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1971-03-11 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十一日(木曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君    江藤 隆美君       小沢 一郎君    加藤 六月君       佐藤 守良君    坪川 信三君       中村 弘海君    中山 利生君       羽田  孜君    長谷川四郎君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    森山 欽司君       渡辺  肇君    安宅 常彦君       阿部未喜男君    武部  文君       八百板 正君    米田 東吾君       中野  明君    池田 禎治君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     野村 忠夫君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     江藤 隆美君   園田  直君     小沢 一郎君   林  義郎君     中山 利生君   三池  信君     中村 弘海君   森山 欽司君     渡辺  肇君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     三池  信君   中山 利生君     林  義郎君   渡辺  肇君     森山 欽司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第二  四号)  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣  提出第五九号)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 郵便法の一部改正をめぐりまして、わが党からは六人の同僚からいろいろ質問がございました。内容につきましては私も承知をいたしましたので、できるだけ重複する点を避けたいと思いますが、いろいろ問題点がございますので、郵政省側の御答弁をいただきたいと思います。  今度の郵便法の一部改正をめぐって、きょうまでの政府側答弁によりますと、料金の引き上げによる財源を郵政職員処遇改善に充当する、こういうことが答弁されておりますが、いろいろ聞いておりましても、具体的にその内容がされておりません。私は、いま郵政事業に対して遅配なりその他の問題をめぐって国民が非常に不信を持っておる。したがいまして、郵政事業正常化ということが非常に重要視されておりますが、その正常運行確保するためにはいろいろの意見がございましたが、私はまず労使の問題の正常化、さらには特に郵便に従事する職員待遇改善あるいは環境の整備、さらには都市における要員の確保、こういうものが特に必要ではないか、このように思うのであります。したがいまして、法律の問題についてはあとで触れることにいたしまして、まず、現在特に郵便に従事する職員が、都会においては募集人員の半分にしか満たないというような状況もあるようであります。しかし一方地方においては、郵便外務についても相当数希望者があるようであります。これは地域的に見てたいへん差がありますが、特にきょうお聞きいたしたいことは、この郵便外務員定着率は一体どのようになっておるのか。私ども他委員会でいろいろ論議をいたしますと、たとえば新聞の配達とかあるいは牛乳の配達とかそういうところでも人手不足で困っておる。したがって、できるだけ高給で若年労働者採用する。これには一番手っとり早いのが郵便外務員だ。すぐにでもこれは役に立つというので、相当いい条件で引っこ抜くという、そういう経過があるようであります。したがって、現在郵便外務員定着率というのはどうなっておるのか。特に都市においての欠員状況離職状況、こういうことがわかれば最初にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 北雄一郎

    北政府委員 都市における外務員離職状況でございますが、実は四十四年に東京管内普通局外務員について調査をしたものがございます。これによりますれば、四十四年の調査でございますので、四十三年度に採用しましたもの、すなわち採用いたしましてから一年間における離職率でございますが、これが八・一%に相なっております。四十二年度に採用したもの、これは採用後二年たっておるわけでありますが、これにつきましては二年間で九%、四十一年度採用のものは三年間で一六・九%、四十年度採用のもの、これは四年たっておりますが、二〇・三%、なお三十九年度採用のもの、これは五年間たっておりますが、二六・七%、かような離職状況を示しておるわけであります。  ちなみに、同期間におきますところのやはり東京管内普通局内勤職員について見ますと、四十年度採用、つまり五年間たっているものは一七・八%離職をしておる、こういう状況であります。  なお、民間について調べたものがございます。労働省の労働市場センター調べというのがございまして、これによりますると、これは四十四年度の調査でございますが、四十一年にさかのぼって調べたものがございます。すなわち三年間で、これによりますとおおむね五三%が離職しておる、こういう状況でございます。
  5. 武部文

    武部委員 いまの数字を聞いておりますと、民間離職率よりも必ずしも郵政省離職率は悪くないというようなお話のように聞こえるわけでありますが、私ども承知するところでは、大体採用になってから四年ぐらいで三割近くがやめていっておる。これはある局の例でありますが、一年のうちに二割もやめてしまったという局があったということを私も承知をしております。東京都内です。採用して一年以内に二割もやめてしまって外務員がたいへん困ったというような例があることを承知をしております。なるほど民間企業と比較をしていまお述べになったような数字かもしれませんが、離職率のそういう数字のみをもって、この外務職というものの定着率をただ数字的に考えることは私は誤りであろうと思うのです。御承知のように、これは相当の経験がなければ配達は不可能であります。経験を積みながら、だんだん配達の速度も早くなってくるしあるいは誤配というようなこともなくなっていくという、ほかにはあまり例のない郵便外務職という職業なるがゆえに、私はこの定着率というものを相当重要視しなければならぬ。だれでもが次の日に採用すればその日に役に立つというものではないのであります。特に都市における人口の急激な移動、こういうことを考えると、いま大事なことは、都会において郵便労働者、特に外務労働者諸君定着をしていくということでなければ、誤配なりあるいは遅配なり、そういうものを解消することは困難だと私は思うのです。  そういう意味で以下続いてお尋ねをいたしますが、現在郵便外務職の人が一人当たり配達するところの物数は最近どの程度のものになっておるのか。これは東京都内を特に一つの例としてお尋ねをするわけですが、近郊それから都市中心部、そういう点に分けて、一日どのくらい配達をするのか、通数をひとつお知らせをいただきたい。
  6. 竹下一記

    竹下政府委員 外務員一人当たり配達物数でございますが、これは配達区一区について一名を配置する、こういうことを原則といたしておりますので、ことばをかえて申し上げますと一区当たり配達物数になる、かように思います。そこで東京都内の一区当たり配達物数を申し上げますと、四十五年十月現在で平均千五百二十通、こういうことになっております。ただしこの中には大口配達にかかるものがございまして、一般配達方法とは別個の方法配達をするということでございますので、それを除きましたほんとうに一人一人の外務員配達する物数はどうであるかということになりますと、平均千二百通ぐらいになります。過去五年間の傾向をながめてみますと、昭和四十一年度におきまして千五百十六通、四十二年度におきましては千五百十九通、四十三年度におきましては千五百七十八通、四十四年度におきましては千五百七十九通となっております。四十五年度は千五百二十通でありますが、これはわずかに減少いたしております。これは四十五年度におきまして外務員の数をふやしたという事情があるからでございます。  以上が東京の一区当たり配達物数ですが、これを全国平均と比較いたしますると、全国におきまする普通局の一区当たり配達物数が九百二十二通でございますから、三百通ばかり東京のほうが重くなっておる。また地方いなかのほうの特定局関係配達物数は一区当たり二百三十七通でございますから、それに比べますと東京都内配達物数は五倍くらいになっておる、こういう状況でございます。
  7. 武部文

    武部委員 いまお述べになりました東京都内物数は、都市近郊都市中心部平均をしたもののようであります。私ども調査によりますと、もう少し数が多いのであります。都市近郊普通局で大体平均いまあなたがおっしゃった千五百二十通でございます。都心局平均約二千二百通という数字が出ておるのであります。これは若干数字のとり方に相違があろうかと思いますが、いずれにしても平均して一日二千通程度郵便物外務職員人たち労働時間のうちにこれを配達をしておる。  そこでいま私どもが注目をしなければならぬのは、郵便物かさというものが非常に大きくなっておるということであります。昔と違って持って出るかさが非常に多い。おそらく皆さんも外務職諸君都内配達をしておる姿というものは十分ごらんのとおりであります。網をかけてそうして自転車に積んだりオートバイに積んだりしておりますね。非常にかさが大きくなっておる。そういうように昔と違った労働条件になっておるということを私は今回指摘をいたしたいのであります。  そこで、いま物数がわかりましたから続いてお尋ねをいたしますが、今日東京都内における遅配状況というものは一体どうなっておるのか。どの程度遅配状況なのか。これは地域的な状況を、都心なりあるいは副都心なりそういうところの状況をひとつ説明をしていただきたい。
  8. 竹下一記

    竹下政府委員 東京都内及び近郊地におきます郵便運行状況でございますが、総括的に申し上げますと、小康状態と申し上げてよかろうと思います。さしたるひどい遅配はないと思います。しかし部分的にながめてみますと問題がございますので、三月期は入学を控えまして学校関係郵便物がかなり出回るというそういう臨時物増の時期でもございますのと、都内局の中に三六協定が結ばれていない局が十局ほどある、こういう事情一つございまして、全部の局というわけではございませんけれども滞留をかかえております局におきましては一千通から多いところで一万三千通くらいをかかえております。東京都内全体で十七万通くらいの滞留、これはひどい滞留ではございません。せいぜい一日おくれでございます。郊外のほうも大体似たような状況でございまして、滞留しておる局では最低一千通から最高は一万通くらい、合わせまして七万通くらいが一日おくれになっておるということで、利用者の皆さまに御迷惑をかけておるわけでございます。目下非常勤をつぎ込みまして郵便物の送達の前後を誤らないように、滞留を早急に配達するように努力をいたしておる次第でございます。
  9. 武部文

    武部委員 いま遅配状況について相当楽観的な御説明がございましたが、私の持っておる資料によりますと、これは全国普通局のほとんどの滞留のある局の滞留状況でありますが、去年の七月、八月という時期の滞留数滞留日であります。これが半年間のうちにいまおっしゃったように急激に減ったということは私はちょっと理解できないのです。たとえば東京都で四十五年七月、浅草の郵便局滞留の日数が三十一日、だから毎日滞留しておるということですね。通数延べ二十八万五千五百通。一番ひどい、これは杉並は特殊な例がございますから必ずしも適当なケースではないかもしれませんが、同じように三十一日で八十六万九百通。ちょっと小さな局で小岩、同じように三十一日、三十五万二千七百通、これは延べ滞留数であります。これを翌月の八月にとってみましても、杉並で六十五万一千通、小岩で二十五万三千七百通という数字が出ておるのであります。これは間違いのない資料に基づいて私が申し上げておるのであります。  いま郵務局長からお話しになったように、いまのは一日の滞留数でありますから、平均していくと大体毎日郵便というものは残っておるんだということについては御異存がないと思うのです。そのように、たとえ千通であろうともそれは残っておる。千通残れば延べ三万通ということになるわけですが、そういうように東京都においては、あなたの数字と私の数字とは若干違うようだけれども、現実にこういう遅配状況がある。また先ほどから申し上げますように、郵便物を持って出る通数も、いなか集配局やあるいは地方普通局に比べて、東京都の、あるいは大阪の市内の配達数というものは非常に多い。三倍以上になっておる。こういう状況になって遅配が起こっておるわけですが、この原因は一体何だ、何によるものだというふうにお考えでしょうか。
  10. 竹下一記

    竹下政府委員 いつも申し上げることでございますが、郵便物数が毎日あるいは毎月増加していっておるということでございます。それに対しましては、人的、物的な手当てを適時適切に打つようにいたしておるわけでございますけれども、場合によりまして若干その手の打ち方がおくれるということはあろうかと思います。  それから、これは郵便を差し出す側の事情によることもございます。特に企業から出しますところの郵便は一挙に多量のものを差し出しますので、受ける側にいたしますると、予定以上の、予想外の物を突きつけられましてその処理にあわてるという事態もございます。  それから、局状によりまして郵便運行状況が左右されるわけでございまして、日報として上がってまいります滞留局の内情をしさいに調べてみますと、三六協定が結ばれてない、労使間に何らかの紛争があるとか、そういったことで気分的にしっくりいってない局において滞留をかかえておるケースが非常に多いのでございます。そういったものにつきましては、あれこれの手を講じて解決に努力をいたしておる次第でございます。
  11. 武部文

    武部委員 私はここで、ある若い郵便労働者が、これは東京都内でありますが、座談会で述べておったことをひとつぜひ聞いていただきたいのであります。これは新宿郵便局外務員座談会記事でありました。私もこれを見て、これは全くうそではないという気がしてこの記事を読んだのでありますが、この新宿外務員諸君座談会で言ったことは、都会郵便労働者、特に外務というものは非常につらい仕事だということを端的にあらわしておると思うのです。  いまは道路工事が非常に多くて車道は走れないので、やむなく人道を走る。人道を歩いたのでは二倍以上も時間がかかるので車で走ると、巡査に見つかっておどかされる。特に新宿駅東口の繁華街歌舞伎町方面はたいへんで、から身で歩くのさえたいへんなのに、大きなものをかかえて一軒一軒商店へ配達する苦労はたいへんだ。一度、人ごみの中でぶつかって全部ばらまいてしまった。それをまた道順の組み立てをするのでたいへんだったと言った青年がおりました。それから自転車道路に置いておった、それを人が倒してウインドーをこわしてしまった。そのために一万円の賠償金を取られたとか、いろいろなこういう苦労話がこの座談会の中に出ておりました。きょう、お見えになりましたが、小渕政務次官は、外務員と同じ服装をしてそうして一日そういう外務員仕事をやられたということを私聞きまして、たいへんけっこうなことだと思うのです。そういうふうに外務職というものは非常に苦労しておる。また東京ではバイクはほとんど使えませんから、みんな自転車に乗っておりますね。ところが彼らが言っておるのは、自転車のタイヤが摩滅をしてスリップしてたいへんだということを言っておるのですよ。ところが、そういうものに対して、それじゃ修理代があるかというと、なかなか予算がないために、ベルも三分の一ぐらいはみんなこわれておるというようなことを、彼らがこもごも述べておるという記事を私は見まして、特に大都市外務員というのはたいへんだという気持ちを持っております。  こういうような点について何回かここでもいろいろやりとりいたしましたが、郵便に働く職員処遇改善をどのように考えておるのか。これは私はあとでほかの部門との例をあげて申し上げますけれども、特に外務職、またたいへんなほこりの中で働く郵便関係の内外勤労働者について処遇改善しようという意図があるのか、あるとするならば一体どういうお考えがあるのか、これをこの際お伺いいたしたい。
  12. 竹下一記

    竹下政府委員 ただいま御指摘になりました諸点は、日常仕事に携わっておる外務員の切実な声でございますので、自転車の問題等々、これはよく調査をいたしまして改善につとめたいと思います。  私どもといたしましては、特に大都市外務員処遇改善につきましてはいろいろと考究をし、それを実施に移しておるのでございまして、たとえば俸給問題、これは外務員内務員に対しましてもともと基本給において差はございますが、特に大都市外務員につきましては調整額加算額といたしまして月額で六千円の加算をいたしております。そうしますと、都内外務員初任給におきまして、地方内務員に対しまして一万五百円の差があるということでございます。これは昨年、ごく最近でございますけれども、そういう措置も講じた次第でございます。  俸給によってその労に報いてあげるということを一方において考えておりますが、同時に宿舎確保ということがございます。外務員につきましては、地方から来る人が相当おりますので、この人たちにはみな宿舎確保してあげる、こういうことをやっております。  さらに服装をよくしてやるというようなことにつきましても、四十六年度予算にもその面の経費を重点的に盛り込んでおる、こういうことでございます。  それからまだいろいろあったと思いますけれども、一度に思い出せませんので、後ほどお話のおりおりに申し上げたいと思います。
  13. 武部文

    武部委員 いまお述べになった六千円の内外勤の差、これは四十六年度の予算、四十六年度で賃金問題が解決した場合にこうなるのか、いまこうなっておるのか、その点はどうですか。
  14. 北雄一郎

    北政府委員 この六千円は昨年のベースアップの配分としてなされたものでございまして、当時から組合との間でいろいろ協議をしておりましたが、昨年の暮れにその点について合意を見まして、昨年の四月一日にさかのぼってすでに実施をしておるものでございます。  なお若干付言いたしますと、この六千円は大都市郵便外勤に対する格差加算額でございまして、そのほかに郵便外務職員に対する調整額というものが三千円ございまして、そのほかに本俸におきまして外勤職員とそれ以外の職員の間に千五百円の格差がありますので、合計いたしまして一万五百円になる。なおその基準内給与といたしましては、暫定勤務地手当というものもございまして、これは本俸一定割合という形になっておりますので、その間内勤職員と百円の差がございますから、正確に申し上げますと大都会郵便外務職員の場合は、地方の貯金、保険あるいは庶務、会計等内務職員に比べまして、基準内給与におきましてすでに一万六百円の差がある、こういうことでございます。
  15. 武部文

    武部委員 いつかここで通区手当の問題で論議をしたことが私記憶にありますが、いま郵政省郵便労働者の問題について、通区手当とかその他の問題でどのように考えているのか。私は通区手当ということについては反対の意思をここで表明したことを覚えておりますが、そういうような競争的な内容職場の中に持ち込むことはかえって混乱を起こすことになるのじゃないか。何か能率給的なそういう制度を採用することは、かえってマイナスになるということを述べたことを覚えておりますが、この通区手当の問題はその後どうなっておるのか。
  16. 北雄一郎

    北政府委員 通区手当につきましては、すでに当方から組合に提案をいたしておりまして、目下なお両者において話をつけるべく努力をしておるところでございます。
  17. 武部文

    武部委員 いま郵便局の、特に外勤諸君職場でおもしろいことばといえばおもしろいかもしれませんが、大臣おそらくこういうことばを聞かれたことがないと思うのですが、私もごく最近聞いてびっくりしましたが、満コロということばがはやっておる。これはどういうことか、何のことか私もわからなかった。満コロというのはほかの職場じゃないのですよ。満期になって退職してすぐ死んでしまうことをさしていうのですね。これはまことにことばとしては何か笑い話のようなことになりますが、これが私は外務職の実態だと思うのですよ。おそらく郵政省、これからあとお尋ねいたしますが、退職して余命がなくてすぐ死んでしまうのが郵便労働者だというこの比喩が満コロということになっているのですね。満期になってすぐ死んでしまうのをこういうのだ。これくらい郵便労働者というものは三十年なり四十年なり特に雨の日も風の日も外務職という重労働をやっておる。そのためにようやく退職の日がさて、そして本来ならばこれからいわゆる老後を楽しく人生を過ごす、そういう時期を迎えたときにぽっくり死んでしまう。実はそういうことがあるのですよ。私もたくさんこういう例を知っておりますが、郵政部内に私もおった関係でよく知っておるのですが、やはりいまでもこういうことばがはやっておるのですよ。こういうことを考えると、私は郵便労働者、特に外務職というものについて待遇なり環境なりあるいは老後の保障なりということについて抜本的な改革をしない限りは、こういうことばはずっと続くと思うのです。  そこで私は、具体的にお伺いいたしたいのです。この外務職諸君が一生いつまでかかっても外務職だということについて、何か特例はないかということを当委員会でやったときに、外務職諸君局長になった者が一人あるとかいう答弁があったということを私は記憶いたします。いま国鉄なり電電公社にしても採用になった者はまず最初技術系でも外務職へ持っていきます。たとえば電電公社は電報の配達最初配属をいたします。そして何カ月かたつとそれが会計職なり技術職なりあるいは営業職なりというものに転職をしておるという例がございます。国鉄だって大学卒業も高校卒業も改札から出札から始めておりますね。そういうような点で、少なくとも外務職に入ったならば一生外務職で終わるのだ、こういうことではなしに、その諸君にも将来内務職なりあるいは栄進の道を開いて、希望を持ってその自分の職に誠心誠意当たることができるような環境にしない限りは、いま私が言った満コロということば外務職場からは消えていかないと思うのです。そういう点で今後外務職処遇の問題、昇進の道、そういうことについて一体郵政省はどういうお考えがあるのか、いまのままで何か頭打ちの俸給表をある程度頭打ちの折れ曲がりのところを上げていって、そういうようなことで当面過ごそうとしておるのか、それともいま私が申し上げたような内務職について職種の変更をするとか、その他の方法を講じて外務職というものの地位を高めるというような考えがあるのかないのか、それをお聞きいたしたい。
  18. 北雄一郎

    北政府委員 外務職から内務職への職種転向でございますが、郵便外務職員、どの方向へ変わることを希望しておるかでございますが、郵便の内務あるいは貯金、保険の外務のほうへ変わりたいという者が比較的多いように把握をいたしております。  そこで昨年の後半でございましたが、私どもやはりそういった先生方のお声もございますので、慎重に検討いたしました結果、地方に対しましてもそういった道を従来以上に拡大するようにつとめよということをいっております。それが実行されますのに若干日にちはかかるかと思いますし、ある程度のところで、その後実際にどのようにそういったことが行なわれているか、私どもとしても数字でもって把握をしたいと存じております。むろん御承知のように郵便外務職員なかなか補充が各職種の中で一番困難でございまして、そういった意味から、やはり業務確保ということも一方では考えなければいけませんけれども、そういったことを一方で考えながら、しかし、そういった希望にできるだけ沿うように各局で配意をするように、こういう指導をしておる次第であります。  また役職への昇進の関係でございますが、これについても考えさしていただいておるところであります。現実にただいま訓練の中で高等部という訓練がございますが、従来この高等部に入れますのに、これを内外勤実は区別せずに、一本で高等部へ入れるものをきめておりましたが、四十六年度から、四十六年度に高等部に入る連中、すでに試験は終わりましたけれども、そのうちで内務者何名、外務員何名というふうに内外務の区別を立てまして、そうして一定数の外務員は必ず入れる、そういうようなシステムに高等部の訓練を現実に変えた次第でございます。今後ともそういった点について考究検討、実施をしてまいりたいと思っております。
  19. 武部文

