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1971-05-11 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十一日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       中村 弘海君    中山 正暉君       野呂 恭一君    村田敬次郎君       安田 貴六君    豊  永光君       綿貫 民輔君    下平 正一君       土井たか子君    細谷 治嘉君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君  委員外出席者         参  考  人         (全日本自治団         体労働組合書記         長)      安養寺俊親君         参  考  人         (全国市長会代         表)      久喜文重郎君         参  考  人         (全国町村議会         議長会代表)  柴田 嗣郎君         参  考  人         (学習院大学経         済学部教授)  恒松 制治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     山本 幸一君     ————————————— 五月七日  個人県民税徴収取扱費に関する請願小坂善  太郎紹介)(第五二〇五号)  同(松平忠久紹介)(第五二九二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第五三四七号)  道路交通法改正に関する請願外五件(赤松勇君  紹介)(第五二五三号)  同(岡田利春紹介)(第五二五四号)  同外四件(久保三郎紹介)(第五二五五号)  同外四件(後藤俊男紹介)(第五二五六号)  同外四件(斉藤正男紹介)(第五二五七号)  同外五件(横路孝弘紹介)(第五二五八号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願松平忠久紹介)(  第五二九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇三号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案について参考人の御出席を求めております。  参考人は、全日本自治団体労働組合書記長安養寺俊親君、全国市長会代表秩父長久喜文重郎君、全国町村議会議長会代表岩手町議会議長柴田嗣郎君、学習院大学経済学部教授恒松制治君、以上の四名の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ、当委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。本法律案につきまして、それぞれのお立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序でありますが、初めに御意見をそれぞれ約十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員諸君からの質疑に対してお答えをお願いしたいと存じます。それから御意見開陳順序安養寺参考人久喜参考人柴田参考人恒松参考人順序でお願いをいたします。  それでは安養寺参考人にお願いいたします。
  3. 安養寺俊親

    安養寺参考人 御指名を受けました安養寺でございます。  私は、地方公務員全国組合でございます自治労の本部役員といたしまして、地方自治法の一部改正案、特に連合という新しい改正点について、本法案に反対する立場から意見を申し上げたいと思います。  第一に申し上げたいことは、今次改正案である連合方式が提出されるに至る前提の事情についてであります。昭和四十四年五月、閣議決定を見ました新全国総合開発計画は、広域生活圏地域開発基礎単位とすることを明らかにし、これに基づいて広域市町村圏構想がその具体策として実施をされました。昭和四十四年、四十五年ですでに百二十八の圏域指定をされ、最終的には三百三十カ所程度指定になるという計画であることは御承知のとおりであります。この圏域指定にも、その圏内市町村についてもっと財政力を与え、単独に固有事務を遂行する能力を増大すべき必要があるということや、この圏内における事務共同処理が結局各市町村自治を形骸化するおそれがあり、圏内自治体関係者の多くは好ましくないと考えながらも、わずかばかりの財政措置につられて、背に腹はかえられぬといっていることを見ましても、その問題の所在がわかるのでありますが、こういう行政指導が先行した中で、今回立法措置がとられようとしていることに注目したいのであります。  日本の地方自治は、戦後地方住民の中になかなか定着をしていないといわれています。それは外国に比べて中央指導型の自治であるということが大きな原因であると考えます。昭和二十八年から始まった町村合併で一挙に自治体は一万から三千数百と約三分の一となったこともその一つの例でありますが、外国ではこのようなことはほとんど考えられないのであります。そしてこの合併の結果、せっかく成育してきた地方自治体は住民からはるかに遠いものとなってしまいました。今回のこの新市町村圏連合法案は第二の中央引き回し措置であると考えます。真の民主主義はこういう官治的な上からの方法では育ちにくいと考えるのであります。  第二の問題は、今次改正案が従来の一部事務組合であるにすぎないと説明されていることでございます。私は、そうではなくて、一部事務組合方式をかりてはいますが、その性格は本質的に全く違うものであると考えるものであります。いままでのごとく、一つ事務ごとに一部事務組合があり、これを寄せ集めたものというものではなくて、広域行政計画の策定、計画実施連絡調整が行なわれ、いままで関係のなかった市町村も、新市町村圏内すべて加入させられてしまう仕組みであり、さらに一度加入すると、脱退はまず不可能というものであり、本質的に異なったものであると考えます。また、規約にさえ定めておけば市町村事務全体にわたって連合化していけることとなりますし、結局は自治法の二百八十四条の第二項に書いてあります全部事務組合方向に向かい、結局は加入市町村執行機関議会も消滅の方向をたどる、こういう本質的に異なるものであると言わざるを得ないのであります。  もちろん連合加入しない自由は形式的にはあるといたしましても、それはおそらく財政上の差別取り扱いをおそれてなかなかできないし、またすでに指定された市町村圏を越えて全く異なるブロックを形成することも事実上できないと思います。  財政制度についても、いままでは特定事務にかかる負担金であったものが包括的なものと変わってまいりまして、政令によって予算制度も新しい自治体と同様になります。負担金は包括して賦課されることとなると考えられます。  さらに自治法二百八十四条の第四項で、知事が公益上必要と認めると、市町村加入を強制し得るわけでありますから、いままでの事務組合と違い、総合的な事務組合の場合には自治制度上まさに本質的な改正になってしまうと言わなければならないのであります。  第三は、この本質的自治体の変革が関係住民の知ることが困難な方法で、一度規約をきめたならばすべて少数の代表で構成する連合議会連合理事会事務局長の手で決定されるということになることでございます。これに対し、一般自治体のごとく住民の直接請求リコールもできないし、かりに規約内にこれを可能であると規定いたしましても、それは連合議会における条例のみであって、連合規約には手を触れることができないということになりましょう。またこのような連合は、自治体の中で今日急速に増大して自治体の重荷とさえいわれておる病院老人ホーム保育所など社会福祉施設あるいは上下水道や清掃、廃棄物終末処理など都市環境整備事業が取り上げられる傾向になると思いますけれども、これらは日常住民生活に直結するものであるだけに、企業化方向をたどる連合化は疑問であります。その上、最近のごとく必要以上に受益者負担財政上の要請となっている現状では、住民は一方では口をふさがれた上に料金は高く取られることになり、そこに働く職員は首切り、賃下げに悩むという傾向が一そう増大するでありましょう。  第四点は、これらの連合に従事する職員の問題であります。幾つかの市町村連合した場合、その職員は各市町村から転出をするか、あるいは連合が直接任用した職員により構成されることとなりますが、本来の市町村賃金に格差があるとすれば、連合職員賃金労働条件をどう決定するかは大きな関心事であり、またわれわれにとってたいへん不安でもあるのであります。合併市町村の場合でもこれは大きな問題でございましたが、連合の場合は、本来の自治体存在をしているだけに、問題はさらに複雑だと考えます。  このような問題を解決するためには、私たち職員職員団体を結成するわけでありますが、登録制度というものが基本的にございまして、異なる自治体職員と混合して団体を結成すれば登録はできなくなります。そしてそのために在籍専従も置けず、法人格も認めることができないことになっております。在来の市町村事業が一部切り離されて連合化されるとき、その切り離される職員は、所属職員団体を従来のまま使用するとするならば、本来の団体登録を取り消されることになり、また別に新しい連合という形で職員団体を結成すれば、従来の長い間の努力による賃金労働条件労使慣行は、一挙に失われる危険があることになります。  本来、結社の自由や団結権というものは、その労働団体の自由な意思範囲運用がきめられ、行政上もまたこれに差別があってはならないのでありますが、自治体範囲の変更によりこの団結の自由が結果的に阻害をされるということに何の保証も講じられておりませんこの法案に対して、私ども職員が特に反対するのはこの点でございます。  また、都市共済組合をつくっておる市職員市町村共済組合加入しておる職員とともに連合体に任用されるということになりますと、旧都市共済職員健康保険組合から抜けなければならないことになり、健康保険組合の安い保険掛け金維持できないという問題もまた軽視できないのでございます。  これらのほか、大都市近郊都市についての適用についてはたしてどうなるか、私どもには全く明らかでございませんし、また従来とられてきました事務市町村への委譲、財政力強化という方向から見ましても、連合方式は逆行の法案であり、屋上屋を重ねる結果になるのではないかということをおそれるものであります。  本来、広域行政地方住民意思出発点にいたしまして、地域自治体がまず協議会方式強化いたしまして、自主的な話し合いの中から、一つ自治体事業を周辺の自治体が利用するというような行政協定とか、あるいは事務委託など、いろいろと検討をして、自由な生き生きとした方式を選んで、自主的に協力を行なうことが最も好ましいことでありますので、そのことをまず奨励する必要があります。その上で、なお、かりに一部事務組合方式をとる場合でも、連合という方式は特殊な場合に限ることといたしまして、この方式による場合には、直接請求リコール制度を確立いたしまして、さらに直接住民代表による審議機関を付設し、直接住民の参加を求めたり、あるいは必要に応じ、自主的に自治体ごと脱退を認めるなど、十分な歯どめ措置を行ない、職員につきましても結社の自由を明確にして、賃金労働条件既得権維持を明らかにし、共済組合所属についても現状基礎とするなど、基本的配慮立法上必要とするものと考えます。  このような慎重な立法上の措置がなされていない場合には、私たちは本法案に反対せざるを得ないのであります。地方自治とその運命をともにして日夜協力を惜しんでおりません八十数万の私ども組合員の声として、十分検討していただくようお願いいたしまして、私の意見を終わりたいと思います。(拍手
  4. 菅太郎

    菅委員長 次に、久喜参考人にお願いいたします。
  5. 久喜文重郎

    久喜参考人 ただいま御指名のありました秩父長久喜文重郎でございます。  本日は、ただいま本委員会で御審議中の地上自治法の一部を改正する法律案に関し、全国市長会代表して参考人としての意見を述べさせていただく機会を与えてくださいましたことを感謝いたしますとともに、委員の諸先生方には常日ごろ地方自治振興のため特段の御尽力を賜わっておりますことを、まずもって厚くお礼を申し上げます。  引き続き、本法案に関し意見を述べさせていただきますが、お手元に配付させていただいておりますとおり、全国市長会といたしましても、本法案早期成立を強く要望いたしております。私もまた、広域市町村圏広域行政機構の長をもって組織する広域市町村圏整備推進協議会会長といたしまして、従前からの強い要望であります本法案の趣旨には、全面的に賛成いたすものであります。  御承知のとおり、基礎的な地方公共団体であります市町村行政は、住民生活に直結する幾多の問題をかかえ、日夜その解決に苦慮いたしておる現状でありますが、特に最近の社会経済の変貌と地域社会構造変化に即応して、住民日常生活圏は拡大するとともに、行政需要も多様化して、住民は効率的な行政体制とその運用を要求してまいっております。  かかる観点から、地方制度調査会におきましては、さきに広域市町村圏及び地方公共団体連合に関し答申を出され、政府におかれても昭和四十四年度から広域市町村圏の設定を行なってまいられましたことは、まことに適切な方策と存ずる次第でございます。  幸いに、私の市も秩父圏域として一市四町四カ村をもって広域市町村圏指定を受け、人口約十二万七千人、面積八百九十三平方キロメートルの規模となっております。広域行政機構としては一部事務組合を設け、組合議会は、関係市町村議会から二十二人の各党派からなる代表議員によって構成し、民主的な運営につとめております。また、組合事務内容は、隔離病舎、じんかいの収集及び処理火葬場の設置及び維持管理消防結核予防にかかわる健康診断実施でありますが、それぞれの事務については、個々の一部事務組合により運営されている複雑な実態でございます。また、広域市町村圏整備事業として、昭和四十五年度において一市二町にそれぞれ地区総合センターを建設いたし、住民に喜ばれているとともに、市町村相互間の連携の円滑化に大いに役立っております。  以上の経過より見まして、私のところの広域市町村圏を含め、多くの圏域では、現行法に基づく一部事務組合を数多くかかえ、しかも各組合ごとにその運営が行なわれているため、事務処理効率化を欠き、圏域としての一体性が阻害されているのが実情でございます。かかる現状を打開し、現行の一部事務組合制度をより総合的かつ計画的に実施するため、現行の一部事務組合の一類型として、本法案でいう連合方式を採用することは、まことに適切な処置と言わざるを得ないのであります。  なお、かかる制度の確立に即応して、広域市町村圏に対する交付税補助金起債等措置とあわせて、さらに市町村財政基盤強化をはかることについて十分御配慮を賜わりますよう、この際特にお願いいたしたいと存じます。  本法案成立によりまして、将来全国で設立が見込まれておるところの三百何十かの広域市町村圏はもちろん、大都市を中心とする過密地域においても連合方式が活用され、広域行政体制が確立されることにより、近代市町村行政に対応する事務再配分と税財源強化の活路がさらに開かれ、市町村自主性をそこなうことなく地域住民の信頼にこたえることに役立つものと確信を持って考えるものであります。  最後に、都市問題の解決に日夜苦慮いたしております全国約六百の市長の強い要望でもあり、本法案が今国会ですみやかに成立いたしますよう委員先生方にお願いいたしまして、意見開陳を終わります。まことにありがとうございました。(拍手
  6. 菅太郎

    菅委員長 次に、柴田参考人にお願いいたします。
  7. 柴田嗣郎

    柴田参考人 ただいま御指名にあずかりました岩手町村議長会会長柴田でございます。先生方には常日ごろ地方自治振興の面で何かと御指導、御援助をいただいておりますが、この機会をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げる次第であります。  私は、町村議会立場から今回の自治法一部改正の眼目である連合制度について意見を申し述べたいと思います。  御承知のとおり、市町村を取り巻く環境は最近著しく変化し、全国的な都市化の進行、住民日常生活圏広域化の様相がますます激しくなっており、市町村行政の面におきましても、市町村の区域を越えて処理せざるを得ない分野が非常に増加しつつありまして、市町村ではこれに対処して、ごみ、屎尿処理病院、学校その他いろいろな分野でそれぞれ一部事務組合等共同処理方式により処理に当たっているところであります。このような広域化傾向は今後ますます大きくなると予想されるところでありますが、国におきましても、広域行政処理体制整備施策として去る昭和四十四年度から広域市町村圏施策が取り上げられ、すでに全国で百二十八圏域指定を受け、それぞれの地域実情に応じた振興整備計画作成に当たっているところであります。今回の自治法一部改正は、このような経過を背景に現行共同処理方式の不備を補い、広域行政推進をはかるために市町村連合制度を導入しようとするものと承っておりますが、私はこの改正方向時代要請に沿うものとして基本的に賛意を表したいと思います。  改正法案によりますと、連合広域にわたる総合計画作成計画実施についての連絡調整を任務とし、かつ現在一つ広域圏の中で十も二十も設立されている各種の一部事務組合事務を必要に応じて単一の連合に吸収、統合して処理することとしているのでありますが、これは圏域内広域業務総合調整なり運営合理化の面で従来に比して一つの進歩であると思われるのであります。  また連合組織の面におきましては、議決機関である議会及び執行機関としての管理者の二者を併置する従来の一部事務組合方式連合議会議員管理者または理事者を兼ねる方式、あるいは事務局長を置いてこれに執行機関権限相当部分を委任する方式など、いろいろな方式を用意して、画一的なものとせず、地域実情に応じて弾力的な運営がはかられるようにしておりますことは、広域圏実態がさまざまであり、今後もいろいろと変化があると思われますだけに、妥当な規定のしかたであると思うのであります。  以上、法案内容について見まして、私はこの改正広域行政推進するものとして賛意を表するものでありますが、さらにこの運用面につきまして二、三の希望意見を申し上げたいと思います。  一つは、議会立場からでありますが、今回の連合制度も含めまして、一般広域行政体制が進展するに伴い、地方議会の持っている機能や権限、すなわち行政執行を批判し、監視する働きが次第に薄れていくのではないかという懸念であります。現在の一部事務組合の場合は、規模も小さく、業務も限定されているのでありますが、連合のように広域圏全体にわたり広域業務を統合した機構ができ上がりますと、個々町村議会からはちょっと手の届かない存在になりやしないか、それだけきめのこまかい追及、監視ができがたくなりはしないかという感じを持つわけであります。もちろん連合にも議会が置かれますので、これを構成する議会関係者働きいかんにもよることであり、要は運用の問題と思われるのでありますが、一面において行政効率化合理化の面から連合制度方向は当然といたしましても、地方議会の関与という面から前述のような矛盾した感じも持ちますので、指導に当たられる国なり府県はその辺のことを念頭に置かれて運用に当たってもらいたいと思うのであります。  もう一つは、この連合制度を採用するについては、関係市町村自主性によるということであります。広域行政を進めるには、手っとり早く合併する場合もありましょうし、またそれに至らないで協議会方式組合方式による場合もあり、今回組合方式を一歩進めたものとして連合方式があらわれたわけでありますが、そのどちらをとるかは地域の一体化の程度その他いろいろな事情で異なりますし、各市町村ともこの変化の激しい時代において適正規模あり方広域行政進め方について模索の段階にあるのが実情だろうと思うのであります。画一的な結論はなかなか出てまいりませんので、当然のことながら、どのような進め方をとるかは関係市町村自主的判断を尊重していくということを指導運用にあたって特に御配慮いただきたいと思うのであります。  以上、希望意見を申し上げましたけれども、この改正法案方向には重ねて賛成でございます。  以上で終わります。(拍手
  8. 菅太郎

    菅委員長 次に、恒松参考人にお願いいたします。
  9. 恒松制治

    恒松参考人 学習院大学恒松でございます。  今度提案されております市町村行政共同処理する一つ制度として連合制度が提案されております。結論から先に申しますと、私は、原則としてこうしたあり方に対しては賛成でございます。  その理由を申し上げます。その理由一つは、現在の制度でも一部事務組合とかあるいは協議会事務委託等行政共同処理組織がございます。しかし、資料によりますと、この組織昭和四十五年で約五千、四千八百四十一にのぼっております。しかも四十二年からの傾向を見ますと、それは増加傾向にございます。この増加しつつあるということは、それだけ共同処理が必要であるということの証拠でございますけれども、一方、こうした共同処理組織が五千にものぼるということは、市町村行政あるいは地方行政にとってはきわめて繁雑な事態であるということは否定できないことだと思います。もちろんこうした連合組織をとります前に、既存の組織を十分にあるいは有効に活用する必要があるのではないかとか、あるいは総合的な共同処理ができる場合には、むしろ市町村の積極的な合併をしたほうが合理的であるという考え方もないわけではございません。しかし、現状共同処理方式を少しでも減らして、もっと繁雑でない、すっきりした共同処理組織をつくるということは、これから行政効率を高める上においても私は必要なことであろうと思います。  それから第二番目に、行政事務を効率的に実施する必要があるということであります。経済社会が発展をいたしますにつれて、各市町村が行なわなければならない行政水準はかなり高くなってまいりまして、こういう行政水準の高くなった公共施設をそれぞれの市町村がワンセットで整備することは、財政的にも負担がきわめて重くなってまいります。できるだけ効率的に運用する必要は、現在の地方行政の中では非常に要求されておるところだと思います。もちろん、市町村に十分な財源を与えることによってそうした高い水準公共施設を整備すべきだという意見も一方にはあると思いますけれども、しかし、たとえそうであったとしても、与えられた財源をいかに有効に運営するかということは依然として残っている問題だと思います。行政運営を効率的に行なうという立場連合制度は有効であろうと考えます。  第三番目に、これからの市町村行政は、ただ年々の行政運営していくということだけではなくて、計画を立て、そしてその計画に基づいて行政運営実施するという方向は避けられないことだと思います。こうした行政を効率的に行なうためにも、あるいは地域開発を有効に推進するためにも、市町村計画的な運営は重要な前提であると思っております。計画市町村がそれぞれ立てますよりは、より広い地域の中で各市町村がどのような地位を占めるべきか、あるいはどういう位置づけがなされなければならないかということをきめる上でも、計画化はたいへん必要なことでございます。そうした計画作成という共同作業は、これまでの共同処理方式、たとえば一部事務組合とかあるいは協議会事務委託等共同処理方式の中ではとうてい期待できないものだと考えられます。私は、この三番目の市町村行政計画運営という面から、この連合は最も重要な存在理由を持つものだと考えております。  しかしながら、こうした連合制度についてはいろいろな問題点もございます。連合制度実施する場合に考慮をしなければならない問題点を幾つかあげてみたいと思います。  第一点は、連合組織の大きさはあくまでも行政効率化という観点からとらえられるべきであるということでございます。さきに地方制度調査会では、こうした広域市町村圏の広がりというのは日常生活圏の広がりに基づくものだという答申がございました。しかし、私は、日常生活圏の広がりというものと行政効率を高めるための行政の領域というものとは一致しないのがむしろ現状だと考えております。したがって、連合組織を考えます場合には、そうした日常生活圏の問題とは別個に、どうやったら行政を効率的に運用できるかという側面から圏域の設定が行なわれなければならないと考えております。  それから第二番目には、連合というのはあくまでも各市町村行政を能率的あるいは計画的に進めるためのものであって、その自主性がそこなわれてはならないということでございます。この広域市町村圏の構想が出ましてから、ある地方団体計画担当の職員は、この広域市町村圏のねらいはわかるけれども現行の府県制あるいは市町村制との関係の中でそれがどのように位置づけられ、将来どうなるかについて非常に不安であるという感想を漏らしております。このことは、連合制度が将来かなり重要な意味を持つであろうということは予想されるわけでございますけれども、私は連合をただ単なる行政の能率化の手段と考えれば、こうした心配は杞憂ではなかろうかと考えております。しかし、こうした広域市町村圏の発足あるいは推進に伴いまして、具体的に財政援助をしなければならないと思います。しかし、この財政援助のしかたはたいへんむずかしいわけで、たとえば財政援助をかなり大幅にいたしますと、それが連合を強制するようなことになりかねません。また、あまりにも財政援助をいたしませんと、広域市町村圏あるいは連合体の発展を阻害することになりかねない。この両方をどのように調和させるかということは、連合制度を発足させる場合に慎重に考慮すべき問題であろうかと考えます。それが第二点でございます。  第三点は、この連合組織地方自治行政上、屋上屋を重ねるようなことになりはしないかということでございます。一部事務組合の場合には、さまざまな共同処理方式が錯綜することによりまして、屋上屋を重ねる危険はございませんけれども、しかし、総合的な共同処理方式になってまいります場合には、市町村と府県との間のもう一つの地方団体として、地方行政運営屋上屋を重ねる危険が私は出てくる可能性はないとは言えないと存じます。したがって、連合を考えます場合には、そうした屋上屋組織にならないような配慮が望ましいと思います。  それから第四番目に、この連合組織が一体地方自治に対してどういう影響を持つかということを忘れてはならないということであります。地方自治ということは、基本的には私はその地域に住んでおります住民の連帯性が必要であると思っております。こうした連合組織によって住民地方行政あるいは地方政治に対する関心が希薄にならないような措置を一方で十分に講じた上で、この連合組織を出発させていただきたいと考えております。行政効率化ということは別の観点から、住民の共同の意識を高めるような施策を一方で講じなければ、連合制度地方自治にとってマイナスの役割りを果たさないとも限らないということでございます。  以上四点の考慮すべき問題を踏まえて、こうした連合制度地方行政の能率的な推進の上に、あるいは能率的、計画的な運営の上に役立ってもらいたいというふうに私は考えております。  以上でございます。(拍手
  10. 菅太郎

