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1971-04-27 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十七日(火曜日)     午後零時三十八分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中村 弘海君       永山 忠則君    豊  永光君       中井徳次郎君    細谷 治嘉君       山本弥之助君    桑名 義治君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁交通局長 片岡  誠君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君  委員以外出席者         通商産業省公益         事業局業務課長 北山 昌寛君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 須賀貞之助君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     山本 幸一君     ————————————— 四月十四日  個人県民税徴収取扱費に関する請願原茂君  紹介)(第四六〇六号)  同(中澤茂一紹介)(第四六一六号)  ドライブイン等において酒類販売を禁止する  法律制定に関する請願曽祢益紹介)(第  四六一四号)  同(堀昌雄紹介)(第四六一五号) 同月二十日  地方公務員退職年金受給者医療制度改善に関  する請願井野正揮君紹介)(第四七六三号)  同(井岡大治紹介)(第四七六四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四七六五号)  同(木原実紹介)(第四七六六号)  同(木島喜兵衞紹介)(第四七六七号)  同(田中武夫紹介)(第四七六八号)  同(古川喜一紹介)(第四七六九号)  同(松浦利尚君紹介)(第四八四五号)  地方公務員退職年金の増額に関する請願井野  正揮君紹介)(第四七七〇号)  同(井岡大治紹介)(第四七七一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四七七二号)  同(木島喜兵衞紹介)(第四七七三号)  同(木原実紹介)(第四七七四号)  同(田中武夫紹介)(第四七七五号)  同(古川喜一紹介)(第四七七六号)  同(松浦利尚君紹介)(第四八二四号)  ドライブイン等において酒類販売を禁止する  法律制定に関する請願武部文紹介)(第  四八六九号)  同(羽田孜紹介)(第四九二四号)  個人県民税徴収取扱費に関する請願井出一  太郎紹介)(第四九二五号)  同(羽田孜紹介)(第四九二六号)  同(向山一人紹介)(第四九二七号) 同月二十六日  ドライブイン等において酒類販売を禁止する  法律制定に関する請願徳安實藏紹介)(  第五〇二一号)  同外一件(和田春生紹介)(第五〇二二号)  個人県民税徴収取扱費に関する請願増田甲  子七君紹介)(第五〇二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 本日は、本委員会において審議中の道路交通法の一部を改正する法律案に関連して、沖繩の現在施行されておる右側通行から左側通行に切りかえる問題点についてお尋ねいたします。  御承知のとおり、沖繩百万県民の長年の願望でありました祖国復帰もいよいよ来年に迫ってきております。四分の一世紀にわたる米国支配下にありまして、道路交通すなわち車両右側から左側歩行者左側から右側通行に切りかえることは、ことばではごく簡単ではございますが、復興の段階になりますと、なかなか困難さがあることは御承知のとおりでございます。沖繩県民はこの問題に対しましてひとしく関心を持って見守っておるのが現状でございます。御案内のとおり、この問題については本委員会において詳しい件については村田委員が去る委員会にて質問してありますので、私はでき得る限り重複を避けまして、沖繩特別委員会も開会中でございますので、短時間に切り詰めて、沖繩県民の要望と要点だけをお尋ねすることにいたします。  去る十一月二十日の第一次復帰要綱によりますと、「沖繩における車両および歩行者通行区分は、復帰後も一定期間現状どおりとする。」となっておりますが、去る委員会において、この一定期間とはどういう期間をいうか、こういうことの質問の記録がございます。それで、政府当局としましては、三年だというようなことでございますが、まず、それにつきまして私がお尋ねいたしたいことは、三年後においていまの右側通行左側に変えるということになりますと、御承知のとおり、その車両通行は一分一秒において切りかえる、こういうようなことになるわけでございますが、その間において政府としましてはいかなる対策を持ち、また予算面におきましてもどういうようなところまでは補償してもらえるか、それについてお尋ねをいたしますので、納得のいく御答弁をお願いしたいと思います。
  4. 片岡誠

    片岡政府委員 復帰後三年で車両通行方法右側に変えるという問題でございますが、問題としては、復帰前になすべきこと、それから復帰した時点においてなすべきこと、さらに切りかえ時点に当たりますその三年に至るまでの間になすべきことというふうに、分けて考えられると思いますけれども、そういう点につきまして、どのような問題が生ずるか、そうしてその問題をどのようのかかる面につきましてはどのような補償考えていくべきかというような問題について、現在関係省庁を私どものほうで呼びまして、沖繩北方対策庁も含めまして、その具体的な詰めに入り始めております。そうしてそこで出た問題を十分審議しまして、その経費関係につきましても、およそのめどをつけまして、これを日本政府の問題として取り上げるという方向で現在もう作業を始めました。いずれ早急にその点の問題点をしぼり、それに要する予算措置という問題につきましも詰めてみたい、そのように考えております。
  5. 國場幸昌

    國場委員 この問題につきましては、なかなか在民の声というのが——二十有余年なじまれたところの右側通行でございまして、第一次復帰要綱か発表されまして、それ以後、交通企業団体あるいは復帰協というような団体のほうから反対運動か展開されておるのは御案内のとおりでございます。そこで、私は国際条約の規定によることであるということはよく存じております。国際的な状況下におきまして、一九六七年、六八年、相い次いでアイスランドスウェーデン等左側から右側に切りかえられております。いま世界の中で左側通行というのはイギリスとその連邦国並びに日本だけだという資料を得ております。沖繩は幸いにしまして離島でございますので、日本とのつながりそのものが、直接にいわゆる問題をかもすというようなことはないことではございますが、世界の流れとしまして、今後関釜トンネルとかあるいはまたカーフェリー等、また飛行機にしましてもジャンボ機の発達した今日、あらゆる面から検討しました場合に——ましてや沖繩においては、アメリカ軍車両も、約六万を数えるだけの車両がございます。そこで、この三カ年という短期限において切りかえるということになりますと、なかなか問題をかもすということが予想されるわけでございまして、それに対する費用、あるいはまた交通事故ということも多発することが考えられるわけでございます。一九六七年、六十八年にアイスランドスウェーデンが切りかえによって事故率においてどうあるかという数字を見ますと、切りかえる前において千三百十三名という死者に対しまして、切りかえ後における死者は千百三十三名と、約二百名の犠牲の削減を得ておるわけでございます。そういうような事例からしましても、三年というのが、いわゆる国際条約締結国として三年の猶予というのが認められるのであれば、五年、十年と、そういうようなこともあえて条約違反ということにはならないのではないかというようなことも考えられるわけでございます。  地球上に存在する国は百三十六あるといえども、その中にわずかの左側通行という国があるわけでございまして、将来においては必ずや、いまさっきも申し上げましたとおり、地球は狭くなるということになりますと、日本そのもの世界の波に沿っていつしかは切りかえなければいけない時期が来るのではないかというようなことでございますので、私は、三カ年ということの限定そのものを、五カ年くらい猶予を与えまして、そうしてその成り行きによって検討していくというような考え方に変えてはどうかということをお尋ねするわけでございますが、いかがでございますか。
  6. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもといたしましては、一年、二年、三年と、いろいろ案考えたわけでございますけれども、大体三年がちょうどいいところではないか。と申しますのも、これから道路がだんだんできる、そうすると、その道路の取りつけ方にも影響してくる、あるいは、これからまたさらにバスが多くなってくる、信号機も多くなる、標識も多くなるといった、社会公共的な資本が多くなってきた場合に、将来長引けば長引くほどその切りかえにはばく大な経費がかかってくるであろうという問題。しかし、一方では、いままでの習慣もございますので、それを切りかえるのには一定準備が要るだろう。そういう両方の面からいろいろ検討した結果、三年くらいが一番適当な時期ではないか、そういう判断をいたしまたわけでございます。したがいまして、私どもとしても、今後とも三年の線で事務的に進めてまいりたい。ただ、そのときには沖繩県民方々気持ちなり意向も十分参酌しながら、また十分手当てをしながらやっていきたい、そのように考えております。
  7. 國場幸昌

    國場委員 ずいぶん意思はかたいようでございますが、それではここで念を押しておきますことは、簡単にこれができるということになりますと、これは事故関係は別としましても、補償問題がたいへんなことになるのではないか、私は沖繩県民の代表としまして、おっしゃる三年というのは、陳情書によりますと、沖繩住民意思を何ら聞くことなくして、一方的にこれをきめたのだ、これが沖繩の、すなわち第三の処分だということまでもいわれておるわけでございます。  そこで、政府としまして、ここに数字をあげられておる——陳情書を見ますと、約五千万ドルというのが現在においてもかかるのだ、これは民間側だけの補償で、それだけは経費がかかるのだというようなことの計算書が出ております。そういういわゆる補償問題に対して十分に補償するのだということを、確信を持って沖繩県民に対しましていわゆる公約をすることができるかどうかということに対しまして、政府のお考えをお尋ねするわけでございます。
  8. 片岡誠

    片岡政府委員 補償の中身によると私は思います。たとえばバスの構造を変えていく、あるいは陳情が出ておるわけでございますけれども、自動車の下取りの問題とか、あるいは公の資本としては信号機標識を取りかえたり、あるいは道路の取りつけ口を変えたり、そういう問題もございます。そういう問題をどこまで、どういう対象に対して、どのような補償のしかたができるかということを、現在事務的に詰めをやっております。その補償が十分できなければ、おそらく切りかえるということも非常に困難だろうと私は思っております。したがいまして、私どもといたしましては、十分筋の通った補償やり方を踏まえて、そしてきりかえをやっていきたい、そのように考えております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 政府考え方もわかりました。私はいま重ねて申し上げたいことは、三カ年というこの期限、これを固守するという政府のお考えのようでございますが、私はそれはどうも納得がいかない。  まあ、ぐちではございましょうが、お聞きしたいわけなんですが、国際条約には、三カ年以上は延ばさない、そういう事態が起きたときには延ばしてはいけないという、そういうような何か取りきめでもあるわけでございますか。
  10. 片岡誠

