会を見て近づけていくようにいたしたい、こういうつもりでやっております。
  267. 中野明

    ○中野(明)委員 料金算出の基準が総括原価主義というようなことで根拠が非常に薄弱なような気がするわけです、個々に見ていきますと。それに非常に不合理が出てきている。それを今度合理的にしようということで今回のいろいろな改正が出てきていると思いますが、今回の改正の一番大きな三分制を採用するという根拠ですね、これは過一日来いろいろ議論になっておりますけれども、どうもすっきりしないのです。三分制を採用された根拠をもう一度説明していただきたいのです。
  268. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 三分制にいたしました一番の大きな理由は、先ほどのお話に出ましたように、いまの度数制というものが無制限七円ということで、それ以外の地域に対する格差が質的にも量的にも非常に多いという点であります。しからばそれをなぜ三分という時間で区切ったかということになりますと、これも本委員会においてしばしば申し上げておりますように、現在の通話の八四%までが大体三分以内におさまっておるという状況でございますとかあるいは通話の平均の時間が百十一秒であるということのほかに、大体わが国におきましても、また外国におきましても、国際通話におきましても三分という区切りが電話についてはわりあい人口に膾灸をしてきております。したがいまして、そういう意味で三分という時間を一応単位の時間に設定をさしていただいたわけでございます。
  269. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話ですと、無制限で格差が多いというようなことが根本の理由だとおっしゃっているのですけれども、それは私、どうも納得できないのです。というのは、前回公衆電話を三分に打ち切りましたとき、私、そういう心配もしましたので総裁にも確認をしたわけです。それで、公衆電話はなるほど公衆が自分の個人の所有電話じゃなくして順番を待っているのに長話はいかぬ、そういうような理由で三分にお打ち切りになったけれども、黒電話のほうはそういうことは考えておりませんと言った。しかし、無制限で格差がついているということはもうその当時から当然ついていることです。そのときには何らそういうことをおっしゃらないで、そんな考えは当分ないということをおっしゃって今回突然根本の理由として無制限で格差があり過ぎるから三分にするのだ、しかも百十一秒だというような議論、これはぼくは第一の理由と思えません。それならなぜ公衆電話のときにそういうことについてのお話が出なかったかということです。そうしますと、当然やはりデータ通信のために三分に打ち切るということが一番の大きな理由になってきているのじゃなかろうか、こう私ども解釈せざるを得ぬわけですが、その点もう一度、総裁この前お答えしていただいておりますので、そのときにはそういうお話は全然出ませんでした。今回それこそ突然に、この格差を是正する、無制限はよくない。そういう心配があったから前に聞いているわけです。そこら辺をお答え願いたいと思います。
  270. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  たしかこの前にもこの御質問がございまして、私として、その当時赤電話いわゆる公衆電話につきましては三分打ち切り制を採用する、黒電話については三分の打ち切りは考えていない、こういうふうに申し上げました。その後、特に一昨年の暮れあたりの時点におきまして、大都市の加入区域を合併してほしいという要望があちらこちらに出てまいりました。たとえば東京でいえば東京二十三区と三多摩の間あたりはあまりに格差がひどいじゃないか。二十三区の場合には直径が三十キロメートルもあって、その間無制限に七円で話ができる。ところが一歩三鷹あるいは三多摩地区に行けば、これが市外通話になってしまって、八十秒とかあるいは六十秒とか、いろいろ距離によって違いますけれども、市外通話になって、三多摩地区を東京のほうにどんどん合併してくれないかというような陳情が実際出ておりました。しかし、加入区域の合併につきましては、過去においてこれを計画的に進めてまいりましたけれども、前にもこの席でお答えいたしましたが、加入区域を合併するためには投資をしなければならない。投資をいたしまして、しかも普通なら投資をすると必ず収益を生むわけでありますが、投資をして減収になるということがはっきりしておるわけでありまして、これをどんどん繰り返しておりますと、ちょうど国鉄の赤字線のようなことになってきては、電電公社自体として、全体が独立採算で運営されておるものとして無制限にやるわけにはいかない。これをいかにしてやるかということで、特にこの一年くらいの間に部内、公社の中でも内部的にもいろいろ検討いたしました。その際参考にいたしましたのがイギリスのグループ料金制という問題でありまして、今回の案はイギリスのグループ料金制と完全に同じものではありませんけれども、それに現在の制度よりはだいぶ似ているものなんでございます。したがって、われわれといたしましてこの加入区域合併問題を含めて市内に時分制を入れるのがいいのじゃないかという結論になって、そうして市内、市外の格差をなくなしていく。従来加入区域というものが、たとえばいなかに参りますと、直径が五キロとかもっと短い三キロというのがある。ところが東京あたりは三十キロもやられる。このバランスはおかしいじゃないかという議論もしばしばあったのでありますが、そのかわりこの際広域ということにいたしまして、いわゆる単位料金区域に全体加入区域が十くらい合併といいますか、一つの区域として扱うことによって全国的なバランスをとっていくという問題をこの際同時に解決しようということで、市内時分制と同時に広域にする、いわゆる単位料金区域というものをユニットとしてやっていく、こんなふうなグループ料金制、これは日本的ではありますけれども、そういうふうに持っていった次第であります。
  271. 中野明

    ○中野(明)委員 どうもいまの三分制は、そういうのは側面の理由にはなっておるでしょうけれども、結局データ通信ということが急激に必要に迫られてきて、そういう関係で三分制を採用したと私どもは解釈できるわけですが、そういうことになりますと、このデータ通信のためにいままでの既得権とでも申しましょうか、同じ市内で自由に電話利用できておった人たちが、データ通信のために圧迫をされる、非常に迷惑だと、こういうふうに私どもは解釈をするわけでございます。それで、いま遠藤局長も、百十一秒ということを唯一の根拠として盛んにおっしゃるわけなんですが、私どもも前々から、これは私の感じでものを申しておりまして、どう考えても電話の使用の秒数が百十一秒以内で大半終わっているというふうにはわれわれ受け取れなかったもので、一応電話の実態調査を全国的に県庁の所在地でやってみました。その実態調査によりますと、やはり大体四分から五分というのがこのデータに出てきた結論になっておるわけなんですが、この百十一秒というのは、市内も市外も全部突っ込んでのお話なんでしょうか、その算出の根拠はどうなっておりましょうか、もう一度。何か前にも説明においでになったようですけれども、どうも納得ができないんですが、この百十一秒というのを引っぱり出された根拠ですね。
  272. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  百十一秒というのは、市内通話だけの平均でございます。市外通話の場合は、たしかもっと、百七、八十秒だったと記憶いたしております。
  273. 中野明

    ○中野(明)委員 その算定の根拠なんですが、この前におたくで、たしか電話で上手に三分間で話をする方法という本が出されております。その本を見せてもらいましたときに、やはり三分で済んでいるという数字の統計の資料が出ておりましたので、この根拠はどうかといってお尋ねしましたら、何か六十人か八十人にちょっと聞いてみたんだということで、これは表へ出せるような根拠と資料がないんですというようなお話で、それで私ども、これじゃいかぬ、ただ単にそこら辺におる人五、六十人にちょっと様子を聞いてみて、三分以内で済んでいるというようなところから、三分の、百十一秒というのが出てきたとしたらたいへんだということで、われわれ相当手間をかけて電話の使用の実態を調べてもらったのですが、それでいきますと、やはり四分、五分というのが、もうほとんどの数字がそのようになっております。ですから、いま申し上げているように、市内通話で百十一秒で終わっているということは、私どもどう見ても考えられないのですが、これはどこの町で何人程度お調べになったのでしょうか、運用局長。
  274. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  この調査は、実は広域時分制をとるために特に調査をしたといった調査ではございませんので、私どものほうでは、ほかのいろいろな設備計画その他のために、ずっと前からこういった調査をいたしておるのでございますが、その調査のしかたは、全国で主要な局約百局程度、これは東京のようにたくさんの分局がある局も一応一局と勘定しておるのでございますが、主要な百局程度につきまして、一号監査機に、一局大体百加入から二百加入程度の加入者というものをアトランダムに抽出をいたしまして、これを監査機のほうへ入れまして、そこで監査機のところに要員がすわっておりまして、加入者が受話器を取り上げて通話をしますと、それをモニターいたしまして、それで、いま受話器を取り上げてダイヤルをした、相手が出た、通話が終わったというようなことをモニターをして調べておるわけでございます。それで大体一年間にわたって少しずつ調査をしておるわけでございまして、その対象のコール数百十一秒という秒数を出しました。これは、大体年度によっても若干違いますけれども、大体二万コールないし三万コールというものの平均の秒数でございます。中野(明)委員 私もよく電話を使うほうなんですが、自分が一日家におりまして、自分ももちろん電話をかけますが、向こうからもかかってくる。その中で、かなり間違ってかかる分、こちらも正しくダイヤルを回したつもりなのに間違ったところにつながっている分というのが、かなりあります。これは皆さん方もお感じになっているんじゃないかと思いますが、ちょっとしたダイヤルの回し方によってもそれは違う場合もあるんでしょうけれども、案外そういう間違ってかかった分は、それこそ秒数でいえばおそらく一秒か二秒ですぐ受話器をおろしてしまう。そういうのも入って、結局こういう数字が出てきているように、私、どうもとれるのですがね。自分たちが実際に意識して、相手に通じて、それで電話で話をしているその平均というのですか、それが百十一秒というような――いま、どうなんですかな、電話のダイヤルのかけ間違いと、向こうから正しくやったけれども間違ってかかってくるという、これはどのくらいの率になっていますか。そういうことも含まれての計算じゃないか。  これは私、なぜこれにこだわるかといいますと、おたくのお話では、三分で話が済んでいる人が八割だ、こういう考え方ですね。あとの二割が三分以上の話をしている。そこから来る、二割の人からの増収として百六十億ですか、それを一応考えているんだと、そういうようなお話なんです。だから、どうも私、その根拠がさっぱりしないものですから、もしこれが、たとえていえば六割の人が三分以内で済まして、四割の人が三分以上話しているということになると、また相当収入の見込みが違ってくるわけです。ですからそこに何か、私のほうでやっておりますといわれても、かなり私たちは克明に意識してかけておられる人に調べてもらった結果として四分、五分という線がかなり強く出てきているわけです。ですからそういう点を考えますと、いまの運用局長のお話では何かどうも釈然とせぬのですが、その誤りでかかったり、あるいは正しくかけたけれどもつながり間違い、機械のちょっとした故障というのですか、そういうものの率というものは相当なものだと思うのです。これは私自分で経験していますのでよくわかりますが、そこら辺、そんな電話はもう一秒か二秒で終わっております。そういうのも入れて計算をすると、それはひょっとしたら百十一秒になるかもしれませんが、相手に正しくつながって、そして相手であるということを確認ができて、用事を話をした分の平均というのは、百十一秒ではとうてい終わっていないのではないか。と申しますのは、過日の議論で遠藤局長も逆なことをおっしゃっておりました。何か案外市外がふしぎに長い現象が出て、市内は短いというようなお話もなさっておりましたけれども、それは特殊の特殊の例じゃないかと私は思うのです。普通われわれ市外電話をかける場合は、やはり料金の体系を知っていますので、秒読みされているという感じがすると、どうしても簡潔明瞭に話をしようという風習になっていると思います。ところが、市内電話ということになりますと、無制限で七円でかかっておったという関係で、かなり長話の習慣になっているような感じは、これは私一人が受けている感じじゃないと思うのです。そういう現状の中から、百十一秒で八割までが済んでいると言われるので、ちょっと自分の感覚とも違うし、その上データをとってみると、やっぱり私たちが想像しているように四分、五分という線で大体大半の通話の意識が出ているわけです。だから、あらためて前にさかのぼって、何べんも言うようで恐縮なんですけれども、そこら辺のものの考え方の違いが、将来、大都会で市内電話ばかりかけている人たちにたいへんな負担になって、非常に大きな問題が出てきて大騒ぎになるということを私どもは心配するものですから、あえて算出の根拠をお尋ねしているわけです。もう一度……。
  275. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  この調査は、一応監査機のそばに要員がおりまして、通話をモニターをいたしまして、ストップウォッチでチェックをいたしておるわけでありますので、ただいま先生のおっしゃいましたいわゆる誤接続と申しますか、間違ってかけた、あるいは正しくかけたのが何らかの機械の故障で違ったところへかかった、それで誤接続ですぐに切る、こういったようなものはこの調査から除いております。
  276. 中野明

    ○中野(明)委員 どうも考えられない数字が出て、それを根拠にしてすべてを考えていかれるということになると、ちょっと私どもも理解に困るのです。  それでは、次の問題をお尋ねしますけれども、公社としては当然データが出ていると思いますが、日本全国の全部の電話をかけた回数、これは統計的に数字が出ていると思います。そのうちで市内と市外の比率はどうなっておりますか。
  277. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  四十四年度の資料でございますが、一加入当たりの市内の一日の通話回数で市内が五回、市外が一・三回、こういう比率になっております。
  278. 中野明

    ○中野(明)委員 最近はもっとふえているのじゃないかというような感じがしますが、私たちもちょっと都会地だけの調べになりましたが、それでいきましても圧倒的に市内電話が多いわけです。それで、そうなりますと、やはり三分制に区切られるということに非常に抵抗があるわけでして、この点、いつか武部さんも議論なさっておったように、私たちも数字の上から出てきたのですが、五分に切る、五分制にするというこういうお考え、これは検討されなかったのかどうか。
  279. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  市内と市外の比率は先ほど申しましたように、全体の中で市内の占める比率は四十四年度で七九%でございますけれども、過去十年の統計を見ますと、市内はだんだん回数が少なくなっております。具体的に申し上げますと、昭和三十三年には市内の一加入当たり一日の通話回数は八・二回でございましたが、これが昭和四十四年度では先ほど申し上げましたように五回、こういうぐあいに減っております。それに対しまして、市外は大体横ばい、昭和三十三年から見ますとあれでございますが、昭和三十三年で一・六回でございまして、三十六年から丁三回になりまして、先ほど申し上げましたように、昭和四十四年度までずっと横ばいで一・三回、こういう比率になっております。  それで次の御質問であります五分の点については、もちろん検討はいたしました。いたしましたが、これは何度もお答えをいたしましたように、増収、減収プラスマイナス・ゼロという点からも非常に無理がございますし、また次のグループとの間の格差という点からも非常に無理がございますので実施はむずかしい、こういう判断をいたしたわけでございます。
  280. 中野明

    ○中野(明)委員 私どもは、無制限というのは、これはいつまでも続く制度ではないということは一応考えてはおるわけですけれども、いまも申し上げておるように大半の傾向が四分、五分というのが多いということで、やはり五分に切ったほうが妥当ではないかという考え方が一つ持てるわけです。  それからもう一つは、この四分、五分で終わっている人、たとえば四分で終わっても、もしこの法案が通ってしまうと十四円になりますね。四分で終わっても三分をこえるとそういうことになります。それを、では三分、それから後は一分刻みにしていくとかいうような考え方はどうなんでしょう。手動即時通話ではそういう形をとっていますね。それにしたほうがより親切ではないかという気がするのですけれども。
  281. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  これは実際技術的に少し無理であろうと思います。最初の三分で一回回りまして、次に一分で回る課金装置というようなものをつくるようなことは、実際技術的にも無理だし、不可能でないかもしれませんが、そのための投資額も逆にたいへんふえるのではないかと思います。
  282. 中野明

    ○中野(明)委員 それが技術的に無理ということになると、やはり五分で区切らるべきだというのが最も妥当な線だと思うのですが、この点、大臣も出席になっているのですが、どうでしょう。大臣、市内通話で三分以内に済んでいる――これはぼくの勘で前には申し上げておったのですが、ある程度アンケートをとってみますと、五分という線が圧倒的に多く出てきているわけです。これは大都会、特に東京とか大阪とか各県庁の所在地あたりはかなりの電話の台数がありまして、相手にかけましてたいていそれで用事が済んでおるという電話が多くなっております。これが市内で三分で区切られると、これは相当物価にすぐはね返ってくるような気がします。そして抵抗も強く出てくるような感じがするのですが、その辺大臣としては五分という考え方についてどういう御意見を持っておられますか。
  283. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 今回電話料金について検討をいたしました場合、一つは料金、同時に時間という問題もこれは念頭に置いたわけでございます。しかし、先ほど来の御問答を伺っておりまして、公社側からの答弁でも御承知になられますとおり、最終的には現在の市内が三分、国際的な慣習も三分、まあ三分で要領のいい電話をするという方向へいっていただくということに、結論的には私も同意をした、こういう経過でございます。
  284. 中野明

    ○中野(明)委員 どうも国際的にとおっしゃっていますけれども、私、何かあまり根拠があるように思わぬのです。一番の根拠はやはり百十一秒というそれが根拠になっているような気がしていかぬわけです。私たちも三分制ということになりますと、これはもうどうしても現在の都会地の加入者に対する負担と抵抗が起きて、とても認められる問題ではない。最高百歩譲っても五分じゃないか、このように考えておりますので、何回も質問しているわけです。  それで、この三分制を実施して、そして推定収益を百六十億とおっしゃっていますが、あれは平年度ですか。
  285. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 これは四十四年度の予算ベースではじきました平年度でございます。
  286. 中野明

    ○中野(明)委員 では、先ほどもちょっと出ておりましたが、この三分制を採用した場合に、他人使用というのは非常に迷惑が出てくるわけですが、これに対して何か対策を考えておられるのかということです。他人に電話を貸す場合、三分で区切られるということになると、先ほど安宅さんもおっしゃっておられましたように、これは、あなた三分よりちょっと過ぎたからもっと金をたくさん置けというわけにもいかぬでしょうし、そこら辺は非常に困る問題が起こってまいりますし、当然そのために――積滞がこんなにたくさんあるから、どうしても人の電話を借らなきゃならぬ。公衆電話だって自由に使えるだけあるというわけじゃありません。公衆電話も相当要求がありますけれども、いろいろの理由でなかなかついてない地域がいなかに行くほど多いのですが、そういうことになりますと、通信の自由というもの、お互いに自由に通信することを相当制約を受ける、こういうように私どもこれは非常に改悪だ、こういう考え方を持っております。特にピンク電話ですね。このピンク電話というのは、一応公社から委託された公衆電話というような形をとっているようです。あれは正式の名前は特殊簡易公衆電話ですか、何かそういうことになっていますので、こうなりますと、いよいよピンク電話の場合は断わる理由は全然なくなってくるはずです。そういうことになりますと、これは何か対策を考える必要があると思うのですが、三分で何か本人あるいはまわりの人たちにある程度わかるというのですか、そういう点についてはどの程度検討されているのですか。
  287. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  いわゆる旧準市内通話以上の地域に対する通話に対しましては、従来どおり交換台からの一〇〇番通話を行ないますので、その点は問題はなかろうと思いますが、一般の黒電話の旧市内通話のところで、いま中野委員のおっしゃったような問題があり得ると思います。この場合には三分を単位とした問題だけでございまして、たとえば八十秒とか六十秒とかいう区切りは、先ほど申し上げましたように、一〇〇番通話で問題はないわけでございますから、三分ごとに表示をされる簡単な時分計のようなものをサービス品として、ある程度通話量の多い、あるいはそういうお貸しになるような機会の多い方々には公社から提供をいたすようにいたしたいと思って、検討いたしております。それからなお、それが非常に正確なものを要求される、たとえば旅館でございますとかそういうところがあるといたしましたならば、もっと高級なもので、これは実費でそのサービスをさしていただく道も検討をしていきたい、こう思っております。その場合に、ピンク電話につきましては、いまおっしゃいましたように当然その問題ができますので、とりあえずそういう簡易な時分計を用意をいたしますが、それと同時に、現在のピンク電話の欠陥であります市外発信ができないという点を改めますいわゆる自即ができるピンク電話というものを開発をいたし、それを実用化するように準備をいたしております。
  288. 中野明

