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1971-04-13 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十三日(火曜日)     午後四時五十分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       加藤 六月君    木村 武雄君       佐藤 守良君    坪川 信三君       羽田  孜君    長谷川四郎君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    森山 欽司君       阿部未喜男君    大出  俊君       武部  文君    中野  明君       土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   八百板 正君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     八百板 正君     ————————————— 三月二十六日  日本放送協会昭和四十四年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 四月二日  電話加入権売買業者公認制度創設に関する請  願(福田篤泰紹介)(第三四五一号) 同月九日  郵便物及び電報の配達制度等改善に関する請願  (池田清志紹介)(第四一〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五九号)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを順次許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 大臣に少し承りたいと思うのです。だいぶ情報化社会というのですけれども、最近情報が多過ぎまして、データ通信その他をめぐりましていささかどうも情報過多公害ぎみになっておるのですね。私も全くのしろうとなんですけれども、少し調べてみましたが、あまりどうもはっきりしないものですから、いろいろな意見が百家争鳴の感がありまして、少しその意味大臣に承って、大臣というコンピューターにインプットしてみて、ひとつ整理をさしていただきたいと思うのです。  そこで、基本的な問題を幾つか最初承りたいと思うのですけれども、今回のこの改正法律案によりますと、データ通信サービスの種類を二つに分けられましたですね。一つデータ通信回線使用契約二つデータ通信設備使用契約、こう分けられておりますね。そこで、この回線使用契約、これは電電公社一つ制限がついているわけですね。ここが聞きたいところなんですけれども、基本的には規制である。つまり、例外自由化開放化、こういう感じがまだなおするのですね。それにしましても、そういう形での、つまり制限つき民間に貸す、こういうわけですね。そしてこの通信設備使用契約は、回線もそれからまた電子計算機もすべて公社が設置して民間に使わせる、こういう仕組みになっていますね。つまり、その意味では、第二の問題は、データ通信サービスを提供するということになると思うのです。したがって、公社は基本的にいわゆるコモンキャリアといわれます意味での線貸し業、これがとの程度——つまり、線貸し業だけではないということにもなると思うのですが、線貸し業中心にやろうというのか、あるいは電信電話データ通信とを並列にして電電公社本来のサービス両方やるのだという、そういうことにするおつもりなのか、コモンキャリアであって、つまり線貸し業であって、そしてまたデータ通信事業者でもあるということになりますと、二重の人格をこれは持つことになりますが、そこらのところを一体公社にどういうふうにこの法律によってさせようとお考えなのか、基本的な問題でございますから、承っておきたいと思います。
  4. 井出一太郎

    井出国務大臣 この法律案を作成いたすまでには昨年来いろいろな経緯がございました。およそ二つ考え方がありまして、一方においては大いに開放せよ、こういう立場があると同時に、やはり電電公社の従来の立場というものを守って、まあむしろ主としてこれはもう電電公社にやらしたらどうだ、こういう意見とあったと思うのであります。いろいろ苦心を払いました結果、それを両方の御要求にこたえなければならぬというような次第でありまして、それにしても電電公社日本においては大きな組織でもありますし、技術あるいは人材、そういうものを擁しておりますから、当面やはりパイオニアの役もしてもらわなければなるまい、こういうことでございますから、当面はその両方の御要求を満たすというたてまえのもとに、公社公社で先進的な役割りを一方において演じながら、あわせて民間の御要求にもこたえてまいろう、こういうふうなところで苦心が払われた、かようにひとつ御了承願います。
  5. 大出俊

    大出委員 もう一つ基本的な性格を聞いておきたいのですが、公社が前に出しておられますものの中に、データ通信の八原則というのがありますね。御存じですか。
  6. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  八原則と、まあきわめて名前が大きな名前になっておりますが、実は、私が通信局長会議のときに、公社の中でもデータ通信につきましていろいろ過去において議論をいたしましたし、それからまたマスコミその他でもいろいろこのデータ通信に関しまして各方面で議論がございまして、その議論の中にも、電電公社データ通信は全部やれという議論もありますれば、またただいま御質問にも出ましたように、公社線貸しだけをやったらどうだ、いろいろな議論が非常に幅広くありまして、それがこういう今回提出された形でまとまったわけでございますが、それに対しまして、私が公社の中でこういうことを大体中心方針としてやる必要があるのじゃないかということを言ったのが八項目ございます。  おもなことを申し上げますと、たとえば独立採算でやるとか、あるいはデータバンク公社はやらないとか、あるいはまた公社としては全国的なネットワークあるいは公共性の特に強いデータ通信をやる、あるいはDIPSの開発を進める、あるいはコンピューターに対していろいろそれを使う人の養成をやるとか、そういういろいろなことを言ったのでありまして、原則といいますと、きわめてことばが大きいのでありますが、当面の方針というふうにお考え願いたいと思います。
  7. 大出俊

    大出委員 中曽根さんじゃございませんけれども、かつて五原則というのがありましてね、だんだん変わってしまって、何が原則かさっぱりわからぬことになった先例も国会にありまして、そこら辺が心配なんでこういう質問をいたしたのでありますが、総裁いま御答弁いただきましたように、公社データバンク——データバンクというのは、私、実は、「データバンク入門」なんという本しか読んでいないのですけれども、これを読みましても非常に営利的な色彩が濃いわけですね。だから、そういうものはなるべくやらない、当時もこういう話であったのですね。なるべくやらない。ここで承っておきたいのは、つまり、データバンクのような営利的な色彩の濃いものはなるべくやらないという点について、やらないのかどうかという点ですね。これは基本的なものにからみますので……。  それからまた、全国的なネットワークを必要とするものあるいは公共的なもの、こういうふうなものを重点的に試行していこう、こういう考え方だと実は御説明一つこの中にあるのでありますけれども、この辺のところを、つまり公社がこれから進めんとするこのデータ通信が始まっておりますが、一般開放される、こういうことになった場合に、公社自体は何を一体重点にこれから進んでいこうとするのかという路線がはっきりしない。そういう意味で前もってちょっと承りたいわけなんでありますが、この辺はいかがでありますか。
  8. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  データバンクということば自体に、かなり使う人によりまして私は幅があると思うのでありますが、私、公社の中で整理しております考え方は、大きくいいますと、コンピューターオンラインで接続いたしましてデータ通信をやる場合に、二つの分け方がある。一つはいわゆるプロセシングといいますか、データ処理をするという問題、それからもう一つ情報検索をする、いわゆるリトリーバルといいますか、あるデータの集約されたバンクがありまして、それをオンラインによって検索をするという、その二つの使い方があります。その際におきまして、情報検索の場合に、その検索する中身といいますか、その対象となるものがデータバンクである、こういうふうに理解しておる次第であります。いわゆる銀行業務バンキングということばがございますが、このバンキングということばデータバンクとは全く違うのでありまして、先ほど申し上げましたように情報検索をするその中身になる要素というものをデータバンクというふうに考えておるのでありまして、そういうデータバンク公社はやらない、こういうことを言っている次第であります。  それからもう一つは、公社といたしましてこれまで、たとえば地方銀行協会為替交換業務であるとか、これは今回の予算で地方銀行以外に全銀協の為替交換も入るようになっておりますが、そういう一つの例をあげますと、全国的なネットワークを使って為替交換をやるというような問題、あるいは先般万博が開かれましたが、万博管理運営等データ通信をやったような、そういう公共的なものと、あるいはまたいろいろ新しく開発的な要素の先導的なデータ通信をやる。一言にいえば、全国的なネットワークであり、あるいはまたそれが公共性が非常に強いものだ、あるいは開発的なもの、こういうものに重点を置いてやる、こういうふうに考えておる次第でありまして、いま進めておりますものは、大体それに該当しているというふうに思いますが、データ通信といたしましてこれからいろいろ新しいものが出てくるような状態でありますので、大体基本的にはそんなふうに考えていきたい、こんなふうに思っております。
  9. 大出俊

