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1971-02-18 第65回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十八日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 水野  清君    理事 古川 喜一君 理事 樋上 新一君    理事 栗山 礼行君       池田 清志君    加藤 六月君       羽田  孜君    長谷川四郎君       林  義郎君    森  喜朗君       阿部未喜男君    武部  文君       米田 東吾君    中野  明君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省簡易保険         局長      中田 正一君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 私は、きょうは放送大学について、郵政省文部省の見解をお伺いをいたしたいと思います。いつか、ここで放送大学構想なり今後の実施方法について、相当詳しくお聞きをいたしました。自来、この問題は郵政省なり文部省で具体的に話が進んでおるように聞いておりますし、また報道機関によっても放送大学準備状況が報告をされ、報道をされ、また四十六年度予算要求過程でも、文部省あるいは郵政省からそれぞれ予算要求が行なわれ、内示を得ておるようであります。  そこで私は、今年の一月から非常に長い準備期間を持ちながら発足をいたしましたイギリスオープンユニバーシティーが、一体どのような反響を呼んでおるのか、われわれとしてはあまりよく承知ができません——もちろんまだ発足をして二カ月足らずでありますから、どの程度効果をあげておるのか、反響を呼んでおるのかということがよくわかりませんが、文部省なり郵政省で、イギリスオープンユニバーシティーは一体どういうような実績をいまあげておるのか、この点についてもし御承知ならば、最初に説明をしてもらいたい、こら思います。
  4. 村山松雄

    村山(松)政府委員 イギリスオープンユニバーシティーにつきましては、まだ発足早々で詳細な事情は承知しておりませんが、学生の志願者入学者状況で申し上げますと、四万八千六百人の志願者があり、二万五千人に対して入学許可がされ、一月から発足したと承知しております。大体当初伝えられたような構想でスタートして、それほど志願者が殺到するという状況でもないようでありますが、まあ所期の規模発足したように聞いております。
  5. 武部文

    武部委員 私は前回も申し上げましたが、このイギリス公開大学は、その規模において、いまわが国において考えておるような放送大学参考になるだろうかということについては、規模等考えると必ずしもこれは同一視して考えることはできないというようなことが、この委員会で論議をされたことも承知をいたしております。しかし、現実に相当な長い期間かかって調査を非常に詳細にやって発足をしたこのBBCのオープンユニバーシティーというのは、わが国のこれからの放送大学にとっては、規模は小さいからといってこれは全然無視できない、一つ実績を持つ放送大学だと私は思うのです。そういう意味で、以下十数点について私はこれから御質問申し上げるわけですが、ぜひこのイギリスオープンユニバーシティー実績等は逐次紹介をしながら、少なくとも規模に大きな差はあるにしても参考にしながら、わが国放送大学運営等をはかっていかなければならぬ、このように思います。  そこでまず第一点は、予定どおりわが国においては四十八年度から放送大学というものが発足する見通しがあるのか、この点はどうですか。
  6. 村山松雄

    村山(松)政府委員 放送大学につきましては、準備調査会におきまして基本的な構想は示されましたけれども、なお基本問題につきましても検討が残されておる事項もありますし、また具体的な問題になりますと、御指摘のように、イギリスでもいろいろ周到な準備を重ねて発足したやに聞いておりますけれどもわが国の場合はそれと国情あるいは大学制度も異なっておりますので、一そういろいろな問題があろうかと思います。  そこで、文部省といたしましては、四十八年度以降発足予定ということでさらに具体的な準備を進める。その第一段階といたしましては、まずその実験的な放送をやってみて、さらに世論も聞き、具体的な問題点を発見して、これを解明したい、かように考えております。したがいまして、四十八年度努力目標、目途でございまして、必ず発足できるかどうかにつきましては、検討の結果によってさらに判断をいたすべきものと考えております。
  7. 武部文

    武部委員 基本問題については検討される事項が若干残されておるということでありますが、これはたいへん大事なことですからあとで触れたいと思いますが、いまのお話を聞きますと、実験放送ということをおっしゃっておるわけですが、その実験放送はいつごろからやる予定ですか。
  8. 村山松雄

    村山(松)政府委員 昭和四十六年度予算実験放送のための経費が計上されることになっております。したがいまして、年度に入りましたら直ちに準備を進めまして、年度半ばぐらいからは実験放送ができるようにということを目標準備を進めたいと思っております。
  9. 武部文

    武部委員 そういたしますと、実験放送のための予算というものは、どの程度計上されようとしておりますか。
  10. 村山松雄

    村山(松)政府委員 金額にいたしまして一億三千六百万であります。その内容といたしましては、テレビラジオ——ラジオ短波放送でありますが、それでおのおの番組程度委託するという内容でございます。
  11. 武部文

    武部委員 一億三千六百万円の実験放送予算がきまったようなお話でありますが、その算定根拠は一体何ですか。
  12. 村山松雄

    村山(松)政府委員 この点につきましては、郵政省などとも御相談いたしまして、おおむね一つ番組制作するに必要な経費を見積もりまして、それのテレビラジオおのおの番組分ということで積算いたしました。
  13. 武部文

    武部委員 私は最初テレビについてお伺いいたしますが、そういたしますと、実験放送テレビ番組の時間は何分で、制作費がどのくらいで、そうして送出費がどのくらいで、こういう基準がなければ、この算定の一億三千六百万というのは出ないわけですが、それはどうなっていますか。
  14. 村山松雄

    村山(松)政府委員 一億三千万の中で、直接の委託費は一億二千三百万であります。そのほかに、必要な事務費調査費等が入って一億三千六百万でありますが、それのテレビ一本の積算といたしましては、四十五分のものを十五本、週四回放送するということで、これの四番組分ということにいたしております。
  15. 武部文

    武部委員 いや、私が聞いておりますのは、四十五分間のテレビ放送で、制作費幾らで、送出費幾らで、合計四十五分間のテレビ番組には幾らの金がかかるというふうに見ておるか、こういうことなんです。
  16. 村山松雄

    村山(松)政府委員 テレビについて申し上げますと、一番組六十八万円の一週四番組、三十週分ということで八千百六十万という積算にいたしております。それから番組送出費といたしまして、一番組十一万円の週四番組の三十週分、千三百三十二万、そういう積算になっております。
  17. 武部文

    武部委員 そうすると、いまのお答えで、四十五分番組合計大体七十九万ないし八十万円の制作費送出費がかかる、こういうことになるわけですが、その番組単価で実際問題として制作できるというふうにお思いですか。これはあと実験局のことが出るわけですが、テレビにしてもラジオにしても、実験放送をさせるNHKなり日本短波放送なり、そういうものと相談をしてこういう金額になっておるのですか、あなたのほうで直接試算をして出したものですか。
  18. 村山松雄

    村山(松)政府委員 文部省としましては、実はテレビラジオ等の具体的な番組制作等技術面については不案内でございますので、郵政省やそれから放送事業者側とも内々では相談をして、このような積算をいたしております。
  19. 武部文

    武部委員 この金額については、はたしてこれでできるのかどうかということについては、私もしろうとですが、疑問点もないことはないと思うのです。ただ一応算出根拠だけを聞いておきます。  そこで、実験放送でありますが、実験放送はどういう局を使ってやろうとしているのか、それをひとつお伺いしたい。
  20. 村山松雄

    村山(松)政府委員 テレビにつきましては、NHKお願いをしたい。それからラジオにつきましては、日本短波放送お願いしたいということで計画をいたしております。
  21. 武部文

    武部委員 そうすると、NHK東京大阪UHF実験局を使うわけですか。
  22. 村山松雄

    村山(松)政府委員 文部省としては、そういうつもりで計画をいたすつもりでございます。
  23. 武部文

    武部委員 わかりました。それならば、この実験放送の法制的な根拠をひとつお示しいただきたい。
  24. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在のNHKが行なっておりまするUHF東京大阪におきまする実験局自体は、現在のところいわゆる実験局でございまして、いま文部省が言われるような実験放送をする目的でつくられたわけではございませんが、しかし、実験局自体をそのように使うこと自体は可能であると思っております。ただいまのままではできないと思いますが、いずれ手続をとりまして、実験放送もできるようにしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  25. 武部文

    武部委員 いまのままではできないということ、それは放送法上のたてまえから、いまのままでできない、こういうふうにお述べになっておるんですか。
  26. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  多少ことばがはっきりしなかったと思いますが、現在の実験局は、放送大学用実験放送をやるというたてまえにはなっておらないということでございまして、実験放送自体を使ってそういうことをやるということはできるというわけでございます。
  27. 武部文

    武部委員 このことはちょっと大事なのでもう少しお伺いいたしますが、放送法のたてまえからいって、そういう実験放送というものを、この放送法の第何条の規定に基づいてそういうことができるというふうにお考えなんですか。それをお聞きしたいのです。
  28. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  実験局と申しますのは、電波法規定があるわけでございまして、放送法自体には実験局というものはないわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、電波法実験局の中で実験をやってもらう、そういうことになろうかと思います。ただ、NHK自体がそういうことができるかどうかという点でございますけれども、それは私どもとしましては、NHK業務の一環としまして、文部省あたりから委託によりまして、「放送及びその受信進歩発達に寄与する調査研究」ということもできるわけでございますので、そういった点もいままだ最終的に詰めておりませんけれども放送法上はNHKもそういうことができる、そういうふうに考えております。
  29. 武部文

    武部委員 放送法第九条第二項第八、この中に委託に関する事項が載っておりますね。いま電波監理局長は、文部省NHK委託をするということをおっしゃったが、そういうことはいまの放送法でできるんですか。
  30. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  文部省NHKにどういうかっこう委託するかということは、まだ実は私ども文部省と詰めておりませんけれども郵政省としましては、この放送大学準備のための番組制作その他の視聴効果調査といったような放送大学用番組調査研究をやるというわけで、それをNHK委託するということになろうかと思いますので、先ほど先生がおっしゃった放送法第九条の第二項第八号の「委託により、放送及びその受信進歩発達に寄与する調査研究」という項がございますし、また同項の第十号に「放送及びその受信進歩発達に関し特に必要と認められる業務」ということ、どちらかという点は、私どもも最終的にこうだというところまでいっておりませんけれども、そういう条項がありますので、そういった条項を使いますれば、NHKもそういうことができる、そういうふうに考えておるわけでございます。
  31. 武部文

    武部委員 委託をする場合に、何を委託するのかという問題になってくると思いますが、少なくともこの放送法第九条第二項第八号の中に書いてある調査研究ということは、番組放送するということだと私どもは理解できるわけです。そのように理解するのが当然だと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  32. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  第九条の第二項八号の「放送及びその受信進歩発達に寄与する調査研究」ということによりまして、放送もできる、そういうふうに解釈いたしておるわけでございます。
  33. 武部文

    武部委員 ちょっとよくわかりませんが、調査研究ということは、ただ単に机の上での調査研究じゃなくして、少なくともNHKという放送法に基づいて放送しておる放送局は、この調査研究ということは番組放送することが内容だというふうに私どもは理解するのが当然だと思うのですが、それはどうですか。
  34. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  調査研究そのものが、番組放送するかどうかというよりも、「放送及びその受信進歩発達に寄与する」という点で放送ができるのではなかろうかと思っておるわけでございます。いずれにしましても、私どもとしましてはもう少し検討させていただきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  35. 武部文

    武部委員 このことが法律的に非常に問題だと私は思っておるのですよ。  そこで、いまのお話ですと、もう少し検討したいということですが、それならば、いま実験放送をやろうとしておる計画が進んでおるわけですが、教科課程で、実験放送内容については具体的な計画があろうと思うのです。文部省としては、その教科課程でどのような実験放送内容を具体的に計画しておるのか。それをお聞きしたい。
  36. 村山松雄

    村山(松)政府委員 放送大学というのはまだできていないわけでありますから、いま考えております実験放送中身は、大学教育そのものではまだないわけでありますけれども放送大学ができたならばこういうものを放送するであろうというものをいろいろ研究想定しまして、現在の大学教育のレベルにおいて、現在までの世論調査などで要望の多い学科目を選びまして、これを水準においては大学教育程度に置いて、放送に適するようにアレンジして、これを番組制作し送出するということで、これまたさらに学識経験者などの協力を求めまして、研究の上練り上げることと考えております。
  37. 武部文

    武部委員 そうすると、いまのところ具体的な内容計画というものはないのですか、どうなんですか。これからつくろうとしているのですか、具体的に教科課程内容等について。実験放送をことしの春から始めようとするのでしょう、予算が通れば。一体何を実験放送しようとするのですか。
  38. 村山松雄

    村山(松)政府委員 実験放送を春から始めることは、むずかしいと思います。現在、また実験放送に乗せるべき中身を固めておるわけではございません。これから練り上げまして、年度半ばころまでにまとめて、年度半ばころから放送を始めたい、かように思っております。
  39. 武部文

    武部委員 それはテレビラジオも同じように理解してよろしいですか。
  40. 村山松雄

    村山(松)政府委員 多少のズレはあるかもしれませんけれども、原則としてはラジオテレビ同様に考えております。
  41. 武部文

    武部委員 そうすると、さらにお伺いいたしますが、実験放送で送出するところの放送大学番組というものは、一体だれがつくるのですか。
  42. 村山松雄

    村山(松)政府委員 今回の実験放送は、現行制度のワク内でやるわけでありますから、番組制作現行制度によって番組制作の権能を有する者ということになろうかと思いますけれども、その基礎となる材料といいますか、内容につきましては、文部省がイニシアチブを持ちまして、学識経験者等協力を求めてまとめたいと思っております。
  43. 武部文

    武部委員 もうすでにその構想はあるはずでありますよ。なければならぬのです。一体番組そのものはだれがつくって、どういう方法——あなたのほうはさっき、NHKなり日本短波放送実験放送を依頼するのだ、こういうことをおっしゃっておる。だとするならば、番組そのものはだれがつくって、どういう機関でつくって、そうしてそれをどういうかっこうの中で、たとえばNHKなり日本短波放送というものの中にもおそらくこの問題についての何かの番組制作委員会というようなものができるでしょう、そういうものと相談をしながら番組をきめなければならぬと思うのですよ。そういう構想はないのですか。いまのところは全然ないのですか。
  44. 村山松雄

    村山(松)政府委員 現段階では、いろいろ準備的な構想を練っておる段階でありまして、その準備的な構想をいよいよ実験放送実施準備という形で検討を始めるのは、これは四十六年度に入ってからやりまして、年度半ばまでには準備を整えまして実験放送に持っていきたいと思っております。
  45. 武部文

    武部委員 よくわかりませんが、あなたのほうはこれからつくるのだというようなことをおっしゃっておるわけですが、すでにこの予算要求をし、一億何千万の予算がつくわけですね。そういう過程で、一体番組というものはだれがどういう形でつくって、それをチェックする者は一体だれなんだ、そういうようなことも全然これから考えるのですか。もうすでに文部省なら文部省が、学識経験者を集めて、そうして実験放送をやるための一つ調査会なら調査会といいますか、そういうものをちゃんとつくって、そしてそれが短波放送なりNHKとの間にどういう実験放送をやろうかというような打ち合わせをする、そういうスケジュールが私はもうすでにできておらなければならぬと思うのですが、全然ないのですか。これから考えるのですか。
  46. 村山松雄

    村山(松)政府委員 実験放送実施のための調査会は、新年度に入りましてから発足することになっておりまして、現在では、まだその具体的な準備は進んでおりません。
  47. 武部文

