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1971-04-28 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十八日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 山口 鶴男君 理事 小濱 新次君    理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 正暉君    永山 忠則君       野呂 恭一君    村田敬次郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       細谷 治嘉君    山本弥之助君       桑名 義治君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁交通局長 片岡  誠君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         消防庁長官   降矢 敬義君  委員外出席者         議     員 山口 鶴男君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     山本 幸一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七二号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇三号)  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第四  八号)(参議院送付)  地方財政法の一部を改正する法律案華山親義  君外六名提出衆法第二〇号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案華山親義君外六名提出衆法第二一号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 時間の関係もありますので、少し順序を変えてお尋ねしたいと思います。  昭和四十三年に刑法第二百十一条が改正になったわけでありますが、この改正によって、その前とあとでどういうような違いが起こっているのか、まず御説明いただきたいと思います。
  4. 片岡誠

    片岡政府委員 業務過失致死傷の問題かと思いますが、三年以下の禁錮に処するという罰則が五年以下の懲役または禁錮に処するというふうに改正になったと記憶しております。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 それはわかっているのだ。それがどういう効果があったのか、こういうことを聞いている。もしわからなければ、あとで詳しい改正前と改正後——言ってみますと、この刑法国会でもずいぶん問題になった法案でございまして、継続審議継続審議と、こういうような形でようやく四十三年に成立したいきさつがあるわけです。その際にいろいろな角度から論議されたわけです。そしてまあ改正になったわけです。その効果といいますか、前後で具体的にどういう違いが起こっているのか、これをお尋ねしている。
  6. 片岡誠

    片岡政府委員 手元資料がございませんので、法務省刑事局のほうと相談しまして、その後の判決状況その他の関係資料を差し出したいと思っております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ突然ですから手元資料はないと思います。大体この効果があったかなかったか、この辺はどうですか、原則的に。
  8. 片岡誠

    片岡政府委員 一般的な予防的な効果は私はあったと思いますけれども、具体的にそれがどのように個々の裁判において適用になっていっているかという資料を手持ちしておりませんので、それを見ましてまたお答えいたしたいと思います。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 当時まあ三年というのが最高でしたから、三年というのがほんの幾つかの一、二の例で、大部分がやはり一年とか二年ぐらいであったのですよ。ですから三年にするのが交通事故等抑制の大きな効果があがるかどうかという疑問が投げられたわけです。そこで、これによって、たとえばその後三年以上の刑が確定したという例がございますか。
  10. 片岡誠

    片岡政府委員 手持ち資料がございませんので、後刻見まして、資料として差し上げたいと思います。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだって警察庁のほうからいただいたわけでございますけれども、交通事故等による懲戒処分、四十三年、四十四年、四十五年等の三年の数字を見ますと、停職というのが非常にふえてきておるわけですね。これは警察官だけですね。
  12. 片岡誠

    片岡政府委員 これは警察官警察部内にいる警察官以外の職員を含めての、警察に勤務している職員でございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで自治省のほうにお尋ねしたいのでありますが、この交通事故等によりまして、過失等によって免職になった例がございますか。
  14. 山本明

    山本(明)政府委員 四十四年の四月一日から四十五年の三月三十一日まで、四十四年度でございますが、都道府県免職十九人、市町村で二十一人、合わせまして四十人。前年度が三十八人でございますから、二人ほどふえておるという傾向でございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 これは全部過失事故ですか。
  16. 山本明

    山本(明)政府委員 過失によるか、ちょっと私ども存じませんけれども、要するに、道交法違反懲戒処分を受けた者という資料でとったものでございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 これは刑が確定して自動的に分限免職になったんですか、その辺はどうなんですか。
  18. 山本明

    山本(明)政府委員 違います。分限じゃなしに、懲戒処分を受けた者が四十名でございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 そういたしますと、かなり過失とかなんとかで情状酌量余地のないものと、こういうことなんですか。
  20. 山本明

    山本(明)政府委員 情状酌量余地ないものとして処分されたのだろう、このように考えております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 たとえば飲酒運転とかあるいは無免許運転とか、そういうことによって事故を起こして、それによる免職。わかりました。  そうしますと、お尋ねしたいことは、この交通事故によりまして分限によって職を失った例がございますか。
  22. 山本明

    山本(明)政府委員 分限によったかどうか、ちょっとつまびらかにいたしませんが、私のほうで刑事処分をされた者、いわゆる懲役とか禁錮の刑によりますとか、この数が都道府県懲役が二、禁錮が六。市町村懲役が二、禁錮が十四。合わせまして二十四件でございます。そして前年に比べまして懲役が二減っておりますし、禁錮の刑による者が一名減っておるということで、刑事処分による数は三名ほど減っております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、いまその懲役禁錮、まあ禁錮が非常に多いわけですが、この過失内容はわかりませんか。
  24. 山本明

    山本(明)政府委員 そこまではつまびらかにいたしておりませんです。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、いまお聞きいたしますと、かなりの人が職を失っておるわけですね。  さらにお尋ねいたしますが、免職等いわゆる二十八条の分限によりませんけれども、分限による免職のほかに、休職とかあるいは昇給延伸等を受けた例があるかどうか、いわゆる懲戒処分を受けた例があるかどうか。
  26. 山本明

    山本(明)政府委員 先生のお尋ねと若干違うかもしれませんけれども、私のところでそこまでつまびらかにいたしておりませんけれども、四十四年度におきましては戒告減給停職等によりまして懲戒処分を受けました者、たとえば具体的に例を申し上げますと、都道府県市町村を合わせまして戒告が千四百八十二人、それから減給が千六百三十七人、それから停職が二百九十二人、これは前年に比べまして約千人程度の増加になっております。そういう実情だけ把握いたしております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、この地方公務員法という法律ができたときと、昭和二十六年かと思うのです、今日、昭和四十六年、二十年後の今日というのは、文字どおり交通事情は一変しておるわけですね。いわゆる交通事故というのは交通戦争ということばで表現されるような事態になっております。事地方公務員の生活に関係する問題でもありますので、ここまで事情が変わってきておりますと、文字どおり事情変更でありますから、公務員に対する十六条なりあるいは二十八条なりについては、現況に合うように手直しをする段階にあるのではないか、こう思います。ただ、私が申し上げたいことは、手直ししたからといって、それじゃ交通事故をやっても過失ということであればいいんだということで、交通事故を促進するような効果があってはむろん困る。これは大前提ですよ。大前提でありますけれども、今日この段階ではどう用心したって起こる可能性があるわけですね。そういう点で、今日の状況からいくと、客観的に法律を手直しすべき状況にあるのではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
  28. 山本明

    山本(明)政府委員 先生質問のように、十六条、それから二十八条の四項でございますか、ここに現在規定がございますけれども、いわゆる禁錮の刑以上に処せられた者に対しまして云々ということで交通事故の問題を処理するというよりも、条例でそういういまおっしゃいましたような事情変更の問題に対処するという方法があるのではないだろうか。実は、実際その条例によりまして特別の定めをいたしまして除外をいたしておりますのが東京都、それから六大市、その他市で三十くらいございます。合わせまして約四十近い自治体が、いま申しましたような交通事情の非常な変革といいますか、変動に対処する措置を講じておりますので、私は条例の面でこの問題も措置すべきではないだろうか、このように考えておるものでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 条例の面ということでありますけれども、いま東京都の話が出ましたから、その点についてお聞きするのですけれども、昭和三十四年の一月八日付で東京都の人事部長あて自治省公務員課長回答がございますね。それによりますと、問は、地方公務員法第二十八条第四項の運用についてということで「地方公務員法第二八条第四項には職員欠格条項に該当しても条例に特別の定めがあれば失職しないこともありうるように規定してあるが、次のことについてご教示願いたい。近時都市における交通量の激増にともない自動車及び電車の運転手等業務過失致死傷または業務過失往来危険罪有罪判決があった場合、平素勤務成績を勘案し、情状により失職しないものとする旨の規定条例に設けることは適当かどうか」、こういうことです。これに対する自治省公務員課長回答は「設問の場合、適当かどうかは貴部において判断すべきものであるが、一般的には適切なものとは考えられない」、こういう回答なんです。これは三十四年の一月なんですよ。いまの公務員部長の御回答によりますと、三十四年からもうすでに十一、二年たっておる今日、状況地方公務員法が制定されたときよりも、三十四年の事情、その問の事情よりも、三十四年以降の激変が起こっているわけですから、この地方公務員課長回答よりももっと、これはきわめて消極的な回答なんですね、積極的な意味においてこの問題を考えておると受け取ってよろしいかどうか。
  30. 山本明

    山本(明)政府委員 一方には交通事故に対します国民感情というものもございますし、先ほど先生もおっしゃいましたように、交通事故を大いにやれという意味の問題ではないという御質問もございましたように、一方には国民感情考えながら、片一方にはやはり現実事態が動いてきておるということを私は考えるべきであろうと思っています。そして先ほど申しました四十程度市町村におきます条例を調べてみますと、職務遂行中に過失によって、そして禁錮の刑を受ける、これが執行猶予になる、そういう者に対しまして情状を酌量して、条例で失職にしない。いわゆる例外規定を設けておるというような、六つほどの条項を抽出いたしまして条例ができておるというような実情でございます。私はこの実情というのは、先ほどから申しておりますように、交通事情が今日のような事態になってまいりますと、従来、三十四年に行政実例を出しましたときの消極的な態度よりも、やはり前向きの方向でこの問題は処理すべきであろう、こういう気持ちを持っております。ただ、具体的にどういうふうなかっこうの、たとえば公務中といいましても、どういうふうに公務中の実態をつかまえたらいいかという問題もございましょうし、いろいろな事例もございますので、ただいま実はこの問題を前向きの方向で検討をしておる最中でございまして、三十四年の行政実例につきましては、若干前向きの姿勢でこの問題を処理したい、こういう気持ちでおります。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 前向きのような御回答のようでありますけれども、具体的には三十四年のこの回答から一歩も出ていないということだと思うんですよ、いまあなたの答弁は。三十四年よりもやや前向きという心がまえであるようでありますけれども、ことばにあらわれた限りにおいては前向きだという確認が私はできなかった。  そこで、いまの場合「一般的には適切なものとは考えられない」、これは一面いえると思うのですが、「設問の場合、適当かどうかは貴部において判断すべきものである」、その次に一般的には適切なものではないというのですから、前段が打ち消されたような印象の字句なんですよ。この法律に書いてございますように「条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う。」こう書いてあるわけですね。そういたしますと、この点については地方実情、たとえば交通事故等によって、任免権者裁量権だ、したがって裁量の必要がある環境であるならばこれは条例で特別に定めることは一向差しつかえない、こういういま部長考え方だと思うのですけれども、どうなんですか。
  32. 山本明

