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1971-03-16 第65回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十六日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 進藤 一馬君    理事 橋口  隆君 理事 中村 重光君    理事 吉田 泰造君       石井  一君    稲村 利幸君       遠藤 三郎君    小川 平二君       神田  博君    木野 晴夫君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       藤尾 正行君    前田 正男君       増岡 博之君    山田 久就君       石川 次夫君    岡田 利春君       中谷 鉄也君    松平 忠久君       横山 利秋君    相沢 武彦君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         中小企業庁長官 吉光  久君  委員外出席者         外務省経済局国         際機関第二課長 大鷹  弘君         大蔵大臣官房審         議官      平井 廸郎君         農林省農林経済         局国際部長   吉岡  裕君         通商産業省通商         局国際経済部長 室谷 文司君         通商産業省貿易         振興局貿易振興         課長      原山 義史君         通商産業省繊維         雑貨局繊維雑貨         政策課長    大石 敏朗君         通商産業省繊維         雑貨局雑貨第一         課長      藤谷 興二君         通商産業省繊維         雑貨局雑貨第二         課長      和田  裕君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   前田 正男君     木野 晴夫君 同日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     前田 正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業特恵対策臨時措置法案内閣提出第五  〇号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業特恵対策臨時措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出があります。順次これを許します。木野晴夫君。
  3. 木野晴夫

    木野委員 私は、中小企業特恵対策臨時措置法案につきまして、政府考え方をお聞きしたいのでございます。  特恵関税制度は、南北問題を解決するために考えられました異例の制度でありまして、対象なしに関税を引き下げるという制度でございます。これは南北問題を解決するための異例な措置でありまして、このことにつきましては、広い視野から検討すべきであると思うのでありますが、それとともに、国内産業に与える影響がきわめて大たるものがあるわけであります。各国におきましても、国際経済的な視野と、それからもう一つは、国内産業にショックを与えないという、この二つの大きな課題をばどのように調整するかということを努力いたしながら、この問題に取り組んでおるように思うのでございます。  ことにわが国におきましては、産業構造が重工業化しておるといいましても、たとえばアメリカで申しますと、輸出につきまして、繊維とか雑貨とか、そういった軽工業品の占める割合が一二%ないし一五%というふうな話を聞いておるのでありますが、わが国におきましては、やはり三〇%を占めておるというふうな状態でございます。したがいまして、国内に対する影響は他の諸国以上にきびしいものがあると思うのであります。ことにまた、そういった繊維雑貨輸出先を見てまいりますと、われわれがいま南北問題としてとらえておりますところの韓国台湾、東南アジア、そういった諸国とまさに競合する部分が非常に多いのでありまして、私は、他の国以上にこういった点の実情をしっかり把握して、そうして国内産業に対する影響につきましては十分な配意が必要であると思うのでございます。この制度全体につきまして、関税定率法の一部を改正する法律案というのが大蔵委員会に出ておりますが、私はその席上この点を大蔵大臣にただしました。大蔵大臣からも、この二つ命題を解決するために十分に努力する、そのためには国内産業に対しては、混乱のないように、万遺憾のないように処する覚悟である、こういう話がございました。国内産業に対する影響につきましての対策、これが講ぜられましたのは今回の法案であるわけでございますが、この法案の中に入ります前に、政府当局のこの特恵関税に対する考え方、これにつきましてお伺いいたしたいのであります。
  4. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 木野先生のおっしゃいますように、今回の特恵関税は、発展途上国に対する特恵供与という問題が、南北問題の解決にたいへん寄与するということはもちろんでございますし、またその国々に輸出あるいは所得を増大させて工業化を促進させる、そういう意味先進国が一致して行なう経済上の経済協力としての意義を持っておるし、先進国の一員としてわが国も国際的な責任があるということだと思います。また特恵供与は、長期的には、発展途上国経済成長を促進することによって、わが国輸出拡大わが国産業構造高度化にも結びつくものでございますから、これと前向きに取り組むことは、長期的に日本の国益に利するものと考えますけれども、しかし反面、この特恵供与によって与えられる中小企業の問題、これはたいへんなものがあるかと考えております。  中小企業近代化ということはもちろんやらなければいけないし、また国際競争力に勝ち得るような体質にしなければいけない、そういうことは非常に重要なことでございますけれども、政府は従来から、いろいろな業種別産業構造改善とか、あるいは中小企業振興事業団高度化事業の促進とか、政府関係中小企業金融機関からの融資とか設備近代化とかいう諸施策を行なって充実強化をはかってまいりました。特恵影響を受ける度合いが高いと思われる業種に対しては、これからも、その業種最小限の悪影響しか受けないようなことをやっていきたいということで、いま先生がおっしゃいましたように、金融上とか税制上の助成措置を今後とも積極的に行ないたいという考え方でございます。
  5. 木野晴夫

    木野委員 ただいま小宮山政務次官から、政府としましてはこの二つの大きな命題を解決するために万全の措置をとる、という御意見があったわけでありますが、この二つの大きな命題を解くために、われわれといたしましてもしっかりした態度で臨むべきであると私は思うのでありますが、特恵を供与しようとしておる国におきまして、実情を見てまいりますと、かえってわが国よりも競争力が強いというふうなものもございます。韓国とか台湾とかないしは香港、そういった諸国におきまして、また諸地域におきまして、繊維製品雑貨につきましては、かえってわが国よりも競争力が強い。そのために、特恵を供与いたしますと、従来でもわが国に対する輸入が激増しておりましたが、さらにそれがふえるのではないかというふうな事態があるわけであります。私たちも、そういった点につきましては問題があると思っておるのでありますが、特に業界におきましては、そういった点について割り切れない気持らがあるのではないかと思うのでございます。特恵制度につきましては、そういった場合に、あるいは一般品目のほかに例外品目SP品目制度がある、またエスケープクローズの条項がある、また場合によっては緊急関税制度があるというふうに、いろいろの制度考えておるという説明も、実は大蔵大臣から大蔵委員会でございましたが、そういった制度があることは当然で、そういった制度のあることから政府気持ちも私はうかがえるのでありますが、これが運営にあたりまして、そういった気持ちで臨んでいただかないと、制度があるからそれでいいのだというのでなくて、運営面もございますから、ひとつ運営面におきましても、そういった気持ちでやっていただきたいと思うのでございます。  後ほどこの特恵関税対策臨時措置法案について申し上げますが、この法案の所掌は通産大臣であると思うのであります。しかしながら、都道府県にも権限を委任いたしております。そういった場合に、通産省担当の分野はもとより、都道府県の末端に至るまで、どうかひとつ、いまの気持らで徹底していただかないと十分でないかと思うのでありまして、この点につきまして政務次官考え方をお伺いしたいと思います。
  6. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりに、確かに競争力の強い地域その他もございます。そういうものも私らは勘案して、極力、中小企業影響を受けない、被害が最小限でとどまるような施策を、今後ともやはり都道府県にもやっておきたいという考え方でございます。
  7. 木野晴夫

