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1971-05-20 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月二十日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 正暉君    野呂 恭一君       村田敬次郎君    安田 貴六君       土井たか子君    細谷 治嘉君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         運輸大臣官房長 高林 康一君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         消防庁長官   降矢 敬義君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         厚生省薬務局薬         事課長     山高 章夫君         林野庁指導部長 海法 正昌君         海上保安庁警備         救難部長    貞広  豊君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         消防庁予防課長 永瀬  章君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     山本 幸一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第四  八号)(参議院送付)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  理事会の協議により、消防に関する件について調査を進めます。  消防に関する小委員長から、小委員会における調査経過報告について発言を求められておりますので、この際、これを許します。消防に関する小委員長古屋亨君。
  3. 古屋亨

    古屋委員 消防に関する小委員会調査経過を御報告申し上げます。   〔委員長退席砂田委員長代理着席〕  最近における産業経済発展及び科学技術の進歩に伴い、新しい形態の火災その他の災害が発生し、人命及び財産に多大の損害を与えていることは、各位の十分御承知のところであります。  昭和四十五年の火災実態を見ますと、出火件数六万四千件、損害額八百十億円、死者千六百人に及び、特に火災による死者増加は大きな社会問題となっているのであります。これに対し、消防の現状はどうかといえば、消防力におきましても、消防体制におきましても、近代化の実現にはほど遠い状況にあるのであります。  このような実情にかんがみまして、本国会におきましても消防に関する調査を行なうため、二月五日本委員会において小委員十一名からなる小委員会設置されたのであります。  小委員会は、二月十八日に第一回の小委員会を開会いたしまして以来、三回開会し、その間、消防庁から昭和四十五年中及び本年における火災の概況、消防費現況とその仕組み、消防法改正案についての参議院における質疑事項、その他消防行政の当面する諸問題等について説明を聴取し、また門司委員からは、明治中期における民間火災保険会社消防組織等についての貴重な資料の御提出と、その説明を拝聴するなど、広範多岐にわたって熱心に調査を進めたのであります。  調査の過程において論議されたおもな事項を申し述べますと、次のとおりであります。  その一は、消防体制常備化広域化に関し、常備消防の今後の展望、広域市町村圏における広域消防現況府県における消防あり方等についてであります。  その二は、消防団員確保と処遇に関し、消防団員確保のための対策過疎地域等における消防力実態とその対策、特に学校火災に対処するための学校消防の訓練の推進婦人消防隊員に対する出動手当及び公務災害補償の適用問題、消防団の装備の近代化必要性近代消防に対する意識向上のための指導消防ほう賞制度及び生存者叙勲制度あり方等についてであります。  その三は、消防施設整備強化に関し、消防ポンプ自動車等普通消防施設化学車はしご車等科学消防施設拡充強化、特に地域的特性に応じた整備強化必要性自家用自動車に対する消火器設置及び消火器使用方法検討等についてであります。  その四は、特殊災害及び非常災害に関し、危険物施設の激増、石油コンビナート地帯の発達、高層建築物、地下街の増加等に伴う特殊災害に対処するための科学消防力増強はもとより、新建材についての規制、避難施設等防災体制整備、また林野火災増加に対処するため、出火防止消火活動に必要な施設器材整備消火技術研究開発等対策、さらに港湾における防災体制の再検討大震火災等非常災害に備えての防火帯水利施設避難路等計画的整備対策消火器設置についての国の財政措置あり方、パイプラインの耐震対策等についてであります。  その五は、救急業務拡充強化に関し、市町村救急体制の早急な確立、救急医療機関整備と地域的不均衡是正、列車による人身事故に際しての救急搬送についての指導等についてであります。  その六は、消防財源の充実に関し、社会経済の要請にこたえて市町村消防力増強をはかるため、消防力基準の改定に対応しての消防財源あり方地方交付税基準財政需要額積算基礎の再検討国庫補助基本額あり方及びその引き上げ、消防関係起債あり方損保債の利率の引き下げ等のほか、特に、消防施設整備消防関係起債について、損害保険会社等に依存している現況についての適否、消防施設整備のための損害保険会社に対する目的税創設検討等についてであります。  以上が現在まで行なわれましたおもなる論議事項であります。  本小委員会といたしましては、今後引き続き消防の諸問題の検討のため、閉会中においても本小委員会設置し、その調査を進めることに意見の一致を見たのであります。  以上御報告申し上げます。      ————◇—————
  4. 砂田重民

    砂田委員長代理 次に、参議院から送付されました消防法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
  5. 安田貴六

    安田委員 私は、消防法改正関連をいたしまして、若干防災問題等につきまして御質問をいたしたいと存ずる次第であります。  それに先立ちまして、まず私は消防庁当局並びに自治省におきましては、いろいろな困難な事情の中で、消防体制強化のために非常な御努力を払われておりますることに対する感謝の意を表しておきたいと存ずる次第でございます。  しかし、戦後二十五年を経まして今後における国政の課題は、いろいろな問題が山積する中で、私は、いよいよ人間尊重を基本的な理念とする福祉国家の建設に一そうのスピードを加えなければならない時期に来ておるのではないかというふうに考えるわけであります。公害問題あるいは交通問題、都市の過密あるいは農山漁村過疎対策の問題、あるいは福祉政策その他の解決を急がなければならない諸問題は、いずれも多かれ少なかれこのような観点に根ざさないものはないと思うのであります。したがって私たちは国民の期待にこたえて、自然と人間生活との調和産業経済発展国民生活調和など、国民の一人一人が安心して生業に努力し不安のない生活のできる地域社会をつくり上げるために、政治のあらゆる分野において特に力を注ぐべきであると考えておるものであります。  かかる観点に立つとき、各種災害予防対策並びに消防をはじめとして各種災害に対する救難救助等応急対策並びに災害復旧など、各般にわたる事後対策が適切に実施されるかどうかということは、いよいよ重視されるべき課題であり、消防をはじめとする防災行政全般名実ともに完璧を期さなければならない理由もここにあると思うのであります。  このような視点に立ちまして、私は以下若干の時間、御質問をいたしたいと存ずるわけでありまするが、どうか時間の関係もありまするので簡明率直な御答弁をいただきたいと存ずる次第であります。  まず質問の第一点でありますが、第一点はまことに素朴な質問でありますけれども、消防庁任務消防行政範囲は一体どういうものなのかということにつきまして、消防庁長官にお聞きをいたしたいと思うのであります。この任務あるいは範囲等につきましては、制度上におきましては消防組織法の一条なり四条なり、あるいは消防法の一条に、その基本的な内容は明記されておるところでありますが、私はまずこの範囲任務というものにつきまして、消防庁長官の御意見を拝聴いたしておきたいと存じます。
  6. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御質問の中で御指摘がございましたように、消防任務といたしまして、消防組織法の第一条にありますように、消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産火災から保護するとともに、水火災又は地震等災害を防除し、及びこれらの災害に因る被害を軽減することをもって、その任務としているわけであります。
  7. 安田貴六

    安田委員 そこで次にもう一点。いまのような長官の御答弁でありまするが、市町村における消防機構、いわゆる消防本部消防署消防団、これらの行ないます諸活動対象となる災害範囲というものが、一体限定されておるのかどうか、これをひとつ私はお伺いいたしておきたいと思うのであります。先ほど御答弁のありました消防組織法の第一条等を見ますると、火災水害地震というようなことばはありますけれども、その他の災害についてのことばが全然ないわけなのでありまして、私は今後の防災問題を論じます場合、どうしても現在の消防範囲といいまするか、市町村消防機構のいわゆる活動対象となるべき災害範囲、それから先ほど御答弁をいただきました消防庁任務消防行政範囲、これが現在のような制度の中でいいか悪いかという問題を論ぜざるを得ないと思いますので、それを参考にお伺いをいたすわけであります。市町村におきますいわゆる消防機構の諸活動対象となる災害範囲というものが一体限定されておるのかどうか、そこを消防庁長官からお伺いいたしたい。
  8. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防組織法第一条にも「水火災又は地震等災害を防除し、及びこれらの災害に因る被害を軽減すること」とございまして、市町村消防というものは住民の生活に直結した場において災害が起きました場合には、火災である、あるいは水害である、地震である、その他の災害であっても、これに対処するというのは市町村の全体の仕事から見て、その第一線の部隊としては消防がこれに当たるというふうに私は考えております。
  9. 安田貴六

    安田委員 それでは次に総理府総務長官にお伺いをいたしたいと思います。  私は、災害対策基本法の問題についてお伺いをいたしたいわけでありますが、災害対策基本法でいう災害というのは、これは「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象又は大規模火事若しくは爆発」「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模事故」こういうふうになっておるわけでありまするけれども、こういうような災害の実際の現地市町村におきまするところの応急対策その他の活動のいわゆる母体となるものは何かということについて、どのようなお考えを持っておるか、私はお伺いをいたしたいと存じます。
  10. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま災害の実際の現地活動母体になるものは何かというお尋ねでございますが、御承知のように、いまお読み上げになりましたように、災害の種類は多種多様でございます。特に集中豪雨である、あるいは台風である、洪水であるということになりますと、それによって受けた被害実態に応じて、あるいは道路であり河川であり消防施設であり、ときによっては都市施設であるということになれば、当然活動主体建設省、あるいは海岸地帯であったり港湾地帯でありますれば運輸省、さらに堤防関係で農林省というぐあいに、被害実態に対応して活動は行なわれるわけでありますが、共通的にいえますことは、あるいは避難活動である、あるいは救援活動である、こういうことについては消防団、これは同時に水防団を兼ねる場合がほとんどでございますし、さらに警備体制等については警察、それから救援活動については厚生省各種出先機関、あるいは病院関係、そういうことになるわけでございまして、一がいには申せませんけれども、いま申しますように、それぞれお述べになった災害実態に応じて、こういう場合はこういう活動体制でいくということは、今日までの体験から大体一種の、定型化されるというと語弊がございますけれども、お互いの連携作戦はうまくいくというふうになっておるわけでございます。
  11. 安田貴六

    安田委員 いまの副長官答弁、まことにそつのない御答弁でございますけれども、私は活動母体は、先ほど消防庁長官答弁になりましたように、これはやはり消防団消防機構あるいは消防本部消防署、いわゆる消防職員主体になっていかなければ、絶対現在の体制ではその所期の成果はあげ得ないものと思っておるわけであります。しかし副長官の御答弁はいわゆる政府機関としては当然の御答弁であると思うのでありますが、そのことに関連いたしまして、私はなお災害対策基本法の中で、特別に災害の定義づけの中で、大規模火事あるいは爆発、あるいは放射性物質の大量の放出、多数の者の沈没など大規模事故だけを列記されておる理由が、私にはどうも明確にわからないのでありますが、この辺の点はなぜこういうことになっておるのかということと、この定義づけとの関連におきまして、あるいは基本法の第三条ないし第四条、第五条ですか、国あるいは都道府県市町村責任という条項がございますが、その中にいう災害というのは、こういう大規模なものばかりを対象にしておられるのか、それをちょっと長官から御見解を承りたい。
  12. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、大体防災対策災害対策は、スタートが自然の異常の災害にいかにして対応するかというところから出発したのでありますが、だんだんと世の中の進化につれて、それに人為が加わった形でいろいろな事故が起きる。あるいは地震などの場合には、一次的には地震による破壊が進みますが、二次災害としてそれが火災になっていくというふうに、事態の変化もございます。そこで問題はそれぞれの災害現象、大なり小なり災害には間違いないのでありますけれども、それを一つのまとまった体制で処理いたします前に、小規模のものでございますと、たとえば海難事故だったら海難救助、あるいは単純なぼやないし多少の規模火災なら消防プロパーで実は処理ができる。ところがそうではなくて大きくなれば自衛隊の出動も願わなければいけないし、その他の各種関係機関等もこれにお手伝いを願わなければいかぬというふうな、総合的な防災体制をとる必要があるような大規模なもの、そういうものを災害対策基本法のワクの中できめて、それについてはいま申しますような関係各省庁の連携のとれた一つ作戦をとる必要があるというところから、そういうふうな形になったものと私は理解しております。
  13. 安田貴六

    安田委員 法律論争をするつもりはありませんから、私はやめますが、ただこの一貫する基本法の中で、市町村責任であるとか府県責任であるとか国の責任であるとか、いろいろ書いてありますが、市町村責任とか都道府県責任で大きなものだけが対象になるのだというものの考え方で、一体防災体制が十分に整備できるような性質のものかどうかということを考えまする場合、私はどうも副長官の御答弁は、これは立法の趣旨や精神はそういうものであるのか知らぬけれども、大体中央防災会議においては各省それぞれ防災業務計画というものをつくってあるわけでしょう。その際には全然小さいものは相手にしないで、あるレベル以上のものだけを対象にするのだ、そんな線の引き方もできるのかどうか。私はできないと思うのですが、もしそういうようなことが運用上あるとすれば、この法律をつくった趣旨が没却されてしまうのではないか。そして地方消防団だけにこれらの責任が全部負荷される、重加されるということでは、中央防災会議事務局長さんですか、副長官がそういう考え方をお持ちになっているとすれば、これからのわが国防災対策の万全を期する上において、きわめて遺憾な結果が生ずるのではないかと私は考えるのですが、これは私の意見としお聞きいただきたい。時間がないから答弁を求めません。私はそういうふうに考えるのであります。  それからなお、いまの副長官の御答弁の中からは、私は明確に答弁を得られませんでしたけれども、消防庁長官答弁の中からは、消防本部消防署消防団、こういうような市町村におきます消防機構は、要するに組織法や何かで定められております範囲を越えて、事災害に関するものは全部消防機構が重要な母体となって、その責任を遂行しなければならない状態に置かれておるということは、私はくみ取れたわけでございまして、この点につきましては私も全く同感であるわけであります。  そこでもう一歩進んで私は副長官にお伺いいたしたいのですが、一体中央防災会議性格任務は何なのかということをお伺いしたい。これは今後のわが国防災行政、これを考えまする場合に、現在の中央防災会議性格任務は何かということを、われわれは理解しておかなければならぬと思いますので、その点について御答弁を承りたい。
  14. 湊徹郎

    湊政府委員 御承知のように各種基本法がいろいろ定められております。あるいは公害に関しては公害対策基本法、それに基づいてやはり公害対策会議防災会議各種会議がございますが、先ほど申しましたようにそれぞれ相当間広く各省にまたがる仕事等を、総理大臣の統轄のもとに進めていきますために十一条に中央防災会議任務としていろいろなことが掲げられております。これをお読みいただけばわかるのですが、まず基本法に基づく基本計画をつくる、それから非常災害に際しまして緊急措置を講ずるための計画及びその計画実施する、あるいは総理大臣諮問に応じて防災に関する重要事項を審議する、というのが任務になっておるわけでございます。
  15. 安田貴六

    安田委員 まさにそういうふうに書いてあるのですから、そのとおりでありましょう。そこで私は重ねてお聞きしたいのは、一体中央防災会議というのは実施機関なのか諮問機関なのか、あるいは実施機関諮問機関の、そういう両面の性格を持ったものなのか、全然諮問機関だけなのか、その点はどうなんです。
  16. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま申しましたように、総理大臣諮問に応じてさまざまな事項を審議し決定するという点からすれば、諮問機関でありますが、防災計画をつくったり、あるいは各省庁の実施するそれぞれの事務総合調整に当たるという点からいえば、一種の企画調整機関であるというふうな性格もあわせて持っておる、こう理解しております。
  17. 安田貴六

    安田委員 それに加えて実施機関であるという性格もあわせ持っておるという御答弁は出ませんか。——そうすると防災関係の総括的な責任国家行政組織上からいうとだれが持つのですか。総理大臣だけですか、各省大臣には関係ないのですか。どこで持つのですか、それをちょっとお伺いします。
  18. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま申しましたように総理大臣各省庁の行政全般の総括に当たる。そこで防災会議の中には各大臣メンバーになっておる。                      −したがって実施機関という形で各省庁は当然それを実施に移す、これは各省庁の責任である。したがって指定行政機関はそれぞれ防災業務計画というものを持って、それに応じてそれぞれの分担の計画を立て、またその具体的な実施に当たる、こういうシステムになっております。
  19. 安田貴六

    安田委員 それもそのとおりでありましょう。ただし、その場合いまのような副長官の御答弁に基づけば、総理府総務長官というのは災害対策の面あるいは防災対策上どういうような地位任務を持っておることになるのかという点を、一応お伺いいたしておきたいと思うのです。全然ないというふうに答弁されるのだろうと思うのですが、それを副長官から御答弁願います。副長官責任ではなくて、私の言うのは総務長官です。
  20. 湊徹郎

    湊政府委員 結局総務長官としては、一般的にはこの中央防災会議所掌責任者ということで、それから防災会議メンバーの一人という意味も一方にありますし、それから同時に各省庁に対する連絡調整、これは総理府全体の任務でございますから、そういう仕事もやる。そのために私が防災会議事務局長を兼ねる、こういう形になっております。
  21. 安田貴六

    安田委員 この中央防災会議の発足する当時は、総理府総務長官中央防災会議事務局長をやっておったはずなんです。現在は副長官湊先生がやっておられるわけですが、私はこの基本法ができて中央防災会議ができたときに、総務長官事務局長になるならわかるのですよ。それなら総理府というものが本部において、いわゆる防災対策については少なくとも事務局長立場において総務長官が全責任を負う立場にあるのだ、その中であわせて各省総合調整も行なうのだ。これならわかるのですけれども、現在副長官事務局長も兼ねておって、そして総務長官には総合調整機能しかないという御答弁で、防災に対します責任は、単に中央防災会議の一委員としての立場における責任しかないのだということになりますと、先ほど当然の話だといいますけれども、一体内閣総理大臣以外に、各省大臣で総合的に防災対策なり防災行政なりを所管するところはどこなんですか。まさか消防庁長官じゃないでしょう。その点の御見解をちょっとお聞きしておきたいと思います。
  22. 湊徹郎

    湊政府委員 これは若干経緯がありまして、簡単にいえば、かつて総理府総務長官国務大臣地位を持たなかった、その時代に事務局長をやっておる。したがって今日政府各種関係機関いずれを見ても御同様でございますが、国務大臣事務局長をやっている組織はございません。ところがその後国務大臣になりましたので、当然メンバーの一人としてやってもらい、そして実質的に申せば公害行政であるとか沖繩であるとかまあいろいろございましたので、そこで及ばずながらそれがしがやりましょう、こういうことで去年からやっておるというのが実態でございます。
  23. 安田貴六

    安田委員 副長官の御答弁は副長官の御見解として承っておきます。どうもしかし国の行政組織上、ただいままでの副長官の御答弁では私は納得がいきませんが、時間もありませんからあまりその面に立ち至った質問はいたしません。ただこれで一体わが国防災対策が十分に行ない得るという自信がおありかどうか、その点をひとつ……。  私どもが参考に調べたところによると、各省防災計画なんというものは、私は与党の国会議員ですからあまり言いたくないことですけれども、まことに抽象的なことばを羅列しただけであって、具体性は何もないわけでしょう。そしてあとは全部都道府県市町村に押しつけている現在でしょう。それで中央のそれを総括する大臣はどこかというと、自治大臣でもないと思いますし、あとはない、こういうのですから……。そうなると、わが国防災行政防災政策というものは、どうも国家行政組織の面からいって強力に推進できる体制ができておらないのじゃないかという印象を受けざるを得ないのですが、そういう観点から私はそういう見解を申し述べるとともに、もう一点お伺いしておきたいことは、副長官のおっしゃるように、中央防災会議というのは、大体行政機構としてのいわゆる実施行政を担当するという機能はないのだ、そういうふうに考えてまいりますと、条文の中に「実施推進する」ということがありますね。この実施推進というのは一体何をやるという意味なんでしょうかね。基本法の十一条、中央防災会議任務というものの中にありますね。「非常災害に際し、緊急措置に関する計画を作成し、及びその実施推進すること。」推進するということは行政機能というものが伴わないでできますかね。
  24. 湊徹郎

    湊政府委員 実際の運用の面から申しますと、御承知のように、一番最初に申し上げたように、災害の態様によってそれに対する対応の体制、及び措置というものは千差万別でございます。たとえば大阪のガスが爆発した、これはガス管防護の責任を持つのは通産大臣でございますから、そういうときには通産大臣本部長になっていただいて私が副本部長になる。そして局長クラスで開いております防災会議局員会議、それと今度は課長クラスでさらに具体化した相談をします主事会議というのがございまして、それを数回にわたって、ときには連続してやりながら具体的な各省実施分担を固めていく、それをひとつこういうふうにおやりくださいませといって全体をプッシュするのが私どもの役目、こういうことでございます。
  25. 安田貴六

    安田委員 それではその面に対する質問は終わりまして、次に各省防災対策について一、二お伺いいたしたい。各省にまたがるのですが、時間もありませんから、林野庁とそれから海上保安庁のほうにお伺いいたしたいと思います。  それでは、副長官、御都合があるようですから、私は締めくくりに一つだけお願いしておきます。   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕  いまの防災会議、私は意味がないとは言っておらないのですけれども、こういう性格的にわかったようなわからないようなものでは、どうもこれからの——東京都を中心とする地震対策などの問題も寄り寄り検討されておるようですが、こういう場面にどうも中央機関としての体制が不十分ではないかという感じを受けますから、私は、仮称ですけれども、防災庁というような国家機構というものに対する再検討を要する時期にきているのではないかという感じがするのです。結局各省とも、要するに防災会議はございますけれども、そこで計画を立ててしまうと、あとはまことにおざなりになっていはせぬかという危惧の念が、私自身あるわけですよ。これは失礼かもしれぬけれども、そういうことで申し上げたわけですから、ひとつ防災庁のようなもっと強力な一元的な総合的な機関の設置等についても御検討おきをいただきたいということを要請いたしたいと存じますが、それに対する御見解があれば承って、これで総務長官に対する質問は終わりたいと思います。
  26. 湊徹郎

    湊政府委員 災害の場合は御承知のようにきわめて偶発的な形で起きてまいりますから、臨機対応のかまえということが当然必要でございます。したがって固定的な機構ということよりも、どういうふうにそれを具体の事象に対して対応していくかという運用のほうが大事であるということで、現在はそっちの面に全力をあげておりますが、おっしゃいますように交通の問題しかり、公害の問題しかり、総合調整機能のもとに一元的にものを考えていくというのは今日の時代の趨勢であろうと私も思いますので、いまおっしゃるような趣旨が生かされるように、内部ではいろいろ検討してみたいというふうに思います。
  27. 安田貴六

    安田委員 次に各省防災対策について一、二お伺いいたしますが、まず林野庁の山火予防対策なんですけれども、これも、時間がありませんから、ごく抽象的にお伺いします。  四十一年以降、林野火災の発生状況は、件数、被害面積、被害額等それぞれ増加をしておるし、特に関心を払わなければならないのは、先般の呉市の火災でも立証されておりますように、死者の数が非常にふえておる。これはあまりにも市町村消防機関だけに依存しておって、林野庁独自の努力というものがほとんどないためじゃないかという感じも受けるのですが、こういう点について、林野庁としては具体的にどのような防災対策を講じ、どのような施設設備を有し、どのような成果をおさめ、そしてこのためにどの程度の経費を投じておるか、簡潔でけっこうでございますから、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  28. 海法正昌

    海法説明員 林野庁に対する、林野火災対策いかんという御質問でございますが、林野火災は、いま御指摘ございましたように、その原因はほとんど人為的なものでございますし、また一たん起こりますと非常に広範囲被害を及ぼす、事人命にも影響があるということでございますので、林野火災対策につきましては、林野庁といたしまして、予防対策に重点を置いて実施をしておるわけでございます。山火予防対策につきましては山火事予防啓蒙運動の実施、それから林野火災特別地域対策事業の推進、それから巡視員の強化という、主として予防対策面につきましてやっておりますと同時に、また国有林野につきましては自衛消防組織組織いたしまして、火事が起こりましたときにそれにすぐ出動するというふうな体制をとっておるわけでございます。  そこで、経費の面でございますが、森林保険特別会計、一般会計それから国有林野事業特別会計の経費をもってやっておりますが、四十六年度の総額が三億二千二百万円でございます。
  29. 安田貴六

    安田委員 いまいろいろ答弁がありましたが、一般会計の林野庁の林野火災対策費は四十五年度六百十八万七千円、四十六年度八百二十万八千円、こういう数字になっているのですね。ですから、私は国有林特別会計で具体的にどういうような山火予防なりその体制整備のための施設費なり使われておるか、詳細についてはわかりませんけれども、まず一般会計の金額を見ますと、どうもこれは本腰になって林野火災対策を林野庁が講じておるかどうかという一つのものさしとしては、まことに信頼できがたい数字じゃないかと私は思うのですよ。そしてもしこれを広範囲にやっておるとすれば、国有林特別会計で一般のいわゆる民有林なり、そういうものも流用支出しておるということになるのか。いろいろ時間の関係もありますので、私は詳細にここで聞く時間を持ちませんけれども、この数字だけを、一般会計の予算だけを見ると、まことに遺憾千万な数字だと思うのですよ。こういう面に対しては、大蔵省としまして、要求しないほうが悪い点ももちろんあると思うのですが、大体どうして林野火災対策についてこんな程度の予算しかつけておらないのか、この点に対して担当主計官のほうから簡潔に御説明いただきたい。
  30. 後藤正

    ○後藤説明員 ちょっと担当主計官がほかへ出ておりますので、私から申し上げますが、先生御指摘のように確かに八百二十万程度でございますが、林野庁からも御説明がありましたように、やはりたばことか灰や火の不始末とか、いろいろなもので人為的なものが非常に多いものでございますから、予防に力を入れたいわば火災予防週間の設置と、それから特別地域につきましてはいろいろなパンフレットとか標識とか、いろいろなものをつくりますほかに、先ほど申し上げましたように林野特会のほうでは、巡視員の数を、昨年、四十五年三百六十名、四十六年には四百八十六名というふうに、巡視員の数を含めまして、予防に重点を置いた対策を講じておるというのが現状でございます。
  31. 安田貴六

    安田委員 大蔵省の後藤主計官の説明は、了承いたすわけではありませんけれども、私はただ、これはやはり今後林野庁としても大蔵省としても、十分にこういう防災に対する各省責任ですね、このために必要な経費——経費ということは要するに内容の充実ですから、このために十分に意を用いていただきたいと思います。  それと、特に私がそういうことを申し上げるとなんですが、山を守っているのは現地市町村の住民なんですよ。営林局あるいは営林署の職員や何かたくさんおりますけれども、しかし、そういう人がたは実際は、国有林の場合でも民有林の場合でも、これを守る上にどれだけの力になっているかというと、私はあまりそれをけなすようなことは言いたくありませんけれども、そんなに力になっていないということは事実ですよ。消防団とそれから消防機構と、あとは現地の住民ですよ。ですから、こういうことを考えた場合、いまやっておる国有林野の所在交付金などについても、やはり現地所在市町村に対する一種の還元ですからね。そして火災をはじめとするいろいろな問題にうんと力を入れさせなければならないわけですし、こういうものに対しても、大蔵省としても林野庁としても、十分に御配慮をいただきたいということを私は要請をいたしておきます。  それから次に海上保安庁の問題について一言お伺いいたしたいと存じますが、これは北海道周辺だけのデータでございますから、全国的なデータは私は申し上げませんが、海難はいずれも死亡、行くえ不明者の数が非常にふえてまいりまして、四十五年には二百名を数えておる。これは北海道周辺だけです。そのほか、海上保安庁では巡視船とか航空機の整備とか、いろいろな面に対して非常に意を用いて予算を要求しておりますが、四十六年度の内容を見ますと、巡視船、航空機等の整備については、認められたのは要求額の半分ですね。それから救難体制については要求額の五分の一くらいですよ。これは、私は海上保安庁のこういう結果に対する御見解を承りますと同時に、運輸省の官房長さんがおいでいただいているようですから、私がそういうことを言うとはなはだ失礼に当たると思いますけれども、大体外局というのは——消防庁も外局ですが、消防庁は別にしまして、外局というのは、本省の官房のところで予算は相当チェックされちゃうのですね。すなおな表現をしますと、そういうことですよ。そうでないとおっしゃるかもしれませんが……。したがって、海上保安庁の予算の確保についても、私は官房長のところの非常な影響力があると思うのですよ。そこで、いまいらっしゃる官房長がそうだという意味ではありませんけれども、そういうことがもしあるとすれば、十分に運輸省の官房長さんのところで海上保安庁の海難に対する整備に対する諸問題、救難対策その他、これは消防の問題、水上消防にも海上消防にも関連いたしますから、こういう面に関連して十分にあたたかい配慮をやっていただきたいと思うのであります。  以上私が申し述べたような諸点に対する保安庁の部長さんあるいは運輸省の官房長さん並びに大蔵省の主計官、このお三人の御見解を承りたいと思います。
  32. 菅太郎

    ○菅委員長 保安庁のほうから御答弁願います。
  33. 貞広豊

    ○貞広説明員 お答えいたします。  海難の概況は、全国で、日本周辺でおおむね二千六百件くらい起こっておりまして、特に北海道周辺について申し上げますると、おおむねそれの二割ないしその下程度の海難が起こっております。パーセンテージはさようでございまするけれども、先ほど御指摘ございましたように、海難による死亡、行くえ不明は、北海道周辺においては、昨年の例をとりますと全国の三八%になっております。平均化しましても約四分の一くらいは北海道周辺で死亡、行くえ不明という犠牲を出しております。なぜそういうふうになるかと申しますと、これはほとんどが漁船の海難でございまして、御承知のように北海道は年じゅう低気圧が通過する。大型の台風によるような猛威をふるうものでも、平均毎月一回くらい襲っている。しかも冬は寒冷で猛吹雪、春から夏にかけては一寸先も見えないような濃霧、こういったことでございまして、海難が起きた場合に冷たい海にさらわれますと直ちに死亡するというふうなことがからみまして、こういうふうな事故に伴う犠牲が非常に多くなっております。したがいまして、海上保安庁といたしましては、これらの中遠距離海難対策、特に早い船で性能のいい船、それから全天候型の大型ヘリコプターによる寒冷の中の遭難者を救い上げるという方法による救助手法としての、大型ヘリコプターというものを要求したのは先生のお話しのとおりであります。しかしながら、昨年末来急速に社会問題化いたしました公害問題、去る国会でも大いに先生方が御議論いただきまして、関係法律が通過したような次第でございますが、その中で海上保安庁は海洋汚染防止法に基づく海上における必要な監視義務を課せられましたので、海上公害ということとの関連におきましてこの大型巡視船、大型ヘリコプターは次年度にさらに要求するということで調整されたものでございます。
  34. 金子太郎

