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1971-03-11 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 正暉君    永山 忠則君       安田 貴六君    豊  永光君       細谷 治嘉君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  大塚 友則君         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         厚生大臣官房参         事官      石野 清治君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     高橋  明君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     山本 幸一君     ————————————— 三月十日  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願池田清志紹介)(第  一九七一号)  同外一件(小坂徳三郎紹介)(第一九七二号)  地方公務員退職年金受給者医療制度改善に関  する請願石川次夫紹介)(第一九七三号)  同(田中恒利紹介)(第一九七四号)  同(芳賀貢紹介)(第一九七五号)  同(松平忠久紹介)(第一九七六号)  同(山口鶴男紹介)(第一九七七号)  同(赤松勇紹介)(第二一八二号)  同(岡田利春紹介)(第二一八三号)  同(田中恒利紹介)(第二一八四号)  同(成田知巳紹介)(第二一八五号)  同(芳賀貢紹介)(第二一八六号)  同(八百板正紹介)(第二一八七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四七号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田一郎君。
  3. 和田一郎

    和田(一)委員 最初にお聞きいたしますけれども、これは全部はいまおわかりにならないと思いますが、四十六年度新設補助金——地方団体のほうに行くいろいろな補助金がありますけれども、その新設補助金名目といいますか費目といいますか、それから補助率金額、そういったものがおわかりになれば、二、三でもけっこうですから、おっしゃっていただきたいと思います。
  4. 森岡敞

    森岡説明員 四十六年度新設された補助金は、件数にいたしまして百十三件でございます。     〔委員長退席古屋委員長代理着席金額で二百十五億円でございます。各種の補助金がございますので、その中身につきましては、後ほどまた資料ででも御説明いたしたいと思います。
  5. 和田一郎

    和田(一)委員 それではその百十三件、二百十五億円の中身資料でお出し願えますか。委員長、お取り計らい願います。
  6. 森岡敞

    森岡説明員 主要なものにつきまして資料で提出させていただきます。
  7. 和田一郎

    和田(一)委員 それではついでに、補助金のことでもう一つお伺いしたいのですけれども、今回廃止になった補助金はありますか。そのおもなもの、いま二、三わかりませんか。
  8. 横手正

    横手説明員 廃止になりました補助金といたしましては、地方公共団体青少年問題協議会補助金、これは総理府所管でございますが、これがなくなっております。また厚生省所管でも日本脳炎特別対策費補助金、そのほかにも各省にわたってこまかい補助金廃止になっておるものがございます。
  9. 和田一郎

    和田(一)委員 どのくらいあるかわかりませんが、それもひとつ資料としてお願いしたいと思います。
  10. 横手正

    横手説明員 資料として提出するようにいたします。
  11. 和田一郎

    和田(一)委員 もう一つ補助金のことで、率の改定の補助金があると思うのです。それと、今回上程されている、または上程される見込みのいろいろの法律案の中で、この分に対しては交付税措置をするというのがあるかどうか、どうでしょう。
  12. 横手正

    横手説明員 新設のものにつきましても、一応国の予算に載り、しかも地方財政計画にも掲上されたもの、こういうものにつきましては、その地方負担基礎にとりながら交付税単位費用積算基礎の中に織り込んでまいっておる次第であります。
  13. 和田一郎

    和田(一)委員 新しく上程されている、または上程される見込みのいろいろな法律の中で、この分は交付税措置をするというような名目のものは、あるというわけですね。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 たとえば人口急増対策関係で、学校用地の取得を必要とする義務教育施設の整備に対して新しく補助制度を設けられるわけでございますが、こういうものにつきましては、やはり人口急増対策全般としての考え方の中で重要な地位を占めるものでございますので、それだけで事業目的を必ずしも達成できませんから、そういう意味では、交付税なり起債なりの措置とあわせて考えていくというような意味で、財政計画に取り上げたわけであります。その関係において算入をいたしております。  そういうような関係のものといたしましては、たとえばこの次御審議を願います公害防止事業に関する国の財政上の特例措置、これは本年度分に限って四十七年度に清算交付することになっておりますけれども、今後新しく補助率をつくる事業になるわけであります。そういうものについてはそういう関係措置考えられると思います。  それから来年度は、これは補助というべきではなしに、むしろ負担の問題だと思いますが、新しい負担制度といたしまして児童手当関係のようなものが出てまいりますと、これに対する関係所要経費地方負担分というものにつきましても、財政計画にもちろん掲上いたしますから、それに応じまして一応財源措置を講じていく、こういうことに相なります。
  15. 和田一郎

    和田(一)委員 いま申しました交付税のほう、いまの御答弁にありましたけれども、それもひとつ資料として出していただけますか。
  16. 長野士郎

    長野政府委員 主要なものにつきまして、取りまとめて提出をさせていただきたいと思います。
  17. 和田一郎

    和田(一)委員 次に、前回の大臣所信表明のときの私の質問がちょうど中途はんぱに終わっておりますので、その続きで公営企業関係お答えをいただきたいと思うのです。  あのときの話は、特に交通関係でやってきたわけなんですが、所信表明の中にも、特に公営企業等については一般会計からの負担区分を明確にする、そして健全化をはかる、こういうような趣旨もありましたし、また自治大臣からも、財政局長からもそのような御答弁があったと私記憶しております。その席で特に交通関係にしぼりましていろいろお聞きしました。     〔古屋委員長代理退席委員長着席〕  そこで、これは私の記憶でございますけれども、いずれにしても公営企業独立採算制をとっておるが、しかし、社会情勢等によって、たとえば料金は上げられない、しかし、人件費はふえるということで赤字になる。そういうような面は当然一般会計等で何らかの形でしなければならないのじゃないか。それも何も地方一般会計だけじゃなくて、国ということもあり得る、こういうようなお答えがあった。そのことについてちょっとお尋ねしますけれども、大体どういうふうにお考えであるか、具体的にお答え願えませんか。
  18. 長野士郎

    長野政府委員 公営企業全体の問題のお話でございますが、公営企業の中でもいろいろな種類があるわけであります。ただ、全般を通じまして経営について困難な情勢に立ち向かっているということが言えると思いますが、それぞれに原因事情がよって来たるものが違うわけでございまして、一がいに申し上げるのはなかなか困難でございますけれども一つは、企業内部において企業努力が要請される、それによって解決をしていくもの。それから企業外部要因によってそういう経営が困難になっているもの。  その中に二種類あるわけでございまして、一つは、行政施策というような点で企業がそういう業務を受け持たされておるというような点もありますから、そういうものについては、地方団体の主要な施策の一環として企業的な採算なりそういうものを度外視して行なっておるような場合には、一般会計による負担ということが考えられてしかるべきではないかというようなものがございます。  さらにもう一つ、これを越えまして、つまりそういうことの経営困難の原因には、いろんな、交通事情の変化でございますとか、あるいは都市過密化でございますとか、過疎現象とかいうふうなことによって経営が困難になっておるという点もあるわけでございます。この一番最後のところのものを一体どのように解決をしていくべきか。たとえば地下鉄等につきましては、そういう重要な都市交通手段、市民の足の確保ということは、単に一地方の問題というより、建設費関係等考えてみれば、国家的にもこれを助成する必要があるのではないかというような問題、こういうものになってまいりますと、国の助成ということがはかられてまいるというような点が出てくるわけでございます。  この点は企業全般にいろいろな特性もあり、事情も異なっておりますので、一がいに申せませんが、今後ともそういうものを国と地方でどういうふうに考えていくかということについては、なお検討を進めまして、これについての考え方、こういうものを固めていかなければならぬ。特に交通事業というものにつきましては、差し迫ってそういう問題があるわけでございます。  その点交通事業については専門家の御意見も伺いたいということで、自治省といたしましては、昨年以来公営交通問題の研究会を開いていただきまして、現在検討しておる、こういう状況でございます。
  19. 和田一郎

    和田(一)委員 いま専門家方々に研究していただいている再建策は、大体いつごろ完成する予定でございますか。
  20. 長野士郎

    長野政府委員 現在、大都市を中心にいたしますところの交通事業あり方というものを、経営の基本的な主体なり仕組みの問題も含めまして検討をしていただいておるわけでございまして、四十六年度中には、そういう全般的な赤字解消という面だけではございませんで、交通全体の経営あり方、組織問題、あるいは経営の規模の問題、あるいはまた都市交通全体の体系の中の位置づけというような点まで含めまして結論を出していただきたい、こう思っております。
  21. 和田一郎

    和田(一)委員 四十六年度中、これはなかなか長い問題でございますけれども、そのことについてひとつ具体的にお聞きしたいのですが、一般地方債計画ですね、今度の地方債計画伸びは二三・一%ですか、去年に比べて約二〇%くらいの伸びがあると思いましたが、ちょっとそのことについて……。
  22. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 地方債計画全体の伸びは一九・六%でございます。
  23. 和田一郎

    和田(一)委員 そのほかのワク外債等もあるでしょうけれども、大体二割くらいの伸びがありますが、交通事業企業債だけは、昭和四十四年度、四十五年度ともに六十二億円、そして四十六年度は六十四億円と、わずか二億円しかふえていない。非常に押しつけられているような感じなんですけれども、これは何か理由があるのでしょうか、
  24. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 一般交通事業地方債につきましては、伸び率が、確かに御指摘のとおりそれほど大きくございません。これは最近の年度も、そういうようないわば横ばい状態起債ワクになっております。これは一つは、主としてバスでございますけれどもバスの実質的な耐用年数が次第に伸びつつあるというような問題もございますし、また経営の問題からいたしまして、現在の法定耐用年数内で更新ということも経営上なかなかむずかしいというようなこともございまして、大体この程度ワクで、現在行なっております。各地方団体のいわば投資需要は十分まかなえるという数字でございます。
  25. 和田一郎

    和田(一)委員 これからの投資ですから、そうはないと思いますけれども、これは一つの例ですけれども交通事業だけは非常に押えられているような気がいたします。各地方交通特にバス関係担当者に聞きますと、政府のほうの姿勢が非常に消極的だという——そういう人たちが言うわけではありませんけれども、そういう印象を非常に受けるわけです。そういう方々に対して意欲がないというような感じがあるのですね。これは政府としても、交通事業については四十六年度に案をつくるということでありましたが、もっともっと前向きにやっていかないと、いまにえらいことになってしまうのではないかと思うのですけれども見通しについてどうでしょうか。
  26. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 個々の地方債計画一般交通事業でまかなっておりますのは、主としていま申し上げましたバス事業とそれから路面電車事業関係でございます。  御承知のとおり、路面電車事業につきましては、大体各都市とも縮小傾向にございます。そういう意味で、路面電車自体の新しい投資というものが現在はほとんどございませんので、この一般交通事業ワクでまかなっておりますのは、バス事業主体になっておるというような状況でございます。  そしてバス事業につきましては、ただいま申し上げましたように、次第に実質的な耐用年数伸びておりますし、また一方におきましては、現在のバス事業経営状況から見て、相当合理的な経営ということも行なわれております。そういうものをにらみあわせながら起債ワクをきめておるわけでございます。そういう意味におきましては、現在の起債ワクバス事業の必要とする資金が不足をするというようなことは、私どもないというふうに考えております。
  27. 和田一郎

    和田(一)委員 政務次官、いま財政局長と参事官からの答弁がありましたが、バス事業に対してのお考え方をひとつまとめてお尋ねをいたしたい。
  28. 大石八治

    大石政府委員 多少ニュアンスが違うかと思うのですが、バス事業をやっている地方団体というのは非常にたくさんあるわけであります。ほんとうにある意味ではローカル中のローカルという感じのものもありますし、もう少しローカルのものもありますので、私どもこの問題はいわゆる外部条件の中でいろいろ困難になっているというふうに思います。ただ、一律にバス事業に対して国が財政措置をすぐするのだというふうに直結してものを考えていいかどうかという点もありますけれども、問題は確かにだんだん深刻になりますので、今後慎重に検討をいたしたいと思います。
  29. 和田一郎

    和田(一)委員 いま国が直接補助するというお話がありましたけれども、とにかくバス事業というものは不可欠な事業ですね。そのことはおわかりだと思うのです。しかし、年々重なっていく赤字というものはものすごい。内部事情はいろいろありますけれども、また外部要因もありますけれども、そういう意味で、ひとつ前向きに、さらに早急に解決策をお出し願わないと、いま一番問題になっている医療問題のように、どうしようもなくなってしまったら、それこそどうしようもない。これは自治省のほうの責任の範囲ですから、そういう面でひとつ強力に施策をお願いしたいと思います。  それから、ついでにお願いしますが、上水道の問題でございますが、上水道は四十四年度の決算を見てみましても、累積欠損額が百三十八億です。それから不良債務額が百七十一億、このように出ております。これが四十四年度。四十三年度累積欠損金が百三十九億、一億は減っておるということですね。それから不良債務額は四十三年度二百三十一億で四十四年度が百七十一億、ちょっと改善された。しかし、水道事業はいまのような交通事業のように極端にはなっておりませんけれども、四十五年度においてはどの程度実績が予測されますか。おわかりになったらひとつお答え願いたい。
  30. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 四十五年度実績見通しをここで的確に申し上げることは非常にむずかしいわけでございますけれども、現在公営企業の中では、上水道事業は、収支状況は最近やや好転をしてきておる事業でございます。そういう意味におきましては、まあ横ばい傾向ながらこの経営収支状況はなお若干の好転はしていくであろうというふうに私どもは予想をいたしております。
  31. 和田一郎

    和田(一)委員 若干の好転は予測されるというおことばでございます。確かに赤字というふうな結末にはなってこないと思うのですが、とにかく水源問題それから水の需要がどんどんふえておるということ、これは必然的に各事業体では拡張していかなければならない。水源拡張それから導水管新設、これは現在の各団体でのものすごく頭の痛いところですね。たとえば利根川水系、そのほうは自治省関係ないということを先ほどちょっとお聞きしたのですが、水源がどうなっているかとか、水質がどうなっているかというくらいなことを知っていないと、これは財政問題に対処できないのじゃないかと私は思うのです。それは厚生省だとおっしゃった方がいらっしゃるのですが、私はそうじゃないと思う。ある程度御存じでないと、ということを私は思います。  それはそれとしまして、いま利根川水系を何とかして、そして東京都の水をもう少し豊富にしよう、さらにそれを千葉県または神奈川県の一部にも回そう、こういう計画経済企画庁にもございます。建設省のほうも大体見ております。そういうことで、各事業体ではそれにのっとっていろいろな計画をしておりますが、そうなってきますと、たとえば神奈川県に利根水系から水を渡す。さらにまた現在の利根川は河口ぜきがだいぶ稼働になったような話がありますが、そういうところから東京都に水を持ってくる。そうした場合に、大体どのくらいな原価になるかということがおわかりかどうか、ちょっとお聞きしたいのです。給水原価といいますか、これは的確なものは出ませんが、大体どのくらいになるだろうか。
  32. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 まだ利根水系等につきましては的確な計算ができておりませんが、大体最近の神奈川県の公営水道等の今後の見通し等から見ますと、おそらく給水原価トン当たり四十円から五十円程度まで上がってくるのじゃないだろうかというような心配があるわけでございます。現行の高い給水原価のところが四十五円以上というのがもう出ておりますけれども大体大都市地域水道給水原価は、新しい部分につきましてはおそらく四十五円といったような線をオーバーする原価が算出されることになってくるというふうに推定をいたしております。
  33. 和田一郎

    和田(一)委員 これは東京都の例ですけれども利根水系から引っぱってきた場合、あれは何川ですか、東京都内の川に一たん落として、それから引っぱってくるというような相当大きな工事になるわけです。これは大体あらましの原価トン当たり七十円くらいにつくだろう。これは東京都の話です。それから神奈川県では、現在公営水道をやりまして、相模湖ですか、向こうのほうから引っぱってくる、横浜まで引っぱってくるというすごい大工事を企画しておりますね。それでも事業団から市が買う原価としてはやはり四十五円くらい。今度は給水各戸になってくるとさらに上がる。それは神奈川県は自分の水を使ってそうなるわけです。今度利根水系から引っぱってきたらどうなるかという問題です。ですから、これは非常な高額になってくるということはわかると思うのです。  そのことについて一つの例ですけれども、現在東京都は毎年二百二十億円くらいの拡張事業をやっておるわけです。これは金があってやっているわけではありませんから、その利息があります。それを八分に計算しても、毎年十七億円利息を払っていかなければならない。拡張分だけで十七億円の利子だ。それが全部水道料金のほうに含まれてしまう、これが現状でございますね。ですから、利息の面についても水道関係者からも非常に陳情もありますけれども、今後の計画として融資の面についてもそういう面でどうなんでしょうか、お考えをお聞きしたいと思うのです。
  34. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 現在の公営企業、中でもたとえば地下鉄でありますとか上水道といったような事業は、どうしても固定設備のほうに相当な金がかかります。したがって、それに伴う資本費というものは、原価に占める割合としましては非常に高いものになってくるということは事実でございます。昭和四十四年度東京都の場合におきましても、企業債元利償還金が約二百億、そのうち利子支払いが百二十億といったようなことで、その利子負担というものは非常に大きいものがあるわけでございます。そういう意味で、私どももでき得る限り企業債利子負担の軽減ということ、さらにはまた償還年限の延伸ということには努力をいたしておるところでございます。現在公営企業金融公庫利子につきまして、一般金利七分六厘に対しまして六分七厘というような、いわば利子引き下げの方策もとりつつあるわけでございますけれども、ただ現在の資本費状況から見ますと、さらにこれ以上金利の低いものが望ましいということは当然御指摘のとおりでございます。私どももでき得る限りそういう方向での努力を続けたいというふうに考えております。
  35. 和田一郎

    和田(一)委員 水質の問題になりますと、私、手元に持っておりますけれども、大和川の水質なんかすごいものです。それから淀川淀川なんか短いですから、その間に何回も何回も使っては捨て使っては捨てしている。そうしてこちらのほうで取水場があれば、その上で浄化して出しているという排水口がある。ですから、これは単位がちょっとわかりませんけれども大腸菌群が一万五千なんという最高、一般細菌群が六万七千と出ておるわけですね。これはものすごいですよ。ですから、これは水源問題としても経企庁のほうでやっておりますけれども、国全体の施策としてやっていかなければ、今後人口のほとんどが太平洋岸にへばりつくという話もあるくらいですからね。ところが、現在の水源確保であるとか、その投資金額措置ですね、これは各団体が血眼でやっているわけですよ。そういう面で、これはどうなんでしょうかね、国の施策としてやるべきじゃないかと思うのですが、政務次官、お考えどうでしょうか。
  36. 大石八治

    大石政府委員 お話伺っていて、私、全体的にどうするかという、全体的に水道行政全般になるわけだろうと思います。ただ、概念でいえば、お話しのとおり、いわゆる広域的に、もう少し広い地域的な展開の上からこういうものを総合的にやらなきゃならぬだろうというふうに私も考えます。  ただ、もう一つは、いまそういう非常に遠距離から持ってこなきゃならぬとか、いろいろな問題がありまして、同時に、経済企画庁でしょうか、いわゆる海水の淡水化という問題が、将来のかなり大きい展望の中に生まれているように私ども思います。これらも、一つの将来計画の中には入れておかなきゃならぬ問題だろうと思います。
  37. 和田一郎

    和田(一)委員 海水の淡水化は、すぐ使えるのでしょうかね。いま現実に水がほしいのですね。東京都でも、ことしの拡張工事が終わったら、来年また手をつけなければならない。地方都市でも、あっちの水はだめだ、こっちの水はだめだということで、利根川の水だって、百年公害といわれている砒素であるとか、いろいろなものが流れていますね。ですから、もう自由自在に使えない。しかも水利権の問題もありますし、ですから、これはひとつ国のほうでがっちりやってもらいたい。  それと同時に、水の計画はやっているでしょうけれども、手当ての件ですね、いわゆる財政措置の問題。たとえば工業用水は二五%から四〇%の補助があるわけです、あっちこっちずっと見ると。ところが、上水道一つもないのですよ。ただ、水源のダムの問題で一%か二%くらいの補助はあるのですね。それが現状なんです。東京都なんか見ますと、工業用水はほとんど使ってないですよ。余っているという現状ですね。そういう問題で、ひとつ政務次官、今後大いに検討しなきゃならないと思うのですが、お考えをお聞きします。
  38. 大石八治

    大石政府委員 しまいごろちょっと聞きとめないで申しわけございません。  前段のほうの問題で、実は、前々から上水道補助がなくて、工業用水にあるのはどうかという問題でありますが、確かにそういう点は、一般的に私は御指摘を受けられると思うのです。ただ、スタートが、工業用水の場合は、地下水をくみあげていて、地盤沈下が起きたという問題から、これを切りかえさせなきゃいかぬという問題から、工業用水に転換させるということで、いわゆるスタートにおいて、補助金制度というのが生まれた経過があると思うのです。そのために、引き続いて工業用水について補助金があるということで、多少私ども問題はあるかと実は思っております。ただ、上水道一般的に私ども補助金制度を全部適用しなきゃならぬかという問題には、多少疑問を持つ部分も実はあると思います。したがいまして、いま高料金とか、非常に水源が遠いとか、あるいは水源確保するのに巨大な施設が要るとかというようなものに対して、補助制度を打ち立てているわけであります。この部分については、私どももさらにやはり強化をしていく必要はある、こう考えます。
  39. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がないからこれで終わりますけれども、いまの地盤沈下が起きてきたから、その対策で補助金というようなお話があったけれども水道のほうは取水禁止しているのですよ。カシンベックの疑いがあるのですよ。子供たちが病いに倒れていくわけですよ。そういうような大問題をかかえておるのが水道事業なんです。いま気にとめないで聞いてもらいたいというお話があったから、気にとめませんけれども、ぜひそういう面も検討して、また時間のあったときにこの問題を論争さしていただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  40. 菅太郎

