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1971-03-10 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       加藤 六月君    佐藤 守良君       坪川 信三君    長谷川四郎君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    阿部未喜男君       卜部 政巳君    田邊  誠君       武部  文君    松浦 利尚君       米田 東吾君    中野  明君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省簡易保険         局長      中田 正一君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   土橋 一吉君     小林 政子君 同日  辞任         補欠選任   小林 政子君     土橋 一吉君 三月十日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     田邊  誠君   八百板 正君     卜部 政巳君 同日  辞任         補欠選任   卜部 政巳君     松浦 利尚君   田邊  誠君     安宅 常彦君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     八百板 正君     ————————————— 二月二十六日  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣提出第五九号) 同月二十七日  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出第七四号) 三月九日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出第八七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  郵便法の一部を改正する法律案審査のため、去る三月二日及び三日の二日間、大阪府に委員を派遣して現地調査会を開催し、各界の代表者から意見を聴取いたしてまいりましたので、この際、便宜上私から簡単に御報告申し上げます。  派遣委員は、団長である私のほか、内海英男君、加藤常太郎君、佐藤守良君、水野清君、武部文君、古川喜一君、中野明君、池田禎治君、土橋一吉君でありますが、なお、古川丈吉君、樋上新一君、栗山礼行君、中村拓道君が逓信委員として現地参加されました。  現地調査会は、三月三日午前十時より大阪市にある大阪証券会館会議室において開催し、私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営順序等についてあいさつを行なった後、大阪民生児童委員岡本梅子君、神戸大学名誉教授竹中龍雄君、大阪送風機製作所社長松山賢太郎君、弁護士佐々木静子君、関西主婦同盟議長岡崎安佐子君、全日本労働同盟大阪地方同盟書記長松木長五郎君、以上六名から参考意見陳述を聴取し、質疑を行なったのでありますが、その詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもって報告を終わりたいと思いますが、現地調査会は、大阪郵政局大阪府庁、その他地元関係者多数の御協力により、きわめて円滑に行なうことができた次第であります。  以上のとおり御報告いたします。     —————————————
  3. 金子岩三

    金子委員長 この際、おはかりいたします。  ただいま委員派遣の御報告で申し上げたとおり、大阪における会議記録は後ほどできてまいりますが、その記録会議録に参照として記載することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔現地調査会記録は本号(その二)に掲載〕     —————————————
  5. 金子岩三

    金子委員長 郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
  6. 田邊誠

    田邊委員 ただいま審議を続けております郵便法について、若干の質問をいたしたいと思います。各委員からの質問があったと思いますので、なるべく私は郵政事業の根本に触れる問題、本質に触れる問題について大臣の所見を承りながら、その中で当面する郵便事業業務運行上の最も大きな課題となるべきものについて触れていきたいと思っておるわけであります。  私がそういう前提を申し上げるのは、御案内のとおり、今回の郵便法料金改正を含む重大な改正でありまして、一つには国民生活に大きな影響を及ぼすこと、あるいはまたいままで料金を決定する際に原則がなかなか打ち立てられておらなかったのでありますけれども、これが常識的になっておったものを、今回原則を打ち立てたというようなこと、あるいはまた郵便事業が国の独占事業であるという点から見て、今回の法律改正の中における弾力条項実施等、今後の郵便事業に与える影響が非常に大きいと思うから、この際、ひとつ事業根幹に触れながら質問をしていきたい、こういうふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。  大臣にまずお伺いしたいのは、言わずもがなでありますけれども、私がいま申し上げたように、郵便事業はここ百年国が経営をしてまいりました独占事業でありますが、近来、この郵政事業一つ企業ではないかという論議が盛んになっておると思うのであります。この郵政事業の中における、特に中心であります郵便事業というものが目的とするところ、そしてまた事業の持つ性格、そういった点からいいまして、この企業という問題について一体どういうふうにとらえたらいいのか。企業性を強調するということが盛んにいわれているわけでありまするけれども、一体これがそれに携わるところの人たちに正しく把握されておるのかどうかという点が、私は危惧されるのではないかと思うのであります。郵便事業ないしはそれを包むところの郵政事業企業性ということについて、大臣はいかがお考えでございますか。
  7. 井出一太郎

    井出国務大臣 非常に本質的な問題でございますが、郵便事業は非常に公共性の高い仕事である、この郵便法の第一条に規定されておりまするような、そういう趣旨の理解のもとに行なわれてきたと思います。しかし、同時に、企業と申しましても公企業、こういう性格が一方においてあるわけでございまして、これを追求してまいりまするためには、一つ企業原則といいましょうか、経済合理性といいましょうか、こういった柱が大きな要件になることもまた事実であろうと思うのでございます。  そこで、今回は第三条に収支相償原則というか、独立採算という考え方を打ち出したのでございますが、これと申しますのも、国際的傾向などを考えてみますときに、公社化という方向へ踏み切る国もだんだんとできてまいっております。そういうことで、わが国におきましても、そういう話題がただいまもなお検討中であることは御承知のとおりでありまして、そういう角度から企業性というものがクローズアップしてきておるというのは、御指摘のとおりであろうと思います。  そこで、この公共的な立場企業的な立場をどういうふうにかみ合わせるかというところに苦心が存するわけでございますが、私どもの気持ちとしましては、公企業という面にウエートを置きつつ、公共性を勘案しながら合理的な運営ができるということを期待いたしまして、今回の法改正に臨んでおる、こういうことでございます。
  8. 田邊誠

    田邊委員 いま大臣が言われましたので、私もやや明確になってきたと思うのですが、やはり郵政事業、特にその根幹である郵便事業は、何といっても公共性の非常に強い事業である。このことを忘れて事業運営をすることはできないとわれわれは思っておるわけであります。その中での合理性をどうとらえるかということでありまするが、近年、私どもが見ておるところでは、いま大臣が言われた公共性公共的な立場、こういったものがまず前提にあって、それに加えて企業合理性というものをどういうふうにその中に取り入れていくかということはいわれなくて、本末転倒した形で、この企業性だけが強調されるといううらみがあると私は思うのであります。このことは事業の将来にとっても非常に問題であろうと思っておるわけでありまするけれども、特にこの企業性を強調するという中で、最近郵政審議会答申の中にも、きびしい現状認識の上に立って企業意欲をもって臨まなきゃならぬ、こういうことがいわれております。近代化効率化を進めることによって、この企業性というものをさらに高めていこう、こういう形でもって、いわば五つばかりの項目についての答申がなされておることは御案内のとおりであります。私は、この五つ事項について、第一は「経営自主性の確立」第二は「高い能率の発揮」、第三は「サービス向上」、第四は「需要の変動に即応」、第五は「健全経営への努力」、こういうようにいっておりまするけれども、このことの一つ一つはあるいはそのとおりかもしれないけれども、いま大臣答弁をされ、私が話をしておりまするとおり、この中に、前提となるべき公共的な立場、いわゆる企業のみとは把握できない郵政事業の持つ性格、こういったものがややもすれば没却されがちな感じがしてならないわけであります。いま答弁にありましたとおり、この公共性の確保というのが、私は、何といってもまず重点でなければならない、中心でなければならないというように思っておりますけれども、その中で郵便事業の持つ公共性というものは一体何なのか。これは大臣でなくても、郵務局長でもけっこうですから、郵便事業の持つ公共性というものは一言で言ったら何であろうかということについて、ひとつ御答弁いただきたいと思うのであります。
  9. 竹下一記

    竹下政府委員 郵便公共性は、郵便法第一条に最も端的に表現されておると思います。すなわち、郵便役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供し、公共の福祉を増進する、こういう第一条の趣旨そのものであると考えます。
  10. 田邊誠

    田邊委員 いま郵務局長は棒読みにされましたけれども郵便法はそういうように書いてあるけれども、私は、その中で特に問題なのは、安い料金というファクターが一つあると思うのです。もう一つは、あまねく公平にこの役務を提供する、こういうことがあると思う。この二つ要素というものが相互にからみ合いながら、郵便事業というのはその公共性国民の前に出している、こういうように私は思っておるわけであります。  そこで、いま私が例に上げました郵政審議会答申、特に事業経営に対する答申としては、公社化問題に対して四十四年十月十七日に郵政審議会答申をしておりまするけれども、これが私は最近の一つの特徴的なことではないかと思うのです。この中で私は目立って問題にしなければならぬ点は、「事業公共性企業性の調和」ということをいっておりまするけれども、一番問題なのは、郵政事業の中で持つ一番大きな問題としての、あまねく公平に役務を提供するということが、この郵政審議会答申の中でも文言として落ちておるのであります。郵便貯金なり簡易保険事業については、全国あまねく公平にということが書いてございまするけれども郵便事業については、いわば最もその性格を浮き彫りにしておるところの、役務をあまねく公平に提供するということがいわれておらないのであります。私は、そのことは、五つのいわゆる企業性あるいは近代化というものを推し進める際に忘れてならないことでありまするけれども、これが没却されるようなことであるとすれば、事は重大だろうと思うのですが、この郵政審議会答申をあなた方はこれからもいろいろ検討されていくだろうと思うのですが、その中で、私のいま言いましたところの全国あまねく公平に役務を提供するということについて、最近郵政事業に携わる人たちの中に、ややもすればこれを忘れがちな傾向なきにしもあらずというように私は思っているわけでありまするけれども審議会答申がたまたまそういう状態であることを一つのきっかけといたしまして、この点に対する皆さん方の関心をぜひ呼びたい、こう思っておるわけですが、この点に対してはいかがですか。
  11. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃることはまことにごもっともでございます。私の思いますのには、いま御指摘五つ項目を特に審議会答申においては列記しておるのでございますが、その前提として、郵便法第一条にございます「あまねく、公平に」というこの原則は、あたかも自明の理とでも申しましょうか、およそ郵便というものに対する最初の態度が第一条に規定するような方向でなければならない、これはまさに当然のことなんだということで、あえて文言にはなかったかもしれませんが、その答申の御趣意の中にはそういうものが脈々として貫かれておる、こういうふうに郵便関係者は受け取るべきであろう、こう思っております。
  12. 田邊誠

    田邊委員 いま大臣の言われたことを私はしかと覚えておきたいと思うのであります。実は、私のいろいろとお伺いしたいことの基本は、この郵便法第一条にいう安い料金全国あまねく公平に役務を提供するというこのことにあることを大臣もひとつぜひ心底にとどめておいていただきまして、逐次質問を展開してまいりたいと思います。  近年、いわゆる郵便事業合理化近代化ということがいわれております。このことがいわば今度の郵便法改正とうらはらな関係になっているというふうにも思っているわけでありまするけれども郵政事業、特に郵便事業の現況に照らしてみて、運営の面で非常にいろいろな問題がある、経営の面でいろいろと隘路がある、こういうようにいわれておるのですけれども郵政事業近代化をはばむ要素は一体何なのか、近代化を推し進める上にとって非常に大きな隘路になっている要素というものは一体何なのか、このことに対して、郵便事業に携わる者としてひとつこの際もう一度振り返っていただきたいと思っているわけです。その郵政事業近代化をはばむ要因はいろいろあろうと思いまするけれども、しかし、その中の重要な一つ制度的なものとして隘路があろうと私は思うのですが、これは何であると実はお考えでございますか。
  13. 竹下一記

    竹下政府委員 郵便事業近代化でございますが、近代化というものをどういうふうに見るかでございますけれども事業経営を極力能率を高め、冗費を節約する、そしてサービスをよくしていく、こういう立場に立ちますならば、郵便事業は、仕事の大部分を人力に依存しておるという点に非常な特色がございまして、人力に依存する度合いが強いということは、裏から申し上げると、機械化余地が少ないということでございます。機械化が大幅にできますれば、いわゆる近代化というものが大きく前進するかと思いますけれども人力に依存していく以上は、ほかの企業に比べましてなかなか近代化の促進がむずかしい面があろうかと思います。  私どもは極力良質の労働力を確保し、確保しました労働力につきまして能率高め生産性を上げるという方向で十分に努力していかなければならないと思います。郵便事業につきましては近代化がたいへんむずかしい。しかし、やり方によりましてはいま申し上げましたような人力につきましてもなお能率向上生産性向上余地がある、かように存じます。また機械化の幅はたいへん狭いのでございますけれども、最近はいろいろと科学が伸展いたしまして、特に電子工学の発展は非常に強いものがございます。特に室内、局内作業の分野につきましては、機械化というものが当初考えておりましたよりも機械化できる可能性がだんだんと出てまいっております。この方面につきましては今後とも十分研究検討を進めてまいる余地があろうかと思います。
  14. 田邊誠

    田邊委員 そういうお答えが返ってくるだろうと思っておったのでありますが、平面的に見た場合には、いま言った人件費が非常にかさんでおる、人力にたよる部面が非常に多い、こういうことが一般的にいっていわゆる機械化近代化をはばむ一つ要素である、こういうようにいわれておるわけですが、常識的には私はそのとおりであろうと思う。これはこれでもっていわゆる事業の持つ固有の性格でありますから、これは私は認めざるを得ないと思うのであります。いわば平面的に見た場合におけるいま近代化をはばむ要素というのは人の力に大いによる、八〇%以上の人件費を要するという郵政事業の中におけるこの要素、これは私は郵務局長の言われたとおりだと思う。  それじゃ官房長、どうでしょう、これを制度的に見た場合に、郵政事業近代化をはばむ制度上の隘路は一体何かということに対して、あなたのお考えはどうですか。
  15. 野田誠二郎

    野田政府委員 お答えをいたします。  制度といいますと非常に幅が広くなると思うのでございますが、まず郵政事業運営する入れものをつくります組織法上におきまして、やはり行政機関であります以上といいますか、その関係から、法律、政令、省令等に非常にこまかく組織などが規定をされております。そのほか中で働いております人間につきましては、国家公務員法なりあるいはそういう民間企業に働く人たちに対します法的な取り扱いと異なりまして、やはり国家公務員としてのいろいろな規制がかぶってくる。それから業務運営に一番必要な財務あるいは会計の規程におきましても、行政機関としての、他の民間企業と当然異なりますけれども、他の公社等々と比べても相当より国家行政機関財務経理運営のしかたに近いようなそういう方法、これが先ほど先生がおっしゃいました事業合理化なりあるいは近代化というものについて相当大きな関係のある制度的な点ではないか、かように考えております。
  16. 田邊誠

    田邊委員 私の質問があまり正確に受け取られておりませんから、私のほうから端的に申し上げますが、私は、やはり郵政事業の中でもって一番の問題は、事業そのものの持つ性格からいって、全国あまねく郵便局散在をさせる、この現業の郵便局の中で業務の遂行が大半やられているところに性格づけられると思うのです。したがって、この全国散在をするところの郵便局あり方というものが、郵政事業の将来にとっていわばどういうふうにあるべきか、これがやはり一つの問題ではないかと思うのでありますが、そういう中で、近代化をはばむものとしては、一つには何といっても特定局制度があろうと思うのです。もう一つは、郵便事業に直接的な問題として残るのは、郵便請負制度があろうと思うのです。この二つ要素というものは、郵政事業を語る者としては忘れてはならない歴史的な要素であろうと思うのです。特に最初に申し上げた特定局制度というものが、前近代的な形でもって、実はそのままの状態で運用されてきている。こういうところに郵政事業の持つ宿命的な古さがあるんじゃないかと私は思っておるわけでございます。したがって、この際は、この特定局制度について十分私は大臣とやるところの時間がございませんけれども、この特定局制度というものに対して何らかの形をこれから考えていかなければ、いかに近代化をいい、機械化をいっても、制度的に見た場合に残るところの隘路の打開にはならないというように私は思っておるわけでありまして、局舎私有制の問題、局長自由任用制の問題、いわゆる郵政事業管理運営二元性というものがここに残存していると思っておるのであります。このことの持つ意味というのは、決して忘れてはならないと思うのです。大臣、その点は、やはり私が言うことが大体において大臣の胸の中に落ちることではないかと思うのでありますが、そのとおりでしょうか。
  17. 井出一太郎

    井出国務大臣 郵政百年の歴史を回顧いたしました場合に、その間には幾山坂を越えて歴史、沿革があることは御承知のとおりであります。おそらく、明治初年における日本の郵便事業の基礎を据えました先覚の方々は、当時としていまの特定局制度というものに思いつきましたゆえんのものは、それなりに当時としての必然性、そういうものがあったろうと思うのでございます。それがこの歴史をろ過してくる過程において、だんだんと当時のままではなく変化はしておるとは思いますけれども、御指摘のような、そこに何か古さが残っておるんだ、こういう御見解も確かに有力に存在しておるようでございます。したがって、当委員会においてもあるいは参議院委員会における小局運営あり方というふうな課題提出も私は承ったことがあるわけであります。したがいまして、これはいまここでにわかに解決をし得る問題ではないことは、いま田邊さん言われるとおりでありまして、私どもも、この制度の持つ意義というものを没却すべからざるものもあると思うのです。私は、地域社会に即していまの制度のもとに運営をされておる姿の中にも、もって用いるべきものがある。同時に、幾星霜を経た今日、もう一ぺんこれを振り返ってみる、こういう必要もあろうかと思うのでございます。  以上がいまの御質問に対するお答えなんですが、もう一つここで、これはよけいなことかもしれませんが、通信手段という場合、今日では電話のごときものがたいへん普及をしてまいった。そして伸び率から申しますと、電話伸びのほうが郵便よりもはるかに高い。これはスピードの問題もありましょう。あるいは両面通行といいましょうか、郵便の場合は一方通行でございます。そういうふうな差がありますから、新しい通信手段がだんだんと発展しておるというところに郵便の困難さもあろうと思うのですけれども、しかし、郵便には郵便の持ち味というか特徴がございますから、これはあながち没却してはいけますまいけれども、こんなふうな要素郵便現状の困難さの一つの理由にはなっているのではないか、かように心得ます。
  18. 田邊誠

    田邊委員 大臣が言われました後半の問題は、いれはいわば郵便事業一つの国で持つ保存的な事業として、実は非常に消極的な意味ですけれども一つ意義があるということに通ずるわけですから、これはこれなりに一つ要素であろうと私は思うのです。  前段に申し上げた特定局制度の問題は、この持つ意味なり味なりというものに対して大臣が言われたことも、決して私は全面的に否定するわけではない。しかし、いま私が問題にしているように、いわゆる近代化合理化、特に管理運営上の一元化、近代的、合理的な運営をするという、こういう事業の観点から見た際に、特定局制度というのは近代化をはばむ要素になっているということだけは疑いない事実だろうと私は思うのです。ですから、その点に対して大臣がお認めをいただきますならば、これに対する今後におけるところの検討がなければならない。きびしい企業意欲を燃やせ、企業意識を持て、こういうことをいわれておるわけであります。現状に対する認識をもっときびしくしなければいけないということもいわれておるわけですが、そういうことを事業人に言う前に、私がいま言った制度上持つところのそういう隘路に対して、郵政省は前向きに取り組むという姿勢がなければ、郵政事業制度上におけるところの近代化を達成することはできない、こういうふうに思っておりますが、その点は私と合意になりますね。
  19. 井出一太郎

    井出国務大臣 その認識が、あるいは田邊さんと厚薄濃淡の差はあるかもしれません。しかし、これは一つのわれわれの十分に検討しなければならない事項である、こういう認識に立っておるわけであります。
  20. 田邊誠

    田邊委員 きょうはその論議をさらに深くするという時間がございませんから、いまの大臣お答えをいただきながら、次に参りたいと思います。  もう一つ近代化をはばむものとして請負化の問題を私はあげました。郵便事業はいわば局内におけるところの作業が中心であります。しかし、その前に収集作業、それから配達作業、こういうものが、三つ要素がからんでおるわけでありますが、収集作業というのはきわめて分散的になっている。それから局内の区分等の作業というのは、現在機械化等についてかなりいろいろといわれている。ところが、最後の部門であるところの配達は個別的な作業である。こういう三段階ある際に、局内作業についてだけ近代化機械化ということがいわれておりますけれども、前の収集の問題と配達の問題について多く語られていないのは、私は片手落ちだろうと思うのです。そういう中で請負化という問題は、郵便事業の全体の流れ作業の中における一つの主要な部分として、われわれが看過することができない問題であろうと思っておるわけでありますけれども、いわゆる運輸部門の中で、何といっても運輸の一元性、一元化というものをそこねるような要素については、これをなるべくなくしていくということが必要だろうと思うのであります。  そこで、郵務局長、運輸、輸送の面で、いままで国鉄等の軌道にたよっておった部門から、自動車部門に対してたよるところの部門というのがだんだんと多くなってきたと思いますけれども、この軌道と自動車との割合というのは、近年一体どういうふうな変化を示しておりますか。
  21. 竹下一記

    竹下政府委員 正確な数字の持ち合わせがございませんですが、これは後ほどお知らせするといたしまして、おっしゃいますように、国鉄、私鉄、いわゆる軌道に依存しておりました輸送方法は最近漸次縮小いたしまして、と申しますことは、国鉄等におきましてはやはり旅客優先という方針が強く打ち出されておりまして、物品輸送はあと回しという方式が出てきておる関係もございます。郵便輸送はそういう国鉄の事情もからみまして、勢い自動車輸送に転換せざるを得ないということで、近年その傾向を非常に強くしてまいってきております。
  22. 田邊誠

    田邊委員 経理局長はわかりますか。これは郵便料金をはっきり出す際の逓送部門が占めるところの割合、その中でもっていわゆる軌道から自動車に変革をすることによって起こるいわば原価上の一つのファクター、これがわからなければ、郵便料金の値上げ問題は審議できないじゃありませんか。わかりますか。
  23. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 四十六年度予算で集配運送費がございますが、その中で国鉄等に委託する費用と、それから専用自動車とわれわれ言っております、いわゆる自動車化していく部門の経費の比率を見ますと、国鉄等に引いてもらっているいわゆる郵便車のほうが六十二、三億でございまして、それに対して専用自動車関係では百四十億ということになっております。なお航空関係が約二十億、そのほかが人夫請負料という形でいかれるものが約二十億ということで、いまの御質問に対してお答えするとすれば、やはり専用自動車関係の請負料は国鉄関係の倍近くの使用料を払っている、こういう形になっております。
  24. 田邊誠

    田邊委員 これは距離、それからその事業の持つ企業の独立性、あるいは国鉄の場合においては、国鉄という企業の中において郵便逓送という一部門を受け持つわけですから、もちろんそういった面における単価のはじき方等は違いますけれども、しかし、この自動車部門におけるところの輸送をゆだねることによるいままでの国鉄にたよっておった状態と比べてどちらが割り高ですか。
  25. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 一通当たりの運送費とした場合は、国鉄でやっていたほうが安いということでございます。
  26. 田邊誠

    田邊委員 これは現在の国鉄に依存をすることができ得なくなってきた事情、それから大都市におけるいろいろな輸送上の隘路、そういった面から、一つには航空便を使い、一つには深夜便を使う、そういった要素がどうしてもあるということはわれわれは了承するものであります。しかし、いま経理局長のお話のとおり、軌道から自動車へと漸次移りつつある現在の状態の中で、いわばどちらが安く済むかといえば、何といっても大国鉄という形の中で委託をする逓送部門のほうが安くつく、これは理の当然でありまして、現在の自動車部門における割合は割り高であるということは、私はいなめない事実であろうと思うのであります。そういった中で、この自動車輸送について現在下請に出しておる下請企業、日本郵便逓送株式会社等が主でありますけれども、いわば請負状態の中でもって日本郵便逓送株式会社が占める割合というのは、たいへん大きな割合ではないかと思うのですが、これは一体どのくらいの割合になっておりましょうか。
  27. 竹下一記

    竹下政府委員 これも詳細なる数字は後刻申し上げることにいたしまして、おおよそのことを申し上げますと、全国の自動車輸送の中で日本郵便逓送会社の占めます割合は、おおよそ八割と見てよろしいかと思います。  それから、先ほどお話がございました軌道と自動車との利用状況の推移でございますが、ございましたので申し上げますと、昭和二十一年当時におきまして鉄道の全延べキロ程が十四万キロメートルでございましたのに対して、自動車は当時六万九千キロメートルでございました。それが四十四年度におきましては国鉄のほうは十九万キロ、自動車のほうは十八万キロでございまして、昭和二十一年当時自動車は鉄道の半分にも満たなかったものが漸次増加してまいって、四十四年度においては大体同じキロになっておる、こういう実情でございます。
  28. 田邊誠

    田邊委員 私のほうが知っておって、あなたのほうの専門家が知らないということでは相つとまらぬと思うのです。これはいまの御答弁ではほんとうは不満ですから、次の質問に移る前にその数字を見せてもらわなければぐあいが悪いわけですけれども、しかし、審議に協力をする意味で、あとでもってひとつ出していただきたいと思っておるわけであります。日本逓送株式会社の経営状態、その中で特に賃金、労働条件等についての状態については、ひとつ資料を委員会に出していただきたいと思うのです。この請負の実態はどういうことであるかということについては、この際、やはり関心を持たなければいけないと思いますし、今後ますます自動車便がふえるという傾向の中で、これらの問題に対してはぜひ洗い直す必要がある、こういうふうに思っておりますので、この点は委員長を通じて資料を出していただくように要求いたします。委員長、よろしゅうございますか。
  29. 金子岩三

    金子委員長 それでは資料を出すと申しておりますから……。
  30. 田邊誠

    田邊委員 大臣、いまお聞きのように、特定局制度については大臣と私は合意ができておると思うのですが、もう一つは請負化の問題があります。この請負化の問題は、そのことが経営上効率的であるかどうかは別にして、やはり郵便事業の中における大きなファクターである運輸部門、この運輸の一元化という点からいえば、自動車輸送が増加しておる現在の状態の中で考えなければならぬ要素一つであると思うのであります。この請負化の問題と特定局制度の問題というものは、これを廃止するあるいは改善するためには資本投下が必要でありましょう。しかし、資本投下をいたしましても、いま言った経営の一元化、自主性サービス向上、こういった面から見れば、今後やはり乗り越えなければならぬ一つの大きな問題ではないかと思うのです。したがって、廃止によって起こるところの直ちに考えられる損得以上に郵政事業、特に郵便事業の持つ将来の任務からいって、この二つの問題は当然郵政事業に携わる者としては、考えなければならぬ大きな問題であるというように私は思っておるわけでありますけれども、これに対して、この法律が出ていま審議をわずらわしている機会に、これに対するところの再検討を私はぜひひとつしてもらわなければならないというふうに思っておるわけでございますけれども、いかがでございますか。
  31. 井出一太郎

    井出国務大臣 特定局制度は先ほどのとおりとしまして、いま輸送問題における一元化という問題を御指摘に相なりました。私もいまの質疑応答を承っておりまして、一つの問題点であろう、こういう認識はいたしております。それで、おそらくいや応なしに自動車輸送にたよる面が今後ふえてまいるであろうという予測は立つわけであります。そういう場合に、これを最も合理的、能率的にやるのにはどうするか、この点は早急に検討しなければならない問題であろう、この点は御同感であります。
  32. 田邊誠

    田邊委員 それでは次の質問に移りたいと思いますが、郵便事業には先ほどからの答弁でありましたとおり、国民に対してあまねくその役務を提供するという性格がございます。その中で、特に郵便物の送達という面におけるところの特色、これは幾つかに分けられると思うのでありますけれども、このいわば郵便物の送達を業務とする郵便事業の特質、こういったものに対しては、私は取り扱う郵便物の種別によっていろいろな実は特色があるのではないかと思うのであります。一つには、何といっても信書の取り扱い、これは国民全体に与える問題でありますから、いうなれば公共的な性格国民的な性格を持っていると思うのであります。これはもう国民の文化生活の上に欠くことのできない、先ほど大臣が言われましたように電話の発達はありますけれども、また信書は信書としての、特に日本的な意味におけるところの性格があろうと私は思うのです。  それからもう一つ、私がお伺いしたいのは、官庁等で出すところの郵便物、行政上の郵便物、それから特にその中で、もしおわかりいただければ実はお答えをいただきたいのですけれども、官庁といってもいろいろございますから、その中で特に防衛庁等でもって出されるところの郵便物、こういったものは一体どの程度のパーセントを占めておるのか。もしいま私が言った後段の点、わからなければわからないでけっこうですが、行政的な部門において出されるところの郵便物、官庁関係郵便物というものは一体どのくらいの割合を占めているのか、おわかりでしたら、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  33. 竹下一記

    竹下政府委員 たいへんきびしいお尋ねでございまして、従来私どもはいろいろな物数調査をいたしますけれども、官庁関係の差し出し郵便物数について調査をいたしたことはございませんので、まことに申しわけございませんが、数字をもってお示しすることができないわけでございます。
  34. 田邊誠

    田邊委員 行政的な物件というものがどのくらいの割合を占めるかということは、非常に重大だろうと思うのですが、これはひとつおくとしまして、行政的なもの、それからいま言った信書の面、それからもう一つ業務的な、商業的な物件、これはいわば利潤追求的な性格を持っている、これは企業的な性格だろうと思うのです。ですから、いわば公共的なサービスの部門と、それからいま言った企業採算ベースの上に乗ったものと、この二つ要素があるわけですね。これが、実は郵便事業の中でいろいろと話題になっておるところの問題だろうと思うのです。これをできれば区別をして、いろいろとものがはかられればいいのではないかというような考え方に私は立つわけです。料金設定の際における考え方の基本にも、この国民全体に対するところの公共的な性格国民的な性格を持つものと、企業的な性格を持つものとの区別ができれば、私は郵便事業というものは今後もっとやりやすくなるのじゃないかというような気がいたすわけでございますけれども、この点はどうでございましょう。
  35. 竹下一記

    竹下政府委員 お尋ねの点はまことにごもっともな点がございまして、実は四十一年の法改正までは、われわれのやっております郵便事業は、内容によりまして種類を分けておったのでございます。一、二種に対して第五種の業務用書類を内容とするところの郵便の種類がございました。それを四十一年におきまして、第五種を第一種に統合した経緯がございます。と申しますことは、郵便物数がどんどんふえていくという事情が一方にございますし、従来の個人通信、いわゆる安否通信、こういったものの比率が、絶対数は落ちませんけれども、全体の物数の中に占める比率はどんどん落ちてまいる。相当部分がいわゆる業務用通信、ことばをかえて申し上げると企業通信、こういうふうに郵便の利用構造が大きく変わってくるという事情がございましたので、五年前の法改正で五種をやめて一種、二種に統合した、こういう経緯がございます。これはひとりわが国だけでございませんで世界的な傾向でございまして、世界各国が郵便の種別体系を、その内容によってでなくして形によって分ける、そのほうが業務運営上好都合であるというふうに考えまして、そういう方式にどんどん移りつつある実情にございます。
  36. 田邊誠

    田邊委員 いま言った公共性というものと企業性というものと二つございますが、もう一つ要素の中で料金設定上考えなければならぬ点は、国民に対してあまねく公平に役務を提供するということですけれども、この公平ということは、私は必ずしもすべての人たちに対して同じ料金でという意味ではないと思うのです。  ちょっとお伺いしたいのは、いま航空便が非常に多くなったといいますけれども、軌道と航空との割合は近年一体どうなっておりましょう。
  37. 竹下一記

    竹下政府委員 飛行機に搭載されますものは、一、二種郵便物の中の二割弱見当だと思います。それ以外のものは、大部分のものが軌道に乗っておるということです。
  38. 田邊誠

    田邊委員 そこで、速達は標準速度というものを設けるということを審議会等でも盛んに言っているわけですが、速達は東京—大阪間、東京—札幌間はどの程度の速度で届くものでしょうか。それと比較をして東京—京都、東京—青森、これは一体どのくらいの速度で相手方に届くものでしょうか。
  39. 竹下一記

    竹下政府委員 速達郵便でございますと、これは飛行機の利用がきくところはもちろん飛行機を利用いたしますし、特別送達をいたしますので、国内一部のところを除きまして翌日中には配達になる。早いところは当日、そのほかのものは翌日中には配達になる、こういうふうに考えております。
  40. 田邊誠

    田邊委員 札幌と青森はどっちが先に着きますか。
  41. 竹下一記

    竹下政府委員 これは飛行機利用の関係がございますので、札幌のほうがいまは早くなっておるのじゃないかと思います。
  42. 田邊誠

    田邊委員 料金はどういうことになりましょうか。
  43. 竹下一記

    竹下政府委員 料金は一緒でございます。
  44. 田邊誠

    田邊委員 これはどういう形に考えたらいいんでしょうか。遠い札幌のほうが早く着く。近い青森のほうがおそく着く。それで料金は同じ。利用者の国民の側からいって、総括的に見ていわば速達料金をきめておるのだから、航空便であれ汽車便であれ同じ料金でこれはかまわないというのは、役所的な独善的な考え方じゃないかと思うのですね。これは一体一考に値しませんか。
  45. 竹下一記

    竹下政府委員 この問題は速達郵便に限らないと思います。普通、通常の郵便につきましても全く同じことがいえるわけでございますが、普通郵便の場合も、九州から来ますのと都内から来ますのと、これは申しわけないことでございますけれども、場合によりましては都内のほうがおそい場合もあるというので、その点を取り上げますと、普通郵便につきましても、料金の均一性というものについては問題があるわけでございます。しかし、これは沿革的な事情もございますし、ものの割り切り方の問題でもございますし、それから利用者の立場に立ちますると、距離によりまして料金差をつけるということになりますと、利用上の便利という点についてたいへん問題も出てきましょうし、郵便局側の取り扱いにつきましてもめんどうな点が出てくる。それが手間を呼び、コスト高になる。郵便料金そのものはそのために上げざるを得なくなるといったようないろいろな影響も出てまいろうかと思います。私どもはいろいろなことを勘案しまして、通常郵便物につきましては、やはり均一料金制のほうがプラスマイナス、総合的に考えました場合、やはりいいのではなかろうか、かように考えます。
  46. 田邊誠

    田邊委員 航空郵便はだんだんふえていく状態に当然なろうかと思うのですが、これはさっきのいわゆる軌道、自動車に比べて何といっても割り高ではないかと思うのですね。しかし、なおかつ航空便をふやしていくという、大体こういう考え方で臨んでいるわけですね。
  47. 竹下一記

    竹下政府委員 郵便は利用できる最もスピーディな、便利な運送手段を利用するということが望ましいと思いますので、今後飛行機はますます伸びていく。ローカル線もできてまいると思いますが、利用がきく限りはやはり利用していくのが郵便の使命ではなかろうか、かように考えます。
  48. 田邊誠

    田邊委員 そういたしますと、速達に限ってみましても、航空便がかなりふえてくるという形になってまいりますならば、当然原価の面でかなり高くなってくるのではないかと思うのでありますけれども、そのことは御承知の上で将来にわたって航空便がふえる、こういう認識の上に立って今度の料金改定の中における単価をはじき出された、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
  49. 竹下一記

    竹下政府委員 そのようにお考えいただいてよろしゅうございます。
  50. 田邊誠

    田邊委員 実際に割合としては、航空便の利用を今後ふやしていくという、こういうお考えですか。
  51. 竹下一記

    竹下政府委員 私の先ほどまでの答弁の中には不備な点が一つございましたので、お答えいたしますが、速達郵便物はもちろん飛行機に搭載いたします。そのほうが早く送達ができるという場合には全部飛行機に載せるということでございます。と同時に、速達でございません普通、通常の郵便物にいたしましても、これは前回の法改正の後でございましたからもう五年ほどになりますけれども、普通、通常郵便物につきましても飛行機に載せたほうが早く送達ができるという場合には載せることにいたしました。これは非常なサービス向上をねらったわけでございますけれども、そういう方向で進んでおりますので、最近は先ほど申しましたように、通常郵便物の二割程度のものが飛行機に搭載されておる、こういう実情になったわけでございますけれども、私どもといたしましては、今後ともやはり飛行機便が充実されていくに伴って、郵便もそれに搭載していくということを考えておりますし、このたびの料金改正につきましても、そういう点につきましては要素として織り込んで料金を算出した、こういうことでございます。
  52. 田邊誠

    田邊委員 そこで原価の問題が出てまいりましたが、あまり御迷惑をかけるといけませんので、この点に対するところの考え方は多くを申し上げませんが、原価が上昇している原因は何といっても八〇%を占める人件費の割合、それと機械化によるところの省力化、こういうことがいわれておるわけですが、賃金は毎年上昇する、したがって人件費は上がる、原価が上昇する、郵便料金の上昇を来たす、実はこういう悪循環を重ねているわけでございますが、これはほかの委員の方々もお聞きになったのではないかと思いますので、あとで資料を出していただければけっこうでございますが、四十一年料金改定以後の人件費の占める割合は、一体四十一年から四十五年までどうなっているか。それから同じく四十一年料金改定以降の人件費の上昇状況は一体どのようになっているか。全部で七〇%上昇しているといわれているが、年度別にどうかということをひとつお知らせいただきたいと思うのです。  それから、今後の人件費の上昇というのは、大体新経済社会発展計画の雇用者の所得の伸び一二・一%予定をしておるということでありますけれども、これで足りるとするかどうか。状況の変化があった場合には、三年間を見込んで大体収支を償うという予定は狂ってくると私は思うのでありますけれども、その点は一体いかがでございましょう。  それから、今後四十六年から三年間について人件費の占める割合は、全体の事業費の中で一体どういうふうに策定をしてこの料金改定に臨んでこられたのか。ひとつこの二点についてお伺いをしたい。
  53. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 まず前段の、四十一年度当時からどのように人件費が上がっておるかというお尋ねでございますが、四十一年度当時の郵政従業員の基準内給与が約三万八千三百十九円でございます。それから四十五年度の今回の仲裁裁定があった後の基準内給与は六万一千六百三十九円でございまして、四十一年度を一〇〇といたしますと、それに対して一六一ということで六一%の上昇になっております。なお、それを年度別に見るならば、四十一年度を一〇〇とした場合、四十二年度は一一一、四十三年度は一二三、四十四年度は一三九、四十五年度が一六一、こういうふうになっております。  それから、今後の三年間の見通しでありますが、お説のように一二・一%と伸ばしております。今後はたして一二・一でいくものかいかないものかという問題がございます。もし一二・一以上にいけば、それなりに今後三年間の収支関係にかなり強い重圧になってくることは確かでございます。しかし、この問題は、いろいろの今後の物価安定の問題とからんではたしてどうなるか、私どもとしてもはっきりした見通しが立ちませんので、それに対する対応策というものは現在具体策を持っておりません。
  54. 田邊誠

    田邊委員 人件費と並んで物件費の増加というものは一体どのようにお考えでございましょうか。特に機械化計画のためのこの物件費の増加の見込みは一体どういうものでございましょうか。物数の増加の割合と物価の上昇の見込みもあわせてひとつお聞きをしたいのでありまするが、これはあとで資料を出してくれますか。
  55. 竹下一記