    木野委員 中小企業特恵対策臨時措置法案の内容に入りたいと思いますが、この法案実施されるのはいつであるか。おそらく特恵関税制度と平仄を合わせてとなると思うのでありますが、この法案実施がいつであるか。十月一日より早い時期において政令で定むる日となっておりますが、いつであるか。そうして他の先進諸国ではどういうふうなスケジュールになっておるか。そのことを、中小企業庁長官または通産省担当の方でけっこうでございますが、お聞きいたしたいと思います。
  8. 吉光久

    吉光政府委員 本法案施行期日についてでございますけれども、附則の第一項にございますように、「昭和四十六年十月一日までの間において政令で定める日から施行する。」こう規定されておるわけでございます。これは後ほど関係局のほうからお答えいただきますけれども、各国情勢その他との見合いの問題があるわけでございますけれども、私ども、実はこの対策法につきましては、できるだけ早い時期に施行していくのが一番現実情勢に合うのではないであろうか、こういう考え方をいたしておるわけでございます。したがいまして、EECあるいはアメリカ、それぞれの事情によりまして、特恵関税を供与するということになろうかと思いますけれども、この法案の趣旨といたしておりますところは、それらの国におきます輸出相当影響を受ける、その影響からどう中小企業者を守ってまいるかというふうなことになるわけでございますので、したがいまして、あえて各国特恵関税が供与される日を待つまでもなく、早目にこの法案施行体制を整えてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  9. 室谷文司

    室谷説明員 ただいま、特恵実施時期につきまして、各国どのような状況になっておるかというお尋ねでございますが、今回の特恵制度につきましては、発展途上国貿易を拡大することによっていわゆる南北問題のための寄与に資そうということで、昨年の十月の国連貿易開発会議特恵特別委員会におきましては、先進各国が一九七一年のできるだけ早い時期に特恵実施する目的で必要な立法措置その他を進めるということに合意を見ているわけでございます。したがってわが国といたしましても、この決議に沿いまして、本年中のできるだけ早い時期に特恵実施したいということで、目下のところ七月一日を一応目途としているわけでございます。  よその国につきましては、まだ正式に時期を確定した国はございませんが、現地大使館等からの情報によりますと、米国を除く国におきましては、おおむね本年夏から秋にかけて実施をいたしたいという意向と見られております。特にEECは、七月一日、日本と同様に一応実施目途としたいという考えがあるということを非公式に聞いておる次第でございます。米国につきましては、法案の作成につきましてはほぼ完了しているけれども、議会への提出時期は未定、そして議会提出された後におきましても、かなり長い公聴会が必要とされるという状況がございまして、米国におきましては特恵実施は若干おくれて、早くとも秋以降だというふうに思われます。
  10. 木野晴夫

    木野委員 ただいま答弁のありましたように、十月一日よりも早い機会において、わが国におきましては七月一日を目途に、続きまして各国でも、それぞれそれと前後いたしまして実施する、こうなってくるのでありますが、先ほど申しましたとおり、わが国は特に中小企業ウエートの多い国であります。織物を例にとってみますと、全部で五万七千軒あるといわれておりますが、そのうち従業員が九人というのが八六%。メリヤスが全国では一万四千軒ありますが、九人以下というのが七二%を占めている。まさに中小企業ウエートの非常に大きいところであります。これは繊維についてでありますが、軽工業雑貨品につきましては、私はそれ以上に中小企業が多いのではないかと思うわけでありまして、いよいよこれが実施になってまいりますと、非常に影響を受け、それが対策も差し迫ってくるんじゃないかと思うわけでありまして、政府におきましては十分にこれが対策に当たられるように、特にお願いいたしたいのであります。  それで、特恵関税実施になりますと、わが国特恵関税実施したことによって、外国から入ってくる品物があります。そのためにわが国国内産業影響を受けるというのもありますし、やがてはまた外国実施いたしますと、わが国輸出いたしているものがそのために減退する、こういったことで影響を受ける場合があります。法案の第三条第一項の一号にこの点が書いてありますが、中小企業庁長官にお伺いいたしたいのでありますが、競争関係にある物品の輸入が増加し、もしくは増加する見通しがあるために困るのだという業種と、それから輸出が減退するために困るのだという場合があると思うのでありますが、こういった業種にどういったものがあるか、例示的でけっこうですが、あげていただきたいと思います。
  11. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように、輸出輸入両面におきます影響考えられるわけでございます。したがいまして、この法律におきましては、第二条の「定義」におきまして、特恵供与につきましては、わが国特恵を供与した場合のほか、さらに他の先進諸国特恵を供与した場合、この両方を含めて「特恵供与」という定義の中に規定をいたしたところでごございます。  そこで、いまお尋ねの問題でございますけれども、輸入面につきましては、これは国内法でございますので、関税暫定措置法でいろいろと波打ちぎわの線での相当慎重な配慮が行なわれ、またいろいろの手続がとり得ることとなっております。したがいまして、現に輸入がふえておるというふうなものについて影響が出てまいるわけでございますけれども、輸入制度自身についての運用によりまして、その影響相当程度緩和することが可能ではないかというふうに考えるわけでございます。ただ、一応考えられます品物として、現在SPで扱っておりますような、特に繊維関係につきましてのいろいろの製品、あるいは、かつらでございますとか、人形でございますとか、あるいは目下香港については決定を見ておりませんけれども、そこらがどう入ってくるかというふうなことによりまして、輸入面影響も、さらに業種的には広がりを持ってまいるというふうなことが考えられるのではないかと思います。  それから、輸出面での影響でございますけれども、御承知のとおり、特に日本軽工業品アメリカ市場に非常に大きなウエートをもって輸出されておりますが、そういうふうな商品につきまして、アメリカ特恵関税がどのように供与されるかということと関連して影響が出てまいるわけでございますけれども、現在予想されておりますようなアメリカのスキームでございますと、特に輸出比率が高い業種、しかもそれが対米輸出比率の特に高い業種というふうなものについての影響考えられるわけでございまして、二、三の例で申し上げますと、たとえばプラスチックすだれでございますとか、あるいはクリスマス電球でございますとか、グローブ、ミットでございますとかというふうな、特にアメリカに対する輸出比率の高い業種というふうなものについて影響が出てくることが考えられるのじゃないかと思います。
  12. 木野晴夫