    武部委員 いまの職階制賃金の形態の中では、いわゆる役職定数ということは、外務職員の具体的な待遇救済の面では手っとり早い問題であります。したがって、級別定数の改定もさることながら、この役職の定数をふやして、そうして具体的に勤続年数の長い者とかそういう者が救われていく、内勤の諸君と比較をして不遇な目にあった外務職員を救う道は、手っとり早いところでこういうことができると思うのです。したがって、あなたのほうには具体的な資料がおそらくあると思うのですが、現実に外務に働いておる職員の勤続年数なり、あるいは俸給表なりというものを調査をされて、その中でさしむき救済すべきものがあるならば、具体的に救済措置をとっていただいて、そうして昇進の道が開けるような方法を具体的にやっていただきたい。そうでなければ、この都会においてはあまり希望者がないといっておりますけれども、いまのようなことではとても充足ということは困難だと思うのです。なるほど最初初任給だけは高くして採用されますが、さっき答弁もございましたように、四年ないし五年で三割以上やめていってしまうのですよ。そういうことのないように、魅力のある職業として若い諸君郵政省を希望させる以上は、待遇改善環境の整備ということは私は非常に大事なことだと思うのです。ぜひそういう点で、いま人事局長から答弁のあったことが具体的に実現するように考慮していただきたい、こう思います。  えらい小さいことで恐縮ですが、ほかの皆さんからお話がなかったことを私はもう四、五点お尋ねをいたしたいのであります。話は前後いたしますが、いま地方外務職職員採用する場合に、試験をいたします。これは初級職試験ではなく、三級とかいっておりますが、いわゆる外務職の試験であります。これは在職中の者も受けますし、また臨時で職場に入って、将来郵政職員になろうという希望を持った者がある。しかし、現実に採用する場合には、試験制度によってこれを採用いたしております。その採用には、地方ではわりあいたくさん受けます。たとえば、定員五、六人しかとらぬところに十倍以上の応募者があるのです。まことにこれは私はけっこうなことだと思うのです。ところが問題は、その試験制度が、合格した者のいわゆる合格者として取り扱われる期間が一カ年であるということであります。一カ年としておりますので、一年たつとそのまま失格であります。一年合格しておったけれども、たまたま欠員がなかったために、定数が流れてこないものだから、臨時のままだ、一年たったらそれで終わりだ、来年また受けなさい、こういうことになるのです。競争率も非常にきびしいし、ましてや高等学校を出た子供が二年三年、勉強もろくにしないで勤務しておれば、ことし卒業した者よりも二、三年前に卒業した者の学力が低下することはあたりまえのことなんです。しかし、二、三年勤務しておる者は、これは道順の組み立ては、新しく入った者よりもよくできるんですよ。ところが学力は低下しておる。だから、同じに受けて、また落第ということになるんです。仕事に精通をしながら、学力が落ちるために、一年でもってその者は失格をしてしまって、そういう魅力をもって入ったけれども、二、三年受けるけれどもあとから合格した者が採用になるという結果が、現実に出ておるのです。  したがって、いまの内勤の初級職試験合格者は四年ですか五年ですか、人事院の合格した者はそれまでの期間、身分が保障されますね。ところが外勤諸君だけなぜ一年で失格してしまうのか。それよりも、少なくとも三年程度資格を与えておいて、欠員があったときにはその前の年に合格した者は本年合格した者よりも先に採用されていくような、そういう何か魅力を持たせなければ、二年、三年、いつまでたっても、あとの者が先になるというのでいや気がさしてやめていくという例が地方にたくさんあるんですよ。そういう事態を郵政省は知っておるのかどうか、知っておるとするならばそういう面に改善を施すことの意向があるかどうか。私は現実にそういう例をたくさん知っておるので、何らかのここで改善策をしなければ、地方においてはいつも新しい者が採用されて、道順組み立てができるまでに二、三年かかっておる、こういう具体的な例を知っておるのですが、郵政省はそういうことについてどういうふうにお考えなのか、これをお伺いしたい。
  20. 北雄一郎

    北政府委員 外務職員につきまして、省内限りで郵政省として特殊な採用試験を行ないまして、それによって採用しておるということはお示しのとおりでございます。四十五年度について見てみますと、この外務職員採用試験合格者と応募者の比率が、全国的に見ますと二・五倍ということになっております。そういうことで合格者を得ます。しかと人数を記憶しておりませんが、三千名程度であったと思います。そのうち十二月までに、これもしかと覚えておりませんが、二千名弱の者が採用になっておると思います。したがいまして、一、二、三の間に若干の消化があると見ましても、お示しのとおり数百名の者は合格はしたが採用はされない、こういうことになろうかと思います。そしてこれまた先生お示しのとおり、この試験の合格のいわば有効期間と申しますか、これはただいま一年ということに特定してございます。人事院がやります初級職試験、郵政省がやっておりますけれども初級職試験の場合は五年間有効、こういうことに相なっております。  そこで、この一年間をもう少し延ばしたらどうかということでございますが、実はこの採用試験制度を始めましてそう歴史が古うございません。ですから、とにかく一年ということでやったわけでございますが、今後状況等を見まして、一年にとどめるか、あるいはもう少し延ばしたほうがいいか、十分検討させていただきたいと存じます。
  21. 武部文

    武部委員 いまの問題は、実は一年に一回試験をするのではないのでありまして、大体最低二回やっております。したがって、毎年この例が起きておるのであります。さしむきことしも今年度に入ってからやっておりました。そうしてやっぱり一年で切られた者がまた受けた、受けたところがこれは落第、そうして今度は新しい者が受かった、そうするといや気がさしてやめてしまうんですよ。せっかくなれて、これから一人で配達に出れるという若い者が、試験に落ちたということは、前の年は合格しておったけれども、今度また受けさせられたらまた落ちたということはショックですよ。自分の学力がだんだん低下していくことをよく知っておりますよ。道順組み立てはできるけれども、いざ試験の場に行ってみると、ことし卒業した者よりも去年卒業した者のほうが低下しておるんですよ。現実にそういうことが毎年毎年、どこの職場でも出ておるんですよ。私は人事局長によくそれを調査してほしいと思うんです。二年三年おって、ようやくなれた者がやめていくという事実なんですよ。ですから、片や初級職試験の者が五年間合格者として登録されておりながら、外務職だけがなぜ一年間だけで失格するのか。そういうことをするから定着率が悪いのです。定着しないのです。少なくとも私は当面、一度に三年が困難ならば、二年でもけっこうなんですよ、二年でもけっこうだから、そういうことをしながら定着するように努力をしていかなきゃならぬと思うのです。ぜひひとつ人事局長は、そう答弁になりましたが、検討されて、ことしはまだもう一回あるのですから、そういう時期からぜひ定着ができるように、外務職員諸君が希望を持って働けるように——これは臨時で低い賃金で働いておるのですからね。それが採用されるかどうかということは、本人にとっては重要な問題なんですよ。そこで失格したらもうだめだ。だから、本採用になるかどうかという重大な岐路に立っておるのですから、二年なり三年なりという期間を与えるような方法を、郵政省にとってもこれはプラスだと思うので、ひとつ御苦労をいただきたい、こう思うのです。  次に、郵便に働いておる労働者諸君の退職をした後の状況等については、郵政省で何か調査をしたことがありますか。やめたあとは何も知らぬ、どうなったかというようなことは御存じありませんか。
  22. 北雄一郎

    北政府委員 まことに残念でございますけれども、そういった調査をしたことはございません。
  23. 武部文

    武部委員 私ども承知しますところでは、やめた者の年金の額等を調べてみますと、その年金の額だけで今日のようなインフレ時代には生活できないのです。退職金だけでも生活できないのです。これはやはり家を建てたり、あるいは子供の学資にしたりするようなことから、年をとってやめても働かなければならぬという人が非常に多いようです。私は先ほど死ぬることを申し上げましたけれども、そういう反面、また高齢者であっても働かなければならぬ。ところが、年齢をとってやめたのでは、今後は他に就職ができないのです。年齢がいった場合、あるいは外務職で六十八ぐらいでやめる人もおりますよ。そうすると、そういう者は転職できないので年金で生活をするということになります。われわれのほうではある程度のものを持っております。  そこで、それと関連をして、ぜひひとつ御考慮をいただかなければならぬことがございます。それは高齢者、特に郵便外務者の退職についてであります。いま郵政省の中には規定で勧奨によるところの退職がございます。それは優遇退職ですから、ある程度退職金が普通退職よりも多い。少なくともやめていく者にとっては魅力であります。ですから、何としてもやめる場合には、こういう優遇の退職で少しでも退職金を多くもらってやめたいという気持ちを持っておるのも当然だと思います。  ところが、現実にいま退職の状況を私どもが詳細に調べてみると、年齢に一定のワクがある。また退職の予算についても、郵政省としての一定のワクがある。そのために希望する者がやめさせてもらえないという実態になっておることは、郵政省が御承知のとおりだと思うのです。人事院の月報を私は見てみましたが、たとえば林野庁その他の希望と退職の比率、郵政省の希望と退職の比率というものは、パーセントにおいて雲泥の差なんです。自分がやめたいと思ってもやめさせてもらえない。もちろんそれは普通退職ならばあしたからでもやめなさいということになるのですが、人間はそうはいきません。そうすると、ある程度号俸も最後には上がって、退職金もある程度上がって、それが年金にはね返るという老後の計画を立てるから、少なくとも優遇退職でやめたいということになるのです。ところが、皆さんのほうでは、管理職の皆さんは満五十九歳ですか五十八歳で線が引かれておって、普通局の課長なり局長というものは、もう満五十八か九になるとあなた方の辞令一本で退職していくのです。これは全部優遇退職でやめていくのですよ。ところが、外勤諸君が五十八や五十九でやめたいといっても、満六十歳以上にならなければ該当しないといって、幾ら退職の願い書を出しても受け付けてもらえない。そういう結果から、ずるずるつとめていくという結果になっておる。一たん退職願いを出した者が勤労意欲が上がるわけはないのです。これはやめようという気があるならば、もう退職願いを出したときから勤労意欲は下がっておるのです。そういう事実が具体的にあるのです。  したがって、私はここで提案したいことは、少なくともそういう三十年なり四十年という長い年月を毎日外で働いて、心身ともに重労働をやっておる諸君には、ほかの者に比べてもっと優遇的に退職の措置を講ずべきではないか、私はそう思うのですよ。むしろ内勤の諸君よりも外勤諸君の年齢を下げて、希望者は退職をさせていって、新陳代謝をはかることが若年労働者の、いわゆる勤労意欲に燃えた若い青年を逆に採用することになるのじゃないか。八万円も九万円も取っている人がやめたら、三万円というのが二人も雇えるわけでしょう。そういうやり方をいま郵政省はとるべきじゃないか。同時に、そういうことが長年つとめた従業員に対する思いやりのあるところのやり方じゃないか、こう思うのですが、郵政省どう思いますか。
  24. 北雄一郎

    北政府委員 大体ここ数年、先生お示しのいわゆる優遇退職にかかる者が毎年三千六百名前後ございます。そのうち、御承知のように、管理者につきましてはそれぞれ事実上の定年的なものがございまして、これはそのときになってどうしても残るということになると平に落ちるわけでございます。ですから、事実上そのときにみなやめるわけでございます。こういった人たちを除きますと、一般の方で高齢退職にかかる者は約二千六百名前後という数字でございます。予算的にはこれがもうここ数年限度一ぱいの実情でございます。したがいまして、高齢退職を希望しても希望どおりに高齢退職にかからない、したがって、そのままつとめる、あるいは一般退職でやめていく、こういう方が相当あることはお示しのとおりであります。  その場合、内勤の方と外勤の方と区別をしてはどうかという御提案でございますけれども、私ども実はそこまではだたいま考えておりませんので、先ほど来申し上げておりますように、その勤務の態様からいたしまして、在職中に給与の面で格差を見ていく、あるいは外勤の方の場合、ことに大都会におきましては、地元でなかなか人が求められないということも加わりまして、寮の設備等において優先的にこれを入れる、その他在職中の処遇におきましていろいろ考えていくのを重点といたしておる次第であります。お示しのことについては検討をいたしますけれども、ただ、私どもの方針といたしましては、現在は在職中の処遇においてさらに適正を期していきたい、こういうことでございます。
  25. 武部文

    武部委員 いまの意見は、私の意見と違うのであります。いま数字を述べられたところを聞きますと、三千五百ないし三千六百名のうちに管理者が千名近くおるというお話でございました。そうすると、あとの二千五、六百名が一般の職員である、こういうことになりますね。退職希望者は非常に数が多いと思います、毎年出ておるわけですから。この数字はあなたのほうでおわかりのとおりです。  私は、ここで提案をしたいことは、少なくとも退職を希望した者はこの際全部本人の希望どおり——希望がない者をやめさせる必要はないのですから、希望がある高齢者は全部やめさせたらどうか。そうすると、予算がないとおっしゃる。きのうもここでやりとりがございましたが、七兆円も八兆円も運用部資金の中につぎ込んであるのですよ。そういう金を一時的にどこかから借りてきて退職金にしたとしても、新陳代謝によるところの人件費というものは、わずか数年のうちにもとへ戻ると私は思うのですよ。六十歳以上の人だってたいへんたくたんおるのです。やめたい。やめたいけれども、やめさせてもらえない。退職金がないからやめさせない。それは一時的に借り入れしても、そういう人をほんとうに自分の希望どおりやめてもらって、そうして若い諸君に魅力を持たせるような職場環境や賃金をつくって、若年労働者と新陳代謝をしていくということは、郵政省のこれからの政策の中にたいへん必要なことだと私は思うのですよ。それがなぜできないのか。やろうと思えばできることじゃないだろうか、こういうことを考えるのですが、一体いまの希望者全員に退職金を出す場合には、どのくらいの財源が要るのか。これを経理局長なり、人事局長お尋ねをいたしたいのであります。私は、そういうことをやれば、全員に希望どおり、辞表を本人が出すわけですから受け入れてやって、新陳代謝をいま言ったようなやり方ですれば、郵政省のためにプラスになるのではないか、こう思うのです。そういう財源が一体どのくらい要るだろうか、おわかりでございませんか。
  26. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 現在百七十億ぐらいの高齢退職の予算をとっておりますが、いまお説のように全希望者を、しかも優遇退職によれば幾らかということは、実は原局のほうからの要求が出ておりませんのでわかりません。問題は予算のワクの問題でございますが、私どもも十年ぐらい前は三十億程度だったものを、いまお説のように、高齢退職をやることによって、新陳代謝によって人件費の定期昇給率が下がってくるということを、かなり大蔵にも説明して、私どもとしては相当努力をしてきたつもりでございます。これからなお今後もそういう線で予算の面で多くとるように努力をしたい、こういうふうに考えております。
  27. 武部文

    武部委員 私が前もってこの数字をどのくらいかということを聞いておらなかったので、用意をされておらぬと思うのですけれども、これはわかっておるのです。なぜかと言いますと、これはいまさら私がこんなことをあなた方に言うべきことじゃないのですが、各局から希望退職者が出ますと、全部所属の局長がこの人間の年数や退職金をみんなつけて郵政局に送って、郵政局では一覧表をつくって、その中でマルをつけたり三角をつけたりして、そして大体のあなた方のワクと合わせて、最終的に決定するのです。ですから、この者は退職金が何百万円とみんな出ている。それを合計されて郵政省にあがってきて、ワクがこれだけしかないからといって、ふるいにかけられていっているのですから、こんなことは一目瞭然にわかっているのです。私が指摘したいのは、そういうことをやらない限り、若い諸君職場へ来ません、能率というものは上がりませんということを言いたいのですよ。これはおわかりだと思うのです。やめたい者をやめさせるのですから、やめたくない者を首を切れというのじゃない、本人がもうそろそろやめたい、これだけ長くつとめたんだから、ひとつやめたいといって希望を出すのですから、全部そこでやめてもらって、若い優秀な職員採用していくというやり方をとるべきじゃないか。今回、私は初めて言うのです。それをやらなければ郵政の事業というものは、古い人はなるほど経験は豊かかもしれないけれども、能率は何といったって落ちますよ。そういうことについての改革をしなければならぬ時期じゃないか。その予算、原資のワクは借り入れ金でもできるじゃないか。それは数年後において何とか片づく問題じゃないかということを言っておるのですけれども、これはどこの地方に行ってもその声を聞きますので、きょうは提起だけいたします。ぜひひとつ、先ほどの外務職員の問題とあわせて御検討いただきたい、このように思います。  いま一つ、消防署なり警察なりの皆さんの年金と、郵便の現業に働く諸君の年金というものとは、年数において差があるようであります。いろいろ問題が出ておりますが、こうした諸君老後を保障する意味において、現行の規定というものについて、あなた方のほうは加算なりあるいは期間の短縮というようなことを考えておられるのか、それをお伺いしたいのであります。
  28. 北雄一郎

    北政府委員 お示しのように、現在の法制におきましては、警察、消防等の場合は十五年で年金期間に到達するわけであります。ただ、これらは旧恩給法におきましてすでにそういう特殊な取り扱いがございまして、昭和三十四年にただいまの共済組合法にかわりましたときに、いわば旧恩給法のそういった実体を引続いだというような歴史的経過によることが大きいものだというふうに聞いております。  なお、従来の恩給とただいまの共済組合法にいう年金、だいぶ性格的には違うということでございまして、ただいまの年金は、これはやはり社会保障の一環ということでございます。その後、共済年金あるいは厚生年金、そういった各種公的年金間の通算制度もできているわけでございまして、そういった意味合いから、共済組合法の改正の問題になるわけでございますけれども、この際新たな特例を法律改正によって求めるということは、そういったただいま申し上げました経緯からいって非常に困難だと承知しております。
  29. 武部文

    武部委員 困難なことはよくわかります。そう簡単にこういうものの改正ができるものとは思いませんが、現実問題として、ほかで働いておる諸君郵便外務諸君との間に差があるわけですが、そういうことについて郵政省は、この年金期間の短縮なりあるいは加算等について今後検討する意思があるのかどうか、問題はその点であります。困難なことはよくわかります。いま差し向きできるとは思いませんが、少なくともそういうような考慮をする余地が郵政省にあるのかないのか、そういう点をお尋ねいたしておるのであります。
  30. 北雄一郎

    北政府委員 ただいま申し上げましたように、郵便局の勤務期間だけでかりに年金がつきませんでも、たとえば中高年齢で採用になりました職員につきましては、すでにこれまで他の公的年金制度に加入しておるのが通常でございます。これらを通算することによりまして通算退職年金を受けることができる制度になっておりますので、そういったこともございまして、やはり非常に困難な問題、あるいはバランス等の問題からいいまして、ここで処遇改善を求めるのは非常に無理があろうか、かように考えております。
  31. 武部文

    武部委員 どうもはっきりしませんが、これは非常にむずかしい問題ですから、これ以上申し上げません。  この機会に郵務局長お尋ねをいたしますが、現在、全国で請負集配区は幾らございましょうか。——よろしいです。  私はこの請負集配区について提案をいたしたいのであります。この制度は相当以前法改正のもとに行なわれた制度であります。現実にこの請負人がどういうような勤務条件になっているかということは、おそらく郵政省自身も御承知だろうと思うのです。去年当委員会の視察で、私どもは北海道の山の中でこの郵便請負人の人に面会をして実情を聞きました。北海道は特に特殊な地域で、全臓でも一番請負区が多いところであります。非常に広い地域を積雪の最中に苦労をして郵便物配達をしておるという実情の訴えが私どもにございました。また私の所属するところにも、集配区が請負区にされたものが何区かございます。その諸君と何回も私は会っております。この諸君は三百六十五日一日も休みがございません。そうして自分のからだの調子が悪かったり用事ができたときには、自分で他人を雇って身がわりに配達をさせておる、こういう制度になっておることは御案内のとおりです。この諸君が今日のインフレ、物価高にいまの賃金では非常に苦しい。身分が安定していないだけに、病気になったときの支出等に心配だという訴えを異口同音にいたします。これまた当然のことだと思うのです。  そういう意味で、確かに一日の通数は減っておる。特に過疎地帯においては、山間僻地で配達の数が減ることは当然なんです。しかし、現実にその過疎地帯で手前のほうばかり配達するのじゃないのです。どんな山奥の一軒家にでも郵便物があれば行かなければならぬ。また三百六十五日休むわけにいかぬのであります。そういう山間僻地はえてして新聞の配達が多いのですよ。それでもこれはやはり毎日持っていかなければならぬ。こうした請負人の処遇問題について、今日まで配達区が請負区に落とされた、この問題について郵政省はどういう態度をとってこられたのか、将来この集配の請負区というものをどういうふうに処遇しようとしておるのか、これをひとつお伺いをいたしたい。
  32. 竹下一記

