運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-03-18 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十八日(木曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君    江藤 隆美君       加藤 六月君    國場 幸昌君       佐藤 守良君    高鳥  修君       中村 弘海君    羽田  孜君       長谷川四郎君    林  義郎君       別川悠紀夫君    三池  信君       森山 欽司君    綿貫 民輔君       安宅 常彦君    阿部未喜男君       武部  文君    堀  昌雄君       八百板 正君    米田 東吾君       鳥居 一雄君    池田 禎治君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         文部政務次官  西岡 武夫君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       安達 為也君         防衛施設庁総務         部施設調査官  奈良 義説君         大蔵省主計局給         与課長     谷口  昇君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         郵政省電波監理         局審議官    太原 幹夫君         日本電信電話公         社施設局長   三宅 正男君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   池田 直和君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     小沢 一郎君   園田  直君     別川悠紀夫君   坪川 信三君     江藤 隆美君   森  喜朗君     綿貫 民輔君   安宅 常彦君     堀  昌雄君   中野  明君     鳥居 一雄君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     高鳥  修君   別川悠紀夫君     國場 幸昌君   綿貫 民輔君     中村 弘海君   堀  昌雄君     安宅 常彦君   鳥居 一雄君     中野  明君 同日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     園田  直君   高鳥  修君     木村 武雄君   中村 弘海君     森  喜朗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 私は、逓信委員会では、この前電電公社の問題について論議をさしていただきましたが、NHK予算については今回が初めてでございます。きょうは、私がもっぱら大蔵委員会等におりましての財政的の見地から、特にNHKの将来を踏まえた展望の中でのいろいろな問題点を少し指摘をして、NHK皆さんの善処を要望いたしますとともに、郵政大臣にもいろいろと御配慮を願いたいと考えるわけであります。  まず最初にお伺いをいたしたいのは、現在NHK事業収入伸びはきわめて順調にふえておりますが、これをささえておりますものは、カラーテレビが次第に普及をしておる、こういうことに関係があると思います。しかしカラーテレビも、目下非常にふえておりますけれども、やがては国民の大体の層に行き渡る、白黒テレビがかつて国民のほとんどの階層に行き渡ったと同じように、やがてはカラーテレビ国民階層の全体にほぼ行き渡る時期が来るのではないかと考えておるわけであります。  そこで、まず最初に、このカラー受信契約の今後の伸び率といいますか、これは一体どの程度考えておられるか、来年度については予算で拝見をいたしておりますけれども、その後の様子がよくわかりませんので、大体のことでけっこうでありますから、カラー受信契約がやがて上限到達をするときが、私の推測では大体一年半から三年の間に上限到達するのではないか、こういうふうに判断をしておるわけでありますが、ひとつNHKのほうから、どのくらいの年率伸びて、何台ぐらいずつの契約が行なわれて、上限に行き着くのは大体何年の何月ごろになるのか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えをいたします。  ただいま御指摘のございましたように、四十六年度予算時におきましては四百二十万のカラー契約達成目標といたしております。さかのぼって本年は三百六十万という数字でございまして、今月末この数字を達成し得ると確信をいたしております。本年のこの数字を達成いたしますれば、七百六十万という四十六年の予算開始時における数字でございまして、ただいまのところ私どもは、四十七年におきまして四百万という数字を同じくカラー契約目標数字にいたしております。したがいまして、四十七年度末には千五百八十万という数字に相なる予定を立てております。このように、四十三年カラー契約料金体系をとりましたとき以来、比較的順調に伸びてまいっておりますのは、日本経済発展にもよりますし、また本年度当初二百四十万を三百六十万にいたすとか、来年度四百二十万というふうに算定いたした基礎は、実は昨日も当席上でお話し申し上げたのでございますが、わりあい日本国民経済消費の堅調、向上等を見ましたり、あるいは政府の策定いたしております新経済社会発展計画というようなものが昭和五十年を目途として、さらに持続的な好調を持するというような経済的基盤を見越して、このような数字を立ててまいったものでございます。  しかしながら、御承知かと思いますけれども、私ども昭和四十七年次をもちまして第三次長期構想の終了時になっております。したがいまして、でき得べくんばこの四十七年を吸収いたしまして、第四次長期構想ともいうべきNHK発展計画を策定いたすべき時期にただいま立ち至っております。その際におきまして、このカラー契約発展をどのように見るかというようなことが、一つ大きな将来のNHKの財政の根幹に相なるわけでございますけれども、しかし最近におきます、あるいは昨年の後半以降におきます経済的な変調等もございますので、この辺をしさいに見きわめて第四次長期構想を打ち立てたいと思っております。したがって、このカラー契約を四十八年以降において確実な数字として申し上げるまでにただいまのところ立ち至っていないというふうな状況にございますことを御了解願いたいと思います。
  5. 堀昌雄

    堀委員 いま伺いますと、四十六年は四百二十万ふえる、来年四十七年度はこれが四百万に減るという推計のようでありますが、いま日本経済確かに少し生産その他には低調な部分がありますけれども、御承知のように大体実質年率一〇%というのは、政府の見通しでもありますし、さらにその中をささえております個人消費というのは、一五%を上回る個人消費を見ておるわけでありまして、昨年とことしとの間における政府の当初見積もりにおける個人消費伸び率の差というものは一%以内ということになっておるのでありますから、私はいまの四百二十万が四百万に減るというのはどうも適当でないような気がいたします。というのは、実はテレビの問題は、御承知のように、私ども昭和四十二年に大蔵委員会で例の輸出価格国内価格の問題を取り上げ、公正取引委員会の勧告を期待するということをやりまして以来、特にカラーテレビの問題について本会議商工委員会を通じて私はやってまいりましたが、これが今日かなり価格の引き下げにつながってまいりまして、消費をする国民の側にとってはたいへん有利な条件が昨年よりは四十六年度のほうがよりよくなるでありましょうし、このことは技術革新を含めて四十七年度にはさらに値段が下がる可能性もあるわけでありますので、そこらはこまかい数字を詰める気持ちはありませんけれども、要するに、もしかりにいまの四百万、四百万というのでまいりましても、大体四十八年末あたりでは限界に来るのではない、こう考えるのでありますが、こまかい計数のことは先のことでありますから議論をする意思はありませんが、大まかに見ても四十八年度か、四十九年度にはどうしてもカラーテレビ上限到達をする、大体こう考えるのが相当だろうと思いますが、会長いかがでございましょうか。
  6. 前田義徳

    前田参考人 四十八年度末まではお説のとおりの方向に参りまして、それ以後これがどうなるか、特にNHKの場合は受像機の個数とは関係ありませんので、核の分裂のように経済力を持った世帯数がふえるかどうかということとも重大な関係が出てくるわけでございますが、端的に申し上げれば、マキシマム現状が来ることはいまの制度を続けていく限り明らかであるということは私も考えております。
  7. 堀昌雄

    堀委員 そこで、実はマキシマムの状態が参りました後のことでありますが、これはやや二、三年先のことでありますが、私、国会でいろいろ議論をいたしますときに、どちらかというと国会の中ではきわめて短焦点の議論もありますけれども、やはり経済の問題というのはかなり長期的な観点に立ってそれに対する対策を講じながら処置をしなければ、期待するような効果考えられないわけでありますから、少し先のことになりますが、かりに四十八年末をもってひとつ限界に来た、四十九年からはこれがどうなるかということであります。  そこで、ちょっとお伺いしておきたいのでありますけれども、四十二年から四十六年までの事業支出伸び率でありますが、これを見ておりますと、四十二年が前年比六・五二%増、四十三年が八・二六%増、四十四年八・四一%増、四十五年八・六四%増と、ここまでは大体八%程度にとどまっておりましたが、今年度事業支出は前年比で一〇・九九%、約一一%伸びる、こうなっておるわけであります。  そこで皆さんのほうは、第三次長期計画、四十七年までになっておりますが、皆さん資料をちょっと拝見しましたけれども、四十六、七年でセットになっておりますので、四十六年、七年わかりません。四十六年がかなり高いので逆に四十七年少し引っ込むのではないかと感じるくらいでありますが、このような形で事業支出伸びていきますが、今後の伸び率というのは、四十七年、八年あたりはどの程度伸び率になるのか、これもやや長期の問題になってあれでございますが、ちょっと承っておきたいと思います。
  8. 志賀正信

    志賀参考人 お尋ねの四十六年度に続きましての四十七年度、八年度事業運営費伸び率の問題でございますが、ただいま予定をいたしておりますのは、これからNHKが行ないます事業計画の内容にもよることでございますし、またNHKの場合には必ずしも採算のとれないような仕事も相当ございますので、そういうものにつきましての今後の予測につきましてはまだはかりかねるところもございますが、本年度はおおよそ一一%の伸び率を示しておりますが、四十七年度、四十八年度につきましてはこれ以下に押えていきたいものだというふうに考えておりますが、大体九%ないし一〇%になるのではないかという一応予想はいたしております。
  9. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話しのとおり一一%、これまでに比べてやや高うございますから、おそらく少し下がってくるのではないかと私は思いますが、まあ一〇%台の支出伸び率がおおむね継続をしていくのではないかと思います。そうなりますと四十八年で一ぱいになって、四十九年から、まだあと三年先になりますが、それから先は事業支出が一〇%伸びれば収入でこれをカバーしなければなりません。経常収入に赤字が出るというのは、これはやはり健全経営というわけにはまいらないと思いますので、毎年事業支出伸びが一〇%、そうすると収入をこれに合わせて一〇%伸ばしていこうとすれば、受信料を必然的に毎年事業支出に見合うだけ伸ばしていくということになってくるのではないか。日本はいま、御承知のように高度成長政策をとっておりますから、物価は確かに上がります。上がりますけれども、新経済社会発展計画でも物価を押え込むことに実は政府は懸命なわけでありますが、幾ら物価が上がるといたしましても七%程度というのが上限でなければならない。ところが、もしいまの形で推移をすると、四十九年以降は事業支出が九%ならばやはり受信料収入も九%引き上げなければ処理ができない、こういうことになるのではないか。四十九年以降における受信料問題というものは物価問題としてもきわめて重要な問題になってくる、こういう感じがするわけでありますけれども、私が今日いろいろな角度から申し上げるのは、このようなときに対処をするために、これからその時点までの間に少しやっていただきたいことを、少し問題を提起しておきたい、こう思うわけであります。  そこでいまの問題でありますが、四十九年以降はもしカラーテレビ収入上限に達したとするならば、事業支出伸び率だけは受信料を引き上げなければならない、こういうことに経済的にはなるわけでありますけれども会長はその点はどういうふうにお考えでございましょうか。
  10. 前田義徳

    前田参考人 非常に単純なプラス、マイナスでまいりますと御説のとおりであります。私どもとしては、現状に至るまでに昭和三十五年を起点として今日まで第三回の長期計画を立てまして、三十五年以来放送事業界では最初のいわゆる近代化計画と申しますか、合理化計画を実行して今日に至っております。先ほど御指摘昭和四十二年ないし四十六年度までの支出伸び率は、これは一応こういう近代化計画の上に立って収入伸び率との実質的な相関関係検討しながら現状に至っているわけです。  御承知でもございましょうが、昭和四十三年から、それまで有料であったラジオ放送料金無料とし、白黒テレビジョン放送料金については十五円を値下げし、当時わずか二百三十数万であったカラーテレビ契約の将来を考えながら、百五十円の付加料金を御承認いただいたわけであります。で、現在、四十六年度考えますと、そういう過程を経た中で事業伸び率というのはおおよそ一〇・六%内外になっております。これが支出との関係は、私どもはこの長期構想の中で――政府が策定された物価の指数おおよそ四%強という考え方で実は策定した長期構想でございます。したがいまして、その間に事実上物価の騰勢は続いておる、こういうことを考えながら、私どもとしてはことしの夏までに、できれば将来十カ年の動向をあらゆる資料から検討しながら、われわれの今後行くべき方向を決定したい、これが先ほど佐野専務からお答え申し上げた四十七年度を逆に第四次長期構想の初年度とするという考え方で根本的な建て直しを考えてみたい、このように考えているわけでございます。もちろんこれにはかなりの合理化と申しますか、そういうことが必要になってまいります。その一応の、私ども事業からその根拠となるものは、昨年三回目の調査を完了した国民生活時間との関係で、電波の出し方についても、それから組織のあり方についても、一応全面的な再検討の時代に入っているという考え方を私としては持っているわけでございます。  結論としては、できるだけ値上げは避けてまいりたいという考え方を持っておりますが、実際、社会経済の実情からいいますと、当面そういう可能性はないかもしれない、しかし、できるだけ企業の合理化という点を勘案しながら、その差を縮めてまいりたい、このように考えているわけです。
  11. 堀昌雄

    堀委員 私もいまお話しのような形で、値上げをするとしても、その差はできるだけ少なくしていただきたい。これはもう皆さんのお考えであり、国民の願いであると私は思うのであります。そこで、いまのその値上げの問題に関連をしまして、受信料というものの性格を少し伺っておきたいと思うのであります。  これは放送法三十二条に「協会放送受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送受信についての契約をしなければならない。」こうなっておりまして、それに基づいて受信料郵政大臣認可をすると、こう書かれているわけであります。一体この受信料というのは、契約を結ぶということによって生じるとは思いますけれども、それは単にそういう契約料であるのか、あるいは受信者テレビ放送というものを受信することによって受ける一つ受益に対する対価なのか、この点はNHKは一体どういうふうにお考えになっておるでしょうか。
  12. 野村忠夫

    野村参考人 お答えいたします。  御承知のように、放送法日本放送事業界を二つに分けまして、国民のものである電波の使い方を、一方は受信料を取ることでNHKをつくり、他方は広告料収入とすることによって一般放送事業者、すなわち、民放をつくるという形で出発をしております。先ほど先生が放送法の条令をお引きになりまして、後半郵政大臣認可ということを言われましたが、受信料は、国会におけるNHK予算承認を得てきまるものでございまして、郵政大臣認可は必要としておりません。この点、公社、公団とは違っております。  私ども、この料金性格につきまして、郵政省その他各般の諸説参考にしましていろいろ検討してまいりましたが、基本的に、一応国民基盤とする受信料に基づく公共事業体である、すなわち、国民放送効用受益する形において共同参加している、いわゆる公用負担説というものをとっております。いろいろ対価説とかあるいは税金に近い性質というような諸説もありますが、国民に基づく公用負担説、したがいまして、受信料国会予算承認することによって決定されるという形になっております。
  13. 堀昌雄

    堀委員 私が三十二条、免除の規定のところをちょっと間違えたので、郵政大臣認可は誤りでありましたが、効用負担ということのようでありますが、その効用というのはテレビ受信することによって生ずる一つ利益でしょうから、そういう利益を負担するということは、理論的にはやはり一つサービスに対する対価として支払う、こういうことじゃ、ございませんか。表現は、まあ効用負担であっても、サービスに対する対価であっても、あまり変わりないと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  14. 野村忠夫

    野村参考人 お答えいたします。  公用負担説の「こう」は公という意味でございまして、いわゆる効用効果の「効」ではございません。したがいまして、もう少し別な表現を用いますと、国民NHKをつくっている、そのつくっている事業体お互いが分担し合うのだ、そして放送による効用を公の中でお互い受益し合うのだというようなことになろうかと思います。
  15. 堀昌雄

    堀委員 まあ、その前段のほうはいいのですけれども受益ということは間違いありませんね。もう一ぺん確認をしておきます。受益は間違いありませんね。
  16. 野村忠夫

    野村参考人 放送法の第一条に放送による効用ということばがございますから、その効用ということに受益を解釈して差しつかえないと思います。
  17. 堀昌雄

    堀委員 私がいまちょっとここにこだわっておりますのは、現在NHK契約をしておる受信料の単位が世帯だということになっておるわけですね。それで、この前からのいろいろな論議を拝見しておりますと、昨年の参議院の会議録でこういうお答えが実は出ておるわけであります。お答えということになりますか、大体テレビのある世帯というものが、一台だけのものが六三・三%、二台のものが二七上二%、三台のものが七・九%と、こんなふうになっているというNHK放送世論調査資料が紹介されておるわけでありますけれども、最近ではだいぶん複数受信機を持っておられる方がふえてきておると思いますが、一体どのくらいになっておるでしょうか。
  18. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいま御指摘数字にさほど変化はございませんが、昨年十二月のNHK放送文化研究所調査におきましては、全契約のうら三八%がカラーないし白黒を併用と申しますか、複数所有をいたしておる。これは大体八百四十万台に近い数字と推定をされます。またカラーだけの複数所有というものは四・五%で、大体三十万台と推定して間違いないかと存じます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 私がいまこの問題に触れておりますのは、将来もし値上げをするというときに、一台しかテレビを持ってない者と二台、三台のテレビを持っておる者の場合には、受益程度がおのずから異なると私は思います。豪族数に応じておのおのが適宜な番組を見る。もちろんそうなれば、NHK一つしか見ていないということであるかもしれません。しかしまあ、NHKでも第一放送もあるし、もう一つ教育テレビですか、もう一つ放送があるわけでありますから、要するに受益の形としては、さらにこれから都市部ではUHFも見られるということになれば、三台のテレビを持って三通りのNHKサービス受信できるものと、一台しかないから一通りしか受信できないものとの間には、受益に差ができてくるのは当然だ、こう私は考えるわけであります。  ですから、今後NHK料金を上げるとするならば、その料金上げ方の中には、そのような受益効果に応じた受信料負担あり方というものが私は当然導入されてしかるべきでないか。そのために、いまからこれらの世帯の中におけるテレビあり方を十分ひとつできるだけ、サンプルでもよろしいですから、調査をされて、将来のテレビ料金値上げの際に、少なくとも国民の最も納得しやすい、そうして所得階層別に応じて、テレビ台数の多いということはそれだけ所得が大きいわけでありますから、応能負担という問題もここでは考えられるわけなのでありまして、テレビ値上げというものは、これは時間の経過は別としても、必然的であるという判断の上に立つならば、今後のテレビ受信料設定あり方というものについては、ひとつこの際検討が必要なのではないか、このように考えるわけでありますが、会長はその点についてのお考え、いかがでございましょうか。
  20. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましても、またわれわれの同僚も、この問題についてはかなり鋭敏な取り上げ方をいたしております。第三次長期構想は、要するに一方ではラジオ無料とし、さらに白黒を値下げするというたてまえでつくられたもので、将来を考えます場合に、それでは一体公平な負担というものはいかなる形において実現され得るか、これを私どもとしては当然考えるべきことだと思っております。このために、実は二、三年にわたって一世帯における所有台数の調査というものを行なっているわけでございますが、これについての関心はきわめて深いですが、結論はいまのところまだ出しておりません。
  21. 堀昌雄

    堀委員 結論は、いよいよ値上げをしていただくときに出していただけばけっこうでありますけれども、ただ問題は、準備がないとそれに対する結論が出せないと思いますので、きょうはまず一つ問題を提起しておきたいと思います。  その次に、ことしの予算関係がある点で少しお伺いいたしたいわけでありますけれども、これまでNHKテレビ受信料の収納のコスト率といいますか、これは一体どうなっておるのか、ひとつ四十三年くらいからお答えをいただきたいと思います。
  22. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいまの御質問に対して、一部過不足があるいはあろうかと思いますけれども契約収納関係の経費をまずさしあたり申し上げたいと思います。  四十二年次からとりまして四十六年度、御審議をいただいております明年度予算に至るまでの概数を申し上げますと、四十二年度において五十一億三千万円、次いで四十三年に五十四億七千万円、四十四年に六十二億一千万円、四十五年、当年度でございますが六十八億八千万円、次いでただいま御審議をいただいております明年度におきましては八十二億二千万円というふうに相なっておりまして、これが契約収納の総額でございます。このうち、特に契約関係では二十三億を要しております。
  23. 堀昌雄

    堀委員 コストはそれでわかったのですけれども、一体その収納費比率といいますか、現在の受信料をこれだけコストをかけて徴収収納しておられるわけでありますから、言うならば、百円の受信料を集めるために一体百円当たり幾らのコストになるのか。これは皆さんのほうでは計算はございませんか。
  24. 佐野弘吉

    佐野参考人 御承知のように、ただいまの料金体系は普通契約が三百十五円、カラー契約が四百六十五円という月額に相なっておりますが、ただいまの御質問では百円当たりという単価で御指摘でございますけれども、もしお許しを得るならば、この三百十五円ないし四百六十五円という両方の料金体系の一件当たりを総合して申し上げますれば、一件当たり大体三十八円余りというのがただいまの収納費であります。
  25. 堀昌雄

