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1971-05-14 第65回国会 衆議院 大蔵委員会地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十四日(金曜日)     午後二時三十四分開議  出席委員   大蔵委員会    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木部 佳昭君       木村武千代君    坂元 親男君       高橋清一郎君    登坂重次郎君       中村 寅太君    原田  憲君       福田 繁芳君    坊  秀男君       松本 十郎君    森  美秀君       吉田 重延君    吉田  実君       阿部 助哉君    佐藤 観樹君       平林  剛君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       坂井 弘一君    伏木 和雄君       小林 政子君  地方行政委員会   委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 塩川正十郎君    理事 砂田 重民君 理事 古屋  亨君    理事 山口 鶴男君 理事 小濱 新次君    理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    野呂 恭一君       村田敬次郎君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君   運輸委員会    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 斉藤 正男君    理事 松本 忠助君       石井  一君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    砂田 重民君       古屋  亨君    金丸 徳重君       内藤 良平君    田中 昭二君       和田 春生君    田代 文久君   建設委員会    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君      稻村左近四郎君    砂原  格君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       藤波 孝生君    古内 広雄君       森下 國雄君    山本 幸雄君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       新井 彬之君    北側 義一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         警察庁交通局長 片岡  誠君         防衛庁経理局長 田代 一正君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       竹内 道雄君         大蔵省主税局長 細見  卓君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省財政局長 長野 士郎君         自治省税務局長 鎌田 要人君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自動車重量税法案内閣提出第三九号)      ————◇—————   〔毛利大蔵委員長委員長席に着く〕
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより大蔵委員会地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  関係常任委員長との協議により、私が委員長の職務を行ないます。  自動車重量税法案を議題といたします。     —————————————
  3. 毛利松平

    毛利委員長 本案に関する提案理由は、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
  4. 古屋亨

    古屋委員 このたび国税として自動車重量税を創設することとされておりますが、これと現行の自動車税軽自動車税あるいは自動車取得税との関係をどのように考えておられるか。一部には、将来自動車重量税を拡大いたしまして、現在ある八つ自動車税等をこれに吸収するような考え方があるとも聞いておるのでありますが、それぞれこれらの税はその性格を異にし、また沿革を異にしておるのでございますが、これに対しましてまず自治大臣はどういうふうに考えておられるか。次いで大蔵大臣のお考えも、御所見を伺いたいと思います。
  5. 秋田大助

    秋田国務大臣 自動車税なり軽自動車税自動車を持っておるということに対する課税でございまして、いわば固定資産税的なもの、自動車取得税のほうはその不動産取得に対して課税をしていくものでございますし、今回の自動車重量税はいわば登録免許的な性格を持っております。おっしゃるとおりおのおのその性格を異にし、沿革も異にして、課税理由を異にいたしておりますので、これを一本にまとめるということは私は適当ではない、こう考えております。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま自治大臣からお話がありましたように、これはそれぞれ違った性格を持った税であります。ただしかし、一つの客体に対しまして八つの税がある、こういうことはいかにも税が複雑多岐、国民から見てわかりにくい、そういう一面があるのじゃないか、そういうふうにも考えます。したがいまして、今後これが統合し得るものでありますれば統合する、あるいは一つに統合するというようなことまでいかぬでも簡素化することができないか、その点は十分検討してみたい、かように考えております。
  7. 古屋亨

    古屋委員 次に、この自動車重量税につきましては、特に現下の道路事情その他を中心にして特定財源を付与するというような見地から計画されたように承っておるのでありますが、自治省の最近の地方財政白書を見ましても、市町村道整備状況というものはきわめて劣っておるのでございます。それで、この法案によりますと、市町村道路目的財源とするために譲与税として四分の一という率が定まっておるのでありますが、この四分の一というものはどういう根拠で四分の一とされたのか。と申しますのは、自治省等の昨年度の地方道路目的財源拡充試案等を見ますと市町村分で七千億要るというようなことも出ておりますので、そういうことから考えてみると、四分の一というものはまあ三分の一であってもいいような感じもするのでありますが、大蔵大臣から四分の一で提案されましたその根拠と申しますか、そういうことのお考えをお承りしたいと思います。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 確かにそういう疑問があることは理解できます。ただ、地方道に幾らの金が要るのか、またそれに対して地方財政上どのくらいの財源手当てができるのか、したがって地方財政として不足する道路財源というものはどのくらいになるか、こういうことにつきましては、もうそれは自治省大蔵省、これは考え方がどうしても違います。それから建設省もまた考え方が違ってくるわけなんです。これを統合するということはなかなか容易なことじゃない。そこで一応大蔵省が試算をいたしました道路財源不足額千二百億円、これを頭に置きまして、四分の一が譲与税であるという結論にいたしたわけでありまして、この結論につきましては、そういうふうないろいろな見方はありますけれども関係各省の御了承を願っておる次第でございます。
  9. 古屋亨

    古屋委員 ちょっと観点を変えまして、交通安全の見地からこの問題に触れてみたいと思いますが、御承知のように交通安全計画というものが、五カ年間の計画ができました。とにかく三十分に一人死亡し、三十秒に一人負傷する。つまり負傷者が三十秒に一人で、死者が三十分に一人出るというような点から考えますと、人命尊重という点からいたしましても、道路整備に伴う交通安全ということはきわめて重大な問題でございまして、このための交通安全施設というものも計上をされておったのでありますが、この予算の中には、交通安全の予算財源には自動車重量税があらわれておるかどうか、その点お伺いをいたしたいと思います。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 自動車重量税は、これを考えまする発想の根源は、道路財源不足、これを補うというところにあるのでありますが、四十六年度予算ではこれを一般財源として受け入れることにしたのです。したがって、この道路財源として発足しました自動車重量税収入は、ひもつきであるとかあるいは特定財源であるとか、そういう形をとっておりません。九兆四千億円の一部として全体の財源を構成する、こういうことになっておるのです。ただし問題の発端、構想のきっかけが道路財源を充足するというところにありましたので、主たる目標を道路に置いておりますが、道路と深い関係にありまするところの道路標識その他の交通安全対策、これにも配意をいたした、こういうふうに御理解願います。
  11. 古屋亨

    古屋委員 交通安全につきましての重要性はだれよりも大蔵大臣御存じでありまして、いまお話しのように、道路中心であるが、道路一体として施設考えておるというおことばでございまするが、それで、仮定の問題を申し上げるのはたいへん恐縮でございますが、この千二百億という財源に、今後の推移によりまして、もしこれを若干でも変更するというような場合を仮定いたしますと、やはり道路中心としての、いまのお話のようなことを中心として、つまり道路関係あるもの第一というふうにして——ことしは一般会計でありますので、大蔵大臣といたしましては、もし若干でも変更というようなことになった場合、この計画を進めていく上においては道路中心考えていかれるのか、あるいは他の財源的なものをお考えになるのか。仮定議論でございますが、大蔵大臣のその点に対するお見通しをひとつお漏らしを願いたいと思います。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 見通しといたしましては、私は、自動車重量税法が重大な修正を受けますとか、あるいはこれが国会において承認をされないとか、さような事態はゆめゆめ考えておらないわけであります。しかし万一そういうような事態があったらどうするんだというようなお話かと思いますが、そういう場合は考えたくはありませんけれども、国政全体の中でその欠陥をどうやって補うかということを考えますが、しかし重大な影響が道路その他交通対策に及ぼされるであろうということだけは、私ははっきり申し上げなければならない、かように存じます。
  13. 古屋亨

    古屋委員 もう一つ伺いしたいのは、自動車重量税実施は十二月一日となっておるのでございますが、十二月一日とされた理由は何であるか。つまり法案の成立が、国会が二十四日まででございますので、相当おくれておるのでございますが、一体準備が間に合うのかどうか、その点ひとつ大蔵大臣からお伺いをしておきたいと思います。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはともかく新税でございまするし、これに対する要員を整備しなければならぬとか、いろいろの準備が必要であります。そういうようなことで準備期間を見たわけでありますが、十二月に実施と、こういうことにつきましては責任をもって準備を整えたい、かように考えております。
  15. 毛利松平

    毛利委員長 関連質問を許します。加藤君。
  16. 加藤六月

    加藤(六)委員 昭和四十六年度の予算編成前後におきまして、われわれは社会資本の充実ということを非常に当面の急務であるとして検討いたしました。その反面、国の一般財源から見ますと、社会保障制度その他にも重点的にこれを使わなくてはならないということで、われわれはわれわれなりに新税のいろいろな問題について検討いたしたわけでございますが、政府自動車重量税ということで新しい財源を求めてこられたわけでございますが、それ以外の財源獲得の方法、自動車に関連する問題として何か、重量税を決定される前の模索、考案された過程において、重量税以外の問題で考えられた点がありましたら御説明願いたいと思うのです。
  17. 細見卓

    細見政府委員 道路財源不足する、しかもその道路財源につきましては、大蔵大臣予算委員会におきましてもその財源を調達することをお約束いたしておるので、何らかの形で道路財源を確保しなければならないということでいろいろ考えたわけであります。そこで第一に、たとえば一兆数千億の自然増収があるわけでありますので、その場合、所得税減税を押えたらどうかというような議論もございました。しかし所得税につきましては、ここ数年の引き続きまする連年の軽減にもかかわりませず、なお所得税は重いという声が強いわけでありまして、この減税は取りやめるべきではない。したがって、その不足する財源は何らかの形で、幾らかの負担増徴という形で求めざるを得ない。そこで第一に考えましたのは、物品税増徴というような形で考えたわけであります。と申しますのは、やはり道路財源不足ということが急激な自動車の増加によってもたらされてきておる。しかもその道路建設というのは、諸外国の例を見ましてもおおむね自動車に新しい財源を求めて建設が行なわれておるのが例でございます。そういう意味で、私どももまず自動車課税が行なわれておる物品税増徴することも考えたわけでございますが、御承知のように物品税は従来の奢侈品便益品課税というような伝統がございまして、同じ自動車といいましてもかなり税率に差等がある。大型、小型、中型というふうに差がある。しかも致命的なことには、今日の道路事情で無視することのできないトラックについて全然課税が行なわれておらない。バス課税されておらない。そこで、物品税財源を調達することは無理であるからトラック税考えてみたらどうかということを考えたわけでございますが、不足する財源が四十九年度までに国で三千億、地方で千二百億ということになりますと、これらをいま新規に、物品税のような蔵出し課税トラック税ということにいたしますとたいへんな負担になる。これはトラックが重要な流通手段であり、しかもまた一方中小企業に非常に使われておるということを考えますと、これはやはりトラックに税を求めるべきではない。その次に考えましたことは燃料税の引き上げということであったわけでございますが、御承知のように燃料税につきましては、たとえば揮発油税系統は国の財源であり、軽油引取税系統地方財源である。したがって、私どもといたしましては、道路に対する損傷というようなことを考えれば、あるいは諸外国と比較をいたしますれば、軽油のほうが負担が軽いというような感じも持っておったのでございますが、いずれにいたしましても、国のほうで三千億不足する財源を、軽油とかガソリンとかいうことで負担を求めることについてはかなり難点があろうというようなことで、いろいろの各方面の提案も総合的に検討いたしまして今回の重量税に落ちついたわけでございます。
  18. 加藤六月

    加藤(六)委員 いまの主税局長答弁の中で、たとえば免許証税あるいは自動車車検を行なうときの車検税、こういった問題についての御説明はなかったわけでございますが、こういう問題について検討されたかされなかったか。もう一度御答弁願います。
  19. 細見卓

    細見政府委員 そういう提案もあったわけでございますが、現在のこの財源調達必要性あるいは自動車社会にもたらしておるいろいろなコストというような点からいたしまして、それに見合う関係としては自動車に広く求め、しかもその自動車負担の求め方は、免許税よりもあるいはまた車検税よりも重量に比例したほうが、少なくともいままで日本になかった新しい考え方としてよりふさわしい、かように考えたわけでございます。
  20. 加藤六月

    加藤(六)委員 次に、問題点を変えまして、この重量税はいわゆる税務署あるいは地方税務事務所徴収するのではなくして、証紙によって陸運事務所徴収するという形をとるようになっておると思うわけでございますが、新しく徴収する体制、準備、人、これはどういうようになっておりますか。
  21. 細見卓

    細見政府委員 車検場におきまして、従来の車検に加えましてこの自動車重量税徴収をお願いするわけでありますので、それがたとえ印紙貼付というような、いわば書類審査で足りるものといたしましてもかなりの手数をかけるということで、人数も要ろうということで百三十八名の定員の増がそちらに考えられております。またこの税の施行に伴いまするいろいろな備品とかあるいは関係施設というものの整備につきましては予算措置を講じ、また印紙につきましては、これは御承知のように国と地方とに財源を配分いたさなければならないわけでございますので、従来の普通の印紙というわけにはいかない。同じ印紙でございますとどれだけを地方に分けていいかというのが計算できないという問題がございますので、自動車重量税印紙として新しい印紙考えたい、かようなことでそれらの準備予算的にいたしておるわけでございます。
  22. 加藤六月

    加藤(六)委員 先ほど主税局長答弁の中に、最近の自動車の伸び、一般の普及ということが御説明にありましたが、陸運事務所における自動車関係を扱う定員の増というのはまことに微々たるものであって、毎年定員増を要求しておるが二分の一あるいは三分の一に削られてきておりまして、矛盾が陸運事務所に非常に集積されております。もちろん電子計算機導入等による機械化合理化問題等についても努力をいたしておりますけれども、今回さらにこれに加うるに自動車重量税徴収義務というものがここに付せられてきますと、いま御説明になりました百三十八名というものでは足りぬのではないかという気持ちさえ私たちは持っておるわけでございますが、この百三十八名の増員というものは新しく定員として法律上も正式に認めてありますか、まだ認めてありませんか。
  23. 竹内道雄

    竹内(道)政府委員 百三十八名の定員はすでに予算に計上されてございます。
  24. 加藤六月

    加藤(六)委員 最後に。これで関連質問を終わりますが、もしこの重量税というものが今国会通らない場合ですね、私たちはいろいろ考えておるわけでございますが、一般会計としてこれを組み入れてあるということになりますと、この法律が通らない場合は昭和四十六年度予算修正あるいは改定、補正ということを考えておられるかどうか。この点について一百大蔵大臣に御質問いたしておきます。
  25. 福田赳夫

    福田国務大臣 通らなかったような事態につきましては何ら考えておりませんです。
  26. 加藤六月

    加藤(六)委員 終わります。
  27. 毛利松平

  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今度の自動車重量税につきまして、初めは自動車トン税という名前考えておられたようでありますが、そうすると、とんとわからぬトン税じゃというようなことを言われては困るということで、急遽自動車重量税という名前になったというような話も聞いておるわけであります。私どももこの税を見まして、一体この税はどのような性格を持つ税なのだろうかと、たいへん理解しがたい面があるわけであります。現在これに関連する税といたしましては、いずれも地方税でありますが自動車税がございます。この自動車税につきましては固定資産税見合いの税として考えることができるかと思います。もちろんこれは府県普通税であります。さらに軽自動車税がございますが、これもやはり固定資産税見合い市町村普通税、かように考えられ得ると思います。さらに自動車取得税がございます。これは不動産取得税見合い府県税でありまして、このうち徴税費を除きまして三分の二は市町村道路財源、三分の一は府県道路財源という形になっています。それではこの自動車重量税なるものは、ただいま申し上げたような分類分けからいたしまして一体どのような税見合いの税なのか、いかなる性格を持つ税であるのか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
  29. 細見卓

    細見政府委員 いまお話がございましたように、固定資産税があってそれに見合うものは自動車税があり、それから不動産取得に伴いまして不動産取得税があり、それに見合うものとして自動車取得税があり、国におきましては登録税というものがございますが、まさにそれに該当するのがこの自動車重量税でございます。重量に従って登録税を課するというものでございます。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵委員同僚諸君に聞きますと、車検税的性格だというような御答弁があったという。ただいまは登録税に当たるものであるというようなお答えがありまして、まことに二転、三転しているような感じがするのでありますが、一体どうなんですか。従来まで大蔵委員会答弁いたしました経過、それからただいま答弁をいただきました事柄、それを統一をいたしまして、一体どのようなものなのか明確にしてもらいたいと思うのです。
  31. 細見卓

    細見政府委員 私の説明がへたなのかもしれませんが、大蔵委員会におきましてもこの委員会におきましてもあるいはまた予算委員会におきましても終始同じことを申し上げておるわけでございまして、自動車車検登録あるいは軽自動車につきましては届け出、そういうことによりまして自動車は走行の権利取得するわけでございます。その権利の証書として車検証が交付され登録が行なわれるわけでありまして、そのときに徴される登録税がこの自動車重量税であるわけでありまして、その意味で終始一貫した説明をいたしているつもりでございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほど自民党の委員の方の質問に対する答弁を聞いておりましたら、乗用車については物品税がある、ところがバストラックについては、道路は大いに損傷するけれどもこれに見合う税がない、したがってそういうことも考えた、こういうようなことをお述べになりましたね。そういうことも考えておるわけですか。
  33. 細見卓

    細見政府委員 御質問趣旨がよくわからないのでございますが、物品税は従来の沿革がございまして、当初は奢侈的なもの、さらにその後の生活水準の上昇あるいは消費の多様化というようなことによりまして、今日では物品税は便益的なものにかけるということになっておるわけであります。したがいまして、シャウプ税制以来、便益的なものでない、つまり営業的なものにつきましては課税が行なわれておらないわけでありまして、トラックあるいはバスといったようなものにつきましては課税が行なわれておらない。だからその系統の税を取り入れるときになりますと従来の物品税考え方というのをかなり変えなければいけない。そこで物品税系統でものを考えるのはむずかしかろうと申し上げたわけでございます。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、いろいろなことを言っておられるわけでありますが、明確でありません。  そこで建設省にお尋ねしたいと思うのですが、どうも道路損傷というようなことも考えられておるような趣旨の御答弁が先ほどあったのですが、自動車重量によって道路損傷の度合いというものも異なると思うのです。この自動車重量による道路損傷率というものは、重さに比例するのか、あるいは重さの二乗に比例するのか、三乗に比例するのか、四乗に比例するのか、五乗に比例するのか。この点、建設省は力学的な検討というものを当然やっておられると思うのです。当然、重量、それに対するスピードも加味されるだろうと思いますから、そちらのスピードのほうも検討されておるだろうと思うのですが、検討の結果、数式は一体どういうふうなことになっておりますか、まずお答えをいただきたいと思います。
  35. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 重量によりましてどの程度損傷の度合いが大きくなるかということにつきましては、いろいろな実験がなされておるようでございますけれども、まだ正確な結論は出てないようでございますが、大体四乗程度に比例するというふうに考えられておるようでございます。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 同一のスピードならば、重量がふえますならばその重量の四葉に比例して道路損傷があるという御答弁だろうと思うのです、正確にいえば。スピードに対する検討はなされておるのですか。
  37. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 スピードによる検討もなされておりますけれどもスピードの影響というのはほとんどネグレクティブというふうに聞いております。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 権威ある研究の結果、スピードによっての影響はネグレクティブである、重量による影響については四乗に比例する、こういうお答えでございました。  ところが、主税局長ただいまのような結果なんですね。当然道路損傷というものもこの税を創設するまでの検討の経過ではお考えになったようでありますからお尋ねしたいのですが、今度出ております税の税率を拝見いたしますと、乗用車、トラックによって分けてはありますけれども、いずれもこれは重量に比例するという形でこの課税をしておりますね。道路損傷ということを考えるならば四乗に比例するというのですから、結局目方が倍になれば損傷率は十六倍になるという形ですね。ところがこの税でいけば、目方が二倍になれば税は二倍になるということなんですね。数式的な比較からいうとたいへん非科学的だということになると思うのですが、その辺は検討されましたか。
  39. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、重量あるいはスピードと関連いたしまして道路損傷を科学的にどう推定するかというのは、むしろ建設省のほうからお答えがあるんだろうと思いますが、たいへんな金が要るわけでございます。しかも、その金をつぎ込みましても、気温条件とかあるいはいろいろな自然条件によってかなり違います。いま御指摘のような御意見がわが国の世論として確立いたしましたときには、あるいはそういう税も考えていかなければならないのかと思いますが、今日におきましては残念ながらそこまではまいっておらない。何といたしましても道路損傷とか混雑とかいうものについて自動車負担を求める。その社会的コストの考え方としては、たとえば排気量によるべきであるとか、あるいはぜいたくな車とそれ以外の車との差を考えるべきだとか、いろいろな御議論がございましたが、社会資本社会的コストを一般的にまかなっていくための税として広く最低限の負担自動車に求める。その場合に、やはりそうした社会的コストとの関係では、重量にすんなりと比例するのが少なくとも現段階においては適当ではないかと考えたわけでございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 主税局長、聞き間違ってもらっては困ると思うのです。私は、自動車の目方が倍になれば四乗になるということで、何も損傷に応じてそういう税をつくれと言っておるわけではない。損傷率考えるということになれば、損傷の度合いなんだ。したがって、道路損傷というものを考えたということを言われたから、とすれば損傷率は四乗に比例をする。今度の税は目方に比例をする、これでは非科学的ではないか、合理性がないではないかということを指摘をしただけなんだ。何もそういう税を取れということを言ったわけではないのですから、これは間違ってもらっては困るのでありまして、その点は明確にしてもらわなければ困る。そういう意味でお尋ねをしておるわけですからそういう意味でお答弁をいただきたいのです。
  41. 細見卓

    細見政府委員 私もそのつもりでございまして、科学的に重量に比例して道路損傷度をどういうふうに測定するかというのは、なかなか現状において困難でございますし、この税は一般的な歳入として一般税になっておるわけでございます。自動車の大きさを一種の重量であらわして重量税を課すというのが、現状では一番受け入れられる考え方だと思っておるのでございます。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく道路損傷考えたという経過からいっても、ただいま私が指摘したような数値からいえばこの税は合理性を欠いておる、こう私は思うのです。  さて、そこで次にお尋ねをいたしたいのは、第六次道路整備五カ年計画との関連の問題であります。建設大臣がおられるわけでありますが、第六次の計画昭和四十五年から四十九年に至る五年間に十兆三千五百億円、これだけの投資をいたしまして道路整備をやっていくという御計画のようであります。ところがこれを見ますと、一般道路事業が五兆五百億円、有料道路事業が二兆五千億円、地方単独事業が二兆五千五百億円、予備費といたしまして二千五百億円、計十兆三千五百億円でありますが、地方単独事業というものにウエートが相当かかっておるわけですね。現在市町村道だけでも八十五万キロからの延長があるわけです。これに対して地方単独事業、二兆五千五百億の事業を地方に単独事業でやらせるということになれば、財源はどうするかということは建設省だって考えるのは当然だと思うのですね。この点は一体どのような御検討をされたわけですか。あとで大蔵大臣にもお尋ねいたしますが……。
  43. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 地方単独事業についての財源につきましては、地方自治体が従来の経緯からしても年々非常に一生懸命につぎ込んでおります。ということは、それだけ地域生活と密接に関連しておる道路必要性のためにこれをやっているわけでございます。たとえ単独事業でありましても、政府の助成等もあり得ることでございます。そういうことでありますし、さらに今度は自動車新税が出てまいりますとそのうちの四分の一が地方財源に回るという計画になっておりますから、そういう意味でも従来から比べますれば地方道路の財源は一歩前進したということになるわけでございます。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 国におきましても三千億円不足する。それと同様の計算をいたしまして、市町村におきましても、単独事業それから補助事業を合わせまして千億ないし千二百億円不足を生ずるということになるので、今回の措置を講ずる、こういうことになりました。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵大臣にお尋ねしたいのですけれども、とにかく国の場合は昭和四十二年から四十六年に至る第五次計画におきまして二兆七千九百二十三億の国費を予定された。そのうち特定財源が二兆一千九百九十億円、その率は七八・八%。三十九年から四十三年に至る第四次計画でいけば、実に特定財源は八六・三%に達しているわけですね。揮発油税中心ですけれども。これに対しまして地方はどうか。第四次計画におきまして特定財源は四八・二%、これは府県市町村を合算したものです。第五次計画では、自動車取得税の創設がございました関係もあって、若干ふえて六一・三%になります。しかし国から見れば特定財源の割合というものははるかに低いわけですね。道路財源の割合が少ない。  第六次計画では一体どうなるか、試算をいたしてみますと、重量税がない場合は八二・二%、国は特定財源がある計算になる。自動車重量税は通らぬと思いますけれども、かりに通ったと仮定すれば九一・一%。これに対して地方はどうなるか。本年度は自動車重量譲与税は百億、平年度四百億になるようでありますけれども、これを考えましても五四・七%。しかしこれは府県市町村です。一番重要な問題は市町村道だと思いますけれども市町村はどうかといえば、自動車重量税考えなければわずか一六・五%ですよ。かりに自動車重量税考えても二四・四%にしか当たらぬ、こういう状態です。私はこれはいかにも不公平きわまる、かように思うのです。現在の道路の事情というものは大臣も十分御案内です。そういう中で国に著しく特定財源の比率が高くて、肝心の市町村が全く等閑に付されている。このことについては大蔵大臣も、確かにこれはまずい、こうお考えだろうと私は思いますが、ひとつその御感想を承りたいと思います。
  46. 福田赳夫

    福田国務大臣 特定財源にするかしないか、これはむしろ技術的な問題でありまして、問題は道路に金が行くか行かないか、そこにあるのだろうと思います。そういう見地から見ますときに、市町村道はどうだ、こういうと、市町村道はずいぶんおくれております。何といっても今度五カ年計画ができれば国道はほとんどが完全装備されるという状態になりますが、この新しい計画が行なわれましても市町村道整備率はまだ非常に低い状態です。それだけ日本全体の道路事情というものがおくれているということだろうと思います。しかし、市町村はそれにいたしましても整備を急がなければならぬというので、道路新五カ年計画におきましては市町村道の問題を取り上げておる。そしてその財源をどうするか、特定財源あるいは一般財源、これは別といたしまして、金はこの計画にマッチするように充当しておる。つまりそれが先ほど申し上げましたように、不足する千億から千二百億円を新税をもってまかなう、こういうふうにしておるのでございまして、いまおくれておる事情を見ますと市町村道が非常に激しい、これは私もよく承知しております。しかしそう一挙にいけない。おくれの非常にはなはだしい市町村道を一挙に取り戻すことはできないけれども、精一ぱいの努力はしておるのだということで御理解を願います。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 秋田自治大臣、おられるわけですね。自治省としてはどうなのですか。数字は先ほど私が指摘したとおり、国は第六次計画におきまして、自動車重量税がない場合でも八二・二%の特定財源を持っている。しかるに市町村はわずか二八・五%、これだけの特定財源しか持っていない。しかも市町村道のおくれたるやはなはだしいものがあるという実情は、自治大臣が一番認識をしておられると思うのです。これは変更するというのが自治省としての当然の希望だと私は思うのです。一体自治省としては今日までどういう考え方でどういう主張をやってこられましたか、お答えをいただきたいと思います。
  48. 秋田大助

    秋田国務大臣 特定財源の率に関するただいまの数字は、私どもも大体そのように承知をいたしております。しこうしてこの点につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えのありましたとおり技術上の問題もございますけれども地方財政一般財源の充実を期しておりますけれども地方道の中でも非常におくれておる市町村道整備強化につきましては、何と申しましてもただいま御指摘の目的税源、これをふやすということは、当然地方行財政をお預かりしている者としては考えなければならないと考えております。今回の重量譲与税で一六・五%の目的税源率が二四・四%程度に上がりますけれども自治省としてはこれで満足しておるというわけにはまいりませんので、今後さらにこれが合理的な率の向上につきましては当然考えてまいりたい。しこうして、この問題につきましてはせめて六〇%ぐらいの率にしてみたいということは、当然自治省をお預かりする者としては考えるべきことかと思いまして、そういう原案も作成いたしましたが、諸般の事情で、せめて漸進的に行く第一歩といたしまして重量譲与税というものを考えた次第でございます。またこれを了承したわけでございますが、今後この率は引き上げていかなければならぬと当然考えております。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とんとわからぬトン税というのではなしに、私は不動産取得税見合いの税もあるではないか、また固定資産税見合いの税もあるではないかという指摘をさっきいたしたわけです。やはりこの際地方道路財源を確保する、これは何も私ども社会党だけで言っているのではないのでありまして、地方制度調査会におきましても、また地方自治団体にいたしましても、またわれわれ社会党も、地方道路財源を確保すべきである——大体道路というのは、国民の生活道路というのは市町村道なんですよね。うちのはたに国道があるという人は少ない。大体うちのはたに市町村道があって、市町村道を通って県道に出る、それから国道に出るというのが順当でしょう。いわば生活道路こそがやはり優先ではないか。そういう意味では市町村道整備が必要である。その上からいっても市町村道路目的財源を確保すべきだということを主張してまいったわけです。自治省としても、この案が政府としてまとまる過程においては、ある程度そういった考え方で構想を出したはずだと思うのです。一体その点はどうなんですか。
  50. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいまお答えの中に申し上げましたとおり、大体まあ同じような考え方を持っておりまして、道路目的税源がその率において所要額の六〇%程度になるべし、せめてそのような案を実施いたしたいと考えた次第でございまして、まあ諸般の事情で今回は漸進的に第一歩をこの重量譲与税ではかったということになりましたが、基本的な考えとしては大体先生と同じような考え方を持っておるわけでございます。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これも一部で聞こえている話でありますが、とにかく自動車にかかわるところの税金というのは非常に種類が多岐にわたっている。一部を私指摘をいたしましたが、私が指摘した以外にも揮発油税あり、譲与税あり、軽油引取税あり、さらに物品税あり、いろいろな税があるわけですね。そういうものを将来一本化したらどうかという声も、これはごく一部だろうと思いますが、あるやに聞いているわけであります。しかし私は少なくとも、現在わずか一六・五%しか市町村の場合は特定財源が付与されていない。まあ軽自動車税等でありますけれども自動車取得税のうちの三分の二、これがわけのわからぬトン税というようなものに将来一括をされて、そうしてこれが国税にすべて吸収されてしまうということになれば、これはまさに時代逆行であろう。そうでなくても、市町村道路財源というものを確保しなければならぬということは自治大臣もお認めで、せめて六〇%にしたいと言っておられる。大蔵大臣はニュアンスは違いますが、まあ何も目的財源でなくても、市町村財源というものを保障すればいいじゃないかというようなことを言っておるわけでありますが、しかし、だからといってわずか一六・五%のものを吸い上げようというような気持ちはないだろうと思うのですね。したがって一部懸念されるような一本化、それによって国税にすべて統一をするというようなことは万万考えておらぬと思うのでありますが、ひとつ自治、大蔵両相のお答えをいただきたいと思います。
  52. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまお話しの一本化という議論、また一本化までいかないが、どうも一つの対象に対しまして八つの税制がある、これは複雑多岐に過ぎやしないか、簡素化したらどうだ、こういう意見はあなたの党でもずいぶんあるのです。しかし山口さんが御心配になっている点は、統合の結果地方財源がこれは希薄になるんじゃないかというようなことでございましょうが、そういうようなニュアンスの議論一つもありませんし、私も伺いまして、そういうようなことは私も考えておらぬということは、これははっきり申し上げます。
  53. 秋田大助