    片岡政府委員 具体的な年数については取りきめがありません。したがいまして、私どもがなぜ三カ年ということを言っておるかと申しますと、先ほど申しましたように、これを延ばせば延ばすほど、あとで切りかえのときのいろいろなむだな経費がたくさんかかっていくだろうという問題が一方にはある。しかし、一方では、いままでの習慣があるので、この習慣を切りかえるには、それ自身新しい習慣に切りかえるという時間的なある程度の経過が必要であろう。そういう両方の面から、三年くらいが妥当な線ではないかという判断をしたわけでございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 人命は金にはかえがたいということもよく御承知のとおりでございまして、私はこの問題につきましては、いわゆる沖繩住民が今後三カ年でやるのだというのであれば、もうこれからハンドルをどうするのだこうするのだと、政府のほうから指導していかなければならない段階に来ておると思います。長年なじんできたところの右、側通行、これを徐々に変えていくものであるか、政府はそういうような切りかえに対して思想のない——この前の質問にありますので、私はそれは論ずるわけではございませんが、御承知のとおり、人口密度、車の密度、そういうようなことから考えましても、現在整備もできておらないような沖繩で、軍民ともふくそうするあの交通混雑中で、死亡者に対しては日本本土の約六九%、負傷者に対しては約三〇%でございます。それで、いまさきも申し上げましたとおり、アイスランドあるいはスウェーデン、あえて国をあげて何十年といういわゆる問題化されたところの、左側右側に変えるということのこの真実から見ましても、政府としてはもっともっと慎重を期さなければいけない問題ではないか、私はこういうことを考えるわけでございます。  経費に対して幾らかかさむでございましょうが、私はここで念を押しておきたいことは、人間は感情の動物でございます。頭ごなしに押えて、いまさきも申し上げましたとおり、政府の方針はこうだということで強行した場合に、その結果そのものがどうなるかということを、私、考えました場合に、やはり考え余裕とあきらめの余裕と、それに対する心準備、これを与えるためには、まず最低限において五カ年間というだけのいわゆる余裕を与えまして、その間に世界の移り変わりがどういくかということを政府検討されまして、措置をしていくというのが順序じゃないか。こういうようなことも考えますので、くどいようでございますが、それに対しての政府の見解希願いいたします。
  12. 片岡誠

    片岡政府委員 先生おっしゃるお気持ちは、私よくわかります。それから一方的に押しつけるというやり方もよくないと思います。しかし、先ほど申したような事情で、私どもそういういろいろ検討した結果きめた線でございます。そこで、私どもそれまでの間に十分沖繩方々と話し合いを通じて、その趣旨もよく納得していただいて、スムーズに移り変わるような手を十分尽くしていきたい、そのように考えております。
  13. 國場幸昌

    國場委員 なるほど経費の問題でこだわっておるようでありますが、私は申し上げたいのは、経費そのもの請求者その者の感情によってこれがもつれるということも考えられるわけでございます。でございますので、私が申し上げたいのは、三年というような限定をして、沖繩住民反対するこの気持ち、これがこじれた場合には、設備に対する経費、それよりもいわゆる県民感情に対してのウエートそのものは、金額にしますと、これはどちらがプラス、マイナスであるかということは一概に言えないわけでございます。国際条約にしましても、第九条でしたか、私も読みましたが、ただ二行、三行書いてあるのみであって、事態そのものはおそらく世界にかつてないようなことでございましょう。そういうような事態を予期しないときに結ばれたところのいわゆる国際条約であれば、その理由ありやということになりますと、あえて立場というものに対しましても、全く世界の波と反対——逆行というのとはちょっと別ではございますが、しかし、日本も将来においてはやはり右側通行でなくてはいけないということになる時期が必ず来ると思います。でありますので、沖繩住民気持ちというものを御配慮いただきまして、できるだけ最低限五カ年間の特別措置を講じていただきたい、これをお願いするわけでございます。
  14. 片岡誠

    片岡政府委員 これは私の個人的な見解でございますけれども日本がここ数年ないし十年ばかりのうちに通行方法右側に切りかえるということはあり得ないという私は見通しを持っております。数十年後、百年後の問題は別として、おそらくよその国では左側から右側に切りかえるという国が今後あるいは出てくるかもしれません。しかし、おそらく一番最後に切りかわる国ではないか。これは数十年あるいは百年あとの話ではないか、そのような私は見通しを持っております。  先生にお考えいただきたいのは、そして日本沖繩復帰した場合に、沖繩子供たちが内地と違った交通ルールを教わる事態ということはいかがなものであろうかという気持ちを私はいたしております。そういう点もあわせ考えて、三年くらいで変えていくのが沖繩県民のためにもいいのではないだろうか、私はそのように考えております。
  15. 國場幸昌

    國場委員 時間がございませんので、最後にお願いをいたしまして、質問を終わることにいたします。  私はどうも納得がいきません。いま沖繩復帰に対しては反対団体がたくさんおられるというその社会情勢の中で、必ず三カ年でなくてはいけないということは——あと二カ年間その余裕を与えていただきたい、これだけの切なる声に対しまして、三カ年を五カ年に、二カ年おくれることによって、政府としては、何回も言うようでございますが、経済面においてどれだけの損失をこうむるか。五カ年と理解するもとにおいて、そして事、波立たずしてスムーズに施行されるということに対しての協力と、どちらのほうがプラスになるかということをもう一度お考えになりまして、そしてその問題に対しては慎重を期してやっていただきたい。これを希望いたしまして、時間でございますので、私の質問を終わります。
  16. 菅太郎

  17. 細谷治嘉

    細谷委員 最初にお尋ねいたしたい点は、今度の道路交通法の一部改正というのは、昨年あたりから二年計画でやる、こういうことでございましたが、これが最終的なものかどうか、まずお尋ねいたします。
  18. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおり、昨年来二年計画で進めてまいりました。大部分につきましては、これで当面の整備を終わったと考えております。ただ、若干積み残した面もございますので、それにつきましては、今後必要に応じて改正をやっていきたい。そのおもなものは免許行政に関して若干まだ問題も残っておりますし、今後検討を続けていきたい、そのように考えております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 大体昨年あたりから二年計画、こういうことでございましたが、まだ免許制度等、最終的なものではないということなんであります。国際条約との関係、いわゆるこういう問題の国際的な問題、それから免許制度、これは非常に重要なんですね。そういたしますと、今度のものは文字どおり最終的なものではなくて、さらに免許制度等、非常に重要なんでありますから、二年計画でやると言っておったのが三回にわたる、こういうふうに理解したほうが正しいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  20. 片岡誠

    片岡政府委員 二年計画として一応案をつくり、外にも発表をしておりました面につきましては大体終わりましたけれども仰せのように、あと問題も残っておりますし、あるいは道路交通状況の変化というのも激しゅうございますから、今後とも必要に応じて改正はやはりしていかざるを得ない、そのように考えております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 昨年の春ぐらいに久保さんが書かれた問題、この「交通事故対策道路交通法改正」というこの論文を拝見いたしますと、これは昨年の暮れ、公害国会でやったものと、それから積み残しのもの、そういうものを加えますと、この論文では、国際条約関係もいまのこの六十五国会で必ず処理しますという書き方をしているわけですね。それから免許制度というのは、ある意味では根幹的なものなんですね。これは昨年の審査の経過からいきましても、道路交通に関する国際条約関係免許制度交通における社会的公害の面、車両の都市への流入の禁止等を含め、次期通常国会に提出したいと答弁しているわけですね。そういたしますと、いまも私が申し上げました国際条約関係免許制度にはほとんど触れられておらないわけですから、まあ二年がかりでやると言っておったのは、事実は三年がかりになるか、あるいは三次案という形になるのか、そういうことだと考えなければならぬと思うのであります。それはいろいろ細部の点は手直しがあるのですから、これはいつまでたっても終わりということはないにしても、大まかに基本点でいきますと、去年おっしゃっておった二年計画というものは、こういうものなんだから、それに国際条約関係なり免許制度というものが入っていないんだから、いろいろな関係で一次、二次とやるのが三次まで積み残された、こういうのが常識じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  22. 片岡誠

    片岡政府委員 今回の改正の中に交通ルールに関する部分が相当入ってございます。したがいまして、道路交通条約の新たな条約のほうに加盟をするための準備は一とおり今回の中に入っておると私は思います。しかし、先ほど申しましたように、免許行政についてはまだまだいろいろ問題もございますので、その辺については今後さらに検討してまいりたい、そのように考えております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、重ねてでありますが、まだ現状においても完ぺきだと思っておらぬけれども、次の通常国会免許制度等を含めて出す、国際条約関係のものは今度の法案で大体受け入れ体制ができたということでございますけれども、この免許制度等も含めて次の通常国会に出すという確たる計画は、いまのところないと理解してよろしいのですか。
  24. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほども申し上げましたように、いま確たる計画はございませんけれども、その問題点が残っておりますので、特に免許行政につきましては、さらに運転者の教育の面からよりよくしてまいりたいという気持ちを持っておりますので、これは次の通常国会目途としまして今後検討を続けてまいりたい、そのように考えております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 免許制度なりあるいは国際的な問題等先ほど質問がありましたし、私も若干触れたいと思っておった。国内の統一の問題国際的な統一の問題それから道交法自体免許制度等についてもまだ不十分な点があるわけでありますから、これは今日交通大戦争といわれる事態に対処していくために次の通常国会目途ということでありますけれども、次の通常国会にはぜひそういうことをやっていただきたい。特にこの問題について路上運転等もいつの間にか消えうせているわけですから、これ自体だってたいへんな問題なんです。これは免許制度関係する問題でありますけれども、やはり次に出すということを、大臣、いかがでしょうか、もうこの辺ではっきりしておいたほうがいいんじゃないでしょうか。
  26. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答えいたします。  懸案として残っておりますから、なるべくすみやかに検討を加えて、間に合うものならば、通常国会に間に合わしたいという気持ちでございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣の前向きの答弁と受け取って、次に移ります。  大体交通統計等を見ますと、多くの統計が交通法令違反というものさしで仕分けをされておるわけなんです。無免許運転とかあるいは酔っぱらい運転とかあるいは速度違反とか、そういう交通法令違反というサイドから仕分けされた交通事故統計なんですよ。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますけれども、そういう交通違反サイドのものさしで仕分けしたものではなくて、交通事故の問題というのは、一つは人間の問題ですね。一つは車の問題でしょう。一つは走る道路の問題でしょう。もう一つは、同じ道路関係する問題でありますけれども、安全施設がどの程度整備されているか、こういう問題だと思うのです。言ってみますと、人の問題としては免許制度等の欠陥、そういうものが事故の原因にどういうウエートを持っておるのか、あるいは欠陥自動車あるいは整備の不足、そういう問題が今日の交通事故にどういう寄与をしておるのか、あるいは道路の構造あるいは道路整備状況あるいはガードレールの構造上の問題、そういうものが交通事故にどういうウエートを持ってきておるのか、あるいは信号機ともっと連動できるとか、あるいはいろいろなことを考えられておるようでありますが、そういうような交通安全施設の整備という面からの不十分さが、交通事故にどういうウエートを持っているのか、人なり車なり道路なり、そういう原因で一体事故というのはどういうふうに把握されるのか、欠陥車というのはどういうふうに交通事故に対して影響を持っているのか。こういう統計はお持ちですか、お持ちにならないですか。
  28. 片岡誠