    山本(明)政府委員 結局最初に申しましたように、一方に交通事故に対します国民感情というものもございます。事故を起こして禁錮の刑以上になった者に対して、どの限度まで許されるのかという問題もあるのじゃないだろうか。したがって、それぞれの交通事情実態に応じた自治体のそういう条件の中で、いま言いました条例をつくり、しかもそれは国民感情から見て、この辺なら情状酌量余地があるかなという限度までは私のほうは押えなくてはいけないのじゃないだろうかという気がしておるから、先ほどから申し上げましたような御答弁を申し上げたのでございます。したがって、そういう状況がないのに一般的に何もかもつくるということを、われわれは三十四年の態度からは変えるわけにはいかぬけれども、いま言いましたそういう環境の中における実情というものは変わってきておるから、そういう環境の中において自治体のほうで条例をつくり、そういう対象者に対しまして例外を設けるということはやむを得ないのじゃないか、こういう気持ちでおります。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 部長、私はかりそめにも今日の交通事故ということで、そういうもので若干でも交通事故にプラスするようなものであってはいかぬ、そういう大前提に立ってものを言っているわけなんですから、その確認の上に立って言っているのですから、一々それをからませて答えをするからどうもことばがいかぬわけであって、そういう大前提に立って、交通事故を若干でも増加するようなことはもう許されないけれども、片や業務上の過失等によって事故が起こった、そしてそれが刑に問われて禁錮刑になった、執行猶予になった、あるいは初犯でないから今度は執行猶予にならなかった、こういう例がありますね。執行猶予というのは、初めての場合に大体執行猶予がつくわけですから、平素勤務状態等からいって、あるいはそのときの仕事の状況による精神状態等も必ずしも常に一定じゃないわけですから、情状を十分酌量できるのではないか、こう思うのですよ。  それからもう一つ、執行猶予にならなかった場合、これは情状酌量余地は全くないんだ、こういうことも言えないのじゃないかと私は思うのですよ。でありますから、この法律ではわざわざ、一に該当するに至ったときはその職を失う、じゃなくて、自治体任免権者裁量権というものを生かせるために「条例に特別の定がある場合を除く」こういうふうに入ったのじゃないかと思うのですよ。その「条例に特別の定がある場合」というのは、三十四年における公務員課長回答よりも、今日の状況からいってもっと積極的な考え自治省はお持ちだ。この辺のことはほぼわかったと思うのですが、そういうことなんですよ。よろしいですか。
  34. 山本明

    山本(明)政府委員 おっしゃいましたように、三十四年の行政実例を出しましたときの社会情勢と今日は変わっておりますから、あの当時の行政実例よりもやはり前向きのかっこうでこの問題を処理していきたいという気持ちは私は持っております。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで竿頭一歩ということではございませんけれども、そこまで来ているのならば、今日の状況からいって二十八条四項の「十六条各号」ということでカッコして第三号は除かれているわけですね。そうでしょう。第三号というのは何かといいますと、「当該地方公共団体において懲戒免職処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者」、これなんですね。そういたしますと三号を除くなんということは書いてなくても、現実にもうこれは免職になっているわけですね。ですから「第十六条各号(第三号を除く。)」と書いてありますけれども、第二号は除いてもよろしいんじゃないかと思うのですけれども、この辺はいかがですか。第二号、第三号を除くとお書きになる意思があるかどうか。
  36. 山本明

    山本(明)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、法律上の措置としては私のほうは考えておりません。条例によって実情に合わせて、自治体がその実情の中からいまありましたような措置をすべきであろう、こういうように考えております。一律にこれを削除するという気持ちは持っておりません。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 あくまでもそういうのは、情状酌量という形で自治体条例状況に応じてやるべきだ、法律についてはそこまで触れる意思はない、こういうことであります。  そこでお尋ねいたしますが、二十八条の三項、「職員の意に反する降任、免職休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例定めなければならない。」こういうことです。この条例定めるという具体的内容はどういうふうにお考えになっておりますか。たとえばその範囲、こういう問題についてどうお考えですか。たとえば、いま言ったように、交通事故業務上の過失で起こした。免職にはならぬけれども、休職になる。こういうことですね。そういう場合についてこの条例定めなければならぬと書いてあるわけですけれども、これもやはり自治体状況に応じてやってよろしいということですね。
  38. 山本明

    山本(明)政府委員 いまおっしゃった御質問の問題につきましては、法律的には条例定められてもいいということになると思います。自治省でこの問題に対します従来から準則を出しておるものにつきましては、病気の場合におきます具体的な事例、要するに病気によって休職になっておる分しか実はこれは指導いたしておりません。具体的には条例によってきめることができるという条文になっております。自治省ではそこまで基準として指導はしておらない。要するに、自治体実情に応じて条例によってきめるという思想になっておる、このように御理解いただきたいと思います。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、地方公務員法には二十八条による休職、それから五十五条の二による休職と二通りあるわけですね。休職内容も違ってくるのです。給料を一体六割やるのか、あるいは勤務年数に加算していくのか、どういうふうに復元していくのか、この辺の問題もあるわけですよ。こういう問題も、一切これは条例、それを受けての規則できめてよろしいということですね。
  40. 山本明

    山本(明)政府委員 条例できめてよろしいという法文になっております。ただ、その場合に勤務条件等につきまして、他の地方公共団体との均衡という問題、均衡論はございますけれども、一応自治体におきましていま申しました条例定めることにつきましては条文上はできる、こう思います。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 私は特に地方公務員法だけ——これは本来国家公務員法もかかるのですけれども、何といいましても国家公務員にはそう現業はありませんけれども、地方公務員でありますと、清掃とかあるいはいろいろな形で非常に多いのですよ。そして、やはり清掃あたり事故というのは非常に最近ふえておりますからね。そういう点では私は特に問題を、一般論としてでありますけれども、地方公務員法を例として申し上げておるわけです。  そうしますと、いま休職の問題を取り上げたわけですけれども、一般的に、たとえば交通事故を起こしたということで処分を受ける。そうしますと、これは昇給延伸等が多くの場合起こってきますね。自治省が指導している昇給延伸やり方というのはどういう内容ですか。たとえば、ことし三カ月なり六カ月延伸した。それは復元しますか一生復元しないかということです。
  42. 山本明

    山本(明)政府委員 昇給という場合におきましては、勤務成績が良好であるという場合に昇給が可能なわけでございます。したがって、勤務成績が不良であれば昇給させない。その場合に昇給させない者は将来において復元させるということはいたしません。当然そこで延伸三月するなら三月したものをもちまして、給料はそこを基礎にして計算をしていくのでございまして、その分だけ将来復元をするということはない。ただ、本人がその後非常に成績がよくなって、特別昇給等によりまして昇給するということは、これは特別昇給の問題としての措置であるわけで、昇給延伸になったものを復元するということはあり得ないとわれわれは思っております。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 これは一般昇給特別昇給というけれども、人事院勧告でも最近特別昇給範囲というのは量も非常に多くなったわけです。たとえば、ことし事故をやって三カ月の昇給延伸を受けた。これが二十五歳の人だったというと、やめるまで三十何年間これは続くわけですよ。その間成績良好だという形で三カ月の短縮が行なわれればもとへ返るわけだ。その際は、やはり処分がきまっているわけですね。減給の場合ですと簡単ですけれども、またもとへ返りますけれども、昇給延伸というのは返らないわけですよ。この辺は、延伸やり方に問題があるんじゃないか。それであなたのほうは、いや一般昇給じゃなくて特別昇給だ、こういう形で片づけられておりますけれども……。  おおむねわかりましたが、そこで、私がいま質問しておる問題については、すでにこの道交法の審査の際に、国会でこれを通す場合に、附帯決議がつけられておることは御存じですか。
  44. 山本明

    山本(明)政府委員 まことに不勉強でございまして、そこのところを見ておりませんでした。恐縮でございますけれども、存じませんです。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 いま私がやりました一連の問題につきましては、衆議院においても、参議院においても、今日のこういう交通戦争段階において、業務上の過失事故を起こした場合たいへんなことにもなりますので、十分な配慮をすべきであるという附帯決議が過去になされておるわけです。これは警察庁のほうは御存じないでしょうな。
  46. 片岡誠

    片岡政府委員 記憶しておりませんが……。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 調べてみていただきたいのですがね。衆参両院で、公務員の場合の十六条、二十八条の関連運用について、交通事犯による善良な運転者の権益の擁護についてという点で附帯決議がなされておるわけですよ。それはひとつ調べていただきたい。国会附帯決議関係者が全く御存じないなんというのは……。大体、附帯決議のつくときは、各党の理事の方々が、質疑を通じて出た問題点を、きょうもおそらく附帯決議がなされるでしょうが、そういう問題の中で、法律の中に修正取り入れることができなかった問題について、なお重大な問題でありますから、これを次の機会に法律の中に組み入れるとか、あるいは運用上の問題については気をつけるように附帯決議をするわけですね。そして大臣が、必ず、その趣旨を尊重して善処いたします、こういう答弁までしているわけですよ。それを御存じないなんというのは、これは情けない話ですよ。少し大げさにいいますと附帯決議軽視、言ってみますと、これは国会軽視ですよ。どうなんですか、警察庁。ちゃんとあるのですよ。あったら、あなたのほうが主管のあれですから、関係の省に知らせなくてはならぬじゃないでしょうか。どうなんですか。
  48. 片岡誠