    秋田国務大臣 先ほど古屋委員にもお答えいたしましたとおり、いろいろまあ自動車について諸税があるようにいわれておりますが、これはおのおの理由があり、かつ重複するものではないと考えておりますので、これを一本化するということは理論上私はどうかと思います。そういうことは自治省としては考えておらぬわけであります。いわんやこれの一本化によりまして道路特定財源の率が一六・五に切り込むとか、あるいは今度この御提案申し上げている法案が通れば二四・四%になりますが、それが傷つくとか、それの充実向上にむしろ逆行の傾向があるとかいうようなことではとうてい了承ができないわけでありまして、先ほどから申し上げておりますとおり、この道路特定財源率の向上というものを今後当然われわれは責任上考えなければならぬ、それを期してまいりたいと考えております。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次に建設大臣にお尋ねしたいと思うのですが、とにかく第一次から第六次にわたりますところの道路整備五カ年計画——計画をお立てになりましてその途中において次々と改定を重ねてこられたわけでありますが、現在道路整備状況一体どうであるかということをいいますると、昭和四十四年におきまして、一般国道につきましては改良率が七八・七%、それから舗装率は七九・四%。これに対しまして主要地方道につきましては改良率六一・四%、舗装率四九・二%、この点はまあまあでありますけれども市町村道にいたりましては改良率がわずか一四・一%、舗装率につきましてはわずか七・六%という、まさにお寒い状況ですね。これは諸外国の例、特に先進諸国との比較におきまして全くこれはみすぼらしいと申しますか、遺憾と申しますか、まさに惨状であるといってよろしいかと思う。この市町村道整備計画というものについては、建設省としては今日までどう取り組み、今後これをどうやっていこうとしているか、この点ひとつお示しをいただきたいと思うのです。
  55. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり市町村道が非常におくれていることは事実でございます。ところで、山口さんがただいま御指摘になりましたように八十何万キロもあるということでございますが、これは日本市町村道はほとんど自然道と申してもいいのですが、人が通りさえすれば市町村道に指定されておるわけなんです。それで、以前は日本では人が歩きさえすれば道路だということになっておるために、これは非常に広範囲にわたっています。これを一挙に自動車が通るような状態に整備するということはたいへんな財源と時間がかかるので、そこで現在は建設省といたしまして生活圏構想をつくりまして、その市町村道のうちでも自動車が通るようなものにしなければならないものを特に選びまして、これを整備、舗装する。そして今度は国道と主要道路とこの市町村道とをネットワークをつくりまして、それがあればその地域社会としての道路の任務を一応果たし得るというような実際上の措置を講じなければ、八十何万キロものものを一挙にやるということは実際上困難であるので、それをやっています。  それからまた、市町村道でありまして生活道路として特に必要なものについては、でき得るだけこれは県道に昇格しあるいは県道が国道に昇格する等、現在の市町村道はそのまま永久に市町村道として整備するというよりもそのほうが効率的だということで進めておる次第でございます。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最近市町村道につきましても補助の道を建設省がお開きになりました。さらに地方生活圏等の設定の中で道路整備をはかっていくということも計画をされておるようです。しかし私はやはり地方自治というものを考えた場合に、そういったひもつきの補助金でもってこの道路整備をしていくということをすべて悪いとは私は申しません。また、市町村道を県道に格上げし、県道を国道に格上げしていく、このことについても別に異論を申すわけではありません。しかし、現実にこの市町村道整備をしていくのは、やはり個有の事務として市町村中心であるべきだ。ですから、ひもつきの補助金を拡大するということよりも、むしろ自主財源といいますか、市町村道路自主財源を強化をしていく、その中には特定財源の強化もありましょうという形をとることが私は正しいと思うのです。この点、建設大臣の考え方をお聞かせいただきたいことと、あわせて自治大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  57. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 将来の地方発展、よりよき環境の町村をつくるためにはいま御指摘の線に私も賛成でございます。そのためにいま一歩進めておるのでありますが、どの市町村道も一挙にやるということになるとたいへんな財源がかかります。そういう意味でやはり現在の段階では、現実に市町村がわれわれに要請することも、むしろ、固有の財源をよこせということよりも市町村道をこれを地方主要道路にしてほしい、あるいは生活圏道路としてやってほしいというところにいま重点が来ておるようでございますので、それにこたえつつ、自治大臣並びに大蔵大臣とよく協議いたしまして、地方のみずからの財源として確保ができることにはより一そうの努力を傾けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  58. 秋田大助

    秋田国務大臣 現実の施策といたしましては漸進的に進んでまいりたいと思っておりますけれども、基本の考え方におきまして先生と同じでございます。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 特に私どもは、この生活道路としての市町村道整備が今日まであまりにも等閑に付された、この整備が必要である。そのために市町村に対する道路財源の確保こそが緊急の課題であるということを今日までも主張してまいった次第です。現在の改良率一四・一%、舗装率七・六%。第六次のこの五カ年計画でいきますと一体どのくらい改良率なり舗装率なりがふえるのかという点を事務当局にいろいろだだしましたところが、せいぜい一%くらいしか向上していかない。そうなりますと、この舗装率は七・六%ですから残りは九二%から残っておるわけでありまして、一年に一%ずつふえたのではこれは九十二年もかかる。したがって明治二百年のお祭りでもやらなければ市町村道整備はできない、こういうまことに迂遠な状態にあるわけであります。もちろんその中身は八十五万キロもあるわけですから、それを全部舗装しろということはこれはとうてい不可能なことだと思います。おのずから限界もありましょうけれども、しかしその大部分をやはり改良し舗装していくという必要性は、これは当然あると思うのですね。したがいまして、この点を建設大臣として、市町村道整備についてより柏車をかける、具体的にはこういう方法でやるということがあればひとつお示しをいただきたいし、また財源の面からいって大蔵大臣、そういうお寒い状態を今後一体どう改善していったらいいのか、構想をひとつ承りたいと思います。
  60. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど来お答え申し上げた状況でございまして、抜本的な財源措置ということはなかなかむずかしいと思います。そういう意味で先ほどお答えしたのが現在われわれ考えておることでございまして、さらにもしいろいろと皆さんから教えていただきまして、これが最も的確だというものがございますれば勇敢にそうしたものを取り上げたいと思っております。
  61. 福田赳夫

    福田国務大臣 山口さん御指摘のように、今度の五カ年計画によりますと、どうも国道、府県道、こっちのほうはかなり進むのです。ところが地方道になりますと進み方が非営に悪い。これはなぜかと申しますと、おそらく建設省当局が、これは主要幹線をまず整備しなければならぬ、こういう考え方をとったと思うのです。しかし地方道整備、これはゆるがせにすることはできないわけでございまするからこちらにも努力はさきまするけれども、とにかく優先するものが幹線道路だ、こういう考え方だったと思いますが、幹線道路が進むに従いまして地方道のほうに重点をさらにさらに向けていかなければならぬ、私はそんな感じを持っております。そういう内容を持ちました整備計画が今後できますれば、それに対する財源対策、これは当然大蔵省当局としてもとらなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、精一ぱい努力したい、かように考えます。
  62. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほど建設大臣が、考え方があれば示せというお話でありましたから、われわれの考え方を申し上げますならば、現在国が進めているこの第六次の道路整備五カ年計画、これはさきに政府が決定をいたしました新全総あるいは経済社会発展計画というものにのっとりまして、上からの、私どもとすれば、大企業中心の開発計画というものを優先をした道路整備計画でありますから、私どもが指摘するような市町村道の軽視があらわれておる、かように思います。われわれはそうではなしに、あくまでも地方自治体を中心にし、地方自治体の道路財源を確保する。あえて言うならば、現在揮発油税、一部府県に対して譲与税が行なわれておりますが、これをもっと大幅に府県、さらに市町村に広げて譲与税を配分をすべきである。そしてさらに、自治省も当初考えられたように、とんとわからぬトン税というようなことでなしに、現在不動産取得税なりあるいは固定資産税見合い自動車税軽自動車税あるいは自動車取得税、こういった税金に対してある程度の是正を加える。そういう中で地方道路財源というものを確保し、地方自治の上からの——新全総からの計画ということではなしに、自治体を中心とした、やはり生活道路優先の整備をはかっていくべきであるというのが私たちの主張であります。そういう意味大蔵大臣どうでしょうか、このような形ではなしに、ただいま私が申し上げたような立場に立って思い切って地方道路財源を強化するということについて、大蔵大臣考え方を承っておきたいと思うのです。
  63. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 いまお示しになりましたが、もちろん今度の道路五カ年計画が新全総に基礎を置いておることは一つの事実でございますが、それだけではないのです。われわれのほうの道路計画は、実は地方からの要請がずっと長年あります。これを解析し、これを集計してみると、もうこれは各党を問わず、まず幹線道路を早くつくれ、それから国道の整備をはかれ、地方主要道路をつくれ、昇格せい。これは戦後の陳情、請願、そうしたものもそこにみんな集中しております。これをも十分に勘案してやっているのでございまして、その意味から申しますれば、決して大産業優先というようなことにはこだわっておりません。むしろ地方自治体の要請はかなりの程度にこれを見ておるつもりでございます。したがいまして、発想のしかたについては御指摘の点にわれわれも十分に配慮してやっておるということだけをまずお答え申し上げます。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 とにかくわが国の道路事情というのは非常なおくれです。これは何十年というくらい先進諸国に比べますとおくれているんだろうと思う。それを戦後、おくれの取り戻しに取りかかっている。特に本格的な取り戻しというのはこの十年間くらいだろうと思う。したがって、現時点に立ってみますと非常に歯がゆい思いをみんなが持つ、私は当然だろうと思うのです。しかし、いま道路費に投ずる費用、これは日本は飛び抜けて高い比率、そういうふうになるわけでありまして、したがって私はこのおくれの取り戻しができるにはそう時間はかからぬ、こういうふうに思いますが、とにかく非常な立ちおくれである。そこでどこから手をつけるのだ、こういう問題であるのでありますが、これはいま建設大臣からお話がありましたように、やはりこれは基幹道路、幹線道路、これをまず整えなければ幾ら地方道を整えてみましてもものの役に立たぬ、こういう事情があろうかと思うのです。でありますので、第六次道路計画におきましては幹線道路に重点が置いてありますが、これの進行の状態を見まして地方道整備、これに本格的に取り組まなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、そういう段階になりますれば財源はこれに支障ないように善処する、これはお約束申し上げます。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 はっきりお約束をされたわけでありますが、今後の推移を、地方財源充実に向かって政府がはたしてやるかどうか、私どもは十分監視をいたしてまいりたいと思います。  時間も迫ってまいりましたので、最後に一つだけお尋ねして終わりたいと思います。  ここで忘れてならないのは、私はこの交通安全対策の問題だと思います。現在一千八百万台、死傷者が実に年間百万に達している、こういったまさに交通地獄であります。死者が一万八千人、けがをされた人が九十八万、こういうような状態がございました。これをいかにして是正をしていくか、まさに緊急の課題だと思います。現在提案されておりますこの案のうち、十億程度を交通安全対策に振り向けるというような話も聞いておるわけでありますが、そういうみみっちいことでは私はこの交通地獄の問題は対処し得ないと思います。当初警察庁は交通安全施設に対して五カ年計画で三千七百二十六億円を考えられた。しかし最終的には千六百億円に落ちついた。それから建設省におきましては道路の安全管理のために五カ年間二千二百五十億円、こういうものを計画として組まれておるようであります。こういった施策の必要性、またそれに対する財源のあり方に対して、交通安全対策室長なりあるいは建設省、警察庁の考え方を承っておきたいと思うのです。
  66. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  四十六年度予算におきまして交通安全施設関係予算、特に国家公安委員会関係予算が確かにある程度、財源不足ということから削減されたことも事実でございます。私どもはできるだけ交通関係予算を充実いたしまして、必要な安全施設を確保して交通事故防止に充てたいというふうに考えておる次第でございます。そのような見地から、一応警察関係予算は削られたわけでございますが、私ども今後五カ年間の交通安全の基本計画を策定いたしまして、当面の目標でございます五年後には何とか歩行者の死亡事故を半減するというところにもっていきたいということで、必要な財政措置をはかるべく努力いたし、また必要な閣議決定もしていただいておるわけでございます。今後とも交通安全関係予算の確保には十分に努力してまいりたいというふうに考えております。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わります。とにかく今回の自動車重量税法案の内容は、指摘いたしましたように、科学的合理性という面からいっても問題があるし、また私どもが主張する市町村道財源充実という面からいきましてもこれは全く不十分であるし、また交通安全、きわめて緊急な課題に対する対応の問題といたしましてもきわめて不十分であり、特にわれわれとしてはこういう形の自動車重量税でなしに、この際何としてもおくれている地方自治団体、わけても市町村道路財源充実という点が緊急の課題である、そういう意味からいって、今回の法案はわれわれとしてはきわめて承服しがたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  68. 毛利松平

    毛利委員長 桑名君。
  69. 桑名義治

    ○桑名委員 私も地方行政の立場から今回の新法に対していろいろと御質問を申し上げたいと思います。いずれにしましても、前の山口先生と重複する点も出てくるかと思いますが、地方自治の立場から申し上げますと非常に大事な問題でありますので、その点は御了承を願いたい、このように思います。  まず、最初にお聞きしたいことは、最近のモータリゼーションの驚異的な発達と社会経済情勢の変化によりまして、総合交通体系の確立という問題が非常に急がれておるわけでございます。にもかかわらず、その基本的な考え方もまだほんとうに定まっていない現在、こうしたいわゆる税の創設というものは、税の先行であり、私たちは納得しがたいものであります。その上に本税制の設立の趣旨というものが、先ほどからいろいろと論議の内容を聞いておりますと、道路整備に必要な財源を求めるのが主目的であるかのようにも聞こえるわけでございますけれども、そのほかに鉄道等に使用するというふうにいろいろな話もあっておりますが、その点、いわゆる使途の内容が非常に明確ではないわけでございますので、本法の設立の趣旨がどういう趣旨であるのか、その法の位置づけはどこにあるのか、それを明快にお答えを願っておきたいと思います。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 桑名さんにもしばしば申し上げておりますが、わが国では社会資本の充実、これは非常な重大問題になっておるわけです。社会資本は、わが国は諸外国に比べますともう何十年の立ちおくれである。この立ちおくれを取り戻さなければならぬという要請に迫られておるわけでございますが、そういう中で道路、住宅、そういうものは特にはなはだしい状態です。そこで長期計画を立てまして、逐一これらの問題の克服に当たっておるわけでありますが、昨年実は新道路五カ年計画を立てた。そのとき、この五カ年計画は十兆三千五百億円の巨額に達するわけでありますが、財源が少し不足するのではないか、こういう御指摘を国会においても受けたわけでございます。それに対しまして政府は、これは昭和四十六年度の予算の編成の際にこの財源対策をはっきり御説明申し上げます、こういういきさつになっておる。そこで今度の自動車新税という問題が起こってきたわけであります。したがって、この問題の発端は道路財源を充実するというところにあったわけでございますが、しかし、道路その他交通事情は目まぐるしく変化する、モータリゼーションはもう日に日に進んでいく、こういう状態でありますので、これは道路自体だけじゃ考えていくことはできないのじゃないか。これは道路もさることながら、あるいはこれと深い関連のある地下鉄のことも、あるいは新幹線のことも、あるいは道路標識のことも、あるいはさらに飛行機、航空事情の問題も、あるいは海運の問題も、全部ひっくるめて道路問題をどういう位置づけにするかという検討が必要じゃないか、こういう事情に迫られたわけであります。  そこで、政府のほうでは交通総合対策というものを策定したい、こういうふうに存じまして、先ごろから鋭意これが検討に入っておるわけでありまするが、そういうものができて新税だということになると非常にすっきりするのです。しかし道路その他の総合的な交通対策、これはなかなかそう簡単にいかない。これは一年くらいの日子を要しますけれども、さればといっておくれた道路事情を放置するわけにはいかぬ。それには、道路問題を解決するには財源が要る。こういうことで道路新税自動車重量税というものを作定した、こういうことになるのでありまして、いきさつは道路中心とするものでございまするけれども、結果といたしましては、四十六年度といたしましては一般財源としてこれを受け入れ、一般支出としてこれを支出する。その気持ちは道路中心にしてこれが配分に当たる、こういう考え方をとった次第です。
  71. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの大臣の御答弁によりますと、今年度は一応道路中心にしたそういう財源にしていきたい、こういうふうな御答弁でございました。そこで、昭和四十六年度の税調の答申によりますと、自動車課税については、「必要最少限度の負担を広く自動車の利用者に求める税制上の措置を講ずるよう政府において検討すべきである。」一応こういうような答申が出ているわけでございます。この答申の示すところは、結局賛成とも反対ともとれるような、一応政府において特に検討するようにというような結論が出ているわけでございますが、結論といえば結論結論でないといえば結論でない、こういうふうな非常にわかりにくいような姿でこの答申が出たというこのことを考えますと、この法案の提出とそれからこの答申との関係性というものはどういうふうにわれわれは感じていけばいいわけですか。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 答申のほうは非常に抽象的にいっておりますが、それを具体的に立法化するということになりますと自動車新税ということになるんだというふうに御理解願いたいと存じます。
  73. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、一応この四十六年度の税調の答申を受けて今回のいわゆる自動車新税というものが提出をされた、こういうふうに理解していいわけですね。
  74. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのとおりでございます。
  75. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、本法の内容を見てみますと、自動車重量譲与税として総額の四分の一が市町村道路の目的財源として充当をされているわけでございます。現在の制度の上からいろいろこういった道路財源を見ますと、自動車取得税軽油引取税あるいはガソリン税等が充当されているわけでございます。将来、自動車新税を含めて道路目的税の総合的な手直しをするというようなお話がございますが、先ほどからもいろいろ御答弁を聞いておりますけれども、非常に大事な点でございますのでさらに確認をしておきたいと思います。
  76. 福田赳夫

    福田国務大臣 交通社会資本全体にわたりましての総合政策、これができましたならば、それに対する財源一体どうするんだという問題を検討してみたいと思うのです。その際に、いまのような税制でいいか、つまり自動車というものに対しまして八つも税制がある。そのほかガソリン、軽油等に対する税もある。こういうような状態でいいのかという問題も検討されなければならぬ、こういうふうに思います。またさらに、そういうものから入ってくる収入を、これは中央、地方に配分する。その配分が一体それでいいのかどうか、こういうような問題。いろいろな問題が起こってくるだろうと思いますが、いずれにいたしましても総合交通体系の一環としてその財源問題、これも総合的に検討してみたい、これが私どものただいまの立場でございます。
  77. 桑名義治

    ○桑名委員 ただいま答弁をいただきましたが、巷間伝えるところによりますと、こういった総合的ないわゆる手直しのときに、各地方団体の固有の財源であるこのような自動車税やあるいは自動車取得税あるいは軽自動車税新税を含めていわゆる付加税化をねらっている。それはおもに、財源も当然ながら、こういういわゆる付加税化をねらっているところに重点があるのだ、こういうような話が非常に強いわけでございます。この点についてもう一度大蔵大臣お答えを願っておきたいと思います。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題から付加税方式を引き出す、こういうような考え方は毛頭持っておりませんから、その辺は誤解のないように御理解願いたいと思います。全然そういう考えは持っておりません。
  79. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、わが国の道路整備状況でございますが、先ほどからお話がありましたように、道路の延長が約百万、そのうちに国道が三万、都道府県道が十二万、残りの八十五万が市町村道である。これが実態でございますし、その整備状況が昨年四月一日現在で、国道の改良率、舗装率ともに八〇%。都道府県道は改良率が四二%、舗装率が三八%。それから市町村道は改良率が一五%、舗装率が九%にすぎない、こういうふうな状態でございます。このように住民の生活道路である市町村道が非常に立ちおくれているというその原因はどこにあるのか。この点について建設大臣並びに自治大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  80. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、市町村道というのは、あなたも御存じのように、人間が通るところ、これはみんな市町村道になってしまいます。したがいましてこれは非常に範囲が広いのです。ところが日本の、生活道路といいながらも、戦後今日までの国民の要望はどうしても、均衡ある発展をさせるために、少なくとも各地方に国道それから主要道路整備してほしいということが非常に強く出てまいりました。そのために必然的に幹線国道、それから特にいまから十二、三年前は議員立法で国土縦貫高速自動車道をつくる、これが戦後日本の国土の総合開発の前提になるということでつくられて、これをいままでやはり重要な政策としてやってきたわけです。ところで、いま市町村道が計数上非常におくれておることも事実でありますけれども、これを全部やるということになると膨大な金がかかってなかなかこれは困難である。そこで国道と地方道市町村道をネットワークをつくって、特に市町村でも、同じ町でも、どの市町村道を先に整備すべきかということはおのおの計画を持っております。したがって、そういうものをできるだけ整備していく。必要があればむしろこれを県道に昇格する。昇格をずっと続けていったほうが整備がしやすいということでございます。そういう関係で、今日まで各市町村のわれわれに対する要求は、市町村道路としてつくるための固有の財源を確保せいというよりも、昇格を早くやれ、あるいはまた幹線の街路を整備してほしいというようなことで、そうした関係もありまして、いわゆる数字にあらわれた、市町村にまんべんなくぐうっといくということは、ちょっと現実に合わなかったと思います。そういう観点から、これは地方生活圏道路というものを整備していく形において漸次充実していくほうが一番実際的だと考えておる次第でございます。
  81. 秋田大助

    秋田国務大臣 なぜ市町村道整備がおくれたと思うかというお尋ねでございます。全体として日本は国が貧しかったからということも基本にあろうと思います。しかし同時に、やはり地方自治の精神と申しますか、地方をしっかり固めていくという精神に、反省してみますと十分反省しなければならないものがあったのではなかろうかということも考えられる。また、大東亜戦争に敗れまして、これはいろいろ考え方もございましょうけれども、まず民間資本を充実していかなければならないという点もあったろうと思います。しこうして、いまや社会資本を充実していかなきゃならぬ、ことに地方におけるこれら社会資本を充実しなければならないときにも立ち至り、また、日本のすぐれた生産力がまさにそのことを解決すべき時期に到達した、こう考えております。
  82. 桑名義治

    ○桑名委員 いま、市町村道路が非常に立ちおくれている理由についていろいろと御答弁がございましたが、実際に自動車関係にかけられている道路に対する目税税をいろいろとながめてみますと、現在の八つある税目の中で実際に市町村に渡たる税目というのは、軽自動車税あるいは自動車取得税の都道府県分の三分の二の市町村分、たったこれだけに限られている。こういうところにも大きな原因が存在しているのではなかろうか。これはとりもなおさずいままでの施策の中で市町村道に対する認識が非常に薄かった、こういうところにも原因がある、私はこういうふうに思うわけでございますが、その点自治大臣はどのようにお考えでございますか。
  83. 秋田大助

    秋田国務大臣 先ほどお答えをいたしました、地方自治の観念というものの充実をはかるべき時期であり、反省すればその点において欠くるものがあったのではなかろうかということを申し上げたのは、ただいま先生のおっしゃったところとその軌を一にするものと考えております。
  84. 桑名義治

    ○桑名委員 その点について、その原因がそういうふうに明確になれば、次に打つべき手はどういう手を打っていけばいいかということは当然明確になるわけでございますが、その点についての自治大臣の決意は、どのような方向で今後の税制措置をとっていき、あるいは財源措置をとっていけば地方道が完全なものに近づいていくか、こういうビジョンあるいはお考えをお持ちであるならばそれを明確にしていただきたいと思います。
  85. 秋田大助

    秋田国務大臣 府県道、ことに市町村道整備拡充について意を用いなければならないことは当然でございまして、これがためには、昨年来自治省としていろいろ考えてまいりました。御承知のとおり、燃料課税増徴ないしは軽自動車税も含んで自動車税の付加的な課税の創設というような点で、特に市町村道整備強化を期してまいりたいという案を考えておったわけでございますが、いろいろの事情から今回は自動車重量税並びにその譲与税というものを、段階的に一歩前進として考慮するというわけになりました。われわれとしてはこの点だけで満足はできませんので、ただいま申し上げましたとおり、市町村道整備拡充のために今後いろいろと各方面と折衝、御理解を願いまして、これが充実強化をはかってまいりたいと考えております。その方法としては、やはりさきに考えられたような方法につきましてもひとつ皆さまと御相談を申し上げてみたい、今後拡充強化をはかってまいりたい、こう考えております。
  86. 桑名義治

    ○桑名委員 そういった立場からいろいろと考えてみますと、今回の新税の四分の一という市町村への譲与はむしろ低きに失するのではないか、私はこういうふうに考えているわけでございます。先ほどから大蔵大臣も、今後この市町村道の拡充については力を注いでいく、こういうふうに御答弁をされているわけでございますけれども、これは四分の一では少し低きに過ぎるのではないかというふうに思うわけでございますが、大蔵大臣、これで十分だとお考えでございますか。
  87. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、道路事情が非常におくれておる、その中でも地方道整備がきわ立っておくれておる、こういうふうに考えるのです。しかし、中央、地方を全部通じまして一挙にやるわけにいきません。そこで、まず幹線道路だということから幹線に重点が置かれた道路計画でございますが、幹線のほうが進むにつれまして重点を地方のほうへ移していかなければならぬじゃないか、そういうふうに考えておるのです。  それで、問題の四分の一譲与税につきましては、そういう事情のもとにこの道路計画がつくられ、地方道は幾ら整備するという計画がきまった。そこで地方道には幾ら要る、こういうことになりまして、地方一般財源ではこれしか財源が充当できない、そこで、どうしても千億ないし千二百億円は不足する。こういう状態にありますので、四分の一の新税収入を充当するということにいたしましたので、現下のこの道路計画といたしますとまずまずというところかと思いますが、根っこの地方道整備問題は将来の問題としてさらにさらに努力しなければならぬところである、こういうふうに考えておるところであります。
  88. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどもお話はありましたが、第六次道路整備五カ年計画の事業費の中に占めるいわゆる特定財源の比率の状況でございますが、これは現行制度のもとで推定をしますと、いわゆる事業費に占める特定財源の割合は、国費につきましては七九・七%、都道府県については六九・八%、市町村については一六・五%、こういうふうに一応見込まれているわけでございますし、さらに、今回の分を入れたとしても二四%というふうに非常に低いわけでございます。そういった立場から考えますと、今回の自動車新税そのものが、いわゆる地方道財源の確保という名前は、これは一つの正当化の道具にすぎないのじゃないか、極論して言うならば私はむしろそういうふうに考えるわけでございます。何となれば、現在の市町村道に対する税体系に、わずかに自動車取得税の三分の二、それから先ほど申し上げたような実情でございますし、実情をほんとうに考えてみると、いわゆる生活道路である市町村道路を充実する意思があるのかないのか、そういうところまでつい疑いたくなるというような実情でございます。  そこで、ガソリン税の現在の実態でございますが、国の吸い上げ分が一リットルについて二十四円三十銭、それから県あるいは指定都市の分が一リットルについて四円四十銭、これだけの吸い上げ分が現在あるわけでございます。この四円四十銭の吸い上げ分も一年間にしますと約九百億になるという一応の昨年度の実績ではございますけれども、これだけでも、いわゆる一リットルについて四円四十銭、これをこの国の吸い上げ分の二十四円三十銭の分の中から市町村道に回すならば、まだまだ急速ないわゆる市町村道整備ができていくのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点について大蔵大臣はどのように思われるか、所見を伺っておきたい。
  89. 福田赳夫

