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1971-03-17 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十七日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 本名  武君 理事 水野  清君    理事 古川 喜一君 理事 樋上 新一君    理事 栗山 礼行君       池田 清志君    加藤 六月君       佐藤 守良君    坪川 信三君       長谷川四郎君    三池  信君       森  喜朗君    森山 欽司君       阿部未喜男君    八百板 正君       米田 東吾君    鳥居 一雄君       池田 禎治君    土橋 一吉君       中村 拓道君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   大西誠一郎君         防衛施設庁総務         部施設調査官  奈良 義説君         沖繩北方対策         庁調整部参事官 齋藤 清三君         郵政省電波監理         局審議官    太原 幹夫君         郵政省電波監理         局放送部長   福守 博一君         日本電信電話公         社施設局長   三宅 正男君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     野村 忠夫君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     木村 武雄君   小沢 一郎君     園田  直君   加藤 六月君     山手 滿男君   武部  文君     小林  進君 同日  辞任         補欠選任   山手 滿男君     加藤 六月君   小林  進君     武部  文君 同月十七日   中野  明君     鳥居 一雄君 同日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     中野  明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森喜朗君。
  3. 森喜朗

    ○森(喜)委員 ただいま議題となりました問題につきまして、先日委員会におきまして、大臣並びにNHK前田会長から御説明をいただいたわけでございます。実は大臣が御出席でございませんので、別に小渕政務次官だからいけないというわけではありませんが、大臣から少し意見書につきまして具体的な御見解を賜わりたいと思っておりましたのですが、時間があまり私に与えられていないようでございますので、後ほど時間がございましたらまた政務次官からお答えをいただくことにいたしまして、さっそく具体的なことに入らせていただきたいと思います。  特に意見書の中にも出ておりますが、「難視聴地域早期解消を」ということ、これは辺地、そしてまた都市受信障害ということと両面にあると思いますが、まずNHK側から、辺地の難視聴地域救済見通し、特に共同受信施設を予定せられているようでありますけれども、これによる救済見通し、さらに今後の救済方針としてどのくらいかけてどの程度やられたら一体どういうふうになっていくのか、国民皆さんほんとうに望んでおられることが一体いつになったら全部解決をするかというようなことも含めて、まず会長からお答えをいただきたいと思います。
  4. 藤島克己

    藤島参考人 ただいま御質問いただきました辺地難視聴の解消につきましては、私どもといたしましてもこれは最重点的な問題と考えまして、毎年計画的にこの解消をはかってまいっておるわけでございますけれども、現在四十五年度末で全国世帯数で申し上げますと九七%の世帯数難視聴の対象外になってまいりまして、残りの三%が今後私ども努力をしていかなければならない難視聴地域だと存じます。四十六年度のここに提案いたしました予算計画では、その残りの三%のうちの解消にあたりましてことし最大の努力払いまして、四十六年度完成局を二百二十局、それから翌年度へ持ち越します着工局を百二十局建設いたすことにいたしまして、これらを合わせまして、パーセントで申しますと〇・四%ぐらいの難視聴地域世帯数解消になろうかと思います。世帯数の数で申しますと約十五万五千世帯になろうかと存じますが、大体非常に人口の少ないいわゆる過疎地帯といわれるようなところにだんだん入ってまいりますので、置局をいたします数のわりに解消いたします世帯数が非常に少なくなりまして、言うなれば非常に効率的な置局ができないような状態でございますので、これを置局だけで解決をするのはたいへんむずかしいので、一部共同受信設備を補完的に伴用いたしまして、両々相まって今後解決をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いま藤島さん十五万とおっしゃいましたのは、〇・四%解消されるというその世帯数でございますか。
  6. 藤島克己

    藤島参考人 さようでございます。
  7. 森喜朗

    ○森(喜)委員 そういたしますと、この三%のうちの解消が、まず四十六年度で〇・四%、これはサテライト局百二十局と共同受信施設一千施設というものを包合した計画によるわけでございますか。
  8. 藤島克己

    藤島参考人 ほとんど置局でございまして、共同受信によります世帯数というのはカバーする効率が非常に少のうございますので、大部分、ほとんど置局とお考えいただいてけっこうだと思います。
  9. 森喜朗

    ○森(喜)委員 こまかくなって恐縮でありますが、それではついでに、この三%が完全に解消されるのにどういう御計画をしておりますか。
  10. 藤島克己

    藤島参考人 私どもはいま長期構想を実施いたしておりますけれども、その中で難視解消の問題は、いまの長期構想が終わります四十七年度末九八・一%というところまで持っていきたいと考えております。その場合の残存の難視世帯数はほぼ五十万世帯ぐらいになろうかと考えております。その五十万世帯でございますけれども、そのうちの約三十万世帯といいますものは、これこそほんとうにあちらの谷に一軒、こちらの谷に一軒というふうな非常にばらばらな世帯数になろうかと思いますので、この解消は非常にむずかしいと思いますけれども、極力努力いたしまして、この解消を早く一〇〇%に近づくように努力はいたしたいと思っております。
  11. 森喜朗

    ○森(喜)委員 四十七年度末で九八二、残りが一・九ということでありますが、ことしかなり大幅におやりになっても〇・四、ましてどんどん僻地のほうへいかれれば、この一・九の一〇〇%完全到達ということはなかなかむずかしい問題だし、それだけ時間もかかると思うのです。特にこのことだけで時間をかけてはいけませんので急ぎたいのですが、特に山の中、僻地なんというのは、ほんとうテレビがたよりで、実は十日ほど前に、私の地元で山の中に入ってみました。もちろん小松市という行政の中にあるわけでありますが、車でわずか三十分くらいでありますが、雪でいっぱいであります。何にも楽しみがない。私が演説会をするとまるで演芸があるような楽しみで集まってくるくらいの素朴な、娯楽のないところであります。その人たちは、テレビが完全に見えるということを非常に待ちに待っておられるわけであります。いま私どもNHKお願いをしております関係上、こういうことを申し上げてはいかぬのでありますが、技術的にこういう地区一つの――私どもの、これは小松市の西尾校下というのですが、去年その中の岩上町というところでやっていただいておるのです。ところが次の隣の西俣町というのは、調べていただくと四十六年度計画に入れておる。その次の隣のところは四十七年度に着手をする予定だ、こういうふうになっておるわけですね。そうすると同じ校下の感情として、隣の町でよく見えておるのになぜまた延ばされるのだろうか。そして隣の隣になると、もちろんかなり離れておるということでございますが、私の見たところではそんなに離れておるわけじゃないです。車で行ったって十分もあれば行けるところなんです。それがなぜ二年もかかるのだろうかというような意見をかなり地元人たちは素朴に持っておると思うのです。  NHKというのは膨大な収入があるというようにマスコミで伝えられております。日銭二億なんて、こういうことがいわれておる。それは、皆さんはそれに対して理屈はある一わけですが、国民週刊誌マスコミによってそういうふうに思っておるのに、なぜわれわれのところにはもっと出てこないのだろうか。NHKはりっぱな建物を建てられる。また代々木にセンターをやられる。そういう負担をもっと早くこっちに回してくれればいいのになという気持ちがそういう山の中の人たちにかなりあるのだと思います。こういうことをもっと早く、せめて全町内、校下だけでもかためてやってあげるというようなことはできないでしょうか。ひとつその辺についてお答えをいただいて、私はこの問題としては最後にしたいと思うのです。
  12. 藤島克己

    藤島参考人 ただいまの御趣旨、まことに私どももそういうことがあろうかと存じておりまして、極力気をつけておりますが、言いわけみたいになりますけれども一つは、やはりマイクロウエーブではございませんので、電波中継をして次々にまいるものですから、前の局ができ上がってその電波届きぐあいを確かめませんと、次のところの建設ができないわけです。これがまた電波が出ませんと、その次ができないというような一つのリレーになっているものですから、そういうことも起きてまいることもありますし、それから全国的に非常にたくさんの地区が、先ほど申しましたようにまだ残っているものですから、一カ所だけに集中するということもたいへん抵抗のあるところもございますので、そういうこともあわせて、そういう地域の住民の方々が、何てばかなことをしているのだろうという、そういう置局のしかたをなるべくしないように、今後改めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  13. 森喜朗

    ○森(喜)委員 まあ予想どおりお答えなんです。去年の議事録を読んでもそんなようなお答えだというふうに私は思います。これは会長、私どもはやはり先憂後楽ということばが昔からありますし、そういう人たちに対し早く適切な処置をとってあげるということは私は大事だと思います。特にいまの藤島さんのお答えを聞いていると、これはやはり官僚的なお答えだと私は思うのです。NHKは最近官僚化したなんということをよくマスコミでやられておりますけれども、ひとつそういう中から官僚化しないような方向でやって――順番にやっております、ここまでやりませんと次のところがわかりません、こういう答えはまるで役所と同じ。NHKはそうでなくて、大衆の中、国民皆さんの中で育てられているのだ、みんなとともに進んでいるのだ、こういうような考え方で、あまりそうしゃくし定木に大蔵省の役人が予算を一生懸命鉛筆で引いてやるようなそういうことにならないようにひとつお願いをしたい。これはお答えはけっこうですから、ひとつ会長もぜひそういうふうに御計画を前向きにお考えをいただきたいということを御要望申し上げておきます。  それから、この難視聴のもう一つの問題は、都市における受信障害ということがあるわけですが、去年の議事録を読んでみましても、内海委員からかなりたくさんこの問題について出ておりますので、CATVに対することはあまりそう具体的なことはけっこうでございます。大体わかっております。それで、NHKとしては、このビル陰受信障害というものに対してCATVを使ってやるというそういう計画、そういうお考えでございますか、それをひとつお聞きをいたしたいと思います。
  14. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘のございましたように、今国会提出を予定されておりますいわゆるCATV関係法案につきましても、協会はこれに賛同の立場をとりまして、これによります難視救済を第一義的に肯定をいたしまして、これによりまして協会放送の再送信とかあるいは受信料の維持というようなことも、このCATV関係に協調をする一つの大きなポイントとして考え、この法案に対する態度を基本的に認めていこう、こういう考えを持ってはおります。  しかし、御承知かと思いますが、一昨年東京に、本年度名古屋大阪福岡等CATV関係法人ができましたけれども、これらはおのずから財団法人で資力その他において、難視という観点からすれば、当然十分な財政を持って全市的な建造物難視をカバーするということは至難であろうと想像をいたしております。したがいまして、第一義的にこのCATVに対する態度といたしましては、先ほど御説明したところではございますけれどもNHK自身がこのふくそうする都市におきます建造物難視立地条件等を勘案いたしまして、でき得べくんば協会自身の責務として、難視をこれとは別個にさらに必要があれば改善をするという考え方をもちまして、本年度予算にも一億八千万円をさしあたり都市内の建造物難視所要経費として計上いたしております。
  15. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いまのお答えを聞いていると、ちょっと両面にとれるのでありますが、当然CATVもその方策として考えてみるというふうに受け取ってけっこうでございますね。もしそういうことになりますと、これは小渕さんなのか監理局長になるのでしょうか、郵政省としては、NHKビル陰受信障害に対する補助的なもの、そういうものに対してNHKはそういう方策でいっても、郵政省としてはまことにけっこうであるというようなお考えをお持ちなんですか。
  16. 福守博一

    福守説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、都市難視聴の問題も相当措置すべき重要な事柄でございます。御案内のとおり、放送法におきましては、NHK目的を、あまねく全国において受信できるように放送を行なうことと定めてございまして、その目的達成のためにラジオ、テレビジョン放送を行なうものとされているわけでございますが、本来の業務としては無線通信送信を行なうことを主眼にしていると考えられます。この放送法趣旨に基づきまして、NHKでは地理的、自然的な条件によります難視地域解消のために、ただいま御説明ございましたように、中継局設置を行なうほかに、中継局の早急な設置が困難な地域には、放送進歩発達に必要な業務として特に認められました共同受信施設設置の推進に努力をしているわけでございます。  ところで、都市におきまする受信障害は、当該地域に対しまして、放送局からは通常の状況のもとでございますならば良好な受信をするためには十分な程度の電波が発射されておりますにもかかわらず、高層建築物等、いろいろの人為的原因によりまして受信障害が生じてきたものでございます。したがいまして、いま申し上げました地理一的、自然的な条件によります山間辺地等難視聴とはおのずからその性格を異にしてございまして、その受信障害解消責任はすべてNHKにあるとは考えられないものでございます。しかし、省といたしましても、先生指摘のとおり、公共性の強いNHK受信者対策の一環といたしまして、一般放送事業者その他関係の団体とも協力いたしまして、このような受信障害解消に積極的に取り組むことは非常に望ましいものであると考えております。  さきに東京をはじめ各都市において難視聴解消のための有線テレビジョン放送業務目的とする公益法人ができましたけれどもNHKもこれに参加をいたしまして活動してもらうというようになっておりますし、このたびの国会提出を予定しております有線テレビジョン放送法案におきましても、先生案内のように、難視聴解消目的とする有線テレビジョン放送施設者に対しましては出資の道を聞くということを予定しているわけでございまして、この点先生の御指摘のとおり考えている次第でございます。
  17. 森喜朗

    ○森(喜)委員 先ほども申し上げたように、放送部長、御丁寧なお答えありがたいのですが、CATVに対する議事録はよくここに出ておりますので、私ははしょってはしょって質問申し上げておりますから、お答えもはしょって、結論だけおっしゃっていただきたいとお願いをしておきます。  そういたしますと、郵政省NHKも、CATVというものを使いながら難視聴あるいはそういう受信障害に対して解決をしていきたいというふうに私どもは拝察をいたしました。そういうことになってこれが具体化してまいりますと、受信者NHKにお金を払って、そうしてそういうCATV財団との契約をしてまいりますと、そこにも契約料金を払う。たとえば、この間読売新聞か何か出ておりました下田放送は、月に六百円取っているそうじゃありませんか。東京なんかどういうことになるかわかりませんが、そういうことになりますと料金の二重払いということになるのじゃないでしょうか。いわゆる受信者から見れば、一般家庭から見れば、料金を二回払って、両方に払わないとNHKの鮮明なものが見られない、こういうことになるわけでありますが、この辺についてどうお考えになられますか。
  18. 福守博一

    福守説明員 お答えいたします。  都市受信障害を受けている者が、かりに有線テレビを利用しないでおりましても、いい受信をするためには個人で相当高いアンテナ設置するといったような個別的な対策がぜひ必要でありますし、その場合にも必ずしも十分な受信ができないというようなことが考えられます。そのための特別な経費が必要でありますし、大なり小なり、都会におきましてはゴーストでございますとか、自動車雑音とかいったような原因によります受信障害を受けて、見にくい画像を見ているというのが実情でございます。  こういうような状況の中で、有線テレビが非常にいい画像を送ることができるということを考えますと、これを利用する視聴者がその利用料負担をするということは、ある程度やむを得ないというふうに考えているわけでございます。ただ、有線テレビ利用者が不当に高額の負担をするようなことは、決して好ましいことではございませんので、国といたしましても、これが適当な価格になるような必要なコントロールをすべきであるというふうに考えているわけでございます。
  19. 森喜朗

    ○森(喜)委員 やむを得ないというように私はとりました。そういう感覚では、さっきの僻地のことでもやはり同じですけれども、それだけで事を片づけてしまうというのは私はいけないような気がするのです。特に、確かにアンテナを高くするとかいろいろなことを個人がやっておられます。けれども、このことは少なくともテレビ契約をしてやっていくというようなことが具体的にはっきり出てきているわけですから、それに二重払いになるという印象は私は強いと思うし、そういうことに必ず視聴者不満が出てくると私は思います。これはあとから御質問申し上げようと思っておりますが、たぶん時間がなくなってきますのでできないかもしれませんが、特に最近はNHKに対する不満といいますか、これはマスコミが何か意図があるのかもしれませんが、私はむしろ同情をいたしておりますけれども、非常に多い。特に不払い同盟だの何かだというような大衆運動にまでしようという動きも見える。そういうさなかにまたこういうことが出てくれば、当然そういう問題をテーマにまた不払い運動なんというような形になってくるような気がいたします。  そこで会長、これはまだ御検討になられる段階ではないと思いますが、こういう場合には、たとえば有線テレビとの契約をしたところはNHK料金は半分にするのだとか、有線テレビのほうの費用を全額とかあるいはそれを半分とかNHKが持つのだとか、何かそういうようなことをお考えになるような御意図はございませんか。前向きにお考えになる御意思はございませんか。
  20. 前田義徳

    前田参考人 ただいまのところは考えておりません。
  21. 森喜朗

    ○森(喜)委員 会長考えておられないというお答え郵政省もやむを得ないのだということ、これは全く国民に対して、やむを得ない、がまんしてかってにやりなさいというふうに、この二つだけで私はとれるような気がいたしますが、そういう考え方NHKというのはこれからもずっと行かれる、その辺の原因といいますか、そういう会長のお考え方になる基因といいましょうか、そういうことを私はちょっと伺いたいと思うのであります。
  22. 前田義徳

    前田参考人 先ほど佐野さんからもお答え申し上げたように、われわれとしてはCATVは幾つかの手段の中の一つ手段としての、難視解消に役立てるという考え方であります。そのほかにも私どもは私どもでできることは当然聴視者に対するサービスとして、われわれの責任として技術的にも検討すべき部分が多々あると考えております。したがいまして、CATVだけの問題をNHK考えていないということを申し上げておきたいと思います。
  23. 森喜朗

    ○森(喜)委員 それじゃちょっと問題を変えてまいりますが、確かに会長がおっしゃるように、いろいろな問題がふくそうしておりますから、それだけに対してということでのお考えは私もよく理解をいたします。しかし、これからは世の中の社会の仕組みが非常に複雑になってまいります。まして、何も東京大阪のみならず、地方都市もどんどんビルラッシュ、それから新幹線による一つ障害も出てまいりましたが、当然これから新しい新幹線が出てまいります。特にまた次の計画に入っております北回りだとか九州とかいろいろございます。そういう新幹線におけるいわゆる社会的公害というのは、これからどんどんふえてまいると思います。当然そういう問題も考えなければならない時期に私は来ておると思います。いつまでもそれを知らないで済まされないと思う。  それでもう一つは、私はちょっときょうお願いをして、防衛庁の方に来ていただいておると思いますが、四次防の防衛庁原案が決定をいたすと思いますが、そういたしますと当然、この間NHKのニュースをたまたま見ておりましたが、一月ほど前でしたか、いわゆるファントムの配置という問題をちらっと私は画面で見ました。その辺の御計画をちょっと承っておきたいのでありますが、ファントムのことだけでけっこうでございます。
  24. 大西誠一郎

    大西説明員 お答え申し上げます。  ただいま四次防の原案検討中でございますが、ファントムにつきましては、御承知のとおり昭和四十四年の一月に国防会議の議を経まして、百四機導入することが決定いたしております。この百四機を昭和四十八年から五十年にかけまして四個飛行隊に編成をいたしまして、各基地に配置をするという予定でございます。どこに配置するかについてはなお計画段階でございますが、北部地区に一カ所、それから中部地区に二カ所、西部に一カ所、中部地区といたしましては百里と小松考えております。なお小松の時期はあとのほうの予定でございますので五十年ごろかと考えております。
  25. 森喜朗

    ○森(喜)委員 そこで、当然これからさっき言いました新幹線やそういう社会公害もふえてまいりますと同時に、こうした四次防、五次防ということになってまいりますと、当然そうした面での障害というものも出てまいります。日本の国を防衛するという国民のたてまえから見れば、そういうことに対しての、たとえばテレビ程度の娯楽的なものに対してはがまんをしなければならぬということは、われわれも理解をするし、またそういう説得もなければなりませんが、当然いままでの経緯からいけば、特に去年の、これは内海先生と小野参考人とのやりとりを見てまいりましても、基地周辺の免除は、去年は半分免除ということでたいへん内海委員も評価をされておられます。そのときのお答えの中にも、これは小野参考人の御意見でありますが「飛行機の性能も非常に高まっております。性能が高まるに従いまして騒音公害の度合いも高くなっております。」いわゆる飛行機の性能が高まってくるということによって騒音公害が高まってくるということをはっきりおっしゃっておるわけであります。したがって、この横の一キロはそのままであるが、縦の二キロのほうは五キロまで拡大しよう、こういうようなことが出ておるわけでありますが、これはいま防衛庁に伺ってみますと、ことしということになりませんので、本年度予算に対しての質問としては当を得ていないかもしれませんが、こういうような問題、さっき申し上げた新幹線のような問題、そういう問題から広がってまいります騒音に対するお取り組み方、こういうものをひとつ御担当の方から伺いたいというふうに思います。
  26. 佐野弘吉

    佐野参考人 幾つかの御質問のうちの一つにございました新幹線等につきましては、御承知のように、当面の日程にのぼっておりますものが、大阪から岡山に参ります山陽新幹線百六十一キロほどの問題が今日社会的な問題として発生をいたしております。このことにつきましては、協会側の態度といたしましては、原因負担主義というたてまえと同時に、現実に受信者電波障害が起こりますこの事実に対して、協会自身でも当然、先ほど会長お答えした精神的なあるいは放送法上の趣旨からいいまして、国鉄と相協力して、大かた一万六千件に上りますこの障害の解除に、ただいま技術的な調査と設計とをいたしておるということでございます。  それからもう一つ、基地等の関係につきましては、実は本年度来防衛施設庁でこのジェット騒音等に関する騒音の補てん、補償といたしまして、約六、七千万円の金額をもって十八基地の一キロ一二キロから拡大した部分についての二分の一の免除額を国から出していただくという措置がとられておりますが、これにつきましてはNHKは昨年の七月一日かと記憶いたしておりますが、日本放送協会会長名をもちまして、防衛施設庁長官にこの種のものは国において全面的に免除措置をとるようにいたすべきことが至当であるという申し入れをいたしておりますけれども、当面の行政上あるいは財政上の諸般の事情から、御承知のような拡大部分の二分の一の援助と申しますか補償にとどまっておるのが現状でございます。したがいまして、もう一度繰り返しますと、協会といたしましては、まず国において第一義的に責任を持ってもらいたいというのが本旨でございます。
  27. 森喜朗

    ○森(喜)委員 もう一度防衛庁に伺いたいのですが、ファントムの騒音の程度とかそれによって――もちろん日本に来ておりませんからわかりませんが、その騒音とかテレビのちらつきとか、そういう社会公害になるようなものに対してのお取り組みはもうしておられますか、あるいはそういう調査などもされておられますか。
  28. 奈良義説

    ○奈良説明員 御説明いたします。  ジェット飛行場の周辺の騒音あるいはテレビのちらつきの問題でございますが、騒音につきましては、先ほど大西審議官から御説明いたしましたように、104とファントムとではそれほどの差異はないそうでございます。したがいまして、いま私ども考えておりますところでは、現在やっております防音工事のようなやり方をずっとやっていけばおそらくよろしいのではないかと考えておりますけれども、しかし、その前に二、三ファントムが配備されるようなことがあればそういう機会をとらえ、あるいはたとえば小松の場合は五十年ということでございますから、その時点にあらためて騒音測定をいたし直しまして、そうして万全を期していきたい、そのように考えております。  それから、テレビ受信障害でございますが、先ほどNHKからのお話もございましたように、自衛隊の飛行機あるいは駐留軍の飛行機が飛ぶということが原因でございますので、確かに私どものほうは原因者であることは間違いございませんが、いろいろの経緯もございまして、現存のような形で行なわれておるわけでございますが、そういったようなことを考えまして、今後NHKさんのほうと十分相談いたしまして進めてまいりたいと考えております。
  29. 森喜朗

