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1971-03-18 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十八日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    永山 忠則君       村田敬次郎君    安田 貴六君       豊  永光君    綿貫 民輔君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         経済企画庁審議         官       西川  喬君         農林大臣官房技         術審議官    加賀山國雄君         通商産業省公害         保安局長    莊   清君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      植松 守雄君         内閣官房内閣審         議官      福島 榮造君         大蔵省主計局法         規課長     戸塚 岩夫君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局公害部庶務課         長       竹内 嘉巳君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         建設省住宅局住         宅総務課長   大富  宏君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害防止に関する事業に係る国の財政上の特  別措置に関する法律案内閣提出第七一号)  公害防止事業実施を促進するための地方公共  団体に対する財政上の特別措置に関する法律案  (細谷治嘉君外十名提出衆法第七号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案及び細谷治嘉君外十名提出にかかる公害防止事業実施を促進するための地方公共団体に対する財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次、これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きょうは大臣がおいでになりませんから、基本的な概念といいますか、こういう法案の出てきた基本について局長に聞くこともいかがかと思いますが、ひとつ事務的に話していただきたいと思います。  それは、この法律は御承知のように、公害基本法の十九条ですかに基づいて出した、こう書いてあるんですね。ところが、公害法というのは十四あるといわれておる。それの総括したものがこういう形であらわれた。いわゆる十四の法律実施することのための一つ下部組織において行なう事業についてのかさ上げといっておりますから、かさ上げということばを使えば、そういう性格を持っているんですから、したがって、私は、この法律はその点に一つの不備がありはしないかと思うのです。もしこういう法律を出そうとするなら、公害基本法の十九条というよりも、公害基本法をとるなら二十条のほうがまだいい、まだそのほうが普遍的だと思います。  それからもう一つ、さっき申し上げましたように、公害法というのは十四あって、その中がばらばらになってきておって、いよいよ仕事をする段になりますと、結局まだ政令も出てない。同時に、この法律でもまた政令にゆだねるようなことが書いてある。そうなってまいりますと、地方自治体は私は非常に迷惑すると思うんですね。だから、地方自治体にこういうかさ上げをしなければならないような事態のあることは私はわかっておりますし、むしろかさ上げというよりも、国が責任を持ってやるべきだと私は考えておるんだが、ほかに私どものほうから提案をいたしております環境整備に関する法律というような、地方自治体の当然やらなければならない仕事というものを一応きめて、そしてその上に立ってこういう法律を出すことのほうがよろしいんじゃないか、どう考えてもそういう考え方をする。あまりにもこの法律公害基本法、しかも十九条というばく然としたものの中から出されておることは問題がありはしないかと思うんだが、その辺について事務的でもけっこうですが、どういうふうにお考えになっておるか、一応聞いておきたいと思います。
  4. 長野士郎

    長野政府委員 先生のお話、たいへん高いところからの御質問でございますが、確かに全体の環境整備というような総合的な視点でものを考えていくというお考えは、私どももそういう考え方、確かに基本としては考えていくべきものだと思います。現在のところは、公害立法につきましては、水の問題でございますとか、大気の問題、騒音の問題、地盤沈下等個々の問題についての特別の規制なり措置というようなことが、実はそういう言い方もどうかと思いますけれども、実際は個々の問題についての対応措置というものができ上がっていっておるというようなかっこうでございまして、それは私ども一の理解するところではすべて公害対策基本法というもuのにつながってる。したがって、公害対策基本法一つの大きな土台としての環境整備というようなものが考え方として出ておるべきではないかという点は確かにあると思いますが、現状はそういう個々規制なり対策なり措置というものが出ておりまして、これが実行に移されるということになる。そうしますと、その実行に移されるものについての受けとめが地方団体で行なわれていくということがほとんど大部分でございますので、それについての受けとめやすい方法を考えていくということ、勢いそういう形になってきておるわけでございます。  ただ、基本的にもう一つの問題は、公害防止ということにつきましては、企業活動に伴うものが非常に多いわけでございます。したがいまして、企業活動から出てくるものについては、基本的には企業責任、そして企業責任を全ういたしますためには、企業に対する規制というようなことが基本的に先行すべきものだということがあると私は思います。ただしかしながら、その企業から出てきました公害につきましても、直接原因がはっきりしておるものとしてないものとありますし、また企業のみならず、地域住民生活様式の中から出てきますところの公害というものもあるわけでございます。その点について企業のみに責任を求めるというわけにいかない側面もある。そこで、地域的にはその全体を受けとめて規制をするなり、あるいはそれに対応する措置を講ずるということが出てまいることになりますが、その手法として考えられますところの規制以外の事業といたしましては、おおむね都市施設整備をするということによって相当防止施策というものが実行できるというかっこうになっておる。そういうようなことがあるのでございますから、その都市施設というものを、また個々ばらばらのと言っては語弊がありますけれども、それぞれの都市施設事業ということに一応分解することになるということで、それぞれの公害防止施策についてはそれぞれの対応する防止事業というものが都市施設整備中心として出てくる。こういうようなことから、全体の総合的な環境整備という観点というものをもっと根っこにして総合的に考えるというお話も確かにそのとおりだと思いますが、現状においては、いまの個々に行なわれます規制なり措置というものに対応して、そういう措置を受けとめていくということを考えていくということがまず出てきておるというふうなところがございます。  全体の制度のたてまえ、整備という点からいいますと、御指摘のような点がございますが、これはこれからもっと制度的にも今後充実をはかっていくという過程の中で、御指摘のような点も次第に定着させて充実をはかっていくということではなかろうかと思います。
  5. 門司亮

    門司委員 私は、いまの答弁の中に多少私ども考えたようなことがないではなかったように聞いておりますけれども地方自治体公害というものが、環境整備ということが地方自治体としては一つの大きな問題であります。それから企業公害については論をまたない、企業責任においてやるべきものであって、自分たちが金もうけをするために世間に迷惑をかけるというようなことは厳に慎まなければならぬ。かりにそれがどんなに世間に必要なものであると考えても、そのことのために利潤を得る人が大衆に迷惑をかけて、そして自分が利益を得るなんということは言語道断なことである。そういうものは実際はあまり議論する余地はないと私は思っております。  ところが、問題になりますのは、そういうものでなくて、地方自治体自身がやらなければならないもの、ちょっとさっきの答弁の中にありました生活様式の変化とか何か、ことばを変えて言えば、社会公害というのかあるいは都市公害というのか——今日は都市公害ということばは当たらぬと思うのです。むしろ都市であろうと町村であろうと、全体をひっくるめた公害であって、これは社会公害と言ったほうがはっきりすると思う。  そういうことを考えてくると、こういうさっきのような構想でこれを処置されると——私が言っておりますのは、産業との調和という文字はとったとはいいましても、公害基本法を貫いておるものは主として企業公害であると申し上げても差しつかえないのである。ただ、企業公害の中でこれをどう処置するかといったら、いま申し上げましたように、概念として、いまここでこんなことを局長に言ってもしようがないと思いますけれども、変えなければならぬのは、企業公共性というよりも、むしろ企業に対しては公益性を強くこの際要求する必要がある。いままでの概念としては企業公共性ということが非常に考えられておりました。結局何かつくるものが社会のためになるのだとして、いろいろなものをつくる。それから出る公害というのも実際は当然企業が持たなければならないのであるが、しかし、事業自身公共性を持っているというような考え方から来ておったと私は思う。しかし、そういう概念よりも、むしろこの際は企業公益性考えたほうが、私はここまで来れば確かじゃないかということである。そうすると、企業公益性から考えてくれば、全く公共性はあるが、しかし、公益性に欠けておる企業がその排せつ物その他に対してこれを除去するための責任を持つことは当然でありまして、私はいまのような答弁ではしようがないと考えております。公害基本法の十九条の適用はそういう意味で私はあまり感心しないんだ。むしろ二十条に書いてあるほうが、御承知のように普遍的のものを一応規定いたしております。十九条のほうはある程度限られておる。公害発生地がどうのこうのということで限られておりまして、むしろ二十条によったほうが、そういう公害に対する概念としての考え方からいけば、よろしいのじゃないかということを考えております。しかし、そういうことをいま局長と議論しても始まらぬと思います。  ところが、この公害の中で地方自治体施設の中で問題のある大きなものが一つ出てくる。それはいまの局長お話のように、社会の進化だ、どうだこうだということで出てくるのも二つありますが、そのほかに企業に対して当然地方自治体が非常に大きな施設をしなければならぬようなものが、私は公害防止の中には出てくると思う。一つは例の地盤沈下の問題をどう防止するかということである。地盤沈下防止しようとすれば、あれの原因が深井戸からの水のくみ上げだということになれば、地方自治体はかなり大きな負担をしなければならない。だから、十九条だけではその辺の問題がはっきりしないのじゃないか。地盤沈下というものをどうして防止するかということ、これが深井戸の水、地下水くみ上げだということを一応規定いたしますと、くみ上げを必要としないような施設をしていかなければならない。そうなると、そこに出てくるものは工業用水補給でありあるいは雑用水補給でなければならない。これを行なわない限りにおいては、地方の工場が水を必要としてその水の供給ができなければ、結局深井戸を掘る以外にない。東京あるいは横浜などの大都市はみんなそうです。夏のビルのクーラーの水をどこから一体持ってくるかということになれば、これも雑用水供給がなければ、結局深井戸にたよる以外に道はないということである。とれも一つ社会公害といえば社会公害といえるかもしれない。しかし、社会公害だからといってこういう仕事一つ企業あるいはビル責任を負わしたところで、これはいかんともしがたい。結局問題は、地方自治体が全部背負うというか、施設をしないわけにはまいりません、だから、公害発生の中でそういう一つの大きな企業責任だけで解決のつかない問題がある。解決つけようとしたって企業ではいかんともしがたいものがある。そういうものに対して一体どういうふうにお考えになっておるかということです。この法案で見てみると、ただ企業公害から出てくるものと社会公害とを一緒にして、そして地方自治体は何とかしていこうという考え方だけのようにしか、法案をどう読んでみてもそうとしか考えられない。ところが、いま申しましたような公害の中には企業責任だけで解決し得ない問題が一つある。これは何が何でも地方自治体なり国がやってあげなければ解決のできない問題がある。地盤沈下なんか明らかにそうである。そういうものに対してどう対処するつもりですか。
  6. 長野士郎

    長野政府委員 お話しのとおりでございまして、確かに、いまの公害防止というのが、企業が出す公害に対する防止施策というものが中心になっておるというふうに私どもも思います。その点では、企業が出すものでありましても、それだけに限ってみても、いまのお話のように入っていないものがある。地盤沈下とかそういうものはそうではないかという御指摘でございます。私どももそう思いますが、この場合は、企業責任といいましても、個々企業というわけではない。地盤沈下するのはどこがどうなって沈下するかということになると、なかなかむずかしい問題もあるようであります。しかしながら、それはそうでも原因ははっきりしておる。たとえば地下水くみ上げによって地盤沈下する、こういうことになるわけであります。  そこで、地盤沈下についてのいろいろな事業というものをいままでどう受けとめておるかといいますと、公害というかっこう基本は受けとめているわけでございますけれども、むしろ事業考え方としては、たとえば高潮対策事業というようなものにあらわれておりますように、一種災害復旧とか災害防除というような観点でものをとらまえておりまして、そこのところが問題のとらまえ方が少し違っておるということになるかもしれませんが、むしろそういう形でとらまえる。それから工業用水等につきましても、そういうことで地下水くみ上げ規制いたします場合には、工業用水道整備というようなことが必要になってくるというのも、一種公共事業的な側面があるというようなことから国の助成というようなものを考えていくというようなことになっておりますか、しかし、全部を考えていくという必要はないので、工業用水については、その負担は水を利用するところの事業者使用料というもので当然償うべきではないかというような議論も出てまいるわけでございますから、そういうことで、現在の工業用水道事業等についての地盤沈下対策としての措置というものが一応仕組まれておるというような形になっておりまして、個々事業についての個々対応を時代の経過とともに、また事態の起きましたとともに、しておるというかっこうがございますから、これをもう一ぺん洗い直して、総合的に考えて仕組み直すというかっこうにできておりませんところは、これは確かにあるわけでございます。それについてはそれなりの対応のしかたをしておる、こういうことだと思いますが、企業自体責任に属さないけれども、そういう意味での公共的な災害に近いものは、災害復旧なり災害防除なりという考え方、それから公共事業というような取り組み方、こういうものをまぜて考えておるというようなことになっておるわけでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 どうもその辺のけじめがつかないのですね。さっき言いましたように、地盤沈下に対して、ほとんど私は無関心でいやしないかという気がするのです、法律をずっと読んでみますると。私は地盤沈下というのは、これを防止しようとする高潮対策などというのはほんとうびほう策であって、地盤沈下に何の影響もありません。高潮対策なんて、どんなに高いコンクリートのへいをこしらえても、地盤沈下防止するわけにはいかない。地盤沈下というのは非常に重要な問題でありまして、高潮対策というけれども津波だとか、大地震だというような場合に、水がたまったらどうしようもないものができてしまう。これは国土防衛の中の最も大きな問題である。地盤が沈下するというようなことは、これだけ国土が沈下するのですから、はっきり言えば、国土がなくなるということですからね。だから、地盤沈下というのは、問題はそこまで考えてくると、普通の公害とは違うということなんです。工業用水をやるから料金を取ればいいというようなものでは私はないと思う。国土を防衛するという一つの大きなたてまえの上から考えれば、地盤沈下の問題については政府は積極的に触れなければならないと思う。そのことのために、さっき言いましたように、地下水くみ上げが悪いというなら地下水くみ上げをしないような、しなくても済むような施策を講ずる以外にない。それには、工業用水なり雑用水なりというものが、要するに、飲む水と異なった水でも私はいいと思います。そんなに飲む水ほど浄化しなくてもよろしいと思いますけれども供給するということは私はぜひとも必要になる。そういうものが公害対策の上でほとんど考えられていない。今度のこの法案を見たところで、そんなものはどこにも書いていない。  だから、私は、ほんとうに真剣に政府公害対策をやるとすれば、そういう国土に非常に大きな影響を持っておるところは何とか考えなければならぬ。このままほっておいてごらんなさい。だんだん国土が沈下してしまって、日本じゅう、富士山が沈むようなことはなかろうと思いますけれども、とにかく沈むところはだんだん沈んでいく。原因がわかっているというなら、その原因をどう防止するかということが最大の問題ではないか。こういうものは、これも産業を非常に成長させるという政府施策一つの私は大きな片手落ちのものだと思う。  大体公害自身政府の怠慢であって、政府がもう少しものを考えておれば、こんな事件は起こらぬはずです。ものをこしられて上から入れれば、下へ出るにきまっている。これは人間の生理と同じであります。政府のものの考え方は、上から入れることだけを一生懸命考えて、下から排出することをちっとも考えなかった、こういう結果が起こっておる。したがって、こういう問題についてはどうなんです。地盤沈下というようなものをこの法案の中にもう少し取り上げるわけにはまいりませんか。これは非常に大きな問題で、むろん工業用水ですから、通産省の関係があろうかと思いますけれども……。
  8. 長野士郎

    長野政府委員 地盤沈下対策事業というものにつきましては、いまこの法律の問題より前に、ほかの法律なり制度において一応措置がしてあるという考え方に立っておるわけでございまして、工業用水等関係につきましても、地下水くみ上げ規制するという場合には、補助率も高めておるわけでございますから、そういうことで、他に措置があるというものについては、今回この中に含めていないというかっこうに実はなっておるわけでございます。  そのいままでの措置が十分ではないという御指摘につきましては、これはまだ地盤沈下というものがいろいろな原因でなお進んでおるところもあるわけでございますから、今後検討をして実態に即するようにはもちろんしなければならないと思いますが、現状のところは、そういう考え方の上で整理をいたしておりますので、このいま御提案を申し上げておりますところの特例法の中には含めていないのでございます。
  9. 門司亮