    片岡政府委員 当然知らしておると思います。ただ、現在私自身手元資料もございませんし、記憶にないので、はなはだ申しわけない次第でございます。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省御存じないですか。
  50. 山本明

    山本(明)政府委員 われわれ担当者が現在知っておりませんことはまことに遺憾でございますけれども、おそらく三十七年か八年のときに附帯決議がつきました際に、警察のほうから自治省のほうには来ておると思っておりますが、まだ私のほうは、その後その処理を十分ではなかったというふうにも感じますが、私のほうは実はいま存じませんのでございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 ひとつ調べてください。これはもう附帯決議というのは、法律をやる場合に必ず、特に道交法あたりは重要な附帯決議もついておるわけですから、十分調べて、それを必ず何らかの形で具体的に消化していただきたい、こう私は思います。  この問題は、もう時間もありませんから、最後に二、三ちょっと簡単にお聞きしておきたいのです。いろいろとこの前も出ましたけれども、重複を避けまして……。  道交法審査の際に、やはり年齢上の問題があるわけですよ。私は思うのですけれども、ある運転手に聞きましたら、あのトラックが道路をわがもの顔に通っていくのを見ると、ぶつかったって連中は高いところですから、たいしたけがはないわけです、ですから、運転台を下げたらこわくなるだろうという。いろいろうわさはありますよ。ありますが、ある人が、一ぺん戦車を持っていって、わがもの顔に走っているやつにわざとぶつけてみたい、こういうことばも聞いたぐらいなんですが、警察庁等でダンプカーなり大型貨物等の運転手の年齢——やはり年齢が非常に大きいですね。年齢等について検討する必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  52. 片岡誠

    片岡政府委員 二十前後の年齢層の人が比較的自分以外の人たちに対する配慮が足りないというのは、一般的な傾向として私はあると思います。しかしながら、個人差も非常にあろうと思いますので、ただ単に年齢だけでものごとを考えていくというわけにもいかないのではないか。また年齢を引き上げること自体におきましては、社会経済的ないろいろな問題もあろうと思いますし、私どもとしましては、現在の二十一歳の年齢で妥当なものではないか、ただ、その中の個人差をより分けていくような方向にさらに検討を要する問題をかかえておると思いますし、また取り締まりの面でそういう無謀な運転をしておる運転者に対する取り締まりを強化していきたい、そのように考えております。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 国家公安委員長にお尋ねしたいのですが、いま私が申し上げましたダンプの運転手等の免許については、四十五年十月十三日に年齢を二十五歳以上にすべきだという閣議了承があったということが新聞に出ておるわけですけれども、閣議で了承された以上はこの辺のことは具体的にしなければならぬじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  54. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ちょっと明確に記憶にございませんので恐縮でございますが、先ほど交通局長がお答え申したように、一般的に二十五歳以上に引き上げるということは検討の価値がある問題とは思いますが、当面個人的な性格等を考慮して、それを対象に取り締まっていくということでよろしかろうかと思います。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 いま閣議了承を——これはこの委員会でも問題になったかと思う。たとえば銃砲刀剣の場合に年齢を上げましたね。大体事故というのは二十二、三くらいで、二十五以上になりますと銃砲刀剣等もない。ダンプの事故も二十歳前後に多いということで、私は閣議了承事項というのはもっともなことじゃないか。どだい今日一番未熟なのが一番あぶないやつを運転しておる。一番凶器だ。そうして経験年数豊かな、あるいは精神的に安定したじょうずの人が会社等の社長の運転やなんかやっているわけだ。ですから、これは歩行者優先といいましても、一番未熟なのが一番あぶない凶器を運転しておるというところに問題がある。これはやはり日本の労働条件等の問題から来ているわけで、いろいろ問題があるのですけれども、やはり一つの問題点じゃないかと思うのです。  それからこの間一連の選挙があったのです。幸い天気でしたけれども、やはりときどき雨が降りますと、歩行者優先ということですが、どろをひっかぶるわけだ。その辺のどろよけ等の問題についても、だんだん舗装ができてきたからその辺は——かつてこの問題は附帯決議されましたけれども、もういまや舗装したから、かぶったってどろんこにならぬじゃないかということかもしれませんけれども、これは附帯決議にあったので、今日忘れられておるようでありますから、この辺の附帯決議の問題も十分やっていただきたい、こう思います。  時間がありませんから、最後にお尋ねしたいのでありますけれども、今日の都市交通を解決する道というのは、今度の法案でその片りんが出ているのでありますが、法律をそのままやれば、たとえば七環なり六環の中にはもう大きなトラックを入れない、こういうこともできると思うのです。これはやろうとすればいろいろできると思うのですけれども、一体今度のこの法律運用について、都市交通の規制ということについてどこまでやる決意があるのか、これを最後に伺っておきたいと思います。
  56. 片岡誠

    片岡政府委員 都市交通の規制につきましては、現在大都市あるいは中都市をかかえている府県で、マスタープランと申しますか、単なる路線ではなくして面として考えて、交通規制の総合的な計画を立てるように指導いたしております。基本的な考え方といたしましては、一つは駐車規制を強化することによって都心部に対する車の乗り入れの間接的な規制をはかっていこうということ、それから通勤通学時のラッシュ時間帯につきましては、物よりも人の交通を優先させよう、それから人の交通の中でも一番効率の高い公共輸送機関、バス、あるいは場合によりますとタクシーもあろうと思いますけれども、主としてバスの優先あるいは専用レーンをつくるということによってラッシュ時間帯の交通の緩和をはかっていきたい。基本的に現在考えておりますのは、規制面ではそういうことでございます。同時に、先般来申しておりますように、裏通り対策として、生活道路からは通過交通を締め出していく、そして幹線道路なり準幹線道路は安全施設を完備していって、そこに大量交通をさばけるように、単に安全だけじゃなくて、円滑にさばけるようにもしていきたい。それから、交通信号機を面的に制御することによって交差点の交通容量を高めていくということによってもさばいていきたい。基本的にはそういう方向で各府県にマスタープランを立てさせております。その間に、一方通行であるとか駐車禁止あるいは右左折禁止といったような、いろいろな芸のこまかい規制手段をつくって、少しでも安全であり円滑にするような方向で総合的な計画を立てるように指導をいたしております。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、国家公安委員長、今度の法律改正でその辺の規制というものについてはかなり警察の権限というものはふえてきました。しかし、形としては公安委員会がやる、こういうことになっているわけです。公安委員会というのは実力をお持ちにならないわけですから、事実上は警察がやる。言ってみると、警察が三権を握ったようなものですよ。その辺にやはり問題があるのであって、国家公安委員会の実力というのは、言ってみると、警察交通の事務局みたいなもので、そういう点で一切が警察にまかされて三権が握られている。こういう点に問題があるのであってもう少し交通問題についての専門家等を含めた、あるいはそれの被害者である民間人を含めた都道府県ごとの交通審議会等、そういう仮称のものを設けて、そういうものの意見なりあるいは諮問、こういう形でやっていくことは効果をあげるのではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
  58. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 およそ警察が厳正公平に中立性を持たなければならぬ、それから民主的な運営がなされねばならぬという要請だけに限って考えれば、公安委員会の制度それ自身が民間の有識者を選抜して国家公安委員に任命しておりますから、一応まかなえることかと思います。ただし、実際の問題としますれば、お説のような必要性を感ずることがあり得ると思います。それは制度的じゃございませんけれども、事実上各都道府県においても民間の各種団体の代表者、市民代表者というものをもって構成する協議会的なものをケース・バイ・ケースで設置して、その意見を聞いて善処するということは慣行としておるようでございますから、大体お説のようなことには応じ得るのじゃないかと思っております。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 これは時間がありませんから……。応じ得るということ、私はやはりある程度法的な位置づけをする必要があるのではないか、その辺のことも含めて御検討をいただきたい。これを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  60. 菅太郎

    ○菅委員長 林百郎君。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 もう時間がありませんので、私は条文の解釈上の点について政府当局にお尋ねしたいと思います。  まず第四条ですけれども、四条を見ますと、公安委員会の交通規制に関して、道路における危険の防止、交通の安全、交通の円滑、交通公害の防止の必要を認めた場合、政令で定めるところにより信号機、道路標識の設置、交通整理、歩行者、車両の通行禁止及び規制を行なうことができる、こういうことになっています。この交通規制は場所、区域、道路区間を定めて、対象日時を限定して、広域にわたる場合は地方自治体の長の意見を聞く、歩行者または車の通行を禁止及び交通規制で、区間の短いものは警察署長の権限になっているというようになっています。  そこで聞きますが、これはいわゆる歩行者天国、買いもの天国、通学、通勤天国などといわれている、歩行者に開放された道路区域を設定する場合がありますが、これはここへ入るわけですか。あるいはこのことをいっているわけですか。
  62. 片岡誠

    片岡政府委員 そういうものも含めまして、現行の第七条の通行の禁止、制限というものはすべて含んでおるということであります。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、いま対象となる区域、場所、道路区間は全国で何カ所くらいを想定し、東京では何カ所くらいを想定していますか。
  64. 片岡誠