    木野委員 長官のお話でございますと、輸出輸入両面につきまして、影響のある場合には考えるんだということであります。輸入面につきましては、わが国でいろいろ制度考えてやれるわけでありますが、アメリカの行なう特恵につきましては、これはいかんともしがたいということも言われます。私が見てまいりますと、輸入面につきましても問題はあります。輸出面につきましても、実は非常に問題がある業種が多いわけであります。したがいまして、単に、輸入で入ってくる、さあたいへんだというんじゃなくして、輸出は伸びない、そのために業界が非常に苦しむという場合もありますので、両面にわたりまして万全を期していただきたいと思うのであります。   〔委員長退席橋口委員長代理着席〕  それで、第三条を設けまして、そういった業種につきまして「相当数中小企業者事業活動支障を免じ、又は生ずるおそれがあると認められる」場合と書いてあるわけでありますが、これは二つに分けまして、「相当数中小企業者事業活動支障を生じ」というのは、一体どういうことを考えておられるのか。それから「又は生ずるおそれがある」というのは、一体どういうことを考えておられろのか。私は、何もこれを二つに分けてじゃなくして、実際問題としては、生ずるおそれがあればもうやるんだということでいいと思うのでありますが、字句解釈として、前段はどういった事態をいっているのか、後段はどういったことをいっているのか、そうして全体をどう読むのかという長官考えを聞きたいと思います。
  13. 吉光久

    吉光政府委員 ここで「当該事業を行なう相当数中小企業者事業活動に」と、こういうふうに規定いたしておりますのは、その事業を行なう相当部分とは違いまして、相当数という意味でございます。したがいまして、その事業それ自身の持っております、たとえば事業者の数その他等によりまして、「相当数」という読み方も変わってくるかと思うわけでございまして、少なくとも私どもは、こういう特恵が供与されることによりまして、その事業を行なう中小企業者につきまして中小企業政策的な配慮をしなければならないというふうな、そういう事態を予定いたしておるわけでございます。したがいまして、数で申し上げて、たとえば半分以上とか、あるいは二割とかというふうな、固定的な概念で考えるというふうなことは避けてまいりたい。そのために「相当数」というふうな表現を使わせていただいているわけでございまして、実情に応じまして弾力的に対処できるというふうなことで、「相当数」ということばを使わせていただいておるところでございます。  それから「支障を生じ、又は生ずるおそれがある」、これは現実の問題といたしまして、できるだけ早く、支障が生じないうらに、おそれのある段階指定をしてまいるということが必要であろうかと思うわけでございますけれども、一応、判断要素といたしまして、たとえば、昨今におきます売り上げ高、あるいは利益率、あるいは在庫率の問題でございますとか、あるいは設備稼働率の問題でございますとか、そこらのいろいろの諸要素等から具体的には判断されてまいるということになろうかと思うわけでございますけれども、ともあれ、そういうふうないろいろの諸元から見まして、できるだけ早く、そういう「出ずるおそれがある」というふうな事態認定をいたしていきたいというふうに考えておりますけれども、現実表現の問題といたしましては、おそれの段階だけに指定ができて、現実に生じた場合にできないということになったら困るというふうな配慮から、実は「支障を生じ、又は生ずるおそれがある」という両方表現をいたしておるわけでございまして、現実運用の問題といたしましては、こういう指定というものはできるだけ早くやるべきである。したがいまして、できるだけ早くそういうふうな「おそれがある」という諸元を集めて作業してまいるということが、現実の問題としては必要になってくるであろうというふうに考えております。
  14. 木野晴夫

    木野委員 この「事業活動支障を免じ、又は生ずるおそれがある」、そして「相当数」というのは、別に半分とかなんとかいうんじゃなくして、救済しようと思うものは救済できるんだというふうなつもりだという話もございました。私も、この字句のこまかい点につきまして、いろいろ質問もしたいと思うのでありますが、時間もございませんので、その点につきましては十分に考えていただきたい。この法案が通りまして、あとで字句解釈になりまして、「相当」とあるのだからやはり半分以上は倒れなければだめなんだ、ないしは「おそれ」とあるのだからやはりある程度困らなければだめなんだということで、そのためにこれの発動がおそくなったというのでは困るのでありまして、この「事業」であって、しかも「政令で定める」とまで書いてあるわけでありますが、この「政令で定める」というのなんかも早くやっていただく。業界が倒れて、それから審議会を開いて、そうして政令というのじゃなくして、大体悪いのはわかっておりますから、前広に前広に持っていくというふうな行政的な配慮が必要である、このように思うわけであります。  また、それにつきましては各品目ごと所管大臣がきまると思うのでありますが、政令できまるわけでありますから、大蔵省を含めまして、政府全体としまして前広に前広にということでなければならぬと思うわけであります。  それとともに、これだけではだめでありまして、都道府県知事認定ということがさらに要るわけでありますが、都道府県知事におきましても、いま長官のおっしゃったような、先ほど政務次官のおっしゃったような、その気持ちでいっていただかないと、私は、国民として非常に割り切れない点があるのではなかろうかと思うわけであります。現に、特恵関税が施行されるということで、業界におきましては、日夜鳩首協議して、どうしたものだろうと言っておるというふうな段階でありますので、この認定関係につき、ましては、少し前広にやる、そうしてそういった国民の心理的な不安の起こらないように前へ前へやるということを、特にお願いをしたいのであります。政務次官の御意見をお聞きしたいと思います。
  15. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 木野先生のおっしゃいますように、私たちとしても、前向きで業種指定政令も前向きで拡大して考えていきたいと考えております。
  16. 木野晴夫

    木野委員 そういうようなわけで、認定の作業が都道府県知事段階で行なわれまして、いよいよ新しい事業に転換する、こうなってまいりますが、その場合におきまして先立つものは資金であります。大蔵大臣は、私も大蔵委員会におきましてこの点について聞きましたところ、出すべき金は十分に出して、しかも機を逸せず出してやるつもりだという財政当局としての御意見がありましたが、私はこの点につきまして、この資金の手当てといいますものが大事であると思うわけであります。中小企業振興事業団で、グループとして転換する場合には十億円の資金考えておる、また公庫で、個人として転換する場合には十五億円のワクがあるといいますが、私はこれではまだ少し不十分じゃないかと思うわけであります。これからでありますから、当初としてはこのくらいはという気もしますが、しかし、これからこの特恵の問題に取り組んでいくときに不十分ではないかと思うのであります。一番の担当通産省におきましても、十分に資金ワクをば用意するように、そしてまた大蔵省におきましても、特恵対策につきましての資金につきましては十分に考えるように、財政面、税制面、金融面、すべてにわたって万全を期す必要があると思うのでありますが、それにつきまして政務次官の御意見を聞きます。
  17. 吉光久

    吉光政府委員 ただいまお示しいただきましたように、中小企業振興事業団高度化資金の中に、さしあたり十億円という事業規模を組んでおるわけでございますけれども、実はこれは一般ワクの中に組んでおりますので、したがいまして、現実資金需要が出てまいりますれば、十億というのは固定されたワクではございません。一般関係の案件分として八百二十七億に相当する事業規模というのがございます。したがいまして、ほんとうにそういう意味での需要があるようでございますれば、この十億円ということにあくまでも拘泥してまいるというふうな態度はとらないつもりでおります。それから中小企業金融公庫の特恵転換貸し付けでございます。これも一応さしあたり十五億円という貸し付けワクを組んでいるところでございます。現実に実際問題といたしまして、これを上回る旺盛な需要がございますならば、これはやはりこのワクは一応のめどでございますので、したがいまして、その需要の増強に見合いまして現実的な処理をいたしてまいりたい、そういう意味で、できるだけ御迷惑をおかけしないように金融面での配慮をいたしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  18. 木野晴夫