    福田国務大臣 国のそういう財源地方にさらによけいに譲与するということになれば、地方のほうはそれは財源が充実します。しかしそれだけ今度は国のほうの、つまり道路についていいますれば基幹道路のほうの進行が鈍ってくる、こういうことになるのです。要は、いまおくれておる道路事情をどこから手をつけるか、こういうことだろうと思うのですが、当面何としてもこのおくれている事態は基幹道路から手をつけなければならぬというところで、ウエートが基幹道路のほうにかかっておる。そういう事情が市町村道整備にどうも手薄になっているという結果になっているというふうに思うのです。しかし、そういうことを総合的に判断いたしまして第六次道路整備五カ年計画ができておる。その五カ年計画に対しましては、大体地方の財政事情というものを見まして、五カ年間千億ないし千二百億円不足する、そういうことで四分の一譲与ということがきめられたわけでありまして、当面の客観情勢のもとにおいてはまずまずこれが精一ぱいのことか、こういうふうに思うのです。  つまり地方としてみれば、これは特定財源お話がありましたが、特定財源であろうがどういう財源であろうが、金があれば仕事ができるわけなんです。で、地方においては一般地方税収入もありましょう。しかしこれはたいしたことない。しかし交付税の算定基準、これには道路という問題も取り入れられておるわけであります。また補助事業というものにつきましてはこれは国からの補助金も行く。それらを総合してみまするとこれはかなりの額になるのでありまして、したがって特定財源の比率が少ないからどうだこうだ、こういう議論はどうも当たらないんじゃないかということを先ほどから申し上げている次第でございます。
  90. 桑名義治

    ○桑名委員 私は、先ほどからいろいろ申し上げておりますように、いわゆる国道とそれから県道あるいは市町村道、これの全体の比率から考え、あるいは実情から考え、そのバランスの中から考えた場合に、現在の税制の措置では非常に市町村道は冷遇をされているんじゃないか。そのいわゆる配分比率というものをここらで変更する必要があるんじゃないか、こういうことを申し上げているのです。それと、先ほどから建設大臣がはっきりおっしゃっておられましたように、国道の整備は近々にほとんどおさまりがつく。こういった立場から考えますと、当然ここらで市町村道に対する税制の措置を優遇措置に切りかえていくということは、これは当然なさなければならない事柄じゃないか、こういうふうに私たちは思うわけです。  それと同時に、先ほどからたびたび申し上げておりますように、モータリゼーションの脅威的な発達あるいは社会情勢の変化、こういった社会情勢の変化に伴いまして社会資本の充実を急いでいかなければならないわけでございますけれども、それに対して、自動車のみに特にこういうふうに過重な税金をかけるということに対しては、私たちは承服をしかねるわけでございます。それにつけ加えまして、先ほどからたびたび申し上げておりますように、市町村道路の立ちおくれに対して今回のこの税制措置につきましては、非常にわれわれとしては不満足でございます。そういった立場から今回のいわゆる自動車新税に対しましては反対の意を表しておきたい。  これをもって私の質問を終わりたいと思います。
  91. 毛利松平

    毛利委員長 門司君。
  92. 門司亮

    ○門司委員 最初に、私は大蔵大臣一つお聞きをしたいのですけれども、こういう税金を制定しなければならなかった理由というのがわれわれにははっきりわからぬのであります。これをひとつ説明をしておいていただきたいと思う。  私がそういうことを大蔵大臣に聞くのは、大体大蔵大臣は税のほうの総元締めですから税のことは詳しいと思うのですが、自動車には大別すると八つの税金がいまかけられていると、こういわれているのですね。そうすると、税金というのは、かけるについてはほんとうは一物一課の原則をやはり貫くということがいまの社会ではよろしいんじゃないか。まあこういう議論をすると、それなら物にかける付加価値税のようなものはどうかという、いわゆる税に関する基本的の議論が私はあろうかと思いますけれども、しかし原則としてはやはり一物一課の原則というものを守らなければならぬじゃないかと考えておる。ところが自動車というものを主体に置くと、それはガソリンだとかあるいは軽油の引取だとかというようなことで、税種目は別々になっているが、実際は八種目かかっているということは間違いないのである。これを最初、お認めになるかどうかということでございます。
  93. 福田赳夫

    福田国務大臣 確かにいま自動車という一つの客体に対しまして八つの税がかけられている。これは非常に複雑多岐にわたっておる、そういうふうに考えます。しかし、それぞれの税はみんな性格が違うんです。ですから、重複しておるというような考え方じゃないんでありまして、ただ御指摘のように非常に複雑である。そこで、先ほどもいろいろ御意見もありましたが、これを簡素化するというようなことについては私はこれは真剣に検討してみる必要がある、こういうふうに考えております。
  94. 門司亮

    ○門司委員 せっかく検討してみる必要があるというなら、これは取りやめておいてそれから検討してもらったらどうか。先にこういうものを出しておいて、それからあとで検討するというのはどうも私どもには納得いかない。  それからもう一つは、大臣も大体これを了承されているようなら、いま申し上げましたように出さない前にひとつ検討して、しかるべくひとつ調整をしてもらいたいということが一つであります。  それからもう一つ、大臣に認識をしていただいておるかどうかということは、この税金は自動車を保有しておる人にかかる税金でありますが、一体今日の自動車の保有量の分布状態というものを大臣はよく御存じになっておるかどうかということである。いわゆるたくさんある自動車の中で、たとえばサラリーマン階級がどのくらい持っておる、あるいは中小企業がどのくらい持っておる、大企業がどのくらい持っておる、高額所得者がどのくらい持っておるというような、この税金は自動車を持っておる人が払うのですから、この対象となる範囲が一体どういう分布状態になっておるかということをこの際明らかにしておいてもらいたいと思う。
  95. 細見卓

    細見政府委員 若干の推計を入れませんと、このような統計というのはそのものずばりでの統計がございませんので推計が入りますが、私どもといたしましてはそれぞれ、農家がたとえば二百九十六万台あるいは勤労者が二百四十四万台あるいは中小企業は六百九十万台というような数字を持っておるわけであります。またこれに対しまして業界のほうでも別途の推計を行なわれておるというようなわけで、四十五年三月末現在の数字では一応の把握はいたしておるわけでございます。
  96. 門司亮

    ○門司委員 私はそれを聞いているのじゃなくて、いまの数字はどのくらいのパーセンテージに当たるかということです。それでないと議論ができないのであります。何台持っておるかということを私は聞きたくて聞いているわけではない。いわゆる税負担をしておる者の立場というものを考えなければならぬので、たとえば農家かいまの自動車の何%を保有している、中小企業は何%を保有している、勤労者は何%くらい保有しているということが出てくるとこの自動車負担の区分というものが大体わかるのでありますから、それを聞いている。
  97. 細見卓

    細見政府委員 私が申し上げましたことがお答えしていることになるんじゃないかと思うのですが、全体の千二百三十万台のうち二百九十六万が農家……。
  98. 門司亮

    ○門司委員 パーセンテージで出せと言っているんだよ。
  99. 細見卓

    細見政府委員 パーセンテージでございますか。それは数字で出します。
  100. 門司亮

    ○門司委員 官僚的に数字でごまかすことはやめろ。私は簡単にパーセンテージで出しなさいと言っているんだ。わかるだろう。それを出してごらんなさいよ。
  101. 細見卓

    細見政府委員 速算いたしましたので、あるいは違っておれば後ほど訂正させていただきますが、農家が一七・九、それから勤労者が一四・八、中小企業が四一・七、合計で七四・四というような数字になっておるわけであります。
  102. 門司亮

    ○門司委員 さらにもう一つ、この内訳の中で聞いておきたいと思います。いまの内訳は私どもにははっきりわからぬのでありますけれども、もう一つ内訳を聞いておきたい。  乗用車に対してはどれくらいの割合になってるのか。自動車全体からいいますと、勤労者というのはあまりトラックなどは持っていない。大体みんな乗用者なんですよ。それから農村に行ってもそんな大きな大型のものは持っていない。やはり小さい型のトラックであるとか乗用車が多い。そういうことがわからぬと、この税金はだれがどれほど負担するかという原則はわからないのです。もしあなたのほうでわかるなら、乗用車を持っている勤労者がどれくらいの税金を負担するということをひとつ教えていただきたいのですが、わかるでしょう。だからいま申し上げましたように、乗用車について勤労者がどれくらい持っているかということ、あるいは農家がどのくらい持っているか、中小企業がどのくらい持っているかということ、こういうことかわかりますか。そうしないと税金ですから、だれが納めるかということを突きとめないとどうしても議論ができないんだ。ただばく然とこれだけの税金をかけるんだと言われたって、この税金だれが払うんだと言われたとき、それはわからぬということでは国会の審議としてはきわめて不見識だと思う。したがって、この税金はどういう形でだれが負担するものであるかということをこの際明確にしておいてもらいたい。
  103. 細見卓

    細見政府委員 残念ながらわが国にはまだそういう形での統計がございませんので、いろいろな統計を駆使いたしまして推計せざるを得ないわけでございますが、勤労者の所有割合というのは、勤労者全体におきまして二三・三%の人たちが乗用車を持っておるというのが保有割合として出ておるわけであります。これらの数字とほかの保有割合とを合計いたしまして推計することはできょうかと思いますが、統計そのものとしては、正確なものはいま申し上げました勤労者全体の約二三・三%が乗用車を持っておる、こういうのがわかっておるわけであります。
  104. 門司亮

    ○門司委員 どうも統計がわからぬで、一体だれに税金をかけるかわからぬようで税金をかけられては国民としては迷惑だと思う。私はなぜそういうことを言うかというと、税金というのは、一つ課税の原則として担税能力というのが非常に大きな問題なんですね。担税能力のないところに税金をかけるということは不可能であります。したがって、この税金はだれが負担するのか、その負担する諸君にはたして担税能力があるかないかということが、税金を論議する場合当然議論されなければならないはずである。だから私いま聞いておきたいと思うのだが、私の数字とは少し違います。私のところでとってきた数字とは少し違いますが、ここで数字で議論すると時間がなくなってしまうから聞きますが、その二三・三%という勤労者の持っておる所得階層は一体どれくらいなんですか。
  105. 細見卓

    細見政府委員 階層別に申し上げますと、三十万未満が三・三%、それから三十万から六十万が五・四%、六十万から九十万までの階層か一五・四%、九十万−百二十万の階層が二二・九%、百二十万から百五十万までの階層が二六・六%、百五十万から百八十万までの階層が二九・八%、百八十万以上の階層になりますとぐっと多くなりまして四〇・五%。なお参考までに申し上げますと、個人営業その他の場合は一二・三%というような保有割合になっております。
  106. 門司亮

    ○門司委員 その数字も対象があるでしょう。たとえば高額所得者のほうは何%というけれども、比率はたくさん上がっても絶対数が少ないから、その中で比率が多いからといって必ずしも金持ちだけが納めているというわけではない。われわれの調査、いまこれはごく大まかな調査ですけれども、所得別に調べると、大体百五十万円以下の所得者というのが、大体八〇%くらいはその階層に属するのだといっても差しつかえがないと思う、全体からいいますと。そうするとこれらの諸君が、自動車に関する八つの税金をずっと総合してくると、一年に大体十万円くらいにならざるを得ないのですね。ここにちょっとしたあなたのほうの数字がありますけれども、かりにタクシーが十万キロ走る、それから自家用車がそれの大体五分の一くらいしか走っていないのではないか。こういういろいろな計算をずっと出してみても、そこからくる税負担というものを考えてみても、大体一年に十万円内外の税金は取られておる。その上にまたこの税金がかかってくるのですね。そうするとこの税金は大衆課税だということが私ははっきり言えると思うのです。ことに中小企業者が持っております自動車というのは、さらに中小企業者と目されております諸君の割合からいうと、保有量というものは約七〇%くらい、中小企業自体の保有量というものはそのくらいの割合で持っておると思う。そういたしますと、この税金はあげて大衆課税だということを言ってもちっとも差しつかえはない。これはひとつ大蔵大臣は是認されるかどうか、大衆課税ということを。金持ちの納める税金では決してないということ……。
  107. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまモータリゼーションが非常に進みまして、自動車はいわばもう奢侈品ではない、国民必需品だという段階にきた今日におきましては、私は、国民大衆が自動車を保有しているのだ、また使用しているのだ、こう言って差しつかえないと思うのです。それに対して課税をするのですから、そういう意味においてはまさに私は大衆課税だと言って差しつかえないと思います。思いますが、この税をどうしてかけるか、こういう問題になってくる。つまり道路事情が非常におくれておる、そのときに道路に損壊を及ぼす、これは道路使用者でございます。それからまた道路整備されることによって便益を受ける、これも道路使用者なんです。つまり使用者ということは大衆なんですから、そういう意味においては大衆ではございますけれども道路を損壊し、また道路整備によって恩恵を受けるという方に応分の軽微の負担をお願いをする、これは私は大体受け入れられていただける考え方じゃないか、さように考えております。
  108. 門司亮

    ○門司委員 大衆課税だということの言いわけをだいぶされたようですけれども、明らかな大衆課税である。それはなぜかといいますと、よくモータリゼーションといいますけれども、今日の社会情勢は、通勤その他に対して普通の交通機関で間に合うかということになると、やはり自動車を使ったほうがよろしい。それからどんなに小さな中小企業者でも、今日の社会情勢から見ればやはり自動車は持たざるを得ないということである。そこにこういう均等された税金をかけてくるということであるから、これはまさに大衆課税であるということに間違いないのである。大衆課税はとりもなおさずその人の生活を圧迫することであるということは間違いないことであって、こういう税金を一体どうして創設しなければならなかったかということについては、先ほどからいろいろ答弁もございましたし、私は重複しては聞きませんけれども政府の意図が一向わからない。  税金を取ることはいいとは言いませんけれども、税金を取るなら、世間の世論の中で一ついま残されておる問題としてあるのは、何といっても企業の使っておる、たとえば、私どもからいえばよけいなものだといえる交際費、これは約一兆円に及ぼうということがときどき新聞に書かれておる。こういうお金のところに税金がかけられないのですか。むしろこういうところに税金をかけて、そして交際費を抑制していく。交際費抑制は即物価の値下げになる。大衆課税であって、ことに中小企業の諸君やあるいは運送を業としている諸君がこれだけの課税を受ければ、一般の勤労者としては大衆課税になり、零細な業者については税負担の過重になってきて、ここに物価が上がらざるを得ないということである。佐藤内閣がほんとうに物価対策に取り組んでおるとするならば、やはり税の面においてもそういう形で物価の抑制をするという——一つの税のものの見方からくれば、いまのように一兆円も使われるというような交際費などというのはあり得ないのですね。外国の経済状態は、私は大蔵大臣のほうがよく知っていると思うのですが、見てごらんなさい。こんなにばかばかしい交際費を使っているところが一体ありますか。これは抑制する必要がある。抑制するには一つの方法としては課税である。いわゆる国家権力によって抑制しようとすれば課税である。そうすることが今日の社会では必要ではないかということである。  だから、私はこの税金の創設の意図がちっともわからぬのであります。ただ道路が悪いから税金を道路を利用している人にかけるのだというものの見方、これはあまりにも近視眼的なものの見方ではないかということであるが、この辺の御意見をもう一度承っておきたいと思う。
  109. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま交際費の御指摘でございますが、交際費はもともと会社経営上必要なものである、こういうものでありますが、特にあらわれた現象が世の中の批判を受けるということから、その対象額の七〇%に対して課税しているのです。これはかなりの課税をしているので、七〇%ということを御理解願いますれば、いまの御質問に対しましてはこれは十分御理解がいけるんじゃあるまいか、さように考えます。  しかし一面において門司さんは、そういうことをやってこの自動車新税のごときはやめたらいいじゃないか、それは何となれば大衆課税であるからというようなことだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、大衆に対する課税ではあります。しかし大衆課税ということばの持つ意味、これは負担能力のない者にもかけるんだというようなことでありますれば、そうじゃない。やはり交通整備されるということになりますれば、自動車の使用者はその便益を受ける。また重い自動車を使いますれば道路を損壊するというようなこと、そういう現象に着目しまして課税を大衆に対して行なうものでありますが、大衆課税ということばの持つ意味ですね、それとはだいぶかけ離れた考え方に立っておるのである、こういうふうに御理解を願いたいと思います。  それから物価政策をちっとも考えないじゃないかというようなお話でございますが、物価政策というような見地からいいますれば、道路整備される、これは物価政策土常識的に見て非常に有効な手段である、私はそういうふうに考えておるということも申し添えさせていただきます。
  110. 門司亮

    ○門司委員 私はどうも回りくどい物価対策だと思いますが、それからもう一つ、もう時間もあと幾らもございませんから長くお話しするわけにはいかぬと思うのですけれども、この税金の性格が、一つは大衆課税であるということをいわれておりますが、一体目的税なのかどうなのかわからぬのであります。説明はいかにも道路道路といわれているけれども予算上は目的税になっていないように私ども見ているのだが、そうでしょう。一般財源ということになりますと、いま言いわけされていることはちょっと私は当たらないと思うのですね、これを道路財源に使うのだということは。地方税のほうだけは、市町村道ということになって県道がはずされていることもちょっと考えものだと思うけれども、まあしかし目的税になっている。それはそれで税の使い道がわかる。けれども、どうも原案のほうはそういうことがあまり書いてない。道路に使うのだ、使うのだとおっしゃるけれども一般財源だということになるといささか問題がありゃしないかと思うか、この辺はどういうことですか。
  111. 福田赳夫

    福田国務大臣 この立法の趣旨道路整備というところからスタートしておるわけでございますが、法的に申し上げますと一般財源でありまして、目的税ではございません。
  112. 門司亮

    ○門司委員 だからこの税の性格というのは、皮肉に言えば田中構想だと言ったほうが——私はその疑いが出てくるのですね。かつて、自民党の幹事長であります田中さんが自動車新税をひとつこしらえて、そうして地下鉄だの道路も、国鉄が赤字で困っているからそっちのほうにも少しこれを回したらどうかなどと言ったことがありますからね。だから、同じ政府がやったんだからどうも——税の性格がはっきり道路に使うなら道路に使うのだ、こう目的税になっていればわれわれはそういう疑いを持たないのだけれども、どうも田中構想らしいということになるといささかわれわれは論議しないわけにはいかない。  その一つの大きな問題として出てきたのが先ほど議論になっておった、これを道路の安全施策に使うということが内輪では、大体四十分の一ですか、十億くらいをこれに充てようというような話があったそうでありますけれども、そんなことも明確に書いてあるとわれわれも税の議論をする場合に幾らかやりやすいのですね。大衆課税というのは、やはりある程度こういう特殊のものに税金をかけられる、ことに従来でも八つもあるようなものにもう一つ加えれば九つになりますから、こういう課税をしようというときには、政府は明らかに目的を示して、こういう事情だから、少し苦しいではあろうけれどもこれをひとつ納めてくれぬかというような親切さがなければならぬと私は思う。そうしなければ私は国民は納得しないと思うのです。おれたちにかけるけれども、この税金はどこに使われているか一向わからぬじゃないかということになると。しかも、この税金の非課税の対象になっているのはキャタピラでしょう。キャタピラは移動するときはあの大きなトレーラーに積んで持っていくから、その土地をじかに歩くのではないからという議論が成り立つかもしれない。そのほか特殊の大きな車には税金がかかってないのですね。私はこういうことを考えてみると、どうもこの税金の性格というものが一般財源に入れられたところに問題があると思う。  そこで、これは時間がございませんのでこれ以上大蔵大臣議論しているわけにいかないので、建設大臣に聞きたいのでありますが、建設大臣としては明確に、この税金は道路整備に関する税金だということが言い切れますか。そうしてそれに必ず使うのだということがあなたのほうで言い切れれば、これはまた一つ考え方も私は出ようと思う。
  113. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 専門の大蔵大臣がおられますから、税の性格について私から申し上げることはいささか僭越になると思うのです。ただし、この税が成立しまして、それの使途がおおむね大部分が道路に回るということはいえると思いますし、またそう期待しております。これは国道はもとよりのこと、地方道、特に今度はこれが四分の一が市町村道に回るということになりますから、この収入の大部分が道路整備に充当される、さように理解しております。   〔毛利大蔵委員長退席、福井運輸委員長着席〕
  114. 門司亮

    ○門司委員 建設大臣としてはそうおっしゃる以外に私はなかろうかと思うのですけれども、実際私どもの聞きたいことはそういうことが保証されるかどうかということでありまして、私のほうはできればさっき言いましたように、これは百歩譲るとして、日本道路が非常に悪い、これを一日も早く直さなければならぬからこれだけ負担をしてくれよというような、国民が理解できるたてまえになっておれば、私もいささか論議も少ないと思う。しかしこれが一般財源に入っているところに——一般財源に入りますとそのときそのときの関係でどこへこれが使われるのかわからないのです。わかるはずがないのです。だから建設大臣としてはそういうことを御希望されても、事実上大蔵大臣のほうで、去年の話はああだったけれどもことしは……などということになると、これまた国民は取られっぱなしで、何のことはない、ほんとうに税負担だけが過重になったということで一向おかげがないことになる。私はこういう点を非常に懸念するのであります。ですからこの点はひとつ、大蔵大臣のほうで明確に道路財源に回すなら回すのだということがここで言い切れますか。私はおそらくそう言われるだろうと想像はいたしております。腹の中がどんなであろうと、一応ここの答弁ではそういうことになろうかと私は思いますけれども、私どもやはり国民の疑惑というのはそういうところにあるのであって、だから税の性格からいってもいろいろ議論はございますけれども、使途についてもそういう疑惑があるということをひとつ知っておいていただきたい。  それからもう一つ、これは警察当局と、同時に建設大臣が見えておりますので建設大臣に聞いておきたいと思いますが、私どもがしばしば申し上げておりますように、日本道路の問題からくる交通災害をどう処理するかということがございます。その場合日本で一番欠けておるのは何といっても道路工学だと考えておる。道路というもの自身が交通安全を保障する道路でなければならないということは、道路の基本的な定義だと私は思う。その定義である交通安全を確保しなければならないということ自身が、道路をこしらえるときに忘れられておりはしないか。そこでどうしても警察のほうが、交通安全を受け持っておるほうが道路建設のお手伝いをして、そして安全設備をしていかなければならぬというところに日本の今日の交通災害の大きな悲劇が生まれておるということが私は言えると思うのです。こういう点に対して建設大臣並びに警察当局から、ひとつこの際御答弁を願っておきたいと思います。
  115. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘の点は確かにあると思います。しかし一面におきまして、どんなに道路に安全施設をつくりましても、ドライバーが無謀な運転をするとこれはどうにもなりません。両々相まってやらなければならぬと思います。ただ従前から見れば、今度の新しい道路五カ年計画道路構造令も改正いたしまして、安全に重点を置いてやっております。それから歩道と車道との分離、さらに信号等、こういうような安全施設を特に重点を入れてやり、それからもう一つは通学路、こういうもの、特に車両の非常にふくそうして、とてもそこに歩道をつくっただけでもあぶないというものは別に通学路を設定するなり、あるいはまたサイクリングの道路をつくる等、今度の新しい五カ年計画にかなりそうした綿密な配慮をいたして、実行する予定でございます。
  116. 片岡誠

    ○片岡政府委員 数年前までは先生おっしゃるような状態がわが国の現状であったと思います。ただ、数年ぐらい前から交通工学に関する技術者も建設省にも相当できてまいりました。それから私どものほうにも交通工学に関する技術者もできてまいりましたし、信号機あるいは信号機の広域管制に関するエレクトロニクスを含めた技術者も相当数出てまいりました。今後は道路管理者と十分協議いたしまして、科学的な交通の管理が行なわれるようにしてまいりたいと思っております。
  117. 門司亮

    ○門司委員 ちょうど時間になって、あと二分くらいしかありませんからオーバーになるかもしれないと思いますが、これ以上は申し上げませんが、しかし私ども大蔵大臣並びに建設大臣に考えていただきたいことは、大体、税の体系あるいは税の基本的な原則というようなものから離れたような、しかもこの種の税金であってその目的が違う、ばく然として一般財源であるというようなことは、私は税制上については非常に大きな疑問があると思うのです。同時に、このことで国民を納得させるわけにはまいらぬと思います。その点だけはひとつ申し上げておきますので、御了承願っておきたいと思います。
  118. 福井勇

    ○福井委員長 次に、内藤良平君。
  119. 内藤良平

    ○内藤委員 私は運輸関係の立場からいろいろお聞きしたいと思います。  最初に、この法案についていろいろ諸先輩の審議の内容を承っておりまして、さて、これはどういうものかと思うのは第五条、非課税自動車に大型特殊自動車、これを入れていますね。さっきの大臣の御答弁では道路の損壊ということを非常に強調されておる。この大型の特殊自動車というのはどういうわけで除いたか。簡単でいいですからこれをまず聞きたいと思います。
  120. 細見卓

    細見政府委員 この大型の自動車は通常キャタピラによって進行するものでございまして、道路を走行するということは少ない、したがって車検上も特別な番号がついておる、そういう点を考えたわけでございます。
  121. 内藤良平

    ○内藤委員 道路運送車両法の第三条ですか、いわゆる大型特殊自動車の定義というものがあるわけですけれども運輸省自動車局おりますか。——例の道路運送車両法の三条による大型の特殊自動車、これを別表には英語を和文に訳したものが書いてある。だけれども一般的にわかりやすく——ぼくらが街頭で見る、いろいろ書いていますね、それはわかりやすく言ってどんなものですか。あなたは法律を見て、クレーン車であるとかあるいはミキサー車であるとか、いろいろあるでしょう、そういうものをちょっとあなたなりに訳して読んでみてくれませんか。キャタピラだけが大型特殊自動車かどうか。
  122. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  大型特殊自動車といいますのは、いま先生の御指摘のようにキャタピラを装備した自動車もございますが、そればかりではございませんで、主として建設作業その他に使われるような特殊構造を有し、走ることそれ自体を目的とするということよりもむしろいろいろの作業に従事し、そしてその作業のためにたとえば場所をある程度移動するというようなもので、非常にトン数の大きなものでございまして、そういうのが大型特殊自動車でございます。
  123. 内藤良平

    ○内藤委員 だから局長、ミキサー車も入るでしょう。入りますか。クレーン車あるいは土台をどすんどすんとやるあれ、あれも自動車に積んでおるのもある。ああいうのも大型特殊自動車じゃありませんか。
  124. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  通常のミキサー車は入らないと思います。それから建設作業等に使います、地盤打ちをいたしますようなものは入るものが多いと思います。通常のクレーン車でひんぱんに移動するのは入りませんが、作業を主目的とするものは入ると考えております。
  125. 内藤良平

    ○内藤委員 そうすると、道路運送車両法による大型特殊自動車は非課税自動車になっておるわけでしょう。あなたのお話を聞くと主税局長の話と違うね。だいぶ税金を取ってもいいような車があるんじゃないですか。そこら辺をどっちからでもいいから……。(「統一見解をはっきりしろ」と呼ぶ者あり)これははっきりしなければおかしいじゃありませんか。審議ができないじゃないですか。キャタピラだけじゃない。
  126. 細見卓

    細見政府委員 キャタピラというのは、キャタピラ等というつもりで申し上げたのでありますが、道路の走行を主たる目的としないで、主として作業とか特殊な作業に従事する自動車で、多くの場合、移動する場合には別に走行車に乗せて移動さすというものも多いというふうに聞いております。いずれにいたしましても道路の走行を主とする、いまおっしゃっておるようなミキサーとかいうようなものは、私の不確かな知識でございますが、車両の番号として八がつくというものは道路を走るし、そうでないものは走らない、こういうふうに聞いております。
  127. 内藤良平

    ○内藤委員 主税局長の話ははっきりしませんね。これは法律で、道路運送車両法に大型の特殊自動車ははっきり明文が出ております。それを全部委員の皆さんにわかりやすくあなた知らしてください。
  128. 野村一彦

    ○野村政府委員 申し上げます。  道路運送車両法の施行規則の別表第一というのがございまして、それに大型特殊自動車といたしまして「カタピラを有する自動車、ロード・ローラ、タイヤ・ローラ、ロード・スタビライザ、タイヤ・ドーザ、グレーダ、スクレーパ、ショベル・ローダ、、ダンパ、モータ・スイーパ、ホーク・リフト、ホイール・クレーン、ストラドル・キヤリヤ、アスファルト・フイニツシヤ、ホイール・ハンマ、農耕作業用自動車及び土木作業用牽引自動車軽自動車及び小型特殊自動車以外のもの、ポール・トレーラ並びに運輸大臣の指定する特殊な構造を有する自動車」、こういういうものを具体的にあげてございます。
  129. 内藤良平

    ○内藤委員 それは審議の関係上、図解でもして、何か図でも見なければわからぬじゃないですか。道路を損壊するかしないか、これだけでは私は非常に疑問があると思う。運輸委員だから聞いているのだ。この点は非課税自動車にするには、いまあなたのお話を聞いただけでもこれは問題がありますね。これはちょっと問題が大き過ぎるじゃないか。主税局長もわからぬでしょう。キャタピラのものはあるいはトレーラーに積んでいくからこれは損壊しないかもしれぬ、こういう理解らしいけれども、それがいろいろ重いのがあるわけだ。それを非課税というのは——あなたは税金を取るほうでしょう——取るほうじゃないが、主税のほうでしょう。どうもその点は、この点だけでもちょっと法律上問題があって進まれない。運輸省で何かこの点ははっきり統一見解を大蔵省とやったですか。
  130. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま名前を例示的にあげましたが、その構造上の特徴を申し上げますと、たとえばキャタピラを有する自動車といいますのはキャタピラによって移動する自動車のすべてをいう。代表的なものはブルドーザーである。それからロード・ローラーは両輪のかわりに鉄、石などのローラーを装備し、路面の締め固めに使用する自動車、そういうふうに構造上の特徴が具体的にはっきりしておるものでございまして、先ほど申し上げましたように主として作業をすることが主目的であって、その作業のために部分的に移動することもありますが、主たるねらいは作業をするというようなものをここにいいます大型特殊自動車、こういうふうに考えておるわけでございまして、ただいま申し上げましたような構造上の特徴を有する車を考えておるわけでございます。
  131. 内藤良平