    ○中野(明)委員 これはピンク電話も相当の数になりましょうし、予算的にどの程度考えておられるのですか。ただ単にここで簡単におっしゃっていますけれども、相当な予算が要るのじゃないかと思うのですが。
  289. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  おっしゃいますとおり、確かにピンク電話は非常に数がございますので、これをいきなり全部取りかえるわけにまいりませんので、順次何カ年計画かで取りかえたい、こういうふうに考えております。
  290. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの時間を三分刻みでわかるようなもの、これはピンク電話も相当の数でしょうし、相当な予算がかかるし、数も相当要ると思うのですが、その点。
  291. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 ただいまの簡易な時分計につきましては、一定の通話量のところという一つの基準のきめ方もございますし、それから同一加入者で多数加入をいたしておられるような方に対しては、必ずしも加入数だけは要らないと思いますので、そういう点を考えますと、現在まだそういう基準をつくっておりませんので、検討中でございますが、そう膨大な額でなくて済むのではないかと思っております。
  292. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ、次に参りたいと思います。これはこの間七カ年計画の書類でやり直しをされるときにお話が出ておりましたが、去年の八月に七カ年計画を策定されたときは、一度数十円という原案であったというふうにお話がありました。その原案を撤回されて、そして現状のまま一度数七円、こういうふうな考え方でいかれたのですが、これはこの一度数七円という考え方で当分いかれる考えなんですか。来年あたりもうすぐ、この法律が終わったら、また来年あたり十円にしてくれというのじゃないですか。その辺心配なんですが、総裁、どうなんでしょうか。
  293. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  公社といたしまして、昨年八月に経営委員会を開きまして昭和四十六年度の予算の概算要求をきめるときに、同時に七カ年計画というものを経営委員会できめました。その時点におきましては、通話の料金体系合理化ということと広域時分制、この二つを柱にいたしまして、広域時分制という制度だけは今回この法律に盛られておるわけであります。料金調整合理化のほうは、大体市内通話というものがどっちかというと赤字であって、市外通話でもうけているというのが、原価から見ました市外、市内の料金収入の状態でございます。また支出も考えまして、市内のほうが赤字市外が黒字でもうかっている。この際原価に少しでも近づけたいということもありまして、特に遠距離を下げる、そのかわり市内は十円にするということと、それから先ほど申し上げました広域時分制ということと両方考えたわけでございますが、この際その案につきまして、政府の御意見も一挙に十円にするというのは問題であるということで、公社もその意見に賛成いたしまして、こういったふうにして七円のまま広域時分制にするということになっておるわけでございます。しかし、遠距離の市外通話と、それから遠距離といいますか中距離遠距離と申し上げたほうが正確かもしれません、あるいはまた単位料金区域の隣接地との問題というもの、いわゆる隣接単位区域の料金というようなことを考えますと、やはり市内を十円にしてその料金調整をするという問題は、七カ年計画の中で残っているというふうに私たち考えておりますが、明年やるかどうかということはいまのところ考えていないのでありまして、今回この法案をお願いしている次第でございますから……。しかし、七カ年計画の中に問題が残っているというふうに考えております。
  294. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま政府というおことばが出ましたから申し上げますが、大体は総裁がお答えになりましたとおりであります。ただ、政策決定の責任を持つ政府側といたしまして、これは物価あるいは公共料金、たいへん慎重に扱わなければならないという時期でありまして、そういう配慮から七円広域時分制採用、こういうふうに決定した次第でございまして、いま中野さんおっしゃるあとの部分は、これは現在においてはまだ全く未決定、こういうことでございます。
  295. 中野明

    ○中野(明)委員 これを実施してみればわかると思うのですが、三分で区切られたということ、これが実際に使用する人が、三分以上の人はいま公社が試算したものよりも多い、こういうことになってきますと、当然収益がふえてまいります。収益がふえてくれば、無理に十円にしなくたって料金体系是正していく財源はそこからでも出てくる、そういうことも考えられますので、これは一、二年はやはり実施に踏み切った後検討をされる必要があると私は思うわけです。七カ年計画の中で一つの柱になっているということでございますが、そうなりますと、これは市内通話だけをやっておった住宅用の電話の人はたまったものじゃない、こういう考え方でおりますので、その点は念のためにつけ加えておきます。  それでもう一点は、けさほども参考人からもちょっと意見が出ておりましたが、試験実施のところで、公社が郵政大臣の認可を受けてどこかの電話取扱局を指定して、そこで試験実施をする。これは一応試験実施をしなければならぬのはわかりますが、そのときに試験的に実施したところは料金を改正後の料金で取る、こういうふうにここに書いているように私は読めるのですが、そのとおりですか。この参考資料の一〇七ページ。
  296. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答えいたします。その通りでございます。
  297. 中野明

    ○中野(明)委員 そういたしますと、これはたいへんな問題じゃないでしょうか。この選ばれたところはこれはたまったものじゃないと思うのですが、こういう不公平、これがはたして許されていいものかどうか。選ばれたところはたまらぬと思うのです。その点どうでしょう、監理官、それで平気ですか。そのとおりですと簡単におっしゃったけれども、これは大問題だと思うのです。
  298. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 この法案を立案いたしますときにそのことを十分考慮いたしまして、この広域時分制を実施するときに三分で刻む装置というものをいろいろの方式のある交換機それぞれについて検討しなくちゃならない。交換機といっても全部同じのわけじゃなくて、同じ種類の交換機でもまたいろいろある、こういうことになりますので、それらを代表的な例を比較的少ない地域で選んで、それを実施して、そのやり方に間違いのないということを選んで、確かめてやらないと、全部をやってからこれをまたやりかえるということはたいへんなことになりますので、さようにした次第でございます。これはまた前の距離別時間差法を実施いたした場合にもこの方法を採用した経緯を持っておる次第でございます。
  299. 中野明

    ○中野(明)委員 これはいずれにしましても、試験をされるほうは、昔は昔でそれは済んだことはしようがないですが、これからやろうとするのですから、これは選ばれたところはたまらぬですよ。この不公平をどうされるかということです。おそらくその住民は相当反発をして、その差額の料金を払わないというようなそういう運動が起こる可能性もあるんじゃないか。全国で大体何カ所くらい指定して試験されようとしているのですか。
  300. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 先ほど監理官が、試験実施の料金につきましては、中野委員のおっしゃるとおりとこう申し上げましたのですが、その中で正確にもう一度補足をさせていただきますと、基本料は上がるべきものは上げません。したがいまして通話料だけでございます。それで、いま中野委員のおっしゃいましたように、確かにこの点は選び方によりましてたいへん不均衡と申しますか不平等なことになる可能性がございます。一方試験実施ということがやはりどうしても必要なことも御理解いただけると思うのでございますが、したがいまして、そういう点で不均衡にならないようにあるいはその時期などにつきましてもできるだけ実施時期に近い時点で行なうというような形で検討いたしておりますが、現在のところまだどこでいつからというようなことは全く未定でございます。
  301. 中野明

    ○中野(明)委員 大体全国で何カ所くらい試験をされようとしているのかということですが、それもきまっていませんか。
  302. 三宅正男

    ○三宅説明員 先ほど監理官も答えられましたように、いろいろな交換機について一応の技術的な確認をいたさなければなりませんので、数はできるだけしぼりたいとは思っております。まあおそらく全国で数料金区域という程度で済むだろうと思って、現在検討いたしております。
  303. 中野明

    ○中野(明)委員 数カ所と、その程度で済めばまだ被害は少ないですけれども、それにしましても、この選ばれたところが、いかに実施時期に近い時期であろうと、ただの一カ月でも半月でもそういう不公平は私は許されないと思うのです。ですから、一応料金は料金として新料金で出しても、過去の三月なら三月、半年なら半年の平均でする、そういうふうなことをしないと、これは原則的に不公平になります。この点どうでしょう。技術的にはそれはできないことはないと思うのですが、総裁のほうからお考えを聞きたいのですが……。
  304. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、基本料は前と、つまり新しいものにいたしません、据え置きでございます。したがいまして、通話料の関係が実施になるわけでございますが、この通話料の場合には、試験局の選び方によりましては、早く不利を受けたというよりも早く利益を受けたという、利益といいますか得したというような場合も理屈の上ではあり得るわけでございます。したがいまして、そういったような点もいろいろ勘案いたしまして、また技術的な試験の必要性とそれを噛み合わせまして、御不満のないようにきめるべきだと思って検討いたしております。
  305. 中野明

    ○中野(明)委員 まあ試験をされるわけですから、いわばどちらかというと公社のほうから頼んでするような性質のものでしょうから、得をする人は得をする人でそのままでいいと思うのです。損をする人のことを考えて、その人にはちゃんとそれだけのしかるべき方法を講じてあげないと、ただもうこの法律でこのようにきまりましたからだめなんですと、そういうやり方では私納得できないのですが、その辺もう一度再確認になりますが、絶対に試験のために加入者に迷惑をかけない、このようにはっきり御返事ができますか。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
  306. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 できるだけその方角で、具体的な決定までには検討させていただきます。
  307. 中野明

    ○中野(明)委員 非常に公平であるべき法律のもとで行なわれるわけですが、そのように非常に小さなことですけれども、ここで議論にならなかったらそのまますっすっと行くような感じのところが多々あるわけです。だからまだまだたくさんこれから出てきますが、そういう点についてもう少し、公社というのは役所と民間との中間ですから、きめこまかい配慮が私は必要だろうと思うのです。  食事までもうちょっと時間があるようですから、では設備料についてお尋ねいたしますが、この設備料が、けさほども出ておりましたが、設備料そのものは公社の財産になってしまう性質のものですが、本来これは取るべきものであるかどうかということを私たちも非常に疑問に思っておる一つですが、これはもう当委員会でも何回か議論が繰り返されておりますので、今度目の改正で「加入電話の大幅な増設の必要性にかんがみ、その設置に要する費用の一部に充てるため、」というふうに、設備料改正の理由にそういうふうにうたっておるわけです。この点、もう一度設備料の基本的な考え方、いままでだいぶ説明が変遷してきておるようですけれども、料金なのか負担金なのか、その辺もまだ結論がはっきりしていないような気もしておりますし、もう一度この設備料の基本的な性格について御説明を願いたいと思います。
  308. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  設備料の性格でございますが、設備料公衆電気通信法第六十八条に根拠を有する料金の一つでございます。けれども、これは加入電話の新規加入の際に工事をして電話利用ができるようにするための料金でございまして、新規架設工事に要する費用の一部に充当されるものでございます。したがいまして、同じ料金ではありましても、毎月支払っていただく基本料であるとかあるいは電話の通話料であるとかというものとは若干その性格を異にいたしますが、やはり電話利用ができるようにするための料金でありまして、新規架設工事に要する費用の一部に充当されるという性格を持っております。
  309. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、この改正理由の料金関係の三番目に「加入電話の大幅な増設の必要性にかんがみ、その設置に要する費用の一部に充てるため、」こうなっているわけですが、そちらにもお持ちだと思います。そうしますと、総裁もこの間おっしゃっているように、これは五十二年で大体申し込んだのがつくというところまで持っていくんだということでございますが、そうしますと、将来申し込んだらすぐつく時点が来たら、もう設備料は取らぬのですか。そこ、どうでしょう。
  310. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  七カ年計画の最終年度の昭和五十二年度におきまして全国的に積滞は解消するということは申し上げまして、その際に、設備料はどう考えるかといいますと、結局、これもお願いしたいと思っておりますが、現在の加入者に債券を負担していただく期限の延長を政府にお願いしたい、前にこの席で申し上げたことがあるかもしれませんが、それも実は考えておる次第でございます。  ところで、申し込んだらすぐつく時点というのはどういうことかといいますと、結局、電話機そのものは五千円でつきますけれども、あるいはドロップワイヤーもせいぜい五千円ぐらいでつきますが、やはりそこに基礎設備がないと、申し込んでもすぐつかなくなるわけでありまして、結局、需要の予測をしておきまして、大体この辺にはこのくらいの申し込みがこの次の年には起こるだろう、あるいは二年先なら二年先の申し込みはこのくらい起こるだろうというように、数年先の用意をしながら五二末も進んでいかなければならない。五二末以降に電話の申し込みが全然ゼロならまだいいのでありますけれども、おそらくその年を越えましても申し込みがある。しかし、申し込んだら今度は、五二末以降はすぐつくんだ、こういうふうになるわけでありまして、したがいまして、その資金という面から考えますと、やはり債券を持っていただくとかあるいは設備料負担していただくということが必要になってくる、そういうふうに考えておる次第でございまして、ですから、申し込んだらすぐつける際の資金面というものを考えたときに、やはり継続されていくんではないかというふうに思うわけであります。
  311. 中野明

    ○中野(明)委員 「大幅な増設の必要性にかんがみ、」というので、わざわざこういうふうにおっしゃっているものですから、その必要性がなくなったら、もう設備料を取らぬでいいんじゃないかというふうにどうしてもわれわれとしては読みたくなるわけです。そこでお尋ねしているわけですが、それとも大幅な増設の必要性がなくなれば、五万円にしたのを三万円か一万円か逆にだんだんもとに戻していくようになさるのか、そういうふうに読めるわけです。それでいま御質問しているのですけれども、どうでしょうか、加入電話設備料を改定する必要があるのだ、大幅な増設をするために必要性があるのだ、こうおっしゃっているわけですから、それが一応落ちつきますと、大幅な増設は必要なくなってくるわけです。その時点ではだんだん逆に戻していかれるのか、こういうことなんです。
  312. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  昭和五二末というのはだいぶ先でありまして、もし公社の財政が非常によくなれば、あるいはまた技術革新で非常によくなれば、あるいはそういう債券にしても設備料にしても、昭和五十三年以降下げるということができればたいへんいいと思いますけれども、私のいまの見通しでは、やはり継続されるんじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  313. 中野明

    ○中野(明)委員 それじゃこういうふうな書き方はよくないですね。この改正の理由に、「加入電話の大幅な増設の必要性にかんがみ、」とわざわざ条件をつけているわけですから、そういう理由づけで設備料の値上げをされるのですから、そうすると、必要性がなくなったときは当然下げるべきじゃないかという議論が出てくると思うのです。だからこういういまのお話では、そのときが来てみなければわからぬ、そういうようなお話なんです。それならこんな書きようをしないで、設備料の値上げをどうしてもいましなければいかぬからするということでいいんじゃないかと思うのです。わざと電話をたくさんつけなければいかぬから、だから設備料を上げるんだ、こういう言い方、非常によく読んでみますと、希望の持てるようなことを書いているのです。どなたが文章をつくられるのかわからないけれども、なかなか頭のいい人がつくられると思うのです。これを見ていると、なるほどな、電話がもうなくなったらだんだん下げてくれるんだなとわれわれは読めるわけです。総裁のお話を聞いていると、いや、それはそうじゃないんです、その時点が来てみなければわからぬし、多分必要でしょう。そういうようなことで、何かことばじりにつかまって文句を言っているようですけれども、その姿勢が全部一貫しておられる、そういうふうな言い回し方というか、そういう姿勢をきちっとはっきりしてもらいたいという、そういう感じで一ぱいであります。  それでは、時間があれですから、ここでちょっと休憩をお願いしたいと思います。
  314. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 この際、午後七時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後六時五十七分休憩      ――――◇―――――    午後七時三十分開議
  315. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。中野明君。
  316. 中野明

    ○中野(明)委員 設備料ですが、公衆電話設備料が要らないことになっていると存じますが、その点どうでしょう。公衆電話設備料の必要な公衆電話がありますか。
  317. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  そのとおりでございます。要りません。
  318. 中野明

    ○中野(明)委員 この公衆電話にもいろいろ種類があるのですが、いまのピンクは、やっぱり同じ公衆電話でも要るのでしょうね。
  319. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 失礼しました。ピンク電話は、加入電話といたしまして設備料をいただいております。
  320. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、郵便局の公衆電話はどうですか。
  321. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 要りません。
  322. 中野明

    ○中野(明)委員 これは郵便局に設置されている加入電話というふうにわざと公衆電話の種類のところではうたっているのですけれども、それでも要りませんか。
  323. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 郵便局の中の局内公衆電話と称しますものは、要りません。
  324. 中野明

    ○中野(明)委員 ここに七十七条ですが、「郵便局公衆電話」と書いて、「郵便局に設置されている加入電話であって、公社の委託により公衆の利用に供されるもの」この電話設備料は要るのですか。要らぬのですか。
  325. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 たびたびおそれ入ります。郵便局が加入者になっております加入電話のものにつきましては、もちろん設備料は要ります。局内公衆として別に入れておりますものは、要りません。
  326. 中野明

    ○中野(明)委員 このピンクですがね、ピンクは公衆電話として十円取ってもよろしい、こういうことになっているわけですが、そこらはどうでしょう、性格が少しあいまいなような気がするのですが。公衆電話加入電話との中間のような制度になっておりますが、そこのところどうでしょうかね。このピンク電話公社が公衆電話として委託をするのであれば、設備料はほんとうは取ってはいけないのじゃないかというような気がするのですが……。
  327. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  ピンク電話は、御存じのようにまず加入電話として、加入電話としての性格が本体でございまして、それをまあ公衆電話として使わせることができる、こういうことでございますので、本来加入電話としての性格が基本でございます。したがいまして、設備料はいただくわけでございます。
  328. 中野明

    ○中野(明)委員 それじゃ、さっきの郵便局のも同じ考えでよろしいですね。  次に行きます。先ほどから安宅さんも非常に力説しておられましたが、これは私も前回の一万円が三万円になるときの設備料の値上げのとき、このときにも強く申し上げたのですが、そのときも、その時点ではどうすることもできない、今後検討を要するというような返事があったと思うのですが、今回の設備料の値上げにもまたまた問題になっておるわけですが、いまどうでしょう、電話を申し込んでから一番長く積滞されているというのは、公社で何年ぐらいとつかんでおられますか。
  329. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  これは手動局と自動局でだいぶ違うと思います。手動局におきましては、実際申し込まれました中で一番長くお待ちになっている方は、おそらく五年以上の方もおありだろうと思います。しかし、自動局につきましては、これはまあ普通加入区域と特別加入区域あるいは区域外等で違いますが、現在の状態では、三年ぐらいが一番長いケースだろうと思っております。
  330. 中野明

    ○中野(明)委員 そういたしますと、これは手動局で五年以上、確かに私たちの国元にはそういう人が非常に多いわけですが、先ほどから議論が出ておりますように、これは本人は申し込んで電話をつけてくれという意思表示をしているわけですが、それを公社の都合で電話がつけられない。たまたま電話がつくようになったら、今度は五万円払いなさい、こういうことなんですが、これは国民感情の上から考えても、社会的な通念の上から考えても、非常に問題のあるところでして、ぜひこれは経過措置その他で――この前にはたしか小林さんが大臣のときだったですが、そのときもいろいろ私申し上げたら、やはり電電公社にこれは押し切られましたというような言い方でした。それはけしからぬということで、そこでだいぶやかましく言ったのですけれども、井出さんもやはり押し切られたんですかね。その辺どうでしょう。
  331. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 どうも鐘が鳴るか撞木が鳴るかというような微妙なお問いでありますが、私も予算委員会でございましたか、相沢さんの質問に、何か名案があればという意味のことを申し上げた記憶がございます。しかし、その後あれこれと検証いたしましたが、やはりどうもどこかで遮断機をおろさなければならぬ、こういうことに相なりますると、まあ今回のような行き方でけだしやむを得ないのではないか、こう思っています。
  332. 中野明

    ○中野(明)委員 結局いろいろの考え方が持てると思うのですが、昨年この七カ年計画を策定した時点、そこに線を入れるのも一つの考え方だろうと思うのです。この値上げをするということの原案を策定した時点、それ以前に申し込んだ人は現状のまま、それ以後の人はこれは値上げになるということを承知して、まあそういう考え方が出てきてから申し込んだ人ですからこれはやむを得ぬとして、それ以前に申し込んだ人はそのままでいくという、そこに線を入れるという一つの考え方、これも持てるのじゃないかと思うのです。それとも、一番妥当なのは、ことしの六月一日なら六月一日から値が上がるとすれば、申し込んだ時点、これも一つの考え方だろうと思うのです。申し込んだ時点の設備料の値段でいく。そうすると、五年も待っている人は、一万円のときからですから、それでいつつくだろうかと待っているうちに、二へんも三べんも設備料が上がってしまって、結局五万円になってしまった。こういうことになりますと、これはたいへん気の毒な状態ですし、これは国民感情としても許せないと思います。一応、この前も議論になりましたが、申し込んだ時点で確かに権利は発生していない、確かに法的にはそうでしょうけれども、本人としては印鑑まで押して、そして電話の申し込みをしているわけですから、やはり本人としてはその時点で意思表示をしていることは間違いないと思うのです。そこを大臣は線を入れるのがむずかしいとおっしゃっていますけれども、それだけで済まされるのじゃなしに、むずかしいところに線を入れるのが政治の役目じゃないかというような気がするのですが、その辺どうでしょう。そこらのところ、経過措置ででも考えられるという意思はないのかどうか。  それからもう一点。これは感情的にもなりますけれども、七カ年計画を見てみますと、前々から議論になっておりますように、住宅用が八〇%でしょう。一千九百七十万台新しく加入電話をつけるといううちで、千五百七十万台、これが住宅用になっています。だから、もう八割、それが結局公社のきめた設置基準ですか、優先順位、それでいきますと、住宅用が最下位にランクされているわけです。そういう関係で、事務用はなるたけ早くつけるようにということで比較的早くついておるようです。そうしますと、住宅用の人は、自分の意思以外に、公社の優先順位というものが働いて、そして今度値上げになるということになりますと、八〇%の人が住宅用である、そして七カ年計画を見てみますと、これは必需品になってきている、生活必需品だということを書いているわけです。必需品になってきているものを、しかも住宅用をあと回しにしておいて、この時点で六六%でしょう、二万円の値上がりというのは。それで五万円になったから五万円払いなさいというのは、あまりひどいと私は思うのです。それをあわせて大臣のほうからもう一度……。
  333. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 中野さんおっしゃることは、気持ちとしてはけしてわからないではないのでありますが、さてこれを実務的に扱うということに相なりますと、どうもなかなかその辺がまた別な不公平をかもしだすというようなことにもなりかねないというようなあたりも、うまい名案が思い浮かばないというのが実際のところでございます。
  334. 中野明