    大出委員 いま基本的な問題二つを承ってみたのですが、これをいまここで一つずつ整理しておきたいのであります。  一つは、前の大臣お答えになった点なんでありますけれども、いろんな意見があった。公社開放に反対という意味でのものをお言いになった時期もあったわけでありますから、そこで私ちょっとここで承っておきたいのは、これは少し古いのですが、庄司さんがデータ通信本部長をおやりになっていた時代に、この回線自由化論争が非常に激しく行なわれた時期があったわけでありますが、このときに、幾つかここでものを言っている。つまり回線自由化には賛成ができないという趣旨の主張なんですね、庄司さんが言っているのは。これは永久にそうかというと、そこまで言ってない。言ってないのだけれども、ここで言っている主張というのは、いまのオンラインという形を考えても、そう簡単にどこかの民間のある企業がやりたいといってもうまくいかないのじゃないかと言う。ここで言っているのは、オンラインとそれからオフラインとこう分けて考えた場合に、旧来から一つバックグラウンドがあって、長い間そのうしろで苦労してきた時代があった、たとえばアメリカの例をとれば。そこで、たとえばここらの文献にもありますけれども、リモートバッチといわれる処理方式一つあったり、リアルタイム処理方式があったり、タイムシェアリングに変わってきたりという経過の中で、つまり相当苦心をして研究をして、それなり資本投入もして積み上げてきて、したがって、公社も三十五年ころからデータ通信研究を始めてきた。だから民間にいきなりいわれてみても、あぶなくてだめじゃないか、離せるものじゃないという非常に技術的な面が強調されている、ここに言っているのは。  それともう一つは、いずれその中心コンピューターですね。コンピューター国産という面における立ちおくれというものは五年か十年ある。だから、いまここで何がしかそういうことを手がけようとした場合に、結局どこかの国のようにIBMを使うとかいうことに結果的になってしまう。だからそういう意味で、どうもいまここで簡単に自由化開放という形に賛同できない。基本的な問題なんだ。たくさん言っておられますが、中心点一つを取り上げるとそういう言い方になっているのです。このことは、ここのところ一年半かそこらの間に、そんなに十年も立ちおくれが変わるわけじゃない。にもかかわらず、ここで、さて開放するのだという形になるのだとすれば、公社がいままで持っていた原点というものはどうして変ったのだということになる。この非常に大きな危惧を持っておられる。このことは、条件としてはいまでも同じだと思うのですね。そこらのところがどうもすっきりしませんので、きょうは一時間くらいといういまお話もあったので、あまり長い質問をしたくないのでありますけれども、とりあえずそこのところは聞かしておいていただきたい、こう思うのであります。
  10. 庄司茂樹

    庄司説明員 いまのお話でありますが、二年前、三年前には、いわゆる奥村ミッションとかいろいろな問題で、MISブームから何でもコンピューターを使えば、特にオンラインか何かでやれば何でもうまくいっちゃう、非常にそういうブームが三年前にございましたが、そのときそういう議論をされた方が、技術的な点ではなくて、非常に観念的にそういう問題が強かったのでありまして、そのころ公社としても、地銀とか何かで初めやっていたときでございますけれども、そういう問題は非常に簡単にいくことではないんだ。特にバッチの考え方オンラインになりますと、これは非常に卑近な言い方でございますけれども、非常に人がたくさんかかりまして、ある意味では、一つの標準的なシステムにいたしますと、大体三十億、三年、三十人ということが一つシステムをつくる標準というふうにされておるのでありますが、そのころのそういう話もありますので、技術的に非常に問題だ。そういきなりオンラインオンラインと言うのはおかしいんじゃないかという意味で私はそれをしゃべったのであります。  ただ、その後の状態としては、やはりそういう実情もわかる。現在の、回線開放のその後はどうなるかわかりませんけれども、オンラインのむずかしさというのはずいぶんわかってきまして、そうして今後回線の問題その他を含めて、民間側においてもいままでの観念的な考え方からずいぶん変わりましたし、もう一つ企業グループ間という話になりますと、それぞれが国産機あるいは外国機でやっているシステムでつないでいくというような形でグループ間のオンラインというような考え方も出てまいりますと、それはすでに現在におきましても電電公社回線を使ってオンラインをやっているシステムが百七十一システムございますが、そのような状態現実にビルドアップされておりますので、やはりこのデータ通信が、公社は先ほど総裁が述べたような三つの項目、公共的あるいは全国的あるいは先導的というものを中心とした形で情報検索とか情報案内とか、あるいはそれぞれ小さなシステムまで全部というようにはとうてい人的にも金の面でも問題でしょうし、またそういうことが決していいことではないと思いますので、現在においては、その状態のときにはいささかアクセントをつけ過ぎておりましたけれども、現実にはそういうものが認識されてまいりますと、その後の状況によってはいまのような公衆法改正法案のほうにいくことが一番望ましいんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 これは、庄司さんお答えになりましたが、あなた御自分でこれをお書きになっているわけでしょう。いまここまで来れば、この公衆法改正が一番いいんだろうと思う。それは組織の中においでになる庄司さんだから、そういうふうにおっしゃらざるを得ないんだろうと思いますけれども、ただこれはまことに基本的な問題でして、いまそうおっしゃるんなら、少し私、ここで庄司さん自身がおっしゃっていることについてもう一ぺん整理して承りたいのです。  ここでおっしゃっているのは、庄司さんあなた自身のおっしゃっていることをここに書いてあるのですが、「オンラインオフライン、つまり、コンピューター通信回線に接続するか、しないかでは技術上のむずかしさが数段違う。公社の場合は、オンラインについては、いわばプロです。」つまり、プロだから公社がやるんだという主張なんです、これは。「その公社オンラインはむずかしいと思っているのに、民間自由化とともに、オンラインリアルタイム遠隔即時処理)でやるといっても、結局、外国コンピューターシステムに太刀打ちできない。」と断定されておるわけですね。「アメリカ情報産業があれだけ栄えていったのは、IBMのパンチカードシステムを入れるもっと前に、事務の合理化を徹底的にやってきた。」これこそ問題なんですよ。将来の問題として方々に影響がありますからね。これを入れるならば、各般の合理化を先にやらなければならぬ。これは問題がありますが、それはともかくとして、「そして、それが、オフラインコンピューターに変わり、さらに、オフラインではまずいから、オンラインにしようということになった。バッジ処理の場合でも、一々持っていくのはたいへんだから集めてから入れよう。」バッジは防衛庁でやっておりますから、私も調べてよく知っておりますけれども、「そのようなPCSバッジ、リモート・バッジなどの過程を十〜十五年やってから、ほんとうにリアルタイムにしようということになり、それがもう一歩進んで、タイムシェアリングにしようということになったのです。」という経過をお述べになっている。これはそのとおりですよ。ここにもものの本がありますけれども、おっしゃっているとおりです。「それが成功したのは、少なくともPCSで発達したバックグラウンドがあったからなのであって、」そういう背景があったからだ。日本にはそういう基礎が全くない。ないです、確かに。だからこれが前段になって、ここで庄司さんおっしゃっているのは、こう言っちゃうと、すぐ公社に対して、独占を守るためだとか、やれ法律問題がどうだとか非難されるというふうにここで一つ中間にものを言っておられて、そしてここから先は核心でございますけれども、「オンラインの新しい仕事をやるとすると五年はかかりますね。公社では、その期間を短縮してやろうとしているわけですが、そのしわ寄せばソフトウエアに来る。」来ちゃたいへんですが、来る。「もし民間でやっても、IBMやGE、ユニバックプログラムをまるまるもらってまるがかえにならない限りはできないと思う。」もしいま開放して、もしこうなるんだとすると、これはたいへんなことで、プログラムをまるまるもらって、まるがかえになってしまう。これは一国の情報産業をそのまままるがかえにされてしまっては、それこそ産業ナショナリズムが起こりますよ。ここまではっきりおっしゃっている。これは、そう簡単に、いろいろな意見方々から百家争鳴で出てきたからといって、お変わりになるのはいささかもつて、公社情報迎合のたぐい免れざるところだと私は思う。  さらになおあとに言っておられる。「日本コンピューター業界が、もう二、三年して経営基盤をよくし、アメリカにそうやられなくなるという時期。」自由化するならいつだという記者の質問お答えになっているのですね。「日本コンピューター業界が、もう二、三年して経営基盤をよくし、アメリカにそうやられなくなるという時期。」それは公社だって二百四十億ばかりおかけになって、DIPSというものを開発されておりますね。日電だとか富士通だとか三社ばかりやっておりますが、だからコンピューター産業に対するそれなりの対策をお持ちになっていることはぼくは知らないではない。通産省だっていろいろいっておられるのですから。だからつまり、いまの現状を改善しようということでこれを出しておられるけれども、当面のバックグラウンドは変わっているか、変わってないか。あなたおっしゃるように、日本コンピューター業界がもう二、三年して経営基盤をよくし、アメリカにそうやられなくなったらどうなるか。それは確かにドイツやフランスとは違います。国産コンピューターのシェアは五二%くらいあるはずです。ただし大型のものになったら六二・三%、これは外国です、国産じゃない。そうだとすると、今日この段階でいかなることを想定して開放回線されるかということをとくと聞いておかぬと、庄司さんみずからお述べになっているように、たいへんな危惧をお持ちになっている。この点は、このままでおやりになるということは、私はきわめて無責任だと思う。まだあるけれども、あまり長くしゃべり過ぎますから、とりあえずそこのところまず承りたいのですが、何か変わったことがありますか。ないはずです。御自分がお書きになって別なことを言っちゃだめですよ。
  12. 庄司茂樹