    菅委員長 これにて参考人各位の御意見の御開陳は終わりました。
  11. 菅太郎

    菅委員長 これより参考人各位に対しまして質疑を行ないます。  柴田参考人が所用のため正午ごろに御退席になりますので、まず柴田参考人に対する質疑を行ない、次にそのほかの参考人に対しての質疑を行ないたいと存じますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 柴田参考人に対しまして二、三の点につきまして御質問をいたしたいと存じます。  柴田参考人は、広域行政運営についての市町村連合という制度を認めながらも、現状から考えて、この機構ができました際に、いわゆる住民参加の問題について、住民意思広域行政に反映する機会が少なくなりはしないかということと、さらに、自主的に運営する場合にその指導について画一的にわたらないという要望を出しておられるわけでありますが、私どもといたしましても全く同感であります。  柴田参考人全国の町村議長会を代表しての発言だと思うわけでありますが、柴田参考人の属する岩手県の盛岡市を中心とする広域圏につきましては、人口におきましても三十数万に相なっていると思います。ことに面積におきましては香川県一県にふさわしい広域行政でありまして、いわばこれらを連合方式として広域処理を包括的に実施をいたしてまいるということになりますと、私、参考人のお話しになりますように、相当慎重な態度で臨まなければならないというふうなことは全く同感でありますが、現実的にどの程度まで現在の一部事務組合推進していく上に支障があるのか、あるいは一部事務組合それ自体につきましても相当効果があがる段階に至っておるのかどうか、この辺のことにつきましてお伺いしておきたいと思います。  それと、ついでに一括して質問を申し上げますが、もう一つ地域住民の結びつきについて、将来この広域にわたる市町村連合というものにかりに改組するといたしまするならば、香川県一円に匹敵するような地域住民との結びつきをどういうふうに配慮していくということが適切であるか、その二点につきましてお伺いしておきます。
  13. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の第一点でございますが、盛岡地区の広域行政について、その関係者の一人としての立場から、私の知る範囲内でお答えを申し上げたいと思います。  先ほど御指摘ございましたように、人口は三十六万三千五百八十一人、面積が三千六百二十四平方キロということでございまして、関係市町村は十二市町村でございます。したがいまして、非常に面積が広く、またその間の連絡調整その他の面で非常に物理的な時間的な問題がございます。圏域内の一部事務組合の中には地方税整理組合一つ屎尿処理組合が三つ、ごみ処理組合が三つ、砕石処理組合一つ、卸売り団地の共同処理組合一つ、計九つございます。たとえばこの中の屎尿処理の問題を取り上げてみましても、かなり町村との距離が広うございます。したがって、処理施設まで屎尿を運搬いたしますにつきましても、途中に中継槽を置きまして、一たんそこへ運びましてから施設に運ばなければいけないというふうな、そういう非常に時間的な問題もございます。またいろいろなその他の組合事業運営につきましても、時間的な問題がかなり入ってくるものと思われますが、それらの特殊な地域といたしましては、いままでの一部事務組合運営につきましてはおおむね住民参加の形で、これがさしたる支障もなく順調に進んでまいっておるわけでございます。ただ連合制度になりました場合に、これらがどのように運用面配慮したならばより住民へのサービス向上が期せられるかということにつきましては、いろいろな見地からそれぞれの方々がいま検討をいたしておるわけでございます。しかし、この問題はいろいろな自然的条件の克服という面もございますし、また組合の構成員の市町村長なりあるいは議長なり組合議員としての十分なる活動、それが地元の市町村議会におけるような熱意としかも真剣な審議のもとに住民サービスに心がけて活動をするという面が、今後一そう必要になってくるものと痛感されるわけでございます。  それから住民との結びつきの問題でございますが、この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、一番大事な問題である。いかにしたならばいままでの一部事務組合のときよりもよりサービスがこまかな面でなし得るかということが、これが最大の目標でなければならないと私は存じておりますが、先ほど申し上げましたように、いろいろの面で総合的、計画的になり、確かにすぐれた面が出てまいりますけれども、ただ、計画あるいは審議途上におきまして、ほんとうに真剣にしかも住民から盛り上がってくるようなそういう世論の集約と申しますか受益者の集約と申しますか、そういう面での努力をより一そういままでよりも強めていかなければならないということを感じておるわけでございます。特にこういう方向住民との結びつきを強化しなければいけないという具体的な施策につきましてはまだ十分なる結論は出ていない、ただいまそれに対して検討をしておるという段階でございます。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、現在のいろいろな事業別一部事務組合、それを統合いたしまして一つ市町村連合でそれを包括的にする、しかもそれが将来発生した広域事務処理するという段階にまで至ってないというのが現状でございますか。
  15. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  機運といたしましては、確かに新しい方式一つの理想として、これを的確に実効性のあるように運営していかなければならないと思ってはおりますけれども、実際面のいろいろな問題につきましては、ただいま十分な論議をこれからも続けていかなければならないという段階でございます。
  16. 菅太郎

  17. 塩川正十郎

    ○塩川委員 それでは、先ほどの山本委員のあとを受けまして柴田さんに一点だけ簡単にお答えいただきたいと思いますが、先ほどのお話を聞いておりまして、運営面では期待するところは多い、しかし、慎重な配慮をしなければいかぬというお話でございます。そこで、一部事務組合運営する場合に運営面に配慮したことと、今後起こってくる連合成立いたしまして、その場合に運営面で配慮しなければならないこととの根本的な相違といいますか、一部事務組合よりも連合の場合には特にこういう点を配慮しなければいかぬ、そういうものが希望としてございましたならばあげていただきたい。簡単でけっこうですから。
  18. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  連合制度になりました場合、特に住民よりも位置が遠くなるわけでございます。審議の位置も遠くなるわけでございます。特にその連合議会計画なり運営面なりあるいは決算なり監査なりの状況が十分、関係市町村住民によく周知でき得るような報告義務とまでは申しませんけれども、報告の義務があるぐらいの指導はお願い申し上げたいということでございます。
  19. 菅太郎

    菅委員長 桑名義治君。
  20. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほど山本先生からの御質問の中で、結論として私の感じた点を申し上げますと、原則的には賛成ではあるけれども、一応現在の段階ではまだ完全な討議を尽くしていないので、機運としては、そういうふうな連合をつくることが望ましいという機運はあるけれども、具体的にはいろいろ問題点は残っておる、こういうお話のようでございました。また柴田さんのお話の中で、原則的には賛成ではあるけれども、市町村議会の固有のいわゆる権限を侵してはならないという配慮が必要であるとか、あるいはまた各市町村議会自主性をそこなわないようにしなければならないとか、そういうお話があったわけでございますが、この機会に、市町村議会権限を侵さないようにするには具体的にどういう方向をとったほうがよろしいかという、そういう具体的な皆さま方の御意見をここでお聞きしておいたほうが今後の審議の上に役に立つんじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういうお考えがございましたら、この二点について御意見を伺っておきたいと思います。
  21. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  第一点でございますが、私の地元は東北の岩手でございますが、東京あるいは大阪周辺の市町村の場合とはおのずからその感じ方も違ってまいろうかと思われますので、私の立場から申し上げますと、やはり東京近郊あるいは大阪近郊の市町村立場もよく理解できますので、本案に賛成いたしておるわけでございます。  それから第二点でございますが、この地方議会権限が侵害されるとか、あるいは侵害されないまでもある程度存在理由が脅かされるというふうなことにちょっと触れたわけでございますが、これは審議される機関が離れるわけでございますので、どうしても監視の目がいままでよりは遠くなってしまう。そこでそれにつきまして先ほど申し上げたわけでありますが、何とかして報告できるように、事業内容なり監査報告なりの内容地域住民代表である地元の議会によくわかるように周知せしめるという措置がたいへん必要ではないかと思うわけでございます。分担金を審議する際に一応のそういった内容の資料は検討されますけれども、一たん分担金を支出してしまいますと、その後それがどのように使われどういう効果をあげているかということについて、よく承知し得ない場合が多いわけであります。と申しますのは、市町村長なりあるいは議長なり議員なりが、組合議員にあるいは管理者になっておりましても、それらの人たちが本来であるならば懇切ていねいに一部事務組合内容についてよく地元議員に説明をなされてしかるべきであると思いますけれども、しかし、それは実際問題として、恥をさらすようなことではございますけれども、十分よく行なわれていないということ、そういう面はやはりある程度指導が必要ではないかということを感じるわけでございます。そういうふうにして連合制度ができたならば、連合組合実態というものがよく地元の議会を通じて地域住民に結びついて、ことに身近なところにそういったりっぱな施策がなされておるということを知らしめたい、このように伝達する方法を何とかくふうしていただきたいということであります。
  22. 桑名義治

    ○桑名委員 もう一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、今度の法改正の中身で、構成団体の長が議員になるとかあるいは構成団体議員管理者になるとか、こういうお互いに兼任ができるような形になっておる。そうなってきますと、あなたのおっしゃっておる市町村議会のいわゆる権限が大いに削減をされていくという方向にむしろ走っていくのではないか、こういうふうに私たちは思うわけでございますが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  23. 柴田嗣郎

    柴田参考人 確かにそういう傾向はあろうかと思われますけれども、しかし、そういう特殊な事情を持つ地域であれば、そういう方式も適正であればいいのではないか。ただ、地元の議会としては、確かにそういう懸念を持つわけでございますけれども、そこにつきましては、やはり議会が十分代表者にその点お願いをする以外にないんじゃないかと思います。その点については、管理者議員を兼ねた場合でございますか、御質問の……。
  24. 桑名義治

    ○桑名委員 今度の法改正では構成団体の長ですね。たとえば市長さんとか町長さん、こういった方が今回連合管理者になることもできれば議員になることもできる、あるいは構成団体議員が今回の連合管理者になることもできる、こういうふうな両刃のやいばになるわけですね。そうなってくると、この問題に対しての市町村議会権限が大幅に削減されていく形になるのではないかという質問をしているわけです。その点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますかという質問です。
  25. 柴田嗣郎

    柴田参考人 市町村議会権限が削減されるということは、私はどうもあまりよくわかりかねます。
  26. 桑名義治

    ○桑名委員 わかりました。  では以上で終わります。
  27. 菅太郎

    菅委員長 吉田之久君。
  28. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いま柴田さんからいろいろと御意見を承りまして、われわれもそのおっしゃるところもっともだという同感の気持ちがたいへん強いわけなんです。  一部事務組合が、いずれこのままの形では行き詰まってしまうだろうかどうかという問題なんですが、その点議長さんはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。このまま非常にふえてくると、どうしてもこの辺で連合形式に切りかえないともう処理がし切れないんじゃないかというふうに一各委員の方、多くの委員の方がお述べになっておりますが、議会の側から、現にあなたの町あるいは周辺の町村でどんどん一部事務組合がふえていく、このままではばらばらになって複雑多岐に分かれ過ぎて、しかもどれもこれもが中途はんぱでどうにもならないだろうかという現実の問題をもう少しお教えいただきたいと思います。
  29. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答えいたします。  やはり地域的な格差もあると思います。したがって、時間的なズレもあろうかと思いますが、方向としては一部事務組合の数カ町村の問題として考える時代をさらに一歩進んで、より広域的な十カ町村なりあるいは二十カ町村全体の中でこれを計画、調整していかなければならないのじゃないか、そういう地域もかなり出てまいっておるのじゃないかという感じであります。やはり地域的に相当な差があろうかと思います。
  30. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 そこで、より合理化効率化をはかる面では、この辺で連合という形に踏み切ったほうがいいのではないか、ところで、この連合方式については、理事者の方々はまず抵抗が少なくて、すんなりそのほうがいいという考え方が非常に大きいだろうということはわれわれはよく想像できます。しかし、一番心配なのはやはり議会側だと思うのです。いまも御指摘がありましたように、この連合方式というものがどんどん進んでいきますと、本来の市町村議会というものが、やがて五年先、十年先にはほんとうの形骸化したありきたりの行政、それを住民の側から監視していくというだけであって、時代の変貌に対応して出てくる新しい問題はすべて連合の側に移ってしまう。そこへはずいぶん手が届きにくい。いろいろな形で議会の議長さんや議員さんらも出てはいかれるでしょうけれども、本来の議会のようにそんなに住民と直結した形ではない。そうすると、この連合形式というものがこういう中途はんぱな形で進んでいきますと、本来の地方自治体というものが全く名前だけの地方自治体になってしまうおそれはないだろうかという点をわれわれも非常に心配するわけなんです。  そこで、こういう連合という形式は、一時の過渡的な段階としてはあり得ても、これは非常に安定した形の理想的なものではないという意見は多いだろうと思うのですけれども、その辺のお考え方はいかがでございましょうか。
  31. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  私も過渡的な問題として把握すべきであろうと思います。
  32. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 そうすると、さらに将来はこういう中途はんぱな形で議会権限が軽視されたり無視されたりするおそれのあるいわば地方自治制度としては根幹に触れる問題を残したままで連合形式を踏んでいくよりも、やはりほんとうは町村合併を促進する、あるいはどうしてもできないところはいままでどおりでいくほうが問題は少ないのじゃないかというふうにわれわれは思いますけれども、その点いかがですか。
  33. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  確かに理論的には私も合併すべきところは合併したほうがよりすっきりする、また、どうしても合併の不可能な条件を持っておる地域は、これは連合方式で進んだほうがいいのではないかというふうに一応考えております。しかし、この連合方式運用面で国と県が十分な配慮を持っていけば、ある程度のそういったマイナス面が減殺されていく可能性は私は持っていると判断いたしております。
  34. 菅太郎

    菅委員長 林百郎君。  ちょっと申し上げますが、他の参考人に対する質疑も十分時間をとりたいと思いますので、柴田参考人に対する質疑はなるべく簡単に締めくくっていただきたいと思います。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 柴田さんにお尋ねいたします。  先ほど、連合組織ができてもそれを構成している各自治体自主性が尊重されるということが侵されてはならないんだというお話がありました。  そこで、私は三点ほどお尋ねしたいのですが、この連合で、こういういままでの一部事務組合よりは非常に強力な組織体ができる。たとえば連合において処理しようとする事務はすべての市町村を通じて同一のものでなくても差しつかえない、一部の自治体が必要があれば、一部の自治体では必要でなくても、それでも連合事務処理できるんだということ。さらには「連合共同処理する事務を変更しようとする場合において、あらかじめ、連合規約で特別の定めをしているときは、連合議会の議決をもつて関係地方公共団体の協議に代えることができる」のだ。一部事務組合なら関係地方団体が協議してやる。こういうような規定を見ていきますと、これはこういう強力なものが恒久的にできてしまうということは、地方自治体の上にもう一つの新しい強力な地方自治体——と言ってはなんですけれども、新しい恒久的な機構ができてしまって、その下にある地方自治体の議会なりあるいは権限が侵されるということが非常に心配なんですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。ことに議会権限が共同体の議決でどんどん変えられていくということになれば、それを構成している地方自治体の議会権限というものは非常に侵されるのではないかと心配になるのですけれども、その点どうお考えでしょうか。
  36. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  確かに傾向といたしましてはそういうことになる面が出てまいるものと思われます。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 ことに費用負担など、そういうある一定の仕事を要求しているたとえば中核的な市がある、あとは町村が入っている、それで共同体ができている、市で要求するある仕事で共同体で議決すれば、それを要求しない町村もそれに入ってくる。しかも費用負担までかかってくるわけです。要するに共通の事務でなくてもいいということになりますから、この点はあなたも心配されておっしゃっておられるものですから、私もその点がこの法案について非常に心配になりますので質問しているわけです。  それから、時間の関係で次に進みますが、もう一点、先ほどの質問にもありましたけれども議会管理者との混同ですね。これは一部事務組合でも、連合議会議員管理者または理事者を兼ねることができるという、この一部事務組合の規定に対しては、昭和二十八年九月二十二日に、どうもあまり好ましくないんだという行政実例として自治省からの見解が出ているのですけれども、しかし、今回の規定を見ますと、「連合議会議員は、管理者又は理事と兼ねることができる。」ということがはっきりしておりますし、連合には管理者にかえて理事会を置く、その理事会には議員も参加するということになると、執行機関議決機関が混同してしまうということが非常に心配になるわけですけれども、その点についてはどういうようにお考えですか。議会の構成員が管理者になって、そして執行していくということになりますと、そこへ混同が起きてくるわけですね。その点はどうでしょうか。
  38. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  理事者になり、一方で議員として、両方の権限を持ってしまうということでございますが、それは選択的にそのような方式をおとりになるところがあれば、それなりのチェックすべき点を配慮の上におやりになろうかと思いますし、また御承知のとおりの内容でございますので、そういう方式をとらなければならないというわけでもないのでございますので、とる場合には、そういった面を十分チェックするようなことを配慮されておやりになるのではないか。おそらく関係市町村議会としましては、そういう時点においてはそういうチェックの面を十分考えるのが当然かと思われます。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ、これで終わります。  本来、議会というのは、いまの日本の制度のもとでは、執行機関に対して議会から批判を加え、執行機関あり方について姿勢を直し、是正をさせ、よい点は助長するというところに議会の本来の任務があるわけですね。だから、執行機関議会というものは峻別されていなければならないのに、議会議員執行機関になり理事者になりして執行してしまえば、そして自分は今度は自分の自治体の本来の議会に戻って、その共同のやった行為に対しての批判がその人はできないということになってしまうのですね。ことにそれが議長であるとかいうような、そういう議会において重大な責務を持った人が共同の管理者になれば、ますますその管理者である議長の出ておる自治体議会というものの機能が薄らいでくるように思われます。あなたは、それはチェックされるべきだとおっしゃっておりますが、これはまた政府に聞いてみるつもりです。  最後に、こういう強力な一部の自治体の要求するところを議決することで共同の市町村協力させることができるとか、あるいは連合規約管理者にかわる理事会を置くことができるとか、あるいは事務局長を置いて、理事会は規約で定める重要事項を除いて、その権限に属する事務事務局長に委任するとか、まあ新しい一つの強力な、関係自治体を拘束する組織ができるわけですけれども、これは言うまでもなく、憲法では、地方公共団体の長だとか議会議員あるいは吏員は、その地方公共団体住民の直接の選挙によるということになっているわけですけれども、選挙をされずにこういう加盟している自治体の上位にある、次元の高い共同ができるということは、本来憲法で規定されている地域住民の選挙権あるいはリコール権とか、そういうものを制限することになりはしないかということが心配されるのですけれども、この点については何か御見解をお持ちですか。なければないでけっこう、これは政府に質問することで、あなたに質問することは少し荷が重いんじゃないかとも思いますけれども、お考えがありましたらお聞きしておきたい。
  40. 柴田嗣郎