    ○森(喜)委員 こういう防衛庁の国防の飛行機のみならず、どんどん地方都市もジェット化していくわけであります。さっき申し上げましたように、社会構造がだんだん複雑になってまいります。そういう面で非常にこうした問題がたくさん出てくると思いますし、最初からそれとなくおざなりにつけていったことがどんどん大きくなっていきますと、それがもとになってまいりますので、ひとつそういうことも郵政省としても、中心になって防衛庁あるいはNHK、そういう毛のにしっかりした指導もしていただきたいし、あるいは連絡協議等もしていただきたいというふうに思っておりますので、小渕政務次官にひとつお願いをいたしておきます。それについての取り組み方をひとつ。
  30. 小渕恵三

    小渕政府委員 お説のとおり、今後とも関係するNHKあるいはその公害に関係をいたしておりまする防衛庁その他と緊密な連携をとりながらそうした問題に処置いたしてまいりたいと存じます。
  31. 森喜朗

    ○森(喜)委員 もう少し時間をちょうだいしまして、少しNHKの番組のことで御質問申し上げたいと思っております。  NHKの番組というものは非常に社会的に影響が強うございます。また、それだけに私どもNHKに信頼度も寄せておるわけであります。特にいまの「春の坂道」なんというのはたいへんなブームで、何も「春の坂道」のみならず、去年からのものもそうでありましたが、必ずそういうところに出てくる郷土の問題、地元の問題、そういうものが出てくると非常に観光化し、ブームになってまいります。たしか今週出ておる週刊誌、何か忘れましたが、グラビアを見ておりますと、「春の坂道」の場所が、いまやっておる地帯の場所が観光化してどんどん入ってくる。たんぽのところに、めしに何かをかけて、何々めしだとか何々もちだとか、急造のみやげものをどんどんつくったり、それからもうNHKで取り上げたものは絶対ベストセラーになってしまう。こういう面では観光に対してはたいへんな貢献をされておると思うのです。そういうようなことで、社会的影響が非常に大きいものですから、これからそういう番組の編成、そういうことに非常に御注意をいただかなければならぬことが多いと思います。  そこで、特に私は、最近出てきました中でショッキングといいますか、問題点が一つございましたが、例のアメリカの核攻撃の誤報の問題がございまして、とにかくそのころの新聞全部を見てみますと、「核攻撃!全米ドッキリ」「全米、恐怖の18分」核攻撃、全米恐怖というようなたいへんなことが行なわれておる。こんなことがもし日本にあったら一体どうなるんだろうか。逆に、日本ではこういうものに対してどう取り組んでおられるのか。特にこれは電波法七十四条で規定をされておるわけでありますが、こういう国籍不明の飛行機が来た、数機侵入した。政府とNHK放送上どのような措置をとっていくのかということをひとつNHKからお答えいただきたい。どういうことを日ごろやっておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  32. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答え申し上げます。  いまお話がありましたような事態というのは、現在の日本ではまだ想像ができませんし、また、それに対して直接用意はいたしておりません。ただ、基本原則的に、あるいは抽象的にと申しましょうか、非常事態に対しましては常に最大の努力を払って、どこよりも早い情報を提供するというつもりで日常訓練もいたしておりますし、またいろんな用意をいたしまして、全国どの地点からでも、事態が起こったら即刻全国にその事態をお伝えできる、そういう体制を日常の心がまえとして用意いたしておりますし、また、物質的にも用意いたしております。
  33. 森喜朗

    ○森(喜)委員 考えられないことだという川上さんのお答えだと思いますが、何もそういう戦争ということじゃなくても、現実にロサンゼルスの大地震があったわけであります。こういうことも、あれは朝でしたから、アメリカの場合かなり徹底した。当然こういう問題が出てくると思います。ですから、当然こういうことに対しての準備もしなければなりません。郵政省はこういう通信計画あるいは訓練というものをやっておられますか。それに対して指導されておられましょうか。
  34. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。  電波法の七十四条で「非常の場合の無線通信」というのがございまして、「郵政大臣は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通信を無線局に行わせることができる。」という条文がございまして、それによりまして、現在六十万の無線局がございますが、そのうちの約半数、三十万の無線局をこの非常災害のための通信体制の整備に参加をさせておりまして、・地方におきましては地方協議会、これは大体地方電波監理局単位につくっております。それから全国の協議会というのをつくりまして、地方、全国という形において訓練をし、体制を整備しております。
  35. 森喜朗

    ○森(喜)委員 この問題、もう少し詳しく伺いたいのですが、何しろ時間の制限がございますので、要は、こんなことが起こらないにこしたことはありませんが、また、決して起こっちゃいけないわけであります。とにかくこれだけロサンゼルスの地震以来各省ともこうした自然の脅威というものに対する恐怖、そういうものに対する取り組み方というものは、いま一生懸命にみんな真剣にやっていると思います。どうぞひとつ――地震が起きたら何が一番大事だろうか。トランジスタラジオを持っていれば一番いいというのが、どの評論家、どの学者も一致した説であります。それだけに放送を発するNHKは非常に大事な使命があるというふうに思っておりますので、もちろんそれに対して誤報が、アメリカのようなことがあってはなりませんし、同時にまたそうしたことに対して常に注意を怠らないように、これはひとつ私のほうからNHK会長並びに郵政省に特にお願い申し上げておきたいというふうに思っております。  とにかく先ほどもちょっと申し上げましたが、私は最近のNHKのことに関した週刊誌あるいはいろいろな書かれたものを全部コピーして持ってきたのですが、一つ一つやっていると時間がありませんが、例の飯田室長の口害、それからこれは「週刊誌売」、「NHKの高慢と偏見」、これは「文化ジャーナル」、これも広報室長のことが出ております。それから「暮しの手帳」か何かでも一番悪いのがNHKのニュースだということになっておったり、しかもこのNHKのニュースはだれもが見ておるのに、「暮しの手帖」では一番悪いということをいっておる。どうしてNHKに対して悪口が多いのか、私はNHKが好きだから、なんでこんな悪口が出てくるのだろうか、これは会長、どう思われますか。
  36. 前田義徳

    前田参考人 なかなか簡単にお答え申し上げがたい問題でございます。幾つかの理由、たとえばNHKが完全な全国ネットワークである。そして契約数もすでに二千万世帯をこえているというような点もございましょうし、それからNHKは同時に言論機関ではありますけれども、何となくいわゆる在野の言論機関からは離れた存在のようにお考えになる外部的な印象その他幾つかの問題があるかと思いますが、しかし私どもとしては、この点についてはいかなる御批評も率直に受け取りながら、私ども自身がやはり国民全体の機関として、私どもの機関ではないというたてまえを一そうはっきりわれわれ自身が自覚していくことが必要ではないか、このように考えております。
  37. 森喜朗

    ○森(喜)委員 会長お答えで、確かにむずかしい問題ですが、番組なんかでも全国ネットが強いし、それから最近は不況で民放なんかが非常に苦しい。特に民放はやはり新聞社との関係もある。超大国NHKの金バッジがわれわれ国会議員の金バッジみたいに、何かやるとすぐおこられるようにだんだんりっぱなものに見えてくる。そういうものに対する反感もあるんじゃないかなという感じもするのでありますが、特に私は番組なんか見てまして、もうちょっと協調していかれたらどうなんだろうか。あまりにも、NHKはこうやっていくのだ、おれのあれに合わしていけというような姿勢が出てきておるような気がするのです。  特に、これは古くなってまいりましたが、三島由紀夫葬儀のことなんかも、かなりマスコミで取り上げられておりましたが、実は私もニュースでぜひあの葬儀を見たいと思って、七時から一生懸命テレビの前にすわっておった。ちょうどテレビの「柔道一直線」というのがあって、六歳の子供に百円あげてチャンネルを譲ってもらってずっと見て待っていたのだけれども、最後まで出てこない。実はがっかりしたといいますか、どうなっておるのだろうか。それでその日見なかったのです。そこにNHKの見識があるのだろうか、何ゆえの見識なのかということを感じたのであります。ところがあとで聞いたら九時半からやったという。いろいろマスコミに出てきておるのですがたいしたことでなかったからAにしたのだという。あのとき魚だったか野菜だったか、生鮮食料品だとか大根を選別する機械が出たというので三分ぐらいやっておりたのですが、そんなものと三島のと比べると、野菜選別機はあしたでもよかったような気がするのですが、そういう取り組み方にかえっておかしな面が出ておるのじゃないかと思います。  番組のこまかなことは、私はずいぶんメモして聞きたいことがたくさんありますが、時間がありませんので、この番組担当をやっておられる政府委員の方いらっしゃいますか。――こういう問題についてどういうふうにお考えになっているのか。特にAという考え方。七時のニュースに載せて、七時に見なかったら、あとの者は九時半に見ればいいという考え方が、NHKを見なさいという高圧的なものにもとられてくる、こういうことも考えるわけなんです。  番組の方にお聞きいたしておりますついでに、番組を見ておりましても、どうもNHKは意地悪をしている感じが強いのです。たまたまNHKの番組表がありますのでこれを見てみますと、大体七時とか九時、十一時とかいう時間帯は黒線ではっきりと時間の区分けができております。ところが一般の放送になってまいりますと確かに――たとえば一ユースも九時あたりになってくると非常にややこしい取り組み方をしております。九時三十分に終わって五十五分にニュース解説をやって十時十分までひっかけてみたり、予報をいろいろアレンジしてみたり、こういうことをする。民放にすると七時、八時、九時はゴールデンアワーだ。この時間帯は連続ドラマをどうしても見せなければならない。どうしても他の民放の番組は見にくくなってくる。民放は九時半という番組がよくあるのでありますが、それはこれを見るとだんだんひっかかってきてチャンネルの切りかえに障害になる。こういうことで一番ゴールデンアワーと、朝の七時、八時、九時というものは奥さま方向けの番組が特に出ておりますが、八時四十五分、「こんにちは奥さん」というのがあります。九時四十分に終わって料理に入る。無理やりにNHKに吸い込んでしまうのだ、ほかに回させない、といううがった見方ができる面もあるのです。こういうようなところ、むしろNHKは質的に内容を高めていけばいい、何もこういうところでテクニックを弄さなくても、いいものをやれば見るのですから、ここに民放から見るとねたましい、いやらしいというような、しゅうとのようなことをやっておるような感じを私はとるのでありますが、いま申し上げたこと二点を番組担当の方からひとつお答え願いたい。
  38. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答え申し上げます。  三島事件につきましては、NHKは通常名士がなくなられた場合においてはニュースで取り上げておりますけれども、お葬式自体は取り上げないということを一応の方針といたしまして、特別の場合以外は取り上げないということにしております。ただ三島氏の葬儀につきましては、やはり取り上げるべきじゃないかというようなことは考えておりました。そういう意味におきまして、三島氏の死去後数カ月のあとで行なわれた葬儀というものは、葬儀としての意味ではなくて、あのショッキングな事件のその後の社会の反響と申しますか反応と申しますか、そういうものがこの際わかるということは、やはり日本の今後を考える上において意味があるのじゃないか。そういう意味においては葬儀の姿というものをニュースとして取り上げるべきだということをきめておったわけでございます。ただ、その際におきましても、あの自衛隊乱入事件の主犯と申しますか、現在そういう被告的な立場にある方なので、それを英雄視的な扱いをするなということを指導してあったわけであります。それ以後は、当夜のデスクが七時のニュースに入れるか、あるいは大きい事件があれば九時半のニュースで取り上げて補っていくということを言っておったわけでございますが、そういうような形でああいう九時半に出たという形でございました。ただあとから反省いたしますと、いま先生がおっしゃったように七時のニュースにあってよかったのじゃないかということは部内でも反省して、お互いに今後の参考としていきたいということで反省しております。御了承いただきたい、このように存じます。  それから、いまお話がありましたテレビの時間帯をどうとるかということにつきましては、いま先生から御指摘のございましたような考え方もあるかと思いますが、これは全くそういうことはございませんので、いまNHKが時間帯をどうとるかということは、それほどNHKが全体の放送の中で高い比重を占めているわけではございません。たとえば夜間のゴールデンアワーにおきまして、必ずしもNHKの比重が全体の半分を占めるとかいうことじゃございませんので、やはりNHKとすれば国民の生活時間帯というものを考えまして、その時間帯に一番合うように、見ようと思えば見ていただけるその時間帯には何をごらんになりたいかということを考えますと、たとえばいままで九時にありました夜のニュースを九時半に下げましたのは、国民生活時間の調査の結果、大体いままで国民の大部分が九時に寝ておられたのが十時に寝るということが非常に大きな趨勢になった。そうしますと、夜寝る前にどなたもニュースなりニュース解説を見てお休みになるということがいままでの希望でございましたので、それに合わせまして九時半にニュースを下げて、海外ニュースというものは夜間の八時から八時半にかけてたくさん入ってまいりますのでそれを入れて九時半に放送する、そういう体制をとったわけであります。  それから、先ほどお話がありました朝の時間帯も、主婦がだんなさまを出勤に送り出すという時間帯の最大公約数をとりまして、八時十五分には送り出しそして一息つけるというので連続テレビ小説を組んで、そのあとニュースを出して、それから「こんにちは奥さん」というふうな形をとっておりますので、必ずしもよその意地悪をしているわけじゃございませんということを御了承いただきたい、このように思います。
  39. 森喜朗

    ○森(喜)委員 時間という御注意がありましたので、要はなかなかNHK気を使っておられると思いますが、とにかく大体金持ちというのはいろいろなことをやってもよくいわれないもので、アメリカなんか何をやってもよくいわれない。それと私は同じだろうと思いますが、あまり気を使い過ぎて三島事件のように去勢されてしまうようなことになってもいけない。何といいましてもNHKを見ておる人、それを信頼している国民が多いのだということをNHKも御自覚をいただきたいというふうに思っております。特に会長自身がいま申されましたように、私どものものであって私どものものではない、いわゆる国民のものだというふうに私は理解しておりますが、どうぞそういう観点に立って、だんだん大型化しだんだんマンモス化してくる予算、その規模そしてまた国民に与える影響というものを考えまして、ひとつ健全な御発展をなさいますように、郵政省並びにNHK皆さん方にも一そう御努力をいただきたいということを申し上げまして、一応賛同を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  40. 金子岩三

    金子委員長 阿部未喜男君。
  41. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣出席されていないようですから、次官にお伺いをいたしますが、放送法三十八条によりますと、業務報告書を、前年度の分を決算後二カ月以内に郵政省提出をする、さらにまた四十条によりますと、財産目録、貸借対照表及び損益計算書等について郵政省提出をしたものを、内閣は会計検査院の検査を受けて国会提出をする、こういう規定になっておるようでございますが、まだ今日、四十四年度のこれら業務報告なり決算の三表がわれわれの手元に届いておりませんが、どうなっておりますか、ちょっとお伺いしたいわけです。
  42. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のように、今日の時点におきましていまだ決算書並びに意見書提出されておらないわけでありますが、このことにつきましては、現在国会提出文書立案過程でありまし一て、一日も早くこの意見書作成の上国会提出をいたしたいと考えております。
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 手続がいまそういう段階にあることは了解ができますけれども、しかし少なくとも四十六年度NHK予算についてわれわれが議論をし検討を加えようというときに、四十四年度業務報告なり決算の三表を基礎にしながら新しい年度予算について検討を加えるのが私は常識だと思うのです。しかも決算後二カ月以内にはNHKからこれは提出されておるはずです、法律でそうなっておるのですから。それから今日まで何カ月たっておるとお考えでしょうか。しかも重要な四十六年度予算の審議にこれは欠かせない資料でなければならないはずですが、一体郵政省当局がわれわれ国会を軽視しておるのか、あるいはわれわれをどう考えて今日なおこの業務報告なり決算三表を提出しないのか、もう少し明確にお答え願いたいと思います。
  44. 小渕恵三

    小渕政府委員 いまほど申し上げましたとおりに、今日におきまして慎重に意見書の作成をとり行なっておる段階でありますので、いましばらく御猶予いただきたいと存じます。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは次官、猶予するしないの問題でなくて、この議事の取り運びとして当然業務報告なり決算の報告を見た上で新しい年度予算について検討を加えるのが、この委員会の使命でなければならぬと私は思うのです。それをなぜ今日まで出さなかったのか。どういう理由で――私は何かそこに含みがあるような気がするのです。たとえば議事の進行上、前もってこれを出しておくとぐあいが悪いとか、何かそういうものがあるものならば、少しそこのところを明確にしていただいて、今後こういうことのないように態度を明らかにしておいてもらいたいと思うのです。およそこの審議をするにあたって欠かせない資料であるということについては、次官も同感だろうと思うのです。それを出さずに予算だけやれというのはあまりにも私どもをばかにしておると思うのですが、どうですか。
  46. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。  おくれている事情につきましては、政務次官からお話があったと思いますが、その理由につきましては全く他意がございませんで、私どもの事務的な手続といいますか作業がおくれていることでございます。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう少し明確にしてもらいたいのですが、そういうことがいいか悪いか、悪ければこれからどうするか、その点を明らかにしておいてもらいたいと思います。本来なら、私は、ここで審議を中断して、その業務報告なり決算三表をわれわれが検討した上で新しい予算の審議に入るのが筋だと思うのですが、きょうはそこまでは言いませんが、これからどうするおつもりか、明確にしておいてもらいたいと思います。
  48. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。  至急に作業を進めまして国会提出するように努力いたします。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 了解はできませんが、やむを得ませんので、今後十分注意をしてもらいたいと思います。  次に、NHK会長にお伺いしたいのですけれども、先ほど森委員のほうからもお話がございました難視聴地域解消は今日の急務であると思いますが、これはもう私から申し上げるまでもなく、放送法の七条の協会目的ないしは放送法九条四項の、特にテレビジョン放送が「あまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」というこの法の精神、これらは放送のカラー化などに先立って、当然協会が優先してというよりも義務として行なわなければならない問題だと思うのですけれども、今日なお三%になんなんとする全国難視地域があるように聞いておりますが、これを会長どのようにお考えでございましょうか。
  50. 前田義徳

    前田参考人 お考えについては、基礎的には私どもも全く同様に考えております。ただ、事業を行なうにあたっては、やはり一挙に全部ができるということは事実上困難な点もございますので、まあ社会情勢との関連で、やはり放送が番組を内容とするものでございますので、その点も勘案しながら、私どもとしては御提出申し上げたような事業計画をもって御審議をお願い申し上げたい、こういう気持ちでございます。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、さっきも比較を申し上げましたけれども協会の第一義的な任務は、あまねく国民受信できるような措置をとるということがやはり第一義的な任務ではなかろうか。たとえて申しますならば、カラー放送番組をふやすために使うお金よりも先に、まずこの難視地域解消というのが優先しなければならないのではないか、そういう意味でお伺いしたので、そういう点はどうでございましょうか。
  52. 前田義徳

    前田参考人 その点につきましては、先ほど申し上げましたように全く私もそう考えております。ただ、やはり物理的にあるいは技術的に難視聴解消というものにはかなりの時間的経過が必要であるということを御理解いただければ幸いだと考えます。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは少し具体的な数字でお伺いしたいのですけれども、本年度計画によりますと、テレビジョン放送局が三百四十地域、それから予算でこれが二十四億九千六百万と、こういう予算のようですが、さらに辺地共同受信施設が一千施設、これが予算で二十億九千四百六十万円と、こういうふうになっておりますが、これだけの、一千施設とそれから放送局三百四十をつくってみても、カバレージから見ますと、九七%が九七・四%、いわゆる〇・四%しかこれでもって解消ができないということになると思われます。こういうふうになっていきますと、年次計画は立てていっても、この協会目的を達する、あまねく国民受信できるようになるまでには、まだこれはかなりの年数がかかるように思われるわけでございます。一方、チャンネルをひねれば三つも四つもの民放が自由に見られる地域におられる方方に対するサービスと、こういうふうにチャンネルをひねっても一つ画像受信できない地域におる国民とのことをあわせて考えてみた場合に、私は予算の重点的な使用という意味から会長はどうお考えなのかを、もう少し具体的にお伺いしたいのです。
  54. 前田義徳

    前田参考人 私は、先生の御質問の御趣旨には全く同感でございます。したがいまして、私どもといたしましても昭和三十五年以来数次の長期計画の中心としては、難視聴の解消ということを一番大きな柱として実行してまいっております。先ほどのいろいろな御質問の中でも、私は拝聴しながら痛感しておったわけでありますが、やはりもう一度総合的にこの難視聴解消の加速限度と申しますか、これを考えてみたいという気持ちでおります。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長のたいへん勇気のある御決意を聞きましてうれしく思っておりますが、たとえばこの共同受信施設の場合、一千施設をつくっても二十億九千万、約二十一億というのが今年度予算でございますが、これらについては、もう予算で二十億九千万というようなことで縛らずに、たとえば予備費の充当とか――あとで私はいろいろ国からの関係も質問させてもらいたいと思っておりますが、そういう財源を充当して、一千施設というようなことに縛らずに、たとえば百世帯以七は共同受信装置と、こう考えておられても、この辺地共同受信をもう少し幅を広げて、希望があるならば千五百も二千もつくってやる、そういうお気持ちはございませんか。
  56. 佐野弘吉

    佐野参考人 御趣旨に全く賛成でございまして、四十五年度で、本年度の事業で説明をさしていただきますれば、ただいまの御発言の御趣旨にこたえるところがあろうかと思います。  御承知かと思いますが、本年は八百施設を計上いたしまして、所要の経費を十二億円余ということで昨年四月から四十五年度の事業を開始いたしましたが、一施設当たり当時六十世帯ということを見積もりまして事業を開始いたしました。しかし実際に行なってみますと、加入の希望が非常にふえまして、今日では実績といたしまして一施設当たり八十世帯というのが実績になりました。したがいまして、当初六、八、四十八、四万八千世帯の改善というのが、八、八、六十四、六万四千世帯の改善という四十五年度のただいまの実績になっております。したがいまして、協会といたしましては、本年度の増収から四億七千万円を増収振り当てをこれに充てまして、御趣旨に沿うような措置を現に本年度実施いたしております。  で、四十六年度におきましてはこれをさらに二百ふやすということで、一千施設、二十億円強ということで考えると、既設の分でさらに加入をしたいというような方々がございますので、この増設をする、これまであるものに新規にまた加わるというような経費も合算いたしますれば二十一億円ぐらいになろうかと思っております。ただ、会長が繰り返しましたように、物理的能力もございまして、全国の営業技術の持っております戦力が、ただいまのところこの千をこなすのにおっつかっつというようなところもございますが、さらに新規なくふうなり開発を加えまして、これをたとえば四十七年度は千二百というふうな長期的な構想を持っておりますが、御趣旨に沿うように根本的な検討を加えるということにいたしたいと思います。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 辺地共同受信なりこの放送局設置について御決意のほどを伺いました。さらにひとつ一段の御努力を払っていただきまして、あまねく国民受信できるような措置をとっていただくことをこの点については要望させてもらいたいと思います。  次に、県域放送関係についてでございますけれども、今度の重点施策の中にも、参議院選挙や統一地方選挙などの問題についても触れられておるようでございますが、特にこの各選挙の関係になりますと、政見放送をはじめといたしましてその当落に至るまで、いわゆる県域放送というものが非常に大きい視聴率ではウエートをもってくると思いますし、また県民、住民の期待でもあろうと思うわけです。しかるに今日、これは全国的に私まだ調べておりませんけれども、私ども地域ではローカル難視といわれるいわゆる県域の難視地域が非常に多いわけでございますけれども、県域の難視地域、ローカル難視についての対策をもう少し具体的に進めていただけたならば非常に地域の住民の希望に沿い得るのじゃないか、そういう気もいたしますが、その点はどうでございましょうか。
  58. 藤島克己