    庄司説明員 お答えいたします。  先ほどちょっと申し上げましたのですが、そういう神がかりになっている状態ではまずいという意味合いで、若干アクセントが強かったことは、はなはだ申しわけないと思います。実際には、今度の問題としましては、そういう超大型というのではなくて、中型あるいは大型の、たとえば富士通の二三〇−六〇とか、あるいはNEACの二二〇〇とか二七〇〇とか日立のHITAC八五〇〇というコンピューターは、この二、三年来非常にりっぱになりましたので、それで先ほど申し上げました百七十一のシステムオンラインバンキング業務あるいは生産管理あるいは官庁用あるいはその他というふうに使われております。そういうような状態国産化されておりますし、現実におきましては、先ほどの御指摘のように実に早くいいかげんになったというおしかりでございますけれども、実際問題としてはそういうバックグラウンドも急速に進歩しておりますので、現実のこの公衆法改正法案現状においては、また将来を見通してはいいんじゃないかというように私は信じます。
  13. 大出俊

    大出委員 私は庄司さん、こう言っちゃ苦しいことはわかり過ぎますので、そんなに庄司さんを責める気はないんですよ。誤解しないでいただきたいのですが、やっぱり事実は事実として、これだけの大きな問題ですから、将来のキーインダストリーになりかねないのですから、いまの情報化産業というのは。だからその出発において、はっきりさすのは国会ですから、しておかなければいかぬと思う。その点、誤解していただきたくないんですが、そこでこういうことを言う人が出てくる。電電公社郵政省とで——これは米澤総裁だけじゃなく大臣を含んでいるのですから、電電公社郵政省とで、つまり公社公衆電気通信というものの中にデータ通信まで入れて、将来の情報化社会を考えたときの構想をお持ちになって、激しくそこの一つの壁を守ろうとされた。ところが、さてここで問題になるのは、皆さんがそういうふうにいろいろな電電公社なり郵政省に対する批判というものをささえておられる時期に、相手が一般公衆なら問題なかったというわけですよ。おれのほうにもやらせろ、おれのところも再来年からやりたいという方々が出てきたが、それはつまり相手が悪かったというんですよ。つまり大型コンピューターその他を入れておやりになろうという方々は、たいへんな資本の方々だった。私は、どうも型にはまった独占資本なんということは言いたくないのですよ、ここにはそう書いてありますがね。だから、公社庄司さんの言われる正論が長続きをしなかった。コンピューター、これはそれに接続される通信回線の利用も含めて、コンピューターの場合は当面のユーザー、つまり消費者ですね、これは大衆ではなくて大企業が主だったからであるというふうに、ここに書くような方々が出てくるわけですね。そうなると、これは基本的に庄司さんがおっしゃっている考え方は変わっていないんだが、バックグラウンドも変わらぬのだけれども、しかし時の政治情勢やむなしということになった。言っている方は小笠原竜三さん、毎日新聞の編集委員となっておりますが、電電公社の事情に詳しい方のはずです。そうなると、ここにひとつ私は大臣に、問題点があるので、だいじょうぶかと承りたい。庄司さんが指摘をされているような問題についてだいじょうぶですか、大臣の政治判断、ここを承りたい。いかがでございますか。
  14. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほどの庄司さんとの御問答を承っておりまして、まさに日進月歩といいますか、短時日ではございましたけれども、とうとうとして情報化社会へのスピードが速かったわけであります。そこでいろいろいきさつはありましたものの、いまの時点においてこういう判断をし、ここに踏み切ったというゆえんのものは、やはりそういうところへ時期が熟してきた、こう考えるわけでありまして、これが大企業が主として利用をするのだからというようなことに必ずしも特定して、それのみでこういうことに相なったというのではなく、これは大衆にも当然そういう均等の機会は与えるわけでありますから、さような意味においてはそういう時代が展開してきた、こういうふうに考えておるわけであります。
  15. 大出俊

    大出委員 私は、冒頭にいろいろな意見が錯綜しまして、つまりいろいろな情報が過多でございまして、私の頭も混乱をいたしまして、したがって、私が調べた調査諸元を井出郵政大臣なるコンピューターにお入れいただいて、インプットしていただいてお答えをいただきたかったわけですけれども、コンピューターが逆に回りまして、非常に短時日の間にというわけで、どうもえらい答えが出てきたなという感じになったわけであります。ここで出されている法案というものは、この委員会で審議をされて結着をつける性格のものでありますから、問題点を指摘するにとどめますけれども、これはいま大臣自身がその方面にそうごたんのうだとは思えない今日的な事情の中で、いまお答えになったのは、私は非常に危険な答弁だという気がするのです。しかし、答弁はそういうお答えだから、時間の関係もございますから承っておきます。  そこで、どうも庄司さんばかり引き合いに出して申しわけないのだが、気になるから、私の目に入ったものだけは処理させていただくことをお許しいただきたいのだが、そこでこのあと述べておられるのはごもっともな御意見なんですね。つまり電気通信全般の秩序の問題が一つあるというわけですね。データ通信というものを回線開放まで考えておやりになろうとするならば、よほどそこは考えなければならぬ。全体の秩序、それは私もそう思います。ひとつ間違うと——これは有線テレビなんかもやがてデータとつながってくる。アメリカもそうだから、そうなると思いますが、そうなると、よくいわれるマスコミなるものと公衆電気通信というものとの区別は、私はつかなくなってしまうと思うのですよ、いまの公社のこの出されているものの考え方でおいでになりますと。ただ、冒頭に私が基本原則を聞きたい、基本政策を聞きたい、こう申し上げたのは、あとでこの法律に触れて言いますけれども、どっちにウエートがあるかということがはっきりしていないと、この中で政令だ、大臣の認可だ、云々だといって、表に出るものがわからないから私はそういう言い方をしているのですが、ウエートが私の頭の中にあるような形で置かれているならば、この中に書かれているものはそれなりに読み取れるのですが、法律というのはそういうものですから、運用ですから、実はそれで前置きをしたわけであります。  そこで、もちろんこれはプライバシーのほうの問題、法制的な検討が必要だということを述べられたあとで、つまり私の気持ちとしては、公社がやるからには国家的あるいは公共的で、日本の社会の進歩につながるものに限ったやり方が必要なんだという趣旨のものを言っておられるわけであります。そしてそれは最後に具体的にあげておられる。ここにありますのは都市の再開発、あるいは海洋開発、あるいは宇宙開発、PPBS、公害などにはソフトウエアの膨大な開発が必要である、こういっておられる。これも御指摘のとおり。だとすると、次の問題に移りますけれども、総裁に八原則を申し上げたらポイントが八つあってと、そうおっしゃられましたから、原則という点は抜いてもけっこうです。けっこうですが、かつて総裁が八つおあげになったもの、これを見ますとここのところがわからないのです。私もさっきデータバンクというものはどんなものかと思って、中身の詳しいことまではわかりませんけれども、「データバンク入門」などというしちめんどうくさいものを読んでみた。大体のことはわかりました。わかった上で申し上げておるのですが、おっしゃっておる内容は、公社データバンクのような営利的色彩の濃いサービスはなるべくやらない、こうおっしゃっておるので、この表現からすると、データバンクのような営利的色彩の濃いサービスと、こうおっしゃっておりますね。私もいわゆるバンクをさしてものを言っておるわけではないのだけれども、つまりあとのほうだけでもいいのですが、営利的色彩の濃いもの、これはやらない、こういうふうにきちっとおきめになるなら、そうしていただきたい。  そうすると何が残るかというと、庄司さんのおっしゃっておるところに帰る。全国的なネットワークを必要とするもの、つまりそういう意味での公共的なもの、それを重点的にやっていくのだ、そっちのほうを指向するのだ、そうなってくると、さっきここで庄司さんがお述べになっておるとおりになる。つまり私の気持ちとしては、庄司さんの当時のお気持ち、いまそうであってもなくてもそれは問いません、責任も追及いたしません、正しいと思いますから。公社がやるからには国家的、あるいは公共的で、日本の社会進歩につながるものをやるべきだと思います、こうお述べになって、さて具体的には例をあげれば都市再開発であるとか、あるいは海洋開発であるとか、宇宙開発、PPBS、公害など、これにはたいへん膨大なソフトウエアの開発が必要になる、こうおっしゃっておる。だからそちらのほうを指向するのだというならば、そのように総裁がお述べになった八つのポイントの中で、そっちのほうを向いていきたいのだ、それが大原則であるならば、そういうふうにお述べをいただきたいと思いますので、それでさっき二つ目の質問を申し上げた。ここらあたりいかがでございますか、これは総裁から承るのが筋だと思いますが。
  16. 米澤滋

