運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-03-25 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十五日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       江藤 隆美君    亀山 孝一君       國場 幸昌君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    野呂 恭一君       別川悠紀夫君    安田 貴六君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    中井徳次郎君       山本 幸一君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         警察庁警備局長 山口 廣司君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君  委員外出席者         参議院地方行政         委員長     若林 正武君         林野庁指導部造         林保護課長   塩島 厚一君         通商産業大臣官         房審議官    牟田口道夫君         通商産業省公害         保安局工業保安         課長      眞野  温君         通商産業省重工         業局次長    山形 栄治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   林  百郎君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井 洋君      林  百郎君 同月二十五日  辞任         補欠選任   岡崎 英城君     山崎平八郎君   高鳥  修君     別川悠紀夫君   村田 敬次郎君    江藤 隆美君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     村田敬次郎君   別川 悠紀夫君    高鳥  修君   山崎 平八郎君    岡崎 英城君     ————————————— 三月十九日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇三号) 同月二十四日  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第四  八号)(参議院送付)  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五二号)(参議院送付) 同月二十二日  ドライブイン等において酒類販売を禁止する  法律制定に関する請願福田篤泰紹介)(第  二五八一号)  地方公務員退職年金受給者医療制度改善に関  する請願勝間田清一紹介)(第二五八二号)  同(佐々木更三君紹介)(第二五八三号)  同(島本虎三紹介)(第二五八四号)  同(辻原弘市君紹介)(第二五八五号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第二五八六号)  同(田邊誠紹介)(第二六六〇号)  同(松本七郎紹介)(第二七二一号)  風俗営業等取締法にモーテルの規制移管に関す  る請願砂原格紹介)(第二五八七号)  同(久保田円次紹介)(第二六六一号)  地方公務員退職年金増額に関する請願島本  虎三紹介)(第二六五九号)  同(島本虎三紹介)(第二七二〇号) 同月二十四日  地方公務員退職年金増額に関する請願島本  虎三紹介)(第二八三三号)  ドライブイン等において酒類販売を禁止する  法律制定に関する請願小峯柳多君紹介)(第  二八三四号)  同(田中伊三次君紹介)(第二八三五号)  同(河野密紹介)(第二九〇〇号)  同(西村直己紹介)(第二九〇一号)  同(三池信紹介)(第二九〇二号)  同(河野密紹介)(第二九一七号)  同(島本虎三紹介)(第二九一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害防止に関する事業に係る国の財政上の特  別措置に関する法律案内閣提出第七一号)  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  秋田自治大臣から発言を求められております。この際、これを許します。秋田自治大臣
  3. 秋田大助

    秋田国務大臣 さきの二十二日の連合審査におきまして、古寺委員の御質問に対し不明確な御答弁をいたしましたが、安中のような地域は、農用地土壌汚染防止法対策地域に指定されてしかるべきものと思うという趣旨で述べたものであります。      ————◇—————
  4. 菅太郎

    菅委員長 内閣提出にかかる公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたします。  他に質疑申し出もありませんので、本案に対する質疑は終局いたしました。
  5. 菅太郎

    菅委員長 内閣提出にかかる公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案に対して、林百郎君から修正案提出されております。
  6. 菅太郎

    菅委員長 この際、提出者から趣旨説明を求めます。林百郎君。
  7. 林百郎

    ○林(百)委員 公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案に対する日本共産党修正案提案趣旨説明をさしていただきます。  本法案は、御承知のように、公害基本法第十九条に基づく公害防止計画地域公害防止対象事業に対する国の補助金かさ上げを目的としたものでありますが、私は、この法案が次の点できわめて不十分な内容を持つものであると考え、本修正案提出するものであります。  その第一は、公害防止計画地域公害防止対策事業補助対象事業がきわめて限定されていることであります。したがって、私は、この補助対象事業を拡大することとしたのであります。  その第二は、この補助対象事業に対する国の負担割合が二分の一では不十分であり、公害第一義的責任を負う国にふさわしいものとして、さらに四分の三にかさ上げすることとしたのであります。  その第三は、公害防止計画地域以外の公害対策防止事業がきわめて限定されていることは適当ではなく、これについても補助対象事業公害防止計画地域と同様にし、国の補助負担率も前条と同様四分の三を適用するようにしたのであります。  その第四は、公害防止対策事業にかかる地方債対象事業を、土地区画整理事業等まで含めて一そう拡大したことであります。  そしてさらに、地方債元利償還金基準財政需要額への算入を、辺地債並みの十分の八まで引き上げたことであります。  私は、こうした修正により、まだ不十分であるとはいえ、地方公共団体が住民の要求にこたえて、公害防止対策事業を行なう際の地方財政への圧迫をできる限り押えるとともに、公害防止対策事業地域実情に見合ったものとして促進されることをできる限り保障したいと考えるものであります。  委員の皆さんが、何とぞわが党の修正案を慎重に検討されまして、御賛同くださいますようお願い申し上げる次第であります。
  8. 菅太郎

    菅委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  この際、国会法第五十七条の三の規定により、本修正案について内閣意見を聴取することといたします。秋田自治大臣
  9. 秋田大助

    秋田国務大臣 政府といたしましては、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案修正案につきましては、現段階における公害防止に関する事業状況から見まして、賛成することはできないのでございます。     —————————————
  10. 菅太郎

    菅委員長 内閣提出にかかる公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論を行ないます。  討論申し出がありますので、順次これを許します。綿貫民輔君。
  11. 綿貫民輔

    綿貫委員 私は、自由民主党を代表し、政府提案公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案に対し賛成討論を行なおうとするものであります。  公害対策推進は、七〇年代内政の最重要課題であります。さき臨時国会におきましては、公害対策基本法の一部改正をはじめとする公害関係諸法整備が行なわれ、公害防止対策推進地方への権限委譲等中心とする公害行政体制整備等をはかるための措置が講じられたところであります。しかしながら、公害防止対策事業費用負担につきましては、公害防止事業費事業者負担法制定され、事業者負担責任が明確にされましたが、公費で負担すべき部分にかかわる現行の国の補助負担率はいずれも低率であり、公害防止対策推進に対する国の責任重要性から見て、その引き上げが要請されていたところであります。今回の政府案は、この点に関し不十分とはいえ国の財政責任を明らかにし、公害対策の一そうの推進をはかろうとするものであり、きわめて時宜に即したものと存ずるものであります。  政府原案内容を検討いたしましたところ、公害防止計画作成地域中心として、典型的な公害防止事業といえる特定公共下水道終末処理施設等設置改築事業緩衝緑地等設置事業廃棄物処理施設設置事業公立義務教育諸学校の移転及び施設整備事業河川港湾等浄化事業汚染農用地等土地改良事業公害監視測定施設設備整備事業等について国庫補助負担制度の新設、国庫補助負担率引き上げを行なうとともに、公害防止計画作成地域外に対しても、河川港湾等浄化事業汚染農用地等土地改良事業、及び公害監視測定施設整備事業で緊急を要するものについては、自治大臣が指定して同様の国庫補助負担特例措置を講ずることとされております。さらに、これらの公害防止対策事業及び下水道事業については、地方債における政府資金優先充当元利償還金交付税算入を行なう等、地方団体に対する財政措置を積極的に講ずることとされているのでありまして、公害対策推進上適切なる措置であると考えるのであります。  質疑を通じいろいろの問題点も指摘されますが、今後とも、政府においては、現下における公害対策緊要性に対処するため、本法案の適切な運用を通じて、公害経費に対する財源措置充実強化をはかるよう強く要望するものであります。  以上、今回の公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案内容は妥当なものと考え、政府原案賛成の意を表するものであります。  なお、共産党提案にかかる修正案につきましては、参考にすべきところもありますが、公害防止に関する事業状況から見て、現段階においては適切なものとは考えられないので、反対するものであります。  以上であります。(拍手
  12. 菅太郎

  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 社会党公明党民社党野党三党を代表して、公害防止に関する事業に係る——国財政上の特別措置に関する法律案反対討論を行ないます。  われわれ野党三党は、昨年十二月、第六十四臨時国会、いわゆる公害国会におきまして、公害防止の諸施策はほとんど地方自治体が主体となって実施する実情にかんがみ、地方自治体実施する公害防止事業に対する国の財政上の責任を明らかにすべきことを強く要求してまいったのであります。と同時に、これにこたえ得る法律案提出を行ない得なかった政府の怠慢を指摘し、野党党共同による公害防止事業実施を促進するための地方公共団体に対する財政上の特別措置に関する法律案提出してまいったところであります。  その際、われわれが強調いたしました点は、一、公害基本法第十九条に基づく公害防止計画地域に限定した公害基本法第二十条の国の必要な措置に限定すべきではない。  二、したがって、公害基本法第二十三条に規定された、地方公共団体公害防止に関する施策を講ずるために要する費用について、国は、必要な財政上の措置を講ずるようにすべきであるとの立場から、法律案作成を早急に行なうべきである。  三、国が公害防止に対する第一義的な責任を果たす上から補助率特例はすべて四分の三とすべきである。  四、公害債元利償還基準財政需要への算入は、辺地債同和対策事業債と同様に八〇%とすべきである。  以上の諸点でありました。  しかるに、第六十五通常国会提出された、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案は、野党党共同提案のそれとは著しく後退した案であり、公害防止事業かさ上げ法案とはいうものの、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいの、まやかし法案といわなければなりません。  その理由の第一は、補助率かさ上げ対象公害基本法第十九条第二項の公害防止計画に基づく公害防止対策事業に限定されている点であります。わずかに例外として河川、湖沼、港湾その他公共用水域におけるしゅんせつ事業導水事業、いわゆるヘドロ事業農用地または農業用施設について実施される客土事業施設改築事業、いわゆる重金属汚染土壌対策及び監視測定等施設設備があるにすぎないのであります。  第二は、たとえば下水道事業につきましては、すべての事業がカバーされておらず、わずかに特定公共下水道都市下水路の一部及び終末処理場設置または改築にすぎないわけでありまして、公共下水道の幹線以外の管渠の多くが除外されている点であります。  第三は、補助率特例措置がほとんど二分の一であり、きわめてわずかな補助金かさ上げにすぎず、膨大な公害防止事業実施しなければならない地方自治体財政を救済する効果はきわめて少なく、国は公害防止事業第一義的責任を持つという昨年の公害国会での政府統一見解を守っていない、まさに公約違反を行なっているという点であります。  第四は、公害債元利償還について、基準財政需要額への算入が五〇%にすぎない点であります。  第五は、政府案東京湾等に見られる緊急の課題である地盤沈下対策を全くなおざりにし、責任を回避している点であります。  以上のごとく、政府提出の、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案は、われわれの断じて承認し得ぬものであります。  今国会の論議で明らかにされた四日市での石原産業問題、安中市の東邦亜鉛問題のごとく、企業と通産省、厚生省等政府当局との癒着は、まさに目に余るものがございます。  さらに、公害防止事業についてのこの羊頭狗肉法案をもってしては、わが国公害列島の汚名をそそぐことは至難といわざるを得ません。七〇年代の最大の国民的課題であり、全人類の当面する緊急課題ともいうべき公害対策環境保全対策について、政府自民党の無責任な態度は、社会公明民社、三党は国民とともに心からの憤りを感ぜざるを得ない次第であります。  政府自民党の猛省を促し、反対討論を終わりたいと思いますが、この際、共産党提出修正案について一言いたしたいと思います。  社会公明民社野党三党は、昨年十二月、いわゆる公害国会以来、独自の法律案提出しておりますので、残念ながら共産党修正案には反対をいたします。  今後、共産党におかれても、各党が十分内容検討を行なう時期的余裕をもって法律案提案をせられるよう要望いたしまして、討論を終わる次第であります。(拍手
  14. 菅太郎

    菅委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  まず、林百郎君提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 菅太郎

    菅委員長 起立少数。よって、林百郎君提出修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  16. 菅太郎

    菅委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  17. 菅太郎

    菅委員長 綿貫民輔君、山口鶴男君、小演新次君及び吉田之久君から、四派共同をもってただいま議決いたしました法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、本動議議題とし、提出者から趣旨説明を求めます。綿貫民輔君。
  18. 綿貫民輔

    綿貫委員 私は、この際、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公共団体における公害防止施策の円滑な推進を図るため、左記事項について検討すべきである。  一、地方公共団体における公害防止施策実施状況等にかんがみ、本法の適用地域、及びその対象事業の範囲の拡大に努めること。  二、地方公共団体における公害防止対策事業費の急激な増加に伴う財政負担を軽減するため、公共下水道管渠部分についても特例補助対象に含めるとと、に.公害防止事業についてその特例補助率補助採択率国庫補助基本額及び地方債充当率引き上げる等の措置を講ずるよう努めること。    なお、不交付団体については、適切な財政措置を行なうよう配慮すること。  三、公害防止計画が定められていない地域における公害防止対策事業の指定に際しては、当該都道府県の知事及び市町村長等意見を十分に反映すること。  四、わが国公害発生実情にかんがみ、すみやかに公害対策基本法第十九条に基づく公害防止計画の策定を指示するとともに、その指示にあたってはそれぞれの地域実態に即応し、隣接地域を含めた広域的配慮を行なうこと。   右決議する。  以上であります。何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  19. 菅太郎

    菅委員長 本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  20. 菅太郎

    菅委員長 起立総員。よって、綿貫民輔君外三名提出動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣
  21. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。     —————————————
  22. 菅太郎

    菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  24. 菅太郎

    菅委員長 参議院から送付されました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。荒木国家公安委員長。     —————————————
  25. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、銃砲模造拳銃及び模造刀剣類の有する社会的危険性にかんがみ、これらを使用する犯罪や事故を防止するためその所持に関する規制を強化するとともに、産業用銃砲等使用実態にかんがみ、その所持に関する規制を合理化すること等をその内容としております。  以下、その概要を御説明いたします。  その一は、ライフル銃の有する社会的危険性にかんがみ、ライフル銃所持許可基準を厳格化し、公安委員会は、ライフル銃による獣類捕獲職業とする者、事業に対する被害防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者、継続して十年以上猟銃所持許可を受けている者またはライフル射撃競技選手もしくは候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者でなければ、ライフル銃所持許可をしてはならないものとすることであります。  なお、現に所持許可を受けてライフル銃所持している者については、この基準に関する改正規定は適用しないこととしております。  その二は、銃砲盗難等を未然に防止するため銃砲所持許可を受けた者または武器等製造法猟銃等製造事業者もしくは猟銃等販売事業者は、その所持する銃砲を堅固な保管設備に施錠して保管しなければならず、当該保管設備には保管にかかる銃砲に適合する実包、空包または金属性弾丸当該銃砲とともに保管してはならないものとすることであります。  なお、公安委員会は、銃砲所持許可を受けている者に対し、その所持する銃砲保管状況について必要な報告を求めることができるものとしております。  その三は、模造拳銃及び模造刀剣類社会的危険性にかんがみ、何人も、輸出のための模造拳銃製造もしくは輸出を業とする者またはその使用人が業務所持する場合を除いては、模造拳銃所持してはならないものとし、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類を携帯してはならないものとすることであります。  その四は、亡失または盗難にかかる銃砲刀剣類犯罪使用されることを防止するため、許可または登録にかかる銃砲刀剣類を亡失し、または盗み取られた者は、直ちに警察官に届け出なければならないものとすることであります。  その五は、許可にかかる猟銃または空気銃を特定させるため、公安委員会は、許可を受けた者に対し、当該猟銃または空気銃に番号または記号の打刻を命ずることができるものとすることであります。  その六は、産業用銃砲等使用実態にかんがみ、当該銃砲については、その所持許可を受けた者の監督のもとに当該業務に従事する者もこれを所持することができるものとすることであります。  その七は、空気拳銃射撃競技国際的規模で開催されている実情にかんがみ、空気拳銃を厳格な要件の下とに所持許可対象とすることであります。  その他所要の罰則を設けることとするほか関係規定整備をいたしております。  なお、模造拳銃所持の禁止及び銃砲保管設備への保管に関する改正規定は、公布の日から起算して六月を、その他の改正規定は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  26. 菅太郎