    藤島参考人 ただいまの御質問の御趣旨、私ども全国難視は九七%の段階にもなっておりますし、選挙法の改正その他もございまして、至急にローカル難視の問題について今後解決をはかっていきたいと考えておりますけれども、従来の経緯は、やはり何といっても見えないテレビをまず見せてくれという声が強かったものですから、従来は多少ローカル難視につきましてはあと回しにしておったことも事実でございます。だけれども、昨年、今年からローカル難視については、今後選挙の放送その他の関係もございまして、できるだけ早く解決いたしますように努力をいたしておりますが、ローカル難視といいましても大きく分けますと大体二通りございまして、一つはいわゆる各地でよくおっしゃっておられる、おれの県には放送局があるけれどもテレビが見えないのだという部類に属するローカル難視でございまして、ここに属する分は、いま先ほどの全国難視のときもちょっと申し上げましたけれども、県境あたりにあります非常にへんぴなところにございますので、人家もまばらに点在いたしておりまして、これを何地区という表現は非常にむずかしいのでございますけれども、私どもが把握しております世帯数で申し上げますと、約二十万世帯がこの部類に入っております。それを単独にはなかなか解決できませんので、全国難視置局を取り進める段階におきまして、逐次県域の放送網のように繰り込んでいくという作業を実際やっておりまして、昨年度は約二万世帯解消いたしております。今年度もほぼ同数のものが解消するのじゃないかと思っております。  もう一つの部類のローカル難視と申しますのは、いわゆる関東とか、近畿とか、東海地区にありますような広域放送圏と従来いわれておったところでございまして、これはもともと初めから放送局がないのでございまして、一つの局で全体をカバーしておるところでございますので、これはこれから置局をいたしませんと、もともとないところでローカル難視ということでございますけれども、そういう点で郵政省でもチャンネルプランを逐次策定していただきましたので、今年末近畿地方の滋賀県が一応解決いたします。それから四十六年度の中期ぐらいまでに近畿地方は全部各県の放送局置局というのが解消いたします。これで約二百万世帯くらいの県域放送が可能になろうかと思います。続きまして逐次チャンネルプランの決定に従いまして、東海地区とか、関東地区と残っておる部分の県域を解消してまいりたいと思っておる次第でございます。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまローカル難視は二十万世帯くらいではないか、特に県境など点在しておるところに難視が多いのだというようなお話ですけれども、いま全国では一つの県に三つくらいの放送局のあるところもあると私は思っておるのですけれども、たとえば私の県は大分県ですけれども放送局は一局です。そして福岡県に隣接をする中津市とか日田市とかいうかなり大分県では大きい市が全部このローカル難視のほうに入ってくるわけでございますが、大体ローカルの難視が、パーセンテージでいうとどのくらいになりますか。たとえば逆にカバレージでも けっこうですが。
  60. 藤島克己

    藤島参考人 お答えいたします。  カバレージで申し上げてみたいと思いますけれども、いま一%というカバレージが新しい国勢調査によりますと約二十七万世帯でございますので、二十万世帯というのは、ですから〇・六%か七%くらいになろうかと思いますが、正確な計算はいたしておりません。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この問題はこれで終わりますが、しかしいま申し上げましたように、県によっては三分の一くらいのローカル難視があるわけでございますので、そういう点を十分調査をしていただいて、一割程度ならばまだそれはある意味ではがまんもできると思いますけれども、三分の一に近いローカル難視があるという地域についても御検討を加えていただきたいと思います。  次に、会長にまたお伺いしたいのですが、この協会受信料の性格、それがひいては協会そのものの性格にもなりますし、先ほど会長国民全体のものだというふうな御答弁もあったのですが、もう一度この協会の性格なり受信料の性格というものを会長がどうお考えになっておるのか、お伺いしたいのでございます。
  62. 前田義徳

    前田参考人 非常に簡単に申し上げますと、私どもとしては受信料は、NHKの番組を見ていただいてその結果として協力願う御負担金という考え方を持っております。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 協会運営の主たる経費はこの受信料でまかなっておるというふうにわれわれ理解しておりますが、そうなりますと、言いかえれば、協会会長のおっしゃるように、国民のもの、聴視者のものであるということになろうと思います。したがって、その受信料についても、やはり全体的には聴視者のもの、国民のものであるということになりますと、その受信料の中で、たとえば先ほど森委員からもお尋ねがありましたように、防衛庁関係等、国といえどもNHK受信料関係、財政の問題については左右することのできない厳然たるこれは国民のものだ、そう理解してよろしゅうございますか。
  64. 前田義徳

    前田参考人 大体そういう考え方でおります。
  65. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっとそれでは具体的な数字でお伺いしたいのですけれども、基地周辺の受信障害関係でございますが、これはいま受信料の免除を行なっておる件数及びその金額は一体どのくらいになりましょうか、お答え願いたいと思います。
  66. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいま現在二十三万五千件で五億三千万円ほどの免除額になっております。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その主たるもの――特にいまのは基地だけでございますか、新幹線等も含めてでございますか。基地だけですね。
  68. 佐野弘吉

    佐野参考人 さようでございます。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さらに続けてお伺いしたいのですが、会長はかねてから、あくまでもこの免除に対する負担については、原因負担主義だと主張されておりますし、先ほどのお話では、昨年の七月にも関係の向きに対してそれぞれ全額の負担をするようにということをお申し入れになった、こういう経過もお伺いをしたわけでございますが、防衛庁のほうから奈良調査官もお見えになっておりますので、これは昨年から問題になっておるの  ですが、昨年以来の拡張された難視地域の拡張部分に対する二分の一を防衛庁が持つということに去年なったように記憶しておりますが、そのときに、私どもとしては、それはおかしいじゃないか。   〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 先ほど来議論をしてきましたように、国民全体の財産、国民全体のNHKであるならば、国といえども原因発生を行なっている以上、障害原因をつくっておる以上、その負担すべき額は当然五億三千万になんなんとするこの総額を負担すべきである、そういうことを主張してきておりますし、今日もその考えにわれわれ変わりないのですが、国であるからというゆえをもって、その原因負担主義にもとるような行為をあえて国がとるということに、われわれは国民の立場から納得ができませんので、ひとつ奈良調査官のほうからこの考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  70. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  飛行場あるいは射爆場の周辺でテレビ難視聴を起こしておりますのは、確かに先生の御指摘のとおり、米軍あるいは自衛隊のジェット機の飛行によるものでございます。そういう意味におきまして、自衛隊あるいは駐留軍、かわりましてわが庁が原因者であるということは確かでございますが、ただ、この難視聴に対してどのように処置するかにつきましては、だいぶ昔からいろいろ議論がございまして、政府関係機関の、たとえば基地等周辺問題対策協議会というのがございますが、ここでもいろいろ議論いたしました。それはいま先生が御指摘になりましたように、原因者としての国が負担をするか、あるいはNHKが公共放送としての立場から、たとえば従来いろいろな特定の対象者に対して減免をしておられますああいうやり方でやるのがいいのかというようなことで、長い間議論をいたしたようでございますが、なかなか結論が出ませんようでございまして、そのうちに、NHKさんのほうで自主的に公共放送の立場から三十九年から基地周辺の難視聴者に対して減免の措置をおとりになったわけでございます。しかし、それでもなおその減免の対象を拡大してほしいという要望が非常に多かったようでございまして、四十五年に、従来の一キロ-ニキロから一キロ-五キロにさらに拡張しなければならないということで、NHKさんのほうからわが庁に御相談いただきまして、その結果、先ほど来申しておりますように、確かに原因者でありますので、この拡張部分について半分を補助させていただくということで今日に参っておるわけでございます。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは会長会長といえども個人のお考えで決定できる問題ではないと思いますし、また政府といえども、政府独自の考えでこれは決定できる筋合いのものではないと思います。こういう問題こそこの委員会で議論を尽くすべき問題だと思うわけですけれども、いま防衛庁のほうからそういうお話はあったのですが、もう一度会長のお考えを明らかにしてもらいたいと思います。
  72. 前田義徳

    前田参考人 私どもが具体的に減免の対象と考えておりますものは、社会福祉と関連する場であると考えております。ただいまのように、第三者の計画あるいは行動、その結果として難視聴地域ができる、あるいは受信障害が起こるということは、われわれもひっくるめてやはり被害者の立場に立つという考えでございます。したがいまして、純粋な気持ちで申し上げますと、やはりこういったいろいろな影響を発生させる原因者がまず虚心たんかいにお考えいただくというのが私の考え方でございます。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 本来ならば該当の大臣並びに防衛庁の長官にでも来ていただいて、これははっきりしなければならない問題だと思いますけれども大臣防衛庁の長官もお見えになっていませんから、私は、この質問に対しては結論を保留させてもらって、また質問することを了解してもらいたいと思いますが、委員長、ようございますか。――それでは次にお尋ねをしたいと思います。  いまの基地受信料関係のことで少し具体的な数字になりますが、たとえば水戸の射爆場は対象世帯が七万二千から六万七千に減るというような情報もあるようでございますし、いろいろ防衛庁施設関係で、その年度年度で減免の対象世帯は異動してくると思いますが、現行防衛庁負担しておる額については変わらないわけでございますか。
  74. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問の趣旨をあるいはちょっとそれて失礼をいたすかもしれませんが、基地ないし射爆場の関係につきましては、防衛庁と当方で目下折衝中でございまして、この適用地域につきましても、まだ一部未調整のところがございます。したがって、適用件数並びに補償金額等がまだここで明らかにするという段階にちょっと至っていない状況でございます。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 お伺いしたがったのは、金額できめるのか、現実の減免をした減免世帯数のいわゆる一キロ-ニキロから一キロ-五キロになったその拡張部分に対する二分の一というこまかな数字でいくのか、概算で七千万なら七千万、八千万なら八千万、こういうふうにいくのか、その点でございます。
  76. 志賀正信

    ○志賀参考人 水戸の射爆場につきましては、八千三百二件ということですでに防衛施設庁からの補助金もちょうだいいたしておりまして、金額につきましては八百四万八千円でございます。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。あくまでも減免世帯を対象にその二分の一、こういうことでございますね。
  78. 志賀正信

    ○志賀参考人 さようでございます。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、続いて受信料収入の関係についてお伺いしたいのですけれども、たしか昨年のこの委員会では、カラー契約を二百四十万件ふやす、こういう計画で進められたようでございますけれども、その後、今年の計画と比較してみますと、三百六十万件ですか、百二十万件ほどふえておるようですが、これは当時提出された計画から見ますと、かなり大幅な修正のように考えられますが、この間の経緯を少し知らせてもらいたいと思います。
  80. 佐野弘吉

    佐野参考人 お説のとおり、四十五年度の当初の予算編成並びに御審議をお願いいたしました段階では、二百四十万のカラー契約の獲得ということで新しい事業を開始いたしたわけでございますが、その後政府の経済政策計画等の策定に伴いまして、また一般家庭の消費等の堅調等の動向を見まして、私ども昨年の夏ごろから改定作業をいたしまして二百四十万から三百六十万というふうに、五割増のカラー契約増加目標に変更をいたしたわけでございます。その基礎になっておりますものは、先ほど触れた一、二の国民経済的な基盤がございますことと、またその段階におきましては、必ずしもアメリカにおきます例のダンピング問題あるいは二重価格の表示問題等が提起されておりませんものですから、当時の生産、出荷の状況から、大体年間に五百五十万くらい国内出荷が、カラーテレビジョンセットがあろうという想定のもとに、そのような増加の変更をいたしたわけでございます。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まだこれは年度が終わっておりませんから明確な数字は出ないと思いますけれども、いまお話しのようにダンピングの問題なり二重価格の問題なり消費者運動などが起こってきましたから、せっかく目標を変更されましても、この年度末ではたして予定どおり三百六十万になるのかどうか、三百六十万件の契約増がないと、これはまた四十六年度計画にも影響するわけでございますから、その辺の見通しをちょっと聞かしてもらいたいのですが……。
  82. 佐野弘吉

    佐野参考人 御心配をかけて恐縮でございますが、先ほど御説明申しましたような事情ではございまして、したがいまして、昨年の八月くらいあるいは九月くらいからこの経済変動の動向が如実に示されまして、国内出荷が四十万あるいは四十万を切るというふうに減退をし、またメーカー筋におきましても二割ないし三割の生産調整を開始するに至った。したがいまして、協会契約のほうも当然目減りがいたしまして、三十万あるいは三十万を切るというようなことに相なってまいりました。これで昨年の十二月を迎えまして、非常に私ども三百六十万の達成を心配をするというような段階に至りまして、事実昨年の十二月末の締め切りで、三百六十万のうちあと百三十万を一、二、三の今年のほうに残すというような状況になりました。したがいまして、百三十万を三カ月で割りますと、四十数万ずつの新規契約を獲得しなければならぬというような非常な事態になりつつありまして、実は昨年十月から部内に非常対策をとりまして、また本年に入りましてさらに全国的に非常対策本部というようなものを設置いたしまして、あくまでもこの三百六十万の獲得を完遂いたしまして、四十六年度の四月一日の財政開始はこの数字をもちまして、それまでの数字と合わせて七百六十万ということで四十六年度予算の開始をいたしたいというふうに、ひとり担当の営業のみでなく、NHK協会の全職員があげてこれに協力をいたして今日まいっております。その結果、実は二月末をもちまして四十四万ほど残っておりまして、ただいま現在二十四万ほどの残数になっております。したがいまして、本日三月十七日から残余の三月末をもちまして、この二十四万余は十分達成し得るというふうに確信をいたしております。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体事情がわかりました。  ただそこで、私、ちょっとこんなことを聞いたのですけれども、職員の間で最近受信料不払い運動が起こっておることを御存じと思うのですが、それといまの三百六十万件達成というふうなことから、かなり職員に対して過酷な労働条件といいますか、しりたたきといいますか、そういうものがあって、このごろのNHKは職員の側から見れば労働条件の面でなかなか苦しいのだ、そういう意見もちょっと聞かれたのですが、達成をしたいというあまりに部内で無理をしておるような傾向はないかどうか、どういうお考えでしょうか。
  84. 佐野弘吉

    佐野参考人 先ほど私が三百六十万に到達するためにやや声を大きくして強調をいたしたために、一部誤解を発生いたしたかと存じますけれど、営業関係者は内外勤を問わず当然の責任でございますので、今日の営業の持っております一つのユニットチーム編成というような形でこの契約数の計画的な獲得というものを策定して、必要に応じて内勤者も外に出て契約を獲得するということは一部当然業務といたしております。しかし、全職員と申しましても、協会の非常事態に理解を示した協会職員が、出勤前一時間前に自分の身寄りに寄ってくるとか、親戚に立ち寄ってくるとかいうようなことで、積極的な、自発的な協力のもとに一部、全職員のこれに対する協力も開発されておるということで、これを強制的に義務的に課しておるというようなことは、営業部門以外の職員にはいたしておりません。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  それでもう一つ、ついでですからお伺いしたいのですが、本年度三百六十万が、かなり苦しいが何とか達成できそうだというお見通しのようですけれども、この数字を基礎にして考えてみますと、新しい年度、いわゆる四十六年度におけるカラー契約の増を四百二十万件、こういうふうに大体予定をされておるようですけれども、これはかなり無理な数字になってくるんじゃないかという気がします。いまですから、数字の変更をどうこうというのじゃないのですけれども見通しとしてはどうでしょうか。
  86. 佐野弘吉

    佐野参考人 実は営業の担当者としての私も同感のところがございまして、容易ならざる数字だと思っております。御承知のように、本年度当初の予定でございます二百四十万ですと、月別二十万からの契約を取ればいいわけでございますが、四百二十万だということになりますと、月別三十五万という獲得が機械的に申しますれば必要なわけでございます。それで、約四百二十万ということで月平均三十五万の獲得ということは容易ならない数字であろうと思っております。  また同時に、先ほども触れましたように、メーカー筋におきまして生産調整に入っております。来年度五百二十万くらいが国内出荷というふうに電子工業会等でも見ておりますけれど、これはしかし経済動向等でまだ何とも言えません。また同時に、出荷はいたしましても、生産段階あるいは小売り段階での渋滞、要するに流通在庫というものの数がどのくらいになるかということも、私どものこの四百二十万の契約の可否をとする重大な問題の分岐点でございまして、容易ならざる数字でございますけれど、協会の財政を円滑に遂行するためにはあらゆるカを用いまして、ぜひにも本年三百六十万を達成したいと同様にこれを完遂をいたしたいというふうに考えております。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  それで、ついでですからもう一つ伺っておきたいのですが、受信料関係でホテルとか旅館の各部屋にテレビが置いてございますね。われわれが泊まったりしますと、百円入れてくださいとかいって、百円入れるとテレビが映るというような仕組みになっておるわけですが、世帯の場合には、同一世帯には二台あろうと三台あろうと、一台だけの受信料だけでよろしい、こういうふうになっておるようですが、旅館の場合など各部屋に置いてあるのは、一世帯という観念からすれば違うようですが、これは別に受信料を取っておるのですか、取っておらないのですか。
  88. 佐野弘吉

    佐野参考人 御指摘のように、各世帯におきましては複数ございましても一契約でございます。非世帯と私どもは呼んでおりますが、非世帯におきましては台数契約をいたしております。現在、非世帯全国で三百三万余件契約をいただいておりまして、そのうち、ホテルないし族館業が十五万六千ほどの契約をいただいております。官公庁、会社等が十二万数千というようなことでございまして、東京都内のもよりの有力なるホテル等は数百、千に近い契約を、一番高いところでも九〇%、低くても七五%くらいの契約を室数に対していただいております。したがいまして、厳格にその台数に応じて契約を履行していただくという形で、現在これはかなり十分に励行されておると確信をいたしております。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ホテル、旅館の場合に、そういう取り方をするのがいいか悪いか、これは別の議論になろうと思いますけれども、いまそういう方針であれば、いわゆる受信料を出しておるところとないところがあるとすれば、これはきわめて不平等になるおそれがありますから、いまのお話でも、非常によく捕捉されておるようですけれども、私は別府に住んでおるのですが、温泉街などの旅館の場合に、必ずしもいまお話しのようにうまくいっているかどうか、ちょっと疑問があるのですが、間違いございませんか。
  90. 佐野弘吉

    佐野参考人 何ぶん全国的にいろいろの地域もございまして、私ただいま東京の周辺のホテル等を引例して申し上げましたけれども、率直に申しまして、いろいろ旅館業者と個々に談合いたします場合と、あるいは旅館業組合の代表者と懇談をいたしまして、旅館業等におきましても年間平均の部屋の回転数というローテーションの問題がございまして、これを大体七〇%ないし七五%というふうに見ておりまして、一部各地の、たとえば熱海等かと記憶いたしておりますが、七〇ないし七五%というふうに、室数に対して台数の契約をいただくというふうな旅館業組合との一つ契約と申しますか、そのような形で、大体全国平均をとってやっておるということでございますが、しかし全く落ちこぼれがないかといわれましても、私もその点は、全部が全部目の行き届いていない点もあろうかと思いますが、大体以上説明申し上げたような趣旨でございます。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。なるべく片手落ちにならないように――私は必ずしも全部取るのがいいというわけではないのですが、取るところと取らぬところとがあったのでは片手落ちになりますから、その点ちょっと注意を喚起さしてもらったわけです。  次に、四十六年度予算では、カラー放送の拡充関係に相当の予算をつぎ込まれておるようでございますし、予算面で放送設備の関係で六十二億ですか、それから国内放送関係と合わせて相当の金になるように思われますけれども、先ほど来申し上げておりますように、今日カラー放送等も非常に大事なものであるとは思いますけれども、難視聴地域解消等についての予算との振り合いを考えてみますと、私は少しカラー偏愛といいますか、カラー重点のきらいがあるのではないかという気もするわけです。こういう勘定をしてみたんですが、会長、かりに受信料の面から見ますと、カラーであろうとカラーでなかろうと、一契約について三百十五円は入ってくる。そうしますと、これが大体八百二十八億くらいな勘定になります。そうすると、あと百五十円分がカラーであるというための上積みということになりますから、これを掛けてみますと百六十二億、いわゆるカラーを出しておるから受信料として協会にたくさん入ってくる額は百六十二億だ、こういう勘定になっております。その百六十二億たくさん入るからということで、カラーに対するサービスを強化していくとするならば、カラー偏愛といいますか、そういうきらいができてくるのではないか、そういう気もしますが、カラーに対する考え方を専門のほうからでもけっこうですが、少し聞かしてもらいたいと思います。
  92. 前田義徳

    前田参考人 番組をごらんいただくと御理解いただけるかと思いますが、東京ないし中央局所在地を中心としてのカラー番組はかなり拡充されておりますけれども、その他県庁所在地を例にとってみますと、カラーの設備はございません。このことは全国視聴者考えますと、いわゆる大都会におる方々はプラスになり、それから地方におられる方はそういうことが可能であっても、たとえばニュースをごらんいただいても地方発のニュースはカラーでないというようなこともございますので、単なる収入だけの問題でなく、もう現段階では、全国NHK契約されている御世帯は、甲乙なくカラーに均てんできるということを考えるべきではないかという点が、かなり重要な私ども考え方の基礎となった点でございます。  さらに、これは私ども考えるべき問題でないかもしれませんけれども、たとえば二重価格の問題あるいは国際的に見た輸出上の受像機の難点等を考えますと、ただいま申し上げたような公平性を前進させることによって、カラーの受像機のコストも下がり得るんではないか。このことは、単に年度計画として考えるべき問題だけでなしに、NHKが全国民の機関であるとするならば、やはりこの辺でわれわれの考え方を明らかにしながら実行していくべきではないか。そういう面では、究極的にはいろいろな点から聴視者の利益を守ることになるであろうという点が、私どもとしては非常に考えた問題点の基礎でございます。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 よくわかりました。ただ私は会長、その場合地方局でのカラーの関係ですけれども、非常にこれはむずかしい。技術的にも施設の上でも人間の上でも、地方局でのカラー放送というのはかなりむずかしい問題が起こってくるのではないか。それともう一つ、かねて申しておる難視地域解消との関連と申しますか、どちらにウエートを置くかという問題について御配慮をいただきたい。そういう意味で少しカラー偏愛ではないか、カラー重点ではないかという御質問を申し上げたんですが、ひとつ心にとめていただいて、これからの施策の中で生かしていただければけっこうだと思います。  次に、放送センターの関係について、本年度予算を見ますと、三カ年計画で百十五億になりますか、百十五億で放送センター並びに大ホールをつくることになっておるようですが、去年でしたか会長、六百メートルのタワーを建てる、それでこっちの内幸町のほうを売却する、そういういろいろな話が出ておったようですが、この六百メートルタワー建設計画と資金繰りといいますか、そういう関係の大筋をひとつお話し願いたいと思うんです。
  94. 前田義徳

