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1971-03-11 第65回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十一日(木曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 田中 六助君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君 理事 池田 禎治君       有馬 元治君    佐藤 守良君       進藤 一馬君    中山 利生君       羽田  孜君    三池  信君       山崎平八郎君    川俣健二郎君       細谷 治嘉君    松本 七郎君       田畑 金光君    田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業省公害         保安局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 阿部  茂君         通商産業省公益         事業局長    長橋  尚君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         労働省職業訓練         局訓練政策課長 森川 幹夫君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   佐々木秀世君     佐藤 守良君   中川 俊思君     中山 利生君   廣瀬 正雄君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 守良君     佐々木秀世君   中山 利生君     中川 俊思君   羽田  孜君     廣瀬 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中六助君。
  3. 田中六助

    田中(六)委員 産炭地域振興臨時措置法の約十年間延長になる法案を、私ども審議しているわけでございますが、さき石炭鉱業審議会中間答申を出しております。これは、石炭鉱業体制に関する当面の諸対策ということでございますが、これは昨年の十一月に出したわけですが、その後もう三月の終りですが、私どもは、ずっと意義のある、非常に有意義答申が重ねられてきておるとは思いますが、私は時代の先取りとか、非常にいま情報社会で、未来学とかいろいろなことがいわれておりますが、この審議会メンバーがちょっと気になるわけでございます。と申しますのは、一次答申から四次答申、いま五次目が行なわれんとしているわけですが、ほとんど全部じゃないかと思うのですが、変わっていない。しかも長い間の期間でございますから、別に年寄りの方を云々するわけじゃないのですが、もう少し若い人、しかも違った角度から見れる人、そういう人を委員にすべきではないか。そうすることが答申に新しい息吹きを与えるとともに、新しい観点から石炭体制というものを見なくちゃいかぬ段階になっている際に——次からずっといる人も、一つの経験あるいは学識、そういう面からはいいでしょうが、新しい人をつけ加えて、新しい観点から石炭体制を見直すという意味からでも、ひとつメンバーについて再考慮する余地があるかどうかというようなことを、大臣にお聞きしたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さような御批判があるといたしますと、私どもとしても考えなければならないと存じます。清新な見地から、建設的な御意見を持っておられる方に委員になっていただくということは、非常に好ましいことでございますので、具体的に御示唆でもいただければ、まことにしあわせだと思います。
  5. 田中六助

    田中(六)委員 直ちにいまどうこういう考えは私もございませんが、ばく然とした一つ考えとしては、時代に即応する、しかも石炭問題が非常に——日炭高松あるいは常磐、それから住友石炭というような問題が次々に山積しておりますし、こういう問題を処理する、あるいはこれらが将来の石炭産業に与える影響を考えますときに、石炭鉱業審議会の存在の意義というものが非常に重大になってまいりますので、そういう点でも、ひとつ新しい皮袋に新しい酒を盛り込むという考えを、大臣並びに通産当局がお持ちになったらどうかということを提案して、この質問は終わります。  次いで、振興法そのものでございますが、これは御承知のように、十年間の延長答申もうたっておりますし、私どももこれは一応十年間の延長がいいというふうに考えますが、政府はこの十年間の延長をしておりますが、ただ「産炭地域振興臨時措置法延長について」という答申を読みましても、項目別にやっておるわけです。それなら十年間にどうするかというビジョン、これは野党の方々、私もそうですが、せんだっての委員会事務当局質問申し上げたことですが、十年間にどうするというもう少し具体的なものが政府にあるのかどうか。と申しますのは、この答申がされて以来、いろいろな点で変化を来たしておりますし、たとえば、振興法の十一条の規定による、地方財政負担などの関係につきましての標準算式などの率の問題なども、当然いまの地方財政が苦境におちいっているさなかで、考えなければならない大きな問題でございますし、いろいろな問題が新しい時代に新しく変わっておるわけですが、政府としては、この十年間の措置というものにもう少し具体的な何ものかがあるかどうか、こういう観点から大臣質問したいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 十年間の延長というのは、私どもとしてはかなり思い切った延長を御提案しておるつもりでございます。これは、事態がいかように展開いたしましても、産炭地振興というものは地域の問題でございますから、短時間で解決をすることはできない、また不適当であるという気持ちからでございます。十年間というとかなり長い日子でございますけれども、その間における石炭問題の展開というのは、申し上げるまでもなく、かなり予測のむずかしいことでございますので、私どもとしては、どのように展開をしても、それに即応できるような体制をとっておきたいということを基本に考えておるわけでございます。
  7. 田中六助

    田中(六)委員 十年間というのは、大臣もおっしゃるように、長いようで短い。しかも、この十年間の将来を考えますと、いままで来し方の十年間とおよそ違ったものが展開していくのではないかと思います。したがって、質的な十年間を見ますときに、いままでの十年間と数倍するものが中に緻密に入っているような気がしますので、十分な対策を講ぜられることを心からお願いすると同時に、要求いたしたいと思います。  最後に、これは石炭産業の位置づけ、あるいはいろいろなものと関連するわけでございますが、じっと見ておりますと、どうもこれは個人的なあれですが、石炭部長など、何か葬儀委員長みたいで、葬儀委員長をいかにうまくやってのけるかというような気さえするわけで、大臣もそれに乗っかっているんじゃないかという勘ぐりもするのですが、それも一つ考えでしょうが、やはりエネルギー資源という観点から考えますと、日本のエネルギーという問題を十分検討するときに、やはり非常にひっかかるものがありますし、どうしたらいいかということは、それぞれ衆知を集めているわけですが、私は経営をうまくさせる一つ——ずいぶんたくさんありますが、一つ考えの中に、いままで金融機関がそっぽを向いているということが一つの大きな問題でしょう。したがって、これを助けるには、いままでの金融機関担保解除を可能にして、ある程度市中金融がうまくいくというようなこと、それには国が何か範を示さなければいくまい。そういうことがあるわけですが、そういういままでの金融機関担保解除をして、何かまた新しく入れられるというようなことは、お考えの一部にあるのかどうかお聞きしたいと思います。
  8. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  答申を受けて、第四次対策を実施する段階で、第二次の肩がわりを行なうことに相なりました。第二次肩がわり制度を行なうことに伴いまして、当委員会からしばしば、また業界からも担保抜きの問題が提起されておるわけでございますが、現行制度におきましては、肩がわりはするけれども、その途中で閉山等段階に達したときは、やはり担保権の実施が必要だという制度になっておりますために、担保を抜くことが非常に困難になっておるのが現状の実態だと存じます。ただしかし、肩がわりの進行に伴いまして、担保にすき間もできるわけでございますし、あるいは担保価値の再評価という点もございますので、これらについては、金融機関との話し合いを前提にして、担保抜きということを進めるという姿勢でおりますし、また緊急の場合には、できるだけ最大限の担保抜きをしてもらうように、金融機関との間に立って話を進めるようにしてまいっておる次第でございます。
  9. 田中六助

    田中(六)委員 政府のそういう態度はわかっておりますが、これからも、いろんな金融面のそういう担保抜きの問題だけじゃなくて、あらゆる角度から、ただ葬儀をするということではない方面からも、十分お考え願って措置されんことをお願いしまして、私の質問を終わります。
  10. 鬼木勝利

  11. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、時間がありませんので、二点について大臣質問したいと思うのであります。  最初に大臣お尋ねしたいのでありますけれども産炭地域振興臨時措置法に関連して、産炭地域振興という問題は、低開発地域工業整備法いわゆる低工法あるいは過疎立法、昨年議員立法でできたのでありますが過疎地域対策緊急措置法、それから今度農林省なりあるいは通産省との共管で出ます農林地域工業導入促進法、こういうものと比べましてどこが違うのかお尋ねいたします。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それらの法律が重複して適用されることは、別に妨げないわけでございますけれども産炭地には申し上げるまでもなく、石炭産業石炭鉱業というものの消長にほとんど全面的におぶさっておるような状況でございますから、そういう特殊な要因をとらえまして、この地域に限って振興考える、これがこの法律目的でございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 私の聞きたい点についてお答えいただいてないわけですけれども産炭地なり低開発なり過疎なり、あるいは農村への工業導入という問題と、産炭地域振興という問題はどこがどう違うのかということをお聞きしているわけです。
  14. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘の、過疎地帯あるいは低工地帯等につきましては、その地域実態として、今後、あるいは経済水準が現に低く、あるいは徐々に低くなりつつあるという状況地域につきまして、これを振興して、地域的に経済水準を上げ、地域振興をはかろうという、こういう趣旨であろうと存じます。  ところが、産炭地につきましては、いま大臣が申し上げましたように、その地域石炭鉱業というものが中核になって、一つ経済社会をつくり、一つ経済水準を維持してまいったわけでございますが、それが石炭の不況に伴いまして、閉山ということによりまして、その地域の中核的な産業がなくなるということに伴って、その地域は急速に疲弊するという状況に相なっておりますので、この急速な疲弊を計画的に、しかも急速に回復して、その地域経済社会として再発展せしめることが、時間的にも急迫、必要としている、こういう点が、他の地域開発地域の性格と異なっておる点だと存じます。ただ、先生指摘のような点につきましては、低工地帯あるいは過疎地帯山村地帯等々重複する地域もございますので、これらの点については両開発法の適用を重複して行なおう、こういうことに相なっておる次第でございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお答えからいきますと、低工法なりあるいは過疎地域なり農村への工業導入という問題よりも、産炭地のほうが深刻だ、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  16. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  振興必要性においては変わらないと私は存じますが、その現象的なショックの程度におきまして差がある、こういうふうに申し上げたいと存じます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 いずれにいたしましても、お答えは、深刻かつ急を要する、こういうことですね。大臣、そうでしょう。深刻かつ急を要するということじゃないんですか。もう一度お答え願います。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま政府委員から申し上げたとおりでございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねしたいのですが、産炭地域振興臨時措置法の六条、それから低工法過疎立法、あるいは今度国会に出されました農村地域工業導入促進法、これの十条、「地方税課税免除又は不均一課税に伴う措置」これは農村工業導入促進法の十条であります。これと産炭地域振興臨時措置法の六条を比べますと違っておりますね。深刻かつ急だというのに、なぜ法律的に石炭地域のほうが軽視されておるのですか。同じ内容じゃないんですよ。お答え願います。
  20. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、六条地域につきましては、一定以上の公共事業をしなければ補助率を上げない、こういうことに相なっておりますのに、いま御指摘法律等につきましては、全般的に補助率引き上げができるという点で異なっておって、さき委員会においても細谷先生から、これは過疎地帯等のようなやり方がいいのではないかという御指摘を受けたわけでございます。先般自治省からも、現在の運用としては、事業内容について特定して、補助率をそこから上げる方法がいいのか、あるいは事業の種類にかかわらず、一般的に公共事業としてやるのがいいのかという指摘がございましたが、この点については、われわれとしてもさらに各省と協議して改善の方向について検討さしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの答弁は、あと質問したい十一条に関連した答弁なんです。  私がお聞きしておるのは、六条の問題について言っておるわけです。この六条の問題では、産炭地域振興臨時措置法では事業税が入ってないですよ。事業税対象にしません。いわゆる交付税措置が起こらないわけです。ところが低工法過疎立法、それから今度出ました農村地域工業導入促進法では、事業税不動産取得税固定資産税三つについて「課税免除又は不均一課税に伴う措置」が規定されておるわけです。産炭地のほうは、不動産取得税固定資産税だけなんですよ。三つ税が適用されてない。二つだけなんです。差別じゃないか、イコールでないじゃないか。深刻かつ急だというなら、なぜ低工法なり過疎立法なり、あるいは今度出ました農村地域工業導入促進法と同じレベルに少なくとも置かないのかということなんです。大臣どうですか。
  22. 本田早苗

    本田政府委員 失礼いたしました。先ほどの御指摘は十一条の問題でございまして、事業税につきましては、進出企業が進出いたしまして、企業収益をあげて、事業税の納付という段階に達するまでに若干の時間がかかるということで、これが入っておらなかったわけでございまして、固定資産税等だけが対象になっておったわけであります。事業税の追加につきましては、また各省で検討をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省いらっしゃっておりますか。——お尋ねいたしますが、低工法等に基づく基準財政収入額控除額、言ってみますと、控除されるわけですから、そっくりそのまま、これは交付税として地方団体にもらえるわけですね。それが四十四年度では、自治省から出ております地方財政要覧によりますと十六億五千万円程度になっております。市町村の場合には固定資産税等でやはり相当ございます。低工法の場合に、十一億の市町村分基準財政収入額控除が行なわれておるわけですね。全体としては、低工法で四十四年度三十一億円の控除が行なわれておるわけです。四十五年度は幾らになっておりますか。
  24. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 申しわけございませんが、四十五年度の数字、いま持ち合わせございませんので、またあらためてお届けいたします。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 四十三年度が低工法関係で二十二億円、四十四年度で三十一億円でありますから、私は四十億円ぐらいになっておるのではないかと推定をいたします。  そこで大臣不動産取得税固定資産税については、産炭地域臨時措置法の六条で地方税課税免除が行なわれます。それを受けて地方団体が条例をつくりますと、その減税分については交付税で補てんされるわけです。ところが産炭地の場合には事業税がないのですよ。低工法なり過疎問題なり今度出たこれにはあるわけです。そして低工法だけで四十億近い交付税措置が行なわれておる。しかも、そのうちの事業税というのはおおよそ半分に近い。なぜ入れないのか。この問題につきましては、数年前からこの石炭対策特別委員会でも、与野党一致して、事業税を入れるべきだということを主張したのでありますけれども通産省自治省もどうしてもこれは応じなかった。拒否されてきておった。ところが、今度のやつにはちゃんと入っているのだね。そして当時の回答はどうかといいますと、低工法事業税を入れたこと自体が誤りであった、こういうことばすら出たのであります。ところが今度も出ております。もはや三本になりました。それより緊急かつ重要だといわれる問題のある産炭地域について、どうしてこういう新しい法律の出てくる段階で手直ししないのか。私はどうしても合点いかぬです。しかもこれから十年間法律延長しようとする。どうしても納得できないのです。一体どこに問題があったのか、どこが抵抗したのか、ひとつ大臣なり通産省担当者からお聞きしたい。
  26. 本田早苗