    門司委員 私はこのことをなぜ執拗に言うかといいますと、政府が大体予定している地域にみんなあるのですね。地盤沈下という非常に大きな問題が出てきているのです。政府の指定している、今度やろうと考えている特定の地域というのは三つか四つでしょう。地盤沈下で除いておるものは新潟くらいだ。−いま政府の指定するものからはずれていますか、これは。このくらいがはずれておるので、あとは京浜地区にしましても、大阪地区にしましても、どこにしても、大体工業地帯というやつはみんなこれは入っているのですよ。そうして、これは単に小手先ではいかぬのです。下水道というものなら、穴を掘ってこしらえればいいのでありますけれども地盤沈下は、だから防止しようとすると、私がさっき申し上げたように、雑用水を持ってくるか、工業用水を持ってくるか、くみ上げている水の量よりはるかに多い量の水を持ってこなければ、これの防止はできないのです。だから、その問題は私はぜひこの中に入っていなければならぬはずだと考えておった。ところが、この政府案には、これは何もないのです。そういうことではこの法案を私はそのまま見ていくわけにはいかぬのじゃないか。あまりにも小手先だけではないか。どうなんです。もう少し念を入れて——さっき言いましたように、地盤沈下というのはたいした問題じゃないようなんです。高潮対策をすればいいとか、あるいは何か防潮堤でも、さっきの高潮対策でも何でもこしらえればいいというようなことで、ごまかしではいけないということです。これは国土一角が沈下しているということであって、国土の問題として相当考えなければならぬ。いつの間にか大きな津波が来るとか、大きな地震が来て防潮堤とか、みんなこわれてしまう。いつの間にかそこだけは沈んでしまう。国土がなくなってしまうのですよ。これは随所にこういうことは見られるのですよ。たとえば大阪でありまするが、行ってごらんなさい。従来島があったところが下がってしまって、その局が海のほうへもぐり込んでしまって、ないのがたくさんあるのです。大阪から神戸の港へ……。島一つだから、人のいない無人島みたいなものだから、沈んでもいいようなものでありますが、国土一角であったことには間違いないことなんです。これが沈んでしまったという現実に対する、そういう問題はやはり取り上げていく必要があるのじゃないですか。これはああいう小さな島だから沈んでしまってもいいという考え方があるのかもしれませんけれども、少なくとも東京の深川であるとか、尼崎であるというようなところ、私のところの京浜間でも川崎の一角は下がってしまっているということは事実でありますから、こういうものは防止しないといけないのだ。しかもその防止をするには、単に小手先だけの目に見えたものだけでなくて、そういう基本的の水道計画を立てていくということになると、これは国がこの際大きな何といいますか、アドバイスをしなければ、地方自治体だけでなかなかそこまで行き渡るものではないということ。同時に、最近の工業用水の値段なんというのは飲用水より非常に安いのです。コストは安いにきまっている。しかし、設備はこれからかなり私は大きな設備をしなければ、これの防止はできない、こう考えておりますから。  しかし、こういうことであまり長く一つだけ質問することもどうかと思いますが、この政府案の中には私はかなり大きな一つの欠陥を持っていると思う。あまりにも小手先の問題だけが考えられておって、ほんとうのものが考えられていない。こういう考え方をひとつ十分政府として考えてもらいたいと思う。  それからもう一つ、二つ聞いておきたいと思いますことは、この法律が、御承知のように、環境保全というものについての全体のワクの中から一体どこまでこれでカバーされるかということ等が明確になっていないということ。単に十九条を適用してくるということになりますと、私は非常に大きな問題がありはしないかと思う。こういう法律を出そうとするなら、むしろ十四の法律の親法に基づいた一つ一つの問題を取り上げる必要がなかったかということであります。それは法律のていさいとしては一応基本法という法律があるのだから、それからあとの十三はみんな出てきているのだからそれでいいのだという解釈も成り立とうかとは考えております。成り立とうかとは考えておりますけれども、この環境整備の中には、さっきの企業公害のほかに、局長も言ったように、社会公害というべきものがたくさんあるわけでありまして、したがって、それらの問題については、普遍的なものでなければ防止はできないのですね。なるほど法律の中には、読んでみますと、一つ地域公害が起こる、しかしその公害原因はもう少し上のほうにある、ほかの地域にあるのだ、その地域でもそういう策定をしてくる分には、何も限られた範囲だけでなくて、それらの点についても補助金は出すのだということに一応の法律のていさいはできているようでありますけれども、そこまで来るのなら、こういう特定の地域だけでなくて、普遍的にこの法律の適用はすべきではないかと考えられる。それがやはり公害防止でありまして、一方にはどんどん社会公害というのが進んでいるのでありますから、いま非常にはなはだしいところだけこう薬ばりしておけばいいという筋合いのものではないと私は思う。  だから、そういうものについて、自治省から先に聞いておきたいと思いますが、一体どういうお考えなんですか。ほんとう公害防止しようというお考えなのか、はなはだしいところだけを一応定めて、少しばかり金を出して何とかごまかしてと言うと、諸君はおこるかもしれないが、糊塗しておけばそれで事足れりという考え方では、この前の六十四国会ですか、あれだけ大騒ぎをやってたくさんの法律をこしらえた効果というものは非常に薄れてくる、こう思うのですけれども、その点はどうなのか。
  10. 長野士郎

    長野政府委員 公害につきまして、全般的に公害防止考えていくということにつきましては、御指摘のとおりだと思いますが、公害防止計画をつくりまして総合的に公害防止をしなければ、その防止の達成が著しく困難だという特定の地域について、重点的にその事業の執行を確保していくことが、全体から見ますと、公害の防除の目的を最もよく達成する一つの方法であるという考え方に立っておるわけでございます。  そこで、そういう意味公害防止計画をつくりました地域公害防除については総合的、計画的にやっていくというものの、そういうことになりますれば、当然事業量もふえますから、それについての執行を確保するための特例措置というものを中心にしておるわけでありますが、一面また公害防止事業といいますものは、先ほどからお話のありますように、一種企業公害という点では、これが一番重要な公害発生源であることは当然予想されるわけでございますけれども、住民の生活活動の中にも相当公害の要素というものもあるわけでございますから、そういうことも観念をし、かつまた防止事業の内容といいますか、事業そのものが都市的な施設整備する。逆に申しますと、都市的な施設整備の立ちおくれが今日の公害を一そう大きくしているということも反面言えるわけでございます。  そういう点で、本来都市整備すべき基本的な施設という性格を持っておるわけでございますので、この両面を考えまして、全般的に、たとえば下水道事業というようなものは、公害防止を計画的に行ないます地域のみならず、全国的に施設整備するというようなことが、新しい五カ年計画でも二兆六千億というふうな大きな額をあげておるゆえんでありますから、もうそういうことは全国的にやっていく。しかしながら、公害防止事業として集中的に一定期間にやっていって、防除の目的を達成するという点を中心にしてその事業の執行を確保していく、こういうかまえをとる。しかし、それだけでは特定地域だけの問題になりますが、同時に、この法律では土壌の汚染でございますとか、河川や港湾の浄化というような問題は、人の健康なり生活環境の健全な維持のためには緊急にそういうことが起こされることを防除する必要があるということで、そういう問題については地域外についても特定の事業の執行を特に確保するために、そういう事業についての特例措置を及ぼしていこう、こういうことにしておるわけでございます。全般を当然に考えて、普遍的に考えていくべきではないかという御指摘は、その点は確かにそのとおりでございますが、公害が集中しておるというところについての措置から、それを中心にして始めていこうというたてまえをとったのであります。
  11. 門司亮

    門司委員 そんなことではほんとうはどうしようもないと思っているのです。地方自治体公害防止しようとすれば、ほんとうに脆弱な資金しか持っておらない町村でも、もはやごみ焼き場はこしらえなければならないですね。下水はやはり処理しなければならぬですね。生活環境というか、生活様式が全く異なっておりますから、そんなものをほうっておくわけにはいかないですね。それから屎尿の処理にしたところで、これは当然やらなければならないのですね。どんな農村に行ったって、いままでのとおりでよろしいなんということでは済まされないですね。従来屎尿が有価物として肥料になっておった当時とは全然違って、いまはどうにもならぬでしょう。だから、特定の地域だけということ——むろん特定の地域は積極的にやらなければならぬことはわかっているけれども、その外の地域を積極的にこれを進めていかないと、特定の地域があとからあとからできてきて、施設があとからあとから追っかけていくことになって、いつまでたっても公害はなくなりはしませんよ。だから、政府のやっていることは、公害法をあんなに大騒ぎをやってたくさんこしらえたって、その一部分だけを何とかごまかしていこう——ごまかしてと言うと、諸君はおこるかもしれないけれども、何とか糊塗していこうという考え方に出ていやしないか。だから、そのことで自治省を幾ら責めてもなかなか言いにくい点もあろうと思うが、一体これで予算はどのくらいつけるつもりですか。
  12. 森岡敞

    ○森岡説明員 本日、委員会提出資料としてお配りしております表がございますので、これによりまして簡単に御説明申し上げます。  年次別の事業費なり国費の予定というのはいまだできておりませんが、全体の見込みを各地方公共団体から積み上げましたものがこの表でございます。  この三地区につきましての公害防止事業費は、一番下の合計欄の一番左に出ておりますように五百十三億でございまして、このうち補助対象事業費が三百四十三億円と一応見込んでおります。したがいまして、国費がその中で現行では百十三億円と見込んでおりますが、特例措置の対象になるものにつきまして特例を適用しました結果は、三段置きました次の欄、百四十八億というふうに見込んでおります。ただ、これにつきましては補助採択の状況が今後の問題でございますので、その状況によりましてなお数値に変動がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 門司亮

    門司委員 そうすると、もう一つ聞いておきますが、全国的にこれと同じような施設をやって、三年なり五年なりの間に国全体の環境整備をするということになりますと、この割合でいくということになると、どのくらいの予算が要りますか。
  14. 森岡敞

    ○森岡説明員 御承知のように、これは五カ年間でこの三地区につきまして公害防止計画を策定をし、それに基づく事業費の見込みでございます。全国的には五年間でどの程度の事業をするというデータはいまのところ持ち合わしておりませんので、ちょっといまの御質問の積算は私のほうとしては現段階では困難かと思います。
  15. 門司亮

    門司委員 そうすると、この前できた十四の法律というものの実施計画はない、こういうことになるんですね。ここの部分だけしかわかっていない、あとはわからぬ、こういうことでは、法律はできたけれども、どれだけお金が要って、その法律がどう動くかという実施計画は何もないんだ、ただ絵にかいただけだ、こういうふうに極端に解釈せざるを得なくなってくるのですが、それでいいんですか。
  16. 森岡敞

    ○森岡説明員 たとえば前国会で先ほど御質問の中にございました清掃でございますとかあるいはまた下水道、そういう関係法律がそれぞれ公害観点から改正されたわけでございますけれども、それに基づいて逐次各地方公共団体が清掃施設なり下水道事業実施していくということに相なると思います。ただ、それにつきまして、たとえば五年あるいは三年という期間内の国費をどういうふうに見込むかということにつきましては、現段階では少し資料が乏しい、こういうふうに考えております。
  17. 門司亮

    門司委員 大蔵省の課長さん見えているようですけれども、大蔵省としてはどうなんですか。いまの話では、これを一応策定されておりますけれども、法規課長と書いてありますから、あまり具体的なことを聞くのもいかがかと実は思っておりますけれども、全国的にかりに五カ年計画あるいは十カ年計画で公害防止しようというには、どのくらいの予算が国費として必要なのか、そういうことを計算されたことはございますか。自治省のほうではわからぬというんだから、大蔵省のほうは計算されたことがございますか。
  18. 戸塚岩夫

    ○戸塚説明員 お答えいたします。  公害防止対策事業全体につきまして、一定の期間にどの程度の国費がかかるかということをマクロ的に計算したことはないと思います。御承知のように、実体法のほうで下水道の五カ年の整備計画あるいは清掃の関係で五カ年計画というように、個々事業につきまして事業の計画をつくることになっておりますものにつきましてはございますが、公害防止という観点からとらえまして、一定の期間内において全国的にどれだけの事業費になるかということを見積もった作業は、やったことはございません。
  19. 門司亮

    門司委員 厚生省はどうです。
  20. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  私どものほうも別に数字的な意味で、財政的な数値として全国的な公害防止事業の総ワクというものを特段算定するという段階までには至っておりません。ただ、いまお話がありましたように、それぞれの事業ごとに、たとえば私どものほうでは廃棄物処理関係というような、そういう個別に一つの積み上げという方式は検討はいたしておりますけれども、マクロ的な意味でという考え方にはまだ立ち至っておりません。  なお、ついでに申し上げてたいへん恐縮でございますが、議論の対象になっております公害防止計画の策定地域につきまして、私どもとしては一応の腹案としては、現在までに一応取り上げたものを含めまして、全国五十一地区というのを当面の対象として考える。これらについて目下いろいろなマクロ的な意味での計数を集めて、その限りにおける経費というものをできるだけ早い機会に算定をいたしたい、かように考えております。
  21. 門司亮

    門司委員 私はおそらくそういうことではなかったかと考えているのですけれども、これはまだ政府のほうではっきりした公害対策についてのどれだけの費用が要るかとか、一体どういう施設をしなければならぬかというようなことは、まだ検討されていないと思うのです。公害が非常にうるさくなってきたから法律をこしらえたということであって、責任ある政府の態度としては、私はやはり実際はそういうものがなければならないと思う。ただ、地方から積み上げてきたものについて、これもそうですが、地方から積み上げてきたものについて幾らやっていくかということで——自主的に地方が一応考えるということは自沢体としては順序であります。順序でありますが、だからといって、これに対する国の心がまえというものがなければ、地方自治体だってなかなかそう簡単にいかぬと思うのです。さっきも申し上げましたように、人口一万か一万五千ぐらいの小さな町、それ以下の村で、ごみの焼却場もこしらえなさい、下水の処理場もこしらえなさいといったって、そんなものができるはずがないのであって、こういう問題については自治省はもう少し親切にやるべきだと考えておりますけれども、ここでそういうことを議論しても始まらぬと思います。  この法律の中で、私はさっき申し上げましたように、非常に大きな地方自治体負担というようなものが特別に施設の中で要る。地盤沈下についての考え方がないということは、そういう意味で私は非常に遺憾に考えております。このことは一般のごみの問題だとかなんとかいうのなら、実際は施行がわりあいに簡単なのです。  ごみにいたしましても、外国の例を引くと悪いですけれども、焼却場もさることながら、ごみの始末というものは、ローマの実態を見ても、大体一万人に二・八ぐらいのごみ収集の車を持っておるでしょう。日本の場合はこれの三分の一くらいの車しかないはずです。そうして車の機能というのは、おそらくローマのごみ取りあるいはニューヨークのごみ取りの機能から見れば、二分の一ないし三分の一ぐらいの機能しか実物は持ってないんじゃないですか。非常におくれている。  だから、そういうものを完備してあげて、そうしてたとえばこの公害防止についての問題をどうするかということ等についても考える必要がありはしないかということ、そういうことがこの法律をどうひっくり返してみても、私は、完成されておる、これでいいんだということは言い切れないのです。ほんとうに場当たりのものだけで、どこでもあなた方のほうでごらんになればわかるのですけれども、見てごらんなさい、そういうものがほんとう考えられておるか。具体的なものというのはほとんどないということであります。そうして具体的なものになると、政令で定めるなんということを書いてある。私はこういう法律が、しかも十四の法律を出して、まだ三月の半ばですから、政令のできるのはまだ事務的にはかかるかと常識的に考えていいと思いますが、私の時間というのはあまりございませんので、最後に聞いておきたいのは、一体この十四の法律に対する政令がいつ出るのか、それからこの法律によるさらに政令政令みたいなものでありますが、一体いつごろ完成して出てくるのか。そういうものが完全に出てないうちに法律を先に審議しているのです、実際は。私どもから言わせていただくと、やはり法律の内容その他をずっと検討していこうとするには、十四の公害法政令というものが出てきて、そうして事業に対する国の責任というものがどこまで来ているのか、地方自治体がどこまで責任があるのかということが具体的に示されたあとでこういう法律が出てくるなら、まだ法律の審議のしようもあるのでありますけれども、実際は親法だけができておって、そうしてほんとう実施計画というものが十分わからないで、そうしてその実施計画に基づく法案が出てきても、具体的にはなかなかわからぬのです。これを総合して自治省で答弁するのはどうかと思いますけれども、当面法律を出した責任上、どういうことでいつごろこれが出てきますか、それだけ最後に私は明確に聞いておきたいと思います。
  22. 立田清士

    ○立田説明員 十四法に関連いたします政令、省令の作成の件でございますけれども、私らのほうでお答えするのはちょっといかがかと思いますが、各省にまたがりますけれども、一応私どものほうで承知いたしておりますのは、大気汚染防止法をはじめといたしまして、法律自体の施行は、大体一般的には十二月に公布になりましてから六カ月を経て政令で定める日から施行することになっておるわけでありますが、その法律が六カ月後に施行されますまでの間において政省令が制定される、こういう予定になっております。  それで、個々法律によりまして、政令なり省令の作成時期が、その内容のむずかしさ、やさしさその他の関係で若干違いがございますが、早いものは、いまの予定でいきますと、四月ごろからきめられてくるのではないか。そして一番おそいので、大体六月の法律施行の前までにきまってくる、こういうような予定を各省のほうでそれぞれ組んでおられるようでございます。したがいまして、いまの段階で、まだはっきり、どの法律政令がいつごろだということは確定はしておらない、こういう状況でございます。  なお、現在御審議いただいておりますこの財政特別措置法の関係政令関係法律が制定された上でございますけれども、それは、いまの十四法の関係政令、省令に合わした時期にきめられるという予定になるのではないか、そういうふうに考えます。
  23. 門司亮

    門司委員 それから政令のことでもう一つ聞いておきたいのでありますが、この法律自体の政令というのは、これは範囲がはっきりしていないんですかな、いま出されている法律政令の範囲というものは。ただいろいろなものについて「政令で定める」としか書いてないのであって、大体どの辺までを予定されておるのか、どういう事業を一体予定されておるのか、それはわかりますか。
  24. 長野士郎

    長野政府委員 第二条の、「政令で定める事業」という、まだ今後残されておる仕事というのが実はあるわけでございます。この点につきましては、現在一応検討しておりますのは、住宅移転の関係事業、それから畜舎の移転の事業というような事業について検討をいたしております。なお、今後この種の公害防止事業につきましても、こういう立て方をいたしましても一、個々の問題にまたなお対応していくためには、十分制度的に確立をしておりませんから、必要なものが逐次出てくる——といっても、あまり出てきてはよくないのでありましょうけれども、出てくるおそれもございますので、そういう意味で、すっかりいま見通しが立ち得るというわけではないのでございますが、現在一応検討しておりますのは、いま申し上げました二つの事業でございます。
  25. 門司亮

    門司委員 私ども、さっきから言っておりますように、親法の政令は、これは法律の定めるところで、さっき申し上げましたように、三月の半ばに出せと言ったってそれは無理だ。そういうものが明確になっておらない。この法律政令にゆだねた部分が大体いまお話しの程度であるとすれば、もう少しはっきりした政令の範囲であり、具体的にそういう問題を明示してもらわぬと、自治省のほうでも予算の見当がつかないのじゃないですか。どれだけお金をやるとこの表には書いてありますけれども一、これは概算で、大蔵省と話し合って、このくらいでよかろうということで出されておると思いますけれども、積み上げ方式にはなっていないのじゃないかという気がするのでありまして、そういう点は、もう少し、この審議が終わりますまででいいですが、この法だけでもいいですが、政令についてのお考えをひとつ明確に示しておいてもらいたいと思います。  私はなぜそういうことを言うかといいますと、このごろの法律を見てみますと、ややこしいやつはみんな政令にゆだねる、こう書いてあるんですね。国会議員は全くつんぼさじきなんです、実施計画については。おまえたちのほうはただ条文だけ覚えておけばそれでいいんだ、あとはおれのほうがやるんだという、官僚の最も悪い行き方なんですね。われわれのほうでやはり見なければならぬと思うのは、この金がどういうふうに、どれとどれとどれにどういうふうに使われるかということも見なければ、ほんとの審議にはならぬのですよ。ほんとうに、このごろ、これは総体的に言えると私は思うのだけれども政令事項が——昔の法律で見てごらんなさい。昔の法律はそんなに政令事項なんというものはなかったはずである。昔は、政令がなくても勅令があったりなんかする、枢密院関係でできるものがあったからそれでカバーした、というかもしれないけれども政令というのは、御承知のように、次官会議で大体きめられるのでしょう。あと閣議で承認するかどうかの程度であって、しかもそれがほんとう法律の運用でものをいってくるということになると、法律審議をしているわれわれの立場から考えると、ある程度政令の内容というようなものが示されてないと、少しややこしいものは政令と書いておけばそれでいいんだ、こっちへまかしておきなさいということで、私は政府を信用するわけにはいかぬと思うのですよ、実際は。だから、これの終わりまででよろしゅうございますから、この二つだけではないと私は思うのです。まだほかに考え方がなければならぬはずです、政令と書いてある条文のところを読んでみますと。だから、それをひとつ、審議の終わるまででよろしゅうございますので、大体どういうことを予定されておるか、ひとつはっきりこの機会に示してもらいたいという資料要求だけをいたしまして、きょうの質問は終わらしていただきます。
  26. 菅太郎