    ○内藤委員 運輸委員の私もはっきりしない。あなたの説明だけではわからぬ。ただ主務大臣の大蔵大臣は、道路を損壊する、これを主目的にお話ししている。そうすると、その考え方からいくと、大型特殊自動車を税金をかけないというのもやはりふに落ちない。いまお話しになったように、きわめて道路をこわすようなものが多いわけだ。これは大臣、いまわれわれの質疑の中でもわかるでしょう。これはどうしますか。
  132. 細見卓

    細見政府委員 この税の目的にあたりまして、自動車に新たに負担を求めた理由といたしましては、自動車が非常にふえまして、その結果道路が混雑する、あるいは道路を補修しなければいけない、あるいはまた新たに道路をそのためにつくらなければいかぬ、そういうことが、ひいては流通の混乱あるいはまた交通の災害、あるいはまた交通安全のためのいろいろな施設を設けなければならない、そういう社会的なコストがかかるということ、つまり道路の走行が、道を走る自動車が多くなったということがそういうことになったということで、広く自動車負担を求めたわけでございまして、いま自動車局長から話がございましたように、大型特殊の自動車というのは、道路を走るほうを主たる目的としておらない自動車ということで、運輸省とよく話をいたしましてこれは課税の対象として除いた。したがって、この自動車につきましては非課税にいたしたということでございます。
  133. 内藤良平

    ○内藤委員 すると重さの関係が薄くなってしまうのじゃないですか。重さの関係中心でしょう。どうもあいまいな話になってきました。その点いかがですか。
  134. 細見卓

    細見政府委員 午前にも話が出たわけでありますが、自動車車検登録に際しまして、いろいろな形で登録税といいますか、その税金のかけ方があるわけでありますが、そのかける基準といたしまして、たとえば、ぜいたくなものを重くかけたらいいじゃないかという議論もございました。あるいはまた排気量に応じてかけたらどうだというような議論もございました。あるいはそのほか型でかけたらどうかという、いまの物品税のような考え方もございました。それらを総合的に勘案いたしまして、現在の自動車負担の求め方として、一方では諸外国は——もう運輸委員の皆さんでございますからよく御存じでございましょうが、たとえばトラック税とかあるいは重量運送税とかいうようなものがあるわけでありまして、わが国の自動車に対するかけ方としては、重さというものを基準にしたかけ方がない。しかもその場合に、重量に応じて諸外国では累進的な課税をいたしておるわけでありますが、累進的な課税をいたすにいたしましてはまた科学的に、自動車の重さというものが道路損傷との間にどういう科学的な関係があるかというのが現段階では立証されておらない。その意味におきまして、しかし、常識的には重いほど道をいためることは多かろうということで、この登録税の基準としては重さをとった、こういうことでございます。
  135. 内藤良平

    ○内藤委員 だから局長、なぜ非課税にしたか、大きい特殊な車を。これは重くて道路をこわすのが非常にひどいと思うわけだ。これをなぜわざわざ除いたかということ、これはどうなんですか。あなたの話はさっぱり私の質問の答えになっていない。
  136. 細見卓

    細見政府委員 その場合に、車両制限令にひっかかりますために、専用のキャリアで運ばれるものが比較的多いわけでありますが、この専用のキャリアにつきましては御承知のようにトラックとして重量税がかかるわけで、しかもそのトラックは積載量を含めて総重量でかけるわけでありますから、これらに対する課税はその意味では行なわれておる。しかも道路を走るものはその積載車であるというわけでございます。
  137. 内藤良平

    ○内藤委員 だけれども、今度のこの法律は、車を持っているということでかかるわけでしょう。車検を受けていつでも走れるような状態にしておくわけだけれども、とにかく車を持っていても、毎日走らなくても、たまに走る方でもこれは取られるわけだ。一年に一ぺん走る方も取られるわけだ。そうでしょう。大型のこの特殊自動車は、これはやはり自走装置があるのですよ。これは一年に一ぺんぐらい道路を走らないということはだれが保証できますか。どっちなんです。
  138. 細見卓

    細見政府委員 その点が私どもがたびたび申し上げておることでございまして、この自動車重量税自動車の保有ということにかかるのではなくて、車検を受けることによって自動車の走行ができる、したがいまして自動車の保有者でなくて、自動車の主として使用者である車検を受ける人が納税義務者になっておるわけでございまして、この点について先般も大蔵委員会で申し上げたのでありますが、ここでもう一度申し上げますと、たとえば月賦販売で自動車を売っておる場合に、多くの場合、自動車の所有権は販売会社にありまして、しかし使用者が車検を受けるわけで、この場合の納税義務者は使用者である。そういう意味でこの税の義務者は使用者でございまして、その車検を受けて道路を走るのは、この場合、多くの場合、そのキャリアとしてのトラックが走ることになろうかと思います。もちろんそういう意味で例外的なものが一切ないということは、私も自動車のことをよくはわかりませんので、申し上げれば間違うかと思いますが、おおむねの線としては私どもはそれなりに走る自動車、しかも車検を受けてそれによって走ることを許可された自動車というものが課税の対象になり、軽自動車の場合は車検制度がございません、登録によって走るわけでございますから、車検を受けた者、登録を受けた者、その受けた人ということになっておるわけでございます。
  139. 内藤良平

    ○内藤委員 そうなるとやはり走行キロも考えなくちゃならぬ。あなたの話は、だんだんたぐっていくと走行キロによって課税しなくちゃならぬということになるじゃないですか。
  140. 細見卓

    細見政府委員 それは関係ないと思います。
  141. 内藤良平

    ○内藤委員 いや、だけれどもあなたの話を聞いていると、やはり車検を受けて走るということを言っている。車検を受けても走らない場合もあるわけです。二年間走らぬ場合もあるわけです。そういう方はどうしますか。
  142. 細見卓

    細見政府委員 走らない方が、たまたま物理的に走られなくても、この車検を受けることによって走る権利取得しておられるわけでありますから、その意味で税は払っていただくわけで、現実にその車が走らない、さらに極端な事例を申し上げれば、事故によってその車がこわれましてもこれは還付はいたしません。自分の事故によって起こった場合は還付いたさない、こういうことになっておるわけでございます。
  143. 内藤良平

    ○内藤委員 そうなると、さっきお話が出ましたように、現在の税金でも八種類あるでしょう。この中には走ることによって負担している税金もあるわけだ。結局ガソリン税とかあるいは揮発油の税金、こういう面で取られているわけじゃないですか。だから重複という先輩のことばが生きてくるわけだ。何か話がとんちんかんになってくるんだな。
  144. 細見卓

    細見政府委員 私が説明が悪いせいか、これでもう数回繰り返しておるわけでありますが、税としてお考え願うときに、固定資産税を例にとって申し上げたらいいかと思いますが、端的に家をとりましょう。家を持っておりますと、年々御承知のように固定資産税がかかります。これが府県におきまする自動車税であり、それが軽自動車である場合には軽自動車税であるわけであります。それからいま一つ、家を買いましたときには御承知のように不動産取得税というのがかかるわけです。しかし、不動産取得税がかかりましても、その家を自分の家として登録いたしましたときには登録税がかかるわけでありまして、それは家を他人から完全に自分の所有権のあるものとして国によって保護されるという意味におきまして登録税があるわけでありますが、それがこの場合には自動車重量税になるわけです。その家の場合でありますと、家は価格を基準にして登録税がかかりますし、この場合、自動車につきましては、自動車の重さを基準にして登録税を課しておる、こういうわけでありまして、走行に伴いまするいろいろな負担につきましては、御承知のようにガソリンを使う自動車、主として自家用自動車でありましょうが、それにつきましてはガソリン税があり、営業用のタクシー等は石油ガス税、LPGがあるわけでありますし、御承知トラックにつきましては軽油引取税がかかっておる。こういうわけで、税としてはそれなりに整っておるわけでありまして、その意味で、私の説明が悪いんだろうと思います。
  145. 内藤良平

    ○内藤委員 それじゃ、いま八種のあれがあると言ったけれども、この八種は、物品税自動車取得税、自動車税、揮発油の税金、軽自動車税地方道路税、軽油引取税、石油ガス税、これだけですね。だけれども、あなたの登録云々というのは、そのほかに外車の場合は関税がかかる。それから登録免許税というのがあるわけだよ。車の場合は登録免許税を取られるのですよ。あなたの言う登録的な面ももう取られているのだよ。幾ら理由をつけてもこれはなかなか取りようがないんじゃないですか。
  146. 細見卓

    細見政府委員 お話しのいま一つふえる場合はさらに権利関係が複雑になりまして、抵当権が設定された場合に起こることでございます。
  147. 内藤良平

    ○内藤委員 ますますわからなくなってまいりましたが、そこでまたちょっと自動車局長に聞きたいのですが、いまの大型特殊自動車はやはり車検は必要ですか、必要でありませんか、法律によりますと。
  148. 野村一彦

    ○野村政府委員 課税の対象になっておりますものは当然これは車検が必要でございます。一般自動車というもので、軽自動車車検の対象になっておりませんが、いわゆる自動車というものは道路運送車両法上車検の対象になっておるものでございます。
  149. 内藤良平

    ○内藤委員 いや、自動車局長、だから大型特殊自動車車検が必要ですか、必要じゃありませんか。車がついて、ミキサー車あるいはクレーン車、あるでしょう。自走しておるものだ。
  150. 野村一彦

    ○野村政府委員 大型特殊自動車車検が必要でございます。
  151. 内藤良平

    ○内藤委員 ますますこの法律は、運輸の自動車関係から見るときわめて不可解な問題が多くなっております。この点を、私は持ち時間が五時三十三分までですから、これだけを話しておりましてもなかなか進まぬでしょうから、ただ、今日のこの道路運送車両法の大型特殊自動車、これを除外したということに端を発していろいろ矛盾した問題が出てくる、こういうことだけは皆さんに明らかにおわかり願えたと思うわけです。これは大蔵委員の皆さんも、ぜひひとつおわかりになっていただきたいと思うのです。  それからこの税金を必要とする問題ですね、大臣。先ほど来諸先輩も言っておりますけれども道路をよくするために税金が足りない、今日まで八種類の税金を取っているけれども、三千億ぐらい足りないというお話でした。そこでこういうものを考えた、こういうお話です。ところが担税能力ということは、先ほどお話も出ましたが、われわれの調査では現在のこの八種類の税金だけでも、一〇〇〇から一五〇〇ccの五十万円ぐらいの車で月当たり千六百キロぐらい走る。一リットル当たり十キロぐらいの燃料ですね。これを現在の八種類の税金でトータルしてまいりますと五カ年間に四十四万五千五百円。これに自賠責の負担を加えますと五十三万五千五十円。現在の自動車関係の八種類の税金を積算しますと、五年間してまいりますと、税金は、いろいろこういう負担で、買った五十万円をオーバーしちゃうわけです。こういう今日のユーザーの、車を持っておる方の現状なんですね。その上に、道路財源が足りないといいましても、まだトン税、この税金をかけるというのは、これはあまりにも過酷過ぎるんじゃないか。もう五年間で買った値段以上の税金の負担をしちゃうわけですよ。この点は苛斂誅求といいますか、まあ取れるだけ取るといいますか、取りやすいものから取るといいますか、幾ら自動車道路関係があるといっても、こういう現実の八種類の税金をいま負担しておる方々からまた目方で税金を取るというのは、これはどうしてもやはり一般の方は——しかも、大臣もさっきおっしゃったとおり、モータリゼーション、必需品になっているのです。この点いかがでございますか、負担の問題。
  152. 福田赳夫

    福田国務大臣 確かにそういう一つ一つのケースをとってみますとかなりの税額だと思います。しかしそれじゃ道路一体どうやって直すんだ、どういうふうに整備するんだというと、所得税を取るか、こういうことになるとこれはなかなか問題でしょう。また、法人税を充当するといたしましても、これも会社資本ですね。非常に薄弱なわが国の法人の現状から見まして問題だ。どこにその財源を求めるか、こういうことになりますと、やはり道路を使用しその便益を受ける、また道路を損壊をするなどの社会的コストを巻き起こす、そういう自動車自体にその課税負担を求めるという考え方、これが出てくるわけなんです。しかも、今回のような軽微な課税をいたした場合におきまして、その後における一つ自動車に対する負担が国際社会で見て非常に高いかというと、そうじゃない。まあ、低いともいえませんけれども、中よりは下のほうな状態なんです。そういうふうなことを考えますと、非常に緊迫した道路整備、その財源として、自動車の使用、そこに着目をする、これはまた私は自然の成り行きであり、御理解をいただけるのじゃないか、そういうふうに見ておる次第でございます。
  153. 内藤良平

    ○内藤委員 そこで大臣、金が足りないから新税を起こそう、こういうことです。重量問題につきましてはさっきの議論のように、これはまだいろいろな矛盾点があるが、法文の中にまだ解明の足りない点もあるけれども、それはまた大蔵委員会等にまかしても、いままでの八種類の自動車ユーザーの負担している税金ですね、これをなぜこのままにしておいて——さっきの御答弁の中では、これらは将来いろいろ考えなくちゃならぬ、こういうことを言っておりました。しかし、これは考えなくちゃならぬ、いろいろな矛盾があるということはあなたはおわかりになっている。現在のユーザーの、自動車を持っている方の負担の八種類の税金をさておいて、なぜここで新税というものを出さなくちゃならぬのか。どうしてそういうぐあいにしたのか。ぼくらの考えでは、いろいろ矛盾点を解明するなりして、あるいは八種類を統合して、道路のほうの税金が足りないならば、現状の八種類の税制の中であるいは増徴等を考えてもいいのじゃないかしら。新たに新税を設けるという理由は、どうもますます自動車関係の税金を紛糾せしめるといいますか、混乱せしめる、こういうぐあいにもなるのじゃないか。なぜそうしなくちゃならないのか非常に疑問に思うわけです。なぜですか。こういうぐあいにお聞きしたい。
  154. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま八種類の税が一つの客体にかかっておる。これは確かに複雑多岐にわたっていると思うのです。そこで、これを一体整理簡素化できないか、こういう議論が起こるのは私は当然だと思う。しかしこれもなかなか議論のあるところでありまして、先ほどあなたの党の御意見では、そんなことはなかなか容認できないぞ、こういうような御意向でもあったようで、なかなかそう簡単に結論ができないのです。そこで、しかし金が要る。その金は自動車にこれを求めるという場合におきまして、いままでの既存の税では適用されなかった形のものを考えるということにいたしたわけなのです。つまり、重量に対して課税をする。使用者、つまり道路を損壊し、また道路の使用によって便益を受ける、そういう現象に着目をいたしまして、道路の使用者に課税をする、こういう考え方をとったのでありまして、私は、非常に複雑多岐にわたることにはなりましたけれども、矛盾はない、こういうふうに考えているのです。ただ複雑多岐にわたっておるということ、これは、税というものは国民から見れば簡明であったほうがいいというふうに考えますので、この簡素化につきましては今後の検討問題にいたしたい、こういうふうに申し上げておるのです。
  155. 内藤良平

    ○内藤委員 それじゃ大臣、また別の角度から。この法案の中にも関係しますけれども、運輸の関係では、過疎過密の関係でいなかのほうではバス会社はつぶれつつある。住民の足は奪われている。もう自動車以外にはないわけです。鉄道もはずす。民間の鉄道はどんどんはずしております。国鉄だけはかろうじてもっております。バス会社もあっちこっち容易じゃないということで、いま運輸省ではそれに補助金を、たいした額じゃないけれども出しておる。しかし今度はそういう営業車も全部取るでしょう、税金は。これもおかしい話じゃありませんか。  それとまたいまの交通問題、過密の関係は御存じのとおり、先ほど来出ておりますように、総合的な交通体系をつくらなければ都市交通というものはどうにもならぬということは運輸の段階で議論されている。その中の一つの国鉄問題でも、大蔵大臣は、国鉄は総合的な交通体系をつくらなくちゃどうにもならぬから、ことしは暫定予算でいくんだ、そうして来年から抜本的なものをやっていく、こういうお話でした。総合交通体系の中での国鉄問題だけをとらえてもそういうわけだ。その財源はどういうぐあいにお考えになっているか。いま国鉄は緊急に、職員の諸君が、働いている皆さんが、いろいろな面で苦しめられているといいますか、合理化問題でストライキをやるところだ。  交通関係は国鉄だけじゃありません。いろいろありますけれども、賃金の問題でもなかなか上がらない。料金は免許制だ。国鉄の場合でも、民鉄でも、バスでも、全部これは運輸大臣の認可の関係だ。物価の関係があるからなかなかこれは上げない、そういうぐあいになっているわけです。  そういう中で、この法律でいきますと税金だけはどんどん取ってしまう。しかも自動車関係の八種類のいろいろな税金があって、まだこれは将来に延ばさなくちゃならない。今日は手のつけようがない。国鉄の財政も、どうにもこれは手のつけようがないから来年に回す。道路の問題を強調されておるけれども道路も、総合的な交通体系の中ではやはり道路を含めた交通体系を、これを議論し、つくってもらわなければ、道路だけどんどん進んでも困るわけだ。鉄道がどうなるんだ。国鉄、民鉄、バス、ハイタク、飛行機、船、道路関係あるわけですけれども自動車が走る道路だけどんどん進めて、その財源が足りないから、自動車関係のすべての八種類のあれをさておいて新税をつくって、そして道路だけを進めよう。だけれども一方では総合的な交通体系がなくちゃならぬ。特別会計をつくる。こういう状態ですよ。一番ひどい国鉄はとりあえず抜本的な対策のできるまで、ことしは間に合わせだ。  どうも、政府交通問題は、道路も含めてわれわれは考えるんだが、まだこんとんたる中で、ことしじゅうには何とか体系をつくって、来年から抜本的にやろうという中で——八種類の税金の問題も含めてだよ、私はこれは財源の中に入っておると思いますから——ところがトン税だけぽんと出てきているわけだ。そして道路関係だけを、足りない面を充当して道路だけどんどん進んでも、いま運輸関係でやっている総合的な交通体系の問題はどうなるんですか。国鉄の問題はどうなるんですか。過疎のバスの会社はどうなりますか。過密の都市交通はどうなりますか。いま現にあの常磐線の乗り入れの問題はどうですか。その財源はどうですか。そういうぐあいに別の角度から見ますと、今日この自動車トン税が出てきたということはまことに私はふしぎにたえないのです。出るべきものじゃないのが出てきたということです。いままでのわれわれの関係した論議の中では、これはとりあえず間に合わせて、抜本的な総合的な交通体系等ができた中で、こういう問題が含まって新税問題等が論議さるべきではないか、私はこれが筋じゃないかと思う。いかがでありますか、大臣。
  156. 福田赳夫

    福田国務大臣 どうも、内藤さんは非常によく道路事情、その他の交通事情を御承知のように承りました。つまり、いま交通体系を総合的に整備する、これは非常に重大な問題になってきておると思うのです。交通ばかりじゃない。あるいは上水道だ、下水道だ、住宅だ、港湾だ、治山治水だ、いわゆる社会資本にずいぶん金が要るんです。だから私は国会でも皆さんに申し上げているのですが、これからそういう社会資本整備という問題に迫られておる。そこで国民の負担は、この数年間のうちにどうもいまの一九%という負担率ではとてもやっていけない。二%になるか三%になるか、その程度のことを考えなければならぬ。また国民にもそれだけのことは覚悟していただかなければならぬ、こういうふうに申し上げておるのでありますが、しかしその中でもこの交通問題、特に道路の問題は非常に差し迫ったものになってきている。そこで道路だけは先行いたしまして四十五年度から新五カ年計画が立てられた。ところが、そうすると国会でまた御指摘がある。三千億財源が五カ年間で不足しているじゃないか、これをどうするのだ。そこで私のほうでは、四十六年度予算の編成の際にその財源はこれを明らかにいたします、こういうふうにお答えを申し上げておるわけでありまして、私どもはそのいきさつからこの自動車新税というものを考えた。皆さんに対する公約を忠実に実行しておるのだというふうに考えておる次第でございまして、国鉄の問題とか過密過疎の問題とか、いろいろあります。ありますが、とにかく一つ一つ解決がつくものからやっていかなければならぬ。かといって国鉄を放置しているんじゃないのです。ちゃんとつなぎの措置は講じておる。そして四十六年度中には総合体系を立てる、その一環として国鉄問題も解決していこう、こういう考え方でおりますので、その辺はひとつ御理解をいただきたい、かように考えます。  それから、過疎地帯のバスその他営業用のバス課税をするのは不当じゃないかというお話でございますが、税というものは一つ一つのケースによって差別するということは非常にむずかしいのです。そこでとにかく一応営業用といえども課税をする。しかし過疎対策は過疎対策としてまた別途考えるという考え方をとる、これが妥当ではあるまいか、私はさように考えております。
  157. 内藤良平

    ○内藤委員 大臣、いろいろ問題がありますけれども、それではどうですか、運輸大臣もおいでになっていますが、交通関係の運賃、料金はほとんど認可料金ですね。これは物価問題ということで簡単に許可が出ない。そこでいろいろ交通関係の諸問題が出ているわけです。賃上げの問題もあります。労働条件の問題もある。中にはまた過疎問題で倒れるものがある。いろいろ公共的な面で交通関係は制約を受けている。そういうところも同じように税金を取るというのも、これもまた政府の総合的な交通体系から見るとまことにずさんな今度の法律じゃないか。一方が物価問題で押えられているんですよ。私鉄でも国鉄でもバスでもタクシーでも航空機でも、全部ですね。こういう関係はそのままにしておいて、この法律によりますと、大型の特殊自動車だけは除いてあと全部税金を取るわけでしょう。こういうやり方をして国民の皆さんが納得するわけないですよ。公約といってもだれに公約されたか、大臣。これはぼくはよくわかりませんけれども、少なくとも社会党はそういう公約を受けたような感じはしないですね。いま全体から考えますと、いまのような話の中では、これだけ公約を実行したといってもほかのほうがしり抜けでは何か妙なぐあいの公約になってしまうのじゃないでしょうか。だからもう少し大臣も真剣になって、と言うと失礼ですけれども、いままでも真剣な御答弁だと思いますけれども法律そのものに対する御自信といいますか、確固たるものがないのじゃないか。私がお話しした範囲内でも、どうもこれは納得いかない法律だと私は思うわけですけれども、いかがですか。
  158. 福田赳夫

    福田国務大臣 この新税は、さきに国会で、私は新税とは申し上げません、道路五カ年計画不足財源については、四十六年度予算編成の際にこれを明らかにいたします、ということを各委員会において申し上げておるわけであります。それを忠実にやらないと、これは国会に対する信義に反する。そういうことが発端でこの新税問題というものが始まってきたわけでありますが、さてその新税をどういう形にするかということにつきましては、先ほどからるる申し上げましたとおり、自動車を使用する人にこれが負担を求めなければならぬというふうに考えたわけなんです。とにかくいまわが日本は、道路をはじめ社会資本のおくれの取り戻しということに真剣になって取り組んでおるのです。真剣になっておるその一つのほとばしりがこの新税である、こういうふうに御理解を願いたいのですが、なるべく早く道路整備する。いま物価の問題のお話もございましたけれども、物価問題だって継ぎはぎ、こう薬ばりではいけない。やはり交通道路事情というものをよく整備いたしまして、流通というものが順調に行なわれるということになって初めて私は根本的な解決になるであろう、こういうように考えるわけであります。とにかく今度の新税、乗用車につきましては年間約五千円、またトラック等につきましても一万円くらいなものでありますので、その辺の御負担を願う、そうして道路事情をちゃんと整備するということ。その選択をどうするか、こういうことなんだろうと思いますが、この辺のことは国民が十分理解していただけるであろうと、自信を持ってさようにお答えを申し上げます。
  159. 内藤良平

    ○内藤委員 まだ三十三分まではちょっとありますので……。  道路道路と大臣おっしゃいますけれども道路がよくなって車がうんとふえて、それで大都市、大東京周辺なりベルトラインは過密の中の渋滞状態で、車があまりにも多くなってしまってどうにもならぬ。営業車の関係も、営業する車が商売にならないということで、いろいろな関係でそこで総合交通体系の閣僚会議もできたわけです。それは大臣もおわかりでしょう。いまや道路を含めて、自動車を含めて、総合的な交通体系をつくらなければどうにもならぬということになっておるわけだ。これは運輸省が当面担当してやっておるわけでしょう。経済企画庁もやっておるわけだ。そういう中でこれだけ、いま新税をつくる必要はないと思うわけです。そういうものができて、その上で財源をどうするか。やはりこれは一足早くできちゃったのですね。これを引っ込めて、そうして総合的なものが四十七年度にできる、それからこういうものを含めて再検討してやられる、そういうぐあいになったら国民の皆さんもあるいは納得するかしらぬけれども、このままでは、道路道路という名目だけれども、結局はユーザーの皆さん、持っている皆さんに負担が極端にかかるかっこうになってしまう。そうして交通問題はさっぱり進まないのではないか。あるいは、来年の、総合交通体系ができて新しい財源をどうしても大蔵省でつくらなければならぬ。いろいろ検討されるわけでしょう。当然自動車も対象になる。私はそう思います。その際に、この法律は御破算にしますか。一年限りで御破算にしますか。総合交通体系の財源はどういうぐあいにお考えですか。
  160. 福田赳夫

    福田国務大臣 総合交通体系の財源は総合交通体系を立てた時点で考えたい、こういうふうに思いますが、内藤さんのおっしゃること、私もよくわかります。しかし、さればといってこのわが国の道路事情、また道路関連の交通事情、これは一刻の猶予も許さぬと思うのです。さようなことを考えますときに、昭和四十六年度に自動車新税を設定しました、来年になって総合体系ができたからこれが不要になるかというと、先ほど申し上げましたようにわが国の社会資本というものは非常に立ちおくれておる。これの取り戻しには金がかかる。数年間を展望しますと国民の税負担は二、三%はどうも上げなければ、この社会資本整備の要請にはとても及びつかない。こういうことを考えると、新税は来年廃止されなければならないというような運命に置かれるとは毛頭考えませんし、一年先にこの問題を片づけてよかった、こういうふうな感じになってくるんだろう、かように考えます。
  161. 内藤良平

    ○内藤委員 時間もないようですから、ちょっと確認したいのでございます。  いまお話ししましたが、主税局長交通関係はハイタクでもバス会社でも国鉄でも営業関係は悪いのですよ。民鉄は二三%運賃を上げましたから幾らかあれだけれども、これだってまた容易じゃなくなる。こういう交通事情で経営が悪いいまの一般的な交通事業関係に対しても、税金は一律に取るのですか。何かの減免の措置は考えられないのですか。これはこまかい問題であるけれども、もう時間もないから確認しておきたい。
  162. 細見卓

    細見政府委員 いまのところ、そういう税のあり方じゃないと考えております。
  163. 内藤良平

    ○内藤委員 それからもう一つ、これを徴税する実際の現場は陸運事務所ですね。陸運事務所は御存じのとおり、モータリゼーションで車がどんどんふえまして、検査をする場合でも民間に委託をしてやっているわけだ。そういう状態の中で、百三十何名の増員で全国の陸運事務所がこの徴税を完全にやれますか。車検も民間に委託するような現実なんですよ。車検の要員を運輸省が要望してもなかなか実現できない現状なんですよ。そういう中で徴税関係の人間だけふやしても、実際上これは捕捉できますか。この機会に車検関係も含めて運輸関係の現場の人間をふやそうというのならばわかるけれども、徴税の人間だけ百三十何人ふやして、車検関係はいままでどおりということであれば、これは現場では紛糾するだけで、仕事は進まないと思う。これはこまかい問題だと思うけれども、一言聞いておきたい。
  164. 細見卓

    細見政府委員 なるべく陸運事務所車検場におきまする負担をかけないようにということで印紙納付制度を導入しておるわけでございます。しかしそれにいたしましても、新しい事務を負担していただきますので、運輸当局とも十分御相談いたしまして、そういうことの必要な資材あるいは必要な人員の確保について、われわれも大いに関係当局にその実情を話して、その適正な実現を期したい、かように考えております。
  165. 内藤良平