    米澤説明員 私が最初に申し上げました八つの方針といいますか、ここに資料がございますから、何でしたらもう一回読み上げてもいいと思います。  いまお話しの点でございますが、庄司君が書いたのを私は実はよく読んでないのでありますが、そこにあげましたのは、私がさっき申し上げました公共的色彩の強いものというのに該当するのではないか。公社といたしましては、公共的色彩の強いものというのは全国的なネットワークのもの、それから先導、開発的なもの、この三つに重点を置いてやっていきたいというふうに申し上げておるのでありまして、ただいまあげましたようなものは、いわゆる公共的色彩の強いものというのに該当しておるものと考えます。
  17. 大出俊

    大出委員 そこでもう一つ承っておきたいのですけれども、とかくこの種の論争になると外憂であり、内患になる。つまり外憂というのは外に対する憂いと書くわけでありますから、さっきのコンピューターの問題にも出てくるわけでありますが、どうもたいへん大きな資本が相手方にある。だからそういう点等の心配がある。IBMの問題が出てまいりますが、そこでそれがいつまでもひっついておるとなかなかもののやりとりがやりにくい。そこで申し上げたいのですが、つまり外資というものを同一次元において、いまデータ通信その他をお考えになっておられるのかどうかという点が一つ残る。外資は外資で規制措置をとろうと思えばとれなくはない。だからそこのところの関係ははっきりしておく必要がある、こう思うのでありますが、この点に庄司さんだいぶ触れておられますので、そこのところは今日どうお考えでありますか。
  18. 庄司茂樹

    庄司説明員 その外資の問題は、問題としてそのときしゃべったのだと思いますが、実際の外資の問題は、今度の公衆法の一部改正の問題の外だというふうに解決しまして、郵政省もそういう解釈だと思いますが、それでこの法案になったのだと思います。
  19. 大出俊

    大出委員 庄司さんが電電公社データ通信本部長さんである時期に申しておられる中身でございますから、これは公式にものを言っておられますので、したがって、やはり明らかにするものはしておいていただきませんと、また問題が出てくると思って伺ったわけでありますが、しからば外資については一体どういう措置を——きょうは実は通産省においでいただこうと思ったのですけれども、事の性格上、公社の皆さんにお答えいただけばいい、こう思いまして遠慮したのですが、この問題に関する、つまり次元が違いますけれども、外資の問題というものは一般的規制その他がございます。これはむしろ大臣に承ったほうがいいと思うのでありますが、これは全く心配がないわけではない。次元は違いますけれども、そこのところは、大臣は政治的には一体どうお考えでございますか。
  20. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは、たてまえは外資法なりあるいは外資審議会の機能というふうなものを通じて規制なら規制をする、こういうことに相なっておりますので、直接この法律の中には、外国の資本だから、その事業だからこれを特に取り立てて縛るとかなんとかいうことは、たてまえはそうではないと思います。が、しかし、さっきもおっしゃるように、法律は運用ということもございますから、そういう面でも十分に気をつけてまいろう、こう考えております。
  21. 大出俊

    大出委員 もう一つ大臣に承りたいのですが、この改定の中、七カ年計画なんかでもそうでございますが、ときたま他省と郵政省との見解が、あるいは公社の見解が食い違う場合もあるのでありまして、もう一つの私の資料で、見解を異にする言い方が両省出ておったりいたします。これはあとから申し上げますが、それに通産省のこの外資の進出の問題についての見解があるのですよ。これは、外資進出をチェックする方法がまだ三つ残されておるというのですね。はっきりしておいたほうがいいから申し上げるのですが、第一はコンピューターそのものの輸入制限、必ずしもこれは産業ナショナリズムを云々するわけではありませんけれども、つまり外資との関係で、当面の皆さんのお考えになっている情報化社会、新全総から始まって新経済社会発展計画に至る中心に置かれておる構想からいきますと、何かなければならぬ。だから、これは郵政省どうお考えか聞きたいのですが、第一はコンピューターそのものの輸入制限、第二は、現在技術導入の自由化の例外として残されておるコンピューター製造と利用の技術導入の制限、第三は、資本自由化そのものの制限、この三つですね。ここらのところは、郵政省としては回線開放に踏み切るにあたって——制限つき開放です。根本は規制だと思うのですね。例外自由化の感じがする、これから皆さんに承ってみなければわかりませんが。しかし、これから開放の形をおとりになるわけですから、そうすると、外資の問題を素通りはできない、次元は違うが。してみると、次元が違う現在において、方法は三つあるという次元で大臣はどうお考えになりますか。
  22. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは通産省との関係もあるわけでございますが、自由化の問題というのは、だんだんと相手方から迫られておる問題ではございましょうが、しかし、事日本コンピューター産業というものの現状をながめてみますと、まだなかなかすぐにストレートに太刀打ちはできぬ。したがって、ある程度の育成助長という時期が必要であろうと思うのでございます。そういう意味で、通産側には、私どものほうとしましても、そういう点まあ消極的な見解を述べ、いまおっしゃるような線でひとつできるだけ防波堤というような役割りはしてもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  23. 大出俊

    大出委員 いずれにせよ私は、庄司さんが幾つかお述べになっている、あるいはその道に明るい方々がお書きになっておるもの等々の中からいって、当時庄司さんがおっしゃっていることとそう変わった状況に今日ないが、情勢を全体的に大所高所からながめてみて踏み切らざるを得なかったのだというのが真実ではないかという気がする。これは御回答は要りません。だから、それだけに心配として残るものに対しては、これはやはり心配しなければならぬと思う。そこのところを実は申し上げておきたいわけであります。そうでないというと、これから先いろいろとまた問題が起ってくる、いま申し上げている時間がありませんが。  そこで一つここで大事なことは、やはり将来のキーインダストリーになりそうなたいへんな、弱電部門その他の今日的繁栄をはるかに上回ることになりかねない予測も実は成り立つわけですから、そうだとすると、ここで情報産業全般に対する一つの政策がなければならぬと思うのですね。基本原則は打ち立てなければならぬと思うのですね。これがないから、つまりいろいろな疑問が起こって、各種各様な意見が山のように出てくる。本屋へ行ってながめてみたって、それこそ最近は山のようにものが書かれている。すると、これはまさに情報公害ですよ。ですから、その衝に当たる郵政省の責任者という立場で、やはり井出さんあたりのところでどういうふうにこの原則を確立するかという——その時期としては、いましてはぐあいが悪いという気がする。そういう意味では基本となる情報政策を確立しなければならぬ、こう思うのでありますが、そこのところはいかがでありますか。附帯決議等もついておるはずでありますが。
  24. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃるような意味で、情報産業基本法とでも申しましょうか、この話題が当委員会でもしばしば提起せられました。つい先般は、たとえばプライバシーなんかの問題を特にとらえて力説をなさったわけでございます。そこで私、お答えいたしましたのは、その必要は十分に感じております。これはただ郵政省だけで独走するというわけにもまいらず、関係するところがきわめて多方面にもわたりますので、関係各省庁との間で十分な打ち合わせをいたし、なるべく近い機会に、これはたしか官房長官もそういうことを何かの委員会で申されたと思いますが、それを固める方向へひとつ努力をしてまいろう、こういう所存でおるわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん念のために承っておきますが、やるものとやらないものというのがあるわけでありますが、公社データ通信サービスをみずから行なうというわけですな。これは間違いないですね。議事録に残りますから、答えてください。
  26. 井出一太郎

    井出国務大臣 そのとおりであります。
  27. 大出俊

    大出委員 ということになると、データ通信設備使用契約というのが今度の法案ではあるわけですね。そうなりますと、ここに何らかの、公社が直接実施するデータ通信サービスはこういう種類のものに限るという、つまり歯どめといいますか、歯どめでまずければ規制でもあるいは限定でもいいのでありますが、そういうものがやはりなければならぬと私は思うのですがね。ただ何となく営利的色彩の濃いものはやらないといったら、じゃ薄いものはいいのか、中くらいに薄いものはいいのかということになる。そうでなしに、やはりこのあたりは明らかにしておく必要がある。つまり、いまおっしゃるように、情報産業基本法とでもいうべきものをつくるべきである。官房長官もそう言っておる。それならば、それをつくって、さて、その上でこの種のことをやるという出し方をされないのは怠慢だということになる。その必要をお認めになっておって、それをここで明確にしないままに、しかも附帯決議のついているものをぽんとお出しになって、したがって、各種の混乱が起こるということでは、世の中の、これは怠慢のそしりを免れぬと私は思うのですがね。そういう意味でこれはやはり明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
  28. 井出一太郎