    柴田参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問、私は非才でございますので十分わかりかねますけれども、法理論的にこれを追及していきますならばやはりいろいろな問題点はあろうかと考えられますけれども、私不肖にしてよく御説明申し上げることができませんので、その程度でお許しいただきたい。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 けっこうです。
  42. 菅太郎

    菅委員長 柴田参考人には貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  引き続き、安養寺参考人久喜参考人及び恒松参考人に対しての質疑を行ないます。なお質疑の際には参考人の御氏名をますお示し願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩川正十郎君。
  43. 塩川正十郎

    ○塩川委員 私は、安養寺参考人恒松参考人のお二人に簡単にお聞きいたしたいと思いますので、簡単にお答えいただきたいと思います。  まず最初に安養寺さんに対しまして、まあ反対の立場で言っておられるのでありますけれども、しかし、その主張されるところをよく聞いてまいりますと、あながち全面的反対ではないというふうに私は受け取っております。それはどういう点かと言いますと、自治体自主性が確保できればということの一点であったと思うのですが、そこで私がお聞きいたしたいのは、自治体自主性が確保できるということであるならば、これは行政効率を高める点において有効な手段であるというふうにお考えであるかどうか、これをひとつお聞きいたしたい。いやそうではない、それ以外に行政効率というものを高めるのにもつと他の方法があるとおっしゃるならば、それもふえんして述べていただきたい、このように思います。  それから恒松さんにお聞きいたしたいと思うのですが、お話の中で、私の解釈が違ったかもしれませんけれども連合制度というものが運営する場合に注意しなければならない問題点の中で、共同意識というものが希薄化していく、連帯意識が希薄化していくということを言っておられたと思うのであります。それはどういう意味なのか、私はちょっと詳しく説明していただきたいと思うのです。むしろ現在生活圏というものが広がってまいりまして、お互いにいわゆる目に見えない線で引かれておる自治体、これが孤立化していくことが、あるいは単独化していくことがかえっていけないのであって、連合制度等によってむしろ連帯意識が強くなっていくのではないかと思うのですが、何かお考えがあってそう言っておられると思いますので、その内容をひとつお聞かせいただきたい。  以上二点であります。
  44. 安養寺俊親

    安養寺参考人 私が申しました中で、自治体自主性ということばを使ったものもございますけれども、この内容はまたなかなか私は問題があると思う。自治体というものを、ただそこの執行機関とか議会ということに限れば、私は方法論はあると思うのです。私が最も問題にしておりますのは、自治体を構成している住民が実際にその運営にほとんどタッチできなくなる、そういう自主性のことを一番問題にしているのであります。  そこで、行政効率をあげるためにはこういう方法も必要であるのではないか、こういうことなんでありますが、それには私はまず第一に現状の認識が少し問題があるんではないか。私どもしろうとでその辺はよくわかりませんけれども全国をよく回りまして、いろいろ数多くの一部事務組合のお話を聞きます。またわれわれ労働組合組合員の立場からいろいろ団交をやったりすることもございますけれども、相当な部分は、これは一部事務組合でなくていいんではないか。お互いに行政協定をして相互に利用できるようなことをやるとか、たとえばヨーロッパなんかでは非常に進んでおるのでありますが、中心になる都市に、たとえば大容量の清掃の終末処理場を設けて、その周辺は原価計算をしっかりやって、その料金によってそこに持っていくとか、そういうようなことをやるならば、幾らでもやり方はたくさんある。あるいは計画の策定というようなことになってまいりますと、これははたしてこういう議会で決議をするというようなことに一体なるのだろうか。計画というものは、予測があって、そしてそれによって一つの見通しを立てるわけなんでありますから、これこそ私は協議会で十分にやれるし、また協議会のほうはもっと生き生きとした発言がたくさんできるし、また自由な立場で調査もできるのではないか、こう考えてきますと、現在ある一部事務組合は数が多いということにまずメスを入れる必要がある。それは単に固有事務に対する財政配分というものが非常に進んでいないということをかりに抜きにいたしましても、問題がたくさんある。そういう二との上に立って、はたしてこの連合方式ということがどうかということなんですが、一部事務組合で私はある程度カバーできる面があるんではないか。たとえば内容一つだけの一部事務組合にしないで、二つの項目を明確にした一部事務組合ということだってあるわけでありますから、そういたしますと、少なくとも今回の総合事務組合よりももっと住民には明快にその内容を示して審議をすることができるのではないか。それからさらに、もし最後にどうしても行政効率上こういう総合事務組合をとらなければならぬということにかりになるとするならば、それは私は、事務内容は少なくとも法律できちっときめないと、どんどん拡大してたいへんなことになるのではないか。  それからもう一つ財源の問題でございます。たとえば、イギリスあたりでは、こういう一部事務組合を大々的にとる場合には、必ずそのとるべき財源を目的税という形で非常に議会で規制をしているのです。これ以上はとれない、あるいはこの標準でとるべきである、そういうことが、たとえば教育区なんかは沖繩でもそういう方式をとられてきたのでありますが、そういうようなことが一方で確実に規制をされておってはじめてこういうことができるという程度のものであるのじゃないか、かように考えておるわけです。
  45. 恒松制治

    恒松参考人 ただいま連帯意識が希薄になるということの具体的な内容とおっしゃったわけですけれども、大体一般行政の領域やあるいは統括する地域社会の広さが広がってまいりますと、どうしても産業構造といいますかあるいは職業構成は複雑になりますし、ある地域施策は他の地域の人が完全に無関心になるというような形で、どうしても地域が広がれば、住民の連帯感というものは、私は薄くなる傾向はどうも避けがたいのじゃないか。これは具体的に調査などをして調べたわけではございませんけれども一般にそういうことは言えるのではないかというふうに思います。ですから、行政単位としての地域が広がるということと、それからそこに住んでおる人たちの連帯感がどう結びつくか、強くなるかということとは別問題として考える必要があるのではないかどいうような気が私はいたします。ただそういうちょっと常識的な考え方でございます。
  46. 塩川正十郎

    ○塩川委員 どうもありがとうございました。
  47. 菅太郎

  48. 山本弥之助

    山本(弥)委員 安養寺参考人にお伺いしたいと思いますが、いままで広域市町村圏行政指導で行なわれてきておるわけでありますが、おそらくあと三年ほどたちますと、全国が大体三百四十から三百五十の広域市町村圏に格づけされるという段階になっておるわけであります。そこで、実例からいいましてもそうないと思いますが、過去のこの構想が始まってからまだ日がたっていないわけでありますが、市町村職員と従来は協議会あるいは一部事務組合という方式共同処理が行なわれておると思います。その際に、職員の意向あるいは当局者とのいろいろ労働条件の問題等に関連して、どういうふうに支障を来たしておる実例がおありかどうか、その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。  それからもう一つ広域行政実施する場合に、市町村の自主的な創意によりまして逐次いろいろな形式を活用してやることによって効果があがるのであって、上から方式を示して指導をするということは、市町村それ自体の行政水準を向上するということにもう現在では十分でないというときに、包括的な連合によって安易に、指導によりまして連合組織していくということについての市町村自体の住民自治の体制をそこなうという御発言がありました。私も全く同感でございますが、ただ、広域行政処理してまいるに現在のあらゆる形式を活用するということについては、御異議がないのかどうか。この点について、二点だけお聞かせ願いたいと思います。  それから久喜参考人にお伺いいたしたいと思いますが、いろいろ全国的な趨勢を見ますと、伝染病院隔離病舎火葬場、ごみ処理屎尿処理といった保健衛生を中心とした共同処理が一部事務組合でいままで行なわれておるわけであります。包括的になりますと、市町村行政のあらゆる分野が私は安易に連合という形に移っていくおそれがあるような感じがするわけであります。いままでの一部組合といたしましても、私は、最も重要なのは、こういった、先ほど恒松参考人がお話しになりましたように、屎尿処理のごとく相当な技術を必要とし、また財源も必要とする事業については、ある程度まで科学的処理をするという場合には共同処理の必要であることは認めざるを得ない、私どもまたそうすべきであると考えておるわけであります。しかし、いままでやったところを見ましても、圏の設定からいいまして、先ほど柴田参考人が言ったように、広域であればあるほど、それを一つに統合するのではなくて、二つ、三つ圏内に設けざるを得ない。しかも、その場合におきましても、はたしてその運搬過程その他において効率的であるかどうか、さらに深く検討する問題があるのではないか。財源いかんによってはもっと他に十分配慮すべき問題が出てくる。そういたしますと、十市町村だとかあるいは相当まとまった市町村一つ事業をいたしますにしても、それを効率的に処理する場合は、おそらくその中の二町村とか三町村とか、そういったことで行なわれると、それを包括的に処理いたしますと、同じ事業圏内市町村が、二つ設けるとすれば二カ町村、三カ町村、いわば屎尿処理だけでも、それを一つ連合で予算をきめ、どう処理するかということについてもやはり相当複雑になってまいる。それがその他の事務も合わせまして連合処理してまいるということになると、ますます連合処理のしかたもめんどうになってきやしないか。数は多くなりますけれども、効率的にはむしろ最小限度の必要な多く組合ができても、一部事務組合でその事業処理していくことが能率があがるのではないか。保健衛生の事務も教育の問題も、その他産業基盤の問題も一緒に処理するとなりますと、これは包括的な組合としてはなかなかめんどうになる。それだけ住民の関心も薄くなる。関係のある組合だけでその事業をやるということがかえって地域住民の関心の度からいっても、組合は多いけれども、能率的に処理をするということからいいますと、複数の一部事務組合のほうが能率があがる場合もある、こういうふうに考えるわけですが、その辺の御意見をお聞かせ願いたいと考えております。  それから恒松参考人にお伺いいたしたいと思うのですが、いろいろ将来の市町村行政広域的に処理しなければならない事務についての必要性を認めながらも、いろいろな問題点を御指摘になったわけであります。私ども今後の地方自治体を考えてまいります際に、あくまで地域住民に密接しておる市町村の機能、これを強化するという方向に行かなければならぬ。その場合に、単独の市町村では、今日の流動する経済情勢下においてはあくまで一定のまとまった区域が、どうその市町村の将来の計画を立てるかということにつきましては、広域的な協議、連絡ということの必要を認めておるわけであります。そのためには計画の策定、連絡調整ということは、あるいは必要によって一部事務組合あるいは協議会あるいは任意の協議会という形式で十分連絡をとっていくべきである、こう考えておるわけであります。その場合に、広域的に処理することが能率的であるという事務は、これはある程度まで、その場合にはできるだけ地域住民の監視のもとに、地域住民のほんとうの便益になる事務に限定して推進すべきであるというふうに現段階では私は考えております。  ただ、将来の地方行政あり方につきまして、今日府県と市町村と分かれておるわけですが、市町村というものを重視をしてまいるときに、安易に県の行政にまかせるということではなくて、それぞれの市町村行政水準を高めることに努力をしながら、できるだけ市町村自体の事務として広域的に処理をする、そのことが市町村全体の行政水準を高め、市町村行政強化するという意味におきましては、将来連合方式ということも考えざるを得ないという事態になろうかと思うのでありますが、その際はあくまで私は府県との事務の調整というものをはっきりすべきである。府県は極力限定された事務に、いまみたいに、大体の基準はありますが、府県でもできる、市町村でもできるということではなく、市町村に重点を置きつつ、府県の事務を制限的にする、こういう一つの考え、将来のあり方を考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、その地方行政あり方というような問題についての御意見を承りたいと思います。  もう一つは、これは事務的ですけれども、一応いまの段階で三百四、五十のものがかりに固まったとしましても、いまの経済情勢は動いておりますので、おそらく一応固まった体制からはみ出して、よその組合共同処理しなければならぬという問題が出てくる場もありますし、あるいは町村合併をすることがほんとうに住民意思にかなうという場合も出てくるのではないか。そのときにぴたっと連合という動きのとれない、脱退もできない、どうしてもいやという場合は自然に出ていく以外にはないだろう、分担金や負担金も取れないわけですから。そういうときに連合体で固めてしまうということはやはり十分慎重な配慮が必要だ。過去の事例を見ますと、策定のときからの補助金、その後の単年度一千万円とか包括的な補助金交付税、起債を優先的に認めるということで、おそらく今後も、連合方式ができますと、そういうことによって行政指導財源とともに指導される。そういたしますと、ある段階で動きのとれないような事態にまいりますと、その点はあくまで——これは自治省ではそう言っておられるわけでありますけれども、これは慎重にあくまで自主的な体制に、自治省は財源的にバックアップするのだというが、相当いわば行政指導は後退した姿でやらないと、私は、市町村自主性といいますか、住民自治という自治本来のたてまえが後退する心配があるという感じを持っておりますが、この三点につきましてお聞かせ願いたいと思います。
  49. 安養寺俊親

    安養寺参考人 二つ御質問がございましたが、大体同じような性格のものでございましたので、一緒に意見を申し上げたいと思いますが、私どもがいま職員側から見ましたところでは、現在のいろいろな協力やあるいは共同して処理をする必要がある場合に、現行制度で十分活用できるのじゃないか。現行制度でさえ共同する場合には相当問題点を持っておるわけなのに、それ以上強力な法律的な裏づけを持つということは、さらに問題を複雑化し、非常に危険な状態に置くことになるにしかすぎない、私はこういうように考えるわけです。たとえば協議会という段階でいま新市町村圏をやっておりますが、この協議会が新市町村圏ということで指定をされ、できましたのも、地域で自主的にやろうじゃないかというのでできたというよりも、ほとんど、こうやれば幾ばくかでも金が出るからということが動機になってできたというところのほうがずっと多いのではないか。したがって、本来は個々自治体固有事務財源付与をしていくということがまず行なわれて、その上で自治体が自主的に必要に応じていろいろな形で共同処理をし、あるいは共同の事務を行なっていくということが本来の姿であると思うのに、こういう形で一斉に形式的に全国的にネットワークを設けるというようなやり方が、はたしてほんとうに地方住民意思基礎にした地方自治体であろうかと私どもは非常に憂えるわけであります。特にわれわれの関係から申しますと、一度協議会ができて、いろいろその中において事務組合などができた場合、そこの職員労働条件などの問題でいろいろ交渉することがあるのです。そうしますと、いやこれは私はそれには反対をして皆さんと同意見であったのだけれども協議会でこうきまったのだからしかたがなかったのだ。それはおそらくわれわれに対する回答の場合だけではなくて、一般市民に対しても当然同じような答えが用意されてくるのじゃないか。現状でもそのようなことがあるのに、これが法律的に確立をしてくると、ますますその状態は大きな問題を生んでくるのではないかと私は思っているわけであります。
  50. 久喜文重郎

    久喜参考人 私に御質問の件についてお答えいたします。  ただいまお説のように、じんかい処理とかあるいは火葬場とか屎尿処理とか隔離病舎とか、保健衛生に関すること、化学検疫等を主体にしてやっておるようでございます。そこで実はだんだんと総合的になってくるのじゃないか、こういうお説でございますが、それはおのおのその地方地方の事情によりまして違う、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、私のほうを参考に申し上げますというと、私のほうはじんかい処理場、これは当市、私のほうの市に二つございます。一つはごみだけ、一つはごみと厨芥を一緒に処理できるもの、これが二つりっぱなものがございます。そこでほかの町村の分まで、新しくつくらないで私のほうへ持ってきて、そうして全部処理しておるわけでございます。御承知のように、西武鉄道が引けまして、東京から時間的に非常に短くなってきたわけでございます。それで、観光客がだいぶいらっしゃるわけでございます。おもにいらっしゃるところが大滝村にあるところの三峯神社、これは上までずっと観光道路ができましたからずいぶんいらっしゃいます。ところが、大滝村は人口四千七百幾人の村でございます。したがいまして、この村でもってじんかいを焼却するということは、なかなか実際問題としてむずかしい。その次は野上町でございます。これは長瀞がございますから、日曜、祭日には何十万と人が参ります。そこで置いていらっしゃるのはごみ、それから屎尿の処理等にも非常に困っておるわけです。したがいまして、中心市の秩父市がこれに対してめんどうを見てやらないというと、これは実際問題として八千ぐらいの町、それから四千そこそこの村では処理できません。なおまた次は両神村ですが、これは人口が三千幾人でございます。そこで両神山というのは実にりっぱな山でございます。ここへも学生とか若い方々がたくさんいらっしゃいます。また置いていらっしゃるのはごみやその他たくさんそういうようなものばかり、それを三千幾らぐらいの村でもって処理することはとうていできません。そこで、これは屎尿処理であるとかあるいはごみというようなものは、その市町村の責任においてやらなければならないときまっておるわけなんです。市町村の責任においてやらなければならないといいましても、これは三千か四千の小さな自治体でできっこないわけです。そこで秩父地方の半分は秩父市が人口を持っておるわけでございまして、小なりといえども秩父地方の山間部の小さな都でございます。したがって、これはめぐりの町村からのお客さまがたくさんいらっしゃらなければ秩父市の商店街はやっていけない、こういうことでございます。したがいまして、秩父市が愛の手を差し伸べて、そうして隣の町村のめんどうを見てやらなければ実際問題としてそれができない。空気がおいしくて水が清らかだといいましても、お客さんがいらっしゃってごみばかり置いてまいりましたんではどうしようもない。しかしながら、どうしてもその町村の力ではやることができない。それをこの一部事務組合でやる、それでは複雑多岐であるから、連合体でやるこの案が一番いい案である、こういうふうに私は考えるわけでございます。  それからもう一つ、消防も実はこの四月一日から始めたわけでございます。私どもの市には三階のりっぱな消防署がございます。そうしてはしご車も二つございます。それから化学消防車もございます。ところが、ほかがなかなかそういうわけにいかない。じゃんと鳴りましても、野らに行っている人がかけてきて、車を持ってかついで行ったら、すっかりもう家は燃えてしまっています。したがって、これは秩父市が一生懸命やってやらなければだめである。したがって、市の議員のうちには反対があったのでございますけれども、私は説得いたしました。めぐりの町村が繁栄しなければ秩父市の商店街もだめになっちゃうんだから、これは君たち、がまんしてくれたまえ、なるほどそうだというので賛成をしてもらいました。さようなわけでございます。  なお、特に申し上げたいことは、四十六年度に養護学校、これも秩父市にございます。知恵おくれの子供でございます。これもほかの町村に広げたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なおまた病院ですが、市立病院がございます。小鹿野にも町立病院がございます。ところが、秩父は山の中でございますから無医村地帯、お医者さんのいない地帯がたくさんあるわけでございます。そういうところへはやはり連合でもっていまの市立病院を総合病院にしていただいて、そして小鹿野は分院にして、医者のいないところにはおのおのずっと診療所をつくって、そしてお医者さんが行って診療してやる、こんなふうにいたしたいという案を持っておるわけでございます。  なお、この間青年商工会議所で市民にアンケートをとったのでございます。そうしますと、救急センターをひとつ至急つくれ、こういうのが市民の圧倒的多数の要望でございました。そこで市長議員はどう考えておるか、こういうようなふうに聞かれたのでございますが、私は市立病院に設置いたしたい、こういうふうに答弁したのでございますが、議員の方の多数の方は、これをぜひ広域行政でもってやるべきである、こういうような意見が出ております。これは公明党の方が二人、社会党の方が三人、それから私のほうの議員がいるんでございますが、民社党の方がお二人、みんなそれを言っております。保守系の方はもちろんでございますが、さようなわけでございまして、それは参考に持ってまいりましたから、お入り用であれば後ほどお届けいたしますが、さようなわけで、私のほうは非常にうまくいっております。これは隣の町村民が理解をもってやっていただいておりますので、非常にうまくいっております。まことに感謝にたえないわけでございます。
  51. 恒松制治