    本田政府委員 われわれとしても、本法案の改正にあたりまして、各種問題をいろいろ検討いたしたわけでございますが、結論を得るまでの時間の関係等もございまして、さしあたりどうしても必要な十年延長をまずやっておいて、その後の問題についてはさらに話し合おうということで、本問題は残したような次第でございますので、さらに時間をいただきまして結論を急ぎたいと存じておりますが、本法案提出までに間に合わなかったので、その点御容赦いただいて、私のほうとしては関係者とさらによく話を詰めて、次の機会におきまして、これについての結論を出せるようにいたしたいと存じます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 通産大臣、私が申し上げたとおり、これは問題なんです。私は、低工法だけであと法律が出ないならば、事業税を入れたことは間違いだった、引き抜きたいのだ、こうおっしゃったことを了としますけれども議員立法でありますけれども過疎地域対策緊急措置法というのが法律としてできています。新しく政府提案農村地域工業導入促進法というのが出た。事業税不動産取得税固定資産税、いわゆる三税について、課税免除または不均一課税に伴う措置が規定されておるわけですから、これから十年延長しようとする産炭地域臨時措置法の六条には、事業税を加えなければバランスがとれない。立法上これは全く不公平で、何のために十年延長するかと私はいわなければならぬと思うのですよ。  そこで、自治省なり大蔵省等にもお聞きしたいのですけれども、時間がありませんので、大臣、この次の国会には必ずこの六条を直すということをひとつここで確約していただきたい。そうでないと、ただ漫然と十年間の延長なんていうのは、この一点だけでも私は納得できないのですよ。いかがですか。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、自治省の責任の政府委員がちょうど出席しておりませんので、いずれ協議をいたしまして、後刻お答えすることをお許しいただきたいと思います。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 きょう法律が通るというわけですから、私は、十年延長して、十年延長した段階で直ちにこの法律をぜひここで、議院でも修正していただきたいのですけれども、大体きょう通そうということらしいので、自治省なり大蔵省と打ち合わせが必要と思いますけれども、どうしても大臣の決意のほどをひとつここではっきりしていただかなければ、私はこれは先へ進めませんよ。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ごもっともなお尋ねでございますので、午後、本委員会が再開されますまでに、政府側の見解を統一いたしまして、申し上げたいと思います。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは次に、十一条の関係あるいは十条の関係について少しお尋ねしたいのです。  この十一条については、この法律ができた後に実態に即して修正をしたわけですね。たいへんむずかしい計算であります。そこで私はせんだっての関連質問で、通産省から資料をいただきました。けさこの資料が届いておるわけでありますけれども、その資料によりますと、十一条の措置で、六条地域が四十四年度に引き上げられた額が三億五千万円、二条地域が八億円であります。合計十一億五千万円の補助金引き上げが行なわれたわけであります。この数字を見ていぶかしく思うのは、この法案をかつて修正した際に、これは問題があるじゃないか、一番深刻なのは六条地域じゃないか、こういうことで修正をしたいきさつがありますけれども修正目的は達成されておりません。この表にもありますように、四十年度では六条地域が百三市町村、そのうち補助率引き上げ恩恵にあずかったのは六五%、二条地域では三六%であります。四十四年度になりますと、市町村数で四六%しか六条地域では補助率引き上げの恩典にあずかっておりません。そして驚くべきことは、補助金の金額で十一億五千万円のうち七割は二条地域です。そして、わずかに三割が最も深刻な六条地域なんであります。およそ法律が期待しているところと逆の結果になっております。私はこれがふしぎに思えまして、一体二条地域というのはどこかな、こういうことで探ってみました。二条地域の四十四年度のこの八億のうち、驚くことには、北九州市が五億六千七百万円二条地域補助金引き上げをもらっているわけですよ。指定市ですよ。その指定市が十一億五千万円のうち五億六千七百万円二条地域としてもらっているわけですよ。これでは問題がある。北九州市の対象事業は九十六億。とてつもない、産炭地では考えられないような対象事業になっております。そして総額の半分近い補助金引き上げ北九州——私は北九州市にやってはいかぬということを言っているわけではありません。問題は、六条地域というのがこの法律の期待する恩恵にあずかっていないのじゃないか、こういうことを申し上げているのです。そうだとするならば、もはや十一条のこの形式の補助金引き上げではよろしくないのだ。言ってみますと、六条地域は結核の二期、三期であります。ですから、こういう開発方式補助率引き上げではいかぬのであって、ベースのほうから補助率そのもの引き上げを行なっていかなければならぬ。必要な事業については新しい補助率を設定するということでやっていかなければ六条地域は救われない、その周辺の二条地域だけが救われていく、こういうことになります。  私は北九州市を例に申し上げましたけれども、その他の私の住んでおります福岡県の二条地域で、どういうところが補助金引き上げ恩恵をあずかっているかといいますと、産炭地とはおよそ離れた町村がやはり恩恵にあずかっておる。そして、最も深刻だと思われる六条地域の田川市なりあるいはその他の町村よりも、産炭地から四里も五里も離れたところの二条地域が、それ以上の補助金引き上げ恩恵を受けているという例があります。これは問題ですよ。時間がありませんからまとめて申し上げたのですけれども大臣、どう思いますか。
  32. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  十一条関係の実情は御指摘のとおりでございますが、その点につきましては、さらに先ほども申し上げましたように、各省で協議をし、検討させていただきたいと存じます。ただ、言いわけがましくなって恐縮でありますが、一緒に差し上げました臨時交付金のほうは、六条にいっておるわけであります。十一億あるいは十二億数千万というものが六条町村に行っておるわけでございまして、これが当面の制度的なつなぎとして実施をいたしておるわけでございますが、だからといって、御指摘の問題点が全部解消するわけでもございませんので、その点については、関係各省とよく協議検討させていただきたいと存じます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 私が予測しておったように、六条地域のみ臨時交付金をやっておる、こういうことであなた逃げようとしておる。臨時交付金というのは廃山、廃鉱のところに対していろいろな目に見えない財政負担が起こってまいります。そういうことでやっておるのでしょう。十二億あるいは四十六年度十四億。これとこれとは別ですよ。これは振興の問題じゃないのですよ。いわゆるごみ処理なんです。それが臨時交付金なんですよ。産炭地振興させよう、これからさらに五年、五年とやって、一気に十年延長して、法律の所期の目的を二十年で達成しようというからには、振興面における措置、それは申すまでもなく先ほど申し上げた六条であり、十条であり、十一条なんですけれども、財政はたいへんなことでありますから、私は十条、十一条についてまっ正面から取り組まなければならぬということを申し上げておる。そのためには、開発方式のこのややこしい高等数学みたいな計算方式ではだめですよ。根っこからの補助率の改定をしなければならぬですよ、こう私は申し上げているわけですから、臨時交付金なんということで混乱させては困りますから、すなおな、ひとつ産炭地域振興のためにはどうすべきかと私は申し上げる以外にないわけですから、通産大臣、これもひとつずばり決意のほどを申していただけませんと、十年間殺さないで、結核患者を寝かせておこうということは意味がないわけですから、はっきりひとつお答えをいただきたいと思います。
  34. 本田早苗

    本田政府委員 御指摘のとおり、算式がきわめて複雑でありますが、要するに、一定の比率まで公共事業をやらなければ補助率は上げない、こういうことなのでございますが、一定の比率まで公共事業をやるための地方公共団体の財政は、六条地域のほうが弱いわけですから、なかなか該当の条件に達しない。したがって、先ほど御指摘を受けたような結果になっておる。したがってああした条件をやめて、根っこから補助金引き上げをはかるべきではないかという御指摘でございまして、この点につきましては、先ほども申し上げましたが、地方財政援助につきまして、関係各省とよく協議いたしまして、総合的な検討の上、改善に努力いたしたいというふうに考える次第でございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、だいぶ前向きな話はお聞きしたのですけれども、きょう法律を通そうということでありますから、六条の問題についてはあとで打ち合わせて答えると言っておりましたが、これは十一条もだめですよ。これではせっかく法律を十年延長したって、結核患者に動かないで十年寝ていろなんといったって、これはおよそ意味がないわけでありますから、これもやはりぜひ直していただかなければ意味がありません。ですから、ここでひとつ決意のほどをお聞かせいただいて、でなければ本会議後、法律が上がる前にぴしゃっと大臣としての決意のほどを承る、いずれかでありますから、ひとつはっきりお願いします。
  36. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、聞いてみますと、関係各省の間で、確かにいろいろ議論をいたしたようでございますけれども結論を得ることができませんでしたので、現行の法律をそのまま延長をお願いするということに立ち至ったようであります。しかし、確かに議論のあるところでございますから、今後各省でもう少し議論を詰めたいと存じますけれども、この問題は、今日じゅうあるいは数日じゅうと仰せられましても、その限られた時間の間に結論を得るということは、どうもいままでの経緯から考えますと、困難のように聞いております。したがいまして、今後検討を続けさせていただくということにさせていただきたいと思います。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 まことに私は、大臣答弁としては不満です。今度国会に公害問題で、公害防止事業をやる場合については、公害対策基本法十九条の内閣総理大臣指定した事業、それを受けて補助率が全部引き上がるのです。こんなややこしい開発方式の補助ではありません。かさ上げじゃないのです。補助率が、三分の一のものは二分の一、二分の一のものは三分の二と、こういうふうに引き上がっているのです。その内容も不満でありますけれども、一応とにかく公害対策が出ております。通産省等も、公害対策についてはあまり熱心じゃないといろいろ国会でも言われました。それと同様に、どうも生産のほうにばかり顔を向けておって、そして今日のせっかくつくったこの法律が生きるように、役立つように、効果を発揮できるようにするということについては、いささか少し努力が足りないのじゃないかと私は思う。ですから、大臣、この問題については、過去の経過がどうの——過去の経過から先ほど申し上げた六条も同じなんです。この十条についてもたいへん問題があって、それではとりあえずひとつこの開発方式を、標準算式と特別算式の二つになったわけです。そのいいほうということでやってまいりました。やってまいりまして、今日まできたわけですけれども、せっかくのこの補助金のかさ上げというのは十数億になっておりますけれども、その半分近くは、二条地域の全国に名だたる指定市であった。そして、二条地域六条地域にいっている補助金引き上げによる影響というのは、わずか三割しか六条地域に及ばないということになりますと、この法律が期待しているのと全く逆なんでありますから、これはどうしても直していただかなきゃいかぬ。過去の経過をとらえればとらえるほど、この段階では直さなきゃいかぬ、こういうことになります。もう一度大臣、これもひとつ検討して、おそくとも次の国会までには直しますというぐらい明確に言っていただかなきゃならぬと思うのです。いかがですか。
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おそらくは、通産省といたしましては、御指摘のような考えを持ち、主張をいたしておるのではないかと思いますけれども、また、大蔵省あるいは自治省においては、おのおの別の主張もあるということではなかろうかと考えます。したがいまして、各省もう少し議論を詰めまして、いずれにいたしましても、次期国会までには何かはっきりした統一見解をまとめたい、かように思います。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、最後に、どうも恋の三角関係もあるようにも思うので、この際、自治省大蔵省関係もお伺いした上で、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 ただいまの産炭地の国庫補助率引き上げ方式につきましては、現状から見まして、次第にこの方式が現実に合わなくなってきておるというのは、御指摘のとおりでございます。私どもとしましても、現在の産炭地域市町村実態から見ますと、やはり個別的に補助率引き上げるというような方向での検討が必要ではないだろうかというふうに考えておりますので、さらにこの問題につきまして、通産省のほうとも詰めまして、私どもとしましては、できる限り適切な結論を得たいというふうに考えております。
  41. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答え申し上げます。  先生質問の御趣旨は、離島あるいは過疎地域と同じように、補助率を一定にしたらどうか、こういう御趣旨かと存ぜられますが、これは先ほど先生の御指摘にございましたように、過疎地域対策緊急措置法とか、あるいはそれぞれの法律、それぞれの目的、趣旨を異にしておりまして、したがいまして、これに対する方策もまたおのおの異にすべきかと考えられます。また、産炭地域につきましては、産炭地域振興事業団、あるいは先ほど先生御批判もございましたが、産炭地域振興臨時交付金等若干手厚い措置もあるわけでございまして、したがいまして、これらをひっくるめて勘案いたしますと、まあこの問題については、にわかに当否は定めがたいところもあるかとも存ぜられます。しかしながら、先ほど先生指摘のとおり、確かに現在非常に疲弊の著しい六条市町村、これは四十四年度に百三市町村がございますが、そのうち五十七市町村補助率引き上げの適用を受けられない、こういうような問題もございますので、これを見ますと、確かに先生指摘のとおり、二条市町村との均衡を失している、こういうことも考えられます。したがいまして、当面は、先ほど通産省側から申し上げました産炭地域振興臨時交付金等の活用によりまして、六条市町村に対しまして、傾斜的な施策を配慮するということが必要かと存ぜられますが、今後につきましては、この不均衡是正のため、必要な措置を含めまして、産炭地域振興対策につきまして、各省とも緊密に連絡をとりながら、慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ大蔵の答弁、きわめて不満でありますけれども、やや前向きの感じを私は受け取りましたので、きょうは、大臣の決意のほども了といたしまして、時間もありませんから、いろいろ問題点がございますけれども、この二点だけにしぼって質問をしたわけでありますから、ひとつ善処のほどを強く要望して、私の質問を終わっておきます。
  43. 鬼木勝利