    堀委員 実は私が少しこの問題を取り上げておりますのは、NHK予算ベースで全体を拝見をいたしまして感じることが二点ほどございます。その二点の中の一つは、業務費といわれるもの、この業務費というものの中身は、広報・受信改善経費というのと契約収納経費と、こうなっておるわけでありますが、この業務費というのは、実は昭和四十二年から対前年の伸び率というのが、四十二年は五・七一%、四十三年五・四三%、四十四年四・九五%、大体五%内外のところにあったわけですが、四十五年からいきなり一七・一九%増となり、四十六年には一九・二一%増と急激にここで三倍から四倍に実は業務費の前年対比の伸び率が急上昇しておるわけであります。この原因は、それでは一体何か承りたいと思うのであります。
  26. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えいたします。  業務費のうち広報費、これは五億円余りないし受信改善費七億円台、これらは大差はございませんが、まさに御指摘のとおり契約収納経費におきまして、四十五年、四十六年においてかなりの急増を見ておりますものは、たとえば本年カラー契約が三百六十万あるいは明年度において四百二十万というようなものと、それから契約全体といたしまして本年度六十五万、明年度六十八万というような純増の経費がございます。これらの取り扱い件数、要するにこれが契約としてふえてまいります分の所要の経費が急激にこれを必要といたしておることが一つでございますが、確かにかなりの顕著な増高を見ておりますものは、たとえばカラー契約を獲得するための取り次ぎ事務費と申しますか、契約の取り次ぎ料等の増高を一部見ておるというような点もございます。  また、収納関係におきましても、これはいろいろ複雑な関係でございまして、直接職員集金もございますし、外部に委託をいたしておるものもございますし、また一六、七%にあがります地方の郵政委託というような分野もございますが、これらがいずれも特にこの一両年の一般的な賃金の増高に見合って、これらの収納費を賃金の増高と並行して上げなければならないというようなところが、この近年かなり顕著な比率の上昇の原因になっております。
  27. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話でありますけれども、実はこれまでの給与の伸び率を見ておりますと、給与の伸び率は四十二年が九・八九、四十三年が一〇・〇三、四十四年が一二・四〇と、確かに伸び率は低うございましたけれども、この伸び率に対する業務費は横ばいであったわけです。今度は四十五年に給与費は一七・一四%とふえて業務費は一七・一九%、給与費が四十六年は一八・二三%とふえるという推計に対して業務費は一九・二一%とさらに一%ここは上回る、こういうことになっています。実はこれをいま私のほうでは、いまの白黒とかカラー当たりでは全体の予算計算できませんから百円当たりで試算してみますと、四十五年には百円を収納するために七円六十九銭かかっておるわけです。それが四十六年には八円三十銭に実はふえてまいります。これは全体としてふえるのですが、この限界部分ですね、要するにことしの受信料伸びに対してこの収納経費の伸びというものでこれを割り戻してみますと、この限界収納比率というのは十四円五銭に上がっているわけです。一体これはどういうことで、単に集金をする人の給与が上がるということだけでちょっと問題解決できないのじゃないか。  この点はいまのお話だけではちょっと私、納得ができないのでありますが、NHK全体の給与比率の伸び率よりもさらに上回る。さらにいまの限界収納比率というのは、これまでの費用に比べて倍近く実はこの限界部分だけは伸びてくる。こういうことであれば、今後この部分の限界部分はふえてくる。まだ依然としてあるわけですから、ある部分というのが依然として高くなるということは、今後この業務費というものの伸び率は相当に高い伸び率になるのではないのか。現在事業支出の平均伸び率、さっき申し上げたように四十六年が約一一%でありますから、これに比べて一九%というのは平均を上回って非常に大きな寄与率をここに生じておる、こういうことに実はなっているわけであります。項目的なウエートではこの業務費というのは四十六年では九・五四%でありますが、これの増加の寄与率というのは一五・四三%と実はかなり高く出ておるわけでありまして、この点はいまお話を承った程度ではちょっと納得ができないのでありますが、最も中心的なこれを押し上げておるものは何なのか、これをちょっと承っておきたいと思います。
  28. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいまの御質問の趣旨は、私の立場から申しまして一部ごもっともなところがあると存じます。ただし、四十五年と四十六年を対比して一つの例示をいたしますと、四十五年は、先ほども触れましたように、この年度間の実績といたしましては、たとえばカラー契約を三百六十万ということで年次の途中で変更いたしておりますけれども、ただいま先生の四十五年と対比いたしました基本の数字は年初の二百四十万で計上いたしてございますので、その辺が大きく変わっている点も一部の要因でございます。  また、少しく話が長くなりますのでいかがかと存じますけれども、実は本年度をもちまして私どもの営業体制に一大変革をいたしまして、職員の集金を、外務体制に大きな変化を加えまして、千百四名からなりますもののうらの二百三十名ほどを外務主任として、一つのユニットチームをつくりまして、リーダーといたしまして集金行為からはずしました。また同時に、最近の都市圏の立地条件あるいは私どもの立場から申しますれば、契約ないしは収納の困難性の増加に伴いまして、職員は単純なる集金行為よりも、主としてただいま申し上げたような困難地域、端的に申しますればアパートにおける不在対策とか、そういう方面に一つの業務を付与する新しい体制をとりましたために、一時的ではございますけれども、三百名以上の委託者をふやしたのがことしの実情でございます。これはいわば先行投資でございまして、私どもは今年、すでに四十六年度予算でおわかりのように、来年度におきましては口座を六百五十万ほど、前納を九百七十万ほどでございますか、こういうふうな契約、収納上の近代化をはかりまして営業コストの低減を別途にはかりつつ、この一時的な委託者の増加というものをこうした近代化とあわせながら将来設計としてこの数年間に整理をいたしてまいる。したがって、この一両年は若干の先行投資的な意味を含めまして増額が著しゅうございますけれども、私どもはスペシャルプロジェクトとしてこの問題を数年間に解決をして、この口座なり前納というものを全契約の半分以上に近づけていくということで、やがて営業コストの低減をはかり得るという設計図をただいま描いて、本年度これにまず外務職員のただいま御説明申し上げたような形での変更を見た、そうしたあおりが一時的な増高という形で数字にあらわれております。その点を御了解願いたいと思います。
  29. 堀昌雄

    堀委員 これから先の問題でありますから、私も一ぺんこの問題を取り上げましたから、これから当分の間毎年トレースをさせていただきますので、いまのお話のように合理化効果があがるかどうかは、また今後拝見をさせていただきますが、ただ計数的にだけ見ますと、実は受信料の増加額は対前年で四十二年が三十八億程度でありましたものが、確かに三倍くらいに最近は非常に伸びておりますから、経費が多少かかるのはやむを得ないという点もあるかと思うのでありますが、その伸び率に比較して経費の伸び率がやや大きいので、問題を一つ指摘をしておきたいと思います。  その次に、管理費という項目がございます。この管理費の項目の中で、よくわからない点を一つお伺いをしておきたいのでありますけれども、これは予算ベースでしか議論ができませんが、昭和四十四年の管理費というのは百億でありますね。四十五年が百一億三千五百万円。四十四年から四十五年に対して管理費がほとんどふえていない。どうして四十五年にはこんなに管理費がふえないで処理ができたのでしょうか。
  30. 志賀正信

    志賀参考人 管理費の構成の内容につきましての御質問でございますが、管理費と申しますのは、なかなかわかりにくいことばかと思いますが、NHKの場合には、経営管理及び職員管理に要します経費ということで、建物の維持経費から職員の健康管理及び社会保険料、そういうものを全部含めて、一括していわゆる庶務経費がここにございます。この中には、ただいま御指摘のように、四十四年度と四十五年度伸び率があまりふえておりませんが、これはここ数年コンピューターを導入いたしておりまして、多少問題がこまかくなりますが、コンピューターの使用を開始いたしました導入の当初の時期でもございましたので、一括してこの管理費でそのレンタル料を払っておりましたが、次第にコンピューターの利用が定着をいたしてまいりましたので、やはり放送放送、営業は営業というふうに各費目に割り振って、それぞれのコストの帰属に属さしめるべきであるという考え方で、四十五年度からこれを改めまして、それぞれの費目にこれを配分いたしました関係から、四十五年度は一たん下がっておりますが、四十六年度にはまた総額百十一億いうことで、約十億の増加になっておりますが、これは新年度になりましてからいろいろな局舎の増設、そういうものもございますが、特に社会保険料等の増額もございまして、それらの影響がございまして、約十億の増加ということになっております。経過は以上のようなことでございます。
  31. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。ここで四十五年、四十六年で見ますと、一般管理経費が一九・一%と、率がたいへん急激にふえております。あとは施設維持管理経費というのは逆に九五・三%で減っておりますが、あとの厚生保険経費も一五・六、退職手当、事務経費も一二・九ということで、あとはいずれもそうでありませんが、一般管理経費だけがここでまた一九%ふえているというのはどういうわけでしょうか。
  32. 志賀正信

    志賀参考人 管理費の中で一般管理経費が十四億九千九百万円でございます。これに対しましては、昨年度は十二億五千万円でございましたので、約一億四千万の増加がございます。この中でおもなものを申し上げますと、職員の管理に関係  のございますものが七千六百万ばかりふえております。これは職員の育成研修その他職員の転勤、表彰等の経費でございます。それから一般経営管理費といたしまして、経営企画調査及び経営関係の経理、その他のEDPの使用レンタル料及び法人費の増加、こういうものを含めまして、ここで経営管理関係といたしまして一億六千四百万ばかり増加をいたしておりまして、合わせて二億四千万ばかりの増加となっております。
  33. 堀昌雄

    堀委員 その次に、この料金応能負担ともう一つ関係がある点でございますけれども、非世帯料金問題というのが、この前やはり参議院で少し論議をされております。この参議院の論議の中では、非世帯というものの中にはホテルと旅館というものが主たる対象としてあげられておるようでありますが、その他にまだ喫茶店とか食堂とか、かなり非世帯テレビのあるところがあるのではないかと思うのです。この非世帯に対する調査というのはどうなっておるのでしょうか。最近の時点の調査をちょっとお答えいただきたいと思います。
  34. 佐野弘吉

    佐野参考人 御同様の趣旨の御発言、御質問が昨日もございまして、一部お答えをいたしたところでございますが、ただいま非世帯が三十三万ほどの契約になっております。このうちホテル、旅館関係が十五万、会社、官公庁十二万、これで合わせて二十七万でございますが、残余のものが一般のただいま御指摘のような向きの契約関係に相なっております。
  35. 堀昌雄

    堀委員 この世帯のものと非世帯のものは、私は、同じテレビがありましても、料金の問題というのは別途少し考える余地があるのではないか、こういう感じがしておるわけであります。これはどういうことかといいますと、世帯の側というのは生活直結の費用でありますから、言うなれば、課税上の問題でいいますと、これは所得税を払ったあとで払う料金になるわけでありますが、非世帯の場合には、これはいずれも実は経費で落ちるわけでありまして、本来これは営業収入に転化できる性格のものであります。ですから、そういう意味で非世帯調査はもう少しより徹底して行なわれてしかるべきではないか。もちろん非世帯というものの変動、移動もあるでありましょうけれども、どうもいまのお話を聞いておりましてもそうでありますけれども、この前の御答弁でも、ホテルや旅館は二十五万五千くらいある、契約済みがその五〇%程度だという御答弁が参議院でされておるわけでありますけれども、これはもう少しきちんと調査をすれば可能なのではないか、私はこういう感じがいたしますし、同時に、このテレビの個数というものは、さっき申し上げましたように、非常に多数の個数を設置しておるわけでありますから、これは世帯並みに一ホテル一契決というのでは、私は非常に合理性がない、こういう感じがするわけであります。同時に、これはもし毎日お客さんが泊まらないといたしましても、半分泊まったとしましても、現在の四百六十五円のカラー受信料というものを、一カ月のうち十五日間に分割をしてみればわずかに三十円。最近の相当高額な宿泊料の中に見れば、この程度のものの負担力は十分にあることでもありますし、これらの非世帯カラーテレビ契約の問題については、一般世帯とはやや趣を異にいたしますので、これは台数での処理をすることにすみやかに改めたらどうだろうか、こう思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  36. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問は誤解に基づくものだと存じます。各世帯におきましては、複数の台数を持っておりましても、一世帯契約でございますが、非世帯はすべて台数に基づいて料金をいただいておりますので、いかなる旅館、ホテル等におきましても、全部その設置した台数を一台ごとにいただいておるというたてまえになっておりますので、昨日もここでお答えしたのでございますが、この近辺のホテル等におきましてかりに千室ありまして、そのうち七百五十の客室にテレビが、白黒カラーを問わずございますれば、それぞれ白黒なりカラーなりの料金を全部いただいておるということでございますし、ただ、問題は、事柄の性質上、地方の温泉街等におきましては、年間を通じてすべて客室がふさがっておるわけでもないということから、大体話し合いの上で七〇なり七五%の客室のローテーションというような形でその複数台数を設置どおりにいただいておるというのが現状でございますので、少しく単一とおっしゃられた点は誤解かと存じます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 それにしては少し何か少ないような感じがしますが、この程度のものでしょうかね。
  38. 佐野弘吉

    佐野参考人 実は、先ほどお答えいたしました数字は、本年の一月のわがほうの調査に基づくもので、この一、二年、その方面の調査をさぼっておるというような怠慢はいたしておらないつもりでございます。ただ、その調査の内容なり的確について満幅の自信があるかというような点につきましては、一部困難がございまして、たとえば普通、喫茶店なりあるいは小さな店舗をかまえた非世帯と自分の世帯、住まいとそれから営業の店とを一棟の中に持っておりますものは、実はこれらにつきましては、たてまえ上はその複数契約をいただくということでございますけれども、なかなかその辺で、やはり一世帯とみなしてくれというような話し合い等もございまして、実際の外務集金者との間にその辺の認定の問題等も一部残されている問題はございます。
  39. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。  そこで、これからあとは少し、必要な経費をできるだけ圧縮をするという意味で問題を提起したいのでありますけれども、まず、いまNHKが基地の騒音の問題のために負担をしておられる経費がありますね。あれは、私も実は伊丹空港のすぐそばにおるわけで、実は飛行機の障害を受けておる部分におるわけですが、まあ減免をいただかない外側で、ちょうどまずいところにおるわけですけれども、その費用も実は出されておる。しかし、会議録を拝見すると、これらは原因者の責任として考えてもらいたいとNHKは主張しておられるようでありますけれども、いずれも大体二分の一負担というようなことをしておられるようですね。これは、原因者という主張とこの二分の一負担との関係――そうはいってもということかもしれませんが、これはなぜ二分の一を負担しておられるのかをちょっと承りたいと思います。
  40. 佐野弘吉

    佐野参考人 基地につきましては、私の記憶に間違いがございませんければ、三十六年以降でございましょうか、半免措置をとりまして、また大阪、羽田等の国際空港におきましては四十三年から、これは免除ということではございませんけれども、若干の、半額に近いものの助成をいたしておるという措置がとられております。  それでは、なぜ全免ないし半免という、この放送法上の免除基準の中で半免であるかというような点につきましては、昨日もこの席上、会長からお答えいたしましたように、全免的措置は社会的な福祉の問題あるいは教育手段等に関する点につきましては全額免除の措置はとっておりますけれども、これらの地域におきましては、実際にテレビジョンを設置しておるということの事実が、若干のテレビ、障害等は生じましても利用をいたしておるということは、これまた事実でございます。  この基地等において問題になっておりますのは、私どもの立場から申しますれば、必ずしも画像全体が非常にフラッター現象でくずれるというようなことはほとんどございませんで、むしろ騒音、要するに航空騒音というようなこの音の関係で聞きずらいというようなことからこの問題が惹起されたかと思います。しかし私どもは、本来ならば原因者主義というたてまえで、本来国においてこれを補償し、補てんすべき性質のものであるということは、たてまえ上も疑っておりませんが、当時の事情におきまして万やむを得ず私ども自身も、受信者に対するサービスなりあるいは受信者の聴視状況の不備という点につきまして、協会社会的立場を考えて、国にかわって半額の免除をいたす。この基地等におきましては、いわばそれぞれの立場におきまして御批判、御意見がございましょうけれども、いわば高度の国防、国家の安全というようなことにも関連するものとしてやむを得ず私どもが本来担当すべきではあるいはないと理論上は言うべきかもしれませんけれども、当時の環境の中で半免措置をとったということでございます。
  41. 堀昌雄

    堀委員 郵政大臣にちょっとお伺いをいたしますけれども、いまは料金値上げをいたしておりませんから、どういう経費がどこへ出ておりましても、私、まだあまり問題がないと思います。しかし、いよいよこれから値上げをするということになりますと、値上げをする前には、私はやはりNHKとしては、筋のない費用はやめておくということでないと、私は国民値上げを納得してもらうのは非常に困難になってくるのではないか、こう考えます。そういたしますと、私はそういう意味でいまの基地の騒音に対する費用を負担しておるという問題、あるいは空港における費用を負担しておる問題等は、やはり筋道としてはこれは飛行場で飛行機がそこを飛ばなければ、それらの視聴者は障害を受けないものが、飛行機が飛ぶために障害を受けておることは間違いがありませんから、たとえば山の中にいなかの住居があって、そこにNHKテレビが届かないというのならば、これは私は角度が別だと思いますけれども、やはり一つの原因があり、その原因をもたらしておる者が負担をするのが私は筋だとこう思いますけれども郵政大臣、この点はいかがでございましょうか。
  42. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 筋論、たてまえ論から申しますと、原因者負担というのは当然だろうと思うのでございますが、いま佐野専務理事からお答えになりましたように、これには一つの経過もありましたし、常識的にといいますか、そういう扱い方だったと思うのであります。したがいまして、方向としては、今後問題の処理はいま御指摘のような線を前面に押し出して当たるべきではないか、こう思っております。
  43. 堀昌雄

    堀委員 防衛施設庁にお伺いをいたしますが、防衛施設庁で半分持っておるということは、皆さんのほうも原因者として負担をしなければならぬということだという認識に立っておられますか、どうでしょう。
  44. 奈良義説

    ○奈良説明員 御説明いたします。  このテレビの減免に対しましての国の態度、どのようにするかという、難視聴に対してどうするかという措置の問題は、先ほど来も御説明ございましたようにいろいろ経緯があったようでございます。原因者として国が負担するか、あるいは公共放送としてのNHKが、その公共性の立場からということでやるか、いろいろ議論があったようでございます。特に基地等周辺問題対策協議会で数次にわたって議論したようでございますが、どうも結論は出ておりませんでした。しかし三十九年にNHKさんのほうで自主的にと申しますか、減免に踏み切られたわけでございまして、その後四十五年にどうしてもさらにこの減免の対象を拡張しなければならないということになりまして、その段階でNHKさんのほうから御相談を受けまして、まあ原因者の立場もございますし、いろいろ問題はあることでございますけれども、早く問題を解決する必要があるということで、共同してこれに当たろうということで、まあ半分ずつ負担という形で今日に至っている次第でございます。
  45. 堀昌雄

    堀委員 私は、前段で触れましたように、いまはまあそれでも、NHK余裕がありますからいいのですが、いよいよ値上げをする、その値上げも場合によっては毎年しなければならぬという情勢がくるかもしれないということならば、私は、このようないわれなき負担をNHKがしておいて、そうしてそれを受信料に転嫁することには実は反対なんです。同時にこの基地の騒音にいたしましても、飛行場の騒音にしても、これは公害であることに間違いはありません。公害に対して国はそれ相当の責任をとるというのがこれは相当であろう、私はこう思うのであります。そうなると、まあ来年の話をいますぐ詰める気はありませんけれども、少なくともNHK受信料値上げを必要とする段階以前において、この基地の問題については国が全部負担をするのが、これが国のあるべき姿だろうとこう私は思うのでありますけれども、防衛施設庁はそういう角度で予算要求をする意思がありますか、その点をちょっと答えてください。
  46. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  先ほどから御説明申し上げておりますように、いろいろな経緯がございますものですから、いまの原因者負担という形でやるという問題につきましては、今後の課題といたしまして関係機関の間で協議をいたしまして検討さしていただきたい、このように考えております。
  47. 堀昌雄

    堀委員 まだ一、二年時間がありますが、少なくとも私が設定をしておる大体のNHK料金値上げ時期までにひとつこの問題は解決をしていただきたいと思います。  その次に、運輸省にお伺いをいたしますけれども、この航空公害防止協会ですね、これの費用についてNHKがいまやはり助成をしておるのでありますが、これも私は筋道としては、やはり当然この原因者であるエアラインの負担を考えるのが至当ではないか、こう考えるのでありますが、運輸省としてはこの点はどういうふうに考えておられるか。少なくとも私はいまの年次計画に基づいてNHK料金値上げになるまでに何らか、この問題の経費についても航空公害防止協会のほうで考えるということにしてもらいたいとこう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  48. 丸居幹一

    丸居説明員 テレビの減免措置につきましては、私たちのほうで始めたのは非常におそうございまして、先輩格の防衛庁がすでにやっておられましたので、なるべくそれに合わしてやろうということで進んだのでございますけれども、全部はNHKのほうで当時認めていただけなくて、それでまあ半々ということで公害防止協会をつくりまして、そういうことをいたしておるわけでございます。先生のおっしゃる御趣旨はよくわかりますので、そういうことで検討さしていただきますけれども、ただいま徴収しております徴収方法が、これは拠出金というかっこうでエアラインから取っております。拠出金というかっこうで取っておりますために、強制的に徴収ができませんで、これを徴収するのに非常に苦労いたしました。実は現在もアエロフロート一社まだ払ってもらえないという状況でございます。これを値上げするということはなかなかむずかしいのじゃないだろうか。したがいまして、徴収方法についての制度そのものを検討すべき必要もあるのじゃないかと思いますので、そういうことも含めまして、将来検討さしていただきたいと思います。
  49. 堀昌雄

    堀委員 いまの問題は確かに非常にむずかしいと思います。これはやはり、いま運輸省のお答えになったように、多少制度の中で、たとえば着陸料に込めて取るべきか、そこらの問題を含めて検討していただいて、やはり原因者である者の、一部は負担しておるけれども、一部は負担しなければそれで済むんだという発想は、特に公害の問題としては私は問題があろうかと思います。  それからもう一つ、これは基地でも航空公害防止協会の問題でも同じことでありますけれども、ある一定の限度までは減免をするけれども、その外に出たらいきなり減免がゼロになる、こういう発想は私は少し問題があるのじゃないかと思います。私のところあたりテレビを見ておりまして影響するのは、音よりも実は画面のフレのほうが大きいわけです。ちょうど生駒山から来る電波のどこかを飛行機が通るのでありましょう。飛行機が通るたびに画面ががあっとゆれて見えなくなる。音はたいしたことはありませんが、そういう障害も実はあるわけです。そこで、これはひとつ皆さんで御検討いただきたいのですけれども、音にしてもどこかから区切ったときに、いきなり――たとえば十五メートルなり二十メートル先とこっち側ではどうかといえば、実はあまり変わらないという問題が起きるでしょう。何とかこれは、少し逓減方式といいますか、まあ、五割減免しておる、その次は三割減免というような、少しランクがあってもいいのじゃないか。こういう問題というのは、どこから先は何もないのだということではなくて、連続しておるものを、いま便宜上どこかで切っておるわけでありますから、これはこういうふうにがたんと切るのではなくて、この切り方が少し傾斜があるということのほうが住民感情としては受け取りやすいのじゃないだろうか、こう私は考えるわけでありますが、この問題、いまの一キロとか五キロとかいう機械的な処理の問題だけで片づく問題ではありませんので、これはもう少し、ここらを含めて検討しておいてもらいたいと思いますが、これはいかがでしょうか。
  50. 佐野弘吉