    菅委員長 なお、本法律案参議院修正を経た議案でありますので、その修正趣旨について説明を求めます。参議院地方行政委員長若林正武君。
  27. 若林正武

    若林参議院議員 ただいま議題に供せられております銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案のうち、参議院修正部分について、その趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  政府原案におきましては、その主要改正事項の一つとして、ライフル銃所持許可基準を厳格化し、獣類捕獲職業とする者、事業に対する被害防止のため獣類捕獲を必要とする者、継続して十年以上猟銃所持許可を受けている者またはライフル射撃競技選手もしくは候補者として適当である者でなければ、ライフル銃所持許可をしないこととしているのであります。  しかしながら、附則第三項では、この法律施行の際、現に許可を受けてライフル銃所持している者については、当該ライフル銃に関する限り、ライフル銃所持許可基準に関する改正規定は、適用しないこととしております。  参議院におきましては、最近における銃砲等使用する犯罪実情、なかんずくライフル銃の有する社会的危険性にかんがみ、この厳格化された許可基準を、広範囲に適用することが緊要であると考え、この際、附則第三項を修正して、新法の許可基準を適用しない期間をこの法律の施行の日から五年間に限定するとともに、五年を経過した後は、新法の厳格な基準のもとに新たに許可を受けなければならないこととしたのであります。  以上が参議院における修正趣旨及び内容概要であります。何とぞ、各位の御賛成を賜わりますようお願い申し上げます。
  28. 菅太郎

    菅委員長 引き続き逐条説明を聴取いたします。後藤田警察庁長官
  29. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案内容につきまして、逐条御説明申し上げます。  第一は、人命救助、動物麻酔、屠殺または漁業その他の産業の用途に供するため必要な銃砲すなわち救命索発射銃、麻酔銃、屠殺銃、もり銃等の銃砲についての所持規制を合理化するための第三条第二項の改正であります。  これらの銃砲は、元来、産業等の用途に供する−ため業務使用されるものであって、比較的危険性が少ない上犯罪使用された事例もほとんどないのであります。したがいまして、責任者に所持許可を与え、その監督のもとであれば人命救助等に従事する者が個々に許可を受けることなく所持することができるようにすることが適当であると考えられますので、公安委員会に届け出た者については、そのような所持を認めようとする趣旨であります。  なお、このことに関連して、第十一条第三項に所要の改正を加え、人命救助等に従事する者が許可を受けた者の指示に基づかないで救命索発射銃等を所持した場合には、その銃砲にかかる許可を取り消すことができることといたしたのであります。  第二は、空気拳銃を厳格な規制のもとに許可対象とすることとした第四条第一項第四号及び第四項の改正であります。  これは、最近、国際的に空気拳銃射撃競技が盛んとなり、世界射撃選手権大会及びアジア射撃選手権大会の正式種目とされたことに伴い、わが国においてもこれらの射撃競技の選手または候補者について射撃競技用空気拳銃所持許可する必要性が生じたことによるものであります。  空気拳銃は、拳銃に比較して威力が弱いものではありますが、形態は拳銃と全く同様であり、容易に隠して携帯できるものでありますので、拳銃と同様に国際的な規模で開催される政令で定める運動競技会の空気拳銃射撃競技に参加する選手またはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者についてのみ許可することといたしたのであります。  第三は、猟銃及び空気銃に対する番号または記号の打刻についての規定を第四条の二として新設したことであります。  猟銃及び空気銃許可数も多く、亡失し、または盗み取られる事例も多い上同型のものも多数ありますので、当該許可にかかるものであることを表示させるため必要がある場合には、公安委員会は、その指定する番号または記号の打刻を命ずることができることといたしたのであります。  第四は、ライフル銃所持の制限に関する規定を第五条の二第三項として新設したことであります。  これは、ライフル銃社会的危険性にかんがみ、所持許可基準を厳格化し、銃砲に関する一般の基準に加えて、次のいずれかの場合に該当するのでなければ許可してはならないこととしたものであります。  その一は、狩猟または有害鳥獣駆除の用途に供するためのライフル銃所持許可基準を、ライフル銃による獣類捕獲職業とする者、事業に対する被害防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者または継続して十年以上猟銃所持許可を受けた者といたしたのであります。  なお、これに伴い、第十条第二項第一号に所要の改正を加え、事業に対する被害防止するためライフル銃所持許可を受けた者は、その事業に対する被害防止する場合に限り、そのライフル銃を用いての狩猟または有害獣駆除を行なうことができることといたしました。  その二は、標的射撃の用途に供するライフル銃については、その所持許可基準を、政令で定めるライフル射撃競技に参加する選手またはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者といたしたのであります。  なお、これに伴い、第八条第一項第六号に所要の改正を加え、推薦されてライフル銃所持許可を受けた者が推薦を取り消されたときは、その許可は失効することといたしたのであります。  第五は、銃砲保管に関する第十条の三の改正保管状況についての報告に関する規定を第十条の五として新設したことであります。  盗難銃砲による危害の発生を未然に防止するため、その保管に関する規制を強化し、銃砲所持許可を受けた者は、許可にかかる銃砲をみずから堅固な保管設備に施錠して保管しなければならないこととするとともに、当該保管設備には保管にかかる銃砲に適合する実包、空包または金属性弾丸当該銃砲とともに保管してはならないことといたしたのであります。  また、これらの銃砲保管状況についてその実態を把握するため公安委員会は、鉄砲を保管する者に対し、必要な報告を求めることができることといたしたのであります。  このように許可を受けて銃砲所持する者の保管に関する規制を強化したことに対応して、武器等製造法の一部を附則において改正し、同法の猟銃等の製造販売事業者は、業務のため所持する猟銃等を同法に規定する要件を備えた設備に施錠して保管しなければならないこととするとともに、当該設備には、保管にかかる猟銃等に適合する実包、空包または金属性弾丸猟銃等とともに保管してはならないことといたしたのであります。  第六は、ライフル銃所持について新たな許可基準が設けられたことに伴う第十一条第一項の改正であります。  ライフル銃による獣類捕獲職業とする者及び事業に対する被害防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者であることをライフル銃所持許可基準としたことに伴い、これらの基準に適合する者として所持許可を受けた者が、これらの基準に適合しなくなった場合は、当該許可を取り消すことができることといたしたのであります。  第七は、模造拳銃所持の禁止の規定を第二十二条の二として新設したことであります。  模造拳銃使用する犯罪実態にかんがみ、これらの犯罪防止するため、輸出のための模造拳銃製造もしくは輸出を業とする者またはその使用人が業務所持する場合を除いて、何人も、模造拳銃所持してはならないことといたしたのであります。  第八は、模造刀剣類の携帯の禁止の規定を第二十二条の三として新設したことであります。  模造刀剣類使用する犯罪実態にかんがみ、これらの犯罪防止するため、何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類を携帯してはならないことといたしたのであります。  第九は、銃砲または刀剣類の事故届けに関する規定を第二十三条の二として新設したことであります。  亡失し、または盗み取られた銃砲刀剣類犯罪使用されることを未然に防止するため、許可または登録を受けて銃砲刀剣類所持する者は、その銃砲刀剣類を亡失し、または盗み取られた場合には、直ちにその旨を警察官に届け出なければならないことといたしたのであります。  第十は、罰則の整備に関する第三十五条及び第三十七条の改正であります。  銃砲保管義務規定に違反した者、模造拳銃所持禁止の規定に違反した者、模造刀剣類の携帯禁止の規定に違反した者、猟銃等に対する番号等の打刻命令に応じなかった者及び銃砲刀剣類の事故届けをせず、または虚偽の届け出をした者は一万円以下の罰金に処することとするとともに、両罰規定を適用することといたしたのであります。  最後に、この法律は、公布の日から一月を経過した日から施行することといたしたのでありますが、銃砲保管設備に関する改正規定及び模造拳銃所持禁止に関する改正規定は、保管設備設置及び模造拳銃の改造に期間を要するため、公布の日から六月を経過した日から施行することとするとともに、必要な経過規定を附則において規定いたしております。  以上が、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。     —————————————
  30. 菅太郎

    菅委員長 質疑を行ないます。質疑申し出がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
  31. 古屋亨

    ○古屋委員 まず第一に、本法案の背景の問題につきまして数項目お伺いいたしましてから、第二番目に内容に入りたいと思います。  ただいま法案の逐条説明がございましたが、こういうような銃砲等につきましての種類と申しますか、ライフルについてもいろいろあるわけでありまして、あるいは散弾銃のたまの問題あるいは空気銃等があるわけでございますが、こういうような猟銃について、その定義と申しますか、特徴といいますか、そうしてまたそれがどの程度威力を発するものであるか、最大到達距離と申しますか、そういう点をまず第一にお伺いしておきたいと思います。
  32. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ライフル銃につきましては、二十二口径あるいは二十八口径あるいは三十口径、そういうふうにございますが、多いのは二十二口径と三十口径でございます。それぞれによりまして、また使うたまによりまして威力等は異なるわけでございまするが、最も威力がある三十口径について申し上げますると、最大の到達距離は大体三千二百メートルくらいでございます。それから有効射程距離と申しまして、普通の技能を有する者が的をねらって撃ちました場合に、その的に当たる距離でございまするが、これはいわゆるスコープといいまして、的がよく見えるようなめがねをつけてねらいますると、六百メートル先のものにも当たる、こういうことでございます。もしそのスコープがない場合におきましてはおおむね三百メートル、こういうふうにいわれております。  それから散弾銃は、御承知のように、たまの種類がいろいろありまして、それに応じまして銃口の口径が違うわけでございまするが、最も威力があるという散弾銃で、七号の散弾を使いました場合の距離でございまするが、大体散弾銃の場合におきましては、最大到達距離は二百三十メートルくらい、それから有効射程距離は五十メートルくらいである、こういうふうにいわれております。  その他空気銃につきましては、いろいろございまするが、これらに比べまして相当低いのでございまするが、いま手元にちょっとデータがございませんので、お許しいただきたいと思います。
  33. 古屋亨

    ○古屋委員 ライフル銃というのは、第五条の二の三項に「銃腔に腔旋を有する猟銃で腔旋を有する部分が銃腔の長さの半分をこえるものをいう。」というふうに法律で書いてありますが、もうちょっと常識的にこの意味をひとつ説明してもらいたい。
  34. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  ライフル銃は銃腔——銃身部の中のところでございますが、そこにみぞが掘ってございまして、このみぞの数は、その銃によりまして多いのも少ないのもありまするけれども、みぞが掘ってございます。これは何のためにみぞが掘ってあるかといいますると、そのみぞの掘ってあるところをたまが通りますると、たまが飛び出すときこまのような原理になりまして、正確にねらった方向に飛んでいって当たる、こういうものでございます。つまりそういう正確に遠い距離に当たる機能を果たすものでございます。  それで散弾銃は、そういうみぞが全然ないのが普通でございますが、ごくまれなものに、銃腔の長さの半分以下の部分にあるのがございます。これは現在通産省のほうで規格を定めておりまする散弾銃の中にそういうものがございますので、法律の定義といたしましては、そこに書いてございますように、そういうみぞが半分以上掘ってあるものをライフル銃とする、こういうことにしておるわけでございます。
  35. 古屋亨

    ○古屋委員 今回の法改正におきましては、ライフル銃につきましては相当の規制を加えることになっておりますが、いまのお話のように、ある程度威力のある散弾銃については、今回は全然触れないのか、あるいはこれについては将来さらに検討されるのか、野放しにしておくのか、その点をひとつお伺いしておきます。
  36. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 散弾銃につきましては、今回の改正案におきましては、その所持について特別の規制の強化ということはばかっておりません。と申しますのは、散弾銃は最も多く使用されるのは、狩猟に使用されるわけでございまするが、この散弾銃につきましても、もちろんいろいろ事故がございますし、治安上検討を要すべき点がございますけれども、やはりこれの所持規制ということに関しましては、日本における狩猟をどうするか、そういった根本的な問題等につきまして検討した上で、それと相適合して銃刀法の面におきまして処理をいたしませんと不都合が生ずるわけでございます。この狩猟の問題につきましては、昨年政府におきまして、狩猟全般につきまして林野庁が中心になっていろいろ検討することになっております。したがいまして、そういった結論を得ました上で、銃刀法の面におきましても検討を加えたい、こういう考えで今回は間に合いませんので、触れておらない次第でございます。
  37. 古屋亨

    ○古屋委員 いまのお話では、林野庁を中心にして検討されておるというのでありますが、昔からこりいう狩猟は行なわれておるのでありまして、どういう方向で検討されるのか、またいつごろまでに検討されるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  38. 塩島厚一

    ○塩島説明員 お答え申し上げます。  狩猟法改正の方向でただいま検討中でございまして、内容は年齢の制限であるとかあるいはただいまお話の出ました散弾銃の問題でありますとか、あるいは鳥獣保護区内におけるある種の行為の規制、そういうものがおもな内容でございます。時期につきましては、実は本年の七月からこの行政が一切環境庁のほうに移る、こういうことに一応予定されておりますので、私のほうでは環境庁のほうに申し送る、こういうことになろうかと思います。
  39. 古屋亨

    ○古屋委員 その問題は、私もちょっと問題があると思いますが、時間の関係でもう少し先へ進みましてからまた御質問申し上げることにいたします。  こういうような猟銃につきましては、ただいまいろいろお話のように、国民生活の上において、ある場合においては非常に脅威であり、またある場合においては一つのレクリエーションと申しますか、そういう点の作用も果たしておるのでありますが、私どもの一般の国民生活におきまして、こういうような猟銃盗難事件というものが相当ふえているように聞いております。これがどの程度の盗難がふえており、またそれが検挙状況はどういうふうになっておるか、まずその点を警察庁のほうにお伺いいたします。
  40. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  猟銃等の盗難事件の発生状況でございますが、昭和四十二年は百五十二件発生いたしまして、その際にとられました被害銃が百六十一丁でございます。昭和四十二年になりますると、事件数は百四十二件、被害丁数が百五十八丁、昭和四十四年は百四十件の百五十九丁。それから昭和四十五年は百三十八件の百六十八丁。件数から見ますると、必ずしもふえておりませんのでございまするが、被害の丁数は漸次ふえてまいっておりまして、特に四十五年はその前年に比べまして九丁ほど多く被害にかかっておる状況でございます。  なお、これの検挙状況でございますが、銃の種類によりまして必ずしも一定いたしておりませんけれども、大体四七%ないし四八%程度の回復率でございます。ただ、その中でもライフル銃につきましては、大体八〇%程度の回復をいたしておる状況でございます。
  41. 古屋亨

    ○古屋委員 いまの四七%ないし四八%の回復率というのは、つまり盗難にあった銃が戻ってくるのが大体半分だというふうに解していいのか。そういたしますと、あとの捜査についてはどういうふうにされておるかということをちょっとお伺いします。
  42. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 第一の点につきましては、先.生のおっしゃるとおりの意味でございます。  あとの捜査の点につきましては、何といいましても、盗難にかかりました銃というものは凶悪な犯罪に使われる危険性というものがかなり高いわけでございまするから、警察といたしましては、盗難銃の捜査につきましては、重点事項の一つといたしまして、状況によりましてはそれぞれの府県本部にそういう事件の特別捜査本部をつくるなどさせまして、そうして鋭意捜査に当たっておる状況でございます。
  43. 古屋亨