    鬼木委員長 岡田利春君。
  44. 岡田利春

    ○岡田委員 いま細谷委員から、六条指定並びに十一条の問題で質問がありましたので、それと初めの質問は関連さして御質問いたしたいと思います。  一つは、いま十一条のかさ上げの問題についての矛盾というものが明確になっておるわけですが、それと同時に、たとえば過疎地帯の場合には、僻地については辺地債の制度を認められているわけです。したがって、僻地振興のために地方債を発行して、これが基準財政需要額の中に含まれていて、元利ともに償還されるという制度が実は存在をいたしているわけです。先ほど来、過疎地帯、僻地と産炭地関係については議論がありまして、その認識については伺ったわけです。そういたしますと、他の立法との関係からいって、いまの問題について検討を加えると同時に、産炭地事業債の発行について、今日の大型閉山の傾向が漸次拡大をされてきているわけですから、この面について当然検討を加えるべき事項である、このように私は考えるわけです。大体六、七年前ですと、一炭鉱当たり閉山規模は十万トンから十一万トンくらい、それが四十三年から四十四年にかけては、二十万トンをオーバーいたしております。今後の見通しとしては、さらに大型閉山の方向に進んでまいるわけです。そういう実情から考えますと、たとえば阿寒町の人口が半分も蒸発してしまう。そうして町全体から見れば、六割を占めている地域が、爆撃にあったか、そういう状態に放置をされている。この地域振興さしていくという場合に、当然、一定の地方債を発行して、産業基盤の整備をはかる、こういう必要性が非常に顕著になってきておるのが、最近の閉山産炭地の実情であるわけです。もちろん、事業債の発行については要件もあるでしょうし、ワクもあるわけですから、私は、そういう意味において、いまの問題と同様に、産炭地域振興のための事業債発行の制度について、検討を加えるべきじゃないか、こう思うのでありますけれども、これは自治省の所管でありますから、自治省から答弁をいただきたいと思います。
  45. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 過疎地域につきまして過疎債、あるいは辺地を持っております地域における生活関連施設の整備のための辺地債というものにつきましては、いわばこれらの地域におきまして、それぞれの地域実態に応じた事業が行なわれておって、それが必ずしも各市町村画一的な事業内容ではない、こういう観点から、これらの地域事業はすべて単独事業として扱いまして、その単独事業に対する財源として過疎債、辺地債を配分いたしまして、その財源措置をするという方式をとったわけでございます。産炭地域市町村につきましては、現在は原則として公共事業を中心にいたしまして、その公共事業の国庫補助負担率のかさ上げ、あるいは府県の場合におきましては、起債の充当率の引き上げといったような措置を中心にして講じておるわけでございます。したがいまして、これらの産炭地域地方団体に対しまして、今後の振興事業に対する財源措置の行き方として、補助率引き上げ方式を中心にしてとっていくか、あるいは単独事業を中心にいたしまして、それぞれの地方団体の自主的な判断に基づいて必要な事業を実施をして、それによって必要な財源を過疎債方式で見ていくか、これは、やはり産炭地地方団体実態に応じた措置が必要であろうと思います。その点は、私どもも今後さらにそうした事業内容等につきまして十分検討いたしまして、補助率引き上げがいいのか、あるいは起債方式がいいのかという点について検討してまいりたい、かように考えております。
  46. 岡田利春

    ○岡田委員 当初の閉山の傾向の場合には、九州筑豊炭田に集中いたしたわけですから、いわば産炭地振興の方向というのは、マイニングからインダストリーの方向への転換をはかる。しかし、最近の北海道あたりの閉山を見ますと、あながちマイニングからインダストリーというわけには簡単にいかぬわけです。広く農業、畜産あるいは水産養殖事業、そういう多面的なことを実情に即応して考えなければならない、そういうのが、特徴的に最近の閉山などの産炭地振興に出てきておるという点について、注目をしなければならぬと思うわけです。そういたしますと、結局は今日の過疎地帯、僻地と同じような方向をとらなければならないのではないか。先ほど細谷委員から質問もありましたので、特にこの点については、先ほどの十一条の補助率のかさ上げの問題の解決を含んで早急に検討をし、結論を出して、すみやかにひとつ法の改正をしなければならぬ面については、法の改正を出していただきたい。このことを私も強くつけ加えて要望いたしておきたいと思います。  それから、もう一つの問題でありますけれども、二条と六条の関係でありますが、二条指定、六条の関係は、三つの要件で二条指定、六条指定が行なわれておるわけです。しかし、先ほど申し上げましたように、最近の大型閉山の動向から判断すれば、この三つの要件で六条指定をするというのではなくして、たとえば、大島は二条指定であったわけですね。炭鉱がなくなって、あの島はたいへんな疲弊の状態にあるが、依然として二条指定。まあ国勢調査の結果、ある一定時期が来れば、また六条に指定するとかといいますけれども、実際は、この法が制定されたときに指定された六条、二条は、そのままになってきておるわけですよ。こういう点では非常に矛盾があるのであって、この六条、二条の指定についてはすみやかに、これは法律の改正をしなくてできるわけですから、当然それはその時期時期に応じてやらなければならないものではないのか。一体なぜこれはやらないのか、そういう点について、私は非常に疑問に思っておるわけです。それと同時に、最近の経験にかんがみますと、今日石炭は歴史的な使命を果たしつつ、いわば撤退の方向が強いのでありますから、もうすでに閉山になった地域、大島のような例でありますが、あるいはまた大きな炭鉱が存在している市町村で、依然として二条指定の場合については、そういう大型炭鉱が存在している市町村は六条指定にするという、三要件の以外の例外条項を立てて、六条指定にすべきではないのか、そういう積極的な方向で、その地域産業構造というものを変えていく、そして閉山になった場合でも、できるだけそのショックをやわらげる体制をいまから市町村が計画的に立てていく、こういう方向が大事ではないか。そのためには、現に炭鉱の存在しておる二条の市町村の場合でも、炭鉱が存在している場合にはむしろ六条に指定をすべきではないか、こういう見解を持っているわけですが、この点もこれは自治省関係になると思いますので、その考え方について伺いたい。二条、六条の場合は、三つの要件、保護率、扶助率、それから基準財政指数があるわけですから、これは当然自治省、あなたのほうがむしろ発言は主ではないかと思うのです。産炭地振興というのは、振興する面は通産省ですけれども法律制度的なものは大蔵あるいはまた自治省の面が大きいわけですよ。通産省自治省の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  47. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  二条地域の中で疲弊の著しい地域に対しましては、産炭地域振興対策を重点的に行なうという方針をとってやっておるわけでございまして、産炭地振興の実効をあげるという基本的な考え方に基づきまして、二条地域といえどもその改善に対処するという考えでおります。したがいまして、現在のところお説のように、二条地域を全面的に六条地域に変えるという考え方を私のほうとしてはとるという基本的な考え方は持っておりませんが、先般の例もありますように、どうしても必要だという場合には、そうしたことを検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  48. 岡田利春

    ○岡田委員 この該当市町村というのはごく少ないわけですよ。炭鉱があって六条指定を受けていないというのは少ないのです。そう問題ではないのですね。しかし、大型閉山の方向が最近非常に顕著になってきているわけですから、この段階に来ると、これは、むしろ割り切って六条指定にすべきではないか、私はこう思うわけです。これは法律改正の必要はないわけですから、二条、六条の指定の問題についてはぜひひとつ検討してもらいたい。私の意見は、現に大型炭鉱が存在している市町村、あるいは第四次政策以降炭鉱が閉山した地域で、二条指定のところは六条指定にすることが、今日の情勢に適応する措置ではないか、こういう意見を前提にして申し上げておりますので、この点もぜひ含めて、先ほどの問題と同様に各省間にわたる問題ですから、検討を加えてほしいということを強く要望いたしておきます。  時間もありませんから、大臣に端的にお聞きしますが、先般も質問いたしておりますけれども、最近の閉山の動向、最近の石炭鉱業のさらにきびしい動向に対処して、いわば本格的な展望の答申を求めるか、あるいは中間答申からさらに本格答申への過渡的な答申を求めるか、あるいは石炭鉱業審議会を開いて、今日の情勢について、十分ひとつ大臣として政策のあり方や対処のしかたについて検討してもらうか、前の委員会大臣からも答弁をいただいておりますけれども、この点については、大臣として何らかの措置をとるべきではないか、そういう情勢に今日来ているというのが私の認識であります。昨今の情勢の変化に対応して、この際、大臣のお考え方を承っておきたいと思います。
  49. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、非常に変転が著しゅうございまして、将来どの辺に落ちつくのかという見通しがなかなか立てにくい段階であると考えております。したがいまして、体制委員会を開いて、そのような問題について意見交換をいたしますことは有意義であろうと思いますけれども、いまの段階で想像いたしますと、おそらく何ぴとも近い将来すらも予測できないのではなかろうかと考えますので、中間答申後の本格的な答申ということにつきましては、もう少し様子を見て御討議をお願いするのが適当じゃなかろうかというふうに私は考えております。
  50. 岡田利春

    ○岡田委員 本格答申を受けるのに、若干の情勢を見ながら十分検討していくという方向はもし理解できたとしても、今日の石炭鉱業のいろいろな動向から判断して、せっかくある石炭鉱業審議会として、そういう問題点についてどう考えるのか、大臣としては、今日、積極的にむしろいろいろな問題点について、意見を聞くという姿勢が非常に大切ではないか、そういうタイミングになってきておるのではないか、私はこう判断するのでありますけれども、そういう点についても別に審議会の意見を聞く必要がないというお考えですか。行政ぺースで、すべて現行の法律制度のもとで対処できるという確信を大臣は持っておられるのですか。この点について、お考えをお聞きしておきたいと思います。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 答申となりますと、一定の方向を示すということにならざるを得ないと思いますけれども、私どもばかりでなく、おそらく御関係の多くの方々が、帰趨というものを、現段階では見きわめにくいというふうに考えておられるのではないかと思われますので、それらにつきまして、意見交換をいたしますことは有意義であろうと存じますが、一定の方向を示すような答申ということになりますと、おそらく、ただいまそれを求めることは困難ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  52. 岡田利春

    ○岡田委員 最近の閉山の情勢は大型閉山であります。今後も閉山が起きるとすれば大型閉山、あるいは超大型閉山になるかもしれません。もしそういう情勢が心配されるとするならば、現行法律制度のもとで、いわゆる社会問題を起こさないように、社会摩擦をできるだけ避けるように対処できるという確信は、通産大臣といえどもおそらくないのではなかろうかと私は思うのです。あるならあるとおっしゃっていただけばまことにけっこうなんです。進むも退くも、現行法律制度のもとで、最も基本である社会摩擦を避けていくということは、非常にむずかしくなってきている、これだけは私は間違いがないと思うのです。そう考えてまいりますと、少なくともそれらの方向について、四十九年度以降の展望はまず若干時間を置くとしても、少なくとも四十八年度——四十九年三月三十一日までは四次政策があるわけですから、この間の石炭鉱業の情勢に対処するためには、これは相当詰めて検討に入らなければならない時期に来ていると私は思うわけです。必要があれば法律も改正しなければならないでしょう。そして新しい制度をつくらなければならぬかもしれない。あるいは、従来の経験を発展させなければならぬ場合もあるかもしれない。私はこのように受けとめておるわけですよ。私が受けとめる以上に、担当大臣としては相当けわしく受けとめておるのではないかと思うわけです。だから、そういう意味では、四十九年度以降を展望する本格答申以前に、第四次政策の延長としても石炭鉱業審議会の意見を聞く、そういう積極的な姿勢がないともう対処できなくなるという私の判断です。私の認識と判断、大臣の認識と判断は相違がありますか、お聞きしたいと思います。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かにいろいろなことが予想せられるわけでございますけれども、私どもといたしまして、ただいまの法制並びに予算措置をもって、この事態に対処できるというふうに考えております。やや長期の答申につきましては、この先いろいろなことが予想せられますので、いわば不確定要素がある程度落ちつきましたときに考えるべきではなかろうかと思っておるわけでございます。
  54. 岡田利春

    ○岡田委員 その時期が、私は大体四月から五月以降だと思うのですが、大臣はそうお思いになりませんか。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳しいことを存じませんし、また実は知る由もございませんので、何とも申し上げかねます。
  56. 岡田利春

    ○岡田委員 今日の情勢をいろいろ分析をして、大臣は御存じなくても、担当専門の局が存在しておるわけですから、やはりいろいろなことについて大臣の耳にも入っているのだと思うわけです。そういう点では、私は、別にこういう結論を出すためにという前提を置いているわけじゃないのです。しかしながら、第四次政策は三年目を迎えて中間ですよ。この時期にもう一度今日の石炭鉱業の情勢について深く掘り下げて、石炭鉱業審議会にはそれぞれの部会もございますし、いろいろな意見を聞いて、間違いなく対処できるという方向といいますか、そういう体制をとるべきではないのか、ちょうど三年目ですから第四次政策の中間ですよ。私はそう思うのですね。ですから知る知らないという問題ではなくして、とにかくいずれにしても、全体的に大体中間に来ると一回見直してみるとか、あるいは点検をしてみるという時期だと思うのです。時期については、いま私が言っているような受けとめ方を大臣はされておりませんか。
  57. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府といたしましては、いろいろな事態に対処するために、法制並びに予算措置を準備いたしておるわけでございますし、また、政府としてどのようにあってほしいという考え方を持っておらないわけではございませんけれども、具体的な事案になりますと、これは経営者あるいは労働側、いろいろの事情によってきまってくるものでございますから、政府がどうあるべきだということを申せるような仕組みではないと思います。したがいまして、政府といたしましては、いろいろなことが起こり得る可能性に対処するための準備は、私はいまの体制でだいじょうぶである、十分であると考えておりますものの、政府の意図のように事が運ぶとはきまっておりませんので、一応そのような不確定要素が安定いたしました後でありませんと中期的な見通しを立てにくい、かように考えておるわけでございます。
  58. 岡田利春