    武部委員 そうすると、ちょっと私と意見が違うわけでありますが、そういう文部省学識経験者を網羅をしてつくる、どういう名前になるかわかりませんが、そういう委員会が、どのような権限を持つか、これから実験放送NHKなりあるいは日本短波放送に対してどういう権限を持つかということは、たいへん大事だと思うのですよ。さっきの電波監理局長の話を聞くと、委託をする場合に、一体何を委託をするのかということについていろいろ問題があるということをおっしゃっておる。報道されるところによると、NHK会長は、この放送法との問題について、三つの点で問題があるということを記者会見で発表しておりますね。あなた方も御存じのとおりだと思うのですよ。放送法の第三条、それから九条二項八号の問題、さらには四十四条の五項の問題、この三つ条文が、この実験放送に関してNHKがかりに委託を受けてやる場合にも問題だということを言っておるわけですね。それはあなた方もよく承知だと思うのですよ、NHKではそういうふうに言っているのですから。あなた方が実験放送を依頼されるであろう、依頼を受けるであろうNHKでは、いまの三点について法律上疑問があるということを言っているのですよ。疑問が全然ないと思いますか。これは電波監理局長に聞きましょう。
  48. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  NHK会長が言われた意味につきましては、私ども直接聞いておりませんのではっきりしないわけでございますが、三条の放送番組の編集の自由という点、あるいは九条の御指摘になった点、それからあるいは四十四条といった問題につきましては、先ほども申し上げましたように、実験局放送するというところからいいますと、これはいわゆる放送と申しましても実験でございますので、実験内容につきましては放送法規定がかぶさらない、そういうふうに私どもは解釈しているわけでございます。したがいまして、たとえば四十四条の規定は、実験局で行なう限りにおきましては、それが放送番組といいますか、実験内容規定するものではない、そういうふうに解釈しているわけでございます。
  49. 武部文

    武部委員 どうもまだ文部省なり郵政省との間にはこの問題について意思統一をされておらないように私は思うのですよ。この実験放送の問題が出てから、受ける側のほうが放送法について疑義があるということを言っているのですよ。われわれもこの三つ条文を読めば、一体番組はだれがつくって、どの権限において実験放送にどのような放送をさせるのかということについて、明確な点が欠けておると思うのです、いまの段階では。その点をこれから文部省はたくさんの学識経験者その他を網羅して検討するということをおっしゃっておる。この点は、私はいまのところ不明確だと思うのです。  そこで、さらにお伺いいたしますが、それならば、今度の予算要求の中に記載されておるところの放送大学実施調査会というものは、一体どのような内容を持って、どのような権限を持って、どのような構成なのか、それをお伺いいたしたい。
  50. 村山松雄

    村山(松)政府委員 今度の予算で考えております放送大学実施調査会は、まさにまず実験放送段階をいかにすべきかというようなこと、それから想定さるべき放送大学のあり方などを検討することを目的といたしまして、学識経験者お願いをいたしましてつくることを考えております。権限といたしましては、これは別段法律に基づくものにはならないわけでありますので、文部大臣協力を求める部外者の集まりということになります。したがいまして、この調査会で得られました結論につきましては、その結論に沿って文部大臣がこれを実行するということになろうかと思います。
  51. 武部文

    武部委員 この放送大学実施調査会は、予算が成立した後にこれをつくる。そういたしますと、この実験放送から本放送、つまり放送大学が正式に発足する、そういう見通しについて、文部省はこの調査会に長期的な展望をはかって、この中で実験放送から本放送へいつごろどういう形で移管をするのか、そういうことについても、この調査会にはかってきめるという意向なのですか。
  52. 村山松雄

    村山(松)政府委員 大体そういうつもりで進めたいと思っております。
  53. 武部文

    武部委員 いままで五、六点についてお伺いいたしましたが、どうもすっきりいたしません。まだ具体的な点が煮詰まっておらないようでありますが、そこでもう一、二点であります。  最初にお伺いいたしました際に答弁がありましたように、この放送大学の問題については、基本的な問題で検討が残されているものがある、こういうふうにおっしゃった。さきの当委員会において私がこの放送大学の問題を取り上げたときに申し上げたのは、その放送大学主体は一体どこが受け持つのか、放送免許は一体どうするのか、こういう点が問題だということを指摘をいたしたことを記憶しております。ところが、いまだにこの問題について——これが少なくとも私は基本だと思う。その基本問題を避けて通るということはできないと思うのです。こういう点について、設立の主体なり免許の問題等について、一体郵政省はどういう見解を持っておるのか、これをお伺いいたしたい。
  54. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先般当委員会において武部さん御指摘の問題、いまおっしゃるとおりでございますが、何としましてもこれは画期的な新しい大学の発足でございますので、当初のわれわれの見込みよりは少し時期がずれてきておるというのは、事実だろうと思います。それだけ慎重にいたしておるわけでございますが、いまおっしゃるような問題の解明にこれから鋭意取り組まなければならぬのでございますが、いままでのところは、たとえば予算の問題をどうするかというふうなことで追われておりまして、その辺、文部省郵政省の詰め方もまだ十分とはいっておらぬのでございまして、私のほうからいたしますると、波の問題が一つございましょう。それから免許を一体どういうふうにするのかという基本的な問題がございます。これらにつきまして、さっき御指摘放送法中身の問題等とも関連をいたしまして、さらに問題を煮詰めてまいりたい、こう考えておるような次第であります。
  55. 武部文

    武部委員 それじゃこれで終わりますが、実験放送が春にはできないから、おそらく夏ごろから始まるだろうということになりますが、その場合に、一体番組はだれがつくるのかということが問題だと私は言っておるわけですね。少なくとも番組制作権というものは、いまの放送法のたてまえからいって、あなた方が実験を依頼されるであろうNHKなり日本短波放送というものは、そこで番組制作についての何らかの会議をもって、そうしてやるというふうに私は思います。NHKは、そういう面では長い伝統と歴史を持っており、経験を持っており、設備も整っております。ところが、日本短波放送というのは、かつて教育放送をやったという経験が全然ないわけであります。ラジオというけれども日本短波放送なるものが教育放送実績がないというその時点に立って、心配はないというふうに見ておるのか、これ、文部省にひとつお伺いします。
  56. 村山松雄

    村山(松)政府委員 心配がないように、学識経験者等協力も十分得まして、慎重にやりたいと思っております。
  57. 武部文

    武部委員 それじゃこれで終わりますが、いま大臣から、この設立の主体なりあるいは免許の問題について、これは非常に重要な問題なので時間をかけて検討をして、あやまちのないようなやり方をしたい、それはたいへんけっこうなことだと思うのです。しかし、少なくとも実験放送段階に入るわけでありますから、大局的な見地に立って、すっきりした形で実験放送に入り、そして実験放送から正式な放送、いわゆる放送大学の設立という形に向かって準備を進めるべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。  放送法三つの問題は、いろいろ考え方によってはこれでできるとか、あるいはそれはちょっと放送法に抵触するとか、いろいろの問題があると思うのです。これはこの条文を読んでみてもそのように理解ができるし、またNHK会長記者会見において述べたことも、これは一理あるように思います。そういう点で、少なくとも実験放送に入る段階を迎えたわけでありますから、早急にそうした結論を出していただいて、われわれに示していただきたい、このように思います。  ただ、申し上げたいことは、何も急いでいいかげんなものをつくってやってもらうことをわれわれは希望しておるのではないのであります。BBCの内容を見ても、相当長い、五、六年の期間かかって、非常に詳細なデータを集めて検討を加えた上で、本年一月から発足したわけであります。そういう実績を私ども承知をいたしておりますが、そういう点から見ると、BBCとわが国放送大学とは、規模においても雲泥の差があるわけでありますから、そういう点においては拙速を避けて、そうしてまた大局的見地に立って、さっき言ったような主体性をはっきりして、この放送大学発足にかかってもらいたいということを最後に要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  59. 中野明

    ○中野(明)委員 きょう、大臣とそれから公社の所管事項説明に対する質問ということに聞いておりましたので、大ざっぱな点だけ確認しておきたいと思います。  それに関連をして、いま武部さんのほうから放送大学の問題が出ておりましたが、私もこの放送大学については非常に関心を持っております。現在、いまの答弁を聞いておりましてもそうですが、郵政省文部省、それからNHKも以前から異常な執着を持っておりますが、それぞれ放送大学構想と申しましょうか、でき上がった姿、これについて少しずつニュアンスが違うように思います。この点について、文部省せっかくおられるので一言だけ聞いておきたいのですが、つくろうとしておる放送大学は、どういう形を考えておられるのか、いままでの私どもの知った範囲では、何かあいまいもことしておるような感じがするんですが、でき上がったその最終的な放送大学の状態を、文部省の考え方、一応お聞きしておきたいのです。
  60. 村山松雄

    村山(松)政府委員 放送大学に関しましては、現在までに二つの会合が持たれてその構想が練られたわけであります。最初は一昨年、これは郵政、文部両省が合同で学識経験者お願いしまして懇談会を持ちまして、放送大学というものはやるべき値打ちがあるからこれを進めるようにということでやったのであります。それを受けまして、さらにもう少し掘り下げるために、一昨年十一月、放送大学準備調査会というものを持ちまして、これも郵政省の御協力も得まして学識経験者を集め、松方三郎先生を会長といたしまして構想を練りました結果、昨年その準備調査会の報告が出ております。これが、現在までのところ、文部省が持っておりまする放送大学構想でございます。  簡単に申し上げますと、放送大学は、学校教育法に準拠した四年制の大学に相当する大学とすべきだというのが、第一点でございます。これが、従来は学校教育法では大学制度の中に放送といったようなものは取り入れられておりませんので、これを実施するということになりますと、行財政措置だけではできないので、法律改正の問題ということに相なるわけでございます。そこでこれは非常に大きな問題でありますので、なおその内容等につきましてはさらに十分検討を練るということでいろいろやっておりますが、先ほども申し上げましたように、基本的な問題、この放送大学実施主体をどうするか、それから放送ということであればどうしても放送という具体的な事業を伴いますが、その放送事業の免許をどうするかという問題につきましては、この準備調査会でもなお結論を保留しております。こういう点についてさらに検討が進められるわけでありますし、それからまた、抽象的に論じておりますとなかなかイメージがわかないので、まずもって実験的な放送をやってみよう。放送大学は、放送を主たる教育手段といたしますが、そのほかに認定のための試験でありますとか、あるいはスクーリングでありますとか、そういうこともやるわけでありますけれども、何より中心をなしますところの放送事業というものを実験的にやってみたらどらかということになりまして、四十六年度予算にそのための経費を計上したわけでありまして、その準備につきましては、先ほど来御説明したとおりであります。こういう実験を進め、さらに今度は準備ではなくて、実施のための調査会も持ちまして、具体的な構想を練り上げ、基本的な問題につきましても並行的にこれは相当高いレベルで御判断願いまして、文部省としては行財政的な措置も進め、それから実施のスタートのためには、学校教育法はもちろん、場合によっては放送法等につきましても、検討の結果に応じまして、もし必要であれば改正をするということで、立法措置並びに行財政措置を並行いたしましてこれの発足に持っていきたい、かように思っておる次第でございます。
  61. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほど武部さんが心配されておるのも当然のことだと思いますが、一応大臣のほうから少し計画がずれているとおっしゃっていますが、郵政大臣として、この放送大学、ずれたらずれたでいつごろのめどでお考えになっているのか、そこら辺……。
  62. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほど村山局長からもお答えがありましたように、四十八年度以降というところに目安を置いてあるわけでございます。ともかく非常に新しい構想の大学でございますから、本来ならば、私もイギリスの先例なども見てきたいくらいに思っておるわけでございます。先般、文部大臣は渡欧されたときにちょっとお寄りになったようであります。それから私のほうは、政務次官が昨年見てこられました。そういうふうな材料を基調にいたしまして、先ほども武部さんが貰われるように、拙速はよろしくない、これは私も同感でございます。したがいまして、いまのところは四十八年度以降という点だけは私も文部大臣とは話し合いをしておるわけでございまして、それには四十六年度、七年度と二カ年ございますから、これだけありましたら、何とか八年度にはこぎつけることができるのではなかろうか、こう思っております。
  63. 栗山礼行

    ○栗山委員 私、関連いたしまして文部省の大学局長に一言だけひとつお尋ねを申し上げておきたいと思います。  放送大学の問題は、先般も郵政大臣及び文部政務次官等について、準備状況及びその内容等について質疑をかわしたのでありますが、そのときに、社会教育局長がお見えになりまして、御答弁をされております。これの準備及び研究の経過にかんがみて、社会教育局が担当された。しかし、それは準備過程がそのような過程を踏んだのであって、すみやかに大学局にこれを移管して、放送大学に対する諸般の問題を取り扱ってまいる、こういうふうな政務次官からの御答弁がございました。経過の問題は別にいたしまして、きょうたまたま大学局長がお見えになっておりますから、社会教育局から離れて、大学局が主として主管行政としてお取り扱いになっておる、こういうふうに理解をするのでありますが、いつからこの問題を大学局が担当されておるか、この一問だけお尋ね申し上げたい、こういうことでございます。
  64. 村山松雄

    村山(松)政府委員 放送大学の問題を社会教育局で最初所管しておりましたのは、その沿革的な事情のほかに、文部省の内部組織といたしまして、視聴覚教育、放送を含めまして、このことは社会教育局の所掌になっております。放送大学放送を主たる教育手段とする大学ということで、大学になりました場合でも、放送ということが九なり大きなウエートを占めます。そういう意味合いにおきまして、社会教育局から離れて大学局に来るということでは必ずしもございません。しかし、大学教育ということになりますと、大学学術局の所管でございます。そこで、今後も放送という技術面につきましては社会教育局視聴覚教育課で引き続き担当いたしますが、いろいろ大学というものの実施準備という段階になりますので、四十六年度この予算の成立後、実施準備は大学局のほらが主管でやろうということに内部的に取りきめたわけであります。予算案を要求する段階から、形式的には大学局のところで要求をいたしました。そういうことで、予算案の説明のところから私が主として担当することにいたしたわけでありますが、くどいようでありますが、技術面につきましては引き続き社会教育局も参与するわけでございます。
  65. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、先ほど大学の構想について述べられましたが、郵政大臣も、大体そういう点ではでき上がった姿は先ほどの文部省の説明のようにお考えになっておるのかどうか、確認の意味で。
  66. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 さように御了解なさってけっこうでございます。
  67. 中野明

    ○中野(明)委員 大学にも関連があるのですが、大臣の所管事項の説明の中で、音声放送の再編成ということについてお述べになっております。これによりますと、放送大学ラジオ放送は超短波放送に決定したようになっておりますが、これはそのように方針をおきめになったのかどうか。前前から、音声の波については中波にするのか、いろいろ問題がありましたので、この点確認の意味でお尋ねしておきます。
  68. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  放送大学用ラジオ音声放送の分は、普通の中波ラジオあるいはFMあるいは短波とありますけれども、私どもとしましては、FMの電波が一番適当しているだろうということを考えまして、そのための電波を確保してございます。
  69. 中野明

    ○中野(明)委員 そういたしますと、目下のところ、再編成の方針を策定するまでには至っておりません。音声放送の再編成ということについては、かねがね懸案の事項でありまして、非常に関心の強いところでございますが、この再編成の方針をいつごろまでに策定されるのか、その見通しについて。
  70. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私からごく概論的に申し上げまして、必要がございますれば、電波局長から御答弁いたします。  この問題は、昭和四十三年の十一月以来提起されておる問題であることは、御承知のとおりであります。そこで、中波大電力局構想というものによる基本的な考え方に沿って検討をずっと進めてまいっておるわけでございますが、これは電波の混信といいますか、近隣諸国とのいろいろな影響等がございますので、よほど慎重にしなければ相ならぬ問題と考えております。そこには、先ほど来御議論のありました放送大学に一系統の波を要すると問題もからんでまいるのでございまして、いまそういうことを勘案しながら鋭意方針の決定を取り急いでおるわけでございます。したがいまして、そういつまでもじんぜん日を送っておるわけにはまいりませんから、なるべく早急に構想を発表いたしまして、また皆さまからの御審議をもちょうだいをしたい、こう考えております。
  71. 中野明

    ○中野(明)委員 時期については明確な御返事がないのですが、これは非常に大事な問題でございますので、早急に基本方針は明らかにしていただかないと困ると思います。なお、FMというお話がありましたが、FMで全国をカバーするということになりますと、これはたいへんたくさんの局が要ると思います。現在、NHKがFMでカバーしようと思って相当努力しておるようですが、大体FMで全国をカバーしようと思ったら、どの程度局が必要なのか、監理局長
  72. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在、NHKは全国的にやっておるわけでございますが、それと同程度のものまでつくらなければならないということで、私どももいろいろ検討しておるわけでありますが、大体全国二百カ所以上の中継局をつくらなければならない、そういうふうに検討しているわけでございます。
  73. 中野明