    ○菅委員長 山口鶴男君。
  27. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 門司先生から冒頭にお尋ねのあった件でありますが、   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 この法律によりますと、公害対策基本法第十九条二項による公害防止計画に基づいて実施をする公害防止対策事業にかかわる経費について財政上の特例を講じようというのが、本法案の趣旨のようでございます。そこでお尋ねをしたいと思うのですが、大臣がお見えになっていないわけでありますが、財政局長は、昨年の暮れの公害国会の参議院の連合審査会で、わが党の加瀬委員が提起をいたしまして、それに対して政府が再三答弁をいたしまして、これがくるくる変わりまして、最終的に統一見解を出されたわけでありますが、その統一見解の件につきましては十分御存じだと思いますが、いかがですか。
  28. 長野士郎

    長野政府委員 その当時から、参議院のお話は私ども伺っております。
  29. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、今回の法律は、その政府の統一見解に照らして、どういう経費についてどういう形で国が責任を持とうとしておるわけでありますか、その点をお答えいただきたいと思います。
  30. 長野士郎

    長野政府委員 今回の特例法におきましては、公害防止事業として、通常、水質の汚濁の関係でありますとかあるいは大気汚染等の関係、騒音もございますが、そういうような点につきまして、一応通常公害防止対策事業として用いられる事業について国と地方におけるところの負担割合を——負担割合といいますか、国の補助制度がないものもありますが、ないものには新しくつくり、それから現在あるものも、それの財政負担を国のほうを多くいたしまして、財政上の特例措置をつくっておる、こういうことでございます。
  31. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 統一見解はこうなっておるわけですね。高辻法制局長官が報告をしたわけですが、「公害対策については、公害対策基本法の定めるところにより、国と地方公共団体の責務が明らかにされております。すなわち、国は公害防止に関する基本的かつ総合的な施策の策定及び実施責任を持っているので、この意味で、先ほども出ておりましたが、第一義的な責任を有するものであります。地方公共団体は、当該地域の自然的、社会的条件に応じた公害防止に関する施策の策定及び実施の責務を有しますので、その地域公害対策の第一次的な責任を持っているものであります。ところで、地方公共団体は、地方自治法の定めるところによりまして、本来、住民の健康及び福祉の保持の責任を持つものでありますから、地域公害防止に関する権限を持っておりますが、全国的な見地から画一的に実施する必要があるものにつきましては国と地方公共団体が分担、協力することとし、その権限の行使につきましては地方公共団体の長に行なわせるという、いわゆる機関委任の形式をとることが適切であるとしたものであります。  次に、経費の分担の問題でございますが、地方公共団体の責務に属する事務及び事業にかかわる経費につきましては地方公共団体が支弁し、そのうち機関委任されているものの財源につきましては国が必要な措置を講ずることとなるものでございます。」こう答えておるわけです。そのあと山中総称長官がさらに説明をいたしまして、政府の統一見解は、国が行なうものと地方が固有事務で行なうものとを分けたものだ、公害防止事業企業が全面負担するのが原則だが、公共事業として行なう場合、まず企業負担し、残りを国と地方負担するというもので、国の責任を回避しているものではない、こう答えておるようであります。そうしますと、結局、国が機関委任の形式をとっておりますこの事業、これにつきましては、国が必要な措置を講ずることになるんだということを言っておるわけですね。今度の公害防止に対するこの法案を見ますと、十九条二項に規定した公害防止計画、これについてはその補助金のかさ上げをする、その他については、ごく一部のものを除いては、やらない、こういう形ですね。そうでしょう。そうしますと、こういうふうに限定をするのは、私は高辻法制局長官それから山中総務長官の統一見解からして、おかしいんじゃないかと思うのですよ。国が機関委任されている事業は、何も公害防止計画を総理大臣が策定した地域だけに限らぬわけでしょう。ほかにだって機関委任されている事項というものがある。そちらのほうは補助金のかさ上げはしない、十九条の二項によるところの公害防止計画を定めた事業についてのみ補助金のかさ上げということでは、私はこの統一見解にそむくことではないか、かように思うのです。この点はいかがですか。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 法制局長官の申しておりますものは、公害関係の経費全体についてのお話を申し上げているものと私は理解をしておるわけですが、その中には大きく分けまして二通りの仕事が入っておる。一つは、いわゆる行政権限に属する問題でございます。つまり、主務大臣とか国の権限に属する主として公害規制措置を講ずるようなものあるいは監視するようなものにつきまして、その行政権限の委譲に伴いまして考えていく、これを機関委任というような形でも言及をしておるのだと思いますが、つまりそういう意味での権限行使のために必要な経費と、それからもう一つは、公害防止事業といいますところの事業を行なう事業費といいますか、事業に要する経費ということになります。その点で、今度御審議を願っておりますところの財政上の特別措置に関する法律が内容としております対象事業は、むしろそちらの事業のほうを中心にしておるということに相なるわけでございます。これらの公害防止事業につきましては、これは機関委任と申しますより、どちらかといいますと、都市施設そのものであるものが大部分でございますから、そういう意味では、地方団体それ自体の仕事でございます。地方団体それ自体の仕事公害防止事業としても非常に有効な働きをするので、公害防止という面から見れば公害防止対策事業になってしまう、こういうことだと思うわけでございます。  そこで、確かに、公害についてのいろんな規制なり事務的な処理を国の権限としてとらまえましたものを地方に委譲するなり地方に委任をしてやらせるという事務的な処理、これはお説のとおり、全国的にその規制権限を都道府県知事あるいは市町村長が行使するわけでございますから、この点につきましては、一般的に事務的な経費を中心にいたしましての措置ということが行なわれているというふうに私どもも思います。それから、このいま御審議願っております法律防止事業中心にしておりますから、そういう意味では、地方団体団体自体の事業というものになるわけでございますが、その面につきまして、特にこれを集中的に行なうところについての地方財政負担地方だけにまかしておかないで国としても負担を分かち合うという意味で、いままでの補助率の低いものやないものについて特例措置を講ずる、こういうことで措置をいたしたいと思っておるわけでございます。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ですから、その事業実施するにあたって、何も十九条二項でいう総理大臣が指定した公害防止計画の地域、それだけにかさ上げをするというのでは片手落ちではないのかということなんですよ。国が委任をしてやらせております公共事業というのはずいぶんあるわけで、それは何もこの特定の地域に限るわけではないわけですから、そういたしますと、当然公害対策基本法第二十三条にいうところの「国は、地方公共団体公害防止に関する施策を講ずるために要する費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。」こうあるわけですから、やはり十九条だけ引っぱってこの法律をつくるということはおかしいのであって、当然二十三条を引用し、そうして、何も地域も十九条二項にいうところの公害防止計画地域に限定をしないで、より広く、公害防止事業を行なうものについては当然この補助率の引き上げをする。言うならば、社会、公明、民社三党共同で私ども出しました、わが地方行政委員会の名誉自治大臣ともいうべき門司先生が提案をいたしましたこの法律案のほうが正しいのではないか、かように私ども考えるわけです。何で二十三条を引用せず、しかも特定の地域にだけ限定をしてやるということでは私ども納得いかないと思うのですが、いかがですか。
  34. 長野士郎

    長野政府委員 どうも議論にわたりますのであれなんでございますけれども、この法律公害対策基本法とのつながりは一体どこにあるかということになりますと、形式的には、実は二十三条というものを受けておると申していいと思うのであります。ただ、二十三条を受けておりますけれども、この二十三条を受けながらその特別措置の対象になります地域というものを、十九条に基づく公害防止計画を立てましたこの計画に基づくところの防止事業中心にしておる、こういうかっこうになっておるわけでございます。これはまあ形式的なことだということにもなりますけれども、一応そういうたてまえに実はなっておるわけであります。  そこで、問題は、公害防止計画を立てましたところの地域だけというわけじゃございませんけれども、それを中心とすることなしに、広く地域全般をやるべきではないかというお考えだと思います。私どもも必要な事業についてはもちろん、また公害防除ということを広い観点から考えました場合には、当然そういう考え方はあると思います。そこで問題は、現実問題としてどこから手始めにしていくかというふうに、いろいろな事情なり条件の中でこれを整えていくということになりますと、いろいろ理想的な形と現実的な形ということになりますか、そういう問題になってまいるわけでありまして、その場合には、やはり公害防止計画をつくって短期に総合的に大量の事業実施していくというところを中心にして考えていくということ、このことが公害防除の目的を達するといいますか、その防除の効果というものも最もよくあげることになるのではないかという点で、現実的な形というものをこういう形で整えてきた、こういうことだと申し上げるのが一番正直といいますか、ほんとうのところだということを御了解願いたいと思います。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 まあ地方自治団体のこの財政状況を一番よく知っているのは自治省のはずであって、そしてまたその公害防止事業につきましても、何も総理大臣が指定をした著しい公害地域だけでなしに、他の地域公害防止事業が必要であるということも自治省は一番よく知っているはずだと思うのです。知っていながら、こういう法律を出さざるを得なかったというところがむしろ問題ではないのか。そしてまた、この法律公害基本法二十三条を引っぱっているんだ、こう言っているわけなんですから、引っぱっていると思っているんなら、ここへ書けばよろしいのであって、そういうことを書かないのも、なぜそういうことを書けなかったのかというところにも一つの問題があるのではないかと思います。  しかし、そういうことは大臣や山中総務長官がまた当委員会にお見えの際に議論をするといたしまして、この際は自治省が大蔵省その他に対して弱腰であったために、まあ気持ちでは大いに二十三条を書きたかったし、その他にもかぶせたかったんだが、現実はこうなったのであろうというふうに推察をいたしまして、この点はお尋ねを一応やめておきたいと思います。もっと財政局長にがんばっていただかなければならぬ、こういう私どもの要望を申し上げて、この問題は終わりにしておきたいと思います。  それでは次にお尋ねしたいのは、この補助率の引き上げが行なわれまする事業が非常に限定をされております。特に政府は本年度の公害対策予算九百二十三億といっているわけでありまして、そのうちの三分の二は下水道関係の予算を計上しておるわけであります。したがいまして、政府が行ないます公害防止事業というのは、大半は下水道事業なんだ。しかし、その下水道事業がすべて補助金かさ上げになるかといえば、全くそうではない、きわめて限定されたものでしかないということは、たいへん私ども残念に思います。しかし、そういう点はあとで土井委員その他からお尋ねがあると思いますから、私は一応省略をいたしておきたいと思います。目玉ともいうべき下水道が、しかもすべてではなくてずいぶん制約されているということでは、たいへんこの法律としては意味がないんじゃないのかという考え方を申し上げておきたいと思います。  一つだけ聞いておきましょうか。なぜこんなに制限せざるを得なかったのですか、下水道の問題について。もっと全般にかぶせたらいいんじゃないですか。
  36. 長野士郎

    長野政府委員 端的に申しまして、下水道事業につきましては、今度新しく五カ年計画でつくりなおしました。そして二兆六千億というような事業規模で急速に推進をはかっていきたい、こういうことでございますが、この点は公害がある地帯ない地帯ということだけではなくて、むしろ全国的に都市基本施設として急速な整備が要求されておるというのが現状だと思います。したがいまして、そういう意味で、全国的にこの事業を推進するということが必要だという考え方が非常に強いわけでございます。そういう意味では、今回の五カ年計画に対応いたしまして、地方財政計画におきましても四十六年度二千五百億を予定いたしておりまして、五カ年計画の事業に十分地方団体として対処できるような財源措置は一応いたしておるつもりでございます。  ただ、公害防止計画をつくりました地域におきましては、テンポといいますか、そういうものもかなり早めて行なわなければならないというようなかっこうになってくるわけでございますから、その点で公害防止計画区域における下水道事業というものをどのように考えるかということが問題になるわけでございます。この場合、一般的に都市基本施設だといってしまえばそれだけでございますけれども、やはり終末処理事業等につきましては、それが水質の関係においては公害防除としての一番の役割りを果たすわけでございますので、事業量の多くなりますことと、短期間に整備することとをあわせ考えまして、終末処理施設については少なくとも他の地域と違って国の補助率を引き上げるということにいたしたい、こういうことにいたしておるわけでございます。  また、それ以外におきましては、たとえば起債の資金的な措置関係でございますとか、あるいは交付税措置というようなものも、やはり計画区域におきましては非常に大量に短期に事業実施するという点も考えまして、特別な配慮をしていきたい。ただし、それも全体の下水道実施というものとの関連において考えるということでございますので、いま御提案申し上げておる程度にいたしておる、こういうことでございます。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 過般の当委員会で、地方財政計画、地方交付税法改正案と関連して、何とかさんの四兆円ビジョンというのを議論いたしましたが、結局この二兆六千億にこだわっているようですけれども、ある人が何とかビジョンというものを出せば、まあ新経済社会発展計画なり地方財政のビジョンがあっても、幾らかその辺は動くこともあるのじゃないかというような話も出ておりましたがね。ですから、そういう話からすれば、二兆六千億も何も固定化することはない、もう少しゆとりを持ってお考えになってもいいのじゃないかと思います。しかし、それは感想ですから、お尋ねはいたしません。  あと、公害債があるわけですが、結局総理大臣の指定した地域、不交付団体があるわけですね。そうしますと、不交付団体では元利償還の基準財政需要への算入というのは、これは全く意味がない。したがって、下水道の措置をいたしました場合、これだけの措置では、不交付団体が現に四日市のごとくある、それからさらに三地区の次の三地区ですね、いずれも不交付団体だと思うのですけれども、そういうものにはまことに実益がないということについては、当然自治省も何らかの方法をお考えになっていると思うのですが、この点はどうですか。
  38. 長野士郎

    長野政府委員 今度の財政上の特別措置は、通常でございますと、公共事業等につきましての補助率かさ上げという場合には、いわゆる財政力勘案という方式が常にとられるわけでございますけれども、そういうことと公害防止事業との性格がやや違いはしないかというような問題を含めましていろいろ検討いたしまして、別表に掲げまして一律に補助率アップというものをはかっていくということで、やはり公害防止事業の性質というものも加味して考えました結果が、交付団体、不交付団体を問わないで一律にかさ上げというものを働かせる、こういうことに配意いたしたわけでございます。その点では不交付団体もこの特例措置というものは有効に働く特徴を持っております。  それから下水道の関係でございますが、この点では元利償還の交付税算入というものは、交付税の計算上不交付団体にも当然働きます。これはもう御承知のとおりでございますが、ただ、それが現実の交付税として出てくるかという問題になりますと、それによって算入しましても、なおほかに交付税上の超過財源のありますところにはもちろん交付税としてはまいらないということに相なるわけでございます。そこでいろいろ検討もいたしたわけでございますが、一つは、この法律案の四条の二項に書いておりますように、資金について良質な資金をなるべく回していくという考え方一つと、それからもう一つは、不交付団体につきましては起債の充当率を上げていきたいということで、通常の場合は補助事業のそれの地方負担の半分というものを充当率にいたしておりますけれども、これをさらに一〇%上げていきたいということで上げることにいたしておるわけでございます。そういうことで不交付団体についての元来財政的な問題からいいますと、不交付団体についての措置を交付団体以上に考えていくということについてはいろいろな議論もあるわけでございますが、そうはいいましても、これらの地域における不交付団体は特別多くの仕事をいたすわけでございますから、その意味では、財政的に必ずしも余裕があるというふうにもいえないわけでございますから、したがって、そういう措置もぜひ加えてまいりたいということにいたしておるわけでございます。そうしていま申し上げましたような不交付団体といいますのは、これは市町村を中心にして考えているわけでございますが、その市町村についてはそういう措置を加えたい。  ただ、それにいたしましても、さらに実は全体の量のこなし方の問題からいたしまして、いまの具体の三地区におきましても、地区によって事情が多少違います。違いますが、必ずしも十分に消化できるという保証もないところも出てきやしないかというふうにも考えております。そういう点につきましては、個々団体事業執行の確保のために、全体の財政需要を見ながら、特別に公害防止事業を計画的に実施するということについての一つの国家的な役目というものを一面には負わされたというかっこうでありますので、そういう団体での事業確保のためにどうしても必要があるという場合には、特別交付税等の措置考えてまいりたいと考えております。
  39. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは次に、わずかに総理大臣が指定いたしました公害防止計画地域以外でこの法律の適用になります部分、この問題をお尋ねいたしたいと思います。  結局、公害防止計画が定められていない地域において実施される公害防止対策事業で一の(5)から(7)までに掲げるもののうち、自治大臣が主務大臣及び環境庁長官と協議して指定するものにかかわる経費についても、国は補助率かさ上げをするということになっておるわけでございまして、この(5)と(6)が問題になるわけですが、この(5)、(6)、具体的にはどういう地域を想定されておられるわけでありますか、お答えいただきたいと思います。大石政務次官ならなおいいのですが、いませんから……。
  40. 長野士郎