    竹下政府委員 資料を提出いたします。
  56. 田邊誠

    田邊委員 そこで、原価の問題で実はお聞きをしたかったのでありまするが、ほかの委員の方々の質問に譲りたいと思いまするが、今度の郵便料金改正の中で特徴的な点は二つあることは先ほど申し上げたとおりであります。一つは、料金決定の原則というものを一応打ち立てたということ、もう一つは、いわゆる第三種以下について省令等の弾力的な運用に譲ったということ、これは、実は非常に重要な要素でありまするが、最初の、料金決定の原則というものについて打ち立てておるわけでございまするが、さっき大臣は、収支適合の原則というものがある。この収支適合の原則というものは一体どういうものでございましょうか。一つには、原価を補うという、こういう場合がある。それから二番目には適正な利潤が含まれるという場合があります。さらには三番目には、拡大再生産を自分自身で保障できるという、こういうことがございます。一体、今回の郵便料金の収支適合の原則に基づいて料金決定をするという、この原則というものはどの辺に尺度を置いて言われておるのか、ひとつ大臣にお伺いいたしたいと思います。
  57. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 今回の郵便法改正の第三条に「郵便に関する料金は、郵便事業能率的な経営の下における適正な費用を償い、」というものがうたわれております。その限りにおきまして、われわれは収支相償原則としては、まず「能率的な経営の下における適正な費用」だ、こういうふうに考えております。  それから、お尋ねの費用の中にどの程度のものを組むべきかということがございます。実は、これはいろいろ公共事業関係料金決定の原則につきまして諸説がありまして、いま先生おっしゃいましたように、ある程度の必要的余剰を持つべきだという意見と、いや、それまでは必要ないという意見がございます。今回郵便料金決定にあたりまして郵政審議会でとりました方針は、一応そういう必要的余剰を見ないで、損益的収支だけで三年間収支が合うようにという形で今回はとっております。しかし、なおそれにつきましては、将来の学説の推移とか等見まして、適正な費用の中にそういうものが入れられるようならば入れたいというふうに考えております。  なお、三条の後段に、「その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」この辺にやはり収支相償の中でも、将来拡張のために必要な余剰を生み出すことができるといった場合には、これで読めるようにということで、将来の一般的な考え方に即応できるような形になっております。
  58. 田邊誠

    田邊委員 そこで郵便法第一条にいう安い料金というものと、今度新しく考え料金設定の原則というものは、私は矛盾をするしないという論議をここでいたしたいと思ったのですけれども、なかなか時間がございませんから、一体安い料金というのと、収支償うというこういう新しい改正とどちらにウエートを置いて今後料金設定をいたそうとしていますか。
  59. 井出一太郎

    井出国務大臣 私どもは両立すべきものだ、こういうふうに考えておるのでございまして、先ほど経理局長が説明いたしましたように、利潤というものは決して考えてはおらない。ですからその限りにおいては、あまねく安い料金でということに適合するのではなかろうか、こう考えております。あと詳しくは……。
  60. 竹下一記

    竹下政府委員 大臣お答えになりましたとおりで、それ以上つけ加えるものはないと思います。
  61. 田邊誠

    田邊委員 もう一つの問題は、料金の収入算出の中に、建設資金というのは一体どのくらい入っているものでしょう。
  62. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 今回の料金改定に先立ちましては、先ほど御説明しましたように、建設関係の資金を料金から回収しないという方針で今回の料金をきめたわけでございます。
  63. 田邊誠

    田邊委員 そうしますると、いまお話しのとおり、局舎の建築等の問題は別に考えるべきであるという主張を持っておるのでありまするが、先ほどの公共的な料金企業的な料金との区別をできないかということと並んで、郵便局舎の建設のための資金は、私はやはり別の観点から考えるべきである、そうしなければ、料金の中にこれを繰り入れるとすれば、たいへんな負担を国民にしいるという形になってくると思うのであります。この点で、局舎の施設について、今後どういう財源を考えながら建築をしていこう、こういうようにお考えでございますか。
  64. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 建設財源につきましては、料金から回収しないという方針をとりますと、おのずから外部資金によらざるを得ないということになります。現在では財投にたよっているということでございます。したがいまして、今後も局舎建設財源は借り入れ金によってまかなっていきたい、こういうふうに考えております。
  65. 田邊誠

    田邊委員 その点は、財投なり一般会計からの繰り入れという問題が当然考えられてくるわけですけれども、私は、この点はよほど慎重にやりませんと、一つには、料金にはね返るのでは困るという意見と、一つには、将来この財投をどういうふうにいわば処理をしていくかという問題とからんでくると思うのです。全国あまねく実は局舎を必要とする、この特異な性格である郵便事業国民影響を与える国営事業、この中における局舎の建設というのは一体どうあるべきかということに対して、この料金問題が出ておるさなかでありまするから、大臣、財投で当座は切り抜けるというこういうお話でありまするが、私は、郵便局舎についてのかなり長期的な改善計画を持たないと実はたいへんなことになると思うのです。建ったけれども一年くらいたつともう狭隘だ。いま土地がない、特に大都市、東京都内のようになかなか土地が購入できない、こういう部面に対して、あわせてやはり長期的な展望と計画を持ちませんと、私はますますこの局舎を確保することは困難になってくるのじゃないかと思うのです。また改善計画自身がきわめて当面を糊塗するようなものであって、長期的にこれが使えるようなものを持たない。物数の増加や年末首繁忙はまあ一応別といたしましても、物数の増加やその他の時代の進展に即応しない、こういう郵政省局舎改善計画というものが現在まで行なわれておるという実情、これに拍車をかけるようなことになってはならないと思うのです。したがって、非常に窮屈なものでありましょうけれども、しかし一面において、局舎の整備計画が十分なされてしかるべきものであるという考え方からいって、財投で切り抜けるという考え方をそのまま将来にわたって推し進めることも、一つの危険な要素が残るのじゃないかというように私は思いまするけれども、一考をわずらわしたいと思うのですが、大臣、何かお考えがありましたらばお知らせいただきたいと思うのです。
  66. 井出一太郎

    井出国務大臣 よくいわれますように、公共投資が非常に少ない、あるいは社会資本が立ちおくれておる、こういうことは、私は、郵便関係の施設、特に局舎の問題についてやはり当てはまると思うのでございます。したがいまして、お説のようにある程度の長期展望を持ちまして、そういうものをいまにして充実をしなければならぬということは私も同感であります。  しからば、その財源をいかに調達するかという問題になってまいりますと、当面はこれはまあ財投によっております。そういう意味で、四十六年度予算におきましては私も強く主張をいたしまして、たしかこの建築や施設の関係で三百億を上回る数字が計上されました。これは去年から見るとかなり大幅な増加でございます。しかし、こんな小成に安んずるということではなくして、長期の展望のもとに基本的な計画を立てなければなるまいかと、かように心得ておるのでございまして、いまおっしゃる一考に値するということは、私も文字どおり田邊委員のお説を受けとめるつもりでございます。
  67. 田邊誠

    田邊委員 局舎問題は、私は多く触れたくないのでありまするけれども郵政省局舎改善長期計画というものがございまするが、その中で当面普通局の局舎の改善計画を見ますると、まさに実は東京を中心とした大都市に片寄っている。普通局の新造築完成予定局というのを見ましても、首都圏が二十九局、近畿圏が十一局、その他二十三局、こういう状態でありまするし、四十六年度の予算案を見ましても、普通局の新規の計上局というのは、首都圏二十五、その他二十五という状態であります。しかも、首都圏といっても、いわゆる五十キロ圏内に集中しているという状態であります。大都市の局舎が非常に狭隘であり老朽化しているということについては、これは私はないがしろにできないと思います。当然これの改築は必要であろうと思いまするが、しかし、それならば全国的に見た場合に、地方の都市や町村におけるところの郵便局がりっぱなものかといったらば、そうでないのでありまして、これまた非常に狭隘を告げておる、老朽化をしておる、こういうことは疑いない事実であります。しかも、首都圏にとってみましても、いま大体五十キロ圏まで人口の増加率は非常に急速に伸びておりまするけれども、これが五年、十年たちますると、七十キロ圏、百キロ圏と及んでくるわけでありまして、この将来の見通しを立てた上に立って局舎の改善計画を立てなければならぬわけでありますけれども、そういうことに対するところの明確な展望がないというふうに私は思っておるわけでございまするが、この点に対しても、ぜひひとつ郵政省の今後における検討をわずらわしたいというふうに私は思っておるわけであります。  そこで、実は時間がございませんのでたいへん申しわけありませんが、あと二つばかりの問題についてお聞きをして終わりたいと思うのです。  先ほど来、人の問題が非常に重要だと言っているのですが、私は、いま雇用難を告げておる状態の中で、この郵政事業に携わる人たち、特に郵便事業に携わる人たちの日ごろの業務に対するところのあり方、熱意、研さん等は、当然実は必要だろうと思うわけでありまするが、郵務局長は御存じでございましょうか、つい最近、東京郵政局の第二郵務でもって、郵便局の副課長を九十人、二月二十四日から二十六日までの三日間、年末首繁忙反省会という研修の目的でもって、横須賀の海上自衛隊に体験人隊さした、こういうことがあることをあなたは御存じですか。
  68. 竹下一記

    竹下政府委員 そのことにつきましては、私、初めて本日伺います。知りませんでした。
  69. 田邊誠

    田邊委員 これはひとつ早急に調べてもらいたいと思うのです。あなたのほうの指導、指示でこれはやったのではありませんね。東郵独自でもってこれは判断してやったことですな。
  70. 竹下一記

    竹下政府委員 おそらく東京郵政局独自の計画であると思います。詳細につきましては、私、知りませんので、申し上げられません。
  71. 田邊誠

    田邊委員 それではひとつ委員長を通じてお答えをいただきたいと思うのです。報告をいただきたいと思うのです。  この目的は一体何ですか。第二番目は、なぜ自衛隊に入隊をさせなければならなかったのですか。第三番目には、一体どういう訓練をいたしたのですか。第四番目に、経費は一体どこから出たのですか。第五番目に、これは当然出張発令をしていると思いますけれども、したがって強制である、任意性はないというふうに判断してよろしゅうございますか。第六番目に、出張発令であるとすれば、当然これは省の方針としてこういった体験入隊をしていくことを認めているというふうに認識をしてよろしいかどうかです。以上の点に対してひとつあなたのほうのお答えをいただきたいと思うのです。  私は、いわゆる三島事件といわれ、楯の会の体験入隊といわれ、あるいは那珂湊の市役所のガードマンの事件の中で、問題になっておるガードマンの入隊などから見て、いわば現場の中堅の幹部といわれる副課長を三日間、海上自衛隊、しかも横須賀の海上自衛隊というのは、御案内のとおりこれは非常に過激な訓練でもって隊員の死亡者を出したことで有名なところであります。こういうところになぜ入隊をして訓練をさせなければならぬのか。いまの、いわば現場のそういった中堅の人たちに要請されるものは、組織的な、そしてあたたかい雰囲気の中でもっていわば仕事中心となって活躍すること、部下をふくよかに包んで仕事をしやすくすること、若い労働力は不足である、定着しないといわれている中でもって、それらの若い人たちといかにコンセンサスをもって仕事をやることができるかということ、こういうことに私はあると思うのであります。この郵便局の副課長をいわば体験入隊させる、そういう考え方というものは許されていいのかどうかということに対して、これは一つの重大な問題ではないかと私は思うのでありまして、あなたは知らぬと言われますけれども、これは知らぬじゃ済まされませんよ。こういうことをやって一体どれほどの効果があるのですか。東京郵政局の当面の責任者であるところの人は、多様化時代に即応していろいろなものを勉強しなければならぬ、そしてみずからあるべき姿を模索することが必要だ、こう言っている。きびしい訓練や規律正しい生活をやって、隊員との交流、自衛隊との交流を深めることによって、職務遂行上はもちろん私生活にもプラスであろうと言っておるのです。とんでもない認識だと思うのです。もっとやることがあるでしょう。規律正しい生活をするために——私は昔皆さんと同じ職場におった。戦争中座禅をやれと言って私どもにやらした局長がおりましたよ。しかし、それとても強制ではなかった。いまこれだけ問題になっておる自衛隊の体験入隊、それが二月二十四日からなぜこういうことをしなければならぬのか。私は、この感覚とこの指導方針に大きな疑いを持ちます。大臣、この事実に対して、あなたは一体どういう所見をお持ちですか。
  72. 井出一太郎

    井出国務大臣 実は私も寡聞にしてその問題を承知しないのであります。そこで、いま御指摘になりましたような各項目にわたって十分調査をいたしました上、その事実いかんを突きとめまして、その上で判断、善処いたしたいと考えます。
  73. 田邊誠

    田邊委員 それでは、その問題をあらためて御報告いただいて質問をさせていただくことにしまして、自後の質問は保留したいと思います。
  74. 金子岩三

    ○金丸委員長 午後一時より再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  75. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。卜部政巳君。
  76. 卜部政巳

    卜部委員 先ほど田邊委員のほうから問題提起されました東京郵政局の自衛隊の体験入隊の件でありますが、休憩時間の中で把握されたと思いますので、その概略をひとつ説明を願いたいと思います。
  77. 竹下一記

    竹下政府委員 短い時間の中で急いで電話連絡をいたしましたので、概略はわかりましたが、詳細につきましてはあるいは正確を欠く点があろうかと思いますが、御了承いただきたいと思います。  二郵関係と申しますから、東京都を除いた地域の郵便局の副課長でございますが、その人たちが七十九名でございましたか、一月の二十四日のすでに昼ごろになっておったようですが、横須賀の海上自衛隊に到着をいたしておりまして、その日は午後は体操をやっております。これはもちろん自衛隊の職員の人に体操の指導等につきましてはお願いをしたと思われます。その日はそれで終わりでございます。二日目、二十五日でございますが、午前中やはり体操をやっておる。午後は艦船を見学いたしております。ゆうづきという船があるそうですが、それに乗艦をしたようであります。三日目、二十六日でございますが、午前中やはりレクリエーションでございまして、これは温水プールを使いまして水泳をやっております。三日目の昼ごろに自衛隊にはさようならをいたしまして、近所にあります油壷の旅館におきまして年末の反省会及び懇談会をやって、その後解散をしたということでございます。その間、東京郵政局の二郵でございますから、二郵の郵務部長、局次長がそれぞれ隊を訪れまして話をしております。一時間ばかりそれぞれ仕事の話をし、意見の交換などをやったように聞いておるわけでございます。  私どもの見ますところ、年末首反省会というのは毎年一回やっておるわけでございますけれども、このたびは海上自衛隊の施設を利用しまして、何と申しますか自衛隊の訓練をそっくり当てはめたような形でやるというのではございませんで、隊内施設をお借りし、体操等につきましてはいろいろと御指導を受けたようでございますが、そのほかのことにつきましてはもっぱら施設をお借りする。聞きますと、宿泊費などはほとんど不用だそうでございますし、食費が非常に少なくて済むといったような経済上の理由もあったように聞いておるわけでございますから、東京郵政局第二郵務のこのたびの年末首反省会のやり方として、このような海上自衛隊の施設をお借りしたということでございますが、さして深い気持ちもなくてやったようにうかがわれるわけでございます。
  78. 卜部政巳

    卜部委員 いま竹下局長からの御答弁でございますが、自衛隊を把握するということがこの文書の中に明確に刻まれている。研修と自衛隊の把握とは何の関係があるのか、この点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  79. 竹下一記

    竹下政府委員 自衛隊を把握するというようなことばを私どもは聞かなかったわけでございます。それから海上自衛隊の施設をお借りした期間を一月と申し上げましたが、二月が正確でございました。
  80. 卜部政巳

    卜部委員 この問題は午前中に問題提起がされて、十分な把握がされていないようでありますが、私たちの把握の中では、ちょっと気になることがたくさん出てきております。たとえばこの文書の中で、「海上自衛隊入隊のしおり」はいいわけでありますが、その次の、第二郵務部長が出しておる内容でありますが、管理体制の強化のために、こういうふうな言い方をしておるわけであります。   〔発言する者あり〕
  81. 金子岩三

    金子委員長 御静粛に願います。
  82. 卜部政巳

    卜部委員 そうした面等とあわせ、先ほど田邊委員のほうから発言がありましたように、出張発令とこういうことになっておるわけでありますが、何とここに出た人が五十八歳が十名くらいいる。四十歳、四十一歳というのもおるが、四十七、八というのが、これがまた十数名。平均してもこれは四十七歳くらいですよ。こんな者を入隊させて、しかもきびしいような訓練で有名なこの自衛隊です。ここで万一のことがあったらどうするかというようないろいろな問題もありますが、しかしながら、こういう研修という問題とあわせて、体験入隊などというこの問題とあわせて、何かここに解せないものがある。特に先ほど田邊委員も言ったように、三島事件だとか楯の会だとか、さらにあのガードマンの入隊だとかという、国民が非常に関心を持っておるときに、あまりにも非常識過ぎはしないだろうか、こういうふうに考えるわけです。  そこで、この問題につきましては、あらためて逓信の理事のほうでひとつ今後の問題をつまびらかにしていきたい、こう思いますが、大臣はまだ十分把握をしていないけれどもという御答弁がございましたが、今後こういうまぎらわしいような研修などということはやめていくという姿勢であるのかどうか、ひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
  83. 井出一太郎

    井出国務大臣 午前中も申し上げましたように、まだ的確な真相を十分に承知しておりませんので、もう少し調査の時間的余裕をお与えいただきたいと思います。そういうことを役所関係、ほかでもやっておるかどうか、その辺もつまびらかでございませんし、なおまた非常に激烈な訓練であったというふうなものでもなさそうに思いますので、私の最終的な所見は、もう少し実情を調査した上で申し上げたいと思います。
  84. 卜部政巳

    卜部委員 竹下局長のお話では、体操で終わり、温水プールでもって水泳をやったなどということなんですが、これあたりはもうちゃんと日程に書いてあります。六時に起床、甲板掃除。いま大臣がおっしゃるように、各会社で若い新入社の社員が研修だとかからだを鍛えるというなら、それはまだわかりますよ。ロートルの五十八歳の連中がこんな甲板掃除なんかさせられる。まあこのことは別問題としましても、管理体制と自衛隊の入隊と、じゃどういう関係があるのか、ここら辺もかなり疑問があるところだと思うのです。そういう点で、大臣答弁が、実情を把握してない云々ということでありますが、しかし現実にこういうことは非常識だと思うのです。こういう点で、今後この問題についてはひとつ逓信委員会の中で十分取り上げて論議をしていきたいと思いますが、ただもう一つの問題として、本委員会での大臣のお話の中に、この間私とのやりとりの中で、今後の労使の姿勢の問題、そしてまた前向きの姿勢について私もたいへん心強く思ったわけでありますが、しかしながら、こういうような問題についても現実にはひとつも話し合われていないです。それは管理体制のことである、幹部の研修であるからといって、それは話し合わぬでもいいという内容のものかもしれないけれども、やはりこういうような疑惑を持たせるような問題については、事前に十分に話し合うことが必要なのではないだろうか。同時にいま、本省自体がこういうことを知らない。午前中に質問したときには知らないという状態であるというように、そこら辺の、意思の疎通が欠けるという点があろうと思います。こういう点については、これからひとつ十分あわせ配慮していただきたいと思いますし、この問題については別個にひとつ取り上げて、それから、大臣の御答弁の中にもありましたように、実情をつまびらかに調査したあとで、ひとつこの問題についてさらに発言をさせてもらいたい。この点に関する限りの私の発言はひとつ保留させていただきます。委員長、よろしゅうございますか。
  85. 金子岩三

    金子委員長 はい。
  86. 卜部政巳

    卜部委員 では、続いてひとつ本論に入ってまいりたいと思いますが、この間は不規則発言等がありまして若干聞き取りにくい面がありましたので、初めからひとつ御質問をいたしたいと思います。  まず、現在の郵便局数、これは四十五年の十二月末現在でけっこうでありますが、これと、一〇%地区の、いわゆる減少地区の所在の郵便局の局数、それからそれの全体の比重、いわゆる比率、この点をひとつお願いをしたいと思います。  続いて郵便局における事業収支率、この点をひとつ伺いたいと思います。  さらに、ここに文書として、資料として来ておりますが、一応過疎地区の郵便局の保険募集、さらに貯金のいわゆる増勢の状態というものが報告をされておりますが、その中で、郵政省のほうで特にこの問題に感じられた点、この三点をまずお答えをいただきたいと思います。
  87. 竹下一記

    竹下政府委員 まず、いわゆる過疎地域における郵便局数について申し上げます。この三十五年から四十年まで、人口の減少率一〇%をこすものをいわゆる過疎地域といっておりますが、その市町村は全国で七百七十六町村、その地域におきまする郵便局数は二千七百十六でございます。さらに、その後四十年に行なわれました国勢調査の結果が、正確なところは今日まだ発表されておりませんが、内々連絡をとりまして郵政省として推測いたしました数字がございますから、それを申し上げますと、四十年以降におきまして人口の流出が一〇%をこしたもの、つまり過疎地域になりました町村が三百三十九ございます。その地域におきまする郵便局数は千二百七十四ございます。その比率を申し上げると、いわゆる過疎地域の市町村が、先ほど申しました二つのケースの合計でございますが、千百十五町村でございまして、全国の町村数三千二百六十八中、三四・一%になります。その地域におきまする郵便局所数は二つのケースを合計いたしまして三千九百九十局、全国郵便局所数が二万五百九十五でございますので、その比率は一九・四%となっております。以上でございます。
  88. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 過疎地域の郵便局の収支率の問題でございますが、一応郵便だけについて調査したものがございますので、それをお答えいたします。  御承知のように、収支率と申しますと収入分の費用ということでございまして、私どもの計算では、収入は単にその郵便局の窓口に入ってくる収入ではなしに、配達をすれば配達に幾らというふうに、配付収入といいますか、そういう収入をあてがっております。それから費用のほうも、そこで働いておられる現在員を把握しますが、その俸給は年寄りの人とか若い人とかいうことで、その局の責任でない場合がございますので、全国平均の俸給を出して、それをそこの局の現在員数にかけて人件費を出すというような形における収支率でございます。  それで、この収支率も局舎によって違いますので、まず普通局のほうで見ますと、たまたま過疎地域の中に高知県の安芸局と大分県の三重局がございましたが、したがいまして、それらの局と同等の局の平均をまず出してみましたところ、この収支率が直接比で八四%ということでございます。それに対して高知県の安芸局は一一二、大分県の三重局は一二二ということで、確かに平均より収支率は悪くなっております。  それから集配特定局を調べてみましたところ、全国十人以上の局の十九局の平均が一四五ということでございますが、島根県の掛合局で二三八、長崎県の江迎局が二〇二ということで、集配特定局においても平均より収支率は悪くなっております。  それからなお無集配特定局、これは二人局の問題でございますが、全体の調査局四十八局の平均が三〇六に対して、兵庫県の熊次局が三三三、新潟県の国田局が四四三ということで、無集配特定局につきましても、郵便についてはやはり過疎地域の郵便収支率は悪くなってございます。  それからなお、簡易局も調べましたところ、これは総調査局百四十四局の平均が一五二でございますが、それに対して鹿児島県の宿利原局が四一一、それから同じく鹿児島県の只角局が三三〇ということで、やはりこれも平均よりも収支率は悪いという状況でございます。
  89. 山本博

    ○山本(博)政府委員 過疎地域における郵便貯金の実態と申しますか目標、それからその実績、そういうものがどういう経緯であるかということについて、どう考えておるかという御質問でございますが、どうしても目標額というものは、本省がきめますときは一般的、非常に抽象的なものさしになりますし、郵政局段階それからさらに個々の郵便局段階——県単位あるいは郵便局単位、こういうふうになりますと、非常に具体的になってまいります。私のほうで、個々の郵便局の過疎地域における目標額と実績というものの全体について、実は資料を持ち合わせておりませんので、お答えがどうしても一般論になりがちでございますが、御容赦いただきたいと思います。  過疎地域だけの郵便局全体、私のほうでは約二千局と思っておりますが、調査をいたしました局約一割、その傾向だけ見ておりますと、目標額というのは年度を経るごとに次第に全国的な水準よりも下がりぎみになってくる。これは目標をきめますときに、人口の密度の問題それから所得の問題、こういうものは当然計算の中に入ってまいりますので、過疎であるという実態がその中に盛り込まれてまいりますので、目標としては年次を経るごとに一般的な全国水準というものよりは下がってくる、これは当然のことだと思います。ただ、本省でつかまえますのはせいぜい県単位でございますので、県全体としてとらえますと、これは過疎と過密といろいろ取り合わせてある県もございます。かつ、国民所得そのものは、過疎的な地域を持っておるところも含めまして総体として上がってきておりますので、目標額の絶対数は上がっておりますけれども、比重は下がっていく、こういうのが実態でございます。
  90. 中田正一

    ○中田政府委員 簡易保険の場合につきましても、大体事情は郵便貯金の場合と同様でございます。簡易保険の使命は、国民に広く生命保険を普及するということでございますので、過疎地域であるからといって普及の努力を怠るというわけにはまいらないということで、大いに努力しておるところでございますが、ただ目標額の設定につきましては、郵便貯金の場合と同様、人口、世帯あるいは経済力その他の要素をもとにいたしまして行ないますので、当然のこととして目標額は全国平均よりそのウエートは減るわけでございます。ただし、絶対的額につきましては、これは過疎地域におきましても年々所得の水準が向上しておりますので、目標額あるいは実績額については毎年上昇しておるという傾向にございます。
  91. 卜部政巳

    卜部委員 ただいまの資料の説明に対しまして若干疑問があり、質問があるところでございますが、これはこれからの論議の過程の中で触れていきたいと思います。  そこで、その点はおきまして、まず第一点として大臣にお伺いをいたしたいと思います。それは、過疎地域におけるところのいわゆる郵便サービスの確保をどう考えておるかということです。それは、井出大臣は昨年の四月二十八日に郵便事業の当面の課題ということでもって、いわゆる井出構想というものが発表されております。その課題のいわゆるねらいとしては、第一に情報化社会、このような状態の中で、産業構造の高度化から増大していくダイレクトメールなどの企業通信中心郵便事業にどう対処していくのかというのが第一点ですね。それから第二点は、このような郵便物が集中する過密都市のいわゆる集配対策として、雇用問題というものをどう打開をしていくのかというのが第二点です。この二点があげられていますけれども、その中心というのは過密対策ですね。じゃ一体いわゆる過密と対応して進行しておる過疎対策、この過疎地域に対する公共性の高い郵便事業というものをどう対応させていくのか、この点がわからないのです。この点はひとつ大臣のほうから明確にしていただきたいと思います。
  92. 井出一太郎

    井出国務大臣 過密の面ばかり取り上げて、過疎に対する対策がちっともないではないかという御指摘でございましょうが、御案内のように、近年の都市の大膨張というようなことから、一番表面立って過密地帯にいろいろな困難が生じてまいりましたことはお認めをいただけるだろうと思うのでございます。たとえば労務確保、雇用難の問題にしてもしかり、あるいは交通難の問題もございましょうし、土地が値上がりをして局舎の置局もなかなか思うようにいかぬ。いろいろな困難が当面あるものですから、何とはなしに過密ばかり表面に出るような、そういう御印象だと思います。しかし、決して過疎をほっておくというのではございません。一方、過疎地帯の状態、これは卜部さんの御郷里もそうでしょうし、私のいなかなども同様でございますから、その実情は私もよく認識はしておるつもりであります。そういうところはどちらかといいますと人口が減る、郵便局の定員が、どちらかといえば過剰人員をかかえるというような現象にもなりかねないのでございますが、そういう点を勘案をいたしまして、急激に置局の状況を変えるというふうなこともいたさない所存でありますし、これを原価計算してみますと、おそらく過疎地帯のほうが一通当たりの原価はよけいかかっているだろうと思うのであります。しかし、それを一種の総合原価といいましょうか、全体に問題を移して考えますと、過疎地帯の原価の高いのも全体の中に包含され、吸収されていくということにも相なっておると思うのでございまして、表面、過疎対策とあえて柱を立ててうたってはおりませんけれども、しかし、それを無視しておるということではない点を御了承いただきたいと思います。
  93. 卜部政巳

    卜部委員 大臣のおことばはよくわかるのですが、率直に言って具体性がないわけです。対策としてはないけれども考えております、対策じゃありませんが、過密の問題については十分考慮していますと言うけれども、具体的な考慮の問題がいわゆる活字となってあらわれていないという現実ですね。  そこで、ひとつ省の方にお伺いをしたいのですが、省はどういう取り組みをしておるのか、ひとつその点をお伺いしたい。
  94. 井出一太郎

    井出国務大臣 補足をいたしますが、たとえば昨年国会で御承認、また実施をいただきましたところの簡易郵便局を個人に経営委託をお願いをするというふうなのも、これはまあ過疎地帯などには一番御要請にこたえ得る制度ではなかろうか、こんなふうに考えておりますが、なお詳しいことは事務当局から申し上げます。
  95. 卜部政巳

    卜部委員 いまの答弁でございますが、簡易郵便局の設置の問題と過疎の問題とが相関連をして適切な措置だという大臣の結び方では、私、若干まだ異議のあるところです。だから、その点には異議をはさみながら討論をすることにして、では省側のほうからひとつ……。
  96. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易郵便局ですが、個人委託の道を開くことによりまして、過疎地帯に郵便の窓口をふやそうというねらいを持ったものでございますので、これはやはり過疎対策の重要部分ではなかろうかと思うわけでございます。  そのほか、従来の過疎地域でございましても、地況が開けたり道路事情がよくなったりいたします場合には、運送便の便数をふやすとか、自動車便を開設するとか、配達の面につきましても、たとえば八十五条適用地というのがございます。一回も配達しないという地況もあるわけでございますが、地況の発展状況を勘案しつつ、そういう地域を漸次解消していく、こういうこともやっておるわけでございます。  ただ、過疎地域は一口に申しまして変化が少ない、こういうことを申し上げるとたいへん語弊がございますが、平穏無事なかっこうで毎日を過ごしておりますので、片や大都市の急激なる変化と比較いたしまして、俗にたいへん平穏無事にやっておりますので、目新しい施策ということは目につかないわけでございますけれども、私どもといたしましては、きめこまかく配意をいたしまして、過疎地帯につきましてもサービスの低下を来たさないように、逆に少しずつ発展するとするならば、それに応じたサービスのレベルアップをやるということで十分考えておるつもりでございます。
  97. 卜部政巳

    卜部委員 簡易郵便局というものは問題がある点について、先ほど大臣との間に保留したわけですが、いま竹下局長のお話では、それも一環であって、窓口を拡大をしていくのだという位置づけがなされたわけです。そうすると、そこに点在をする特定局、これはもうなくてはならない郵便局だという位置づけですよ。これは過疎地帯ではそうでしょう。窓口を拡大をしていくということになれば、そこに特定郵便局でない簡易郵便局というのが設置されるのですから、ましてや、普通郵便局じゃない特定郵便局の廃止などというものは考えられないということですね。これは了解してよろしいですね。——わかりました。  そこで、第二点でありますが、サービス面のレベルを高めていくということでありますが、そうすると、過密対策としての一度配達、小包のいわゆる外部委託、こういうものは全体としてサービスダウンであるが、特に過密地区に一率に適用なんということになりますと、これはサービスダウンはもちろんのことでありますが、業務の切り捨てにもなりかねないという現状であります。でありますから、過疎地帯にはこういうことはない、このことを確認してよろしゅうございますか。
  98. 竹下一記

    竹下政府委員 いわゆる過密地帯でございますが、東京、大阪等のこういう地域におきましては、やはり特有の現象があるわけでございます、都市化現象と申しますか。ですから、郵便サービスもこれに即応するような方向でいろいろと検討を加えてまいりまして、即応するような形に切りかえを要するものがあるとするならば、切りかえをしなければいけないのではなかろうかと思います。過疎地域につきましては、先ほど申しましたように、目下のところそういう変更もございませんので、特に申し上げるような施策はないわけでございます。  ただ一点、こういうことはございます。過疎状況がものすごく激化をする、従来炭鉱がございましたのが廃鉱になるとか、こういう特別の場合は、もう人がいなくなるわけですから、きわめて少数の人しかいないというかっこうになるものですから、その場合は、状況によりますけれども郵便局を廃局すること、これは年に数局ございます。そういうことはもちろんあるわけでございますが、ただ単に過疎なるがゆえにレベルを全体的に落としていくというようなことは考えていないわけでございます。
  99. 卜部政巳

    卜部委員 では、具体的に問題を提起した一度配達とかそれから小包の外部委託というようなことは過疎地域にはない、そういうことで確認をしてよろしゅうございますね。
  100. 竹下一記

    竹下政府委員 大都市の一度配達のことはいろいろ検討しておりますが、まだ検討の段階でございまして、右に行くか左に行くか、いずれともきめていないわけでございます。小包の配達につきましても、大都会におきますることでございまして、これを過疎のほうに延長して考えるということは目下のところ全く考えておりません。
  101. 卜部政巳

    卜部委員 だけれども郵政省というのは、ときどきそれを拡張解釈してずっとおろしていく危険性がありますので、一応ここで確認をしたところでございます。絶対にないということでよろしゅうございますね。——そこで、いま竹下局長のほうから言われております廃鉱だとか何かという場合には、定員減ないしは廃局ということもあり得るけれども、過疎地域としての局の廃局などというものは考えていない、こういうことでありました。じゃ、それと対応しまして、今度新全総のもとに自治省あたりからは広域市町村圏、それから建設省あたりからは地方生活圏構想という問題が出てきておりますが、それとの関連はどういうふうになりましょうか。
  102. 竹下一記

    竹下政府委員 過疎地域対策といたしましていろいろな構想が出ております。その中の一つとして、昨年四月には過疎地域対策緊急措置法という法律もできまして、いろいろと過疎対策をやっておるわけでございますが、この法律の中には、過疎地域振興のための対策の一つといたしまして「通信施設等の整備を図る」こういう一項もございますので、郵政省といたしましても、その方向で過疎対策を練っていかなければならないと思います。ただ郵政事業につきましては、先ほど来申し上げておりますように、事業創業当初から過疎地域については相当の施策をとってまいっておるわけでございまして、いわゆる郵便事業公共性という立場から過疎地域対策、つまり郵便サービスあるいは貯金、保険サービスについても同様でございますけれども、過疎対策を一番よくやっているのは、国の仕事の中では郵便局仕事ではなかろうかと思うくらい、実はよくやっておるのでございまして、したがいまして、この過疎地域対策緊急措置法の趣旨を十分尊重して今後もやってまいりますけれども、特にあわてることもない、従来その方向で十分やってきておるんじゃなかろうか、かように考える次第でございます。
  103. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、こういうことですか、自治省なんかとか、さらには建設省のそういう広域市町村圏だとか生活圏構想だとかいうものとは別個に取り組んでいって、地方自治体とは何ら関連を持たずに郵政独自の施策で進めていく、こういう理解でよろしいのですか。
  104. 竹下一記

    竹下政府委員 そうではございませんで、やはり自治省等関係各省と十分連携をとりつつやってまいりたいと思います。特に昨年こういう法律もできたわけですから、この法律によりますと、過疎地域の振興につきましては、まず市町村が振興計画を立てる。それに相対応いたしまして府県がそれの裏づけになるようなやはり計画を立てる。それを自治省に上げまして、自治省は関係各省にそれを通知いたしまして、協力と助言を求める、こういうふうになっておりますから、この法律趣旨を尊重いたしまして、十分関係各省と連絡をとりつつやってまいるつもりでございます。
  105. 卜部政巳

    卜部委員 私は社会党の過疎対策の事務局長ですから、緊急措置法の内容は十分存じております。ただ、その緊急措置法の内容というのは、生活の基盤や生産の基盤に立脚していませんよ。今日ただ単に補助率の引き上げだけを出しておるからこそ緊急措置法という名がついているんですね。過疎法ではないんです。そのことは別問題としましても、それと、この法案と生活圏構想と、さらに広域市町村構想というのは別個の姿ですね。何か局長はこれも一緒に含めちゃって、ただ補助金のいわゆる底あげのものをあたかもそれが郵政省の対応していく法案であるということでは時代おくれになるのではないか、こう思うのです。それはいいでしょう。  それじゃ、いま局長がおっしゃったようなかっこうの中で一つ質問したいわけですが、今度の法案の改正の中で、各委員から言われております法三条にいう適正なるところのいわゆる費用を償うという問題、これは明らかに企業性の責任の追及ではないか、こういうことをいろいろ委員が言われておりますが、この法改正による事業公共性、特に法第一条で明らかになっております「あまねく、公平に」という趣旨ですね、これが今日の過疎地帯の大体これは全国津々浦々の郵便局、赤字——これはあとから申し上げますが、こういう局に対するところの位置づけを、では省としてはどういうふうに考えているか、この点をひとつお伺いしたいと思います。赤字の局に対する公共性との位置づけ、こういうことですね。
  106. 井出一太郎

    ○井手国務大臣 局長からの答弁もございましょうが、私からごく原則的に申し上げますならば、郵便料金というものは全国津々浦々画一料金でございます。これがおっしゃるように、あまねく公共的にという意味でございまして、さっきもちょっと触れましたように、これは原価計算をいたしますならば、過疎地帯の郵便物が、目の子勘定ですけれども、どうも一番高くつくのじゃないかと思います。これが均一料金になっておるという意味においては、この第一条こそは過疎地帯に一番役立っておるのではないか、こういう感じもいたしますが、なお詳しいことは局長から申し上げます。
  107. 竹下一記

    竹下政府委員 私からちょっと補足して申し上げますと、第三条が新たに入った、そういうことのために、つまり独立採算という点を強調するがために、過疎地域の赤字局の存立があぶなくなるのじゃないかといったような御趣旨のお尋ねかと思うのですが、ただいまの大臣答弁のとおりでございまして、個々にながめてみますと、赤字の局、黒字の局、ございます。また赤字の地域、黒字の地域、ございます。それは過疎と過密の関係と同じでございます。そういうことはございましょうけれども、この個々の問題を取り上げるのではございませんで、全体として収支のバランスがとれればよろしいというのが第三条の趣旨でございますので、第三条を設けたがためににわかに過疎地域の赤字局が問題になってくるということはございません。
  108. 卜部政巳

