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1971-05-12 第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十二日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    木村武千代君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       高橋清一郎君    地崎宇三郎君       登坂重次郎君    中島源太郎君       中村 寅太君    原田  憲君       福田 繁芳君    坊  秀男君       松本 十郎君    森  美秀君       吉田 重延君    吉田  実君       阿部 助哉君    佐藤 観樹君       平林  剛君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       坂井 弘一君    田中 昭二君       春日 一幸君    小林 政子君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       竹内 道雄君         大蔵省主税局長 細見  卓君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省税務局長 鎌田 要人君  委員外出席者         防衛庁経理局会         計課長     吉野  実君         経済企画庁国民         生活局参事官  山下 一郎君         通商産業省重工         業局次長    山形 栄治君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         建設省道路局次         長       吉田 泰夫君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     伏木 和雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  自動車重量税法案内閣提出第三号)      ――――◇―――――
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  自動車重量税法案を議題とし、質疑を続行いたします。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 私はこの際、自動車新税法案について基本的な問題について論点を明らかにいたしまして、このような新税創設が容認されるべきものではないということを明らかにいたしまして、政府見解をただしたいと存じます。  そこでまず最初に、この税制可否を論ずるにあたりましては現在の実態をよく把握して取り組む必要があると考えまして、私の立場自動車関係諸税収入額と、それから道路投資額との関係を対照的に調査をしてみたのでございます。それによりますと次のごとき計数があらわれてまいっておるのでございまするが、これは私の私的調査でございますから、もし間違いがあってはその後の論旨に狂いを生じますので、私の質問はこれから相当長時間にまたがると思いまするから、したがってその間に政府責任において、その計数調査を願っておきたいと思うのであります。  まず第一番に、昭和四十四年度の実績について調査をしてみましたが、それによりますと、自動車関係諸税収入額は、国税関係において、物品税自動車分、これが千二百二十二億円、揮発油税が四千三百九十億円、地方道路税七百九十五億円、石油ガス税百四十三億円。次いで地方税関係におきまして、自動車取得税が七百十三億円、自動車税が千四百十一億円、軽自動車税が二百九億円、軽油引取税が千二百六十六億円。このほかに電気、ガス水道等の工事に伴う受益者負担分というものがあるのでございますが、これはやはり国民道路整備のために支出した実額でございまして、これは税額ではございませんけれども国民負担をしたという意味においては、やはり税収の側に組み入れてしかるべきものと考えますが、これの総額が二百三十五億五千九百万円、こういうことに相なっております。かくてその合計は一兆三百八十四億五千九百万円、こういう数字があらわれてまいるのでございます。  これに対しまして、一体同年度すなわち昭和四十四年度に道路整備拡充のためにどのような投資が行なわれておるかを調べてみますると、国費の分において四千五百五十七億二千四百万、都道府県分において三千五十七億九千一百万、市町村分において二千六百六十九億七百万ということでございまして、以上合計は一兆二百八十四億二千二百万円と相なるのでございます。  かくて、これによってわれわれが判断できますることは、道路に対しまするところの国並びに公共団体投資額と、それから自動車関係負担をしておりまするその税負担額とは、ざっと百億程度取り過ぎになっておる、こういう判断がなし得るわけなんでございます。すなわち国並びに地方公共団体道路整備拡充のために支出いたしまする額と、それから自動車そのものから徴収いたしまする税額並びにそれに関連して国民が若干負担いたしまする受益者負担分を加えますると、これは百億円取り過ぎになっておるのだ、こういうことが計数上明らかに示されてまいっておるのでございますが、事実関係は一体そのようなものに現状はなっておるのかどうか、すみやかに御調査を願いまして、いずれ後刻この問題を主題として政府見解をただしたいと思います。この点をひとつあらかじめ御調査を進行せしめていただきたいと思います。  そこで質問に入りまするが、およそ新しい税金を起こしまするためには、税制のあるべき姿に照らしてそれが正当視せられておるものであるのかどうか。少なくともそれが容認され得るものであるかどうか。これがまずもって十分に検討されなければならぬと思うのであります。税制のあるべき姿については、これは財政学者が長い年月をかけて検討をされまして、そうしてその努力の結晶ともいうべきものがいわゆる租税理論あるいは租税原則ともいわれるものでございまして、これは学者その他関係者検討によって、もはやそれぞれの権威によって定着しておるものであると思うのでございます。そこで、この自動車重量税がそのような租税原理租税理論あるいはそのような原則に照らしまして正当視されるものであるかどうかを本委員会はまず究明してかからねばならぬと思うのでございます。  そこで、自動車重量税法案提案趣旨説明等を問題とせなければならぬのでありまするが、政府が今回この税制創設しようとする趣旨は、そこに述べられておりまするとおり、自動車の増加に伴って道路整備交通渋滞に対する対策の問題が生じておるので、ここに自動車利用者負担を求めることによって、第六次道路整備五カ年計画を主とする交通政策上の施策のための財源を生み出そう、こういうものであると理解をせなければならぬと思いまするが、そのように受けとめてよろしいかどうか。この点、中川政務次官より明確なる御答弁を願いたいと思います。
  4. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま春日委員指摘というか、お話しのあったとおりでございます。
  5. 春日一幸

    春日委員 自動車重量税創設が、ただいま私が指摘し、かつ中川政務次官によってコンファームされましたような趣旨であると理解をいたしまするならば、それは、自動車利用者道路整備受益者であり、同時に道路損傷原因者である、こういう考え方自動車重量税創設の根拠に据えようというものでありまして、政府は、自動車重量税受益者負担あるいは原因者負担というようなその原則に立脚するもの、またそれに立脚して意味づけようとしておるものであると理解せざるを得ないが、そのように受けとめてよろしいかどうか。これまたあらためて御答弁願いたいと思います。
  6. 中川一郎

    中川政府委員 原因者負担受益者負担という思想も入っておることは当然であり、そういう方向に行くべき、税制の今後のあるべき姿もそういう形にはなっておりますが、もっと税制立場から申しますと、自動車車検を受け、また届け出をすることによって走行が可能になるという法的地位を受ける、利益を受ける権利取得する、そういった意味一種権利創設税的な性格でございまして、従来各種の権利取得あるいは移転をいたしました際に課税が行なわれておるいわゆる登録免許税的な性格ではないか。自動車が、道路が非常な負担によって建設費がたくさん使われておる、損傷が行なわれておる、交通混雑が行なわれておる中で、走行が可能になるということに対する権利取得税的な性格税制上から言えるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  7. 春日一幸

    春日委員 前段は私の指摘を容認されましたが、後段は新しい説として、すなわち自動車所有者道路を使用するについてその免許取得するための権利に対応するところの使用料あるいは免許料、これを払うのだ、こういうような意味もあると述べられましたが、それは一体ほんとうなんでございますか。もう一ぺんその点を明らかに御説明を願いたいと思います。
  8. 中川一郎

    中川政府委員 税を設けました理由は、当初春日委員が御指摘になったように、自動車走行権利取得しなければならぬわけですが、最近における道路建設の状況あるいは交通混雑社会負担を大きくしておるということに着目して、道路新五カ年計画財源を埋めることを中心とした社会資本充実ということで設けられたことは事実でありますけれども、税の性質からいえば、いま申し上げましたように一種免許権利取得というような税の部類に入る。税の分類からいくとそこにいくのではないかということでございます。
  9. 春日一幸

    春日委員 はてこれはまことに異様な説を伺うわけでございます。少なくとも道路社会資本である、こう規定されまするならば、社会資本なるものはこれは国民共有財産である。なお一方、憲法において、国民は交通自由の原則、これが基本的人権として保障されているのである。主権者国民憲法に基づいて道路を通行する、そうしてその道路なるものが国民共有財産である、そういう立場において、いまここにあらためて自動車をもって道路を使用するのに権利税が必要であるという、こういうような考え方ほんとうにあるのでございますか。ありとするならばそのことを提示して国民の合意を求めなければ相ならぬと思う。ここに、自動車重量税法案提案理由説明の中にはそのような思想片言隻句もあらわれていない。読んでみますと「政府は、今次の税制改正の一環として、道路その他の社会資本充実要請を考慮し、新たに自動車に対して、その重量に応じ、自動車重量税課税することとし、ここにこの法律案を提出した」とある。したがって、道路を使用するための免許料使用料、こういうものが必要と思われるので新税創設するとはここに書いてない。書いてないことがいま政務次官によって政府の代表の答弁として、そういうような目的も、またそのような理由もここに含蓄されておるということであると、これはそのように国民にあらためて説明し、提案理由説明を書き直してもらわなければならぬ。この点はいかがでありますか。
  10. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま御指摘のありましたのはこの税制を設けた目的でございます。目的としては一言一句も違っておらないのでございますが、税の性質はどうか、ほかのものとのつり合いではどうかと言われると、権利取得税のような形のものに分類されるのではないかということを申し上げたのでありまして、この税を設けた目的はいささかも変わっておらないわけであります。
  11. 春日一幸

    春日委員 この点ははっきりしていただかなければならぬと思うのでございますが、権利取得のための権利税として、その受益者がその権利料としてこの自動車新税に対応しなければならぬのか。あるいはここに書いてあるように「道路その他の社会資本充実要請を考慮し、新たに自動車に対して、」すなわち受益者負担原則であるとか損壊者負担原理の上に立つとか、私どもはこの提案理由説明、またこの法律案構成等から考えてそのように受けとめざるを得ないので、すなわち政府の意図というものが間違っておりはしないか。それが少なくとも国民のコンセンサスを得られるかどうか、こういう立場において検討してきた。ところがいま、道路を使用する、そのために、新しい権利取得するための反対給付としてこの新税の必要が生じたんだというならば、われわれがいままで検討してきておる問題は全然的はずれになっておる、筋違いのことになってきておる。いずれが是なりや、この点明らかにしていただきたいと思います。――主税局長、あなたの答弁を私は求めましたかな。
  12. 中川一郎

    中川政府委員 目的と税の性格というところから分離して申し上げたのでありますけれども、専門的なことにわたりますので、この辺は主税局長から詳細説明をさせていただきます。
  13. 春日一幸

    春日委員 私は専門的な質問をする前に、原理原則について政策上の質問大臣にいたそうとして、本日この質問台に立っておるわけなんであります。技術上の問題は技術上の問題として、後刻詰めて細見主税局長と渡り合いたいと思います。  私がいまここで論じておることは、この提案説明どおり政策目的によってこの法案が提案されておるものであるか。これとは全然違う目的、すなわち憲法によって少なくとも国民は通行自由の原則が保障されておるし、社会資本というものは国民共有財産であると思う。そのような基本的人権国民共有財産に向かって使用するとき、新しき権利取得しなければ利用ができないものであるのか。これはまた全然別個の問題であろうと思うのです。そういうことでありとするならば、この法律案全体を書き直してもらわなければならぬと思うので、ほんとうにそういうことであるのか、それはついことばが走って失言をされたのか。この点を中川政務次官よりあらためて確認を願わなければ、私が質問を前に進めることはできないのでございます。お伺いをいたしたい。
  14. 中川一郎

    中川政府委員 もうちょっと砕いて申し上げますと、いまの交通事情道路をはじめとする社会資本が不足をしておる、そこで何とかこれを国民負担において税を納めていただいて処理をしてまいらなければいけない。その場合、その税を一体どこから求めるか。一般の国民の皆さんの所得税あるいは法人税大衆課税の中から埋め合わしていくか、自動車に求めるのがいいのかということになりますが、その場合私たちとしては、この自動車の走るという、あるいは自動車社会負担をずいぶん負わしておるということに着目して、この際は自動車お願いをして、自動車負担をしていただいて社会資本充実に充てるということが目的でございます。  そこで、自動車から税を求めるということになると、税の性格としてはどうなるかというと、新たな権利車検をとる、届け出をするということによってそのような権利ができるところに、税のかけ方として車検あるいは届け出の際かける。税の性質からいけばそういった部類に属する、こういう趣旨でございまして、法律目的にいささかも反しておらないと解釈いたしておりますが、この点について主税局長より専門的に説明をさせたいと存じますので、お聞き取りの上、またひとつ御意見を聞かしていただきたいと存じます。
  15. 細見卓

    細見政府委員 私から補足するまでもなく、政務次官から明確にお答え願いましたので、補足は要りません。
  16. 春日一幸

    春日委員 それでは、道路を使用するための権利税だ、こういうことはこの法案を提案された政策目的とは全然縁もゆかりもないものであって、すなわちその税を取る手段というものが、車検の現場において徴収されるということにかんがみて、それを払わなければ車検が受けられない、車検を受けることによって道路使用権利が生じてくるから権利税みたいなものだ、こういうことなんでございますか。それならばそのように言うべきものであって、それが政策内容とからんでそういう説明をされると、これはとんでもない大きな問題を誘発してくると思うのです。少なくとも社会資本を使用するのに権利代金を払わなければそれが使用できないというような観念が行なわれては、民主主義社会においてそれは許されることじゃない。これはとんでもない、思いもよらざる大失言というべきであって、政治責任根源に触れる大問題でありますが、これはきょうはひとつ宥恕しておくことにいたしましょう。  そこで私は、ただいま自動車重量税創設の根底にある考え方、すなわち受益者負担なり原因者負担という考え方そのものをここに浮き彫りにして、そのことの可否を論じてみたいと思うのでございます。すなわち、自動車利用者道路整備によって利益を受けます。また自動車利用によって道路損壊をこうむる。そういうことでございますから、道路整備に要する財源自動車利用者負担するんだ、せしめるんだという考え方は、ちょっとした説得力を持つように一見見受けられまするけれども、しかしこれが肝心の租税制度論、これに照らして、はたして正当なものであろうかどうか。私は、この点はひとつとっくりとみんなで考え合わせてみる必要があろうと思うのでございます。たとえば国鉄の場合に、国鉄に現在赤字がある。だとすれば、その赤字負担をする、あるいは国鉄整備拡充をする、そのためにはその受益者によってその負担をになわしめるということになれば、国鉄運賃というものはどんどん上がっていくばかりである。このような現象は郵便でも電信電話でも同様でございましょう。健保だって同じですね。それによって受益者がもっぱらその負担をしていくということになれば、これは健保の料率がどんどんハイジャンプしていってしまう。これは重大な国政根源に向かって混乱を生ずるのやり方である。私はこれは厳に警戒を要すると思う。何でも受益者に、あるいは原因者にその負担をになわしめるということであれば、それは結局コマーシャリズムである、あるいはもっぱら経済ベースであってそこには政治というものはほとんど存在しないといっても過言ではないでございましょう。そういうような理論を推進していけば、一体国家目的は何であるか、政治というものの目的は何であるのか、こういうことになってこざるを得ないと思うのでございます。私は、この大蔵委員各位、いずれも古いベテランの諸君ばかりでございますが、租税原理あるいはその理想的なあるべき姿ということについてはもうしばしば、税改革のあらゆる場合において深く論じられてまいったことでございまするから、あえてここで繰り返そうとは思いませんけれども、そもそも租税というものの本質は、それを考えた場合は、国民国家公共団体の活動によって利益を受けるから、これに対する代償として国家公共団体に対して税金を納めるというような考え方、このような考え方を、すなわち租税立法上の基礎観念としてそういうものを置いてよいかどうか、私はこれは非常に重大な問題だと思うのでございます。わかりますか。すなわち、国民国家から庇護を受けて利益を受ける、だから租税というものは、すなわち高福祉高負担というようなことばも最近は用いられておりまするけれども、しかしそれを租税立法基礎として、それを政策の基本的な理念として置いてそれでよいかどうか。私はこの理念について政府所見を伺いたいと思うのであります。
  17. 中川一郎

    中川政府委員 非常にいい、貴重な御意見を聞かしていただきまして、傾聴に値するものと感激しておるわけでございますが、いずれにしても、国家社会繁栄をしていくのにはいろいろな経費がかかる。そこで、公平、妥当な負担国民お願いをするというのが租税のたてまえであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 春日一幸

    春日委員 われわれ大蔵委員会が伝統的に本委員会で論じてまいりました基本的な理念というものは、もうここで繰り返す必要はないと思うのでありまするが、国家公共団体の責務、それは何であるかといえば、すなわち所得の再配分を行なうことによって国民各階層間にありまする、たとえば富あるいは所得、こういうようなものの平準化をはかっていくことであり、もって国民全体の福祉が均衡ある発展を遂げることのできるように、こういうところにあるものとして論じられてまいりました。かかる観点に立って租税に期待する最大機能は、所得配分、このことにある。もとより租税にはいろいろの機能が期待されておりまするけれども最大機能というものは所得配分にある。そうしてそこにおいていろいろの断層を地ならしして、均衡ある福祉国家に成長を遂げていく、そのためにこそ政治があり、それが国家根本的任務である、こういうふうに論じられてきたと思うのだが、この点についていかがでございますか。
  19. 中川一郎

    中川政府委員 税の本質でございますが、要は、国家社会繁栄をしていくために必要な財源国民お願いをするということに発しておりますが、その負担のかけ方にあたっては、富の再配分ということも重要な大きな意義であるというふうに解釈いたしておるわけでございます。
  20. 春日一幸

    春日委員 そういたしますると、ここで明確に確認してかからねばなりませんことは、租税というものは手数料でもないのだ、あるいは使用料でも断じてないのだ、あるいは受益者分担金なんかでは絶対ないのだ。これは目的税という別個のカテゴリーはあるといたしましても、租税そのもの本質的な性格というものは、これは決して手数料でもなければ使用料でもなければ受益者分担金のそのいずれでもないものであるという、このことは確認してかからねばならぬと思うが、異論はございませんか。
  21. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、近代社会が非常に複雑になりまして、古い時代におきましては手数料とかあるいは受益者負担とか、あるいは租税とかあるいは課徴金とかいうようなものにつきまして、わりあいさい然とした区別ができたわけでありますが、現在の複雑な社会におきましては、何が課徴金であり何が目的税であるかというようなことにつきましても多くの学説が分かれるというようなことで、その辺がかなり一義的な確定というのがむずかしくなってきておる。税の中にもかなり受益者負担的なものを求めなければならない。たとえば地方税原理といたしましては受益者負担というのがいつも非常に強く言い出されまして、私ども所得税あるいは法人税で考えておりますような応能負担というようなものを大きく修正すべきだというような御議論が、国会の中にも非常に強いことは御案内のとおりでございます。
  22. 春日一幸

    春日委員 私がいま質問いたしましたことは、提示いたしました私の見解は、租税本質論について言っておるのです。租税行政手段その他について申しておるのじゃございません。そもそも租税本質というものは、画然としてそれは手数料でもないのだ、使用料でもないのだ、あるいは受益者が支払うべき分担金性格を持つべきものではないのだ、これが原理原則であって、その本質的な性格はそこにある。けれども、そのような基本的な考え方本質的な考え方の上に立ってその行政手段を現実に執行していく場合には、そこに目的税というものの必要性を生ずる場合もあるであろう。いま言われたように、受益者負担というようなことも考えなければならぬというような意見が一方にありますると同時に、しかしそれは結局目的税になる。目的税になってくればこれは財政硬直化を誘発して国政全般柔軟性をそこねてくるから、これは好ましくない。これはいろいろな理論主税局長十分御検討だと思いまするけれども昭和三十九年十二月十二日、税制調査会が特にこの問題について結論的な所見を述べております。租税経済的機能の観点から見た税体系のあり方について、公共目的のための資源配分手段として、目的税のあり方について検討を行なった。その結果、一般的にいえば目的税創設拡充は、財政の硬直性と負担の不公平を招くから好ましくない、こういうことをあなたの手元に答申をしているはずである。したがって、応益者負担というような方向はこれは好ましくないというのが、あなたの諮問機関である税制調査会の一個の定説になってきておるのでございますね。そういう中において、一方応益者負担思想というものが大きく台頭しておる、こういう考え方税制調査会において必ずしもまとまった意見として固められてはいないのである。固められた意見は、文書回答にされた応益者負担思想に基づく目的税創設は好ましくないというこの一言に尽きるのである。この点いかがですか。政策論議でありますから中川政務次官からお願いしたいと思う。
  23. 中川一郎

    中川政府委員 このたびの税制目的税というふうにはっきりしなかったところも、いま春日委員の御指摘がありましたような考え方があったからでございまして、これは一般財源に振り向ける。これを目的税とはっきりいたしますと、財政の硬直化その他が出てまいりまして思わしくない点もあるということも配慮して、このような、はっきりした目的税ではない、必要性はわかるけれども、使うときには弾力的に使える姿にしてあるわけでございます。
  24. 春日一幸

    春日委員 それで確認をしておきたいと思います。すなわち、租税というものは何よりもまず、国民からその負担力に応じて徴収すべきものであって、それが租税そのものの生命とも目されるべき事柄である。具体的にいいますと、租税国民負担力に応じて徴収されるというこのポリシーが貫かれて初めてここで所得配分という機能が発動すると思うのですね。そういう機能が発動されることによって初めて国民の間の富と所得平準化というものがなされる。これによって初めて均衡ある福祉社会というものが建設される。したがって、国並びに公共団体の使命はそこにあるのでございまするから、その使命から判断をいたしますると、租税というもののかけ方を誤ってはならぬということなんだ。  私は迂遠な理論をしておるわけじゃございません。肝心な理論でございまするから、基礎理念を踏まえつつ質問を展開しておるわけなんでございまするが、国家目的が、政治の使命というものが、とにもかくにも弱肉強食というようなところからある程度の計画性を持っていく。そのためには担税力ある者に重き負担をかけ、担税力なき者に負担を軽くさせていく。たくさんもうけた人からたくさん税金をもらって貧しき人にそれを与えていく。これが言うならば一つの標準化である、あるいは均衡化である。これなんでございますね。ここにあると思うんだ。だから税金のかけ方というものはあくまでも、応益者負担であるとかあるいは原因者負担であるとかいうような概念、観念はできるだけ払拭して、あくまですなわち応能負担原則租税負担公平の原則、これを貫いて堅持していかなければ所得配分機能を発動することができなくなってしまうんじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。いかがでございますか。
  25. 中川一郎

    中川政府委員 私どももそういった春日委員考え方、賛成でございます。使用者、使用した使用料あるいは権利受益者負担ということでいきますと、応能主義といいますか、力ある者から取っていただいて、弱い者のところに埋めていくという原理から反するようなことになるわけでありますので、その点は十分税制の上で配慮していかなければならない貴重な考え方であると存じます。  ただし、今回のこの負担は、先ほど申し上げましたように社会資本充実道路を中心とした社会資本充実に税負担を求める場合、一般大衆から求めるのがいいのか、自動車を使用しておる方から求めるのがいいのか、非常に苦労したところでありますが、これがあまりにも大きな税金になりますと、自動車を使用している方からいただく場合、使用料としての先ほど言った過酷な負担となりますが、乗用車一台について一年間五千円程度、サラリーマンの方々が納めていただく税は五千円程度であるというところからいうならば、これぐらいの力はあるのではないかという考え方のもとにこの新税創設お願いしておるような次第でございます。
  26. 春日一幸

    春日委員 後段は、私がまだそこまで質問は入っておりません。前段の基本を固めて後段に入らなければならぬと思うのでございまして、したがいまして、その応益負担原則というものはだめである。そういうことをすれば国政のひずみを、国民の富の断層をいよいよ拡大するのおそれあり。ゆえに応能の原則というものを貫かなければ所得配分機能は発動しない。こういうことを確認して、さて自動車新税というものがその原理に照らしてどういうものであるかということを批判しなければならぬと思う。  そこに入る前に、私はこの際、いまはなき、元の長官渡辺喜久造氏の著書について、彼の検討された意見をわれわれはここでもう一ぺん読み返して、さらにわれわれの確信を固め、われわれが新しい税制を制定する場合の戒めといたしたいと思うのでありまするが、それによりますると、渡辺さんの「税の理論と実際」その「理論編」の六十五ページでございますけれども、これはもう細見局長よく御承知のとおりであろうと思いますが、こういうことが特に強調してあります。ことさらに強調してある。それは、「各人のもつ能力と各人が国家の保護の下に亨受する利益とは、必ずしも一致するものではなく」「負担能力の大きな者がかえって国から受ける利益の小さい場合がしばしばあるというのが、現代財政学者の通例の考え方であり、それにもかかわらず、各人の負担すべき税負担はその負担能力に応ずべきものであると主張するのである。」こう結んでおるわけでございます。すなわち、税制の神さまといわれた渡辺喜久造氏がいろいろとその長い間の責任立場から検討をし、各学者意見を総合して、特にここに、まあ遺書みたいに残しておった理論というものはこれですね。応益の原則はいけない、あくまで貫かねばならぬのは応能の原則である、こういうことが述べられておりまするが、この原則はもういま変わりつつあるのでございますか。しかし、いろいろな意見が、新しき客観情勢の変化とともに相当な推移はあらんと思うが、私は大勢は変わっていないと思うが、どうか。この点、細見さんから御答弁願っておきたい。
  27. 細見卓

    細見政府委員 大勢はそのとおりでございまして、私ども所得税の改正などのときに、たとえば教育費控除というようなことをいわれるような場合にも、やはりそういう点からしての受益と、――あるいはその場合には負担の問題もございますが、受益と結びつけて議論をすれば、たとえば子供が学校へ行っていない人といる人との間の差別が出てくる。そういうような問題が起こるので、そういう受益とか特定の国家のサービスというものと税制を結びつけるのは適当でない。そういう意味で応能をできるだけ貫いていく。ただ負担能力の差というものだけで考えていくべきだということを申し上げているのもそういうわけでございます。
  28. 春日一幸

    春日委員 いま佐藤観樹君が教育費控除なんかとは全然関係ないと言っておりましたから、やはり本質論のときはそのものずばりで、純粋な本質論というものの権威をお互いにオーソライズしていく。そこへいろいろな來雑物を入れますと論旨をぼやかしていってしまいますから、基本論をやっているときには基本の限界をあまりそれないようにして御答弁を願っておきたい。  そこで、いま細見局長からも述べられましたように、租税が応能課税原則によるべきものであるとするならば、自動車新税というものの創設がその応能負担原則に照らしてはたして妥当なものであろうか。少なくとも容認され得るものであろうかどうか。この点をこれから質疑によって明らかにいたしてまいりたいと思います。  すなわち、自動車が奢侈品であると考えられておりました時代もございましたけれども、いまや公共交通の不備あるいは住宅難というような現実の条件のもとでは、自動車が通勤手段として全くの生活必需品化しつつある。中小企業なんかはもう自動車がなければ全然活動できませんですね。大企業ももとより同然である。われわれといえども自動車がなければ国会議員の活動というものは全くできやいたしませんですね。こういうような意味で、いまや自動車というものが生活必需品であるとわれわれは考えるが、政府の認識はどうか、この点をお伺いいたしたい。
  29. 細見卓

    細見政府委員 大蔵大臣も非常に生活に必要なものである、かように考えておりますが、しかし少なくとも便益品であるということと生活に非常に密着したものであるということとは矛盾するということではないのじゃないか、かように考えております。
  30. 春日一幸

    春日委員 それはもう少し砕いて申しますとどういうことですか。便益品であるということと生活に密着したものであるということとは矛盾しないことだということはどういうことですか。
  31. 細見卓

    細見政府委員 生活が非常に簡素であり原始的な段階において便益品と考えるものと、生活が一般的に水準が上がりまして、みんながそういう便益品を亨受できる場合におきますその便益品を使う度合いというようなもの、つまりより多くの人が使っておるというのが、何といいますか、より日常的なより生活に密着したものになっておるということでございますが、にもかかわりませず、その物品が提供するサービスが他のサービスに比べ、つまりそれのないものに比べて非常に便益的であるということとの間には概念として違うのではないか、かように考えます。
  32. 春日一幸

    春日委員 私はそこには若干の認識の隔たりがあると思うのでございます。便益品ということは、そういう表現を用いられておりますが、言うならば奢侈品と言いたいところであろうと思うのであります。いま自動車が奢侈品だなんていうようなことを言うのは明治の頭の古い感覚なんですね。たとえばあなた、自動車がなくして主税局長の任務がつとまりますか。私どもできません。中小企業者といえども、またサラリーマンといえども、現在の生活水準に照らして、みんなが使っておるのだから、自分がこれは奢侈品だという独断でこれを避けようとしたら、社会生活から落後せざるを得ない形になってくると思う。この点の認識は政務次官いかがですか。すなわち奢侈品であるか生活必需品であるか、政府の認識はいかんということです。
  33. 中川一郎

    中川政府委員 奢侈品でないことははっきりいたしております。また必需品であることも、大蔵大臣答弁しておるとおりはっきりいたしておりますが、その中間に便益的な性格を持っておるという意味で、物品税の対象になっておるのではないかと存じます。
  34. 春日一幸

    春日委員 高福祉社会において便益品であるということは、何かそこにチェックすべき要因が含蓄されておるのでございますか。便益品ということは多々ますます弁ずじゃございませんか。便益品であることが何か生活必需品というようなものと背馳する何らかの性向を持っておるのでございますか。生活必需品そのものと便益品との間にどういう概念の隔たりがあるのでございますか。
  35. 細見卓

    細見政府委員 必需品と申すものは、御承知のように最低限の衣料でありますとか、あるいは生活をささえていくための食糧でありますとかいうようなものが一番極端にある必需品でございますし、生活程度がだんだん高まってまいりますれば、ある程度世間並みの服装あるいは世間並みのいろいろなメンツを維持する程度のものも、それぞれの職業あるいはそれぞれの所得階層において必需品的になってまいるでありましょう。そういう意味におきまして自動車の問題も、一方で必需的に使われておる方もありますし、一方でかなり便益的な形で使われておるものもございます。いままさにいろいろ今日のような議論が出ますということは、自動車がかつての奢侈的なものではもうなくなりまして、便益的な要素の濃いものから、より便益的な要素が薄い、より必需的なものに移り変わっておる、いわば世の中の過渡期でございますので、その一面を見れば便益品でございますし、一面を見れば必需品的にも観念できる、こういうことでございます。
  36. 春日一幸

    春日委員 どうも歯切れが悪いと思うのですけれども、この問題は明確にしていかなければならぬと思う。およそわれわれが標榜する社会の理想像というものは高度に発達した福祉社会である。そこヘアプローチすることのために努力しているのですね。だからその社会においての必要なものは便益が多々ますます充実したところの社会でなければならぬ。だから生活便益品というものはまさにそれは生活必需品そのもの、こう読みかえて何ら差しつかえないと思う。あなたがいま指摘されておりますように、食糧だとかいうものは生活必需品じゃない。それは生存必需品とも称すべきものである。それはあなたが大蔵省という大きな白亜の城の中におって、机の前で、とうふのような脳みそとは言わぬけれども、それをこね回しておると、しゃばの動き、社会の推移というものが直撃的にまだ響いていってはいないと思うのですね。われわれが標榜する高度の福祉社会、こういうものは便益の充実した社会でなければならぬ。不便な社会福祉社会であろうはずはないですよね。だとすれば、われわれが現時点において規定づけなければならぬものは、自動車のごときものはもはや生活必需品である。これは実態に即してこれを断定して、そのカテゴリーの中に据えて、さてそのような生活必需品に対してはどうするか。単に生活必需品であるばかりでなく、ましてや事業については不可欠の一要件である。現実の問題として自動車なくして事業を行なうことはできませんね。だから、この問題についてはいまここで詰めてあなた方の認識を改めさせようとは思いませんけれども、それが実態であるということを念頭に置かれて、今後施策に十分なる慎重を期せられたいと思う。  ならば、今度はその応能の限界について論じてみたいと思うのでございますが、ここに本年二月十八日、自動車産業労働組合協議会が政府並びに国会に向かって要請書を発しております。それによりますと、軽、小型四輪車を保有する勤労者の七四%は年間所得百五十万以下の者であるといっておる。この事実関係について当然調査がなされておると思うが、いかがでありますか。
  37. 細見卓

    細見政府委員 なかなか正確な調査はできないのでありますが、大体それに近いようなことになっておるのじゃないかと思っております。
  38. 春日一幸

    春日委員 このような自動車産業労働組合協議会の指摘するところが大体においてあやまちなくんば――自動車利用する人には税負担能力があると考えてこの法案を出してきておると思うのですけれども、しかしこのような資料が提供されてまいりまして、その資料が大体においてあやまちなくんば、これは低所得者や零細企業者の保有する車がきわめて多い。多いことにかんがみてこのような税金は担税力まことに乏しきものであると断ぜざるを得ないと思うが、所見はいかがでありますか。
  39. 細見卓

    細見政府委員 この税は名前が示しますとおり自動車重量税で、自動車そのものに着目して、その自動車走行がいろいろな社会的な負担をもたらしておる、その負担を一般の納税者に求めるのではなくて、やはり自動車がそうした道路の混雑とかあるいは交通の災害とかいうものを引き起こしておる、それに対する直接の負担というものは、やはり自動車そのものに着目して負担を願うのがよかろうということで考えておるわけでありまして、そういう負担を伴う自動車がどういう所得階層で占められておるかというのは、今後のこの自動車重量税が施行されました以後におきまする推移を見て判断しなければならないことだろうと思います。
  40. 春日一幸