    片岡政府委員 現在、交通事故年表に記入してございますのを警察庁の電子計算機の中に全部入道路の幅員であるとか、歩車道の別であるとか、区別があるかどうか、横断歩道があるかどうか、信号機があるかどうか、その他歩道橋があるかどうか、ガードレールがあるかどうかというデータは入っております。したがいまして、そういう統計もございます。  ただ、これが百万件の事故を抽象的にそういう統計をとるだけでは十分な解析ができないということで、御承知のように、各県に交通事故の分析官というのを置きまして、具体的な道路、ある交差点、ある道路の区間という事故の多発地点につきましては、起こった事故をすべて図面に戻して、具体的な解析をやって、ここの事故を減らすためにはいかなる安全施設をつくればいいかという解析を現にやらしております。そういうことで全国的な統計もございますし、それだけは十分でないので、具体的な地点についての事故分析も十分やって、それをにらんで対策を立てていくということを現在やっておるわけでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、十分かあるいは不十分かわかりませんけれども、私がいま申し上げたような角度からの事故統計表というのがありますね。そうすると、この委員会に出していただけますね。委員長、それをお願いいたします。
  30. 菅太郎

    菅委員長 承知しました。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 その次に、法律の内容に入る前に、午前中の連合審査のときも質問がありましたが、私もちょっと申し上げたのですが、今度の道路交通法の第二次改正案においては、いわゆる今日までの免許制度に路上運転というのが一つ加わるわけですね。それだけ元べきになるわけです。それは言ってみますと、私の記憶では、昨年の秋くらいにはこれはほぼ固まってまいっておったわけですね。ところが、この法案が出る段階になってこつ然として死んでしまったわけです。そうでしょう。それに対して新聞は「教習所が“圧力”警察庁、OBにはかなわぬ?」こういう見出しで大々的に書いておるわけです。そして片岡警察庁交通局長の談話では、「国会内部でもこの制度に多少の反対があるのも事実だ。審議時間の少ない今度国会で、審議に時間がかかって改正法案全部が流される方がこわい。一歩後退、二歩前進ということだ。」と書いてあるのですよ。非常に回りくどい、国会にも反対がある、教習所ばかりじゃない、こんなようなことなんですが、真相はいかがなんですか。
  32. 片岡誠

    片岡政府委員 これは御承知のように、現在路上教習を指定自動車教習所では六時間ないし十、時間ということで義務化しております。したがいまして、指定自動車教習所を卒業して免許を取っておる人、大体八五%くらいございますが、それはもうすでに路上教習を終えております。私どもが問題にしたのは、指定自動車教習所へ行かないで、一発試験で試験場で試験を受ける人たちが問題である。そういう人たちに対して路上教習を義務化していくということがいいのではないか、そういう発想でございました。ただ、その場合に、路上教習を義務化するということでほうり出していいのであろうか。問題は、そういう比較的金がなかったり、時間がなくて、一発試験に行っている人たちに対しても、路上教習をやるときに、この人に習ったらいいという人をつくってやって、いくのがいいではないか、という発想で仕事を進めたわけでございます。  ところが、それにつきましては、指定自動車教習所の関係者から、そういう制度をつくった場合に、将来その個人が指定教習所と同じように技能試験が免除になるという仕組みになるのではなかろうかという心配もあり、それから自分のところで使っている人たちがそちらへだんだん抜けていくのではないだろうかという心配もあったようでございます。そういうことで、指定自動車教習所としても大部分の人はいいのではないかというふうに考えておったと私は思いますけれども、だんだんそういう心配の念が多くなって、もう少し時間をかけて検討してくれという希望が非常に強くなりましたので、私どもも時間をかけて説得もし、十分納得を得た上で新しい制度に移っていきたいということでございました。その間、指定自動車教習所あるいは非指定の自動車教習所の方々からも、国会方面にもいろいろ陳情があったのは事実だと思いますが、むしろ私どもとしては、初心者教育で非常に重要な地位を占めている指定自動車教習所の反対をあえて押し切ってまで直ちに実施するのはいかがであろうか、十分時間をかけて説得もし、そしてその制度がうまく軌道に乗るようにいたしたいというような気持ちで、今回は見送りにしたというのが真相でございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 これでそう深く追及する意思もないのですよ。ただ、新聞によりますと「警察の元幹部が多数役員になっている教習所の・圧力に屈したからだ」との見方が強い。」それから「警察庁が「十分徹底できなかった」という関係機関は全日本指定自動車教習所協会連合会(石井栄三会長、一二三三教習所加盟)で、その反対が大きく影響したことは、同庁も暗に認めている。」こう書いてあるのですね。それから「路上試験制度の実施は既存の教習所にとってはお客である受験希望者を新しく発足する個人教授に奪われることになる。また教習所の優秀な教習員がぞくぞくと独立するため、教習所にとって人材の確保があやうくなる心配がある。この改正案のねらいは交通の流れと実体に適応した技術を身につけさせることだ。もし実際に不都合な面が出てきたらまた改正すればいいではないか」という形で、との新聞は非常に筋の通った書き方をしているわけですね。ほかの新聞もありますよ。そうなってまいりますと、納得ずくでやるということでしょうけれども、どうも今日安全というよりも、警察庁も商業ベースにウエートがかかったのではないか。こんなことでは今日の交通大戦争は防げないのではないか、こういう感じをどなたも受け取ったのではないか、こう思うのです。これは間違いなく第二次草案、昨年の秋発表されたものにはこれが一つの焦点として盛られておったのが、突如として消えたわけですから、私は残念に思うのです。こういうことでは大切な問題はなかなか解決しないのではないか、こう思います。  そこで、これは大臣にお聞きする以外ないと思うのですけれども、第六次の道路整備計画十兆三千五百億というものが閣議にかけられた際に、交通警察を担当されておる大臣は、道をつくることはいいけれども、十兆三千五百億という第六次計画の中には、一体、交通安全施設については一文だにないじゃないか、こういうことで国家公安委員長が閣議でものを申された。その結果、別途四千億円程度の警察庁としての交通安全施設についての案を出されたということが新聞記事に出ておりました。この経過は、新聞に書かれたとおりであるかどうか、まずお尋ねいたします。
  34. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答えいたします。  大体そうでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 第六次の計画が従来の二倍近い規模で出されましたが、国会に、地方行政委員会だけでは足らぬで、交通安全対策特別委員会がつくられておるにかかわらず、十兆三千五百億という第六次の建設省案に、交通安全施設というのが全然顧みられなかったということについては、私もたいへん問題があったのですが、たまたま閣議で国家公安委員長がその問題について異議を申し立てたということはたいへんけっこうなことだと思っておった。そしてその後に、どうしても約四千億円程度かかるんだということも新聞に出て、これならば交通安全問題についての政府の取り組みの姿勢もある程度理解できるな、こう思っておりました。ところで、第六次計画は四十六年度から発足いたしました。その際に十兆三千五百億で発足したわけですよ。その際に、大臣がものを申して警察庁がつくられた案の四千億円というのはどこへどう行ったのか、それを御説明いただきたい。
  36. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のように、十兆三千億は道路整備計画でございまして、その中には道路管理者の安全施設は入っておったわけでございます。ただ、公安委員会所管の信号機標識、標示というものが入っていなかったということでございます。それで三千七百億ばかりの警察庁としてのビジョンをつくったわけでございますが、私どもが期待をいたしておりました新しい財源に限界がありましたというような事情もありまして、その計画がやむを得ず千六百億ぐらいの計画に縮小されたのが現状でございます。  ただ、その中でも補助事業につきましては、従来の約九倍くらいになっておりますし、単独事業、両方合わせまして約三・五倍ばかりの規模には拡大することができたわけでございます。ただ、私どもとしては、必ずしもそれで十分なものとは思っておりませんので、将来の問題にさらに財源その他経済事情の変化あるいは交通事情の変化というようなことをにらみ合わして、将来さらに規模を増大していくというようなことでやってまいりたい、そのように考えております。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 とてもじゃないが、納得できないですな。十兆三千五百億というのはそのまま認められたわけですよ。それに対応するものとして、これこれこういうことをやることによってひとつ事故をこういうふうに減らそう、そして、そういうことができるのならば、交通事故による死者を大体一万人程度かあるいはそれ以下にしようということでつくられたものでしょう。それが三千七百億かでありますけれども、それが千六百億になって何とかなるというのは、これは一体警察庁は何を考えているのか、私にはわからないですよ。半分以下なんですよ。それでできるなんということは、とてもじゃないが、考えられませんよ。できると思うのですか。  せんだってこの問題に対して村田委員ですか、発言されておりますが、歩行者の事故はこれで五〇%減ぐらいになるだろうと国家公安委員長は答えておりますよ。大体当初計画の七〇%いくというのですよ。予算が半分以下で、そして七〇%いくとかあるいは歩行者が五〇%減ずるというなら、三千七百億というのは水増ししてあったのですか。数字というのはそれは厳格なものですよ。私は一足す一が五になるなんて考えておらぬ。一足す一はやはり二なんですよ。ですから、どうも私は理解できないですよ。
  38. 片岡誠