    ○古屋委員 大体私ども知っておる範囲におきましては、窃盗事件の検挙というのはわりあい検挙率は低いのでありますが、ひとつこの点は後藤田長官もおられるので、猟銃が特にそういうような悪質犯に利用される問題につきましては、一そう取り締まりを強化されまして、ぜひこの回復率というものにもつと力を入れていただくことを要望しておきます。  それからそれに関連いたしまして、最近の京浜安保共闘等の例から見ますると、新聞紙上で見ますると、まだ捜査の段階にあるわけでございますが、長らく検挙されませんと、こういう事件は模倣性といいますか、どんどんふえてまいるのでございますので、ひとつ最近の京浜安保共闘というような極端な、いわゆる三派グループというようなものによりまする銃砲あるいはたま等の盗難、あるいはこれに関連する悪質事犯につきまして、現在の捜査の段階並びにこれに対する見通し並びにそれに対する取り締まりの方針につきまして、警備局長からお伺いしたいと思います。
  44. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 去る二月の十七日に栃木県の真岡市で発生いたしました猟銃強奪事件の捜査でございますが、その後警視庁におきまして特別捜査本部を設けまして関係都府県警の協力を得まして、目下懸命な捜査をいたしておるところでございます。  起こりました二月十七日の払暁に、横浜国大の尾崎康夫という者、それから東京水産大学の中島衡平、この両名を警視庁が逮捕いたしましてその取り調べ、それからいろいろ聞き込みとかあるいは面割り等によりましてアジトを五カ所発見いたしまして、それからさらにだんだんと追及をいたしまして、新潟の長岡市、それから群馬県の太田市の二つのアジトに、どうも猟銃並びにたまが隠されておるというような容疑が濃厚になってまいりましたので、その二カ所を二月の二十七日に捜索をいたしまして、この強奪されました銃、猟銃十丁、空気銃一丁のうち、猟銃一丁と空気銃一丁を長岡のアジトで。それからたまが二千三百八十発とられたわけであります。これは実は最初の塚田銃砲店の届け出では五百発ということであったわけでありますが、その後だんだん訂正が何度もなされまして、五百発から千五百発になり、それから二千八十発になり、最後に二千三百八十発ということになったわけでございますが、その長岡のアジトからは千五百五十九発、それから太田のアジトからは百八十二発と出まして、合わせまして千七百四十一発出てきたわけであります。したがいまして、現在なおその差であるところの六百四十発になりますか、とにかくまだ六百数十発残っておるわけでございます。  現在この猟銃九丁、それからその六百数十発のたまを懸命に追っかけておるわけでありますが、なお取り調べによりまして共犯者がさらに六名出てまいりました。結局あの猟銃強奪事件は八名で共謀してやった、こういうことになりまして、現在出てまいりました横浜国大の生徒寺岡恒一、同じく雪野健作、それから東京水産大学を中退いたしました坂口弘、共立薬科大学を卒業いたしました永田洋子、こういう者を今月の一日に指名手配いたし、さらにその後また、いま申しましたように、八名でございましたあと二名、一人は横浜国大の吉野雅邦、それからいま一人は元工員の瀬木政児、この六名を現在懸命に追っかけておるところでございます。  その連中は、大体不動産屋を介して、いろいろこれまで発見されましたアジトをみな頼んでさがしておるわけでございますから、現在そういう家屋の周旋等を業としております不動産業者が全国に五万四千軒ばかりございますが、私、報告を受けましたこの十五日現在で大体三万二千軒ばかりやっております。それから十日たっておりますから、おそらくもう相当こういう不動産業者に対する聞き込みを進めておるところと思います。  それから、今月の十一日の夜から十二日の朝にかけまして、これは警察用語で旅舎検と申しますが、全国一斉に旅館とか簡易宿泊所あるいは乗りものの発着場等、二十四万五千カ所ばかりを捜索いたしました。  まだ残念ながらその猟銃、たま、それから指名手配いたしました六名には到達することができませんけれども、こういう連中が手負い獅子のようになって何かしでかすとたいへんでございますから、そういう事件を未然に防止するということの努力をするとともに、さらにできるだけ早くこの猟銃、たま、それから共犯者の六名を逮捕いたしたいということで、現在懸命な努力をいたしておるというところでございます。
  45. 古屋亨

    ○古屋委員 いまの問題は捜査中でありますので、極力すみやかに発見をし、そして国民の不信を解消していただきたいと思っております。  さて、これから本論に入りまして、銃砲保管状況についてお伺いしたいのでありますが、製造販売所持許可証と二つに分かれておるのでありますが、製造関係の業態、それに対する許可の条件、その順守状況、それから業者の規模等につきまして通産側からまずお伺いいたしたい。
  46. 山形栄治

    ○山形説明員 お答え申し上げます。  猟銃等の製造業者につきましては、現在武器等製造法に基づきましてその許可を行なっておるわけでございますが、法律上この権限が都道府県知事に委任されておりまして、現在許可されております製造業者数が六百八十一企業でございます。大部分が非常に零細な企業でございますけれども、シェアの九〇%以上を占めますのが中堅的な十社で構成されておる次第でございます。現在都道府県でこれを許可し、各都道府県に配置されております担当の係官が定期的に六百八十一社につきましても、立ち入りといいますか、その事情を調査しておるような現状でございます。
  47. 古屋亨

    ○古屋委員 いまの製造業者六百八十一企業、それで都道府県知事の許可ということでございまして、規模が非常に小さいものが多いという話でございますが、どの程度のものかという資料をひとつお出し願いたいと思うことが一つと、それから小さい企業でも経営できていくものかどうか、その点をちょっとお伺いしておきます。
  48. 山形栄治

    ○山形説明員 ただいまも申し上げますように、数が非常に多くて、零細なものもわりあいに多いわけでございますけれども、これらの小さなものは猟銃以外にいろいろと兼業部門を持っております。また修理作業といいますか、これがわりあいに数が多いものですから、修理事業も行なっておるわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、生産の九〇%以上が現在ミログ製作所、パインミシン製造、日本猟銃精器株式会社、山本銃砲製作所、豊和工業等々大体十社でなされておるわけでございます。これらの企業はその規模からいいましても零細ということでございませんで、専業メーカーとして一応生産を行なっておる次第でございます。
  49. 古屋亨

    ○古屋委員 それではいまの点につきまして、製造業者の業態、まあ総量の九〇%が十社で生産されておるといいますと、あとのものはきわめて小さいものと思いますが、どの程度のものであるか兼業、修理というような業態別にひとつ資料を出していただきたいと思います。  それから次に、販売業者についてお伺いいたしますが、販売業者の実態につきましては、実は真岡の事件のときにも御質問をいたしまして、その実態、兼業状況等も資料の配付を得たのでございますが、この機会にひとつもう一回専門店がどのくらいあり、兼業店がどのくらいあり、兼業にはどういう種類があるかということを簡単に御説明願いたいと思います。
  50. 山形栄治

    ○山形説明員 現在全国に販売店が千六百八店ございまして、銃砲火薬の専門販売店といたしましては五六・六%、数といたしましては九百八店でございます。それから兼業のほうが四三・四%の七百店という次第になっておりますが、兼業形態で数の多いものは金物、荒物販売との兼業が八十九、運動具類販売との兼業が九十二、時計、カメラ等販売との兼業が四十八、百貨店における販売が四十七というようなものがおもなものでございます。
  51. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、一応数字をお伺いしたいと思いますが、製造販売業者の点はいま説明でわかったのでありますが、警察関係に所持許可者、つまり所持許可されておる者の状況対象別にどういうふうになっているか、この点をお伺いしたいと思います。
  52. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 銃砲所持許可状況でございますが、昭和四十五年六月末現在でライフル銃につきましては三万四千三百四十三丁許可をいたしております。それから散弾銃につきましては五十五万九百三丁許可をいたしております。それから空気銃につきましては十四万五千七百八十九丁、建設用銃につきましては五万二千四百九十丁、その他の銃砲、たとえばもり銃であるとかそういったものがいろいろございますが、そういったものは三千七百三十四丁でございまして、全部合計いたしますと、昨年の六月末現在では七十八万七千二百五十九丁の所持許可をいたしておる状況でございます。
  53. 古屋亨

    ○古屋委員 それで数字的な説明を受けたわけでありますが、法律案につきまして次にお伺いいたしますが、ライフル銃所持の制限につきましてお伺いいたします。  定義につきましては先ほどお伺いいたしましたし、また数字もライフル銃許可が三万四千三百四十三ということになっております。この点参議院で「小口経ライフル銃使用して行なう獣類の捕護を禁止する措置を講ずること。」というような附帯決議を付せられておるのでありますが、小口経のライフル銃、二十二口経以下のものは、あまり獣類捕獲に効果がないという点から、猟具としては不適当であるのでこれを禁止しよう、これは農林省令の改正によって可能であると思うのでありますが、禁止しようとしておる附帯決議趣旨を考えますと、そういうようにも考えられるのでありますが、この点二十二口経以下のものにつきまして農林省のお考えをお伺いしたいと思います。
  54. 塩島厚一

    ○塩島説明員 小口経のものにつきましては、これは省令で措置できますので、禁止する方向でただいま検討中でございます。
  55. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、銃砲所持許可者の保管につきましてお伺いをいたしたいと思います。  今度の場合に、保管につきましては、強固な保管設備に施錠して保管する。保管設備には弾丸を銃砲とともに保管してはならないというような改正になっておりますが、強固な保管設備としてはどういうものを考えておられるか、まずその点をお伺いします。
  56. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  強固な保管設備といいますのは、容易にこわされずまた移動することが困難な金属性、または金属性でなくても、それと同じ程度のじょうぶな保管設備、しかもそれにはしっかりしたかぎがついておる保管設備、こういったものを考えておる次第であります。
  57. 古屋亨

    ○古屋委員 そして保管状況報告についてでございますが、この程度の報告で警察として公安委員会として十分であると考えられておられるかどうか。もう少し厳格にすべきではないか。報告のほかに検査の権限が認められておるのでありますが、検査するのみで立ち入り検査までは認められていないのでありますが、その点どういうふうに考えられるか、お伺いしたいと思います。
  58. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 個人が保管いたしておりまする猟銃等がたいへん多いわけでございまするが、これらはそのほとんどが自分の私宅に保管をいたしておるわけでございます。したがいまして、その保管状況につきまして警察のほうで確認をする方法といたしましては、御提案申し上げておりまするような報告を求める方法、あるいはさらに警察官が現地につきまして立ち入りまして確認をし、指導するということも考えられるわけでございまするが、先ほど申し上げましたように、個人の私宅でございまするので、そこへ警察官が立ち入るということは、やはり個人の人権に関係する問題が多かろうと思うのでございます。したがいまして、具体的な保管状況につきまして報告を求め、それによりまして保管者に十分保管の関係について御指導する、そういうことによりまして十分目的を達することができる、かように考えておる次第でございます。(発言する者あり)
  59. 古屋亨

    ○古屋委員 家の中まで入っていく必要はないというようなやじがございまするけれども、私は警察に報告あるいは検査の権限を認められておるが、それで十分であるかどうかということを、もう一度お伺いをしたいと思います。
  60. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 検査につきましては、日時を指定しまして銃を持ってきてもらいまして、検査をするわけでございます。そういう権限もございまするし、ただいま御提案申し上げておりまするような、報告の義務づけ等によりまして十分目的を達することができる、かように考えておる次第でございます。
  61. 古屋亨

    ○古屋委員 次に製造あるいは販売についての点を通産省にお伺いいたしますが、銃砲店に対する行政指導によりまして、具体的に通産としては先般も真岡事件がありましてから通牒されておるようでありますが、この問題は先ほどの警備局長の豪華ききわめて重要な問題でございますので、通産省が都道府県に指示して行なった立ち入り検査につきましては、昨年中は何回やっておられるのか、またそのときの違反で行政処分をされた件数はどのくらいあるかということを、まずお伺いしたいと思います。
  62. 山形栄治

    ○山形説明員 昨年立ち入り検査を都道府県で行ないました結果、約二百桂、これは販売店の大体一五%でございますけれども、二百社に対しまして、保管設備等の改善をはかりますように指導を行ないまして、その指導に基づきまして現在改善が行なわれておる次第でございます。
  63. 古屋亨

    ○古屋委員 行政処分の点はどうでしょうか。数字的にわかりませんか。
  64. 山形栄治

    ○山形説明員 大体毎年各都道府県の担当者、これは全国で二百五十人くらいおるわけでございますけれども、年一回ないし二回、販売店の立ち入り検査を行なっておりまして、現在までのところ行政処分をいたした実績はございません。
  65. 古屋亨

    ○古屋委員 行政処分の件数はないということでございますが、たとえば先般の二月の真岡の鉄砲店などについてはどういう指導をされておったか、またそれに対して実際どのくらい守られておったか、その点をひとつ参考にお伺いしたいと思います。
  66. 山形栄治

    ○山形説明員 先般真岡の塚田鉄砲店の事件が二月十七日に起こったわけでございますが、県知事といたしましては、その翌日の二月十八日に直ちにこの猟銃店に対しまして猟銃販売事業の一時自粛ということを知事名をもって通知をいたしております。現在塚田銃砲店ではこの自粛に基づきまして、店舗の改善等今後のこれに対応する措置を進めておるわけでございまして、地元の公安委員会、警察、県、三者共同でこの事実を確認いたしまして、この自粛を解除するかどうかということについて今後検討するという段取りになっておりまして、現時点におきましては自粛中でございます。
  67. 古屋亨

    ○古屋委員 この販売事業者あるいは製造業者につきましては、附則の五項によりまして武器等製造法の一部改正を行なって、法で定める要件を備えた設備に施錠して保管をするということになっておるのでございますが、法で定めた要件を備えた設備というのは、通産省令の第二十条で、「確実に施錠できる錠を備え、かつ、盗難防止のために適当な構造を有するものである」というふうになっておるようでありますが、この省令があまり具体的でなくてゆるやかに過ぎるのではなかろうか。せめて武器の場合の保管要件、通産省令第七条くらいにきびしくするために省令を改正する必要があるのではないかという点につきまして、通産当局の御意見をお伺いしたいと思います。
  68. 山形栄治

    ○山形説明員 先生の御意見のとおりでございまして、現行省令におきましては非常に抽象的な文言で表現されておるわけでございますけれども、実は四十四年十二月二十二日に通牒によりまして、これを相当具体的詳細に各都道府県知事に通牒いたしまして、現在それで運営されておるわけでございます。簡単に申し上げますと、保管を行なう設備は、持ち運びが簡単にできず、かつ確実に施錠できる鋼鉄製でなければいかぬ、それから保管数量が十分に収容できる十分の広さを持っているものでなければいかぬ、また警報装置等を保持しなければいかぬというようなことを、種々通牒で出しておるわけでございますが、いま御説のとおり、省令上もこれを明確にするように現在改正を準備中でございます。
  69. 古屋亨

    ○古屋委員 その点は省令を改正されるということでございますが、次に、先ほどお話がありました銃砲店の兼業で金物とか運動具店とか薬局というような兼業が多い実態は、銃砲保管という面において問題があると思いますが、今後どのような対策をとられるのか、対策について通産省にお伺いいたします。
  70. 山形栄治

    ○山形説明員 先ほど申し上げましたように、約半数が兼業の形態をとっておるわけでございますけれども、何ぶんにも銃砲店の経営といいますのは、非常に零細な商売が多いものでございますので、また年間狩猟期間も限られておりますので、商いの量も少ないので、それ自体ある程度の兼業形態をとって経営を保持するということは必要ではないか、こう思うわけでございます。  しかし、一般的に現在の趨勢が非常に問題でございますので、われわれといたしましては、できる限りこの中小企業、零細な企業が共同いたしまして、共同仕入れ、共同販売等の共同行為を行なうような方向にこれを持っていきまして、これに中小企業、商工組合中央金庫等からの金融等もつけるように現在いろいろと指導しておりまして、すでに一部のグループから協同組合の申請も出ております。今後はこういう金融上の措置等の完備をはかって設備資金の充足等を行ないますとともに、それらと相待ちまして、この兼業店におきます兼業形態の客の出入り等の違いがございますので、間仕切りの整備とか出入り口を別につけるというような具体的な措置につきましてもその指導を強化していきたい、こう思っておる次第でございます。
  71. 古屋亨

    ○古屋委員 それで、そういうような法の改正実態等もございますが、ここで、私、猟銃等の販売事業許可の権限の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  この販売事業許可は公安維持の観点から行なわれるものでありまして、そういう点も多いのでありますが、したがって、銃砲店に対する指導、取り締まりも公安維持の観点から行なわれるのでありまして、人員等の体制の面からいたしましても、先ほど聞きますと、たとえば全国で二百五十人というような人数でございます。役所の者が二百五十人と承ったのでございますが、猟銃等の販売事業公安委員会の所管とするほうが合理的であると考えられる点もあるのでありますが、その点に対する所見。もう一つ、もし許可権限を公安委員会に移すことがいまできないというのであれば、銃砲店に対する立ち入り検査の権限——公安委員会としては、いま特に特別の場合にのみ認められておりますが、銃砲店に対する立ち入り検査権、あるいはその他火薬類取締法にありますような、この場合は公安委員会が知事に対する措置要請をすることができるというような権限を、火薬類の場合には設けておるのでありますが、こういうような点につきまして、将来どういうふうに通産省としてはお考えであるか、あるいは法を改正する意思があるかないか、その点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  72. 山形栄治