    片岡政府委員 これは先ほどお話しましたように、現在各府県で総合的なマスタープランをつくるという指導をしております。そのマスタープランを現在作成中でございます。しかも、それは安全施設等緊急整備事業の、例の五カ年計画によりまして、信号機、道路標識というものの物的な整備とのかね合いもありますので、現在第一線で計画を立案中でございます。したがいまして、これは六月の末ごろに出てまいると思いますが、その段階で全国的な数が把握できる、そういうふうに考えております。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、銀座、新宿、池袋など、東京都でいわゆる歩行者天国というのが行なわれております。これは警察も協力しているようです。都民も非常に歓迎をしているようですけれども、この根本的な考え方、警察庁としてはどういうことでああいうことをやるというようにお考えになっているわけですか。
  66. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもは、いわゆる歩行者天国といわれております、主として盛り場で日曜日に一定時間行なわれております仕組みにつきましては、いわば道路を車から歩行者に取り戻すということを象徴的にあらわしているという意味で、それなりの評価をいたしております。また、マスコミもそういう角度でそれを評価しているのではなかろうか、国民の世論もそうではなかろうかと私は思います。しかしながら、実際に必要なのはいわゆる歩行者天国のところではなくて、裏通り——生活道路と申しますか、細街路と申しますか、裏通りから自動車を締め出していく、通過交通を締め出していく、そして歩行者、特にお年寄りであるとか子供に裏通り、生活道路を取り戻して、そこの歩行者の安全をはかっていく、というのが一番大切なことではないだろうか、そのような考え方をいたしております。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 これは地方行政委員会の調査室の資料ですが、四十六年四月一日の東京新聞の論説にこういうことがあるのです。これは私はうがった見解だと思うのですが、「多くの都市において、いまこそ「人間とくるま」の関係を再検討すべき段階である。道路から車道をとった残りが人道(歩道)であるような実情、またそうした逆立ちした発想では交通事故はなくせないのだ。」要するに、道路から車道をとった残りを人が歩くんだという実情、こういうさか立ちした発想では交通事故はなくせないという論説が載っていますが、まことにうがった論説だと思うのです。そこで、このたびの道交法改正法律案全体を見ますと、いま言ったような意味での人間性の回復、あるいは人間の優先という立場から、道路は車のためにあるのではなくて、人間こそ道路の主人公だという立場から道路交通行政を再検討すべきであるという世論にこたえるというよりは、取り締まりに非常に重点を置いた感がある、全体の改正を通じての思想の中にですね。そのように思うわけなんです。マスコミから見ましても、道路というものは本来人のためのものであって、道路から車を差し引いた残りのところで人間が小さくなって歩くという立場ではさか立ちであるということもいっているわけです。  そこでお聞きしますが、六月に大体全国的な掌握ができると言いますけれども、いわゆる歩行者天国を生活道路、買いもの道路、通勤通学道路、こういうところまでずっと広げていく、そうして歩行者天国を拡大していくという考えをお持ちでしょうか。それとも警察庁の行政指導の基本的な考え方は、あるいはそういう考え方をお持ちでないというのか。要するに、歩行者天国自体も広げていく、さらに歩行者天国的な考え方、人間解放的な考え方ですけれども、これを生活道路あるいは買いもの道路、通勤や通学の子供のための通勤、通学道路、こういうところまで広げていく、こういう考えを持っていられますか、どうですか。
  68. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもは、今回の法改正で歩行者用道路という定義を明確に法律上にも改正案に出してまいったわけでございます。したがいまして、通勤、通学道路であるとかあるいは買いもの道路であるとか、あるいは子供さんたちの遊戯道路であるとか、そういういわゆる生活道路につきまして、これを大幅に拡大してまいりたい、そしてそのことによって先ほど来申しておりますように、歩行者の事故も減らし、そうして人間が自分の家の周辺の道路を取り戻していくという方向でやってまいりたい、そのように考えております。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 趣旨はわかりました。自治体や住民が買いもの天国など交通規制を強く要請した場合——あなたいまおっしゃったような、そういう方向へ拡大したいという意向ですが、そういうことを自治体や住民が強く要請した場合、公安委員会は、四条に基づいて日時、区間などをきめるなどして何らかの交通規制をやる。そのやるという場合の、これはやろう、あるいはこれはちょっとできない、あるいはこれは必要と認める、あるいはこれは必要と認めない。全般的には広げるという意向のあることはわかりましたけれども、それを実施する基準ですね。自治体や住民が、買いもの天国、あるいは先ほど私の申しましたような通勤、通学あるいは生活道路などの要求があった場合、それを四条で規制するしないの基準というのは、一体どこへ置くつもりなんですか。
  70. 片岡誠

    片岡政府委員 現在私どもが考えております基本的な考え方は、一つは道路の幅員が基準になると思います。三・五メートル幅以下の道路につきましては、原則として車両の通行どめをしていきたい。これは時間を限るあるいは曜日を限るということでなくして、長期的に車両の通行どめをしていきたい。それからもう少し広くなりました場合には、たとえば大型自動車の通行どめをしていく、こういうことも考えております。それから三・五メートル幅以上の場合には、先ほど申しましたように、買いもの道路であれば主として買いもの時間帯、これは夕方になってまいろうと思います。それから通勤、通学道路であれば、その通勤、通学のラッシュ時間帯、それから遊戯道路であれば、主として休みの日といったような、曜日なり時間によって違うと思いますけれども、そういう目的でできるだけ通行の禁止を広げていきたいと思っております。  それからもう一つは、これは道路管理者のほうと協議いたしてやるわけでございますけれども、一車線しかないような場合には、片側だけにでも歩道をとって、その一車線の車のほうは一方通行にしていくというようなこともあわせ考えて、歩行者の安全をはかると同時に、どうしても地域の状況によりますと完全に車を締め出すことのできないような場合には、一方通行という方式もあわせて考えてまいりたい、このように考えております。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 四条の意向は大体わかりました。  次に、八条についてですけれども、八条を見ますと、警察署長から通行許可証をもらった車は対象から除外する。それから、禁止対象から除外した車、緊急自動車以外は通行できない。こういう規制をする八条規定の道路、これはどういう基準できめる道路になるわけですか。
  72. 片岡誠

    片岡政府委員 九条にございます禁止の対象から除外されている車、これはもう緊急自動車は当然でございますが、それ以外に、たとえば郵便車あるいは清掃車といったような車は禁止の対象から一般的に除外していくという考えでございます。その車の形態からして、明らかにその車の用途がはっきりわかり、しかも社会生活上どうしても通行を認めざるを得ない車があると思います。それが禁止の対象から除外されている車でございます。それから署長の許可にかからしめて、署長が許可をして認めるという車につきまして、一番どうしても認めざるを得ないのは、車の通行どめをいたしますその沿道に車庫を持つ車を持っている人、この人のこの車につきましては署長も許可をせざるを得ないだろうと思います。それ以外につきましては、いろいろまだ詰めるべき問題があろうと思います。その沿道の家にやってくる人はどうであろうかとか、あるいはタクシーで帰ってきた場合に、そのタクシーが入れるのかどうかといったような問題につきましては、その地域地域の実情によっても異なりましょうし、その道路の区間の長さによっても異なるといった問題もございますので、これは実際に実施するときに相当慎重に検討せざるを得ないであろう。その際は、その地域の住民の方々の意向も十分伺いながら、具体的な計画を立てていくということに相なろうかと思っております。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 本来の第八条規定の道路というのはどういう道路を考えておるわけですか。
  74. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほど来申しておりますように、裏通りを原則として考えております。つまり生活道路を原則として考えております。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、それは裏通り的な性格を持つ道路であるということが第八条規定の道路であることはわかりましたけれども、それは一たんきめますと、恒常的に歩行者道路となるのか、あるいはそれは日時、区間がきめられたそういう歩行者道路になるのですか。一たんきめればそれが恒常的になるのですか。
  76. 片岡誠

    片岡政府委員 きめますのは四条のほうできめる、車の通行禁止は四条のほうでやると思いますけれども、一度きめられました場合に、ある程度恒久的になると考えておりますのは、先ほど来申しております三・五メートル以下のような裏通りが恒久的にこの八条の制度で運用していくということになろうかと思います。ただ、買いもの道路であるとか、通勤通学道路の場合には、たとえば六メートル幅であるとか、もう少し広い道路も対象になろうと思います。そういう広い道路の場合には、おそらく時間帯を限ってやったり曜日を限ってやるという規制になろうかと思います。時間帯がかりに二時間くらいであるといたしました場合には、この八条による署長許可というものをやる必要がない場合もあろうと思います。その時間帯は一切の車を禁止することも可能でございますし、時間が相当長く延びれば、その沿道に住んでおられる人たちのためには、この八条を活用して、その車だけを入れるというような場合もあり得るのではないか。やはりこれはケース・バイ・ケースにその土地なりその道路交通の状態に適合したやり方を組み合わせて考えていくということになろうと思います。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、八条規定の道路は三・五メートル以上の道路も該当するわけですか。
  78. 片岡誠

    片岡政府委員 そういう道路にも適用があると思います。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 それから「警察署長が政令で定めるやむを得ない理由があると認めて許可をした」車というのは、先ほどあなたの説明の範囲でもう入っておる、こう考えていいですか。
  80. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほどやむを得ないと認めた理由の一つの代表的な例として、その沿線なり沿道に車庫がある車を持っておる人がいた場合には、その車はやむを得ない事情として認める典型的な例だと思います。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、幹線道路の裏面のいわゆる裏通りですね。この交通規制も、先ほどあなたのお話ですと、買いもの道路というような具体的な例が出ていましたが、幹線道路の裏通りに事故が非常に多いのですから、その幹線道路の裏通りの規制も第八条でケース・バイ・ケースで考える、こう考えていいのですか。
  82. 片岡誠

    片岡政府委員 そのとおりでございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  そこで、三・五メートル以上の道路、あるいはもちろん三・五メートル以下の道路も入るわけですけれども、三・五メートル以上の道路でも交通安全上必要な裏通り、または住民の要求が強く出ている裏通りなどは、その地域に車庫を持つ者、商売上その地域を通行する者、その地域の住民の乗りおりのために必要なタクシー等でその地域を訪問してきた者、これを徐行させたり、緊急自動車以外の自動車の通過車両の通行を禁止したり、それを周知させるために必要な個所にそのことを明示した立て札を立てるなど、そういう適切な措置が必要になってくると思うのです。第八条だということになりますと、やむを得ずそこへ出入りする者も出てきますから……。そういうような措置はどういうようにするつもりですか。
  84. 片岡誠