    卜部委員 私がいま過疎地帯の問題を取り上げていますから、そういう面で過疎の局に対する大臣並びに竹下局長の思いやりの答弁もあったと思うのですが、先ほどの大臣の原価計算云々という中にありまして、これも四十一年の四月十二日に大出君がこの委員会で取り上げておるわけです。その中で浅野局長はこういう答えをしておるのであります。いまのところ断片的というところでありますが把握をしておりますのは、小局におきましては、郵便定員が一・三人以上でございまして、以上のようなところは一応直接費においてはペイをしておりますが、あとはすべて赤である。大都市以外の特定局は大体マイナスであります、という答弁がなされておるわけなんですね。そういう点からする、いわゆる公共性という問題のとらえ方をいま私はしたところです。その点はいいでしょう。  そこで今度は、いまの一条問題のそれが出てまいりましたが、竹下局長にちょっとその点お伺いをしておきたいと思いますが、これも同じ四十一年の三月三十日に民社の佐々木さんがこういう質問をしているわけです。法第一条の「安い料金」というこの問題は今日の原価主義からして改正をすべきではないかという質問に対しまして竹下局長は、特別会計法の第一条の規定をあわせましたならば改正する必要はないと、こう言われているわけですね。議事録がございます。その点について、竹下局長は今度の三条を挿入したいきさつについて若干矛盾しているのじゃないか、こう思いますが、いかがなものでしょう。
  109. 竹下一記

    竹下政府委員 四十一年の佐々木委員、それは実は私記憶もございませんし、五年前のことでございますので、あるいは人違いではないかと思うのです。したがいまして、その問題をちょっと離れまして、一条と三条との関係についてお答え申し上げますと、従来からも、第一条にございますなるべく安い料金であまねく郵便役務を提供する、こういう表現は一見たいへんあいまいでございますけれども、なるべく安い料金という字句の解釈でございますけれども、やはり能率経営のもとにおける安い料金である、私どもはこういうふうに考えておりまして、採算を度外視してまでも安い、安ければ安いほどよろしい、ただであれば一番よろしい、こういうふうな考え方には実はないわけでございます。第一条のなるべく安い料金ということばの裏には、能率経営をして、かつ収支相償うような形において経営努力をいたしまして、その中でなるべく安くして差し上げる、こういう精神を持ったものだ、こういうように考えておるわけでございます。
  110. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどの私の質問の中で竹下局長と言ったのは私のミスですから、これは訂正をいたします。  そこであれなんですが、四十一年の料金値上げと、ことしの料金値上げとの間に大きな変革が何かあったのですか。何か情勢で変わった点があるのですか。みんな一緒でしょう。どうなんですか。大きな情勢の変化があったら、ひとつ教えてください。
  111. 竹下一記

    竹下政府委員 これは郵便だけに限らないかもしれませんが、世間一般を通じていえることかもしれませんが、事業経営上、一番大事な労働力の問題ですが、労働力確保のための経費、つまり人件費が非常にふくらんできたということが一つございます。それと郵便物数が毎年五%の率でもって伸びてきておる。これは非常な、異常なる物数の増加でございまして、この伸び郵便物数を適切に処理するための物的設備につきましても、今日たいへん不安心な状態に立ち至っております。何とかしてこれをお手当てしなければならない、こういう状態がございます。それから、特に大都市における郵便の運行でございますが、大都市における人口の過密、交通難、さらには雇用難、こういったいわゆる都市化現象の激化というものが、五年前に比べますと、一段と激しくなってきておる。こういうことでございまして、これに対処するためにも、経費をあるいは予算を必要とする、こういう事情でございます。
  112. 卜部政巳

    卜部委員 四十一年の値上げのことと考えてみると、それが特徴的な変化だと思うのですが、ただ、郵政省答弁の中にあるように、四十一年の時点で一条を変えたらどうかという民社の佐々木さんの質問に対して、変える必要はごうもない、この点については特別会計法の第一条でやっていけますということを言っておきながら、今日三条を入れるというところに問題があると私は言っているわけなんです。この点につきましては、後ほどまた議事録を持ってまいりまして、他の委員のほうからこの問題については押していきたいと思います。  そこで、時間も何か迫っておるようでございまして、まだ三十分くらいあると書いてありますが、時間がありませんので、はしょって質問をしてまいりたいと思います。  そこで、先ほどの過疎の問題にもう一ぺん返りまして、いまの公共性の問題等々の中で申し上げたわけでありますが、これからの特定局、それから小局のあり方というものをやはり考えなければいかぬと思います。ただ、いままでは私への答弁の中では、廃止はしないのだとか、さらにはサービス向上させるのだ、こういって御答弁がありましたが、これからの特定局、小局の運営あり方、こういうものについては郵政省はどういうように考えられておるかをただしてみたいと思います。
  113. 竹下一記

    竹下政府委員 小局と申しましても、その地域の住民の人たちにとりましては大事な郵政機関でございますから、これは簡単に廃止をするといったようなことはやってはいけないと思います。必要な場所には赤字を覚悟でもその局を置かなければならない、かように存じます。ただ、局の経営のやり方につきましては、極力冗費を節約し、効率的な運営ができるように、要員操作等につきましてはいろいろと研究を重ねてまいる余地はなお残されておるのではなかろうか。いまそれは何かということは、具体的にはそこまで考えついておりませんけれども、そういう方向で努力をするということは、やはりこの事業能率運営あるいは事業近代化ということを推し進める上では必要なことではなかろうかと考えます。
  114. 卜部政巳

    卜部委員 では将来、山間僻地にあるところの小局の郵便局、こういうような局は、独立採算維持のために現行の運営体制は少しく変えていかなければならぬというような、そういう姿勢はないということですね。繰り返し繰り返し確認しておりますが、そういうことはないということですね。どうですか。
  115. 竹下一記

    竹下政府委員 小局の赤字はもう避けられないものだと思うのですが、避けられないにいたしましても、赤字の幅を極力小さくするということは、やはり企業でございますから、その方向検討は進めなければいけないのではなかろうかと思います。ただ、いま何を考えておるかと言われますと、まだそこまでは具体的には出てきておりませんけれども、そういう方向でかかるべきものではなかろうかと考えるわけでございます。
  116. 卜部政巳

    卜部委員 そこで、時間がございませんが、先ほど過疎地域所在における郵便貯金簡易保険の募集割り当て、それから目標額等実績について出してもらったわけですが、御承知のように赤字である、過疎地帯ではありながら、いま局長も聞かれておっておわかりだと思いますが、目標をはるかにオーバーした実績を過疎地帯の郵便局であげていますね。これは現実にあげている。こういうような実績を、いろいろこの中で質問もしたいところがありますが、過疎地帯の中にあって——保険のほうの説明の中には、過疎地帯も生活が向上しておるなんというような話がございましたが、冗談じゃないです。過疎化現象が激しくなっていけば、生活の向上なんかあるはずがない。そういう過疎化現象の激しい中にありながら、目標額をはるかに突破した実績をあげておるし、年々こういうように目標額が上回っている。どんどん人口が減っていくのに目標額は上回っていく。上回っていくけれども、それよりもなお実績をあげていくというのは、これは局長がやっておるんじゃないです。これは私がこの間からるる説明しておりますように、郵便局員が優秀だからということと、信頼されておるからだということを私は言ったわけですが、こういうふうな問題の中で、これからの郵便局の小局の運営のし方、取り上げ方、これは田邊委員のほうからも若干指摘されたところでありますが、この間の米田委員の説明の中に郵便百年——そこで大臣郵便百年を迎えてこの辺でひとつ一歩前進をいたしたい、こういうことを披瀝されておりましたが、全くその気持ちには私は同感であるわけであります。そういう面におきまして、郵便局員の持つ労働意欲、こういうものを私は十分に考えなければならぬのだろうと思います。その点について、まず郵便局に入ったら、特定局に入ったらもう未来永劫転勤はないと、こういうことでは私は意欲がなくなるだろうと思うのです。そういう面で、そういう転勤制の問題ですね。また局舎の問題なんかにつきましても、先ほどのあれでは、今度の値上げではそのあれになっていない、借入金によってやるということを言っておりますが、この特定局舎の問題につきましても、やはり老朽化しておるところが多い、多いから当然この局舎の問題も改築をしていかなければならないけれども、何かしらそれが、過疎地域の中にありまして、郵政省というメンツの問題はありますが、ちゃちな郵便局が私有局舎で建っている。これは当然、ここに互助会という組織があって、互助会のいわゆる庁舎が建ち、それが国の庁舎になっていくというような、こういうものがあるのにかかわらず、局舎の問題がなおかつ不明朗である、その問題をめぐって局員と局長との間にトラブルがあるという、いろいろな問題があります。この二つの問題についてひとつ大臣のほうから、一つは長いこと話しましたが、もう一つはそういう特定局制度としての問題ではなくて、そういう転勤制などという問題も、この郵便百年にあたって大臣は大きく踏み出さなければいかぬとおっしゃったのですから、そういうものもひとつ考えてみたらどうかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  117. 井出一太郎

    井出国務大臣 人事が停滞しておりますと、そこにはよどみも生じる、あるいは希望も失なわれる、もっとこれはおおらかに交流の機会を与える、これは私は当然のことだと思うのでございます。現在の地方末端においては、それを妨げる条件もあるいはございましょう。しかし、大筋は前段申し上げましたようにもっと交流を活発にするということがたてまえでなければならぬ、こう考えております。  それから、局舎等の問題でございますが、これも午前中田邊さんにお答えをいたしましたように、建設資金のワクを、これは当面財投ということでございましょうけれども、これを広げ、まさに社会資本を充実する、公共投資をはかるのだ、こういう意図のもとに、局舎の整備も地方末端、過疎地域に至るまで配慮をしていくべきものと、郵政百年を機としてそういうところへひとつ大胆に踏み出してまいりたいと思っております。
  118. 卜部政巳

    卜部委員 それでこの局舎の問題ですが、先ほども郵便貯金郵便保険の問題で申し上げたように、すばらしい成績をあげてはおるけれども、そこに——局長と局員との間はしっくりと行っているのですね。しっくりと行っておる中で何が問題になるかといえば、この局舎の問題なのです。自分は互助会で建てていきたい、これは国の建物になるのだからいいといっても、外部からの圧力があって私有局舎になるという、こういういきさつがあります。そのトラブルの中に局長、職員が巻き込まれるという現実があります。大臣はそういう面について、私有局舎というものを国の経費でもってまかなうということについては財政上まかない切れないという面があるにしても、それならぱそれに準じた一つ組織があって、それが将来国有局舎になる、そういうものの道を私はやはり強力に推進していくべきだと思う。私有局舎などにウエートを置くなんというものの考え方は私は誤りだと思うのですが、その点ひとつ今後の指導として、私の言っていることが正しいと思うのですが、大臣、いかがなものでしょうか。
  119. 野田誠二郎

    野田政府委員 お答えいたします。  特定郵便局局舎につきましては、これは少し古くなっておりますけれども、昭和三十三年の特定郵便局制度調査会の答申にもはっきりうたわれておるのでありますが、国有局舎とそれから局舎の借り入れの方式とこの二つを併存して、どちらにウエートを置くということでなく、より経済的な、より効率的な方法による、こういうことにいたしておるわけであります。
  120. 卜部政巳

    卜部委員 大臣は何事にも積極的な姿勢を示します。ところが、この問題に関する限りは故意に答弁を避けて、官房長あたりに答弁させるというところに、やはり私は問題があると思うのですよ。それは大臣のお立場としてよくわかりますけれども、やはりさっきから言っておるように、大臣が前向きに労使間の関係を正していく、こういう積極的な姿勢は前々から私は敬服をしておるところです。だから私も、そういう面でやはりトラブルを避けていくべきだという点についても強調したところです。だけれども、やはりそのガンになるものがあるとすれば、せっかくうまく行っておるものが、たった一つの問題で局長と職員がトラブルを起こさなければならぬような状態になるという問題がもしもあるとすれば、これはやはり是正をしていくことが正しいことだと思うのですね。そういう点で、いま大臣の発言がなされないように大きな力があるということを、率直に言って私はそう思うのです。そういうことではやはり郵政百年の大計などという、こういうことはならないと私は思います。そういう面で、この問題については今後十分配慮をしていただきたいと思いますし、さらにこの郵便料の値上げの問題について、貯金の問題、保険の問題いろいろと質問をしたい項目もございましたが、うちの理事のほうから注意をされまして、もう時間だということで、事務局のほうからの文書ではまだ時間があるということでしたが、私の見違いだそうでありますので、これでもって終わらせていただきますが、どうかひとつ、いまの問題をただ単に国会の答弁だけの大臣発言でないように、十分郵政の大局に向かって、同時にそのことがほんとうに前進の方向へ行くように努力されんことをここに要請して、私の発言を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  121. 井出一太郎

    井出国務大臣 私、あえて答弁を避けたわけではございません。むしろ第一線の実情は当事者のほうがよく知っておるはずでございますから、そういう意味で答えてもらったわけでございますが、御趣旨の点はよく含みつつやってまいります。
  122. 金子岩三

  123. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、実は物価に関する特別委員会大臣の御出席をいただいてこの問題について質問をする予定でありましたが、大臣こちらの委員会その他の関係でおいでいただけませんので、当委員会に出席をして大臣の御見解を承りたいと思うのであります。  今度の郵便料金の値上げの問題というのは、私は非常に重要な意味を持っておるというふうに思います。御承知のように、消費者団体が昨年の暮れに、実は佐藤総理に対して、郵便値上げをするようなうわさがあるが、これについてぜひ値上げは思いとどまってもらいたい、ブレーキをかけてもらいたい、こういう申し入れを国民、消費者の立場からしておられるわけであります。ところが、これが実際には結果的には値上がりになって本委員会で議論をされておる。この今回の郵便料金の値上げというのは、どこに一体その最大の原因があるのか、郵便料金公共料金の範疇に入らないのか、この二つについて、まず大臣から的確な御答弁をいただいておきたいと思います。
  124. 井出一太郎

    井出国務大臣 松浦さんわざわざ当委員会までお出ましをいただいてまことに恐縮でありました。  いま御質問のありました点は、本会議でも若干触れたと思いますが、一つは、昨年の秋おそく、消費者団体の代表の方が総理に会われた、これは、そういう事実は確かにございましたし、私もその直後に総理と面会をいたしまして、その会談の模様等についてただすところがあったわけであります。その際の総理の答弁は、ともかくいま物価ないし公共料金が問題になっておる際である、したがいましてでき得る限り皆さま方の御趣旨に沿うつもりである。まあ、このでき得る限りというあたりにも、総理には総理のニュアンスがあったようでございます。そこで、私も総理といろいろ相談をいたしましたあげく、第一種、第二種というような、国民に一番利害関係の深い点は十分に配慮をいたしまして、まず一年間はこれを現状のままにしよう、こういうことが今回の法案の中にも盛られておるわけでございまして、この値上げの実施の時期は来年の二月からということに相なっておるわけでございます。その他第三種、四種というような部分にわたりましては、現在においてたいへん採算割れになっておる、こういう実態も国民の皆さまによく御理解を願った上であるならば、まずこの程度のことは手をつけさしていただきたいというような話し合いをしたことがあるわけでございます。  きょうもずっと御審議をいただいておるのでありますが、何といたしましても一番問題点は、郵便仕事というものが、大部分人手にまたなければならない仕事である。人件費が費用全体の八割にも及ぶわけでございます。そして、過去五年間にその人件費の値上がりというものが現行料金を設定いたしました際から六割一分、しかも八〇%を占める。労賃の中の値上がりがこういうことでありまする以上は、どうしてもやはり収支相償うという健全なる運営をいたしまするためには、この際——他の公共料金を押えておる現状でございます。これは物価対策閣僚協議会においても、公団の家賃であるとかあるいはまた大学の授業料であるとか、その他国鉄運賃等にもわたって、これは動かさずにおいて、よくよく、まあせめて最小限郵便に関してはこの程度のことはどうもやむを得ないのではないかという結論が今回の法案に相なった、かような次第でございます。
  125. 松浦利尚

    松浦(利)委員 郵便料金公共料金という理解をしておられますか。その点漏れておりますから、簡単に答えてください。
  126. 井出一太郎

    井出国務大臣 そのとおりに心得ております。
  127. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今度の料金値上げによって、もちろん第一種、第二種は、先ほど言われたように四十七年二月一日ということ、このことも理解をしておるわけでありますが、今回の値上げで増収見込みは幾らになるわけでございますか。五百億と聞いておりますが、間違いございませんか。
  128. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 四十六年度に予定しております増収は四百八億でございます。
  129. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらにお尋ねをいたしますが、郵政事業というのは独立採算制でありますか、その点どうでしょう。
  130. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵政事業独立採算制を前提としてやってきております。
  131. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらにお尋ねをしますが、郵政事業の中には、貯金、保険も含めて郵政事業といっておると思うのですが、そのとおりでしょう。
  132. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 お説のとおり郵政事業という中には、郵便それから為替、貯金、それから保険、年金、この三つの事業を含んでおります。
  133. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではさらにお尋ねをいたしますが、実際に貯金あるいは保険、こういったものも郵政省事業の中に入っておるとするならば、当然こういうものも含めて独立採算ということばが出てこなければならぬ、私はこれがほんとうの意味独立採算だと思いますが、間違いありませんか。
  134. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 まず、郵政事業全体としての独立採算制という意味においてはそのとおりでございますが、なおそのそれぞれの中の事業郵便、貯金、保険、それぞれもそれぞれの事業性格からいって、個々に独立採算制をとるべきものだ、こういうふうに考えております。
  135. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたように、郵便郵便独立採算、貯金は貯金で独立採算、保険は保険で独立採算という考え方をとるならば、極端にいうと、郵便料金を値上げしなければ、一種、二種のはがきを値上げしなければもう独立採算はできないのじゃないですか、収入は郵便事業はそれしかないわけだから。そうでしょう。そうすると、今度五年間ですけれども、五年たったらまた値上げをする。結局収入というのは郵便関係はそれ以外にないわけでありますから、独立採算というなら、郵便のほうは常に値上げをしていってそれで赤字を埋めていく、こういうことに結果的になりますね。間違いありませんか。
  136. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 それぞれの三事業において独立採算制をとるという前提である限り、赤字になれば、それぞれの事業において増収策を考えざるを得ないということでございます。
  137. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで大臣、これは政策的なたいへん重要な問題ですからお尋ねをしますが、公共料金である郵便料金が、郵政事業の中の独立採算の中のさらに独立採算になっておる。私はこういった考え方を改めて、むしろ郵政事業全体を独立採算の中に組み込んでしまう。そうしなければ、私は今後ますます赤字になれば安易に国民にその値上げ分を負担させるという形で郵便事業というものは進むと思うのです。現に私が調べてみた範囲でも、資金運用部資金の中に昭和四十六年度に郵便から一兆三千五百億、それから簡保から四千九百五十億、合わせて一兆八千八百五十億というのが資金運用部資金の中に入っていっているわけですね。そうすると事実問題として、この貯金で集めてきた、郵政の皆さんが、あなた方も含めて、あなた方が集めてきた国民の金がストレートに大蔵省のほうに行ってしまう。しかもそれの金利運用として六分五厘が郵政側に還元するだけだ、こういう形の状態というものが今日の郵政事業だと私は思うのです。そういうことを改めて、むしろ大蔵に入る、資金運用部に入るその金を、ある意味郵政大臣の管轄下に入れて自由裁量にさせる。ある意味でそういったものの独立採算のワクの中で、全体の郵政事業のワクの中で、その資金運用部資金に入る一兆八千八百五十億という、これは全部でなくていいけれども、そのうちのある部分を郵政大臣の管轄下に置いて運用する。そうすると、私は五百億という金は出てくると思うのです。実際に郵便局皆さん方が汗水流して集めてきた金が大蔵省にストレートに入っていく、それに対しては郵政大臣は何ら発言権がない、郵政官僚は発言権がない、全部大蔵省が握っておる、こういうものを、むしろ国民が貯金をしておるわけですから、その国民が貯金をしたお金、その金利によってはがきなりそういった第一種、第二種の値上げ分を押えていくということをしなければ、私は郵政事業というのはパンクすると思うのですよ。積極的に郵政大臣が大蔵省に対してそういったものについて抜本的な改正策について意見を戦わす、具申をしたことがあるのかないのか。また私が言うような方向でなければ、郵便事業というのは国民にすべてしわ寄せが転嫁されてしまう公共料金だ、こういうふうになってしまうと思うのでありますが、その点について大臣のお考え方を承りたいと思うのです。
  138. 井出一太郎

    井出国務大臣 この問題は、従来もいろいろと議論のあったところでございます。郵政事業をそれぞれ独立に扱っておる理由というものは、私ども思うのに、貯金はこれはやはり預金者保護という原則が貫かれなければならない性質のものでありまして、これを他に転用をするということは慎しまなければならぬ、かように思うのであります。また保険は、これまたその災害に備えての支払い準備、こういうことに常に資金をリザーブしておかなければならない、こういう性格のものでございますから、これを郵便の赤字の補てんというふうなことに振り向けるというのでは問題が混淆される。こういう原理のもとに三事業というものがそれぞれ独立に運営をされてきたものだ、かように思うわけでございます。  さてまた、郵政貯金だけで一兆数千億、これが資金運用部の中へストレートに入ってしまって、そうして郵政省は指をくわえて見ていなければならぬ、こういう御指摘も従来しばしばあった点でございます。まあこれは、言うならば国が運営をしておる仕事でございますから、国家資金というものは一元的にこれを大蔵省へ統合をする、こういう考え方が従来ずっと通ってまいったものであり、これに対しまして郵政省側が、その運営面について何らかの形でタッチし得るように、こういう動きもかつてあったように聞いております。それでこの点は、現在それに踏み切るためにはまだ実は慎重に検討をいたしておるのでございまして、資金の運用ということはこれは一つはリスクも伴います。こういうふうなことでございまして、そこまで踏み込むことがいかがかという点については一つのいままでのいきさつもあり、そういう考え方、松浦さんのような考え方もあり得ると思います。しかし、まだ決断をするというところまでは至っておらない、かような次第でございます。
  139. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は国民の側から立って考えると、非常に疑問があると思うのです。簡保に入る、郵便貯金に金を入れるのもやっぱり勤労大衆、国民だと思うのですね。郵便料金の値上げで打撃を受けるのも国民なんですよ。それじゃその国民が預けた資金運用によって、それの金利によってその値上げ分をカバーしてやるという考え方がなければ、一体郵便事業というのはどっちを向いているのだ。現実に資金運用部資金に一兆八千八百五十億というばく大な金が、低利で基幹産業とか輸出産業のほうにはどんどんと回っておる。それじゃ預金した国民の側には何が返ってくるのか。返ってきたものは郵便値上げである。それだけじゃないですか。私はこういうことは改めないと、郵政省事業というのは国民を犠牲にした上に存在をする官庁である、こういうレッテルが張られるであろうと思うのですね。今度の場合五年間ですよ。その五年先にいって、また値上げをしなければならない。常に国民がしわ寄せを受ける。私はこういう状態のものについてぜひこの際——私はいまの郵政大臣は非常にまじめなりっぱな大臣だと思っておるのですよ。その意味では、この際在任期間中にこうした問題にある程度つばをつけておく、プッシュしておく、そういうことがなければ、私は前向きに郵政事業というものは進まないと思うのです。慎重に取り扱う、こういう御答弁でありますが、もう一ペん簡単でいいですから大臣の決意を述べておいてください。
  140. 井出一太郎

    井出国務大臣 この膨大な国家資金というものが、どういう使途に向けられておるかという点を分析しますと、これは社会福祉関係にも多額なものが回っておりましょうし、あるいは公共投資として道路になったり水道になったりというような国民福祉に、大蔵省を通してではありますけれども、還元をされておる。決して大企業にことごとくこれが向けられておるというものではないと思うのでございます。したがいまして、国民の犠牲においてというおことばは感情的には私もよくわかりますが、すべてがすべてそういうものじゃなかろう。それだけ先に申し上げまして、この運用のしかたをどうするかという問題につきましては、私自身いまの郵政省の機構の中でそういうような投資運用までやり得るような機構をまだ持ってもおりませんし、それは従来もいわれてまいりましたが、一つの大きな研究課題である、こういうふうに申し上げておきたいと思います。(「大蔵官僚に負けるな」と呼ぶ者あり)
  141. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま不規則発言がありましたけれども、ほんとうに大蔵に負ける必要はないのですよ。皆さんを頂点にして郵政の従業員の方々が金を集めてくるのですからね、それに対して指をくわえて見ておるという法はないですよ。しかもいま大臣が言われたけれども、どういうところにこの資金が使われておるかということについては、これは私たちは国会で審議すべきである、現在の財投資金というのは第二予算だ、これは国民の前に明らかにすべきだ、こういっておるけれども現状、手続としては国会の審議権に出てこないのですね。そういう状態のものですから、そういった意味で、郵政大臣、前向きに郵政事業全体の問題として、これが運用が全部といわなくてもある部分、相当部分が運用できるようになるように、そしてそのことがサービスとして国民に還元されるようにぜひお願いしておきたいと思うのです。  それから次に、質問をさらに続けますけれども、先ほど大臣が言われましたが、貯金が必ず国民のために払えるようにそのために準備をしておかなければならぬ、こう言われたのでありますけれども、通常の銀行ですと預貸率というものが出てきてちゃんとわかるのですよ。あるいは支払い準備金というものが法律で定められておる。それじゃ実際に貯金を扱っておる郵政省に支払い準備金というのは幾らあるのですか、その点はどうです。
  142. 山本博

    ○山本(博)政府委員 ただいま御指摘になりましたように民間にあります支払い準備金という特別な制度はございません。しかし、これは国が営んでおる、しかも法律によって国民に不測の不利益とか支払いができなくなるとか、そういうようなことは国が責任を持って、保証しておる事業でございますので、毎年度の予算を組むときにそういうことのないように保証を予算上でいたしております。
  143. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは簡単で、質問が長いとまたおこられますので簡単に答えてください。その保証する額は幾らですか。
  144. 山本博

    ○山本(博)政府委員 これは毎年支払いの予想をいたします。毎年預金がどのくらい、現在までの総額がどのくらいあるか、ことしどのくらい入るか、そういうことを全部予想いたしまして、予算をきめます際に支払いの利子がことし全体として、たとえば三千八百億というような数字が出てまいりますと、それを予算上組みまして、それを支出として立てるわけでございます。毎年必要な利子というものは支出という形で組まれるわけでございます。
  145. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もっと正確に答えてください。概念はわかるのですよ。私が聞いておるのは、それじゃ支払い準備金は四十六年度幾ら予定されておるかというその総額です。
  146. 山本博

    ○山本(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、支払い準備金という制度はございません。毎年利子の支払いという形でただいま申し上げました三千八百億というような金を計上いたすわけでございます。
  147. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私が知っておる範囲内では、国民が貯金しておる総額は十兆だといわれておるのです。郵政百年記念事業十兆万歳というたれ幕が下がっていたのを私は記憶しているのですが、それではこれが、インフレが高進をする、そういった場合に、払い戻してくれといって国民が殺到する、その場合に、いま言われたように十兆に対して三千八百億ということで実際に支払えるのかどうか。現に私も経験をしたのです。貯金をしておる本人が高額をおろすときには、前もって連絡してくれというのですよ。郵便貯金したところに、これだけすまぬけれどもおろしてくれと言ったら、すみません、いま現金の手持ちがありませんから、あしたかあさって来てください。多額の金をおろす場合には前もって郵便局に連絡してください、こういうルールがいま現実にあるのですよ。これは一体住民にサービスをしておるということになりますか。普通の市中銀行なら、行ったらすぐ出してくれるのです。ところが、国の機関という大きな機関の陰に隠れて、金は集めてくるがその集めてきた金をどうして住民にサービスして還元するかという、そういったものについては何にもないでしょう。小さな郵便局で百万円おろしてくれと言ったら、いやあしたにしてください、あさってにしてください、そういう状態でしょう。こういう状態をそれではどうやって改善するつもりですか。
  148. 井出一太郎

    井出国務大臣 いま郵便貯金十兆とおっしゃいましたのは、これはおそらく簡保の契約額が十兆だと思います。郵便のほうは七兆を先般突破しました。それにしても大きな数字でございます。  そこで、先ほど貯金局長は利子の点に触れましたが、言うなればこれは国家が営んでおる銀行でございますから、支払いにこと欠くことはないわけであります。金融は御承知のように、これはあなたに釈迦に説法ですけれども、信用を基調としておりますから、郵便貯金をされる方々はこの国の巨大なる信用にすべてを寄せられておる、こういうことでございますから、胸を張って言うならば、これはいつでも支払いに応じる準備をわが日本国は持っておりますと、こういうことにもなるであろうと思いまして、そのことは過去の金融恐慌などにおいても、郵便局だけはこれはもう絶大な信頼をかちえて今日に至った、こういうことに徴しても明らかだろうと思うのであります。  さらに、小さな郵便局で、前もって申し込んでおいて翌日でなければ現金にならないというのは、これは事務的にはまことに円滑を欠いておりますが、これは大きな郵便局ではその心配はございません。ただ地方の小局の場合は、めったにそういうケースはございませんから、何十万円一ぺんにというのはめったにありませんから、そこで現金保管の責めに任ずるということからいたしまして、その現金を銀行なら銀行へ保管をしておく、こういうふうなことで、少しサービスの点では劣るかもしれませんが、むしろ近ごろ千葉県あたりで郵便局が襲われるなんというケースもあるものですから、十分保管のほうに重点を置いて、いま申し上げたような現象もときにはあったのではないか、かように思います。
  149. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣答弁を聞いておりますと、なるほどそのとおりだと思うのです。ところが、やっぱり国民というのはサービスを求めておるわけです。先ほど言ったように、郵政事業というものがいかに国民に対してサービスをしておるのかという観点からとらえていきますと、安心だから金を集めなさいといって郵便貯金を集めてくるけれども、実際に支払う段になると、そういった手続を踏まなければならないというところに問題があると私は思うのです。  私は一つ非常に疑問に思いますのは、資金の運用コストが、通常の場合ですと六分五厘です。財投からの繰り入れは六分五厘でしょう。それが実際に運用していきますと、これは郵政のほうの資料で私は見たのですが、それが六分五厘二毛とか三毛とかいうようになっているのです。そのことは明らかに何らかの形で郵政部内で運用されておる場合があると思うのです。それは現金が入ってきたけれども、その現金が、その現金の入ってきた局舎にとめ置かれておることだと思うのです。そして、それが銀行なり何なりに預けられて金利として入ってくるということだと思うのですが、実際にいま全国郵便局に幾らの現金がとめ置かれておるかということの把握は一体どういう方法でなさっておるのですか。盗難事件があったからあそこであれだけのものがあったかということがわれわれわかりますけれども、それじゃ具体的に何月現在でどれだけのとめ置き金額があるのかというようなことについて、どういう方法で知り得るのか、その点をひとつ説明してください。
  150. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 個々の郵便局の資金準備の問題でございますが、現在中の規定でもって、大体毎日受け払いというものは郵便局で安定しておりますので、それから計算した方式でこれこれの金を資金準備しなさいというふうな基準がございます。それに基づいて個々の郵便局長はその資金準備をいたすわけでございます。その資金準備をいたしますが、その現金そのものは先ほど大臣から答弁いただきましたように、銀行等に保管する場合があるということでございます。そして、出納管理とわれわれはいっておりますが、出納管理の手持ち現金は、常に毎日報告が本省にございます。それを一本に全部本省でまとめまして、そして一方、われわれとして、郵便貯金が入ってきますとそれは郵貯会計のほうに回さなければならない、そういうつけも回ってまいります。それらを本省でもって総合的に計算しながら全国の現金のあり方というものをコントロールしている、こういうことでございます。
  151. 松浦利尚

    松浦(利)委員 簡単でけっこうですが、それではごく最近集計したとめ置き現金の総額は幾らですか。
  152. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 四十四年度末決算の貸借対照表に出ております数字でございますが、三月末で現金として郵政省で全部扱っておりましたのは二百八十八億六千百八十一万四千円、これが四十四年度末において現金としてあった額でございます。  なお、そのほか運送途中現金ということでもって、郵便局から郵便局に現金で輸送するものがございます。これが百六十一億三千万円。あとはいわゆる運用部への預託金とか日本銀行への国庫としての預金とか、あるいは銀行の預金とか、そういうものがそのほかにございます。
  153. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、先ほど大臣が言われたように、国だから非常に安心だと思って現金を預金すると思うのですよ。貯金するのですよ。ところが、それが年度末でなければ本省のほうに集計されないのですが、私が先ほど質問したのは、ごく最近における集計の状況はどうなっておるのかと、こう聞いておるのです。
  154. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 現在手持ちの資料がございませんが、毎日毎日の日計表という形で出てまいります。  それから、先ほど支払い準備金に関連してのことだと思いますが、私ども郵便貯金は結局運用部に預託してございますが、もし資金が必要な場合は運用部から払い戻します。といいますのは、いままで郵便貯金というものは大体年間を通じて受けのほうが多く、払いが少ないという形でもって、その差額純増が新たに運用部への預託という形で出ております。しかし、見てまいりますと、たとえば三月とかそういう月は、預入よりも払い戻しが多い月がございます。そういうときには運用部のほうから払い戻します。あるいは運用部に預託すべき額を十二月ごろあるいは一月ごろ資金準備として置いておくという形で、特に郵政会計内で支払い準備金的なものは持っておりません。ただ郵便局の窓口の支払い準備金は、先ほど申しましたように持っておりますが、郵便貯金全体の支払い準備金的なものは、どちらかというと運用部の預託金のほうに入っている。運用部のほうでは、いろいろこれを長期に運用したり、あるいは短期に運用しておりまして、郵便貯金の動きを見て郵便貯金のほうの払い戻しが必要ならば、運用部のほうに連絡をして、すぐ払い戻しのできるような体制をとる、こういうことになっておるわけでございます。
  155. 松浦利尚

    松浦(利)委員 よくわかりましたけれども、私がお尋ねしたのは、国民サービスというのは、一体郵政省のほうで全国的に扱い局に幾ら現金が存在しておるかということを常時やはり把握されておって、コントロールされておらなければ私はいけないと思うのです。片寄ってはいけない。そうすれば、先ほど卜部委員質問したように、過疎地帯についてはなかなかサービスが行き届かないというような面が出てくるわけでありますから、そういった意味で体質的な改善というものが必要だ、こういうことを私は申し上げようと思っていろいろと御質問したのですけれども、実質的には、そういう面については国家というものにおんぶをされて、非常に私は郵政の場合には体制的にお粗末だと思うのです。やはりコンピューター導入とか何とかいうこともあるでしょうけれども、体制的に全体の預金の把握というものが常にコントロールされている、局における現金残高というものが常に把握されておるというシステムを確立しておく必要があるのではないかと思うのです。そのことを私が申し上げようと思っていろいろお聞きしたわけですけれども、資料がないようですからけっこうです。  それで、さらに私は大臣にお尋ねしておきますけれども、今度の料金値上げをしたら、一体国民に対してどういうサービスが還元されるのですか。四十七年の二月一日からはがきが上がりますね。調べてみますと、全体の平均七〇%近くが第一種、第二種ですね。そういう料金が四十七年二月一日に値上げされたら、われわれ消費者国民はどういうサービス、どういう恩典を郵政省から受けるのですか。そのことをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  156. 井出一太郎

    井出国務大臣 いろいろ考えてはおるのでございますが、サービスをさらに増加させるということは、それだけまた経費がかかるということに相なりましょう。したがって、いまの火の車の経済の中からいいますと、なかなか松浦さん御期待になるようなこれぞという目玉商品みたいなものをなかなか申し上げられない実は苦しさの中に置かれております。しかし、いま私ども考えておることは、少なくとも的確に郵便をお届けしなければならぬのではないか。そういうこのためには標準送達速度という、まあこれはテクニカルタームがあるのですけれども、そういうようなこともひとつ早いところ打ち出すべきではないか。これらを実現いたします暁には、一つサービスになるであろう。その他たとえばこれはこまかいことでありますけれども、たとえば速達の郵便があて先が不明で届けられない、これを今度はお返しするのも速達で、料金は取らずにお返しを申し上げるといったようなこともただいま考えております。こまかいことですけれども、いろいろとくふうはしておるわけでございます。
  157. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この郵便法の一部改正によって、ある程度そういったものについて一部改善されている点があることも、私はよく法案を見させていただいて熟知しておるつもりです。しかし、いま大臣がいみじくも言われましたように、私はいまの国民というのは、早く郵便物がこいということよりも、むしろ送達速度といいますか、鹿児島から北海道までは何日間かかります、その期間中に安全に必ず到達いたします、そのことが私は今日の国民が求めておるサービスだと思うのですね。今度値上げをしたら、その国民が期待をする、送達速度と大臣がいみじくも言われましたけれども、そのことは必ず確保できる、かように大臣考えになりますでしょうか。
  158. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは現在従業員といいますか、郵便関係者一つの指針としては、そういうものを持っておるわけでございます。これをあまねく公約を申し上げるというためには、実を言いますともう少し準備が必要だと思うのです。それは住居が明示されておるというふうな仕組みが、もうちょっと充実をしなければ相ならぬとか、あるいは都市膨張に伴う過密地帯におけるこちらの職員の配置等も、もう少し充実をした上でないと、いまにわかにいたしまして、おまえは言うだけ言ってさっぱり実行せぬじゃないかというおそれがあってはいけませんから、いまそういう準備をしておるということを申し上げたいと思います。
  159. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは私が郵政省のほうからいただいた資料で計算をして、あるいは間違いがあるかもしれませんけれども、昭和四十年度の郵政関係労働者、郵便関係に従事しておる従業員の人数で物数を割ってみますと、一人平均八万五千四百通を負担しておったわけですね。ところが現在は、それが一人当たりに計算をいたしますと、九万百通、約五千通増加をしてきておるわけですね。それだけ従業員一人当たりの負担というものがふえてきておるわけです。私は、大臣がさっき言ったように、郵政事業の約八〇%近くは人件費だと思うのです。どんなに機械化してもどんなに合理化してみても、私は郵便事業というものは、最終的には、末端は従業員というものが配達しなければならぬわけですから、そういう意味で、私は人件費というものは郵政事業のこれからの大きな問題になるし、また郵政事業の従業員の問題というものは重要な問題を含んできておると思うのです。ところが、実際問題として値上げをしてみたけれども、現実にいま一人当たりの扱い数というものは、もう五千通もふえてきておるのですね。こういう物のふえ方について、私はどういう状態になるのかということで、新経済社会発展計画を私は見たわけです。ところが、残念ながら総合通信網体系の中に、郵便事業のことはわずかに二行しか書いてない。大体昭和五十年度には、昭和四十三年度を一として、物は一・三倍になる。このスピードでいったら、昭和五十年度には一・三倍どころかまだふえると思うのです。しかも、この中に何て書いてあるかというと、「郵便についても機械化等による機能の強化、高速輸送体系の整備を推進する。」ということだけ書いてあるのです。データ通信あるいは交通網、そういったものは新全総計画から発想して、新経済社会発展計画というのにはきわめて詳しく書いてあるのですね。郵便事業についてはたった二行なんですよ。一体政府は国民に値上げをする値上げをするといって、値上げはしますけれども、将来の郵便というものの見通し、その見通しというものをどう考えておるのか。それだけふえてくる物に対して、郵政事業というものは、それではどのようにこれから対処しようとするのか。私は、率直に申し上げて、この新経済社会発展計画の中に占める郵便事業というものは非常に低下してきておると思うのです。私はこれはたいへんなことだと思うのです。郵便事業の存在にかかわる重要問題だと思うのですけれども大臣からひとつ所見を承っておきたいと思うのです。
  160. 井出一太郎