    ○山形説明員 お答え申し上げます。  現在銃砲店につきましては、先ほども申し上げましたように、都道府県知事の設置許可ということになっておりますが、当然この銃砲店の取り締まりといいますか、指導といいますか、この辺につきましては、公安委員会、警察のお力を大いに借りて現在でもやっておるわけでございますが、今後の方向といたしましては、いろいろと真岡事件等の凶悪犯罪等も現実に起こっておる現状でございますので、より一そう公安委員会、警察の取り締まりが十分に行ない得るような方向で、法の運用等につきましては考えていくべきであるというふうに考えておる次第でございます。  先ほど来申し上げ、ましたように、省令の改正等をはかって、この現実の設備の保持につきまして強化いたすことは当然でございますけれども、大きな方向といたしまして、公安委員会、警察の現実の取り締まりが運用できますようにこれを運用すべきである。また現実の現時点におきまして、特に必要がある場合におきます警察官の立ち入りというこの現場判断でございますけれども、今後とも警察当局と打ち合わせを十分に行ないまして、私の私見といたしましては、現在のような非常に不安定な状態は、「特に必要がある」というこの状態であるというふうに私は考えておる次第でございますが、今後ともルールをはっきりさせまして、弾力的に立ち入り権の実施等について配慮していきたい、こう思っておる次第でございます。
  73. 古屋亨

    ○古屋委員 火薬類取締法と同じように、公安委員会の知事に対する措置要請というような点につきましても、ひとついまのお話にありましたように、早急に検討をしていただきたいと思います。  次に、模造拳銃所持の禁止でございますが、先ほどもこの模造拳銃の実物を拝見したのでございますが、模造拳銃を利用した犯罪はどの程度あるかということが第一。警察にお伺いします。  それから通産のほうには、そういうようなものを、輸出の場合はいいことになっておりますが、どの程度輸出されておるか、どっちの国へ輸出しておるか、そういうことについてお伺いをしたいと思います。
  74. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 模造拳銃使用した犯罪の検挙状況につきまして御報告申し上げます。  昭和四十二年は六十一件でございます。最も多いのが強盗でございまして、二十件、恐喝が十六件というようなところでございます。それから昭和四十三年は九十七件、昭和四十四年は六十件、昭和四十五年は七十三件という状況でございます。多い犯罪内容は、先ほど申し上げましたようなことでございます。
  75. 山形栄治

    ○山形説明員 現在、モデルガンの売り上げは、四十五年の暦年で十一億八千七百万円の売り上げでございますが、このうち輸出は九千四百万円でございます。この輸出の仕向け地別は現在ちょっとはっきりいたしませんので、後ほど調べまして御報告申し上げたいと思います。
  76. 古屋亨

    ○古屋委員 それで模造拳銃は、改正法では、模造拳銃の定義と、総理府令に載っておるのでございますが、総理府令についてはどのように考えておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  77. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 現在総理府令で規定することを考えておりまする点は、模造拳銃につきましては、銃口を完全に閉塞をしまして、しかもそれが閉塞されていることが外からわかる状態で閉塞をすること、それから外部に白、黄色等のような明るい、模造拳銃であることが一見してわかるような着色を施すこと、こういうことを考えておる次第でございます。
  78. 古屋亨

    ○古屋委員 それで、先ほどの輸出の点でございますが、零細企業の保護という点からおそらく輸出の場合を除いておると思いますが、こういう輸出をする必要性というものは、つまり日本の現状からして、そういうモデルガンというものを輸出するということは必要あるだろうかどうかという点を、私、疑問に思っておりますが、その点の所見をお伺いしたいと思います。
  79. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 先ほど通産省のほうからも御説明がございましたように、相当の金額が輸出されておるわけでございます。銃刀法の立場からいいますると、やはり国内におけるそういうモデルガンにつきまして規制をすることができれば目的を達することができるのでございますので、そういう点も総合勘案いたしましておはかりいたしておるような案にいたしておる次第でございます。
  80. 古屋亨

    ○古屋委員 もう一度その点について、輸出の必要性について通産のほうからお伺いしたいと思います。
  81. 山形栄治

    ○山形説明員 現在模造拳銃製造業者の数でございますけれども、金属性で九社、プラスチック性のものをつくっておりますのが五社あるわけでございます。先ほど申し上げましたように、その生産額が十一億八千七百万円でございますけれども、いずれにしましてもこういう玩具製造業者といいますのは、わりに零細なものが多いということが一つと、それからもう一つは、諸外国におきましては、日本の国内と比較いたしまして、拳銃の所持そのものがわりあいにゆるやかでございまして、これは私は望ましいとは思いませんけれども、したがいまして、模造拳銃そのものの所持につきましても、国民性全体としてゆるやかな感じがございまして、輸出引き合いその他ございます現状におきまして、直ちにこれの輸出規制するということは、零細企業の実態から見ましても望ましいことではない。こういうふうに考える次第でございます。
  82. 古屋亨

    ○古屋委員 時間がだいぶ迫ってまいりましたので、次に火薬の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、昭和四十一年の改正によりまして、火薬類取締法の五十条二の規定が置かれまして、猟銃用の火薬類につきましては、譲り受けあるいは譲り渡し、輸入、消費の許可権限が公安委員会に移されておるのでありますが、猟銃用火薬類の販売事業につきましても、公安委員会が行なうという点についてはどういうふうにお考えであるか。つまり販売許可が二元化ということになると思うのでありますが、昭和四十年以降は譲り渡し、譲り受け、輸入、消費の許可については二元化しているのが現状ではないかと考えておりますので、この点についての御意見をお伺いしたいということが一つと、それから銃とたまは一元的に規制する必要があると考えるが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  83. 眞野温

    ○眞野説明員 ただいまの古屋先生の御質問である第一の猟銃用の火薬類の販売許可の権限が現在都道府県知事におりておりますが、これと国家公安委員会あるいは地方の府県の公安委員会の関係でございますが、私どものほうの火薬類取締法のたてまえから申し上げますと、一つは確かにただいま問題になっております治安の問題、公安問題もございますが、もう一つは、やはり火薬類そのものは通常に使用する場合におきましても非常に危険なものでございますので、技術的な面での保安という観点と兼ね備えて許認可をいたすたてまえになっております。したがいまして、現在都道府県知事におきましてこういう保安上の観点と治安上の観点と二つ両方見ながら許可するたてまえにたっております。したがって、私どもといたしましては、現在都道府県知事の販売営業の許可、火薬類取締法の第七条でございますが、第四号におきましてやはり治安上の観点について十分配慮する条項がございますので、この点について都道府県の公安委員会と十分連絡をとりながら都道府県知事が一元的に許可するのが妥当ではないかと考えております。  なおもう一点、都道府県知事と都道府県の公安委員会の関係につきましては、先生の御質問にもございましたいわゆる立ち入り調査、立ち入り検査の権限か都道府県警察官等に——公安委員会及びその指揮下にある警察官に与えられておりますが、それに基づいて出た結果に基づいて、措置要請という手続がございまして、措置要請を都道府県知事にいたす。それに応じて都道府県知事が治安上の観点について十分これにこたえて措置をとるというたてまえになっておりますので、現在の段階ではそういう形態で十分運営できるのではないかと考えております。
  84. 古屋亨

    ○古屋委員 火薬類取締法二十二条の規定によりますと、狩猟用火薬類は狩猟免許の有効期間が完了した後もなお一年間は持っておる、所持することができることとなっておりますが、不要になった火薬類を一年間も自宅に保管させておくのは非常に危険ではないか、こういうような点につきましてお伺いいたしますが、一つは狩猟用の残火薬類による事件、事故の発生状況はどういうふうになっておるかということが第一点。第二点は、不要となった残火薬類はすみやかに処分させるべきであると思うのであります。こういうような法律改正すべきであると思いますが、この点をお伺いいたします。
  85. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  一点の狩猟用の残火薬による事件、事故の発生状況でありますが、この点につきましては、昭和四十四年中の状況につきまして調査をいたしました結果、この狩猟用残火薬を使いまして、そして犯罪事件を起こした——殺人事件であるとか強盗事件であるとか、そういうものを起こしたことが二十九件ございます。その年には火薬類全般のそういう犯罪に使われた件数が六十五件でございます。残火薬の比率が約四四%という状況でございます。その他盗難にかかりました件数が二十件、それから自殺でありますとかあるいは過失による傷害事故とか、そういったものが四十二件で、これは全体の火薬類関係の事件、事故の中の約一三%ないし一〇%という状況でございます。
  86. 眞野温

    ○眞野説明員 ただいまの古屋先生の第二の御質問でございます猟銃用火薬類の残火薬の処置の問題でございますが、お説のように、現在火薬類取締法の第二十二条によりまして、猟銃用の火薬類の残火薬は狩猟期間終了後一年以内に処分する、こういうたてまえになっております。この間のいろいろな保管状況等から犯罪を誘発するという問題も確かにございますが、現状におきましてまず第一には、残火薬類の処置につきましては、狩猟期間満了後において、いろいろな射撃練習等に使用させるとか、あるいは販売店に保管あるいは売り戻し等をするような指導、これを都道府県を通じまして私どももいたす所存でございます。  それからもう一点、狩猟期間中には譲り受け数量がきまっておりますが、その数量が多いとやはり残火薬類が出るということになりますので、この点については警察庁のほうでも譲り受け数量について制限を強化されるような御意見もございますし、私どものほうもそういうことも一案かと存じます。  さらに残りました残火薬類につきまして、現在の保管規制、いわゆる保管上のいろいろな規制がございますが、その場合に火薬庫外に貯蔵するという数量がございます。この辺についてやはり実態と合わせて火薬庫外貯蔵の数量等についてもさらに制限を加えるということも検討いたしたいと思います。
  87. 古屋亨

    ○古屋委員 いまの点はひとつ検討するということでございますので、不要となりました残火薬類の処分につきましては、至急適切なる措置を講じていただきたいと要望しておきます。  次に、火薬類の保管でございますが、火薬店では実包を千発までは「知事が指示する安全な場所以外の安全な場所」に保管することができるということになっておるのでありますが、「安全な場所」というのは具体的にはどのような場所が安全かということでございます。知事が指示する安全な場所には四千発まで保管することができるとなっておりますが、「安全な場所」とはどのような場所が指示されておるかという点が第一点。  それから塚田銃砲店におきましては、散弾実包を段ボール箱に入れて四畳の部屋に放置したと聞いておりますが、この居室は「知事が指示する安全な場所以外の安全な場所」であったかどうかということをお伺いしたいと思います。
  88. 眞野温

    ○眞野説明員 ただいまの古屋先生の御質問の第一点の、いわゆる火薬類の火薬庫外における保管場所として、都道府県知事の指定する安全な場所はどういうものであるかという点、さらにそれ以外の安全な場所とはどういうところであるかという点でありますが、都道府県知事の指示する安全な場所の指定基準というのを私ども定めておりまして、それによりまして具体的に詳細にわたり指示を現在都道府県の担当職員を通じて指示しております。これはやや詳細でございますので、詳細な説明は避けますが、いわゆる火気との関係あるいは盗難防止との関係その他について十項目ぐらいにわたって規定されております。  それからもう一点、「都道府県知事が指示する安全な場所以外の安全な場所」という点でありますが、この点につきましては、普通の家庭における猟銃用の弾丸の保管その他の状況から見まして、私どものほうは、錠をかけることができるロッカーまたは金庫に置けということを都道府県の担当官会議を通じまして具体的に指導するということにいたしております。  それから第二点の塚田銃砲店における保管状況でございますが、現在までのところ、私どもの把握しております状況から申し上げますと、「都道府県知事が指示する安全な場所以外の安全な場所」というふうには申し上げられないというような状況だと思います。具体的には昨年の秋、十月か十一月でございましたが、立ち入り検査をいたしまして、保管状況が悪いので具体的に金属製のロッカーに入れろという指示を出したばかりでございまして、そのとおりにしておけば多少違ったと思いますが、現実に犯罪が発生した場合にはそうなっておらなかったという状況でございます。
  89. 古屋亨

    ○古屋委員 ひとついまの、安全な場所といった抽象的な表現でございまして、いろいろ具体的な指示をされておるということでございますが、資料として、どういうところが安全な場所として通知をされておるか、その点をお出しを願いたい。  それから次に、火薬類の貯蔵でございますが、火薬類の盗難防止の観点から、火薬庫についてどのような規制が行なわれておるかという点についてお伺いしたいと思うのでありますが、毎日必ず点検することを義務づけておるかどうか。それからベルの警鳴装置及び天井裏の金網設置を義務づけてはどうかという点についてお伺いをいたしたい。  それから火薬庫外に貯蔵する場合には、特に盗難防止に注意する必要があると思いますが、具体的にどのような規制がされておるか。もう少し規制を強化すべきではないかという点についてひとつお伺いしたいのです。
  90. 眞野温

    ○眞野説明員 ただいまの古屋先生の御質問の火薬庫における貯蔵の問題でございますが、御承知のように、火薬類取締法では、火薬類は火薬庫に入れることが原則になっております。したがいまして、火薬庫については厳重な許可制、都道府県知事の許可制及び完成されたものについての完成検査ということを義務づけておりますと同時に、やはり火薬庫の保安については取り扱い保安責任者を必ず置かせる、それによって監督するというたてまえになっております。なお、その場合の貯蔵上の基準とかあるいは火薬庫の構造上の基準については、詳細に省令で定めておるところでございます。  それからもう一点の見回り等をいたしておるかということでございますが、盗難防止についてはただいま御指摘のようないろいろな、警鳴装置をつけるとか、あるいは窓とかそういうところに金網を張るというようなことで防止するということで、ただいまのような、具体的に毎日見回りをするというようなことはいたしておりませんが、全般的にただいまの金網を張るというような盗難防止措置については、四十二年の十一月に省令改正で追加いたしまして、ほとんどの火薬庫において現在つけておる状況でございます。  なお、警鳴装置については、これは装置自身の安定性と申しますか、機械的な安定性がまだ十分でないような事情がございまして、四十四年ごろからいろいろ具体的にこういう装置がいいというようなことをメーカーにつくらせまして、かなりいいものができてまいりましたので、四十四年当時からつけさせるように現在指導しておる段階でございます。  それから火薬庫外に保管する場合の盗難防止装置は、先ほど申し上げましたように、錠をつけることができるような金庫もしくはロッカー、こういうものに入れるようにということで、都道府県担当官を通じて指導しておる状況でございます。
  91. 古屋亨

    ○古屋委員 火薬類の貯蔵あるいは火薬類の規制につきましては、貯蔵につきましては省令が出ておるようでございますが、もう少しその省令を強化する必要があるのではないかというふうに考えておりまして、ひとつ通産当局において貯蔵、消費につきましては十分御検討を至急お願いいたしたいと思います。  最後に公安委員長に一つお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。参議院におきまして、ライフル銃許可につきましては、原案では更新さえすればいつまでも持てるということになっているのを、経過規定として五年間に限るというふうにこの法案修正されておりますが、これに対して公安委員長は、いい修正であったかあるいはこの修正はやむを得なかったものか、どういうふうに考えておられるか、その所信をお伺いしまして、私の質問を終わります。
  92. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答えいたします。  政府案では、許可を受けてライフル銃所持する者の既得権を尊重して、将来に向かってライフル銃所持規制を強化することとしております。したがいまして、現在の所持者のうち許可年数の少ない者については、事故の防止という観点からすれば、規制がゆるやかに過ぎるということも考えられるところであります。参議院における修正は、安全性という側面を特に重視するものでありまして、その意味において意義があり、警察庁としては特に異論はございません。
  93. 古屋亨