    竹下政府委員 たいへん失礼いたしました。四十四年度末現在におきまして、請負集配をいたしております人の数は全国で千六百十一名でございます。  請負集配の実情につきましては御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては毎年のように賃金単価のアップということは考えておりまして、考えるだけでなくて実施をいたしておりまして、四十六年度予算におきましても一六%の単価アップを考えております。そういうふうにいたしまして、賃金単価で見てあげるということを考えておるわけでございます。御指摘がございましたように、何ぶんにも定員一名に相当する事務量ではございません。やはり半人分かあるいは一名の何割方にしか当たらない業務量でございますので、一名を配置するということは財政事情から申しましてどうしてもできないわけでございます。そういうところでございますので、賃金単価のアップ、そのほか病気にかかりました場合の医療対策、厚生施設、そういった面につきましてはできるだけのことを講じたい、こういう態度でおるわけであります。
  33. 武部文

    武部委員 おっしゃるように、いまの請負区そのものが、区域から見て、物数から見て一名の定員配置の区域でないことは、基準からいけばあなたのおっしゃるとおりかもしれません。いまの定員配置基準からいけばなるほどそのとおりかもしれません。しかし問題は、そういう区画は昔からずっと請負区であったかというと、これはそうではないのですね。これは途中から請負区に変わったわけです。したがって、千六百十一名といまおっしゃったわけだが、千六百十一名の人はこの制度に非常に不満を持っておると同時に、みずからの生活に大きな不安を持っておる。そういう実態ですから、なるほどこの請負区一区をそのまま一名の定員区にすることはさしむき困難かもしれません。しかし、区域はそれだけじゃないわけです。そのほかの郵便区と統合をして区域の再編成をするならば、これは等分をされた区域に割っていくことができるのですよ。いまでも、やれ物数がふえたとかどうとかいって区域の変更を求める声が強いわけですから、そういう際に請負区と区画を合体をして、それをまた新しく区画を分割をしていくということはできるわけです、これだけじゃないのですから。そういうようなやり方をしてでも、この千六百十一名という——全く三百六十五日雨の日も風の日も休みもなしに、どこかで法事があったり親戚に不幸があったりすると、みんな人を雇っているというのです。人を雇う場合に、自分の賃金を三十日で割った賃金では来ないというのですよ。いま何か五、六千円アップしたとおっしゃったが、平均していま集配区の請負人の賃金は月額三万六千円ぐらいでしょう。今度上がってそのくらいだと思うのですよ。それを一日に割った賃金で自分の身がわりの者を雇えるかというと雇えないというのですよ。いま大工さんだって四千五百円以上、そういう賃金になっておる。そのときに一体三万六千円という賃金で自分の身がわりの者を何日も雇うということができるでしょうか。そういうような実態があるということを十分認識をされて、この請負区というものはもうそろそろ根本的に改革する時期に来ておるじゃないか、ましてやいままで本採用郵政職員であった者が、この制度によって職員の地位を失って、そして請負人に落ちた者がたくさんおるのですよ。それがかわって新しく採用された者もおるのですが、前に郵政職員として長年つとめた人が前の職場から転落をしてこういう請負人になった人もたくさんいるのです。そういう者の身分、生活保障というものをそろそろ考えなければいかぬじゃないか。私どもは現実に北海道で、先ほど申し上げるように広い地域の配達をしておるという人から積雪の状況を聞きまして、非常に同情をいたしたのであります。いまおっしゃったようなことで、将来この請負区は、このまま請負区としてずっとあなたのほうは制度として残す意図なのか、それとも区域の実情に応じてこうした請貞区は少しずつでも数を減らして普通の区域にこれを変更し、合併をする意図があるのかどうか、この点ひとつお尋ねいたしたい。
  34. 竹下一記

    竹下政府委員 従来までも、請負区につきましてその付近の地況の変化、つまり人口、戸数がふえてきた、したがって郵便物もふえてきたといったようなところにつきましては、請負方式から定員方式に切りかえるということはやってきておるわけでございます。ただし、その数はそう多くございません。部分的にやってきておるということでございまして、千六百十一区をおっしゃるように大幅に切りかえるということは、先ほど申し上げましたように実はたいへんな財政負担になると思うのでございます。  それから、この請負は集配だけでございません。運送につきましても請負方式でやっておりますところが全国でたしか一千カ所ばかりございますし、電報の配達につきましてもやはりかなりのものを請負方式でやっておるというのが実態でございます。この問題は御趣旨はよくわかるのでございますけれども、事業経営に非常に影響するところも大きいしいたしますので、検討はいたしますけれどもなかなかむずかしい問題だと思います。
  35. 武部文

    武部委員 私は、この請負区というものはたいへん矛盾をしておると思うのです。なぜならば、この郵便請負区というものは郵便だけが請負であって、貯金の集金なり保険の集金なりというものは、全部その受け持ちの局の正式な局員が集金に出向いてくるのですよ。郵便の請負人が集金をやったり何かするわけじゃないのですよ。片や郵便局の正規の職員が、遠隔の地である請負区にまたわざわざ出かけていって集金をしたりあるいは募集をしたりするのですよ。そういうような矛盾があるのです。だから私は、片一方郵便だけを請負にして、貯金や保険というものは正規の局員が自局の所在地からわざわざそこに出向いて行っておる、こうした矛盾を見ているのです。  ですから、なるほどすぐ簡単にはできぬかもしれません。一度制度として残ったものですから困難があるでしょう。あるでしょうが、この請負人の一人一人に当たってみても、私はそうたくさん当たったわけじゃありませんけれども、当たってみても、何とか自分たちの身分というものが保障されるような処遇にしてもらいたい、たとえ物数が一日百通であっても、その者は毎日一日も欠かさずに配達しておるんだ、一日も休むことなくやっておるんだ、自分が病気のときには、他人を雇うことができないときには家族に配達させておる、こういうことを言っておりますよ。これはいろいろお調べになればそのとおりなんです。山間僻地だけにおやじにかわって子供が配達をしたということでけがをしたという例もあるのです。そういう苦しい業務をしておる集配請負人に対して、何らか特別な措置を講じて身分を何とかするあるいは待遇を何とかする、そういう思いやりをぜひしていただかなければならぬと思うのです。  私どもはこの請負区には反対なんです。この請負制度になるときにも反対をいたしましたが、これは一応通りました。しかし現実に、いまの日本経済の状況の中でわずか三万六千円程度で毎日配達をしておるということは、よほどのことがなければできないのです。それも、何とか将来自分の身分は郵政省として考えてくれるのではないだろうかというそういう期待があるから、私どもにもそういうことを何回か、会うたびにそういう声がはね返ってくるのです。ぜひひとつ、むずかしいことかもしれませんが、何区かはもとへ戻ったということを私も聞いております、いま郵務局長の話のように、ある程度物数があったとかいうようなところについては、交通の便等を考えながら、もとへ戻ったということを聞きますが、これはほんのわずかの微々たるものです。そういう実情をぜひひとつ再度御検討されて、当面五、六千円の賃金のアップというようなことで問題が解決するものではないと私は思うのです。もっと本質的な問題があると思う。人権問題でもあると思うのですよ。そういう点で、ひとつ請負区についてぜひ郵政省として検討していただきたい、こう思いますが、郵務局長どうでしょう。
  36. 竹下一記

    竹下政府委員 今後も検討を続けたいと思いますが、たいへんむずかしい一面を持っておると言わざるを得ません。
  37. 武部文

    武部委員 郵政大臣にこの問題以外の問題もあわせてお考えいただきたい。私は、最初から郵便外務職諸君の勤務状態あるいは定着状態、さらには高齢になって退職していくその老後、そういう問題について幾つかの例をあげてお尋ねをいたしました。ある程度おわかりになっていただけると思うのですが、郵便労働者というのは、信書でありますから、そういう大事な国民の信書を間違わずに、たがわずに配達しなければならぬという使命を持っておるのでして、家の中で働いている内勤とは違った職場環境にちるわけです。それだけに、この人たち処遇なり環境改善というものはたいへん大事だと思うのです。そのことが解決されればあるいは都会における遅配問題も解決するかもしれません。職場環境というものも向上して明るい職場になるかもしれません。こういうような点について、この段階でいま労使の間にもいろいろと不信感が満ち満ちておりますし、たいへん大きな問題もありますが、私はいま郵政事業が国民の期待にこたえるためには、このような恵まれない、特に第一線で民衆とじかに接触をするこういう人たち待遇そのものを改善し、そうしてこの人たち職場に大きな魅力を持って自分の一生を郵政省にささげるというような気持ちでつとめられるような、そういう郵政省になってほしいと思うのです。  いま私が申し上げたように、請負区の例を一つとってみても、おそらく大臣のところにも請負区があると思うです、長野県も相当あると私は聞いておりますが、そういうような諸君のほんとうの声というものをやはり大臣もじかにひとつ聞いていただきたい。そうして退職しても何年か余命を持って老後がしあわせに暮らせるような、そういう退職金や年金であってもらわなければ困ると思うのです。退職したらすぐ死んでしまうというようなそういう実態の中で、特に外で毎日雨の日も風の日も雪の日も働いておる郵便外務諸君に対して、大臣は今後どのようなお考え方をもって対処されるお気持ちがあるのか。いま郵務局長はこの請負区のことについては非常にむずかしい、できぬような答弁でありますが、私は、そういうことについて郵政大臣としてぜひ思いやりのある態度をひとつ示していただきたい、それをひとつ実現に移していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 長時間にわたり武部さんの御質問を私じっと承っておりました。非常に説得力のある御質問で、私も一つには感動に近い気持ちさえも生じておるわけでございます。これに対して担当局長からそれぞれ答弁があったわけでありますが、それはそれなりに的確な答弁であろうと思うのであります。御承知のように、役所の立場は、これは行政の限界というものがございますから、法の指示するところ、それからあまり逸脱しては相ならぬ、これが役所の立場でございます。これはこれとしてひとつ了としていただかなければならぬと思うのでございます。  職場の問題にたいへん通暁していらっしゃる武部委員が非常にきめのこまかい、また行き届いた御質問に、私は敬意を表するわけでございまして、いまおあげになりましたそれぞれの項目については、担当局長からお答えがあったわけでございますので、それ以上に私がかれこれは申し上げません。その中にはおそらくできることがあり、あるいは当面非常に困難なことがあり、そういう仕分けがなされたもののようでございますが、私も伺っておりまして、たとえば希望退職をしたい、こういう人には優遇措置を何とかもっとよけい講じてやるべきだ、それはすぐさま予算の問題に響いてまいります。しかしおっしゃるように、ここで能率の落ちた、あるいはもう退職をしようというのですから、勤労意欲も欠けてきておる、こういう人にかえるに新進気鋭な人を雇うならば、これは一名をもって二名を雇うことができるかもしれぬ。こういうふうな問題は、経理局長は本年度の予算で相当にそういう点も配慮したと申しておりますが、さらにこれなどは私は合理的な理由をもって大蔵折衝に臨むというふうなことも可能であろう、こういう気持ちがいたすわけであります。あるいは年金制度の問題であるとかあるいは請負人のあり方であるとか、なるほど当面いろいろと困難な制約があるでしょう。行政としては確かにワクの中にとじ込められておると思います。それをどういうふうに打開をすべきかというのはやはり私どもの任務に相なってくるものだ、こういうふうに思うのでございまして、きょう承りましたもろもろの問題は十分記憶にとどめまして、そしてこれを現実的にどうやれば突破口が生まれるのか、こういった意味で、きょうの数項目にわたりました御提案を前向きに検討をさしていただこう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 武部文

    武部委員 それでは次に、この法案の問題についてお伺いをするわけですが、この際、郵政審議会からかねて答申のありました公社化移行の問題について、最初にお伺いをいたしておきたいのであります。  公社化の問題については、当委員会大臣からも何回か見解の表明がございました。いま課長段階においていろいろそういう問題についての検討をいたしておるというような話もございましたが、今回出されました郵便法の一部を改正する法律案、この中にはあのときの答申の中の一部がここに引用されて出ておるように私は思うのです。しかし問題は、公社化案のあの答申の骨子というものは、これが骨子ではないのです。少なくともいまの日本の郵便事業三事業、こういうものを今後どういう形態にすることが能率的にも経済的にもいいかということについて、公社化というものの答申が出たと私は思うのです。世界至るところの郵便事業が同じような立場に立っておるということは御案内のとおりです。イギリスのストライキが四十一日間か二日間続いた。あるいはまたアメリカにおいても郵便のストライキがあって、そうして郵便事業の危機をということから、これを契機に公社化案というものが台頭してきて、はたしてアメリカで公社化によってこの米国の郵便の危機が解消されるかどうかということについては、いろいろと見解が分かれておるようであります。  しかし、いずれにしてもアメリカはこの公社化に踏み切って、そうして郵便事業の危機を何とかして乗り切ろうという態度が見えるわけです。先般来当委員会で同僚議員の質問に答弁がございましたが、一般会計から繰り入れておるという国はもうなくなった、郵便事業が赤字であるならば当然一般会計から繰り入れてもいいじゃないかというたくさんの意見に対して、そういう答弁が出ておりました。私は私なりにいろいろ調べ、アメリカの実情も聞いておりますが、アメリカは公社に移行して完全に独立採算制になるには満七カ年間を要する。したがって、アメリカの郵便事業の独立採算は八年目、一九七七年以降完全独立採算制になる、こういうことをいっておるのであります。それまでの間はその赤字に対して一般会計から順次繰り入れ、その額を少しずつ減していって、そして一九七七年の八年目にこれを完全独立採算制度にするんだという公社化案を、私ども資料としてちゃんと持っております。そうしてこれをアメリカの諸君から聞いたのであります。そういう形態をとってアメリカの郵便事業というものを改革しようといたしておる。  もちろん郵便、貯金、保険という三事業を持っておるような日本の形態と違うわけです。従業員の数だって、向こうは七十二万五千人、郵便局の局数だって三万二千局、日本と雲泥の差です。取り扱い物数年間八百四十億通、こういうように確かにけたは違います。けたは違うが、違うなりにも同じ危機がやはりアメリカの郵便事業にもイギリスの郵便事業にも起きておるのです。そういう実態の中で、それを改革する道は公社化しかないという、そういう長い検討の上に、アメリカはそういう段階を経てこれから独立採算制に切りかえようとしておる。こういう実態の中で、一体公社化案は日本でどこに行ったのか。あれだけあなたのほうで宣伝をされた公社化の答申が一体どこへ行ったのか。今日、郵便料金を、かりにこれをわれわれの反対を押し切ってやったにしても、このままでいけば、また三年たったら、また四年たったらまた上げざるを得ない。そういうような点を考えたときに、公社化案というものについて、一体郵政省は現在の段階でどういう見通しを持っておるのか。今後の法改正案についてはこのことがほとんど問題になりませんでした。私はぜひひとつこの機会に、答申があった郵政公社化案、さらには一般会計からの繰り入れ問題、アメリカの実情、イギリスの現実のこのストライキの実態、こういう問題から見て、一体郵政省は今後公社化案について、この答申をどのように処理されようとしておるのか、それをお伺いいたしたい。
  40. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 公社化の問題につきましては、いつぞやもお答えをしておりますとおり、これを断念をしたとかあるいは答申案はお蔵の中に入ってしまったとかいうのでは決してございません。郵政省内に、事務次官を長といたしまする委員会を設けまして、それで鋭意検討をしておるということは、常々申してまいったとおりであります。これは郵便百年の長い歴史を大きく変革する問題でございますから、十分に検討を遂げなければならぬことでもあり、同時にまた、いまお示しのイギリスなりあるいはアメリカなり、ここにも日本と同じような苦悶の姿が出ておると思うのでございます。そして昨年のアメリカ、本年度のイギリスといったような大きな郵便ストも経験をしておるわけでありまして、そういう事態をも十分に検討をしてみる必要があろうかと、こう考えております。  答申にも示されておりますように、確かにこれは考究に値する案である、こうも私ども考えております。しかし、その答申は同時に、それに至る過程としてできることをやはり前提としてやるべきだという点も示しておるわけであります。そういうことから、今回の法改正には、おっしゃるように一部、そのごく一部でありますけれども、たとえば機動的、弾力的な運営が期待されるというような意味のものを取り入れておるという点もあろうかと思うのでございますが、当面、この大変革をやりまする前に、いまの郵便財政の危機と申しますか、ともかくここ一両年、大きな赤字ということになっておりますものですから、これをまずひとつ安定的な方向へ持っていって、そういう憂いなからしめて、その上にいまの問題と思う存分取り組んでまいりたい、こういう所存でおるわけであります。
  41. 武部文

    武部委員 いまの答弁は、公社化問題というのはすぐに結論が出るものでもないし、時間をかけてやりたいが、さしむきいまこの法改正をやってその後一生懸命取り組むということなんですが、私どもが主張してきたことは、この公社化案というものについてはもちろん賛否両論があります。賛否両論がありますし、外国と同じように日本の三事業というものが向こうにあるわけじゃないですから、その点は形態に相違があることもよく承知をいたしております。しかし、今日日本の郵政事業というものが、この答申に示された精神の中で公社化にいったほうがいいのではないか、また諮問をされる側もその意図のもとに答申を期待しておったということは、これは自明の理なんです。そういう答申があってからこれをほったらかしにしておいて、そしてその中の自分に都合のいいところだけを持ってきて、その答申のある一部を生かしておるというようなことに私どもは大きな不満を持っておるのです。したがって、公社化案のことについては、これからも十分論議をしなければならぬと思うのです。いま大臣の見解だけを聞いておきましたから、これ以上触れません。  そこで、今度は法律案のこの第一条と第三条との関係についてお尋ねをしなければならぬと思うのです。きのう郵務局長は、そこで郵政省の正式な答弁を読み上げられました。私も聞いておりました。ところがこの一条と三条との問題は、さかのぼって相当古い歴史の中から論議しなければならぬのです。近いところが、先般の郵務局長も出席をしておりました大阪の公聴会で、やっぱり一条、三条の問題について陳述人からいろいろ意見がございましたね。私はあれを聞いておって、与党の推薦の大学の教授が、一条と三条の問題に触れておりましたが、聞いておって、メモをとっておったわけですが、どうも納得できないのです。一条と三条は矛盾することがないと言いながら、あとになって一条というものはわけのわからぬ法律だ、こういうことを言っておるのです。一条は公共性であり、第三条は企業性を持っておるのだ、そうして、矛盾性はないと言いながら、一条というものは三条の精神からいうとおかしい、こういう言い方なんです。  そこでお伺いをいたしたいのは、昭和三十九年十一月十七日、郵政事業近代化に関する答申というものが出されております。このときに、この郵便料金の問題をめぐって一条の——このときはもちろん三条はありませんが、一条の問題についてやりとりがされておったのであります。その議事録の中で、こういう答弁が政府からなされております。これは何回かやってますので皆さん御承知のとおりだと思うので、私は、別にこの問題は新しいことではないと思いながら質問するわけですから、そのようにお考えいただいてけっこうです。  いま参議院議員になっておられる長田政府委員答弁をいたしておるのであります。このときの答弁を見ますと、郵便法の第一条「なるべく安い料金で、」というものを改正するかどうかということを事務当局として一応検討したわけである、こういう答弁であります。そしてそのあと、「この「なるべく安い」という部分を改正いたして、何か書くとしますれば、合理的とか原価を確保し得るとか、いろいろな表現になると思いますが、私ども公共料金の値上げが非常に大きな問題になっておりますただいまの時期に、特別会計法を総合し、あるいは本来の郵便事業の性質等を考えて、」「この機会にあえて変えますことは、何かこうなるべく安いということと反対の方向にいくという印象を世間に与えるおそれもあるのじゃないか、」ということからして、「あえてこの条文に手を触れずに大臣にも格別お伺いもせずに進んだような次第でございます。」という答弁を長田政府委員がいたしておるのであります。  いまのこの一条の解釈、これと今回の改正されました第三条との間に、私はこの答弁一つをとってみても、今回の措置は非常に大きな矛盾を感じるのです。何人か同僚委員からこの問題についていろいろ的確な質問もあり、皆さんとやりとりもありましたが、私はきょうまで聞いておっても、どうしてもこの問題について納得できないのです。大阪の公聴会でも、この一条、三条の問題については法律的にいろいろ意見が出たところでありました。異論が出たところであります。きのうの郵務局長答弁、私は最初ことばがちょっとわかりにくかった。もう一回ひとつきのうの答弁をここで繰り返して——これはおそらく郵政省の正式見解だと思うのです。それをひとつお伺いいたしたい。
  42. 竹下一記