    佐野参考人 私も航空公害防止協会理事の一員をいたしておりますから、その立場でお答えをいたしたいと思いますが、お説のところもごもっともだと思います。また、先ほど私が主として騒音に基づくと言ったことに間違いがないつもりでございますが、しかし、航空機等がこの送信の起点からの電波をいわばかりに通過時に遮蔽するというようなときに、金属性でございますのでそこに多少のフラッター現象を局部的に惹起するということもあるいは間違いないかと思います。これらは東海道あるいは山陽新幹線の通過時にも一部見られる現象でございますから、これをあながち否定は申し上げません。  それから本題の逓減方式でございますが、実は四十三年に航空防止協会を主体としてこの助成措置をとるまでにいろいろの経過がございまして、NHKが全面的にこれをひっかぶれというようなお話もございましたが、趣旨において違うということで、かなり強硬にこれは運輸省にもお願いをいたして、防止協会設立に至った経過がございます。その中で、いろいろ考究いたしましたけれども、結局は、この種の問題はかりにあるところで線を切りましても、一つの道幅で急に見えて急に見えなくなるという性質のものでありませんので、それまでとられておりました基地の障害等の先例をも引用いたしまして、一応着陸帯から一キロ-二キロというような形で羽田と伊丹にこの助成措置をとるというふうにきめたわけでございます。このことにつきましては昨日もお答えいたしたのでございますが、そのように機械的にきめましても、東京は幸いにいたしまして、半分海岸に面していること、あるいは羽田に至る大きな拡張されました産業道路がございまして、ちょうどこれがこの適用地域と適用をはずすという上に非常に好都合をもたらしまして、当時四十三年に設定いたしました一万三千の適用世帯は、今日これが苦情が出て拡大するというような経過は見せておりません。ただ御承知のように、伊丹を取り巻く八都市でございますか、これらの住民をかかえております各自治体の市長さま方のたいへんな御苦心もございますし、また私ども、運輸省並びにNHKも参加し、かつ航空会社等も参加いたしました防止協会では、この八市の伊丹を取り巻く立地条件というものが、いかにもこの機械的な一キロ-二キロでは問題が処理できないということで、その後四十三年から今日に至ります間に、画一的ではございませんけれども、たとえば飛行機の旋回の通路とかその他の実情と合わせまして、豊中なり池田なり各市のそれぞれの実情に即しまして、一キロ-二キロの線を四キロないし五キロというふうに広げたところもあり、あるいは一部はすでに六キロにも及んでおるところがありまして、二万三千世帯ということで四十三年に出発したのがいま五万近い世帯にこれが拡大をされて救済をいたしております。そういう形をとることによってこの助成措置を拡大をいたすほうが、私どもは賢明だと考えて、その措置をとっておりまして、逓減方式をとりましても、やがて結局は、その何分の一では不満だ、三分の一では不満だ、四分の一では不満だという声をいたずらに大にするということをおそれまして、ある種の決断に基づきまして、一キロ-二キロをとり、かつ実情においてこれを是正して今日に参っておるというふうにいたしておりますので、この防止協会を中心といたします私どもの苦心の存するところも御了察を願いたいと存じます。
  51. 堀昌雄

    堀委員 実はテレビ騒音なりいまの画面の問題というのは、この地域では非常に重要な問題になっておるわけです。いまの減免でいいというふうに実はなっておりません。そうすると、それを広げるときに、もちろん原資がどんどんあれば大いに広げてもらいたいのだけれども、なかなかそういかないとすれば、その先のほうは、ある程度ひとつ減免率を下げてでも広い範囲をやるということが、私は受信者側としては強い要求だと考えておりますので、ここらの問題は今後の範囲の拡大と合わせてひとつ検討していただきたいと思いす。  その次に、今度はあまり皆さん方にとって望ましくない問題でありますけれども、やはり料金値上げをする前に検討して、少し改めていただきたいと思う問題が一つございます。それはNHKの役員の退職金の取り扱いの問題であります。皆さんのほうでは、これは退職金というのではなくて、役員は退任慰労金という表現になっておるようでありますが、いまのNHKの役員退任慰労金の大体の支給のルールをひとつお答えをいただきたいと思います。
  52. 野村忠夫

    野村参考人 お答えいたします。  経営委員会の御決定になりました支給内規がございまして、七条に分かれておりますが、これを読み上げるのも長くなりますが、ひとつ読み上げてよろしゅうございますか。
  53. 堀昌雄

    堀委員 肝心なところだけ読んでください。
  54. 野村忠夫

    野村参考人 では一番のポイントだけを申し上げます。  第三条で「退任した場合および任期の途中で死亡した場合に支給する。」ということでございます。それから一番肝心な、四条に「慰労金は、退任時の報酬月額にその在任月数を乗じて得た金額の五分の四に組当する額とする。」というのがございます。それからもう一つ、「役員が引き続き同じ職に再任された場合は、退任しないものとみさし、その職を退任した際に通算して支給する。」それから「役員が死亡した場合の慰労金は、前二項により計算した額にその五割相当額を加算した額とする。」それから「在任中特に功労のあった役員に対しては、第四条にもとづく慰労金のほかに特別慰労金を支給することがある。」それから第七条に「慰労金の支給にあたっては、そのつど放送法第十四条第九号の規定により、経営委員会の議決を得る。」以上でございます。
  55. 堀昌雄

    堀委員 もう一つ、それでは一般職員を、一般職、管理職それから管理職の中の局長クラス、こういうふうに分けて、一体、一般職員の場合の退職手当はどうなっておるのか、承りたいと思います。
  56. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 お答えいたします。  一般職につきましては、現在、昭和三十九年に制定されました制度によりまして、退職手当と年金の支給をいたしております。内容につきましては、退職手当につきましては、退職時の基本給に一定の算定基礎率並びに在職の年数によります支給率をかけまして支給いたしております。また年金につきましては、退職時の基本給にこれも在職年数別支給率がございまして、これを支給しております。現在年金のほうはまだ経過中でございまして、完全年金制度になりますのは六十七年以降ということになっております。以上でございます。
  57. 堀昌雄

    堀委員 いまの、退職基本給に一つの算定基礎をかけて在職年数別の支給率をかける、こう言われてもわからないのです。ひとつ例示をしてお答えをいただきたいと思います。
  58. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 モデル的な退職給与につきましては、一般職につきまして、大体二十五年勤続といたしますと、三百六十万が退職手当でございます。そのほかに年金が以後三万程度五十九歳まで支給され、六十歳以降はそれを二割ほど減額して支給しております。それから管理職につきましては、部長クラスで二十五年としまして五百万、年金が当初四万程度ということでございます。それから局長クラスにつきましては、同じく二十五年をとりますと七百二十万ほどになります。これは年金が六万ほど支給される。ただ、私どもの標準的な退職までの年数をとりますと大体三十年ぐらいになりますので、実際はこれより三割方退職手当は多くなっておるのが代表的な例でございます。
  59. 堀昌雄

    堀委員 きょうは大蔵省の主計局給与課長にお入りいただいておりますので、これは必ずしも対比は適当かどうかわかりませんけれども、現在の公社の役員の退職の手当の状態、これをひとつお答えをいただきたいと思います。
  60. 谷口昇

    ○谷口説明員 お答えを申し上げます。  現在、公社は三公社ございますけれども、そのうちで、電電公社の規程で申し上げますと、役員の退職手当の基準で、退職手当の額は、在職期間一月につき、その者の退職または死亡の日における俸給月額に百分の四十五の割合を乗じて得た額以内とする、それよりあとは省略さしていただきます。
  61. 堀昌雄

    堀委員 いま百分の四十五ということにお話がありましたけれども、これはかつて百分の六十五であったと思うのでありますが、これは百分の四十五に最近改められたのはどういう観点に基づくのかをちょっとお答えをいただきたいと思います。
  62. 谷口昇

    ○谷口説明員 お答えを申し上げます。  御案内のとおりに、昨年の二月でございましたか、実は閣議口頭了解の形をもちまして、公庫、公団あるいは公社、こういうところのいわゆる特殊法人の役員につきまして、内閣におきましては、従来退職金につきましていろいろ議論もありましたこと、あるいは民間におきます役員の退職金の金額、そういったものをいろいろ総合勘案いたしまして、先ほど申しましたように百分の四十五に下げさしていただいたわけでございますが、その以前、いわば一月三十一日までは百分の六十五ということでございました。したがいまして、百分の六十五から百分の四十五に昨年の二月一日以来下げております。
  63. 堀昌雄

    堀委員 実は、いまお聞きになりましたように、私も大蔵委員会でこれらの公社、公団の役員の退職金というのは、理事でありました方が副総裁になるとすれば、そのときに理事の退職金をおもらいになり、今度は副総裁をやめて総裁になられるときにはまた副総裁の退職金をもらわれ、また総裁になっておやめになってまた退職金ということで、何段かに分けて実は退職金がとられており、その額は非常に大きな額で――大きな額というのは相対的でありますけれども、一般職員の退職金との権衡を見れば、著しく大きな額ということを、実は大蔵委員会でも提起をいたしました。これに基づきましてこういう額になった、こう思うのであります。  そこで、これはNHKのほうでもお考えをいただきたいことなのでありますが、いまのNHKの五分の四というのは百分の八十でございます。片や公社は百分の六十五から四十五に引き下げておりますが、この問題については、私ども専門の立場から、少し私どもとしての考えもあわせて申し上げておきたいのであります。現在、退職所得と申しますものは、課税上の取り扱いではこれは他の給与と区別をいたしまして、退職給与として税法上取り扱っております。退職所得はその半分が実は課税金額となるのであります。半分が課税金額になっただけではなくて、これはその年度における総所得のほかに分離いたしまして、下から税率をもう一ぺんかけて、そうして総計して税を納めていただく、こうなるのでありますから、退職所得というものは給与のあと払い的な感覚といわれておりますけれども、実は税制上非常にフェーバーが与えられておるわけであります。  そこで、いまのように役員については退職時一カ月の八〇%ということで、いうならば現在の給与に上積みして八〇%分、ですからいまの給与がかりに四十万円といたしますならば、七十二万円相当の給与が支払われていたと同じ効果なのでありますが、税法上から見れば非常に大きなフェーバーが与えられる、こういうことに実はなっておるわけであります。これらがいまお示しのあった一般職員と比べまして著しく権衡を失しているわけでありまして、いまのお話を計算をしてみますと、大体一年あたりで一・四二倍ということにしか一般職員のほうはならないのであります。ところが役員の場合には、根っこからこれは月計算でありまして、これは十二倍がまず加わるというふうなことで、実はこの点、私は一般職員との間に非常に大きな開きがあるという感じがいたしてならないわけでございます。この点についてはこまかく申し上げませんけれども、いまの公社や公団とはNHK性格も違いますし、あれでございますが、料金値上げをするという場合には、やはりこのような取り扱いをされていて料金値上げをされるということは、国民の納得の上でいかがであろうかという感じもいたしますので、私が問題提起をいたしておりますように、料金値上げまでにはひとつNHKとして何らか改善の処置をとっていただくことが望ましい、こう考えますけれども会長いかがでございましょうか。
  64. 前田義徳

    前田参考人 これは私どもが直接きめるものではございませんけれどもNHKの役員の場合は、そういうケースもございますけれども、また昇格して次の、ということはほとんどございません。それから一般職員の場合は、すべて終身年金制度になっております。先ほど藤根井理事から申し上げましたように、まだ完全にはなっておりませんが、同時に本人死亡の場合にも、六十前ですと、大体ほとんど全額を遺族がもらうようになっておりますし、それからこれはその子弟がこれを相続する場合も、成年に至るまでは完全な額を出すという制度になっております。しかし、役員については、これら一切のことは全くございません。と同時に、こういうことを申し上げていかがかと思いますが、NHK理事昭和三十四年の放送法の改正まではわずか三人でありまして、したがってこれはフルに――フルにと申しますのは、任期中の全額を出すという形でございました。しかし、その後、御承知のように、理事は十人となり、さらに経営委員会が同時に最高、世俗的にいえば重役陣ということになりましたので、その後私どもとしてもまた経営委員会としても、逐次切り下げてまいったわけであります。ただ御意見は、私はやはり将来尊重して善処すべきものであろうと考えておりますので、この点については経営委員会等にも報告申し上げたい、このように考えております。
  65. 堀昌雄

    堀委員 この問題は、先ほど申し上げましたように、やがて料金値上げをしなければならないときに、NHKとしてはひとつ国民の納得しやすい条件ということにしていただくほうが、私は国民としても納得しやすいと思いますので、善処をひとつお願いをしておきたいと思います。  郵政大臣、最後に、要するに私どもは、いまのNHKの問題についてはいろいろと重要な任務がございますし、独立性を十分考えていきたいと思いますが、そういう独立性を十分考えていくためには、それなりに国の側においても、先ほど私、防衛庁の問題を取り上げましたように、必要以上の負担をNHKに行なわせないというようなことはきわめて重要な問題だと思いますし、その他、これは将来どうなるかわかりませんけれども、現在の法律の中に実は債券の積み立て金の制度がございますが、これなどはどうもまことに形式的な処理になっておりまして、はたしてこの債券積み立てという制度がほんとうに必要なのかどうだろうか。債券積み立てをするために借り入れ金をしなければならぬなどという制度は、まことに制度としては、確かに形式は整っておりますけれども、あまり実効があがらないのではないか。むだな経理の処理をして両建てにすることはあまり意味がないというような感じもいたしますので、これらの経理上の合理化の点等もひとつ御検討をいただいて、少なくともそういう意味では放送法の一部が改正されることも適当ではないか、まあこういう感じが私はするのでありまして、ここらの問題を踏まえて、将来料金値上げが起きましたときに、国民の負担を最小限度にできるように郵政省としても少しお考えをいただきたいと思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。
  66. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私もきょうの質疑応答を伺っておりまして、たいへん参考になりました。おっしゃるように、NHKの使命というものは、国民に対して非常な公共性の高い仕事でございますから、おのずからえりを正して、いやしくも指弾を受けるようなことがあってはならぬわけでございます。放送法のたてまえからいいますと、郵政省直接ということでなく、経営委員会の良識に待たなければならぬということも多々あるわけでありますが、御指摘になりましたような諸点は十分に参考に供してまいりたい、かように考えます。
  67. 堀昌雄

    堀委員 長時間にわたりましてたいへんいろいろな問題を取り上げましたけれども、また来年もひとつ当委員会に伺って、その時点において、本日いろいろ論議をさせていただきました問題について、その後の経過をトレースをさせていただきながら、国民のために少しでもむだな経費が使われないで、しかし、有効な業務が国民のために発展して行なわれることを期待いたしまして、私の質問を終わります。
  68. 金子岩三

    金子委員長 米田東吾君。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 私は、時間もそう長くいただけませんので、大体三点にわたりまして御質問をいたしたいと思います。  その一つは、NHK放送にあたっての基本姿勢について。二つ目は、沖繩の復帰がすでに目睫の間に迫って、諸準備が進められておるわけでありますが、OHKの復帰に伴う対策、特にサービスの本土一体化についてのNHKの方針等につきましてお聞きいたしたいと思います。三つ目は、もうすでに行なわれております統一地方選挙、参議院選挙についてのNHKの選挙放送関係全般につきまして御質問をしたいと思っておるわけであります。  最初に、NHKの役員の方、どなたでもけっこうでございますが、放送法の第一条についてひとつ私に教えていただきたいと思っておるわけであります。特に私がお聞きをいたしたいのは、放送法第一条の二号でございます。「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」このことでございますが、「不偏不党」とはどのように御理解なさっておられるか、「真実及び自律を保障する」とはいかなることか、「表現の自由」の確保ということについてどのような御理解をなさっておられるか。法律の分野では解釈論というものがあるそうでございまして、この点につきましてひとつ皆さんの御判断を聞かしていただきたいと思います。
  70. 川上行蔵

    ○川上参考人 私は別に法律の専門家じゃございませんので、法律と申しますよりも、長い何百年の歴史の中でジャーナリズムというものが今日まで確立してきました報道の自由と申しますか、そういう観点からいま御指摘の二号を解釈しておるわけです。その中で、新聞そのほかは数多く出ておりまして、特定の政党を支持し、あるいは特定の業界を利益代表するという新聞もございますけれども放送だけは、日本におきまして特に戦後、昭和二十五年から施行されましたこの放送法におきまして、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」という規定が設けられたわけでございます。これはやはり放送は事実を伝えるということ、今日に至りまして情報化社会という時代になりまして、すべての人が現実に立って、事実の上に立って判断をしていく……(米田委員「講義は要りません、解釈を聞いております。」と呼ぶ)このとおりでございまして、「放送の不偏不党」というのは、特定の立場、あるいは特定の考え、あるいは特定の利益の宣伝機関ではなく、正しい主張を取り次ぎ、あるいはそれを紹介していき、あるいはそれらのものの問題点を紹介していくということ。それから「真実及び自律を保障する」ということは、常に事実、それから正しいことを放送できるように保障するということ。それを伝える。同時に、自由があるということによりまして、正しい事実がそのままに伝えられるということを保障している。それを心得として放送全体を維持していくことだと存じます。
  71. 米田東吾

    ○米田委員 「真実及び自律」ということが特にうたわれておるわけでありますが、この「自律」ということについてもう一回ひとつお聞かせいただきたい。
  72. 川上行蔵

    ○川上参考人 「表現の自由」ということとうらはらで、自由にやりなさい、しかし同時に、その自由はかって気ままじゃなく、十分に社会的な責任をもってやりなさい、そういうことだと存じます。
  73. 米田東吾

    ○米田委員 私、非常に初歩的な、原則的なことをあえて御質問いたしましたが、会長前田先生にひとつ御質問をしたいと思います。最近私ども、特に六〇年安保以来のNHKあり方というものにつきまして、いろいろな国民の意見なり批判なりというものを聞いておるわけであります。もちろんあなたのほうでも、そういうものについては十分耳を傾けながら、放送の公共性を貫く立場で御努力をされておることと思います。国民の側ではいろいろなサイドからの批判がありますから、一様には言えないと思いますが、好意を持った者でもあるいはそうでない者でも、総体的に私が判断をいたしますには、端的に言って、NHK放送一つはなまぬるい。それからやはり同じようなことで、何となくもの足りない、食い足りない。それから、きれいどころでは確かに優等生の感がするけれども、パンチがきいておらない。総体的に言うと、そういうことが言えるように私は思っておるわけであります。最近、NHKの労働組合の皆さんが、国民NHKに対する見方を非常に苦労されて調査をされまして、それを集約されておられますが、おそらく経営の皆さんのほうにもこういう国民の声というものは率直にお示しをしておられると思いますけれども、それを見ましても、ほとんど私、そんなような感じがする国民の声だというふうに理解をいたしておるわけであります。  要するに、政府権力に非常に弱いんじゃないか、何か戦前の報道管制を思い出すような気がする、あるいは政府の意向、政府の政策を代弁すると思われるような解説員、こういうような者はむしろかえてもらいたいぐらいの気持ちだというようなことも言われておるように聞いております。全体として好意を持った者でも、当たりさわりがない、よくも悪くもない、掘り下げがどうも足りない。それから、問題を広げて考えさせるということについては、多面的に提供するということについてはわかるけれども、もっと掘り下げた、カメラも一緒になって問題を追跡、見詰めて、そして深く考えさせてくれるという報道についてどうか。NHKの唯一のスポンサーは国民である、もっと国民の立場に立ってこの報道をしてくれないかという期待だと思います。こういうものがあるように私は理解をしておるわけでありますが、このことがよってくる原因といいますか、国民は期待をしながらも、なぜNHKに対してもの足りない感じを持っているんだろうか。もっとパンチがきいていい。社会情勢あるいは今日の政治、こういうものに対して、何かその期待はNHKに対してはむなしい、民放にチャンネルを変えていく、こういうものが私はあるのではないかと思っておるわけでありますけれども、これはもうすでにNHKに対しましては非常にうんちくのある、権威のある会長でございますから、ひとつ何かそのものについて会長自身もお考えになっておられる点がないかどうか、私、実はお伺いしたいわけでありまして、そういう観点で会長の御答弁をいただければありがたいと思っておるわけであります。
  74. 前田義徳

    前田参考人 そういう印象をお持ちになることも、私には理解できます。結論から申しますと、それがNHKであると申してはおかしいかと思いますけれども、要するにただいま、国民全体と言わないまでも、私ども契約世帯は二千万をこえているわけでございます。この二千万世帯の方々、もっと端的に申しますと、人口一億をこえる中で約八千万以上の方々は一人一人異なった感覚を持っておると思います。これが、いわゆる新聞の社説であるとか民放の行き方との相違の基盤はここにある。そういう意味では、私どもは社説はつくらないという考え方です。ただ、判断資料はきわめて端的に、明快に、率直に提供するという考え方であります。これが、さきに川上さんからお答え申し上げた、私も法律家ではありませんが、放送法の精神ではないかというように考えるわけです。事実とはすなわち資料を提供することである。現実に起こっておることは、これは報道すべきである。しかし、それがいいのか悪いのかという判断は、最終的にはいま申し上げたような約八千万の、契約してごらんいただいている方々の良識に従って御判断を願うことが、より民主的ではないかという考え方を持つわけです  たとえば、ただいま御発言の中に、NHKはややともすれば政府の御用放送ではないかという印象を受けるような御発言もございましたが、このような印象を一部の方々が持っておられるかもしれないという推測は十分つきます。この点については、毎年予算を御審議いただく過程で、衆参両院においてそれぞれ御質問をいただいたことがございます。一体、政党の活動といわゆる政府の政策とをどう区別して考えているか、具体的に言えばそういう問題になるかと思います。これは端的に申し上げて、各政党の方針は、これは私ども政府、与党の方針と同時に公平に伝えていく必要があると思っております。その範囲を逸脱してはいけないと思っております。ですから、そういう点では公党、いわゆる公の政党としていろいろな政策をお持ちになっている点は、私どもはすべて公平にこれを国民に周知させる義務があるというように考えております。  それならば、政府の政策についてはどうなのかということになると思いますが、きわめて素朴な発言をいたしますと、要するに政府の施策の根本となるものはおそらく予算であろうと思います。それと関連して、あるいは経済政策なり外交政策なり国内の政策なり、それぞれの政策の実施の体系が決定される。その票の中身は別としても、国会がこれを通過させたという段階において、その基盤に立って実施する政府の政策は、当然NHKはこれを周知せしめるべきものであるという考え方を持っております。  したがいまして、私どもといたしましては、先ほど御質問のあった第一条の二号と関連して具体的に申し上げるならば、自律と事実との関係はそこから生じてくると私は考えております。しかもこの第二号には前文がございまして、社会の福祉を阻害してはいけないというのが大前提でございます。同時にその詳細については、基本的な行き方のひな形として、放送法の四十四条に取り扱い方の原則を列挙いたしております。NHKが少なくとも放送法によってつくり上げられた言論機関であるとするならば、私は法律論ばかりではなく、やはりこの原則は尊重すべきであるという考え方を持っております。ただし法律を離れて、日本国民の大多数を契約者としているNHKとしての言論機関としてはどういう態度をとるべきかという問題が、表裏の問題として、われわれ自身がやはり考えておかなければならない問題だと思います。この点につきましては、不偏不党はこれは政党的あるいは派閥的表現でありますが、同時に私たちとしては、あらゆる思想からの自由を確保することが絶対的に必要であるという考え方を持っております。いろいろな思想がございますが、個人としてはどの思想をとるか、どっちを選ぶかという気持ちは、私もNHK会長として個人としては持っております。しかしながら、NHKの言論機関としての立場を明らかにするためには、少なくともすべての国民を対象とする、もっと具体的に言えば八千万以上の方々を対象にするという点においては、われわれの番組編成の基本は、同時にあらゆる思想からの解放という点に置かれなければならないというふうに考えております。  そういう意味で、全体的にごらんになったときに、いかにもなまぬるいかの印象をそれぞれの立場でお持ちになるかと思います。しかし、今度は社会全体の発展あるいは政治の発展経済発展国民全体の福祉と幸福のために、われわれはどうすべきかという具体的な問題に当面いたします。この点についてはわれわれはあらゆる専門家の見解、学問的見解を基礎として、日本がよりよくなるためには、政治、経済、あらゆる問題に関連して、特別の番組をつくるべきである、こういう考え方を持っております。これが主として、実はテレビジョンで申しますと、教育テレビジョンの分野でわれわれが努力している方向一つであります。当面、たとえば公害等の問題については、政治がどうごらんになるかは別として、人間尊重、人間の生命の尊重という点においては、私どもは公害問題をやはり第一の問題として、これを取り上げていくべきである。どこに遠慮は要らない。人間のために、国民のために、そしてもっと功利的な表現をいたしましても、八千万のわれわれの契約者のために、八千万の命を守る方法は明らかに追求していくべきだという考え方を持っております。きわめて簡単でございますが、私としては以上のような考え方で、NHKに対して執行機関としての最高責任を実行してまいりたいという熱意を持っているわけでございます。
  75. 米田東吾