    ○古屋委員 終わります。
  94. 菅太郎

  95. 山本弥之助

    山本(弥)委員 古屋委員から詳細にわたりまして御質問がありましたので、私から質問することも少ないのでありますが、二、三の点につきまして、確認の意味におきまして御質問申し上げたいと存じます。  公安委員会からいただきました書類の中の参考表の第一表「銃砲刀剣類所持許可状況」というのがあります。この表につきましてお聞きしたいと思いますが、四十二年末、四十三年末、四十四年末、四十五年六月末現在の所持許可状況の数字があがっておるわけですけれども、この数字は現在所持をしておる銃砲刀剣類の数字であると了解していいわけでございますか。
  96. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  御質問の趣旨のとおり、四十五年六月末現在許可をいたしておる銃の数でございます。
  97. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、ライフル銃につきましては、四十三年末と四十四年末を比較いたしますと、三千幾ら許可があったというふうに了解することになるわけでありますが、この数字のうちで空気銃につきましては四十三年末が二十一万五千八百五十五に対しまして、最後の四十五年六月末現在では十四万五千七百八十九というような数字になっています。これは五万以上減少しておるという数字であらわれておりますが、これは何か理由があるわけでございましょうか。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  98. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 銃につきましては、御承知のように、空気銃も含めてでございますが、五年ごとに更新を受けることになっております。空気銃につきましては、四十一年でしたか、その前の改正でしたか、当時の社会情勢といたしまして、空気銃による事故、たとえば隣家の御婦人を死亡させるというような事故が多数ございまして、当国会におきましても、空気銃というものについて必要最小限度にするよういろいろ指導するようにというような御指示も得ておるわけでございます。そういうことで、更新の際におきまして、空気銃は狩猟のためということが主でありますから、狩猟に使われないようなものにつきましては、それを廃棄するなりあるいは他に譲渡するなり、そういったことを指導いたしているわけでございます。そういうことで、表にあるように漸次減ってまいっている状況でございます。
  99. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、今後も空気銃につきましてはそういう指導を加えていかれるものと思うわけでありますが、この数はずっと減少してまいるというふうに了解していいわけでございますね。  この機会に、銃砲刀剣類所持等取締法の四条に基づきまして許可された以外の銃砲というのはどのくらいの数になっておりますか、自衛隊の分等は必要ありませんが、その他の点につきまして数量をお聞かせ願いたいと思います。
  100. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  まず三条の第一項第一号の法令によります所持をしておりますものは、昭和四十五年の六月末で十八万二千六百四十七ございます。その最も多いのは拳銃でございまして、これが十八万千三百七十四ございますが、その大部分は警察官が所持をいたしておるものでございます。  それから三条の一項の二号の試験、研究あるいは公衆の観覧のために所持をいたしておりますものは二十九丁ございます。同じくその項で講習会のために所持をいたしておりますものが五百八十九丁ございます。あとは刀剣でございまして、銃の関係は以上のとおりであります。ちょっと計算は不正確でございますが、許可以外の銃砲は二十八万七、八千という数でございます。  それから刀剣は、大部分は文化庁に登録をいたしました刀剣でございまして、これが四十五年の六月末で百三十四万九千六百五十一振りございます。
  101. 山本弥之助

    山本(弥)委員 第一表の四十五年六月現在で見ますと、散弾銃は四十四年末より減っておりますし、ライフル銃は三百余り増になっておりわけであります。今回の改正によりましてライフル銃所持規制が強化されるわけでありまして、これがどういうふうになるかということも考えられるわけであります。今後の趨勢といたしまして、許可の件数はそう伸びないのじゃないかと考えられますが、どういうふうに見ておられますか。
  102. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 ただいまお話のありましたとおり、今後どうなるかという点につきましては、私ども過去数年間の傾向から推計いたしますと、ライフル銃につきましては、結果はその表に出ているとおりでございますが、新たに持ちたいというものと持っているものをやめるものを差し引きしましてその数字になって、年によって違いますけれども、数百丁あるいはまた二、三千件ふえておるわけでございます。そういう趨勢のもとに、今後の新しい基準等を照らして判断いたしますると、新たに持ちたいといって申請してくる者は大体三千件くらいあるのではないか。一方、いままで持っておる者につきましても、過去の例を見ますると、三千丁ぐらい持つのをやめる、他に譲渡するあるいは廃棄する、こういうものがございます。そうしますと、アラス、マイナスふえないのではないか、このように考えるわけでございます。
  103. 山本弥之助

    山本(弥)委員 一応の銃砲の今後の許可の趨勢というものを承ったわけでありますが、最近、銃砲のうちで大部分猟銃として若い者の間にレクリエーションとして使われるということになっておるのではないかと思うのでありますが、先ほど古屋委員からも質問があったと思うのでありますが、今後自然公園だとかあるいは原始林等の保有といいますか、公害に関連いたしまして、これらの自然環境を整備しあるいは保護してまいるというたてまえから考えまして、山の保存ということと、それからスポーツといいますか、あるいはレクリエーションとしての狩猟という関連が出てまいると思うのでありますが、銃砲許可件数が伸びていないということは、すでに今日、自然の保護ということとの関連におきましても、飽和状態になっておるのではないかというふうな予想がされるわけであります。先ほど古屋委員からも質問されたと思うのでありますが、林野庁のほうでは、この点をどういうふうにお考えになっておられますか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。  最近、これも調査室のほうで調べました、今回の猟期におきましても、狩猟事故が、昨年からことしにかけて非常に発生しておるようでありますし、また狩猟をいたします狩猟家も、従来のいわば狩猟のマナーを十分わきまえた方々ばかりではなくて、若い方々が銃を持って、かっこうのいい服装をして山に行くということによる事故が発生していると思うのでありますが、それらの関係からいいましても、指導からいいましても、当然禁猟区の設定その他の措置を考えていかなければならぬのじゃないかというふうに考えますが、今後この解禁された期間の狩猟につきましての御方針あるいは措置等につきまして、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  104. 塩島厚一

    ○塩島説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、狩猟事故が、狩猟者の数の増加に伴いまして年々増加傾向にございます。また一方、自然保護という立場から、野生鳥獣を保護しろという声も非常に高いわけでございます。したがいまして、林野庁といたしましては、ただいま鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律改正を検討しておるわけでございますが、この方向は、できるだけ狩猟の面は制限を強化していく、それから保護の面に力を入れていく、こういうことでございます。  ただいまちょっと事故のお話がございましたけれども、四十三年、四十四年と年々事故がふえてまいりまして、特に四十五年度は解禁日がたまたま日曜とぶつかったというようなことで、異常な高い数字になりまして、私ども非常に心配いたしまして、関係各省と協力をいたしまして、特別な措置をしたわけでございます。幸いその措置が功を奏しまして、狩猟期間全体の数といたしましては、四十四年度は事故が二百二十五件あったわけでございますが、四十五年度は百九十六件と減少を見ております。
  105. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いまの狩猟との関連におきましては、おそらく禁猟区を設けて、そのほかの区域は狩猟してもいいというたてまえになっていましょうが、私も勉強不足だったわけでありますが、今後はある程度まで狩猟する区域を認め、そうじゃない場合はそういうところに立ち入って狩猟をやってはいけないというふうに切りかえるべきだと私は思うのでありますが、その辺をお聞かせ願いたいと思います。  さらに許可件数との関連におきまして、各県の知事の意見をお聞きになればわかると思うのでありますが、いろいろな事故との関連において、どの程度のハンターが一解禁期の狩猟に適しておるかどうかということも判断がつくのじゃないだろうか。そういうことから制約を受けるということとこの許可の関連が出てくると思うのでありますが、林野庁のお考えをさらにお聞かせ願います。
  106. 塩島厚一

    ○塩島説明員 先生のおっしゃるとおり、ただいまの制度は狩猟してならないところをきめておりまして、それ以外のところでは狩猟ができる。逆に、これを狩猟できるところを限定して、あとは一切してならないようにしたらどうか、こういう御意見は各方面に強いわけでございますが、これは法律的に非常にむずかしい問題がございます。というのは、外国におきましては、狩猟鳥獣というのは、その土地の所有権に属するという考え方をとっておるようでございますが、わが国の民法では、野生鳥獣というものは無私物であるというような考え方に立っておるようでございます。したがいまして、なかなか法律的にむずかしい問題がある。私どもとしましては、狩猟してならない地域、すなわち鳥獣保護区とか銃猟禁止区域とかあるいは人家稠密の場所、こういうところで、国土面積三千八百万ヘクタールくらいであったと思いますが、実際に現在狩猟できる地域は千五百万ヘクタールくらいしかございません。それを狩猟禁止区域とか保護区というものを今後さらに拡大していって、実質的にはただいま先生のおっしゃったような方向に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  107. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私、第二点で御質問申し上げた、多少将来を見通しました狩猟区域で適正なハンターの入り得る人数といいますか、禁猟区が多くなればなるほど狩猟のできる場所にハンターが集中するわけでありまして、それが里にも被害を及ぼすとかあるいは事故のもとになるとかあるいはお互いに入っている者同士が事故を起こすとかいう結果を招いているのではないかと思うのであります。そういう調査をなさる必要があると思うのでありますが、どうでございましょうか。それによりまして、狩猟用の職業としておる者は別といたしまして、いわゆるレクリェーションとしての猟銃許可というものも参考にするようなことにしなければいかぬのじゃないか。現在のような許可基準は、強化されておりますけれども、そういう準備をしなければならぬような感じを受けるわけであります。ことに私の県は、面積も広くて山林面積も非常に大きいわけでありますが、それにいたしましても、今後の国土利用の点からいいまして、そういった点の調査もやるべきではないか、こういうふうに考えておりますが、そういうお考えはございませんでしょうか。
  108. 塩島厚一

    ○塩島説明員 適正な猟区の面積でございますが、これはただ面積だけでなくて、そこにおける鳥獣の生息密度ということも大きな要素をなすわけでございます。また、現行の制度は、許可が県別でございますけれども、他県の者も免許を受けて入り得る、こういうことになっておりますので、非常にむずかしい問題があろうと思いますが、私どもとしましては、やはり全国的な意味の適正な狩猟者数というものは、年々ふえてまいっておりますので、ある程度免許要件の引き上げとか何かでブレーキといいますか、そういうことも必要になるのじゃないかということで、これは法改正の中でそういうことも検討してまいるつもりでございますが、その中で、その基礎資料といたしまして、要するに地域ごとの鳥獣の生息密度といいますか、そういうものを調査しようと考えておるわけでございます。
  109. 山本弥之助

    山本(弥)委員 くどいようですが、たとえば岩手県におきまして、狩猟免許を受けた者が山に入ることの制限は、現在ではできないわけでしょう。
  110. 塩島厚一

    ○塩島説明員 実は、岩手県は、全国で一番、東京といいますか、関東近辺、他地方から狩猟者が入る県でございます。狩猟免許を持っておる者が免許期間中に、狩猟をしてよろしいという地域に入る限りにおいては、規制はちょっとむずかしかろうと考えております。
  111. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いろいろなお話をお聞きしたのですけれども、どうも私のお聞きしたいことの答弁になっていないわけなんです。免許してまいりますのにいろいろ規制があるわけですけれども、狩猟のための猟銃免許が大部分を占めておる、こう思っておるわけです。ところが、自然の保護だとか環境保全ということになると、一方そういう面からどのくらいの人員が——全国的に散らばっておりますから、個々に、きょうは岩手に行き、あすは九州に行くという人もあるでしょう。しかし、趨勢からいいますと、そうふえはしないと思いますけれども、これでいきますと七十八万、まあその他がありますから、猟銃の場合は大体五十万から六十万、そのうち全部が狩猟に回るわけでもないと思いますけれども、そういう横ばいの数字でいくにしても、今後積極的に自然の環境保全ということを考えた場合には、もう飽和状態なのか、あるいはレクリエーションなりその他の職業的な狩猟以外のものは自然保護の関係からある程度まで規制をしなければならぬのだというようなことは、もう調査をすべきときではないか、こういうふうな御質問をしておるのでありますが、その基本的な問題だけちょっとお聞かせ願います。
  112. 塩島厚一

    ○塩島説明員 実は、知事が狩猟の免許を与える場合、現行制度でも、鳥獣保護及狩猟二関スル法律の第七条でございますが、「免許ヲ為スニ当リテハ当該都道府県ノ区域内二於ケル鳥獣ノ棲息状況其ノ他ノ事情ヲ勘案スルト共二特二必要アリト認ムルトキハ狩猟免許ヲ申請シタル者ノ狩猟ヲ為スニ必要ナル適性ノ有無ヲ審査シテ之ヲ為スモノトス」ということで、判断を知事がして、必ずしも免許申請をしたからすべて免許しなければならないということにはなっておらないわけでございます。ただ、実際にその個々の審査というものは非常にむずかしいというようなことで、この条項はほとんど適用されておらないというのが事実のようでございますが、道としてはそういうことがあるわけでございます。
  113. 山本弥之助

    山本(弥)委員 条文の解釈をお聞きしておるのじゃないのです。林野庁としてはどういう御方針かということをお聞きしているのですが、そういう点も、私は、狩猟免許あるいは猟銃その他の許可というものが有機的に結びついた関連において考えていくべきではないだろうかというふうに考えておりますので、しかも、今後積極的に自然環境の保全というようなことになりますと、それらの点はますます必要になってくるのではないか、かように考えますので、その点は林野庁でも十分お考えおきを願いたいと思います。各営林局もあるわけでして、山の事情はおわかりになっておると思うのですが、これ以上狩猟者がふえるということは、やはり非常に事故も起きるし、いろいろな意味で困るのだとか、そういった実態は多少つかんでおられるのじゃないかと思いますので、その辺も十分御検討願いたいと思っております。  次に、やはり同じ資料の第三表の「猟銃等の盗難事件の発生状況」でありますが、これも先ほど質問があったと思うのでありますが、被害丁数は、先ほどお聞きしますと、発見できて解決がついたというのは五〇%程度だということでありましたが、私の聞き間違いかどうか、確認をいたしたいと思います。
  114. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 そのとおりでございまして、五〇%をちょっと切る状況でございます、ものによりまして違いますけれども。
  115. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これはもう少し捜査を徹底せられまして、検挙率というものを高める必要があるのじゃないでしょうか。そのほかの物品の盗難と違いまして、少なくとも猟銃ということになれば、それをうちの中にしまっておくとかなんとかいうことではなくて、これを利用するとか、あるいは持ち運ぶとかいうようなことがあるのではないかと思うのでありますが、こういった銃砲が凶悪犯罪使用されるので今回の法律改正も行なわれるということでありまするならば、警察のこういった盗難事件に対する検挙率につきましては、第一線を督励せられまして、検挙率を高めるということが将来の凶悪犯罪の発生防止にもなると思うのですが、公安委員長さんはどういうふうにお考えになりますか。
  116. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 もちろんお説のとおりだと思います。
  117. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この盗難事件のうち、いわば許可を受けないで、法律によって所持が認められるという銃砲盗難事件の件数というのはどのくらいあるわけですか。
  118. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 ほとんどない状況でございまして、ただ、二、三年前に警察官の拳銃がとられたようなことがございますが、一年に一件あるかないかというくらいのことでございます。
  119. 山本弥之助