    前田参考人 概要申し上げますと、去年御説明申し上げました方針には変化はございません。私どもとしては、この放送センターの最終建設と関連して、その最終財源は内幸町の売却に考え方を集中させております。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 資金関係はそれで大体理解ができますが、それでは、計画が変わらないとすれば、あの当時六百メートルのタワーを建てて、特に高層ビルの谷間の難視地域等も解消していきたい、こういうあのときの会長の御意見であったように思っております。したがって、私は六百メートルタワーが変更がないとすれば非常にけっこうなことだと思いますけれども、四千人収容の大ホールという構想をお聞かせ願いたい。
  96. 前田義徳

    前田参考人 現在日本ではかなりの音響効果を考えてつくられたホールのマキシマムの座席数は大体二千前後でございます。NHKが現在内幸町に持っているホールの座席収容は六百でございます。補助席を入れても八百以内。われわれの公開番組を一つ考えてみましても、申し込み者のほとんど全部をお断わり申し上げなければならないという状態でございます。そういう点から考えますと、技術的研究を尽くした上で理想的にいえば、私のような立場から考えるものとしては、せめて一万近い座席を持ったものが実はNHKとしては必要ではないかというように考えているわけでありますが、せめて四千席、これによって――一週何回かの公開番組があるわけですが、そのほとんど全部をお断わりする。たとえば年末の紅白歌合戦というようなものにつきましても、いまお借りしている東宝のあの劇場は二千席余りでございますが、それに対して十数万のお申し込みがあるわけです。理想的にいっても、とうていその全部の御要望を満たすわけにいきませんが、この際建設するのであれば、そのマキシマムはどのくらいのものが必要かということを検討してもらった結果、大体四千席ならいけるということで四千席のホールをつくらしていただきたい、このように考えているわけでございます。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 構想としては大体わかるのですけれども、しかし、紅白歌合戦などの例をとれば、これはもう幾ら広くてもとうてい間に合わないと思うのです。ただ先ほど来私も申し上げておりますように、東京におって、しかも東京でなま放送といいますか、ホールで現実にいろいろなものを見られるそういう人たちに比べて、チャンネルをひねっても画像も出てこないという人たちのことを考えてみた場合に、はたしてこの四千人の大ホールは、一週間に一ぺんの使用価値はあるとしても、毎日のテレビを見れない人に比べてどうだろうか。全部で三十三億ですか、三十三億円かかるとすれば、これは一千五百くらいの辺地共同受信装置ができるということにもなろうかと思います。そういう膨大な金を使って四千人のホールをつくってみたところでしょせん全部の収容はできないし、二千人のホールが手ごろだ、会長は大体四千人くらいとおっしゃったが、一説では千から二千というお話もあるようでございますけれども、それでも全部が収容できないものであるとするならば、千五百か二千程度のホールのほうが効率としても高いのではないか、私はそういう気もするのですが、どうでしょうか。
  98. 前田義徳

    前田参考人 これは技術的な問題もございましょうし、印象的御批判もございましょうし、いろいろな立場でいろいろな御見解があることは当然であり、私はまた先生の御心配になっているいわゆる方針としての点についても、先ほど来申し上げておりますように原則的には共感を感じております。しかし、最終的にNHK放送センターを完成するというたてまえにおいて、この年度で、あるいはまた二年間くらいで三十三億をかりに難視聴解消に投じて、それで一挙にできるかどうかという物理的な問題、それから将来の都市文化といいますか、東京都ばかりでなく、NHK考えている、これは放送法上もNHKの義務となっているいろいろな文化の確保と発展のために最終段階に来たNHKの中心建築物の形態としてこの程度のものを考えることは、私としてはあり得ても、お許しをいただいてもいいのではないかというようなことを勘案しながら、私としては前国会でも御承認をいただいた、このように考えております。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私の申し上げたい趣旨も大体わかっていただけたようでありますから、この点についてはこれ以上触れませんが、ただNHK全体の固定資産といいますか、この割合、いわゆる労働装備率というようなものが非常に高くなってきて、電電公社などの場合ですと固定資産投資がすなわちペイするわけですからいいわけですが、NHKの場合にはあまりにも固定資産がふえ過ぎますと、その性格上維持、管理に非常な困難を来たす心配があるのではないか、そういうことを考えるのですが、この点はどうでしょうか。
  100. 前田義徳

    前田参考人 その点につきましては、この問題はこの二、三年で始まった問題ではございませんので、これは昭和三十五年に第一次の長期構想を立てましたときに、すでにその中に含まれているものであり、御承知のように東京オリンピックの場合にはこれがかなりの効果をあげている。そういう点から申しますと、いわゆる世俗的な呼び名でいいますと、近代化と申しますか、合理化と申しますか、管理の全般についても将来性を検討しながらこの建設に踏み切ったわけでございまして、そういう点でも管理の方式についてかなり基礎的な研究をいたしているわけでございます。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長自信を持ってお答えですから心配はないようでございますけれども、われわれしろうとから見ますと、あまりにも固定資産が大きくなり過ぎて、維持、管理が非常に困難になってくるのではないか。その際、また聴視料でまかなおう、受信料でまかなおうという考えがともすれば出がちではないかということで参考までにお尋ねしてみたわけであります。  次に、放送センターの移転に伴ってコンピューターなどの入れかえやシステムの変更などもやる、こういうふうな計画のようでありますが、これは具体的にはどういうことになりますか、いまどの程度がレンタル方式になっておるのでしょうか。レンタル方式のメリットなどもひとつお聞かせ願えたら幸いだと思います。
  102. 川上行蔵

    ○川上参考人 番組制作技術システムと部内でそう申しておりまして、番組制作に必要なスタジオとか機械とかそういうものをむだがないように使うということを、この計算機によって計算をいたしてやっておるわけでございます。これにつきましては、始まりましてからちょうど二年少々たっておりますが、これが今度の移転の際に、向こうへ参ります際にいままで不十分であった点を補うことができるかと思います。この機械で補うことによりまして、それをより完成いたしまして全体の仕事の流れというものをスムーズに運んでいきたい、このように考えております。これによりましていままで機械的な操作にほんろうされておった、あるいは事務的な操作にほんろうされておったというようなことをなくしまして、みなが同じように番組をつくるということ、一種の生産活動に参加できるというこの喜びによりましてみんなの士気を高めていきたい、このように移転に備えまして目下いろいろ研究をし、準備をいたしております。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 こういう意見も聞くのですが、いわゆるNHKがコンピューターなどを入れてシステム化してきてからの放送は、何か機械的な冷たいものを感じるというような意見聴視者の中からは聞くわけです。もう少し生き生きとした人間、生き生きとした番組編成の人たちが出てきてもらいたい。この辺が番組の中に出てくる生きた人間と機械の操作による画一的なと申しましょうか、何となくそういうものの感じで受ける冷たさ、ぎごちなさ、そういうものを感ずるのですけれども、番組編成については、もう少し人間的なといいますか生き生きとしたようなもの、そういうようなものが考えられていいのじゃないかという気がするのですが、その意味ではあまりにも機械にたより過ぎて、画一的な放送になり過ぎているようなきらいもあると思うのですが、どうお考えですか。
  104. 川上行蔵

    ○川上参考人 いま御指摘ございましたような点は、私たちも十分に配慮いたしましてやっていかなければいけない最大のポイントだと考えております。そういう意味におきまして、先ほども申し上げましたように、できるだけみんながものをつくり出す創造の喜びにひたるというような形を考えなければいけませんので、このEDPの導入によりまして余りました余暇と申しますか、あるいは力と申しますか、そういうものを、みんながそういう活動に入り得るように――コンピューターを導入しました際は、この導入するということだけが、初めての試みでございますので、それに没頭しておった感じが確かになくはないと思います。これがようやく地についてまいりましたので、今後は、いま先生が御指摘のありました点を、いろんな仕事の仕組みなりあるいは組織なり、そういう面から考えていきまして、みんなが喜んで仕事に従事できるように配慮してまいりたいと考えております。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへんりっぱな運営の方針でけっこうだと思います。ただ、ともすればあちこちの職場でも、こういう機械化される場合には、人間が機械に使われるといいますか、そういう意味で一部分だけを扱う人間ができてしまうものですから、たとえば従業員同士の疎外感が起こってくるとか、そういう問題が非常に起こりやすい状態に置かれると思いますので、特に職員相互間の人間関係等についての配慮を、このコンピューターのシステム変更等に伴って可能な限りひとつお願いをしたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいのですが、会長がこの中で述べておられますように、職員の給与については「適正な水準」を保ってというふうなお考えのようでございますが、NHKの場合の「適正な水準」というものをどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。そこのところの基準といいますか、そういうものをひとつ……。
  106. 前田義徳

    前田参考人 やはり現実の社会生活から見て、それから職業の分野から見て、適当、妥当である、比較してみても、それから現実に生活しても妥当であるという点が、理想的にはわれわれの言う社会的水準である、このように考えております。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長も御承知のように、自衛隊でせっかくりっぱな技術者を養成しても、どうも民間の会社にこれが流れていくということを先般新聞で私拝見をしたわけです。私はこうも思うのです。何といってもNHKといえば、日本の放送、言論の関係での最高のスタッフをそろえなければならないところだ。したがって、その賃金、処遇等についても、民間の放送等に比べて少なくとも見劣りがするものであってはならないのではないか。それがNHKの技術を維持し、NHKの信頼をつなぎ、国民に大きい期待、希望を持たせるゆえんではないか。そのためには、私は、民間の同じような仕事に比べて適正という水準を見劣りのしないものにする、そういうような形であっていいのではないかと思いますが、いまの会長のお話では、どうもニュアンスとしては中間ぐらいという感じを受けるのですが、どうでしょうか。
  108. 前田義徳

    前田参考人 ニュアンスとして中間という気持ちは全くございません。でき得ればその職業分野、簡単にいえば、言論界の中で最高の待遇を与え得ることが望ましいと考えております。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで私も安心をいたしました。  さらに、もう一点だけお伺いしておきたいのですが、本年度二百二十名の要員をふやす、職員の増員があるように聞いておりますが、これは主としてどういうところに配置をされる人になるわけでございましょうか。
  110. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 来年度の要員につきましては二百二十名の増員ということになっておりますが、その内訳としましては、カラー放送時間の増、FM、UHF県域放送の実施、テレビ中継局等の増によります保守管理業務の増、それから番組内容の充実、それに加えまして、受信者の増によります営業活動の強化、大体そういったところに充てる予定でございます。差し引き二百二十名というふうになっておりますが、増としましては大体二百九十五名の増で、そのほかに内部の自動化、運行機能の集中化、あるいは通信の減などの減要素がございますので、それを七十五名というふうに計算しておりまして、差し引き二百二十名の増という結果でございます。   〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで大体計画としては、人間の配置では十分やっていけるというお考えですか。いまのお話によりますと、ほとんど新しい業務に振り向けて、むしろ従来の業務からいうならば、機械化、コンピューター等によって減員になるというお話のようですが、これで十分やっていける自信がございますか。
  112. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 十分やっていける自信を持っております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一点、これは会長にお伺いしたいのですけれども、国際放送関係ですが、確かに国際放送NHK独自でもやるようにはなっておるようです。これはまた別の面では、大臣のほうからの命令でもやることになっておるようでございますけれども、その経費の分担が、私、いまちょっとここにありませんが、何でも七億くらいは国際放送のためにお金がかかっておると思います。そして国からの交付が一億三千万か何か非常に少ない額であったように思いますが、この国際放送に関する考え経費負担についてお聞かせを願いたいと思うのです。
  114. 前田義徳

    前田参考人 私どもとして、国際放送についての基本的考え方は、できれば私どもが自由な立場で国際放送を行なえることが一番理想的であるという考え方を持っております。御承知のように、現在でもある国、あるいは戦前のNHKの海外放送はすべて政府の命令放送でございました。しかし、新しい言論機関としてのNHKがその海外放送を通じて国際関係を、各国民間相互の理解を深めるという点については、私は理想的に申し上げれば、いま申し上げたように、自由な放送でなければならない。昭和三十四年の放送法改正によりまして、この原則は一応盛られました。NHKの本来の業務として行なうべきであるという原則は確立いたしました。ただし、その一部に政府の命令放送がある。その一部の命令放送に対する交付金一億数千万円が妥当であるかどうかという点につきましては、客観的なそれぞれの立場のお考えがあるかと思いますが、私としてはその分野でももう少しお出しいただくことが必要ではないか、このように考えております。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次官、いまお聞きのように、私はいまできれば命令による放送時間とNHK本来の業務としての外国放送の時間との割合も聞きたかったのですけれども、大体七億何千万かかる国際放送の中で、国が大臣の命令によってやる部分について、一億三千万と私は思っておりますが、その程度しか出してないわけですよ。一億七千万でしたか、はっきり覚えておりませんが、要するに七分の一前後です。これはもう少し、いま会長もおっしゃっておるのですが、これは国といえどもNHKの財政を左右する権利はない。国民のものだ、国民の機関だ、そういう観点から、当然国が負担すべきものは負担をして、先ほど来私が申し述べてきましたような難視地域解消なりあるいはローカルのカラー放送、そういうような問題に重点を置いて、国民へのサービスを行なうべきで、たまたまNHKの経営の内容がいいからといって、防衛庁に食いつぶされてみたり、国に食いつぶされてみたりでは、これは国民にとってたまったものではないと思いますが、次官、郵政省の立場からひとつ御返答を願いたいと思います。
  116. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生指摘の件、いまの数字は一億六千万だそうでございます。そこで私どもといたしましては、大臣の命令に従いましてNHK放送いたしておりまする国際放送に対する交付金は、NHKの命令に対する放送分として、いま申し上げた数字を交付をいたしておるわけでありまして、いま会長のほうからさらに増額を期待するというお話がございましたが、この点につきましては、その放送の内容をいま少しく検討さしていただきまして、適切なものであるとするなれば、これは増額しなければならないものだと考えております。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政省としても、それは一般会計のほうでしょうから、そう特段御心配になることもないと思いますし、私が懸念するのは、古いことばでいえば監督官庁の立場にあるわけですから、それを奇貨として、その国民NHKに無理を言ってはならない、そういう気もしましたので、特に大臣と御相談をなさってみて――命令の関係と本来業務としての関係の割合が私もよくわからないのですが……。  その次にもう一点、お尋ねしたいのですけれども、四十六年度では長期借り入れ金が従来に比べて非常に大きい伸びを示しておるようでございますが、この関係について少し御説明を願いたいと思います。
  118. 志賀正信

    ○志賀参考人 お手元に御提出申し上げてありまする予算書には、長期借り入れ金は百五十二億五千八百万円ということになっておりますので、昨年度は六十三億六千万円でございましたので、八十八億増加になっております。この長期借り入れ金の増加いたしました理由は二つございまして、一つは建設費及びそれの償還財源といたしましての外部借り入れ金を、この長期借り入れ金のほかに放送債券でもまかなうことにいたしてございますが、この放送債券のほうへの割り振りと申しますか、どちらで調達するかということにつきまして、新年度放送債券のほうを昨年度よりも減らしてございますので、したがいまして、長期借り入れ金のほうへウエートがかかっております。  それからもう一つは、建設費の財源になります外部資金自体の増加がございまして、これは昨年度は六十三億でございましたが、ことしは百十七億六千万ということになっております。そのほかに償還の財源が五十五億ございまして、両方合わせまして、外部資金は百七十二億、そのうちで長期借り入れ金は百五十三億円ということでございますが、建設資金が昨年度よりも約五十億ばかり増大をいたしております。これは先ほど御議論がございました新年度におきますカラーの設備に、特に地方局のカラーの設備を増強いたします関係から、新設をいたします関係から、これの建設費が昨年度よりも増加をいたしておる。それからこれも先ほど御議論が出ました放送センターの工事につきまして、第二年度目に当たりますので、これは先ほど会長からも申し上げましたように、後ほど内幸町から移転をいたしまして、内幸町の土地、建物を売却して償還をすることにいたしておりますが、明年度は一時的にこれの借り入れがふえますので、それらの関係から明年度は長期借り入れ金の予算が増大をいたしております。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、当然この長期借り入れの中で、第一点目ですけれども、内幸町のほうが売却できれば百億か百二億か、そのくらいの額だったと思いますが、それは当然充当される、これは間違いございませんでしょうか。  二点目ですけれども放送債券をちょっと私見たら、放送債券の利回りが七分六厘ですか、長期借り入れ金は六分四厘か五厘、だいぶ安かったような気がいたしますが、そういう関係もあるわけですか、ちょっと知らせていただきたいと思います。
  120. 志賀正信

    ○志賀参考人 先ほど申し述べました第一点につきまして御説明が不足であったかと思いますが、昨年度よりも、放送債券と借り入れ金の割り振りを放送債券のほうから長期借り入れ金のほうにウ工ートをかけてございます理由は、ただいま先生からお話がございましたように、現在の金利でまいりますと放送債券につきましては七年もので八分七厘九毛というのが発行者側の利回りになります。これが長期借り入れ金でございますと、ただいまのところは残高も年間の――月商ということばがございますが、月の商いと申しますか、月額に割った収入と申しますか、それと大体見合うような額であれば比較的低利に借りられるというような折衝をいたしておりまして、いまのところは予算でも六分七厘というふうに組んでございます。これは年間途中でも金利につきましては、公定歩合の変動との関係で上がったり下がったりいたしますが、一応予算で六分七厘ということにはいたしてございます。明年度以降につきましては、銀行からの借り入れ金利につきましても、相当残高も多くなりますのでなお予断を許さないかと思いますが、少なくとも新年度につきましては、八分七厘と六分台との差がございますので、できるだけ借り入れ金のほうにウエートをかけたいというふうにいたしたわけでございます。  放送センターの工事につきましては、先ほど会長からも申し述べましたように、いまの予定でまいりますと四十八年度には全部完成をいたしまして、移転が可能かと思われますので、四十八年度には内幸町のほうの土地、建物を売却いたしまして、全額を償還をしたいというふうに考えております。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣出席されませんでしたので、先ほど保留いたしましたいわゆる防衛庁負担をすべき受信料の免除の問題につきましては、質問を保留をさしていただきまして、その他の問題についての質問を終わりたいと思いますが、るる述べてまいりました主眼は、あくまでも国民NHKとして国民サービスに専念をし、とりわけ辺地難視地域に対する対策を具体的に速急に取り運んでいただくことをお願いをし、平素の御労苦に感謝をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  122. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後二時再開することとし休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時六分開議
  123. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。樋上新一君。
  124. 樋上新一

    ○樋上委員 昭和四十六年度NHKの収支予算のうちの事業計画についてお伺いしたいのでございます。  まず、カラーテレビ放送についてお伺いいたしたいと思うのですが、昭和四十六年度末の予想で、契約件数がカラーで千百七十九万五千件、白黒で千百四十二万二千件となっておりますが、過去数年間の契約数及び普及率について、カラーと白黒を対比してどのようなことになっておるかお伺いしたいと思うのです。
  125. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えをいたします。  四十三年度からの数字でお許しを得たいと思いますが、四十三年度末におきまして契約総数二千百三万、このうち普通契約が千九百三十四万、カラーが百六十八万、四十四年度の決算におきまして契約総数二千百八十八万でございます。内訳を申しますと、普通契約が一千七百八十九万、カラーが三百九十九万、しかして四十五年度、本年は年度末二千二百五十三万を見込んでおりまして、このうち普通契約が千四百九十二万、カラーが七百五十九万、大きく申しまして七百六十万、こういうふうな推移をたどっております。
  126. 樋上新一

    ○樋上委員 そうすると四十六年度末の予想、そのパーセンテージはどうなんですか。
  127. 佐野弘吉

    佐野参考人 四十六年度におきましては契約総数におきまして六十八万前年度から見ますればふえまして、二千三百二十一万、これは八一・八%という普及率に相なります。この中で普通契約がカラーのほうにも大きく転換をいたします要素等もございまして、年度末に普通契約が千百四十二万、カラー契約が千百七十九万、大きく申しまして、四百二十万の来年度カラー契約増加がありますので、七百六十万に四百二十万を足しまして、大局的に申しますと千百八十万という数字になります。この普通契約とカラー契約との関係を見ますと、この契約の中で普通契約が四〇・二%、カラー契約が四一・六%ということに相なりまして、初めてカラー契約が普通契約を凌駕するというふうに相なります。
  128. 樋上新一

    ○樋上委員 カラーテレビ放送時間のここ数年の推移と、その四十六年度末の予想について、時間数とその比率はどうなっているのでしょうか。
  129. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答え申し上げます。  四十三年度が、実績の数字がございますが、総合で九時間、教育テレビで一時間五十三分、四十四年度が総合で十一時間十分、教育で二時間二十分、四十五年度、今年度末が総合で十一時間四十分、教育が二時間二十分、この四十五年度はまだ予算上の数字でございますが、実績はこれより上回るかと存じます。四十六年度、明年度の目標は総合が十八時間、それから教育が三時間。一日のテレビ放送時間が十八時間でございますから、総合は一〇〇%に年度末で持っていきたい。それから教育のほうは十八時間の六分の一、三時間でございます。
  130. 樋上新一

    ○樋上委員 そうすると、四十六年度末において白黒とカラーテレビが逆転して、五〇・八%となるのですな。確認します。
  131. 佐野弘吉

    佐野参考人 御指摘のとおりでございます。
  132. 樋上新一

    ○樋上委員 そういたしますと、五〇・八%と逆転してカラーのほうが伸びてきた。そうしますと今後カラーの伸び率はどのように推移していくのでしょうか。
  133. 佐野弘吉

    佐野参考人 四十六年につきましては、先ほど御説明をいたしたとおりでございます。私ども、午前中にも触れましたわけでございますが、政府の策定をいたしました新しい経済成長政策等をも勘案をいたしまして、もっとも昨年の後半から経済の変動がございますので、多少その辺の要素が少しく狂ってはまいりましたけれども、一応私どもといたしまして策定しました数字は、四十七年度におきまして先ほども触れましたように対前年度比純粋に契約のふえを七十万と見まして、契約の総数が二千三百二十一万と見ております。このうち、普通契約が千百四十二万、カラー契約が千百七十九万、このことは、前年度、要するに四十六年度に比べまして四百万カラー契約がふえるというふうに相なりまして、大きくいいまして千百八十万というふうに算定をいたしております。この内訳から見ますれば、普通契約が全契約総数のうちの二七・九%ということになります。――ちょっと、失礼をいたしました。私、間違えまして、四十七年度年度末の普通契約が八百十二万で、二七・九%でございます。訂正させていただきます。カラー契約が、先ほど触れましたように一年間で四百万増加をいたしまして千五百七十九万、大きくいいまして千五百八十万ということで、五四・二%というふうに、カラーと普通契約の比率は、四十七年度で大きく変わってまいります。ただし、私どもといたしましては、第三次長期構想が四十七年度に一応終了をいたすということから、ただいま申し上げ得る範囲は四十七年度まで見越しておりまして、四十八年度以降におきましては、また本年度あらためて第四次の長期構想の中で勘案をいたしたい、このように考えております。
  134. 樋上新一