    長野政府委員 これは先ほども申し上げましたように、水質汚濁によりまして人の健康なり生活環境に影響が非常に著しい、現状のまま放置することはできないというような水域について考えるわけでございますが、そういう水域についての浄化施設施策というものを行なう地域を指定するということでございます。抽象的にはそういうことなのでありますが、具体的には、これは現在主要な公共水域につきまして関係省庁において調査をいたしておりますので、それらの調査の結果を見ながら関係省庁と協議して措置をしてまいりたい、こう思っております。  それから農業汚染いわゆる土壌汚染と申しますか、その関係のものにつきましては、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律地域指定というようなものも十分参考にしなければなりませんが、また現在農林省あるいは厚生省におきまして、いわゆる地域の指定をいたします前提としていろいろ調査したり観察をされたりしておる地域があります。これらの結果も参考にいたしながら、そういう地域中心にして指定をする、結局はそういうことになろうかと思います。関係省庁との協議でございますから、それらの省庁で最も指定の必要があると思われるものの意見一致を見ましたところで指定をしていくということに相なると思います。
  41. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 (5)はずばりいえば、田子の浦のヘドロ公害というのが当然対象になるだろうと思います。  そこで、問題は(6)ですが、そうしますと、これにつきましては、農用地の土壌の汚染防止に関する法律、これが昨年の公害国会で制定をされまして、その法律でいう農用地土壌汚染対策地域、これを考えているのか、これだけではなくて、それ以外の地域考えるのか。それからまた具体的な地域でいえば、たとえば黒部なら黒部で農用地土壌汚染対策地域を知事が指定するわけですが、その場合政令の範囲で都道府県知事が指定しようとするわけですが、その地域をある程度ふくらますということもこの法律は想定しておるのですか。その点はいかがですか。この法律でいう対策地域ずばりなのか、それよりも広がるのか、また、地域としてはこの指定された地域以外の地域をも想定をするのかという問題です。
  42. 長野士郎

    長野政府委員 その点になりますと、実は現在農林省、厚生省を中心にしていろいろこの地域についての調査を行なわれておるわけでございますけれども、いまお話がございましたいわゆる市町村対策地域につきましても、どういう具体の内容と範囲になりますか、まだはっきりと確定を見ていないようでございますが、結局常識的な私ども考え方から申しますと、いわゆる対策地域中心にして考えていくということになるだろうと思いますけれども、この点につきましては、なお関係各省とよく実態を——実情を検討されました結果の御意見でございますから、それをよく調整をいたしまして定めるようにしてまいりたい、こう思います。
  43. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 またあとで長野さんにお尋ねしましょう。  農林省が来ておられますから、お伺いしたいと思いますが、農用地の土壌汚染防止に関する法律、この第三条の「農用地土壌汚染対策地域の指定」、この指定を行ないます場合の「政令で定める要件」というのが第三条にありますが、この政令案はできていますか。およそどういう考え方政令になる予定でありますか。それをまずお伺いいたしましょう。
  44. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいま先生、御指摘のように、法三条で、政令対策地域の指定の基準をきめるわけでございますけれども、大体われわれの考え方は、玄米中に一PPM以上あるということをもって一つの基準にいたしておりまして、それ以上のところを土壌汚染対策地域というふうに考えておりますけれども、しかし、なかなかその分布が散らばっておりますものでございますから、その一PPMというのをどこら辺まで広げていくかということでございまして、われわれは、その法律の中にも書いてございますように、近き将来一PPMになるだろうという懸念のあるようなところも実際の対策としては行なったほうがよろしいと思っておりますので、その範囲をどのくらいにするかということを、現在各方面の資料を集めまして検討している次第でございます。
  45. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、玄米中一PPM以上いわゆる有害物質として厚生省が指定した薬品、それが検出されたところは、ずばり政令でこれは当然きめる。しかし、将来一PPMになるであろうという地域も当然考えるということですから、一PPM以上ずばりということではなくて、ある程度玄米に一PPMに近いものが検出された地域も当然対策地域として考えるということですね。  そうしますと、そのおそれあるものというのは、玄米の中に占めるカドミウムの量からいえば、一体何PPMくらいを想定しておられるのですか。
  46. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 たいへんむずかしいお尋ねでございますが、そこのところを現在検討中でございますけれども、もうひとつ土地改良をやる場合に、非常にばらばらなところを取り上げてやるというのは、投資の効率という面から見て、非常に非効率でございますので、あるいは一PPMに達しないところでも、それを含めてやったほうが効果的であるという場合もございます。でございますから、そのような地域を、どのように対策地域を線引きするかという問題でございまして、それについて現在検討中でございます。
  47. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうもたいへんはっきりしないので困るのですが、いま一つ特別地区というのがありますね。特別地区については政令云々というのはないのですが、この特別地区というのは、一体どういうものを想定しておられるのですか。
  48. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 特別地区というのは、一PPM以上ということをわれわれは考えておりまして、ことに、そこでいろいろの農作物等が栽培されたときに、その収穫物を食べることによって人間の健康に被害があるというようなところを限定してまいりたい、こう考えております。
  49. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、特別地区は一PPM以上、対策地域は一PPM以上ないしは一PPMになるおそれのある地域ということですね。  そうしますと、次に農用地土壌汚染対策計画を立てるわけでして、これは農林大臣の承認が要るわけでありますが、この農用地土壌汚染対策計画を立てて、そうしてこの法律でいいますところの「客土事業施設改築事業その他政令で定める土地改良事業」これを行なうことになるだろうと思うのですが、その地域は一体どういう地域なんですか。指定地域なんですか、特別地区なんですか、そのいずれでもない中間になるのですか、あるいは指定地域よりも広い地域になるのですか、この点はどうです。
  50. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 土壌汚染防止法の体系といたしまして、まず対策地域というのをきめるわけでございますが、その対策地域の中で対策計画を立てていただくことになります。その対策計画というのは、土地改良事業もございましょうし、あるいはほかの作物への転換ということもございましょうし、あるいはその農地を他に転用して工場なり住宅なりというそういう方法もございましょう、いろいろ方法はあるわけでございますが、その中で、特に農作物をつくってその収穫物を食べることによって人間の健康に被害があるというところをとって、特別地区ということで線引きをするということに考えております。でございますから、対策地域のうちで対策計画の中に入ってくるいわゆる土地改良計画というのは、それがどのような計画でございましょうか、まだ想定をいたしておりませんけれども、それが全部本法の土壌対策なり土地改良対策なりということはただいま判断できないわけでございます。あるいはそれより大きい地域になるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、一PPMをどのくらい下のほうに幅を持たせるかということにかかってくるわけでございますから、対策地域をきめる場合の政令の基準ということに相なってまいりまして、現在政令を準備中でございますが、その点について先ほど申し上げましたように、現在慎重に検討中である、そういうことでございます。
  51. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 さっぱりわからぬですね、みな検討中というんじゃ。  それでは、今度自治省に聞きましょう。自治省は法律を出したわけですから。「農用地又は農業用施設について実施される客土事業施設改築事業その他政令で定める土地改良事業」これを行なう地域は一体どういう地域考えているのですか。いま農林省の考え方は聞いたわけですね。これはどういうことになるのですか。
  52. 長野士郎

    長野政府委員 先ほども申し上げましたように、農用地対策地域中心にして考えていくということに結果はなると思います。農林省からもお話がありましたが、土地改良事業というようなものは、実際その地域だけには必ずしも限らないので、もっと地域を広げて考えていかなければならないという場合もあるだろうと思いますが、そういう場合には、やはりそれを含めて考えていくということ、これは当然だろうと思います。したがいまして、その点につきましては、具体的な御検討を農林省でやっていただいておるのでございますから、その検討の結果に基づきまして十分協議をいたしまして、適切な事業の指定といいますか、地域の指定というものと事業との調節ということを考えてまいりたいと思います。
  53. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 とにかく農林大臣と自治大臣と環境庁長官が協議をして指定するということになるのですから、これは農林省は農林省の考えがあるでしょうが、自治省は自治省として特に地域住民の立場に立った明確な見解というのがあってしかるべきだと私は思うのです。  そこで、「環境庁長官」というのがありますから、公害対策本部にお尋ねをいたしましょう。企業負担に関する法律がありますね。客土事業、排土事業をやる場合は二分の一ないし四分の三の間で事業者負担がかかるわけでありますが、この事業者負担がかぶる地域は、一体どの地域考えておられるのですか。
  54. 植松守雄

    ○植松説明員 いまお尋ねの事業者負担法では、いわゆる事業の施行者、通常地方団体でございます。もし排土、客土の事業でございますと、都道府県知事になると思いますが、定義のところに書いてございますように、都道府県知事が公害防止事業として施行する——公害防止事業とし施工ずるというのは、これは手続がございまして、この公害防止のための費用負担計画を定めて、一定の手続にのっとって施行していく、こういうことになっておるわけでございます。そこで公害防止事業として施行するということでございまして、それについては別に実態的なワクと申しますか、どういうものを公害防止事業として実施するのかということについての実態的な制約はないわけでございます。そこで、都道府県知事がある事業公害防止事業として実施するかしないかということを判断して、所定の手続にのっとって、それでかつ審議会の意見を聞いてやっていくというたてまえになっておるわけでございますから、それについて、この事業法自体については実態的な規定はないということでございます。  ただし、現実の問題といたしましては、この土壌汚染の防止対策としましては、いま農林省からも御答弁がありましたように、特別に土壌汚染防止のための特別法が出ておるわけでございますから、全国で特に土壌汚染防止対策が必要になる地域については、当然その対策計画が立てられるであろうというように考えられます。そこで、実際問題としては、事業者負担法もその特別法にのっとって、そこで対策計画が立てられた地域中心になるだろうということになると思いますけれども事業者負担法そのものはそういう地域でなければならないということにはなっておらないわけでございます。
  55. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 政令もきまっていないという段階の中で、たいへん雲をつかむような話なんですが、現実にカドミウムの汚染地区ですね、鴬沢あるいは磐梯町あるいは黒部、安中あるいは対馬、そして奥岳川、最近要観察地域に指定されました三池というような地域にしてみれば、私はきわめて切実な問題だと思うのですね。その場合問題になりますのは、土壌汚染防止法できめられております対策地域の指定をする場合は都道府県知事が指定をするわけでありますが、都道府県公害対策審議会の意見を聞く、それから関係市町村長の意見を聞くということになっております。そして土壌汚染対策計画を立てる場合には、農林大臣の承認が要るわけでありますが、その計画を申請する場合には、都道府県知事は都道府県公害対策審議会の意見を聞く、市町村長の意見を聞く、こうなっております。さらに特別地区を指定いたします場合も、当然市町村長が特別区として指定すべきことを要請することもできる。すべて、ですから市町村長の意見、言うならば、地域住民の意見を聞いて、そうして都道府県知事がきめなさい、あるいは申請した上で大臣がきめろ、こういうことになっておるわけですね。すべて、ですから地域住民の意向を尊重するということがこの法律の原則です。そうなって、都道府県知事が市町村長の意見を聞いてきめた。きめれば、企業負担につきましても、当然その負担企業者が負担しなければいかぬということになる、こういうことだろうと思います。  そこで、ずばり聞くわけでありますが、たとえば安中を例にとりますと、一PPM以上のカドミウム汚染米が現在発見され、指定されました地域が四十一・七ヘクタールです。それから〇・四PPM以上のいわば要観察地域に該当する汚染米が発見された地域が二百十九ヘクタールです。片方は約四十二ヘクタールですね。片方は二百二十ヘクタールです。ですから、現地の人にしてみれば、今度自治省が提案いたしましたこの法律が動くのは、一体この四十二ヘクタールに限定をされるのか、そうではなくて二百二十ヘクタールまで及ぶのかということが一番の関心の的であるわけです。これは単に安中のみならず、黒部でも磐梯町でも私は同様だろうと思うのですね。そこで、お尋ねをしたいと思うんですが、群馬県の知事も安中の市長もいずれもこの二百二十ヘクタールを対象にしてもらうのでなければ、これはとてもできない。現地の知事としては、四十二ヘクタールだけを土壌改良をやります、あとはほっておきますというようなことでは、全くこれは収拾がつかぬ、こう一致して言っておるわけです。農林省のほうにも要望書を出しておりますので見ておられると思うのでありますが、結局一PPM以上に限定したのでは群馬県としてはとてもやれません、こう言っておるわけです。  そこで、自治省に聞きたいと思うんですが、大臣がいればいいんですが、おりませんから長野財政局長に聞きますが、自治省は地域住民の意向を尊重する、その上に立った市町村長の立場というものを尊重するということで努力している省だろうと思うんですが、この計画を立てます場合、当然農林大臣と自治大臣と環境庁長官とが協議するわけですから、そうした場合、一体四十二ヘクタールでいいという考えなのか、市町村長が一致して要求しているこの要観察地域全部を指定してくれという立場で自治省としては対処するつもりなのか、この点ひとつ明確に自治省の考え方を私は聞かせていただきたいと思うのです。自治省というその省の性質から考えて、およそどういうお答えになるか私はわかりますけれども、念のために承っておきたいと思います。
  56. 長野士郎

    長野政府委員 お話しのような場合ということは、具体的にどういうことになりますか、その問題問題によって考えなければならないと思いますけれども、この農用地土壌の汚染防止等に関する法律によりますならば、地域指定ということにつきましては、都道府県知事が、そもそも地域を指定するときに、いろいろ地元の意向というものを聞きながら指定をしていくということになっておるわけでございます。もちろんその場合に、ここの法律ではありませんけれども、国と全く無関係に行なうということまでこれがいっているとは思いません。しかしながら、全体としてはそういう意味で、地域における問題でございますから、地域における特殊な事情なり条件なりというようなものを踏まえまして地域の指定が行なわれ、計画が行なわれる、これは当然のことだろうと思うのでございます。そういう意味で、法律自体も、地方団体地域における問題の処理でございますから、地域の意向を十分くみ上げていくというたてまえをとってできておると私は思います。法律の趣旨もそうでございますし、具体の問題についてはいまここで何とも申し上げるわけにまいりませんけれども、私どもといたしましては、当然都道府県知事なり地域市町村の長の意向というものを十分尊重しながら、協議をする場合にはしてまいりたい、こう思っております。
  57. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省としては当然そうなければならぬし、そうあるべきだと思うのですね。  そこで、厚生省の公害課長はおりますか。——いなければ、それでは農林省に聞きましょう。  いま議論したのは水田、米の問題ですね。しかし、汚染地区というのは単に水田ばかりじゃない、畑もあるわけですね。この土壌汚染防止法が制定されますときの附帯決議におきましても、米だけでは不十分ではないのか。もちろんカドミウムばかりではいかぬので、あとでまた銅の問題は議論したいと思いますが、そういう物質もさらに追加をすべきだ。同時に米ばかりではなくて、「米以外の農畜産物の汚染の許容限度についても早急に調査をすすめ、地域指定の促進を図ること。」こういう附帯決議がついていますね。私はもう麦ぐらいはいまの時点できめてもいいと思う。さらに牛乳、野菜——群馬県なんかもだいぶ地域の住民から突き上げられまして、国がもたもたしておるならば、県として独自の野菜の許容基準もきめるということを知事は言っています。私は当然そうあるべきだと思うのですが、その他の農畜産物についてはどうなんですか。そちらを早急にきめなければ、水田地域だけで、汚染されている度合いはもっと激しい地域でも、畑地のほうは全く無関係ということになったのでは、私はこれはまた非常に片手落ちだと思うのですね。有害物質をきめるのは当然厚生省。しかし、少なくとも農林省としてもこういうものはきめろというお考え方はあってしかるべきだと思うのです。そういうお考え方はどうですか。それからまたいつごろ、どういうものをきめる、こういうお考え方はどうですか。
  58. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいまの山口委員のお尋ねでございますけれども、われわれが当面いたしております問題といたしまして、やはり米が非常に重要な問題でございます。また米につきましては、厚生省のほうで食品衛生法上基準と申しますか許容限度なるものを定めていただいたものでございますから、それに従いましてわれわれは行動いたしておるわけでございます。ただいま山口委員の御指摘のように、われわれも畑作物あるいはそれを食べておりますいろいろな家畜の畜産生産物等につきまして、心配がないというふうには決して考えておりませんけれども、やはり厚生省のほうの食品衛生法上の取り扱いの何らかの明確なる線が出ることを心待ちにいたしておるわけでございまして、それが出ますれば、われわれはそれに準じまして行動いたしたいと考えておるわけでございます。  それから野菜等につきましても、非常に種類が多いわけでございまして、地域地域によりまして野菜の摂取量は非常に変化があると思いますが、たいへんな数の野菜の一つ一つにつきまして、どのように摂取量の基準をきめるかということはなかなか技術的にも科学的にもむずかしいことだと思いますが、われわれのほうといたしましても、厚生省といろいろ相談をいたしておりますが、決して畑作物について忘れておるということではないのでございます。
  59. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この三条による政令はいつまでにきめるのですか。これは六カ月ですか。
  60. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 五月の半ばまでには全体を整備いたしたいと考えております。
  61. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、五月の半ばまでにせめて麦だけでも基準をきめなければ、結局水田だけは指定されて畑地は残るというかっこうになるでしょう。これでは私は片手落ちだと思います。野菜についてきめるのがむずかしいということはわかります。しかし、少なくとも畑地を加えるという気持ちがあるならば、この三条に基づく政令をきめるまでに麦についての許容基準もきめるということでなければ私はいかぬと思うのですが、この点はどうですか。
  62. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 私のほうといたしましては、やはり食品衛生法上の取り扱いというものを重視いたしておりますので、それがきまることを期待しておるわけでございます。
  63. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 きまることを期待しておるというのですが、肝心の厚生省おらぬので……。これは呼んでおいたのですが、何で来ないのですか。呼んでください。それでその分だけは残しておきましょう。  それでは次の問題に移りたいと思います。とにかく委員長、先ほどの門司委員のお尋ねもそうだったのですが、法律に書いてあるのはほんとうに筋だけで、その内容たるやすべて政令にゆだねられている。政令の内容を聞けば、こう考えておりますというだけであって、全くわからぬ。したがって、私どもが二十五日までこの法律案を審議するわけですが、審議中に政令案について少なくともとの法律案関係して出し得るものは出してもらうということを、ひとつ委員長として関係官庁に命じていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  64. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 いまの山口君の発言につきましては、委員長におきましては、政令内容についてできるものは本法案の審議中に出すように強く要望をいたします。
  65. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 次に、通産省の公害保安局長お見えでありますから、お尋ねしたいと思うのですが、過般当委員会で足尾の鉱毒地域にカドミウムが発見されたということを問題にいたしまして、いろいろお尋ねをいたしました。あとで経企庁に水質審議会で決定いたしました計画その他の問題についてはお尋ねをしたいと思うのですが、その後通産省といたしまして、この太田を中心とする渡良瀬川の沿岸、足尾のいわゆる鉱毒地域で発見されましたカドミウム、その汚染の原因はどこであるかということにつきましては、調査を進めておられると思います。現在通産省としては原因者についてはどうお考えであり、どのような手だてを尽くし調査を進めておられますか、まずお答えをいただきたいと思います。
  66. 莊清