    ○岡田委員 去る四日の委員会に、大臣はほかの委員会関係で出席できなかったわけです。したがって、私は本田鉱山石炭局長にこの問題について質問しているわけです。事務当局としては、私がいままで言っているような点についてどういう方向なのか、一度検討する段階に入ってきているのではないかという質問に対して、事務当局としても、そういう点については十分理解ができますので、検討を加えなければならぬと思っていますという答弁をいただいているわけです。そして大臣がきょうの委員会に出てきて、私の質問に対する答弁を聞くと、事務当局、局長の私に対する答弁と、大臣答弁とではずいぶん認識のズレがありますよ。どういうわけなんでしょう。四日の私の質問に対する局長の答弁と、いま私の質問に対する大臣答弁とズレがある。事務当局では、別に前提を置くわけではないが、いろいろな面について事務的に検討をしなければならぬ、そういう点については理解ができますし、もちろん必要なものは審議会にも聞かなければならない——もちろん、別にこういうはっきりした前提を置いていませんよ。ところが、大臣答弁を聞いていると、頭がこんがらがってしまうわけです。そういう点、打ち合わせも何もないものでしょうか。
  59. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。さき委員会で、最近の石炭の問題とからんで、たとえば一般炭についての安定補給金の差はどうなるか、これがこの差のままでいいのか等々の御質問があったわけでありますが、これらの問題につきましては、あのときもお答え申し上げましたが、だいぶ前の委員会で参考人としておいでになりました稲葉先生も、それらの点については、安定補給金の検討ということになりますと、石炭自身をどう位置づけるか、エネルギー全体の中でどう考えるかというような問題ともからみますので、それらの点の考え方を整理する必要があるのでありますというふうにお答えになられたのは、御記憶にあろうかと存じますが、それらの点とからめますと、最近の重油のOPECの値上げ問題等々出てまいりますと、きわめて流動的な情勢にあるわけですが、そういう意味で、非常に判断のしにくい問題になっておるということを、大臣はお答えになっておると思いますけれども、われわれとしても、それらの点については、そういう意味で考える必要があるというふうに考えておるわけでございます。個々の問題ということではなくて、全体の問題として検討を見直す考え方が必要ではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。
  60. 岡田利春

    ○岡田委員 大臣、それでいいのじゃないですか。むしろ大臣は、いろいろなことをお聞きになっていると思うのです。むしろ情勢に的確に対処できるように、大臣として事務当局に検討を命ずる、そういう姿勢が今日の情勢だと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  61. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、そのとおり申し上げたつもりと申しますか、そのとおり考えておるわけでございまして、いろいろなことが予測せられますので、私どもといたしまして実は無関心ではあり得ない、非常に注意を払っておるのでございまして、事務当局もまた同様に、事態にはきわめて敏感にかつ注目して見ております。また、そのつど対処することも、いろいろに考えておりますことは、もうこれはもとよりでございまして、私の申し上げようといたしましたのは、そういう検討を怠っているどころではございませんので、それはもう非常に注意してやっておりますけれども、やや中期の長い見通しといたしましては、なかなかそういう不確定要素が目の前に多いだけに、いまの段階では立てにくうございますということを、実は申し上げたかったのでございます。
  62. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、率直な感じを申し上げますけれども大臣にいままでいろいろ質問申し上げてきましたけれども大臣石炭に冷たいのじゃないかという実感ですね。あるいはまた、大臣の体質は、石炭というものを受け付けないのじゃないかという感じですね。これは、おそらく私以外、石炭関係する人はそういう感じがあるのではないか、こう思うのですよ。そういう点で石炭というのは一産業に一局があるのですからね。鉱山と一緒になりましたけれども、部長もおるわけですから、そういう意味では、やはり歴史的に石炭の使命というものを果たさせつつ、社会摩擦をどう解決していくかという点については、注意深く検討してまいらなければなりませんし、昨今の電力事情から見ても、このままで推移すると、もう石炭産業はせっかくここまでやりながら崩壊をしてしまう、こういう危機感を私は非常に持っているわけです。そういう意味で、特に昨今の動向について、大臣としても十分調べるなり、情勢をお聞きになって、これに的確に対処していただくように強く要望いたしておきたいと思います。  時間もありませんから次に話を進めますけれども、最近の炭鉱企業の資金の問題なんですが、それと関連して、第一次、第二次の肩がわりをし、第一次肩がわりは五年度目を迎かえるわけですから、生きている炭鉱は、政府から金が半分は返るわけです。第一次も三年度目を迎かえるわけですよ。そうして肩がわりしている先は開銀——事業団も若干ございますけれども開銀が主です。約七割は開銀ですよ。政府機関ですよ。それから市中銀行。そして金を返しても担保解除しないのですよ。若干の例があるだけでどこも返していない。優良炭鉱も返さない。政府機関の開銀が肩がわりの見返りで担保解除しないのに、どうして普通一般市中金融機関解除しますか。政府金融機関ですよ。そうして第四次答申では、第二回目の肩がわりをするにあたって、こういう措置をするのだから金融機関は協力しなさい、しかも借金の残った場合には、金融機関には、二分の一保証しますと政府ははっきり約束しているのですよ。こういうこと一つすらできないで、とうてい資金の問題について対処できるものではないと私は思うわけです。政策を立てる一番肝心なところが進んでいないわけですから、もう通産省は銀行に対してはあきらめているのか、そういう努力をほんとうにしているのか。これだけ重大な問題について、大臣が、この解決に特に一歩踏み出して要請されたりしたことがあるのか、これだけ国民の税金で肩がわりしておるのに、政府が金をつぎ込んでも、前の一千億は今年度で半分も償還できるのに、担保は一切解除しないということを政府はこのまま容認をしていくのか、この点のお考え方をお聞きしておきたいと思います。
  63. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  担保肩がわりにつきましては、四次対策一つ考え方として、その方向を進めるということになっておったわけでございますが、御指摘のように、肩がわりにより、国による債務の履行が行なわれれば、担保にすき間が生ずるわけですから、担保が抜けるという状態が出てくるわけであります。ただ、御高承のとおり、必ずしも優良な担保でないという点もございますので、それがなかなか実現しがたい状態が続いてまいったわけでございますが、四十四年九月以降の件数といたしましては、百四十二件の担保抜きがございまして、五十三億一千百万、これは簿価でございますが、これが抜かれてございます。自後の資産の処理としては、それが九十三億円ほどで処分されたというふうなことになっておりますので、逐次効果があがりつつあると思いますし、先ほども申し上げましたように、特に緊急な場合には、われわれといたしまして最大限度の担保抜きを促進しておるという事態でございます。
  64. 岡田利春

    ○岡田委員 百四十二件、五十三億という金は、ぽっと聞くと大きいように聞こえますけれども石炭産業肩がわり総額全体から見たら微々たるものでしょう。約千八百何十億ですか、二千億近い肩がわりをしたわけですから、そのうち五十三億ですよ。しかも今年度、第一次分は五年度を迎えるのに五十三億、これは微々たるものですよ。そして私の推定では、大手関係有価証券だけで、二百億円程度のものを銀行は押えているはずですよ。これは解除してもらえば、すぐ右から左に金になるのですよ。私のいままでの記憶が間違いなければ、おそらく二百億に達しているでしょう。その有価証券が担保で押えられている。こういう状態。そして一方資金に詰まる。全部銀行も政府金融機関も、政府のほうでめんどう見る。これではますます詰まる一方ではないでしょうか。特に四次政策を立てた基本でもあるわけですから、この面についてどう対処するのか、大臣の決意をこの機会に承っておきたいと思います。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、事柄の性質上、一々表に出ないことが多うございますけれども政府としては、もうぎりぎりこれだけのことをするので、ひとつ金融機関においても、というようなことは常にいたしておることでございまして、事柄が事柄でございますから、一々表に出ないだけのことでございまして、かなり強い立場で、どう申しましょうか、あっせんと申しますのでしょうか、慫慂と申しますのでございましょうか、いたしておるわけでございます。
  66. 岡田利春

    ○岡田委員 雄別炭礦、閉山になって一年たって、ずいぶんスピード早く整理が進んでいるようですけれども、大体最近の動向を見ますと、銀行は一〇〇%心配なく確保できる、むしろ若干余るのではないかというのですよ。そうして一般債務者は保証は五割ですよ。労働者の未払い金及び社内預金ですら七五%ですよ。そして金融機関は一〇〇%全部まるまる回収できる。おそらく今度の日炭の場合だってそうでしょう。銀行は一〇〇%回収できるでしょう。一般債務者はどうなんですか。ある一定の一般閉山の率でほうり投げられるのでしょうか。幾ら資本主義とはいえ、結果的には実態はあまりにも片手落ちですよ。私は考えてみると、一般債務者を集めて、そういうところにはむしろ全部二重担保にして、銀行とほんとうに裁判で争って、交渉してやったほうが一番いいんじゃないかと思う。そういう正義感すら感ずるのですよ。ですから企業ぐるみの制度の立て方だって、労働者の退職金以外の未払い金や社内預金は七五%ですよ。一般債務は五〇%ですよ。そして鉱害債務については御承知のとおり。そして、銀行は結果的にゆうゆうとして一〇〇%回収ができる。残った場合には、二分の一保証するという制度政府はとりながら、実態はそうだということになれば、国民の税金を使って銀行だけを結局優遇した。政府肩がわりをして、七〇%政府系の開銀の借金を結局税金で肩がわりして返すわけですから、それが実態なんですから。そういう意味において、この点についてはもう第一次肩がわりは五年度目なんですから、十カ年ですから半分くらいは終わるわけですから、この時期にもう一度あらためて、この点は、今日の石炭鉱業の情勢からいっても相当腹を固めて対処すべきではないのか。もちろん通産当局のみならず、大蔵当局ともそういう点について十分打ち合わせをして、積極的な懇談をもうするべき時期だ。ちょうどことしの十一月ごろまできていれば、第一次肩がわりは半分返るわけです。こう判断しますけれども、この点について大臣の所見を承っておきたいと思います。
  67. 本田早苗

    本田政府委員 この問題につきましてはかねてから御指摘もあり、われわれとしてもいろいろ検討いたしておるわけでございますが、事務的には、現在の金融制度とのからみでは、なかなか問題があるところでございますが、われわれとしても、御指摘の点については日ごろから問題として意識しておりますので、さらに新しい知恵の出るようなことを検討させていただきたいと存じます。
  68. 岡田利春

    ○岡田委員 時間がありませんから……。  通産省に先ほどちょっと聞きましたけれども、先般常磐の調査に行ってまいりました。そこで問題点は、常磐炭礦は磐城礦業所全部閉山するのでなくして、西部坑一部残して千百名雇用する。問題は、いま労使間では退職財源が問題になっているわけです。退職財源を確保する場合には、全員一致、一応労働者の希望もとにかく一回整理をしてくれということですから、退職金を払うから。そうすると西部坑は五十万トン程度残るのです。残るけれども、いずれ買い上げするわけですよ。ここで、労働者が原資がないということで、退職金を低いところで認めざるを得ないということになると、退職金は払ったわけですから、あとから西部坑を買い上げれば、まるまる会社に入るわけですよ。そういう意味で、これは単に政府だけでもできないでしょうけれども、企業の責任でありますが、現行制度から判断して、地域経済の面、いろいろありますから一部残すわけですから、そういう面については政府としても応援して、それを事業団としては何か保証書を出すとか、そういう方向で金融をつけるとか、そういう面について配慮すべきではないかというのが第一点です。  第二点は労働省でありますけれども、第一次の調査では八百名が職業訓練所に入りたい。これは異常です。いままでの閉山には例のない、もちろんこれは最後に減るかもしれませんけれども、八百名おるわけです。そこで心配しているのは、訓練所に希望しても入れぬではないか。地元の労働者は二交代制度でも、一番方、二番方、三番方になれているから、二番方、三番方でもひとつ訓練してほしいという希望が非常に強いわけです。また多数おれば、別途に会社施設等を利用して職業訓練もできるわけです。希望業種等も判断して、こういう大型、大量の希望に対して、どう対処されていこうとしているか承っておきたいと思います。  それで、失業保険の受給関係の問題ですけれども、あそこは平に安定所がございますが、今度は平の安定所でやるのか、それとも結局職業紹介と同じように、出先で失業保険金を引き渡すというような考え方なのかという点を聞いておきたいと思います。  以上です。
  69. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  岡田先生お尋ねの常磐炭砿の退職金の確保の問題につきましては、交付金の六六%が退職金のために留保されるということは制度上ありまして、先生も御存じのとおりでございますが、この問題はまだ五月の問題でございまして、そういう意味合いにおきまして、交付金がどのくらいになるであろうか、したがいまして、退職金の資金源がどのくらいになるであろうかということは、現在のところまだ正確には申せないわけでございますが、大体の見通しでは、退職金の必要額から見ますとかなりの程度下回る、こういう見当はつくわけでございます。そこで、労働者の長年働いた、それに報いるために退職金をできるだけ確保したいということは、われわれ政府当局といたしましても、きわめて重大な関心を持っておりまして、やはり本筋といたしましては、会社側がその交付金で充当して、なおかつ不足する分につきましては、極力これを確保、充当するというのが当然本筋でございます。したがいまして、社長にはすでに数回この件につきまして、その努力を要請しておるわけでございまして、あるいは資産の処分なり等で、極力その不足分の資金の一部でも確保するよう、すでに数回にわたって要請しております。  なお、ただいま先生の御指摘は、おそらく西部坑の一部が今回残るのであるから、それが数年先閉山する場合に与えられるであろう交付金というものを、ある意味で担保として、合理化事業団から相当量の整備資金を出してやってはどうか、こういう御意見かと思うのでございますけれども、整備資金の四十六年度のただいま国会で御審議中の予算額というものは、一応総額で十億でございまして、予想される不足額から申しますと、かなりの程度——常磐炭砿にかりに最も好意的に配慮するといたしましても、きわめて微々たる額になろうかと思うのでございます。今後とも政府当局といたしまして、制度の許される範囲におきまして、極力その確保方につき努力いたす所存ではございますけれども、やはり本筋としては、そういったものを担保として、むしろ会社側が金融の筋をつけるとか、あるいは資産の売却をするとか、さような努力を続けてほしいと思いまして、今後ともさような方針で努力してまいる所存でございます。
  70. 森川幹夫