    竹下政府委員 従来から、第一条の「なるべく安い料金」という規定は、収支を度外視してまで安い料金でやることを意味したものではなく、収支相償の上に立っての低廉性であると解しておりましたが、この点法文の上では必ずしも明確ではございませんでした。第三条は、この点をさらに明らかにしたものでありまして、事業の能率的な経営のもとにおける適正な費用を償い、さらに事業の健全な運営をはかることができるに足る収入を郵便料金により確保することを規定しております。すなわち、郵便料金はこれらの要請を満たした上の「なるべく安い料金」としたものであります。
  43. 武部文

    武部委員 それが郵政省の正式な一条と三条との関係の御見解だと思うのですが、いま私が読み上げました三十九年十一月十七日の郵政事業近代化に関する答申の中の政府の答弁と、いまあなたがお述べになったこととの間に矛盾を感じませんか。
  44. 竹下一記

    竹下政府委員 矛盾を感じないのでございます。三十九年の郵政審議会の近代化の答申は、御説のように第一条の規定がたいへんあいまいであるからもう少しはっきりさしたらいいではないかということでございましたが、諸般の情勢でもってそのようにはなりませんでした。条文を変えるということにはなりませんでしたが、当時の長田郵務局長が申しておりますように、第一条の趣旨は、私どもが今日ただいま申し上げておるような趣旨と全く同様でございまして、ただ条文上第三条みたいなものがその当時置かれなかったというそれだけのことでございます。  それから昨日でございましたか、卜部委員からお話がございまして、四十一年の国会におきまするこの問題の——四十一年は郵便法改正のあの国会でございます。やはりこの問題で、当時佐々木良作委員と当時の郵政省との間に問答が取りかわされておりますが、私さっそくそれを読んでみましたのですが、その当時の省側の答弁は、全く私どもが今日申し上げておることと同様でございます。ただ、そういうふうにこの第一条の規定がたいへん大ざっぱなあいまいな規定でございまして、どういうものを基準にして安い料金にするかということにつきましてはいろいろと誤解を生む余地が多い、こういうことを考慮いたしまして、このたび第三条を設けることによって収支相償、独立採算、そういう基盤の上に立っての安い料金でやるということを、従来の経緯もございましたのでこの際はっきりしよう、こういうのが立法の趣旨でございます。
  45. 武部文

    武部委員 一条と三条との間に矛盾を感じないという答弁でありますが、そういうのを不感症というのです。私はそう言いたいのですよ。この前の議事録のやりとりを考えていくと、いまのあなたの答弁と比較をいたしますと、それならばなぜ一条を変えないのか。一条を変えるべきなんですよ、あなたの御意見どおりにいくならば。一条を変えるということはたいへんなことになるから、三条を小手先細工で変えて、そして何とかひとつうまくやってやろうというふうにとられますよ、幾ら何と弁解されようとも。われわれはそれを指摘しておるのです。前々の国会の長田さんの答弁その他から見て、これは当然一条を変えるべきであったけれども、公共料金その他のもろもろの事情——いまも公共料金の問題がたいへんなことになっておるのですから、裏を返せばやはり同じようなことで、とにかく一条というものは、いま変えたのではこれはたいへんだというので、公社の答申もあったものだから、そういう答申の中のものを引っぱり出してきて、ここで相矛盾する三条をつくって、一条の郵便法の精神というものを何かわけのわからぬものにしてしまったのじゃないかという疑いを私どもが持つ、疑問を持つのも私は当然だと思うのです。この点は、もう何日もここでやりとりしても話は並行線で、同じことが言われ、同じことが答弁されておるわけです。ですから、私ども法律的な解釈、さらにはあの大阪の公聴会における公述人の見解等を聞いておっても、やはりわれわれの意見というものが正しいという自信を私どもは持っておるのです。  もう一ぺん聞きます。何べん聞いても同じことの答弁のようですが、最後にもう一ぺん聞きます。一条と三条というものは、過去の経緯からして、私は、前の逓信委員会におけるやりとり、佐々木良作委員への答弁の中に非常に矛盾を感じるのですが、それでもなお郵政省としては矛盾を感じないか。財政法第三条の問題も出ておりましたね。そういうことについても何ら矛盾を感じない、こういうふうにお考えでしょうか。ひとつ最終的な意見を……。
  46. 竹下一記

    竹下政府委員 前回大阪での公聴会におきます竹中龍雄さんのお話を伺いましても、一条と三条とは決して矛盾をしない、三条を設けることによって一条の趣旨が非常にはっきりした、三条を設けてよかった、これは自分のかねての持論であったという意味のことを言われましたので、私どもはたいへん意を強うした次第でございます。  それと、先ほど申し上げました四十一年のこの問題のやりとり、佐々木委員お尋ねがございましたのですが、今度の法改正で第三条を設けたということを佐々木委員が知られましたならば、その当時の疑問は氷解するのではなかろうか、かように思います。(「食言しておるよ。」と呼ぶ者あり)
  47. 武部文

    武部委員 私は、竹中公述人の意見を聞いておりまして、なるほど思い切ってずばずば言う人だと思って聞いておりました。聞いておりましたら、一条と三条は矛盾をしないと言いながら、質問に答えてどういうことを——私はここに書いておるのですが、質問に答えて、一条は不完全だ、不明確だと言って、一条をこきおろしておったのです。そういうふうに、あの人の意見そのものが最初の公述と、それからあとの質問に答えた答弁とが全く矛盾しておる。公述人はここにおられませんからいいですけれども、非常に矛盾しておって、少なくとも郵政審議会の委員を長年された方のようですが、そういう見解でこの一条、三条を考えておられる。そしていま郵務局長答弁は、最初の自分に都合のいいことだけ聞いておられるが、あとのことが問題なんです。質問に答えた答弁がおかしいと思って、私は聞いたのです。おそらく出席をされた委員もそういうように聞いたと思うのですよ。その点どうですか。(「佐々木質問冒涜」と呼ぶ者あり)
  48. 竹下一記

    竹下政府委員 先ほど申し上げました、佐々木委員のことに関連いたしまして私の申し上げましたことは、万が一間違いがあるといけませんので、ここに取り消させていただきます。たいへん失礼いたしました。  先ほどの竹中さんの公述でございますが、私どもはこういうふうに受け取ったわけでございます。第一条はあいまいである、こういうことは全くそのとおりでございまして、つまり第一条がただぽつんといまのようなああいうかっこうであるものですから、たいへん不明瞭であり、あいまいであるというのでございまして、したがって、第三条を設けることによって第一条の趣旨が非常にはっきりしてきた、これで第一条の趣旨が落ちついた、第三条はつまり第一条を補足したことになるし、また第一条は第三条を設けることによって、その正しいあるべき場所に位置づけができた、こういうふうな意味でおっしゃったように私どもは受け取ったわけでございます。決して矛盾をしておることを言われたことはなかったと思う次第でございます。
  49. 武部文

    武部委員 まあとり方によってこれだけ違えばもう話にならぬですね。私どもは、少なくとも学者であり、経営学的に見てという前置きでああいう長々の説明があったわけですから、学者の人ですし、郵政審議会に長年籍を置いた方ですから、専門的な方だしと思って、真剣に一生懸命言われることを聞いて、はたして一条、三条というものをどういうふうに語られるかと思って聞いたけれども、全く相矛盾した公述なり答弁になっておったというふうに私は聞いたのです。私一人でないですよ。これは聞いておった人みんなそのように、あとであの意見はおかしいということになったのです。  ただ、提案されておるあなた方から見れば、一条を補足するために三条を設けたのだという考え方でおられるとするならば、あの意見にそのまま賛成されるでありましょう。それはもう立場によってとりようが違うわけですからやむを得ないかもしれませんが、しかし、一般の者が見た場合、あの竹中さんの公述というものは全く矛盾しておる。その矛盾がこの一条と三条の私どものついておるところをはしなくもあの答弁で暴露したものだということで、われわれは大いに自信を強くしたわけです。そのように思います。これはもうこれ以上あなたとやっておっても同じことですから、先に進みます。  そこで、あの際、私が佐々木公述人に質問をいたしました中の問題について、再度お伺いをいたしたいのであります。この法改正の第五十七条「特殊取扱の種類及び料金」という問題について、こうした問題は刑事訴訟法上からいっても、憲法に定める国民の権利義務の面からいっても、これを省令によってきめることはおかしいではないかということを私は質問いたしまして、弁護士という立場から法律的に答弁がなされたことは御承知のとおりであります。国民の権利義務に関する重要書類ということで、内容証明等を書留にするということが御承知のように郵便法上もきまっておる、刑事訴訟法上もきまっておる。この料金を今回の法改正によって省令で定めることができるということは間違いだというふうに指摘をされたわけですが、このことについて郵政省の見解はどうだろうか、この点をお伺いいたしたい。
  50. 竹下一記

    竹下政府委員 特殊取扱は、国民にとりましてたいへん重要な業務でございます。わけても内容証明、特別送達などは、訴訟法においても明記されておりますように、国民の権利義務に関連するきわめて重要なサービスでございます。したがいまして、このサービスの基本的な事項につきましては、法律ではっきりときめなければいけないと思います。従来からもそうでございましたし、今後も指摘ございましたように、役務の内容につきましてははっきりと法律で規定をするという態度あるいはその方針をくずしておりません。ただ、その料金につきましては、基本的な料金である第一種、第二種の料金とは相当趣きを異にしますので、弾力的な操作がききますようにこれを省令に落としていただく、これも一定の法律の基準と条件を設けて、そのワク内において省令で操作をさせていただく、こういう仕組みにいたしたい、そういうわけでございます。
  51. 武部文

    武部委員 そういたしますと、この法第五十七条にある「書留、速達、引受時刻証明、配達証明、内容証明、代金引換、特別送達」こういうものについては将来どういうふうにしようと考えておるのですか。
  52. 竹下一記

    竹下政府委員 御質問の趣旨がはっきりしませんでしたが、従来法律で特殊取扱の種類、その内容等につきましては明記してございます。その重要部分は、今後ともはっきりその種類、その基本的事項については法律でうたっていくということでございます。
  53. 武部文

    武部委員 私のほうがちょっとわからぬのですが、この特殊取扱は今度法律によらないで省令で定めるということですね。そういたしますと、ここに書いてある書留とか速達とか、こういうようなものについて、さしむきこれを引き上げるとか引き上げないとか、そういうような構想はどうなんだということなのです。
  54. 竹下一記

    竹下政府委員 私の説明が多少不備でございました。従来法律で書き上げてあります特殊取扱は、今後ともそのとおり法律事項として残してまいります。ただ、今後省令でもって特殊取扱を新しく実施するあるいは開始する、こういう余地を残そうと思いまして、そういう意味の条文になっておるわけでございます。そうしますと、法律に列挙せられてある特殊取扱と省令で定められる特殊取扱と二通りの特殊取扱が今後できる。その趣旨は、つまり業務運行の弾力性あるいはサービスの改善、そういう点に着目いたしまして、一々法律を要しなくとも省令でもって新しいサービスの開始ができる、これがねらいでございます。その場合、料金関係につきましては両者ともども省令に移していきたい、こういうのが趣旨でございます。
  55. 武部文

    武部委員 きのうも問題になっておりました郵政審議会というものは、国民に何らの影響もないところでかってにつくっておるのはけしからぬという意見がありました。私も全く同感であります。いまの郵政審議会のあり方、四十五名ですか、そういうような審議会の運営や構成、そういうものを見ると、この問題について大いに異論があるわけです。ただ審議会というものをたくさんつくれというのが私どもの意見ではありません。ありませんが、現実に郵政省の各種の審議会の数というのは非常に少ないわけですね。たとえば農林省あたりは二十六、通商産業省に至っては三十三、こんなべらぼうな審議会を持っている。郵政省は四つしかありませんね。そういうような点を考えてみたときに、一体いまの郵政審議会の構成なりあるいは権限なりあるいは実績なりというものを見たときに、今後もしかりにこの法律が通ったといたしますと、これを郵政審議会に諮問をして、郵政審議会の答申を得てやるということに多くのものがなりますね。そうなってくると、この郵政審議会というものにもっと大きな権威を持たせなければならぬ、これはたくさんの人から述べられたとおりであります。  そこで、これは一つの私見でありますが、いまの郵政審議会は郵便あるいは貯金、保険、さらには電信事業、電話事業に至るまでの問題を取り扱っている非常に広範囲な審議会であります。そういう問題についてもっとこれに権威を持たせる、権限を持たせる、また専門的に調査をするような、そういう具体的なことをやらせるために、たとえば審議会を部門別に設ける、あるいはこの審議会について常勤役員というようなものも設けて具体的に専門的に取り組んでいく、そういうことが必要な時期になってきたのじゃないか。皆さんにたいへん失礼な言い方ですが、忙しい人ばかりおって、出てこない人もおるというような答弁もございました。そういうような点を考えたときに、この郵政審議会というものはいまのようなあり方であってはならぬと思うのです。一体郵政省としていま私が申し上げたようなことについて何らかのお考えがあるのか。  審議会を設置する場合には、相当抵抗があるように聞きますけれども、きのうの日経の夕刊に、行政組織法の改正案が行管から近く提出される。これは部局の改廃は政令で定めると書いてある。そうすると、いまわれわれが取り上げている問題というのは、郵便法という法律が制定されておる、この間にたいへん大きな矛盾を私は感じるのですよ。政府のほうとしては行政組織法を近く改正をして、部局改廃は政令で全部やる、こうした矛盾を郵政省としてはどう感じましょうか。私はこれは大事な問題だと思うのですよ。私が言っておることがわかりませんか。——いまの郵便法は、とにかく法律改正そのものは法律によって行なうのですね。したがって、審議会にこれをはかってやるのでしょう。それがかってに政令で部局の改廃をきめていくということになれば、かって気ままな政府の思いつきでどうにもなるじゃありませんか。そういうものじゃなしに、きちんと定められた法律によって審議会というものをつくって、そしてそれに権限を持たせるということでなければ、お手盛りになってしまって何にもならぬじゃないか、この点はどうでしょうか。
  56. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の趣旨、あるいは私どもが的確に把握してないかと思うのでございますが、今度の——きのうの夕刊というおことばでごさいましたけれども、行政管理庁で考えております国家行政組織法及び各省設置法の改正につきましては、ただいま御指摘のように、内部部局等を現在法律で規制しておりますが、これを政令によって内部部局は設置をするのだ、こういう動きがあることは確かでございますが、これは一応そういう方針だということでございまして、いまおっしゃいましたどこと矛盾するかということにつきまして、私どもただいまの御質問ではちょっとつかみかねておる次第でございます。
  57. 武部文

    武部委員 私の質問がちょっと抽象的でわかりにくかったと思うのですが、この部局改廃を政令でやるということになると、お手盛りで、ここに書いてあるとおり官僚機構をチェックできなくなるじゃないかというような意見が現実にあるのです。ですから、私どもとしてはこういうような組織法改正案というものが提出されてくるということについては、大いに疑問を持っておるのです。そうしていまの郵政審議会の改組の問題についても、私申し上げましたいろいろな面について、少なくとも省令とか政令ですべてを定めるというようなことをやることは、これは国民の意思というものを無視することになる、そういうことをきょうまで主張してきたわけですね。そのことが簡単にしやすくなるように、この行政組織法の改正案が提案されようとしておるのではないか、このように思うのです。ただこれは、当面する問題といまさしむき直接関係はないかもしれませんけれども、しかし現実にこういう動きがある。したがって、私は、先ほど申し上げるような、少なくとも郵政審議会を改組しあるいは強力なものにする、そうなった場合には、そういう委員は国会承認人事というような形の中で、もっと権威のあるものにすべきではないかという気持ちを持っておるのですが、大臣のほうから、郵政審議会の今後のあり方、運営のやり方について、あなたの御見解はどうかということを聞いてみたいと思うのです。
  58. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いまの御質問にありました行政管理庁で考えておるような線は、私もまた直接には伺っておりませんし、閣議の問題等にもまだ上がってきてはおりません。したがいまして、それはそれとして、郵政審議会のあり方をどうするかという御質問でありますが、現在郵政審議会は四十数名をもって構成される大審議会であります。ほかの役所にはほとんど問題別、項目別にさまざまな審議会がある、こういうやり方も一つ方法ではございましょうが、郵政省はこの大審議会のもとに部門別にいろいろと、郵便なり貯金なり保険なりあるいは電信、電波等に至るまでも、この大審議会の中に部会を設けて専門的な検討をする、それをいまの大審議会で、総会でさらに最終的な詰めをするという仕組みになっておるわけでございますから、これもこれなりに私は一つのあり方であろう、こう考えております。そこで従来郵政審議会は有力なメンバーを網羅して堂々たる陣容でございますし、いままでは私どもとしてはたいへん有益な御答申等もいただいてまいり、委員各位の御労苦を多としておるわけでございます。今回この郵便法改正に伴いまして、国会承認事項を省令事項に移すと、それの諮問をし御答申を待って慎重を期するということになっておりますから、ここで審議会の役割りというものは従来にもまして大きな使命が負荷されるわけでございます。したがいまして、その具体的な方法についてはもう少し考えさせていただくということにいたしまして、御趣旨のような線でこれを国会承認人事といろことにするかどうかというふうな問題は、まだきょう御答弁申し上げるという段階ではございませんが、いずれにもせよ郵政審議会を非常に重要な存在として権威づけなければならぬ、この考え方に立っておることを申し上げる次第でございます。
  59. 武部文

    武部委員 これで終わりますが、確かに構成を見ますと、学歴といい職歴といい堂々たる陣容ですが、堂々たるばっかりでから回りをしておるような気がしてならぬのです。そういう意味からいって、もっと権威のある、実効のあがる審議会にしてもらいたいというのが私の希望であります。ぞひ御検討いただきたい。以上で私の質問は終わります。
  60. 金子岩三

    金子委員長 栗山礼行君。
  61. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっと委員長に。ちょうどいま零時二十五分でございます。二時から本会議の予定と承っております。特に昼どきでありますから食事の関係等もございますが、なるべく本会議まで私の質問を適宜やれと、こういうことでございますが、食事を抜いて、本会議に間に合うまで質問をさせていただけるかどうか、この点をひとつお答えいただいてから質問に入ってまいりたい、かように考えます。
  62. 金子岩三

    金子委員長 ちょっと速記は要りませんから……。   〔速記中止〕
  63. 金子岩三

    金子委員長 では速記を始めて。
  64. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま内示がございまして、ひとつ本会議前の十分ぐらいは食事の時間をほしいから、考慮してやることがよかろう、こういうような内示がございまして、委員長の御了解をいただいて、そのワク内で質問を進めてまいりたい。これは私の責任ではございません、質問者のいろいろ運営上の問題でございますから、ひとつ私に集中攻撃をされないようにお願いを申し上げたい、かように思います。  先ほど、この間の三日の大阪における公聴会の、自民党の推薦されました最も真摯な学者であります竹中先生の陳述をめぐりまして、いろいろ解釈がございました。この問題についてたいへん学者の権威を学説として認めつつ、私どもの受けました感じを申し述べて、郵務局長の御見解をただしてまいらなくちゃならぬ。  それからいま一つは、四十一年の三月三十日のわがほうの、当時私と佐々木良作君が逓信委員でございまして、その質疑がございます。この質疑を中心に、きのう卜部委員がいろいろ見解をただされまして、きょうまた武部同僚委員がわが党の佐々木発言をめぐる質問に入ったわけでございます。私は、郵務局長を深追いはいたしませんけれども、少党といえども天下の民社党の書記長の言でございまして、この事柄がたいへん冒涜をされておると、こういうことを大臣に対しまして申し上げて、さっそく郵務局長がいろいろ陳謝をされまして、深追いいたしたいとは思いませんが、若干、武部委員の中で、佐々木委員が申し上げました内容の、四十一年三月三十日の記録の主たる点を申し上げまして、佐々木発言の意図するところ、及び当時の郡郵政大臣及び郵務局長のお答えになったことを明確にいたしてまいりませんと、現在のわが党の佐々木書記長がたいへんこの問題で名誉を傷つけられるということであってはならないので、この問題を先にひとつ進めてまいりたい、かように考えております。  まず、公聴会におきます問題について、いろいろ武部委員お話をされたようでありますが、私の率直に受けました感じは、第一条と第三条との相矛盾をしないという表現をされました事柄は事実でございます。なお第一条について、この目的について法律案文としてのきわめて拙文である、こういうことも御指摘になったことも事実でございます。これはもう間違いがございません。それから特に竹中先生の説は、私が若干討論じゃないかということでおしかりを受けたこともございましたが、その中で、いわゆる審議会の委員もやっていらっしゃって、あの方の一つの最も専門的な公共企業というもののとらえ方であります。しかも公共企業は日本にない、あるいは世界にない、こういう一つの学説、きめつけでございます。ここに大きな論点の差がありまして、いわゆる郵便法というものが現存し、日本におきまする国家のこの郵便事業の現存することをたてまえとする議論じゃなくて、いわゆる公共企業というもののあり方はこうなんだ、しかも公共企業という名称すら今日各国の例にはないんだ、こういう考え方から議論を展開されてまいった。これは学者は学者として、少し頑迷なみずからの意見を固執されたのでありますけれども、私の質疑を通してもそういう点は見られますけれども、相当、そういう本質の基本認識というものが、主として公共企業というとらえ方のみに重点を置いておられた。したがって、経済サイドで割り切らなくちゃならないんだ、こういうことでございました。ここにわれわれの論議いたしております第一条と第三条との観念におけるかみ違いというものを、われわれはやはりたいへん大きな路線の平行線がある、こういう受けとめ方をいたしましたのが事実でございます。  こういう観点に立って私は、郵務局長聞いていらっしゃると思うのでありますけれども、ただ片りんをとらえて賛成なさったり、たいへんけっこうだという一つの末尾をとらえて、あたかもこれが最も合理的で科学的で望ましい法律案文だ、こういうようにお考えにならないように私は望まなくちゃならぬと思うのですが、いまなおそういう考え方を堅持されているかどうか、郵務局長の御意見を伺いたい。
  65. 竹下一記