    恒松参考人 ただいまたいへんむずかしい御質問をいただいたわけで、地方行政あり方をどう考えるかという御質問でございます。  市町村行政事務を合理的にやりますために、あるいは能率的にやりますために、現在の一部事務組合とかあるいは協議会でも私はできると思っております。ただ、先ほど申しましたように、たいへん数が多くなってまいりますと、統計の上では五千ぐらいあるわけでございますが、三千の市町村といたしましても、一つ市町村が少なくとも一・五ぐらいの共同処理組織加入しているわけで、その処理がたいへん繁雑になることを避けるということが、私は一つこの連合組織のメリットだと思っております。  それから先ほど御質問になりましたように、広域処理事務を限定することが必要じゃないかということを御指摘でございましたけれども、私は全くそのとおりでございまして、それはこの法案の中でも、連合において共同処理しようとする事務はすべての市町村を通じて同一の種類のものでなくても差しつかえないというふうに書いてございますので必ずしも私は全部の行政事務について共同処理する必要はなくて、やはり限定する必要も出てくるかと思います。ただ、私がこの連合組織に一番多くのメリットを見出しますのは、連合地域の中で、あるいは広域市町村圏と申してもよろしいと思いますが、その中で計画を策定するということは、この連合組織の一番大きなメリットであろうと思います。それだけを取り出しましても、この連合組織と申しますか、あるいは広域市町村圏存在理由は十分にあるというふうに私は考えております。  それからもう一点、こうした連合組織ができました場合に、府県と市町村との関係はどうなるかという御指摘でございました。私はもちろん地方自治の基本は市町村にあると思っております。私の持論なんですけれども、府県は地方自治の基本的な組織であるとは私は考えておりませんものですから、したがって、この連合が非常に機能的にあるいは効率的に行なわれるようになりました場合に、当然府県をどうするかという問題が必ず出てくると思います。現在の府県制度がそれでいいかと申しますと、私は決していいとは思っておりませんし、いずれは府県制度に対して抜本的なメスを入れざるを得ない時期がくるんではないかと思います。その場合に、やはりこの連合が順調に成長していくということはたいへん重要なことではなかろうかと思います。  それから第三番目に、連合を固まったものとしていまつくっておきますと、動く世の中の中で、地域社会が動く状態の中で脱退の自由がきかないというようなことになるとたいへん不自由だという御意見でございますが、これは私、法律にあまり詳しくないものでわかりませんが、決して脱退ができないというふうな規定はないわけでございますので、あるいは脱退ができる道も開かれるのではないだろうかという気がいたします。  ただ、問題は、ちょっと御指摘になりましたように、お金を出す、連合をつくれば補助金も出す、あるいは交付税の配分も重点的に配慮するというようなことがありますのですが、そうなってまいりますと、どうも金でもって連合をつるという、いささかそういうにおいがかげないわけではない。したがって、私は、補助金を出す、あるいは財政的な援助をすることはたいへん必要なんですけれども、その出し方は十分慎重にあってほしい、こういうふうに思います。
  52. 菅太郎

    菅委員長 桑名義治君。
  53. 桑名義治

    ○桑名委員 私は恒松参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどからいろいろとお話を伺った中で、原則として賛成だ、その中で、いまもお話がございましたが、計画的な運営ができるということが第一項目と、それから財政的な効果が非常に大きいということ、それから三点目はそういう傾向にあるという、社会の要請であるという、この三点から賛成の意を表された、こういうお話でございました。  その反面に、運営上の問題といたしまして組織の問題や、これは日常生活圏を中心にするんじゃなくて行政のいわゆる効率的運営という立場からの大きさでなければならない、それや、あるいは各市町村自主性の問題、それからいまお話がございましたように、財政援助の問題が強力になされるならば、むしろそれが強制的なものになってしまうどいうおそれがある、それから屋上屋の問題や、あるいは地方自治に対する影響を考えなければならない、こういうふうにお話を伺ったわけでございますが、前半の賛成というのはもちろんメリットでございますし、あとのほうは運営のしかたによっては大きなデメリットになる、こういうふうに私は思うわけでございます。これはてんびんにかけるわけではございませんけれども、しょせんこういうようなお話が出てきますと、てんびんにかけざるを得ないのですが、法律のいろいろな面から、今回の法改正の面からいろいろとながめてみますと、あなたのいま心配なさっていらっしゃる面が大きく出てくるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、運営上の問題として御心配くださっていただいているこの面についての具体的な何かサゼスチョンみたいなものがあれば、伺っておきたいのです。
  54. 恒松制治

    恒松参考人 私は一つ制度というのはそれだけで完結するものではなくて、いろいろな制度とからみ合わさなければその効果があがらない、すべての制度はそういうものだというふうに理解しておりますので、先ほど申しました注意すべき点という点を四点ばかりあげたわけでございます。てんびんにかけましてどっちが重いかというと、私、経済学者なものですから、やはり効率のほうに重みをかけたいと思います。  具体的にそれではどういう点を考えたらいいのかということで、一つは連帯意識の問題とからみ合いまして、市町村行政範囲が広がってまいりますと、別に連帯意識を高めるようないろいろな方策を考える必要がある。たとえば部落に集会施設を設けて人々の連帯意識を高めるような核にするとか、あるいはヨーロッパの都市にありますように、一つの広場みたいなものが町の中にあって、それが連帯感を強めるような役割りを果たすとか、そういういろいろな施設をつくることによって行政効率化とそれから連帯性というのを両立させることは、私は十分に可能だというふうに思います。  それから財政援助の問題でございますけれども財政援助をいたします場合に、連合組織そのものに財政援助をするということではなくて、あくまでも連合できまったことを各市町村がやります場合に、そこへ補助金なりあるいは交付税の優遇措置なりをつけるというふうにすれば、その連合市町村から遊離した形で存在することを防ぐことになるだろう、これは補助金の出し方の問題でございます。  それから屋上屋を避けるということは、先ほどからも問題になっておりますが、この連合組織というのはあくまでも市町村連合体なんであって、それ自体が独走すべきものではないということは、これは管理者あるいは理事会あるいは連合議会といいますか、そういうもののあり方を考えることによって、うまくすることによって解決できる問題だと私は思います。  先ほどからもちょっと問題が出ておりました議会議員執行機関である理事を兼ねることができるという項目は、そういう意味ではやはり私は若干問題はあると思います。市町村の首長が理事になって、議会議員はやはり連合議会議員になったほうがいいというふうに私はしろうと考えでするわけでございますけれども、しかし、先ほどからも御議論がありましたように、市町村の中にはいろいろな市町村がございまして、非常に共同社会的な意識の強いようなそういう農村の場合には、議員理事を兼ねたほうがあるいは問題がスムーズに運ぶ場合も決してないわけではない。したがって、いろいろな市町村があるものですから、ここにも選択の余地が残されているわけで、やはりそういう選択の余地が与えられることが市町村自治にとっては大切である、こういうふうに考えます。
  55. 桑名義治

    ○桑名委員 終わります。
  56. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  57. 門司亮

    ○門司委員 あまり陳述の内容を聞いておりませんので、そのことに触れようが実はないのでありまして、だから感じだけでけっこうでございますが、一つだけ聞いておきたいと思いますことは、どなたからでもけっこうですけれども、こうした行政あり方についてよろしいかどうかという私は疑いを持つものであります。それはこの自治法の中にあるいわゆる特別地方公共団体というものの性格というようなものがはっきり議論されて、これがまだ定義づけられておらない。私はなぜそういうことを言うかといいますと、特別地方公共団体の中に東京都の特別区が入っておる、一方には特別区は市に準ずるという、こういう形で行政権も持っておればちゃんと税金の賦課徴収もできる権限を持っている、そういうものと、それからこういう一つのそれとは全然形の変わった事務処理のようなものだけをまとめた特別地方公共団体というものが混同されておるところに私は一つの大きな問題がありはしないかと思う。今度の場合もやはり同じことでありまして、結局この一部事務組合という特別地方公共団体の変形をここに求めようとしておるということであって、したがって、こういう基本的なものの考え方に立ってひとつ御議論を願わないと、自治法をいじる——まあいじると言うと自治省の諸君おこるかもしれませんけれども、あまりにも改革がむちゃくちゃ過ぎはしないかということであります。しょっちゅうこういうものが変わっていて、地方の自治体は実に迷惑しておる。自治行政というものはそう簡単に行なわれるものではございませんで、おのおのの自治体はおのおのの自治体の性格を持っておる。そうしてそれが社会の進歩に従って行政内容が変わってくるのである。しかもその速度というものは、おのおのの自治体で違うのであります。そういうものが、しょっちゅう法律がこういうふうに変わってきて、そうしていままでずっとやってきたことが今度はこう変わったんだ。またそれが何年かたってみて、それが実際は身につかないうちにまたこう変えられるという、私はどう考えても今度のこの法律改正は少し法律を技術的にいじり過ぎるのだ、こういう気がするのでありますが、そういう気持ちはきょう参考人でお出でになった方々にございませんか。
  58. 安養寺俊親

    安養寺参考人 意見を申し上げる中でその点にも触れたと思うのですが、私の立場から申しまして、職員労働条件賃金に対する問題の保障、特に結社の自由というものが逆にこのことによって破壊される。破壊されるというのはあるいは大げさにしても、非常に阻害を受ける、こういうことは私たちの主張の一番中心の一つでございますが、もう一つの中心は、いま御指摘になりましたように、現在のやり方になるほど問題点はないことはないと思うのであります。しかしながら、それでは直ちにこの法律改正のように抜本的に一部事務組合という形式をとりながら、ほんとうは全く違うものをつくっていく、こういうやり方がはたして地方自治という面から見ていいかどうかということになりますと、私は大きな疑問を持ちますので、その点で私はこの法案に対しては反対をする意見を申し上げたわけであります。以上の点については、いま門司先生が言われていましたような同じ考え方を持っております。
  59. 恒松制治

    恒松参考人 それではちょっと私の意見を申し上げておきたいと思います。  いまおっしゃるとおり、あまりこういろいろ制度が変わるというのは私はいいことだとは思いません。しかしながら、一方、社会の変わり方があまりに激しいものですから、地域社会の変動が非常に激しいということから考えますと、やはりある程度それについていくような、あるいは弾力的な行政あり方というのは、私は一方ではやむを得ないことかと思います。先ほど御指摘になりました特別地方公共団体の性格がわからないということで、私、そういう法律の専門家ではございませんのでよくわかりませんが、そういうはっきりしない点はずいぶん現在の制度の中にはあると思います。たとえば東京都の特別区というのは、区長は任命でございます。にもかかわらず議会は選挙であるというような姿は、やはり地方自治体としてあまりすっきりした仕組みではないということも私は認めております。ただ、こうした一部事務組合とかあるいは連合といったものを一つの特別地方公共団体として法人格を与えて一つのいろいろな行政運営合理化していくということは、私はやはりある程度認められていいことではないか、こういうふうに思います。
  60. 久喜文重郎

    久喜参考人 こうした行政あり方についてどうか、こういうお話でございますが、私は合併が一番よろしい、こういうふうに考えております。しかしながら、実際問題として合併はできない。町村合併促進法ができまして、そうして極力やったんでございますが、隣の五カ村と一町きり私のほうはできない。その他いろいろな関係でなかなかできない。したがって、それではそれをどうしたらいいのかということになるんでございますが、先ほどもちょっと申し上げたんですが、大滝村が四千幾ら、三峯山でお客さんはどんどんいらっしゃる、ごみはどんどん置いていっていただく、これを片づけなくちゃならない。それから野上町に長瀞がある。どんどんお客さんはいらっしゃる。東京から大部分いらっしゃるわけです。そうしてごみや肥料をたくさん置いていっていただく、それもまた片づけなくちゃならない。両神村は三千幾らの人口でございますが、そこへお客さまがどんどんいらっしゃる。ごみや肥料をたくさん置いていっていただける。それをこの小さな自治体ではどうしようもない。ところが、これは市町村の責任においてこれをやらなければならないときまっておるんでございます。だから、やろうとしたって、できない。それにはやはり中間市であるところの秩父市でもって、私のほうの例を申し上げますならば、秩父市が愛の手を差し伸ばしてやってもよりの町村のめんどうを見てやるという以外にない、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、合併が一番よろしい。しかしながら、合併ができない現在におきましては、こういう方法でやることもまたやむを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。現段階においてはこれが一番よろしい、これに大賛成をするものでございます。
  61. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけ聞いておきますが、いま議論されておるのはすべて行政の面から議論がされております。いま地方の自治体で一番大問題は財政の問題であります。財政の問題にちっとも触れないで、そうしてただ行政だけをどんなにいじくってみたところで、それは満足なものになろうとは私は考えられない。私はここにこの問題の一つの大きな焦点がありはしないかと考える。行政はどんなにいじくることは簡単であります。しかし、財政はなかなかそうはいかない。だから、いまお話しのように、小さいところを大きいところが吸収していくという議論も一つの議論かと思いますけれども、その以前に、一体地方の今日の自治体が憲法で定められたあるべき姿になることのできるだけの財政措置がしてあるかどうかということになると、遺憾ながらしてないのですが、この点に問題がありはしないか。たとえば財政法を見てみましても、起債その他は一応政府がチェックすることができるように書いてある。しかし、そこには「当分」という文字が使ってある。もう四分の一世紀も過ぎて、まだ地方の自治体が自由に借金もできないような拘束を受けておるというような、いわゆる管理行政と全く同じような事態の中に放置されておるところに問題がありはしないか。地方の自治体の税制を見てみましても、御承知のように、ことしの国民の税負担額というのは一九・三%ですね。市町村の取り前というのはその中で二・七%、県が三・三%取って国が一三・三%取ってしまっている。そこを分けてやる交付税だとかあるいは補助金だというものがあるから、地方財政の中では六一%ぐらいはそれでまかなおうじゃないかという議論はあります。しかし、それは自主性がないと思います。かような議論がある前に、まず財政措置をあるべき姿に戻して、そしてなおかつ地方の自治体が非常に困難な問題にぶつかっておるというならば、それは考えてもよろしい。そういう問題が予測されていまの一部事務組合はできておるのであります。一部事務組合法律の中に制定した当時の速記録をごらんになればおわかりだと思います。そういうことを予測していわゆる自治体というものは独立してやるべきではあるが、しかし、当時の七千幾つというか、たくさんありました自治体の状態の中では困難な問題があるであろうということで、いまの一部事務組合制度というものを実は認めたのである。その次に認めたのが財産区の問題である。当時はまだ特別区の東京の問題はこの中に入っていなかった。こういういろいろな経緯があるわけであります。だから、私はこういう問題について皆さんにお聞きをしておきたいと思いますけれども、私のこの意見というものが間違っておるかどうかということです。まず財政措置をして、そして地方自治体が自治法に定められ憲法に定められた十分の機能を発揮することのできるだけの財政措置が今日行なわれていないと言ったほうが私は正しいと思う。さっき言いましたように、税配分にしてもそういうことになっておりますので、そういう点はお考えになりませんか。そういう点が実際の中で起こってきて、そしてなおかつどうにもならぬというときに、こういう問題が起こってくることが当然だと考える。またこれを行政的にいえば、地方の自治体というのは少なくとも生活圏といわれているように、従来自治体とか自治意識、そういうものがいろいろ言われておりますけれども自治意識はどこから育ってくるかといえば、大体一つ自治の管轄の中で仕事ができて、そこで生活ができてはじめて自治意識というものが生まれるのであります。そういうものが今日の社会が急速に伸びているためにどうにも破壊されてしまっておって、そこに自治意識を求めようといったって、これはなかなか無理な話であります。  しかし、こういう問題は余談でありまして、結論的に申し上げてまいりますならば、私がいま申し上げました、いわゆるこういう措置をする前に自治体権限において可能な範囲において行なわれる、仕事のできるような財政措置を先にすべきではなかったかと考えている。私はこれがまた従来の都道府県知事やあるいは市町村長、いわゆる地方六団体といわれる団体の大会の大体の決議であったと考えている。私はこういう問題をいままでの地方の自治体会議に行ってほとんど聞いたことはございません。六団体会議に出れば、必ず財政問題が一番先に出てきて、財政云々とかそういうことであって、行政にはあまり触れられていない。そういうことを考えますと、どう考えてもこの法律の出し方というのはおかしいような気がするのですけれども、こういう感じではございませんですか。私は、まず財政措置を先にすべきだ、その上に立ってどうしても始末が悪いというのならば、こういう方式を講ずべきだという気持ちがするのです。
  62. 久喜文重郎

    久喜参考人 非常にありがたいお話で、末端行政機関の市町村に対しまして非常に涙のあるところのお話を承りまして、まことに感謝にたえない次第でございます。お説のとおりでございます。しかしながら、現段階におきましては、先ほども申し上げましたように、かりに私どものところで申し上げますと、三千何人というような村もあるし、四千何人というような村もあるし、八千がやっとのような町もあるわけです。そういうところで屎尿の処理であるとか、ごみであるとか、消防であるとか、あるいは病院であるとかいうようなことは実際問題としてできないわけです。それですから、秩父地方の半分の人口を持っている秩父市がめんどうを見てやって、それで私のほうには、先ほども申し上げたのですが、二つあるわけです。一つはごみと厨芥が一緒にできるかま、一つはごみだけのかま、全部秩父市の一つの場所へ持ってきて、できるところはできているのですから、そこへ持ってきてやってやる。これはやはり隣の町、隣の村を助けてやることである、私はそう考える。そこで、それでも足らなかった場合には、これは何とかして県や国にお願いをして、そうして財政措置をしてもらう。やはりみずからの力で一生懸命やってみて、そうしても足らなかったものに対しましては、これは先生のお話しのように、県を通して国にお願い——何としても国が一番金持ちでございますから、先生方にお願いをして、国から御援助をいただく以外にはないわけですよ。それは全くありがたいお話なんで、そのとおりでございますけれども、現段階におきましてはこうやらざるを得ないと私は感じておるわけでございます。
  63. 安養寺俊親

    安養寺参考人 いま門司先生の言われましたことについては全く賛成でございますが、せっかくのあれでありますから、一、二申し上げたいのでございます。  まず私どもが地方をずっと回りましたときに、この問題について非常に関心を持っておりますので、市町村長の方に、一体どうだということで御意見をお伺いいたしました。ところが、ふしぎなことに、中心になろうとしておる市、そこの市長さんは大体賛成なんです。愛の手を差し伸べるほうは大体賛成をしている。ところが、ほんとうは差し伸べられるほうが賛成をしなければならないと思うのですが、みな非常に不安を持ち、あまり賛成ではないけれども、金が出るということになると、うちだけがはずれるわけにもいかない、これが真相のように私は受け取っておるのです。そのことは、やはり門司先生が言われましたように、財政の問題こそがまず前提にあるのだということを私ははっきり言っておるのではないかと思うのです。本来適正規模ということばがあって、十万くらいはいいだろうとかいろいろあるのですけれども、一体適正規模ということばは地方自治という上からははたしてどういう意味を持つのだろうか。たとえば日本のようにどんどん、何年かのうちに三分の一にも町村合併が進むというようなところは外国ではあまり例はない。外国ではやはり適正規模というのは、それぞれの住民が、みずからその生活圏を中心にきめておるのだ。たとえばいま市長さんのほうから実例が出ました。そのことを借用して申しわけないのでありますが、どうしても合併できないというのだったら、それだけの小さい町村であってもやはり考え方があるから合併ができない。そういう現状の上に立って地方財政制度というものが考えられないで、適正規模というものが頭にあって、それからそれを考えて、それがうまくいかないから共同しろ、さらに総合事務組合という形になると、私はだんだん地方自治そのものが形骸化していくという方向をたどるのではないかと思いまして、一言意見を申し上げさしていただきました。
  64. 久喜文重郎

    久喜参考人 これは一部には、中心の市は賛成だが、ほかの町村は反対というところもあるでしょう、日本は狭いといっても広いのですから。ところが、私のほうへ来てごらんいただけば一番よくわかる。私のほうはめぐりの町村が絶対ありがたがっております。もう秩父市は全くありがたい、秩父市の市長はありがたいと言っております。うそだと思ったら来てごらんなさい、実際でございますから。そういうわけで、そういうところもあるし、日本じゅうにはいろいろあると思うのです。あると思うけれども、やはりこれは全体としてみれば、現段階ではこれよりしかたがないのである。私は重ねて強く私の考えを申し上げるわけでございます。  なおまた、これは地方地方によりまして、法律ではどうきめていただきましても地方地方の事情があるのでございますから、その地方地方の事情によって、多少のことはやはり幾らかゆるみを持っていただくように先生方にお考えいただければ私はありがたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  65. 門司亮