    ○米田委員 会長の確信のある御答弁をいただいたわけでありまして、私も多くの点で共感を覚え、かつまた敬意を表する部分がございます。ただもう一つだけ会長の御答弁をいただきたいのでありますが、たとえば社会番組等につきまして、いまの会長が答弁されましたように、最も基本になるものが要するに生命の尊重あるいはヒューマニズム、このことについては私も全くそのとおりだと思います。これは何人も否定することはできない。  しかし、私はもう一つここに考えなければならぬと思いますのは、放送法第一条に特にうたわれておるところの表現の自由であります。私は、これはおそらく憲法の基本的人権、特に第二十一条からのこの基本に基づく表現の自由、言論の自由ということが、ここに求められてきておるのではないかと実は思うわけであります。そこで私もいろいろ考えてみたわけでありますけれども、この自由という問題であります。この自由は、八千万の国民共通して、二千万世帯の視聴者が共通して、これだけは否定できないものとして持っておる自由というものは、これは端的に言って権力に対する自由ではないか。しかもこの自由は、これは国民の基本的人権において固有の権利、そして永久の権利として憲法は保障しておるほどに、これは人現としての固有の権利でありますから、生存権に属する本能的な自由の権利であります。この自由は、この場合においては当然これは権力に対して、行政権あるいは立法権に対しての自由ということが本質ではないか。  そこで考えてみますと、いま会長が答弁されましたような御趣旨で皆さんは報道に当たっておられると思いますけれども、この自由の理解というものが、報道関係者の皆さんNHKにおいて、番組の編成においても、あるいは報道にあたっても、NHKの運営にあたっても、いま私が申し上げたようなそういう立場、そういう基本的な考えというものをしっかり持っておられるのかどうかということについて、まことに失礼だけれども私はいささか疑問があるわけであります。どうも政治に対する解説はタブーにされる。あるいはいま答弁がありましたが、いまの政権は自民党が握っておられるわけであります。したがって、自民党の政策の批判や自民党の批判は、直ちに国家権力といいませんが、いまの政治の基本にかかわる批判になってくる。それはもっぱらNHKのほうではタブーにされておるのではないか。しかし国民が求めているものは、本来自由の本能からして実はそれがほしいわけです。そのことは決してNHKの公共性に反するということではない。私は実はそういうふうに思っておるわけでありまして、したがって、何となく、これは国民は理屈はそう深くは示しませんけれども、端的にパンチがきいておらない、何か優等性のような感じはするけれどもたよりない。これは権力に対する自由というのはレジスタンスであります。抵抗の自由であります。それが満たされないというところに、食い足りないというものが出てきておるのではないか。いかにNHKが公共放送で、そしてまた唯一の公共的な日本放送事業体であるといたしましても、基本的人権に属するこの自由というものを大事にする、それを基調にするという、このことは決してNHKとして間違ったことではない。どんな権力に対しても、どんな力に対してもNHKは断固として貫いていってこそ国民の側に立ったところの、八千万の視聴者の立場に立った報道の自由を守るということではないか。私はそんなような感じがするわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  76. 前田義徳

    前田参考人 いま御指摘放送法の中で表現の自由というのは、これはおそらく翻訳的なことばだろうと思います。これは憲法でいっているいわゆる言論の自由――まあちょっと私も使いたくないのですけれども、やはり西洋思想ですから、使えば、フリーダム・オブ・スピーチということになるかと思います。私は、この意味での抽象論をするつもりはございませんが、このフリーダムというのは、権力に対してレジストせよという意味ではないと思います。だからといって、私は、自民党や自民党政府に頭を下げてついていっているのではありませんけれども、これは要するに賛成する自由、反対する自由、あらゆる種類の自由が含まれている自由だと私は思っております。ただ現状は、幸か不幸か、自民党政権が二十年にわたって続いているという事実の前で、何となくいら立たしい気持ちが多くの人たちの気持ちの中に潜在していることとの関連での御発言ではないか。私は純粋に考えると、権力にレジストすることだけがフリーダムであるとは考えておりません。しかし、同時に権力というものは、皆さんが、行き過ぎた権力を最高の権力をもって押え得る立場にあるということも事実ではないかと思います。われわれの任務は、ミニマムとしては事実を報道することであります。マキシマムとしては、第一条の前文にあるように、われわれ同胞の幸福を増進するために積極的に社会的問題、国際的問題、科学的問題その他を追求していくことだと私は考えております。しかも日本国内ばかりでなく世界全体の社会の構造の変化と科学技術の進歩を土台とするいろいろな生活環境の変化は、単に政治権力ばかりでなく幾多の新しい社会的権力を生み出しております。したがって、この表現の自由という問題の根本精神は、同時にすべての社会的権力をも含めたあらゆる権力に対しても自由にものを言うということであって、それに賛成するか反対するかは、この表現の自由が保障している具体的な問題とはおよそ関係がない、このように私は考えております。
  77. 米田東吾

    ○米田委員 これで時間をあまりとると困るのですけれども、私、もう一回会長にお聞きをいたしておきます。  しからば、この放送法第一条にいうところの表示の自由、この解釈は一応会長のおっしゃるような解釈を認めるといたしまして、――ということは、NHKは、この自由はそのような理解で報道に当たるということであります。しかし、その報道を視聴する国民の側というものは、要するに二千万世帯八千万の国民の側の、NHKの画面を見る、あるいはニュースを聞く、ラジオを聞く、この場合の立場というものは、私が申し上げましたように、要するに言論の自由の享受という基本的人権に属する最も根本をなすその立場が基本であるということについては、国民の権利意識の高まっておる今日の段階においては、このことは否定できないと私は思うのです。これは会長もお認めになられますかどうか。聞くほうがそういう立場である、このことは会長はお認めになられますかどうか。  要するに聞くほうはそこらあたりはギャップじゃないか。しかし、そうかといって、NHKがこの放送法のたてまえからいきまして、それに完全にこたえるということは、いま会長が解釈されましたようなこの表現の自由という解釈からいきますと、できかねるような感じがいたしますけれども国民の側というものは、この表現の自由というものを、基本的人権、言論の自由というたてまえから受け取っておるとすれば、そこにギャップができるのではないか。繰り返しますけれども、その自由は隣のうちとの自由じゃない。公権力に対する自由ということを意識しておるのじゃないかと私は思うのでありますけれども、このことはお認めになりますかどうか、この点だけお聞きして次に移りたいと思います。
  78. 前田義徳

    前田参考人 もちろんお説のとおりです。しかし、国民が全部同じ考え方を持っているとは考えられないということを申し上げたわけであります。
  79. 米田東吾

    ○米田委員 ちょっといま理事と話をしておりまして、まことに失礼でございますけれども、御答弁を聞かなかったのですけれども……。
  80. 前田義徳

    前田参考人 純粋に申し上げますとお説のとおりだと思います。ただし、国民全体がすべて同じ考え方かというような表現をお用いになった点については、私は別の見解を持っておる、こういうことでございます。
  81. 米田東吾

    ○米田委員 次に、時間がありませんので沖繩の復帰に伴う関係につきまして御質問をいたしたいと思います。これは実はきのうも公明党の樋上委員がすでに取り上げて御質問をされておりまして、私も拝聴いたしておりました。なるべく重複は避けたいと思いますが、ただ私、実は昨年の八月の末に沖繩に行ってまいりまして、郵政事業全般について、電波放送関係を含めて見てまいりました。現状とそれから復帰に伴うわれわれ自身が取り組んでいかなければならない問題点をなるべく理解をしたいと思って実は行ってきたわけであります。そういう立場もございまして、いま少し突っ込んでお聞きをしておきたい、こういうことでございます。  第一は、きのうの御答弁にもあったわけでありますが、今回発表されました政府の沖繩復帰対策要綱の第二次分、これを私ここにいま持っておるわけでありますが、これはきのうの説明にもあったわけでありますけれども、要するに復帰の時点で沖繩の放送法が失効する。したがって、沖繩放送協会が行なっている公共放送の業務は、復帰と同時にNHKがこれを引き継ぐのだ、こういうことになっております。これはこのとおりわかるのでありますが、法律が失効するということと、OHKがどうなるかということとは別であります。そこで私は、これはどういうふうに理解をしてよろしいのか。要するに引き継ぐ、接収するということでありまして、そうなってまいりますと、いろいろな問題があるように聞いております。私も現地へ行きまして、OHKの会長さんにもお会いして、性格の違いだとかいろいろな問題点を聞いてまいりました。それから債権、債務の問題等についての苦労も聞いてまいりました。それらの関係で、実は失効に伴いということだけの政府の要綱では、ちょっと私不十分だと思いまして、お聞きをするわけであります。私の質問、わかりましたらひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  82. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 沖繩の放送法が失効をする、こういう時点というものをとらえて復帰の現象が起こってくるという表現だと思うのです。しかし、実質的には、いずれにもせよ沖繩の放送のみならず、郵政関係全般をスムーズに落差を解消しつつ引き継ぐということが本旨でございまして、その細目等はまだこれから煮詰めなければならぬ問題が残されておる、こういうことでございます。
  83. 米田東吾

    ○米田委員 これはたてまえからいきますれば、復帰するから沖繩にある法律が失効するわけなんでありまして、失効するから復帰になるんじゃないと思うのですが、それはいいのでありますけれども、私の聞きたいのは、沖繩の沖繩放送協会、OHK、これはそのままNHKに引き継がれるということなんですか、それともそれ以外の方法でNHKが引き継ぐということになっておるのですか、それは今後の課題なんですか、その点だけもう一回はっきりお聞かせをいただきたい。
  84. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。  いま米田委員が言われました最後の項目でございますが、まだ決定しておりません。方法といたしましては、OHKが解散するとか、あるいは解散しないでどうするか、あるいは債権、債務がそのままだれにいくのか、そういう点がまだきまっておりません。その場合に、その債権、債務が確定いたしましても、それをどういうふうに取り扱うか、これは私のほうが現在関係機関と検討いたしているところでございます。
  85. 米田東吾

    ○米田委員 それが一番大事な点だろうと実は思っておるわけであります。というのは、0HKが解散するのかしないのか、端的にいえばそういう議論になるわけでありますが、そのことが明確になりませんと、現在沖繩放送が持っておる債権、債務の処理なり、あるいは第二項の沖繩放送協会に勤務している者は復帰と同時に日本放送協会の職員として受け入れるものとする、こうなっておりますが、この受け入れの条件、いろいろ関係が出てくると思うのであります。したがって、私はいまそういう御質問を申し上げたわけでありますが、これは現地のほうの希望もあろうかと思いますけれども、きょうはその関係の総理府の方は実は呼んでおらないのでありますが、郵政省として沖繩対策を進めておる面もあるわけでありますから、どんなふうになっておりますか、現地の希望なんかはどんなふうに聞いておられますか、これは全く今後の課題なのか、政治的にそういう答弁をなさっておられるのか、事務的には全然いままで検討を加えておられないのか、この点ひとつ差しつかえなかったら答弁をしていただきたい。
  86. 太原幹夫

    ○太原説明員 OHKの問題、沖繩の放送の問題は、沖繩においてNHK放送を行なうということは確定いたしております。それに伴いまして、OHKについてはOHKの設備を使う、OHKの職員をNHKに採用する、こういうことは確定いたしておりますけれども、またOHKにおきましては職員の問題、債権、債務の問題というのがございますが、職員の問題はそういう形で解決をいたしております。債権、債務につきましてはどういうふうに解決するか、その点はOHKとしてはいろいろ希望がございますが、これはOHKは琉球政府あるいは私どもに対しては意見を申し述べておりますけれども、結論はいまだ出ておりません。
  87. 米田東吾

    ○米田委員 それじゃ、職員の関係につきましては、これはきのうも会長からも御答弁がありましたけれども、現地のほうでは、私がお聞きしたところでは、強く期待をしておるのは、もちろんNHKにそのまま受け入れてもらうということが前提でございますが、なおそれにあたっても雇用関係を含めて身分、それから給与の関係、それから前歴あるいは引き継ぎにあたっての身分、移動にあたっての暫定措置等について十分配慮をしてもらうように、これは強く日本のほうにお願いをしてくれというふうに言っておるわけでありますが、私もこれは当然だと思いまして、そういう点につきましては差別のないように十分対処していただきたいと思いますが、この点につきましては、大臣と会長から御答弁をしていただきたいと思います。なお、大臣から御答弁をいただくにあたりましては、これは基本的には郵政事業に携わっておる者も含めての関係になろうかと思いますけれども、OHKの関係だけでもけっこうでございますから、ひとつ御答弁をいただきたい、こう思います。
  88. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も昨年の秋、ちょっと沖繩まで行ってまいりました。それからその後も現地の郵政庁長であるとか電電公社総裁、OHKの会長、本土へ見えまするたびに私のところへも寄ってくれまして、いろいろ話は聞いておるわけであります。まあ放送に限って申し上げますならば、OHKの性格NHKと若干異なっていますことは米田さん御承知のとおりでありまして、琉球政府の出資の問題がありますし、また本土政府から援助をした部分もございます。だからそういうものをどのように仕訳をしてうまくおさめるかという問題が実は残っておるわけでございます。  それから、人の問題につきましては、きのうもお答えがあったそうでありますが、これは大体NHKでお引き受けをいただくということに取り運んでおる次第であります。
  89. 前田義徳

    前田参考人 ただいま大臣のお答えがありましたように、われわれとしては人員については引き継ぐ予定でおります。  事業については本土並みにしていく必要がある、このように考えているわけでございます。
  90. 米田東吾

    ○米田委員 それで、人員の関係につきましては了承いたしますが、ただOHKが持っている現在の財産を含めてNHKが受け入れる場合になりますと、債権、債務の関係等がやはり一つ問題点になろうかと思います。これはきのうも質問されておりますが、ちょっと私聞き漏らしておったんでありますけれども、いまOHKが持っている負債というのは、総額においてどれくらいになっておるのか。それから非常に不良な財産といいますか、これは特に受信料関係だろうと思いますが、端的にいえば、こげつきになってどうにもならない、そういう負債をかかえておる。それから本土復帰に備えて、OHK自体も企業努力によってできるだけサービスの向上なり、あるいは復帰にあたってなるべく格差がないような努力をしなければならぬということで、経営上でも相当無理をいたしておりまして、負債の額なんというものは相当高まっておる、元を食いつぶすほどに苦労をしておるように実は聞いておるわけであります。したがって、これは会長がおっしゃるように、借金は全部政府が引き受けるということになれば問題はないと思いますけれども、そういうことになるかどうかはこれからの問題、しかも借金の内容によってまたこれが問題になると思います。負債の状態というものをきのうは百四十五万ドルとかという御答弁があったようでございますが、正確でありませんので、もう一回お聞かせをいただきたいと思います。
  91. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  昨年の六月三十日現在の累積赤字は百四十五万五千七百五十四ドルでございます。しかし復帰までに約百万ドルの赤字がさらに追加されるというわけでございますので、予想の累積の赤字としましては二百五十万ドルに達すると思われるわけでございます。
  92. 米田東吾

    ○米田委員 内訳は……。
  93. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  貸借対照表の欠損金の累積赤字がいま申し上げた数字でございます。
  94. 米田東吾

    ○米田委員 私がお聞きしたいのは、資料がなければやむを得ませんが、たとえば受信料なんかについてのこげつきの状態ですね、どんな額になってどういう状態になっているのか、そこらあたりがポイントであります。わからなければあとへ回しますから……。
  95. 太原幹夫

    ○太原説明員 資料を整備いたして、後ほどお答えをさせていただきたいと思います。
  96. 米田東吾

    ○米田委員 ではこの負債の中身につきまして、あなたのほうで可能な調査をして、あとで資料として出していただきたいと思います。  そこで、これは大臣にも特にお願いしたいのでありますが、きのうのNHK会長の答弁によりますと、OHKが持っている負債は復帰時点においては全部政府の責任で処理してもらわなければ困る、そういう趣旨の御答弁があったわけでありまして、私も同感であります。これはもし処理をするとすれば、日本政府の責任において処理されるということが筋だと思います。これを含めてNHKにかぶせてしまうということは問題があると思いますし、もう一つは、復帰後急速に本土並みのサービスをするという点で、NHK自体が相当な投資を必要とすることになってくると私は思うのです。そういう面にも制約を受けるということになりまして、結果的には沖繩国民が待望する本土復帰の条件を満たすことにマイナスになるという結果になろうかと私は思うのです。したがって、これは大臣の努力によりまして、この関係につきましては政府の責任できれいに処理できるように当然御努力をいただかなければならぬ、こう思っております。よろしゅうございますね。
  97. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほどまだ十分に煮詰まってはおりませんということを申し上げましたが、方向としましてはいまおっしゃるような線で、これは総理府総務長官とも話をいたしておるわけであります。  それから、本土並みということでございますが、御承知のように沖繩はたくさんの島嶼をかかえておりますから、先島などは時間的に復帰と同時にすぐというのにはかなり問題もあろうかと思います。しかし、これまた非常に待望しておられるところでございますから、相当な建設投資もかかりましょう。こういう点も鋭意努力をいたすつもりでございます。
  98. 米田東吾

    ○米田委員 サービスの向上の関係で、これは時間がありませんから電電公社のほうにお聞きをいたしておきたいと思いますが、問題はNHKの努力だけでは解決できないマイクロの関係でございます。これはきのうも御答弁がありましたが、ちょっと私の理解とは違ったところがございますし、正確を期するために、もう一回ひとつ現在電電公社考えておるマイクロについての計画を示していただきたい。特に上り線については、何かきのうの答弁では予備があるのだから現状で十分本土並みのサービスができる状態にあるのだという趣旨の御答弁のようであります。NHKからまだ要請がないのだ、こういうような御答弁だったようでございますが、そうであるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。私がいま言うのは、沖繩本島と本土との関係でございます。  それから、沖繩本島と周辺の島との関係でございますね。いま説明がありましたが、一番遠い南北大東島、・それから石垣島、先島、これらの関係を含めまして、全体として沖繩の島民に本土並みのサービスの提供をするためには、あなたのほうでいま持っておられるマイクロ回線等の設備についてはどんな計画をお持ちであるのか、これからなのか、この点ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  99. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  昨日も御説明申し上げましたのですが、沖繩へのテレビの中継線につきましては、現在鹿児島――那覇間にございます見通し外のマイクロ方式によりまして白黒テレビの電送ができるようになっております。上り回線につきましては電話回線の予備を必要が生じました場合には充当して、上りの中継も白黒では可能だということに現在なっております。  将来の計画といたしましては、四十五年度からの三カ年計画になりますが、カラーテレビの電送可能なような見通し内のマイクロ回線の建設工事をただいまやっております。これが完成に鋭意努力をいたしておりますが、何ぶん四十五年の夏から着工いたしまして、非常な難工事でございますので、標準的には三年程度の工期のかかるものを現在二年に縮めるべく努力をいたしておりまして、明年の六月末には下りのカラーテレビの中継線は完成させようということで大体の見通しを得てきております。  それから、あと引き続きまして、ちょうど本上復帰に伴いまして沖繩――本土間のダイヤル即時のサービスをいたさなければなりませんので、これに必要な電話回線の増設工事をこの見通し内のマイクロでいたしております。との電話回線の予備回線に当然上りの回線がございますので、カラーの本土へ向けての上りの中継は、この予備回線を必要な場合には使っていただく、こういう形で運営ができるかと思います。  それから、もう一つのお話の先島の関係でございますが、これは昨日私の御説明がいささか舌足らずでございましたが、現在沖繩本島から先島へ向けてマイクロ回線がございますが、これは同じ見通し外と申しましても、技術的に申しまして散乱波を使っております別の方式でございますために、どうしてもテレビの中継ができないという状態でございます。これはさらに何かほかかの方法ということもございまして、現在私どものほうでもいろいろ検討はいたしておりますが、何ぶん三百何十キロという距離を、途中に島も何にもございませんため中継ができないために、現在のところはちょっと不可能でございます。ただ将来の問題といたしましては、私ども電電公社で現在開発を急いでおります海底同軸ケーブル等、こういったようなもので将来は中継可能なような技術を持つことができるのじゃないか。あるいは国内通信衛星等が上がりました場合には、こういったようなものも使えるのじゃないかということは考えておりますが、現状ではいかんともいたしかたいというのが残念ながら現状でございます。
  100. 米田東吾

    ○米田委員 局長さん、そうしますと、四十七年の十二月ころまでにはマイクロ二本が大体達成するだろうということをちょっとお聞きしておったのですが、これはいまの御答弁の後半のことであって、二本というのは間違いでありますね。あるいは、それじゃあなたのほうの電信電話のケーブルがこれだということでございますか、はっきりさせてください。
  101. 三宅正男

    ○三宅説明員 現在予算にも載っておりまして工事をやっておりますのは、下りのカラーテレビの中継線一システムでございます。四十七年度予算をお願いをいたしまして予算をいただきました上で、ただいま申し上げました電話の回線、さらにカラーテレビの中継のできます回線を二回線、二システム、これをつくるべく準備はいたしております。
  102. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。  そこで会長にお聞きいたしますが、マイクロの関係は大体いま御答弁をいただいたのですけれども、これで本土並みのサービスができるには、NHKの努力によってどの程度のこれからの時間といいますか、段階と期間が必要になってまいりますか。きのうの御答弁では、現在のサービスの提供状態は、本土の五分の一だというような答弁がありましたし、現にあるのは白黒一本だけだ。これが本土並みということになりますと、ラジオテレビを含めまして相当な努力をしなければならぬということになるわけでありますが、いまのマイクロの状態で、NHKのほうとして本土並み、要するにNHKの本土並みのサービス提供が可能になる時期はいつごろになりますか。それだけお聞きいたしておきたいと思います。
  103. 前田義徳