    井出国務大臣 これはプリンシプルが先行して、それから各論に入るというのが順序かもしれません。ただ今回は、あるいは現実の要請がむしろそれを先回ったというふうに御解釈を願いたいのでありますが、事公社に関します限りは、これは公衆電気通信という本来業務を持っておりますので、これに支障があってはもちろん相ならぬと思います。そして公社がこのデータ通信サービスをするという場合、これは先ほど来おっしゃいましたように、公共的な性格のもの、あるいはまた全国ネットのような仕事、こういうものは一番公社として望ましい仕事であろうと思うのでございます。そういう点は郵政大臣の認可ということの歯どめもございますし、これはこの法律に基づいて、さらに細目などについては省令のようなものが出るということにもなりましょうから、いまのような御趣旨を十分に体して、これから処理をしてまいりたい、こう思っております。
  29. 大出俊

    大出委員 大臣、いまお話のそこを承っておかぬとこれは実はわからぬのですよ。この法律の中に書いてあるものを、あなたのほうはみんなあとからお出しになるのですからね。たとえば「郵政省令で定める基準に適合するものであるとき。」なんていうことが書いてありますが、「公社又は会社」、会社というのは国際電電ですが、「公社又は会社は、二人以上の者から、これらの者が同一の電気通信回線を使用する特定通信回線使用契約の申込みを受けるときは、次に掲げる場合のいずれかである場合に限り、その申込みを承諾することができる。」こうなって、あと郵政省令あるいはこのほかにも五十五条の十三なんというところに「郵政大臣の認可を受けて定める基準に適合する場合に限り、その申込みを承諾することができる。」これが各所にある。幾つあるか全部勘定してありませんが、各種の防衛施設整備法なんか、わずかの法案の中に十三もあった。あとで政令なんか見てみたら、政令で全部変わってしまった。審議したときの法律と性格が全然変わってしまった。これはよくあることです。政令ぐらい悪いものはないですよ。農地法の二円五十銭もそうでしょう。これも政令です。そうなると、ここらのところはわからぬのですよ。いまここでお出し願えれば案をお出しいただきたいと思うのです。いかがですか。
  30. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは本来ならば省令なら省令の案をお示しをするのが一番至当でございますが、大体ある程度の心がまえはあるわけでございまして、当委員会の審議を通じまして、そういうものをお示ししたいと考えております。したがって、ただいまの段階で事務当局から少しこれを補足をさせます。
  31. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま特定通信回線の共同利用を認めることにつきましての基準はどんなような内容になるかというお話でございますので、それにつきまして、ただいま検討中の大体こういうようなことで考えているというところでの内容をひとつ御紹介申し上げたいと存じます。  これは、ただいまは御承知のように、これに相当するものは、設備の専用というところでの共同専用という公衆電気通信法六十六条にその条文があるわけでございます。それで認められる場合は、国の機関及び公共団体あるいは同一の事業を行なう二人以上の者あるいは共同緊密な業務を行なう二以上の者というようなことで、特に最後の共同業務の緊密関係ということにつきましての縛りがたいへんきついわけでございます。これらを今度は実態に合うように相当ゆるめていくべきであるというのが骨子になっておるわけでございます。それで、これには御承知のように、個別的に公社が契約をするわけでございまして、この契約につきましてのガイドラインとなる基準を郵政省令で定めたらということでいま考えておるわけでございます。したがいまして、その内容といたしましては、ただいま申し上げましたような国の機関あるいは地方公共団体、こういうようなものでやるものについてはよろしい、あるいはまた同一の業務を行なう二人以上の者についてもいいという考え方をとらざるを得ないかと思います。ただし、電子計算機で使用の態様というのが条文の中にあるかと思います。そこでは電子計算機の使い方によりまして、電子計算機電信電話的な通信を媒介するというふうに計算機を使うことができるわけでございますが、そういういろいろなものを一々除いておくということで、公社のやる仕事をそのまま計算機でやるようなことは、通信の秩序という面からいたしまして、一応ここから除いておくという考えでございます。  それから、今後いろいろ公共的なシステム、先ほど来いろいろ話題に出ておりますが、公害防止の関係とか防災の関係でありますとかあるいは空港のいろんな業務を管理するというようなシステムも開発するというふうな話も少し出ておりますが、こういうものが定着してまいりますならば、こういう公共的なものは二人以上の者が設置して使用するものについてもそれを認めるのが妥当じゃないかというふうにこの基準の中に入れたいと思っております。  それから、その緊密関係をもう少し詳しく広げるということも考えておるわけでございますが、現実公社回線を共同利用しております定着したいわばシステムというものがございます。こういうものはこの際この基準の中に入れまして、今後こういうものをユーザーのほうで開発せられるにつきましては、なるべく早くその目標を与えることが妥当じゃないか。したがいまして、ただいまありますような親企業と下請企業、その間の在庫管理あるいは生産、発注、そういうためのシステムでございますとか、こういうものは製造販売について業務提携しております企業相互間においてもそういうようなシステムもあるわけでございます。あるいはまた銀行のオンライン業務、これが窓口業務と提携してやるというような例を想像しておりますので、こういうようなシステムをさしあたりこの基準の中に入れまして、その後実際の利用されるシステムというものが定着してまいりますならば、こういうものも順次基準の中に入れていくようにしていきたいというように考えております。それで、こういうものにつきましても、先ほど申し上げましたように公社電信電話業務そのままをシステムでやるようなものは、これは除外しておくということでございます。  それからもう一つ、別な範疇になりますのは、一つ電子計算機データ端末との間だけで終始するデータの伝送のための特定通信回線を二以上の者で使用する。これはわかりやすく申し上げますと、企業グループ等で計算または検索を行なうためのシステムをつくって、計算機等を共同で利用する。そのために回線を共同契約する、こういうものもこの中に入れていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 私はいま、公社みずからがデータ通信を行なう場合に、やはり何か歯どめというか限定というか規制というか、そういうものをつくっておかなければいかぬじゃないかということを申し上げましたのですが、たまたま御答弁から発展すると、どうもこの法律だけではわからぬではないかということになるので、例を幾つかあげたわけですね。それに対しておおむねこういうものを書きたいのだというお話をいただいた、こういう経過ですね。ところで、こんなことをおおむね書きたいのだというのと書いたものとはたいへん違うのですね。日本語というのはなかなかむずかしいのです。特に法律用語というのは、一字てにをはが変わるととんでもないことになってしまう。だから本来ならばこの審議をするにあたって、やはり政令の案というものをおつくりいただいて、これだけの問題ですから、お出しをいただくなりお示しをいただくなりしないと、これはあとで何だ、こんなことだったのかということになるので、できれば時間があって、この前の国会に出そうとお考えになっていたのを諸般の情勢でお出しにならないで今度はお出しになっておるので、時間がないとは言わせない。そうなってくると、よく時間的に間に合いませんでしたという理由がつくのですけれども、時間は十分あった。そういう意味で、政令なるものも幾つあるかわかりませんけれども、ポイントになるものは、私のほうから直接申し上げてもいいけれども、こういうものは何かお出しいただけませんか。いまの緊密なというのも実は気になる。  例をあげて申し上げますと、横道へそれるけれどもこういうことがある。たとえばこれは平和相互銀行と三井銀行との関係、これはコンピューターの共同利用云々という問題ともからめて両方の預金者がこっちへ預金したのをこっちから引き出せる、こっちから預金したのをこっちから引き出せる。ところが、これは今度前の法律からいけば、郵政省それは困りますと言う。そうなると片方の銀行の人がそこへ行っていてこっちから入りました、末端を担当係がたたいた。そうすると時間を大体きめておいて入りましたということになる。でないと別な連絡をして払う。そういうことをやっておった例がある。これは問題になりました。そうすると、そういうふうなものは当時はだめですと言ったけれども、将来にわたっては何とかいたします、こうなっているはずですから、そうだとすると、やはりそういうケースがこれは一つの例だけれども、たくさんあると思う。法律条文を見たってこれはわからぬ。だからやはりそういうふうに、これは一例を申し上げたわけだけれども、やはり政令なるものの案を、政令案あるいは素案でもいいが、これはやはり一ぺんお出しいただきたいのですが、いかがでございますか。
  33. 井出一太郎

    井出国務大臣 大体いまのような問題点は省令で出すということのようであります。したがいまして、これを整理した上で要綱になりますか、その辺はおまかせいただいて、資料として出したい、かように申し上げます。
  34. 大出俊