    ○門司委員 これ以上は議論になろうかと思いますので聞きません。あとは、法の内容については自治大臣がおいでになってから少し聞きたい点もございます。しかし、いままでいろいろ御迷惑を願ってお話を伺ったのでございますけれども、どうもこの法律の所在というものがいままでの皆さんのお話の中では私は聞けないような気がいたします。なるほど秩父市長さんのお話のようなこともございます。しかしそれとは全く対照的で、たとえば四つのやっかいな問題がある。一つはごみの問題、それから人間を焼かなければならぬ、だんだん土葬ができなくなりますから、火葬場の問題、その次には屎尿の問題その次にもう一つあるのは水だとかごみ焼き場の問題という、どこに持っていっても地域的にはきらわれる問題がございます。この四つの問題を一つの町村の中に求めようとすればなかなかむずかしいということで、現実に私は名前を言っても差しつかえありませんが、結局私どもの調査した範囲内では、四つの市町村が話し合って、おまえのところでこれをやってもらいたい、おまえのところでこれをやってもらいたい、そうすればお互いにこの四つの問題が片づくのじゃないかというような、きわめて有機的な、こういう法律がなくても十分市町村の良識の上に立って行政はやはり円満に行なわれているところがないわけではないのですね。だから、法律がなければやれないというところに私は問題があると思うのです。そこに自治行政に対する根幹の問題があると思う。自治体というのは自治体独自の、今日の憲法で保障された自治体ですから、旧憲法の時代とは全く違うのである。したがって、その自治体自主性というものを認めて、その上に立って、さっき申し上げましたように、まず財政を付与していく、そしてその上に立って自主性を認めていって、いま申し上げましたような円滑な形の中で地方の発展が願えるような指導をするということが、今日の自治法並びに憲法の趣旨だと私は考えておる。いかなる大臣も指揮、命令、監督はできないということになっている以上は、指揮、命令、監督はできないから、法律によってやろうという考え方は、私は、官僚の中に必ずあると思う。法律ができればいやおうなしにそれに従わないわけにはいかない。私は今日の自治法を見てまいりまして、そういう一方には、いかなる大臣といえども干渉してはならないという憲法の趣旨に基づいてこしらえてあって、したがって私はどうしても育成するというなら、そういう形で育成をしていってもらいたい。そうして地方の自治体がどこまでも自主的に運営のできるような姿というものが、行政の面ではほんとうは望ましいのじゃないか。財政の面もございますし、それから地方の自治体生活の要素の面もございますし、だから、そういうことを学者の先生のほうからお考えをお聞きをしてみたいと思うのです。どうでございますか。  私はどうもそういう形でないと、こういう何でもかでも法律を変えて、法律で縛っていこうとする行き方は、憲法のいわゆる自治の本旨に従って、法律によってこれを定めよと書いておる趣旨、いわゆる住民自治というものを中心に置いた憲法の趣旨と、それから今日の自治法の中で、あるいはどの法律を調べても地方の自治体に指揮、命令、監督をする条項はないわけであります。総理大臣の知事に対する罷免権すら最高裁判所の判決を受けなければできないようにできている今日の日本の法律構成、この中から見てくると、どうしても私は地方の自治体あり方について自治省が——法律ならこれは何でも強要することができますので、いわゆる指揮、命令、監督の変形がこうした法律の姿であらわれてくるというように、私はどう考えても、少しひがんでいるかもしれませんが、そういう気がしてならないのですが、こういう点どうでしょうか。
  66. 恒松制治

    恒松参考人 おっしゃる趣旨はまことに私そのとおりだと思います。したがって、地方自治をうまく進めますために、こういう法律ではなくて、できるだけ指導でもって進めていくということが望ましいことはおっしゃるそのとおりだと思います。しかし、この法律は、実はいままである一部事務組合とかそういう共同処理の仕組みの中に、やはり全体的な計画とか全体的な運営というのでもやれるんだということを一つつけ加えて、そういうことをやろうとしている市町村がうまくできるような一つの勧奨的な法律だというふうに私は理解しておりますものですから、決していままでともう全然違った法律でもなければ何でもないんで、ただ、いままでの一部事務組合とか、そういう組織をもっと体系化したものであり、やろうとすればできる道を開く。こういう意味では私はある程度この法律によって——法律によって指導するということもあってもいいんじゃないかという気がいたします。市町村の中にはそういう意識さえ全然ない地域もございますし、したがって、そういう意識のない、いわゆる共同処理の意識のない地方団体に対して、こういう形でひとつ進めていったほうが便利ですよ、しかし、やるやらぬはそれぞれの市町村のかってでございますから、そういうことは指導としてあってもいいんじゃないか、私はこういうように思います。
  67. 菅太郎

    菅委員長 林百郎君。  林委員、まことにお気の毒ですが、予定の一時の時間も迫っておりますから、簡潔に御質問を願い、お答えのほうも簡潔にお願いいたします。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  最初に恒松先生にお尋ねしますが、私、一九六九年の二月号の「地方財政」で先生の論文を拝見いたしましたが、先生のこのときの基本的な考え方は「行政サービスのキメの細かさは必ずしも管轄領域の広狭によるものではない。それは一つには財源の大きさによるものであり、二つには為政者の政治姿勢によるものである。このように考えると、広域市町村圏構想は行政効率化という効果をもつけれども現行地方自治行政屋上屋を重ねて一そう複雑にし、金のかかるものとする可能性の方が大きいように思う。」こう書かれているわけですね。いま本法で問題になっている連合体というのは、この広域市町村圏構想の具体化であるし、非常に強力な議決権、それから執行権を持っているわけなんですね。もちろん私たちも近代社会生活の中で広域的な地域にわたって行なわなければならない事業のあることはわかりますけれども、それはしかしそれぞれの自治体が協議をして、民主的に住民自治体とが協議をしてきめればいいことであって、こういう一つの何か自治体の上に、また自治体よりもより強力な権限を持つようなもの、しかもそれは憲法によって保障されている選挙による選出あるいはリコールから離れたものを置くということはこれは好ましくない。先生のかっての論文ですね、やはりこの精神が基調にならなければならないんじゃないかというように私たちは考えるわけですが、この点はどうか。  それから、したがって、こういう強力なものを置くということが憲法との関係でどうなるか。そして議員と執行権者とが混合することもできるというようなことを持つということはどうなるかということですね。その点をお尋ねします。  それから安養寺さんにお尋ねしますが、こういうものができてきて、連合で議決していろいろの事務の執行をきめてくる、そして事務配分をする。そしてそれが地方自治体の職員にどういうように配分されるか、労働条件にどういう影響を及ぼすかという場合の労働条件の交渉やいろいろする場合に、当該市町村理事者より一つ上の連合が議決し決定し執行するというような場合は、労働運動の面からいったら、一体どうなるのか。責任者が、これは責任の所在が同時に交渉の相手方としての資格を持つか持たないかということの問題にもなりますので、この点をどうお考えになるのか。ことに二百八十七条の二の第五項を見ますと、事務局長を置くわけですね。「連合規約事務局長を置く場合には、管理者又は理事会は、連合規約で定める重要事項を除き、その権限に属する事務事務局長に委任することを常例とする」とあるわけですね。常例としてしまうわけですね。そうすると、この事務局長にかりに天下り人事が行なわれる。そしてこれは重要事項と重要事項でない事項の区別なんというものはこの法律にはきまっておりませんから、この天下りされた事務局長が実質的に連合を構成している自治体行政的に指導していく。これは自治省の方々もうしろにおいでになるけれども自治省から直接天下りしてきて、その連合体の事務局長になって連合体を指導するというようなことになって、しかも皆さんの交渉からははずされるということになると、これは非常に混乱を労働運動の上からも起こすように思われるのですけれども、その点をどういうようにお考えになりますか。この二点をお伺いしておきたい。
  69. 恒松制治

    恒松参考人 どうも私の書いたもので批判をされるとたいへん弱いのですけれども、それは先ほど私申しましたように、行政効率化の上ではたいへんいいんだけれども屋上屋にならないような配慮がほしいと私は申し上げたわけで、その危険性は全くないと申し上げているわけではございません。こうした行政効率化の方向をたどる場合に、どうしてもそういう屋上屋にならないような関連した制度的な改正が必要ではなかろうかということが一つ。  それからもう一つ憲法の問題にお触れになったわけですが、私、どうも畑違いでよくわかりませんが、しかし、現在の一部事務組合が憲法違反でないとすれば、その一部事務組合を大きくしたあるいは総合したような形での連合も、私は憲法に違反するものだとは考えておりません。どうも変な論理でございますけれども、そういうことでございます。
  70. 安養寺俊親

    安養寺参考人 本来労働条件を、労働者側が団体をつくりまして、できるだけ広く統一して、同時に使用者側のほうにもぜひ使用者団体をつくっていただきまして、それと交渉するという方向にだんだん拡大をしていくというのが、これが近代的な労使関係一つの道筋だろうと思いますので、そういうことになるならば、私どもは別に大きな基本的な心配はないのです。ところが、先ほど私が例に話しましたように、現在の地方公務員法は、そういうわれわれのほうの広域的な労働組合を法的には認めていないのであります。それは非常に企業的に、連合に行ったら直ちにそれを違った組合にしなければ、もとの組合登録できないというような形にしか認められていない。それをもしやらなければ在籍専従は置かないとか、幾つかの差別がある。こういうことで実質的に企業組合しか行なわれていないところに、広域的な交渉権を求めようとしても実際はたいへんなことになる。同時にこの連合化ということは、ある意味では企業化といってもいい方向だと思うのです。業化ということになりますと、これは当然いまのように団体交渉権ではない交渉というようなことではとても相済まないことになって、これはやはり団体交渉権を明確にしていただかないと、とてもわれわれの意見を通すことはむずかしいだろう。町村合併の場合には、町村合併をしましたらある基準を設けまして、何年かたってやがてその基準に合わせるという方法で新しい賃金がきまるわけですけれども、今度の場合は、連合職員が相当ありまして、実際もとの職員は残っているわけですから、そこでの比較になってくると、これはなかなか全部の賃金を上げるということに——納得していただければそれは一番いいのですが、そうでないところは絶えず同じ地域の中の職員の格差の問題として、労働運動だって激化するでしょうし、私は今後とも非常に問題が起こるのではないか、こう思っております。  そこで、私どもといたしましては、企業化という意味は、もう一つ受益者負担というものがさらにシビアになる方向だと思うわけですね。たとえば病院の場合も、いま市立病院という形で市に付属している場合には、案外めんどう見がいいわけでありまして、いろいろな点で裏から表から援助する。さてそれが切り離されて、全体の幾つかの病院と一緒になって連合病院ということになりますと、これはちょっとめんどう見が必ずしもよくなくなる。したがって、当然赤字傾向はさらに増大をするし、企業性を追求するという意味で首切りとか、あるいは賃下げとか、いろいろな労働条件の悪化という方向に行く。そういうことを防止するわれわれ側のいろいろな手だてさえ、法律的には前提があってなかなかできない。これはもう非常に問題であります。したがって、私どもはかりにこの法律が通るといたしましても、少なくとも当分の間職員団体の結成についてはある程度自由にできるようなことがないと、これはその面から、つくること即労働争議の激発という形になってしまう、私はこういうように考えておるわけであります。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。  恒松先生の論文のここが重要だと思うのですが、「個々市町村がそれぞれ道路を整備し、学校を統合し、消費市場を整えるといった基本的サービスの充実を先行させるべきであろう。こうした基盤が整備されることによって、住民は集落の再編成と行政広域処理がいかに大切であるかを知ることになるであろう一だから、基本的には自治体が本来の自治体の仕事をやっていく、やっていく中でこれは広域的にやったほうが有利だという必要が生じた場合には、民主的な協議をしてやっていく。しかし、基本的には個々自治体が本来個々自治体のやるべきことを充実させていくことから始めなければならないのだということなんですね。ところが、今度のはこれが先行されなくて、先に屋上屋を架されたと先生が心配されているこの連合ができるというところに、われわれが納得できない点があるということを、先生の論文もその点は指摘されているので、その点を申し上げておきます。  それから安養寺さんの、私が心配するのは、あなたがおっしゃったのもそのとおりでございますけれども、実際の労働条件事務分配、いろいろ連合がきめておきながら、じゃあそれが非常に労働が過重じゃないか、労働条件が悪いじゃないか、あるいはそういう仕事は本来国の仕事として国がやるべきものじゃないか——そういう各連合に加盟している自治体の労働者の労働条件に重大な影響を及ぼすようなことを連合がきめておきながら、しかもその連合がその労働条件の交渉の対象からはずされてしまっているということになると、連合に加盟している自治体理事者に交渉しても、それは連合が議決してしまって連合で執行するのだから、しかたないよと言われたら、労働者は交渉の相手がなくなってしまうということになる。その点も心配の点ではなかろうかということも一つ私はつけ加えまして、あなたのおっしゃったことは全部私は納得いたしましたが、その点も一つつけ加えておきます。
  72. 恒松制治

    恒松参考人 いまのことはおっしゃるとおりで、私も言っているように、自治体がちゃんとやるということは基本的なたてまえだと思います。ただ、現在のたてまえではそういうことが実際にやろうとしてもできないというのが、こういう共同処理方法が考えられた焦点だと私は思っておりますので、決してやろうとしてないのじゃなくて、やろうとしてもできないから、なんとかこういう形で解決しなければならないというふうに私は理解しております。
  73. 菅太郎

    菅委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位に申し上げます。  長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  74. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案に対し質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門司亮君。   〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕
  75. 門司亮

    ○門司委員 最初に、ひとつ立案をされた方にお聞きするのですが、こういう改正をしなければならないという根拠は、大臣の説明の中には書いてありますが、私はこれだけでなくて、これと異なった問題がほかに何かありはしないかというように考えます。  そこで、率直に聞いておきますが、先ほども申し上げたのでありますが、地方の六団体の会合でこういう問題に触れて、改正をしてもらいたいという意見を私は寡聞にして聞いていないのでありますけれども、そういう記録がどこかにございましたら、ひとつお示しを願っておきたいと思います。
  76. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 今回の改正につきまして六団体のほうがどういう意向を持っているか、何かそういう改正についての希望的な見解の表明があるか、こういう御質問でございましたけれども、これにつきましては、たとえば全国知事会が昨年の七月でございますか、広域行政推進できるような体制の整備をぜひしてほしいというような要望がございます。それから都道府県の議長会におきましても、広域行政体制の確立のために総合的な法律を制定して一元的な運営をはかるということに配慮をすべきである、こういうような意見の表明もございます。それから市長会につきましては、先ほど参考人市長会を代表して意見を述べられたわけでございますが、数回にわたりましてこの種の立法についての要望をいたしております。全国町村会も、昨年の十二月でございますか、一部事務組合等広域行政処理体制についての整備に関する要望をいたしているわけでございます。
  77. 門司亮

    ○門司委員 その場合に、必ずその機会には財政の問題が付随しておったと私は考えておるのであります。財政措置をちっとも考えないで、行政の面だけでこれを遂行していこうというところに無理がありはしないかと私は思うのです。財政のほうも毎たび、もうこれはおそらく何十回となく決議をしておるだろうと私は思うのです。そういう点について、大臣、どうお考えでしょうか。地方の自治体要望というものについて、行政的には、いまお話しのように、内容をよく調べてみるとこういう形ではなかったと私は思うのだけれども、きょうそこまで議論することはどうかと思いますが、かりに知事会がどうやった、あるいは市町村会が去年やった、おととしやったというのだが、ところが、財政措置をしてもらいたいというのは何十回そういうものが決議されておるかわからないのです。そっちのほうは一向自治省としては手をつけられないのですが、これはどういうわけですか。私はその辺はどう考えてもふに落ちないのですが、行政面だけはどんなにいじっても、財政運営がこれに伴わなければほんとうの仕事はできないのだ。財政さえあれば、ある程度自治体にまかしておけば自治体でけっこうやっていくと思うのです。その辺がどう考えても私は今度の法案の出し方について少し疑念が出てくるのです。そういう点はどうでしょうか。
  78. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 この法案の主眼とするところは、やはり最近の社会経済情勢に応じまして地方行政機構一つとしてこういう御提案を申し上げておるような連合制度、特殊な一部事務組合の形成、こういうものの必要性を叫ばれ、またそれに着眼してやったわけであります。その前提条件と申しますか、背後に財政上の十分な措置を講ずべしということは、一般論として当然のことであろうかと存ずるのでございます。それはそれとして、一般論として従来も考慮いたしておったところでございます。今回は、ただいま申し上げましたような行政機構の問題としてこの法案を取り上げた、こういうことになっております。  ただ、この特殊な機構に何か特別の財政措置をすべしという点につきましては、これまたその意味において、先般来いろいろ御意見も、こざいましたが、それはそれとして検討いたす面もございますが、その面につきましてもやはり行政機構一つの処置としてはその希望が関係方面からもございました。しかし、財政措置について、一般論はただいま申し上げましたが、その特殊な機構に特別の財政的な裏づけという点につきましては、私のところまでは、そう格別の御論議あるいは御陳情はなかったわけでございます。一般論といたしましては、当然地方財政運用につきまして、行政運用よろしきを得るために財政上の強化をはかることは当然のこととして考えておるところでございます。
  79. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つだけ基本的なもので聞いておきたいと思いますことは、地方の自治体というのは、これは日本の一つ自治体のでき方がありますからそう一がいには言えないかもしれませんが、ある程度自治行政というものは自治体にまかせておいてよろしいのではないか。何でもかでも法律をこしらえなければうまくいかないというところに、日本の自治行政が進展しない一つの大きな欠陥を持っておると思うのです。法律があってもなくても自治体はある程度自主性を持っておりますし、法律と憲法に違反しない限りは条例をつくることができるという規定もありますし、またこれに違反しない限りは自主的にいろいろな問題が決定され、町村の合併にしたところで自主的にやればやれるので、何の拘束も受けない。ただ、そういうものが時期的にその時期時期によってこうしたほうがよろしいというものの考え方の上に立って自治省の一つのアドバイスをすることは当然だと考えます。何でもかでも法律でなければやれないのだ、法律でなければぐあいが悪いのだというところに、今日の日本の自治行政の進歩性というよりか、むしろ後退性が考えられる。その辺は、大臣、どうお考えですか。非常にむずかしい問題だとは思いますけれども法律に違反するということばを使えば悪いのでありますが、少しくらいはいろいろな問題があっても、地方の自治体がかくやることが自治体のためになるのだ、こうすればよろしいのだということで、幅のある行政を地方の自治体が行なうところに、初めて住民自治意思というものが生まれてくるのである。何でもかでも法律によってやるということになると、自治行政という、いわゆる憲法にきめておる住民意思によってということでなくなってしまって、法律意思によってやるという、こういうものが私はどうしても生まれてくるような気がする。また現在そうなっていると思うのです。だから、この辺のかね合いをもうこの辺で、私は日本の自治行政というものをある程度ほんとうの軌道に乗せて、そして自治省自身も憲法の趣旨にのっとって、そしてアドバイスをされることもけっこうでしょうし、あるいはいろいろな指導をされることもけっこうだと思いますが、何でもかでも法律でなければやれないという今日の自治行政あり方について、私は最近非常に大きな疑問を持っておる。その辺についての考え方はどうでしょうか。いままでの一部事務組合でも何もやれないことはないわけであって、やろうと思えばやれるのである。それが法律に違反する場合は困るけれども法律に違反しない場合には御自由にやらせておけばいいのであって、そういうことを進めていくべきだ。自治体の、言うなれば、住民の自発的の意思に基づいて行政が行なわれるということが、私は憲法の定めた基本方針だと思う。それを何でもかでも法律によらなければという、ここに大きな問題があると思うのですけれども、その辺の考え方は、大臣、どうでしょう。
  80. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 一般論として先生のおっしゃることはよくわかります。地方の自治行政推進の際に、地方住民の自由なる意思を尊重するということが十分考慮されなければならない。その反面におきまして、地方行政運用につきまして、指導という範囲を越えまして何でもかんでも法律できめていく、法律である程度の規制をしていかなければならないという考え方は、基本的に十分慎まなければならない態度であろうと私も考えております。ただ、これは一般論になりますけれども、自由とは何をしてもいいんだということではなくて、やはり自由の中には一定のよるべき筋道が私は自然にあろうと思います。何でも無統制であってもいけないのであります。そこが非常にむずかしい点でございますが、地方行政運用してまいる上におきまして、ある基本的なレールと申しますか、そういう点をある程度きめておくということもまた必要なことではなかろうかと思うのであります。  そこで、問題のこの一部事務組合に関連をいたしまして、特殊な連合制度を設けるという点につきましても、私は提案理由の中にいろいろ申し上げたし、また先般来政府当局からも御説明申し上げておりますが、地方制度調査会の御意向等もいろいろ参酌してこの立法に立ち至ったわけでありますが、また地方の関係の方々からも御要望もありまして、相当慎重に広域市町村圏の遂行等に関連をしてぜひこういう点を考えてくれというお話が地方からあったわけであります。しかし、むしろ私は、最初申し上げたような気持ち、先生がただいま申されましたような気持ちにのっとりまして相当考慮をいたしたのでございます。いろいろ検討、考慮の結果、単なる従来の一部事務組合制度だけでは、多数の一部事務組合をつくらなければならぬという不便もありましょう。そういう点にかんがみまして、時勢に即し、能率のいい、また機動的な措置をとれる方法としてこういう仕組みを法定することは、決して最初申し上げました地方行政地方住民の自由なる意思を尊重して行なうという基本の精神に反するものではなく、その精神の円滑なる伸長を期するゆえんでなかろうかという点に着目をいたしまして、この程度の規定を設けることは決してわれわれの基本の考えに反するものではないのではなかろうかというふうに考えるに至りまして、このような御提案をいたした次第でございます。
  81. 門司亮