    井出国務大臣 従業員一人当たりの取り扱い物数の数字は、いまお示しになりましたように、およそ五年間に五千通ですか、まあさようなことだろうと思います。それで、しからばそれはそのまま労働過重ということになったかといえば、必ずしもそうでない。その間にいろいろな機械の開発などもいたしました。郵便番号をお書き願うことによって、自動読み取り区分機といった機械もかなりあまねく入りつつあります。あるいは取りそろえ自動押印機というような機械も配備しておりますから、その物数の増加が、そのまま労働負担ということではないかと考えていいかと思いますが、しかし、それにしてもおっしゃるようにほんとうに人手がほとんどすべてでございますから、これに意を用いることは当然であろうかと考えます。  それから新経済社会発展計画ですか、それにわずかしか記載がない、これは郵便の側においてはまことに残念なことでありましょうけれども郵便物数の増加はいままでの伸び率からいたしますと、まず年率五%ないし六%くらいでございますから、一〇〇に対して一三〇というような伸び方は、まずまず当たらずといえども遠からずではないかというふうに心得ております。それにしても郵便というものの存在を、いまの国の計画の中にもっと自己主張を強くしなければならぬ、これは私も同感でありますし、きょうの松浦さんの御発言はたいへん御鞭撻をちょうだいしたものと、かように伺った次第であります。
  161. 松浦利尚

    松浦(利)委員 やはり長期的な見通しに立った郵政事業というものがぴしっと出てこないと、働いておる従業員も、特に最末端で配達する人というのは使命感というものがなくなってくると思うのです。ただ配達すればよい、こういうことになってしまうと思うのです。やはりそこには希望と、国民にほんとうにサービスしておるのだ、そういった一つのプログラムというものをぴしっと示しておかないと、従業員の人も自分の仕事に対して非常に自信を失うだろうし、国民のほうも、これは値上げをしていくが一体どういうことになるのだろうかということで非常な疑問をお持ちになると思いますから、そういう意味では、この新経済社会発展計画そのものを全体的に改定する時期にもう来ていると私は思うのです。これは郵政事業というものから考えて、ぜひ大臣のほうでもお考えいただいて改定をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思うのです。  わが党の理事から、おまえの持ち時間はこれくらいにしておかぬと与党の理事さんがやかましいから、こう言われますから、最後になりましたが、いろいろと簡単にお尋ねをしますから、簡単にお答え願いたいと思うのです。  郵便料金が値上げをしたらどれだけ物価上昇に影響があるのか。この前、日経が日本銀行かどこかの統計を出しておりましたけれども、この郵便料金の値上げというのは低所得者ほど負担が重たくなるというのですね。そうすると、物価に関する寄与率というのは、具体的な数字は忘れましたが、〇・〇二ぐらいじゃなかろうか、あまり寄与率というものはないという想定がなされていると思うのです。ところが、公共料金が値上げをしたということは、私は精神的な、主導的な役割りを果たすと思うのです。公共料金が値上げをしたということが、すべての料金体系というものに非常に大きな影響を与えてくる。そういう点について、大臣郵便料金がこれくらい上がってもだいじょうぶだ、物価そのものに対してはそんなに影響はない、あるいは影響が出てきたら困るからこうする、これは郵政大臣というワクから少し出る御答弁をいただくことになるかもしれませんが、国務大臣としてその点どうお考えになりますか。
  162. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは数字だけから申しますと、一人当たり年間の郵便に対してお支払いをいただいている額は九十四円ということでありまして、これを物価指数への影響考えますと、何か〇・一三四というような数字でございまして、これに関する限りは微々たるものだということもいえましょうが、おっしゃるようにこれの一つの波及効果といいましょうか、そういうものをやはり政治をやる者としては考えなければならぬと思います。ただ、今回そのほかの公共料金については大体ブレーキがきいておりますので、郵便だけが特例中の特例、こういうふうに国民の皆さんにも御理解をいただきまして、私どももできるだけよってきたるやむを得ざる理由というものをPRをいたしまして、これが他へ波及することをできるだけ食いとめてまいりたい、かように考えます。
  163. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、この郵便料金の値上げというものが主導的な役割りを果たしてくるのではないか、特に一種、二種の国民生活関係のあるものが四十七年の二月一日に上がりますから、そうなってくると、来年度、昭和四十六年度の第四・四半期は、郵便料金を値上げしたとたんにすっと一気かせいに公共料金が上がるのではないかという気がしてなりません。ですから、四十七年二月一日に郵便料金が上がっても、そのほかの公共料金は上がらない、こういうことについて、大臣もう一ぺんくどいようですが、そういうことについてはだいじょうぶだ、そういうことは考えられないと、いうことなのか、その点、国務大臣として御答弁いただきたいと思います。
  164. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは国務大臣とおっしゃいますから、政治全体の責任を負わねばならぬということかもしれませんが、私の思いますのに、先ほど来申し上げた数字でもおわかりをいただきまするように、これがそれほど大きなものになっていこうというふうには私自身は考えておらぬのでございまして、これはたとえば生鮮野菜などのことを思えば、そういうほうがむしろ大きなブレーキ役になっていただかなければ困るというふうに考えております。
  165. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、据え置くということは、据え置いたあとということをやはりよく考えないと、一年間据え置いておったところが、その次に据え置いた分も一気に上がってしまうということでは困るので、据え置くというためには、その次に上げるときにはこうするのだという政策的なものがやはり入ってこないと、国民を裏切るようなことになると思うのです。それは来年のことですから、来年のことを言えば鬼が笑うということがありますので、おまえの取り越し苦労だ、心配するなということであるなら、私はだいじょうぶだと思いますけれども、そういう点、郵便料金を値上げしたからこうなったじゃないですか、こういう質問が本委員会なりあるいは物価の委員会で出ないように、ぜひ国務大臣として検討をしておいていただきたいと思うのです。  それで、私が非常に心配をするもう一つのものは、省令で定める部分がありますね、これは実際に郵政省側としてはこの法案を出す以上は省令案というものはもうつくっておられると思うのですよ。第三種郵便物が上がるということは、たとえば第三種の新聞料金が上がる、そうすると新聞社のほうは自分のほうで吸収はしないのですね。上がったその郵便料金をだれが吸収するかというと、全部消費者が吸収せざるを得ないのですよ。新聞社のほうは絶対にそれを負担しませんからね。ですから、そういった意味では、省令に定める部分について、一体どれぐらいの料金にするのかということについてもうすでに案ができておっていいはずだと思うのですが、私はその案を出していただかないと、やはり第三種を利用しておられる皆さん方に対しては大きな衝撃を与えますので、ぜひこの審議に際して出していただきたいと思うのです。
  166. 竹下一記

    竹下政府委員 省令案の料金はできておりまして、これは新聞等にも発表になっております。第三種、第四種、特殊取扱料金、それから小包でございますが、非常にこまかい数字でございますのでここでは申し上げませんが、その表はいつでも差し上げます。
  167. 松浦利尚

    松浦(利)委員 失礼しました。私は、本委員会に出ておらないとちょっとお聞きしたものですからお尋ねをしたのですけれども、出ておるとすればけっこうです。私のほうで見せていただきたいと思います。  最後になりましたが、結論として、やはり今度の郵便料金の値上げというものは、確かに物価に対する寄与率そのものは小さいけれども、これが主導的な役割りをして国民生活に相当な影響を与えてくると私は思うのです。そういった意味では、やはり抜本的な郵政事業というものをこの際くどいようですけれどももう一ぺん御検討いただいて、できるだけ国民に負担をさせない。やはりさっき言ったように貯金、保険というものは国民から預かっておるものでありますし、郵便を利用するのも国民でありますから、同じようなふところから出ていくものについては、やはり将来の展望を持って、国民に対してもう値上げはしないんだ、値上げしなくてもこうやればだいじょうぶじゃないかというようなことを、現在の郵便事業というワクの中で検討することは私は可能だと思うのです。これは一つの例ですけれども、いま大蔵省が資金運用部資金で六分五厘でやっていますけれども、その六分五厘を六分六厘なりというもので還元をする、そういったことをすればその分だけ郵政事業に入ってくる資金というものはふえてくるのですね。そういったことについても、私は今後の問題として先ほど大臣検討されるということでありますから、これ以上はお話しいたしませんけれども、いずれにいたしましても、物価に関する特別委員会では、この郵便料金の値上げというものについては非常に関心を深めている、また国民自身もこの郵便料金の物価に作用する効果については非常に心配をしておるわけでありますから、この際提案したものを引っ込めるということは大臣として言われないにいたしましても、われわれはぜひこの際もう一ぺん御検討いただいて、料金値上げというものは思いとどまっていただくということを、最後に要望でありますけれどもお願い申し上げておいて、私の与えられた質問時間二分超過をいたしましたが、終わらせていただきたいと思います。
  168. 井出一太郎

    井出国務大臣 たいへん御示唆に富んだ意見をちょうだいいたしまして、よく拝聴いたしました。
  169. 金子岩三

  170. 古川喜一

    古川(喜)委員 郵便法の一部を改正する法律案が提案されましてから、各委員からいろいろ質疑がなされ、その答弁をいろいろ承ってまいったわけであります。さらにまた、三日には大阪において公聴会を開催し、その陳述人からもいろいろ意見を承ってまいったわけでありますけれども、どうしても理解できない点が若干ございまして、その点について質問をいたしたいと思います。  この法案を改正して利用者に対するサービスということがよく論議されておるわけであります。そしてまた、この審議会の答申案を見ましても、残念ながらサービス向上ということについての具体的な答申がなされておらないのでありますけれども、しかしながら、先ほどからも論議されておりますように、郵便の送達速度の安定をはかることなどとも書かれておるわけでありますが、このサービス向上ということが国民には具体的に明らかにされておらない。大阪における岡本さんの意見にいたしましても、公共料金の値上げは反対であるけれどもやむを得ないということを言っておられるわけですが、やむを得ないの理由には、従業員の待遇改善、遅配をなくす、サービス向上してもらいたいということを条件にやむを得ないということを言っておられるわけでありますから、私は少なくとも、料金改定をする以上は、今後は遅配や欠配やあるいはその他のことについてのかくかくのサービスをしますということをはっきり明示すべきだと思うのですが、それがなされておらない。ここでまたいままでの委員と同じような答弁をもらってもしようがないから私は答弁は必要としませんが、ただ私は残念に思うのは、答申にも書かれておりますように、この郵便事業は人手にたよる部分が多いということをいわれておるわけです。したがって、人間関係がうまくいかなければサービス向上がない、このように私は考えておるわけでありますが、このことについてどう理解しておられるのか、ひとつ答えていただきたいと思うわけであります。
  171. 井出一太郎

    井出国務大臣 古川さん御指摘の人間関係という問題は、この委員会でもしょっちゅう述べてまいりましたように、郵政事業を行なってまいります上のこれが一番基本的な問題であります。そこでこれを大事にして、相互の理解を深め、信頼関係を回復して、そしてやってまいるということが私のかねがねの気持ちであることはだんだんと御理解いただいておると思います。しかしながら、事は志のとおりに必ずしも行かず、私としましても昨年において二度にわたり大きな紛争を経験もいたしました。こういうことを大きな教訓として、これをいたずらなる犠牲とむだにしては相ならぬ、こういう心がまえでずっと臨んでおるつもりでございます。そういう点は先般来、労使関係はそれぞれこれは相対的なものであって、管理側において出過ぎた面があるならばこれはひとつ是正をしよう、また労働組合側もやはりこの事業というものをになう大きな部分を占めておる立場上アプローチしてもらわなければ相ならぬ、こういうことで逐次前向きの方向で前進をしておる、こういうふうに私は信じておるのでありまして、いまおっしゃる点を郵政事業のやはり最大のテーマ、こういうことで扱ってまいる所存でございます。
  172. 古川喜一

    古川(喜)委員 大臣は常々そのようにも答弁をしておられますし、事実誠意をもって労使の正常化に努力しておられることは私も十分承知をいたしておるわけでございますが、いまほどおっしゃいましたように事志と反しましていろいろの問題が起きておることも事実であります。現に先月十八日から行なわれた全逓の中央委員会で、四・九協定以後なお悪くなったじゃないかという発言すら出て、当局に対する不信感が強いということが新聞でも報道されておったことでございます。何かというとわれわれはこの労使問題を取り上げておりますが、おまえは社会党だからというふうに誤解をされても困るわけでありますが、昨年の暮れの朝日新聞の社説にもこのように出ておるわけであります。「われわれは、安易に料金値上げをいう前に、郵政事業の体質改善のビジョンが当然、示されるべきだと考える。それにしても、郵政労使の根深い憎悪は一体、何に基づくものなのか。不当労働行為まがいのことが数々あるということを労組が訴えること自体、郵政の労使関係がいかにいびつであるかを示す。近代的な労使関係とは、協約を労使がたがいに尊重するということにある。郵政省の望む職員の事業愛、義務感は、組合への敵視政策から決して生れてこないことを、改めて指摘しておきたい。」と、このように国民の中でも、やはり郵政の労使問題がもっとスムーズに正常化されていかないことにはサービス向上も期待できないということをはっきり言っているわけですから、せっかく大臣がそのようにおっしゃるけれども、現に先日は八千五百余人の処分が発表されておるわけであります。労使間の紛争は、その労使間の中においては組合の責任だ、企業者の責任だという問題があるかもしれませんけれども、そこの企業の紛争によって国民に迷惑を与える責任というものは企業者が負うべきものなんです。そういう点からいうならば、郵政事業のいろいろの点で国民に迷惑を与えたということであるならば、皆さん方自身が責任をとるべきなんです。それを、違法のストライキをやった、だから処分をするんだというのでばしっと処分をして、国民に対してその責任を負うべき立場人たちが何ら責任をとっておらない。そして組合を処分したからそれで事足れりというふうに考えておられるならば、いつまでいっても私は労使の正常化というものは望めないのじゃないかということを心配するから、このように発言をするわけでありますが、その点に対しては皆さんはどのように国民に対して責任を痛感しておられるのか、述べていただきたいと思うのです。
  173. 井出一太郎

    井出国務大臣 違法なストライキがある、それを法規典礼に照らして処分を明らかにしなければならない、こういうことを繰り返してとどまるところを知らない、一体これはいつの日正常化を望めるか、こういうお気持ちであろうと思うのであります。どこかでこれをやはり断ち切らなければならぬと思うのでございますが、まあ管理する者の立場といたしましては、そこに法律に照らして違法なる行動があるとすれば、これを不問に付するわけにはまいらない、こういうことから先般の措置が行なわれました次第であって、これもあえて言わしていただくならば、涙をふるって馬謖を切るというような心境であるわけであります。  そこで、これはこれとして、できてしまったことはいたし方ない。管理の側にある者の姿勢も十分に正す、こういうこともあわせ行なわれなければならぬ問題でございます。そして昨年の二度の苦い経験に照らして、今春になりまして、私からも職場末端に至るまで、あの確認事項というものに照らし、さらに年末これを再確認しましたもろもろの問題点を周知徹底せしめまして、そしてひとつこのあたりで立て直しをするという決意のもとにただいま臨んでおるのでございまして、まあ苦心をしておりますことをもひとつ御了察をちょうだいしたいと思います。
  174. 古川喜一

    古川(喜)委員 まだこの問題についていろいろ申し上げたいこともございますが、大臣が誠意をもってこれから労使の正常化に当たろうということでございますので、それを信頼して、この問題を打ち切りたいと思いますが、とにかく、まだ第一線のほうにいきますと、全郵政の組合員に対しては良識派、全逓の組合員に対しては非常識なやつらという呼び方をしている管理者がおるわけですから、そういう点も十分意を使って、労使の正常化、そして国民に対するサービス向上ということにひとつ努力していただきたいことを申し上げて、次に移りたいと思います。  次は、これもまた最初からいろいろ問題になっております省令委任の問題でございますが、どうも納得ができない。大阪におきましても、竹中博士からいろいろこの問題についても聞きましたが、具体的な意見の開陳はなかったのです。おっしゃるには、先進諸国においてはすでに全部こういう問題は省令に移管しているんだというだけなのであって、私は具体的な意見を聞くことができなかった。まあ種々質問されてきたのですから、この辺でひとつわれわれを納得させる答弁も勉強されたかと思うのですが、いま一度明快に答弁をお願いしたいと思うわけであります。
  175. 竹下一記

    竹下政府委員 第三種及び第四種郵便物の料金を省令に委任する理由でございますが、第三種及び第四種郵便物は、たとえば新聞、雑誌等の定期刊行物や農産種苗、学術刊行物などでありまして、これらは第一種、第二種と異なり、その性格はむしろ小包郵便物に近いものであって、同種の運送手段でも送達ができるものであります。すなわち、これらのものは国鉄の貨物として送ることもできますし、民間の運送業者にゆだねることもでき、また新聞や書籍のようにその販売所が直接配達することもできるものであります。したがって、これら競合関係にある他の運送業の料金との均衡をはかり、利用関係のバランスをとっていくことが、事業全体の円滑な運営を確保するために必要なことであります。このため、情勢の変化に即応して適時適切な措置がとれるよう、料金を省令で決定できるようにしようとするものであります。この場合におきましても、法律の制約を全く離れるのではなく、あくまでも法律に基準を設け、その範囲内で個々の料金を決定するものであります。さらに、その決定にあたりましては郵政審議会に諮問することとし、政府部内にありましても公共料金として慎重に取り扱うものであります。
  176. 古川喜一

    古川(喜)委員 当初からの答弁と少しも進歩しておらないわけでありますが、いわゆる第三種は、第一種、第二種と性格が違って競合関係にある、したがってその情勢に適時適切に対処していきたい、このためにということが主のようでございますが、私はいろいろ同僚委員質問の中からその種の答弁を聞いておりまして感ずることは、これは明らかに国会軽視である、言うならばめんどうくさい、だから法律からはずして省令に持っていきたいということが一番大きいのじゃないかとしか理解できないわけであります。ということは、その情勢に適時適切とおっしゃるけれども、国会は毎年開かれているのです。しかも臨時国会も、私が国会に出てから浅いですけれども、これで四カ年間たちますけれども、全部臨時国会も開いているわけなんです。それで、ずっと明治以来から調べてありますけれども、そんな長く言っておってもしようがございませんが、ごく最近を見ましても大体二百三十日から二百五十日、あるいは少ないときでも二百十九日、臨時国会を含めて国会が開かれているのです。しかも、片方へ片寄っているわけじゃないのです。途中で臨時国会も開いているわけですから、どうして適時適切に対処することができないのか、これだけの国会が開かれていて。そうすると、やはり国会にかけるのはうるさいという国会軽視しかないと思うのです。私たちは何でも国会できめて、皆さんにいやなことを言いたいと思って言っているわけじゃないのですよ。やはりそういうときは、われわれは国民の声を代表して、国民郵便料の値上げに対してどういう考え方を持っておるかということを訴えたいし、われわれが反対の意見を述べるから皆さんがそれに答える、それを新聞、テレビ等を通じて国民が理解を深めていっているわけなんです。反対する意見があるから国民が理解を深めているのですよ。それをうるさい、あるいはあんなうるさいことを言われておってもどうにもしようがないというので簡単にきめられるようにということでやられたのでは、国民が理解をしていかない。そういうふうにしか考えられないのですよ。どういう点でそのときどきの情勢に適時適切に対処できないという不安を持っておられるのか、簡単に答えてもらいたいと思うのです。
  177. 竹下一記

    竹下政府委員 非常にむずかしいお尋ねで答弁に困るのでございますけれども、戦前のことを申し上げますと——戦前と申しますよりも、いまの郵便法の前の料金のきめ方を申し上げますと、法律できめられるのは一種、二種の基本料金だけでございまして、それ以外のものは省令でやったわけです。それから、これは郵政事業とは経営形態が違いますが、仕事の中にはかなり類似しておりまする隣接の企業体、すなわち電電公社あるいは国鉄等の料金決定の方式をながめておりますと、やはり法律できめますのは、国鉄の場合でありますと基本賃金率だけであります。電電公社の場合におきましても、基本になる料金法律事項にしておりまして、それ以外の非常に細目的な料金につきましては、主務大臣の認可あるいは公社総裁の専決事項ということでなされておるわけでございます。  私は、いまのように法律事項にあることは非常に困るというようなことを申し上げるつもりはございませんので、やはり料金の立て方といたしましては、そういう仕組みにしていただくことが企業運営に資する、弾力的運営を目ざす上にそういう料金の立て方にしていただいたほうが、経営をする側からいたしまするとありがたい措置である。適時適切ということばを申し上げましたけれども法律の場合とそうでない場合と、やはり若干の違いはあろうかと思うのです。  それから、世界の郵政事業でございますが、これも前回申し上げましたが、法律ですべての料金をきめておりますのはスイスだけでありまして、それ以外の国々は、郵便料金はすべて法律から省令あるいは政令に委任をしておるというのが実態でございます。つまり、郵便事業というものの企業性を認めて、企業運営をはかる上からはどうあるべきかということを考えました場合、料金決定の方式としては、基本になります料金は、これは大事でございますから法律事項にして確保する。しかし、それ以外の細目的料金については、そのび条件をむろんこれは法律できめますが、そのワク内において行政府に委任してよろしいではないか、こういう考え方が日本以外の国々におきましてもあるわけでございまして、そういう方式をわが郵便事業にも取り入れていただくということはたいへんありがたいわけでございます。
  178. 古川喜一

    古川(喜)委員 過去においては省令委任であったものが、さきの改正法律適用になったということでありますが、それはやはりそれだけの理由があってそうなったんだと思うのです。そして、いまほどおっしゃるように、困らないならいまのままでけっこうじゃないのか。困るから省令にしたいということじゃないのですか。いまおっしゃいました、さほど困らない、困るわけじゃないんだということなんですが、困らないなら現在のままでいいのです、われわれはこれだけしつこく言っているわけですから。  それと、やはり失礼な話でありますが、国民の信頼度というものが問題だと思うのです、省令できめていくということに対して。そういう点では、残念ながら郵政当局は国民の信頼をまだ得ておらないということになるのじゃないかと思うのです。信頼されておるならば、まあその程度のことはいいじゃないかということにあるいはなるかもしれません。ただ理由としては、第三種、第四種なんかは小荷物とやや性格が似ていて競合する、したがって、適時適切に対処していくということが主たる目的だと思うのです。私は先ほど国会開会の日数を申し上げましたように、それこそ適時国会が開会されておるのでありますし、臨時国会だっていつでも召集されるんだから、民主主義というものは時間のかかるもので、こういう論議を通じて初めて国民に理解されるのであり信頼されていくのであるから、私はそれだけの答弁では、なるほどそれは省令に委任したほうがいいんだなというふうには理解できないわけなんです。ここまでくると、あとは見解の相違ということになるのかもしれませんが、やはりその点は、私は十分考慮されるべきだと思います。  そこで、次に移っていきたいと思いますが、料金問題であります。いまほど今度の郵便料の値上げは〇・一三四%くらいの影響であろうということでありました。しかしながら、松浦委員も申し上げましたように、公共料金の値上げが波及するところは大きい、こういうことでございます。私のところへこういう反対理由も来ておるわけでございますが、いわゆる中央青少年団体連絡協議会の陳情によりますと、加盟団体発行の定期刊行物は約二十種類、部数にいたしまして月間で二百八十六万一千九百部、それが第三種郵便料金の値上げによりまして一千百六十八万九千四百円月に負担増になるということで、これでは団体活動が著しく阻害されるという反対陳情が来ているわけです。したがって、平均という魔術で国民の生活に平均どれだけ影響があるのかというと、それは先ほどおっしゃいましたように九十四円ですか、〇・一三四%でごく微々たるもののような印象を与えますけれども、団体によってはこういう大きい影響があるわけです。こういう点に対してはどのように考えておられるのか、ひとつ承りたいと思うのであります。
  179. 竹下一記

    竹下政府委員 先ほどの通信のための費用九十四円と申し上げましたのは、一般家庭におきますいわゆる家計の中に占める通信費の数字でございます。一般消費家庭におきましては、通信費の占める割合が〇・一三四程度であるという数字が四十四年の総理府統計局の調査で出ておるわけでございますが、いま御指摘がございましたのは定期刊行物でありますから第三種郵便物の問題でございます。値上がりの数字をお聞かせいただいたわけでございますが、私それ自身につきましては存じ上げていないわけでございますけれども、三種郵便、特に指定料の扱い、月刊雑誌ということになりますと、従来の料金六円に対して予定しておりますのが十二円でございますから、ざっと倍になるということを考えますと、機関誌を出しておられる団体によりましては、やはりそれだけの負担増ということになろうかと思います。ただし、三種郵便は従来から非常に低位に据え置かれておったわけでございまして、原価を大きく割っておったわけでございます。事業財政の見地から申しまして、三種、四種の郵便物はその公共的な性格もございますので割引はいたしますけれども、もう少し料金負担をしていただいていいのではないかということを考えまして、このたび値上げを考えておるのでございますが、これも値上げ幅をあまり大きくしますと社会的影響も大きくございますので、料金の立て方等につきましてもいろいろくふうをいたしまして、上げ幅をこれでも極力小さく押えたつもりでございます。
  180. 古川喜一

    古川(喜)委員 その第三種郵便の赤字の問題でありますが、郵政省郵便料金の値上げは、第三種郵便の赤字が一番大きな原因であるというふうにわれわれも承っておるわけでありますが、この第三種の年間取り扱いは約百億通というふうに承っております。そのうちの約七〇%が商業通信である、こういういわゆる自己宣伝、自分の会社の宣伝などに使われる商業通信が約七〇%も占めておるといわれておるのですが、それは事実なのかどうか。
  181. 竹下一記

    竹下政府委員 三種郵便物は年間の取り扱い物数は十二億でございます。郵便総物数が今日百十億くらいになっております。この百十億通の中で、私どもはいわゆる高等信といっておりますが、信書的なもの、これは一、二種でございますが、これが八六%くらいございます。数字にいたしまして一、二種合わせまして九十三億通くらいございます。その中で、いまおっしゃいました七割程度のものは企業間通信でございます。会社相互間に取りかわします郵便、つまり業務用通信ですね、それから最近は企業と株主との間の通信がふえてまいりました。そういうものをひっくるめまして七割というわけでございます。その七割の中にはお話がございましたように、いわゆるダイレクトメールという宣伝のための郵便物も入っております。それで今日、個人と個人との間の通信というものは三割弱、そういうことになっておるわけでございます。  それで、このたび郵便料金の値上げをしなければならない最大の理由は、これはもとより第三種郵便物の赤字の問題もございます。それは確かにございますが、最大の理由はやはり一、二種の料金でもっては現在及びこれからの人件費の増加をまかない得ない。先ほど経理局長が申し上げましたように、四十六年度において四百八億の料金値上げによる増収を期待しておりますが、その次の年度四十七年度におきましては八百六十億ばかりの増収がございませんと、人件費の膨張等のカバーができないというわけでございますが、その最大のものはやはり一、二種料金であろうと思います。
  182. 古川喜一

    古川(喜)委員 いわゆる商業通信というものが郵便の赤字を増大しているというふうにわれわれは聞き、いまおっしゃいましたダイレクトメールだけ値上げしたらそれで十分だという意見すらあるようにも承っておるわけでありますが、いずれにいたしましても郵政事業の将来の赤字の根拠、あるいは郵便物の個々の原価計算のしかた、こういうものについてはわれわれは全然知らされてもおりませんし、国民も知らない。したがって、いま一生懸命に値上げ問題をやっておりましても、先ほど松浦委員が五年と言ったが、われわれは三年たつとまた値上げをしなければならないのだというふうにも承っておるわけでありますが、いまのような形で郵便料金の改定が行なわれていく。そして今後どのように郵便事業経営が好転していくのかという見通しもわれわれはこの中から受け取ることができないのです。そういう点ではやはり赤字の根拠なりあるいは原価計算のしかたなりというものをわれわれにももっと明らかにする。そしてこうしていけば将来郵便事業が好転をしていくのだ、経理関係が明るいのだということを明らかにしていただかないと、一生懸命に論議していて、三年たったらまた上げるんだというのでは、これは先ほど国務大臣ということばを松浦君は使いましたが、国務大臣としてどういうことなんですか。これは将来にわたって物価はどんどん上がっていくので、郵便物も三年たったら上げるんだということでは、これは国務大臣としてもおかしいんじゃないかと思うのです。こうすれば好転するんだ、国民へのサービス向上するんだ、経理も明るくなるんだということを出してもらわなければ、五年安定させようとするともっと幅が大きくなるので、幅を押えて三年にしました、三年たったらまた上げるのですというのでは、これはわれわれ国民にとっては迷惑な話だと思うのです。そういう点に対して、もっとはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
  183. 井出一太郎

    井出国務大臣 古川さん御専門で、もう百も御承知だと思うのですが、これはなかなか答弁側もつらいところでございます。長期の展望ということですが、いまのような高度成長経済というものが続きます限りにおいては、なかなか物価を抑制するというきめ手というものの発見にみんな困難をしておるわけであります。そういう際に、郵便仕事というものがやはり一つ公企業として存立をしてまいりまするためには、どうしても収支のバランスをとらなければならない。これをそれじゃほかから持ってくる道があるのか。一般会計からしりぬぐいをすればということも、それは一つの案ではありましょうが、それこそ親方日の丸というようなものでございまして、そういう安易な道を選ぶということは、これはやはり公企業としてとるべき方途ではございますまい。してみれば、できるだけこの会計の中における合理化なり近代化なりを推進してまかなっていく以外にはなかろうと思うのでありますが、三年なり五年なりの先を展望いたしましたときに、いまこの場でめどをつけるということがなかなか困難だ、これはお察しがいただけると思うのでございます。したがいまして、当面この値上げをお認めをいただき、そしてその限界内におけるできるだけの企業的な努力をはかる、そしていけるものなら、三年でなく五年も七年もこういう形で安定ができれば一番ぐあいがいいことでございましょうし、そういう努力を払うということを申し上げるにとどめるという段階ではなかろうか。どうもいかにもそれじゃ知恵がないじゃないかと仰せられまするけれども、実際の問題といたしましては、おそらく古川委員もお気づきいただいておるところではないか、かように思います。
  184. 古川喜一

    古川(喜)委員 いろいろ御意見を承ったわけでありますが、郵便事業が将来第二の国鉄になるというので、簡単に料金値上げに踏み切られるということに対しては、われわれはいろいろ意見を持っておるわけであります。そういうことについてはやはり反対をせざるを得ないわけでありますが、それにいたしましても、先ほど申し上げたことや、あるいは郵便事業の将来の展望というものを国民の前に示すべきじゃないだろうか。配達会社の問題や公社化の問題なども出ておるようでございますが、長年郵政事業に努力されてまいられた皆さん方ですから、やはりこの辺で郵政事業の将来の展望というものをわれわれの前に示していただきたい、そういうことによって郵便事業の安定あるいはサービス向上というものも期せられていくのだろうと思います。そういうことを私は要望いたしまして私の質問をやめたいと思います。
  185. 金子岩三

  186. 土橋一吉

    土橋委員 私は、労働問題あるいは法規の体制上の問題、さらに物価の問題、こういう問題を通じて少しく郵政大臣質問したいと思います。  時間を省略する関係上、長い答弁は控えていただきまして、イエスかノー、そうだとか反対だとかあるいはその意見については承服しがたいとか、そういう点にしぼっていただきたいと思うわけであります。政府委員の説明もそういうふうにイエスかノーというので答えていただきたいと思うのであります。  先ほどから問題になっておる労働問題でありますが、私は、郵政省が八千五百名の処分をした。それは法規に照らして泣いて馬謖を切るようなものであった、こういう説明をいたしておるのであります。郵政大臣も御承知と思うのですが、労働関係に関する法律は、わが国の法体系では、いま公法的な性質を持っておるのであって、民法の私的な雇用契約とか、私的な内容を持っていないのであります。それは憲法二十八条が規定しておるように、また労働基準法あるいは公労法の規定あるいはILO八十七号の条約批准に基づいて労働組合として正当な行動をとることについては、社会通念上からもまた国家でも相当これを重視して公的な存在として保障をしておるわけであります。したがって、郵政省郵政業務その他の規程に違反をするということで処分することも、これは国家行政組織法あるいは郵便法等の規定によって国家が公認をしておる公法上の内容であります。この二つの公法上の関係が抵触をしたときに、郵政大臣はその抵触した問題について、行政組織法郵便法の規定が優先するというふうに考えているかどうか、この点をイエスかノーで答えていただきたい。  もう少し私のほうで言いましょう。二つの公法体系がわが国の法律の体系の中では厳然として存在をしておるわけであります。これは憲法二十八条の規定や労働基準法やあるいは労働組合法その他の規定によって、これは公法的な関係であるということを国家が現在の法体系では認めておるわけであります。郵政省業務上の命令を出すとか、組織的な内容を規定するということも国家行政組織法によってこれが公法的に認められておる一つの内容である。法治国家のわが国において、この二つが抵触したという場合に、郵政大臣は行政組織法郵政省の規程が優先すると考えているかどうか、簡単に答えてください。
  187. 井出一太郎

    井出国務大臣 郵便法その他は優先しないと思います。労働関係法体系、こういうもので労働の問題は扱うべきであろう、かように考えます。
  188. 土橋一吉

    土橋委員 いま郵政大臣が労働関係法規、郵政省が行なうところの組織法的なものやあるいは処分を含めて行政行為はやはり優位をしていない、両方対等平等である、こういうような説明をされたと思うのであります。しからば私は、そういう説明であることをまず前提としまして、それは非常に大事な問題です。それならば、郵政大臣は八千五百名の処分を出すということは、これはILO八十七号の基準に照らして、あなたも御承知のように、この前も質問をしまして、第三条二項の規定、労働団体に対して干渉してはならない、使用者団体は干渉してはならないという規定がございます。第四条にも、労働組合の活動を停止をするとか制限をするようなことをしてはならないという規定がやはりあります。特に第八条の規定では、労働組合活動について保障する体制をILO八十七号の規定は認めておるわけです。しからば、あなたが泣いて馬謖を切るような思いでいるんだという説明は、明らかにこの規定に違反をするではないか。そうすれば、他の公法関係郵政省の内規の規程や郵便法の規定によってこれを痛めつけておいて、一方に厳然として法的に体系を持っておる公法関係において全国大会を持ち、あるいは中央委員会を持ち、あるいは中央執行委員会等において決定した内容について組合員が争議行為に入ったという場合に、自分のところの法体系からこれをめちゃくちゃにやっつけておいて、そうして泣いて馬謖を切るというような説明では、まことに不都合ではないか。労働法規の体系からいうならば、明らかに不当労働行為を重ねつつ、しかも八千五百名の処分ということを出しておいて、泣いて馬謖を切るという説明がいかに矛盾をし、またその場限りの答弁であるかということは明瞭であります。これに対して郵政大臣はどういう責任をとるのか、とらないのか、明確にしていただきたい。
  189. 井出一太郎

    井出国務大臣 土橋さんは、郵政行政の面において不当労働行為ありと、こういう断定のもとに議論をお進めになっておるようでありますが、私どもはそうではなくて、やはり郵政職員が公務員として許されておらないところのストの行為に及んだということをとらえましてああいう処分に出たわけであります。先ほどの馬謖を切る云々は、あるいは不必要であったかもしれませんが。心情的に言わしていただくならばそういう気持ちがある、こういうふうに御理解を願いたいのであります。
  190. 土橋一吉

    土橋委員 私はこの前にも指摘をしたので、あなたはこっくりをしてわかったような顔をしておったんですが、実はわかっていなかったのじゃなかろうかというふうに思うわけです。それは昭和四十年六月二十八日条約七号によって認められました結社の自由及び団結権の保護に関する条約、この内容の第三条第二項にはこういう規定が書いてあるわけです。「公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。」ということは、使用者側の国家であろうとも、一公共的な団体であろうとも、私法人でございましょうとも、他方のそういう行動について制肘を加えてはならないということを意味しているわけです。第四条の規定は、同じように、「行政的権限によつて解散させられ又はその活動を停止させられてはならない。」ということが規定されておるわけです。したがって、郵政省であっても、内閣であっても、労働組合の行動に対してそれは結果的には多大の損害を与えるような体制をつくってはならないということをこの規定はちゃんと予知をして規定しておるわけです。次に第八条の二項の規定によれば、前段の規定もそうですけれども、「国内法令は、この条約に規定する保障を阻害するようなものであつてはならず、また、これを阻害するように適用してはならない。」という規定がちゃんと第八条の二項に規定されておるわけです。これを知らないはずはない。また、労働組合法の第一条や労働基準法の規定においても、かつて中央郵便局で御承知のように、刑事責任を追及した問題があるわけだ。しかし、労働法の規定の原則からいって、これは可罰的な違法行為ではないという判決を大審院判事が下しておるわけである。  でありますから、刑事責任は、特別の器物損壊を行なったとか他人に殺傷を加えたという場合以外は、労働組合の正当な行動として許されたものに対して、いまも私が話しておるように八千五百名という大量の処分を出しておいて、そして全逓の労働組合の今後の活動に非常な影響を与えるようなことをしておいて、それで私はこの二つ法律の抵触の問題について、当然この規定から見て、郵政大臣が行なっている行為は、たとえば責任者をある程度処罰するとか、ある程度訓戒をするとか、ある程度行政的な処置を講ずるということは、これは私は理解に苦しむものではないわけです。しかし八千五百名という大量の処分をした。それらは労働組合法の規定によって正当な行動としてやっておる公法上保障されている行為であります。その保障されておる行動に対して、郵政大臣の権限において大量の処分を出すということは、明らかにILO八十七号の批准条約を中心とする、また労働基準法を中心とする法的な解釈から見て、まことに不当労働行為であるといわなければならない。この規定が示しておるように、そういうことをやってはならない。  特にこの中にこういうことも書いております。本来ならば国家においてそういうものを救済する体制をとらなければならぬ、そのこともこの規定は書いておるわけであります。これは二十九年十月二十日の条約二十号によって第三条において規定しているわけです。「前各条に定める団結権の尊重を確保するため、必要がある場合には、国内事情に適する機関を設けなければならない。」これを佐藤内閣は設けていないわけです。歴代の自由民主党政府のもとには、そういう保障機関を設けていない。こういう点から考えても、逆説的に言うならば、郵政大臣の大量処分は明らかに不当労働行為ではないか。かように私は断じておるのであるが、郵政大臣、イエスかノーか、重ねて答えていただきたい。
  191. 井出一太郎