    ○森川説明員 お答えいたします。  常磐炭砿から一応現在退職する予定者でございまして、訓練を希望する者は、第一次のアンケート調査でございますが、約八百名程度ございます。これは第一次のアンケート調査でございますので、今後、私どもの職業安定機関なり、あるいは訓練校を通じまして、十分御相談をいたしますが、あるいはさらに希望者が変動することもあろうかと思いますが、一応私どもといたしましては、都道府県及び雇用促進事業団と十分協議をいたしておりまして、まず希望者につきましては、地元の訓練校に優先入所をはかる所存でございます。ただ、私ども、現在ございます訓練校の施設内の訓練のみならず、必要によりましては、部外に対しまして委託訓練等も実施をしたい、かように考えております。また、入所時期につきましても、通常の訓練開始時期以外にも、臨時に訓練校への入校をいたしていきたい、かように考えておりますし、またさらに、今後とも必要がございますれば、訓練機関の増設等も考えまして、訓練校入所希望者に対します訓練につきましては、万全の措置をとりたい、かように考えております。
  71. 遠藤政夫

    ○遠藤政府委員 常磐の閉山に伴いまして、一時的に大量の離職者が発生いたしますので、この就職あっせん対策といたしましては、現地の適当な個所に臨時相談所を設けまして、就職あっせんを実施いたしてまいりたいと思っておりますが、失業保険金の支給につきましても、この臨時相談所を炭住地域それぞれ数カ所設置いたしますので、この臨時相談所で就職あっせんなり失業認定を行ないます。保険金の支給は、現在原則として二週間に一回になっておりますが、これを四週間に一回、大体月に一回程度にいたしまして、保険金の支給そのものは、平の安定所で行なうようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  72. 岡田利春

    ○岡田委員 最後に大臣、これは私の提案でありますけれども、炭鉱が閉山になって政府は買い上げているわけですね。その場合に坑道も買っているわけですよ。通産大臣としても一番頭が痛いのは、いま公害問題では産業廃棄物をどうするかという問題だと思うのです。炭鉱にはずいぶん穴があるわけですよ。政府が買っているわけですよ。買っていないところの鉱山もありますよ。たとえば、原子力の場合はいま全部ドラムカンに詰めて積んであるわけです。メタルのほうは政府の資産ではございませんけれども石炭の場合には政府資産ですよ。離島だって炭鉱があったのですからね。そう考えると、この際、政府は公害対策の一環として、特に産業廃棄物のために穴を掘ってやるよりも、水があれば水を抜いたほうが早いのですから、そういう点の本格的な調査をして対処する必要があるんじゃないか、こう私は思うわけです。  なぜこう申し上げるかというと、常磐に行ったわけですよ。環境何とか事業というのは、これはなかなかいいのですね。そして産業廃棄物を使わない立て坑に埋めているわけですよ。料金を取って事実やっているわけです。非常に好評なわけです。たまたま常磐調査の結果それをお聞きしましたので、これは全国の鉱山、炭鉱を的確に把握しておく必要があるんではないか。これからのわが国の産業廃棄物、特にデリケートな産業廃棄物、地質は調査してあるのですから、通産省はそういう点の検討をし、むしろそういう面に一歩乗り出すぐらいの公害問題に対処する考え方を展開したらどうなのか、こう私は思います。これは提案という形になりますが、ぜひひとつ大臣検討をされるべきではないか、積極的に進められたらどうか、こう思いますので、問題提起だけにとどめておきたいと思います。  終わります。
  73. 鬼木勝利

    鬼木委員長 相沢武彦君。
  74. 相沢武彦

    ○相沢委員 大臣、本会議の打ち合わせ等で退席の時間が迫ってきましたので、基本的なことだけ簡単にお伺いをしておきたいと思います。  今回提出されております法律案の改正にあたりまして、これについては、単なる期限延長という安易な考え方ではなくて、今日の石炭産業産炭地域のきびしい現状というものを踏まえて、法の運用また事業の運用などの面で、もっともっと弾力的かつ有効的に考えていく必要があるのではないかと考えまして、さきの当委員会におきまして、若干具体的な提案、要望等いたして、事務当局と議論をしたのでございますが、残念ながら、政府自体これに対するあまり前向きの姿勢が見られなかったわけでございますが、大臣からもう少し前向きな答弁を期待いたしまして、質問したいと思います。  最初に電力用炭販売株式会社法でございますが、電炭社のおもな目的は、電力用炭の需給関係を円滑にすること、また、今日の苦しい状況にある一般炭の立場を価格の面からささえていく、この二つの使命がある、このように伺っておりますが、しかし現実には、この需給関係にしても、電炭社の取り扱い量というものは年々減少しておりますし、また赤字も累積をしております。また最近の公害規制の強化のあおりを受けまして、高サルファの石炭は電力会社から引き取りを断わられておりまして、それがもとで日炭若松、今回の常磐炭砿等も閉山に追い込まれた、こういうことでございまして、今後ますます一般炭の需要は急速に減少してきますし、需給の円滑というものは著しく欠けていくと思われるわけであります。  また、価格の面におきましても、原料炭に比べて大きな格差がございますし、先般の委員会指摘しましたように、低サルファの電力用一般炭というものの需要度といいますか、メリットというものは、現在鉄鋼関係が原料炭を必要としていると同じようなとらえ方をすべきではないか。そういうわけで、安定補給金に格差があることを、これまた是正する方向で考えるべきだということを申し上げたわけでありますが、そういった点にすみやかに対処されなければ、この電炭社の持っている使命というものも、今後達成されるかどうかという点非常に疑問でございます。そうして、このような実情を十分確認されまして、今後、同法による電炭社の機構の拡大強化をもう少しはかるべきではないか。また、運営面においても、充実させて、有効性をもっともっと発揮させるようにしていくべきではないか、こういうことを申し上げたのですが、それに対して、大臣はどのようにお考えでございますか。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回御提案を申し上げるに先立ちまして、この電力用炭販売株式会社のあり方について、法制的に現状を改めるべきかどうかということは、いろいろ検討いたしたわけでございますけれども、結果としては、現在の姿で法制としては十分であろうというふうに考えました次第でございます。しかし、事態は非常に流動的に変化をいたしますので、この会社の業務運営につきましては、石炭の流通面において果たすべき役割りを考えつつ、十分に弾力的に対処してまいりたい、そのように運営をしてまいりたいと考えております。
  76. 相沢武彦

    ○相沢委員 ただいまの大臣の御答弁で、弾力的に運用されるということでございますので、実際的に行政の面にどのようにあらわれるか見守ってまいりたいと思います。  次に、産炭地域振興法の十年延長の問題でございますが、今回の日炭若松砿業所、また常磐炭礦の閉山、これは高サルファの石炭ということで、公害規制を受けて売れ行きがないという、その将来の見通し等で閉山されたわけでありますが、その他現在原料炭の山であっても、石炭鉱業をめぐる情勢というのはかなりきびしいし、また非常に流動的であって、大臣もたびたび御答弁に立たれて、もう少し推移を見守りたい、少し先のことさえもなかなかどなたも判断つかないということで、非常にむずかしい情勢にある、このまま政府当局が放置をしておく、ということばは語弊がありますが、推移を見守り過ぎて、タイミングを逸して、抜本的な対策を立てない、前から言われている、本格的答申を出す時期を逸してしまうということになりますと、まだまだ相当な大型の閉山も見込まれるのじゃないか。この点はあとにしまして、そういった情勢から、今後、もしか閉山が出るとすれば、いままで以上、比べものにならないほど規模の大きな閉山が行なわれるということで、ますますこの産炭地振興策というものは、非常に重要な使命を持っているわけでありまして、そういった意味から、この法案が十年間延長されたということは、非常に当を得た措置といえるわけであります。ただ、先ほどお話もありましたように、この法案が施行された後、十年近くたつ間に、産炭地域の環境というものも非常に大きく変わっておりますし、また、多額の財政資金を投入する政策に対する国民の見方も、非常に大きく変わってきているわけであります。ですから、これまでの社会的混乱を避けるための応急措置、これは当然でありますが、それだけにとどまらないで、もっと国民経済的な合理性というものも時代の趨勢として要求されている。そういったところから、この振興法延長するにしても、今後この法案をもっともっと有効的に運用しなければならない、考えていかなければならないと思うわけでありますが、この点については、大臣の御所見はいかがでございますか。
  77. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘の点は、私どももさように考えておりますので、十年延長をお認めいただくことになりましたら、産炭地域振興基本計画、それから実施計画とございますが、これをいまの時勢と申しますか、状況にかんがみまして、見通し得る限りの将来を見通しまして、改定を行なってまいりたい。そうして、将来にわたっての計画的な産炭地振興をはかってまいりたいと考えております。
  78. 相沢武彦

    ○相沢委員 それに加えて、産炭地域振興策を、現在いろいろ開発計画があるわけですが、たとえば北海道の場合は、北海道総合開発計画もありますし、また、各地域の再開発計画、またそれぞれの広域地方振興計画、こういうふうないろいろな計画等があるようでありますが、こういったものとの調整をはかることは、非常に重要な課題であろうかと思います。こういった点において、今後関係各省庁間との連絡、協力体制を緊密化せよということも答申に出ておりましたが、この点について、具体的に政府当局としては、どのように考えておられるか。
  79. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  まことに相沢先生の御意見はごもっともだと思います。前回の委員会でも申し上げましたように、産炭地域振興と申しますのは、片方では、他の一般地域開発計画とは異なった性格を持っております。その一つは、何と申しましても、緊急を要することが一つございます。片方で多年、何十年にわたった炭鉱経営の間に蓄積された種々の人的、物的資源、あるいは技術力、こういうものがございまして、こういったものを早急に活用して、他の一般近代工業に切りかえていこう、こういうことでございます。しかし、御指摘のとおり、他方で、たとえば全国的な新全国総合開発計画とか、あるいは御指摘地域、道の計画とかいろいろございます。そういったものとできるだけ歯車をかみ合わせまして、単なる従来の産炭地振興から、国民経済の合理的な発展の一翼をになえるようにやっていくのが、長期的に見て、いまの時点では、ぼつぼつ考える時点に差しかかっている、こう思います。したがいまして、御意見のとおりに、なるべくそういった長期的な、あるいは国民経済全体の視野を加えていくように、基本計画、実施計画の段階考えてまいりたいと思います。したがいまして、御指摘の、関係各官庁との連絡も十分に、密接にやっていきたいと思いまして、現在もおおむね三カ月に一回くらいの割合で、定期的に会合もいたしておりますし、随時また必要に応じて、緊急の場合は会合も持っておりますので、御趣旨に沿い得るかと思っておる次第でございます。
  80. 相沢武彦

    ○相沢委員 大臣お尋ねしますが、先ほども岡田委員からお話がありまして、第四次石炭政策の見直し、また、四十九年以降の石炭政策というものについて、政府は早く真剣に取り組むべきだ、また、その答申を出されるべきだというお話がありました。いまも申したのですが、非常に時期が迫っておる。あまり推移を見守り過ぎて、手おくれになって、いまやるというときには、これまでまさかと思われたような炭鉱の閉山が発表される、そんなことになりかねないという心配もしているわけでありますけれども大臣、やはり石炭については、政府関係の部長さんたちから詳しくお聞き取りになって、大臣の決心で、このいま一番困難な立場を迎えた石炭政策というものに対する、ほんとうの対応策を考えられようとする御決意がどうもあまりないのではないかというような気がするわけでありますけれども、繊維問題もどうやら業界の自主規制とかで片づいたようでありますし、一つ負担がなくなったわけでありますから、大臣、本気になってこの石炭問題に取り組んで、後顧の憂いなきようにしていただきたいということを特に要望したいのでございますが、その点についての御決意を承りたいと存じます。
  81. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、たとえ繊維問題がございましても、非常に石炭問題については関心を持ってまいったつもりでございます。これからもまたそのつもりでございますけれども、なかなか政府がこうしたいということだけで、事態の動きを指図するということが、御承知のように困難なたてまえになっておりますから、政府としては最大限のことをするということを前提にいたしまして、企業側と、あるいは労働側といろいろな御相談をするということにいたしておるわけでございます。
  82. 相沢武彦

    ○相沢委員 大臣、時間をお急ぎのようですから、退席されてけっこうでございます。  あと若干の時間、事務当局にお聞きをしたいと思いますが、私も常磐炭礦へ行きまして、特に要望された点は、岡田委員からもお話のありました職業訓練所の問題でございます。離職者のうち約二千三百名が四十歳以上という、高年齢層を多くかかえておりますので、炭鉱労働者という特殊な労働態様は、どうしても新しい企業の中では適合しない要素を多く持っていると思うのです。先日阿部部長さんの御答弁がございましたように、いろいろな人的資源その他施設、こういうものは活用されねばならないということでございますけれども、そういうものを活用できる人材というものは少数に限られているし、また職種も限られていると思うわけでありまして、やはり多くの離職者の人たちが、今後新しい生活設計を営んでいく、新しい方向へ進出するためには、どうしてもやはりここで新しい技術を身につけなければならない。どうしても職業訓練所が必要であるということでありまして、先ほどの御答弁に、増設等も考える、あるいは臨時措置としての委託訓練も行なう、こうございましたが、もう少し具体的に計画を承っておきたいのでございますが、増設をしますと、当然生徒数はふえる、これまでの教員では足りなくなってくると思うのでございますが、教員をどこからどのように補充するのか、その点。それから訓練職種の拡大、これは現在内郷とそれからいわき、富岡にそれぞれありまして行なわれておりますが、ここにない職種として何を考えておられるか、そういった具体的なことがいまきまっておりましたならば、ここで御答弁をいただきたいと思います。
  83. 遠藤政夫