    片岡政府委員 これは四条にもございますように、標識、標示等を使っていたします。主として道路標識によってやることになろうと思います。車両通行どめの道路標識を立てまして、署長の許可するものを除くというような補助板でもつけるとか、そういう形で一般的に禁止をしておいて、署長が許可した場合にはステッカーを許可証として、あるいは許可証と一緒に渡す、そのステッカーをつけた車だけが一般的な通行禁止の中で通行できる、そういう処理になってまいると思います。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、その地域の生活と非常にデリケートな密接な関係のある交通規制をしなければならないことになるわけなんですけれども、取り締まりを主にした行政指導だけではできないのじゃないか。その地域の人たちのいろいろな意向を聞きませんと、たとえばその付近に車庫を持つ人はだれだとか、あるいは商売上どうしてもやむを得ず食料品などその地域へ運搬するものがあるとか、あるいはその地域の住民の乗りおりに必要な車というようなことになりますから、そうすると、そこの地域の住民の意見を聞いて、そしていま言ったような措置が講じられませんと、これは取り締まりという立場だけではできないことになるわけですね、これは生活と密着した規制になるわけですから。それについてはどういうような措置をとる考えですか。
  86. 片岡誠

    片岡政府委員 もちろんその地域住民の意見を十分参酌してやるということが大切だと思います。現にたとえば大阪府警が行ないました関目地区あるいは布施地区、城東区と布施市で一定区域につきまして裏通り対策をやっておりますけれども、大体半年ばかり準備期間がかかっております。その半年ばかりの間にその対象になる区域内の町内会——大阪の場合は日赤奉仕団と申しますが、町内会の方々、それからそこに車を常に走らせておる郵便局、あるいは清掃、牛乳配達、それから一般のトラック業者、そういう方々、それから中にあるタクシー業者、あるいは学校関係、PTA、その地域の住民、その他その地域の交通利用者の意見を十分聞きまして、町内会までおりていって町内ごとに意見の交換をやって、そしてそこの地域住民の人にこれでいいという決断をしてもらって、その上に立って交通規制をやっているというのが現状だと思います。また、それでなければ、先生おっしゃるように、取り締まりだけで担保できるものとも私ども考えておりません。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 公安委員長自治省に聞きたいのですけれども、いまので大体非常にこまかい点はよくわかりましたが、四条の規制にしても八条の規制にしても、この規制については地域の実情や住民の要求が十分反映しなければできないことになるわけなんです。したがって、こういう規制をする最もよい方法は、交通の規制の主体を——四条と八条の場合の規制ですけれども、これを自治体のほうに移して、そしてその地域の住民あるいは商売をしておる人、自家用車の所有者あるいは教育に関係する人、専門家など、いわゆるその地域の交通委員会というような住民の組織をつくって、そして、自治体、公安委員会、住民組織が話し合って、そしてむしろ自治体の長が公安委員会に必要な指示をする、こういう方向でいきませんと、地域の生活と非常に密接な関係を持つことになるわけなんですから。買いもの天国あるいは買いもの道路、あるいは歩行者の特別な必要のために開放される道路、あるいは通勤通学のための道路というようなものですね。そうすると、こういうような四条、八条の規制をするような場合は、むしろある程度の権限を自治体に移して、そしてその自治体の要請で、公安委員会、——もちろん自治体が公安委員会へ指示する場合は公安委員会と話し合いますが、それから地域の中に協力する組織をつくって、自治体と公安委員会と住民の組織とがよく話し合って、そして自治体の長が公安委員会に必要な指示をして、この道路はこういう四条あるいは八条の規制をしてもらえないか、こういうようにやることが最も実情に即した方法になると思いますが、国家公家委員長はどうお考えになりますか。私が何か言うと、林さんは警察に偏見を持っているんじゃないかというように考えられるかもしれませんが、日常の実際の生活と密接な関係のある規制ですから、そうなるように思いますが、この点について、公安委員長、どういうようにお考えになるか、また自治省としてはどのように考えておるか、この点をはっきりさしておきたい。
  88. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 珍しく穏やかな御質問で……。  お説のとおり地域住民と密着したというか、よく意思疎通してやるのでなければ実効もあがらないことは当然でございます。制度こそございませんが、林さん御趣旨のとおり、地域住民ないしは関係諸団体等との意思疎通は十分にはかって、常設機関じゃなしに、ケース・バイ・ケースで地域住民との意思疎通のもと交通規制等も実施していると思いますから、特別に制度的なことを考える必要はないかと思います。
  89. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 交通の規制につきまして、地域住民の意向というものを基準にしてやっていくべきだ、私もそれはまさにそのとおりであろうと思います。林委員も御承知のように、交通安全対策基本法でございますか、その中にも、市町村がつくります交通安全計画の実施に関して関係行政機関に要請することができる、関係行政機関の中には公安委員会なども入っていると思うのでございますが、という趣旨も、やはり地域住民なりあるいは地域住民を一般的に代表いたします自治体の意向というものを尊重して交通の規制をするという趣旨であろうと思います。交通の取り締まりなり規制の権限自身を自治体が持つべきではないかとおっしゃる御意見でございますが、やはり交通の規制というものは、部分的なものでございましても、おそらくいろいろ広域的なものとも関連をいたすと思います。なかなか一気にそういうことにはいかないのではないか。現状のように、地域住民なり自治体の意向というものを十分尊重しながら、規制は警察当局が行なうということではなかろうかというふうに私は考えております。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 国家公安委員長が、珍しく穏やかな質問だというのですが、いつも私は穏やかでない質問をしているような印象を与えますので、その点は取り消してもらいたいと思うのです。  これはもう各委員が皆さんお聞きになっているのですけれども、過去に繰り返し繰り返し道交法改正がされて、そのたびに取り締まりの罰則等が強化されてきたわけですけれども、交通事故は減らないどころか、取り締まりの罰則を強化するに従ってむしろ正比例してふえるというような状態になっているわけです。この交通事故激増の根本的な原因は、やはり自動車の優先あるいは無政府的な自動車生産を許しておる経済の高度成長政策、こういうところにあると思うのです。そのモータリゼーション政策。この公安委員会から与えられました資料を見ましても、昭和四十五年度の自動車台数は千八百万ということになっておるのですけれども、この無政府的な自動車生産政策、経済の高度成長政策、この政策についてもうある程度の規制を考慮しなければならない時期に来ているのじゃないかと思うのです。千八百万台といいますと、かりに人口一億としてももう大体十人に二台ということになるわけですね。この根本を考慮しなければ、取り締まりの罰則だけを強化していっても根本的な対策にならないのじゃないかというふうに思うわけです。この点について国務大臣としての国家公安委員長、この無政府的な自動車生産政策、これは佐藤内閣の政策といってもいいと思いますが、経済の高度成長政策はもうそろそろ一定の見通しと規制を加えていかなければならない時期が来ているのじゃないかと思います。国家公安委員長と、通産省も見えておると思いますから通産省に、今後の見通しとそれに対する一定の規制をどういうように考えているか、その点をお聞きしたいと思います。
  91. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 直観的な個人的感情から申しますれば、お説のとおり、道路が十分でない、国土が狭いというところに、無制限に自動車が生産されて供給されるということはどうかしらんとちょっと思いますけれども、他面営業の自由という基本権がありますから、その関係においてどうかしらんと、あわせて思います。
  92. 大永勇作

    ○大永説明員 先生御指摘のとおり、モータリゼーションの波に乗りまして、ずいぶん生産がふえてまいったわけでございますが、最近におきましては、交通渋滞の問題とか公害の問題等からしまして非常に伸び悩んでまいっております。大体四十五年度におきましても、四十四年度に比べまして国内販売は三・数%しかふえていないというようなことでございまして、ほぼ横ばいというふうな状態になっております。今後とも国内販売については、大体横ばいに近いごくわずかの伸びしかない、販売台数につきましてはそういう形で推移するのではないかというふうに考えられております。御指摘の生産制限でございますが、これをかりに実施するといたしますと、経済、社会に与える影響も甚大でございますし、それから行政技術的にもいろいろむずかしい困難な面が出てこようかと思うわけでございます。世界的にもそういった前例もございませんので、やはり地域の特性に応じた使用規制という形で、交通混雑等の問題につきましては対処していくのが適切ではないかと、われわれとしては考えておるわけでございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 念のために聞きますが、これから五年間の生産台数の伸びはどのように伸びていくとお考えになっていますか。つかんでいる数字を出してみてもらいたい。
  94. 大永勇作

    ○大永説明員 これは現在改定作業中でございますので、ごく最近の数字はございませんが、いま申し上げましたように、四十四年から四十五年は国内販売は三・七%増でございます。四十六年は少し景気が直りますので七、八%くらいふえるかと思いますが、あとだんだん伸びが停滞してまいりまして、最後には、五十年ごろにはほとんど横ばいになるというふうな形になると思います。ただ、販売はそうでございますけれども、保有台数のほうはやはりたまってまいりますので、これはふえてまいるわけでございます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、一九七五年をかりに基準としますと、台数からいうと何台になるのですか。
  96. 大永勇作

    ○大永説明員 保有台数につきましては、昭和五十年ごろには大体三千万台程度になるのじゃないかというふうに推計しております。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 それで、警察庁にお聞きしますが、いま千八百万台が約三千万台になるということで、事故の統計もここにずっとあるわけですけれども、事件の発生件数は——いま私は一九七五年を聞きましたが、三千万台というのは一九七五年ですか。
  98. 大永勇作

    ○大永説明員 昭和五十年でございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 昭和五十年では発生件数はどうなる見通しを持っているのですか。
  100. 片岡誠

