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1971-03-24 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十四日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君    佐藤 守良君       羽田  孜君    長谷川四郎君       林  義郎君    森山 欽司君       阿部未喜男君    松浦 利尚君       米田 東吾君    中野  明君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         通商産業省重工         業局電子政策課         長       平松 守彦君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   井田 勝造君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   井上 俊雄君         日本電信電話公         社総務理事   中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         日本電信電話公         社運用局長   中林 正夫君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         日本電信電話公         社施設局長   三宅 正男君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   園田  直君     佐々木秀世君 同日  辞任         補欠選任   佐々木秀世君     園田  直君 同月二十四日  辞任         補欠選任   八百板 正君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     八百板 正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五九号)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、いろいろと質疑をいたしたいと思います。  今回の法案の大きな改正の目的は、電話電報料金改定が第一点、第二点がデータ通信関係規定を新たに設けるということだと思いますが、私は、まずその二つに分けていろいろと議論をしてみたいと思っております。  まず最初に、料金関係改正の問題から議論いたしますが、その前にお尋ねをしておきたい。これは大臣でなくてけっこうでございますから、事務当局からお話を聞きたいのですが、電電公社法の六十二条の第二項でもって、借り入れ金限度というのが定められております。これは予算をもって国会の議決を経てやるということになっておりますが、今国会においてどのくらい出ているのかという点が第一点。  第二点は、同公社法の五十八条でいわゆる財務三表、貸借対照表損益計算書等を出すことになっておりますが、実はいただいた資料が、貸借対照表は普通の会社のバランスシートと同じようなかっこうになっておりますが、損益計算書がいわゆる一般損益計算書と非常に違ったかっこうになっております。これはなぜそういうふうになっているのか。どうも公社法の五十八条を読みましても、貸借対照表損益計算書というようなかっこうで書いております。普通に読みますと、商法と同じような規定に書いてございますので、当然商法に基づくところの一般損益計算書というのがあってしかるべきだと思いますが、その辺のことについて御説明願いたいと思います。この辺は事務的な話でございますから、できるだけ簡単にお願いいたしたいと思います。
  4. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。  公社法の五十八条で、ただいま御指摘を受けましたように、毎事業年度貸借対照表損益計算書などを作成して郵政大臣に提出するということになっておりますが、同じく公社法の七十一条に、「公社は、その会計に関し、この法律及びこれに基く政令に定めるものの外、会計規程を定めなければならない。」という規定がございまして、その会計規程は、重要なる事項に関しましては、「郵政大臣認可を受けなければならない。」という規定でございます。先ほど御指摘のありました損益計算書様式等会計規程で定めるものでございますし、しかも、会計規程の中の重要なる事項というふうに相なっておりますので、郵政大臣認可を受けた様式損益計算書を作成しておるわけでございますが、その認可を受けました損益計算書様式が、商法で定める損益計算書と若干様式を異にしておるということだと思います。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 公社法の六十二条の二項に借り入れ金限度というのがありますが、これは幾らになっておりますか。
  6. 好本巧

    好本説明員 六十二条の借り入れ金限度額でございますが、一時借り入れ金長期借り入れ金とございますが、昭和四十六年度予算案におきましては、一時借り入れ金限度額は四百億円ということになっておりますが、長期借り入れ金の予定はございません。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 私、料金関係の問題を議論する前に、公社全体のお話を少ししたほうがいいのじゃないか。大臣にこれはお尋ねをしたいのですけれども、電電公社は大体一兆二千億円ぐらいの年間売り上げがございます。これはたいへんな企業でございまして、公社といいますから半国家機関でございますが、民間の会社に比べますと、たいへんに大きな額でございます。比較いたしますと、新日本製鉄年間六千三百十六億円であります。四十四年であります。日立製作所が六千七百五十億円、松下電器産業が六千四十五億円というような数字になっております。ざっとその倍でございます。おそらく日本国有鉄道と匹敵するところの大きな企業である。こういったたいへんな大企業でございます。同じような仕事をしておるかどうかわかりませんけれども、非常に似た仕事と申し上げるならば、電力会社と私は思うのです。電電公社電信電話というサービスをする、電力会社電力というものを売るわけですが、電力を売るということもサービスを売るというふうに一つには考えられる点もあるだろうと思います。その電力会社も九社ございますが、これが全部合わせまして一兆五千二百億程度売り上げでございます。非常な大企業でございまして、特に独占になっておるわけでございますから、この独占についてはやはり料金問題、また会社経営その他について、単に公共的なサービスをするという観点でなくて、独占の問題というもので押えていかなくてはいかぬ。独占の弊害というものを押えるということが私は一つ大きなねらいではないかと思います。今回の料金の問題に関連いたしまして、こういった大きな企業を今後どういうふうな形でやっていかなくてはいかぬのか。特に電電公社はこれからだんだんと伸びていく会社だと思うのです。それに対しまして、大臣お考えになっておられて、電電公社を基本的にどういうふうにしていかれるかという点について、大臣の率直な御意見を賜わりたいと思います。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 林さん非常に克明にお調べになりまして、各種のデータをおあげになりました。おっしゃるように、まさに巨大な企業でございます。しかも、独占という特別の性格を持っておるのでございますから、単なる利潤追求というような一般企業と異なる面に十分なる認識と配慮をいたさなければならぬと思うのであります。しかも、情報化社会といわれるこの時代にあたりまして、電電公社のこれからの発展というものはますます上向きであることは、私は予想にかたくないと思うのであります。したがいまして、料金問題等も安易に、赤字が出るからそれで利用者の肩におんぶしてやっていっていいというような簡単なものではございますまい。ですから、今回の法改正にあたりましても、一部設備料等については、これは直接料金値上げということでありますけれども、また、電報はたいへんな赤字であることはもう御承知のとおりでございまして、これはやむを得ないといたしましても、一番大宗をなしておる電話料金の問題は、むしろ合理化といいましょうか、時分制を採用するというところへ踏み切ったわけであります。でありますので、これからの情報化時代をになうべき重大な使命というものに心しつつ、もちろん経営企業努力を怠ることがあっては相なりませんが、同時に、この仕事一つ特徴は、技術革新を取り入れることに成功しつつあると私は思うのであります。それがためには相当な研究投資もいたしておるわけでありまして、公社自身がかなり水準の高い技術を持っておるわけであります。そういう点にも研さんこれ怠らないで、そして時代の先端を行くことによってサービス国民に還元をしなければならない。また、たいへん抽象的なことでありますが、そういった心がまえの問題を念頭に置かなければいかぬと思っております。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 いま売り上げ高数字で申しましたけれども、貸借対照表から拾ってみますと、全体二兆九千百七十五億円という資産の部がございます。その中で、固定資産が約九〇%を占めております。電力会社九社をとりましても、大体九二・二%という数字になっております。これは電力会社の総資産の中に占める固定資産をとると、大体同じような比率になっておるということでございます。電力がやはり大きな発電所をつくり、またいろいろなケーブルを引いて各家庭に配給する。電信電話におきましても、やはり電話局がありまして回線を引いてサービスをいたすということだと思いますけれども、固定資産が非常に多いということは何らあやしむに足りないことだと思いますし、ますます固定資産というのはふやしていかなければならぬ。問題は、固定資産をいかなる資金をもって調達するかということにあると思います。実は電力会社と比べますと、負債のほうで見まして、資本の部でございますが、その中で資本金資本利益金を比較しますと、約二〇%でございます。さらに利益金が非常にたくさん減価償却減債償却に充てられておりますけれども、それが非常に多い。自己資本比率にいたしまして非常に多い自己資本比率になっております。たしか公社のほうからいただきました数字では、内部資金というのが五二・五という数字になっておりますが、電力会社に比べますと、それが大体三〇%というような形でございます。  私が最初お尋ねしました借り入れ金限度、特に長期借り入れ金をしてやるべきではないか、長期借り入れ金規定がどうなっておるかと聞きましたのはまさにこの点でございまして、言うならば電電公社は非常に資金潤沢である、内部資金を非常にたくさん持っている優秀な健全な会社だと思います。優秀な健全な会社であることは非常にけっこうなことでございますが、先ほど大臣からお話がありましたように、単に利潤追求だけではない、これからいろいろ情報化時代に対応していかなければならない、さらには技術革新の大いなにない手でなければならぬというようなお話でございましたならば、やはりそこにおいて積極的な政策をぜひとっていただかなければならぬだろうと思うのでございます。そういった意味におきまして、電電公社でございますと当然海外からの外債調達ということもできると思いますし、また国内におきましての資金調達等もできるのじゃないか。それをしておられない。これは電電公社経営全体の問題だと思いますので、電電公社総裁お尋ねしたいと思います。総裁、その辺につきましてどういうふうな一般経営方針をもって臨んでおられるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  10. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  ただいま公社経営の問題について御質問がございましたが、公社公企業体でございますし、国益と国民の要望に沿っていくということを基本的に考えております。ただいまの資金調達の問題でございますが、その際に出ました資金をいかにして集めるか。ことに電話の拡張というものが現在公社の最大の問題になっておりますが、これに対しましてこれまで一次、二次、三次、四次と五カ年計画を進めまして、現在加入電話にいたしまして約千五百万の加入電話をつけるところまでまいりました。現在国会に提出されております予算案におきましても、八千二百十億という非常に大きな投資をしております。  ところで、その資金調達お話が出ました外債につきましては、過去においてたしか四回外債を出したことがございますが、最近の状態を見ますと、その金利が非常に高くなっておりまして、また額もあまり多くを期待できませんので、外債は現在期待をいたしておりません。過去においてはやりましたが、現在の時点では国際金利が非常に高いもので、それは望ましくないと思っております。それからその他の問題といたしまして、最近は縁故債に相当たよっておるわけでありますが、この縁故債も、たとえば金融機関等においては公社信用等もあって、政府保証ではございませんが調達するということでございまして、全体的に八千二百十億、二百四十万の一般加入電話建設という問題に対しましても、そういう縁故債活用等によってまかなっておるという状態でございます。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 ちょっと事務的にお話を申し上げて恐縮でございますが、公社貸借対照表を見ますと、固定資産が大体二兆五千億という数字でございます。それで三千億の減価償却ということでございますが、これは定率、定額、どういうふうな方式でやっておられるのか。大体機械、電線の償却だと思うのでありますが、こういったものについての大ざっぱな償却の年限を教えていただきたいと思います。
  12. 好本巧

    好本説明員 お答えします。  減価償却でございますが、電信電話機械施設あるいは線路施設、そういった実際の公衆電気通信役務を提供する基盤をなします固定資産、こういうものに対する減価償却定率法を採用しておりまして、そういったものの平均耐用年数というものは十三・六年程度に相なっております。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 固定資産が二兆五千億に対して三千億の減価償却が見込まれておるわけでありますが、十三・六年というと、何かちょっと減価償却の額が多いような気もいたしますけれども、その辺はいかがでございましょう。
  14. 好本巧

    好本説明員 お答え申し上げます。  確かに固定資産二兆五千億円、四十四年度におきますところの減価償却引き当て金が三千億程度といいますと、そういったふうな印象を受けることもございますけれども、御存じのように電電公社の最近の建設投資は非常に伸び率が高うございまして、毎年毎年一八%あるいは一九%というような非常に大きな伸び率を示しておりますので、これが先ほど御説明申し上げましたように定率法をとっておる関係上、どうしても最近の単年度で見ます限りにおきましては相当高い形を示しておるというふうに考えております。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのお話で大体わかりましたが、先ほどお話がありましたけれども、資産の部を見ますと、固定資産の中で固定負債が一兆八千百五億円、その中で電信電話債券が一兆七千八百八十四億円という形になっておりまして、圧倒的にほとんど全部の固定負債電信電話債券にたよっておる。いうならば、電信電話債券を発行して電話をたくさんつけている。ほかの借り入れ金一般市中からの借り入れ及び外債というものは非常に少ないというか、ないと言ったほうが適当だろうと私は思うのです。そういうような形で、一方からいえばこれは非常に健全な経営でありまして、自分のところで発行している債券だけでまかなっているというのは非常にけっこうな話だと思いますが、やはりいま国民が一番要望していることは、電話を早くつけてもらいたい、できるだけ早く自分のところに電話を引きたいということだろうと私は思うのです。そういった意味におきまして、ぜひそういった積極的な経営姿勢をとっていただくことを私は要望したいと思うのです。  そういった観点からいたしまして、今回の料金関係でございますが、まず電報料金の問題です。電報は、いままでのところでも非常に赤字が出ている。電報は郵便と同じように配達をわりとたくさんしなくちゃいかぬ、配達に手間がかかるという形でございまして、電報料金は、単独にとれば非常な赤字になるという話でございます。その辺をごく簡単に、収支率ということでお話を聞かせていただきたいと思います。はたして今回の電報料金——はっきり申し上げて、私は、これは値上げだと思います。この値上げをしなかった場合と、した場合とでは一体どういうふうな数字になるのか。また、した場合におきまして、はたして電報関係黒字または黒字に近い状態になるのかどうか、その辺につきまして郵政当局から説明をしていただきたいと思います。
  16. 井出一太郎

    井出国務大臣 私からちょっと、概論みたいなことをお答え申し上げて、あと事務当局から御答弁申し上げます。  先ほどお話し資金調達の問題、ちょっと蛇足のようですが触れたいのであります。おっしゃるように電話債券というものが圧倒的に多い。このことは、言うならば利用者負担でありますから、ここに電電公社の、何といいますか、電話一つ独占事業であるがゆえに、そういう特権というか武器というか、利用者資金調達をお願いできるという特徴ですね、これは林さんおっしゃるように非常にいい点でもありますけれども、同時にまた、もっと外部から資金を入れたらどうだ、こういう御示唆も考えてみなければならぬことのように思うわけであります。そこで、いま当面の料金のあり方でございますが、総括原価主義ということでやっておるはずと思いますが、電報自体については、これだけ取り出してみると、ともかく累積赤字公社発足以来四千億円もある。これは電話のほうでカバーされておったがゆえに全体の収支としては赤字なしに今日まできたということでございましょう。そういう点、なかなかむずかしい問題でありますが、個別的に取り上げましたときに、あまりにもかけ離れた電報自体収支バランスということから申しますと、やはりこれは十何年も変えないままでおるのですから、この機会に手をつけざるを得なかった、こういう事情であります。なお、詳しいことは事務当局から申し上げます。
  17. 中林正夫

    中林説明員 お答えいたします。  ただいまの電報収支状況でございますが、昭和四十三年度収支状況は、赤字の額にしまして四百七十七億円、収支率にいたしまして六五六%、一〇〇の収入に対して六五六の支出。それから四十四年度を申し上げますと、赤字の額にいたしまして五百三十四億円、収支率にいたしまして七二〇%。赤字の絶対額にしますと、ここ数年間ほぼ五十億円くらいずつふえてまいっております。それで、公社発足以来四十四年度までの累積赤字は約四千百億ほどにのぼっております。  なお、今回の電報制度近代化というものを実施いたしました結果どういうふうになるかと申し上げますと、四十六年度につきましては、実は来年の三月から実施をいたしますため、一カ月だけでございますので、ちょっと比較をしにくいと思いますので、四十七年度見込みについて申し上げますと、料金改定等行なわないでそのままで推移するといたしますと、四十七年度赤字見込みは七百五十五億、収支率にいたしまして約一三〇〇%見込まれるわけでございますが、今回の近代化実施したあと見通しといたしましては、赤字の絶対額にいたしまして六百六十五億、収支率にいたしますと約半分の七〇〇%程度。それから七カ年計画の終了時でございます昭和五十二年度におきます収支率見込みを申し上げますと、現在のまま、料金改定等をいたさないままでございますと約二二〇〇%、一〇〇の収入に対しまして二二〇〇の支出、こういったものが予想されるわけでございまして、おそらく累積赤字も一兆円に近くなるんじゃなかろうかと思われるわけでございますが、今回の近代化実施後の見通しといたしましては、大体その半分程度収支率、一一〇〇%程度に押え得るか、そのように収支を見込んでおるわけでございます。
  18. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、非常に簡単に申し上げるならば、現在のままでほっておくとたいへんな赤字になってくる。それを何とかして少し手直しをしておかなくちゃならぬ。しかしながら、もしも電報だけを取り上げて独立会計にするというようなことにでもしたら、これは赤字赤字である、それはやはり一般電話のほうで持つ、こういうふうな考え方だと私は思うのです。電話電報とはある程度関連性があると思うのですけれども、その辺の考え方ですね、電話料金電報料金とをいかにして立てていくか。先ほどのお話でいきますと、五十二年度におきましては一一〇〇%の収支率になる、こういうふうなお話なんですが、はたしてそういうことでいいのかどうか。もしもいいということになれば、やはり電報はそういったものであるというような説明があってしかるべきだろうと思うのです。その辺につきましてお答えをいただきたいと思います。
  19. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電報事業につきましては、これまで、合理化近代化というものを過去において進めてまいりまして、その一番力を入れてまいりましたのは、電報を中継する際に人手にたよっていたものを自動機械で置きかえるということでございまして、全国三十カ所の中継局を全部自動にいたしました。それからまた配達区域を統合するとか、あるいは夜間の窓口の一部に公衆電話を置いて、そこに人を置かないとか、そういう方法をとってまいりましたけれども、先ほど運用局長説明申し上げましたような赤字になっておる次第でございまして、この際もう一回、過去に行ないました合理化の第二次の近代化をやらなければならないということで、料金改定郵政大臣にお願いいたすと同時に、また内部的にも、それによりまして電報にかかっておる人を電話なりあるいはデータ通信のほうに配置転換するということで、収入の増をはかることもねらいでございますが、同時にまた電報事業によって人が余ってくる分野を電話なりあるいはデータ通信のほうに向けていくということに力を入れておる次第でございます。  それから、電報電話料金問題でございますが、まず電報赤字電信事業の中である程度解決できないかということにも力を入れておるわけでございまして、データ通信はまだこれからの問題といたしましても、たとえば加入電信、あるいはまた電信関係専用線の販売とか、そういうことに力を入れて、まず電信事業の中で電報赤字をできるだけ少なくするということをやっておる次第でございます。
  20. 林義郎

    ○林(義)委員 基本的にいって、こういった形で赤字を何とか——まあ、電報のほうはどうせ赤字が出るから、電信事業一般ということでやるという体系というのは、本来のこういった企業、大企業ですから、大企業の中で望ましいかどうかというのが私は非常に疑問に思うのです、はっきり申し上げて。やはりそれは公共料金抑制というような問題が一方にありますけれども、公社経営といたしたら、やはり電報電報で本来の独立会計、特別の会計で処理して、原価を貫くというのが私は筋だろうと思うのです。一ぺんにいまのものをやるとたいへんなショックでもありますから、その辺でなしくずしというようなお考えなのか。いや、本来電報というものは電話というもので持っていいというお考えなのか、その辺はどうなんでしょう。
  21. 米澤滋