    春日委員 これは自民党の理事諸君にも聞いてもらいたいと思うのですけれども、これは何としてもおかしいと思うのですよね。私が一時間ちょっとにまたがって基本論をお互いに応酬し合って明らかになったことは、少なくとも税制の基本原理というものは応能の原則を貫かなければならぬ、少なくとも堅持せねばならぬ。それは異論がないのだと言っておいた。ならば、応能の原則に立って、その自動車利用者所有者、こういうものはその担税力ありゃなしやという問題にまいりますと、この統計資料、すなわち自動車産業労働組合協議会が提示したその資料、これは軽、小型四輪車を保有する勤労者の七四%が年間の所得百五十万円以下の低額所得者である。かつは、この間本委員会における公聴会において、あの輸送業者の代表、高橋君でありましたか、述べられておりましたけれども、運送業者、自動車利用してあの事業を経営しておるのだが、ほとんど赤字である、たいへん苦しい状態だ、こう述べておったのですよ。そういうことにかんがみてここで判断をするならば、いま問題は、この新税を課する対象に担税力ありゃなしやというこの問題です。すなわち能力ありゃなしやという問題です。ところがそれを利用しておる諸君はいずくんぞ知らん、すなわち税負担能力まことに乏しき相手であるということがこの資料によって明らかにされ、かつ政府側の調査によってもおおむねそのようなことであろうと、こう述べられた。だとすれば、このような税金をかけるということははなはだ不当ではないか。すなわち徴税理論原理から照らしてもそれは応能の原則を貫かなければならぬ。ならば、応能の原則としてその能力ありゃということになると、能力なしと、こういうことになってきておる。かくのごとき税制は断じて制定なすべきものではないと断ぜざるを得ないが、この点はいかがでありますか。
  41. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま御指摘の軽四輪車でまいりますと年額の税金が二千五百円でございますので、かりに百五十万以下の所得者が多数でありましても、この程度ならば応能できるのではないかという判断をいたしておるわけでありますし、またそうして御協力いただくことによって交通混雑その他が逐次解消してまいりますれば、その分の還元もあり得るのではないかということを考えますと、この程度の税負担はまあ御理解いただけるものと判断をして税率をきめておる次第でございます。
  42. 春日一幸

    春日委員 そこで、私は冒頭に政府側において資料調査をしておいてくれと申しました。その資料が関連事項として必要となってまいるのでございます。いま佐藤観樹君も述べられておりまするように、二千五百円だと言われておるけれども、二千五百円だけならばこれは担税力はあるでございましょう。けれども自動車関係の諸税の総収入額は一兆三百八十四億五千九百万円、一年間、昭和四十四年度の決算による。物品税において一千二百二十二億円、揮発油税が四千三百九十億円、地方道路税が七百九十五億円、石油ガス税百四十三億円。地方税におきましては、自動車取得税が七百十三億、自動車税が千四百十一億、軽自動車二百九億円、軽油引取税千二百六十六億、これの合計は一兆百四十九億円払っておって、さらにここに千二百五十億円の新税がこれに賦課されてくるのである。いままででも重いのであるけれども、それを耐えて、この便益品を使用するにあらざれば社会生活落後するのおそれありということで、この負担に耐えてきた。そこへさらにこの荷物を課せようとすることである。担税力は単なる二千五百円にとどまるものではないということを念頭に置いて判断をすれば、これは現在ですら過重であるものに、さらに過酷な大衆課税を賦課することにならざるを得ないが、国民がこんなものを納得すると思うか。特にねらい撃ちされた本人たちの心境やいかに。どうです中川君。君もこの新しい税制ができるときには、これを阻止することのために相当良心的に立ち働かれたけれども、ついに力抗せずして泣く泣くこんなばかげた法律を出してきたけれども、こんなものは通るはずがない。どうかうしろ向きにひとつ方角を変えてこれを撤回したらどうか。中川君の答弁を求めます。
  43. 中川一郎

    中川政府委員 実は日本の交通を考えます場合、これは将来にとってたいへんなことであろう。日本の産業、かりにこのまま伸びてまいりますと、交通混雑で経済がおかしくなるのではないかといわれるほど、日本の交通問題は七十年代の課題であるといわれております。そこで、陸上交通の中での鉄道というものも考えてみますと、いま非常なピンチに立っておる。そういった場合、一昨日でありましたか、公述人から話がありましたように、公共的な交通体系からいくならば料金をどこに求めるか。国鉄などは無料にしてもいいんじゃないかというくらい大衆の足であるというような議論もございました。そういったこれからの鉄道の将来を考え、だれにどういった負担を求めていくかということを考えますと、自動車の今日の伸び等を考えますと、少々気のひけるところもありますけれども、この程度ならば御理解のいただけるところではないか。応能の問題あるいは他国の税負担の状況、いろいろと勘案をいたしまして、当初私たちもいろいろ議論をして、春日委員のような意見もあったことは事実でありますけれども、いろいろと各方面にわたって検討いたしました結果、現段階においてはこの程度はお願いして御理解をいただけるものなりと心から思って、現在御提案を申し上げておる次第でございます。
  44. 春日一幸

    春日委員 それは全然説得力のない答弁ですね。あなたのおっしゃるとおりだけれども、こういうようなことで押し切られてしまって、まことに無念、残念ということをあなたみずからが述べられておる。こんなものでどうして国民合意が得られますか、現実の問題として。  さきに私なりの調査によってその計数を明示いたしましたが、これに相違はございませんか。
  45. 細見卓

    細見政府委員 四十四年度の自動車関係諸税の収入は、国税、地方税合わせまして一兆百四十八億であることについては御指摘のとおりでございますが、次に御指摘のございました受託工事収入につきましては、四十四年度百四十八億円、春日委員は二百三十五億円余りとおっしゃったのでありますが、これは金額が若干違っております上に、この工事はすべてが自動車の保有者のみで負担するというようなものでございませんので、単純に合計するのはいかがなものか、かように考えるわけであります。  一方これに対しまして、道路に対します投資は、国で五千二十四億、地方で五千八百九十七億、合わせまして一兆九百二十一億ということになるわけでありまして、投資資金に対しまする税収の割合は約九四%くらいになるのではないか、かように考えております。
  46. 春日一幸

    春日委員 これをひとつ与野党並びに政府も一緒になって考えてみたいと思うのですね。応益負担原則とかあるいは損壊者負担原則とかいうようなものは、租税理念原理に照らしては、いけない。だから応能の原理の上に立って租税を組まねばならぬ。こういうことなんですけれども、しかしこの際一歩も百歩も譲って、かりに応益負担原理の上に立ってこの法律案を評価するといたしましても、いま局長によって明らかにされましたように、九十何%は自動車がその道路費用をすでにして全部払っておるということなんですよ。一体道路というものは国民財産でございましょう。国民生活の上にも国民経済の上にもまさに社会資本である。社会資本ならば社会全体の負担によってその資本の維持をはかっていくべきではないか。にもかかわらず、自動車利用する人あるいは使用する人、それを流通せしめる人、製造する人、自動車だけで九十何%の自動車関係費用というものを負担しておる。その他の一般国民はそれに対して五%か六%しか負担をしていないという現実を何と見るかということなんだ、問題は。国民共有財産であり、またその道路によって日本の産業経済が維持されるのであり、国民生活が成り立っておるとするならば、そのような社会資本充実整備するに必要なる原資というものは、当然社会的規模、国家的規模で弁じられてしかるべきではないか。それが、九四%もすでに自動車関係者のみによってわが全日本の道路費用というものが弁じられておることにかんがみて、なおかつこれに加えて新しい税制を設けて自動車にねらい撃ちをしていく。あまりにもずさんではないか。あまりにも便宜主義ではないか。私はこれについては猛烈なる反省があってしかるべきであると思うが、この点いかがですか。坊君のような税制の神さまに答弁してもらうわけにいかぬのかな。実際問題としてこれは真剣に考えてもらいたい。
  47. 中川一郎

    中川政府委員 その点につきましても私どもも十分検討いたしたところでありますが、実は、御指摘のように、大体道路整備自動車関係諸税によってまかなわれておるじゃないかということでありますが、そのとおりであります。  それでは日本と同じようなヨーロッパ諸国あるいはアメリカ等においてはどうなっておるかということを調べてみたわけであります。アメリカにおきましては、自動車からいただいておる税金が、一九七〇年の国際道路連盟の資料によるものでありますけれども、六兆四千億ちょうだいをして五兆四千億しか使っておらない。一一七%になりまして、一七%はほかのほうに回される姿になっております。イギリスにおきましても一兆五千億の自動車関係の税を取りまして、四千八百億しか使っておらない。一一二〇%になりまして、二倍以上のものはほかのほうに振り向けておる。西ドイツにおきましても一兆二千億の税収に対して一兆一千億しか使わずに、一二%程度のものは他に振り向けておる。フランスにおきましても同様でございまして、一兆円に対して六千億しか使っておらない。したがって七六%は他に振り向けられておるというのが先進国家の状況でございます。  また一台一台の負担につきましても検討いたしたのでございますが、先日来客委員からも質問がありましてお答え申し上げましたが、アメリカを除いては、他の先進国に比べて一台一台の負担が少ないという現況も顧みまして、この程度の御負担ならば御納得がいただけるという気持ちで提案をいたしておる次第でございます。
  48. 春日一幸

    春日委員 いまあなたは欧州先進国だとかいって、悪い例ばかり引用されておりますけれども、そんなものは先進国でも何でもない。日本は世界第二位の経済力を持っておる国だから、われわれこそが先進国であって、そんなものは後進国のグループの中に入るべきものだ。後進国がやっておるところの愚劣な手段をわれわれ先進国が踏襲しなければならぬという理由がありますか。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 そんなものは実際問題として何にも引例にはならぬ。そういうようなことを改めるのがわれら日本先進国の国会の任務である。大体頭を洗い直してこの問題と取り組んでいただきたいと思うのですよ。  私が指摘しておるのは、われわれが歴史的にここで論じておるのは、何といっても租税原理というものは応能の原則、これを貫かなければならぬということ。けれどもこの際、特殊事情にかんがみて、道路財源のみならず一般財源が不足しておることにかんがみて、道路整備拡充のために特殊の異例の措置として、もし応益者負担であるとか受益者課税というような方式をとらなければならぬとしても、それにしてもすでに九四%ですか、それだけのものを自動車関係負担しておることにかんがみて、その道路なるものがやはり社会資本であり、国民共有財産であり、そのものなくんば日本経済は成り立たぬ、国民生活も成り立たぬ、そういうようなものは全国民の協力によって財源調達の手段を措置されてしかるべきだ。ねらい撃ちされる自動車関係業者の身になってみろということなんですよ。税金も払っていない、何も負担をしていないということで、事新しくここにこういうような負担が口火を切られるということであるならば、これはしんぼうしなければならぬという理解も成り立つであろう。けれども、八項目もあって、製造すれば物品税だ、利用、使用、流通、あらゆる場面で税金がかかっておって、それでおおむねわが国における道路整備拡充のための原資を調弁、調達し得ておるにもかかわらず、ここに新しく税制を、八つある上に九つの税制にしてこれを調達しようというそのときに、応益の原則も、これはなかなかがえんじがたい事柄ではあるけれども、これまた百歩、千歩退いてやむを得ないとして、さて今度はそのような担税力があるかどうかということになってくると、担税力はまるでない。この間トラック協会の代表が論じられておったが、全部輸送業者は赤字であると言っておる。これはほかの資料で明らかになっております。非常に苦しいと言っておる。そして一般のサラリーマン等についても、零細業者等を含めて、これまた年間所得百五十万円以下といえば月収十二万五千円です。これらの諸君が相当の負担をしておって、なおかつここに新しい負担を加えねばならぬということであるならば、これはそういう担税力ももうない。すなわち応益者あるいは受益者という立場に立って、さてその者がそれだけの担税力があるかということをさらに調べてみると、これはそういうものがない、過酷である。大衆課税であって、苛斂誅求の最たるものである、こういう結論になってくるのでございます。他に手段はなきかということを考えなければならぬ。道路というものを整備拡充しなければならぬことは国民要請であると思う。したがって、整備拡充ということについてはそれぞれの手段が他にも幾つかあると思う。ものごとを、手だてを尽くさずして取りやすいものから取る、便宜というかずぼらというか、こういうようなことは政治モラルとして許さるべきものではない。これは権威ある本大蔵委員会のこけんにかかわる大問題である。いかがでありますか。
  49. 中川一郎

    中川政府委員 大蔵委員会の大先輩でございます春日委員から、税制論の本質、あり方等についていろいろと御指摘をいただきまして、得るところ多かったわけであります。  それで、道路財源を中心とする社会資本充実は今日の急務であるということだけは御理解がいただけると存じます。そこでこれに対応する税負担をどこに求めるかということにつきましては、私どもも他に方法はないか。たとえば自動車の蔵出し税はいかがか。あるいは諸外国に比べてトラック税が非常に軽い。特に日本におきましてもトラックが道路費用の負担の大きな地位を占めておる、あるいは交通混雑、さらには交通公害といいますか、交通事故の原因ともなっておる、こういうところに着目してトラック税に重きを置くべきではないかという議論も重ねました。いろいろございましたが、結論的に、ただいま申し上げております走行することの権利を得ることになる車検あるいは届け出の際に、最低限の、小さな自動車でございますれば二千五百円、普通の車でも年間五千円という程度でありますならば応能主義を逸脱するものではない、許される範囲内であるという考え方からお願いしておるわけでありますが、何ぶんにも新税でございまして、新しく税をお願いするわけでありますから、いろいろの御意見なり御議論なりあるいは御批判なりあることは当然であろうと存じます。この点も勘案しつつ慎重審議を願いまして、御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。(「答弁にならぬ」と呼ぶ者あり)
  50. 春日一幸

    春日委員 全く、答弁にならぬと言われておりますけれども、自分の言いたいことをかってに言っておるだけのことで、何も説得力を持ちません。雑音がぼやかれておるだけです。少なくともきょうは私、福田大臣政策原理について、また将来性について十分論じ合いたいと思っていろいろと検討してみたのでございますけれども、そういう御答弁ではわれわれも確信を持つこともできないし、判断を立てることもできないのでございます。  私はこの際ここで指摘をしたいことは、なるほど社会資本充実、わけても道路整備拡充、これは緊急、焦眉の急である。それには当然財源を必要とするであろう。ですから、その財源調達のためには国民に対してどのようにしてその負担を求めるか、これはやはり国民の合意を求めなければならぬと思う。やはり権力政治でない、民主政治のたてまえにおいてそのことは不可欠の要件である。だとすれば、そのような国民のコンセンサスを求めるためには、少なくとも総合交通政策といいますか、そういう体系が確立されて、これを国民に示す必要がある。こういうような一つの社会資本充実をしなければならぬという理想像あるいは計画像を示して、かるがゆえにこの財源国民負担してくれ、こういうプロセスを経なければならぬではございませんか。それが国民負担を求める場合の大前提であると思うのです。ところがあなたのほうでは財源調達を先行しておる。国民に向かっての交通に対する総合政策ですか、総合交通政策体系ですか、そういうようなものは一部作業されたと聞いておるのでございますが、一体現在の進捗状態はどうなっておるのでございますか。建設省か運輸省か、だれか来ておりますか。政府は全部出てくれと言っておいたのだけれども
  51. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。  総合交通政策につきましては、昨年の六月運輸政策審議会に運輸省といたしまして、総合交通体系のあり方及びその実施のための基本的な方策ということで諮問をいたしました。昨年の十二月の二十五日に中間報告が出されております。そこでは総合交通体系策定についての基本的な考え方あるいは解決のための基本的な方向を示しておりますが、その後引き続きまして具体的に作業を進めております。その作業は、こまかく申し上げると時間もございませんので要点を申し上げますと、施設整備のための面及びそれに伴う、それを実現し運営維持していくための制度、政策に関する部門と、両面にわたりまして現在審議を進めております。その審議もいずれ近いうちに終わりまして答申が行なわれることになっておりますが、これは、いま申し上げましたことは運輸省としての作業でございますが、政府全体といたしましては経済企画庁が中心になって関係各省庁協議の上、政府全体としての総合交通政策を確立するということで現在作業を進めているところでございます。
  52. 春日一幸

    春日委員 いま運輸省から述べられて明らかになったように、総合交通政策体系とも目すべきものは、運輸当局において諮問を発し、まだその答申だに行なわれていない。まだ審議中である。それが答申をやられて、運輸省の方針、骨子が定められ、これが内閣に持ち込まれて政府全体としてのその政策体系ができ上がるのはまだまだ将来の問題であると承知せざるを得ない。私は、こういうような状態においてこの財源だけを、それに密接なる関係を持つ財源だけをかくのごとくに先行せしめてよいかどうか。先行せしめなければならない積極的な理由がどこにあるか。これは慎重に考えなければならぬ問題点であると思うのです。  およそ政策とかあるいはまた計画とかいうものはそれが画然と立案されて、それを実現することのためにはかくかくの原資が要る、ゆえにこのような手段によって国民に向かってその負担を求めるという、これでなければ国民の側では納得することができないではないか。何となく将来交通総合政策を立てなければならぬ、いずれにしても大まかに見て相当の費用がかかるであろう、だからこの際こういう新税創設して、いずれできるそういうところの財源にこれを充当しようという、ずさんであり、ずぼらであり、思いつきである。しかも国民が納得しない、関係当事者が憤激の中でこのような政策を強行してやろうということは、まさに権力政治の最悪の姿であると思うのですね。――委員長、何だ、その雑談しているのは、こんな重要なことを言っているのに。おこっておるときには緊張してもらわなければならぬ。  どうですか、これは。私は、総合交通体系が確立する前にかくのことき自動車重量税というような無体な税制、こういうようなものを創設して財源調達の手段を先行せしめる、計画もないのに銭を取る、本質的にはそういうことが言えると思う。きわめて不当であると思うが、この点について反省はございませんか。計画もないのに……。
  53. 中川一郎

    中川政府委員 この点につきましても昨日来いろいろと議論のあったところでございまして、総合交通体系の必要なこと、早急に立てるべきである、そしてまたそれをまって財源調達をやるべきであるという御意見でありましたが、私たちといたしましては、総合交通体系は早急にやるべきでありますけれども、一方では第六次道路整備五カ年計画が三千億の財源の不足をいたしておる。現実問題として火がついておるわけでございます。こういった急ぐ実態を配慮をして、最小限度今回の措置だけは、総合交通体系とは別にどうしてもやっておかなければならないことである。これを立てることが総合交通体系にマイナスになるとは考えませんし、これをやる上にも非常に一つの一歩となって補完的なことにもなるのではないかというふうに考えまして、緊急の事態というか、道路整備計画の現状に顧みて、最小限度この程度のことはお願いをしなければならぬということで、別途御提案申し上げたところでございます。
  54. 春日一幸

    春日委員 まさしく牽強付会の弁であるということです。三千億円の不足財源というものを調弁、調達の手段としてこれを考えたのだということでございますが、主税局長にお伺いをしたいが、私の記憶でございますと、たしかこの新税が構想されました当時、もとより私は反対的立場に立っていろいろと検討しました。そのときに自動車関係税収入を四十三年度について調査をいたしました。そのときのその総額が、私の記憶では、七千九百億円くらいでなかったかと思うのでございます。そうしてその時点においては、一方国並びに地方公共団体道路関係予算の支出がたしか二十億円下回っておる。こういうような資料に基づいて、私はこの新税創設の不当性を、これは院外でございましたけれども、論じたことがございます。でございまするが、ここに四十四年度の資料を調査してみますると、四十三年度のそれに比べて税収には相当の伸びが示されてきております。この関係はいかがでござんすか。私がお伺いをいたしたいことは、この関係税制八項目によって年間の伸びは大体どの程度見込み得るかということをお伺いをいたしたい。
  55. 細見卓

    細見政府委員 申し上げます。  一番主たる特定財源になっておりますのは揮発油税、つまり燃料関係でございまして、これは昨日もいろいろ論議がございましたが、一三%の伸び、かなり強目の伸びでございます。それからLPGのようなものは一〇%というようなことで、自動車につきましては、ここに自動車新税で申し上げておりますようなことで取り上げておる物品税その他につきましては、これは一般財源でございますので、この道路整備五カ年計画とは直接は結びつけないで、従来の伸びがどの程度減ってくるかということについてはいろいろ議論がございますが、一応四十九年度三千万台になるだろうという程度の目途におきまして出荷数量を考えておる、こういうわけでございます。
  56. 春日一幸

    春日委員 私が論じておるのはそんなことじゃございません。私の四十三年度のこの諸税収入総額が七千九百億でございましたか、それに間違いなくんば、一年間においてざっと三割以上、こういうふうに伸びておる。三〇%以上自動車関系八税目で伸びておる。だから四十五年度においても四十六年度にも、年々税の伸びというものが期待できると思う。自動車利用、使用の増大にかんがみて当然これはふえていくと思う。だから、ここに自動車関係諸税収入総額というものが、国税、地方税を含めて四十四年度の決算が一兆三百八十四億とあるが、四十五年度はどのくらいか。四十六年、四十七年、四十八年、四十九年とどう伸びていくか。こういうことを判断すれば、そこの中には目的税揮発油税一つしかないとしても、税全体として、すなわち自動車負担をするところの税そのものの伸びは相当期待できると思う。だとすれば、その三千億くらいのこの五カ年計画のはした金はその伸びの中において十分消化できる、こういう想定も立ち得ると思うが、(「そうだ、ぴしゃっと答えろ」と呼ぶ者あり)ぴしゃっと答えろ。(笑声)
  57. 細見卓

    細見政府委員 最初に四十三年度と四十四年度の伸びでございますが、春日委員が、先ほどもおあげになったのは予算の数字で、その後の実績が判明いたしております。その実績で見ますと、この伸びが二一%になります。ただ、四十三年対四十四年は二一になっておりますが、それ以前の年で見ますと、たとえば四十年のようなときには一五%というような伸びになっております。それに対しまして、今日の道路事情、あるいはこの自動車新税のかかる問題があるいはあるのかもしれませんが、いずれにいたしましても今日の道路事情のようなことで、いままでのようには伸びないと考えて、自動車の伸びその他を一〇%に見まして、ガソリンは一三%、こういうことで目いっぱい税収は見て、ただ御承知のように物品税その他は一般財源になっておる、こういうわけでございます。
  58. 春日一幸

    春日委員 これはひとつ各税目別に、伸び率を各年度ごとに推算してもらって、これを資料として提出をしてもらう。  結局は、いま道路五カ年計画財源調弁の手段としてこの新税を構想されておるようだが、その必要と目される額は伸びの中で三千億円である。私が申し上げておるのは、ただこの揮発油税という道路財源目的税そのものに局限しないで、この八税目全体の中の伸びが三千億円という五カ年計画の不足財源をやりくりすることができないのか、充当することができないのか。問題はここなんです。目的税だから目的税だけしか計上しないというのはこれは不当な考え方である。というのは、道路というものがこれは社会資本であることにかんがみて、社会的規模でその財源の調弁、供給をするのは当然だ。そういう意味からいえば、一五%の伸び、四十三年度と四十四年は現に二一%伸びと見る。さすれば年々再々二、三千億円ずつふえていくのでありますから、たった一年で。したがってこれから五年間のうちにおいて、この八税目によって伸びる税額は一兆になんなんとすると思う。三千億ぐらいそこから引き出すことはいともたやすい芸当だ。そんなもの、新税創設せなければ道路五カ年計画が遂行できないという、そういう説明にはこれは役立たない。いかがでございますか。
  59. 細見卓

    細見政府委員 四十三年と四十四年が非常に伸びておるのは、御承知のように自動車取得税が地方税において新設されて、これが伸びに出てきておるわけであります。したがいまして、通常の年の伸びは、四十年とか四十一年とか、自動車が、いわゆるモータリゼーションが非常に進んでおるときでも税収としては一五とか一七というくらいの伸びになっておるわけであります。今後の伸びといたしましても、自動車の伸びはいろいろな推計がございます。ございますが、私どもがこの税制を考えましたときにとりましたのは、今後自動車の伸びは若干減っていく。一七%程度の現在の伸びが五十年におきましては一〇六%くらいまで落ちていく。この伸びは、やはりいろいろな将来の予測でありますから――ロジスティック曲線という科学的な推計はされておりますが、しかし何と申しましても予測にわたることでございますから、正確なことは神さまでない限りわかりませんが、伸びとしてはだんだん減っていく、こういうふうに考えております。
  60. 春日一幸

    春日委員 それはあなたの推測なんですけれども、モータリゼーションということは終息しておるわけではございません。経済成長が依然として高水準を保っておる。その場合、産業、経済、国民生活に不可欠の生活必需品であり、準必需品であるこの自動車利用度が高まっていくことは当然のことである。だから、平準の伸び率がかりに一〇%といたしましても、最低限一〇%といたしましても、現に四十四年度の実績が一兆三百八十四億なりといたしますれば、かりに一千億伸びる。一千億の上に今度一千百億伸びる。だんだんと伸びていけば、五カ年間のうちに八税の税の伸び収入は、私は少なくとも五千億、六千億になることは確たる推算が成り立つと思うのですよ。その中から、道路拡充整備五カ年計画を抽出して、どんぶり勘定にわたるかもしれませんけれども、いずれにしても、目的税にしろあるいは普通税にしろ、税収をもってまかなおうとする固定した考え方財源調達の手段を考慮いたしましても、新税創設しなくてもそれは可能であるという理論が成り立つわけです。  だから私はいま申し上げておるように、新しい改革をするとか新しい制度をつくるという場合は、国民の前にそのビジョン、理想像を明示する、かくて国民のコンセンサスを求め、一方そのためには金が要るから金を出せ、こういうことをやらねばならぬのだが、そういう総合計画なるものもまだ、諮問されて委員の諸君がごてごてとああだこうだとこね回しておる段階であって、その中で、何かしらこの新税がなかったらたいへんなことだみたいなことを言うて、今度の国会でこれを通さなかったら次の国会でもっと大じかけなものを出してやるとかなんとか言ってどうかつを食らわして、そうして国民を脅かしておる。これが民主政治といえるか。残忍酷薄、横暴無頼、とにかくこれは猛反省を要すべき、少なくとも国会の良識においてこれは国民のために阻止せねばならぬと思う。よろしゅうございますか。  そういうような意味合いで、どう考えても財源はほかにあるということです。池田勇人さんが言ったけれども財源というものはあるべきものではない、それはつくるべきものだと言った。つくる手段を考慮するときに、こんな不当な手段を選ばなくても、ほかに手段はないかどうか。これはそのほかの手段がたくさんあって、ここに私はこれを検討して、これからの質問の中で政府所見をただし、私の意見を述べたいと思うが、さていまやお昼の時間になってきた。どうしますか。私は非常な空腹を覚えておるのです。朝めしを食わなかったせいもある。休憩してもらって、その手段について、これは長期公債というような公債論も展開してみたいと思うし、税制調査会のその意見もお互いにもう一ぺんここで再吟味をしてみたいと思うし、続いてやっていけばやはりこれはなお三、四時間ちょうだいいたしたいと思う。そういうことになりますとなんですから、社会党さん、公明党さんのあとでもけっこうですから、私の苦心になるところの検討、研究の成果、これはやはりわが国政にあやまちなきことを期するために、適当な機会を与えていただいて、後日質疑応答をしたほうがいいと思う。一区切りですから、だめだということがもうお互いにはっきり認識されたこの段階で一服したほうがいいと思うが、そういうふうに広瀬さんおはからい願えませんでしょうか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  61. 山下元利

    山下(元)委員長代理 午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十三分開議
  62. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑続行いたします。田中昭二君。
  63. 田中昭二

    田中(昭)委員 この法案は大事な法案でありまして、委員長のもとに慎重に審議が続けられておりますが、まず私は、いままでの質問を通しまして、委員長お願いと要望をいたしておきたいと思います。  その第一点は、こういう簡単な法案でございますから、私の質問もいままでの質問者と重複する点があるかもしれませんが、これはどうかそのままさしていただきたい。また答弁のほうもそういう点を考えてしていただきたい。二番目には、いままで聞いておりますと、この法案がたいへんつくる意味がないような結論が出たような感じもしますが、そういうもとでさらに質問を続けなければならないということも、これもたいへん私も残念に思います。そういうことを考えてやっていきたいと思いますが、三番目には、したがってこまかい事務的なことについての質問もしていかざるを得ない。これは納税者である国民立場に立っても当然明らかにしていかなければならない、このように思っております。そうなりますと、必然的に時間が相当かかりますし、時間の制限をしてもらわないようにひとつお願いをしておきたい。最後に、答弁の内容でたいへん納得のいかない点が出てきた場合には、どうか委員長のもとで、それぞれ私は各省の責任者の方の出席要求をいたしておりますし、そういう点につきましては保留していただいて、またさらに質問を続けていきたい、このようにお願いしておきたいと思います。委員長、よろしゅうございましょうか。  それでは、質問の第一点に入ります。  わが国の経済成長が飛躍的に増大したのに伴い、モータリゼーションも大きく発展しまして、車が大衆の手となり足となってまいりました。その反面、交通の騒音、振動、自動車排気ガス等による大気汚染、交通麻痺、交通事故などのたいへんな深刻なマイナス面があらわれまして、この抜本的解決を迫られておるわけでございます。こういう段階にここに自動車重量税をつくられるということでありますが、まず、この重量税、新税をつくるということに至った経過を、主税局長並びに政務次官のほうからお聞かせ願いたいと思います。
  64. 細見卓

    細見政府委員 自動車がたいへんふえてまいりまして、それに伴いまして道路の建設とかあるいは維持補修のためにいろいろな金がかかるとか、あるいはまた道路が混雑するとか、あるいは道路交通安全のためのいろいろな施策を講じなければならない、そういう意味で、御承知のように道路につきましては何回かの道路整備五カ年計画というのがございまして、すでに第六次道路整備五カ年計画というのが四十五年から発足をいたしておるわけでございます。  その財源関係を見てまいりますと、午前中にも御論議がございましたように、国におきまして三千億程度の不足、市町村におきまして千二、三百億の不足、千億を上回る不足というようなことが漸次明らかになってまいりましたので、この道路整備五カ年計画を遂行するために何らかの財源対策を講じなければならないし、あわせて道路その他の社会資本整備というものが緊急の問題であるということで、この負担を、さてそれでは一般納税者に減税を差しとめるとか、あるいはさらに所得税その他の増税をはかって負担願うか、あるいは自動車の増加が今日のそうした交通資本の不足を招来している点に着目して自動車負担を求めるかということを慎重に各方面で御検討を願って、私ども税制調査会にはかりましてその答申を得て、広く財源負担をその自動車に求めるのが適当であろうという答申をいただき、それを今日のように具体案にしたわけでございます。
  65. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま主税局長から御答弁申し上げたとおりでございます。
  66. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは、いまのは事務的な流れのこの新税創設に踏み切った理由といいますか、そういうものをお述べになったと思いますが、私がお聞きしておるのは、この新税案が世間の話題にものぼってきた、政府・与党の中でもいろいろ論議された、そういう点について、特に政務次官には、政治的ないろいろな意見がかわされたという話があっておりましたからそういうことをお聞きしたわけでありましたけれども、そういう意味でいまの御答弁ははなはだ納得がいきません。これはひとつどうしても大臣に出てきてもらって、そういういきさつをもう一回お聞きしなければいけないと思いますが、それはそれとしまして次の質問に移りますが、たいへん通り一ぺんな説明であって、納得がいかないのは私だけではないと思います。なぜかと言いますと、この新税創設があくまでも徴税をするという、いわゆる税金をかけるという立場に立ってのみの説明ではなかろうか。  それで、それはそれとしまして、この財源捻出のもととなりました建設省のほうの道路関係の方にお尋ねしますが、この新税案で長期的な道路整備が完全に実施され、そうしてこれが最高適切であると思っておられるかどうか、御見解をお聞きしたいと思います。
  67. 吉田泰夫

    吉田説明員 建設省では、一応道路整備の長期目標といたしましては、昭和六十年における道路整備水準のあり方を考えたものを基礎にいたしまして、それを各五カ年ごとに五カ年計画にまとめて、そのときどきにおきましてはその五カ年計画に即して事業を進めることにいたしております。現在は第六次五カ年計画で、四十五年度からの五カ年が発足しておる段階でございまして、本日御審議いただいております重量税による収入のうち相当部分が道路に回るならば、当面の五カ年計画は遂行できるのではないか。なおその後に続く将来のことにつきましては、推定の基礎も非常に変わってくるかと思いますので、いまの段階で確実にどうとは申し上げかねる次第でございますが、その段階でまた検討させていただきたい、このように考えております。
  68. 田中昭二

    田中(昭)委員 道路の総合長期計画とその財源の捻出の基本的な考え方は、いままでも言われたように、その長期計画と同時にいわゆる財源の捻出というようなことも考えられ、一緒に発表されるべきではなかろうか、このように思います。そうでなければわれわれ国民は不安であり、また納得できない、こういうように考えますがいかがでございましょうか、その見解は。
  69. 吉田泰夫

    吉田説明員 第六次五カ年計画昭和四十五年度に発足いたすにあたりまして、同時に財源の問題も解決しておれば最も望ましいと私どもも考えておりました次第でございますが、いろいろ議論される点もございまして、ややおくれて今日に至っておるということであろうかと思います。五カ年計画でございますので、財源の手当てがおくれればおくれるほど広範にしわ寄せがくるということも考えられますが、現時点でもしこれが可能であれば、まだ四十九年までございますので、当初より発足すべきものではございましたが、ややおくれてもいまから間に合うんじゃないか、このように考えております。
  70. 田中昭二