    前田参考人 私どもはただいま特別の研究委員会をつくりまして、置局、財政構造その他を検討中でございます。したがいまして、その結論を得なければ正確には申し上げられませんが、しかし実情から勘案いたしますと、やはり今後五カ年くらいかかるのではないかという気がいたしております。
  104. 米田東吾

    ○米田委員 電波監理局長に最後にお聞きいたしますが、沖繩の電波管理の関係でございますけれども、復帰と同時にこの権限は一切日本政府に移ることになろうかと思います。したがって、本土の日本電波法の適用を受けるということになると思います。そこで、きのうも答弁があったのでありますけれども、現在の沖繩の電波というのは米軍が握っておりまして、非常に複雑でありますね。しかも米軍の占領体制というものは、駐留体制といいましょうか、今後も続くということで、軍事的な面では電波はなかなか開放しないだろう、そういうような危惧もあるように聞いておるわけでありますけれども、沖繩の電波に関する限り、きのうの御答弁のように大体郵政省が責任を持てるような体制にほんとうになるのかどうか。肝心な点は、きのう、これはこれから検討するのだということで答弁が避けられておりますけれども、私どもが聞きたいのは、米軍の関係、それから外国資本のもとにあるところの現在の放送事業放送施設、そういうものがほんとうに解決するのかどうか、こういうことなんであります。その点だけお聞きをしておきたいと思います。
  105. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  沖繩の返還に伴いまして、沖繩における電波管理というものは、当然すべて本土並みになるということは間違いないわけでございまして、郵政省がこれを管理するということになるわけでございます。ただ、おっしゃいましたように、軍隊がおりますけれども、これはやはり本土並みに、いわゆる行政協定といいますか、安保条約が適用されるわけでございますから、そちらのほうはいわゆる行政協定に基づきます地位協定というものにおきまして、両国間で調整がはかられるということになると思います。
  106. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、電波関係は行政協定に基づく範囲の問題になってまいるということであって、電波関係は直ちに、復帰と同時に日本政府にストレートに移るということではない、こういう理解でよろしゅうございますか。
  107. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、電波管理自体は郵政省が行なうということになるわけでございまして、いまの後段で申し上げたのは米軍の関係だけでございます。電波管理自体は私どもでやる、そういうことになります。
  108. 米田東吾

    ○米田委員 時間が非常に締められまして予定の質問ができなくなりましたが、一点だけ前田会長に再度御答弁をわずらわしておきたい点があるわけでございます。  それは、NHKがここずっと毎年、青年の主張を成人の日に特集番組として取り上げられましてやっておられます。私も非常にはつらつとした青年の訴えに引かれましてよく聞いておるわけでありますが、私がお聞きしたいのは、身体障害者が青年の主張の全国代表に一名ないし二名は必ず毎年出てくる。そして切実な身体障害者の叫びといいますか、社会における差別扱い、あるいは就職についての差別、学問についてのハンディ、これを訴えられておるわけであります。非常に胸を打たれて、政治家の端くれとして、こういうことについては何か解決できないかという感じを、自責でありますけれども、実は持っておるわけであります。  そこで私、実は身体障害者の雇用の関係につきましては、もう十年くらい前になると思いますが、電電公社が別ワクを設けて身体障害者の雇用について協力するという方針を出されまして、そして身体障害者のからだに見合った職場を与えて保障しておられる資料をいただいたのでありますが、現在約千名近くの身体障害者を電電公社は雇っておられる。そうして私がいただいた資料によりますと、日常の業務に身体的障害が及ぼす影響についてはない。それから定着状態、職務遂行能力はきわめて健全であり良好である。勤務態度等についてもおおむね良好であって、一般の職員と比較いたしまして遜色はない、きわめて良好な態様であるという資料をいただいておるわけであります。電電公社は今後も引き続き採用する予定でおられるように聞いております。  そこで、私は、NHKがいま一歩進めて、NHKのようなこういう事業体であればこそ、やろうと思えばできるのではないかと思うのでありますが、身体障害者もいろいろありますから、そのからだに見合う職場というのは、重心身障害者では不可能だと思いますけれども、軽い者については、あるいはその程度によりましては、NHKのようなところでやろうと思えば職場はないわけではない、私はこんなように思っておるわけであります。青年の主張から、私はそういうことをNHK考えてよろしいのではないかということを強く感じまして、実は御質問をするわけでありますけれども、いかがなものでございましょうか。身体障害者の叫びにまずNHKがこたえることは、私はたいへんな国民的な共感を呼ぶことになると思うし、青年の主張が具体的に日本の政治に生かされたということにもなるのじゃないかと思うのでありますけれども、いかがでございますか。
  109. 前田義徳

    前田参考人 全く同感であります。検討いたしたいと思います。
  110. 米田東吾

    ○米田委員 それじゃ、委員長、私、最大の選挙の放送関係につきましてお聞きする時間がございませんが、ひとつ午後このことについて、時間はそうとりませんからお許しをいただいて、質問をさしていただければありがたいと思っております。
  111. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後二時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後一時一分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十九分開議
  112. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。樋上新一君。
  113. 樋上新一

    ○樋上委員 昨日私が質問いたしました中で、大臣の御出席を求めてからというところを、簡単でございますけれども、二、三お伺いいたしたいと思います。  きのうは電波監理局長もお見えになられませんでしたので、もう少し突っ込んでお伺いしたがったのですけれども、実は沖繩にアメリカの放送がある。いわゆる極東放送とVOA放送があるのですが、この内容ですね。VOAの放送は何に利用されておるのか、大臣にお伺いいたしたい。
  114. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 沖繩にVOAと極東放送とございますことは、私も承知しておりますが、これはアメリカの一般的な広報宣伝のために使われておるのだ、こういうふうに聞いておりますし、それから極東放送のほうはたしか宗教法人がその設置者でございまして、これは普通の放送をしておる、このように承知をしております。
  115. 樋上新一

    ○樋上委員 特に、VOAの放送は出力はどのくらいあるのか、お伺いしたいと思います。
  116. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  一千キロワット、そういうふうに聞いております。
  117. 樋上新一

    ○樋上委員 この一千キロの電力は、その付近の  一般民家のテレビその他の放送に非常に妨害になって、地域住民は非常に困っておるということであるのですが、最高は一千キロワットありますけれども、あと調べてみますと、ラジオテレビを込めて十一種類あるのです。特にこのVOAの出力一千キロというものは、アメリカの国務省の情報局が得ておるというのですけれども、その目的はいろいろにうわさされておるのです。もし、この放送が続けられ、そして沖繩返還後にはこのVOAははたしてどうなるのか、この放送は、日本の法律に対してどこに抵触するのか、このまま返還になっても、撤去されずにいくのか、その点、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  118. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 沖繩が復帰しました暁には、当然これは本土並みの関係から、日本電波法が適用されるわけでございます。そうすると、電波法の五条というものが問題になってくるわけでございまして、その辺を目下外交交渉によってアメリカ側と折衝をしておる、こういうさ中でございます。
  119. 樋上新一

    ○樋上委員 その返還協定では、アメリカとどの辺の程度までそれが進んでおりますか。きょうの日本の各新聞を見ますと、これは返還後も存続させたい、アメリカの大使館がこう言っておるのですが、大臣としてはそれに対してどういう御見解を持っておられますか。
  120. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も、けさの新聞を見ました。先方はああいうような気持ちがあるようでございますが、政府としましては先ほど来も申し上げるように、電波法が沖繩を含めて適用をされる、こういうことになるわけでございますので、この辺は目下慎重に検討しておる、まだ決定的な線が出ておるわけではございません。
  121. 樋上新一

    ○樋上委員 地位協定の中にこれは入るのか、入らないのか。アメリカが地位協定の中に入れてくれ、こういうぐあいに要求してきた場合は、どういう御回答になりますか。
  122. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  この放送は、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、米国の情報局のものでございまして、御存じのように地位協定と申しますのは、在日米軍の関係でございますので、入らないわけでございます。  なお、後段の部分につきましては、私ども関係というよりも、むしろ外交関係の一環として処理されるべきものだと思います。
  123. 樋上新一

    ○樋上委員 午前中の質問で電波監理局長は、アメリカの放送関係郵政省の権限でやっていくのだとおっしゃいましたね。あれはどういう意味か、もう一ぺんお答え願いたい。
  124. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  午前中申し上げましたのは、沖繩におきまする電波監理というものは郵政省に属することになる、そういうふうに申し上げたわけでございます。
  125. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃこの外国のVOAについては、郵政省の管理でないのですか。郵政大臣はいま慎重検討中とおっしゃいましたけれども、これはあくまでそういう小さい範囲ではないと思うのですよ。日本に返還された場合、このVOAという放送はどこかに移転さすべきだ、こう私は思うのです。そういうものを沖繩に存続さすということは、これはどうかと思うのですよ。私は、こういうものはつぶすべきである――つぶすと言うと極端でありますけれども、ほかに持っていくべきものである。日本政府としては、この返還に際して、アメリカの大使館がけさ言っておるようなことをまるまる受け入れるということはないと私は確信しているのですけれども、大臣の御見解をもう一ぺん――その協議中、協議中はわかるのですけれども、あなたはそれはどういうお考えでいらっしゃいますか。
  126. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いまおっしゃるような、これをほかに移すというような問題も含めて検討をしておるわけであります。
  127. 樋上新一

    ○樋上委員 このVOAは各国語――中国語、韓国語なども使い、アメリカとしては、目的は文化の向上に使っておるというようなことも言っておるのですけれども、いろいろとうわさされておるのは、アメリカ情報局が軍事に使っておる、ここから流されるものが相当撹乱するようなことがあるのではなかろうか。また、今後私たち日中の国交回復という上においても、中国のほうはこのアメリカのVOAに対して快しと思っておらない。いろんな問題がそこにうわさされて報道されておるのでございますけれども、この点については、そういううわさはうわさであるとお考えになるのか、好ましくない放送が行なわれるという憂いがあるのか。いろんな点を考えてみますと、アメリカの言っているようにそのまま存続させてほしい、存続さすべきであるということに対しては、私たちはアメリカ側の言うことはどうも納得がいかないと思うのですけれども、先ほど申しましたように、国頭村ですか、そこにこれがある。そうしますと、先ほど申しましたように電波障害が出て、あたりテレビラジオが乱れておる。これは、いわゆる電波障害のはなはだしい一つの公害でもある。公害の面からいってもこれは撤去を求めるのが当然である、地元もこう申しておるわけでございます。だから、協議の上において、もちろん外務当局と大臣も交渉されておりますけれども、私はあくまでも撤去または移動させるということでがんとしていかなければ、このままずるずるといってしまったら重大な問題が残るかと思います。国内におけるところの電波法の第五条にも抵触する、こういうぐあいに先ほどもお答えがありましたように、これは大問題だと思うのですが、さらにもう一回御回答願いたいと思います。
  128. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 樋上委員のような御意見も、私、耳にいたしております。そこで、まだきょうの段階で私の口から、その評価とか判断とか申し上げるのは、せっかく交渉中のことでございますから、しばらく控えさせていただきまして、御意見は御意見としてよく承りました。
  129. 樋上新一

    ○樋上委員 いままた大臣を早くということなんですが、それではこの問題はこのままにしておきまして、もう一問だけ簡単にお聞きしたい。もう時間はとりません。五分間ほどお願いします。  それでは、NHK会長さんにお尋ねしますけれども、あなたの御見解も聞いておきたいと思うのですよ。きのうも難視聴の問題についていろいろ検討されました。都市難視の問題については、その解決策はどうなのかということが非常に問題になったのですけれども、CATV、有線テレビが今度できれば、都市の難視聴はかなり解消されるであろう、こう思うのでございます。その点についてNHKはこのCATVに期待するのか、それともどういう立場に立たれるのかという同僚議員の質問に対して、前田会長は、それは別個に考えておる、NHKNHKとして都市難視についても極力それを解消するにやぶさかでないとおっしゃっておったのですけれどもNHKが出捐金として出せる範囲、それはどういう範囲に出されるか、またこのCATVにいままでどれだけ出されておるかということについて、あなたはどうお考えになるかということをお伺いしたいと思います。
  130. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私ども、昨日は失礼をいたしましたが、NHKが、その本来的な業務としまして難視聴をできるだけ解消するということは、私は使命であろうと思うのであります。したがいまして、それがために従来、自然障害等につきましては、山村僻地といえども中継局をつくるとかあるいは共同アンテナをつくるとかいうことはやってまいりました。これはこれなりにできるだけカバレージをふやしていかなければなりませんので、今回の予算につきましても、私の意見書の中にはそういうことを指摘しておるわけでございます。  それから今度は、そういう自然障害のほかに新たに都市ビル陰障害というようなものも出てきておりまして、これにNHKも参加をする道を開こうというのが、近くお目にかけるCATV法案の中にございます。ただ、これは必ずしも強制ということではないと思うのでございます。そういう道を開いたということでございますから、NHKがそれを受けとめまして、そういう方向に協力をされるのであろう、こういう期待はいたしておるわけでございます。  そこで、いまおっしゃった数字等の問題につきましては、ひとつ事務当局からお聞き取りをいただきたいと思います。
  131. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、このCATV法案ができて、それに出捐金として出されることは今度の法案にあるけれども、いままでに有線テレビ放送に対してNHKが出捐金を出したのはお認めになっておるのですね。――私は、ここでちょっと矛盾したことがあると思うのですけれどもNHK受信料によってすべての運営をまかなっている。また難視聴の問題でもNHK独自で解決している。なぜこのケーブルビジョンに対してばく大な金がいままで出されておるのか、その根拠が私はわからない。大臣はそれをお認めになっている。NHKが出せるという条文はどことどことにありますか。
  132. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 既設の、東京をはじめとして大都市にケーブルビジョンができておりますが、これに対しましては、NHKの出捐金は、第九条の三ですか、これに基づいてそういうものが支出をされておる、かように御了解を願いとうございます。
  133. 樋上新一

    ○樋上委員 第九条の三によって出されておるということですが、ほかにまだ出せる条文があるんでしょう。
  134. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  放送法第九条二項十号の「放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣認可を受けたものを行うこと。」という条項によりまして金を出している、そういうことでございます。
  135. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣の御意見を承りましたので、会長にもお伺いしたいのですけれども、どうも私はそこに納得のいかないものがあるように思います。まだこれから金額の問題など詳しいことをお伺いするのですけれども、大臣、これでけっこうでございます。
  136. 前田義徳

    前田参考人 私ども放送法七条によってつくられた協会である。七条は、御承知のように、全国あまねく放送が聞こえたり見えたりするようにせよということだと思います。社会発展の過程と法律制定当時の実情との中に変化と誤差が出てきている。したがって、当面、法律上の解釈としてはいろいろな御意見があるだろうと思います。しかし、私ども、日常生きている仕事を実行しているたてまえでは、社会環境の変化で、都市の中においても一部がよく見え、そのほかが見えないという点については、われわれ自身がやはり聴視者のために何かをすべきであるという考え方に立っております。したがって、法解釈の問題については、仄聞するところまだ一定の解釈はきまっていないようでありますが、毎日の仕事の面から私ども考えている点は、やはり都市の形態、質の変化あるいは性格の変化に即応する受信者対策をすべきであるという考え方であります。これと関連して、CATVの問題については、きのうも申し上げましたが、端的に申し上げますと、この考え方の中でわれわれが使い得る方法の一つである、こういう考え方を持っているわけでございます。
  137. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは志賀さんにお伺いするのですけれども、東京ケーブルビジョン並びに名古屋ケーブルビジョン、京阪神ケーブルビジョン、それぞれ幾らの出捐金を出されておりますか。
  138. 志賀正信

    志賀参考人 御説明申し上げます。  財団法人東京ケーブルビジョンに対しましては四十五年の三月に四千八百五十万円を出捐をいたしております。それから財団法人京阪神ケーブルビジョンに対しましては四十五年の六月に三千百万円を出捐をいたしております。財団法人名古屋ケーブルビジョンにつきましては四十六年の二月に二千四百万円を出措いたしております。なお、財団法人福岡ケーブルビジョンが四十六年二月二十五日に発足いたしまして、これに対しましては二千百万円を出捐をいたしております。以上でございます。
  139. 樋上新一

    ○樋上委員 この出捐金は、いま大臣にお伺いしたのですが、必要と認めて出せるということでございまするが、きのうの会長の御答弁を聞いておりますと、ちょうど栗山同僚議員の質問に答えられているのですが、「いわゆる社会の進化に伴って七条の解釈が従来どおりの解釈でいいのかどうかという問題と関連して、それからまた先ほど佐野専務からお答え申し上げたように、NHK自体が都市の新構造と即応してかなりの費用をもって聴視者の利便に応じておるという点からも、われわれがCATVを、功利的な表現で申し上げますと、利用する限度は、いわゆる難視聴対策の一部としての利用である。したがって、これに必要な場合には、CATV法案によりますと当然その点で出資という形になるやに伺っております。」、こういうぐあいに述べておられるのですけれども、私は昨日からの答弁を聞いておりますし、またNHKがいわゆる受信料でまかなって、NHK独自の立場で灘視聴に対する、CATVは有線放送で別個のものと考えておる、CATVというものにたよらなくてもNHKは独自の都市難視は防いでいける、こうおっしゃっていることとこの御答弁と矛盾しないだろうか。CATVにこれだけの出捐金を出してCATVに助けを求めなければ都市難視が防げないのか、こういうようにも私は解釈するのですけれども、この見方はどうかと思うのですが、あなたの御答弁を伺いたい。
  140. 前田義徳

    前田参考人 私は、すでにきのうから申し上げておりますように、矛盾するとは思っておりません。都市の難視解消というためには、これに参加する方法も一助となるという考え方でございますので、その限りにおいて私どもは功利的な表現を使わせていただくならば、これをも利用すべきであるという考え方を持っているわけでございます。
  141. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、最初のほうに「CATVとは直接には関係がないというたてまえをまず割り切っておく必要があるというように考えております。」いわゆるCATVは別個のものに考えている。別個のものに考えておって、そういうものを利用しないような話になっているかと思うと、これに出捐をされておるということになっておるところに、私はもう一つ合点がいかないのですよ。それならCATVを別個のものに考えずに初めから利用するというならいいですけれども、あなたのおっしゃるのは、NHKは全力をあげて難視聴を解決するのだという御決意を、そして都市においてはCATVを使うのだと言われるところに何か私は割り切れないものを感じておるのですが、さらにもう一度その点をお伺いしたいと思います。
  142. 前田義徳

    前田参考人 CATVは、簡単に申しますと有線放送である。そして技術の開発によって、日本の場合はどういう形になりますか、そのケーブルの中に少なくとも最高二十三の伝達手段を設置できるというように私は聞いているわけでございます。ということは、有線放送で同時に独自の番組をも放送し得るというものだと思います。私どもの任務は、放送法で明らかのように、無線放送を行なうということを任務として与えられているわけであります。したがって、その意味ではNHKの立場から見ると、本質的にCATVは別のものであるという考え方であります。しかしながら、僻地の難聴等についても、共同アンテナによるある種の有線の利用をしているわけでございまして、したがってその限りにおいて、都市難聴の解消にもわれわれは責任を感じているという点から申しますと、そのCATVの中でNHKの番組の再送信ということが可能であるならば、当然その部分について私どもは聴視者のために協力すべきであり、同時にわれわれの都市難聴対策の一環として、一つの手段として、十分これを生かすことを考えるべき一つの方法である、こういうことを申し上げたわけであります。
  143. 樋上新一

    ○樋上委員 CATV法案が通過すると、あとまたこれに対して協力という意味において、NHKは出捐金という名目でますますこれ以上の金をそこに投資されるのですか、どうですか。それでは、そういう額というものはどこを根拠にして出てくるのか。大臣に許可を求められるのですけれども、この額の四千八百五十万円、二千四百万円等々、一億以上の金を有線テレビジョンに出される。今後もこれがあり得るかどうか。また、この額が上昇して――もし今度のCATV法案が出れば、どういう額、どういう名目になるか、今後のあり方について最後にお伺いしたい。
  144. 藤木栄

    ○藤木政府委員 新しい今度の法案のことが出ましたので、ちょっと法律的な面で御説明申し上げたいと思います。  現在国会に出す準備をしております有線テレビ法案の附則で、放送法第九条の三に「宇宙開発事業団への出資」という項がございまして、この宇宙開発事業団プラス今度の有線テレビ事業者ということばを加えたいということでございます。それで、九条の三、そこに書いてございますように、協会はその業務を遂行するために必要がある場合には、郵政大臣認可を受けて、収支予算事業計画及び資金計画で定めるところにより、宇宙開発事業団並びに今度の有線テレビ事業というものに出資ができるということになるわけでございます。
  145. 樋上新一

    ○樋上委員 会長、いま、それはわかるのです。宇宙開発事業問題に出すことはわかるのです。わかるのですけれども、この額はNHKの側から出されるか、それともこちらの国のほうからこの出捐金をいわれて出されたのか、その点はどうですか。
  146. 前田義徳

    前田参考人 認可を受けるという形であれば、これは当然NHKが決定して、この程度はいかがかという認可を受けることになると思います。
  147. 樋上新一

    ○樋上委員 以上で質問を終わります。
  148. 金子岩三

  149. 鳥居一雄

    鳥居委員 まずテレビの波でありますけれども、VHFからUHFへの移行について、かつて小林武治さんが郵政大臣のころ、昭和四十三年にこのお話をされております。十年計画で移行する、そういう考えでありますけれども、それから三年たった今日、基本的な考え方に変わりがないかどうか、まず伺いたいのです。
  150. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  二年前に、いまおっしゃいましたようにVからUへ移行するという方針を出したわけでございまして、私どもとしましては、それをどういうふうにして移行するかという措置その他のいろんな条件につきまして検討をしておる段階でございますが、方針としてはそういった方向でやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  151. 鳥居一雄

    鳥居委員 具体的な内容を検討中だそうでありますが、この三年間に実際に具体的にどんなことをしてきておりますか。
  152. 藤木栄

    ○藤木政府委員 このUHFへの移行を実施いたしました場合には、現在のVHFのチャンネルといったものがなくなりまして、全部Uにかわるということでございますので、いわゆる、そういった切りかえというものに際しましては、何よりも視聴者に迷惑がかかることのないようにしなければならぬ、そういうのが第一番大きな問題でございまして、私どもとしましては、やはりそのためにはいきなり切りかえるのではなくて、ある程度の期間VとUを並行運転しなければならぬということを検討しているわけでございます。また、このVからUへ切りかわりますと、御存じのようにVとUとでは波の伝え方が違うわけでございますので、補完的な中継局も置かなければならぬ、そういったこともございますので、いろいろその他このUが受信できる受信機の普及の状態その他の条件をいまのところ検討している、そういう段階でございます。
  153. 鳥居一雄