    山本(弥)委員 警察官以外のところで保管をいたしてありますものの盗難事件というものは、ほとんど発生をいたしていないわけですか。
  120. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 盗難等がありました場合におきましては、私どものほうに連絡があることになっておるわけでございますが、ございませんし、発生しておらない状況でございます。
  121. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それらの保管状況についての指導あるいは調査ということは、やはり年に何回かなすっておられるのですか。銃のあることの確認あるいは保管が十分なされておるかどうかということについての確認は、指導面からなさっておられるわけですか。
  122. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  毎年一回ずつそれを、これは官庁が多いわけでございますが、そういうところで保管しておる銃砲につきましては、国家公安委員会のほうにその丁数を報告してもらうことにしております。そういう際に、先生御指摘のように、保管状況につきまして御注意を申し上げている状況でございます。
  123. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ライフルの今度の新しい規制によりまして、営業のために使う場合、獣類捕獲を必要とする者、これのほかに継続して十年以上ライフルの所持許可を受けている者というのがありますが、この十年以上というのは、ライフル銃でなくて、他の猟銃許可を受けて十年以上継続しておればライフル銃所持許可も得られる、こういう意味に解釈していいわけですか。
  124. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 先生のお話のとおりでございまして、今後は最初からはライフル銃は持てないわけでございますから、ライフル以外の猟銃の経験が十年以上あればいい。もちろん現在持っておる人につきましても同じでございます。
  125. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間がありませんので、次に模造拳銃についてお聞きいたしたいと思いますが、模造拳銃はいまどの程度出回っておるかということと、それからもう一点は、当面所持の禁止になるわけでありますので、現在所持しておる拳銃についてどういう指導をなさるかという点をお聞きいたしたいと思います。
  126. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 模造拳銃は、現在、先ほど通産当局から御答弁もありましたように、金属製のものでは九社つくっておりまして、業者から聴取いたしたところによりますと、最近は年間三十七万丁くらい生産をしておるということを申しております。しかし、このように生産量がふえましたのは最近のようでございまして、私ども、すでに日本の国内にあるものは約七、八十万丁ではないか、と申しますのは、こわれたりいろいろしておるものがあろうと思いますので、七、八十万丁ではないか、こういうふうに推定をいたしております。これらにつきましては、今回の法律案におきましても、この模造拳銃所持禁止の適用を法律の施行後六カ月、こういうことにいたしておるわけでございますが、この間におきまして、警察といたしましては、警察みずから自分の組織を使って、そういう所持者に対しまして、廃棄をするなりあるいは総理府令で定めるようなそういう要件に適合するような措置を講ずるなり、そういったことを周知徹底していくことはもちろんでございますが、業界を通じて、あるいはまた各種団体あるいは市町村等の広報紙その他をすべて利用さしていただきまして、現在持っている者がそういうことを知らないで犯罪にひっかかることがないように万全の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  127. 山本弥之助

    山本(弥)委員 あと通産省に簡単にお聞きいたします。  模造拳銃につきましては輸出用が除かれておるわけでございますが、先ほどの御答弁によりますと、輸出用につきましては、今後も約一億円でありますか、九千万円というような生産があるので、これを認めていくというようなお話がございましたが、先ほどの質問と同じように、私は模造拳銃製造につきましては、おもちゃ屋さんだろうと思うのでありますが、もっと他のおもちゃの指導をなさる——相当精巧な、金のかかった金額の高いものを、一億近い輸出があるからといってそれを認めていくということは、何らかの関係におきまして、国内にもそれが流れるおそれ等もありますので、金融その他いろいろの面で技術的な指導を加えることによって、業者がこういうものを思い切って製造しないでも業態が成り立つような指導というものが可能であると思うのですが、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  なお、銃砲販売につきましては、従来四十四年にも保管の厳重を期するような通達が出ておるようでありますし、警察と協力をして県知事を通じて指導をなさっておられるようでありますが、私どもおそらくこれだけでは、専業ではいけないというふうにも考えられますし、ただ店舗としては数からいきますと、地方の県に行きますと、十店から二十店くらいあるかないかというふうにも想像されるわけで、知事が指導しようと思えば——これは中小企業でも知事か指導しながら、保管については今回厳重な改正措置になるわけですから、従来も法の改正を待たずにそういう指導をすべきではなかったかと私は思うのでありますけれども、今度は罰則の適用もあるわけでありまして、業者が自発的に保管につきまして厳重を期さなければならぬということになるわけでありますから、その辺知事のほうに十分親身になって指導できる体制をさらに御指導する必要があるのじゃないか。東京だとか大阪だとかいう大都会は別でありますが、地方の中小企業者にとりましては、数も少ないわけでありますし、おそらく限定されると思うのであります。そして兼業で不適当だというものは、これらについてもやはり知事を通じて他の専業の育成その他兼業というふうな指導もなさいまして、中小企業が成り立つ方途を講じながら、適正な保管のできる業者に指導するということを徹底すべきである、かように考えますが、その点の御意見を承りまして、質問を打ち切ります。
  128. 山形栄治

    ○山形説明員 最初の御質問の模造拳銃につきまして簡単に御答弁申し上げます。  模造拳銃製造業者は、先ほどお話ししましたように、金属製九社、プラスチック製五社でございますけれども、どちらかといいますと、わりあいに精巧なおもちゃをつくる、おもちゃ業者としては技術の高いメーカーでございますので、先ほど、輸出引き合いがございますればこれに応ずるという趣旨のことを申し上げたわけでございますけれども、いま申し上げましたように、技術能力の相当高い高級玩具への転換ということも考えられますので、その辺も加味しまして、今後指導に万全を期したいと思います。  それから銃砲店の指導につきましては、いま先生のおっしゃいますとおりでございまして、従来とも都道府県が県警及び県の公安委員会との連絡のもとに指導しておるわけでございますけれども、もし新法の施行が行なわれますれば、その辺の趣旨にも応じまして、今後ともより一そう指導をしていきたい、こう思っている次第でございます。
  129. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議
  130. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小濱新次君。
  131. 小濱新次

    ○小濱委員 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について質問をしていきたいと思います。  最初に保安部長にお尋ねしたいと思いますが、水上警察でよく拳銃の密輸事件を検挙しておる。そういう事例をわれわれは承知しておるわけです。だいぶ流れているといううわさでございますが、この検挙状況といいますか、この点と、それからもう一つ、銃砲刀剣の不法所持の検挙状況、この二点と、それから、聞きますと、新規届け出の銃砲刀剣の数が非常に多いという話を聞いておりますので、最初にこういう記録がありましたならば、お尋ねをしておきたいと思います。
  132. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  最初に銃砲の密輸事件の検挙状況でございますが、御承知のように、銃砲のうちで、猟銃空気銃は、日本の国内におきまして合法的に入手できますので、それの密輸事件というのはほとんどありません。密輸事件はほとんど拳銃でございます。ちょっと数字を申し上げますと、昭和四十三年は十九件で、押収いたしました拳銃は二十二丁でございます。昭和四十四年は二十五件、三十三丁、昭和四十五年は三十五件、七十八丁、こういうことで、ここ三年の状況を見ますとかなり大幅にふえてまいっております。昭和四十五年の七十八丁の相当部分はフィリピンのほうから入ってまいった状況でございます。  それから第二点の不法所持で検挙いたしました銃砲刀剣の数でございますが、昭和四十三年は銃砲は二千八百五十件、四十四年が二千三百十五件、四十五年が千八百九十二件。この中でライフルの関係は昭和四十三年が八十四、四十四年が五十二、四十五年が五十、こういう状況でございます。一方、不法所持の刀剣の関係は、昭和四十三年が六千四百三十、四十四年が五千四十二、四十五年が五千百二十九、こういう状況でございます。  それから第三番目にお尋ねのありました銃砲刀剣類の発見、拾得による届け出の実態でございますが、これはお話のようにかなりございまして、銃砲の関係は昭和四十三年が三千五百八十九、四十四年が四千七十三、四十五年が四千七百六十六、それから刀剣類の関係は四十三年が六万二千四百五十七、四十四年が六万八千二十三、四十五年が七万二千二百八十五、こういう状況になっております。
  133. 小濱新次

    ○小濱委員 最近の右翼といいますか、暴力団についての取り締まりが非常に強化されているようにわれわれは承知しているわけでございます。銃砲が相当量流れているという疑いは、いろいろな報道から濃厚であるとわれわれは推測しているわけですが、いま御説明があったように、私用保持ということで、この兵器がたいへん民間で、隠しているわけはないのでしょうけれども、知らないで保管をされているという例が、毎年六万何件も刀剣だけでも出てくる、こういう数字になっているわけでございます。こういう点での民間の保持者の認識といいますか、それは先祖代々のものだから持っておっていいのだという解釈なのか、あるいはまた飾りものにしているものなのか、いろいろな理由があろうかと思いますけれども、こういう問題の認識を与える、そういうPRの方法ももっともっと何らかの対策を講じていかなければならないというふうにわれわれは考えているわけであります。  そこで、今度第三回目の改正案が出てまいりまして、だいぶ規制され強化されてまいりましたけれども、まだまだこれでは完全対策ができていくというふうにはなかなか理解ができないわけでございます。そういう点で、知らないで保持されている銃砲刀剣が危険な人たちに流れていく、こういう危険が非常に多くなってきたわけでございますが、これはそういう危険な人たちがいなければ問題ないわけですけれども、いまの世情から非常に多くなっているという傾向が先ほどの質疑の中でも出てまいりました。憂うべき状態であるとも先ほど言っておりましたけれども、こういう状態で特に暴力団の取り締まりについてはもっと強化されていかなければならぬのではなかろうか、こういうふうにわれわれは考えているわけであります。この例については、けさの新聞にも赤軍派の人々が車を盗んで逃走した、それを追跡したが踏切でとうとう見失ってしまったという例、あるいはまた名古屋で、拳銃が改造されてライフル弾が使用された、こういう模造拳銃が相当量改造されて流れているという報道がされておりました。こういうことを考え合わせると、どうしても暴力団の取り締まりの強化をもっと進めていかなければならないのじゃなかろうか。もちろんその取り締まりとあわせて、保持している人たちの認識をもっと深めていかなければならないのじゃなかろうか。そういう点でのPRをどういうふうにされるのか。この点については、暴力団の取り締まりの問題ですから、後藤田長官にお尋ねしたいと思います。
  134. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 御説のように、銃砲刀剣等はそれ自身非常に危険なものでございますので、その所持について十分注意をしてもらうということは当然でございます。私どもといたしましても、あらゆる機会をとらえ、猟銃であれば講習会等の機会あるいは地域団体その他各種の会合等でいろいろと努力はいたしておりますけれども、現実に事件が起こってみますと、必ずしもそういった点についての認識が徹底しておるとは思えません。こういう点については役所自身の努力も当然でございますけれども、同時に一般の方にも十分認識をしていただくように、今後とも努力を重ねてまいりたい、かように考えております。  そこで、私どもとしましては、しょっちゅうこういった銃なんかを使っている人よりは、むしろどちらかというといわゆる眠り銃、あるいは刀剣についても、しょっちゅう愛好している人は別として、眠り刀剣、こういうようなところに問題があると思います。そこで、眠り刀剣などにつきましては、先年来私どもとしても力を入れまして、持っている方も使ってないということであれば、ひとつ廃棄をしていただくということで処理をいたしております。  午前中の審議で、ライフル銃等がふえるのかふえないのかという御質問がありましたが、横ばいでございますという御答弁をしておりました。これは眠り銃の私どもの措置が効果をあげているからそうなっているのではないか、むしろ傾向としては、私はライフル銃だけはふえていく傾向にありはせぬかという点を心配して、今度のようなライフル銃に対する規制強化もお願いしたような次第でございます。  さらにまた暴力団につきましては、これは新聞等で、御承知のように、三十八年の頂上作戦、その後それらの者が出てくる、そこでまた新しい対立抗争、資金かせぎ、各方面でいろいろな犯罪を犯すというようなことで、昨年来重点を置きまして暴力団取り締まりをいたしておりますが、その重点の第一は、いろいろございますけれども、暴力団が今日持っていると思われる凶器の押収、つまりは銃砲の押収、それから不法所持の刀剣類の押収、こういうことに今日力を入れてやっているつもりでございます。  今後とも保管者の認識の問題あるいはそういった暴力団の関係等については、御説の趣旨に沿って私どもとしても全力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  135. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほども質問がございまして、真岡のあの塚田銃砲店、薬局兼業というこのお店での事件の話がございましたけれども、いろいろとその後のあのお店の状態、指示に従ってどういうふうにやられたかわかりませんが、何かお店も休んでいるという話もうわさでは聞いているわけですが、こういう事故を起こしたお店に対して、どういう経過になっているか、御存じならば、どなたかお答えいただきたいと思います。
  136. 山形栄治

    ○山形説明員 お答え申し上げます。  塚田銃砲店に対しましては、事件のあくる日の二月十八日に、県のほうから猟銃販売事業の一時自粛ということを通知いたしまして、同店におきましても、現在自粛中でございます。これはいろいろと店舗の設備面の問題それから銃砲店自身の心がまえといいますか、態度の問題等に全部関係しておりますので、目下塚田銃砲店といたしましても、いろいろとその後の対策を講じておるわけでございますが、この自粛の解除につきましては、地元の公安委員会、警察当局それから県当局、三者共同でその事実を確認いたしまして、自粛を解除するかどうかを決定いたしたい。現在のところは、販売の自粛中という段階でございます。
  137. 小濱新次

    ○小濱委員 保安部長にお尋ねいたしたいと思いますが、あの塚田銃砲店で、先ほどもだいぶ報告がございましたが、その後は杏としてそのあとの未発見の分の変化はないのですか。だいぶ前の話は聞いているのですが、その後の話を少し聞かしてもらいたいと思います。
  138. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 その点につきましては、先ほど警備局長から捜査状況を御説明申し上げましたが、今日まだ猟銃が九丁とたまが約六百発程度残っております。それで、その点につきましては、犯人逮捕も当然やらなければなりませんけれども、何よりも銃を押えるということが先決でございますので、今日全国的な捜査ネットで追及をいたしております。その内容については、今日はちょっとお許しを願いたいと思います。いま少し時間を与えていただきたいと思います。
  139. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに保安部長にお尋ねしていきたいと思いますが、いまのような時世でありますので、製造業者から販売業者、この輸送経路の中で事故の起こることが一応想定されると思います。こういうことで、この点については事故防止ということで警察のほうに依頼がくるのではないかと思いまするけれども、こういう危惧される問題の対策ですね。運搬体制といいますか、こういうことについてはどういうふうにとっておられるか、お尋ねしたいと思います。
  140. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  仰せのとおり、銃砲等の輸送につきましては、今日の状況でございますので、いろいろ心配な点があるわけでございます。現在の法律におきましては、銃砲の輸送につきましては特別の規定はないのでございまするが、通産省とも協議をいたして、銃砲製造販売する業者が大量に輸送をいたします場合は、あらかじめ警察のほうに連絡をしていただきまして、警察のほうで必要な警戒措置をとることにいたしております。少量の場合におきましては、常にというわけにまいりませんので、その運搬の荷づくりの方法なりあるいは運送法等につきまして、途中で抜き取られたり事故が起きることのないまうにということを指導いたしておる状況でございます。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点お尋ねしたいのです。  製造業者ですね、これは製造管理されるものの、そういう銃砲ができ上がってすぐに販売業者に輸送というふうにはならなかろうと思うのです。そういう点で、また不心得な者にねらわれる危険性もあるわけです。今回の法律ではいろいろと設備を強調しておられるようですが、そういうものはこれは難なく破壊のできるものであると私どもは考えているわけです。そういう意味での、また違った面からの危険防止をどういうふうにお考えになっておられますか、お答え願いたいと思います。
  142. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 仰せのとおり、製造所にかなりの数の銃砲ないしその未完成品があるということは常態であろうと思うわけでございます。これらの盗難防止なりそういった点につきましては、仰せのとおり、まず企業自身におきまして十分な安全施設なり保管庫なり、その他を講ずべきことは当然のことでございまして、こういう点につきましては、通産省のほうの武器等製造法の関係でいろいろ規定もあり、御指導もしていただいているわけでございます。警察のほうといたしましては、やはりそういう事業所は治安的に見ましてたいへん重要な警備対象でございます。そういうことで、それぞれの府県警察におきましては、自分の管内のそういう事業所につきましては重要警備対象として常に把握しておりまして、それに対する警備計画それからふだんの防犯指導、そういったことを行なってきておる状況でございます。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 それから、この前交通委員会のときでも、精神異常者の運転手ということで当委員会で話題になって、精神の狂ったいわゆるてんかん持ちだとかいろいろな人がおりますが、そういう人たちが数十万、あの当時は三十万くらいの数字を示しておられましたが、その後また膨大な数字になっておったことを記憶しているわけですが、今度のこの問題でも、許可を受ける時点では精神に異常はなかった、ところが、その後正常でなくなった、こういう人が相当いまの免許許可者の中にはいるのではなかろうかと思うのです。あるいはまた、その発生時点で家族がどういうふうな異常を認めて報告するのか。異常者が出た場合に非常に危惧される問題が起こってくるわけですが、そういう点での何か具体的な指示なり方法を与えてございませんか、お答えいただきたいと思います。
  144. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 仰せのとおり、銃砲所持許可を受けておる者の中にも、ごく少数ではございまするが、精神異常となりまして事故を起こしておる者がございます。その状況は四十三年一件、四十四年一件、四十五年三件ございまして、あるいは殺人事件を起こしたり、自殺をしたり、そういうようなものでございます。精神異常者に銃を持たすことは、当然いまの法律でも禁止されているところでございまして、これらの点につきましては警察のほうといたしましては、まず許可段階におきまして、そういう点について十分に調査をすることが第一で、その面で努力をいたしておりまするが、許可後の状態につきましては、銃の状況につきましては最低毎年一回は銃をみずから持ってきていただいて、そして検査をいたすわけでございまするが、そういう場合において、さらにまた最近の状況でございまするので、各種の事件等がありました場合においては、防犯指導ということでいろいろ銃の所持者に対しては防犯指導を行なっているわけでございますが、そういう際におきまして、そういう精神的な面の問題につきましても十分ひとつ注意をする。さらにまた五年に一度ずつ更新の許可を受けるわけでございまするが、そういう際におきましても最重点といたしまして、そういう点については調査をいたしておるわけでございます。そういうことで、こういう点につきましては、所持者自身よりは、むしろそういう所持者の家族の方もたいへん心配していることでもございますので、いろいろ御協力をいただいておるという状況でございます。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 法律案の要綱の第一で少し質問をしていきたいと思います。  ライフル銃所持の制限でございますが、この一行目に「事業に対する被害防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者」、これは通産省にお尋ねいたしますが、いまの点をちょっと説明をお願いしたいと思います。
  146. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 この点につきましては私から説明さしていただきます。  事業に対する被害防止するためライフル銃を必要とするというのは、たとえば牧場を経営しておられる方が、その牧場にクマでありますとか、そういったものが来て、家畜に被害を及ぼす場合とか、あるいはまた農業を経営しておられる方がイノシシ等によりまして被害を受けるとか、あるいはまた漁場などを持っておられる方が、トド等によりまして自分の漁場を荒らされるとか、そういうような場合にはライフル銃によりまして獣類捕獲することが必要となるわけでございますので、そういうことを意味しているのでございます。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 この事業の中身ですが、いまの農地だとか、それから牧場、これはわかりましたけれども、山林ですね。これは林野庁の関係になるかと思いますが、山林で仕事を営んでいる人も、これは先ほどの説明ですと、猟のできるところとできないところに分類して相当面積があるようであります。この事業の中で、そういう山林の禁猟地域内における事業主の被害に対して、ここでは今度は被害はあっても、禁猟区ですから、ライフル銃は使えないということになりますね。普通のところではない、禁猟区ですから使えないが、被害は発生する。こういう場合もこれはこの事業に入るのじゃないかと思いますけれども、この点に対する対策はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  148. 塩島厚一