    ○菅委員長 門司亮君。
  41. 門司亮

    ○門司委員 きょうは私はごく簡単に二、三の問題を聞いておきたいと思いますが、ひとつ最初に聞いておきたいと思いますことは、今度の交付税法の改正案をずっと見てみますと、多少時代に即応したような形の修正が行なわれているように見受けられます。しかし、これではいまの時代における交付税の性格及びこれの効果といいますか、効用といいますか、そういうものについては、私どもいささかそぐわないんじゃないかというような気持ちもいたしますので、一応聞いておきたいと思いますことは、御承知のように、この提案理由にも書いてありますように、社会の非常に大きな進行をいたしておりまする、変貌しつつある時期に、ずっと前にきめた一応の数値をそのまま残しておいて、そうしてそれの単なる字句の修正程度でごまかしている、と言うと諸君は怒るだろうけれども、つじつまを合わせるというような行き方は私はどうかと思う。この辺でほんとうに交付税の本来の性格に合った数値の改正を私は基本的に行なう必要があるのではないかというような考え方がするわけであります。こういう点について政府はどういうふうにお考えになっているかということです。
  42. 大石八治

    大石政府委員 御質問の意図を正確に私がとらえているかわかりませんが、交付税制度の一つの何といいますか、多少性格に静的なところがある。流動する社会の変貌に全く交付税だけで追いつけるような流動的な姿になり得るかどうかという点については、私も実は一種の危惧は持っております。しかし、今度お話の点で項目のいろいろ整理もいたしたわけです。いわゆる単位費用の問題ということで、修正といいますか、直した数は、今度はいままでにない、何といいますか、時代に適合するような修正の項目を、今度は非常にたくさんやったと思っておりますが、もちろんまだまだ御指摘のような意味で、これで完ぺきが期せられるかなどといえば、完ぺきなどというおこがましいことは言うつもりはありませんが、さらに検討は私ども、時代の動きに極端なおくれが出ないようにつとめていきたいと思っているわけです。
  43. 門司亮

    ○門司委員 私は、そういうことを聞いていますのは、最近の交付税のやり方を見てみますと、何かひもつきのようなものが非常に多い傾向が出てきているのです。これはもう交付税本来の行き方と違うのであって、その場当たりでこういう費用が出て、たくさん要るようになったからというようなことでひもつきのものがある。一番大きなものとしては、御承知のように、この間沖繩に三十億の問題がありましたけれども、一体交付税をほんとうに忠実に守っていこうとすれば、ああいうものは出てこないはずなんですね。何か必要がある、お金が少し要るといえば、交付税でまかなえというような形で、こういうことは、これから先のだんだん伸びていこうとしておる地方の自治体の財政需要額というものが正確にはかられておるかどうかということです。  ことに、私ははっきり聞いておきたいと思いますことは、公害の問題が非常に大きくなってきて、そうして公害に対処するのに、法律あるいは財政の処置として、国のほうでも国家予算の中でもかなりの額、約六百億ばかしのものがとられてきておる。ところがこの修正されたものを見てみると、公害関係に対しては、それほど大きな伸びというようなものは見られておらない。大体昨年度交付税のふえた額、いわゆる昨年度よりもことしは御承知のように二〇・九%ぐらい交付税がふえているわけですが、その交付税がふえている数と、公害に関する項目であるというものとの比較をしてみると、案外その数字は大きくない。一応政府の説明では、公害その他に対しても配慮しているということになろうかと思いますが、実際はその数値の上からいうと、この伸びた税額と、そういう切実な公害対策費として考えられるような費目についての伸びというものは、私はそう大きいものがないというように、計数的に計算してみると出てくるわけです。これは一体、そういう点で政府の認識が誤っているのじゃないかという気がするのです。たとえば下水道が非常に必要だというなら、下水道向けにどういう形の数値をとっていくかということがやはり考えられてしかるべきである。だから、この問題は、私がなぜそういうやかましいことを言うかといいますと、本来ならば、地方財政需要額というものが年々積み上げられてきて、そうしてそれに対する収入とのアンバランスを補てんするというのが法律のたてまえなんです。しかし、このたてまえは実行しようだってなかなか実行できない。したがって、まずきめられたお金をどう配分するかということで、これは逆算しているからであろうかと思いますが、逆算しているからといっても、やはりことしの配分の数値なんというのは、特に公害関係に対する数値をふやしても、ちっとも差しつかえないのじゃないか、そうあるべきじゃないかというように考えるのですが、私の計算と違えば別でありますが、私、ごく簡単に計算してみましても、どうも下水道その他に対する数値のふえ方というものは、そう大きな数字でないように見受けられる。こういう点について政府はどういうふうにお考えになっているのか、その点をひとつあらかじめ聞いておきたいと思います。
  44. 大石八治

    大石政府委員 確かに私も、公害というものに対して、交付税制度がどれだけ実はなじむかということについては、一まつの疑問があります。というのは、公害が出やすいところ、あるいは出にくいところという問題が、多少産業の種類、単に工場が多いとかなんとかいうだけでなしに、工場の種類というものが一つ原因になりますものですから、どうしても公害という問題に対して、平均的な対象数値というものをつかみ得ないという点があると思うのです。したがって、もう一つは、公害対策事業というもののかなりの部分が、水質の浄化をするという意味も含めて、下水道事業があるわけでありますが、これは補助金起債ということで、公営企業というたてまえから、いわゆる交付税にそのままなじむというところが実は少ないわけであります。  そういう点で、御指摘の点で、公害を交付税制度で、現実に具体的な県なり市町村で起きている現象、それに対する財政需要交付税で反射的にうまく出せというのは、実はちょっと性格の上からむずかしい点があると私は思います。そういう意味で、いわゆる別の財政援助という形をとらざるを得ないのではないかというふうに考えるわけであります。
  45. 門司亮

    ○門司委員 一応そういうことも私は一つの方法だと思います。思いますが、しかし、少なくとも財政需要額というものが必然的に出てくるわけでありまして、それで、この中でありますたとえば下水であるとかあるいは清掃であるとかいうようなものが、旧来から見積もり額は非常に低かったのでありまして、ことに清掃などは、大体投資的経費というふうなものが八十円程度にしか見ていない。これを百円に上げてみたところで、数値はなるほど二五%上がったという数字になってくるけれども、額はきわめて少ないのであり、水道にいたしましても同じことであって、あなたのほうから出てきた書類を見てみますと、大体投資的経費の二二%くらいしか伸びていない。しかし、基礎的の数字が非常に低いのであって、交付税伸びは二〇・九%伸びているんだから、それよりも一%くらい伸びているじゃないかという理屈は成り立つかもしれないけれども、実際は伸びた率というものはきわめて少ないのであって、これは単に、地方の自治体が直接やらなければならない、いまの公害の一つである清掃事業あるいは下水道事業だけをとってもそうであって、その他の立地条件からくる公害に対する対策というものは、ほとんどこの中に何も見てない、ほとんど考えられない。したがって、私は、公害が今日のように非常に大きくなってまいりまして、そうしてまだ政令が十分出ておりませんので、実際の地方の自治体の仕事がどれだけあるかということ等については、政府のほうでは——政府というより、むしろ自治省はつかんでないと思うけれども、もう政令もぽつぽつ出るころであります。三月でありますから、昨年の十二月二十五日に法律は大体きまっておりますし、したがって、三カ月の期間を置きましても、今月には大体政令ができなければならないはずである。そうすると、あの法律によって地方の自治体に権限を委譲いたしてまいりました経費というものは当然考えられるのであります。それを国家予算の中で約六百億近いものを見ておるからというのでありますが、私どもはそれだけに依存するわけにはいかない。そういうものが今度のこの交付税の中には当然どこかに頭を出していないと——別途の方法だということは、国がそういう財政措置を多少とっているということはわかります。わかりますが、しかし、少なくともこの交付税の中に、新たにそういうものが頭を——地方財政需要額の非常に大きな部面を公害ということで必要としていることは事実でありまして、したがって、これをどこで見るかということが、私はかなり大きな問題だと考える。  したがって、この際、ちょっとこれと離れたようでありますが、申し上げましたから聞いておきますが、あの法律に基づく政令は一体いつごろできて、そうして地方の自治体に法律によっていろいろ委譲いたしてまいりましたものに対する経費は、一体どのくらい見積もられておるのか、もしそのことがわかるなら、ひとつお知らせを願っておきたいと思います。
  46. 森岡敞

    森岡説明員 臨時国会で成立いたしました公害関係の諸法の施行政令ないしは委任政令のお話かと存じますが、まだ私ども、最終的にいつまでに政令が制定されるかということを十分承知しておりませんが、早急に制定されるものというふうに考えております。  なお、委譲されました事務に伴います所要経費につきましては、現在なお検討中でございますので、数字はまだ固まっていないというふうに思います。
  47. 門司亮

    ○門司委員 私は、いまのような答弁だと思います。政令はできてないことも事実であります。ただ、問題になりますのは、今後地方の自治体というものは、そういう時代の要求というか、むしろ現実にせっぱ詰まった公害対策というものを行なわなければならない、それらの経費というものが、先ほど次官のお話では、別途の方法でというお話でございますけれども、それは別途でやればやれないことはないと私は考えておる。しかし、地方の自治体に対しましては、ある意味においては恒常的にやはり施策を行なわなければ、その年度年度にこれだけの補助金をやるからこうしなさいということでは、私は済まされないと思う。  そこで、どうしてもこの財政需要の既存の数値の中に何かの形でそういうものを織り込む必要がありはしないかということも考えられます。その織り込みようにもいろいろあるでしょう。たとえば研究所を設けることのために通常の職員がふえるとか、あるいは設備費がかかるとかというような問題が出てくるでしょう。それから研究所その他の実際の施策の上においても問題があり、またこれを防止することのために下水を早く完成させるとか、あるいはごみ焼き場というようなものも早くやるとか、あるいは亜硫酸ガスをどうして脱硫するかというようなこと等についての、いろいろな問題はあろうかと私は思うわけです。しかし、この公害対策に対しまする数値がこの中に織り込まれていないということは、交付税の性格から申し上げてまいりましても、私は非常に大きな一つの落ち度ではないか。したがって、この際この基礎になっております全部の項目をもう一ぺん洗い直して、そうして新しい角度から交付税を見るべきではないかというように考えるのでありますけれども、この点についてもひとつ御理解をもう一度聞いておきたいと思います。
  48. 大石八治

    大石政府委員 下水道のほうは、まあふえ方が少ないという点についてはお話があるかと思いますが、いわゆる市町村のほうの項目の中に入れましたし、今度修正をいたしましたし、それからたしか千何名だったか、人間のほうも公害対策の員数を増員するのを今度交付税措置の中でたしか直しました。それからもう一つ、公害防止のための機材関係というものを見積もりまして、数値的にはお問い合わせがあればお話申し上げられると思いますが、それも今度の措置の中で処理をいたしたわけでございます。
  49. 門司亮

    ○門司委員 いまの御答弁ですが、もしそういう事実が織り込まれているとするなら、どのくらい一体織り込まれているか、あとでよろしゅうございますから、数値をひとつ見せてもらいたいと思います。私はどう考えても、この中にあまり考えられておらないじゃないかというような気がいたしますので、お聞きをしたわけであります。  それから下水道についても、都道府県のほうは一応考えられておるようでありますが、市町村のほうはあまりふえていないんじゃないか、実態は数字はあまりふえていないということのほうが私は正しいと思っているんだが、市町村関係なりはふやしていますか。
  50. 大石八治

    大石政府委員 市町村のほうを下水道費ということでふやしております。
  51. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、その数値は一体どのくらいふやしておりますか。この形から見ると、私はどうしても下水道関係がふえている数字というのが、いま申し上げましたように、ここに書いてある数字を見ますると、あまり大きくふえていないように感じられるのでありますけれども、その点はどう考えても、さっきの数字以上には考えられません。ここに書いてある下水道費というのが確かに二二%ばかりふえていることは事実であります。しかし、実際の問題としては、私はこういう程度ではほとんどふえていない。税総額が二〇・九%ふえているんですから、それよりも一%余りふえているからといって、さっき言ったように、ふえたと言えるかもしれないが、私は公害に対する画期的なものではないというようにやはり考えざるを得ないのであります。今日一番大きな公害の中で、特に地方の自治体が直接処理しなければなりませんのは、いままでの企業公害と違って、いわゆる社会公害ともいうべき、社会の進化に伴って、文明の進むに従っておのおの生活様式の変わっていく、それから都市に集中される人口のために都市形式が全然変わっていく、こういうような現象からくる公害というのが非常に大きいのでありまして、これに対処するのはあげて地方の自治体であって、これを企業公害と同じように、どこかでやれといったって、これはやりようがないのであります。私は企業公害については、ある程度そうしたいろいろな公害を測定するとかあるいはこれをどうするとかいう人件費その他で、あるいは研究所の建物だとかいうようなことで一応それには対処ができる。そうしてあとは企業に対してそういうものを負担させていけば、一応は企業公害というのは制度によってある程度なくなる。しかし、社会公害のほうはそうはまいりません。これは何といっても地方の自治体が全部背負わなければならない経費であります。そういう点をどの程度一体見込まれておるかというような問題が、先ほどの説明で私はなかなか納得がいかぬのでありますが、何か数字は見ているというのだけれども、どのくらいの数字を見ているのか一向わからないのであります。こういうものを、いろいろあなたのほうから出ているのがありますけれども、それをどれをひっくり返しても、そういうもののにおいがほとんどしないのでありまして、ひとつわかりやすい数字であらためて出していただきたいということを一応私は要求をいたしておきます。  それからもう一つこの問題で聞いておきたいと思いますことは、公害の問題は、そういうことでひとつぜひ数値の中にはっきり入れていくということが必要だということと、それから先ほど申し上げておりまするように、大臣もおいでになりましたからあらためて聞き直しておきますが、地方交付税の従来の性格から離れたいままでのいろいろな行き方、これはいずれ大蔵大臣が見えましたら大蔵大臣にはっきり聞いておかなければならないと考えておりまするが、大蔵省との間のこの財源のやりとりですね。これは地方の自治体としてきわめて不満でありまして、たとえばことしの処置にいたしましても、補正予算にかかわるものが、一つのこれは例でありますが、あるわけであります。その中で、四十七年度にあるいは四十八年度に当然見送るべきものは見送るとして、そしてその中から御承知のように沖繩その他に対する財源が出されております。私は補正予算が十二月にきまっておりますので、こういうお金は、あるお金を地方の自治体に配分することが私は不可能じゃないと思うのです。特別交付税は、御承知のように、二月の末でなければ配付をいたしておりません。そうすると補正予算のきまったのは大体十二月である。だから、私はむしろいまの地方の自治体が非常に財政上困っております現状では、特別交付税のほうにこれを織り込むんだという法律をこしらえてもらえば、特別交付税で交付ができるのではないか。そうすることによって、過密地帯であり過疎地帯であるというようなところの社会現象からくる、われわれの従来想像しなかった経費というものが増大いたしてまいっておりまするので、そういう問題を解決することが必要だと考えるのですけれども、ああいう法律に基づいて翌々年度に送るんだという交付税のその年度分の残りですね。これの始末について、私はいままでこんなことはあまり言いたくなかったのでありますけれども、せんだっての議会のように、この中から差し引いて、当然地方の自治体に配分さるべきものが、自治体のほうには来年、再来年これを配付するんだといって、まず法律どおりにたな上げしておいて、一部分をその年度内にほかに使われるというような行き方は、私は非常に大きな邪道だと思う。だから、もしそういうことを政府考えておられるとするならば、補正予算によるその年度分交付税は、やはり特別交付税その他の形で交付してもらうことがよろしいのじゃないか。これは行政処置でできるというなら、そういうことを私はやってもらいたいと思うのだが、これに対して政府はどうお考えになりますか。
  52. 大石八治

    大石政府委員 あとで御質問の意味をもう少しお伺いし直さないとちょっと返事がしにくいのですが、先ほどちょっと私が申し上げました交付税で、公害関係の問題で、人件費及び機材関係で百六十一億という数字、今度の交付税措置でいたしたわけであります。それは人件費及び機材関係であります。  それで、その下水道の問題というのは、結局公営企業だものですから、これは財源と起債ということでやりますし、ことにことしの財政計画見通しというのは、例の下水道五カ年計画の第一年次分に充当する原資及び起債という関係で実はやってあるわけであります。したがって、先ほど私申し上げましたとおり、この点を直ちに交付税のところでぴしゃり公害対策関係というので合わせる点に多少むずかしさがあることは先ほど申し上げたとおりですが、それはそのとおりではないかと思います。  ただ、補正予算の交付税でふえた分は、先生のおっしゃり方は、それは全部特交に回しちゃえ、こういう意味でございましたのでしょうか。
  53. 門司亮

    ○門司委員 そうです。
  54. 大石八治

    大石政府委員 行政措置でできるならやっちゃえというお話ですが、行政措置ではできないと思います。ただ、確かに特交にまつ部分ということをわれわれやっておりますが、それは年度当初に予定されるものではないものがかなりありますから、確かに、いわゆる予定計画を立ててやりにくいという問題は、御指摘のとおりに、特交を当てにしているなんということができないということはわかりますが、御指摘の点は私は認めざるを得ないと思います。それだからといって、ふえる分は全部特交というのは、ちょっと私はいま解しかねるのであります。財政局長から御答弁させます。
  55. 門司亮

    ○門司委員 財政局長から聞かなくてもいいですが、私が言っているのは、行政措置ではできません、法律がそうなっているから。だから、法律を出さなければならない。ところが、この国会で、三十億というようなものは、あれは置いておけば、当然法律に従って四十五年度、六年度、七年度交付税の中に入ってくるのです。法律上はそういうたてまえになっている。ところが、それを前食いをした、こういう形。同時にそういう前食いのような形で、大蔵省との間の借り貸しの一つの大きな問題に影響してきているのであって、私どもとしてはこの点ははなはだ遺憾であります。だから、当然法律に基づいて四十七年度に送るべきものを、特別の法律をこしらえて、それがいい悪いは別にして、沖繩に三十億やる、こういう法律になって出てきた。そういう法的措置ができるなら、いまの地方公共団体というものはかなり財政には恵まれておりませんので、百分の六の範囲内の特別交付税にそれを加算して、そしてその年度に配付することができるようにしてあげれば、地方の自治体は、財政運営の上においては実際は非常に助かります。だから、ああいう法律自治省がお出しになるなら、むしろそういうことで、その年度に出てまいりました補正予算からくる増額分というものは、やはり年度内に配付のできる特交に回してもらいたい。そうして交付税をああいうふうに一年おいてその次の年に使うように、法律はきわめてよくできているものですから、それが実際は悪用されていると思うのです。当然地方の自治体であるべきものが、遊んでいる金だから大蔵省に貸してくれ、あとは三年年賦で払うからというばかばかしい法律が出てくる。遊んでいるお金のあることは、一応これは法律のたてまえだからそうなっているのである。そういう何かしらん、交付税というのは——地方の固有の財源であることに間違いないと私ども考えておる。その地方の固有財源が政府財政のやりくりのためにいろいろの形で変えられているということは、地方自治体にとっては非常に不満だと思う。そういう措置政府としてはとるべきではないと考えているのです。ことに自治省としてはそういう措置をとるべきではないと私は思うのです。大蔵大臣が何と言おうと、後刻大蔵大臣がおいでになりますから、それにも少し聞いておかなければならぬと思うのですけれども地方の自治体に関係のある自治省としては、いままでのような処置はとらないということだけをひとつここではっきり答弁を願うのと、必要があれば法律を改正して、改正するというよりも新しい法律を出して、交付税がその年度内に使えるような、特別交付税として使用のできるような措置をとっていただくこと。  地方の自治体、ことに過密、過疎であるというような一般の算定の基礎と、御承知のように、ものさしは合わないのであります。これに書いてあります数値というのは、前年度を追っているということである。ところが、非常にふえている地域においては、一年に十万も十五万も人口がふえておるという都市があることは御存じのとおりであります。そうすると、実際のこの交付税の算定の基礎というものは、数字上非常に違いが出てきておる。学校にしても同じことであります。こういうことを考えてまいりますと、この際この特交というものがある程度そういうものをカバーしていくものに使われる必要がありはしないかということと、したがって、私はその財源はふやすべきだと考えておる。この百分の六を百分の八に上げることもいいかもしれない。しかし、そうなってまいりますと、何かいろいろ陳情政治みたいなのがだんだんはびこってきて私は困ると思うのですけれども、問題は、いままでの政府交付税の配付に対する態度を変えてもらいたいと思うのですけれども、あなたのほうで、これは変えることができますか。
  56. 大石八治