    木野委員 中小企業庁長官から、十億ないし十五億というのは、特恵のそのものずばりのそれであって、その計画が中小企業近代化、合理化、振興関係に関連するのならばそれ以外のワクも使ってやれるんだということであります。その点につきましては、われわれも、ただいまお聞きしましてそれなりに考えていきたいと思うのでありますが、ひとつこの対策につきましては、資金は十分見るように、そうしてあたたかい気持ちで見てやってもらうようにお願いをいたしたいと思うのであります。  それで、特恵関税につきましては、実は私も、七月一日実施になると相当深刻な影響のあることはわかるのでありますが、やってみますと、それ以上に深刻な場合もあると思うのであります。やってみますと、それ以上深刻である、たいへんだということが起こるかもしれないのであります。それで、やはり十億とか十五億、これをふやしていくということが、次年度以降において必要な場合も出てくると思うのであります。それで、いま十億、十五億と考えられておって、それ以外はこうあるんだということだけではなしに、この特恵そのものとしても、ワクをふやしていくというふうなことが必要じゃなかろうかという事態もあるんじゃなかろうかと私は思うわけでありまして、その点につきまして長官の御意見を伺いたいのです。
  19. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもも、実はこの金融面のワク、一応のめどとして考えているだけでございまして、したがいまして、ほんとうに資金需要が旺盛であるというふうな事態でございますれば、その事態に応じまして弾力的に資金運用を行なってまいりたい、こういう基本方針で処理させていただきたいと思っております。
  20. 木野晴夫

    木野委員 それで、転換の資金手当てにつきましてはただいま話がありましたが、中小企業振興事業団ないしは中小企業金融公庫、こういったところが貸す場合、担保を要求するのでありますが、担保につきましては、法案にもありますとおり、従来、特別小口は現行五十万円だったのを八十万円まで上げていく、無担保保険の現行三百万円まで、それはそのままでありますが、そのほか普通保険がある。これは千五百万円を二千五百万円に改正したい。近代化保険の三千万円はそのままでございますが、特恵の場合には、特恵関連保証ということでそれぞれ倍額まで伸ばすということがございましたが、こういった点は十分にお考え願ってと思うわけであります。といいますのは、いま困っておる業種といいますのは、実はいまから何年か前には非常に外貨をかせいでおった。内容のよかった時分もあるわけでありますが、そういう時代ではなしに、いま苦しんでいる時代でありますから、担保とか保証とか、そういったことにつきましては特段の配慮をお願いしたいと思うわけでございます。時間がございませんので、この点につきましては法案で私も承知をいたしておりますのでこの程度にいたしますが、担保とか保証とか、そういったものにつきましては十分に配慮を願いたいと思うのであります。  それで、業種転換をいたします場合に、こういった業種に転換したいということになるわけでありますが、こういった業種に転換したいということは、転換しなければいかぬということはわかっておりますが、実はいまからでもたいへんだというような状態にあるわけでありますし、場合によりましては、ことしはいいと思っておったが来年からなるという場合もあります。しかし、そうかといって、十年たってから特恵影響がいまあらわれたという場合も困ると思うのでありますが、こういった特恵措置法の適用になる業種転換、これは期間をどのくらいに考えておるのか。それからまたもう一つは、それでは転換を考えた、きょうからやれ、一カ月以内だというわけにもまいらぬと思うのでありますが、どの程度までの間に転換すればいいのか。こういった点につきまして、中小企業庁長官はどういったように考えておられますか。
  21. 吉光久

    吉光政府委員 特定業種として政令指定がございまして、大体おそらく、転換というふうなことをお考えになるのは、その指定されてから五年ぐらいまでの間にはお考えになるのじゃないだろうか、こういう感じがいたしております。  それから、転換計画につきましても、すぐにどうというふうなことをおきめになるのは非常にむずかしい問題があろうかと思います。したがいまして、おそらく、ある企業の方が転換を意図され、それが転換を実際に終わられるまでには、少なくとも三年ぐらいは要するのではないだろうか。要するに、ある程度の長期的なめどをもって計画をお立てになるというふうなことになるのではないであろうか、というふうに考えております。
  22. 木野晴夫

    木野委員 それで転換の場合ですが、これで転換したのだ、これがまた特恵の対象の事業だという場合があるわけですが、ずばりその業種だけでない場合もあるわけでありまして、いろいろあるわけでありますが、これで転換したのだということが言えるのは、どういう状態で言えるのか。たとえば私が一つの事業を営んでおって、それが今度の特恵認定事業になった、そこで私がその事業のうちの一割を転換した、そうして転換したのでございますと言った場合に、なるほど転換したからよろしいということになるのか。ないしは半分ぐらい転換しなければ転換と言えぬのじゃないかというのか。それともすっかり転換しなければだめだというのか。その点がどうなっておるか。  それからもう一つは、実は私が工場を三つ持っておる。会社でしたら、株式会社A会社、株式会社B会社、株式会社C会社。その場合にたまたま、株式会社A会社というのはいま自分が持っておるのでありますが、駅前にあって、町のまん中にある、これを転換する。その場合には、全部転換しますから、まさにA会社については転換と言えるわけでありますが、中小企業でございますから、個人で三つそれを持っておる。そうして、Aについてはもうすっかり転換するのだ、しかしながらBとCとは残すのだという場合もあるかと思うのであります。ところがその場合に、あなたは三つ工場を持っておって、Aの工場だけ転換しているじゃありませんか、AとBとC全部やらなければだめだ、ないしはAとBをしなければだめだ、Aだけではだめだというふうなことになるのか。私は、そういった転換といいます場合には、できるだけ転換を円滑にやらせてやりたい。したがいまして、無理をしてA、B、Cみなやれというのでなくして、その個人として合理的である場合には、Aだけを認めてやっていいのではないか。その場合でも転換と認められはしないかと思うのでありまして、その点につきまして長官考え方を聞きたいと思います。
  23. 吉光久