    ○塩島説明員 お答え申し上げますが、一般の狩猟行為といたしましては、ただいまおっしゃいましたように、鳥獣保護区とかあるいは銃猟禁止区域等においては狩猟はできないわけでございますが、特に農林水産業等に被害が多い場合には、有害鳥獣駆除という申請を県知事ないしは農林大臣にいたしまして、その許可を得て、その場合には保護区域あるいは銃猟禁止区域でも捕獲をできることになっております。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの点でさらにお尋ねしますが、その県や市町村において、まことに少ない予算しかくれない。そういうことで、その禁猟区域内における被害防止ができないでいる、こういう場合が起きている地域があるわけですが、そこで林業を営んでおる業者が非常に苦労しておる。そこでは野ジカですか、シカに荒らされて、行ってみると、皮がみな角でむかれて食べられてしまう。若芽はみな食われてしまう。こういうことで何百頭という野ジカがどんどん山を荒らしているわけですが、ここでやれないのかというわけで、この前やったわけですけれども、何百といる中で一頭か二頭しかとれなかったということもあって、新聞でだいぶたたかれたことがある。そういうこともありますので、この問題について幾らか関係が生じてまいりますので、こういう場合の対策を、これはやはりきちっと立てておく必要がある、こういうふうに思って、これは林野庁の関係だから、そういう場合にはどういうふうに対策を講ずるのかというふうにお尋ねしたわけですが、いまの答弁わかりました。  これは保安部長にお尋ねいたしますが、こういう被害が発生している場合に、そこの市町村では銃砲を持っている人にお願いをして、そうして狩猟をする、こういうふうになると思うのですが、いろいろと危険な北海道だとか、そういう山間僻地ではそうもいかない場合が出てくる。緊急に対処しなければならないような場合が出てくる。たとえば私はこの前行ってまいりましたけれども、静岡県のあの森町のずっと奥に、山の中に熊切という部落があります。熊切といわれるほどここにはクマが出てくる。こういうところではほんとうにどうにもならない。こういうことでほんとは役場に備えてあるものを持っていってやらなければならないわけだが、役場にないわけですね。そういう出張所にない。こういう場合には市町村でも銃砲、今度のライフル銃は持つことができるのかどうか。あくまでも個人で申請をして許可を受けるしか方法はないのだ、こういうことになるのか。そこらのところ、急に応ずるという、そういう対策の上で、ぜひともこういう問題を解決しておいてもらわなければいけなかろうと思うので、保安部長、御見解をひとつ聞かしておいてください。
  150. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。先ほど事業内容で林業のことは申し上げなかったわけでございますが、もちろんそういう林業のことも入るわけでございます。  さらにただいまお尋ねの件でございますが、現在市町村におきましても、銃を所有することは別に禁止されておらないわけでございます。しかし、現在の銃刀法のたてまえでは、そういう地方公共団体とかいう団体あるいは何とか会社という団体、そういったものが所持することはできないのでありまして、市町村が持ちます場合におきましては、その持つ責任の方、会社でありましてもそれを持つ人が所持許可を受けることになっておるのでございます。したがいまして、先生の御質問の御趣旨のように、市町村であらかじめ持っておって、それを必要なときにだれか必要な人がそれを借りて持っていって撃つということは、これはできないのでございます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどわが党の和田議員が話してくれたわけですけれども、茨城県の笠間市、あの付近へ行きますと、イノシシが隊伍を組んで歩いているわけです。さっき聞いたばかりです。もう七頭も八頭も隊をなして町へ出てくる。そういう場合に、私が心配するのは、急に応ずるということですが、だれかが鉄砲を持っているんだろうということでさがしていたんじゃどうにもならないわけです。そういうことで、警察もありますから何とか対策は練ってくれるだろうと思いますけれども、地方の派出所にはライフル銃がないわけだ。警察署にはある。そうすると、相当離れた地域にしか銃はないということになると、さてその被害防止のための対策はどうするのかということが起こってくるわけですよ。そういう点で市町村役場で、出先で持つことはできないのか、こういうことですので、その対策なんか、全然将来計画をお持ちになっておりませんか。どうでしょうか。
  152. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 現在猟銃は、午前中も申し上げましたとおり、五十八万丁全国に許可されておるわけでございます。したがいまして、地域的に若干のアンバランスはあるかと思うのでございますが、そういう狩猟ないし有害鳥獣の駆除を必要とするというようなところにおきましては、大体充足されておるような状況ではないかというふうに思うのでございます。  さらにまた、今回のライフル銃規制におきましても、そういう農業等を守るためにどうしてもライフル銃が必要であるというようなものにつきましては、所持許可も今後も認められることになっておりますので、現行制度を適切に運営してまいりましたならば、そのような事態には対処できるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 この間も私のほうの秦野の在の菩提というところですが、ここでは南京豆がよくできるのですけれども、一晩に一反歩くらい食べていっちゃう。どうして土の中にもぐっている南京豆が荒らされるのであろうかと思うくらい、一反歩くらい一晩に食っちゃうのですよ。それがもう農家へ出てくるわけですね。朝になってびっくりする、こういうことになっているわけですけれども、こういうことから、その発見したときの対策が——人畜に被害がなければいいんですけれども、そういうことが起こってはたいへんであります。大都会のこういう付近にもそういう事例が起こっておるのです。ですから、遠くのほうではどんなに被害が発生して住民が苦慮しておるだろうか。こういうことが考えられるわけでして、そういう点で、市町村の出先でもこういう対策を講じておく必要がある、こういうように思いますが、これは話を伺いましたので、要望しておきます。  それから第二の問題ですが、この中で「都道府県公安委員会は、許可に係る銃砲保管状況について、報告を求めることができる」、先ほども話があったようでございます。報告を徴収する、そこでこの対策についてどう指導していくのであろうか、そういうこれからのことを考えると、公安委員会としても非常に人手もありませんし、またどういう方法で人を集めてこれに対処するのであろうか、こういうことを考えますと、何かから手形になるのじゃないかということが憂慮されるわけです。計画倒れにならないようにしていただきたいと思いますが、これについての考えを伺っておきたいと思います。保安部長にお願いします。
  154. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 都道府県の公安委員会は、個人につきましても銃の保管状況について報告を求めることができることに今回改正をお願いいたしておるわけでございます。具体的にこの仕事をいたすのは、公安委員会が管理をしております警察、それぞれの府県の警察、さらに具体的にはその県の警察官が行なうわけでございます。そういうことで、その報告を求めるやり方その他につきましては、公安委員会から指示を受けるわけでございますが、それに基づいてやるわけでございまして、たとえば派出所にも場合によってはやらせることもできますし、また本署の銃砲の担当の専門の者に計画的にやらせることもできるわけでございますから、そういうことによりまして十分保管状況の把握、それからそれによる適正な保管の指導という目的を達することができると考えておるわけでございます。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 家庭によって私どもはよく見受ける光景なんですが、床の間に銃剣がきれいに飾ってある。先ほど見せていただいた銃砲刀剣、あれでよくわかったわけですけれども、五・五ミリ口径のもの以下は今度は持てなくなるわけですね。五・五ミリ、小口径のライフル銃については所持禁止になるわけですか、どうでしょう。
  156. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 ライフル銃につきましては、この銃刀法では口径によりまして二十二口径以下は持つことができない、そういう制限はこの改正案には入れてないのでございます。  ただ、お話しの点は、参議院附帯決議等にもありました狩猟の用具といたしまして、小口径の、御指摘の二十二口径、五・五ミリ程度のものは必要でないではないかというふうに私どもも思っております。と申しますのは、そういう小口径のライフルというのは、ウサギとかいった程度の獣類捕獲に使われるということでございますけれども、そういったものは散弾銃で十分目的を達することができるわけであります。一方その危険性を考えますると、小口径でありまするが、たいへん命中精度が高いのでございまして、いろいろな犯罪事件等において使われるライフル銃の中で二十二口径というものはかなりあるわけでございます。そういうことで、狩猟の用具としては必要はないのではないかというふうに私どもも考えております。この点につきましては林野庁とも協議をいたしておるところでございます。  なお、そういう小口径のライフルでも射撃競技、これは政令によって推薦されました者、選手ないし選手候補者として推薦されました者は今後ともそういう標的射撃のためには持つことができるわけでございます。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。  それでは第三番目の模造拳銃所持の禁止、これについてひとつお尋ねしていきたいと思います。  輸出のための模造拳銃、これは輸出業者も含めて所持することができる、その他は持ってはならない、こういうふうになったわけですけれども、これも先ほど見せていただいて、模造と本物との区別が全然つかないのですね。先ほどは黄色い着色したものを模造拳銃のほうで見せてもらいましたけれども、もう一丁のほうは、銃身の横に小さな白いしるしがついておる。それから銃口にちょっとしたいぼみたいなものが出ておる。閉塞にはなってないのですね。ちょっと出ておる。もう一つは全然ふさがっております、閉塞されておる。そうすると、あとどこが違うのかというと、開いてみたら撃針がとがってなかった。平らになっておる。この三点しか違った面はない。あとはもうほとんど、鋳物と鉄との関係があっただけですね。そういうことで、銃口にちょっと出ているあの出っぱりをやすりで取ってしまうと、これはなくなってしまって、普通の口径になってしまう。それからあの横っ腹の黄色い塗り具、あんなものはワイヤブラシでちょっとこすってしまえば、すぐとれてしまいます。あとは撃針だけです。こんなもの、黙っていればわかりません。こう比べると、ほんとうにどっちかわからない、こういう状態なんですね。こういう模造拳銃輸出のためにはつくられていく、携帯はできない、所持けできない、こういうふうになるわけですけれどもまたこの模造拳銃輸出の分が横流しされていピとどういうことになるのか、こういうことで、この輸出のための模造拳銃の対策も相当危惧される問題だとわれわれは考えるわけですけれども、その点についての考えを、これも保安部長であろうと思いますが、お答えいただきたいと思います。
  158. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 仰せのとおり、輸出用としてのみ持てるものが国内に横流れをしてはたいへん困るわけでございます。したがいまして、今回の改正案におきましても、そういう輸出のためにする場合におきましても、公安委員会に届け出をしていただくことになっておりますが、そういう届け出により、あるいはまた通産省関係とも十分連絡の上、警察のほうとしても積極的にそういう業者の実態あるいは製造状況輸出状況等を把握いたしまして、横流れによる事故がないように万全の措置をいたしたいと考えておるわけでございます。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 模造拳銃については生産金額が十一億八千七百万円、生産数量が五十万丁、これは四十五年の実績ですが、一年に五十万丁つくられているわけです。この模造拳銃が、きょうの新聞を見ますと、モデルガンでライフルだまが撃てるように、そういう装置を施したわけです。これが中部地方の暴力団にかなり出回っていると見られ、大がかりな改造拳銃密造組織を愛知県警で追及をしている、こういう記事ですね。改造拳銃でライフルだまが使えるという非常にこわい問題だと思います。これはわずか千五百円か二千円の模造拳銃でありますけれども、この拳銃一丁が約五万円で売買されているという疑いがあるわけですね。銃身に二十二口径の鉄パイプを通して割れないようにし、撃針もつけられていた。二十二口径の鉄棒の輪が入っている。それが銃身になっている。こういうふうに改造されて中部方面には大量に流れているという報道であります。こういうことで模造拳銃製造については非常に問題が多いかと思いますが、保安部長、この愛知県の暴力団員の逮捕の問題について、いま私が話した以外のことでおわかりになっていれば、ひとつお答えいただきたいと思います。
  160. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  愛知県警におきましては、昨年の十一月ごろ暴力団の者がモデル拳銃を改造いたしておるというような情報を得まして、鋭意捜査を進めておったわけでございますが、ただいまお話のありましたような状況になったのでございます。その暴力団は山口組系の暴力団でございまして、現在までのところ警察のほうではっきり把握いたしております模造拳銃の数は三丁でございます。そのうち押収をすることができましたものが二丁でございます。このモデル拳銃はダブルデリンジャーというものだそうでございまして、銃身が上下二つありまして二発出るようになっているものでございます。これをお話しのように、銃身を鉄パイプに取りかえ、それから撃針をつけまして改造いたしておったわけでございます。こうなりますと、このモデル拳銃はモデル拳銃でなくて、銃刀法でいう拳銃になるわけでございまして、その違反として被疑者十二人を逮捕して、目下取り調べを進めておる状況でございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 山形次長にお尋ねしたいと思います。  こういうふうに今度改正されて輸出向けだけに限るということでありまするけれども、いままでのお話に出ましたように、いろいろの問題が起こっているのですが、そこで、愛知のある地域で起こった事件ですけれども、こういうことが簡単にできるということになれば、もう相当に他の地域でもこれはつくられていると見なければなりません。年間とにかく五十万丁からできているわけなんです。こういうことからも、いままでに流れている模造拳銃がどのくらいになっているか、こういう数量を考えてみますると、簡単にできるということになれば、こういうことがまた凶器に使われていく危険性が生じるわけです。これは無理なお願いかもしれませんけれども、通産省としては、こういう状態が明るみに出ましても、これでもなおこの輸出拳銃は許可されるものかどうか。この辺で何か一考する必要があるのじゃないかと思いますが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  162. 山形栄治