    片岡政府委員 三千七百億のビジョンを考えましたときには、歩行者事故のみならず、車と車の事故、それも相当数減らす、それも含めて全体を半減するというビジョンを掲げたわけでございます。そのためには、相当先行投資的な信号機なり管制センターというものを予想して、それでやればできるんではないかという判断をしたわけでございます。  ただ、不幸にして、その財源のワクが縮まったために、車同士の事故、いわゆる走る棺おけ型の事故についてはその抑制力が鈍ったと私は思います。そして与えられたワクの中で、一番問題である弱い道路利用者である歩行者については、ワクが縮まった中でも最重点的な投資をしよう。そして現にその信号機そのものにつきましては七割ぐらいのものも確保した。そしてそれによって歩行者事故は半減できるめどが一応ついたし、また努力力してまいりたいというふうに計画を変更したわけでございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 大体交通安全というのは、さっきも申し上げましたけれども、安全施設が完備しているということが一つこれは重要な柱ですね。それから取り締まり体制を強化するということが重要な柱でしょう。ドライバー教育の徹底ということ、これが三つ目の柱でしょう。その三つを柱として三千七百億円を投じようとしたのでしょう。ところが、切りも切られたり、千六百億に削られて、そしてどこへ持っていったかというと、交通センター等を中心とした当面のものであって、少し先を見た交通安全対策は一つもないですよ。追われっぱなしの交通安全対策でしょう。道路は原案どおりいくのですよ。これでいくのですかね。ざっと調べても、管制センターというものは、八十四都市につくるのが、人口三十万以上の二十八都市になった。四十六年度はそれがたったの五都市ですよ。五都市でありますから、言ってみます五、五、二十五ですから、五で割ったのにも達しないでしょう。交通安全対策なんというのは、今日たいへんな時代になっているわけですから、こういう上昇カーブでいくのではなくて、むしろ少なくともフラットくらいでいくべきですよ。あるいはむしろ初年度二年目くらいに重点的にやって、あとは下降してもいい。それだけ人命が助かる、けが人が助かるわけです。それなのに、平均もいってないのですよ。信号機の新設、改良だって、これも三万五千基くらいを決定しておったのが、わずかに三千八十基くらいでしょう。そうしますと、これも一割以下ですよ。改良だって一万一千五百基考えておったのが、千五百九十基ですから、これはちょっと一割をこしているかもしらぬけれども、こういうふうにいたしまして、いかに大蔵省に削られたからといって、いま大蔵省と口を合わしているのでしょうけれども、こんなことではだめじゃないですか。それは、いかぬならば、予算をくれなかった大蔵省の官僚をつかまえぐらいの決意でやらないとだめですよ、あなた。  長官、どうですか。これはどう見たって私は納得できぬですよ。
  40. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 三千七百億の要求が千六百億に大幅に削られたことは事実でございます。私もいま御意見を承っておって、立場が変われば、私どももそのような叫びをあげたいなというのが、ほんとに私の気持ちでございます。しかしながら、同時に、政府全体のことを考えますと、ことしの予算の際に、新規財源といったようなことも考えまして、私どもとしては理想的な案を考えたわけでございますが、その新規財源についての見通しが先に延びるといったようなこともございまして、われわれとしては残念ながら千六百億で満足せざるを得なかった。  そこで、しからば一体千六百億をどのように使っていくかということを考えました場合に、現在交通事故の被害者となっておる一番弱い立場にある人を守っていこう、これに最重点的に経費を投じていこう、こういうことで、管制センターのほうを大幅にあきらめざるを得なくなった、こういう実情でございます。しかし、もちろん現在ただいまの私のこの席でのお答えとしては、向こう五カ年間これでやってまいります、かように申し上げざるを得ない立場でございます。  しかし、ものごとにはすべて事情変更ということはあろうかと思います。現実に第二次三カ年計画の最終年度というものは、これは第三年度目を完了せずしてこれを新五カ年計画に切りかえて、私どもの予算について申しましても、すでに全体として三・五倍にふやしたわけでございます。こういったことも、事情変更ということであったと思います。これらの過去の事実を私は踏まえまして、将来善処をしてまいりたい、かように考えております。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 長官、立場の違いということばも出たが、あなた、こんなところで言うものじゃないですよ。大蔵省にやられちゃったから、国会などは責任がないから、いいかげんなことを、強がり言ったっていいじゃないか。私が申し上げているのは、そんなものじゃないんですよ。  大臣にお聞きしましょう。自動車重量税、この新税の問題の関係村田委員に対する答弁の中に出てきているんです。自動車新税も、まあ四百億ですから、十分な財源とはならなかったからと。ところが、大蔵省は、四十六年度にあえて自動車新税を設けなくても四十六年度は財源上の問題はなかったと、自動車新税を設ける際にぴしゃり言っているわけです。そうでしょう。こういう点からいきますと、いままでの予算編成の経過からいって、自動車新税の額が大きかった、小さかったというのは、理屈にならないのですよ。  もう一つ私が申し上げたいのは、六次計画道路をつくるほうはそのまま認めていって、それに対応するものといって国家公安委員長が閣議でものを申して、交通安全施設をつくらなければいかぬということで三千七百億の案をつくった。ところが、一方、道路では、建設省のほうは十兆三千五百億というものが通っちゃった。経済社会発展計画では十兆三千五百億よりももうちょっと大きくなっているんですよ。それが認められながら、今日、道路をつくる場合に、これならば通せるという道路にするには、安全施設はつけなければいかぬですよ。それだけはちぐはぐの半分以下に認められていて、財源上の問題はなかったというのが予算編成の経過で大蔵省の言っていることです。  それから次に、第六次計画の対のものとして出てきたといういきさつがある。それをあなたは、事情変更の原則がどうのということを言っておりますが、いままでの道路計画だって、五年やって六年目から新しい二次計画で進んだことはないのですよ。三年目か四年目くらいで新しい計画に飛躍しているんです。ですから、それも理屈にならないですよ。いまの第六次計画だって、五年も過ぎないうちにまた変わってきますよ。もっと大きな計画になってまいります。そうなってまいりますと、あなたが言わぬでも、三年目か四年目に当然事情変更は出てくるわけですよ。財源も千六百億を変えますというのなら話はわかるのですけれども、それでなければ、ここで事情変更の原則がどうのこうのと言っても、とてもじゃないが、納得できませんよ。これもまた、おまえはいいかげんに立場の相違で言っているなんということで答弁するんなら別ですよ。  私は経過からいって、いま三つ申し上げたのですが、大臣、いかがですか。これはきわめて問題だと思うのですよ。
  42. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 おっしゃることはよくわかります。ただ、いままでの道路五カ年計画というのは、道路だけが突っ走っておる。今日の道路の感覚は、安全施設を伴わなければ道路じゃないと言えると思います。そういう意味で、閣議でも発言したのでありまして、御指摘のとおり、道路五カ年計画と相照応すべき筋合いのものである。ですけれども、従来年度ごとのちゃちな予算で処理しておったものを、一挙に五倍、六倍に上げることが事実問題としてなかなかむずかしかった、大蔵省を口説き得なかったということに帰します。要求の半分ちょっと以下に押えられたことは残念しごくすけれども、これは結局私の努力不足のいたすころ、捲土重来を期してさらに充実してまいりたいと思います。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど私が申し上げたのですけれども、外国人は日本道路を見て、日本には道路の予定線はたくさんあるけれども道路というのはほんのわずかしかない。それはいわゆる舗装されておるかどうか、こういうことでしょうが、今日的な道路というのは、十分な安全施設というものを持っておらない道路なんていうのは、ずばり言うと、もう道路じゃない。道路の予定線にしかすぎない。だから、建設省がつくって、これで車は走れますと言いますけれども、これも信号機標識等の道路安全施設がなければ、今日の道路じゃないわけですね。  そういうことなんでありますから、確かに今日まで道路は一次から六次まできておりますけれけども、これは非常に立ちおくれを来たした。立ちおくれによって毎年毎年経済成長以上の事故の伸びが起こっているわけですから、私はやはり追いつき追い抜くくらいの体制でやらなければ、今日の交通戦争というのはとめることはできないんじゃないか、こう思うんです。大臣も前向きにやる——それは、長官の事情変更なんというそういう考えではないんじゃないかと思うのですが、大臣、そうでしょう。道路計画が三年目か四年目ぐらいに変わってくるから、そのときに変えますよということではないんじゃないかと思うんですよ。当然来年あたり変更するという御意思じゃないかと思うのですが、そうでしょう、大臣。
  44. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 まず私からお答え申し上げます。  私が事情が変われば云々と言っているのは、まさにいま御質問になったような趣旨を考えて言ったわけでございます。私の立場として、この計画は来年変える、再来年変えるということをずばり申し上げることはいかがであろうかということで、事情変更と申し上げたので、私どもとしては、しかるべき時期には、大臣がおっしゃったように、捲土重来を期しておる、こういうことでございます。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣のほうから答弁がないから、捲土重来というのは、文字どおりほかのほうの事情が変わったからということでない、ということだけは確認できたと思う。  運輸省にお尋ねいたします。  おたくのほうで踏切事故の問題について新しい五カ年計画をつくられた。そしてその法律はすでに今国会で成立をいたしております。その内容はどうなっているんですか。
  46. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。踏切につきましては、鉄道と道路の交差点の問題で非常にむつかしい問題でございますが、事故か非常に多いということから、踏切道改良促進法という法律をつくりまして、三十六年度から始めておるわけでございます。これによりまして踏切の施設の整備その他をはかっておりますが、三十五年に七万一千ありました踏切が四十五年末で五力二千五百、約二五%程度減っておるわけでございます。その内容につきましても、一種踏切、これは遮断機がついておるものでございますが、これが二倍半にふえ、それから信号機がついているものも三倍以上にふえておりまして、いわゆる四種踏切、何にも施設がないといった踏切は半分以下というふうに減ってきております。それで、政府の施策よろしきを得たと思うわけでございますが、こういう施設の改良によりまして、踏切の事故並びに死傷者といったものも三十九年から漸次減ってきております。ただ、最近、事故の大型化というものが漸次目立つようになってまいりまして、微増でございますけれども、そういう傾向にあるわけでございまして、この法律がちょうど本年の三月に切れるということで、あと五年間延ばす、こういうことをお願いして、成立させていただこうといういきさつであるわけでございます。  それと並行いたしまして、昨年の暮れ近く、東武鉄道の踏切事故で相当の死傷者を出したということがありまして、踏切道改良につきまして、事故防止関係の緊急対策というものを東京あるいは関西圏あるいは中部圏につきまして行なったわけでございます。それに続きまして本年二月、交通対策本部決定ということで、警察庁あるいは建設省それから関係道路管理者並びに鉄道事業者等とも連絡をとりまして、踏切の総合対策を打ち立てたわけでございます。これによりまして踏切道の連続立体交差……。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 その辺を聞きたいのだけれども、時間がないから、私は、警察庁とあなたのほうの予算取りがどうなっているかというのを焦点に比較しているんだ。あなたのほうの踏切事故の解消に対する五カ年計画は四千八百二十億でしょう。そうじゃないですか。それは一体何%認められたか、その数字を教えていただきたいのです。あなたのほうの原則というのは、大都市の過密地帯では原則として立体交差、自動車踏切はすべて開閉機つき、いわゆる一種にしょう、こういう原則で、その金額は計画は幾らだったか。今度その計画がどの程度大蔵省に承認されたのか。警察のほうは三千七百億は千六百億しか承認されていないわけだ。あなたのほうは一体幾ら計画に対して承認されたか、それをちょっと聞きたい。
  48. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 今後五カ年の間に改良する予定の踏切につきましては、立体交差の個所が六百カ所、それから構造改良が千三百カ所、踏切保安設備の改良が一万カ所、こういうことになっております。  予算関係でございますが、私鉄に対する踏切の補助があるわけでございますが、これは非常に微微たるものでございまして、全業でもあまりぱっとしないし、鉄道事業でももちろんペイしないという事業者に対して補助するもので、六千万が一億一千万程度になったということでございます。なお、国鉄につきましては、これは財政再建等の関係もありますが、国鉄の大きな予算の中で処理する。こういうことになっておるわけでございますし、大手私鉄につきましては、四十二年から四十六年まで行なっております輸送力増強並びに踏切保安その他の工事につきまして四千八百億の計画を立てて、現在最終年度に入ってピッチを上げているという段階であります。
  49. 菅太郎