    吉光政府委員 最初に、「事業の転換」というのは、どういう場合に転換したというふうなことになるのか、というお尋ねに対するおお答えから申し上げたいと思うわけでございます。  ここで「事業の転換」というふうに言っておりますのは、普通の場合におきましては、ある業種に属する事業から他の業種に属する事業に変わること、これを「転換」というふうに言っておるわけでございます。ところが、この業種概念をいわば標準産業分類的なものだけに抱泥して考えますと、「事業の転換」がいささか狭きに失するというふうなこともあり得るわけでございます。したがいまして、むしろ、状況によりましては、何も標準産業分類によらない考え方もあろうかと思います。  私どもも、実はこの「事業の転換」というのは、そういうふうな広い概念でつかまえておるわけでございます。たとえば、標準産業分類によりますれば同じ玩具でございましても、ぜんまいつきの玩具と、それから電動機つきと申しますか、要するに機械装置つきの玩具とは異質のものでございます。こういうふうに、それが異質のものとして判断されるということであれば、これもまた「事業の転換」という中に含めて考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。単純な形式主義には拘泥しない、実質通念的に、社会通念的にそれが違った種類のものであるというふうに観念されるようなものにつきましては、これはやはり「事業の転換」である、こういうふうに考えてまいりたいと考えておるところでございます。  そこで実は、それを具体的に表示いたします場合に、どういうところで具体的に現象が出てまいるかということでございますけれども、これは原則的な問題でございますが、普通の場合におきましては、いままで使っておりました機械設備等につきまして、それが相当部分新しい他の機械設備等に置きかえられていくというふうな結果が出てまいるだろうというふうに考えます。これは全部転換しなければ「事業の転換」とは言わないというふうには考えていないわけでございます。要するに一般的な場合には、その相当部分について転換が行なわれれば、それは「事業の転換」であるという考え方に基本的には立っているところでございます。  ところで、いまお示しの、ある同一人の持っておりますA、B、Cという工場につきまして、これは分工場というふうに一応使わしていただきますけれども、A、B、Cという分工場がありました場合、Aだけではだめであるとか、あるいはBと一緒でなければ、あるいはA、B、C全部一緒でなければだめであるというふうな、一方的にそういう形態だけでつかまえるということではないんではないであろうか。これは、具体的な実際の事業規模がどういう形で分布しておるか、その他によって、いろいろと回答も異なってまいろうかと思うわけでございますけれども、少なくともA、B、Cすべてでなくてはだめだというふうな、かたくなな考え方で処理すべきものではない。むしろ、さきにお示しのA、B、Cが、それぞれ対等の事業量を持っておると想定いたしましたとする場合、おそらく、こういう指定される業種につきましては、計画的に何年間かでA、B、Cを他の業種に転換されるという場合が多いであろうというふうに考えるわけでございますけれども、最初にAだけの転換であるということも十分にあり得るわけでございまして、つとめて実情に合うように「事業の転換」という問題を解釈してまいりたいと考えております。
  24. 木野晴夫

    木野委員 いま長官から、そういった解釈については実情に合うようにという話がございましたが、転換業種につきまして、これはいけない、これがいいということが起こってくるわけでありますが、これにつきましても、実情に即してやっていただきたいと思うわけであります。と申しますのは、法案が通ってしまうと、この条文でこうだからというように機械的に解釈せずに、いま申しました、実情に即するように運営していただきたいと思うわけでありまして、こういった特恵関税でこの問題が起こったのでありますから、あたたかい気持ちで見てやっていただきたいと、率直に申しまして、申し上げたいのであります。  それで、転換業種の場合に、アパート、そういったものもよろしい。また食堂、そういったものもよろしいが、風俗営業にかわるやつはいけない、しかし食堂はいいじゃないかというふうに、できるだけそういった点の配意、親心はあってもいいのではないかと思う部門でございますので、この点についての運営につきましては、十分実情に即して情理備えた線でお考え願いたいと思うわけであります。政務次官の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  25. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃいますように、事業の転換については、実情に即したような形で、風俗営業の中でもバーとかキャバレーとかいうものを除いて、ボーリング場、レジャー施設、旅館業というものについては、今後も積極的にこういう範囲を広めて認めていきたいと考えております。
  26. 木野晴夫

    木野委員 今回の特恵問題といいますのは、別に、業者がなまけておって、そのためにこうなったのではないと思うわけであります。普通の関税制度で来ておって起こった問題でもないわけであります。南北問題を解決するために、開発途上国を援助するためにとられた措置でありまして、言ってみますると、台風が来たというふうな感じもするわけであります。台風が来たならば、やはりそのあとの救済措置については十分な配意が必要じゃなかろうかと思うわけでありまして、そういった点で、この制度、それからその救済措置について十分にお考え願いたい、このことを思うのであります。  それで、きょうは時間もございませんので、かけ足でずっと申し上げましたが、実は、皆さん方の考えていられるように、深刻な問題があるわけであります。たとえば繊維について申しますと、先ほど申しましたメリヤスとかセーターとか、非常に小さい業種が多い。そして台湾とか韓国とかの競争力はむしろ向こうが強い。香港なんかが地域で入ってくる。これなんかも割り切れない点があるわけであります。しかしながら、制度としましては、先ほど申しました大きな視野から見なければいかぬ点もあると思いますが、これが対策につきましては、ひとつ十分にお考え願いたいと思うわけであります。  それからまた、実は非常に小さい業界でございますが、繊維雑貨につきましてこういった業界があるのでございます。それは実は私の付近に多くあるのでありますが、人造真珠の業界がございます。人造真珠に対する特恵関税は現在五五%であります。一〇%をまけるというので五五%の特恵関税が供与されるわけであります。ケネディラウンドで下がってまいりましても、最終二七であります。そういった大きなハンディキャップがつくわけであります。そしてその業界は全生産の九二%がアメリカへの輸出だ。したがいまして、これに対する影響は目に見えておるのでございます。この業界は、ほかの業界以上に中小企業、小企業ばかりであります。そしてそれが一つの町にかたまっておりまして、町全体が特恵関税の嵐にさらされるというふうなところであります。しかもこの業界が、御承知のとおり、人造真珠は昔は外国から輸入しておったのでありますが、明治四十年ごろからこういったのを入れまして、いろいろ苦心に苦心を重ねて、昭和十一年には重要輸出品になっておった。そして輸出を大いにやりなさい。いなかのことでございますから、輸出貢献産業工場ということで、それを工場の壁に掲げて輸出ばかりやっておった。ところが、一たんこうなってまいりますと、まともにあらしを食らうというような状態であります。こういった状態の業界では、転業でどうだといいましても、転業する余地はない。もうやめざるを得ないんだということに追い込まれる業界があるわけであります。ほかにも軽工業品その他があると思うのであります。  たとえば、今回の中小企業特恵措置を見てまいりますと、日本の国が産業高度化しなければいけない、近代化しなければいけない、そういった意味考えているのだというのでありまして、事態のうちには、私は廃業するのだ、そうしてそのままやめてしまうのだというふうな事態もあるわけでありまして、この点につきましては、今後の問題として十分にお考え願いたい。もちろん、前のものをやめてくるのだから廃業は認めておるというようなことをいわれるようでありますが、転業せずにそのままやめてしまうというのがあります。そういった場合に退職金が払えないということも起こりはしないかと思うわけでありまして、今後の問題としまして、そういった深刻な事態というものにつきまして一そうの検討をしていただきたいと思うのでございます。その点につきまして政務次官の御意見を聞きたいと思います。
  27. 吉光久