    片岡政府委員 いまのままの行政水準で放置すれば、死者は二万二千人ばかりになるであろう、負傷者は人身事故を対象にしておりますから、大体百六、七十万になろうと思っております。これはいままでの伸びを外挿法で伸ばした推計でございます。しかし、それではいかんともしがたいということで、安全施設の整備を中心とする五カ年計画を打ち出していったわけでございます。これで道路管理者である私どものいたします安全施設あるいは運輸省、建設省が行ないます踏切道の改良計画といったような物的施設の整備、つまり社会公共資本の投資と、さらに安全教育、取り締まりその他の行政を総合的に運用することによって、一番弱い道路利用者である歩行者につきましては半減さす。その他の事故につきましては、現状以上に伸ばさないように抑制していくという方向を打ち出して、また私どもはそれを努力目標にして、今後やっていきたいと思っております。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、国家公安委員長にもう一度聞きますが、国家公安委員長、あなたの在任は幾ら続くかということも問題になりますけれども、かりに昭和五十年として、保有台数三千万台、それで、いまの事件の発生数、死傷者数も大体倍に近い数字が出ているわけですね。現在でも発生件数が四十三・九秒に一件、それから死亡者が三十一分三十五秒に一人、負傷者が三十二・一秒に一人、死傷者合わして三十一・六秒に一人という状態、これが倍になるというと、一秒に一人ぐらいずつ死傷者が出てくる、こういうことになるわけなんですね。こういう観点からいって、現在のモータリゼーション政策について、政府は何らかの考慮を講じなければならないと思いますが、それについて国家公安委員長はどうお考えになりますか、もう一度聞いてみたいと思います。これはゆゆしい問題なんだと思いますね。一年でハノイで、アメリカの空軍によって死傷する、あの南北ベトナムの人たちよりも多い人たちがなくなっているというような状態、現状でも。それが昭和五十年になれば、このままの推移でいけば倍になるということになるわけなんです。そういう状態の中で、現在のモータリゼーション政策についてどういうお考えを持っていられるか、もう一度念のためにお聞きしておきたいと思います。
  102. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘のとおり、たいへんなことだと思います。絶対にこれを防がなければならぬという感覚で対処していきたいと思います。そのためには、自動車の生産段階においても、欠陥車の生産を食いとめる。また運営の面においてもそれ相応の考慮を必要とする。先刻、交通局長が申しましたように、安全施設の整備五カ年計画ももっと予算を獲得して充実していく。交通規制も時に応じてだんだんと充実していくという総合的な対策を極度に突き詰めていってこの問題に対処しなければならぬ、かように思います。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、論争を続けるわけにいきませんのでこれで打ち切りますが、あと二つ、条文の解釈と方針についてお聞きしたいのです。  これは警察庁でいいと思いますけれども、四十五条以下に駐車違反の規定がずっと出てきて、それから駐車違反の罰則が、後来、現行法では三万円以下だったのが、今度は百十九条の二によって五万円以下に引き上げられておるわけです。この駐車違反というのですけれども、公共の駐車場も不十分だし、私有の駐車場も不備の現状で、またパーキングメーターの設置個所も十分でないという現状で、それで、一方自動車製造がいま言ったように無政府的にふえていく、ユーザーがふえていく一方の場合に、違反が続出することはこれは当然なんで、罰則だけを三万円以下を五万円以下にしても解決できないじゃないか。これはやはり必要な駐車場の設置、パーキングメーター使用個所の増設の政策などを進めることが並行して行なわれないと、罰則だけでは解決できないのじゃないかというふうに思うのですけれども、公共用の駐車場の増設とか、そういう、何か駐車場に対する政策を並行して行なっていかないと、とてもこれは取り締まりだけでは解決できない問題のように思いますけれども、その点は警察庁、これは政策の問題ですから、本来なら大臣に聞きたいんですが、警察庁の長官は、何かそういうことについて、将来公共駐車場をつくって、駐車に対する政策を前進させるというようなことをお考えですか。
  104. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 おっしゃるとおりのことを考えて、推進いたしたいと思います。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと、もう少し具体的に説明してもらいたいと思う。どうしようとするのですか。
  106. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のように、駐車場法という法律がございますが、駐車場法は建設省の所管の法律でございますけれども、主として路外駐車場を整備するための法律でございます。ただ問題は、駐車そのものに関する法律的な意味あるいは道路政策上の意味が次第に変わりつつあるという気が私はいたします。元来、道路は通行するだけじゃなくて駐車も自由だという思想でございましたけれども、現在では、駐車はむしろ権利の乱用ではないかという思想が世界的に強くなってまいっております。路外の施設を使うのはいい。しかし路上に駐車するのは権利の乱用ではなかろうかというのが、欧州でもアメリカでも、そういう思想が非常に強くなっております。ただ、先生御指摘のように、どうしても業務用の駐車需要というものが都心部にございます。そういうものを現在では一切禁止しておりますものを、今回時間規制をやって、一時間とか三十分の駐車ならいい、それ以上はいけないということにして回転率をよくすると同時に、長時間駐車を禁止していくという規定を明確にし、しかもそれを、実行を担保するためにパーキングメーターをつくるという制度を、今回の道交法でも考えております。そういう意味で、先生のおっしゃる御趣旨に沿える部分が、今回の法律の中に十分生かされているんではなかろうか、このように考えております。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 六十二条の解釈についてお聞きしたいんですけれども、六十二条では、道路運送車両法の保安基準に適合しない車を整備不良車として、三万円以下の罰金または三カ月以下の懲役運転者などに科することになっておるわけですね。ところが、たとえば欠陥車があったとします。または何らかの構造上の欠陥を本来持っている車がある。そういう場合、ここでは、メーカーはもちろんのこと、その車を認定した運輸省自体の責任はなくて、そういう行政当局の責任は免罪されて、運転者だけ、あるいは使用者だけに、ユーザーだけに責任が課せられるということになる。メーカーが安全装置を完備した車を生産すること、行政当局が欠陥を事前にチェックできる体制を整えることが必要になってくるわけですけれども、この点について、本来欠陥を持っていた車、メーカーから出てくるときに欠陥を持っている車をユーザーが使っている場合の六十二条の適用についてはどう考えるか、これを警察庁と、それから運輸省の隅田部長に保安基準に適合しているかどうかの点についてあとでもう一問だけ聞きたいと思いますが、その前に警察庁に、この点をどう考えられるのか。要するに、本来車自体がそういう欠陥を持っていた場合に、それを使用する者は三万円以下の罰金または三カ月以下の懲役に処するということになるというこの不公正をどうするかという問題が一つと、それから、保安基準に適合しているかどうかということを調べる体制ですね、取り締まりする場合の。これはどういうようにされるのか、その二点をまず警察庁にお聞きしておきたいと思います。
  108. 片岡誠

    片岡政府委員 本来新たにできた車、いわゆる新車でございますが、新車が保安基準に適合していないとすれば六十二条に該当すると思いますけれども、一応新車は運輸省が型式認定をし、保安基準に適合していると見るのが通常の考え方でありますので、本来の欠陥車につきましては六十二条が適用になる場合はまず皆無であろうと思います。むしろ六十二条の場合には、本来欠陥がない車であるけれども、その後使っている間に、ユーザーとして当然整備すべき点を整備していなかったというような点で適合しなくなった、六十二条の保安基準以下に下がってしまっているという場合が六十二条の予想している場合だと私は見ております。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 非常にデリケートな問題だと思うのですけれども、本来保安基準というのは、これはあとで運輸省に聞きますけれども、静的な状態で調べて、動的な状態では調べていないわけですからね。あとになって、欠陥車ということがわかった、ところがユーザーはその前に処罰されていたというような事態が起きる場合が考えられますね。そういう場合の不公正さはどうして是正されるつもりですか。それから、どういう体制で保安基準に適合しているかどうかを調べるか、その体制も聞かしてください。
  110. 片岡誠

    片岡政府委員 現在私どもは、第一線に次のような方針で指導いたしております。  現在欠陥車問題につきまして、欠陥車問題が非常に大きく取り上げられるようになりました以後ではございますけれども、第一線に直ちに指示をいたしまして、交通事故が発生した場合に、その事故がはたして車の欠陥に基づくものであろうか、あるいは整備不良に基づくものであろうか、あるいは運転手の過失に基づくものであろうかという点につきまして十分総合的に検討をしろ、そうして車に欠陥の疑いがある場合につきましては、直ちにその車を証拠物件として差し押えて、そうして陸運事務所にも直ちに連絡すると同時に、自後の捜査につきましては、専門家の鑑定を求めて慎重にその点も捜査するように、こういう指示をいたしております。現にそういうことでやっております。  それから、一般的に違反の取り締まりの問題でございますが、御承知のとおり、道路運送車両法に基づく保安基準には必ずしも数字的に明確でない基準もございます。それから、現実の取り締まりの面につきましても、取り締まりをする現場で、はたしてどの程度測定できるかという問題も御承知のようにございます。したがいまして、私どもは、違反の取り締まりにつきましては非常に慎重な態度で、たとえば排気ガスの取り締まりにつきましても基準を若干上回っている場合でも警告で済ますという措置をとっております。それから、相当上回っている場合には整備不良車両の通告処分をして、直していらっしゃいという事実上の行政上の措置で処理をしている。よほど極端な場合にはこれを刑事事件として検挙して立件送致をする。そういう三段階に分けた、実情に合った行政指導をやっておるというのが現状でございます。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 いまの点につきましては警察庁にまたいずれ機会を見て、きょうは時間がありませんのでので……。  最後に、運輸省の隅田部長にお尋ねいたしますが、道路運送車両法の四十六条を見ますと、保安上の技術基準を十分守らなければならないということはあるのですけれども、終わりの行で御承知のとおりに、それによって「自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであつてはならない。」というような、いわゆる公害基本法の経済条項みたいなものがあるわけですね。隅田さんの国会答弁もどうも煮え切らない答弁で、いままで私たち非常に不満を持っているわけですけれども、今度の道交法によりますと整備不良は、いままではたしか警告だけであったと思うのですけれども、今度は保安基準に合っていないものは三万円以下の罰金または三カ月以下の徴役にユーザーのほうはかけられるわけですね。そうすると、本来車が保安基準に合わないものを運輸省が許していたとすれば、そのしわ寄せはユーザーのほうへいってしまうわけですね。しかも保安基準の運輸省の調査については、走行テストが義務づけられていない。ただ型式認定で型を届け出ればいいということになって、走行テストはやっておらないし、やる施設もないと、この前隅田さんは言われているわけですね。そんな図面上の届け出あるいは静的な状態での届けだけで運輸省が許可をする。ところが、ユーザーのほうはそれで走ってみる。走ってみるとそこに欠陥があった。欠陥があって保安基準に違反したということで、こちらのほうは処罰される。しかし、そういう不十分な認定で許可を運輸省が与えた。メーカーのほうは何の刑事責任もないということになれば、非常に片手落ちになるわけですね。運輸省としてはこの道路運送車両法を改正してもっときびしいものにして、それからテストももっときびしいものにしませんと、ユーザーだけが取り締まりの対象にさせられて、そこへしわ寄せがいってしまうということになるわけなんですけれども、ことに道路運送車両法の保安基準を守るための必要は認めるけれども、そのためにメーカーに不当な制限を加えてはならないというような条項まで入っているような四十六条ですね。これは公害基本法ですら経済条項は除かれているわけですから、これを改正するとかあるいは保安基準を改正していいかどうかのテストを、走行テストをちゃんとするとか、あるいはもっと完備したテストの施設を運輸省自体が設けるとかなんとかしなければ、これはユーザに対して運輸省が負わなければならない責任を不当に免罪することになると思いますが、その点の答弁を求めて、私の問質を終わります。
  112. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生御指摘の四十六条の問題でございますが、これは昭和二十六年制定当時から入っておる条文でございますが、世の中の変化とともに私たちもこの「不当な」という解釈、必ずしも固定的に考えてはおりません。簡単に申しますと、いけないものはいけないという条文と解釈いたしまして、メーカに対して、特に経済上とかそういうような問題から、こういう保安基準をつくるとか、そういうようなときに考慮するという配慮は、現在全くいたしておりません。  それから技術上の問題として、たとえば走行テストの問題がいま御意見の中にございましたが、この保安基準が動的テストにつきまして具体的な条項が比較的少ないということは御説のとおりでございます。どうしてかと申しますと、急速なモータリゼーションと高速化に対しまして、保安基準の改正が技術的に追いついていない点がありますことは、私たちも率直に認めざるを得ないと思います。たとえば走行安定性の問題につきましては交通安全公害研究所のほうにその試験方法、それからテストの基準、こういうものをどういうふうに技術的に定めたらいいかということを目下依頼している段階でございまして、その結果を待ちまして保安基準の改正が必要ならばいたしますし、当然メーカーの車の型式指定、型式認定、こういうときの審査には使いたいと思います。  それから最後に、現在メーカーの車を動的なテストとしてどういうふうに扱っているかということでございますが、まず一つやっておりますことは、型式指定の車をメーカーの新しい車でテストをいたしませんで、メーカーの段階でたとえば乗用車ですと三万キロ走った状態を人為的につくらせまして、結局走らせまして、その走った車の状態を型式指定のモデル車として提供させる、こういう方法をとっております。こういう形で、ある使用状態を相当経過した形、あるいはとにかく安全に道交法その他の法規を守った状態で走れたもの、こういうものを提供させた上で審査をする、こういう手段をとっております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。
  114. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  115. 菅太郎