    井出国務大臣 はしなくも逆説的とおっしゃいましたが、どうも私は土橋さんの御見解はまさに逆説のような感がいたすのでございます。私どもはもちろんILO八十七号条約その他、これを尊重する立場にありますし、さらにまた労働関係法規はこれを当然順守しなければならぬ、こういうたてまえをとっておるのでございますが、しかし今回の措置は、われわれの見解をもってすればまさに違法の行為であって、あの挙に出ざるを得なかったわけでございまして、その詳細は、いま人事局長から申し上げます。
  192. 土橋一吉

    土橋委員 よろしいです、時間がありませんから。あなた方の見解がそういうものであれば、それは議事録にとどめておいて、私はいつまでもこの問題について追及したいと思う。これは佐藤内閣全体の姿勢の問題であります。労働行政全体に対する問題でありますから、一郵政大臣だけで解決はできません。このILO九十八号の二十号条約の第三条というのは一郵政大臣だけでは解決できないわけです。したがって、これは佐藤内閣の全責任においてこういう機関をすみやかに設けて不当労働行為をしないように、あくまでも追及しなければならぬ問題だと考えております。  二番目の問題。残念なことですが、二月十七日の新聞によると、郵政省の官房建築部の谷口一男技官が汚職をしたということが載っております。それからまた数日を出ずして、中央郵便局の窓口課員である長牛義人という人がやはり千数百通の郵便物を横領しました。この三、四日前に本委員会でも私は追及したように、群馬県桐生の福田という若い青年集配人と小島という青年集配人がまた約二千通の郵便物を盗んでおったのであります。郵政大臣はこういうことについて政治的な責任を考えておるかどうか、イエスかノーで答えてもらいたい。
  193. 井出一太郎

    井出国務大臣 政治的な責任という内容がいかがな意味を持つか、そういう点もございましょうが、私としましては、こういうまことにお恥ずかしい数々の事件が連続して生まれましたことに対しましてはまことに遺憾であり、そういう意味においてはたいへん責任を感じておるわけであります。
  194. 土橋一吉

    土橋委員 いままで多くの委員の方から第一条の規定についていろいろ質問もあったし、大臣答弁もあったのですが、私は重ねて郵便法第一条の規定を少し論じてみたいと思うのであります。郵便法第一条の規定は、御承知のように財政法第三条の規定を受け、また租税法律主義の原則による憲法八十四条の規定を受けておるものとわれわれは考えておるのであります。したがって、問題は、郵便料金を上げるということが物価問題と深い関係を持っていて——それが、現在の佐藤内閣としては一九七一年初頭にこの問題を出してきたわけです。この問題については、この前も委員会で申し上げたように、これに賛成をしておるものは自由民主党、佐藤内閣と郵政省だけである。全国民は反対をしておる。特に生鮮食料を初めとするあらゆる物価が上がって非常に困窮をしておる。また物価の値上がりが相当ひどいであろう。昨年は四・七%、今年は五・五%上げることを目標としておる。したがって、その前に私鉄、タクシーなどの料金は上がっておるわけで、きのうの新聞をあなたごらんになったと思う。昨年二回、アメリカから来るところのえさ代が上がりまして、いよいよ牛乳も上がるしバターも上がるし、さらに豚肉も上がるということを新聞が報道しておるわけですね。そこへもっていってこの郵便料金を上げるということは、第一条の精神から見ても、また佐藤内閣が暮れに声明しておった言動から見ても、私は明らかに佐藤内閣の最も致命的な問題を郵政大臣提出をしていると考えるわけである。したがって、財政法の規定、あるいはまた郵便法第一条の規定から見て、あなたのやむを得ないという説明はもう繰り返し私は聞いておるけれども、これは違法ではないか。法体系から見ても違法であるし、物価を上げない、国民生活を安定させるという面から見ても、経済的な点から見てもまことに不都合といわなければならない。郵政大臣は、それでもなおかつこれを上げるというのか、イエス、ノーで答えていただきたい。
  195. 井出一太郎

    井出国務大臣 不都合とおっしゃられますと、どうもこれ、都合がいいとお返しをするわけにはまいりませんが、ずっと長い間御審議をいただいておりますように、この際やむを得ざる措置である。同時に、財政法をおあげになり、郵便法第一条を御指摘になりましたが、これが法律違反であるというふうには私ども考えておりません。
  196. 土橋一吉

    土橋委員 財政法の第三条の規定は、あなたも御承知のように、国家で行なうところの公共料金や、また企業体でやるいわゆる使用料というものは、法律の規定によって定めるか、さもなければ国会の承認を得なければならぬということを規定しているわけであります。したがって、第二十三条以降の規定は、これを郵政省令に委任の形をこの法律案で出してきておるわけです。そうすると、この法案そのものが財政法第三条の規定から見たり、あるいは郵便法第一条の規定の精神から考えるならば、違法の法案を国会に上程してきておる。また憲法が示しておるところのそういう国有財産その他に関する基本的なものから見ると、財政法第三条に違反をする法案を本委員会に上程してきておる。また法律体系から見てもそういう不都合さを持っておるのであって、まことに私は不都合といわなければならない。  あなたは提出をされておる側ですから、なるたけ美辞麗句を並べながら、国民をあたかも納得させるかのような言動によってこれをいろいろ説明されておりますけれども、法体系から見るならば、この一部改正に関する法律案は、明らかにわが国の法体系のうち特に財政法第三条の規定に違反をする問題であるし、第一条そのものに違反をする改正内容を含んだものを上程してきておる。したがって、これは撤回すべきである。郵政大臣はすみやかに本委員会において、国民にこのような騒がしいことをしたことについて前非を悔いてすみやかに撤回する意思があるかどうか、私はいま一度お尋ねしたい。
  197. 井出一太郎

    井出国務大臣 結論的に申し上げますならば、残念ながら御貴意に沿いかねます。
  198. 土橋一吉

    土橋委員 次は、私は郵政審議会の問題についてお尋ねをしたいのであります。郵政審議会は四十数名の委員の方があるので、過日、私的に郵務局長にお願いしてメンバーや経歴を示してもらいたいということで、出しましょうということであったが、まだまだ私の手元に入っていないわけですが、一体郵政審議会というのは行政組織法郵政省設置法の規定に基づいてあなたが依嘱をされ任命をされたと思うのです。この郵政審議会郵政省一つの機関といたしましていろいろ答申されることは、これは私はやむを得ないことだろうと思う。しかし、その答申の内容自体を見ても、この前私が申し上げたように物価問題についてはほおかぶりしておるわけです。一番大事な、郵便料金の値上げという問題と物価という問題は切り離すことのできない、その物価問題については答申をしていない。第二番目は、当時全逓と郵政省との間においては非常に争議的な機運があり、その情勢が非常にむずかしい状態にあった。その問題についても一言、十分な勧告やあるいはそういう答申をしていない。ただ幾らか事業内容について、ああだ、こうだということと、基本は郵便料金の値上げだけにしぼられているわけだ。これは当時の新聞が一斉に攻撃をしておるように、あらゆる言論界においても、安易な公共料金の値上げであるということを指摘しておったわけであります。  そこで、今度のこの一部改正法律案の上程によりますと、つまり郵政大臣は第一種、第二種以外は郵政審議会答申を待ってその決定をするという、こういう形式をとっているわけです。そうしますと、この郵政審議会というのは国会にも責任を負わない、ましてや国民にも責任を負わない、ただ郵政部内において郵政大臣の諮問を答申するだけのこういう政府的な機関が、ここで突如としてこの一部改正の中へ乗り出してきて、あたかも国民全体が納得するような説明に郵政審議会というものを用いておるわけであります。私は郵政審議会委員の皆さんの御苦労は多とするに余りあるわけですけれども、これは憲法違反ではないか。国会は先ほどからいろいろ説明されておるように、毎年開いておるわけです。しかも長期にわたっている。この六十五通常国会においても五月半ごろまで開くわけであります。あるいは場合によっては九月には臨時国会が予定されておる。郵便料金の値上げについて、もし国民に真意を披瀝するならば——何も国民や国会に責任を負わないこういう政府機関が出てきて、それがあたかも何か国民全体が納得するような形式のものであるかのような説明をして、そして答申によって郵政大臣が上げるということは、結局郵政大臣が専断的にそういうものを一つのてことして、悪く申し上げるならば隠れみのとして、そこで自由自在に郵便料金を上げるという専決権をここで宣言するにほかならないのであります。そうすれば財政法第三条の規定やあるいはまた郵便法の第一条の規定から見て、これまた違法な行動ではないかというふうに私は考えるのですが、郵政大臣、どう考えていますか。
  199. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいまの御質問のくだりはたいへん広範なる内容を含んでおると思います。  まず第一に郵政審議会でございますが、これは土橋さん、労を多とするとおっしゃいましたように、従来たいへん御努力を願ってまいりました。しかもその人選は、学識経験豊かなる人々を各界各層にわたって網羅しておる、こういうことで、従来その機能はたいへん高く評価してよろしいと思うのであります。で、今回の答申に物価問題に触れないではないか、あるいは労務問題にも言及しておらないのではないか、こういう御指摘でありましたが、私はこの答申の全体を熟読いたしますならば、やはりその背景としては、いま御指摘のような問題に関心を払っておるというふうに実は読み取っておるわけでございます。特に労務の関係については、五項目のうちの一つにこれを採用をしておるわけであります。  そこで、こういう機関をいたずらにつくって、これを行政の隠れみのにするのはけしからぬ、こうおっしゃるわけでありますが、省令委任の問題は、すでにいろいろと御議論のありましたように、私どもとしましては、単に国家独占の一種、二種とは違った性質を持っておるのでありますし、しかもそれは国会において皆さま方の御承認を得た上でいたす、そしてこの郵政審議会を真の意味において活用といっては語弊がありましょうが、この学識経験豊かなる方々によって十分なる御審議をいただいた上で誤りなきを期してやってまいろう、こういう所存でおるわけであります。
  200. 土橋一吉

    土橋委員 一つのひな形を示せば、あなたの提出されました「第二十三条第四項を次のように改める。」というふうにして、「第三種郵便物の料金は、郵政大臣郵政審議会に諮問したうえ省令で定める。」、こういう書き方をしているわけです。最近佐藤政府は法令あるいは法律事項でしなければならない問題を、たとえば保険料率の改正の問題にしても、厚生大臣が省令をもって決定をするようなこういう不都合な事態をやっておるわけです。あるいは郵政大臣がいま申し上げたように、郵政審議会という国と国民に責任を負わない機関がこういう法律の中に出てきて、そしてそれがあたかも国民全体がよく了解し承知しておるかのような印象を与えながら、その郵政審議会に諮問した上決定をすると、こういう国会を軽視し、国会の決議を経なければならない問題をこういうところですりかえて上程しておる法案は、財政法の第三条規定の違反であります。これは法体系からどのような説明をいたしましても、どんなにあなたがおっしゃいましても、こういう二十三条の規定をはじめとする省令委任の形式を持ってくるとは、わが国の憲法の違反であります。  私は、何も頑迷に旧態を固執するものじゃありませんけれども郵便事業そのものが持っておる法的な体系から見まして、このような法律違反の内容をもって、しかもそれが郵政審議会答申をまって郵政大臣が決定するというような形式で重要な公共料金——先ほど竹下郵務局長も言われましたが、公共性を持った料金だということをやはり最後に説明しておりましたが、公共料金は常に郵政の場合には国会の決議を経るか法律で規定しなければならないというきついワクがかかっているわけです。しかもそれをあえてこういう形式で上程してくるということは、これは法律違反であります。  でありますからすみやかに撤回すべきである。われわれはそれを監督し、その行政内容を見届ける責任を持っておる国会でありますからして、そういう法律違反のものを出してきて、ああそうですかなんて審議ができないわけですよ。もしあなた方のほうで公共料金を上げたいという気持ちがあるならば、それは私は、当初から質問しておるように、人件費がかさんでくるとか、結果において郵便物が非常にふくそうしておるとか、あるいはまた局舎を改築しなければならぬという問題は、郵政事業そのものから来た責任ではないわけです。これは佐藤政府の、先ほど郵政大臣も話されましたように、高度経済成長政策、とりわけ一昨年から決定した新全国総合開発計画あるいは新社会経済発展計画からこのような事態を引き起こしておるのであります。でありますから、そのような面から見てもこれは当然一般会計から補てんをすべきものであって、何の罪とがもない郵政職員や何の責任もない大衆に転嫁をして郵便料金を上げるということは、明らかに二重的な税金を取る体制をやるものにほかならないのであります。  でありますから、いま新全総とかあるいは新経済社会発展計画が国民にどのような影響を与えるのか、交通災害の問題にしても、あるいは特に公害の問題にしても、ついせんだっては六十四臨時国会まで開いてたいへんな騒ぎを国会においてやったわけです。これもやはり、いま申し上げた高度経済成長政策の結果こうなったのであります。日本共産党はこういうことに初めから反対しておったのでありますが、とにもかくにもそういう結果から生まれた責任は、やはり一般会計から補てんをするのが当然の筋であって、何の罪とがもない大衆に、公共料金を上げることによって負担を増して、財政難を克服するということは本末転倒をしておる、かように私は考えるのでありますが、重ねて郵政大臣はそれでもそれは正しいというのかどうか、イエスかノーで答えていただきたい。
  201. 井出一太郎

    井出国務大臣 われわれはこの措置が財政法の違反というふうなものではない、こういう立場に立っておりまするし、この郵便という公企業はやはり受益者の責任においてなし遂げられていくということが一番望ましい姿である、これを一般会計に依存するというふうなことは、かえってそこにまた、今度は新たなる増税というような負担を生むことにもなりますから、これは郵便事業の中でとりおさめていくということが一番至当ではないか、こう考えております。
  202. 土橋一吉

    土橋委員 私は、これ以上あまり論議しては時間を食うばかりでしょうが、現在佐藤政府が行なっておるたとえば軍事予算、特に自衛隊の予算とかあるいは自衛隊の金のむだ使いとかあるいは対外投資に関する問題であるとかあるいは公共投資に名をかりて要するに国民生活には直接的にそれほど影響のない、大資本には非常に笑いがとまらないような、そういった金をたくさん放出しておるわけであります。そういう金を節約するならば、郵政財政に何らかの——先ほどから言われておるような赤字というものは今年度で四十数億にとどまっております。かりにいろいろな局舎等の改善や機械の購入をいたしましても四百億前後のものであります。でありますから、当然私は、国務大臣としてそのような責任をやはり閣議の中で明確にする必要が郵政大臣はあるのじゃないか、かように考えておるのであります。  重ねて私は、それ以上は聞きませんが、次の問題をお伺いいたしたいのであります。これは憲法の条章に従いまして、予算案、法律案、重要な条約案件は国会が承認をしなければならぬことはもう御承知のとおりであります。ところが、郵政審議会というような、あなたのおつくりになった、どうも国民にも国会にも責任を負わないような政府機関がえてかってにこういう論議をしておる。論議もけっこうでしょう、しかしながら、出てきた答申郵政大臣が尊重するという形式をもってこのようなことが行なわれておるわけである。なぜ国会に料金問題やあるいは郵政事業の内容やあるいは労働問題などについて——期間が相当ありますから、御承知のように長い期間この国会は開いておるわけですから、そういう場において審議を尽くすべきことであって、そういうものが出した答申をあなた方が一々尊重するという形式でやられることは国会軽視ではないでしょうか。この点を郵政大臣はどう考えておられるのか。国会軽視ではないというのか、国会軽視で相済まないというのであるか、答弁を願いたい。
  203. 井出一太郎

    井出国務大臣 国会という場合、特に郵政関係をいたしますもろもろの問題は、当逓信委員会という最大の最高の権威ある機関において万般にわたって御審議をわずらわしておるわけであります。予算の問題しかり、法律の問題しかり。この料金問題の中でも先ほど来申しておりますように一種、二種というような一番大筋にわたる問題は、引き続いてお願いをしなければなりませんが、ごく簡素といっては相すみませんけれども、その一部は省令というようなやり方でお願いをすることも許されるのではないか、こう存じております。
  204. 土橋一吉

    土橋委員 私は第一条の精神から見て、特に第三種郵便物の書籍とか新聞というのは、先ほどのお話では非常に軽視をしているような傾向がありますが、これは御承知のように憲法第二十一条の二項の規定によって保障されているのであります。また二十五条によって、健康にして文化的な生活の一つの基本を全国くまなくすべての国民に均てんさせるという内容を持っておるわけです。したがって、これが政策料金であることは、もうこれは郵政事業始まって以来の問題であります。今日も同じように、過疎化する現象においては、私がこれ以上申し上げるまでもなく当然必要ではないでしょうか。でありますから、憲法の条章その他に従って国民が新聞とか書籍を安く手に入れるということは当然の権利であるし、憲法が保障している内容です。これは別の、たとえば運送会社とかあるいは書店が送るから。それはそれでそういうことをやる人もあるでしょう。しかし、大多数のあまり文化に恵まれないといいましょうか、あるいは勤労生活をしている人でなかなか経済的に豊かでないという人は、やはり小包あるいは特に第三種、第四種を利用することによって非常な利益を受けるわけです。  これが郵政省の持っておるまことに苦しいところであるけれども企業体であってもなおかつこれをしなければならないという使命を私は持っていると思うのです。これを切り離して、いままでの説明だと、汽車の切符を買うようなものという説明でいっておるわけですけれども、これは汽車の切符などと違うわけです。いま申し上げるように教育、文化、社会の事情、国民ひとしくこれによって研究するということはわが国の文化を発展させる基調であるわけです。ですから第三種、第四種の郵便物について、特に身体障害者などこれは当然国が憲法第二十五条第二項の規定によって保障しなければならない問題であります。そうなってくれぱ、これは上げるどころかむしろ下げてもしかるべきものであるにもかかわらず、これを上げることはまことに不都合といわなければなりません。こういう法律体系から見て、郵政大臣はなおそれでも上げるのであるかどうか、明確に答えていただきたい。
  205. 井出一太郎

    井出国務大臣 三種、四種の料金は、御案内のように、同一の重量の第一種の郵便物の料金を上回ってはならない、こういう一つの基本的な制約がまずあるわけでございます。その範囲内において現行の三種、四種の料金体系というものをながめてみますときに、かなり割り安になっておることは事実でございます。そこに政策割引的な意味があるわけでありまして、従来その率があまりにも現状の原価とかけ離れた低位に据え置かれたということでありますから、これを少し常識的な線にまで持っていくという所存でございます。
  206. 土橋一吉

    土橋委員 先ほど料金体系の問題についていろいろお話がございまして、私も、第一種、二種がその郵便の中で占めている比率などいろいろ説明がございました。ところがそのうち第一種の高等信の書状は黒字であるということがあなたの資料によっても明瞭であります。黒字であるのにさらにこれがまた上がってくるということは、第一種の定形郵便物を出しておる人にとっては非常に迷惑千万な話であります。これは国全体の体制からそういうふうになっておるのでありますから、少なくともほかのものについてはまだ研究する余地もありましょうが、第一種の書状の往復については、これは断じて上げるべきじゃないというふうに私は考えておるのです。法律全体がいま申し上げる不当な法律であるし、まことにけしからぬのですから、私はそういう点でそういう意見を持っておることを述べておきたいと思います。  次は、郵政省はいま多くの局舎などを建てておられますが、そのことによってその建物が違法の建築物ではない、たとえば八階とか十階建の建物を建ててそれは違法ではない、建築法上の基準に照らして正当性があるというので建てておるわけなんですが、そのことによって地域住民が、ことに日照権の問題を中心にこれからいろいろ問題が出てくると思うのです。これは大都市の郵便局とかあるいはそういう郵政省関係でたとえば八階、十階の宿舎を建てるとか、こういう問題で多くのそういう日照権とか周囲の問題が出てくると思うのですが、郵政大臣はそういうことに対して地域住民の生活のため、憲法二十九条で保障しておる土地所有権の補償の問題とかあるいはまた住民が居住をしておるという場合に、居住権の補償などについて善意をもってそれを処する考えでいるのかどうか、イエスかノーで答えていただきたい。
  207. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほどの一種については黒字であるにもかかわらず上げるのはけしからぬ、これでございますが、おそらくお手元に資料としての原価計算は四十三年度……(土橋委員「四十四年」と呼ぶ)したがって四十五年はまだ出ておりませんし、六年、七年と考えてまいりますと、お手元の数字よりははるかに値上がりになるであろう、こういうことも考慮されておることを御承知願いたいと思います。  それから、局舎の建築等における高層の建物が日照権の問題に及ぶ、これはそういうトラブルも現にあるようであります。これに対しましてはできるだけ地域の御意向を尊重していきたい。それは日照権の問題があるから、それゆえに絶対的にそこへ建物を建てないというところまでは実際問題なかなかできにくいという現状でございます。
  208. 土橋一吉

    土橋委員 私は一つの例を出したわけですが、現実にそういう問題があるわけです。その前に、全逓という労働組合が何か争議行為なんかばかりして不都合なやつだというものの考え方を郵政大臣は幾らでもしておるのじゃないかという気がするので、私はそういうものじゃないということをひとつ例をあげて説明したいと思う。  いまから二十四、五年ほど前であったのですが、これはここにおられる武部委員もよく御承知のように、当時食糧が困難であって郵政省も非常に苦しんだ。病院も東京逓信病院だけでは足りませんで、御承知のように静岡県の函南に病院を持っておったわけです。ところが、地元から土地開放の問題が叫ばれまして、中学校をつくるとか小学校をつくるために現在逓信省が使っている病院を開放してくれというのでたいへんな騒ぎが起こりました。当時の郵政大臣は降旗徳弥大臣であったかと思うのですが、逓信省はお手上げ状態にあったのです。そこで逓信病院の労働組合からもたっての要請がございまして、全逓としては——当時東京逓信病院が病床約二百前後だったと思うが、函南の病院が結核病棟としてやはり二百以上の病床を持っておったわけです。私たちは地元の市町村役場、有力な方々に御説明申し上げて、全逓は四十万の職員がおる。現在食糧事情もこういう状態だ。特にオペレーター関係や集配関係は非常に過労のために結核その他が多いのだ。したがって、ぜひその中学校を建てるだけの敷地を十分お使いになってもいいけれども、現在の郵政省の函南病院は保全をしてもらいたいということを話をし、なおGHQのサムス准将はじめ幹部の諸君にも再三私など足を運んで、これはやっと確保できたのであります。現在おそらく東京逓信病院の数倍の敷地を持って、これは電電公社になっているかどうかそれは知りませんけれども、かなりな土地を確保して逓信労働者の結核、TBに対する措置をとった例があるわけです。このように労働組合というのは単に賃金を上げてくれとかそういうことばかり言うのじゃなくて、郵政省がほんとうにのっぴきならないときには、あの函南病院を確保するために私たちは非常な努力をし、農民の皆さんを説得をして、そうして郵政省が幾らか金を出して函南中学校を建設したというふうに私は記憶しておるのです。  その関係を持っておるそういう東京逓信病院が、現在郵政大臣も知っておると思いますが、たいへんな建築をしているわけです。その建築は大体三十メートル以上の大きな建物を建てておるわけです。こういうものを現在建築中です。この二階建の看護婦の教習所などと比べてみて、この建物がどんなに高いか、どんなに大きいかということが皆さんよくおわかりになると思うのです。こういうものを建てておきながら、地元の方々に対して十分な了解と——しかも騒音を発し、同時にまた高圧線など宅地の上にのっけたり、あるいはそのために土地がくずれるという問題が起こって他人の土地へ入り込んで土どめをするような、そういう仕組みをやったりしていろいろやっておるわけです。このこと自体、もう相当な問題であります。普通の業者であれば、こういうものを建てます、御近所にも御迷惑をかけますがひとつ何とぞ了解してくださいというので、普通はこういう建物を建てる場合にはちゃんと了解を求めて、ある程度の御支持を願うような体制をとっておるのが普通だと思います。もちろん郵政省も一回ぐらい顔を出したということは聞いておりますけれども、これだけの建物を、しかも住宅からわずか三間ぐらいのところに建てておる。その住宅はこの建物の北側にあるわけです。そうすると日照権が完全に侵される家が二軒ほどあるわけだ。その土地は元細川侯爵の家でありまして、いま問題を起こしているわけで、これは昨年の十月当初からいろいろあなたのほうの諸君とも折衝いたしております。しかしなかなかうまくいきませんし、換地の問題等についてもいろいろ骨折っておるようですが、結局結果的にはだめだということで、既成事実をどんどんつくって建築を施工しているわけです。  そこで私は、郵政大臣にこういうことがあってはならないということをお尋ねする意味でこの話を出したのですが、この土地の問題について、結局こういうものを建てながらこういうことになったわけです。その坂井さんという方に対して、この土地の評価を郵政省側と被害者側、両方でやりました。その土地の評価では、大体約二万円ぐらいの差がございまして、郵政省のいまかえるところの土地と現在の坂井さんのところでは二万円前後の差があるわけです。これはやむを得ないことだというふうに思うわけですけれども、問題はその日照権が侵されて、そしてやむを得ずどうも換地がないのでそのいまの逓信病院の一部分の土地へ移りたいと、それが合意したわけです。それが合意しまして、その合意も、つまり坂井さんという方のほうからお願いをしますという形式で合意をさせておるわけですね。そして日照権として九十七万余円をどうしても払ってくれ、坪数は四十四坪一合何勺のものですが、それを九十七万の金を払うような仕組みになっておるわけです。  そうなってまいりますと、いま申し上げた全体の経過からわかるように、その家の人やその隣の桜間さんという方、これは能の先生で金春の師匠さんです。この二人の方が、そういうことで日照権が侵されまして、——どういう事態で日照権が侵されるかというと、ほとんど日が当たらない、いままではちゃんと平穏に当たっておったのが、この図でわかりますようにもうほとんど日が当たらない状態になる。ただ夕方に幾らか、今度かえたところの土地も現在のところよりもちょっと三間か四間北側になるだけであって、日照権はこの図によってわかりますように、これは日が当たらない状態をあらわしたものです。専門家がかいたものです。こういう事態で問題を起こしておるところに持っていって、その家を現在の建物の一部のうしろのところにかわるということに話がまとまったけれども、換地料として土地の評価が九十七万だから要するにそれを出せということになっておるわけです。これは私は非常に不当だと思います。少なくとも、こういう建物は違法ではないけれども、不適正な方法でこれは建てておるわけだ。そして住居にたえないような状態までつくり上げられておって、やむを得ず郵政省の一部分の土地へかわろうというのに、この鑑定評価をした金額の九十七万円を出せ、こういう形式になっておる。むしろこれは郵政省が負担すべきではないか、かように私は考えておるのですが、郵政大臣はどう考えておるのか。そういう日照権を含めた居住権の侵害あるいは土地所有権に関するまことに不適法な建物じゃないけれども、違法性がないというだけでそういうことをやっていいのかどうか、こういう点について大体説明ではおわかりになったと思うのですが、大臣どう考えておるのか。
  209. 井出一太郎

    井出国務大臣 そういう大きな建物を建てます際に、向こう三軒両隣へあいさつをして仁義を切るということは当然あってしかるべきことだと思います。そこでたいへん具体的な問題でございますから、私も実情を十分聞いた上でないとちょっといまのここで断定的なお答えはしかねますけれども関係者にはできるだけ相手方の話をも聞き、そして円満に事が運ぶよう、こういうふうに申しつけるつもりでございます。
  210. 土橋一吉

    土橋委員 ここに写真を持ってきております。この建物、進行中の状態や、この平家がその家なんですが、これは何と申しましょうか、言語に絶するような状態なんです。これはぜひこの関係の責任者の方、行ってみればすぐわかるわけですが、それを換地をさせてくださいというお願いを書かしておいて、その差額は九十七万払え、それでなかったら換地はしてやらない、こういうようなことになってきておる。しかもそのところに霊柩車をつける穴を掘るとか、あるいはまたその建物をこわした損害賠償もみな払えというような、一応それは取りやめたようですけれども、聞けば聞くほど腹が立つようなことをどんどん進行して既成事実をつくっておる、こういうことがありますので、私どもで写真もあるし、郵政大臣あるいは郵政の幹部の諸君がこれをごらんになって、こういう不都合なことが平然として行なわれておるというのではまことに心外であると言わなけれならぬと思います。  これは単に千代田区富士見町の一坂井さんとか、一櫻間さんという問題ではないと思うのです。いま都道府県に大きな郵便局を建てておりますので、そういうところの北側になった家、あるいは東側になって非常に困るとか、いろいろな問題があると思うのです。そういう問題について、やはりぜひ善処する体制をとりながら地域の皆さんと協力をして、郵政事業国民事業でありますので、単なる郵政大臣や一郵政官僚のものじゃございませんので、国民とやはり歩調を合わせてこの居住権の保障の問題あるいは土地所有権の保障の問題あるいは日照権のなどについても最大のやはり努力をしていただきたい。現在の法令などから見ると非常にむずかしい問題があるわけです。これはそれぞれの理由があると思います。あろうが、いずれにしても郵政省は率先をしてこういう問題について善処方をしてもらいたいということを私はお願いもかねて質問しておるわけです。郵政大臣の再度の御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  211. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほども申し上げましたように、よく実情を調べて善処いたしたいと思います。
  212. 金子岩三

    金子委員長 次回は明十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会      ————◇—————   〔参照〕    逓信委員現地調査会記録      ————◇—————  一、期日及び場所     昭和四十六年三月三日(水)     大阪市(大阪証券会館八階八十一号室)  二、案件     郵便法の一部を改正する法律案(内閣提     出第二四号)  三、出席者   (1) 派遣委員         団     長         (逓信委員長) 金子 岩三君                 内海 英男君                 佐藤 守良君                 水野  清君                 武部  文君                 古川 喜一君                 中野  明君                 土橋 一吉君   (2) 現地参加逓信委員                 古川 丈吉君                 樋上 新一君                 栗山 礼行君                 中村 拓道君   (3) 政府側出席者         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君   (4) 意見陳述者(発言順)         大阪府民生児童         委員      岡本 梅子君         弁  護  士 佐々木静子君         神戸大学名誉教         授       竹中 龍雄君         関西主婦同盟議         長       岡崎安佐子君         大阪送風機製作         所社長     松山賢太郎君         全日本労働総同         盟大阪地方同盟         書記長     松木長五郎君   (5) その他の出席者         衆議院逓信委員         会調査室長   佐々木久雄君     —————————————    午前十時二分開会
  213. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) これより衆議院逓信委員現地調査会を開催いたします。  私が委員長金子岩三でございます。先例によりまして、私がこの会議の座長をつとめますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、私から、派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  この会議におきましては、内閣提出にかかる郵便法の一部を改正する法律案について、各界の代表の御意見を伺うことになっておりますが、御意見をお述べいただく前に、この会議の開催趣旨並びに運営方針等につきまして申し上げたいと存じます。  この会議は、先ほど申し上げました郵便法の一部を改正する法律案審査の参考に資するために、衆議院逓信委員会が成規の手続によって当地の御意見をつぶさにお聞きするため開催されるに至ったものであります。  本法律案は、郵便事業運営に要する財源を確保するため郵便料金を改定するとともに、利用者に対するサービスの改善及び事業能率化をはかるため新しい役務を弾力的に提供することができることとする等の改正を行なわんとする改正案でありまして、去る二月四日、内閣より衆議院に提出されたものでありますが、国民生活上不可欠の郵便サービスに関する重要議案でありまして、本会議趣旨説明の後逓信委員会に付託され、目下当委員会において鋭意審査中のものであります。  御意見陳述される方々には、本日は御多忙中のところこの会議に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。以上の趣旨をおくみ取りくださいまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  それでは、まず本日の出席者を紹介いたします。私の右側に、自由民主党の古川丈吉君でございます。同じく内海英男君、同じく水野清君、同じく佐藤守良君、無所属の中村拓道君。私の左側が、日本社会党の古川喜一君、同じく武部文君、公明党の樋上新一君、同じく中野明君、民社党の栗山礼行君、日本共産党の土橋一吉君であります。  各界を代表して意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。私から向かって右側から、大阪民生児童委員岡本梅子君、神戸大学名誉教授竹中龍雄君、大阪送風機製作所社長松山賢太郎君、弁護士佐々木静子君、関西主婦同盟議長岡崎安佐子君、全日本労働同盟大阪地方同盟書記長松木長五郎君、以上の方々でございます。  なお、衆議院より佐々木逓信委員会調査室長、郵政省から小渕政務次官、野田官房長竹下郵務局長、溝呂木経理局長が出席いたしております。  次に、出席されております方々にあらかじめ申し上げておきます。この会議運営につきましては、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則、議事手続に準拠して行なうことにいたしております。つきましては、議事の整理、秩序の保持は、座長であります私が行なうものといたし、傍聴につきましても、報道の任に当たられる方々、その他の方々で特に座長の許可を得られた方々のみこの会場にお入りになっておるわけでありますが、傍聴の方々も、その点を御承知の上、静粛にお願いを申し上げます。  なお、念のため申し上げておきます。発言をなさる方々は、必ず座長の許しを得て発言をしていただくことといたしております。また、この会議におきましては、御意見陳述される方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知をお願いしておきます。  次に、会議の順序を簡単に申し上げます。  まず、各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、そのあとで委員の側から質疑が行なわれることになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間はお一人おおむね十分程度にお願いいたしたいと存じます。また、発言の順序は座長においてきめさしていただきます。  それでは、岡本梅子君からお願いいたします。岡本梅子君。
  214. 岡本梅子