    ○中野(明)委員 そういうことを考えますと、非常に再編成がたいへんになってくると存じますが、もう一点、音声放送のところで、中波大電力局の周波数の割り当てに伴う近隣諸外国に与える影響、こうおっしゃっておられますが、これはどういう影響が出てくるのでしょう。
  74. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  中波の電波は、たとえば夜ラジオをお聞きになりますとわかりますように、いろいろ外国からの電波が来るわけでございます。それと同じように、日本からの電波も外国に行くわけでございまして、日本が特に大電力にいたすますと、それだけ強い電波が外国に行くということで、外国にも混信を与える、そういう意味でございます。そういったことを勘案しなければならないということでございます。
  75. 中野明

    ○中野(明)委員 現在の近隣諸外国からの影響をわが国も受けているように私も承知しますが、こういう点、特に共産圏の近隣諸外国との調整のめどというのですか、これはできるものかどうか、そこら辺はどうでしょう。
  76. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在、共産圏諸国でいわゆる国際電気通信連合というところに入ってない国があるわけでございまして、そういったところとは国交もなし得ないということで、私どもとしては調整が現在のところできていない、そういうことでございます。
  77. 中野明

    ○中野(明)委員 非常にいろいろの問題をかかえておりまして、なかなかたいへんな作業だと思いますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、音声放送の再編成を早急に検討して結論を出していただきたい、このように思います。  それから、音声放送はいずれNHKの審議のときにいろいろお尋ねしたいと思っておりますので、次に、昨日も郵便法の改正でここでいろいろ議論が出ておりましたが、それはまた法案審議に譲るといたしまして、所管事項で述べておられるように、雇用難の深刻化ということ、郵便物数が百十億通をこえて、今後とも着実に増加することを予想されている。とりわけこの物数増加は都市部に集中して、雇用難が深刻化する。このことについて、大臣としても非常に強くここでうたっておられるわけですが、この深刻な雇用難を解消する上において、いろいろ話が出たり、ママさん配達も出ているようですが、女性の職員というのですか、そういうことも一部ではかなり成功しているやに聞いておりますが、そこら辺を含めて、雇用難をどのように解消しようとされているか、伺いたい。
  78. 竹下一記

    ○竹下政府委員 雇用難は、御説のように大都会において特に顕著でございます。それを切り抜ける方策といたしまして、どうしても女性の労働力にたよらざるを得ないということに着目をいたしまして、一部はママさんの団地配達といったようなことで、これは非常勤職員という形でやっておりますが、そういうことも実施をいたしております。今日、その数は五百名近くになっております。  それからもう一点は、女性の労働力ですけれども、これは何も非常勤ということでなくても、本務者としてやっていけるではないかということを考えておりまして、従来、女性職員は内務の仕事につきましてはおったのでありますけれども、外務の仕事は女性ではできないというような考え方が強かったわけでありますけれども、その考え方を切りかえまして、最近東京都内に十二名ほどの女子の本務者を採用したわけでございます。仕事ぶりをながめておりますと、たいへんりっぱでございますので、今後この方向は伸ばしていくべきものではないかと考えております。
  79. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話にもあったとおりに、女性の本務員はあらゆる点で成果をおさめているように私も聞いておりますので、ぜひその方向で今後も努力していただきたい、このように考えます。ただ、きのうもちょっと問題になっておりましたが、最近郵便料の値上げということについての世論は反対でございますし、私どもも先日の趣旨説明の際にも反対して、大臣にも野党は全部撤回すべきであるという意思を表明しているわけですが、それに国民感情から考えましても、遅配、誤配、これは大きな問題になっております。最近も——きのうでしたか、郵便の外務員が、配達をしないで、自分のロッカーの中に過去何年間か二千通ほど郵便物を隠しておった、こういうふうな事件も出ているわけですが、これは監察のほうだろうと思いますけれども、どうして何年間も二千通にも及ぶものを、しかも二人も、外務員の人が自分のロッカーの中にしまっておったことがわからなかったのか、そこら辺、業務の管理というのはどうなっているのでしょうか。私どももうあ然とするわけですけれども、一通だとか二通だとかいうならば、これはまた話がわからぬでもないですけれども、何千通ということになりますと、これはもう意識的に行なったとしかとりょうがございません。こういう点、その実情をもう少しわかれば詳しく説明していただきたいのですが、監察のほう来ておらなかったら、やむを得ませんが。
  80. 竹下一記

    ○竹下政府委員 監察官が来ておりませんので私から申し上げますが、御指摘は、おそらくついせんだって起きました桐生局の外務員の問題だと思います。これは年端のいかないきわめて若い職員でございまして、おっしゃいますように、二千通でございましたか、の郵便物をロッカーに隠しておったという事件でございますが、全く監察者の監督の不行き届きのしからしめるところでございまして、まことに申しわけないことだと考えております。再発しないように今後十分気をつけたいと思いますが、これは私の記憶違いでありますとすればおわびいたしますが、そんなに数年続けてやったというものでなくて、ここ数月来のことでなかったかと考えております。もし記憶違いでありましたならばおわびをいたしますが、そういうことがないように今後十分注意をしたいと思います。
  81. 中野明

    ○中野(明)委員 四十四年の夏ごろからのようです。ですから、その間そんなに同じところで、一人だけ仕事しているわけじゃないと思うのですが、ロッカーの中に、しかも二人の人ですから、同じところでそういうことが業務管理の上でわからないのだろうかという、私ども非常に素朴な不安と疑問を持つわけです。現在でも郵便事業に対する不信というのは非常に強いときですが、こういう事件、大臣としましても、業務管理のあり方というものを何かチェックする方法が一体ないのだろうか。国民としては、すべての信頼をかけて大事な書簡を郵便局に託しているわけですから、それが二年になんなんとする間に二千通以上のものが配達する人のロッカーの中にほうり込まれてあった。これは非常に常識で考えられないようなことが職場で起こっているわけです。こういう点についてどうお考えになられますか。
  82. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 まことに遺憾の一語に尽きる問題でございます。いま郵務局長が言いましたように、これは年端のいかない若者のしわざとは申しますものの、管理の側からいいますと、それであればあるだけに、もっと行き届いた配慮をしなければならないと思うのであります。たとえば、ある局でやっております、俗にブラザー制度なんということがございまして、若い職員に兄貴分のような先輩をそこへつける、そして一面指導、そういうふうなやり方を実施しておる局もございます。したがいまして、チェックシステムはもとよりでありますが、何かやはり管理者と業務員との間の血の通った制度というふうなものも今後にわたって考究してまいりたい、かように存じます。
  83. 中野明

    ○中野(明)委員 外部の事故というのは、これは事故は決していいことではございませんけれども、外部から起こった事故というのはある程度情状考えなければならないところがあると思いますけれども、内部での事故というのは、もう処置なしだと思うのです。労使関係も昨日来大臣のほうからいろいろお話が出ておりますし、その衝に当たっている苦労というのは私どももわからぬではないのですが、管理者と実際に働いている人との関係がうまくいっていないところにやはりこういう問題が起こってくるのじゃないか。事前にこういうことが察知できるような組織あるいは労使の関係であってほしい、私たちのこのように思うわけです。今後こういう点について十分意を用いていただかないと、結局、国民の側から見れば、そういう点について何ら改善あるいは対策が立てられないで、料金だけ値上げをする。とうてい納得できるものではありませんし、昨日の質疑も通じてそういう点が指摘されていることは御承知のとおりであります。特にこの点は、私、わずかなことのようで、意外だったものですから、一体これでは郵政省の中でどんなことになっているのだろうか、はたして信頼をして郵便を出せるのかどうかというところまで疑問が起こるわけです。今後の問題として注意をしていただきたいと思います。  それで、きょうは公社と両方お尋ねしようと思っておりましたので、郵政関係のことは以上でおきまして、電電公社の総裁に見えていただいておりますので、七カ年計画等につきまして二、三お尋ねをして終わりたいと思います。  まず最初にお尋ねをしたいのは、先般発表になりました弾力条項を適用して五万台が新たに増設されるということになりましたが、まことに申しわけないですが、後ほどでけっこうですから資料をお願いしたいのです。四十五年度に各通信局別に販売台数、これは一応予算がきまって出ていると思います。それへプラス五万台というのをどのように配分されるつもりか、配分されたか、その辺の資料を後ほどお願いしたいと思うのですが、委員長、よろしくお願いいたします。  それでは、弾力条項の五万台の追加割り当てができるようになりました。これは結果として増収になったということでしょうが、その増収の理由について、公社のほうはどのように受け取っておられますか。最初にそれをお聞きいたしたいと思います。
  84. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  この弾力条項の発動でございますが、昭和四十五年度予算総則の第二十二条第二項によりまして、資本収入が増加するときに郵政大臣の御承認を受けて弾力が発動、実施できる、こういう規定がございます。したがいまして、ただいま御質問の一般加入電話五万個の増設でございますが、これに必要な経費が、工事費が約八十四億円でございます。この中の約六十六億円は一般加入電話架設の際に加入者の方に負担をしていただくところの加入者債券と設備料の収入、合わせまして約六十六億円を見込んだものでございます。残りの約十七億円につきましては、四十四年度末の時点におきまして予算上の余裕資金の中から資産充当として郵政大臣の御認可をいただきましてそれを建設財源に充てる。すなわち六十六億円と十七億円の資本収入の増加があった、これを見合いにやったものでございます。
  85. 中野明

    ○中野(明)委員 加入者債券と設備料が六十六億といわれておりますが、そうしますと、これは当初の加入者債券とか設備料というのは、年間計画でどれだけの電話の増設をするというのははっきりしていることだと思うのです。そういうことになりますと、この六十六億というのは当初の予算の見込み違いなのですか、それとも当初予算を過小に見ておられたのか、そこら辺はどうでしょう。
  86. 好本巧

    ○好本説明員 四十五年度の当初の建設計画におきましては、御案内のように一般加入電話は二百十万でございました。二百十万に対する加入者債券あるいは設備料というものはもちろん予算予定しておりまして御審議いただいたわけでございますが、ただいまの六十六億円は、その二百十万分の加入者債券あるいは設備料ではございませんで、今度の新しい五万個についての加入者債券一加入当たり約十万円、設備料約三万円、これを五万倍いたしますと約六十六億、こういうことでございます。
  87. 中野明

    ○中野(明)委員 そういたしますと、この弾力条項を適用する根拠としておっしゃっていることがちょっと私、理解しにくいのですが、それでは弾力条項を適用して、債券と設備料を含めて考えれば、五万個なら五万個、三万個なら三万個を毎年増設してかまわぬ、そういう意味に受け取れるのですが、その辺どうでしょう。
  88. 好本巧

    ○好本説明員 御案内のように予算総則第二十二条には二つございまして、第一項のほうは、損益のほうの事業収入が予定以上に予算額に比して増加した、そういうときに資本勘定へ繰り入れいたしまして、建設勘定の支出をふやすということもできます。もう一つ、第二項にありますのが、ただいま御説明いたしましたように、資本勘定の収入、いわゆる資本収入が増加するというときはやはり同じように弾力発動ができるというふうに解釈しておりますが、ただいまのほうは二項のほうでございまして、新しい五万の架設にあたって新しく入ってくるところの加入者債券あるいは設備料の資本収入というものも、これを資本収入の増の一部というふうに考えております。と同時に、先ほども御説明いたしましたように、六十六億円では不足でございまして、十七億円というのはいわゆる資産充当、内部資金をもってこれに充てる、双方合わせまして八十四億円の資本収入の増加があったという御承認をいただきまして弾力条項を発動したわけでございます。
  89. 中野明

    ○中野(明)委員 損益勘定の収益がふえたから弾力条項を適用するということはよくわかるのですけれども、いまのお話の八十四億のうち六十六億までが、これから新しく設置しようとする債券あるいは設備料で充当していく。こういうことになりますと、非常にこれは便宜的なような気もするのですが、そこら辺どうでしょう。ちょっと理解しにくいので、くどいようですけれどももう一度……。
  90. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  昭和四十五年度予算最初概算要求といたしまして大蔵省に要求いたしましたときは、二百二十五万の加入電話をつけるということで要求いたしました。ところが、査定がありまして二百十万になったのでありますが、最近の積滞の増加を考えますと、われわれとしては少しでも電話をつけて国民の皆さまに使っていただくということが必要ではないか。ところで、郵政大臣と大蔵大臣と大臣折衝のときにも、もし増収があれば五万をつけてもいいというお話があったわけでございまして、われわれといたしまして、もしも増収ができたならば予算総則の中で認められている方法によりまして、五万個だけつけたいというふうに初めから考えておった次第でございます。
  91. 中野明

    ○中野(明)委員 私のお尋ねしているのは、この五万台を追加割り当てすることになった、弾力条項を適用したということは、それだけ増収があったというふうに私、理解したのですが、いまの経理局長の説明では、これからつけようとする五万台の債券と設備料がその大半の資金になっている、そういうお話なものですから、それならば毎年弾力条項を適用して、国民がみな要望しているわけですからどんどん電話をふやせばいいのじゃないか、そういうふうに受け取れるわけです。ことしだけそういうことになっていること、そこら辺がちょっと理解しにくいのですが、もう一度……。
  92. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 四十五年度予算をつくる際の経過といいましょうか、私と大蔵大臣との間に話し合いがありましたことは、いま総裁からお答えがあったわけであります。これもある程度の収益が生まれませんと、こういう弾力条項を発動するわけにまいりません。いま経理局長お話のように、根っことなる分はあるわけでございます。十七億円でしたか、それがなければこれはもう全然話にならぬことでございまして、その上にいまの六十六億が金額としては非常に多いというふうに中野先生受け取っておられるのでありましょうが、これは電話を一つ引くときには御承知のように債券と設備料が要るわけでございますから、これは上積みで、その根っこになる収入の増大というものが基本になっておる、こういうふうに御了承をいただきたいと思います。
  93. 中野明

    ○中野(明)委員 わかりました。そうしますと、ただの一億や二億でも根っこになる財源が出てきたら、毎年こういうふうな方向で電話を早くたくさんつけていく、そういうふうに今後も方針を持っていかれると理解してよろしいですか。
  94. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この点は、たとえば経済の諸情勢というようなものもあると思うのでございます。非常に経済が過熱しておって、あまり設備投資に金を使ってはいかぬじゃないかというような条件の場合はあるいはまた別かと思いますけれども、何としても積滞はたいへん多うございますし、需要はそれをまた上回って、たいへんな必要性があるわけでございますから、今回はそういう措置をとった次第でございまして、一つは経済情勢というもの、それから収益の状態というもの、こういうものに規制をされる、かようにお考えいただきたいと思います。
  95. 中野明

    ○中野(明)委員 いま電話の積滞が非常にたくさんありまして、国民皆さんの要望も非常に強いときですから、そういうことをいまお尋ねしているわけですが、そうしますと、この弾力条項を適用するに至ったその根っことなる十七億というのは、一応増収と考えていいのじゃないかと思いますが、その増収のおもな理由は公社のほうではどのようにお考えになっていますか。
  96. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  先ほどの十七億は、先ほど申し上げましたように、四十四年度末におきまして予算上の余裕資金がございます、その中から充当したものでございます。予算上の余裕資金というものはどういう原因で生まれたものかということでございますが、これは損益勘定あるいは資本勘定のほうの予算予定した以上の収入があった、あるいは経費を節約した、そういうことから生まれるものでございます。
  97. 中野明

    ○中野(明)委員 四十五年度の決算ももう大体締め切りに近いと思いますが、四十五年度、大体一番最近まででわかっている収支はどうなっておりますか。
  98. 好本巧