    ○菅委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  116. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  117. 菅太郎

    ○菅委員長 村田敬次郎君、山口鶴男君、小濱新次君及び吉田之久君から、四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。村田敬次郎君。
  118. 村田敬次郎

    ○村田委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、道路交通法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、現下の交通事故激増の深刻な事態に対処し、人命を尊重し、交通事故防止の徹底を期するため、左の諸点についてその対策に遺憾なきを期すべきである。  一、交通安全施設等の整備のため、交通安全施設等整備事業五カ年計画について十分な財源措置を講ずるとともに、交通情勢の変化に即応して、信号機や標識等の増設、とくに交通管制センターの拡大充実をはかるよう努めること。  二、現下の交通事情にかんがみ、運転免許資格の要件を厳格にするとともに、初心運転者の教育水準の向上をはかるため、路上練習、路上試験の実施に努めること。  三、指定自動車教習所の教習内容の充実をはかるとともに、技能指導員等の資格の水準を全国的に整備統一するよう努めること。  四、交通安全施設の整備および交通規制の実施にあたっては、民間経験者ならびに地域住民の意見が十分に反映されるよう配慮すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  119. 菅太郎

    ○菅委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  120. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、村田敬次郎君外三名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  国家公務委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。荒木国家公安委員長。
  121. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま全会一致で御決議をいただきました附帯決議につきましては、万全の措置を講じまして、遺憾なきを期したいと思います。     —————————————
  122. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  124. 菅太郎