    ○中野(明)委員 一番名案は上げないことなんですけれども、上げるということになれば、もう少し名案を考えていただきたいと私たちは思うのですが、この機会に住宅用と事務用の話が出ましたが、住宅用と事務用の電話の違い、これは基本料のほかに、どこか違うところがあるのでしょうか。
  335. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 料金面ではございません。
  336. 中野明

    ○中野(明)委員 これは何か住宅用と事務用の区別をつける必要がはたしてあるのかどうか。最近住宅用と事務用の区別が非常にあいまいになってきているような気がするのですが、これを廃止するというか、住宅用と事務用の区別をなくする、そういうお考えはあるのですか。
  337. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、料金面では事務用と住宅用と基本料が異なっておる、これが唯一の差でございます。これは昭和二十二年でございましたかにこの制度が開かれて以来のことでございまして、主として負担能力の面からこの差がつけられておるのでございますが、今日の時点では、優先順位が先ほど中野委員のおっしゃいましたように事務用と住宅用で若干違いますので、それに基づく差ということも言えるかと思うのでございます。しかし、いま申されましたように、事務用と住宅用と非常にこん然一体になってきている面もございます。そこで、私どもといたしましては、かねがねこの事務用、住宅用の区別をできるだけ機会を見て撤廃をいたしたい考えは持っております。
  338. 中野明

    ○中野(明)委員 その場合、撤廃をされた場合、基本料をやはり高いほうへ一緒にしてしまわないで、安いほうへ一緒にするように念のために申し上げておきたいのですが……。
  339. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 そこが問題でございまして、一本にいたしたいのでございますが、おそらく低い住宅用に統一せいという御意見もおありだと思います。私どもといたしましては、これもおこられるかもわかりませんが、いろいろ計算をしてみますと、統一するならば、事務用に統一するのが現在の時点では妥当ではないか。ですから、具体案としてはなかなかむずかしい問題でございますが、必ずしも……。
  340. 中野明

    ○中野(明)委員 そういうことを言われるだろうと思って念を押しておいたのですが、そういうふうに高いほうへ一緒にするのなら、してもらわないほうでよろしいのです。  で、基本料ですが、今回の広域時分制の採用によって基本料が上がるところがあります。これは先ほど遠藤局長も、試験のところで、基本料をはずすから得するというようなお話がありましたが、基本料が上がるところがあるのですが、このおたくからいただいた資料によりますと、二階級特進するところがありますね。この二階級特進というのは、ほかのことならいいのですけれども、これはちょっと困るのですが、こういう点は考慮される余地はないのですか。二階級特進されるところは、おそらく郡部の過疎地域だと思います。それが広域時分制を採用されることによって、県庁所在地とか、あるいはその周辺の大都市並みにがっと合併されて級局が二階級上がってしまう。そうすると、少々電話賃を安くしてもらっても何にもならぬ。逆に基本料が二階級も上がってしまうと、たいへんな損失になるような気がするのですが、そういうところがかなりあるようです。どうですか、要するに二階級特進する分、これは何か考えられないものでしょうか。
  341. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 これは基本料の改定に当たるわけでございますが、この考え方は、均一のサービスを受ける面が広くなります。したがいまして、基本料の改定、級局の変化が生じまして基本料が上がるわけでございますが、いまお話しのございました二階級上がるというものは、事務用で具体的に申しますと三百円、住宅用で二百円上がるケースでございますが、局数にいたしまして、全体の二%で三十六局でございます。それから加入者の数で申しますと、四万三千加入でございまして、総加入数の〇・三%という非常に少ないものでございます。これは従来の加入区域そのものが非常に小さかったところでございまして、今度の広域時分制によって、その見返りとして受ける利便も、逆に非常に広くなるわけでございます。したがいまして、この二階級上がるというのも、そういう点からお認めいただけるものと思っております。
  342. 中野明

    ○中野(明)委員 二階級と一階級が大半、いま数字の上ではおっしゃっていますが、こういうところは、いまもお話しに出ておりますように、非常に山間部の僻地なんですよ。そういうところにそういうために基本料が上がるということは、大きな精神的な負担にもなりますし、もともと基本料のきめ方ですけれども、この前も議論になりまして、階級が非常に多かったのを五階級に下げた。下げるだけかと思っておったら、今度は値段を上げてきたということで、何かものを言うと、それは趣旨はもっともだということで、一応の形はそのようにしてくるわけですけれども、内容は料金値上げになっておるわけです。で、この算定の根拠ですが、どうも非常に幅広い、二級の度数料金局を例にとってみますと、八百から八千台までというようなことになっていますが、この根拠は何かあるのですか。この台数ですね、台数の五等級に分けられたその根拠ですね。何を根拠にしてこういう台数に線を引かれたかということです。
  343. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  これはこの前、級局を整理いたしましたときに、工事費その他局番のけた数によって大体合わせておると聞いております。
  344. 中野明

    ○中野(明)委員 そういう点を一つ一つ見ていきますと、何か割り引きをしたという美名のもとで、結局いなかのほうは何にもならぬ、こういうことになるわけです。ですから、どうなんですか、設備料が上がることによって何ぼの増収を見込んでおられるのですか。
  345. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 設備料だけでございますか。
  346. 中野明

    ○中野(明)委員 いいえ、基本料です。
  347. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 四十四年ベースで四十億と見ております。
  348. 中野明

    ○中野(明)委員 ですから、この四十億円、それだけを結局だれが負担するかといいますと、山間部、山間僻地の、そういうところに限って収入が非常に少ない、だから人間が町へ出ていって過疎地域になっている、そういうところの人に、これは四十億から負担をさせるわけです。ですから、そういうことを考えていきますと、この人たちが受ける恩恵というのは、四十億以下になりゃせぬかというような心配をしているわけです。だから、そこら辺をもう一度検討を加えて、級局の基本料、特に二級以下ですか、そういうところ辺の基本料もやはり考えていく必要がある、私はこのように思います。今回はどうしようもないにしても、そういうことをほんとうに真剣に考えてものを考えていただかないと、高いところから全体でプールして、それでこれだけ値下げをするからいいじゃないかということですけれども、地域によりましては結局ありがた迷惑のところもできるんじゃないか、そういうところを何とか救済する方法を経過措置その他で考えるのがたてまえじゃないか、私はこのように思います。  それで、時間があれですから次に進みますが、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、特別加入区域、こういう地域があります。これは都会の人には想像もできないのですが、山間部に行きますと、そういうところは非常に多いです。この特別加入区域というのは、大体どういう基準で特別加入区域というふうに指定しているのですか。何か基準があるんですか。
  349. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  加入区域に関しまして、公衆法の二十九条に規定がございまして、この規定によりまして加入区域というものをきめておるのでございますが、その加入区域と申しますのは、その地域の社会経済的諸条件、行政区画、加入電話の需要、供給の見込み、公衆電気通信役務を提供するに要する原価を考慮しなければならない、こういうぐあいに考えておりまして、その規定に基づきまして、ただいま申されました普通加入区域、特別加入区域というものの基準をつくっておるわけでございます。
  350. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、何か局から距離でどれだけとか、集落では幾つくらいの集落とか、そういうふうな算定の基準はあるんですか。ただ、いまのその条文だけでは非常に抽象的なんですが……。それがないと、何かその地方の通信局長の裁量で自由になるような感じもするんですが。
  351. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  一応加入数によりまして局舎位置からの距離を基準といたしますほか、その他の条件について基準を定めておりまして、その基準によりまして普通加入区域、特別加入区域の設定を行なっておるわけでございます。
  352. 中野明

    ○中野(明)委員 それは、この特別加入区域というのを何か計画的に解消していくというのですか、そういう方針はあるんですか。それで年間どの程度特別加入区域を普通加入区域に編入していこうとなさっているのか。
  353. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えします。  そういう加入数と局からの距離によります基準によって定められました特別加入区域を、大体一年に一ぺん見直しをするようにいたしております。そのほかに、改式などを行ないますときには、まとめてまた見直しをする、こういう形で行なっております。
  354. 中野明

    ○中野(明)委員 全国でどの程度あると公社のほうでつかんでいますか、特別加入区域というのを。
  355. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 特別加入区域と申しますのは、普通加入区域に対応する区域でございますから、普通加入区域が大体五千ございます。したがいまして、現在の時点では、この普通加入区域に対してそれぞれ特別加入区域があるわけでございますから、その加入区域と数で申しますと大体同じだけあると思います。それで広さで申しますと、特別加入区域と普通加入区域の広さが、大体同じくらいの広さだろうと思います。
  356. 中野明

    ○中野(明)委員 それはちょっと違うような気がするのですが、普通加入区域の中に特別加入区域になっている集落というのは、ずいぶんだくさんあります。それで、それに電話をつけてくれというと、一メートル当たりいま幾らとっているのですか。ずいぶん高いことを言いますから、全然電話のない部落、公衆電話が一つか二つかあるという程度のところが、ずいぶんありますが……。
  357. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  集落の数でいきますとたくさんあるわけでございますけれども、この電話局の特別加入区域という数え方をいたしますと、加入区域と同じことになると思うのでございます。それでいまのお話しの特別加入区域の場合には、線路設置費として、単独電話の場合百メートル当たり九千円の負担をしていただいておるわけであります。
  358. 中野明

    ○中野(明)委員 私の県ですが、村の役場に一つと、あとは公衆の赤電話が二つほどあって、村長の家も収入役の家も電話がないというところがある。そういうようなところで電話をなぜつけぬのかといいますと、六十万ぐらいとられるというのです。そういう地域が随所にあるわけです。これを計画的に解消していくという方針を立てられて、予算措置をして、そしてそういう地域をなくしていくというのは、公社の責任だろうと私は思うのです。けさほど来議論になっておりますように、データ通信にそんなにべらぼうな金を入れる前に、そういう特別加入区域とかあるいは区域外というのがありますが、そういうところをこのままほうっておいていいかという問題なんです。それに対して別に計画も持っておられないようですし、いまの説明を聞いておりましても、通信局長かぐらいの裁量で適当に、そこはもうちょっとしたら入れようとか入れまいとか、何かさじかげんで判断しているような気もするわけですが、その点、データ通信にこれだけつぎ込む金があれば、こういう特別加入区域とか区域外というものをなくする、そういう基本的な計画を立てて、年間計画を立てて解消していくことを考えなければいかぬと思いますが、そういう用意がおありですかどうですか。
  359. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 現在時点でも確かにおっしゃるとおりでございますが、特に広域時分制になりますと、いわゆる加入区域の概念が通話料金に対しましてはなくなります。したがいまして、加入区域、特別加入区域という概念が、いまの線路設置費だけの問題になってまいります。また片や、いまおっしゃいましたように、非常に人家連檐といいますか、いままで人の住んでおらなかったところも、どんどん人が住むような傾向もございます。したがいまして、根本的にこの普通加入区域と特別加入区域を広域時分制の時点で整理をいたしまして、現在の普通加入区域の考え方を拡大し、修正をするような方角でいま検討いたしております。
  360. 中野明

    ○中野(明)委員 それじゃ、この七カ年計画で大体そういう地域も全部解消される、このように考えていいですか。
  361. 浦川親直

    ○浦川説明員 ただいま営業局長がお答えいたしましたように、現在の特別加入区域を普通加入区域へ拡大する方向検討しておるわけでございますが、七カ年計画期間中に逐次それを解消していきたい、かように存じております。
  362. 中野明

    ○中野(明)委員 区域外は。
  363. 浦川親直

    ○浦川説明員 現在、普通加入区域の外側に特別加入区域というものがございまして、その外側に区域外という観念がございますが、元来区域外というものは、この収容局がどちらともきまっておらないわけでございますけれども、私どもといたしましては、その現在区域外と称するようなところにもし需要が出てまいりましたときには、それの収容局はどこそこの電話局にすべきであるというような区域分けは、これは計画としていま持っております。さらに現在の区域外まで普通加入区域を広げる、いわゆるいかなる山の中でも日本全国がすべて普通加入区域であるというふうにいたしますと、非常に線路設備その他かかりまして、なかなかこれを回収するということもできませんし、まあいまのところ特別加入区域程度を普通加入区域に拡大するというようなことで七カ年計画ではやってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  364. 中野明

    ○中野(明)委員 公社の本来の仕事は、私はそういうところに力を入れてもらいたいと思うのです。データ通信にそんなに力を入れなくても、そういうところへ金をつぎ込んでいくのが私は公社の本来の使命だろうという気がするのですが、いまのお話では非常に消極的な態度で、データ通信はなかなか積極的にやられているので、ちょっと逆じゃないかという気がするのです。けさほど来データ通信のことについては突っ込んだ議論が出ておりますが、一応参考までにお聞きしたいのですが、データ通信に現在までどの程度投資をされたか。それからもう一点は、七カ年計画でそれにプラスどの程度投資をしようとしておられるのか。それを数字で示していただきたいのですが……。
  365. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答えを申し上げます。  現在までに、四十五年度末までに六百九十二億の投資をする計画で進めてまいっております。それから四十六年度の予算で五百六億の建設投資計画を進めております。それから、七カ年計画では四十六年度を含めまして六千九百億円、七カ年の総投資額の八%程度をデータ通信に振り向ける、こういう計画で進めてまいりたいと、こういうことでございます。
  366. 中野明

    ○中野(明)委員 この六千九百億というのは、いままでの全部をひっくるめて六千九百億ですか。
  367. 井上俊雄

    ○井上説明員 四十六年度から五十二年度までの七カ年の期間投資計画のことでございます。
  368. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、それは一切データ通信に関しては全部入っているわけですね、基本となるべきものも。  で、この回線を自由化していくという考え方から、私たちの考えは、経理を明らかにして別会社にしたらいいじゃないか、あるいは別会計――最悪の場合は別会計というような考え方を持っているのですが、いままで投下された六千九百億に七百億、ざっと七千六百億ですか、たいへんな金でございます、七カ年計画を終了した時点では。そういうこと、何かけさの参考人のお話では、もっととてつもない計画を説明しておられたようですけれども、それはそれとして、いまそちらでおっしゃる数字を基本にして考えてみましても、どうなんでしょう、いままで投下された資本を独立採算にして返済される見通しを持っておられますか。何年ぐらい先に返済される見通しを持っておられるのか。
  369. 井上俊雄

    ○井上説明員 各施設とも八カ年の期間を通じまして全体で公正報酬を見込んで完全に独立採算でいきたい、こういうことなのでございます。七カ年計画期間における投資額、先ほど六千九百億ということを申し上げましたけれども、これはきわめてマクロな予測に基づくものでございますし、現実の需要とかあるいは社会的なニーズとか、そういうものとの関連、さらにはデータ通信関連技術の進歩の関連、そういったようなものとの関係から、相当変動性はあるというふうにお考えをいただきたいと思うのでございます。  それから、その投下資本の回収の問題でございますが、これは着工いたしましてからでき上がるまでに、システムの大小にもよりますけれども、局舎を含めますと三、四年、局舎を既設のものを使いましても二年以上は大体かかるということでございまして、七カ年計画期間で六千九百億の投資をかりにやりましても、実際の稼動状態のシステムというのはそこまではいかないのであって、一、二年後に次々と稼動状態に入る、このように御理解をいただきたいと思います。
  370. 中野明

    ○中野(明)委員 私は、公社がこのデータ通信を行なうのに路み切った理由、いろいろございましょうけれども、公衆電気通信法の精神から考えて、公社が何がなんでもやらなければならないという事業であるかどうか、そういう点もひとつ疑問に思っているわけです。そして独立採算制を言われるけれども、はっきり別会計にされて、そしてどんどんデータ通信の会計から戻していく、そういうふうなはっきりしたことをやられないと、結局この八年間で大体見通しがつくだろうとおっしゃっていますけれども、この八年間、結局一般加入者のほうからあがってきた電話の財源でデータ通信をやられようとしているわけですから、そうなりますと、たちまちこのデータ通信で恩恵を受けるのは、いま早急なというと、大企業しかほかにないわけです。そういうふうなデータ通信をやるということは、確かにけさの参考人意見にもあったけれども、国策の上から考えればデータ通信の必要は私ども感じます。けれども、それを一般加入者の積滞をほったらかしたり、あるいはいまの特別加入区域とか区域外とか、そういう一般加入者が電話をとりたいけれどもとれない状態に置いておいて、何がなんでも公社がこれに踏み切らなければならぬ事業かどうかということを、非常に私疑問に思っているわけです。だから、もし国策でやるとするならば、別の会社をつくって、これで恩恵に浴する企業家から資金でも集めて、そしてやって、公社は純然とそれに線を貸して、それで収益をあげていけばいいのじゃないか、こういう考え方も持てるわけです。  どうしてそういうことを言うかといいますと、このいただいた参考資料の五四ページにも出ておりますが、第七条の二で、データ通信の使用契約の申し込みをした人に対する債券の額についても、結局非常に低い額になっております。何か本体以外の機器の額を基準として算定をする、こういうことに五四ページでなっております。それで、データ通信設備使用契約者がその機器を設置する場合は、債券も何も要りません、自由にコンピューターを活用しなさい、こういうようなことのようです。ですから、本体というものは一般加入者の電話からの料金でそれを負担して、データ通信を始める、そういうような考え方でおられるということになると、結局大企業に非常に有利になっているじゃないか。どうですか、加入者負担という考え方からいくならば、もうちょっとたくさん債券を出してもらってもいいのじゃないか。それをわざと本体以外というふうに断わってあるということ、そこら辺を見ますと、どうしてもこれは一般加入者が犠牲になっているのじゃないか。一般加入者の犠牲のもとにデータ通信を始めて、そしてそれでもうかるようになってきたらそれからぼつぼつ返しますというような、そういう考え方、それよりも公社として先にやらなければならぬことがあるのではないか。
  371. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答えを申し上げます。  データ通信の建設財源は、一切加入電話の料金とかあるいは新しく電話に加入したいお客さまから御協力をいただく債券等を充当する考えは、毛頭ないのでございます。この独立採算制と申しますのは、経常活動におきましても独立採算であると同時に、資金調達につきましても独立採算ということを前提に進めてまいりたい、こういうことでございます。したがいまして、センター設備、このセンター設備は、特定もしくは不特定の受益者の方がお使いになるわけでございまして、このものはいわゆる財投等の資金調達の中でまかないたい。端的に申しますと、縁故債によってセンター部分の資金は調達をはかることにしております。それから端末設備につきましては、受益者が完全に限定をされておることでもございますので、端末設備の工事費及びその物品費につきましては、債券及び一部設備料ということでまかなってまいりたい、こういうことでございます。  なお、公社のいま行ないつつある、あるいは今後行なわんとするデータ通信サービスが、特定企業等に非常に重点が向けられておるのではないか、あるいはそのおそれがありはしないかというお尋ねでございますが、公社といたしましては、前前から申し上げておりますとおり、全国的な規模にわたるもの、公共的なものといったようなものに非常に大きなウエートを置いてまいりたい、こういうことでございまして、行く行くはデータ通信を広く国民大衆にいわゆる開放したい。販売、在庫管理システムであるとか、あるいは行政システムの一環ともなるような運輸省の車検登録システムとか、あるいは科学技術計算システムであるとか、あるいは電話計算システムであるとか、そういったコンピューターの共同利用、あるいはTSS、タイムシェアリング・システムのような大きなシステムで、できるだけ大ぜいの方に御利用いただけるような方向を重点的にやってまいるというつもりでございます。
  372. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、現在試行役務でやっておりましたこのデータ通信、いまのコンピューターを使ってやっておりますね、それの電話回線の使用料はどうなっておりますか。
  373. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  電話計算の回線使用料につきましては、コンピューターの処理能力から出ますコンピューターの回収部分とそれから回線の使用料と合わせまして、二十一秒七円という形でいただいておるわけでございます。
  374. 中野明