    ○金子説明員 御質問関係の予算につきましては、何といってもその中心になりますものは船艇と航空機の整備強化することだろうと思いますが、海上保安庁の巡視船艇と航空機につきましては四十六年度予算で四三%伸ばしております。四三%伸ばしてなおかつ各方面必ずしも御満足はいかないという大きな理由といたしましては、予算要求の重点事項が必ずしもすっきりしなかった。しかも比較的短い時日の間にそれがかなり変わったという事情があるのではないか。たとえば一昨年ごろは海洋開発ということで大型測量船をつくれ、昨年の初めは「かりふおるにあ丸」の事故がございましてYS11を予備費を使って買え、そして昨年の年末にかけて海難救助体制が最重点事項かと思っておりましたところ公害体制を至急整備せよ、そういうことが重なりましてこうなっておるわけでございます。  今後予算要求をなるべく重点化していただいて今後の予算を伸ばしていきたい、そういうふうに考えております。
  35. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  海上保安庁の巡視船艇及び航空機の充実につきましては、前年度が十三億に対しまして本年度が十九億、先ほど主計官が申されましたように約四四%弱の伸びでございます。この点につきましては、運輸省全体の予算の伸び率よりもはるかに高く、また国の全体の予算の伸び率よりも非常に大きく伸びておるわけでございます。ただやはり非常に続発する海難、そういうような面から見ますとなお船艇及び航空機の増強というものが必要でございます。私ども特に公害ということと同時に、こういう警備救難ということについて今後さらに進めていく必要がございますので、この点については今後とも特段の重点を置いて進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  36. 安田貴六

    安田委員 各関係者の御答弁、私としましてはその趣旨については了解いたします。ただ先ほどもいろいろお話がありましたが、公害対策に重点が置かれたからどうであるとかそういう大蔵省の主計官の御説明がありましたが、大体海難問題というのに対応するいろいろなわが国施設整備というのは、もともとおくれておるのですよ。ですから、いまこの時点に立って、公害問題がどうだからどうだというようなことは、あなた方の役所間の理由にはなるかもしれぬけれども、国民に対して、あるいは国会に対する答弁理由にはならぬ。そういう観点で——皆さん方の答弁の御趣旨は了解いたしますけれども、私の申し上げておるような観点に立ってこれから海上におきますいわゆる救難体制整備、こういう問題については急速に整備をしていただくようにお願い申し上げたいと私から要請いたしておきます。  それから次に、私は自治省の政務次官が来ておればいいと思ったのですが、来てないようですから消防庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、関東地方南部における大震火災に関する答申というものが審議会から出ております。それで、これは一々申し上げませんが、私は答申の内容を見ますと、なかなか容易ならぬ課題ばかりが盛り込まれていると思うのですよ。政治的にも財政的にも科学的な面から見ましても至難な課題ばかりが入っている。これに対して政府が取り組む責任者は一体どこなのか。さっきもちょっとこういう問題を念頭に置いて総理府総務長官質問したのですけれども、中央防災会議なのかそれとも消防庁なのか。答申は消防庁長官に出されておりますから、いまのところは消防庁長官のところで処理されることになるのだろうと思うのだが、一体消防庁長官のところでこういう大問題を処理し切れるものなのかどうか。これは自治省自治大臣なり政務次官にお伺いいたしたいのですが、いませんから、そこで消防庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、そういう点に対してはどういうふうに、いまのところ政府としてはお考えになっていらっしゃいますか。
  37. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防審議会の答申は地震対策に対しましてまず第一番に口火を切ったということでありまして、あの答申自体は国全体が一体となって処理すべきことを全部網羅しているわけです。したがいまして、政府におきましては、中央防災会議におきまして、あの答申を基礎にして各省がそれぞれ自分の分担する分野を省議をもって定めまして、それを持ち寄って近くあの答申に対してどういう措置を考えるかということについて、中央防災会議でまとめることになっております。
  38. 安田貴六

    安田委員 長官の御答弁の意図するところはわかりますけれども、そんなようなやり方で、私どうも少し気がせき過ぎるという点があるのかどうか、私どもの考え方からいえば、先ほどの総理府の副長官答弁消防庁長官答弁、まことに何か自信をもって、なるほどそうか、それならやれるんじゃないか、それならやろう、という気持ちをわれわれに与えるようなものにはなっておらぬと私は思うので、これは私の受け取り方ですがね、そこでこれはやはり私は政務次官なり大臣にここにおいでいただきたかったのですが、おいでになっておりませんので、この問題については消防庁長官としましてもぜひ政務次官なり大臣にお話をしていただいて、これはもっと本格的な取り組み方を急速に政府自体として体制をつくらないと、消防庁だ、やれ中央防災会議だ、中央防災会議各省だ、こういっているのですから、これは進むはずがないと思うんですよ。ひとつそういう点を長官に要請しておきますからよろしくお願いします。
  39. 降矢敬義

    降矢政府委員 いま御指摘がありましたようにばらばらではないのでありまして、あの答申をもとにしまして、中央防災会議であの答申を受けて国全体としてやるべきことをまとめておる、それは近くまとまる予定でございまして、それに基づきましてそれぞれただいま、治安の問題ならば警察が担当する、通信問題ならば郵政省が担当する、消火、失火防止、消防の問題は当然消防庁が担当するということで、各省がそれぞれの仕事に従って実施をする。その全体の調整——調整というのは結局具体的な措置をバランスをとったものとしてまとめておる。こういう段階でございまして、決して各省がばらばらにこれに対処するということではございません。
  40. 菅太郎

    ○菅委員長 安田君に申し上げますが、大臣はおそくとも本日の五時から六時に予定されておる採決の前には来て、留保してあります質問に答えるそうでございますから。
  41. 安田貴六

    安田委員 わかりました。それでは次の質問に入ります。  次に消防庁長官、または担当の課長さんでもいいのですが、お伺いしたいと思うのですが、呉市のこの間の山林火災における死亡者の殉職者に対する災害補償の問題なんです。これは、私は時間がないからあまり多くを申し上げませんが、非常にお気の毒にたえない。一国民として全く申しわけない気持ちで一ぱいなんですが、こういう方々に対する補償の金額ですね、これが若い人方の場合は非常に低いという話を聞いておるのですが、これはしかし私は若い人、年配者の方、そういう区別をすべきではないと思います。一例をあげれば、若い人方については、ほんとうに涙金というかそういうような程度にしか計算ができないように、現在の地方公務員災害補償法ではできておるというふうに聞いておるのですが、これは私本質的にはやはり地方公務員の災害補償法の中における制度的な改善、これはもちろん大事だと思うのですけれども、その前に、基本的には私はこの消防職員に対する給与面の問題が根本的にあるんだろうと思うのですよ。現在、私も十分に勉強いたしておりませんけれども、消防職員に対する給与は、一般の行政職員の給与表を基準にして、若干いいところもあるし悪いところもあるし、いろいろあるようですが、こういう面に対して、警察などの公安職員の給与表というようなものを参考にしまして、特別な消防職員に適用する給与表をまずつくって、それを基準にして、もっと基本給の引き上げということを消防職員に対してはなすべきじゃないか。それと同時に、地方公務員の災害補償法等の中の改善をはかるべきじゃないか、こういうふうに思います。  そのほかにも処遇の問題がたくさんありますけれども、この間の呉市における殉職者の若い人方のほうのいわゆる補償額はどうなっておるのか。それから、私の申し上げておりますような、こういうような面の給与の改善に対する消防庁長官としての御見解はどうなのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。
  42. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘のように地方公務員災害補償法によりまして、一番若い二十一歳の方につきまして、遺族補償一時金として百六十万支給されることになります。  給与の改善につきましては、この災害補償とも関係するわけでございまして、われわれとして、全国の消防長の会議がございまして、それと一緒になって昨年来、この給与の改善について研究してまいっております。先生御指摘のように公安職を使っているところもありますし、あるいは行政職に初任給を上乗せをしましてスタートするところもあるわけでございます。しかし、全体として私たちは、こういう本来の職務自体が災害というものを前提にして活動される方については、その処遇の改善につきまして、いま申し上げたような初任給から厚いスタートをすべきじゃないかという話をしております。ただ、御指摘のように市町村というのは千差万態でございますので、共通した俸給表というのはなかなかつくりがたいと私は思っておりますが、これは全消長会のメンバーにもそういうグループがたくさんございますので、いろいろと研究をして給与の改善について努力をしてまいる、こういう考え方でまいっております。
  43. 安田貴六

    安田委員 その点よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  なおこの問題とあわせまして、消防団員の報酬あるいは出場手当、団服の費用あるいは公務災害補償額、死亡一時金等のこういう処遇の問題について、いろいろと消防庁ではいままで努力を払っていただいておる点はよくわかりますけれども、さらに一段と一そうの適切な改善をひとつ講じられますように、私は希望を申し上げておきたいと存ずる次第であります。  それから、続いて退職消防団員の報償費の問題についてお伺いをいたしたいのですが、現在は、この報償規程がございまして、退職者に対しましては記念品を贈るようになっておるようでありますが、承るところによると、なお相当の人数分についての記念品の贈呈が未済になっておるというふうに私は承知をいたしておるわけでありますが、これは消防庁の告示できめられておる規程であるとはいいながら、政府機関が公に国民に対しまして公布いたしておりまする告示でありまするから、したがって、私は、これは政府から見ますると義務費であるというふうに、退職者が出た以上は、考えていいと思うのです。それに対して、相当の人数を未交付のままにおくということは、これは消防庁責任なのか大蔵省の責任なのか、私は明確には申し上げませんが、いずれにしましても早急にこれは解決をはかるように、四十六年度の予備費等でできるならばそれででもよろしいし、できなければ私は四十七年度で全部やっていただくようにすべきではないか。そうでなければ、全く奉仕的な精神で消防団員というのは活動しておるわけですから、せめてやめた場合に記念品と賞状くらいは、直ちに政府のほうから届けられる、贈呈されるということになっておらなければ、いまの消防団員に対しまする、活動の面に対応するいわゆる政府機関あるいは市町村長あるいは市町村消防団長というような方のほんとうのあたたかい気持ちが、その人方に伝わらなくなるわけですから、この面はひとつ簡単なようでございますが重要な問題だと思うのです。ですから、これはひとつ十分にすみやかに配慮していただきますようにお願いいたしておきたいと思いますが、これに対する長官、それから大蔵省の担当の主計官の御見解をお伺いいたしたい。
  44. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいまの点は全く御指摘のとおりでございます。本年度予算におきまして従来五万一千五百個に対しまして五千個さらに追加をして五万六千五百個にしたわけでございますが、そういうことによって支給のおくれを取り戻すという努力を払ったわけでございますが、さらに努力をしてまいる考えでございます。
  45. 後藤正

    ○後藤説明員 御指摘のように、四十三年度四万三千七百から、未済の状況を見まして、四十四年度五万一千五百、四十六年度五万六千五百というふうに上げてまいっておりますが、なおまだ三万数千分の未済が残っております。今後とも努力してまいりたいと思います。
  46. 安田貴六

    安田委員 私は大蔵省に特に要請しておきたいのです。四十六年度の予備費という話をぼくはしましたが、こういう処置ができなければ、四十七年度これを全額予算化するということをここで確約していただけませんか。
  47. 後藤正

    ○後藤説明員 先生も御案内のように、最近、消防関係というのは、予算でも、火災の多様性とか多発性とか、いろいろな問題がございまして、いろいろな施策の要求が非常に重なってまいっておりますし、したがいまして、大体昨年でも予算全体、消防庁は、二十億が二十五億、ことしはさらに三十億と、相当私ども力を入れて検討はしてまいっておる状況でございます。したがいまして、いろいろな施策等のかね合いにおきまして、できるだけ努力をしてまいりたいと思います。
  48. 安田貴六

    安田委員 時間が超過したという御注意を受けましたから、そろそろやめますが、主計官、消防の予算がふえたからどうだこうだと言っていますが、消防予算がふえたからと言うけれども、退職者が出まして、事実この記念品、報償を受けるべき退職消防団員が実在しておるということが問題なんですからね。消防庁の予算がふえたとかふえないとか言うが、こんなことは別問題なんですよ。この種の経費の性格からいって、これは別問題だと思うのです。ここは予算要求の場所でもなければ、査定の場所でもないから、これ以上追い詰めることはしませんけれども、ぜひ私は、とにかく早く、来年一ぺんに——全部で何ぼになるのですか、たいした金じゃないのでしょう。
  49. 後藤正

    ○後藤説明員 五万六千五百で一億三千七百万でございます。
  50. 安田貴六

    安田委員 一億くらいの金、たいした金じゃないでしょう。三十億に対して一億足せば三十一億にすぎないですから、そこの点、私の意のあるところをひとつよくくみ取ってもらって、来年度ぜひ善処していただくように、私は強くこれを要請いたしておきたいと思います。  そこで、もう時間がありませんから、私は結論として申し上げたいと思うのですが、先ほど来総理府の副長官の御答弁あるいは農林省なり運輸省なり、そういう関係方面の御答弁、それから消防庁長官の御答弁をお聞きしながら私は思うのですが、集約的に申し上げますと、私は、どうしても、現在のあらゆる防災に対する重責というのは、消防職員消防団員、これにほとんど全部しわ寄せをされているといっても過言ではないと思うのです。各省ではそれぞれのことを言っておりますけれども、やっておることは、現地市町村からしますとまことにスズメの涙くらいのものしかやっておらない。災害復旧問題等につきましては別ですよ。これはまた別な観点で話さなければなりませんけれども、少なくとも防災の、救難、救助、応急対策予防対策、こういう問題については、消防機関にだけ責任が重課されておるというふうに私は考えざるを得ないわけです。  そこで私は、最後に要請をしておきたいことは、さっきも申し上げましたけれども、各省の大体どこが一体防災に対する国の機関としての責任機関なのかということすらも明確でないわけです。こういう中で各省が適切な連携をとって、そうして万全を期するということは、私とうてい期し得ないと思うのです。したがって、先ほどもちょっと湊副長官にも申し上げましたけれども、いまのような防災会議というのは各機関の寄り集まりの形をとって防災基本計画であるとか、あるいは防災の業務計画であるとか、地域防災計画であるとか、いろいろな計画を立てるのはいいのですけれども、実際の設備の面でもどうするとか、あるいは財政的な面をどうするとかになりますと、ほとんど腰の入ったやり方をしているところは、私は消防庁以外にはないといっても過言ではないと思うのです。こういうような状態から見まして、さっき地震の話をひとつ申し上げましたけれども、ああいう問題を万遺憾なきを期して、国民のあらゆる生命財産をこれから守らなければならぬというような、こういうことを考えます場合に、どうしても防災行政に対する責任ある総合機関を政府としては設置する必要があるのではないかということを私は痛切に感ずるわけなのです。したがってそういう面に対しては、先ほども総理府総務長官に要請をいたしておきましたが、これにつきまして、ひとつ自治省としても御検討をいただきたいと存じまするし、また特に市町村消防体制防災体制というものを強化するためには、どうしても科学的な施設設備充実というものが急速にはかられなければなりませんから、この消防庁にしましてももちろんやっていただいておるわけですけれども、私は五カ年計画なら五カ年計画というものを、いままでの観点に立ったそういうものではなくて、もっと来たるべき重大な時期に備えるような防災体制というものを根拠にして、具体的な五カ年計画のようなものを立てまして、そうして各省庁がほんとうに腰を入れた対策というものを早急に樹立、実行に移していただきたいということを私は痛感するわけであります。この場合、消防庁長官がおいでになりますけれども、自治大臣に私は強く要請をいたしておきたいと思うのであります。たいへん時間がありませんので、十分に質問できませんでしたけれども、以上をもって私の質問を終わりたいと存じます。
  51. 菅太郎

    ○菅委員長 細谷治嘉君。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 二、三質問いたしたいのですけれども、最初に消防庁長官消防表彰規程等がありまして、消防等に従事して消防職員なり、団員が殉職をしたという場合に賞じゅつ金等が出るわけですけれども、せんだって新聞紙上で、福岡市で起こった問題でありますけれども、消防現場に急行しようとする自動車が、急いだあまりひっくり返って、そして消防職員が殉職したわけですね。ところがその人は消防現場で殉職したのでないから賞じゅつ金をもらえないというのです。消防出動しているわけですよ。消防署で勤務中とかじゃないわけですね。火事場に届かなければならぬというのは少しおかしいのじゃないかと思うのですよ。ところがお聞きいたしますと、消防庁のほうではしゃにむに消防現場でなければならぬということを指導しているようですけれども、この辺いかがですか。
  53. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防表彰規程におきまして災害の現場に急行するという際に死亡をされたという事故に対しましての取り扱いでございますが、表彰規程におきまして特別功労章以下表彰の項目がございますが、これはやはり中心は災害の現場において災害活動に従事したというところに中心を置いてこの表彰の関係を処理しておるものでございまして、したがってこの急行する場合に途中で事故にあったという場合におきましては賞じゅつ金を支給するということはしてないわけでございます。ただ御指摘のようにそれは従来からの処理でございまして、しかしはたしてそれでいいのかという問題につきましては私自身も先生と同じ疑問を持っています。したがいましてこれは大蔵省とも相談しながら、こういう表彰規程を従来きめておりまして、またどういう場合にどういうふうな表彰をやるかということにつきましても、従来、いま扱ったような扱い方を相談をしてきめておるようでございますが、やはり災害の現場に向かう場合に死亡したということを現場活動の一環としてとらえるのが妥当じゃないかと私は思っております。したがってその点につきましては、部内におきましてももう少し研究をしてみろということを私は言っておりますが、少なくとも従来からの扱い方におきましては、私が申し上げたようなことで処理がされておりますので、今般もそのような処理をしたわけでございます。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 いまおっしゃったように、消防現場で殉職等が起こるのは、これは普通です。大部分殉職というのは消防現場で起こるわけですね。これはあたりまえですよ。けれども例外的には火災現場に急行する際に事故が起こるということもある。その現実の事故が例外的に福岡市で起こったわけですね。ところが新聞紙上に書いてあるのは、消防現場でない、そのために表彰規程が適用されない。表彰に幾つかの段階があるわけです。確かに「災害において消防作業に従事し」ということでありますけれども、すでに現実に従事しているわけですね。それを適用しないというのは私はおかしいのじゃないかと思う。いま公務員問題で、一般の公務員の人たちが家から出勤する際にはもうすでに公務に入っておる、こういう見解が国際的にとられようとする段階なのです。長官の気持ちは何とか拡張したい、こういうことのようであります。私が申し上げるのは、消防職員だから普通の通勤とかなんとかのときやったからということじゃなくて、現に従事しているわけですよ。それに消防現場で殉職してないからだめだというのはおかしいのではないかと私は思うのです。こんなことではいかぬと思うのですね。これは大蔵省にももう一度お答えをお聞きしたいと思う。直接関係はないと思うのですけれども、自治省務員部長、こういうことでよろしいかどうか。原則的な公務員としての立場消防団員も含めて公務員部長としてはどうお考えになるか、一般論としてこれをお尋ねしておきたい。
  55. 山本明

    山本(明)政府委員 具体的な問題は消防庁の御見解があろうと思いますが、やはり全般的には、出動命令をもらい、事業につく命令をもらったその段階から、もう公務に従事をし、そういう作業をしておるというふうに考えてもいいのではないか。ただ何もかもというわけにいかないと私は思います。やはりその現場の認定という問題はあろうかと思います。消防で自動車が飛び出すときに、非常に特殊な条件の中で職員が運転をしていて事故を起こしたという場合もありましょうし、それから突発的な事故があったという場合もありましょう。いろいろな問題があると思います。しかし私は消防職員というようなかっこうで、ことに身を挺して仕事をされるという方については、そういう問題についてはできるだけ考えてあげるべきではないのか。実は先ほども安田先生からも御質問がございましたが、特に給料の安い方々が事故を起こしたときに、平均給与額によりまして補償しますときに非常に少ない金額になるわけでございます。これについては何か特別な措置はできないだろうかということで、基金のほうでも現在検討をしておるわけであります。消防とか警察とか若い教員の方が事故を起こしたというような問題がございますので、その問題については検討していきたい。一般的にはこういうふうに考えております。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 消防庁長官出動命令が出て出動しているわけですよ。消防現場なんといったって、一体現場というのは何かということから始まります。出動命令が出て出動した、まだ火災現場に到達していない、あるいはまだホースから放水していない、こういうことで、いやそれは途中で殉職した者はいかぬのだ、そういう規定を適用しないのだというのはおかしいと思うのです。出動命令が出たら、すでに消防現場にいる、消防作業に従事した、こういう見解をとるべきだと思うのです。現実にそういう問題が起こっているわけですよ。たまたま福岡市——私の地元ではありませんけれども、私の住んでいる県でそういう問題が地方紙に大々的に書かれた。問題はどういうことかというと、現場であったかなかったかというだけにすぎないということですから、幾つかのランクがあるわけですから、これはやはり今後考えますじゃなくて、具体にこの問題を解決しなければならぬじゃなかろうかと思うので、もう一度お尋ねしたい。
  57. 降矢敬義

    降矢政府委員 災害現場において、一身の危険を顧みず防災作業に従事して殉職されたというものに対しまして、賞じゅつ金制度があるわけでございますが、いまの場合、災害途中の場合は賞じゅつ金でなくて報賞金という制度で現在処理しておるわけでございます。したがって、その金額はごくわずかなわけでございます。しかし、私は先ほど申し上げましたように、私の考え方は少なくとも、災害があって出動する、そうして途中で殉職されたという場合には、やはり賞じゅつ金の対象にしていいのではないかと思っております。そういう意味で、私はこの規程の改正につきまして、同時に予算の処理も要しますので、あわせて検討さしておるところでございます。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 問題は予算の問題じゃなく、規程の問題じゃないと思うので、現実にそういう問題が起こっておりますから、善処をしていただきたい。こういうことを強く要望しておきたいと思うのです。  これからの質問関連するわけでありますけれども、消防庁長官建設省お尋ねしたいのでありますが、「消防小六法」は「小」と書いてあるからやむを得ないと思うのですけれども、この間小委員会報告がありましたように、ビルの火災とかいろいろな大きな火災が起こっておるわけですね。そういう中において、たとえば建築基準法なりそれに基づく政令くらいは、消防関係法律としてお載せになったほうがよろしいのじゃないか、自分のなわ張りだけでやっているのはおかしいのじゃないか、こう思うのですよ。建設省のものは「小」と書いてないのだから、小より大きいでしょう。事実本も大きいのです。それを見ますと、消防の消の字もないのですよ。この法律の中にはいろんなものはありますよ。しかし、消防の消の字はないけれども、消防にたいへん関係のある、特に建築基準法等の施行令あたりは消防関係と密接な関係を持っておるものがあるわけですよ。私は消防法なり、それに基づく政令なり規則等も載せるのが正しいのじゃないかと思う。この編集の正しい正しくないという問題を言っておるのじゃない。どうも消防庁消防庁でゴーイング・マイ・ウエーだ、建設省建設省でわが道を行く、こういう形が小六法編集にまであらわれておるのじゃないかと私は思うのですが、この点いかがですか。
  59. 前川喜寛

    ○前川説明員 お答えいたします。  御指摘のような点で、こういう法令集の普及活動が必ずしも十分に行っていない。外国の例のようにコードサービスが非常にうまくいっているようなところもございます。ただ、いま御指摘になりました建設小六法といいますか、これは建設省全体の便宜を中心につくっているものでございます。実はこのほかに建築関係の法令集を一般実務家向けにわれわれつくっているわけでございます。これにはやはり何といいましても実務的に一番大きな問題は建築基準法と消防法の問題でございまして、これは一通り全部載せているわけでございます。相手によりけりでどういうものをどうつくったらいいかということが一番問題でございまして、先ほど一番最初に申し上げましたようなコードサービスが必ずしも十分じゃない、こういったことでわれわれ今後もっと努力していきたい、こういうふうに考えております。
  60. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防庁におきましては、消防小六法と防災小六法と二つございまして、予防関係のほうには、予防の面から必要な政省令や、あるいはいま御指摘のような建築基準法その他を全部入れているわけでございます。消防小六法のほうは主として消防活動消防組織の方面に焦点を合わせて編集してありますが、どの程度までそういうものに入れるかということについては、御指摘の点もございますので、もう少し研究さしていただきたいと思うのです。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 私はサービスがどうのとか、これに載せないのはけしからぬじゃないかと問うているわけじゃないのです。あとでだんだん質問していきたいと思うのですけれども、どうも縦割り行政というものがこういう編集にまであらわれておるのじゃないかと思うものですから、私はそこを問うているわけです。その点でひとつこれに入れてくれとかなんとかということじゃありません。サービスをよくしてくれということじゃないのです。問題は消防庁考え方、特にビル火災等の多い今日、建築基準法あるいはその施行令というものが載っていないことは、その間に大きなギャップがあるのじゃないか、こういう点を非常に大きく懸念しているものですから、あえて例として申し上げたわけです。  そこで、いつも議論されておるのですが、昭和三十六年に消防力基準というものがつくられたわけです。その基準の中で消防機器、人員の充足はこの基準に対してどのくらい行っておるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  62. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防機器でございますが、消防ポンプ車は六四%、はしご車は一〇一%、化学消防車が二五二%、消防艇が二七%、職員の数は五一%ということであります。ただ、この消防力基準の比較におきまして、消防力基準のほうの資料が四十年の資料になっておりまして、比較いたしました数のほうが四十四年四月一日現在でございます。したがって一つの傾向を示すものとして、いまの充当率を御説明申し上げた次第でございます。  また消防職員につきまして現在の消防施設というものに対しました比較は、充当率において八六%ということに相なっております。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 いまお聞きいたしますと、消防ポンプ自動車は六四%、消防職員が五一%、消防艇は二七%、この辺の充足はきわめて悪いわけでありますけれども、はしご自動車、化学消防車は一〇一%、二五二%ということでありますから、化学消防車は基準をはるかに上回っておりますね。そういたしますとはしご自動車と化学消防自動車はもはや完ぺきだ、その他に欠陥がある、こういうふうにお考えでございますか。
  64. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘がございましたように、数字は確かにそうなっておりますが、これは三十六年の、消防力基準という、その当時制定したものによって各都市ごとにはじいた結果でございます。現在しかしながら、はしご車ということになれば高層ビルというものを当然考えなければいけませんし、化学消防車ということになれば危険物施設というものを当然前提にしたことになりますので、いま申し上げた充当率が一〇〇以上だということが、直ちにこれで十分であるとは毛頭考えておりませんので、新しい基準をやはりいまの時代に合うように考えまして、この整備をもっとはからなければならぬというふうに考えております。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの長官のお答えでありますと、化学消防自動車というのは基準の二・五倍もあるけれどもまだ十分ではない。いわんや消防ポンプ自動車は六四%、消防職員は五一%ということでありまして、これも足らぬのだ、こう言っているわけです。そこで、たとえばはしご自動車なり化学消防自動車というものが、全国的には充足されておるようでありますけれども、たとえば東京都を例にとりますと、東京都はあなたのほうの指導基準からいきますと半分しかないわけですね、はしご自動車は。八十六台必要だというのに現在四十四台しかない。化学車は、五十六台必要だというのに現在は四十九台しかない。こういうことなんですね。たとえば最近コンビナートができております千葉県は、はしご車が十二台必要だというのに九台しかない。化学車は三十六台必要だというのに二十八台しかない。そういたしますとビルディングがどんどんできてきて、はしご車、スノーケル等が必要だ。そういうところは充足されておらないで、化学車の必要なところについては化学車は充足されておらないで、そして全般としては充足しておるような数字が出ておるところに私は問題があると思うのです。こういう問題を含めて、私は基準全体、三十六年にできました基準をもはや今日の体制に即応するように根本的に変えなければならぬ時期に来ているんじゃないかと思うのですけれども、いかがです。
  66. 降矢敬義

    降矢政府委員 はしご車、化学車等の相手になるもの、これは高層ビルあるいは地下街、コンビナート、こういうものでございまして、それは御案内のように非常に進展しているわけでございますから、そういうものを踏まえた基準をやはり考えなければならぬと思っております。反面、消防ポンプの機能も、たとえば可搬式動力ポンプにおきましても、御案内のとおり相当の威力を発揮し得るものが開発されてまいりました。それと同時にまた交通事情あるいは応援体制というものも、この基準を制定されたときよりもはるかに進んでおりますので、そういうことを加味して、全体として消防力基準について検討をし、新しいものをつくらなければならぬと私は思っておりまして、御指摘のとおりだと思っております。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 新しい体制に即応するような基準をつくらなければいかぬ、こういうふうにお答えいただいたわけでありますけれども、それに関連して、現在消防施設強化促進法という昭和二十八年にできた法律がありますね。これは沿革としては、三十五年の六月に一部改正をされておるわけでありますけれども、三十五年といいますと基準ができました一年前ですよ。その後たいへんな高度経済成長政策のあおりを食って、コンビナートができてきた、新潟地震が起こった、あるいはいろいろな観光地のビルにおいて、磐梯のホテルの事故が起こった、有馬温泉で事故が起こった、あるいは和歌山で起こった、千葉県で起こったというように、いろいろな問題が起こっているわけでありますから、消防施設強化促進法も現状に合うようにこの際改定をすべきであると私は思うのです。これはいかがですか。
  68. 降矢敬義