    田中(昭)委員 確認しておきたいわけですが、大蔵省としては、この計画財源の両面が確立されれば、いわゆる長期計画が完全実施できるという見通しを持っておられるか。またその裏づけについて、もう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  71. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 私ども、ただいま御審議願っておりまする重量法案が通りまして、その相当部分を道路整備に充てるということであれば、五カ年計画は達成可能であるというふうに考えております。  財源の内訳につきましては、先日も御説明いたしましたけれども、五カ年計画の十兆三千五百億円の計画を達成いたしますために必要な国費としては約四兆八百億円でございまして、それに対しまして従来の特定財源を計算いたしますとおおむね三兆三千七百億円ほど推定いたしているわけでございまして、差し引き約七千億余りのお金が足りない。これを一般財源から投入しなければいけないということになるわけでございますが、従来の道路整備のために投ぜられております一般財源から推定いたしまして、約三千億ほどが財源として不足するのではないかというふうに推定いたしているわけでございます。  一方、地方費につきましては約四兆二千億円を必要とするわけでございますが、これに対しまして従来の特定財源あるいは一般財源につきましても、従来の投入から考えてまいりますと、都道府県の場合には比較的に余裕があるわけでございますが、市町村の場合には市町村の特定財源というものが非常に少ない、あるいはその他の公共事業についてもいろいろ需要が強いというようなところから、そう多くの一般財源の投入が期待できないわけでございまして、差し引き一応推定といたしまして千億ないし千二百億くらいの財源が市町村に不足するであろうというように推定いたしておるわけでございます。
  72. 田中昭二

    田中(昭)委員 ただいままでの説明では、たいへん私は納得がいかないのです。といいますのは、いままでの長期計画というものが大体二年目、三年目には改定となって、また次の計画がなされる。また財源についても、先ほどからいろいろ聞いておりますとおり、五カ年間に三千億円という財源がどういう割合を占めるものか。ただそのつじつまを合わせて、今日の一つの計画に見合う新税創設されるということについては、たいへん国民の皆さん並びにまた課税対象となるユーザーにとっては納得できないのではなかろうか、私はかように思います。この新税案について、政府並びに与党に対して、極端にこの新税について言われますことは、思いつきで場当たり的政策である、さらにまた不合理きわまるものであるというようなこと、そういう悪評が世間に流れておるわけですが、そこで、そういう指摘されますいわゆる場当たり的な政策であるということについてどのような見解をお持ちですか。ひとつ納得のいく説明をしていただきたい。
  73. 中川一郎

    中川政府委員 国民の皆さんの中には、場当たり的で思いつきだという意見もあることは事実でありましょうし、この間の公聴会でも学者の方々から御指摘もありまして、その点は承知いたしておりますが、この審議を通じて国民大方の方には御理解がいただけるものではないか。またぜひとも御理解をしていただきたい、このような態度でお願いをいたしておる次第でございます。
  74. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少し詳しい――私が具体的にあげて、いわゆる当初に言いましたように、やはり何回も同じようなことを言わないで、たいへんだろうと思いますけれども、いま私が指摘したわけでございますから、そういう点についてお聞きをしたかったわけですけれども、こういう点もまた大臣が来られましたらもう一ぺんお聞きするということで、先に進んでいきたいと思います。  そこで運輸省のほうにお尋ねしたいのですが、運輸省はことしの秋ですか、先ほど審議官答弁によりますといつということはおっしゃらなかったのですが、総合交通体系ができると聞いております。それができまして、その観点の上からこの新税案によって、いわゆる車というものがどのような立場に立つか。また車についての行政をあずかっておる運輸省が、この自動車の交通がどのようなより望ましい道路交通を現出するだろうか。そしてそういうふうに体系整備ができる。いわゆる総合交通体系がいまできていないときに新税案ができるということもいままでいろいろ論議されましたが、その総合交通体系ができたときに、はっきり自動車というものに対する行政が国民の生活により望ましい状態になると確信を持っておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  75. 見坊力男

    ○見坊政府委員 総合交通政策につきましては、先ほど御説明申し上げましたように現在運輸政策審議会において審議中でございます。近く答申を得ることになっておりますが、自動車を考えますと、戸口から戸口へという、ほかの交通機関にない特性を持っておるわけでございまして、総合交通政策を考える場合に自動車輸送というのは非常に重要なウエートを占めるものというふうに考えております。総合交通体系の中で道路交通体系というものは明らかにされてくるというふうに考えておりますが、この新税によりまして社会的費用を負担してもらうと同時に、その財源社会資本充実に充てるということで、私どもとしましては将来の道路交通体系の確立に資するというふうに確信をいたしております。
  76. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が質問したところのことは最後にちょっと触れられただけで、説明が足りないと思うのです。大体この自動車の行政に対してどこが責任を持って行政指導をやるのか。大蔵省は税金を取ればいいわけです。その大蔵省が税金を取るということについて、自動車行政または自動車が引き起こしますいろいろな問題、こういう問題を真剣に考えるならば、運輸省がその責任の一端を感じて――いままで八種類もの税金ほんとうに積み重ねられたといいますか、むちゃくちゃに自動車というものに、それからまた関係あるものに課税されておる、そういう状態を考えてみても、もう少し運輸省が主体性を発揮して、自動車行政の上からは、こういう自動車関係租税が八種類もあるということは一本化すべきである、それはそのほかにもいろいろございますけれども、そういう申し入れを大蔵省にするくらいにならなければいけないじゃないか。この新税創設にあたって政府で話し合いの中で、大蔵省に対して一体運輸省はどういうことを言ったのか。それともそういう主体性は考えなくて、税金のことだから大蔵省の立場でどんなことをされてもしかたがないと思っておられるのかどうか。大蔵省と両方からお答え願いたいと思います。
  77. 見坊力男

    ○見坊政府委員 各種の自動車に対する税金の一本化の件でございますが、いまお話ございましたように、現在八種類の税金がある。ただ、私は税制についてはしろうとでございますが、それぞれの税の性格課税範囲、一課税主体等はそれぞれ異にいたしておりますし、今度新しい税が社会的費用の負担ということで新たに課税されるということで、従来の税とは性格を異にしているというふうに了解しておりますが、自動車諸税の一元化という問題につきましては、私どもといたしましてはやはりこれは国並びに地方の財政の中におきまして、税制体系全体の一環の問題として検討すべき事柄であろうというふうに考えておる次第でございます。
  78. 細見卓

    細見政府委員 自動車に関します税は、確かに税目としては八本もあって非常に多いようでありますが、もうこれは田中委員御専門でございますので詳しく申し上げるまでもないと思いますが、たとえば燃料税ということで考えれば、揮発油税及び地方道路税を払っておる人、つまりガソリンはガソリン税だけを払うわけでありますし、タクシーのようにガソリンを使わないで石油ガスを使っておる人は石油ガス税だけを払う、トラックのように軽油を使っておる人は軽油引取税だけを払う、そういう意味で燃料税が一つある。それからいま一つは、自動車の保有に伴いまして自動車税というのがかけられ、名前が違いますので軽自動車税というのがかけられますが、これは固定資産税の系統の税として、いわば軽自動車の人は一つ、自動車の人は一つ、つまり保有課税が一つそれからいま一つは自動車取得に伴いまして動車取得税というのがかけられるわけでありますが、これはちょうど家屋を取得いたしますときに家屋について不動産取得税がかかる、そういうようなものであります。確かに税目としてはたくさんございますが、国、地方を通じまして燃料税のようなものは財源関係揮発油税地方道路税ということになっておりますが、納税者から徴収する形は一本であります。確かに税の種類は多いわけであり、そのほかに日本には物品税もございまして多いわけでありますが、外国を見てみましても、たとえばアメリカのような国でありますとタイヤ税というようなものまでありまして税目が十ある。それからイギリスでは四つ、西ドイツでは七つ、フランスでは六つというようなことで、自動車につきましてはいろいろな側面をとらえて諸外国でも課税が行なわれておるわけでありますし日本の八つの税目というのも、いま私が申し上げましたように観念として整理すれば、現実に払っていただいておる税はこれらの国に比べてそんなに多種類ではない、かように思うわけであります。
  79. 田中昭二

    田中(昭)委員 運輸省では、大蔵省にこの新税のときにいろいろな申し入れか何かしたのですか。したとするならば、その中で一番重要な点はどういう点を新税創設にあたって申し入れをしたのか。  それから大蔵省は、新税設について、できるまでは政務次官からいろいろ話し合いがあったわけですから、運輸省のそういう意見を聞いてどういう点を一番取り入れたのか、お答え願いたいと思います。
  80. 見坊力男

    ○見坊政府委員 立案の過程におきまして事務的にはいろいろ相談もし、協議もいたしたわけでございますが、特にこういう点といってお示しするほど、まとまった申し入れというような形で申し入ればいたしておりません。
  81. 細見卓

    細見政府委員 事務的には運輸省からもいろいろ御意見がございますし、通産省のほうからもいろいろ御意見がございまして、おしなべて申しますれば、業界、つまり製造業界あるいは運輸業界に対する影響及びユーザーに対する影響というものを最小限にとどめるべきであるというのが、最大公約数と申しますか、申し出の根本であったと思います。私どもも税を扱う役所といたしまして、国民に最低の負担最大の歳出効果があがるような方法を考えるのが筋でございますので、私どもは主計当局にはできるだけ所要財源を節約してもらうようにお願いし、関係の各省の申し入れにつきましては、極力公平な必要最小限の税負担にするように努力いたしたわけでございます。
  82. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの運輸省のお答えを聞いておりますと、やはりもう少しざっくばらんに言うべきことは言い、また大蔵省も、運輸省から聞いたことはこういうことと言ってもらったほうが私はすっきりすると思うのです。そんなこと言うけれども、昨年運輸省は自動車利用税をかけようというような、総合交通体系の新税案というものをつくったじゃありませんか。なぜそういうものを隠します。私は隠すとしいて言いたくないのですけれども、もう少し、当初に言ったように、自動車の運輸行政、大体自動車にまつわる行政はどこがやるのか、そういう点をはっきりしなければ税金をかける、かけないの問題は論じられないんじゃないですか。政務次官も、当初に言いましたようにもう少し親切に、どういうお話し合いがあったか、運輸省からどういうことを聞いたか、答弁してください。
  83. 中川一郎

    中川政府委員 この新税が出てまいりましたのは、道路第六次計画財源、もう一つは社会投資社会資本充実ということで、何らかの税負担国民に求めなければならないということにおいては一致しておったわけでございます。そこで、この税負担を一体どういう形でどこに求めたらいいかということで、各省にもそれぞれ考え方もありました。また大蔵省内部においてもいろいろと、国民負担あるいは税コスト、税徴収のあり方、あるいは税のたてまえというものをどういうふうに持っていったらいいのかというような、いろいろな議論がございました。  その中でありました一、二を申し上げますならば、一つはガソリン税をもう少し上げてはどうか。国際的に見ましても、ドイツ、イギリス、その他ヨーロッパ諸国に比べても、まだガソリン税、揮発油税というのですか、燃料税が割り安である。そこでこれを上げたらどうかという議論もありましたが、ガソリン税、燃料税についてはしばしば上げてきた経緯もあり、特にこれを上げますと石油業界が経営の安定がいかないという意見もありました。  もう一つは、ざっくばらんに言ってトラック税。トラックが道路の破損あるいは交通渋滞、交通事故の原因になっておる。一方、トラックからいただいております税金は国際的にいっても極端に安い。であるから、もっとトラック税に求めたらどうかという意見もありましたが、これは中小企業の育成、物価高に直接影響をするというようなところから、現段階においてトラックに集中的にかけることはちょっと実態に合わぬのではないかという、過程の議論もございました。  一方では公債論をいう議論もございました。しかしこれは大蔵大臣から答弁いたしておりますように、公債というものは時々の経済事情によって伸縮をしなければならない。一律に毎年公債をこれだけ出すというようなことは経済運営においてよろしきを得ない。一方、道路等の公共投資のために四千三百億という建設公債が発行されておる現段階においては、この程度の規模でよかろう。これ以上出すことはインフレ等にもつながるのではないかというところから、現段階では公債論もとるべきではない。  いろいろと考えました結果、自動車重量に応じて、走行する権利取得したことにおいて税負担を求めるということが最大公約数として――特に議論のありましたのは大衆課税になりはしないかということでありましたが、勤労者のお持ちになっております小型の自動車では年間でわずか二千五百円程度であるということであるならば、今日の所得からいってそれほど大きな負担ではないのではないかというようなこと。それからトラックについて多く課税という議論もありましたので、重量に応じて負担を求めていくということ。この程度でありましてもいろいろと議論はございます。先日来もいろいろと議論がありまして、特に低所得者に対して重課税にならないかというようなことがありましたが、いろいろといま言ったような各般を検討いたしました結果、今日の道路投資を中心とする社会資本充実のためには、この程度のところが最大公約数ではないかというふうに見て、この案を提出いたした次第であります。  ここで、田中委員ざっくばらんなお話をされますから、私も蛇足でありますが若干ざっくばらんなお話をいたしますと、ドイツに参りまして、時速九十キロというと90というレッテルを張って一番端を小さくなって走らなければならない。まん中は百五十キロぐらいでたいへんなスピードで走っておる。そしてドイツの経済がスムーズに流れておる。あの姿を見まして、私は、日本もどうしてもああいう姿にしなければならぬ。それには当分の間自動車の方々に税負担をしていただいても、長期的にはああいう姿に持っていくことが自動車を使われる方々にとってもいいことではないか。いまのように、渋滞をいたしまして、排気ガスを吸って、また他人に迷惑をかけて、信号待ちをして乗らなければならぬというようなことを続けていったのでは、ユーザーの方にとっても、また日本の産業の発展のためにも、あるいは社会一般の人にも、迷惑をかけるところではないか。そういうところからいったら、税負担をしていただいて、よりよい、ドイツのような、アウトバーンといわれるようにすばらしい、片方が六車線も四車線もあって、対面交通の道路をさがしても、見たくてもないというところに持っていくのがほんとう政治ではないかというふうに考えまして、今回のことは、これで解決できるとは思いませんが、少なくとも道路第六次計画を達成してこの目的を達成することが、長期的には御納得がいただけるだろうと、政治家としても私はこの案に賛成をし、また国民の皆さんに御理解をいただきたいと心から思っておるような次第でございます。
  84. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後のドイツの話だけは変わった話をされまして……。  私が質問した趣旨は、何べんも言うようですけれども、運輸省が自動車を預かっておる。そのことに焦点を合わせて、どういうことが話し合いをされましたか、こう聞いておるわけです。長々とずっといままでおっしゃったことは、私の質問の前までに言われたことを言われたので、たいへん御苦労であったと思います。ただ、何べんも言うようですけれども、それでは私がもう一つ指摘すれば、――運輸省も審議官が答えられないな答えられないと、こう言ってください。たとえば今度の新税の中の一つをとってみれば、車の検査いわゆる車検時に税金をかけるという問題、これはプラスマイナス両面あると思うのです。プラスの面で、取るほうからいえば一番取りやすいというような問題があると思うのです。この車検のときを押えて税金を取るというような行き方に運輸省としては黙っておったのか。また大蔵省としてはそういうことについてどういう検討をなされたかというようなことを答えてもらいたかったわけです。まあ大蔵省はいま政務次官のお答えで了としまして、運輸省のほうから、そういうことに対して答えができないならできない。先ほどから言うように、申し入れ書を出したから申し入れしたとか、そんなことにこだわらぬでいいと思うのです。そうじゃなくて、当然車検のときに税金をかける。いま車検がどのようになって行なわれているか、これは私がいままで運輸委員会でいろいろ指摘をしてきたとおりのたいへんな仕事なんです。徴税でもそうです。現場の徴税の機構では、税金を取るというそういうことばだけでも遠慮しているのです。国民の側から税金はいただくのだ。しかし主税局等に行きますと、税金は取るものだという考え方がまだ改まっておらない。いわゆる現場に行けばたいへんな仕事になってくるわけです。そういうことがわかれということのほうが無理でございます。わからぬのがあたりまえだと思いますけれども、だからといってそういう現実を考えなくてやっていいということはない。そういう意味で、運輸省もう一ぺん答えてください。
  85. 見坊力男

    ○見坊政府委員 担当の整備部長から答弁さしていただきます。
  86. 隅田豊

    ○隅田説明員 お答え申し上げます。  御指摘自動車重量税取りますのが車検の際に行なわれますので、そのために業務上かなりの業務増になります。それにつきましてはもちろん、制度創設の相談がありましたときに、私ども担当といたしましては、それなりの人間的な手当てないし税金取り方につきまして、トラブルの起きないような取り方をするようにということにつきましては十分な申し入れをいたしました。
  87. 田中昭二

    田中(昭)委員 申し入れの内容……。
  88. 隅田豊

    ○隅田説明員 折衝の過程がいろいろございますので、具体的に内容がどういうことというのはいま申し上げましたとおりでございまして、十分な人間の手当てをしてもらうことと、それから税金取り方において、例を申しますと現金を取り扱わない、こういうような意味の、現場のトラブルを起こさないようなことを考慮してほしいというようなことを申し上げたわけでございます。
  89. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうふうに車検のときに税金を取ることを、あなたたちが簡単に了承したことを私たちは納得がいかない。この問題についてはまたあとの質問で具体的に取り上げまして質問していきたいと思います。  先に進みますが、今度の第六次の道路計画でございますが、昭和五十年の時点において、そのときには総合交通体系もできると思いますが、その場合に自動車の位置づけといいますか、またその自動車に対する道路網が完成されるわけでありますが、その完成の見込みによって交通の問題が解決されて、国民の生活向上に資するものであるかどうか。これは見通しでございますからたいへん抽象的なことになるかと思いますが、一応お聞かせ願いたいと思います。これは運輸、建設、両省から……。
  90. 見坊力男

    ○見坊政府委員 総合交通体系を現在詰めておりまして、近く結論がまとまる予定でございますが、その場合に総合交通政策の目標年次をどこに置くかということが大きなポイントになります。五十五年とか六十年ということで、どこに置くかということでいろいろフレームも変わってくるわけでございますが、現在の道路整備五カ年計画はまさに、その総合交通政策を考える場合にその前半の年次に属する問題でございます。したがいまして、それらを踏まえまして総合交通政策検討されることになろうと思いますが、まだ将来どういう形になるかという結論を得ておりませんので明確なお答えをすることができないわけでございますが、われわれとしましては、自動車行政を預かる運輸省という立場からいいましても、新しい重量税によりまして、社会資本充実に向けられるということによって、道路交通体系が整備されるということに資するもの――五十年においてその五カ年計画が完成された場合には、国民経済的に相当に豊かなものになるというふうに考えておるわけでございます。
  91. 吉田泰夫

    吉田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、長期的に、たとえば昭和六十年ごろを目ざして道路整備を合わせようということでございますので、当面の五カ年計画昭和五十年だけでは、遺憾ながら現在の交通混雑などは、かなりの緩和を見ますけれども、抜本的に改善されるほどには至らないわけでございます。それにいたしましても、たとえば全国的な高速自動車国道が現在の約三倍、千九百キロ程度供与されるとか、あるいは都市高速道路が倍くらいに延長されるとか、あるいは国道、県道、約十五万キロの全国の主要幹線道路が相当、改良、舗装ともに進みまして、なおかつ都市部周辺等の交通混雑個所におけるバイパス等の整備も数千キロにわたって進みますし、片や自動車の伸びそのものも従来ほどの大きな伸びはなさそうに思われますことと相まちまして、現在の交通混雑よりも悪化しない程度に維持し、五十年以降そのおくれを抜本的に取り戻すということができると存じます。
  92. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう説明を聞いておりまして、どうも残念に思うのですけれども、いま建設省のほうから車の引き起こす社会的な問題について触れられたくらいで、運輸省はそれに触れない。この狭い日本の国土で道路をつくるような面積とか、そういうことは当然検討されて道路網の完成がなされると思うのですが、いま両省から聞きますと、四、五年先のことでもたいへんあいまいです。そういうことでは先ほどから言われますように、国民税金を課するという意味合い、並びに国民生活がそれによって向上するということは、その裏づけとして何の保証もない。それどころか、その反面、現在の時点を見てみても、道路がよくなればかえって交通渋滞。ことしのゴールデンウイークのときにどういうふうな状態だったでしょうか。そういう現実を考えますと、私はいまの説明はただ机上の空論、と言っては失礼になりますけれども、実態を無視した逆な面が出てくるのじゃなかろうか。さらに国民生活は脅かされて、交通事故は続発する、大気汚染による生活環境の破壊もさらに進み、そういう問題が累積してきたならばより深刻な世相が予想される。一体このようなもとで、政府国民税金による社会資本充実ということをどう考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  93. 中川一郎

    中川政府委員 日本の経済は、七〇年代になるまでは経済成長ということで進んでまいりました。経済成長においては世界で二番目、三番目というところまで達しましたが、七〇年代は質的成長の年代だといわれております。その質的成長の中で日本の交通網を整備して、交通渋滞、交通公害、交通事故あるいは交通災害その他をなくして、スムーズな輸送体系をつくるということが七〇年代のほんとうに大きな日本の政治課題だと見ております。  そこで、別途政府におきましても、これは道路だけではなくして、空の輸送、海の輸送、陸におきましても道路、鉄道あるいは地下鉄、都市交通、すべてにわたりまして総合的にいろいろかみ合わして、最近はやりのことばでありますが、イコールフッテイング、一つだけではなくて、全体として調和のある交通体系をつくるべきだという議論があります。そういう議論を受けまして、いま政府においても真剣にこれと取り組んでおるというのが総合交通体系の確立でございます。この点についてはほんとうに皆さま方の御協力をいただいて今後強力に推進をしていかなければならぬこういうことであります。  一方、このたびのお願いは、とりあえず道路について三千億ほど、五カ年計画に必要な財源、それと社会資本充実ということで最小限度の願いをいたしておりますが、これだけではおそらく日本の七〇年代の近代的な交通政策というものは確立され得ないのではないかと見ております。この点については今後の検討を待ちまして、御批判をいただいて、よりよいものにしてまいりたいという考え方でおるわけであります。
  94. 田中昭二

    田中(昭)委員 まだ満足しませんが、次の問題に移らしていただきます。  いまお話にもありましたように、現在までのモータリゼーションの促進政策並びに自動車用の高速道路中心主義そういう政策がとられてきましたが、そのことによって自動車交通の問題がいろいろと社会問題を引き起こしておるわけでありまして、そういうことを考えますと、今後車というものをある程度規制していかなければならないというふうに思われておると思いますが、そのような規制するというような考え方政府の中にあるのですか、いかがですか。
  95. 見坊力男

    ○見坊政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、車というものは戸口から戸口へという、他の交通機関にない特性を有しております反面、道路混雑とか交通事故とか交通安全、非常に各種の社会負担をもたらしておるわけででございますが、経済的あるいは社会的に見た場合に自動車の果たす役割りは非常に大きい。したがいまして、それを規制するということにつきましては、従来も乗り入れ規制の考え方とか、いろいろな構想が打ち出されておりまして、まだ結論を得るに至っておりませんが、いずれにいたしましても自動車の持つ特性なり、あるいは社会的に及ぼす影響等を十分に考えまして、慎重に検討すべきことであろうというふうに考えております。
  96. 田中昭二

    田中(昭)委員 慎重に検討と、どっちにもつかないような返事だったのですが、かりにこの新税ができまして、先ほど大蔵省のほうからも御説明があっておるように、建設省のほうからも、たいへん道路がよくなって、さらに国民の生活が豊かになるための経済発展にも寄与していくだろう、こういう考え方がありますと、すなわち道路整備されるとさらにその需要が大きくなって、そしてかえっていわゆるモータリゼーションは進んでいく。ということは、いまの時点で考えてもさらに狭い国土に自動車があふれていくというようなこと、いわゆる社会資本充実ということばですけれども、そういう要因になるのじゃないか。そうしますと、考え方の中にある、ある程度車の数を規制しようという考え方が無意味になってしまう。卵が先か、どっちが先かというような議論になってしまいますけれども、現実問題として私は相反する作用を起こしてこないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  97. 中川一郎

    中川政府委員 一部に、自動車が多過ぎるから自動車を規制したらどうかという議論のあることも事実ですが、私どもは、今回の自動車新税をもって自動車がふえることを規制することに役立たせようという気持ちは全くございません。それじゃ車がふえてもいいのかというと、これまた問題のあるところでありますので、そこで今度の新税お願いするのは、道路だけでなくして、その他の交通機関、特に陸上においては鉄道との競合がありますので、そういった面の充実ということも大いに考えていって、そちらへの輸送転換というか――鉄道等から道路へ輸送がだんだんと変わってきております。これをそうならないで、鉄道は鉄道として健全な発展をしていくということによって、自動車、モータリゼーションが過度にならないようにしていくということがいわゆる総合交通体系のねらいである。料金を高くしたり税金を高くして自動車を押えるというのではなくして、交通体系が調和のとれた発展をするというところにおいて過度な抑制にならないように持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  98. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはいままでのあなたの答弁を聞いておりましても、先ほどもちょっとありました。いわゆる交通緩和がある程度期待できるというようなお答えがあったのです。それの一番もとになるものはやはり車の数の規制、というとことばがきつ過ぎますけれども、しかし今度の新税が、保有していることにおいて課税するということですね。これを考えてみますと、そういう保有することに課税するということは、簡単にいって私は混雑の緩和にはならないのじゃないか。先ほど政務次官は、何か交通緩和が期待できるようなお答えがあったようです。ですから、またもとに戻しますが、そういう考え方があるということは、いわゆる車の量というものを多くしたくないというお考えがあるのじゃないですか。どうですか、簡単に……。
  99. 中川一郎

    中川政府委員 税を課することによって緩和をはかるという気持ちは全くございません。簡単にいうと、税金が高くなったら自動車を持つのはやめようじゃないかという意図を期待しているわけではございませんで、緩和というのは、自動車が現行のままでふえてまいりましても、それを上回る道路整備をはかって、輸送が円満にいく、円滑に自動車が流れるということによってコストの軽減をはかっていく、こういう意味でございまして、同じ緩和でも、自動車の量を抑制して緩和するのと、道路の質と量をよくして緩和するのとの二つがございまして、私が言いましたのは後者のほうでございます。
  100. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは大事な発言だと思いますよ。これはここで論議するばかりでなしに、私は車の交通問題ということについて、いまの御発言はまた論議してみたいと思いますが、それはことばで言うのはそういうように簡単ですけれども、それじゃ逆の考え方もありますよ。こういう高い税金まで払って車を持ったのだから、より効率的に利用しなければいけないという動き方になるかもわからない。これはそういうことにならないとは言えないのです、人間の心理として。いままでも高い税金を払っておった、それ以上に高い税金がかかったのだから、これは商売の場合には当然効率をよくしていこう、こういうことになりますと、この新税の経済的規制は何も効果があがらないという見通しにならざるを得ないと思うのですが、どうでしょうか。
  101. 細見卓

    細見政府委員 この税が人間の心理にどういう影響を与えるか、なかなかむずかしいところでございます。この税の重さと申しますのは、先ほども政務次官からたびたびお答えしておりますように、年に二千五百円とか五千円とかいうものでございますが、一方、御承知のように、自動車走行いたしますればガソリン税あるいは地方道路税軽油引取税というようなものもかかるわけでございますので、その辺は、この程度の税でそんなに人間の行動様式が変わると――そこがむずかしいところでございますが、なかなか一がいに言えないところじゃないかと思います。
  102. 中川一郎

    中川政府委員 これは哲学問題のように、人の心理のことですが、かりに私が具体的に税金を取られたから、ひとつ高いガソリン、しかも税金のかかったガソリンを使いつつ乗り回してやろうという心理には私はならないのではないか。したがって、多くの人も、中にはそういう人もあるかもしれませんが、今度自動車重量税でまた二千五百円かかったからひとつ乗り回してやろうという気持ちになるかどうか。田中委員考え方の人もあるかもしれませんが、まあ大多数は私の考えと同じではないかというふうに考えます。
  103. 田中昭二

    田中(昭)委員 いや、あなたはならないと思いますよ。しかし、なる人の心境はどうでしょうか。心境というか、そういう人に対してはどうですか、こう聞いておるわけです。あなたがさつきから言っているように、簡単にいえば、いままでトラックにはあまり課税してなかった、今度このトラックに重量税を課税するわけでしょう。そうしますと、その問題からいっても、その運送業者というのは当然効率をあげなければならぬじゃないですか。そうでしょう。まずそれから答えてもらいましょうか。
  104. 中川一郎

    中川政府委員 トラック業者の経済行為が優先すると思うわけです。そこで、当然、自動車重量税を取られたので自動車の減価償却を高く見なければならないということになってくるだろうと思います。しかしそれだからといって必要以上に経済行為を――そのことも経済行為になるのかもしれませんが、無理をすればそこにまた無理のマイナス条件も出てくるということのかね合いもありまして、どういう心理になってくるか。私たちが強調しておりますのは、かりに舗装されておらない道路で安い税金で走っておった場合、そのときにはガソリンもたくさん食いますし、時間も長くかかる。しかしこれが、そういった税の負担によって舗装道路に変わったということになりますと、ガソリンの量も輸送時間も節約をされて、そして道路の上を短時間で走るわけですから道路の上に乗っかっております自動車も少なくなってスムーズになって、それが経済的価値となって自動車業者に還元してくるだろう。この辺が自動車新税のねらいでなければならない。そういったことで、道路のみならず、社会資本をよくして経済活動がよくなるということがねらいであるということを申し上げておったつもりでございます。
  105. 田中昭二

    田中(昭)委員 いままでの審議を聞いておりましても、交通量がふえていわゆる交通渋滞する、そういうことも今度の新税によって何とかしなければならないというような話があったわけです。それから、あなたのおっしゃるような減価償却なんか関係ないですよ。公述人の話にもありましたように、トラック一台当たりに一年間五万円の新税がかかったとした場合、そのトラックがいままでどおりの経済効果をあげておったらどうなりますか、いまでも赤字の状態のやつが。破産しなければいけないですよ。そういう立場の人たちのことを考えてこの重量税を考えてみるとおかしいじゃないですか、こう私は聞いているわけです。いかがですか。
  106. 中川一郎

    中川政府委員 先日の公述人の御意見にも、かりに自動車を二百台持っておった、税金が五万円程度かかって一千万円の税支出がふえてくる、それを一体どこから求めるかということの議論だと思いますが、そうなりました場合――減価償却と先ほど言いましたのは言い方が間違っておると思いますが、この千万円を生み出すためによけい走らなければならぬということになってくるかもしれない。そうなってくれば田中委員指摘の、自動車の量が交通混雑に拍車をかけるじゃないか。言われんとするところはそこじゃないかと思うのですが、そういう一つの面もありましょう。しかし、そのことが、そのいただきました一千万円によって道路が舗装化された、交通渋滞のない道路整備をされていったということになりますれば、これは輸送時間が短縮になる、人件費が安くて済むという便益でもって相殺されるか、私たちが期待したいのは、負担したことによってより便益のほうが多くなるようにいたしたい、こういう考え方でおるわけであります。
  107. 田中昭二

    田中(昭)委員 その期待がぼやっとしているんですよ。いまあなたの言われる一千万円、今度の新税がかりに五年間徴収されても、三千億の財源不足に充てるわけでしょう。十兆三千五百億の道路予算の中の三千億でどれだけよけい舗装できますか。さらに、三千億でもちゃんとできる計画があるとさっきおっしゃったじゃないですか。だから、ここでそういう議論だけをしていくとそういうことになるのです。それならばその三千億はやめたらいいじゃないですか。舗装をしたことによって経済効果がこれだけプラスする、一千万に相当する、これがぴしゃっと出ればいいですよ。  それからまたこういうことも起こりますよ。これは参考にあとでまたいろいろ質問していきたいと思っておりますが、ここでちょうど区切りがいいから言っておきますけれども、いままでたとえば十トンなら十トンの車で、ある業者が一台でもって運んでいたとしますよ。そうしますと、重量税ですから総重量が重ければ税金は高いのです。それだったら重量の少ない車で運ぶこともできるのです。そういうことが、そういう状況が起こらないとは断言できないのですよ。営業車であれば一年に一回ですからね。毎年それだけの税金を払うわけです。また日本のこの道路の効用面積から考えてみても、あんまり大きな車よりも小回りのきく車で、いままで一台で済んだのが二台、三台になった場合に、その車がまた町にはみ出て交通量がどうなっていくか、そういうことも考えられないじゃないのです。あまりこまかいこと言うようですけれどもね。ですから、そういうことまでもかりに検討されてないとするならば、当初に言いましたように場当たり的、思いつきの税金である。先ほどの総合交通の問題にしろ財源捻出の問題にしろ、税の本質論から言ってみてもこの自動車新税がたいへん場当たり的である。いままで本質的なことを論議されたから私はいろいろこまかいことを聞きよるわけでありまして、国民の皆さんにこの税法が適用されるということを想定するならば、当然論議していかなければならない問題だと思うのです。  もう一つ最後に、まだございますから、それはそれなりにしまして次の問題に移りますが、戦後二十何年たって久方ぶりに主税局が新税創設するということに踏み切った。ですから、いまこの重量法案を見てみますといわゆる千二百五十億の税収をあげるということになっておりますが、その税収の千二百五十億の内容、根拠といいますか、税収をはじき出された内容、根拠を少し教えていただきたいと思います。
  108. 細見卓