    ○中野(明)委員 それから私、もう結論になりますが、このデータ通信で郵政大臣の権限というものに幅が持たせ過ぎているということを私どもも感じておりますが、けさほどからの議論で、外国資本の構成とか、あるいはプライバシーの問題とか、そういう問題も大きく出ておりますが、やはりこの際幅広い層を網羅した行政委員会というものをつくって、そしてデータ通信の健全な発展ということに参画させる、こういう考え方がぜひ必要だろうと私たちも感ずるわけです。その点について大臣のお考えを最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  375. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは先ほど武部さんからも、自民党の中の情報産業委員会の提案に触れてお話がございました。したがいまして、データ通信だけに限定をして行政委員会でやるべきかいなか、若干検討の余地はあろうかと思いますが、先ほどお答えをしたような方向で、これらもひとつ十分に参考にしつつ、どういう形でそういったものをつくるかはまだ煮詰まってはおりませんけれども、方向としてはそういうことも考慮してまいりたい、こう思います。
  376. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 栗山礼行君。
  377. 栗山礼行

    ○栗山委員 いよいよ公衆電気通信法の一部改正をする改正案のしんがりを承りまして、御承知のようにいろいろ委員会の誇りをもってきょうじゅうに上げてまいろうということを決定いたしまして、ただし問題の多い内容を持っておるから、十一時五十九分まで討論、採決その他の手続、こういうことを踏まえまして、これは完全に与野党の一致をいたしました。したがいまして、私は定められました時間内で取り組んでまいろうとは考えておりません。できるだけ重複も避け、そしてひとつ最も要点を尽くすように努力いたしまして、御質問を申し上げてまいりたいと考えておりますが、ただ私、きょう一日同僚の質問を伺ったのでございますけれども、何と申しますか、非常に真摯に質問に対する討議が行なわれておりません。私、大臣以下総裁まで含めまして、委員会の質疑についての姿勢にきわめて疑いを深く抱くので、私、本論に入りますまでに、非常に御警告を申し上げて、もう少し委員会の権威に真摯な姿でひとつ質問にお答えをいただく、こういうことを望ましいと考えるのであります。それぞれの答弁をされておる方が一つの責任と誇りをもって自分の役割りをお答え申し上げるということを願いたいのでありますけれども、作文を、用意されたものをもって答弁にかえられる。そしてそれはとにかく受けて流せばいいのだ、こういうふうな観が、特にこの委員会はございます。私は、地方行政も取り組んでまいりました。私の専門の商工にも籍を置きまして取り組んでまいったのでありますけれども、この委員会は、そういう点では誠実と真摯な質疑が非常に欠けておる、こういう感を深めたのでございます。苦言を申し上げて、限られました時間内で、ひとつ真摯な最後の質疑応答を行なう、こういうことに心を新たにしてお運びを願いたいということを切望申し上げておきたいのであります。もし、これ不誠実で、そして私の理解ができがたいことになりますれば、それは私の責めではございません。あるいは質問の続行を停止することがあり得ることも、ひとつお含みをいただきまして、御答弁をいただきたい。これは脅迫ではございません。前段に私、真摯な姿で申し上げてまいりたい、かように考えております。  その基本は、私は、何といっても郵政省の所管の問題で今度ほど多くの問題をかかえておるときはない。郵便二法の問題がしかりでありまして、きょう運んでおりますこの法案も、またしかりでございます。あまりにも矛盾と撞着した、そして一つの方便主義にわたっておる、こういうことで、実際は質問をする真摯な意欲も欠くわけであります。私は、そういう前段を踏まえまして、つとめて礼を失しないで、敬意を表しつつ、立場を異にしつつ、いろいろ建設的な御質問をいたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。私は、個人的には井出先生には、人格的にもあるいは識見にも非常に敬服をいたしておるのでありますが、今度の逓信委員会におきましては、その限りにおいては公人と公人としての関係でございますから、腹の中でものを申し上げておったようなこともしばしばあるのでございますけれども、きょうはひとつ、ずばり公人としての質問をさしていただく、また、御答弁も、私の評価が誤らない御答弁をお願いを申し上げたい、こういうふうに考えるのであります。  もう一点、たいへん恐縮でございますけれども、私、大臣に率直にお伺いをいたしたいのであります。  質疑を通じまして、合理的で、きわめて謙虚に耳を傾けていただきます多くの質問が展開をされました。一々名を申し上げるまでもなく、非常に妥当性のある、皆さんに謙虚に踏まえていただかなくてはならぬ質問が多くされたと、私は拝聴をいたしておるわけであります。安宅同僚もいろいろお話をされましたが、一体委員会の運営がこれでよろしいのかどうか。少なくとも与野党の共通の場を持って、そして謙虚に質疑を行ないまして、私は耳を傾けて、そしてあやまちあるとするなればそれを訂正する。別のことばで言いますと、少数意見を尊重して、そしてその是とするところは大胆に、勇断をふるって改革をいたしていくということでなくてはならないのでありますけれども、半点減点も許さない、こういう立場において御答弁をされておるということでは、私は、この委員会の機能と成果をあげてまいることができない。これは民主政治の本旨にひとつ検討を加えてまいらなくてはならぬ問題だ。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 私どもは、やはり何といっても与野党の共通の場を持って、そして謙虚に国民の批判と、国民の感情と、方向について論点を進めてまいり、その中において、少数の意見をも採択する、そして最終的には英知ある多数決で決定をする、こういうことが民主政治の本来の使命なりと考えておるのであります。大先輩の井出先生にそういう書生論をいまさら申し上げるということはいかがなものかと思うのでありますけれども、これはもう委員会を通じまして痛切に感じます。しかも、与党の先生もいらっしゃいますけれども、私は、やはり与野党がそういう共通の場と真摯な態度で委員会へ臨んでいただかなくてはならぬ。オール・オア・ナッシングでありまして、ひとつ何か言わしておけということで、それを受け流して、みずからの百点を減点しないという方式を推し進めるということは、民主政治に反するのだ、これはもう多数の暴力だ、こういうような感をきょうの委員会で一そう深めてまいったわけでありまして、私の意見、もとより十分なものではございませんけれども、一体、民主政治の本来の姿において、こういう委員会の運営がよろしいかどうか、こういうような大きな政治の原点に検討を加えてまいらなくてはならない方向を政治が求めておると考えておりますので、私は、本論に先がけまして、非常に重要な問題でございますから、郵政大臣の確たる御所見をお伺いいたしてまいりたい、かように考えております。
  378. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 栗山さんから、おしかりを含めての御質問でありますが、私は、きょうるるお伺いをしました諸問題に対しまして、栗山さんがどういう点をおとらえになりましたか、あるいは軽く受け流したというふうにおとりになったかもしれませんが、非常にきめのこまかい、やはり立案過程において気のつかなかったような点にもお触れになった、これは私も敬意を表して伺った次第であります。ただ問題は、私なり公社立場なり、いわば原案を作成した側からいたしまして、これをできるだけ堅持したい、この気持ちはおわかりいただけると思うのでありまして、こういう委員会あり方に対しまして、私のほうからかれこれ申し上げる筋合いのものではない。むしろ、与野党の共通の土俵というものがこの委員会でありまする以上は、与野党間において話を煮詰めて、そうしてその結論がお出になりましたならば、それじゃ政府はどうだ、こういう点、相談に乗れるかというふうなことにお運びをいただくのが段取りではないかという感じはいたすわけであります。きょうは栗山さん掉尾の質問でございますから、ひとつ、以下御展開されるままに承りながら、ひとつ誠実に、この委員会の、特に本法案に対する画竜点睛を聞きたい、こう考えるわけであります。
  379. 栗山礼行

    ○栗山委員 御所見を承りまして、これに討論をいたしてまいるというようなことは毛頭考えておりません。ただ申し上げたいのは、私の質問についてそのような姿勢を求めたいということを要求するのじゃなくて、近くは郵便法の一部改正審議につきましても、この問題の法案審議につきましても、特にきょうが最終で臨んでいこう、こういう与野党の方向を出したその委員会において、質問に対する関係諸氏の御答弁の本旨というものが、全く、言うなれば、逃げたい、そしてその場を過ごしてまいりたい、こういうふうな無責任な公社関係の御答弁が多かったようであります。また、省側の御答弁も、それに類似するものがございましたことを痛切に私の実感でとらえてまいったのであります。一体これでよろしいか、もう全くこれはゼロじゃないか、私はこういう感を深めたものでございますから、井出先生の、御先輩の高邁な所見をひとつ原則論としてお伺いを申しておかなくちゃならぬ、こういうことで御質問をさしていただいた、こういうことで打き切っておきたい。  この間、樋上委員がサンデー毎日のあの記事をとらえまして、そして樋上委員流な質問をされました。私は、遠藤君の答弁も伺っておりました。大臣はお留守であったと承知をいたすのでありますが、米澤総裁の御答弁も伺ってまいりました。ただ一言、こういう事態を発生したということについてはおわびを申し上げなければならぬ、こういう一言だけでございました。私自身は、いろいろ週刊誌のことでありますから、それなりの一つの発想と表現をいたしておると思うのでありますけれども、中身の本質的なものについては要点を尽くしておる、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。私が間違っておりましたら、私自身が訂正いたしますことはやぶさかではございませんが、少なくともこの誤差の通話料の問題は、コンピュターで積算をいたしておるから絶対間違いない、こういう考え方で一年何カ月の経過を進んでまいった。何としてもこのおばちゃんはえらい人でありまして、これはたたえるべき勇者と、こう理解をいたしておるのですが、ほかの人なら、日本人のなかにはなかなかここまで執念を燃やして最後までそういう間違いをただすというようなのはあり得ない、行ない得ない日本国民性の一端があるわけであります。ところが、この人は断じてこの不正と間違いを許さない、こういうことでこの問題をお運びになりました。ようやくにいたしまして、度数計の誤りによってこういう結果になった、こういうことで電話されて、そして過払いの問題につきまして処理された、こういうふうに答弁を伺っておるわけであります。  しかし私は、科学万能時代といえども、すぐれた知能的機能を持っておるコンピューターの性格を論じておるわけであります。これは非常にがんこ無類なものがございます。融通性のきかないものがございます。いかなる材料を入れるかということによって、入れた材料によって正確に受けとめてまいる、この機能よりコンピューターは持っておらないのであります。間違った材料を入れてまいりますと、間違った材料でそれを正確にとらえていく、こういうふうに幅のきかない内容を持っておる。入れたものだけについては、たがわずそれを知能的にとらえていく、こういう進んだものだ、こういうふうに、私はコンピューターについて常識的理解をいたしておるのです。ただ、コンピューターによって積算しておるんだから絶対間違いない、こういう過大の過信というところに問題点があるのじゃないか。その材料は人間が入れるのであります。その入れたことについて、コンピューターによって間違いないんだ、こういう発想、認識それ自体に、私は総裁の一つの指導といいますか、管理、運営上の大きな責任をとられる問題が存在するのではないか、これが一点であります。  第二点には、これはコンピューターの故障によるものではございません。しかもその材料を入れるものが、赤を入れるものをたまたま黄か白を入れてまいったということが、こういう誤った積算になってまいった、こういうことでございましたら、明らかにこれはミステークであります。このことは、科学万能時代で、そしてそれにあまりに過信と絶対性を持っておるというようなこと、少なくともコンピューターによっていろいろ研究開発されておる電電公社というものが、そういうとらえ方でものを教育し、管理運用されておるということについては、これは基本的な認識の問題点があるんじゃないか、こういうことを私は率直に感ずるのです。  しかも御承知のとおり、一おばちゃんが出てくれたのでありますけれども、個人の家庭におきましても、企業におきましても、ほんとうはあなたのほうの基本料及び電話料の請求納入書といいますか、これだけを過信をいたしておる。市内電話度数が何ぼ、市外通話何ぼだということは、日本人の一面はとてもそれだけの徹底したビジネスの運用をいたしておりません。非常に大きな信頼度を寄せ、そしてそれについて間違いないものなりということで料金を納めておる。これが今日の電話利用者の大かたの一つのつかみ方だ、こういうふうに考えるのです。そういたしますと、一おばさんの問題でなくて、先ほど遠藤君言われたように、一万件について十六件の苦情がある、こう言われたのでありますけれども、私はそういう計数的な問題じゃなくて、あなたのほうに絶対の過信をし、そして黙々としてそれに納入いたしておる多くの利用者が、公社についての大きな不信感と不安感を増大いたします。おそらく電話料をとめたら、電話が一定の期間でとまってまいる、こういうような一つの処置をおとりになるんでしょうけれども、どれだけ表にあらわれない声があるものか、こういう被害を受けておるかということは、私どもの通念から理解をいたしまするときにおいて、おそるべきものだ。われわれが、もっと公社それ自身の信頼性を高めてまいり、こういう不安を除去いたしてまいるということについて、今後のそういう管理、運営の問題についてどのようにはかっていくかということについて、一言もお触れにならなかった、これが私は頭に来たんですね。同僚の質問でございますから関連質問いたしませんけれども、私は非常に頭に参りました。ここに皆さまの基本的な姿勢があるわけであります。しかも、少なくとも料金を返せばそれでしまいだ、こういうような一つの発想での御答弁だった。多くの利用者について、どうこういう一つの誤った材料を入れた問題の不信を除き、そして信頼を高めるということと、国民に謙虚におわびを申し上げて回復いたしてまいるということが、私は公社の最大の責務なりと痛感をいたしておるのであります。  私の記憶によりますと、最近は基本料と総括的な納入請求でございます。何年ごろか存じません。私も事業をいたしておりましたときには、基本料の問題とそれから請求方式についての事務システムが変わってまいった。一括請求であります。いままでには市外通話何ぼ、何通、どこと、そして市内の度数が何通話だ、こういうような詳細な請求でまいった。時代の進展といえども、事務の合理化といえども、少なくともお客さんだ、利用者なりといたしますならば、これだけのものをお使いになっていらっしゃいますから、これだけのものをひとつお払いをいただきたい――これがもし民間でございましたらどうなりますか。どういう品物を何ぼお買い取りいただきました、単価は何ぼで、総計これだけでございますという請求書を送って、そしてその請求をいたすということになるのでありますが、公社はさらに高い立場から、一銭も間違いない、こういう明確な納入請求方式をとってまいるということが、一つの問題点として検討を要するべきじゃないか。皆さんは、いやそんな煩瑣なことはできないのだ、合理化だという一つのごまかしの魔術によって簡略されておると思うのでありますけれども、ここら辺にも問題があるのではないか、こういう点が私の中心の一つの基本的な御答弁をいただきたい問題でございます。  付随的には、この人たちに間違った料金はお返しいたしますよというて済んでよろしきものか、こういう問題がございます。交通事故にいたしましても――誤りは、取引は停止されますよ、不当な請求をしたしますと、一般の民間企業ということになりますと。公社であるがゆえに、使わなければしかたないという一つの事態から払っておるのであります。陳謝を申し上げて、そして堂々と取引を願いたい。あやまちはあやまちとして訂正いたしますということを民間のサイドにおいてはかってまいらなければならぬ。少なくとも公社の性格は、やはり公共奉仕じゃありませんか。そして独占じゃありませんか。こういう一つの問題を、あまりに皆さんが鼻高く、のぼせ上がった姿で国民不在の一つの措置をやっておられるということが、先ほど大臣に言いたかった問題でございますが、総裁の御答弁に頭に来た問題がございますから、私はしかとひとつ総裁の所信を承ってまいりたい、この一点であります。
  380. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました件につきましては、十分肝に銘じて注意していきたいと思います。  実はこの間御質問ありました、たしか姫路の電話料金のことでございましたが、私、確かに公社としてたいへん申しわけないことをしたと実はおわびしたのでございます。ただしかし、いまお話がございましたように、現場のほうでコンピューターに入っているから間違いないというようなことを言ったら、これはとんでもないことでありまして、いま御指摘のように、コンピューターというものは、入れたものが正確でなければ中で正確になるはずはないのでありまして、結局料金計算はコンピューターでやっているから間違いないというようなことが、今後とも現場で行なわれないように十分徹底させたいと思います。ただ少しく詳しい事情は主管局長から答えたほうがいいと思いますが、略監査装置というものがあるわけでありますから、もっと早く略監査装置というものをそこに入れておけば、一年何カ月ということではなくて、もし御不審があれば、加入者の方の同意を得てそこに略監査装置を入れますと、そこに記号が出てまいりまして、どこへ、いつかけたという日付が全部出るようになるわけであります。それをたとえば三週間でもやってみて、一方そのおたくがどこへかけたかということと対比してみれば、もっと早くわかったのではないか、私も非常に残念に思うわけなのでありまして、この前ここで、私なら早く略監査装置を入れさすべきだということを申し上げたのは、こういうことからであります。  この料金の誤差というもの自体につきましての統計的資料というものは、先ほど遠藤営業局長が申し上げたような数字でありまして、われわれといたしましては、これをいかにして少なくするかということについては、非常に注意を払っております。所管は公社の中で施設局、あるいは保全局というところがその所管でありますし、また事務的なことは営業局がやっておる、この三局に大体関係しておるわけでありますが、したがって、これをなくなすために一番問題になるのは、一つの巨大なシステムになっております、最近のいわゆるシステム工学というようなことばがあるわけでありますが、千五百万の加入電話が全部つながって話ができるというような一つのシステムになっておりまして、この度数計そのものの精度というものは非常に高くて、おそらく百万分の一というようなオーダーだと思います。いわゆる家庭についております電力のメーターがございますが、あるいは水道のメーター、ガスメーターよりは二けた以上精度が高いのでありますが、しかし、このシステム全体の保守をよくするということが結局大事だ。保守が悪くて、たとえばそこに金属片が入ったとか、あるいは接触したとか、そういうことが起こると、こういう突発的なことが起こるわけでありまして、全体の保守をよくするということが、結局この問題を解決する道だ。したがって、その点において何か事故があって、それが事務的に処理できないような問題の場合には、早く略監査装置を入れて、実際に符合させて調べていく、それからあと保守を全般的によくする、この二つが全体を改善する道であると思っておるわけでありますが、なお現場等に対しましては、この種の問題はきわめて重要な問題でありますので、公社の姿勢といいますか、そういう態度に対して十分注意をさせていきたいと思っております。
  381. 栗山礼行

    ○栗山委員 私、要点を尽くしましたので、重ねて申し上げてまいりたいとは考えておりません。私自身は、遠藤君の一万に対する十六件の苦情、こういうようなことだけは表面にあらわれた勇者であると思います。あえて日本国民性ということを申し上げました。あなたもシステムを言われましたが、個人の家でも、大体いま経済合理性というものには、まだ甘い要素が日本国民性はございます。企業においても、やはり経済サイドからそういうものについて的確にとらえておらない、こういうことでありまして、唯一の信頼性は、あなたのところの請求書を一〇〇%信頼するという立場に立っておるのでありまして、これが重大だ。この人たちに誤りがなかったかどうか、この一例をもってみても、他山の石にしなければならぬという問題がある、こういうことを私はいまあなたに力説いたしておるわけであります。したがって、国民の不信と疑惑を解消する一つの方策が、システム化であるとかあるいは保全管理の問題だということだけじゃなくて――それは大組織でありますから、一つのシステムは必要であります、文献も必要であります。文献も必要でありますけれども、もっと一つの基本、これは運用の手段であります、システムというものについては管理の一つの手段であります。これが絶対のものではございません。やはり何というても人の運用の面に中心を置いてまいらなければいけない。公社としての厳たる指導理念と、そして適正な管理の運営をはかっていくということが、総裁たる任務だということを考えるときにおいて、私はあなたの御答弁には満足ができない、こういうことであります。重ねて私は再答弁を求めます。同時に大臣がいらっしゃらなかったので、大臣のような一つの知識人のすぐれた方が、どのようにこの問題をおとりになっておるかということも、あわせて伺ってまいりたいと思います。
  382. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  私、少し事実の内容を申し上げたのでありますが、料金の問題でたいへんに御迷惑をかけましたことは、ほんとうに国民、その当事者の方にも申しわけないというふうに痛切に感じておる次第でございます。公社といたしまして、こういうようなことが起こらないように、あとの処置をできるだけするということに最大の努力をいたしたいと思います。
  383. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この前、樋上さんからいまお示しになった記事をひっさげて御質問があったことを承りました。総裁からも御答弁がありましたように、こういう問題こそないがしろにしてはいけないと思っております。実は、私のところへも直接、全国から郵便なり電信電話なりのサービスの不満足なことを電話や郵便でしょっちゅうちょうだいをいたします。これはやはり一つ一つ丁寧にお答えをするように、場合によっては私みずからが電話へ出るということもございますが、そういう精神で臨まなければならないと心得ております。何としましても郵政省の仕事は、国民と密着をしたサービスに徹しなければならない性質の仕事でございますから、これに当たる者は戦々恐々として永を踏む、こういう気持ちでなければならないと思うのでありまして、そういう点、常日ごろ必ずしも行き届いておらないことばかりでございますが、いま総裁も申されましたように、そういうところへひとつ立ち返って、今後十分に気をつけたい、かように存ずるわけであります。
  384. 栗山礼行