    吉光政府委員 お示しのように、非常に深刻な事態が出てくる業界ということも、やはり私ども施策の前提として考慮しておかなければならないと思っております。さしあたりの問題といたしましては、そういう廃業だけされる方、要するに仕事をやめて他の仕事におつきになる方というものにつきましては、こういう転業施策ということでカバーできておるわけでございますけれども、もうやめっぱなしであとは何もされないというふうな、いわゆる廃業でございますけれども、廃業だけやられるということがどの程度ございますか、業種によりましてはあるいは出てまいる場合もあろうかと思います。  御承知のように、いま、一般的なこういう廃業対策の問題といたしまして、中小企業近代化資金等助成法に基づきまして、いわゆる構造改善準備金を組合の中に積み立てまして、この積み立てられました準備金を廃業交付金として交付するというふうな制度があるわけでございます。これは税制上の恩典が与えられておりますけれども、こういうふうな制度を活用され、あるいはまたさらに、そういう制度を前提といたしまして、特別の立法あるいは特別の予算措置等をもって、ある特定の業界に対して廃業交付金を交付している、こういう事例もあるわけでございます。したがいまして、それらの個別的な業種実情に応じまして、そういう点につきましての立法その他の予算措置を積極的に考えてまいる、こういうふうなことになろうかと思っております。  それからなお、信用保証の特例をお願い申し上げておるわけでございますけれども、この信用保証制度につきまして、たとえばいままでの旧債を整理してまいる金とか、あるいはまた退職金に充てますためのお金でございますとか、そういうふうな資金需要に対しましても、保証の対象になるよう配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
  28. 木野晴夫

    木野委員 そういった業界におきましても、やはり昔からの伝統のある事業だ、父祖伝来の事業だということでがんばっていかなければいかぬということで、近代化、合理化、協業化を進めておるわけでございます。私は、そういった場合にひとつ十分な相談の手を差し伸べていただきたいと思うわけでございます。それで、たとえばA、B、Cというのがやめて、そうして新しい転換事業を起こすということもありましょうし、A、B、Cはそのままおるのだが、実は組合で土地を持っておるのだ、それを活用してやりたい。これからはいろいろ宣伝もしなければいけない、統一商標もつくらなければいけない、だから、たまたま駅前にある組合の場所を利用してやろうじゃないかということもあるわけでありまして、転換そのもののワクではないと思いますが、それに関連する、たとえば八百五十億の中に含まれそうな事業もあるわけでありまして、そういった場合、ひとつ十分に考えていただきたいと思うのであります。先ほど申しました、そういった悪い業界の中で、やめる人も出てくる事態もあると思うのでありますが、実は残すものは残してがんばっていこうじゃないかというのが、この転換で苦しんでおる人たち気持ちではなかろうかと思うのでありまして、その点につきまして特に政府にお願いいたす次第でございます。通産政務次官のその点についての考え方をお聞きしたいと思います。
  29. 吉光久

    吉光政府委員 特恵対策の基本的な問題といたしまして、あるいは基本的な心がまえといたしましては、やはり近代化をさらに促進してまいる、これが縦の太い柱であろうかと思うわけであります。しかし同時に、転業しなければ新しい成長がつかめない、こういう業種にとりましては、やはり転業対策というものでこれを補ってまいることが必要であろうかと思うわけであります。  いま御指摘の点は、近代化施策を一方において進めます場合に、あるいは展示場等を共同して持とうというふうな御指摘ではなかったかと思うわけでございますけれども、これは実は、この転業対策という中では考えておらないわけでございますけれども、積極的に近代化を進めていくためのいわゆる共同施設事業、これは振興事業団の高度化資金等の対象になりますけれども、その中では、事業協同組合の組合員のための共同施設というふうなことで展示場等が取り上げられます場合には、対象の中に入っておるわけでございます。したがいまして、この法律運用のみを通じてではなくて、他のいろいろの中小企業施策を通じまして、その業界の成長、発展がはかられますよう、よく具体的事情、事情に応じまして、そういう点での御相談にあずかりたいと思っておるわけでございます。
  30. 木野晴夫

    木野委員 先ほど申しましたとおり、特恵関税の問題は非常に重大な問題でありまして、影響も深刻なものがあると思うのであります。どうかこれからの推移に応じて適切な措置をとられますように、そうしてまた末端に至るまでその気持ちをば十分に徹底させていただいて、あたたかい気持ちで対処されますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  31. 橋口隆

    橋口委員長代理 松平忠久君。
  32. 松平忠久

    ○松平委員 委員長はいつ出られますか。
  33. 橋口隆

    橋口委員長代理 午後から参ります。
  34. 松平忠久

    ○松平委員 それでは、委員長はただいまどういう用件で外出しておるのですか。委員長に対して質問があるのだから……。
  35. 橋口隆

    橋口委員長代理 いまちょっと連絡をしております。
  36. 松平忠久

    ○松平委員 どこへ行っておるのですか。委員長のここにおらない、外出した理由をお聞きしたい。あなたはどういうことでもって委員長と交代したのですか。
  37. 橋口隆

    橋口委員長代理 委員長がやむを得ない用事があるからということでちょっと……。
  38. 松平忠久

    ○松平委員 やむを得ない用事というのは、どういうことですか。
  39. 橋口隆

    橋口委員長代理 しばらくお待ちください。調べてすぐ……。
  40. 松平忠久

    ○松平委員 それでは、委員長への質問はあとにしましょう。  この特恵の問題が、わが国において、あるいはいわゆるB国というか、先進国の間において問題になり、そして今日の段階に至ったその過程でありますけれども、これは、特恵というものを与えなくてはならないんだ、そういうふうに世界的に議論が煮詰まってきて今日になった経過でありますけれども、そもそもこの問題が国際的に議題にのぼったのは何年ぐらい前なんですか。それをまずお伺いいたしたい。
  41. 平井廸郎

    ○平井説明員 この問題が正式に国際会議におきまして議題にのぼりましたのは、一九六三年、ガットの大臣会議においてでございます。
  42. 松平忠久

    ○松平委員 したがってこの問題は、ジグザグコースがあるけれども、いずれは特恵というものを開発途上国には与えなければならない、こういう考え方が、いまおっしゃるとおりに一九六三年。しかもその前に、特恵とは直接の関係はないけれども、わが国の産業の中で、たとえばトランジスターラジオについては、一石、二石、三石というような軽工業に近いものとか、あるいは、先ほども出ました繊維産業とか、そういった軽工業は、いわゆる開発途上国のほうへだんだんと移っていってきておるという傾向があったわけであります。同時にこのことは、国内におきましても、いわゆる新しい技術革新によりまして衰退産業というのも出てくるということになった。そういう内外のいろいろな圧力というもので、事業を転換しなければならない、こういうことは前々からありましたので、中小企業基本法の第十五条に、転換産業に対しては特別の措置をとらなければならないという条文を制定したわけでありますが、いまから九年前に制定しましたこの条文に対しまして、中小企業庁は今日まで、転換産業に対してどういうことをやってきたのですか。また、転換産業はどの程度の種類のものがあり、何件この転換をしたのか、それに対して国はどの程度の金融的な措置を講じたのか、ここで確答願いたい。
  43. 吉光久