    菅委員長 細谷治嘉君に申し上げますが、時間も迫っておりますので、明日の質問の劈頭に発言を許しますから、きょうはこれで打ち切っていただけますか。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、この辺の資料——あなたのほうは基本的には十カ年計画でしょう。そのうちの五カ年計画として出しているわけだ。私もその具体的な内容の数字を持っているわけです。だから、話が早く済むように、あすの朝までにひとつ資料を出していただきたい。これだけ要望しておきます。
  51. 菅太郎

    菅委員長 運輸省、できますか。
  52. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 五カ年計画ならございます。
  53. 菅太郎

    菅委員長 五カ年計画でよろしいですね。  それでは、明日細谷君の質問を最初に許すことにして、本会議前の質問はこれで打ち切ります。  本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後四時四分開議
  54. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。桑名義治君。
  55. 桑名義治

    ○桑名委員 三月三十日に閣議決定になりまして発表のあった交通安全基本計画を見ますと、その中に、おもに分けまして五項目にわたって内容が明確になっておるわけであります。たとえば道路交通安全施設等の整備あるいは交通安全教育の振興、交通安全知識の普及あるいは運転免許制度の合理化、運転者の労働条件の適正化あるいは救急医療等の専門医養成の緊急医療体制の整備、損害賠償制度の適正化、こういったように五カ年計画の中身が明確になっておるわけでございますが、この計画が達成されますと、歩行者の死亡事故は半減をするというようなりっぱな計画であります。この問題につきましては、先ほど細谷先生からもお話があったわけでありますが、私は、行政当局が本気になってこれを達成しようという気持ちがあるかどうかという点につきまして、疑問を抱いておるわけでございます。と申しますのは、結局この目標が道路交通安全施設等整備事業五カ年計画等が予定どおり達成したときの話でありまして、初年度においてもうこの予算が千六百億ずっと削られている、認められなかったというところに問題があるわけでございます。そういったところから、私はもう一度この点についてどういうふうにお考えなのか、これを明確にしておいていただきたい、このように思うわけでございますが、長官の意見をお聞きしておきたいと思います。
  56. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 道路交通安全の御質問の五カ年計画につきましては、私どもの予算成立後に関係官庁打ち合わせてつくったものでございます。したがって、午前中からお答えいたしております。ように、私どもとしては、所望の予算の獲得ができなかったという前提の上に一応立ちまして、この計画の中で少なくとも最大の被害者である歩行者については半減を目途として全力を傾ける、もちろん車対車の事故につきましても、できるだけ増勢をこれによって押えていく、こういう基本方、針でございます。したがって、私どもとしましては、この基本計画に従って各般の行政上の施策を講じますと同時に、午前中にまたお答えいたしましたように、状況等を見て、財政の許す限りさらに一そう予算の獲得等にも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  57. 桑名義治

    ○桑名委員 長官のお話の中では、そういうように予算の削減というもので、結局、歩行者についてのみ重点的に安全対策を立てていきたい、要約すれば、こういうふうなお話でございますが、交通対策というものは、もちろん総合的な対策の中で守られていくというふうに一応考えなければならない、こういうふうに思うわけでございます。この計画どおりにいけば、歩行者の死亡事故は当初の目標に近い線までいくのではないか、こういうふうに私たちも過去の資料の上から一応考えておったわけでございます。昨年の東京で行なった広域交通制御のいわゆる効果測定というものを見てみますと、おたくのほうの資料の中にあったわけでありますが、人身事故についてはこの制度が採用されるまでは六百十六件、それから事後件数は四百二十四件、三二%の減少である、こういった地域を除いた場合には一千二百六十七件、それから一千九十二件で一四%の減少。こういうふうになって、広域制御区域における人身事故件数というものが減少率を高めているというのが実情でございます。そういったことから考えて、いま長官が言われました計画の中で人身事故、いわゆる歩行者を中心にした計画をいまから立案をいたしていくというお話でございますけれども、総合的な計画がくずれた中で、はたしてこういうふうな効果が生まれるかどうか、そこら辺をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、明確にしていただきたいと思います。
  58. 片岡誠

    片岡政府委員 信号機につきましては、御承知のように、現在約二万二千ばかりございます。それを私どもとしましてはあと五万基ばかり増加したいと思っておりましたけれども、予算の都合で三万五千ばかりふやすというところに落ちついたわけでございます。しかし、これは重点的に一番問題の多い地点から整備をしていくという形で歩行者事故の防止上、抑制上は非常に有効であろうと思います。また同時に、車同士の事故防止にも役立つと私ども思っております。ただ、問題は、けさ来お話をいたしておりますように、管制センターのほうを相当大幅に見送らざるを得なかったという問題でございます。したがいまして、大都市、中都市ぐらいまではこの五カ年計画でカバーできると思いますけれども、小都市、三十万未満の都市につきましては、やむを得ず管制センターの計画あとに見送ったわけでございます。そういう地域については、安全を中心の信号機整備なり、それから線の感応系統といったような形の整備はできると思いますけれども、面的にとらえる制御につきましてはあと直しにせざるを得なかった。そういう意味で、そういう三十万以下の都市については、その都市の交通の円滑をはかるという面の計画に若干おくれを来たすというようなことに相なろうかと思っております。
  59. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの交通局長のお話を聞いておりますと、どうしてもこういった広域制御装置というものを中小都市については削除せなければならなかった、そのために他の方法でというお話でございますけれども先ほどから私が申し上げておりますように、おたくからいただいた資料の中で、こういう広域的な制御装置ができたということによりまして、非常に人身事故が防止できたという実績があがっておるわけです。その実績があがっておれば、当然この装置を達成できる範囲内における予算措置はしていくべきではないか、こういうふうに思うわけです。これができなくて、統計の上からいきますと、人身事故が防げるということが明確でありながら、しかもそれを行なわないということ、予算的なペースでこれが行なわれないということになれば、今後の交通事故の発生というものは当然国の責任である、こういうふうに言わざるを得なくなるわけでございます。さらに来年度からでもこういった面についての予算措置考えられているかどうか。人身事故をまず防ぐ方向でやはり真剣に取り組んでいかなければならないと思う。毎年二万人からの人がなくなり、約百万人の人がけがをする、言うならば、交通戦争だ、こういうふうにいわれている時期でもありますし、あるいはまた、人間尊重という立場をたびたび総理もおっしゃっておられますけれども、こういった立場からいきますと、少なくともこういうふうに広域的な交通制御の装置の効果というものが明確にあがっているわけでございますので、少なくともこれだけは全国を網羅いたしまして、そして万全を期していくべきでないか、こういうふうに思うわけです。その点について再度お答えを願いたいと思います。
  60. 片岡誠

    片岡政府委員 現在の計画では入ってございませんが、その残余の都市における交通管制センターの設置につきましては、今後私どもそれがその地域まで拡大できるように、機会あるごとに努力してまいりたいと思っております。
  61. 桑名義治

    ○桑名委員 この点についての大臣の御答弁をお願いをしておきたいと思います。
  62. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 緊急交通安全対策五カ年計画の総合的な予算の折衝につきまして、努力不足のゆえに思うように整備できなかった次第でありまして、今後機会あるごとに捲土重来を期して努力したいと思います。
  63. 桑名義治