    ○好本説明員 四十五年度予算は、御案内のように事業収入が一兆四百四十四億円の収入見込みでございます。これに収入と支出の差額、収支差額が八十七億円予定してございます。ただいまどれだけの実際の収入実績があったかということでございますが、十二月末までが現在一番新しい数字でございますが、十二月末におきまして、一兆四百四十四億円の総事業収入に対しまして七七・一%の収入実績がございます。今後支出面からいいますと、すでに予定されておりますのは、四十五年度中の職員の給与改善、ベースアップの原資が四百三十六億円必要でございます。そのほか、三月期に予定しておりますところの業績手当の財源も若干必要でございます。というふうに相当大きな予定していなかった支出も出てまいるわけでございますので、年度末で収支がどうなるかということをただいま見通しをつけるのははなはだ困難でございますが、こういう状況でございますので、今後とも増収努力、節約努力を続けてまいりたいと思っております。
  99. 中野明

    ○中野(明)委員 まだ決算が終わっておりませんので、そういうお答えもやむを得ぬと思いますけれども、大体私どもいつも議論になることなんですが、料金の改定なんか行なったときには、収支がプラスマイナス・ゼロということをいつもお話があるわけで、結果は、決算をしてみると、たいてい大幅な増収になっている。そういう点いつも——もちろん経済の動き、加入者の利用度合いということが大きく作用しているとは思いますけれども、そういう点から考えまして、七カ年計画をいただいておりますが、この七カ年計画の収支の差額、これが資金調達見込みの中で最終的に百四十億ですか、そのように見ておられるのですが、単年度だけでも百四、五十億は絶えず増収が出てきているのじゃないかというふうに私ども感じますが、七カ年のこの計画で百四十億というのは、非常に見方が少ないのではないか、このように思いますが、そこら辺、総裁どうでしょう。
  100. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  七カ年計画は、昭和四十六年から五十二年におきます七カ年を予想しておりまして、この間は、政府がおきめになりました経済社会発展計画でも昭和五十年までしか見ておられないわけでありまして、公社がそれに対しまして、その延長線に経済発展、経済成長を予想いたしましてつくった数字でありまして、全体の収入が十三兆三千百五十億円と、非常に大きな数字になっております。そこで、収支差額を出す場合に、支出の面につきましては、いろいろ経済社会発展計画の中に出ております数字を使いまして数字を押えたわけでありますが、その中で二つ条件が入っておりまして、一つは、電報事業の近代化をはかっていって、電報の要員を電話のほうへ近代化をはかる過程において回していくということ、あるいはデータ通信のほうへ回していくということ、あるいはまた設備料三万円を五万円にするという、この二つの条件を入れまして収支差額を当たりますと、百四十億という数字が出てまいっております。しかし、何といいましても、十三兆に対しまして百四十億というのは、パーセンテージとして非常に少ないのですが、今後経済が、たとえば多少でも不況にでもなってまいりますと、やはり収入減を起こす予想も出てくるのじゃないか。確かに本年度はまだ決算が出ておりませんので、どのくらい増収になるかわかりませんが、しかし、先ほど経理局長が言いましたように、大体三百億ぐらいあるいは予算に対しては増収になるかもしれません。われわれといたしましては、増収努力は現場までしみ通らせているのでありまして、現場の取り扱い局長あたりは増収に対して非常に努力しています。それから一方、支出のほうは、先ほどのようにベースアップだけの財源として約四百三十億くらい、これは予算に計上しておりませんので、やはりどうしても増収がないとベースアップのものをうまくさばけない。そのために増収に対しては非常に努力さしておりまして、したがって、この十三兆に対しまして百四十億ということは、非常に先のことも入っておりますので、私は見通しとして持っておるので、正確にこのとおりになるかどうかは、また日本の国の今後の経済発展あるいは好景気がずっと続くものか、あるいは若干経済成長が落ちてきてそれによって収支が悪くなるか、その辺はまだ相当未知の要素が入っているというふうに御理解願いたいと思うのでございます。
  101. 中野明

    ○中野(明)委員 わかりました。  それでは資金の調達であります。この七カ年計画を含めて四十六年度予算が出ているわけですが、最近公社は財投からほとんど財源が来ないのですが、この点、郵政大臣としてどう見ておられますか。公社の経理内容にもよりましょうけれども、財投からの借り入れがなければ、結局事業を計画する上において加入者負担というのが非常に大きくなってくる、こういうふうに考えられるのですが、何か財投をもらえない理由があるのでしょうか。
  102. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 公社の電信電話に関する設備の拡充につきましては、これは基本的には国の経済政策との調和をとらなければならないわけでございます。そこでこの設備資金の確保について、適正な受益者負担をちょうだいするということのほかに、公社みずからが調達をする縁故債、あるいはなおそれで不足をするという場合は財政投融資に期待をしなければならぬことは御指摘のとおりであります。そこで、ただいま四十六年度予算の場合についても、その調達に考慮を払ったわけでございますが、いま出ておる数字があるいはそれじゃ少な過ぎる、こうおっしゃるものと思いますが、これは財投を目がけて一種の分け前みたいなものをいろいろな公企業その他が主張するわけでございます。したがいまして、これは七カ年計画全体を通じては、いま数字はおくれがあるにしましても、これを回復する、こういうことに全力をあげて努力して、計画自体がそごを来たすようなことはないようにしたい、かように考えておるわけでございます。
  103. 中野明

    ○中野(明)委員 私、この七カ年計画を見まして一番抵抗を感じますのは、設備料の値上げ、これによりまして相当の資金の調達を見込んでおられるわけです。ところが、これから七カ年計画で増設しようとしておられる加入電話、これが一千九百七十万台と、こうなっております。その内訳として、事務用が四百万、住宅用が一千五百七十万、こういう比率になっております。そうしますと、今後これから七カ年の間に増設されようとしている加入電話の大半が住宅用である、こういうことになってまいります。この住宅用の電話というのは、現在公社が設定しておられる架設の優先順位からいけば、一番あとになっております。そういう関係で住宅用の積滞が伸びてきた、こういえると思うのです。  そこで、いよいよこの七カ年計画に入って、これから一千九百七十万という膨大な数にのぼる電話を新しくつける、この段階がきて設備料を三万を五万にする、大幅な値上げであります。それがしかもいままで優先順位をおくらされておった住宅用電話が大半である、こういうことになってくるわけです。そうしますと、私たちここに非常に抵抗を感じると先ほども申し上げましたのは、結局住宅用電話で優先順位をおくらされて、いままでどうしてもつくのが、激しいところは二年、三年も待っている。それでいよいよつくようになって設備料が上がる。こういうことでは、ほんとうに、どう言ったらよろしいですか、事務用の電話よりも、住宅用の電話の人たちのほうで収入というのですか、その電話でかせいでいく、そういう点について非常に大きな矛盾を私ども感じているわけです。  ですから、いま申し上げているように、資金の調達面で、公社は確かにそれは苦しいかもしれませんけれども、財投からでも金を借りて、そうして設備料の値上げをする分だけでも防いでいく、こういう考え方が私は正しいんじゃないか、このように自分では理解しているわけです。その辺、郵政大臣はこの七カ年計画をごらんになって、これからつけようとする一千九百七十一万、約二千万台のうちで千五百七十万、千六百万台近い、もう大半は住宅用電話になっているにもかかわらず、ここで設備料を値上げして、その住宅用の加入者から設備料金を取っていこう、こういうものの考え方、私は納得できないのですが、大臣、この計画書を見られてどのように御判断になったか、そこのところをお伺いします。
  104. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 設備料を値上げせずに済ませばこれは一番けっこうなことでございましょうが、何としても電話は一台架設するために三十数万円の経費が必要になるわけでございます。してみれば、利用者の方々にもある程度のごしんぼうをいただかなければなるまいか、こういうところから、今回の措置に踏み切ったわけでございます。積滞の多くの部分が住宅である、こういう御指摘でございまして、なるほど数においてはそうでございましょうが、しからば、事務と住宅と厳密に線を引くというわけにもまいりかねるような問題であろうと思うのでございまして、おしかりではありますけれども、どうも情勢やむを得ない、こういうふうに判断をいたしております。
  105. 中野明

    ○中野(明)委員 これは総裁にも御見解を聞いておきたいんですが、結局、優先順位というのは、公社の中で一応電話の優先順位というものを公社の方針としてきめておられる。ですから、公社の都合で結局住宅用は優先順位をおくらされて——そういう言い方はどうかと思いますが、おくらされて、そのために要求があったにかかわらず一千五百七十万というのが、今後架設に必要な数字だ、こういうことになっているわけです。ですから、角度を変えて申し上げれば、いままで営業用、事務用ですね、そういう優先順位のいいほうは設備料が安いときにどんどん電話をつけてもらっておって、さてこれから自分たちの番だというときになって設備料が上がる、これは市民感情として非常に抵抗があるのです。その辺、いま大臣もお話しになりましたが、総裁として、それは公社の経営の面からいえば、事務用の人のほうがたくさん電話を使ってくれるからいいお客さんかもしれませんけれども、やはり加入している人はお客さんですから、たとえ使用が少なくてもお客さんには違いないと思いますし、また、そういう人たちにささえられて公社というものがあると思います。ですから、そういう点から考えて、いまこの時期に設備料の値上げをするということは、先ほど私、いろいろ申し上げているのでおわかりいただいていると思いますが、非常な抵抗なんです。総裁としてこの点どのように判断され、お考えになっているか。大臣が言われたように、一番いいのは、設備料をそのままにして何とかこの七カ年計画を実行してくれることが一番いいのです。それは私も強く望んでいるわけですが、総裁のお考えを聞きたいと思います。
  106. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど大臣も答弁になりましたが、設備料を現状のままで七カ年計画をやる、これが一番いいわけなんでして、われわれとしてはそういうことも一応は検討いたしました。しかし、現在四十六年度予算案が国会へ出ておりますが、その中で、一体じゃ利子をどのくらい払っているかということを考えますと、約千五百億円利子を払っているわけでして、今後七カ年計画でこの架設を進めてまいりますと、一加入電話当たり約三十数万円かかりますから、その減価償却利子を考えますと、やはり実際相当の経費が必要になってくる。公社としてはやはり独立採算で電信電話事業を運営しておりますから、赤字のままで計画を立てるわけにいかない。そこでどうするかということになりますと、結局いわゆる電話の料金の値上げをするか、あるいはまたそのほかの方法を考えるかということになるわけなんでありますが、しかし三十数万円かかる状態でありますので、この際、特に電話局のほうから加入電話の末端までいく経費というものが約七、八万円かかっておりますから、その分だけをも頭に入れまして、この際五万円を負担していただくというふうに考えた次第でありまして、今後赤字になってくるということを考えて、いわゆる基本料金を上げたり何かすることを考えれば、私は、やむを得ないのじゃないか。  それから、住宅、事務の問題につきましては、もし御質問がありますれば、もう少し優先順位の基準の中でこれをどうやっているかということを関係の局長から説明させてよろしいのでございますが、ただ基本料におきまして約三割、住宅用電話の基本料を事務用より下げております。その点で、住宅の負担は、基本料金の点において安くしておる、こういうことが一つございます。以上お答えいたします。
  107. 中野明

    ○中野(明)委員 総裁の言われることはわかるのですが、ちょうどそういう時期が、この七カ年計画を実行するにあたって、結局住宅用電話が大半であるという結果から見て、そういう結果になっている。時期としては、私は非常に抵抗を感じておるわけです。ですから、言われる意味はわかります。それは利子は払わなければならぬし、公社が赤字になってもということですから、結局判断の基準を、設備料を上げないで、積滞でたまっているのを、要望があるけれども、設備料を上げないでがまんをして少しつけていくか、それともこの計画どおりに設備料を上げてでも大幅につけていくか、その違いが判断の基準だろうと思いますけれども、いずれにしても私はそれを一歩突っ込んでいったときに、結果的にこういう結果になっている。住宅用は一応順位としてはあと回しになっているのが、これからつくような段階になってきたときに値上げになる。そして住宅用以外の、電話は、いままでの状態の中で比較的どんどんついていっているから、これは四百万という少ない数になっていると思うのです。事務用はほとんど需要が満たされた、こう考えてもいいような数字になっております。ですから、この時期に設備料を値上げするというのは非常に抵抗の強いところでありますので、たびたびお尋ねをしているわけです。いずれまあ公衆法が出てまいりました時点におきまして、さらに広域時分制等を含めましてお尋ねしていきたいと思います。私、この点については非常に問題があるように思いますし、設備料の値上げを何とかほかの方法で解決することができないか、こういうふうにいま申し上げているわけであります。  それでは時間もございませんので、最後に一点だけ、データ通信のことが大きく浮かび上がってまいりました。このデータ通信で回線を自由化していくということについては、巷間伝えられるところによりますと、通産省のほうからも何か横やりのようなものが出ているということなんですが、その点、郵政大臣と通産省との話し合いがきれいにできているものかどうか、それが一つです。それからこの通信回線を自由化にしても、端末の器械その他を郵政大臣が認可しなければいけない。公社もそれを承知して初めてデータ通信はできる。ここら辺に非常に抵抗を感じている向きもあるようです。自由化といっても、そこでチェックをして自由化にささぬのじゃないか、あるいは公社が独占をしてしまうのじゃないかというような意見もあるようですので、この機会にそういう点を明らかにしておいていただきたい。  もう一点、一ぺんにまとめて言うようで恐縮ですが、公社としてもデータ通信をやる以上、やはりそういう世間の疑問もある時代でございますので、別会計にされようとしているのか、それとも新しく別の会社をつくってデータ通信をやるほうがいいと思っているのか、そのデータ通信の将来のあり方、これについて総裁はどう考えておられるか。この三点、まとめてお願いをして終わりたいと思います。
  108. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 時代の要請に即応いたしまして、データ通信の問題が世論もかまびすしくなってまいりましたし、また実際上の必要に迫られておる段階であろうと思うのであります。そこで、いま通産省関係と話がどうかという御指摘がございましたが、新聞論調などにもあらわれておりますとおり、業界の方面などは、これはできるだけ自由に開放せよ、こういう御意見が強かったことは御承知のとおりであります。しかし、これを電話回線に乗せるということでありまする以上は、やはり電気通信行政の管轄の範囲に入るものである。こういう二つの立場というものがありまして、これをいかに調整するかということで——昨年も実はこの問題が出ておるのを今日まで持ち越してきました経過は御承知のとおりであります。そこでその調整でございますが、大体私どもの見解を民間側にもあるいはマスコミの関係にもよくお話し申し上げまして、大体今回の法案についての御賛成を得ておるつもりでございます。したがいまして、通産省とも十分な話し合いがつきまして、まずまずそういう御懸念はなかろう、このように心得ておるような次第でございます。  自余の問題は総裁から申し上げることにいたします。
  109. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただい左の御質問で、公社としてデータ通信に対して別会計あるいは別な会社をつくる意思があるかという御質問でございます。公社といたしましては、このデータ通信については独立採算でやりたいというふうに考えております。したがって、この際別な会社をつくるということは考えておりません。公社の中の業務としてやりたい。ただその場合に、これはコンピューターの入ったデータ通信とそうでないデータ通信もありますし、それからまた、今後公衆電気通信法の法案が提出されると思いますが、その中で公社として線をお貸しするという、そういう分も出てまいります。しかし、いずれにいたしましても独立採算としてやりたいというふうに考えております。
  110. 金子岩三

    金子委員長 午後三時三十分再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後三時四十二分開議
  111. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。栗山礼行君。
  112. 栗山礼行

    ○栗山委員 あと同僚二人の質問を控えておりますから、許される時間で要点だけを御質問申し上げてお答えをいただきたい。  私、質問に入ります前に、まずちょっと私の意見を申し述べて、大臣の所見を伺ってまいりたい。  たしか群馬県の桐生郵便局の問題でございますか、午前中に中野委員の御質問について、竹下郵務局長の御答弁を私は伺いました。その前提は、首席監察官がおらないので私からお答えすると、こういうことでございました。勉強足りませんから、その内容をよく承知いたさないのでありますが、事件が起きるまでに、監察自体については一つ調査及び事件についての検察権も持っておると承知をいたすのであります。したがって、竹下郵務局長のおことばは、そういう不正行為による問題は郵務局長としての所管行為でない、こういう前提にお立ちになっておるのか。あるいはまた、これは人事局の問題だ、事件それ自体は監察局の問題だ、こういうふうにも受け取れるわけなんですが、その間の問題は、いま竹下郵務局長がおいでになりましたから、あの種の問題は単に監察局の問題としてながめるべきものであるか、あるいは郵務局の郵政業務の一環として、そういうことに至らしめない適正な行政を行なっていくという一つのものであるか、あるいはまた、それは存知いたしません、人事局自体が行なうべき問題であるか、こういう点について私非常に勉強が足りません。この問題について大臣にということはなにでございますから、幸い竹下郵務局長がおいでになりましたから、まず、その点についてお伺いを申し上げたい。
  113. 竹下一記