    ○菅委員長 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律案及び参議院から送付されました消防法の一部を改正する法律案、以上三案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。秋田自治大臣。
  125. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給の年額の増額をはかるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員の退職年金制度についても、恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の額を地方公務員にかかる年金の額の改定措置に準じて改定する必要があります。このほか遺族年金を受けることができる遺族の範囲の拡大及び退職年金等の最低保障額の引き上げ等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案提出した理由であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、恩給の年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法規定による退職年金等についてもその年金額を増額することとし、昭和四十五年十月において実施いたしました年金額改定の基礎であるいわゆる二万円ベースの給料の増額率一・八八九六四を昭和四十六年一月から九月までについては一・九二八七六に、同年十月からは二・〇九〇七六にそれぞれ引き上げることとしております。  第二は、恩給制度及び厚生年金制度の改正に伴い、地方公務員等共済組合法規定により支給する退職年金、遺族年金及び廃疾年金の最低保障額を引き上げるとともに、すでにこれらの年金の受給権が生じている者についても、新たに改正後の最低保障の制度を適用することとしております。  第三は、遺族年金を受けることができる遺族の範囲を、最近における組合員及びその家族の生活の実情にかんがみ、拡大することとしております。  第四は、厚生年金制度の改正に準じ、高齢者に対する通算退職年金の支給要件を緩和するとともに、その年金額を引き上げることとしております。  第五は、地方団体関係団体職員共済組合が支給する退職年金等について、その年金額を地方公務員共済組合が支給する退職年金等の年金額の引き上げ措置に準じて引き上げるほか、地方公務員の共済制度の改正に準じ最低保障額の引き上げ、遺族の範囲の拡大等をはかることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢の変化に伴う住民の生活圏の広域化に対応して、市町村が共同して総合的かつ計画的な行政を推進することが要請されております。  このような見地から、市町村の組合に関する制度につきまして実情に即した弾力的な運営をはかることができるよう改正するほか、地方公共団体の処理すべき事務に関する規定等につきましてもこの際整備する必要があります。  これが、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、地方公共団体の処理すべき事務の例示中に公害の防止その他の環境の整備保全に関する事項を加えるとともに、地方公共団体は、他の地方公共団体と協力して、住民の生活圏の広域化に対応する総合的かつ計画的な行政の運営につとめなければならないことといたしております。  第二に、市町村が広域にわたる総合的な計画を作成し、その実施のために必要な連絡調整をはかり、及び総合的かつ計画的な事務の共同処理をするために設ける市町村の一部事務組合につきまして、法律上はこれを連合と略称いたしまして、この連合に関し次のような規定を設けることといたしております。  その一は、連合の共同処理する事務が連合を構成する市町村相互間で相違することがあっても差しつかえないものとする規定であります。  その二は、連合の共同処理する事務の変更に伴う連合の規約の変更は、あらかじめ連合の規約で特別の定めをしているときは、関係市町村の議会の議決を経てする協議を要せず、連合の議会の議決により行なうことができるものとする規定であります。  その三は、連合の規約には、連合の作成する計画の項目を規定するほか、連合の議会の議決方法について特例を規定することができるものとする規定であります。  その四は、連合には、管理者にかえて理事会を置くことができるものとする規定であります。  その五は、連合の議会の議員は、管理者または理事と兼ねることができるものとする規定であります。  その六は、連合に事務局長を置く場合における権限の委任に関する規定であります。  第三に、監査委員の任期等に関する規定及び地方公共団体の処理事務等を掲げた別表の規定改正する等所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  最後に、消防法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近における産業経済の発展及び科学技術の進歩に伴い、火災の原因及び態様は、ますます複雑多様化してまいっております。特に、近年の石油産業の目ざましい発達は、新たな危険物の出現等危険物の種類の多様化、危険物の貯蔵取り扱い量及び危険物施設数の増加、危険物移送の大量化等をもたらしております。また、最近において、旅館、病院、中高層建築物等の火災による人命事故が頻発していることも御承知のとおりであります。  こうした事態に対処するため、今回消防法改正し、危険物の保安の確保をはかるため、危険物の品名の整理及び指定数量の合理化、危険物取扱者制度の整備、タンクローリーによる危険物の移送の監視等の措置を講ずるとともに、旅館、病院、中高層建築物等における防火管理の徹底をはかるため、防火管理者の選任命令等所要の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、危険物の保安を確保するため、次の三点について所要の措置を講じようとするものであります。  第一点は、危険物の品名の整理及び指定数量の合理化についてであります。  現在、危険物の範囲は、その大半が個別の物品名をあげることにより定められているため、新たに危険物として規制すべき物品が出現しても、そのつど法改正を行なわない限り危険物として取り扱うことができないという不都合な結果が生ずることとなっていますので、今回これを改め、危険物として規制すべき危険性のある物品を、その性状に応じて一定の基準により分類し、その基準に該当する物品は、個別に品名をあげることなく危険物の範囲に含まれることとなるよう措置することとしました。これにより、現在危険物とされていない固体のアルキルアルミニウム等も危険物として取り扱われることになります。また、危険物として規制されることとなる最低数量、いわゆる指定数量についても、それぞれ危険物の危険性に応じ、その合理化をはかることとしております。  第二点は、危険物取扱者制度の整備についてであります。  現在、危険物取扱主任者免状の交付を受けた者であっても、事業主によって危険物取扱主任者に選任されない限り、危険物の取り扱い作業ができないこととされていますが、このことは必ずしも合理的でないものと考えられますので、今回、免状の交付を受けた者は、すべて危険物の取り扱い作業ができることとし、あわせて危険物取扱主任者の名称を危険物取扱者に改めることとしました。また、危険物取扱者制度には、現行の甲種及び乙種のほかに、たとえば灯油を販売する薪炭業者のように、特に限定された危険物のみを取り扱う者に対する簡易な資格として、新たに丙種の危険物取扱者制度を設けることとしております。  第三点は、タンクローリーによる危険物の移送の監視についてであります。  最近におけるタンクローリーの増加、交通事情のふくそう等にかんがみ、危険物の移送の保安を確保するため、タンクローリーにより危険物を移送する場合には、危険物取扱者をこれに乗車させることとする等、タンクローリーによる危険物の移送の保安体制を確立することとしております。  第二は、旅館、病院、中高層建築物等における防火管理の徹底についてであります。  旅館、病院、中高層建築物等多数の者を収容する建築物においては、防火管理者を選任して防火管理上必要な業務を行なわせなければならないことになっています。しかしながら、現実には、防火管理者を選任していなかったため、火災予防上重大な支障が生じた事例の多いことにかんがみ、消防機関が防火管理者の選任を命ずることができることとする等、防火管理の一そうの徹底を期することとしております。  第三は、救急業務を行なう市町村の指定方式の改善についてであります。  現在、救急業務は、政令で定める基準に該当する市町村に実施義務が課されておりますが、この義務づけを個々の市町村を政令で指定することにより行なうこととし、市町村の救急需要の実態に即した義務づけが行なわれるよう、その合理化をはかろうとするものであります。  以上が消防法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  126. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、華山親義君外六名提出にかかる地方財政法の一部を改正する法律案及び華山親義君外六名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。山口鶴男君。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)議員 ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、近年、わが国の高度経済成長は著しいものがありますが、その発展のもとで、地域社会の一方の極に過密を他の極に過疎現象を突出させており、これに伴う地域環境の整備、公害対策、住民福祉の増進など、社会資本充実のための地方行財政施策による諸措置は、今日、緊急課題となっています。  しかしながら、これらの需要に対する国の財政措置はきわめて不十分であり、かつ、国の事業計画の多くが地方公共団体に転嫁されるなど、国と地方間の財政秩序の改善が必要となっています。同時に、都道府県市町村問、または地方公共団体と地域住民の間の財政秩序についても同様の課題を惹起しており、その改善措置が要請されています。  このような現状にあって、昭和四十六年度地方財政計画においても、行政経費の効率化、適正な行財政運営、地方財源の確保並びに住民負担の軽減合理化の推進などがうたわれておりますが、地域の実態は、寄付金、負担金など、いわゆる地域住民に対する強制的な税外負担が増強されており、特に、小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校及び養護学校における父母負担の増大はきわめて憂慮すべき状況にあります。  すなわち、文部省調査による昭和四十三会計年度における学校教育費のみの父母負担の実態を見ても、年間児童生徒一人当たり負担額は、小学校二万四百五十五円、中学校二万七千五百二十円、全日制高等学校五万五千八百三十四円となっており、これを全児童生徒数によって換算推計すると実に約四千億円ともなり、四十六年度教育予算総額の約四割に相当するものとなっているのであります。  したがいまして、このような教育費の住民父母負担の軽減を行ない、義務教育無償並びに教育の機会均等を一そう推進するとともに、地方公共団体と住民との間の財政秩序の是正と地方財政のより健全な運営をはかることは当面の緊急事であると考える次第であります。  以上が、本法律案の提案理由であります。  次に本法律案内容の要旨について御説明申し上げます。  その第一は、市町村職員の給与に要する経費並びに市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費については、地方財政法施行令により市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費として住民負担を禁止せられており、また、都道府県立高等学校の施設の建設事業費については、昭和三十八年度の地方財政法の一部改正によって、住民にその負担を転嫁してはならないこととせられていますが、これを、地方公共団体が住民にその負担を転嫁してはならない経費として、公立小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校、養護学校の職員の給与に要する経費並びに、以上の公立学校の施設の建設事業に要する経費と施設の維持、修繕に要する経費及び教育の教材並びにその他の設備に要する経費とし、これらの経費については、地方公共団体が住民に負担を転嫁することを禁止することといたしたの出いたした次第であります。であります。  その第二は、以上の改正案の内容に基づき地方財政法施行令による市町村立の小学校及び中学校の経費で住民に負担を転嫁してはならない経費を法律事項とするとともに、関係条項の整理をはかることといたした次第であります。  以上が本法律案を提案する理由並びにその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。  ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。  最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準は、西欧先進諸国に比べ、依然として低水準に置かれております。しかも最近における医療費の急激な増高は、各種共済組合の短期給付財政の収支を悪化させ、そのため組合員に過重な負担をしいる掛け金の引き上げを余儀なくいたしております。また一方、長期給付におきましても、ここ数年来の異常なまでの消費者物価の上昇のもとで、年金受給者の生活は極度に逼迫しているのが実情でございます。  このときにあたりまして、主として組合員の掛け金とそれに見合う使用主負担の財源だけで運営される共済組合におきましても、従来の保険主義の原則を廃し、大幅な国庫負担の導入により、その社会保障性格を強める必要があります。かようにして短期給付、長期給付とも、組合員の負担がこれ以上過重にならないよう措置いたしますとともに、退職公務員の老後の生活を少しでも安んじさせるよう、前向きの措置を行なうことは、社会保障の観点からはもとより、共済組合の趣旨に照らしましても、当然、国の責務ともいうべきものであります。  以上の立場から、共済組合の短期給付並びに長期給付の充実改善をはかるため、この改正案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一は、短期給付に要する費用につき、新たに国庫は百分の二十相当分を負担することといたしたのであります。これによりまして地方公務員等共済組合につきましては、国庫としての国百分の二十、使用主としての地方公共団体百分の五十、組合員百分の三十の負担とすることにいたしております。  第二は、長期給付に要する費用の負担割合についてであります。長期給付については、現在、地方公共団体が百分の五十七・五を負担しているのでありますが、そのうち百分の十五は地方交付税に見込まれていますが、その分を百分の二十にし、引き上げ分百分の五をもって組合員の掛け金百分の四十二・五の軽減に充て、組合員の掛け金を百分の三十七・五に引き下げることといたしております。  第三は、短期給付にかかる掛け金の最高限を設けることについてであります。当分の間、地方公務員共済組合の短期給付にかかる掛け金の最高限を千分の三十五とすることとし、この場合におきましては、短期給付に要する費用に不足が生じますときには、国は、当該不足額相当額を組合に補助することといたしております。  第四は、退職年金の支給率についてであります。組合員期間が二十年以上である者が退職した場合に支給する退職年金の額は、組合員期間が二十年であるときは、俸給または給料年額の百分の五十に相当する額とし、組合員期間が二十年をこえるときは、一年を増すごとに、一年につき俸給または給料年額の百分の二に相当する額を加えた額とすることといたしております。この場合、その額が俸給または給料年額の百分の九十に相当する額をこえることとなるときは、当該額に相当する金額を退職年金の最高限度額とすることにいたしております。  なお、退職一時金、廃疾年金、遺族年金及び遺族一時金の額についても退職年金の支給率に準じて増額することといたしております。  第五は、年金給付の算定基礎についてであります。従来その算定基礎は退職前三カ年間の給料の平均額とされておりましたが、消費者物価の上昇の中で、年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮し、これを退職時の給料といたしたのであります。  第六は、共済給付を受けるべき遺族の要件の緩和についてであります。すなわち現行法では、組合員の収入によって生計を維持していた者であることが要件とされている遺族については、その生計の維持が主として組合員の収入によるものでなければならないことになっておりますが、この要件を緩和し、組合員の収入により生計の一部を維持している場合も生計維持を要件とする遺族に該当するものとすることといたしたのであります。  第七は、遺族一時金及び死亡一時金の支給範囲の拡大と年金者遺族一時金の創設についてであります。現行法では遺族の範囲が、主として死亡した組合員の収入により生計を維持していた範囲に限られており、たとえ配偶者や親がいても、組合員の収入によって生計を維持していなかった場合には、給付の対象とされておりません。この際、遺族一時金及び死亡一時金は、組合員の収入によって生計を維持していない遺族であっても、その支給を受けることができることといたしますとともに、遺族年金の支給の要件を満たしている場合において遺族年金を受けるべき遺族がないときは、組合員の収入によって生計を維持していなかった者に対して、遺族年金の額の十二カ年分に相当する金額を年金者遺族一時金として支給することにいたしたのであります。  第八は、退職一時金の引き上げについてであります。現在、地方公務員の共済組合においては、退職一時金の支給額は、組合員期間によりそれぞれ二十日から五百十五日分となっており、その支給額が低きに失しておりますので、国家公務員の共済組合とともに、退職一時金の底上げを行なうため、三十日から六百十五日分といたしたのであります。  第九は、退職金についての短期給付の特例の新設についてであります。現行法では、退職の際に療養の給付等を受けている場合には、療養の給付等の支給開始後五年間は継続して療養の給付等を受けることができることになっておりますが、退職後の新たな疾病や事故に対しましては、共済組合員の資格がないため、給付水準の低い国民健康保険によらざるを得ないのであります。しかしながら、永年勤続して退職した者は、退職後二、三年の間に発病する場合が多いという実情等を考慮いたしますと、退職後も定期間は医療給付等が行なえるよう改善をはかることが必要であると考えられますので、組合員期間十五年以上の者が退職した場合には、退職後五年間はなお短期給付を受けることができることといたしたのであります。  第十は、地方職員共済組合等の運営審議会及び地方公務員共済組合審議会の委員については、共済組合運営の特殊性から共済組合員であった者のうちから職員団体等が推薦した者も委員に任命できるようにいたしたのであります。  第十一は、労働組合専従者の共済組合員としての継続についてであります。昭和四十三年十二月十三日において、地方公務員等共済組合法規定する職員であった者で、在職中に地方公務員法または地方公営企業労働関係法の規定により職員団体または労働組合の役員としてその業務にもっぱら従事した者がその後職員を退職した場合において、その退職の日の翌日において、職員団体または労働組合の役員であるときは、その者は、その後における職員団体または労働組合の役員である間、職員である組合員と同様に取り扱うものといたしております。  第十二は、退職一時金からの通算退職年金の原資の控除を受けないことを選択することができる期限の延長についてであります。すなわち、この選択期限は、女子については昭和四十六年五月三十一日までとされていますが、男子については、その期限は昭和四十四年十月三十一日に満了しておりますので、その期限をとりあえず昭和五十一年五月三十一日まで延長することといたしたのであります。  以上、この法律案の提案の趣旨及び内容の概略を申し述べました。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  128. 菅太郎

    ○菅委員長 以上で両案に対する提案理由の説明は終わりました。  次回は、来たる五月六日木曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。   午後零時四十八分散会      ————◇—————