    ○莊政府委員 渡良瀬川のカドミウム汚染の問題でございますが、あの地帯全体でカドミウムを排出するおそれのある工場、事業場というものは、第一に、大口としては足尾の鉱山でございます。そのほか過去におきましてあの流域に若干カドミウムメッキをやっておった工場等もあるようでございますが、その後廃業しておったり実態は必ずしも明らかではございません。それで後者につきましては、通産省といたしましては、現在群馬県当局にお願いしてその状況を可能な範囲で調査していただくように御連絡をいたしております。どこがどの程度の原因者であるかという点につきましては、申すまでもなく、今後精密な調査を極力行なった上でございませんと判然とはいたしませんが、先ほど申し上げましたとおり、あの地帯では古くからあります足尾鉱山が一つ原因者候補というふうに考えられるわけでございますので、この点につきまして私ども鉱山保安法で監督をしておるという監督官庁として、さっそくに山元につきましての全面的な調査を行なっております。これと並行いたしまして、企業そのものにも協力をさせながら、群馬県当局において山元の事情及び河川の流域の状況その他につきまして現在全面的な調査をやっていただいております。今後とも通産省と群馬県当局とが一体になりまして緊密な協力関係のもとで、関係企業に協力をさせながら鋭意調べてまいる、こういう体制をとっております。
  67. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 足尾鉱山の鉱毒汚染地域というのは七千三百ヘクタールに及んでいます。群馬県がこのうち五千三百ヘクタール、残りの二千ヘクタールは栃木県であります。この群馬県の五千三百ヘクタールのうち激甚地それから中程度の汚染地域、それから軽い汚染地域、こう分けますと、汚染の激甚な地域が千八十二ヘクタール、中程度の汚染地区が千四百十八ヘクタール、軽度の汚染地区が二千八百二十ヘクタール、合計五千三百ヘクタールでありますが、このカドミウム汚染が発見されました地域、特に〇・四PPM以上の汚染米が発見されました地域、これは激甚地千八十二ヘクタールの中にずばり入る。言いかえれば、足尾銅山の激甚汚染地区とカドミウム汚染地区とは一致しているということはお認めになるわけですね。
  68. 莊清

    ○莊政府委員 県の現在までの調査の結果では、少なくとも先生御指摘のとおりの事実があったと承知しております。
  69. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、銅の激甚汚染地区とカドミの今度の汚染地区とは一致している。  それから先ほど局長さんは、足尾銅山が原因者の有力候補である、こう言われました。私ども選挙を何回もやった人間でありますが、いまも全国で知事選挙が行なわれておりまして、有力候補という中から当選者が出ることは大体常識であります。そうしますと、この足尾銅山は原因者としての有力候補だということは、選挙で言えば、当選の可能性ありということだと思うのですが、いかがですか。
  70. 莊清

    ○莊政府委員 有力候補と申しますのは、あの地帯でカドミウムを、われわれの見ますところ、排出する可能性のある工場、事業場、全体の中を見ました場合に、メッキ工場等もございますし、あるいはさらに調べればほかの工場も一あるかもわかりませんが、その中で足尾鉱山というものは明らかに、鉱山の性質から言って、カドミウムを排出し得る鉱山であり、かつ規模も大きいので、有力候補ということばがまずければ、何と申しますか、重要参考人と申しますか、そういう感じではないか、こう思うわけでございます。
  71. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最重要参考人であるということはお認めになっておるようであります。  さて、そこで経企庁にお尋ねしたいのですが、昭和四十三年の三月七日、水質基準審議会の渡良瀬川部会が検討いたしまして、足尾銅山のこの鉱毒対策につきまして、銅の水質基準を高津戸橋の取水地点におきまして〇・〇六PPMということを正式にきめ、さらに今後の対策といたしまして、この足尾銅山対策といたしましては、製練所内の排水路の整備、それから浄水場での完全処理、浸透水に対しましてはこの浄水場で処理する等の八項目の処置を決定し、あわせて治山治水対策として総事業費二十三億八千万円、四十年度からスタートした治山治水五カ年計画で建設省、林野庁、栃木県が積極的にこの二十三億八千万の治山治水対策を推進する。さらに客土事業といたしまして総事業費十三億円で、群馬県下の渡良瀬川の流域七千三百万ヘクタールを対象に汚毒の排土、客土、深耕などの土地改良事業を行なうということをきめたわけです。その後この事業は一体どのように進んでいますか。足尾銅山みずからが行なうところの公害防止事業、足尾銅山対策はどうですか。治山治水対策はどうですか。客土事業はどうですか。  あわせてお伺いしたいのは、大体銅と亜鉛、カドミウムというものの化学的性質は非常に似ていることは、経済企画庁でも十分御案内だと思うのです。したがいまして、当然銅に対してこのような水質規制を行ないましたわけですから、しかもこれが四十三年の三月七日ですから、昭和四十三年の五月には神通川のイタイイタイ病に対する厚生省見解が出ておるわけですね。これは西川さんも御案内のとおりだと思うのです。とすれば、当然銅と亜鉛とカドミウムは化学的性質が似ているということになり、厚生省見解も出たことでありますしいたしますから、当然この地域の水質についてカドミウムの調査をやっておるのが常識だと私は思うのです。これはおやりになりましたか。そしてまた、当然これに加えて土壌に対してカドミウム汚染がどの程度であるか。せっかく客土事業も計画しておるわけなんでありますから、銅の汚染のみならず、カドミウムの汚染はどうかということをお考えになるのが至当だと私は思うのですが、この点は御調査をなさいましたか、経済企画庁にお伺いしたいと思います。
  72. 西川喬

    ○西川政府委員 第一点の水質基準設定後の対策でございますが、先生のおっしゃいました客土の問題でございますが、これを除きまして、山元対策のほうはきめましたとおり進んでおります。治山治水について砂防堰堤をやることになっておりましたが、これが予定どおり四十四年の十二月に完成いたしております。それでそのための効果といたしましては、規制前におきまして高津戸地点で〇・〇九PPMでございました。これが〇・〇六PPMを目標といたしたわけでございますが、これは雨の関係なんかが影響してまいります。四十四年に砂防堰堤がまだできておりませんときのかんがい期間中のときに〇・〇六PPMということになっております。四十五年度のかんがい期間中のときには砂防堰堤が完成いたしましたので、一時雨はそこに貯留するという方途ができたわけでございますが、それによりまして四十五年度は〇・〇五PPM、一応目標値の〇・〇六を下回る結果が得られております。  客土事業につきましては、これは農林省のほうの所管でございますが、現在パイロット事業といたしまして試験的にやっておるというふうに私ども承知いたしております。この排水基準をきめましたときに、〇・〇六PPMというものを維持することによりまして客土を何年おきにやったらいいかということで、大体当時のあれといたしましては二十五年おき、地元のほうといたしましては四十年ごとの客土というのを主張いたしましたのが、規制のほうは十分そこまで諸般の対策を講じましてもまいらぬということで、〇・〇六PPM、あわせまして二十五年おきの客土ということを決定したわけでございますが、そのための準備を現在農林省のほうで行なっておる、このように承知いたしております。  それから第二点のカドミウムの問題でございますが、先生おっしゃいましたように、確かにカドミウムは非常に亜鉛と相関関係がございます、また銅と亜鉛が相関関係があるということでございまして、亜鉛があるところには必ずカドミウムも約百分の一程度に存在するというのがすでにはっきりいたしてきております。当時厚生省の見解が出たわけでありますが、実はその場合のカドミウムのいわゆる数値的な量的限界というものにつきましてまだ明確な知見が得られておりませんでした。それでその後の検討をまちまして、昨年、四十五年の四月に環境基準といたしまして〇・〇一PPMというものを初めて正式にオーソライズしたわけでございます。それに基づきまして排水基準を、健康項目でございますので、全部の公共用水域に適用するという方途をとったわけでございます。したがいまして、足尾につきましても〇・〇一PPMの環境基準、これに対応する排水規制の〇・一PPMというのが去年の八月からかかっているわけでございます。八月以降そのためにカドミウムの調査をいたしております。その調査の結果によりますと足尾としての排水の基準地点になり得ますオジトセイ岩におきまして〇・〇〇一ないし〇・〇〇四、これは環境基準をも下回っております。〇・〇〇一となりますとJISできめております正式の検出限界以下でございます。高津戸におきましても〇・〇〇一PPM、これも検出限界以下でございます。そのようことで、現状におきましては、渡良瀬の水の中のカドミウムは一応環境基準を満足しているということになっております。  ただ、過去の蓄積という問題がございます。その辺のところにつきましては、現在だけでは判断できませんもので、その点の、先ほど原因説の問題があったわけでございますけれども、そういう過去からの蓄積の問題等につきましては、通産省のほうにおいて、鉱山関係のほうにおいてもつと徹底的に調査していただく、このように考えております。
  73. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現在足尾で処理しております銅鉱石月九千トン、この黄銅鉱には〇・〇〇〇二%のカドミウムを含んでおるそうでありまして、それから計算をすれば月十八キログラムのカドミウムが流れ出すということになるわけです。これを足尾でカドミウムをとっておれば別でありますが、とっていないということは、いわば流出をするということでしょう。外国の鉱石でいいますと、さきに言いました〇・〇〇〇二%よりもはるかに高くて、この二倍、三倍あるいは五倍というようなカドミウムを含む鉱石もあるそうです。そういう計算でいきますならば、三十六キログラムあるいは五十四キログラムというものが月に流れ出すということになるわけでしょう。しかも足尾の場合は、操業いたしましてもう百年を経過しているわけでございまして、しかも製錬技術の未熟だった時代におきましては、当然黄銅鉱中に含まれるカドミウムのほとんどが流出をしたということも考えられるわけでありますから、現在の排水の中におけるカドミウムの量が排出基準以下だったといたしましても、過去における蓄積を考えますならば、相当のカドミウムの流出があったというふうに考えるのが妥当だと思います。いま要観察地域に指定されております地域の鉱山、いずれもこの排出基準以下にみな押えているわけですね。これは神通川の婦中町も同様なのであって、問題は過去における推積、蓄積、これが現在のような問題を起こしているわけでありますから、私はその点は経済企画庁としてもお認めになるだろうと思うのです。どうですか。
  74. 西川喬

    ○西川政府委員 現状におきましては出していない、しかし、過去の蓄積があったのではないだろうかということは想定されますので、そういう点の細部につきまして通産省のほうに調査をお願いしているというような状況でございます。
  75. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 農林省はどうですか。農林省は土壌汚染につきましては直接主管をする官庁ですね。農林省としてはどのような調査をやっておられますか、また土壌汚染が現にあるからこそ、あのような米の汚染も出ているわけでございまして、最高は〇・九三PPM、まさに一PPMにすれすれというものまで出ているわけでありまして、そういう点からいってこの土壌汚染の状態はどのように把握をしており、またその原因者についてはどういう考え方を農林省は持っておいでですか。
  76. 住吉勇三

    ○住吉説明員 渡良瀬につきましては、先ほど先生からお話しございましたように、四十二年に太田市の被害の著しいと考えられます地区に展示圃場を設けまして、ここで被害防止対策のいろいろな試験をやりまして、この経過をとっておるわけでございますが、同時にその対策による効果を一般農民に展示するという両面の圃場を設けてやっておりますが、引き続きまして明年度もそういうことでやろうと思っております。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕  なお、この展示圃以外に利水地点におきます水質を四十四年から測定しておりますし、銅の賦存量等につきましても調査をやっておる。この調査も引き続き明年度もやるということで調査を続けております。
  77. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そこで、加賀山さんにお尋ねしたいと思いますが、とにかく〇・九三PPMというもの、一PPMすれすれの汚染米が発見されたわけです。〇・四PPM以上の汚染地域は百ヘクタールに及んでいます。私は、こういう地域も先ほど議論をいたしましたこの対策地域に当然考えてしかるべきだと思います。それからさらに対策地域ということになれば、当然公害防止計画の適用地域ということに考えてしかるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  78. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、先ほど山口委員がおっしゃいましたように、渡良瀬のあれは〇・九三と〇・〇五の間にございまして、御承知のように、八十三点のうち二十二点が〇・四以上ということになっておりまして、面積は約百ヘクタールということでございますけれども、われわれのほうといたしましては、先ほどからお話し申し上げておりますように、玄米中カドミウム一PPM以上ということを基準にして法律等を考えてまいりましたので、その基準をどのように下回るところまで対策地域として——対策地域と申し上げますのは、実際に土壌改良、土地改良を法律に基いてやるという地域でございますが、考えるかという点につきまして、先ほどから申し上げますように、現在その幅をどのぐらいとるかという政令の検討をやっておるということでございまして、〇・四のところに全部入るかということにつきましては、私は本日申し上げるわけにいかないわけでございます。それは〇・四から九までというのは人体に影響がないというふうに厚生省の見解もございますので、われわれは現在たくさんの過剰米をかかえておるという現状から、それを配給しないという措置をとっておりますが……(山口(鶴)委員「いいですよ、そういうことはわかっておるから」と呼ぶ)そういう関係でございます。
  79. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 問題は、銅について、とにかく七千三百ヘクタール、この地域の客土事業を十三億円でやろうというわけでしょう。そういうので一応事業計画を立てておるわけですね。しかも激甚がずばりカドミの汚染にもかかるわけです。そうすれば、少なくとも銅の排土において客土事業もしなければならぬというときに、当然そのカドミの問題も一緒にするのがあたりまえじゃないかということなんですよ。ですから、ほかに全然関係がなければいいですよ。銅の激甚地域として排土もしなければならぬ、客土もしなければならぬというこの計画を立てている。しかもそこに一PPMに近いカドミウムの汚染地域が発見をされたということになれば、一緒にやるのがしかるべきことじゃないですか、どうですか、そういう意味で私は聞いているんですよ。
  80. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 当面われわれが対象にいたしますのはカドミウムということにいたしておりまして、銅をやらないというわけじゃございません。銅を法律の二条によります特定有害物質として政令できめるという手続が必要でございますけれども、銅につきましては、カドミウムに引き続きまして、早急にいたしたいと思いますけれども、現在のところ、それに対するいろいろ材料等の収集をいたしておりまして、現在はまずカドミウムで出発いたしたい、そう考えておるわけでございます。
  81. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまのお答え、おかしいんですね。  それじゃ西川さんに聞きましょう。とにかく客土事業は総事業費十三億円でやるということは、これはきめているわけでしょう。そうですね。それであなたのほうは、銅はまだ土壌汚染防止法で入っていないんだから、やるかやらぬかわからぬというようなことを言っているんですよ。一体これはやることになっているのですかないのですか、どっちなんですか。
  82. 西川喬

    ○西川政府委員 排水基準を決定いたしましたときの各省の打ち合わせとしては、先ほど申し上げましたように、二十五年周期をもちまして客土事業を行なうということが対策の一環になっておるわけであります。ただ、それを新しくできました土壌汚染防止法の法律に基づくかどうか。その点につきましては、これは農林省のほうの問題として農林省のほうにお聞きになっていただきたいと思います。
  83. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、やるかやらぬかわからぬというのじゃなくて、やる。ただ、問題は、やることはやるが、費用分担その他の関係で土壌汚染防止法に基づくこの法律でやるかやらぬかはまだきまっていないけれども、とにかく十三億円かけて——この場合は通常の土地改良事業としての費用分担でしょうね、それでやるということはさまっているわけですね。そうでしょう。
  84. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 山口委員の御指摘のとおりだと思います。
  85. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 だから、そういうことははっきり言ってもらわなければ困るわけですね。  そこで、問題になるのは、カドミが発見をされたという新しい事態、私はこのことは昨年の暮れの公害国会の連合審査で特に山中総務長官と福田大蔵大臣に聞きました。とにかく足尾の鉱毒というのは公害の第一号、日本の公害の原点ですね。これに対してこの土地改良事業をやるというときに、しかも政府が土壌汚染防止法というものを提案している、そういうときに足尾の鉱毒の地域におけるこの土地改良事業を農民負担でやるなんていったって、これは住民が絶対納得せぬ、この点どうだ、農民負担はゼロでやるということをひとつ確認したらどうだと言いましたら、山中総務長官も農民負担なしでやりたい、それから福田大蔵大臣もいまの総務長官のお話があったようにいたします、こういう趣旨の答弁をやっているわけです。ですから、そういう意味では、私は、いままでの十三億円の客土事業というのは、これは経済企画庁、農民負担でやるなんて考えたってだめですよ。総務長官、公害対策大臣も大蔵大臣も農民負担ゼロだと言っているわけです。その場合、幸か不幸か、カドミも発見をされたということならば、少なくともいま銅については指定をされていない、銅をすぐ指定することも一つ解決の方法でしょう。同時に、一PPMに近いカドミウムが発見をされた、こういう事態の中で、これを対策事業としてかぶせて、対策地域として指定をして、そうしてその企業者の負担、言いかえますならば足尾銅山の負担と、それからあとはこの今回の法律に基づく補助金のかさ上げ、国と地方とで完全に事業をやる、そうして農民負担をゼロにするということも、私は一つ解決の方法だろうと思うのです。そういう意味で、銅を早急に指定する見込みが一体あるのか、いつごろ銅を加えるとすれば加えるのか。そうでなければ、このカドミウムの汚染の問題とからめて、農民負担ゼロでこの地域の排土、客土事業を行なうという方法について一体どう考えるか。この点ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。経済企画庁と両方から聞きましょう。
  86. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 土壌汚染防止法の二条の特定有害物質に銅をいつごろ指定するかというお話でございますけれども、カドミウムに続きましてできるだけ早い時期というふうに考えておりますが、おそらく一年ぐらいはやはり材料集めその他にかかるのではなかろうかと考えております。  それから、カドミウムと銅と一緒にやったらいいじゃないか、これはもう委員のおっしゃるとおりだと私も技術的に思いますが、ただ、それがいろいろ負担問題等とからんでまいりますと、われわれだけでもきめかねる問題もございますし、今後銅の基準をきめるということと相まちまして検討しなければならないと考えております。
  87. 西川喬