    竹下政府委員 竹中さんのお話を承っておりまして感じたことでございますが、郵便事業をどういうふうにとらえるかということが出発点になるのじゃなかろうかと思います。行政としてとらえるか、公企業としてとらえるか、このことを盛んにおっしゃっておったようですが、竹中さんの所論に従いますならば、郵便事業は国営ではあるけれどもやはり企業である、つまり公企業である、これを主体として考えて料金の決定その他をやるのが理論的であると、こういうふうなことをおっしゃったように私どもは承ったわけでございます。  ただ純粋に、全く純粋な形での企業であるかということにつきましては、先生もそうはおっしゃっておらないのでありまして、確かに行政的な一面もある。三種、四種の郵便を取り入れておるというような点は、確かに行政的なあるいな文化的な一面でありますから、郵便事業を全くの経済原則でもって押し通すということにつきましては無理な面が出てくる。そこで妥協というようなことばもお使いになったように思います。したがいまして、郵便事業は本来的には経済原則でもって運営さるべき公企業であるけれども、部分的にはやはり行政的な一面もあるので、この面の調和ははかっていってよいであろう、こういう趣旨のものでございまして、そうなりますと、先ほどの御説と私の考えておりますことは、少し、だんだん近づいてくるようにも考えるわけでございます。
  66. 栗山礼行

    ○栗山委員 まあ受けとめ方は、行政側の人と、私どもやはり立法府における法律的立場でものを受け取り、特に現実の政治というながめから進めてまいらなくちゃならないのでありまして、そこに若干のニュアンスが出てまいると思いますけれども、この論争点はこれで終わりましょう。  ただ、もう一点伺っておきたいことは、竹中先生の、これが何といいますか公社、こういう案でもっていくと、きわめて、竹中さんの案の合理性は私ども傾倒できる、こういう感じがしたので、少なくとも現在公社でございませんということを申し上げたのでありまして、国の唯一の国家事業であるという立場に立って、立法と政治の感覚と行政のあるべき方向をつくっていかなくちゃならぬということを、私は学者の意見をそんたくいたしまするけれども、ひとつそういう点を、ただ一方の学問上の問題だけを押しつけられるという感がいたしましたので、私がそういうことを申し上げたことは竹下局長よく御承知のはずでございますけれども、この点についてどう受けとめになりましたか、御所見を伺いたい。
  67. 竹下一記

    竹下政府委員 郵便事業は、かりに公社経営ということになりますと、竹中理論はさらに適切なることになってくると思います。ただし公社でございませんし、行政上あるいは政治上のいろいろな要素も取り入れて経営をされているというのが実態でございますので、そういう面につきましては、やはり純粋に経済性だけでは通らない一面もあろうかと思います。
  68. 栗山礼行

    ○栗山委員 四十一年の三月三十日の佐々木質問に対する郡大臣答弁が、ここの記録にございます。これを全部読み上げますと約三、四十分かかってまいるんだ、こう思いますから、読みはいたしませんが、あなたのとらえられておる点とは全く違うのです。値上げを中心とする郵便法の一部改正でございましたことは御承知のとおりであります。そのときにおいて、法理論として、郡大臣は、独立採算制による原価主義は当然だと、こういう説明をされたのです。したがって、法律はもっと素朴に見るべきであって、法律にはどこに原価主義というものが入っておるのか、こういうことの質問が主たるものでございました。これはここに記録がございます。それから第二点といたしまして、その説でいくと、もっと条文を変えなくちゃならないのじゃないか、書いてないものをそういうふうにゆがんだ解釈論をもって押しつけるということについては困るじゃないか、こういう一つの逆論を佐々木委員が質問をいたしておる。  これについて、第一条の問題に触れられまして、全然この第一条は独立採算性の立場あるいは規制の立場において相矛盾をいたしません、第一条でこれはけっこうでございますということを郡大臣と当時の郵務局長が明確にお答えになっておる一節だ、私はこのように理解をいたしておるのですが、一体いまの竹下郵務局長が再び起こってまいりました郵便法改正について、前回のこの会議録をお読みになったのかどうか、そして、私がいま申し上げたような佐々木発言が適正なりやいなやという点について御説明を伺いたい。
  69. 竹下一記

    竹下政府委員 私は、その速記録を読んでみたわけでございます。そこで佐々木委員お尋ねは、第一条の条文からは、「なるべく安い料金で、」というその表現からは原価主義というものは出てこない、独立採算の考え方は出てこない。ところが、第一条以外に、何ら料金の決定についての規定が郵便法の中には当時なかったわけでございます。その点をおつきになったわけでございます。法解釈としてはごもっともだと思うのですが、それに対しまして当時の郡大臣郵務局長が、条文の上からは明文はございませんけれども、第一条の「なるべく安い料金」云々ということばは、その背後にはやはり独立採算、総括原価主義、こういうことがあるのだ。それは郵政事業特別会計法の中に企業的に運営するというようなことばもございますし、また郡大臣のおことばとして、郵便事業はあまねくその役務を提供する、こういうことも同時に第一条にうたってございます。あまねくサービスを提供するということになりますると、そのための経費も必要でございます。そういうことを勘案いたしますると、「なるべく安い料金」という解釈は、安ければ安いほどよろしい、ただであれば一番よろしい、こういうことでは絶対ございませんので、郵政事業特別会計法でうたってございますように、企業的運営をやりまして、ことばをかえて申し上げると、能率的に仕事を運営しまして、冗費を節約して極力安い料金に持っていきますけれども、所要なる経費はやはり料金でカバーするような、いわゆる収支相償と申しますか独立採算と申しますか、そういう一本の柱がやはり根っこにあるわけでございます。そういうことをるる説明答弁をしておられたように速記録を見て感じたわけでございます。
  70. 栗山礼行

    ○栗山委員 局長、その質問の一面はあるのです。ただし、第一条によって完全にこれをはかっていけるという郡大臣答弁が佐々木質問に対してされておるのです。これも、その点は抜けられておると思います。  私、ちょっと読み上げますと、佐々木発言は、もしこの第一条の法律的解釈をすれば、原価を償うものであるという条文をなぜ入れないのか、こういう質問を端的にぶっつけた。郡国務大臣は、「私は、その点は、法律を今度の立案にあたりますときに、ずっと一応検討いたしました際に、特別会計法で、「企業的に経営」をいたすということをあげております。企業的と申しますならば、収支が償うようにということは私は明瞭だと思います。特に、そうした特別会計法と郵便法と合わせて見まして、私はこの一条——ですから、考えられることをみんな書けというものの見方もございましょう、ございましょうけれども、私はさっき申しましたように、目的というところをそう変えるような、変えてみてここに原価主義ということを書いてみたところで、一体どれだけの意味があるのだろうか。むしろ郵便法そのものの目的というのは、ここに書いてあるような、おっしゃるように「安い料金」ということと「あまねく、公平に提供する」これが並んでおって、目的を特に変える必要はないのであろう、そういう判断を私はいたしました。」こういうことなんです。明らかにこれは否定されておるのです。第一条で十分だという結論を当時の大臣説明されておるのが、この会議録の内容でございます。  いろいろその他のもっと重要な点もございます。当時の郵務局長もいろいろ答弁をされておる。確かに大臣と適応いたしましたような答弁をいたしておる。これ以上私は避けてまいりたいと思うのでありまして、繰り返すようでございますけれども、決して佐々木発言は郵務局長がとらえておるような、もしこの第三条を入れることによって佐々木良作前委員がおられたら非常にかっさいを求めるだろう、お喜びになるだろうということじゃなくて、これは全く別な意味における答弁内容でございましたことをあわせて私はこの会議録を明瞭にして、あなたの見解をただしてまいりたい。以下本論に入ってまいりたいと思います七もう一度御答弁を願います。
  71. 竹下一記

    竹下政府委員 御趣旨のとおりでございます。そのように私、感じております。
  72. 栗山礼行

    ○栗山委員 時間がございませんから、ひとつ急いで本論にまいりたいと思います。  大臣にお伺いをいたしたいのですが、そういたしますと、前回の値上げも三五%にわたる値上げでございます。今回も同様な値上げになっておると承知をいたすのでございます。当時から値上げの内容の問題は別といたしまして、いろいろあとでお伺いすることにいたしますが、特に今度は第一条と第三条を新たに設けられる、こういうことが一番大きな問題点一つになって質疑をかわしておりますことは、これは御承知のとおりなんであります。そういたしますと、四十一年度−四十五年度のこの期間を通じて、いろいろな理由を述べられまして、特に第三条を明記しなくちゃならぬという井出郵政大臣の基本的な一つの理解点はどこにあるのか、こういうところが問題になってまいるわけであります。いろいろ質疑を通じまして、いままでの御答弁を伺っておるのでありますけれども、私の新たな観点から、どこにそういう客観的情勢の変化があるのか。かたくこれはその必要なしとして値上げをやってこられたという前段の説明を踏まえましても、この事柄が何か発想の大きな転換であるということについては議論の余地がないのであります。一条と三条と矛盾するとか矛盾をしないという議論はあとにいたしまして、なぜ第三条をあなたの大臣の場になって、しかも値上げを中心とする郵便法改正という時点においてこれが挿入されたか、こういう沿革といいますか、あるいは考え方の基調というものをどういうふうに大臣考えになっていらっしゃるかということを伺っておきたい。
  73. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま昭和四十一年当時を振り返えられまして、そのときにおける質疑応答を御披露になって、それを踏まえての御質問でございましょうが、私は、表面当時の質疑応答には出ておりませんものの、やはり潜在的にというか、その背景としては、独立採算、受益者負担、こういうものにわたっての郵政当局の心組みというものは存在をしたであろう、こう思います。これを今回こういうふうに顕在化したゆえんのものは、より明確化したほうがいいのではないか、第一条にあります「なるべく安い料金で、」そして「あまねく、公平に」というこの原則のもとに、しからば実質的に一体料金はどうあるべきか。まあ第一条を補完するといってもいいでしょうし、ないしは一条、三条は彼此関連し合う、こうお考えくだすってもいいと思いますが、より明確化したのが今回の改正である、このように御了解をいただきたいと思います。
  74. 栗山礼行

    ○栗山委員 しばしばその御答弁は伺ってまいったことなんです。私は、それを記憶いたしておる中で、特にいまのような御答弁を求めるということじゃなくて、明確になっておる事柄についてはあまり議論にはならないと思うのですが、あまりに第一条と第三条とのかね合いに大きな矛盾が法律案文としてある。中身の大きな発想の転換だというところにいろいろ問題点法律論として展開をされておる、こういうことだと私は思うのです。前回も質問で申し上げたのでありますが、これ以上追及いたしません。井出大臣に申し上げることは、同様でございますというような御答弁よりいただけないと思いますから、それ以上申し上げませんけれども、私は、繰り返される御答弁についてはなはだ不満足なものを秘めておるということだけひとつ大臣、御了承をいただきたい、かように思います。  これに関連いたしましてもう一点、郡大臣は佐々木質問に答えまして、一般会計からの繰り入れについても、これを肯定する答弁をされておる個所がございます。これはここに出ております。こういう質問をいたしておるのです。「特別会計に一般会計からほうり込んだらぐあいが悪いのですか。」こう赤字の特別会計の繰り入れについての質問を端的にぶつけたわけです。郡郵政大臣は「一向そういうことはございません。「企業的に経営し、」と書いてある、それを読めば企業的に成り立たなければいかぬということを申しているのでありまして、一般会計から繰り入れていかぬということはどこからも出てまいりません。」当時の郵政大臣がこういう答弁をされておるわけであります。  私は、第三条を挿入することによって、第三条の規定からいくと、一般会計からの繰り入れということを拒否するという条文になるから、郵政の近代化や創造的な郵政事業を進めてまいる上に大きな支障を来たすのではないか、こういうことから、第三条は好ましくないという意見を前回の質問で申し上げたことは、大臣も記憶に新たな点だ、こういうように私は了承いたすのでありますが、この点について、少なくとも当時の郡郵政大臣は、一般会計からの繰り入れということについては一こう差しつかえないものだということを、当時における状況を踏まえつつ御答弁を公式にされておるわけであります。  この点について前回も承りますと、いろいろ制約条項があり、たてまえから見て一般会計からの繰り入れは私としては好ましくない、こういうふうな御答弁をいただいたことがあるのでありますけれども、この点について、あなたの、いろいろこの問題の質疑等を通じて同様の御答弁をちょうだいすることになるのか、新たな発想を踏まえてひとつ御答弁をいただけるか、その所見をもう一度ここでお伺い申し上げたいと思います。
  75. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 まあ前回と同じことに結論的にはなるのかもしれませんが、私は昨年以来、次の年度は相当な赤字が予想されるのであるけれども、一体いかなる方途をもってこれに臨むかというお問いかけに答えて、まあおよそ三つの方法があるというふうなことを申し上げ、その中には一般会計からの補てんという場合も申し上げたことが記憶にございます。それで、歴史的にずっとたどってみますと、終戦直後の非常に特殊な事態を踏まえて、一般会計から補てんした事例が一、二あることは御承知のとおりであります。しかし、実際問題としては、ノルマルに運営されます限りにおいては、郵便事業というものが自来二十年にわたって独立採算という方法で運営されてまいったことは、これは動かしがたい事実でございます。それで、終戦直後に一般会計から補てんしましたときも、たしか特別立法をつくりましてやっているはずであります。ですから、郵便の会計がもうとことんまで行き詰まってしまってにっちもさっちもいかないという——これは非常にあり得べからざるケースかもしれませんが、そういう場合は、私は門を閉ざすというふうには必ずしも考えていないのでございまして、この三条は、そういう事態にはしたくない、少なくともこの公企業というものが自前で成り立っていくためには、こういう心がまえのもとに合理的な経営をし、そして自分の足で立つ、こういう意味の条文を挿入することが、郵便事業にいそしむわれわれとして、みずからを励ますゆえんになるのではないか、こういうような気持ちでおるわけでございます。
  76. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへん高邁な御所見で、私もそれなりに受ふとめておるわけです。決して軽視をいたしておりません。尊重いたしておるのでありますけれども、それは一つの精神論であります。私は、あなたが郵政大臣として五カ年間、十カ年間の計画を立て、ビジョンを立てて、井出にまかせということなら、白紙の投票をいたしてまいりたいが、残念ながらいまの内閣制はそういうわけにはまいりません。こういうことになりますと、井出大臣の精神的な問題よりも、法律条項によって行政が進められるということにつきましては、御承知のとおりであります。そういう点から、立法の中身において相矛盾し、あるいはまた一般会計からの繰り入れの門戸を閉鎖するということについては、おそらく後世の歴史において井出郵政が善政だということの美点の一ページを飾るかどうか、あるいは汚点を残すかどうかということについて将来を考察しつつ、私はこの三条の問題を御質問申し上げておる。こういうことを申し上げまして、この問題については再度私はお伺いをいたしません。以上の精神をもってひとつ御了承をいただきたい。ただし、栗山さん、ちょっと待ってくれ、そうも言われたら、これは別な角度からひとつお答えするということでございましたら、謙虚にお答えをいただきたい、かように考えております。——まあ無理でしょう。  経理局長一つお伺いいたします。なかなか回転の早い頭を持っていらっしゃるので端的にお聞きいたしますが、一体公共企業について、一般会計からの何らかの形における助成をしておらない事業が何と何とあるか。あなたの所管外だと言われたら別でありますが、いやしくも郵政の経理をつかさどるということで予算やその他の問題を担当されるのでありますから、日本の公共企業地方公共企業を含めまして、公共企業に国の財政の補助なり育成を受けておらない企業とは何と何かということについてお尋ねを申し上げたい。
  77. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 まことに浅学でてございまして、そういった面についての知識を持ち合わせておりません。ただ、私ども古くから一緒にやってきました電気通信事業、あれがいま公社になっておりますが、同じ通信を扱うという公企業として非常に注目しておりますが、電電公社はりっぱに一本立ちをしているような感じがいたしまして、非常にうらやましく感じている次第でございます。
  78. 栗山礼行

    ○栗山委員 さらっと逃げましたが、それじゃ私はあと追いをいたしまして、経理を担当するあなたは、私の申し上げているものを、ひとついろいろそういう経済企画庁その他の関係等を通じまして、それを後日資料として委員長のお許しを得て御提出をいただくという御用意がありますか。
  79. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 できるだけ資料を取りまとめて提出したいと思います。
  80. 栗山礼行

    ○栗山委員 今度の問題の焦点になりましたのは、憲法論が出てまいりました。憲法八十三条、四条の関連でございまして、いろいろお伺いをいたしました。さらに財政法第三条との問題等も出てまいりました。私は、多くの質疑を重ねておりますから、あらためてこの問題の内容にわたって質疑をするということはいたしませんが、どうやらきょうが総括の質問でございまして、私で質問を終結する、こういう作業の運びに相なっておるやに承知をいたすのでありますが、そういう観点からいたしまして、いままでは明らかに平行線をたどってまいりました。しかし、学者の中にも両論があることも私も資料を持っておるわけであります。一方の末節をとらえまして御答弁された御答弁もお伺いをいたしておるのでありますが、この場にあたって、最後でございますから、厳とした一つの省側の憲法の条々の——私は土橋君の一つの御質問の憲法違反というきめつけをいたそうとは考えておりません。ただし、日本の憲法の条々に照らしての一つの解釈論があり得るのでないか、こういうふうにやんわり申し上げてまいりたい。財政法三条もまたしかりであります。この点に関連いたしまして、最後の詰めとして郵政大臣からひとつき然とした御答弁を承っておきたい、かように考えております。
  81. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 き然としたというところにはまりますかどうか、一応私からお答えを申し上げます。  憲法第八十三条の規定は、財政の一般的基本原則を明らかにしたものでありまして、政府の財政処理の権限は国会の議決を基準としてこれを行使しなければならない旨を規定したものと、こう理解をいたすのであります。また憲法第八十四条の規定は、直接的には租税法定主義といいますか、租税を対象とした規定と解されますが、その趣旨は、実質的に租税と同じように国民の自由意思に基づかないで定められる専売価格やあるいは独占的事業料金にも及ぶものだ、こう了解をいたすのでございます。それらの趣旨のもとに財政法第三条に定められたと思われますが、憲法第八十三条には、国会の議決に基づいて行使する旨を、さらに八十四条には、法律に定める条件による旨を、また財政法第三条では、法律または国会の議決に基づいて定める旨を規定しておりまして、基本的な料金は法定する。つまり第一種、第二種はこれに該当するわけでありますが、その他の料金は法律で何らかの条件または基準を定めてその決定を政令以下へ委任することを認めている、こういう解釈をすることができると思うのであります。  ところで今回の改正は、郵便事業の基本的役務であるとともに、その送達を国の独占としております信書を包有し、また郵便物の大部分を占める国民生活に密着した第一種郵便物、第二種郵便物の料金は法定とし、その他の料金は、その役務の性質にかんがみ、その料金の決定を省令に委任しようとするものであります。省令で定める料金はその役務と同様の他の運送機関からも受けることができる、あるいは特殊な役務であってその利用する利用者の選択にゆだねられるものの料金であって、いずれも基本的なものとは考えられません。さらにその法定にあたっては、一般的料金決定の基準に基づくほか、額の最高限を画し、あるいは個別の料金決定の原則によりさらに郵政審議会に諮問して決定する等の手続を慎重ならしめて、そしておのおのその役務の性質及び重要性に応じて料金決定の委任の要件を定めるものでございますから、憲法及び財政法の精神に適合するものである、かように考える次第でございます。
  82. 栗山礼行