    大石政府委員 交付税のやり方については、ほかの方にもお答えしたとおりですが、毎年毎年決算を各地方団体に見ていきますし、そういう傾向の中で交付税のほうが固着していてはいかぬということで、そういう実際の流れに応じたやり方の修正を実はしているわけです。人口急増というような問題についても、いわゆる急増補正というものをいろいろの面で実はやっております。しかし、それだけで激しいものに全部フィットできるかといえば、でききれない面は事実あるわけでございます。そういう意味で、別の財政措置というものを、たとえばことしいたしますような人口急増地域の義務教育施設というような問題に対しては別個の財政措置をとらざるを得ない。またとるということで、そういう点を、穴を埋めるというやり方をやっているわけであります。門司さん御指摘のとおり、交付税制度が一切の財政需要に自動的にフォローができるかといえば、それはなかなかフォローしきれないのではないか、その点は別の点でやらなければならない。それからまた一部特交という形でも現に見ているわけであります。ただ、特交という問題が事前に予定されないという点等もありまして、地方団体事業計画をしていくのに多少問題点はあろうと私どもも思います。  また御指摘の点の、補正でふえる分を全部特交にというところは、それをこの次に改正して出す考えがあるかというところは、御意見でございますが、大先輩のお話ですが、そこをすぐそうしたいというところまでの決意がまだできないところでございます。
  57. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、特交にまつというよりも、むしろ当初予算に計画されない補正予算から出てくる特交の増の分ですね、これをその年度の二月に行なわれる特交で出してもらいたい、こういう要求ですが、そのことは御承知のように、地方の自治体は、さっきから話されておりますように、また政府もわかったようなことを言われておりますように、急増地帯や過疎地帯というようなものは、普通のそろばんに乗らない非常に大きな財政需要があるわけであります。それをどうカバーしていくかということが一つ考え方でありまして、これはいろいろの手段がとられておるというお話でございますけれども、しかし、地方のこういう自治体の固有財源であるこの交付税については、やはり地方財政が逼迫しておるのと同時に、この法律のたてまえ、それから現状は何といっても前年度を追っているわけでございまして、人口にしても、新しくふえる人口というのは一体どれだけ見込まれておるかということになると、私は何も見込まれていないと思う。しかし、地方の公共団体は、人口がふえればふえるほど経費がかかることに間違いないのである。そういうアンバランスが実はあるわけであります。したがって、それを埋めていくには、いまの制度では何といっても特交以外にないわけでありまして、したがって、特交の財源をふやしていきたい。特交の財源をふやしていこうとすれば、少なくとも国の補正予算を組まれる場合には、一応その年度内に交付税の額はふえるわけでありますから、ことしもふえているでしょうけれども、去年の十二月の国会で一千億余りの交付税がふえていることは事実であります。その中から御承知のように三十億が沖繩に拠出されているのであります。こういう沖繩に拠出することができるというなら、これを地方の公共団体に何も配分ができないはずはないので、これは自治省としては、あるいは事務的に困難だと言うかもしれない。二月の末に配付しなければならぬものであるから、そんなことを言われても、これから衆知を集めて配分するのは事務的になかなかむずかしいということは言えるかもしれない。しかし、基本になるいろいろな必要な財政需要というものを認めて、それで特交が配付されていることは間違いないのでありますから、それに上積みしていくということは、私は事務的にはたいして困難じゃないと思う。だから、この際、私は大臣からこれは御答弁願っておきたいと思いますが、その年度内における交付税については年度内に配付ができる。その方法は、少なくとも特交にそれをゆだねていけばこれはできるんじゃないか。普通交付税はずっと算定の基礎がありましてみんな計算されておりますので、そこで急にふやすわけには私はまいらぬと思う。しかし、特交の場合、何もそういう一つの算定の基礎があってやっているわけじゃございませんから、やればできるはずであります。この国会で政府のやられたことをこれからやりますと言っていただけばそれでいいのであって、私は政府がやらぬことを無理にやれと言っているわけではありません。この国会で政府はちゃんとやられているのでありますから、その実現を少し延ばしていただければそれでいいのであって、むずかしい相談をしているとは私は考えていない。政府のほうではむずかしいことを言っているとお考えになるかもしれませんけれども政府がそういう道を開かれたのだから、ひとつその道を地方の公共団体にも利用のできるように考え方を直していただければそれでいいのであって、決してむずかしいことを相談しているとは私は考えていないのですけれども、この辺はどうですか。大臣、それはできませんか。
  58. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 先生の御意思、御意図は大体、私、了解をいたしたつもりでございますが、財政年度末に自然増収したものを、一点は、交付税の本旨に沿わないむしろ国が負担すべきものを措置することの問題、そういうことをするようなら、むしろ地方公共団体財政増高に悩んでおるところに適正に配分できるように特別の措置を配慮すべきだ、こういうお考えのようであります。それが特交への配分を増して、そこにおいて正しい処置をしろ、こういう御意見だと思います。ただ、特交を六%以上に増してくるという法的措置を講じなければならぬ。その点につきましては、ただいま門司先生自身からも陳情政治を馴致するようなことがあってもならぬというお話もありました。何も額がふえたから陳情政治を馴致するというものではないと存じますが、この点につきましては、十分他の観点から考慮を払うべきものがあろうかと存じます。いま直ちにこの件を改めるという気はございません。しかし、考慮をいたしていきたいと存じます。要は、やはり交付税の本旨に従って正しく地方公共団体に配分をすべきものである。やはり国との関係が一番お話の重点になっておるのではなかろうかと存じます。この点につきましては、私、就任以来、国との貸し借りはいたさないということを明言をいたし、大本におきましてはそのプリンシプルは貫かれたと思うのでございます。  しかし、いろいろ個々の問題につき御議論があり、過般補正予算措置でとりました沖繩への三十億の特交における交付ということがその一例となって問題になっておるわけであります。この点につきましては、先般も本委員会で御説明を申し上げましたとおり、いろいろ御議論の分かれるところであろうと存じますけれども、沖繩の特殊事情にかんがみ、これを内地の地方公共団体とみなしまして、本土の地方公共団体の御承諾も得て措置をいたした特例措置でございます。いろいろ御議論もありましょうけれども、筋をはき違えたものとは考えられないのでございます。  その他いろいろ特交の今回の措置ばかりでなく、交付税上の措置につきましては、お説のとおり、これは地方公共団体固有の財源といたしまして、これの自主性を貫いて、あくまでも地方の自主財源は地方のために、国のやるべきことは国において処置をする、この原則を貫いてまいりたいと存じます。この点につきましては、今回の予算措置におきまして、国鉄との問題等におきましても自治省のとりました態度をひとつ見ていただきまして、御了承を願いたい。しかし、この問題は解決がもう済んだものというわけではございません。常に問題になる点でございまして、今後ともわれわれは十分注意をして国、地方の配分区分を十分明確にいたしまして、筋の通った措置を講じてまいりたいと考えております。
  59. 門司亮

    ○門司委員 もう約束の時間ですから長くは聞きませんが、もう一つだけ念を押しておきたいと思います。  先ほどから政府答弁もありますように、公害法に対する政令がまだできておりません。したがって、財政措置というようなものも、一応ここで出してあるような形はとっておりますけれども、実際問題としてはどういうふうになるかということはまだ見当がつかないのじゃないかという気がいたします。そこで、お願いをしておくと同時に御返事を願いたいと思いますことは、政令ができて、地方の自治体がその政令に基づいて必要とする経費というものが一体どのくらいになるのかということが一つ。そうしてその経費は、私は執拗に言っておりますのは、先ほどからいろいろ数字を見ておりますように、この中の市町村の水道と清掃の費用というのが、清掃のほうは数値によっては八十円ですか、それが何か百円になっているので、二五%形だけはふえているのですね。それから下水のほうも形だけは二二%ふえておりますか。しかし、この形は先ほどから何度も申し上げましたように、地方交付税の昨年度よりもふえた二〇・九%から見れば、数値はやや上であって特別の処置をしたというような数字にいえるかもしれない。しかし、実際問題としては、そういうものでは今日の状態では足りないのじゃないか。ことに下水道に対しては、国も約六百億近いものを当初予算で一応めんどうを見ているというような状態の中から見てまいりますと、これらの数値というものはもう少し思い切った大きな数値にしておかないと、私は実際の公害対策にはならないのじゃないかというふうな気がいたします。というよりも、私はむしろ現実だと思う。いま地方の公共団体が公害で一番大きく悩んでいるのは、何といっても下水道、清掃だと思う。この社会公害に対してどうするかということが一つある。  それからその次の問題として出てくるのは、この数値の中に全然入っておりませんが、公園その他の確保を一体どうするつもりかということです。国が規定いたしております一人当たりの広場、いわゆる公園の都市における面積と現状との比較をいたしてまいりますと、これは非常に大きな差があるのですよ。私はここで精密な調査資料を持ち合わせておりませんので、数字は的確に申し上げることはできないと思いますが、東京においても、厚生省が規定いたしております公園その他緑地を一人当たりの平均数で見ますと、一体どのくらいになっているかということから考えてみると、東京には皇居、明治神宮がある。こういうものを換算いたしましても、大体十分の一内外しかその緑地はとってないのじゃないかと思う。たしか私は〇・九幾らかという数字が正しかったと思います。東京をとってもそうである。私は、最近の一つの大きな社会の課題として地震の問題がしばしば問題になってくる。そうしてこれには避難地がどうだというようなことが問題になってきて、自治省としては地震の際の住民の避難場所をこしらえろというようなことをいわれておりますが、こういう問題は、各地方の自治体にとっては非常に大きな問題でありまして、こういうものを国が地震があるからこしらえろといったところで、財源がなければどうにもならないのですね。そして現状はさっき申し上げましたように、厚生省が規定いたしておりまする人間の保健を維持するというための都市における緑地というものは、これは一人当たりの面積が大体二坪くらいになっておりますか、それを人口割りにかけていくと、一体それだけの緑地を持ったところは日本じゅうどこにもありやしない。それで地方の自治体には文化生活を営む一つの大きな社会の波の中でやらなければならない仕事があらわれてきておる。そういう仕事に対するものは、やはり今後の地方一つの行政の当然の経費として見るべきじゃないか。もしそれが見られないというのなら、地方の自治体でそういう土地を求めたいというのなら、これを特交ということに求めるというようなことができはしないかということです。  私は、最近の地方の行政をずっと見てまいりますと、この辺で全部一応考え直した処置をとるべき時期に来ているのではないか。いままで戦後の長い間ずっと同じような基礎の上に立って、そうして地方財政計画され、あるいは交付税の配分が計画されてまいりましたけれども、この辺で一応全部洗い返す時期が来ているのではないかというような考え方をするのでありますが、そういう数値はこの中に入れられませんか。これは片方では緑地をこしらえろ、避難所をこしらえろとわあわあ騒いでおいて、そうしてそれの財政措置というものは、大体必要な経費とみなさないというようなことで、これはよろしいのですか。私はある程度そういうものを交付税の中に見てあげるということが、そういう処置を推進する——それは全額見るわけになかなかいかぬと思いますが、この数値の中に入れるということが、地方一般の行政需要として政府がみなすというたてまえ、先ほどのみなし税ではありませんけれども、これはそういう見方でいくことがよろしいのではないかという気がいたしますけれども、そういうものをこの数値の中に織り込むことは、これは困難ですか。
  60. 長野士郎

    長野政府委員 公害関係のいろいろお話がございました。公害対策として先ほどからのお話で、政令等の具体化ができていないというようなかっこうのところもございますので、行政の上で規制等の関係を中心にして、地方で経費が具体的にどのくらいかかるかというようなことの見込みが十分でないという点がございますが、現在のところ、先ほど政務次官が申し上げましたように、そういう公害の規制とか、そういう公害独自の問題といたしまして、四十五年度三十一億円程度算入をいたしておりました財源措置を、来年度は百六十一億円にふやしております。その中には、人の関係で六十一億円、機械整備等において百億円というような程度に増強いたしておりますが、これは具体的に政令等が出ました段階で、それぞれ算定の基礎として充当できる一応の用意ということにも相なっておるわけでございます。  それから下水道等の関係につきましては、これはいわゆる下水道整備五カ年計画の四十六年度分というものが実施できますために必要な財源措置というものはいたしておりますが、基準財政需要額に算入いたしました額は、いまのところ三十五億円でございます。これは実は起債充当率等も相当改善を——増加額は三十五億円でありまして、昨年の三百七十三億円から見ますと四百八億に増加いたしておりますが、三十五億円の増加は少ないではないかという御指摘であると思いますが、これは実は起債その他の措置も非常に増強をされまして、全体としてその事業の遂行が支障がないようにという配慮はいたしてまいる、また今後とも充実してまいりたいと思っております。  それから公園緑地等の関係では、確かに御指摘がありましたように、東京人口一人当たり〇・九九というような数字でございまして、わが国は非常に低いということでございます。都市公園の都市計画における整備目標は、もう御承知でございましょうが、都市人口一人当たり六平米ということに一応なっておるわけであります。私どもは、いわゆる長期ビジョンというようなものを立てます場合の関係で、これを昭和六十年度ぐらいのところでそういうものに持っていけないかというようなことで、いろいろ現在検討をいたしておりますが、そういうことを考えますと、所要資金が二兆二千億円をこえるというようなかっこうになるわけでございます。そういうことでございますけれども、逐次これを持ち上げてまいる努力をいたしてまいりたいというようなことで、本年度におきましても、公園の補助事業そのものの絶対額も非常に低うございます。しかし、それだけにまかせるというわけにまいりませんから、公害関係のこともございますし、単独事業としての財源措置の充実をはかっていきたい。そうしてこの六平米をできますならば昭和六十年度を目標に確保できるような方向で努力していきたい。いままでがあまりに低過ぎますので、とてもそこまで一挙になかなか持っていけませんから、そういうことで考えてまいりたい。そういたしました場合でも、私どもの目標達成のための予定資金というものは一兆二千億ぐらいでございます。目標を達成いたしますためには、さらに一兆円ぐらい要るというような計算も出ておるようなところでございますが、なお今後とも増強につとめたい、こういう状況でございます。
  61. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま門司先生からお話のございました公害問題に関連をいたしまして、公園緑地の確保の問題、これはたいへん重大な問題だと私は思っております。過密都市、大都市のみならず、広域市町村圏等の施策の中心にもやはり考えていい問題である。快適な環境、自然の確保等々から考えましても、当然積極的に考えてとるべき施策ではなかろうかと私は考えております。  また昨年来、私もその点に気づいております。たとえば東京におきまして米軍が使っておる広大な土地の返還に伴いまして、これらの処置を誤りますと、たいへん悔いを後代に残すということもあろうという点につきましても私は着目をして、何らかこれらに対する財政上の措置をとるべきものであろうと考えておったのであります。  そこで、先行取得債なり土地開発基金の活用を通じ、地方の土地開発公社等の活動によりまして、これらの公園緑地等を確保する一つの基盤をつくって、その後これに進みたいというような考え方を私はしておったわけでありますが、これらの点につきましては、政府部内でいろいろ検討いたしておりますが、まだ議がまとまりません。  そこで、交付税措置等につき積極的に自治省が本来できることを自主的に考えたらどうかという御指摘と思いますが、私は御趣旨賛成でございます。大いに共感を覚えます。しかし、いろいろ財政上の事情もございます、漸を追わなければならない点もございますので、ひとつ積極的にこの点は考慮してまいりたいということで、今日のところ御了解を願いたいと存じます。積極的に前向きに検討したいと思っております。
  62. 門司亮

    ○門司委員 それでは、約束の時間ですから、終わります。
  63. 菅太郎

    ○菅委員長 山口鶴男君。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最初に自治省にお尋ねしたいと思います。  今度地方交付税法の一部を改正する法律案を提案されましたが、その内容を拝見いたしますと、ひらがなで「ろう学校」とありましたのを漢字の「聾学校」に改めるとか、それから「前条」を「第十四条」に改めるとか、昨日も話題になりましたが、「対し、」を「対し」に改めるとか、いろいろこまかな改正案を提案されておるようであります。  そこで、私、この交付税法というのを拝見しまして思うのは、たとえば交付税法第十四条「基準財政収入額の算定方法」これは非常に長い文章ですね。これを見ると、数学の式でも使えばずいぶん簡単に整理できる条文だろうと私は思うのですよ。まあ法律はあまりそういう式を使わないそうですけれども、たとえば交付税法第十条「普通交付税の額の算定」というところを見ると簡単な数式が出ておりますね。ですから、私はこの地方交付税法というのは非常に不親切な法律であり、悪文の最たるものではないかという気がするのです。もっと数式を使って、一見してわかりやすいという法律に改めることが国民のためではないか、かように私は思うのです。そういうお考え方がございますかどうか、まずお尋ねをいたします。
  65. 長野士郎

    長野政府委員 まず最初に、非常にこまかな改正をしておるという御指摘をいただきましたが、これはいろいろ改正をお願いしたほうがいいという個所につきまして、一応お願いしたいと思って改正文を用意をしたわけでございます。  それ以上に、非常に難解な文章をもっと簡単な数式にあらわせないかというお話でございます。正直申しまして、私ども自身もそのとおりこれは非常に難解であると思っておりますし、できるだけそういうことにいたしたいと思います。どういうやり方が一番いいかということについては、いますぐ結論を持っておりませんけれども、これをわかりやすい方式に漸次改めていくということについては、私どもその方向で検討してまいりたいと思います。
  66. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 長野さんは洛陽の紙価を高めました地方自治何とかという法律の著書もあるようでありまして、法律専門家だと伺っておるわけでありますが、これからは、たとえば公害立法等の法律、政令、基準というものを考えますと、どうしても数式を使ってあらわさざるを得ないという時代に入っているんじゃないかという気が私はいたします。したがいまして、法律というものはこういう文章でだらだら書くという時代はもう古くなっているのであって、数式で簡略にあらわせるものについてはあらわしていく、七〇年代はそういう時代ではないかと私は思うのでありますが、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  67. 長野士郎

    長野政府委員 実は法律はいろいろな場合のことを一緒くたに書くくせがございまして、したがいまして非常に長々と書くという点も出てまいります。同時に、非常に厳密に考えて規定しなければいけないというようなことが出てまいりまして、そこで、その規定が正確を期するというところから、逆にまた非常にわかりにくい表現になるという点も出てくるわけでございます。しかし、そのようなことが結果として非常に理解をむずかしくしているということになりますと、本質的な意味がかえってそこなわれるという点もあるわけでございますから、基本的なものがはっきりわかるという考え方に立って考えるのが筋ではないか、こういう御趣旨だろうと思います。そういうときに一番あらわしやすいのは数式ではないか、こういうことだろうと思います。その御趣旨には私も全く賛成でございます。ぜひ、そういうことができる範囲におきまして今後改めていくようにいたしたいと思います。
  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ひとつ今後の御検討を強く期待を申し上げたいと思います。  時間の関係がありますので、次にいわゆる富裕県といわれております不交付団体、またそこに所在をいたします指定都市、この関係についてお尋ねをしたいと思うのですが、当委員会でしばしば問題になりますように、交付税というものが財政調整機能を果たすという役割りから考えまして、横浜でありますとか名古屋でありますとか大阪でありますとか神戸でありますとか、こういった古くからの大都市が交付団体になっていること自体、交付税法が本来の趣旨をたがえた形になっているのではないか、現在の交付税制度の欠陥を示すものではないかという気が私はいたします。  そこで、神奈川、愛知、大阪といった府県、まあ東京もそうでありますが、これは昭和四十四年度昭和四十五年度におきましても相当な超過額を示しているわけでございまして、不交付団体になっております。ところが、先ほど申し上げたように、横浜、名古屋、大阪というような市におきましてはいずれも交付団体だ。そこでお尋ねをいたしたいと思うのですが、神奈川県と横浜市、これを足して一体幾らの超過額になっておりますか。愛知県と名古屋市、これを合算いたしまして幾らの超過になっておりますか。大阪府と大阪市を足しまして一体幾らの超過額になっていますか。当然この三つの市は交付税が行っているわけですから、交付税考えれば財源不足はないということになると思うのですが、それを考慮した上で、この三つの府県の超過額は一体幾らでありますか。
  69. 横手正

    横手説明員 まず神奈川県と横浜市の場合でございますが、四十五年度におきましては神奈川県において二百二十六億円の超過額、横浜市が八十四億円の財源不足額でございますので、合計いたしますと百四十二億円になります。次に愛知県と名古屋市でございますが、同じく県において二百八十八億円の超過額、名古屋市において二十九億円の不足額でございますので、二百五十九億円の超過額、こういうかっこうになります。大阪府の場合は三百五十八億円、大阪市が百億円でございますので、二百五十八億円の超過額、こういう形になります。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、現実にはこれらの指定市は交付税が行っているから財源不足はないわけですね。したがって、府県の超過額はまるまる超過額になる。言いかえれば、神奈川県の場合は二百二十六億円超過、愛知県の場合は二百八十八億円超過、それから大阪府の場合は三百五十八億円超過というふうになるわけですね。
  71. 横手正

    横手説明員 そのとおりでございます。
  72. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで伺いますが、東京都の場合はどうですか。東京都の昭和四十五年度の超過額、それから東京都内の指定市にも該当すべき二十三区、これとの関係は一体どうなりますか。超過額は一体どのようになりますか。
  73. 横手正

    横手説明員 東京都の場合が六百九十億円の超過額、それから二十三区分が四百五十九億円の不足額、合計して計算いたしておりますが、交付税上は二百三十一億円の超過額、こういうことになります。
  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 東京都だけがこの二十三区と府県である東京都を合算して計算しているわけですね。他の場合は別にしているわけですね。そうしますと、いまのお答えを聞きますと、結局大都市を持っております府県の東京都、それから神奈川県、愛知県、大阪府というものの超過額が一体幾らかということになりますと、神奈川県の場合は二百二十六億円、愛知県の場合は二百八十八億円、それから大阪府の場合は三百五十八億円。しかるに東京都は二十三区と合算計算するために六百九十億円の超過額のうち二十三区のマイナス分の四百五十九億円を差し引きますから、結局二百三十一億円しかこの超過額はない。そうしますと、この東京神奈川、愛知、大阪、これを比べますと、一番超過額の多いのは東京ではなくて大阪府、次いで愛知県、次いで東京都、最後が神奈川県という形になる、かように理解してよろしいですね。
  75. 横手正

    横手説明員 計算上はそういう順序になります、
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、私は大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、なぜ東京だけこういう差別をするのですか。普通一般国民とすれば、東京都が一番富裕団体であって、それから次いでまあ大阪なり愛知なり神奈川だろうというやはり常識を持っておると思うのですね。ところが、現実に計算をしますと、この交付税法の二十一条、東京都の特例をこの法律で規定しているために、現実に一番富裕であるのは大阪であり、そして愛知であり、そして神奈川東京がすれすれでほぼ同じという形になっていることは私は非常におかしいと思うのです。何でこの東京だけかように交付税法の二十一条、特例をつくって、そうしてこういう状態にするのですか。かつてのように東京だけが著しく非常に富裕団体で、差し引き計算しても東京が依然として超過額が多いんだという時代ならば、私は交付税法二十一条は意味があったと思う。しかし、いまは、ただいま交付税課長が認めたような数字なんでありますから、私は東京都の特例というものはもう時代に合わなくなっている、かように思わざるを得ないのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  77. 長野士郎