    ○遠藤政府委員 訓練につきましては、こまかい、ただいまお尋ねのような、どういう職種を具体的に増設するか、あるいは先ほど御答弁申し上げましたような八百数名の希望者に対して、どの程度の指導員が不足する条件になっておりますか、実は私、担当でございませんので、具体的なことをお答え申し上げかねる次第でございますけれども、職種の増設につきましては、従来炭鉱離職者の職業訓練の実績、経験等もございます。いま希望しております八百数名の人がどういった職種に、どういった方向での再就職を希望いたしておりますか、そういった実情聴取を現在行なっておる状況でございます。その結果を見ました上で、現在あります職種と、これから必要な職種、どういうものが必要になるか、そういうことを見きわめた上で職種の増設も考えてまいりたいと思っております。したがいまして、現在の施設で十分であるかどうか、必要であれば、臨時に増設あるいは分室等を設けるというようなことも考慮いたしておる次第でございますし、また関係の企業に対して、委託訓練を行なうというようなことも用意いたしておる次第でございますので、いずれにいたしましても、そういった希望者の状況を十分見きわめた上で、今後の対策を具体的に講じてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  84. 相沢武彦

    ○相沢委員 それに加えまして、常磐炭礦では、会社関係の身体障害者の方が約七十一名いらっしゃるようでございます。当地の砿業所長も、この七十一名の身障者のうち、関連企業二十社の中に二十人だけは何とか組み込んで就職させたい、このように申しておりますが、残りのあと五十人の方を特殊の職業訓練所に入所させて、将来自立できるようにさしてあげたい、こういうことを申しておりまして、特殊訓練所、設置するのは無理かと思いますが、近県等にあった場合、優先的に入所させるというような手だてを講じていかなければならないのではないかと思いますが、それについての具体的な準備を進められておるかどうか、なければ、それに対して特段の配慮をしていただきたいと思います。いかがですか。
  85. 遠藤政夫

    ○遠藤政府委員 身体障害者の方々につきましては、身体障害者雇用促進法という法律がございまして、これによりまして就職あっせんを強力に進めてまいるわけでございますが、ただいまお話しの五十名の方々がもし訓練を御希望でございますれば、現在仙台と東京に身体障害者の人たちのための訓練所がございますので、そういう施設に優先的に入所あっせんをするようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  86. 相沢武彦

    ○相沢委員 最後に、保安の点でお聞きをしておきたいと思いますが、普通の炭鉱でありましても、事故が起きたときによくいわれることは、保安第一、人命第一といわれながら、実際の現場では、保安はどうしても二の次にされておるという訴えを聞くわけでありますが、特に閉山の決定した炭鉱におきましては、坑口を締めるまでの間の期間というものは、途中でやめていかれる方もあるでしょうし、また精神的な面からも、どうしても保安に対しての気持ちがゆらいでくる、薄れていくというのが実情であると思いますが、この点について、特に閉山を決定した山に対する保安の確保ということについて、どのような対策で具体的にやられているか。
  87. 莊清

    ○莊政府委員 御指摘のとおり、終閉山まぎわの鉱山の場合、特に保安の確保上いろいろ問題が多いと存じます。先月十一日にも、高松炭礦で崩落がございまして、幸いに大きな事故には至らなかったのでございますが、さっそく福岡の局のほうに責任者を呼びまして、厳重注意いたしますとともに、崩落しました坑道は放棄をさせるという措置を実はとったわけでございます。この終閉山を控えた炭鉱につきましては、四十四年の九月に下山田鉱でたいへん大きな事故があったわけでございまして、その経験もございまして、通産省では、炭鉱保安関係につきましては、監督指導方針というものをきめまして、第一線の監督官に、それに基づいて保安監督をやらせておるのでございますが、特にそれを改定いたしまして、終閉山の情報というものをなるべく早くキャッチする、そしてそういう情報のある場合には、炭鉱の責任者に直ちに接触いたしまして、保安には特に力を入れるように十分直接注意をする、それから、監督検査の回数も極力重点的にふやせ、こういうことを実は監督指導方針として内部できめまして、第一線に流して、以来努力を実はしておったわけでございます。申し上げました高松炭礦につきましても、昨年の十月ごろからも監督検査は少ない月で二回、多い月には実は四回ぐらいやり、事故の起こりましたちょうど一カ月前、ことしの一月十日ごろでございますか、直接社長を監督局に呼びまして、十分善処方を要望もしておったわけでございますが、やはり保安というものは、幾ら努力をしても十分ということはないということを私ども痛感したわけでございます。円満な閉山をさせるためにも、それから残った山の労務状態を安定させるという大きな石炭政策の立場からも、御指摘の終閉山保安対策というものは、きわめて重要だろうというふうに私ども認識を実はしております。常磐炭礦に対しましても、私の名前で、特に社長あてに警告書をその後出しまして、幹部にも来てもらいまして、十分注意をしておるところでございますが、御趣旨を体しまして、今後特に終閉山鉱山につきましては、万全の保安をやらせるように十分努力をいたす所存でございます。
  88. 相沢武彦

    ○相沢委員 六日に常磐炭礦へ伺ったときに、ある坑内夫の方から、坑内に対する水のたまりぐあいがいつもより多いというような話をちらっと聞いたわけでございまして、私どもあそこの砿業所長にお会いしたときに、終閉山を迎える炭鉱で事故が起きている例がこれまであるので、保安については十分に対策を立てるように、絶対に事故を起こさないようにしていただきたいということを申し入れておきました。きょう実はまた確認したわけでありますが、きょうの確認では、保安のほうは十分に配置をしてやっておるようでございます。やはり監督をきびしくする、あるいは忠告をするということによって、一そう保安の確保が守られるということでございますので、そういった、局長からも通達を出されたり何かしておりますようですが、特に終閉山を迎えた炭鉱については、保安の面で抜き打ち点検ぐらいやってもいいのではないか、事故を起こさないための点検ならば、それくらいのことを思い切ってやってもいいのではないか、このように私は考えますが、今後この保安の確保については、一そう厳重にやっていただきたいということを要望しまして、質問を終わりたいと思います。
  89. 鬼木勝利

    鬼木委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時三十二分開議
  90. 鬼木勝利

    鬼木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、宮澤通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤通商産業大臣
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 午前中の細谷委員の御質問に対しまして、お答えを留保させていただいた問題がございますので、あらためてお答えを申し上げます。  事業税の追加及び補助率引き上げ措置の改善につきましては、企業進出動向、今後の石炭鉱業の推移等を慎重に見きわめ、産炭地域振興施策の充実をはかる見地から、今後総合的に検討してまいりたいと考えております。
  92. 鬼木勝利

    鬼木委員長 岡田利春君。
  93. 岡田利春

    ○岡田委員 細谷委員にかわって答弁大臣から受けましたので……。いまの大臣の御答弁は、結局検討して、結論が出れば、その結論に基づいてすみやかに政府として対処する、こういう意味と大臣答弁を解してよろしゅうございますか。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さようでございます。
  95. 鬼木勝利

    鬼木委員長 質疑を続けます。田畑金光君。
  96. 田畑金光

    ○田畑委員 この間も大臣お尋ねして、大臣からもお答えがありましたが、明確を欠く点がありましたのでもう一度質問したいと思います。  この第四次石炭政策というものは四十八年度まで、こうなっておりまするし、また、石炭対策特別会計法も四十九年三月三十一日に廃止する、こうなっております。昨年十一月二十日の中間答申も、今後の問題について若干触れておりますが、今後どうするかという点については、大臣は事態の推移を見て考えたい、客観情勢の推移を見てどうするかを検討していきたい、こういう返事がございましたが、この点について、もう一度大臣の方針というものを聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  97. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 午前中にも申し上げましたように、非常に情勢が流動的でございますし、かつ政府が一方的に方向を指図するというわけにまいらないものでございますから、なかなかいまの時点で先を見通すということは困難でございます。したがって、先般体制委員会の中間報告は出たわけでございますけれども、本報告ということになりますと、おそらく私どもばかりでなく、どなたも、ちょっといまの時点で、先をお考えになりにくいであろうと考えておりますので、本報告をいまお求めをするということは、むしろ難きをしいるものではないかという考えでおるわけでございます。  仰せられますように、四十九年度以降どうなるかということは、当然そういう問題はあるわけでございますけれども、もう少しそこらのところは時間をかしていただいて、検討をしたいと思っておるわけでございます。  石炭対策特別会計の問題もこれと同じことになるわけでございますが、特別会計をどうするかということはともかくといたしまして、その時点で、石炭の問題というのが全部片づいてしまっておるとは考えにくうございますから、何かの財源措置を講じなければならないことは、どうも当然のことであろうと思っておるわけでございます。
  98. 田畑金光

    ○田畑委員 これも、この間私、若干お尋ねいたしましたが、石油輸出国機構による原油の値上げ、この影響でございますが、国民の注目していたこの問題の経緯をその後見ますると、国際石油資本は、あげて石油精製会社にその値上げを押しつけてきておるわけであります。わが国の原油の七割、八割がひもつき原油といわれておる、そういう弱い立場にあるため、値上げをあげて石油精製会社が負担させられる、こういうような結果になってきたようでありますが、これによって、一体どれぐらい国内の業界の負担増になるのか、いろいろな見方があるようであります。二千億とか二千二百億とか、こういわれておるようでありますが、ところで、石油業界の収益状況はどうかというと、四百四、五十億から五百億前後だ、こういわれておるわけです。そうしますと、結局精製会社で値上げ分は吸収できぬとすれば、ユーザー側にその値上げの分を吸収してもらう、あるいは転嫁する、こういうことになろうと見るわけであります。そうなってまいりますと、一番大きいものはどうしても電力用の重油の値上げの問題、こういうことになろうかと見ております。さらにまた、消費者の側から見れば、灯油であるとかあるいはガソリンであるとか、こういう値上げの問題になってくるわけで、あるいはまた、石油化学産業等におけるナフサの値上げの問題等々、こういうことになってまいりますと、産業政策の面から見ても、いわゆる物価の安定という見地から見てもゆゆしい問題だ、こういう感じを受けるわけでありますが、このような動きに対して、大臣の所見を承っておきたいと思います。
  99. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびのOPECの値上げをそのまままともにかぶりますと、一応二千四、五百億円ということがいわれておるわけでございますので、現在、精製会社が、ユーザーに対して全部をかぶせるということは、不当ではないかという交渉をなお継続中であるわけでございます。したがいまして、その帰趨は、はっきりまだ申し上げることができませんが、いずれにしても、ただで済むという事態にはなりそうもございません。そういたしますと、値上げ分をただいま仰せられましたような製品に開いていくといいますか、割りかけていくということにならざるを得ないのでありまして、数量から申しましても、やはり電力などは、ある程度のものを背負ってもらわざるを得ないのではないかというふうに考えております。ナフサも数量的に多うございますけれども、負担能力がはたしてどうであろうかというような問題がございます。ガソリンについても、ある程度そのようなことにならざるを得ないのではないかと思われます。  しかし、いずれにいたしましても、最終的にどのくらいの負担増を割りかけるかということがきまっておりませんので、また、それはなるべく小さくあることが好ましゅうございますので、ただいま、おのおのについて、どのくらいということを私が推量いたしますことも、ちょっと時期的に早い、かように考えております。
  100. 田畑金光

    ○田畑委員 いま大臣のお答えにもありましたように、OPECと交渉しておる、こういうことでありますが、再交渉ということでありましょうが、なかなかこれは容易なことではないと見るわけで、そうしますと、結局、国内の石油精製会社は、あげてユーザー側にその値上げの分を肩がわりする、こういうことの公算が多いのではなかろうか。ことに、石油製品の半分以上は重油だといわれておりますが、その重油の三分の一は電力会社が使っておる、こういわれております。昨年、四十五年も、電力会社で使う重油が三千万キロリットルといわれておりますが、毎年電力の需要は伸びていくわけであります。いまの電力会社の採算からすれば、重油の値上がり分を吸収できないでもないとは思いますけれども、しかしまた、重油の値上がりが、たとえばC重油キロ当たりどれくらい電力会社の負担増になるのか、ここらあたりが大きな問題でありますけれども、いずれにいたしましても、相当額の負担増ということを電力会社も避けられないのではなかろうか、こういう感じを強くするわけであります。毎年電力の需要は一一%以上だ、こういわれておりますが、最近の電力の需要は、景気の影響を受けて、ある程度足踏み状態だ、こういうようなことも聞いておりますが、しかし、今後の景気のいかん等から見ますと、電力の需要というものが、やはりコンスタントに一〇%、一一%の増ということになるのではなかろうか、こういうようなことなどを考えてみますると、今回の原油の値上がりというものは、今後の電力の経営にも、もちろんその他の国民生活にもはね返ってまいりますが、電力の経営にとっても大きな問題だ、そういう感じを強くするわけであります。今日まで電力事業が、とにかく料金が安定をして、しかも電力事業がどんどん積極的に設備投資ができたというのも、やはり一番大きな土台は、わが国の今日までの重油の値下がり傾向にささえられた、これは当然言えると思うのでありまするが、こういうことを考えてみますと、今回のOPECによる原油の引き上げ、そしてまた、これを受けて、国際石油資本のわが国業界に対する圧力等々を考えてみますると、電力料金の今後はどうなるのか、これはわれわれとしては、非常に心配事でございますが、この点について、大臣、すでに予算委員会などでも答えられたことを、新聞などで拝見いたしておりまするが、大臣考え方をあらためて承りたいと思います。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまお述べになりましたことは、大勢としては、まさにそのように考えなくてはならないであろうと思っております。ただ、かりに電力に何がしかのものを背負ってもらうといたしましても、それがどのくらいであるかということは、先ほども仰せになりましたが、これからの問題でございます。まあ私といたしましては、いつぞやも予算委員会で申し上げたかと思いますが、当面、電力料金の値上げということは認める意思がございません。したがいまして、料金を当面上げないという前提のもとに、電力でどのくらいのものを負担をしてもらえるであろうかということになるわけでございますが、これは、今後石油業界と電力業界との折衝ということになる。今後の問題として、そのようなことはやはりなかなか避けられないのではなかろうかと思ってはおりますけれども、具体的にどうなっていくかとうことをまだ申し上げる段階ではございません。
  102. 田畑金光