    ○内藤委員 運輸大臣おりませんか。——大蔵大臣に、私率直に言いまして、今度の新税問題は運輸のいままで論議しました経連からいうと納得いかない、内容も不備だ、こういうことでお話し申し上げてありますけれども、さっきからお話ししている総合交通問題ですね、この問題は運輸関係でも、日本のこれからの発展のためにも非常に大切な問題だ、これは大臣とぼくらも一致した意見で、作業を進めておるわけです。ところが、今度の道路問題の財源ということでこれが出てきましたけれども、私は総合交通体系をつくるには特別な会計がなければならぬじゃないかと思う。いまの中間報告でも金の配分が問題になっているというわけでしょう。いわば交通関係の資本投下がその財源というわけで、財源の問題になりますと当然自動車関係が含まれるのですよ。今度のこの法案に出ておる。そういう中でこれだけ道路のほうにずっと先取りされてしまって、総合的な交通体系はできたけれどもお金が何にもないということになったらどうなりますか。これは閣内でどんなぐあいにいままでお話し合いになっているか。私は大臣にちょっとだめ押しに聞いておきたいと思うのです。
  166. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま内藤さんは、道路新税が総合体系ができる前にできます結果、道路のほうに税収が先取りされてしまう、こういう前提のようでありますが、そうじゃないのです。四十六年度はこの税収は一般財源としてこれを受け入れるわけでございまして、九兆四千億円の一部分である。九兆四千億円という全体の支出に充当される。ただし、この税制ができましたいきさつから考えまして道路に主たる重点を置く、こういうふうに考えておるわけでございますが、今後この財源特定財源とするか、あるいは特別会計をとるか、それは四十七年度の段階で考えてみたい、そういうふうに考えておるのでありまして、決して道路に全部先取りをしておるのだということではないのであります。
  167. 内藤良平

    ○内藤委員 時間もたっていますので、いまの大臣の答弁を聞いて終わります。どうもありがとうございました。
  168. 福井勇

    ○福井委員長 次に、松本忠助君。   〔福井運輸委員長退席、毛利大蔵委員長着席〕
  169. 松本忠助

    松本(忠)委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、自動車重量税法案質疑大蔵委員会において連日行われてまいりました。きょうはここに大蔵、建設、地行、運輸との連合審査が行なわれたわけでございますが、非常に短時間でございます。したがいまして御答弁のほうもひとつ簡潔にお願いしたいわけでございます。  そこで、自動車重量税法案、これは自動車の所有者から徴収する、こういうことになっておるわけでありますが、その理由は、道路を利用することによって利益を受ける者、すなわち受益者負担、こういうことでありますね。それと一方、道路をこわす者がそれ相当の負担をすべきである、こういった原因者負担の二つの原則が加味されているということであります。  そこで最初に受益者負担について聞いてみたいわけでございますが、私は道路の受益者というものは自動車の所有者ばかりではないと思うわけでございます。道路ができることによってその周辺の地価が高騰する、それによって財産がふえた、こういうのもりっぱな受益者だろうと思うわけでございます。あるいはまた工場の生産品がスムーズに運搬される、そこによって利潤を生み出すことができた企業というものも受益者であろうと思うわけでございます。したがいまして、道路をつくるという社会資本の投資の資金は自動車の所有者ばかりが負担すべきではない。それにもかかわらず自動車の所有者からのみ徴収するという考え方は私は納得できないわけであります。  また一方、自動車の所有者から徴収した税金を道路整備に使用するということはわかりますけれども、「その他の社会資本の充実の要請を考慮し、」というはなはだあいまいな表現でごまかそうとしている。この点、道路以外のものに投資するという不合理性、このことについてしばしば学者からも異論が出ているわけでございます。これらの点から私考えまして、受益者負担であるとかあるいは公平の原則であるとか、こういうことを言っておりますけれども、結局は取りいいところから取っておるのじゃなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございますが、この点について大臣はどのようにお考えになるか。簡単に……。
  170. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず前提として、所有者に負担を求めておるのじゃないのです。使用者に求めておるのでありまして、使用者に対して求めるということは、その自動車の使用者が道路を損壊する、また道路整備されますと便益を受ける、こういう事情に基づくものであります。その点をまず一つ御了解おき願いたいと思います。  それから第二に、そういう税は、いわゆる利用者負担というか受益者負担というような性格のものは、何も自動車に限ったことじゃないじゃないか、土地だとかそういうものも対象にすべきじゃないかというお話でございますが、これは現に土地税制というのがありまして、土地増価税、土地の価格増加に対しましては、法人が持っておる場合には法人税、あるいは個人が持っておる場合には所得税、そういうような形においてこれを徴収いたしておるわけであります。とにかくいま社会資本、特に道路のほうの社会資本が非常に不足しておる。そういうようなことでその財源を模索したわけでございますが、どうも適当な財源がない。いま取りやすいところから取るんだというお話でございますが、そうおっしゃられるならばそうおっしゃられてもしようがないと思います。欧米諸国でもみんなそういうふうにやっておる。わが国の今回の自動車新税を加えましても、決して欧米先進国に比べて高い税であるというふうには考えない。一人一人に当てはめてみますとかなり軽微なものでありますので、それによってとにかく道路事情がよくなるということであれば、それくらいな軽微な負担は御承知願えるのじゃないか、さように考えております。
  171. 松本忠助

    松本(忠)委員 「その他の社会資本の充実の要請を考慮し」ということですが、いま大臣の御答弁の中で、鉄道などにもそれは該当するわけですか。要するにこれから取った金を鉄道にも投資をする、そういうことですか。
  172. 福田赳夫

    福田国務大臣 四十六年度の現段階におきましては、道路その他の社会資本の充実の必要性ということを考慮しましてこの税制を始め、これを一般財源として受け入れることにしたわけなんです。つまりこれはどういう経費に充当してもいいという性格のものとしてスタートしたのですが、この税制を考えたそもそもの初めが道路ということにありましたものですから、私ども予算の配分を行なうという上におきましては道路に最重点を置くということでやっております。次いで重点を置いたのは何だというと、道路に関連する道路標識その他の道路安全施設ということであります。またさらに道路に深い関連のある地下鉄でありますとかあるいは新幹線でありますとか、そういうものにも気持ちの上といたしましては配意はしてある、こういうことでありますが、これをさらにどういうふうに固定化するかということにつきましては、昭和四十七年度予算の編成の際にとくと考えてみたい、かように考えております。
  173. 松本忠助

    松本(忠)委員 その問題については私まだ詰めたいわけでありますけれども、時間もございませんのでその次に移ります。  その徴収税額算出の基礎になった自動車の台数の問題。昭和五十年度の保有台数は大蔵省では幾らに算定しているか。これはいま大臣からお答えを聞かなくても、いままでの答弁によって大体私も承知しておりますが、三千万台。その登録業務、これを担当しているところの運輸省は当初三千三百三十三万台、このように言っておりました。最近三千百二十七万台というふうに訂正をしております。一方、自動車の生産を担当しているところの通産省では三千百三十一万台。それから建設省、要するに道路行政を担当するほうでは二千八百七十七万台と聞いておりましたけれども、最近二千六百万台、このように訂正されているように私は聞いております。このように最も重要な基礎となるべき、自動車の台数が各省でまちまちだ。こまかいことまで私は言いませんけれども、非常に違うわけです。  建設大臣お見えでございますが、建設省の数字というものは最も少ない台数になっておるわけです。建設省は故意にこの台数を落として、これによってあがる税収を過小に見積もっておるのではなかろうか、こういうふうに私は思うのでありますけれども、この点、建設大臣いかがですか。
  174. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。  事務当局が算定しておりますのは二千八百七十万台になっております。訂正しておりません。  これが各省若干違うというのは、算出の根拠に若干の違いがあるようです。建設省としては四輪車以上を算出の根拠としております。通産省は三気筒以上ということにしているようでありますし、運輸省は二輪車以上というふうに、それぞれ車種をどの程度まで含めるかということで違っておるようでございます。それから建設省の事務当局がはじいたのは、欧米の道路の伸び率を算出する成長曲線、これをゴンペルツ曲線と申すようです。その理論で算出したのでありまして、他の省ではどういうふうにしてやったか存じませんが、そういうことに根拠がある。必要なことば事務当局から補足説明をいたさせます。
  175. 松本忠助

    松本(忠)委員 その算出の基礎が違うから各省それぞれ違うのだ。しかしいずれにしましても、どのような車両でも道路を走ることは間違いないわけであります。その見通しというものについては各省それぞれの違いはあるでしょうけれども、こういう算出の基礎というものは一定にして算出しなければこれが違うのは当然だ。やはり関係大臣が集まって、算出の基礎はこれとこれとこれ、こういうふうにきめた上で算出をするのでなければいけないのじゃなかろうか、こう思うわけであります。  大蔵省のいわれている三千万台、これは非常に少ないように私は思うのであります。従来の車両の台数の推移を見てみますと通産省の推定台数というのが一番実績に近いわけです。運輸省がこれに続いて当たっているように私は思います。これらの官庁は、一方はいわゆる生産、一方は登録という業務を担当しているのですから、いわば本職でございます。これは当然のことだと思うわけでございますが、なぜ大蔵省はこのトン税の算定にあたりましてこれらの両省の、要するに専門機関の推定車両台数というものを聞き入れなかったのか。独自に三千万台にした、ここに問題があるんじゃなかろうかと私は思っておるわけです。  それで、時間もございません。六時八分までという制限でございますので私は先に進めますが、この三千万台について大臣が、いままでのいろいろな経過を聞きますともっともらしい御説明をしているように私も伺いました。しかしこれはトン税をつくるための創作としか私には思えないわけであります。故意に算出された数字としか思えない。私はこう確信しています。三千万台をこえた場合にはトン税はつくらなくてもいい、不要である、こういうことを自民党の内部において、商工部会でいっています。そのことを大臣は御存じであるがゆえに三千万台としたんではなかろうかとしか私には思えないわけでございます。御承知のように、自民党の商工部会で昨年の九月二十九日ですか、会議をやっております。そしてそのことは新聞にも載っております。九月三十日付の朝日新聞を見ると載っています。時間がありませんのでその問題を、この新聞記事をこのまま申し上げる時間もありませんが、要するにこの自民党商工部会でいっていることは、この新聞記事にあるとおり、三千百万台あれば現行の税制に基づいて徴収する税金で十分まかなえる、こういう結論を自民党の商工部会では発表しているわけです。この新聞に載っかっております。この数字を出した資料というものは当然政府から出たものではなかろうかと私は思うのです。それにもかかわらず政府は、これまでの税制では不足するといってトン税をつくろうとしておる。大蔵大臣がこれをつくろうとしていらっしゃる。何が何でも取るんだということを目的としまして、自動車の台数もいわゆる三千万台という過小推定をしているんだ、そういうふうに私は思うわけであります。  それの一つの裏づけといいますと、こういうことがいえると私は思うのです。実はもう大臣も十分御承知と思いますが、会計検査院で出しておるところの、毎年出しておりますが、「国の決算と検査」というのがあります。これは昭和四十四年版から四十五年版、四十六年版にわたりまして、要するに税金が取り過ぎになったもの、これが幾らあるかといいますと、四十一年度分が七百四十九億、四十二年度分が九百六十億、四十三年度分が千四百二十五億、四十四年が千七百八十四億、合計四千九百十九億よけいに取っているという事実がこの会計検査院の「国の決算と検査」というものに出ておるわけです。こういう点を私見ますと、大蔵省は過小に見積もって、そして実際の税金はたくさん取る、こういう考えがあるんじゃなかろうかと思うのです。こういう点を考えましたときに、このように実際はよけい取れる。これはいろいろな税金です。しかし、こういうやり方をしていることを考えてみたときに、今度の三千万台に根拠を置いて税金はこれしか取れませんといっているけれども、現実には各省各省のいろいろな思惑があって相当の伸びというものを見ておられる関係からするならば、大蔵省の三千万台はいかにも少ないんではなかろうかと私は思うのです。こういう点を申し上げまして、ひとつ三千万にした根拠というものを簡単に教えていただきたい。
  176. 福田赳夫

    福田国務大臣 何せ五年先のことでありますから、ちょっと見方を違えますと相当の開きが出てくる、これは御理解願えると思うのですが、しかしそういう中におきましても、通産省、これはまあ自動車をつくるほうですからこれは一つの権威を持っております。この権威ある見方によりますと大体これが三千万でございます。これはいろいろ経過がありまするけれども結論は三千万でございます。それから企画庁はさらに総合的な立場で見ておりまするが、これがまた三千万。そういうようなことで、彼此総合いたしまして大蔵省では三千万、こういう数値をとったわけなんです。  それから、いま自然増収の話がありましたが、これは景気の見通しのいかんによりまして、かなり自然増収が出る場合もあるし、また逆に自然減収の出る場合もある。現に六年前のごときはたいへんな自然減収があったことは御承知のとおりであります。
  177. 松本忠助

    松本(忠)委員 その自然増という問題ですが、これは自然減もあるんだとおっしゃいますけれども、ここのところずっと四年間は増なんですよ。いまも申し上げましたように毎年毎年ふえている。しかも四十一年よりも四十四年はその三倍近いものがふえているわけです。これはあまりにも私は自然増だと思う。国民の皆さんが勤勉だからこんなにたくさん取れるようになったんだ、これはどうも大蔵省の算定の基礎があまりにも薄弱ではなかろうかと私は思うのです。  そして、要するに三千万台に大蔵省がきめた。経企庁もまたこうだとおっしゃいます。それからいま建設大臣は、算出の基礎がいろいろ違うんだとおっしゃいますけれども、私先ほど申し上げましたように、やはり運輸省とか通産省、一方は登録行政、一方は生産、こういう一番関係の深い役所の意向というものを聞かなかった、そして大蔵省がきめたということは、私は独善じゃないかと思うのですね。これはやはり各省各省てんでんばらばらということは、まことにそれは閣内不統一じゃないか。こういう問題こそ大蔵大臣が音頭をとって、そして算出する基礎というものをきちっと定めて、その上で各省の考え方というものをやるならば結論はそう大きく離れるものではないだろうと私は思うのです。こういうふうな点から考えまして、このいわゆる自動車の台数というもの一つを見てみても、私は閣内における意見の不統一、てんでんばらばらだ、こういうことはまことに国民として残念しごくでならないわけであります。このような数字を大蔵省が自分でひとりよがりに押しつけてしまったのではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。これに対して大臣のいわゆる言いわけといいますか、そういうものを聞く時間を私は持ちませんので先へ進めますけれども、どうもこの問題、三千万台にしたという根拠については非常に薄弱だと私は言わざるを得ない。  次に移りますが、冒頭に受益者負担の問題と原因者負担の問題を言いました。そこで第五条に非課税自動車のことが出ております。先ほども内藤君から質問がございました。大蔵省トン税の創設にあたりまして、道路の破損の大きな車ほど原因者負担として税額は高い、こういうふうに言っているわけです。それにもかかわらず、道路の破損を最も起こしやすい大型特殊自動車、これを除いている根拠、こういうものを尋ねたいわけでございます。道路運送車両法の施行規則の別表第一、先ほど自動車局長説明しましたこの別表第一にも、きちっと大型特殊自動車というものが載っかっております。これらの自動車は確かに道路をこわす率というものは、普通の車よりも高いと私は思うのです。なぜこの大型特殊自動車を非課税としたのか、このことが一つ疑問になります。原因者負担ということを唱えながらみずからこの原則を破った御都合主義のあらわれとしか受け取れないわけであります。これは車検時に徴税をするという取りやすい方法を選んだために、車検のない車は少々不合理でも目をつぶって、まあこれはいいじゃないかということにした、この御都合主義のあらわれではないかと思うわけでございます。  陸上自衛隊の車両においても同じことが言えるのではないかと思う。これは一昨五月十二日に大蔵委員会におきましてわが党の田中昭二君から質問いたしました。防衛庁では陸上自衛隊の車両数を四万二千台と答えているわけです。そのうち課税の対象になる車は約千三百台だ、残余の約四万七百台というものは非課税だ、このように答弁があったということを私も聞いております。このことについては田中昭二議員から資料の要求を防衛庁にしてございますが、まだ本日に至るも提出がございません。この法案の審議が終了するまでに提出されなければこれは役に立たぬわけでございます。これは防衛庁のほうにひとつ文句を言いたいわけでございますが、そこで防衛庁にも聞きたいわけです。四万七百台の車は、おそらく相当重量のあるタンクとか装甲車とか、こういった重装備の車両ではないかと思うわけです。これらのものをどうして非課税にしたのか。この陸上自衛隊の車両の中で、こういったタンクとかあるいは装甲車とかあるいはその他の大砲を引っぱるそういったものは相当に重い車です。この内訳はまだ提出されておりませんのでわかりませんが、とにかく重装備のこういうものが道路を走らないとはいえないわけです。道路だって走るのだ。国の道路を走るということは十分いえるわけだ。そうなってくると、こういう相当の台数のものが走るということになれば当然道路はこわれるということがいえると思います。そうなっていったときに、あまり道路をこわす率の少ないものからまでも取っているにもかかわらず、こういう重装備のものから取らない、非課税にしているというのは国民感情の上から許せない、こう私は思うわけでございます。そういう点から、大蔵大臣から簡単に非課税にした理由、それから防衛庁のほうからもそのことについて簡単にお答え願いたいと思います。
  178. 細見卓

    細見政府委員 先ほどもお答えいたしたところでございますが、大型特殊自動車は通常キャタピラ等のものをつけておりまして、通常の場合道路を走行するということが少なくて、そういう構造を持っているわけであります。したがいまして、先ほども申し上げましたように、これらの大型特殊自動車が移動いたします場合には、多くの場合キャリアがございまして、そのキャリアに乗せて運搬する。そのキャリアにつきましては、そういう重いものを乗せた重量、つまり総重量を単位として課税いたしておるわけでございますから、それらが道路を運行いたします限り——自走いたすような非常に例外的な場合は、私もよくは知りませんが、まず少ないといたしますれば、課税が大体バランスがとれておると思うわけであります。そういう意味でこの大型特殊自動車につきましては課税をいたしておりません。  また防衛庁の自動車につきましては、自動車車検を受けることによって走行が可能になる、そのことを対象といたしまして課税いたしておるわけでございます。そういういわば一種の権利取得とでも申しますか、そういうものを国として登録するというところに、この権利の創設に課税根拠を持っておるわけでございまして、そういう意味で、私どもはそれなりに税として首尾一貫いたしておると考えております。
  179. 松本忠助

    松本(忠)委員 自衛隊の車は確かに車検をしない。ですけれども、自衛隊の車は、民間の車と違ってキャリアに乗せて運んでいるわけじゃないですよ。全部それぞれ道路の上をそのままキャタピラでやっているわけです。そうなったらこれはどうですか。
  180. 細見卓

    細見政府委員 道路の走行を目的とするものと考えるのかどうか、一つ問題もございますし、この税の徴収を容易にするという意味におきまして車検場における車検の交付ということを課税の原因としておるわけでございますから、車検の制度に乗っておらない防衛庁の自動車につきましてはこの税の対象からはずれておるというわけでございます。
  181. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間もありませんから一点だけ、運輸省と主税局長にこういう問題もあるということをひとつ聞いておいてもらいたい。トン税というものは車検のときに納付するわけですね。そうなりますと、かりにこの税が施行されだとすると、十二月一日から実施するということになれば、十一月末までには車検を受けてしまって納税時期を一年でも延ばそう、こういう悪い知恵を働かせる者も出てくるわけですよ。そんなことはないんだと思っていらっしゃるかもしれないけれども、とんでもないことなんです。要するに、有効期間以前に車検を受けても一向に差しつかえない。期限が過ぎてからはいけないけれども、その前に受ける分には一向差しつかえない。そうなってくると十一月中に車検を受けてしまう。相当車検を受ける者が出てくると思うのです。これが一度に殺到します。そのために百三十八名の人員増をしたから処理は十分できるんだ、こうおっしゃるかもしれませんけれども、なかなかたいへんなことになると思うのですよ。  それで、特にもう一点言いたいことは、民間の車検工場の能力にも限界があります。十一月中に受けてしまえば税金も納めなくて済むということになれば、民間車検場と結託して、受けたことに、要するに整備が終わったことにしてお届けをする。そうなりますと税金も納めなくても済む。もちろん整備をしないのですから整備料金は整備工場に払う必要がない。そういったことをやろうとしている動きがかなりあるということです。とにかくたいへんな車両なんですから、十二月一日、その前後に有効期間が一度にくるということじゃございませんけれども、これは悪だくみをしている者はそういうところまで考えている。そうした結果は、これが事故につながってくるということもいえるわけです。こういう点を考えますと、この車検工場、この監督の点についても、これは運輸大臣の責任でございますけれども、また一方、税金があがるだろうと思って期待していたところの大蔵省のほうでも、現実に税金があがってこない面もできてくるというふうに私は思う。それと、心配なのは、そういうことの結果交通事故ができる。この間の参考人の、高橋さんでございましたか、御意見を私も拝聴いたしまして、二百台も車両がある、こういうことになりますと、この会社の年間の整備費だけでも約一千万円、一度に車検が行なわれるわけじゃありませんけれども整備費その他トン税まで納めるということになると、車両をたくさん持っている会社というものはたいへんなことになります。そうなりますとこういう悪知恵を働かせる者が出てくるということが予想される。  このことに対して、そんなことはないと言われるか、それともそれに対する対策をお考えになっているか。簡単でけっこうでございます、ひとつ運輸大臣、それから大蔵省のほうにお聞きしてみたいわけであります。
  182. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いま松木さんからお話がありましたように、ボーナスをもらったときに頭金で買いますから、車検が六月とか十二月には相当多くなると思います。しかし第二年度からは一カ月前——現行の規定では一カ月前から車検をすることができますから。しかし一カ月でも、だんだん車は多くなってまいりましたからたいへんだろうと思いまして、省令改正をやりまして、四十五日ぐらいの事前の余裕を置きたい、そうしてできるだけ車検の流れを平均化したい、こう考えております。かつまた、車検をのがれて脱税する人がありはしないかということですが、これは車検のないものはやはり運行ができませんので、その点については延ばしたりなんかすることは無理じゃなかろうか。そういう意味において、四十五日という期間を置けば、四十六年度に百三十八名の人員と一億七千万円の人件費を含めた物件費等が入りましたので、これでやってみる。どうしてもやれない場合は四十七年度にはまた方法を考えなければいかぬと思いますが、とにかく事務当局が一生懸命にやった案でありますから、私はやり得るという自信を持っておるわけであります。
  183. 細見卓

    細見政府委員 御指摘のような事例が全然ないとまでは申し切れないと思いますが、いま運輸大臣からお話がございましたように、車検は一カ月前しか受けれないわけでありますから、それ以前に受けるということになりますとみずから期限の利益を放棄しなければならない。運輸委員の皆さんでございますから御承知のとおりでございますが、整備関係で二万とか三万とか金がかかるわけでありますし、一方税金のほうは五千円程度ということになりまして——それは経済のことでありますからどういう考え方をなさる方があるか知りませんが、やはりおのずから計算でやられることであれば限度があるのではないか、かように考えております。
  184. 松本忠助

    松本(忠)委員 もう一問でありますが、答弁は要りませんが、大蔵大臣、私の意見を聞いておいてもらいたいわけです。  いろいろとやりとりをいたしましたけれども、私はこれは相当矛盾があり、欺瞞に満ちたトン税だと思う。いま時間がないのでほんとうに詰められなかった点は残念でございますけれども、これをあえて創設しなければならなかった原因というものは、やはり総合交通政策の貧困によって起こったのではなかろうかと私は思うのです。交通安全、事故防止といえば、他のものを顧みないで、すなわち即道路の改善、車がこんできたから道路の改善、こういうふうにやってきたこと、これはもうほんとうに施策の貧困だと私は思うのです。道路を広げれば自動車が増加するというのは当然でありますし、また道路を拡幅しなければならない。しかも車がふえれば拡幅するところの財源が必要だ、こういった悪循環を繰り返してくる、こういうことがいえるわけです。こういったようなモータリゼーションを刺激することのみを目的としたような単純な施策が行なわれた結果が、交通事故、そして自動車公害、こういうものが頻発いたしまして、国民の生命と財産を脅かすことになった深刻な事態に立ち至ったということがいえると思うのです。しかも、この自家用自動車がふえれば、鉄道、バス等の公共の交通機関の衰退につながっていく。さらに膨大な道路投資を必要とするということ自体はこれまでアメリカやヨーロッパでしばしば起こっている、論議されている問題でございます。したがいまして、この時点で少なくとも総合交通行政というものを進めていかなければいけないと思うのです。そういった思想が非常に発展している現在、この道路目的税等を廃止して、いわゆる総合交通特別会計とするような思い切った対策を推進すべきではなかろうかと私は思うのです。トン税には大きな欺瞞や矛盾がございます。また一面、総合交通政策を進めていかなければならないという思想が若干盛り込まれている点、これも私は認めます。しかし、せっかくこのような構想があらわれているだけに、このトン税の創設というものは急がないで、道路目的税、こういうものをどうするか、あるいはまた鉄道などの大量輸送機関の建設はどうするか、こういう点をじっくりと論議を繰り返しまして検討した上で、必要とあらばあらためて合理的な税制を考えてもおそくはないんじゃないか、こう思います。その暁には国民も、また自動車の所有者も喜んで協力してくれることだと私は思うわけであります。あえて国民の大多数が反対しているこの自動車新税、このトン税を創設するという意義はないと私は思うのです。かような観点から私はこのトン税の創設には反対をせざるを得ないわけでございますが、大臣としてもいろいろと検討されたと思いますけれども、このトン税を撤回する御意思がありやいなや、その点を簡単にちょっと伺って終わりにします。
  185. 福田赳夫

    福田国務大臣 ぜひとも、御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  186. 松本忠助

    松本(忠)委員 終わります。
  187. 毛利松平

  188. 和田春生

    和田(春)委員 私の質問の前半の十五分間だけ大蔵大臣がいらっしゃいまして、その後退席をされるというお話でございますので、先に大蔵大臣にお伺いをいたしまして、なお自余の問題については運輸大臣にお伺いいたしたいと思います。  いままでにもだいぶんたくさんの同僚各委員質問いたしておりまして、数字の問題等も出ております。重複を避けまして、ものの考え方や今後に臨む政府の態度、そういうものに重点を置いて、念を押しておきたいと考えるわけです。といいますのは、この税が通れば通ったで、また通らなければ通らなかったで、あとから関連して問題が起きてくると思いますので、そういう点を端的にお伺いをいたしたいと思います。  先ほど来のいろいろな質問に対する主として大蔵大臣お答えを伺っておりますと、質問者の重点の置きどころによって多少ニュアンスが違っておりますけれども、この自動車重量税新設のねらいとしては、第一に発端は道路財源不足である。しかし、それが発端であるけれども、目的としては、社会資本不足をしているのでそれを充実をする、そういうことを意図してこの税金をつくったんだ。しかしこの税金を使うところについては、自動車がふえ、道路をいため、また道路整備不足というものがいろいろ交通問題を発生しているので、主として道路財源のために使うつもりである。ただし四十六年度に限っては一般財源としてこれを入れたわけで、特別に道路に対してこれを目的として使うという考え方ではないんだというふうにお伺いをしたんですけれども、いま要約したように理解をしてよろしいかどうか、大蔵大臣に確かめたいと思うのです。
  189. 福田赳夫

    福田国務大臣 大体そういうことかと思いますが、なお正確に申し上げますと、四十六年度は一般財源、つまりどの費用にも使っていいたてまえなんです。たてまえではありますけれども、これが創設されるに至りましたいきさつから考えまして、道路に重点を置いた使い方をすべきである。それは四十六年度においてもしかり。また道路関連の道路安全諸対策、これにも配意すべきであるし、道路と密接な関連のある新幹線とかあるいは地下鉄とか、そういうものにもこれと関連を持ちながら配意すべきである。しかし重点はどこまでも道路である、こういうふうに四十六年度もしたんです。しかし、今後もそういうふうな考え方でいきたいと思っておりますが、今後につきましては総合交通体系の整備ということを考えておりますので、その結論に従って、あるいは交通施設に対する特定財源というような方式をとりますか、あるいはさらに進んで特別会計方式をとりますか、その辺はなお検討してみたい、こういう考えでございます。
  190. 和田春生

    和田(春)委員 大体趣旨はわかりました。  そこでお伺いしたいんですけれども、特にこの税を新設する場合に、先ほど来繰り返し説明をされておりますのは、自動車重量を持っておる、ウエートに応じて道路をいためる、そういうようなことから、いままでに自動車にもいろいろな税金がかかっておるけれども、それぞれ目的が違う、重量税としたゆえんは、自動車重量というものが道路損傷と密接な関係があるので、その重量に応じて税金をかけるというところに一つの合理性を求めたというふうに伺ったんですけれども、そういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  191. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのとおりでございます。
  192. 和田春生

    和田(春)委員 私も自動車問題についてはいろいろ興味があって関心を持っているほうなんですけれども、どうもこの論理は飛躍があるように思うんです。たとえば、どんなに重い自動車でも車庫に眠っている自動車は全然道路をいためないわけなんです。それから、自動車そのものの自重が相当重くても、道路にウエートをかけるというのはやはり車軸によると思うんです。同じ一トンの自動車でも四輪で受けとめるのと六つの輪で受けとめるのでは自動車道路にかける負担というものは違ってくると思うんです。そこで重量に応ずるという場合には、単純に自動車自体の重量ではなくて、車軸にかかる重量ということにならないと道路とは直接に結びついてこないということが一つなんです。幾ら重い自動車でも走らなければ道路を全然いためないわけです。したがって、同じ重量自動車でも、一日に朝と晩と一回往復するだけの自動車と何回も往復する自動車とでは、何回も往復する自動車のほうが道路をいためる率が非常に高くなってくるわけです。そこで、道路に与える損傷というものの原因に、やはり自動車重量が何らか関連をしているので、合理性を求めるということをもしほんとうに考えるならば、そういう税金をいまここでつくるかつくらぬかは別として、その論理を追求していくならば、一つは軸重である。一つは走行距離である。それに比例をするということが税の合理性として私は正しいと思うんです。走行キロ数を調べるという形になるとこれはたいへんですから、結局ガソリンあるいは軽油あるいはプロパン等の、自動車燃料の消費量というものが走行距離に比例してくるわけですから、そういうところに税金をかけるということが、道路をいためるということの関連では自動車の性質から合理性があると思うのですが、その点いかがですか。
  193. 細見卓