    降矢政府委員 整備促進法の中身は、御案内のとおり補助する対象施設と補助の割合、あとは手続的な規定でございます。実際の補助する対象につきましては、政令で書いてありますものも、もうすでにやめて、これに書いてないものに補助対象としてつけているものもございます。そういう意味で整備をする必要があるかなと私も思っておりますが、実はこれは奨励的な補助金でありまして、新しい施設ができればやはり新しい施設に対して、この規定に書いてなくとも、補助をしておるわけでありますし、またそれが今日まで続いておる姿でありますし、そこのところは別に積極的に変えなくても、新しい事態に対処しまして処理していくというほうがよくはないかと私は感じております。  それから補助率の問題につきましては、これは基準額の三分の一以内を補助するということでございます。これは一つ基準額をどう見るか。施設法におきましては四十三年に基準額を改定しておりますが、この基準額の問題につきましては、私はたとえば防火水槽等はかなり低いと思っておりますので、これは予算折衝の段階で毎年やっておるのでございますが、個数をふやすということに予算を回して、基準額の改定まではなかなかいかぬという実情でありますが、そういうものについての基準額の改定、あるいは化学車とか相当高価なものについての補助につきましては、基準額の改定と補助率の問題があります。私はどちらかというと、両方同時に満足すれば一番いい姿でありますが、やはり現在の段階では基準額を実情に近づけるというほうが先ではなかろうかという感じがいたしておりまして、そういう意味でこの促進法の関係につきまして、予算の折衝の際にさらにそういう考え方で努力してまいる考えでございます。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、このいまの消防施設法律は変えるべきだという理由として、あなたはやっぱり基準額をと言っておったね。確かに基準額は一つの管理価格をなしているのですね。おととしあたりこれを独占的につくっておる三つの会社が協定価格をつくってしまって、そうしてしゃにむに基準に合わせてやる、こういうことが問題になりましたね。そんなにならないはずなのに、一社がこれにすると右へならえで価格をやってしまったという問題がおととしあたり起こったことは御承知のとおりです。あなたは基準額と言いますけれども、建設省の住宅の基準額とか文部省の学校の基準額と比べれば、消防施設基準額はまあいいほうだ。大体買える値段の九割から九割五分くらい見ているのです。建設省の住宅とか文部省のやつは超過負担が起こるようにやっているのですから、これはけしからぬわけです。直さなければなりませんけれども、まあいいほうです。それよりももっと充実しなければならぬ、こういうことが一つ。  もう一つは、せんだってこの委員会の議員立法でできました過疎地帯における消防施設に対する補助の特例もあるわけです。三分の一が三分の二になっている。二分の一をこえて三分の二になっているわけです。今日大きな問題は、さっき言ったように、科学消防力は二・五倍基準を上回っているけれども、過密地帯といわれる東京なり神奈川なり千葉県のほうは基準を充足しておらないという事態があるわけですから、そうしますと、過疎地帯に対して補助率の特例を適用しておるのならば、過密地帯に対してやはり補助の特例を考えなければならぬ事態に来ているのではないか。そういう点で、この法律基準を変えると同時に改めるべきではないか。基準はすでに十年前、それも容易に達成されない、しかも実情に合わないということでありますから、そういうものを含めて改正すべきだろうと私は思うのです。もう一度簡単に……。
  70. 降矢敬義

    降矢政府委員 基準のほうの改定はお説のとおりでございます。  それから補助率の改定の問題は、過疎地帯の場合にはいろいろな事情からああいう三分の二の補助率になっております。私どもできればそれは先生のお考えどおりが望ましいと思いますが、反面、長年の予算折衝で、今般もやりましたけれども、補助率の問題につきましてはなかなかうまくいきません。努力が足りないわけでございますけれども、反面、やはりどうしても基準額を実情に近づける。御指摘にありましたように、若干まだ足りないものもありますし、それから大きいものになりますとかなり足りないものもございますので、私はそのほうにこれを優先的に充てるように考えるべきではないかという気持ちは持っておりますが、御指摘のような点も十分踏まえまして今後検討させていただきたいと思います。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 これは学校施設についても補助の特例がつくられておる段階なんです。過疎地についてはそうだし、過密についても学校施設等についての補助の特例が出る段階なんですから、人命、特に最近の火災の特徴は、家が焼けるだけではないのです。必ず人が死んでいるわけです。そこには今日の火災事故の特徴がきわめて明瞭に出てきていると思うのですから、ひとつその辺をバランスをとって御検討をいただきたい、こう思っております。  そこで、次にお伺いしたいのでありますけれども、この間の呉の山火事、あるいは最近たいへん議論されております、もはやここ一両年しますと危険区域に入るという関東大震災、六十九年、これはプラスマイナス十三年とかいうわけですね。これはたいへん大きな問題です。この間ロサンゼルスのあの地震等の問題もあって精密調査をされた、地方選挙でもこの問題が争点になった、こういう重大な問題があるわけですね。そこで私は、今日の消防体制というものについて、呉ではきわめてちゃちなヘリコプターを使ったようでありますけれども、今日の大規模なビル火災とか、あるいは山林火災とか、あるいは必ず何年か後に起こるであろう関東南部の大地震等に対応するためには、私は現在の消防組織では対応できないのではないか、こう思っております。かつて新潟地震等が起こりました際も、三次防の中で、当時の松野防衛庁長官が二個中隊程度の化学消防隊をつくるのだということを言われまして、この委員会でもたいへん議論になったわけです。その後、今度四次防にエスカレーションしておりますけれども、さたやみになっておりますが、その科学消防力という問題を越えて、今日たとえば海上の防災問題、火災問題、特にタンカーの問題あるいはコンビナートに対する対策、あるいは最近起こりました呉の火災あるいは岩手県の山林大火災等を考えますと、空中消火ということを相当重点的に考えなければならぬのではないか。そういうことになりますと、私は、消防というのは市町村主体でやる原則はくずすべきではないと思っておりますけれども、財政力のきわめて小さな市町村では、とてもじゃないが対応できないのではないかと思うのですよ。でありますから、例外的なことで、救急業務等広範囲にわたる問題については、広域的な処理を必要とするものについては、場合によっては県知事が市町村と相談の上で救急業務をやることができるという規定すらこの消防法の中に織り込んだわけですね。そういうことでありますから、今日の体制に即応できるような何らかの消防体制というのをつくる必要があるのではないかと私は思うのですけれども、いかがですか。
  72. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘のように、大きな山火事あるいはコンビナート、港湾内のタンカー火災、あるいはもう少し大きくなりますと大地震というようなことになりました場合に、現在の市町村消防のみでそれに対応し得るかどうかということになりますと、少なくとも小さい市町村におきましてはかなりの無理がございます。したがいまして、御提案のようなお考えも当然生まれるわけでございますが、御指摘のように、市町村消防というのは日常活動が中心でありまして、これをやはり基本に置きまして、その力をよりよく発揮するために外部からどういう応援体制をとるかというサイドから、いまのような御提案について私も研究を進めさせております。たとえば空中消火というような問題一つをとりましても、それは航空機の機動力、広範な活動範囲というものを考えれば、やはり一市町村のものではあまり意味がありませんので、したがって、そういうものについてはもっと大きな段階でどう保有したらいいのかというような問題がありますし、またそれだけではありませんで、それに対しますたとえば消火薬剤の備蓄というようなことは、コンビナート火災対策につきましては、本年度予算で県に防災資機材センターを設置するような補助金を考えましたが、同様のことを全般的にもう少し考えていい時代が来ているのではないか、そうすることがむしろ市町村のほんとうの意味の消防力というものをもっと大きく発揮できるものではなかろうかという考え方は私も持っております。ただ現在の消防法のたてまえを基本に置いてくずすことなく、消防の力をよりよく発揮する角度からどういうふうな手だてを考えたらいいのかということについては、よく検討いたしまして、そういう角度でいまのような御提案に対処いたしたいと私は思っております。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 大体山火事など起こると、呉の場合もそうですし、岩手の場合もそうだけれども、消防力で消したんじゃないでしょうが。雨が降って消してくれたのでしょう、自然の力で。これではどうもたよりにならぬです。この間の報告にもちゃんと書いてあるでしょう、雨が降ったから雨で消した。これではよろしくないので、やはり空中消火ということになりますと、たとえばヘリコプターであれば一時間あれば相当の距離を行けるわけですよ。ですから、それこそ広域的にたいへんなもの、しかもそれは確率としては予想されるわけなんですから、ブロック単位ぐらいで消防センター的なものを持つことが必要ではないかと、こう私は思うのですよ。しかしまああまりにも問題が大き過ぎるし、現在法律のたてまえをくずすなんということは私は考えておらないわけですから、これに何らかの補完をしなければ時代に対応できないということから私は申し上げておるわけで、広域行政なんというのは広域市町村だけつくるなんということじゃ済まぬわけですよ、今日。ですからその辺のことについて十分に検討をしていただかなければ、自然の力を待つなんということでは、これはどうにもならない。しかも山火事であったから十八人の犠牲者で済みましたけれども、関東大震災等の問題が起こってきた場合には、とてもじゃないが六十万ぐらいの人間が死ぬんじゃないかということが専門家で予想されておるわけですから、私は今日この段階において十分に構想を練って、そしてこれに対処していかなければならぬのではないか、こう思うのです。まあこの問題については、あなたでは問題が大き過ぎるかもしらぬが、必要あればまた自治大臣等にも質問したいと思うのでありますけれども、十分にひとつ御検討をいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  その次にお尋ねいたしたいのでありますけれども、消防法施行規則、これは消防法の十七条の五ですかを受けての消防設備士でありますが、消防設備士の権限というのは一体何ですか。何と何をやれるのですか。規則の三十三条の二に、第一類、第二類、第三類、第四類、第五類と、甲種消防設備士というのは五種類に分けられておる。乙種消防設備士というのは七種類に分けられておるわけですね。私はこの法律ができるとき、このように細分することはよろしくないんじゃないかと——私がお尋ねしたいことは、今日ビル火災、そういう問題において先ほど指摘した、あと質問したいのですけれども、どうも建築基準法と消防法との間に非常に大きなギャップがある、割れ目があると私は思うものですから、この消防設備士の問題が取り入れられる際に、東京都あたりではビルディングの設計にまで消防設備士というものの参画があったわけですけれども、この法律をつくる段階で、ビルディングの設計については、いわゆるビルを建てていくその際に、このビルに対してはどの程度の消防設備が要るのか、そういうことについては消防の専門家がタッチしなければならぬのじゃないか、こういうことでありますけれども、その設計にはタッチできない。その設計できたものを設計どおりできておるかどうかを工事の監督をするだけ、こういう形になっておるわけですね。これで一体よろしいかどうかと、こう思うのですよ。そこで私はお尋ねしたいのは、このように甲種消防設備士というのを五種類、それから乙種を七種類にも分けたことはよろしくないんじゃないか。東京都の先行的な条例を逆に法律が後退さしたわけですよ。今日、公害問題でも先行しておる地方自治体については、地域の状況に応じてプラスアルファの基準を設けることを認めておるわけですね。そういう時代に地方団体が先行して、いい条例をつくったのを後退さしたという責任は、やはり今日明確に出てきているのじゃないかと思うのですよ。この点についてどうお考えになっているか。  それともう一つは、一体消防設備士の免状を取る人は一つごとに取るわけですから、あなたのほうには入らぬかもしれないけれども手数料がよけい入ってけっこうですけれども、一人前じゃないわけですね。たとえば屋内の消火栓設備、スプリンクラー、噴射器あるいは屋外の消火栓、それから今度は泡末消火器とか不燃性ガスとかいろいろ分かれちゃうわけです。五人そろっておらなければいけないわけですね。一人でこの五種類の消防設備士を取っておるのか、一体消防設備士の免状を与えた状況はどうなっておるのか、大ざっぱなことをお答えいただきたいと思います。
  74. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答えいたします。  消防設備士のいまの御質問の中で非常に種類が多いというお話がございました。これは消防設備がその設備ごとに非常に特殊なものでございます。それぞれに応じました専門的な知識を必要といたします関係で、全部を一括して受けていただく場合には、非常にけっこうではございますが非常に通りにくくなるという関係もございまして、それぞれの専門をおやりいただく、専門だけをおやりいただく方の便宜という観点から分けております。したがいまして、先生御指摘のようにいろいろなビルで大きないろいろな工事をやろう、あるいは工事の監督をやろうという場合には、幾つもの類の設備士の免状を取得いたしておりますが、現在のところ合わせて持っているのがどの程度かあるいはまたそれぞれの設備士の免状を持っている者がどれくらいあるか、まことに申しわけございませんが手元に資料を持っておりませんので……。申しわけございません。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 それではひとつ現状において甲種設備士の五種類持っているのがどのくらい、四種類持っているのがどのくらい、一種類しか持たぬ人はどのくらいか、乙種についても、その一覧表をお教えいただきたい。  建設省お尋ねいたしますが、建築士で消防設備士の免状を取っておる人がいらっしゃるかどうか。
  76. 前川喜寛

    ○前川説明員 これは資料を持っておりませんので、よく存じておりません。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 資料を持っておらぬにしても、一級建築士なり二級建築士で消防設備士の免状を取っておる人がおるかおらないか、これを聞いておるわけです。たぶんおらぬじゃないかと私は思っているのですがね。
  78. 前川喜寛

    ○前川説明員 これは各種の資格がいろいろございまして、建築士以外にも他の法令のいろいろな電気の資格者とかいろいろなものがございまして、ゼロということはないかと思いますが、御指摘のように非常に少ないんじゃないかと思います。消防設備士の関係は少ないんじゃないかと思います。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 おそらく私は少ないんじゃないかと思うよりも、ほとんどゼロじゃないか。というのは、建築基準法だけでやっていけるわけだから、割れ目があるわけなんだから、そう私は思っておるのですよ。  一体、消防設備士になるのはそういうことですが、あとで出てきますが、建築士で、危険物取扱主任の免状を持っている人はおりますか。
  80. 前川喜寛

    ○前川説明員 先ほども申し上げたように、そういった他の法令の資格関係はわれわれのほうでは調査しておりませんので、まことに申しわけございませんが、ちょっとお答えしかねます。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 しかし、危険物とか、これは大切なんですよ。消防法ではどういうことを書いてあるかというと、私も驚いちゃっているわけだけれども、「甲種危険物取扱主任者試験の試験科目は、次のとおりとする。」と書いてあって、「基礎物理学及び基礎化学」では、「危険物の取扱作業に関する保安に必要な高度の基礎物理学」「危険物の取扱作業に関する保安に必要な高度の基礎化学」「燃焼及び消火に関する高度の基礎理論」、これはもう大学教授みたいなんだね。資格はどうかといいますと大体高等学校を出た程度。大体これはいいかげんな——高度とか基礎とかなんとかということについてどういうことを考えているのか私はわからぬが、どだい試験する試験官がこんな高度の基礎理論なんというのはあまり持たないのじゃないかと私は思っているのです。現にこういうものがあるのですよ。ところが、建築基準法のほうではそういう規定はたくさんあるけれども、どうも取っておらぬらしい。消防設備士も取っておらぬ、危険物取扱主任者の免許も取っておらぬ、そうしておそらく電気技術者のものも取っておらぬ。しかも、一切の設計というものは建築士のところでなされるわけですよ。これでよろしいとお思いなのか。消防庁としては、消防施設、危険物の面から、御安心だとお思いなのか、それをお尋ねしたい。
  82. 前川喜寛

    ○前川説明員 建築士法では、一定の建物の設計とかいったものにつきましては、建築士の資格がなければいけない、こういうふうになっております。ただ、これにつきましても、基本的には建物はどうしても総合的に見なくてはいけないということで、たとえば電気配管にしましても、耐震壁とか防火規格がかってに破られては困るとか、いろいろなことがありますので、基本的には、総括的に建築士がチェックをしてそれを取りまとめるという責任を負わせてあるわけであります。したがいまして、この細部のいろいろな設計につきましては、建築士でなくてはいけないというふうな非常にシビアな扱いはしていないわけでございます。ただ、いま御指摘のように、建築士法ができましたのがかれこれ二十年前ぐらいになっております。最近の状況とは非常に違っております。いろいろな形でそういったものにどういう資格者をどうつけるかというふうな議論はまた別の議論になるかと思いますが……。
  83. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先ほど御質問の危険物の関係につきましては、これは危険物を取り扱う場合の資格者でございまして、必ずしも危険物の施設設置につきまして、あるいは設計、改修工事等についてのことを要求はいたしておりません関係で、そこまでは必ずしも試験の内容には全部は含んでおりません。しかしながら、現実問題として、危険物施設は安全につくられなければなりません。これは一応法令がございますので、この法令に適合しているかどうかを許可の際に見ておりますので、建築関係の方がこれらの法令あるいは危険物の取り扱いについて十分御承知いただくことは私ども非常に望ましいことと存じてはおりますが、現段階の法令では、建築側にそういう資格までは実のところ要求いたしておりません。  また、消防設備士の関係につきましては、先生いま当初御指摘になりましたごとく、工事の施行と維持管理の面だけになっておりまして、これは今後いろいろ考慮すべき点はあろうかと思いますが、現状がさようになっているわけでございます。
  84. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がないから大ざっぱに聞きますが、予防課長は技術屋だから検討されたのじゃないかと思うのですけれども、たとえば建築基準法に基づく内装等に関する——これは最近の煙等の問題がありますね。そういう問題についての建築基準法が要求しておる基準、それから危険物に対する基準消防設備等に対する基準、きわめて詳細にこの建築基準法にも書いてあるのですよ。消防法にもあるのですよ。たとえば危険物に対する消防法の別表と建築基準法の別表の数字を見ると、けたが違っているのですよ。私も詳しく比較検討してみたいと思っているのだけれども、けたが違っているのですよ。たとえばアルコール類を建築基準法では幾らかというと、あなたのほうよりも建築基準法のほうが一けた多いのです。こんなことになっちゃうと、一体危険物取り扱いもどうにもならぬじゃないか。あるいはスプリンクラー、これはこの間の千葉の問題、今後のビルディング火災問題等を考えてみると、スプリンクラーは一体建築基準法と消防庁が要求しておる設備基準等との間に違いがあるかないか、あるならあると言ってくださいよ。どうなんですか。
  85. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生御指摘の危険物の数量に関しましては、建築基準法のほうでは、主といたしまして住宅地域だとか工業地域だとか、用途地域の指定がございます。この地域の中に建ててはならない建築物、これの数量を基準にして考えております関係で、御指摘のごとく一けた上の十倍をとっております。基本的な考え方といたしましては、現在、多少の調整不十分な点はございますが、数値の上ではそういう関係で十倍になっているので、もとの基準は一応合わせてございます。  それからスプリンクラーの基準につきましては、これは大体国際的な規格がございまして、その規格に準拠いたしておりますので、建設省側の考え方消防側の考え方では、設置いたしますスプリンクラーそのものの基準の数値につきましては相違いたしておらないと考えております。
  86. 細谷治嘉

    細谷委員 大体、この基準法を読むと、危険物についても消防設備等についてもすうっと書いて、そうしてその条文のあとのほうに、必要なときには消防庁長官と協議すると書いてあるんだよ。姿勢はそうなんですよ。最初から協議してないじゃないですか。やはり消防については建築屋さんよりもあなたのほうが詳しいのでしょう。どうなんですか、どっちが詳しいですか。建築屋のほうが詳しいのですか。お答えくださいよ。
  87. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防に関しましては消防のほうが詳しいと考えております。
  88. 細谷治嘉

    細谷委員 建設省はどうお思いですか。
  89. 前川喜寛

    ○前川説明員 全く御趣旨のとおりでございます。
  90. 細谷治嘉

    細谷委員 ところが、縦割り行政の弊害というか、独走しているのですよ。そうして始末に負えぬ場合に消防庁長官と協議する。消防庁もいいかげんなめられているのですよ。もちはもち屋だというのですけれども、予算にしても何にしても、いいかげんなめられている。それであなたのほうには消防研究所というのがあるでしょう。建設省には建築研究所がありますよ。しかし、もちはもち屋なんですから、消防の問題については、何といったってあなたのほうが権威を持っておらなければいかぬはずですよ。あなたもそう言っているでしょう。ところが、現実には必ずしもそう行っていない。私は具体的に一々品名をあげて申し上げたいくらいですけれども、地域指定をしておるから、危険物のあなたのほうよりも、これは二百リットルと書いてあるけれども、向こうのほうは二千リットルと書いてあって、十のオーダーでいいのだ、その十のオーダーを十倍のオーダーにしたということだって、何か技術的なものがなければ消防庁としてはオーケーを与えるべきでないのですよ。それが今日やはり大きな問題になっているわけですから、その辺でやはり政府は縦割りでそれぞれの研究所を持って検討しておりますけれども、その研究の成果というものは基準法に生かしていただかなければならぬ、危険物の取り扱いについても生かしていただかなければいかぬ、消防法の別表についての取り扱いについても生かしていただかなければいかぬ。それは具体的に数量の規定の中であらわしてきておらねばならぬと思うのでありますけれども、言ってみますと、どうもそれに大きな亀裂がある、こういう感じがいたすわけです。  そこで具体的に聞きますけれども、大きなビルディング等の設計にあたっては、かつて東京都の条例にあったように、消防設備については、あるいは危険物の取り扱い等については、甲種消防設備士を五人かそろえてこなければ一人の一級建築士が相手にならぬというところに問題がある。あなたのほうは手数料ばかりよけい取ろうとしたから小さく割ったのですよ。専門であっても泡沫消化器と一般の避難階段、いろんな貯水槽とか何かについては、高度の理論はすぐできるのですよ。ですから縦割りに五つとか七つにしたところに問題があるのであって、これがそもそも建設省になめられている理由だ。おれのほうは一級建築士一人で、甲種消防設備士が五人そろってこなければ相手にならぬというのでは話にならぬと思うのです。その辺で、消防設備士の問題にしても、スプリンクラーの問題にいたしましても、あるいは危険物等の問題にいたしましても、やはりもちはもち屋ということで、法律ができたならば、建設省法律じゃない、消防庁法律じゃない、国の法律ですから、そこに技術的なギャップがないように、そうして今日の体制に即応できるようなものにしていただかなければならぬと私は思うのですよ。消防庁長官、どうなんです。
  91. 降矢敬義

    降矢政府委員 確かにいまの建築基準法のたてまえは、先ほど建設省のお答えがあったようでございますが、具体の問題になりますと、その専門家を参加させて設計をしなければおそらく不可能だろうと私は思います。そこで、そういうようなことになりますと、最後に申されましたように、総合的に全体を考えるということが必要になりますので、そういうことで当然建設省ともお話を続けてまいる考えでございます。
  92. 細谷治嘉

    細谷委員 まあいろいろありますけれども、時間がありませんからこれでやめますが、別表を変えましたね。内容は変わっていませんよ。並べ方を変えただけじゃありませんか。これで今日の体制に対応できるかどうか。予防課長、どうですか。
  93. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防審議会に諮問いたしましていただきました答申は、もっと全般的に見直しをすることになっております。しかしながら、非常に大きな作業を必要といたします関係で、今回はそれを含んでおりませんが、ただ今回の別表改正の主たる目的と申しますか、ねらいと申しますか、そういうものは、まず一つはアルキルアルミニウムの問題がございます。アルキルアルミニウムは現在液体のものと固体のものとがございますが、液体のものは一応第一石油類の範疇には入るわけでございますけれども、固体のものは入らないので、同様な性状でございます関係で、これを危険物の範疇で扱うべく、常温すなわち二十度で液状のものだけを、現在危険物、第四類の可燃性の液体として規定いたしておりましたものを、摂氏四十度までに液体となる可燃性のもの、これを危険物として含めるための一つの改定の理由及び内容が第一点でございます。  それからもう一つの問題は、いわゆる石油類以外のもので非常に危険なものがございます。しかしながら、これの数量が、石油類の範疇でございますと、百リットルからでなければいろいろな規制がかかってまいりませんので、もっとあぶないエーテルだとかというようなものが五十リットルからひっかかることになっておりますので、同様の性状のものをすべて、もっと危険なものとして一括するということが第二の問題でございます。  それから第三の問題は、先生御指摘の品名の変更ということには相なるかと思いますが、潤滑油類のような非常に引火点の高いものが重油等と同様な規制になっておりますし、またあわせて、一方動植物油類が、規制の数量が重油等よりも大きくなっております。これらとの均衡の問題、あるいは不必要な規制等のバランスの考え方から、一つは第四石油類というのを、字句の整理的なものではございますが、設けたわけでございまして、最初に申し上げました液状の範疇に多少、四十度Cまでで液状になるもの、これを含めたのが今回は一番大きな問題でございまして、なおこれ以外に改正を要する部分は多々残っていると考えておりますが、なおこれにつきましては引き続き検討を加えた上でお願いいたしたいと考えております。
  94. 細谷治嘉

    細谷委員 ひとつこれは検討をしていただきたい、こう思います。  それからもう一つお願いしたい点は、建築基準法では、最近の火災事故で煙の発生するいわゆる新建材については規制しておりますよ。規制しておりますけれども、今日の火災事故の六割ぐらいというのはみんな煙で死んでいるのですよ、窒息死で。中には毒ガスが出るものもある。主として一酸化炭素ですね。青酸ガスも出るでしょうけれども。そういう点で、新建材については消防法からはほとんどチェックしていないのですよ。ちょっと条文にある程度で、これは技術的なあれは一つもありません。基準法のほうに一切たよらなければならぬ。この辺のところも消防庁は、今日の火災の特徴、それは焼死者が多いことだ、その焼死者の過半数というのはやはり煙に巻かれて窒息死なんだ、こういう観点から、この新建材についても消防法上のたてまえからチェックして、悲惨な事故が起こらないように基準法も改正するように、いま煙の量とかあるいは燃え方とか、こういうことを基準としてきめているようでありますけれども、これについてもっときちんとしたものさしでこれをチェックしていく、そして安全なものだけを認定する、こういうことが私は必要じゃないかと思うのですよ。新建材は燃えにくい。燃えにくいところにあぶないものがあるわけなんですから。燃えにくいということは煙がやはり出るということなんですから、そこに問題があるわけですから、ひとつ十分に検討をしていただきたい。これが一つ。  もう一つは、私はこの間銀座の四丁目の三越へ行ったのですよ。あれは地下六階あるわけですね。基準法ではこれについて一定の規定がありますけれども、たとえば一階で事故が起こったら地下二階、三階、四階、五階、六階におる人は逃げられないわけですよ。この辺についての何らかの避難の対策等もやはり講じなければならぬのじゃないか。この辺がビル火災一つの重要な問題点だろうと思うのです。この辺をひとつ検討していただきたい。  いろいろありますけれども、これだけ要望して、きょうは質問を終わっておきます。
  95. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  96. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ただいまも細谷先生のほうから質問がございましたとおり、新建材の問題で私、ちょっと質問したいと思います。  去年だと思いました、北海道のある美容院で十数名女性の方がなくなった事故がございましたけれども、そのことについて、簡単でよろしいですが、経過それから死亡の原因等、説明をお願いしたいと思います。
  97. 永瀬章

    ○永瀬説明員 北海道の美唄市で起きました火災でございますが、これは経営者の方が美容師の方を自分の住居の二階に寄宿させておられた場所でございまして、そこの一階の部屋から火災が起こったのでありますが、二階に寝ていた十一名の方が気がつきまして、避難をする際に、階段を利用して避難しようとされたようでございます。で、その方たちが煙に巻かれてなくなられて、ただ一人の人だけが窓を破って逃げて助かられたという火災でございまして、煙によってなくなられた典型的な火災となっております。
  98. 和田一郎

    ○和田(一)委員 煙による死亡の典型的な火災である、こうなっておるわけでございますけれども、あの当時の新聞報道をよく見ますと、なくなった方は十名ですか、その方々は、寒中ですから、そのときに一切の装備をつけまして——装備といっても着物を着て、またストッキングまではいて、ある人はハンドバックまで持って死んでおったということが出ておりましたけれども、これはどうなんですか。   〔委員長退席古屋委員長代理着席〕
  99. 永瀬章

    ○永瀬説明員 私どもへの報告の中で、オーバーを着、ハンドバックを持っていた方もあるように来ております。
  100. 和田一郎

    ○和田(一)委員 結局は煙といいましても、写真等を見ますと、普通の二階建ての、こんなところで死亡事故が出るのかと思うようなそういう事故でございまして、一説によりますと、新建材の煙である、こうなっておりますが、新建材を使わない昔のつくりの場合、昔といいましてもモルタルづくりの場合もあればまたはめ板の場合もありますけれども、いわゆる新建材でない場合と今回の場合とでは、消防庁としてはどういうふうに見ておりますか。その点について。
  101. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この美唄の建物はそう新しい建物でないようでございまして、新建材がどれだけ使われていたかは調査はできてはおりませんが、あまり使われていなかったのではないかと思います。ただ一階に婦人の下着類を売るお店がございましたので、これもある程度焼けております関係で、そういうようなものの煙もまざったのであろうと思います。また一般の火災におきましても、木材あるいは家具等から出ます煙も、かなり一酸化炭素等含んでおります。美唄の場合にもそれらの一酸化炭素等が影響してなくなられたのではないか、かように考えております。
  102. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまのところは新建材を使われておったかどうか調べてないとおっしゃったですね。調べてないのだけれども少ないのじゃないか、そういうことはどういうことでおっしゃったのですか。
  103. 永瀬章

    ○永瀬説明員 あまり新しい建物でございませんので、新建材が非常に出回る以前の建物があるということから申し上げたわけでございます。
  104. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そこの家は最近改造等されたという話はございませんか。そこまで見られたのですか。
  105. 永瀬章

    ○永瀬説明員 そこまでにつきまして、こまかいところは聞いておりませんけれども、あまりそう改造等がなされたということの積極的な報告は来ておりません。
  106. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いずれにしても、たとえばそこの家庭の出入りの大工さんであるとか出入りの商人の方々にお聞きになったかどうか。はっきりいって、そういう点はないわけなんですね。あの当時の新聞報道では新建材だとはっきり書いてあるわけです。しかもまた美唄の火事以外に、やはり新建材という問題で相当騒がれておりますね。その点、どうなんですか。いまのおことばでは新建材でもたいしたことないというようにおっしゃっているように私に聞こえるのですけれども、その点どうですか。
  107. 永瀬章