    ○栗山委員 これをやりますと、また時間引き延ばしだというようなことでございまして、これは相当突き詰めて考えてまいらなくちゃならない内容がございます。官側のとらえ方あるいは立法者としての純法律的立場においてこれをとらえます場合について、ノーズロで賛成を申し上げるということよりもはなはだそういう解釈は残念だという結論を申し上げまして、これは後日の問題にいたさなくちゃならぬ、かように考えております。  本会議でも私ちょっと触れたのでありますが、これも締めくくりでございますからもう一回お伺いいたすのでありますけれども、これも第一条と第三条との相矛盾する内容があるということを申し上げ、同僚の各質疑をいたします上においても同様の質疑を深刻に展開されましたことは御承知のとおりであります。皆さんの答弁は、相矛盾いたしません、こういうようなことでございますけれども、まさに相矛盾をいたします。第三条は料金決定の原則をおきめになった、こういうことでございまして、第一条の目的を広義に解釈いたします場合においては、さようなものとは絶対に相矛盾すると私はかたく信ずるのでありますが、ここでこれまた最後でございますから、重ねてひとつ明確にお答えをいただきたい。
  83. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 繰り返しますとたいへん長くなりますが、要するに第一条の「なるべく安い料金で、」この解釈でございますが、私どもは、この「なるべく」は決して採算を度外視してまでも安いというのではなくして、この経営を円滑に遂行していきつつ、その中において、たとえば利潤を追求するなんということは考えないのですから、その意味においては収支相償うという原則がその中に生かされておる、とう考えておる次第でございます。
  84. 栗山礼行

    ○栗山委員 この問題も、論争いたしまして並行線をたどりまして、到着点がないというようなことになってはなはだ残念でございます。何と申し上げていいか、ちょっとことばに出てまいりません。お説のような、大臣のような答弁を繰り返されますと、そういう狭義に——なるべく安くということについては、独立採算制の立場で運用されておるのでありますから、これは一定の限界、歯どめがございます。それをよく承知をいたしておるのでありますけれども、私が申し上げますように、第三条とは、料金を決定する一つの条文を明らかにする、こういうことになっておるのでありますから、国家の一つの事業体として不健全であろうが、あるいは健全であろうが——法律には健全なる効率的運用のもとにおけるということを書いておるのでありますけれども、いかなる結果になりましても、省側のそういう扱い方によって決定されるということに相なるのでありますから、私は相矛盾する一つ内容のものだということを、これは重ねて強く申し上げまして、この問題はこれで打ち切りたいと考えております。  次の問題でありますが、このことにもうちょっと付言いたしますと、どうもふに落ちないという点は、第三種、第四種というものについては政策料金でやるということでございましょう。またそういう御答弁もされておると思います。私たちもそういう立場に立っておる。ならばこそ、省側の独立採算制によるたてまえじゃなくて法制化すべきじゃないか、こういう議論も出てまいりますことはすこぶる当然だということを付言いたしまして、これは御答弁をいただかないことにいたします。はなはだすれ違いで残念だ、恋人を求めて来たらず、こういうことでこの問題は終わることにいたします。  竹下郵務局長にお伺いをいたします。特殊取扱がありますね、特殊郵便物の取り扱い、これの品種をひとつおっしゃっていただけませんか。
  85. 竹下一記

    竹下政府委員 特殊取扱の種類は、郵便法五十七条に明定がございまして、「書留、速達、引受時刻証明、配達証明、内容証明、代金引換、特別送達及び年賀特別郵便の取扱」、以上でございます。
  86. 栗山礼行

    ○栗山委員 この特殊取扱も御承知のとおり省令にゆだねておる、こういうことであろうかと思います。これは端的に申し上げますと、国民の権利、義務に属する内容であります。年賀郵便というものが権利義務に属するかどうかということについては、私はまた別途の考え方を持つべきだというように考えておりますけれども、なかんずく内容証明というものは民、刑事にわたります問題であります。引受時刻証明もまたしかりであります。あるいはまた配達証明しかり、代金引換というものについてもしかりであります。特に特別送達というものは、主としていわゆる刑法上の問題等に関連いたしましての特別送達というものがございます。たとえば罰金がいわれてくる。幾日まで罰金を納付すべし、もし納付せなければあるいは労役もしくは体刑を科するというような、きわめて国民の権利義務の強い性格のものでございますが、これを省令にゆだねる根拠をひとつ、これは局長からお伺いいたしたい。
  87. 竹下一記

    竹下政府委員 特殊取扱の種類につきましては、先ほど申し上げましたように、郵便法五十七条で列挙してございます。今度の法改正で、その列挙しておりますものをやめまして省令に切りかえるという趣旨のものではございません。これは従来どおり法律にはっきりと残すということでございます。ただ、私どもが今度の法改正でねらっておりますのは、法律で明記いたします特殊取扱のほかに、省令の定めるところによっても特殊取扱ができる、この一項をつけ加えるというのでございます。ですから、おっしゃいますように、特殊取扱は特別送達でありますとか内容証明とか、国民の権利義務にきわめて重要なる内容のものでございますから、はっきりと法律に残します。省令に落としますのはその料金でございます。料金の決定、これだけは法律で一定の基準、条件を定めまして、そのワク内で省令にゆだねる、こういうことでございまして、役務の内容、種類、それは厳として法律に残す、こういうことでございます。
  88. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体それでわかりました。これはもうたいへんなことだというふうに、私の勉強不足で取り上げたことでございまして、ただ料金のみが、省令に定むるところにより料金を改定する、こういうふうな問題にとどめた、こういう御答弁に、そのとおり私は理解していいのですね。
  89. 竹下一記

    竹下政府委員 そのとおりでございます。
  90. 栗山礼行

    ○栗山委員 審議会の委員の任命についても、先ほど同僚の武部委員からの質疑がございまして御答弁をお伺いをいたしました。私も、重大性にかんがみまして、本会議で特に総理及び郵政大臣から御答弁を伺ったのでありますけれども、はなはだ不満といたしておるわけであります。今日までの質疑の経過を見ましても、その御答弁には必ずしも賛意を表しかねるのであります。したがいまして、私は要望するということではなくて、もっと考えるべき道があっていいのではないか。いままでの質疑を通して、私は井出大臣の英知を信頼しつつ、何らか建設的、具体的な方向で、重要な郵政審議会の国会の承認案件及び機能及び構成等について総ざらえをするときに至っておるのではないかということを考えるのでありますが、これもあわせてひとつ御答弁をお願いしたい。
  91. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは先ほどの答弁を繰り返すことに相なりますが、今回料金決定を一部省令にゆだねるということがございますから、それを慎重に扱う意味において郵政審議会に御諮問申し上げる、こういうことであります以上、郵政審議会は一そういままでよりも職責が重要になってまいることは当然であります。現在までも四十数名のこの大審議会がたいへん貢献度の高いお仕事をされてこられましたが、こういう機会にさらにその内容を充実する、その権威をいや増すような方向に努力をするつもりでございまして、具体的には、たとえば料金決定についてはその中に専門部会を設けるとか、何かそういうくふうを当然考えなければなりませんが、特にこれを国会承認人事というふうなところまではただいまは考えておりません。
  92. 栗山礼行

    ○栗山委員 期待をいたしておりました問題までゼロ点の回答をもらうということで、これはやるせない思いがいたしますね、大臣。私だけではなくて、心ひそかにそういう共通の感じを持つと思うのです。これはストレスのはけ場がないですよ、ここまでくると。だから、心の中にあってはよくわかっていらっしゃって、やはり公的には言えないというような、せめて目ででも知らすというような態度がほしかったのでありますけれども、もうまるで同じようなことを御答弁なすったということでございまして、これも残念ながらすれ違いでございますから、この程度で終わることにいたします。  経理局長にちょっとお伺いしますが、郵便、貯金、保険事業の三事業の経理分担の仕組みですね。ひとつあなたの回転の早い頭と回転の早いごろで一ぺん説明してくれませんか。
  93. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵政事業の中の三事業の分計ということでございますが、まず支出のほうの分担の仕組みから申し上げます。  まず、郵便局の費用でございます。御承知のように、普通局におきましては、それぞれ郵便郵便課、貯金は貯金課、保険は保険課にはっきり分かれておりますので、これは予算においても決算においてもそのまま、予算の場合はそこの定員かける予算俸給単価というものでもって人件費が出てまいります。それから物件費は、そこの課で使ったもの、これがそれぞれの郵便の費用であり、貯金の費用であり、保険の費用ということになります。  それから特定局につきましては、これは総合服務になっておりますので、この点、予算の場合は、算出定員というもので分計しております。一応これだけの仕事をするのにはこれだけの定員が必要である。しかし決算の場合は、定員でなしに現在員といいますか、そういう形になりますので、これは総合服務の場合は、勤務時間比によってそこにがかった費用を分計します。  それから問題は、御承知のように事業直接の費用でなくて業務共通、いわゆる郵便局の庶務、会計というものがございます。これは、その局の事業別の定員または現在員、予算の場合は定員、決算の場合は現在員ですから、郵便、貯金、保険のそれぞれの直接の人員比でもって共通関係の費用を分計する、こういうふうになっております。  それから郵政局とか病院とか診療所とか職員訓練所というようなものがございます。これは、それぞれの郵政局管内のそれぞれの事業別の人員比でもって分計いたします。  それから本省の経費でございますが、これは全国のそういうふうに集まってまいりました各事業別の人員比によって分計する、こういうことでございます。  それから減価償却費というようなものが出てくるわけですが、これは各事業の庁舎使用面積比というものを毎年調べております。それらの比率によって分計するということでございます。  大体、大ざっぱに申し上げてそのようなことになっております。
  94. 栗山礼行

    ○栗山委員 なかなか回転が早いのですっきりと頭に入りませんけれども、まあ、これは私は今後勉強しなければならぬ問題でございまして、どうも専門的でわれわれが平易に理解しにくいような一つのものであろうかと思います。  そうすると、いまの貯金、保険業務費の繰り入れ、それから設備費の分担の割合、こういうものを、大体の基準があろうかと思うのですが、それはどんな比率になっていますか。
  95. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 いま御説明申し上げましたのは、業務費関係の分担比でございます。それで計算いたしまして、それぞれ貯金には何百億、保険には何百億と、そのつけを郵貯会計または簡保会計に回して、そこからそのまま受け取っております。  それから、後段のほうの御質問の設備負担金の問題と思いますが、これは建設勘定でございます。たとえば四十六年度三百五億ばかり建設勘定がございますが、この分担は、先ほど言いましたように、庁舎面積比でもってそれぞれの事業に分計いたします。たとえば一例をあげますと、普通の郵便局を建てますと、郵便が約六二%、貯金が一九%、保険が、これは端数がつきますが約一九%、総体で約一〇〇ちょっと、端数が入れ違いがあるかもしれませんが、それぞれの分計がございまして、それらをもって分計いたしました。それによると、たとえば四十六年度三百五億のうち、郵便の分担が百九十四億それから貯金が七十六億、保険が三十五億というふうに出てまいります。さらに貯金の七十六億のうち、実は減価償却費というものがございます。この減価償却費でもって建設勘定をやっておりますから、この減価償却費は先ほど申しましたように損益のほうで繰り入れておりますので、その分を引きますと、たとえば貯金で七十六億から十二億を引くと六十四億、これが四十六年度の設備負担金の繰り入れというふうになっております。このようにいたしまして、それぞれ事業からやはり建設勘定財源に繰り入れている、こういう仕組みになってございます。
  96. 栗山礼行

    ○栗山委員 金額は大体わかりましたが、局長、それはパーセンテージで、あなたはすぐ出ておるのじゃないかと思うのですが、たとえば郵便が何%になるか、それから貯金、保険のパーセンテージでひとつ出してもらいたいのです。
  97. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 先ほど御説明いたしましたように、それぞれ比率がございまして、たとえば普通局ですと、先ほど言いましたように郵便が約六二%、それから特定局になりますと、やはり郵便は六二%ですが、貯金のほうは、今度は窓口部門が非常に多いものですから、たとえば二四%というふうに、普通局、特定局、そういったものの種別によって分担比率が違っておりますので、全体としてはこれを計算した上で出た額を何%になっているというならその積算はできますけれども、もとはそれぞれこまかく下から積み上げてきておるということでございます。
  98. 栗山礼行

    ○栗山委員 郵務局長にちょっとお伺いいたします。これも私が勉強足らぬかもしれません。市内特別郵便物の取り扱いの地域が、今度は同一郵便局区内に限ることとなるというようなことをちょっと御答弁で伺ったように思うのですが、この点どうですか。
  99. 竹下一記

    竹下政府委員 そのとおりでございまして、従来は、市内特別郵便の取り扱いは、東京、大阪等の場合ですが、同一区内、行政区内ですね、それであれば、その区内のどこの郵便局に差し出しましても割り引きをしておったわけでございます。このたびの法律改正によりまして、そのやり方を改めまして、同一の郵便局区内に配達になる郵便物の場合に限りまして、市内特別郵便の扱いをして差しあげる。取り扱いの範囲が、その点につきましては若干縮小されるということになります。
  100. 栗山礼行

    ○栗山委員 値段を上げれば、その点は明らかにサービスの低下ですね。同一郵便局ということに限定するということは、サービスの低下、こういうことですね。
  101. 竹下一記

    竹下政府委員 従来の方式に比べますると、おっしゃいますようにその点だけは料金の値上げ——値上げと申しますよりも、これは本来いただくべきものをいただく姿に立ち返るわけでございますから、厳格に申しますと、サービス低下とは言えないと思いますけれども、見方によりましては、おっしゃいますように、いままでよりも悪くなるという面はございます。
  102. 栗山礼行

    ○栗山委員 だからあなたとぼくとが何かどこかで衝突するのだよ。そんな子供だましのようなことを言っちゃいけませんよ。それは逆ですよ。いままでいただいておらなかったものを、今度同一郵便局区内に限定いたしましたからいただくことになりましたというのが本音でしょう。違いますか。したがって私は、従来の一つの面から縮小された一局に限定されるサービスを続行するということになるから、サービスの低下である。そのとおりだということをお答えになることがいいんじゃないかな。あなたみたいにどうもひねくれて、改善、改良しようがない。私は値段を上げるけれども、サービスもだんだん——ささやかな問題だと言われるかもしれないけれども、従来そういうふうにいただかなかった料金を今度ちょうだいいたしますよ、ただし縮小された部分については、それは特別配達をいたしましょう、こういうふうにもっと簡明に、ひとつ率直にお答えになったらどうですか。どうですか、サービスの低下でしょう。
  103. 竹下一記

    竹下政府委員 その面につきましてはサービスの低下になります。
  104. 栗山礼行

    ○栗山委員 わかりました。  これも論議をされておるわけでございますけれども、非常に将来の郵便業務の的確な方向づけをするためには、特に大都市におきます輸送体系を抜本的に検討してまいらなくちゃならぬということも、いろいろお説を伺ったと思うのです。そういたしますと、郵便集中処理局を設けるということが現下の最も急務を要するものだ、私はこういう理解をいたすのでありますが、何かこれについて胸を張って、具体的に年度計画及び長期計画にはこういうような交通及び郵便の積滞及び増加という傾向にかんがみて、そういう前進的な一つの方向の路線を確立されておるかどうか、抽象論や大臣の精神論じゃなくて、具体的な施策としてあればお伺いいたしたい。
  105. 竹下一記

    竹下政府委員 東京、大阪のような大都市におきましては、将来の物数の増加を見込み、長期的な視野に立ちまして、郵便の送達速度の向上、安定を確保する必要があると思います。そのために、郵便輸送施設あるいは集中処理、こういうことにつきましては長期的な対策を立てる必要がございまして、その仕事に目下取り組んでおる次第でございます。東京におきましては、御承知のように小包郵便局につきましては大集中局二局すでに設置いたしましたし、大型の郵便物につきましては、晴海に集中処理局をつくってございます。大阪につきましては目下小包の大集中処理局を建設中でございまして、これは四十五年四月に着工し、明四十七年九月に開局予定でございますが、これは総面積が四万九千平方メートル、一日の処理最高能力七十七万個といいまして、東京にございます南北両集中局の規模のざっと二倍というものを目下建設中でございまして、将来の大阪の小包処理に非常に有効なる機能を発揮すると思います。また大阪につきましては、通常郵便物につきましてもやはり集中処理局の必要がございますので、これはまだ最終的な成案を得ておりませんけれども、今後検討を加えていくことにいたしております。
  106. 栗山礼行

    ○栗山委員 大筋の抽象論はわかりました。竹下局長、私が申し上げたのは、やはり答申案にも出ておりますように、値上げだけを中心とする一つの方便じゃなくて、もっといま当面している郵務行政のなさなければならないことは、やはりその姿勢、労務管理及び郵便事業の本来の任務づけということが、現在の対応した一つの建設的な方途がなければならぬ、こういうことでありまして、こういうことが東京で二カ所ございます、大阪でもこういう予定ですということじゃなくて、もっとずばり単年度ではこうで、三年ではどうで、五年ではどうという予測をして、こういうものを進めてまいらなければならぬという方向を押えて出されるべきだ。何か今度は答申の一部を活用されて値上げが重点だということは、つとに指摘ができると思うので、それなりに御意見を承っておきますけれども、大体私はもう全く無策であってけしからぬ、計画性のない一つ内容だということを特に指摘を申し上げておきたい、かように考えております。なっておりはせぬ、それは全くなっておりはせぬよ。  それから、これも私、聞き違いがございましたらお許しをいただきたいのでございますが、あまり頭が強いことないのでときどき間違うのでありますけれども、あなたの答弁で、速達が転送される場合については、従来は普通郵便の取り扱いをもって送達をいたしておった、今度のサービスとしてこれはひとつ速達で転送いたすということにいたしました、こういうふうに私は伺ったのですが、聞き違いがございますかどうか。
  107. 竹下一記

    竹下政府委員 そのとおりでございまして、従来は速達郵便物の転送の場合は速達扱いをいたしませんで、普通郵便の取り扱いで転送いたしておりました。今度の法改正によりまして、転送の場合同様に速達扱いをして転送をする、こういうことにいたしております。
  108. 栗山礼行

    ○栗山委員 これもいかに、ずさんなものであったかということを暴露いたしておるのです。出すほうからいきますと、速達なんでありますから、たまたまそれが転送しなくちゃならぬということになりますと、それは速達の速度に基づいてお届けするということがきわめて当然なんです。転送があったということで、普通でおまえのところの責任だ、おれのところはひとつ普通で送るのだというようなこんなばかな郵便送達業務がございますか。しかもあなたがそれを得々としてサービスの一環だと言われたことは、これはあまりにあたりまえのことなんで、引き受けたらそれは最後までそういうふうにするということがきわめて当然じゃないか、こういうぼくの議論になってまいるのです。ことさらにサービスの一環というようなことを何か誇大に、最近広告も公取でやかましくなっておりますけれども、あまりオーバーな表現をされると——いままで悪うごさいました、これは改善改革をいたします、これならよろしい、こういうことになるのじゃないでしょうか、どうなんです局長
  109. 竹下一記

    竹下政府委員 この問題に関連いたしますが、いまの郵便の制度で申しますと、書留郵便物、それに小包郵便物、これを転送いたします場合には、やはりそれ相応の書留料と小包料を徴しておるわけでございます。したがいまして、いままでの郵便のサービスの立て方といいますか、方式といいますか、それに従いますとやはり筋といたしましては速達郵便を転送いたします場合には、それなりに輸送費なり人件費がかかるわけでございますので、従来の郵便の料金の求め方に従いますならば、やはり速達料をいただくのが筋ではないかと思うわけでございまして、このたびはサービスの見地からそういたしませんで、料金は徴しませんで転送をいたす、こういう方向をとった次第でございます。
  110. 栗山礼行