    米澤説明員 理想的な状態をいえば、確かに電報収支を合わせるということが望ましいと思います。しかし、たとえばヨーロッパの国営事業をやっております状態とか、あるいはアメリカにおける電報事業をやっておる状態を見ますと、電報だけをやっているという、いわゆる収支を合わせているということは、実際問題としてそういう例がないわけでございまして、アメリカのような民間企業の場合でも、たとえば専用線を販売するとか、そちらのほうでカバーしているというようなことであります。理想としてはそれは望ましいと存じますが、私は現実的にそれは非常にむずかしいのじゃないかと思いますので、先ほど申し上げましたように、電報事業についてはできるだけ近代化をはかっていく、それによってその赤字をなくしていくと同時に、また電信事業でそれを補い、さらにまた公社としてはやはり独立採算という形になっておりますので、電話事業のほうでそれを補てんしていく、現実的にそういうことでやむを得ないと思っております。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 電報のほうはそれくらいにいたしまして、電話のほうについて少しお尋ねしたいと思います。  今回の電話料金改定ですが、これは私は非常に単純な議論をしたほうがいいと思うのです。いつからやるとか、いろいろな問題がありますが、これを現在の状況でばあっと実施して一年間でどのくらいになるか。一体全体の数字として、こういった料金改定をいたすならば、収入においてどのくらいの数字が変わってくるのかということを計算されていると思いますから、その数字を発表していただきたいと思います。
  23. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  実際の今度の料金体系の改正は四十八年度からでございますが、いま林委員のおっしゃいましたのは、いまかりに行ないました場合の数字ということでございますので、一応四十四年度数字をもとにいたしまして申し上げますと、私どものほうでは、今度の料金改定は、電話に関しましては収支プラス・マイナスゼロと申しますか、増減収ゼロ、こういう形で立てておりますので、内訳を申し上げますと、その中で三分継続ということのために起こります増収分が大体百六十億ございます。それから基本料の増収分が——基本料の増収がなぜ起こるかと申しますと、今度の広いエリアの中で加入数を計算いたしまして、現在の基本料の表にあてはめますので自動的に基本料が増収になりますが、その分が四十億ございます。両方合わせまして大体二百億程度の増収になるわけでございます。この増収分を四十四年度ベースの通話料に見合いまして、従来準市内といわれておったところが八十秒七円でございましたが、これが今度三分七円になります。その分から発生する減収がございます。それから従来近郊通話といっておりましたものに対しまして、今度はそれが六十秒が八十秒になる。それから従来市外通話の中で二十キロ対地のところが同じように六十秒でございましたのが八十秒になります。二十秒サービスになりますが、その三つの要素でこの二百億の増収分がゼロになる、こういう計算をいたしております。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、いままで非常に近いところであるけれども非常に高い料金を払ってきた。東京都内でかけると非常に安くなる。東京都内なんというのは三十キロもあるだろうと思います。そういうところは非常に安い。私の地元などはちょっと隣までかけてもすぐに市外通話で取られたりなんかする。そういった点を是正されるということだろうと私は思うのです。やはりここでも、一つには料金政策、特にこういった大企業独占企業でございますから、私は電話料金につきましても原価主義と申しますかほんとうにどのくらいの設備をして、またその設備に対する償却がどのくらいかかるか、また人手がどのくらいかかるかというような原価主義という考え方をこの中に入れていかなければならない。その辺の考え方につきまして一体どういうふうな基本的な考え方があるのか。いまのお話で三分までごとに七円というお話がございますけれども、その辺の考え方は、一体そういう原価主義に対して、原価はどういうふうに構成されるかということに対して、どういう考えなのか。  たとえば自動通話の中で区域内通話料三分までごと七円というのがございます。それから手動即時通話については区域内通話三分内十円ということがございます。実際に私の地元などでは、なぜ十円取るのだ、一方はなぜ七円なのだという議論も、非常に原始的、かつ幼稚な議論であるかもしれませんけれども、そういう議論が出てくる。結局、国民に対してはっきりさせるためには、そういった点が原価に基づくのだということをはっきりいっておかなければいかぬのだろうと私は思うのです。その辺をどういうふうな形で説明されるのか、その辺の説明をまだよく聞いていないものですから、ぜひこの辺は明らかにしておいていただきたいと思います。
  25. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  確かにいまの林委員の御指摘の点は、料金決定の基本原則のようなお話だろうと思うのでございますが、御存じのように現在の法律上私どもの公衆電気通信法では「合理的な」という文字が使ってあるだけでございまして、それ以上に具体的な原則はございませんけれども、私どもの考え方といたしましては、やはり合理的なということばの中にいまおっしゃいましたような原価主義と申しますかそういうものをできるだけ取り上げ、あるいはまたそれにできるだけ近づけていくということが必要だろうと考えております。しかしながら、先ほどのお話電報事業電話事業と両方の問題もございますが、電話事業だけ取り上げましても中に市内通話、市外通話あるいは専用というような問題もございます。つまりメニューがたくさんあるわけでございます。それから市内通話の中でも機械でやる自動通話と手動でやるものもございます。そういう問題なりあるいはまたかりに自動通話にいたしましても距離別にやっておりますので、二十キロ対地、あるいは三十キロ、あるいは九州、北海道というような区分けをいたしますと、それぞれの原価というものも理論上は出てまいるわけでございますけれども、とてもそこまでは合理的に考えるということはできないと思いますが、できるだけそれに近づけていくという形はあらゆる機会をつかまえてとりたいと考えております。  と申しますのは、一応そういうものを目標に置きまして、それに近づけていく努力はいたしますけれども、電話料金というものにつきましては、やはり歴史的な過程もございますし、それから諸外国との関係もございますし、あるいはその他いろいろな負担能力の問題などもございます。私ははっきり申し上げまして、現在この時点をとりまして新しい目でごらんになりますと、原価主義というものはそのまま徹底はしておりませんけれども、そういったような諸条件の中で原価主義に近づけていくような努力はしていくべきだろうと思っておりまして、おおざっぱに申し上げますと、市外通話というものにつきましては、昔手でやっておったのが基礎になっております。したがって、手でやっておりましたときの通話というものは非常に高かったし、また距離によって相当差があったわけでございますが、それをだんだん機械を入れてまいりまして、今日のように九五%までが自動になりますと、そういう面がだんだん原価主義的におかしくなってまいります。そういうのを今度の料金体系の改正にあたって逐次手直しをして理想的な形に近づけていくように心がけておりますが、決して十分なものとは申し上げられないところもあるかと思います。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 本来ならば合理的な原価主義に近づけるべきである、しかしながら現実の問題と歴史的、また対外的な問題もあってなかなかできません、こういうようなお話かと思うのです。私はこれからやはりこの電電公社が非常に伸びていかなければならない、先ほど大臣からもお話がありましたように、情報化時代になってくればますます電電公社の役割りというものは大きくなっていく、おそらく日本国有鉄道をはるかに抜いた大きな会社になるだろうと思いますから、日本での情報産業をささえる一番大きな会社になるのはこの電電公社だろうと思うのです。そういう意味で、電電公社について、理想はそうだけれども現実にこうだというような議論では、どうも私らあまり納得できない。これはいますぐにどうだということではないのですけれども、ひとつ大臣、この辺についてはやはり基本的な考え方を政府部内としても統一していかなければならぬだろうと思う。われわれ与党といたしましても、これはやらなくちゃいかぬ問題だろうと思いますけれども、これはやはりこれからいろいろな問題を電電公社はやっていかなくちゃならぬだろうと思うのです。電話もいまのような電話からだんだん変わっていくだろうと思う。十年たてばいまのような電話というのは全く陳腐化された電話になってくる。私たち子供のころには、がらがらと回してもしもしと言えば交換手が出てきた。いまはそんなことないです。昔、下関から東京に電話をかけるのには半日かかった。いまは直ちにかかります。そういうように十年たてば技術革新で、これから電話もずいぶん変わってくるだろうと思う。やはりそういう時代に変わったときに、一体料金をどうして定めるのかという基本原則をはっきりさせておく必要があると思う。こういった問題について一体どういう見解を持っているか、大臣の率直な御見解を賜わりたいと思います。
  27. 井出一太郎

    井出国務大臣 電電公社情報化時代をささえる花形である、これは林さんと私も同意見であります。それだけに経理なりあるいは料金原則なり、前時代的などんぶり勘定じゃいかぬのだ、こういうお説だろうと思うのです。まあ総括原価主義と一口には言うのでありますが、これは現実の要請の前に理想を貫くということが容易でないということは林さんもおわかりがいただけると思うのでございますが、方向としては、この時代をになう電電公社なるがゆえに、これはもっとスマートであれ、あるいは合理性を追求しなさい、こういうお話でございましょう。でありますから、まさに方向としてはそうあらなければならない。若干かすに時間をもってしていただかなければなりませんが、方向としてお示しのような点を十分考えるべきだ、こう思います。
  28. 林義郎

    ○林(義)委員 いま理事さんからお話がありまして、あまり長い間やるなというお話でございますから、まだいろいろ質問したいことがたくさんございますが、一つ私、この際ぜひ大臣お尋ねしておきたいのは、電電公社のいろいろな仕事の中におきまして、郵政大臣認可を受けるべきことというのが、電電公社法にも書いてありますし、公衆電気通信法にもたくさん書いてあるわけです。さっき私が電電公社はこんなビッグビジネスになったということを申し上げたのですが、先ほど来言うように、情報化時代に対処してやらなくちゃならぬということであるならば、一般論といたしまして、郵政省が監督をし、電電公社実施をするようなものは、私は通信サービスを公共のためにやるという時代においては必要があったのだろうと思いますが、特に今回データ通信規定が入っておりますと、いろいろ郵政、電電公社が独自の立場において独自の技術開発をやらなくちゃならぬ問題がたくさんあるのだろうと思うのですね。そのときはやはり電電公社独自でひとつやれるような道というものを相当開いていかなければならぬ、こう思うのです。勘定を見ましても、実は非常に電電公社は現在のところもうかっておるわけです。減債資金という形で充てておられますが、少なくともその利益剰余金というものはもうたいへんな額になっております。六千四十二億円ですか、剰余金の積み立てがあるわけでございまして、これはたいへんないい会社だと思いますから、そういったところで、やはりそういうものを使ってこれからの情報化時代に対処していかなければならない、そのときには電電公社としても相当機動的な働きをしていく必要があるだろうと思います。そういった機動的な働きをするかわりに、先ほど来申し上げておりますように合理的な原価主義を貫いてもらう、そういった基本原則だけをやはり監督していくという形に漸次改めていく必要が私はこの際あるのじゃないかと思う。  これはもちろん今回の料金改定の問題ではありません。料金については、電話先ほどお話がありましたように、収支とんとんだということでありますから、いわばひずみを是正するという問題でありますけれども、私は、この料金問題を議論するにあたって、やはり料金原則をはっきりしてもらうということと、料金原則という基本的な問題をはっきりすると同時に公社に対するサービスをどうする、それと同時に、いろいろな形で電電公社経営努力によって得たところの利益については、積極的に技術革新のほうに向けていく態度こそ私は必要だと思う。そういった基本的な考え方について、どうも私ずっと法律の中を一ぺんながめてみたのですけれども、何か郵政大臣認可というものが非常に多いような気がいたします。その辺も私は一ぺん洗い直してみる必要があるのではないか、こう考えておりますが、大臣のお考えはいかがでありましょうか。
  29. 井出一太郎

    井出国務大臣 法律をずっと条文的に総ざらいをされていかれますと、認可とか許可とかいうことがたいへんぎらぎら目につかれる、こういう御指摘でございます。まああるいはそうかもしれませんし、これはまた沿革的に申せば、公共企業体というものが発足をした一方、行政責任は郵政省が持つ、こういうことで、いやしくも国民から負託をされましたこの公共企業の運営になにするようなことがあってはならぬというようなことから、そういった法文の形態がとられて今日に至っておるものだと思うのであります。したがって、おっしゃるように今回は焦眉の急のものだけの改正でございますけれども、そういった点にまでわたって洗い直してみる必要は私もあろうかと思っております。ただ運用において、まあ現在、郵政当局は決して頑迷わからず屋でない、これだけは申し上げておきたいのであります。  なおまたあわせて、資産内容が非常に優良である、このことは公社自身もよく心すべきことであって、これはほかの私企業と違いまして、たとえばさっきの償却の問題などにしましても、これは税法上の拘束などはないわけでありますから、そういう点がたいへん恵まれておると思うのであります。したがって、そういうものをもっと研究し、あるいは技術開発費に使え、こうおっしゃるわけでございますが、たしか私の記憶では、現在でも年間二百億円ぐらいは投じておるはずでございまして、三鷹の電気通信研究所などは、これは非常に高い水準のものだと思うのであります。そういう点は多々ますます弁ずでございますから、私どももそういうつもりですし、おそらく公社当局も研究開発には一そうの努力をされるであろう、かように期待をいたしております。
  30. 林義郎

    ○林(義)委員 どうも時間がなくなりましたので、あと一問お尋ねしまして、その後の問題につきましては別の機会に譲らせていただきたい、質問を保留させていただきたいと思っておりますが、実はいま三鷹の研究所のお話が出ました。私は、電電公社というものは三鷹の研究所ごときものでは満足してはいかぬと思うのです、はっきり申し上げて。電電公社がこれだけもうけている、この金を全部使ってもいいから大プロジェクトを組んでいただきたい、私はそのくらいの気魄でやってもらわなければ困ると思うのです。おそらく野党の諸君の皆さんだって大賛成だと思うのです。与党のほうももちろん賛成だと思う。これは逓信委員会一致した意見でないかと私は思いますけれども、これからの情報化時代に対して大いにやっていかなければならぬ。アメリカが非常に技術が進んでいるけれども、日本の技術が追っかけていかなければならぬ。そういったときに一番中心になるのは、何と言ったって非常に高度の技術でありますから、電電公社のようなところが大いにがんばってもらわなければならぬと思うのです。三鷹の研究所で少しのことをやっていて研究をやっておりますということではいかぬと私は思うのです。もう少し積極的な研究体制をとってやっていただきたい。  と同時にもう一つ申し上げたいのは、研究体制において何よりも必要なのは技術者の教育であります。技術者の待遇だと思うのです。この点について十分な配慮をしていただくことをお願いいたしまして、あとまだデータ通信のほうがございますけれども、この問題につきましては次の機会にぜひさせていただきたいと思っております。このくらいで質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  31. 金子岩三

    金子委員長 午後十二時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      ————◇—————    午後零時五十五分開議
  32. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、この法案の審議に入ります前に、大臣が御存じかどうかは別にいたしまして、郵政当局に質問をし、お尋ねをしておきたいと思うのであります。  それは、この法案を提出する前に、通産省と郵政省との間で覚え書きを結んだやに新聞報道がされておるわけであります。その内容は、この法案の審議に先立って非常に重要な内容を持った覚え書きであるように、二月二十二日の毎日新聞、さらには二月十七日の日経、こういった各社が一斉にその覚え書きについて報道しておるわけであります。そういう覚え書きを結んでおることが事実かどうか、その点についてまずお尋ねをしたいと思います。
  34. 井出一太郎

    井出国務大臣 法案を提出するにあたりまして、政府部内でいろいろ利害関係を調整するという仕事がございます。これは何も公衆電気通信法だけに限らず、往々にして各省間で話し合いをしてある程度了解を取りつける、こういうことは間々あるわけであります。ことにこの法律一つの柱でありますデータ通信関係につきまして、世論なりあるいはマスコミなりが非常に注目しておりましたことは私どももよく承知をしておるわけであります。そういう関係から、このコンピューターというふうな問題にもわたるものですから、通産関係においてはその生産面なり、利用なり、こういうことに関心を持っておる関係上、この法律につきまして非常な注目を寄せておったものと思います。そういうわけで両省間の了解を前もって取りつけるということは確かにあったわけでありまして、この細目は松浦さん御必要がありますれば事務当局から申し上げますが、これはほかにも例があることでありまして、ことほどさように私どもとしてはこれが法案の性格を拘束するというふうな大問題ではないというふうに了解をしておるわけでございますが、少し内容に立ち入って事務当局から申し上げることにいたします。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣の御答弁で、ぜひ事務当局のほうからその事務次官同士で結びました覚え書きについて、本委員会に提出していただきたいと思うのです。その覚え書きいかんによっては、私は、その覚え書きによって非常に重要な内容を含んだ覚え書きになるわけです。ここに書いてある社説を見ましても、問題点として見ましても、審議に対して非常に影響のある覚え書きを結んでおるようでありますから、その覚え書きが提出されるまで一応質問を保留したいと思うのです。(発言する者あり)
  36. 井出一太郎

    井出国務大臣 資料として御提出をするのも一つの方法でございますが、委員長のおはからいによりますければ、ここで口頭で御説明することも可能でございますから、それをひとつお聞き取りをいただけばしあわせであります。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま不規則発言がありましたけれども、私は何も引き延ばすつもりで言っておるのではないのです。この二月十七日の日経の内容を読んでみましょう。ここではこういうことが書いてあるのです。「使用料金認可制も法文上は郵政省原案のままであるが、先行中の電電公社データ通信業務の料金よりも民間側の新らしいデータ通信業務の料金を割高にしないよう、これも関係当局間で覚え書きを交換している。」料金問題というのは、やはり国会の審議権だと思うのです。データ料金を法制するか認可料金にするか、こういった問題は、私は少なくとも国会の審議権に属する内容だと思うのです。そうでないと言うなら、ないと言っていただいてけっこうだと思います。そういう覚え書きの内容があるから私は非常に重要だと言っておるのです。国会の審議権じゃないですか。料金問題ですよ。これはちゃんと日経に書いてあるんですから。重大でないというならかまいません。その点はどうなんです。
  38. 井出一太郎

    井出国務大臣 それでは私のほうから覚え書きの概要を申し上げたいと思います。おおむね次のとおりでございますが、第一点、両省は情報化社会の健全な発展のために相互に協力しつつ適切な施策を推進していくこと。第二、特定通信回線の共同利用の基準に関する省令を定めるときは、通産省の所管に関するものについては相談する。第三、特定通信回線の共同利用の承諾の事例はできる限り営業規則などに記載するようにする。四、データ通信技術基準は、公衆電気通信役務の提供に支障を及ぼさないように定める。こういうことでございまして、いまの料金問題については御指摘のようなことは全くございません。なお、この覚え書きは、改正法案が成立いたしました場合の運用上の問題でありますので、国会で御審議をいただくことを拘束するようなことは全くない。これは先ほど申し上げたとおりであります。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、この日経に書いてある料金問題、そういったことについては一切触れておらない、そういう覚え書きではない、これは日経の誤報である、こういうことでございますか。そう点どうです。
  40. 井出一太郎

    井出国務大臣 私どもの関知するところではございません。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、その覚え書きについて口頭で説明をしていただきましたから、一応この日経が誤報であるということについて了解をいたしますが、ぜひその覚え書きについて、文書を取りかわした内容について御提出いただきたい。その点どうでしょう。委員長のほうで取り運んでいただきたいと思うのです。
  42. 井出一太郎

    井出国務大臣 さように取り計らいます。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これはいま大臣のほうからの御答弁で私は一応了解をいたします。提出された内容によって、またさらに質問をそのものに触れるかもしれませんが、ただ法案を事務当局で作成する段階でこういった内容が新聞に報道される。関知されないということですから、私はそれでけっこうだと思うのです。しかし、そういったことが、事前に国民の前に新聞を通して何らかの過程として、段階的にどこかで発表される。私はどこだというふうに申し上げません。通産なのかあるいは途中なのかあるいは郵政側なのか、そういうことをここで言おうと思わないのです。ただしかし、そういった途中の経過というものが少なくとも法案の審議に影響を与えることは事実だと思うのです。いま誤りであるということでありますから、そのことについてさらにここでくどくどと触れるつもりはありませんけれども、しかし今後の問題としてそういったことがないように、新聞社の誤報だそうでありますから、事務当局のほうで御配慮いただきたいというふうに思うのです。  それでは、いまの問題については一応保留いたしまして、次の質問に入らしていただきたいと思います。まず第一点は、情報化社会ということを私たちは盛んに言うわけであります。それじゃ一体その情報化社会というのはどういう社会を情報化社会というのか。情報化というものの定義が非常にあいまいだと私は思うのです。いろいろな資料がここにございます。「情報化時代国民生活」、これは国民生活審議会が出した情報化社会に対する見解でありますけれども、この見解等についてはもう郵政当局は十分お読みになっておると思いますから、ここでくどくどと申し上げませんけれども、ここでいっておることは、個人や企業や政府が敏速かつ適切に対応できなかった場合には、社会全体が自分でつくり出した変化の洪水に押し流され、人間性を喪失してしまう可能性が非常に大きいんだ。それから情報のはんらんに対して選択能力が追いつかないために起こる疎外感、職場における理解不能領域の拡大による生きがいの喪失、家庭の機能の縮小に伴う不安定な家庭の増大、コミュニティの崩壊による孤立感、価値観の分裂による対立、抗争の激化等、人間の生命や人間性を阻害する度合いを一段と強めることが予想されるんだ。これは国民生活審議会がそういうふうにいっておるわけなんです。  ところが、産構審の「情報処理および情報産業の発展のための施策に関する答申」、この内容によりますと、きわめてバラ色にこれが報道されておる。情報化社会を人間の知的創造力の一般的な開花をもたらす社会と考えるべきである。そして非常にはなやかなものとしてここで書かれておるわけです。さらに、御承知のように、新経済社会発展計画を作成する段階において、経済企画庁の情報化委員会で議論をいたしましたその内容は、この国民生活審議会の議論と同じように、「技術的失業と社会的調整」ということで非常に暗いということをやはり訴えておるわけなんです。政府のそれぞれの機関で行なった情報化社会というものに対する受け取り方がいろいろ形が違っておるわけです。  だとするなら、情報化社会に対応しようとして今度の公衆電気通信法改正されようとしておるわけでありますから、一体郵政当局情報化社会というものをどういうふうに把握しておるのか、一体われわれ人間はどういうものになるのか、情報化社会における人間は何をなすようになるのか、こういった点について、この際大臣の御所見を賜わりたい。またこれは非常に広範にわたるとすれば、事務当局のほうでもけっこうでありますから御答弁をいただきたいと思うのです。
  44. 井出一太郎