    ○岡本梅子君 私は、郵便法のことにつきましてはあまり詳しくはございませんのですが、家庭の主婦といたしまして、また郵便利用者の一人といたしまして、たいへん恐縮ではございますが、私個人の意見を述べさしていただきまして、皆さまの御参考に供していただければと存じております。  最近のように物価がどんどん上がってまいります中で生活いたしておりますと、値上げということばには、私ども主婦にとっては、とっても敏感になっております。このたびの郵便料の値上げにつきまして伺いましたときにも、一家の経済をあずかっております主婦といたしましては、あら、たいへん、またかなという気持ちになりまして、本来でございましたら反対はいたしたいと思うのでございますが、郵便につきましては、そうともばかり言っておれない気がいたしております。  現在の郵便料金は、四十一年度に改正されまして、改正後しばらくはおおむね順調に過ごしてまいったようでございますけれども、四十四年度には赤字となり、四十五年度には百十九億円の赤字に達しているそうでございます。  御承知のとおり、郵便事業の性質上、どうしても人の力にたよるところがきわめて高くて、そのために人件費が全体の経費の八〇%を占めるように聞いております。現在、どこの企業や会社でも求人難でとっても困っておられるようでございますが、特に郵便のお仕事というものは人手が非常にかかるお仕事ですから、年々ふえていきます郵便物を処理するためにも、相当の人手を確保しなければいけないだろうと思っております。そのためには、郵便局をもっともっと改善していただいて、職員の宿舎などの厚生施設もよくしてあげる必要があるのではないでしょうか。とりわけ、雨の日も風の日も休むことなく郵便物を配達される集配の外務員の方たちのためにも、できますならばお給料をもっとふやしてもらいまして、そうして待遇をよくしてあげるわけにはいかないものでございましょうか。そうでもしてあげなければ、きょうびはどこに行っても若い青少年なればお仕事がたくさん見つかる時代だそうでございますので、あまり報われない集配外務員さんになる方が、なり手がだんだん減ってくるように思いますので、よけい困った状態になるのではないのでしょうか。私の近所にございます郵便局では、地元の方はだんだん減りまして、九州とか四国、それから東北系統から、ともかく親のもとを離れまして遠方から若い人たちが外務員となって勤めておられるようでございます。その方たちのお話を伺ってみましたときに、ともかく二十になるまではお食事つきの寮生活ができるんだそうでございます。そして成人式を迎えまして二十を過ぎましたならば、後輩にあとを譲られて、自分が下宿なりそれからアパートをさがされるそうでございます。そういたしまして、三万何千円かのお給料の中から下宿生活を送ってなさる外務員の方は、最低で一万二、三千ほどの費用を払って、まだそのあとにクリーニング料とか、それから牛乳代とか、そういうのを引きますと、結局はボーリング代も出ないときがあるんですよと、笑いながら言っている少年の方もございます。また、郵便局の制服にいたしましても、もう少しデザインを考えていただいて、ぱちっとしてかっこいい職場にするようなことが大切ではございませんでしょうか。道行く郵便局の赤い車も、とっても親しみ深いものがございますが、もっとオートバイとか、それからライトバンとかも、たくさん使う必要があると思います。先日の新聞に、皆さま御存じと思いますが、万博に使用されておりました電気自動車を新聞配達用に使うようになったというふうな記事が出ていたようでございますが、郵便局のほうでも、こういう能率的な機械化をしてスムーズに配達できるように取り入れていただかなければいけないと思うのでございます。また、大阪市の周辺で急速に開発が進みまして、こういうところの人口過密の場所に、新設の局舎も必要でございましょう。  そのようないろいろなことを進めていかれるためには、常に赤字となっている郵便の会計のままではやはり無理があると思います。値上げには決してもろ手を上げて賛成というわけにはまいりませんのですが、ある程度やむを得ないのではないかと考えております。もちろん、料金が上がりますからには、郵便の遅配、誤配というものをぜひなくしていただくようにお約束願わねばならないと思います。いいえ、お約束していただきたいと思います。正直言って、今日の郵便サービスには、世間の人は十分満足しているとは言えないと思います。  以上、いろいろと申し述べてまいりましたが、この際、大切に思いますことは、遅配のない郵便サービスで、ほんとうに皆さまに親しまれ、安心して利用できる郵便にしていただくことができましたら、このために必要ということでございますれば、この郵便法改正に私は賛成いたしたいと思うのでございます。  以上、つたなうございましたが、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  215. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 次に、佐々木静子君にお願いいたします。
  216. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 今次国会で審議中の郵便法の一部を改正する法律案につきまして、私は、反対の立場から意見を申し上げたいと存じます。  改正案は、郵便料金の全般にわたって大幅の値上げを打ち出しておりますが、諸物価のこの著しい上昇のおりから、きわめて公共性の高い郵便料金国民の反対の声を押し切って一方的に引き上げるということは、ますます諸物価の上昇を見ること火を見るよりも明らかであります。そういう意味におきまして、私は、働く者の一人として、また主婦の立場においても、絶対にこれは反対申し上げたいと思います。佐藤首相は、消費者団体などから値上げ反対の強い要望によりまして、手紙、はがきの値上げを避けるようにと郵政大臣に指示していたということでありますが、それにもかかわりませず、郵政審議会という限られた場でかってに値上げを打ち出してきたことにつきまして、これは国民の声を無視し、約束を踏みにじったものであって、とうてい容認することはできないのであります。また、この法律案は、いままで削除されていて空白になっておりました郵便法の第三条に、新たに「郵便に関する料金は、郵便事業能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない」の一項目を設けております。また、この郵便法の一部を改正する法律案提出の理由といたしましても、郵便事業運営に要する財源を確保するために、郵便物の料金を改定するとともに云々というふうにその理由を述べておられますことから考えましても、これは、明らかに郵便法第一条の「この法律は、郵便役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」という、この郵便法の一番の目的とする規定に違反しているわけでございます。健全な運営とかあるいは適正な費用という名目に隠れて、この公共性の強い郵便事業性格をあたかも企業的なものにかえて、それを国民に対する負担を重くしようとしているのでありまして、この郵便法第三条の条文を追加することによって、ますます郵便料金値上げの口実を法律的にも与えることになるおそれが十分にあると思います。この第三条を設ける改正案には、そのような意味において応ずることができかねるものでございます。  さらに改正案には、第三種郵便物あるいは盲人用の点字を除く第四種郵便物、及び小包郵便物の料金並びに特殊取り扱いの料金は、郵政大臣郵政審議会に諮問したうえ省令で定めるというふうにしようとしておりますが、これは郵便事業公共性をなしくずしに弱めるものであります。そして法律の手続によらずに料金を一方的に値上げする口実を正当化しようとするものであります。その上、財政法の第三条の規定、「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業料金については、法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」という規定、及び財政法第三条の特例に関する法律によりまして、郵便に関する料金は、製造たばこや国有鉄道、あるいは電話料金などとともに、国会の議決を経てきめなくてはならないという趣旨の規定があることから見ましても、これらの条項に明らかに矛盾、違反するものであると考える次第でございまして、法律家の一人として、これは容認することができないと思うのでございます。  要するに、この改正案のねらいは、国営事業としての郵便事業をなしくずしに取りくずし、国会で定めよという民主的なルールを、法律までを無視して、国民の意思と関係なく、一方的に料金事業の運行をはかろうとするきわめて独善的なやり方でございまして、反対せざるを得ないのであります。  郵政審議会答申は、郵政事業の正常運営を確保することを方策としながらも、その中身は、実は郵便料金値上げが中心であります。事業の正常運営について納得できる具体的な改善策を見出すことはできません。むしろ、配達の回数を一日二回を一回に減らす案や、あるいは労働力不足を理由に団地ママさんの配達に見るような、安上がりによるサービスの低下の政策が目下進められようとしております。特に、後者の団地ママさんの配達の問題につきましては、郵便法第九条第一項並びに第二項、秘密の確保という点におきましても、万全を期しがたい実情であるのみならず、郵便事業の持つ本質的な問題にも抵触する危険をはらんでいると申すことができると思います。国民意見があまり反映されていると思われない郵政審議会という限られた特定のメンバーで郵便事業というきわめて国民生活と密着している事業運営について一定の結論が出され、それをもとに法改正が強行されるという非民主的なきめ方は、賛成することはできないのであります。  また、かりに郵便事業の赤字がいま問題になるとするならば、これはもちろんそこに働く労働者の待遇の改善、あるいは必要な庁舎の設置、あるいは働きやすい職場の確保、その他さまざまな問題がございますが、その問題を解決するために直ちに料金値上げという安易な道を求めるのではなく、これは国家事業としての郵便事業なのでございますから、国家予算全体の中でこの改善の道を講ずべき問題であると思うのでございます。  簡単でございますが、私の意見を終わらしていただきます。
  217. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 次は、竹中龍雄君にお願いいたします。竹中龍雄君。
  218. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 まず、料金の改定について意見を述べます。  昭和四十一年に、将来五カ年間の収支の均衡を目途として料金の改定を行ない、その予測がほぼ的中し、改正を行ない得るときに料金の改定が実行されるわけでありますから、この改定は不当とは言えません。  問題は、改定の内容と値上げ率であります。私は、昭和三十六年に発表しました学術論文で、公共企業料金は、公、私営の別を問わず、一度に三〇%以上の値上げをすべきでないと論じましたが、これは正常の安定した発展経済を前提にしております。現在の日本は、短期に高率の発展を続けつつあり、しかも激動期にありますから、今回の平均値上げ率三五%は、やむを得ないものであり、不当とは思いません。  昭和四十一年から昭和四十五年度に至る郵便事業職員給与の上昇率は一・六倍と承りますが、これは改定時には予想されなかったものと推測いたします。したがって、四十一年の予測は全体としてはほぼ的中していますが、個々の内容まで正確に推測どおりになったわけではありません。人件費が予測以上に上昇し、しかし全体としてはほぼ予測どおりであったわけでありますから、その間経営能率があがって、他の費目の合理化人件費の上昇を吸収されたことになります。この点は、当局の御努力に対して一応敬意を表します。  ただ、私が参加しました郵政審議会委員会答申中に述べてありますように、郵政事業九十年の歴史の発展過程における経営管理上の進歩は遅々たるものであって、顕著な発展が認められませんでした。その後当局は御努力とくふうを重ねられ、ある程度成果をあげていられますが、必ずしも十分とは申せません。この点は、昭和四十五年の郵便事業の正常運営を確保するための方策に関する答申を読んでも明らかであります。このため、一部の方は、まず経営合理化の実を十分にあげた後料金の引き上げをせよと論じている方がありますが、私は、まず先に当局を信頼して、今回の提案に賛成します。その上で当局の奮起を促し、いままでのおくれを取り戻すよう一段のくふうと努力を重ねられることを切望します。この実現は、簡単にできるようななまやさしいものではありません。ゆえに長期にわたって努力を持続し、何回かの段階をのぼって目的を完遂されることを期待します。  と申しますのは、公営企業経営は、一般の行政と違いまして、信頼の上に立っております。この点は民間企業と同じであります。人々の信頼を受けて、広い意味における経済——この経済は、狭い意味の経済、経営、会計を含んだものです——のもろもろの理論と最新の技術をフルに活用し、動態経済の中にあって適時を失せず弾力的経営をするところに公営企業の本質があるんであり、これによって能率が十分に発揮されるからであります。  郵便法の一部を改正する法律案の提案理由説明を見ますと、「この法律案郵便事業運営に要する財源を確保するため郵便料金を改定する」とありますが、理論的には、料金改定の第一次的理由を財源確保に求むべきではなくて、料金の適正化こそ基本的なものであります。その意味において、新たに第三条を特設したのは適切でございます。私は、昭和三十五年に雑誌「郵政」の六月号に載せました論文で、郵便法第一条の規定は近代的なものとは言いがたい。ぜひ三条のような規定を設ける必要があるということを強調しておいたのであります。これが実現したことは大きな進歩であり、改善かと思います。  次に、今回の法律案は、郵便料金関係の規定を整備し、法律で規定するものと省令に委任するものとを区別していますが、これは公営企業料金の本質に照らして妥当の措置と考えます。時間がありませんので、個々の点について意見を述べることは割愛いたします。  なお、改正案は右のほか、独占の場合と代替物が存して競争の要素の入る場合とを分けて研究しておるのは、理論にかなっているばかりでなく、世界の大勢と一致しております。私は、昨年一月から二月にかけて約一カ月間、通産省関係の調査団の団長として世界を一周し、代表的公企業の若干を訪問して、総裁そのほかの方と会談したことがありますが、その間その点を親しく目撃してまいりました。  第三に、この法律案事業に即したサービスを弾力的に提供し得る道を開くことを目的としていると書いてありますが、これも妥当な措置と考えます。問題は、事業を科学的に測定する準備がはたしてできているかということと、測定された結果を基礎として適時に適切な処理が行なわれる保障があるかということであります。私の研究した結果を申し上げますと、日本の公営企業の多くが最近経営困難におちいっている根本的原因の一つ——唯一のものではありません——は、需要の測定が科学的でなく、不完全な場合が多いということ、それから外部環境の変化に応じて、時を失せず適切な順応をすることがおくれている例が多いこと、もう一つは、あと追いでなくて、積極的に先を見越して適当な政策を適時に実行する実例がきわめて少ないためであります。  この点に関して注目すべきことは、最近民間企業における戦略的意思決定に関する研究が外国で盛んであり、それが日本でも活発に取り入れられておるのみならず、実践されております。それは私企業中心としておりますが、公営企業についても、トップマネージメントが戦略的意思決定を行なうことが重要であります。しかも、注意を要する点は、公営企業にあっては戦略的意思決定の研究と実行は民間企業以上に困難であるということであります。郵政企業経営について、トップマネージメントの戦略的意思決定が見事に行なわれ、りっぱな成果があげられることを祈り、かつ期待いたします。  以上、私は法案の大綱に対して賛成すると同時に、若干の批判をしましたが、批判には三種類のものがあります。  第一は、批判のための批判であります。私はこれはとりません。  第二は、科学的研究過程における批判です。一学徒たる私はこれを重視いたしますが、ただいまの陳述においては、この点に重心を置いておりません。  第三は、改善並びに改革に役立てるための批判で、これがただいま私がとっている態度であります。しかも、この場合における批判は、単なる外在的——外からの批判ではなくて、そのうちに入って立案者の真意を深く理解し、愛情をもってこれをよく理解して改善に役立てるというような内在的批判をあわせ含んでおります。と申しますのは、批判がなければ根本的な改善と改革はありません。現状に甘んじているところに本格的な改善はないからであります。  以上言ったような私の意のあるところと郵政に対する理解と熱意をおくみ取りくださいまして、意見を参考にしてくださいますならば、幸甚に存じます。
  219. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 次は、岡崎安佐子君にお願いいたします。岡崎君。
  220. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 最近のあれもこれもと気違いじみた物価の上昇は、家計をあずかる私たち主婦にとって全く頭の痛い問題でありまして、生鮮食品のみならず、私たちの一番おそれていた公共料金の値上げという問題が出てまいりました。すなわち、健康保険料金電話料金、タクシー料金などの一時に押し寄せつつある値上げに加えて、いま最も身近く迫った郵便法改正による料金値上げの問題でございます。私たちは、今後どのようにして生活していけるのだろうかと、暗たんとしたこのごろの気持ちでございます。  いままでの、さすが公共料金だけあって、郵便料金は安いという安心した通常観念を破って、その料金が、昭和四十一年には二八・八%値上がりし、またこのたび平均三五%という、かつてない大幅な値上げを規定された改正法案が今国会に提出されるということは、私たち主婦にとって大きいショックでありました。すなわち、佐藤総理は、昨年十二月、消費者団体の代表に対してはがきや封書の値上げは生活に影響が大きいので上げないと約束されましたし、また経済企画庁長官は、公共料金を一年間値上げストップしたいと言明されておりました。にもかかわらず、今回の郵便法改正は、こうした公約を破るものであり、国民無視もはなはだしく、この公共料金の値上げは一般物価の値上げに大きく影響してくることは当然でありましょう。しかも、この公共料金の引き上げは、家計においては低い所得者ほど圧迫を受けることが、第一銀行の調査で統計の上に出ております。すなわち、昭和三十八年の公共料金を百としますと、低所得者層は三三・九%上昇したのに対し、高所得者層は三〇・二%の上昇で、この差だけ低所得者のほうが公共料金の被害が大きいことになっております。すべて物価の基準となる公共料金の値上げ抑制こそ、物価安定の基本ではないでしょうか。公共料金という政府みずからの手でできる物価対策をやらないで、どうして他の物価を押えることができるでしょうか。  本日は、公聴会を経済の都といわれる大阪で開いていただき、私たち主婦の率直な意見を聞いてくださることと私は喜んでまいりました。ぜひ私どもの切実な訴えを国政に反映していただきたいことを心から訴えるものでございます。  今回の郵便料金値上げについては、全く安易に企画されたものであるとの印象が非常に私は強く感じられます。  まず、郵便料金のうち、第一種の封書については十五円から二十円、二三%の値上げになり、第二種のはがきは、七円が十円に、実に四三%の値上げ幅であります。第三種の新聞、定期刊行物は、驚くなかれ平均二倍の値上げ、第四種等については、一・五倍から二倍の値上げとなり、小包郵便物では平均八〇%の値上げ率になっております。値上げ理由は、赤字解消のためということではありますが、このような措置についてはあくまでも慎重であるべきで、これが回避のためには最大の努力を尽くすべきが当然と考えられるのであります。  また今回の改正は、第三種、第四種等の郵便物まで、いままでは国民の代表である国会できめられるようになっていたものを、どうして郵政省だけで値上げできる省令事項となさるのですか、私たちにはその点理解できないのであります。これでは、国会を抜きにして、いつでも自由に値上げできることになり、明らかに国会軽視でもあり、野党はもちろんでありますが、与党の自民党の議員さんがこれを認められることは、みずからの国会議員としての審議権の放棄となりはしませんでしょうか。これはたいへんなことだと私は思うのです。公共料金は、国民の代表である国会で正々堂々と審議をしてきめることが、議会制民主主義のルールではないでしょうか。これを無視されようとする今回の改正には、私たちはどうしても納得できないのであります。  次に、封書、速達は、十分採算がとれてもうかっておるようであります。ただ、第三種、第四種などは、政治的に配慮されて安い料金にすると国会できめられているのでありますから、これは政治の責任において一般会計から穴埋めするのが当然ではないでしょうか。政治、経済、教育などの機会均等等ですべての国民公共の福祉に浴せるようにとの憲法精神から見ても、特に配慮された政策料金である以上、ここから出る赤字をもうかってる封書や速達にかぶせるのは、とんでもない話でございます。これは当然一般会計から応援すべきで、国民大衆が広く利用している他の郵便物にはね返らせることは、許されないことと思います。ぜひ値上げはやめていただきたいと思うのです。  最近、特に盛んになった通信教育をはじめとする郵便物の利用は、社会的にも個人的にもどんどんふえていっておりますのが現状です。これがみな大幅な値上げとなって家計にはね返ってくるのではたまりません。私たちは、もうこれ以上物価の値上がりはごめんです。その上に考えられることは、今回の値上げによって郵政省郵便物数の伸び率を大幅に少なく見ておられるということで、これはすなわち私たちの自由な意見を交換し合う通信の制限となり、これこそ全く言論の抑圧と言わざるを得ません。  次は、郵便の配達速度の問題でありますが、いまから七百年前の鎌倉時代でも、すでに京都の六波羅から鎌倉まで飛脚が四日で郵便を届けたと記録されております。スピード時代と言われる現代でありながら、ひどいときは、同じ市内でも五日も一週間もかかっております。  ここで、私たちが郵便の遅配のためにどんなに迷惑をこうむっているかという、最近の実例を一、二聞いていただきたいと思うのであります。目下受験シーズンですが、私の友だちの子供さんがある学校を受験いたしましたが、合格の通知をいただくための切手を速達料にして内申書とともに同封して出しておきました。ところが、同じ受験した二人の子供は普通郵便の切手を入れておいたのですが、その二人には合格通知が来たのに、速達にしておいたその子供さんの家にはまだ通知が来ませんでした。その間、本人も親も非常に心配しておりましたところへ、ようやく合格通知が参りました。一刻も早く知りたいと思って速達にしたのに、普通郵便と同じ配達になったわけです。何のために高い速達料を払っていたかわかりません。また、島根県からお正月のためにあん入りのおもちを大阪へ送ってきたのですが、一月十五日過ぎても着かないので郵便局へ問い合わせに行くと、小包は着いたままになっていたのです。持ち帰って中を見ると、おもちはかちかちで、あんはすゆくて食べられなくなっていたそうです。  このような状態で、郵便はおそいものと半ばあきらめを押しつけられているきょうこのごろでありまして、郵便局へ行っても、急ぐ郵便は速達でと言われる現状で、そのために私たちは速達で出すのが普通の感覚にさせられてしまっている状態ではないでしょうか。前回四十一年の改正で速達料が七割近い値上げが強行され、現在は五十円となっております。実際の郵便物の伸びをごらんになったらわかるとは思いますが、普通郵便の何倍も速達はふえているではありませんか。これだけ見ましても、私ども国民は、すでに実質的値上げを押しつけられているのであります。これだけサービスが悪く、無責任な当局が、その上にまだ値上げをされるというのは、どういうことでしょうか。かつて四十一年の値上がりのときも、サービスをよくするということで値上げされたにもかかわりませず、ますますサービスは低下しておりますので、今回も郵政省サービス改善が信じられないのは、私一人ではないと思います。  今回の改正は、どこをとってみても、広く利用している一般国民大衆のほうに値上げをしわ寄せし、赤字で郵政省自身が困っているときに、一方ではまだ大口利用の企業優先の割引料金を継続し、その上新設まで考えられているということは、どうしても納得できないし、政府の国民不在の政治姿勢を端的にあらわしているとしか言えません。郵便番号を記入することも、私たちにとってはずいぶん手間のかかることですし、ことしの年賀状もほんとうに手間がかかりました。しかし、私たちは一生懸命協力しております。にもかかわらず、公共事業ということの上にあぐらをかいて、赤字になれば簡単に値上げをすればよいとする政府の横暴な態度は、全く許せないと思うのであります。それに、先ほど例をあげましたように、良心的なサービスが全くなく、不親切で無責任な郵政省の現在のやり方、その上に大衆を無視したこのたびのかってな値上げには、何としても私たち主婦は絶対に反対であります。  以上、意見を申し述べて終わらせていただきます。
  221. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 次は、松山賢太郎君にお願いいたします。
  222. 松山賢太郎

    ○松山賢太郎君 御指名を受けました、西成区におきまして事業場を持っておりまする大阪送風機製作所の松山でございます。今回、郵便法の一部が改正されることになりまして、本日、衆議院の逓信委員会の公聴会が開催されることになりまして、衆議院の諸先生の御出席の中、郵便法改正につきまして中小企業立場より意見を申し上げることは、まことに私の光栄と存じている次第でございます。私の申し上げますことが、郵便法改正のために何かの参考になりましたら、私の最も喜びとするところでございます。  まず、結論から申しますと、郵便法改正にはいろいろと問題もあると思いますが、社会情勢と改正法案の内容を考えまして、賛成をいたす次第でございます。  これより二、三その賛成の理由を申し上げたいと思いますが、第一に、改正案の内容は、郵便事業の自主的な運営による独立採算制と近代化がおもなる目的であると思います。また、改正される郵便法は、昭和二十二年の終戦直後のもので、その当時の社会、経済の情勢から勘案いたしまして、現在とたいへんに相違しており、改正の法案が非常に進歩的で近代的であることと存じ上げる次第でございます。  次に、われわれの日常生活に関係のある郵便料金の値上げにつきましては、昭和四十一年七月より五年間据え置きで、この間急速に諸物価と賃金が大幅に上昇した時期でありましたが、幸いにも、日本経済の成長によりまして、郵便物の取り扱い量が増大し、したがって収入増にささえられてまいりましたが、最近に至りましては、取り扱いの郵便量にも限度がありまして、逐次収支のバランスがくずれて赤字財政を見るに至り、郵便料金改正のやむなきに至ったものと存じ上げる次第でございます。  次に、労働力の確保に、特に若年の良質の人材の雇用は非常に困難でありまして、これが対策には、近代的な運営局舎の改築、特に待遇の改善、福利厚生の充実によって労働問題の解決が必要であると存じます。当局におかれては、この労働問題に対処いたしまして、省力化の計画により、近代的な機械の導入により、能率向上に効果をあげておられまするが、まだまだ労働力にたよらなければ安定した郵便物の送達を確立できない現状であることをよく考えて、設備の改善と安定した要員の確保に、郵便法改正によってその成果をあげていただきたい。中小企業のわれわれといたしましても、必要なる要員と人材の確保には非常に苦労をいたしておる次第でございます。  公共料金の値上げにつきまして一言申し上げてみたいと思いますが、一般の市場の物価の動きを見ますと、毎日のように二歩前進して一歩後退するというような状態が繰り返されておりまして、いつの間にか知らぬ間に大幅な値上げとなっておりますが、公共料金の値上げは、国民の非難と攻撃を受けるので、相当の期間を据え置き、これによって大幅なる料金改正が行なわれておりますが、今回の郵便料金の値上げにも、封筒が五円の少額ではありますが、三割強の高率となっております。三割という率が一般の物価の上に上積みされるのではないかという不安を生ずることにもなりますが、郵便料金は五年間に五円、すなわち一年について一円の値上げとなりますので、毎年値上げを行なわれますと、たいした問題にもならぬと考えますので、公共料金も小きざみに改正されれば物価に反映するおそれも少ないのじゃないかと、かく私は考えるのでございます。その上、赤字の累積もなく、健全財政が保持されると考えますからでございます。  その次に、郵便料金が過去どれぐらいの物価指数によって差を生じているかということを申し上げますのに、非常に簡単なもんでございますが、私は、大正九年兵でございまして、その当時、いまから五十年ほど前になりますが、米一俵四斗俵で七円から八円という相場でございました。そうして大豆が一俵が二円五十銭、いまから思えばほんとうに夢のようなものでございますが、そういう相場を知っているということは、私が入隊しているときに、父が、五円の小づかいを送ってくれまして、この五円の金は大豆の二俵の代金である、大切にして使うようにという手紙がありまして、いまでもそれを記憶しておりますが、その八円の米というものは、すなわち一升が二十銭でございます。その二十銭で一升の米の時代に、はがきが一銭五厘でございまして、現在はその一俵の米が九千円以上の価格をしております。かりにこれが八千円といたしますと、一升で二百円ということになって、二百円に対しまする先ほど申しました一銭五厘の比率をとれば十五円ということになりまして、現在はがきが十五円しても、だいたい五十年前の郵便料金とは高くないということを私はここで申し上げたいと思うのでございます。  最後に申し上げたいことは、郵政省におきましては、常に郵便事業の円滑な運営近代化労働力の省力化に専念されまして、さらに最近の科学技術の水準の驚異的な発展に目をおつけになって、外国にもまだ開発されていない郵便番号の読み取り機をいち早く導入して機械化に努力を払われておることでございまして、その成果をあげておられることに深く敬意と感謝の意を表するものでございます。今後さらに国民の信頼を得て、郵便事業合理化により遅配を解消し、ますますの発展のために努力されまするように御期待を申し上げて、今回の郵便法改正に全面的に賛意を表しまして御協力申し上げる次第でございます。  以上を述べまして、私の意見の発表といたします。どうもありがとうございました。
  223. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 次は、松木長五郎君にお願いいたします。
  224. 松木長五郎

    ○松木長五郎君 基本的な考え方を申し上げたいと思います。今回の郵便法改正については、基本的には反対を表明を申し上げておきたいと思います。  第一点は、現行の郵便法第一条の趣旨と今度改正を意図されておる第三条の趣旨が、どうも食い合わないんじゃないかという感じがしたからでございます。  第二点は、郵政省事業として、郵政事業特別会計法で運営をされておることでございますが、どうも最近、日本の産業経済の発展、特に民間産業の経営における合理化ないしは企業の努力、こういう面からいきますと、郵政省企業努力、こういうものがまだまだ欠けているんじゃないか。しかし、後ほど触れますような政策的な料金を実施しておる現在の料金体系からいけば、こういうことを申し上げるとおこられるかもわかりませんが、多少の赤字について国がそういう合理化なり機械化なりもしくは基本的な政策のあり方として一般会計から特別な補てんをすべきであるというふうな考え方について、私はそういう考え方に対して賛成をしたい。何もかにも赤字を一般会計から補てんをせえということではございませんが、少なくとも急増する地域社会に必要に応じて局舎を設置をするとか、新設をするとか、増設をする、もしくは合理化機械化のための先行投資、こういうことについては、特別会計だから一般会計では全然しない、自前でやれという考え方だけでなしに、そういうところに政策料金的な要素に対する一定の特別の手当てをすべきじゃないかというふうに考えたわけです。  それともう一点は、郵政審議会の扱いでございますが、いろいろ郵政審議会方向をきめ、その答申に基づいて国会に郵政当局が法律改正の手続をするという形をとっております。郵政審議会の内容といいますか、審議会に対する国民の不信といいますか、そういう点が今回の値上げについて出されておるんじゃないか。もう少し広い意味の、もしくは権威を持った形といいますか、現在の郵政大臣の諮問機関といいますか、郵政大臣が指名をするというような形でない、国会の人事承認を必要とするような形で権威を持たせる——権威と言うといかにもおかしな感じがすると思いますが、そういうことをやはり考えるべきではないか。特に、今回のそういう改正ということを見ますと、そういう感じがしないでもございません。  私が聞き及びます内容を申し上げますと、第一種の定形郵便については、原価計算上からいけば黒字である。主として赤字が生じておるのは、第三種以降、その他の郵便物、こういうふうに承っております。その黒字である第一種までも値上げをして総合的な黒字政策を実施しようというようなことについては、私はどうも納得がいきません。主として赤字が生じておる内容としては、政策的な料金が主体になっております。そういうことを考えますと、最前申し上げましたように、そういう政策的な料金の犠牲になっておるとすれば、当然国の施策の上から何らかの援助をすべきである。しかし、それも赤字だから全面的にというわけには、国民の税金ですからなかなかならないと思いますが、そこで、さっき申し上げたようなことをお考え願いたいと思います。  これも大阪府の統計の資料でございますが、昨年の万博開催中に、大阪では、九・一%というような非常な物価の値上がりをした時期がございます。そういう状況を考えますと、物価の抑圧ということをことしの年頭のあいさつに佐藤首相がされておりますが、どうもその後の動きというのは、物価の抑圧じゃなしに、むしろ引き上げを助長するような、そういう感じになってしかたがございません。われわれ勤労者としては、消費者物価の安定のためにも、公共料金が率先してそういう物価の抑制に資するようにしていただきたいと、こういうふうに念願をいたしております。しかし、どうしても料金改定を体系的にやらなければならないということでもしあるとすれば、そういう全般的な値上げというよりは、むしろ現在一番赤字が生じておるようなところについて、もう少し科学的なメスを入れるべきじゃないか、あえてそういうことを申し上げまして、基本的な反対の内容としたいと思います。  それともう一つは、これは郵政当局に対する忠告といいますか、考え方でございますが、どうも郵政当局の労務対策といいますか、ただ労務ということだけでなしに、郵政事業の、国民にはやはりサービスをするという姿勢において欠けておる点があるんじゃないか。毎年恒例のように、二回、三回郵便物が三日も四日も、はなはだしいときには一週間余にわたるような滞貨が出てくる。基本的に、私は郵政当局の姿勢が間違っておる、もう少し近代的な経営と関連をして、そういうことを考えるべきじゃないかと思います。しかし、それはただ職員におべっかを使えということではございません。もう少しき然とした態度なり、職員の養成なり、教育なり、そういうものを一般企業が率先してやっておる状態というものを率直に郵政当局も考えられ、導入すべきではないかと、こういうことを考えております。  以上、基本的なことを申し上げまして、私の意見にかえさしていただきます。
  225. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 以上で御意見陳述は終わりました。     —————————————
  226. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) これより、委員からの質疑を行ないます。  水野清君。
  227. 水野清

    水野委員 私は、自由民主党の水野清でございます。すわって皆さん方に御質問さしていただきます。  本日は、大阪郵便法の一部を改正する法律案について公聴会を開きましたところ、意見陳述人の皆さま方にはたいへんお忙しいところを御出席をいただきまして、皆さまから貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。私ども非常に参考になりました。つきましては、皆さま方に、私だけでございません、諸先生方からも御質問があるんでございますが、二、三それぞれ御質問を申し上げたいと思います。  私は、実は竹中先生に最初に御質問をしたいんでございますが、先ほど来、竹中先生のいわゆる公営企業というもの、この郵便会計も公営企業一つでございますが、これに対する基本的な経営上の御意見、非常に私は教えられるところが多かったわけでございます。その点について、もう少し突っ込んでお話を聞きたいと思います。  私は、自分の考えてることをちょっと申し上げさしていただきますと、要するに、いまの郵便事業は、労使ともに親方日の丸的な考え方というのがまだ非常に内部に残ってる。ことしは郵便事業創始百年だといいますが、なかなかそれが抜け切れないということ、この問題が賛成、反対それぞれに派生的にいろんな御意見となって出てきてるように思うわけです。たとえば、いまの労働問題、滞貨についての労働問題にしても、本質的には使用者側と労働者という立場にはもちろんありますけれども、たとえば年末の郵便滞貨なんかは国民の迷惑というものをよそにしてあそこで争っておられる。年賀状が何十万通たまってるということが書かれていても、ここで労働組合がおりたらベースアップに失敗するんじゃないかという、そういうお立場だけでがんばっておられる。片っ方も、ここで譲ったらいかぬと、こういう姿勢がうかがえる。こういう点も一つでございます。あるいは二、三年前だと私は記憶してますが、大阪の、ここはどこの局か知りませんが、郵便物の仕分け機械を導入しようとしたときに、これは労働組合のほうの方ですが、非常に反対をなすった。私どもは、いまでさえも人件費郵便事業の非常に多額を占めているのに、機械化をすること自体をも反対なさるということに、非常に奇異に感じたわけであります。先ほど来、反対のための、批判のための批判じゃなくて、改善、改革のための批判は大いにやるべきだとおっしゃった。私もそう思いますが、それについて、具体的にどういう手がよろしいか、どういう問題を取り上げていまやらなきゃいかぬのかということを御意見を聞きたい。  たとえば、私見でございますけれども、いま、封書とはがき、一種と二種でございます。先ほどの岡崎さんのお話にもございましたように、鎌倉時代にも負けるような配達速度ではしょうがないということ。片っ方では、先ほどの岡崎さんのお話にもございましたように、おもちを送ってきてこれがかたくなった。実は、これは非常におもしろい問題だと思うんです。要するに、一種、二種のはがき、封書は、これは配達速度というものを明示して、何が何でも、労使はどんなことがあっても——昔の郵便配達さんは、戦場の中を命を的にして動いたという人もいるわけです。幾らでも世界じゅうそういう例があるわけです。そういう精神で、それから小包だとかあるいは新聞、こういうものは、ある程度はサービスを従にしてもしようがないんじゃないか。この際、もっとその制度をはっきりしたほうがいいんじゃないかという気もするわけであります。こんなことを含めて、もう少し竹中先生のお話を突っ込んで伺いたいと思います。簡単で恐縮でございますが、あと反対の方にまたちょっと一つばかり御質問申し上げたいと思います。
  228. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 いま親方日の丸式な運営が行なわれているとおっしゃいましたけれど、親方日の丸的な運営というものは、行政の事務もしくは行政事業においてのみあり得るんで、公営企業と親方日の丸のやり方は根本的に矛盾いたします。親方日の丸のやり方が残存しているということは、それがほんとうに企業であるということが言えない証拠です。そういうふうになっているということは、多くの方の公営企業に関する認識が不十分なためにそういうものが行なわれているからです。  実を言えば、この点はっきりしてないんですが、これ問題なんですが、郵便事業企業だとするならば、企業であるということを明示すべきである。明示しないで、行政のワク内でその地位を不明確にしておくから、そういうことになるんです。もし明示してあれば、企業の実態が薄れたらばそれははずすべきで、そういうところにはもはや親方日の丸の運営というものはあり得ないんです。それを明示してありませんから、いつの間にか企業企業らしくなくなって、行政事業化してしまう。その場合に法の改正をしませんから、そのままで親方日の丸のやり方が残存しているんです。書物でもってそのことははっきりしておりますが、今度外国へ行って痛感したのは、どこの国でも、公営企業が親方日の丸なんて問題になりません。そんなことを問題にしておりませんし、そんな議論は認められません。ただ、特別な利害関係からおっしゃる議論の中にはそれに類したようなことがあるかも知りませんが、そんなことばはないんです。  それならば、企業とは何かと言ったならば、流通経済の中にとけ込んで、経済のもろもろの法則に従って活動すること。具体的に言えば、資本主義社会の流通経済というのは価格経済です。だから、価格の理論に従っていくということ。したがって、郵政事業料金というものは価格理論に合致していなければならない。そういう意味において、郵便法三条の規定は当然なんであります。経営が一応の標準以上にあるということを前提にしないと議論はできませんし、親方日の丸的なやり方も黙認してしまうことになります。そういう意味において価格の理論を尊重すべきで、ただ、私企業と違いますから、政治的な要素、行政的な要素、財政的な要素、社会的な要素、文化的な要素を同時にあわせ考慮しなければなりません。それから運営のしかたでも、行政のワク内でやりますと、そこに制約がございます。それに準拠しますから、実際上はそこである程度妥協が行なわれます。理論的には妥協でなくていけると思うんですが、実際問題は妥協だと思うんです。ただ、その妥協が、筋の通った合理的なものであるか、賢明であるかどうかが問題だと思うんです。これは価値判断に属しますから意見は申しませんが、重要な点は、経済的な理論を著しく阻害しないように、その範囲において必要な、普通言われる公共的な目的を充足することが、公企業公企業たるゆえんであります。したがって、公共的な目的を満足するための最もオーソドックスな方法は、公企業民間企業以上の能率をあげることです。  それからもう一つは、民間企業が著しい利潤を得ているならば、その利潤を全面的に否定はできないと思うんですが、一部ですね、なぜかといえば、利潤の一部には広い意味における危険保険料があります。資本主義社会が危険に富んでいる社会である以上は、公営であろうが私営であろうが、危険保険料というものが必要ですから、利潤ではなくて余剰はある程度必要です。それ以上のものは割愛しまして、それを公共目的に利用するというのが、一番オーソドックスなやり方です。しかし、そうは申せませんので、いろんなものは、歴史的現実、過去の伝統に拘束されます。社会を攪乱することはできませんから、その点では筋の合った賢明な妥協をせざるを得ないことも若干ありますけれども、やはり経済的な法則は尊重し、これを阻害しないようにしていくという点が重要なんです。  この点で、郵便事業は非常にほかのものと違う特色があってむつかしいのです。それは企業であるんですが、企業外の要素、言いかえたならば、政治や行政、財政の問題があるのは当然ですが、それ以上に社会、文化的な要素が大きく加わっているということです。これがいままで世界的に郵便事業公社になっていない理由なんです。しかし、経済的な要素を尊重しなければならないというので、最近公社化が行なわれているわけです。そういう意味で特殊なものです。  もう一つむつかしいのは、企業と行政が並存しているほかに、郵便事業と貯金、保険事業とが三つ一緒になっている。この三つをどうするか。これは企業の複雑な多角経営なんです。三種の経営をいかに合理的に調和させるかという研究が、残念ながら日本の郵政事業においては欠けております。それぞれが特別会計——特別会計は企業じゃないんです。その辺の線がはっきりしてないんです。しかも、その三者の合理的関係をいかにするかという研究が、少し欠けていると思うんです。外国のほうが少しましだと思います。そういう点でいろんな根本の問題がありますが、公企業というのは、とにかく公共的な配慮をしなければなりませんが、しかし、経済法則は十分に尊重しなければならない。  そのいい例が、政策料金です。企業である以上は、原価は総括原価です。料金総収入をもって公企業のために必要な経費——公企業のために関連のない経費はいけません。ところが実際は、財政的な古い感覚で言うと、入っております。それは全部はずしまして、料金を主として必要な経費を全部まかなうというのが原則です。その中でもって料金の体系をつくっているわけです。料金の体系は、民間企業であれば極大利潤を得ることを目的にして料金の体系をつくります。公企業の場合には、それは目的にしてはいけないんで、むしろ、社会的見地からやらなければなりません。しかし、個々のものの社会的見地を重視いたしますと、全体のバランスがくずれます。したがって、政策料金には非常な制約があるわけです。それで個別原価は計算をしておきまして、それを著しく逸脱しないように配慮する必要があります。  便宜上水道に例をとります。都市の名前は御遠慮いたしますが、文化的な都市でありますと、家事用の水道需要が八割ぐらい占めているところがございます。家事用だからといって、八割の水道料金を政策的に著しく下げましたならば、独立採算はできません。もはやそれは企業でありません。政策的考慮をやり得るのは、東京都とか大阪のごときところで、これはおそらく三〇%台だと思います、だから政策料金をとれますけれども、そこに限度があります。しかし、家事用と申しましても、十立方メーターの人もあれば、百立方メーター、二百立方メーターの方もあります。標準をいかにとるかわかりませんが、相当レベルの高い方でも、おそらく四、五十ぐらいだろうと思うんです。普通の団地にお住まいの方は、三十ぐらいだと思います。そこが政策的な考慮の行なわれる主たる点でありまして、五十、百、二百立方メーターをお使いになっている方は、これは十分負担していただくのがあたりまえだと思います。あるところに政策で下げましたら、当然他の者が負担します。一般会計で負担するのは、企業の本則でありません。例外はあり得ますから……。ここで下げたら、それを他の者が負担される。で、全体がうまくいくわけです。そのバランスをとらなければなりません。そのバランスも、単なる行政的な感覚でなくて、経済法則を尊重して決定して、その上で差しつかえのない限りにおいて非経済的な必要な考慮を加味するというのが、公営企業の一番正しいあり方です。
  229. 水野清