    ○竹下政府委員 たとえばけさほどの桐生のあのような事件でございますが、あのような大事件もございますし、軽微な事故もございます。こういう場合、まず実情調査をいたしますのは首席監察官でございまして、地方には、郵政局の所在地に並列いたしまして郵政監察局がございますし、各府県にも監察官の出張員がいるわけでございまして、その人たちがまず実情調査をするわけでございます。したがいまして、調査が判明し次第、たとえば郵便の事故でございますると私のほうに連絡がございますし、中間的にもいろいろ連絡がございます。それを受けまして、郵便の業務上の取り扱いについていろいろと注意を喚起したり矯正をしたりするような必要がありました場合には、郵務局のほうで計画を立てまして、地方へいろいろと連絡をしたり注意をしたりする。たとえば人事上の問題、労働問題に基因するとか、あるいは一口に申しまして綱紀粛正の問題であるとか、こういったことになりますと、人事局なりあるいは官房のほうへ連絡がされまして、おのおののラインでもって適切な措置がとられる、こういうことになっておりまして、私ども監察局と緊密に連絡をとってやっておるつもりでございますが、一応事実の調査という段階につきましては、一まず監察局のほうが発動するという形になります。
  114. 栗山礼行

    ○栗山委員 それで問題の整理の性格あるいは分権の内容を明らかにしていただいて、たいへんけっこうだと思います。私はちょっと理解しにくい点は、あの種の不正行為が起きないようにということの調査の監察業務が、監察業務に加えられた一つの任務的なものだ、こういう理解をいたしておるのです。その以前に、やはり郵務行政というものについてあるべき姿を、行政上の分野において十分に、そういうことを起こらしめないようにするということが、私は中央における郵務局長の役割りだ、こういう一つの考え方を持っておるのですが、竹下局長の御所見はいかがですか。
  115. 竹下一記

    ○竹下政府委員 先ほど私が申し述べましたのは、事件あるいは事故が発生いたしました際の省内のそれぞれの部局の働きということについて申し上げたわけでございまして、御指摘のように、そういった事故、犯罪を防止する、防犯、防事故ということにつきましては、これはそれぞれの部局、郵便でございますと郵務局、貯金、保険おのおの事業局がございますが、これが平素からその点につきましては十分研究をいたしておりまして、通達を出すというような形で地方へ注意を喚起するとかいうことは、これは平素からいたしておるわけでございます。
  116. 栗山礼行

    ○栗山委員 結局、監察業務の機能的な効果もなかった、それから郵政業務の末端の一つの任務づけの十分なる指導行政も欠けておった、こういう事柄があの種の問題を提起された一つの要因だ、こう理解してよろしいかどうか。
  117. 竹下一記

    ○竹下政府委員 あの種の事件が起きましたにつきましては、これはもう弁解の余地がないと思います。その方向で郵政局あるいは地方監察局、現地の郵便局の監督者が平素やっておるはずでございますけれども、やはり不十分であったということになりましょう、あの種の事故が起きたわけでございますから。まことに申しわけないと思いますが、今後は十分、そういうミスを出さないように十全のことをやるように心がけなければならないと思います。
  118. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体、今後の姿勢とか方向ということについてのみ中野委員にも御答弁がされて、拝聴いたしましたところであります。私は、なぜこういうふうなことを伺うかということについては、少なくとも大臣の謙虚にこの種の事件の遺憾と、これを戒めるその姿勢をもって御答弁されましたことについては、私は非常に深い敬意を表して、高い人格にさらに深い尊敬の念を持った次第であります。  私は、竹下局長お話を伺って、私の理解も不十分かもしれませんけれども、冒頭に、これは首席監察官が出られてお答えするべきであるが、おられませんから、まあ、私がかわって出ると、こういうような答え方でございました。その中の答弁について、今後の問題ということと調査の実態に照らして、要するに善処するつもりである、こういうふうなことで、謙虚に郵務局長として、いずれの原因であろうとも、それは真相が明らかになってくるのであるけれども、少なくとも依頼を受けた送達の義務を怠って、多くの人たちが長い間通信がとだえて、大きな交流関係の問題を阻害されて犠牲を受けておることは、内容的にはよく存じませんけれども、これはいうまでもないと思うのです。いずれにいたしましても、やはりこの所管局長として謙虚にこのような事柄をわびて、これの実態を明らかにするとともに、今後なお姿勢を正していくべきだという、私はそういう陳謝といったらたいへんえらいことばになりますけれども、そのような誠実な一つの遺憾の態度を表明されるということが望ましい。私は、速記録を後日ごらんになったらいいと思いますけれども、まことに形式的その場的答弁をされたということであって、所管の郵務局長の姿勢というものが、一体これが郵政省の姿勢の全体的な内容ではないかというようなことで、非常に押えがたい矛盾と苦悩を実は持っておりましたので、この問題をあえて冒頭に申し上げた、こういうことなんであります。  私は大臣の御答弁について、非常に深く敬意を表しつつ理解をいたしております。少なくとも、なぜあのようなことが起きたかということについて、あるいはまたその原因の上に立って、どれほどの実害が、通信関係がとだえて被害者に大きな迷惑をかけておるか、このようなものについて、私はどういう規定があるか知りませんけれども、単なる厳正に処罰したとかというようなことでなくて、実害行為についてどのように対処していくかということが、また相関連する任務であり、サービスの当然な姿である、このように思うのでありますが、これは今後の問題でありますけれども、答弁に立って、私は、少なくとも意見の相違はございます。これは、もう両者のその立場を認めるべきだというように考えておりますけれども、少なくとも意見の相違を、われわれに同調せいということじゃなくて、皆さんの役割りの立場において私は真摯にしかもそのことが理解できるという答弁をすべきである。  この答弁が、率直に申し上げまして私は先ほど記憶を新たにいたしておりますが、徳安郵政大臣のときあるいはまた郡郵政大臣のとき、また今度現大臣のときと、こういうようなときで、逓信委員会における質疑等でも、私なりに身近いつかみ方をいたしております。大臣のお人柄あるいは誠実さ、こういうようなものが非常ににじみ出ていることについては、あまり無理な問題をふっかけることはひとつ御遠慮申し上げようというような立場におるわけでありますけれども、少なくとも皆さんの官側の一つの答弁というものは、まことにこれは、よくいわれますいんぎん無礼ではなくて、これはもうきわめてその場の場当たり的な一つの答弁に終始されておるという感を一そう深くいたします。したがいまして私は、やはり所管の最高責任者である大臣のその基本方針に沿って、そして長年のいろいろなしきたりなり伝統がございましょうけれども、少なくともこういう場合についてはすれ違いをいたしましても、それなりの誠実さと内容をもってお答えをする、こういうことがまず今後の重要な案件をかかえておる逓信委員会の両者の質疑の中心点じゃなかろうかと、こういうことを考えましてあえて申し上げたのでありますが、大臣の御所見をお伺い申し上げたい。
  119. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいまの竹下君の答弁を再度お聞きくだすって、その間の事情は御氷解願えたと思うのでございますが、おそらく午前中に中野さんの御質問を受けとめるべき首席監察官が、きょうは御要請がないものと思ってここにおられなかったわけであります。したがって、それにかわって郵務局長が立ったのでございますが、おそらくはやはりあれだけの事件になっておりまする以上、責任者が的確なお答えをすることが本来であろう、こういうことで、あるいはことばの足らなかった点もあろうかと思うのでございますが、まあひとつその点は御寛恕をいただきたいと思うのでございます。  私は、郵政の仕事にタッチいたしまして、この省に特別な監察機構というものがある。これが他の役所にあまり類例がないわけでございます。このことはやはり二万に達するという郵便局をかかえており、そこには現金の出納といったような重要な仕事がございますから、これもさもありなんと思います。しかし、それであるならばそれだけに、監察の仕事というものが単に非違を剔決するということでも——それも必要でごさいましょうが、同時に一つの指導性を持つという機能がやはり当然必要であろう、こう思うのであります。自来そういうことを問題として私は提起しつつ監察にも当たっておるわけでございますが、私も、この役所の中に入り込んで思いますことは、なかなか役所は縦割りの機構といいましょうか、これが非常に厳然としているわけでございます。しかしチームワークというものがなければならぬと私は思うのです。たとえば三遊間へボールが飛んできたときに、どうもこれはおれの分野じゃないといったようなことになると、たまはトンネルしちゃいます。そういうようなことで、そのかね合いというものはむずかしいかもしれませんけれども、やはり彼此相補うということが必要ではないかと思うのでございます。  そこで、いま御指摘になっておる事件は、これは私はやはり質的に見れば非常に重大な問題だと思います。したがって、なぜこれが未然に防ぎ得なかったかということを省みて、たいへん私自身もじくじたるものを覚えるわけでございますが、これには、若い職員の教育にも十分つとめなければならない。そのためには管理者とそういう人々との間の人間的な交流というものがもっと深まらなければならない。制度的にそれじゃ——さっき私はちょっとブラザー制度というようなことに触れましたけれども、何かそういう仕組みももっと積極的に考えるべきではないかというように思っておるのでありまして、こういうことを契機にして、未然にかかることのないように努力をいたしたいと思います。どうか、竹下君の気持ちは、あるいは本人十分に意を尽くし得なかったかもしれませんが、何とぞ御寛恕をちょうだいしたいわけでございます。
  120. 栗山礼行

    ○栗山委員 以上、まあさらっとした気持ちで一つの国会答弁、真摯な態度で両者の質疑をするということで私は臨むものですから、あえて申し上げたのでありまして、ひとつ格段の善処をお願い申し上げたい。私どもも審議する場、私どもの身分を踏まえて、両者の関係で信頼と真摯な討議をできる、こういうような基本的な考え方で臨んでまいっておるつもりでございますが、将来一そうひとつ自戒をいたしまして、そういう態度を堅持してまいりたい、かように考えて、この問題はこれで終わることにいたします。  放送大学の問題については、同僚の二人からお話がございます。この問題の中身を伺いまする場合において、いろいろ問題がございます。昨年文部省の政務次官と大臣とに向かいまして、放送大学の未来の各層にわたる国民の生涯教育を徹底をする一環としても重要な問題として、私はこれをとらえてまいっておるということで申し上げたのでありますが、今度の文部省予算、それから郵政省予算は百万でありますが、これ自身の御説明はまたお伺いできると思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、相当、いままでの経緯を考えまする場合に、あまりに時間をとっておるということが率直にいえると思うのであります。これは主として郵政省側じゃなくて文部省側の問題にもございましょうし、それからひょうたんからこまが出るような、あるいは自民党さんの選挙スローガンという一つの感なしとしない、こういうことも指摘を申し上げておきました。一体やる気なのかやらないのかというようなことと、社会教育局で担当するという一つの経過の利点は了解できるけれども、少なくとも文部省が意欲的に展開するということなら、公約実施の方向こそやはりこたえる道じゃないかというようなことをいろいろ御質問を申し上げた経緯がございます。  今度の経過からながめてまいりますと、まことに春遠しでありまして、一体、四十七年が若干おくれるという一つの事柄については、拙速を避けていろいろ十分なる放送大学中身を充実する、こういう意味における時間をかけることまたやむを得ないかなと、私はこういう理解をいたしておったのでありますけれども、いままでの経過についてはそういう内容に必ずしもいっておらない。しかもまあ文書を伺いますと、実験放送を通じてその中からあるべき姿を見るんだ、こういうふうなことが指摘されておる私の資料も持っておるというようなことで、まことにこう分裂症的で支離滅裂だとこういうような感を深めるわけであります。特に、私どものように、家庭に恵まれず最高教育を経ておらない者の若人及びわれわれの国民の周辺の教育のあり方というものについては、ひとしお私は深い熱意を持つ者の一人でございまして、大きな期待をいたしております。  したがいまして、私は今日の経過を端的に申し上げますと、もっと準備が進捗をして、そしてそれの基礎的な土台が確立されていろいろ進んでまいるべきものだと、こういうふうに考えるのでありますけれども、いろいろ、一方ではかすかなる準備をされるけれども、その土台の基礎もつくっておらない、プロセスもないというかっこうで、とにかくひとつ実験放送をやってみようじゃないか、何か主客転倒のような形における運び方というような感を受けるわけであります。これは文部省に行って言うてこいという意見もありますけれども文部省郵政省の間におけるいろいろ連絡及びその他の機関等をもってパイプを結んで進められておる、こういうふうに理解いたしますときに、非常に知識人であり、文化人であり、誠実な政治家の一人としての郵政大臣が、もう少しひとつこれを熱を入れていただいて、もっと基礎からおやりなさい、こういう考え方を私は強く持つわけであります。特に実験放送についてもいろいろ問題がございます。現行法の放送法の規制下におけるNHKの問題あるいは認可をどこに置くかというような問題等もいまだに定まっておらぬ、その上に、とりあえずひとつあなたのところで下請してくれないかというようなことで、ものが運んでおるような一つの感をいたします。  要約いたしまして、私は、どんどん、準備という名前によって、ものがどっちに行くか知らないようなかっこうで、めくらで出発をしていく、これであってはならない。家を出るときにはやはりその用件と行き先を明確にして、それに肉づけとその進行路線を進んでいく、こういう点については非常に危惧の念を持つわけでございます。こういう点で、私自身は文部省も叱咤激励いたさなければなりません。あるいは国民がひそかに待望いたしておるものが深いと感じておるのでありまして、いろいろ所管の上において、また閣僚会議の上で連絡等の協議の中でこれを充実する一つの方向の中に明らかに進行路線とビジョンをひとつ国民に示して取り組んでいく、こういう考え方でお運びをいただくことができるならば、きょうはこの時点で私はひとつ御質問を差し控えたい、かように考えておるわけでありますが、御所見をひとつ……。
  121. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 栗山先生からこの委員会においてしばしば放送大学に熱意を込められた御意見を伺ったわけであります。確かに全国津々浦々、大学教育の便益を享受しておらない向学心に燃えた青少年に対して、この放送大学というビジョンは、非常な希望と夢を持たせるものであることは間違いないと思います。それが何か、少しもたついておるのではないか、こう言われるわけでございますが、これは栗山先生御承知のように、イギリスといえどもこれはかなりみっしり準備期間というものをもって当たったようでありまして、現在踏み出した上におきましても、なおあれやこれやと壁にぶつかるものがあるように聞いております。したがって、こういう教訓をこちらといたしましても十分にくみ上げなければならぬという問題もございましょう。いずれにもせよ、私はもう石は坂をころがりだしているということは間違いないと思うのであります。もうこれだけの予算をとり、文部省も本腰を入れて始めておるのでございますから、これが途中で妙なことになるという心配は万なかろう、かように心得ております。したがいまして、いまおっしゃるように、おまえがもっと情熱をかきたててこれと本格的に取り組め、こう仰せられるわけでございますが、いまの段階は何かイニシアチブが文部省にありそうに見えるのでありますけれども、しかし、何といいましても技術的な問題はわれわれのほうが担当すべき性質のものでありますから、その辺は十分に緊密な連絡をとりまして、この際政府は一体でありますから、文部省がどうだ、郵政省がどうだということではございませんで、ひとつただいまの御発言を有力なる御鞭撻をちょうだいした、こういうふうに理解をいたすわけでございます。
  122. 栗山礼行