    ○永瀬説明員 非常にお答えが不十分でございまして申しわけございませんが、当然新建材の場合は非常に燃えやすいものあるいは煙を出しやすいものでございますので、これらが使われていて火災になった場合は、一般の木材とかいままでありましたような建材だけが使われている場合よりは、煙による影響は大きいと思います。
  108. 和田一郎

    ○和田(一)委員 最近の火事は、いわゆる煙死者といいますか煙でなくなられる方が多いということは、もう報告にも出ておりますけれども、ただいまも細谷委員から質問のあったとおり、あまりにも法的には規制されてないのが現実ですね。いわゆる野放しというようなものであります。その点についてどういうように対策をとられるお考えですか。ひとつ長官のほうから……。
  109. 降矢敬義

    降矢政府委員 新建材の規制の問題につきましては、消防研究所と建築研究所あるいは通産省の研究所と一緒になりまして、一つは不燃の問題、燃えないという問題と同時に煙の発生量というものを建材の認定基準にしまして、御案内のとおり不燃あるいは難燃あるいに準不燃というような区分をいたしまして、そして同時に本年の建築基準法の改正によりまして、内装制限におきまして、普通の住居等におきましても炊事場等についてはやはり燃えないものを使うという意味での内装制限をするという規定も置いたわけでございます。したがいまして、現在の段階で、そういう新建材を用うべき場所、用いてならない場所というものを建築基準法で規制をいたしまして、その面からの火災における災害の防止をはかっているわけでございますが、さらに今後わが研究所を中心にいたしまして、そういう煙の量のもっと少ないものあるいはガスの少ないもの、こういうものの認定基準を確立いたしまして、建築研究所とともに一そうこの新建材の規制を徹底していくということが一つでございます。  それからもう一つは、きのうも御質問がございましたように、一般に新建材というものにつきましてもう少し知ってもらわなければならぬということで、先般来建設省と相携えまして、どういう表示を新建材にしているのかということにつきましてPRを行なっておるところでございます。
  110. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまのお答えにもありましたように、やはり新建材に対する啓蒙といいますか、こういうものを使うべきである、使ってはあぶないというふうな、一般の方々に対する認識を深めることが一番大事だと私は思うのですよ。こういうところに使ってはいけないとか、こういうところはなるべく使わないようにしたほうがいいというような、いわゆる建築基準法的な考え方は、ちまたへ行きますとほとんど守られていないのが現状じゃないかと思うのです。さらにまた新建材というのは見た目には非常に美しい。しかしまた大工さんとしましても、非常に簡単にできるということ、ますますこの新建材等を使う建築がふえてくると思います。おそらくそればかりになるのじゃないかというふうな、そういう趨勢だと思うのですね。ここでひとつ、たとえばあれはいろいろな名前がついているわけですよ。壁に使うやつは〇〇〇というような一つの固有名詞になって販売をされているわけですね。ですから、こういう製品はこうだというふうな、そこまでひとつ消防庁としては調査して発表できませんか。市民の方方に、こういう新建材は非常に危険だ、こういうふうな使用者に対する啓蒙がなされなければ、今後ますますこういう煙死というものがなくなってこないのじゃないか。そういう点で私は、公表と言っちゃずいぶんメーカーに対して犯罪者扱いにするようなかっこうになるかもしれませんが、しかし、こういう製品はこういうように危険だ、この製品はまあまあだいじょうぶだというふうな、そういったものを新聞紙上でも発表すればいいのです。そうすれば、もっとそういう問題が少なくなるのではないかと思うのですけれども、その点についてはどうでしょう。
  111. 降矢敬義

    降矢政府委員 新建材の問題は結局内装に使う場合に制限するという問題と関連してくるわけでございます。したがいまして、建材につきましても、不燃、こういうものは燃えない、たとえば石綿のスレートとかあるいは石こうのパーライトとか、こういうもの、その次は準不燃材料として、石こうボードあるいは木目のセメント板、こういうもの、それから難燃材料、木質のものもございますし、そうでないものもございます。そういうものにつきまして、一々表示をしておるわけでございまして、その表示がどういう表示になっておるのかということについてのPRを先般建設省とともにやり、また県にもお願いをいたしまして、県のほうにもそういうことでやっていただいたわけでございまして、具体の板につきましてそういう表示をしてありますので、その表示がどういう意味であるのかということを一般の方々に御理解していただくということでやったわけでございます。
  112. 和田一郎

    ○和田(一)委員 内装制限といいますけれども、内装制限といったって、壁はやっぱり壁のようなふうにつくっていかなければならない。必然と新建材がそこで使われるわけです。昔のようなしっくいなんかいまは全然使いませんから、柱にみぞを彫ってそこにはめ込めばいい新建材を使う。それを制限するといったって困るんじゃないですか。それを北側のところに窓をあけるわけにはいかないから、やはり使われるだけは使われてしまうのではないでしょうか。そういう点についての制限はどうされるわけですか。
  113. 前川喜寛

    ○前川説明員 これは、かえって建設省のほうの関係でございます。われわれもいまのような御指摘の点でできるだけ燃えにくいといいますか、煙を出さない材料というものを使っていただきたい。法的に強制します分は、特殊建築物とか、そういったものでございます。一般の家庭にもできるだけそういったものを使っていただきたい、こういうように思っております。  したがいまして、今度は表示の問題でございますが、建物につきましては、それなりに部屋の用途とかいろいろなことがありまして、できるだけわかりやすく、たとえばすみっこにでも小さなマークを打つとか、あるいは刻印をするとか、これからいろいろ検討していきたい。そうしてできるだけ消費者なり、持っていますと、検査する側でもすぐわかるというふうなこと、こういうような点をいろいろ考えていきたい、こういうふうに考えております。  ただいずれにしましても、やはり法律で強制する分というものと、それから一般のそれ以外の建物でもやはりいろいろな性能がそれぞれのものに要求されますので、とりあえず要求する分はいまのある範囲ということにしましたけれども、あとはできるだけいまのようなかっこうで指導徹底をはかっていきたい、こういうように考えております。ただ基本的には、御存じだと思いますが、今回の建築基準法の改正につきましても、従来にないくらいに非常に大幅に内装制限の適用範囲を広めているわけでございます。今後逐次この状況を見ながらさらに適用範囲を拡大していきたい、こういうふうに考えております。
  114. 和田一郎

    ○和田(一)委員 建設省の方、ちょうどいらっしゃって答弁してくださいましたので、もう一つお聞きしたいと思うのですが、新建材、これは確かに見た目には美しいし、それから工作についても非常に楽だ。普及されておりますけれども、建物というものは、これはいわゆる難燃性というものを強調するのじゃなくて、これからは不燃化というものに持っていかなければならないのじゃないかと私は思うのですよ。で、昔は壁だったのです。壁は、あれは難燃どころか不燃ですよ、左官屋さんがやる場合には……。ところが、逆に現在では燃えるようなのがどんどんできているわけです。ですから、いわゆるマッチ箱のような中に住んでいるということになる。これがどんどん発達してまいりますと、外側から幾らモルタルでふさいだとしても、中から燃えやすくなっている。ですから、昔から考えればずっとこれは燃えやすい家屋になってくるわけです。  それから話がまた変わりますけれども、農業問題ですね、前に殺虫剤で一番最初にDDTが使われた。それが今度は虫が強くなってきかなくなっちゃって、BHCに切りかえた。BHCだって虫が強くなって死ななくなったために、ドリン系のものになってきた。エスカレートしているわけですね。それも全部、何といいますか、農林省の登録済みで、全部農林省が検査をしてやっているのですよ。それと同じように、建設省のほうでちゃんと法律的にきめたものが、これからどんどん日本の国が火災を起こすような状態になっていく。いま、農薬をごらんなさいよ。おかあさんのおっぱいから出るのです。いまの赤ちゃんに一体何を飲ましたらいいのか、そこまでなってきて、そうしてやめろと言ったって、これは間に合わない。私は新建材は絶対燃えないようにつくればいいと思うのです。何で難燃性にするのですか。ですから、そういうものを使う人はまさか自分のところは火災になるということは気がつかない。これはもうおそらく建設省のほうでやっているのだろうと、マークがついているのだから、安心して買う。しかし火災になったらとんでもないことになってしまう。ですから、こういうものは非常に燃えやすいとか、燃えた場合にはこれは煙が出るとかという、そういったことを私は発表したほうがいいのじゃないかと思うのです。建設省のお考えはどうですか。
  115. 前川喜寛

    ○前川説明員 御指摘の点は確かにあると思います。実は普通の建物は従来は壁で塗っているというのが普通の工法でございます。いわば、柱は別としましても、ある意味での不燃的な建築でございます。これがやはり人手が足りないとか、あるいはいろいろ大工さんの技術が非常に低下しているとかいろいろなこと、さらに言いますと、工法をできるだけ省力化したいというふうなことから、だんだん乾式工法といいますか、具体的な名前をあげるとちょっと恐縮でございますけれども、たとえば合板のような材料が非常に普及します。それで、ある意味で煙を非常に出すような材料になってきているという傾向がございます。こういった点は、確かにわれわれとしても省力化とか、これからもだんだん建築費が値上がりするとか、そういった意味ではできるだけ考えなくてはいけないのでございますが、やはり一方人の命はぜひ守りたいという方向で考えていきたいと思っております。したがいまして、実は新建材という中にも最近は、ここ五年程度のところでございますが、逆に煙を出さない非常にいい材料がどんどん開発されております。それが非常に急速度にいろいろな材料が出ております。たとえば従来石綿スレートのようなもの、工場でよく使われました灰色の材料だけだったこういうものが、プリントしたり、色をつけたり、いろいろなきれいな材料が出ております。こういったいい材料をどんどん開発していくというふうな方向で考えていきたい、こういうふうに思っております。  問題は、やはり従来ありましたようなもの、単に省力化だけで人の命に非常に影響を及ぼすもの、こういったものが実はそれ以外にもたくさんあるわけでございます。したがいまして、われわれは特に現在の段階における重点といたしましては、先ほど消防庁長官からお話が出ましたように、難燃材料とか準不燃材料、不燃材料、こういったものをマークをつけて売っております。ぜひこういったものを使っていただきたい。法的に指定しておるところはもちろんでございますが、それ以外のところでも、特に危険なところはぜひそれを使っていただきたい、こういうPRをしたいと思います。ただ先ほども申し上げましたように、建築の材料はその部分、部分でいろいろな性能が要求されております。たとえば防水性を要求しているとか、いろいろな性能が要求されております。これが問題なくて、ほかの性能も全部合致しているというものができましたら、これは一番いいのでございますが、現実にはなかなかそこまでいかない。そうしますと、われわれとしましても、特に命に危険のあるような、たとえば廊下とか階段とかあるいは台所とかいうふうな、一番肝心のところですね、こういったところはぜひそういうものを使っていただきたいというふうな考えでいまやっております。
  116. 和田一郎

    ○和田(一)委員 建設省のほうは相当がんばっていらっしゃるそうですけれども、じゃ消防庁どうですか。家屋の不燃化という問題ですね。先ほどからるる御答弁がございましたけれども、やはり公表というのはまずいですか、そちらのほうでは。これは建設省ではちょっと無理でしょうけれども、消防立場から、こういうものは使わぬほうがよろしいということ、それはどうでしょう。
  117. 永瀬章

    ○永瀬説明員 新建材の関係でございますが、建設省と十分相談いたしまして検討いたしたいと思います。
  118. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次に、先ほどもやはり話が出ておりましたけれども、危険物の品名の整理、それから数量の問題ですが、これは基本方針が消防審議会のほうで答申になった。これはいつ答申になったのですか。
  119. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防審議会からの答申をいただきましたのは、たしか昭和四十二年の十月と記憶いたしております。
  120. 和田一郎

    ○和田(一)委員 私の持っている資料の中には昭和四十二年十二月になっております。いまは昭和四十六年の五月であります。ですから、答申が出てからずいぶんおそいわけなんですけれども、これはどういうわけなんでしょう。
  121. 永瀬章

    ○永瀬説明員 実はこの答申の中は、危険物の現在の規制以外に、あぶないものとあぶなくないもの、あるいはその中間の、あぶないものに準ずるようなもの、こういうようなものをすべてひっくるめました分類を考えて、そして非常にあぶないものにつきましてはきつい規制をすべきであるという基本的な考え方が提示されております。自来それの趣旨に沿いましていろいろ検討いたしてまいりましたが、あぶないもの、非常にあぶないもの等の試験の方法、これをはっきりいたしませんと分類ができかねるのでございまして、この試験方法の確立等に非常に時間がかかっております。したがいまして、非常におくれているようでございますが、今回はそれの問題よりは、なお試験方法等をこまかくきめる作業が続いている関係上、当面の問題を取り上げたわけでございます。
  122. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、まだその研究の最中であるということですね。それが全部でき上がるのはいつごろなんですか。
  123. 永瀬章

    ○永瀬説明員 まだしばらくかかるかと存じます。
  124. 和田一郎

    ○和田(一)委員 しばらくとはどのくらい……。
  125. 永瀬章

    ○永瀬説明員 二、三年はかけませんと、実はでき上がらないと思います。と申しますのも、外国の研究の段階におきましてもまだ試験方法が確定されてないものがかなりたくさんございまして、それらがこの分類の中に入っておる関係上、時間がかかるかと思います。
  126. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その問題は次に小委員会等でゆっくりやることにして、時間がございませんから、急がせていただきます。  もう一つは、タンクローリーの問題で今度の改正が出ておりますけれども、そのタンクローリーが走っておる、それをいままでは警察官がとめて検査するのがありましたが、今度は消防吏員のほうもそれを検査できる、そうなっているのですね。その点についてひとつ説明してください。
  127. 永瀬章

    ○永瀬説明員 いわゆるタンクローリーの走行中の検査につきましては、警察官が道交法上その他の犯罪があると認めるときに停止させていたわけでございますが、消防側は、現実の問題といたしますと、点検をいたします場合、警察官と行動をともにして、とめてから調べていたわけでございます。これを消防側独自でやれるように、とめて調べることができるようにするために今度の規制を設けたわけであります。
  128. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その場合の消防吏員の服装はどうなるのですか。たとえば運転している運転台から、手をあげたのが警察官であるか、ガードマンであるか、消防吏員であるか、わからないということがあると思うのですが、そのときにはどういうふうにしてとめますか。
  129. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防の服装は法令できめられておりますので、この服を着た者が当然そういう検査に当たるはずでございます。
  130. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それはどういう服装ですか。
  131. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防の服装は、冬服は濃紺またはグレーのダブルの服でございます。
  132. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ですから、判別しがたい場合があるんじゃないかと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。同じような服装の者が一ぱいありますよ。
  133. 永瀬章

    ○永瀬説明員 これは記章だとか、あるいは警察官とは違って肩章のようなものがないとか、それから階級章が他の者とは違います。そのようなことで判別できると考えております。
  134. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もし制止に対して運転手が素通りをしてしまった場合はどうなりますか。
  135. 永瀬章

    ○永瀬説明員 これについては、罰則がなかったと考えております。
  136. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それじゃ質問を続けられませんので、罰則があるのかないのかはっきりしていただかないとだめなんで、委員長のほうから調べるようにあれしてください。
  137. 古屋亨

    古屋委員長代理 消防庁の方に申し上げますが、いまの罰則の有無の点につきまして、本会議終了後に委員会がありますので、それまでの時間を差し上げますので、ひとつはっきり検討をしてお答えを願います。——和田君、いいですね。
  138. 和田一郎

    ○和田(一)委員 じゃ、その問題は本会議が終わってから時間をいただいて聞くことにいたしまして、もう一つ聞きたいのですけれども、平ボデーの車が走っておる。タンクローリーだけが危険物の運搬車じゃないわけです。平ボデーにドラムかんを積んで走るとか、またはボンベを積んで走る場合があるのですが、その場合はどうなりますか。
  139. 永瀬章

    ○永瀬説明員 これは一般の運搬でございまして、非常にいろいろな種類のものをいろいろな量、いろいろな車が運搬しております。これにつきましては、その積んでいるものがどういうものであるかの確認と申しますか、認定と申しますか、そういうことが非常にしにくい関係もございまして、今回は停車をさせる権限の中には対象として入っておりません。
  140. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この法律案においては移動タンク貯蔵所という名前になっているでしょう。その移動タンク貯蔵所ということはタンクローリーというふうに解釈されているわけですけれども、タンクローリーだけが移送の監視の中に含まれて、平ボデーで運ぶ場合には監視がはずれている、こういうふうに見ていいんですか。
  141. 永瀬章

    ○永瀬説明員 そのようでございます。
  142. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それではタンクローリーだけですね。平ボデーで起きたところの事故はどうなりますか。どこに責任がありますか。
  143. 永瀬章

    ○永瀬説明員 事故に対しましては運送をする側の責任でございます。
  144. 和田一郎

    ○和田(一)委員 じゃ、そのことについては消防庁のほうでは責任はない、こういうわけですか。どうしてこれはタンクローリーだけに限定したのですか、移送の場合は。
  145. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生おっしゃいます普通の平ボデーで運搬いたしますときには、それぞれの危険物に応じまして容器及び容器の構造、容量、積み方、これを規定いたしておりまして、それに従って運搬していただく。それからさらに積み方等につきましても従来から規制がございますので、これに従っていただくことにいたしております。ただ移動タンク貯蔵所だけに限定いたしましたのは、移動タンク貯蔵所いわゆるタンクローリーは容量も非常に大きゅうございますし、また道路上を大きな重量のものが走る関係上、事故になりました際に大きな災害が、いわゆる容器で運ぶものに比べまして予想されますので、その点からタンクローリーの規制を強化したわけでございます。
  146. 和田一郎

    ○和田(一)委員 タンクローリーによる危険物の移送は、いわゆる危険物取扱者を乗車させなければならない、こうなるわけでしょう。そうすると、タンクローリーのほうが危険であって、平ボデーに積んだほうが危険でないという、そういう認識ですか。
  147. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この移動タンク貯蔵所は、いわゆるタンクローリーと申しますのは、貯蔵倉庫だとかあるいは屋外の危険物を貯蔵しますタンクと同様に構造の規制がかけてございまして、これらの構造の規制に適合しているかどうかの許可を必要とする対象となっております。したがいまして、基本的な考え方としては、ドラムかんで運ぶのは非常に量が少ないので大きな災害——災害が起こらないということを予想はいたしておりませんけれども、量が少ないという見地から、タンクローリーのほうが事故が起きた場合は非常に危険であるので、特に規制を強くしているということからでございます。
  148. 和田一郎

    ○和田(一)委員 去年栃木県の小山市で起きました国道四号線上におけるあれは塩素ガスだったと思いますが、私もこの委員会質問をしたことを記憶しておりますけれども、あれは平ボデーだったのです。しかも専用のボンベだった。専用のボンベであってもちょっとした急ブレーキでやられているわけです。ですからタンクローリーよりは、あのほうがかえって積み荷は危険じゃないでしょうか。しかもタンクローリーというのは、積み込むときにホースから直接入れられるわけです。容器そのものが車になっているのですね。ところが平ボデーの場合は容器を積んでロープをかけなければならないのですから、しろうとが考えたって平ボデーのほうが危険じゃないですか。私はこの中にタンクローリーとともに危険物を運搬するところの平ボデーも入れるべきだと思うのですけれども、入れられない理由は運送会社のほうから何かあったのですか。
  149. 永瀬章

    ○永瀬説明員 ここに入っておりませんのは、別に運送会社等からの要望なり圧力なりというものは全然ございませんが、先ほど申し上げましたように、容器で運搬いたします場合には非常に千差万別であり、これの規制等がやりにくい面も多少はございますものの、容量も小さいことから容器だけの規制で十分であるという見解で、タンクローリーだけに限定しているわけでございます。
  150. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それでは、容量は少なくてもガソリンなんかよりももっと危険なものは全部載せてもかまわない、こういうわけですか。たとえば、容量が少ないから規制からはずしたとおっしゃっていましたが、容量は少なくても人体に影響を与えるものすごいものがあるわけですよ。そういうものは「危」——あぶないという旗を立てていきますね。そういうふうに表示されている車はお目こぼしがある、こういうわけですか。
  151. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先ほど御質問ございました塩素がス等につきましては、実はこれは高圧ガス取締法の対象となっておりまして、容器だとか積み方、運搬方法は高圧ガス取締法の関係法規で規制されておりますが、あの形状と危険物の容器の形状とはかなり違うわけでございます。ただ同乗者が必ずしも乗らなければならないということにはなってはおりませんが、御指摘の「危」という旗を立てて走ること及び運搬についての守らなければならない事項というのは法令できめておりますので、これを守っていただければ事故もほとんど起こらないし、また起きてもそれほど大きくならないで済むのじゃなかろうかという考え方を持っております。
  152. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんのでやめておきますけれども、長官に聞きますが、私としてはいままでの御答弁を聞きましてもどうも片手落ちである。とにかく現在道路がどうしようもない状態でしょう。そこに危険物がどんどん走られたのでは、それこそ爆弾をかかえていると同じですよ。それをタンクローリーだけが規制されて、しかもタンクローリーは消防吏員がとめて検査できるわけです。ところが平ボデーに積んだ危険物に対しては何もないわけですね。私はつけるべきだということを最初から言っているわけだけれども、その必要はないと向こうからおっしゃるわけです。長官の御意見はこのままでずっといらっしゃるつもりですか、それとも今後考えるというわけですか。
  153. 降矢敬義

    降矢政府委員 タンクローリーは御案内のとおり移動貯蔵所ということで、その貯蔵の一形態としてこれを規制するということでありまして、しかもタンクローリーにつきましては外見上きわめて明瞭であります。同時に平ボデーの場合にはいろいろなものをいろいろな時期に運んでいるわけでございまして、これを全部停車させて検査をするということは事実問題としても不可能でございます。したがいまして、たとえば先ほどありましたように塩素を運ぶという場合には、その塩素がスの発生に対して車自体の自衛という観点から防火資材を積載させるということで、その運ぶ資材資材によってものが違うものですから、一がいにタンクローリーのようなかっこうでこれを全部規制するということは実際問題としてむずかしい、こう思っております。少なくともタンクローリーについてははっきりしておりますので、こういうかっこうで規制を強化するということにいたしたわけでございます。
  154. 和田一郎

    ○和田(一)委員 では、本会議終了後続けさせていただきますので、今回はこれで終わります。
  155. 古屋亨

    古屋委員長代理 本会議終了後再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時二十一分開議
  156. 古屋亨

    古屋委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  消防法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。和田一郎君。
  157. 和田一郎

    ○和田(一)委員 先ほどの質問を続行いたしますけれども、消防吏員が制止をして聞かなかった場合、罰則はどうなるか、それを御答弁いただきたいと思います。
  158. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先ほどは失礼いたしました。  四十四条の四号に罰則がございまして、消防吏員または警察官の停止に従わなかった者に対しましては、一万円以下の罰金または拘留に処せられることになっております。
  159. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ずいぶんきびしい条件でございますけれども、そこで、先ほどの服装の問題になるわけですけれども、服装は紺のダブルまたは黒のダブルということでありましたけれども、消防の皆さん方はそういう制服を着る場合もあれば、昔の戦闘帽のような姿でカーキ色の服を着る場合もあるわけですね。その場合はどうなりますか。
  160. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この場合、消防団員でございませんで消防吏員でございます。消防吏員の正式な制服としましては、先ほど申し上げました紺のダブルでございます。いまおっしゃいますカーキ色のは作業服にそういうのがございますので、これの執行にあたりましては、当然その身分が明らかになる制服を着用した上でやるように指導したいと思っております。
  161. 和田一郎

    ○和田(一)委員 指導をこれからされるわけであって、まだそこまでそちらのほうでも考えていらっしゃらないというふうにこっちはとるわけですけれども、どうなんですか。
  162. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防法の四条あるいは十六条の四等に立ち入り検査の規定がございまして、この場合も制服でやっております。やはりそれに準じて身分を明らかに他から確視できる服装で従来もやってきておりますので、これの場合にも励行させるようにいたしたいと思います。
  163. 和田一郎

    ○和田(一)委員 以上で終わります。
  164. 古屋亨

    古屋委員長代理 門司亮君。
  165. 門司亮

    門司委員 最初に、これは建設関係消防関係の両方に聞いておきたいのですけれども、建築関係とそれから消防と両方で考えてもらわなければならぬのは、現在の建築によるいわゆる内装制限に関してどういう考え方がいま行なわれているかということです。先ほどからいろいろ話がありますすべてのものは、やはり内装に対する制限が必要だ、こういうことに帰着すると思うのですけれども、そういうものについてどういうふうにお考えになっているか。ことに私は不特定多数の者の出入りする建築というのは、一般の建築とは異なった内装に対する規制が必要だというように考えられるのですが、この辺の構想はどうなんです。
  166. 前川喜寛

    ○前川説明員 内装の制限につきましては、昭和三十四年からやっております。先生の御指摘のように、たとえば映画館のようなものとか旅館のようなもの、こういったものはやはり内装制限をかけております。そのほかに、従来は高さ三十一メートルという非常に高いものにしかかけていなかったわけでございますが、最近の火事のいろいろな実情からいっても、死者の問題、こういったことをひっくるめて考えまして、適用範囲をうんと広げまして、三階以上の建物とか千平米をこえるものとか、窓が非常に少ない建物とか、こういったものに適用範囲を拡大しております。  〔古屋委員長代理退席、砂田委員長代理着席〕 そういったことが一番中心でございますが、特に不特定多数の建物というふうなものでも、避難通路で一般的に使うところでございますね、廊下とか階段とか、そういったものにつきましては、いわゆる防火材料の中にも多少とも——これは非常に煙が少ないのでございますが、多少とも出るような難燃材料を禁止いたしまして、準不燃材料、不燃材料しか認めない、こういうような態勢をとっております。全般的には先ほど申し上げましたように、あらゆる建物でというのが一番望ましいわけでございますが、やはりその建物の部分部分によりましていろいろな性能が要求されるということから始まりまして、一般の住宅等についても、いまの調理場とかあるいは二階建ての一部とかいうものに現在やっている。そのほかはできるだけそういったものを使っていただきたいという指導で進めたい、こういうように考えております。
  167. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防の側といたしましては、建物ができるだけ燃えなくなる、また中の内装も燃えないほうが、これは火災の防止上あるいは人命の尊重上非常に望ましい形でございまして、そのような方向にできるだけ持っていっていただきたいと考えておりますが、すべてを不燃材料あるいは難燃材料で構成するわけにもいきませんが、特にこの問題は建築基準法の範疇にも入っております関係上、建設省当局と御相談申し上げ、意見を申し上げて、その意見をできるだけ取り入れていただいてきている状況でございます。
  168. 門司亮

    門司委員 きわめて不十分ですが、私が聞いておりますのは、不特定多数の人の出入りする場所は制限すべきでない、一定の規格というもの、三階とか四階とかいうものの規定をすべきではないと考えております。やはり全体に規制すべきだ。そのことが非常に大事だという、こういうことなんです。そういうわけにいきませんか。
  169. 前川喜寛

    ○前川説明員 普通の居室、不特定多数の使う居室でございます、こういったものはもちろん制限がかかっております。ただ、先ほど申し上げたのは、廊下とかそういった、さらに避難のときに一番肝心な部分につきましては、防火材料のうちでも特に煙を出さないものしか認めていない、こういうかっこうでございます。
  170. 門司亮

    門司委員 どうもはっきりしないな。  それはそれとして、次に聞いておきたいと思うことは、特殊の建築物についての不燃化の問題です。これは窓があるとかないとか、少ないとか、いままでずっと議論されておりますが、特殊の建物に対する内装については全部不燃化物でなければならないと私は考えております。そういう指導は行なわれておりませんか。
  171. 前川喜寛

    ○前川説明員 全部不燃といいますと、材料の種類とかそういったものによりまして、今度実際の他の性能を満たすのに非常に苦しい場合がございます。そういう意味で、不燃ということも法律上でいいますと、これはほとんど燃えないということでございます。準不燃というものは、多少炭化するといいますか、炭のようになることはありましても煙は出さない、こういう種類のことを考えております。ただ、部屋の中につきましては、その部屋が火事でありましても、部屋の中の人はその間にある程度まで逃げれるだろうということで、一番問題は、その部屋が全体火になる状態がございます。この瞬間までは何とか逃げ出せるようにというふうなことで、材料の試験区分をきめるときにも、何分ぐらいで火になるとか、そういう数字をずっとチェックいたしてきめたわけでございます。
  172. 門司亮

    門司委員 これは非常にあいまいです。いままでの火災をずっと見てみましても、窓のない家だとか特別に高い家だとかあるいは地下室だとかいうところには、いまのようなことでなくて、燃えないものを使わせたらどうなんですか。中の装飾がどうであろうとこうであろうと、人の命にはかえられないのです。消防関係火災関係を議論する場合に、きれいだからこれを認めるんだとか、こういうものを使えば燃えないんだけれどもていさいが悪いとか、だからていさいのいいものを使いたがるというようなことは、およそ消防趣旨と反するのですね。そういうことが許容されているところに問題がありはしないかと私は思う。窓がないから逃げられないのです。この窓の問題はあとで触れようと思いますけれども、逃げる場所がないのです。だから、みんな焼け死んでいるでしょう。あなた方が考えている規定どおりに火事がいけば、それは助かるかもしれないですよ。しかし、火事というやつはあなた方の要求されるとおりに動きません。火事だけはどんなことをしても、消防庁がこう考えている、こういう規則があるから、これ以上燃えてはならぬといっても、火事のほうは容赦はしませんよ。建設省のほうが、こういう材料を使っているんだから、これはくすぶるだけで難燃だから、燃えちゃいけないといっても燃えるのです。だから、そういう想定で考えられているところに私は無理があると思うのです。だから、少なくとも窓のない家あるいは高層の建築物であるとかあるいは地下街であるとかいうようなところの内装には、すべて燃えないものを使うというきつい規定がなければならぬと私は思う。それでも中に持ち込まれているものは人間の調度品ですから、一切がっさい自分の着物が燃えないというわけにはいきませんし、燃えるものはけっこうあるのです。ことに高層の建物、デパートその他になりますと、これは中に商品があるのですから、建築は厳重にしておっても、中の商品自身が燃える。それまで規制するわけには私はいかぬと思う。だから、せめて皆さんの立場からお考えになれば、少なくとも内装だけは燃えないものにしておくということが必要ではないかということです。本人の生活あるいは本人の営業に対して、そんなものは売っちゃいけない、そんなものはこうしちゃいけないというわけにはいかぬでしょう。だから、せめてそういう建物につきましては、不燃化物を使うんだということぐらいは政府できめてもよろしいのじゃないですか。どうしてもきめられないという理由は見つからないと私は思うのですが、何かありますか。
  173. 前川喜寛