    ○栗山委員 ありがとうございます。  本論に入ります。まず第一にお伺い申し上げてまいりたいのでありますが、電話の普及等によりまして、電報の果たす役割りが大きく変化をいたしておる、こういうような御説明が、資料で私ちょうだいをいたしております。変化の状況を承りたい。これは重複するかもしれません。
  385. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  最近におきます電話の普及、特に住宅電話の普及、あるいは市外ダイヤル電話の普及、あるいはテレックスの普及、こういったものによりまして、電報役割りというものがかつての電報役割りというものと非常に違ってきておるわけでございます。かつて電話のそれほど普及していない時代におきましては、電報というものは非常に緊急の通信手段として大きな役割りというものを演じておったわけでございますが、最近におきましては、そういった他の通信手段の普及というものによって、電報役割りが量的にも、また質的にも変わってきておるわけでございます。これをもう少し内容的に申し上げますと、電報通数の点で申し上げますと、電報通数は、昭和三十八年の全国で年間九千五百万通というのがいままでの最高でございまして、その後は大体年々四、五百万通ずつ落ち込んでまいっております。大体四十三年度では七千二百万通まで下がっております。大体この調子では、相当この傾向をたどるものだというふうに考えておるわけでございます。それからまた、電報需要の内容でございますが、一般に電報といいますと、非常に国民の、庶民大衆のいわゆる通信手段、こういったような考え方が多いわけでございますが、実際には需要内容を調べてみますと、電報の約半分というものが会社、事業用の電報でございます。それから三分の一が慶弔電報でございます。残りの二割程度がいわゆる一般私用の電報でございます。そして会社の電報といいますものも、会社の電報のうちの約七割近く、相当程度というものが大企業電報でございまして、いわゆる個人企業電報というものは一割程度でございます。また、電報というものは、電話の加入者の方と電話を持たない方との需要のぐあいというものを調べてみますと、電話の加入者の人から電話の加入者への電報というものは、大体全体の三分の二ぐらいがそういったもので占めておる。電話を持たない人から電話を持たない人への電報というものは、わずかに四%程度にすぎない。それからまたいわゆる緊急電報と申しますか、「チチキトク」といったようなものに代表されます緊急電報といったものも、最近非常に減ってまいっておりまして、昭和三十八年度に約四百万通ございましたが、これが四十三年度には二百万通に半減いたしておりまして、電報通数全体のうちで約三%程度でございます。こういった点で、電報というものはかつての国民一般の非常に緊急の通信手段といった役割りから、その性格というものも非常に変わって、一般の国民生活というものとも非常に結びつきの薄いものに変わっていく、かように分析をいたしておるわけでございます。
  386. 栗山礼行

    ○栗山委員 電話の普及によって電報利用構造の変化があるという、これは一面のとらえ方でございます。それから、電話の施設のないところというものが、電報利用というものの全的なものではございません。電話利用いたしておりまして、電報の特質というものがございまして、電報利用いたしておる。しかし、いまのようにダウンして構造変化を遂げておる、大きくながめるとそういうことであろうかと思うのでありますが、あなたのところの資料によりますと、業務用が四八%ですか、それから私用が一九%、パーセンテージの問題からいきますとたいへんなことでありますけれども、少ないパーセンテージでありますけれども、実はやはりこれが日本人の、電話がないということだけじゃなくて、電報の用務を求める電報利用者である、こういうふうに私は理解をいたさなくちゃならぬ、こういうふうに考えるのであります。慶弔電報に至っては、三三%というような高い数字をあなたのほうの資料で示されておる、こういうことでございます。  この問題はこれでとどめますが、慶弔電報の廃止をされたということの理由を先ほど中野委員がお伺いをいたしておりました。伝えられる経過もあったと思います。その真偽性はよく存じないのでございますけれども、電報料金が、資料を示されたところによりますと、二十八年以来の懸案の問題でございます。そうして累積赤字が四千一百億というような今日の事態に至っておるということも示されておるので、長きにわたる一つの問題でございます。この二つの問題をとらえまして、私は、慶弔電報というものが三三%のシェアを示しておる。しかも、不必要なものもございましょうけれども、やはり日本人の生活習慣がございます。慶弔電報というものが、日本人の特質をあらわす一面がございます。これを一挙に廃止するという事柄については、私は盲断だ、少し迷った決断だ、こういう私の結論を持っておるわけであります。したがって、この経緯につきましては、一体あなた方がどういう経緯でお出しになったのか。省側がこれをどう認められたか。与党さんの政策審議会あるいは通信部会等もございまして、それらでどういう経緯を踏んだかというようなことの巷間伝えられることがございます。どうも慶弔電報を上げなくちゃならぬ。だけれども、これを上げていくというようなことについては、公共料金の抑制を一つのたてまえとして進めてまいらなければならぬところにたいへんではないか、こういうことで、ひとつ隠れみのに慶弔電報を廃止しようじゃないかというようなことで、十分な審議をされずして、そうして通信部会においてこの問題が削除されたとも伝えられておるのであります。私は民社党でございますから、そういうような与党の内部事情をよく存じませんけれども、そういうことを踏まえてお出しになるというところに、私は省側の見解がいかがなものか――与党さんもとより必要であります。しかし、やはり何といいますか、公共企業たる本旨からみれば、与党さんが間違っておれば、省側がそれを説得すべきであります。また、担当の公社が強くそれの要請をして、誤った方向にたたさないようにということをいたすべきでありましょう。こういうふうに考えてまいりますと、その真偽のほどはわかりませんけれども、どうも先ほどの運用局長でありますか、私と一緒ででっかいのですが、あなたは背が小さいが、ぼくよりボリュームが大きいのだが、先ほどのあなたの答弁を伺っておると、まともなことを言うてないのです。それが場当たり答弁というのです。あるいは逃避答弁というのです、ぼくの表現からいきますと。だから、これの経緯というものについて、私は中野委員に御答弁されたことにつきましては、重複いたしますけれども、どうもこのままでこの問題を終わるわけにはまいらない、こういうことが私の結論でございます。したがって、その説明を運用局長でなくて、責任ある郵政省及び電電公社総裁から、この問題の経緯についてひとつ御説明を求めたい。
  387. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほど中野委員の御質問に対して公社のほうからお答えしたわけでございますが、これはやはり政府案として最終決定をいたしました責任上、これは私からまずお答えをすべきであろう、こう考えます。  電報の累積赤字の問題は、栗山さん御承知のように、ともかく数字から見ますと、これは電話の陰に隠れて二十八年以来どうやら据え置きで来たようなものの、これはまさに食管赤字と匹敵するような大きな赤字であります。これは本来ならば、もう少し事前にしかるべきおりをとらえて料金の修正をしてきておれば、もう少しなだらかに来たこととは思いますが、これはいまさらそれを言うても始まりません。そこで、今回二十八年以来初めて料金に手をつけたわけでありますが、何としても慶弔電報はせめて原価の半分くらいということから、当初三百五十円という案が示されたわけでございます。私どもこれをながめましたときに、もちろん与党その他でも検討されましたが、最終的には私のところで、いま物価なり公共料金なりがたいへんやかましい際に、これはずいぶん法外な値上げと映るであろう。そういうことでありますから、むしろこれを普通の文面にして二十五字まで百五十円という中に、ひとつ問題をその中で解決をするということが一番至当ではなかろうかという判断のもとに、さような決定をいたしたような次第でございまして、その他儀礼に流れる社交的なものだというような理由もあったろうかと思いますが、しかし一番基本は、あまりにも大幅な値上げということに対してちゅうちょしたというところから来たものと御了解を願いたいわけであります。
  388. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  慶弔電報につきましては、電報の現在の状況電報の収支その他を考えまして、昨年の八月の時点で、公社としては大体原価の半分くらいはいただきたいということで、二十五字三百五十円という案を一応つくったのでございます。しかし、一般電報のほうの二十五字百五十円というのを最終的に政府のほうで認められた段階におきまして、二十五字三百五十円はあまりにも上がり過ぎるのではないかという御意見もありましたし、それから確かに儀礼的な要素、これは全然いけないということではないのでありまして、またそれも一つの意味もあるわけなんでありますが、とにかく一挙に上がり過ぎるから、また普通電報でも慶弔電報を打つことができるわけだからということで、この際普通電報のほうの値上げだけを認めるということになった次第でございまして、そういうような経過でございます。
  389. 栗山礼行

    ○栗山委員 それはいま伺ったのですよ。中野委員の答弁でも伺ったのでありますが、私の再質問するゆえんのものは、社交的、もしくは一つは国民の慣習、こういう一面がございます。とかく日本人はお祭りが好きでございますから、おそらく、なんでしょう、与野党の先生を問わず、ひとつ選挙区において、あるいは関係者において、結婚式に参加できないということで祝電を打たなければとんだ目にあうということを経験されておる人ばかりなんです。野党の私どももそうなんです。また弔電もしかりであります。そういうふうに一般の国民も、せめてそういう参加できなければ、慶弔電報によって慶弔の用を達する、こういうふうなやはり日本国民性の本来性がございます。ただ一片の料金の問題でこの制度を改廃するというものではない。特に先ほども質問がございましたように、普通電報で打てるのだと言われるのでありますけれども、慶弔電報あるところに日本のいわゆる外交的あるいは慣習的要素があるのであります。普通電報では何の意味もなさないわけです。  で、もう一つは、これは略電でございます。したがって大きな負担もかけないわけなんであります。略電でクラハ、クラハ、こういうことでよく弔電を打っておりますから、私なんかよくわかるのでありますが、こういうふうにきわめて簡略にできる一つの問題等でございまして、むしろあなたのところの事務の煩瑣というような面から見ると、合理的内容を持っておる、こういう一面があるわけであります。したがって、総裁の言われることは、答弁にならない。そんな機械的な答弁はいたしなさるな。だから、私は最初答弁にあたって皆さんの姿勢を疑う、こういうことを御警告を申し上げておるゆえんのもの、またそこにあるわけであります。もっと素っ裸になったらどうですか。公社は何のために存するのだという一つの使命観の上にものをながめ、英知を傾倒するということの方向が必要ではないか、こういうふうに私は考えます。  もう一つは、同文電報もしかりであります。これも廃止する、こういうふうなことなんでありますが、どだい何といいますか、皆さんの頭が、何か政治も国民不在ということで多くの選挙の情勢の変化を遂げているということであります。これは政治の不信感であります。そうして何か行政が優位であって、政治がそれに追随する、こういうふうな一面を国民感情としてとらえておる。政治の端くれにおる私どもとしても、まさに行政あって政治なしというような感を抱くのでありまして、こういう点から、私はもう少し政府の原案としてお出しになる以上について、公社公社として一つの誇りと使命観がございます、政府政府としての政治的役割りがございます、この本旨を没却して取り組んでまいるということは、いかがなものか。  少しつけ加えておきますが、私は久しきにわたる電報料金の問題の公社の悩みを存じておりまして、これはもうタコの足じゃないのでありますが、自分のものを食っていける間はいいけれども、これが別途会計で独立採算制だということなら、早くこれは更生法もきかないパンクとなるのです。したがって、適正料金を私は値上げとは考えておりません。適正料金を制定すべきであるということを、むしろ皆さんにこれを激励をいたしておいたのであります。料金の率の問題ということにつきましては、私はそういうふうに細部の問題に触れてまいりませんけれども、そういう激励をして、しっかり適正料金を求めて改正しなさい、こういうことで、これは会議録を見ていただいたらわかるほど私は意見を述べておいたと承知をいたします。その会議録も私は持ってきております。こういう点から見て、単に一つの社交的なものだ。これを廃止するというようなことはこれは国民の感情不在の方向であります。こういうふうな点でひとつ明確な、素っ裸で真摯な御答弁を求めて是非を論議することが委員会役割りじゃないか、こういうことを前段で申し上げて、以下各論に入っておるということを御了承いただきたいと思います。
  390. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 お答えいたします。  実は私もこのごろある人から、一体日本人の伝承的な純風美俗から考えると、御祝儀なりお香典なり、これは水引きをかけていくものだ。それを裸の電報で慶弔の意が相手に通ずるか、こういうおしかりを受けたこともあるわけであります。この問題は、ずっと先から委員各位によって御議論のあった問題でございますので、私どもただ委員会さえ通ればいい、御質問を聞きっぱなしでそれでよろしいというものでは決してないと思っております。いろいろときめのこまかい御議論に対しましては、確かに一つのこれはオブリゲーションを感ずるものでございます。したがいまして、ただいまお述べになりましたような点は、実は電報料金を改めるのはもう少し時期が先になるわけでありますから、そういう間にこれは研究課題にさせていただきたい、かように申し上げる次第でございます。
  391. 栗山礼行

    ○栗山委員 初めてたいへん井出さんらしい御答弁をちょうだいいたしました。したがって、ここでネジのように切り回して、そして即刻私どもの質問にお答えしなさい、こういうことを申し上げることはいたしません。どうかひとつあなたの味でいまの私どもの意見をやはりしんしゃくされて、そして国民に向かう、あるいは国民の望む適正料金でその方向づけを御検討いただきたい、こう申し上げておきましょう。この問題はこれで打ち切ってまいりたいと考えております。  次の問題でございますが、公衆通信を取り扱う船舶無線局では慶弔電報の制度がなくなり、略号が使われなくなると、従来の十倍以上の労働強化になる。これが一つです。第二番目には、御案内のとおり、主として漁船関係におきましては、やはり国民のたん白資源の確保のために太平洋、大西洋まで広域にわたって漁船がいろいろ活躍をいたしておるのでありますが、この点は、一つはやはり気象観測もございましょう。それから漁場の発見の観測の問題もございましょう。それから乗り組み員の友人やあるいは家族というようなものについて、慶弔電報というものがたった一つ、これは尤たるものでございます。特に全体ではございませんけれども、波の問題の制約がございまして、一定の時間的制限を受けておるということであります。これを略号を廃しますと打てないのです。モールスで打つようでございます。いまだにモールスで打つようでございます。したがって、重要な一つの漁場の問題やあるいはまた気象観測の問題や、隔離された海上生活を送って、日本のたん白資源確保の第一線に働いておる人、そういう人の電報すら打つことができない一つの事態になる。私は漁業組合の幹部諸君からそういう切実な話を受けました。もとより当局についても、あるいは公社についてもそういう陳情が参っておろうかと、こう思うのであります。これはもう慶弔問題だけをとらえるんじゃございません。たった一つ、いわゆるモールスによって、そして限られた時間帯と波によって利用いたしておるので、略号を廃されるとたいへんなことになってくるんじゃないか、こういうような一つのとらえ方であります。労働強化の問題だけじゃなくて、それはもう大きな漁場の作業に支障を来たしてまいる。こういう一つの条件にかんがみまして、こういう問題を陳情いたしておろうかと私は承知をいたしますが、これはひとつ公社側のほうがこういう問題をどうとらえて、どう対処すべきかということをお考えになっておるか、あるいは当局もこれは国策上の問題の一環としてこの問題はながめてまいらなくちゃなりません。私は、そういうふうな政治の判断をやはりいたしてまいらなくちゃならない問題だと承知をいたしますので、ひとつ総裁と大臣に承りたい。――局は困る。
  392. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいまの船舶電報の問題につきましては、たしかいろいろ陳情も私、最近関係の局長から受けております。実際中身をよく考えてみますと、いわゆる陸上の通信と違いまして、一ぺんそこに人が入っておる。いわゆるモールス通信をそこに入れなければならないということで、陸上の場合とだいぶ事情が違っておりますので、この陳情の御趣旨については十分検討いたしたいというように思います。
  393. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 役所のほうへも陳情が来ておるようでございます。私、そのモールス信号が漁船に残された唯一のものであるというようなことはあまりつまびらかでありませんけれども、そういう点はひとつよく公社とも相談をいたしますから、さようにひとつ……。
  394. 栗山礼行

    ○栗山委員 これもあまり押えつけてネジを回すようなことはいたしません。ただしかし、総裁検討ということは逃げ口上なんですよ。検討とはせないことだというように私は定義をしておるのです。だから、具体的には申し上げません。具体的には申し上げませんけれども、確かに検討する値があり、善処しなくちゃならぬ、こういう程度くらいのことはあなたが言われなければ、やはり総裁たる価値はありませんよ。やめてもらわなければいけませんよ。
  395. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほどお答えいたしましたが、確かにモールス関係が加わっておるというのが非常に違った点であります。したがって、何といいますか、この措置につきましては十分実情を調べまして、ただ検討ということはやらないということでなくて、前向きにといいますか、適当な措置をとりたい。郵政大臣の御意見も伺いながら措置したいというふうに思います。
  396. 栗山礼行

    ○栗山委員 次の問題に移ります。電報料金の改定は、来年三月一日からということに示されておると思います。来年三月一日から、私はそういうふうに考えております。設備料のほうの三万から五万というものについては、四十六年六月一日からこれをする、こういうことなんであります。そして電報料金の改定というものについては、いろいろ政治的な御配慮をされた中において、一年間の実施期間の延長をはかられた。この限りにおいては、私は敬服に値するというように率直に評価をいたしております。設備料は六月一日からという一つの差異がございますが、一体どういうことでこういうことになったか、いろいろこれも重複をいたすと思いますけれども、非常に問題の発想を異にすると思いますので、お答えをいただきたい。
  397. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  電報料金につきましては、政府公共料金の値上げ抑制の政策に従いまして、来年の三月一日実施ということになっておるわけでございますが、設備料につきましては、その意味での公共料金値上げ抑制の対象にならないという面と、それから私どものほうでこの設備料を資金源として、本年度の加入電話の増設に充てるための資金源にもいたしておりますので、その意味から、できるだけ早い機会に、つまり六月一日にそれを実施をする、こういう考え方に立っておるわけでございまして、電報料と設備料につきましては、そういう意味で改定の時期について差がついておるのでございます。
  398. 栗山礼行