    ○桑名委員 大臣のいまの御答弁につきましては、午前中に私もお聞きしました。それで、五カ年計画の中でもいわゆる広域的な交通制御装置が非常に効率的な効果をあげているわけでございます。その制度でさえも今回は全国的に行なうことができないということでもございますし、あるいはこの五カ年計画に対する予算が大幅に削られたということについて、いわゆる人身事故、歩行者中心の体制をこしらえていくに手直しをしていくというお話でございますので、そういったところから少なくとも広域交通制御装置の問題についてのみでもかさ上げをすべきでないか、こういう質問をしたわけでございますので、その点にしぼっての大臣の御答弁を願いたいわけです。
  64. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 これまた趣旨は同じことでございまして、今後の努力にまたねばなりません。一生懸命がんばります。
  65. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、交通安全施設の運用について、もっときめのこまかい立場で運用をしていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。たとえば横断歩道橋一つとってみましても、現在の構造からいきますと、横断歩道橋に対してわが党の意識調査の中では七五・七%の人が一応不満を持っているというのが実情でございます。この中でも特に老人あるいは婦人層に二の不満が多いわけでございます。横断歩道橋というものは、もちろん子供や老人あるいはからだの不自由な方、こういった方の特に安全を期するためにでき上がっているというふうに趣旨としては考えられるわけでございます。ところが、そういった方々が非常にきらっているというような実情でございます。何となれば、横断をする場合に、主婦であるならば乳母車を引いたり、あるいはからだの不自由な方はいろいろないわゆる松葉づえをついたり、あるいは下半身のきかなくなった方なんかは特殊な機械を使っている、そのためには横断歩道橋が役に立たない、こういうふうに考えられるわけでございますが、こういった横断歩道橋に対する構造の改善等を現在考えられているかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  66. 片岡誠

    片岡政府委員 建設省の所管でございますけれども、建設省の担当者が見当たりませんので、私の知っている限りについて御答弁いたしたいと思います。  横断歩道橋は、御承知のように、自動車なりあるいは歩行者交通量の多いところ、たとえば駅のターミナルといったようなところでは非常に有効に働いていると思います。また、学童、幼児の横断用として学校、幼稚園の近くにあるのも有効に働いていると思います。  ただ、問題は、御指摘のように、お年寄りとかからだの悪い方には、いまの機構では必ずしも十分でないという点に問題があろうと思います。建設省の道路局長も、できればそういうからだの弱い人あるいはお年寄りの方も有効に使えるような、からだが痛まなくて楽に渡れるような横断歩道橋の構造も考えたいと申しておりますし、と同時に、地下道のほうもあわせ考えていきたい、このようなことも申しております。私どもの所管としましては、はたして横断歩道橋が万能であろうかという問題もございまして、むしろ場合によりますと、道幅のそう広くないところでは、横断歩道をつけて押しボタン式の信号機をつけるといった場合のほうが、かえっていいという場合もあり得ると思いますので、その辺道路管理者と十分協議をして、ところによって使い分けをやっていきたい、そのように考えております。
  67. 桑名義治

    ○桑名委員 わが党の意識調査の中では、階段をなだらかにするというのが一七・八%、それから高過ぎるからもう少し低くせよというのが三・六%、スロープ式にするというのが三〇・六%、暴風雨に対するおおいをつけるというのが九・九%、地下道にするというのが三二・四%、その他三.七%、無回答が二%、こういうような結果が出て、いわゆる地下道にするというのが一番多いわけでございますが、その次にはスロープ式にするということが三〇%で、地下道にするということとスロープ式にするということが大体全体の六〇%強を示しているわけでございます。そういった立場からしますと、いま交通局長が言われたようなその地域その地域によっていわゆる利用度を考えるという考え方と同時に、現存している横断歩道橋について、スロープ式にするとかあるいは地下道にするとかいう方向がはたして考えられないものかということでございます。それは建設省の所管で、おたくの所管ではないというお話でございますけれども、しかしながら、現在のこういう交通行政につきましては、警察庁が大きな権限といいますかあるいは役割りを果たしているわけでございますので、そちらのほうの意見が大きく影響力を持っているのじゃないか、こういう立場から私は質問をしたわけでございますが、その点についてもう一度お答えを願っておきたいと思います。
  68. 片岡誠

    片岡政府委員 現存のものについてどのように考えるか、こういう御質問だと思います。現存のものにつきましても、もちろん所々の条件によってスロープ式に改善できないところもあろうかと思いますけれども、土地にゆとりのあり、そういうスロープ式に改善のできるところにつきましては、私どものほうからも道路管理者のほうに要請をしてまいりたい、そのように思っております。
  69. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどから局長がおっしゃっておられるのですが、すべて横断歩道橋がオールマイティーではない、これは当然のことだと思います。しかしながら、こういう横断歩道橋がどんどんできなければならないという、またつくっていくということそのものが、私は、現在、いままでの道路というもの、歩行者のための道路というものが自動車のための道路に質が変わってしまったのじゃないか、そういうものの考え方が全面的に出てきた、こういうふうに一応考えるわけでございます。しかし、それはあくまでも人間尊重の立場からあるいは道路そのものの性格から考えたときに、これは不規則な考え方であって、正当な考え方ではない、こういうふうに思うわけです。そこで、横断歩道橋をつくる前に信号機をつけるということも考えられますし、あるいは横断歩道をつくってその近く三十メートルなら三十メートル、四十メートルなら四十メートルのところにいわゆる予告標識というものをつけて、そして横断歩道を明確にドライバーに教えるという、そういう立場からやったならば、まだまだ効果があがっていくのじゃなかろうか、こういうふうな考え方を持っておるわけでございますが、これは当局としてどのようにこの点についてお考えになっていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
  70. 片岡誠

    片岡政府委員 現在道路標識令の中でも、たとえば信号機に対する予告標識がございます。これもだいぶ立て始めているようでございます。それから通行の禁止制限あるいは右折禁止であるとか、そういうものにつきましても予告標識がございます。これはまだあまり現在使われておりませんけれども、将来運転手にあらかじめわかるようにして、安全をはかっていくという意味で予告標識ももっと活用するようにいたしたいと思っております。
  71. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、道路標識の問題でございますが、わが党の調査によりますと、道路標識をもっとふやせという要望が七・九%、そのかわりに、わかりやすい見やすい標識をというのが七三%になっているわけです。と申しますのは、結局このデータを要約いたしてみますと、一応道路標識はいろいろあるけれども、しかし非常にわかりにくい、見にくい、そういうふうな事柄がここで明確になっているわけです。そういったところから、いかにすればドライバーがこの標識を見やすいかということをまだまだ深刻に研究をしていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。いろいろと、ここに道路標識をつくってもらいたい、ここに信号機をつくってもらいたい。この地元の要望がほぼ中心になりまして、現在のそういった施設というものがつくられているというのが実情でございます。  そこで、これはそういった地元の要望、実態的な面からこれを推進していくということも非常に大事なことでございますか、言うならば、これはあとでいろいろと申し上げようと思いましたが、いわゆる道路交通工学と申しますか、そういう論理的な面から、ここら辺が最適である、こういう角度がドライバーに一番見やすい、そういった立場からこういう標識等も立てていくことが非常に効率的な立て方ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、その点について警察庁としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えを願いたい。
  72. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもの局にも、それから科学警察研究所の交通部にも、交通工学の専門家がおります。そうして標識につきましては、その大ささ、形、色、それから立てる場所、位置ですね、それから角度、その他いろいろの角度から研究をして現在のようなやり方をしております。ただ、現に私自身車を運転しておりまして、路側に立っておる標識は確かに小さいし見にくいと思います。それから夜見にくいという面もございます。そういうことで、今回の五カ年計画の中では、その大きさを大きくするということ、それから反射式にして夜も十分遠くから見えるようにしようということ、それからその場所も、路側に立っているのじゃなくて、道路の中央へ持ってきて下げてみたり、オーバーヘッドあるいはオーバーハングといっておりますが、そういう道路のまん中のほうに置いて、遠くからよく見えるようにする。あるいは場合によりますと、神楽坂の一方通行のところにございますように、可変式と申しますか、一方通行の切りかえをやるときには、いわばあんどん式のようになっておりますが、変えていけるようにする。オートマチックに変えられるあるいは中央制御によって変えられるというようなこともあわせ考えております。そういういろいろな手だてをして、運転手が遠くからわかりやすく、見えやすくするという方向にやってまいりたい、そのように考えております。
  73. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、私は、この問題を解決する一つの方法といたしまして、これはやはり一般の人々とのいわゆるコミュニケーションが最も大事なことではなかろうか、こういうふうに思うわけです。運転者のいろいろな訓練なりあるいは講習なり、そういった事柄は一応行なわれております。あるいは警察庁としても、それぞれの立場から研究もなさっていることだし、あとは問題はその道路に対する、あるいは交通に対するそういった対話の場というものがまだまだ不足しているのではないか、こういうふうに思うわけです。  そういった意味で、市民からのいわゆるほんとうの情報提供というものが一緒になって初めて町ぐるみ、国ぐるみの交通対策に広がっていくのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、このいわゆるコミュニケーションの設立といいますか、そういった場を設ける、こういうお考えが何らかの形でおありになるかどうか、この点についてもお尋ねをしておきたいと思います。
  74. 片岡誠

    片岡政府委員 第一線の各県の警察本部では、交通モニター制度をとっている府県が相当ございます。それには、自分で車を運転しておられる人あるいは学識経験者、いろいろな職業の人も入っておられる。マスコミ関係者も入っていただく、そういう形でコミュニケーションをやっております。あるいは御承知のように、安全協会という団体がございます。これもそのコミュニケーションの場になっていると私は思います。それから警察庁といたしましても、非公式ではございますけれども交通警察の懇談会というものを持ちまして、マスコミの方あるいは学識経験者にお集まりいただいていろいろ意見の交換もいたしております。私どももできるだけそういうコミュニケーションの場を多くして、私ども考えていることも御理解いただくし、逆にいろいろ国民の方の考えておられることも伺って、今後ともやってまいりたいと思っております。
  75. 桑名義治

    ○桑名委員 なぜ私がこういったことを申すかと言いますと、たとえば横断歩道の間近に、ここに横断歩道がありますという標識が立ってみたり、あるいはまた横道歩道がありますけれども、その出発の道路のまぎわに電柱が立って人間が見にくいとか、そういうふうにせっかく横断歩道があるけれども、そういう欠陥事項を持っている、あるいはまた、せっかくその横断歩道があるという標識があるけれども、それが実際に、ぱっと見つけて、しまったと思ってブレーキを踏んだが、もう間に合わないという接近した距離にそういう標識が立っておる、そういった事例が各所に見られるわけです。だから、そういった問題は、その地域、地域におけるコミュニケーションの場を設けておるならば、そういったことも未然に防ぐことができるのではないか、こういった立場から私は申し上げたわけでございます。そうしないと、せっかく標識が立っておりながら、それが有効に使用され、有効な効果が発揮できなければ、これは何にもならないわけでございますし、また最も有効な場所にあってこそ初めて、それがいわゆる交通安全に資する標識になるわけでございますから、そういった立場から、まずコミュニケーションという事柄が非常に今後大事なことになるのではないか、こういうふうに思ったから申し上げたわけでございます。  そういった問題一切を含めまして、各県なら県自体、あるいは市単位なら市単位、あるいは何々警察署という署単位でも、一度総点検をした上で、さらに完全を期していけば、非常に効果が、かえって現在のままでも上がるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、それに対する御所見をお願いしておきたいと思います。
  76. 片岡誠