    ○門司委員 私がそういう質問をいたしますものは、実は大臣の説明書の中に書いてあります問題で二、三どう考えてもちょっと理解に苦しむ点がございますので、これからその点を率直にお聞きをしたいと思うのであります。  大臣の説明書を読んでみますと、法律内容とも同じでありますが、三ページのところに「その二は、連合共同処理する事務の変更に伴う連合規約の変更は、あらかじめ連合規約で特別の定めをしているときは、関係市町村議会の議決を経てする協議を要せず、連合議会の議決により行なうことができるものとする」こう規定してあります。このことはこのままずっと読んでまいりますと、いろいろな事務を委任しておる、連合でやるのだからそれは連合のほうで適当にきめていただけばいい、こういう意味であろうかとも思いますが、ここで出てくるものは、御承知のように、こういう規定が地方の住民にどの程度まで一体拘束力を持っているかということが一つの大きな問題になろうかと私は思います。御承知のように、都道府県や市町村の条例でありまするなら、この条例等に対しまして住民に改廃の権利が受けられております。そうして自主的にこれを改廃することができる。ところが、これが議会の議決を経ないであらかじめきめておる規則だとはいっても、その中に含まれたものであるなら、地方の議会の議決は要らないのだということになると、住民はまるっきりつんぼさじきに置かれる、こういう危険性が出てくる。したがいまして、ここでいわれておる規則の範囲というものはどの程度まで一体住民を拘束するのか、その辺をもう少し明確にしておいていただきたいと思います。
  82. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま御指摘の点は、連合のと申しますか、一部事務組合規約の規定事項の問題でございまして、御承知のように、在来も一部事務組合が共同してどういう事務処理するかということは、組合規約に定めているわけでございます。組合規約関係地方公共団体議会の議決を経て協議によってきめる、こういう手続になっているわけでございます。ただいま御指摘の条文は、原則として連合した一部事務組合共同処理する事務というものは、あらかじめ具体的にきまっているのが普通でございますけれども、しかし、いろいろ計画的に仕事を処理するにあたりましては、ことしは処理できないけれども、来年はひとつこの区域でこういうものを処理しようというふうに計画的に、段階的に定める場合もあり得るわけでございます。そういう場合には、連合規約でこういう規定を設けました場合には、通常の規約の変更のように、その場合に個々の構成市町村議会の議決を経なくても連合議会の議決で規約の変更の効力が生ずるようにする、こういう規定でございます。申し上げるまでもなく一連合規約でございますから、関係市町村の条例というものとは直接の関係はないわけでございます。
  83. 門司亮

    ○門司委員 そういう答弁もあろうかと思っておりますが、そういう答弁があるということになりますと、だんだんむずかしくなってきて、ここに事務局長を置くことができると書いてありますし、その事務局長権限はかなり大きな権限を委任することができるという規定になっております。そこで問題になるのは、条例を制定いたします場合には、当然リコールの対象になる理事者であるとかあるいは議会議員の提案あるいは住民意思による条例制定に対する請願等によってできておるわけでありますから、住民が完全にチェックもできるし、また住民意思もそこに反映することができる。ところが、この場合は事務局長というものにある程度権限を委任してある、することができるのであって、——委任を受ける事務局長権限というのはどの範囲ですか。
  84. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 事務局長を置くか置かないかは連合の相談の上できめるわけでございまして、置く場合には、規約で置くというところに根拠を求めるわけでございますが、事務局長を置く場合には、この法律の条文でもごらんのように、「連合規約で定める重要事項を除き、その権限に属する事務事務局長に委任することを常例とする」こういう規定を設けているわけでございます。考え方といたしましては、基本的な計画の策定でございますとかあるいは連合事務にかかわる条例案でありますとか、予算案でありますとか、重要な財産の取得あるいは処分でありますとかあるいは重要な契約というような重要な事項、こういうものは管理者なり理事会なり、当然こういうものの決定を待って執行をするわけでありますけれども、それ以外の通常の事務処理、ルーティーンに属するような事務処理というものは事務局長に委任をして処理させることを通例とする制度にいたしたい、こういうことでございます。現在でも、御承知のように、地方自治法の中に知事なり市町村長なりがその権限を部下の職員に委任できるというような規定があるわけでございますが、事務局長につきましては、それをある一種の包括的な委任というものの制度を前提にした職制、こういうふうに考えているわけでございます。申し上げるまでもなく、そういう制度をとるかとらないかということは規約で定めるわけでございますので、関係地方公共団体の相談ずくの結果によるわけでございます。
  85. 門司亮

    ○門司委員 だから、そこいらが実は問題がありはしないかと考えているのです。規約によってきめられるという任意制のものにしてあるところに問題の所在がありはしませんかということです。やはり事務局長権限というものが一体どこまで——重要事項でないものといっても、しかし重要事項であるかないかということは列記はしてないでしょう。だから、ある程度権限を持ってくるということになりますと、住民との関連性は一体どういう形になるのか。わかりやすく言えば、事務局長地方自治体の行政における地位というものは一体どういう範囲か。どういう点に大体置かれておるのか。その辺のことがないと、たとえばこういう連合体で協議をして、そして現場の事務であるかというようなものを移行する、いわゆる課長クラスぐらいの仕事をここに委任するというのなら話はわかるけれども、それ以上の権限がここに委譲されてくるということになると、住民との関連が当然出てくることだと思う。だから、この場合の事務局長に対するリコールがこれで行なえるようになりますか。
  86. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 事務局長の地位というか立場でございますけれども、私どもは大体こういうふうに考えているわけでございます。今回執行機関につきまして一種の合議制の執行機関を取り入れるような道も開いたわけでございます。そういたしますと、そういう場合の全般の事務を取り仕切る立場、そればかりじゃございませんけれども、主としてそういう点にも着目をいたしまして事務局長というようなものを考えたわけでございます。  その場合に権限をどの程度委任をするか、こういうことでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、基本計画なり重要な財産なり契約なり条例なり予算なりというようなものは、これは本来執行権限を持つところで当然判断をし処理をすべきだと思うのであります。重要なと申しますのは、何が重要か、これは各自治体の判断によると思うのでありますけれども、その辺の判断は具体的な事情にまかせて執行をすべきだと思います。私どもは、先ほど申しましたように、そういう重要な事項を除いて、通常の事務処理というものを事務局長のもとで処理することを考えているわけでございます。
  87. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この事務局長の資格もそれから自治体における地位というのもわからないということで、これがはたして地方の自治体職員であるかどうかということについては——いままでの一部事務組合の仕事というのはおのおの出向のような形で行なっておって、別に地方の職員の身分というものがある程度はっきりしておったのでありまするが、この場合の事務局長というのはそういうものはないでしょう。全然別な、いわゆる特別地方公共団体として雇い入れた人であって、そしてどこの自治体にも所属しない人だというように解釈してよろしいのですか、この場合の事務局長というのは。
  88. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 一部事務組合連合も基本的に一部事務組合であるわけでございますが、一部事務組合執行機関組織なり何なりというものは、門司委員も十分御承知のように、組合規約で定めることになっているわけでございます。そこで事務局長を置くかどうかというようなものを含めまして、組合規約の規定事項になってくると私は思います。  それからその場合に、その事務局長の身分は一体どうなるのか、こういうお話でございまして、これは従来の一部事務組合職員と基本的に変わるところはないと私は思っております。つまり従来の一部事務組合、今回の連合も一部事務組合であるわけでございますが、一部事務組合職員につきましては大別をいたしますと大体二種類あるわけでございます。   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕  一つは、一部事務組合自身が一部事務組合職員として本来的に採用し、一部事務組合職員としてずっとつとめていく職員のグループでございます。それからもう一つは、一部事務組合を構成いたします関係地方公共団体職員が派遣をされる、あるいは兼務といってもいいかと思いますけれども、派遣をされて一部事務組合事務に従事をする、こういう二種類の職員のグループが従来あったわけでございます。今後もそういうことであろうと思います。この連合である一部事務組合職員についても同様な考え方でいいと思うのであります。  したがいまして、事務局長につきましては、たとえば関係地方公共団体職員のうちの有能なる人材が出向なり派遣なりという形で連合である一部事務組合事務局長をつとめることもございましょうし、関係地方公共団体の身分を離れ、連合である一部事務組合固有の職員として採用されるということもあろうと思うのでございます。
  89. 門司亮

    ○門司委員 そうなってまいりますと、先ほどの参考人の話もありましたように、結局公務員としての身分の問題をどうするかということが非常に大きな問題になり、それから労働者としての基本権というものをどういうふうに行使していくかという点等問題になる。いまここで私はそれを議論する時間等あまりないかと思いますが、問題になるのは、理論としてはそういうことが言えるのであります、またそうでなければならないと考えております。しかし、問題は実質的な問題であって、この事務局長というのは、ある程度権限を委任された人である限りにおいては、この構成されておる連合自治体職員であってよろしいかどうかということには非常に問題があると私は思いますそれはどこかと言いますと、この前段に書いてありますように、ここの議員というのは実は地方の自治体議員であって、そして理事者を兼ねることができるという実に妙な組織にここはなっているからであります。この団体組織がきちんとした組織であって、「連合議会議員は、管理者又は理事と兼ねることができる。」ものとする規定がその前段に書いてあるのである。これは一体どういうことなんでしょう、これらの諸君の身分というものは。ここでは理事者としての身分で連合の仕事をしている自分の選出された母体に帰っては議員としての立場にしか置かれない。こういうことになると人格が二重になると考えられるのだが、この辺はどうなんでしょうか。
  90. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまの御質問でございますが、一部事務組合を構成する地方公共団体の長、議員を含めました職員と、それから一部事務組合職員の中に管理者なり議員なりも含めるわけでございますが、これにつきましてはすでに現行法におきましても互いに兼ねることができるという規定があるわけでございます。したがいまして、ただいまおっしゃいますように、たとえば構成団体市町村長がそれらの構成団体がつくっております一部事務組合議会議員になる、議員を兼ねるということも法律上可能でございましたし、現にあるわけでございます。おそらくこれは一部事務組合という制度がかなり地方の実態に即した弾力的な制度でございますので、そういう趣旨から申しましても、そういうことが認められていると思うのでございます。そういう点から申しますと、構成団体執行機関職員組合議決機関職員になっているという実態もございます。それがまたその地域実情に即するということにもなろうかと思うのでございます。
  91. 門司亮

    ○門司委員 だんだん話を聞いてみますると、どこにも改正の余地はないような気がするんですがね。いまのことをもう少し聞けばもう少しはっきりしたものになってくると私は思うんだが、だんだん現在の一部事務組合の形と全く同じような形の構想の中から生まれて、どうしてこういうものにしなければならなかったかというところについては私どもには実は納得がいかぬのである。あまりにも技術的に法律をいじり過ぎるというとおこられるかもしれませんが、変更し過ぎるきらいが非常にありはしないか。  そこで、私は前段に戻って聞いておきますが、これらの問題をどんなに行政的な措置としてきめてまいりましても、これで一体ほんとうの日本の自治行政というものが満足なものになるかどうかということに私は非常に疑問がある。先ほどの国会でいろいろ問題になりました、たとえば広域行政圏であるとかあるいは広域における生活圏であるとかという問題が一応議論された時期もございました。自治省としてはむしろ生活圏よりも行政圏のほうを主として取り上げたようなことであったわけであります。私はこの問題に関しては、ここでひとつ大臣にほんとうにこういう機会に腹をきめて考えていただきたいと思いますことは、日本の今日の自治行政あり方というものが非常に大きな社会の変転に左右されて、そうして行政関係がそのあとを追っかけておるというきらいが多分にあるのでありまして、一体地方の自治行政というものがどういうものでなければならないかということの基本的の理念というのは、こういう行政法律の解釈だけでは済まないんじゃないかということであります。  先ほどからいろいろ問題がございますが、これならこれでただ一部事務組合の問題を字句を変えただけだというようなことに、私はいまの質問に対する答弁を聞いておるとなるわけでありますが、何もこんなよけいなことを変えなくてもよさそうなものだと考えておる。いままでの一部事務組合指導さえすればそれでよろしいのではないかという考え方が出てくるわけであります。ただ何か法律がきついものにならなければ、地方の自治体がこれに乗ってこないような考え方をお持ちになっておるようでありますが、私はむしろこの際こういう行政の面を考え、あるいは公害その他のことがこの法律の中に入れられるといたしますと、自治法改正の中に、地方の自治体の経済的自立をはかることのできるような配慮が行なわれることが必要ではないかということである。その一つとしては、御承知のように、例のいろいろな岡山のあたりに行ない、あるいは九州の大分等はうまくいっておらぬようでありますけれども、一応これは産業都市というような形で法律はできております。しかし、この法律がどれだけ完全に動いておるかというと、元来地方の自治行政というものは、やはりその地域における生活圏というものが必要であって、そうしてその地域で自分の仕事をし、自分の生活ができるという行政範囲というものがおのずからきまらなければならない。そうしてこそ初めて地方の自治体というものの効果が出てくるのであって、どんなにこういう法律をこしらえて、行政的にいろいろできない仕事があるからそれをみんな共同してやってくれといわれても、そこにやはり生活の根拠というものが求められるような仕組みがなければ、ほんとうの意味の自治行政にならないのじゃないかという考え方が、私は当然出てくると思う。そういう点にこれはちっとも触れていないで、そうしてただ小手先だけの行政事務処理ということに主力を置いた法律の構成というものについては、私はいささか時期おくれのような気がいたします。  だから、私は大臣に率直に聞いておきたいと思いますことは、こういう法律をこしらえられておるゆえんのものが、いわゆる行政事務をできるだけ統一して行なっていこう、事務だけは広い意味における広域行政である。しかし、生活圏のほうは現在のままでよろしいというところに今日の日本の自治行政の大きな誤りがありはしないかと私は思う。したがって、思い切ってこの際日本の自治行政の改革を行なう必要がありはしないか。政府が考えておることは府県の合併論のようなことでありましょうが、私は府県が幾ら合併したからといって、それで直ちによくなるとは考えておりません。むしろ私は市町村にメスを入れる時期ではないかと考えている。そうすれば、こういう法律というようなものは要らなくなるのではないか。いわゆる自治体自身に力をつけていくということである。個々自治体自身が力がないから、それをできるだけ事務処理の上だけで片づけていこうとするところに日本の自治行政のあいまいさがあるんじゃないかというふうに考えられるのでありますが、この点は少しむずかしい問題のようですけれども、どうでしょう。自治省、少し考えてもらいたいと思うのです。  せっかく産業都市なんだかだという法律はこしらえたけれども、あの法律によってどれだけの効果があったかということになると、ほとんど効果はないのであって、むしろ私はこのあり方を、こういう法律改正してこういう形にしなければならないというのなら、これを一元化してやるような仕組みにむしろ方向づけをしていったほうがよろしいんじゃないか。ところが、それは町村合併だろう、こういうことになる。町村合併はなかなかむずかしいからこういう法律でなければならぬということが、先ほどの参考人のお話の中に実はあったわけですけれども、私はやはり指導としては、できるだけ広域的な生活圏の中で一つ行政組織が組み立てられる仕組みというもののほうが時宜に適したものになりはしないか、必ず将来私はそうなるべきではないかというように考えておりますので、その点の考え方はどうなんでしょう。私はどう考えても、この法律というものは一部事務組合のあるものをただ強化するというだけであって、別に地方の自治体の根本的の改革とは私も申し上げませんが、基本的なものの考え方の上に立った発案ではないような気がしてならないのでありますが、その辺はどうお考えになりますか。
  92. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 広域市町村圏と申しますか行政圏を考える場合に、全然生活圏的な考えを入れてないかと申しますれば、直接的にはそれに即してただいま市町村行政の区画を変えようという趣旨によってこの法案を提案しているわけではないわけでございますが、しかし、そうだからといって、生活圏のことを一つも考慮に入れてないかというと、そうじゃなくて、入れておればこそこういう特殊な連合制というものを御提案申し上げているわけです。この点につきましては、すなわち市町村合併なり府県合併なり道州制への一里塚として具体的にこの法案を提案したのではないということを先般来申し上げておりますが、それによってもおわかり願えるかと思います。それでは何が何だかわからないのであって、むしろ時勢を洞察して先取りするといおうか、はっきりした意図のもとに市町村あり方をもっとしっかりきめる。結局合併させるなら合併させるというような点について、もう少ししっかりした態度を示すべきではなかろうかという御趣旨にも通ずる御発言かとただいま、あるいは間違っておるかもしれませんが、考えられたのでございますが、私はやはりその点につきましては、もう少し慎重に考慮をすべき問題がいろいろあろうと思います。  ただいま社会経済が急展開をいたしておるこの際に、自治省があらかじめこういう程度でいいのだということで行くこともあるいは必要でございますが、具体的に市町村の区画をさらに広げる。すなわち合併を慫慂するとかいう点につきましては、住民の自由なる意思をももう少し尊重する態度が望ましいという点から申しましても、もう少しその点についての検討を要する。しかし、市町村という基本的な地方行政組織体制を中心に行くという点については私どももそう考えていますが、そのあり方につきましては、いましばらく十分なる検討を要すべきだ。地方住民のある程度定まりましたコンセンサスを求められる時間的余裕も必要だし、態度も必要ではなかろうか。その際にあたりまして、この広域行政処理の態様として、このような形の一部事務組合の特別な形を求め、これによって時世の広域的な行政処理の需要に応ずる、要望に応じていくということは私は適切な措置ではなかろうかと考えて、御提案をしておるような次第でございます。
  93. 門司亮