    井出国務大臣 松浦さん、たいへんむずかしい問題を御提起になりました。といって、やはりわれわれはいまいわゆる情報化社会の中に生きつつあるわけでございまして、それを踏まえていかなければならぬのでございますが、しかし、いま幾つかの所見を御紹介になりましたが、なかなか一本にまとまった統一的見解というものにまで熟しておらぬのではないか。情報化社会を定義づけるということはなかなかむずかしい問題でございまして、これが定説であるというところまでまだいっておらぬのではないかというふうに私思うのであります。それは、言うならば、そういう時代の入り口に差しかかっておるということではなかろうかと思います。したがって、世の哲学者諸賢もこういうものに対する検討をただいましておるのではなかろうか。未来学者といわれるような人の所説も若干目を通してみたのでありますけれども、なかなか一本にまとまっておらないようであります。  そこで、人類の発展の段階というものをずっと振り返ってみますと、狩猟の時代、農耕の時代あるいは工業の時代、それから近ごろは脱工業化の時代である、こうもいわれております。一方、産業の形態などから見ると、一次産業、二次産業、それから三次産業というものがこのごろは大きなシェアを占めてきておるようであります。こういう時代をいかにとらえるかということなんでございましょうが、ともかく私どもの周辺に、ただいまいろんな種類の情報というものがはんらんしておる、応接にいとまがない、こういう時代に差しかかっておることは事実でございます。そんな次第でありますから、かりに一つ考え方を示すという意味においては、社会なり経済、文化等の発展段階において、人間の知的な創造物というものが相対的価値を増している社会をさすのだというような、これはごく簡潔にいえば、知識産業なんということばがありまするように、いままでは物の生産、こういったものに重点を置いた社会が、知識というものが非常に大きな分野を占めてくる時代、こういったふうに一応私どもとしては理解をいたすわけでありますが、そうして、このたび御提出をいたしております法案の中身のうちに、コンピューターというものが電気通信と結びついて出てくるわけでありまして、将来を展望いたしまするときに、この一つのシステムというものが非常に重要性を増してくるであろう、こういう認識に立っておるわけであります。ものごとには、ライトサイドとダークサイドと両方つきものでございますが、それをいかにして運営し活用していくか、それが人類のためになるという方向へ英知を傾けるというのが人類の使命ではなかろうか。どうもとりとめもありませんが、若干の所見を申し上げまして答弁にかえさせていただきます。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣は非常にまじめな方ですから、私はいまの御答弁を率直に受け取りたいと思うのです。ただ問題は、これはもう読まれておると思うのですが、ニコラス・ジョンソン、米連邦通信委員委員の方ですけれども、この方が「情報時代」ということで、日本万博のときに、昨年の四月二十八日ですけれども、「人間と文明」というところに起草をしてくれておるのです。御承知のように、アメリカというのは日本よりも数段進んでおる。情報あるいはコンピューター、そういったものについて、世界で最先端を行く国なんですが、ここでこのニコラス・ジョンソンが言っておることはどういうことかというと、これは翻訳してあるものですから、あるいは原文と違っておるかもしれませんが、これは毎日新聞の翻訳でありますから、おそらく私は正確だと思うのですが、要するに生かすか、殺すかの選択だ。どういうことを言っておるかというと、非常に重要ですから私は読み上げます。「解決すべき問題はたくさんある。ここでそのいくつかの例をあげよう。まず、情報社会において情報が力であるとすれば、その力は、どのようにして分配されるのだろうか。もし会社にコンピューターがあるとして、すべての従業員がその中に含まれる情報を知って利用できるのか、それともその力は、その会社の社長や選ばれた少数の人々のものとなるのか。また情報は貧富を問わずどの家庭でも同様に利用できるのか、それとも金持だけが情報や知識を得て、貧乏人は取残されるのか。だれが国家のためにそうした基本的な決定をくだすのか——それは私企業か、政府か。個人情報のプライバシーは、コンピューターの中でどう守られるのか。一個人についての誤った情報がコンピューターにはいった場合、誤りを発見し、訂正するその人の権利はどうなのか。」日米両国では、これらの問題についてもっと組織的に意見を述べるようにすべきではないだろうか、こういうことを言っておられるのです。  私は、確かに情報化に備えてコンピューターなりあるいはデータ通信、こういったものがどんどん先行することは、それを決して否定するものではありませんが、アメリカのように進んでおるとところの通信委員会の人が、非常にそういうものに対して危険だ、組織的に取り組まないと危険なんだ、こういうことをここで訴えておるのですね。だとするなら、私はいま思い起こすのでありますが、情報化処理協会法案が第六十三特別国会で上がったのです。このときに商工委員会では、わが党の堀昌雄委員、宮澤通産大臣との間にやりとりがあります。私も商工委員会に参りまして、郵政大臣と私はここで議論をいたしました。また第六十三特別国会の第五分科会で、情報化の問題について議論がなされております。そのときに議論がされたのは、情報化社会に対して三原則、まあ三原則といったようなものを含んだ基本法というようなものをこの際つくるべきではないか、実はこういう議論がなされておるわけであります。御承知のように、こういった情報というものが平和的に利用されるべきだ、国民生活に寄与すべきである、さらに民主的な管理運営というものが必要だ、プライバシーというものは守られるべきだ、こういった一つ情報化社会に対する基本といったものが早急につくられるべきだという議論に対して、郵政大臣も宮澤通産大臣も的確にその必要性を認めておられるわけであります。ところが、そういった基本法というものは全く表面に出てこずに、ただこういったものだけが、機械的な技術的なものだけが先行しておる。これは私はたいへんなことだと思うのです。一体情報化基本法といいますか、もっと具体的に言うなら、アメリカの大統領が、これは「現代の理論」という中から引用しておるのですが、一九六七年大統領の年頭教書、ここにおいて明確にその方向を指示しておるわけです。またフランスにおきましても一九六五年から七〇年にかけて、フランスの経済計画の中でそういう必要性を明確にしておるわけであります。もちろん、社会主義の国ソビエトにおきましてもコスイギン首相が、この情報化というものに対してのそういった問題を含めた方向というものを明確に出しておるわけであります。そういった上に立ってデータ通信の発展があり、そういった情報化社会というものが実は前進をしてきておるのが先進諸国の姿なんです。  ところが、アメリカにおいてはそういった大統領教書が出されておるにかかわらず、なおかつ、専門家がこういう危険があるということを実はわが国に対して警告をしておられる、論文を発表しておられる。こういうことを考えますと、この情報三原則、こういった情報化社会に備えてのこういった基本法といったものが一体政府で具体的にいつ出されるのか、どのような議論をされておるのか、こういうことは国民にとってきわめて重大なことだと私は思いますので、明確に大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  46. 井出一太郎

    井出国務大臣 松浦さんから、ニコラス・ジョンソンをはじめいろいろな引例をされまして、該博なこれに対するお考えを展開されたのであります。私、これにお答えするのにはまことに乏しい知識でありまして、的確にマッチするというふうには考えておりませんが、御指摘のとおり、これはたいへん重要な問題でありまして、私どもがこの情報化社会の入り口に立って戸惑いを感ずる。いかに展開をされておるか、非常な可能性を豊かにはらんでおるということは間違いないと思いますけれども、しかしまだ、的確にこれだというところへ到達するのには時間がかかるようであります。アメリカが日本に先行すること、これは特にコンピューターの問題等につきましては数日の長があるわけでございまして、この経験は私どもも学ばなければならぬと思うのであります。だからして、いまのニコラス・ジョンソンの警告などはやはり私どもも、とってもってよく玩味をしてみなければならない警告であろうと考えております。  そこで、わが国もおそまきながら、コンピューターの普及については、アメリカに次いでドイツか日本か、こういわれるようなところまで進展をしてきておりますし、ソフトウエアの面などでは、アメリカにはるかに及ばないとしましても、現に非常な普及があり、それがすでに働いておる時代でございまして、そういつまでもほっておくわけにはまいりません。そこで、先般商工委員会で、ただいま御指摘のような三原則でありますとか、あるいはあの法律ができますときの附帯決議というものも承知をしておるのであります。情報の民主的かつ平和的な利用をはかっていかなければならぬということは、これはもう当然でありまして、政府もその点にはいろいろと配慮をしておるのでありますが、この情報化の基本法というものをつくるべきだ、このお話は前々から伺ってもおりますし、私ども政府間でもこういう話題は出ておるのであります。ただ、これの及ばない範囲というものが各省にまたがって相当広範囲である。それからさらに、先ほど来申しておりまするように、情報化社会の定義というものもなかなか明確化するということができない状態にありますので、これを法定してお目にかけるというのには、これはどうしてももう少し時間がほしい。これは御了解がいただけると思うのであります。  ところが一方、事実関係がどんどん先行をしているというこの現実を顧みる場合に、これまたほっておくわけにもいかない。こういうことで、今回公衆電気通信法改正の中にデータ通信の一項を設けましたゆえんのものは、まずこの事実関係をひとつとらえていこうという考え方でございまして、これが、やがてできるであろう基本法、そこに盛られるであろう諸原則、こういうものに照らして、決してそれから逸脱するものではない、こういうところに注意を払いつつ現実の問題を処理するという限度にとどめてこの法律をお目にかけておる、かような御理解の上に御審議をちょうだいしたいわけでございます。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、非常に基本的な問題ですから、もう少しこの問題は詰めておかなければならぬと思うのです。事実が先行してしまって、問題が起こったときに、さあおそかったということでは、私は問題は解決してこないと思うんです。それで監理官でもけっこうでございますが、私はその具体的な問題としてお尋ねをしておきたいのです。いま国民総背番号制という問題が、自治省あたりで盛んに議論をされておるんですね。一億国民に全部背番号をつけて、何番何番という番号をコンピューターに打ち込んでおいて、その番号を引き出すとその人のすべてがわかる。極端にいうと、いま自治省はそこまで考えておらないけれども、実際に背番号を打ち込んでおいて、その背番号を引き出すと、その人の生年月日から略歴から思想調査から預貯金から家族構成から、全部実はやろうと思えばできるんですね。そういったときに、それをだれかが握ったら——それを握るのは自由民主党でもわれわれ野党でもない、われわれ実際はそういう仕事にはタッチしないわけであります。それを実際に握った者がそれを運用するいかんによっては、私はたいへんな問題になってくる。プライバシーの問題も出てくるであろうし、そのことが国家行政というものに対して重要な左右をする、そういった重要な問題も出てくるだろうと思う。そういうものに対して何の予防措置もない。いまソフトウエアの問題がある、あるいはこの前リーダーズ・ダイジェストの例の電磁テープに写し取った問題があります。実際、それじゃこれを抜き取った者はどういう現在の刑罰になるのか。いまデータ通信そのものの端末である情報を握る、それを写し取る。そのものを取るんじゃない、それをある形で写し取る、こういった者がそれではいまの法律の中でどういう処罰になるのか。きょうは法務省のほうは、専門官がちょうどおられないので、遠慮さしていただくということできょうは来ておられませんけれども、実際にそういう者に対して、これは通産省でもいいし郵政省でもいいです、これをどういうふうに法体系の中で処罰しようとするのか。逆にいうと、公衆電気通信法によって——電電公社の職員、こういう人間がデータに携わってその内容を明らかにした場合には、これは公衆電気通信法によって明確に処罰される。ところが、それが一方民間に開放されて、回線が専用回線で民間に使われておる、民間が使った場合に、そういう事態が起こったときに、それに携わっておる民間の従業員がそういうことを起こした場合、それはどういう法体系になるのか、どういう処罰になるのかということについては、現在の日本の法体系の中では私は完備されておらぬというふうに思うんですね。  情報化の中で、それじゃ個人の、ここにおられる皆さん方のプライバシーがどういう形で守られようとするのか、そういうことについては何らの回答もないと思うのです。具体的にどんどん事実が先行しておる場合に、そういったものに対する歯どめというものは一体どういった方法でそれではなさろうとなさるのか。基本法というものがない。そういう前に事実が先行しておって、そういう事実が起こったときに、それを現在の法体系の中でどう規制しようとするのか。そういうことについて、もし監理官のほうでおわかりならば、これは郵政省サイドでありますから、郵政省がきめなければ法務省はなかなかそういうものにタッチしないわけでありますから、郵政省のお考え方をひとつ述べていただきたいと思います。
  48. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 郵政省からお答え申し上げますが、ただいま最初国民総背番号ということについてお触れになったわけでございます。こういうアイデアにつきましては、かなり最近話題になってきておるようでございますが、これをどういうふうにコンピューター、特にオンラインシステムに乗っけて実施をはかるかということについては、まだまだ実施段階はかなり遠いことになるのではないかと思います。ところで、いま国民背番号として国民一人一人のいろいろの個人的なデーターの扱いについてお述べになったわけでございますが、これはいろいろな行政上の必要で、最も基本的なものは戸籍というような形でも現在は国がこれを管理しているわけでございます。そのほか、いろいろ今後の行政上必要な資料はコンピューターに記憶させる、そしてこれを集中的に管理する、またこれが行政上の必要によって、オンラインで将来利用ができるというようなときに、この問題といたしまして、特にプライバシーの保護という問題が出てくるのじゃないかと思います。それでこのプライバシーの保護の問題につきましては、基本的な人権の問題といたしまして、特に郵政省がオンラインシステムを管理するという立場で秘密の保護、プライバシーの保護という面でいろいろの技術的な施策を講ずる、あるいは公衆電気通信法あるいは有線電気通信法によりまする秘密の保護につきましての施策を進める、これは当然でございますが、それ以外のやはり基本的な個人の自由、基本的な人権というようなものに対する、これは法務省も御指摘のような問題として相当重要な問題になってくるかと思います。それで、ただいまのオンラインの状態でユーザーにいろいろのデータ通信ができるような制度を現在考えているわけでございますが、これにつきましては、ただいま御指摘のように公社データ通信システムがあって、公社の職員がこれにタッチしてくる場合には、これはもちろん公衆電気通信法によりまする公社職員の加重責任もあるわけでございます。また基本的にオンラインシステム全体につきましては、たとえ公社のシステムでございませんでも、これは一つの有線電気通信設備となるわけでございまして、現在でも有線電気通信法によりまする通信の秘密の保護ということについて一応の保護規定はあるわけでございます。もちろんこれはまだデータ通信というようなものが出現する以前の制度として考えておるわけでございますので、将来これについてのいろいろ不備な点はさらに検討をしまして、制度的にももっと完全なものにする必要もあるかと思います。  いずれにいたしましてもデータの保護、特にプライバシーの問題あるいはこれを窃用する、正当の権限を持たない者がこのコンピュータに入りましたデータにつきまして、これを侵害するというような問題もあるわけでございます。これにつきましては、オンラインの問題につきましていろいろな技術的なこれを防止する方法につきましては、すでに電信電話公社のほうでもオンラインサービスを試行役務として現在いたしておるわけでございます。これにつきましてもそれ相応の研究をしました装置を付しているのでございますが、またそのオンライン以外で、ただいまテープの問題で御指摘になりましたように、オフラインの場合においても同じような問題はあるわけでございます。これにつきましての法的な取り扱いにつきましては、確かに現在の法体系だけでは不十分な点があるかと存じます。これらの法制上の点につきましても、やはり一つの制度全体の施策の一環としまして、今後郵政省もその中に入りまして十分検討を進めていくべき問題じゃないかと思っております。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 電電公社の場合にはIDコードであるとかパスワードであるとか、そういった手段によって、そういったものを防止するという手続が開発されておるわけですね。そうすると、電電公社の職員は、電電公社の職員のときに知り得た情報であっても、退職した後といえどもそれを第三者に知らせてはならないという規定公衆電気通信法に明確にあるわけですね。ところが情報社会の中で、ある会社の、たとえばソフトウエアならソフトウエアを開発した、あるいはある会社の秘密を知り得た、その人が今度はAという会社からBという会社に移ってそれを公表する、Aという会社の内容をBという会社に知らせるということについては何らの規制もないわけですね。私は技術的な先行は確かに必要だと思うのです。ところが、その技術的なものがあまりにも先行するために、それに伴う法体系、それに伴う法律の整備というものが非常におくれておると私は思うのです。わが国の場合、取り返しのつかない状態が生まれるのじゃないか。  私は、この出されておる公衆電気通信法の一部改正によって試行役務が法的な役務になる。あるいは回線をある程度開放して民間にこれを貸し与える、あるいは企業についても、共同企業にはこれを開放する、ゆるやかにすることについて私は何もここで反対をしようとも思わないし、そのこと自体についてとやかくけちをつけようとはしない。しかし、問題はそうするために、それではどういう整備をしたのかというその整備がない。そのためにそれではどうするのかという保護するための立場、法律というものが先行しておらない。おくれておる。ここにこれからの情報化社会における日本の立ちおくれというもの、国民に与える不安感あるいは先ほどいろいろと言いました国民生活審議会が発表しておるまかり間違うと一億国民を暗いものに追い込んでしまう、そういうことを政府の部内が指摘をしておきながら、なおかつ、技術的なものだけを先行させて、そういったものが一つも整備されておらない。私はそのことについて非常に疑問を感ずるし、なぜそれではそういうふうに急ぐのか、そういう法の整備がおくれておるにかかわらず、なぜデータ通信のほうだけどんどん先行させるのか。少なくとも電電公社そのものが握っておる場合には、一応そういった予防措置はあるけれども、民間に開放した場合にそういった予防措置というものはない。そういったものに対して、なぜもっと積極的に政府は取り組もうとしないのか。技術的なものだけ先行さして、なぜそちらのほうを足踏みさしておるのか。そこが私は非常に疑問なんです。その点をひとつ大臣のほうから明確に御答弁いただきたいと思います。なぜ足踏みするのか、その点を明確にしていただきたいと思うのです。
  50. 井出一太郎

    井出国務大臣 明暗、両側面がございますことは、これは何ごとによらずそうでありましょうけれども、特に先ほど御指摘のように、こういう問題に対して慎重な配慮をしなければならぬと思います。それを解決するのは、ただ暗い面だけを見詰めておって、それで少しも前進しないというのでは意味がございません。やはりもっと前向きに、積極的に人間の英知を傾けて歴史を前進させるということでなければならぬと思うのでございます。そこで、松浦さんもこの歴史の歯車を何もとめておかれようというのではないと思うのです。問題は、基本法というものが先にできて、それから個々の法体系というものが発足をする、これも一つの行き方だろうと思います。しかし、社会現象というものは必ずしもそうでなくして、まあ基本法と銘打って出ておるいろいろな法体系というものをながめてみましても、たとえば農業基本法、中小企業基本法その他、むしろ各個別の法律というものが先行して、その総まとめのような意味で基本法というものができたという発生過程のほうが、数えてみれば多いだろうと思うのであります。で、私どもとして、その基本法をいたずらに足踏みをしておるというのではなくして、これはこれでやらなければならないと同時に、事実関係も一方においてはほうっておけない、これを同時並行的といいましょうか、一方においては、先般来の御指摘のとおり、基本法の問題とも取り組む、他方現実の要請にもこたえていかなければならぬ、こういうことでこの法律をつくり上げたわけであります。先ほど来プライバシーの問題、その他出ておりますが、まあ事今回の法律に関する限りは、いわばオンラインという問題でございますから、オフラインの場合とは違いまして、さっきのリーダーズ・ダイジェストの名簿が盗用されたというふうなのとは違いまして、コントロールの余地はあるのだ、これはいま柏木監理官の御説明を申し上げたとおりでございます。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣昭和四十五年十月に郵政省が「わが国におけるデータ通信の現状」というところで問題提起をしておることを私はそのままいまここで、ことばは違いますが発言をしたにすぎないのです。これで郵政省の皆さんはどういうことをいっておられるかというと、「データ通信普及推進のための問題点と対策」という中に「情報の機密保持に関する課題」あるいは「教育・訓練の推進に関する課題」「行政における情報処理に関する課題」こういったものがやはり郵政省としても問題を提起されておるのです。ところが、これは問題を提起しておるだけであって、こういった問題を解決するための具体的な方法なり具体的な動きというものが何ら国民の前に明らかにされておらないのです。抽象的に基本法をつくりましょう。賛成です。それでは一体いつどういう基本法をおつくりになるのですか、郵政省のこういった疑問にこたえるのは一体いつなんですか、こういう質問に対しては回答が返ってこない。むしろデータ通信によって公衆電気通信法改正によって、そしてオンラインによるデータ通信というものがどんどんと進んでまいります。それは確かにはね返ってきますが、具体的にこの問題提起に対する回答というのは、政府部内から一つも返ってこないのですね。第六十三特別国会における宮澤通産大臣をはじめ井出郵政大臣の御答弁と今回の答弁とには何らの変化というものはない。  それで、私はここで具体的にお尋ねをするのですが、これだけ具体的に技術が先行しておる段階で、それでは一体いっそういった郵政省が提起しておる問題点の解決を含めて国民に不安を与えないような法体系あるいは保護、こういったものが確立されるのか、その点をひとつ見通しとして明確にお答えをいただきたいというふうに思うのです。
  52. 井出一太郎