    細見政府委員 確かに軸重に応じて道路損傷するというような研究もございまして、現にそういう形での税を行なっておる国もヨーロッパ諸国にはあることも承知いたしておりますが、今回の税は、道路損傷というようなことを念頭にといいますか、課税根拠とは考えておりますが、直接の課税根拠といたしましては、繰り返し申し上げておりますように、車検を受けることあるいは登録をすることによって走行が可能になる、そのことをとらまえまして、自動車の走行が社会的なコストをもたらしておる状況をそういうふうにより一般化した形で、自動車の走行というものは道路損傷であり交通の渋滞でありあるいはまた交通安全の施設の必要でありというふうに考えて、一般的な社会負担、したがって、必ずしも重量によらなければならないということはないわけでありますが、従来の税体系の中で、排気量とかあるいは奢侈性とかいうようなものに比べて、むしろ今日トラック道路に対する負担が非常に少ないというような要請もあり、やはり重量でかけるのが——そういうむずかしい理論的な検討も終わっておらない現在の段階では一番常識的に重量に応じた、こういうことでございます。
  194. 和田春生

    和田(春)委員 質問に的確に答えてもらいたいと思うのですけれども道路をいためる。いままで自動車にいろいろな税金がかかっておるのです。かかっていないわけじゃないのだな。そこで新たな税金をかけることにした。これを運輸大臣が、先ほど他の委員質問に対して、それぞれ目的が違うということをおっしゃっておった。今度の新設した自動車重量税はそれぞれ目的が違う。何の目的かということのウエートは、道路をいためるから重量に基準を置いて税金をかける、こういうことになっておるのだけれども道路をいためるということばを使う以上おかしいではないかというのが社会的通念じゃないですか。走らない自動車は全然道路をいためないのです。走ることによって道路をいためるのです。したがって、道路をいためるということが重点なら、当然走行距離に応じてつくるということが軸重とともに重要なる要素にならなければならぬわけです。そういう点については、もちろんいままで揮発油税とかあるいは軽油の引取税とかあるいはプロパンとか、それに税金はかかっているかもわからない。そういうものに対する税金を重くかけようという話が出ておったということも報ぜられておる。ところが、うそかほんとうか知りませんけれども、石油業界の圧力があった。そこで内閣は腰を折ってしまって、たまたま排気公害その他で自動車の評判が悪いから、いい幸いだから自動車にぶっかけてやろうという、こういううわさも巷間伝えられておる。真偽のほどはわかりませんよ。どうも道路というものと結びつけて、道路がよくなれば利益も受けるのだとか、あるいはいためるとかいっておるけれども、それならばウエートだけに重点を置いて税金をかけるということはぼくは論理的におかしいと思う。おかしいと思いませんか。はっきり答えてもらいたいと思う。
  195. 細見卓

    細見政府委員 比例的なこの程度の税であれば、私はおかしいとは思いません。
  196. 和田春生

    和田(春)委員 それは金額が少ないからおかしいと思わない。ともかく権力でかけることにしちまえば黙ってしまうということだろうな。では、この税金がふえていけばおかしくなりますか。
  197. 細見卓

    細見政府委員 この税を道路損傷税という形に純化していく段階におきましては、おっしゃるように車軸の問題も、あるいは重量の問題も、あるいはタイヤの問題といったようなものも全部総合的に考えなければならぬと思いますが、これは車検を受けることによって走行が可能になるそのこと、そのことに対して課税をいたしておるのであり、その走行する場合にはやはり自動車重量の重いものはいろいろな意味社会的なコストも多かろう、道路損傷もその意味で多かろうということで比例的に考えておるわけでありまして、道路損傷だけを目的とした、ヨーロッパにありますようないわゆる道路損傷税あるいは自動車車軸税というような税の概念をとりますときには、和田委員のおっしゃるようなことになろうと思います。
  198. 和田春生

    和田(春)委員 そうすると、これは大蔵大臣にお伺いしたいと思うのですが、この税金はいまちょっと軽い程度で——納めるほうからいえば決して軽くはないのですけれども、いま細見さんがお答えになりましたけれども、この程度ならおかしくない。ともかく芽を出しておけ。これを土台にして、あとから枝をはやし、葉をつけ、だんだんふくらましていって、自動車からさらに税金を巻き上げるという魂胆がある、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  199. 福田赳夫

    福田国務大臣 さような魂胆は持っておりませんです。
  200. 和田春生

    和田(春)委員 といたしますと、自動車重量税などという名前をつけずに、車検の際に取るなら、いい悪いは別にして、なぜすっきりと車検税なら車検税という形でわかりのいいようにしなかったのでしょうか。その辺のことをお伺いしたいと思います。
  201. 細見卓

    細見政府委員 車検税という名前もこの税の創設にあたりましては考えたわけであります。また重量に比例するという意味で一時トン税というような言い方もありましたが、重量に比例した税率であるという意味重量税にいたしたのでありまして、軽自動車重量税がかかるのはおかしいではないかという御議論もございましたが、それは決してそういう意味ではなくて、自動車重量に応じて税率が刻まれておるという意味自動車重量税であるわけであります。
  202. 和田春生

    和田(春)委員 その点につきましてはあとから関連して運輸大臣と細見さんにお伺いしますが、大蔵大臣が何か途中で退席されるそうですからお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど来しばしば、社会資本不足している、充実をしなければならぬということをおっしゃっておりました。それは非常にもっともだと思います。しかし、いま社会資本不足した理由は何かという形になると、産業投資に非常にウエートがかかり過ぎていた、そして世界でも驚異といわれる高度経済成長を遂げてきた、それに対して社会資本が全般的に立ちおくれておるのが一口で言った今日の状況だと思う。そうすると、その社会資本を充実していくという場合にまず重点を置いて考えなければいけないのは、新しい財源を見つけて税金を取り上げるということでなくて、産業投資と社会資本の投資との比率というものについて政策的に変更を加えていくということがまず第一に重要ではないか。さらにまた、産業関係の投資が積極的に進んできた、その結果利益を受けたのは大企業である、成長産業でありますから、そういうところからそれらの利益を還元をして、立ちおくれのはなはだしい社会資本に回すという形になれば、何らかの形で法人課税というものを強化をしていく。いろいろな面で、租税特別措置も含めまして法人の税負担には優遇が行なわれてきて、これが今日の高度成長の原因になっておるわけです。そういうところにまず目をつけてやっていくということが社会の公平の原則にもかなうわけでありますし、今後の、日本のいわゆる高度に成長を遂げ過ぎた経済優先政策をこの際反省をして、人間重点の方向に持っていこうという佐藤内閣のねらいにも適合すると思うのですけれども、そういう社会資本と産業資本の投下の比率というものを変えて、あるいは高度成長によって利益を受けた法人課税をいろいろな面において強化をしていくということをなぜ先行させずに、先ほど来言われておるような、非常な大衆課税になっておるこの自動車重量税というものに根っこをつけて、まずここから取り上げていこう、そして社会資本を充実していこうという考えになったのか。どうもさか立ちをしておるような形になっておるのですが、その点はどうでしょうか。
  203. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会資本が立ちおくれておるということは、和田さんのおっしゃるように産業主導型の高度成長ということもあったかと思うのです。これは私は否定しません。しかしその度合いというものはそう大きなものではないと思います。いま社会資本がわが国において立ちおくれておるというのは、戦前、明治七十年、これが軍事偏重であった、そこにあると私は思うのです。道路の舗装などというものは戦前はほとんど顧みられなかったわけです。あるいは上水道、下水道、特に下水道のごときは、水洗便所のごときは見ようとしても見られなかったわが日本国だ。先進諸国では百年前からそれらの諸施設に着眼しておったわけですが、そういうことで、たいへん社会資本の充実、整備というものが立ちおくれておる。その取り戻しに今日、戦後というものがかかっておるわけなんです。しかもその取り戻しの努力、これは私は、わが日本はいま世界一の努力をしておると言っても過言ではない、こういうふうに思います。予算の中に、あるいはGNPの中における比率、これは飛び抜けてわが日本が世界第一なんです。これは非常な努力をしておるということでありまして、いま和田さんのおっしゃること、さか立ちだという話でありますが、どうも私はさか立ち論には賛成いたしかねる。  それから、法人税を取ったらどうだというお話でございますが、法人は御承知のようにいま資産状態が非常に悪いのです。世界の先進国の中で、わが日本の企業ほど資産状態の悪いものはありません。これにさらに拍車をかけるような法人の税の増徴、これも私は妥当ではない、こういうふうに考えるのでありまして、やはり、これは法人にも負担はかかります。あるいは個人にもかかりますが、とにかく法人といわず個人といわず、道路の損壊を来たす自動車を使用する方、また道路整備によって恩典をこうむるこの使用者、それは法人、個人を問わず、ひとしくこれに負担を求めることは私は妥当な考え方じゃないか、さように考えております。
  204. 和田春生

    和田(春)委員 これは論議はすれ違いでございまして、いろいろな数字をあげてやっておりますとなかなか時間が足りませんけれども、私はいまの大蔵大臣の御答弁には納得できませんし、しばしば財政演説等で大蔵大臣説明せられておる根本的な趣旨と食い違いのあるところがやはりあるように思います。私が法人課税考えたらいいのではないかというのは、もちろん法人税も法人課税のうちの一つですけれども、今日の高度成長をささえてきた社会資本が落ちついていないということの大きな理由は、あらゆる措置を講じてやはり日本の企業を発展させてきた、それを否定しているのではない。その結果ここまで力がついてきている。そういう意味で、利益を積んでいるところから出してもらっておくれているところに流してもらう。それが経済優先から人間尊重へという——口先だけなら別ですけれども、ほんとうであるならば、現在の佐藤内閣の方針にも適合するのではないか。その点に積極的に手をつけずにおいて、新しく大衆課税の要素を持っている自動車新税を創設して巻き上げて社会資本の充実に振り向けるということはおかしいのではないか、こういう意味を言っているのでありますから、この点についてはひとつ十分政府におきましても御検討を願いたいと思います。これ以上論争をやっておりますと、あと運輸大臣に質問する時間もなくなりますので、特にその点を注文を申し上げておいて、大蔵大臣への質問は一応これでとめることにいたしたいと思います。  続いて、運輸大臣にお伺いをいたしたいと思うのです。この自動車新税というものが出てまいりますと、先ほど来わが党の門司委員からの質問に対しましてお答えもございましたが、かなり一般勤労者大衆に税がかけられることになるわけです。こういう点で、地域によっても非常に違いますけれども、たとえば東京都下でも三多摩地方というような、最近急速にどんどん人家がふえていっている、都市化が進んでいるというところに至りますと、交通体系が全然整備されておりません。私の知人のむすこもごく最近結婚をいたしました。そうすると、家を多摩川の南側の稲城というところに求める。ところが通勤をするのは北のほうの久留米の市役所につとめている。これをもしバスを利用して通うとすると四回くらい乗りかえまして、まごまごすると二時間以上かかる。おそくなるとどうにもならない。結局、結婚をして、やっとの思いで家を見つけて、そして自分のつとめている職場に通おうとすると車で通勤する以外にないわけです。そこでなけなしのさいふをはたき、月賦で車を手に入れまして、自分の自家用車で職場に通っているというのが事実なんです。これなんかは、交通体系というものが全然なっていない、東西のほうはある程度あっても、南北になってはまるきり交通体系がでたらめであるというようなところからきている一つの被害者だと思うのです。そういう人がたくさんおります。特に最近、交通機関の整備しないところにできる団地なんていうのが多い。そうすると勤労者でマイカーを持っている者は犠牲者なんですね。そういうところから多く税金を巻き上げていこう。道路に投資をする。新しい道路ができる。そうすると、たまたまそこに土地を持っておったという形で地価が急上昇する。そして大もうけをして、鉄筋コンクリートの冷暖房完備の豪壮な建物をどんどんその辺に建てていく。これは勤労者には何にも関係がない。こういうような形になってくると、この自動車重量税というものが先にかかっていって、そして税金を取り上げて、何か道路整備するとかなんとか言っているけれども、他の委員質問しておりますが、これまたさか立ちしているのじゃないか。むしろ、総合的な交通体系を整備する、大都市周辺の通勤対策も徹底していく。そういう青写真ができて、このことによって諸君にはこれだけのプラスがくる。みんなが住みよい社会をつくるのだ。それに対して国民の皆さん、応分の負担をしてくれぬかというのが、政治としてもまともな行き方だと思うのですけれども、その点、交通政策の主管大臣としての運輸大臣のお答えを承りたいと思います。
  205. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お話しのように総合交通体系、これは非常に大事な問題でありまして、ことに大都市及びその周辺における通勤関係交通体系、これはたいへんに重要な問題でありまして、目下運輸省でもこれが素案をつくるための検討を続けてまいっております。  いまの御質問、二つあると思いますが、一つは、やむを得ず通勤用にマイカーの諸君が使っておる、好きこのんで自動車を持つわけじゃないのだというお話で、こういう者に対しての税金は過酷ではないか。しかし、これは大蔵省答弁すべきものと思いますけれども、いずれにせよ、いわゆる小型自動車であれば年間五千円程度の負担でありますから、まあ五、六十万の車を買う人が年間五千円の負担がむずかしいということも、これは議論としてどうかと思いますが、その問題は別といたしまして、いわゆるニュータウンの問題と通勤の問題。これは多摩ニュータウンで御承知のように私鉄から申請が出ておって、実際上の建設ができておりません。あるいは将来大きな団地ができるに従って、交通というものを十分に考えた上でニュータウンをつくらなければこれは魂入れずの結果になってしまう。ただ、従来は御承知のように、私鉄がこれを建設する場合はその付近のいわゆる開発利益を当てにして相当膨大な建設資金をかけておった。ところが多摩ニュータウンあるいは将来やられるであろうところの千葉のニュータウン、こういうところをやる場合において、距離が遠いのでマイカーとかバスではとても通勤できないのでありますから、当然初めからこれは軌道による通勤体系をつくらなければならぬ。その場合の建設資金をどうすべきか。私鉄がそれだけの建設資金を払って、現在の定められた料金制度で運ぶことはとてもできないことはわかり切っておる。そうなると、多摩ニュータウンをつくる場合に、その軌道建設というものをどういうぐあいに考えていくかということは非常に重大な問題であります。  これは別の問題として目下検討しておりますが、こういう問題及び総合交通体系の中におけるいわゆる軌道あるいはバスのあり方、こういう問題については、従来の考え方を打破して思い切った措置を講じなければ、われわれの考えておるいわゆる総合交通体系はできない。今回の自動車重量税がその財源——直接にはその財源ではありますまいけれども、しかしながら、御承知のように日本社会福祉事業等にかける金というのはだんだんと増大してきておる。いわゆる一般会計、従来の税収入だけではまかない切れなくなってきているので、そこで社会資本の充実には新たな財源を求めなければならぬ。こういうところで大蔵省が苦心惨たん、いろいろと考えた末が重量税というところに落ちついたのだろうと思います。この点は大蔵省答弁すべきものだと思いますから、私が申し上げる必要はないと思いますが、総合交通体系については真剣に考えてまいりたい、こう考えます。
  206. 和田春生

    和田(春)委員 いま大臣、マイカーを買う人が年に五千円か一万円程度の税金はたいしたことないではないかとおっしゃいますけれども、御存じのように、現在五、六十万の車を買いますと、それに対して最初の車検から次の車検までの間に自動車関係の税金、燃料に関する課税も含めまして、さらにまた自賠責の保険料の負担も含めますと、大体自動車と同額の金を負担しているのです。五十万の車を買うということは二年間に百万の負担をするということなんです。それを乏しい月給の中から月賦で払っている。そこに年間五千円でも一万円でもかかってくるということは、それは決して軽いものではないわけなんですね。そういう意味で、この税金というものの正体がわかってくるにつれて、大衆課税ではないかという、こういう声が非常に強まっているわけですし、わずかのことだからたいしたことはないという考え方は、ぜひ改めていただきたいと思う。  別の質問に移りますけれども、実はこの自動車新税関係いたしまして、自動車から税金を取って国鉄の赤字を埋めるんだという話がずいぶん伝わっておりました。四十六年度は一般財源としてこれを位置づけておりますから、これがどこにどうなるかということは、膨大な収入のうちのごく一部分でありますからわかりませんけれども、これから将来、この自動車からの税収で国鉄の赤字を埋めるというお考えがあるのかないのか。もし国鉄の赤字を埋めるとするならばその論拠は一体何なのかということを伺いたいと思う。国鉄の赤字が出ているのは、運輸大臣がよく御承知のように、自動車のせいではないと思う。今日の社会の変化というものに対応して、全国をネットする国鉄の合理化というものが立ちおくれておる。そこで過疎地帯その他において赤字路線がどんどん出てきたということに大きな原因があるわけです。なぜ自動車から取った税金で国鉄の赤字を埋めなければならないのか。そういうお考えがないというのならけっこうであります。しかし、あるとするならば、その辺国民は全く納得できないし、特に納税者にとっては割り切れないところでございますから、御説明を承りたいと思います。
  207. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 国鉄の赤字をこの金によって埋める気は、全く持っておりません。
  208. 和田春生

    和田(春)委員 それでは、そのことを確認いたしまして質問を終わります。
  209. 毛利松平

  210. 田代文久

    田代委員 まず大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、あとからということですから運輸大臣にお尋ねいたします。  すでにこれは一般に危惧されておるように、この自動車新税の及ぼす影響から流通経費が非常に高騰するのではないか。すでに一部のトラックとかあるいは内航海運その他、運輸料金の値上げを運輸省は認めているわけですね。そういう点から流通経費の高騰を招く、実際において招いておるんだというようなことが非常に批判が強い。私たちが非常におそれ、また現在国民が非常におそれておるのは、現在のとどまるところを知らない物価高の中でこういう税金をかけられたのでは、また税金が全部にはね返って高くなるのじゃないかということが、これは国民のひとしく危惧している問題なんです。ですから、この新税によって、政府の物価政策からいいましてこれは物価高にははね返らないというふうに確信されるのか。いやそれははね返るというふうに認識されるのか。もしはね返るとすれば大体どれくらいの率で全体の物価にそれがはね返っていくのかということを、まずお尋ねしたいと思うのです。
  211. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問のようなはね返りと申しますか、運賃原価に及ぼす影響でございますが、平均的に申し上げまして、タクシーに対しましては約〇・二%、バス及びトラクックに対しては約〇・六%、そういうふうに私ども考えております。
  212. 田代文久

    田代委員 こういうことは当然私は運輸大臣から答弁してもらいたいと思うのですがね。思うのですが、これは非常に小さく見ておられますけれども、少なくともこの新税によって物価が上がるということは認められたわけですね、実際において。当然これは物価高に響くのだということを認められたと思うのですが、そう理解していいですか。
  213. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お答え申し上げます。  御承知のようなこの税額ですが、おそらく田代さんのおっしゃるのは、積極的にいわゆるタクシーあるいはバス料金に影響を与えないか、こういうことだろうと思いますが、大型バスで今度の法律によっての税額は二万七千五百円であります。それから普通の小型乗用車のタクシーは大体五千円。ハイヤー級の大型乗用車であれば一万円になりますけれども、普通の小型乗用車のタクシーは年額五千円であります。いま自動車局長が言いましたように、そのコストに影響するものは〇・二である。バストラックの場合には〇・六である。このようないわゆるコストに〇・二の影響がありましても、全体の上からいえば要するに千分の二ということになりますからして、それを直接の目当てとしてタクシー料金が値上がりすることはあり得ないし、あるいはバス料金が値上がりすることはあり得ない。ただ田代さんのおっしゃるのは、こういう新税ができたことによって、フィーリングとして影響がありはしないか、こういうお話であれば、これはひとつ大蔵当局から御答弁を願いたいと思います。
  214. 細見卓

    細見政府委員 いまの御説明のように、原価要素としてはいまのお話しのようなことになろうと思うのでありますが、一方、これによりまして道路五カ年計画が推進されますとかあるいは交通関係の諸施設が充実されるということによりまして、現在の収益状況を圧迫しておりまする交通の渋滞というようなものが改善されれば、それは計数で明示することはなかなかむずかしいと思いますが、いまのようなものはとっくに帳消しにし得ると考えております。
  215. 田代文久

    田代委員 これはとんでもない大蔵省の、また政府の独善的な考えだと思うのですね。国民はそういう説明では納得しないですよ。またできないです。しかし、これは非常に重要な根本問題ですから、大蔵大臣が来られましたときにあらためて質問したいと思うのです。そうしてはっきりさしたいと思うのですが、いずれにしましてもこの新税が物価にはね返り、物価高に影響を及ぼす。フィーリングということを言いましたけれども、フィーリングはこれはもちろんです。当然全体の物価高のフィーリングの中でこれが非常に大きな拍車になることは間違いないと思うのです。したがって、これは物価政策としましてもわれわれは賛成できないということがはっきり言えるわけですが、その点はあとから大蔵大臣質問するとしまして、運輸大臣に次に質問いたします。  この新税徴収するということは、大体これは陸運当局、したがって運輸省ですね。これは運輸省が中心的に責任を持ってやる、こういうことになっておるわけですね。そうなりますと陸運局あるいは陸運事務所というものは、これは運輸省設置法では大体どういう立場に置かれるのか。これはいわゆる税金を取る、ともかく新税を取ることに直接参加するわけなんですから、したがってそういう点で、運輸省がこの新税を取る、それに非常に大きくタッチするということですね。しかもそれについては人員を菅数十名ふやすということまで、とにかく構想あるいは計画し、予算まで組んでおるという。大体運輸省がこういう税金を徴収するということに参加する、そういう法的な根拠、また実際にその根拠はどこからきているか。どういう職権をもって運輸省はそういうことがやれるのかということを御説明願いたいと思います。
  216. 細見卓

    細見政府委員 車検証の交付を申請願う用紙に印紙を張って申請願う、その印紙の貼付ということが納税になるわけでありまして、直接の現金の納付のような場合でありますと、たとえば銀行等に現金を納付されまして、かくかくの自動車重量税相当額を納付したというものを持ってこられて、それと照らし合わせて車検証を交付されるわけでありまして、徴税機関という意味では必ずしも従来のような観念のものではなくて、印紙の貼付が正当であるかどうかということをチェックしていただく、こういうわけでございます。
  217. 田代文久

    田代委員 これは運輸大臣に伺いたいのですが、いま大蔵省はああいう説明をしましたけれども、ただ印紙をとにかく張ってあるか、それをチェックするんだというように簡単に言われますけれども、やはりこれは税金を取る重要な一部分だ。新税はこの窓を通して取るのでしょうが、車検と引きかえにですね。ですから、これは当然私は、いま大蔵省がああいう説明をなさっても納得できないのです。これは運輸省はどうお考えになりますか。またこのときに運輸省としてはこういう点が問題にならなかったのかどうかということですね。
  218. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 田代さんも個人的経験がありましょうが、税金を納める場合に銀行の窓口に納めてもいいのですね。したがって、事務的な話し合いに基づいてその事務を扱うということになるわけです。たとえば登録事務、こういう問題もやはり運輸省の事務としてやっておりますから、事務規程の中で処理すればよろしいのであって、税金を納める、あるいは水道料金等の場合におきましても、民間の銀行でもこれは処理できる、こういうようなことと性質としてはそう大きな違いはないというふうに考えております。
  219. 田代文久

    田代委員 これは単なる登録事務であると考えられないですよ、実際に、事実はですね。これは明らかに税金を取る、そういう仕事の一部を、とにかく少なくとも最小限これは持っているということは明らかだ。ですからそういう点から考えまして、これは単なる手続の問題ではないですよ。そういう点から、こういう新税をこうこうこういう形で今度は徴収する、そのために人員をふやすんだということになると、これは全く新しい運輸省の設置法の中で明確にしなければ非常に疑義が多い。運輸省自身が大蔵省なりあるいは財務局の仕事の一部を持って、何かちゃんぽんにえたいの知れないような新しい仕事をするんじゃないかというような疑惑を持たざるを得ない。運輸省の設置法の第何条にこういうことがとにかく許されるということになっているか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  220. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  運輸省の設置法にはただいま先生の言及されましたことは書いてございませんが、ただいま御審議をお願いしております自動車重量税法に、運輸大臣はこういうふうにして収納を確認するということが法案の中にうたってありまして、それによって、ただいま主税局長説明いたしましたような事務の一部を、確認の事務を陸運事務所がやるということで関与するわけでございます。
  221. 田代文久

    田代委員 事務の一部とおっしゃいますけれども、明らかにこれは税金の問題でしょうが。新税を取るというのですね、車検証の交付と引きかえにですね。ですから単なる普通の事務と明らかに違うのです。明確にこれは質が違う。そういう事務がここに入っておるわけです。ですから、この人員をとにかく設置法によってふやすにしましても、単なるいままでの運輸省の設置法の中の、そういう法令の中で人員の増減をするということとは質的に違うのだ。それを明らかにする必要があるのじゃないかと言っておるわけですよ。これはどういう点ですか。
  222. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  定員につきましては、もちろん運輸省の法律に規定されております運輸省の定員の中に組み入れられることを予定しておるわけでございますが、人員の増員につきましては、予算措置でもって増員のことを、御審議を経て認めていただいておるわけでございます。もちろんその人員は運輸省の法律で定められた定員のワク内に入れられるべきものでございます。
  223. 田代文久

    田代委員 時間がありませんから、なお聞きますけれども、私は、少なくともこういう新しい事務を引き受けるということになれば、運輸省設置法の一部改正なり何かやらなければ、こういうことは実際に法的には非常におかしい。  それなら伺いますが、たとえば税務署の事務官になる場合には普通の役人とは違った服務規程があるわけでしょう、いわゆる徴税吏とかなんとかいうのは。そうすると、そういう財務局なりあるいは徴税関係のそういう役人の服務規程というものは、こういう仕事をやった場合に、この運輸省の事務官なりなんかには全然これは及ぼさないのですか。
  224. 細見卓

    細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、納税の義務というものは車検証の交付を受けることによって発生するわけでありまして、印紙を貼付することによってその納税は終わるわけであります。車検場におきましてはその印紙が張られておるかどうかということを確認願うわけでありまして、そういう意味で申しますと、たとえば登記所におきまして収入印紙の貼付が正当の金額であるかどうかということを確認願うわけでありますが、登記所の官吏が収税官吏ということにならないのと同様でございます。
  225. 田代文久

    田代委員 その点は納得できません。これは単なる手数料を取るのだとかあるいは納付金というようなものと性格が違うのだと思うわけですが、時間の関係で……。  大蔵大臣は見えませんか。——大蔵大臣が見えましたのでさっそく大蔵大臣に、十五分間ということになっておりますから、お尋ねいたしますが、大蔵大臣、これは私ははっきりさせておかなければならぬと思うのですが、先ほど同僚議員が、この新税の設置によって、これが物価にはね返るのではないか。いわゆる物価と新税との関係ですね、これを質問したときに大蔵大臣は、これは主として、特に四十六年度においては道路をよくするために使うのだということの説明の次に、物価問題との関係で、道路政策というのはこれは物価政策だということを端的に言われましたですね。私たちはこういうことは納得できないです。この新税をとにかく今度つくった、これができたことは物価政策、つまりそれは物価を下げるということですね、物価を下げる政策なんだというふうにストレートに大蔵大臣は言われましたが、こんなことを国民が聞いて黙っておれるか。これははっきり確かめておきたい。いろいろ答弁を聞いておりますと、大体大蔵省なり政府はこの法案を審議する過程で、またこれを通すという場合にこういう姿勢でやっているのですよ。道路政策というのは物価政策だということを先ほど言われたが、大蔵大臣は実際そのように考えておられるのか。また事実そうなのかということをまず御答弁願いたいと思います。
  226. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は道路政策が即物価政策だというふうには考えておりません。それは、先ほどは物価を上げるのではないかという御質問がありましたから、上げる要因は多少あります。これは軽微なものです。しかし長い目で見ると、道路整備いたしまして流通の改善をはかる、これは物価対策上非常に裨益するところが大である、こういうふうに申し上げているわけです。
  227. 田代文久

    田代委員 これは速記録を調べていただけばよりはっきりしますけれども、いまの説明でもやはり、道路が非常によくなっていく、そのために金をじゃんじゃんつぎ込むということは流通なり何かということがよくなって、結局それはそのことによって物価は下がるのだ。したがって結局これは物価を下げる政策の一こまにもなるのだ、こういう印象しか国民に与えないのですよ。これは失言とは思われませんですか。こういう発言は非常に国民の疑惑も招く。物価高でほんとうに国民は怒りを感じておりますよ。こんなに物価が上がってどうしてわれわれ暮らしていけるのだというようなときに、道路政策というものはこれは結局は物価政策、物価を下げることになるのだというようなことを国民の前におっしゃって、国民が納得し、また、だからこれはひとつ新税をつくっていただきたいということになるかというのです。私は絶対にならないと思うのです。どうですか、その点は。
  228. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは全く見解の相違というもので、道路がよくなれば物価政策には非常にいい影響がある、私はかように信じて疑いません。
  229. 田代文久