    細見政府委員 これは比例税率になっておりますので、比較的税収がはじきやすいわけでありますが、算出の内訳で申し上げますと、乗用車が八百三十万九千台、トラックが六百十万九千台、バスが二十一万四千台、小型二輪車が二十二万一千台、合計一千四百八十五万三千台。これをベースに置きまして車検に基づいて税を算出する。それから届け出、つまり軽自動車につきましては軽三、軽四が百三十二万二千台ございます。それから軽二輪が七万九千台ございます。合わせまして百四十万一千台。この合計にそれぞれの重さ、それぞれ新車分でありますから七千五百円の税を課しまして、この大半は、約九割程度のものは印紙収入に入ると想定いたしまして、印紙収入ということになりますと手数料が三%要るわけでありまして、この三%相当額を差し引きまして印紙収入を考える。それから現金収入は約一割程度のものが入るということにいたしまして、平年度約千二百五十一億という税収をはじいたわけでございます。
  109. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、これは今年度だけの問題でなくて、当初から言われるように、いわゆる三千億の不足分についての税金であるようでございますから、ほんとうはいまの台数にしましても――いつ現在の台数ですか、それは。
  110. 細見卓

    細見政府委員 四十六年分の自動車でございます。
  111. 田中昭二

    田中(昭)委員 四十六年というよりも――それは四十六年のいつの時期ですか。四十五年の十二月からこの法律は施行するということで税収をはじき出してあるわけでしょう。
  112. 細見卓

    細見政府委員 四十六年度です。
  113. 田中昭二

    田中(昭)委員 四十六年度にしましても、四十五年の十二月一日ではじいてあるわけですよ。そうじゃないですか。
  114. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、初年度の計算をいたしますときには、その年にフルに課税がなされておったならば幾らであったろうというのを平年度とするわけでありまして、そういう意味で、この見積もりにあたりまして平年度分といたしておりますのは、四十六年度末、つまり四十七年三月三十一日現在におきまする状態で推計したものでございます。
  115. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、四十七年三月三十一日現在のこの新税課税対象になる自動車の数はどういう基準によったのですか。私が調べたところによりますと、四十四年度はまだ確実なものが出ていないようですが、そういう台数から見てみてもえらい少ないようですよ。ですから、四十七年三月三十一日だけでなくて、その前の台数も試算されておると思いますから、四十三年度から四十四年度、四十五年度とあれば、その対象となる台数を聞かせてください。
  116. 細見卓

    細見政府委員 手元に四十四年までしか持っておりませんが、四十四年の実績が千六百五十三万台でございます。これがつまり非課税になっておるものも含めました全保有台数でありまして、四十五年はそれが千九百万台になる。四十六年はいま申しましたように二千百八十万台くらいになって、五十年度にはそれが三千万台になるというような推計をいたしたわけであります。午前にも申し上げましたように、ロジスティック曲線とか、あるいは二次曲線とかいうような大体の従来のトレンドを統計学者等がフォローしまして、この型に従って自動車の台数が動くであろうというものをそれぞれに当てはめて推計いたしたものの積み上げでございます。
  117. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの説明によりますと、四十四年度からわかっておるようですね。もう一回確認の意味で申し上げますと、四十四年度が千六百五十万ですか、端数は違うにしてみても。それから四十五年度が千九百万ですか、四十六年度が二千百八十万台、大体合っていますね。そうしますと、この伸び率というのは――まず私は、こういう伸び率を出す場合には過去の実績を見てみなければいけないと思うのです。過去の実績は、それじゃ四十四年度までどのように伸びてきたか。  その前に聞いておきましょうか運輸省、四十四年度の保有台数はどれだけですか。
  118. 隅田豊

    ○隅田説明員 四十四年度の保有台数は、今度の自動車税の対象になります検査対象の自動車と軽自動車を加えたもので千六百五十三万でございます。
  119. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと大体合っておりますね。運輸省の調べました保有台数と大蔵省の見ておる台数が、大体四十四年度は合っておる。私は先ほど言いましたように四十四年度までの過去の自動車の伸び率を調べてみました。これを聞いておってもらって、運輸省のほうで間違いなければ間違いないと言ってください。私の調べましたのは四十年度から調べてみましたが、その増加の割合というのは、大体最低一六%から二一%まで伸びておるようです。ちょっと申し上げてみますと、四十年は一六%で百十三万八千台、四十一年が一八%で百五十一万六千台、四十二年度が二一%で二百五万一千台、四十三年、四十四年と大体二〇%程度伸びておる。これは運輸省、間違いありませんか。
  120. 細見卓

    細見政府委員 全く同じ数字でございますので、そのとおりでございます。そういう前提に立ちまして、今後の伸びは従来の伸びのようには伸びないということで、先ほど申し上げましたように、これはロジスティック曲線というのを使って将来の伸び率の鈍化というものを想定して、いま申し上げましたような推定をしたわけでございます。
  121. 田中昭二

    田中(昭)委員 その大蔵省の伸び率の見通しが問題なんです。四十四年度までは大体いまの数字を認めてもらった。いろいろな方法を使ったということですけれども政務次官聞いておってくださいよ。いまの私が申し上げました四十四年度までの過去の実績を平均しますと一八・六%の伸びです。運輸省が一番最近推定しておりました最近というよりもこの新税が施行になる前ですけれども。なぜ運輸省のほうをとるかといいますと、運輸省は登録関係がございますから。いま言うたように、大蔵省も運輸省の保有台数のデータも同じでございます、過去の実績ですからね。ですから申し上げるのですけれども、運輸省は、大体五十年に試算しておりました保有台数、約三千三百万台です。三千三百万台をこえてます。この伸び率は、先ほどの過去の実績の一八・六%より約二%落としたところでもこうなるのです。その後この新税が持ち上がりまして、運輸省がその推定をし直したものは、五十年の保有台数がこれも約三千百万台をこえる。しかし伸び率は過去の実績よりも約四%減になっておるようです。  ここで私がこういう、いわゆる過去の実績と今後の見通しの伸び率の問題を申し上げるのは、今度の大蔵省が試算しました、五十年度に三千万台の保有台数を見たということにおいて、私はたいへん疑問を持たざるを得ないのです。この五十年度の保有台数については、私が大蔵省から聞いたところでは、ほんとう計数的に明るい大蔵省が、各省の保有台数の見通しをただその中間をとったというような結果になっておるようです。大蔵省の試算によりますと、運輸省が三千二百二十万台、建設省は二千八百七十万台、通産省は三千百万台、経企庁が二千九百万台、そのいいところをとって三千万台にしました、こう私には説明があっておるのです。聞くところによりますと、与党の交通部会並びに運輸省の運輸政策審議会ですかで、この新税が持ち上がったときに意見を言ったことがございますが、その中に、五十年当時に保有台数が三千万台をこえれば今度の新税なんかつくる必要がないという、そういう意味のことが書いてある。先ほどから春日委員も問題にしておりましたように、いわゆる自動車関係諸税の伸びというものも当然いまの大蔵省の想定よりもぐっと上がってくる。いわゆる三千万台をこえるのですからね。そういう設定を考えてみますと、私は大蔵省の四十六年度、四十七年度、四十八年度、各年度、五十年度までの保有台数の見込みはどうなっているんだろうか、こう思うのです。何べんも言うようですけれども、過去の実績は一八・六%、二%落としても三千三百万台をこえるも四%落としてみても三千百万台をこえるというこの見通しが、何で大蔵省だけ三千万台というようないいかげんな数字にしたのか、その点を事務当局からと、それから政務次官、いまの私の話を聞いて、数字にこだわるのでなく常識的にどう思うか、お答え願いたいと思います。
  122. 細見卓

    細見政府委員 専門的なことでございますので、実は私もそんなによくは説明できないかと思いますが、三千万台という計数が、大蔵省は運輸省の数字よりも少ないと言っておられますが、たとえば建設省の数字は二千八百万台になっておるわけでありますし、経企庁は二千九百万台になっております。それから通産省が三千百万台、運輸省が三千二百万台。こういうことになっておりますが、先ほど来申し上げておりますように、これはいろいろな統計的手法を使って、それぞれの役所が関係学者などと相談されて出ておるわけであります。たとえば、ここに建設省の道路局長が見えておられますから建設省のほうからお話があったほうが適当かと思いますが、建設省の考え方は、保有率と一人当たり国民所得との相関、学問的にゴンペルツ曲線といわれまして、ある段階まで来ると伸びがとまるというようなこの学理を利用されて、建設省は二千八百万台という数字を出しておられるわけでありますし、経企庁のほうはGNPあるいは個人消費支出との相関によりまして、これをモデルに入れて電子計算機によって計算しておられるものでございます。午前中にも申し上げましたようにも将来にわたる予測、しかもかなり学理によっておるものでございますので、私もそのどれがいいかということは必ずしもわかりませんが、三千万台という数字は、これらのそれぞれの推計の方法が少なくとも科学的なものであるとすれば、大体私どもの数字も大きくは違っておらぬのではないか、かように思っておるわけでございます。
  123. 中川一郎

    中川政府委員 このことは専門にわたることですから私から申し上げようもないのでありますが、田中委員指摘のように、過去一八%も伸びてきたものが二%下げて一六%、さらに四%下げて一四%、そこまで落ち込ましておるのは作為的ではないかという疑問を持たれるのもあながち無理でもないという気もいたしますが、三千万台からの自動車になりますと、国民十人当たり三台ということになってまいります。そうなりますと、国民の家庭が五人家族とか四人家族とかいろいろいわれておりますが、大体の家庭に行き渡ってしまうぐらいの台数ではないかということを考えますと、しろうと的ですが、その辺に行きますと弾性値としてかなり低くなってくるんではないか。いままでは自動車のない人が自動車を持ちたいという意欲が相当ありましたが、行き渡ってしまって、質のいい自動車あるいは趣味の自動車というような方向に転換することはありましても、台数の伸びには相当壁に当たった形が出てきたことがそういった学者の計算の上にあらわれてきておるのではないか。事、少なくとも大蔵省として、作為的に台数を少なく見込んで税収を云々しようという気持ちがないことだけは御理解をいただきたいと存じます。
  124. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は作為的にやっておると思わないですよ。それは大蔵省ですから、税金を取る立場の方ですから、綿密な科学的なものがなされておると思うのです。ところがそれがあまりにも――内容はまだ詳しく聞いていないのですよ。ではあなたがおっしゃるように、いつの時代で一世帯に一台くらいになるのか。ですから、私が聞いておるのは、先ほど常識的に申し上げましたように、かりに大蔵省推定の三千万台、それはいま主税局長説明によると、経企庁と建設省はそれよりも少ないですよ。通産省と運輸省は多いですよ。そういうことにしかとれないじゃないですか。ですから、四十六年度以降五十年度までの保有台数があるはずですから、その保有台数が三千億という税収の基礎になっておる。これはかりに政策的に新税がりっぱであるとしてみても、事務的なことについて計画にあいまいさがあったり誤差があることは許されない。役所が政策的なことをいろいろ言う必要はないのだ。正しく保有台数というものを推定していくならば、三千万台をこえれば新税創設も必要ないという意見があるのですから、私はこのことにこだわっておるわけなんです。そういう常識的な、三千万台以上になれば新税の三千億なんかの財源というものは考えなくてもいい、こういうことなんです。政務次官、聞いておってくださいよ。先ほど私が言ったことを言われて、一八%が一四%にダウンした、その一四%にダウンしたときの計算の根拠は運輸省のほうにあるのです。それで見てみても五十年には三千百万台をこえる。それでは運輸省のほうから、そういう試算をしたことがあるはずですから、四十七年から五十年度までの、ダウンしたところでの保有台数を言ってください。
  125. 隅田豊

    ○隅田説明員 お答え申し上げます。  四十七年から五十年までの積算でございますが、数字を申し上げますと、四十七年に二千四百五十九万でございます。四十八年に二千七百十四万、四十九年に二千九百四十万、五十年に三千百二十七万、こういう試算になっております。
  126. 田中昭二

    田中(昭)委員 政務次官、いまお聞きのとおりなんです。だから私が最初から言っておるように、車の行政については、運輸省が登録さして、その保有台数というものをちゃんと見ておるのだ。しかしこれはやはり役所の仕事ですから、少し低目に見たりするようなことも考えられる。各官庁のそれぞれの常識から、私がいままで聞き得た中で、保有台数の一番正確なところを知っておるのは通産省だと聞いている。ほかの省はそれぞれのしわ寄せがあって数字が違う。いままでの結果から見てみても通産省の推定が一番当たってきた、こういうふうに聞いておるのです。通産省は保有台数を約三千三十五万台と見ておる。それを三千万台とした大蔵省の理由いかん。
  127. 細見卓

    細見政府委員 あまり技術的にわたると思いまして省略いたしておったわけでありますが、乗用車につきましては、先ほど来申し上げておりますようにロジスティック曲線と申しまして、車が一定量以上になりますと、道路が混雑するとかそういうことによって伸び率が落ちるということで推定したものが乗用車でございます。したがいまして、四十四年以降五十年までの平均伸び率は二六・八%だということで推計いたしております。祖の間の普及率につきましては、四十四年に六・八人になっている。この普及率が一定の段階に達しますと、御承知のように道路との関係で車が伸びない、あるいは国民所得との関係で伸びない。この道路との関係で伸びないという考え方をとっておられるのは、先ほどお話し申し上げましたように通産省とかあるいは建設省のほうでとっておられ、国民所得が一定のところに達してくれば乗用車の需要がある程度ダウンして減ってくる、つまりある程度みんなが持ってくると二台目の需要というものは減るというような関係で、国民所得との関係を見ておられるのは経済企画庁の考え方でありますが、私どもはこの際、ここの部分につきましてはロジスティック曲線によって推計いたしております。  トラックにつきましても同様に、普通トラックにつきましてはロジスティック曲線の描いている――これは学理的なことでございますから、基礎的な数字がある限り動くものではございません。小型トラックは二次曲線でやっております。これは最近のトレンドが二次曲線に一番フィットしておるということで考えたわけでございます。  それからバスにつきましては、従来のトレンドを私どもが見る限り約二万台の等差増、等差級数になっておるというトレンドが一番フィットしておると思いますので、そういう等差級数を応用いたしております。  小型二輪車につきましては従来の傾向線をそのまま延ばし、一方では生活水準の向上から軽二輪車から小型二輪車へ移っていく、あるいは小型自動車へ移っていくということを想定しておるわけでございます。  それから軽自動車につきましては、運輸省が将来車検の実施ということも検討されておるように新聞記事が出ておる。そういうようなことも考え、また将来の生活水準の向上によって若干低下することも考えられますが、そういうことを考えまして、これもロジスティック曲線によりまして推計いたしておるわけでございまして、このロジスティック曲線の基礎となったデータが同一のものである限り、その推計は私ども学理的に正しいものであろうと考えております。
  128. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃ、その課税対象となる保有台数と言うとおかしいのですけれども、保有台数の各年ごとの数字はどれだけになりますか。いまあなたが言われました各種類ごとの車で、平均伸び率は何ぼですか。
  129. 細見卓

    細見政府委員 普通トラック、小型トラック、軽トラック、乗用車、軽乗用車それからパス等を集計したものが一一一%の伸びでございますが、全体の車の伸びは先ほども申し上げましたように一一〇%ということで、全体の車の伸びよりは若干多目に見ておるわけでございます。
  130. 田中昭二

    田中(昭)委員 政務次官、こまかい数字の曲線の描き方は別としましても、いま聞きますと大体一一一%の平均で延ばしてある、こういうことですね。これを私がさっき申し上げました四%減らしてみても、一四・八%という数字に匹敵する数字なんです。私が一四%と申し上げた数字も平均ですからこうなりますけれども、これもやはり曲線を描いております。簡単に申し上げますと、四十五年は一六%だったのが四十六年は一四%、四十七年一二%、四十八年一〇%、四十九年は八%、五十年六%、このように、もう四十五年度と比べて最終五十年度は半分以下の伸び率になっておる。ですから、私がさっきから問題にしておりますように、三千万台の保有台数というものが問題になってくるわけです。三千万台以上になれば、いわゆるガソリン税といろいろな関係諸税の伸びとを見た場合に、新税の三千億という財源は出てくる、私はこう思いますが、政務次官いかがですか。
  131. 中川一郎

    中川政府委員 私の体験を申し上げて恐縮でありますけれども、私の郷里の帯広の近辺の農家、数万戸ございますが、ここ七、八年のうちに大体自動車は持ち尽くした、持っておらない農家はまずないといわれるくらい自動車を持ってしまっておるようであります。したがって、自動車の販売業者が非常に魅力がなくなった、買いかえをする程度であるということを聞きましたが、こういう傾向は日本全体としてもかなりあるのではないかということからいきますと、先々減っていくことだけは推定できるのではないかと存じます。  そこで、まあその推計のしかたが、いままで一六のものが一四になり、一〇になり、八になり、最終は六になるという推定がどうも低いのではないかという御指摘でありますが、この点につきましては、これは学問的な計算、そういったようなこと、日本の経済がどうなる、あるいは一人当たりの所得がどう伸びるというようなことをいろいろと入れまして、いま言う電子計算機等の機械の力を借りて計算したものであります。ただまあ各省において違う。建設省の二千八百万台から、いろいろ違うところは、同じ科学的な計算に基づいたでありましょうが、そういう差のあることは、少し差があり過ぎるという感じはいたします。いたしますが、大蔵省としてはそれらのいろいろの中から一番妥当性があるであろうとまじめに考えて三千万台、三千億の不足になるという推計をいたしましたので、この点については田中委員御満足できないとは存じますが、どうぞ大蔵省のまじめにはじいたこの数字にひとつしばらく御信頼をいただいて、先々見守っていただきたいと存ずるわけでございます。
  132. 田中昭二

    田中(昭)委員 信頼はしますけれどもね、おかしな結果になってくるのですよ。いま政務次官、私の言ったことと主税局長の言ったことと一緒になったから勘違いしておられるようですけれども、私がさっき言った三千百万台の保有台数を見るのでも、最終年度は六%になるということですよ。大蔵省の伸び率でいけば五十年度あたりは全然伸びませんよ。どういう数字になっておるか知りませんけれども。わずかなパーセントの伸び率になっているでしょうけれどもね。  ですから、ここでもう一つ、先ほど春日委員から質問になっております中で確認しておきたいのですけれども、これはまた、質問が保留してありますからできますが、主税局長自動車関係諸税の先ほどあなたの答弁を聞いておりましたら、四十三、四十四年度は二一%程度伸びてきた。あと、四十六年から五十年までの伸び率はおっしゃらなかったと思いますが、伸び率でけっこうですから、どうなっていますか、各年度ごとに推計の伸び率は。
  133. 細見卓

    細見政府委員 四十年から申し上げますと、国税、地方税合わせまして、四十年が一一五・五、四十一年が一一七・九、四十二年が一一八・八、四十三年が一二四。七――これは午前中にも申し上げましたように自動車取得税の新設が入っておるわけで、四十四年は一二一・五と、いう伸びになっております。
  134. 田中昭二

    田中(昭)委員 それ以後の四十六年から五十年度までを聞きたいのです。
  135. 細見卓

    細見政府委員 そういう推計はいたしておりません。と申しますのは、自動車物品税のようなものは一般財源でございますから、これはこの五カ年計画とは直接関係ないというわけでありまして、午前中申し上げました燃料税は一三%の伸び、これは昨日の委員会で建設省及び通産省の両当局から、一三%の伸びで意見が一致したという御発言がございましたが、さらにそれをもう少しこまかく申し上げますれば、LPG、石油ガス税については一〇・五という伸びにして計算しているわけでございます。
  136. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはわからない、する必要はないというお答えのようですけれども、新しい税金創設していよいよ三千億ぐらいの金を調達しようとするのですから、そのくらいのことは当然推計計算の中でできるのじゃないですか。それができないのならば、しいて聞く必要はない。  いまのあなたのおっしゃったそれぞれの伸び率でも、当然三千万台ということになれば税収はあがる。それ以上あがるかもわからない、こう言わざるを得ない。これは結局結果が示しますから私はここでも言う必要はないと思いますけれども、私は先ほど大蔵省の数字を信頼しないじゃないと言ったことは、いままでのそれぞれの委員質問の中から出ましたように、十兆三千五百億の道路財源の補完として三千億の不足分をこの新税で補いたい、新税創設によって補うことが正しいのかどうかという議論がずっとなされてきました。ところが、いままでのこの税収、大蔵省の税制の中で組み立てられたものはたいへんマクロ的な数字が出てきておるわけですが、その一つの例としまして、私はその三千億がかりに問題だとするならば、その財源は、いまの大蔵省のりっぱないわゆる税制とその税制によって税金が収納される事実において、三千億ぐらいはいままでも税収というのはあがってきた。まあそれは、ほかの税制をどういうふうにいじるとか、そういうことを考えなくても、私がいつも指摘したように、現実の税制が、現場において収納されてくる段階においてたいへん税収の伸びがよろしい。この国の決算の書類から見ましても、歳入予算に対して収納済みの歳入額は相当な差があるわけです。一般会計、特別会計を通じて、実質の国税の収入というのは毎年毎年二〇%以上、二一%ぐらいの収納をしておるわけです。その結果、いま言いましたように、歳入予算額に対して四十一年から四十四年度までの収納済みの額が約五千億も超過しておる。その数字はこの決算の中にはっきり出てきております。そういうことを考えますと、私は、さらにこの新税が三千億の財源を云々されて創設されたとするならば、はなはだこの収納済み税額というものを見た場合におかしな問題になる、こう思うのですが、そういう観点から見てもこの新税創設意味がないと思うのですが、いかがですか。
  137. 細見卓

    細見政府委員 過去の税収におきまして、確かに大半の年度においては自然増収が出ておることは事実でございます。しかし、たとえば四十年のような不況の年に賦赤字が出たということも御承知のとおりでありまして、たとえば四十六年を想定いたしてみますと、きょうあたりの新聞にも出ておりますように、三月期決算は五%前後の減益だというようなことが出ております。これを額面どおり受け取るといたしますれば、三月期決算の一%の収益率の低下というのは税収で五十億前後になろうかと思います。一方、私どもの今回の予算の見通しにおきましては、三月期決算も若干の上昇を見越しておるわけで、少なくとも横ばいということを見越しておったわけでありますが、昨年の九月の決算も必ずしも良好でなかったというようなことで、ことしは法人税収におきまして若干の減、それがどの程度になるかは今後の予測はなかなかむずかしゅうございますが、三月期決算だけを見れば数百億の不足を生じ得るというような数字になっておりますので、今後の税収の見込みにつきましてはなかなか予断がつかない。過去の税収が確かに大きく予測を上回っておりますが、それは歳入予測に用いました経済のいわば諸元と申しますか、諸指標がその後大きく膨張するほうへ動いた。その結果、税収もどうしても大きくなってきたというわけでございます。そういう意味で、私は、今後も常に自然増収が大幅に出てくるということは、いささか予断になるのではないか、かように思います。
  138. 田中昭二

    田中(昭)委員 あなたから言えば予断になるかもしれませんけれども、これは現実の問題として先の見通しがつかないとするならば、過去の実績によって、そして常識的な判断をする以外にないですから。あまりあなたと議論するとそういうことになりますから、政務次官、私ここでしいて申し上げておきます。  大蔵省が総合予算主義を言い出して、四十一年から当初予算に対して一兆一千億ぐらいの税金取り過ぎです。しいて取り過ぎと言わせてもらいますが、それで、国民の経済活動の努力によってて、当初予算がそれ以上の税収があがったということによって補正予算が組まれて、それで歳入が確定しても、さらに収納税額は四十一年度で七百四十九億、四十二年度で九百六十億、四十三年度で千四百二十五億、四十四年度は千七百八十四億と余分に税金が取られておるのです。これだけはもう現実に国の決算の結果なんです。四十一年度と比較してみても四十四年度はもう倍以上ですよ。そういう現実の認識に立って、ひとつ今後は――こういうことの論議をいままであまりなされてない。そういう点について、私は大蔵省にも強く要望しておきたいのです。  次に移りますが、この新税は、聞くところによりますと、国税の種類別の分類によりますと間接税等という範囲に入る、このように聞いております。いわゆる直接税は所得税法人税、ずっとございますね。そういう種類の分け方によれば間接税等の範囲に入ると聞いておりますが、これは税の性質からいって、課税物件は車なんだ、その車の所有者から税金を取るところの税である。人税と物税に区分すれば、車にかかるいわゆる物税ということになると思いますが、そうなりますと、先ほどから道路その他の社会資本充実ということになっておりますが、この使用目的がはっきりしているわけですね。当初私が言いましたように、間接税等というものに入るとするならば、そのうちいわゆる直接税的な色彩を帯びているいわゆる物税であって、そうしてその問題もさらにはっきりしておる。一般会計に入れるにしても、そういうことになると私はこれは準目的税と言ってもいいのではないかと思います。その準目的税ということが今までの大蔵省の慣例上いいとか悪いとかいう議論を抜きにして、今申し上げましたような税金性質の流れからいうとそう言ってもいいのじゃなかろうかと思いますが、いかがですか。
  139. 細見卓

    細見政府委員 この税は、自動車車検を受けあるいは届け出をすることによって走行が可能になる。そういうことで、つまりいろいろの権利が登録によって保証される場合に登録税が課税される。そういう意味で広い意味の登録税的なものであり、したがってそれは間接税。つまり直接税というのを日本では所得税とか法人税とかあるいは相続税というふうに限定いたしまして、広い意味では消費税、流通税といったようなものを間接税と言っておる。その意味では間接税に属すると思います。準目的税というようなことばは税の考え方としてはないので、目的財源的に使われておるということをおさしになるのであれば、目的財源的にある程度使われておることは事実でございますが、それをもってこれが目的税であるとか準というようなことばをつけた場合に、はたしてどういうことになろうかと考えます。
  140. 田中昭二

    田中(昭)委員 わけがわからぬというような話も横から出ておるようですけれども目的がはっきりしておるわけですから、ことばはそういうことばを使っていけないならばそれとしましても、ここで私が目的税ということの理論を申し上げるまでもなく、目的税というのは、国または地方公共団体が特定の財源を支弁する目的をもって課税するのが目的税。これは近代的な税体系の中から見れば、本質的には例外的な存在というように規定してあります。こういうような例外的な性質のものを、いましいてこの混乱した税体系の中に持ち込むということは、そういうことだけでもたいへん評判が悪いのです。悪い税金になってしまいます。そういうことをわかっておりながら、政府がしいて重大な誤りを将来に残していくということを私は心配するわけです。しいてそういう目的税的なもので強行するならば、そこに起こってくる一切の税体系の混乱、そのほかの一切の責任政府みずからが負わなければならない、私はこう思います。どうかひとつそのことについて責任ある答弁を願いたい。
  141. 細見卓

    細見政府委員 私どもは、税体系としては混乱はいたしてないと思うのでありまして、たとえば、同様な意味での不動産に例をとって税体系で申し上げてみますと、固定資産税というものがある、それに見合って自動車税というものがある。それから不動産取得税というものがある、それに見合って自動車取得税というものがある。不動産を購入いたしました場合には、御承知のように登記所に登録するという登録税というものがあるわけでありますが、そういうものの一種としてここに自動車重量税があって、税体系の大きな流れの中ではそれぞれの地位を占めておる、かように考えております。
  142. 田中昭二

    田中(昭)委員 こういう質問なり答弁ばかり聞いておりますと眠くなりまして、何が何だかわけがわからなくなりますから、それは省きます。  簡単に、単刀直入に、物品税を手直しする考えはありませんか。できれば廃止すべきであると思いますが……。
  143. 細見卓

    細見政府委員 これは別の機会に大臣にでもお聞き願うことであろうかと思いますが、物品税のあり方につきましてはいろいろ御批判もありますのでいろいろ検討をいたしておりますが、大臣もたびたび申しておりますように、間接税のあり方というものについてしっかり腰を据えて検討していかなければならない。そういう基本的な検討ができないときに、軽々に物品税とかあるいは入場税とかそのほかの消費税体系を改正するのはいかがなものであろうかということが大臣の真意のようでございますし、私ども税制を預かるものとしてそのように考えるべきだと考えております。
  144. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣の要求はしてあるわけですが、大臣にかわる政務次官から一言。
  145. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま主税局長答弁いたしましたように、当委員会において間接税のあり方、特に直間比率が、直接税のほうがウエートが大きくなってまいりました、税負担感というものが国民の間に出てきた。この比率の改善ということも踏まえ、また七〇年代に突入いたしましての所得のあり方等も変わってまいりました。これらを踏まえて、間接税のあり方については、これは制度改善を検討いたしたいということで、いま慎重にこの問題と取り組みつつあるというわけでございます。
  146. 田中昭二

    田中(昭)委員 物品税の問題ですが、物品税の中のいわゆる自動車の物品税ですが、これが戦時立法でそのままずるずると来たといういきさつ、そういうものを私はいま省いたわけです。そこで、こういう税制がずっと続いてくることによって、いまの民主主義国家の中においてはたいへんな問題を引き起こしておる。総理も演説等では、人間の生活を考えていろいろなものをしていかなければいけない、内政の重要な年代だというようなことをいろいろお話しになりましたけれども、その実態である現在の行政の中の一税制取り上げてみてもたいへんな問題がある、こういうように私は聞いておるのです。それはどういうことだろうか、そういうことを検討なさったことがございましょうかと、こう聞きたいのですけれども、そうしますとまたそれだけ長くなりますから、理事のほうから早く終わらしてくれという要望もあっておるようですから、私がその中の一端を取り上げて申し上げてみますと、いまの物品税は税率が五%から四〇%までになっておる。これは御承知のとおりです。それがいわゆる排気量の大きさによってきめられておる。これがいわゆるエンジンの排気量を小さくして安い税率、一五%ぎりぎりのエンジンが多量に生産されている。いわゆる税金の安い車が多く生産されている。それはそれでいいのですが、そのことによってエンジンの力を強くするためのいろんな燃料等が考え出されて、そしていわゆるいま問題になっております排気ガスがよりふえてきた。ですから、いまの物品税の税率の姿だけから見ると、いわゆる人間性無視といいますか、排気ガスを多量にまき散らす車を奨励しておるような姿になっておる、このようにいわれるのですが、このようにいわれるのですが、この点はいかがでしょうか。
  147. 細見卓

    細見政府委員 自動車につきまして、車の大きさを基準にして税率をかけておるということがそれなりの影響を与えておるということは、私どももそういう一面があることは承知いたしております。そういう意味におきまして、物品税は個別消費税の系統で、税率に差等を設けて課税するというようなことがはたしていいのか悪いのか。あるいは品物の選択なり製造なりにいろいろな影響を与えておる個別消費税は、一方では御承知のようにぜいたくなものにはより重く課税するというような意味で、何といいますかより公平にかなった税としての一面を持っておるわけでありますが、同時に、いま御指摘のようなそういうことによって、それを避けていろいろな行為が行なわれ、つまり経済に干渉を与えるというような一面のあることも事実でございまして、その辺を含めて、消費税あるいは物品税といいますか、間接税のあり方というものは基本的によく考えなければならない段階にだんだんまいっておる、かように考えておりまして、御指摘のような問題点といいますか、御指摘のような議論のあることは私どもも承知はいたしております。
  148. 田中昭二

    田中(昭)委員 初めて認められたような、かみ合ったような話になったわけですが、それはそれとして、税率が幾段階にもあることがどうかというような話をされたわけですが、今後検討すると言うけれども、そういう姿勢ですね、排気ガスをどんどんまき散らして人間の生活を脅かすような   排気ガスのことは私運輸委員会でずっといままでやってきましたけれども、よく考えてみますとこれはたいへんな問題なんです。そういう問題がありながらそういうものをそのまま置いて、検討する、検討するで進めていくというその行き方が、私はどうもいまの政策と逆なことに同調しているように感じられるのです。片方では、人間生活を向上させるためにいろいろな施策がなされておる。その反面、人間の生存にも影響するようなガスをまき散らすような、そういういわゆる生産体制といいますか、そういうものが税制によってしいられておる。ことばが少し足りませんけれども政務次官いかがでしょうか。
  149. 中川一郎

    中川政府委員 税制が人間疎外のような、特に公害を引き起こす原因になっておるとすればはなはだ遺憾なことでありまして、先ほど主税局長申し上げましたように、物品税の検討を始めているときでもありますし――ことしは残念ながら物品税には例外を除いて一切見直しはしない年になっておりましたので御期待にこたえなかったと思いますが、早急にひとつ検討をして御期待にこたえたいと存じます。
  150. 田中昭二

    田中(昭)委員 新税の今度の税収を、四分の一は地方公共団体に分与するということになっておりますが、その根拠を御説明願いたいと思います。
  151. 細見卓

    細見政府委員 四十六年から五十年までのこの新税によりまする税収が約五千億と見込まれるわけでございます。その一方におきまして、新しい第六次道路五カ年計画を実施するために、国及び市町村において不足といわれる財源が、国におきまして大体三千億、それから地方におきまして千億ないし千二百億というようなことで、千二百億程度を分与するとすれば四分の一を譲与する、こういうわけになったわけでございます。
  152. 田中昭二