    長野政府委員 大臣お答えいたします前に、なぜ東京都に特例があるか、これは私が申し上げるまでもなく、すでによく御存じだと思いますが、結局問題は、特別区という制度、特殊な制度とのかみ合わせにおきまして都というものの特別な権能、こういうことの両方のいまの制度的な実態を反映して考えたならば、いまのようなこの特例ということがやむを得ないではないかということになっておると考えます。つまり、それは都におきましては、特別区の区域の中におきますところの特別区の行ないます仕事、その仕事は市としての仕事を行なうわけでございますけれども、その中でたとえば保健所行政でありますとかあるいは清掃、消防その他の特別な仕事はみな都がやっておる。税におきましても、いわゆる市町村民税の法人分あるいは固定資産税等はしたがって都が課税するというようなことになっておりまして、都と特別区というものが一つのものとして作動するといってはおかしいのですけれども、特別区の区域内における行政としては一つのものになっているというふうな実態があるわけでございます。そういうものを反映いたしまして、なおそのために都には特に財政調整制度もあるというようなことで、全体を一つとして算定をしていくという制度がとられておる、こういうことでございます。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私はそういう事務的なことをお伺いしようと思ったわけではないのです。そういうことは十分承知しているわけであって、問題は、他の大阪市と大阪府との関係、それから横浜市と神奈川県との関係、それから二十三区と東京都における関係の相違はわかりますよ。相違はもちろんあるわけでありますけれども、現実に一千万をこえる人口を擁している東京、しかも首都東京、しかもこの東京の改造につきましてはいろいろな意味で大きな問題をかかえているということは、これはだれも認めることですね。公害についてもそうだと思うのです。そういう中で、東京都が大阪府や愛知県や神奈川県、人口の比率からいえば、神奈川県の人口東京都の人口は大きく違うわけでありますから、それだけ人口の差があって、なおかっこの超過額が神奈川県と東京都がほぼ同じだということでは、大阪府、愛知県、神奈川県が余裕財源を持っていろいろな意味で仕事ができるのに、東京は一千万の人口を擁していながら、その特例のためにわずか二百三十一億円の財源超過しか現実に四十五年度にはないという事実がある。東京というものはこれはほっておいてもいい、東京財政需要、公害対策なり都市改造なりそういったものはかまわぬ、こういうふうに政府考えておる、こう言われてもしかたがないんじゃありませんか。その点を私は大臣にお尋ねしたいと思うのですよ。
  79. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 これは東京都と特別区をどう考えるかという基本的な考え方によるものと思います。ただいま財政局長からも御説明申し上げましたとおり、やはり東京都というものは他の府県と違いまして、府県のほかに市町村の一部を合わせたようなものである。また区におきましては、これは市そのものというふうに見られると、東京都だけ特別なあれをして冷遇してやしないかというような結論も出るかと思いますが、特別区は市の一部を行なう特殊な公共団体であるというふうな考え方を従来いたしておりますので、特別区と東京都の分と合算して考えていくというようなことになったのでありまして、特に冷遇をしておる、特別に財政上不利な取り扱いをしているというのではなくて、やっぱり東京都とそのもとにあります特別区との特殊事情、過去のいきさつ等が結局この特殊事情に関連をいたしておると思いますが、そういう事情によりまして措置を異にしておるわけであろうと考えております。要は、結局東京都なり特別区というものをどういうふうに考えるかという基本観念の相違によることでありますが、自治省としてはただいまのところ、いま財政局長並びに私からお話を申し上げたような観点に立っておるわけでございます。
  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 事務当局にお尋ねしますが、もし二十三区を独立して計算をして交付税を交付をすることになれば、昭和四十四年、昭和四十五年は、これは一体幾ら交付税を交付する計算になりますか。また四十六年におきましては、一応見込みは立っておると思うのですね。見込みとしては一体幾らになりますか。
  81. 横手正

    横手説明員 東京都の二十三区分につきまして、いわゆる普通交付税の算定上計算しました四十四年度の結果の数字で申しますと、三百三十六億円でございます。四十五年度は四百五十九億円でございます。四十六年度は、これはまだ収入の見通し等はっきりいたしません。おおむね五百億円を少し上回るところになるのじゃなかろうかというような見通しを持っております。
  82. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私どもがいただきました昭和四十六年度地方交付税関係参考資料、これによれば五百二十一億円程度財源不足、言いかえれば、二十三区だけを計算すれば交付税が行く計算になる。さっき言いましたように、交付税法二十一条によって、四十四年度は三百三十六億円、四十五年度は四百五十九億円、それから昭和四十六年度は五百二十一億円、本来ならば行くべきものと予想される金額東京都には行っていない、こういうことであります。  そうしますと、大臣お尋ねしますが、いまの大臣の御答弁でいきますと、都と区の行政配分、その他都と区とのあり方というものを基本的に検討し、それについて明確な方針というものを出していかない限り、たまたま知事が交代したからというようなことで、この交付税法二十一条について手直しをするとか、そういった政治的配慮はこの条項についてはあり得ぬ、かように考えてよろしゅうございますね。
  83. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 さようでございます。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、次のことでお尋ねしたいと思います。そのように東京都につきましては、現在交付税法二十一条という法律東京都の財政に対してはたいへん冷遇をしてきた、かように私どもは思います。こういうことは私どもとしてはきわめて遺憾だということを申し上げておきたいと思います。  さて、自治省がおつくりになりました「必要な国民生活の水準を維持するための地方財政の目標」いわゆる地方財政の長期ビジョンですね。これを拝見をいたしましたが、これは一体どういう手続できめて、どのような権威を持つものでございますか。まず、その点を大臣お答えをいただきたいと思います。
  85. 長野士郎

    長野政府委員 長期ビジョンにつきましては、これはこの前の国会におきましても、地方財政の毎年毎年の現状というより、やはり長期に社会的な施設の充実を計画的に考えていくという長期見通しを持つべきではないかという御議論もいただいたわけでございます。ちょうどそのころ事務的にも、あるいは大臣のほうからも、そういうようなお話があって、研究をしておったところでありまして、それを一応昨年の十一月現在の段階で取りまとめができましたので、それを取りまとめた上で御参考にということで、いろいろさらに検討を加えることもございますので、いろいろ関係のところでもっと御討議、御研究を願うという意味もありましてお示しをしておる、こういうかっこうでございます。  これは言ってみますと、むしろ自治省内部におけるところの検討事項——まだまだ十分でき上がっておるものでもございませんので、そういう検討事項でございますが、ただ、その検討事項を外にいろいろお示ししておりますのは、やはりいろいろとその中にもっとこの点を改善すべきではないか、もっとこういうことを考えていくべきじゃないかという御意見もいただきながら、特に地方団体関係者のいろんな要望なり考え方なりというものも、調和のとれたものにしていくことがいいじゃないかというような点もありまして、内部的なものではございますけれども、一応外にもお示しをしておるという程度のものでございます。閣議決定を経ましたとか、予算編成の基礎に、これが直ちにそういう意味での拘束力を持つというものではございません。
  86. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 新経済社会発展計画、これは閣議決定ですね。しかし、この長期ビジョンを拝見いたしますと、いろいろな点で、やはり新経済社会発展計画というものの経済見通しに留意をいたしまして作成をしておるということは、その解説その他を拝見いたしますとよくわかります。そうしますと、新経済社会発展計画のような閣議決定をしたものではない、いわば自治省内部において一応長期ビジョンとして取りまとめたものだ、ただ自治省考え方を十分理解してもらうために各方面に配っているということのようでありますが、しかし、新経済社会発展計画で想定しているような経済の発展状況というものが続くとするならば、およそ地方財政もこのような姿になるであろうと想定をしておるものだというふうに理解をしてよろしいわけですね。
  87. 長野士郎

    長野政府委員 新経済社会発展計画は、五十年までのものを予測されておるわけでございますが、これは五年を見通しておるわけでございますけれども、まあ言ってみますと、五十年までの間におけるところの推移といいますのは、国が全体として見通したものとわれわれの想定をいたしますものとの間に、やはりある程度の斉合性が保たれていないと、またそこの間の問題というものも出てくるわけでございます。言ってみますと、そういう意味では、新経済社会発展計画の中の地方自治行政分野というものを、ある程度姿を整えたという面も実はあるわけでございます。そういう面であまり関連がないということになっても、これは最初から論議の大きな対象になっても困りますし、また相当慎重に作業をされた上できめられました新経済社会発展計画でございますので、それの一つの方向というものに沿うこともわれわれとしても正しい方向ではないかというようなことでいたしておるわけでございます。
  88. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 新経済社会発展計画によりますと、公共投資に対して部門別の一応見通しを立てております。昭和四十五年から五十年に至る六年間の各部門別の投資額というものを一応想定をしておられます。この中には、下水道五カ年計画でありますとか、いろいろな形ですでに政府計画というものが具体的に作成されておるものも多いように見受けられます。この新経済社会発展計画昭和四十五年から五十年度に至る間に見合う額は、その長期ビジョンでは昭和四十五年から五十五年度まで十一年間を見通しておるわけでありますが、この四十五年から五十年度に至る新経済社会発展計画に見合う部門別の投資額は、一、生活関連、上下水道、住宅、こういうものはおよそ幾らというふうに想定をされておりますか。ひとつ数字を示していただきたいと思います。
  89. 森岡敞

    森岡説明員 いわゆる地方財政の長期ビジョンという形で私どもが試算いたしました建設投資の総額は、昭和五十五年度までの十一年間ということでくくってやっております。したがいまして、新経済社会発展計画の五十年度までの投資総量と対比した部門別配分というのはやっていないのでございまして、十一年間の部分をやりまして、それが公営企業投資を含めまして百十一兆円というふうに見込んでおるわけでございます。
  90. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、私はおかしいと思うのですね。新経済社会発展計画は閣議決定があるのですから、せっかく自治省が十一年にわたる雄大なビジョンをおつくりになる、十一年間百十一兆円けっこうですよ。ただ、新経済社会発展計画に見合う四十五年から五十年度に至る六年間は、これはおよそ幾らになるのだということをまず計算をして、それからさらにその後の五年間を見通していくというのが筋じゃありませんか。私は、そういう意味ではたいへんおかしなビジョンだという気がいたします。それは議論になりますからやめておきましょう。私の意見だけ申し上げておきます。一応それでは、この投資額の、六年間にはたとえばおよそ四〇%とか三五%とか、そういう程度になるであろうというくらいの見通しはあるでしょう。それはどうなんですか。
  91. 森岡敞

    森岡説明員 四十六年度からということではございませんで、四十五年度から五十年度までという形でとらえております。したがって、新経済社会発展計画とは一年度のズレがございますが、四十五年度から五十年度までの累積投資見込み額は四十一兆円程度というふうに見込んでおります。
  92. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 おかしいじゃありませんか。新経済社会発展計画の部門別投資額は四十五年から五十年度までですね。それでおたくのほうのは四十五年度から五十五年度でしょう。だから初めの年度は同じじゃないですか。違うのですか。そうするとミスプリントですか。経済企画庁来ているのでしょう。新経済社会発展計画は何年から何年までですか。
  93. 大塚友則

    ○大塚説明員 四十五年から五十年度までです。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすれば合うわけでしょう。
  95. 森岡敞

    森岡説明員 答弁が間違っておりましたので訂正いたします。年度は四十五年度から五十年度まで見合っております。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大体そういう肝心なことを間違えては困るのですよ。開始年度が同じなんですから、とにかく新経済社会発展計画は閣議決定もあるのですから、これと見合う六年間の計画をまず考え、それから十一年を考えるなら、幾ら考えてもいいですよ。そういうふうにやるというのが順序じゃありませんか。出発の年度が狂っているというなら、いまのようなお話はわかりますよ。これはひとつ注意しておきましょう。  さてそこで、経済企画庁がおいでですから、この四十五年度から五十年度までの部門別公共投資、これの国が直轄でやるのがあるでしょう。それから自治体に補助金を流してやるのもあるでしょう。自治体が単独事業でやるのもあるでしょう。このうち地方財政が受け持つべき額はおよそ幾らという試算をやっておりますか。
  97. 大塚友則

    ○大塚説明員 御承知のように、新経済社会発展計画で示しました地方公共投資の規模は、いわゆるマクロ計数で公共投資全体の規模をはじいて、かつ、それを各主要部門ごとにバランスをもって配分したものでありまして、いわば投資の目標というものを示したものでございます。     〔委員長退席、大西委員長代理着席〕 したがいまして、その財源内訳とかあるいは事業の詳細については、今後各関係省が実施する段階、決定する段階においてきめらるべきものであるというふうに私たち評価しておりますので、いまの計画段階では内訳についてはきめておりません。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこでお尋ねしたいのですが、秦野章さんという元気のいい方が、東京緊急開発五カ年行動計画というものを発表されました。私のところにも文書が来ましたので、詳細読ましていただきました。新聞にも大々的に出ておるようであります。この計画について、大臣、お読みでございますか。
  99. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ごく荒く通読をいたしたことはございます。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、これは五カ年計画で、新経済社会発展計画の六カ年計画とは計画年度が少しずれておりますね。それからまた、自治省でおつくりになりました長期ビジョンの十一カ年計画、これとも若干ずれておるわけですが、財政局長、どうですか、この東京緊急開発五カ年行動計画というのはお読みになりましたか。
  101. 長野士郎

    長野政府委員 私も、ちょっと目を通してみた程度でございます。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 では、逐次お尋ねしたいと思いますが、まずこれを見ますと、東京開発計画というものを想定いたしておりまして、第一プロジェクトから第五プロジェクトまでのプロジェクトをお考えのようであります。また別に、東京新生活計画というものを策定いたしまして、安い野菜の供給でありますとか、公園、緑地群の造成とか、空飛ぶ消防隊とか、その他幾つかの事業計画されておるようであります。総額が四兆円、東京開発計画第一、第二、第三、第四、第五プロジェクト、合計で三兆七千八百七十億円、東京新生活計画が二千億円、合計三兆九千八百七十億円、約四兆円ということのようであります。この事業を見ますと、住宅をつくるということを非常に強調せられておられます。積算いたしましたところ、住宅がこの計画だけで六千三百億円、それから上下水道が八千八百億円、こういうものを想定しておられる。  さて、そこでお尋ねしたいと思うのですが、自治省がおつくりになりました長期ビジョン、これは十一年間でありますけれども、経済の伸び率計算の根拠等を見ますと、最初の六年間でおよそ全計画の四〇%をこなすというのが大体経済の成長率から見て言えるようであります。そうしますと、上下水道につきましては、建設投資総額の部門別予定額を見ますと、上下水道が十三兆九千億円、四〇%をかけますとおよそ五兆六千億円、住宅につきましては六兆二千億円、自治省のビジョンですね、これも四割をかけまして、最初の六年間を一応想定しますと二兆四千億円ということになります。結局このうち上下水道につきましては、自治省のビジョン六年間五兆六千億円。これに対しまして、何と言いますか、この秦野さんのビジョンでいきますと、八千八百億円を東京都に投資する。住宅につきまして、二兆四千億円のうち六千三百億円を投資する。非常な大きな率であります。自治省としてもこういった長期ビジョンをおつくりになったのでありますから、そういう立場から——しかもこの長期ビジョンの中にはこう書いてありますね。大都市だけ大きくなることは間違いなんだ、そうではなくて、国土全域にわたる均衡のとれた発展をリードすることが国土等の資源の有効利用の観点からも強調されなければいかぬ、こういっておるわけです。そういう中で、その住宅のうち実に四割、それから上下水道のうち、これが幾らになりますか、約四分の一程度というものを東京都にほうり込むということが、自治省がお考えになりましたこの長期ビジョンの考え方からいって可能であるとお考えでありますか、不可能であると考えますか、この点はいかがでしょうか。
  103. 長野士郎

    長野政府委員 このいわゆる四兆円ビジョンでございますが、四兆円ビジョンというものと、私どもが、現在まだ作業中でございますが、長期ビジョンとの間には必ずしも関連があるとは私ども思いません。  と申しますことは、都の場合の計画としては、当面この五年間に、これは人の考え方の問題も入っての問題でございますけれども、緊急に実施すべきものだというようなことで、非常に意欲的な計画をお立てになっているということが、ひとつ大きく言えるのではなかろうかと思うのであります。  そこで、私どもの場合のいまの長期的な計画は、今後の十一年間なり十年間におきますところのいわゆる投資可能額というものを、計量モデル方式でございますかによりまして、一応予測をしまして、その範囲内の問題を考えておるというようなところと、非常に意欲的に盛り込もうという考え方でものを考えておられるのとの間の差が非常に大きく出ているわけだと私は思うのでございます。したがいまして、御指摘のように、私どものいまの予測数値からはじき出しました部門別の投資額からこれが直ちに結びついて実行可能になるかというならば、これはそういう意味では、そこに片寄せて投資をするというようなことが考えられれば別として、通常の配分というようなもので考えていく場合には、こういう意欲的なものとの間には相当距離があると、これは言わざるを得ないと思います。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、いかがですか。大臣も佐藤内閣の閣僚の一人であり、わが日本政府を代表する重要な地位におありなわけです。そういった閣僚の一人であり、しかも全国の四十六都道府県あるいは三千余りの市町村、そういった地方財政を主管しておられる大臣の立場から申しまして、自治省がせっかく長期ビジョンをお立てになった。それといわゆる秦野ビジョンといわれるものですね、財政局長自治省の想定したものとずいぶん距離があるということを言われたわけですが、大臣としての御感想はいかがでしょうか。
  105. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、ごくあらまし通読をいたしまして、いわゆる秦野さんの四兆円ビジョンなるものの内容を、ことに数字的に精査いたしたわけでございませんので、ただいまあらましの数字をお読みくださいましたけれども、私としては、責任ある、その点数字に即しての感想は申し上げられないわけでございます。  しかし、おおよそ常識的に考えまして、自治省で庁内の今後の計画策定のための参考資料としてつくりましたいわゆる長期ビジョンなるものは、国の新経済社会発展計画ともあわせまして斉合性をとって検討をしておるものでありまして、これは現況を大体推移すればこうなるであろうという投資可能額に即して計画をしたもの、こうなっております。こういう見地から出たものと、個人が相当意欲的に、こういう政治的背景のもとにおつくりになったものとの間においては、差があるであろうと想像にかたくないところであります。  また、われわれの長期ビジョンはマクロ的に推測をしておるわけで、片一方はそのものについていわばミクロ的に、しかも意欲的にいろいろ検討をされたものでございましょうが、相当意欲的な政治的な考え方でおつくりになったものでございますから、その間に多少の差異はあろうと思います。  ただし、われわれのつくりました長期ビジョンは、これは現状にとどめることなく、むしろこれにある理想と申しますか、希望と申しましょうか、あるべき姿と申しますか、そういう要素を加えまして、これを基礎に将来発展をさすべきものであろうと考えておりますので、そういう意味におきましては、接近を将来する点もあろうか、これは大ざっぱな感想でございます。  しかし、四兆円ビジョンにつきましては、これを実施するしないという問題は、そのときのことでございまして、さらに再検討を要するものと考えております。     〔大西委員長代理退席、委員長着席
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私も頭が悪いものですから、ビジョンというのは一体どういうことばなのであろうかと考えまして、現代用語辞典を引いてみました。ビジョンとは、視覚、まぼろし、幻影のことだと、こう書いてありました。そうしますと、この自治省がおつくりになりました「必要な国民生活の水準を維持するための地方財政の目標」、それから閣議決定になりました新経済社会発展計画自治省がつくったのもビジョンとはいわれていますが、これは閣議決定のものとも斉合性ある——まぼろし、幻影ではなくて、ある程度実現性ある計画、ところが片方は非常に意欲的である。私は東京都だけ意欲的なものをつくったのならいいと思いますが、こういうことで四十六都道府県がみんな意欲的なものをつくったらどうなるか、これはどうにもこうにもしようがないと思いますね。そういう意味で、これはまぼろし、幻影のたぐいに属するものではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。  経済企画庁お見えでありますから、どうですか、この閣議決定の新経済社会発展計画の部門別投資、これから見て、いわゆる秦野ビジョンというものは一体どういうふうにお考えになりますか、御感想をひとつ伺いたい。実現性ありと思いますか、夢、まぼろしのたぐいだとお考えになりますか、いかがですか。
  107. 大塚友則

    ○大塚説明員 私、まことに勉強不足でございますが、秦野ビジョンというものを実は存じておりませんので、明快なお答えはできないと思いますが、いま先生のお話の中からいろいろ想像してみますと、何といいますか、なかなか構想も偉大であるというふうな感じを受けたものでございます。ただ、私どものほうでつくりましたといいますか、政府のつくりました経済社会発展計画も、ある程度中期の現実性のある計画と見ておりますので、その辺から見れば、あるいはどういうことになるかわかりませんけれども、構想と実現性のある計画ということの相違が若干あるのではないかという感じがいたします。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣にお尋ねしたいと思うのですが、いま東京、横浜、京都、名古屋、神戸あるいは札幌、各地区の地方公営企業、特に都市交通というのが非常に困難な状況にあるということは、大臣も御所管でありますから、よく御案内だと思うのです。  そこで、私、「財政金融統計月報」というのを刊行物センターから買ってきて拝見したのですが、公営企業金融公庫に対しては、昭和四十五年三月三十一日現在で、政府出資わずか三十五億円の出資しかされていない。特別会計から出資されて三十五億円。それから、沖繩返還がやがてまいるだろうと思います。その場合、まず私たちは沖繩の復興に全力をあげなければならぬことは当然でありますが、同時に、それ以前に日本に復帰いたしました奄美大島、私も昨年地方行政の一員として奄美へ行ってまいりました。まさに、非常におくれた悲惨な状態であります。この奄美群島振興信用基金、これに対して政府一般会計から出資いたしました額はわずか十一億円にしかならないわけであります。そういったものを見ますときに、この秦野ビジョンでは、財源を一体どうするかということで、政府出資一兆五千億円というものを当てにしておられる。東京都の出資が三千億円、財政資金からの借り入れが二千億円、別に公団債を一千億円発行いたしまして、その資金計画二兆一千億円ということになっております。いま危機に瀕しております都市交通等に対して融資をすべきこの公営企業金融公庫政府出資がわずか三十五億円、奄美大島振興信用基金に対しましてわずか十一億円、しかも東北開発株式会社等もございます。これに対しましてはより多くの出資がなされておるようでありますが、しかし、その額も百十四億円でございます。そういう状態の中で、この計画に対して政府が一兆五千億円出資することが可能であると思うのか。大蔵大臣が後刻参りますから、大蔵大臣にお尋ねしたいと実は思っておりますが、自治大臣として、東北開発も重要である、奄美の開発も重要である、それから地方公営企業の現在の置かれた状況も非常に困難である、そういうものに出資されております額と比較をいたしまして、この一兆五千億円というものが一体可能であり、また、そうすることがよろしいとお考えですか。そういうことはあまりにも過大であって無理だというお考えでございますか。この点、ひとつ承っておきたいと思います。
  109. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 まずそのときになって真剣に検討することでございますけれども、まあ相当大きな数字だな、こう常識的に考えております。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 相当ではなくて、あまりにも大きな数字だというのが、私は大臣としても率直な御感想ではないかと思います。あと、これらの点につきましては、また大蔵大臣が参りましたら、お尋ねしたいと思います。  大蔵大臣が参りますまで、各省の方々にお尋ねをいたしたいと思います。  今度の地方財政計画策定にあたりまして、貸し借りをやめたということは、私は、確かに一歩前進であり、今日まで当委員会が与野党一致をいたしまして主張してまいりましたことを実現したものといたしまして、秋田自治大臣努力に率直に敬意を表したいと思っております。ただ問題は、貸し借りはなかったけれども、新たな財政需要のうち相当部分を地方財政に持たせる、こういう悪い習慣が今度の予算編成、地方財政計画策定の過程で、ずいぶん見られることを私は非常に遺憾に思うのです。  まず厚生省にお尋ねしますが、今度実施しようとする児童手当、これは一体社会保障であるとお考えですか、社会保険であるとお考えでありますか。
  111. 石野清治

