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山口(鶴)議員 ただいま議題となりました
地方財政法の一部を
改正する
法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
御承知のように、近年、わが国の高度経済成長は著しいものがありますが、その発展の
もとで、地域社会の一方の極に過密を他の極に過疎現象を突出させており、これに伴う地域
環境の整備、公害対策、住民福祉の増進など、社会資本充実のための
地方行財政施策による諸
措置は、今日、緊急課題となっています。
しかしながら、これらの需要に対する国の財政
措置はきわめて不十分であり、かつ、国の事業計画の多くが
地方公共団体に転嫁されるなど、国と
地方間の財政秩序の改善が必要となっています。同時に、
都道府県と
市町村問、または
地方公共団体と地域住民の間の財政秩序についても同様の課題を惹起しており、その改善
措置が要請されています。
このような現状にあって、
昭和四十六年度
地方財政計画においても、行政経費の効率化、適正な行財政運営、
地方財源の確保並びに住民負担の軽減合理化の推進などがうたわれておりますが、地域の
実態は、寄付金、負担金など、いわゆる地域住民に対する強制的な税外負担が増強されており、特に、小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校及び養護学校における父母負担の増大はきわめて憂慮すべき
状況にあります。
すなわち、文部省調査による
昭和四十三会計年度における学校教育費のみの父母負担の
実態を見ても、年間児童生徒一人当たり負担額は、小学校二万四百五十五円、中学校二万七千五百二十円、全日制高等学校五万五千八百三十四円となっており、これを全児童生徒数によって換算推計すると実に約四千億円ともなり、四十六年度教育予算総額の約四割に相当するものとなっているのであります。
したがいまして、このような教育費の住民父母負担の軽減を行ない、義務教育無償並びに教育の機会均等を一そう推進するとともに、
地方公共団体と住民との間の財政秩序の是正と
地方財政のより健全な運営をはかることは当面の緊急事であると
考える次第であります。
以上が、本
法律案の提案理由であります。
次に本
法律案の
内容の要旨について御説明申し上げます。
その第一は、
市町村の
職員の給与に要する経費並びに
市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費については、
地方財政法施行令により
市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費として住民負担を禁止せられており、また、
都道府県立高等学校の施設の建設事業費については、
昭和三十八年度の
地方財政法の一部
改正によって、住民にその負担を転嫁してはならないこととせられていますが、これを、
地方公共団体が住民にその負担を転嫁してはならない経費として、公立小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校、養護学校の
職員の給与に要する経費並びに、以上の公立学校の施設の建設事業に要する経費と施設の維持、修繕に要する経費及び教育の教材並びにその他の設備に要する経費とし、これらの経費については、
地方公共団体が住民に負担を転嫁することを禁止することといたしたの出いたした次第であります。であります。
その第二は、以上の
改正案の
内容に基づき
地方財政法施行令による
市町村立の小学校及び中学校の経費で住民に負担を転嫁してはならない経費を
法律事項とするとともに、
関係条項の整理をはかることといたした次第であります。
以上が本
法律案を提案する理由並びにその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
ただいま議題となりました
地方公務員等共済組合法等の一部を
改正する
法律案につきまして、
提出者を代表して、その提案の趣旨及び
内容の概要を御説明申し上げます。
最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準は、西欧先進諸国に比べ、依然として低水準に置かれております。しかも最近における医療費の急激な増高は、各種共済組合の短期給付財政の収支を悪化させ、そのため組合員に過重な負担をしいる掛け金の引き上げを余儀なくいたしております。また一方、長期給付におきましても、ここ数年来の異常なまでの消費者物価の上昇の
もとで、年金受給者の生活は極度に逼迫しているのが
実情でございます。
このときにあたりまして、主として組合員の掛け金とそれに見合う使用主負担の財源だけで運営される共済組合におきましても、従来の保険主義の原則を廃し、大幅な国庫負担の導入により、その社会保障性格を強める必要があります。かようにして短期給付、長期給付とも、組合員の負担がこれ以上過重にならないよう
措置いたしますとともに、退職
公務員の老後の生活を少しでも安んじさせるよう、前向きの
措置を行なうことは、社会保障の観点からは
もとより、共済組合の趣旨に照らしましても、当然、国の責務ともいうべきものであります。
以上の立場から、共済組合の短期給付並びに長期給付の充実改善をはかるため、この
改正案を
提出いたした次第であります。
次に、この
法律案の
内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一は、短期給付に要する費用につき、新たに国庫は百分の二十相当分を負担することといたしたのであります。これによりまして
地方公務員等共済組合につきましては、国庫としての国百分の二十、使用主としての