    片岡政府委員 今度の五カ年計画を作成いたします場合に、これは道路管理者と公安委員会と協議しまして、下から積み上げて計画を立てていく仕組みになっております。これはおそらく六月の末ごろまでに中央に出てまいるわけでございますけれども、市町村段階それから府県段階ということで、その際に当然いままでの道路をすべて点検して、そしてその安全のための安全施設をどこにどういうふうにするかというのをきめる作業をやるわけでございますから、その際に、先生おっしゃるような現在の問題についても点検をやらすように私どものほうから指導いたしたいと思っております。
  77. 桑名義治

    ○桑名委員 次に、交通安全施設に対するいわゆる地元負担の問題でございます。一応国が二分の一、県が二分の一、こういうふうに積算をされているわけでございますが、ここで問題になりますのは、いわゆる単価の積算は一応こういうふうになされてはいるけれども、この単価、品物についてのみの積算の基礎であって、工事費が積算をされていないというところにやはり問題があるのじゃないかというふうに思うわけでございますし、また、物に対する積算の単価がいわゆる旧単価で、昔のままになっているというところに、いわゆる地元負担金がかさんでくるという大きな問題があると思うのですが、この問題に対してどういうふうにお考えになり、どういう方策で今後臨まれるか、その点を明確にしておいていただきたいと思うのです。
  78. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおり、現在の単価、平均単価ではございますけれども、所によりますと、やはりこの単価では現実に購入できないというような場合もあり得ると私は思います。今後とも単価の増額なり、現実にマッチした単価の引き上げということにつきましては努力をしてまいりたいと思っております。
  79. 桑名義治

    ○桑名委員 だから、いまお尋ねしたのは、結局、地元負担というものが、単価そのものに問題もあるし、あるいは工事費というものが含まれていないところに問題がある、この二面についてお尋ねをしたわけでございます。いまお答えは、単価についてのみのお答えでございますので、工事費についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかその点について伺っておきたいと思います。
  80. 片岡誠

    片岡政府委員 現在の単価には工事費が入っておると私は思います。ただ、現実の額が問題であるというふうに私は理解しておりますが……。
  81. 桑名義治

    ○桑名委員 工事費はついていますか。
  82. 片岡誠

    片岡政府委員 工事費を入れての積算だと私は思っております。
  83. 桑名義治

    ○桑名委員 それを明確にお答えできる方はいらっしゃいませんか。ただ思うというんじゃなくて。私のほうの調査によれば、いわゆる工事費維持費が含まれていないということでございます。そういうところに問題があるということで、私はここでこの質問を出したわけでございます。
  84. 片岡誠

    片岡政府委員 維持費につきましては、この金額には入ってございません。
  85. 桑名義治

    ○桑名委員 じゃ、工事費の件については、後ほど明確にされるということでございますから、次に話を進めていきたいと思います。  いろいろと前から申し上げましたが、いわゆる今回の五カ年計画を途中で改定して三カ年ぐらいに圧縮をするというお考えはございませんか。と申しますのは、結局、早めに五カ年計画を達成するということで、要するに、それだけ人間尊重の立場をとって交通行政というものが非常にスムーズになったということになるわけでございます。また、現在のテンポでいくならば、おそらく五カ年計画がまた途中で一年くらい早まって、また五カ年計画に移っていかなければならないんじゃないか、こういうふうなことも一応考えられるわけでございます。下水道の場合だって、五カ年計画を一年ぶった切って新しくまた五カ年計画を出発さしたといういきさつもございますし、現在の社会情勢の中から判断していくと、そういうことも当然考えられるわけでございますが、この五カ年計画を三年計画なりに圧縮をしまして早急に万全な対策をとっていきたい、こういうふうに私たちは希望を持っておりますが、警察庁は特にこの件についてそういう意思がおありかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  86. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほどの問題で先にお答えいたしますが、工事費を入れた単価でございます。  それから、いまの五カ年計画の問題でございますが、まだことしからやろうとしておる五カ年計画でございますので、私どもの立場からいたしますと、五カ年でやるということでございますが、ただ、交通状況の変化ということも相当激しいものでございますから、将来の問題としては、またいままでのいろいろな五カ年計画の歴史を見ましても、そういう途中で改定するという可能性はなしとはしないというふうには考えられると思います。
  87. 桑名義治

    ○桑名委員 この五カ年計画があくまでも警察庁中心の五カ年計画であるとするならば、自治省としては、この計画に対してどういう助成措置をとられるように計画なさっておるか、その点について自治省に伺っておきたいと思います。
  88. 森岡敞

    ○森岡説明員 御承知のように、交通安全施設整備計画は、先ほど来警察庁のほうからお話もございましたように、各市町村、県から積み上げてまいりまして、それで最終確定をするわけでございますが、一応建設省なり警察庁から御相談を受けまして、大体のめどは、警察関係で申しますと、補助事業で六百八十億円、単独事業で九百二十億円程度というふうなめどを立てまして、それに対応する財源につきましては、補助事業につきましては二分の一の国庫補助金を地方交付税の算定を通じて措置してまいりたい。単独事業につきましては、反則金収入を特別交付金として配分いたしておりますので、それと交付税算入合わせて措置してまいりたいと考えております。  ただ、私どもの現在の見込みでは、公安委員会関係と建設省関係を合わせました地方負担全体は、五カ年間で約三千七百億円程度になろうかと考えております。ちなみに、四十五年度の地方負担は三百七十七億円でございます。でございますので、それを単純に五倍いたしますと千八百億円ぐらいのことでございます。三千七百億円の地方負担をこなしてまいりますためには、その倍必要なわけでございます。そういう意味合いで、交付税の算入をさらに強化してまいらなければなりませんし、また、反則金の収入につきましても、警察庁当局でかなりの御努力をお願いしたい、こういうふうなことを考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういう措置によりまして五カ年計画の実施に遺憾のないよう万全の措置を講じていきたいと考えております。
  89. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、現在、軽油引取税は目的税として道路建設のために使用されているわけでございますが、いまから先の道路というものは、先ほどからちょっとお話も出ておりましたが、交通安全対策のいわゆる施設の整っていない道路というものは今後道路とみなさない。こういう観点に立って道路というものの建設は考えていかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、現在までの段階では、道路の付属物として取り扱われております歩道橋あるいはガードレール等は一応軽油引取税の使途に入っておりますけれども、その他のいわゆる道路安全施設については入っていないわけでございます。  そういったことを考えますと、今後ともこのように交通事故が激増してまいりますと、安全施設のない道路道路ではないという考え方に立って、軽油引取税の中でも交通安全施設も取りつけることができるというふうに法改正をすべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、これに対する御見解を最初に伺っておきたいと思います。
  90. 森岡敞

    ○森岡説明員 道路財源といたしましては、御承知のように、軽油引取税、これは地方の道路財源でございますが、国の財源として揮発油税がございますし、また地方に対してはその一部が地方道路譲与税ということで譲与されております。  道路財源全体の充当の問題でございますけれども道路整備が立ちおくれておる。特に地方道がおくれておるということはもう御案内のとおりでございます。でございますので、私どもといたしましては、現在の道路財源でもなお不十分なものですから、これをもっと拡充していきたい、地方の道路目的財源を拡充していきたいと考えておるほどのことでございます。したがいまして、軽油でありますとか揮発油というものは、付属物を含めました道路自体の改善に重点的に用いてまいりたい。交通安全施設、信号機等につきましては、先ほど申しました反則金なり、補助金なり、あるいは交付税の財源措置を通じて適切な措置を講じていきたい。今後、地方道路目的財源が破格の増額が可能な場合には、それはまたその時点において検討するにやぶさかではないのでございますけれども、いまの段階では道路自体の立ちおくれが何ともしがたいというふうなことでございますので、そのように考えておる次第でございます。
  91. 桑名義治

    ○桑名委員 今後の考え方としてひとつ大いにお含み願いたいと思います。  次に、夜間照明の問題でございますが、先ほどからいろいろとわが党の交通安全対策の実態調査の中身について申し上げたわけでございますが、同じように、この夜間照明の問題については、道路照明灯をつけてもらいたいというのが三〇・五%、これも非常に高率を占めております。ドライバーの意見を聞きましても、非常にこれは有効的である。こういうふうに回答が明確に出ております。ところが、この道路照明灯はあまり推進がなされていないのでございます。夜間おそくを過ぎますと、一灯おきに電気を消しているというような実情でございますが、これはどこにそういう原因があるのか、これをお知らせ願いたい。
  92. 片岡誠