    ○前川説明員 いま一番われわれとしてこわいのは、たとえばこの部屋ならこの部屋から火が出まして、それがある程度まで全面的にばっとなる時期がございます。専門的で恐縮でございますが、フラッシュオーバーという時期がございます。これが起こりますと、その部屋にいる人がちょっとだめだというふうなことでございます。この時期が、いろんな実験結果等によってやりますと、大体五分から六分、可燃物で問題になりますものは、場合によったら四分ぐらいで起こる場合もございます。難燃材料につきましては、七分とか八分くらいはだいじょうぶということ、それから準不燃材料になりますとうんと延びますし、不燃材料の場合は、普通そういうフラッシュオーバーは起こらない、大体そういうような結果が出ております。それを基本にしているわけでございます。ただ、いろいろな性能が要求されるということの例は、必ずしも見ばがいいとか悪いとかいうことのほかに、たとえば音響効果がどうだとか、部屋によっていろいろな性能が要求される場合がございます。そういうものとのからみ合わせで考えております。  今回の基準改正でも、実は何といいましても人命が一番でございまして、きのうも先生に申し上げましたが、それをどういうふうにしたらいいかということを実は消防庁にもお世話になりまして検討した結果、今回の改正になっているわけでございます。
  174. 門司亮

    門司委員 私も次の会議があるものですから、これもあまり長く話をしているわけにいかぬのですが、そういうことから来るたとえば火災に対する荷重制限というようなものが考えられるわけであります。この問題は私はきょうは議論をいたしません。少なくともいまお話のあったようなことだけでなくて、火災に対する荷重制限をするということはかなり大きな問題だと思う。  この議論をしておりますと長くなりますから、きょうはこの議論は一応省いておきますが、したがって、そういうものをずっと考えてまいりますと、すべての建築材料の品質の制限ということで大体集約されると思うのです。そういうものについて何か特別の規定というか、考え方はございませんか。私がそういうことを言いますのは、いろいろな面から見て、さっきお話しのように、火がついて何分後にどういう状態になるかとか、何分後にはどうなるかというようなことを試験されても、そういうものは私から見ると当てにならぬということです。試験管の中にどんな有意義なもの、きれいなものがあっても、自然とは違う。火事が百カ所あったら百カ所とも実態は違うのです。そういう問題についてもっと掘り下げて聞きたいのですけれども、きょうは省いておきたいと思います。  これは直接消防関係の諸君に聞きたいのですが、屋内の消火せんの設備についていまどういう形で行なわれておりますか。中へ義務づけられておるのですか。
  175. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消火せんの施設につきましては、特に不特定多数の人のおります施設主体にいたしまして、しかも面積のわりに大きなものに設置の義務を課しております。
  176. 門司亮

    門司委員 そういう自営消防に対する消化せんの施設が、実態からいうと、火災の場合は消防隊の使い得る装備と同一でなければならぬというような気がするのです。最初のうちは中で消されておる、形の上で常設の消防隊が来ればそれを使えるというような仕組みにしておかぬと、消防隊が来れば大きなポンプを持ってくるから、それまではこういう小さいのでよろしいという考え方は実際おかしいと思うのですね。ことに室内における問題、いわゆる自営消防の持っておる機能と消防隊の活動し得る機能というものが大体一致したようなものでなければ困るのじゃないですか。そういう点は考えていないですか。
  177. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生御指摘の屋内の消火せん、これは御指摘のとおり、そこにおります従業員その他の人たちが使うものとして考えております関係で、消防隊が使いますもの、すなわち消防隊のほうはホースが太いのでございますが、自衛消防隊の使います消火せんはホースが細うございます。専門家でなければ使えないような太い消火せんのホースを考えましたのでは使いにくいものでございますから、一般には細いホースの消火せんを考えております。ただ、そのほかに、消防隊が参りまして、消防ポンプから水を送って、それが消火せんのような形をしたところで、ホースだけを持っていって使えるような連結送水管のような設備がございます。これの設置を義務づけまして、消防ポンプから水を送って、そして消防隊が中で使う設備はつけさしてございます。
  178. 門司亮

    門司委員 これはいまお話があったのですけれども、あなたはつけさせておると言うが、実際は調べてみると、そんなにたくさんはないのです。これはもともと自衛消防に使う。ことに初期消火を頭に置いてやっている仕事ですから、どうしても消防隊との連結は非常に困難だというのが実情だと思うのです。これなどはやはり速急にやるべきであって、最初に自衛消防の初期防火を考えてやっておるから、あと消防隊が行って、おまえらのいた、のいたということでは、やはり手おくれになる。すぐいつでも同じような能力で消火に当たれるような設備を私はすべきだと思うのです。これはいまお話しのように、多少そういうところがないわけじゃありません、調べてみますと。しかし、実際にはこういう仕組みが非常に少ないのであって、自衛消防消防隊との消火作業の連絡というものはとれてはいないと言ったほうがいいくらいの現状だと思うのです。これらの点については、いまのお話の放水能力というようなものについてもやはりそう格差のないようにする必要がありはしないかということです。ほんとうに火事というものは寸秒を争うものでありますから、消防隊が来たから、おまえたちのけ、のけということではいけない。やはりつなぎ得るものならつないで、そして一緒に活動し得る体制を整えておくということが、私は必要だと思うのです。特に大きな建物になれば、そのくらいの設備はできると思うのです。小さな工場でそんなことを言ったって無理かもしれませんけれども、いつの場合でもやはり同じようなものが取りつけられるような仕組みをしておく。いわゆる消火せんについては、消防隊も自衛消防も同じような大きさのバルブがいつも取りつけられるような規格のものにしておくことが私は必要だと思うのです。  それから、次にもう一つ二つ聞いておきたいと思いますことは、先ほどから議論になっておりまするスプリンクラーの問題であります。これの施設が実際は小さ過ぎるのじゃないかと思うのです。水の出る量にいたしましても、毎秒放出される量にいたしましても、それから施設等にいたしましても、もう少し大きな施設で完全なものにしなければならぬというふうな気がするのです。それはどういうことかといいますと、ただ、ここからこれだけの区域だからこれでよろしいのだというような考え方でなくて、かなり大きなものを対象にして、これを考えておいてもらいたいということであります。これが完全に動いておれば、そうむやみに火事は大きくはならないというようなことが言えるわけでありまして、そういう点等についても、ことばをかえて言えば、スプリンクラーの消火能力の拡充とでもいいますか、そういうものはこの際思い切って考えるべきではないかということ。  それからもう一つは、火事の場合によくあることでありますが、たとえば三十六年以前の建物等については、いろいろな、やってもやらなくてもいいようなことになっておる——やってもやらなくてもいいと言うと諸君はおこるかもしれませんけれども一応緩和されておる。少なくともこうすることがいいというなら、多少の無理はあってもやらせるという強い指導力がなければ——この間のあるところの火事がそうでしょう、古い建物だったからそれがなかったということで、これは火事になっている。  〔砂田委員長代理退席、古屋委員長代理着席〕 そういう問題を一体どう考えるかということを、もう一度この際説明をしておいていただきたいと思います。いわゆるスプリンクラーの出力の増加というものと、それから設備の増設といいますか、そういうものについて。
  179. 永瀬章

    ○永瀬説明員 スプリンクラー設備の能力の問題でございますが、現在このスプリンクラー設備は、先ほど和田先生の御質問にもお答えしましたが、非常に古い歴史を持っていて、国際的な水準でその設置の技術的な方向が定められておりますので、かなりの経験値を含んでおるものであります。現在の規定は、そのスプリンクラーの間隔あるいは水量、またそれに対します水源の水の量というものが定められております。いま申しましたような要件がほとんど国際的な規格でございまして、十分な効力があると一般にされておりますし、おそらくあると私ども確信しておりますが、ただ、この間の千葉の火災のように、スプリンクラーがある部分とない部分とございまして、そのない部分から起こりました場合は、非常に大きな火になってからスプリンクラーの設置部分に起こってくるわけでございますので、消し得ないで、スプリンクラーが実際あまり大きな役はしなかったという事実は他にも例がございますので、このスプリンクラーそのものの能力よりも、むしろスプリンクラーを中途はんぱにつけない、つけるならば他の部分にも全部つけるという方向で強く臨みたいと思っております。ただ、先生御指摘の消防法十七条の二及び三にございますように、既存の建物に対しまして大改修あるいは増改築を行なった場合だけにその設備の規定がかかってくるというものがございますが、これの適用につきましても、先般ございました千葉の百貨店のごとく一定の期限が過ぎて、当然設けられなければならないものが設けられていないというような実態に対しましては、できるだけ早くこれを設置させて、そのスプリンクラーの性能が発揮できるように強く推進いたしたいと考えております。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 門司亮

    門司委員 一応わかりましたけれども、いまの基準は、能力が二十分でしょう。それから規格にしても千五百平米か百五十平米か、何か十五という数字になっておるはずだが、これでは私は、やはり弱いと思うのです。実際火災の場合の二十分というのはかなり長いのです。ほんとうは大きくなる、時間からいえば。ところが、二十分ではこれは十分でないということになるわけじゃないですか。さっきのお話のように、一カ所からぱっと火が燃えついていくような能力というものは——少なくともこの二十分の規定というものは、世界の規定だか何だか知らないが、二十分を三十分とか四十分にするとか、千五百というのを三千にするとかというような問題が検討されなければならないと思うのです。これはどういうことかと言いますと、だんだん建物が大きくなってきておる、だんだん複雑になってきておる。そういう場合に、この広さだから何個あればいいのだというようなことでは、私はやはりいけないのじゃないかという気がするわけです。そういう問題をひとつ検討しておいてもらいたいということ。  それからもう一つ、この際、こまかいことを聞くようでありますけれども、いままでの火事対象から見てひとつ考えていただきたいと思いますことは、火事を発見する場合の人間の問題です。これはいままで、千葉の火事にいたしましても、きのう、おとといの横浜の火事にいたしましても、みんな宿直というのがいないのですね、ほとんど。こういうところに火事が起きて、だれも人がいない。一人でもいるときにああいう火事が起こったらたいへんです。人がいなかったのが幸いといえば幸いだったけれども、火事の発見については何ら義務づけられておらない。自動報知機があるということで、それにたよっているわけには私はいかないと思う。したがって、ある一定の、多数で不特定な人が出入りするような建物については、少なくとも宿直制というものが考えられないかということです。いわゆる火災に対する番人というものが考えられないかということです。いままでの、最近の火事を見てもみんなそういうことになっている。外から見つけたとか、中に人がいなかったとか、シャッターをおろしていて中にはだれもいなかったとか、ところが火種が中にあったということ。だから、そういう制度はできませんか。
  181. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生御指摘の、特に夜間における火災を覚知して、これに対して対応する組織制度の問題でございますが、先生おっしゃいますとおりに、たしかに夜間だれもいないで、ひとりで自動火災報知設備が働いていても意味がございません。したがって、防火管理制度の中でできるだけ夜間にも人がいて、機械が覚知した場合次の行動がとれるという形に持っていきたいと考えておりますが、現在の世相からいたしましては、非常にビル等が夜間の場合無人化されておりますので、そのほか学校等におきましてもとかく無人化の傾向に進んでおりまして、これは非常に私ども頭を悩ましております。ただ、いろいろな方法としまして、ガードマンによって、火災を知らせて、ガードマンがかけつけて管理者の代行をするというようなシステムも考えられてはおりますものの、これでは不十分ではないかと考えておりまして、夜間の宿直制については何らか強制でも、あるいは強力な指導でもできる方法はないかと、現在寄り寄り検討いたしている段階でございます。
  182. 門司亮

    門司委員 これは、検討している段階というよりも、ある程度私は必要だと思うのです。火事を発見するということ——このごろの火事はみな人のいないときに起きている。そして大騒ぎをやっている。だから、こういうものも、これはそうたいした経費がかかるわけじゃありませんし、無人化の方向に向かっておるといっても、それは一つの営業政策といえばそれは少し言い過ぎ、オーバーかもしれないが、やはりそういう意味のことでやられていると思いますが、自己防衛の立場からいえば、宿直制を義務づけても、私は何もそんなに不都合なものじゃないのじゃないかという考え方がするわけであります。  それから、これと同じようなもので住宅と併用された建物があるのですね。これにはいま消防の手はなかなか入りにくいですね、実際は。下のほうが商店や何かになっておって、消防が立ち入り検査ができるようになっておる。しかし、上のほうは一般の住宅であって、立ち入り検査が非常にむずかしい。こういうシステムの建築物がたくさんあるのですが、こういうものはどういうように考えているのですか。
  183. 永瀬章

    ○永瀬説明員 併用住宅の場合、店舗部分につきましては営業時間には立ち入り検査ができますし、住宅部分も承諾を得れば立ち入り検査ができるわけでございますが、一般に建物が非常に小さくて普通の一般住居に近い形でございます関係で、いろいろな規制を大きな事業所等と同様にかけるわけにいかないので、もっぱら規制がかけ得られないところに対しましては、指導をかけるような方向で進んでおります。
  184. 門司亮

    門司委員 これは建築屋さんのほうに聞いておきたいんですが、いまビルその他の火事をずっと考えてくると、いろいろな避難場所というものがないわけなんですね、事実上。そこで、この建物と建物との間に橋をかけるといいますか、非常時の場合に隣のビルに逃げられるというような建築の工法を強要するわけにはいきませんか。市街地にこういう建物が幾つも建っているところに、必ずこういうブリッジをこしらえなければならないというようなことはできませんか。
  185. 前川喜寛

    ○前川説明員 いまの御指摘の点は、避難所が非常に有効な方法でございます。外国等の例でも、実際そういった例もございます。ところが、いろいろな権利関係の問題と、それからもう一つは、日本の都市の状況といいますか、大きいものの隣にすぐ非常に低いものがあるとか、いろいろな状況がございます。しかし、われわれはできるだけやれるところは極力そういう方法をやってください、橋をかけなくても、いざというときには片っ方のほうから橋を出して——ちょっとはしごというといかにも簡単過ぎるようですが、何かそういうやり方でもしていただけないかという指導はしておりますが、法律的にやるということになりますと、非常にむずかしい問題がある。できるだけ検討してみたいというふうなことはわれわれ考えております。
  186. 門司亮

    門司委員 その程度ではこれはどうにもならぬと私は思うのだけれども、やはり人命を大事にして、そうして火災被害をできるだけ少なくしようとすれば、そういうくらいの規制はたいしてむずかしいことじゃないと思うのですよ。現実に営業上必要があれば、どんどんかってにやっておるのですから。あなたのほうはこれを許可しておりますね。同じ建物でも便利が悪いからといって橋をかけるのは許可しておるのです。営業目的のためにはそうやるのだから、人命尊重のためにはやらないというのは虫がよ過ぎると思うのです。こういう点は建築関係のほうでもう少しはっきりした態度、これは消防のほうもやはり一つ基準の中にそういうものを入れる必要がありはしないかということです。  私も、さっき言ったように、あまり時間がございませんので、きょうはこまかいことを聞くわけにいかないが、先ほどから問題になっておる消防関係の問題で、例のタンクローリーが問題になっておりましたが、これはいろいろな規制があるようであります。調べてみますると、移動の貯蔵タンクというようなことばを使っておりますけれども、これの許容量というものが一万リットルがどうのこうのというようなことが言われております。しかし、私が非常におそれておるのは、許容量はありますが、これがどのくらいどういう形で動いておるということの把握ができておるかということです。これは端的に私は言いますけれども、きょうのいまの時限で、一体警視庁管轄内にこのタンクがどれだけ走っておるか、これは勘定できますか。あなた方、そんなこと調べたことがありますか。ただ法律だけはできておったって、これは移動しておるタンクです。地下の中にあるタンクなら、どことどこにこういう危険物があるというのはわかるのですね。ところが、移動しておるのですから、実際わからない。これを調査したことがありますか。たとえばいまの時限、四時なら四時の時限に東京都内に危険なタンクがどことどこに、何カ所あるということまで調べたことがありますか。
  187. 永瀬章

    ○永瀬説明員 移動タンク、いわゆるタンクローリーの行動の実態につきましては、時々刻々あるいはある時刻を限りまして調査いたしたことは実はございません。ただし、ときどき実態調査といたしまして、一日ある通過地点を限りまして、そこを通過するタンクローリーの数は調査いたしたことはございます。これによりますと、大体一日を通しまして東京消防庁管内では約五千台程度のタンクローリーが動いているという報告を受けております。
  188. 門司亮

    門司委員 五千台と言いますけれども、これは実際は動いておるのだな。それで問題になりますのは、たとえば震災のようなときに、いまならいま、かなり大きな地震がある、そういう場合にはタンクローリーがどの辺にどれくらいいるのだということまである程度わかっていないと、私はほんとうの仕事にはならぬと思うのですよ。これは一万リットルがどうのこうの、こんなものを制限してみたって、ほんとうにどれだけ東京都内に一体その時限にいるかということです。こういう問題が私はもう少し消防は本気になって、と言うと諸君はおこるだろうけれども、地についたそういう調査をぜひしてもらいたいと思う。そうして警察署管区内でもいいですけれども、一つの麹町なら麹町の警察署の管区内で、十一時なら十一時ごろは大体どのくらいのタンクローリーがおって、どういう形で所在し歩いているということくらいは、おおよそのめどくらいはついていないと、思わざるところに思わざる被害が出てくるということになろうと私は思う。この点は、震災のときを考えると、実にいまから考えてどうするだろうというような気がするのです。あれ自身は爆発しないとしても、運行はとまりますから、そうすると、まわりが火事になった場合に、結局火災の中にああいうタンクを置いておくようなものであって、非常に危険だ。これは、いまの震災に対する火災の問題で、石油のコンロが幾つあるとか何とかいうことを発表してやかましいことを言っているようだが、私は実際におそれるものは石油コンロよりこういうものだと思っている。ばかばかしい大きな容量を持ったこういうタンクが、一万リットルなら一万リットルというようなものがどれほどどこに動いておるのか。しかもそれは一ぺんに爆発する危険性を持っている。震災のことを考えると、どうするだろうと思って私はほんとうにぞっとするのです。だから、こういうものについて絶えず注意を怠らないで運行の状況というものをひとつ見ておいてもらいたいと思う。そしていつでもそれに対処し得るだけの方策を立てろということは無理かもしれませんが、ある程度ひとつ考えてもらわぬと、こういうものについてわれわれは一向安心をするわけにまいりません。いま一日五千台と言っていますけれども、私はこの数字はどうかと思うのですよ。私のところにもある程度の調べたものがあります。これはいろいろの方面に頼んで、いろいろなことからどのくらい歩いているかということはありますが、かなり危険なものがあると思います。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、危険物の取り扱いです。今度のような場合は、消防署員が危険物運搬についてやれるというような規定に直したい、こういうことですけれども、この危険物の取り扱いについて、いまのところはこれを都道府県の免許にしている、こういうことでしょう。これは都道府県の免許というよりも、むしろある程度下へおろしたらいいのじゃないかと私は思います。もう少し下のほうまで、たとえば五大市なら五大市、特定の政令の市なら政令の市までおろすとか、あるいは地方的にはかなり大きな機能を持っておる三十万とか五十万とかいう地方的な大都市、全体から言えば、中都市でも、地方にいけば大都市のようなかっこうをしているのがあります。こういうところまでこういう免許をおろしたらどうですか。実際はそういうことをあなたのほうでは考えられませんか、主任の免許制というようなものを強化するようになっておりますが。
  189. 永瀬章

    ○永瀬説明員 いまの危険物の取扱主任者の資格試験の実施機関のお話でございますが、従来、三十四年の改正以前はずっと各市町村が試験をいたしまして資格を与える形式をとっておりましたが、その場合、その効力が市町村内だけに及ぶ関係上、他の法令等におきましても、国家試験的に、全国に共通する試験が全部行なわれておりました関係上、そういう受験者が一応資格を得ましたあとの便宜をはかるために、国家試験という形のもとに都道府県知事の試験に変えたわけでございまして、いま直ちに指定市等におろして、それが全国的に、試験を受け直すことなく通用するという形式がとれるかどうか、検討の必要はあるかと思います。
  190. 門司亮

    門司委員 これは警察の関係もありますが、この間もちょっとそういう話をしたのですけれども、たとえば火薬類の運搬については赤いシートをかけろということになっているのですけれども、このごろ赤いシートをかけたのはほとんど見ないのですが、いま火薬を運搬していないのですか、けっこうダイナマイトや何か運搬していると思うけれども。これも十年くらい前ですか、横浜で火薬の大爆発があってたくさん人を殺したことがありますが、そのとき非常にやかましいことになって、必ず赤いシートをかけて、そして前の車との間は何メートルあけて、うしろと何メートルあけて運行するんだ、そのときはやかましいことを言っていたが、このごろは赤いシートをかけた車さえ見かけない。私は火薬を運搬する車がなくなったのかと思いますが、せっかく規則をこしらえても、しり切れトンボであとのめんどうを見ない。これは警察の範囲かどっちの範囲かわかりませんが、そういうことは考えられませんか。爆発物その他の運搬についての規制というものはもう少しきつくする必要があるのじゃないか。何でも事件があればそのときだけわあわあと騒いでやるけれども、あとは何にもやらない。また事件が起こったらまた騒ぐ。そして責任者を責めてみたところで、そのときの人間はかわっているので、だれを責めていいのか一向わからない。被害を受けた者だけ損だということになる。この火薬類運搬についてどうなっておりますか。
  191. 永瀬章

    ○永瀬説明員 火薬類の取り締まりにつきましては、運送を含めまして、火薬類取締法に準拠いたします関係で通産省の所管になっております。どの程度の火薬が現在運行されているか、私ども十分には察知しておりませんので、申しわけございませんが……。
  192. 門司亮

    門司委員 もう一つこれと似たようなことがあるのです。それはパイプラインです。要するに、地下を走っているパイプライン、油を通しているものがあるのですが、これらの敷設のときに消防はどれだけの権限を持っているのですか。何か話し合いがあるのですか。
  193. 永瀬章

    ○永瀬説明員 パイプラインと申しましても、ガスもございますればいろいろなものがございますが、その中で石油類、いわゆる消防法で申します危険物に該当いたしますもののパイプにつきましては、これは危険物の施設でございまして、製造所、貯蔵所、取り扱い所のいずれかに属するものでございます。形態によって多少は違いますが、現在の形では貯蔵所から出し入れするための付属のパイプである場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、それは貯蔵所としての許可の対象になるわけでございます。しかしながら、現在の規定が必ずしも整備されておりません関係で、こまかいところまでタッチできないようなわけでございますので、これは近々規定を改正いたしまして、こまかい規定を入れようと考えております。
  194. 門司亮

    門司委員 これはぜひ一つ消防立場から、そういう施設をする場合には一応消防に相談するというたてまえを私はとるべきだと思います。これは普通のガス管や何かの地中を走っているようなものはおそらく市役所あるいは県庁の所属でしょうが、ぜひひとつ消防意見を聞いて、そして危険のないよう取り扱うようにしてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、二つ聞いておきたいということは、先ほど申し上げました既存の建物その他等について、窓のないのがたくさんあります、それから地下室があります。この間から聞いておりますと、何か変な答弁がされている。暖房があるとかクーラーがあるから窓は要らないなどと言っておりますけれども、これは非常に危険なんです。営業するほうから考えますと、窓のないほうが非常に都合がいい。営業する場所がふえるので使用効率が非常に大きくなる。窓があると実にやっかいだ。ところが、これも人の命にかえられないのであるから、私は窓のない家を建てることにはあまり賛成できない。どう考えても賛成しがたい。中で煙を誘導するとかどうだこうだといっても、あなたのほうで考えているとおりに火が燃えてくれればいいけれども、実際はそうじゃありません。火事のほうはかってに燃える。そして人の気がつかない予想外のできごとがあるのです。だから、やはり建物には窓がある必要がある。もし窓がないなら、非常の場合いつでもあけられるような装備をするということが考えられなければならない。あまりにも営業本位の建て方、考え方のところに人命が軽視されている。これは資本主義社会ではしようがないといえばしようがないけれども、その辺はあなた方のほうで十分考えてもらいたいと思う。  私も時間がきておりますので、もう一つだけでやめますけれども、こういうものについて一体建設省はどう考えますか。いまのとおりに、窓がなくてもよろしいあるいは地下なんかも全部密閉しておいてもよろしいというんだけれども、地下に窓がなければ、出るところがなければ、一階が火事になったらどこに逃げるかということです。地下でみんな死んでしまう。国会の建物を見てごらんなさい。地下室の上には全部窓がついているでしょう。鉄の格子になっておって、下からちゃんと出られるようになっている。出る場合は出られる、入る場合は入れる、煙がそこから出るようになっておる。昔の建物はちゃんとそうなっておった。それをいろいろせちがらい世の中になったものだから、地下をできるだけ効率的に使おうとすれば、外側に窓をこしらえるということも、もう一つの穴をあけておくというようなことも考えられない。だから、内部を効率的に使おうとすれば、窓が一番じゃまだということもあって、これもなくしてしまえ、そして何か理屈をこねて、これだけの煙が出ても逃げられるからという理屈をこねておりますけれども、その理屈は実際は当てはまらないですよ。それはなぜかというと、商店といいますか、デパートの場合は、どれだけ商品が持ち込まれているか、その計算はしないのでしょう、あなた方のほうは。どれだけ煙が出る品物があるかということの計算をしないで、ただ外装だけを見てやっている。そういうところの計算違いが当然出てくると思うのですよ。だから、私は、できるだけ窓のないようなものはやめてもらいたいと思うのです。そしてさっきから言っておりますように、不特定多数の人がいるところは全部ひとつ不燃性のものにしてもらいたい。何も、デザインが悪いとかなんとか言いますけれども、デザインによってはそんなていさいの悪いものではないと私は思う。煙の害は、壁のこういうところの木が燃える。これにかわってアスベストの入ったようなもの、あるいはセメントとアスベストと混じたようなものを壁にしたからといって、デザインによっては実際はそんなに醜いものにはならぬと私は思う。だから、そういうくふうが講じられるべきだと思うのです。  それから、これは私は答弁は要らぬと思いますが、もう一つ実質的なものを聞いておきたいと思う。これは建築のほうに聞いておきたい。いま現実を見てみますと、アパートがたくさんできております。それから高層建築物がたくさんできております。しかし、そこにはしご車が安定のできる場所がないということが非常に私は危険だと思うのですね。七階まであるいは十階まで、こんなものはいま役に立たぬなんという人もあるけれども、とにかくはしご車はあるのですね。ところが、それが大きくなればなるほど、下の安定感というものが考えられないで建てられている。あの大きな自動車が入ろうったって入りようがないところに大きなデパートが建っている。これはいなかのほうに回ると、アパートとアパートの間に、非常に地盤が脆弱である。そしてそこにあの重たいはしご車が入ろうとしたところで、はしご車自身が入れない。こういうふうな実態が現実の姿なんですね。だから、こういうものに対して何か規制する方法はありませんか。たとえば、アパートを建てれば、そこには何カ所か、一つのアパートに一カ所か二カ所か、はしご車がちゃんと安定のできる装置をしなければならぬというような規制はできませんか。
  195. 前川喜寛

    ○前川説明員 今度の建築基準法の改正につきましては、先ほどから申し上げておりますように、特に命ということに一番重点を置いてやったわけでございます。そのためには、階段その他の防火規格とか、そういったことからはじめ、いろいろな避難施設に対しての相当の強化をしたわけでございます。それで実は、いまちょうどお話の出ましたはしご車の問題で、非常に超高層なんかができたときに、どういうふうにして一体消すかという話が出てまいります。そこで、従来ありました三十一メートル以上の建物には、今度そういった消火活動云々のことも含めまして、消防隊の使う非常用消火器、これを強制したわけでございます。ただ、いま先生御指摘のように、実際問題としていろいろ考えてまいりますと、今度はしご車を据えつけるにしましても、まず道路が傾斜があるとか、もっと言いますと、電線がいっぱいあるとか、いろいろな問題がまだまだあるわけでございます。そういう点で、われわれとして、現実にできるだけそういった消す方法を、外からと中からというふうなことをいろいろまだまだ検討しなければならない問題があると思います。これは先生の御指摘のとおりで、私たちも率直に認めざるを得ないかと思います。そういう意味で、今回は法律的にはいまのようなかっこうで割り切ってつくったわけでございます。実際にわれわれも建築界自身にも要望しておりますのは、非常用エレベーターは法律的には三十一メートルである。しかし、できるだけ外から消すということもそういうことでなるべくいまのような配慮をしていただきたいということを言っております。なかなか法律技術的にむずかしい問題でございます。できるだけ検討していきたい、こういうふうに考えております。
  196. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいまの御指摘の問題は、実はわれわれ自身も、中小都市にはしご車をぜひ持ってもらいたいという場合に常に問題になるところでございまして、持っておっても進入道路がはっきりしていない、あるいは入れない、そこにおける地盤が悪い、そこに大きな建物ができる。結局これは建築するあるいは都市計画のレイアウトのときに、消防がもっと関与をして、防火水槽あるいは水利ということもあわせて、そういうものも備えるということをぜひやらなければならぬ。私たちは地方団体のほうには、ぜひ消防のサイドからそういう場合に発言をするように指導をしておりますけれども、また建設省のほうにも、ぜひ都市計画その他の場合に、そういう防災的建築を入れてやっていただくように、また実際の地方団体の都市計画審議会には消防側も入っていきまして、そういう発言の場においてそれをやろうというふうにいたしております。
  197. 門司亮