    井出国務大臣 いまお示しのものは、昨年の秋に郵政省が確かに問題の提起をいたしております。要するにまだ模索をしておるという段階であって、そういう問いを発しましたものの、統一的な答えを見出すというのにいま苦悶をしておるわけでございます。そういう次第で、この問題について何もじんぜん日をむなしゅうして何にもしないでおるというのではないのでございます。それなりに役所の機能をあげて、みずから出した問題に対してこれをどう解きほぐすかという苦心をしておる段階でございますから、私が通産大臣ともども昨年申し上げました基本法の早期制定に対して、各省とも汗をたらして努力をしておる、このことは決して間違いない、額面どおりにお受け取りを願いたいと思うのでございます。
  53. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、井出郵政大臣はまじめな方だから、そう言われると弱いわけです。しかし、たしかに拱手傍観しておらないのだということはわかります、大臣がそういうふうに答弁しておられるから。それでは具体的にいつなのか、こういうふうに質問したときに、およそどのときまでにはと、こういう回答が返ってこないと、結局模索を続けて時代が先行してしまう、こういう結果を呼ぶのではないかという気がしてならないのです。大臣、ここではっきり御答弁できるのかどうかお尋ねしておいて、もしできないとすると、本委員会においてこの法案が採決される衆議院の最終段階において、ぜひ政府部内の意思を統一して本委員会に御発表いただけるというお約束だけでもここでいただけるのかどうか、そのいずれかの御答弁をお願いをしたいと思うのです。大臣を私は信用しておらないから言うのではないのです。ぜひひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  54. 井出一太郎

    井出国務大臣 これはタイムリミットを示せと言われましても、正直少し酷なる御質問ではないか、こう私、思うのであります。ということは、先ほどの御質問にお入りになった冒頭から、一体情報化社会の定義とは何ぞや、こう言われても、なかなかいまどんぴしゃりこれだというところへまだ日本の社会全体がいっておらない、こういうこともあるものですから、なかなかこの問題に対しまして松浦さんの御満足のいくようなところにはいきかねておるのでありますが、ただしかし、この法律が、言うならばデータの問題その他先ほどの協会法に次いで——協会法というのは御承知のように何も具体的な問題はないが、これが具体的な立法としてのはしりだろうと思うのです。ですから、このほかにもどういう現象が生じてくるかということもあわせ考えなければなりませんし、そういうものを総合して情報基本法のあり方というものを確定しなければならぬ、こういうことでございますから、どうも、それではひとつ来通常国会には出しますというほどの明確さをもってまだお答えしがたいという点、ひとつ御了承をちょうだいしたいわけであります。
  55. 松浦利尚

    松浦(利)委員 水かけ論になるから、ここでこれ以上私は申し上げようとは思いませんが、結局アメリカに追いつけ追い越せということで非常に技術的なものは進行するのですね。ところがそれに対する予防措置というものが足踏みをしておったのでは、私は取り返しがつかないという気がしてならないからです、くどいようですけれども。ですから、ぜひ政府部内の意思を早く統一していただいて、そうして情報化社会に対応した法体系、これに対応した三原則——これはもう大臣御承知のとおりの三原則という一つのことばで表現されておりますが、こうしたものに対する立法措置といったことに早く手をつけていただきたいというふうに私は思うのです。逆な見方を言いますと、通産省の課長さんも来ておられるようですけれども、この情報という問題は、私は各省のなわ張り争いじゃないと思うのです。やはり国民全体の大切な問題だと思うのです。だからそういう意味では、きょう御出席になっている郵政大臣は国務大臣でありますから、ぜひ国務大臣というお立場でこういった重要な問題について対処していただきたいというふうにお願いをしておきたいと思うのです。  次にお尋ねをしたいのは、現在わが国で行なわれておるシステムが百七十システムあるということをお聞きしておるのですが、その百七十システムの内訳を、ひとつ国産、外国、IBM、そういったものに分けて、どういう比率になっておるのかをお知らせいただきたいと思うのです。
  56. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えをいたします。  ただいまおっしゃいました百七十システム、正確に申しますと百七十二システムでございますが、これは現在公社から通信回線を借りまして、そして電子計算機あるいは端末機器をみずから設置して行なっておるデータ通信システムの数でございます。もちろんオンラインでございますが、そのラインが現在では電電公社専用線を借りて端末だけ自営でしておられる、こういうものでございます。その数が百七十二でございます。その中で、コンピューターにいわゆる国産機を用いているものが六十三システム、外国機を用いているものが百九システム、こういうぐあいに承知しております。
  57. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その外国系のうちに、IBMはどれくらいですか。
  58. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 このうちIBMを用いておりますものは七十五システム、そのほかたくさんございますが、ユニバクを用いているものが二十六システムでございます。大体それが大きなものでございまして、あとはこまがいものでございます。
  59. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまお話がありましたように、現在行なっておる百七十二システムのうち六十三が国産であって、残りは全部IBMあるいはユニバクを中心とした外国のシステムを利用しておる、こういう状態。わが国におけるハードウエア、こういったものについては非常におくれをとっておる。現実問題として、これは通産省に具体的にお尋ねをするのですが、この前の情報処理協会法案のときにも議論になりまして、私の質問に対して小宮山政務次官は、大型電算機の輸入については自由化いたしませんと、こういうことを商工委員会で明確に答弁をなさっておるわけでありますが、新聞の報道によると、大型電算機の自由化は第四次自由化のワクに入れる、あるいは四次半だ、いろいろこういうことがうわさされておるのですが、現実的にハードウエア部門においてすら外国に立ちおくれておる現況の中で、大型電算機の自由化に踏み切ったら、私はたいへんなことになると思うのです。そういう問題で、大体大型電算機の自由化というものをいつごろにめどを置いておるのか、それとももう全く自由化はしませんと、ここで政策的に断言できるのかどうか。これは説明員であるあなたに事前に私は、省内の意見を聞いてきょう答弁していただくようにお願いをしてありますから、通産大臣というつもりでひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  60. 平松守彦

    ○平松説明員 お答え申し上げます。  電産機産業は、技術は進んでおりますけれども、わが国においてはまだまだ格差がございますので、私どもとしては、これは本来外資審議会できめる事項でございますが、通産省といたしましては、第四次のネガティブリスト、つまり自由化をしないリストに入れる方向で現在検討中でございます。しかも大型のみならず中型、小型を含めて電算機というものは自由化をしない、ネガティブリストに入れる方向でございます。  なお、その時期につきましても、私どもはここ当分時期もいつというめどが立っておりませんので、その時期はいまいつまでだということも、自由化の際には論議をするわけにはまいらないので、引き続き自由化をしないというネガティブリストに入れる方向で検討しております。
  61. 松浦利尚

    松浦(利)委員 検討しておるということですか。
  62. 平松守彦

    ○平松説明員 通産省としては検討中でございまして、正式には外資審議会で決定するわけでございますが、その方向で外資審議会のほうに要請をいたしたいと思っております。
  63. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに通産省にお尋ねをいたしますが、藤沢の日本アイ・ビー・エム、これの資本は一体どういう——外国資本一〇〇%なのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  64. 平松守彦

    ○平松説明員 一〇〇%の日本アイ・ビー・エムの工場でございます。
  65. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの電算機の輸入について、自由化をしないということでわかりましたけれども、実際には藤沢工場の日本アイ・ビー・エムを通じてIBMの技術というのが導入されてきておる、こういうことだと思うのですね。実際問題としてそういったIBMに対抗するだけの日本の技術、そういったものがそれではいつ対抗できるだけに成長するのか。そういう点については通産省のほうでいろいろと努力しておると思うのでありますが、一番おくれておるソフトウエア部門も含めて、それではいつごろ追いつくことができるのか、可能なのか、その点をひとつ通産省からお聞かせいただきたいと思うのです。
  66. 平松守彦

    ○平松説明員 IBMとわが国の技術ギャップというのは依然として存在しております。私どもから見ますと、ハードの面はかなり接近はしておりますけれども、ソフトの面においてはおっしゃるようにまだまだの点がございます。昨年御審議をいただきました情報処理振興事業協会等に関する法律で、ソフトに対しては委託開発なり融資制度というものを設けて鋭意努力いたしております。そういったものは関係各省と十分に相談いたしまして、電子計算機利用高度化計画というのを設定いたしまして、それをガイドポストとしてこれからキャッチアップにつとめてまいりたいと考えております。
  67. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここで電電公社のほうにお尋ねをしておきたいのですが、電電公社は独自の技術を開発して、もちろんパテント等はIBMとの提携があるかもしれませんが、そういった外国機を一切使わずに、わが国独自の立場でそういった技術の開発、そういったものについて計画し、そのことが可能であるということを断言できるかどうか、その点についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  68. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  データ通信につきましては、公社といたしましてここ特に四、五年前から開発研究に力を入れております。現在大型のDIPSというものを開発しておりまして、これまではたとえば日本の大手三社のものを使っておりましたけれども、これからはDIPSというものが標準型になるのではないか、ハードウエアあるいはソフトウエアも含めてやりたいと思います。なお、これの開発につきましては、通産省の工業技術院のいろいろ研究も十分その中にいただいて、そして能率よくそれをやるということでやっておる次第であります。
  69. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省にお尋ねをしておきたいのですが、競輪の上がりですね。とっぴな質問をするようですが、自転車競走の振興会の上がりですね、あれを機械振興のために使うということで年間六十億近くの資金が協会に集まってくるはずなんですね。その機械振興資金の中から、こういった大型プロジェクトに対する援助資金というようなものは出されておるのですか。その点どうでしょう。出されておらないのですか、出されておるのですか。
  70. 平松守彦

    ○平松説明員 超大型高性能コンピューターのプロジェクトにつきましては、全額一般会計でまかなっております。いま先生の言われましたような競輪資金につきましては、たとえばシステムエンジニアの訓練機関である情報処理研修センターとか、そういったようなところにはそういう資金を投入いたしております。
  71. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省にここでお願いしておきたいのですけれども、私はきのう資料を——あなたに言うのはこれは酷かもしれませんが、きょうの質問に間に合うようにその資料を提出してもらいたい、私の手元に資料をいただきたいというふうに、きのう通産省のほうにお願いをしておいたのです。ところが、質問するまでに手元に来なかったのですね。ですから、できるだけ質問の前にそういった資料が届くようにひとつ伝えておいていただきたいというふうに思います。それは金額が幾らかというようなことについてここでわかりませんから、これ以上ここで質問をしようとは思いません。  それではここで、技術的な問題になってたいへん恐縮でありますが、電電公社のほうに、あるいは監理官でもけっこうですが、お尋ねをいたしますが、データ通信というものの通信設備の範囲はどこからどこまでなのか、このことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  72. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  データ通信をやります場合におきましては、電子計算機と電気通信回線とを接続いたしまして、端末装置をその一端につないで、電子計算機に計算をさせるわけでございますので、そこにおきましては、情報が送り伝え受けられまして、処理されてまた送り伝え受けられますので、全体として電気通信設備と観念しておる次第でございます。
  73. 松浦利尚

    松浦(利)委員 電電公社の場合は、オンラインシステムは全部端末から端末まで電電公社でやっておられるわけで、いま言ったようなことで理解できるのです。ところが、法体系上一つ疑問がありますのは、専用回線を民間に開放して、それで電電公社の場合、大型電算機その他については全部国産、電電公社で開発したものを現在使っておられる。そうすると、民間の場合は、借り入れてくる、レンタル方式ですね。IBMの場合はほとんど貸し業だ、売るんじゃなくて貸し業だ、こういうふうにお聞きしておるわけでありますが、回線を借りた業者が相手側から端末機械を借りてくる。借りてきたそのものは一体どういう法的な位置づけになるのか。法体系上、借りてきた機械は一体何になるのか、その点、ひとつ教えてください。
  74. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまお話がありましたように、電信電話公社のほうが電気通信回線を提供いたしまして、これにユーザーがコンピューターあるいはその端末設備を接続して、これを一体として運用する、これがデータ通信ということになっておるわけでありますが、これを、先ほど申し上げましたように、全体といたしまして電気通信設備というふうに観念しておるわけでございます。  なお、電信電話の設備の専用という制度が現在ございまして、同じように端末設備を利用者がみずから設置している、つまり、自営の設備があるわけでございます。ちょうどこのように、ユーザーがこの電信電話公社の回線に接続している端末あるいはコンピューターにつきましても、全体としては電気通信設備でございますが、専用制度の場合と同じように、これは自営の端末設備というふうに観念してよいかと考えております。
  75. 松浦利尚

    松浦(利)委員 自営の通信設備、こういう解釈でようございますか。
  76. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 接続しますその端末あるいはコンピューター自体につきましては、自営の有線の電気通信設備である、こういうふうに観念してよろしいと存じます。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここで郵政大臣お尋ねをしたいのでありますが、先ほどからいろいろとありましたように、ハードウエアのギャップというものはだんだん縮まってきておりますね。ところが、ソフトウエアのギャップというのはなかなか埋まっておらないのです。現実にアメリカではもうずっとわが国よりソフトウエアは進んでおります。ですから、アメリカで開発されたソフトウエアがそのまま日本アイ・ビー・エムを通じて利用されるというようなことに対して、規制する方法というものが現在ないわけですね。ない場合に、極端にいうと、日本の情報をアイ・ビー・エムを通して向こうのほうに持ち出されてしまうという危険性もあると思うのです。ですから、答弁としてはおそらく日本のソフトウエアギャップというものを早く埋めるために努力するという答弁が返ってくるのだろうとは思いますけれども、しかし実際問題として、現実にそういったギャップがあるということで、アメリカで開発されたソフトウエアというものが日本で利用されてくる。そういうものに対して、そういった国外持ち出しとか何とかいうことに対する対策、開発されてギャップが埋まるまでの対策、こういったものは行政的にどういう方法をいまお考えになっておられるのですか。その点をひとつお聞かせをいただいておきたいと思うのです。
  78. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまの御質問でございますが、ソフトウエア自体を外国のものを使う、これはたくさん例があるわけでございますが、しかし、そのソフトウエアを使いましたデータ通信システムで蓄積されるデータ自体、これをどういうふうにするかということは、これはまた別問題でございまして、これはおそらくユーザー自体の財産権に属するものといたしまして、たとえば外国のソフトウエア業者等と契約する際に、それについては十分な保護の契約条項があるのではないかと思います。ただ、往々そういうようなシステムにつきまして、レンタルしている設備全体をもともとユーザー自体がコントロール、オペレートするものでございますが、これを業者のほうに野方図にまかせる、つまり管理がゆるくなるというような場合に、テープに入ったものの管理を侵されるというような危険性があるいはあるかと思いますけれども、これは実際上の問題といたしまして、やはりユーザー自体の管理体制、責任の問題もあるかと存じます。
  79. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ユーザーの責任その他ということで、ユーザーのほうにその責任を持っていかれたので、なるほどユーザーの責任になることは事実なんです。ところが、御承知のように、いまお話したように、ソフトウエアがこれだけのギャップがある。しかも大型電算機の開発というものも、外国からの上陸を押える状態なんですね。ところが先ほど言いましたように、回線を開放してますますその情報化というものが前進する。データ・オンライン・システムというものが民間に開放されてくる。開放されてくると必然的に大型の機械を導入する。利用価値があるから大型電算機というものを持ち込んでくる。そうすると、ハードにおけるギャップも次第に埋まってきておりますけれども、なかなか日本アイ・ビー・エムに太刀打ちできるだけのものにはなっておらぬわけでありますから、いま回線を開放したら、必ず大型電算機というものはIBMあるいは外国のものが入ってくる。  しかも現在日本の——はっきりした技術的なことは通産省じゃないとわかりませんけれども、高速の場合ですね、ビットの早い場合、高速の回線利用の場合については、やはりまだまだ太刀打ちができない。そうするとソフトウエアも膨大なギャップがあるということになれば、いま回線開放をして一番利用されるのは、民間に利用されがちだろうと思うのは、結局外国の電算機であり、外国のソフトウエアというものが利用されるのではないか。極端にいうと、いま開放することがそういったものを導入する契機になりはしないだろうか、こういう点に対して非常に不安があるわけですが、そういうことは絶対にありませんとここで断言し得るのかどうか。その点について郵政省当局、これは技術的なことですから、監理官でけっこうでございます。あるいは通産省のほうで異議ありとすれば、通産省のほうも郵政省のあとでひとつ御答弁いただきたいと思います。
  80. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 なかなかむずかしい問題でございますが、ソフトウエア自体を大型化するに従いまして、日本で開発しているもの以外に、外国のソフトウエアを使う場合というのは多くなるのではないかというお話でございますが、これはそこに入った、そこでシステムを利用するデータがとられるかとられないか、そういうことと別の問題と存じますが、そのソフトウエアの問題自体につきましては、確かに御指摘のように、大型のシステムに使用されるオンラインのソフトについては、かなりまだおくれておるということでございます。一方先ほど通産省側からの御説明がございましたように、この問題を非常に重要視いたしまして、オンラインソフトウエアにつきましての利用高度化計画というものを策定いたしまして、通産省、郵政省ともこの問題を詰めていく体制ができておるわけでございますが、しかし回線の利用を広めることに従いまして、大型のソフトのシェアが外国の業者の分が高くなるのではないかということにつきましては、やはりそういう傾向は当面若干出てくるのではないかというふうに推測しております。  なおまた、通産省側からの何か御意見もあるかと存じますので、その点をお伺いしたいと存じます。
  81. 平松守彦

    ○平松説明員 お答え申し上げます。  いままでの例で申しますと、二千四百ボーの回線には外国機が非常に多いということは御指摘のとおりでございますが、これは昔のコンピュータ導入の初期のころの証券会社とか銀行というのは、IBMなりユニバクの機械が非常に多く、これは日本の当時大型技術がございません時代で輸入されたものでございますが、最近になりますと、工業技術院を中心として、大型プロジェクト五カ年計画でやりまして、また電電のDIPSの技術ということで国産メーカーの大型コンピューターというものはかなりいま実用化されてございます。ただいまの例で申し上げますと、日本電気の二二〇〇の七〇〇とかいうようなものは相当ひけをとらないことになっておりまして、回線が開放されますと、そういうまた回線開放に伴ってコンピューターが回線に結合して、そこのインターフェースの技術というものを開発していけば、これからは大型は全然だめになるということはないと私は考えておりますし、現時点においても、いま電電公社が試行役務でやっておられますような全国ネットワークでのデータ通信というものに一ぺんに民間企業が入れるほどの蓄積はまだございませんので、当面は小規模のデータ通信から始まるだろうと思いますので、そういった点におけるソフトウエアというのはいままでもかなり使われております。ですから、一ぺんに急激に大型が入ってくるというような予測は私どもはいたしておりませんし、かりに万一そうなりましても、物の自由化をしておりません。いま輸入の制限をいたしておりますので、その面からも十分配慮してまいりたいと考えております。
  82. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この前新聞に、IBMの特許交渉の問題についていろいろ出ておりましたね。私が非常に心配するのは、日本アイ・ビー・エム現実問題としてはこれの存在が非常に不気味なんですよ。確かに輸入を規制をするということについて、そのことは通産省の態度は正しいと思いますね。しかし、それに対してアメリカのほうはだぶついておりますから、アメリカから相当強い抵抗があり、圧力がかかってくることも事実だと思うのです。しかしその前に、現実的にいま日本アイ・ビー・エムというものが国内に存在をしておる。そういったものが、逆にいうと非常にコストの安いものとして民間に非常に利用されてくる。しかもさっき言ったようなギャップというものがあるから、必然的にそういうことにならざるを得ないという方向もあると思うのですね。だとするなら、この際ここで私は通産省なりあるいは郵政当局にお願いをしておきたいことは、私は確かに回線を開放することについて、今度の法律が全面的な開放ではなくて限定されておりますから、基準に適合した場合あるいは個別認可という形になってきておったり、あるいはいろいろの制限条項が加わってきておりますから、全面的な開放ではないといたしましても、現実的に開放ということはあり得るわけでありますから、その開放されてきたことによって、それでは日本のハードなりソフトというものが急速にギャップを埋める可能性があるのかないのか、開放するから日本のそういったハード、ソフトのギャップというものは埋まります、こういう方向が出てくるのかどうか。その点についての自信のほどをひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
  83. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 一般の電気通信回線を広く電子計算機の利用のために使ってもらうということによって、コンピューターの技術格差というものが縮まる方向にいくかどうかという将来の見通しの御質問と承わりますが、私どもはこのわが国における電子技術の持っているポテンシャリティーと申しますか、それの力というものは相当なものがあると考えておりますし、そうしてそれが別の機械を得ることによってより促進されるであろうということも期待いたしておる次第でございます。したがって、ここで絶大に進歩を促す方法であると断言するまでにはまだ自信はございませんけれども、しかしながら、かなりの進歩を促すものとわれわれは確信しておる次第でございます。
  84. 松浦利尚