    片岡政府委員 これは道路管理者の所管でございますけれども、私ども聞いております範囲で考えますと、それを設置すること自体経費は要しますが、むしろその維持費と申しますか、電灯を維持するその電灯料金そのものの負担も相当重いように聞いております。それも一つの険路になっているのではなかろうかと私は推察いたしております。
  93. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの交通局長のお話では、取りつけることそのものに対しても経費はかかるけれども、電気代の維持費がたいへんだというお話でございます。  そこで、いわゆる街路灯、道路照明、これはただ交通安全対策のみにかかわらず、防犯対策にも大きな役割りを占めているわけです。言うならば、公共性の中でも非常に強い公共性を持っているわけでございますので、こういった対策を十二分に進めていくということは、これは非常に大切なことではなかろうかと思うのです。  ところが、先ほどお話がございましたように、この設備をつけることにお金がかかることはもちろんでございますが、それよりもむしろ、各自治体の意見を聞いてみますと、電気代が高いというところにやはり問題があるようでございます。たとえば電灯の場合は街路灯が七円七十三銭、定額が十円八十三銭、従量電灯十二円一銭ということで、全体の電灯料が十一円九十一銭、これは四十四年度の調べでございますが、これは電力料金になりますと五円十三銭で非常に安くなるというようなデータが上がっております。それから北九州市やあるいは横浜、藤沢、こういったところの防犯あるいは街路灯の電気代がどのくらいかかっているのかということを調べてみたわけでございますが、防犯灯の場合、電灯料が約一千六百万かかっております。道路照明が二千三百五十万、こういうふうな電灯料になっておる。これは北九州の例でございます。横浜の場合、市の管理道路のいわゆる防犯灯やいろいろなものを全部含めまして八千二百六十二万円、これだけの電灯料がかかっているわけです。  そこで、こういった電灯料、電気代を安くできないものであろうか、こういうところに私は着目をしたわけでございますが、夜間料金というものは、十時から以後夜間料金で、特に深夜に使う電灯だけの申請をした場合には、これは各電力会社も安くしている、三分の一くらいにしている。そういう制度もございますので、特に夜中、こういったいわゆる電灯というものは非常に公共性が強い、電気そのものが公共性を持っているわけでございますから、そういうふうに重複をした場合には、少なくともこの電灯料金をまだまだ半分くらいに落とせないものか。その点について、通産省がおいでになっているようですから、まず通産省の方に御答弁を願っておきたいと思います。
  94. 北山昌寛

    ○北山説明員 お答えいたします。  電気料金につきましては、御案内のように、コスト主義ということになっておりますし、また需要者間の負担の公平を期することというふうになっております。したがいまして、逆に言いますと、政策的にいろいろ配慮して料金を設けることはできないというふうな法律の規定になっております。  いま御指摘の街路灯でございますけれども、津夜料金というふうなお話もございましたのでございますが、この需要形態を見てみますと、いわゆる夕方の点灯時から使うというふうな需要形態であり、またその供給形態を見ましても、電源から配電までの一切の経費がかかるというふうな意味で、やはりどちらから見ましても、一般の電灯需要と全く同じというふうな形で電灯料金が適用されているわけでございます。ただ、街路灯等は、地方公共団体や商店街というふうな団体が設置することが多うございます。それらの地方公共団体におきましては、一団体当たり契約口数が非常に多くなっております。したがいまして、これは、逆に見ますと一契約当たりの需要家費というものは少なくなるというふうな意味合いから、電灯料金からさらに一割を引いたというふうな形で料金が適用されております。  いまそういうふうな状態になっておりますので、現在の料金が夜も昼も合わせた平均的な単価で電灯料金が出ておりますので、いまの深夜だけ適用というふうな形になりますと、全然別の形にならざるを得ないというふうに考えられます。
  95. 桑名義治

    ○桑名委員 いまあなたが説明をさなったように、昼と深夜の分との平均的なものからこの料金が割り出されて一応一割程度値引きをしている、こういうお話のことはよく存じているわけです。しかしながら、いわゆる電灯がそういった値段でありながら、しかも先ほど申し上げましたように、横浜の場合だったら八千二百六十二万円の年間電灯料金を支払いしているという実情であるわけです。先ほどから申し上げたように、電気そのものの公共性、それにさらに重なって、こういうふうに人命を守るという立場から、非常にこの街路灯が有効的な役割りを占めているわけでございますので、これを交渉の段階で何とかまだ安くする方法はないかということをお尋ねしておるわけです。ございませんか。
  96. 北山昌寛

    ○北山説明員 ただいま申しましたのは、街路灯の一般的な需要形態から申し上げたことでございます。最近の街路灯の使われ方を見ますと、いろいろ需要規模も大きくなっている。たとえば高速道路等は非常に大型の需要になってきているというふうなこともございますし、あるいはまた排水とかあるいは排気の動力も使っておるというふうな場合もございます。それらの需要形態に合わせた最も適正な料金率を適用するようにわれわれとしては指導しております。ただいま申しました、たとえば業務用の料金率の適用ということになりますと、一般の電灯よりもまた安くなっているというのが実情でございまして、今後ともそういうふうな需要の形態にマッチしたような最も適正な、過重な需要家の負担にならないような形で適用できるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  97. 桑名義治

    ○桑名委員 最初から申し上げておりますように、この街路灯の設備がどんどん促進できない一つの大きなネックになっている点として、電灯料金の負担ということがあるわけです。したがいまして、まずそういうふうに業務用の電力という立場でいくならば半分以下に落ちるわけですから、そういう立場をとってそういう方針がきまれば、まだまだこの行政は進んでいく、私たちはこういうふうに考えているわけです。だから、どっちが先かということになると、またいろいろと議論しなければならないかもしれませんけれども、まず現在の段階から考えた場合に、公共性とか有効性とか、いろいろそういう面から考えた場合に、少なくとも街路灯についてはそういう大型需要の電灯料金にすべきである、こういうふうに私は主張しているわけです。その方向で強力に推進をしてもらいたい。また自治省としましても警察庁といたしましても、その方向で大いに鞭撻をしていただきたいと思うのです。そうすれば、この街路灯の夜間照明については交通安全の立場からあるいはまた防犯という立場からもまだまだ大いに推進ができるのではないか、こういうふうに思うわけです。そのことについて警察庁としてもひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  それから国立の交通研究所の設置問題についてでございますが、これは急激にできるというわけではございませんが、いわゆる現在の交通安全基本計画にしても、内容的には、これまでいろいろと言い尽くされた問題があがっているという感じがするわけです。しかし、こういった政策というものをながめてみると、いわゆる交通事故に対してのあと追いをしている、あと追い政策というような感じがしているわけです。そういうことではなくて、自動車等の総合的な交通体系というものに対して、いわゆる将来的なもの、将来どうあるべきであるというしっかりした論理的な裏づけが今後なくてはならないのではないか、こういうふうに思うわけです。現在の道路行政を見てみますと、片方をつっつけば片方がパンクする、片方つっつけば片方パンクする。いろいろな面で、ちょうど風船だまをふくらましたときに、弱いところからぽんと爆発をしていく。ところがそれをさらに金網なら金網、きれならきれを上からかぶせて風船だまをふくらますと、これ以上入らないというところまで空気が入ってくるというふうに、そういう論理でカバーする必要が今後の交通行政を考えた場合には非常に重要ではなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございますが、こういったものを総合的に研究する機関がぜひとも必要だ、こういうふうに考えます。現在、警察庁の科学警察研究所の交通部でこういった問題を研究なさっているということも一応存じているわけでありますけれども、たとえば英国、米国には大学に交通工学士という学位があるわけですし、また各郡や市におきましては専門家を置かなければならないという義務づけができておる。こういうことを考えてみますと、日本交通行政というものは非常におくれている。設備は懸命な努力をされて完ぺきに近づけようとされておるようではございますけれども、そういった全体の総合的な論理構成というものについては非常におくれておるわけです。そういった意味で、国立の交通研究所を設立して、そこで論理的なものを積み重ねて完成をさしていく必要がある、こういうように思うわけでございますが、この点について長官もしくは大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  98. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 御説のように、交通についての研究所が必要であるということは、当然でございますし、また今日、したがって各省それぞれの立場での研究機関はあるわけでございます。建設省なり運輸省なり私のほうなり、それぞれ持っております。しかし、いずれもいわば一口に言えば寸足らずということも、私はそういう批判が必ずしも当たっていないと言えない現状だと思います。したがって、そういう必要性はわかっておりまするけれども、私どもとしては、さしあたりども自身が持っておる科学警察研究所の中の交通研究室の拡充強化、これに向かってさしあたりの努力をやるように考えております。
  99. 桑名義治

    ○桑名委員 では、この問題について総理府の須藤交通安全対策室長の御意見を伺ってみたいと思います。
  100. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 この問題につきましては、すでに先般決定いたしました交通安全基本計画の中にも「科学技術の振興等」ということを一項目起こしまして、計画の中に盛り込んだわけでございますが、各省庁でいろいろ研究所というようなものを持っておりますが、そういうものがばらばらに研究しておったのでは実効があがらない。やはりそういったものをお互いに横の連絡もとり、今後とも連携を密にして、調整機能も十分に発揮して成果をあげてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。それからまた、先ほどお話のございました各大学あるいは民間の研究機関といったものとの連携というものも密にいたしまして、十分科学技術の面でも成果をあげるように今後一そう努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  101. 桑名義治

    ○桑名委員 大学でも、何々科というふうなものは設けてないけれども、そういう部は現実にあるわけです。なぜ大学がこういうものをつくらないかといいますと、一つの理由として、そういう交通工学科を出ても現実に採用するところがないのです。働く場所がありません。そういうことを考えますと、この交通問題というのは、ここの時点で終わるのではない、今後将来にわたっての重大問題です。そういった立場から、先ほど申し上げたように、国立の交通研究所を設けるとか、あるいは各市町村、県の段階でもけっこうです、必ずそういう工学士とか専門家を置かなければならないという制度を確立することによって、大学のそういう研究体制がさらに一段と前進をしてくるの  ではないか、私はこういうように思うわけです。だから、私の質問は、こういうふうに国立の交通研究所を設けて、総合的に交通の明確な論理構成をするということが一つと、それから各市町村の段階にそういう専門家を必ず置かなければならないという制度にすべきであるということが一つなんです。  だから、この問題の一つ一つについて御答弁を本来は願いたかったわけでございます。国立の総合研究所が必要であり、専門の交通警察官をさらにそういったところで養成をして強化をしていくことが私は大事だ、こういうふうに思うわけでございますが、この点について大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わりといたしたいと思います。
  102. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  交通問題そのものが、交通という総合的な概念としてとらえられたのはつい最近だろうと思います。そこで、それぞれの分野で研究施設、研究機関等がございますのも、勢いそういうことに基づくものと思います。総合的な立場から総合研究所を必要とすることは、概念的にはわかりますけれども、その実行にはちょっと間があるんじゃないかと思います。研究課題としては十分念頭に置いて検討を加えたいと思います。
  103. 桑名義治

    ○桑名委員 終わります。
  104. 菅太郎

    菅委員長 次回は、明二十八日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時一分散会