    ○樋上委員 そうしますと、もう一ぺん確認いたしますが、四十六年度末には、教育番組を入れて全国で一日二十一時間ということになるのですね。その内訳は、十八時間が普通放送で、三時間が教育ということになるのですか。
  135. 川上行蔵

    ○川上参考人 お話のように、四十七年の四月から、総合が十八時間、教育が三時間で出発できる、このように考えております。合計二十一時間でございます。
  136. 樋上新一

    ○樋上委員 それはいつごろから実施されるのですか。
  137. 川上行蔵

    ○川上参考人 四十七年度の四月からはそれで出発できる。明年度完成を目ざしております。
  138. 樋上新一

    ○樋上委員 実施時期、いつから実施されるか。
  139. 川上行蔵

    ○川上参考人 先ほど申しましたように、明年度終わりまでに、総合十八時間、教育三時間を目標にして、いま準備をいたしております。
  140. 樋上新一

    ○樋上委員 それは時期はいつからですか。それは施行されるのは東京大阪――全国一斉ですか。
  141. 川上行蔵

    ○川上参考人 一斉にはまいりません。順次中央局、それから県域局、このような考え方で準備をいたしております。
  142. 樋上新一

    ○樋上委員 これは全国的に実施されるものと思うのですが、私は、東京大阪が十月で、地方は年度末に出るのか、そういう点、時期をお伺いしたのですけれども全国的に完全に実施されるのはいつごろですか。
  143. 川上行蔵

    ○川上参考人 四十七年の四月とお考えいただいてけっこうかと存じます。
  144. 樋上新一

    ○樋上委員 四十七年度当初から総合テレビ十八時間でフル放送が見られるのですね。
  145. 川上行蔵

    ○川上参考人 さようでございます。
  146. 樋上新一

    ○樋上委員 先ほども言いましたように、カラーの契約数はどんどん伸びてきておる。そして四十六年度末に五〇・八%である。過去の伸び率から見ると、昭和四十七年度の伸び率はもっと加速度を帯びて伸びてくるのではなかろうかと先ほど予想がありましたけれども、私はもっと過去の伸び率からいうと伸びてくるのではなかろうかと思うのですが、会長、この点はいかがでございましょう。
  147. 前田義徳

    前田参考人 私どももそういう予感を持っております。したがいまして、私どもとしては昭和四十七年度を初年度とする新しい長期構想を策定いたしたいということを目下検討中でございます。
  148. 樋上新一

    ○樋上委員 カラーテレビと白黒番組との制作費、平均してどのくらい差があるかということをお伺いしたいのです。
  149. 川上行蔵

    ○川上参考人 カラーと白黒の非常な大きな違いは二点あるかと思います。一つは美術費、たとえばドラマとかあるいは音楽のショウ番組のような美術を多分に使いますものは違ってまいります。それからフィルムを使うものはフィルム代が違ってくる、あるいは現像代が違ってくる、そういうわけであります。平均で申し上げますと、ドラマ関係あるいは音楽ショウ関係というようなものは約二割五分から三割白黒よりも上がってまいります。それからフィルム構成的なものは約二割上がってまいるかと思います。それから普通のスタジオでやっております座談会とかそういうようなものはそれほど変わりませんで、五%かあるいは六%とかそのような数字で、平均いたしまして全協会の番組といたしまして約二割前後と考えていただいていいじゃないか、このように思います。
  150. 樋上新一

    ○樋上委員 ちょっともとへ戻って、先ほどちょっと質問するのがあとになりましたけれども全国的に実施される場合、たいへん単純な質問でおそれ入るのですけれども、この東京都内、都市ですね、都市と農村僻地といいますか、かりにいえば高知県あたりのテレビのカラーが映される時間、同じ時間でしょうか。
  151. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKの番組は、全国ネットワークがたてまえでございますので、大体都市と農村と変わりないということを言えると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、東京大阪はこれはほとんどカラー化しておりますけれども、地方のほうがまだカラー化しておりませんので、そのローカルの分だけまだ東京に比べると落ちる。それを一年間で取り返していこう、こういうところでございます。
  152. 樋上新一

    ○樋上委員 いま私の聞いておりますのは、カラーの上映時間が違うのでしょう。カラーの映っている時間が都市と農村とは違うのですね。その差がかりに高知県が何時間くらい一日にカラーが映って、東京都内は何時間くらいNHKのカラーが映るかと、これを聞いているのです。
  153. 川上行蔵

    ○川上参考人 テレビのローカル時間が現在平均いたしまして一時間五十分ほどございます。そういう関係で、東京は全時間カラー化しておりますので、総合で十八時間カラー化しておりますが、高知県ですと、その一時間五十分の中でフィルムニュースの分はかりにカラー化しておるとすれば、その分だけはカラーになっておりますけれども、スタジオ番組がカラー化しておりませんので、その差が一時間五十分ないし一時間二十分ある、こういうことは言えると思います。
  154. 樋上新一

    ○樋上委員 それでお金は同じに払っておる。片一方のほうはカラーが一時間か二時間少ない。東京のほうは相当、十八時間も二十一時間もこれからなってくる。つまり聴取料といいますか、受信料、これが非常に差がある。私はそこに何とか――NHKはそういった差はとうお考えになっておるか。それでも同じように受信料を取っていらっしゃるのですが、矛盾してはいないでしょうか。
  155. 前田義徳

    前田参考人 私どもとしてはそのサービスを中央、地方を通じて均等化するために明年度予算、御審議をいただいておる場で、全国地方局のカラー化を考えているわけでございます。したがいまして、そのカラー化の設備の完了は四十七年度末になりますから、したがって四十七年三月末になりますので、したがって明年度予算の中では最終的には総合放送十八時間がカラー化され、最終的には教育テレビジョンのうち現行二時間二十分をカラー化しておりますので、さらに四十分間追加カラー化するという考え方でございます。この前提に立って申し上げますと、四十七年度以降はカラー化においても大体聴取者の皆さまに公平な番組を提供することができるようになるであろう、そういう考え方の上に立って今年度予算の事業計画を進めているわけでございますので、私どもといたしましては、四十七年度以降、ただいまの御質問に具体的なお答えを出したい、このように考えているわけでございます。
  156. 樋上新一

    ○樋上委員 そういたしますと、今後カラーに重点的に制作のほうに力を入られる。そうすると白黒との製作費はいまお話を聞いた差が出てくる。だんだんカラー化に全部なってきますときには、この白黒の料金考えてみますと、カラーが一カ月四百六十五円、白黒が三百十五円です。一般の人たちはカラーでなければ見られぬように全部カラー化のほうになってくる。そうすると白黒の三百十五円はちょっと高いのではなかろうか、もう値引きされて白黒のほうは値を下げられる時期がくるのではないか、きておるのではなかろうか、こう思うのですが、会長いかがですか。
  157. 前田義徳

    前田参考人 常識的には当然そういう予測が成り立つと思います。しかし、私どもはただいまから四年前にラジオ料金を無料とし、現在の白黒テレビ料金を十五円引き下げ、そうして聴視者の総数が二百数十万だった時代に百五十円のカラー料金を付加するということで当委員会の御承認をいただいたわけでございます。で、問題は、要するに四十七年、四十八年、四十九年というものを通観してみて、ただいままで四年間に切り捨てた分がいつ補完できるかという、私ども事業を執行しておる立場から申しますと、この点が最重要ポイントになると私は考えております。この点につきましては、御審議いただく明年度予算を御承認いただける場合には、ようやく白黒とカラーが簡単にいって半々になるという時代でございます。正確には総世帯数の約四二%がカラーの契約となり、四〇%余りが白黒の契約となる、こういうことでございます。したがいまして、私どもとしては将来のことも考えながら、また中央、地方の番組の格差を是正するためにも先行投資として全国カラー化の計画を立てたわけでございます。これに基づきまして、私は先ほど申し上げたように、早ければことしの夏までに将来十年間の予測を可能な限りもとといたしまして、今後何年間の第四次長期構想を立てるか、そして、その場合には、四十七年度、いわゆる現在の第三次長期構想の最終年度分を次の長期構想の初年度分と考えたい、こういう考え方を持っております。しかし、同時に国勢調査等の関係を勘案いたしますと、私どもが現在の長期構想をつくった時期と国勢調査の結果を比較いたしてみますと、世帯数はかなりふえており、そのゆえにおそらく率直に申し上げて、現在の長期構想契約世帯数としての世帯の数にはかなりの誤差が出てきている。そういう点から考えますと、企業の実態を検討した上でなければ、どういうことになるかということははっきり申し上げられませんが、いま申し上げ得ることは、少なくとも昭和四十七年度ないし四十八年度において受信料を、現行制度でいくならば改定する必要がないであろうという予測は立つわけでございます。ただ御質問の要点は、カラー契約がふえた場合には白黒受像機を持っている方の料金を引き下げてはいかがかという御趣旨に聞けるわけでございますが、現在白黒テレビのほとんど全部は――全部とは申しませんが、やはり先ほど佐野専務からも申し上げましたように、白黒からカラーに転換する度合いが強くなってきておりますし、それからテレビ開始以来の受像機の耐用年数から考えましても、私どものカラー放送、白黒放送送信側としてはコンバーティブルのものでございまして、いわゆるカラーも受信すればできるという送出の方法をしておりますので、受像機の更新によって、私としては、その純粋白黒の残存数の予測のつかない限り、ただいまの御質問に対して明確なお答えを申し上げ得ないことを残念に思っておりますが、将来の方向としては、それが何年後になるかは現在申し上げられませんけれども、当然そういう方向に行くべき時期が来るということは申し上げ得ると思います。
  158. 樋上新一

    ○樋上委員 カラーの伸び率約五〇・八%になってきた。この率でいくと、何とか白黒のほうの受信料を下げていかなければならないということよりも、私は自黒の受信料は今後廃止すべきであるというような、強硬な意見かは存じませんけれども、ラジオの受信料が廃止された時期などを考えますと、先ほどからお伺いしている伸び率から考えまして、会長のいまおっしゃったように、白黒にまた機械的にやればできるという面も考えられますけれども、それは相当向こうのことであり、また長期構想の上であるけれども、カラーの普及率が何%になったら白黒料金を廃止されるか、私はこういうぐあいに極端な結論を求めているんですよ。そういうところを考えてもらわなければ、NHKは殿さま商売でゆうゆうとされておって、白黒しか見られない、カラーテレビを買えない人たち、全部がカラーテレビになっても自分らはそれを買えないという人には、白黒テレビはもう受信料を廃止してもいいのではなかろうか。  そこで会長にお伺いするのですけれども、何%ぐらいになったときに廃止するお考えがあるかないか、その点をもう一度御答弁願いたいと思います。
  159. 前田義徳

    前田参考人 私、NHK会長として、検討に値する時期というのは、おそらく総契約数の八〇%強がカラー契約にかわった時期ではないかという考え方をいたしておりますが、これについてはまだ正確な計数的根拠の検討が終わっているわけではございません。
  160. 樋上新一

    ○樋上委員 それは、八〇%強になったらあなた個人としては考えねばならぬとおっしゃるのは、あなたの個人意見であって、将来廃止するという決意がございますか、そのときに考えるとおっしゃるのですか、しつこいようですけれども、もう一つお願いします。
  161. 前田義徳

    前田参考人 世俗的に当然私は個人の見解でなく、実はNHK会長として申し上げているわけでございますが、時期がいつであるかは別として、大部分がカラー契約になれば、白黒の問題についてはやはり決断すべき時期が必ず来る、このように考えております。
  162. 樋上新一

    ○樋上委員 これは何回繰り返してもいま結論を――私は大体の見通しだけお聞きしたいというので、何回も繰り返して言うのですけれども、私の見通しとしては、最高おそらく四、五年のうちには白黒テレビ受信料の廃止はできるという確信を私は持っておって、会長からそういう答弁がいただけるかと思いましたけれども、これは何回言っても結論が出ないでしょう。そういう庶民の立場を考えられて、カラーを買えない庶民のためにも一日も早く白黒の受信料を廃止する方向に持っていってもらいたい。これは私一人ではなく、大方の国民の声を私はあちこち聞いております。そういうことを申し上げて、この質問は終わりたいと思います。  そこで、これはNHKにちょっと関係がないので、しばらく聞いていただいたらけっこうでございます。これは公取のほう御出席になっていますね。公取さんのほうに質問するのですが、昨日の新聞を見ますと、賞金百万円が限度、テレビのクイス番組規制ということが新聞に報じられておるのですが、テレビの景品を規制されるということを発表されたのですが、その内容その考え方、またそのねらいはどこにあるのか、それをお聞きしたいと思います。
  163. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  きのうの新聞に出ておりましたのは、いわゆるオープン懸賞の規制案ということでございますが、オープン懸賞と申しますのは、商品購入を条件としないで懸賞によって経済上の利益を提供する行為、普通の程度ならかまいませんけれども、それによりまして過大な経済上の利益を提供するということは、一般消費者の射幸心を過度にあおりまして消費者の適正な商品選択を混乱させ、ひいては公正な競争を阻害するおそれがあるというふうに考えているわけでございます。オープン懸賞を規制する必要性につきましては、消費者保護基本法が成立する際の附帯決議にも明らかになっておるところでございまして、これは昭和四十三年の四月二十五日、衆議院物特の附帯決議、それから昭和四十三年五月二十二日の参議院物特の附帯決議両方にございますが、公正取引委員会としましてはこの決議を尊重いたしまして、今回の措置をとることに踏み切ったものでございます。ただし、これはまだ案でございまして、最終的には公聴会を開き、関係業界の意見を十分聞きまして、その意見を尊重して最終的な告示を出すということになるわけでございます。  その内容としましては、これは独占禁止法で申しますといわゆる特定の不公正な取引方法、いわゆる特殊指定と一般的に申しておりますが、それに該当するものでございます。不公正な取引方法には、どの業界にも適用されます一般指定と特定の業界のみに適用されます特殊指定とございますが、今回のオープン懸賞の規制の告示案はこの特殊指定でございます。  それではどういう業種に対してこれを適用するかと申しますと、これは別表に掲げてございますが、食料品でありますとか衣料品、身の回り品あるいは家庭用品、雑貨等そういう事業を営む事業者、あるいはサービス業、不動産業、これらの事業を営む事業者が顧客を誘引する手段としまして、一般消費者に対してくじの方法等によりまして特定のものを選んで、これに対して正常な商慣習に照らして過大な金銭、物品その他の経済上の利益を提供する旨の広告を規制しようということでございます。過大な経済上の利益、いわゆるオープン懸賞によって提供しようとするその過大なというのは、まあわれわれ一般、従来からの指導もございますし、大体百万円程度が限度ではないかというふうに考えておりますが、しかし、これは業界業界によりまして別個に公正競争規約というのをつくりまして、自分の業界では三十万円以下にしようというようなことであれば、それはその業界における正常な商慣習であるということで、その業界に関しては三十万円が限度になるというふうに考えているわけでございます。
  164. 樋上新一

    ○樋上委員 いまいろいろ御説明ありましたように、これは独禁法との関連は何条に違反しているかということをいいますと、独禁法第二条の第七項に違反しているのです。そこで、公正取引委がこれを取り上げられたことはたいへんけっこうなんですけれども、これはいろいろとテレビに出すスポンサーがこの百万円を限度にするということですけれども、これを区切ってした場合どうなるか。具体的に言いますと、百万円というものを区切ってした場合は、これはどういうぐあいにして規制していくか。
  165. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  百万円をこえた場合でございますか……。
  166. 樋上新一

    ○樋上委員 百万円でも、一ぺんに百万円出さないで、いままで一週間に一ぺんやった、それを区切って数をやって百万円を出すというた場合、脱法行為としてやった場合どうするか。何回にも区切って……。
  167. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 区切ってやった場合、私どものほうでは、行為はそのときそのときでつかまえるわけでございますが、たとえば一回三十万、次は二十万と、こういうふうにしまして年間を通じて百万円をこえるというようなこともあり得るかと思いますが、それについてはまだ具体的にどうするこうするというところまで詰めておりませんが、私どもは違反行為は個々的に、そのつどその各ケースについて判断しておりますので、その点まだ十分に詰めを行なっておりません。
  168. 樋上新一

    ○樋上委員 この新聞を見まして、クイズ番組の規制、賞金百万円限度というようなときに、非常にいいところに公取が目をつけられた。ところが、公取は、これはアドバルーンを上げて何にもやらないのじゃないか。いままで何にもやらないのは公取だ。そして消費者などがやあやあやかましく言ってきて、そして公取が乗り出してくる。だから今度の問題でも、いまお話を聞いていると何ら具体的にないんだ。思いつきに賞金百万円が限度であって、それじゃどうしていくんだと言ったらまだ考えてない。これは単なる観測気球ではないかと私は思うのですよ。ただ観測気球であるということは、さてそれではどういうぐあいに規制していくか。射幸心をあおり過ぎる。なるほど射幸心をあおり過ぎる、ねらいはいいのですよ。ところが、さてやっていったら、いまこれだけ上げておいて何ら具体的なことがない。やられたからにはもっともっと真剣に徹底的にやってほしい、私たちはこう思うのですよ。  最近の民放のクイズ番組の額がたいへんエスカレートして、ものすごく上がっている。ここに出ていますようにもう百万円どころじゃないのです。これは「ベルトクイズ」二百七十万円、「巨泉まとめて百万円」 「ズバリ!当てましょう」百万円、もうとにかく世界一周して、こういうことまで、どんどんどんどんわれもわれも、こういうようになってきたら、まじめに働いている者がこれを見たときにどう思うか、こういう点を私は非常に心配するのですが、真剣におやりになるのか、具体的な例を私は求めておるのですが、いまの御答弁ではもう一つ納得ができないのです。
  169. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 先ほどの私の答弁を一部訂正をいたします。  最高が百万円程度考えているわけでございますけれども、これが何回にも分けてやった場合、たとえばその場その場、そのときそのときで判断すると申し上げましたけれども、何週間かかかって連続してやる場合は、その全体で百万円をこえるかどうかということで判断をいたしたいというふうに訂正をいたします。  それから規制でございますが、まだいま告示案ができておりませんので、告示ができました段階では告示――現在は告示案でございますが、告示案に該当する広告を行なう事業者に対しましては、独占禁止法第十九条の「不公正な取引方法を用いてはならない。」という規定がございますので、独禁法十九条違反ということで、公正取引委員会は当該事業者に対しまして、独占禁止法二十条の規定に基づきまして勧告あるいは審判をやる、そして、審決によってその違反行為の差しどめを命ずるということになるわけでございます。  それから罰則は、不公正取引方法の違反に対しては直接にはございませんけれども、審決によって差しどめを命じた場合、その命令に違反した者に対しましては罰則がございます。その審決に違反した者に対しましては、独占禁止法の九十条の三号、これは確定審決に対する違反でございますが、これに基づきまして二年以下の懲役あるいは三十万円以下の罰金が科せられるということになっております。確定審決違反でない場合、まだ審決が確定していない場合には、これは独禁法九十七条に基づきまして五万円以下の過料という罰則がついております。したがって、これら法律の規定に基づきまして告示ができました暁においては、これはびしびし規制をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  170. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、これは初めてですか。こういう事例はいままでになかったのかということと、また今後は、いまあなたがおっしゃったように、そうやっていくとおっしゃったけれども、いままでに事例はなかったのですか。
  171. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 いままで、まだ告示ができる前は、これは行政指導によって直さした事例はございます。具体的な例をあげますと、これは何に基づいて行政指導したかと申しますと、一般指定の不公正な取引方法の六、不当な利益をもって競争者の顧客を自己と取引するように誘引してはいけない、この規定を活用いたしまして直さした事例がございます。  その一つは、あるボールペンメーカーがクイズの解答者に一千万円の土地つき住宅を提供するという企画を立てたわけでございますが、事前相談を受けまして企画を中止させました。  それからもう一つは、衣料品のメーカーがテレビ視聴者番組で七百万円相当の飛行機、軽飛行機でございますが、事前相談を受けて企画を中止さしております。  それからもう一つは、あるベッドの会社でございますが、テレビ視聴者番組で一千万円のマンションを提供するという旨の広告をいたしましたが、これを変更、つまり十名で一千万円、一人当たり百万円程度に企画を変更さしております。  それから、現在の告示案につきましてのこれからのスケジュールでございますが、独占禁止法七十一条の規定がございますので、今月中に関係業者の意見を聞きまして、三月三十日に大阪で、それから四月十五日に東京で公聴会を行ないまして一般の意見を聞きまして、これらの意見を十分尊重いたしまして、すみやかに告示指定を行ないたいというふうに考えております。
  172. 樋上新一

    ○樋上委員 せっかくこういうぐあいに公取が、アドバルーンか何かわかりませんけれども、やろうという意欲は私たちは大いに期待をしておるのでございまして、今後これに力を入れてやっていただきたい、こういうことを要望しておきます。  そこで、郵政省のほうにお伺いするのですが、いままでの公取事務局長と私の質疑応答を聞いておいでになって、郵政省はどう考えていらっしゃるか。今回この公取の規制案ができるまで、このような事例を承知していたかどうか、無関心であったのではなかろうか、こういう点はどうでしょう、郵政省。公取は何もやってない、郵政省も何もやってない……。
  173. 小渕恵三

    小渕政府委員 放送の内容がいたずらに射幸心をあおるものであることは望ましくないことは言うまでもありません。民放連の番組基準によりますと、クイズなどの賞金、賞品につきましては社会常識の範囲にとどめ、高額にわたらないと定めて、いたずらに射幸心をあおることのないよう注意しているとのことであります。公取委員会の規制も当然社会常識の範囲内にとどまらない高額な景品を対象とするものと思われますので、民放各社もその線に沿って配慮していくものであると、郵政省は期待をしておるわけであります。
  174. 樋上新一

    ○樋上委員 いまの郵政政務次官のお話を聞いていますと、いままでにあんまり力を入れておられないんだ、今後はそうするとおっしゃるのですけれども郵政省というところはさきに官制モニター制のようなことをして、番組規制をされようとした。そういうところは、言論統制をしようとされるときは非常に早いのですよ。ところがあれは予算もなくて流れてしまいましたけれども、今度のこういう問題についても、公取が取り上げてこなければ、いままで何もやってなかったということについて、私は非常に遺憾に思うんですよ。これはほっておけば、どんどんクイズ番組がエスカレートしてしまう。庶民がこのテレビを見ておるときにどう考えるか、自分らが一年も二年もかかってなかなか手に入らないお金が、わずか二十分以内、三十分以内に百万、二百万、ぽかぽか賞品をもらっていく。これを見ておると、もう働くのがいやになった、こう感じはしないだろうか。全くもってばからしいようなものが、はがき一本出してそこへ行って、業者は自分のコマーシャルをどんどんして、とんちが働く者か頭のいい者か知りませんけれども、百万、二百万、世界一周ができる。それを見たときに、ほんとうにまじめに働いている人たちは働くのがいやになる、こういうことを私は考えるんです。  そういう番組についてもっともっと関心を持って、こんな官製モニターなんかに力を入れずに、こういう点に郵政省は力を入れなければならない、こう思うんですよ。不明朗な記念切手、大臣切手なんか発行されて、そういうところは一生懸命やられるけれども、一般国民のそういった健全な――国民ほんとう考えてもとうかと思う郵便行政を私は遺憾に思う次第でございます。ですから私は、さらにもう少しこれを詳しく突っ込んで大臣にもお伺いしたい、こう思うんです。あす大臣お越しになるので、それに関連してもっともっと私はお伺いしたいと思うんですけれども政務次官として今後のあり方について御所見を承りたいと思うんですよ。
  175. 小渕恵三