    ○田畑委員 いまのお答えにもありましたように、また私もそう思いますが、どの程度電力業界がかぶるのかということ、これはまあこれからの問題だと思いますけれども、キロリットル当たり五百円くらいに引き上げがなるのではなかろうか、こうもいわれておりまするし、あるいはまた、もっと上げざるを得なくなるのではないかというようなこともいわれておりますが、いずれにいたしましても、キロリットル当たり五百円の引き上げということになってきますと、電力業界にとっても、これは相当な経営の圧迫になると見るわけであります。そこで、原油の引き上げ分がすべて電力の使う重油の引き上げになって、電力業界が原油引き上げをもろにかぶるということはごめんだ、政府としても、せめて原油の関税くらいはひとつこれを廃止するなり、この原油引き上げの緩和措置を講じてもらいたい、こういうことが強くいわれておるわけです。また、田中幹事長も同じようなことを言っているわけです。こういうようなことを考えてみますと、電力料金の値上げの問題に関連しまして、いまのような動きというものについて、大臣はどういう気持ちでいらっしゃるのか、この点をひとつ承りたいと思うのです。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どうもそこらが非常に難儀のところでございますが、さしずめといたしましては、どれだけ分の値上げをかぶるか、全体といたしまして、それをどのように開くかということを見ていようと思っておるわけでございますけれども、どうもただでは済まないだろうと考えざるを得ませんので、そこで、将来、原油の関税をどうするかという問題がやはり問題として出てまいろうと思います。ただ石炭のほうも、先ほどからお話もございますように、ことしはひょっとしてなかなか金が要るかもしれない、かなり用意をしておかなければならない年でございますしいたしますから、かりに関税の問題を、当面の問題ではございませんから先々考えるということになりますと、どこかで金をつくってこなければならないことになるわけで、そのような金をどうしてつくるかということになりますと、さらにこれは、実は財政の基本に立ち返って検討しなければならない問題ではないだろうかというふうにも思われます。この点、私には私なりの私見がございますけれども、また大蔵大臣には、大蔵大臣のお考えもおありであろうと思います。いずれにしても、しかしこれらの問題は、御承知の海外の資源開発の問題がございますので、それとの関連において、この夏ごろには根本的な問題の検討をしなければならない、来年度の予算編成の時期までには、基本の構想を立てなければならないと考えておりますので、ただいまお尋ねの点も、その一環として考えなければならないと思っておるわけでございます。
  104. 田畑金光

    ○田畑委員 申すまでもなく、原重油関税の八割以上が石炭特別会計の財源になっておるわけで、今後は、この石炭特別会計の財源そのものに今回の原油引き上げがからんで、この会計制度を存続させるのに、き然とした政策なり方針なり態度でいかんと、四十九年以降の問題どころか、それに至る間の石炭政策に非常な危険信号が出てきやせぬか、私はこういうことを心配しておる一人です。そういう意味で、私は来年度の予算編成との関連で、当然この問題は取り上げられると思いますが、最近の石炭をめぐる深刻な事情をだんだん見てまいりますと、大臣も御承知のとおりでございまして、したがって、今後石炭や企業の安定をはかっていくためには、政府石炭の政策については、あるいは一番大事な財源については、責任を持ちますよというはっきりした方針を打ち出されることでなければ、私は石炭の今後の安定というもの、といっても縮小均衡ということでございましょうが、そういうこともできないんじゃなかろうか、こういうことを心配するわけで、そういう意味におきまして、冒頭に石炭特別会計の問題についてお尋ねいたしましたが、やはり通産大臣といたしましては、この原重油関税が財源となっておる石炭特別会計、あるいは石炭の方針については、従前の線をしっかと堅持するんだ、こういうようなことが大事なことではなかろうか、こう私は痛感するわけで、この点について、大臣の御所見をもう一度承りたいと思います。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ごもっともな御指摘でございまして、さようにお考えくださいましてけっこうでございます。
  106. 田畑金光

    ○田畑委員 これはひとつ石炭部長でも局長でもけっこうでございますが、昭和三十年代に例の石炭政策が始まったのは、重油と石炭との価格競合の問題、あるいは価格競争の問題、これから出発しておるわけです。昭和三十四年から五年計画で、石炭の炭価を千二百円引き下げるというのも、重油との競争価格で競争できる石炭企業、石炭産業をつくるのだ、こういう前提であの政策が始まったわけでありますが、三十年代においては、キロリットル一万円前後の重油が、四十年代には六千円前後に下がったわけで、そこで、石炭がさらにこういう面から圧迫を受けてきた、競争で破れてきた、これが今日の石炭産業の衰退を招いた最大の原因であると見ておりますが、ただ皮肉なことには、先ほど申し上げたように、原油の引き上げに伴うて、結局電力会社の使うC重油等についても、少なくも五百円前後は上がるのではなかろうか、電力会社としても、のまざるを得ないのではなかろうか、こういうぐあいに見ておりますが、現在、C重油と一般炭との値段の方面から見た関係がどうなっているのか、この点をひとつお答えを願いたいと思うのです。
  107. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  四十五年度の上期の、電力会社で使用いたしました平均の石炭の価格と重油の価格を、石炭のトン当たりで換算いたしますと、八百二十円余りの差がございます。したがいまして、この数字は、おそらく今度は重油に換算いたしますと、千五百円を上回る格差になろうと思います。
  108. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、いま申し上げたような状況の発展から、今度この電力用炭などについても、もっと見直してもいいのではないか、特に低サルファの一般炭等については、そういう方向にこれはだんだんいくのではなかろうか、こういう感じを強くするわけです。電力会社の石炭引き取り量も、昭和四十三年、四十四年、四十五年、だんだん減ってきておりますし、四十四年は千八百八十万トン、四十五年は千四百万トン、一年間に五百万トン近く減っていっているわけでありますが、この先どうなるのか、最近の常磐炭礦とか、あるいは日炭高松の閉山など見ますと、一般炭の生産面における著しい縮小というものを、私は非常に深刻な問題として受け取っておるわけでありますが、このような原油の動きや、あるいはエネルギー事情の変化ということを見た場合に、エネルギーというものはできるだけ国内のエネルギーを大事にする、よく安全保障ということばが使われておりましたが、そういうことをいま一度私は振り返ってみてもいいのではないか、こういう感じを強くするわけであります。いまお話しのような格差が厳存しておるわけでありますが、今後私は国の石炭政策といたしましても、ここまで落ち込んできた石炭ではございまするが、やはり四十八年度までの第四次政策、それ以降どうするかという問題、こういう問題等を含めて、私は、大臣におかれても今後とも一貫した方針のもとで石炭問題に取り組んでいただきたい、こう考えておりまするが、もう一度この点について大臣の見解を承りたいと思います。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 かりに、電力側におきまして重油価格の相当の引き上げを背負うといたしましても、それがよほどの金額でない限りは、ただいま申し上げましたような石炭との価格のさやは相当まだ残るわけでございます。したがって、私どもとしましても、電力側に石炭をやはり引き取ってもらうということを要請することにならなければならないわけでございまして、この点はただいま御指摘のような配慮もございますので、引き続きそのようにしてまいりたいと考えております。
  110. 田畑金光

    ○田畑委員 今回出されておりまするこの産炭地域振興臨時措置法の一部改正法、これを今回期限を十年延長されるわけでありますが、この点はやはり産炭地域の今後の振興計画を考えてみますならば、十年そこら延長することはけだし適切である、このように考えておるわけであります。ことに、いまのような石炭事情の動き、あるいは政府の政策の推移、こういうものを見てまいりますと、石炭の前途というものを非常に暗い気持ちで見ざるを得ぬわけでありますが、それだけに、しからば産炭地域をどうするか、こういう問題が重要になってこようと考えておるわけであります。その意味において、おそらく午前中から強く指摘されたと思うのでございますが、産炭地域振興のためには、どうしてもその実施部隊である産炭地域振興事業団、この事業団の充実強化、こういう問題は一番大事なことであり、また、特に今後の運用の面等を見ますならば、大きな山が閉山をして、ある個所に集中的に離職者が発生した、また、そのために地域経済が非常に深刻な打撃を受けた、こういうような場合には、それは地理的な条件、周囲のもろもろの関係が当然考慮の上に乗ってくるわけでありますが、いずれにいたしましても、そのような場合は、できるだけ産炭地域振興事業団の一番大きな仕事である工業地の造成の問題であるとか、あるいはまた中核企業の誘致の問題であるとか、あるいは産炭地域における既存の企業等についての融資の問題であるとか、あるいはまた融資の問題等についても、融資基準の引き上げの問題であるとか、あるいは金利の問題であるとか、こういう問題等について弾力的に運営されることが最も必要になってこよう、こう考えておるわけであります。そういう意味におきまして、私たちは、石炭対策特別会計は当然今後とも大臣の責任において存続する、また政府の政策上の約束から見ても、当然存続するという前提でございまするが、その石炭政策の運用においては、産炭地域振興についてさらに重点的な配慮を加えるべし、このことを私は強く要請したいと思います。もう一度申し上げますが、閉山等々が発生した場合には、事業団の使命にかんがみて、それらの地域に応ずる弾力的な措置をすみやかにとるように、大臣としてもこれを指導されることを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 地域社会への影響、離職者対策等々影響の及ぶところが大きうございます。従来大体とるべき施策の方式については、ほぼ確立してまいったと思っておりますが、今後不幸にしてなお閉山がある、しかも相当の規模ということになりますと、やはりそれに応じた対策をしてまいらなければなりません。そういう心がまえでやってまいりたいと思っております。
  112. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田代文久君。
  113. 田代文久

    ○田代委員 まず大臣お尋ねしますが、石特は、先ほど来お話がありましたけれども、何だか葬式みたいだ、石炭部長なんか葬式屋の親分だ、こういうお話でございましたが、非常に不景気な話ですけれども、私どもは、基本的にそういうふうな考え方は正しくないとずっと思っているわけです。特に、現在政府が出しておる新全総、あるいは今度の十カ年これを延長するという法案関係などから、もう少し政府自身の基本的な姿勢を明らかにしていただきたいのです。そういうことを明らかにするために、現在日本における石炭の埋蔵量、それから可採炭量、それが原料炭あるいは一般炭などの区別、それからアメリカやソ連なんかは依然として石炭の増産計画をとっておると私は思っておりますが、数年前まではそうでしたが、現在どのような計画で進んでおるかという点を、ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  114. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どうも閉山のお話がよく出ますので、しめっぽくなってまいるわけでございますけれども政府対策は、決して閉山対策だけをやっておるわけではございません。残る人は強く残ってもらいたいという、積極的な面もいろいろ持っておりますことは御承知のとおりでございまして、今後もそうしてまいりたいと思っております。  なお、ただいま数字等についてお尋ねがございましたので、政府委員からお聞き取り願いたいと思います。
  115. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  一定の基準による算定の埋増量は、二百二十億トンといわれておりまして、可採炭量としては五十億トンといわれております。ただ、後半の国際比較の問題につきましては、いま手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。
  116. 田代文久

    ○田代委員 五十億トンというのは、実際にいまから取れる炭のことですね。アメリカやソ連の資料については、現在わからなければ、後ほど資料としていただきたいわけですけれども、全体としてやはり増産計画をとってやっているということは、そうなっておるんじゃないですか。その点どうです。
  117. 本田早苗

    本田政府委員 石炭の生産計画として、国際的な状況といたしましては、必ずしも増産の体制というものではなくて、イギリスにおきましても、ドイツにおきましても、むしろ減少をたどっておる……。
  118. 田代文久

    ○田代委員 いや、アメリカやソ連……。
  119. 本田早苗

    本田政府委員 アメリカにつきましては、資金的な面からまいりますと、やはり資金調達にかなり困難な状況が出つつあるというふうなことを聞いておりますが、これは後ほど報告させていただきたいと存じます。
  120. 田代文久