    ○石野説明員 今度の児童手当の制度につきましては、一応社会保障の中であると考えております。社会保険も社会保障の中の一つの制度でございまして、社会保障制度を実現する場合の一つの保険方式を採用しておるのが社会保険制度でございます。いずれにいたしましても、社会保障制度の中であると考えております。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあ社会保障だとおっしゃるわけですね。  そうしますと、社会保障の典型的な例といたしまして、生活保護がございますね。生活保護につきましては、国と地方負担割合は一体どのようになっておりますか。
  113. 石野清治

    ○石野説明員 国が十分の八、都道府県もしくは市町村が十分の二です。
  114. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今回の児童手当に対しては、三つのグループがあるようですが、そのうち、雇用者グループ、農民グループ、これに対して国と地方との負担割合は一体どういう割合になっておりますか。
  115. 石野清治

    ○石野説明員 被用者グループ、自営者グループ通じまして、それぞれ国の負担分の半分を地方負担いたします。
  116. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 片方は負担割合が四対一ですね。何で児童手当だけ同じ社会保障だといいながら差別をしたのですか。
  117. 石野清治

    ○石野説明員 現在の児童福祉制度につきましても、その負担割合につきましては、全部が十分の八ということでなくて、たとえば児童福祉施設の整備につきましては二分の一と、同額の場合もございますし、たとえば乳幼児の健康診査等につきましては三分の一という例もございます。したがいまして、その負担割合につきまして、すべてが十分の八、すべてが二分の一ということではなくて、それぞれの仕事の性質によりまして、あるいは地方財政への負担の能力等も検討しまして、それぞれ見ていくという考え方です。
  118. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、どうなんですか。こういった、社会保障だといいながら、生活保護は国と地方との負担割合が四対一、しかるに児童手当については一挙に地方負担割合を上げて二対一にしたということについて、当然自治省は抵抗されたはずだと私は思う。しかも昭和四十六年度の財源所要額は五十六億円、うち地方負担が十五億円で、これは僅少でしょうけれども、しかし、これは当然平年度化されますと膨大になる。  財政局長でけっこうだと思いますが、今回政府が提案をいたしました児童手当制度、これが実施されていきますと、昭和四十七年度昭和四十八年度、それぞれ地方負担は一体どのくらいに激増する予定ですか。あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  119. 森岡敞

    森岡説明員 四十七年度、四十八年度それぞれの数字ということではございませんで、平年度化した場合の数字を申し上げたいと思いますが、総額が八百九十一億円でございます。地方負担が二百四十二億円というふうに相なります。
  120. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういった負担が今度地方財政にかぶせられたということは、貸し借りはなかったけれども、結局それだけ国の行なうべき施策の犠牲を地方負担に求めたというふうに言えるかと思うのです。大臣として、こういうやり方はけっこうであると、きん然としてその方針に御賛成をされたのか、そうではなしに、そういうものについては好ましくないというお考えでございますか、承りたいと思います。
  121. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 その点につきましては、非常に考慮をいたしまして、いやしくも表面上は貸し借りをしないでも、実質上するようなことがあってはならないと思いました。そこで、実は私みずから厚生省に参りまして、いろいろ厚生省の意見等も聞き、みずからも反省をいたしまして、最終的に私はこういう観点に立ちました。  ただいま厚生省からも御説明のありましたとおり、これは社会保障制度の一種である。しかしながら、同じ社会保障制度と申しましても、時代の推移とともにそこにいろいろの差が出てくる。児童手当の場合は、児童の福祉上の見地を非常に考慮した新しい社会保障制度である。そこで、住民福祉を考えることは一九七〇年代、内政充実の年代におきまして自治省の考慮すべきことであり、公害対策等も新しい住民福祉という観点に立っておるのでございまして、こういう点から、地方に居住をされておる住民の福祉を増進する上において、そのかかえておられる児童の福祉向上を考えるということは、これまた地方自治体の十分考慮すべき点である。これの負担の一部をになうということは、新しい時代の自治行政の時代的要請ではなかろうか。これに応ずるという意味におきまして、私は考えを新たにいたしまして、これの負担に新しい形式をもって対応するということに踏み切った次第でございます。
  122. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣がこの問題について非常に抵抗を示され、地方財政の確立のために健闘されたことにつきましては、大いに多といたしたいと思います。  結局社会保障という観点に立つならば、国と地方との負担割合は四対一が当然であって、二対一というような地方財政にあまりに重荷をかぶせるということは、厚生省考え直していただきたいと私は思うのです。  それから、時間がありませんから飛行場部長にお尋ねしたいと思うのですが、空港整備五カ年計画というのがあるそうですね。四十六年度から五十年度に至る五千六百億円という一応の見積もりだそうでありますが、そのうち地方単独事業百五十億円というものが見込まれておるそうです。これは用地費だということでありますが、なぜこういった用地費を地方財政負担に押しつけておるのですか。
  123. 丸居幹一

    丸居説明員 地方の飛行場に二種空港と三種空港の二種類ございますが、二種空港は国が設置、管理する飛行場でございますので、この用地費は、一応国で買って国の所有地にするわけでありますが、それについて先生おっしゃった二割五分の負担金をかけております。それから三種空港のほうは、これは地方飛行場でございまして、地方がその用地を取得し、地方の台帳にその用地というものが載っていきますので、地方の所有地ということになりますので、これは全額地方のほうで負担になります。先生が御疑問に思われる点は、二種空港の二割五分の負担ではないかというふうに思いますが、これは空港整備法で二割五分を地方負担さすという規定に基づきまして、そのまま負担をかけておるという次第でございます。
  124. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省としては、こういうものの負担を押しつけられていることについて、どう思っているのですか。財政局長自治省考え方をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  125. 長野士郎

    長野政府委員 空港の関係につきましては、このような事業が今後非常に伸びていくというところへいま差しかかってきておると私ども思っておりますが、その場合に、空港というものを、一体いまのような二種空港なり三種空港なりという分け方でいいのかどうかというような問題を含めて、私どもは運輸省御当局ともいろいろ折衝をいたしておるわけでございます。特に、道路にかわるようなものとしての役割りも大いに果たすわけでありまして、そういう面で土地の問題と空港の機能というものとは特に不可分なものでございますから、道路と同じような考え方も取り入れ得るのではないかというようなこともありますので、その点を含めて折衝といいますか、協議を重ねておるという段階でございます。
  126. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵大臣来られましたが、来てすぐでは恐縮だと思いますので、いま一問お尋ねしたいと思います。  首都高速道路公団、阪神高速道路公団というものがあります。これに対して、資金コストを六%にするために地方団体からの交付金をちょうだいしているということだそうであります。こういったものは法的根拠があるんですか。  それから街路の拡幅にあたりまして、公団が三分の一を負担するということが法律できまっているようでありますが、このうち二分の一を地方負担に押しつけているという実情が現実にあるそうです。こういうような問題は、法的な根拠は一体あるのですか。なぜこのようなものを押しつけているのか。あわせてこれに対する自治省考え方も聞かせておいていただきたいと思います。
  127. 高橋明

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の法的根拠でございますが、これは首都高速道路公団法、阪神高速道路公団法に、両公団に出資しておるそれぞれの団体補助金を交付できるという規定がございまして、これに基づいて補助金を交付金としていただいておるわけでございます。  その趣旨は、高速道路の建設費はきわめて高額でありますし、また、本来、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団の実施しております高速道路事業は、各地方公共団体の都道府県道であり、市町村道でございます。したがって、都道府県道、市町村道を事業として実施しております関係で、当該都道府県道の本来の道路管理者あるいは市町村道の道路管理者にそれぞれある程度の費用を出していただくのは、当該道路事業が、料金を安く住民に提供し、あるいは早期に無料として道路を開放するというようなたてまえから、補助金をもらって安く提供し、早く無料にしていただくというような趣旨でやっているわけでございます。
  128. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵大臣の時間が制約されておるようですから、建設省あるいは人事院に対するお尋ねはあとに回します。
  129. 菅太郎

    ○菅委員長 これより福田大蔵大臣に対する質疑を行ないます。  なお、質疑者に申し上げます。午後二時から本会議が開会されますので、理事のお申し合わせの時間内で御協力をお願いいたします。山口鶴男君。
  130. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本会議で質問をいたしまして、特に付加税化の問題をお尋ねいたしました。福田大蔵大臣は、付加税化方式にすると地方自治の本旨にもとるんだというような考え方、これはどうもあまりに保守的に過ぎるのではないか、かように思うのであります、こう答弁しております。秋田自治大臣は、この付加税方式については、大蔵大臣と所見を異にいたしまして、地方自治という観点から地方団体の税というものの独立性、その中心をなしております住民税というものが確立している必要があると思うのでありまして、これが付加税という方式は、地方自治を盛り立てていくという点において反対である、こういう趣旨の御答弁をしております。私は福田さんと同じ選挙区でありますが、私のほうが保守的だと思ったことはないのですが、どうも福田さんからそういう御指摘をいただいて、いささか遺憾に思っておりますが、とにかく両大臣考えが違うのでは、私は困ると思うのですね。この付加税方式について大蔵大臣自治大臣考えが違う、これでは私ども、佐藤内閣は一体どっちを向いているのだろうかと困るわけでございまして、その両者の統一した見解、佐藤内閣としては、この付加税方式は一体どうなのか、このことをひとつ大蔵大臣のほうから承りたいと思うのです。
  131. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 付加税化の問題は、政府としてまだきまった考え方じゃないのです。ただ私も自治大臣も非常に率直な性格でございますので、率直な考え方をおのおの申し述べた。  私は付加税化ということがいいというふうな考え方を持っております。つまり国、地方の両者の立場からいいましても、あるいは納税者は、これは同じ対象になるわけですから、その人の利便を考えましても、あまりめんどうな手続でないほうがいいんじゃないか、そういうようなことで、付加税という方式はいいと思うのです。現に付加税方式というのは、法人税については行なわれているわけなんですね。問題は、住民税についてそれをやってどこが悪いんだ、こういうふうな考え方を持っておるわけなんです。まあ、私はそう考えますけれども政府としての統一見解をきめるまでには、これはよく秋田自治大臣と相談をしなければならぬ、こういうふうに思っております。私の率直な考え方を申し上げたまでであります。
  132. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これは秋田自治大臣、ひとつ大蔵大臣に屈服させられないように、地方自治の観点から大いに秋田自治大臣の奮起を期待いたしておきたいと思います。  次にお尋ねをいたしたいと思うのですが、先ほどまで経済企画庁を呼びまして、新経済社会発展計画、閣議決定になるものでありますが、この経過と、それからいま一つ自治省が昨年部内でおまとめになりました必要な国民生活の水準を維持するための地方財政の目標、いわゆる地方財政の長期ビジョン、こういうものと、今回秦野章さんという方が、東京緊急開発五カ年行動計画というようなものを発表されましたが、これが自治省考えております地方財政の長期ビジョン、それから閣議決定になる新経済社会発展計画、これと比較した場合に、一体どうなんだという点を実は論議をいたしました。自治省経済企画庁も、この東京緊急開発五カ年行動計画を詳細に読んでいないのでという註釈はありましたけれども考えると相当大きな隔たりがあるということをお認めになりましたが、福田大蔵大臣は、日本の財政をあずかる重要な地位にあるわけでありますし、しかも新経済社会発展計画をおまとめになる場合に重要な役割りを果たされたと思うのですが、そういった計画と、このいわゆる秦野ビジョンというものとを比較いたしまして、その新経済社会発展計画の中でこのようなビジョンを実現することははたして可能性があるか、とてもこれは不可能だとお考えになりますか、この点はいかがでしょうか。
  133. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 秦野章さんは、いま東京都知事候補として立候補しようとしている方です。でありますので、秦野さんがどういう構想を持ち、またそれに対して私どもがどういう考え方を持っているということを申し上げるのは、これは、ちょっといろいろ差しさわりが出てくるのではないか、そういうふうに思うのです。私は私なりの感想は持っておりますけれども、ちょっとこれは差し控えさせていただいたほうが妥当ではあるまいか、さように考えますので、お許しを願いたいと思います。
  134. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 せっかく大先輩の福田さんのお話ですから、これ以上申しません。  ただ問題は、資金計画二兆一千億円が必要だ、そのうち国の出資は一兆五千億というものを予定しておられる。実は地方行政委員会でも、いつも問題になりますのは、東京あるいは横浜、名古屋、京都、大阪、神戸等の都市交通の問題、これが非常な赤字を出している、したがって、これが再建を一体どうするかということが、いつも議論になります。ところが、公営企業金融公庫に対して政府が出資しております額は、わずか三十五億円。沖繩がやがて返るということになるわけですが、その前に返りました奄美大島は非常に悲惨な状態です。これの奄美群島振興信用基金、これに対して政府が出資しておりますのが約十一億円、非常に少ないわけですね。そうして政府昭和四十五年三月三十一日現在におきまして出資しております総計が、一般会計、特別会計二兆四千六百億円ですね。こういう状況を見ますときに、一つの公団に対しまして一兆五千億というような出資をすることが——これは秦野ビションと離れてけっこうでありますが、一つのそういった公団に対してこの一兆五千億というようなばく大な出資をすることがはたして可能であるかどうか、このお考え方はどうでしょうか。
  135. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 それも秦野さんの話とは別とは言いながら、ちょうど数字までひっからまってくる問題でありまして、論争を与えるおそれがあります。秦野さんを利してもまずいでしょう、また害してもまずいでしょう。そういうことを考えると、これはまことに申しわけないのですが、この問題に対するお答えは留保させていただきたい、かように考えます。
  136. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 秋田自治大臣のほうは、一つに一兆五千億を出資するのは、あまりにも大きな額だという御感想を申されました。福田大蔵大臣の心のうちもたぶんそういうことではないかと推察をいたします。せっかくの郷土の先輩のお答えでもありますから、これ以上申し上げることはいかがかと思いますので申しませんが、私はやはり聞いていただきたいのですけれども、たまたま一つの府県でこういう雄大なビジョンが出る。まあ、そういう構想をお考えになることは自由だと思う。しかし、いま全国土均等に発展させていかなければならぬ。これはやはり七〇年代内政の年の重要な課題であると思うのです。ところが、新経済社会発展計画、六年間で公共投資を想定している額が五十五兆円ですね。しかも公共投資に予定している仕事とはずいぶん違った仕事もお考えになっておられる。そういうビジョンというもの、しかも四兆円というものを一定の地区に投入することが、はたして国土の均等な発展ということで可能なのかということは、私は問題だと思います。それからまた、これが伝播いたしまして、四十六都道府県みんないろいろな形で雄大なビジョンというものをつくった場合に、それがはたして国の現在の財政の中でこなし得るものかどうかということを考えなければいけないと思うのです。  したがって、いま七〇年代内政の年といわれておりますときに、国土全体を総合的に開発をしていく。都市問題はもちろん重要です。しかし、一方過疎問題ももちろん重要であります。いろいろな意味におきまして、国土を均等に発展させるということは必要でしょう。そういう観点から、特定の地域にあまりにも過大な投資をするということが望ましいことであるのかないのか、大臣、この点は一体いかがでしょうか。
  137. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大蔵省のことでありますから、これはなかなか渋い態度をいつもとるわけです。関係各省、またその背後にある地方公共団体がこういういろいろな計画をきめますれば、大蔵省は大蔵省なりに国政全体の均衡ということを考えるわけでありまして、それに対して査定、削減をするということはあり得ることであります。要は、国政全体が均衡ある姿においてどういうふうに動かされていくか、こういうことになるのだろうと思います。ある地域の開発の計画、これは一地点にとどまりません。方々から出てくるわけでありますが、それに対しまして、全体の立場から大蔵大臣が斧鉞を加えるということは当然あり得ることである、かように思います。
  138. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間がもう間もなく参りますので、一つだけ聞いて終わりたいと思います。  前々から大蔵大臣にいつも地方行政委員会に来ていただきまして、年度間調整の問題でありますとか、特別会計への直入の問題でありますとか、あるいは交付税というものは地方の財源であるかどうかとかいうことを議論いたしてまいりました。福田大蔵大臣になりましてから、特別会計への直入については、これはけっこうだとはおっしゃいませんでしたけれども、歴代の大蔵大臣と違いまして、交付税というものは地方独自の財源であるという趣旨のことを明確にお答えをいただいておるわけであります。正確に申しますと、「この金は地方自治団体の権利のある金なんです。そういう意味において、固有の財源であり、また、自主財源である、」と明確にお答えになっております。ところが、過般、大蔵省の主計局次長に来ていただきまして、一体どうなんだと私が聞きましたところが、学説的にいろいろある、どちらとも言えぬという趣旨の御答弁でございました。私は、議院内閣制のたてまえからいきまして、大蔵大臣がこの問題について明確な見解を示されたときに、大蔵大臣の部下であります財政当局の主計局の役人の方が来られて、そして私どもは何も国会で学説を議論しておるわけじゃない、現実的に、政治的に現内閣はどう判断するのかという立場で質問をしておりますときに、そういう趣旨の御答弁をされることを実は非常に遺憾に思っておるわけであります。この点、従来から福田大蔵大臣お答えになったことが当然政府として、大蔵省としての見解だと思いますが、一応そういう経過がありましたので、念のためにお答えをいただきまして、質問を終わっておきたいと思います。
  139. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 地方交付税交付税法によってきめられておるわけです。しかもその率まで法定をされておる。ですから、そういう意味からいいまして、当然これは地方の権利に属する財源である。それを自主財源というかあるいは固有の財源というか、いろいろ争いがある、こういうお話でありますが、そういう意味合いにおいて、私は自主財源であり固有の財源であるということを申し上げておるわけであります。その考え方は今日いささかも変わっておりません。
  140. 菅太郎