    松浦(利)委員 確信ということはことばであって、実態が伴わなければ私は意味がないと思うのです。そこでこの際、郵政大臣にお願いをしておきたいのですが、冒頭にも申し上げましたように、情報化社会というものに対する定義もない。実際に技術が先行してそういったものに対する保護的な法律、そういったものも現実的にはまだ討論の段階である、こういう状態の中で、回線を開放していくわけでありますから、各省間のなわ張り根性というものは私は捨ててもらいたいと思うのです。極端なことをいいますと、自治省は自治省あるいは郵政省は郵政省、こういったふうに情報というものの先取り、なわ張り、こういったことが各省間で行なわれておったんでは、これは私は国民の期待する方向には進んでいかないと思うのです。少なくともデータ通信、オンラインシステムに関する限り、その主導権は私は郵政省側にあると思うのです。そういったことを考えていくと、郵政省の指導力、そういった各省間の調整、そういったことを、通産省は非常に不満かもしれませんけれども、しかし私はそうだと思う。そういった意味で、私はこの際、そういったばらばらの各省が自分のところのなわ張りを取り合うというようなことをやめて、やはりすきっとした、極端に言うと、情報処理委員会とか、名称は仮称でいいですが、そういったものをひとつすぱっとしたものをつくって、その中で全体的な情報化に備えた、対応するそういった問題について議論をする、ばらばらの各省間の意見というものもまとめていく、こういうお考え、発想というものはお持ちになるのかならないのか、その点、ひとつ大臣お聞かせいただきたいと思います。
  85. 井出一太郎

    井出国務大臣 ばらばらの行政というお話でございますが、それはそれぞれ役所における守備範囲というものがございますことは御承知のとおりでありまして、電子計算機の生産部門を受け持つというふうなことは、これは何といっても通産省が主体でなければならぬ。それぞれ各役所にその持ち分というものはあろうかと思います。それを、いたずらになわ張り争いでなくして、この文明の進歩に寄与するために総合調整をしていかなければならぬ、これまたもとより当然でございます。したがいまして、いまの委員会というような仕組みはどうかという御提案でございますが、これもおそらく基本法というものを検討しておる段階でございますので、一つの重要なテーマとしてこの問題にも触れてまいるつもりでございます。そして本法律に関しまする限りは、事ここに至るまでのプロセスにおいては、各省それぞれの主張というものはあったことは事実であります。しかし、事はオンライン、少なくとも通信回線に乗せるということであります以上は、これはリーダーシップは郵政省が持つべきものであり、その責任にまた任じなければならぬ、こういう決意を持っておる次第でございまして、今後も誤りなきを期したいと、こう考えております。
  86. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今後誤りなきを期したいということでありますから、誤りなきようにひとつお願いしたいのですが、特に冒頭から申し上げておるように、四十五年十月の郵政省の——私が一番心配するのは、誤った情報の流通ということです。そのためにどうするかということはこれに書いてあるのです。ところが各システムによって自治省は自治省、どこはどこということで、国民にとっては一つのものでありますけれども、各省がそれぞれ同じようなことをやっていくと、誤った情報というものが流通する可能性なきにしもあらずと思うのです。そういうことは、郵政省はちゃんと提起しておられる。私は、これはりっぱな提起だと思うのですよ。だから、ひとつ大臣、これはイニシアをとっていただいて、どんずばりそういった方向で前向きに、早急に御検討いただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  続いて、今度は総裁に、せっかく御出席でありますから、二、三御質問を申し上げたいと思うのです。実は、きょうは総裁のほうに御質問は、ほかの方がされるので、しないでおこうと思いましたが、ちょっと重要なことがありますので、お尋ねをしておきたいのです。  一つは、これは誤りであるのかどうか、電電公社業務遂行のために通信局長会議が定例的に開かれておるようであります。実は、私の手元に十月二十四日の通信文化新聞というのがきたのです。これに「データ通信の八原則」ということで、米澤総裁が初めてデータ通信に対しての八原則について発表をなさっておられる。ところが、その中で、今度の法改正と関連して非常に気になりますことは、データ通信のための専用回線は全需要に応じます、こういうふうに言っておられるわけであります。ところが、先ほどのニコラス・ジョンソンの問題を引用して申しわけありませんが、「電話網は基本的には電話機、配線やケーブル網、それにそれぞれを接続する複雑な交換機の三要素からできている。このうち最もありふれているのは、われわれが手にもつ“電話機”である。これが一つの端末機器であり、これによってわれわれの家族という“端末”が電話網に結ばれる。」こういうようにニコラス・ジョンソンはいっておるわけですね。御承知のように加入電話というのは、申し込んでもなかなかつきません。現在二百九十万個からの積滞があるというふうに聞いておるのですね。昭和五十二年までに全部つけるようにしたいということをすでに発表になっておることも私は承知をいたしておるわけであります。しかし、それはそれとして、衝にあるが総裁、そういったものは五十二年までにしておいて、片一方では、「データ通信のための専用回線は全需要に応ずる。」というように言っておられる。それこそギャップですね。どこにその真意があるのか。これは新聞の簡単な一断面でありますから、全体を尽くしておらないかもしれませんが、その真意は一体那辺にあるのか、総裁、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  87. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  たしか昨年の十月ごろに——最近は、ほとんど毎月通信局長会議というのを開いておるのでありますが、その席でデータ通信のことを述べたことは記憶にあります。その後新聞に出たのを私ちょっと見たのでありますが、私は別に新聞記者と会見をしたわけでもありませんし、おそらくその席にいた人が伝えたのでありましょう。私は前前から、国益と国民の要望に沿ってデータ通信という問題を考えていくんだ、これを基本にしておりますし、そういう角度から考えますと、公社といたしましていま一番大事なのは電話の拡張をやるということ、これはしばしばこの席でも述べておりますし、また専用線につきまして、条件あるいは基準というものがあるのは当然なことでありまして、その新聞の記事は意を尽くしていないというふうに理解しております。
  88. 松浦利尚

    松浦(利)委員 意を尽くしておらないということでありますから、これは総裁の意を尽くしておらない文章でありますので、このことはこれ以上申し上げることを控えます。  あと一つお尋ねをしたいのは、いま電電公社が行なっておるシステムの中の一つに、例の販売在庫管理システムというのがありますね。あれは端末機一台について、調べてみましたら債券負担分が百五十万前後だというふうにお聞きをしたわけでありますが、公衆電気通信法の第一条には「あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」こういうふうに明記してあるわけです。ところが実際に、端末機一台につき債券負担分百五十万というものが必要だということになると、これは広く、あまねくということになるのかどうか。中小零細企業あるいは一般国民にはちょっと無縁のものだというふうにも考えられるわけなんです。だとするなら、公衆電気通信法の目的からいってこのようなものに——ものにと言ってはたいへんことばが悪いのですが、こうしたことに電電公社の回線を開放していく、あるいは専用回線を提供していくという行き方は、公衆電気通信法の第一条からいってどういう解釈をなさるのか。そのことがいけないと言うわけじゃありません。そういう第一条の目的に対して、それをどうマッチさせようとするのか。先ほどから議論されているように、これからデータ通信というものが非常に進んでまいりますから、それをどうマッチさせるのか、そのことについてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  89. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  データ通信につきましては、常々公社は、基本方針として独立採算でやる、こういうことにいたしております。ただいま販売在庫管理システムのユーザーの例が出たのでございますが、このユーザーは、その受益に関して完全に限定をされておりますし、そういう独立採算の面から見まして、そのユーザーに固定している部分の端末につきましては、ユーザーに建設資金を御協力をいただくという意味合いにおきまして、端末機のすべての実費を負担していただく、こういうことでございます。現実の問題といたしまして、すでに販売在庫管理のサービスを去年の九月にいたしました。まだ十分に収容はしきっておりませんけれども、ユーザーの方々はすべてひとしく、非常に便利であり、人件費等の節約もできるとか、あるいは管理経営資料等も即座に得られるとかいうことで、その御負担以上の効果があるというふうに承っております。
  90. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのことは事実だと思うのです。利用しておる方は非常に便利だと思うのですが、この目的は「あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、公共の福祉を増進すること」と、こうなっておるのですね。ところが、端末機一台百五十万ということになれば、それは私も入りたいけれどもという人がおっても、そういう電話債券が買えない。そのために端末機を買うことができないということになれば、これは広く、あまねくじゃないわけですね。特定の人に回線を開放する、貸してやるということになるのです。だから、その点、第一条についてどう理解をすればいいのですかと、こういう質問でございますので、ひとつ……。
  91. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えをいたします。  いまのは在庫管理につきましては、確かにそういうぐあいにごらんになれるかと思うのでございますが、一般的にいま私どものほうで試行サービスとして郵政大臣の御認可をいただいておる料金の中で債券を負担していただく場合は、いま申し上げましたように、端末機によって額が違うわけでございます。したがいまして、これが本実施になりましたあとも同じことになるかと思いますが、いまの御質問に対してお答えをいたしますれば、結局現在やっております在庫管理のように、非常に性能のいい複雑な端末機、つまり非常に高い端末機の場合もございます。端末機が非常に安いもの、あるいはそれが非常に便利なものができてまいれば、その債券負担額というのは端末機によって変わるわけでございますから、そういうものの開発によって、いまおっしゃいましたあまねく広くというように私ども努力していかなくちゃいけないと思います。それからまた、公衆回線を使っておやりになる場合もあろうかと思いますが、そういうような場合には、さらにその端末についても同じような形で非常に簡易なものができる、あるいは開発されることによって、その端末によって負担される債券額に事実上変動があるわけでございます。そういう形で、できるだけあまねく広く利用されるように私どもは努力していくようになろうかと思います。
  92. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公衆電気通信法の第一条に、ちゃんとした目的がぴしっと明示してあるわけですから、少なくともそれから逸脱しないように、極端に言うと、優先すべきものは何であるかということを明確にしてもらいたいということなんです。私は、加入電話の充足——先ほど言いましたように、われわれは電話機を握ることによって電話通信網のあれに参画していくわけでありますから、それがまず第一番目に充足されること、そのことを第一番目にしていただいて、そしてしかる後に——しかる後といったらことばが悪いですが、そのことを優先させながら、現実にマッチしたデータ通信というものを国民にあまねく広く、コストを安くして提供していくということが、私はこれから必要だというふうに思うのです。  ただ、ここで私はぜひそういった問題を含めてお尋ねをしておきたいのは、この公衆電気通信法という法律そのものが、時代の趨勢というものについていっておらないと思うのです。総合交通網、たとえば高速自動車道あるいは新幹線あるいは道路、こういったふうに、総合交通網というものについてのビジョンというものは、ある意味で明らかにされておる。それでは、これからの総合通信網体系、こういったものはどういう方向に進むものなのか、どういうビジョンがあるのか、どうなろうとするのか。非常に大きな話でありますけれども、そういうものについての方向、どういうふうなことを郵政省のほうは考えておられ、電電公社は理解をしておられるのか。その点についてひとつお聞かせをいただきたいというふうに思うのです。
  93. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま御指摘のように、この公衆電気通信法は、電電公社が発足しました翌昭和二十八年に施行された法律でございまして、その体系の上で大体現在まで電電公社が公衆電気通信サービスを行なっているわけでございます。最近データ通信という新しい電気通信の利用形態が出現してきたという事態にマッチするために、最小限度法律改正をこの際行なっていくということでございますが、確かに御指摘のように、今後の電気通信の発展の動向というものをながめてみますと、電信電話というような一つの全国的なシステムというものだけでなくて、電気通信回線を利用いたしましたいろいろの多彩なまた多様なサービス、これはそれぞれの電気通信の新しい利用分野に従いまして、それぞれ分化しますユーザーにそれぞれマッチした個別的なシステムというような形で発展する分野が相当ふえていくことかと存じます。しかし、これらのもとになります通信回線というものは、やはり一つのものとして建設、維持されていくということが望ましいということではないかと思います。  この通信回線に乗ります通信の内容と申しますと、在来の電信電話のほかに、データ通信あるいは各種の画像通信、ファクス通信というようなものとか、いろいろ考えられるものがございまして、これらを全国的な総合通信網としての新しいネットワークの目標を、電信電話公社のほうでは第四次七カ年計画の中でかなりはっきりこれを打ち出しておられまして、たいへんけっこうなことではないかと思いますので、郵政省のほうでも、この公衆電気通信法改正とあわせまして、今後の研究開発体制その他につきまして、今後公社のほうでその方向に向かいまして大きく進み得るような方向に協力、努力もしていきたいと考えております。
  94. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間が来たからやめてくれというあれがありますから、これ以上質問をすることを控えたいと思いますが、最後に、いま言われたように総合通信網、そういったビジョンを描いてまいりますと、たとえばデータ通信ならデータ通信一つをとってみましても、プログラマーというものが日本の場合非常に不足しておる。やはり技術者というものがついていかないのです。どんどんと技術は進歩していくが、それに対して技術者がついていかない。私はやはりプログラマー等の養成というものは緊急の課題ではないか、このように思うのです。そういったものについて万怠りないとは思いますが、けさ午前中にもたいへんきびしい御質問があったようでありますけれども、再度大臣のほうから、そういったものに対する養成機関、そういったものの充実ということについてはどういう方向にあるのか、こういう時代の急激な情報化社会を迎えての対応策というものはもうでき上がっておるのかどうか、その点を最後にお尋ねをして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  95. 井出一太郎

    井出国務大臣 松浦さんから長時間にわたってたいへん示唆に富んだ御質問をちょうだいいたしまして、その最終的な締めくくりとして、技術者が不足ではないか、確かに私もそうだろうと思います。この養成機関というものは、これは学校というふうなものにも関係が出てまいりましょうが、文部省にも所管のわたるような問題にもなるかと思います。こういう点は、おそまきながら十分に心がけまして、私どもの仕事としてこれを推進をしてまいるつもりでございますし、さらに午前中、林さんの質問にも出ておりました技術開発等の問題は、これは幸いにして電電公社は非常に事業分量も多いわけでございますし、ますます発展途上にもあるわけでありますから、その総予算のパーセンテージを少しよけいつぎ込むということならば、相当な仕事もできるわけでありますから、そういう面にも考慮を払ってまいる所存でございます。
  96. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、少し時間をオーバーして委員長に御迷惑をかけたようでありますけれども、私は基本的なことだけ質問いたしまして、法案の詳細についてはほかの各委員に質問を譲りまして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  97. 金子岩三

    金子委員長 樋上新一君。
  98. 樋上新一

    ○樋上委員 まず第一に、公衆電気通信役務の定義とは何ですか、この点ひとつ……。
  99. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 公衆電気通信役務につきましては、現在公衆電気通信法第二条にその定義がございまして、そこで「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供する」、こういうふうに電気通信の役務を定義しておるわけでございます。
  100. 樋上新一

    ○樋上委員 コンピューターが発達して、データ通信の役務に加えようとしているのですが、コンピューターは蓄積の役割りを果たすことになっておるのですが、大幅に状況が変わってきておる。この点はどうなのか、定義はこのままでよいのか。私は変える必要があるんじゃなかろうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  101. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 このたび公衆電気通信法改正するにあたりましては、一つ電信電話公社の提供をいたします通信回線を用いて民間企業等がデータ通信を行なうことができる道を広げるということが一つのねらいでございます。またもう一つのねらいは、電信電話公社がその回線にコンピューターあるいは端末まで一緒にいたしました一つのシステムとしてこれをユーザーに提供する。この二つを制度として取り入れたいということで、この際法律改正を提案を申し上げているわけでございますが、このいずれの場合におきましても、この端末とコンピューターと回線というものを一体として運用いたしますことをデータ通信というふうに定義しているわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました公衆電気通信役務ということにつきましても、当然このデータ通信を電気通信役務としてとらえているために、いまのままの、公衆電気通信法の定義そのままでありましても、電信電話公社がさっき申し上げましたように回線を提供をする、あるいはシステムを提供いたしまして一般データ通信の用に供するということには一向支障は生じないのでございまして、そのために特に定義の変更を加える必要はないというふうに考えているわけでございます。
  102. 樋上新一

    ○樋上委員 この公衆電気通信法の一部を改正する法律案の参考資料を見ますと、五七ページに理由がありますね。この理由は、「電報事業の健全化に資するためその料金改定し、加入電話の大幅な増設を図るためその設備料を改定し、生活圏及び経済圏の拡大と情報化社会の進展に即応する通話の制度を確立し、並びに電気通信回線に電子計算機を接続して行なう情報の処理の需要の増大に対処してデータ通信に関する制度を法定する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」、こういうぐあいに出ているわけでありますね。こまかいことですけれども、理由の第一番に「電報事業の健全化に資するためその料金改定し、」となっておるのですが、電報料金は、年間赤字が約五百億円でございますけれども、その他重要な、四番目に書いてあるところの「電気通信回線に電子計算機を接続して行なう」というもののほうが、書く順序としては最初に書くべきであると私は思うのでございます。何でもないことのようですけれども、電報事業というようなものを最初に書きあらわして、一、二、三、四と順序が変わっているのじゃなかろうか。何かしら国民に対して電報料金は損であるということを印象づけていって、重要なこのデータ通信というような大改正あとにつけてあるところに、どうも納得のいかないところがあるのです。こまかいことですけれども、この点はどうしてこういう順序になさったのでございますか。
  103. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは樋上さん、決してたくらみがあるような、そういうことじゃございません。これは公衆電気通信法をごらんいただけばわかりますように、法文の順序が、これは歴史的な沿革もあるでしょう、電報から始まっておる。こういうことでトップに出したわけでありまするし、データ通信はこれは一番斬新なことでありますから、そういう歴史的事情からいえばあとのほうに掲げられた、こういうことであろうと思うのであります。
  104. 樋上新一

    ○樋上委員 こういうようなことを、穴を拾ったようなこまかいことですけれども、私はやはり重要なものをこの際、この改正ですから、順序を、この問題が今度重要な改正になるのだというように書かれていくことが私はすなおでいい、こう考える次第でございます。たいして関係ないといえばないのですけれども、そういうようなことを感じましたので、ちょっとお尋ねした次第でございますが、いま何ら他意ないという大臣のおことばでございますので、すなおに受けていきたい、こう思う次第でございます。  そこで今度は、この参考資料の順を追うていきますから、そういうほうがいいと思いましてお伺いするのですが、六六ページと六七ページに記されております度数料、一級度数料金局、二級度数料金局、三級度数料金局、四級度数料金局、五級度数料金局とございますね。その加入電話等の数、現在事務用に幾らあるのか。   〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕 また住宅用は幾らになっておるのかというような点を順次述べていただきたいと思うのです。
  105. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えをいたします。  この度数料金局の級局別は、基本料の差がここから出てくるわけでございますが、そういう御質問だと思いますので、ただいまからそれを申し上げます。  まず一級局におきましては単独電話の場合、基本料は事務用が七百円、住宅用が五百円、二級局におきましては事務用八百五十円、住宅用六百円、三級局におきましては事務用千円、住宅用七百円、四級局におきましては事務用千百五十円、住宅用八百円、五級局におきましては事務用千三百円、住宅用九百円でございます。
  106. 樋上新一

    ○樋上委員 引き続きまして、定額料金でもわかりましたら、一緒にお願いいたしたいと思います。
  107. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 定額料金局におきましては、一級局の定額使用料は事務用六百五十円、住宅用三百九十円、二級局におきましては事務用七百五十円、住宅用四百五十円、三級局におきましては事務用八百五十円、住宅用五百十円、四級局におきましては事務用九百五十円、住宅用五百七十円、五級局におきましては事務用千百五十円、住宅用六百九十円、六級局におきましては事務用千四百五十円、住宅用八百七十円、七級局におきましては事務用千八百円、住宅用千八十円でございます。
  108. 樋上新一

    ○樋上委員 度数料のほうで事務用と住宅用との区別はどこでつけられますか。
  109. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  事務用と住宅用で差をつけております理由は、主として負担能力と申しますか、そういう点から差をつけておるのが原因でございます。
  110. 樋上新一