    鳥居委員 いまテレビセットのお話が出てまいりましたので、これで伺いたいのですが、普通の普及型のテレビで、オールチャンネルの設備をするために設備をしなければならないものがあります。これの単価と、それからそれを備えなければならない、つまり現在NHKのほうの契約をしているその台数、これから、ざっと民間でどのくらいこの切りかえによって負担をこうむらなければならないか、その試算がありましたら示していただきたいです。
  154. 藤木栄

    ○藤木政府委員 切りかえといいますか、付加しなければならないものは、いわゆるコンバーターというものでございまして、現在のところ、市価おそらく五、六千円のものであろうと思います。そのほかに、UHFを受信するに必要なアンテナが多少かかると思います。まあ、これは非常に安いものであると思います。現在、御存じのようにカラーテレビというものが普及してまいりまして、カラーテレビは現在ほとんど一〇〇%に近いものがUも受かるという状態でございます。それから白黒テレビ自体も、現在生産されておるものは八〇%程度がUも受かる、そういう状態になっております。  なお、このVからUへ切りかえる際に、いわゆる放送事業者といったものの側で要する経費というものは、NHKの場合につきましては、大体UHFの建設費として全国で約九百億程度必要とする、そういうふうに聞いております。なお民放につきましては、各社においていま調査をしてもらっているわけでございますが、まだ最終的な結論は得るに至っていない模様でございます。これは、概算としてやはり七百億程度のものが必要だというふうに聞いております。
  155. 鳥居一雄

    鳥居委員 ともかく、このVからUへの移行というのはきわめて大事件であります。いま、放送局の負担、これはNHKの場合九百億、民放の場合七百億という推定をされておりますけれども、個人負担においても、このようにアンテナは別にしても、こうした五千円なり六千円なりの付加的なそういうものを設備しなければならない。つまり、テレビセットにおける大きな革命である、こう言っても間違いないような、そういう移行であります。移行という名の革命である。おそらくはラジオ屋さんがたいへんな黒字になることも予想されることでありますし、そうした大きなできごとがここに来ようとしているわけでありまして、こうした移行という名の大きな変化にあたりましては、相当慎重な検討がなされなければならない、こう思うわけです。  そこで私はNHKの担当の方に伺いたいわけでありますけれども、ことしの一月から東京、大阪におきましてUHFの実験局がすでに事業を始めております。そのまず目的、これはどういうところから始まったものか、いかがでしょうか。
  156. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答え申し上げます。  一つは、Uが初めて放送されるその地域の電波の普及状態、そういう電気の物理的な状況を調査する、これが一つの問題。それからもう一つは、国会その他の御要望もありまして、Uを普及する、そういう意味において、NHKがこのUHFの実験放送をしてそういう分野の開拓をしていく、こういう二つの目的をもって一月四日から実験放送を開始いたしております。
  157. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは実験局が持っております番組の内容はどういう内容のものですか。
  158. 川上行蔵

    ○川上参考人 一日十八時間放送いたしておりまして、大体午後七時半ごろまで総合テレビと同じ内容を放送いたしております。そのあと約三時間半ほど総合テレビの中及び教育テレビの中からカラー番組を中心としまして、夜間、総合テレビ放送してないようなものを、いわゆる時差放送と申しますか、そういうような形で放送いたしております。そのほかに、このUの実験局だけのために、特に総合のほうでまだ放送してないドラマを先取りして放送する、あるいは過去に放送いたしましたドラマの人気のあったもの、それを再放送するとか、あるいは外国映画を同じく総合で放送する前に放送する、そういうようなものを多少毎日つけ加えていっております。
  159. 鳥居一雄

    鳥居委員 要するに実験局の開局した目的がUHFの普及であるという意味から、いまのお答えを伺っていまして、総合テレビでやっている内容と同じもの、それからまた、放送されたものでさらにまた放送する、そういうような番組の組み方で、これは本来の目的を達成できますかどうですか。もっと力の入った番組を組む必要があるのじゃないかという感じがするのですが、その点どうですか。
  160. 川上行蔵

    ○川上参考人 経費とかそのほか一切問わずに普及をはかるとすれば、やはりそういうような先生がいまおっしゃったような線で番組をつくらなければいけない、このように存じますが、やはり漸進的に受け入れる技術的な施設を各聴視者の家庭に持っていっていただくということのそのにらみ合わせと、同時に経済的な効率もはかりまして、夜間にいま申し上げたように総合と違う番組を出している。多少漸進的な歩調をとってやっておる、こういうことでございます。
  161. 鳥居一雄

    鳥居委員 会長はどういうふうに考えられますか、実験局の成果並びに番組の充実という点について御意見を承りたいと思います。
  162. 前田義徳

    前田参考人 純粋の技術的実験だけを目標とするならば、番組の内容は問題でないと思います。しかし、普及という点から考えますと、普及は聴視者との関係において普及が可能なわけでございますから、そうすればやはり普及のためにも聴視者が期待し、聴視者が魅力を感ずる番組を送るべきであるというように考えております。
  163. 鳥居一雄

    鳥居委員 郵政省に伺いますけれども、VからUへの移行に当たりまして、アメリカではこの計画を中止したということでありますけれども、たしか郵政省ではこの視察に行っておりますね。その調査に当たられたのはどなたですか。それから実際にアメリカでこれを中止した理由、これをひとつ御披露願いたいと思います。
  164. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  調査に行きましたのは、私ども電波管理局の太原審議官でございまして、ちょうどいまおりませんけれども、経費の点もございましたので非常に短い期間でございましたけれども、アメリカのFCCという私どもと同じような仕事をしている役所に行きまして、アメリカでどうしてVからUへの切りかえを中止したかということを質問したわけでございますが、太原審議官の話によりますと、向こうといたしましても、こういう表現はいかがかと思いますけれども、政治的並びに経済的な理由でそういうことはやめた。ただ、CATVといったものが将来どれだけ発達するかわからないので、その発達の状況いかんによっては再び検討することもあり得る、そういうようなことを向こうで言っておった、そういうわけでございます。
  165. 鳥居一雄

    鳥居委員 ひとつその報告の内容を資料として提出願えませんか、いかがですか。
  166. 藤木栄

    ○藤木政府委員 いま報告をまとめようと思っておりますので、それで御提出いたしたいと思います。
  167. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは、その取りやめた理由の一つの政治的な理由というのはどういうわけですか。具体的に話はできませんか。
  168. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  どうも、私が直接聞いたわけではございませんので、そのニュアンスをどういうふうにお伝えしていいかわかりませんけれども、向こうの三大ネットワークというものの政治力もあった、そういうふうに聞いております。
  169. 鳥居一雄

    鳥居委員 もう一つあげられた経済的な理由、これはどういうことですか。
  170. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  太原審議官からの話によりますと、先ほども申し上げましたような施設の移行に経費がかかる、そういう点でございます。
  171. 鳥居一雄

    鳥居委員 要するに聴視者に大きな負担をかける、そういう点が大きな理由であろうと思うのです。ですからわが国の場合、アメリカと比較して完全な対策がとれているのかどうか、その点が非常に疑問なわけですけれども電波監理局長、どうですか。
  172. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  そもそも、VからUへの移行という本来の原因と申しますか、これは御存じのように、現在移動無線用の周波数が非常に足りないということが原因でございまして、御存じのように現在いろいろな警察、消防、その他もろもろの業務に移動通信というのが使われておりますけれども、これは電波でなくてはできないというわけでございまして、そういったものの需要、しかも非常に公共性の高いものからの要求というものが非常に高いわけでございまして、これはアメリカも同じような理由だと思いますけれども、私どもとしましてもそういったものの要求と現在のテレビの状況等判断いたしまして、現在のUHFのテレビでもVHFと同じ程度のものは放送できる技術も確立したということで、そういった方向考えたというわけでございます。しかし、おっしゃいますようにこの問題は非常に重大な問題であり、また先ほど来御指摘のありますような聴視者に対する迷惑あるいは放送事業者に対する経費の負担、いろいろな問題があるわけでございますので、私どもとしては十分各方面の御意見を伺いながら慎重に検討してまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  173. 鳥居一雄

    鳥居委員 電波法の七十一条に周波数の変更についての規定があります。第七十一条によりますと、「郵政大臣は、電波の規整その他公益上必要があるときは、当該無線局の目的の遂行に支障を及ぼさない範囲内に限り、無線局の周波数又は空中線電力の指定を変更することができる。」二項で「国は、前項の規定による無線局の周波数又は空中線電力の指定の変更によって生じた損失を当該免許人に対して補償しなければならない。」同じく三項、四項によりまして免許人の保護が規定されております。ですから、今回の場合のようにVからUへの移行に伴って国としての補償、こういう問題に直ちにかかってくるわけですけれども、この条文とのかね合いをどういうふうに考えておられますか。
  174. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃいましたように、七十一条というのは電波の規整その他公益上必要があるときは周波数を変えるということになっておりますが、私ども考えておりますのは、この免許の期間の途中でいきなり変えるということは考えておらないわけでございまして、先ほども申し上げましたように、変えるにいたしましてもVとUとの並行運転の期間というのもあるわけでございます。したが、まして、私どもとしましては、いわゆる再免許の時期というものを勘案いたしまして、免許の途中ではございませんで、そういった時期においてそういった新しいUの波を付加する、そういうふうに考えておるわけでございます。御存じのようにこの電波法というのは免許期間というのがございまして、放送局は三年ということになっておりますので、そういった三年の期間というものを利用してというとあれでございますけれども、そういった免許の更新のときに波の割り当てを行なう、そういうふうに考えております。
  175. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうしますと、VからUへの実質的な移行によりまして、電波監理局長の話によりますと九百億円全国でNHKの設備をしなければならない、こういう数字が出てきております。電波法によりますと、三年して免許の更新があるわけですけれども、ちょうどその切れ目にこの変更をやれば国としては補償をする必要がない、こういうふうに受け取ってよろしいですね、監理局長
  176. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました三年という免許期間は、これはあくまでも免許の有効期間でございまして、ずっと再免許というものが無限に続くものではございません。いわゆる既得権として固定されているというものではございませんで、三年ごとにその放送局が運用するのに適当であるかどうかということをチェックするための再免許というものでございますので、この再免許を機会にしまして、だれに与えるのが最も電波の公平な能率的な利用になるかということを審査して新たな免許を与えているというわけでございますので、私どもとしましては、そういった趣旨を体しまして、この再免許のときにそういった切りかえの作業を行なっていこう、そういうふうに思っているわけでございます。
  177. 鳥居一雄

    鳥居委員 それはそこのところが納得できないですよ。結果から考えますと、いままでに再免許を受けられなかった放送局はありますか。戦後二十数年今日に至りますけれども、三年に一ぺんまいります再免許の段階で免許にならなかったという放送局はありますか。事実上はこれは連続ですよ。ですから、いま郵政省考えている、三年に一ぺんの切れ目をねらってこのVからUへの切りかえをやれば補償をする必要がないというふうに答弁をされている、そう受け取ってよろしいかどうかと私は聞いているのです。どうですか、その点。
  178. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在、放送局が相当の数がございますけれども、いまのところ再免許のときにその免許を拒否したという例はございません。ただし、波の変更というものはいろいろな場合に行なっておるわけでございます。
  179. 鳥居一雄

    鳥居委員 ですから、これを額面どおり私ども受け取りますと、VからUへの移行というのは、これは政策的に移行をしていこうとするものです。いまの七十一条にありますとおり、これは必要に応じてしなければならない措置、公益上必要、こう受け取って間違いない、そう私は思っておりますけれども、この条文の、いわゆる郵政大臣電波の規整そのほか公益上必要があるときに行なう周波数の変更、どうしてこれに該当しないのですか。民放にしましてもNHKにしましても、従来のVからUへの移行を迫られるかっこうになっているのじゃないですか。行政上そうするわけでしょう、VからUへの移行を。その場合の補償を考えないのですか。七十一条でははっきり補償するといっているのです。どうなんですか、その点。
  180. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  七十一条は、先ほど申し上げましたように、免許の有効期間内におきましてそういった措置をする場合をさしているわけでございまして、従来いろいろな国際会議の結果、何月何日まで波を変えなければならないといったようなこともございまして、そういった場合はこの七十一条を発動いたしまして、しかも大蔵省に頼みまして予算も獲得いたしまして補償をしているわけでございますが、現在の場合、このVからUへの移行ということにつきましては、この七十一条子そのものを適用しようとは私どもは思ってないわけでございます。  ただし、先ほど来申し上げておりますように、相当な経費もかかるということでございますので、それに対する対策というものはいろいろ検討している、そういう状態でございます。まだこうだというところまでは結論が出てない、そういうわけでございます。
  181. 鳥居一雄

    鳥居委員 それはおかしくないですか。つまりこの免許の期間中に周波数を改める場合には補償する。じゃ免許の切れたときにその周波数の変更をする場合には、その切れた瞬間にできるということですか。免許が切れた後に放送局なんて存在しないじゃないですか、事実上。免許というのは連続でしょう。三年たてばまた次の三年が始まるでしょう。それは七十一条の解釈を間違えていませんか。局長、どうですか。つまり法解釈からいったら補償しなければならないものだと、私はこう思うのです。それをあくまでもしない考えかどうか、それを聞きたいのですよ。どうですか、その点。
  182. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先ほど来申し上げておりますように、七十一条というものは申し上げたとおりでございまして、それをそのまま適用するということは考えてないわけでございまして、その再免許のときは、これは新しい局として周波数も指定をする、現在でもそういうことをやっている、そういうわけでございます。
  183. 鳥居一雄

    鳥居委員 非常にこの疑問は晴れません。民放とは一体どういう話し合いをしているのですか。ともかく、ねじ伏せてでもこれに受け入れ体制を電波監理局としてはつくって、そしてVからUへの移行をなるべく摩擦なくやっていこうという考えですか。現に、これだけの付帯設備としてNHKで九百億、それから民放ではおよそ七百億といわれるものがかかる、これはあなたの答弁の中からの数字ですよ。どうですか。
  184. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、ねじ伏せてでもということは考えておりませんので、民放あるいはNHKのそういった放送事業者に対しましては十分に御説明を申し上げまして御協力を得てやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  185. 鳥居一雄

    鳥居委員 NHKでこの設備にかかる費用はどういうふうに見込んでおりますか。
  186. 藤島克己

    ○藤島参考人 お答えいたします。  ただいま電波監理局長からも御返事がありましたとおりに、約九百億かかると思っております。これは現行カバレージが九七%でございますけれども、九六%のカバレージを想定いたしました金額でございます。
  187. 鳥居一雄

    鳥居委員 次に、時間を気にしながら次の質問に移ります。  行政管理庁のほうで電波の免許行政についての行政監察をやったことがありますか。
  188. 安達為也

    ○安達説明員 最近はやったことはありませんけれども、FM放送が開設当時、電波行政の一環としてやったことはあります。
  189. 鳥居一雄

    鳥居委員 いつやったのですか。
  190. 安達為也

    ○安達説明員 三十六年でございます。
  191. 鳥居一雄

    鳥居委員 今回のVからUへの移行、これはまことに大きな一大革命であると私は受け取っております。これはただいまの議論を通じておわかりのとおりだろうと思います。さらに先日、混信を防止するためにというそういうことが理由になりまして、音声放送の再編成の考えを、これは郵政大臣が明らかにされております。これもやはりラジオセットの大きな補修をし、手直しをしまして、従来のラジオが全く使えなくなるような変わり方、こういうことをいまの郵政省では考えているわけです。ラジオセットにしてもテレビセットにしましても、こうした大きな転換期を迎えまして、これはまことに大きな変化だろうと思います。そうしまして、この中で混信防止、こういううたい文句でこの再編成を考えておられますけれども、混信防止以外のねらいはありますか。監理局長、どうですか。
  192. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  混信防止以外のねらいはございません。
  193. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうしますと、NHKをはじめとする中波のラジオ放送局、この電力を増強することのほかに、いまお考えになっている再編成の方針について明らかにしていただきたいです。
  194. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  二年半ほど前に、音声放送の再編成という構想が郵政省から出されたわけでございますが、それに基づきまして私どもいろいろ検討した結果、とりあえずこの外国からの混信防止というものをまずやらなければならないということで、それの第一歩として現在音声放送の増力ということを考えたわけでございまして、それからあとどうするかということは現在まだ検討しているという段階でございます。
  195. 鳥居一雄

    鳥居委員 それではきょうは時間の制限がありますので、この議論、次の機会にまたやらしていただきたいと思います。  本日の質問は以上で終わります。
  196. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  197. 武部文

    ○武部委員 最初に、かねてから質疑を行なっておりました放送センターの問題についてお伺いいたします。  私がお尋ねいたしたいのは、放送センターとタワーとの関係であります。四十七年にセンターが完了して四十八年に引っ越しの計画があるようでありますが、その中にタワーが入っておるのか。タワーの建設場所はどこであるか。高さは一体何メートルであるか。費用はどのくらい。さらにタワーの建設時期はいつであるか。これを最初に伺いたい。
  198. 藤島克己

    ○藤島参考人 お答えいたします。  ただいまの実施いたしております放送センターの総合整備計画というのがございますけれども、具体的に着工いたして明年完成の予定をいたしておりますのは、放送センターの局舎の増築分とホールの部分だけでございまして、タワーにつきましては当然これと関連を考えておりますけれども、直接的にこの期間中に完成させられるものではないと思っております。  なお、設置場所につきましては私どもの敷地の中を一応予定して、ただいま技術的に可能であるかどうかという検討をいたしておるわけでございますけれども、今後いろいろ民放はじめ関係方面との協力もございますので、設置場所その他については、たってこだわった考え方は持っておりません。
  199. 武部文

    ○武部委員 そうすると、センターとタワーとは全く別個のものだというふうに考えていいのですか。
  200. 藤島克己

    ○藤島参考人 別個なものとは考えておりません。できることならば同時に同場所でやりたいと思っております。
  201. 武部文

    ○武部委員 しかし、いまあなたの答弁でいきますと、センターのほうは四十七年に完了して四十八年に移転をする、そういう計画のようです。その場合に、そのタワーの設計、建築その他が大体これと符号して間に合うように計画を立てるという、そういうお考えなんですか。
  202. 藤島克己

    ○藤島参考人 何しろ私ども考えておりますのは、一応六百メートルというようなものを考えておりまして、世界にも類例のないようなタワーになろうかと思いますので、その構造並びに建築様式その他につきましては慎重な検討が必要でございます。したがいまして、昨年からことしも調査費を計上いたしまして、技術的に、構造的にそういう高いタワーが日本のような地震、台風の強いところで可能であるかどうかということがまず第一点にございまして、その点をいま継続して検討中でございますので、必ずしも放送センターの建築物ができ上がる時期までにこれは完了するとは考えられません。若干のズレがあろうかと思います。
  203. 武部文

    ○武部委員 六百メートルといえば、すでに青写真ができ上がっておると思うのです。そうすると六百メートルの高さの、いまおっしゃったような世界で例を見ないような高いものを考えておられるようですが、その場合の建築費用というのは大体推定どのくらいですか。
  204. 藤島克己

    ○藤島参考人 いま申し上げましたように、なお検討を要する余地がたくさんございます。確定数字とは申せませんけれども、概算で申し上げますと約六十五億程度かかろうかと思っております。
  205. 武部文

    ○武部委員 このことはこれくらいにしておきます。  そこで、私はきょう与えられました時間は非常に短いのですが、放送大学についてお伺いをいたしたいのであります。前回の二月十八日に、当委員会で郵政省、文部省両省の考え方を聞いたわけでありますが、どうもすっきりいたしません。したがいまして、きょうは前回よりももう少し掘り下げてお聞きいたしますのでお答えをいただきたいのであります。  まず基本的な問題として、四十八年に正式発足を目ざしておる放送大学の性格といいましょうか、設立の意義、そういったものについて文部省は一体どのように評価をしておるのか、それを最初にお伺いいたしたい。
  206. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  文部省といたしましては、放送大学の設立について、一昨年十一月放送大学準備調査会を設けまして検討を進めてまいったところでございますが、昨年七月、放送大学準備調査会の報告書が提出をされたわけでございます。この報告書におきまして、放送大学の目的について、教育の機会均等の観点から、大学教育を受ける機会に恵まれなかった勤労青年、主婦、その他に対しその機会を提供するとともに、職業人の再教育をはじめ国民各層の人々に対し高度の教育を行なうこととしておるわけでございます。この放送大学を学校教育法に準拠した四年制の大学とし、あわせて生涯教育の要望にこたえるべきであるということを報告書において述べてあるわけでございます。このほか、この報告書におきまして、放送大学の入学資格、教育方法、教育内容等につきましてもその基本的な構想を明らかにしているところでございますが、まだ設立の形態、放送の実施方法等については検討の余地が残されているということでございまして、昭和四十六年度放送大学実施調査会においてこれらの事項の検討を進めるという予定になっておるわけでございます。したがいまして、四十六年度で計画をいたしております放送大学の実験放送を通じましてどのような形が理想的であるかというものを今後検討をしていくという段階でございます。
  207. 武部文

    ○武部委員 いま放送大学の基本的な性格といいましょうか、意義と申しましょうか、そういうことについて次官のほうからお述べになりました。そういたしますと、いまあなたもお述べになったわけですが、ことしの夏ごろから実施しようといたしておる実験放送、この実験放送との関連はどうかということになるのです。言いかえるならば、実験放送から本放送、いわゆる正規の放送大学に至るそれまでの具体的なプロセス、プラン、そういうものについてはどうお考えになっておるか、それをお聞きしたいのです。
  208. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  放送大学の設立につきましては、昭和四十六年度放送大学実施調査会を設けまして、放送大学の大学制度の中に占める役割り、放送大学の設立形態、放送の実施方法、教育課程、その他について検討をする方針でございます。またこれと並行いたしまして、ただいま先生御指摘のとおり、NHK及び日本短波放送の協力を得まして、テレビ及びラジオによる実験放送を行ない、放送番組製作上の問題点効果、その他に関する調査研究を行なうという考え方でございます。この結果によって、放送大学のあるべき姿というものを私どもはっかんでいきたい、かように考えているわけでございます。
  209. 武部文