    ○菅委員長 小濱新次君。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 簡単に二、三点お伺いしたいと思います。  三十一年に十六項目が指定都市に委譲されました。その時点から今日まで十五年間も財源の伴わない項目の委譲ということで指定都市は悩んできた問題がございます。詳細にその内訳も私とってみたのですが、これは時間がありませんので省略をいたします。そこで、本来事務配分と税の配分ということは同時に行なうべきであると私ども考えているわけです。そういう点ではどうも適正を欠いているように考えられるわけですが、指定都市の悩みの訴えを毎年毎年継続してわれわれ聞いているわけです。この点についての基本的な考え方を大蔵大臣にどうしても一ぺん聞いておきたい。自治大臣のほうはあらゆる機会にお尋ねしておりますが、この点は一応再検討の必要があると思うわけですけれども、どういうふうにお考えになっておられますか、ひとつ御意見を聞かしてもらいたいのです。
  142. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま地方、中央の財政を見てみますと、四十六年度あたりは財政全体のスケールが中央財政より大きくなってきておるわけです。しかし、大きく言いますと、大体同じくらいの規模だと言っていいのじゃないかと思います。そこで、中身を洗ってみると一体どうなんだといいますと、国のほうは交付税として二兆五百億円を地方に渡す。それからさらに補助金がありますが、それを加えますと実に四兆五千億になるのです。九兆円の予算予算といいますけれども、裸の国の財政というものは約半分でございます。それに対しまして地方のほうは、それだけのものを受け入れまして九兆七千億になりますか、その地方財政計画に示された予算の額がフルに使えるという状態なんです。これ以上国からしぼり上げると言うと語弊があるかもしれませんけれども、国から求めるということはなかなかむずかしいのじゃないか、そういうふうに考えるのであります。  いま指定市の問題がありますが、これは交付税の配分とかそういう問題、あるいは都道府県と市町村との税の問題、そういう点で自治省において皆さま方の御協力も得て有効に解決してもらいたいな、こういうふうに考えておるのでございまして、前々から私は都道府県、市町村の財源配分には問題があるということを指摘して御協力をお願いしておる、こういうことであります。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 私があえて申し上げた理由は、制度上交付税で見ているということになっているわけですが、そこに非常に疑問視される問題は、十五年もの間毎年毎年このことでは当委員会でも論議されてまいっておりますし、またこれからもいつまで続いていくのか、何らかの方法が示されない限り継続されていくだろうという問題でございますので、あえて取り上げたわけでございますから、御検討をよろしくお願いしたいと思います。  さらにもう一点お尋ねいたしますが、この地方税の法人均等割、これが資本金一千万以上の会社では年間四千円、それ以下の会社ですと二千四百円、それから、一千万以上の会社で、相当の資本金を投じている会社もあるわけですけれども、こういう会社であっても、均等割だけで過ごしている会社が約一割、こういわれている。しからばこの個人の均等割は幾らかというと、御存じのように六百円。何千人も使っている会社が四千円くらいしか納めていない。しかも、所得割は払っていない会社も相当あるようであります。  そういうことから、どうしてもこの法人と個人の均等割はまことに不公平、私どもはこういうふうに見ざるを得ないわけでございます。この問題についてお考えをいただきたい、こういうふうに思うわけですが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  144. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 均等割という税そのもの自体が、税の体系、税の理論から申しますと、そう好ましいものではないと思うのです。しかし、地方財政が非常に窮屈だという際の過渡的、経過的な税制として存在をする、こういうことかと思いますが、地方税制を再編成をする、ことに地方財政力がついた、そういうような段階に応じての再編成という際には、あらためてこれは見直さるべきものである、私はこういうふうに考えます。いま皆さんもそういうふうな御認識だと思います。つまり、地方財政需要がまだまだ多いのだ、まだ財源が充実されない、こういう際の今日この時点とすると、まあやむを得ないことかと思いますが、将来の問題とすると問題をはらんでおる、こういうふうな認識でございます。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点最後にお尋ねしたいと思います。  超過負担の問題でございますが、今回また、見通しの暗い持ち出し財源が非常に多いということで、自治体では悩んでいる向きが多いわけでございます。いろいろとその問題を提起することは、この際時間がありませんのでやめますが、大蔵省内でも、この超過負担の問題についてはいろいろと論議されているというふうなこともわれわれは耳にしているわけでございます。この辺で一度自治体のペースで超過負担の実態調査——何としてでも、これは自治体の大きな悩みでございますし、いつまでも解決のできない問題ということで、この辺で一度思い切って地方財政健全化のためにこの実態調査をする必要があるのではないかとわれわれはさっきから考えておったわけでございますが、この超過負担の問題について、これもやはり大蔵大臣から、その見通しやらお考えをお伺いしたいと思うわけでございます。
  146. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 超過負担につきましては、数年前自治団体側におきましてその実態を調査いたしまして、その総額はこうなるのだというお示しがありました。それに基づきまして、政府におきましては、これが解消に努力をいたしてまいりまして、一応解消ということになっておるというふうに承知しておるのですが、これも問題はそういう形式的な問題のほかに、実態論があると思うのです。つまり学校校舎を建築する、坪当たり幾らかかるという標準単価を算出いたしまして、その標準単価に対しましては、国は法律の命ずるところに従いまして補助をいたしておるわけなんです。ところが、実際はもっとかかるのだ、こういうようなことから、苦情が今日なお絶えないのでございますが、その単価を、これだけかかったのだということに応じて上げることにいたしますと、みなそれを上限としてそういう学校校舎の建築ということになってくる。そういうようなことで、どうしても標準単価というものを設定しなければならぬ、こういうふうに考えられるわけであります。  問題はその標準単価がほんとうに標準になっているのかなっていないのか、こういうことじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、その標準単価が是であるのか非であるのか、こういうことにつきましては、私は今後ともこれは大蔵省、自治省よく相談をいたしまして適正を期さなければならぬ、かように考えております。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 以上で終わります。
  148. 菅太郎

    ○菅委員長 門司亮君。
  149. 門司亮

    ○門司委員 率直に最初大蔵大臣に聞いておきたいのは、先ほどからいろいろ議論もありますが、私は地方税と国税の税の配分を変える必要がありはしないかということを考えておるのです。たとえば、ことしなども、大体国民所得総額の一九・三%とあなたのほうの予算書に書いてある。そしてその中で国税として徴収されるのが一三・三%になっておる。地方税として残りの六%が残るのだが、その中で三・二%が府県税で、二・七%が市町村税ということになっている。これはこれでよろしいとして、私が不可解なのは、いま申し上げましたように、ことしの一九・三%の中で国税が一三・三%になっておるが、去年は国民所得の総税収の割合というのは、たしか一八・六か七であったと考えておる。そして国の取り前というのは一二・七%、地方の取り前はやはり全部で六%だ、同じことであります。だから、ことしの税収のふえた分だけは国がよけい税金を取っているということが、あなたのほうの予算書にはっきり書いてあるのだ。この配分を変えてもらわないといろいろな問題が出てくる。  私はもうこまかいことは申し上げません。この際、交付税がどうだの、いや政府の貸し付け金がどうだのといういろいろ議論はしません。つまり地方財政が貧困であるからであって、いわゆる税の配分がそういう形になっているからである。したがって、地方財政をまかなおうとするならば、この税の基本的な配分関係を変える必要があろうかと思うのだが、これは一体大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  150. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 国民所得に対する租税負担率、これはお話しのように、四十四年度は一九・四%です。それから四十五年度見込みは一九・三%です。四十六年度も同じく一九・三%なんです。(門司委員「それは違うんだよ」と呼ぶ)これは間違いなくそういう数字になっておるわけなんです。  そこで、先ほども申し上げましたが、国と地方との税の配分、これは必ずしも適正を欠くという状態ではないという私は認識なんです。国は九兆四千億円の約半分を地方のほうへお渡しをする。そして地方財政のほうは裸になりましても——国のほうは裸になると、いま四兆幾らの予算でございまするが、地方のほうは裸になりましても九兆七千億円の予算である、こういうことでございますので、決して私は財源配分が適正を欠いておるというふうな感じを持っておりません。むしろ私が指摘したいのは、都道府県と市町村との間に税の配分上問題があるのではないか、この問題は少し検討しなければならぬことじゃないか、そこに問題がいまあるのだ、こういうふうに私は考えておるわけであります。
  151. 門司亮

    ○門司委員 大蔵大臣としては地方税を配分するということで、国のほうは知らぬ顔しているが——いまちょっと訂正だけしておきますか、国の一九・三%という数字は当初予算にはなかったのです。四十五年度の当初予算にはなくて、去年の暮れの補正予算を入れるとこうなるということが、これもあなたのほうの予算書にちゃんとそういう断わり書きが書いてある。私は当初予算で議論しているのであって、何も補正予算でどうなるか、先のことを議論しているのではありません。一二・七%というのは当初予算であなたが出した数字なんです。それに補正予算を加えればこうなるなんて、あなたのほうから出した予算書の断わり書きを見てみて、いいかげんなことを言うものだなと考えておったのですが、国のほうは補正予算を組み入れて議論していて、私のほうが議論するのは当初予算で議論するというのですから、数字が合わないのですよ。これはあなたのほうの数字がそう書いてあるから、そのとおりに申し上げておきますが、私のほうの数字に間違いないということだけは申し上げておきます。  それからもう一つ聞いておきたいのは、一番大きな政府の、私は隠し財源とは言いませんが、税金以外の資金部の金がございます。いわゆる財政投融資という形で出ておる。その中で国民の零細な貯金である郵便貯金が一兆三千五百億と書いてある。厚生年金が九千四百六十六億、それから国民年金が一千九百四十九億、あるいは簡易保険の資金が四千九百五十億、こう書いてあります。ところが、これの問題について、ひとつきょうは真剣にというよりも、折り入ってあなたに相談があるのですが、この財投の資金が地方にどういうふうに一体出されておるかということです。たとえば産業基盤整備も必要だとかということで、住宅だとか道路だとかいろいろ書いてある。あるいは貿易振興とかというところにも出てきておる。ところが、この原資というものは国民の零細な郵便貯金なんですね。それから零細な働く者の厚生年金であり、国民年金であるというようなことに間違いはないのですね。この、零細な国民の積み立てた資金というものが、地方財政に一体どれだけ寄与しているかということになってまいりますと、遺憾ながらその率はきわめてわずかであって、地方債というのは、ことしは総額が大体四千四百七十一億円になるのですね。こういうことになっておって、そうしてこれはさらにこまかく分けると、いろいろ問題がある。そのほかに、たとえば公営企業だとか、あるいは準公益企業。準公益企業が二千二百八十七億であり、公営企業が三千五百十億、特別地方債が一千五百七十五億、公営企業の借りかえ債が三十億、特別転貸債が四十二億、これを全部計算して大体一兆八百六十億円というのが、あなたのほうの予算書に書いてあるとおりなんです。これはあなたのほうの予算書に書いてあるから間違いない。また地方の会計を見てみてもそう書いてある。ところが、郵便貯金として一兆三千億もあるものの中から、こういう地方債というのが一兆八百六十億ある。その内訳を見てみますと、遺憾ながら政府資金というのが地方ではわずかに六千四百八十六億だ。公募資金が四一千三百七十四億。内訳は市場募集が六百二十億・それから公営公庫から出ておりますのが千百六十億、縁故債が二千五百九十四億、こういう数字になっております。  そこで問題になるのは、この利息ですね。国の財投から参ります六千四百八十六億の金利というのは、大体百分の六・五と換算すれば間違いないと考えておる。ところが、そのほかの公募債になってまいりますと、市場公募については大体百分の八であります。さらに公営企業の公簿から貸し出しますものが、これが大体百分の七・六についてやしないかと考えております。それから縁故債に至りましては、これは大体百分の八・五と・いうのが一応の目安でありまするから、この八・五日一ぱいになっておる、あるいはこれを少しこえておるものもある。私は正確に調べればあると考えておる。そこで、こういう公債の費用というものが、ことしの予算から見てまいりましても三千六百四十八億円というものを出さなければならない。この伸びは昨年度から見て二三・一%である。地方税の伸びはわずかに二〇・二%である。地方税の伸びよりも借金の償還の伸びのほうが多いというような今日の不健全な地方財政。これをやはりまかなっていこうとするには、どうしてもこの際地方債は全額政府の資金部資金の中からめんどう見るというたてまえがほしいのではないかということである。そうしてこのいわゆる六分五厘以上超過いたしております地方負担を減ずるということは、私は非常に大事なことだと思う。したがって、そういう考え方が一体大蔵省にできるかどうか。私は文句を言うわけではありませんが、理論上そうすることがよろしいのだ。地方の住民の零細な郵便貯金等は、やはり地方の学校の資金になる、下水の資金になるというような、行政上からくる政治に対する国民の関心というものも必要ではないかということである。税金が取られっぱなしでどうなっておるかわからぬ、郵便貯金がどうなっておるかわからぬということでなくて、政治の一つの大きな要諦で必要だと考えているのですけれども、大蔵大臣は一体どうお考えになりますか。
  152. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 資金運用部資金は簡保の資金や、それから年金の資金と一緒にいたしまして、統合運用をいたしておるわけです。しかし、その統合運用の結果というのは、これはもう地方開発、これに非常に裨益しておるわけであります。つまり、大企業に貸すのが多いじゃないかというような話をときどき聞くのでありますが、これはかつてわが国の産業がふるわなかったという時期にはそういうこともありましたが、それはもうだんだんとシェアダウンいたしまして、今日ではおそらく社会保障また社会資本の充実、こういう国民生活——国民生活というのは地域社会と密着した問題でありますが、そういうものに充てられる部分というのがおそらく八割くらい——八割何分か八割か、その辺は正確を欠きますが、そのくらいになっておるのです。これはもう地域社会に還元される、こういう性向を持っておる、こういうふうにはっきり申し上げていいと思うのであります。  それで、地方債全部にそれを使ったらどうだというようなお話でございますが、国のほうでも、これは運用部資金に依存をするという公債は非常な軽微な問題でありまして、ほとんどないといっても過言でないくらいな額でございます。そういうような状態に比べますると、地方債につきましては、かなり多額のものを資金運用部からこれにさいておるというのが実情でございまして、決して国民からお預かりいたしました郵便貯金あるいは簡保の資金、そういうものを国民の生活に縁のないものに運用しているという状態ではないのであります。これは予算の説明書においてかなりはっきりごらんに供しておるという状態でございます。
  153. 門司亮

    ○門司委員 時間ですからこれ以上聞きませんが、大蔵大臣考えておいてもらいたいのは、あなたのほうの予算書にそう書いてあるのです。私は予算書のとおり読んだので間違いないと思うのですよ。それで問題になるのは、財政投融資のさっき申し上げましたような資金は、ことしは四兆二千八百四億円と書いてあるのですね。その中で地方一般会計が、特別の事業債は別にいたしまして三千九百八十二億の金を借りるということですね。したがって、私がいま申し上げました全体の数字は、これは事業債を入れて一兆八百六十億という数字になるのです。ことに政府資金がその中で六千四百八十六億、約六割くらいのものが政府資金であって、あとは非常に高利な金を借りて地方はやっておる。少なくともこういう現状では、地方の実態というものは実はこの利息に追い回されておるのであって、したがって、こういうものについては、国がそれだけ地方のことをお考えになるなら、たいしたお金じゃないのだから、あと四割ばかりをひとつ国から出していただけばそれで済むわけでありまして、私はこのことを強く要望いたしておきまして、これ以上議論はいたしません。
  154. 菅太郎

    ○菅委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後二時一分休憩      ————◇—————     午後三時十分開議
  155. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  156. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 建設省にお尋ねしますが、先ほど門司委員が福田大蔵大臣に、地方債の資金コストが非常に高い、地方税の税収の伸びよりも起債の元利償還の経費の伸びのほうが高いじゃないかということを問題にしておられましたが、そういった状況にあります地方財政から、六%をこえる部分についてはこれを補助させる、そうして資金コストを六%にするということは、どう考えても不当ではないのか。それからさらに、街路事業の拡幅に関しまして、公団が三分の一負担することは法律できまっていますが、その二分の一を自治体に持たせるなどということは、これは法律に何ら根拠があるわけじゃない。なぜそういうむちゃなことを地方財政にしいるのか、この点、簡単でけっこうですから、お答えください。
  157. 高橋明

    ○高橋説明員 六分にいたしますことは、実は、日本道路公団の発足以来、有料道路について伝統的に六分ということでやってまいったわけでございます。都市公団だけはそれでは六分以上にできないかというふうなことでございますが、しかし、最近、有料道路の建設費が非常に高額になってまいりまして、もし六分以上の資金コストを負担しなきゃならないということになりますと、料金が非常に高くなる心配がある。それから、いま原則として六分コストでようやく三十年償還、つまり、三十年たてば無料にいたしまして、元の都道府県道、市町村道の無料の道路としてお返しするということがなかなかできなくなる。しかも、将来ますます都市交通の混雑に対して、新しい建設路線をつくっていかなければならない。それに、申しましたように、きわめて高額の建設費になりますので、こういう新線を消化するためにも、やはり六分という、いわば低金利と申しますか、低い金利で仕事をさせていただかなければいけないのじゃないか。そういうことで、依然として六分でありたいと私ども考えております。  それから、先ほど後段で御質問になりました、法律で関連街路事業の三分の一を公団が負担しなければならないというふうになっているにかかわらず、なぜまた、その三分の一のさらに二分の一を地元に交付金として負担させなければならないかということでございますけれども、それは、公団はまず、街路の上に高速道路をつけます際に、公団の高速道路の必要な用地幅を考えますと、大体その高速道路を通すには、街路を四十メートル以上にしなければいけない。公団の用地幅が大体二十メートル必要でございますから、四十プラス二十で、六十分の二十、つまり三分の一の用地負担は公団としては必要ではないかということで、関連街路事業の三分の一の用地代を公団が負担することにしておるわけでありますけれども、しかし、御承知のように、高速道路は一本足でございます。一本足でございまして、高速道路のかさの下もやはり街路として使えるわけです。つまり、街路として使えるわけですから、街路は大体において都道府県道であり、市町村道でございますから、いわば、当該地方公共団体の住民の方々が利用できるという意味で、まあ三分の一公団は負担するけれども、そのかさの下は街路として利用していただくのだから、二分の一くらいは持っていただいてもいいんじゃないかというような趣旨でございます。
  158. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 二分の一くらい持ってもいいんじゃないか、こういう話ですが、自治省はどうなんですか。持ってもけっこうである、大賛成だ、こういうようなお気持ちなんですか。そうじゃなくて、しぶしぶそういうことを持たされている、全く好ましくない、こうお考えなんですか、どうですか。
  159. 長野士郎

    長野政府委員 私どもは、どうも好ましいというふうに思っておりません。したがいまして、これらの関係の問題につきましては、予算編成の前に是正、改善については毎年申し入れをしているところでございます。いろいろ理由はあることと思います。やはりこの公団に対する出資の問題でありますとか、関連街路事業に対する負担の問題でありますとか、一応いろいろ理由はあるという点もあります。片一方においては、利用料金を引き下げるためには、つまり安い資金にするためにはそういうことが必要なんだということだと思います。しかし、やはりその団体のそういう形の出資なり補助金、交付金という形によって安くすることだけが唯一の方法であるかどうかというようなことになりますと、なお考えていい問題があるのじゃないかと思います。  それから、その次の問題にいたしましても、三分の一というものを一応負担するということになっておるたてまえではあるけれども、なお逆に半分ほどバックさせるというようなこと、これもやはり制度のたてまえと実際の運用の間において食い違いがあるわけでございます。こういう点はやはりすっきりした形でひとつ是正をはかってもらいたいということで、毎年強く申し入れをいたしまして、建設省のほうでも検討するということで、努力はいたしていただいておる状況だと私は思っておりますけれども、現状のところは、いままだ改善を見てない、こういうことでございます。
  160. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵省の主計官はいませんな。まあいないのはけしからんと思いますけれども、幾ら大きな声を出しても大蔵省まで聞えないでしょうから……。  大臣、どうなんですか、結局、貸し借りは今回は大いにがんばっていただいてやらなかった。これはやらぬという覚書をかわしまして、去年やったんですから、やったほうが悪いわけでありまして、ことしがあたりまえだと思うのでありますが、そのあたりまえのことが通ったのはいいですけれども、たとえば児童手当等で地方負担がかさむ。それから、法令には何ら規定がないこの街路事業の経費に対して、いわれのない負担地方財政が背負わなければいかぬというようなことでは、これは財政秩序を私は乱しているんじゃないかと思うのですね。そうしてそういういろいろな形で地方財政が蚕食されているということについては私は問題だと思うのです。この点につきましては、ひとつ大臣としても、決意を新たにしていただきまして、財政秩序をきちっとする。いわれのない地方財政に対する負担というものははね返すということで対処いただきたいと思うのですが、御決意を承っておきたいと思うのです。
  161. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 貸し借りをやめたわけでございます。その趣旨にのっとりまして今後もいろいろの問題に処してまいりたいと思います。  御指摘の点につきまして、いろいろ御異論もありましょうが、われわれとしては筋を通した処置をしておる。ただし、最後の高速道路等の問題につきましては、従来からの懸案でございまして、今後とも努力をしてまいりたいと思いますが、一般的に申しまして、国と地方との事務配分その他  これに基づく税源配分、これに基づくいろいろ負担の区分等につきましては、筋を通してまいりた  いと考えております。
  162. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 人事院の給与局長見えておりますから、お尋ねしたいのでありますが、二月の八日に人事院が勧告をされたということを聞いております。勧告の内容は別に聞こうとは思いません。ただ、この勧告が二月八日の何時になされたか、その点をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  163. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 衆参両院の議長及び内閣総理大臣にいたしましたものでございますから、十時か十一時の間と承知いたしております。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 二月八日の十時から十一時の間ということですね。  それでは自治省にお尋ねしたいと思いますが、地方財政計画、たいへん膨大でありますが、この地方財政計画の閣議決定したのは九日と聞いております。通常こういうものにつきましては事前に事務次官会議等で事務的に詰めをやりまして、それからさらに閣議決定というのがあたりまえだというふうに聞いておるのですが、事務次官会議地方財政計画の審議をいたしましたのは何日の何時でございますか。
  165. 長野士郎

    長野政府委員 事務次官会議は、閣議決定の前日の二月八日の十二時ごろから始まっておると思います。
  166. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、人事院勧告があってから一時間ないし二時間後にはもう事務次官会議が始まっているわけですね。よく地方財政計画を早く出せと私ども言うんですが、印刷するのに一週間ぐらいかかるとか十日ぐらいかかるとか、盛んに申されて、おくれる理由にしておるのですが、そうすると、地方財政計画の中には二月八日の人事院勧告に基づきまして、地方財源所要額百二億円、一般財源所要額六十二億円、これは地方財政計画に入っておりますね。人事院は勧告をするまではその内容がどうだということは一切外部には漏らしておらぬですな。その点はどうですか。
  167. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 当面の問題は——私のほうの関係は国家公務員に対してやっておるわけでございますけれども、当面の関係地方公務員に対する影響の問題、それから財政との関係の問題でございます。地方公務員の関係につきましては、直接関係はございませんけれども、今回は教員の問題といたしまして、その仕事の性質及び勤務態様という関係で、地方のほうにもそういう関係が同じ形になることが自然の線だろうというふうに考えておったわけでございますけれども財政関係につきましては、いまおっしゃいましたように、直接私どものほうでワクにとらわれてやっておるというところはございませんので、しかし当面の問題といたしましては、従来からの懸案でございましたので、予算編成の前に文部大臣が人事院総裁のところに来られましたときに、人事院総裁から本俸四%の引き上げを中心として勧告をしたいという、近くするつもりでございますから、予算について御準備をいただきたいという要請をいたしておるのでございます。そういう関係も、予算関係としては別に配慮もされておるのではないかというふうに考えております。
  168. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 毎年毎年あります給与改定も、これは長年の慣習であり、かねがね懸案になっている問題といってもいいですね。ところが、これについては幾らの勧告をするかということは言わないでしょう。なぜこの問題に関してだけそういった人事院の慣例を破って事前に幾らぐらいの勧告をしますというようなことを漏らしたのですか。私はおかしいと思うんですね。今後人事院はすべて給与改定についてはおよそ幾らにしますというようなことを政府に言ってから勧告をするというふうに、今度は人事院は態度を改めた、かように受け取ってよろしいですか、どうなんですか。
  169. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 給与勧告の場合には、官民の格差を計算をいたしまして、それに基づいて勧告を申し上げるということでございます。したがって、この勧告は予算のワクにはとらわれないでやるというたてまえで従前からやってまいっております。当面の関係もそれとたてまえは同じでございますけれども中身につきましては、教員の団体におきましても十分議論が行なわれておりますし、私どもとしましても、従来の政府、文部省の提出しました案もございます、調査もございますし、いろいろ従来からの懸案で議論をなされてきたところでございますし、私どもとしてはこの関係は広く検討されてきた結果というふうに承知しております。したがって、中身につきましても、こまかいところまで勧告のときに全部出しておるわけでございますけれども、四%の本俸引き上げを中心とした措置を行なうという程度までは事前に大体方向がきまっておりましたから、その程度について要請をしたということでございます。
  170. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は納得できません。またいずれ人事院総裁等に来ていただいて議論する機会もあるでしょうから、そのときに申し上げましょう。  そうすると、勧告のありましたのが二月八日の十時から十一時の間、勧告があってから自治省としてもこの六十二億円を地方財政計画に織り込むということになったわけでしょうから、二時間ぐらいのうちにその次官会議にそれが直ちに入ったということは、私は非常におかしいと思うのですが、どういうわけなんですか。
  171. 長野士郎