    門司委員 もう一つ、建築の人が見えておりますから、ついでに聞いておきますが、いま火災のいろいろな問題が考えられますことは、エスカレーターの問題ですね。これはシャッターがおろせないのです。そしてこれはずっとこういう形ででき上がって、上がるのと下がるのと、ちゃんと二つ穴があいているのです。そこで、建築のなかで、エスカレーターになっておれば、ここでもってシャッターをおろせばとかいろいろ言いますけれども、実は大きな抜け穴だと思うのです。だからエスカレーターをやめてしまえということになると、これまた問題があるかもしれませんが、その辺百貨店などへ行ってみましても、これでいいのかというと、なるほどここにはこういうシャッターがある、ここにはこういう設備がしてある、しかしまん中が抜けておる。これではどこまでも抜けてしまうということが考えられるのですが、こういうことについての検討がされておりますか。
  198. 前川喜寛

    ○前川説明員 実は四十四年の政令の改正でございますが、そのときには、われわれ立て穴規格といっておりますが、階段室から吹き抜け、そういうものをひっくるめまして、エスカレーターもその一部としまして規制をするという規定を入れております。したがいまして、現実にやられておる工法としましては、一種の網入りガラスといいますか、こういうものを入れるような規定になっております。ただ、昨日も先生に申し上げましたように、昔からある建物に即刻入れろとかいうことは、不遡及のいろいろな原則がございます。この点は古いものにはまだそこまで行っていないのですが、これは特にいま危険なものについて法律的に命令を出して直させる権限もあるわけでございます。そういう点もできるだけ活用しながら検討していきたい、こういうふうに考えております。
  199. 門司亮

    門司委員 これでやめますが、いま聞いておりますと、結局危険がそこら一ぱいだということですね。歩いてみればみるほど危険がそこらじゅうあるということですね。それから、さっきも細谷委員から話がありましたように、地震があるとかないとかいうことで、いろいろおどかされておる。そういうことをずっと考えていきますと、容易なことではないぞという感じがするのですが、これについて、きょうは大臣がおいでになりませんから、ひとつ局長から話しておいてもらいたいと思うのだけれども、私は、もうこの辺で消防法の根本的の改正をする必要がありはしないか。そしてこれにはやはり建設省も通産省もあらゆるところから意見を聞いて、現在こういうふうな消防法の手直しというのではなくて、これは最初できたのは二十二年ですか三年ですか、そのころから見ると非常に大きな世の中の変わり方がしておるのであって、そのつど手直しをしてずっとやってきておりますけれども、一貫した現在のような非常に発展してきた社会に対して対応できる消防法ではない、と言うとおこられるかもしれないが、われわれが最初考えたときよりも非常に世の中が変わっておると思うのです。したがって、この辺でもう一ぺんこれを全部見直す必要があるという気がするのです。これは大臣に聞くことだと思いますけれども、そういう問題をひとつ考慮に入れておいていただいて、そうしてやはり各方面の意見を取り入れて、新しい消防法の規格というもの等についてひとつ配慮をしていただきたいということを、希望だけこの際申し上げておきます。  私のきょうの質問はこれで終わっておきたいと思います。
  200. 菅太郎

    ○菅委員長 山口鶴男君。
  201. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいま門司委員も言われたわけでありますが、現在の社会情勢の発展の中で生じました、まさに公害列島と同じような危険物列島であるわが日本に対しまして、そういった時代の進展に即応した消防対策、さらには災害基本法もあるわけでありますが、地震等予想された場合の大災害対策等の問題につきましては、大臣がお見えになりましてからお尋ねすることにいたしまして、その点は保留をいたしておきたいと思います。  それ以外の問題につきまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。特にお尋ねしたいのは林野火災の問題であります。昭和三十六年五月でありますか、戦後最大といわれた三陸一帯の山林火災がございました。それ以後、調査室からいただきました資料によりましても、昭和四十一年、二年、三年、四年、五年と、五年間にわたりまして相当な林野火災が発生をいたしております。また最近におきましても、本年の四月二十七日でありますか、呉市における林野火災が発生をいたしました。十八名ものとうとい犠牲を出されたわけであります。  そこでお尋ねしたいと思うのですが、この呉市の火災ですね、林野庁にお尋ねいたしますが、焼失面積を拝見いたしますと、国有林が百十五ヘクタール、市有林が八十五ヘクタール、私有林が百四十ヘクタール、合計三百四十ヘクタール焼失いたしたようであります。一番多いのが私有林であり、二番目は国有林ですね。このような火災でありますから、消火に従事いたしました職員の方も当然この焼失面積に比例するぐらいの割合で林野庁職員が活躍されたと思うのですが、消火作業に当たりました人員、その中における林野庁職員の割合は一体どのくらいでございましたか、まずお尋ねをいたします。
  202. 海法正昌

    海法説明員 消火活動につきましては、山林消火対策といたしまして、消防庁のほうとのお話し合いをいたしておりまして、林野庁のほうとしては予防対策ということに重点を置くということでいろいろの予防対策を講じておるところでございます。それで消火につきましては、そういうようなわけで国有林の自衛消防という組織がございまして、いざ火災になりました場合にその自衛消防組織を使いまして出るということでございます。御承知のとおり、この火災が発生いたしましたのは広島県の西条営林署の管内でございます。営林署の総員約六十名でございますけれども、作業員その他の総力をあげまして八十名出ております。ほとんど営林署の人間全部、この消火活動に当たったわけでございます。全体は千五百名であろうかと思います。
  203. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 消防庁のほうからいただきました資料によりますと、四月二十七日に消火活動に従事されました方々が千五百七十八名、二十八日消火作業に従事した方々の人員が千九百六十三名。このうち林野庁関係のいわゆる営林署職員の方は両日とも八十名であった、こう伺っております。そういう点、千六百名、千九百名、まあ二千名近いわけですが、その中の八十名というのは非常に比率は少ないんですね。これはお認めになると思うのです。さっきの御答弁を聞いておりましたら、人員のほうはどうしても限りがあるので、したがって予防対策に全力をあげる、こう言いましたですね。ところが出火したのはこの営林署管内から出火をされたそうですね。それから一体予防対策として林野庁は毎年、年間どのくらいの経費を予防対策ないしは山林防火施設に対する対策として計上しておりますのか、その具体的な施策の内容はどういうものでございますか、あわせお伺いをいたしたいと思います。
  204. 海法正昌

    海法説明員 火が出ましたのは、これは民地からでございまして、燃え上がりましたのが国有林でございます。  それで予算の問題でございますが、この林野火災対策の予算といたしまして、森林保険特別会計、一般会計、それから国有林野事業特別会計でまかなっておりますが、総額三億二千二百万円でございます。四十六年度の予算でございます。
  205. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 関係総予算の中に占める三億二千二百万円ですかの割合は一体何%くらいにあたりますか。それから具体的にはどのような施策を講じておられますのか、お伺いいたします。
  206. 海法正昌

    海法説明員 ただいま御質問ございました関係予算というのがよくわかりませんけれども……。
  207. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 だから、三つの会計を言われたでしょう、合計は幾らで、その三億二千万はその何%なのか。
  208. 海法正昌

    海法説明員 総額で三億二千万でございます。三つの会計の総額が……。
  209. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 だから、三つの会計合計何ぼで三億二千万ですか。
  210. 海法正昌

    海法説明員 合計が三億二千万でございます。
  211. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 だからその三億二千万は全体の何%かというのですよ。小学校の生徒だってわかるでしょう、そんなことは。何回そんなことを質問させるのですか。
  212. 海法正昌

    海法説明員 林野庁の予算総額は国有林が約千五百億でございます。そのうちの国有林野事業特別会計のまかなったものが二億八千万でございます。
  213. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 何%と聞いているじゃないですか。何回聞かせるのですか、そんなことを。
  214. 海法正昌

    海法説明員 およそ一・七八%でございます。
  215. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 一・七八%——一千五百億のうちの二億、一千五百億の百分の一は幾らですか、十五億じゃありませんか。十五億が一%ですよ。そうすると二億が一・七%というのは一体どういう算術でそんなつまらぬ答えが出るのですか。
  216. 海法正昌

    海法説明員 間違えまして申しわけございません。〇・一七%ぐらいでございます。
  217. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 まあ小学校の算術のようなことを繰り返してもしょうがありませんから、わずか〇・一七%ですね。じゃあ一体具体的な仕事はどんなことをやっているのですか。
  218. 海法正昌

    海法説明員 この予算をもちまして林野巡視、それから実際の消火活動、それから予消防に対する対策費というようなものでございます。その他謝礼金等が入っております。
  219. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 水分を含んだ広葉樹で燃えにくい樹種を帯状に植えることによって、防火樹林というのが設定できるそうです。それからさらに木も草もない帯状の空間をつくる、いわゆる防火線といいますか防火帯といいますか、そういうものが山林火災に重要な役割りを果たすことは当然ですね。こういったものは一体どのくらい全国でつくっておるのですか。どうもこういった面に対する林野庁の施策については、非常に不十分だという批判がございますが、この点はいかがですか。
  220. 海法正昌

    海法説明員 計画をいたします場合に、国有林におきましては先生おっしゃいました防火線、防火樹帯というものを計画にのせまして設置をいたしております。民有林におきましては制度的には防火保安林という制度がございまして、これを設置をいたしておるところでございます。ただ民有林の場合には非常に所有が零細でございますし、また私権の制限というような問題もございますので、強制的になかなかこういう防火線、防火樹帯をつくるということが困難な状況にはございます。けれども、地域森林計画を立てますときにおいて、そこにどのくらいの火災が発生するかという調査をいたしまして、その面について指導はいたしておるところでございます。
  221. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 昭和四十六年四月二十九日の毎日新聞の論説の中に、「山林消防体制強化充実を」という表題で文章が載っておりました。私も拝見をいたしたわけでありますが、これを見ましても、いま私が指摘をいたしましたような防火樹林なりあるいは防火線あるいは防火帯というものが非常に少ない、こういう点が指摘をされております。戦後最大といわれた三陸一帯の火災、焼失面積が五千六百ヘクタール、ここにはこういった防火樹林あるいは防火帯というのはどの程度整備されておったのですか。それから今回の呉市の山林火災。国有林が百十五ヘクタール焼失をしたようでありますが、当核地域の国有林におきましては、一体そういったものがどの程度整備をされておりましたのですか、お伺いいたします。
  222. 海法正昌

    海法説明員 三陸の火災でどのくらい防火帯があったかということにつきましては、いま手元に資料がありませんので、調べて報告させていただきたいと思います。  それから今回の呉市の場合におきましては、尾根筋に防火線が切ってありました。
  223. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 先ほど自民党の安田委員も指摘をされておったわけでありますが、結局国有林につきましては私もさっき指摘をいたしましたが、いざ山林火災というものが起きた場合に、現実に消火活動に従事するのは自治体の消防団であり、消防吏員であり、そういった自治体の関係者が大部分具体的な消火活動を受け持つわけですね。当然林野庁の職員の方々の人員にも限りがあるわけですから、現実に消火活動というものはほとんどいま申し上げた自治体の活動にまかせる。それでは林野庁は一体どういう点に力を入れるかといえば、予防対策といいますか、それに力を入れるというお話でありましたが、具体的な数字をお伺いいたしますと、三つの会計含めて三億二千万円、このうち林野会計だけでは全体が千五百億円のうちわずか二億円程度。これでは山林火災については結局は消火活動はほとんど大部分自治体にお願いするのだ。そのかわり私のほうは予防対策のほうは力を入れるといっても、結局予算の構成比率を見ると、わずか一・七%ではなくて、御訂正いただきましたような〇・一七%ということでは、林野庁というのは山林火災については何といいますか全く責任を忘れておる。無責任時代の先端を行くというふうにいわれてもやむを得ぬではないかと私は思うのですが、どうなんですか。予防対策に力を入れるというなら、もっと予算の構成比率を引き上げる。そうでなくて消火活動に大いに力を入れるというならば、たとえばヘリコプター——今度の呉市の火災でもヘリコプターが活躍したそうでありますが、これは広島県が民間からチャーターをしたヘリコプターが消火活動に従事をしたということであって、林野庁がヘリコプターを出動させたというわけでもないようですね。そういったいわば消火の機動的な機材その他を充実をいたしまして、そして林野火災責任を分担するとか、何らかのことをやらなければ、林野庁は頻発するこの林野火災というものに対してあまりにも無責任過ぎるではないだろうか。しかも今回この火災の中で消防団員の方が十八名もおなくなりになっておるという事実を見ますときに、林野庁は林野火災というものについては何らかの形でもっと責任を負うべきだ、かように私は思います。この点、将来どうするという構想があれば、ひとつこの際承っておきたいと思う。
  224. 海法正昌

    海法説明員 予防対策につきましては、実はその重要性にかんがみまして、四十五年度から広報活動強化ということで、いままで特に山の地帯におきまして広報活動をしてきたわけでございますけれども、その他特にこういうような山に入られる方が多くなりました趨勢にかんがみまして、広域のPRと申しますか、予防活動強化というものを四十五年度からやっております。また都市対象といたしましても予防広報活動強化ということをやっております。一般会計におきましても四十五年度から新たに予算がついたわけでございます。  それで今後の問題でございますけれども、消防庁林野火災対策研究会というものを持っております。この予消防の件については、その場を通じて十分消防庁とのお話し合いをし、また先生おっしゃいました消防、予防の方法——林野火災は特殊でございますので、消防、予防の方法だとか、消防機材だとか薬剤とかいうことにつきましても、私どものほうに試験場がございますので、そういう面を通じて消防庁に御協力を申し上げる。そして予防対策というものを強化をしてまいる所存でございます。
  225. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 降矢消防庁長官お尋ねしたいと思うのですが、最近林野火災、いただきました資料によりましても、昭和四十一年から四十五年、出火件数増加の傾向でありますし、また死者の数にいたしましても、昭和四十一年三十五人でございましたものが、昭和四十五年は六十六名ということで、これまた増加の一途をたどっておるわけであります。林野火災の問題につきまして、消防庁として当然努力すべき点はしておられると思いますし、また今後どのように対処するかという御計画もあると思いますが、あわせて、全国の林野の相当な部分を占めておる国有林、しかも国有林の防火対策というものは、他の民有林あるいは自治体の所有している林野のいわば模範ともならねばならぬ立場にあるわけですから、そういう立場から、当然消防庁として林野庁に対して、こういう手だてを講ずべきだという要望も繰り返しておられるだろうと思うのですが、その内容、今後要望すべき事項というものについてお示しをいただきたいと思うのです。
  226. 降矢敬義

    降矢政府委員 お話がありましたように、山林火災が起きますと、とにかく最初に出動して最後まで防火に当たるのは市町村消防でございます。ただ、この点につきましては、一つは、従来指摘されておりますように、機材の開発が非常におくれております。山に入り、しかもかなり水の不便なところで防火作業に従事しなければなりません。したがって、私たちとして、一つ消防力整備ということで、四十五年度から特別に予算として、林野無線あるいは万能工作車といいますか、そういう非常な傾斜地でもかなり自由に駆使できる車、それにいろいろな資材を積んでまいるわけでございますが、そういう資材運搬車というものを補助の対象に特に加えたわけでございますが、今後機材の開発として、もっと小型のポンプ車というものが考えられないだろうか。この点は、消防研究所におきましても、現在可搬式ポンプというのが、御案内のとおり、大体性能はよろしゅうございますけれども、重さは八十キロ前後のものがあるわけでございますが、これでは山の火災においては非常に困難でございますので、たとえば二十五キロから三十キロぐらいのようなもので小型なものを開発し、これをいわばスクランブラーというオートバイ式のものに積載していく。同時に、これには水の問題がありますので、折りたたみ式の水槽とかいうようなもの、もとよりその他チェーンソーとかいうようなものの装備もぜひ充実していかなければならぬ、こう考えております。  それからもう一つは、今回の呉の火災におきましてもしばしば指摘されましたような空中消火の研究でございます。この点は、消防研究所が四十四年度からやり始めまして、昨年には九州の久住でもある程度実験において、薬剤を散布することによって防火帯をつくるということについてはかなりの効果があるという実験の結果も出ております。まだ、これを完全に実用化するにはもう少し研究を要するということで、四十六年度一ぱいかかってこの空中からの消火の実用化について研究を進める、これを継続してまいらなければならぬと思っております。  それからもう一つは、林野庁に対する要望といいますか、こういうことは、先ほどお話がありましたように、林野庁との山林火災対策研究会というものを通じまして相互にやっておるわけでございますが、われわれとして、やはり予防面からしまして、予防のパンフレットその他によるPRと同時に、山の管理の面からもう少し予防対策上必要な措置をとっていただきたいという気持ちを率直に持っているところでございます。
  227. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これから時代の変化に伴いまして、コンビナート地域の防火対策、それから大都市火災対策、もとより重要であります。同時に、そういう問題は参議院その他で十分議論されたようでありますから省略をいたしましたが、あまり議論をされなかったこの林野火災対策につきましても、消防庁としてひとつ科学の粋を集めて全力をあげていただくように強く要請をいたしておきますと同時に、林野庁のほうにおかれましても、大蔵省のほうからいろいろ文句を言われて、特別会計である程度利益もあげなければならぬという中で苦しいやりくりをしていることは私も承知をしておりますけれども、だからといって、この林野火災対策に林野庁がおろそかであるようではやはり困ると私は思うのです。そこに大蔵省代表も聞いておられるわけですが、そういうわけでありますから、林野庁もあわせてひとつ防火対策には十分取り組んでいただくように強く要請を申し上げておきます。  次に、消防の予算の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、どうも消防庁の予算はたいへん小さ過ぎるという感じが、率直に言っていたすわけであります。この調査室からいただきました資料を拝見いたしましたが、「消防市町村の事業で、年間全国合計で一千億円ほどが支出されているが」 「消防施設に対する国の補助も四十五年度でわずかに二十億円弱である。」昭和四十六年度は施設費に対してたしか二十五億円程度ですか、その他人件費等を含めて三十億円足らずというきわめて少額だと承っておるわけでありますが、そのとおりですか。
  228. 降矢敬義

    降矢政府委員 補助の額は、四十六年度二十四億五千八百万円でございまして、そのとおりでございます。
  229. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この点は確かにあまりにも少なきに失すると思います。当委員会としても消防委員会設置いたしまして、これらの問題につきましては十分な御検討をいただいておりますので、ぜひとも将来思い切って増額をはかることが必要ではないかという意見を申し上げ、消防庁の努力に期待をいたしたいと思います。  さて、そこで、自治省の交付税課長がお見えでありますのでお尋ねをしたいと思いますが、国が消防に対して措置いたしておりますのは、先ほど長官から御答弁のありましたような、この施設、人件費等に対する補助金でございますが、そのほかは交付税の中の消防費、普通交付税でもって措置しているという状況だと思います。そこで、昭和四十五年度、昭和四十六年度の消防費の単位費用並びにその積算の基礎を拝見いたしたのでありますが、特に私は、この十八名もの死者を出して林野火災に対して奮闘されるいわゆる消防団の方々の処遇というものが、あまりにも劣悪過ぎるのではないかという感じを持たないわけにはまいりません。昭和四十五年度のこの積算の基礎を拝見いたしますと、標準団体でありますが、消防団の団長さんお一人年額二万円、副団長さんが年額一万五千円で二名、分団長さんが年額一万円で十四人、副団長さんが年額八千円で十四人、部長、班長さんが六千円で七十名、団員の方々が年額五千円で四百六十二人、こういうことになっておるようであります。当然四十六年度は増加したかと思って期待をして見たのでありますが、年額の金額も全く同じなら人員も全く同じなんですね。団長さんお一人が変わらぬというのは理解もするのでありますが、団員の数の積算も変わらなければ、年額五千円というこの手当につきましても全く相違がない。先ほども、消防団員でなくなられました方、特に若い方々の報賞金といいますか、これが非常に少ないではないかということが他の委員から御指摘がございました。結局なくなられました方々の報賞金につきましても非常に少額であり、手当についても非常に少ない。しかも昭和四十五年と四十六年とが全く同一というのは幾らなんでもひど過ぎるのではないかという感じがするわけであります。この点、消防庁、なぜこれは上がらなかったのですか。交付税課長さん、どういうわけで引き上げなかったのか、あわせてひとつ承りたいと思います。
  230. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防団の報酬につきましては四十五年度に引き上げまして、たとえば団員の場合、四十四年は年報酬二千円でございましたのを四十五年には五千円に、二・五倍引き上げたわけでございます。班長につきましては三千円を六千円というふうに二倍に引き上げました。したがいまして、実績を見ますと、実はまだ全体としてこの域に達していないところが多々ございます。そこで、私たちは、せっかく引き上げましても、そういうふうな支出の状況では困るということで、昨年ずいぶん指導したわけでございますが、四十六年度におきましてはまだこの域にも達しておりませんので、むしろ出動手当とかあるいは公務災害補償のほうの額を引き上げるというふうに、たとえば被服手当の引き上げを考えるというふうに、財源を使うことにいたしまして、この引き上げは四十六年度は行なわなかったわけでございます。
  231. 横手正

    ○横手説明員 ただいま長官から御答弁ありましたような事情で、団員手当につきましては据え置いたままにいたしてあります。ただ四十六年度におきましては、出動手当その他の面におきまして消防団員の処遇の改善策を講じておる次第でございます。
  232. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 交付税は一般財源ですから、これだけ計上しても実際に支出されないこともあり得る。制度としてはやむを得ないと思いますが、しかしその点はひとつよろしく御指導いただきたいと思います。  それから出動手当につきまして、ふやしたふやしたというお話でありますが、これも昭和四十五年、七百円かける三千人、これが今度は千二百円かける二千人というわけでございまして、確かに金額は七百円が千二百円、大幅にふえたということでもないと思うのですが、とにかく単価が低いですから、ほんとうに少額だと思います。増加することは増加したが、人員のほうを三千人から二千人に落としておりますので、結局単位費用に影響する額としてはほんのわずかということで、これはまさに数字の魔術のごときものでございまして、これもどうもあまり、ふやしたという先ほどの御答弁、額面どおり受け取るのもいかがかという気もいたします。今後ともひとつこれらの問題につきましては、消防庁また交付税課長におかれても、十分この団員の方々の御努力に少しでもお報いをするという形で努力されることを要請しておきたいと思います。  最後に、後藤さんがおられますから一つだけ承って終わりたいと思うのですが、実は本日の本会議で自動車重量税法案、それから自動車重量譲与税法案、野党反対でございましたが、与党の賛成で衆議院を通過いたしました。参議院に送付されたわけであります。その際、この自動車重量税についていろいろ議論をしたわけでございます。自動車が道路を損傷すること等を考えたとかいろいろございますが、要は、自動車を使用することによって利益が出る、それに着目をいたしまして、道路並びに社会資本の充実のための財源として今回の税を課することにした、こう説明を受けておるわけですね。としますと、長い間わが党並びに野党の皆さんもそうだと思いますが、損保会社が、この消防施設が充実されればされるほど利益が生み出される。したがって、そういう面から本日も各委員からはしご車あるいは化学消防車等の施設の充実が強く指摘をされたわけでありますが、施設の充実、もとより緊急な課題だと思います。そういう点を考えますならば、当然この消防施設税というものは考えていいんじゃないか。また、かつて税制調査会でも消防施設税について検討することという答申もしているわけですね。消防施設税については、大蔵省の皆さんが言う今回の自動車重量税の理屈を追ってくれば、自動車を持つことによって利益が出るのではないか、しかも社会資本がおくれておるんだから、その充実のためにこの税金を課するということならば、当然この消防施設が充実することによって損保会社が利益を生み出すわけなんですから、しかも消防施設については非常におくれている、この充実はまさに緊急な課題であるとしたならば、自動車重量税の理屈をもってするならば、自動車重量税以前にあるいは自動車重量税を提案すると同時に、私はこの消防施設税を市町村の目的税として創設してもよかったんじゃないか、かように考えます。どうも大蔵省は道路のほうばかり夢中になって火災の問題については熱意が足らぬのじゃないかという感じがするのでありますが、大蔵省を代表しての後藤さんのひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  233. 後藤正

    ○後藤説明員 消防施設利用税につきましては、私よりも先生のほうがお詳しいのじゃないかと思いますが、かつて数年前非常に議論されたという経緯は承知しております。その際いろいろ、いわば保険料率の問題をどうするかとかあるいは料率還元の問題とか、それから現在でも四十五年見込みで消防関係施設の起債が一般単独債で約七十億見込まれておりますが、その中で損保の縁故が、消防施設とそれに関連する交通関係入れまして三十七億というふうな数字になっておるように聞いておりますが……(山口(鶴)委員「三十七億じゃ少ないじゃないか」と呼ぶ)まあ見込みでございますので……。そういうふうに聞いておりますが、そういうふうなもろもろの関係もございます。しかし、先生御指摘のように、確かに、いわば消防活動を初期に、しかも損害を食いとめるという意味におきましては、保険会社等はかなりの貢献を当然すべき問題だろうと思いますし、これは一般加入者についてもまた類焼等の問題から考えれば、料率の問題とのからみがございますけれども、当然検討に値する問題であると思います。関係の主税局、銀行局等につきましても、先生のいまのお話等を伝えまして、今後の検討課題にさしていただきたいと思います。
  234. 菅太郎

    ○菅委員長 桑名義治君。
  235. 桑名義治

    ○桑名委員 今回の法改正の中で、法十六条の中に、今回はタンクローリーに乗車をする場合には政令で定めたところの取扱者を乗者させなければならないというような条文があるわけでございますが、このときに問題になりますのは、先ほども論議になったそうでございますが、危険物の陸上輸送の安全確保のために、トラックなんかに載せた危険物に対してはどういうふうに規制をされようと考えておられるのか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
  236. 永瀬章

    ○永瀬説明員 一般のトラックによります危険物の運搬の場合は、その積みます危険物を入れます容器の規制がございます。そして容器への入れ方及びその容器をトラックに積みます積み方及び容器を積んだ車の運搬の際のしかた、これらのものが現在技術上の基準といたしまして規定されております。これによって運搬していただければ安全が確保されるという考え方でおります。   〔委員長退席古屋委員長代理着席〕
  237. 桑名義治

    ○桑名委員 タンクローリーの場合には必ず危険物取扱者免状を携帯しなければならないわけでございますけれども、トラックで輸送する場合にはその免許証を必要としないという、双方に食い違いがある論理というのはどこにあるのですか。
  238. 永瀬章

    ○永瀬説明員 移動タンク貯蔵所、いわゆるタンクローリーで運びます場合、移動タンク貯蔵所のタンクがかなり大きなものでございまして、何か事故がありました際に流出します量はかなり多いものでございます。それに対しまして、トラックで運びます場合の容器は、いわゆるガソリンのドラムかん二百リットルを最大限度といたしております関係で、個々のドラム一つ一つを考えますと、タンクローリーに比べて非常に少ない量の災害しか起こらないであろうということで、タンクローリーのほうの輸送につきましての規制を強く考えております。
  239. 桑名義治

    ○桑名委員 わずかの量の違いによって、危険物取扱者の免状の携帯をしなければならない、あるいはしなくてもよろしいという、そういうものの考え方というのが、私は非常におかしいのじゃないかと思います。危険度という面についてはこれは同じことなんですから、むしろタンクローリーという一つの固定したそういう容器の中に入って運ばれるほうが安全性が確保されているのじゃなかろうか、私はこういうように思うわけでございますが、それは数が少ないから、数が多いから、だから危険度が少ない、危険度が多いという、そういう論理は成り立たないのではないか。問題は中身の問題であって、実際に量の問題ではなかろう、こういうように私は思うわけでございますが、その点についてはどうなんですか。今後トラックによる危険物の輸送についても、こういった免許証が必ず要るんだという、そういう法規制をしていかれるのかどうか、今後の可能性について伺っておきたいと思います。
  240. 降矢敬義

    降矢政府委員 先生御指摘のような問題は、私たちも問題意識として持ったわけでございます。ただトラックで物を運ぶ場合に、そのトラックはドラムかんで運んだり、あるいはきょうは石油を運んだと思えば、また翌日は別のものを運ぶということで、タンクローリーのようにその施設そのものが一定のものを運ぶというしかけに実はなっていないわけでございます。したがって、私たち今回考えておりますのは、特に現在のように人手の不足しておるときに同乗をさせるということよりも運転手自身が丙種の資格をとっていただいて、そしてそれを身につけて運転してもらうということが実際的でございます。したがいまして、全部に一挙に広げるということは、まあ問題としては検討いたしましたけれども、実際問題として無理だろう。むしろそういう可能性があるものを運ぶところにおいては、いまの新しく設けました丙種の危険物取扱者の試験を受けるように慫慂いたしまして、そういう資格を備えさせるということによって、実際問題としてはこの問題に対処できるものと思っております。
  241. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、実際に今回の法改正のこの部分でございますが、タンクローリーを運転する場合、必ずこういう危険物取扱者の免状を持った人が乗らなければならないということであるのか、危険物を載せておるから、その危険物を運搬するのだから取扱者をつけているのか、いまのあなたの論理からいくとそこら辺になると思うのです。その載せておるものが危険であるから、もしものことがあった場合には適当な処置をとらなければならない、そのためにこういう資格者を乗せておかなければならない、そういうところに発想があるのじゃないかと私は思うのです。それはそういう立場から考えると多少矛盾があるのじゃないかと思いますが、その点どうでしょう。
  242. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘のとおりに、運んでおるものが危険物であるから、したがってそれの取り扱いについて専門的な知識を有する人が乗っておるべきだという発想でございます。ただ一般のトラック業者におきましては、何を運ぶかそもそも特定されておりませんが、タンクローリーの場合には特定されております。そこでタンクローリーの場合には運転手が取り扱い資格者であるか、あるいはそうでない場合には資格者を同乗させるということが法制的に強制できると思いまして、そういう意味から今回タンクローリーについてやったわけでございます。ただ私たち問題を検討した場合に、そういうことでありますから、可能性としてときには危険物を運ぶようなところにおきましては、今回新しく丙種という制度をわざわざ設けて、ガソリンとか重油とか軽油とか、特殊な危険物については実際の取り扱い量も多いので、したがって受験者の範囲ももっと多く広げて、もしそういう運ぶ可能性のある運転手さんであるならばそういう資格を取っていただきたい。そのために、また同時に講習会も開くという規定も置きまして、そしてそういう取りやすいようにできるだけしまして、実際問題としてこれに対処していこう。タンクローリーの場合と普通のトラックの場合とは、そういう意味で、義務づけるという観点からいたしますと少し差を設けたわけでございますけれども、同乗させるという発想は先生御指摘のとおりでございます。
  243. 桑名義治