    田代委員 これは事実、全く現在の佐藤内閣の本質を暴露していると思うのですよ。こういう言い方をしますならば、あなたのいま言った道路なり物価の関係からいえば、現在の高度成長政策は結局これは物価を下げる政策だ、こういうことにいえませんか。しかし高度成長政策の中でこそ、とどまることなく物価はじゃんじゃん上がっておるじゃありませんか。少なくとも政府が責任をもって国民に税金を課するというような重大なことを決意する場合には、国民が納得いくような形でこれは当然出さなければならないと私は思うのです。あなたのおっしゃるような見解の相違というその見解は、これは一部の大企業、あるいは新幹線やらそういう縦貫道路によって非常に利益をあげる、そういう諸君は、これはとにかく物価は下がるのだというようなことをいって、納得するでしょう。しかし多くの国民というものは、これは事実そういうことで納得できないですよ。さっきから出た建設省のあれからいいましても、農村とか裏町とかいうところは道路は全くめちゃめちゃに破壊されて、そのほうに金は回ってこずに、表通りのそういう大企業の運搬のところにはじゃんじゃん金を使われる。それは物価政策にいって、これはむしろ下げる結果になるのだといって国民が納得するかというのです。見解の相違とおっしゃいましたが、見解の相違ならそれでもけっこうです。しかしそのことは、大蔵大臣なり大蔵省なりあるいは佐藤内閣が、国民を無視してどのような物価政策を考えておるかということを、まるきり裏からこれは説明されたと思うのです。  それから大蔵大臣、もう一つこれははっきりさせたいのですが、私はほかの大蔵委員会でも繰り返されておるのではないかと思うのですけれども、さっきからのきょうの質問を見ていますと、もし本法案が成立しなかったら一般会計予算並びに運輸省の予算はどうなるかという質問が、同僚議員、私の聞いた限り少なくとも二人から出ました。この問題、やはり非常に問題になっておるわけですね。その場合に大蔵大臣は、とてもそういうことは考えてもおらぬのじゃ、これはストレートに簡単に通ってしまうのだ、やってしまうのだ、こういうことですけれども、しかしそれは独断ではないですか。あなたはまた見解の相違とおっしゃるかもしれぬけれども、私は国民としては、国民の代表としては、そういう発言に対してはこれはやはり納得できないです。あなたはこれはほんとに通ったものとして、そして予算をこうこう使う、人員をとにかく何名ふやすのだとさっさっと言っているが、もし極論するなら、そんなことになるならなぜわれわれが法案を審議するのだというのです。そういうことにもなりましょうし、現在の六十五国会のいろいろの情勢の中で、もうあと幾日もないという中で、しかも国民の非常に、圧倒的多数と私は確信しますが、多数がこの法案に対しては反対だといっておるときに、すっすっとごく短期間のうちにこれは通りますか。あなたは当然通るのだ、こういう前提でおっしゃっておる。われわれはこういう大衆に非常に負担をかけ、あるいは物価高を招くようなそういう法案を通してはならないと考えておる。そこは見解の相違といえば見解の相違でしょう。しかし客観的に見て——それをもう通ったということで、政府当局が意外に思うのだというような形でおっしゃって、そしていろいろされている。国会がこの短期間から見て、われわれ野党ががんばって、また世論がそれをバックして、これは通らなかった場合ということはあり得ないですか。その可能性というものはあるじゃないですか。私はそれは六〇%、七〇%あるとは申しません。しかしそういう可能性というものは当然考慮しなければ、国民も納得させることはできないということを言っておるのですよ。また現在の内閣あるいは自民党自身の中に、この法案に対しては非常に反対者が多いということを聞いている。そういうことはないですか。——ないとおっしゃいましたね。閣僚におらぬですか。——閣僚には一人もおらぬですね。あるいは自民党の幹部にも、政策上に影響を及ぼされる自由民主党のそういう幹部の方にもこの法案に反対されておるような方はおられないですか。それははっきり言ってください。
  230. 福田赳夫

    福田国務大臣 この法案に対して反対する人は、政府・与党の中にはおりませんです。これは私は自信を持って御提案しておるので、必ず皆さんの御了解を得ることが可能である、かように考えております。
  231. 田代文久

    田代委員 しかし、その問題については、全日本トラック協会の会長をしておる人とか、あるいは全国の自家用車協会の会長をしておるというような諸君がやはり反対だ。二つの面で、こっちにはこっちに言って、こっちの政府答弁の場合にはこれは満場一致で、自分たち政府並びに与党は一致してこれをやるのだ。そうして与党の中ではそれが非常にごたごたしている。私はここでは名前はあげませんけれども、きょう、自分たちは反対だと言ったあなたたちの与党の議員がおりますよ。満場一致じゃないじゃないですか、どういうことですかそれは。
  232. 福田赳夫

    福田国務大臣 この法案ができる過程におきましてはいろいろ議論がありました。しかし、自民党はなかなかさっぱりした政党でありまして、一たび党議がきまれば全員がこれを支持する、こういう政党であります。ほかの政党のことは存じません。
  233. 田代文久

    田代委員 過程とおっしゃいますけれども、いまここの部屋で、きょうですよ、これは実際のところ。いずれにいたしましても、そういう問題をはらんだ非常に国民に大影響を及ぼす悪法案である。ですから私はこれは当然撤回すべきだと思います。撤回の立場から私はしますけれども、もう一つ、これで最後にしますけれども、大衆課税という問題でも、大蔵大臣大蔵大臣らしい、とんでもない、非常に素朴と言いたいような大衆という意味を基礎にしてお話がありましたけれども、われわれが大衆課税という場合には、非常に困っておられる中小零細業者とかあるいはサラリーマンとか、こういった方々が大衆になっておるということを言っておるわけですよ。国民全体を大衆としてあなた方が言っておるような、そういうことと観点が違うのです。そういう意味から申しまして、私は少なくともこれは撤回すべきであるけれども修正をするというようなことも実際上においてこれはあり得る。そういう場合に軽自動車の税率を手直しをするというようなお考えがあるかどうか。それからまた、さっき同僚議員からお話がありましたけれども、この財源というやつは国鉄の赤字財政には絶対に使わないんだということをはっきり大蔵大臣として確約されるかどうか。これを質問いたしまして私の質問を終わります。
  234. 福田赳夫

    福田国務大臣 この税はあなたのおっしゃるような大衆課税ではありません。私はこれは自信を持って皆さんの御了解を得られる、かように確信をいたしております。  それから国鉄に使わないということを言明するか、こういうお話ですが、(田代委員「国鉄の赤字ですよ」と呼ぶ)これはるる申し上げておるとおり、四十六年度は一般財源でありまして、国の九兆四千億円という歳出のすべてに充当されておる税である、法的にはそういうふうに御理解願います。(田代委員「もう一つあったでしょう。軽自動車についてそれを修正する意思があるかどうかということ」と呼ぶ)自信を持って御提案をいたしておりますので、修正考えはございませんです。
  235. 田代文久

    田代委員 終わります。
  236. 毛利松平

    毛利委員長 松浦君。
  237. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いままで連合審査で各委員がそれぞれ重要な問題については議論を終わっておりますので、できるだけ重複を避けて質問をしてみたいと思います。  まず最初に、私は、これは政府の姿勢の問題であり、法案作成の姿勢にかかわる問題として、一つ二つ御質問をしておきたいと思うのです。  その一つは、御承知のように第六十三特別国会において成立をいたしました道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案、この法案が六十三国会に上程されましたときに、野党の議員は、まず予算のワクだけ、十兆三千五百億というワクだけをきめておいて、足らない税はあとからさがしましょう、昭和四十六年度の予算編成のときにひとつその不足分はさがしましょう、こういったことで実はこういった法案を通過させておるわけであります。ところが、先ほど大蔵大臣説明を聞いておりますと、もうこの法案が通っておるじゃないか、通っておるからどうしても予算をさがさなければならない、幾らさがしてもないから結果的に一番取りやすいものに手が伸びていく、一番取りやすい税金は、御承知のように自動車にかけるのが一番早道だ、道路関係しておるのは自動車だ、こういう関係自動車に税金という魔の手が伸びる。こういうことを考えてきますと、やっぱり私は、六十三特別国会でも質問をし、野党の皆さんも私たちと同じように質問をなさったわけでありますが、一つ法案をつくるときに計画財源というものが無関係で済むところに法制化の問題、根本的な原因があると思うのです。私は、これからもこういう法律のつくり方、そういうあり方が妥当だとするならば、予算はなくても法律だけ通しておけ、財源はなくてもまず法律だけ通しておけ、通ってしまえば、通ってしまったら財源が必要だ、けしからぬじゃないかという質問に対しては、既成事実、法律が通っておりますからしかたがありません、がまんをしてください、こういうやり方では国民は納得しないし、法の立法上のあり方として私は大きな疑問を残す、禍根を残すと思うのであります。この際、主管であります建設大臣に、今後もこういった立法のあり方というものをとろうとなさるのか、その点を具体的にお答えいただきたい。同時に大蔵大臣も、財源の主管大臣としてこういったことを今後も続けていかれる御意思があるのかどうか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  238. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御承知のように、五年というような長期計画の事業の際は、従来とも完全に財源計画ができてからやるということはやっておりません。大体事業計画を、これは国民経済、国民の生活を豊かにするために必要な最小限度、これだけのものは必要であるということで下水道等もみなやっております。そうした場合に、全部五カ年間の、いつにはどれだけの財源措置をどういうふうに配分していくかという、五カ年分の財源措置をしてやるということは困難でございます。単年度でありますれば……。これははなはだけしからぬということでありますけれども、少なくとも五カ年計画においては従来そうしたことをやっておりまして、あなたが言われるように、事業計画を立てた際に財源も一緒に確定できることはそれは望ましいことでありまするが、これはなかなか財政当局においてはっきりと財源区分をその時点において明確にすることは困難な事情がございますので、こういうふうになった次第でございます。
  239. 福田赳夫

    福田国務大臣 大体建設大臣からお答えを申し上げたとおりですが、五年間の道路支出、これを計画し、それに対する財源措置をびしっときめるというということになれば、これは継続費なんです。これは、五年間の継続費を設定するということになると、なかなか容易なことじゃございません。いまお話がありましたように、大体の見当をつけておく必要がある。それは私は、それができればそれにこしたことはない、こういうふうに思いますが、この第六次道路計画をつくるときに大体三千億ぐらいな五カ年間における財源欠陥が見通されたわけです。それに対する手当てをすればこれにこしたことはないのでありまするが、しかし道路計画の実行は急ぐ、こういうようなことで計画のほうが先行した。今後はなるべく計画財源の大体の見通し、これは形を整えてこういう問題に取り組みたい、それが筋だろう、こういうふうに考えます。
  240. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 法的な技術についてはそういうことがあってもいいかもしれないですね。それはそういうふうにするということであればそうなるかもしれない。しかし国民のほうは、一ぺんきめてしまって、きまったら国民から税金を取るわけですから、きまっておるからこれくれとこう言われたんでは、私は国民のほうとしてはなかなか理解できないし、承認できない。国民的コンセンサスを得ることはむずかしいと思うのですね。ですから私は、いま大臣が今後の方向としては望ましい方向で努力をする、こう言われたわけでありますから、私は今後の立法のあり方としては、やはり困難ではあっても国民のための政治をしていくとするなら、こういう計画はこういう財源のもとにこうしてやりますということを少なくとも明確にした立法措置というものかとられるべきである、こういうふうに意見として申し上げておきたいと思うのです。  それで、私は根本建設大臣にもう一つお尋ねしておきたいと思うのですが、実は、これはいつもいつも議論をされるところでありますが、計画財源というものが伴わないのですね、道路五カ年計画計画と。その実際にできた予算の執行は一〇〇%、しかし実際の道路そのものの工事計画というのは一〇〇%にならないのですよ。予算の支出は一〇〇%だったが、道路計画そのものは一〇〇%に到達しない。その原因が一体どこにあるのかということを調べてみますと、建設省が一番おわかりのとおりに、日本道路建設の中の最大の欠陥というのは用地の値上がりなんです。用地買収費に八〇%近くの金を取られるのですね。ところが、いまこうして自動車重量税等の税金を取って、これから道路に回るのかどうかということはまだはっきりしないけれども、主として道路に回るとするなら、納める国民は、これだけの重量税を納めたから道路がよくなるだろうと思って期待をしたけれども、五カ年間では計画が達成できなかった。その理由は、急激な物価上昇に伴って用地費の値上がりでどうにもならなかった。だとするなら、いまの政府道路等の工事の建設の一番欠陥としてあるのは、私は用地問題に対して無策だと思うのです。先般、建設委員会で根本構想というのが議論になりましたが、この根本構想というのはこれは建設大臣としての構想ではなくて、政治家として根本個人の私案である。国会でこのことが契機になって議論をされてもらえばいいがという、政治家根本個人の意見であるというふうに開陳をされておるわけでありますが、実際に今後の計画を実行していく上にあたって、用地の値上がりというものに対してどのように対処しようとするのか。実際に、この道路建設に伴う用地の値上がりというものが、実行計画に支障があるということが事前にわかっておるわけでありますから、これに対して現在の佐藤内閣はどう対処しようとするのか、その点を建設大臣並びに大蔵大臣から明確にお答えいただきたいと思うのです。
  241. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 道路のみならず、公共事業を実施する場合における地価が非常に大きな障害というか、予算効率を下げておることは御指摘のとおりです。と同時に、これは一般の物価についても非常に大きな影響を与えておる。野菜が値上がりするということも、とにかく近郊において非常に土地が高くなれば当然上がるのです。そういう意味で、この前いわゆる根本構想なるものとして出した問題は、こういう問題は国権の最高機関である国会において超党派的に取り組むべきだ。いままでややもすれば、政府が案を出すと対決の姿勢ということで、野党は何らかの形においてこれと対決するようなかっこうになりがちです。そういうような意味において、こういうような国民的な大問題は与野党を通じて、国民の合意を得る非常な斬新な構想を出すべきだ。そういう意味であの構想を出したものです。しかも、これは決して私の独自のものではありません。これは社会党あるいは公明党、民社党が従来いろいろ土地問題として出された提案の集大成と言ってもいいと思われます。でありまするから、これを中心として本格的な土地対策をやったらどうかということでございます。従来とも公示制度あるいはまた収用法の強化等をやっておりますが、なかなかこれだけではできないのです。これは政府の責任ではありますけれども、やはり土地に関する一般の国民の意識も変わってこなければならないし、所有権絶対主義をとっておったら土地問題は解決できないと思うのです。そういう意味で、先般は御承知のように農地法も改正したし、それから都市計画法も変わって、線引きもやった、こういう段階で、政府も一生懸命やりまするが、私は野党各位におかれましても抜本的な方策を、国民の利益のためにひとつ一緒にやっていただければこれにこしたことはない、かように信じている次第です。
  242. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も実は根本建設大臣と同じような考えなんです。行政を預かっておりましていらいらした感じを持ちます。何かというと、やはりいろいろ計画を立てましても土地の問題でつかえることが非常に多いのです。私は根本建設大臣同様、非常に高度の公共性のためには私権をある程度制限する、これはやむを得ないことじゃないかと思うのです。しかし、なかなかこのコンセンサスが得られないのがいらいらの原因なんでありますが、どうしたらこの問題が解決できるか、これはまた皆さんにも御意見を聞きながら私は前向きに考えていきたい、かように考えております。
  243. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 担当の建設大臣として、根本構想じゃなくて、こういった問題についていまの佐藤内閣が次の国会あたりまでに具体的に提案をするというお考えがありますか。野党とかなんとかの同意ということは別にして。
  244. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 その準備は進めます。進めますが、私が申し上げたいことは、こういう重要な問題を政府が出しなさい、それについてここがいいあれが悪いと言うよりも、むしろ法案をつくる前に与野党の意見を一致していったほうが、私は国会の権威のために、政党政治のためにそれが望ましいことではないか、これを言っているのです。あなた方は、いやそれはいかぬ、政府・与党がかってに出しなさい、その段階でいろいろ品定めもし批判もするというようなことであるならば、やむを得ない、そういうことにならざるを得ないと思いますけれども、私はこの問題は政府が与党だけで単独に出すよりも、そうしたほうが現在の国民の最大関心事を解決するための議会民主主義政治のあり方としていいではないか、こういう意味で申し上げている次第でございます。
  245. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は根本大臣の言われることは賛成なんです。だとするなら、いま出されている重量税法案という法律について、やはり野党との間に——この土地のほうは重要だ、だから野党との間にコンセンサスが必要だ、合意が必要だ、しかしこの重量税法案のほうは政府のほうが一方的に出しますよではなく、私はやはりこの法律についても同じだと思う。法律そのものを見ると一つ法律のように見えるけれども、実際は道路をつくるということについてはすべて関連されておらなければならないのです。その一つの部分だけを取り上げて、これはどうか、反対か賛成かとわれわれに投げかけておいて、そして同じ道路問題である土地については、野党との間に同意を得るように国会議論してください、こう言われるのは私はまことに都合のいい答え方だと思うのですよ。だからそういった問題について、これも現実的にさらに再検討する用意があるのかどうかをお伺いしたいと思うのです。
  246. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは、私が構想を出しましたのは、最近に至りまして御承知のとおりに私は発想を出したのです。なぜならば、地価対策閣僚協議会でもいろいろ検討いたしました。あるいは学者の方々からもいろいろ提案が出ております。それから皆さん方からも提案が出ております。ところで、道路にしろ住宅にしろあるいは都市再開発にしろ、やってみましてもみんなひっかかっちゃうのです。これではいけないということで、何でもそれはやることが望ましいけれども、特に七〇年代は内政の年といわれる、それの最大の問題が土地問題になってきたから、せめてこの問題だけでもということでございまして、他の法律案でも与野党が協力ができるならそれでけっこうでありますけれども、これとすぐに直結して、土地問題でこれを出して、いまこれを撤回してやれということはちょっと私は論理の飛躍があるような気がします。その意味で私は、この自動車トン税と土地問題とは関係はありますけれども、それゆえに土地問題について超党派的提案をするならこれを撤回してもう一回やり直せということは、私にとっては理屈としてはわかりますけれども、やはり現実の政治からするならば、いまそのようにするということが適切であるとはいま考えられません。
  247. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はそれは大臣の苦衷もわかる。さっきのような答弁をなさったから、それにつじつまを合わすためにはそういう答弁を言わざるを得ないのです。それはわかるのです。しかし、大臣も御承知のように、それはアメリカとかそういったところは国情の違い、国土、面積の違いがあるでしょうから、同じお金を使ってかりにアメリカでは百メートルできるとしたら、日本では十分の一の十メートル以下の道路しかできないのですよ、同じ投資をして。だとするなら、もう道路財源の問題がいろいろ議論された段階で土地問題というのは当然これにからみ合わせて出てこなければならぬ。私はそういう意味で行き当たりばったりの行き方じゃないか。金が足らないからこっちへ重量税を持ってくる、そうしてどうにもならなくなったら土地政策だ、こういったばらばらの行政というものが国民を結果的に苦しめ、結果的に政治不信に追い込んでしまう。先ほど野党の責任と言われたけれども、もちろん野党としての責任もいろいろあるかもしれないけれども、それ以上に現在の政治を指導しておる現在の佐藤内閣というものがもっとそういった総合的な道路行政なりあるいは総合交通網体系というもののもとに法体系をつくり、財源措置をしていくという姿勢に欠けておるところに、国民がなかなか同意できない矛盾点というものを感ずると思うのです。私は議論の平行だと思いますからこれ以上追及しようとは思いません。しかし今後の問題として、私たちもこの問題についてはさらに議論していくつもりです。  ここでさらにもう一つお尋ねしておきたいのは、これは大蔵大臣にお聞きをしておきたいのですが、一体道路から受ける受益者というのは自動車なんですか。私は、諸外国には道路の受益者は自動車であるという思想はないと思うのです。少なくとも道路というのは産業、経済すべての面にわたって国民全体が受益者であるというのが道路行政だと思うのです。ところがこの法案で見る限り、道路行政から受ける受益者というのは自動車ということに限定をしておるところに私はこの法案性格上の問題点があると思う。大蔵大臣、どう思われますか。
  248. 福田赳夫

    福田国務大臣 道路整備されることによって受ける利益、これは国民全体だと思います。しかしそれには段階がありまして、第一次的に利益を受けるのは道路使用者である、こういうことを申し上げているわけです。
  249. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はやはり、その道路使用者が自動車であるという感覚がいただけないのです。トラックの上に品物を積んで走っておるのも道路を利用しておるのですよ。トラックというのは上に乗っておるものを積んで走っておるだけなんです。道路を利用しておるものは直接的に自動車であるけれども、そのトラックの上に積んでおる品物、こういったものは間接的に道路を走っておるのですよ。どうですか、その点は。
  250. 福田赳夫

    福田国務大臣 それには違いございませんけれども、とにかく第一次的といっているのです。第一次的に利益を受けるのは道路を使用するところの自動車使用者である、こういうふうに申し上げておるのです。
  251. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 道路利用者だ、第一次的に道路を利用しておる、こう言うけれども自動車も走るけれどもやはり人間も歩くわけでしょう。そうでしょう。大蔵大臣だって歩くんだから。道路を歩くでしょう。それなら歩く人は第一次的に道路を利用しておるわけですね。それは国民でしょう。しかもその自動車を運転しておるのは国民でしょう。ただ自動車という物体が人間というものを媒介にして走っておるにすぎないのですよ。自動車が税金を納めるのじゃないですよ。自動車を運転しておる人が税金を納めるのですよ。そうでしょう。いま自動車というのは八つの税金を納めていますね。これで今度九つですよ。国税、地方税の違いはあるでしょう。しかし納めるのはみんな同一人であり、同一企業者なんですよ。こういう状態でこの自動車重量税について国民のコンセンサスを大臣は得られると思っておられますか。どうです。
  252. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろの種類の税が同じ客体である自動車にかかっておる、それはそのとおりでございますが、しかしそれを総合してみると、その負担は諸外国に比べてそう高いわけじゃないのです。それよりも、今回、道路が非常におくれておるということで新税を設定して、それで道路のおくれの取り戻しをやる。これにつきましては国民的なコンセンサスが得られるのじゃあるまいか。しかもこのいま設定しようとする税は、乗用車につきましては一台年五千円だ、トラックにつきましては一万円だ、こういうようなことでございますので、そう抵抗なく受け入れていただけるものではあるまいか、私はさように確信をいたしております。
  253. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国民がそう抵抗なく受け入れるなら野党は反対しないですよ。理屈としてはそうですね。だから、実際に諸外国の例を調べてみますと、やはり日本ほど特定財源というものが道路に使われておる国はないのですよ。相対的に、昭和四十五年、四十六年を建設省に問い合わせて調べていただきましたが、国庫で昭和四十五年度で特定財源八八%ですよ。昭和四十六年度で八六%。地方財源では特定財源が四八%、一般財源が五二%、少し一般財源のほうが高いですね。やはり道路というものは国民全体が受益者であるという考え方に立つなら、特定財源という考え方を改めて、もっと一般財源あるいは財投資金というものを道路行政というものにつぎ込むべきだ。ただ自動車だけにその財源を求めておるというところに、今日の道路というものに対する政策の貧困さ、道路に対する見方の貧困さがあると私は思う。だから、やはり国民が受益者だから、国民全体の人たち道路をいかにすべきかということでコンセンサスを受けて一般財源が出ていく、財投が出ていく、これならわかるのです。ところが、現実に走っておる、第一次的に利用しておる自動車だけに税金を九つもかけていく。しかも先ほど和田委員質問に答えて、数字の訂正が若干あったようですが、大体昭和六十年度までに保有台数が三千万台というのですね。だとすると、国民の三・五人に一人は自動車を持っておるということになる。三人に一人か三・五人に一人は自動車を保有しておるということになるのですよ。しかもそのうち大部分は勤労者です。その人にこの自動車重量税がかかるというのは、これは明らかに大衆課税じゃないですか。大蔵大臣は先ほど、大衆課税というイメージ、ことばのあり方に私はどうもと、こう言われたけれども、国民は実感として、そういう実態からいうならばこれは大衆課税以外の何ものでもない、こういうふうに思うのは私は当然だと思うのですが、大臣どうです。
  254. 福田赳夫

    福田国務大臣 自動車やガソリンなんかから徴収される税ですね、これを特定財源にしておるわけですが、特定財源にすることが絶対必要かというと、私は必ずしもそうは思いません。しかし道路が非常におくれている、それを、財源を確保しておいてこれを推進する、これは私は道路行政に対する非常な熱意を示すものである、こういうふうに思うのです。それが悪いというなら、これは御意見として承っておくほかはないのでありますが、とにかくいまわが日本において自動車に対する課税、これは先進諸国に比べてそう高いということでもないし、今度つけ加えましても、またそれでも高いということでもない。それよりも、早く道路をりっぱにして先進国並みにして、社会全体、われわれの生活環境、われわれの産業環境、こういうものをよくする、これは私は国民から受け入れていただけるのじゃないか、そういうふうに思います。
  255. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は道路をよくするなと言っているのじゃないのですよ。私は道路はよくしなさいと言っているのですよ。しかし、道路をよくする財源として、ただ道路を走っておる、第一次的に自動車が利用しておるから自動車からいただきますよというその発想は、どうも国民的なコンセンサスを得られないのじゃないか、そういうことを言っているのですよ。何も自動車から取らなくたって、国民全体の中から道路というものはよくされるべきだ。受益者というのは自動車を利用しておる人じゃないのだ、国民全体だという発想から道路行政というものは進めるべきだ、こう申し上げておるのです。その点についてどうか、こういうことなんですよ。
  256. 福田赳夫

    福田国務大臣 とにかくわが国におきまして八つも九つも税制が同じ書体に対して存在するという状態、これは私は複雑多岐だと思う。しかしそれを総合してやってみて一体どういう負担になるかというと、これは先進国に比べてみて決して高い割合じゃないのです。そういうことを私は申し上げているのです。そういうような状態のもとにおいて、軽微な自動車新税を創設する、そして道路整備を取り急ぐ、これは国民から受け入れていただけるのじゃないか、私はこのことを申し上げているわけであります。
  257. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 とにかくということばが出ましたけれども、これは大臣の口ぐせですから私たちはそう思わないけれども、国民が聞いたらやっつけ仕事に聞こえるのです。とにかくどうでもいい、こうなんだ、こういうふうに聞こえますので、あまりとにかくということばをお使いにならないほうがいいと私は思うのです。  それで、この道路の問題で私が先ほどから言っているように、今度の自動車重量税法案という法律のあり方がどうも理解できないのです。先ほどから局長答弁を聞いておりましても、車検税なんですね、自動車重量税という法律が。自動車道路をいためる度合いに従って重量で納めていく。現にこれは建設省の資料です。アメリカ等においては十一・八トン以上から重量税を取りますね。フランスにおいては十六トンですね。あるいは走行キロによって取る。こういった形で非常に明確になっているのですね、諸外国自動車から取る税金というのは。いままでの自動車から取られておる税金というのは、ある意味で税の目的がはっきりしておる。ところがこの自動車重量税というのは、名前重量税だけれども内容的には全くの車検税だ、そういう考え方がどうも理解できないのです。重量税ならやはり重量税的な法案にしなければいかぬ。それが実際に話を聞いておると車検税だ。こういう点について、国民に対してどういうふうに整理をなさるおつもりなのか、大蔵大臣から簡単に御答弁いただきたいと思います。
  258. 福田赳夫

    福田国務大臣 私ども重量税と申し上げておりますが、これは重さに従って課税をするという仕組みを申し上げておるわけなんです。この過程におきまして、初めトン税という名前があったのです。トン税といってもいいと思うのです。そういう考え方なんです。ただトン税といいますと、関税にもとん税というのがあってまぎらわしい。それからトン税というとどうもイメージがあまりよくない、こういうようなこともありまして重量税といったのですが、非常に重いからかけるのだ、こういうのじゃないのです。重量に従ってかけるのだ、こういう意味でひとつ御理解を願いたい、かように存じます。
  259. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間がきましたからあと簡単に一つだけお尋ねしておきますが、だとすると車検税重量比税ですね。重量税じゃなくて重量比税、比例税あるいは車検税、私はそういうふうに明確にしておくべきだと思うのです。誤解を生むのです。  同時に、これは昭和四十六年の十二月から実施をされるのですね。先ほどから議論されておるとおりだと思うのです。そうなってきますと、先ほどから内藤委員からもいろいろと議論がありましたが、しかも今年度に限っては総合交通特別会計を考えるとかなんとかは別にして、これをどういうふうにするかということは総合交通閣僚会議で配分をしていく。きわめて不明朗なんですね。同時に郵政省がもうかるのですね。私たち国民は自動車の税金だと思って納めてみた。そして道路がよくなると思った。ところがこれは印紙で納めることになっておるから、印紙というのは三%の手数料を払うことになりますね。そうすると今年度において約十二億は郵政省に入るのですよ。自分の納めた税金で道路がよくなるわけじゃなくて、金額は小さいかもしれないですよ、しかしそれが郵政省のほうに入っておる。税金なら直接税務署から道路なら道路に行くからいい。そういうふうに間に入っておるのですね。中間的に介在をしておる。そこにこの法案の非常に不備がある、国民のコンセンサスを得ない重要なポイントがあると私は思うのですよ。  そういう点、もう答弁、簡単にしていただいてけっこうですけれども、今年の十二月から実施だとするなら、この法案を一回引っ込めて、そういった問題を整理をして、次の臨時国会あたりでこの問題を議論をしてみてもおそくはない。現実に根本大臣が、野党との間で議論をして、国民の同意を得た法律が今度の臨時国会にはさっと出てくるという形が一番望ましい姿だと先ほども言っておられるのですから、私はこの際、主管の大臣としての大蔵大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  260. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろの御指摘を受けますが、これは一年間にわたって練りに練った法律案でございますので、ぜひともひとつ御理解、御賛成のほどをお願い申し上げます。
  261. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 終わります。
  262. 毛利松平