    田中(昭)委員 新税は印紙納付をもって納税するということになっておりますが、こういうことはいままでの例から考えて、どうして特別会計にしなかったのですか、その理由
  153. 細見卓

    細見政府委員 どうも御質問意味がよくわからないのでございますが……。
  154. 田中昭二

    田中(昭)委員 いままでの税制の中では、印紙をもって納税するわけですが、そういうものを特別会計にしなかった理由はどういうことですかということです。
  155. 細見卓

    細見政府委員 印紙収入は御承知のように従来から一般会計でございますので、御質問趣旨がちょっとわかりかねるわけであります。
  156. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうもこちらの質問がまずかったようでございますから、そのままでいきますが、次に、今度の新税の中で非課税の問題について少しお尋ねしておきたいと思います。  税法によりますと、大型特殊自動車並びに車両番号の指定を受けたことがある軽自動車については非課税とする、こういうふうに大体簡単に書いてあるようですが、これの具体的な例はどういうことになりますか。
  157. 細見卓

    細見政府委員 大型特殊自動車でございますが、大体キャタピラを有する自動車あるいはロードローラー、タイヤローラー、ロードスタビライザー、タイヤドーザー、グレーダー、スクレーパー、ショベルローダー、ダンパー、モータースイーパー、フォークリフト、ホイールクレーン、ストラッドルキャリァというようなのがたくさんございます。変わったものでは雪上車というようなものもございますが、軽自動車のほうは、御承知のように一度蔵出しのときに課税したきりでございますから、その後流通があっても課税にならない、そういう意味で非課税にしておるわけであります。
  158. 田中昭二

    田中(昭)委員 まだ少し省略された部分がありますが、それはそれとしまして、いままでの税法でいきますと、公用車とか外国人の車には課税しないということがあたりまえであったわけですが、今度はそういうものも課税されるということになると思いますが、その辺の理由はどういうことですか。
  159. 細見卓

    細見政府委員 今回の自動車重量税は、運輸省にお願いいたしまして、車検場において検査を受ける自動車、及び届け出を要するものにつきましては届け出自動車というものを課税の対象にいたしておりますので、そういう届け出あるいは検査に該当するものはすべて課税をする。そういう言い方が適当かどうかわかりませんが、車検事務所はこういう税の徴収というようなことについてはもともとおなれになっていないわけでございますので、差別をして区別をした取り扱いをお願いするというのは適当でなかろう。だから公用車のようなものにつきましては別途車検税に相当するものはこれは予算で見る。その車検場におきましてはすべての自動車課税の対象にお願いする、こういうようにしたわけでございます。
  160. 田中昭二

    田中(昭)委員 ほかに免税というようなこともございませんか。それが一つと、それからいま局長のお話では、官公庁等の車については予算措置をしているというようなことですが、具体的に四十六年度の予算にそういう予算措置がなされておるとするならば、各省別の車検のときに税金を納める額と、それからその予算措置、並びに、全部の車といいますと自衛隊等の車もございますし外国人の車もあります。ですから、まず整理して、官公庁の車がどのくらいあって、どのくらい予算措置してあるか、教えてください。
  161. 細見卓

    細見政府委員 官公庁の車が二千五百四十台ほどございまして、予算措置が三千六百九十六万ほど行なわれております。御承知のように新税はまだ通っておりませんので、これが現実に払われた、あるいは払うということはこれからの問題でございます。
  162. 田中昭二

    田中(昭)委員 ほんとうはその内容がどういうようになっておるものかお聞きしたいのですが、まずその前に、いま申し上げました自衛隊の車はどうなっていますか。現在の自衛隊が保有しておる車は何台あって、それは車検はどういうようになっておりますか。
  163. 吉野実

    ○吉野説明員 自衛隊の車は千三百台ばかりが道路運送車両法の車検の対象になっておりますが、そのうち四十六年度予算に関係のある分、つまり四十六年の十二月から四十七年三月三十一日までに車検の到来するもの二百九十三両ありますが、予算といたしましては三百二十七万計上しております。
  164. 田中昭二

    田中(昭)委員 自衛隊の車が千三百台というのはちょっと私納得いかないのですが、いまの説明では、四十六年の十二月一日から翌年の三月三十一日までに車検の時期が到来する車はどうなっているんですか。それと、できれば、重量別によって税金が違うんですから、そういう点を考えて言ってくださいよ。私、いま数字を持たないのでよくわかりませんから……。
  165. 吉野実

    ○吉野説明員 自衛隊の車は、道路運送車両法の車検の対象になる台数が千三百台ということを先ほど申しましたけれども、そのほかに車両といたしましては、戦車、トラック等全部加えますと約四万二千台あります。しかしこれは道路運送車両法の車検の対象になっておりませんので、したがいましてこの自動車重量税の対象にもならないということになっております。  それからもう一つの点でございますが、車検の到来する時期は十二月一日以降ということのようでございますので、私のほうの予算の数字もそれに対応いたしまして三百二十七万を計上いたしております。
  166. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの四万二千台の車両の中中に車検を要するものが千三百台というようなことですが、これは具体的によくわかりませんから、一ペん常識的に皆さんで考えていただいて――四万台ぐらいの自衛隊の車があって、そして千三百台の車検を要する車というようなことがぴんとこないのです。これはひとつその内容を資料要求したいと思いますが、委員長いかがでしょうか、許可いただきたいのですが……。
  167. 吉野実

    ○吉野説明員 千三百台の内容につきましては、内訳につきましてはいまのところ車種別にしかありません。といいますのは、重量別の内訳をいま持っておりませんですが、車種別にはじきまして   しかし、税金の詳しいことは私わかりませんが、たとえば自家用乗用車につきましては一万五千円の登録税を払うということでございますので、それにつきましては、それに相当するもの……(「重量税だよ」と呼ぶ者あり)重量税の象になるものは三十七台、そういうふうに計算いたしまして二百九十三台というものをはじいてます。  千三百台の内訳につきましては、重量別の御質問趣旨だと思いますけれども、多少時間がかかるかと思いますが、出すことにつきましてここでお約束できると思います。
  168. 田中昭二

    田中(昭)委員 あとでそれでは資料を出してもらうということにしたいと思います。  いまの官公庁の車ですけれども、私ここで常識的なことをちょっと聞いておきたいと思うのですが、官公庁の車で車両検査を受ける車が一番多い省はどこですか。一番多い省はどこで、どのくらいあって、これは重量税が課税された場合にどのくらいの予算措置が計上されているか。
  169. 細見卓

    細見政府委員 手元の資料をなお精査してあるいは訂正さしていただかなければならぬかとも思いますが、法務省と大蔵省が多いようでございます。
  170. 田中昭二

    田中(昭)委員 それではこれも委員長、各省別に、どういうふうな重量の車が何台あって、そして十二月一日から始まる――これがかりに通れば始まるわけですから、十二月から翌年の三月までの予算措置がどのようになっているか、その資料をひとつ提出をお願いしたいと思います。  そういうことで、私はこの問題を、この税法を見ましたときに、こういう官庁の車に税金をかける。かけることもいいでしょうけれども、なぜこんなことをやらなければいけないか。車検の事務というものは膨大な事務です。それは百三十八人ふやしてもらうと言いますけれども、そんななまやさしいものではない。また車検が、これが十二月一日で施行になるということになりますと、いままでの例からしまして、自賠責が上がるときでも直前にはものすごい台数がふえてくるのです。ですから、今度でもその施行日直前の何カ月間というものは、ものすごい車検の車が殺到することになる。これは当然、二年に一回の車検であれば、時期が来ておらなくても受けておけばその差額の分だけ税金はのがれるわけですからね。それはまつ正直にいまこの重量税の、トラックなんかの税金などを考えれば、税金をのがれるためにはどんな方法でもとりますよ。そうしました場合に、その十二月一日前後において、国の車検場並びに民間の車検場に、重量税を納める、いわゆる車検に殺到する車を考えてみたら、とてもじゃないと思うのです。そういうことについてどういう対策があるのか、ひとつ運輸省のほうから聞かしていただきたい。
  171. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生御指摘のとおり、確かに自賠責の改定になりましたときに、ちょうどその境目のときにかなり車が集中したことはございました。ちょうど私、現地の勤務をしておりましてその目にあいまして、それなりにいろいろの対策は今度も講じたつもりでございますし、現地における処理のしかたというものもある程度は考慮されているつもりでございます。  数字で申しますと、先生もすでに御案内のとおり、事務の補助といたしまして、賃金職員として百三十八人分の経費をもらっておりますし、一般的に申しまして現金納付を避けるとか、その他できるだけ業務の簡素化をしていくということでやってまいります。  もう一つは、確かに一時的な混乱というものはかなりあるのでございますが、これは一つのピーク的な業務増、増といって処理してまいりますと、前回の経験でもそうなんでございますが、今度は逆に、その境目を越えた次の月あたりがかえってふだんよりは減ってまいります。そういう意味では、職員にもある程度の超過勤務をやってもらうということをしながら、そのピークを越えたあとで代休をとらせるとか、そういうふうないろいろな手を打ってカバーしていくというような手も今後打っていきたいと考えております。
  172. 田中昭二

    田中(昭)委員 そんななまやさしいものじゃないのですよ。実際これが施行になった場合のことを考えればたいへんなことだと思います。これも現実その場面になって、やはり税金のことになりますと、すなおに納めたいという人と、何とかのがれたいというような人も出てくるし、また車検を受けなければ重量税は納めなくていいのですから、車検を受けない車も実際は運行しておる。これはいままでの警察の取り締まりにおいてもそういうものはあるのですよ。そうしますと、今度の税制がさらにさらに人間を悪い方向へ、悪い方向へ、交通事故もさらに多発するように持っていくための税制といわれてもしかたない。  総理府、来ていると思いますが、いままでの取り締まりの中で、そういう検査を受けない車を摘発した件数は、ここ最近、四、五年間でどういうふうな状況になっておりますか、お答え願いたいと思います。
  173. 隅田豊

    ○隅田説明員 車両検査を受けない車の街頭の取り締まり件数は、運輸省でちょっと担当いたしておりませんので、正確な数字は現在持っておりません。  ただ、確かに世の中、そういう悪いことをする者もあるかとは思いますが、先生御存じのとおり、車の前面ガラスには検査標章というものを張らしております。これは車両法の六十六条で義務づけておるわけでございますが、これを張っていないものは一応法律違反になって、警察の取り締まりを受けるようになっておりますし、非常に目につくところに車検の有効期間を表示して張ってございますので、ごくふだん町で見ている範囲内では、すれ違った車その他で、ああ違反の車両だなと思われるものはほとんど見ないように考えておるのでございます。  数字といたしましては、これは警察庁の取り締まり統計でございまして、残念ながら持っておりません。
  174. 田中昭二

    田中(昭)委員 運輸省に聞いたのじゃないのだ。総理府の交通安全のあれですよ。
  175. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 私のほうも残念ながら、これは警察庁の所管と存じますので、詳細な数字が手元にございませんので、御了承をお願いいたしたいと思います。
  176. 田中昭二

    田中(昭)委員 私もその資料をもらっておったと思うのですが、ちょうど持ってきておりませんからちょっと指摘できないのです。とにかくそういうものが取り締まりされておることは事実なんです。それは運輸省のほうは自分が監督官庁のほうですから、いまあるとは言えないのですけれども、現場にはあるわけです。それがものすごくふえておるのですよ。先ほどちょっと言いましたが、ダンプの事故なんかも、それは取り締まりを強化したからというようなこともありますけれども、これはさらにさらに事故多発の、この新税は多くする直接の原因じゃないですけれども、間接的な原因はあるといわざるを得ないです、過去の実績から見ても。そういうことですが、そういう問題について政務次官いかがですか。
  177. 中川一郎

    中川政府委員 そういった事態も例外的になしとはしませんでしょう。警察庁の資料がございませんから現在がどのような姿になっておりますかわかりませんが、車検を受ける場合にも、われわれの常識では自動車をよく整備して行かなければならぬ。かなりの金額がかかります。これをのがれるために車検を受けないで運行しているということになるのだろうと思います。そこへ今度の重量税、上乗せのような負担をさせるわけですから、のがれたいという心理を増大させる役目にあるいはなろうかと存じますが、その点は今後警察当局にもお願いをして、そういった人のないようにつとめていきたい。実は課税の方法もわれわれいろいろくふうをいたしまして、徴税コストの低減というようなことからいって、あるいは蔵出し税などということもありましたが、一番いただくのにはいいやり方ではないかということで、車検税としてお願いをいたしたわけでございます。犯罪があるから車検税ではなく、というようなところまでいく理由にはならないのではないかということで、ひとつ今後注意をしてまいりますので、御理解をいただきたいと存じます。
  178. 田中昭二

    田中(昭)委員 税法の内部的な、事務的なことでもう少しお尋ねしておきたいと思います。自家用と営業用と区分したことはどういうことですか。
  179. 細見卓

    細見政府委員 自家用と営業用とは車検の上で区別されておりますので、それに合わせたというわけでありまして、税の上で区別したわけじゃありません。
  180. 田中昭二

    田中(昭)委員 物品税の中でも、車を保有する、いわゆる登録税みたいな形の中でも免税規定があるわけですが、今度の法律では免税規定を設けようというようなあれはないのですか。
  181. 細見卓

    細見政府委員 そういうことは税の趣旨からして考えなくてもいいのじゃないかと思っております。
  182. 田中昭二

    田中(昭)委員 ほんとうに冷酷な税制だといわざるを得ません。多言をしませんが、この税制を実際施行された段階で見てみますと、たとえばお役所の車はお役所の予算によって重量税を払う。財閥の方は財閥の方で会社のほうの支払いになってその重量税は支払われていく。経営主もそうですね。中小企業の経営者にしてみても、これは自分個人の直接の収入から出すのじゃないのです。会社の経費から出されると思うのです。そうしますと、この重量税を自分の収入から直接出す人はいわゆる零細所得者とサラリーマンの人たちだということになる。これは私はたいへん負担感を強くして、不公平のそしりがあっても何にも言うことはないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  183. 細見卓

    細見政府委員 この税は、自動車走行に伴いまするいろいろな社会負担を分担していただくわけでございまして、どなたがお持ちになるどのような自動車も、重量に応じて、いわば公平に課税いたしますわけでございます。
  184. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはわかっておるのです。だから冷酷無比だと言っておるのです。先ほど応能負担原則もいろいろ言われましたけれども、現実に納める人たちがたいへん苦しい立場に立って、かりにサラリーマンの人たちが、通勤の混雑のために自分の足となる車を持っておる、そういう人たちだけに自己負担となって――自己負担と言うとあれでございますが、自分の収入から直接出さなければならない。こういうことは大蔵省にはわからないのですよ。そういうことは関係ないというように、人間性無視というか、冷淡といいますか、そういう税制であるということをいわざるを得ない。たとえばきのう買った車がきょう交通事故で廃車になった、新規の場合、それから車検を受けて直ちにその車が交通事故で廃車になったというような場合も、この重量税は先取り税金です。新税は、車による道路損傷等を考えて、社会負担を考えての税金だと言うけれども、実際はその車が走らないでも、検査を受けたときに税金を先取りするという税金なのだ。税金の先取りだけしていくというような行き方はいかがですか。
  185. 細見卓

    細見政府委員 物税でございますので、人的な事情を全部しんしゃくできないという要素はございますが、私どもはそういう意味で、重量に応じて課せられておるという点で公平がとれておる、かように考えております。もしおっしゃるように、車検を受けて短期間のうちにたとえば車が使えなくなったという、それがもし他人から受けたものであれば、自動車に対する損傷の弁償にあたっては車検分も含めて弁償を受けられるはずでありますし、もし御自身の不注意によって受けたものでありますれば、多くの場合、自分の本来注意して運転すべきものというような観点、あるいは世の中にそういう事故に伴っていろいろな負担もかけておるでありましょうから、そういう点を考えれば、それはそれとしてそれなりのバランスがとれておるのではないか、かように考えております。
  186. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは苦しい説明ですね。どうですか政務次官、聞いておりまして端的にいって。いま私一、二の例を申し上げましたけれども、この税金を払う人が収入のいかんにかかわらず、年間百万円の収入の人も二百万の収入の人も一千万の収入の人も、その車が同じであれば、車が同じというよりも、車を持っておればそれ相当分の税金を取るというような行き方、政務次官としていかがですか。
  187. 中川一郎

    中川政府委員 この点が、先ほど春日委員との間でいろいろ議論のあった応益主義か応能主義かというところでありますが、理想的には、たくさんお金を持った人からたくさんいただくという形がいいでありましょうが、今回の場合、そういった制度を取り入れることがいかがか。この程度の負担であるならば許される応能主義の範囲内に入るのではないか。先ほど中小企業の人が出すのは会社から出すからいいけれどもと言われましたが、先日来の公述にもありましたように、中小企業には中小企業のまた悩みもあるというようなことで、個人のことを考えればまた中小企業の人のことも考えなければいけない。いろいろあれこれ考えなければいけないところが多い中でありますので、最低限これくらいならという少額で、納めに応じられる応能主義がこの程度なら許されるという解釈のもとに、この税制お願いしておるわけでございます。
  188. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの政府次官のお話をずっと聞いておりまして、結局この新税が、とにかく創設に踏み切ったというような感じを受けるわけですが、さしあたってはサラリーマンにも軽い負担税金だというようなことも聞きましたが、これは今後総合交通体系なりができましたり、また道路財源として必要であれば税率の引き上げなんかも考えておるのですか。
  189. 中川一郎

    中川政府委員 この点は、総合交通体系の姿が出た上でないと上げるともどうするとも言えない段階でございまして、体系を見た上でひとつ配慮をいたしたいと存じます。
  190. 田中昭二

    田中(昭)委員 現段階においてこの程度だということは、そういうことがあれば上げざるを得ないということですね。そのように確認しておきたいと思います。違えば……。
  191. 中川一郎

    中川政府委員 上げざるを得ないようになってくるか、上げないで済むようになるか、まだ未定でございまして、いまのところは全く白紙の状態だというふうに御理解いただきたいと存じます。
  192. 田中昭二

    田中(昭)委員 また最初の話にちょっと戻りまして恐縮ですが、昨年ごろよりこの自動車新税についてはいろいろ議論がなされてきた。当初申し上げましたのは経過の問題ですけれども、そこで昨年の年末になって、道路利用者新税案というような運輸省からも出された案があった。こういういきさつがあって、運輸省の道路利用者新税案に対して自動車業界も相当な反対の動きがあったわけであります。そうしていろいろありまして、ようやく本年になって最終的に大蔵原案に落ちついた。その時点かどうか知りませんが、その結果、自動車業界もやむなくここで了承せざるを得なかったというようなことをずっと報道で私たちは聞いております。政府次官も大体御存じだと思いますが、そのような経過をもう少しひとつ聞いておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  193. 中川一郎

    中川政府委員 いろいろな税制については御批判なり反対意見があったことは実実であります。ただいま御指摘の点は、自動車関係のほうの業界の反対の動きがどうであったか、その辺の動きについてのいきさつを申し述べよということだと思いますが、私の受けた印象では、蔵出し税というのが一時うわさになりました。蔵出し税になりますと物品税のかさ上げのような形になります。そうなりますと、いま持っておりますユーザーの方方と、これから新しく求めようとする自動車との間に差がある。そういうことになってくると自動車の売れ行きに影響する。そうすれば、自動車業界、製造業界、それがまた働く従業員の皆さんに不安を与えるということで非常に強い抵抗があったことも事実でありますが、今度の場合、そういった蔵出し税ではなくして、車検届け出の際の課税でございますので、自動車業界に対して与える影響も蔵出し税に比べると低い、風当たりが少ないというようなことで、納得を得たとは思っていませんが、まあまあ合意が得られたのではないか。いろいろな意見がありましたが、各界の最大公約数としての合意が得られたものだというふうに判断いたしておるわけであります。
  194. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少し。いきさつをなぜ聞くかということは、こういう法律が審議される前の段階でいろいろ起こった問題は、これは一つの重要な参考資料にしていかなければならないと思うのです。また、かりにそういう圧力があって政府の考えておるものがいろんな形に変わってくる、変わってきたというようなことも聞いております。私たちは、この政治の場でそういうことがはなはだ納得がいかない。昨日までの意見を聞いておりましても、何かしらこういう税法が政府の押しつけのような感じを受けてならないのですが、この点については中川政務次官だけを責めるわけにもいきませんし、私はどうしても大臣にこういういきさつを一ぺん聞いておかなければいけないと思うので、この点は保留しておきたいと思うのです。  そこで、簡単に申し上げれば、これは私はそれまでの報道をそのまま直観的に申し上げておるわけですが、自動車業界の猛烈な反対があったが、大蔵原案の自動車重量税が最初に固まったときに業界の反対もあって少し手直しされたとか……。こういうことは結局は業界の圧力に屈したというような風評ですね。それとまた逆に、業界が政府の説得に応じたような形になったんだというようなことも聞くわけですが、こういう点について政務次官がお知りであるところであれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  195. 中川一郎

    中川政府委員 私の知る範囲内では、少なくとも大蔵省が業界の圧力に屈したり、その後また業界が大蔵省の圧力に屈してどうこうということは承知いたしておりません。ただ、自動車関係業界におきましては、新しい税負担を受け持つことになるわけですから、気持ちよくこれは賛成だ、どうぞやってくださいという空気ではもちろんないかと存じますが、国会の場において審議の上、法案が通過いたしますならば、これは合意をいただけるものだというふうに見ておるわけでございます。
  196. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、それはそれとしまして、業界の反対の理由も一笑に付するわけにはいかないと思うのです。やはりそれにはそれなりの理由があって反対しておられるわけです。その中に、まず、これはどの反対理由の中にもあったように記憶しておりますが、いわゆるこの新税が物価高騰になりはしないか、それに影響するのではないか、こういう主張があります。この主張に対して通産省なり経企庁なりはどのように思っておられますか、見解を聞いておきたいと思います。
  197. 山形栄治

    ○山形説明員 お答え申し上げます。  今回の自動車新税、これは主として道路整備のための税制でありますけれども、広く自動車の使用者に必要最少限度の負担を課するということに相なっておりまして、われわれのほうといたしましても、車種別なり業界の実態に応じまして、課税率その他きめのこまかい配慮をいたしてもらっておるわけでございまして、現在われわれのほうの感じでは、コストアップ要因というのはさほど大きなものではない。したがいまして、物価上の著しい悪影響はこの点からは出ないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  198. 山下一郎

    山下説明員 自動車重量税の実施に伴います物価に関する影響の御質問でございますけれども、一つ考えられますことは、自動車を使って営業を行なっておりますバス、タクシーあるいはトラック、これらの事業についてどのような結果になるかということでございますが、バスにいたしましてもあるいはタクシー営業にいたしましても路線トラックにいたしましても、何がしかのコスト増要因にはなりますけれども、私どもの試算いたしましたところでは、その程度はきわめて軽微でございますので、この自動車重量税の実施によりましてこれらの運賃等が値上げされるということにはならないというふうに考えております。
  199. 田中昭二

    田中(昭)委員 大蔵省は、絶対こういうことは心配ないと言えますか。
  200. 細見卓

    細見政府委員 専門家の皆さんもたいした心配がないと言っておられることでございますし、私どもも、この税が道路その他の社会資本整備に充てられる、そういう意味で運行の効率をよくするという面が出て、もちろん企業努力もいろいろお願いしなければならないかと思いますが、国民の物価騰貴にならないようにぜひお願いしたい。またそうならないようになるのではないかと期待いたしております。
  201. 田中昭二

    田中(昭)委員 はなはだ心配ですからもう一回お尋ねしますが、今回の税制で、貨物の運搬を行なうトラックに相当な課税になるわけですが、これらの重量車が全体の輸送の大体五割くらいを運んでおるというように聞いております。それは経済に相当直結した動きをしておりまして、その内容もいわゆる生鮮食料品、原料というようなもので、われわれの生活に直接響くものを運んでおりますから、物価に影響ないということはないと思うのです。トラック、バスに課税すれば、運搬費なり、バス等の便乗値上げがかかってくる。これは常識的にわれわれは直観的にそう思うのですが、いかがでしょうか。
  202. 細見卓

    細見政府委員 先般の公述人の方のお話もございましたように、トラック運送業の形態の中で、むしろ営業成績の悪い人たちはいわゆる地場トラックといわれる、幹線都市を長距離運ぶ系統の運輸業者でない方が多いわけでありますが、御承知のように、今回の道路整備計画は、かなり市町村道あるいは府県道、国道というふうに、一貫した道路整備が行なわれるわけでありますから、そうした地場トラック業者といわれる人たちの走行の効率はかなりよくなる。もちろんこういう事柄でございますから、一挙によくなるとか、一挙にどうとかということはないと思いますが、長期的に見て双方利得をする形に落ちつくべきものだと期待いたしております。
  203. 田中昭二

    田中(昭)委員 いろいろ聞いてまいりましたが、最後の段階になりまして、もう少しいろいろな意見を開陳しながら聞いていきたいと思います。この前、公述人でお見えになっておられた、たしか今野さんだったと思いますが、どなたかが、車を持っておるということだけで道路財源負担させるというような発想はもともと無理である。外国の例をとっても、イギリスでは車が個人の交通機関となって個人の人格みたいになっておる、その上で政府の交通機関等の総合的な交通体系を考慮しておるわけであって、アメリカでも道路とその資金調達は同時に発表されていく。そういうことを考えると、政府の財政政策はそのつど政策であり、場当たり的である、未来への投資効果と財政計画に対しては全く不勉強である。また、このたびの新税案は、保有段階にかけるのが第一種税であり、事業段階にかけるのが第二種税であり、そしてさらにこの新税は第三種税ともいうべきものであって、この考え方は一九三〇年代の法律への上のせであり、時代に即応していない。特に自動車の場合に、最も基本的な物品税に上のせを重ねてきたものであって、税体系的にも重複している要素が濃いし、政府の財政政策の無策とともにこの現実は責められるべきである。このようなお話をなさっておるように聞いたのです。この方は政府の公団の参与か何かもしておられると聞いておりますが、こういう考え方と、この新税案の発想というものをどのようにお考えになっておるのか。くどいようですがもう一回お尋ねしたいと思います。
  204. 細見卓

    細見政府委員 私ども新税を考えましたときには、御承知の、たびたび申し上げておりますように、道路財源その他の社会資本充実ということを考え、それをいかなる形態の課税で行なうべきかということにつきましていろいろ考えまして、やはりそうした歳入の目的というものに最もふさわしい税の形態は、ただいま御提案しておるようなものであろうかと考えたわけであります。今野先生の御意見も、いわば私どものそうした考え方を直接御相談したわけではありませんが、結果的に保証していただいたというふうに考えております。
  205. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後になりましたが、いままでいろいろ論議してまいりましたが、新税が、現段階においては道路事情の改善のためにいわゆる道路財源として使われる。はなはだその効果といいますか、創設意味といいますか、薄いものといわざるを得ないのです。将来のことも考えてのことであろうと思いますが、交通事情の解決とならないような財源の捻出のしかたにはやはり反対せざるを得ないわけであります。なぜそういうように効果がないか。それは新税創設すること自体が、交通問題だけを取り上げてみればそういうことになるわけですが、道路計画的な整備行政ということのマスタープランというものがはなはだ乏しいといいますか、貧弱といいますか、合理的でないといわざるを得ないわけで、たとえば鉄道が通っておる、鉄道は長距離の多量の貨物を運搬するということが主体になっておりますが、そういう幹線鉄道線路と並行して道路がつくられていくというようなことは、これはたいへん交通政策上はむだなことではなかろうか。先ほど政務次官は西ドイツの話をされたのですが、西ドイツあたりのハイウエーというものは、自動車道路というのは、それをつくれば並行して走っておる鉄道はもう廃止してしまうというような方向にいっておるというように聞いております。まあわが国の国土面積等を考えてみましても、鉄道が中長距離の輸送に適しておるというようなことですが、現在では鉄道も道路もともに、こういう行き方ではつぶされていくのではなかろうか。こういう心配をするわけですが、その現実のとおり国鉄赤字赤字で困難になってきておる。そこにまた道路整備されて、さらに追い打ちをかけるような現状を現出するということですね。こういうことも考えてみますと、たくさんな、いわゆる大衆化した車から税金を取って、その税金をそういうむだといいますか、とも倒れするような方向に使うということは、私ははなはだ納得いかないわけであります。何かそれにかわる抜本的な対策がないものか、このように思うわけですが、そういうことにつきましての御意見を最後にお聞きして、一応終わりたいと思います。
  206. 中川一郎

    中川政府委員 最後に、日本の交通問題の一番苦しいところ、今日当面しております大問題についての御指摘がございました。総合交通体系というものがいまクローズアップされてまいりましたのも、御指摘の点が日本に現実の問題としてあるからでございまして、まさしくこれからそういった問題と取り組んでいかなければならないというわけでございます。そういった時期に、道路だけの自動車使用者に負担を求めるというのはいかがかというような話もございましたが、この点につきましては、とりあえずの道路五カ年計画遂行、またこれに関連した社会資本充実という最小限度のものについての手当てをしたというのが現実でございますので、いま御指摘のありました点につきましては今後大いにひとつ、総合交通体系のあり方で、鉄道と道路との責任分担というようなことについて十分検討してまいりたいと存じます。
  207. 田中昭二

    田中(昭)委員 以上で終わります。
  208. 毛利松平

    毛利委員長 このままでちょっとお待ち願います。次の質疑者が診療所に行っておりますので  平林君。
  209. 平林剛

    ○平林委員 同僚の阿部君が病気、ぐあいが悪くなりまして、急遽順序を繰り上げて私が質問をすることになりました。ただ、私は大蔵大臣の出席を要求いたしまして、かなり重要な問題について質疑をいたしたいと思っておりましたが、大臣のほうも病気のようでございますから、こちらのほうはその事情を考えまして、大蔵大臣に対する質問はこれを保留して後の機会にやらしていただくということをまず御了解をいただきたい。それを前提にいたしまして、提出をされておる法律案につきましてお尋ねをしてまいりたいと思うのです。ただ問題が、どこから質問を展開していいかちょっと迷うくらい非常に多い。そこで、若干これまで質問をなさった方とダブる点があるかもしれませんけれども、その点は御了承を得たいと思うのであります。  道路その他の社会資本充実要請を考慮して今回の自動車重量税法案が提出をされました。昭和四十六年度に四百三億円、平年度千二百五十一億円という御説明をいただいたわけなんでありますが、問題はこの財源をどういうふうに使うかという点がまだはっきりしていないように私は思うのであります。何回かの質疑応答で論及されましたけれども、この自動車重量税法案がそもそも議論された発生源は自民党の田中幹事長で、いわゆる田中構想にあるということを聞いておるわけであります。このいわゆる田中構想では、自動車新税をつくったら高速道路や有料道路には五〇%、国鉄には二〇%、新幹線には二〇%、地下鉄などに残りの一〇%ということで財源の使い方を考えておったわけです。もっともそのときの構想はもっとでかかったのでありますけれども、この伝えられておる使途の割合と、今回の重量法案の使途とは違うのですか、大体同じですか。その点がちょっと、そういう角度からお聞きをします。はっきりさせていただきたいと思います。
  210. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 たびたび御説明いたしておりまするように、今回の重量税による収入は主として道路に使われ、全体としては道路その他の社会資本充実に使われるということでございまして、お話の途中で幹事長の案というものがあるようでございまするけれども、それと同じであるというようなものではないわけであります。
  211. 平林剛

    ○平林委員 もう一回聞きます。つまり、初め自動車新税を考えたときには五〇%、二〇%、二〇%、一〇%というような割合で財源配分をしたらどうかという構想があったのですが、今回のものはそれとは違うのである、こういうふうに理解をしてよろしいのですね。
  212. 中川一郎

    中川政府委員 二年ほど前になりますか、田中幹事長がそういうような構想、それに近い構想があったことは事実でありますが、今回の政府原案の案はそれとは違った形のものでございまして、道路を中心にして社会資本充実ということで、特に五〇、二〇、二〇、一〇というような比率は全くございません。
  213. 平林剛

    ○平林委員 それではっきりしました。  それではお尋ねをいたしますが、今回は「道路その他の社会資本」とありますが、社会資本というのは具体的にはどういうものでありますか。
  214. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 社会資本と申しますのは、どうも私が御説明するまでもございませんけれども、私から御説明するとかえってあれでございますが、一般的に申せば、普通公共事業といわれているような範囲のもの全体をさすということになろうかと思いまするけれども、今回の新税に関しまして道路その他の社会資本というのは、大体の考え方としては交通関係社会資本というようなものを頭に置いておるということがいえるかと存じます。
  215. 平林剛

    ○平林委員 私は一般論を聞いていないわけであります。この法律案のことを聞いておるわけです。この法律案には、道路その他の社会資本充実要請にこたえて新税創設すると書いてある。だから、道路というのはわかる。もっとも道路といってもいろいろあります。高速道路道路であれば、いなかの村道も道路であります。道路という概念はいろいろあるけれども、一応わかる。  もう一度聞きます。この法律でいう「社会資本」とは道路関係をする社会資本――抽象的でわからないから具体的には何ですか。
  216. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 交通に関係する社会資本と申し上げたわけでございまして、その意味では、道路以外に、たとえば鉄道でございますとか航空の関係でございますとかあるいは海運の関係というようなものも、概念としてはその中に入るというふうに考えております。そしてそのようなものにどういうふうに今後この新税財源というものを分配していくかということにつきましては、たびたびお話に出ておりまする総合交通政策というようなものを通じまして検討をいたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  217. 平林剛