    ○桑名委員 だから、危険物を運搬する場合には必ずそういう資格者がいなければならない、そういうふうな規定のしかたならば私はわかりますよ。だけれども、タンクローリーのみにそういう資格者を同乗させなければならないというような形をとりながら、じゃトラックで運ぶ場合には自由自在に運んでいいのか、こういう論理になってきますと、非常に危険度が高まってくる、こういうふうに私たちは心配するわけです。せっかくこういう法改正ができておりながら、実際にはこういった危険からのがれることができない、こういうふうに私たちは考えるわけでございます。そういうふうに危険物を運ぶ場合には運転者は必ずそういう資格を持っておるか、あるいは持っていない場合には必ずそういう人を同乗させなければ運ぶことができない、そこまで規制して初めて危険を防ぐことができる、こういうふうに私たちは思うわけでございます。将来は、そういったものを運ぶ場合には必ず運転者はそういう資格をとっておかなければならないのだ、そういう方向に持っていこう、こういうお考えでございますか。
  244. 降矢敬義

    降矢政府委員 今回同乗義務を規定するにつきましても、実は二年ないし三年くらい前だと思いますが、そのころから業界を指導しまして、具体的には約半分くらいはこういうふうな資格者、つまりいまでいえば甲種または乙種の取り扱い資格を持つ者が運輸手ないしは同乗しておったわけでございます。そういう実態を踏まえまして、さらにこれを前進させることを今回させたわけでございますが、御指摘のような問題につきましても、私先ほどから申し上げますとおり、丙種という資格はそういう運転する可能性のあるようなトラック業者の運転手には講習会その他の機会を私たちかなり開くつもりであります。そういうことで、指導としてそういうことをぜひやっていきたい、結果をもう少し見まして、それから全体に義務づけるというようなことをさらに検討してみたい、こう思っております。
  245. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、危険物の定義でございますが、これは毒物、劇物を含まない、こういうふうに一応定義づけられていると思いますけれども、これは別に法律によってそういうふうに定義づけられているわけではございませんけれども、一般的なものの考え方として、危険物というのは毒物、劇物を含まない、いわゆる発火点の強いような薬品についてのみ、あるいは物質についてのみ危険物という規定をしているわけでございますが、この点からまず確認をしておきたいと思います。
  246. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防法にいう危険物というのは「別表に掲げる発火性又は引火性物品をいう。」ということでございまして、いま御指摘のように毒物、劇物とは別表には書いてございません。おっしゃるとおり、引火点の高いものをさしております。
  247. 桑名義治

    ○桑名委員 危険物というのは、現在のこういった社会の中におきましては、毒物、劇物も大きな危険物になると思うのです。そこで、毒物、劇物のいわゆる搬入、運ぶことについては消防庁としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  248. 永瀬章

    ○永瀬説明員 毒物、劇物と申しましても、これは実はそのほうの観点からの取り締まりは厚生省の所管になっておりまして、それに関する法律がございます。ただ、そちらのほうで引っかかりますものと同じものが引火性、発火性という見地から消防法の危険物の中にも入ってくるものもございます。一応毒性の問題としましては厚生省の所管になっております。
  249. 桑名義治

    ○桑名委員 そこでお尋ねをしたいことは、この劇物、毒物についての取り扱い、これは一応法律によって決定されているわけでございますが、運搬についてはどういう法律上配慮がなされているか、厚生省の方、お願いします。
  250. 山高章夫

    ○山高説明員 御答弁いたします。  毒物あるいは劇物の運搬について、毒物及び劇物取締法でどのような取り扱いをしているかという御質問でございますが、実は従来運搬につきましては急性毒性の特に激しい特定毒物についてのみ取り扱いを政令に委任しまして、政令で定めていたわけでございます。ところが昨年十二月の国会で毒物及び劇物取締法の一部改正をお願いいたしまして、毒物あるいは劇物のすべてにわたりまして、必要がある場合は政令で運搬なり貯蔵の規定を定めることができるようになったわけでございます。これは六カ月以内に施行するようになっておりますので、現在その基準につきまして鋭意検討しております。関係各省に御相談中でございます。
  251. 桑名義治

    ○桑名委員 昨年、昭和四十五年の六月に栃木県の小山市の路上で塩素ガスボンベが爆発しております。そこで消防活動中の消防士あるいは通行人が七十二名中毒を起こしております。あるいは昭和四十五年九月、市川市の路上で同じくコンテナ運搬中のトラックが、これはマンホールが破損をして弗素ガスが吹き出して、消防士が十一名、軽症百五十九名、計中毒患者百六十二名、こういう事故が発生をしております。そのほかに工場あるいはその他でいろいろ事故の起こった、昭和二十六年からの資料を私はきょうは全部持ってきたわけでありますけれども、こういうふうに最近は劇物、毒物による事故が非常に増大をしております。  このように、昨年起こったこの二つの事故を引き合いに出していろいろと質問をしてみたいと思うわけでありますが、こういった事故が起こったときには、法律の上においては警察署もしくは保健所にこれを連絡をしなければならない、連絡をするように法の上では規制がかかっているわけでございますけれども、ではいわゆる事故が起こった場合に実際にどういう対策が講ぜられておるか、この点について伺っておきたいと思います。
  252. 山高章夫

    ○山高説明員 ただいま御指摘のような事故がありまして、多数の人が被害を受けたことはおっしゃるとおりでございます。こういう場合にどういう措置をとるのかということでございますが、これも御指摘のとおり、法律の十六条の二では、事故の際の措置の規定がございまして、保健所又は警察署に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講ずるようにいたしております。必要な応急の措置としましては、これは指導上、人が立ち入らないようにするとかあるいは解毒剤を携行するように指導しておりますが、そういうものを使用して応急の措置をするとか、そういうようなことを指導いたしております。並びに予期しない救急の事故の場合でございますので、やはり関係の方面、警察なり消防署なりあるいは保健所の御協力を仰ぎまして、万遺憾なきを期するというようなことになっております。
  253. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、保健所には、そういうふうな中毒を起こした場合に、中毒を中和させるだけのいろいろな措置がとられておりますか。
  254. 山高章夫

    ○山高説明員 保健所はそういう措置をするように指導いたしておりますが、実際はなかなか十分趣旨が徹底しないのが現状でございます。  なお、昨年御指摘の事故がありまして以来、業者にはそれぞれ運行経路その他に必要なものを常備するように指導いたしております。  なお、今般、先ほど申し上げました政令の改正を予定しておりますが、その中では解毒剤の携行その他を政令で規定いたしたい、あるいは運行経路を明示して関係個所に出すようにしたいということで準備しております。
  255. 桑名義治

    ○桑名委員 そうすると、現段階におきましては、こういう事故が発生をした場合には、ただ警察署と保健所に連絡をとって通行どめをする、たったこれだけの処置しか処置する方法がないわけですね。そういうふうに理解していいですか。
  256. 山高章夫

    ○山高説明員 やはり危険物、毒物なり劇物を運搬する事業者の常識に待ちまして、いま申し上げましたような措置をすると同時に、やはり運行経路に必要なものは配置させるとか、そういう指導をいたしておるわけでございます。
  257. 桑名義治

    ○桑名委員 私は経路の問題を尋ねているわけではない、事故が起こった場合に応急的な処置がとれるかとれないかということをお聞きしておった。実際なぜこういうことを言うかといいますと、法律の上からいきますと、警察または保健所に連絡をとって処置するようにしてありますけれども、現実にそういう事故が起こったときには、いま二つの事例をあげましたけれども、全部消防署が派遣されているわけですよ。そうしてみんな犠牲を、いわゆる中毒症状を起こしているのはみんな消防署員なんですよ。そうすると、その関係の中で消防署にどういう連絡をとり、どういう協議をしながらこの問題に対処しているのか。
  258. 山高章夫

    ○山高説明員 実態上、やはり警察なり保健所を経由しあるいは直接消防署に通報があるなりしてやっているということで、その点につきましては、将来の問題として十分検討させていただきたいと思っております。
  259. 桑名義治

    ○桑名委員 消防署はこういう事故が起こった場合にはどういうふうに処置をされているのですか。いまの話の中では全然まだ連絡協議会的なものも何もやっていないし、あるいは打ち合わせ等も全然やっていない模様でございますけれども、現実にこういう事故が発生してくると、消防署主体者になるわけですよ。そうした場合を想定をして、各消防署にはそれぞれの防毒マスクを準備しているとか、そういう処置をとられておりますか。
  260. 降矢敬義

    降矢政府委員 この問題は全く私たちと同じ見解でありまして、法律はどうなっているか、いまお話があったようなことでありますが、現実に行動を起こしているのはみな現場の市町村でありまして、私は市川署に行きまして署長にも、あのときの事故も最近つぶさに聞いてまいりましたし、結局消防署といたしましては、一番最初に通報を受けて、一番最初に出て、そしてあの場合にはどういうものであるかすらよくわからずに、しかし住民のほうに危害が及ばないように、全く悪くいえば無手勝流的な活動でもって防護作業をしているわけです。したがって私は、少なくともいまの空気ボンベとかマスクとか防毒手袋とか、そういうものは消防署としてはもう非常の場合の機材として当然準備しておかなければいかぬし、私のほうとしても、今度は空気ボンベを交付税のほうに新しく入れてもらいましたし、私は、来年はぜひ防毒手袋とか防毒面とか、そういうものも一切機材として財政措置をぜひしてもらうように要望したい、こう思っております。したがって今後路上における危険物というのは、われわれのいう危険物だけでなしに、御指摘のような毒物、劇物その他のものもございますので、総理府の交通安全対策室長を中心にいたしまして、各省集まって、すべてのいわゆる一般的な意味の危険物に対する陸上輸送というものに対して、国、府県市町村あるいは企業側というものが、一体どういう措置をどうとるのかということについて、いま私のほうも私たちなりに案をまとめて向こうと協議をしようと思っているところでございます。また同時に、消防職員に対しましては、いわゆる広い意味の危険物一般についての安全教育という面も、学校においてぜひ行なうように私たちも指示をしておりますので、そういう意味で、少なくとも現在の状況では応急措置として消防において対処するようなしかけをぜひ考えていきたいと私は思っております。
  261. 桑名義治

    ○桑名委員 実際に私きょうここに資料を持ってきているのは、塩化水素やあるいは塩化ベンジルあるいは塩化メチル、こういういろいろな毒物、劇物に対するいわゆる引火点や毒作用や救急処置や中和処置あるいは所有事業所、こういう一覧表を持ってきているわけでございますけれども、これを実際に見てみますと、ただ単なる防毒マスクではいけないわけです。たとえば塩素が爆発した場合には、活性炭のアルカリマスクをつけなければならないとか、そういうふうな処置をしながら、この防護作業を進めていかなければならない、こういうふうになるわけでございますし、あるいはこれを中和させるためにはどういうようにすればいいかというような資料なんでございますけれども、少なくとも厚生省は、こういうふうな資料くらいは各消防署に渡しておくべきではないか、現段階においては。あるいは保健所にそういう一覧なりがあるかということです。あるというならば、私は警察署に連絡をとり、あるいは保健所に連絡をとっても効果があげられるということは一応考えられるわけでございますけれども、そうなった場合に、でははたして中和するだけの中和剤が実際に常備しているか、こういう問題になるわけでございますが、その点についてはどうですか。
  262. 山高章夫

    ○山高説明員 おっしゃるような資料は、これはかつてやったこともございますが、最近は若干の不行き届きの点がございまして、今般の政令の改正に予定しております改正案でも、お話のようなことを考えておりますので、さっそく貴重な御意見をちょうだいいたしましたので、御趣旨の線に沿って検討いたしてまいりたいと思います。
  263. 桑名義治

    ○桑名委員 そういう考え方が問題だと思うのですよ。実際にもういま毒物、劇物というのは車に乗っかってどんどん走っているのです。そして指摘をされてから初めて、いまから対策を立てていくというその姿勢ですよ。だから結局いつも中毒ということになって、被害を受けるのは消防署員である、こういうことになるわけでございます。それでこれはもうこういう問題に早急に取り組んでもらわなければならない、こういうふうに思うわけです。そこで消防署厚生省との間のいわゆる連絡会議みたいなもの、あるいは協議会的なもの、こういうものを早急に設けまして、そして相互に連絡をとり合い、対策を練っていく、そういう体制を立てて、一日も早くそういう不安を除去をしていく、こういう方向でやっていかなければならない、こういうように私は思うわけでございますが、その点について意見を伺っておきたいと思います。
  264. 山高章夫

    ○山高説明員 消防法と毒物及び劇物取締法は非常に関係の深い法律でございまして、その運用あるいは施行令、施行規則の改正、常に密接な連絡をとっております。ただいま御指摘のような点につきましても、今後消防庁の御意向も十分に伺いながら、連絡を緊密にしてまいりたいと思います。
  265. 桑名義治

    ○桑名委員 消防庁長官から一言……。
  266. 降矢敬義

    降矢政府委員 私たちとしてはまことに望むところでございまして、むしろ私は市川市の消防署長の話を聞きまして、私のほうからも積極的にやりたい、こう思っておるくらいでございます。
  267. 桑名義治

    ○桑名委員 実際にこの資料は川崎からもらってきたのです。だから川崎市の消防署ではもうすでにこういう方向で取り組んでいるわけですよ。これは川崎消防署の保安課危険物係というものが実際にできて、そしてこういった問題に対処していく方向で努力をしているのです。各地方自治体の中でも、非常に危険に迫られているところは、もう財政上の問題云々といわずに、自主的にどんどんやっていかなければならぬということでやっているわけですから、だからこういったところにはもう国が積極的に財政的な措置もやるし、またこういった方面に積極的に指導をしていくという態勢がなければ、現代の社会の変化に対応していく消防署あるいはまた厚生省ということにはならないと思うのですね。だから、そういう観点に立って、この問題については強力に推進をしていただきたい。このことを要望して、この問題は一応終わっておきたい、このように思います。  そこで次の問題でございますが、呉の山火事の問題で昨日私いろいろと質問をしておきましたが、山火事が起こった場合に、営林署としては消防署とどのような連携のもとに、あるいは指揮系統はどういう指揮系統のもとに、消防署との連絡をとりながらこの消火につとめているか、この点について伺っておきたいと思います。
  268. 海法正昌

    海法説明員 山火事が起こりましたときには、営林署の自衛消防がございますので、直ちに消防署と連絡をいたしまして、消防署の指揮下に入って消火活動をいたします。
  269. 桑名義治

    ○桑名委員 じゃ、呉の山火事のときには営林署からも出ているわけですね。
  270. 海法正昌

    海法説明員 さようでございます。
  271. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどからいろいろとその件についても質疑が重ねられておったわけでございますけれども、実際に非常に不備な体制の中でやっているというお話でございました。  そこで山火事一つ対策として、先ほどからいろいろ防火林なんかのお話も出ておりました。それと同時に、早急に消防態勢がとれるように、いわゆる林道の整備というものが今後の消火に対しては非常に大事な要素になってくるのではないか、こういうように思うわけでございます。せっかく消防車が出ても実際にそういった道がないために消火作業ができなかった、こういうふうなことも当然あり得ることでございますし、この林道の整備についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  272. 海法正昌

    海法説明員 林道の性格でございますけれども、先生もすでに御案内のとおり、いろいろの機能を持っております。森林保護管理の機能がもちろんその中にあるわけでござます。そういう面から申しまして、この山火事対策といたしましてはやはり消防活動の迅速化ということに林道も役立っております。それと同時に、なるべく早く火災地点に消防隊の方々が到達をして、同時に、またそこで迎え火と申しますか、そういうものをもって実質的に防火線になることが重要であろう、こう考えますので、いろいろのほかの機能ともよく調整をいたしまして、今後設計にあたりましては、この設計の主体者につきまして指導をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  273. 桑名義治

    ○桑名委員 呉の山火事はいろいろと論議が尽くされておりますので一応この程度でとどめておきたいと思いますが、約束の時間もあと十分しかございませんので次に進みたいと思います。  救急体制の問題でございますが、前々から日本道路公団の道路につきましては、交通管理業務の一元化ということに備えて、これは自主救急として処理をする、あるいはまた救急業務実施市町村と公団との連携強化していく、そういうようないろいろな話がありましたけれども、現在これはどういうふうになっておりますか。
  274. 降矢敬義

    降矢政府委員 あの点につきましてはいろいろ議論がございましたが、政府全体としてはまず道路公団が救急を実施するという方向で意見が固まりまして、もちろん市町村が全然知らないというわけじゃございません、当然協力いたしますが、まず公団のほうが実施する体制整備するということで方向がきまっております。
  275. 桑名義治

    ○桑名委員 だから具体的にどういう方向できまっているわけですか。
  276. 降矢敬義

    降矢政府委員 公団が実施するという方向において、あと車の整備とか、そのための隊員の教育とか、そういうものを向こうがやりまして、そして実施に移る、こういうことでございます。
  277. 桑名義治

    ○桑名委員 実施時期はいつごろですか。
  278. 降矢敬義

    降矢政府委員 この点についてはどうも話し合いの段階でははっきりいたしませんでした。それは向こうの整備の態勢ということがあるのでございますので、向こうとしてはどうもいつまでという期限を切ることだけではいまできかねるという話でございました。
  279. 桑名義治

    ○桑名委員 私は行政上の問題としていつも思うことは、いまもお話がございましたように、こういった道路公団の道路の事故については道路公団が自主的にやる、あるいは各市町村連携をとりながら一元化していくというような、いい発案ではありますけれども、会議会議で事実関係あとを追っかけていくという形態が必ず生まれてきているのですね。だから実際に事故件数というものはどんどん、救急車の出場件数は調査資料の中にもございますけれども、前年度に対比すると二一・三%、昨年度は八十七万九千四百七十六件、救急搬送人員というものも八十三万七千六百五人、前年度に対比すると二二・二%増、こういうふうに非常に急激にこの人数がふえておるし、また出動回数もふえているわけであります。これはただ単に会議を重ね、重ねということでなくて、早急に、いつをめどにしてこの対策推進をしていこうという話し合いでなければ、ほんとうに実効をあげることができないのではないか、こういうふうに思うのでございますが、次の話し合いは大体いっをめどにしてあるわけですか。
  280. 降矢敬義

    降矢政府委員 まことに仰せのとおりでございます。ただ、救急につきまして道路公団がいままでやっていないのをやるということでありまして、この間市町村が従来どおりこの救急業務を引き受けるということでございます。私たちはあの問題について多少いろいろなもたもたしたことがございましたことは御承知のとおりでありますが、私は、少なくとも公団が自動車事故に伴う人命事故、車の事故というものを当然自分でまず処理する体制をつくるべきであるということで、この点についての意見の一致を見たわけでございまして、したがって向こうはそういう態勢で準備をする。しかし、その間市町村は従来どおりその救急を担当するということでまいる考えでございます。
  281. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで今度は法改正の中で、三十五条の五の中に、救急業務を行なわなければならない市町村が今回は政令で指定をされて義務づけられてくるわけであります。もう消防庁長官も御存じのように、現在は消防施設でさえも非常に立ちおくれているというのが実情でございます。そしてしかもまたこういうふうに政令で救急業務を指定されるということになりますと、財政的な負担が必ず重なってくることは当然なことでございますし、あるいは救急病院の指定をする場合においても引き受ける病院が非常に少ないというふうな実情であるわけでございますが、こういうような法律をつくっても、これが推進できるだけの材料をそろえなければこの法の意味というものを全部殺してしまう、こういうふうに考えるわけでございますが、この法律改正するにあたりまして、具体的にこういう財政的な措置をするとか、あるいは具体的にこういうふうに推進していくんだ、そういう裏づけがあるかどうか、あるならばどういう裏づけがあるか、明快にお答えを願いたいと思います。
  282. 降矢敬義

    降矢政府委員 一つは救急車の補助の問題であります。救急車につきましては日本消防協会あるいは私のほうの補助ということで、車の台数をふやすということが一つであります。  その次に地方公付税の単位費用の中に、従来ももちろん交付税は入れておりますが、四十五年度で標準団体で八百九十三万ということになっておりますが、四十六年度はこれを千四十四万円に引き上げるということを考えております。
  283. 桑名義治

    ○桑名委員 私はそういうような救急体制という問題と同時に、救急病院の指定というお話もいま申し上げたわけでございますが、これに対する対策は別に考えておられませんか。
  284. 降矢敬義

    降矢政府委員 救急病院の指定につきましては、御案内のとおり病院のほうの申し入れによって指定するというしかけになっておりまして、したがって私たちと厚生省のほうで相談をいたしまして、ぜひ救急病院になってもらうようにいろいろ話をしておるわけでございますが、この点は特に財政的にどうということは考えておりません。
  285. 桑名義治

    ○桑名委員 そこでせっかく救急体制ができましても、救急病院がなければどうしようもないわけです。交通事故というものは一瞬を争う場合もあるわけでございますので、遠くの救急病院まで搬送していく場合に、もうついによくなかったという事例だって出てくるわけでございますし、手おくれにならないためにはせっかくこういう救急業務を行なわせる体制ができたならば、救急病院もあわせて考えていかなければならない問題だと思うのですが、この問題について本気に取り組んでもらわなければ、せっかくこういう体制ができても有効にこれが作動しないという結果にもなりかねないわけでございますけれども、この点についての長官のお考えをさらに承っておきたいと思います。
  286. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいまのお説もっともで、そのとおりでございまして、私も厚生省の方面と協議いたしまして、さらにこの指定救急病院の増加につきまして、いままでどおり努力してまいる考えでございます。
  287. 桑名義治

    ○桑名委員 時間がございませんのでもう早急に次の問題に移りたいと思いますが、これは最後の問題としてお聞きをしておきたいと思うのです。  最近の火災の中で新建材の問題が非常に論議をされておるわけでございます。先日の小委員会の節にも、簡単にこの問題を取り上げてみたわけでございますが、この研究はおそらく建設省側もなさっていると思います。あるいは消防庁としても研究しているんじゃないかと思います。建設省消防庁、お互いに研究を進めていくよりも、建設省建設省立場消防庁消防庁立場で、これは一つの大きな合同した研究所というものを設けて、そして充実した研究を早急に進めていかなければならないんじゃないか、こう思うわけでございますが、いま研究体制はどういうふうになっているのですか。それと同時に、その研究所の人員あるいは予算的な措置あるいは規模、あるいは現在までの研究段階ではどういうふうな結果を生み出しているかということを具体的にひとつ明示していただきたいと思います。
  288. 前川喜寛

    ○前川説明員 建築基準法の改正、今回の改正の際もそうでございましたが、先ほどからも申し上げておりますように、建築、消防は一体でないとだめだという方針のもとでやっております。したがいまして、研究段階につきましても建設省の建築研究所、それから消防庁消防研究所とある意味で一体となって御研究を願っておる、こういうような形でございます。それで人員、予算云々まで正確には私ちょっとここで記憶がございませんが、建設省の研究所では火災の研究室がございまして、そこで主任研究員、それからもちろん補助職員、そういったのがおりまして、そこで火事の燃え方とか煙がどういうふうに出ていくとか、それからもっと言いますと、それを何か計算でできないかというふうなこと、こういったことをいろいろやっております。それで実はこの建築研究所の所長、これはまあこういうことを私から申し上げてなんでございますが、ある意味では世界的にも火事の権威でございます。こういった人も非常に協力しておりまして、ある程度まで計算的に大体出せそうじゃないかというところまで実は来ているわけでございます。そういったのが大体のところでございますが、さらに先ほどの防火材料とか難燃材料とか、こういった区分の問題でございますが、これは実は研究そのものよりも、試験方法がきまるまではたいへんな作業過程がございましたが、きまれば今度あとそれに応じて具体的に試験をする立場になるわけでございます。そういったことで研究所に試験室を設けまして、そこでずっと試験をやっている。実はこれだけでは足りませんものでございますので、消防研究所あるいは東京都の材料検査所、その他の公益法人による試験研究所等の応援を求めて試験をやっている、こういうような形でございます。  それからさらにつけ加えさせていただきますと、実は材料関係につきましてやはり通産省も関係をしておりまして、その点でも実は通産省のほうの御協力もいただいて、煙とかあるいは有害ガスとかこういった問題についてはいま一生懸命やっておるところでございます。
  289. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防研究所におきましては、研究所予算といたしますと、一億五千八百万円が全予算でございますが、その中の、一般的にいまの新建材等の研究を行ないますのは、千八百万の予算の中でやっております。特に新建材関係でやっておりますものは燃焼性と、これに伴って発生いたしますガスの量、煙の量、ガスの性質、それと燃え方との関係を主として研究いたしております。
  290. 桑名義治

    ○桑名委員 もうこれで終わりたいと思いますが、いずれにしましても先ほどから建設省あるいは消防庁から新建材の問題についての研究過程なりあるいは研究体制なりをお聞きしたわけでございますが、私たちは非常に満足の意を表するような結果ではないようでございます。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 どうかひとつ、火事の犠牲者を最小限度に食いとめるという立場から考えた場合には、これは今後非常に大きな問題になってくる、こういうように私は思います。どうか鋭意この問題については最大の努力を払われんことを要望しまして終わります。(拍手)
  291. 菅太郎

    ○菅委員長 林百郎君。
  292. 林百郎

    ○林(百)委員 私は非常に素朴な質問をしたいと思うのですが、消防職員の待遇の問題についてお尋ねしたいと思うのです。この点は小委員会報告書の中にも、消防団員確保と処遇に関し対策を講ずる、こうあるわけです。消防職員の給与体系ですが、長官、これがどうなっているのか、一般地方公務員の給与体系と比較して若干の相違があるのではないか。それは具体的にいいますと、初任給は高いが年数がたつにしたがって一般公務員の場合より低くなるという傾向にある。昇任試験制度はあるけれども、競争率は十五倍から二十倍というので、とても消防職員のあの激しい仕事をしていながらこの試験に受かるというのは容易ではない。したがって、四十歳ぐらいでもう給与が頭打ちになるという声もあるわけなんですね。四年少々働いて二十八歳で基本給が四万二千、調整手当を入れて四万七千、手取り四万という、こういう数字も私どもの調査では出てきているわけですけれども、この消防職員の給与体系が一般地方公務員の給与体系と比べてどのような相違があり、どういう要望があるのか。長官、下々の声を知っているかどうか知りませんけれども、ひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  293. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防職員は一般職の公務員でございます。これに対する現在の給与表の適用状況は、ただいま御指摘がありましたように行政職の俸給表を適用いたしまして、その際、初任給を一号ないし二号引き上げているというのがかなりございます。それからもう一つの形は、御案内のとおり公安職の俸給表を適用する、したがって初任給がおのずと高くなっております。いま御指摘がありましたように、昨年全消長会を中心に調査をいたしましたところ、公安職の俸給表が十年ぐらいたちますとクロスしまして、一般行政職に比べて若干悪いというところが出ております。それからもう一つは、いま御指摘のとおり給与表の運用の問題について、任用制度とそれから階級というものによって格づけがかなりきびしく行なわれるところにおきましては、一般職に比べまして、何年かたちますと多少不利になるような状況がございます。それは全部じゃございませんが、そういう状況がございます。そのことを私たちは今後全消長会を中心に給与問題を検討しておりますので、そういう点の是正を何とかはかっていかなければならぬ、こう思っております。
  294. 林百郎

    ○林(百)委員 これも非常に素朴な質問ですが、火災が起きて出動した場合の手当について私のほうも若干調査してみたのですが、火災というのは多く夜に起きるわけで、だれでも非常に眠いときに消防職員だということで努力をして出動するのですけれども、水を出さないような場合は手当は三十円だ。水を出しても三時間以内ならば二百円の手当しか出ない。火消しをして三時間以上かかって最高で三百円だ。三時間以上放水して、そうしてあの肉体的な苦しい仕事をして、そうしてようやく最高額三百円だ。こういう数字が出ているわけです。消火中の勤務時間については全く特別な手当はつかぬ。したがって、午前の一時ごろ出火して鎮火が午前の九時ごろというようなときでも、水を出してようやく三百円の手当が出るだけだ。こういう調査が私のほうの調査では出てきていますが、これはどうでしょう。
  295. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御指摘のような状況につきましては、いま私も手元に資料はございませんので詳しくは承知しておりませんが、特殊勤務手当につきましては各団体におきましてその部内の均衡という問題もございまして、必ずしも均一にはなっておらないわけでございます。しかしながら、やはり消防全体としては、その勤務の対象というものが同じでございますので、私たちは、やはり先ほど申し上げましたような全体の市町村が非常に給与体系、給与の水準もばらつきがございます。したがって、全消長会でそういうグループもかなりありますので、そういうところで私たちと一緒になって研究して、できるだけ改善をする方向に持っていくという考え方でございます。
  296. 林百郎