    ○西川政府委員 水質審議会におきまして、対策といたしまして客土事業を行なうということを決定しているわけでございますけれども、経済企画庁といたしましては、事業実施のほうにつきましては実は何らの権限を持っておりません。ちょうど他の都市の場合なんかにつきまして下水道を整備しなければならぬということになりますと、下水道につきましてはこれはもっぱら建設省が所管しているわけでございます。そういう意味におきまして、足尾の場合の客土事業は、全部農林省の所管でございます。実際の費用負担その他の問題は農林省のほうで措置することになろうかと思いますが、私ども一第三者的な立場といたしましては、やはり総務長官がこの前も御答弁になりましたように、できる限りこういう問題に関しては、問題の性質からいたしまして、地元負担というものは軽減されるべきが至当ではないか、このようなふうに考えております。
  88. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地元負担が軽減というのではなくて、やはりそれは持たせるということ自体が無理なんですね。そういうことを山中長官も福田大蔵大臣も言っているわけなんで、その点はひとつよく念頭に置いていただきたいと思うのです。  私の聞いておりますのは、結局水質審議会でこの計画をきめましたね。実施するのは農林省だ。しかし、いま新たにカドミの汚染というものがあらわれた時点において、あらためて水質審議会の渡良瀬川部会を開いて、そうした新しい事態の上において客土事業計画なるものも再検討する気があるのかどうか、こういうことなんですよ。当然、私はすべきじゃないかと思うのです。農林省のほうとしても当然一緒にやることが望ましいんだ、こう言っておるわけですから、私はやはりこの点は渡良瀬川部会を開いてこの計画も再検討すべきじゃないか、かように思います。この点はどうですか。
  89. 西川喬

    ○西川政府委員 その点につきましては、客土事業をやります場合に二十五年を周期として行なうということを決定しているわけでございますが、そういたしますと、その二十五年周期をいつから始めるかということにつきましては、やはり専門といたします農業のほうにおきまして、銅の蓄積がどの程度になったら客土を始めなければいけないかというようなことを決定いたしまして、それによりまして一番ひどいところから逐次排土あるいは客土していただき、だんだん広げていって、二十五年をサイクルといたしまして循環していくというようなことが考えられるのであろうと思うわけであります。ところが、それに新たにカドミウムが今回加わってきたということになりますと、カドミウム汚染と銅汚染とをあわせて検討いたしまして、客土の着手時期が早まってきたのではないだろうか。現在農林省のほうにおきましては、パイロットプラントをつくりまして試験的にやっておるわけでございますが、これを現実に実施に移すというのが早まってきたのではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、カドミウムを合わせましたことによりまして、現在の客土事業のタイミングを繰り上げるということはあろうかと思いますが、あらためまして基準なりその他の問題におきましてこれを改定しなければならないということはない、このように私ども一としては考えております。
  90. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、計画は再検討することはしないが、具体的に実施計画、そちらのほうは当然新たなカドミの汚染というものを念頭に置いて開始時期を早めるなり、それからまた当然この事業費等についても変わってくるかもしれません。事業者負担その他の関係もあるでしょうし、そういう実施細目といいますか、そういうものについては、新たなカドミの汚染というものを考えて検討するというふうに理解してよろしいわけですね。
  91. 西川喬

    ○西川政府委員 私ども一としてはそのように考えております。これは完全に農林省の所管事項で、農林省のほうにおいてそういうふうに検討していただきたい、このように考えます。
  92. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、農林省としては、そういうのを受けてやるというおつもりはあるわけですな。
  93. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 私のほうは、先ほどから何回も申し上げておりますように、土壌汚染防止法がまずカドミから始めたいということでいま進めておるわけでございまして、それとこの渡良瀬地域が〇・九三が最高ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、政令をきめる場合に、そこまで含めるかどうかという問題がまだ残っております。そういうものがきまりました段階で、ただいま御議論いただきましたことについて検討いたしたいと思っておるわけでございます。
  94. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間も要りましてなんですから、終わりたいと思いますけれども公害対策本部と公害保安局長お二人に聞いておきたいと思いますが、とにかくこの土地改良事業をやる場合におきましても、原因者がどうだということにならなければ、当然企業負担をどうするかということで宙に浮くわけですね。したがって、原因究明というのがまず私は急がれねばならぬだろうと思うのです。そういう意味で、今後県あるいは関係省庁と連絡をとって原因究明を進めていくということなんですが、現在所管しておりますのは、これは水質の関係で経済企画庁ですけれども、具体的には、これは鉱山保安法適用企業ですから、通産省ということになるわけで、したがって通産省あるいは公害対策本部とすれば、およそいつごろまでにこの原因究明については答えを出す、こういうおつもりでありますか、伺っておきたいと思います。
  95. 莊清

    ○莊政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、現在、群馬県が悉皆調査を現状についてやっております結果が、おそらく四月一ぱいぐらいで出てくるかと思います。私どもがやっております調査ももちろん現状についての再調査でございます。ただ、先ほど経済企画庁からたしか御答弁もあったかと思いますが、過去において一体どうであったかという点につきましては、排出基準の設定も実は最近でございますし、公害防止施設整備ども一近年逐次整備されてきたという実情にもございますので、過去の蓄積の問題をどう見るか。あるいは銅の場合に、水質審議会でも議題にはされたそうでございますけれども、自然汚染というふうな非常に学問的にもめんどうな問題ももう一つあるようでございますので、これらを含めまして、私ども通産省の立場だけで解明できかねる問題もあろうかと存じますので、そういう点につきましては、関係各省その他関係の権威の方の御意見も極力いただきまして、なるべく早く結論を出す努力をいたしたい。いつまでということはちょっとこの場で私申し上げられないのでございます。
  96. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 環境庁もできることだから、公害対策本部はどうですか。
  97. 植松守雄

    ○植松説明員 この問題につきましては、原因者がわかりませんと、費用負担をかける場合の費用負担法そのものは働かないことになりますし、それが同時に、国や地方団体の公益機関において土壌汚染対策を進める上における一つの大きな前提になるところでございますから、当然早急にその辺の実情究明を急がなければならない。これは言うまでもないことでございます。いまこれが、話がございましたように、県と通産省の鉱山保安行政の立場からして調査が行なわれておるわけでございまして、公害対策本部といたしましては、その調査をできるだけ早急に結論を急ぐということを申し上げるよりほかないわけでございます。環境庁が七月から発足することになるわけでございますが、非常に地元住民に不安を与えている重要な問題でございますから、対策本部としても極力結論を急ぐように努力したいと思います。
  98. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これは急いでやってください。とにかく公害の原点、公害一号の足尾の鉱毒問題に新たにカドミが付け加わったわけでありますが、それがいつまでたってもはっきりせぬというようなことでは、私は公害のために戦われた田中正造翁の霊にも申しわけないことだと思います。ひとつこの点は関係各省、時機はまさに適したようですし、特に環境庁発足も近いというときでありますから、公害対策本部のほうでもひとつ力を入れて原因究明を早急に出していただきたい。強く要請をいたしておきます。  それから山本公害課長が見えたそうですから聞いておきますが、土壌汚染防止法に関しましていまのところ米だけが有毒物質ということになっているわけですが、土壌汚染防止法の三条に基づく政令を大体五月の中旬ごろきめるというんですね。そのときに麦のほうの基準がきまっていなければ、水田の地域だけを対象とする政令ができてしまって、同じ汚染地区、特に安中の場合には、一番汚染のひどいところは畑地でしょう。野殿の畑地でしょう。厚生省、知っているわけだ。そういうところまで全然土壌汚染の対策地域から除外されるような政令ができるということで問題じゃないか。したがって、少なくとも畑地を救う意味で、野菜とか牛乳とかいろいろあるでしょう、いわば多々ますます弁ずることになりますけれども、当面畑地を救う意味で、この土壌汚染防止法第三条に基づく政令を五月の中旬ごろきめるというのですから、それまでには少なくとも麦の基準というものをきめるということをしなければ、私は片手落ちになると思うのです。この点、三条に基づく政令ができるまでに麦の許容基準をきめますか。きめなければおかしいですよ。
  99. 山本宣正

    山本説明員 前にもお尋ねがございましたように、麦のいわゆる食品衛生法上の許容基準を早急にきめるというお話がございましたが、私の所管でなく、実は食品衛生課の所管でございますので、その点については食品衛生課のほうにもそのことを伝えてございます。麦のほうで食品衛生法上の麦の安全基準というようなものをきめていかなければ、先生おっしゃるように、畑地についての問題が救えないということがあるわけでございます。その辺急いで決定するように食品衛生課長のほうに連絡いたしたいと思います。
  100. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 とにかく五月中旬までに間に合うように、これはひとつよく連絡して推進をしてください。これをお願いします。  最後に、大臣来ましたから、大臣にお尋ねをしてやめたいと思いますが、私ども三党で法律案を出しておりますように、とにかく公害基本法十九条第二項に基づく公害防止計画の地域、これに限定をして法律かさ上げをやるということは、私は反対です。大石政務次官もおいでになりましたが、田子の浦のヘドロ公害、それからいま議論してまいりましたカドミウムの汚染、こういうものは第十九条二項に基づく防止計画地域であっても対象にするということになるわけでありますが、しかし、これだけでは私は不十分だと思うのです。しかもこの法律につきまして長野財政局長に聞きましたら、この法律公害基本法二十三条を引っぱっておるんだというふうに明確に言ったわけです。そう言っている以上、なぜこの法律公害基本法二十三条に基づいてこの法律をきめると書かなかったか。当然書いてしかるべきじゃないかと思うのですが、どうですか、大臣。少なくともこの点は修正をして二十三条に基づいてこの法律をきめるんだということを入れることについて、大臣のお考え方をお伺いしたいのが第一です。  それから第二の問題といたしましては、いろいろありますけれども、特にヘドロ公害とかカドミウム公害に基づく土壌汚染防止、この事業をします場合に、対策地域をどうきめるかということが問題になるわけです。したがって、この対策地域をきめて、そうして土壌汚染の防止事業をやるわけでありますが、その地域を指定する場合には、自治大臣と農林大臣と環境庁長官とが協議をしてきめる、こういうことになっています。農林省のほうは、やれ汚染米一PPMを基準にして、それに近い、おそれのある地域というようなことも言っておるわけでありますが、自治大臣がこの法律提案し、また協議にあずかる以上は——少なくとも土壌汚染防止法に書いてありますように、指定地域をきめる、それから公害防止計画をきめる、このときには都道府県知事は関係市町村長の意見を十分聞かなければならぬ、こうなっておるわけです。それから附帯決議にもそういうことが書いてあるわけです。自治省としては少なくとも住民自治、地域住民それからそれを代表する自治体、こういうものの立場を尊重するのが自治省の立場だと私は思うのですが、そういう意味からいきまして、指定地域をきめる、この公害防止計画をきめる、こういうときにはできるだけ当該市町村長の意見に基づいて、その意見が反映するように大臣は対処すべきである、私はかように思うわけでありますが、この点に関する自治大臣としての御決意なり考え方というものをお伺いいたしておきたいと存じます。
  101. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 この法律公害基本法二十三条の趣旨によりましてできておるわけですから、それなら全公害の領域に及んでないじゃないかという点の御批判であろうと存じます。  特別の負担かさ上げにつきまして全部に及び得るにこしたことはございませんけれども一、いろいろ折衝上のいきさつもこれあり、かつ財政上の都合もあり、典型的なものから順次進みたいということになったのでございますが、しかし、典型的な主要なものについてもカバーできてないじゃないかという御批判がけだしあるのではなかろうかと存じますが、それらの点につきましては、典型的なものはきめ得た、こう考えておる次第でございます。  なお、農用地土壌汚染の地域指定につきましては、御趣旨も十分尊重いたし、これが指定の実施にあたりましては、都道府県知事とも十分相談し、その意見を聞いて処置をとるつもりでございます。
  102. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 第一の問題ですけれども、当然二十三条を引っぱっているということならば、−法律の中に書いて悪いということはないので、それはそういうふうに入れても差しつかえないと大臣がお考えかどうか。  それからいろいろな事情もこれあり、こういう限定された法律になった、こういうお話でありますが、そうしますと、総理大臣がきめる第十九条二項に基づく防止計画地域のみならず、全地域にも及ぼすように、将来は自治省としてはこの法律を手直ししたい、さように考えておる、こう理解してよろしゅうございますか。  それから二番目の点でありますが、都道府県知事と十分協議すること、けっこうであります。同時に、知事を通じてでけっこうだと思いますが、関係市町村長の意見も十分尊重するようにというのが法律の附帯決議にもついております。またその趣旨で土壌汚染防止法は国会において修正をいたした経過もあるわけであります。市町村長の意見というものも十分尊重する、こういうおつもりがございますかどうか、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  103. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 第二点は御趣旨に沿いたいと思います。  第一点の二十三条ということは、あえて書く必要もないと存じておりますが、なお今回提案しましたものの内容の改善につきましては、順を追って関係方面といろいろ連絡、検討をしてまいりたいと考えております。
  104. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 水道課長さんを呼んだのですが、時間の関係でやめておきます。  以上で質問を終わります。
  105. 菅太郎

    ○菅委員長 農林省加賀山審議官から発言を求められております。これを許します。
  106. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 先ほど山口委員の御質問にお答えいたしまして、私は五月中旬と申し上げましたが、ちょっと訂正させていただきます。  五月中旬に土壌汚染審議会の審議会令を出すことになっておりまして、審議会にかけましてその基準等がきまるのが六月中旬ごろかと思いますので、その点訂正させていただきます。
  107. 菅太郎

    ○菅委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ————◇—————    午後二時二十七分開議
  108. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。桑名義治君。
  109. 桑名義治

    ○桑名委員 公害対策基本法が昭和四十二年の八月の三日に制定をされたわけでございますが、そのいわゆる公害計画策定の指示が昭和四十四年の五月に行なわれ、事業実施というものが昭和四十六年度から行なわれるというようなかっこうに一応なったわけでございますが、昭和四十二年から現在に至るまで公害防止計画の策定の指示がおくれたという理由はどこにあるのか、まず基本的な問題から最初お尋ねをしていきたい。
  110. 福島榮造

    ○福島説明員 ただいま御指摘になられましたように、公害対策計画につきましては、非常におくれておることは事実でございます。しかしながら、公害対策本部がございましてから、鋭意促進をはかろうということで、御承知のように、昨年の十二月一日には千葉・市原、四日市、水鳥の三地域につきましては計画を承認した、こういうことでございます。その後四十四年度におきましては東京、神奈川、大阪を調査地域として取り上げまして、現在基本方針につきまして関係各省が調整に当たっておる、こういう段階でございます。なお続けまして四十五年度には鹿島、名古屋、尼崎、鶴崎、北九州、これを調査の対象地域として取り上げまして、ほぼ調査も完了いたし、基本方針案の策定に入る段階でございます。なお、四十六年度におきましては、さらに富士ほか四地域を調査対象といたしまして、公害防止計画の策定の作業を急ぐ、こういうことでございます。非常におくれましたことは御指摘のとおりでございますけれども、本部といたしましては、今後これに全力をあげまして、公害防止計画の策定を早めよう、かように考えております。
  111. 桑名義治

    ○桑名委員 今回の指定地域は三つ指定になっているわけでございますが、いま御説明のありましたように、今後昭和四十五年、昭和四十六年、昭和四十七年と、この三年にまたがってそれぞれ地域が指定をされるように予定はされているわけでございますが、ただ、問題になりますのは、現在計画になっている指定外の地域、この地域をどうするかという問題でございます。現在計画されているいわゆる指定地域と、計画されているその地域以外に公害発生地域というものは全国にまたがってずいぶんあるわけでございます。わが党といたしましても、公害総点検ということで約六十カ所にわたって点検をした結果は、やはり公害防止計画を立てて早急に対処していかなければならない地点がずいぶんあるわけでございますが、この点について基本的にどういうふうに考えておられるか、その点をまず伺っておきたいと思います。
  112. 福島榮造

    ○福島説明員 私どもといたしましては、地域をしぼるという考え方でなくて、先生御承知公害対策基本法第十九条一号、二号に掲げておりますところの要件を満たすものであれば、その地域を広げてまいりたいということで、漸次この地域は広がっていくと私ども考えております。
  113. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、現在大体どこどこを予定しておられるか。その指定地域が予想されるならば、まずここで発表しておいていただきたいと思います。
  114. 福島榮造

    ○福島説明員 ここに手持ちの資料がございませんけれども、私どもの大体の感じといたしましては、四十地域くらいになるのじゃないだろうかということで、それが具体的にはどうであるかということにつきましては、この席では申し上げられません。今後関係各省といろいろ調整をいたしまして、どの地点を取り上げるかということをきめてまいるわけでございます。
  115. 桑名義治

    ○桑名委員 それから、もう一つ基本的な問題をお尋ねしたいわけでございますが、今回は三地域について指定をなされたわけでございます。ところで、総理大臣が第二条に基づきまして承認をする基準というものが当然あるのではないかと思うんです。その基準はどういう基準で認定をされるのか、その基準を明示していただきたいと思います。
  116. 福島榮造

    ○福島説明員 公害防止計画は、御承知のとおり、環境基準を達成するということを目途としていろいろな事業考えるわけでございまして、そういう環境基準達成という見地から見てふさわしい事業があがっておりますと、私どもはこれを承認する、こういうことでございます。したがいまして、公害防止事業と直接関係のないような事業が間々その計画の中に出てくるわけでございますけれども、そういうものはチェックいたしまして除く、こういうことをしております。
  117. 桑名義治

    ○桑名委員 私は、個々の問題についての基準を尋ねているわけじゃなくて、実際に、今回は一応千葉・市原、四日市、水島、この三地域が指定をされたわけです。その次には、ここにもありますように、東京都、神奈川県、大阪府、この三地域を指定する、こういう順序が一応きまっているわけです。そして、いわゆるここを指定するというその基準は、どういうふうな基準で総理大臣が指示を出すのか、この点について伺っておるわけでございます。
  118. 福島榮造