    ○樋上委員 七カ年計画によりますと、この一級度数料金局の八百未満、それから二級度数料金局が八百以上八千未満とこうなってくるのですが、この級が上がってまいりますね、そういったときにどのくらいの利益になってくるのか、こういう点ですな。改正後の料金がどう変化してくるか。
  111. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  これは広域時分制実施をされますのが一年ないし一年半以降でございますので、その間に加入数の増加がございます。それを考えますと、なかなか正確な数字は出しにくいのでございますが、四十五年度末でこれをあれいたしますと、今度の法律改正によりまして級局の現行据え置きになりますもの、つまり基本料の変わらないものは、局数にいたしまして全体の約五七%でございます。しかし加入数で申しますと八一%でございます。それから級局が一段階上がるもの、つまり事務用におきましては百五十円上がり、住宅用においては百円上がるものは、局数にいたしまして四〇%、しかしながら加入数におきましては一八・五%、それから級局が二段階上がるもの、すなわち事務用におきましては基本料が三百円、住宅用においては基本料が二百円上がりますものは、局数におきまして二%、加入数にいたしまして〇・三%でございます。
  112. 樋上新一

    ○樋上委員 いま私、もう一つ聞くのを落としましたが、この一級局から二級局、二級から三級、四級、五級と級局が変わる。それは一級局から何級局に変わっていくのか、この点を……。
  113. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  これは、私の先ほど申し上げましたものをこまかく申し上げるわけでございますが、一級局から二級局へ上がりますものは局数で二十六。これは何度も申し上げますようですが、四十五年度末で見た数字でございまして、その間、これから一年半後のことは考えておりません。現在やった場合と、こういうぐあいに御理解をお願いいたしたいと思うのでございますが……。
  114. 樋上新一

    ○樋上委員 ちょっと、現在とそれから改定後は出ていないのですか。一緒に……。
  115. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いや、そういう意味ではございませんで、現在いま広域時分制になりましたと、こういうときの数字を申し上げておるわけです。実際はそれからあと一年半ぐらい、広域時分制関係なしに電話の数がふえてまいりますから、自然に上がるところもございますが、それを抜きました数字をいま申し上げるわけです。それはちょっと予想がつけがたいものですから申し上げません。現在のままで、いま広域時分制実施をいたしましたときにこういう形で上がるという数字でございまして、大体これに近いものだと私考えておりますが、その数字をとりあえず申し上げますと、一級局から二級局へ上がりますものが局数で二十六局、加入数で約八千、それから二級局から三級局に上がりますものが局数で五百二十七局、加入数で八十一万七千、それから二級局から四級局に上がりますものが局数で三十二局、加入数で三万八千、三級局から四級局に上がりますものが局数で百六十九局、加入数で十七万五千、同じく三級局から五級局に上がりますものが局数で四局、加入数で約五千、それから四級局から五級局に上がりますものが局数で六局、加入数で約十一万、五級局につきましては、これは最高でございますから上がりません。以上でございます。
  116. 樋上新一

    ○樋上委員 そういたしますと、自動的に上がってくる数ですね、それからいまの広域時分制にしてそして三分打ち切りにして、それの増収と、それから自動的に上がってくる増収とを考えますと、私は今度の値上げ問題には、この分だけでも自然に上がってくるのではないか。こういった点の利益は大体どのくらい見積もっておられるのですか。
  117. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 ただいまの、自動的に上がります基本料の増収分は、四十八年度におきまして約四十億と見ております。
  118. 樋上新一

    ○樋上委員 三分打ち切りにより増収を見込まれておるのはどのくらいですか。
  119. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 先ほど午前中に四十四年度のベースで申し上げましたのですが、四十八年度、実際に実施いたします場合はこれから二年先でございますので、全体の収入等の見積もりはたいへんむずかしいのでございますが、それで申し上げますと、ただいま申し上げました級局が変わりまして上がる基本料の増収分が約四十億でございます。それから三分打ち切りではございませんでいわゆる時分制で継続になりますが、三分で七円ずつ上がっていく、こういう関係で、四十八年度におきましては現在の見積もりでは大体約二百三十億増収になる、そういうぐあいに思っております。  なお、これに対しましては、先ほども御報告をいたしましたように今度は逆に従来八十秒七円でありましたところが三分七円になるところがございます。ここで大体百二十億の減が立ちます。それから従来近郊通話といわれており、今度隣接区域内通話といわれておるところにつきましては、従来六十秒七円でございましたものが、八十秒七円になりますので、このために生ずる減が約二百十億、それから区域外通話の二十キロの距離段階の通話が同じく六十秒から八十秒七円になります。これによって生ずる減収が約十億、全体を合わせまして約三百四十億の減収、したがいまして、だいぶ先でございますが、四十八年度総体に見ますと約七十億の減、こういう数字を予定しております。ただし、これはそのころ、四十八年度電電公社全体の収入といたしましては、おそらく一兆五、六千億になろうかと思いますので、七十億という数字は非常に微少な誤差率でございまして、また私どもの全体の収入の予測も、もとが非常に不正確でございますので、必ずしもはっきりこうなるというぐあいには申し上げかねますが、大体推算をいたしまして、これくらいのものになろうかと思っております。
  120. 樋上新一

    ○樋上委員 いま四十八年度の大体の見込み数をおっしゃったのですが、いま出ておりませんが、本年度の利益は幾らか。
  121. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 本年度はまだちょっとむずかしいのでございますが、四十四年度のベースをもとにして申し上げますと、先ほど申し上げました基本料の部分が同じく約四十億の増収、それから市内三分の時分制の増収分が約百六十億、これが増収の面でございます。それから減収の面につきましては、従来準市内でありましたところが八十秒が三分になる。この部分の減収分が約七十億、それから近郊通話、今度の隣接区域内通話、この部分の六十秒が八十秒になります減が約百二十億、それから市外の二十キロの部分が約十億、全体を合わせまして減収が約二百億、こういうぐあいになっております。
  122. 樋上新一

    ○樋上委員 三分打ち切りの増収が百六十億円とおっしゃいましたね。その百六十億円という基準はどこできめられたのですか。   〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  何度も恐縮でございますが、三分打ち切りではございませんので、三分継続ということでございますので……。これは私どものほうで、統計的に現在約八四%の市内通話が三分以内というぐあいに考えております。したがいまして、残りの一六%が現在の状態つまり無制限の状態におきまして三分以上の通話になるわけでございます。しかしながら、これは現在の状態でございますから、三分継続ということになれば、そこに幾らかそれが減ってくる、観念的にそういうことでございます。これをいろいろむずかしい御説明をいまここで口頭でするのは非常にむずかしいのでございますが、数学的な手法によりまして、どのくらいの部分が三分継続になってもなお三分以上の通話をされるかというようなことから、いま申し上げました四十四年度のベースで大体百六十億の増収になる、これは数学的に計算をした数字でございます。
  124. 樋上新一

    ○樋上委員 これはわが党からも予算委員会などでいつも論議の的になりまして、いまだ結論を得ず、納得のできないところの三分継続問題でございますが、どうして八〇何%が三分で大体話がつくんだということを——いつも私が質問するときに、予算委員会でも申しておるのですが、ある機械によって、八〇何%がそうなっておるんだとおっしゃるのですけれども、市外と市内とをどうして区別してそういうものをテストされたか。そのテスト機械なるものも図解でいろいろ説明を聞き、また図面で見ましたけれども、完全なものではない。私たちはあまり信頼を置いておりません。これは継続で利用されたとか、聞くところによりますと、いつもおっしゃいますが、普通常識上三分でものが解決する、いろんな例を公社がおっしゃっておるのですけれども、私たちは私たちでアンケートによって調査をいたしました。そういうようなことから比較いたしますと、三分では無理だ。赤電話のときなら三分のところで合い図があるのですけれども、家庭電話におきましてはそういうものがなくて、どんどん料金が上がっていく。おそらく家庭におきます主婦またその他の人たちは、その改正になってから請求書を見てびっくりするだろうと思うのでございます。  そこで、三分でどうして話を打ち切って楽にやっていくかというところまでには相当——日本人のいままでの例として長話をしていたものを、直ちにこれはこうだからというのは、三分継続を出されたところの調査方法において納得のしかねるものがあります。また、そうなりますと、いまおっしゃいましたように増収になってくるんだ。その増収が非常に低く見積もられておるのではなかろうか。三分継続になりますと、公社のほうの利益はものすごく上がってくるものと私は思うのです。それを何回も過去において質疑応答しておるのですけれども、いまだにどうも結論を得ないというところになっておるのですけれども、さらに私たちに納得いくだけの、また一般庶民が納得いくだけの説得力のある説明公社が出されるものがあるかどうか、自信があるかどうか。この点について再度お伺いしたいのですけれども、この点は遠藤さんに初めにお聞きして、あと総裁の御意見をもう一ぺん承りたい。何回も繰り返していることですけれども、最後の質問ですから、また納得のいかなかったら同僚中野議員も質問すると思いますけれども、どうか納得いけるようなお答えをいただきたい、こう思う次第でございます。
  125. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  この問題につきましては何度も御説明をいたしましたが、いまだに御納得をいただいておりませんのですが、この調査の具体的な方法につきましては、あとで運用局長から、必要であればもう少し御説明をされると思いますが、一般的な傾向といたしまして、世の中長電話の傾向は確かにございますし、またこの傾向というのは今後も続いていくので、将来どれくらいになるかわかりませんけれども、ただ私どもが現在とっております調査の方法といたしましては、全数調査ではございませんが、一度だけではなく、ただいま申し上げましたように、毎年やっておる調査でございますし、また市内、市外の分け方につきましても、具体的に手作業で分けておるわけでございますから、これは私は誤りはないものと思うのでございます。ただ一般に私どもの申しております八四%という通話量は、全国のすべての通話量にこれを当てはめた数字でございまして、こういうことで御納得いただけますかどうかわかりませんが、長話の傾向のある方は、これはある意味では年じゅう長話をしておられるのかもしれません。また、短い話専門の方は短い話ばかりかもわかりませんのです。ですから、ある特定の一人の人の通話について八四%までの通話が三分以内、こういう意味でないという点は、この際御説明をいたしますればあるいはいささか御納得いただけるんではないかと思うのです。たくさんの通話がございまして、家庭通話、あるいはレジャー通話といわれるものばかりでなく、事務通話といいますか、会社の通話なんかも全部この中に入っておるわけでございますから、そういう意味では、全体として八四%の通話が三分以内ということは、全数の数字としては妥当な数字ではないかと思うわけでございます。  なお、私どもの別の資料で申しますと、いま手元に数字がございませんので正確なことは申し上げかねますが、意外に市内通話は短くて、お金の高いところの市外通話というのが時間としては長いというようなこともございます。そういうような意味から、私どもの常識ではちょっと考えられないようなこともあるのですが、よく考えてみますと、これはやはり事務用の通話というのが、市外通話にそういう傾向があるのではないかと思っております。これらを勘案しますと、八四%が三分以内だというのは、私どもが事務的にこの料金体系をつくりますときの数字としては、実はこれ以外に一人一人アンケートをとってきめるという方法もございませんし、現在の事務的な方法といたしましてはこれが最大唯一の数字ではないかと私どもは考えておるわけでございます。
  126. 中林正夫

    中林説明員 お答えいたします。  ただいまの調査の方法でございますが、私ども、全国で約百局くらいの局につきまして、約一年間にわたりまして、一号監査機という監査機によりまして、その監査機に大体百回線ないし二百回線ぐらいのものをその局の加入者をランダムに収容いたしまして、その一号監査機に、監査員といいますか、公社の職員がついておりまして、そのランダムに入りました加入者が受話器を取り上げますと、そこのランプがつきます。それからモニター、人手によりまして、ダイヤルをしておる、いま相手方が出た、それから、話が終わった、こういうようなことを調査をしておるわけでございます。それで、調査の件数、コールの件数にいたしますと、平均時分百十一秒、これは四十三年度の調査でございます。四十四年度は百九秒、大体似たような数字になっております。年度によっても若干違いますが、大体二万コールないし三万コールぐらいのものを、調査の件数としてはいたしております。市内のコールというものは年間に大体二百数十億コールございますけれども、調査対象の二万ないし三万コールというものは、統計的に見ますれば相当精度の高い数字が出ておるんではないか、こういったふうに考えておるわけでございます。
  127. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  先ほど営業局長とそれから運用局長が御説明いたしましたが、監査装置を局に設置してある、それをもちまして、ある数だけ統計的にアトランダムに線を選んでとった数字でございまして、これは私が別に指令してきめた数字ではございません。数学的といいますか統計的に出てきた数字でございまして、それを信用してやっておる、こういうことでございます。  なお、たとえば手動通話等におきましても、いつも最初三分それから——昔は三分・三分という制度でありましたが、現在は三分・一分——三分というのはそういう手動通話等におきましても最初の区切りになっておりますので、そういう意味で三分ということを考え、それからまたその統計的な手法といたしましては、先ほどのような監査装置を使ってやった、こういうことでございまして、その数字を信用しておる次第でございます。
  128. 樋上新一

    ○樋上委員 その問題につきましては、もうこれ以上論争いたしましても平行線でありますので、打ち切ります。  遠藤さん、もう一ぺん先ほどのところに返りますけれども、定額料金の一級定額料金局、二級定額料金局の現在の局数と、それから改定後の局数わかりますか、どうなるか。
  129. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 定額料金局の級別の局数は、ちょっといま手持ちがございませんので、あとで御報告さしていただきますが、これは今度の広域時分制によりまして、いま自動式局について申し上げましたような料金の変動はございません。
  130. 樋上新一

    ○樋上委員 七カ年計画が完了したときには、この局はどうなりますか。
  131. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 定額料金局としましては、現在大体全国で三千六百局くらいあると思いますが、これが七カ年計画が終わりましたときには、現在の計画では約三千数百局自動局になりますので、残りは四百局くらいになろうかと思っております。したがいまして、もう七カ年のうちにほとんどなくなる、こういうことになろうかと思います。
  132. 樋上新一

    ○樋上委員 七カ年計画完了して、まだ四百局残るというのはおかしいじゃないですか。これはもうなくなってしまわなければならないと思うんですけれども、どうでしょう。
  133. 浦川親直

    ○浦川説明員 四十五年度末で手動局数、これは着工ベースでございますが、約三千三百六十局ございます。七カ年計画にも掲げてございますように、七カ年で三千局を自動改式いたしたい。残りますのが着工ベースで三百六十局ということに相なりますが、改式の年度から申しますと、約四百局ぐらいが残る勘定になりますが、これは全部郵政省に業務を委託しておる交換局でございます。したがいまして、全部七カ年の間にこれを消化するということも非常にむずかしかろうということで、非常に小さい局だけは若干七カ年後にも残るというような計画にいたしておるわけでございますが、毎年毎年これは郵改省と協議をいたしまして、そして改式局数というものをきめてまいりますので、まあ大体三千局を七カ年でやれば御満足していただけるのではないか、またその後これをすぐに消化していく、かように考えておる次第でございます。
  134. 樋上新一

    ○樋上委員 単位料金区域の項でございますけれども、「公社が第一項の規定により単位料金区域を定める場合の基準その他の必要な事項については、郵政省令で定める。」こう出ておるのですが、どこに基準の根拠があるのか、またこれは距離なのか、電話の台数できめられるのか、これを明らかにしていただきたい。
  135. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この単位料金区域の設定基準につきましては、公衆電気通信法の第四十五条の二という規定がございます。ここで郵政省令で基準を設けることについての規定をしているわけでございまして、これに基づく郵政省令の内容を概略申し上げますと、まず単位料金区域は、一つの区域ごとにその地域の社会的経済的な諸条件、それから地勢、それから行政区画、こういうものを考慮いたしまして、通話の交流上おおむね一体と認められるような緊密関係がある、こういう区域からなるということで、一つの基準を設けております。それからまた、数的にも全国基準がございまして、全国の単位料金の区域の数といたしまして五百以上六百未満とする、こういうワクを設けてございます。それからまた三番目に、一つ電話加入区域が二つの単位料金区域にまたがることにならないことを原則とするというふうに定めているわけでございます。
  136. 樋上新一

    ○樋上委員 この一二ページでございますが、「料金関係」についてさらにお伺いしたいのでございますが、「広域時分制の試験実施に関する規定および設備料の改定に関する規定は、昭和四十六年六月一日」と、こうなっておるのですが、全国に通信局が十一通信局あるのですね、その中から一局を選ぶ、そして、その中で広域時分制で試験的にやろうというようなことを承っておるのですが、この試験実施の局をどういうように選んで、どのように試験をするのか、この点をお伺いしたいのです。試験局に当たった局は大きな犠牲になるのではなかろうか、こう思うのでございますが、この点いかがでございましょうか。
  137. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  これは、この法律の経過措置によりまして、「試験的にこれを実施することができる」ときめられておりまして、確かにいま樋上委員のおっしゃいましたように、できるという意味での施行日は昭和四十六年六月一日からになっておりますけれども、この試験実施と申しますのは、試験的に工事をいたしますとかあるいは機械をテストするとか、そういうふうなことはもちろんいつからでもできるわけでございますが、ここで申し上げております「試験的にこれを実施する」というのは、そういう工事とか、そういうことでなくて、やはりそれが前提になると思いますが、具体的に新しい料金を適用する、もっと正確に申しますと、先ほどお話のありましたような基本料はこの適用になりませんけれども、通話料につきましては、いい面、悪い面含めまして——いい面、悪い面と申し上げますと恐縮でありますが、三分継続のところは三分継続で七円ずつになる、あるいは六十秒が八十秒になりますところは六十秒、八十秒といういい点もありますが、そういう通話料についてはこれを実施するという規定でございます。したがいまして、いま樋上委員が申されましたように、お客さまには非常に影響のあるところでございます。したがいまして、ただいまお話のありましたように、一通信局に一単位料金区域から一局をやるというようなこともきめておりませんし、現在の段階ではこれをどういう形でいつから実施するかということについては、法文の規定とは別に、まだ全然きめておりません。
  138. 樋上新一

    ○樋上委員 いまそういうことはきめておられぬとおっしゃいますけれども、大体の案を——その中の試験するところの局を選んで、時分制をいろいろ採用されますけれども、そのときに一斉にはできないのです。それはわかります、一年間も要しますから。昭和四十七年九月から十二月末までに政令で定める日と出ておりますね。ですからそれまでに、昭和四十六年六月一日からやるところのいわゆる試験地域にあるところの家庭に最初にそれをやられるのですから、公平の原理を欠くのですから、具体的にこういうような案を提示したらどうかということも私は考えて、いまお伺いしているのですけれども、いま何にも考えておらぬとおっしゃいますが、この試験をやろうというのだったら、大体大まかなことはお考えありませんか。その点はどうですか。
  139. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  実はそれはもう非常に大事なことなんでございますけれども、本実施が実際いつから始まるかということは、法律上「政令で定める日」と、こうなっておりますので、実際問題といたしましては、本実施の行なわれます日にできるだけ近いところで行なうことが最も望ましいことでありまして、それよりさらにだいぶ前からやるということも、これはいかがかと思います。政令で定められます本実施の日がきまりました上で、時期並びにその選定の方法なり実施の方法については研究をいたす必要があろうかと思いますので、現在の段階ではまだ具体的に報告申し上げるほどのものはございません。
  140. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ、赤電話を三分打ち切り制にされたときに、大体いつごろから始まって、いつに完了しておるのですか。
  141. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答えいたします。  赤電話といいますか、公衆電話の三分打ち切り制度の工事につきましては、四十四年度法律が成立いたしましてから工事をいたしまして、最初の切りかえを四十五年の一月にやっております。そして最終的に終わりましたのが、今年、四十六年の一月末ということになっております。
  142. 樋上新一

    ○樋上委員 それで全国全部済んだのですね。資料をいただきましたのですけれども、四十五年一月三十日、東京八局、大阪全局、福岡、最終は四十六年一月三十一日、通信局別に見ると島根県の出雲局が最後になっておるというのですが、これは間違いありませんか。これよりほかに残っておるところはないですか。
  143. 三宅正男

    ○三宅説明員 三分打ち切りをいたすべき公衆電話につきましては、全部済んでおります。
  144. 樋上新一

    ○樋上委員 特殊局内公衆電話、郵便局内公衆電話はどうなっていますか。
  145. 三宅正男

    ○三宅説明員 ただいまおっしゃいましたような郵便局内公衆あるいは特殊局内公衆、こういったようなものにつきましては、たとえば郵便局内公衆電話の場合には、郵便局における加入電話としても使われておるような回線でございますので、打ち切りをすることができません。そういったような事情にございますものは、いまおっしゃいました二つのほかに、農村公衆電話がございます。これは三分打ち切りをやらないという形で公社は考えておりましたので、打ち切り対象といたしておりません。
  146. 樋上新一