    ○平林委員 この法律社会資本というのは、鉄道、航空関係、海運などである。どう分配するかはわからないが、それは含まれる。もう一回念を押します。
  218. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 提案理由説明の中に入っておりまする「その他の社会資本」と申しますものは、そのようなものが入っておると観念されると存じます。
  219. 平林剛

    ○平林委員 観念されるとかなんとか、私、定義を聞いているのじゃないのです。今回新税創設して、先ほど言ったように四十六年度四百三億、平年度千二百五十一億円財源を徴収する。それは道路社会資本充実のためである。社会資本充実とは何ですか。概念を聞いているのじゃなくて、この財源をもってどういうふうな使い方をなさいますかと聞いている。
  220. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 自動車重量税財源をいかに配分するか、具体的に将来どう持っていくかということにつきましては、総合交通体系の整備をまちまして、そこで具体的にきまってまいりますわけでございまするから、現段階で、たとえば海運に何%とか鉄道に幾らというふうにきまっているものではないわけでございますので、それは実際の将来の総合交通政策をまちまして考えまするときに、いかなる社会資本にこの金を持っていくかということをいたすわけでございます。したがって、現段階においては、その他の社会資本と申しますものの中には、観念的には交通関係社会資本というものが入っているということを申し上げているわけでございます。
  221. 平林剛

    ○平林委員 今日までの議論の中で、新税をかりに認めるとしても、それは道路だけにしろとかいう議論がありましたね。つまり、自動車関係から取ったのだから道路だけにしろ、こういう議論もございましたね。いまの説明だと、鉄道、航空関係、海運なども含まれるということになると、道路だけなら賛成だけれども、そんなのが入るなら反対だという人が出てこないとは限らぬわけですね。また、税の理論からいってそれはおかしい、それがなければ賛成だが、そうでなければ反対だという人も出てくるわけですね。私ら審議できないじゃないですか。つまり、はっきりしてないでしょう。はっきりしてないで、そしてこれについて賛否をわれわれに問う。困るね。何に使うかわからない、だけれども審議してくれ。これじゃ審議のしょうがないじゃないですか。何に使うかはっきりさせてもらいたい、こういうことなんです。
  222. 中川一郎

    中川政府委員 この点については、昨日、先週も議論があったところでございますが、税の性質道路その他の社会資本充実ということで、目的税ではありませんで、目的税の場合でありますと使用目的をはっきりしなければいけませんが、一般財源でございます。ただし、一般財源ではありましても、いま竹内次長から答弁をいたしましたように、道路その他の社会資本充実ということに限っております。  そこで、この場合の社会資本充実とは何かというと、「道路その他」ということで、交通関係のものであるということに限られておる。交通関係ということになってくると何かというと、道路のほかに鉄道、航空関係、海運も入ってくる、その範囲内での使用に振り向けたい。  それではなぜそういうことをするのかということでありますが、今日の交通問題は、自動車自動車だ、鉄道は鉄道だ、航空は航空だ、海運は海運だといえない時代になってきているのではないか。交通は相補完をしていかなければいけない、お互いに責任分担を明らかにしつつ補完していく必要がある、そういうところからいけば、自動車財源で求めた一般税ではありますけれども道路に使うと同時に、補完となるべき交通体系にも使うことが許されるのではないか。またこれからの交通政策はそう持っていくべきであろう。イコールフッティングの思想というのが出てまいっておりますが、そういう考え方でありまして、今後の総合交通体系、やがて出てまいりますが、その新しい構想はそういった理解のもとに出てまいります。そこで出てまいりますと、そこへ使うことは、これは今日の段階では、あるいは税のたてまえからいって許される範囲ではないか。こういうことで、道路その他の社会資本充実に使うことをひとつ理解していただきたいとお願いしておるわけでございます。
  223. 平林剛

    ○平林委員 これまで大蔵大臣政府当局から、何に使うのかという点に対しては必ずしもはっきりしていないとか、新聞でいろいろな観測はあるがこれははっきりしていないとか、大蔵大臣財源は特定していないとか、いろいろな形で答弁がされておる。つまりこの新税についての財源の使い方についてはいろいろな議論があって、右の意見もあれば左の意見もある。ああしろこうしろという議論がもう一ぱいあるわけです。あまりはっきりさせるというと困る場合がある。だからぼかして、どっちにでも解釈できるように提案いたしまして、「道路その他の社会資本」というふうに抽象的なことを言って、質問があったら大体定義はこんなことになっているくらいで切り抜ける、こういうことでしょう。これは国会に対して、私ども法案を審議する者に対して誠実でない、忠実でない、私はこういうふうに考えるのです。理解してください、お願いしますと政務次官から言われると、それ以上はどうも、どうしようかなと私はいま考えておるわけなんでありますけれども、いずれにしてもはっきりしないですね。ぼかしておいて、いろいろな意見をどっちにでも解釈できるようにするというのはずるい考え方です。そしてまた、そんなあいまいなことで新税を提案するというのは不見識だと私は思うのでございますが、いかがでございましょう。
  224. 中川一郎

    中川政府委員 この税制をつくるにあたりまして、目的税にしてはっきり使用目的をきめておけ、こういう意見もあったことは確かであります。しかし、これを目的税としてはっきりいたしますことは財政硬直化という心配もありまして、目的税をとらずに若干ぼかして、各委員、特に平林委員からはえらいおしかりではありますが、弾力的に運営していく。しかもその範囲は交通関係ということで限られておりますれば、これは許される範囲内ではないか。また現在の財政運営の上からいって一番いいあり方ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  225. 平林剛

    ○平林委員 金額的に見て、年間、初年度は四百三億、平年度千二百五十一億円でございます。まず、道路交通政策全般から考えて、財源としては中途はんぱであるということはだれでもわかると思うのです。道路整備五カ年計画の膨大な金額に比べて、今回の新税によるものはとりあえず平年度千二百五十一億円というのは、財源的には、これを表現するといわば中途はんぱである。私に言わせると、及び腰で提案をいたしました重量法案である。大体「道路その他の社会資本充実」なんてでかいこと書いてあるけれども、これで一体何ができるのか。鉄道、航空関係、海運、これも入っているなんということになると、どのくらいそれを分配するのかこれからきめるのだと言うけれども、およそ幅は限られている。今日の鉄道、航空関係、海運その他を考えて、これだけではどうしようもない。したがってそういう意味では、これはむしろ道路にウエートがかけられているというふうに解釈していいのですか。
  226. 中川一郎

    中川政府委員 今回の税制であがります税額は五千億でございます。そのうちの四分の一の千二百五十億は地方へお渡しするわけでありますから、国に残りますのは三千七百五十億ということになります。その中で道路に振り向けなければならないものは約三千億と見込まれてございます。したがって道路以外の社会資本充実に振り向けられる額は七百五十億ということに相なります。そこで、これぐらいの金額では中途はんぱじゃないか、及び腰じゃないかと言われるわけであります。言われてみればそのとおりだとは思いますが、とりあえず必要な第六次道路整備計画、まずこれを満たして、余裕のあるところはそれ以外の社会資本、特に交通関係――海運、航空まで及びますか、今後の課題でありますが、そこまで使えれば使える性質のものではありましても、額からいってそこまで及ばないような実態に――先ほど次長が言いましたが、これから配分、使い方をきめていくわけですが、及ばないのではないか。その他の社会資本道路以外のものの中で緊急を要する、とりあえずこれから必要だと思われるものに指向していく、こういうかっこうになろうと思います。その場合、新しい総合交通関係も追っかけてきますから、それもにらみ合わせつつ配分をしてまいりたい、こういうように考えておるわけであります。
  227. 平林剛

    ○平林委員 いろいろの質疑の中で、いま政務次官がお話しになったように地方に七百五十億、中央で三千億、その三千億の根拠は何だという質問が何回も繰り返されて、答えられておりましたのを私は傍聴してよく承知しているわけであります。あのときは結局第六次道路整備計画で足りない分が大体このくらいになるのだというようなお話を承っておったわけであります。それからもう一つは、総合交通体系を検討して後に具体的な配分というのはおいおい固まっていくのだというふうにも答えられておったのでありますけれども、それは、私の記憶に間違いがなければ大体、的を射ていると思うのですが、ちょっと確認をいたします。
  228. 中川一郎

    中川政府委員 ただいまのとおりでございますが、ただ一つだけ違いますのは、七百五十億地方に回すというお話でございましたが、千二百五十億を回して三千七百五十億残って、三千億は道路のほうであり、七百五十億はその他の社会資本充実に振り向けられる。これだけでございます。
  229. 平林剛

    ○平林委員 数字はこの場合にはあまり問題じゃありません。したがって、総合交通体系の検討いかんによりましては、今回提案をされておる重量法案というものはかなり使い方が、あるいはこの国会で説明したものと違ってくる場合があり得ると私理解するのですが、いかがでしょう。
  230. 中川一郎

    中川政府委員 この国会で御説明申し上げておりますのは、道路その他の社会資本充実ということであって、交通関係に使うということを申し上げておりますので、総合交通体系が出ましてもこれはその範疇を出ないということでありますので、ここでお答えしていること以上のことはないというふうに思います。
  231. 平林剛

    ○平林委員 しかし、総合交通体系の検討いかんによってはまたいろいろな要請が出てくる。たとえば、先ほどは五〇、二〇、二〇、一〇というのは今度の法律には関係ないのだと言っているけれども、それに似通った配分のようなことがまた検討されて、こういうふうに使ったらいいじゃないかというような議論が出てこないとも限らぬわけですね。その場合には変わるのでしょうねと言っている。変わるとすれば、この法律はむしろ暫定的なものでないかと私は考えるのですけれども、そういうお考えは政府が提案をした意識の流れの底のところにあるかないか、こういうことを聞いているわけです。
  232. 中川一郎

    中川政府委員 しばしば申し上げておりますように、現在も交通関係の一般財源として使いたい。総合交通体系が出ましても交通関係財源に充てられる。どういう形になってきますか、それを見た上でどこへ使うのが一番いいのかということで、その交通関係の範囲内で使うということであれば、現在もあるいは交通体系が出てからも同じである、変わったことはない、こういうことでございます。
  233. 平林剛

    ○平林委員 自動車重量税法案とだれがつけたか知らないけれども、あまりいい名前じゃないですね。お話を聞いていると、この法律案道路整備五カ年計画の不足財源を補うための特別措置法というような名前をつけたほうがぴったりするのじゃないでしょうか。だれがつけたか知らないけれども、何かそういうほうがぴったりするような感じがするのでありますけれども、御感想を承りたい。
  234. 中川一郎

    中川政府委員 この税のおもな目的が、第六次道路整備計画財源不足に主たるねらいがありますからそういった感想を持つこともいたし方ないと存じますが、たびたび議論をいたしておりますように、これからの交通体系は、道路だけでは国民の皆さんの期待にこたえられない、やはり総合的に相補完をしていくというところからいけば、近代的な一歩前進のいい税の内容になっておると自負をいたしておりますし、また重量税とつけましたのは、トン税にしたらいかがかというようなこともありましたが、関税のとん税と間違ってもというようなこともあり、重量に応じて税の負担が変わっておるわけですから、税制の内容からいっていろいろ考えましたが、重量税というのがぴったりするのじゃないか。ぴったりしないところがありましても他に比べて一番いいのではないかというようなことで、重量税とさしていただいたわけでございます。
  235. 平林剛

    ○平林委員 これからの総合交通政策では、道路だけに限らず高速道路も地下鉄も鉄道も、いろんなことを考えなければならぬというのは、大きな道路整備交通計画とか、わが国の交通政策を論ずるときのお話なんですよ。何年かたつと五千億になっていく。今度三千幾らかどうか知りませんけれども、それだけでそんなでかいことを言ったってどうもおかしいじゃありませんかというのが私の感想なんです。だからはっきり言えば、あまり目的も特定しない、とにかく財源だけ確保しておいて、何かかっこうつけて取らなければぐあいが悪いから重量法案という名前をつけたのだけれども、私に言わせるとこれは道路整備五カ年計画の不足財源を補うための特別措置である。それをただ重量税というようなことで取り立ててみようということなんじゃないかと、ずばり言って私は言うのですよ。補完しなければならぬとかなんとか、それはもっとでかいときに言ってもらいたいのだ。三千億や五千億のときにそんな理屈つけてどうのこうのというのじゃなく、はっきり言ったらどうですか。私に言わせると、とにかく財源が足りないから、この不足財源を補うための措置をただいまお願いをしていると言ったほうがよっぽどはっきりするわけだ。ただ、また取ったほうがいいのかということの議論にこれから展開をできるわけなんですね。何か私は聞いていて、この財源の議論をするにあたって、いろいろなことがごっちゃなっているのじゃないかという感じがするのです。これは私の感想でございます。  そこで、自動車重量税法による税収の根拠について少し承ってまいりたい。  いま政務次官がお話しのように、今度は自動車について、重量基礎にして、車検というようなことの機会に印紙で納付をさせて、昭和四十六年度四百三億、平年度千二百五十億ということになっていますけれども、平年度千二百五十億円になりますよ、こういう措置をやればこうなりますよという積算の根拠があるはずだと思うのでございます。これは私、大蔵省に一覧表を提出してもらいたい、こう要求しておったのですけれども、いまだに私の手元に届かない。税収の根拠、もし書類がなければしかたない。ちょっとは時間がかかっても根拠を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  236. 細見卓

    細見政府委員 お届けすべきであったのを私が聞いておりませんでしたので申しわけなかったと思います。  自動車重量税の見積もりにおきまして、初年度といい平年度といいましても、いずれも四十六年度末、つまり四十七年三月三十一日現在の保有台数を想定いたしまして、四十六年には十二月一日からかかる。したがって十二月、一月、二月、三月というだけの月のものということで課税が行なわれ、それが初年度であり、平年度は、もしその台数に一年間フルに課税が行なわれておったならば幾らになったであろうというのが平年度の数字であります。  そこで、結局台数をどう推定したかというわけでありますが、車検に該当いたしまする乗用車を八百三十一万台、それからトラックを六百十一万台、バスを二十一万台、小型二輪者を二十二万台、合わせまして千四百八十五万台というふうに推定いたしまして、これの平年度税額が千百八十三億というふうに見込んでおるわけであります。それから届け出によって運行ができまする届出自動車につきまして、軽三、同軽四輪車が百二十二万台、それから軽二輪車が約八万台、これが合計で百四十万台ほどありまして、この税額が約百二億三千万ということで推定いたしまして、大部分の方は車検を受ける書類に印紙を貼付して納税していただくということで、この印紙収入を約九〇%と見まして、印紙収入の場合は御承知のように郵政特別会計のほうへ手数料を払うという問題がございますので、その手数料を差し引きましたものが一般会計の収入になる。それに残りの現金収入額というもの約一割を加算いたしまして千二百五十一億、これを平年度にいたします。初年度は先ほど申しましたように十二月からの経過的なものを推計いたした、こういうわけでございます。
  237. 平林剛

    ○平林委員 私はこの根拠の一覧表の提出を要求いたします。なるべく急いで御提出をいただきたい。  さてそこで、いまのお話しのような根拠によって平年度千二百五十一億円と推定をされまして財源とみなしたわけでございますが、自動車は大体これからも伸びていくという議論がございまして、その伸び方がどのくらいあるかという見込みは各省まちまちだというお話を聞いておりましたけれども、大蔵省といたしましては財源的に見まして、たとえば昭和四十七年三月三十一日まではただいまのようなお話であろうけれども、それからその次の年になりますとまた少しふえる、その次の年になるとまた少しふえる、こういうことになるわけでありますから、財源は少しずつではありますけれどもふえるのじゃないかと思うのであります。そういう意味から見まして、四十六年度においては千二百五十一億円であるが、四十七年度は幾らになりますか、八年度はどうか、九年度はどうでございましょうか、五十年度はどうでしょうかと、こういうようなことも資料としていただきたいのでありますが、とりあえず口頭でお答えをいただきたい。
  238. 細見卓

    細見政府委員 午前中、自動車の見込みについてだいぶこの委員会で論議があったわけでありますが、おっしゃるようにだんだんふえていくことにしております。そのふえ方の見込み、端的には五十年度におきまする自動車の保有台数ということについて、三千二百万台から二千八百万台の間に幅があって、私どもはいろいろな計算によりまして、約三千万台ということにしたということで午前中御説明申し上げておったわけであります。そういうわけで、四十六年度が平年度化して千二百五十一億、四十七年度が千三百九十四億、それから四十八年度が千五百二十九億、四十九年度が千六百三十億、五十年度が千七百二十四億、合わせまして約七千五百二十八億。五カ年計画は御承知のように四十九年度で終わりますので、四十九年度までの集計でありますと約五千億、こういうわけでございます。
  239. 平林剛

    ○平林委員 これも後ほど積算根拠と一緒に資料の御提出をお願いいたしたいと思います。  さてそこで、今回の法案審議にあたりましても、自動車関係の諸税は多過ぎるのじゃないかという議論が強く打ち出されております。その性格も、一体負担能力に応じての課税なのか奢侈品課税なのか、これを使用する権利というものに対する考えに基づいての課税なのか、道路をこわしたからそれに対する意味での課税なのか、とにかくごちゃごちゃ、ばらばらになっておるという批判がございましたが、私もっともだと思うのです。そこで私は、道路建設五カ年計画その他将来の交通政策全般をこれから検討なさるというわけでございますから、この批判の多い新税登場を契機にいたしまして、税体系全般の検討が必要であるという見解を持っておるわけであります。同僚議員はこの問題について大蔵大臣質問をしました。大臣検討をするというお約束をしたように私の耳に入りました。どういう方向で検討をしたらいいかというようなことは、これは主税局が考えなければいけないと思うのですが、何か腹案があればこの際お示しを願いたい。
  240. 細見卓

    細見政府委員 なかなかむずかしい問題でございまして、そのむずかしい証拠で言いのがれに申し上げるわけではありませんが、たとえば米国でも自動車に十種類の税金がかかっておるとか、あるいは西ドイツにおきましても七種類かかっておるとか、フランスでも六種類とかいうようなことで、それなりにむずかしい問題がございます。しかし、たとえば揮発油税のようなものにつきまして、揮発油税地方道路税という二つの税目にすることは、国と地方との財源配分だけの税目の区別でありますから、そういうものは国、地方の分担をすっきりして整理するとか、あるいは保有課税あるいは蔵出し課税というような、段階段階に応じて国、地方の財源配分の問題を十分配意しながら、しかも、自動車所有者あるいは使用者という人たちの納税の便宜というようなものも考えながら、簡素化という方向について考えていかなければならない、かように考えております。
  241. 平林剛

    ○平林委員 私が大体承りまして、なお検討しなければならぬ点もあると思うのでありますけれども、これらの検討は考えておりますということでありますが、具体的にはどういう措置を進めていくつもりであるか。つまり私の言いたいのは、いま一つの考え方として主税局長がお話しになりましたけれども、そういう考え方もあろう、また別な考え方もあろう、いろいろな考え方もあると思うのでありまして、これを煮詰めていくためにはどういうような手続、どういうような方法でおやりになるか。これはほんとうを言うと、大臣にでも聞かなければならぬと思うのですけれども、考えられる方向として、主税局長はどういうことが適当であるとお考えになっておりますか。
  242. 細見卓

    細見政府委員 税制の改正につきましては税制調査会におはかりして、いろいろな御建議を従来からもいただいておるわけでありますし、今回もその例外でなくて、さっそくおはかりしなければならないと思いますが、今回はさらに問題が、国地方のそれぞれの有力な財源になっておる、課税主体が変わるというような問題もございますので、単なる税制論だけでも片づかない。地方財政のあり方については地方財政審議会もございますし、そういう関係方面によく働きかけ、また、たびたび話題になっております総合交通体系のあり方、その場合の国、地方の事業分担というようなもの、そういうようなものを考えて、文字どおり総合的に検討いたさなければならないのではないか、かように考えております。
  243. 平林剛

    ○平林委員 大蔵大臣検討のお約束をなさいました。あなたも、大体の方向や道筋を、こんなことがあるということで示されたわけでありますが、何年間もかかったんじゃ、これはだめであります。それで、やはりある一定の期間に――とにかくばらばらであり、まちまちであり。ごちゃごちゃであるということは、各国もそうかもしれませんけれども、どうも一般的に考えてみて適当でないから簡素化したほうがいいというのは、これは大方の同意を得られるところだと私は思うのです。なるべく早くやらなければならぬと思いますけれども技術的なこともありましょうし、政治的なこともありますが、いかがでしょうか、どのくらいにできるか。検討するなんというと、それですぐ喜んでしまって、ああ検討するのか、こう思ってしまうからそれで引っ込んでしまうけれども、私はきょうは引っ込まないで、大体どのくらいでやるつもりであるかということをちょっと詰めておきたいと思うのでありまして、このお考えをお聞かせいただきたい。
  244. 細見卓

    細見政府委員 皆さんの強い御議論があるということは、世間がそういうことを非常に強く要望しておるのだと考えまして、何とか私ども全力をあげて、できるだけ早い機会に検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  245. 平林剛

    ○平林委員 できるだけ早い機会といっても――あなたにそれ以上詰めることは無理でしょうから、また政務次官に聞きましょうか。  できるだけ早い機会というのは、大体どのくらいならできるだろうかということにつきまして御見解を承りたい。
  246. 中川一郎

    中川政府委員 この国会を通じましても、また世論を聞きましても、複雑だ。外国が複雑だから日本が複雑でいいというものではないと思います。これはまじめな意味で真剣に取り組みたい。文字どおり早急にやりたいというわけでありますが、実態面となりますと、何ぶんにも地方財政との関係があります。この点を一番私どもはやっかいな問題だなあというふうに考えているわけです。地方財政審議会あるいは地方行政部会ですか、ああいった方々の御賛同も得ないとできない問題でありますので、これは文字どおり精力的に、早急に理解が得られるようやってまいります。これは半年でできるか、一年でできるか、なるべく早くはやりたいと思いますが、そういったむずかしい事情もありますので、ひとつ早急にやる。われわれの誠意だけはお認めをいただいて、しばらくまかしていただきたいと存じます。
  247. 平林剛

    ○平林委員 まだはっきりしませんけれども、また別の機会にこれは詰めることにいたしまして、次に私がお尋ねしたいのは、とにかく道路五カ年計画というものを立てて総合的な交通政策を進めなければならぬというのは私わかるのであります。それは道路だけではない。この際は鉄道についてもあるいは航空関係についても、全般を考えなければならぬ時代が来ておるというその認識はわれわれも持っておるわけなのであります。  そういう前提のもとで私に言わせると、道路整備五カ年計画の不足財源を補うための特別措置法が今回提案をされたわけなんであります。しかしその財源の求め方を自動車だけにやっておるところに今度は特徴がある。なぜ自動車だけに課税するのか、私のお尋ねいたしたい点はこの点であります。今回なぜ自動車だけに課税をしたのか、なぜ自動車だけに課税をするのか。こういう点がどうもまだ腑に落ちないわけでございますので、繰り返しますが、なぜ自動車だけに課税をするのか。
  248. 細見卓

    細見政府委員 一方におきまして自動車が最近非常にふえてまいりまして、その結果新しい道路を建設しなければならないとか、あるいはまたいろいろな道路を補修するとか、整備しなければならないといったような問題が、自動車の増加ということを直接の起因として社会現象として起こっておるわけでございますが、一方、それのみにとどまりませず、交通が渋滞して大事な流通機構が麻痺するとか、あるいはまた交通事故があって救急車でありますとかいろいろなものがそのために動かなければならないとか、あるいはまた交通安全のためのいろいろな施設をつくらなければならない。こうした一連の現象というのはやはり自動車道路に比して急激にふえてまいったというところに起こっておるわけでございまして、そういう意味道路の混雑ということを少なくとも緩和するために道路整備五カ年計画というものが立てられて、その財源が明らかに不足しそうだということになりますれば、それをまず第一次的に、一般の納税者に負担を求めるよりは自動車の使用者に求めるのが筋ではなかろうか。もちろん公債論といったような議論もあるわけでありますが、全体の財政金融のあり方を見ますればやはり自動車負担を求めるのが筋でなかろうか。そして今回の財源措置が、いま平林委員から御指摘のありますように、やはり主として道路整備財源に充てられるという観点も考えますれば、やはり自動車に求めてしかるべきではなかろうか。道路以外のものにもつと大きく財源が要るというような、そういう総合交通体系の議論が出てまいりますれば、そのときはあらためて別個の議論があろうか、かように感ずるわけでございます。
  249. 平林剛

    ○平林委員 まだわからないのでありますが、いまお話しになったのは、とにかく自動車がふえた。自動車がふえたものだから、交通麻痺や交通事故に対する安全施設の充実もしなければいかぬし、また道路もふやさなければならぬというお話であります。そして現在は道路に主眼を置いておるから自動車に税をかけるのが筋である、こういうことです。  さてそこで、道路をつくるために必要な財源、足りないものを今度の新税で補おうとするわけでありますから、主体は道路をつくることにある。道路をつくることによって恩恵を受けるのは自動車だけではない。この御認識はあると思いますが、いかがでしょうか。道路を建設することによって恩恵を受けるものはどういうものがあるだろうか。さっき概念と言ったけれども、実際上の認識という形で、道路ができたために恩恵を受けるものにはどんなものがあるだろうか、ちょっと御認識を承りたい。
  250. 細見卓

    細見政府委員 道路ができて交通が利便になれば、おそらくその辺の土地が、便利になることによって地価が上がってくるとかいうようなことをおまえは知っておるかという御指摘であろうかと思いますが、その辺はよく存じておるつもりでございます。
  251. 平林剛

    ○平林委員 主税局長はやはり商売柄、税金を取ることは知っておるけれども、そちらのほうの道路整備されることで便益をどういうふうに受けるか知っておるか、そんな失礼なことを私は申し上げたのではない。大体常識があればどういうことになるのか。しかしそれにしてはいまのお答え、あまり簡単過ぎたのでありまして、専門家のほうから、道路整備されたらどういう点がよくなるか。これは道路を担当しておるほうの省からちょっと御認識を承りたい。
  252. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路整備されますと、まず直接的に受益をしますのは道路を通行するものでございまして、これは幹線道路であれば自動車が主であろうかと思いますが、その他の歩行者、自転車等も含めた道路の通行者ということになろうかと思います。  なお間接的な効果といたしましては、道路がたとえば都市におきましては貴重な空間を形成する作用があるとか、国土全体といたしましても、交通が便利になることに伴いまして時間距離を短縮し、国土全体が有効利用できるというような、時間的な意味の国土の緊密化というような効果もあろうかと思いますが、その他それに伴う開発利益を受けました沿線の開発といった効果がいろいろと考えられるわけでございます。
  253. 平林剛

    ○平林委員 結局、道路が一つできた場合にどういう便益を受けるか、その道路によって違うわけですよ。高速道路ができた場合、それから国道一号線ができた場合、あるいは県道ができた場合、あるいはまた東京の裏町の道路ができた場合、それから山の奥のところに観光道路ができた場合、みんな違うわけでありますから、一ぺんに言うのはむずかしいかもしれませんけれども、しかし一般的に道路ができることによって便宜を受けるのは、まず走行経費。自動車だけに限らず、その沿道にある産業あるいは事業の経営者等におきましても、走行経費はまず節約できる。これは便益を受ける。輸送時間が短縮できるわけでありますから、これも便益を受ける。またいい道路ができれば積んでいった荷はあまりこわれなくて済むし、包装その他について簡便にできるから、そうした経費は節約できる。また使っている運転手さんはあまり疲れないで済むから、そういう疲労がなくなるという点ではあまり月給を上げなくてもいいというような理由にもなりまして、そういう点の利益もないわけじゃない。交通事故が少なくなるというと、そういう意味ではまたかなり経費が節約できる。社会的な利益というものもありましょうね。また道路利用しない人であっても、その道路ができたことによって周辺の地価は上がりますから、それを売ればそこで利益を受ける人たちも出てくる。また道路ができましたから、今度はひとつ工場を建てろ、その他の施設を建てろということで地域開発ができるわけでありますから、その意味でもメリットはあるわけです。工場を建てるなんというときにはたいへん便利になりますから、工場を建設をして、そこで事業を拡大しようとする人たちにとってはこれは御の字でございます。また市場の開拓もできることになる。国家的に見ても都市人口を少し分散できることになりますから、そういう意味では一般財源からそういうことに使用することによってまた国家目的を達することができる。いずれにしても、生産性向上の効果もあれば、生産や輸送計画の合理化もできれば、倉庫の経費についても節減ができる。まあいろいろな形で道路による便益があるわけでございますから、私はこの意味では、道路ができることによってかなりわが国の経済、社会全般について一般的には利益を得るだろう、こう思うのであります。  したがって私は、そういう関係者の中から特に選んで自動車だけに課税をしたというのはいかがなものであろうか、こういうことなんでございまして、道路をつくるのであるから自動車にかけるのが筋だ、こういう筋論はちょっと受け取りがたいのであります。おわかりでしょうか。私はつまり、主税局長がお話しになりましたようにあまり簡単に、道路をつくるのだから車にかけるのが筋だという、簡単なものの考え方で今回の新税創設を行なわれたということはいかがなものであろうかという批判を持っておるわけなんでありまして、ただいまの道路がつくられることによって便益を受けるものの大綱を頭に入れながら、それでも自動車にかけるのが筋であるというわけでありますか。本来はそういう別な方面についても考えなければならぬのだけれども、なかなかむずかしいとか研究しているとか、そういうものも考えなければならぬという程度のお話が私はなければならぬだろう、こう思うのですが、いかがなものでございましょうか。
  254. 細見卓

    細見政府委員 開発利益を税で吸収する問題につきましては非常に、何といいますか、世論の賛同の多い議論でございますので、私どもも何か適当な案はないかということでいろいろ考えておるのでございますが、たとえば開発利益と申しましても、売却をしたときでないと現実に利益が発生してこない。従来どおり農地で農業をやっておる人が、道路がついたからといって、農業をやめない限り何で利益があったんだという議論が、年々の固定資産税の評価がえにあたっていつも議論が出ることは御案内のとおりでございます。そういう意味で、何らか売却のときをとらまえて課税を考えなければならないわけでありますが、もしそれをかりに重課いたすというようなことになりますと、一方では市民の住宅を購入する土地が、税が高くなれば高くなった分だけ結局市民のほうに転嫁してしまうではないかというような議論もございます。そういうようなことで、土地問題に税制がいかに取り組むか、その場合に開発利益の吸収をいかにするかというようなもの、あるいはまた高速道路がつきまして、たとえば高架鉄道のようなものがつきまして、その下になっていわゆる開発不利益というようなものも出てまいるわけでありますが、開発利益課税するならば当然開発の不利益は措置しなければならないとか、そういういろいろな問題がございまして、この問題は現在取り組んでおるわけでありますが、不敏にしてまだこれは名案だという解決策を得ておりません。しかしこの問題はなおざりにできない大事な問題である、かように考えておるわけでございます。
  255. 平林剛

    ○平林委員 これからはほんとう大臣と質疑をしたかった点であります。いずれにしても、道路その他の社会資本充実で恩恵を受けるのは自動車保有者だけか。そうではない。私はこれは自明の理だと思うのです。道路を一本引く場合でもその沿道の地主は開発の利益を受ける。確かに売るときだけで、売るときでなければ利益を得ないというのはあたりまえの話でありますけれども、開発利益は受ける。その道路の沿線の企業も同じことであります。そこで自動車だけでなくて、そうした便益を受ける関係グループに対しましても、やはりそれなりの対応策、権衡というものがなければ、何で自動車だけにかけるのかという不満は消えないわけであります。  そこで、たとえて言うと、電子計算機でこまかく計算しなければわからないかもしれませんけれども、それでもわからないかもしれませんけれども、とにかく道路ができ、あるいは具体的に道路整備五カ年計画が実施をされれば、それでいろいろな利益がどういう方面にどうあらわれるかというようなものを計算して、自動車だけにそれをたよっていくという考え方ではなくて、少なくともその便益を受ける者とか企業に対しては、たとえばその分として法人税はこのくらいどうや、あるいは開発利益を受けた者について、還元をさせる方法はむずかしいかもしれないけれども、こういう形でバランスをとるというようなことはどうかというような、私は今度は逆に財源を得るための総合的な考え方といいますか、あらゆるものに目を配らして――また主税局長は方々からにらまれて、にくまれっ子になるかもしれませんけれども、しかし、私はそういう総合的なものがやはり欠けているところに、自動車だけになぜかけるのか、こういう議論になってくると思うのです。ですからそういうものについて、道路整備五カ年計画が鉄道、道路社会資本全般について総合的に考えなければならぬと同じように、財源を得る方法についてもあるいは税の体系を簡素化するとか、あるいはまた自動車だけでよいのか、別なことをあわせて考えなければならぬのかという、総合的な検討があって初めてこれは理解と納得を得られるのだ。自動車だけ取るというところに議論が沸騰するということになると思うのです。そういうことについて私は大所高所から、つまり政府当局は何を考えるべきか、考えなければならないか、こういうことをお聞かせをいただきたい。非常に政治的な高度な判断、私は質問もそういう意味ではもっと高い次元の話をしているわけでありますから、そういう意味でお答えをいただきたい。
  256. 中川一郎