    水野委員 反対意見陳述人の御三方に二、三伺いたいと思います。  先ほど岡崎さんのお話の中で、非常に私は参考にもなりましたし、もう少し分析してお考えいただきたいということがあります。この一つは、受験生の通知がおくれる、まさに鎌倉時代の郵便事業に逆戻りをしているというお話です。私は、非常にいいお話だと思います。ただ後段に、たとえばいなかからおもちを送ってきた。取りに行ってみたらおもちがかたくなっていた。ここに私は一つの非常に問題があろうと思うんです。要するに、おもちは一体郵便事業がほんとうに引き受けるべきものなのか。要するに、封書、はがきは、これは郵便事業の生命です。しかし、いまは、たとえば日通なり国鉄の貨物便でおもちを送るよりも、郵便事業のほうが安いから、あるいは早いからという問題があったり、あるいは三種の旬刊紙の配達の問題、これはいま非常に言論界で問題になっております。しかし中には、たとえば積雪地帯、雪の降るようなところでは、冬場は、新聞社は自分のところで新聞を配達しますと人件費で損だから、郵便事業のほうへ押っつける、夏の間は自分のところで配達をする、こういう形態もあるわけなんです。それから、そのほかにもデパートの配送品ですが、私は、去年の暮れに、これは東京のデパートですが、銀座周辺の小包局へ行ってみますと、どうしてこういうものが郵便事業にくるのか。サケが山のようになっているわけなんです。これなんか、サケを贈答品で送られるのもけっこうですけれども、何で郵便事業にはみ出してくるのか。デパート自身がいま配送事業というものをやっているわけです。こういう問題を、実はいまごっちゃにして考えている。その意味では、私は、三種、四種を今度省令にして、適宜、たとえば鉄道運賃が高くなれば郵便物に逃げ込んでくるわけです、あるいは人件費が高騰すれば、新聞配達よりも郵便のほうがいいというんで郵便にはみ出してくる、そのときには、それに対抗してある程度上げて郵便事業を守らざるを得ないということを一ぺんお考えいただきたい。これがやっぱり郵政事業運営一つの適宜な問題だ。しかし、封書とかはがきというものについては、これはほんとうに郵便事業の大事な仕事として、もっと真剣に労使ともに考えてもらわなきゃならないんじゃないか、実は私はこういう考え方を持っているわけでございます。これは、岡崎さんにひとつ伺ってみたいということです。  それから、時間がございませんので、あとのお二方にも含めて申し上げてみたいんですが、郵政事業についてはいろいろ問題点がございます。それから私どもは、私は自民党でございますが、自民党が必ずしも値上げにちょうちん持ちをしてるわけでもないんです。ただ、いろいろ説明を聞くと、やむを得ないから、これ以上赤字会計というものを——御承知のように、国鉄も赤字です。いまに、林野特別会計なんというのも、これは慢性赤字になってくることは火を見るよりも明らかであります。国の事業でなければ、さっき竹中先生のお話にあったように、水道事業とかあるいは公営バスなんというのは、至るところで、これは革新系の市長さんがおやりになっても、慢性赤字だという事態が出てきているわけです。こういう問題をやはりいつまでも一般財政から埋めるという考えじゃなくて、あるきめられた器の中で、さっき申し上げたように、経営陣は企業努力を真剣にやってもらう、行政なのか企業なのかわからないようなぼやっとしたことをしないでもらいたい。労働組合も、やっぱりサービスということは大前提にして、サービスがおくれるような、たとえば争議というような問題には、これは避けてもらいたいというような私は気がするんです。言ってみれば、日本じゅう、いまそういう問題が多過ぎまして、たとえば陳述人の御意見伺いますと、賛成か反対か、白か黒かになってしまいます。いま日本じゅうが、いろんな問題含めて、安保でもそうですが、賛成か反対か、白か黒かということになっている。この割り切り方でいくと、私はむしろ国民全体として、いまたとえば日中問題なんかもそうですが、将来、日本の国内に三十八度線をつくるようなことになってしまうと思うんです。そうでなくて、この郵便事業も、しかるべきものはうんとしかっていただきたい。しかし、たとえば、御説明申し上げなくてもいいんですが、郵政事業特別会計が、昭和四十五年度には百三十三億の赤字です。それから、料金値上げをしても、来年度は四十四億の赤字です。しかもこれが人件費に充当するのが大体八割なんでありますから、この会計の八〇%以上が人件費に振り向けられるわけなんですから、やっぱり国民的な視野と言いますか、あんまり白と黒と分けてしまっていくんでなくて、賛成も反対も、その意見意見として、あとこれから先に結局は値上げしか手がないんでありますから、何とかこの郵便事業というものを国民的な立場から監視をして、サービスが悪いじゃないか、こうしたらどうなんだという問題をやっていくべきじゃないかと、私はこう思うのでございます。  いろいろ申し上げましたが、いかがでございましょうか、後段の問題について、松木さんでいらっしゃいますか、あるいは佐々木さんから簡単に御意見を承りたいと思います。
  230. 松木長五郎

    ○松木長五郎君 松木でございます。水野委員さんから御指摘のありました親方日の丸ということは、これは率直に申し上げて、郵政当局だけでなしに、国民全体にそういう気持ちがあると思います。だから、言うならば、やはり戦前戦後を通じてのそういう古い気持ちというものを改めなければ、なかなか一挙には解決つかない問題があると思います。  それと、特にこれは郵政ということではなしに、私が関係をしたことで多少申し上げておきたいと思います。どうも国の機関なりもしくは公営企業なり、こういうところで民主化運動といいますか、そういう形でいろいろ意見を出しておると、悪く言いますと、当局者は、わしのおるときにはそういうことを言うてくれるなというようなことで、その場限りで済ます事例がいままで多くありました。そういうことは、特に国の面なり公営企業の面で、労使関係が古い型に残っておる一つの原因だと思います。一企業であれば、逃げも隠れもできないわけですね、どうしても自分の社内で、労使が率直に裸になって解決をつけるという形になるのですが、どうも大きくなると、特に国全般、もしくは郵政とか電通というようなことになると、自分のおるときには、多少問題があるとしても黙っとってくれと、そういうことにおちいりやすい弊害が私は出ておるんじゃないかと、そういうふうに感じております。  それと赤字の問題ですが、私も、赤字について何でもかんでも一般会計から補てんをすべきだということについては、疑問を感じております。しかし、こと料金体系の中で政策的に国の政策として押えるということであるとすれば、それに見合ったようなこと、もしくは過疎地域、過密地域に対する局舎の取り扱い、ないしは機械化合理化に必要とする先行投資、こういうことについては、国として考えるべきじゃないか。それを全然やらずと、ただ赤字だから料金改定でつじつまを合わせればいいということであれば、何も郵政事業を国でやる必要はないということにもなると私は思うんです。  それと、御指摘のありましたような、これは多少私に対する質問であるし、ほかの方に対する質問であったかもわかりませんが、なるほど、輸送機関としての、送達機関としての精神からいくと、第一種、第二種というのが一番ポイントになって、第三種、第四種ないしは小包ということになると、必ずしも郵政事業でなかったらいかぬということではなく、他に対抗手段があるということも事実であります。しかし、国民の一般の大かたの理解としては、郵便局へ持っていけば日本全国配達してくれるという信頼感といいますか、不親切だ、もしくは一週間も二週間もおくれてけしからぬという気持ちがあったとしても、そういう信頼感というものはあると思うんです。そういう信頼感に対してこたえてもらう必要があるんじゃないか。しかし、仰せのように、こちらがもうけにならぬからほかへという方法もあると思います、率直に申し上げて。  それと、これは余談でありますが、最前先生方のほうから、機械化のときにいろいろと、ということがありました。なるほど、大阪では中央郵便局に、その設置の際にトラブルがあったことは事実でございます。率直に申し上げまして、私のほうに参加をしておる全郵政組織は賛成であります。そのために、私も前後二回ほど、全郵政の幹部の諸君と会い、現場の組合員の、まあ言うならば士気を高めるために応援に行ったこともあります。これは何も郵政のためにというよりは、むしろ全郵政組織の拡大と労使関係の正常化のために、そういう努力をした覚えがあります。補足的に申し上げておきたいと思います。
  231. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 先ほどおもちの問題、それからデパートの配達のサケの問題、ああいうふうなものを別に郵便にしなくてもいいというふうなお話ございましたけれども、先ほど松木さんがおっしゃいましたように、私もやっぱりこれは、たとえばおもちのことにつきましても、島根県から大阪に送ったのですから、これは老婆が自分のとつぎ先の娘に対して、親がついたおもちをお正月に何とか食べさせてやろうという、そういうあたたかい気持ちで送ったんでして、それをやっぱし日本人として昔から郵便はずっと親しんでおりますし、郵送する方法といえば、鉄道なんかたいそうにつきますから、簡単にいけるということでお送りになったと思うんです。こういうふうな、さっき二、三あげました例は、みんな私の周辺の人たちが、こんなこともあって困ったのよ、こんなこともありましたのよというふうなことを、私、声を聞いたものですから、そういうことでは、値上げばっかりしていただいても、郵便事業のほうがもう少し良心的に、綱紀の粛正と申しますか、そういう点をもう少し目を配っていただかないと、私たちは、上げる上げるということに対して、それはやむを得ないとおっしゃる気持ちもよくわかりますんですけれども、ちっともそれが私たちにはね返ってこないということに対して、上げてもらっては困るというふうな、そういう感情が先に立つものでございます。  私も、こういうことをお友だちから聞いたものですから、投書欄なんか二、三見ましたら、これはたいへん申し上げにくうございますけれども、中央郵便局で、現金や切手を三十万円抜き取ったという記事がございました。それからまた、ぐうたら郵便の外交員が二千通も配達しなかったとか、アルバイトの学生がぽいと年賀状をどこいらへ捨てただとか、それからこれは立ち入ったことでございますけれども、逓信病院の郵政汚職、入札の便宜に謝礼をしたとか、そういうふうなことが私ちょいちょい目に入りますと、ほんとにこれでは、上げる上げるとおっしゃることの反面そういうことがもう少し取り締まられなくては、郵政事業というものも実をあげられないんじゃないかと、そういうふうな気がいたしましたもんですから、いまの遅配ということにこういうことを解決してほしいということで例を申し上げました。それによって郵政当局自身の姿勢というものをもうちょっとお考え願えればいいと思って、反省を求める意味で申し上げましたんでございます。  それから、さっき私も話しましたけれども、封書とか速達は確かにもうかっておりますので、その三種、四種という、これは非常に赤字になってるように聞いておりますけれども、やっぱしこれは公共事業であるし、またみんなの福祉のためにあることなんですから、ただしこれは政治というものが何のためにあるか、国民がみんなそういう福祉に浴するためにあるのですから、やはり一般会計のほうから穴埋めをしていただいて、そしてそれを封書、速達にはね返らせないということは、やっぱしきちっとけじめをつけてもらいたいと思うんです。  それと、もう一つ私が言いたいのは、先ほどと重複いたしますけれども、なぜ大口利用者のほうのあれを軽減なさるのか。そういうふうなことで赤字があるんでしたら、そういうことを全廃してもらうとか、それからまた新設ということはお考えにならないで、そういうこと自身から財源を浮かしてもらう方法もあるのではないかと、そういうふうに考えて、値上げのほうはごめんこうむりたいと、そういうふうに申し上げた次第でございます。
  232. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 次は、武部文君。
  233. 武部文

    武部委員 私は、社会党の武部委員でございます。公述者の皆さんには、たいへん御苦労さんでございました。意見はたくさんございますが、意見は申し上げません。質問二ついたします。最初質問は、竹中さんにお伺いをいたしたい。  ただいま、六人の皆さんからいろいろ郵便料金の値上げについて御意見がございましたが、内容に若干の相違がございましても、五人の方は、現在の消費者物価の上昇と郵便料金の値上げと関連をして意見をお述べになりました。賛成の方でも、その点に触れておられるわけであります。竹中さんは、専門が専門でございますし、学問的な面で、特に経営学的な点に触れてお述べになったわけでございますが、先ほどお聞きいたしておりますと、公営企業料金は大体三〇%以上の値上げはいけない、しかし、それはどこまでも安定した状態における数字であって、激動期においては三五%もやむを得ないというふうな趣旨のお話がございました。現在、国会でも、また国会の外でも論議をされておることは、いま日本の経済、特に物価問題が異常な状態になっておる。そのときに、郵便法の第一条の精神にも照らして、公共料金である郵便料金を上げるということが、便乗値上げを誘発をしたり、物価上昇にたいへん大きな影響を与えるのではないか。物価にはきめ手がないと言われておりますが、さしむき政府ができることは、この公共料金を押えることはできるじゃないか。そういう面から種々論議が行なわれておるわけでありますが、ただ学問的ではなしに、一体、いまの政府が提案をしてきたこの郵便料金の値上げが、当面する物価上昇にどのような影響を与えるのか。そういう点から、また独立採算制なり特別会計、あるいは一般会計の面もお述べになったわけでありますが、学問的という意味ではなしに、先生は一体この問題についてどのようにお考えになっておるのか、それをひとつお伺いをいたしたいのであります。
  234. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 公営企業料金考える場合には、その料金が、経済的なものと以外のものも合わせますが、合理的であるかどうかの考慮がまず第一に必要でございます。それから第二次的に物価政策との関連を見ていく必要があると思うんです。  それで、公営企業料金を論ずるのに、その企業料金が合理的であるかどうか。学問的でなくても、筋が通って、合理的で賢明であるかどうかをまず吟味しないで、ただ料金論をしてはいけないと思います。それから公共料金ということばは、非常に非科学的であります。公営企業料金の議論をする場合と、浴場の料金や散髪の料金、医療の料金とは同一にしてはいけません。公共料金ということばは、外国にありません。そんな言語はないんです。日本に使われたことばです。古くからあることばでもありませんで、最近できたことばであります。だから問題は、公共料金を離れて、物価政策一般については、これは考えなければいけません。さっき言いましたように、単に経済的に合理的であるだけではありませんで、公共的な見地からしてそれがはたして妥当であるかどうかということであります。  そうすると、公企業料金公企業でないものとの関係ですね。一体物価政策の中で公企業料金がどれだけのウエートを占めるのか。これは、その国における公企業の占めているウエートによって違います。その企業の内容によって違います。また、企業ごとに物価に及ぼす影響も違ってまいります。そういうものは、私、純然たるエコノミストでありませんし、それ専門でやっておりませんから、計算はしておりません。そういった場合に、一体郵便料金というものが物価政策を支配するところのきめ手なのか、そうではなくて三次、四次であるのかということを考えないといけません。そういう点からするならば、確かに物価政策について考えないといけません。しかし、この場合に注意をしなければならないのは、先に料金を改定したものは得をして、あとに改定したものは損をするということになりやすいです。そこで、一体郵便料金は、そういう先がけに改定しているのか、適時に改定しているのか、過去において、どちらかというとあと回りになっているのかということを考えないといけないと思います。郵便の場合には、どちらかといったら、おくれているほうでございます。おくれているほうは不利になります。そのために、経済的合理性が歪曲される危険があります。そういう意味で、これを値上げすることは、一般の人としては望ましくないし、物価政策としてはその点十分配慮しなければならない。その点がはたして十分にやっているかどうかは問題であります。  しかし、それよりも重要なのは、企業料金合理性を維持するということが少し不完全であるとするならば、その是正のほうに重点を置いて、物価的政策の配慮は入れますけれど、どちらかというとウエートを下げてもいいんじゃないか。そういう意味では、私は、これが十分だとは思いませんが、ある程度やむを得ない、差しつかえないんじゃないか、こう考えたわけです。
  235. 武部文

    武部委員 次に、佐々木さんにお伺いいたしますが、今度の改正点の問題点の一つに、第三種、第四種及び特殊取り扱いの郵便物の料金決定について、これを省令に委任するということが提案されておるわけです。  第三種、第四種郵便物は、政策的料金であって、現在割り安になっておる。この問題については、私ども国会でもいま論議が続けられておるところであります。そこでお伺いいたしたいのでありますが、速達、それから書留、内容証明、こういう特殊取り扱いの料金についてであります。特に内容証明でありますね、これは国民のいわゆる権利、義務に関する重要書類だということで、民事訴訟法上も、また郵便法上も内容証明を書留にするということになっておるわけです。したがって、こういう料金が国の保証で公共性の強い公共料金になっておるという、こういう点から考えますと、先ほど佐々木さんがおっしゃった財政法第三条の精神から見て、法律で決定すべきものではないか、こういう見解を持つわけですが、法律家としての佐々木さんに、ひとつこの点どういうふうにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  236. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 いまお話にございましたように、内容証明をはじめとする配達証明、書留、速達の問題でございますが、特に、今度この改正案の六十三条以下におきまして、「内容証明の取扱においては、郵政省において、当該郵便物の内容たる文書の内容を省令の定める謄本によつて証明する。」以下、この法律によらずに省令によって定めるというふうに、三種以下につきましては、特にこの内容証明につきまして問題が多いと思うのでございますが、いまの御質問にもございましたように、これは民法の、たとえば債権譲渡の手続、あるいは時効の中断、そのほか民法上の諸手続におきまして、私ども国民がその権利を確保するためには、これは法律で内容証明によらなければならないことになっているところがたくさんあるわけでございます。また民事訴訟法におきましても、その送達の方法といたしまして、これは内容証明あるいは書留郵便によらなければならない、あるいは配達証明によらなければならないことが要請されている部分が多々あるわけでございます。このように国民が、先ほど来お話にございましたように、デパートの配達物などと異なり、全く選択の余地なく、法律でこのような国民の権利を履行するためにこの方法以外に法的にとる方法のない郵便手続がございますので、この分につきましては、これは国民の権利として当然国会において審議されるべき問題であると思うわけでございます。この国民の権利を守るために重大な事柄を、国会の外において省令で国民の知らない間にきめられるということは、これは人権上の重大な問題であると思うわけでございまして、そういう意味におきましても、いま御質問ございましたように、私は、この省令で定めるという点につきましては、先ほど来意見陳述さしていただきましたように、絶対に反対したいと思うわけでございます。
  237. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 古川喜一君。
  238. 古川喜一

    古川(喜)委員 竹中先生にお伺いしたいと思うわけでありますが、この郵便法改正の問題につきまして、委員会でも十分質疑されているわけでございますが、理解できない点がございますので、御意見を伺いたいわけでございます。  先ほど先生が、第三条に対しては適切であるという企業立場からおっしゃったわけでございますが、それと同時に、第一条は非近代的で、現在ではそぐわないというような意味に受け取れたわけでございます。このことを、第一条と第三条が矛盾しないのかという論争を委員会で盛んにやっているわけですが、納得できないわけなんでございます。その点につきまして、一条と三条が矛盾しておらないのかどうか、御意見を聞かしていただきたいと思うわけでございます。
  239. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 新憲法ができたときに、すぐに私は痛感したのでありますが、重要な問題は財務関係の規定を合理化するということであります。ところが、その規定が合理化されていないのであります。ドイツそのほかの歴史を見ましても、新憲法ができたときに財務関係の規定が改正されている。たとえば、私の調べた例で申しますが、カリフォルニアのロスアンゼルスとかサンフランシスコとか、そのほかの代表的な公企業があるんですが、その根本改正をするときには州の憲法を改正しております。そしてそのときには、同時に財務規定の合理化が行なわれているのであります。  ところが、第一条はそれが明確になっていないんで、できるだけ安くと書いてありますが、なぜ非近代的かと申しましたらば、何を基礎にしてできるだけ安くかということであります。企業前提にすれば、総括原価は割ることはできないという前提条件に立つと思うんです。また個別料金であるとするならば、個々のサービス、一種なら一種の原価を、その通りでなくても、それははずれてもよろしゅうございますが、原価には直接原価と間接原価、固定費があります、直接原価までを割ることは、公営企業の基礎理論に矛盾いたします。どこの国でも、合理的な公企業行政が行なわれているところでは、それが尊重されているんです。それが規定されていませんから、わからない。できるだけ安くと言えば、ただがいいじゃないか、そういう議論がございます。しかし、ただにするには根本的な条件があります。イギリスの有名な学者のA・C・ピグーが、一九二一年だと思いますが、「スタディ・イン・パブリック・ファイナンス」という本の一章で、自由財は別ですよ、経済財についてそれを無料にするためには、需要の弾力性がないということが前提条件だ。義務教育なんか、需要の弾力性はありません。郵便についても、水道についても、鉄道についても、そうではない。ソ連が革命のときに鉄道料金をただにして社会的混乱を起こしまして、一九二二年に料金を取るようにしております。それは何かと言ったらば、需要の弾力性があって無限に供給ができないというところでは、需給をマッチするために調整が行なわれます。その調整を放任しますと、腕力のある者、運のいい人、顔をきかす人、厚かましい人が得をする——お差しつかえがあったらお許し願いたいと思うんですが、ピグーがそう言っているんです。そういうことになるから、社会的に混乱をする。だから、社会的混乱を起こさない範囲において料金は取るべきである。そういう点を考慮して、ただにしていいものはどんなものか例示してありますが、それはここではあげません。  そういう意味からすると、単にできるだけ安くというのは、非常に誤解を起こしやすいし、運用において合理性と賢明性を保持しがたいのです。そういう意味においてあの規定は不完全だ。もしあの規定を置くならば、たとえば三条そのほかの規定を置いて、弊害を起こさないようにしなければいけないんだ。しかし、それにしてももう少しあの規定を考慮する必要があるんではないか、こういうふうに思ったわけであります。そういう意味で近代的でないと言ったんです。  それからもう一つ近代的でないというのは、他の法律との関係です。鉄道、水道、軌道、地方鉄道事業、自動車運送事業、そのほかの規定をごらんくださいましてもおわかりになりますように、その点ではもっと進歩的な規定がしてあります。それと比較しておくれているんで、近代的でないと申したわけです。
  240. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 中野明君。
  241. 中野明

    中野(明)委員 きょうは皆さん御苦労さんでございました。竹中先生に二点ほど御意見をお願いしたいと思います。  先ほど、先生の御意見の中で、経営合理化をした後で値上げをすべきだという意見もあった、けれども、私はそれをとらないで、当局を信じていきたいと、こういうお話でございました。確かに、当局を信じることによって話が始まると思うんですが、最近、非常に政治的にいろいろ国民が不信を持っております。御承知のように、国有農地の二円五十三銭の問題にいたしましても、ああいうことが、結局国民感情を無視して、現実の問題として大きな政治問題に浮かび上がっているわけであります。そういうことから考えまして、また、郵便の場合は四十一年に料金の値上げをしましたが、その後、私どもいろいろ検討を加えておりますけれども、幾ぶんの努力はなされてるような気もいたしますけれども、根本的に経営の内容、姿勢、こういうことについて遅々として合理化が進んでいないように私見受けるわけであります。  特に、先生からいま原価のお話が出ましたけれども、私御意見をお聞きしたいのは、この国営で独占的に事業をしている、こういう郵便の持つ特殊性から考えまして、建設費、これは原価にかけるべきじゃないじゃないか、建設費は原価からはずすべきじゃないかと、こういう考えについて、ひとつ御意見をお聞きしたいわけです。  それからもう一点。三種、四種というのは、どうしても現時点におきまして政策料金にならざるを得ません。この三種、四種の原価は、政策料金である以上は、間接費を原価の中からはずすべきじゃないか。そしてもう一度原価を洗い直して、そして根本的に郵便事業というものを見直す必要があるんじゃなかろうかということであります。  それから最後にもう一点だけ。三種、四種という料金を省令にしたのは妥当であるという御意見を述べていただいたわけでございますが、現在、いまも申しておりますように、政策料金をとらざるを得ない現状におきまして、はたして省令に落とすことが妥当であるかどうか。これが先ほど先生がおっしゃったように、料金の適正がはかられておる暁におきましては考慮の余地があると私は思うんですけれども、現時点においてはどうしても政策料金をとらざるを得ない現状であります。この時点において、はたして省令に落とすことが妥当であるかどうか、私どもはそこのところに非常な疑問を持ちまして、現在議論をしている最中でございますが、その三点について御意見をお聞きしたいと思います。よろしく。
  242. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 お答えいたします。  三点あったと思うんですが、郵便事業を研究しておりまして一番残念に思うことは、郵便当局の方が信頼が薄いこと、不信のことや信頼度の薄いものが非常に多いのです。新聞や雑誌の論説なり世上の御意見を聞いておりましても、信頼が薄いということは非常に残念でございます。しかし、それはある程度の根拠はあると思うんです。だから、それを是正していただきたいと思うんですが、なかなか簡単にできるものではありません。半年待ち一年待てばできるものではありませんで、病気に例をとれば、相当進んでいるものだと思うのです。そういうときに、みなも言ってるから自分も信頼しないということではだめで、奮起を促すためには、まず信頼をしといて、そして足りないところは気長くじくじくと直してもらう。大きな欠陥が一ぺんや二へんでもって直るものではありません。一ぺんで直るものだったら、その経営には大きな欠点があると思うんです。りっぱな方がおやりになっているんで、外部の人がちょっと研究したから、すぐわかって是正ができるようなものとは違います。それだけりっぱにおやりになってるところに大きな改革をするということは、ちょっとやそっとのことではありません。その起動力を与える意味において、まず御信任申し上げて、そしてできるだけのことを御努力していただきたい。  私の重要視するのは、その場合に、一〇〇%完全は期せられません。改正する場合には、最も重要な点を中心にしなければいけない。私の賛成論は、百点をつけた賛成論ではありません。六〇%以上です。六十点以上つけたらば、これは賛成すべきです。反対するんだったら、五十点以下でなければならないと思うんです。それで欠点はありますけれども、その欠点をあげつらうよりも、重要な点に重点を置かれて、それに全力を注がれる。第二次、第三次の点はこれを直していただきたいというふうに申し上げるのが順序じゃないか。私、学生に対してはそういう態度をとっておりますが、これは学生だけでなくて、全般的に言えるんではないか、こういうふうに思うのであります。  省令改正の問題は、さっき申しましたように、これは理論的に合理的なものがあるんです。外国でもそういうふうにしておりますし、世界の動き方でも、郵便なら郵便料金を全部法定するということはしていないんです。むしろ、その点ではおくれているんです。これを排除すべきです。しかし、個々の問題についてこれをどういうふうに排除するかという問題については、たくさん研究しなきゃなりませんので、ここでは申せませんから省きます。そのときに、いま御指摘になりましたように、信頼ができれば、合理的であればすぐにおまかせする。しかし、合理的だけれど信頼がちょっと乏しいので、おまかせするにはちゅうちょする、そういう行き方もありますが、幾らか疑問がありましても、まず全幅的に信頼せよ。そしてもしその信頼を裏切られるようなことがあれば、批評をして直すように鞭撻をするというのが、私のとりたい態度です。その辺になると、態度なり、判断なり、個々の項目でもって御意見は違いますが、大綱はそういうことだと思うんです。  それから建設費の問題は、企業たる以上は建設費は当然含むべきです。それを除くことはあり得ません。たとえばソ連におきましては、土地とかそのほかの固定資産の費用は勘定外です。これは社会主義体制をとるからそうなんでありまして、資本主義の立場をとっている場合には、全部を含むのが普通です。ただ、例外として、戦時中に軍需工業そのほかを国営化した場合がある。そのときには建設費を省きました。なぜかというと、土地や建物の評価をしていたら、戦争に間に合いやしません。そこで、そのものはそのままにしておいて、運営の方面において合理化するという態度をとりました。そういう場合はありますけれども、通常は建設費も含ますべきであります。  ただ、政策的にいろんな操作をする場合には、建設費については考慮をすることが可能であります。たとえば地下鉄のごとく、いまどこの国でも普通の料金取ったらやれない。やれるような料金取ったら高過ぎる。しかも、地下鉄とバスとか電車、タクシーとかいう料金との関連がありますから、その関連で単なるそろばんづくの料金が取れないといたします、合理的料金を取るんだけれども、その合理的料金が建設費をフルにかけたんでは取れないという場合には、建設費について考慮をして、ときによれば相当大幅に補助をする。地下鉄なんかそれに近い例ですが、そういうことはあります。  郵便の場合についても、ものによったらばそういう建設費については考えることはあり得ると思うんです。この例がいいかどうかわかりませんが、過疎地帯に郵便局舎を建てなければなりません。そういうものは全部突っ込みでやりますが、過疎地帯が非常に多いときに、それではたしていいかどうか。たとえば四国の地域開発について一年かかって、最近また交通の近代化について半年かかって四国全体を調べたことがあるんですが、驚いたのは過疎地帯が圧倒的に多いということです。郵便全国ですからいいんですが、かりに四国で独立採算しようとした場合には、過疎地帯まで入れますと、そして建設費を入れたらば、適正な料金では太刀打ちできません。そういう場合には、過疎地帯だけをはずしまして、その建設費は国が持つなり、企業のものとしないで別個に考えさせる。こういう御議論は成り立ち得ると思うんですが、それは十分吟味した特別な場合で、一般論としてそれを入れてはならないということにはならないと思うんです。  それから三種、四種は、いろんな問題があるし、ことに三種は世界的に問題になっているところです。その程度がどうかということであります。三種は今度はお直しになりますけれども、私が参加したときに、直接費だけはまかなわなければいけないというんで一円を三円にいたしました。ところが、政治的な関係で実際は二円に下げられてしまいました。それがまだあとを引いているわけであります。今度もそういう点があるから、これは妥協をしておいでになります。その妥協がはたして合理的であるか、賢明であるかについては意見がございますが、私は自分の意見でもって論評することは差し控えまして、妥協されたものだから、徹底的な理論で言うと、問題はあり得る。ただ十分御審議になり、御研究になっておいでになるのでありますから、御関係なさっている人が十分な考慮をして、合理的に、賢明に御判断なさっているものと思って、関係者の方全部に一応信頼申し上げます。郵政当局の方だけでなくて、全部の方に信頼をかけます。
  243. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 樋上新一君。
  244. 樋上新一

    樋上委員 本日は六人の公述者の方々、たいへん御苦労さまでございます。理論的に、学説的にいろんなお話がございましたけれども、私は角度を変えまして、松山さん並びに岡崎さんお二人にお伺いいたしたい、家庭生活の問題でございますから。  まず、松山さんは、大正時代の物価の問題、いろんな例を引かれて、現在の物価の問題と対比されまして、非常に私も参考になり、また興味多く感じたんでございます。松山さんは、現在のところでは今度の値上げは全面的に賛成だ、岡崎さんは反対だと、同じ家庭のはねっ返りという問題でございますけれども、お二人の意見が対立いたしております。そこで、松山さんは大正時代のいわゆる平面的な指数から割り出されておりますが、客観的な情勢が変化しております現在、郵便物の部数も大正時代と現在とは非常に多くなっているんです。現在郵便物も百二十億通をこえようとしております。また、郵便物の原価も、多くなれば安くなる勘定でございます。そういう点から考えまして、いまの物価と大正時代の物価と比較することがはたして妥当かどうか。今度の値上げは、すべての値上げの誘導力になっていくんじゃなかろうか。また、家庭に対するはねっ返りも非常に大きいという岡崎さんのお説もございました。そこで、私はもう一つの例を引きますと、政令を今度は省令に移す。そしていろんな値段が自由にできるんじゃなかろうかという点から、郵政審議会にこれをかけて決定する、郵政審議会がチェックする機関として非常に重要視されておるんですけれども、この郵政審議会答申の中にも、年間消費者支出に占める郵便費の割合は〇・一三四%だと、こういうぐあいな答弁になっておるんです。こういうことから考えまして、岡崎さんは家庭にはねっ返りが来るんだということをおっしゃいましたが、政府、また郵政審議会はこういうぐあいに申しておるんですけれども、この点についての御意見、あとでまた松山さんもこの点について御意見をお伺いいたしたい、こう思うんでございます。
  245. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 値上げということは、全体から見れば家計に対する通信費がわずかということになっているかもしれませんけれども、しかし、値上げということにおいては間違いないと思うんです。それが積もり積もればかさんできますし、また、それよりも私が一番おそれることは、これが公共料金であること、公共料金がくずれるということは、アリの一穴ということがございますけれども、それによって連鎖反応がこわい。いろいろの物価がここぞとばかり、値上げの機を待ちかまえております現在に、郵便料が上がるということによりまして、すべてのものがメジロ押しに上がってくるんじゃないか、そういうことが私はこわいと思うので、このことは家計簿に占める比重云々ということもさることながら、連鎖反応がこわいから、公共料金はこの際絶対に上げるべきじゃないと、そういうふうに申し上げたんでございます。
  246. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 栗山礼行君。
  247. 栗山礼行

    栗山委員 先ほど御紹介をいただきました、大阪地域から選出をされておる二人が自民党の古川丈吉先生と私でございます。偶然近畿の都市圏の中核である大阪、こういうことで選ばれましたものは、それなりに高い評価をいたして私ども参っておるのです。他府県の先生にいろいろお話をということなんでございますけれども、私はそういうことを踏まえまして、謙虚に二、三の点をお伺いを申し上げてまいりたい。  たいへん恐縮でございますけれども、佐々木さんは弁護士であり、法律家でございます。同時にわれわれの政治家的資質と立場を持っていらっしゃる、こういうふうに理解をいたしておるのでありますが、そういう面からお尋ねを申し上げたいと考えております。  先ほど武部委員からお話がございました一条と三条との問題が、私、専門家先生の御意見等もいろいろ伺っておりますし、政府関係答弁を伺っておるのでありますけれども、やはり第一条は、国家事業としてのあるべき一つ性格方向を明確に示しておる。文言から見ますと抽象的でありますけれども、なるべく安くということは、これは私企業にも言えることでありますけれども、そういう私企業立場を離れまして、国家企業でありますから、なるべく国民に安くこれをサービスして、公共企業の本来性を貫いていくべきである。そして公共福祉を進めてまいらなくちゃならぬ、こういう目的条項は、私は厳存する法律の条項だ、こういうふうに理解をいたしております。第三条の規定を竹中先生論法でまいりますと、いろいろ学説をお伺いをいたしたのでありますけれども法律論的立場からいきますと、いろいろ御答弁をされる。相矛盾せないというようなことで佐藤総理も言われるのでありますけれども公共性を、国家事業のあるべき姿を第一条で規定しながら、それを薄めまして、経済サイドで入れなくちゃならぬ、こういうきびしい規定をしている。そうすると、私、佐々木さんにお伺いいたしたいのですが、第一条で少なくとも国家企業の目的に向かって取り組んでいくことを目的として示しておりながら、三条で原価主義、いわゆる経済至上主義の立場を貫いていくということでございますと、法律論的にどうしても相矛盾するものが生じてくる。これが私の素朴な一つのつかみ方なんでありますが、お話を伺っておりますと、この点が明確にしてまいらなければならない問題だと思う。省令の問題等は伺いましたからお伺いいたしませんが、あなたの専門で、郵便法の一条と三条との法律論的解釈に相矛盾するものがないかどうか、こういう点をお伺いいたします。
  248. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 ただいま御質問にございましたように、私も先ほどちょっと意見陳述で述べさしていただいたんでございますが、これは郵便法に限らず、どの法律にもこの法律を制定する目的がはっきりしているわけでございまして、いま御指摘ございましたように、第一条で「郵便役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする」ということをはっきり法律でうたっているわけでございます。法律のどの条文もむろん大切な一条文には違いございませんけれども、特にこの法の目的というものは、これは以下この条文の各条項を拘束する、と言うと多少行き過ぎかもしれませんが、その法律の目的とするところでございますので、この目的とする第一条に相矛盾する別の条文を持ってくるということは、はなはだおかしいことであると私は思うわけでございます。そういう意味で、郵便法というものが、あくまでも安い料金、それと公平に提供する、それから公共の福祉を増進する、その三つが最も重要な要点となって定められております以上、この企業というものの持っている要素、先ほど来竹中先生からいろいろとお教えを詳しくいただいたわけでございますが、公営企業という問題より見る面ももちろんある程度は必要であろうとは存じますけれども、その角度より見ることよりも、むしろ郵便法の目的ということにウエートを置いて、これに重点を掲げ、これに矛盾する条文を追加する、あるいは設けるということについては、私はおかしいのではないかと思います。そういう意味で、今度改正案で、いま郵便法は三条が空白になっておりますが、この三条に持ってくる企業的な条文、これは当然設けるべきでない、私は三条を追加することに反対しているわけでございます。そういう意味におきまして、いま御指摘のように、あくまで郵便法というものは安い料金、それから公平に提供する、そして公共の福祉を増進する、この三つの面においてとらえて、これを基準にして解釈していかなければならないと思っておる次第でございます。
  249. 栗山礼行

    栗山委員 もう一つ、これに関連いたしましてお伺いをいたします。  確かに法律論的立場に立って、少なくとも郵便事業を行なう上における一つ根幹的条項だ、こういうふうに理解し、それに適応するお答えをいただいたと思う。そのワク内におけるいわゆる特別会計で運営をはかっていくということでなくちゃならぬ。しかるに第三条は、いわゆる原価計算制度といいますか、完全な経済ベースの上に立ってやっていく、こういうことになりますから、まことに要点がわからない、男か女かわからないような、根幹を侵害する条文だ、こういうふうに理解をさしていただいていいですね。
  250. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 私はそのように解釈しておりますので、第三条の設置は反対なのでございます。
  251. 栗山礼行

    栗山委員 竹中先生、あなた学者だもんでございますし、郵政審議会にも御参加をいただいて御考慮いただいたというようなこと等も伺いました。たいへん専門家でございます。特に公営企業について、いろいろ高い御識見をお伺いいたしまして、この限りにおいては、われわれは学者の意見を尊重いたしましてそれを政治の場でどのように実現をはかっていくかということが、われわれに加えられた責務だ、こういうふうに理解をいたしておるわけなんです。いろいろ説明をいただきました中に、三点の重要な御批判がございました。批判のための批判はいけない。批判とはもっと科学的な、いわゆる合理的な批判でなくちゃならぬ。もう少し改善、改良をする、創造的な建設の批判が望ましいのでないか。まことにりっぱなお説でございます。これについて異存はございません。ただ、その三原則は、私どもの良識で敬意を傾倒するのでありますけれども、それは原則論あるいは一般論としてこれを理解してよろしいか。きょうのわれわれも愚論がございましょうし、いろいろ関係識者の御意見を徴しておるものを含めてこれを客観的にとらえてみますと、何か一つこれと相矛盾するような発想が生まれてまいりますので、私の理解をいたしておりますように、原則論としての三原則だ、こういうふうに理解をさしていただいていいかどうか。
  252. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 その通りであります。私のここで言う立場を明確にしたいと思うので、どこに重点を置いているかを明らかにするために他の比較を出したわけです。学問論としてはたしてそれで十分かどうかわかりませんが、普通考える場合に、その三つの問題がある。そのうちの二つ要素は私に関係がありますけれども、しかし、どちらに重点を置いているかということを明確にしたい。一番重要なのは、改善していただきたい、その改善をするために批判してるんで、批判のために批判をしているんでないということでありまして、ここで述べたのは一般論でございます。
  253. 栗山礼行