    ○山形説明員 午前中の答弁でも申し上げましたように、模造拳銃製造業者の数は、幸運なことに金属製で九社、プラスチック製で五社と非常に数が少ないわけでございまして、もちろんこれは流通段階における現在お話しのような問題もございますけれども、流通段階につきましては、警察御当局とも連絡を密にしながらこれをやっていく以外にないと思いますが、メーカー段階はたまたま数が少ないものでございますので、より一そう連絡を密にいたしまして、製造段階及びそれらの輸送段階販売段階等々を通じまして不測の事態が起こらないようにより一そう検討、指導していきたい、こう思っている次第でございます。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの説明の中で次長にお尋ねしたいのですが、これからの対策としてどういうものをつくろうとする計画をお持ちになっているのか。先ほどは、これは警察でやってくれたのだと思いますが、鋳物の部分を全部黄色で塗ってくれました。これでわかったわけですけれども、あれだって簡単にとれます。こういう点で、黒とか銀色だとか、いろいろなことが計画をされているということでありまするけれども、こういう特別な、これはもうはっきりと模造拳銃なんだということが一目でわかるような、そういう検討をしておられるかどうか。これが一日も早くそうならなくちゃならないと思うのですが、そういう点についてのお答えをいただきたいと思います。
  164. 牟田口道夫

    ○牟田口説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のような、一見モデルガンであることが明らかなようなガンに限って製造するというようなことも、今後は、この法律制定後はもちろんのこと、またそういうくらいの必要も、業界自身の判断でもまたそういうことになってくるのではなかろうかと思いますけれども、総理府令で規制されるものの範囲が定められるようでございますから、詳細はその内容のいかんによりまするけれども、いずれにしても、今後いま言ったような意味でその危険性のおそれ及び可能性のあるものにつきましては、法律制定をまつまでもなく、順次先生御指摘のような体制を整えていくよう指導してまいりたいと存じます。この製造業者は、先ほど御説明申し上げましたとおり、九社でございますので、その点につきましてはわりあいと連絡及び指導の道がつきやすいかとも存じますので、今後はそういう方向で努力させていただきたいと存じております。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 今度のこの模造拳銃所持の禁止ということで、いまお話がありましたように この製造企業数は九社ということでありますが、非常に九社の年間の生産金額が大きくなっています。千百三十億円くらいの生産金額をやっているようであります。こういうことですから、何か、たとえば所持禁止ということになって、この販売能力はガタ落ちになる。製造業者及び販売業者にこういうことで悪影響が起きないかどうか。これはひとつ山形次長にお尋ねしたいと思いますが、こういうことで、この九社の内容から見て不安のないようにも思えるわけですけれども、こういう点での危惧をわれわれは持っているわけです。悪影響ということで、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  166. 山形栄治

    ○山形説明員 お答え申し上げます。  模造拳銃の金属製、プラスチック製合計いたしまして、年間生産金額は十「億八千七百万円でございますが、ただいまの先生のおっしゃいました千数十億というものは、たしか私の了知している限りにおきましては、雑貨全体の金額ではないか、こう思うわけでございますが、いずれにしましても、この模造拳銃製造業は大体十一億円くらいの生産額で、かつわりあいに技術水準の高い企業でございます。雑貨全体の中の一・数%の生産金額一をこの模造拳銃で占めておりますので、今回の措置等に対応いたしましてわりあいに転換能力のある業者だと思いますので、ほかの高級玩具等にこれが転換することは当然可能だと思いますので、全体の生産金額のシェアの小さいこととも相まちまして、スムーズに企業の転換が行ない得るのではないか、こう思っております。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 いま次長のほうから御答弁がありましたように、そういう内容だからぼくは不安はないかと思いまするけれども、今度所持禁止ということになって、また識別をされるというようなことになれば、これは魅力が当然なくなりますからね。そういう点でこの購買量ががたっと落ちるだろう、こういうことでのあとの企業ということでわれわれはちょっと心配したわけですが、これだけの力のある会社ですから、これは転業はできるのじゃないか、こういうように思いますので、いまの御答弁でけっこうであります。  もう一つ、第四の問題ですが、模造刀剣類の携帯の禁止、この点について少しお尋ねしていきたいと思いますが、この中で「正当な理由」というのがあるのですね。一枚めくりまして最初の行ですが、「業務その他正当な理由」このことと、それから「模造刀剣類を携帯してはならない。」ということ、この正当な理由と携帯について少し説明をお願いしたいと思います。
  168. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  「業務その他正当な理由による場合」と申しますのは、たとえば踊り等のために刀が必要である、そういうことでお店屋さんから買って自分の家に持って帰るとき、あるいはまたそういう刀を、こわれたので修理のためにお店に持っていくような場合とか、そういったようないろいろな、どうしても持ち歩かなければならない、そういう場合がこれに当てはまるわけでございます。  それから携帯してはいけないという意味は、いわゆる所持よりも狭い概念でございまして、自分の手に携えたりあるいは自分のからだに帯びたり、そういう形で所持をして持ち歩く、そういうことを禁止する。自分の家の床の間に飾っておくとかそういうのは所持でございますけれども、携帯には入らない、こういうことでございます。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 保安部長、最初の答えの「正当な理由」の中ですけれども、室内の装飾、床の間に飾っておく、これは正当な理由に入るのですか。これはいいんですね。
  170. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 室内で飾っておきますのは携帯にはならないわけでございまして、別に今回の規制対象にはならないのでございます。差しつかえがないわけでございます。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 第六番目の、猟銃等に対する番号、記号の打刻、これは一貫番号なんですか、それとも種類番号なんでしょうか。それからもう一つ、輸入品、こういうものの扱い、打刻の問題ですね。この扱いについてはどういうふうになりますか。
  172. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 現在猟銃空気銃につきまして、国内のメーカーで生産されておりますものにつきましては、それぞれ行政指導によりましてそのメーカーの記号、それからそこでつくった一貫番号、そういったものが打たれておるわけでございまして、それは特別にこの規定によりまして新たに番号を打たせる必要がないようになっております。ところが、輸入をされます銃の中には、そういうすでに警察のほうに登録してある銃の番号と同じようなものがある場合がときにございます。そういうときはたいへん困りまするので、公安委員会で指定した別の番号を打っていただくわけでございますが、その番号は、銃の種類の記号と、それから一貫番号といいますか、数字を並べた番号を打ってもらう予定にいたしております。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一つそのことについてですが、たとえば暴力団等から押収した、こういう銃砲の扱いですね、これはやはり裁判になるかと思いますが、その後のこの取り扱い、処置についてはどういうふうになるのか、参考までに聞きたいと思います。
  174. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 裁判が確定いたしますれば、当然押収をいたすわけでございます。そういうことで、大部分は国のほうで没収をするわけでございますが、中には他人の正当に持っておったのを、たとえば盗んだり、無断で持ってきて使ったというような場合があるわけです。そういう場合におきましては、その銃はやはり過去に正当に所持を受けていた者に返さなければならない場合があるわけでありまするから、そういうものにつきましては、そういう者に返す、こういうことでございまして、大部分は没収いたしまして国のほうで処分をいたすわけでございます。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点伺っておきたいのですが、先ほど長官の説明された逐条説明の中で、救命索発射銃等を所持した場合、その銃砲にかかる許可を取り消すことができる、この問題ですが、十一条の第三項ですね。人命救助等に従事する者が許可を受けた者の指示に基づかないで救命索発射銃を所持した場合、これは違法なんだというふうに書いてありますが、この問題については、この救命索というのはどういうところに備えてあるかというと、救命索ですから、おもに船なんかに積んであるのでしょうね。それから浜辺のそういう公共建物、こういうところにあるかと思いまするけれども、どういうところにあるかというところと、それからこの取り扱いについてあまり厳重にするとまた急場に間に合わないという、そういう問題が出てくるのじゃないかということで、この問題私はちょっと疑義を持っているわけですが、この点についてもう少し御説明いただきたいと思います。
  176. 長谷川俊之

    ○長谷川政府委員 この救命索発射銃は、お話しのように、船にある場合もありますが、現在最もたくさんありますのは消防団でありますとか、水難組合でありますとかあるいは漁業組合でありますとか、そういうところにたくさんあるわけでございます。この規定は、先ほどの長官の逐条説明でも申し上げましたとおり、現在までのところは一々使う人が個別に所持許可を受けなければならないと 窮屈なことになっておるのでございまするが、こういうものは、今回たとえば水難組合の何とかという責任者が所持許可を受ければ、その組合員を届け出ておれば、一々その所持許可を受けなくても、そういう組合員の人は必要な場合に使うことができる、こういうふうにいたしておるわけでございます。  しかしながら、やはり銃でございまするし、だれでもかれでも使う、使っていい、こういうことになりますると、やはりそこに弊害が生じて、危険性が生ずるわけでございますので、それを使える人については、使う必要のある人を届けてもらうということを第一条件。それから使う場合においても責任者の指示に基づいて使う、こういうことがたてまえであろう。そういう指示に基づかないでかってに使ったような場合においては、いろいろ弊害がありまするから、やは吟その場合はこの十一条の三項の、従前からありました条文でございますが、それによりまして所持許可を取り消すことができる、こういうことを規定いたしておるわけでございます。  しかし、御質問のように、たいへん緊急な場合もあり得るだろうと思います。そういうような場合につきましては、刑法の一般原則に従いまして、緊急避難なり何なりという場合はもちろん弾力的に考えなければならないと思います。
  177. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。  最後に一点だけ伺っておきたいと思います。これは後藤田長官にお尋ねしてみたいと思いますが、この銃砲店の保管にかかる猟銃等に適合する実包、空包または金属性の弾丸を銃と一緒に保管してはならない、こういうふうになっておりますが、この条件を具備しているかいないかの点検ですね、こういう点検の場合とか調査に警察官が一般的な立ち入り検査といいますか、こういう立ち入り権を付与することはできないものかどうか。おまわりさんは町にはたくさんいるわけでありますが、そういう点でひとつ、これは十分注意を喚起しなければならぬ問題でございますので、こういう問題での権限を警察に持たせることが妥当ではないかとわれわれは考えるわけですが、この点についてはいろいろとお話し合いなすっておるのじゃないかと思いますけれども、ひとつその経過なりこれからの抱負なりをお聞かせをいただきたい、こう思います。
  178. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 現在御承知のとおりに、銃砲店に対する一般的な立ち入り権限は通産大臣、したがってまた都道府県知事の権限になっておりますが、私どものほうも、人の生命及び身体、財産の保護あるいは公共の安全といったようなために特に必要がある場合には、警察官は立ち入りが認められております。ところで、立ち入っていろいろなことを見た上でどうするかということでございますが、その点につきましては、一般的な防犯指導というような立場で相手方の承諾のもとに事実上行なう、こういう立場をとっております。これは警察の立ち入り権限というものが、緊急な場合の治安上の必要から立ち入るということを認められておるのにすぎないので、銃砲店に対する行政上の監督権限がないという場合には、その限度にとどまることは私はやむを得ない、こう考えております。しかし、実際問題として警察官が立ち入りして、そしてふぐあいを発見したという場合に、そのときにそのふぐあいを直してもらいたいということを相手方にいわば応急措置を命ずるといったぐらいのことは当然あってしかるべきであろう、私はこういうふうに考えております。
  179. 小濱新次

    ○小濱委員 これで終わりますが、いろいろと諸問題をかかえてたいへん御苦労をかけておるわけでございますが、私どもうわべしかわかりませんが、いろいろとこの銃器刀剣の問題については犯罪白書の中からも問題が出てまいっております。それから最近の新聞でも報道されまして、長官も遺憾の意を表明されておられましたけれども、こういうこともございます。どうかひとつ、今度の法案については私どもは一歩前進ということで賛成でございますけれども、もっと治安維持の問題から住民に安心して生活をしてもらう、そういう立場を早くつくってもらうためにも、もっともっと努力をしてもらわなければなりません。そういう点で今後の御健闘御努力を心から要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手
  180. 菅太郎

    菅委員長 砂田重民君より関連質問の申し出がありますので、これを許します。なるべく簡単に  お願いしたいと思います。
  181. 砂田重民

    ○砂田委員 一問だけ伺っておきたいと思うのですが、武器等製造法の第二十五条で、通産大臣または都道府県知事は事業所に対して立ち入り検査権を持っておられる。さらにその第二項で「警察官又は海上保安官は、人の生命、身体若しくは財産の保護又は公共の安全の保持のため特に必要が下るときは、」云々として、立ち入り検査を持っておられる。この警察の立ち入り検査権というものが、「特に必要な場合」というふうに書いてあるものだから、何かそこに警察の遠慮があるのではないか、そういうふうな感じをわれわれ受けるわけなんです。今回の銃砲刀剣類法律、この改正案にいたしましても、こういった規制をきびしくしていこうという観点からの法改正でもありますし、われわれも賛成をしているところでありますけれども、各府県で実際に仕事をしておられる末端の警察官と各府県の末端の担当の公務員の方との間でぎくしゃくしたのでは、今度のせっかく改正される法律が生きてこない、そういう心配をいたしますので、警察と通産両御当局にひとつ伺っておきたいと思うのですが、警察と通産とでひとつ協議をなさって、末端でぎくしゃくすることのないように、「特に」と書いてあることにあまり不必要な心配やら遠慮をなさらないで、末端で警察がこの法律に書いてあるようなところを厳格に規制をしていく、立ち入り検査をしていく、そういうふうなことを双方で打ち合わせをされて、それぞれ末端まで通達をされて、末端の担当官がぎくしゃくすることのないように、そういう措置を講ぜられたらいかがかと思うのでありますけれども、そういうことをおやりになっていただきたいと思う。警察、通産両方からお答えをひとついただきたい。
  182. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 お答え申し上げます。  一般的な行政権限というものが、通産大臣、知事にある以上、これは警察が立ち入るのは、やはり特に必要のある場合で、私は差しつかえなかろうと思います。「特に」ということがあるから、それじゃ現実に一線でどうかといえば、もちろんこういう立ち入りなんというのは特に必要ある場合に立ち入ればいいのであって、そう必要のないときに私はむやみに立ち入りなんかすべき筋合いのものではなかろうと思います。したがって、法的には私は今日のあれでいいんじゃないか。  ただ問題は、それがためにぎくしゃくしてはいかぬじゃないかという御説につきましては、これは私はやはり第一線では、警察といい知事といっても、地方の同じ団体の機関でございますので、その間に実際問題として両者の間でとかくの問題があるということはないんじゃないか、したがって、その点は私は心配いたしておりません。ただ問題は、先ほど言ったように、せっかく立ち入って欠陥を発見したんだが、その事後措置について当方は何も言えないというのは、これは私は将来の検討課題であろう、こういうふうに考えます。
  183. 山形栄治

    ○山形説明員 お答え申し上げます。  法の改正、その施行等を通じまして、だんだんと運用が変わってくるわけでございますけれども、何ぶんにも県でやっております行政も長い歴史を持っておりますので、時代の進展に応じまして、より一そう警察当局と県当局との関係が緊密にならなければいかぬと思いますが、先生の御指摘のように、末端でぎくしゃくしたのでは効果が達成できませんので、われわれといたしましては、この際あらためて公安委員会、警察庁当局とも十分に御相談申し上げまして、でき得ますならば、共同の通牒といいますか、共同の一つの指示を与えて、末端での混乱がなく所期の目的が達せられるようにはかりたい、こう存ずる次第でございます。
  184. 砂田重民

    ○砂田委員 これで最後ですが、警察庁長官、いま通産省のほうは、警察庁長官がいま心配なさった点ですね、欠陥を発見した場合の措置について警察庁長官がまさに心配なさったそこの部分についても、警察と協議をして通達を、何らかのものを出す用意がある、そういう御答弁だったのですが、警察庁長官も同じようにお考えになりますか。
  185. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 立法上の問題については先行きの御検討を願いたいと私は思います。しかしながら、今回はそういうことは入っておりませんので、そういう点については、これは当然に行政上の両者の話し合いで、通達その他で処置をさしていただければたいへんありがたい、かように思っております。
  186. 菅太郎

    菅委員長 次回は、明二十六日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会