    小渕政府委員 いま先生が御指摘を申されましたことにつきましては、よくわかるような気がいたしております。しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、これは民放連といたしまして、その基準を設けまして自主的にこうした問題に対処しようということでありますので、郵政省としては、そうしたことに期待をいたしておるということであります。  なお、モニター制度の問題が出ましたが、実はこういったクイズ番組に対して、その賞金の多寡いかんというような問題について、国民がどういうふうな考え方をいたしておるかということは、実はこのモニター制度を通じて把握ができればというようなことも、モニター制度を提起したゆえんであったことも御承知おきいただきたいと思います。
  176. 樋上新一

    ○樋上委員 そういうようなモニター制度をやらなくても、いろいろな全国PTA、NHKをはじめとして、民放の俗悪番組を遺憾と思われている人々が寄ってつくっているものが三十数団体があり、それから番組向上委員会等がございます。それらが活動をしてくれるのであって、何も郵政省がモニター制をやらなくたって、そういうところがやればいいんです。逓信委員会のほうで放送委員会ができまして、いろいろな点でそういう人たらと懇談して、健全なテレビの発展と同時に、もっともっと楽しんでテレビを見るということ、そうして向上していく、文化が発達するというような点にやっていけばいいんですよ。いま民放が規制をしてみてどうのこうのというが、ほんとうに積極的な姿勢がないから、公取にこういうものを出されて、まだそれに対してどうしていこうかという、そういう点が、私は遺憾と思うんですよ。その点今後十分に公取のやり方を監視というか激励をするなり、またみずから進んで、ほんとう国民の娯楽に供しても、その娯楽が俗悪でないように、そういう点に私は力を入れてもらいたいと思う。  この問題は以上で終わりまして、今度はNHK郵政省関係のあります沖繩関係の問題についてお伺いいたしたいと思います。  来年、沖繩が返還されますが、復帰後の対策として、電波放送その他いろいろな問題について、郵政省はどうお考えになっているか。
  177. 福守博一

    福守説明員 お答え申し上げます。  沖繩の復帰につきましては、現在各分野におきましてその円滑な取り運びに努力いたしておるわけでございますが、放送関係におきましても鋭意その検討をしているわけでございます。具体的には、沖繩の公共放送の扱い方などにつきましても、NHKとも十分打ら合わせを行ないまして、復帰後すみやかに本土と同じような業務の遂行が行なわれますように取り運びたいというふうにしているわけでございます。
  178. 樋上新一

    ○樋上委員 いまの答弁、さっぱり要領を得ませんね。これはやはり総理府のほうから答えてもらうほうがいいのですかね。総理府のほうが復帰に伴って郵政省関係、どういうぐあいに法律が改正されていくのかという点、いまの御答弁ではどうもわかりにくいのですが、総理府のほうを通じなければわからぬのですか。
  179. 齋藤清三

    ○齋藤説明員 お答えいたします。  お尋ねの沖繩の公共放送の取り扱いのことでございますけれども、ただいま私のほうが中心になりまして、沖繩復帰対策要綱第二次分というのを策定中でございまして、近く閣議決定をいたすことになっておりますが、この中におきまして、OHK、つまり沖繩放送協会及び沖繩におきます公共放送の取り扱い、これをきめることを予定いたしております。この大体の考え方は、沖繩放送協会の根拠法でございます沖繩放送法が復帰と同時に失効をいたしますので、つまりOHKの根拠法がなくなりますので、OHKはそのまま事業を継続し得なくなります。したがいまして、OHKのただいま行なっております放送業務は、復帰と同時にNHKがこれを引き継ぎまして実施していただく、こういうふうに考えておるわけでございまして、こういう方向で現在郵政省と話し合いをいたしているところでございます。
  180. 樋上新一

    ○樋上委員 沖繩復帰第二次要綱案が総理府から発表されておるのですが、これによると沖繩放送協会、OHKの公共放送業務を復帰と同時に日本放送協会が引き継ぐことになっている。NHKはOHKの財産、職員等を全部引き継ぐのか、このことについてNHKと政府とはどのような検討をしておるのかということをお伺いしたい。
  181. 福守博一

    福守説明員 お答えいたします。  ただいまお話ございましたように、復帰対策の第二次要綱案では、OHKが行なっている公共放送業務を復帰と同時にNHKが引き継ぎ実施するということになっておるわけでございますが、その具体的方法は、現在のところまだきまっておらないわけでございます。先ほども申し上げましたように、NHKとも十分打ち合わせを行ないまして、遺憾のないよう対処する考えでございます。  なおOHKの財産、財政の状況でございますけれども、御案内のとおりOHKは沖繩放送法によりまして昭和四十二年十月二日に設立された政府関係機関でございまして、その資本金は二百六十二万七千ドルでございます。この資本金は全額琉球政府からの出資になっておりまして、現金七十万ドルと日本政府から琉球政府に無償で譲渡いたしました先島地区放送設備等の評価額、これが百九十二万七千ドルとされておりますが、そのような資産からなっているわけでございます。資産といたしましては、昭和四十五年六月末におきまして土地、放送設備、建物等その額が二百九十万ドルとなっているわけでございまして、OHKの財務諸表によりますと、設立以来毎年赤字決算になっております。これは沖繩の公共放送の出発が、すでに沖繩地域におきまして民放が放送さ肥れていて、あとから放送がスタートしたというようなこともあろうかと思いますけれども、四十五年六月末では累積欠損金が百四十五万五千ドルというような状況でございますので、この扱いにつきましては、総理府等とも十分連絡の上でなお必要な検討を加えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  182. 樋上新一

    ○樋上委員 先ほどちょっと落としましたけれども郵政省のほうの郵便行政の熊本への引き継ぎの点はどうなっておりますか。
  183. 太原幹夫

    ○太原説明員 郵政省は郵便、貯金、保険、電波関係でございますが、私ども電波関係の者しかただいま来ておりませんので、郵便、貯金、保険の関係を直ちに呼ぶようにいたします。
  184. 樋上新一

    ○樋上委員 NHK会長にお伺いするのですが、いまNHKとまだ検討はしてないというようなことでございますけれども、先ほど琉球政府の出資七十万ドルですね、それからNHK三億五千万円ですか、無償貸与、日本政府の出資が先島地区に現物出資百九十二万七千ドル、こうしたOHKの財産について、NHKはどう引き継いでいかれるのでありますか。
  185. 前田義徳

    前田参考人 先ほど郵政省側からお話がありましたが、私どもの心組みとしては、OHKは沖繩放送法によって設置されており、その本質は政府機関の一部になっているような法律でございます。したがって、先ほど総理府の方がおっしゃいましたように、これは本土に戻るわけでございますから、沖繩放送法はその時点において消滅する、逆に日本の本土の放送法沖繩に出ていく、これが法的根拠の第一の出発点となると考えております。その場合に、沖繩放送法によって与えられたOHKに対する出資的あるいは助成的な問題は、その金額のいかんを問わず、NHKとしてはNHK負担すべきものでないという考え方を持っております。ただNHKの立場からいいますと、本土の放送法が新たに延長施行されるわけでございますので、業務NHKが引き継ぐというたてまえについては、全く異存は持っておりません。  したがいまして、NHKが処理すべき問題はどういう点と関連してくるかと申しますと、まず第一に、OHKの業務NHK業務と全く同じものかどうかという点であります。NHKは現在音声放送三波、テレビジョン放送二波の放送を行なっております。しかし、これに対してOHKは、テレビジョン放送一波の業務ばかりでございます。したがいまして、NHKとしてまず考えなければならないことは、沖繩の同胞に対して本土並みのサービスを提供しなければならないという考え方であります。したがって、沖繩業務引き継ぎと関連して一番重大な問題は、現行でいえば音声三波、テレビジョン一波の沖繩全土に対する建設計画をどうするかという問題のほうが、私どもにとってはより重大な問題であります。それと関連して、業務を引声継ぐという点から申しますと、現在の沖繩放送協会の建物、土地、施設との関連をどうするか、現在OHKで放送に従事している人々の処遇をどうするかという二つの具体的な問題が今度は出てくると思います。  第一点につきましては、沖繩放送協会に対して、国会の特別立法に従って三億五千万円の施設の供与をいたしておりますが、これは同時に沖繩放送協会NHKとの間で一つの協定ができておりまして、この所有権はNHKにあるということにすでになっております。したがいまして、この点に関しては、何ら問題は起こってまいりません。  問題は先島地区の問題でございますが、これは本土政府が琉球政府を援助するというたてまえで、これまた特別の法律によって先島テレビ局を建設されたわけでありまして、これらは形式的に考えますと、やはり私は、本土政府と琉球政府の関係になる、このような解釈を当面いたしております。しかし、業務を継続するという見地から、われわれのたてまえから考えますと、業務を受け継ぐというたてまえでは、今後の運営はNHKがしなければならないだろうということを考えております。  それから、現在のOHKの放送局本館の建物については、これを利用する場合、NHKはやはり建設計画の一部としてこれを買い取るかどうかの検討を必要とするだろうと思っております。  それから第二点の、返還時において沖繩放送協会で働いておられる方々は、たてまえとしてNHKはこれを引き継ぐ気持ちを持っております。  当面私ども考えているのは、以上のようなことでありますが、ただ一つ新たな問題が生じてまいります。それはOHKが現在徴収している聴取料の妥当性をも検討する必要があるであろうということであります。繰り返すようですが、先ほど申し上げたように、現在NHKは国内放送として音声三波、テレビジョン二波、それの事業計画上出てくる聴取料というものの御決定を、当委員会お願い申し上げていたわけでありますが、現在琉球の公共放送としてのサービスの限度は、これに比べますと約五分の一、形式的に計算しても五分の一である。この点を、過去二十五年間、いわゆる占領治下で苦しんできたわれわれの同胞のために、沖繩放送協会が決定した現行料金でいいかどうかを私としては検討してまいりたい、このように考えております。
  186. 樋上新一

    ○樋上委員 いま会長のお話を聞いていまして、私が質問しようと思っておりましたのは、現在沖繩放送局のOHKを引き継いだときに、その従業員はどうするか、それからそこにおる人の中には非常に高齢者もおると聞いておるのですが、この人たちの待遇をどうするか、また役員等に対する待遇などはどういうぐあいにされていくのかというような点を私たちは非常に心配しているのであります。会長がそれを一つの重要な問題として入れておると言われておるのですから、私もそれを了といたしまして、さらに、OHKは現在白黒一つですね、ですから今後は、本土へ復帰したときにはやはり本土と同じように、カラーテレビ放送が将来いつごろできるのか、その実施の御計画はありますかどうか。
  187. 藤島克己

    藤島参考人 お答えいたします。  先ほど来会長お答えいたしましたように、沖繩復帰後は当然本土並みのサービス放送をいたすつもりでございます。ただいまの御質問のカラーテレビにつきましては、本土と沖繩の間の中継回線が、カラー特性で現在はございませんので、これが完成いたしますれば、即刻カラー放送ができるようにいたしたいと思っております。この点については、昨年の四月末日、NHKから電電公社あてにその回線の確保について格別の配慮をしていただくように文書も出してございます。この点については電電公社のほうですでに工事に着手しておられるやに伺っておりますので、大体復帰後あるいはしばらくおくれた時点で御要求のようなカラー放送が実現できると私ども思っております。
  188. 樋上新一

    ○樋上委員 受信料についても、復帰後も当分の間サービスの実態に応じ特別措置が講ぜられるよう配慮する、とありますね。そういう点についても、サービスの実態とはどういうことか、また特別措置とはどういうことか、もう少しお伺いしたいと思うのですが、時間の関係上飛ばしまして、今度は、本土と沖繩とのマイクロ回線の現状は一体どうなっておるのか、本土並みの放送をすることができるのかどうか、この点をお伺いしたいのです。
  189. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  現在本土と沖繩の間のマイクロ回線につきましては、御承知見通し外のマイクロ回線を使用いたしております。これでテレビの白黒放送中継及び電話回線をとっております。これに対しまして、この見通し外のマイクロではどうしてもカラーテレビが電送できないこと、さらに電話回線につきましても、一つの波につきまして百二十チャンネルしかとれないということがございますので、現在四十五年度から四十七年度までの継続の計画で本土-沖繩間に見通し内のマイクロ工事をやっております。ただ、この工事は見通し内ということで、相当人のいないほとんど無人島に近いといったようなところに中継所の工事をいたしますので、現在工事をやっておりますが、なかなか難航いたしております。努力をいたしまして、沖繩復帰の時点までには少なくともカラーテレビの電送線だけは間に合わせたいという形で、現在鋭意努力中であります。
  190. 樋上新一

    ○樋上委員 沖繩から本土への上り回線についての計画はあるのですか、どうですか。
  191. 三宅正男

    ○三宅説明員 現在、NHKさんあるいは民放のほうから、上り回線について専用の申し込みが電電公社へ参っておりませんのですが、この電話回線のマイクロ工事に伴いまして、私どもとしてはやはり完全なサービスを提供します上で予備回線を準備することになります。この予備回線を使いますれば、カラーの沖繩から本土への上りの中継、これも可能になるというふうに考えております。
  192. 樋上新一

    ○樋上委員 沖繩から先島地区へは空輸等によって番組を送っているのですが、マイクロウェーブ施設設置は具体的に可能なのかどうか。
  193. 三宅正男

    ○三宅説明員 ちょっと私具体的な距離を忘れましたが、沖繩-先島間は見通し内のマイクロがどうしても通らない距離になっておりますので、現在私どもの持っております技術――マイクロ関係につきましては、別に世界に劣りはないと思っておりますが、この技術ではちょっとテレビ中継は不可能でございます。現在先島へ向けてつくりましたものは、電話を数十回線かろうじてとれるという程度の性能しか持っておりません。
  194. 樋上新一

    ○樋上委員 NHKから電電公社の米澤総裁に要望が出ておりまして、また郵政省に対する要望も出ておるのですが、NHKさんからの出ておる要望に対して、郵政省並びに電電公社は承知しておられて、そしてこのNHKの要望に対する回答その他の打ち合わせは完ぺきにできておるのですか、どうですか。
  195. 小渕恵三

    小渕政府委員 NHKから、この沖繩の問題につきましては一月十一日に口頭をもって申し入れがございました。その内容は、一つは、復帰後放送法に基づいてNHKがOHKの業務を引き継ぎ放送を行なう。二点は、復帰後は本土並みの放送を実施するという観点から、それが実施できるよう周波数の割り当てを希望する。第三に、本土と沖繩の回線の整備を要望する。特にいまのマイクロの問題も含まれておるわけでございます。そこで、この沖繩における公共放送の実施につきましては、ただいま申し上げましたように意見が求められておりますが、これらにつきましては、その一部は目下検討中の沖繩復帰対策第二次要綱案の中で配慮するよう、検討を進めておるほか、今後における諸施策を進めるにあたって参考にいたしてまいりたいと考えておりますが、具体的なその解決方策につきましては、まだ明確な線が出ておりません。
  196. 樋上新一

    ○樋上委員 ぼつぼつ申し合わせの時間が過ぎましたという伝達が回ってまいりましたので、大臣にお聞きしたいことがまだ残っておるのですけれども大臣が明日出席するというのですが、そのときに保留さしてもらってよろしいですか。――それでは残しますけれども、最後にもう一間だけ、NHK会長お願いしたいと思います。これ一問で終わることにいたします。  沖繩にはアメリカ軍の放送と極東放送とVOA放送があるのですが、極東放送、VOA放送とは一体どういう関係になっておるか、お伺いしたいと思います。
  197. 前田義徳

    前田参考人 これは残念ながら私がお答えすべき問題ではないように感じられます。
  198. 福守博一

    福守説明員 お答え申し上げます。  極東放送は米国の宗教系の財団法人の開設する放送局でございまして……。   〔発言する者あり〕
  199. 金子岩三

    金子委員長 静粛に願います。
  200. 福守博一

    福守説明員 宗教関係財団法人の開設している放送局でございます。現在英語の放送もあわせて実施しているわけでございます。なおまた、VOAの放送局は米国の情報局の所属に属する放送局でございまして、中波及び短波の国際放送を実施している放送局でございます。いずれも琉球政府の免許にかかるものではございません。
  201. 樋上新一

    ○樋上委員 これらの放送は、本土復帰と同時にどういう処置をするのですか。
  202. 福守博一

    福守説明員 お答え申し上げます。  外国法人放送局につきましては、御案内のように、電波法の免許の欠格事由という規定がございますが、したがいまして、極東放送につきましては、これは米国の法人でございますので、復帰後はそのままの形で免許を電波法によって行なうことができないというふうに考えられます。なお、極東放送につきましては、復帰前に新たに琉球法人を設立いたしまして、琉球政府の免許を受けられるように申請中であるとも聞いておりますけれども、この問題につきましては、慎重に検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。また、現在沖繩で行なわれております先ほど申し上げましたVOAの放送局につきましては、これもまた、わが国の電波法で外国政府の無線局の開設につきましては欠格事由に該当するとしているわけでございますけれども、政府といたしましては、沖繩復帰に伴うVOAの放送局の取り扱いにつきましては、目下慎重に検討いたしているわけでございます。
  203. 樋上新一

    ○樋上委員 先ほど郵政省のほうから来ておらないということで御答弁がいただけなかった点ですが、いまある沖繩の郵政庁を沖繩郵政局にするのか熊本郵政局にくっつけるのかどうかという点については、明日大臣に質問することがありますから、その際同時にこの点も承ることにいたします。  以上で私の質問を終わることにいたします。ありがとうございました。
  204. 金子岩三

    金子委員長 栗山礼行君。
  205. 栗山礼行

    ○栗山委員 時間をひとつ気にしながら御質問を申し上げてまいりたいと思いますので、できるだけ簡潔に要点を、しかも親切に御答弁をちょうだいしたい、かように考えております。  私、本論に入りますまでに、ぜひ前田会長だけの御答弁をいただくということを考えておりません。このことは、若干前田会長の名誉に関する問題等も記事の中身に示されておる、こういうことでございますから、ひとつ尊敬申し上げる小野副会長からむしろ適切に真実を御答弁いただきたい、かように考えております。  私、過般選挙区へ帰りますときに、東京駅で三月十五日付の週刊サンケイをふと買ってまいりました。いろいろ中身を読んでまいりますと、私にぴんとくるような内容がございました。おそらく、真偽性は別といたしまして、多くの問題を提起する、週刊誌といえども記事でございますので、お読みをいただいたかと思うわけでありますが、御承知の「ついに官僚体質を暴露!「新聞記者のブンザイで……」と視聴者不在の暴言ぶり」「記者クラブが激怒したNHK飯田広報室長の“口害”」こういうふうな大きな記事で、中身を私三回ばかり読んでまいりました。いろいろこうながめてまいりますと、単にディック・ミネさんであるとかあるいは記者クラブの諸君にだけというようなことじゃなくて、元NHKの同僚や先輩なんかでいらっしゃる方も、飯田君なればそういうことを言いかねないだろう、こういうふうな肯定的な裏書きも記載されておるわけでございます。読んでまいりますと時間がございませんから――私はやはり協会としての品位、カラーがあると思います。基本的には協会の姿勢という一つの基本的な問題に入るかと思うのでありますが、若干官僚体質というような一つの表現でございます。べらんめえ調で、ディック・ミネについて、おまえなんかのぶ男にNHKが出すかというような記事になってまいりましたり、あるいは新聞記者のやろうどもが、こういうふうな放言をされたと記事に載っておるわけであります。私は全くわかりません。したがって、NHKの名誉のためにも、またこの真偽性をきわめて明確にするためにも、ひとつ小野副会長からこの真偽のほどをまずお伺いを申し上げたい。
  206. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  ただいまの記事は、私も記事としては読んでおります。事柄の真実であるかどうかにつきましては、その場に立ら会っておりません。当該の本人からも事情を聞いておりますけれども、自分も被害者だ、そんな発言はしなかったと言っておりますので、どういう経過でそういうニュアンスの記事になったのか。これは私、それが完全に間違いだとかどうとかいうこととは申し上げません。ただ、NHKの体質に関する問題につきましては、それが栗山先生の、前田会長の名誉にも関する、あるいはNHKの性格としての問題にも関連を持つのではないか、こういう非常に一面きわめて御好意のある御質問と承っておるわけでございますけれども、この点につきましては、いわゆるその官僚性というものがどういうことをさしておるのか、これも明確でございません。  おそらく推察いたしますのに、非常に独善だ、世の批判に耳をかさない、こういうような意味合いにおけるそれであろうと思います。世間、たまたま官僚性の弊害につきましては、あるいは非能率であるとか独善であるとか、いろいろ言われますけれども、そういう非能率というようなことではなく、非常に独善的で、俗に言えば頭が高い、そういうようなことにとれるようにも思いますけれども、この面につきましては、前田会長も常々本部におきましてもそうでありますし、地方局長をまじえての全国の局長会議におきましても、時時何度も官僚性を排除しなければならぬ――これは現実に官僚性があるからという意味ではございません。そういう官僚性の弊に堕してはいけない。国民のための放送でありますので、ほんとうに忠実に国民の希望せられる線に沿って運営しなければならない。そういう意味合いからいえば、非常な勇気と、事柄の処理にあたっては即断即決を要するわけでありますけれども、いわゆる官僚性に付随したそういう面についての慎重考慮というようなことは排して、現実にある効果をあげますために即断即決で問題を処理していく。事柄を聴視者の立場に立って問題を考えて、NHK内部の事情によってそういう必要なことが阻害されることは非常に困るということは強く主張しておりますので、前田会長の名誉に関する問題とはこれは関係ないと思います。また、いわんやNHKの体質につきましても同様でございましょう。会長のそういう趣旨を体しまして、一万六千職員すべてそういうような線で、ほんとう国民のための放送機関であるという面に徹して運営に当たっておる次第でございます。  問題の、飯田広報室長がそのような発言をしたかどうかの関係につきましては、私先ほど申し上げましたように、その場に立ち会っておりません。本人のいろんな話を聞きますと、そこに書いてあるようなそういう発言を毛頭しておらない。いわんや、それは同じ言論報道関係の機関でありますし、他をそのような立場で見ることはみずから天につばするものでありますし、そういうことがあろうはずがない、こういうことを申しております。そういった点で、それではそこに非常なあやまちがあれば記事を直してもらうかどうかという問題にもなりますけれども、これまた同業の立場といたしまして非常におとなげない問題にもなりますし、それがさらに話題を呼んで非常に紙面をにぎわすようなことになることは、これはひとりNHKばかりでなく、言論界全体の国民に対する信頼をつなぐ意味においてもとるべき方法でない、このように考えておるわけでございます。そういうような状況でございますので、何ぶんよろしく御了承を賜わりたいと思います。
  207. 栗山礼行