    ○福島説明員 公害防止計画の作成の指示をどういう基準でするか、こういうことのようでございまして、先ほど私は承認につきまして答えましたが、非常に失礼を申し上げました。  公害対策基本法第十九条にございますように、「内閣総理大臣は、」「現に公害が著しく、かつ、公害防止に関する施策を総合的に講じなければ公害防止を図ることが著しく困難であると認められる地域」、すなわち現に公害発生しておる地域でございます。それから第二号は、「人口及び産業の急速な集中等により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害防止に関する施策を総合的に講じなければ公害防止を図ることが著しく困難になると認められる地域」、いわゆる公害がたいへんになるであろうと思われる地域、こういう地域を選びまして、基本方針を示し、公害防止計画の策定を指示するわけでございます。
  119. 桑名義治

    ○桑名委員 基本法の第十九条を受けて、そして今回のこの第二条が制定されているということはわかるわけでございます。いまあなたのおっしゃったような十九条の中身についての説明は当然わかります。  ところが、実際に、いわゆる公害公害ということで一番問題になった地域、これを優先順位というものが——私は、今回の市原、四日市、水島あたりを考えると、まだまだ、二位、三位に入っているような、当然先にやらなければならなかったところがあるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。その点についてどうお考えでしょうか。
  120. 福島榮造

    ○福島説明員 千葉。市原、四日市、水島を一番最初に取り上げましたのは、これから公害発生してくるだろう、ですから、できるだけ早くその予防のための計画を策定する必要があるのではないか、こういう観点から取り上げたいことでございます。したがいまして、その後東京とか神奈川とか大阪とか、これはすでに公害が非常に発生しておるところでございますが、それをその翌年度には取り上げた、こういうことでございます。
  121. 桑名義治

    ○桑名委員 そうなりますと、私たちが考えることは、要するに、現在もうすでに公害発生しているところ、これは緊急性を要するわけです。そういう緊急性を要するところから着手していくというのが順当な考え方ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。そういうような点から多少の疑問があるものですから、その点について伺っているわけでございます。
  122. 福島榮造

    ○福島説明員 私どもといたしましては、これは基本法の第十九条にいう一号、二号、この両方それぞれにらみ合わせまして、とにかくこれから公害発生するところであっても早急に計画を立てなければならぬところもありますし、また現にもう公害発生しておりまして早急に取り上げなければならぬというところをにらみ合わせまして、次々に公害防止計画策定を指示していくということでございます。その選択について多少問題があるかとも思いますけれども、私どもといたしましては、一挙にこれを取り上げるわけにもいきませんので、適時、いまおっしゃいましたような点に留意いたしまして、今後取り上げてまいりたい、かように考えます。
  123. 桑名義治

    ○桑名委員 次に、経企庁にお尋ねしたいわけでございますが、現在の調査した段階で、早急に水質を保全していくという計画を立てていかなければならない個所は、全国にどのくらいあるか、お示しを願いたいと思います。
  124. 西川喬

    ○西川政府委員 現在、全国でいわゆる調査の基本計画に告示されました水域あるいは指定水域となりました水域は、オーソライズされております水域が百八十二水域ございます。このうち、現在までに調査を何らかの形で着手して完了した水域あるいは調査継続中の水域が百四十九水域でございますので、未調査水域が三十三水域ということになっております。百四十九水域のうち現在までに指定水域といたしまして指定したもの、あるいはすでに審議を終了いたしまして指定の準備中のもの、さらに、おおむね今年度じゅうでございますが、わずかに四月に入るものがございますが、一応旧法段階といたしまして指定するという予定をいたしておりますものが、全部合わせますと、この調査告示水域で言いますと九十八水域に該当いたしております。そういたしますと、調査を済ましたものあるいは進行中のもので現在残ってしまいますのが五十一水域、このような形になっております。これらのものにつきましては、今後、六月から新しい水質汚濁防止法のほうへ移り変わるわけでございます。そういたしますと、いままでは指定水域になりませんと基準がかからなかったわけでございますが、新法によりまして、全国一律の基準がまずかかってしまいます。その後、その全国一律の基準をもってしましては水質汚濁防止の万全を期しがたいところにつきましては、上乗せ基準が知事さんの、県のほうの条例でかかる、こういうことになっております。しかし、いずれにいたしましても、一応基準はかかって規制に入るということになりますものですから、それによりまして今後の汚濁防止は相当前進するだろう、このように考えておるわけであります。  ちなみに旧法段階におきまして指定水域にあります先ほど申し上げました九十八水域でございますが、これは調査水域の数で申し上げておりますから九十八になりますが、実際の指定水域といたしますと、調査水域で告示しております二つを一つにしたりあるいは一つの調査水域を二つに分轄して指定水域にしたりすることがありまして、ちょっと数字が狂っておりますが、旧法といたしまして指定水域になりますものが百六になります。そういう予定でございます。この百六水域によりまして、全国の人口で申しますと約五五%、工業生産額で申しますと約七五%をカバーいたしまして、主要な汚濁源のある地域につきましてはおおむねカバーした。工業出荷額で四分の三カバーすることになって、おおむねカバーしたことになるだろうかと考えております。
  125. 桑名義治

    ○桑名委員 次は厚生省にお尋ねしますけれども、現在の調査の段階で、大気汚染防止のために計画、立案しなければならない個所について、どの程度あるかお尋ねいたします。
  126. 山本宣正

    山本説明員 私ども大気汚染の観点から環境基準というものを現在つくっておりますのが、硫黄酸化物と一酸化炭素でございます。私ども、全国で現在の大気汚染防止法による指定都市においては常時監視をいたしておりますが、そのデータを見まして、環境基準に適合しているかどうかということを毎年チェックしているわけでございます。  四十四年度のデータ、これは四十四年の四月から四十五年の三月までの年間のデータでございますが、これによって硫黄酸化物の環境基準のいずれかの条件に不適合であるということを目安にいたしまして見てまいりますと、昭和四十四年度のデータでは、現在三十三の都市が環境基準に不適合な条件にある、こういう状況でございます。  ただ、その環境基準の不適合でございますが、その中でも特に年平均値を見てまいりますと、もう少し減ってまいりますけれども、いろいろな観点からして総合的に見て、三十三都市は硫黄酸化物の環境基準の条件のどれか一つあるいは二つ以上を満たしていない、こういうような状況でございます。
  127. 桑名義治

    ○桑名委員 では農林省のほうに、土壌汚染防止のための計画を早急に立てなければならない地域、いわゆる土壌汚染地域についてどの程度あるのですか、お聞きいたします。
  128. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 われわれが土壌汚染地域として当面考えなければならないのは、厚生省のほうで要観察地域として指定になっている七地域でございます。それからそれ以外に所々方々で汚染された米が出たというような報告をわれわれのほうは現在受けておりますが、鉱山あるいは製錬所の近辺あるいはその他、最近では工場関係のものでございますが、そういうものを入れまして、最近わかっておりますのが約二十カ所足らずになっておりますが、さらに今後の調査を進めてまいりますと数がふえてまいるのじゃなかろうかと考えております。
  129. 桑名義治

    ○桑名委員 対策本部の福島審議官にお尋ねしたいのですが、いま各省庁にお尋ねしましたところが、いわゆる水質保全のための指定水域に指定されたものが、旧法でも百六あるんだ、あるいは大気汚染の環境基準に不適合の場所が三十三カ所、農林省の土壌汚染個所というものが二十二カ所、こういうふうに考えられる。さらに農林省のほうの御答弁では、土壌汚染についてはまだまだ進行するのではなかろうか、こういうお話でございます。そうなってくると、先ほどあなたがおっしゃったことばの中で、今後これ以外に約四十カ所くらいを予定している、こういうようなお話でございましたけれども、それではたしてこの公害対策が十二分であるかどうかということは、これは疑問でございますけれども、どういった基準で四十カ所という数が出たのか、そのところを明快にお答え願いたいと思います。
  130. 福島榮造

    ○福島説明員 いま大気、それから水質、土壌、それぞれについてお尋ねがあったわけでありますが、この公害防止計画を策定する地域として見ますと、それぞれの総合的な計画を立てるということになっておりますので、いまの地域を簡単にプラスした地域がそのまま公害防止計画策定の地域になるということでもないと思います。  なお、私どもがこの地域を選びます際には、公害対策本部だけで選んでいるわけではなくて、関係各省庁と十分連絡協議いたしまして、そしてこれを取り上げるべきであるということで取り上げておる次第でございますので、ただいまの点は関係各省の意見を十分参酌いたしまして、今後取り上げてまいる地域をきめる際には考えていきたい、かように考えております。
  131. 桑名義治

    ○桑名委員 私はいま各省の方々が言われた数を全部プラスして、そこら辺を全部やれというわけではない。もちろん公害ですから、複合的に公害は起こっているわけです。土壌汚染のところは必ずしも土壌だけが汚染されているわけではなく、必ずそこの水も汚染されている、水系が汚染されていることはわかるわけですよ。だけれども、水域についてのみ考えても百六カ所あるわけですよ。だから、そういった意味から考えますと、四十カ所というものがはたして妥当であるかどうか。  だから、四十カ所とあなたが言われたから、その四十カ所というものの基準をどこに設けて四十カ所ということを言われたのか、そこを明快にしてもらいたいということを先ほどからお話しているのです。
  132. 福島榮造

    ○福島説明員 私、先ほど四十カ所程度考えられるのではないだろうか、こう申し上げたわけでありまして、はっきりこの段階で、どの地点、どの地点を取り上げるということで四十カ所だということではございませんので、この点あるいは私の言い方が悪ければ訂正したいと思います。  ただ、おそらくは四十カ所程度ならば十分対処できるような公害防止計画が策定されて、全国を網羅できるのではないだろうか、こういう考え方から四十カ所程度になるのではないか、こう申し上げたわけでございます。したがいまして、四十カ所でこれを打ち切る、そういうことでもございません。これから何年かたちますと、またいろいろな客観情勢も変わってくるでありましょうから、そういう際には私どもこれを取り上げるにやぶさかでございませんので、その点ひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  133. 桑名義治

    ○桑名委員 そんなゆうちょうなことを考えるひまはないですよ。何ならば、この法律を見ましても、いわゆる十年の期限を切ってある時限立法ですよ。時限立法であるならば、こういうふうな計画の中では消化し切れないのではないですか。この十年間の時限立法の中で、四十カ所が消化できる自信があるのですか。
  134. 福島榮造

    ○福島説明員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、この公害防止計画の策定の事務が非常におくれておるということは、実は遺憾に思ったわけでありまして、公害対策本部にこの事務が移りましてからは、これに全力をあげて取り組んでおるということでございます。したがいまして、今後におきましても、おくれをとらないように、できるだけ事務の進行をはかってまいりたい、かように考えております。  おくれました最も大きな理由といたしましては、千葉・市原、四日市、水島につきましては初めてのケースでございましたので、私どもも多少戸惑いをした点もございます。しかしながら、これにつきまして、じっくり時間をかけましたので、これをモデルにいたしまして、言うならば、先例といたしまして、今後の消化というものもはかっていけるのではないだろうか、かように考えておるわけであります。できるだけ努力してまいります。
  135. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの点について自治大臣の意見を伺っておきたいと思います。
  136. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 一ぺんにそれだけで済むかというお尋ねでございますが、できるだけ、先ほど山口さんにもお答えいたしましたとおり、この法案の内容につきましては今後検討してまいりたいと考えております。したがいまして、またあとから指定になるものもございましょうが、いまさしあたり指定している四十について、これはひとつできるだけ十年間で処置したいと思いますが、万やむを得なければ、またそのときに機宜の処置をとりたいと思います。できるだけ十年を目標にこれから加速度的にスピードアップをしてまいりたいと考えております。
  137. 桑名義治

    ○桑名委員 すでに公害発生した地域、こういった地域が、たとえば群馬県の安中、富山のイタイイタイ病の発生地域、こういった特殊な地帯があるわけでございますが、こういった地域に対する財政措置を今後どういうふうに考えていかれるのですか。その点を明快にしていただきたい。
  138. 長野士郎

    長野政府委員 いまいろいろのお話がございましたが、この計画区域とそれ以外の区域との関係——確かに計画区域内でありますと、いわゆる負担率、かさ上げということも作用するわけでございますから、財政的にも負担が軽くなるということになるわけでございます。それからその区域外の場合でも、たとえばこの法律でもそういうふうな予定をいたしております河川、港湾の浄化とか、汚染農用地というようなものにつきましては、その状況をどういうふうに判断するかという一つの問題があるわけですけれども、しかし、区域外におきましても、そういう土地についての調査もいま行なわれておるわけでございますから、そういう実態から見まして、どうしてもそれは早急にその公害の汚染の状況を取り除かなければならないという認定に達するものにつきましては、自治大臣関係行政機関と協議いたしまして、その両方の事業についての指定をするというような措置はぜひとらなければいけない。  しかし、そういうことにまで至らないようなところは一体どうするか、こういう問題もまた残ってくるかと思います。全然ないとは言い切れないと思うわけでございますが、これにつきましては、やはり一般的な措置といたしまして、いまの国の助成措置なりそういうものが全然ないわけでもございませんので、そういうものも考えていかなければならない。また同時に、事業者のほうの負担というものもはっきりするものははっきりさせて、事業の促進をはかっていく。また、地方団体としての負担につきましては、地方財政観点からは交付税なり起債なりという措置で、その必要な事業の確保につとめていく。  こういう何段がまえかで、とにかく必要な防除事業実施ということによりまして、公害の非常に大きなもの、小さいものとかケースがいろいろあると思いますが、それに即応いたしまして、いろいろ対応していくようにいたしたいと考えております。
  139. 桑名義治

    ○桑名委員 今回のこの法律、いわゆる公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置、これはいわゆる公害対策基本法の十九条を受けてつくられたのか、二十三条を受けてつくられたのか、どっちなんですか。答弁によって、私の勘違いかもしれませんが、十九条を受けてつくって二十三条を含んでいるのだという御答弁もありますし、二十三条の意思を受けてつくったのだという御答弁もありますし、大体どちらがほんとうなんですか。
  140. 長野士郎

    長野政府委員 今回の法律は、国の財政上の特別措置に関する法律という表題からも明らかでございますように、このような公害関係事業についての財政上の特別措置をするということ、しかもそれは地方団体に対する財政措置でございますから、その意味では、基本法の二十三条の趣旨に沿って立案されたということになるわけでございますが、その主たる対象を、十九条に基づくところの区域の防止計画事業中心にいたしておる、こういうふうにお考えを願いたいと思います。
  141. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、二十三条というものにある一つのワクをはめていわゆる財政措置を限定するということは、これは不適当ではありませんか。この二十二条というのは、範囲は大体どの程度の範囲を示しているのですか。
  142. 長野士郎

    長野政府委員 国と地方団体との間について公害防止に関する施策というのは、こんなことを申し上げるまでもないと思いますが、この特例措置だけの問題ではないわけでございます。いろいろな措置があるわけでございますが、今回の特例措置というものも、そのような施策と申しますか、財政上の措置一つであるわけでございます。したがいまして、これがどこから出てきたかといえば、やはり二十三条に基づくということになるわけでございます、二十三条というものは広く一般的なものも含むじゃないか、これはもう御指摘のとおりだと思います。二十三条は、広く公害防止について国、地方関係におけるところの財政措置について規定をしておるわけでございます。その措置充実につとめろという法律の趣旨だと思います。そういう措置はいろいろありますが、この中で今回もその一環としての措置を講じてまいりたい、こういうことだと私どもは解して、この法案を取り扱ってまいりたいと思っております。
  143. 桑名義治

    ○桑名委員 財政局長の話される意味は、わかるのはわかるのです。しかしながら、これがいわゆる地方自治体の側から見た場合と、それからあるいはいわゆる自治省という立場から見た場合に今回のこの法律案が制定された、こういうふうに思うわけでございますが、そういった立場から見た二十三条の位置づけをどのように考えられますか。
  144. 長野士郎

    長野政府委員 私でお答えできるかどうかちょっとわかりませんけれども、結局、公害対策基本法におきましては、国は全体の施策責任を持ち、それからその実施についての第一義的な責任を持っている、こういうことになると思いますが、その中で、企業について規制をしなければならぬものもありますし、それから国が直接行なわなければならぬものもあります。それからまた、地方団体が主として防止事業として当たらなければならぬ場合がある。そういう点は、やはり地方団体環境整備という任務を広く持っておりますから、その中で公害防止に関するものもそういうものの中に入ってくるということはこれは当然なわけでございます。現実的にもそのとおりなわけでございます。しかし、それは一面公害防止という観点でございますから、それについて国が地方団体のなすがままでそのままにしておくというわけにはまいらない。やはり国の公害防止施策を推進するという大きな効果をそこで国も期待いたしましょうし、地方団体もそれにつとめるわけでございます。その観点において、必要な財政上の措置をいろいろ講じていくということが出てくるわけだと思います。今回の特例法におきましては、これは事業を特定いたしておりますから、これ以外でも、たとえば午前中に御指摘もございましたが、地盤沈下のような問題も一つ公害事業でございます。これについてはまた別個の観点からの措置を進めておる。その措置が十分か十分でないかというお話もあるわけですが、進めておる、こういうことでございまして、その点で広く公害防止に関する施策についての国の責任、それに対応する地方事業遂行の確保という点からの観点に立ちまして、国が財政上の措置を講じていく。そして車公害防止という観点になれば、地方地方単独そのままやっておるということを国がほっておくというと語弊があるかもしれませんが、そのままにしておくというわけではなくて、国としてもその責任というものを分かち合うという考え方をこれはあらわしているというふうに私は考えます。
  145. 桑名義治

    ○桑名委員 そういう説明がありますと、過日の予算委員会の大蔵大臣答弁等と勘案しまして考えますと、これは財政局長考え方、少しおかしいのじゃないかと思うのですよ。なんとなれば、いわゆる地方団体環境整備というものは、これはもう当然地方団体に課せられた一つ仕事ではありますけれども公害防止という立場からこの問題と取り組んだ場合に、大蔵大臣は、どこに責任があるかといえば、これは国の責任だということに最終的には修正していますよ、答弁を。そうやって考えてみると、いまの財政局長答弁では、これはちょっと考えなければならないと私は思うのですよ。そういった立場から考えて、いわゆる二十三条というものをもう少し前進的に考えていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、その点についてもう一度御答弁を願いたいと思います。
  146. 長野士郎