    ○栗山委員 これは私悲願でございます。熱願でございますから、所管大臣として、また閣僚の一人として、十分な指導性と実現への一そうの御配慮と御検討を望みたい、こういうことでこの問題を終わらしていただきたいわけであります。たいへんありがとうございました。ただし大臣、非常に期待をいたしておりまっせという大阪の弁をもって、これはお願い申し上げたい。  若干これとも関連をいたしますが、私の記憶では、たしか電波法放送法の問題は、三十九年に答申があったと承知をいたしております。四十一年の逓信委員会がございましたときに、電波、放送法の改正、こういうふうな法案が提出をされまして、ついに審議に入らずして、久しく今日までまいっておる。その時点におきましても、現行の電波法放送法につきましては、基本的な法律憲法的要素を持つのでありますけれども、この問題について識者からいろいろ意見が出てまいります。政治論としてはまだ沈静化し、タケノコでございませんけれども、土の上に上がってこない、こういうふうな感じでありますが、相当の長い経過がございますし、それから特にいまの放送大学の問題にいたしましても、沖繩返還後における波の問題等にいたしましても、いずれにいたしましても、電波法放送法というものが七〇年代に対応する法律としての改正を火急に望んでおるのではないか、どういうふうな準備をなさっていらっしゃるか、あるいはまたいろいろあると思いますけれども、この点について、きょうのお二人の方は御質問がございませんでしたが、非常に重要な根幹をなす問題だ、かように考えておりますので、どの範囲の検討を進められておるか、あるいは方向としてはこういう方向でこの問題を進めてまいりたい、こういうふうな御所見を、非常に重要な問題であることも承知いたしておるだけに、一応この機会にお伺いをいたしておきたい、こういうことでございます。
  123. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま言われますように、たしか昭和四十一年、五十一国会であったかと思いますが、法律改正をお願いをいたしたことがございます。いろんな事情で、残念ながら当時審議未了に相なって、今日までむなしく日時が流れ去ったわけであります。その間に、何と申しましても電波の世界というものは日進月歩でございまして、かつて審議会、調査会でわずらわした当時はCATVというふうなものはまだ話題になっておらなかった、あるいはまた通信衛星というふうなものもそれほど具体的ではなかったわけでございます。こういうふうな新しい技術関係がどんどん先行してまいっております今日、これをやらなければならぬということは私どもも痛感をしておるものでございます。  そこで、この国会は、実を申しますと、たいへんいろんな案件をかかえております上に、何としても特殊な事情で国会の会期にたいへんな制約があるわけでございます。ですから、ここではどうも御期待に沿えないものの、省といたしましては、そのことを踏まえて検討は続けております。したがって、それを取りまとめる、あるいはまたこの辺でもう一ぺん審議会のようなものにかけ直す必要があるのかもしれません。その辺を十分に煮詰めました上で、次の国会ぐらいにはおっしゃるような方向で、この電波なり放送の基本法規というものに手をつけてまいりたい、このように考える次第でございます。
  124. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体、その基本的な考え方についてお伺いを申し上げました。これはぐちを言うても、今度は特異な国会の性格と状況だということも承知いたしておりますが、やむを得ないことでございます。欲を申せば、私は、井出大臣の在任中に、なかなか複雑で困難なこの二法案を審議し、将来への大きな基本的な問題を実施をしてもらう、こういうふうな悲願を持っておったのでありますが、やむを得ないことでございます。ただ、準備段階で、十分に現在と将来に対応する一つ中身を御検討いただいて、一日も早く国会の審議の俎上にのせていただく、これまた最善の努力をお願い申し上げたい、こういう要望を申し上げまして、この問題を終わりたいと考えております。  時間が限られておりますので、総括の問題を一、二御質問いたします。  これも勉強が足りませんことを前段に御了承いただかなくちゃなりませんが、日中間の郵便の締結の問題でありますが、私は、これは事実はどういう姿で行なわれておるかというのは、実態の一面を若干存じております。いまの日中国交回復の問題に便乗してこの点を申し上げるということじゃなくて、その以前におきましても、文化の交流やあるいは気象及び通信の万国郵便条約でございますか、こういうふうな方向にのっとって、できるところからそういう問題に対処してまいらなくちゃならぬということは、久しきにわたっていろいろ述べられた点だ、かように理解いたしておるのですが、日中間の郵便協定の問題についてどのようにお考えを願っておるか、あるいはそういうことの準備を進められておるのか、今日の時点の上において御意見を承りたい。
  125. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先般佐藤総理も本会議の質問に答えまして、これはたしか参議院であったかと記憶しますが、これは相手のあることでございますので、向こうさんが受け入れるならば、郵便協定とか気象協定とか、こういうものにひとつ一歩踏み出したいという答弁をされておるわけでございます。  そこで郵政省の側といたしましては、現在曲がりなりにも交流はございます。中華人民共和国が郵便連合に入っておらないということからして、いろんな不便はあるのですけれども、第三国を通じて細々ながら糸はつながっておる、こういう実態でございます。しかしながら、たとえば小包の問題であるとかあるいは航空郵便でありますとか、もう少し迅速に、ストレートに行くことができれば一そう望ましい次第と考えます。  そんなことで、実は私、昨年例の覚書貿易の使節団が行かれますときにも、こういう問題がありますよ、何かもし話題として適切なチャンスがあるならば、これにもひとつ気をつけておっていただきたい、こういうことを申し上げたことがあります。しかし、昨年などはなかなかきびしい状態で、それを持ち出すに至らなかったという報告でございます。今回もちょうど先般同じような使命を帯びて一行が立たれましたから、もう一ぺん注意を喚起する意味において、ただいまの事情はかようかくかくでございますという程度のことは記憶にとどめてお出かけ願うようにというふうに、私から申し伝えたいということもあるわけでございます。
  126. 栗山礼行

    ○栗山委員 沖繩の返還協定がおそらく、私どもの承る点によりますと、この参議院選挙後の特別国会に承認案件として出されるやの政府のそういう御意見をしばしば承っておるわけであります。また、過日の新聞を見ますと、七二年の四月ということにほぼめどをつけて間違いないという相互間に準備を進めておるというような新聞の伝えるところもございます。これを前にいたしまして、十分の知識を持っておりませんで、私のほうの、沖繩から出ております人たちのほんのサゼスチョンをいただいた程度でありますけれども、沖繩にいま郵政庁があるということを承っておるわけなんでありますが、これは主として返還後の沖繩における郵政庁のあり方というものをどのような位置づけなり、あるいは機能的なものにするか、こういうふうな問題もやはり当局としての検討を求めて解決をしなくちゃならない問題であろうか、こういうふうに理解をいたすわけでありますが、現在の時点において、その考え方といいますか、あるいは進め方というようなものを、おわかりになる状況の範囲内においてちょっと承っておきたい、かように考えております。
  127. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いよいよ待望の本土復帰を間近に控えておるわけでございまして、いまおっしゃるように、来年の四月一日というような時点を外務大臣から示唆されたというふうなことも聞いております。そうすると、かなり急がなければならぬわけでございまして、郵政省としましては、省内に沖繩復帰対策室というものを設けまして、鋭意問題の整理をただいましておるわけであります。そこで、郵便の問題あり、貯金、保険あり、電信電話あり、放送電波あり、多岐にわたっておるのでございまして、それぞれ問題を煮詰めてはおりますが、両者の間に相当の格差が現在ございます。  たとえば、郵便料金はこちらのほうが高い、電話、電報はこちらのほうが安いといったような問題もありまして、本土一体化ということであります以上は、日本の諸法律が沖繩全土をおおうということに相なるわけでございますから、その間スムーズに移行するということにいま全幅の努力を傾けておるさなかであります。したがいまして、政府は沖繩復帰対策要綱というものをすでに昨年の秋第一次分を出しました。いま第二次分を近くということに相なっておるわけでありますが、それらとタイアップいたしまして、郵政の持っておる特殊な問題、それを総括的な復帰対策の中へどういうふうに織り込むかというふうな作業をただいま続けておるところでございます。  復帰後の展望といたしましては、おそらく政府のほうは出先機関を一本にしたいというような考え方があるようでございますけれども、私どものほうはこういった事業官庁でありますから、やはり一つのブランチといいますか、われわれの出先を、特別なものを一つ持たなければ、万事やりにくくてしょうがないんではなかろうか、こういうことなども考えながら、ひとつこれから一そう取り急いで問題を固めてまいりたい、かように考える次第であります。
  128. 栗山礼行

    ○栗山委員 一つの料金の相違の問題とか、あるいは現在の郵政庁の累積赤字が相当あるとか、いろいろ問題が伏在いたしておるというようなことをお伺いもし、また若干承知もいたしておるわけであります。いずれにいたしましても、私の基本は、いろいろ準備段階でございますが、本土並み復帰、少なくとも潜在主権はございましたけれども主権の回復、そして御苦労でございましたということで、抱いて手を差し伸べて、特異な状況下に呻吟いたしました沖繩県民に、日本のいい政治、いい行政というものを進めていくということが、われわれの大きな役目であろうかというように考えますので、行政の分野だけでなく、政治的な配慮に基づくそれらの問題も十分検討に値する、かように理解をいたしますので、ひとつそうした点で十分な御検討準備を推し進めるようお願いを申し上げたい、かように私いま一つ要望だけ、この問題について申し上げておきたいと思います。  次に、電波監理局長にお伺いいたしますが、あちらではTVにいたしましてもラジオの周波数が大体異なっておるというようなことを伺っておるわけなんでありますが、今後の日本に復帰後におけるこの問題とも相関連いたしますので、ひとつ実情だけ教えていただきたい。
  129. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  仰せのように沖繩におきまする電波の割り当ては、現在高等弁務官の承認を得て琉球政府が行なっておるという状況でございまして、いわばアメリカ流の割り当てをやっているということは、この電波の割り当ての国際的な問題がございまして、アメリカ流にやっているということになりますと、日本の場合と多少違っているということになりまして、テレビのチャンネルも変えなければならぬ、それからテレビだけではございませんで、ほかの無線局もございますが、それも変えなければならぬということでございますので、復帰に際しましてはそういった点が問題になろうかと思って、いま具体的な問題を詰めておるという状態でございます。
  130. 栗山礼行

    ○栗山委員 もう一つ、極東放送というんですか、あちらの資本でVOAがあるように承っておりますが、これはそういうものがあるんですか。
  131. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  仰せになりましたVOAあるいは極東放送というものは、これは琉球政府の所管ではございませんで、アメリカの政府あるいはアメリカの民間の財団法人というものに所属しておるわけでございます。
  132. 栗山礼行

    ○栗山委員 これも返還協定の中における条項一つだと、こういうふうに考えておりますが、これは郵政大臣、どういう路線の方向で作業をされておるのか、おそらくあなたの所管に関する一つの問題だと思いますので、現在の時点でけっこうでございますが、ひとつ御答弁をお願いいたします。
  133. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 沖繩の電波は、琉球政府に所属しているものもあり、あるいは高等弁務官の手中にあるものもございますように聞いております。そういうものが本土の放送法あるいは電波法が沖繩に適用せられます場合にどうなるかということをただいま鋭意検討しておるわけでございますが、同時にいまお触れになった米軍関係というふうなものは、これは外交の問題にもわたるということでございますから十分慎重に取り扱わなければならない、こういう考え方のもとにただいま諸般の問題を検討しておる、こういうさなかでございます。
  134. 栗山礼行

    ○栗山委員 理事会の決定のルールにのっとりまして一時間いただいたのでありますが、加藤理事が早くやめぬかというような顔をいたしておるようなことでございます。実は時間がございましたら特に労務管理の問題についてさしでひとつ大臣とお話し申し上げたい、こういう案件がございますが、すでに今度の郵便法の改正の中に審議会の答申がございまして、それをどう受けとめて、どう対処されるかというような事柄が、問題が、いろいろ多いことであろうかと思うのでありますが、この問題はひとつお時間をかりて、次の郵便法改正に、私に割り当てられました時間でひとつじっくり、私も若干労働運動の先輩と自認をいたしておりますので、御質問申し上げることを留保いたしまして、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  135. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  136. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。  きょうは、郵便法一部改正に関する問題を通じて、物価問題と今度の料金値上げの問題、一つ郵政省の機構に関する法律上の疑点、三番目は労働問題を通じての労務管理に関する問題、この三つを大体中心に質問したいと思いますので、あらかじめ準備をしておいていただきたいと思います。最後にもう一点は委員長にもお願いしなければならないという件が一件あります。以上四件の問題についてお話を承りたいと思います。  一つは、率直に申しまして、今度の郵便法一部改正に関する法律案要綱というものを拝見いたしますと、郵便事業の運営に要する財源を確保するため郵便料金の改定をするというような趣旨が述べられておるわけです。また郵政審議会の答申をながめますと、やはりその内容をふえんしたような説明もされております。また大臣自身が、ここにある六十五回通常国会逓信委員会における郵政大臣所管事項説明資料というので先ほど説明をしていただきました。おもなどういう原因で、何が一体外部的にも、内部的にも——この物価の値上げに反対しておる国民全体の非常な怒り、佐藤内閣の積み重なる公共料金の引き上げとか、あるいは物価の引き上げ政策とか、こういう問題が国民の中では非常にごうごうとしてやかましいわけです。そういう中で、たって郵政省が物価値上げに関連を持っておる郵便料金の値上げを国会に上程してきたのか、こういう点が根本的に聞きたい点であります。つまりいろいろ述べられておるが、郵政大臣はずばりそのもの、どういう原因で、どういう理由で今度のこの値上げをしなければならぬということを、率直に簡明にひとつ聞かせていただきたいというわけであります。
  137. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 物価問題がたいへんやかましいことは私も十分承知をしております。そしてまたいろいろと手を打っておるにもかかわらず、物価政策の思うようにいかないのは佐藤内閣のアキレス腱であるというような批判も耳にするわけであります。これは私どもその衝にあるものとしてたいへん残念な次第でございますが、さりとて郵政省という立場からいたしますならば、何としましても郵便財政が悪化をしてまいりまして、これをどうしたならば正常化できるか、三十万にものぼる従業員諸君の給与の問題が解決できるかというようなことに思い至りますときに、この仕事が、先般来御説明いたしますように、八〇%までは人手によらなければならないという特殊な事情下に置かれておるわけであります。それが毎年、毎年一〇%を上回るようなベースアップということのためにたいへん行き詰まっておりますことは、その道の先輩である土橋さんも御承知のところでございましょう。  しからば、これを一般会計で赤字を補てんするということがいいのか、一時借り入れ金で間に合わすことが可能なのかという問題を検討してみますと、これは一般会計ということになりますとやはり納税者の負担になる、その面だけ増税をするなり減税を差し控えるなりしなければならぬという問題に波及をいたします。また借り入れ金に仰ぐということになった場合は、これはただ安易にいたずらに時期を先に繰り送るということのみにとどまる、のみならず金利の負担というものも重圧になってくる。こう考えてみますと、やはり利用者の皆さまに御負担をいただくという道が、どうも残された唯一の方途ではないかという感じが  いたすわけでございます。それにしてもいきなり郵便料金値上げということに取りかかるということも摩擦、刺激の多いことも考えなければなりませんので、一番郵便の大宗をなしておる一種、二種というものにつきましては一年ばかり先にこれを繰り延べをする、こういうふうな配慮もしながら、どうも万やむを得ない措置として今回のような措置に踏み切った、かように御理解をいただきたいのでございます。
  138. 土橋一吉