    ○田代委員 いずれにいたしましても、日本におけるこの石炭産業というのは、これは唯一の国家資源なわけですね。全くこれは非常に貴重な財源でありますし、これをどのように開発し、また、これを保存し、国家の発展のために役立たせるかということは、これは燃料資源として決定的な意味を持っていると私は思うのです。したがって、現在のような形で見通しが、これは非常に経済、採算関係ももちろんあるわけなんですけれども、流動的であるとかというようなこと、それから、非常に近視的にこの石炭産業を見て計画を立てたのでは、私たちはやはりこれは正しくないというように考えるわけなんですが、そういう点で、現在政府の姿勢というのがやはり非常に近視的であるし、あるいは、悲観的であるというような形にいっていることは、これはもう答弁やその他のあれでも非常に明らかと思うのですが、私は、そういう点では正しくないと思うのです。そういう点で、民族資源としての貴重な観点から、非常に長期性を持ってこれを見るという場合に、たとえば原料炭が少ない、あるいはまた、高サルファで現在非常に使い道が少ないというようなことがありますけれども、これはやはり国家の力でこういう問題を解決する方向へ必死に努力すべきである。そういう点から考えまして、たとえば、そういう原料炭に現在使われないようなものを使われるようなくふうですね、これは、昨年、私どもが石特から北海道を見に参りましたときにも、ごく一部には、初歩的には、そういう利用をどう高めるかという点についての研究なりされておることを私は見てきましたけれども、しかし、もっとこういうことにこそ大きな国家的援助によって、また、この予算を組んでやるべきだと思うのですが、そういう研究費などの増額ですね、これは、現在出ておるのじゃ非常に少ないと思うのですが、これはもっとどんどん増額して、そういうふうに効率の高い石炭の利用という点を考えるべきであるというふうに考えますが、その点どうですか。
  121. 本田早苗

    本田政府委員 御指摘のように、一般炭のコークス化という問題というのは、しばしば御指摘も受けておりますし、それから、問題意識として、その技術の実用化についての研究も進めておるわけでございますが、現在、補助金といたしましては、技術研究補助金の一億円の中で出しておるわけでございますが、一部には、混入比率は少ないのでございますけれども実用化しつつある。また、近く別の方法の実用化も進めようとするという段階にまで立ち至りつつあるわけでございます。
  122. 田代文久

    ○田代委員 一般的にはそういう御答弁になるかと思いますけれども、具体的、実際的には、非常に腰の入れ方が弱いというふうに考えなきゃならないのですね。石炭産業がこういうことになっておればおるほど、それこそ国家的な立場から、もう少し予算を組んで、そうしてやるべきだ。つぶれる山に金をどんどん使うということ、これはそういう言い方は非常に俗なことばで、あまり単純化して正しくありませんけれども、とにかく、後退作戦の場合に金をたくさん使うということですね。後退作戦にも使うべき金は使わなきゃならないし、これは労働者が関係しておりますから当然ですけれども、もう少し積極的な、前向きの面での予算の使い方ということを、今後もっと考えていただきたいということですね。  それから、山がつぶれた後における、閉山後における炭鉱の鉱区ですね。たとえば坑口なんか、先ほどちょっとこれは冗談かとも思いましたけれども、公害のあまり被害の少ないようなものをどんどん埋めて、穴をつぶしてしまったらというような、そういうような意見もちょっと出ておったように思いますけれども、そういうふうにして、閉山後における鉱区を処置していいのかどうなのか。私どもは、これはいままでの経験からいっても、日本の石炭産業が非常に鉱区があまりに分散し過ぎているというところで、これは生産の計画からいいましても、実際の石炭を掘る能率からいっても非常に不便である。ですから、鉱区はどうしても大きく統合すべきであるということが、常々言われながらできないというのは、それは一つの歴史的な事情があったと思うのですけれども、こういう現在のような状態のもとにおいてこそ、私は、鉱区の統廃合というようなことを、どんどん政府の計画のもとに指導し意図して、そうして閉山後における鉱区を非常に大事に保全しなければならないのじゃないか、このように考えるのですが、そういう山のつぶれた後における政府の施策、あるいはその鉱区に対する保存の問題ですね、こういう点についての御見解を伺いたいと思うのです。
  123. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  田代先生の御質問は、山の閉山後の資源をうまく活用するために、種々鉱区調整の方法はないか、また、その進め方等はどうか、こういうような御質問かと思うのでございますが、現に、石炭鉱業審議会の中に、鉱区調整部会というものがございまして、有力な委員方におなりになっていただきまして、過去におきまして何度かこういった問題を取り上げてまいっておりますし、現に実例も数件ございます。  それから、もう一つの問題でございますが、現在、閉山の事務処理に当たっております石炭鉱業合理化事業団、これが、現在いろいろ鉱区を持っている、あるいは、消滅鉱区のあとで隣接している場合、あるいは、一体的に運用ができる場合、かつ、開発が合理的に行ない得る場合というような、三つの基準に該当する場合には、よく実態を調べた上で、この鉱区調整部会にはかりまして、非常にその石炭資源が優良でありまして、この活用が望ましい、こういうような場合にはこれを認める、こういうような制度に現在なっておりまして、御指摘の点必ずしも不可能ではない、こういう現状でございます。
  124. 田代文久

    ○田代委員 ぜひそれは積極的に進めていただきたいと思うのです。  これは大臣に、先ほどの田畑委員質問との関連ですが、なお確かめておきたいと思うのですけれども、いわゆる重油、石油の値上がりの問題と関税の関係ですね。それと石炭に対する特別会計の関係、これはやはり全体的に非常に不安な問題になっていると思うのですけれども、重油あるいは関税問題のいかんに関せず、この法案が十年間延長されるわけですが、石炭の特別会計における予算規模なり、あるいはそういう内容というのは、この関税の上げ下げのいかんに関せず、いわゆる重油の値上げのいかんに関せず、政府としては責任を持って石炭に対する特別会計というのは、規模を縮小するとかそういうことはやらない。財源がどこから出るか、これは私ども考える必要はないと思いますが、それをひとつはっきりと御答弁願いたいと思うのです。
  125. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 特別会計を将来どうするかという問題を一応別にいたしましても、やはり石炭の問題で要る金はどうしても要る金でございますから、つくらなければなりません。この点は、財源がないからやめるというようなこともすべきものではない、こう思っております。
  126. 田代文久

    ○田代委員 それでは、日炭若松礦の閉山あるいは常磐の閉山の退職金の問題ですが、常磐の問題につきましては、先ほども同僚委員からいろいろ御質問があっておりましたが、労働者が働いておって、そして閉山になって失業して、退職金を心配しなければならぬというようなことは、全くひどい現実だと思うのですね。退職金なんというのは、やめたら無条件に一〇〇%ということでいくのが当然なことだと思うのです。働いて、もらうべき退職金があとでもらえるかとかもらえぬかとか、あるいは何%こげつくかとか、こういうことは、全く労働者に対しましては相すまない話でもあるし、国家の政策としてもあまりにも無策だということになるのですが、高松の今度の閉山に関して、三月三十一日で閉山ということになっておるらしいのですけれども、退職金は労使間で大体話し合いがついておるのかどうなのか。それはどういう形で話し合いがついておるのか。それから、その支払いというのは、完全に支払う見通しがついているのかどうか。この前の委員会かなんかで、交付金の六六%はとにかく優先的にということはわかるのですけれども、退職金はもちろん、それだけではありませんし、そういう関係の見通しですね。労働者には迷惑をかけないという指導は当然さるべきでありますし、またそうされておると思うのですが、その状況はどうなっておるか、御答弁願いたいと思うのです。
  127. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答え申し上げます。  今回の日炭の閉山に伴います退職金問題でございますが、目下労使の間で妥結を急ぐべく、交渉が行なわれておる最中でございます。労働者の側といたしましては、長年働いた職場でもございますし、坑内で命をかけたあとのことでもございますので、これが少しでもよけいにほしい、この気持ちは当然でございまして、私ども通産省におりまして、この関係の仕事をいたしまして、いつの場合でも、できるだけたくさん退職金が彼らの手に入るように努力をしておる次第でございます。  ところで今回の日炭の件でございますが、会社側の報告によりますと、目下の要求といたしましては、いわゆる退職金協定による退職金の要求は、一人頭平均で百七十万円、これはいわゆる職員層と労働者層で分けますとまたいろいろ違ってまいりますが、それが総額にしまして約三十億。そのほかに、組合大会を数回やった結果、各種の加算金というかっこうで九億六千五百万円、約十億弱の加算要求が出ております。したがいまして、合わせますとちょうど四十億弱というのが、目下組合側から提案されている要求でございます。  これに対しまして、支払いの財源の見通しとしましては、実は二日ほど前、私のほうの審査を経た上で、石炭鉱業合理化事業団から交付金の示達を会社側にしたのでございますが、この金は五十億八千万円でございます。したがいまして、先生も御存じのとおりと思いますが、労務債のために優先して留保しておくというのが六六%でございますので、この五十億八千万に六六%をかけますと約三十三億になろうかと思いますが、この三十三億は、文句なしに退職金ないし未払い賃金に充当をされるものでございます。したがいまして、目下の組合要求どおりからいきますと、約七億という金額が不足するわけでございます。しかし、労使の間で目下いろいろと折衝を続けておる最中のようでございますので、その金額のまとまりについては、いまの時点におきましては、私どものほうからこれ以上ものを言うのはちょっと差し控えたい、こう思うわけでございますが、経営者に対しまして、あらゆる努力をして円満な妥結をはかり、かつ退職金をできるだけ円満、早期に支払うことができるように考えるよう、現在指導もいたしており、今後も要請をしてまいる所存でございます。
  128. 田代文久

    ○田代委員 ぜひ、労働者の不幸にならないように指導をしていただきたいということを要望しますが、最後に一点だけ鉱害の問題について質問いたします。  これは高松関係ですが、高松の若松坑が閉山になります前に、いわゆる日炭高松といわれていた時代に一坑、二坑というふうにだんだん閉山して縮小してきて、そして現在に至っておるわけでありますが、この前の閉山のときに、地方の公共団体あるいは関係者に対して、鉱害の復旧を十分しますという条件のもとに、閉山ということにいったわけですね。ところが、昭和四十六年度までに復旧することを約束して、念書を入れたりいろいろ争いにならないようにしておったにもかかわらず、現在、高松一坑の閉山の際の交付金のうち、鉱害復旧に回すべき七億八千万円の大半を、再建資金のほうに流用してしまっておる。したがって、そういうことから当然鉱害復旧がおくれるわけなんですが、三月一日の現在で水巻町における残存鉱害は、これは高松炭鉱が中心なわけですが、三十八億九千八百万円も残っているということなんですね。これをどうしてもらえるかということです。たとえば公共建物の学校などが、まだ復旧にならずにがたがたしたままになっているとかいうことで、実際地元の人はかんかんになっているわけですね。今度閉山をやって、そして交付金をもらって、その何%かはその復旧費に回すとかいっているけれども、実際にこれをやってくれるかどうかという問題があるわけですね。ですから、今度閉山をしたとしますとまた新しく鉱害が出ると思うわけですけれども、そういう鉱害に対して会社は、また政府は、地方の公共施設なりあるいは民家なんかに対して不安のないように、全責任をもってその鉱害の復旧を完了させることができるかどうか。またそういう指導に対して、万全の措置をとるというかっこうで臨んでおられるかどうか。そういう点、御答弁願いたいし、それから小学校の床が非常に不安定で勉学に支障を来たしているというような事態もありますので、そういうことの関係で、一ぺん政府自身が実際に調査に行って、そして手を打つというようなことをしていただけるかどうか、そういう点を私ははっきりしていただきたいと思うのです。もしそういうことができぬということになれば、私たちは別途また考えなければならないから、はっきりした御答弁を願いたいと思うのです。
  129. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、日本炭礦が四十一年に旧高松一坑を閉山する際に、再建を前提にして被害者と話し合いまして、閉山後の処理を約束したわけでございますが、現実の状況は、経理事情が好転しない等のために進んでおらないというのは、御指摘のとおりでございまして、まことに遺憾に存じます。この点につきましては、今後閉山交付金の中から、鉱害復旧の資金を留保いたしまして、これを使用することはもちろんでございますが、今回、日本炭礦が閉山いたしますと、非常に大きな鉱害が残るということになるのも御指摘のとおりでございます。このままでは、御指摘のように被害者の保護について欠けることに相なりますので、被害者、関係地方公共団体等の協力を得まして、いま申し上げた閉山交付金、あるいは今後は無資力制度等を活用いたしまして、残存鉱害の処理を国として行なっていく所存でございます。
  130. 田代文久

    ○田代委員 学校の調査はどうです。
  131. 本田早苗

    本田政府委員 実態の調査等は、事業団あるいはわれわれのほうでよく実情を見させます。
  132. 田代文久

    ○田代委員 ぜひそういう点は急速に手を打っていただいて、地元のいままで石炭産業に協力してきた方々、地域に対して、不安を与えないように指導し、処置していただきたいことを要望して、質問を終わります。
  133. 鬼木勝利

    鬼木委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  134. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  135. 鬼木勝利

    鬼木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  136. 鬼木勝利

    鬼木委員長 この際、本案に対し、田中六助君、岡田利春君、相沢武彦君及び田畑金光君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。岡田利春君。
  137. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  案文の朗読をもって、その趣旨説明にかえさせていただきます。     産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、産炭地域振興対策について、産炭地域振興基本計画及び同実施計画をすみやかに作成し、次の事項の実現につとめること。   (1)最近の大型閉山に対処し、各省庁間の強力な協力体制を確立して施策を推進すること。   (2)大型閉山の発生地域に即応する対策として、緊急に産炭地域振興事業団による土地造成を行なうようつとめるほか、進出企業に対する融資条件について特段の配慮をすること。   (3)産炭地域市町村に対する産炭地域振興臨時交付金については、てい減率等を改善するほか産炭地域振興事業制度の設定、産炭地域振興臨時措置法第十一条の国の補助率引き上げ制度の改善についてすみやかに検討すること。  二、最近の石炭需給動向にかんがみ、石炭の流通体制の確立をはかり、電力用炭販売株式会社の販売業務及び石炭近代化専用船の運航業務の改善を検討すること。以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  138. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これにて提出者の趣旨説明は終わりました。   これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  139. 鬼木勝利

    鬼木委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。   この際、ただいまの附帯決議につきまして政府の所信を求めます。宮澤通商産業大臣
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、善処いたします。     —————————————
  141. 鬼木勝利

    鬼木委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  143. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十六分散会