    中川政府委員 税の負担は何といっても公平でなければならないということが大原則の一つであります。そこでこの際の税を一体だれから求めるのが一番公平であるかということから議論が展開されておると思います。自動車から取るのであれば、利益を受けるのは自動車だけではないじゃないか、もっとそういった幅広く考えて、その中の自動車説であるべきであるという主張であると存じます。まさしく理論的にはそのとおりでございます。そこで、先ほど主税局長答弁申し上げましたように、開発効果が発生する土地であるとか、法人であるとか、商店であるとか、きめこまかく計算をしてまいりますと、いろいろ幅広いものがあろうと存じます。そこで私たちが悩んでおりますのは、一体どういった課税標準をとるか。税の取り方、課税のしかた、これが実際問題として現場の税務署員が国民の納得の得られる、あるいは開発利益を受けた方々の納得の得られる徴税方法というものがあるかということにぶつかるわけでございます。これはほんとうにむずかしい問題でございまして、あるといえばありますし、それをお金に換算するわけですからこれは尋常一様ではない。なかなかできない。この辺に私たちの悩みがあるということでございます。そこでいまだこの方面に課税をするというところまではいっておらないわけでありますが、平林委員指摘のように、その方面について等閑視しておってはならない。何とかそういった税の公平からいっても、開発利益をそのまま見のがしておくということについてはこれは許されることではない。十分この点についても頭を使い、何らかのいい方法はないか。納税者が納得の得られる課税のしかたというものがありますれば、これは当然そっちに移行していかなければいかぬということで、この点について忘れておるわけではありませんで、十分考えておりますが、そういったことで現段階ではでき得ない事情にある。自動車については、直接利益を受けますし、これはもう平林委員指摘のとおり、諸外国その他を勘案いたしましても、税制が複雑であるということについては率直に認めまして、これは簡素化するようにしたいと思いますが、税のかけ方としては、総額としては大きいものではないというようなところから、委員の皆さんには、安直な方法で単に自動車にかけただけだとおしかりをこうむるかもしれませんが、そういう課税の総額というようなことも配意しつつ、一方では道路整備が緊急を要するというようなところから、十分の満点の策とは考えられませんが、現段階では考えられるまあ最小限度のものではないかということで、自動車だけに今回お願いしたような次第でございます。
  257. 平林剛

    ○平林委員 まあこれは政務次官の告白をお聞きいたしましてもあれでございますけれども、私はやはりそういう総合的な考え方に立って政治はとってもらわなければならないし、それから新税を提出するにあたりましてはそうした配慮のもとに提出をされなければ、自動車だけになぜ課税するのかという意味で私は国民の納得は得られないと思うのであります。そういう意味では、政務次官の告白をお聞きしましてもどうも納得できませんで、これはまた留保いたしておきたいと思います。  時間の都合もございますから、あと一つ、これもこの問題に関して私の見解を申し上げれば、自動車に税をかけるのは、とりあえずしょうがないから、手っとり早いから、わかりやすいから筋だというけれども、私は筋違いだと思っていますよ。まあとりあえずこういうことでやむを得ないということでお出しになったのだと思うのですけれども、幾ら自動車課税して税収をあげても、そしてそれを道路整備その他の財源に振り向けましても、もう一つ考えておかなければならないのは土地の値上がりですね。土地の値上がりをそのままにしておいて、そして税金を徴収いたしましても、土地がどんどん値上がりしていれば、ことしは同じ金額で千メートルの道路が建設できても、来年は八百メートルしかできないということになりまして、たいへん効率が悪い。納得いかない、筋違いの筋を振りかざして自動車保有者から税金を取ってやっても、一方において土地の値上がりをほうりっぱなしにしておくというような政府であっては、これは浮かぶ瀬がないですよ。そこで、自動車課税に血眼になって、早く上げてくれ上げてくれといって熱中する時間があったならば、土地の税制の問題について、土地の値上がりをどうするかということで、どうでしょうか、一晩や二晩徹夜して考える、こういうような態度でなければならぬと私は思うのでございますけれども、いかがでございましょう。
  258. 細見卓

    細見政府委員 たいへん貴重な御意見でございますので、十分考えてまいりたいと思います。
  259. 平林剛

    ○平林委員 主税局長、考えてみますと言うても、これは政治的な問題でもございますから、後に私は保留しておきまして、区切りがいいからこの辺で休憩後の質問に移したいと思います。      ――――◇―――――
  260. 毛利松平

    毛利委員長 この際、おはかりいたします。  すなわち、ただいま審査中の自動車重量税法案につきまして、地方行政委員会、運輸委員会、建設委員会から、それぞれ連合審査会開会の申し入れがあります。これを受諾し、これらの委員会と連合審査会を開会いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会の日時は、各委員長と協議の上、来たる五月十四日、本会議後といたしたいと存じますので、御了承願います。  午後七時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後六時八分休憩      ――――◇―――――    午後七時十一分開議
  262. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平林剛君。
  263. 平林剛

    ○平林委員 休憩前に引き続きましてお尋ねをしてまいりたいと思います。  今度私が問題にしたいのは、自動車の増加とそれから新税との関係についてであります。  先ほど、なぜ自動車だけに課税をするのかということに対しまして、間接的ではありますが、自動車が急激にふえたということを主税局長は特にアクセントをつけまして強調されておりました。自動車の増加ということは、数字を具体的にあげるまでもなく、お互いが社会生活をやり、ふだん私どもが交通をしている場合に絶えず体験をしておることでございます。私は、昭和六十年には大体車はどのくらいになるのだろうかとか、昭和五十年にはどのくらいになるのだろうか、いろいろ議論が行なわれておりましたのを聞きまして、これはえらいことになるなという感じを実は抱いておるわけであります。特に現在の日本の交通政策の現状から見まして、日本に車が三千万台だ、四千万台だ、こうふえていくというような現状につきましては、わが国の全般の経済から見て、はたしてこのままでいいんだろうかという感じさえ抱くときがあるわけでございます。公聴会におきましても、明大教授の清水義汎さんの御意見を聞いておりますと、道路投資は必ずしも経済的にプラスをするだけのものであると考えるわけにはいかなくなったというお話がございました。傾聴いたしたわけであります。たとえば交通公害が発生をする。交通事故がふえる。自動車事故は、私の調べてみただけで、昭和四十四年に負傷者が九十六万七千人、死者は実に一万六千二百五十七人という数字を示しています。昭和四十五年には交通事故の死傷者の合計が九十九万七千八百六十一人、つまり百万人の人が交通事故によって死傷を受けるわけでありまして、国民の人口十万人当たりの犠牲者は実に昭和四十四年で十五・八人、負傷者は十万人について九百四十二名という数字になっておるのであります。昭和三十年当時は十万人について七・二人の死者が、わずかに十四年後にはその二倍、十五・八人という死者を出しておる。これは驚くべきことであります。  交通事故だけではなくて、交通機関の混雑ということもあげることができるわけでございまして、公述人は、この際国内の自動車の急増を抑制することが必要であるということを述べられたことは、皆さんもお聞きのとおりでございます。そして重ねて言いました。今回の新税自動車の急増という事態に対してその関係は明白でない、こういう御意見でございました。つまり、ことばをかえて言えば、単なる増税策にすぎないということでございます。こうした見解に対しまして、つまり自動車の増加と新税との関係についてはどういうお考えを持っておるかということを、ひとつお聞かせをいただきたい。
  264. 細見卓

    細見政府委員 先般その点につきましていろいろ御議論があったわけでありますが、この自動車関係の税につきましては、午前中にも御議論がありましたようにいろいろな案がありまして、その中で蔵出し税によりましてほぼ同程度の税額をあげようというような案があったわけでありますが、もし蔵出し税になったならばかなりの影響を受けるであろうというようなことが、いろいろなデータを集めて推計されておりましたが、今回の自動車重量税による需要抑制という効果は、この税が非常に薄く広く自動車負担を求めており、しかもそれを保有の段階において求めておるものでございますので、自動車需要に与える影響はそれほど大きなものはない、かように考えております。先日通産当局の説明では、しいていえば一%か二%くらいの影響はあるかもしれないが、むしろ現状においては、自動車産業が置かれておる客観的な経済事情によりまして自動車の生産は影響を受けるのではなかろうか、こういう議論であったわけであります。
  265. 平林剛

    ○平林委員 今度の新税自動車の増加を抑制するという意味では関係がない、こういうふうに承ってよろしゅうございましょうか。
  266. 細見卓

    細見政府委員 自動車の抑制を目的とした税ではなくて、あくまでも交通その他の社会資本充実目的とする財源措置である、かように考えております。
  267. 平林剛

    ○平林委員 昭和六十年には自動車の保有台数は三千五百万ともあるいは一説には四千万台くらいになるだろうというような観測をする人も一ございます。遠い話よりも昭和四十五年度現在、おおよそ千七百万台に近い車というのは、この日本の国土、この地理的な条件などから見て多過ぎるのではないかというような議論も行なわれておるのでありますけれども、これはどうでしょうか。つまり、現在の保有台数千七百万台、これは乗用車もトラックも軽自動車もいろいろありますけれども、もうすでに多過ぎるのではないかというふうな議論もある。裏づけになるのが交通公害の発生、交通事故、交通の渋滞、さらばこそ道路をつくる、こういうことになっておるわけでありますから否定はなさらないと思うのでありますけれども、国土、地理的条件から見て多過ぎるとは思わないかという点を、これは関係の当事者からお答えをいただきたい。
  268. 吉田泰夫

    吉田説明員 自動車の持ちます非常な便益性とか特殊な好まれ方、そのバックにありますところの戸口から戸口に直接行けるただ一つと言ってもいい交通手段だということなどを考えますと、最近の自動車の急激な伸びもそういったかなり必然的な理由から生じてきているんではないかと思います。道路整備が追いついていないために、いろいろないま言われましたような弊害を生じておりまして恐縮でございますが、日本の総人口から見ましてもそう無限に伸びるわけではないわけでございますので、道路投資の総量及び総額の範囲内での施策のよろしきを得ますならば、やはり長い目で見て自動車の伸びに対応するような道路の伸びも可能でございますし、そうすることが国民生活のためにも、もちろん国民経済のためにも有効ではないかと考えております。
  269. 平林剛

    ○平林委員 便益性から自動車必要性、あるいは施策のよろしきによってはまだ道路の伸びが可能であるというお答えがあったのですけれども、多過ぎるんじゃないかということについてはお答えがないわけでございまして、それはどうでしょうか。
  270. 細見卓

    細見政府委員 客観的、総合的に判断するのはたいへんむずかしいと思いますが、ここに若干の資料がございますので、むしろ平林委員に文字どおり公正に御判断願いたいと思うのです。たとえば一平方キロメートル当たりの自動車の台数を見てまいりますと、アメリカは約二十七台、イギリスが百二十二台、ドイツが百十二台、それに対して日本は百四十二台、こういう台数になっておるわけでありますが、これを道路面積当たりの台数で見れば、また大体同じような傾向が出てはおりますが、かなり違ってまいりまして、アメリカは道路面積一キロ当たり十六・九台、それに対して日本は二十・九台というような形で、これを見ればまた違った感触も出ようと思います。一方また普及率で見てまいりますと、日本は六・八人に一台という割合になっておるのに対しまして、アメリカは一・九人に一台あるいはイギリスは四・二人に一台、それからフランスは三・七人に一台、大体ヨーロッパは三、四人に一台というようなことになっております。国土面積当たりで見れば非常に車は多い。一人当たりで見れば必ずしも西欧の水準まで来ていない。道路一キロメートル当たりでもまあそこそこのところにおる。この辺を総合判断して日本の交通をどう持っていくかということは、まさに総合交通体系が要るゆえんではなかろうか、かように思うわけであります。
  271. 平林剛

    ○平林委員 いまお話しのとおりに、一平方キロ当たりの面積に対してアメリカは二十七台、これに対して日本は百四十二台ということは、もうすでに面積の面で見ますと日本はアメリカの六倍に達しておる。道路面積当たりの比較は、これは私がただいま質問したのには当てはまらないわけです。将来道路が完備をされて、そのときの問題として考えるべきでありまして、私は現在、日本の地理的な国土の広さ、狭さという点から考えてどうだろうかというお尋ねでございますから、この意味ではすでに面積当たりではわが国はアメリカの六倍になっておる。一台当たりにおきましても、アメリカの一・九人に対しまして一台の割合、日本は六・八人に対して一台ということでありますから、面積で日本がアメリカの二十分の一ということを考えますと、これまたいわば比較の上においては飽和的な状態になっている。さればこそいろいろな交通障害があらわれてきておる、こういうことがいえると思うのでありまして、道路整備が緊急であるということはその面では認めないわけにはいかないと思うのであります。  しかし私は、日本の国土、地理的条件にとって自動車台数は幾らが妥当であるかというようなことを、絶えず大局的立場から検討するものがいなければいかぬ。便利だからふやせばいいという性質のものではなくなってきておる。経済は大きければいいのだということが、結局そこに公害や物価の上昇やいろいろな問題が起こり、福田大蔵大臣が絶えず言っておるように、このままの経済の膨張が続けば五年を出ずして日本の経済はパンクする、こう言われる認識と同じように、自動車というものは一体現在の道路条件のもとでどの程度がちょうどよいのかというような計算を、だれかがどこかで絶えずしながらコントロールするという英知がなければいかぬと思うのでありまして、そういう意味から考えまして、どの程度の自動車の保有が適量かという試算をやった官庁があるでしょうか。私はそういう官庁がもしあればちょっとお目にかかりたいと思うのでありますけれども、そういう試算がもしおありになるならばこの際お話を聞かせてもらいたいと思うのであります。
  272. 細見卓

    細見政府委員 残念ながらいままでのところございません。その意味で今後総合的に交通問題を考えていかなければならないということで、総合交通の閣僚協議会が開かれるようになったのもその辺に根拠があるのではなかろうかと考えております。
  273. 平林剛

    ○平林委員 ちょっと私不満です。主税局はまた聞きか何かぐらいで、担当じゃないのだから、そういうほうの担当のものもどこかにあるのじゃないですか。このごろは自動車か何かの権威になったつもりで主税局長がまっ先に答弁に立つけれども、あなたの話は税の面では権威者だけれども、そちらの面はちょっと信用できないのでありまして、やっぱり適当な人に答弁してもらいたい。
  274. 吉田泰夫

    吉田説明員 建設省では従来の国土計画のビジョンといたしまして、一応昭和六十年を想定して、諸種の公共施設の整備計画をそれに合わせて部内でつくっておるわけでございますが、そのうちで道路計画につきましては、六十年における国民所得等の現在の推計からいたしまして自動車台数は約三千五百万台になるものと想定した上、これに対処し、かつ現在のような交通混雑、渋滞のないような道路をつくるために必要な所要の投資量をマクロに計算をいたしております。これによりますと、現在すでに計画の一応固まっております全国にわたる七千六百キロの高速自動車国道、それから大都市における高速道路を約八百キロ、その他一般の道路として約四十万キロ、さらにバイパスとか拡幅等のいわゆる再改築、これを約三万キロ施行いたしまして、それによる交通容量を判断すれば、いわゆる交通容量が度を越す、つまり混雑、渋滞するという個所がないような道路計画ができる。それには資金として約六十兆円がかかるわけでございますが、十五年間で六十兆ということはこれまた国民所得の伸び等から見て可能であろう、このように計算しております。そういう意味では六十年に三千五百万台ということであれば、国土の状況等から見まして過剰ではないというふうに考えている次第でございます。
  275. 平林剛

    ○平林委員 私は、今回の法案の質疑をめぐって奇妙な現象に気がつくのであります。それはどういうことかというと、ただいまのお話でもそうです。国民所得を推計して六十年には大体三千五百万台の車になるであろう。したがって、これに対処していろいろなことを考える。そしてそのために必要な道路計画を立てる。そのために必要な金は十五年間で六十兆円である。軽く言っているのだけれども、その六十兆円は国民から何らかの形で税金で確保しなければできないことであるから、またそれは国民の税負担となってくる。つまり自動車というものは、製造のほうは全然タブーで触れないでおいて、ふえるからそのあとを追っかける、あとを追っかけて金が必要だからそれを取るという思想、ものの発想なんです。車の台数がふえれば文明の進歩だと勘違いをする。道路がないのに自動車をつくっていく。そして道路をつくるのに先行して自動車がふえる。こういうことをわれわれはおかしているのじゃないだろうか、私の言いたいのはこういうことなんです。自動車を運転するほうも、便利だから何でも使えということでだれでもが自動車をほしがる。この欲望を押えることはできませんけれども、やはり一つのモラルも制度もなければならぬ。しかしそれを乗り越えて車だけがふえる。まあ、あべこべになっているのじゃないか。そしてまたそれをコントロールする者がいない。転倒した政策が行なわれている、こういう感じをぬぐい切れないわけでございます。私はこの新税の問題を審議するにあたりましても、そういう意味自動車の増加を――資本主義の時代でありますから無理なことはできないかもしれません。また企業の自由性がありますから、それは急激なことはいろいろな圧力があるかもしれません。しかし今日私どもとしては、自動車がふえていくことはただいいことだということだけで、その抑制について心をいたす者がないということはいかがなものであろうか。こう考えておるわけでございまして、自動車の増加抑制について政府自体としても何か考えるということがあっていいのではないか、そういうことについてはどういうお考えを持っておるか。きわめて高度な政治的な質問でありまして――自分で高度と言うのはおかしいかな。しかし私はそういうことを考えなければいかぬと思っているわけなんであります。ただ十五年で六十兆円かかる、だから税金で取る。今度も、自動車が混雑している、だから新税をつくって税金を取る。こういうものの思想はあべこべだという感じがするわけであります。勢いにまかせてそのあとを追っかけるという政策はどこかが違っておる、こう思うのでありますが、いかがでございましょう。
  276. 中川一郎

    中川政府委員 六〇年代までは道路道路、鉄道は鉄道空は空、海は海というような形でよかったと存じますが、これからの七〇年代を迎えての道路交通政策というものは、いま御指摘のように、自動車は伸びるだけ伸ばせ、それに必要な道路をつくって、財源自動車に求める、こういうところは反省をしなければならぬことでありまして、近々できます総合交通体系というのはその辺のバランスをとっていくところに意義がある。日本の交通体系として自動車の受け持つ部面、合理的妥当な量といいますか、守備範囲、また鉄道の守備範囲、そして空、海、妥当にこれが調整をとらなければいけないということが必要となってまいりまして、いわゆる総合交通体系というものが出てきておるわけでございます。おそらく今度の総合交通体系ではそういったことが基本となって十分検討をされ、その中における道路の地位、受け持つ役割りというものが明確になってくるだろう。そうすれば三千五百万台になるのかあるいはそれよりふえるのか、そこまでいかないでというようなことになるのか、その辺の検討を待ちたいと思います。  また、今回の新税制お願いしておりますのも自動車からいただいた税金道路財源だけに使うというのではなくして、やはり他の交通機関、その他の社会資本充実という考え方をとりまして、自動車だから道路だということではなくして、他の立ちおくれた交通部門の面にも配意を加えたいというふうにお願いしております。これはそういった、ただいま平林委員指摘考え方をとりました関係で、皆さんから御批判をいただき、道路以外のものに使うとはけしからぬ、特に佐藤委員からは敵に塩を送るということばで鋭い追及があったわけでありますが、いまや道路と鉄道、空と海、すべては敵ではない。お互いに手を取り合って、味方というところまでいけるかどうかわかりませんが、互いに補完し合っていくことがこれからの交通行政のあるべき姿だということで、御理解をいただいたと存じておるわけであります。
  277. 平林剛

    ○平林委員 今度はさらにこれを突っ込んでやりたいのですけれども、みんなそろったところでやるつもりでありまして、これ以上のあれはちょっと保留をしておきまして、次の問題に移りたいと思います。  ただ私は、この新税の問題についての今日までの経過その他をいろいろと検討してみまして、これはたしか「エコノミスト」か何かに掲載されておったと記憶しておるのでありますけれども、千葉大学の清水教授の論文を読みまして、一つの感銘を受けたわけであります。この人の意見はいわゆる田中構想というのを支持した意見から論点が出発しておるわけでありまして、自動車の急増の抑制をしろという論文でした。私はその認識は同感なんですが、結論は違うのであります。この清水教授の結論には反対なんであります。しかし一つの注目すべき意見としてこれを読んだわけであります。その論文でも書いてありましたが、いつか自動車の欠陥車の問題が問題になったときに、これは自動車産業の過保護と自動車の行政に対する一大鉄槌を下したものだという見解でございました。メーカーが商品としての車の欠陥を除くということは当然でありますけれども、これを取り除いたとしても自動車の問題は解決しないんだという御見解であります。完全車だからといってむやみやたらに無制限に車を社会に売りまくってよいという理由はないのだ、こう論じておるわけであります。私はこの点はいささか同感なんです。いま人間にとって自動車とは何か、日本の風土においてあるいは地理的条件において自動車は最適の交通機関になっているか、日本のモータリゼーションそのものが欠陥でないか、こういうことを問いかけておるのでありまして、私はこれを読みまして、なるほどなと実は感じたわけであります。  自動車がこのままふえていきますと十年後には一世帯一事故をつくるかもしれない。佐藤内閣の施策は一世帯一住宅だけれども自動車の増加をこのままほうりっぱなしにしておいた場合の事故件数を見てまいりますと、年間に百万人の人が死傷者になってくるわけでありますから、このままで進めば一世帯一事故という状態が実現するのではないかという皮肉な見方もできるわけであります。つまり、そういう意味では自動車は文明の凶器だ、幸福の破壊者である。日本では、極論すれば、車のふえることは社会の進歩ではなくて退歩だというような言い方も全くはずれているとは言えないのではないか、こう思うのであります。このことを考えますと、私はいまの中川政務次官のお答えにまだ満足できないわけでございまして、この際、新税検討する場合に、だれも触れない、だれもそのことを発言しないけれども、こうした車の製造制限というようなことを念頭にでも考えた政府大臣がおありかどうか。またこれらを担当した役人の中にも、勇気をもって車の製造制限を検討すべきではないかということを提案をした人がいるか。そんなことを私は考えるのでございます。この点はいかがでございましたか。
  278. 中川一郎

    中川政府委員 自動車が多過ぎる、制限すべきだという意見は、学者の間にもまた政府部内にも、個人的な意見としてはございました。まだ政策として打ち出すまでには至っておりませんが、基本的には私は平林委員の御意見に賛成をいたしておるところでございます。
  279. 平林剛

    ○平林委員 先回の公聴会へ公述人がおいでになったときに、これについての質問も一部ございました。そのときに公述人からは、都市の場合と地方の場合とは違うのじゃないかというような見解が述べられたり、あるいは製造制限は欧米にはないんだというような意見も述べられていました。そして車のふえることはマイナスもあるけれどもプラスもあるというようなことで、問題は時間、区域の制限であり、幅の広い道路をつくることであり、生活道路をつくることを考える必要があるというようなお答えを私は聞いておったのでありまして、都市構造全般を含めての検討ということが必要であり、むしろ製造制限よりは自主調整にまつべきだ、こういう御意見でございました。これも私は一つの意見だと思うけれども自動車業界はそうはいかない。売ったほうがもうかるわけでありますからどんどんつくる、こういうことになっておるわけでありまして、こうした問題はどこかでだれかが積極的に検討をしていくということがなければ、便利だといって車がふえることによってかえって日本の経済が麻痺をしたり、国民がそのために住みにくいことになってしまう。環境を破壊することになる。それをおそれるわけであります。それは意見として申し上げておきたいと思う。  ただ、新税目的あるいは課税の合理性についてのいろいろな論議の中で、先ほどもお答えがございましたけれども自動車の使用によるところの負担ということが強調されておったのであります。これを角度を変えてお尋ねしたいのですけれども自動車を一台つくれば当然自動車交通の費用がかかるわけです。道路をつくればまた信号機をつくらなければいかぬし、歩道橋をつくらなければいかぬし、交通警察は経費がふえるし、緑のおばさんも採用しなければいかぬし、交通病棟もつくらなければいかぬということになりまして、さかのぼっていけば根源は車の製造ということにあると思うのであります。そこで一説には、一台自動車がふえるとどのくらいの経費がかかるかという研究をしておるところがあると聞いておるのですが、御存じでしょうか。
  280. 見坊力男

    ○見坊政府委員 運輸省で試算いたしたものでございますが、自動車の増加に伴う限界社会的費用は、年によって違っておりますが、三十九年度末現在の車両をもとにいたしまして、交通安全施設等、あるいは事故の損失、交通警察その他の経費を合わせまして、そういうものを見まして増加一台当たり限界社会的費用は三十九年度で四万八千二百六十七円。それが上がっておるときと下がっておるときとあるわけでございますが、たとえば四十一年度は七万二千三百二十五円、四十二年度が五万七千二百二十四円、四十三年度が七万七百二十二円、こういうようなことになっております。
  281. 平林剛

    ○平林委員 たいへん勉強しておるからすぐ答えられてあれですが、いまのお話は社会的費用という意味で局限をした計算になっているんじゃないか。つまり私が先ほど指摘をいたしました信号機だとか交通警察だとか交通病棟だとか歩道橋だとか、そういうのに限定をしておるのであって、道路の建設というものを大きく含めた場合の試算は含まれていないんじゃないだろうか。私が聞いておりますのは、自治体の計算によると――自治省いますね。自治体の計算によりますと、一台ふえるということによりまして自治体は百万円から二百万円くらいのお金がかかっている、つまり道路に対する財源が必要であるという説さえあるわけでございます。ですから、いまおあげになった数字は局限したものでないか。つまり道路予算全般を含めて、いまの状態でいきますと車一台ふえるごとにどのくらいかかるかという試算はお答えになっておらないんじゃないかと思うのですが、それはいかがでしょうか。
  282. 見坊力男

    ○見坊政府委員 いま申し上げました数字は、事故及び安全対策費用に限定いたしております。そのほかに混雑費用としてどのくらい損失があるかというのを、パス、乗用車、トラックについて計算したのもございますが、いずれにしましても両方とも限定された項目でございます。
  283. 平林剛

    ○平林委員 項目はわかっているのだよ。それを発表してください。
  284. 見坊力男

    ○見坊政府委員 事故及び安全対策費用としましては先ほど申し上げました数字でございます。そのほかに混雑費用といたしまして、これはパスにつきまして直接走行経費の増加が一億一千六百万円、旅客貨物の時間損失が四十億四千三百万、車両回転効率低下による損失が九億……
  285. 平林剛

    ○平林委員 私は一台できるについてどのくらいか。まさかいまお話しの四十億とか一億とかいうわけはないと思うので、そこをちょっと明確にしてください。
  286. 見坊力男

    ○見坊政府委員 どうも失礼いたしました。これは、混雑費用のほうは四十二年度末と三十八年度末の自動車保有台数の比較をいたしまして、その間の増加いたしました車一台当たりどのくらいの限界混雑費用になるかという計算でございますが、それは四十二年度で七万七千五百五十一円でございます。
  287. 平林剛

    ○平林委員 だめだね、そんな程度のやつでは。要するにないにひとしいというほうが当たっているわけでありまして……。まあ私これから意地悪く質問していったら、あなたが一時間や二時間立ったりすわったりしたってとても尽くせるものじゃないくらいです。ですから、もし一台増加したならばどのくらい社会的費用、いろいろな意味のやつがかかるかという試算をひとつあなたのほうで、せっかく政務次官も今後いろいろなことを考えてやるというのですから、参考資料としてまとめる努力をしていただけますか。そうすればこれから一々質問をするのは省略をいたしますけれども、いかがでしょう。
  288. 吉田泰夫

    吉田説明員 ただいま手元に持っております資料では、たとえば過去の道路投資の蓄積であります道路の資産ストック、これと自動車保有台数から、いわゆる道路原単位と申しまして、一台当たりの道路ストックがどれだけあるかというものがございますが、これは当然のことながら、道路ストックがふえる割合よりも自動車のふえ方が大きくなりますと道路原単位は小さくなっておるわけでございまして、近年は自動車の伸びが激しいものですから道路の原単位は逐次減少しておりますが、たとえば四十四年度で申しますと、自動車一台当たり五十万円ということになっております。したがいまして四十四年度における道路ストックと自動車一台との関係を維持するためというのであれば、まあ一台当たり五十万円の道路資産が要る、こういうことも言えようかと思います。
  289. 平林剛

    ○平林委員 そういう総合的な資料について御提出をいただけますかというのが私のお尋ねでございます。
  290. 吉田泰夫

    吉田説明員 ただいま申し上げました道路原単位の資料を提出さしていただきます。
  291. 見坊力男

    ○見坊政府委員 先ほど申し上げました限界費用の試算につきましては、資料としてお出しいたしたいと思います。
  292. 平林剛

    ○平林委員 みんな自分の局限したことだけやって、総合的にやろうなんという人がいないということが証明されたわけだ。私はそういうことがいけないというのですよ。一台ふえるたびに、したがっていまの道路の蓄積をされた資産、一台当たり見れば四十四年度で一台五十万円だ。しかし交通安全対策のやつは、先ほどの数字こまかくはメモしていませんが、四万円だ五万円だ七万円だ、あるいは混雑の費用としては、これは一台当たりの説明がありませんでしたけれども、これもかなりの金額になるでしょう。それだけではない。これからは自動車のふえるに従って排気ガス、騒音、公害、こういうような発生に対して対応するための予算、こういうものを計算しますと、一台当たり百万円とか百五十万円とかいうものは全く架空の数字ではない。きょうは自治省いませんから私そこまで詰めませんけれども、つまり、一台生産されるに従って、かなりの金額はいろいろな意味の経費として必要なのであるということの認識はしておかなければならぬ、私はこう思うのであります。  そこで問題は、それにもかかわらず、つくったその自動車の製造源に対しては何らの措置もしないで、そこから買ったところの使用者からだけ税金を取る、こういうのはいかがでしょうか、こう私は言うわけなんです。
  293. 細見卓

    細見政府委員 やはり現在の経済体制のもとにおきましては、直接の投資ではなくて、商品が価格とか負担とかを通じて適正に配分され、その意味において今回の自動車税も、自動車負担がその意味でふえて、そういう社会的費用を分担していただく。やはり価格機構を通じて適正な資源配分になるように考えるのが筋じゃないか、かように考えております。
  294. 平林剛

    ○平林委員 主税局長はこのごろ筋論ばかり言っている。私の問いたいことは、一台製造するにあたっても社会的費用は非常にたくさんかかるのですよ。そういうのは全然ほっておいて、そうしたことについては手を触れないでおいて、便利であるし、生活手段に必要であるし、ある意味ではレジャーに使う場合もあろうが、国民生活を豊かにするために自動車を使用する、その者には税金をかける、こういう考え方は、あなた平気な顔して筋論言っているけれども、内心はどうなんですか。その点のやはり認識といいますか、私の指摘しているところについて胸の痛みを覚えない人があるかどうかということです。そうなんですよ。こうした問題には手を触れない。ただ何千万という自動車所有者の、中には所得から見てもたいした負担をできる階層でない者からは遠慮なく税金を取る。しかしこうした方面については少しも手を触れないということが、すなわちこの社会において公平であり、そしてまたそれが筋であり、良心の苛責――苛責までいかなくても、良心に痛むところがありませんかというのが私の問いなんでありまして、これはひとつ政務次官お答えをいただきたい。
  295. 中川一郎

    中川政府委員 実はこの税制を考えますときに、そういった角度からいわゆる蔵出し税、工場生産されて、蔵から需要者に渡るときに税をかけてはどうかという意見が有力であったことは事実でございます。そこで私たちもそれに踏み切ろうかなと思った事態もありましたが、これまた現段階において自動車業界に与える影響、なかんずく自動車業界に働く多数の従業員の切々たる反対といいますか、阻止の意思表示もございまして、今回は蔵出し税という形ではなくして、使用の権利取得した車検、そして届け出をした段階で、自動車使用者一般の方々にお願いするほうを選んだわけでありまして、平林委員指摘意見はわれわれの胸の中にもよく秘めておるところでございます。
  296. 平林剛

    ○平林委員 さすが良心的な政務次官でございまして、私は当然そうした問題の検討がまずあってしかるべきものであると思うのでありまして、主税局長、筋論はいかがでございますか。
  297. 細見卓

    細見政府委員 主税局からも、政務次官お答え申し上げたとおりでございます。
  298. 平林剛

    ○平林委員 それではお尋ねいたします。今回は自動車を保有する、また使用する者に対しての課税で、年間平年度千二百五十一億円という税収をあげることを結論的にお考えになりまして、本国会に対して法案を御提出になりました。かりにこれはやめて蔵出し税ということにいたしましたならば、新税のように毎年一回というわけにいかないでしょうから、金額的にはかなり少なくなるかもしれませんけれども、かりに蔵出し税を採用したとすれば年間の税収はどのくらいになる御試算になりますか。
  299. 細見卓