    ○土橋委員 昨年の一月二十日の読売新聞、これにはこういうことを書いておるわけですね。「運賃さみだれ値上げ」、「運輸省は十九日、埼玉、東京・多摩、神奈川県の一部のバスと、北海道、九州の路線トラックの運賃値上げを認めた。」こういうわけで「にくい外堀作戦、周辺から既成事実」、その次、今度は「値上げが簡単に」、「国会通さぬ省令事項へ」「郵便法の改正案要綱」としていろいろな批判を加えておる。片方には公害の問題が起きておるというふうに読売新聞は書いておるわけです。同じくこれは十二月の九日の東京新聞ですが、「安易な郵便値上げ答申」ということでいろいろ書いておるわけです。いかに値上げが不都合であるとかということを書いておるわけです。それから朝日新聞の十二月九日でも書いております。見えるでしょう。「値上げより郵政の体質改善を急げ」という題で、やはり社説を掲げておる。もちろん赤旗本紙もこの問題について取り上げて、この不当性を書いています。あるいはまた、社会新報などや労働組合でもこの問題を掲げておる。そして、消費者五団体の代表が佐藤総理に昨年の暮れ会って、郵便料金値上げの問題についていろいろ話をしたということも報道されております。そこで、御承知のようにこの問題が佐藤内閣自身の物価政策として非常に大きな問題になって、残念ながら、佐藤内閣と郵政審議会と自由民主党だけが孤立をしておるかのような観にあったわけです。これはもう大げさではないわけです。こういう事情を一体郵政大臣は十分承知の上でこの一部改正法律案を提出したのかどうか、この点をちょっとお聞きしたいのです。
  139. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま御指摘になりました報道記事は、私も大体目を通してはおります。まあその意味においては、たいへん世論の反撃を受けておるということではございましょう。それにもかかわらずどうもやらなければならないという苦衷をおくみ取りを願いたいのでございまして、佐藤総理が消費者団体と会われました際にも、なるべく公共料金は上げたくないのだ、こういう趣旨の説明をされまして、たとえば、公団のアパートの家賃であるとか授業料であるとか、その他いろいろなものは押え切れたにもかかわらず、どうも郵便の場合はほかに手がない。しかし、それも若干時間的な調節をしながら、一種、二種のような郵便の大宗にかかわるものは一年先にこれを送るというような苦心の策であるというようにひとつ御了解を得たいわけでございます。
  140. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほど同僚の栗山委員からも話があったのですが、いまの御説明では非常に私は納得しかねるわけです。なるほど努力しておる点は私どもよくわかりますし、また、あなたの写真なんか掲げましてあなたの苦衷を訴えた新聞もあるわけです。しかしながら、日本の物価政策、佐藤内閣の姿勢という点から見るならば、やはりあなたは閣僚の一人とされて、これはもう申すまでもないのですが、内閣法の規定によって連帯の責任を当然負わなければならない。これは内閣法二条二項の規定で、あなたは全責任を負わなければならない。一方では物価安定をさせるという責任を負いながら、一方ではこういうものを出してくる。これはやはり郵政大臣として国民に対する責任の上から、いま申されたような説明のしかたでは国民は納得しない。少なくともあなたはやはり謙虚にこの問題について、一方は物価問題について当然重大関心を持って、国民が非常に困っておる、生活が破壊をされておるということに対して重大な責任を負わなければいけない、にもかかわらず、この法案を上程してきたということについては——一人格であるあなたには二面あるわけです。内閣を代表しておるという点、郵政大臣という点、こういう点からもっと謙虚に、やはりこの問題について努力はしたけれどもやむを得ず出したということだけでは済まないのじゃないかという気がするのですが、どうですか。
  141. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 内閣の連帯性ということを御指摘に相なりましたが、確かに物価を抑制しようというのは佐藤内閣の方針ではございます。しかし、その中において、ときにはやむを得ないものもないわけではない。したがいまして、閣議は、この公共料金の問題を物価対策閣僚会議に一応ゆだねたわけであります。そこで十分な論議をいたしました後に、まず公共料金のうち必要やむを得ないものについてはなるべく値上げ幅を縮めること、しかし上げざるを得ないものはやむを得ないではないか、こういうことになって、さらに、その処理のしかたを大蔵、郵政、経済企画、三閣僚にまかされた、こういうことで、今度はその三閣僚の間で問題を煮詰めてまいりましたところ、私の考え方が承認をされた。こういう経過をたどってみれば、これはあるいは形式論理だとあなたはおっしゃるかもしれませんけれども、まあ内閣の連帯性にもとるというふうなことはない、一つの筋道を通した方向においてきめられた、こういう経過があるわけであります。
  142. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題はさらに法令のところでいろいろお話を承りたいと思いますが、次は、先ほどのお話でございますと、一般会計から繰り入れることは特別会計上困難だ、といって借り入れ金をするということについても借金をするのだ、どうしても郵便料金の値上げをしなければならない、こういう御説明があったように思うのです。私は、この問題について郵政省が一体なぜそういうようなはめにまでものを考えておるのか。憲法の規定に基づいて、御承知のごとく「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という大きな明文がございまして、そして検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」こういう非常に基本的な原則を掲げて、具体的に信書をはじめとする郵便物については、郵便法の規定に基づいて、郵便法の第一条の規定にはっきり書いておりますように、この法律目的として、「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」つまりこの事業は単なる企業的な事業だけじゃなくて、やはり料金はできるだけ安く、そしてあまねく普遍的に提供することによって公共の福祉を増進するのだ、こういう規定内容から見ると、明らかにさっきお話のあった諸原因というのは、答申の中にも書いておりますが、たとえば都市が非常に膨張してきたとか、郵便物数が非常にふえたとか、物価が上がっておって人員のやりくりがなかなか困難であるとか、あるいは就労が困難であるとかいうような事実をあげておるわけです。また、その中には事業の改善の問題あるいは機械化、省力化の問題もあげておるわけです。こういうような問題は内部的に郵政省自身だけで処理のできる、たとえば紛争状態を早く解決するとか、省力化のいろいろなくふうをするとか、サービスの改善をするという事実はあるけれども、おもに物価問題を中心として、しかも大都市周辺が膨張してくる、郵便物が非常にふくそうしてくる、交通状態が非常に困難である、こういう外的な原因が非常に多いと思うのです。そうすれば、郵政特別会計はこのような外的な原因によって、やむを得ず財源を確保するために料金を上げなければならぬ、こういう結論になってくると思うのですが、これはどうですか。この外的な原因は、郵政職員や郵政省自身にも幾らかの責任はあるけれども、問題の中心はやはり佐藤政府のいわゆる高度経済成長政策、佐藤政府の最近の新全総といわれる広大な日本建設に関するといわれる事業計画、あるいはまた新社会経済政策などによってこのような結果が生まれておるのではないか、かように私は理解しておるわけです。  そうすれば、この責任はやはり一そう佐藤政府自身が負わなければならない原因が非常に多いわけです。郵政省自身の事業官庁として負う責任は、先ほど申し上げた労使の紛争をすみやかに解決をするとか、働く人の勤労意欲を上昇するとか、あるいは機械化をやって労働力をできるだけ省略するという問題はあるけれども、中心的な料命値上げの基本は、佐藤政府自身の政策、そこに問題があるとするならば、なぜ大衆に負担をかけるような料金の値上げという方法によってやるのか。当然これは佐藤政府の閣僚の一人であるあなたが、そういう政策の外的な原因を十分突きとめて、その結果一般会計から繰り入れるのがあたりまえだ、なぜ聡明なあなたがそのことができなかったのか。私はその点は非常に疑問に思うのです。もし郵政省関係が一般の大衆の責任においてこれはどうしても料金を上げなければならぬという事態が起こってくるならば、これは郵便料金の原価計算の問題として、私は少なくとも受益者負担の立場で、原価主義といったものを中心として起こってきておるだろう。しかし、大衆に責任のない政策上の問題から出てくる、佐藤政府の政策から出てくる問題について、なぜ大衆が料金引き上げという犠牲を二重に負わなければいけないのか、この点をもう一回明快な答弁をしてもらいたい。
  143. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 佐藤政府の責任ということを強調されるわけでありますが、この問題を土橋さんと論争をしてまいりますと、何か最後は見解の相違みたいなことになりかねないような気がいたします。しかし、私の立場であえて申し上げますならば、郵便の仕事というものは、なるほど第一条における公共的な使命を持っておることは否定いたしませんけれども、同時にこれは公企業という性格もになっておるわけでございます。したがいまして、これが一つの企業であるとするならば、そこにはやはり合理主義とでも申しましょうか、独立採算、収支相償う、こういう性格のものを帯びておるわけでありまして、いたずらに赤字が出たから安易に一般会計にしりぬぐいをしてもらうということであっては、親方日の丸の思想に通ずるのであって、企業そのものの存立を危うくする。こういうことを考えますと、これを納税者の負担に負うということよりも、やはり郵便を利用していただく方々の負担においてまかなっていくということのほうがまっとうなやり方ではなかろうか。しかも、これを今日の大衆負担ということにいたしまする場合に、今日一億の人口で百十億ぐらいの郵便物数ということを考え、さらに企業間の通信というものが非常に多くなっておる今日では、個人に負担のかかる割合というものは、さほど大きな数字のものではない。まあこれぐらいはがまんをしていただけるのではなかろうかという判断に私どもは立っておるわけであります。料金は安いに越したことはございません。けれども、採算を度外視してまでもという低廉さを第一条は規定しておるものではないのではないか、こういう観点に立ちまして、今回のような措置に出たわけであります。
  144. 土橋一吉