    ○栗山委員 これはこの程度で終えておきましょう。これも見解でございますが、時間がまいりますからもうあと三点でやめます。  差し戻し、たとえば住所とかあるいは郵便番号とかあるいは転籍とか、番地不的確、いろいろなものがありますが、この差し戻しの場合における処理はどうされておるのか、あるいは今度はどうしようとするのか。  それから御承知のとおり、一番国民の不信は、送達速度の問題。これも口では何べんも言われておることであります。四十一年にも郡大臣のときに郵務局長が言われておることなんですけれども、今日までその制度が確立しておらない。それで週に二回くらいしか配達されないということが郵便業務に対する不信の最たるものだということを私は指摘を申し上げておいたのでありますが、この遅配の問題について、どのようないままで処理をされておったか、あるいは今後遅配の問題について、単なる抽象的に、送達速度の確立という方向で進んでいくのだというような従来の答弁ではなくて、具体的にどうなさるか、こういうことを明確にお答えをいただきたい。  もう一点申し上げます。四十一年のときには、書き損じはがきの問題について、これは手数料をとりまして交換制を実施されました。ささやかなる善政だということで私は郡当時の郵政大臣に賛意を表しておきました。これを言うていただいてありがとうというようなことで感謝を言われたのでありますが、サービスはサービスとして、それは一つの改革でありますから、私はそれを申し上げておいたのでありますが、今度は書き損じはがきの交換手数料というものが従来どおりの方式なのか、あるいはまた、あなたのところは、いや原価が積算上変わってくるから値上げをするのだ、こういうことになるのか、この三点について郵務局長にお伺いを申し上げたい。
  111. 竹下一記

    竹下政府委員 第一点でございますが、正しく住所、あて名が記載してあるにかかわらず送達されませんで還付されたという場合は、明らかに郵便局側の手落ちでございますので、その場合は料金を還付するということにいたしたいと思います。これはこのたびの郵便法改正でその内容を盛り込んでございます。  第二点でございますが、遅配解消の問題でございます。正常運行をいかにして確保するか、その具体策はいかんということでございますが、これは午前、大臣からも申し上げましたけれども、漫然と遅配解消、正常運行というようなことを繰り返しておりましても実がございませんので、郵便の標準送達日数あるいは標準送達速度、こういうものを策定いたしまして、ちょうど国鉄の汽車が時刻表に従って運行されておりますように、郵便につきましても一定の時刻に差し出されたものは目的地に所定の時刻に着く、その時刻表、タイムテーブルというものをこさえまして、これを掲げて国民の皆さまに約束をしようという方向でいろいろと検討を進めてまいることにいたしております。この実施は、実はきわめてむずかしい問題がございますけれども、要員措置、運送施設の整備、局舎等の整備あるいは利用者の皆さんの御協力を得なければならない面も一部ございますけれども、そういうものを総合的にいたしまして、郵便送達の速度の安定化をはかるということを考えておる次第でございます。  第三点でございますが、棄損はがきの交換でございます。この交換手数料は、省令でもって目下二円いただくことにいたしておりますが、このたびはこの手数料の増額を考えておりません。サービスの見地から据え置きということを考えております。
  112. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体三点のお答えをいただきました。書き損じはがきもこのたびはサービスの一環だということで、まさにサービスとしての評価をいたしてまいりたいと考えております。  二番の問題ですね、あなたの送達速度の問題についても、ひとつそういうことを確立して、というようなことは積年にわたるのです。だから私は、先ほど申し上げましたように、郵便法改正をするというときには、そういう本来の業務のあるべき姿をひとつ明確に具体的に打ち出して、しかも郵便特別会計の実態を明らかにして、これはこうすべし、これはかようにいたしますという責務を明らかにして国民の共感を得るということをしなくちゃならぬ。問い合わす場合においてのみ、これはぜひそういうことを踏まえて検討いたします、検討とは、それは実施じゃないのです。そういう案を検討しようということでありますから、これはやらないということなんです、われわれの考え方からいうと。前向きの具体策がないということであります。だからもう欲ばりで、取るものを取っちゃって、おまえは金をくれたらそのうちに配分するからと、政治家がよく言うように一ぱい飲もうと、こういうことと一緒なんで、こんなものは一つも実行されたためしがない。私は常識的にさような一つの解釈をいたすのであります。  それから先ほどの、的確な一つの居住番地というものがあってなおそういう差し戻しという事態になったら、それは料金を返還いたします、交換いたしますということでは済まないのです。私は前回も申し上げたと思うのです。特に選挙のときに、公職選挙法の違反と郵政業務の拙劣ということについて、私は告発しようかと考えたことがあるのです。意識的に推薦状が選挙投票後において配られるということを、私はなまなましい経験を持っておるのです。これは全逓であいつは全郵政だ、こういうふうなとらえ方があるのかもしれませんけれども、少なくともそれでは済まない。労働組合のサイドでなくて、郵政業務の管理運営に対する責任の問題であります。同時に、私のところへいろいろ返ってくる。これはおかしいということで八尾の郵便局に持ってまいりますと、明らかにそれが再発送されておるという事実があるのですよ。だから、交換いたしますというようなことで、いやしくも——そういう通信業務というものは、単にえらいすまなかった、弁償したらいいんだろう、こういうことで、弁償の中身がはがき代だけ損してわれわれの業務が達するかという問題も、私は議論上成り立つ問題じゃないかと思う。こういう責任の所在を明らかにしなさい。こじき根性でもらうこと、取ることばかりやって、サービスすることが一向忘れられておる。こういうところに郵政業務の姿勢の貧困があるということは、そこなんであります。この問題、大臣答弁を求めなくちゃならぬと思うが、どうですか郵務局長
  113. 竹下一記

    竹下政府委員 局側の手落ちで郵便を差し出し人にお返しした場合には料金を還付しますという趣旨は、お金を返せばそれでいいだろうということでは絶対ございません。正確にあて名を記載された郵便物は、これは絶対に届けるというのがほんとうの姿でございます。何かの都合で万が一そういう事例が出ました場合のことを法律で規定しようというのでございまして、そういうことは起きないことが一番いいわけでございます。その方向で努力をいたしたいと思います。
  114. 栗山礼行

    ○栗山委員 議論を残しますけれども、何か竹下君とぼくとは犬猿ただならぬような誤解を受けてもいけませんから、その程度でこれはおいておきましょう。  最後に一つ、人事局長も見えておるのでありますけれども、ちょうど時間が参りました。私は春闘を前にいたしまして、当局の一つの基本的な考え方も伺ってまいらなくちゃならぬと思う。特に全逓が労変闘争ということで、昨年の四月及び十二月に国民の多大な迷惑のもとにおいて一応事態を収拾したのでありますけれども、その収拾の中身について減額制度の問題が押しつけられたと、こういうことにおいて執行部が総辞職いたしまして新たな内閣を構成しなくちゃならぬという状態まで発展いたしておる一つの混乱期でございまして、こういう中に、春闘の取り組み方及び労務管理は、単に局長のサイドでなくて、大臣がしばしば申し上げておるように、これからほんとうに新しい時代における新しい運動、そして相互の信頼と相互協力を真に求める方向の路線は何かということにつきましては、一片の答弁ではまいらない問題が存在いたしておるのじゃないか、かように考えるのでありますが、当面ひとつ人事局長から、春闘についてのあなたの賃上げの見解と将来の人事管理に対する基本の姿勢だけお伺いを申し上げたいと思います。あいまいを許しませんぞ。
  115. 北雄一郎

    北政府委員 私どものほうの組合、具体的にことしの春闘についてどういう取り組み方をするかということにつきましては、いまだきめておらないようでございます。むろん春闘の内容は、通常の場合、いわゆる賃金の引き上げということを主題にするわけでございまして、おそらくことしの場合もそういったことが主題になって、いわゆる春闘というものをかまえてくるのではなかろうかと存じますけれども、いまだそういうことにつきましての具体的な問題の決定が組合のほうでなされていないようでございます。したがいまして、そういった決定がなされました場合、それに対応いたしまして適切に対処していくことを考えたいと思います。その場合当然私ども郵政業務というものをあずからしていただいておるわけでございますから、郵政業務に遅滞を生じないというところに一つの大きな重点を置いて対処すべきであろうかと存じます。  春闘を離れましても、先生御指摘のように、昨年二度にわたりましていわゆる労変闘争というものが全逓との間にございました。それらにつきましては、御承知のように昨年の暮れに一定の合意に達しました。その後私どももそれを私どものほうの下部に誤りなく伝えまして、新しいよい労使関係を築くように努力をしておる次第でございます。その骨子は、やはり労使間には信頼関係がなければいけない、信頼関係というものを取り戻す、その上に労使関係の安定をはかっていく、こういうことだということに帰一さしておるわけでございます。労使関係の信頼を取り戻すということは、これまた先生御指摘のように、言うはやすくして、なかなか行なうにかたいいろいろな問題を、経緯的にも、また現実の問題としても持っておるわけであります。しかし、私どもといたしましては、やはりその中で一つ一つ具体的な信頼関係を失うような種、こういったものを除去していく、むろん同時に私どもとしてこういった郵政事業というものを国民から負託されておるという立場におきまして、秩序というものをはっきり打ち立てていく、また職場を明るくするということにもつとめていく、そういう基本を堅持しながら労使間の不信を一つ一つつみとっていって、そして安定した労使関係を築き上げるようにこん身の努力をするような段取りに、現実に着手をしておる、こういう状況でございます。
  116. 栗山礼行

    ○栗山委員 与えていただきました時間をたいへん超過いたしまして、これで終わることにいたします。私も二回にわたりましてきめのこまかい問題等も触れましたし、それから長い間にわたるこの問題のいよいよ終結だということを考えますときに、一体われわれにこの委員会としてのメリットがあったかどうかということを考えます場合に、まことに幻滅の感を深くするのでございますけれども、ひとつ十分われわれの質疑の内容をくみ入れてもらって、そしてどういう結果になりますかよくわかりませんけれども、ひとつ将来の皆さんの、われわれの意見を踏まえての業務の刷新と強化をはかっていただきたいということを要望いたしまして質問を終わります。
  117. 金子岩三

    金子委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  午後三時再開し、本案の討論、採決を行ないます。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————    午後三時十四分開議
  118. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の質疑は終了いたしておりますので、これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。佐藤守良君。
  119. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対して、賛成の意を表するものであります。  近年、経済の高度成長に伴って郵便物数は著しく増加してきており、昭和四十四年度には約百十億通にも達する状況に相なっております。かかる郵便物数の増加傾向は、今後ますます強まっていくものと予想されるのでありますが、その一方、郵便事業の財政は、経営合理化の努力にもかかわらず、諸経費の上昇、特に経費の八〇%を占める人件費の増高のために年々悪化してきており、このままに推移すれば、事業の経営は重大な危機におちいることは必至でありまして、国民の生活に欠くことのできない郵便のサービスを確保するためには、料金改定によって財政の健全化をはかることはやむを得ないところであると考えるものであります。  他面、今日の経済事情のもとにおいては、つとめて公共料金の改定を避けるべきはもちろんでありまして、政府はこの点をも勘案して、今回の郵便料金改定についても、国民生活に最も密着した第一種及び第二種の郵便物の料金の改定は、明年二月一日から実施することとしておるのでありまして、物価対策の上の配慮が十分にうかがわれるのであります。  また、郵便料金の赤字処理に関しては、一般会計からの繰り入れ論もありますが、かかるびほう的な方法は、事業の主体性を失わせるばかりでなく、事業の活力そのものまで枯渇させるおそれがあり、また、一般会計からの繰り入れといっても、形こそ違え、やはり国民の負担でありまして、郵便事業の将来のためにも、また国民全体の利益の上からも、とるべき手段ではないと考えるのであります。  次に第二点として、改正案は新たに第三条を設け、郵便料金のあり方として収支相償の原則を明確にしておりますが、この点に関しては、委員会においていろいろ議論のあったところであります。申すまでもなく、郵便事業は国が経営する公共事業であって、その料金はなるべく安いことにこしたことはないのでありますが、だからといって企業性を無視していいのではなく、真に事業の長期的安定をはかり、事業の正常化確保するためには、合理的な料金制度を確立することこそ必要でありまして、この新規定は、そのあり方を明確にしたことにおいて画期的な意義を持つものであると考えるものでございます。  次に、改正案が第三種郵便物以下の料金の決定を省令に委任することにしている点について、いろいろ議論がありましたが、第三種以下の料金については、法律で基準を定め、そのワク内で郵政審議会に諮問の上、省令で定めるものでありまして、憲法はもちろん、財政法にも抵触するものではなく、省令委任によって事業運営に弾力性を与えることは、事業の経営責任を強化する効果をもたらすことになろうと存じます。  以上、簡単に賛成の理由を申し上げましたが、この際、政府当局に特に希望を申し上げておきたいと思います。  あらためて申し上げるまでもございませんが、今日郵便事業に対して国民の間に強い不満があります。特に郵便送達の安定は国民のひとしく切望するところとなっております。政府は、この機に臨んで、郵便事業に課された社会的責務を自覚され、事業の健全な経営と業務の正常化について総力をあげて努力し、国民の切実な願望にこたえられたいのであります。  このことを強く希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  120. 金子岩三

    金子委員長 米田東吾君。
  121. 米田東吾

    ○米田委員 私は、日本社会党を代表して、本法案に強く反対し、以下その理由を申し述べます。  第一の理由は、いま国民が政治に求めている切実な願いは何かということであります。それは物価の安定であります。早く物価を押えてくれということであります。本改正案によれば、郵便料金平均三五%、高いところでは八〇%を越える料金値上げでございます。これはどう説明を聞きましても、この国民の願いに反してさらに物価をせり上げ、国民生活を一そう脅かすこと以外にございません。われわれは絶対に認めることができないのであります。  佐藤内閣の物価安定政策の公約違反という点についても、われわれはこれを見のがすことはできません。これは政治道義の面からも許されないことであります。すなわち、公共料金の一年間凍結の約束違反、主婦連合を通じて国民に約束したはがき、封書は値上げはしませんという約束違反などでありまして、国民の政治に対する不信は、そのまままさに政党政治への不信であり、議会制民主主義の危機でもございます。  私が指摘したいのは、今日の物価引き上げの真犯人は、政府自民党であるということでございます。真に政府において物価を抑制しようとする意思と姿勢があるといたしますならば、それは、一つ、公共料金を押えることであります。この郵便料金の値上げをやめることであります。二つ、独占物価の管理価格を押えることであります。三つ、協定料金を政府指導によって押えることであります。以上の三点を政府の責任で実行することであります。これは自由主義経済の中で、自由民主党の政権の中で実現可能なのでございます。  第二は、本改正案は、郵便法第一条の郵便の公共性と全く相いれない独立採算、企業主義、総合原価主義を強く導入し、しかも財政法第三条に違反する、憲法上の財政民主主義、租税法律主義を無視するものであるということでございます。すなわち、郵便法第一条は、単純明快に郵政事業の公共性を規定づけています。日本の郵便事業は今日百年の歴史を持ち、国民の中に最も深く親しまれて、そして高い公共性をもって貢献してきておるのでございます。この原因は、郵便法第一条の規定が貫かれて今日に至っているからでございます。  現行郵便法が制定されましてから、電信電話の分離、すなわち電電公社の創設を迎えましたが、これも現行郵便法に示される郵政事業の性格の中では、アメリカの求める企業性を追求することは許されないとして二十七年に分離したのではございませんか。要するに、企業主義、独立採算はこの郵便法の中には同居できないということでございます。それが今回突如として第三条の企業主義、独立採算至上主義が導入されるのであります。われわれがこれをもって郵政事業の公共性くずれたりとするのは当然と思うのであります。われわれは本委員会の審議を通して、郵便法第一条の趣旨に反しても相矛盾する第三条を挿入せざるを得ない当局の本音を知りました。すなわち、国営事業の上にあぐらをかく官僚のてまえがってな料金操作欲であります。  さらに財政法第三条との関係であります。これは本委員会で最も力点を置いて審議した問題でございます。すなわち、この改正案の関係では、財政法第三条に照らして二つのポイントがあると思うのでございます。一つは租税法定主義の原則、憲法第八十四条の関係、二つは国営事業に対する国民支配の原理に基づく国会の議決権と財政民主主義の原則でございます。憲法第八十三条にそれがうたわれておるわけであります。  私は、国民の権利擁護と憲法を守る政治家の責任から、そもそも憲法に由来して定められているこの財政法第三条に照らし、公共料金、国営企業料金については、もっとシビアに運営されねばならないと思うのであります。今日郵政当局の、すなわち行政の側からの恣意的な解釈は許されません。今日、行政府の独善と横暴な法解釈、法の運用を認めることは、立法府の責任を放棄して国民の権利を売り渡すことになると思うのでございます。  また私は、郵便料金は国鉄料金や電電、専売などの料金と単純に比較して云々すべき性質のものではないと思うのでございます。郵便の公共性は人間の生存権そのものに属するほど高いものであるからであります。われわれは郵便料金こそ採算をはずしても、すなわち国の一般会計が当然負担しても公共性を守り、国民生活の最低条件である郵便という名の対話の制度を守るべきだと思うのでございます。  次に第三点でございます。業務の正常化、サービスの向上について申し上げたいと思います。いま郵政事業に国民が求めているものは郵便の速達、早く届けるということ、確実な送達、この二つでございます。すなわち、基本的なサービスの向上であります。このことはまた今次郵政審議会の答申においてきびしく指摘しているところでございます。注目すべきことは、郵便審議会は、そのための施策について、郵政省当局にその能力なしとみなしているところでございます。しかしながら、審議会は不信任する権限を持ち合わせておりません。そのため最後の試みとして、今回の答申に業務の正常化労使の安定を前提条件に義務づけて五つの問題提起をしたものと解すべきだと思うのでございます。われわれは本委員会の審議を通じ、この点をただし、当局の積極的な諸策を求めましたが、ついにこれはむなしいことばのやりとりに終わりました。  すなわち、この法案の審議を通してはっきりしたことは、何一つ誠意ある具体的な対策としての、正常化に欠くことのできない労使安定化、改善策がないということでございます。あるのは依然として前近代的な、権力的な労使対策、労務対策で、職員を力で管理し、労使対立の緩和をはかるどころか、逆に職場での締めつけと人事権、経営権による分裂支配を強める姿勢をくずしていないということでございます。審議を通して、しばしば大臣の口から、姿勢を正す旨の誠意をもった答弁がございました。しかしこのことにつきましては、具体的な事実を求めましたが、その実証になる施策は何一つ示されておりません。戦前の特高警察にも似た労務連絡官制度はやめない。労使の意思疎通に欠くことのできない団体交渉の場を広げることについてもだめだと言う。思想調査は行なわない、職員の属する政党または組合のいかんを理由とする差別人事をしないという断固とした保障も態度も示されないのであります。労使関係は相対的であるといいながら、不当な労務対策の犠牲者である自殺者が出ても、まずみずからこれを認める勇気がないのであります。  全逓組合員に対する過酷な大量処分はあっても、当局の反省はございません。はなはだしいに至っては、組合弾圧の手先である管理者を自衛隊に体験入隊させてまで組合弾圧態度を強めるなど、どれをとってみても、国民が望んでいる業務の正常化労使関係の安定化に当局が積極的に努力し、具体策を持って誠意を傾けているという何らの手がかりも得ることができなかったということであります。  要するに、業務の正常化、サービスの向上をたな上げにしても安易に国民の負担だけを料金値上げによって求めるというのが今度の改正案であると思うのでございます。  したがいまして、私どもはこの改正案に賛成することはできません。むしろこの際撤回することを再度求めまして私の討論を終わります。(拍手)
  122. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  123. 中野明