    ○門司委員 いま大臣のお話しになりましたことは、この大臣の説明書の一番冒頭にそう書いてあるのでありまして、いわゆる「住民生活圏の広域化に対応して、市町村が共同して総合的かつ計画的な行政推進することが要請されております。」これはいまの大臣の御答弁がそのとおりに書いてあるのであります。私どももこういうことは考えないわけではない。しかし、だからといって、これがこれだけでよろしいものではなくして、基本的の問題として、さっき申し上げましたように、ほんとうの自治行政あり方というものは、やはり生活圏というものが一定の区域内にあってその中で生活をしていくという、たとえばAの町に住んでおればAの町の中に自分たちの職場もあるし、生活もできる、こういう形のものが実際には望ましいものである、基本的なものの考え方としては地方の自治体はそうあるべきであります。ところが、今日では許されない、そうできないから、行政の上だけでもひとつ広域的にあるものは統合しようじゃないかというのが、いまの大臣のお話であり、一番冒頭に書いてあることではなかろうかと思います。  そうなってまいりますと問題になりますのは、市町村が単にそういう行政を行なうということだけではありませんで、これに対しては現在の府県のあり方がどうなっておるかということも、こういう法律が出てくることになってまいりますと、やはり考える必要が出てきやしないか。いままでの地方の自治体の一部事務組合というのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、七千も八千もあったときは、たくさんな小さな自治体がごちゃごちゃしておって、そうして合併するにしても、どうも法律のなかった時代にはなかなかいろいろな因襲があって合併もできない。そこで事務的には非常に不都合であるから、これを何とか事務組合というような形で処理していこうというきわめて素朴な態度から出てきた事務組合の発足であって、それがだんだん今日では形を変えてきて、もはやそういう素朴なものではなくなってきておる。そうして町村の合併は一応行なってみたが、まだそれでも行政事務処理というものがいろいろな社会の進化に伴って十分ではない。そこでそれを何とかしなければならないということで出された気持ちは、一応そういういま大臣答弁のようなこと、それからこの前段にはっきり書かれてあります。しかし、そうだといたしますと、これが市町村だけの事務組合というような形の問題ではなくして、私は大臣の意見をそのまま取り入れるとするならば、もう少し広域的の大きな問題がここに存在していやしないか。具体的に申し上げてまいりますならば、この小さな団体がどんなに集まってみても、そう簡単にほんとうの行政の上で文化国家にふさわしい地方の自治体が形成されるとは私どもは考えておりません、いまの財政力と地方の行政能力によっては。  そうなってまいりますと、ここにどうしても府県というのが一つ出てまいります。そこで、この府県というものが出てまいりますことのために、一応法律としてあるのは事業団という一つのものがすでにできているのである。これの運用がもう少し十分であればよろしいのでありますが、この辺の兼ね合いというのは一体どうなっておるのかということである。一方においては事業団というものができて、これも特別地方公共団体の中に含まれておる。そうしてこれはある程度財政的な権限も持っておりますし、ここでは起債もできますし、いろいろな問題がちゃんとできるようになっておる。それとの総合性というものを、こういう法律をお出しになるならば、やはり考えられてしかるべきではなかろうか。この点はこの法律を見て、ちょっと大臣の説明はそのままうのみにするといたしましても、自治体だけに、市町村だけにたとえばこういう処置をとってみても、それだけでは今日の地方の社会的に非常に変わってきておる事態に即応しないのではないか。ことに公害の問題等に関してはやはり府県が一枚かまない限りはなかなか解決し得る問題ではないのではないかというようなことが考えられます。その辺の配慮は特にされなかったかということです。
  94. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 将来の自治体あり方ということにつきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたわけでございますが、ただいま、現在地方自治法でも地方開発事業団という制度があるではないか、それと今回の改正との関係というようなことについてどういう考え方を持っておるか、こういう御質問でございます。  地方開発事業団は、御承知のように、地方公共団体から一定の事業実施の委託を受けて実施をする団体でございます。たとえば住宅でございますとかあるいは公共用水というような、施設などを中心にいたしました事業実施の委託を受けてその事業を行なう団体でございます。したがいまして、事業が終わりますと、たとえば住宅団地ができますと、今度はまたできましたものを関係地方公共団体に引き渡すと申しますか、住宅団地の経営自身は関係地方団体がやる、こういう制度になっているわけでございます。いわば事業実施の受託をして事業を行なう団体でございます。そういう点におきまして、広域的な計画に基づいて仕事をいたします場合に地方開発事業団というものが活用される余地は十分あるわけでございますけれども、そういうように開発事業団は事業実施の委託を受ける非常に狭い権能しか持っていない団体でございます。おのおのそのところに応じてその活用を期待すればいいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  95. 門司亮

    ○門司委員 法のたてまえそれから法の内容は、いまお話しのように大体できておる。したがって、事業団をこしらえる際にも、私どもいろいろ議論をしたのでありますけれども、問題は、事業団のやっておる仕事、またやれる仕事、たとえば地方の自治体が当然やらなければならぬ、午前中からも議論になっておりますいろいろな、ごく端的に言うならば、下水の問題等については、私は少なくとも県がこれにかんで行なわなければ——流域下水というようなものは当然必要になってくる、そういう規模のものがなければ、私は、ほんとうの意味における地方の自治体の発展といいますか、社会の発展に伴った行政処置というものはできないんじゃないか。それから住宅にしても同じであります。これもある程度計画性がないということになりますと、ただ住宅だけを建てればいいということで住宅だけがたくさんできておるところに、今日の地方の自治体の大きな一つのむしばまれ方が出てきております。私はこういうことを考えると、事業団というものが一方にあるのだから、これとこれとをどう結びつけていくかということ。事業団がやった仕事をこっちに移管してくるというと、これは行政事務として地方の自治体がこれをやらなければならない、やらないわけにはいかない。したがって、こういうものは、この法律案をこしらえるときに私も申し上げたと思いますけれども、あまりにも総合性のない特別地方公共団体というものをこしらえるところに問題がありはしないかということであります。これはほんとうにじっくり考えてもらいたいのです。午前中も申し上げましたように、特別地方公共団体と一口に言っているけれども、その中には行政権を持って、課税権を持って、徴税権を持っておる東京の二十三区が含まれておる。これは全然性格が違うと思います。それが一つの特別地方公共団体という中に含まれておる。私は、こういうことを考えてくると、ここでこういう改正をされるなら、思い切って、さっき申し上げましたように、事業団との関連もこの中に入れて、そうして一つの地方の広域行政としてのあり方をもう少し明確にしていく考え方はなかったかということである。どんなにこれは小手先だけいじってみても、宮澤さん、満足なものができようとは考えられない。それは生活圏というものがどうしてもくっついてなければならないのでありますから、いわゆる事業計画が行なわれ、発展してくる、それに伴った行政事務でありまするから、したがって、その一つ行政事務の発生源である仕事というようなものとこれとがやはりくっついていなければ、私は簡単にそういかないんじゃないかという気がするのです。日本のいまの地方行政の中で一つの大きな欠陥というものは、そういうところに一つの問題がある。これが外国の例からいいますと、こんなことはないのでありまして、あそこは古くからできておるものでありますから、日本と比較するわけにいかぬのだけれども、それでも当然大きな意味における広域行政でなければならないものについては、やはりかなり広範囲における一つの大きな組織でこれが達成されてきておる。日本の場合は、そういうことをいま簡単に言っても、歴史の浅い日本でこれを解決するわけにいかぬと思いますけれども、構想としては、あの事業団で行なう事業というようなものとこれとが一つに結びついていって——あるいは事業団は事業団でやるのだ、あとの始末はこっちでやるんだというような考え方は私は一応できると思いますよ。私も、いま現在そうなっておりますから、それでよろしいと思うが、これが関連しなければならぬということは、そういうことで仕事ができてくれば事務処理をする、仕事をするほうと事務処理をするほうとがちぐはぐになっておってはいけないんじゃないか。やはり計画性をここに持たせる必要があるのではないか。だから、法律改正されるのであれば、両方一緒に改正してもらって、そうして事業団と行政処理との結びつきというものがこの際必要ではないか。火葬場でやるようなことは、私は別にどうだとは考えません。しかし、少なくとも下水、公害というようなものについては、これを度外視するわけにはいかない。  それと同時に、これらの問題でいまの府県がこれから除外されているわけにはいかない。今度の法律で、まだ政令が十分にお出しになれませんので、私、十分に検討するわけにまいらぬかと思いますけれども、十四の公害の法律で、地方の自治体権限の委譲されておるものが一体どのくらいあるかということである。市町村に委譲されておるものよりも県に委譲された事務のほうが多いのであって、そういうことを考えてきますと、その辺の結びつきだけはぜひひとつしておいていただきたいと思っておったのでありますけれども、それができておらない。ところが、いまの局長の答弁では、型通りの答弁であって、法律がそうできておるからそうだ、こういうことであって、法律がそうできておるからそうだというなら、政治は何もないということになる。ここで私どもが議論しなければならぬのはやはり政治の議論であって、法律的に現行法律をそのまま解釈しようとは私は考えておりませんし、その辺はどうなんですか。大臣、ひとっこれは、一応その辺まで考えていただく余地はございませんか。  私はできるならそういう一つの構想のもとに地方の自治体あり方というものがかくあるべきだ、その上に立ってこう処置すべきだということのほうが、時限的には少しおくれても、私はどう考えてもよろしいのじゃないか。ほんとうにこの法律というものは、単に一部事務組合に対して何か形を変えなければやりにくいかのような印象を与えてできたことであって、そんなことを言うと、はなはだ不見識な話ですけれども、何かしら官僚がものをいじりたいというようなものの考え方で、法律さえ変えておけばそれでよろしいのだということで、官僚の非常に悪いくせがここに出ておるのじゃないか。だから、いままでの一部事務組合でどれだけの不都合があったかということであって、私はおそらくたいした不都合はなかったと思うのです。それから事務組合の法規からいっても、あるいは解釈からいっても、少しゆとりのある解釈をすればどんなにでもなるのであって、これを禁じている法律はどこにもないのである。だから、憲法、法律に違反しない限りは、地方自治体は条例をこしらえることができるという、憲法で権限を与えられている自治体の今日の状態から見れば、何も法律をこしらえなくても、私は一部事務組合運営で問題は処理できたはずだ、またそうすべきだ、そして自治体のほんとうの自治行政の本領をそこに発揮させるということが私は必要ではないか。何でも法律をこしらえなければ悪い、一国会に必ずこういう法律をこしらえなければ自分たちの役目が済まぬようなものの考え方を大体自治省の役人はしているのじゃないかという気がするのです、露骨に言うと。これはとにかくあまりいい考えじゃないですよ。自分たちの仕事だからといわれれば仕事かもしれないけれども、あまりいい仕事じゃないので、少しぐらい仕事に余裕があってもいい。やはりできておる制度を育てていくという思いやりというものが法律運営には最も大事なことであって、育ててみたがどうしてもうまくいかないというなら、変えなければならぬことが出てくるかもしれない。しかし、私はいまさしあたり事務組合ではどれだけ不都合かということになると、そう大きな不都合はないようでありまして、さっきから申し上げておりますように、地方によってはいろいろ地方の自治体同士の話し合いの中で、そして下水の処理はこの町村でやっていこう、処理場はどこに設けよう、あるいは火葬場はあの町村に設けよう、あるいはごみの焼却場は隣の町に持っていこう、話し合いで幾らもできるはずですからね。何もむずかしい法律でなければやれぬという理屈はどこにもないのであって、しかもそれが法律違反でもなければ、憲法違反でもない。少しは自治体を信用してやるべきだと思います。  ちょうど私の与えられた時間に参っておりますから、そんなよけいなことは少しあとでじっくり話をしてもよろしいかと思いますけれども事業団法と特別地方公共団体の性格とこの出された法律とのかみ合わせをする必要がどうしてもこの際あるのではないか。それがさっき申し上げましたように、府県というものが一つかんでこないと、これだけではいまの行政ではうまくいかないようなものがどうしても考えられる。したがって、その辺を大臣からもう一度御答弁を願っておきたいと思います。
  96. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 今回の法案で提案されたことの内容ぐらいのことは、関係市町村間の話し合いで十分できるじゃないか、したがって、これは官僚の法律改正案いじりの手すさび程度に評すべきではなかろうかというような御批評もありますけれども、しかし、確かに実際上関係市町村の話し合いでいろいろ共同的な事業等の処理されているものも一部あると思います。しかし、今回の法案改正はそれとして十分のメリットを持つものであり、単なる官僚の法律案いじりの手すさびとは考えられないのでございますが、要は、先生いろいろ一部事務組合等に関連をされまして御所論がございました。結局は今回の連合制度市町村範囲にとどめておったところに問題があろうかと存じます。いま先生の具体的発言の中にも都道府県との関連について言及があられまして、その辺の欠点を指摘されたわけであります。この点につきましては、われわれも十分考慮しながら立案に当たったのでございますが、遺憾ながら、成案を得るに至らなかったわけでございまして、今後その点を十分考慮をしてまいりたいと考えております。
  97. 門司亮

    ○門司委員 ちょうど約束の時間ですから……。
  98. 菅太郎

  99. 細谷治嘉

    細谷委員 私も今度の地方自治法の一部改正について、連合の問題と監査委員の任期の問題、あとはいままで国会で処理されてきた法律に基づいて自治法を整備する、大体三点でありますけれども、そのうちの連合制度について。  けさの参考人意見を聞いても、一体これは今日の地方制度の中でどういうふうに位置づけられるべきものなのか、どういう行政的なあるいは財政的な地位を占めるのか、こういう点についてはどうもかいもくわからないのです。そこで、地方制度調査会の副会長を長い間されておりまして、そしてほとんど全部の答申の小委員長をなさいました三好さんが「都道府県展望」の五月号に私と同じようなことを書いておるわけです。それをちょっと読んでみます。「市町村の「連合制度」が、新らしく創設されることになった。……問題の根本は、連合の名称は掲げられているが、その形式は、一部事務組合として規定せられている点にある。強いて言えば、現行の一部事務組合と全部事務組合との間に数種事務組合を設けることを認め、これに連合の名を冠したに過ぎないように見える。」こういうふうに三好さんは言っております。そして今度のこの連合について、「(一)広域にわたる総合的な計画作成、(二)その計画実施のために必要な連絡調整、(三)広域にわたる当初の総合的、計画的な共同処理の三つを一括して処理する一部事務組合存在を認める趣旨のものと解される。……これだけならば、単に一部事務組合制度行政簡素化を図る措置以上に出ないものとしか考えられない」、三好さんはこう言っておるわけですね。ですから、あえて必要ないのだ、こう言っております。そして三好さんはさらに言っておりまして、この地方制度調査会では十三次、十四次、その前に十二次の答申等で言ってまいりましたことでありますが、たとえば今日の情勢の中ではこう言っております。「今回の改正案では、都道府県の連合には手を着けられていない。しかし、工場立地などの土地利用の問題を初めとし、住宅建設、交通機関の整備、公害の防止、産業廃棄物処理、上下水道の完備、水資源の確保など、枚挙に遑のないほど都道府県の区域を超えて共同処理すべき問題が現実に山積している。見方によれば、市町村のそれよりも、この方が重視せられねばならぬ事態にある」こう言っております。ところがこの市町村連合だけをやったというのは、自治省はあまり広域市町村圏だけに拘泥していたので大本を忘れておるのではないか、こういうふうに三好さんは批評しておるのでございます。私はこういう批評は当たると思うのですよ。しかし、三好さんはやはり自治省の官僚ですから最後にこう言っております。「今次の案が、将来、あるべき制度への一楷梯となるような格段の努力を待望する。そうした意義が内在せしめられるならば、改正案成立に、多大の賛意を表する」こう言っておる。ですから、これは一つのビジョンを持ったものならいいけれども、そうでない限りは三好さんは意味ない、むしろ広域市町村圏にばかり拘泥した取り扱いである、こう言っております。  そこで、三好さんの感想について私も全く同感なんですが、大臣、どうお考えになっておるか、まずお尋ねします。
  100. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま門司先生の御質問に対して最後に私からお答えをいたしました趣旨、裏返せば、その三好さんの御所論とその軌を一にするものがあります。私も同様の感なきにしもあらずと正直に申し上げます。しかし、今回の提案は単なるビジョンを持ったという意味ばかりでなくて、それそのものといたしましても一つの周有のメリットを持っておる、かつそういう将来に対する展望も十分考慮しつつ提案をされた、こう御理解を願いたいと存じます。
  101. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは立案者である宮澤さんにお聞きします。これは「地方都市の魅力」というあなたの著書ですよ。私はこれを読んで宮澤さんらしい、文章も非常にりっぱですし、ビジョンのある非常に進歩的な本だと評価しております。その一節をお借りしてこの法律との関係について宮澤局長の心境をお尋ねしたい。  「このような日常社会生活圏の拡大と質の高い行政サービスへの需要に対処しようとするのが広域市町村圏の構想だ。」こう言っている。いろいろ説明しております。「いずれは、わが国の市町村はすべて市とよばれることになるのかもしれない。あるいは、現在の三、三〇〇の市町村は、数百の広域的な市に変身するかもしれないのである。その市をささえるものとして、コミュニティがある。逆に、コミュニティに市民が結集し、コミュニティを本当に生きたものとすることが広域的な市を成り立たせる前提となるというべきかもしれない。」、コミュニティーについてはまたあとでお聞きします。そうしてその次に「府県も変わる」という見出しで永野さんの提案を一応評価しつつ「府県制度がいまのままでよいかどうか、また、どのようにあるべきかは、一九七〇年代の最大の課題の一つだ。いずれにせよ、府県制度の改革には、国民生活と国民経済の将来を見越した慎重な配慮全国民的な支持が得られなければならない。」こう書いてある。そして「国際競争力強化のためスケールメリットを求める企業合併が新日本製鉄を筆頭に数多くみられる。だが一〇〇年の伝統をもつ府県の統廃合を行なうことは、企業合併のように、単純なものではない。……そして、各政党も府県制度に対する基本的な考え方とスケルトンを提示したらよい。その後、全国民的な論議のなかで、選挙を通じて全国民の選択が求められてもしかるべき大問題だろう。一九六九年、ドゴールが地方制度改革で信任投票を求めたように。」と。そして結びとして「社会・経済情勢は今後ますます変化してゆくだろう。府県制度もいずれ形を変えてゆく。ただ、それには前提条件がある。住民に身近なサービスは広域市町村圏を中、心とする市町村レベルで適切に処理できるようになるということだ。そのときに、現行の府県制度はおもむろに変身してゆくだろう。」と、非常に名文でビジョンを書いてあるわけですよ。これと今度の法律とは一体どういう関係になるのでしょうか。これは教えていただきたい。
  102. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私の手すさびを評価していただきましてたいへんありがたいと思います。全く私個人の考え方を述べたものでございます。今回御提案申し上げております法律とは直接の関係はないと申し上げるべきだと思います。ただ、せっかくの御質問でございます。私が常日ごろ考えておりますこと、ただいま細谷委員御披露になったわけでございますけれども、ちょっと触れさせていただきたいと思うのでございます。  初めのところで、将来の市町村なり県なりどう変わるだろうかということについて私が書きましたものをお読みいただいたわけでございますが、私は、先週の委員会でも申し上げたと思いますが、今後日本の国土がどう発展をしていくか、あるいは交通なり通信の状況がどのように変わっていくかということが、実は地方制度あり方をも規制する非常に重要な条件であろうと思うのでございます。これまで一九六〇年代、非常な変化を遂げたわけでございます。おそらく七〇年代もそういうような交通、通信の状況、そのほか地域をめぐります条件というものは非常に変わってくるだろう。したがって、変わり方いかんあるいは変わる速度というものによって自治体あり方というようなものもおのずから変わってくるだろう、私はこういうふうに考えるのでございますが、それはそれといたしまして、市町村レベルの行政におきましては、ただいま御審議を願っておりますような広域的にものを処理するという体制がますます必要になってくるであろうと思います。しかし、同時に、住民に身近な仕事を身近なところで処理をする必要性というものも強調されていかなければならない、そういう考え方というものがコミュニティーの育成なり何なりというものにつながっていくのではなかろうか、こういうふうに私は考えているわけでございます。  それから、それと府県の行政との関係は一体どうなるのか。これも国土なり国民生活を取り巻く条件がどう変わるかということによって違ってくるというふうに私は考えるのでございますけれども、先ほども申しましたように、住民に身近な仕事、身近なところで処理をする必要がある仕事が、個々市町村なりあるいは市町村の共同組織なりというもので十分処理をできるというような体制になりました場合には、おそらく現在の府県の制度というものも姿が変わってくるだろう、こういうふうに考えます。財界の道州制について多少コメントをいたしましたのは、一年や二年あるいは数年というようなことで、財界の一部の方が主張しておられますような道州制というものはなかなか実現に移るものではなかろう、こういうふうに考えましたところを述べたわけでございます。
  103. 細谷治嘉