    大出委員 それではひとつ心配が——時間の関係もありまして、この条文で十七、八承りたいことがあるのですけれども、おのおの相当時間がかかってしまうと思いますので、その政令をお出しいただいて、そしてそれを一ぺん見せていただいて、そうすれば短時間で、必要ならば直接承った上でこの疑問の点だけ御解明いただきたいのです。あらためて時間を賜わりたいのですが、いまお出しいただければ——そうではないので理事会等で御相談いただきたい。  そこで、さらに先に進めさせていただきますが、横道にそれましたが、これは念を押しておきますけれども、何か公社データ通信を直接おやりになる、みずからおやりになるとすれば、それはこうこうこういうものだという規制措置が必要だろう、はっきりさせておくことが必要だろうというふうに思います。ここでそれを論議しておりますと時間がなくなりますから先に進みますけれども、さていまお話をいただいた中で、ちょっと気になったので念を押しておきたいのですけれども、緊密な関係云々という共同利用、設備の共同専用という関係とからみまして、「一の専用契約につき一人に限る。」という原則がいままでございましたね、電電公社。一体、この「一の専用契約につき一人に限る。」という原則は何のためにいままでおつくりになっておったのですか。何のためにこの必要があったのですか。
  35. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 これは御承知のように、公衆電気通信というものの秩序立てをどういうふうにしていくかという一つの一貫した問題であると考えております。御承知のように、ただいま有線電気通信法、これと補完しまして公衆電気通信法が一体になりましてこの秩序維持の役割りを、電信法以来の体系となっているわけでございます。その有線電気通信法におきましては原則として、これは電信法と違うところは、電信電話の設備を自分で使うために設置することは自由である。御承知のように、電信法では「政府之ヲ管掌ス」であったわけでございますが、これを届け出にするというところまで変わったわけでございます。しかし、これは不特定多数の者あるいは第三者にこれを利用させることについては相当きびしい制限を置いておりまして、たとえばこの設置の場合でも、共同してこれを設置する、あるいは相互の設備を接続するとか、あるいはこれを他人の用に供するということには相当シビアな制限規定を設けておることについては御承知のとおりでございます。この同じ思想がやはりこの公衆電気通信法で設備の専用につきまして取り入れられているわけでございまして、公社から線を借りたもの、これを他人に使わしてはいかぬとか、それから同じようにこれを野放しで共同使用を認めますと、その間に不特定多数の通信を実質的には行なえるようになるというようなことから、共同使用は原則としては一つの契約について一人に限る。ただし二人以上の場合には先ほど申し上げましたような例外的な条件が満たされればこれは公社が契約してもいいということになっているわけでございます。  なおこれにつきましては、共同契約を制限という考え方は、これは日本だけではなくて外国にも一般にございまして、御承知のように、国際電気通信連合の電信電話諮問委員会というようなところで、こういう問題の勧告等もそういうような趣旨でできておりますし、大体そういうような考え方は世界共通の慣行的な考え方にもなっているかと存じます。
  36. 大出俊

    大出委員 いまのお話は昨年の九月三日の経団連に対する皆さんの説明会、この席上で、公社直営のデータ通信業は民間と同じ条件で民間との競争によって相互に切磋琢磨していきたいなんていうことを——なんてなことを言っちゃっちゃ言い方は悪いけれども、お述べになっている。たくさんありますが、この中で、たとえば民間データバンクはその専用線を他人の使用に供してもよろしいなんというようなことをここでお答えになったりしていますから、それも実は議論がある。あるんだけれども、私がいま承ったのは、一つの専用契約については一人に限るという原則めいたものがある。これは一つ紹介しますが、この「公衆電気通信法の逐条解説」というのがあるわけです。これは金光さんという方と吉田さんという方がお書きになっている。この中に、いまあなたのほうは、この原則については秩序を維持するんだ、こうおっしゃるけれども、そう書いてない。中を見ると、公社のつまり「一の専用契約につき一人に限る。」という趣旨は、公社公衆電気通信事業を保護することにある。つまり、二人以上の者に専用を認めると、公社の事業として期待される収益が減少するからである。」こう書いてある。やたら使われちゃ困る、あなたはいまおっしゃったけれども、そこらははっきりしておく必要がある。ちゃんとここに書いてある。そう簡単に、秩序を維持しなければならぬ云々とおっしゃるけれども、ここには「公社の事業として期待される収益が減少するから」だ。そうすると、さっきのお話からすると、この条件は一つも変わってない。そうなると共同使用の方式というのは、共同専用について、これた公社流に言えばいろいろ問題がある。だからそうなるとやはりそれば制限、規制という問題がつかなければならぬはずなんです。ますますもってそうなると原則は規制であって、原則一つの専用契約については一人にしたい、したいが非常にわれわれはやむを得ぬということで例外というか、そういう形のものを考える、そういうふうに進んでいくわけですね。そこらを私は一番最初から何が原則なのか、どっちにウエートがあるのかということを承っていたわけなんですけれども、このいま私が例にあげた点だって、その意味では一つのポイントなんですよ。だから政令だ云々だということになってくると、たとえば外資が入ってくるということを心配されている向きだってある、次元が違うにしても。外国の資本でやっている会社だって日本にある。大きいユニバクみたいなところだってある。そうすると、そういうところが専用を申し込んだ場合に、そっちは外資の会社だから認めません、そんなことを言ったら公衆電気通信法違反ですよ。できない。できないが腹の中では押えたいんだということになれば、そこに政令かなにかでもっともらしいことを書かなければいかぬ。そこまで実は言いたくなるんですけれどね。別にそういう点についてしさいな御答弁をいただこうとは思わぬけれども、いま話が出たから言うのです。そういう点ははっきりしていただきたい。いまの「逐条解説」で説明してあるのは違いますか。
  37. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 専用の規定につきましては、現在もただいまお引きになりましたような条文は、そのままにしてあるわけでございます。ただこれも一種の専用という幅広い考え方もあって、実は昨年の法案を作業する時点においては、そういうような構成も考えたことがございますのですが、この際これは専用とは少し性格の違うものといたしまして、データ通信回線使用契約として引き抜きまして、これを規定したわけでございます。その中にははっきり一人に限るという文言は入れてございませんが、共同使用のところにつきましての文言を裏からお読みいただきますと、これには公社ができる場合には、二人以上の場合にはこういう条件の備わった場合に限るということで、やはり思想的には一人に限るという従来の思想を受け継いでいるという、こういうふうに御解釈をいただきたいと思います。
  38. 大出俊

    大出委員 私は、やはりそういうところをいいかげんに譲っていただきたくないのですよ、実を言うと。やはり原則原則で立てていただいて、いろいろ文句が出たからといってそれを適当に説明してしまってそれらしくやっておる、裏から読まなければわからぬことになるので、なるべくこの種の問題はそうしていただきたくない。だから原則原則で立てておいて、法律ですから解釈のしかた、運用のしかたが出てくる。そこで公社としてはこういう考えで運用をし、解釈をしていくのだという筋を通していただかないと、それこそ私は非常にこれは混乱をすると思ったので、いまそういう御答弁がなければ触れないのだから、念のために申し上げた、こういうわけです。  もとへ戻りますが、そこでこのいわゆるFCCと言っておりますものは、これは正式に機関その他でいきますとどういうものになるのですか。アメリカのFCCはどういう機関でございますか、連邦通信委員会というのは。
  39. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 フェデラル・コミュニケーション・コミッションのかしら文字をとった略称でございまして、これがアメリカの連邦間の通信、ステート間の通信、州内のものについてはタッチしていないのでございますが、州際の通信並びに国際通信につきましての電気通信の規制をする、あるいはこれについての電波の割り当てをする役割りをしているわけでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 これは法律的権限というものはどうなっていますか。
  41. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ちょっと正確に申し上げかねるのでありますが、たぶん一九三二年だと思いますけれども、コミュニケーションローという法律がございまして、その中にFCCの権限を書きあげてあります。これは一般的な行政機関と基本的に違うようでございまして、委員会制度でございまして、準司法的な行政機関というふうに承っております。
  42. 大出俊