    長野政府委員 だんだんむずかしくなってまいりましたが、結局、私、先ほど申し上げようと思いましたのは、公害防止についての基本的な責任といいますか、第一義的な責任は、それは国だと思います。しかし、防止事業として取り上げてまいります手段なり方策なりというものは、その中の多くのものが、抽象的に言いますと、地方団体が行なってまいりますところの環境整備事業、そういうものがそれにはまるものが多いわけであります。先ほどからも問題になりました下水道の整備事業というのは、その典型的なものだと思います。そういうものでございますから、地方団体環境整備を進めておれば、公害発生現状ほどにはならなかったかもしれない、こういうことも一面言えるわけでございます。その意味では、地方団体事業の不足といいますか、いろいろな事情がございますから一がいには言えませんけれども現状におけるところの社会公共施設整備不足ということが現在の公害について大きな原因を与えておる、その点はまぎれもないことであります。  しかし、それを促進していかなければなりませんから、そのためには国としては、公害防止という観点から、それを特に進めていくという特別な必要を感じていかなければならない。その場合に、国は国として応分の負担といいますか、責任を分かち合うという要因が、単に都市施設整備というもの以上に出てくるということだと思うわけでございます。その点をいまのようなままでいいと思うのか、もっと進めるべきではないかという議論だと思います。したがいまして、国がそのままでほっておきはしないというような意味での国のほっておかなさというものが、いまのようなことで十分なのか、十分でないのではないかという議論は、議論としては大いにあり得るわけでございまして、私ども現状だけでいいとも思えませんから、やはり公害というのは何と申しましても、まだ若い——若い行政と言っちゃ語弊がございますけれども、これからいろいろな事態対応して措置をし、充実をさしていくという必要を多くはらんだものだと思っておるわけでありますから、そういうことで国の責任といいますか、財政上の措置というものもその線に沿って充実をさしていくという必要はあると思うのであります。
  147. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、いま財政局長が言われましたけれども、当然その環境の整備がまだまだ——下水道の例をあげられまして、整っておったならばこういう事態が起こっておらなかったのではなかろうかという一面もある、こういう意味お話があったのですけれども、現在の地方自治体財政力の中でそこまで手が回らなかったというところに問題があるわけです。だから、こういう事態が起こった、早くこういう事態を解消していかなければならないということで、今回のいわゆる法制化が行なわれたのではなかろうか、こう考えることは、これは至当な考え方だと私は思うのです。そういった立場から考えた場合に、二十三条のいわゆる適用範囲というものはまだまだ拡大すべきではないか。こういう限定をしてものを考えていくということは、いわゆる不当な考え方ではなかろうか、こういうふうに私は先ほどから質問をしているわけでございます。  先ほどあなたが下水道の問題に対して云々されましたので、今回のおたくのほうから出されたいわゆる三地域に対する公害防止計画の事業費ですね、この割合を見てまいりましても、公共下水道の場合をまず例をとってみますと、これは法律から除外をされている。実際に終末処理場にのみいわゆる特別措置がとられている。こういうことで完全な防止対策ができるか。もちろん終末処理場を完成させるということは、公害防止のためには大きな力にはなるかもしれませんが、そこまでつながなければ、終末処理場だけあったって何にもならないわけですから、当然つなぎの線までは、これは特例措置をとっていくべきではなかろうか、こういうふうに思うわけですけれども、その点について二兆六千億のワク外からはみ出すことをおそれているような御答弁がいろいろあるわけでございますけれども、それに対しての自治省のものの考え方はどういうふうに考えられておるか、御答弁を願いたいと思います。
  148. 長野士郎

    長野政府委員 下水道について申しますと、下水道全部について急速に整備を必要とするではないか、その意味では現在の下水道に対する国の助成とか、そういうものがまことに不十分だという御意見は確かにあると思います。このようなテンポで一体いいのかという根本論もあると思います。私どもはそれはすべてごもっともだと思っておるわけですが、ただ、現状におきましては、新しい下水道の五カ年計画二兆六千億というものにしましても、いわば画期的な大きな事業をこれから進めていこうということになる。そういうことをいたしましても、たしか昭和五十年におきましては都市の下水道の必要な地域、市街地区域でございますが、要処理区域の中で三八%くらいにしかならない。この問題についてどうするのだという問題も確かにございます。しかし、そういう現状でございますが、この下水道事業というのは、そういう意味では公害防止事業でもありますが、同時に都市基本的な施設公害のあるところないところにかかわらず、都市施設としての整備が必要である、こういうかっこう事業と認識をされておるわけでございます。したがいまして、その意味では、下水道全体の事業実施というものをまず確保するということが必要である。しかし、公害防止区域におきましては、特にこれらの事業を一定の期間内に多量に行なっていくという必要があるわけでございます。そういうことで、下水道についても特別な助成を考えていくということになるわけですが、その場合に、全部取り上げるか、一部取り上げるかという問題がありまして、このいろいろの議論の中で、この中では公害防除の目的のための特定公共下水道、都市下水路、それ以外は、一般の下水道については最も直接的に水質汚濁について有効な働きをする終末処理場というものを取り上げておる、こういうことでございまして、それは全体の事業量の確保なり、下水道そのものの持つ性質なり、他とのバランスというようないろいろな事情を考えながら、こういうところへ一応結論を得た、こういうことでございます。
  149. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、二十三条の適用は、現在のいわゆる既定方針は変更はできないということですね、考え方としては。
  150. 長野士郎

    長野政府委員 やはり公害防止の目的のために今後いろいろな事態対応していく必要も出てまいりますから、そういう点での国と地方との役割りというものが、いま考えておる時点にとどまっておるとも必ずしも思いません。これについてはもっと国の役割りを高めるべきだという議論も当然出てくる場合もあると思いますし、また、いまの計画区域の問題にいたしましても、いまの個所で必ずしもいいというわけにもまいらない事態が起こり得ると思いますから、これはある意味では弾力的に考えていく。しかもむしろその目的は、公害防止のために必要である限りにおきまして、それを充実する方向で考えていくということは私ども当然努力してまいらなければならぬと思っております。
  151. 桑名義治

    ○桑名委員 そういった意味で、二十三条の位置というものは、今回のこの法律の第三条第三項が、そういうふうな適用除外になってくるのじゃなかろうか、いわば幅を広げるその大きな項目ではなかろうか、こういうように思うわけですが、この第三条の三項を受けての事業というものは、現在自治省としてはどの程度のいわゆる事業を想定されていますか。
  152. 長野士郎

    長野政府委員 三条三項といいますのは、防止計画作成地域以外の地域の指定の問題でございますが、これは結局防止計画区域の指定のしかたとも一応関連をすると思っております。それで相当カバーできれば、この範囲というものは勢い少なくなるわけでございましょうけれども、これはそこで、当然にそういう地域に指定されるものをあらかじめ指定するかあるいは指定されないところを指定するか、いろいろ議論があると思いますけれども、私どもとしては、この河川、港湾等の浄化事業あるいは農用地の土壌汚染防止というようなものにつきまして、それらの事業をそのまま放置することはできないと思われるような地域であって、しかもそれがまだ計画区域に入っていないというようなところについては、これは関係各省の意見もございますけれども、そういう意見との間の調節を加えながら指定をしていくべきではないかというふうに思っております。
  153. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、具体的に事業内容についてはまだ想定はしてない。いまから起こってくるいろいろな個々一つ一つの問題についてこの規定を適用していこう、こういうお考えですか。
  154. 長野士郎

    長野政府委員 これは現在主要な水域でございますとか、あるいは全国の相当な地点における農用地については、関係各省のほうで調査をされておるわけでございます。私どもはそういう調査の結果等を待ちまして、いま申し上げましたように、このまま放置することはできないと思われるような状態でありますところにつきましては指定を進めてまいる、そういうことにいたしたいと思います。
  155. 桑名義治

    ○桑名委員 たとえ公害防止計画の指定がなされていない地域についても、今後緊急性のあるものについては指定をしてまいりたい、こういうふうに承ってよろしいわけですね。これは確認の意味で、もう一ぺんお尋ねしておきたいと思います。
  156. 長野士郎

    長野政府委員 そのとおりでございます。
  157. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、洞海湾の問題でございますが、昨年度は約一千万円の調査費がつきまして、洞海湾のいわゆるヘドロの調査がいまなされているわけでございますが、今後、来年度におきましても、この調査費がまたつけられるものであるかどうか。こういう態様のものについてどういうふうに第三条第三項の規定が適用になるかどうか、まずこの点についての見解を伺っておきたいと思います。
  158. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いま先生御指摘のように、四十五年度におきまして約一千万円の調査費をいただきました。それは御承知のように、洞海湾というのは行きどまりの湾でございまして、こういうところで、対策という前に、どういうふうに海の水が動いておるか、それからきたない水がどういうふうに還流しておるかということの実態がまだはっきりいたしませんので、その現状を調べまして、できればシミュレーションモデルと申しますか、計算式に乗っけてそういうものができれば、各地にも適用できる。そういうことで実態調査は管理者にやっていただきますし、それから国としては、そういう基本的なよごれた水の動き方の機構と申しますか、そういうものを進めてまいっているわけでございますが、まだ四十五年度では十分ではございませんので、四十六年度さらにそういうモデルの、たとえて言いますと、四十五年度は縦方向の流れだけしかやっておりませんので、それを直角方向、縦断方向のシミュレーションをやりましで、成果をあげていくということを続けてまいりたいというふうに考えます。
  159. 桑名義治

    ○桑名委員 それともう一つ、この第三条第三項についての具体的な問題としてお尋ねしておきたいと思うのですが、住居の移転については、今回の規定の中には入っていないわけでございます。ところが、たとえば一つの例をあげますと、北九州市の中で八幡区の城山地区というのが降下ばいじんでは日本一というところで、どちらから風が吹こうともばい煙が必ず入る。一ぺん盲腸炎をわずらわないと城山小学校の先生の資格は出てこない、これほどまでにいわれているところでございまして、すでに事業者側といたしましては、新日本製鉄は社宅を全部移動させてしまった。あとそこら辺の一般住居とそれから学校が残っているという段階でございます。こういった実情を考えてみますと、これは当然公害防止対策の一環として盛り込まなければならなかったのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございますけれども、二条の一号から七号までの間の中には全然盛り込まれてないわけでございます。それで北九州市としましても、地元との話し合いを進めているわけでございますが、実際にこの指定を受けるという段階になれば、これも当然一緒に考えていきたい、こういうような意向を含んでいるわけでございます。各ほかの地域にもこういった個所は当然あり得る、こういうふうに思うわけでございますが、これが含まれるかどうか、あるいは三条の三項に含まれるのかどうか、また除外した理由はどこにあるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  160. 大富宏

    ○大富説明員 御指摘のとおり、公害防止事業としての住宅移転事業は、当法案の二条三項各号には直接規定しておりません。実は公害防止事業としての住宅移転事業につきましては、先般成立いたしました公害防止事業事業者負担法の二条のほうに規定されておりまして、具体的に住宅移転事業をどういうものに適用するかにつきましては政令で定めることになっておりまして、近々この政令を施行するという予定で、目下総理府と私どもと検討を進めております。この政令の内容が固まりましたら、自治省当局とも十分協議を進めていきたい、かように考えております。
  161. 桑名義治

    ○桑名委員 確かに今回の公害防止事業事業者負担法の二条の五号に載っかっておりますし、あるいは第七条の第四号に「政令で定める割合」というものが載っております。しかしながら、この政令はいつをめどにして、またどの程度の企業負担考えながら策定を進めているか、その点まず伺っておきたいと思います。
  162. 大富宏

    ○大富説明員 関係省と相談して、これも四月一日から施行できるようにということで検討を進めております。
  163. 桑名義治

    ○桑名委員 期日だけではなくて、私は大体どの程度の企業負担があるのか、どの程度をめどにしてこの政令を定める方向を考えているのか、それをお尋ねしているのです。
  164. 大富宏

    ○大富説明員 事業の内容及び事業者の費用負担の割合等につきましても、まだ成案ができておりません。
  165. 桑名義治

    ○桑名委員 成案はできてないけれども考え方の方向というものが当然なければ成案はできるわけがないでしょう。だから、大体どの程度をめどにしているかということなんです。
  166. 大富宏

    ○大富説明員 大体この特別措置法が考えておりますのも二分の一程度の費用負担考えております。類似の事業といたしましては、公営住宅あるいは住宅地改良事業、あるいはさらに周辺緑地等の事業がございます。類似の事業に相当する程度費用負担あるいは事業内容、そういうもので検討を進めております。
  167. 桑名義治

    ○桑名委員 建設省として、一応この住宅移転については、事業者負担額が明快になり、政令が確定的に制定された後に自治省と相談をする、こういうお話でございましたが、自治省としては、これを受けてこの法律の中に盛り込むかどうか、その点について伺っておきたい。
  168. 長野士郎

    長野政府委員 いま御提案申し上げております措置法の第二条第八号には、「政令で定める事業」というので、一応政令のセービングクローズを置いております。それは、いまのような住宅移転等の事業を加える必要があるというようなこともございますので、こういうことにいたしておるわけでございますから、いまのように内容がはっきりしてまいりますれば、私どものほうとしては、ぜひ加えてまいりたいと思っております。
  169. 桑名義治

    ○桑名委員 次にお尋ねしたいことは、きょう出していただいた「千葉・三重・岡山三県公害防止計画事業費」の内容でございます。この内容を見ますと、補助対象事業、これに対するいわゆる国の負担額というものは、半々ということになっているようでございます。しかしながら、総事業費から見た場合には、ずいぶんかけ離れているわけです。特に、先ほどからちょっと問題を提起いたしました公共下水道というもの、これが各市町村の中におきましては、非常に大きないわゆる事業費の超過負担になっている、こういうふうに考えられるわけでございます。また、その中で廃棄物処理施設を見てみますと、総事業費が七十一億円で、補助対象事業費が約八億円でございます。その中でまた企業負担が一億、こういうふうな貧弱な補助制度しかできあがってないわけでございますが、これは大体どういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。もう少し前進的に考える方向はないものですか。
  170. 長野士郎

    長野政府委員 この補助対象事業費とか国費の額というものにつきましては、一応関係地方団体で推計をいたしました額でございます。必ずしもこのとおりに補助対象になるというわけではございません。むしろこれよりも多くなるものもあろうかと思っておりますし、またこれより少なくなるものもあるかもしれません。  そこで、御指摘がございましたが、総事業費と補助対象として補助に採択される事業の割合と申しますか、そういうものが事業ごとには必ずしもそろっていないのでございます。しかし、これは正直に申して、現状でございます。特に廃棄物処理施設につきましては、いろいろな事情からこういうことになっておると思うわけでございますから、一がいには申し上げられないかもしれませんが、一体、補助対象事業というべきものなのかどうかという程度の補助しか与えられていないというのが現状でございまして、そのことがここにあらわれておるわけでございます。  私どもといたしましては、関係各省庁に対しまして、結局問題は、こういうところにも出ておりますように、補助採択を高めていただくということをむしろお願いしなければ、問題の解決になかなかならない。単独事業のままで放てきされるという割合が多いということは、これは必ずしも、公害防止施策基本のたてまえからいいますと、適当ではないというように私ども思いますので、今後とも補助採択の割合を高めていただきますように一生懸命努力をいたしたいと思っております。
  171. 桑名義治

    ○桑名委員 この廃棄物処理施設というのは、これは厚生省の管轄になりますか。  そうすると、厚生省のものの考え方というのは、ここの表にあらわれたようなものの考え方なんですか。いま財政局長からお話がありましたように、採択率のアップということは、これは非常に大事なことだと思うのです。下水道の場合だって同じことが言えるわけでございます。きょう補助率の一覧表もいただいたわけでございますけれども都市下水路は三分の一とかあるいは公共下水道は十分の四とか一応はなっておりますが、採択率が六四%程度では、これは大きな超過負担が出てくることは当然なことなんです。下水道の場合にも、いわゆる大きな超過負担を負わされ、さらにこういう公害防止事業を遂行する上において、こういう廃棄物処理施設をつくることが即各地方団体にしわ寄せをされるということは、非常に好ましくない状態だと思う。厚生省としまして、この廃棄物処理施設の採択率をこのままでいいと思われているのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  172. 山本宣正

    山本説明員 私、公害課長でございまして、いまの件につきまして、ちょっと私お答えできないので恐縮でございますが、後ほどに……。
  173. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどから採択率の問題が非常に云々されているわけでございます。この問題については、自治省としても積極的に採択率のアップについて十二分な配慮をいただかないと、せっかく防止計画を立てたとしても、各地方自治団体財政力を圧迫し、その計画がスムーズに行なわれないような事態におちいったならば、この公害防止の計画というものが絵にかいたぼたもちになる、こういうことが当然考えられるわけでございますので、この点十二分に配慮をして取り組んでいただきたい、このように思うわけですが、この点について自治大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  174. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 採択率の引き上げは当然必要でございまして、その点従来からも常に留意しておるわけでございますが、今後公害防止対策を進捗していく上におきまして、十分その点を配慮してまいりたいと考えます。
  175. 桑名義治

    ○桑名委員 それから、この事業費の一覧表の中に、特例対象事業の中でも、企業負担がこれは計上されているわけでございますが、この企業負担というものは、事業者負担法の適用になるものか、受益者負担になるものか、どちらでこれが計上されているのですか。
  176. 森岡敞

    ○森岡説明員 これは企業の中には受益者負担は含めておりませんので、地方負担のところに便宜含めてこの資料は作成しております。
  177. 桑名義治

    ○桑名委員 もう約束の時間が来ましたのでやめますが、いずれにしましても、この防止計画事業費の負担地方自治体に過酷な財政負担にならないように、十二分な配慮をいたしていただきたいと同時に、この計画に乗らない地域についても、第三条の第三項の規定やあるいは第二条の第八号の規定等を十二分に適用されて、この計画がスムーズに行なわれるように、あるいは公害対策というものが全国的にスムーズに行なわれるように、地方自治体という立場あるいは自治省という立場から十二分に配慮していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  178. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明十九日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十分散会