    ○樋上委員 いまの局は全国に幾つあるのですか。いま私、資料を要求したいと思うのですが、赤電話を三分制に機械を取り付けたその順序別に全国の一覧表などありましたらいただきたいのです。それから、いま言いました特殊局内公衆電話、郵便局内の公衆電話は全国に幾つあるのか、この点は資料をいただけますか。
  147. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いわゆる公衆電話の中で打ち切りましたもの、あるいは打ち切らなかったもの、そのそれぞれを含めまして、いまの郵便局公衆も含めまして、一表にして資料として提出させていただきます。ただいまちょっと手元に数字がございませんのでわかりませんが、後刻届けさせていただきます。
  148. 樋上新一

    ○樋上委員 いま、特殊局内、あるいは郵便局内の公衆電話は、これはやっておらない、こういうぐあいにお話しになりましたが、公衆法の第何条にそういうことが書いてあるのですか。
  149. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 公衆電気通信法の別表に、第七表、「公衆電話料」という表がございます。その中に、公衆電話の「市内通話料」という欄がございまして、その中に「公衆電話から行なう通話に係るもの」、この中に「公社が指定した公衆電話」「その他の公衆電話」こういうぐあいに分けております。公社が指定した公衆電話につきましては三分まで十円、その他の公衆電話については一度数ごとに十円、こう書かれております。この別表によりまして、いま言ったようなことを行なっているわけであります。
  150. 樋上新一

    ○樋上委員 いま、私の質問したのは、特殊局内公衆電話にそれの適用をしないというのは、公衆法第何条にあるのかということです。
  151. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、公衆電気通信法の中で、公衆電話のうち公社が指定したものについてのみ三分まで十円、こういうぐあいになっておりまして、したがいまして、いま郵便局の公衆電話のようなものにつきましては、公社が指定しておらないわけでございます。
  152. 樋上新一

    ○樋上委員 そうすると、公社がしておらないものはこのままでいいということになっているんですね。それはどうもおかしい。そういう電話は、公衆法の一つの抜け道ですね。これは盲点ですね。確かに盲点ですよ。
  153. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  私の説明がちょっと不十分でございましたが、いまの法律上は公社が指定するものと指定しないものに分かれておりますが、公社が個々に指定して、これはいいとか悪いとかいうことではございませんので、現在で申しますと、利用約款というものによりまして、こういう種類によってこれは三分まで十円、この種類の公衆電話は一度数十円ということが利用約款によってきめられております。これは公社がきめる利用約款でございますけれども、そういう形で、個々に、かって気ままに指定するわけではございません。利用約款という形で指定をいたしまして、これを官報に公示いたしております。
  154. 樋上新一

    ○樋上委員 時間の関係上質問を進めていきます。  今度は、電信電話拡充七カ年計画という日本電信電話公社が出されましたこれの一ページから質問していきたいと思いますので、ちょっと開いていただきたいと思います。三ページに「基本方針」というのがございますが、この中のイというところに「生活圏・行政圏の広域化に対応し、市内通話区域の拡大をさらに推進する。」こうなっておるのですが、これに対して具体的な説明をしていただきたい。また、現在何カ所あるのか、どれだけ広がるのかという点についてお伺いしたい。
  155. 浦川親直

    ○浦川説明員 近来、行政圏あるいは生活圏、経済圏の拡大がはなはだしいという状況になってまいりまして、公社といたしましては第三次五カ年計画より、同一行政圏内の複数加入区域を、局間距離六キロ以内のものを合併してまいりました。これはおおむね終了しております。さらに第四次五カ年計画におきまして、この距離を十二キロメートルまで拡大いたしまして、逐次合併をはかってまいっておるわけでございます。現在、四十五年度末で、同一行政区域内の局間距離十二キロ以内でまだ合併を済ませておりません手動局数については、千六百局程度と存じております。
  156. 樋上新一

    ○樋上委員 その次の「データ通信のために必要な通信回線については、すべての需要に応ずる。」こう断定してあるのですが、これは四ページの(ア)というところと矛盾していないか。そのところにはどう書いてあるかというと「昭和五十二年度末(七カ年計画期末)において、加入電話の積滞を全国的規模において解消することを目標とし、計画期間中に一般加入電話一千九百七十万加入を増設する。」こうなっているのですね。私に言わしむれば、「加入電話の積滞を全国的規模において解消することを目標とし、」とありますが、こちらのデータ通信のほうは「必要な通信回線については、すべての需要に応ずる。」とある。こちらはすべての需要に応じて、こちらは目標になっている。おかしいじゃないですか。データ通信というのは、庶民にあまり関係ないと言うといけませんけれども、大企業、大資本が利用する率が多い。そういうデータ通信はすべての需要に応ずると断定しておきながら、こちらのほうの大衆が使っておる加入電話においては「解消することを目標とし、」というのはおかしい。これは大企業優先である、こう思うのですが、この点について総裁の御所見を承りたいと思います。
  157. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  公社といたしましては、現在積滞しておる電話を一日も早く解消するということが最大の目標でありまして、本年度予算におきましても、大蔵省に概算要求いたしました一般加入電話二百四十万そのものが予算として認められまして、現在国会に提出されておるわけであります。また第四次五カ年計画におきましても、百万だけ最初計画にプラスいたしまして進めておるというわけで、電話の積滞解消にはできるだけ努力をしておるのでありますが、何といいましても最近の需要が非常に多いので、五十二年末にならない、七カ年計画のもっと手前で解消できればなおいいのでありますけれども、現在、電話が千五百万あるのに対しまして七カ年間に二千万つけるということで、そのようなことにするのはなかなか困難はあるとは思っておりますが、その力はあり得ると、その点は考えておるわけであります。  いま字句の点で御質問ございましたけれども、考え方といたしましては、電話の積滞解消に最大の重点を置くというふうに考えておる次第であります。
  158. 樋上新一

    ○樋上委員 こういう字句が出てくることは、データ通信に全力を集中されて、庶民たちのほうはあとになってもいい、目標だ、こっちは需要に応ずると断定しているところが、私はどうも納得がいかない。  その次にいきましょう。次の(イ)というところに、加入電話の「この目標を達成する過程において、すでに生活必需品化している住宅用電話の普及に努めるとともに、地域の特性に応じて需給の改善を計画的に実施することとし、とくに大都市周辺地域等における需要の急増に対しては、早急に対策を講ずる。」こうなっておるのですね。ここだけじゃなしにまだほかにもありますけれども、生活必需品化してきておる住宅用電話の普及に対しては地域の特性に応じてやるけれども、必需品であるということを公社みずからが認められながら、今度は設備料金においては三万円から五万円に上げようとされるのは、国民生活を圧迫するのではなかろうか。公社みずからが生活必需品であるといいながら、住宅用電話の設備料をそういうぐあいに上げられるということは、物価対策上、私はどうしても納得がいかないのですが、この点はどうでしょうか。
  159. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  七カ年計画の中で約二千万個、正確に言いますと千九百七十万個の加入電話をつけまして、積滞解消をはかりたいというふうに考えておるわけであります。生活必需品ということは、公社も住宅電話の必要性を強く感じておるわけでありますが、たしか私の記憶では、数年前くらいまでは住宅電話というものに対するウエートが幾らか——公社はそう考えてなかったのでありますが、予算の査定を受けるようなときにいまよりも若干ウエートを軽く見られた時代があったのですが、最近はそういうことはなくて、生活必需品というふうに考えていただいて、ことしも二百四十万の概算要求そのままが認められたというわけで、査定する側においてもだいぶ理解を深めていただいているのではないかと思います。  ところで、住宅電話の必要性はそういうことでございますので、われわれといたしましては、この解消には最大の努力をしたい。したがって、先ほども触れましたが、ちょうど四十六年度は第四次五カ年計画の第四年目に当たっておりますが、第四次五カ年計画では最初九百三十万の加入電話をつけることにいたしておりましたのを、それになお百万プラスして進めておるわけでありまして、最初第四次五カ年計画をつくったときに比べて四十六年度予算におきまして加入電話を予定よりも三十五万ふやしたということは、この解消に努力しておる一つの証拠であるというふうに見ていただきたいと思います。
  160. 樋上新一

    ○樋上委員 その事情はよくわかるのですけれども、これを見ると、すべての需要に応ずるとか、目標に向かってやるということが書いてあって、また、生活必需品であるのにもかかわらず、いろいろな事情でと公社側はおっしゃっているけれども、私たちは三万円から五万円に設備料を上げられるということに対しては反対せざるを得ません。生活必需品であるから、上げなくても、三分打ち切りの増収分が入ってくれば——ついこの間上げたばかりであるにもかかわらず、三万円から五万円に上げるということは相当な負担になってくる、特に住宅用については庶民の負担は大きい、こう私は断言する次第でございます。またあとで論争いたしたいと思いますが、次に進みます。  五ページのところに「市内通話区域の拡大」というのがございますね。「当面、同一行政区域内における市内通話区域の統合拡大を推進するが、さらに「広域時分制度」の実施をはかり、市内通話区域の広域化の要請に対し抜本的な措置を講ずる。」こう出ておりますが、「抜本的な措置」といわれが、どういうことになっておるのですか。町村合併のところが広域化しているが、この「抜本的な措置」という点について具体的な答弁を願いたいと思います。
  161. 浦川親直

    ○浦川説明員 前段の「同一行政区域内における市内通話区域の統合拡大を推進する」と申しますのは、先ほど申し上げましたように、第三次五カ年計画、第四次五カ年計画をもって現在実施中でございます。しかしながら、それ以上の距離につきましてさらにこれを拡大してまいるということになりますと、投資も非常に大きくなります。かたがた、従来の市内通話と市外通話の格差の是正というようなことから、広域時分制ということを今回の法案において提案されておるわけでございますので、これをもってこの「同一行政区域内における市内通話区域」という概念はなくなることに相なります。  さらにこれは、同一行政区域内のみならず、行政区域を異にいたしますところの市町村間におきましても、単位料金区域内におきましては従来の市内通話区域とは異なりますが、新しい区域内通話ということで統合されてまいりますので、これをもって「抜本的な措置を講ずる。」こういう表現をいたした次第でございます。
  162. 樋上新一

    ○樋上委員 次に進みます。次の(イ)のところでございますが、「既設の自動公衆電話については、五十二年度末までに自即公衆電話に取替えるよう計画するほか、百円硬貨の使用が可能な公衆電話の開発をすすめる。」こうなっておるのですが、「百円硬貨の使用が可能な公衆電話」ということになると、十円使ったときには九十円おつりが出てくる、そういうようなことができるのですか。
  163. 浦川親直

    ○浦川説明員 現在の自即公衆電話は、硬貨は十円のみしか使えません。非常に遠い距離にかけます場合には、十円をたくさん持っておりませんとかけられませんので非常に不便であるという声があがってまいっております。したがいまして、私どもといたしましては、現在百円玉も使える公衆電話というものを開発中でございます。しかしこれを、百円を入れて、駅の自動切符売りのごとくおつりが出るというふうにいたしますと、電話につきましては機構が非常に複雑となりまして、また非常に高価なものと相なるということになりますので、現在開発しております、百円硬貨を使用できる公衆電話機はおつりが出ない。しかしながら、それは十円を一緒に入れていただいて——大体十円単位でございますから、百円以上おかけになる場合にはあと十円でやっていただくということに相なりますし、百円以内でございますと十円でやっていただく、こういうようなことにしております。
  164. 樋上新一

    ○樋上委員 百円硬貨の使用は可能と書いてあるからえらい便利だなと思ったら、それはおつりが出ない。やってみたら百円硬貨でおつりが出ないということです。見ているとおもしろいことばっかり書いてあるのです。初めからできないなら、おつりは出ませんと書いておけばいい。ついおつりが出るかと思って……。  次にお伺いいたしますが、電波監理局長いらっしゃいますね。「サービスの多様化」とここに出ておるのですが、「通話中着信、伝言電話自動料金即知、構内携帯電話自動電話、その他国民の要望に応じたサービスの多様化を推進するとともに、押しボタンダイヤル電話機による短縮ダイヤルの拡充をはかる。」これもまたサービスでございますが、この自動電話というものに対する電波の割り当てはあるのですか。
  165. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  この自動電話というものは、自動車の中に電話機を設置いたしまして、無線によって自動車の電話取り扱い局の交換を通じて一般の加入者あるいは他の自動車相互間で通話ができるという公衆通信の新しい分野であると思いますが、こういったサービス実施するには相当電波がたくさん要るということになるわけでございます。そこで、私どもはまだ公社と話し合いをしている段階でございまして、今後の需要の動向とか、いろいろな情勢といったようなものを総合的に検討している、そういう段階でございます。
  166. 樋上新一

    ○樋上委員 これもまた書いてあるだけで、いま交渉中である。みんなこれ書いてあることが、交渉中のものがサービスの多様化と出ておるのですけれども、電波の割り当て、ないでしょう。いまポケットベルでいっぱいなんじゃないですか。自動電話といったら電波の割り当てをしなければならぬでしょう。波があるのですか。この点をお伺いしたいのですよ、交渉中ということですけれども。それからいつごろそれができるか。
  167. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、やるといたしますると相当な電波が必要になると思うわけでございまして、いまの段階でははっきりとどこをどれだけ必要だという点も含まして検討しているという段階でございます。
  168. 樋上新一

    ○樋上委員 これは電電公社のほうの技術の方、どうですか、電波の割り当てがいまのところ私はないと思うのですよ。これが書いてあって大体御相談になっておるのですけれども、これはVからUに変わらなければできないのじゃないか、こう思うのですけれども、郵政大臣どうですか。
  169. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、ある程度始めますと相当な需要があると思うわけでございまして、いまVからUというお話もございましたけれども、そういったものも含めまして現在検討しているという段階でございます。
  170. 樋上新一

    ○樋上委員 もうこれは書いてあるだけということに確認をしておきましょう。将来いつごろになるかわからぬことを書いてある。  それではまた次に追うていきますが、今度は七ページのイというところでありますが、「データ通信に必要な通信回線については、引続き専用線の拡充をはかるとともに、郵政審議会の答申にもとづく「データ通信回線サービス」(仮称)、「データ通信回線網サービス」(仮称)の需要に対しては、そのすべてに応ずる。」とありますが、またここで言わなければならぬ。「そのすべてに応ずる。」これは先ほども言いましたけれども、データ通信回線網は大企業に対してすべてに応ずると断定しておる、こういうぐあいにまた私は言うのです。そして先ほどから繰り返しますように、加入電話は目標である。どこを見ましても、すべてに応ずる、すべてに応ずると、データ通信回線サービスのところはいっておる。これを見ると、また頭にきてしまう。すべてに応ずる。また加入電話は目標にする。一回だけかと思ったら、また読んでみると出てくるのですよ。総裁、どうしてこんなに、すべてに応ずる、すべてに応ずると断定されるのですか。
  171. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  この七カ年計画をつくりましたのが昨年の八月の時点でございまして、ここにもありますように  「データ通信回線サービス」「データ通信回線網サービス」、そして「仮称」と書いてありますが、今度の法案でこれが非常にはっきりしてまいったわけでありますから、この辺はむしろ書き直したほうがいいのではないかというふうに思います。  考え方といたしましては、私が先ほど申し上げましたように、加入電話積滞解消に最大の重点を置いているということで御了解願いたいと思います。
  172. 樋上新一

    ○樋上委員 私が質問いたしました要点はすらっとお逃げになりましたが、そういうことではなしに、すべてに応ずるということの根拠、つまり電電公社が確認してもうそれは決定的な線を出されておるところに、私はどうも——これだけだったらいいのですけれども、何回も言いますけれども、加入電話のほうにはそう書いていない。こういうところに私は納得せぬところがあります。しかし、次に進みましょう。  今度は九ページの「通話料金体系の合理化」というところにずっと飛びます。その最後のほうに、「また、隣接する単位料金区域相互間の通話料金および市外通話料金の値下げを行なって通話料金体系の調整をはかる。」とまた大きくサービスが出ているのですけれども、これは全部ではない、市外の一部しか下がっておりません。遠距離は下がっておらない。京都も高知も下がっておりません。これは御存じですか。これも過剰サービスの宣伝文ですか。市外通話料金の値下げを行なうとは、これはうそです。全部この市外料金の値下げを行なうと書いてあるけれども、遠距離のところは従来と比べて値下げになっておりません。一部だけではないですか。これ、どうですか。
  173. 米澤滋

    米澤説明員 ただいま御指摘がありましたが、これは昨年の八月の時点でつくったものでありまして、当時公社はいわゆる七円を十円にしたいということを考えておったわけです。しかし、これは七円のまま広域時分制を進めるということに政府の方針がきまりまして、公社もそれに賛成いたした次第でありまして、したがって、この市外通話料金の値下げという問題は今回は法律に書いてございません。今回やりましたのは、いわゆる近郊通話といいますか、大体広域時分制から見て二十キロの範囲だけ調整するということでございますから、ただいま御指摘がございましたが、最初はそういうふうに考えておったのでありますけれども、今回はこの問題は市外通話料金には触れていない、現状のままになっているということでございます。
  174. 樋上新一

    ○樋上委員 それなら、そういうぐあいにただし書きを入れるとか、補足するとかせぬと、いいのはそのままに書いておいて、こっちが錯覚を起こして、下がるのかいなと思っていたら、ちっとも下がっておらぬ。こういうところに親切さがないのと、またサービス過剰といいますか、文章上のサービス過剰、こうなっておるのです。こういうことは、錯覚を起こしやすい。  では、次にいきましょう——だんだんたよりなくなってきた、これを読んでいきますと。今度は一〇ページの6にまいりましょう。6に「建設資金およびその調達」「以上の電信電話拡充計画実施するための建設投資額は約八兆五千億円である。」「この建設資金調達にあたっては、引続き財政投融資等の資金の確保に努めるほか、」こう出ておりますけれども、いままでに過去に財投からこちらのほうへどれだけ入ったのか。また今後財投からどれだけこちらのほうにいただけるのか。この見通しについてお伺いしたい。
  175. 浦川親直

    ○浦川説明員 過去におきまして、電電公社資金調達額に占めます財投等のウエートは約一〇%内外でございます。今次七カ年計画におきまして、お手元にございます表で見られますように、私どもといたしましては、財投等期待額といたしまして、一兆三千億円程度これを見込んでおります。これはあくまで公社の七カ年計画でございます。公募債等八千億を政府にお願いをいたしたい、こういう心づもりでございます。
  176. 樋上新一

    ○樋上委員 ちょっといま聞きのがしたのですけれども、過去にどれだけ財投から入っておるか。
  177. 浦川親直

    ○浦川説明員 四十六年度予算案で申し上げますと、財投等、これは公募債、縁故債を合わせまして七百億でございます。四十五年度は七百五十億、四十四年度は三百九十五億、四十三年度が二百七十億、かような数字になっております。
  178. 樋上新一

    ○樋上委員 財投だけ聞いているのです。公募債じゃなしに、財投から何ぼ入っているかということをお伺いしているのです。
  179. 浦川親直

    ○浦川説明員 ちょっといま手元に資料がございませんが、私どもいま財投等と申し上げておりますのは、公募債と縁故債を申し上げておりまして、いわゆる財政投融資は、電電公社におきましては、かつて第二次五カ年計画かと思いますが、のある年度に少しいただいた程度でございまして、公社はほとんどないということになっております。
  180. 樋上新一

    ○樋上委員 私もそう思っています。財政投融資だけではないと思うのですよ。総裁、今後の見通しもないのですか。
  181. 米澤滋

    米澤説明員 先ほど計画局長がちょっと答弁いたしましたが、私、修正したほうがいいのじゃないかと思いますのは、公募債というのも広い意味の財政投融資という中に入っておるのでありまして、したがって、公社は確かに預金部資金そのものを受けたことはきわめてないのでありますが、大蔵省あたりの整理では、財政投融資という中に、やはり公募債も政府保証の公募債というのが入っているわけでございまして、そういう意味で、先ほどの答弁ちょっと訂正いたしたいと思います。  それから、今後の問題といたしましては、われわれといたしまして、縁故債よりも何といっても公募債がほしいということを、しばしば予算のときに言うのでありますけれども、なかなか一般の取り合いといいますか、ほかの事業や何かで電電公社はある程度自分調達できるのではないかということで、どうも縁故債のほうに寄ってくる傾向があるのでありますが、この七カ年計画の中におきましては、公募債を約八千億円だけ期待をしているというわけでありまして、これからも政府当局に一そうお願いして、なるべく公募債でやっていきたいという希望は持っておる次第でございます。
  182. 樋上新一