    ○栗山委員 この問題は、先ほどからもいろいろ質疑がされました。私も実は、四十三年に一万円から三万に上がってまいったと思います。その以前の沿革は四千円だったと思います。それから今度設備料が五万円、こういうふうに値上げをされて、いろいろな質疑が行なわれました。私のただしたい中心は、設備料というものは公共料金でないのか。私、井出大臣の御答弁を記録でちょっと拝見をいたしました。それから四十三年の小林郵政大臣の御答弁も拝見しました。どうも発想が違うのです。公共料金でないというとらえ方をされておるやに理解できる御答弁がされておるわけであります。私は実は頭がほかに行っておりまして、大臣から直接耳にすることはできなかったのでありますけれども、書類だけは全部会議録を持ってまいっておるのでありますが、大臣がかわればこんなに発想が変わるのか、こういうふうな疑問すら抱かざるを得ないのであります。  つけ加えて、時間がございませんからいろいろ申し上げますと、明らかにこれは公共料金だということの原則を踏まえたものの法規定がこれはございます。同志議員は非常に法律に明るいので、法律論を展開されたのでありますけれども、これは結局公衆電気通信法の六十八条の定めがございます。また、さらに別に定める問題の別表がございます。別表の六にそのことが明らかに規定をされておるわけなんでありますが、どうもこの設備料というものについてのそういう法律的準拠に基づく公共料金という法律的理解と解釈を変えて、何か政治的にといいますか、政策的な答弁をされて、この問題を安直にあげておる。高い安いという議論は多くの同僚がいたしましたから、私は申し上げないのでありますけれども、この点の法規に基づいた問題、それから設備料自体の本質の問題をもう少し的確に議論をかわしていかなければ、これは重大な問題じゃなかろうか、こういうふうに理解をいたしておるわけです。時間がございませんから、私はほんとうに小林さんはこういうふうにお示しになっておる、あるいは井出大臣がどうお述べになっておるという資料を全部持ってきておりますが、そういうことの時間を省きまして端的に御質問を申し上げるのですが、これは重大な問題でございますから……。
  399. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 たしか衆議院の予算委員会で私、そういう御質問に接しました際に、負担金というような意味の答弁を申し上げた記憶がございます。それはいま栗山さんお示しの法律をひもとけば、確かに料金という欄に記載がございます。ただ、その性格というものをつぶさにながめてまいりますと、普通の通話料というふうなものとはいささか趣を異にしておるのではなかろうか、こう思うのでございまして、ことに電話を設置いたしまする場合、三十何万円も現在実費がかかる、このうち室内に設置すべきものだけでも七万円くらいかかるというふうな計数を公社のほうから聞いておるのでございますが、そういう限りにおいては、負担金的性格の非常に濃い料金ではなかろうか、こういうふうな考え方の上に立っておるような次第でございますが、なお詳しくは、監理官もおりますので、必要があればそちらからもお答えをいたします。
  400. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの大臣のお答えのとおり私も申し上げるわけでございますが、電話を架設する際に工事をして電話利用ができるようにするために必要な費用の一部に充当するものでございまして、一部負担金的な性格を持った公衆電気通信役務の料金である。すなわち、電話一加入当たりの平均的な価格は、いま大臣のおっしゃいましたように三十数万円かかるわけでございますが、このうち加入者が専属的に使うもの、つまりいま大臣は室内の装置その他、こうおっしゃいましたけれども、電話局からケーブルとして電線を引っぱってまいりまして、そして電話機を設置いたします部分、これは加入者が自分のところの専属的に使う部分になるわけでございますが、この部分の費用がおおむね七万円かかるという事情を勘案いたしまして、五万円の加入者負担金とするように今度改正をお願いしておる次第でございます。  また、このたびはそれに加えまして、電話の加入者が移転いたします場合には、従来は行った移転先で新たに設備料を払って新たにつけなければならなかったわけでありますけれども、その無料の範囲がいままで加入区域内に限定されておりましたものを、これを加入電話の移転と申しますが、これを全国的にどちらに移転してもいい、それには設備料はもう要らない、一たん加入がそこで成立いたしておりますれば、どこに参ってもよろしい、新たに設備料はちょうだいいたさない、こういう仕組みにいたして、これを全国どこにでも場所を変更してもよろしいということにしたわけでございます。こうなりますと、公衆法にございますところの一種の加入権の設定がそこで成立しておるわけでございますが、それのための要件の一つにもなろう、こういうふうに考えて設定した次第でございます。
  401. 栗山礼行

    ○栗山委員 ぼくはあなたの言うことは知っているのです。資料もあるのだ。ぼくはそんなことを聞いているのじゃないのだ。大臣に伺ったのは、これはまさしく公共料金じゃないか、法律で定めておるじゃないか、それで以下別表の上においても明らかに規定しておるじゃないか、この法律論を私はいまお尋ねを申し上げておるわけです。  それから、あなたの言われた一つのサービス的な要素としての問題も、これは資料を私はちょうだいしておるからよく存じておるので、そういうあまり小さい問題に触れたくないのです。私から言うと、これを魔術というのです。上げるからこういうサービスもいたしております。問題は、公共料金の原則を踏まえなくちゃならぬ。それをあたかも七カ年計画を実施する。設備料も、当時は六万円でありましたが、物価上昇の折柄ですから、三万円にされたときに、半額だけ持ってもらうんだというような御答弁もこの会議録には出ております。いま七万円要る。確かに物価上昇の折柄ですから、そういうふうに材料費及び工事費が要るでしょう。そういうことを申し上げておるのじゃないので、それのせめて一部の負担を加入権者、受益者負担として持ってもらうというこの制度自体に、法律と照合して問題があるのでないか、こういうことが一つなんです。重ねて私はそれを論点にしているので、私は東京のことを尋ねているのにあなたが大阪をお答えするというようなことは、まっぴらごめんなんだ。要らないのです。  もう一点の問題は、こういう問題があるのですよ。これも解釈上で定義は明らかにしてまいらなくちゃならぬ。確かに単に積滞電話を解消するという資金源の一部だということが一つの性格。いま一つは、おっしゃるように加入権、電話をつければそれだけの架設費が要るんだ、こういうことであります。あるいはその地域に新しくそういう回線が必要でしょう。また家への配線も必要でしょう。しかし、総体的に言ってみて、私の家に電話を引くということについては、きわめて限られた限界なんです。中の工事だけなんです。外線から接続して持ってくるという工事材料と、工事費の問題なんですよ。その他のものは、これは公社の財産に属するべき問題なんですよ。財産に属する問題だとするならば、それは財投に求めるなり縁故債に求めるなり、そして資金源を新たな立場において充当するということがきわめて妥当な一つの処置の方策ではないか、こういうふうに、私は二点目には見解を持っておるのです。そういう点から、法律論の本旨を一つ質疑を行なってまいって、そしていま二点で申し上げましたように、七万円かかるというけれども、七万円の分が架設される家にどれだけの――七万総体じゃないのですよ。ごく限られた材料と、家の中へ入れる、あるいは事務所へ入れる架設工事費ということになってくるのですよ。そうすると、その他のものは公社の耐久資産といいますか財産に属する問題じゃないですか。財産に属するものであるといたしますならば、それは償却においても明らかに減価償却、年度償却をされるべき性格のものなんです。それを受益者負担ということによってこの問題を取り扱うというところに問題の焦点があるのじゃないか、こういうことを私は考えるので、明確に真剣にお答えいただいたらどうか、こういうのが私の内容でございます。監理官、あなたの答弁は要らないのだ。総裁いかがですか。――副総裁の答弁は聞きました。あれじゃ私は満足しておらぬとさっきから言っております。この間からの質問で伺いました。
  402. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  確かにこのたびの五万円の設備料のお金の性質というものは、一般の基本料、度数料のようなお客さまからいただく金と性格は違っております。ただ、先生の御意思といささか違うとは存じますけれども、世界どこでも多少なりとも設備に伴う初度調弁の金はあるようでございますけれども、この額の大きさによりましては財産を構成するということは当然でございます。私どもの財務諸表におきましても、一つの損益勘定上の業務収入とは違った区分をいたしております。さらばといって、それが絶対にいけないかどうかということはいろいろ論議はありますけれども、ただいまのところそうした処理を続けて、前々回の三万円のときの論議におきましてもいろいろと論議はございましたけれども、ただいまのところたいへんに大きな設備料、建設投資というものがかかりますので、その一部として、かねて設備料立法当時とは多少ニュアンスの違った負担的な性格に変化をしておるということは、ひとつ御了承願いたいと思うのでございます。
  403. 栗山礼行

    ○栗山委員 いままでの質問者についての御答弁から変わった発想がございません。その事柄について、私は私なりに弱い頭でも伺っておるから必要なし、こういう論点なんです。私は先ほど申し上げたように、これ以上深追いはいたしませんけれども、法律論からいっても設備料の性格、それからその設備料の値上げという問題点に検討を要するべき大きな問題が存するのではないか、この点を真撃に考え直すということ、結論を申し上げますと私はそういう建設的な御答弁を求めたかったわけであります。私も同じことを繰り返して二回言ってもらわなければわからぬというほど、まだ頭も老化をいたしておらぬというように思うわけでございまして、そういうことはやめてもらいたいということを前言に申し上げておるのです。要はもっと的確に、その点は問題が存する、だから問題の存する問題については検討を深めてひとつ方向を見定めたい、こう言われればそれでオーケーなんです。いかがですか。
  404. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 あれこれお手間をとらせましてまことに相すみません。確かにおっしゃるような問題をはらんでおる。しかし、ここで原案を撤回するというところまではいきませんが、よく承りました。
  405. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は撤回しろとは言っていないのです。だから、法律で明確にひとつこの性格を定めておかなくちゃならぬという――過去の答弁の内容から支離滅裂なんです。しかも、法律の条項でない新たな発想に一つ論理を飛躍されておる。言うなら、じょうずな答弁をいかにすべきかという苦心の答弁をされておるということが私の言いたいことなんです。だから、問題をはらんでおりますから、撤回しろと言いませんけれども、問題が存在するから、この問題等についても慎重なる検討を加えたい、こういうことなら、私自身は、わかりましたということで次に入りたい。重ねてひとつ……。
  406. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 そのように承った次第であります。
  407. 栗山礼行

    ○栗山委員 これはちょっと私、席をはずしたと思うのです。遠藤君がお答えされておったと思うのですが、地域集団電話設備料を引き上げない、こういうふうに言われたやに聞いたんですが、この点はいかがですか。
  408. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 そのとおりでございます。
  409. 栗山礼行

    ○栗山委員 これまた前提を申し上げておきますが、有線放送電話というものは、電電公社の一つは補完的な役割りを示してまいったと、こう考えております。また、地域の農村、漁村の通信機関としての機能的な面も果たしつつあると私は承知をいたしておるんです。過般招かれましてその代表者会議に出席いたしまして、いろいろ関係方面に陳情されておりますから、この資料等があろうかと思うのでありまして、どのようにこれを受けとめていらっしゃるか、あるいは今後の方向としてどう考えておるか、こういうことをひとつ伺ってまいりたい。  それから、これもしばしば問題になっておるようでありますが、有線電話と地域集団電話との総合調整というものについてしばしば非常に問題にされておるということでございます。相手さんからいうなれば、有線電話が存するところに向かってできるだけそれを拡充と、そして内容の整備に重点を置いてもらうということが本質じゃないか。公社がそれを踏まえもせずして、むしろ電電公社にメリットはあるけれども、電電公社のデメリットというものはないにもかかわらず、わが道を行くということでお運びになっておる。何らかの接点を設けて線を引いてもらわなくちゃならぬ、こういうふうな要請の内容だと私は理解をいたしておるのでありますが、この点についてどのように受けとめられ、御検討を新たにされておるかということを伺いたい。
  410. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  有線放送電話は、公社電話の補完的な役目だというようなことからの御決議がかつてあるわけでございまして、それに基づきまして郵政審議会でいろいろと審議を重ねた経緯がございます。それで確かに地域社会におけるところの発展のために貢献した成果は大きいものがあろうかと思うのであります。そこで昭和四十二年の審議会の答申をいただいた趣旨に沿いまして、有線放送電話が持っている、公社電話にない機能と申しますか、効用、そういうものを生かして農山漁村の地域の通信の要求に合致した、そういうものである限り、これを健全に育成していこうという方針をずっと続けて今後もその考えでまいりたいと考えておる次第でございます。
  411. 栗山礼行

    ○栗山委員 初めて正直な御答弁を一つ監理官からいただいたので、もう一点これに関連をしてお尋ねを申し上げます。これはいまの法制下においては一地域に一つしか認めてないのだ。その他の市町村というものは、あるいは農漁村団体がそれによって格差ができて困っておる。これで一つの拡充強化を法制上あるいはまたその施設の拡充強化をしてもらいたい、こういうような切実な要望がございました。この問題をどう受けとめられて、どう対処しようとされるのか、これも関連してお伺い申し上げたい。
  412. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと御質問の意味が受け取りかねたのでございますが、地域において一つしか認められないからその格差が激しい、二つの地域があってそれぞれ一つずつある有線放送電話の格差が大きいから、それをどうやるのか、どういうふうに育成していくつもりかという御質問と解釈いたしますと、郵政省といたしましては、先生先ほど御指摘のございました全国有線放送電話協会に対し設備の補助をいたしております。その関係でその設備の補助を通してそういう格差を是正していく、こういう意味になるでございましょうか。そういう御質問であればそういうお答えになろうかと思います。
  413. 栗山礼行

    ○栗山委員 おおむね、それでよろしい。  農林省の農政局、お越しをいただいておりますか。それから自治省の行政局の方、お見えになっていらっしゃいますか。たいへんささやかな問題で長時間お待ちいただいて恐縮をいたしておりますが、農林省と自治省にこの問題に関連してお尋ねを申し上げてまいりたい、かように考えております。  御承知の農林省と自治省が、ここに資料がございますが、過去にばく大な額の補助金を出して有線放送電話の施設を育成をされてまいった。これは高い評価をいたしております。今日三百二十万戸の利用者に発展いたしておる、こういうふうなことでございますが、これらの施設の更新もございます、拡充もございます、老朽化いたしましたものの改修の問題等もございますが、こういう問題について何かお考えをいただいておるかどうかということを農林、自治両省からひとつお伺いをしてまいりたい、こういうことでございます。
  414. 岡安誠

    ○岡安説明員 お答えいたします。  有線放送電話につきましては、農林省は昭和三十一年以来、補助金、融資等の助成措置をやってまいりました。お話しのとおり、施設として現在二千をこえるような施設がございますし、またその加入者は三百二十万戸をこえているわけでございます。これらの施設の拡充なり補修、それから更新等につきましての助成の考え方でございますけれども、私どもは新しい施設等をつくります場合におきましては補助金等の用意がございまして、いわゆる山村振興に基づきます補助金が大体二分の一以内の助成をもって実施いたしておりますので、これの対象といたしまして現在実施いたしております。更新、補修等につきましては、現在助成の対象ではございませんで融資の対象といたしまして、もっぱらこれは近代化資金という融資がございまして、これの利子等についても軽減をいたしまして、大体七分の利子ということでもって現在その助成を進めておるわけであります。今後ともその方向でもって努力をいたしたい、かように考えております。
  415. 遠藤文夫

    遠藤(文)説明員 お答え申し上げます。  私どものほうといたしましては、昭和二十八年以来、例の町村合併後に合併した新市町村の建設のための総合助成の一環として、新しく合併した新市町村の育成に適当であるという見地から、三十一年度から五カ年間にわたりまして五億円ばかりの助成をいたしてまいったわけでございますが、町村合併という総合助成はその後ございませんので、その後はこのような施設の新設ないしは更新につきましては、融資といいますか、地方団体でございますので起債といたしまして措置してまいっておるという状況でございます。年々必要に応じまして起債について努力してまいっておりまして、先ほどお話ございましたように、もちろん地域社会の変化に応じましていろいろ役割りは少しずつ変わってくるかとも思いますけれども、このような有線放送電話というものは広報、通話の双方の機能を有して、弾力的に運営ができるというような利点もございますので、地域社会の実態に適応して適切に運営されることが望ましいという見地から、今後ともこのような資金の充実につきましては努力してまいりたいと考えております。
  416. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま農林省の御答弁をいただきましたが、農林省にもこういうような陳情が参っておると思います。農林漁業金融公庫の融資金の金利の引き下げ、それから農業近代化資金の利子補給の拡大等を強く望む、こういう要請がございますが、この問題についてこれまた今後の方向の施策をひとつお伺いをいたしてみたい。  それから、自治省のなにでございますが、これも先ほどの御答弁でけっこうでございますけれども、低金利による資金のワクを拡充してもらわなくちゃならぬ、こういう要望が同時にあの代表者会議で議決をされまして陳情されておると思いますが、この問題をどう受けとめてどうお運びをいただくか、これを両省にお伺いをしたいと思います。
  417. 岡安誠

    ○岡安説明員 私どももいまお話しの陳情は承っております。ちょっと詳しく申し上げますと、近代化資金につきましては、先ほどちょっと申し上げましたとおり、現在七分の金利をもって融資をいたしております。それから農林漁業金融公庫の資金につきましては、一般では七分五厘、それから災害の場合には六分五厘ということでもって融資をいたしておりますが、これの利率の引き下げにつきまして、せっかく御要望がございますけれども、率直に申し上げまして、いろいろ他の融資の体系等一般的な金利の体系がございまして、これにつきまして特に引き下げるということはなかなか困難ではなかろうかということを率直に申し上げざるを得ないというふうに考えております。
  418. 栗山礼行

    ○栗山委員 そこで、いま足りませんが、それはよくわかっておるのでありますが、したがって利子補給等を求めたいということを附帯で望んでおるという文書もごらんになったと思うのでありますが、農林漁業金融公庫の利息の問題等につきましてはお説のとおりだと思います。したがって、何らかの助成策として利子補給をひとつやってもらいたい、こういう御要望であったかと、私も陳情を受けた一人でございますから、その問題の御答弁をいただきたいということです。
  419. 岡安誠

    ○岡安説明員 陳情の趣旨はそのようなことでございます。現在、近代化資金の七分と申しますのは、一般的に単位協同組合におきます金利が九分のところを利子補給をいたしまして七分に下げておるというのが現状でございますし、公庫資金につきましては、政府資金等の低利資金を公庫に貸しまして、それでほかよりも安い七分五厘というような金利で貸しておるということでございます。ということは、これをさらに引き下げることができるかということでございますので、もちろん、下げるためにはいろいろ利子補給その他の措置を講ぜざるを得ないと思いますけれども、そのほかに、先ほど申し上げましたとおり、一般的な金利体系等の問題がございます。従来からもその御要望は承っておるのでございますけれども、なかなか困難な問題があるということをこの際お答えを申し上げざるを得ないということでございます。
  420. 栗山礼行