    吉光政府委員 現在までにとっておりました事業転換に関連いたします助成の関係でございますけれども、御承知のとおりにまず第一には、中小企業金融公庫につきまして、転換の場合には、通常の限度額五千万円に対しまして八千万円を限度額として貸し付けるというふうな、限度額の特例がございます。それからまた、中小企業近代化資金等助成法に基づきます中小企業構造改善準備金制度におきましても、特別転換交付金として積み立てます場合には、積み立て限度額を通常の千分の十五を千分の二十五に引き上げるというふうな準備金制度をとっておるところでございます。それからさらに、中小企業近代化促進法に基づきます構造改善計画に従って転換いたします場合につきましては、中小公庫の中に特別ワクを設定いたしておるところでございます。今回さらに特恵を供与するという情勢によりまして、それが現実実施に移されるというふうなことになりましたので、あらためて従前の施策にさらに上乗せの施策を準備いたしたのが、今回御審議をいただいている特別措置法案でございます。
  44. 松平忠久

    ○松平委員 前段のことは私も承知しておりますが、私の質問したのは、中基法第十五条によって転換をした業種、その種類、その産業別の統計というものをここでお示し願いたいということを言っているわけなんです。
  45. 吉光久

    吉光政府委員 実は特恵転換事例集というものを、中小企業振興事業団の調査網を通じましていろいろと集めておるところでございます。いまここに、具体的な資料、数字等を持ち合わせておりませんので、至急調べましてお答えさせていただきたいと思います。
  46. 松平忠久

    ○松平委員 先ほども質問がありましたけれども、特恵影響を非常に受けるというものは、中小企業の中でもことに零細企業なんです。これらの零細企業というものを組織化によって何とか向上させてやりたいということで、議員提案としてつくったのがいわゆる中小企業等協同組合法の中の小組合なんです。そして、これは自民党側も賛成をいたしましたが、われわれの提案したところの、勤労事業協同組合という名前は社会党的であるから困るという話があって、そしてこれを小組合という名前にいたしたという過去における経緯がございますが、そのときに、この組合に対しては「税法上、金融上特別の措置を講じなければならない。」という条文があるが、この組合に対して今日まで金融上、税制上の特別の措置を講じてきましたか、それを伺いたい。
  47. 吉光久

    吉光政府委員 いわゆる小組合につきまして税法上、金融上の特別措置関係でございますけれども、現在、小組合に適用いたしております措置といたしまして一番典型的なのは、実は信用保険の特別小口制度につきまして、特別小口を小組合に適用いたしておるというのが唯一の措置でございまして、その他の措置につきましては、この小組合の現実の実態その他等につきまして、いろいろとむずかしい問題等もございまして、いまだ税法上の措置にまで至っていないというのが、残念ながら現状でございます。
  48. 松平忠久

    ○松平委員 それでは政府法律違反をしているじゃないですか。法律に明らかに「税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」という規定があって、そしていまお聞きすれば、信用保険公庫がそれだけについて従来やっているのだという。しかもこのことは、かつて国会の予算委員会において問題になった点であります。それを今日までほったらかして何もしないというのは、あなた方は法律に違反しているじゃないか。なぜそれをしないのだ。
  49. 吉光久

    吉光政府委員 措置がおくれておることにつきましては、まことに申しわけないと思っておるところでございます。現実にこの小組合の成立状況等を見ました場合、これは昨年の九月末の数字でございますけれども、一般の事業協同組合が三万六千百六あるわけでございますが、この小組合は現在三十六というふうな状況でございます。いろいろの助成措置等がおくれておりますこと、まことに申しわけないと思うわけでございますけれども、現実の実態がこういうふうな状況でございます。なお、これらの助成措置を講ずることによって小組合がさらに活発につくられてまいるというふうなことにもなろうかと思うわけでございまして、さらに勉強を続けさせていただき、できるだけこれらの制度につきまして、この法律の二十三条の三の趣旨に沿うよう努力をさせていただきたいと思うわけでございます。
  50. 松平忠久

    ○松平委員 そういうことは、しばしば歴代の長官が言っておりました。川上君が長官のときに、君はこれをやらなくちゃいかぬじゃないかと言っておったら、三十幾つしかないから、もう少しよけいになったらやりますと、こういうことを私には答弁したことがある。しかしそれは法律違反なんだ。法律にはやれと書いてある。やればもっと小組合が出てくるわけです。しかもいま、この影響を受けるのは一番零細な企業であって、それらのものを協業化しなければならないということを政府自身が言っておるにもかかわらず、いままである法律をやらないというのは一体何ごとなんだ。そこらにあなた方の弱小企業に対する姿勢の悪さというものがあるわけだ。歴代の長官に私は警告しているのですよ。それを十年以上たってもいまだやらない。そんなことで一体どうなんだ。もし政府に対するいわゆる法律違反の裁判所があるならば、そこにかけたら、あなた方はたちまち法律違反ということになるわけだ。一体今後どういうことをするつもりです。いつからやるつもりです。
  51. 吉光久

    吉光政府委員 小組合に対します税制上、金融上の措置といたしまして、先ほどお答え申し上げましたように、特別小口制度を除きましては、現在のところ行なわれていないというのが現状でございまして、非常に遺憾に存じておるところでございます。  ところで、いま御指摘になりました小規模事業対策全体の問題といたしましては、これも先生御承知のような、機械貸与制度あるいは設備近代化資金等、主として小規模の企業者に対する施策を別の面でも準備いたしておるところでございます。小組合に対する税制上の措置等につきまして、現在まだ措置がとられておらないことにつきましては、先ほどもおわびを申し上げたところでございますけれども、さらに現状を分析いたしまして、これらの法律の精神に沿うようつとめさせていただきたいと考えるところでございます。
  52. 松平忠久

    ○松平委員 小規模事業全般に対していろんなことをすることは当然なんです。やっていいのです。しかしながら、中小企業の協業化なりあるいは共同化ということをやらなければならないというのが中小企業等協同組合法の精神なんです。したがって、協同組合に対しても税法上の恩典があります。企業組合も同様であります。にもかかわらず、最もやらなければならない小組合に対しては何にもやっておらない。そこらに、あなた方の零細企業に対する態度の一面が出ているように私は思うのです。しかもこれは国会でしばしば問題になった事実がある。これは即刻、小規模事業全般の問題とは離して、そうして組合対策としてやらなければならない、私はそういうふうに思うのだけれども、どうお考えですか。
  53. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように、こういう小規模企業者にとりまして、組織化ということは非常一に重要な問題であろうと考えるわけでございます。小組合の制度ができましてすでに相当たつわけでございますけれども、この小組合が、事業協同組合と同じような意味での税制上その他の優遇措置はすでにあるわけでありますけれども、この特別の措置というものが現在準備されておらないのでございます。したがいまして、そこら措置等につきましてさらに検討を加えさせていただきまして、この立法趣旨に沿うようつとめさせていただきたいと考えるわけでございます。
  54. 松平忠久