    細見政府委員 それは税額のきめ方によるわけでありまして、先ほど来御論議が出ておりまする、国、地方合わせて四十九年までに五千億程度の税を集めるのだということになれば、極端にいえば年々の出荷台数でもってその税額を割れば数字が出る。ただ保有と違いまして出荷でございますから、三百万台とか四百万台の出荷でございますから、税額はかなり重いものになる、こういうことであろうかと思います。
  300. 平林剛

    ○平林委員 いまも取ることを先に考えて、あとで税額をきめるという、そういうさかさまな議論です。もっとも私も、先ほどの話で道路蓄積資産から計算すれば五十万円だから、一台車をつくるたびに五十万円を取れとか、あるいは交通安全対策費に五万円、六万円かかるからそれだけは蔵出し税で取れとかいうことを申し上げておるわけではございません。しかし、自動車が一台できるに従ってこれだけの社会経費がかかるということを考えますれば、ただ売れればいい、もうければいいということだけで、車の急増ということだけで、それが日本の経済の発展だというのはいささか再検討しなければならぬ時代が来ておると思うのであります。そういう点から考えますと、蔵出し税ということはある意味では検討してしかるべき問題だと思うのでありますけれども、これはいかがでございましょうか。そういう角度からの検討についても、私は税制自体においてももう少し考える必要があるのじゃないかと思うのでありまして、むずかしいとお答えになるかもしれませんけれども、御感想を承ります。
  301. 細見卓

    細見政府委員 財政のことでありますから、まずいずるをはかると申しますか、どういう事業をやるのか、それに際しては極力経費を節減してむだのない歳出をはかる。その場合にどれだけの歳入があげられるか。徴税費その他のことも考えまして最も効率のいい徴税を考えていく。その場合においても負担の公平あるいはいろいろな各階層間の負担のあり方というものを総合的に考えなければならぬわけでありまして、自動車に限りませず、いろいろな物品あるいはいろいろな消費に対する課税につきましては、総合的にその依存する税額の大きさ、あるいはまたその徴収の方法というようなものにつきましても、絶えず基本的な立場に立って根本的な検討を繰り返してまいらなければならない、かように考えております。
  302. 平林剛

    ○平林委員 通産省がおいでだと思うのですけれども、この機会に自動車産業の各社別の利益高の比較はどうなっておるかという点を少しお尋ねしておきたいと思うのであります、私がいろいろな資料から得た数字によりますと、たとえていうと、トヨタは半期に百二十億円の利益をあげておる、日産は半期に百三億円の利益をあげておる。これは年度は明らかでありませんけれども、最近の数字であります。これは決算上の数字でありますけれども、こういう状態はどうなっておるのでしょうか。私はいま代表的な自動車産業の名をあげたわけでありますけれども、その状態がどういう実情にあるかということをこの機会にお聞かせをいただきたいと思います。
  303. 大永勇作

    ○大永説明員 手元に資料を持っておりませんが、トヨタ、日産等におきましては、売り上げ高利益率で見まして大体五%から六%程度ではないかと思います。しかし、昨今景気が非常に悪うございまして、その他の企業におきましては実質的には赤字であるという企業もあるわけでございます。
  304. 平林剛

    ○平林委員 五%、六%といってもちょっと感じが出ないのでありまして、私の言ったように答えてもらいたい。
  305. 大永勇作

    ○大永説明員 トヨタ、日産等の売り上げ高が年間大体七千億から八千億程度でございますので、五%ということになりますと二十分の一ということでございますので、トヨタ等におきましては、年間、おおむね御指摘のとおり四百億円程度の利益になるのではないかと思うわけでございます。
  306. 平林剛

    ○平林委員 ふだん大蔵委員会におりまして、自動車産業の実態等についてはお目にかかることができませんで、新税の審議の機会に自動車産業の問題を私どもいろいろ知り得ることがあるわけでございまして、今後の審議の参考のために、自動車産業の各社別利益高比較なんというのがまとめられましたら、資料として御提出いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  307. 大永勇作

    ○大永説明員 提出をさせていただきたいと存じます。
  308. 平林剛

    ○平林委員 いま自動車産業は量産に次ぐ量産でコストは下がり、そしてかなりの利益をあげております。しかしその反面、下請会社のほうはしぼれるだけしぼっておる。自動車の部品の七割までは下請の製品でございまして、その下請会社に対してはしぼれるだけしぼっているというような話がある。ほんとうかどうかわかりませんけれども、メーカーのほうが下請のほうに原価低減要望書を突きつけると、下請のほうはやむを得ず、材質を落とすとか、ネジならネジの山を一つ削るとか、ぎりぎりの勝負をやって、すさまじい競争が行なわれておる。そのときの原価低減というのは、円単位じゃなく銭単位の競争までやっている。つまり、これがこの間の欠陥車の原因でもあるというような話を聞いたのでありますけれども、さようでございますか。
  309. 大永勇作

    ○大永説明員 御指摘のとおり、従来から原価低減が非常な競争の結果として要求されておったわけでございますが、最近におきましては材料の値上がり、人件費の高騰等から部品の値下がりも限界に達しておりまして、むしろ部品の価格につきましては若干上昇ぎみであるという状況でございます。
  310. 平林剛

    ○平林委員 課長さんだからあまりこまかいことを聞いては悪いけれども、もう一つだけついでに聞かしてもらいたいと思います。  つまり、危険な車をつくらせて、値段は下げて、競争して他社に勝とうとする、これがいまの自動車業界であります。よけいな装飾やアクセサリーのほうは金をかけますけれども、車の安全性のほうは犠牲にする、これがいまの自動車販売のモラルになっておる。悪いほうのモラル。スタイルをよくすれば車は売れるけれども、安全性を強めても車は売れない、これが商売の鉄則だという話まで聞いておるわけです。話であります。そうだというわけじゃございません。これは日本だけではなくて諸外国も同じ。商売をやっている者は大体そういう根性でなければもうからない。一説によると、モデルチェンジをときどきやるわけでありますけれども、これはアメリカの会社の例を私は検討してみたのでありますけれども、モデルチェンジのコストだけで売り出し中の自動車価格の平均価格の二五%を占めているなんという会社もあるという話も聞いておるのです。日本はそんなにひどいとは思わないけれども、大体モデルチェンジに要する経費なんというのはどのくらいかかっておるものでしょうか、これも参考のためにお聞かせいただきたい。
  311. 大永勇作

    ○大永説明員 モデルチェンジのために要する費用につきましては、正確なデータというものはございません。あくまでわれわれのほうの推測でございますが、大体一機種チェンジいたしますのに三十億円見当ではないかというふうにいわれております。しかしながら、たとえば何々シリーズというふうなことで、バンもあるし、トラックタイプもあるということになりますと、それの二倍とか三倍とかというふうになるわけでございますが、単純な一機種では三十億円程度ということでございます。したがいまして、価格の中に占める比率は御指摘のような大きなものではないというふうに考えております。
  312. 平林剛

    ○平林委員 私は自動車のことに関係しまして、最近「原価の秘密」という本を読みましてたいへん参考になったのであります。たとえば、私の選挙区の神奈川に日産という会社があるのです。この例を出して恐縮でありますが、私ちょうど神奈川県でありますからこの例を出します。  ニッサンセドリックセダン一九九八cc、国内向けで約百十三万円しておるわけです。しかし輸出価格は、多少エンジン排気量は小さいのでありますが、千四百四十ドル、つまり日本の価格にして五十一万四千円。国内で販売をするときは百十三万円、外国に輸出するときは五十一万四千円、こういうことになっておるというのですけれどもほんとうなんでしょうか。
  313. 大永勇作

    ○大永説明員 国内の販売価格から物品税それから販売経費を引きましたいわゆる蔵出し価格に相当するものが大体輸出のFOBに見合うわけでございます。御指摘のセドリックの輸出価格につきましては現在記憶しておりませんが、国内でたとえば五十七、八万円いたしておりますコロナクラスのFOBというのは大体千ドルから千百ドルということで、ございますが、五十七、八万円からいま申し上げましたように物品税並びに販売経費を引きまして蔵出し価格に換算いたしますとやはり三十何万円ということになりますので、おおむねFOB価格とそれからメーカーの蔵出し価格の間には均衡がとれておる、こういうふうに考えております。
  314. 平林剛

    ○平林委員 私はいまあなたが言ったよりこまかいやつを、この本に書いてあるので全部承知して聞いておるわけでありますけれども、しかしこれは本でありますから、政府の資料というわけではございません。しかし、輸出価格は国内価格の二分の一というような状態であるし、それぞれの原価を積算いたしますとおおむね当たっておるというふうに私は見られるわけでありますが、これについて、きょうは本題でありませんからこれ以上の質疑はいたしませんが、ひとつ資料の提出を要求いたしたいと思うのでありまして、いずれまたこうした問題について、どのみちこの新税ができましても交通政策で議論しなければなりませんから、参考のために資料の提出をお願いいたしたいと思うのであります。今度は各社ごとに全部、ひとつそれを要求しますけれども、いかがですか。
  315. 大永勇作

    ○大永説明員 先ほど申し上げました蔵出し価格及びFOB価格というのは、いずれもわれわれの全くの試算でございまして、会社からはわれわれのほうにデータが参っておりません。したがいまして全くの試算でよろしいということでございますれば資料は提出できますけれども、会社からの報告に基づくものとしては現在そういうものはございませんので、若干お出しいたしかねるということを御了承いただきたいと思うわけでございます。
  316. 平林剛

    ○平林委員 あなたのほうの試算でけっこうですから御提出を願いたいと思いますが、いかがですか。
  317. 大永勇作

    ○大永説明員 承知いたしました。
  318. 平林剛

    ○平林委員 それじゃこの議論はまた別にすることにいたしまして、次に新税課税対象の問題についてお尋ねします。  法律によりますと「自動車検査証の交付等を受ける者」「車両番号の指定を受ける者」、すなわち自動車及び軽自動車所有者を納税義務者といたしておるわけでございます。――これは別の機会にします。  新税を印紙納付にした理由をちょっとお尋ねします。今度、税額に相当する金額の自動車重量税印紙を貼付して納付するということになっておりまして、印紙納付を原則といたしております。法案によりますと、ただし特別の事情ある場合は現金納付ができるようになっておるのでありますけれども、この件に関しましてお尋ねしたいことは、たとえばトラック業者が百台とか二百台持っておる、こういう場合には一車ごとに印紙納付でやるのでしょうか、まとめてやるのでしょうか。そういう点は具体的にどうなるのでしょうか。
  319. 細見卓

    細見政府委員 その点につきましては、納税者の便宜の方法で選択していただく。つまり申請一様式ごとに収入印紙を張っていただくやり方と、銀行に一括現金で払い込んでいただいて何台分という形でやっていただくものと、二つがございますが、車の型が違うとかいうような場合はかえって納税者の方もめんどうで、おそらく型ごとに合わせるとかいうようなことはあろうと思います。その辺は納税者の便宜で、車検場での事務の許す限りできるだけ納税者の便宜に従いたい、かように考えております。
  320. 平林剛

    ○平林委員 法律によれば印紙納付というのが原則になっておりますけれども、実際上はトラックが六百十一万、乗用車八百三十一万ということになっておりましても、トラックの場合にはほとんど営業用になるでしょう。乗用車の中にも営業用が含まれるということになるわけでございますので、いまのようなやり方がどうなるかわからぬけれども、実際には印紙納付が原則ではなくて現金納付のほうがふえてしまう。現金納付が主体になるというようなことはございませんか。私は、納入金額その他から見ましてどういうふうになるだろうかという点を、現段階では推定でございますけれども、どういう推定をしておるかということをこの機会に承っておきたいのであります。
  321. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、車検証は各車ごとに交付を受けるわけでありますから、申請書も一枚ごとに申請したほうがおそらく便利じゃなかろうかということを考えまして、一枚ごとに申請であるとすればやはり印紙を張るというようなことになるのではないか。したがって印紙納付が大体九割ぐらいというのを予算上は見込んでおるわけでございます。
  322. 平林剛

    ○平林委員 これは私は郵便切手売りさばきに関する法律案のときに問題にいたしまして、法の原則はそのときはあべこべであったわけなんでありますけれども、今度は印紙納付が原則ということで法律になっております。結果的に見てそれがたがうことがないだろうかということで将来の言質としてとっておいたわけなんでありまして、やたら変えないようにしていただきたいと念を押しておきたいと思うのであります。  そこで、この印紙納付という着想は、一部の人は、いやあ今度主税局はいいことを考えた、だれか知恵をつけたのではないかというような意見がございます。つまり、自動車重量税を納付させるにあたって印紙納付の形式をとったのは、これは将来にわたる深謀遠慮である。すなわち付加価値税中心の間接税体系に移行する契機と突破口をつくるものであるなんという、うがった見方をする人がございまして、ははあ、なるほどこれは、この法案が日の目を見ることがかりにあったとすれば、わが国に印紙税を軸にした間接税中心の時代が訪れてくるのではないかというような観測をしておるわけなんでありますけれども、そんな考え方がひそかに仕組まれているというふうに考えていいんでしょうか。いかがでございます。
  323. 細見卓

    細見政府委員 たいへん過大なおほめをいただきまして、私どももそういうふうに将来を予測いたしたいと思いますが、いまのところそこまでは考えておりません。
  324. 平林剛

    ○平林委員 なお私は、質問要点は、大蔵大臣に対する質問が留保してありまして、きょうはこれ以上進めることができませんから、一応大蔵大臣に対する質問――総理大臣に対する質問も実はあるのであります。これらはきょうは保留をいたしまして、質問はこれをもって、留保した分を除いて一応終わることにいたします。
  325. 毛利松平

    毛利委員長 広瀬君。
  326. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 時間があまりありませんから、しかも大臣もきょうは一人もおられないということでありますから、ほんの序の口の二、三の質問だけをいたしたいと思います。  今度の自動車重量税は、提案理由説明書にも書いてありまするように、主として道路財源に充てるのだ、そのほか、その他の社会資本充実に充てたい、こういうことになっておるわけであります。今度の自動車税受益者負担、応益者負担あるいは原因者負担といいますか、そういうものに根拠を置いている税制新税になっておると思うわけであります。一体この税金を一般財源としてどこまでもいくのか。それとも明年なりあるいはそれ以降なりにおいて特別会計の中に繰り入れるか、あるいは新しい総合交通体系というような形の中で特定財源ということにするような考えになっておるのか。どうもずいぶん長時間にわたってこの委員会で七日以来質問をいたしておるわけですが、その辺のところがもう一つはっきりしない。これは一般財源だと言いながら道路に使う。さらに交通関係社会資本というように限られている。限られていればもうこれは特定財源じゃないのかという考えもあるわけなんだけれども、この辺のところは一体どっちが本音なのか。その本音を聞かしてもらいたいこと。さらに将来一体これはどうなるのだ。どうしていくのだ。これはずっと半永久的にこういう形のままでいくのか。それとも何らかの、たとえば総合交通体系の正規の答申が出たというような段階において形が変わるのか。それらの問題についてひとつはっきりと考え方をこの際させておいていただきたいと思うわけであります。
  327. 細見卓

    細見政府委員 今回の税は車の運行ができる状態になる車検とかあるいは届け出ということに着目して、一種原因者負担的な税あるいは受益者負担的な税として構成されておるわけでございますが、特定の人を納税者とするあるいは特定のものを納税者とすることにいたしましても、それが一般財源であるか目的税であるかということは必ずしも直接そのこととは結びつかないわけでありまして、今回の税の創設にあたりましては、道路その他の社会資本充実ということを直接の新税創設の要因といたしておりますが、税の性質はあくまでも、登録税が一般税であり、一般会計の財源であるというものと同じ性格を持っておるわけでございます。したがいまして、これを特定財源にするとかあるいは特別会計を設けた目的税のようなものにするとかいうようなことは、これはあげて、今後日本の交通体系をどのように持っていくか、そのことに関連して一般会計で処理していったほうがいいのか、特別会計で処理したほうがいいのかということを含めまして、総合的な交通体系の論議がきまりましたところであらためて見直されるという性質のもので、いまあらかじめ予断をもってこれがどちらになるというようなことでなくて、私どもの考えておりますことは、第六次道路整備五カ年計画財源に一般会計から振り込まれるものとしてこの税を設けた。今後の問題はあげて今後の検討にかかり、またその段階その段階において一番適当だと思われるものに国会の御審議を経て改められていくというのがこの税の運命であろうと思います。
  328. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そうしますと、これはあくまで、普通税と目的税というふうに分けるとすれば、普通税である、こういうように考えてよろしいですね。
  329. 細見卓

    細見政府委員 そのとおりであります。
  330. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこでお伺いをしたいのですが、一般財源としてこれは徴収をするのだ、普通税である、こういうことでありますが、総合交通体系、総合交通政策というものがいま審議会ですでに中間答申が出ている。できるだけ早い機会に総合交通政策というものが審議会から答申をされる。そうしますと、それぞれの交通機関と申しますか、陸の場合におきましては道路交通、あるいは鉄道、さらに海空、こういうようなものがどういう体系でそれぞれ役割りをになっていくか。その接続関係、モードをどうするかというような問題。さらに一貫した考え方の中で、総合的な観点の中で運賃体系、輸送方式なども決定をされていくというようなことになります。そこで、そういう段階というのはきわめて近い時期だ。早くやりたいということは、今日の輸送需要の多様化というようなところから、状況のきわめて早いテンポの変化の中でそういう審議会の答申がテンポを早めて出すというような状況になっておる。  そして、聞くところによれば、しかもまたこの委員会で大蔵大臣が言明をしておられることを承りますと、自民党に対して総合交通特別会計というようなものについてはきわめて前向きに、大臣はそこまでは言わないけれども検討をする。しかもそのことは、検討をするということを言ったということはこの委員会でもはっきり言明をされておる。そのことはもうすでに報道機関によって、田中幹事長と福田大蔵大臣の間に総合交通特別会計というものを設けるのである、こういう密約があったのだということが取りざたされ、報道がされておるわけなんですね。これは大蔵大臣がいないのでその本心を詰めて聞くわけにいかないのだけれども、そういう特別会計――おそらく今日総合交通体系ということ、あるいは総合交通政策ということが非常に強くいわれて、もはやそういう時代になってきた。これは一日早ければ一日早いほどいいのだというような性格のものです。そうなれば、しかも大蔵の責任者である大臣がそういう方向を目ざしておるとすればそういうものが設けられるというようなことになるだろうと思うのです。これはいまのところは仮定のことになるけれども、そうなった場合にはこの税金は一体どうなるのか、この点は一体どうなんですか。
  331. 中川一郎

    中川政府委員 広瀬委員指摘のように大臣答弁いたしております。今回のスタートは道路その他の社会資本充実に使うための一般財源である。まあ自民党からの要請もありまして、総合交通体系というものが出ました段階において特別会計という柱にしてはどうかという議論がありまして、それはあくまでいかぬというのではない、十分検討してみたいということになっておりますので、総合交通体系ができました段階において、その内容を見た上でいかにしたら一番いいかという結論を下すことに相なるだろうと存じます。したがって、いま入れるとも入れないとも言える段階ではございません。
  332. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういう点で先の見通しというものがやはりきわめてあいまいな問題を含んでいると思うのです。きょうは建設大臣も出てきていないようで、建設省の吉田道路局次長が出ておるのでありますが、現在、道路整備特別会計があるわけです。いまそういうものがあるわけですけれども、総合交通特別会計というようなものができた段階においては、道路整備特別会計というものもこの総合交通特別会計という中に取り込まれるものなのか。道路道路でやはり特別会計を持っているというようなことなのか。建設省としてはそのあたりの関連について一体どういうお考えを持っておられるのか、この点を伺いたいと思います。
  333. 吉田泰夫

    吉田説明員 総合交通政策が議論された後におきまして、もし総合交通のための特別会計が設置された場合に道路特別会計がどうなるのかという御質問でございますが、現存の道路特別会計が新しい総合特会の中に入るかどうかにつきましても、あるいは一応入るにしても、別個道路特会そのものはなお存続するというような形になるのかどうかというようなことにつきましても、現在、政府の中で各省間、集まりまして協議をしておるので、その問題を煮詰めてみませんと、いまの段階でははっきり私ども考えをまとめ切れない段階でございます。
  334. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 道路局次長にこれ以上のことを聞くのはどうかと思うけれども、総合交通特別会計というようなものが設置される可能性が十分ある、こういうように私ども見るわけであります。そういう中で、現在の道路整備特別会計というものがどういう立場に立つのかということは、これは道路問題についての主管省である建設省としては、やはり少なくとも一つの見識というものを持って、そういう体系の中でこの道路整備特会というものをどう位置づけていくのか。総合交通特会の中に吸収をされていくべきなのか、それとも道路道路として非常に必要な面がある、そういう総合的な体系を尊重しながらも、交通政策というものの一環としての道路であるというような認識を持ちながらも、道路整備特会というものをやはり存続をさしていくべき性質のものであるのかどうかという点について、率直な、これは私見でもよろしいが、ひとつあなたの意見を聞いておきたい。
  335. 吉田泰夫

    吉田説明員 私から公式にはお答えできがたいのでございますが、道路といいましても非常に局限されたものではなくて、各種の道路を含み、機能も非常に違っております。そういったものを現在統合し、中には他の省の所管になるものまで含んでおるもので、ございまして、それを特別会計に一元化して非常な成果をあげていると私個人は存じておりますので、総合交通政策の中に道路がどう位置づけられるかという問題は別といたしましても、道路特会そのものが解消されることは、私としては好ましくないと考えております。
  336. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういう問題についてはやはり建設大臣がおいでにならぬと的確なお答えはいただけないと思いますので、その点はそれくらいにいたしたいと思うわけであります。  そこで、自動車関係の税が八種類、あるいは輸入自動車の関税まで入れると九種類もあるということでありますが、もちろんこれは車種別によってで、九種類なり八種類というものが全部一つの車種にかかるというものではないわけでありますけれども自動車関係の諸税、これは一般財源ではなしに全部特定財源に振り向けるという考えは大蔵省では持っておりませんか。
  337. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、国税で自動車関係の税ということになりますと、ガソリン関係の税はすでに特別会計になっておるわけでありますから、物品税と今回設けられる新たな税とを統合するかという問題で、むしろ統合という大きな問題は、たとえば自動車税というようなものが府県税の段階では一般財源と考えられておるというような点、むしろ国の問題というよりも地方団体の問題もございますので、その辺、今後の道路整備計画のようなものが国、地方を一体として考えていかなければならない段階に応じて、国、地方やはり同じように一体としてその財源関係も考えていくという意味で、いま広瀬委員指摘のように、これらの錯雑したいろんな税をやはり何らかの形ですっきりと整理していくというのが方向としては望ましいものであろう、かように考えております。
  338. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 すでにこの委員会におきましても、大蔵大臣が、現在の自動車関係の諸税というものはもう少しすっきりさせなければなるまい、簡素化というか整理をするというか、そういうことをしたいということは言明されておるわけです。  実はこれも東畑税調会長に、昨年秋ごろでありましたか、参考人としておいでをいただいて、自動車新税の問題について根本的な考えをただしたわけでありますが、その際、現在の自動車関係の燃料税あるいは物品税、その他地方の道路税あるいは取得税、そのほかにもいろいろあるわけでありますが、そういうものがばらばらの形で、体系としてはきわめて混乱した状態にある、こういうものをやはり整理した上でのみ自動車新税というのは考えるべきではないのかという私の質問に対して、東畑会長は、私も全く広瀬委員と同感でございますという賛意を表されたわけなんです。ところが、急遽、暮れも押し詰まったところで、しかも予算折衝が大詰めを迎えて復活折衝の最後のぎりぎりの段階のところで答申が出されて、政府において検討しろという、税調としてはみずからの責任を回避したような形で、政府にげたをはかしたような状況になって、政府検討ということにして、この税金が、細見主税局長のたいへんな労作のようでありますが、誕生してきた、こういう経過があるわけでありますが、なぜ、税調会長がそういう発言をなさっておって、それが正しい道筋であるということを表明されておったにもかかわらず、あのような、それでは政府検討しなさいということになったのか。  税調にかけて、税調の意見を聞いて、これはやるべきだというような結論が出た上で、というのは、先ほど申し上げたように、現在の税制というものをもっと整理をし合理化をして、簡素化をして、国民にわかりやすいものにして、そして負担の合理化というようなものについても国民が合意をするというような、国民のコンセンサスを得られるような、そういう段階を経てからやるべきものであった思うのだが、政府の圧力がかなりあったとみえて、税調は一転して、政府みずからが検討しなさい、こういう答申にした。これを受けて主税局、こおどりしたかあるいはしぶしぶなりかはわからないにしても、今日われわれが審議をしておるような重量税というものを出してきた。これは苦心のあとはわかります。  私どもも、今日最も道路損傷する車種が物品税がかかってないというようなことで、最も道路損傷するというような面からいうならば、ある程度そういう面について負担を求めることも、今日の段階ではもはや必要ではないかというようなこともある。ここの公聴会におきましても、ある公述人がそういう趣旨の発言もしておられたわけだけれども、それはいずれにいたしましても、そういう自動車税制全体を通じてもう一ぺん見直しをする、洗い直しをする、そして簡素化、合理化をはかるということは、いつおやりになるおつもりですか。この税制をかりに通すというような事態になったら、これでもういままでの不合理の上にまた一つ新しい悪税を積み重ねて、一そう体系を混乱さしてそれでいいのかということについて、自動車税全体を通じて、関係税全体を通じて、いま私が申し上げた点について主税局長はどのようにこれを改善していくおつもりがあるのか。この見通しについてお聞きいたしたいと思います。
  339. 細見卓

    細見政府委員 これは全く私限りの事務的な考え方でございますが、道路関係いたしまするいろいろな計画が一段落をいたしまする昭和四十九年、今回の第六次道路整備五カ年計画が終了いたします段階におきまして、あるいは終了が見込まれる段階になりましたときに、そうした道路計画をささえてまいった自動車税もいわばそれなりの任務を一応果たすわけでございますから、もちろんその段階におきまして、現在の社会資本の状態からいたしますれば、交通関係社会資本充実というのは一そう要請されるというようなことにあるいはなろうかと思いますが、いずれにいたしましても、一つの計画の一段落、この税がその財源をささえる基礎になりました計画が一段落するときというのは、やはり一つの税そのものを見直すいい機会ではないか。その段階におきまして、現在の第六次道路整備五カ年計画におきまするような国と地方との財源、事業計画の内容あるいは事業の分担の割合というようなものにつきましても新たに見直しが行なわれるとか、そういうような段階というのは、事務的に考えまして一つの見直しの好機であろうか、かように考えております。
  340. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 建設省にお伺いしますが、第六次道路整備五カ年計画が四十五年から始まったわけでありますが、この整備計画における重点、そして目標、こういうものはどういうところにありますか、それを説明をしていただきたい。
  341. 吉田泰夫

    吉田説明員 自動車の伸びが非常に急激なものですから、先ほど来申し上げておりますようにこの五カ年では交通渋滞その他の十分な緩和ができないのでございますが、簡単に申せば現在以上に悪くしないようにというのを基本的に考えまして、以下の五カ年計画につないでいこう、このような考えでおります。  重点といたしましては、種々ございますが、まず何と申しましてもこの高密度の日本全国をささえていくためには、経済的にも国民生活の面からいいましても、全国にわたる高速自動車国道を極力整備を進める。特に縦貫的な国土の骨格になるような路線につきましては極力急いでこれを逐次完成してまいりたい。このようなことによりまして、国土の全体としての利用、可能性を高め、また時間距離を一挙に縮めて、生活の基盤として、あるいは過密過疎問題の解消の一助として機能させたい。それから、それに続きます一般国道あるいは主要地方道さらに主要地方道以下の府県道、こういった骨格の一般道路につきましても、それぞれ未改良の部分もございますし、また都市周辺部におきましては道路の混雑している隘路個所がございますので、そういったところの整備はやらなければなりません。さらに県道のうちの一部と市町村道といった生活の末端に至る道路は、都市部、地方部ともにきわめて要望も強く出ておりますし、こういったものの整備も従来非常に力が及んでおらなかったのでございますが、この五カ年  なお、そういった事業をやりますに際しましては、これも先ほど来いろいろとお話の出ておりました交通安全、こういったものに特に意を用いますとともに、特に住宅密集地区等の道路との関係につきましては、せっかくの道路が環境を破壊するということのないような工法その他を考えまして、多少の経費がかかりましょうとも、そういった生活環境との調和というものに力を入れていきたい。  道路は、全般的に幹線から末端道路に至るまでなおなお未整備の状態がございますので、このように申し上げますとかなり網羅的な重点施策ということになりますが、当面そういうことでもやむを得ないと考えておる次第でございます。
  342. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 建設省は、いま第六次道路整備五カ年計画の目標を非常に抽象的に述べられたわけなんですが、大体いま私ども道路交通の中で困っている、需要にこたえられていない道路事情というものは、大都市における交通の渋滞、車があふれて渋滞をしているという問題それから東京都内その他、たとえば宇都宮あたりの人口三十万くらいの地方の中都市といいますか、そういうようなところでも、もはや大気汚染、COガスなどによる許容量を越えているというような公害の問題などいろいろあるわけです。  さらに、そういう問題を踏まえて特に私がいま伺いたいと思うことは、こういうものを解消し、国の経済の発展と見合う貨物の動き、旅客の動き、こういうようなもののニードにこたえていく、こういうものが骨子になるだろうと思うのだけれども、そういう中で一体どれくらい車がふえていくという見通しのもとに、道路容量というものが当然あるはずでありますから、それがほんとうに効率的に道路利用されて、高速化を要求する国民の交通需要にこたえていく。あるいはまた生活圏が非常に広域化して、広域生活圏というような問題もあるわけだけれども、そういうものにこたえようという、そういう中でどれだけ一体車がふえるのかということについて、それとの関係がどういうようになっているのか、その具体的な見通しを実は通産省に資料を出すように要求をしたわけであります。ところが、欠陥車の問題であるとか公害の問題であるとか、いろいろな事情で、当面、ことしなり来年なり再来年なりというように、四十六年、四十七年、四十八年というように、この計画期間、いわゆる第六次五カ年計画計画期間にどれくらい年々ふえていくだろうかという車の増加、これを車種別にほしいと言ったのだけれども、これがいまのところついに見通しがつかぬというのです。見通しがつかぬというところで建設省は一体どういう計画を立てて――いまおっしゃったような抽象的なことは言えるけれども、うたい文句としてはいろいろなことが言えるけれども、先ほど私が申し上げたようなものの解決のためにやっていくことがどうなっているのだ、こういうことについて聞きたいわけです。
  343. 吉田泰夫

    吉田説明員 建設省といたしましては、従来自動車の伸びがこのように激しくないと思っていた時代に比べまして、非常な伸びが現実に起こっておるということでございまして、昭和五十年には、いろいろな推定の数字がございますが、おおむね二千九百万台くらいになるものと考えまして、それに対処すべき道路整備する計画を立てておるわけでございますが、遺憾ながら、くどいようでございますが、自動車の伸びがやや鈍化する五十年以後も考えまして、ようやく昭和六十年ころにまずまず渋滞のない円滑な道路ができるという長期計画を立てるしがなかったわけでございます。したがいまして、それの当面の五カ年というものが四十九年までの十兆三千五百億円でございまして、非常な巨額でございますけれども、やるべき事業があまりにも多いために、たとえば、それが四十九年度終わりました五十年の段階で自動車二千九百万台と仮定すれば、現在より交通状態がかなり緩和するというわけにはまいらない、何とか現在程度を維持するということにとどまると考えられます。  なお、昭和六十年を考えれば、道路の交通容量と実際の交通量、この延べの億台キロというものを計算いたしておりますが、これが大体、容量分の実際の交通量が〇・五三というくらいの数字になれば、つまり容量が大体倍くらいになれば、これは総体としての数字がそういうことになれば、その中に含まれる各路線すべてが大体混雑度一以下でスムーズに走れるという計算になりますので、昭和六十年にはその〇・五三という交通容量分の実際の延べ交通億台キロになるような道路整備を考えておる次第でございます。
  344. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 通産省はいろいろ今日自動車製造業界の立場あるいは市況の気迷い状態というもので、自動車がこれから先、年次別にどういうような増加の傾向をたどるかということについて、これはもちろんこれからのことですから予測ではありまするけれども、やはりここでいろいろ今度の新税道路財源に充てるのだという、道路財源の足らず前約三千億を補てんをしていくのだということが主たるねらいになっておる、そういうもので審議をしているわけですから、したがって、この道路計画というものがはたして妥当なものなのか、あるいはどうなのかということは、やはり自動車がどれだけふえていくかということと密接な関係がある、そういうことですから、ぜひひとつ本委員会にすみやかに、推定でよろしい、これはやむを得ないのだから、もう実績じゃないのだから、推定以外にはないのだから、その見込みというものを、最大限緻密な見込みの数量というもの、自動車台数の増加の傾向というものをどういうように見ていくか、これをやはり車種別に出してもらわなければ困る。これはぜひひとつ約束をしていただきたいと思うのです。次の私の審議までにやってもらいたいと思う。  きょうは、大体約束の時間九時までということで、若干超過をいたしましたから、あと残余の部分については次回に質問を留保いたしまして、これできょうは終わりたいと思います。
  345. 毛利松平

    毛利委員長 次回は、来たる十四日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。   午後九時八分散会