    ○土橋委員 私とあなたとものの考え方が平行するのだ、こういうお話のようでございますが、私は平行するんじゃなくて、ことさらに郵政大臣は平行さしておるんじゃないか。賃金が非常に上がってきて、先ほどお話があるように八〇%先は人件費が占めている。その賃金が上がってくる基本は、物価が上がるから当然賃金を上げざるを得ないという問題になってくるわけである。何も労働者の罪では一つもないわけですよ。また都市化をする現象だって労働者には何の罪とがもない問題です。交通がふくそうする問題だって、労働君には何にも罪とがのない問題である。結局国がそのような政策を打ち出しておるというところにその大きな原因があるわけである。それならばその責任をとるべき内閣が租税をもってある程度の負担をしてあたりまえじゃないですか。これがどうしても平行だというのであれば、郵政大臣はことさらに平行論をたてまえとして答弁をされておる、かように私は解釈せざるを得ないのであります。物価と郵便料金の値上げについては、大体この程度にして、次の問題に移っていきたいと思います。  次の問題は、突如として第三条で、「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」こういう料金に関する定義がこつ然として今回国会にあらわれてきた。私は条文をずっと調べてみたけれども、郵便法の第三条の規定にはどういう規定があったかと思って見ると、十年前の六法を調べてみても何とも書いてない。もうそのときすでに削除されておる。そうすると、郵便の料金というものはどういう計算であなた方は算出しておるかという点をお聞きしたい。——時間を節約する関係上、私のほうから申し上げますが、これは受益者負担を中心とする原価主義をとって料金を算定しておるのかどうか。すでに四十三、四十四年度の一種から五種、特殊郵便物、特殊扱いの料金表をもらいました。それで四十三年度と四十四年度を比較すれば、要するに四十四年度が計算が若干多くなるわけです。したがって、収支の関係が減るものと、多少ふえるものが出てくる、こういう関係になっておるわけです。従来の郵便料金の算定は受益者負担で、それが原価主義をとってつくっておるのかどうか。もしそれが個別的な原価主義でとっておるとすれば、一種あるいはまた速達、書留、これらのものは常に黒字であるのに、なぜ黒字の郵便料金をさらに上げてくるような不都合なことをするのか。受益者負担の原則に反するではないか。受益者負担を中心とする原価主義の観点から見まして一体何をやっておるのか。そうすれば、これは個別的な原価主義ではなくて、総合的などんぶり勘定的な原価主義をとってきているんじゃないかということが考えられる一わけです。  そこで問題は、この間の委員会でも問題になったように、第一種と第三種の問題をなぜ切り離さなければならぬのか。もしどんぶり勘定でいくというならば、その根拠は一体何であるのか。ただ、郵便物が要するに一般の、他の方法においても、送達ができるということを一つ根拠にしておるけれども、郵便法第一条はそんなことはいっていないわけです。郵便物を概念的に規定しておるわけですから、こういう点から料金算出の基本的な態度は一体どういうことで算定をしておるのか、ましてや第一条の規定が安い料金で、そうしてあまねく、多くの地域に広く行きわたるようにという基本原則を掲げておるわけです。そうするとこの条文は受益者負担についてもある程度制限を加えなければならない条項の趣旨を持っておるんじゃないか。ましてや財政法三条の規定は厳として法律主義をとっておるわけですね。これは御承知のとおりだと思うのです。その法律主義をとっておるものを、今度郵便料金に関するずっとあとのほうの規定がありますね、そういう規定で省令に委任をする。しかもこれは禁止規定である。しなければならないと書いてある。つまり国家独占企業の料金というものは必ず法律できめるか、国会の承認を得なければならないと書いてある。なぜ省令に委任するような安易な態度をとるのか。これは財政法違反であると思う。憲法八十四条の租税法律主義の規定や財政法の第三条の規定というのは厳格に解釈して、常にこういう料金は法律によるか、国会の承認を得なければならぬということが中心になっておるわけです。その法律に省令委任をする、委任をするということは、許されないじゃないか。法理上から見ても、そういう解釈のできる余地はないのです、しなければならないと書いてあるわけですから。そうすれば、郵便料金の問題はそういう法理上の観点からいってもそうであるし、また普通常識で、たとえばたばこ専売だとか国鉄の寝台賃が随意になっておりますとか、急行券が随意になっておりますとか、こんな説明をこの間しておった。よく考えてください。これは公社化しておる企業を中心としてそれがやられておる事業体であるわけです。片方は国家独占企業として、どうしても国家がやらなければいかぬということを法律規定し、憲法でもそれを裏づけするような規定があるわけです。したがって、専売公社やあるいは国鉄と同じように安易に料金を省令委任をして、そして経理局長の説明によると、いつでも応変に秘密の営業ができると同時に、そういうものは常に情勢に応じ変動ができるような体制をとっておる、こういう説明をしておる。そうすれば、まさに法律をもって省令に委任をする態度でこういうことをやっておるということは、明らかにこれは佐藤内閣の新全総やあるいは新社会経済発展計画などと即応して、そして突如としてこういう第三条の規定を持ち出してきて、いまごろになってその内容がいわゆる受益者負担あるいはこの受益者負担の中の原価主義において、一体どういう内容をとっておるのか。この三条は受益者負担の限度を越えておるわけです。  どういうところが越えておるかというと、「その健全な運営を図ることができるに足りる」、こういうつけ足しまで加えておるわけです。そうすれば、これは郵政事業は国家の特別独占企業としてやる範囲を越えて、営利的なものを目的とする、そういう内容でなければならぬということを、この第三条の規定はうたっている。そうすれば法律的な観点から見ても、非常に矛盾をした内容を含んでおるこの第三条ではないか。こういう法律をつくることによって、郵政事業というこの百年間の事業を、一挙に要するに佐藤内閣のいわゆる高度経済成長政策に符節を合わせる体制をとっておるのではないか。これは許しがたい法律の違反じゃないか。また、わが国の特別会計制度の基本を、この第三条によって根本的に破壊をしてきているのじゃないか、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。したがって、この第三条の規定を突如として設けた、こういう点が佐藤内閣の高度経済成長政策とかたく結んでおるのじゃなかろうか、こういうふうに考えて、この規定についても私はいろいろ考えてみました。しかし、これはいま申し上げるような憲法の規定や郵便法の規定から見ても、異質のものをここへ掲げてきておる、かように私は解釈しておるのですが、郵政大臣はどう考えておるのか。
  145. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 土橋さん、非常に広範な法律論を展開なさったわけでございますが、私、そのことごとくにお答えができないおそれもありますので、場合によっては事務当局等からも補足説明をお許しいただきたいと思うのでございます。  まず第三条というものが突如として出てきた、こうおっしゃるのですが、これは私はやはり郵便事業の根底には潜在的にそういう考え方はあったと思うのであります。健全なる運営というようなことばにお触れになりましたが、その健全は決して利潤追求というふうなところまで逸脱しておるのではございません。要するに、収支が相償えばという思想に基づいておるのではないかと思うのであります。そしてまた、その条文を一条設けることによりまして、郵便事業というものが単なる親方日の丸ではないのだ、みずから額に汗して、そして健全合理的な経営をせよ、そのための料金体系というものはかくあるべしというような趣旨に出ておるものだと思うのであります。  それから財政法第三条にもお触れになりましたが、これはいわば財政法定主義とでもいいましょうか、今回の私どもの措置は、かりに三種、四種を省令に委任をしておりますものの、これはやはり法律根拠に基づいて、たしか今度の改正法二十三条でございましたか、それに基づいて委任を受けるということでございますから、その限りにおいてはやはり法定主義のワクの中に入っておるんだ、こういうふうに理解をいたしておるものでございます。そしてまた一、二種と三、四種とことさらに分離したのはという御指摘でございますが、これは先般来しばしば御説明を申し上げましたように、一種、二種というものはこれは国家独占に属するものでございまして、これを侵しては相ならない。しかし三種、四種に関する限りは、他にも送達の手段というものはあるわけでございますから、これはむしろ省令事項にしていただきまして、ほかの運賃その他の動き等にも弾力的に対処し得るほうが公企業としての本来の目的に合致できるのではないか、こういう考え方の上に立っておるわけでございます。  なおまた原価主義ということにもお触れになりましたが、私どもの郵便料金は個別的というよりはむしろ総合原価主義とでも申しましょうか、そういう立場に立っておるような次第でございます。おもな事項だけお答えをしたわけでございます。
  146. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、いまのあなたのお話が正しくないという点を私は証明しましょう。郵政省予算をあなたが説明されました二ページ目のあとから六行目くらいのところですが、「歳出予定額は、八千八百五十一億八千六百万円で、」ということで、そこの段落のところで、結局赤字が幾ら出るのか計算してみると、四十四億六千百万円の赤字を出しておるわけだ。次のところにいって、「この予算におきましては、郵便事業収支の改善をはかるため、郵便料金を改定することを予定し、これによる増収四百七億八千百万円を見込んでおります」ということを書いておるわけですね。そしてその説明の内容としては、たとえば機械化をするとか、あるいは事業の合理化、近代化の諸施策を行なうとか、あるいは郵便局舎等事業施設の改善をするという説明をしておるわけですね。そうすると、赤字が四十四億六千百万円だのに、いまここで説明するような高度経済成長政策に見合うような、建物を建てるとか——もちろんこれは必要ないとは言いません。けっこうなものもたくさんあります。また、機械化をしなければならないものもたくさんあります。コンピューターを入れなければならぬものもあるでしょう。しかしいずれにしても、こういう企業形態全体が予算の中では三百六十三億二千万円に達しておるわけなんです。そうすると、こういうものが常に見込まれてきて、これが郵便料金にどんどんはね返ってくれば、この答申も書いておるように、これは三年しかもたぬわけだ。また三年目には料金を引き上げてくる。こういう高度経済成長的な料金を決定する基準をこの三条で設けるということは何ごとだ。しかも、いま原価主義と言われましたが、先ほど話したように一種は常に黒字である。速達やまた書留速達も黒字であるわけなんだ。それに対して一体どういう言いわけを郵政大臣はするのか。黒字であるのに、また三五%料金を上げていく、こういうことを考えられて、それがまた受益者負担の原則を掲げて、いわゆる原価計算では根本的に誤ったことをやっているじゃないかと言わざるを得ないわけです。ですから、ここに書いてあるこの内容は、いま私が申し上げた予算の説明から見ても、当然そういうことが予定される。料金を引き上げてくると、しまいには、だんだんだんだん研究所もつくり、郵便局ももっときれいにする、また、それに関係するすべてのものをつくり、すべてのものを郵便料金にはね返してくる。そうして大資本家は笑いがとまらない。機械をつくってやるわ、大きな郵便局をつくってやるわということで、笑いがとまらない。佐藤政策を如実に示しているじゃないかと、これを一つの証明材料に私は指摘したわけです。郵政大臣どう考えるか。
  147. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 今回の予算において新規に局舎を増設をするあるいは作業環境の改善をはかる、新鋭の能率的な機械を導入する、こういうことが、私の記憶では、三百億円ちょっと上回ると思っておりますが、もうそういうことはしないで、どうせこういう貧乏世帯である以上は、そういう新規投資はやめて、そうして郵便料金のはね上がるのも押えろ、こういう御趣旨のように伺うのでありますが、いまそれじゃ郵便関係の施設が非常にデラックスな恵まれたものかといいますと、どうも社会的水準からいたしまして、まだまだたいへん立ちおくれておるのではないかと思うのであります。したがいまして、先ほど労務関係の問題にもお触れになりましたように、こういう人々がほんとうに作業をしやすい環境をつくっていくというのも私どもの使命の一つでありまするし、また当然そういう資本装備というものは、やはり一つの原価の中に反映してくるものだ、こういうとらえ方をいたしますならば、ことしに限って何にもやらずにおるというわけにはまいりかねる問題だと思うのでございます。したがいまして、そういうものも料金の中にはね返ってくることは、けだしやむを得ないところではないか。このように考えてまいりますると、それは原価というものを計算いたしますると、これは経済学のABCたいなもので、あえて土橋さんに私が異説を唱えるわけではなくて、それは資本用益とか労働用益であるとか、土地用益であるとか、こういうものが一つの原価を構成する。マルクス経済学は、私はしばらくここで論議をしませんけれども、私どもの従来の考え方はそういうふうになっておるのであって、やはりある程度の資本装備というものは継続をいたしませんと、それの耐久年数が終わった時期には、これはもう全くぼろになってしまって作業も何もできない、こういうことでありますから、そういう投資もあえてしておるわけでございます。
  148. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまの特別会計の法律関係は一応きょうはこれで終わって、また後日お互いに説明をいたし合いましょう。  次は、労働問題でありますが、きょうは人事関係の人も来ておられると思うのですが、おもに郵政大臣ですけれども、郵政大臣は、労働基準法の第三条の規定、つまり「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」この規定は御承知でしょうね。また、強制労働禁止の規定、同じく五条で、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神的又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」ということも御承知でしょう。また、第六条の規定「何人も、法律に基いて許される場合の外、」——これはちょっと異質ですけれども、その次の規定も、公民権の保障を書いておりますね。八条の規定は、この適用する範囲は、第十一号の規定によって郵便、電信、電話、すべての職員にも適用する。また公共企業体労働関係の法律でもいろいろ書いておりますね。  特にILO八十七号の結社の自由及び団結権の保護に関する条約で、これは四十年六月の条約第七ですが、ここにこういうことを書いている。第四条「労働者団体及び使用者団体は、行政的権限によつて解散させられ又はその活動を停止させられてはならない。」という規定もあります。これは御承知だと思うのです。同じく二十九年十月の条約二十号によって第一条の二項に「組合員であるという理由又は労働時間外に若しくは使用者の同意を得て労働時間内に組合活動に参加したという理由で労働者を解雇し、その他その者に対し不利益な取扱をすること。」をしてはならない、こういう規定があるわけです。  ところが、現実に昨年の二月、三月に始まった杉並の監視労働、これは本委員会においても私は指摘いたしました。それからまた暮れの全逓関係のいろいろな問題についても、あなたが団交で出ておられる、その内容も私はよく拝見をいたしました。休暇闘争を中心にあなた方のいろいろ言ったことや宝樹委員長の言ったことは私はよく拝見しております。この規定内容から見れば、やってはならない不当労働行為を数々郵政省はやっておったということがいわれるわけです。でありますから、そういうことはやめて、やはり協約やその他の規定に従って、誠実信義の原則をもって労働者階級の諸君と折衝しなければならぬというふうに考えるが、郵政大臣はどう考えておられるか。イエスかノーでけっこうです、もう時間があと十分しかありませんから。
  149. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 数々の労働関係の法規をお示しになりましたが、これは私どもも順守しなければならない。また現にそのつもりでおるわけであります。
  150. 土橋一吉

    ○土橋委員 ところが最近、私の知っている範囲で私の住んでいる立川の某郵便局長あるいは小倉郵便局の某郵便次長あるいはいわき市の平郵便局の某郵便局長、これらの言動は全くこれに反しておる言動を平然として行なっておるのです。たとえば労働組合の委員長、その人が共産党かどうか知りません。それを共産党、共産党と呼んで、そういう無礼なことを言っている。また繁忙期になってくれば体当たりでやってくる。その録音テープを私は労働組合でお聞きしました。一体、何たる郵便局長であるか。しかも労働組合分裂策が行なわれている。特に立川の郵便局長は、私はこれは資料を持ってきましたが、これは十二月十二日の朝日の朝刊に出ております。「全逓支部脱退三六協定結ぶ」というので、中野銀造なる者が、この前、私は説明をいたしましたが、神田竹政という人を中心に現に脱退さしているわけです。ちゃんと新聞に出ているわけです。こういう不当労働行為をやっている。これはILO八十七号条約の諸規定や、また労働基準法の規定から見ても違反であることは明瞭である。これが依然として局長の地位を保っておるのはどういうわけか。現に小倉の郵便局の某次長のごときはその最たるものである。またいわき市の平郵便局長のごときは、そういうことをやって、そして文句を言ったら賃金カットだ、文句を言ったら始末書をとるぞ、あとは、要するに第三者で紛争を処理すればいいんだからと、こういう態度を露骨に出している録音テープを私は持っているわけです。こういう管理者に対して郵政大臣は一体どう考えているのか。初めから敵視をして、協約も守らない。そして労働組合員をつかまえて共産党、共産党というようなことを言っている。そして現実に立川の労働組合を中野銀造は分裂させておる。こんなことを奨励しておるのかどうか、いま一度聞きたい。
  151. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま二、三の事例をあげて御質問がありましたが、これはこれなりに私のほうでも機構がございますので、一ぺん調査しなければ、いまここで土橋さんの御発言をそのまま、私のほうで、さようでございますと言うわけにもちょっといきかねる問題でございます。  そこで、不当労働行為があっては相ならぬ、これはずっと一貫して私の戒めておるところでございます。もしかりにそういうことありとしますならば、私としてはこれは厳に戒めなければならぬと心得ております。昨年、たいへん不幸なことでありますが、二度にわたって労使の関係が紛争の状態を現出いたしまして、国会各位にもえらく御迷惑をかけたのであります。私の基本的な考え方は、学使双方は、これは相対的な関係にあるものであるから、一方が絶対に正しいんだという理屈はなかなか通りかねる場合が多いのではなかろうか。そういうことで全逓の委員長とも会談をいたしまして、もし出過ぎた点があるならば、ひとつ管理者のほうもよく戒める。これは労働組合側にも決してないわけではないと私は思うのです。そういうものはお互いに忌憚なく話し合いをいたしまして、ひとつセーブしていこうじゃないか、これが確認事項といわれるものであります。  ただ、郵政における労使関係というものは沿革もあり、根の深い点もございますので、私が思うほどそれが急速に解決されておらないということはあると思います。しかし、常にそれを念頭に置きながら、管理者の側に、出過ぎた部分はこちらも矯正するようにと、そして働く諸君の側においてもひとつ同じように理解を求める、こういう態度で臨んでおるのでございまして、私は、昨年の不幸な事態が大きな教訓となりまして、双方とも反省をして、あんな無益な犠牲を繰り返していちゃつまらぬじゃないかというところへだんだんきておるように思うのでございます。私も、先ほど来、人手にまたなければならないのが郵政の仕事であると申し上げましたが、働く人を信頼しないような姿でもって郵政の仕事が円滑に運ばれるはずはない、この基本観念の上に立ちまして、さらに汗をたらして事態の改善をはかってまいりたい、このように考える次第であります。
  152. 土橋一吉

    ○土橋委員 三十二分に終わることになっておりますが、時間が五、六分ほどありますので質問させていただきたいと思います。  平郵便局は局舎が非常に乱れておる。これは一度本省で調べたらいいんじゃないかと思う。そして、この局長の態度その他については、一つのモデルケースとして将来の労働行政上たいへん参考になる点が多いんじゃないかと私は思うので、この点を付言をしておきます。  最近、郵政省内において職員の犯罪が出ておることはまことに遺憾です。逓信病院を担当しておる技術者の諸君がああいうことをやったり、また群馬県の桐生郵便局で、福田君と小島君という二十一歳になる青年——青年というか、少年のようなごく若い人です。成人式を終わったばかりです。本人たちが悪いことは申すまでもありませんが、しかしながら、ここで問題になる点、見過ごすことのできない点が二つあるわけです。新聞もいっています。福田君というのは失恋をしたというのです。もう一人の小島君というのは、バイクに乗れないために郵便配達が非常に苦しいんだということを言っておる、当局はなまけ者だと見ておる、こういうふうに新聞は書いておるわけです。私は、犯罪は犯罪として、罪を憎んでこれを逮捕するなり処罰することは当然だと思う。しかし、なぜそういう事態に至ったか。もし、この本人が言っておるように、バイクに乗れないために、もうせつなくてしょうがないということが事実であるならば、また二十一歳の福田君がほんとうに失恋をしたということであるならば、これは年長者としてこの問題についてはとくと考慮し、いろいろ研究して、労働行政上の立場からあるいはその管理者として打つべきものが相当あったのではないか、かように私は考えるのであります。したがって、悪いことをしたから、このやろうというので引っぱっていって、そして処罰をすることはその本人の将来にとってためになることではないと考えております。悪いことは悪い、これはもう言うまでもないけれども、しかし、そういう事態におとしいれた環境や、またバイクに乗れないためにそういう事態がほんとうに起こったとするならば、これはゆゆしき問題であります。  郵政大臣はこの新聞をごらんになっていないと思いますが、ちょっとこれをごらんになっていただきたい。当局はなまけ者だと見ておる。新聞の題は「ぐうたら郵便外務員」と書いてある。自分のロッカーに、一方は千何通、片っ方は千二百通ばかりの郵便物をしまっておったということが書いてある。これは労務行政だけではない。先ほどからあなたが提唱されておるようなそういう姿勢でいけば、この二十一歳の有能な若い外務員は十分活用できた、かように私は考えます。「失恋」と「バイク乗れぬ」という題で書いてある。これがもしほんとうならば、単に、このやろう、なまけ者だということだけでは——要するにこういう人は多いわけだ。これはあなた、全国でごらんになっても、集配者はほとんど二十四、五歳、多くて二十六、七歳前後で、若い人が多いのですよ。あなたのブラザー制度なんかもそういうことを意味しておるんじゃないですか。もしそういうことをやらないでおいてこういう罪におとしいれたとするならば、これは間接罪は郵政省にある、田中正夫郵便局長にあると言っても過言じゃないと私は思うのですが、郵政大臣はどう考えていますか。
  153. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 罪を憎んで人を憎まずということを先ほど仰せになりました。あるいはまた犯罪などの場合に、結果についてこれを問うのか、動機というものに対して酌量をせねばならぬのか、これはなかなかむずかしい問題であります。私はその記事を見ましたが、いまの失恋とかバイクに乗れないということも承知しております。しかし、二千に余るような郵便物をいかにも不当に扱っておるというその措置は、私はやはり大いに責められなければならぬことだと思います。そしてこのごろは、郵政の問題があっちこっちに起きまして、実は朝、新聞を見まして、やれやれ、きょうは何にもないというような思いをすることがあるのであります。そこで、いまのような青年に対しては、若げの至りという点は酌量しなければなりませんが、やはりもっと訓練といいましょうか、しつけといいましょうか、これをやらにゃいかぬと私は思うのでございます。郵政省関係にもそういう機会なりあるいは専属の機関もございますが、そういう点はこれが一つの労使紛争みたいなものにもなっておるようなことも聞くのでございます。そういうところはひとつしつけをして人間を向上してやろうという善意が、何かそのことによって当局が自分の都合のいい方向へ引っぱっているんだというような理解のしかたでは実は困ると思うのでございます。そういう次第で、若い者に対する気の配り方において、もっと周密なる注意を払うべきであったろう、こういう感じは私も同感でございます。  それから失恋したからあるいはどうもバイクに乗れなかったから、しゃくにさわるからといって、それを貴重な郵便物へ向けられたのではこれは閉口でございますが、そういう点、やはり管理者の側はいずれも年輩者ですから、そういう若い者の心情にもっと立ち入ってやる、お互いのコミュニケーションというものを濃密にする、こういう配慮をこれからの労務管理の上においてひとつ樹立をしてまいりたい、このようにお答えする次第でございます。
  154. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうもありがとうございました。
  155. 金子岩三

    金子委員長 次回は、来たる二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十一分散会