    長野政府委員 この点につきましては、ただいま人事院のほうからお話がありましたように、国のほうもすでに四十六年度の当初予算に四十七年の一月から改善を行なうものとして、国立学校にかかる措置をいたしております。そして予算に計上しております。そして義務教育の関係につきましての部分がございますから、それに関連をするものにつきまして、これは地方の公立学校義務教育の関係の職員についての国庫負担金も含めまして、国が予算計上いたしたのでございます。その当時から私どもはそういうことによる問題というものを連絡を受けて承知いたしておったわけでございます。したがいまして、そこで国がそういう措置をとって予算編成をいたしておりますこともわかりましたので、地方財政計画におきましても国の措置に準じて措置を行なっていくということは、従来のやり方としても当然のたてまえということでもございますので、私どもはそういうことで財政計画の上で所要の経費の算入をいたした、こういうことでございますが、ただ、その場合に人事院の勧告というか意見の申し出が二月八日に行なわれたということでございますから、財政計画における作業のほうは先に進んでおったということになりますが、国の予算編成はさらにその先をやっておった、こういうかっこうでございまして、国の予算に準じて措置をした、こういうことでございます。
  172. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 たいへんどうもつじつまの合わないようなお話でありまして遺憾に存じます。それならばもうあれじゃないですか。国の予算編成さえできれば、人事院勧告なんかあろうとなかろうとどんどん作業が進んでかまわぬということになれば、人事院みずから人事院の権威を落とすようなことになるのじゃないですか。そう思いませんか、人事院は。ですから、少なくとも人事院総裁が、いつの給与改定の際にも、おおよそどのくらいの勧告だと言いましても、これは選挙と同じでふたをあけてみなければわからぬというのが、いつも佐藤さんの言い分だったですね。そうでしょう。そういったしきたりを破って妙なことをするから、人事院みずから人事院の権威を失墜するというようなことになる。私はこの点たいへん遺憾に存じます。時間の関係もありますから、この点はこれでやめておきますけれども、また人事院がみずから人事院の権威を失墜するような愚かなまねはやめたほうがよろしいということを、佐藤人事院総裁にあらためてお尋ねをすることにしたいと思います。
  173. 菅太郎

    ○菅委員長 細谷治嘉君。
  174. 細谷治嘉

    細谷委員 最初にお尋ねいたしますが、ただいま審議中の地方交付税法の一部を改正する法律案以外に今国会に出されておる法律で、交付税の計算に影響をする法律案はどういうものとどういうものがあるのか。そして影響する金額はおよそどのくらいになるのか。まず、お尋ねいたします。
  175. 横手正

    横手説明員 いまお話しのような形で全部は整理が終わっておりませんが、先ほど質疑のかわされておりました教職員調整額、こういったものが大口でございます。そのほかにつきましては、ちょっと資料を用意いたしておりませんので、別途調査しまして御提出いたしたいと思います。
  176. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだって地方税法審議の際に、地方税法の一部を改正する法律案以外で地方税の増減が起こるものにどういう法律があるのか、こういう点と、もう一つは、地方税法そのものではありませんけれども、条例を介して、地方税の減免なり不均一課税が行なわれた場合に、交付税で埋める、こういうような法律が今国会にどういうものが出ているかということを質問いたしました資料自治省からいただいております。それによりますと、交付税に直接影響するものが産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法律案、これは不動産取得税と固定資産税の課税免除または不均一課税をした場合の地方交付税による減収補てんの措置であります。もう一つは、先ほど本会議で趣旨説明がありました農村地域工業導入促進法、これに事業税と不動産取得税及び固定資産税の主税について課税の免除をやった場合の交付税措置があります。この二本ははっきりいたしております。いま人事院勧告の問題が出ておりますが、これは先ほどの話でありますと、財政計画に入れた交付税の中でも配分する、こういうことになりますと、これは別途法律が出るのですか、これもまた条例ですか。そのほかありませんか。
  177. 横手正

    横手説明員 ただいまお話がございましたが、その中の産炭地域関係のは、従来行なっておりましたのが期間がいわば延長になった。こういうかっこうでございますので、収入の見積もりに際しましては、普通交付税も一応考慮いたしております。ただ農村工業化の関係のほうは、初年度ではあまり大きい額にならないかということもございまして、こまかく積算をいたしておりません。ただ、御承知のように、交付税上は調整額というような計算もございますので、最終的には需要の変動、あるいは収入の変動に応じて普通交付税の配分をする、こういうかっこうになると思います。  それからなお、先ほどの人事院勧告によります教職員給与改善関係でございますが、これは一般財源の所要額を一応基準財政需要額の中に見込むということを行なっております。  そのほか、金額の大きいものといたしましては、すでに御承知のように、自動車重量譲与税の関係、これは一応基準財政収入額に見込む、同時に、またそれに見合った道路費の支出、こういうことを行なっております。
  178. 細谷治嘉

    細谷委員 自動車重量譲与税なんて聞いておらぬ。これはいずれ入ってくるのですから、そんなことを答えぬでも最初から知っておる。産炭地域の振興臨時措置法だって、期限延長でいままで五年、五年だったのが十年ですよ。延長するというようなことは知っておるのだ。それから農村工業導入のやつは、これは確かにことしはあまり影響ないと思うのです。しかし、先ほどの本会議で趣旨が説明されましたように、農林省等の計画では、三千の自治体について指定をするというのです。国が基本方針をきめて、そして都道府県が基本計画をつくって、市町村が実施計画をつくるというのですよ。  そうなりますと、私はお尋ねしたいのでありますが、この地方交付税法を一生懸命われわれが審議しておりますけれども、そのほかのほうで、この法律と全く無関係法律で、違った場所でかなりの金額のものが交付税の配分上の中に入り込んでくるわけですね。ですから、われわれは何のことはないですね、全貌をつかまぬで法律を審議しておるようなものなんです。というのは、私は、自治省から出されました資料に基づきますと、低工法で四十五年度、四十六年度がどうなるかお聞きしたいのでありますけれども、低工法による都道府県のものが、事業税が十六億五千万円、これは基準財政収入額の控除ですから、そっくりそのまま交付税なんですね。これは低工法等に基づく基準財政収入額の控除額という意味ですから、これはそっくりそのまま交付税そのものなんです。それが事業税で十六億五千万円、不動産取得税で六億円、固定資産税でこれはわずかでありますが、都道府県のやつですから、都道府県だけで二十二億四千万円あるわけですよ。私は、おそらく四十五年度、四十六年度でありますから、これはおそらく三十億をこしておるのじゃないかと思います。市町村の分はどうかと言いますと、低工法に基づくものが十一億あるわけですよ。そして、土地、家屋、償却資産等の固定資産税関係、この三つで十五億三千万円あるわけですね。私は、この四十五年から四十六年に二十億ぐらいになると思うのです。合わせますと五十億円ぐらいのものが、地方交付税法という法律ワク外で、ばらばらに審議される、そしてそれが配られなければならぬ、こういうことになるわけでありますから、大体二兆円の大綱をつかんで審議しているなんと言うけれども、何のことはない、五十億ばかりのものは違ったところでやられている。しかも、低工法においてしかり。いま申し上げました農村工業導入促進法によりますと、三千以上の市町村ということでありますから、全部であります。それに三年の特例措置をやるわけですから、相当大きな金額になるのではないか、私はこう思うのであります。ですから、その金額は、確かに四十六年度は農村工業導入促進法は少ないかもしれませんけれども、四十七年度になりますと、これは五十億円以上のものがこういう形で出てくるわけですから、私はたいへん問題だと思うのであります。  そこで、大臣、この間も地方税のとき申し上げたのでありますけれども、確かに、産炭地域振興臨時措置法第六条、あるいはきょう本会議で趣旨説明がありました農村工業導入促進法十条、こういうものを交付税の中でどう入れるかということに、技術的にたいへん問題がありますけれども、少なくとも交付税全体については、この交付税の審議の中において統一的に審議できるように法律をやるのか、あるいは、こういう法律がありますよといって、その参考資料をつけていただけるか、はっきりしていただかなければ、何のことはない、しり抜けですから、頭隠してしり隠さずということでは困りますから、私はあえてこの問題を重ねて指摘しているわけですが、大臣、いかがですか。
  179. 大石八治

    大石政府委員 この前税金のときにお答えをしましたように、私は、法律の技術上の問題がありますから、一切この交付税の中に入れ込んで、別別な法律の中で審議するというのは、専門的でわかりませんが、多少むずかしい点があろうと思います。しかし、資料としてお配りすることは、そのほうが適切な措置だというふうに考えます。
  180. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、交付税も、そう先の長くないことで落城するでありましょうけれども、ひとつそれまでに審議の参考に資料を出していただき、そして四十六年度は影響はないと言わないで、これはやはり、ずっと進めるわけですから、それが大体、四十六年度、四十七年度見込みというのはどうなるのか、そういうことを、過渡的なことで逃げないで、資料を出していただきたい。これを要望しておきます。  そこで、次に進みたいのでありますが、これはばかの一つ覚えのように私は申し上げるわけですけれども、去年も私は財政局長に申し上げたわけですけれども、ことしの交付税の総額は二兆円をこしました。そこで、その九四%と六%ということになりますと、六%が千二百二十八億となるわけですね。これが特別交付税。こうなってまいりますと、交付税の配り方については、ぴしゃっと交付税法の十三条等の補正に基づいてやるわけですけれども、千二百二十八億円というのは特別交付税でありまして、法律上の一定の基準がないわけですよ。ですから、私は、多々ますます弁ずということではなくて、この辺でこの普通交付税と特別交付税の比率については検討をし直す必要があるのではないか、こう思います。財政局長大臣の御見解を、これは前々から問題になっておった点ですから、お尋ねいたします。
  181. 長野士郎

    長野政府委員 昨年もそういうお話がございました。昨年というか、ことしでございますが、たしか特別交付税は千億をこえたわけでございます。そのときにもそういうお話がございまして、私どもとしては、確かにそういうことについての検討をしております。ただし、現在のところでは、まだ社会、経済の事情が非常に流動的であるのと、それに加えて、地域的な社会的な変貌というものも非常に激しい状況の中で、新しい行政需要というものが年度内にも非常に移り変わっていく、そういう際であるので、いましばらくこの事態の推移を見守っていきたいということを申し上げておったのでございますが、私は、現状はなおそういう実態の中に実はあるように思います。片一方で人口急増の関係もございますし、片一方では過疎関係もございます。それから公営企業につきましても、場所によりましていろいろ経営上の困難の度合いが変わっておりますけれども、そういうものについての一般会計による負担というような問題も、なおなおまだ非常に動いておるような状況でございます。  そこで、そういう問題がいろいろ新しいものとしてルール化できるという状態にまで至っておるものにつきましては、これを毎年毎年洗い直しをいたしまして、普通交付税になじみますものについてはそちらのほうへ持っていくということをいたしておりますけれども、なお現状におきましては、いろいろそういう特殊な状況に対応する必要というものはむしろ高まってきておるのではないかというふうに思うわけでございます。  しかし、一面、確かにこの特別交付税の額が少ないわけではございません、非常に大きな額でございます。したがいまして、そういう特別交付税の中にも、いま申し上げましたように、公営企業関係のようなもので、ある程度一定のルール的に措置をしていくというものも全然ないわけじゃございませんから、そういうものについては一応分類をして早く措置をするとか、いろいろやり方もあるではないかということで、ずっとここ数年研究をしておりますが、まだその具体的結論を実は得ておりませんで、本年さらに研究いたしまして、普通交付税にはなじまないけれども特別交付税の中である程度ルール的に処理ができるというようなものについては、一応処理のしかたを明確にしていくというような方向で何か改善が考えられないか、というようなことを中心にいたしまして、本年度ひとつさらに検討をいたしてみたい、こう思っております。
  182. 細谷治嘉

    細谷委員 長野さんはおっしゃいませんけれども、前の財政局長は、日本の交付税制度というのは、精緻巧緻をきわめた世界に冠たるものだと自画自賛しておったわけですけれども、私は、長野さんの才能と経験からして、一年間に、災害等予測できないものはともかくとして、このルールになじむものは入れていったと言うけれども、もう昭和三十何年から依然としてこの九四対六という比率は変わってないわけですから、私は、やはり年度当初において総合的に、統一的に把握をいたしまして、そうして地方団体がそれに基づいて財政計画財政運用をしていく、そうして年度途中予測すべからざるもの等については特別交付税で補てんしていく、こういうことでありますけれども、すでに千三百億という巨大な金になってまいりますと、少なくとも特別交付税でも半分ぐらいはルールに乗っているわけですから、もう乗せる時期に来ておるのではないか、こう私は思っております。大臣いかがですか。
  183. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 この点につきましてはいろいろ御議論があるところでございます。千億台をこした、したがって全部ルールに乗せて特交という分野を狭めていくことが合理的ではなかろうかというお話。先ほども違った角度からでありますが、むしろ特交に入れるような措置をとったらどうだという御議論もあったわけであります。その際いろいろ考慮されるが、現状のところまずこれで行って、なお検討にまかしたいということを先ほど御答弁申し上げたわけであります。長野財政局長のただいま答えられました趣旨もまたそこにあろうと思います。千億、確かに金額は多いのでございますが、やはり全体的にいろいろ上がってまいってくるわけでございまして、それにスライド制がとられておるところにも意義があろうかと思います。しかし、この点はさらに検討をしてまいりたいと考えております。
  184. 細谷治嘉

    細谷委員 これは私もばかの一つ覚えのように言っているわけですが、やはり検討したほうがよろしいのじゃないか、こう思いますので、重ねてひとつ検討を強く要請をしておきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのでありますが、このいただいた資料を見ますと、四ぺ−ジでございますけれども、都道府県の、基準財政需要額と収入額の増加見込み額の表でありますけれども、不交付団体というのを見ますと、基準財政需要額が千八十六億円の増であります。基準財政収入額が千二百八十億円でありますから、この表だけでマクロでながめますと、都道府県の不交付団体は確かに不交付団体ということがわかります。ところが、市町村の不交付の欄を見てみますと、基準財政需要額の増が七百二十五億円であります。基準財政収入額の増は七百二十二億円でありますから、これをマクロで見ますと、不交付団体ではないということになるわけですね。そうなります。この数字はことしはたいへん接近をしておりますけれども、四十五年度を見ますと、市町村の場合には需要額の増が三千四百七十一億円に対しまして、収入額の増は三千二百七十九億円でありますから二百億円近い差があったわけですね。ことしはわずかに三億円でありますけれども、昨年は二百億円ぐらいの差があったわけです。おまえは増の部分だけを見るから根っこのほうもひとつ洗ってみぬか、こういうことでありますと、この表の四ページの下のほうにありますように、市町村の不交付団体のところで三千四百五十七億円の需要額の増に対して三千二百五十一億円でありますから、増ではなくて、根っこのところから全部洗ってみても、これは不交付団体なんというのはおかしいということですね。一方、都道府県のほうはどうかといいますと、需要額は五千七百十六億円で収入額のほうは七千二百七十八億円でありますから、これは千五百億円くらいオーバーしているわけですから、不交付団体というのはこれはよくわかります。  もう一つさかのぼりまして昭和四十四年度になりますと、これもどういうことかといいますと、需要額の増が市町村の場合には不交付団体で七百八十七億円であります。収入額のほうは五百二十五億円でありますから、この場合には二百六十億円程度の差があったわけですね。これは三角なんです。交付税の対象になる数字です。根っこのほうから洗ってみますと、需要額が二千八百九十六億円、収入額が二千七百七十八億円でありますから、これはもう間違いなく不交付団体なんという欄に入れること自体がおかしい。むろんミクロでここを計算していきますと、いままで不交付団体であったのが交付団体に陥落するんだからいい、こういうことになるかもしれませんけれども、マクロの不合理は当然ミクロの不合理となってあらわれることは申すまでもありません。それはどういうことかといいますと、交付税の全体計画そのものに今日すでに問題点が出てきておる、こういうことを証明しているといわなければならぬと思うのであります。  その前にさかのぼってずっと申し上げてもよろしいのでありますけれども、こういう点でこの交付税の全体計画に今日すでに問題が起こっておる、こういうふうに私は思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  185. 長野士郎

    長野政府委員 最初に私からお答え申し上げます。  確かに四十六年度の普通交付税の場合に、市町村の不交付団体分の需要額の増加額は七百二十五億円でありまして、そして収入額の増加は七百二十二億円ということになっております。したがいまして、こういうかえって収入額のほうが落ちておるというようなことの内容が何を意味するかということになりますと、当然不交付団体の一部が交付団体に変わるということにもつながっていくわけでございまして、それに伴って普通交付税の所要額が増加をいたすことに相なります。その点についての額については現段階ではまだ明確にできないところがあるわけでございます。その意味で、今回この増加見込み額の中に「合併算定替等」というので四十億円入れておりますけれども、それは一応そういう意味で普通交付税の増加所要額とあわせまして四十億円を措置しておるというようなかっこうに相なっておるわけでございます。またそういうかっこうが強く市町村の場合に出てきます問題の一つは何にあるかといえば、やはり東京都の特別区の関係との関連もこの市町村の分類の中では一応関係をいたしておるわけでございまして、不交付団体の財源超過額の減少額、三億円減少しておりますが、それは都分の財源超過が六百九十億円ある、それを特別区の財源不足額と合算をいたしまして、超過額二百三十一億円ということになります。したがって、普通交付税計画上は一応交付団体に含めておりますけれども、その関係もやはりそこに関連をして御指摘のような数字の中につながって入っておる、こういうことであると思っております。
  186. 細谷治嘉

    細谷委員 東京都二十三区の交付税法に基づいた需要額、収入額の差額というものはばく大なものになっておるわけでありますから、いまの財政局長の説明ではこれは説明がつかぬ。この問題については後ほどまた議論したいと思うのです。  大臣、私は二十三区の問題で、これはこのいただいた資料にもありますように、四十六年度東京都の二十三区は五百二十一億なんですよ。ですから、それでは説明がつかないのですよ。私は思うのに、一つは都道府県の不交付団体というものが、いまや他の府県と比べますと——ことばは適切ではありません、それでいいと言っているんじゃないが、他の府県と比べますと、かなり高い財政力を今日持っておる。神奈川、愛知、大阪府というのが、これはかなり高い財政力、いわゆる自主財源を持っておる。こういうことによって、基準財政収入額と需要額というのは、四十六年度で、税収は都道府県のほうは伸び悩んでおりますけれども、依然として不交付団体のところに出てくる数字が、マクロで見てもきちんと不交付団体、こういうかっこうで出てきているというのが一つの理由であると思う。もう一つは、単位費用なり補正なり、交付税の配分そのものが都道府県重点というかっこう、逐次それは直されつつありますけれども、都道府県重点配分ということがこういう形で、マクロで見ますと、きわめて不合理なことになって、ことしは三億円でありますけれども、去年、おととしの全体計画を見ますと二百億円とか二百六十億円とかなんとかいう開きが出てしまっている。そして不交付団体から交付団体——かつては二百四、五十あった不交付団体がいまや七十くらいになったわけですから、大体七十くらいしか不交付団体がないということ自体がおかしいわけですけれども、そういう結果を招来していると思うのであります。その辺を触れないで二十三区の問題ですなんということじゃ、とてもじゃないが説明がつかない、私はそういう点に問題があると思うのですが、いかがですか。
  187. 長野士郎

    長野政府委員 府県の不交付団体関係における収入と需要との開きというものが、有力な府県の超過財源というものが、税収入の伸び悩みにもかかわらず形を整えているんだという御指摘でございますが、私もその点は確かにそういう御指摘のような事情があると思っております。それから市町村の場合につきましては、やはり特別区の関係、それから交付、不交付の入れかわり——というわけじゃございません、むしろ不交付団体から交付団体に、いいか悪いかということになればいろいろ議論はございますけれども、変わっていくということとの両方がここにあらわれておると思いますが、その点では御指摘もございましたけれども交付税需要の計算におきましては、市町村に対する需要を非常に高めてきておるわけでございます。しかし、また来年度の収入につきましては、市町村のほうが税収の伸びも大きいわけでございますが、それにもかかわらず需要を非常に高めてきておるということと両方が作用いたしまして、相変わらず市町村の不交付団体が交付団体になっていくという形が続いておる。そういうかっこうが全体としての姿だと私は思うのでございます。それともう一つは、いまの特別区の特別な関係というものがここに反映している、こう申してよろしいんじゃなかろうかと思います。
  188. 細谷治嘉