    ○栗山委員 御答弁のおおむねの点は私、了解できるのでありますけれども、ただその中心点については、そういうことがあり得ないという否定をされておるのです。それは飯田さんを、こういう記事を中心として、君の言動いかにというようなことも、平素の言動等を通じていろいろ御検討なり、あるいは自問もされたやに私は存じますけれども、御本人も明らかにこれは否定しております。記者クラブとの会談もしておりますし、二回目の記者クラブとの会談においては全くその不徳をわびておる、こういう内容で、そういうことを申し上げたかどうかということは明らかにはいたしておりません。ただ、同僚や関係者が、その人の性格や平素の言動を見て、あり得ることだ、こういうことが言われておるということでございます。私があえて前田会長の名誉に関する問題というのは、やはりまあ役所でいいますとNHKの官房長的役割りを持つという重要な人であろうかと思いますし、これの伝えるところによりますと、前田会長の目に入れても痛くない人材である、こういうように――これは人間は好きな感情もありますから、それは決して否定すべきものではございませんけれども、役職なりあえて前田会長を援引いたしましてこの問題を触れておるというところに、名誉に属する問題ではないか、こういう理解をいたしたわけでございます。私はやはり今日の政党の無力と政治統治能力の欠如によりまして、官僚の悪弊の極致にあるということを率直に見ております。NHKが官僚的性格かということにつきましては、その議論を差し控えてまいりた  い、こういうように考えるのでありますが、いやしくもNHKが官僚化するとかいうようなことであれば、これは重大問題だ、こういうことでこの問題を第一発にお伺いをいたしたわけであります。お読みになったのでありますし、これ以上私は重ねてこれを追及いたしません。  最後に、いま小野副会長からいろいろお話がございましたが、NHKのカラーといいますか、パターンといいますか、基本的姿勢というものはどういうふうに会長が持って、堅持されて、御指導されておるか、こういう点について会長からお伺いを申し上げたい。
  208. 前田義徳

    前田参考人 ただいまの問題につきまして、私自身に関して非常に御理解ある特別措置をとっていただきまして、まことにありがとうございます。私は、副会長はじめ、それぞれ放送法規定に従って幹部を任命しておりますので、その幹部全体に対して、飯田君をも含めて、私が非常な信頼を置いているということは事実であります。特に飯田君だけを特別扱いにしているという意味は私にとってはございません。ただこの問題については、すでに副会長から御説明申し上げてありますが、私としては、事の真偽のいかんにかかわらず、かような誤解を受けたとかあるいはかような理解のしかたをされるような言動をとったことについては、まことに遺憾であると私は考えております。  私はかねがね諸先生の御質問に答えて申し上げているとおり、NHKは全国民の機関であると思っております。この全国民の機関の経営をまかせられたのがわれわれであって、したがって、公共放送というものは、現行放送法のきわめて簡単な常識的原則に立ってみて、これはわれわれのものではなく、国民のものであるという考え方を堅持いたしております。したがって、制度上協会内にそれぞれの管理形態としての地位あるいは名称その他ございますけれども、これは局内の事務的措置の必要のためにある制度でありまして、国民全国聴視者との関係においては、局内の一つの管理制度は何らの意味をも持たないというのが私の考え方であります。したがって、私としては同僚に期待している点もすべてこの点から発する発言なり考え方でございまして、私としてはNHK全部をあげて、一万六千をあげて国民のあるいは聴視者の、具体的には御信頼にこたえ得る執行機関たり得たい、これを私の信条といたしております。
  209. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへん識見の高い姿勢をお聞かせいただきまして、さらに信頼の念ますます深めてまいる、こういうことでございます。以下、若干御質問申し上げる点につきましても、いろいろ率直にかつひとつ識見の高い立場から御答弁をいただきたい、かように考えております。  この委員会におきましてこの承認案件の審議に参加いたしましたこと数年ございますが、主として前田会長が御答弁されておる、こういうことで、多士済々のそれぞれの分限によるスタッフの方がお見えになっておりますから、必要の度合いによって会長の御答弁を求めるということでありまして、主として御担任の御答弁で私は了承し、それでけっこうだ、こういうように考えております。  まず第一に、四十五年度におきます承認案件に附帯決議が五項目つけられまして、御承知のとおり、「政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施につとむべきである。一、テレビジョン放送のUHF帯移行を円滑に推進すること、一、テレビ難視対策を積極的に推進すること、一、放送法の精神にのっとり、放送による表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。一、協会は、知識社会、技術革新の世代に即応し、放送番組の充実、向上につとめること。一、協会は、経営の近代化、業務の効率化をはかり、従業員の待遇改善に資すること。右決議する。」というのが四十五年度の附帯決議であったか、かように考えております。この五つの問題について、これを体してNHKはどのようにお取り組みをいただいたかということについて、所管の関係者から御答弁をちょうだいいたします。
  210. 藤島克己

    藤島参考人 最初に、UHFの移行についての円滑をはかれということと、難視聴解消についてどうしたかという御質問でございますので、私が最初に御答弁をいたします。  御承知のとおり、昨年度そういう附帯決議がつけられて予算が実施に移ったわけでございますので、その線に沿いまして、UHFの移行の問題につきましては、第一番に都市におけるUHFの電波状況についてなお十分でない点がございます。それから東京大阪のような大都市でありますと、従来になかったような大電力の放送装置をつけませんとUHFの電波が十分届きませんので、そういう意味で、送信装置の設計製作そのものに一つ問題点がございますので、その両者をあわせて今後のUHF移行の資料にするために東京大阪にUHF実験局を、東京は十キロ、大阪は五十キロでございますけれども、これを実施いたしまして、以上申し上げました真空管の問題とか空中線の問題とか、いろいろ設備そのものの設計製作上の問題を検討いたしました。この点については、今後この種の放送装置を日本において製作実施に移すことに不都合はなかろうという結論に達しておるわけでございます。なお電波伝搬につきましては、その土地の状況あるいは東京のように非常に都市が高層化する問題もございますので、なお検討を継続中でございます。  次の難視聴解消につきましては、昨年度二百四十局、今年度は二百二十局でございますけれども、われわれが具体的に実施し得る可能の最大限度におきまして難視聴の解消をはかってまいったわけでございまして、先ほどから話が出ております長期構想の四十七年度末になりますと、残存の難視はほぼ五十万程度でおさまるではないかという見方をしております。ただ、先ほども申し上げましたけれども、その五十万のうちの三十万ぐらいは非常に過疎地帯、二軒とか三軒とか、谷間、谷間にあるようなところでございますので、この三十万の解消については、また有線共同聴取方式その他を考えまして、極力努力をしてまいりたいといま考えておる次第でございます。
  211. 川上行蔵

    ○川上参考人 昨年御決議いただきました第三項と第四項は、放送番組の内容に関することが主だと存じます。そういう意味におきまして、私たちは四十五年、さらに明年度の番組にかけまして、この御趣旨の点は放送法の基本精神でございますから、十分に実施してまいっておりますし、また今後も実施したいと思っております。特にこの数年来、いろいろな情報が数多く出てまいっております。そういう意味におきまして、その情報の中でNHKが信頼を博するためには、NHK放送しますニュースとか教育番組とか娯楽番組とか、そういうものが他にぬきんでて信頼されるということが一番大事じゃないか、このように考えております。と同時に、社会全体がいろんな形において、科学的にも進歩しておりますので、一番おくれておりました科学技術、そういう面が人間生活と結びついて、人間の向上という角度から考えられていかなければいけませんので、科学番組の中で特にそういう面を強調してまいり、明年も強調していきたい、このように考えております。
  212. 佐野弘吉

    佐野参考人 午前中にも同一御趣旨の御質問がございましてお答えするところがありましたから、簡略にさせていただきたいと思いますが、辺地の共同施設関係では、予定よりも一万六千世帯をふやして、このために四億四千万円という増収振り当てあるいは他の財源の流用というようなものを含めまして、四万八千世帯であるべき年初の計画を六万四千世帯にいたして、地方におきます難視解決をはかり、改善世帯の増大をはかりました。この点は、午前中御報告をいたしたところでございます。  次いで、多少小さくなりますけれども、四十五年度におきましては、京阪神なり名古屋なり福岡なりの、いわゆるCATVへの出損行為等がございますし、また午前中にもございました、いわゆる都市におきます建造物の難視という問題につきましては、四十五年度におきましては、処理件数が三千百二十、改善世帯が六万一千というような形で、いわゆる都市難視の改善に努力をいたす等、これはひとえにNHK予算案に対します衆議院の附帯決議の第二項を履行いたすべく四十五年にとった措置でございます。
  213. 志賀正信

    ○志賀参考人 四十五年度予算の際に賜わりました附帯決議の第五項の、従業員の待遇改善の問題でございますが、四十五年度予算に際しまして御承認いただきました給与改善率一〇・九%をもちまして、予定どおり実行いたしてございます。また賞与につきましては、従来の五・三カ月に対しまして〇・二カ月を増加いたしまして、五・五カ月といたしまして、これも御承認のとおり実行いたしております。  なお、けさほどから御審議いただいております四十五年度中の受信者の増加等に伴いまして――これは職員全体の非常な努力によりまして、いまのところでは三月末までに修正をいたしまして、予定の三百六十万のカラー受信者の増加というものが期待できるところまでまいりましたので、約十億円の増収が出てまいるかと思います。これにつきましては、四十五年度に御承認をいただきました予算の総則に基づきまして、その一部を職員の特別の給与に振り当てをいたしてございます。その額は約四億二百万円でございまして、基本賃金の〇・二カ月分に一万円を加えたものを基準といたしまして、職員の特別の労力に報いております。以上でございます。
  214. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま御説明をいただきました中で、第三点の「放送法の精神にのっとり、放送による表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。」こういう問題について、番組編成の過程の中で若干お伺いをいたしてまいりたいと思いますが、いま、第五番目の「従業員の待遇改善に資すること。」ということで御調胆をいただきました。私の承りましたところによりますと、他の民放と違いまして、あるいは予算の編成の過程において、その年度のベースアップ及び諸待遇を協議、決定するという、NHK方式といいますか、まことに特筆すべき内容を持つ団交及びその他の折衝で円満妥結をされておる。こういうことについて、そのNHKの特質を私は古い労働運動家の一人といたしまして頭のすみに入れておるのであります。これはこれなりにいろいろ予算とのかね合いにおきまして、あるいは四十六年度の経済の見通し等々から御決定されたことでございましょうから、とかくこれを御批判申し上げることは避けてまいりたいと思います。  ただ一点お伺いいたしたいのでありますが、私、過般選挙区に帰りまして大阪府庁に参りましたときに、NHK大阪放送局に、数は読めませんが、私の目の子勘定で五十本ばかり、そういう折衝の過程で民放その他の赤旗が立てられておる。まことに壮観な感じがいたしました。あなたのほうの団交方式といいますか折衝過程においては、おそらくスト権の確立とかあるいはストライキというような事態に発展するという内容のものでないと、こう理解をいたしておるのでありますが、そういう折衝の過程で、これはあなたのほうの労組の一つの戦術的取り組みでございましょうけれども、まことに奇異な感じがいたしました。これは、長年の皆さんが自信と誇りを持っていらっしゃる労使関係の中におけるこういう一つのできごとについて、どういう変化があったのか、あるいは重点拠点として大阪放送局がそういうふうな姿になったのか、よく存じません。あるいは全国的な視野でやられたのか、よく存じませんけれども、その間の過程というものについてこの際承っておきたい。ということは、私は、模範とすべき労使関係の諸問題の解決方策という独自性を持っておられたということを頭に入れつつこの問題に奇異を感じた、こういうことでございまして、これをお答えいただきたい。
  215. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 ただいま栗山先生からお話がございましたNHKの労使交渉は、御了解いただいておりますように、私ども全く自主的な立場において交渉を進めております。組合側もまた別の意味で自主的に協会との交渉を進めているというのが現状でございます。大阪の事態につきましては、私それほどつまびらかにいたしておりませんが、全体としまして、労働組合が法律で認められた範囲内において行動することにつきましては、私どもこれ対して云々すべき筋合いのものではございませんし、また日放労も十分そういった点を考慮しつつ戦術を展開しておるというふうに私ども信じております。あるいは他の企業からの応援といったものもあろうかと思いますが、これも当然認められた範囲内における応援であろうというふうに私考えております。いずれにしましても、自主交渉の上に立って話を進め、また組合側も、そういった場合としての自主的な立場で私どもに対して交渉を進め、またストライキその他の戦術も展開してきておるというふうに信じておりますし、また過去においてもそうでございますということを申し上げます。
  216. 栗山礼行

    ○栗山委員 基本的にはよくわかるのです。私の御説明を求めておりますのは、あなたの御説明されます中に、自主交渉を相互信頼に基づいてきわめて合理的にやっておる、こういう中にあなたの大阪放送局が、またスト権が確立されたのかあるいは一つの示威的要素として行なわれたのかどうか知りませんが、赤旗が数十本立って、そうしてしかも長期間にわたり赤旗がずっと満艦飾のごとく立っておったということについて、従来の慣行から見て何らかの大きな変化があったのでないか、特異性があったのでないかということに私は疑問を感ずる、その点についてお伺いをする、こういうことなのでありまして、中身をそらされたらちょっと困るのですね。
  217. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 お答えいたします。  組合としましては、全国的にスト権を確立すると同時に、中央ですべての統制をとって戦術を展開しておるようでございまして、それから特別に離れた独自の判断に基づくような各種の戦術の展開ということはないというふうに私ども信じておりますし、また従来の例でもそういったものがございませんし、過去に比べまして今回のストライキが何か地方的に非常に特殊な事情があり、また従来と違ったパターンのもとで戦術が展開されたということはございません。それははっきり申し上げてよろしいかというふうに思っています。
  218. 栗山礼行

    ○栗山委員 私はもうこれ以上追及いたしません。ただ、NHKの四十六年度の労使関係のベースアップその他の問題を含む改善運動について、長年見ない一つの特異性があったということを指摘申し上げて、その中身については十分ひとつ分析、御検討されまして、本来持つ労使関係の正常化ということに一段の努力をいただければけっこうだというのが私の質問の要点でございますから、私の意見を申し上げて、いまのような私の質問にお答え願えない点ははなはだ遺憾でありますけれども、私は指摘を申し上げて、この問題はこの程度で終わることにいたします。  政務次官にきょうは井出大臣をはるかにしのぐ御答弁を御期待申し上げていきたいと思います。日本放送協会昭和四十六年度収支予算、事業計画及び資金計画に対する郵政大臣意見書国会に送られてまいりましたことは御承知のとおりであります。これについて、私、従来から見てまいりますと少し奇異な点がございまして承っておかなければならない、かように考えておるのです。そのことは、御承知のとおり「日本放送協会(以下「協会」という。)の昭和四十六年度収支予算、事業計画および資金計画は、おおむね適当と認めるが、」これは従来の認め方であります。表現であります。「協会は、その事業計画等の実施にあたっては、下記の点に十分配意するとともに、国民負担する受信料を基盤として運営される公共放送事業体としての社会的使命を常に銘記し、長期的な財政安定の見地にたって、業務全般にわたり能率の向上ならびに経費の効率的使用と節減にいっそうの努力を払うべきである。」これが前言でございますね。  それから一として、「テレビジョン放送国民生活に不可欠となってきている今日、なお残るテレビジョン放送の難視聴地域早期解消をはかることは、協会に課せられた最も重大な使命であり、その促進に最大の努力を傾けるべきである。」きわめて当然だと思います。  その二は、「カラーテレビジョン放送の拡充のために、カラー放送設備の整備等を積極的に行なう計画であるが、その実施にあたっては、慎重な配慮を加え、その効率的な推進をはかるべきである。」こういうことですね。これはいろいろ考えられると思うのですよ。先ほどの質疑を通じましても、四十六年度のカラーテレビ計画もお伺いをいたしました。あるいはまた私の常識論から見まして、四十六年度は推進することについて若干の危惧を抱かざるを得ないという御答弁もありましたし、私自身もさような理解をいたしておるのであります。ただし協会が積極的にこれの開発に努力するという一つの方向、目途のもとに了解をいたしてまいりたいと考えておったのでありますが、何か受けとめ方によりますと、将来の展望等を含めて、カラーテレビの推進については長期的な展望を立ててひとつ慎重に扱えということについては、ある近い時点に限界がくるのではないか、こういうような私の常識的判断もできるのでありますが、この意見書の中身というものはどのような意味を持つものであるか、こういうことを伺いたいのです。  その次に、「受信契約の締結について積極的に推進する計画であるが、協会の経営の安定および視聴者負担の公平を確保するためにも、その計画の達成に最大限の努力をすべきである。「一この点が文章からまいりますときわめて当然な文章のように思うのでありますけれども、過般の前田会長の御説明を伺いますときにおいて、料金については大体九八%というような御説明を受けたと、私、資料を持ち、かつ伺ったと思うのでありますが、この大臣意見書は何を意味しておるのか、残された二%に最大限の努力を払うべきだというのであるか、あるいはまた損失勘定として落としてまいるというようなしさいな問題等も考慮されまして、なお積極的に努力をいたすべきであるということであるか、この点がちょっと私に理解できません。「なお、収入が予算額に比し増加したときは、その増加額は、極力テレビジョン放送の難視聴地域解消を促進するための建設資金または長期負債の消滅のために振り向けるべきである。」このことが付されておるわけであります。  私の伺いますのは、カラーテレビジョンの拡充について、「その実施にあたっては、慎重な配慮を加え、その効率的な推進をはかるべきである。」ということが、文章の解釈じゃなくて、中身がどういう意図と内容をもってこういう文章表現になったか。それから三は、先ほど申し上げましたように、受信契約の締結について積極的に推進する計画であるが、協会の経営の安定および視聴者負担の公平を確保するためにも、その計画の達成に最大限の努力をすべきである。」二つの問題に触れられておるのでありまして、問題は三点かと思うのでありますが、ひとつ明確にお答えをいただきたい。
  219. 小渕恵三

    小渕政府委員 意見書につきまして御質疑がございました。全体的にすなおにお読みをいただければそれで足り得るものだと私、考えまするけれども、御指摘のようにカラーテレビジョンの拡充の問題について「慎重な配慮を加え、」ここに何か、この文書以外に、以外と申しますか、その文書の奥に考えておることについて答弁せよ、こういうことでございました。そこで先ほど来いろいろ御質疑にございましたように、NHKにおきましては四十六年度で総カラー化ということをはかっておるわけであります。そういたしますると、いずれにしてもその出費において若干の増加をせざるを得ない、こういうことに相なってまいりまして、そういった点で将来ともこうした総カラー化ということが財政的に大きな負担にならないかどうか、こういう問題、ひいては近い将来値上げ等が行なわれる危険がないか、こういうようなことをも十二分に慎重に配慮して考慮すべきである、こういう趣旨でございます。
  220. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっと次官の御答弁は私のお尋ね申し上げておることと――三点あったのです。くどく申し上げませんけれども三点あったのです。あなたは前段の二の問題を触れていらっしゃるわけです。私はその段の中の慎重配慮という問題は何を意味するかということが、平易に文章で解釈すればわからないのです。それぞれ一つの主観がございますし、また客観的にとらえて、この意味するものはどういうことかということを検討いたさなくちゃならないので、やはりその真意をわれわれに明らかにする意見書というものでなければならない、こういうことでお伺いいたしたのであります。二番目の問題は、受信契約というものは積極的に推進する計画だということは認めていらっしゃるのです。ただ、その「安定および視聴者負担の公平を確保するためにも、その計画の達成に最大限の努力をすべきである。」こういうことをいわれておるのでありまして、これは文章から読みますと、中身は何をいうていらっしゃるのか、郵政大臣はこれはわからぬということの極論すらなるのです。私は、意味するものは、相当遠大な御意見を論じてこの表現になった、こういう  ふうに理解をいたしますゆえに、あえて御答弁を求める、こういうことでございました。これはひとつ、あなたと繰り返しておりましてもどうかと思うのでありますけれども、やはり文章というものは、その意図するものを明確にどんぴしゃりと表現をするというものでありまして、こういう問題は政治性あるいは技術性を考慮すべきものでないということを私は御警告を申し上げて、この問題は終わってまいりたいと考えております。これはちょっとなっておらぬですよ。どこから見ても、文章からいくとなっておりません。――御答弁ございますか。
  221. 太原幹夫

    ○太原説明員 次官の申し述べましたことに対しまして若干補足させていただきますが、負担の公平を期するようにということは、先ほど会長は収納率というのは九七%あるいは九八%というように申し述べておられますが、これは契約した受信二者に対しての徴収率でございますが、私ども考えておりますのは、その契約以前の問題があるのじゃないだろうか。といいますのは、的確にはつかみ得ませんけれども、カラーテレビの出荷台数というのを見ますると、四十五年度で五〇%、まあそれ以上になっておりますけれども、まだ出荷台数と契約者数というのは若干の開きがあるのじゃないだろうか。それから四十六年度で申しますと、出荷予定台数に対しまして七〇%捕捉するということを申し述べておりますけれども、それが非常に困難であるかどうかは別にいたしまして、七〇%捕捉できると仮定いたしましても、三〇%というのが契約しない状態であるのじゃないだろうか、こういうことが私どもの懸念しておる点でございます。したがいまして、確かに契約しているものの収納率というのは高率でございます。ですけれども、カラー設備を持っておるけれども、それを契約しない人というのがいて、そのカラー契約負担の公平といろものが期せられないのではないだろうかということを懸念いたしましたので、そうした意見書をつけておるのでございます。
  222. 栗山礼行

    ○栗山委員 補足説明もそれなりに理解ができますけれども、私の質問の要点とははずれておると思います。もしそれだけが以前の問題として内在する観察があれば、郵政大臣も、一つ承認案件てございますから、それだけの的確なアドバイスをして、かくかくの一つの理解と見通しを持つから、かくかくの方向で留意すべきであるということを明瞭にお書きにならなければならないのでありまして、もう何年たっても同じこと。今度の意見書については支離滅裂だ。論理から言うと支離滅裂だという意見書が付されておる。こういうことで、私はあえて政務次官に御答弁を願ったわけであります。まあ、いろいろ、たいへん理解に苦しみますけれども、この問題はこれで一応御検討もいただき、また警告も申し上げたことでありますから、もう少し的確に意見書を送付すべきであるということだけ申し上げておきます。  たいへん失札でございますが、いま前田会長お聞きのとおり、今度の承認案件について五つの問題が付されておりまして、すでに御答弁になり、また私自身でも理解できる点がずいぶんございます。理解できざる点も、まああるわけでございますが、前田会長はこの意見書をどうお受け取りになったかということをひとつ端的にお答えをいただきたい。
  223. 前田義徳