    細谷委員 私がお聞きしたいのは、大臣も先ほど来、そして最初から宮澤局長も答えておるのですけれども、今度の地方自治法一部改正連合制度というものは、府県連合とかそういうものを考えておるものじゃない、こういうこと、あるいは道州制へのビジョンを持っているわけではないと、こうはっきり言っているわけですね。一里塚じゃないこう言っているわけです。そうしますと、一体これが最終のものなのか。あるいは広域市町村圏というものを百二十八すでに指定した。ことしもまた指定する。まあどんどんどんどんつくっていっておるわけですね。そういう中において大臣なり行政局長としては、何らかの地方制度のあるべき姿、こういうものが頭の中になければこういうものが出てこないと私は思うのですよ。現に、今度のこの法律というのが第十二次なり第十三次の地方制度調査会の答申を受けてということであるならば——このままでの経過を考えてみますと、第八次の答申というのは、地方行政連絡会議というもので、これは法律ができたのですね。そうでしょう。第十次の都道府県合併についての答申、これについては過去何べんか法律が出されたわけですね。そして十一次以降、そしていま出ておる十四次までについては過疎過密等も含めた社会経済状態の変貌ということから、たとえば東京においては一都三県、大阪についてはかくあるべきだという具体的な答申までしているわけですよ。ですから、地方制度調査会も一応のビジョン、あるべき地方制度の姿というものは一応示しているわけです。それに基づいてこういう法律が一応出てきたとするならば、どう隠してもこれはたいへんな大きな問題ですけれども、少なくとも自治省としては、これは一里塚じゃないのだ、これでこれはとまりなんだ、こういうことではなくて、何らかのビジョンをやはり示さなければいかぬ。これは過渡的なものです、そうしてこれがこういうところに到達するものなんです、こういう形を示すべきではないかと私は思うのです。現に大臣も、そういうことばの片りんにありますし、あなたの著書、あるいはきょうは引用しておりませんけれども、その前にあなたが書かれた「新国土開発論」という中にも、その辺がぴしゃっと書いてあるのですよ。やがて現在の都道府県は昇華するだろう、現在の市町村も昇華するだろう。何が残るかと言いますと、広域市町村圏というものと、そして道州制か何か知りませんけれども、あるいは指定市というもの、大きな市というもの、それから広域市町村圏というもの、それから道州制みたいなものが残って、そして国の制度、こういうことにしかならないわけですね。ですから、その辺はいろいろ意見のあるところでありますけれども、一里塚じゃないのだ、おのおのこれで最終ゴールなんだ、こういうことを——最終ゴールとおっしゃるのでしょう。けれども、その辺はやはり明確にすべきじゃないか、こう私は思うのですよ。大臣、いかがですか。
  104. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 道州制なりあるいはこういう形だという具体的なものを示すのには早いし、またわれわれ、まとまっておりません。しかし、社会の進展に応じまして、経済社会の変遷に応じまして、広域的に現在の行政機構の中において地方行政処理されなければならない社会的な行政上の要請というものは十分感ぜられますので、それに応ずる処置としての連合と申しますか、拡大されましたる一部事務組合制度、そういうものは少なくとも必要であろう。その意味におきまして、われわれは市町村に関するそれを考えると同時に、都道府県の分野においてもその必要性というのは認める。しかし、都道府県分については今回成案を得るに至らなかった、こう考えておるのでありまして、それ以上の、それでは具体的にきまった行政機構はこうだということをいま申し上げるという段階でもないし、またそれまで機運も熟しておらないし、またそれへの一里塚としてこういう連合制度というものを提案したものではない、こういうことでございます。
  105. 細谷治嘉

    細谷委員 宮澤さんもその辺はおっしゃらぬのだけれども連合制度については地方制度調査会の第九次に連合制度、いわゆるEEC方式と当時いわれていた答申が出ているわけですね。そうでしょう。先ほど申し上げた第十次が府県合併問題なんですよ。その前に九次はEEC方式といわれる府県連合制度という答申がなされたわけです。この法律を出す出さぬということで、当時の早川自治大臣とそれから早川さんの後に大臣になられた人との間にEEC方式だあるいは十次の府県合併だという形でずいぶん争いがあったということは仄聞しているわけだ。そうして九次で府県連合問題について答申がなされて、そして十次は府県合併でありますけれども、十二次、十一二次、十四次、そしてこの十三次の答申の中には広域市町村圏についての答申についてさらにこれをふえん一般化しまして、「地方公共団体連合に関する事項」といって具体的に示しておる。そして「この連合は、都道府県をこえる広域行政について都道府県にも適用できるものとすることが適当である。」こういっておるわけです。そしてこの十四次の大都市制度に関する答申の中には、東京なり大阪の大都市圏についてのあるべき姿、こういうものが答申されておるわけですね。言ってみますと、十次の府県合併の問題よりも、この連合制度の問題については内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会というのはほとんど毎回のように答申をしておるわけですよ。そしてこの問題についての小委員長をつとめた地方制度調査会の副会長である三好さんも、今日現実の問題としては、たとえば公害の問題をとっても、交通の問題をとっても、あるいは情報の問題をとっても、いろいろな問題からいって、これはもう間違いなく府県の境というものが今日ある意味ではディスターブしているのだ、ですからやらねばならぬ。東京一都三県、こういうものをやらねばならぬ。大阪については一府二県についてやはり連合制度をつくらなければいかぬという具体的なものが書かれているわけですよ。その背景には新全総計画がありましょう。新全総計画だって、それを推進するためのあるべき地方制度の弊、というのは、広域市町村圏でありませんが、広域生活圏、そして都道府県を横断する広域行政体制、そういうものが推進体になるということを言っているのですから、あらゆる資料で一応方向はきまっているわけですよ。にもかかわらず、この連合の中を、三好さんが言うように、今日それより重要だといわれるそういう問題については触れないで、しかもその市町村連合の問題、その連合というのも三好さんはきわめて不満な——すでに、言ってみますと、現在の地方自治法の中においても二年間指定してやってきているんですね。百二十八の圏ができているわけですね。ことしもやろうとしているわけです。にもかかわらずここへ出てきたというのは、どうも全身を見せるのはいやだから、指の二、三本だけ見せて、片手だけ見せて、そして全体を示さないでこの法律をつくっちゃおう、こういうような感じがするわけですね。私は、地方制度というのはやはり民主政治の根幹であるだけに、また憲法の重要な柱であるだけに問題を明らかにしておきたい、こう考えて質問しておるわけですよ。どうですか。
  106. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 これまでの地方制度調査会の答申の経緯等のお話しがございました。府県というものの姿と関連をして、今回御提案を申し上げました法律がそれについて触れていないということの理由についてのお尋ねであろうと思います。  これにつきましては、先週の当委員会でも申し上げたわけでございますが、三好さんのただいまお読み上げになりました地方公共団体共同処理の必要性が市町村段階よりも府県段階のほうがより緊急でかつ重要なんだ。こういう見解につきましては、私、必ずしもそうは思わないわけでございます。なるほど県相互間におきましても共同していろいろ仕事をしなければならないものがふえておりますことは事実でございますけれども、区域全般を通ずる総合的な計画に基づいて共同して仕事をする必要性というのは、私は県段階も県段階でございますが、むしろ市町村段階のほうにおいて強いと思うのでございます。そういうこともございます。それから加えて、先ほど大臣も申し上げましたわけでございますけれども関係各省との間のいろいろ議論というものも煮詰まらない面もございましたし、したがいまして、今回は市町村段階におきます共同処理機構としての連合というものを御提案申し上げたわけでございます。府県同士の間におきましても、その煮詰まり方に応じまして、今後市町村同士の連合というものが円滑に施行されますならば、私どもは府県同士につきましても次にそれは検討すべき問題だ、こういうふうに考えるわけでございます。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっとこまかい問題ですが、二点聞きたいのですよ。いまの自治法の解釈は、今日まで百二十八指定してやってきたわけですね。そして今度のねらいというのは総合的な計画を進める三つの目標でありますね。ところが、現行の場合には、一部の構成団体のみに関する事務処理することができないと解釈しておるわけですけれども、現に広域市町村圏というのもずっとそういう解釈があるにもかかわらずやってきた。これからもやっていこう。しかし、ここで連合というものをつくろう、全部の事務組合じゃない。ところが、この解釈も私は問題があると思うのですよ。たとえば競輪とかなんとかやるというなら、これは普遍的なものじゃありませんけれども、社会福祉なりあるいは道路等をやる場合に、この道路はどうのこうのという問題ではなくて、道路あるいは消防とか、これはどこの市町村だって必要なんですね。現に、それじゃ、消防をやっておるかやってないかといったって、みんなやっておるわけですよ。ですから、この辺の解釈も少しかたくなじゃないか、こう私は思うのです。  この解釈をめぐっていろいろな法律案の過程で問題があったようでありますけれども、ですから、私はある意味ではいままでやってきたのにかかわらず、今回あえて三年目に、——そもそもこの広域市町村圏指定するときに自治省では自治法の一部改正を提案しよう、広域市町村圏に関する提案をしようという動きもあったのでしょう。しかし、少し実績を見た上でという形で、今日まで延びてきたわけですね。そういうことでいきますと、私はあえて今度法律を出す必要はなかったのじゃないか、こういう気がいたします。それほどぬえ的な、やればやれないことはない、こういう法律であろうと思うのですよ。この辺はどう見ているのですか、局長。
  108. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 従来の一部事務組合についての解釈の問題、それはそのとおりでございますけれども、御承知のように、一部事務組合は明治以来のわが国の地方制度に定着をした制度でございまして、伝統的に一部事務組合というのは、広域市町村が共通、同種の事務を共同して処理をする場合に、一部事務組合制度が適用になるということで、いわばもうわが国の地方制度にその考え方というのは定着をいたしてきたわけでございます。しかし、たとえば広域市町村圏におきましては、過日来申し上げておりますように、一つ圏域の中に一部事務組合が十も二十もあるというのが現状でございます。その辺、異種の事務でも、関係地方団体が相談で同意をいたしますならば、機構的にも合理的な機構のもとに処理できるようにしようというのが、今回の改正一つのポイントでございます。単なる解釈を弾力的にするというようなことで、今回の改正を行なわないというわけにはなかなかまいらないと思うわけでございます。現に地方制度調査会、先ほどいろいろ御批判がございましたけれども、その辺もやはりそういう解釈を踏まえた上での答申であったろうと私は思うのでございます。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから。そこで宮澤さんがこの本に書かれておりますように、さっきもちょっと読みましたが、全国全部市になってもけっこうだ。その市をささえていくものはコミュニティーだ。そのコミュニティーについて、すでに昨年ですか、生活議会の小委員会の詳しい答申があります。その答申をほぼ受けて、自治省のコミュニティーに関する対策要綱は、新聞によりますと、昭和四十六年度に大体三十程度指定をしたい。そしてそのコミュニティー計画をつくらして推進していく、こういうことが報道されておるのですが、この点はいかがですか。大臣でも局長でもけっこうです。
  110. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 大体おっしゃいますとおりでございます。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、そのコミュニティーについては、先ほど門司さんがやかましく言っておりましたが、コミュニティーをやるには相当金が要るわけです。そのコミュニティーの財政は一体どうするのか。いわゆるコミュニティーというのは一体どの程度規模をお考えになっているのか。この辺あなたのほうの対策要綱を見ても明瞭じゃありません。おおむね一つの小学校区くらいではないかという感じがするのですけれども、その辺はどういうようにお考えになっているんですか。
  112. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 コミュニティーというものの考え方、大体考え方はおそらく多くの方々が共鳴をされていると思うのでございますけれども、そういう考え方に基づいて、実体としてのコミュニティーというものをどういうふうに頭の中で描くかということにつきましては、おそらくまだいろいろな御意見があるだろうと思うのでございます。そういう意味で、私どもは、コミュニティーの考え方というものはいわば一種の試行錯誤でありまして、いろいろな方々の御意見なり実態を見ながら弾力的に考えていっていいものだ、こういうふうにまず前提として思っております。  したがいまして、コミュニティーの規模——コミュニティーというのは、近隣社会でそこに居住をしております人々が、地域に基づいた連帯感にささえられているものというふうに考えますならば、農村地域あるいは都市地域あるいは各地の実態によってコミュニティーの規模というものもさまざまであろうと思います。また、さまざまなものがあって差しつかえないと思うのでございますが、これまでのいろいろな各方面の議論そのほかから申しまして、大体人口五千ないし一万、小学校区くらいというものがコミュニティーの一つの単位としていいのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで、それではそういうものについて財政上どういう措置をするのか、こういうお話でございますけれども、コミュニティーというものは、元来、市民同士、住民同士がいまの連帯感にささえられた地域一つのまとまりでございますから、そういう地域のまとまりの契機になりますものが、やはり各種のコミュニティー施設であろうと私どもは考えるわけでございます。そういたしますと、いろいろなコミュニティー施設、児童公園、小公園あるいは運動施設、研修所、集会所、いろいろあろうと思うのでありますが、こういうものはたてまえとして市町村がそれを設ける立場にあると思うのであります。それにつきまして、特に今年度はまず第一年度であるという段階でございますけれども、地方債につきまして特別のワクを持っております。そういうものの運用によりまして、コミュニティー施設を充実する第一歩を考えていきたい、こういうふうに私ども思っているわけでございます。
  113. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたのこの本にも、コミュニティーについてはずいぶん解説されているわけですよ。たとえばあなたの本の「未来を開く地方都市」、都市コミュニティー、農村コミュニティー、こういう定義分けをしているようですけれども、いまお聞きのように、農村コミュニティーの一つのイメージは戸数二千戸人口にして一万人程度、いまあなたは五千人とおっしゃった。あるいはパークコミュニテイーとか、いろいろなむずかしいあれを使っております。そしてあなたの言い分についてちょっと読んでみますと、なかなか文章はりっぱですよ。それでコミュニティー・ボンドというのがあるんだな。コミュニティー・ボンドというのは何かといいますと、近隣コミュニティー施設の整備のために資金を調達する。資金の調達は市民から強制的にではなくて集めるんだ。そういう意味の地方債を起こすんだ。そして宮澤さんのニックネームのこのコミュニティー・ボンドでどんどん施設をつくればいいじゃないか、こう言っているわけですよ。なるほど自発的に——それはたいへんいいでしょう。いいでしょうけれども、あなたが言っているように、今日のコミュニティーというものが、都市においても、また地方制度調査会の十四次の答申にあるわけですけれども、農村においても、これは日常生活圏ということでとらえられるのならば、一体その場合に、市や特に町村とコミュニティーというのはどういう関係になるのか。市の中には幾つかのコミュニティーができるんでしょう。いまの町村とコミュニティーというものとはどうなるか、この辺の問題もあるわけですね。そしてそういうコミュニティーを育てていくためには、あなたは、マイホームからアワー・コミュニティーに発展させなければならぬ、なかなかよく書いてあるわけですよ。理想は非常にいいわけです。私は確かにそうだろうと思うのですよ。そういうものが確立することがやはり住民自治への道だと思うのです。そういうことが一番大切であるが、いまはそれは町村に求められていると思うのです。町村が広域市町村圏の中に昇華してしまって、コミュニティーというものもないということになりますと、一体地方自治なり住民自治なんというものは、形はともかく、事実としてどこに残るか、こういう疑問が出てきます。この辺はどうなんですか。
  114. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私は、コミュニティーの必要性と申しますのは、現在の市町村というものを前提にいたしましても、あるいはそういうふうには私はすぐにはならないと思いますけれども、もし細谷委員のおっしゃいましたように、現在の市町村広域市町村圏の中に吸収されていく、そういう場合におきましても、いずれの場合におきましても必要だと思うのでございます。日常の生活をともにする近隣社会の人々が地域でまとまって、地域生活をよくしていこうという考え方なりそれに基づきます運動というものは、そもそも地方自治行政を離れても人間性の本質として必要でございますし、考えようによりましては、地域団体である地方自治の基本であろうと私は思うのでございます。したがいまして、広域市町村圏というようなものを考えませんでも、現在の市町村の区域におきましても、まあ小学校の区域単位というものが適当であるかどうかはなお検討を要しますけれども、そういう市町村の区域の中に幾つかのまとまり、コミュニティーというものがありまして、コミュニティーが一つ市町村を形成していくということは必要であろうと思います。それがさらに広域行政要請広域市町村圏というものを考えますならば、広域行政の必要性が強くなればなるほどまた逆に地元の地域社会を固めていくコミュニティーの必要性というものも特に強調されなければならない、こういうふうに考えるのであります。
  115. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、けさの参考人学習院大学恒松教授も言っておったのですが、こういう連合組織をつくりますと、いわゆる住民の連帯感というものは薄れていく。でありますから、その地域住民の連帯性を強化する何らかの措置が必要であろう、こういうことを恒松教授はおっしゃっておった。私も具体的には、やはりあなたの言っているコミュニティーだと思うのです。広域市町村圏については、連合という形でいろいろな制度をやっていく。今後はコミュニティーをやるというわけですけれども、この辺の関係も全然皆目わからないわけですけれども、コミュニティーについては、コミュニティ・ボンドでやると言ったって、これはなかなか——広域市町村圏というのは、いわゆる中心都市に向かって、幹線道路に向かってのあれはできるでしょうけれども、これは都市においても農村においてもコミュニティーというのは必要なんですね。昔の隣組じゃないのですよ。こういう問題について、大臣、もう少し——今度三次の指定するそうですけれども、どうもこれについての具体的な取り組みというのがないんじゃないかと思うのですよ。この辺はいかがですか、大臣。
  116. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま宮澤局長からも申し上げましたとおり、一般的な考え方として、その必要性を認め、またその点につきましては、細谷先生も必要だとおっしゃったわけでございますが、その具体的内容をこの際明確に示すことが、この施策を始める上においてまた必要でございましょう。しかし、いま直ちにこれこれこうでこうだというような性格のものではなく、たまたま宮澤君からも申し上げましたとおり、試行錯誤的にやはり展開をさせるということが実際でもあろうと考えるわけであります。そこで、この点に関する研究会等も省内に置きまして、そこの研究に基づき、いろいろの施策を行ないつつ、この整備の内容を完備する。広域市町村圏なり、外縁的ないろいろ広域処理も必要であると同時に、その内部におきまして、民主的な住民意思に基づく真の自治連帯感というものをやはりそこに培養していく。そしてほんとうの内容の上におきましても、外向的な見地におきましても、りっぱな地方自治行政機構を確立するためのコミュニティーというものの内容を充実する必要があろうと思います。  コミュニティ・ボンドにつきましては、もちろんこれだけでいいというものではございません。関連をいたします地方債の一体系として、また連帯意識を強めるものとして採用をしていく、こういう考え方でございます。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がございませんから……。私は原則的には、やはり民主主義の学校といわれている市町村強化というのが今日一番重要であって、民主主義のとりではここじゃないかと思うのです。ですから、私は市町村の行財政の面を今日弱体化するような方向というのは誤りではないか、こう見ております。そういう意味において、広域市町村圏という形の連合というのは、市町村組織を弱めていくではないかという非常に大きな疑念を持っております。  もう一つ市町村が今日やるべき一番の重点は、やはり地域社会、特に都市においては向こう三軒両隣りなんていう時代じゃないわけですね。もっと核家族化して、もう個人個人に別れる、こういうかっこうになっているわけですから、コミュニティーというものを、いろいろさまざまでありましょうけれども、これを育成して地域住民の連帯感というのを育成していくことが非常に大切な点ではないか。そういうものの成長を見た上で地方制度のあるべきものを制度として変えていく。非常に回りくどいのですけれども、そういう方途を講ずべきではないか、こういう考えを持っております。そういう点で私はこの法律は、どうも非常にぬえ的でありますし、何をねらっているのかわからぬ、こういう点でも不満でもありますし、賛成することができないわけです。  そこで、最後に一点だけお尋ねするのですが、たとえば多摩ニュータウンで、新聞等に出ておりますけれども、たくさんの自治体関係する団地ができて、そしてそれが二市二町なんていうことにまたがっている。ところが財政がないので、そういう都市施設についての完備もできない、あるいは行政面、教育等の管理もできない。ですから都でやらなければならぬ、こういうことになりますと、法律違反ということになるのじゃないかと思うのです。現に都がやろうとしている。こういう問題が今度の法律解決できるのですか、できないのですか、この辺ちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。
  118. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 事務共同処理する仕組み、そういうものができるといたしますと、私どもは過日来申し上げておりますように、今回の法律改正が行なわれましたならば、これは広域市町村圏のみならず、研究学園都市でありますとか多摩ニュータウンでありますとか、こういうものにも適用してもらって、大いに効果があがるものだというふうに思っております。  ただ、財政の問題は、これはまた別の財政措置が必要だと思います。総合的な地域計画に基づいて関係市町村が共同して仕事をするという仕組みは、多摩ニュータウンについても、こういうものを導入していただくことを期待することができると思います。
  119. 細谷治嘉

    細谷委員 大体それでやれるということですね。新聞等でも、今度の法律ができたら、二市二町間にわたっている学校等の格差是正もできる、おそらくこれも一部事務組合的な連合というものか何か知りませんが、やるということでありますけれども、この辺の問題も、私は今度でなければできないというのもちょっとおかしいと思うのです。その辺、一部事務組合をつくればいいのだけれども、問題は財政関係なり、あるいはいろいろな利害関係があってなかなかできないのですけれども、今度の法律ができたらできるというものでもどうもないと思うのですが、問題があるようでありますから、ちょっとお尋ねしたわけです。  時間がありませんから、終わります。
  120. 菅太郎

    菅委員長 次回は、明十二日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十八分散会