地方公共団体百分の五十、組合員百分の三十の負担とすることにいたしております。
第二は、長期給付に要する費用の負担割合についてであります。長期給付については、現在、
地方公共団体が百分の五十七・五を負担しているのでありますが、そのうち百分の十五は
地方交付税に見込まれていますが、その分を百分の二十にし、引き上げ分百分の五をもって組合員の掛け金百分の四十二・五の軽減に充て、組合員の掛け金を百分の三十七・五に引き下げることといたしております。
第三は、短期給付にかかる掛け金の最高限を設けることについてであります。当分の間、
地方公務員共済組合の短期給付にかかる掛け金の最高限を千分の三十五とすることとし、この場合におきましては、短期給付に要する費用に不足が生じますときには、国は、当該不足額相当額を組合に補助することといたしております。
第四は、退職年金の支給率についてであります。組合員期間が二十年以上である者が退職した場合に支給する退職年金の額は、組合員期間が二十年であるときは、俸給または
給料年額の百分の五十に相当する額とし、組合員期間が二十年をこえるときは、一年を増すごとに、一年につき俸給または
給料年額の百分の二に相当する額を加えた額とすることといたしております。この場合、その額が俸給または
給料年額の百分の九十に相当する額をこえることとなるときは、当該額に相当する金額を退職年金の最高
限度額とすることにいたしております。
なお、退職一時金、廃疾年金、遺族年金及び遺族一時金の額についても退職年金の支給率に準じて増額することといたしております。
第五は、年金給付の算定基礎についてであります。従来その算定基礎は退職前三カ年間の
給料の平均額とされておりましたが、消費者物価の上昇の中で、年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮し、これを退職時の
給料といたしたのであります。
第六は、共済給付を受けるべき遺族の要件の緩和についてであります。すなわち現行法では、組合員の収入によって生計を維持していた者であることが要件とされている遺族については、その生計の維持が主として組合員の収入によるものでなければならないことになっておりますが、この要件を緩和し、組合員の収入により生計の一部を維持している場合も生計維持を要件とする遺族に該当するものとすることといたしたのであります。
第七は、遺族一時金及び死亡一時金の支給
範囲の拡大と年金者遺族一時金の創設についてであります。現行法では遺族の
範囲が、主として死亡した組合員の収入により生計を維持していた
範囲に限られており、たとえ配偶者や親がいても、組合員の収入によって生計を維持していなかった場合には、給付の対象とされておりません。この際、遺族一時金及び死亡一時金は、組合員の収入によって生計を維持していない遺族であっても、その支給を受けることができることといたしますとともに、遺族年金の支給の要件を満たしている場合において遺族年金を受けるべき遺族がないときは、組合員の収入によって生計を維持していなかった者に対して、遺族年金の額の十二カ年分に相当する金額を年金者遺族一時金として支給することにいたしたのであります。
第八は、退職一時金の引き上げについてであります。現在、
地方公務員の共済組合においては、退職一時金の支給額は、組合員期間によりそれぞれ二十日から五百十五日分となっており、その支給額が低きに失しておりますので、
国家公務員の共済組合とともに、退職一時金の底上げを行なうため、三十日から六百十五日分といたしたのであります。
第九は、退職金についての短期給付の特例の新設についてであります。現行法では、退職の際に療養の給付等を受けている場合には、療養の給付等の支給開始後五年間は継続して療養の給付等を受けることができることになっておりますが、退職後の新たな疾病や
事故に対しましては、共済組合員の資格がないため、給付水準の低い国民健康保険によらざるを得ないのであります。しかしながら、永年勤続して退職した者は、退職後二、三年の間に発病する場合が多いという
実情等を考慮いたしますと、退職後も定期間は医療給付等が行なえるよう改善をはかることが必要であると
考えられますので、組合員期間十五年以上の者が退職した場合には、退職後五年間はなお短期給付を受けることができることといたしたのであります。
第十は、
地方職員共済組合等の運営審議会及び
地方公務員共済組合審議会の
委員については、共済組合運営の特殊性から共済組合員であった者のうちから
職員団体等が推薦した者も
委員に任命できるようにいたしたのであります。
第十一は、労働組合専従者の共済組合員としての継続についてであります。
昭和四十三年十二月十三日において、
地方公務員等共済組合法に
規定する
職員であった者で、在職中に
地方公務員法または
地方公営企業労働
関係法の
規定により
職員団体または労働組合の役員としてその
業務にもっぱら従事した者がその後
職員を退職した場合において、その退職の日の翌日において、
職員団体または労働組合の役員であるときは、その者は、その後における
職員団体または労働組合の役員である間、
職員である組合員と同様に取り扱うものといたしております。
第十二は、退職一時金からの通算退職年金の原資の控除を受けないことを選択することができる期限の延長についてであります。すなわち、この選択期限は、女子については
昭和四十六年五月三十一日までとされていますが、男子については、その期限は
昭和四十四年十月三十一日に満了しておりますので、その期限をとりあえず
昭和五十一年五月三十一日まで延長することといたしたのであります。
以上、この
法律案の提案の趣旨及び
内容の概略を申し述べました。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。