    ○樋上委員 もう少しきっぱりそういう点を書きあらわしていかなきゃならぬと思うのです。これを読んでみますと、いろいろなことに行き当たるのです。  最後に、これから言いますのは大臣も聞いてください。総裁も聞いてください。私はこれをずっと読んでいて、最後に納得のできないものがある。その続きを読みますと、「現行単独電話三万円の設備料を五万円に改定するとともに、加入者債券引受け制度を定めている「電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律」(昭和四十八年三月末までの時限立法)の期限の延長をはかる。」こうなっておりますけれども、問題は、期限の延長をはかるということはだれがはかるか。国会が審議をして、そうしてこれが通過する。それまでに期限の延長をはかる。これは国会無視じゃないですか。この文章は命令しているのじゃないですか。この法案が通過していないのに、こういうことを既定している事実と見ているのは、国会審議をどう思っているのですか。国会軽視の最たるものだと私は思っているのです。まだ決定していないことを、法律における期限の延長をはかる、要求するということは、国会の審議権を無視した独善的な横暴であると私は思うのですが、この点、大臣どうですか。これはごらんになったでしょう。
  183. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは日本語の解釈というふうなことにもなるのですが、「はかる」という意味は、企図するという意味です。つまり、断定的に公社がこれを実行するというのではいささか僭越でございましょうが、これからはかろうとしているのでありますから、当然国会の審議をわずらわすということに相なると私は解釈をいたします。
  184. 米澤滋

    米澤説明員 ただいま大臣が御答弁されましたが、表現の点で若干不十分な点がありますので、先ほど申し上げましたように、たとえば、この中で「データ通信回線サービス」の点、「仮称」というのが出ておりますが、今度法律がこういう形で提案されておりますので、こういう点は少し直して、むしろ明快にしたいと思います。
  185. 樋上新一

    ○樋上委員 期限の延長をはかるということは、大臣大臣の御答弁ですけれども納得しかねます。こんな、だれが見ても、期限の延長をはかると、命令文じゃないですか。これは電電公社が出しているのでしょう。電電公社が、国会で審議をして、そうしてこの法案が通過をしなければならぬにもかかわらず、暫定措置に関する法律の期限の延長をはかるということは、電電公社が出されたのなら、国会軽視である。また、これを見られた大臣が、何か用語等、字句のことを——これは重大問題ですよ。こんなものなら、これは審議する必要がないのです、延長をはかると初めからきめているのですから、期限の延長をはかるとこういうのを出しているのですから。これは総裁、だれが案文をつくったのですか。そうして、先ほど総裁が言われたように、これは昭和四十六年一月に出ているのです。そうでしょう。それで、最後のほうまでずっと読んできたら、最後にこういう最後のきめつけ方をしている。こういうところに、何と言われても、郵政大臣、これははっきりとお認めにならなければならぬ。行き過ぎであったとか、遺憾であるとか、これは変えるとか——全文変えて、さらにしてしまったらどうですか。そうでなかったらこんなものは審議できません。これはやり直したらどうですか。こんなものは、こっちのところにいろいろ書いてあって、どうとかこうとか、みんな前のもの前のもの——前のものなら、国会議員に審議さすということはあまりにもなめたやり方ですよ。どうですか。けしからぬです。井出郵政大臣、最後の期限の延長をはかるということは、どう御答弁なさるか知りませんけれども、私はこの字句の解釈は、どうもこれは命令的である。電電公社がこういうものを出して、それを大臣が認められている。これでは審議する必要がないじゃありませんか。延長をはかるときめつけてかかっている。納得いかない。もう一度御答弁いただきたい。
  186. 井出一太郎

    井出国務大臣 平素非常に温厚でいらっしゃる樋上さんがたいへんいきまいておしかりをいただくのですが、この資料は、さっき総裁も認めましたように、現段階においては少し古いものでございまして、これを訂正する、こう言っておるわけでありますから、これはひとつそれをお認めをいただきたいと思いますし、それからこの「はかる」ということばにたいへんこだわっていらっしゃるようでありますが、私は、これは延長するとかなんとかいうなら、これは公社まことに僣越である、これは延長をはかるということは、延長をしたいものであるという願望の意図がこの中にはひそんでおるのではないか、そういう程度にごらんになって、これは何といったって国権の最高機関である国会が御審議いただかなければどうにもならぬのでありますから、公社がこの程度のことを書いたにしても、しかも総裁はその非を認めておるのですから、まあひとつどうかおとなになっていただきたい、これだけ申し上げたいと思います。
  187. 松浦利尚

    松浦(利)委員 関連して……。いまの議論を聞いておっては、私は非常に残念に思うのです。大臣の御答弁、それから総裁の御答弁を聞いておりまして、この七カ年計画そのものが昨年の八月段階の計画であるということをさっき総裁ここで答弁しておられるのです。ですから、おそらく七カ年計画予算をつくる段階における電電公社としてのこういう計画、内容だったと思うのです。実際にこれから七カ年計画予算規模を確定をして、そして国会公衆電気通信法の一部改正案が出されて、その資料としては非常に私は不適確だと思うのです。内容が適合しておらないと思うのです。だからそういう面では事務当局がもっと誠意をもって、そしてこの内容についてもっと精査をして、そして資料として出されるべきではないかと思うのですね。いま聞いておりまして、二月十六日のこれは七カ年計画ですね。この二月の十六日といいますと、もう通産省と郵政省との間の覚え書き、先ほどいただきましたこの覚え書きを見ますと、すでにもう話し合いが二月の上旬について、法案の骨格というものができ上がっておるわけでございますから、だとするならば、これとこの法案というものが関連されてこなければならない。ところが、いま総裁の話を聞いておりますと、実に古い過去のことばが入っておるわけでありますから、少なくとも資料としてお出しになるならばもっと内容を精査して、やはりこの審議に合うような形で資料というものは提出されるべきだと思います。大臣総裁を弁護しておられて、先ほどの質問に答えて、「はかる」ということばについてはこれははかるのであって、こういうふうに言われましたけれども、実際にはかるということばはもうすでに延長をはかるのだという一つの前提に立っておるわけですよね。前提に立って投げかけておるわけですよ。はかるのだという前提に立って投げかけるのとだいぶ違ってくるのじゃないですか。だからそういう意味で、私はいま質問者がやはり憤られるのは当然だと思うのです。ですからどうです、ここでこの際、この計画事務当局のほうでチェックされて、もう少し適確なものを資料として提出する、それくらいの方向を示されないと、私どもこの問題は並行線をたどって、古いもので議論しなければならぬ、こういうことになると思うのです。その点事務局のほうでどうお考えになるのか、ひとつ明確にお答えいただきたいと思う。
  188. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  先ほど来お答えいたしましたが、確かにこの資料をつくりました中身は、昨年の八月の時点で経営委員会できめたものでございます。しかし、今度の法案等におきまして、たとえば回線網サービスあるいは回線サービスということばが法文の上から落ちております点、それらの点あるいはただいま御指摘がありました最後の期限の延長をはかるというような表現の問題等におきまして、不十分な点がございますので、修正いたしまして、至急提出いたしたいと思います。
  189. 樋上新一

    ○樋上委員 最後の一七ページになりますけれども、この収支差額というものもこれは変わってきますわね、そうでしょう。こういうものも全部今度改めて、この資料を新しくされたらどうですか。これは変わってきますよ。ですから委員長、私はまだまだデータ通信からいろいろなものを、資料をもらってからもっとやりたいのですよ。それであしたもう一ぺんやらせてもらいたいのですが、どうですか。次回のときまで保留しますよ。これはまだデータ通信はちっともやっていないのです。これはまだ一時間は優にあるのですよ。ですから、こんなところで行き詰まって……。(「理事会できめておって、もう一時間以上やっているじゃないですか」と呼ぶ者あり)これは資料の問題だ。正式な資料でもう一ぺん審議をやらせてもらいたいのですが、委員長どうですか。
  190. 金子岩三

    金子委員長 暫時休憩いたします。    午後四時十七分休憩      ————◇—————    午後四時三十一分開議
  191. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。樋上新一君。
  192. 樋上新一

    ○樋上委員 先ほどのことで、総裁の御答弁をお願いします。
  193. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  七カ年計画につきまして、その後法案提出の過程等におきまして若干修正を要する点がございますので、その修正個所を申し上げたいと思います。  まず第一のこのデータ通信に関します基本方針の二番目を、データ通信のために必要な通信回線については、その需要に応ずると、まずこれをこういうふうに直します。  その次に、回線網サービス及びデータ通信回線サービスにつきましては、今度の法案の中に表現されております法文に改めまして、その需要に応ずるというふうに直したいと思います。  それから、自動車無線につきましては、これは波の問題でまだ確実にやれるかどうかわかりませんので注をつけまして、その開発だけ考える、実施は別に考えるということにいたしたいと思います。  それから、最後の電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律昭和四十八年三月末までの時限立法)の期限の延長を政府に要望する。多少字句は変えますが、内容的にはそういうことでいたしたいと思います。
  194. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは新しい資料をちょうだいいたしまして、この次にそれに対して多少の時間をいただいて質問を保留いたします。  いわゆる通信回線の開放について若干お伺いいたしたいと思います。  特定通信回線使用契約の申し込みは「公社予算の範囲内において、その申込みの全部を承諾しなければならない。」となっているというのですが、現在のところこの申し込みについてすべてに応じられる見込みはございますか。将来、予算の制約のために申し込みの積滞ということが考えられるのですが、この点はいかがですか。
  195. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  ただいまのあれで、特定通信回線につきましては、全部の需要に応ずるということもいま修正になりましたが、「予算の範囲内で」と申します表現は、特定通信回線だけでなくて一般加入電話等におきましてもこれと同じ表現が使われておるわけでございます。したがいまして、この意味はいろいろあろうかと思うのですが、私どもといたしましては、すべての需要申し込みを全部承諾するということではなくて……。   〔発言する者あり〕
  196. 金子岩三

    金子委員長 御静粛に願います。
  197. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 すべての申し込みを全部承諾するということではなくて、この法文によりますと、一応優先基準に基づいて承諾をするということも法文上明らかでございますし、また、郵政大臣認可を受けてきめます技術基準に適合しているものでなければならない、こういう条件もございますし、また、公衆回線と接続されるような態様のものについてはまた別の条件もございます。こういったような条件も見ました上で承諾をしていくことになろうかと思うのでございます。
  198. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣にお伺いしたいのですが、このデータ通信回線使用契約に関する料金はすべて認可料金となっているのですが、これは法律で定むべきではないか、こう思うのですよ。いわゆる認可で、市外通話料の六千倍以内で公社郵政大臣認可を受けて定める額となっておる。そこでこれでは法律で定める何ら目安がないではないかと思うのですね。もし法律で定めないならば、せめて現行の基本のワクをきめるべきでないかと思うのですが、どうでしょう、大臣
  199. 井出一太郎

    井出国務大臣 公衆電気通信役務料金は、従来から単独電話の使用料と、その役務が基本的なものであって一般公衆が日常利用しかつその料金収入電電公社の財政上相当重要性を持っているものは法定され、その他の料金郵政大臣限りの認可で定めることになっております。データ通信料金は現在認可料金とされている共同電話または加入電信等と比較をいたしました場合、その利用の範囲がそれよりもなお特定されておりますし、またデータ通信は現在発展の緒についたばかりでございますので、今後の技術的革新も激しく、まだ定型化したという状況でないことをあわせ考えますと、その料金を法定して固定化することは必ずしも適当ではない、こう考えますから、利用の実態に即応した弾力的な運用ができることにしておいたほうがより適切であろう、こういうふうに考えてかようにいたしたわけであります。
  200. 樋上新一

    ○樋上委員 データ通信の回線使用契約の申し込みの承諾等には郵政省令で定める基準というのがある。また公社または会社郵政大臣認可を受けて定める基準等と、この基準が多いのです。その基準はどういう内容か、きめてあるのかどうか、現在何もないが、省令で何をきめるのか、そういう点についてもお伺いしたいと思うのです。
  201. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 郵政省令で定める基準の内容はどういうものかという御質問でございますが、そもそも郵政省令でこういう基準をきめる必要性と申しますと、いわゆる公衆電気通信回線の自由化とか開放とかいわれておりますけれども、これは決して無制限にするのではございませんで、やはり従来の電信電話の業務に支障がないということも必要でございますし、またコンピューターというものは御承知のように情報の処理もできますが、またこれをもって電信電話の交換にも使えるというような両面の機能を持っておりますので、その使い方につきましては、電信電話の業務と同じようなことをこれでするというようなことにならぬようにする。いわば公衆電気通信の秩序を確保していくというような必要もございますし、また電信電話というものと比べまして、このデータ通信が、その利用者の先を越す、優先的にこれをサービスを進めるというようなことにつきましての歯どめがあるということが必要でございますので、そういうものにつきまして、あるものは郵政省の省令に入れますし、あるものは電信電話公社等の、認可を申請して定める基準の中に入れるというふうに使い分けて、法律の中にその基本を書いているわけでございます。
  202. 樋上新一

    ○樋上委員 特定通信回線の共同使用契約の申し込みの承諾の規定というのがございますね。第五十五条の十一、第二項の一号においては、当該電気通信回線を使用する態様について、また、公衆通信回線使用契約の申し込みの承諾の規定、第五十五条の十五、第一項第一号において、いわゆる交換設備の状況並びにこれらを使用する態様、公衆電気通信役務の提供に支障を及ぼさないようにするため、それぞれの基準をつくり、それに適合するとき承諾するようになっているのですが、その態様というのは、それぞれどんなものを想定しているのですか。
  203. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この公社の特定通信回線あるいは公衆電気通信回線を接続いたしまして、コンピューター端末によりましてデータ通信を行なう際に、その態様ということを法律に特にうたっているわけでございますが、これは、たとえばこの回線をもって構成します用途が全国的なものにわたるというようなこともございますし、あるいはこれをもって他人の通信を媒介をするというような使い方もあるわけでございます。こういうものにつきましては、公衆電気通信法のたてまえからどういうふうにチェックをするかということが必要になってくるわけでございます。そのような公衆回線あるいは特定通信回線の使い方につきまして、ユーザー側のその使用の方法につきまして、態様ということで表現をしているわけでございます。
  204. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣、この態様の中身、いわゆる郵政省令できめるといっているのですが、郵政省令できめる基準はどこにあるのですか。
  205. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま申し上げましたように、この使用の態様が他人の通信を媒介するとかあるいはこの回線を他人の用に供するということになりまして、いわゆる公衆電気通信業務をそれによって行なうということになることを忌避する必要があるわけでございます。したがいまして、たとえば計算業者あるいは情報検索業者というようなものが、この公社からの回線を使いまして、お客さんにデータ通信によりまして情報処理をしてあげるというような場合に、このお客さんと処理業者との間だけで行ったり来たりするデータ通信の使い方についてはいい、こういうようなことを郵政省令の中で定めることをただいま検討しているわけでございます。
  206. 樋上新一

    ○樋上委員 総裁にお伺いしますが、私の質問は全部は三十分ほどあるのですが、時間がないからやめるように言われて、肝心の最後のほうだけ質問しているのですが、いまの態様の中身、郵政省令できめる基準というようなことを伺っておるのは、この条文は何か伏線があると思うのです。電電公社は、こういうぐあいにしておかないと小電電公社みたいなものができて、そしていろいろな情報のところができるのではないか、それが心配になってこういう伏線をされておるのではなかろうか。腹を割って聞かしてほしいのです。いろいろな条文を読んでみますと、どうということなしに——総理大臣もなかなか答弁されませんし、総裁のほんとうの腹はどういうことなのか。態様とか基準とか郵政省令というところに、今度のこれがややこしいように思うのですが、どうでしょうか。
  207. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  あるいはことばが足らないところはまた質問していただきたいと思いますが、一つは、他人の通信を媒介するということは、これは独占的に電電公社電話に対して与えられていることでありますが、今度の場合に、いわゆる電電公社のほかの人がそういう情報業といいますか、そういうものが出現しないようにということが一つあると思います。その次は、技術基準というものをはっきりさせておかないと、このデータ通信のためにいわゆる電話網が妨害を受けては困るということがあると思います。それから、その技術基準のほかにもう一つは、トラフィック面におきまして、疎通面において一般の公衆線が影響を受けては困るということ。それからあとはいわゆる優先順位といいますか、データ通信だけが走って、電話のほうの拡張といいますかそちらのサービスが、架設とかいう点に妨害がないようにする。こんなようなことだと思いますが、なお御質問がありましたらお答えいたします。
  208. 樋上新一

    ○樋上委員 それよりほかに他意はないんだというようにも承っているのですが、アメリカではデータ通信の増加によって通話の混乱または電話の運営に支障を来たすようなことがあって、非常に妨害になっておるということを聞いておるのですが、このデータ通信の制度が施行された場合、電話電信の疎通などに支障を来たさないだろうか、こういったことを心配するのですが、この点はどうでしょうか。
  209. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  この点は私たちも二、三年十分検討いたしまして、今回の提案になったわけでございます。アメリカの例がございましたが、実は私も一年半前にニューヨークに参りまして、ちょうどそのころ問題になっておったのを、ATTの会長なり社長と会いまして、つぶさに話を聞きました。そのときの話では、特にニューヨークのマンハッタン地区で電話の妨害が起こっておりましたが、これはデータ通信そのものによるのではない。しかし、そういう可能性はあるわけですが、あのときのアメリカの問題は、むしろ設備拡張に対しまして基礎設備の拡張がおくれていたということが一番問題なんでありまして、いわゆるトラフィック管理というものが不十分であったということでありまして、いまはだいぶ基礎設備を拡張することによって改善されているというふうに聞いております。したがって、私たちも、今回広域時分制というものを少なくとも必要条件といたしまして、これは十分条件ではございませんが、必要条件として最小限度この広域時分制を入れることによって、加入電話網にコンピューターの接続を認めるというふうに考えてまいりましたのも、将来のそういうデータ通信が公衆通信に及ぼす影響のないようにしようということから出てきた問題でございます。
  210. 樋上新一

    ○樋上委員 今度は大臣、答弁お願いしますよ。公社または会社が行なうデータ通信ですね、それについて、その種類、範囲、料金、こういうものがすべて郵政大臣認可事項になっているのですね。何でもかんでも大臣の権限が多過ぎやしないか、オールマイティーじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  211. 井出一太郎

    井出国務大臣 きょうの午前中、林さんの御質問にもそういう意味のものがございました。それは、公衆電気通信法全体をながめたときに、あまりにも認可とか許可とか、そういうものがぎらぎらするではないか、こういう御指摘でございましたが、樋上さんは、今度はデータ通信の分だけ取り出して、やはり同じような感じがなさる、こういう意味でございましょう。私は、実をいいますと全くの民間の出でございまして、権力というものはどうも私には性が合わぬのであります。したがいまして、事私に関する限りは、権力的なというのとはおよそ縁の遠い人間だと思うのですが、さて、それとこの法律とはおのずからまた別個でございましょう。したがって、この運用においては、私は十分そういう点を気をつけるつもりでありますが、運用以前の本質的な問題としまして、ともかく新しい仕事をやるわけでございますから、誤りがあっては相ならぬ。当初は少しきびしいくらいな感じをお持ちだと思いますが、それは総裁も言われておるように、一般公衆通信がそのために妨害されたり、あるいはデータのほうへよけい取られてしまって通信が阻害されるということでも困る、こういう総裁のさっきの御答弁からしましても、スタートはやはり厳密に言っておいたほうが安全ではないか。これはデータ通信がこれからどのような発展を遂げるか、その前途は予測できないような非常に大きなボリュームとなっていくだろうと思うのでございます。そういう際には、おのずからまた実情に即したようにすればいいのであって、スタートはあんまりゆるやか過ぎるということよりも注意深くスタートするほうがいいではないか、こういう感じを持っております。
  212. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣のことばよくわかりました。私は、将来はこれは法定にしなければならないのじゃないかということも考えておりますし、また今後郵政大臣は、公社の行なうデータ通信についてどう考えていらっしゃるか、その他現在公社が行なうデータ通信システムの利用状況、いろいろまだ一時間ほど質問したいのですけれども、委員長から、もう時間が来たからこの辺できょうは終わりというふうなことでございますので、またいつかの機会に再度御質問を申し上げたい、こう思いまして、きょうはこれで質問を打ち切りたいと思います。どうもありがとうございました。
  213. 金子岩三

    金子委員長 次回は、明二十五日午後三時三十分理事会、午後四時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会