    大出委員 ここでFCCが、連邦通信委員会ですか、そう訳していいのでしょうけれども、この連邦通信委員会が一九七〇年の四月、データ通信の問題に関する委員会の仮決定なるものを行なっていますね、これは御存じでございますか。
  43. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 これはたいへん広範な調査をFCCが行ないまして、通信事業者並びにIBMその他のデータ処理業者そのほかのメーカーあるいはいろいろ学術団体、研究機関あるいは司法省というようなところまで入れまして、アメリカにおきましてデータの処理サービスというものをコモンキァリア、つまり電信電話の事業者がそのままこれをやることが適当であるかどうかということにつきましての結論を得ようと思いまして、そういう調査をしまして、それにつきまして暫定的な一つの結論を得たということを聞いておるわけでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 これはあとから出てまいりますが、スタンフォード研究所、ここに依頼をして、三千ページをこえる回答書が提出をされて、そうしてこの回答書の点検整理をやって、六九年二月に研究報告書七巻に及ぶものを出して、FCCがこれを受け取って、そうして各関係業種別に意見などを求めて、最終的に仮決定という形のものを明らかにしたわけですね、経過は。この中に五つばかり問題点を指摘をし、あげております。この中身は御存じですか。
  45. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 幸いそれについての資料も入手しておりますので、概略は承知しております。
  46. 大出俊

    大出委員 この仮決定の中身を見ますと、一つはメッセージ交換ですね。このメッセージ交換「通信設備を利用して二点以上の間で行なわれるメッセージのコンピューターに制御された伝送。この場合メッセージの内容は変化しない。」こういう前提ですね。これが一つ。それから二番目がローカルデータ処理サービスをあげております。「通信設備を利用しないデータ処理の提供」。それからリモート・アクセス・データ処理サービス、つまりリモート・アクセス・データプロセシング・サービス、これが「中央のコンピューターと遠距離の加入者端末を連結する通信設備が、コンピューターと加入者端末との間のデータ伝送の手段として設置されているような所でのデータ処理の提供」。それから最後に複合サービス、これは、複合サービスはいまの法律は予測しておりませんね。  こういうことになっておりまして、この仮決定の中身からいうと、結論をいえば、つまりアメリカのATTみたいなところは、結論はこのデータ通信をやってはいけない、こうなっていると思うのです。この五つのポイントをあげておりますが、要するにメッセージ交換を行なう事業だけ、これが通信事業なんだ、だからその他のデータ処理事業というのは自由競争にまかしたほうが、この種の情報産業の発展のために非常に適しているのだ、こういう仮決定の中身になっているわけですね。これは実は、きのう皆さんのほうからお見えになった方が、ひょっと私が口にしたら、いや、独占禁止のたてまえからそういうふうにしたのですなんということをおっしゃいましたが、これを読んでみますとそうじゃないのです。そんなことをいえば、初めからATTなんというのは独占企業ですから、それからアメリカの地方の電話業者は二千くらいあるのですから、一つの地域の独占を初めから認めているのですから、電話の性格上から成り立っているのですから、つまりそういう意味ではなくて、ここにたくさん事由を書いてありますけれども、このFCCがこういう決定をしているということは日本でも無縁ではない。あとを追っかけていこうというので、一生懸命視察団まで出してやっているのですから。だとすると、まだ予測してない先にどういうことになるかといえば、国産コンピューターを使うにしたって、似たようなことになってくるに違いない。そうだとすると、これをどういうふうに公社のほうは受け取ってお考えになるのですか。いま中身は御存じだとおっしゃるのですから、たくさんの理由がくっついていますけれども、公社のほうのこのFCCの仮決定に対する基本的な考えを聞かせていただきたい。将来この法律を審議するにあたって、あるいはこの法律を運用するにあたって、あるいは政令が出されて規制措置が徐々に動き出すにあたって、大きな問題でございます。いままでの論争についても非常に大きな関係がありますので……。
  47. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  公社はどう考えておるかということでございますので、公社の考えを申し上げますと、いま申し上げました仮決定の前に一九五六年に独占禁止同意審決というのがATTに対して出されておりまして、その中でATTが行なう公衆電気通信役務の範囲が一応きめられているわけでございます。したがいまして、いまおっしゃいました仮決定に基づく、データ処理事業というものをATTの独占に基づく、端的に申しますと非常に膨大な独占禁止という面からATTに対してはこれを許しておらない決定が仮決定で下されておりますけれども、ATT以外の小さな電信電話会社においては同じ仮裁決の中で、直接データ処理サービスを行なうことができる、こういうぐあいに裁決が出ております。この二つをあわせ考えますと、ATTがこれが行なえない裁決を得ておりますのは、独占禁止、つまり巨大な独占を禁止するという観点から、仮裁決はそういうぐあいに判定を下しておるんだ、こういうぐあいに考えております。
  48. 大出俊

    大出委員 遠藤さんの御答弁なので、そのまま承っておきたいのですけれども、実は少し違う中身になっておりますので、もう一ぺん承りたいんです。その他とおっしゃいますけれども、その他を全部許可しているのじゃないのです。この中身というのは、ウエスタンユニオン社、これを特にさしている。明文で書いてある。なぜかというと、「財政的に行き詰ったウエスタンユニオン社に、サービスの多様化の機会を提供すること」、これは電報ですからね、ウエスタンユニオンというのはどんどん減っちゃっているわけですから、ここは何とかしなければならぬという考え方がある。これは明確にしているんです。実際にはそうじゃない。つまり損失が非常に大きいというんですよ、ATTにデータ通信をやらせるということは。  なぜかというと、ここに三つあげている。一つは、「通信業界における通信事業者の規制が複雑化すること」、それは複雑化しますよ、電電公社がおやりになるとすれば。私は電電公社にやるなといって質問しているんじゃない。ないんだが、この点は反論としては十分に成り立つ反論だから、これははっきり公社の態度を承りたいので申し上げている。そう御解釈をいただきたい。そこで「通信業界における通信事業者の規制が複雑化すること」、これが一つ。「通信事業者が不当な料金引き下げを行なうことにより、業界を支配、独占する可能性があること」、意図的にであってもなくても。つまり会社を持っているわけですから、そうなるとそうなるということで、あとのほうの説明からすれば、「この場合結論として、公衆通信事業者に対する規制が複雑化する危険性は現実的であるが、これを定量的に把握することは困難である。」一の説明がついている。だが、そうなることは間違いないといっている。二番目には「ウエスタンユニオン社以外の場合は、価格引下げの危険性が十分ある」、つまりウエスタンユニオン社以外は引き下げの危険性があるからだめです。ATTだけいけません、ほかはいいんだなんて冗談じゃない、そんなことは一つも書いていない。そこのところはどうですか。
  49. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  ATTに対して、その仮裁決で禁止されていることは明らかでございますけれども、この仮裁決の全文を全部私も読んでおるわけじゃございませんので、いまここで手持ちがございませんので、いま大出委員のおっしゃいました点が実はわかりかねるのですが、私どもが理解をしております範囲では、ウエスタンユニオンだけではなくて、年間事業収入が百万ドル以下の電信電話会社であれば、直接にデータ処理サービスを自社本来の事業として行なうことができると、こういうような裁決でございますとか、その他抽象的にウエスタンユニオン以外のものができるような裁決の中身がございまして、私どもが承知しております範囲でも、ウエスタンユニオン以外に、たとえばゼネラルテレフォンでありますとか、ITT等ではこれを行なっておる、こういうぐあいに承っております。
  50. 大出俊