    ○栗山委員 御承知のとおり、日本の金融政策も、公定歩合を三たびにわたって下げてまいらなくちゃならぬ、これは本質的に違いますけれども、やはり農村振興の一環としてとらえてまいらなくちゃならぬという問題点が新たにいまの金融関係に生じておるということもひとつ御勘案をいただいて、さらに善処を求めるということの要望だけを申し上げておきます。たいへんどうも、いろいろありがとうございました。もう自治省のほうも、それでけっこうでございます。(発言する者あり)まだまだ、十一時五十九分までございますから、ひとつ御了承いただきたいと思います。これからです。  公社にお尋ねいたします。公社の当初の広域時分制の問題、それから料金制度の問題につきましては、私の承知をする限りにおいて、きょう稻葉参考人の御意見がございました。諸般の状況を考慮いたしまして、時分制は私は賛成だ、ただし、その運用の中身に問題がある、こういうことを参考人から御意見を賜わりました。したがって、広域時分制の問題については、私は反対するものではございません。ただし、料金問題について、当初の案とちょっと変わってきておると思うのです。それは市内通話というものは十円案をお出しになった。したがって、収支とんとんということと見合って市外通話料というものを下げなければならない、こういう発想でお運びをいただいた。これも過般、私、質問をいたしました。大体市内通話というものについては、一つのビジネスだというとらえ方で、一つの料金制度の設定を行なっておるように私は理解する。いま、都市構造の地域構造が大きな変化をいたしてまいった、そういうことでひとつ広域制の方策をとっていただかなくちゃならぬ。いまのような状態では――私の選挙区でもあるのであります。道一つ隔てたところで、これは実は市外通話なんでありますが、そういうところがたくさんあるのです。私の選挙区は大阪の四区なんでありますが、五区の選挙のポスターが右に張ってあって、四区の選挙のポスターが左に張ってある。片や西村委員長でございます。片や栗山礼行でございます。そういうふうな一つの地域構造でございます。したがって、地域構造の広域化という広域行政を進めておる形において、これは変えてまいらなくちゃならないのじゃないか、こういう事柄で私は質問を展開いたしました。この限りにおいては私も賛成なんであります。  しかし、市外通話料というものについての料金決定基準といいますかあるいはその発想というものは、市内とは異にいたしておりました。私の理解するところによりますと、市外通話というものはぜいたくだ、こういうことで非常に高い料金をきめられたということでございましょう。したがって、それはもう前近代的だ。こういうふうな国際化、そして日本といえどもこれだけいろいろ文化が発達して近距離的要素に進んでおるときに、そういう市外通話というものは別な発想で料金制度を定めてまいるというように考えを新たにしてもらわなくちゃならぬ。こういうことについて、大体そういう一つの発想は理解ができる、したがって検討を深めてまいらなくちゃならぬ、こういうような御答弁をいただいたと思うのです。したがって、私はそういう期待をいたしておったわけでありますけれども、広域時分制だけをとりまして、そして市外通話料というものについては、前近代的な料金というような内容を持っておる、こういうふうに私は理解をいたしておるのでありますが、この点について、なぜ、時代に対応する料金制度というものの、これも適正料金の設定ができなかったのか、こういう疑問を深く抱くわけでありまして、この点について、これは総裁と私は一本勝負で質問をいたしたと記憶をいたしておりまして、総裁からこれは御答弁をいただきたい。
  421. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  料金制度をきめる場合に、原価というのは一つの要素になるわけでありますが、これは技術の発展によりまして、だんだん原価の中身、建設の中身が変わってまいります。現在の状態を考えますと、市内のほうはむしろ原価的に見まして結局赤字で、市外でもうけている、こういう形になっておりますが、だんだんしかし原価に近づけていきたいというのがわれわれの前々からの考えでありまして、したがってこの際、広域時分制をとるということと同時にまた市内を十円に上げる、そのかわり公社赤字にするわけにまいりませんから、結局プラスマイナス・ゼロの範囲で調整するということで、市外の中距離、遠距離を下げようということを考えておったわけでありますが、しかし、この十円にする問題は、物価政策その他の問題もありまして、政府の御方針に公社も賛成いたしまして、今回はこれは先の問題として処理するということになって、現在は法案でお願いしておりますようなことでやりたいと思っております。しかし、問題点としては、確かに遠距離はできれば下げたほうが原価的にいいのではないかと私は思っておりますが、いまの時点でちょっとこれはやるわけにいかない、こういうように考えております。
  422. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体の考え方の基調としては私はけっこうだと思うのですが、要はものの実行の問題であります。そしていま、財政規模というものの上に立って、そして改むべきものを改められないというところに問題点があるのではないか。したがって、そういう現代的要素を含めた最も合理的な市外通話料金というものを、可及的すみやかに真摯に取り組んでもらわなくてはならないのでないか、こういうことが問題点であろうかと思うのです。この点を私強く望んでまいりたい。おそらくこれ以上について、いかがでしょうかという答弁を求めましても、これは総裁もお困りになるから、なにいたしませんけれども、確かに市外通話でもうけて市内で赤字を出しておる、それから大都市で黒字であって中小都市において赤字である、こういう資料等も拝見をいたしましたが、これは、こういうような矛盾撞着をどう解決するかということについて、真剣な検討方向づけをいたしてまいらなくてはならぬと私は考えております。  それから、いま広域時分制の問題で料金が十円から七円に設定された、中野委員その他の委員からも御質問ございましたが、実はそうではないのですよ。時分制になりますと一番被害を受けるのは、御承知のとおり、七円からなりまして、そのワク内でとどまるということなら、それはその範囲でけっこうでございましょう。しかし実際は時間をこしまして、五分にしたらどうかという御意見もございました、あるいは一分刻みで料金の設定をしたらどうかという御質問もあったようでありますけれども、私はそういうふうな小刻みの具体論は避けてまいりたいと思いますけれども、実際は市内のものが七円で据え置かれた、こういうことで喜びを感ずるということよりも大きな負担増になってまいる。その集計は知りません。データがございませんから知りませんけれども、実感としては値上げなんですよ、実際は。こういうような中身も検討をされなくちゃならぬ。しかもその事柄は、総体的な財政の均衡をはかってまいらなくちゃならぬというようなところにどうも割り切れない矛盾と撞着が存する、こういうふうに私は理解をいたしておるのですが、この点は私の意見が間違っておりましょうかどうか。
  423. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  いまの市外料金等に対します御意見は、大体それでいいのじゃないかというふうに考えております。公社としましても、料金制度そのものにつきましてはなお十分今後とも検討いたしまして、だんだん理想的な状態に近づけていきたいというふうに考えております。
  424. 栗山礼行

    ○栗山委員 次の問題でありますが、七カ年計画で「当面、同一行政区域内における市内通話区域の統合拡大を推進する」ということが示されており、また質問についていろいろ御答弁をお伺いいたしました。そこで「当面」ということについていろいろ質疑があったようでございますが、「当面」とは現時点を「当面」というのか、あるいはもう少し距離を置いたかっこうで「当面」と称するのか、これはどういうふうな理解をいたしたら  いいのか。
  425. 浦川親直

    ○浦川説明員 七カ年計画に掲げてございます「当面、同一行政区域内における市内通話区域の統合拡大」こういう表現を用いておりますが、この「当面」と申しますのは、現在第四次五カ年計画が四十三年度から始まっておりますが、この五カ年間で逐次同一行政区域内における二つ以上の加入区域を持っておるものにつきまして、十二キロ以内のものについて合併をしてまいっております。それで広域時分制の実施によりましてこの問題は根本的に解決するわけでございますが、広域時分制はこの法律案にも掲げてございますように四十七年度後半より実施する、こういうことでございますので、それまでの間は従来の区域合併、市内通話区域の統合、これを推進してまいるという意味合いにおきまして「当面」ということばを使わせていただいたわけでございます。
  426. 栗山礼行

    ○栗山委員 これはぜい言でございますけれども、私は一般質問の中で申し上げたことがございます。前回の五カ年計画について大失敗であった。それは積算の基調、どこに資料を求められて五カ年計画をやられたのか知りませんけれども、大失敗であった。それがまた七カ年計画になった。五カ年計画の積滞電話の解消というときの総裁の唯一のスローガンは、申し込めばすぐつくというようなことを声高らかにスローガンを掲げられて、料金の問題やあるいはその他の問題等にお触れになりました。だけれども、これは失敗じゃなかったか。それが七カ年計画になっておるという経緯がございます。したがって私は、あやまちは再び繰り返すなかれ、こういう一つの解釈を持ちますので、「当面」とはどういう理解をいたしておるかというのが私の伺いたかった内容でございます。したがって私は、スローガンをおろしなさい、そうして別な角度からひとつ積滞解消の真摯な努力と適切なスローガンを掲げることが公社ではないか、うそっぱちの選挙スローガンみたいなことはやめなさいというようなことを申し上げたことが前回あるのです。これは記録に載っております。私は、そういうふうに、これ以上この問題について御答弁を求めませんけれども、「当面」の解釈もわかりましたが、ひとつ真摯な姿で七カ年計画でようやくこれを実現するという勇断とそれから責任を感じて実行していただかなくてはならぬ、こういうことを申し述べてこの問題は終わってまいりたい、かように考えております。  最後のデータ通信の問題でございますが、いろいろおしかりを受けるだろうというようなことで、私はもうオーソドックスに質問いたしておりますから、細部の問題除いておりますから、いましばらく時計をながめつつ御質問いたしておりますから、御了承いただきたいと思うのであります。  データ通信の今度の法案の内容というものについては、実際は、私は法律論者じゃございませんし、法律学者でもございませんからわからないのでありますが、何べん読んでもわからぬ、どうも私の頭が老化したのではないかと、こう思いつつ読み直してみてもわからぬ、こういうふうな感を深めるのであります。たとえばいろいろ御質問の中で御答弁を伺ったのでありますけれども、あるいはきょう参考人からもいろいろな意見がございました。そうして今度の法案の内容を見てまいりますと、大臣の認可行為が五つございます。省令にゆだねるものが六つございます。こういうふうに、大体行政優位の立場をこれは貫いておる。悪い方向に進んだものだということを実は憂慮しておる。井出大臣にしてもおかしいというような――きょうは少し公式に敬意を表しつつものを言わしてもらいますよと言ったのもそこなんでありまして、実は私の熱情を込めておった郵便法改正法律も、まさにそういう点に力点を置いてまいったと思うのでありますけれども、結局政治が行政に引きずられておる。そうして行政あって政治なしというような、それなりの理由づけはございましょうけれども、まさにそういう感がするのです。したがいまして、情報事業のあり方というものをどのようにとらえてこの法案の内容になったかということについて、ひとつ大臣から、私がよくわかりましたと言って頭を下げるまでの御説明、御答弁を一ぺんいただきたい。
  427. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは栗山さんにどうも御満足のいくような的確な答えになるかどうか、自信はないのでありますが、先ほど来行政万能であると、こういうことでございますが、私は、むしろ政治は行政を駆使する、ある程度は行政に委任をして、そうして大所高所からこれを御監督いただく、こういうことであってしかるべきであろうと思うのでありますが、さて、いまお示しのように、だいぶ数カ所大臣の認可事項というものがある。これが目ざわりだということでありましょうが、何にしましても、今度は新しい試みでございまして、御承知のように、一方にはもっと開放せい、こういう議論があると思えば、いや危険である、もっとしっかりだいておれ、こういう両方の議論がありまして、この間を適当に処理するという苦心の作であったかと思うのであります。したがいまして、当初スタートにおいては、あるいは少しく厳に過ぎるとおぼしめしかもしれませんが、これくらい慎重にはからっておったほうがいいではないか。これはこれからますます発展する分野でありますから、その向きによっては、時代の進運とともにこの問題は考えていってしかるべきであろう。当初はひとつ慎重でスタートしたい、こういう趣旨に出ておるかと思うのであります。
  428. 栗山礼行

    ○栗山委員 きょうの参考人の御意見を伺いましても、情報産業基本法の一つの基本的なものを制定すべきだというような御意見も存しました。しかし、弾力的運営を現時点ですべきだというような御意見もございました。私はもう、コンピューター通信回線というものがこうして民間開放されるという、この基本の方向については大きな一つの成果と、おそかりし一つの事態をひとつ急速に早めてまいるという方向の、基本の精神の存することを理解いたしておるのであります。ただ問題は、いま申し上げましたように、どうも国会の権威をそこなうような内容をもたらすのではないか。省令に属する、また大臣の認可行為に属するというものがあまりにも多過ぎる。そうすると、一つはやはり国会の権威というものと立法府のあり方をどう評価をすべきか、こういう一つの問題を、深く憂慮をするわけなんです。きょうの参考人の御意見もございましたが、試行錯誤的になりまして、確かにこれはどこで歯どめをするかということが、歯どめがないんじゃないか、こういうような、これは学者でございますけれども、御意見がございました。  私も同様な見解からいまの御趣旨をひとつお伺いしようと、こういうことなのでございますが、どうなんでしょうか、慎重、かつ弾力的推移の上に運営するということだけで、立法府のあり方をゆがめられて、そして省令及び大臣の認可行為というようなものが優先するということについては、私は、主客転倒だ、こういう極論かもしれませんけれども、感を深めるわけなのでございます。もしいまの大臣の御答弁がしかりといたしまするならば、その一面の一つの評価をいたすことにつきましては、私は、現時点でやぶさかでない、こういうことでございますが、しかし試行錯誤的にやられて、一体これの歯どめをどこにするんだ、こういう一つの問題について、確たる自信と内容があるのかどうか、こういうことが私の危惧の存するところでございます。この点について、重ねてひとつ御答弁をちょうだいいたしたい。
  429. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 国会におはかりをせないで、行政府が省令なり大臣認可でかってにする部分が多いと、こういうようなお受け取り方のようですが、私は、国会の権威のためには、むしろ些事にわたったこまかいことは行政におまかせをいただいて、そして大所高所からいろいろにらまえていらっしゃる姿のほうが、むしろ国会にふさわしいのではないかと、こういうふうにも実は考えるわけであります。しかし、栗山さん御懸念になりますような点、歯どめも必要である、こういうことも、私どもよくわきまえておるつもりでありますから、そういう点はひとつできるだけ留意をして、これに基づいてひとつスタートさしていただきまして、さっきも申し上げるように、これはまだ新しい、未知の世界に入るわけでありますから、もしそこで不都合な点あるいは差しさわりがある場合は、これはもう私のほうから御相談をして、こういう点は改めるにはやぶさかでありませんと、こういう機会もあろうかと、こういう弾力性を持って考えておるわけであります。
  430. 栗山礼行

    ○栗山委員 りっぱな答弁として承っておきます。私は意見がございますよ。しかし、いまそれは討論はいたしません。この問題はこれでとどめておきまして、あなたの人格に狂信的に私は尊敬をいたしておるわけでありますから、これ以上追及をいたしません。  いわゆる通信回線開放が実現いたしました場合、電信や電話の疎通等に支障を及ぼさないという歯どめがあるのかどうか、また、絶対支障は及ぼさないという確信がおありなのかどうかというこの問題もやはりとらえてまいらなくちゃならない問題だというように考えますことは、御承知のとおり、一昨日の新聞でございますか、二十三日の朝、川崎市で起こってまいりました、小田急の生田及び向ヶ丘遊園間で起きたパンタグラフの事故で同線が混乱をした。したがって、出勤時が非常に混乱いたしまして、少しおくれるというようなことで電話が二時間もとまったというような一つの事態が、こうなまなましく新聞で報道されておる。また外国でもこういうような事態が起きておるというようなことが新聞の報道に出ておるわけでございます。こういう点からいって、電話通信回線と、それからいわゆるこれの通信回線との混乱によってそういうことが起きないという歯どめ、あるいはまたそれの確信というものを持ったものがあるのかどうか。あれば、具体的にはこういう歯どめがあり、そういうようなことのないという確信のほどを一ぺんお伺いをいたしてまいりたい、かように考えます。
  431. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 このデータ通信という新しい仕事に公社が立ち臨むにあたりまして、本来の業務である電気通信の仕事が、たとえば端的に言えば電話の問題等がこのために阻害をされるということがあっては断じてならない。これは公社のほうから相談を受けました際の私の最初に申したことでございます。したがって、さっき公社の局長諸君からもお答えがありましたように、たとえば資金計画等からいたしましても、電話の加入者に迷惑のかかるという計画はしてないのだ、新たに資金の要するところは財投なりその他の方法によって資金調達をする、こういう、言うならば、データの分は公社の大きな会計の中で、別個な企業はつくらないけれども、それに準じたような別途の特別な会計のしかたをしたい、こういうふうに申しておるわけでありますから、私どももその趣旨にのっとってこれから監督をしてまいるつもりでございます。  それから、いまお示しの川崎市の問題等は、たいへん技術的な問題にもわたるようでございますから、公社のほうから答えていただくことにいたします。
  432. 栗山礼行

    ○栗山委員 総裁からひとつ確信のほどを――技術屋ではだめだ。あなたが主張されているのだから。
  433. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  前、この席でもお答えいたしましたが、データ通信をやることによって電話の本来の業務に影響を及ぼさないということは、これは絶対にその方向でやりたいと思います。たとえば具体的にどんなことをやるかといいますと、ある局でそういうデータ通信回線の要望があったときには、その局のトラフィックの状態とか、あるいはその回線の余裕の状態、あるいは積滞の状態とか、そういうものを総合的に見まして処理するということにいたします。したがって、データ通信のために通信回線が混乱するようなことは絶対に起こさないということにしたいと思います。
  434. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後に、もう一点だけ、これは大臣にお伺いをいたします。  きょう、稻葉参考人に私、端的にお尋ねをいたしてまいった問題は、電電公社はコモンキャリアに徹するべきだ、いわゆる線貸し業として徹すべきだという論者もずいぶんあると私は思います。したがって、この種の事業は民間にゆだねるべきだという議論も財界方面から相当あったやに承ります。また、別途の公社をつくるべきだ、こういうような意見等も聞くのであります。そういう問題について、稻葉先生、ぼくはあなたの経済学について六、七回聴講生として学んだ一人なんだが、あなたの参考意見を伺ってみるとどうも自民党ばりになって、私はあなたの弟子から破門されるか知らないけれども、やめちまうぞというようなことを言ってお尋ねを申し上げました。  この問題は、やはり将来の方向づけをする非常に重要な問題であろうかと思います。現時点ということではなくて、将来のですよ。やはり私は、政治とは一つの方向を示すことなり、こういうふうに政治の一面観をとらえておる一人でございまして、この問題について稻葉参考人は、私はとかく言うべきものではない、しかし、政府や国会がお定めになることでございますが、私個人としてはこれはもとより賛成でございます。こういうふうな供述が一つございました。これも御参考に供してまいって、大臣の所見を伺いたいということが一点でございます。  第二点は、これも基本法がなくて、試行錯誤的な方向で取り組んでまいるということはたいへんな危険を存するのではないか、こういうふうな参考人の御意見等もございました。稻葉先生はなかなか表現のうまい方でありますから、現時点における弾力的運用をもって何らかの基本的な方向を定めてまいらなくちゃならぬ、こういうふうなニュアンスで御答弁をされたのであります。私は、もし将来の方向を定める一役が政治の役目といたしますならば、情報産業基本法というような問題等も、やはり将来の問題として検討を新たにすべき重大な課題だ、こういう理解をいたしておるのであります。この場合に、こういう基本法は、いろいろな公害基本法の問題もございました。それから大臣が御答弁なされました農業基本法の問題等もございましたが、少なくとも超党派で、各党間の政審の問題でもございましょう。私は民社党の情報産業委員会会長をいたしておるわけで、せっかく勉強をいたさなくちゃならぬというように思っておるのでございますけれども、なかなか勉強はできないので困っておるわけでございますけれども、少なくともこういうふうな基本法の問題について、議員立法で、そして各党から出し合いますか、あるいは共通の場をもって出し合ってまいることが望ましい姿でなかろうかという私の見解を持つのでありますが、この点について大臣がどのような御見解をお持ちでいらっしゃるかということをお伺い申し上げて、そして御答弁をいただきまして、私の質問を終わることにいたします。
  435. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 御質問は二段に分かれておったかと思います。  最初の点、きょう私は残念ながら所用のために稻葉さんその他の参考人の御意見を伺うことを逸しました。よって、これはいずれ会議録等をよく検討をいたします。そこで、コモンキャリアに徹するのが公社の職分ではないかという議論も確かに従来あったと思いますけれども、私は、現段階において、電電公社があの巨大な機構を持っておるだけに、こういう問題における経験なりあるいは技術なり人材なりこれを擁しておるわけでありますから、むしろこれを活用して先進的な役割りを演じてもらうということが国家のために必要ではないか、こういう考え方でおりまするから、今回のような挙に出たわけでございます。稻葉さんの御意見、伺わなかったのでありますが、当初は財界サイドに立って開放論の先頭を切っていらっしゃったように思いますが、まあわれわれが折伏したわけではありませんけれども、現実的にかなり私どもに近寄ってまいったというふうに見ておるわけであります。  それから、後段にお触れになりました基本法の問題は、これはきょうは武部さんその他それぞれお答えを申し上げてまいったわけでございまして、このことは、その際申し上げましたように、事は非常に広範囲にわたりまして、各省各庁にも関連がありますから、そういう衆知を集めてせっかくその方向で準備はいたしておるつもりでございますが、さいわい栗山さん御提案のような超党派的な御見解というものがそれぞれ、これはもう情報産業を何もイデオロギーに即して云々というようなものじゃないと思います。これはどの党が先取りしていいというようなものでもないと思いますから、そういうふうなおまとまりができますれば、これは私どもむしろ歓迎するところでございます。これだけ申し上げて答弁にいたします。
  436. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへんどうもありがとうございました。
  437. 金子岩三