  263. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 最初に根本大臣に伺いたいのですが、本来、新しい五カ年計画財源不足、これが契機になっていまの重量税の問題か提起をされてきた、こういうふうに認識をしておるのですが、この認識、間違いないかどうか。
  264. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 道路新五カ年計画は、従来の特定財源、それから一般財源の伸び率からすれば、われわれの計算ではどうも三、四千億の不足を来たすのじゃないかということで、そのために特定財源を何らか求めるべきだということをぼくらが発言し、また大蔵大臣においてもそれを是とされて、何らかの財源措置をとるということが出発点であったことは事実でございます。しかしこれは道路だけの特定財源にするとかどうとかということは、その時点ではきめておりません。何らかの形における財源を必要とする、こういうことでございます。
  265. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、いまの重量税というこの財源に対して虎視たんたんとしてねらっておるのはどことどこか。これを見ますと、「道路その他の社会資本」、こういっておるわけであります。その他の社会資本というやつは、先ほどの答弁では明瞭でないように思うのであります。したがって道路以外にこの重量トン税に対して虎視たんたんたるものが幾つかあるように思うのでありますが、大臣は、いまどのあたりからどのようにねらわれておる、こういう認識をなさっておりますか。
  266. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず第一が、道路に非常に関連があるのですか、安全施設です。道路の安全施設交通標識などですね。それから道路と密接な関係にあるところの新幹線、地下鉄、それからさらに広く考えますれば航空関係というようなこと、さらにこれを広く見ますれば海運関係とか、そういういろいろなものがあるだろうと思います。それで、この新税による収入はこれは主として道路財源に充当するという考えでございますが、総合交通体系を整備する、その結果によりましては、道路財源に充てて余剰が出ます分はそれらのもののいずれかに充当することが適切である、こういうふうに考えております。
  267. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 ただいまの大蔵大臣説明は納得をするわけにはまいりません。そこで、時間の関係で他の機会にそのことは譲りたいと思うのであります。  国鉄の関係者おいでだと思うのでありますが、国鉄は、この七月に答申されるであろう新しい交通体系、こういうものの中で将来の国鉄のあり方を明らかにするということになってくるだろうと思うのであります。その際に国鉄もいまのこの重量トン税に対して虎視たんたんたる一角ではないか、こういわれておるのであります。いま国鉄がみずからの内部努力と、この重量トン税の是非は別にいたしまして、これの少々の分け前にありつく、そんな程度のさもしいやり方で二十一世紀の国鉄、八〇年代の国鉄、こういうものの確たる見通しが立ち得るのかどうかということになりますと、私どもはおよそ問題にならぬものではないか。したがって、道路に対して五カ年計画で十兆三千五百億の第六次の計画を持っておりますように、国鉄はやはりもっと大がかりな見通しの上に立った進み方をしなければならぬ時期なんじゃないか、こう思うのでありますが、国鉄の見解をこの機会にお聞きをしたいと思うのであります。
  268. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま「道路その他」という中に国鉄のことを落としましたので、申し添えさせていただきます。
  269. 山田明吉

    ○山田説明員 お答えいたします。  おそらく御指摘の点は、一昨年成立いたしました日本国有鉄道財政再建促進特別措置法、この考えによりましてただいま昭和五十三年までに総額三兆七千億円の規模で国鉄の近代化、合理化あるいは新幹線の建設その他を進めている、その財源についてのことだろうと存じます。私どもこの三兆七千億の計画をきめましたその際には、当時政府でおきめになりました新経済社会発展計画、これの交通関係として五兆五千億円の案が一応出ておりました。その中で大体二兆四千億円は国鉄のいただけるシェアだと考えて、それとの関連で五十三年度までに三兆七千億円という計画をいたしたわけでございます。したがいまして、それに関してどういう財源でどういう手当てをするかということはもちろん私どもがきめ得るものではございませんし、その当時から政府とそのつど御相談いたしまして、毎年度の予算で具体化していくということでいままで進んでまいっているわけでございます。
  270. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの国鉄の説明の三兆七千億、この中には東北新幹線のようなもの、こういうものも入っておりません。したがって、いま問題として出されておる内容から見ますれば、財源の必要とする資金の計画はまるきり問題にならぬほど差があると思うのであります。それは伏せて、私はそこで、国鉄がいまの重量トン税のようなものに少しばかり分け前にあずかろう、こういうちゃちな量見ではどうにもならぬ段階にあるのではないかと思うのであります。もっと根本的な大がかりな、道路計画のようなものを国鉄は持っていくのでなければ、この激しく変わっていく情勢に対応できる国鉄というものは生まれないのじゃないかと思うのでありますが、そのことは答弁は要りません。  そこで私は、そもそも今回のこの重量トン税にせよあるいはまた車検税という当時の論争にせよ、始まってきた経過は道路の第六次計画財源不足というところから問題は始まった、こう認識をしておるのであります。そこでその際に、根本大臣がつい先般、政治家根本龍太郎として、ある意味では政治的な生命をかけてという評価をされるような土地対策というものを提起しておる。私どもはこの土地対策について、先ほど根本大臣は松浦委員質問に対して与野党対決じゃなしになんとおっしゃっておったが、同感であります。この間の根本大臣のあの私案を出してみますと、建設サイドの理事会の中では与野党対決じゃなくて、むしろ与党内部に対してこれを根本大臣のいわば建設省の方針として出されたのじゃちょっと問題だ、これは政治家根本龍太郎欄人にしてもらわなければいかぬ、こういう激しい突き上げがむしろ根本大臣の与党の中から強かったのであります。私どもももちろん今回の根本大臣が提起した内容があげてりっぱだとは思っておりません。たとえば三大都市圏の農地等を先買いをする、強権力で先買いをするという。しかし実際は、いま都市の過密対策なりあるいは再開発なりをはばんでおるのを三大都市圏の農地等にのみその解決策が求められるべきではなしに、法人所有の未利用地などがたくさん、数倍の広い面積を持っておるわけであります。こういうものを一体どうするのかというめどが出てこない限り、根本大臣が政治家として命をかけて出しておるあの構想も、これは私はあれだけでは不十分なものだ。そこでそういう問題をも含めて私どもはあの根本構想というものを、先ほども大臣言いましたように前向きに方向づけをやらなければならぬ時期だ、こう思っておるのであります。したがってこの機会に、根本大臣が示したあの政治家根本龍太郎の構想というものを、次の機会には総理大臣になるかもしれぬといわれておる福田蔵相は一体どういうふうに評価をし、どういうふうに引っぱろうとしておるか、前向きに持っていこうとしておるのかというようなことを、深い関係があると思いますので承りたいのであります。
  271. 福田赳夫

    福田国務大臣 根本構想というのは私は賛成です。前向きで引っぱっていこうという気持ちでございます。ただ私はこの間の、農地を無目的で買収をする、先買いをするということはいかがであろうと思うのです。反対に私は、ああいう被買収農地でなくともいいじゃないか。目的がはっきりする、たとえば住宅政策、焦眉の急です、あるいは道路の問題だ、そういうためにはある程度私権というものについて、いままでと考えを違えていいんじゃないか、そういうふうに考えます。とにかく気持ちにおいては一緒なんですから、ああいう考え方は発展させていくべきである、そういう所見でございます。
  272. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、いまの問題について、先ほども松浦委員が指摘をしておるのでありますが、これは政府のまとまった試案という形でもなし、現段階では政治家根本大臣個人の私案、こういう形で出されておるものなんでありますけれども、このあれを次の通常国会くらいがめどじゃないかと思うのでありますが、これはやはり利害関係者も非常に多いことでありますから、そこらあたりで政府・与党が単独で出したのじゃ、また野党が利害の関係する方々と結んで足を引っぱられてはかなわぬ、そういう配慮もあるのじゃないかと思うのであります。したがって、各政党が全部一致した姿で内容を練り上げながらまとめていきたいというのが根本提案中心のように私どもは思っているのであります。したがって、内容の問題は、私どもから指摘をいたしますると、もっと豊富にしなければならぬものがたくさんあると思う、充実をしなければならぬものがあると思う。あると思いますが、何はともあれいまの土地問題を抜きにして、道路整備にいたしましても先ほどお話しのように、用地取得のための経費が道路のための政策の八〇%を占めるような現状では、これはなかなか道路整備も進まぬ。そこで、非常に荒っぽいかっこうで車賃トン税なんというむちゃなやり方にはみ出してこざるを得ない、こういう状態になってきておると思うのであります。したがって、この土地対策というものはあらゆるものに優先をして、腹をくくって立ち向かわなければならぬ課題じゃないかと思う。そういう意味では、いま大蔵大臣は賛成だとおっしゃるのですか、そうだとすれば、時期的な見通しと全体の運び方、そういうものをどういうふうに持ってこの重大な課題に取り組まれようとなさるかということも、この機会に承りたいと思う。
  273. 福田赳夫

    福田国務大臣 考え方としては私は賛成で、何とかこれを具体化してみたいという感じです。しかし、一坪地主というような動きも見られるような時勢でございますから、軽々にこれをやるわけにはいかぬ。これは国民の各層の意見を伺った上、これでコンセンサスを得られるなあという段階でふん切りをつけるべき問題じゃあるまいか、こういうふうに私は考えます。
  274. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大蔵大臣、茶化してはいかぬと思うのです。一坪地主云々という議論のしかたはこれはいかぬと思うのです。せっかく根本大臣が政治家としての生命をかけてこの問題を出しておるわけですね。所管大臣ですから当然だといえばそれまでですけれども、私どもはこの芽は後退させるべきじゃないという認識なんです。前に進めるべきだ。足らざる点はたくさんある、こういうものを豊富に強化をしながら進むべきだ。いまの大蔵大臣みたいな言い方をしておったんでは、まとまる話もまとまらぬようになるのじゃないですか。  そこで、この問題を抜きにしては、第六次の道路計画で当初予定しておった十兆三千五百億を全然道路の延長内容という面では消化しないままで、金はかりに十兆三千五百億を突っ込んだとしても、どんどん物価は上がっておりますから、そういう意味では仕事の量は問題にならぬほど差がついていくと思うのですね。したがって、国民が期待しておるのは、金を何ぼ突っ込むかじゃなしに、問題は道路がどれだけ改善されるかということを求めていると思う。そういう角度から見ますと、土地の問題を抜きにしてこの問題は解決つかぬと思うのであります。したがって、私はこの根本構想として出されたものを、政府もあるいは各党も前向きに検討して進めていくということが必要なんじゃないかと思うのですが、いまみたいに一坪地主なんという議論が出てくるのじゃ、これはぶちこわしじゃないかと思う。大蔵大臣のもう少し前向きな答弁を求めたいと思います。
  275. 福田赳夫

    福田国務大臣 大賛成です。ひとつみんなで虚心たんかいに、国家国民の福利のために考えていくべき問題だと思います。考えましょうじゃないですか。
  276. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、そういう根本問題を解決するならば、こういう非常に荒っぽい、理屈のつけようもないような重量トン税なんというむちゃなところにはみ出さぬでもいいのじゃないかということを指摘をして、質問を終わります。
  277. 毛利松平

    毛利委員長 新井君。
  278. 新井彬之

    ○新井委員 私は、自動車重量税につきまして若干の質問をいたしたいと思います。いろいろと議論がございまして、私としても非常に納得できないところがいろいろございますので、そういう点について重なると思いますけれども、お伺いをしてまいりたい、このように思います。  まず、この自動車重量税性格というのは何であるか、このことをお伺いしたいと思います。
  279. 福田赳夫

    福田国務大臣 税の面からいいますれば、一種の流通税、こういう性格のものかと思います。
  280. 新井彬之

    ○新井委員 これは先ほどもお話がありましたように、まず初めのいきさつからいきますと、道路五カ年計画に対する十兆三千五百億円の財源不足である、こういうようなことから、その財源措置としてだんだん発展をしてきた。そこで、自動車重量に応じて破損程度が違う。現在モータリゼーション化して、だんだんと道路に車があふれる。そのために道路投資もうんと要る。そして第六次五カ年計画においてもそういうわけで財源不足を来たしておる。さらに交通公害、そういうような社会的コストを第一次原因者である自動車に求めなければならない、そういうことで提案をされたというように先ほどから聞いておるわけでございますけれども、そういうことで間違いありませんか。
  281. 福田赳夫

    福田国務大臣 間違いございません。
  282. 新井彬之

    ○新井委員 そうすると、自動車重量税というのは原因者負担であり、受益者負担であるという原則に基づくものであると思うのですけれども、これは間違いないですか。
  283. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは十分ではないと思います。つまり、自動車社会コストに及ぼす損害、それから道路整備によって自動車の受ける利益、それらを総合いたしまして利用者に負担をお願いする、こういうことでございます。
  284. 新井彬之

    ○新井委員 だから、要するに自動車の使用者が原因者負担、受益者負担のために税を取られるということなんですね。
  285. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはそのとおりでございます。
  286. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、これは明らかに受益者負担、原因者負担であるということから目的税になる、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  287. 福田赳夫

    福田国務大臣 目的税というのは、財政上の用語は、その使途がきまっておる、こういう税であります。したがって、いまあなたが言われるような意味におきましては目的税じゃございません。
  288. 新井彬之

    ○新井委員 いや、その辺がはっきりしないとこの問題は進まないと思うのですけれども、要するに、先ほどから順番にいろいろと理由があってこういう税になったわけですけれども自動車には税金が八種類もある。そうしてそれも一つ一つ理由があって、いろいろの理由でその税が課せられてきたわけですけれども、それならどうして今回こういう自動車負担をさせるような状態になってきたのか。それも重量税という、まあいえば自動車の重さに応じて税がかかっておるわけでありまして、やはりそれは自動車が走ることによって道路の破損を来たす、したがって原因者負担であり、それからまた自動車が走るということで受益者負担なんだ、こういうことに考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  289. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはそのとおりなんですが、ただ、目的税といいますと、使う目的をきめて徴収する税である、こういうことなんです。しかし、そういう財政上の用語としての目的税ではない、こういうことを申し上げておるわけなんです。ただ、この税を検討したその発想が道路整備ということにありますので、主として道路財源に用いる、こういうことではございまするけれども、財政上は、昭和四十六年度においては少なくともこれは一般財源で、いかなる目的に使っても差しつかえない、こういう税でございます。
  290. 新井彬之

    ○新井委員 私はそれが非常に不明朗であると思うわけですね。先ほども順番にお伺いしたわけですけれども道路が破損をする。あくまでもやはり、原因者があり、それから受益者がある以上は、これは当然道路に還元されなければ、税を払うほうとしても納得できないのじゃないですか。よしんば、ほかの例でも、一つの建物を建てる。そのために赤字がある。それを使う人たちが払うものを払わなければいけないということでみんなが思っているときに、よそに使われるということであればこれはやはり納得できないのじゃないか。したがって私は、大蔵大臣は非常に無理されているのじゃないかと思うのですね。ということは、当然こういうのは目的税として道路に還元したいのだ。だけれども、いまの交通事情、いろいろな事情から交通総合体系というような話が出てきた。したがってそれだけじゃまずいからというようなことで一般財源に繰り入れた。私としてはいろいろの意見を聞いて、そういう中からもどうもこういうぐあいに感ずるわけでございますけれども、ほんとうにそういう、いま言われた一般財源にすること自体が、やはりそういう税金を徴収されるもの、そしていまの道路の込みぐあい、あるいはまたそういう道路のお金の要る財政事情、そういうものから勘案して、これはやはり目的税として特定財源にしなければならないのじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、いかがでしょう。
  291. 福田赳夫

    福田国務大臣 たとえば物品税というものはいろいろなものにかかっておる。テレビあたりもかかっておるわけです。そうすると、これはテレビ事業の振興のために収入を使わなければならぬ、こういうふうになるお話のようでございますが、そうは考えないのです。やはり国の財源というものは、いかなる事情にいたしましてもこれを国家は受け入れる。そうして財政の弾力的運用という上からいうと一般財源として受け入れて、広くこれを一般の歳出に充当する、こういう行き方がいいのです。いいのですが、道路につきましてはこの整備が非常に急を要するというので特定財源、つまり、それをさらに制度化しまして特別会計という制度をとっておるわけなんです。今回新たに新税をつけ加えるわけでございますが、これを特別会計の中にほうり込む特定財源にするかどうか、これはやや技術的な問題でございまして、本質はこれは必ずしも、道路損壊者あるいは道路受益者、そういう人から取った税ではありますけれども道路のためにのみ使用しなければならぬという必然的な結論にはならぬ、こういうことを申し上げているわけであります。
  292. 新井彬之

    ○新井委員 いま大臣はテレビの例を出されたのですけれども、テレビは視聴料を払っておるわけですし、それからまた民間の放送局等においてはちゃんとはっきりしたスポンサーがついておるわけですから、それはちょっと当てにならないと思うのですけれども。  先ほども申しましたように、私はこの道路財源、要するにこの自動車の税金が八種類もある中で、なぜあえてまた九種類にもしなければならないのか。先ほどから税は安いとか、外国と比べてまだ安いとかいうような話がいろいろありますけれども、私たちがいろいろな人に聞いてみて、ほんとうに自動車の税金がこれで安いか高いかといった場合に、確かにもう限度にきていることは事実だと思うのですね。だから、自動車がいまモータリゼーションでどんどん伸びている、そういう中からそういう一つの税をまたふやしていくということについては、当然やはりこういう皆さん方に還元するのだという意味でしか取りようがないと思うのですね、常識的に考えてみて。ところがそれをあえてそういうところから、なおかつまた一般財源として取るという、そういう基本的なことについて、私はもう納得できない、賛成できない、こういうような気持ちでございます。そういう面について、先ほど何かこの税というのは登録税であるというようなことにも言っておったようでございますけれども、そういう実際の納税者に対して、これはこういうことでお金が要って、皆さんからなおかつ八種類以上、九種類にわたっていただくことになるのですということを、一ぺんひとつわかりやすくお答え願いたいと思います。
  293. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま道路整備状態が先進国に比べますと非常に立ちおくれておる。これの整備を急ぐ必要がある。そのために道路五カ年計画を立てました。ところが五カ年計画では、在来の財源をもってしては五カ年間に三千億円の不足を生じます。その財源をいかにして調達するか、こういう問題に政府は迫られております。所得税増徴するか、法人税を増徴するか。いろいろ財源調達の方法もありましょうが、諸外国の事例等も考えますと、まだ自動車の使用者に対して負担を求めるということにいたしましてもさほど高い状態でもない、こういうふうに考えますので、道路を損壊し、また道路がよくなりますればその利益をこうむる自動車の使用者にその負担を求める、これはまず国民から御納得のいくようなことではあるまいか、さように考えまして自動車重量税を創案いたしました。これが私の説明でございます。
  294. 新井彬之

    ○新井委員 そうすると、いま大臣からお答えいただいたのですけれども、国鉄の新幹線にそのお金を出すとか、またほかのほうにお金を出すというようなことはなかったわけですね。そうするとこれは目的税として、道路をよくするのだというようなことで出すのが当然ではなかったかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  295. 福田赳夫

    福田国務大臣 立法の趣旨はまさにそのとおりでありまして、この道路整備を契機といたしましてこの税金を徴収することにいたしました。しかし、道路と深い関連のある道路安全諸施設、またこれも道路と関連の深い新幹線を含む国鉄の諸施設、あるいは地下鉄、さような交通整備、これにもあるいは充用いたしましても支障はないのじゃないか、こういうふうに考える次第でございますが、とにかくそういう考え方は別といたしまして、昭和四十六年度におきましてはその使途を特定しないで、九兆四千億円の中の財源の一部分としてこれを取り入れ、九兆四千億円の総歳出の財源としてこれを配分をする、こういうふうにいたした次第でございます。
  296. 新井彬之

    ○新井委員 このことについてそれだけやっておると時間がないのですけれども、さっき大臣が説明されたほうではある程度の納得があるかわかりません。しかし、要するにそういう使い道をきめない。きめないのに道路予算を、道路を使っている自動車なら自動車からなおかつ税金を取る。これは納得のしょうがないと思うのです。こういうわけだから、あなたたちが使っていることについてはこういうふうによくなるのだから、なお以上、さっきの議論になりますけれども、八種類の上にこれだけなるのだというようなきっぱりしたものでなければ納得しないのじゃないか。さっきは、計画ができて財政が伴わなかった、これは大きな問題だということですね。私は、計画がなくてお金だけ取るのも大きな問題だと思うのです。大蔵大臣も、私がいいことあるから百万円貸してください、こう言いますと、何するのだと必ずお聞きになると思うのです。そして、実はこういうわけでこういういいことなんだ。その判断はだれがされるかというと、大蔵大臣みずからされるのじゃないか。だから、それを何も言わないで、いいことあるからお金出しなさい、とにかく悪いほうには使わないよということでは、大臣はいまの税金が安い安いとおっしゃるのだけれども、われわれとしては決して安いと思っていない。要するに限度一ばいにきている。こういうようなことで、私はこの問題については非常に納得しかねます。ただ、時間の都合でこの問題は切りたいと思うのです。  それからもう一つ道路が破損する、そういうわけで、先にそういう税をとにかく合わせていくというようなお話がありましたけれども、この前の公述人の方のいろいろな御意見を聞かれても、交際費とか、輸出振興税制などの権益か使命を終えた租税特別措置を全廃して財源を調達すべきだという意見もある。こういうようなことで、そういうことも国民の皆さんはやはり非常に注目をして見ておられるわけです。だから結局は、先ほども話がありましたように、車というものは非常に大衆化をされている。ただその大衆化された方々からお金を取るということになれば、やはりそれでいろいろな問題というものが起こってくるわけです。したがって、そういうような公述人の言われているようなことはやはり比較的皆さんよく知っております。したがってそういうような問題が先に解決されて、その上でなおかつやるべきでなかったか、こういうぐあいに思うわけでございます。その辺について答弁いただいて、その問題については終わりたいと思います。
  297. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは一つの御見識と存じます。ただ、国政というものは道路だけじゃないのです。社会保障もやらなければならぬ、文教の施設も科学技術の振興もやらなければならぬ、そういうための財源もまたこれを整えなければならぬわけでございまして、あらゆる財源をあさりあさって道路だけにというわけじゃないのでありまして、租税特別措置の整理改廃、これはねばり強く進める次第でございますが、それはそれといたしまして、道路にはまた特別の財源を必要とする、こういう考え方に立っている次第でございます。
  298. 新井彬之

    ○新井委員 こういう自動車なら自動車から税金をこういうぐあいにして取る。その場合にやはりみんなが非常に納得しにくい一つは、政府としてそういう道路問題に対して非常におくれておるということを先ほど来お話があるのですけれども、そのおくれた仕事に対して何とか早くやらなきゃいけない、もっともっと力を入れなきゃいけない。この力を入れているかどうかということを見るには、やはりそれは財政措置だと思います。したがって、いままでの税金をどのように道路に使われているかということを見ますと、一般会計というのは一〇%くらいしか使われていない、こういうようなことになるのじゃないかと思うのですけれども、その前に一般会計をどんどんふやして、そうして政府としてもこれだけの力を入れているんだ、そういうすべてを示さなければならないと思うのです。そういうことについてどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
  299. 福田赳夫

    福田国務大臣 一般財源が幾ら使われておるか、特別財源が幾ら使われておるか、これは技術的な問題で、要するに道路に幾ら金が投ぜられているかということが問題なんだろう、こういうふうに思います。そういう見地からいいますと、とにかくGNPの二%以上を道路費に投入をいたしておる。これはもう世界水準で一番高い比率になるわけでありまして、そのこと一事を見ましても、いかに道路に細心の注意を払い、努力を傾けているか、こういうことが御理解いただけるだろう、こういうふうに思うのでありますが、それを特別財源にするかしないか、これは二の次の問題だ。これはまたこれから道路行政を進めていく上にどっちが有利であるかというようなことを勘案して今後検討し、そういう必要があるという判断に立ちますればそういうふうにしたい、かように考えます。
  300. 新井彬之

    ○新井委員 いま答弁いただいたわけなんですけれども、先ほども外国の例が出ましたけれども、それは総額についてどれだけ使っているかということがあります。だけれども、たくさんお金を出しておればそれが返ってくることは当然でございまして、政府については、そういう道路負担についてはこれはもう高負担低福祉だと思うのですね。非常な交通事故あるいはまた道路が非常に悪い、交通渋滞、いろいろのことがございまして、そのために自動車からそういうような税金がどんどん取られてきたと思うのですけれども、やはり私はそういう道路そのものについて、さっきもお話があったのですけれども道路というものがいま私たちの生活には非常に必要である、何も車だけではない、そういうところをほんとうにどういう価値判断をするか、こういうような問題になってくると思うのです。そういうことからいまの交通状態あるいはまたほんとうに道路整備して、日本の置かれている過疎過密をなくさなければいけない。大きないろいろな立場からいたしましても、身近な生活の問題からしても、やはり当然道路には力を入れなければいけない。  それから、さっきも私が言いましたように、一般財源としては一〇%くらいしか入れていない。外国の例はさっきも話がありましたように、大体ヨーロッパでは三〇%、アメリカでは三五%というようなことで、わが国の第七回道路会議においても、一般財源の投入割合については三五%前後が妥当である、こういうような指摘があるわけでございます。そういうようなほんとうに政府が努力をしている姿の中に初めてこういう法案というものがみんなに納得されるのではないか、このように思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  301. 福田赳夫

    福田国務大臣 そもそも外国では自動車関連の税収を大体一般財源に入れてしまうのです。特別財源というものが非常に少ないわけなんです。ですから一般財源からの道路財源への充当というものが多くなる。わが国はそれより一歩進んで道路を大事にしている。つまり特別財源というものを大幅に設定しているのです。ですから問題は、特別財源が多いかあるいは一般財源が多いか、こういう問題ではなくて、それを合わせた総額が道路にどのくらい充てられているか、これが判断の基準でなければならぬ、さように御理解願いたいと思います。
  302. 新井彬之

    ○新井委員 私は先ほども申しましたように、道路審議会であるとか、いろいろそういうような検討をした人たちにおいても、やはりもっと一般財源をいまの状態からかんがみてふやすべきではないかという意見がたくさんあるわけでございます。だから、それは大臣と私とは最後まで食い違うかもわかりませんけれども、やはりそういうところを考慮していただきたい、このことについてはこのように要望をいたしておきます。  それから、時間がありませんので最後にお伺いしますけれども、今回のこの新税というのは大体一般道路事業の財源が非常に中心となっておるわけでございますけれども日本道路公団等では非常に償還費に追われて、投資にまつわる財投資金の確保が非常に困難になってきております。長期安定資金の確保など、有料道路事業財源対策なんかも考えていかなければならない、こういうような時期に来ておるわけでございますけれども、その問題についてはどのようにお考えになっているか、お伺いいたしたいと存じます。
  303. 福田赳夫

    福田国務大臣 新道路五カ年計画につきましては、財政資金の要る部門と財政投融資資金の要る部門とがあるのです。それで、いまの税制でいきますと一般財政資金、これが三千億ばかり足りない、こういうことなので、今回これを充足するために新税を、この法の御審議をお願いしている。それから財政投融資のほうもかなりこれは不足があるのです。これは今後、税のようなかたい考え方をとる必要はないわけですから、いろいろとくふうをいたしまして、その充足に支障がないように必ず充足したい、かように考えております。
  304. 新井彬之

    ○新井委員 まあ、どちらにいたしましても、この税の問題は第六次道路五カ年計画、この財源不足ということからいろいろと問題になって、そして今回のこういう税として出てまいったわけであると思いますけれども、やはりこの税の目的ですね、このことについては私はほんとうに、一つは国民の納税者の方々が納得できないのではないか、こういうぐあいに思うわけです。もう一つは、さっきもお話ししましたように、その使い道の計画がはっきりしていないというふうなことで、これも本来なら、ほんとうにその税がどこに使われるかということで審議をして初めてきまるものだと思うわけでありますけれども、これもまだその計画があわせて出ていないというようなことがあって、私たちとしては非常に問題だと思うわけです。  それで最後にこれをひとつ聞いて終わりたいと思うのでありますが、建設大臣にお伺いしたいのですが、今回の総合交通体系、道路五カ年計画ですね、これが今後また問題になってくると思うのでありますけれども、それについてはどのような考え方、どのような経過になっておるのか。それをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  305. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 時間がございませんからごく簡潔に申し上げます。  御承知のように、輸送体系から申しますれば道路も非常に大きなウエートを占めておりますが、やはり新幹線というものが日本の今後の経済の均衡ある発展には欠くべからざるものである。と同時に、遠隔の場合にはやはり空港、いわゆる飛行機の発達が非常に大事です。もう一つ重量、多量の物資は、日本においては海運国でありますからもう少しフェリーを使うべきである。これの全体の総合的なバランスのとれた体系をつくろうじゃないかということで、現在経済企画庁を中心といたしまして、運輸省、それに建設省、それに関係自治省等とも一緒になりまして、いま国会中でなかなか時間的余裕がありませんので、少なくとも次の通常国会までには何らかの形でこれを、予算の裏づけになる具体策を進めるということで、現在経済企画庁を中心として検討を進めておるという段階でございます。
  306. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  307. 毛利松平

    毛利委員長 これにて連合審査会は終了いたしました。    午後八時三十六分散会