    ○武部委員 いま聞きますと、実験放送から正規の放送大学に至る具体的な問題はこれから検討する、それがいわゆる番組制作上についてはどういう問題点があるかとか、そういうような御答弁でありますが、少なくとも実験放送がことしの夏から始まるということであれば、実験放送から正規の放送大学というプランがなければならぬと思うのです。そういう具体的な見通し、そういうものなくして始めるというのでは何ら意味がないじゃないかというふうに私は思うのですが、いまお述べになった以上の具体的な、いわゆる実験放送からどういう過程を経て、どういう構想で正規の放送大学に至る経過を考えておられるのか、もうそれ以上のことはないのですか。
  210. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  この放送大学につきましての実験放送でございますが、これは一般の放送の場合の試験放送というのと若干その性格を異にしているわけでございます。と申しますのは、実験放送を行なって、それがそのままの形で放送大学に移行するという形ではないわけでございまして、放送大学のあり方そのものを実験放送を通じて見つけ出していくという意味が、特にこの実験放送につきまして、放送大学については大きな意味を持っている、そういうふうに私ども考えて取り組んでいるわけでございます。
  211. 武部文

    ○武部委員 それでは、いまのことはあとで触れましょう。  いま答弁がありましたように、文部省としては、この実験放送NHK及び日本短波放送に委託する、こういう答弁でございました。そうすると、具体的にはどのような形で委託を考えておるか、放送法との関係について文部省はどう考えておるのか、それをひとつお伺いしたい。
  212. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  実験放送NHK及び日本短波放送に委託する問題につきましては、委託契約による方式を考えているわけでございます。ただいま先生御質問の放送法との関係でございますが、郵政省と協議を十分いたしまして、放送法との関係につきましては、それぞれの法規の中でどのような位置づけをすべきであるかということは、今後なお検討を文部省といたしまして、していきたいと考えているわけでございます。
  213. 武部文

    ○武部委員 ここはたいへん大事なことなんですが、それでは郵政省にひとつお伺いしたい。前回、当委員会で私が委託のことについてお尋ねをいたしました際に、方法論として、電波監理局長は、放送法第九条二項八号または放送法第九条二項十号のいずれかによって実験放送は可能である、しかし、そのいずれにするのかはまだ最終的に固まっていない、こういう答弁をあなたはされました。この問題は実験放送の基本に関する問題でありますが、あなたの答弁は、この二つの問題について固まっていないという答弁でありましたが、もう少しはっきりとした答弁をここでしていただきたい、こう思います。
  214. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、いまも文部省のほうからお答えございましたように、いわゆる放送大学を設立するための準備として、放送大学の実験番組の制作及び放送効果に関する調査研究をNHKに委託しようと考えておるわけでございますので、先ほど先生御指摘になりました放送法第九条第二項の八号の委託によりまして、放送及びその受信の進歩発達に寄与する調査研究、これをNHKの業務として認めることが適当である、そういうふうに考えているわけでございます。
  215. 武部文

    ○武部委員 いまの御答弁ではっきりいたしましたが、そういたしますと、文部省が考えておったような放送法第九条二項第八号、いまお述べになったこの内容によって政府部内の意思統一はされておるというふうに認識してよろしゅうございますね。郵政省は当時、この八号なり十号については最終的な結論を出していないという答弁でありました。私の承知しておるのでは、文部省のほうは九条二項八号でやりたいということをはっきり答弁いたしておるのであります。あなたはそういう答弁じゃなかった。そこで両者の間に食い違いがあるというふうに私は考えておりましたが、いまの答弁で、放送法第九条二項八号でやりたい、できる、そういう答弁だというふうに理解してよろしゅうございますか。
  216. 藤木栄

    ○藤木政府委員 そのとおりでございます。
  217. 武部文

    ○武部委員 それではNHKにお聞きいたしますが、放送大学の実験放送について、NHKは四十六年度予算の中でこれをどのように措置しておりますか。
  218. 志賀正信

    志賀参考人 四十六年度予算の中には計上いたしておりません。
  219. 武部文

    ○武部委員 予算は計上してありませんが、現実に文部省は予算を成立させておりますね。今度の予算で要求いたしました。そういうようなものがNHKの四十六年度の運営の中で、それならばどのように生かされていくのか、それをお聞きしたい。
  220. 志賀正信

    志賀参考人 御提出を申し上げてあります予算予算総則の第十二条に「業務に関連ある調査研究等に対し、交付金、補助金等の収入があるときは、その金額は、調査研究に関係ある経費の支出に充てることができる。」という一条を入れてございますので、今後御委託があれば、この線に沿うて善処できるかと思います。
  221. 武部文

    ○武部委員 NHK会長にお伺いいたしますが、いま電波監理局長の説明なり文部省の政務次官のお話で、実験放送の委託ということでNHKの名前が出たわけでありますが、委託を受けるについて、NHK会長としての基本的な考え方をお伺いしたい。
  222. 前田義徳

    前田参考人 委託の手続としては、私どもは、ただいま政府当局からお話しのありました第九条第二項第八号による委託であれば歓迎いたしたいと思います。ただ番組の制作については、私ども放送法の第三条に基礎を置き、したがって私どもとしては、四十四条の五項になりますか、一応、教育番組あるいは学校放送番組との関連で規定されている条項を準用した立場に立ちたいということを考えているわけでございます。
  223. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、いま九条二項八号の問題は一応決着がつきました。放送法の三条、これもお述べになったわけであります。さらに四十四条の五項の問題についてもお述べになりました。  私はここでちょっとと引用いたしますが、この実験放送が文部省から先ほど政務次官の答弁にありましたように報道された直後、会長は記者会見においてこの三つの問題について述べておられるわけであります。引用いたしますと、「第一はNHK放送大学の研究を依頼するという法律的根拠」これは放送法第九条に関連をいたします。「第二は放送の内容が教育に関するものであるならば、放送法第四十四条にもとづくものであること、」これもお述べになったとおり。「第三にNHKが最終的にいかなる義務を負うことになるかという言論の自由の問題」これは放送法第三条。「これらが満たされるならば、NHKとしてもこの問題を前向きの姿勢で検討したい。」「文部省のお手製番組をNHK放送だけするということでは、私どもとしては受けとりにくい。最終的には放送法にかかわってくる問題だ。」こういう報道がなされております。  いまお述べになりました三つの原則、言うならば放送法三条は放送の憲法であって、これは当然のことだろうと思うのです。九条二項八号については、政府考え方が大体意見の一致を見ました。残るは四十四条五項の問題であります。四十四条五項の条文、ここで申し上げませんが、四十四条の五項の問題について、NHK考え方をもう少し具体的にお知らせいただきたいと思います。
  224. 野村忠夫

    野村参考人 お答えします。  四十四条五項に規定されております中身は、学校向けの教育番組につきましては「法令の定める教育課程の基準に準拠する」ということが定められております。この教育課程の基準というものは、小学校、中学校、高等学校におきましては、実際的には学習指導要領というような具体的な姿できめられております。私どもも、いま学校放送をするにあたりましては、それに従いまして制作、送出しているわけでございます。ただ大学には、御承知のようにそのようなものはございません。今日までの大学は、教授会において、学問の自由、教授の自由ということで、教授会みずからが教育内容そのものを規定しておるわけでございます。今回の実験放送につきましては、実際問題としてこの大学はできておりません。新しい放送大学がこの問題をどのように法的に規定するかは、将来の問題でございます。したがいまして、私どもとしては、NHK自体が、出演する講師を含めて学識経験者等を集めました委員会にはかった上で、私どもの責任において制作する、かように考えております。
  225. 武部文

    ○武部委員 この四十四条五項の問題についていまNHKの答弁がございましたが、文部省は、この四十四条五項についてはどういうお考え方でしょうか。
  226. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  ただいまNHK野村理事からお答えがございましたように、大学につきましては、小、中、高等学校と同じ意味での法令で定める教育課程の基準というものは定められていないわけでございます。今回の問題は、当面実験放送についてでございますので、放送大学そのものが設立されました時点におきましては、やはり新しい四十四条第五項に類する問題については、一つの明確な答えを出していかなければいけないと考えているわけでございますが、当面の実験放送につきましては、放送法第四十四条第五項の趣旨を生かすという考え方、具体的に申しますと、番組の内容が大学教育にふさわしい水準を保つとともに、大学設置基準に準拠して、十五回の放送で一単位となるような一貫性とまとまりを有するようなものにするという意味で準拠してということでありますれば、文部省としてはNHKのお考えに何ら異存のないところでございます。
  227. 武部文

    ○武部委員 それでは次に、郵政省にお伺いいたしますが、二月二十三日の参議院の逓信委員会で、電波監理局長は次のように答弁いたしておりますが、これはどういうことでしょうか。この四十四条の五項について「「当該番組が学校向けのものであるときは、」そういうものに準拠しなければならないというわけでございまして、まあこの放送大学というようなことになりますと、これは学校向けではございませんで、その放送自体が大学教育と、こういうことになるわけでございますので、この五項というものは、少なくとも法令の定める教育課程というものの基準がなくてもいいんではないかと私どもは思います。」こういう電波監理局長の答弁であります。これについて委員のほうから、それはとんでもない間違いではないかと反論されておりますが、電波監理局長は、この四十四条の五項の問題についてどうお考えですか。
  228. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  いまのお話のように、現在やっております実験放送というものは、これはあくまでも実験放送でございまして、本来正規の放送ではないわけでございますので、いわゆる放送法自体の適用というものは元来ないわけでございます。しかし、一般的に申しまして、この実験放送といいましても、現在のNHK自体がUHFの電波を使って、先ほどもお話のありましたような受信機の普及ということもかねましてやっている以上は、放送法の精神というものはやはり尊重して守っていかなければならぬというふうに一般的に考えているわけでございますが、との四十四条の五項自体は、いま読み上げられましたようなことで、これは学校向けということであれば、その内容が学校教育に関する法令の定める規定の基準に準拠するものでなければならぬという項がありまして、これは大学というものに対しましては適用されない、そういうふうなことを考えたわけでございますが、先ほど文部省の政務次官からのお話もございまして、そういった方向自体につきましては、私どもとしては了承しているというわけでございます。
  229. 武部文

    ○武部委員 そうすると、あなたの答弁なり参議院の質疑を通して私が感ずるところでは、現行法の中には不備がある。この実験放送とそれから現在の法律の中には不備な点があって、抵触するような点がある。しかし、現行法律の中ではやっていきたい。そこで不備なら不備、法改正が必要ならば必要だというふうにはっきりした態度を示すべきではないかと、こういうような意見も委員の中から出ておりますね、あなたに質問が。それにあなたは的確なお答えをしておりませんが、それについてはどう思われますか。
  230. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  この法律自体が不備というわけではございませんけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、実験放送というものによりまして――この放送の実験放送ということになりますと、先ほど申しましたような一般の人が直接受けるということでございますと、この放送法の適用が直接にはかかってこない実験放送というものにつきましては問題があろうと私ども考えておるわけでございます。
  231. 武部文

    ○武部委員 いまの答弁で、あなたのお考えはわかりました。  そこで次に、実験放送の具体的な番組制作、この問題についてお聞きいたしたいわけでありますが、このことについて文部省とNHKとの間の話し合いはどの程度進んでおるのか、これをお伺いしたい。
  232. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  実験放送NHKに対する委託につきましては、NHKとの間で内々話し合いを進めているところでございますけれども、もちろん御協力をいただけるものという前提のもとに行なっているわけでございますが、実験放送についての予算が現在国会において御審議中でございますので、この成立を待ちまして正式に話し合いに入りたいと、かように考えているところでございます。
  233. 武部文

    ○武部委員 私は前回も申し上げましたが、前回次官がお見えになりませんで、大学学術局長でした。的確な答弁がなかったのですが、そうすると、番組制作にあたっては、当然考えられることは、その委員会のようなものをつくって、そうしてこれから番組制作について検討されると思うのですが、そういうものの構成なり権限はどのように考えておるのか、前回大学学術局長の答弁では、検討中だという話でありましたが、それがさらに前進をしておるかどうか、それを伺いたい。
  234. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  実験放送の番組の制作にあたりましては、いろいろ新しい方法を試みる必要もございますので、先生御指摘のとおり、学識経験者等の意見も十分聞かなければならないと考えます。したがいまして、番組制作につきまして委員会というような組織が当然つくられなければいけないと考えておりますが、これはNHKの中に設けられるものであるというふうに私ども考えておりますので、その細部につきましては、文部省としては御答弁を申し上げるのは差し控えるべきではなかろうかと考えております。
  235. 武部文

    ○武部委員 文部省にさらにお聞きいたしますが、教育課程、教科目、これは一体どこが決定するのか、これが一つ。さらにこれに伴う番組の編集、送出、そういう点の責任は一体どうなるのか、だれが負うのか、こういう点はどうでしょう。
  236. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  教科目の決定、番組の編集につきましては、実験放送の趣旨が十分生かされるよう、学識経験者の意見を聞きつつ、NHKと文部省との間が協力して進めていく考えでございます。  これを法律的に申しますと、教科目につきましては、委託契約の中でこれを明確に決定をすることになると考えております。また、番組の編集、送出の責任につきましては、現行法上当然NHKが負うことになるのではなかろうか、かように考えております。
  237. 武部文

    ○武部委員 いまの文部省の答弁について、NHK考え方をお聞きしたいのであります。
  238. 野村忠夫

    野村参考人 大綱的に西岡政務次官の答弁でけっこうであると思いますが、いま内々検討中でございます。
  239. 武部文

    ○武部委員 さらに文部省にお尋ねいたしますが、いずれにいたしましても、放送大学は国際的に見て、イギリスのオープンユニバーシティーとは全然比較にならぬくらいに規模の大きい内容を持った国家的事業であると私は思うのです。そういう場合に、将来の問題として、放送大学が正式に発足した場合、この放送大学の、いわゆる大学と放送局との関係、そういうことはどういうふうになるのか、その点について文部省のお考えございましょうか。もちろんあると思うのですが、それはどうでしょうか。
  240. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  放送大学の放送の実施方法につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、世界でも初めての試みでございますので、今後いろいろ検討すべき問題点が実際にあるわけでございます。現在考えておりますことは、既存の放送局の協力を得るものと想定した場合、免許を放送大学そのものに与える方式と、放送事業体に与える方式が考えられているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても基本的には、放送大学が放送の内容について責任を持ち得る体制というものは、私どもとしては当然確立をしていかなければならない問題であろうと考えているわけでございまして、これらの問題が放送大学の実現にあたって一番重要な問題点であろうと私どもは認識をいたしているわけでございます。したがって、関係各方面と十分連絡をとりつつ、各界各方面の御意見を十分聞いて処置をしていきたい、かように考えております。
  241. 武部文

    ○武部委員 いまのはたいへん大事なことでありますから、最後にお聞きいたしますが、結局免許の主体をどこに置くかということが実はいまだに決定を見ておりません。この放送大学の免許問題というのは、これが根本だと私どもは思っておる。そのことについて何回かここで論議をいたしましたが、いまだに結論が出ておりません。法制上の問題もさることながら、免許を大学に与えるかあるいは放送局に与えるか、こうした場合の利害得失というものを考える必要があると思うのです。財政的に見て一体大学に与えた場合にはどうなるのか、放送局に与えた場合にはどうなるのか、そういう点について、文部省としてはそういう試算なり構想はございますか。
  242. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 この点につきましては、実験放送というものを通じて、具体的に放送大学がかかえている課題、問題点というものを明確にしていく中で正確な答えを見出していきたいと考えておりますので、放送大学そのものが免許を持った場合にどうなるか、あるいは放送事業体に免許を与えた場合にどういう形になるかという具体的な詰めは、現在の時点ではまだいたしていないわけでございます。
  243. 武部文

    ○武部委員 この問題は、郵政省のほうで調査をされておるようであります。たとえば放送大学が免許を持った場合、放送局をつくるのにどのくらい金がかかるか、そういうこともできておるようですね。端的にあなたの口から言えるかどうかわかりませんが、文部省としては、この放送大学の免許を大学が受けるべきだというふうに結論を出しておられないようにいま聞くのですが、それでよろしいですか。
  244. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 そうでございます。
  245. 武部文

    ○武部委員 郵政大臣がきょうお見えになっておりませんが、私はこのことが一番問題だということをかねがね言っておるのです。放送の主体の問題を避けて、そうして実験放送から入っていく、そして実験放送にはもろもろの法的な問題が存在をしておる。ところが、実験放送は、現実にことしの夏ごろから始めようとしておる。それには三つの法律が抵触するんじゃないであろうかというような危惧もある。しかし、そのことについては、いろいろ見解が述べられました。一応了解しておきます。ただ問題は、一番根本である問題を避けて、実験放送から本放送へ、放送大学の設立へという、そういう過程をとっていくということについては、私はまだ疑問を持つのです。したがって、郵政省としてはこうした問題を避けて通るのではなしに、至急に態度をきめて、一体日本放送大学はこれからどういう構想を持ってやるべきか、そういう点を明らかにした上で、実験放送なら実験放送というものに入っていくべきではないだろうかということを前々から申し上げているわけですが、郵政省として現在の段階における見解はどうなのか、そのことをお伺いいたしたい。
  246. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 郵政省といたしましては、いま文部省のほうからの見解が述べられましたが、これから本格的に始まる放送大学そのものが、はたしてどういう姿で出発していくのかということについての明確な結論が出ておらない段階におきましては、はなはだ残念でありますが、いずれの事業体にこの免許を与えるべきかということについては決定を見ておらないということでございます。
  247. 武部文

    ○武部委員 私は、約束の時間が来ましたのでこれで終わりますが、いずれにしても、この放送大学の問題について、郵政省が免許の主体ということについてしぶっていることに納得ができないのです。なぜ郵政省がこうした問題についてはっきりした態度を示さないのか、こういうことについて何回か私は質問したわけですが、いまだに確固たる回答をいただけません。したがって、きょう大臣はおられませんが、いずれにしても実験放送が始まるわけですから、私どもの意見というものを大臣に伝えていただいて、正式に郵政省の態度をわれわれの前に表明していただきたい、このことを申し上げて私の質問を終わります。
  248. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  249. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、郵政省側に責任ある回答を簡単な内容で、特にイエスかノーという形式で答えていただきたいと思います。  先ほど来いろいろ質問が出ておりますが、小林郵政大臣のときに、VHFからUHFに電波を切りかえました。私はこの問題について、一郵政大臣国民の持っておる電波国民がそのことによって享受をしておる多大の利益に損害を与えるようなことについて、まことにけしからぬという態度を持っておるのでありますが、先ほどの質問にもありますように、郵政大臣は、電波の規整その他公益上必要があるときは、当該無線局の目的の遂行に支障を及ぼさない限り、その範囲内において周波数を変えることができることになっておるわけです。これは法律の規定一つの前提となっております。しかし、第二項の規定によって、不当に変更したことによって生じた損害はやはり賠償しなければならぬという規定を持っておるが、これはNHKあるいは民送その他重要な放送関係の諸君の事業に対して至大な影響を与えておると思うわけです。なぜ賠償しないのか、どういう理由をもって賠償しないのか、いま一度明確な回答をしていただきたいと思います。
  250. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、この七十一条自体の適用ということは考えていないというわけでございます。ただし、先ほども申し上げましたように、相当な経費もかかるということがございますので、そういった問題につきましては各方面の御意見を十分聴取いたしまして、どういうふうにしたら一番よろしいかということは慎重に検討してまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  251. 土橋一吉

    ○土橋委員 局長さんは慎重に検討ばかりしておられてもう三年もたっておるわけです。慎重に検討して三年もたっておるのですよ。先ほどNHKの負担が大体九百億円と言われておるわけです。民放関係が大体七百億円と言われておるわけです。コンバーターなどの機械、アンテナなどを加えても大体六千円前後の負担が一般国民にかかっておるわけです。そうすると二千何百万世帯というのがいま放送局のテレビなりそういうものを受けておるわけです。そうすると、その金額は試算をしてすぐわかりますように、おそらく一千億円以上の損害を与えておるわけです。そうすると、かりに考えましても合計約三千億円近い損害を一郵政大臣がえてかってに周波数を変えることによって国民に負担をさしていいかどうか、この問題であります。この法律の規定は、いまあなたの説明されましたこの規定の適用を受けないということになればどういう適用を受けておるのか、また具体的に、どういう施策を講じて、NHKや民放や国民に対してそういう責任を果たしておるのか、この点をやはり明確にしていただかなければならぬと思います。もし高度経済成長政策あるいは自由民主党の政府のもとで、こういうようなことがえてかってに、行なわれていいということであってはならないと思うのであります。いかなる政党が政権をとりましても、この法文の基本的な精神には変わりはないわけです。したがって、これはどういう責任を負うのか、具体的にどういう予算を組んでNHK、民送、国民に対してこの問題の償いをするか、明確に答えていただきたい。あいまいなことは許しませんよ。
  252. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、Uへの移行というものは、まず第一にUの受信機自体の普及というものがなければ、これは聴視者に迷惑をかけるということでございますから、そのU移行といいますか、U受信機の普及ということを考えないでいきなりやるということなどは私どもは全然考えておらないわけでございまして、小林大臣が発表して以来三年もたつとおっしゃいますけれども、やはりこういった大きな問題でございますので、十分時間をかけてUの受信機の普及あるいは放送事業者側の御納得、あるいはそれに対するいろいろな措置、たとえば私どもいまちょっと考えておりますのは、低利の長期の資金の融資といったようなことも考えておるわけでございますが、VからUへの移行の具体的なスケジュールというものが実はまだ立っていないわけでございまして、そういったものにつきましてはいま慎重に検討しておる、こういう状況でございます。
  253. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま委員長もお聞きになりますように、この局長の話では賠償問題に一向触れようとしていないわけです。ただ金を借りるための便宜をはかるとか、金を借りたって、借りたほうは利息をつけて払わなければいかぬのです。この規定は佐藤政府であろうとどの政党の政府であろうと、この法律の規定によって賠償をしなければならぬことは明瞭です。佐藤政府だからこの規定を免れてよろしいということはないわけでしょう。なぜ賠償しないのですか。なぜ郵政省予算を組んで――NHKは七百億円という負担――この七百億円は全国の一年間の聴親料に近いのですよ。放送局が一年間努力してもやっと九百億円くらいの収入しかないのですよ。七百億円の損害を与えるというのは一体どういうわけですか。また私どもの家庭において、何の理由があって佐藤政府のもとにそういう責任を負わなければならぬのですか。あなた方はどうして賠償問題を考えないのですか。これはどの政府がやっても賠償の責任を負わなければならぬという強行規定ですよ。郵政省はどうするのですか。きちんとした責任ある回答をしてくださいよ。いまのはそういう方策を考えておるというだけなんだ。賠償については一向に責めを負おうとしてはいないのです。なぜそういう態度を佐藤内閣はとるのですか、郵政大臣の答弁を求めますよ、あるいは総理大臣の答弁すべきことですよ、どうですか。
  254. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 先ほど来この問題について御答弁申し上げておりますように、電波法の七十一条のこの規定をもって今回のV、Uの転換をはかっていこうということではございませんので、郵政省はそうした考え方に基づいてV、Uをはかっていこうという考え方を先ほど来申し上げておるのでありまして、若干先生のお考えの前提が異なるように考えますので、御理解をいただきたいと存じます。
  255. 土橋一吉