    ○林(百)委員 これで行きますと、水を出して、ようやく三時間以内ですと二百円というと、これはラーメン一つも食べられないというような、これであれだけの危険な仕事に携わらなければならないという点については、消防庁全体としても考えていかなければならない問題だと思うのです。  それから、私物と事務用品との関係ですけれども、事務用品が配給にならないので、やむを得ず私物を使用している人が非常に多い。それから、残業をしても残業の必要がないから手当は出すわけにいかないというようなことで残業手当は出ない。こういうような要求があるようですけれども、事務用品を手当てをしてやって、私物を使用しなくてもいいような配慮をしてやるということが必要ではないでしょうか。たとえば消防用の長ぐつ、これは三年に一足ずつしか当たらぬというのが事実かどうか。そのために底がすり減ってしまって、屋根に登るとすべって非常に危険だ、こういう要望があるわけですね。それも、一人に一足ということでないものですから、これは相職員と共同で使用するという場合がある。こういう要求も私たちの調査ではあるようですが、事務用品の手当てを十分手厚くしてやって、私物を使わなくてもいいようにしてやるとか、長ぐつが三年に一足、これも事実を確めたいと思いますが、こういう状況で、屋根に登っても危険で、水ですべって消火作業が十分できないという切実な要求があるようですが、この点はどうですか、ひとつ説明願いたいと思います。
  297. 降矢敬義

    降矢政府委員 われわれ財政の措置といたしまして、交付税措置があるわけでございますが、被服費あるいはいま言ったその他の事務用品といいますか、その他のそういうものについて、需用費というところで、ある程度計算をしておるわけでございます。ただ、あとは具体の市町村における運用の問題でございますので、こういう点につきましては、さらに検討をさせていただきます。いまその事情を詳しくは承知しておりませんので、そういう全消長会の研究部会がございますので、もう少し話を聞きまして研究することにいたします。  ただ、一般の財源の措置としては需用費の、交付税のいまのようなところで配慮をして、結局全体の処遇の問題でございますので、そういう点について、今後とも一般財源の充実というところで考えてまいりたい、こう思います。
  298. 林百郎

    ○林(百)委員 消防庁に対する予算が十分でないということも、われわれわかっておりますし、また、当委員会には消防委員会もございまして、消防全体の効率化、そして消防職員のこういう危険な、命を賭しての仕事に対して、物質的にも報いなければならないということも、小委員会の結論として出ているわけですから、十分ひとつそういういま私の申しましたような点を調査なさって、当委員会へも遠慮なく報告をしてもらう。そして、改善に努力をしていくということを国会も協力をいたしたいと思うわけです。  それからもう一つの問題として、最近消防車とか救急車の交通事故が非常に多く出ているわけですね。そのほとんどが、あれはノンストップで行きますから、交差点で起こっておりますけれども、これが裁判になった場合は、消防車のほうに過失があったということで、消防車のほうに責任を負わされる事例が非常に多い。そのことのためにやむを得ず消防職員が職場から離れていく。運転者のなり手がない。非常に危険なゆえにですね。事故が起きれば責任消防車にあるということで、こういう事態もあるようで、ほんとうに市民のために没頭して、急いで火災現場へどんなことがあっても命がけでかけつけるという気力も気魄もなくなってしまう、こういう声もあるようですが、この点はどうでしょうか。交差点における交通事故の点で、その責任が多く消防車、救急車に負わされてしまっている。そのために消防職員の意欲が、ことに自動車運転者をやっている消防職員の意欲が、非常に減殺されている、こういう声があるのですが、この点はどうでしょう。
  299. 降矢敬義

    降矢政府委員 私、就任して、あまりなりませんので、いま林委員の御指摘のようなことは直接に聞いておりません。今後私、自分で調査をいたしまして、そういう点について運転者の安全ということを検討させていただきたい、こう思います。
  300. 林百郎

    ○林(百)委員 長官、下々の声を十分民主的に聞いていただきたいと思うのですが、まじめな消防職員であればあるほど、やはり火災現場へ一刻も早くかけつけて消火作業に従事したいと思うわけなんです。それですから一生懸命で消防車も救急車も走らせると思いますから、そういう場合交差点で起きた事故責任消防車に課せられたのでは、これは意欲が減殺するのは当然ですから、その起きた事故、それからその責任は、裁判の結果などでどこへ転嫁されて、そのために消防職員が職を離れていった事例があるかどうかなんということは、ひとつ部下の者に調べさせて、また適当なときに報告していただきたいと思います。  それから呉市の山火事の問題、これは各委員が聞いておるわけなんですが、十八名の消防士が焼死したということなんですけれども、どうしてこんなに十八名も——十七名が即死して、一名が重傷でなくなったのですか。どうして十八名もの消防士が焼死したのでしょうか。
  301. 降矢敬義

    降矢政府委員 なくなられた十八名の方の過半数以上が四十歳以上の方で、消防のベテランでございます。しかも、あの地方は非常に山火事が多くて、山火事に対する処理方法も非常に練達の士でありました。あのとき私も現地に参りましたが、稜線から下りまして、そしてもう一つ防火線を設定する作業に従事したわけでございます。そのときに全く予期しない風が起こりまして、それが飛び火をして、同時に付近の枯れ草が一斉に燃え上がり、しかも現場はちょうど三十度から三十五度くらいの傾斜地でありまして、それを一気に火がかけ上がったということで、全く異常、予期せざる事故によって焼死したものでございます。
  302. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう自然的な条件もありますが、これは四月二十八日の朝日新聞の記事を見ますと、こういうこともあるようです。これも長官、よく調べて、実情を把握される必要があると思うのですが、この新聞によりますと、「出火と同時に出動した第一小隊のうち十二人は宿直勤務明けの疲労がひどかった。」第一小隊のうちの十二名がそういう状態であった。そうしてまた「呉市消防署の場合もジェットシューターという手動可搬式消火器だけ。それも二十キロと重く、十分ほどで水を補給しなければならないので隊員には重荷。全滅した第一小隊はこの装備もしていなかった。」だから、ジェットシューター自体も二十キロというほどの重いもので、十分ほどで水を補給しなければ水も出ないという、隊員にとっては重荷のものであったけれども、これさえも持っていなくて、しかも第一小隊のうち、なくなった十八名のうち十二名は宿直勤務明けの疲労が非常にひどい状態であった、こういうのが新聞に出ておるのですが、この事情はどうですか、お調べになりましたか。
  303. 降矢敬義

    降矢政府委員 最初にお話がありました、第一小隊の方がすぐ出ましたのは、先遣隊として出まして、そしてそれが山の稜線の防火線に配置されたわけでございまして、この方はなくなっておらないわけでございます。なくなられましたのは第二小隊のほうでございます。  それから第二の、消火器ジェットシューターの問題でありますが、最初これを持っておったのでございますけれども、いま申し上げましたように、傾斜三十度ないし四十度近いところを下りまして、そこに防火線を設定する作業に従事するために、つけておりましたシューターを第一先遣隊のほうに渡しまして、それを置いて作業に行ったわけでございます。そういうことでございますので、そこの記事について多少正確でない点もあるように思います。ただふえんさしていただきますと、ジェットシューターというのは、現在開発されている、山火事において火を消す機材としては一番新しいものでございますが、何といいましても重さが非常に重うございますので、こういう点についてももっと軽いものにしなければならぬという研究に着手したいと思っております。
  304. 林百郎

    ○林(百)委員 死亡された十八名の消防士のうち十二名は宿直勤務明けの非常に疲労のひどいコンディションのもとに出動したという事実はありませんですか、新聞にはこう出ているんですけれども。
  305. 降矢敬義

    降矢政府委員 そのとおりでございます。
  306. 林百郎

    ○林(百)委員 消防士がいかに重労働の労働条件のもとにいるかということがこれでわかります。こういう方面での消防士の立場を十分守ってやらなければならないと同時に、当委員会質疑の中で同じように出ておりました、最近の近代的な、化学的な薬品から発生する火災、ことに人命に甚大な影響を及ぼす火災から消防士の生命を守ってやるということも、これは新しい消防庁課題として十分考えてやらなければならない問題だと思うわけなんですね。  それで、ここで一、二新聞に載った事例だけ述べてみますと、数年前に勝島倉庫のMEKパーオキサイドが爆発した、これによって十九名もの東京消防庁消防職員が殉職している、こういう事実があります。昨年の二月、名古屋の東亜合成の火災では、これは消防職員も入っているかどうかはっきりしませんが、新聞によりますと八十数名の中毒事故が起きておる。これは東亜合成という化学工業会社の火災ですけれども、死者はなかったけれども、現在でも中毒で入院しているという人がいる。それから一昨年、大阪の住吉区でアセチレンボンベが数百本爆発した。幸いにして死亡者はなかったけれども、こういう事故も起きている。これも消防職員が第一線の防火責任を負って出動しなければならない事態ですけれども、それから昨年の大阪の大淀区における都市ガス爆発においては、一般の市民の人が七十八名も死亡した。消防職員は負傷のみで済んだんですけれども、あげきたりますと、こういうおそるべき、戦慄するような、新しい、消防職員が消火に当たらなければならない、近代的な、しかも化学薬品の爆発に起因するような事態が頻発しているわけですね。そのたびに、幸いにして消防職員が負傷程度で終わったのもありますけれども、十数名の職員が死亡しているというような事態が起きているわけですけれども、こういうことに対して消防庁としてはどう対処していくのでしょうか。こういうことに対して、生命の保障を消防庁が講じてやらなければ、消防職員に勇んで応募する者がなくなるし、その上一般行政職員よりも給与が安いということになりますと、しかも一晩じゅう出て消火していて三百円の手当しかつかないということになりますと、これはなかなか消防職員になる者も募集しがたくなる事態が起きるわけですが、こういう事態に対して、消防庁としてはどう考えておりますか。
  307. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防職員の人命の安全ということにつきまして特に意を用いなければならぬわけでございますが、いまお話しになりましたようないろいろなケースにつきましては、結局新しい化学薬品あるいは危険物、こういうものに対して防火作業に従事する場合に、自分の身を守るためにいろいろな防毒面とか酸素マスクとかあるいは特殊な耐熱服とか、こういうものを当然用意しなければなりませんけれども、いま消防研究所で考えております、あるいはある市の消防署でも考えておりますが、無人車の開発、無人消防放水車の開発とか、あるいはそういう危険物に対する火災の際に、ロボットによって近づいていって消火する方法とか、そういうふうなことによりまして、できるだけ危険にさらすという機会を機械にかえるというような研究もいま進めておりまして、私は、消防職員の身の安全ということからすれば、そういうことの開発を進めていきたいという考え方でございます。
  308. 林百郎

    ○林(百)委員 いま私の申しましたような、ガス爆発あるいはボンベの爆発等の近代的な災害に対する消防職員の生命の安全の保障というようなことは、これはもう早急に考える、そしてそのための施設が必要な場合は、これはやはり国会にも協力を求めるという積極的な態度を早急にとっていただきたい、こういうように思います。  これはどうも消防庁長官に聞くより大臣に聞きたい問題なんですけれども、実は私はこの点は改善されたほうがいいと思うのです。御承知のとおり、地方公務員法の五十二条に「警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。」といって、消防職員が組合をつくることはできないようになっているのですね。ところが外国ではどうなっておるのでしょうか。私は、憲法二十八条の「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」という精神からいっても、これは消防職員にはむしろ団結権、団体交渉権を認めてやって、そして皆さんと公正な交渉をする、そういう方途を講じてやることが職場を民主化し、明るい職場をつくることになると思うわけであります。前述のような危険な災害が続発する中で、消防職員の待遇を大幅に改善し、消防の職務に専念させるようにするために、職場を民主化するためには、私は当然組合をつくって皆さんと交渉して——いま言ったように長ぐつが三年に一足配給されるかされないか、これも実情を知っていただきたいと思いますが、そういう要求もあり、皆さんが知らない間にいろいろの事務用品が配給がないために、これが私物を使わなければならないようになっているとか、あるいは試験が十五倍から二十倍の倍率のために四十歳で頭打ちするとか、いろいろな要望があるわけですね。しかしそれをはからせる道がないわけですね。長官に聞けば、私もなったばかりでよく知りませんというし、これがもし組合ができていて交渉していれば、そういうことはどんどん皆さんのほうへ通ずるわけなのですから、これは憲法の規定からいっても組合をつくらして、そして公正な団体交渉をさしたほうがいいというように私は考えます。そのことが一つと、念のために外国ではどうなっているか、この点を聞かしていただきたいと思うわけです。
  309. 降矢敬義

    降矢政府委員 外国の事例がどうなっているかということでございますが、私はその点つまびらかにしておりませんので、いずれまた調べまして報告さしていただきたいと思います。  いま御指摘の問題につきましては消防任務からいたしまして、従来とも警察官と同じように団結権を認めないということでございまして、私たちはやはり現在の消防の置かれている任務から見まして、現行法の扱いが適当じゃないかと、私は思っております。
  310. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは長官外国の事例はまた調べて資料として渡してくれませんか。私たちの党の考えとしては、むしろ消防体制強化しなければならない、これは緊急の仕事だというように考えているわけです。  それでそのために第一には、都市と農村のそれぞれの地域の実情に応じた消防救急体制強化して、特に地下街の対策、高層ビル地区の対策を早急に強化する、そうしてそのためには国と都道府県の大幅な財政援助で、消防車やはしご車や救急車などの整備をしておく。私たちの党はこう考えています。それから第二は、消防職員消防団員の待遇を大幅に改善して、そうして民主的な権利を認めてやって職場の空気を明るくしてやるということ。第三は、地方自治体の防災会議の構成と運営を民主化して公害や風水害それから爆発火災など予想されるような近代的な大災害に万全の備えのできるような総合的な防災対策を樹立する。私たちもこう考えておりますので、消防庁の公正な要請に対しては私たちも他の同僚とともに全力を尽くして協力していくつもりでございます。  最後に一つだけ聞いておきたいのでありますが、これはいただきました消防庁で発行している消防白書の二〇二ページにあるわけですが、昭和四十四年二月五日の福島県郡山市熱海町の磐光ホテルの火災原因ですね、これはどういうことだったのか、説明していただきたいと思います。
  311. 永瀬章

    ○永瀬説明員 昭和四十四年の二月に起きました郡山市の磐光ホテルの火災は、当時この磐光ホテルの中の磐光パラダイスというところでショーをやっておりまして、そのショーが、通常やります場所が強風のため使えませんでしたので、下の広場を使っておりました。そのときに金粉ショーと称するショーがございました。これにたいまつを使っておりまして、このたいまつにしませましたベンジンがございますが、このベンジンをしませましたたいまつを楽屋のほうでストーブの前に置いていた、そのために引火をいたしまして火災になったというのがその原因でございます。
  312. 林百郎

    ○林(百)委員 これは郡山市の火災予防条例の二十三条には、裸火を使用する場合は届け出をして、消防署長の指示を受けた場所でなければ使用してはならないという規定があるようですが、この規定は御存じでしょう。
  313. 永瀬章

    ○永瀬説明員 郡山市の火災予防条例の二十三条にいろいろ劇場その他例示がございますが、こういう場所で火災が発生した場合に人命に危険を生ずるおそれのある場所でやる場合は、消防長が指定する場所において裸火を使用してはならない旨の規定がございます。すなわち消防長が指定する場所においては裸火を使用してはならないという規定になっております。
  314. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると届け出義務はないのですか。届け出義務がなければ消防署としては知るわけにいかないわけですから。そのことが一つと、この火災の場合はそういう条件の適用しない場所で裸火を使ったということになるわけですか。
  315. 永瀬章

    ○永瀬説明員 これは市町村の条例の形でございますのでいささか不備な面もございますが、この指定を受けるための届け出申請をする様式規定がございます。その規定には当てはまっておらなかったわけです。届け出はございませんでした。したがいまして一応この条例上は違反にはならないことに相なるわけです。
  316. 林百郎

    ○林(百)委員 届け出はしてなかったのですか。もし届け出があったとした場合は裸火の使用の状態それからベンジンを使用していることも事前に消防長がわかるわけですから、実際行ってみてチェックすることができたわけですね。その届け出はしてなかったのですか。条例に違反する違反しないでなくて、その届け出があったかどうかということ。
  317. 永瀬章

    ○永瀬説明員 使用する場所としての届け出はしてございませんでした。
  318. 林百郎

    ○林(百)委員 では届け出がしてあったとすれば消防署としてはどういう措置をとったわけなのですか。
  319. 永瀬章

    ○永瀬説明員 もし届け出があってそういう事実がございましたならば、ベンジンを使うようなたいまつ、これの使用はさせないようにしたと思います。
  320. 菅太郎

    ○菅委員長 林さん、おおむね時間でございますが、どうぞ。
  321. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると最大の原因はやはり、裸火の使用について事前に届け出が消防署にあって、消防署の注意を十分受けていればこれは防ぐことはできたということになるわけですね。届け出がなくて消防署チェックすることができなかったということが、この火災発生の原因の大きな要因であった、こう言って差しつかえないと思いますが、そうですね。
  322. 永瀬章

    ○永瀬説明員 届け出がしてあった場合には防ぐことができた一つの要因であったとは思います。
  323. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこれで終わります。長官、もう時間が来ましたので私やめますけれども、私の質問で非常に素朴な質問であったのですけれども、これは命がけで最近の非常に危険な消防作業に携わっている職員の要求なんですね。非常に素朴な要求でもう消防庁長官がお調べになればすぐわかることですから、また私たちの主張しているように組合があればこれはすぐ皆さんに通ずることなんですけれども、共産党としては消防体制強化とそれから地方自治体の防災会議の構成の民主化、この二つのためには今後も努力していくつもりでありますので、消防庁のほうからも国会に忌憚のないいろいろの要請、協力を遠慮なく求めることを私はあなたに要請いたしまして、私の質問を終わります。
  324. 菅太郎

    ○菅委員長 採決に入ります前に、大臣に対する質問を留保しておりました山口委員に対して、大臣が参りましたならば発言を許します。暫時お待ちください。——山口鶴男君。
  325. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現在私たちは消防法一部改正を審議しておるわけでありますが、秋田自治大臣が文部大臣を兼務されておられまして、火災の激発する現在、最も重要法案であるこの消防法一部改正法案の審議に際しまして、事情はあったとはいうものの、秋田自治大臣の御出席が少なかったことを私どもたいへん残念に思っております。  大臣、現在火災の激発する今日、しかも六〇年代、七〇年代、経済の発展とともに可燃性の物資あるいは爆発物、毒物、劇物、そういうものが非常なばく大な量にのぼっております。またこの輸送されます量たるや、これまた非常な勢いで増加をいたしておるわけでございまして、こういう時代に消防法の重要性につきましては十分御認識いただいたと思うわけでございますが、そういう観点に立ちまして一、二お尋ねをいたしたいと思います。  実は私ども地方行政委員会といたしまして過般、消防大学校、それから消防研究所の施設を拝見をいたしました。これだけ可燃性の物質あるいは爆発物等が非常な量が蓄積をされている。ばく大な量が輸送されている。特にコンビナート地域にはこれらの物質が集中的に貯蔵されておるわけですね。また大都市の実情を見れば、これまたこのような可燃性物質、爆発物がばく大な量やはり存在している、あるいは輸送されている、こういう状況であります。一たん大災害が発生したらどうなるかということを私ども非常に心配しておるわけであります。こういう中でどうも消防庁の予算が、そこに消防庁長官おられますが、非常に貧弱だという感じを持ちます。また消防研究所の研究内容、施設につきましても、どうも現代にふさわしい消防研究所とは私ども受け取れないわけであります。これらに対しまして大臣、今後一体どのような御決意で対処されますか、まずお伺いいたしたいと思います。
  326. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 私の文相臨時代理のため、十分法案の審議に参れませんで、私もたいへん遺憾に存じております。いろいろ御配慮賜わっております点は厚くお礼を申し上げます。  さて、消防のことでございますが、私、就任以来一年数カ月になりますが、消防のことはその他の災害関連をいたしまして、これはたいへん大事なものである。また単純な、火災という形だけで発生しない、その他の災害とこれが同時に並び起こってくるという点を考えたり、またただいま御指摘のとおり、いろいろの爆発物、劇物等がだんだんと都会その他の地域におきましても充満をしてくる、また公害等の問題がある、また石油コンビナート、特殊な地帯がだんだんたくさん出てきて、その区域が拡大をされる、またいろいろ都市の構造等も複雑になってまいりますので、これの処置につきましては、行政機構上も考えなければなりませんが、これに対処する、ただいま御指摘の予算につきましては、これはだいぶ考えなければならぬと思います。また消防研究所、消防大学校等の内容につきましてもお触れになりましたが、私も昨年見学をいたしまして、その使命の重大なることをまのあたり見、かつ痛感をいたしましたが、同時に、これの拡充ということも痛感いたしました。これに対する対策といたしまして、予算措置を講じなければならない、これを強化しなければならぬということも、同時に痛感されたところでございまして、四十六年度の予算編成につきましては、いろいろのアイデアを考え、相当力を尽くすつもりでありましたが、その実はまことに意に満たないものになりましたことは事実でございます。これは私の微力でもありますが、同時に、ある程度社会認識の点もあろうかと思いますので、ひとつこの点、最近だんだんと社会的にもこの問題が取り上げられまして、一般の知識も向上してまいりましたので、この機会にぜひひとついろいろ考えておることを実現をしたい。それがためには、やはり消火を中心に防災に対する対策五カ年計画なり十カ年計画なり年次計画を立てまして、そして実地に即してこれを実行に移す。それがためには財源措置といたしまして、単に従来のとおり交付税なり、あるいは国からの補助金というだけにとどまらず、あるいは起債の面におきまして、あるいは多年いろいろ懸案問題になっております消防に関する目的税等につきましても、これはいまや考慮すべき段階に来たのではなかろうかということを考えまして、これらについて次年度手を打ちたい、かように考えております。
  327. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣から各面にわたりまして御決意を承りました。そこで具体的にお尋ねしたいと思うのですが、まず五カ年計画なり十カ年計画というものを樹立をいたしまして、現在の情勢にふさわしい、現在の時代に対応した消防力強化充実のために邁進したいという御答弁でございましたが、そこで昭和三十六年八月一日、消防庁告示第二号で告示をされました消防力基準というのがございます。この昭和三十六年に告示されました消防力基準では、現在の火災の状況、あるいは先ほど来大臣がお述べになりましたような時代の変化、これに対応する基準としては、まことに貧弱ではないかという感じが強いわけであります。長官からも、この問題に関しては御答弁をいただいているわけでありますが、ひとつ大臣としてこの消防力基準をすみやかに改定して、そして現在の状況にふさわしい消防力基準を設定すべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  328. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 時間の関係もありますので、簡単にお答え申し上げますが、まことに先生の御所見に同感でありまして、ひとつそういう方向に向かいまして、消防庁を私、督励いたしまして、ぜひ改定を急速にいたしたい、かように考えております。
  329. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 次に消防力基準ももとよりでありますが、現在の消防法をはじめとする消防組織法その他消防関係の法規、これもやはり現在の状況にはたして適合するかということにつきましても、私、疑義を持ちますし、また、そういう懸念が当委員会でも表明されたわけであります。消防関係法規の現在に対応した整備充実というものについて大臣の御所信を承りたい。  さらに財源の問題につきましては、もう大臣のほうから先にお述べになったわけでありますが、消防に対する特定財源というものをつくるということは、多年にわたるわが党の主形でもありますし、当委員会でもずいぶん議論された問題です。この点御決意を承りましたが、ひとつこれの実現に向かって邁進をしていただきたいと思います。御答弁をいただきたいと思います。
  330. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 最初のほうは、どういうことでございましたか、聞いてはおったのですが、十分意味が聞き取れなかったのですが、先生の御質問の意味ですが……。
  331. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 消防法並びに消防関係法規、これについても現在にふさわしく改正をすべきではないかということです。
  332. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 第一点、まことにごもっともでございまして、その点につきましても、いろいろ考慮し、検討してみたいと思っております。  なお機構のことにつきましても、いろいろ考えることがありますが、その点につきましては、いま御質問がございませんから、あえて申し上げませんが、ただいまの財源のことにつきましては、これまた少し行き過ぎて先ほど申し上げましたが、私といたしましては、先ほど申し上げましたような点につきましては、真剣に考えておるのでございまして、これは非常にむずかしい問題でございますが、ぜひ皆さまのお知恵も拝借し、よくお打ち合わせをいたしまして、与野党一致の御協力によりまして、住民のため、国民のため安んじてひとつ防災関係にたがを締めていただく。——これは、そう申しても、まことにむずかしいことでありますが、少なくともその方向に向かいまして一歩でも二歩でも前進するための財源措置をぜひ確保いたしたいと考えております。
  333. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これはひとつ今後の大臣の御努力に大きく期待すると同時に、その成り行きにつきまして、私ども重大な関心を払って十分注視を続けてまいりたい、かように思います。  それから次に、災害対策基本法にございます中央防災会議総理府の中に置かれるわけでございまして、防災基本計画を作成し、その実施推進する、非常災害に際して緊急措置に対する計画を作成し、その実施推進するというふうに、いろいろ任務がうたわれております。ところが総理府総務副長官にも出席を午前中いただきまして、いろいろ質問があったわけでありますが、関東大震災のマグネチュード七・九でございましたか、非常に大きな地震でございましたが、このような大地震が六十年周期とかあるいは七十年周期とかいろいろ説はあるようでございますが、とにかく地震の多いわが国でありますから、当然関東周辺の地域に再び来るのではないかというようなことが取りざたされております。もちろん災害が来ないことを望むわけでありますが、治にいて乱を忘れずということばがありますが、やはりこの関東大震災クラスのものが来襲した場合に、当時とは様相が全く一変しているわけでありますから、そういった大災害に対処するための緊急措置、これに対する計画を作成し、それに対応する施策を講ずるということがやはり必要なことではないかと思います。これらの点につきまして、中央防災会議が十分な機能を現在果たしているというふうには私ども考えられません。したがって大災害を想定した場合の対策につきまして万遺漏なきを期していただきたいということを強く要請いたしたいと思います。これに対する大臣の御所信を承ります。  ついでに、一昨日の本会議におきまして、中小企業白書に関連をいたしましてわが党が質問に立ちましたが、その際に、中小企業対策を重視するならば、せめて中小企業庁長官事務次官会議に出席をして、そして十分中小企業対策について政府全体が取り組む姿勢を示したらどうかという御提案をいたしました。佐藤総理からも前向きで検討したい旨の御発言もあったわけであります。私はこの際、消防庁をあまりに片すみに置くということはどうか、せめて消防庁長官事務次官会議に出席せしめ、そして非常災害に対処するための施策が政府全体として前向きで前進する、こういうことを考慮することも重要な課題ではないかという気がいたすのであります。この点、自治大臣の御所信をひとつ承っておきたいと思います。
  334. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 防災、ことに東京周辺、南関東等を考えまして緊急対策を策定いたしておきまして、変に対処できる道をしっかり立てておくことが、この際必要なことであろうと思います。いたずらに人心を不安におとしいれることのないように十分な配慮を払いつつ、その点遺憾なきを常に期しておく、またそれについて、いま申したような注意を払いつつPRをして、大衆にも御理解とある程度の知識も得ておいていただくということが非常に必要だと思います。これは、消防庁を持って主管はいたしておりますが、自治大臣だけの範囲内でやれないものを持っております。しかしながら、それでは現在の中央防災会議がこれに応ぜられるように適確にして敏速な動きをしておるかといいますと、正直に申しまして、私もそう言い切れないものがあろうと思う。これはやはり機構の性格上やむを得ない点があろうかと思いますが、しかしながら、そんなことを言って、政府責任は果たし得るものではございませんから、私といたしましては、消防関係を持っておる、一番縁が深い、何だか私自身が一番責任があるような自覚をみずから持ってやっておるわけであります。前消防庁長官時代から口やかましく常日ごろ申しまして、中央防災会議の横の連絡及び緊急対策の策定等の促進につきまして、やかましく申しておるのでございまして、いささか進んだ感がございますし、また国会においても衆参両方面におきましていろいろ予算審議等を聞き、また当委員会等におきまして御指導をいただいたところでございまして、この点はさらにひとつ努力をいたしてみたい。その意味において消防庁長官を次官会議に出すということは、十分検討に値する示唆であると思われます。しかしいつもいつも必要はないかと存じますけれども、事に当たって出るということは十分必要ではなかろうかと思うのでございますが、これは政府として全体の機構の問題でもあり、関係方面とも相談いたしまして御趣旨に沿えるような措置について考えてみたいと思っております。
  335. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 先ほど例に引きました中小企業庁長官の次官会議出席に関する佐藤総理大臣答弁もございますので、どうかこれらを参考にしていただきまして、特に有能な降矢消防庁長官もおられるわけでありますから、どうかひとつ次官会議出席の問題につきましては実現をいたしますように、大臣の御努力を心から期待を申し上げたいと思います。  最後に、先ほど共産党の林委員から御指摘があったのですが、消防職員は非常に危険な仕事に従事をいたしております。しかもその待遇たるや、きわめて劣悪ではないかというような御指摘も各党の委員から実はあったわけでございまして、この際私は、消防職員の労働基本権の問題については当然再検討されてしかるべきだという気がいたします。現在第三次の公務員制度審議会はまだ構成されておりませんが、近く第三次の公務員制度審議会が発足するやに伺っております。外国では消防職員が労働基本権を持っておるというのはもはやあたりまえの時代に入っているわけでございまして、そういう意味では消防職員に労働基本権をこの際付与する、せめて団結権、それから交渉権は消防職員にも与えるということが私は当然ではないかという気がいたします。これに対する大臣のお考えを承りまして、質問を終わっておきたいと思います。
  336. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいまの点につきましては、消防署員なりあるいは消防団員の処遇につきまして十分考慮しなければならないとは思っております。しかしながら労働権と申しますか、団結権等をこれに与えるということにつきましては、消防が持っておる保安警察的な性格等を考慮いたしまして、これは検討の問題ではありますが、いま直ちにそこに踏み切るということはいかがかと考えております。
  337. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまの御答弁は不満でありますが、今後大いに検討を期待いたしまして終わっておきましょう。
  338. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  339. 菅太郎

    ○菅委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  340. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  341. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  342. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明二十一日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十九分散会