    ○中野(明)委員 私は、公明党を代表しまして、郵便料金の平均三七%という大幅な値上げを骨子としました今回の郵便法の一部改正案に反対の討論を行ないます。  まず、反対の第一の理由は、今回の改正の理由に、利用者に対するサービスの改善云々とうたっておりますが、値上げを行なってみても郵便送達速度をはじめとする大衆のサービス改善につきまして審議会を通してみましても、何ら具体策はなく、逆に物価上昇に苦しむ国民に政府みずからの手で行なえる唯一の物価対策である公共料金安定の大原則を破っての値上げは、他物価の上昇を誘発することは必定でありまして、絶対に認めるわけにはいかないものであります。  反対の第二の理由は、第三条に郵便に関する料金の項を新たに挿入したことであります。審議の過程でしばしば論点になったものでありますが、第一条の郵便法の目的でうたわれている「安い料金」とまっこうから矛盾する第三条の挿入は大問題であります。現在まで第三条は削除されているのでありますが、郵便料金決定について何ら支障を来たした例もなく、これの挿入により融通のきかない、視野の狭い独立採算制に締めつけられて、第三種、第四種等の料金決定を省令にゆだねる改正とにらみ合わせましたとき、郵便料金決定について、長く将来に禍根を残すものであり、絶対に反対であります。  その三は、第三種、第四種、小包等の料金を、それぞれ法律、政令より一挙に省令事項とする改悪は、どうしても認めるわけにはまいりません。これこそ財政法第三条の精神を踏みにじり、それとともに国会軽視の最たるものであります。当局の答弁も終始あいまいもことして、改正の理由、目的もついに明確にされなかったのであります。一体この種の料金決定を省令事項とすることによりだれがどれだけ得をし損をするのかも明らかにせず、結果的には料金値上げを容易に行なえる道を開くことは明白であり、国民が損をすることはだれびとも否定できないのであります。しかも今回の改正では、第三種等もすでに平均二倍以上という驚くべき値上げ幅であり、全国各地に住む国民が郵送を通じて自由に交換をしていた政治経済、教育等言論が大幅に抑制されることは許しがたい問題であります。また第三種、第四種は原価を大幅に割った政策料金であることは、大臣答弁でも明瞭であり、かかる政策料金を国会の議を経ず郵政大臣が決定することは、民主主義政治のもとにおいては許されない問題であり、国民より選ばれた国会の審議を経て決定すべき性質のものであり、なおこれにより生ずる赤字は一般会計よりの持ち出しは当然であります。そうすれば今回の手上げは十分防げるものであります。  第四の理由は、郵政審議会の問題であります。今回の改正で省令事項となった料金の決定は、すべて郵政審議会の議を経てと、一躍この審議会が表面に浮かび上がってまいりましたが、この郵政審議会は、郵政大臣の任命になる郵政省の付属機関であり、法的には国会にも国民にも何ら関係性を持たない郵政大臣の諮問機関にとどまるものであり、公共料金の決定に重要な役割りを果たすには不適当、責任過重といわざるを得ません。かかる理由から、審議会委員の国会任命制をとるなりの改革が必要であるにかかわらず、現状のまま郵政大臣と審議会で省令で料金決定を行なおうとする暴挙は、とうてい認めるわけにはいきません。  第五は、郵政会計が赤字で苦しんでいる今日、少しでも失費を少なくすることは、公営企業はもちろんのこと、企業としての最低の常識であるにかかわらず、市内特別郵便物の割引料金の継続、市内特別郵便物以外の定形、定形外の割引料金制の新設に至っては、全く大衆不在の政治の典型であり、これをもってサービス改善一つとするに至っては、赤字経営の現在、理解に苦しむものであります。  最後に、郵便送達速度の遅延の慢性化は、速達郵便物の激増となってあらわれており、国民はすでに高い速達料を支払って郵便を利用せねばならぬ現実に追い込まれており、現在すでに大幅な値上げをしいられているのが現状であり、この上平均三七%という大幅値上げは、国民に二重の値上げを押しつけることになり、郵政事業不信の声ちまたに充満していることは、過日の大阪における公聴会においての全参考人に通ずる意見でありました。このような観点から、本改正案に私どもは反対をするものであります。  以上、数点の理由をあげて、公明党を代表しての反対討論といたします。(拍手)
  124. 金子岩三

    金子委員長 栗山礼行君。
  125. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し反対の意を表明するものであります。  すでに賛否両論の意見が述べられておりますが、私は、簡明かつ率直に反対の理由について表明し、政府当局に対し猛省を促したいと存ずるのであります。  去る二月十六日、本会議における本改正法案の大臣趣旨説明の際に質疑いたしましたとおり、今回の郵便法改正案は、次の数点にわたり、重要な基本的事項について、国民に対し十分に納得させるに足る内容を持っておらないということであります。  すなわち、反対理由の第一点は、今回の郵便料金大幅値上げ案は、佐藤内閣の物価抑制政策の貧困に起因しているということであります。いまさら申し上げるまでもなく、物価対策は昨今における最も重要な中心的政治課題の一つであり、国民関心事の的となり、政府の公共料金抑制に対し、国民はひとしく期待と願望を持って監視しているところでありますが、いま政府の取り組んでいる物価政策は必ずしも成功しているとは申せません。むしろ最近激しくなっております消費者物価の異常な高騰を前にして、この物価高騰を引き起こす大きな原因であり、かつ、波及効果のきわめて大きな公共料金に対する佐藤内閣の基本姿勢に対し、国民は大きな疑問と失望を持っているといわねばなりません。今回の郵便料金をはじめ、電信電話料金等政府自身が責任をもって抑制すべき公共料金を引き上げることは、政治のあるべき姿でないと存ずるのでありまして、かかる観点から、今回の値上げ法案には賛成するわけにはまいらないのであります。  次に、反対理由の第二点は、第三条についてであります。改正案の第三条は、郵便料金の決定方針ともいうべき規定であって、収支相償の原則を明確にし、郵便事業の公企業としての企業性を強調し、総合原価主義のもとに独立採算制のたてまえを厳格にすることとなっております。この点に関して、委員会審査の経過において議論のありましたとおり、単に企業性を追求するあまり、郵便法第一条の目的にいう郵便事業の使命である公共性を没却するおそれがあるという点であります。郵便事業は、国家独占の事業であるだけに、国民の意見など考慮する必要なしという官僚的、反民主的な解釈論へと発展するおそれがあり、第一条に矛盾するといわざるを得ないのであります。  第三点は、第三種、四種郵便物及び特殊取扱の料金等の決定を省令に委任するという点であります。この点に関しては、委員各位より議論の争点となったところでありまして、断じて認めるわけにはまいりません。公共事業料金について、財政法第三条で法定主義を規定しているゆえんは、法律上または事実上国の独占に属する郵便料金等は、国民にその利用を強制する事業である結果、その料金の決定が行政権の恣意的、一方的な認定にゆだねられることは、憲法上租税法律主義または財政民主主義の原理から見て好ましくないという趣旨によるのであって、今回これらの料金について省令に委任することは国民の納得のできないところであります。郵便事業は、国民日常生活に最も密着したものであり、その料金は、法律により長期に安定し、国民生活に融合してこそはじめて郵便に対し国民の信頼と愛着を得るものといえると思うのであります。今回省令に委任されることにより、弾力的運営の名のもとに安易に料金改定が行なわれるとすれば、朝令暮改の悪政となり、利用者に対し困惑と混乱とを生じ、郵便事業に対する不満を抱かせる結果を招来することを憂えるのであります。  なお、料金決定に際しては、郵政審議会に諮問することとしておりますが、私は委員の任命については、国会の承認人事案件とする等再検討を強く主張するものであります。  以上、本改正案に対し、おもな反対理由を述べましたが、最後に、業務運行の正常化と労務政策の健全化をはかり、従来の官僚の悪弊を打破し、高き誇りと使命感に徹し、労使関係については特に民主的労使相互信頼、相互協力の実をあげ、公共の福祉の建設者として英知と熱意を傾倒し、七〇年代の創造的施策に邁進することが現下の急務であることをあえて提言して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  126. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  127. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、今回提出をされた郵便法の一部を改正する法律案に反対をするものであります。  その基本的な要旨は、まず第一に、ただいまの佐藤政府の政策のもとにおいては、公共料金やまた独占物価やその他の物価引き上げの政策がとうとうとして行なわれております。この中においてこの法律案を上程することは、明らかに公共料金引き上げを一つの支点として、佐藤政府が国民の苦しみ、国民の困難にもかかわりませず、これを一つの支点として、御承知のように三〇%以上の料金を引き上げるというものであります。したがって、これは佐藤政府のいわゆる高度経済成長政策、さらに新全国総合開発計画や、また新社会経済発展の政策を推し進めるために、一つの橋頭堡をこれによって築き上げようと考えておるのであります。このことは国民ひとしく反対をし、これに賛成をしておるものは自由民主党、佐藤内閣郵政省の一部高級官僚にすぎないのであります。国民はすべて反対をし、また、各言論方面においても、また出版方面においても、これに強く反対しておることは当然であります。このような内容を持っておるこの法案自身に賛成することはできません。  第二番目といたしましては、この法案は憲法の規定しておる主権在民の基本的な精神をじゅうりんするものであります。また、この法案は、御承知のように財政法第三条、また憲法の規定では八十三条、八十四条に違反をする内容を持っておる法案でございます。したがって、この法案の、郵便法第一条の規定の精神から見るならば、特に三条の規定はまことに抵触をするといわなければなりません。私は、このようなわが国の憲法、財政法また郵便法第一条の規定に違反をする法案を上程されたことに対して、まことに遺憾に思うのであります。御承知のように、第一条は公共の福祉を中心として規定しております。しかし、第三条は、企業主義あるいはまた利潤をも含めた企業主義を中心としておるのであります。したがって、第一条と第三条は明らかに矛盾をし、その内容が相反するものであります。私は、佐藤政府が、今日高度経済成長政策から法律の矛盾を十分承知の上で、このような法案を一つの支点として、郵政大臣が逐次第三条の規定に基づいて料金の改定を行なう一つの中心柱にしておると思うのであります。このような態度に私は全面的に反対をし、この法案の撤回を要求してやまないのであります。  第三番目には、この法律体系から見まして、二十三条以降の第三種郵便物以降のものについては、郵政大臣が郵政審議会の諮問を経て、省令に委任をする形式をとって法律案が上程されております。この問題はまことに重大でございまして、郵政審議会は郵政省設置法によるところの郵政省一つの付属機関にすぎないのであります。したがって、国会においても国民に対しても、その責任を負わないのであります。こういう存在である郵政審議会の答申に名をかり、また、その答申を一つの土台として、法律の規定によっておるところの財政法とか、あるいはまた郵便法第一条を犯すようなことについては、まことに遺憾といわなければなりません。したがって、私は、郵政審議会の現存の状態について深く反対をするものであります。つまり、国会の審議権を無視をし、憲法第四十一条が規定しておるわが国会の重要な使命を侵すといわなければなりません。したがって、このような審議会の答申などによって問題の基調である郵便料金の改定などは行なうべきでないとわれわれは考えておるのであります。  さらに、いま問題になっている電報料金の引き上げとか、あるいは電話料金のさらに引き上げとか、こういうような問題とからんで、御承知のように、いま物価がどんどん上がろうとしております。特に東京都内のタクシー料金、あるいはまた最近では乳牛、つまりお乳です。ミルク及びバター、さらには豚肉等の価格も上がろうとしております。こういうものに符節を合わせて、ただいまこの法案を上程していることはまことに遺憾といわなければなりません。したがって、私は、このような法案を上程いたしまして、自由民主党が多数の力によってこれを通過させようといたしておりますが、まことに遺憾といわなければなりません。  私は、以上の三点を中心としまして、この法案に絶対反対をし、すみやかに撤回をして、この法案を引っ込める必要があるというふうに考えておるのであります。  以上、簡単でございますが、日本共産党を代表して、本案の提出に反対を表明するものであります。
  128. 金子岩三

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  129. 金子岩三

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  131. 金子岩三

    金子委員長 郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出郵政大臣
  132. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 このたびは非常に御慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論されました点は、ことごとく私どもに深い教えとして拝聴いたしました。これらの点を今後の郵便事業の上に具現してまいりまして、委員会の御審議におこたえ申し上げたいと存じます。まことにありがとうございました。      ————◇—————
  133. 金子岩三

    金子委員長 次に、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
  134. 金子岩三

    金子委員長 まず、提案理由の説明を聴取いたします。井出郵政大臣
  135. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  近時、電話、加入電信等の普及に伴い、電報の果たす役割りは大きく変化し、電報事業の収支は著しく悪化してきております。また、最近における生活圏、経済圏の拡大と情報化社会の進展に対処して、通話の制度を改正する必要性が生じており、加入電話に対する需要も年々増加の一途をたどっております。  一方、社会経済活動の高度化に伴い、電気通信回線に電子計算機等を接続して行なうデータ通信に対する社会的要請が著しく増大してきております。  以上のような情勢にかんがみまして、公衆電気通信法の一部を改正して電報事業の健全化、通話料金体系の調整合理化、電話の拡充等をはかり、サービスの改善につとめるとともに、公衆電気通信の秩序を勘案しつつ、データ通信の発展、育成を助長し、わが国の情報化社会の健全な発展に寄与しようとするものであります。  この法律案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、電報につきましては、普通電報の基本料は、現行の十字まで六十円を二十五字まで百五十円に、累加料は現行の五字までごとに十円を五字までごとに二十円に改めるとともに市内電報、市外電報の区別を廃止する等電報に関する制度を改正することとしております。  第二に、電話につきましては、自動通話の料金は、現在加入区域内は一度数ごとに七円、単位料金区域内は八十秒までごとに七円となっておりますが、これを改めまして、単位料金区域内はすべて三分までごとに七円の時分制を実施するとともに、近距離通話の料金を引き下げる等通話料金の体系を整備し、また、加入電話は全国にわたって設置場所の変更ができるようにする等改正することとしております。  第三に、電話の設備料は、単独電話は一加入ごとに現行の三万円を五万円にする等これを改正することとしております。  第四に、データ通信につきましては、民間企業等が電子計算機等を設置して電気通信回線を利用する制度としまして、新たにデータ通信回線使用契約の制度を設け、その種類は、特定通信回線使用契約及び公衆通信回線使用契約の二種とすることとしております。これによりまして、民間企業等は一定の条件のもとに、オンラインによる電子計算機の共同利用、計算サービス業、情報検索業等を行なうことができることとなります。  また、日本電信電話公社または国際電信電話株式会社が行なうデータ通信サービスについても、これを法定することとしております。  これらデータ通信に関するサービスの提供につきましては、加入電話等のサービスに支障を及ぼさないよう技術基準を定めるほか、公衆電気通信の秩序の維持と加入電話等の加入者保護に万全を期することといたしております。  この法律案の施行期日は、設備料関係の規定は昭和四十六年六月一日、データ通信関係の規定は公衆通信回線使用契約に関するものを除き昭和四十六年九月一日、電報関係の規定は昭和四十七年三月一日、通話料及び公衆通信回線使用契約関係の規定は昭和四十七年九月一日から昭和四十七年十二月三十一日までの範囲内において政令で定める日としております。  何とぞ、十分御審議くださいまして、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  136. 金子岩三

    金子委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  137. 金子岩三

    金子委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき承認を求めるの件について、本件の審査が終了するまで随時参考人として日本放送協会当局の出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  140. 金子岩三

    金子委員長 放送法第第三十七条第二項の規定に基づき承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。     —————————————
  141. 金子岩三

    金子委員長 まず、提案理由の説明を聴取いたします。井出郵政大臣
  142. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十六年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明を申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣の意見を付して国会へ提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げますと、事業収支におきましては、収入、支出とも一千九億七千万円で、前年度に比し、それぞれ九十九億九千万円の増加となっており、資本収支におきましては、収入、支出とも三百三十三億九千万円で、前年度に比し、それぞれ二十六億六千万円の増加となっております。  なお、事業支出のうち、三億円を資本収支へ繰り入れることとなっております。  次に事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及をはかるため、放送網の建設を行なうこと、テレビジョン放送、ラジオ放送とも番組内容の充実刷新を行なうとともに教育、教養番組の利用促進につとめること、積極的な営業治動を行ない、受信契約者の維持増加をはかること等となっております。  最後に資金計画でございますが、これは収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これら収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付した次第であります。  以上のとおりでございますが、何とぞ御審議の上、御承認のほど、よろしくお願いいたします。
  143. 金子岩三

    金子委員長 次に、参考人日本放送協会会長前田義徳君から、補足説明を聴取いたします。前田義徳君。
  144. 前田義徳

    ○前田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和四十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対し、厚くお礼申し上げます。  協会の昭和四十六年度の事業の運営につきましては、事業経営の長期的構想のもとに、テレビジョン、ラジオ両放送の全国普及の早期達成につとめますとともに、すぐれた放送を実施して、国民の要望にこたえ、国民生活の充実向上に資するよう努力する所存でございます。  次に、そのおもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画から申し上げますと、テレビジョンにつきましては、難視聴地域の早期解消をはかるため、二百二十地区にテレビジョン中継放送局の建設を完成し、百二十地区の建設に着手することといたしております。また、県域放送を実施するためのテレビジョン局京都等二局の建設を完成するとともに、二局の建設に着手することといたしております。  これらにより四十六年度末におきましては、総合テレビジョン局一千四百四十九局、教育テレビジョン局一千四百三十五局となり、全国総世帯に対するカバレージは、両放送網とも九七・四パーセントとなる予定であります。  このほか、辺地における共同受信施設を一千施設設置することといたしております。  また、超短波放送におきまして、県域放送を実施する放送局を含め五十一局の建設を完成するとともに、四十局の建設に着手することといたしております。  これによりまして四十六年度末の超短波放送局は三百五十一局となり、全国総世帯に対するカバレージは、九四パーセントとなる予定であります。なお、第一放送局は百七十局、第二放送局は百四十一局であり、カバレージは、第一放送九九・七パーセント、第二放送九八・七パーセントであります。  このほか、前年度に引き続き、放送センターの総合整備を取り進めるほか、宇都宮等の放送会館、カラー放送設備、研究用設備、近代化のための機器等の整備を実施することといたしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  まず、国内放送につきましては、テレビジョン、ラジオとも番組内容の向上刷新につとめることといたしておりますが、テレビジョンにおきましては、総合放送は、広く一般を対象として、番組の各分野にわたり調和のある編成を行ない、特に、七〇年代における内外の諸問題についての理解と展望に資する番組を重点とし、冬季オリンピック札幌大会の放送、参議院議員通常選挙及び統一地方選挙の放送等を実施することとし、教育放送は、学校放送、通信教育番組を中心に編成を行なうとともに、社会福祉に関する番組の新設等番組内容の充実につとめることといたしております。  また、カラーテレビジョン放送につきましては、カラー受信者の増大に対応して、カラー放送時間を年度内に順次拡充し、総合放送、教育放送合わせて一日二十一時間とすることといたしております。  ラジオにおきましては、第一放送及び第二放送の全般にわたり番組の刷新をはかり、受信者の聴取態様に適合した効果的な番組の編成を行なうとともに、超短波放送におきましては、県域を基本とするニュース、インフォメーション番組等ローカル放送を充実強化するとともに、ステレオ放送等超短波放送の特性を生かした番組の充実をはかることといたしております。このほか、放送番組の利用促進等の諸計画を実施することといたしております。  また、国際放送につきましては、一日三十七時間の規模により、ニュース、インフォメーション番組の充実をはかるとともに、各地域の特殊性に即した番組を編成するほか、国際放送の周知の強化等により放送効果の増大をはかることといたしております。  次に、営業関係につきましては、社会情勢の変化に即応した諸施策を積極的に推進することとし、受信者の理解と協力を得るよう、協会事業の周知につとめるとともに、電波障害の防止、辺地における共同受信施設の維持等受信改善対策を積極的に推進することといたしております。  これらにより、極力受信契約者の維持開発をはかり、特にカラー契約の増加につとめ、あわせて受信料の収納につきましても、一そう確実を期するよう努力することといたしております。  調査研究につきましては、番組面において、番組聴視状況調査、国民世論調査等を行なうとともに、技術面においてカラーテレビジョンの改善研究、放送技術新分野の開発研究、UHFテレビジョンの改善研究、放送衛星に関する開発研究等を積極的に実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、事業規模の拡大に伴う業務の増大に対処いたしまして、業務全般にわたり効率化を積極的に推進し、経費の節減につとめますとともに、業務の機械化及び職員に対する教育訓練の実施等により企業能率の向上をはかることといたしております。  また、給与につきましては、社会水準に比し、適正な水準を維持するよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する収支予算につきまして申し上げます。  事業収支につきましては、収入において一千九億七千八百万円を予定いたしておりますが、昭和四十六年度における受信契約者の増減につきましては、カラー契約において四百二十万件の増加を見込み、普通契約においては、カラー契約への変更等により三百五十二万件の減少、契約総数において六十八万件の増加をはかることとし、年度末における契約数を、カラー契約一千百七十九万五千件、普通契約一千百四十二万二千件、契約総数二千三百二十一万七千件と予定し、これによる受信料収入を九百九十億一千八百万円と予定いたしております。  このほか、国際放送関係等の交付金収入一億六千八百万円、預金利息等の雑収入十七億九千二百万円を予定いたしております。  これに対する支出といたしましては、総額一千九億七千八百万円で、国内放送費に二百八十六億五千百万円、国際放送費に七億六千五百万円、業務費に九十五億六千八百万円、調査研究費に十五億一千七百万円、管理費に百十一億四千三百万円、給与に三百十九億百万円、減価償却費に百四十億五千万円、関連経費に二十六億八千三百万円、予備費に四億円を計上するほか、資本収支へ三億円の繰り入れを予定いたしております。  次に、資本収支につきましては、収入において三百三十三億八千八百万円を予定いたしており、減価償却引当金、固定資産売却収入等を百六十一億三千万円と見込み、外部資金の借り入れにつきましては百七十二億五千八百万円を予定いたしております。  これに対する支出といたしましては、総額三百三十三億八千八百万円で、建設計画の実施に二百六十億円、放送債券の償還に四十二億二千万円、長期借入金の返還に十九億円、放送債券償還積立金の繰り入れに十二億六千八百万円を計上いたしております。  以上、昭和四十六年度日本放送協会の収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活の向上に放送の果たすべき使命が、ますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務遂行に努力する所存でありますので、委員各位の変らざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞすみやかに御審議、御承認を賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  145. 金子岩三

    金子委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は来たる十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会