    大出委員 これは二千からあるのですから、こんな小さいところを入れますと、それこそ全く比較にならぬ小規模企業ですからね、それは別でしょうけれども、大どころは入っていない。そこで、それにしても規制があるのですね。この「通信事業者のデータサービスへの自由参入を認める」場合という規制がある。この規制は、「次の保護規制付で参入を認めること」「通信事業者のデータ業務をFCCによる最低価格規制の下におく」、それから「通信事業者に通信とデータ業務の経理を分割させる」、ここが問題なんですよ。いまやっているところがあるとおっしゃるけれども、あるところも通信事業者に、つまりそれが通信事業者ですから、この法律が成り立てば日本の場合でも電電公社という公衆電気通信事業をやっているところと、その他の公衆電気通信事業者とに分かれていくわけですから、そうなりますと、ここで「通信事業者に通信とデータ業務の経理を分割させる」、こういう条件がついているのですね。だから「通信事業者が持っている力をもってすれば、差別的行為、相互補助、不当な料金決定などの反競争的な行為により、データ処理業務を自己に有利に展開させることができ、」こういう会社を持っているからということでしょうね。したがって、こういう措置が必要なんだ、こうなっているわけですね。おまけに注の6という説明がありますけれども、「そのサービスの提供に関連するコストは、直接、間接的に公衆通信サービスの利用者へ転嫁されないこと」「公衆通信サービスによる収入は如何なるデータサービスの補助にも使用されないこと」、つまりこの公衆通信業務をやっているのですからね、アメリカの場合はたくさん。それがデータをやった場合に、経理は別にして、そうしてデータのほうの収入、これといわゆる公衆通信事業のほうの収入とははっきり経理的に分けている。こっちのほうの、つまり電話や何かのほうの収入をデータのほうに投入をする、あるいは補助をする、こういう操作は許さない。なぜならば、それは一般大衆にはね返るから。つまり電話なら電話の利益というものをこっちに入れるということになれば、電話のほうの一般の加入者に対する影響を与える、不利益を与える、だから許さない、こういうかっこうになっているのですね、これは。  だから私の言いたいのは、これもひとつ念のために承りたいのだけれども、いま公社の場合に加入データ通信をずっとやってきていますけれども、黒字になっているところは残念ながら一カ所もないはずです。念のために資料をいただいたけれども、これはおのおのの会社のそれなりのいろいろの問題があるから、ここであまり申し上げてはぐあいが悪いようですから、数字の中身を申し上げないでもいいですけれども、この数字からすれば収支何とか成り立っているところはない。ということになると、これは将来に向かって、これまたたいへんなことになる。それは電電公社のようにほかのほうから、つまり電話収入のほうから、開発費から何から全部投入してきてやっていればこれはいいかもしれない。ところが将来に向かってそんなことがあっては困る。だから、やはりそこらのところが電電公社といえども何かお考えがなければならぬ筋合いだ、こう私は思う。  そこで、実は時間がないとおっしゃっていますから、ここから先こまかい点に触れませんけれども、やはりここのところは公社の側で、大臣、特にこれはそう簡単に今日的状況でこのまま進めていっていいというふうにお考えでは困りますので、そこのところをひとつどうお考えになっているかを承りたいのです。
  51. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほど総裁も、何か八原則の中の一つのように言われましたが、独立採算という筋をしっかり通すべきだと思うのでございまして、現在はなるほど開発その他に公社の財政の中から投下されておると思いますが、おそらく少し長期展望をいたしますならば、やがてこれが軌道に乗った暁には、それから回収をしてつじつまを合わせるということが必要になってくると思います。したがいまして、これはいずれかの時点をとりまして、電電公社のほうにそういう要請をして、そこのところをはっきりとしておいてもらおうという方針でおります。
  52. 大出俊

    大出委員 時間の関係がおありになるようですから、あと二、三点承りたいのですけれども、それで締めくくっておきたいと思いますけれども、つまり欧州、アメリカ等の状況と日本電電公社がこれからおやりになろうとするものの考え方と、他山の石という以上に私はやはり関係があると思うのですね。だからそういう意味で、つまりデータをみずからおやりになろうということをさっき御答弁いただきましたから、やるんだということですから、そうだとすると、やるならやるように、これはだれがものを言っても、そこに最終的には落ちつくと思うのですが、つまり三百万から積滞をかかえておる一般電話、住宅電話があるわけでありますから、そこらのことも考えなきゃならない、こういうところにものごとは結びつきます。そういう意味で、データをやるならやるで、一体英国なら英国でやっておりますような形にするのか、フランスは全然関係がないという態度のようだけれども、またアメリカはいま申し上げたように、コモンキャリアだが、今後五年か十年で電話料金より以上に回線の貸し料をいただく金のほうがふえていくという予測まであるというふうに書いてありますけれども、そこらを通じて、一体公社は単に独立採算で経理は別にするというだけなのか、それとも別な会社をおつくりになるということにしなければならぬのか、そこらのところはどういうふうにお考えでございますか。
  53. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  公社といたしましては、先ほどお答えいたしましたが、このデータ通信につきまして、独立採算ということをやっていきたいと思っております。ただ、現在は開発中でありますから、いまの時点でまだ完全に黒字になっているということはできないのでありますけれども、これからまた技術も進めていく余地もありますし、また公社みずからも、世界的なレベルをむしろ少し超過いたしておりますDIPSという新しいコンピューターをつくっております。これは標準型のコンピューターになるわけでありまして、いまどちらかといいますと、既存のメーカーのコンピューターを使って、それにソフトウェアをくっつけてやっているわけでありまして、DIPSが出てくれば、これを標準型のものとして開発をする。私は、そういう意味におきまして、将来は独立採算に持っていくことは十分できるんじゃないかという確信を持っております。  それから、電話に関しましては、われわれといたしまして、何といいましても電話のサービスをよくする、積滞を解消するということには最大の重点を注いでいきたいと思っておりまして、ことしも第四次五カ年計画のちょうど四年目になっておりますが、最初の計画よりも三十五万だけよけい電話をつけることにいたしまして、予算を先般国会で認められましたが、二百四十万の加入電話をつける。七カ年計画の中で、なお約二千万個の加入電話をつけまして、進めていきたいというふうに思っております。
  54. 大出俊

    大出委員 イギリスの場合の郵政省が独立分離した情報公社がありますね。NDPSというのですかね、ナショナル・データプロセシング・サービスですね。これは部門になっているわけですね。つまり、ここらの形でもお考えになっているというのか、何かそこにもう少しはっきりしないのがあるのですが、独立採算でおやりになるというのですけれども、どういう形の独立採算にされようとお考えなのかという点。  それからもう一つ、時間がありませんから聞いてしまいますが、つまりこの料金ですね、いずれも赤字になっておりますけれども、料金の決定原則とでもいったようなもの、つまり今回の郵便法などの場合は、一つの決定原則が表に出ているように思うのでありますけれども、そこら公衆電気通信法にはない。そこのところは一体どういうふうになっているのか。これも将来大きな問題なので、二つだけお答えいただきたいのです。
  55. 米澤滋

    米澤説明員 ただいまイギリスの機構の話が出ましたが、たしかいまから五年前に当時の労働党内閣の郵政大臣日本に参りまして、電電公社にやってまいりまして、約一週間おられて、いろいろ日本公社の機構等を調べていって、その上でイギリスの郵政省公社に変えられたのでありますが、その際、電電公社と非常に違うのは、郵便も電信電話も一緒にして公社にされた。この点が非常に違っているわけでありまして、データ通信につきましては、資料を見ておりますと、それと並んで別な部門をつくってやっている。しかし、まだそのやっている範囲はきわめて微々たるもののようでありまして、むしろいま公社が予算で認められまして現在試行サービスでやっておりますデータ通信のほうが、はるかに内容的にも実際的にも進んでいるように思います。ですから、公社といたしましては、現在のところ、データ通信本部というものを本社の中につくりまして、そこでこの問題を総括的にやる。地方にはデータ通信部をつくる。一般の部局とは機構的に一応分離した形で現在進めておりますが、なおこれは最終的な形をどうするかということは、この法案国会で議決されてもう少し進んだ時点でもう一回再検討する必要があるというふうに考えております。しかし、別な会社をつくるということは考えていないのであります。  それから、料金決定の原則でございますけれども、この点につきましては、データ通信というものはこれからいろいろな種類のものが出てくる。先ほど申し上げましたように、たとえばプロセシングといいますか、処理を主体にするものと、それから、検索を主体にするもの、いわゆるリトリーバルを主体にするものといろいろ出てまいりますし、まだあまりこまかいところまできめてしまってはいろいろ問題があると思いますが、どちらにいたしましても、適当な公正報酬を含んだいわゆる原価主義でやるというふうに考えておるわけであります。
  56. 大出俊

    大出委員 それじゃ、時間がありませんから結論にいたしますが、いずれにしても、いま私が取り上げて幾つか申し上げましたのは、世上一般にたいへん議論のあるところでありまして、しかもそれなりの心配もあり、特に情報化社会といわれるものを国民の側からとらえていくと、つまり公共性を喪失するようなことがあっては困る。あるいは管理社会なんかといわれるところも困る。プライバシーの問題もあります。法的な措置も必要でありましょうし、そういうつまりいわば幕あけでありますから、資本の側の要請も非常に強い。だから、公社がしきりに良質な回線をどんどんつくる。それを、ただ単に利用するというかっこうになりますというと、そこに一方の本来の仕事である公衆電気通信サービスのほうの料金がそちらに入っていくというかっこうが続いていくということになると、やはり問題になるところでありますから、いまのお話DIPSなんかも、二百何十億かかるわけでありますし、そこらはやはりこの際公社の側がはっきりして、こういうことなんだ、だからひとついろいろ情報過多でいわゆる乱れ飛ぶけれども、そうじゃないんだというところあたりをなるべく明確にしていただかぬと困るんじゃないかというふうに思いまして、そこのところを少し申し上げた、こういうようなわけでありまして、法律そのものは、またひとつ政令などというものを絵をかいていただきまして、その中身をまた一ぺん検討さしていただこうと思いますが、以上で終わります。
  57. 金子岩三

    金子委員長 次回は明十四日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十分散会