    栗山委員 私も、その限りにおいて理解ができました。ただ、私お伺いをいたしますのは、そういう一般論、原則論の基準から少し竹中先生のは理論の飛躍的発想がその中にあるんじゃないか。結論は賛成で、採点をすれば六十点以上という合格点だ。だから、一条と三条との関連も矛盾しない。省令移行条項についても、これは適正な処置である。あるいは料金改定の問題についても、いろいろ意見があるが妥当なものでないかと、こういうふうに原則論から即そういう本論と結論的な問題に発想された。こういうことで、われわれ学者の意見は、高邁なる学術として、学問として謙虚にこれを承る。しかし、私どもは政治の場の一つの役割りとして、特に与えられましたわれわれの責務を通じて一つの権利を持ち、さらにその努力が国民に奉仕され、あるいは平和国家の建設へのにない手としての努力をせなくちゃならぬ、こういうふうな——主としてながめてまいりますのはそういう法律制度もございますけれども、それをながめる上については、法を尊重しつつ、その法制の可否をどう政治的にながめるべきか。現行法律がもし誤っておれば、これをすみやかに改正すべきじゃないか、行政運営が誤っておるということなら、私ども審査権を持つ者として、かかる行政運営は適切でない、こういう建設的な意見を加えて行政の効率化をはかってまいる、こういうような発想で今度の郵便法改正の問題をながめてまいらなくちゃならぬ。これはひとつ御理解をいただける問題だと思います。そういたしますと、先ほど佐々木先生に伺いましたように、一条と三条との関連というものについて、公共企業のたいへん深い御造詣を伺いましたが、日本には明らかに公共企業が、地方といわず、中央といわず、公共企業という明文による事業が現存するわけです。竹中先生の御意見では、諸外国には、先進国には公共企業なんというものはないんだ。最も経済サイドで科学的で合理的な企業が要求されておる。残念ながら、わが国の民情及び政治、あるいは制度というものは、公共企業が現存いたしておるという現実をここで踏まえて取り組んでまいらなくちゃならぬ。郵便事業は明らかに国家事業の最たるものだ、こういうふうに理解をいたしてまいらなくちゃならぬ。私はいろいろ政治論を展開いたしませんけれども、われわれの場から申し上げますと、そういう本来のわれわれの責務のあり方、政治家の責務のあり方、それから国民生活の実態、あるいは国民感情のとらえ方、そして日本の公共企業運営の適正化の方向をさぐってまいるということが、当然の役割りになってまいるわけなんです。そういたしますと、現状一つ状態をどのように価値判断をし、これを客観的、建設的な批判を行なってまいるか。私はいろいろ資料を持っておるんでございますけれども、物価安定推進会議からも、公共料金は構造改善が行なわれなければ断じて値上げしてはならない、こういう政策論としての傾聴すべき意見が書かれておる。こういう中に、今度のような法改正及び料金改正というような問題に発展いたしてまいる、この事柄が、日本の政治及び物価政策、国民生活の実態、あるいはまた情報交換機関としての将来の一つの前進する方向路線としてどう持っていくかということについては、一つの大きな転換を必要とする。それは制度上の改正を火急に進めてまいらなくちゃならぬという問題点がある。政治と行政とのかみ合い、及び行政あって政治なしということも、野党の批判じゃなくて、野党を含めて謙虚に反省して日本の政治の実体を進めてまいらなくちゃならぬということの責任を痛感しておる一人でございますけれども、今度の問題をながめてまいりますと、先生の御意見を伺いますと、これにかみ合って料金を改定する法律改正をするということじゃなくて、抜本的な郵便事業郵政事業方向路線を早く確立して、そういう健全運用の中における経済ベースの料金制度が問われるべきじゃないか。こういうことが進まれずして、いろいろ御意見ございますけれども、結局それは隠れみのになりまして、料金だけはとにかく赤字だから上げちゃえ、こういうふうなかっこうで進めてまいっておる感なきにしもあらず、こういうことになりますので、そう考えますと、先生の御意見のその基本を伺っていかないかぬ。その基本と現状と相矛盾するものが政治の場で、制度の場で、これをどうとらえて建設的、具体的批判をして、国民の国家事業としての役割りを果たしていくか、こういうことについて、先生の意見に非常に疑問を感ずるのでありまして、ひとつ御高説を拝したい。
  254. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 時間の関係がございますので、ごく簡潔にお願いします。
  255. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 私は、学者としては基本の理論を申し上げるのが本来で、具体的の場でどうこうするというようなことは任務でないと思います。あまりそういうものが多過ぎて、基本理論を知らない。理論だけで言ってるんではなくて、私のは、世界的な視野に立って、過去百年からの歴史を見て、そのメインカレントを見て、その中で日本がどうなっているかという立場でもって調べております。四十年間の蓄積を持っているんでありまして、ここで言ったものは、頭だけでこんなことは申し上げるべきではありませんから、いまのようなことを申しました。  一条と三条との関係は、さっき申しましたように、郵便に関するものは企業だけでなくて、非企業があり、行政が入るわけです。郵政事業特別会計は、郵便事業特別会計ではありません。その郵政事業特別会計でもって、独立採算をもってきて料金を決定するのは不合理であります。それが三条のあるゆえんです。一条は全部を含めたものの方針、そのうちの企業の部分は三条で規定するわけです。いまの部分はどういうふうに規定したらいいかということが、あと残っております。私、純然たる法律学者じゃありませんけれども、経済法学会にはメンバーに入っております。行政法学会にも実は勧誘を受けたんですが、あまり間口を広げることをやめまして出てはおりませんが、実地行政のほうでしょっちゅう研究しております。  それで、結論だけを申しますと、そういう場合には法をかってに解釈してはいけませんが、解釈が許される範囲においては前向きに合理化するように解釈すべきでないかと思います。そういう意味で一条と三条の関係を見ますると、これは必ずしも矛盲しない。承りますと、法制局なり大蔵省もそういう立場をおとりになっているようでございます。もしそうであるとするならば、むしろこの関係を理論に即して前向きに解釈して推し進めていくほうがいいのではないか。これは法律論としてもそういうことが言えるのであります。基礎理論を持っていないで法解釈をいたしますと、誤ります。それが第一条を設けたゆえんです。ところが第一条の規定は、残念ながら日本の多くの規定において不明確な要素をたくさん持っている。そのためにいろんな問題がございます。その場合には、合理化するように、法の解釈で許される限りは、合理的にいくように解釈し、運営するのが一番正しい行き方じゃないか、こう思います。
  256. 栗山礼行

    栗山委員 この問題はきょうは承っておきまして、後日敬意を表しましてお教えをいただくような機会をつくってまいりたい、かように考えております。私と一致いたしません。かみ合っておりませんので、御了解をいただきたい。  もう一点、現行法があるんですよ。こういった百年にわたる長い歴史的な郵政事業というものが大きな変革期にきて、七〇年代と未来の郵便事業がどうあるべきだというようなことをいまこそ抜本的に取り組んでまいらなくちゃならぬという時期にかかっておるんだ。そういう事柄について答申案も出たし、いろんな国民のコンセンサスを求めて、料金改定でなくて、制度方向の中から、適正料金とは何かという国民の得心のいくような問題にしていかなくちゃならぬ。現状でまいりますと、結局一条と三条と矛盾せないということになりますと、先ほど松木委員のお話がございましたように、これは一般会計の導入をふさぐものなんです。私は一般会計からの導入というものについては、独立採算制と企業性の面から見てこれは行なうべきじゃないという原則を持っておる。ただし、未来の郵便事業方向づけをするという場合において、経済サイドオンリーということで取り組んでいくというようなことが、ほかの公共企業でございますか。利子の面やその他あらゆる政策的方向をとっておるのに、郵便事業という国家事業の最たるものが独立採算制と経済サイドで一般財政から繰り入れせないということで、はたして未来像をつくれるかどうか。こういう門戸を閉鎖するというところに大きな問題点を存しておるのでないか。これは政治的な判断でございまして、この一点だけお伺いいたします。
  257. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 郵便事業は、さっき申しましたように、企業だけじゃありません。行政の側面を持っております。だから、その関係をどういうふうにすべきかということになってくると思うんです。その点で御意見が変わっているかと思います。三条は経済オンリーと言っておりますけれども、経済オンリーではありませんで、いろいろなものが入ってまいります。たとえば三条には「適正な費用を償い」と書いてありまして、適正な原価と書いてありません。民間企業のような意味で経済オンリーなものではありませんで、「費用」と書いてあるところは、官庁会計なり官庁予算なり、いろいろないままでの伝統というものを考えて、こういうことばになさっておいでになると思うんです。そういう点から考えますと、私のような解釈が成り立つと思いますが、これは違った御意見もありますので、それはその御意見を尊重いたします。ただ、私のような見方、研究もあるということをお認めいただきまして御配慮をいただければ光栄でございます。
  258. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 土橋一吉君。
  259. 土橋一吉

    土橋委員 六名の公述員の皆さん、たいへん御苦労さまでございました。皆さんの御高説を承りまして、非常に参考になりました。  まず最初、竹中公述人にお尋ねをいたしますが、いま問題になっておる中心は、物価値上げという問題と、公共料金に関する問題と、それに関連をする法規の改正、この三つがからみ合っているわけでございます。したがって、あなたの御高説のように、企業サイドを中心とする御説明から考えますと、現在の佐藤政府が進めておる物価政策は、国民ひとしくどなたもこれに賛成するものはおりません。賛成するものは、郵政省と自由民主党及びその中核である佐藤内閣がこれに一生懸命で賛成しておる。こういう状況下にあります。国民の九割以上は反対しております。そういう観点からあなたの御説明を承っておりますと、特に郵便に関する問題は、わが国の憲法の規定によってもこれは保障されておる条項でございます。また、これは郵便法第一条の規定に基づきましても、これが公共の福祉に影響するところ甚大であります。したがって、一般の企業体ではなくて、国家がこの企業をみずから行なっているゆえんはそこにあると思います。こういう観点から見ますると、私はあなたのお説には賛成しかねるのであって、なお、公共料金は第三条の規定が適正であるというお話でもございますが、物価問題を中心として考える観点から言うならば、これは自由民主党あるいは郵政審議会と同じような見解じゃないかというふうに思いますが、自由民主党、佐藤内閣と同じ見解であるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  260. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 私は政党人でありませんし、政党に入りません。私が政党に入らない理由は、一たび入ったらば、どんな議論でも決定したものに従わなければなりません。それを従わないのはどうかと思います。ところが、およそ一つの政党がやる議論が、理論的に常に正しくて誤りがないということは、世界的に見てそういうことは言えません。学者として自分の正しさを貫くためには、そういう拘束を受けないほうがいいから入らないのであります。ただ、一市井人としては、これは棄権するわけにいきませんから、それはそのときに判断をいたします。ある一つの路線があって、そのときに単にするんではなくて、基本路線はあるでしょうが、若干のゆとりはあります。それでそのときの判断で決定されるわけで、いま言ったように、政治的な立場があって理論をするというのではなくて、理論を中心にして各政党の個々のものに対して判断をする。それぞれの政党のお立てになりました政策に対しては、基本の立場がございますから、その立場は御尊重申し上げます。と同時に、私の立場もお認めいただければ幸いと存じます。
  261. 土橋一吉

    土橋委員 あなたも御承知のように、最近の新聞は、東京の五大新聞をはじめ、公共料金値上げについては国民ひとしく反対をしておる。あなたの経営学上からのいろいろな御説明を承りますと、第一条と第三条は矛盾をしないとか、あるいは財政法第三条の規定に基づくところの国会を軽視をするような、そういう内容が多々見られる。郵政審議会などについても、これはあなたの御説によると、郵政審議会がただいまの答申をしておる内容は、郵政大臣郵便事業についての適正な運営について答申を求めた。ところが、いま問題の中心である物価問題、あるいは全逓その他労働組合との間における労使間の正しくない、いわゆる不当労働行為などについては、何ら郵政審議会は回答を下しておりません。ただ事業面について若干の意見を述べ、あげくの果てには公共料金の引き上げという問題を中心に述べておるわけです。まことに国民大衆全体から見まして不都合千万と言わなきゃならない。こういう答申をいたして、しかもそれが国会や国民に責任を負わない。これが郵政省設置法の規定によって郵政大臣がかってに指名をした、そういう郵政審議会答申をしたわけです。基本的な問題はそらしていて、それで料金問題だけをあげている。こういう問題について、あなたは依然として経営学的な観点から御賛成でございますか。
  262. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 その問題は、いろんな問題がありますので、ここではお答えいたしかねます。郵政審議会を批評するというようなことは、純理論的に、学問的なものではできます。それはやる考えもありますが、順序があります。自分の基本的な研究が中心でありまして、順序でそこへ行くことがありますけれども、いま問題になっているからといって、それを飛び越えてそっちへ行くのは、学者の任務ではありません。社会の動きに対しては敏感でなければなりませんけれども、私はエコノミストでなくて、物価論の専門家でありません。自分の立場を差しおいて、いまそういうものがジャーナリスティックに問題になったからといって、にわか仕込みでもってその議論をすることはとりません。多年の蓄積と自信をもって、それ中心に行きます。ただ、一市井人としては、それに対して考えまして、自分の判断は持っております。しかし、それは皆さん方に言ってどうこうするわけのものじゃありませんから、御遠慮いたします。
  263. 土橋一吉

    土橋委員 それでは竹中さんは、佐藤政府がいま引き起こそうとしておる、公共料金引き上げを中心とする諸物価の引き上げということについて、国民大衆が反対をしておる、また法律の面から見ましても、今度の改正では、突如として郵政審議会というようなものが郵便法の規定の中に市民権を得て、これは御承知のように、郵政大臣の諮問によって政令によってすべての料金がえてかってに改正ができる、こういう体制について、あなたは公述人とされまして、そういう点を遺憾と思っていらっしゃるかどうか、それでもなおかつ適正であるかどうか、その点をちょっと簡単にお答え願いたいと思います。
  264. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 きょうは、この法律改正について意見を求められましたので、そのほうで準備をしてまいりまして、いまのようなことについて特に考えてきたわけではありません。学者である以上は、十分に考えて自信をもって言うべきであって、考えていないものを軽々に言うことはとるべきでありませんから、その点は御了承願いたいと思います。
  265. 土橋一吉

    土橋委員 佐々木公述人にお尋ね申し上げますが、あなたの御説明は非常に納得のいった、筋の通った説明だったと思うわけです。それで私は、財政法第三条の規定、あるいは憲法八十四条などの租税法律主義の原則に従いまして、この公共料金は少なくとも公共性を多分に持ってます。でありまするから、先ほどから同僚委員質問もございましたように、特に政策料金は政府が責任を持ってやるべきであって、現在のような物価高とか、あるいは大都市周辺の問題を引き起こしたのも、佐藤政府、自由民主党の政治の結果このような事態が起こった。でありまするから、政治責任を負う佐藤政府が一般財源から補てんをしてやるべきことであって、大衆収奪を中心とするような公共料金の値上げは、断固として反対をしなきゃならぬ。この点はあなたの御意見全く賛成です。  もう一つお伺いをしたい点は、郵政審議会でございますが、郵政審議会郵政省設置法にあがっておる規定によりまして、あるいは行政組織法の規定に基づきまして、郵政大臣がえてかってに若干名の委員を募りまして、それが郵政大臣の諮問機関と相なっております。これは御承知のように、郵政省の規定によって、政府、郵政省の付属機関となっとるわけです。ところが郵政大臣といたしましても、各省の官庁にいたしましても、全部国民に対して責任を負う、単独責任制をとっているわけです。司法権の場合も、御承知のように、合議裁判であっても、裁判長が単独の責任を国民に対して、また国会に対して負っているわけです。ところが、郵政審議会というのは、かってに郵政大臣が指名したものが集まってきて、それで郵政省内においては非常な権利を持つ政府の付属機関である。しかしながら、国民と国会に対して責任を負わない。それがえてかってな勧告をしておる。したがって、えてかってな勧告をした結果、それが今度市民権を得まして、いまあなたが仰せになりました二十三条の機構、あるいはその他のところを見ましても、「郵政大臣郵政審議会に諮問したうえ省令で定める」というようなえてかってなことが、佐藤政府のもとにおいてこれが決定をされておるわけです。これは財政法第三条の規定の違反であると同時に、少なくともわが国の憲法の信書の秘密を保持するという大前提のもとにおいては、まことに不都合な存在でなきゃならぬ。国民に責任を負わないようなえてかってな勧告をして、それを受けて郵政大臣がえてかってな省令でやっていく、そういう意味の不都合でございます。財政法第三条の規定によって、まことに違法であり、国家の法律をないがしろにするもほどほどでありますが、この郵政審議会が市民権を得まして、こういう形をとる法体系は一体どういうものであるか、あなたの御所見を承りたいところであります。
  266. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 土橋君に御協力をお願いします。あと二名質疑の申し出が出ておりますので、時間の関係がございますので御協力をお願いします。
  267. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 簡単にお答えいたします。  この郵政審議会を諮問機関として省令で定めるという点につきましては、先ほども申し上げましたように、これは法律を無視したものであり、財政法にも違反していることであり、絶対に許せないことではないかと思います。といいますのは、これは国民の権利を守るために重大な事柄でございます。これを国会という場できめずに、いま御指摘ございましたように、ベールの向こうにあって、全く国民から遊離した郵政審議会を諮問機関として、しかも、国民に対して責任を持たないこういう機関でかってに国民の重大な権利義務に関係のある事柄をきめるということ自体につきまして、これは私は反対しているわけでございます。
  268. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、こういうことを上程してまいる佐藤政府というものは、現在の自由民主党といものは、いわゆる新全総やあるいは全国経済社会発展計画などに伴いまして、大資本家擁護と安保体制下において、このようなことをつくり上げた郵政省を通じまして、大収奪をしながら、彼らが好むところの建設を行ない、彼らが好むところの企業の行く先を決定するということは、これはまことに不都合なことだと私考えとるわけです。特に新全総をはじめとする大資本家奉仕、安保体制強化のためのこういうことについては、まことに残念と言わなければならない。私はあなたの御意見から推測ができますけれども、政府・自民党、特に佐藤政府、これらがやっとる一連の中から出てくるこういうことについて、簡単でよろしゅうございますから、あなたの御所見をさらに承りたい。
  269. 佐々木静子

    ○佐々木静子君 私のいまのお話の件でございますが、これはこの郵便法改正一つ見ましても、現在の政府の改正案自体が、国民不在の政治が行なわれているということが、これにも一端があらわれているんではないかと思います。そういう意味におきまして、もっと国民のほんとうの意見を反映した政治の取り組み方を、この郵便法改正においてもぜひともお願いしたい。国民の声に謙虚にもっともっと耳を傾けた上で、改正をどうしてもしなければならないというなら、その線で改正をしていただきたい。その点を切望するわけでございます。
  270. 土橋一吉

    土橋委員 ありがとうございました。委員長、終わりました。
  271. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 古川丈吉君。
  272. 古川丈吉

    古川(丈)委員 先ほど水野委員からお話がありましたように、白と黒とはっきりと分けるんじゃなくして、ただいま承っておりますと、われわれとだいぶ意見の違う向きもおありのようでありますから、掘り下げてお互いに理解をしたい、こういう気持ちで質問も申し上げ、また私の意見を申し上げたいと思います。  大体公共料金というものは、国民生活に密接な関係のあるものの料金であって、地方公共団体が一定の規制のできるものだと思います。公共料金ということばは外国にないと言われたけれども、私は、そういう意味においてこの改正というものははっきりしておると思います。ただ公共料金の中にも、あるいは散髪屋さんであるとかおふろ屋の話が出ましたが、政府が何かの援助を与えておらない、しかも料金だけは規制されておる、こういうものは、やはり最少限度、とにかくもうけちゃいかぬと、それがために公の権力で一応の規制はするけれども、しかし、ある程度経済的な理由は認めざるを得ない、私はこういう種類のものがあると思います。もう一つは、今度は直接、間接に財政的に国または公共団体がその経営に参加しておる、こういうものにつきましては、また別のものだと私は存じております。その中で、いま物価がたいへん上がってくる、したがって公共料金は絶対に値上がりはいかぬ、こういうような気持ちは、私もわからんわけではない。しかし、これはやはり合理的に考えなくてはならぬので、ただ上げない上げないと言って、それでいけるものか。今度の郵便料金の問題も、もともと独立採算のたてまえをとっておったけれども、今度の三条というものははっきりそれをうたったわけです。その独立採算制をとるか、あるいは一般会計の予算から繰り入れをするか、そういうものの区別をして考えなくちゃならぬ。たいていは、私は値上げはいやだとか、公共料金値上げに反対だとか、足らぬものは財政から出せとか、みなおっしゃるんです。しかし、これは言われることは簡単だけれども、財源がなくちゃならぬわけなんで、現在の歳出が削れるならいいけれども、削れなければ増税しなくちゃならぬ。ただ批判をし、反対をするだけならそれでいいけれども、その両面というものを私たちは絶えず考えておるわけなんです。その区別は、先ほど竹中先生からお話がありましたように、その利用の性格、性質によって、一般国民が平等にそれを利用するもの、さっきその話も触れられたんですけれども、そういうものにはある程度国費を一般から出してもいい、こういう考え方が私は原則だと思います。ただ、利用する人と利用しない人と非常に差のあるもの、こういうものにつきましては、公営企業としてはやはり料金でまかなうというのが私は原則だと思います。郵便料金は、あとのたてまえを大体とっておるものだと私は思うんです。そういう点から言いますと、この料金の批判におきまして、単なる反対だとか、あるいはまた一般会計から入れろとか、こういう議論は、もっと根本的に検討されるべきものだと私は思います。で、このなるべく安くしなくちゃならぬ、こういう考え方は、公共料金には貫いておるわけです。今度の法律改正でも、一条と三条と矛盾があるということを言われましたけれども、一条は、料金はなるべく安く、その他のものを入れて全体として国民の福祉を増進するように、こういうことで、三条は、なるべく安くと一条に書いてあるけれども、その意味はこれで限度なんだ、こういう説明を三条でしてあるわけなんで、決して矛盾するわけじゃないんです。第一条だけだったら、ばく然たるもので、これは何のことかさっぱり、なるべく安くということばを書いとるだけであって、具体的にわからない。これは決して矛盾するものじゃないんです。これは一条の精神を貫いていく、それには、先ほど竹中先生お話がありましたように、経営合理化しなくちゃならぬ、経費もできるだけ少ないように努力しろ。しかし、経営としては採算がとれるようにやれ、こういう趣旨の規定だ。何にもこれは矛盾をしてない。鉄道の料金に私も関係したことがあるんですけれども、利用する人と利用しない人とあるのに、利用しない人にまで負担をかけることは、国民負担の公平の原則に反する。それがまた、お互いに同じ程度に利用するというものならば、一般の財源でまかなうこともできる、こういうような考え方を私たちは基本に持っておるわけでございます。したがって、今回の料金も、原則としてできるだけ安くということです。先ほど説明のありましたように、現在人件費もたいへん上がっておる。この料金の上がる部分というものは、人件費に食われるんだ。次にも申し上げるとおりに、とにかく郵便が予定どおりに配達されない。年末の闘争の場合は別です。しかし、普通の場合考えても、昔と比べたら非常にサービスが悪い。しかし、いまの反対される人々のお話を承っておりますと、何だか郵政の幹部だけの責任のように言われるけれども、私はこれは国民全体の責任だと思っております。国民全体の風潮だと思います。これはやっぱり労使ともに考えていかなくてはならない根本問題だと思います。私は、先ほども公共料金二つの種類がある、全然国が経営関係のないものと関係のあるものと、それから一般的に利用するものと人によって利用度の非常に違うもの、こういうものがあるということを申し上げたが、これは一番消費者の代表である岡崎さんに伺いたいんですが、そういうことをお認め願えるでしょうか、どうでしょうか。
  273. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 何と申しましても、これが公共料金であるということが私は非常に抵抗を感じます。赤字は埋めなくてはいけませんけれども、いまの封書と速達のほうは明らかにもうかっておりますし、いま赤字というのは、それ以外のものになっております。それに対しまして、先ほど私が初めの意見でも申し述べましたし、また、そのあとからも御質問お答えいたしましたけれども、やり方において非常に矛盾を感ずるところがある。赤字になれば上げよう、そういうことで、もっともっとそこに改善をし、国民に納得を得させ、国会で大いに討論をして上げられるものであったら、それはお互いに納得し合っていけますけれども、いまのように、三種、四種の国会の議事を経ないでそういうふうな上げ方をきめられるようなことをつくられたり、それからまた、いまの大口利用者に対する軽減はそのままで続行して、そしてまた新しいそういうふうなワクもまだ広げて軽減措置をとられようとする、そういう非常に矛盾した態度を考えますと、そういう矛盾をそのままふたしておいて、そしてやっぱり上げなくちゃいけないと言われるなら、私は一方的なお考えやないかと思うんです。  それからまた、一般会計のほうから入れていただきたい。こういう三種、四種の場合は公共福祉に関するものでございますから、政令で定めましたように、これは安くしていただいて、一般会計から入れたいと申しましたけれども、これは米国におきましてもそういうふうなことはございますので、アメリカでは一般会計から繰り入れて赤字を補っているという例が一つございます。そういうふうに、公共料金の値上げはやっぱし一般物価へのはね返りが大きいですから、この際は何とかして上げない方向にもっともっと努力していただかなくちゃいけない、私はそういうふうに思います。そういう意味で反対をいたします。
  274. 古川丈吉

    古川(丈)委員 結論として上げないようにしたいというお気持ちは、私もわかるわけです。しかし、私がいま御説明申し上げているとおりに、一般の人々が同じように利用するものなら税金でまかなってもいいけれども、人によって利用度が違うものは、そういうふうな公営企業に対しては、やはり料金原則としてまかなうべきものだ、こういう考え方を私たち持っておるんですが、その点はどうです。
  275. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 私のほうの言い分は、いまのとおり、幾ら赤字であるといっても、そこのところが、だからこれにおおいかぶせたらいい、そういうつきまぜたようなやり方をなさるやり方と、筋を通して、それはそれ、これはこれで、その分はこちらのほうでまかなって、こちらのほうに負担をかけない、そういうたてまえはあくまでも私は貫いていただきたいと思うんです。そういう意味で申し上げております。
  276. 古川丈吉

    古川(丈)委員 まだピントが合わないんですけれども、私は上げないという結論に対して、気持ちはわかりますけれども、一般財源から出すべき性質のものじゃないんだ、こういうことを申し上げているわけですが、その点は、何でもかんでも一般財源から補って、それで値上げをしたらいかぬ、こういうお考えですか。
  277. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 これがやっぱり社会福祉という——われわれは国民である以上、みんな機会均等に福祉の政策を受けたいんです。そういうために一般会計があるんじゃないでしょうか。何かのときにそれをもってそれを助けてやるという、そういうためにあるこれは非常にりっぱな制度だと思うんですけれども、それをこの際使っていただいて、そしてもうなるべくいまの公共料金というたてまえからいって——また値上げの幅にしましても、二倍とか一倍半とか、非常に上げ方がひどいと思うんです。そういうふうなことも、とにかくまかなえればいいんだということで、われわれが納得いかないような数字でもって上げられるということが、非常に物価上昇のおりから抵抗を感じるから申し上げるんでございます。
  278. 古川丈吉

    古川(丈)委員 先ほどから、連鎖反応を起こす、こういうことは、私もあんたの言われることに非常に共鳴しとるわけですけれども、しかし、一般財源から出せ、一般の予算から出せという点につきましては、まだ私とあんたと意見が食い違っとるわけです。すべての国民が同じように使うものについては、さっき水道の話が出ましたけども、三十立方メーターだけは特別に安くしてやる、それ以上のやつは並み、こういうような考え方が、公営企業の利用と料金関係では一貫すべきもので、それで初めて公営企業料金の問題、体系というものは筋が通る、こういうぐあいに私は考えておりまして、料金値上げの問題につきましては、非常に反対する人と、われわれ原案に賛成するような立場におるんですけれども、そこの食い違い、その点を十分御認識願ったかどうかわかりませんけれども、その点だけ、また、きょうでなくても、私のいま申し上げたことをよくお考え願っといて、一般の消費者を指導されるんですから、ひとつ無理のない御指導を願いたいと私は思う。私たちも、決して上げろと言ってるわけじゃないんです。  それからもう一つは、非常にむずかしいのは、たとえば国鉄あるいは郵政事業でも同じですが、大部分は値上げは賃金に食われてしまうんです。ところが、それは合理化して、賃金を値上げせないで待遇をよくしろという理論は立ちますが、しかし、実質的には、数字のウエートからいったら、値上げせなけりゃ改善できない。待遇をよくできない。それなのに、労働組合の人々は値上げ反対をしておる。私たちは、そこらの点はやっぱり考え方の極端な差であって、そこらがお互いに理解するようでなければ、公営企業というものの健全な発達はできない、こういうぐあいに私は考えておるんですが、その点について御意見はどうでしょうか。
  279. 岡崎安佐子

    ○岡崎安佐子君 これは政府の政治の姿勢だと思うんです。足らないところは上げたらいい、何もかも上げたらいい、それはそれで済むかもわかりませんけれども、では、それかといって政府及び行政機構のほうに欠点があるのかないのか、また、むだな費用がどこにどういうふうに使われているのか、いろんな政策に対するまだまだ反省なさる点はたくさんあると思うんですけれども、そういういろんなことを一つ一つきめこまかく見ていただいて、むだとか要らない事柄に対する費用なんかを国民の前にはっきりなさった上で、それだからここのところはこうすると言われるんだったらわかりますけれども、くさいものにはふたをしろのかっこうで、そういうふうな欠陥に対してはとやかく言われないで、ただ足りないから上げるというふうな、私はやっぱりこれは一つの政治姿勢だと思うんですけれど、そういうふうなことを正さない限りは、これは、そうですかと言って上げるわけにはいかないと思うんです。
  280. 古川丈吉

    古川(丈)委員 いまのお話も、これは従来からよくそういうことを言われるんです。しかしながら、私企業といわず、公営企業といわず、昔は非常に不合理だったんです。私企業の重役がかってに金をたくさん使っておったと、こういうふうなことがありますけれども、現在においては、そういうものは非常に少なくなった。郵政事業でも、合理化しなくちゃならぬという抽象的意見ですが、基本的な態度はおっしゃるとおりであります。しかし、具体的にこういう点がたいへん不合理だから直せ、こういう御指摘じゃなくして、ただ抽象的に言われては、一般の人は、知らん人は、非常に不合理な経営しとるからこうなったと思いがちだと思いますんですが、これは議論しても尽きないようでありますから、これにとどめておきますけれども、そういう点もぜひともお考え願いたいと思います。  それからもう一つ、野党の皆さんもおられて、国会で議論したところの例の省令にまかすところですけれども、これらも根本の議論はあんまりしないから、そういうような感じを持っておられる方が多い。私の意見ばっかし言うとるようですけれども質問お答え願うよりも、もっとわれわれの考え方を徹底してよく理解願うことが大事だと思うから、そういう姿勢を言うとるんです。もともとの法律事項というのは、権利義務に関することは法律で規定するわけなんですが、自由に選択し得るものは法律で規定しなくてもいいというたてまえが、日本の旧憲法も現在の憲法も原則でありますから、最近は立法事項があまり多過ぎるんです。実際形式的な、くだらないことまで国会で議決という手続を経ますから、慎重にやるというように、抽象的にはそう思いますけれども、しかし、必ずしもそうでもない。現在くだらないことでも立法事項になっとるために、大事なことが十分審議できないということもある。それから政令にまかしても、政治はやみでやるわけじゃなくて、いまみたいに国の政治がオープンに批判されることはないです。その点の理解が私は足りないと考えております。質問じゃなくて、自分の意見だけを言ってしまうようなことになりましたけれども、私は、この問題の根本はそこだと考えとるから、そういうふうに申し上げたわけです。
  281. 中野明

    中野(明)委員 討論ならば——会議の中で私ども審議に協力をいたしまして、参考人に意見をお聞きしてということでやっているわけですから、やりとりをなさって討論されるんでしたら、幾らでも私どももできますが、その点議事進行をよろしくお願いしたいと思います。
  282. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) 佐藤守良君。
  283. 佐藤守良

    佐藤(守)委員 私、佐藤と申しますが、本日はたいへんお忙しいところありがとうございました。各員から貴重な御意見をお伺いしまして、たいへん私参考になり、勉強になったわけでございますが、約十分間ほど時間をいただきまして、私見を参考としまして、竹中先生にちょっとお聞きしたい、こう思っておりますが、実は先ほど聞いておりますと、岡本さんと岡崎さんの話が、実は同じようなことで反対の立場に立っております。  実は私、家内、女中一人、子供四人いますんですが、郵便料金の値上げが新聞に出て、帰りましたら、みんながまた値上げですか、こういう感じを言うわけです。そこで私いろんな話をしまして終わったわけですが、先ほどお話を聞いているときに、岡本さんの意見の場合は、感情的には反対である。ただし、郵政職員のまじめな人たちの姿を見ていると、しかも今度は郵便料金値上げ率が約三五%というようなことで、ぜひよくしてあげたいというようなお気持ちだったと思います。また、岡崎さんの話は、むしろ、それ以外の別の、たとえばサービスがよくないとか、あるいはその他の点につきまして、いまのようなサービスが悪いときには郵便料金の値上げはどうかと思うと、安易な値上げはしてもらいたくないというふうなことだと思うんですが、郵政職員が約三十二万人おると思います。そういうことで非常にまじめにやっとる人もたくさんおるということは、特に御理解を願いたいと思っております。  また、一般財源から補てんするという意見でございますが、実は私、国鉄の基本問題の調査会でその再建に取り組んでおりますが、国鉄でしたらそういう議論が非常に多いわけです。公共料金の割引につきまして、特に定期代その他につきまして、累計しますと約一兆九百億あるわけです。そうすると、ただ単なる郵便料金値上げやなくて、国鉄の問題も含めていかにするかという問題になってくるわけです。そうすると、約二兆円以上になるかと思うわけです。そうすると、四十六年度の予算の約二割を一般財源から補てんするような形になると、ほかの仕事が何もできなくなる。特に社会福祉その他の問題が非常におくれてくるということを、特に御理解願いたい。国鉄で一番それが大きな問題になる。たとえば文部省へ行って定期代の値下げ分をもらってこい、たとえば農林省へ行って野菜その他の公共料金の割引き分をもらってこい。そうすると、国鉄の財源ができるんです、一兆九百億もらえば。そういう問題が出てくるということまでひとつ御認識をお願いしたいということでございます。  竹中先生には二つお願いしたいんですが、私先ほどお聞きしまして、たいへんりっぱな御意見で、敬服しております。私の知らない面も教えていただきまして、お礼を申し上げたいと思っておるわけですが、先生が改正案の第三条の中に、企業の弾力的運用の中に、事業の科学的測定と、それから保障の問題がございまして、そのあと時間がないからこまかい点は省くというふうにおっしゃいましたが、その点ひとつお教え願いたいと思っております。  それからもう一つは、改善、改革に役立てる批判、先生は第三点の立場をもって話されたわけですが、特に私はその場合非常にうれしかったのは、愛情をもってするということばがございました。この愛情をもってということばは、ほとんどいまなくなってしまったわけです。というようなことで、愛情をもってとにかくサービスの改善その他につきまして——また先生がいま六十点以上とおっしゃいましたが、入学試験その他を見ておりましても、七十点とれば大体合格します。医学部などは七十五点ぐらいのところあるんでございますが、少なくとももう十点ぐらい引かれるというのが現実でございますから、理想でございますけれども、一点ずつふやしていくためにはどうしたらいいかということを具体的に少し教えてもらいたいと思います。
  284. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 お答えいたしますけれども、こまかい点と申しましても、どの点を問題にされているのか、それをおっしゃれば、それにお答えできます。たくさんございますでしょう。
  285. 佐藤守良

    佐藤(守)委員 私は、先ほど郵政事業をやる場合に、将来の頭脳的な科学的測定ということがございましたが、現在、郵政省がやっております科学的測定は正しいか、正しくないかということが一つ。それからサービスの保障をいかにしたら具体的にコンクリートできるかということでございます。  それともう一つは、もちろん全部サービスにつながるわけですが、現在先生が郵政審議会委員等をやられておりまして、郵政当局に六十点以上、七十点、八十点にするには、郵政当局はどうすべきか。信頼と愛情をもってということでございますね、それを先生にお話し願えればありがたい、こう思っております。たいへん恐縮でございますが。
  286. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 その問題、なかなかむずかしい問題で、科学的測定は郵政だけじゃなくて、全体的にやっていないと思うんです。やられていましても、大体が過去です。将来に向かってやることが一番重要です。その点では著しい欠陥があります。郵政の原価計算は過去計算が主になりまして、将来計算をやっておりません。実はあの点について二度ほど某課長さんが東京からおいでになって、改善についてこまかい意見を聞かれました。それは秘密文書でありますから、番号が打ってあります。泊まりがけでいろいろ聞かれました。それを見ますと、いまだいぶ変わっていますが、その当時は過去計算で、将来計算が入っておりません。重要なのは、こういうものに対する将来の測定、将来計算を入れて将来の測定をするということです。それが簡単にはできませんので、できるところからやっていただきたい。簡単にできるものとできないものとあります。学者は根本問題でも取り組んでよろしゅうございますけれども、実務の問題は効率的にやりませんといけませんから、金かけても、すぐに効果が出て、しかも重要だというものに重点を置いておやりになることが必要だと思うんです。  それからサービスの問題ですが、一番重要なもので日本の欠点は、サービスのスタンダードがないということです。アメリカでは、一九一九年に公営企業の——たぶん郵便もあったと思うんですが、いろんなサービススタンダードが出ております。それを改正しているんです。そういうものを設けることが必要なんです。これはあまり役所の機構でやらないで、もう少し客観的に持続的にやることが必要だと思うんです。それができましたらば、それを皆が尊重してやる、そういうふうにやったらいいと思うんです。さっき六十点と言ったのは、いまの評価を六十点にしたのではありませんで、六十点あれば賛成するということです。だけれども、その場合に、それが七十点であるか、八十点であるか、ときによっていろいろ違います。いま私は、政府のおやりになっているものを評価するような立場にはございません。学問的には、そういうものを評価することは重要ではありません。もっと基本的な問題があると思うんです。言いたいのは、少なくとも六十点あれば賛成すべきで、あとのこまかいことをいたずらにあげつらうべきではないという点が、私の言わんとした点です。そういう意味において愛情をもってと言ったんです。愛情をもって言わなかったら、実態がわかりません。正しい実態を知らないで批評するのは、ほんとうの科学的批評ではありません。そういう意味で、批評する場合には、よく外国で言ってるんですが、ディープ・アンダスタンディングとウォーム・シンパシーをもって、そしてシャープなクリティックをすることが一番重要です、こういうふうに申しましたら、外国の学者も敬意を表してくれて、へたにおべっかを言ってもらうよりも、そう言ってもらうほうがうれしいと言ってくれています。私はそういう立場でもってやります。しかし、学問の場合には感情を入れてはいけません。客観的にやるべきです。現実の場合には、それを土台にしてできるだけ理解を寄せて、よくしていただきたい。それに協力したい。さっき外在的でなくて内在的というふうに言ったのは、外在的は外に行って批判するばかりです。内部に入ってそれに協力したいというのを内在的と言ったわけです。私いま郵政審議会には入っておりません。二期ほどつとめました。あとはいろんな委員会のときに臨時委員では入っておりますが、いまは入っておりませんから、詳しいことはよく存じ上げません。
  287. 佐藤守良

    佐藤(守)委員 どうもありがとうございました。十分がきたようで、私いろんな御意見を聞きたい点があるわけでございますが、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
  288. 金子岩三

    ○座長(金子委員長) これにて質疑は終わりました。  以上で本現地調査会を終了いたしますが、今回の派遣委員団を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、貴重なる御意見をお述べいただき、本案審査に資するところきわめて大なるものがあったと思います。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のために格段の御協力をいただきました地元関係団体に対しましても、深甚の謝意を表する次第でございます。  これにて閉会いたします。    午後一時二十五分散会