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松浦(利)
委員 大臣は非常にまじめな方ですから、私はいまの御答弁を率直に受け取りたいと思うのです。ただ問題は、これはもう読まれておると思うのですが、ニコラス・ジョンソン、米連邦通信
委員会
委員の方ですけれども、この方が「情報
時代」ということで、日本万博のときに、昨年の四月二十八日ですけれども、「人間と文明」というところに起草をしてくれておるのです。御承知のように、アメリカというのは日本よりも数段進んでおる。情報あるいはコンピューター、そういったものについて、世界で最先端を行く国なんですが、ここでこのニコラス・ジョンソンが言っておることはどういうことかというと、これは翻訳してあるものですから、あるいは原文と違っておるかもしれませんが、これは毎日新聞の翻訳でありますから、おそらく私は正確だと思うのですが、要するに生かすか、殺すかの選択だ。どういうことを言っておるかというと、非常に重要ですから私は読み上げます。「解決すべき問題はたくさんある。ここでそのいくつかの例をあげよう。まず、情報社会において情報が力であるとすれば、その力は、どのようにして分配されるのだろうか。もし
会社にコンピューターがあるとして、すべての従業員がその中に含まれる情報を知って利用できるのか、それともその力は、その
会社の社長や選ばれた少数の人々のものとなるのか。また情報は貧富を問わずどの家庭でも同様に利用できるのか、それとも金持だけが情報や知識を得て、貧乏人は取残されるのか。だれが国家のためにそうした基本的な決定をくだすのか
——それは私
企業か、政府か。個人情報のプライバシーは、コンピューターの中でどう守られるのか。一個人についての誤った情報がコンピューターにはいった場合、誤りを発見し、訂正するその人の権利はどうなのか。」日米両国では、これらの問題についてもっと組織的に意見を述べるようにすべきではないだろうか、こういうことを言っておられるのです。
私は、確かに情報化に備えてコンピューターなりあるいは
データ通信、こういったものがどんどん先行することは、それを決して否定するものではありませんが、アメリカのように進んでおるとところの通信
委員会の人が、非常にそういうものに対して危険だ、組織的に取り組まないと危険なんだ、こういうことをここで訴えておるのですね。だとするなら、私はいま思い起こすのでありますが、情報化処理協会法案が第六十三特別
国会で上がったのです。このときに商工
委員会では、わが党の堀昌雄
委員、宮澤通産
大臣との間にやりとりがあります。私も商工
委員会に参りまして、
郵政大臣と私はここで議論をいたしました。また第六十三特別
国会の第五分科会で、情報化の問題について議論がなされております。そのときに議論がされたのは、
情報化社会に対して三原則、まあ三原則といったようなものを含んだ基本法というようなものをこの際つくるべきではないか、実はこういう議論がなされておるわけであります。御承知のように、こういった情報というものが平和的に利用されるべきだ、
国民生活に寄与すべきである、さらに民主的な管理運営というものが必要だ、プライバシーというものは守られるべきだ、こういった
一つの
情報化社会に対する基本といったものが早急につくられるべきだという議論に対して、
郵政大臣も宮澤通産
大臣も的確にその必要性を認めておられるわけであります。ところが、そういった基本法というものは全く表面に出てこずに、ただこういったものだけが、
機械的な
技術的なものだけが先行しておる。これは私はたいへんなことだと思うのです。一体情報化基本法といいますか、もっと具体的に言うなら、アメリカの大統領が、これは「現代の理論」という中から引用しておるのですが、一九六七年大統領の年頭教書、ここにおいて明確にその方向を指示しておるわけです。またフランスにおきましても一九六五年から七〇年にかけて、フランスの経済
計画の中でそういう必要性を明確にしておるわけであります。もちろん、社会主義の国ソビエトにおきましてもコスイギン首相が、この情報化というものに対してのそういった問題を含めた方向というものを明確に出しておるわけであります。そういった上に立って
データ通信の発展があり、そういった
情報化社会というものが実は前進をしてきておるのが先進諸国の姿なんです。
ところが、アメリカにおいてはそういった大統領教書が出されておるにかかわらず、なおかつ、専門家がこういう危険があるということを実はわが国に対して警告をしておられる、論文を発表しておられる。こういうことを考えますと、この情報三原則、こういった
情報化社会に備えてのこういった基本法といったものが一体政府で具体的にいつ出されるのか、どのような議論をされておるのか、こういうことは
国民にとってきわめて重大なことだと私は思いますので、明確に
大臣から御答弁をいただきたいと思います。