    ○土橋委員 自由民主党の委員皆さんもお聞きのように、これはきわめて明瞭な規定であって、この規定から要するにUに変えたという問題、VからUに変えれば当然こういう事態が起こることをこの法律は予定をして、その変更を指示し、決定した郵政省が責任を負うべきことであるということを言っておるのであって、何も私が聞いておるのはむちゃなことを聞いていないですよ。したがって、この問題は、私はあくまでも七十一条の規定は貫徹すべきである。また、佐藤政府すべての責任においても、この問題はやはり賠償の責めに応ずべきだというふうに私は考えておるのです。もし、これがいまのような説明でのがれられると考えるならば、この法規を全く無視しておるのであります。法を無視してよろしいのですか。国家公務員は、憲法の規定、憲法の規定から出てくるところのすべての法律の条章は忠実にこれを守らなければならぬということを規定しておるのであります。重ねて郵政当局の責任ある回答を聞きたい。この責めを免れることはできないのであります。
  256. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 お答えいたします。  七十一条の解釈につきましては、あくまでもこれは一定の定まった免許期間における変更でございまして、V、Uの移行につきましては、再免許の時点において考えようということでございますので、この間の事柄につきましては、先ほど来申し上げておるとおりでございます。
  257. 土橋一吉

    ○土橋委員 日本放送協会は、わが国の法律によって公の機関として決定されておる一つの機関であります。したがって、これは郵政省の私物ではないのです。国民電波をいわゆる情報化して、これを正しく国民に享受せしめるという全責任を負っておるわけです。郵政省の付属機関ではないわけです。したがって、国民の機関であるわけです。その国民の機関が、わずかの放送料を中心として経営しておるものに対して、このような事態の起こったことに対して責任を負わぬとは一体どういうことですか。あなた方はえてかってに日本放送協会を、権力とか、あるいは免許を与えるとかいうようなことを言っていますけれども、免許を与えるといって――先ほどの質問にもありましたように、日本放送協会は厳然として法律によって保障されておるのですよ。ただ、免許は、波の関係上三年に一回はもう一回更新をしてみるというだけのことであって、郵政省電波を持っていないのですよ。電波国民のものですよ。その国民電波を預かっておる郵政省は、混線がないように交通整理をしたり、また特定の有益な公益事業を行なうものについては、ひとしく電波を与えて、そうして情報化の内容を適切に国民に知らせる、そういう責任を負うておるのですよ。国民の側からいうならば、主権在民の法則に従いまして、いかなる放送をやってもよろしい、どういう受信をしてもよろしいという権利をわれわれは持っておるのであります。放送局の放送国民に対する恩恵ではないのですよ。近代国家において当然やるべきことを、国民を代表して放送局はやっておるのであって、たまたま娯楽番組なんかあるから、何かいいものを与えてくれているような感じを与えているけれども、そんなものではないのですよ。これははっきりしておるのですよ。この問題は、もし以上のような小渕政務次官や局長の説明のようなことでは解決しないのです。委員皆さんも聞いておられるとおり、賠償の責めを負わなければならない政府が、賠償もしないでごまかしていこうとするようなさもしい考えを持っておられるならば、私はまことに遺憾千万です。すみやかに予算を編成して、NHK、民放、国民に賠償すべきだと思うのです。  それでは、日本放送協会にお尋ねいたしますが、この七百億円という膨大な費用が要ったことについて、放送局としては賠償してもらいたいのか、それとも将来のいろいろなことを考えて賠償は要らないというのか、ひとつ前田会長の明確なイエスかノーかの御回答を願いたいと思います。
  258. 前田義徳

    前田参考人 電波法七十一条の解釈が決定的にそういう解釈になるならば、当然私どももお金はちょうだいいたしたい、このように考えております。
  259. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、おっしゃるとおりだと思うのです。国民を代表しておる放送局は、自分でまけるなんて言えたものじゃないですよ。当然日本放送協会なり民放は、公益的な内容を持っておる事業として、政府はこのような多大の損害を与えたことについてでき得るならば賠償してあげなければいかぬし、賠償してもらいたいというのはあたりまえです。それは当然です。小渕政務次官、できたら賠償してもらいたいと言っているのだ。どうですか。(「それは解釈が違う」と呼ぶ者あり)不規則発言は遠慮願います。  それでは、この問題はさらに私は追及いたしますが、藤木電波監理局長は、公聴会などを開いて、Uに変えたことについて国民によくアピールをしたいし、了解を得たいということをこの前の委員会において発言されました。私は非常にけっこうだと思います。ぜひこれをやはりやり遂げまして、どういう必要によってVからUに変わったのか、Uに変わることによってどういう利益があるのか、どういう損失が生まれるのか、あるいはまた、放送業者として非常な負担のことについてもどのように解決すべきか、これをやはり明確に国民全体の世論の中において遂行せられるように、私は期待したいと思うのですが、どうですか。いま一度あなたの明確なる回答なり答弁をしていただきたいと思います。
  260. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいますように、また先ほどから私どもも申し上げておりますように、国民の皆さまの御理解と御協力を得てやっていきたい、そういうふうに考えております。
  261. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、日本放送協会にいろいろ申し上げたい点があるわけです。それは、先ほどの米田委員の発言の中にもございましたが、最近日本放送協会放送についてとかくの意見があるわけです。実は「暮しの手帖」の一九七〇年の秋季号で通巻八号というのに出ておりますが、これはおそらく会長及び幹部の方もお読みになったと思いますけれども、ここに最もくだらない番組という題で編集されておる中に、たとえば一番よくないといわれておるのは、「なんでもやりまショー」というのがそうです。二番目は「ザ・ガードマン」三番目には「巨泉・前武ゲバケバ30分」というのが出ておるわけです。(「それは民放の話だよ」と呼ぶ者あり)まあ黙って聞きなさいよ、内容も知らないで。その次に、NHKのニュースが最もくだらないというので指摘をされておるわけです。私もこれを見て実は驚きました。私もニュースといえばNHKを聞いておる一人でございます。ところが、NHKのニュースが非常にくだらないという第四位に位しておるわけです。そのほか、たとえば「みんなで出よう「55号決定版!」」というようなものと甲乙ないような状態でくだらない番組だということになっておるわけです。  その内容をいろいろ見ますと、こういう意見が出ておるわけです。NHKニュースに投票した人々の九一%が、その理由をこんなふうに言っております。「政府や自民党の、御用放送の感じがする」「体制べったりすぎる」「右に偏向している」「事実をまげて報道している」「民間放送のニュースや、新聞が堂々とニュースに報道している事件について、すこしも触れないことがたびたびある」こういうふうな文句が言われておると書いております。  そこで問題は、要するにどういうことか、具体的にいいますと、たとえば政府の、大臣などの答弁はその様子を写真で写して見せる。しかし、野党側の発言については、アナウンサーが要約をして、そのときの感じが全く出ないかっこうで、ただ平板に言っておる。大臣やそういう諸君のところだけは写して、その説明も見せておる。こういうことが非常に不満だと言っているわけです。(「それはNHKが来ないから」と呼ぶ者あり)黙っていなさい。やかましいですね。あるいは学生騒動、たとえば大学の紛争とか成田の飛行場の紛争問題、こういうところでも学生が正々堂々とデモを組んでおるところ、そういうものは映さない、学生側が警官側に襲いかかっておるようなところだけを映す、警官側が非常に暴力をふるっておるところは映さない、そういうふうにこの回答を出した人は言っておるわけです。非常に不公平だ、体制べったりだということを言っておるわけです。たとえばある大臣が洋行する。そうすると、大臣が待合室からタラップに乗るまで、手を振るまで盛んに映してみせる。しかし、実際はその内容はどういう意図であるかということについては知らせようともしない、こういうことがいわれておるのであります。たとえば、ニュースの、いま知事選挙が戦われておりますが、そういうところでもそういうようなことを言っておる。たとえば革新知事に関係したニュースはほとんど出さないが、どうしても出さなければならないときは何となくけちをつけるような、少なくともあまり放送するのには乗り気でないようなムードが感じられるということをこれは訴えておるわけです。私はこれが全部正しいとは思いませんが、国民全体がそういう目でNHKの権威ある放送を、特に時局放送を聞くということになれば、これはたいへんな問題だというふうに考えざるを得ないと思うのですが、会長はどう考えておられるでしょうか。
  262. 前田義徳

    前田参考人 私どもは「暮しの手帖」がどういう調査のしかたをなすったか、その対象がどういう選び方をなすったのか、仕事が違いますから全然私は存じておりません。ただ、そういう雑誌の中にそういう書き方があったということは承知いたしております。しかし、私ども放送法の原則に従って、かなりひんぱんに全国的な世論調査を行なっております。私どもの世論調査によりますと、ニュースはNHKのベストテンのうちのほとんどの時間が最高順位に、大体簡単に言いますと位しております。したがいまして、私といたしましては、御警告の一端としてその問題を価値ある御意見と考えておりますが、NHK調査した実情から見ると、かなり部分的な御意見ではないかというように感じているわけでございます。
  263. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、米田委員の質問に対しまして、先ほど放送法第一条第二号の問題についていろいろお話がございました。私は会長のお話を非常に注意深く聞いておりました。特にここに規定をいたしております不偏不党の問題とそうして真実を保障しながら同時に自律を保障するというこの自律のところに大きなウエートがかからなければならないというふうに、私はこの問題についても考えるわけです。そうして言論の、表現の自由を、つまり不偏不党性を持ちながら、同時にそれが真実に近いものであって、しかも放送局がこれならばよろしいという自律性のもとに表現の自由が保障されておるわけです。また、放送法の四十四条の三項の規定によりましていろいろ保障されております。また四十四条の二の編集の基準についても放送局は責任を持っておるわけであります。私は四十四条の三の規定で審議会というものをつくって、適正な番組をするためにいろいろ御審議願っておるということだと思うのです。そういう第一条の第二号とかあるいは、四十四条の三項であるとかあるいは二項であるとか、その三というようなきちっとした組織があって十分審議せられておるにもかかわらず、なぜこのような意見が出てくるのかというところであります。  私はこれにはやはり前田会長のような方ばかり審議会に入っておられたり、あるいはまたこの基準をきめる委員の中に入っておれば、これは私は問題ないと思うわけです。そうでなくて、放送法第一条の二号とか四十四条の三項とか、こういうことについて深い理解を持たない方が入ってまいりますと、いま私が指摘しましたようなことについて、とかく間違いやすい問題を生じておるのではないかというふうに私は考えておる。あなたの回答によりますと、ごく一部だ、全国的な放送局の調査、研究によればさようでないという答弁をされました。しかし小なる部分といえども、こういうことがすでに出ている。これが千八百何十名という方々がこれに参加されておるわけです。そうして放送局の場合には、六百四十人の方がそういう答弁をしておられるという、こういう事実から見まして、やはりこの問題について勘どころといいましょうか、どういう点が不備であるためにこういうことになっておるのか。あなたの気づいた点、もしそういう点についてこういうふうにすれば、もっと直る点があるんじゃなかろうかという点がございましたら率直に聞かしていただきたいと思います。
  264. 前田義徳

    前田参考人 率直に申しまして、NHKは当然各方面から批判される特権を持っている機構であると私は思っております。と申しますのは、私は午前中も申し上げたことですが、人数に換算して一億のうち八千万名以上の方がNHK放送を見たり聞いたりしていただいているわけで、その八千万名はすべて考え方は異なっていると思います。そういうような、ほんとうにある意味では民主化された社会の中で、NHKがほめられてばかりいるということは、むしろ私の印象を申し上げると、どこかにかわいがられているにすぎないだろう、このように思っております。――――――――――――――――――――――この点は取り消させていただきます。要するに八千万の聴取者の中で私が先ほど申し上げましたのは、その世論の動向を察知いたしますと、少なくとも大多数の方々は、わりあいにNHKの公正さを支持してくださっているのではないか。ただあらゆる問題で私ども放送法の原則というのは、これは原則ですから、毎日の実際処理の中でときどき手落ちがあるかもしれないということは想像されるところだと思います。そういう意味で、先ほど私は先生の御警告に対して、私どもとしては別の立場をとるにしても、そのような警告は非常に貴重な警告である。それに従って私どもは今後一そう善処してまいりたい、こういう気持ちを申し上げたわけでございます。
  265. 金子岩三

    金子委員長 土橋君に申し上げます。理事会の申し合わせの土橋君の持ち時間は十五分であります。ただいま三十分の質疑が行なわれましたので、これにて打ち切ります。  これにて本件に対する質疑は終了いたしました。(「まだ発言中にそれはいかぬですよ」と呼ぶ者あり)理事会の申し合わせであります。     ―――――――――――――
  266. 金子岩三

    金子委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤守良君。
  267. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員 私は、自由民主党を代表して……(発言する者あり)静粛に願います。私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、承認を与えることに賛成の意を表明するものであります。  本件の内容をなすNHK昭和四十六年度収支予算事業計画及び資金計画は、NHK昭和四十三年度以来推進している長期的構想の第四年度分に相当するものでありまして、昭和四十六年度は、収支予算において収入支出とも総額一千九億七千万円、資本収支において収入支出とも三百三十三億九千万円という予算のもとに、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国的普及の早期達成をはかるための、テレビ共同受信施設を含む放送網の建設、カラー放送の拡充など番組内容の充実刷新と、教育、教養番組の利用の促進、並びに受信契約者の維持増加の積極的推進など、営業の強化等の施策を行なうとともに、四十五年度に引き続き、放送センターの整備を進めることといたしております。  このように、NHK昭和四十六年度に実施しようとしている事業計画は、NHKの使命及び放送現状に照らして、おおむね適当であると認められますし、その裏づけとなる予算の算定も妥当であると考えられますので、私は、本件に対して承認を与えることに、賛成する次第であります。  最後に、わが党としては、本収支予算等の執行に関し、NHKが本件審査の動向等を参酌して、その適正を期し、よく国民の負託にこたえられるよう、強調するとともに、特に、テレビ難視聴の解消について、政府並びにNHKが、一そうの努力を傾けられるよう希望することを申し添えて、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  268. 金子岩三

    金子委員長 阿部未喜男君。――阿部未喜男君。(発言する者あり)阿部君。
  269. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  この議案の内容をなす昭和四十六年度NHK収支予算等は、情報化時代に処するNHKの施策を示すものとして、注目されるところでありますが、わが党はこの点に着目をし、先日来の委員会において収支予算事業計画の内容はもちろん、その背景にわたっても詳細な質疑を行なったわけでございますが、その質疑を通じて、わが党としては、この収支予算等は、NHKの使命や放送界におけるNHKの役割り等に照らして、おおむね妥当と判断し、その適正な執行を前提として、これに承認を与えることに賛成するものでございます。  ただ、この際わが党としては、政府並びにNHKに対して若干の要望を申し上げておきたいと存じます。  その要望の第一は、先日発表された中波放送のチャンネル・プランの修正案に関することでありまして、この修正案は別途策定を予定されている超短波放送のチャンネル・プランの修正案と相まって、音声放送の体制に大きな変化をもたらすものでありまして、放送事業者はもちろん、受信者たる国民にも大きな影響を及ぼすものでありますから、その実施については、慎重に取り運ぶ必要があるのでありますが、報道メディアとしてのラジオの重要性、特に議論せられました非常災害時等における役割りの大きさ等から見て、その受信の確保については、格段の配慮を要するところであろうと存じます。政府においてはこの点に留意し、修正計画への移行については、FM受信機の普及状況等受信者サイドの実情を見きわめながら推進していくなどの考慮を払ってもらいたいと存ずるのであります。  第二は、テレビ難視聴の解消についてでありまして、委員会の審議においても多くの委員から要望されたとおり、政府並びにNHKが相携えて都市、地方を通じてその対策を積極的に推進されたいと要望するものでございます。  第三は、本土復帰を控えた沖繩の放送に関してでありまして、委員会の審議でも明らかになりましたように、沖繩の放送、特に公共放送は本土のそれと比べかなりのサービス格差があるように存ぜられます。復帰後においては、住民の福祉向上のため早急にその格差を是正すべきであると思われますので、政府NHKそれぞれに準備を進められたいことを要望いたしたいのであります。  第四は、本年夏から実施を予定されている放送大学の実験放送に関してでありまして、この実験放送は、実験とはいっても、その実態は放送そのものでありますから、その運用は放送法規定に準拠して行なうべきは当然でありまして、かりにも放送法に抵触することのないよう、政府NHKに注意を促しておきたいのであります。  第五は、放送番組に関してでありまして、いわゆる情報化時代の到来によって、放送に対する社会的要請は一段と高度化してきておりますので、NHKにおかれては、当面のテレビ番組のカラー化計画を推進するとともに、テレビラジオ放送を通じて放送番組が生き生きとした内容を持つように充実向上に一そう努力を傾けられたいのであります。  第六は、受信契約に関してでありまして、先日来の審議過程でわが党委員よりも質疑いたしましたように、受信契約については、受信者の負担の公平をはかる上からも、また、事業の経営基盤を強化するためにも受信者の開発に今後一そうの努力を望みたいのであります。  最後に、特に強調しておきたいのは、従業員の待遇改善についてであります。NHKの従業員の待遇については年々若干の改善が行なわれておりますが、その内容は必ずしも十分ではなく、今後の物価事情等を勘案すれば、給与の適正水準を維持することさえおぼつかないと思われるのでありまして、NHKにおいては、従業員の待遇について従前以上の考慮を払われたいと強く要望する次第でございます。  以上、わが党の要望を申し添えて、私の賛成の討論を終わります。(拍手)
  270. 金子岩三

    金子委員長 樋上新一君。
  271. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、公明党を代表してこれを承認するに賛成の意を表するものであります。  この議案の内容をなすNHK昭和四十六年度収支予算事業計画は、テレビジョン、ラジオ放送の全国普及をはかるための積極的な置局の促進、教育放送番組内容の充実、カラー放送時間の拡充及び国際放送、ローカル放送番組の充実等を骨子としております。これらの諸施策は、放送法によって課せられているNHKの使命より見てほぼ妥当と見られます。わが党は、かかる判断のもとに、この収支予算、資金計画も含めて細心の注意をもって適正に執行されることを期待して、本議案の承認に賛成するものであります。  ただ、この際、本議案に関連して、政府並びにNHKに対し、二、三の要望を申し上げておきたいと存じます。  その第一は、テレビの難視聴対策については、かねてよりNHKも努力されているところでありますが、昭和四十六年度事業計画が完成されれば、テレビのカバレージは九七・四%になるということでありますが、それでもなおかつ難視聴に悩んでいる世帯は、全国六十数万世帯も残っているのであります。さらに、新たな問題として都市難視もふえてきておりますから、山間僻地、大都市を問わず、難視聴対策のため、なお一そうの尽力を要望するものであります。  第二は、受信料の問題については、昭和四十六年度末には普通契約よりカラー契約が初めて上回り、五〇・八%に達する見通しとなっております。また、カラー放送時間も全国的にすべての番組に放送されるようになっております。この時期にあたって、カラー契約の急増が予想されるのであります。これにかんがみ、新たな長期計画を立てることを公にされましたが、当然受信料問題についてもカラー契約伸びに基づいて普通契約が早期に廃止されるよう、一般聴視者は大きな期待をしております。  第三は、沖繩復帰後の対策についてであります。政府より沖繩復帰第二次要綱が発表され、これによると、沖繩放送協会、OHKが行なっている公共放送業務は、復帰と同時に日本放送協会が引き継ぐことになっておりますが、解決しなければならない問題は山積しております。その中で、復帰と同時に本土並みの放送サービスができるよう、政府並びに関係者の一致協力によって実現できるよう、重ねて要望するものであります。  最後に、NHK国民放送との強い自覚をいつも新たにされて、放送法の精神にのっとり、厳正公平なる報道と国民生活向上のための番組充実にさらに邁進されんことを望みます。  以上、要望を申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
  272. 金子岩三

    金子委員長 栗山礼行君。
  273. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、民社党を代表いたしまして、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  その議案の内容をなす昭和四十六年度NHKの収支予算事業計画及び資金計画は、国際、国内の激変に対処し、価値観の多面化時代、情報化時代、知能産業時代のいわゆる七〇年代の創造的文化の建設、豊かな人間性の回復をはかる新時代の社会建設を目ざし、各般にわたり若干の質疑をいたしてまいりました。遺憾ながら相違点がございましたことは事実でありますが、おおむね妥当なものとして承認を与えることにするものであります。  御承知のとおり、この承認案件について、慣例によりますと、附帯決議がつくのでありますけれども、今回は、諸般の状況によりまして附帯決議がございませんので、この際、数点の希望を申し添え、政府並びにNHKに申し上げます。  その第一は、放送の公平と不偏不党の大原則の保持を強く求めたいということであります。  その第二は、都市、地方を通じ難視聴対策に一そうの努力を求めたいということであります。  その第三は、放送大学の実験放送は、放送法規定に基づき、厳として実施を求めるということであります。  第四は、放送番組の充実向上を積極的に求めるということであります。最近とみに、ニュースの適正化、娯楽番組のいわゆる低俗化、俗悪化の傾向に対し、きびしき世論の高まりに耳を傾け、NHK本来の誇り高き娯楽番組の向上に格段の努力を求めるということであります。  第五は、職員の誇りと真の使命の徹底化に指導の強化を求め、かつ職員の諸待遇に留意を求め、特に委託による徴収者の報酬制度の改善対策に検討を強く求めたいということであります。  第六は、長期構想のもとにおけるNHKの安定基盤を確立する経営の健全化に一そうの英和を傾倒し、国民の真の協会としての発展を望むものであります。  以上の希望を申し添え、協会の輝かしき成果に多大の期待を寄せ、格段の運営の御活躍を期待し、賛成討論を終わります。(拍手)
  274. 金子岩三

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。(「日本共産党を代表して、本件について棄権をいたします。」と呼ぶ者あり)私は、土橋君という指名はしておりません。ただいまのは不規則発言です。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  275. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  277. 金子岩三

    金子委員長 この際、井出郵政大臣及び前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。井出郵政大臣
  278. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 本件に関しましては、慎重なる御審議の上ただいま御承認いただきましたことを厚く御礼申し上げます。  これまでの御審議にあたり委員の提起されました貴重な御意見につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりその御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
  279. 金子岩三

  280. 前田義徳

    前田参考人 私どもの明年度予算について最終的に御承認をいただきましたことについて、厚くお礼を申し上げます。  連日にわたる御熱心な御討議のうち、なおかつ最終的な各党の御意向については、深く感銘しながら聞いておりました。私どもは、今日以後のNHKの経営については、この御趣旨を経営の一つの基礎として誠実に実行し、かつ前進いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  281. 金子岩三

    金子委員長 次回は、来たる二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会