    前田参考人 この意見書は、率直に、私どもは多少立場の相違からくる文章の書き方ではないかと思っております。私どもは事業というものを生きた現実の問題と考えております。これに対して大臣は、その現実の問題よりもむしろ原則の問題について警告を発しておられる、このように率直に解釈いたしますが、その大臣の御警告に対しては私どもも今後一そう心してまいりたい、このように考えております。
  224. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっとついででございまして、雑件から申し上げてたいへんなにでありますが、小野副会長、お帰りになりましたね。――おいでになりますか、ちょっと陰に隠れておりまして……。あなたはさん然と輝やく面前を持っていらっしゃるので、すぐわかるのでありますけれども、きょうはどうも……。  昭和四十五年度承認案件のときに私は御質問いたしまして、小野副会長からお答えをいただいた問題がございます。ただし、はなはだ残念だということばをつけまして御答弁を伺ったのでありますが、伊丹、それから羽田の国際空港は、米軍、防衛庁基地周辺並みの受信料の免除で取り扱えないかということを昨年御質問申し上げたのであります。羽田空港も、私は専門的ではありませんけれども、態様が変わっておりますことは御承知のとおり。ジャンボもどんどん入ってまいるという状態で、たいへん難視聴及び騒音等で大きな被害が増大いたしておるという変化がございます。大阪の伊丹におきましても、わが地をひとつ引くようでありますけれども、ジャンボがすでに定期で入ってまいりまして、あの周辺の自治体がやかましく陳情いたしておりましたような問題がございますが、一そう激しくなってまいっておる。こういう情勢下にございますことは御承知のとおりでありますが、これをいわゆる基地周辺並みの扱い方にできないかということを、私は情勢の変化の態様等もあわせて、ひとつ小野副会長からもう一回、情勢の変化に対応いたしまして、依然としてゼロ回答であるか、ひとつ考慮すべきものであるかどうかについて、これは一発回答で願いたい。
  225. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  御質問の趣旨は、真正面から減免の措置でいけないかということではないかと思いますが、これは態様を異にしておりまして、基地周辺の受信者関係と国際空港関係のそれは現在取り扱いを異にしております。これは将来も変えるつもりはございません。ただ、救済の中身につきましては、大体同じような程度におきまして措置をいたしておりますので、最近のいわゆるジャンボジェットの関係における問題も考慮しつつ、基地周辺と同様に横一キロ、縦五キロの範囲におきましては、形態は別の救済機関を設けておりますけれども、減免の実質的な措置といたしましては差のないような運営をいたしておる次第でございます。
  226. 栗山礼行

    ○栗山委員 基本姿勢は昨年と同じであります。その中身は、防衛庁の分担関係がない、航空会社が持つべきかどうかという問題の一つの内容もあるわけですね。それはよく承知をいたしておるのでありますが、それらの努力を踏まえて、これも消極的の意味におきまする難視聴地域解消の一助であります。私はそのように解釈をいたすのでありますから、そういうせっかくの努力をされて、一発回答でことしは思い切る、こういうふうに御答弁をいただける、こう期待いたしたのでありますが、残念ながら原則論に終わってまいります。  いまちょっとその問題で触れられたのでありますが、羽田、伊丹の周辺は免除範囲は横が一キロで縦が二キロでしょう。ところが、基地は横が一キロと縦が五キロ、こういう周辺の取り扱いの内容を異にいたしておる。こういうことはもうすでに御承知のとおりなんでありまして、私はそれらの点から見て、内容的には若干それに味添えをいたしておりますということについては、これは政府答弁だというように思うのですが、小野副会長どうでしょうか。
  227. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいま副会長からお答えいたしました点を、さらに具体的に補足する説明をさしていただきますが、お説のとおりにむしろ現実には実行をされております。御承知のように、基地関係におきましては一キロ三五キロという関係でございまして、伊丹並びに羽田につきましては、特に伊丹におきましては御承知のような立地条件でございますので、むしろ現実的には五キロをこえて六キロくらいに延長をいたしておるというのが現実処理として行なわれております。したがいまして、この措置をとり始めた四十三年におきましては、これの該当世帯は二万一千にすぎなかったものが、今日では約六万世帯が、免除ではございませんが、受信料の助成の該当世帯として増大をいたして一おります。ただ、羽田におきましては、立地的な条件が、片方海に面しておるというようなこと、並びに御承知かと思いますけれども、産業道路をもって区切っております関係上、四十三年当時の一万五千世帯という適用がそのまま今日まで及んで、別段の苦情がないという状況でございます。要するに現実の問題といたしましては、すでに四キロも五キロもこえた現実の処理を伊丹においては行なっておるということをお答えできると存じます。
  228. 栗山礼行

    ○栗山委員 ありがとうございました。そういうふうにひとつ手段的にケース・バイ・ケースで実現化する方法をとっておる、こういう御答弁でございますから、それに信を置きまして、この問題を終わることにいたします。  午前中に阿部委員から、国際放送の重要性につきまして質疑がございまして、承りました。端的に申し上げまして、NHKが日本の外交の一翼をになっておるという一つの見方もございましょう。私は、国際放送というものがそのような一つの高い使命感と内容を負わされておるというように評価をいたしておるのでありますが、これは会長に、短いことばで、国際情勢及び激変する国際間の中にあって、国際放送NHKの位置づけといいますか基本的な心がまえ、あるいはまた今後の具体的な構想の策施というものについて、端的にお伺い申し上げたい。
  229. 前田義徳

    前田参考人 私どもは、NHKが行なっている国際放送は、単に政府の外交政策に寄与するということだけを考えておりません。私どもはやはり放送を通じて各国民からの理解と友好を深めていくというところに重点を置いております。その結果として、あるいはそれに付随して外交的な理解も成り立つかもしれませんし、あるいは経済的な理解も成り立つかもしれませんし、また文化的な相互理解も成り立つことだと思っております。そういう意味で、私どもは、昭和三十四年の放送法改正でNHKの本来業務であると規定されたことに、むしろ満足感を持っているということを申し上げたいと思います。
  230. 栗山礼行

    ○栗山委員 私の外交の一面というものは、政府の意図する外交路線に基づく外交ということでなくて、NHKの独自性の国際放送の役割り自身が、いわゆる国民外交といいますか、日本の外交的一面の高い使命感がそこに内在するのではないか、こういう一つの理解の外交でございますから、そういう御理解をいただいておるかと思いますけれども、そのように考えております。  これは担当の方でけっこうでございますから、日本の国際放送と外国の国際放送との差異というものはどういうものか、ひとつ……。
  231. 前田義徳

    前田参考人 現在NHKで行なっております国際放送は、方向にして十八方向、ことばにして二十三カ国語、使用の波については大体二波が限度になっております。これに対して、国によって多少異なりますけれども、たとえば非常な先進国では、国際放送の波は大体三波以上八波の間の波を使用しております。方向等についても、国によって必ずしもNHKの十八方向にはとどまっておりません。そういう意味で非常な差があることは事実であります。しかし、番組が親しまれている、各国民受信されているという点では、ロンドンにあります海外放送の聴取者連盟的な調査の結果によりますと、NHKの海外放送は常にベストスリーの中に入っているということを申し上げたいと思います。
  232. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへんけっこうでございますが、特異性もあり、また諸外国から見て劣る点の要素があるのだ、こういうふうな御説明をいただいたと理解をいたします。私はなぜこういうことを言うかというと、今度四十六年度で初めて一千億という大台をこえた予算だと、こういうふうに敬服しつつながめておるわけでありますが、国際放送経費が七億六千万なんですね、あなたのほうのこの資料を拝見いたしますと。まことにひとつ予算規模の上において足らざるものがありはしないか。あるいは国際放送にどのように力点を入れていらっしゃるのかという点について実は疑問を持ったのでありまして、あえてお伺いを申し上げた、こういうことなんでございます。これはいま四十六年度の国際放送の番組編成その他の行事について七億六千万というものは妥当なる金額でしょうかどうでしょうか。
  233. 前田義徳

    前田参考人 当面私は妥当な金額だと思っております。ちょっとつけ加えますと、昭和三十四年に放送法が改正された際、両院の当委員会において、将来国際放送の支出の限度はどのくらいになるかという御質問をいただいたことを記憶いたしております。その際私は、将来長い予測は不可能ですが、少なくともNHK考えている国際放送の費用はおそらく六億から七億の間であろうということを申し上げており、これは記録に残っておることと思っております。私としては、当面これが国民の聴視料を基盤とする国際放送という点から申しますと、この辺の支出が当面は最も妥当な金額ではないか、このように考えております。
  234. 栗山礼行

    ○栗山委員 小渕政務次官、午前中阿部委員の質問について、政府が国際放送に命令を出される、命令の一札を持っておりますが、ずいぶん盛り多く命令を出されております。それでこの予算が約  一億四千万何がしだと私は考えておりますが、私は前田会長にへつらうというような一つ条件もございませんし、NHKに加担するということではないが、これだけの命令の内容をながめ、国際放送として――もとよりこれは人件費とか関係費用というものは入っておらない予算の規模だと理解をするわけなんでありますが、相当大きな関係なんですね。あなたのほうの命令される国際放送に準拠して、NHKが独自性の放送とそれから命令による放送をされておると、こういうように私は二面があると思うのですが、一億四千万出していらっしゃることについて、どうも今後中身を検討していくということなんでありますが、私は時間がございませんから的確に申し上げますと、ここ数年来変化がないのです。四年間、五年間、この予算規模で一つも変化がないのです。前田会長はずばりもう少しもらいたいんだというようなことを勇敢にお話が、御答弁があったように承りましたが、これは一体郵政省として国際放送の位置づけあるいは内容というものをどのように評価をしておるかということが一つ疑問になるのです。  それから、経済上の初歩的原則からながめても、四年間も五年間も――それは中身の量が滅ってまいったからというこういうことなら別として、日本経済の実態から見てそれが幾らかなりともアップされるということが一つの常識的な姿だと思う。阿部委員は、あまりに省側が協会に押しつける、協会の財産というものは国民の財産だ、こういう税金にかわるべき聴視料というものが財産の構成だ、こういう面から見て、役所があまり専断的なことをするのは許されませんぞ、こういう意味のことが阿部委員の御質問の内容であったと思うのであります。この点についてあまりにも時代錯誤もはなはだしい。そして、その近代化とか合理化とか省力化とか、ことばだけはずいぶんわれわれの理解に苦しむほどいろいろ話があるのですが、この予算措置から見ると、一億四千万というものは中身が減ったのかあるいは国際放送というものの重要性というものについては質問者の評価と違うのだということなのか、これはひとつ統一見解を出されて明確にお答えをいただかなくちゃならぬ問題だ、単に金額が上がったということだけで理解をするものではない、評価の問題なのだ、しかも時代の推移というものから考えても、まさに百年一日のごとくありというような内容は、あなたのほうのあまりにも官僚行政のマンネリ化がありはしないかということを指摘申し上げて、御答弁をお伺いいたしたい。
  235. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  NHKが果たしております国際放送の役割りにつきましては、その高い役割りを決してないがしろにするものではありません。しかしながら、郵政大臣が命令によって行ないます国際放送に対するその原価計算上の金額につきましては、お説のようにNHKから午前中にもお話がございましたように、さらに要望があるようであります。郵政省といたしましても、さらにNHKとの間を詰めなければならないと思いますが、やはりその国際放送の地位を高く評価すればするなりに、それに値する費用は当然に支払われなければならないものと考えております。しかしながら、この間の財政的な処置の問題につきましては、率直に申し上げてまだ政府間において詰まらない点もございまして、一応一般会計上計上される範囲においてNHKにお支払いをしておるということでございますので、今後NHKのさらに御要望に、また計算に基づくところの御要請に対処して、郵政省としてもこの国際放送に対する費用の分担について検討を加えてみたいと思っております。
  236. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうも主客転倒で、前田会長がこれを上げてもらいたいという要請にこたえて私は質問申し上げたということでなくて、国際放送の重要性の評価を一ぺん伺いたい。それからあなたもひとついろいろ煮詰めるということだが、四年間も五年間も同じ状態だ、こういうことについて検討に値しないというのはそれは放置じゃないか、ここに私は官僚の停滞と独善性があると思うのだ、こういうことを私なりの論法をもってすれば、政務次官、あなたは官僚ではございませんから、ひとつお聞きをいただかなくてはならぬ点があるのです。悪い点はすみやかに改善をしなさい、やらなくちゃならないところはどんどん予算化するということでなければならぬと思います。郵便法の問題なんかのごときにおきましても、それはいろいろ理屈をつけてお出しになるが、出すほうも要りょうなだけ多とするということなら、こちらのほうもそれを必要なら多とするということに相殺しなくちゃならぬと、こういう考えでありますから、あなたの御答弁を伺って、数年間も放置をするという事実は許しがたき状態であるということを私は強く指摘を申し上げて、改善、改良の事態に即応するひとつ金額をお渡しされることがしかるべきだ、こういうことをこれまた御警告を申し上げてまいりたいと考えております。御了解いただけますか。
  237. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生の御主張よく理解をいたしますので、今後予算の編成にあたりましては十二分に検討をいたしたいと存じます。
  238. 栗山礼行

    ○栗山委員 番組放送についてちょっと、これは前田会長にお尋ねを申し上げてまいりたいと思うのであります。午前中に官側から発表されましたモニター制の問題等も、低俗化あるいは俗悪化というような、主として民放の番組に対しまする、上映に対しまする問題として発表されたことがございます。また、委員会でも、モニター制度については参議院委員会で、これを取り上げる意思がございませんということを大臣が御答弁されておるというようなことを、ちょっとわがほうの参議院議員に聞いたのでありますが、大臣いらっしゃれば、これはどうもニュアンスの問題かどうか。予算措置もしていない。そうしてしかもモニター制というものについてはこれをやめる意思がないと、こういうことについて一体大臣はどういうお考えで御答弁されたかというようなことをちょっと疑問に思うわけでありますが、これはともかくといたしまして、いずれにしても、そういう世上の大きな問題にクローズアップしてまいりましたことは、これは事実でございます。私どもの逓信委員会でも特に小委員会を設けまして、NHKにいらっしゃいました水野小委員長を中心にいたしまして、相当真摯な検討を加えておることも事実でございます。さらに番組向上委員会でも、NHKと民放によりましてその予算づけをされているということも、一向に効果があがってまいらないということも世上の評価であります。また委員それ自体についても、番組向上委員会NHK及び民放のそういう財源の裏打ちをして、そうして取り組んでまいるということがはたして番組向上の実を結ぶかどうかということについて疑問すら感ずるというような意見も私どもお伺いするという、こういうことなんでありますが、特に主として民放の問題でありましょうけれども、これはやはりラジオ、テレビという総体の中の位置づけで、NHKがそれをわれ関せずというような考え方にはまいらない、こういうような状況下にあろうかと思うのでありますが、ひとつ番組向上に対するNHKとしての前田構想という大英知がございましたらお知恵を拝借したいというのが私の質問の要点でございます。
  239. 前田義徳

    前田参考人 私も普通の人間でして、なかなか大構想は出てまいりません。ただ、NHKの最高責任者として、私は、番組をよくしなければならないというたてまえを依然として積極的にとっております。  放送事業というものには、NHKだけでなしに、御指摘のとおり百社をこえる民放もございます。構成上、私どもは聴視料に依存せよ、絶対広告行為をしてはいけない。これに対して、民放の場合は聴視料は取らせない、そのかわり広告放送を行なえということになっているわけでございます。したがって、放送という面から見れば、社会的機能は全く同一でありますが、よって立つ基礎というものは全く異なっている。そういう意味で、NHK会長放送界全体のことについて積極的発言をする場にないと考えますし、また、それは常識上もいかがかと考えております。ただ、一般的原則を申し上げますならば、たとえばNHKの場合は、明年度予算受信料による収入は九百九十億余りでございます。これに対して、けさ報道で知ったわけですが、電通の発表によりますと、商業放送が、広告料として対象になった金額は総額二千四百億余りでございます。そういう点から考えますと、私どもとしては、私どもが民放の番組向上に金を出さなければならない理由はかなり希薄ではないかという印象を持っております。  しかしそれは別といたしまして、番組を向上していくためには、私はやはり聴視者に対する奉仕の精神をより積極化すべきである。私は最近、古い貨幣論でございますが、悪貨は良貨を駆逐するという例のグレシャムの法則が、少なくとも放送事業の現段階においては、最終段階に達しておるのではないかという気がいたしております。これは私の所感でございますが、おそらくアメリカの三大ネットワークのこれまでの変遷等を考えてみましても、その他ヨーロッパのいろいろな放送事業者の変遷を考えてみましても、いまや聴視者の要求するものは、最高のスピリットを持った番組であるということはほぼ明らかになってきている。そういう意味で私どもNHKとしては、さらに番組の向上に寄与する、そしてこのことがやがて間接にあるいは国民の支持をいただいて番組全体にいい影響を及ぼすであろうということを深く期待いたしております。
  240. 栗山礼行

    ○栗山委員 これに関連いたしまして、もう一間だけ会長にお伺いいたしてまいりたいのですが、放送番組センターでございますか、これができまして、NHKが三億の出捐をされたということをお伺いいたしておるのです。この放送番組センターはどのような仕事を任務づけておるか、あるいはどのような仕事を現在いたしておるかということをつけ加えましてお伺いいたしたい。
  241. 川上行蔵

    ○川上参考人 いまお話がございました番組センターは、NHKからの一年間二億の基金と民放各社全社集まりまして集めております一億三千万、合わせまして四億三千万ほどで仕事をいたしております。その仕事のおもなものは、二つございます。一つは、番組ライブラリーをつくります。それはNHK及び民放からそれぞれすでに放送した番組を提供いたしまして、それを新しくできました局とかあるいは放送してなかった局がお互いに利用し合うという形で、特に最近UHFの新しい開局ができておりますので、そういう局はネットが弱いので、そういう番組を使ってかなり効果をあげておるかと存じます。  それからもう一つは、いま申しました基金をもとにいたしまして番組をつくっております。この番組をつくるのは、教育番組ということでありますけれども、現在は教養番組を大部分つくっております。特に地方局のほうがかなり意欲的につくっておりますけれども、ただ残念なことに、それをつくった局及びその系列だけが放送しておる関係で、必ずしも全国的に十分に利用されてないといううらみが多少残っておるのではないか、このように考えます。
  242. 栗山礼行

    ○栗山委員 政務次官にもう一つ、新聞を見ますと、有線放送の問題が昨日の閣議で決定されまして、近く国会に出される、こういうことをちょっと拝見をいたしました。有線放送の問題は、これまた一つの大きなとらえる問題点に発展をいたしてまいっておるということは私も理解できるのです。ただ、今度の国会の会期末、それから地方選挙、参議院選挙という特異性を十二年ぶりに持った、国会も自然休会に入ってまいる、こういうふうな、その中にまだNHKあり、あるいは貯金あり、あるいは保険あり、こういうふうな逓信委員会としては重要な案件がまだ未案件で今日審議をいたしておる、こういう経過の中に、あえて有線放送法案提出されるという一つの常識的根拠というか、それは一体どこにあるのかということだけ一点あなたにお伺いしてまいりたい。
  243. 小渕恵三

    小渕政府委員 お説のように今国会の会期の問題等の諸条件につきましては、私も十二分に承知をいたしております。しかしながら、このCATV法案につきましては、すでに二年前の国会におきまして提出をいたして、衆議院におきましては御可決をいただいたという経緯もございますし、内容につきましては、今回提出を予定いたしております法案は若干の変化はございまするけれども、ますますそのCATVに対するいろいろな立法の必要の度合いが深まってきたという解釈に基づいて、今回国会に御審議方をお願いする予定となっておるわけでございます。
  244. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後に、この一問で終わることにいたします。この法案提出されまして、おそらく審議未了ということに相なるというように私なりの見方をいたしておるのでありますが、それなりの提案理由を拝見いたしまして、当委員会理事会等も日程の作業の審議がされると思いますから、それなりにひとつ御答弁を承っておくということにいたしてまいりたい。  前田会長にちょっとお伺いいたしますが、有線放送それ自体につきましても、一般の総括質問の中でいろいろ会長から御意見を承ったやに私の記憶にございます。きょうはそういう有線放送というものについての評価という問題を別にいたしまして、また趣旨というものを別にいたしまして伺いたいのでありますが、これはいろいろ多面的内容を持っておるというようなこともわれわれもよく理解するのでありますけれども一つはやはり難視聴解消の一端として歴史的な沿革がある。特に都市構造の高層化に伴いまして、その種の谷間における難視聴というものをどのようにひとつ解消するか、こういうことで必要になってまいるというふうに私は一点は理解をいたしておるわけであります。  ところが、あなたのほうの放送のたてまえから申し上げますと大前提があるわけですね。たとえ二十、三十の世帯でございましても共同施設をつくりまして、そしてその難視聴地帯の解消をはかっていくという努力がされておる。本年、四十六年度は千カ所でございましたか、その施設計画をお立てになっておるということを私は理解をいたしておるわけなんです。そのように当然な義務として難視聴の解消NHK一つの役づけ、こういうことで積極的に御配慮をいただいておる。これには敬意を表してやぶさかではございません。  ただ問題は、有線放送になってまいりますとどうなんですか。片方でみずからそういう小さい世帯でも共同受信施設を設けて取り組んでまいるけれども都市難視聴についてはこれは出資だけで事足れりというようなことになってまいるのか、この点の一つのとらえ方というものを伺っておかなければ、何か割り切れないものがあるわけであります。もちろん若干ございます。それは有線放送がされましても、難視聴の解消の問題について独自路線でこれの解消をはかっていくということを文書でもお伺いするわけでありますが、ただ大きく有線放送について出資だけをされる、こういうことで難視聴の解消として理解をされておるのか、独自路線と並行してやっていくという御見解のもとに、これが通りましたら出資等も行なってまいるという意図をお持ちであるのかどうか、この点をひとつ会長から明確にお答えを願いたい。以上をもって私の質問を終わりますが、御答弁をお願い表し上げます。
  245. 前田義徳

    前田参考人 NHKの立場から申しますと、CATVというのは企業的に見れば第三の企業だと思っております。NHK放送法第七条で明白なごとく、NHKの根拠は七条にあるわけであって、全国あまねく放送を聞いたり見たりできるようにせよ、このためにNHKという特殊法人をつくるということになっているわけです。しかもNHKの任務は無線放送であります。したがいまして、私が簡単に申し上げますと、CATVとは直接には関係がないというたてまえをまず割り切っておく必要があるというように考えております。ただ第七条との関連において、いわゆる社会の進化に伴って七条の解釈が従来どおりの解釈でいいのかどうかという問題と関連して、それからまた先ほど佐野専務からお答え申し上げたように、NHK自体が都市の新構造と即応してかなりの費用をもって聴視者の利便に応じておるという点からも、われわれがCATVを、功利的な表現で申し上げますと、利用する限度はいわゆる難視対策の一部としての利用である。したがってこれに必要な場合には、CATV法案によりますと当然その点で出資という形になるやに伺っておりますが、現在のところは出損という形でこれに参加をしている。それがNHKというものの本質との関連において限度であろうというのが私の考え方でございます。
  246. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうもありがとをございました。
  247. 金子岩三

    金子委員長 次回は明十八日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会