    金子委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  438. 金子岩三

    金子委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。内海英男君。
  439. 内海英男

    ○内海(英)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表するものであります。  御承知のとおり、電電公社昭和二十八年度以来四次にわたる長期計画を策定し、電信電話の拡充につとめてまいりましたが、最近における電話需要の急激な増大や電気通信サービスの高度化、多様化への要請等にかんがみ、本年度からは既定の第四次五カ年計画の一部を吸収拡大した新たな電信電話拡充七カ年計画を八兆五千億円の規模をもって実施することといたしております。  今回の公衆電気通信法改正案は、この長期計画のスタートと時期をあわせて制度の整備を行なおうとするものでありまして、電報電話の制度の改定のほか、問題のデータ通信制度の法定を内容とし、情報化時代に臨む電気通信事業の新路線を敷くものとして注目されるのであります。  法改正の第一点は、電報の料金等の改定でありますが、御承知のとおり、電報事業は、近年電話等の普及に伴い、電報役割りが大きく変わってきたことなどから事業の収支が著しく悪化し、かねてから体制刷新の必要に迫られていたのであります。今回の改正は、こうした事業の実情に即して電報の料金や利用制度を改定し、事業近代化の基礎条件を整備しようとするものでありまして、たとえその中に若干の料金値上げが含まれているといたしましても、電報事業の将来を開くためには必要最小限度の措置として大方の国民の納得を得られるものであろうと存じます。なお、その改正に伴い電報の特殊取り扱い等も全面的に再検討せられることとなると思われますが、これらの特殊取り扱い等の中には慶弔電報などのように国民生活に深くなじんだものも少くないのでありますから、その改廃については実情を見きわめながら慎重に進められたいと存ずるのであります。  改正の第二点は、電話設備料の改定でありますが、先日来の質疑でもたびたび言及されましたように、電話の需要は最近一段と増加の傾向を示し、電話申し込み積滞数も本年三月末には三百万になんなんとする状態で、積滞の解消は公社の最大の課題となっております。  今回の設備料の改定は、このような需要の増大に対応して電話の大幅増設を行なうため、その経費の一部を設備料の引き上げに求めようとするものでありまして、現在の資金事情下において電話需給の改善を促進するためには、この措置もやむを得ないところであり、むしろ、この資金の安定化を機に多年果たし得なかった積滞の完全解消を一日も早く実現することこそ最も肝要なことであろうと存ずるのであります。  改正の第三点は、通話料金体系の改定でありますが、この改定は最近における生活圏、経済圏の拡大と情報化社会の進展に即応して、自動の市内通話に時分制を導入するとともに最低通話料金の区域を広域化し、この広域時分制の実施による増収分を引き当てに近距離通話の料金調整をあわせ行なおうとするものでありまして、通話需要の動向に沿っているばかりでなく、料金体系としても合理性を加えることとなると考えられます。  改正の第四点は、この改正案の最大の焦点であるデータ通信に関する制度の法定であります。社会経済活動の高度化に伴い、データ通信に対する社会的要請は近来著しく増大してきておりますが、今回の改正は、データ通信に関して新たに章を起こし、民間企業等が電子計算機等を設置して電気通信回線利用する制度としてデータ通信回線使用契約の制度を設けるとともに、電電公社または国際電電会社が行なうデータ通信サービスについてもこれを法定することとしているのでありまして、これらの規定の新設によって、わが国コンピューター利用は一躍新段階に入り、本格的な発展の緒につくものと思われます。  なお、このデータ通信の規定に関しては、省令や大臣の認可にかかる事項が多過ぎるのではないかとの意見があります。発展途上にあるデータ通信に関する規定において、省令委任等が多くなることは避けられないことであるとしても、政府においてはその運用について独善のそしりを受けないよう十分の配慮が必要であろうと存じます。  以上、改定の各事項について見解を申し述べましたが、今回の改正案は、全体を通じてきわめて意欲的であり、中でもデータ通信に関する新章の設定は、公衆電気通信事業におけるデータ通信の地位を明確にするとともに、総合電気通信時代への指向を示唆するものとして画期的な意義を持つものであります。  わが党は、以上のような判断から、本改正案に賛成いたすものでありますが、最後に、この改正案政府並びに電電公社、国際電電会社の適切な施策に肉づけられて公衆電気通信事業の充実発展に役立つことを強く期待して、私の賛成討論を終わります。
  440. 金子岩三

    金子委員長 古川喜一君。
  441. 古川喜一

    古川(喜)委員 私は、日本社会党を代表して、公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し反対の意を表するものであります。  今回の公衆電気通信法改正案に対しては、本会議並びに本委員会において多数の委員を質疑に立て慎重審議を行なったのでありますが、この法案は基本的な考え方において承服し得ないところがあり、その内容も欠陥の多いものであるとの結論に達し、これに全面的に反対することといたしたのであります。  以下その理由を申し上げます。  情報処理の問題につきましては、第六十三国会において情報処理振興事業協会等に関する法律案に対する附帯決議として、情報化に関する基本法の制定等が要請され、政府も善処する旨約束してきたのでありますが、この約束が果たされないままコンピューター利用の主流をなすデータ通信制度をきめようとするのはまことに遺憾であります。新たに設けられるデータ通信回線使用契約は、いわゆる通信回線開放を行なおうとするものでありますが、現在申し込んでもつかない電話が約三百万に達しているにもかかわらず、大企業等のためにこうした優先的な措置をとることははなはだしく問題であります。私どもはデータ通信の普及を否定するものではありませんが、現在はまずこの三百万の人々に一日も早く電話をつけることが何よりも先決問題であることを指摘いたしたいのであります。  しかも、データ通信のための公衆通信回線利用関連して、市内通話の時分制が採用されようとしているのでありまして、これから来る料金負担増大も大企業のために国民を犠牲にするものであります。  このほか、データ通信に関してはプライバシーの問題や労務上の問題あるいは情報化のもたらす人間疎外の問題など、これらの解答を見出せないまま進めることはきわめて危険というほかなく、わが党はこの改正には賛成することができません。  次は、電報制度の改定についてであります。今回の改正は、電報の料金を大幅に引き上げるとともに、その利用制度を全面的に改めようとするものでありまして、市内電報や翌日配達電報が廃止されるほか、法改正をまって国民に最も利用されている慶弔電報も廃止することになっているなど、相当思い切った整理が行なわれることになっておりますが、こうした合理化措置の強行は国民の利便に影響するばかりでなく、従業員にも不安を与え、電報事業の将来を一そう暗くするものでありまして、わが党の反対するところであります。  次は、設備料の値上げについてであります。設備料は御承知のように、わずか三カ年の間に一万円から五万円という他に例を見ない値上げが行なわれることになったのであります。公社の資産である電話設備の費用を利用者負担にかけることは本来適当でないのに料額を連続的に引き上げ、当然のことのようにしているのははなはだしく不当であります。公社の都合により、設備料一万円ないし三万円のときの申し込み者に長期に待たせた上、さらに設備料の引き上げを押しつけるなどは、独占事業の一番悪い面が出ているといわざるを得ません。電話申し込みの積滞解消を最大の課題と考えるのであれば、公社は、その責任において資金の調達をはかるべきであり、政府もまた資金調達の便を与えるべきでありまして、安易な国民への転嫁は絶対に避くべきであります。  最後に、通話料金体系合理化についてでありますが、本案による電話通話区域の広域化は、一応国民の要望にこたえているかに見えますが、これと同時に導入される市内通話の時分制は、前述のように、データ通信関連するばかりでなく、従来時間制限のない度数制になれた一般利用者に思わぬ負担をもたらすものであり、たとえ時分制採用による増収分はすべて近距離通話に振り当てられるといっても、その利益は必ずしも全利用者に均てんするわけでなく、結果的には値上げになるものと見られます。  かようにして、今次改定は利用者に多額の負担をかけるものでありまして、物価問題の深刻なおりから、かかる改正は避くべきでありまして、制度的な不合理とあわせて、わが党はこれに強く反対をするものであります。  以上をもって反対討論を終わります。
  442. 金子岩三

    金子委員長 樋上新一君。
  443. 樋上新一

    ○樋上委員 この法案は非常に問題の多い、しかも重要な法案であり、当委員会においても現在まで慎重審議をしてまいりましたので、私は公明党を代表しまして、公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し、問題点をあげ、次の理由により反対の討論を行ないます。  改正の第一は、日本電信電話公社の電信電話拡充七カ年計画遂行に必要かつ不可欠な財源の裏付けとなる電報電話料金及び設備料金の大改悪であり、第二には、情報化社会の名のもとに、電気通信回線開放という内容を異にする法案であります。  いまやわが国の物価問題は、郵便料金をはじめとして、米価、タクシー料金の引き上げ等、公共料金の引き上げが大きく注目されているのであります。これら公共料金の上昇は、諸物価に対して与える影響が大きいので、きわめて慎重に検討しなければならないと思うのであります。  この計画の実施に対して、まず設備料金については、昭和四十三年五月に一万円から三万円に引き上げられ、今回は三万円を約七〇%引き上げて五万円にしようとしているのであります。これは、わずか三年の間に設備料金が五倍にもはね上げられるという驚くべき現象となり、また五年も前から申し込んでいた人に対して何の考慮も払われず、われわれは断じて許せないのであります。  次に、広域時分制についてであります。現行の市内通話の度数制を一挙に三分刻みの時分制に改めることは実質料金値上げであり、たいへんな改悪である。今回わが党は、電信電話利用実態調査を行なった。こうした実質値上げに対して、電信電話利用状況の実態を調査し、利用者にどのような影響を与えるか、また国民の納得のいく総合的な電信電話事業の運営がなされるよう、具体的な資料を得ることを目的としている。そのため住宅用電話を取り上げ、まず市内通話と市外通話の利用状況、次に市内通話で一回に通話される平均時分、そして広域時分制に対する賛否とその理由などをおもな調査項目としている。  この調査の結果明らかになったことは、住宅用電話で一カ月の市内通話と市外通話の利用状況はどうか、回数を記入してくださいとの問に対して、市内通話二百回以下が全体の四八・七%、市外通話十回以下が全体の四七・三%との回答があった。次に、住宅用電話については、大多数の方が市内通話が主であることが明らかになった。さらに市内通話の平均通話時分は、三分以内が二六・七%、三分から五分が五二・四%との回答があり、政府側が三分間の時分制を主張する根拠となっていた一回の平均通話時分百十一秒以内が八三%という数字と大きく相違することが明らかになった。  なお、住宅用電話の申し込みから架設までの期間についても、一年から二年が全体の二一・一%もあり、電話積滞への国民の苦情、こうした事実を無視して一方的に設備料金値上げを行なおうとする政府の姿勢に対し、断固反対せざるを得ない。  さらに時分制が実施されると、局の加入数が増大するために、現行法できめられている加入数の大小及び級局の変化によって基本料金が値上げになるのであります。すなわち、局数で七百六十四局、加入数で二百七十二万加入、このように電話加入者には、時分制による実質値上げと、基本料金の値上げによって、二重の負担の増額となり、たいへん迷惑をこうむる結果となるのであります。  また、附則の試験実施についてであります。広域時分制の試験実施が、郵政大臣の認可を受けて、どこでも自由かってに指定できる。しかも、試験といいながら料金は新料金である。これでは加入者はいつ新料金を取られるか知らされないし、どこから実施されるかもわからない。これは公衆法第一条違反であると認めざるを得ないので、審議中の答弁のごとく、加入者に絶対損害を与えないように、厳重に申し入れるものであります。  次に、データ通信回線開放については、料金の改正とは異なる条項であり、一部改正に便乗することは軽率であり、はなはだ重大な問題であります。具体的には、データ通信の建設資金は、電話利用者の料金値上げの負担によるのではなく、それを政府出資において行なうべきである。また条項には、郵政省令で定める基準とか、公社または会社が郵政大臣の認可を受けて定める基準等、基準が多く、不明確な点が多い。データ通信の料金については、データ通信回線使用契約に関する料金についてはすべて許可料金となっているが、これは法律で定めるべきである。また、データ通信の健全な発展のため、民主的な行政委員会をぜひつくるべきであることを付言しておきます。  以上、数点の理由をあげて、公明党を代表しての反対討論といたします。
  444. 金子岩三

    金子委員長 次に、栗山礼行君。
  445. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し、民社党を代表いたしまして、反対の意を表するものであります。  以下、電報関係から、順次反対の理由を明らかにいたしたいと存じます。  政府は、今回の電報料の改定理由としまして、電報役割りの変化と、電報事業の収支の悪化をあげていますが、電報収入の減収分は、ほとんど電話収入に流れていること、つまり言いかえますと、電報収入の減収分は公社の外へは流れていないということを無視することはできません。電報料が昭和二十八年以来ほとんど据え置かれている事実、収支率悪化の状況は一応理解できるのでありますが、電報事業電話事業は不可分であり、収支の面においても、強い相関関係があるという事実を見のがしてはなりません。  このような事情を考えますとき、政府のいうような改正理由は、皮相な見方によるものに過ぎないといわざるを得ません。また、制度の改定においても、国民大衆になじまれ、利用増大をきたしつつある慶弔電報等を、法改正の裏に隠れて廃止せんとするがごときは、改悪もはなはだしいと断ぜざるを得ないのであります。  反対の第二点は、設備料の改定について、政府考え方が安易に過ぎるという点であります。御承知のごとく、設備料は四十三年に単独電話一加入につき一万円から三万円に引き上げられたばかりであります。国民生活に直接関係を有する公共料金を、わずか三年の間に五倍にも引き上げるというようなことが許されてよいものでありましょうか。政府は、設備料は一種の負担金に類するものであるから、公共料金抑制のワク外にすることとしているようでありますが、これは設備料の法的性格を歪曲するものであり、国民感情を無視するもはなはだしいといわざるを得ないのであります。  そもそも電話設備は、公社の資産となる性質のものであります。公社の資産となる電話設備を増設するための財源の一部とするために、設備料の引き上げによってこれをまかなうことは、決して妥当な方法とは言えますまい。それこそ、公社みずからが捻出すべき性質のものではないのでしょうか。  第三点は、新しい通話制度の矛盾についてであります。今回の改定は、従来の市内通話区域を広げ、そのかわり、七円で通話できる時分を、三分に制限するものでありますが、東京、大阪のごとき大都市は、区域内通話のできる地域は従来とほとんど異なりませんので、利便を受けるどころか、三分ごとに七円となるので、電話料金負担増大は、まことに大きいものがあろうかと思います。  電話収入は、大都市において黒字、小都市以下においては赤字といわれておりますが、今回の改定は、最も収入の大きい大都市の加入者にさらに負担増大をもたらすものであり、このような改定は約得することができません。  しかも、今回の広域時分制は、今回、法定しようとするデータ通信制度との関連において採用されんとするものであることを見のがすことはできません。つまり、一部の限られた者が利用するデータ通信のために、他の大部分の国民の通話を三分制にすることは断じて許すわけにはまいらないということであります。  最後に、情報処理問題に対する政府の基本的方針の欠如という点であります。現在は、情報化社会といわれ、いわゆる情報産業時代の脚光を浴び、データ通信の需要の増大を来たしつつあることは御承知のとおりであります。しかしながら、今回のデータ通信制度の法定は、情報処理問題のあり方に対する政府の基本方針が確立されないまま、部分的な制度化をはからんとするものであり、本末転倒のそしりを免れないものと思われます。これこそ、わが国情報化の問題について、試行錯誤的に進展をはからんとするものであり、将来取り返しのつかない事態を招来するとも限らないものであることを思い、憂慮にたえません。  なお、データ通信関係の規定は、省令への委任と、郵政大臣の認可事項がはなはだ多く、法案は、言わば単なる骨組みにしか過ぎない形となっております。  このような法案の内容を、どうして理解することができましょうか。われわれは、法案の内容を郵政大臣に白紙委任するようなことは断じてできないのであります。  以上、私は、法案の内容の順序に従って反対理由を明らかにいたしたわけでありますが、これによって、本案の中におけるさまざまな問題点も明らかになったものと思います。  要するところ、電信電話料金の改定は、国民生活に直接関係を及ぼし、かつ、物価問題に影響するところがまことに甚大であるにもかかわらず、あえて、これを引き上げようとする政府に、はたして、公共料金抑制の意欲があるかどうか疑わざるを得ないばかりでなく、情報化社会に対応する基本方針すら持ち合わせていないうちに、白紙委任的な内容を持つデータ通信の法定化についての法案を提出したことは、きわめて不当であるといわざるを得ないと言うことを申し添えまして、あえて建設的意見を強く申し添え、私の反対討論を終わります。
  446. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  447. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま議題となっている公衆電気通信法の一部改正案日本共産党を代表して私は反対し、その撤回を要求します。  その主要な理由は、次のとおりであります。  一、本改正案は、電話について、従来の度数制の料金制度を一挙に広域時分制による三分間七円とし、大幅の値上がりとなり、また電話架設料を三万円から五万円に引き上げるものであります。他方、電信については、赤字を理由に二十五字百五十円とし、逐次字数を増すごとに大幅の料金を徴収するものであります。  このような公共料金の値上げは、一般物価の値上げを必然的に誘致し、国民経済生活を圧迫し、苦しめるもので、断じて容認することはできないのであります。佐藤政府は、国民の物価安定を心から願っているまっ最中に、過日、特例中の特例として、郵便財源難を理由に、郵便法の一部改正に名をかりて郵便料金の三五%以上の大幅値上げ案を、わが党の反対にもかかわらずあえて強行いたしました。その結果、三月十七日より小包料金の八〇%の値上げを行ない、また最近、新聞代百五十円の大幅値上げ、タクシー料金、ガソリン代、牛乳代など一斉に値上がり、物価の値上がりはいよいよ国民生活を圧迫し、何人も物価上昇の苦衷を訴えない者はないという状況の中で、今回の公共料金の値上げは断じて許さるべきものではありません。  本案の電話電報の料金値上げは、佐藤政府の新全国総合開発計画と新社会経済発展計画による大資本に奉仕をし、国民の公害、交通災害、物価高などの悪政をエスカレートするものであります。日米両国首脳の一昨年十一月の日米共同声明の本旨に基づく日本の軍事力強化、日本の軍国主義化の危険な道に突き進むてことして行なわれるものであるがゆえに、絶対に認めることはできません。  そのことは、公衆電気通信法第五十五条の九以降に新しくデータ通信関係公衆電気通信法に挿入したことであります。現在の本法体系の第一条、第二条二号の範囲を越える関係が生ずると思うのであります。ましてや申し入れ積滞三百万個という目前の重大問題を解決することなくこのようなことは断じて許すことはできません。  今日、情報化時代とか情報産業時代とか称してコンピューター、電子計算機の異常な発展と普及化に判って、大製鉄工場、大石油工場、巨大電力会社、大銀行、大証券会社など、生産過程から管理、販売、在庫、運輸に至る工程がコンピューターによる管理支配が可能となっております。これをオンラインに結びつけ、生産、金融、輸送、販売に至る全過程を科学的に合理的に大資本の支配と管理を掌握する道具に公衆電気通信回線利用して巨大な利潤をねらうものであります。また、アメリカ帝国主義の他国支配と侵略のバッチシステムの一部分とも深く関連をして、これが利用されることは明瞭であります。そのゆえに電電公社は従来の第四次計画を変更して、電電の七カ年計画を昨年秋策定をし、千九百七十万台の電話架設をする。そして同軸ケーブルの網の目を全国に張りめぐらし、情報化時代の要請にこたえるというものであります。  今日までの沖繩県においては、二十六ドルすなわち一万円足らずで電話が一台架設するのに、日本のように高度に生産力が発展し、佐藤政府の言う経済大国でありながら二十万円近い金がなければ電話一台をつけることができないというこの現実を見れば、いかに大衆収奪が過酷であるか、あらためて国民に示しているものであります。同時にデータ通信制度のためその素地をつくるものでありまして、この危険な計画は通信メーカー、コンピューターとその関係メーカーの有効需要を拡大し、真に大資本に奉仕をするの実体を如実に示しております。国民経済生活を豊かにすることがきわめて重要であるときにこれを遂行することは、全く賛成ができません。  第三、電報電話関係の労働者に及ぼす合理化と配置転換、首切りなどが行なわれます。特に電話電報と研究機関の労働者の低賃金政策は、現在の高物価とたび重なる物価引き上げ政策のもとでは、今年の春闘において一万五千円前後の賃上げ要求は最も当然のことであります。十年から十五年勤続の労働者が手取り六万円前後の収入である。しかも妻や子供を養い、高い家賃を支払って生活することは、全く苦痛と苦難であるといわなければなりません。私は、電電公社の、下積みで働く圧倒的多数の壮年、青年の労働者が、ストライキ権を奪われて、あらゆる締めつけの中で、低賃金とアメリカ式労務管理に耐えていることに心からなる憎しみを感ずるものであります。スト権の奪還と大幅賃上げ要求をいたしまして、本法案の反対の理由といたします。
  448. 金子岩三

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  449. 金子岩三

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  450. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  451. 金子岩三

    金子委員長 この際、井出郵政大臣及び米澤日本電信電話公社総裁から発言を求められておりますので、これを許します。井出郵政大臣。
  452. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 このたびはたいへん御熱心な御審議をいただきまして、ただいま公衆電気通信法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。特に本日は深夜に及ぶまで御熱心な御審議をちょうだいしましたこと、まことに感銘深いものを覚えるわけであります。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論されました点は、ことごとく私どもの深い教えとして拝聴いたしました。これらの点を今後の電気通信事業の上に具現いたしまして、委員会の御審議におこたえ申し上げたいと存じます。まことにありがとうございました。
  453. 金子岩三

    金子委員長 米澤電信電話社総裁
  454. 米澤滋

    ○米澤説明員 公衆電気通信法の一部改正法案につきましては、ただいま御可決いただきましてまことにありがとうございました。  本委員会と通じて多くの貴重な御意見を賜わりましたが、私ども、今後事業運営にあたりましては、十分その意を反映させていきたいと存じます。  今後ともよろしく御指導いただきますよう、お願い申し上げます。
  455. 金子岩三

    金子委員長 次回は、明二十七日午後零時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後十一時四分散会