    細谷委員 天才はばかに通ずるということがあるんだ。交付税があまり精緻巧緻になり過ぎて、大もとが忘れられてしまって、そして何か枝のところの葉っぱの色とかなんとかに気を配っている間に幹のほうが腐りかけておる、こういう事態になっておるのではないか、こう思うのであります。それでは困るわけでありますから、私はあえて指摘しているわけです。  そこで、さらにお尋ねしたいのでありますけれども交付税を配る場合には単位費用交付税法十三条に基づくいろいろな補正、ちょっと頭が痛くなるような補正、しかも私も技術屋で山口さんほどじゃありませんけれども、数学は文科系の人よりも頭に入っておるわけですけれども、それでもわからぬような変なZをひっくり返したΣなんか使って計算しているわけです。それにも私は問題があると思うのですが、そこでずばりお尋ねいたします。標準団体について単位費用というのを算定してきめるわけであります。単位費用だけで計算したもの——いわゆる二兆円の交付税を配るとすると、この法律に書いてある単位費用だけで、裸にして補正を取りのけて、交付税単位費用だけで配った場合、これは幾らになるのか。最後に補正してトータルが二兆円になるわけでありますから、その補正分と、単位費用から純然に出てくる需要額の増分というのは一体どういうかっこうになっているのか。えたいがわからないものですから、ひとつ教えていただきたい、こう思うのです。
  189. 横手正

    横手説明員 先生御指摘のとおり、補正についてはかなり複雑な補正が用いられております。ただ、単位費用に単純に測定単位の数値をかけたものと補正を加えたあとの差額というような資料は、実はあまり私ども計算はいたしておりません。むしろ補正によります割増しの増加額、これが毎年どの程度になっているかというようなことにつきましては分析検討を行なっておるわけです。そこで、各種の補正によりまして県分なり市町村分なり一体どの程度割増しが行なわれておるか。これはいわゆる単位費用に補正の数値をかけたものでさらに割増しが行なわれておる、こういうかっこうに大体なろうかと思います。  この額を申し上げますと、四十五年度ベースでございますが、道府県分で寒冷補正では二百四十億円……。
  190. 細谷治嘉

    細谷委員 それは交付、不交付合計ですか。
  191. 横手正

    横手説明員 補正の総計でございます。
  192. 細谷治嘉

    細谷委員 交付、不交付の別は。
  193. 横手正

    横手説明員 交付団体において二百四十億円でございます。次に御承知の事業費補正ですが、これはかなりの額になっておりまして、交付団体九百二十六億円、不交付団体百六十七億円、合わせて千九十三億円。そのほかに県分におきましては、人口急増補正あるいは僻地補正、その他多少の調整的な密度補正、こうしたものがございますが、これはいま百億、おのおの合計いたしましてもわずかな額であると思います。
  194. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がちょっともったいないから聞きますと、実は自治省で出しました「地方財政要覧」の中に四十四年度の数字があります。四十四年度をいまあなたのほうからお聞きしたわけでありますけれでも、四十四年度の例をずばり申し上げますと、寒冷補正で交付団体の場合二百二十二億円、人口急増補正で十四億、人口急減補正で一億、僻地補正で三十三億、財政力補正で三十七億、事業費補正で六百四億、合計九百十一億となっております。これに対して交付税の全体計画、先ほど申し上げました表で、四十四年度に都道府県の分として、交付団体ワクのほうでどう見られたかというと二千百三十一億円ですよ。二千百三十一億円の増があった中で九百十一億円というのが補正です。こういうことであります。でありますから、大体四五%というのが補正ですね、あらかたいいますと。二千百三十一億円のうちの九百十一億円というのが補正による増加需要額でありますから二千百三十一分の九百十一、大体四十何%になるでしょう。市町村の分を見ますと、合併算定がえ、合併補正、段階補正の特例、段階補正の制限、寒冷補正、人口急増補正、人口急減補正、隔遠地補正、低種地引き上げ補正、都市圏補正、農業費(態容II)補正、そして事業費補正五百六十一億円、合計千三百七十六億円。そして全体計画ではどうかといいますと、二千六百億円が需要増加と見られておりますから、補正によるものが五〇%をこしております。そうなりますと、単位費用というのは大体半分しか作用しない。あと補正が半分作用している。市町村の場合は五〇%強作用している、こういうことになるわけでありまして、二兆円のうち、ずばり言えば単位費用から出てきている一兆円というのは補正であります。これは自治省令でいくわけですが、私はこういう点からいっても今日の単位費用のとり方、これに問題があるのじゃないか。たとえば府県の場合は人口百七十万、その百七十万の府県をものさしにして一千万もこした東京都にはとても適用にならない。市町村の場合には人口十万が標準であります。これをものさしにして七千か八千の過疎地の農村のものさしに当てはめようたって、どう補正しようとしたって補正できない。十万のものさしで人口三百万の大阪市をひっかけてみようったってこれはちょっとひっかけようがない。ですから、これはもう補正のワクを越えておる問題だ、こういうふうに申さなければならぬと思うのですよ。そういう点で精緻巧緻な交付税もやはり今日根本的な問題をその中に含んでおる、こう申さなければならぬのでありますけれども大臣、私はいまそういう幾つかの観点から問題を申し上げたわけですが、いかがでしょうか。
  195. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 私は、御承知のとおり、しろうとでございまして、この内容を熟知もいたしておりませんし、わからないと申したほうが正直だと思います。しかし、確かに非常に社会経済の激変期でございまして、過疎、過密、人口の急変状況の過渡期でございますので、世界に冠たる精緻をきわめた交付税基礎をなす単位費用の計算につきましても、これでだいじょうぶということは言えないのじゃないか、大いに検討する余地はあるのじゃないかと常識的に考察をしております。
  196. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官、いかがですか。
  197. 大石八治

    大石政府委員 単位人口十万ということで標準地区というのはやる。その上下があまり高い低いがあるのでたいへんだと私も常識的に思います。府県の場合もそのとおりだと思います。ただ、市町村を三段階に分けるとか府県を二段階に分けるというふうにしていった場合も、実はまた調整率は加えなければならぬというふうになった場合に、結果的に実態にフィットするようなことになるかとも思いますが、交付税計算の方式はさらに一段とこまかくなるといいますか、そういう傾向は出てくるのじゃないだろうか。着想としてはそのとおりな感じがいたしますが、それでは市町村を三種類に分ける、その三種類のカテゴリーの中でまた調整率をしなければならぬというと、もし三段階に分ければ、いままでのものにもう一回、三倍の調整の数がふえてくるというふうなことが起こってくるのではないか。お説を聞いていて、いまのは実態をフォローし切れるかという点では私も疑問を持つと同時に、今度カテゴリーをもう少し複雑にしたら、またその中のものが出てくるという感じがちょっとしているわけですが、私もある点ではしろうでございますので、これ以上の見解は申し切れないところなんでございます。
  198. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、いかがです。
  199. 長野士郎

    長野政府委員 いま御指摘でございますけれども、これはあとで資料を整理して差し上げますけれども交付税の増加部分について補正で作用するものがいま四、五〇%あるというお話でございましたけれども、どうも私どもの計算ではそれほどにはいかない。そこでその点はあとで資料で御説明したいと思います。  しかしながら、そういう意味で、補正というものをどういうふうに考えるかという問題は確かに一つございます。それから標準団体のとり方というものにもあると私は思います。しかし、政務次官が申しましたような問題もございますし、市町村については人口十万、県百七十万というのは、それほど妙なものでもない。これを基礎にしながら、それを標準団体として置きながら、スライドがかかるようなうまいくふうをしていくほうがいいのじゃないか、こう私どもは思っております。ただ、その場合に、補正の中にはその措置によって事業費を追いかけ回すじゃないかという御指摘をこの間いただいたことがございますが、確かにその点はあるのでございまして、やはり単位費用を充実することによりまして、一般の水準といいますか規模の是正をはかっていく、こういうことにはもっともっと力を入れるべきではないかと思っております。そういうことといわゆる事業費補正を中心にしたものの考え方とをどういうふうに調和するか。ことしの交付税一つの改定の中には、できる限りそういう考え方によりまして改定をさしていただこうという配慮もいたしておるわけでございますが、何ぶん場所によりますと非常に激変を起こすところも出てくるわけでございますから、そこら辺も見合いながら今後とも充実につとめていきたい。  どうしてそういうことになったかといいますと、一つは、最初交付税単位費用を計算します時期と普通交付税を算定いたします時期とで、ずいぶん隔たりがございます。その間に、その当時、これは最初の交付税の計算をいたしますときには昨年、つまりいまでいえば昨年でございますけれども、昨年にいわゆる税収見込みというものを立てるわけでございます。それが、ほんとうに普通交付税を算定いたしますときには、いままでですと自然増が相当伸びてくるというような関係がございまして、そのときにはもはや単位費用は国会の御審議をいただいてきまってしまっておる。そうすると勢い補正のほうに算入をしていかざるを得ない、こういうようなことが相当続いてきたという点も一つはございます。その辺については、来年度の場合はある程度思い切って税収見込みを見ながら、それから補正についてもあまり極端にいかないように、むしろ通常の行政運営の中にそういうものが十分見込み得るような考え方をしていこうという方向で、いまやっておるわけでございます。そういうことで、基本的にはいろいろ問題は確かにございます。また確かに各省の補助事業というもののスケールもところによって非常に大きくなっておるところもありますから、それを全然無視してというわけにもまいりませんが、それにも一定の限界を与えながら、限界があるということにいたしまして充実を一般的にしていきたい、こう思っております。
  200. 細谷治嘉

    細谷委員 だんだん専門的になってきたのですが、交付税課長は自分で作業してあきめくらだから、財政課長どうですか。
  201. 森岡敞

    森岡説明員 基準財政需要額の計算は、申し上げるまでもなく、合理的なかつ標準的な地方団体の費用を計算するということでございますから、やはり団体の規模なりあるいは権能なりに応じて適切な計算がされなければならない。その場合に標準団体というものを設ける。それに、標準団体において必要な標準的な経費を見込むということがまず最初に出てくるのは当然のことだと思うのでございます。御指摘のように、標準団体を数ランクに分けますと、高いほうといいますか、大きい規模の団体と中間くらいの団体と低い団体、その間のつながりが、政務次官が申し上げたことだと思います、うまく連続性を担保することはなかなか困難ではないかという気がいたします。結局、標準団体を設けまして補正をかけていくということは、その間の連続性を担保しておるということになっておるのではないか。  それからいま一つの問題は、補正が非常に複雑にすぎるではないかという御指摘だと思います。これは私どももかねがねそういう気持ちはいたしておりますが、反面行政の内容をできるだけ的確に算入しろという要請が非常に強いわけであります。そういうものをできるだけ広範に取り入れていくということになりますと、補正がかなりこまかくなってまいります。その最も端的な例が事業費補正とか現在そういう形で入ってきているものだと思います。そういう意味合いで、私も、世界に冠たると申し上げるのは少し面はゆいのでありますが、いまの算定方式は苦心をかなり重ね、精緻を確保するように努力しておるものである、こういうふうに考えます。
  202. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも決が出ない。だんだん専門家になるに従ってごまかそうとしておる。財政局長、確かに十万というものについて、たとえば一万くらいあるいは十万あるいは七十万、幾つかのランクを設けますと、そのランクの間に連続性というものがなければならぬ。これはそのとおりでありまして、政務次官もいみじくも指摘しております。けれども単位費用の定め方について検討を加えて、連続性を保ちながら、補正というものが、基本で計算したものの三倍も四倍も五倍も出てくるということになりますと、もはや補正の域を脱しているのではないかと私は思うのです。そういう点でこの問題は非常に重要な問題でありますので、委員長、私は冒頭に申し上げたのですが、ずばり単位費用で計算した、それから補正をかけていった、こういうものについてどういうふうになるのか。これは委員の皆さんも審議にあたって、交付税審議の重要なポイントでありますから、ひとつ資料をお願いいたしたいと思います。  そこで私は、この問題について申し上げたいのでありますけれども、先ほど、四十四年度の場合に、都道府県の事業費補正が六百四億円というのが、四十五年度になりますと九百二十六億円であります。市町村の場合はお聞きしませんでしたけれども、四十四年度の場合に事業費補正が五百六十一億円でありますから、補正による費用増額のほぼ半分に近くなっております。そもそもこの事業費補正というものは四十二年度新設されまして、都道府県の場合は四十二年度は二百四十九億、四十三年度が四百一億、四十四年度が六百四億、そして四十五年度は九百二十六億、文字どおり、幾何級数的とは言いませんけれども、一・五倍くらいの速度で事業費補正が行なわれてきております。ここに今日、事業をやらないところには地方交付税がもう来ない、こういうことでいわゆる公共事業補助金的な性格を非常に濃くしてきておる、こういうふうにいわれるゆえんであって、地方交付税法そのものは、財源付与という性格はありますけれども、私は、財源の全国的なレベルに税の不均衡な分布を補うというところに根本的な交付税の目的があったかと思いますけれども、その交付税の根本的な目的、いわゆる各自治体間の財源の調整、そしてその結果として生まれる財源付与、こういうような基本を、現実には結果として忘れつつある。したがって、補助金的な性格を一そう濃くしてまいった。自主財源、独立財源ということでありますけれども、土地開発基金制度等が設けられたのはその好例でありますけれども、だんだんひもがついてきた、こういうふうにいわれるゆえんではないかと思うのでありますけれども大臣、いかがでしょうか。
  203. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 だんだんこまかな問題になりますと、しろうとには扱いにくい感じがいたしますが、しかし、地方交付税がある程度加速度的になってきているというのはやはりそこに時代的な要望もあろうと思う。要はバランスがとれておるかどうかということであろうかと存じます。ここらについて全体的に常識上大きな意味検討する余地があるのではなかろうかということを私は先ほども申した次第でございます。
  204. 細谷治嘉

    細谷委員 交付税というのは、横のバランスは一応保たれているかっこうが見えますけれども、縦のバランスが全然くずれている。でありますから過疎地域ではどうにもならぬ、産炭地ではどうにもならぬ、こういうかっこうが出ている。それから日本の都市を代表する大都市ではどうにもならぬ。ですから、町村あたりでは地方交付税の傾斜配分というものが強く叫ばれている。大都市になりますと大都市税源を付与しろ、こういう問題が出てきているのが、その一端を証明しているのではないかと私は思うのです。しかし、時間がありませんから、その点だけを指摘して次に移らしていただきたいと思うのです。  いただきました資料で、交付税法二十一条に基づく都等の特例というのがございます。これを見ますと、東京都は、二十三区は完全な自治体でないために——本来自治体であるとすれば四百五十九億円の交付税がもらえるはずです。ところがこれは二十一条の特例によりまして、もらえないわけです。どうしてもらえないかといいますと、都のほうの余りの財源がありますので、それを差し引きますと不交付団体になるからやらないのだ。これが都の特例なんですね。私、ここ数年の動きを調べてみました。昭和四十一年は二十三区に関するものは百五十八億円であります。これは交付税に相当するものですね。それから昭和四十二年が百五十九億円であります。この辺は横ばいであります。四十三年になりますと、二百十四億、四十四年になりますと三百三十七億、四十五年度が四百八十億くらい、再計算の段階で五百億をこしました。そして今度見ますと、再計算の前の計画の中で四十五年度四百五十八億、四十五年度の再計算の結果は五百二十億ばかりになっていますね。今度これは五百五十億こしまして六百億くらい。そうなってまいりますと、東京は裕福だというものの、もはや持ってきた余りはなくなるのじゃないかと思うのですが、どういうふうに推移しているか。これもまた聞いておりますと時間がかかってしまいますから、その辺の、都とそれから二十三区と一本計算でこういうふうに処理されてまいりました経過を追うて、年度ごとの、これだけ都にやらなければならぬのでありますけれども、都と合併して計算したためにやらなくなったんだ、また都と一本になった場合の不交付団体になる根拠は、この年度ではこれだけ余裕財源があった、そして四十六年度にはこの程度に減ってきた、そういうことになると思うのでありますが、その数値を資料としてお出しいただきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  205. 横手正

    横手説明員 お話資料、整えるようにいたしたいと思います。
  206. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで私、ちょっとけさあわてて、資料がありませんでしたからずいぶん古い資料で、四十二年度でありますが、四十二年度東京都、神奈川県、愛知県、大阪府というものについての基準財政需要額と収入額、自治省で算定したものについて見ましたら、この年における四つの団体は五百二十二億円の余裕財源です。東京都が二百七十億円、神奈川県が九十一億円、愛知県が五十三億円、大阪府が百八億円、こういうかっこうになっております。そうなりますと、これから四十六年は伸びておりますから、東京都はもはや、都のほうと二十三区で合併してプラス、マイナスを帳消ししたけれども、もう余裕がないじゃないか、こう思います。そうなってまいりますと、東京都は、大阪とかあるいは神奈川県とか愛知県とかそういうものと比べますと、二十一条の一条項があるだけで、たいへん不公平な扱いを受けている、こういうことになろうかと思うので、四十六年度はどうなることなのか。この二十一条についてはもはやそろそろ今日検討し直さなければならぬ時期に来ているのじゃないか、こう思うのでありますが、これについてひとつお答えをいただきたい。
  207. 長野士郎

    長野政府委員 先ほど交付税課長が申し上げましたように、資料のほうはあとで整えて提出をいたしたいと思います。  特別区と東京都の関係は、これはほかの府県と市町村との関係とは、全く質的にも違うわけでありまして、いわば特別区は都の中の内部的な団体内部的な組織ということでございまして、権限におきましても、都が市の仕事をカバーしておりますし、都と区との一体性という特徴をもった制度もございますし、また区の職員の大半の者は都の職員が区に配属されている、こういうようなことで、都と区との関係というのは特殊な関係を持っておるわけでございます。したがいまして、税のほうでもそれを反映して、都が区の税の相当なものを取っておるというようなことにもなっておるわけでございますから、そういう制度的面あるいは実質面というものを考えました場合には、現在の交付税法のように、全部一つで算定をしていくということが当然適当な措置ということに相なっていると私は思うのであります。ただ、その場合に、ほかの府県と大都市との関係——横をながめてみますと、ほかの府県も相当ないわゆる交付税上の超過財源がある、しかし大都市のほうは交付団体になっている、そこでは差し引きプラス、マイナスが行なわれていないじゃないか、にもかかわらず、都においてだけプラス、マイナスが行なわれる結果になって、だんだんと都の余裕財源というものは少なくなっているじゃないかという御指摘だろうと思います。制度の基本の立て方が違うということは、私もそこから出てまいっておるのだと思います。交付税上は、都の余裕財源がゼロに近くなって、交付団体になるかならないかというようなかっこうになるところまで実は行くのか行かないのか、あるいはまたそういう際に、都政というものの根本的な検討というものがどの辺まで行なわれていくのかというようなことも関連をしてくるのではないかと思うわけであります。地方制度調査会の答申などでも、東京、大阪についての制度改正というようなものについての最終結論ではございませんが、いろいろな提案が行なわれておるわけでございます。そういうことをにらみ合わせて制度が変わってまいりますならば、それに応じて交付税制度も変えていくということは当然だろうと思いますけれども、現在の制度であります限りは、直ちにこれを他の大府県と大都市との関係のように置きかえていくということはたいへん困難な問題ではなかろうかと思います。
  208. 細谷治嘉

    細谷委員 何といったって日本の首都で、過密の代表的なところ、公害の代表的なところ、四兆円ビジョンのあるところ、いろいろあるわけです。それでないと、四兆円ビジョンというのは私はできないのではないかと思うのです。確かにこれは制度の立て方でありますけれども、この交付税制度ができたときとだいぶ事情を異にしているわけです。事情変更の原則に基づいてひとつ検討していただきたい、こう思います。  もう私の時間がありませんので、最後にこまかい問題ですが、一つお尋ねして、いろいろお聞きしたいことはありますけれども、また次の機会に譲ることにいたします。  去年地方行政委員の皆さんが苦労して、過疎対策緊急措置法というのをつくりました。ところが、今度は五七%を七〇%にするんだ。七〇%というと、ほかに例がないのに、悪い例をつくる必要はないと思うのです。前にいい例がちゃんとあるじゃないですか。それに右にならえすればいいじゃないかと思うのですが、どうですか。
  209. 長野士郎

    長野政府委員 これはいろいろな面から、先国会の御趣旨もございますので検討をさせていただいたわけでございますが、八〇%と申しますのは、辺地債が現在そういう算入率を持っておるわけであります。辺地債と過疎債ではやはり対象の範囲も違いますし、条件も異なっております。そして過疎債は市町村を対象といたしますので、市町村全域にわたっての過疎事業というものができる。市町村の全域ということになりますと、やはり財政力にもそれぞれ差がありますから、一律に交付税算入をするのはどの程度がいいかということになりますと、やはり七〇%くらいでないと、むしろ過疎債、辺地債より有利になることになるのも問題があろう。同時に、そうなりますと、辺地債の存在意義というものも脅かされるような心配もあるというようなことも、いろいろ検討しなければならない。また、辺地債のほうはたしか十年でございます。過疎債のほうは十二年でございまして、そういう点から考えますと、この七〇%というのは新しい例を開くではないかという御趣旨でございますけれども、全体を比較いたしますと、これでもなお、過疎債に対する措置のほうが有利になってくるのではないかという考え方もあるわけでございます。つまり、私どもは、そのような意味も含めまして、精一ぱいの算入をはかることをさしていただいておる、こういうふうに思っているわけでございます。
  210. 細谷治嘉

    細谷委員 いままでの例では二八・五、それを交付税等で見てやって、五七にしておる。二八・五というのが一つある。それから五七というのがあるのですよ。それから八〇しかないのですよ。それに、七〇という新しい例をつくって、そうしてまた公害防止事業については五〇という例をつくろうとする。これはあまり例をつくるのが精緻巧緻じゃないのです。ですから、ものごとは単純にきちんとやはりきめていただく。しかも、私はきょう石炭対策特別委員会に行きまして、もう自治省がこんりんざいできないと言いました産炭法六条の事業税、不動産取得税、固定資産税のうちの事業税というのを、ころっと今度は通産省の法律の中へ入れてきている、この委員会には関係ないところで入れてきている。それでこの交付税で二十億も三十億も五十億も見てやろうなんということになりますと、これは問題ですよ。ですから、単位費用の中であまり変な例をつくって、そうして交付税法の中で審議しないで、どこかのほうで、歴史は夜つくられるじゃないけれども、よその新館のほうでつくられたやつを交付税の配分がかぶるということではいけませんから、ひとつあまり例はつくらぬで、単純明快に、長野さんらしく、大臣らしく、政務次官らしく進んでいただくように要望して、きょうはこれで終わっておきます。
  211. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明十二日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会