    ○松平委員 今度の法律案を見ますと、その中に企業組合等がありますけれども、もう一つ念のために承っておきたいのは、組織化という問題、中小企業を組織していくという問題については、いわゆる高度の組織化というものと、それから部分的組織化というものがあると思うのです。そして今度の法律案を見ましても、企業組合というものについては適用になっております。事業協同組合は部分的な共同であるからあるいは適用を除外したのかとも思うけれども、念のために承っておきたいのは、事業協同組合に対する税法上の優遇措置というものと、企業組合に対する税法上の優遇措置というものは、今日は違っておる。われわれの考えから言うならば、組織化というものは部分的から漸次共同的な方向へいかなければならないと思っているにもかかわらず、部分的なもののほうが税法上の恩典がたくさんあって、そして全体的な共同組織というもののほうが税法上の特典が少ないというのは一体どういうわけなんですか。これは逆行しているじゃないですか。部分的よりも全体的な組合組織のほうへ行ったほうがいいというならば、そのほうにもっと税法上の特典を与えるべきであると思う。そういうことは大蔵省でやっているのだが、しかしあなた方は、組合活動というほうからいって、やはり部分的よりも全体的な組合の組織方向に向かってのほうがいいのであるということであるならば、優遇措置はむしろそういうところへ講じなければならないにもかかわらず、今日は逆な方向になっているのは一体どういうわけです。あなた方は今日まで大蔵省とどういう折衝をしておるのだ。
  55. 吉光久

    吉光政府委員 御承知のように、企業組合と協同組合の組織的な差と申しましょうか、要するに、事業協同組合が営利性を離れましていろいろの共同施設事業をやっておるわけでございますが、企業組合につきましては、いずれかといえば一つの企業体であるというふうな角度からの組合組織事業をやっておるところでございまして、これは申し上げるまでもないところでございます。そういうふうな組織上の差、設立目的の差というふうなところから、現在、協同組合と企業組合との間に税法上の差があることにつきましては御指摘のとおりでございまして、あるいは税率の問題におきましても、あるいは内部留保金の積み立ての問題にいたしましても、現実に差がついておるところでございまして、実はこういうふうな問題につきまして、企業組合につきましても協同組合並みに同じ税制措置をとりたいというふうなことでいろいろ折衝を続けておるところでございます。   〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕 残念ながらまだ実現を見ていないわけでございまして、そこらの基本的要因は、先ほど御説明申し上げたような法人の性格の差というところからまいっており、同時にまた税体系の中で、いろいろの組織されたものについての秩序づけというふうなものがございまして、なかなか私どもの念願がかなわないというのが現状でございまして、将来少なくとも、協同組合並みに動ける部分につきましては協同組合並みに持ってまいりたい。さらに努力をさしていただきたいと思います。
  56. 松平忠久

    ○松平委員 当初この組合ができたときは、企業組合のほうが協同組合よりも税法上の優遇措置をとられておったということをあなたは御存じですか。
  57. 吉光久

    吉光政府委員 ただいま記憶がございませんので、至急取り調べたいと思います。
  58. 松平忠久

    ○松平委員 私の記憶するところによると、企業組合のほうが、はるかに全体的な組織化という面からは進んでおるということで、これを奨励するという意味におきまして、企業組合の税法上の優遇措置は、部分的な協同組合よりもよかったはずなんです。それが途中でひっくり返ってしまった、これが現在の状況なんです。その辺のところは、中小企業庁の長官だったら、もう少し勉強しておったらどうかと思うんだがね。そんなことがわからぬのはおかしな話だ。  まあ、その点は別にいたしまして、そのほかのことについて、時間がないから要点だけひとつ質問したいと思っております。  第一の質問点は、この特恵によって、日本関税を免除したりあるいは下げたりするということでありますが、これによって、日本関税の減り方というものは、大体政府は三十五億円ぐらいだと言っていますけれども、大体そういう見当なんですか。
  59. 平井廸郎

    ○平井説明員 御承知のように、現在のところ施行期日その他が確定いたしておりませんが、かりに今年の七月一日施行を前提といたしまして一応の試算をいたしますと、先生御指摘のような数字になろうかと思います。
  60. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、関税の減税額というものは三十五億円、これによって影響を受ける中小企業、ことに雑貨類、そういうものは、平年度におきまして大体どの程度影響を受けるのか。総生産量の何%ぐらいが影響を受けるのかということを、政府は試算をしておるはずだろうと思うのです。それであればこそこういう法案を出してきたのじゃないか、私はこう思う。今日まで政府が試算したところの、これを実施する場合において、平年度わが国における貿易その他の損害というものはおよそどのくらいになるのだ、そういう試算をひとつ示していただきたいと思うのです。
  61. 室谷文司

    室谷説明員 お答えいたします。  特恵の供与による影響輸入面で見ました点についてお答えを申し上げますと、この影響を具体的な数字で把握するということはなかなか困難な面でございますので、かりに総輸入額の中で特恵供与による輸入額の実績がどの程度あるかということで、一応の影響の推定の一つの尺度という意味で申し上げたいと思います。  六九年の総輸入額は百五十億ドルでございます。そのうち発展途上国からは五十六億ドル、BTN二五分類から九九分類、主として鉱工業製品でございますけれども、その全世界からの輸入額は百二十二億ドル、発展途上国から四十七億ドルでございます。この実績に対しまして、いわゆる特恵関税と申しますのは、有税のものに対しまして、無税なりあるいは五〇%カットということで特恵を供与するわけでございますが、そのうち、特恵に直接関係のあります有税のものは六十億ドル、さらにこの有税の部分発展途上国でどのくらいあるかと申しますと、二十一億ドルということで、それに対しまして、御承知のように、石油類あるいは生糸、絹織物、合板等、十品目の例外措置が講じてあるわけでございまして、これらの数字を差し引きまして、実質的に特恵を供与する対象品目の六九年の実績は大体二億ドルという——まあ供与国その他の関連がございますので、ぴしゃりした数字はまだ確定化するわけにはまいりませんけれども、一応二億ドルという一つの試算がございます。したがって、これを総輸入額との対比から見ますると、二・三%というかっこうになっているわけでございます。
  62. 松平忠久

    ○松平委員 この特恵受益国、UNCTADのあれによりますと、七十七カ国そのほか供与する国、ということでありますが、現在日本特恵を与えるという国は何カ国を予定しておりますか。
  63. 平井廸郎

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  現在、特恵受益国として予定している国というのは、ただいまのところ、各供与国を通じて確定はいたしておりませんので、検討中でございます。ただ、おおむね申し上げられますことは、いわゆる七十七カ国グループというのがございまして、これらのグループについては、特別の支障がない限り特恵を供与してほしいという意向が強く表明されておりまして、これらを中心として検討してまいるということになろうかと思っております。
  64. 松平忠久

    ○松平委員 特恵の受益国の定義は、国際的にどういう定義を加えておるのです。国民総所得というか、あるいはそこに何か国際的な合意というものがあってやっておるのじゃないかと思うのだけれども、その定義のようなものをちょっと知らせてもらいたい。
  65. 平井廸郎

    ○平井説明員 昨年、国連におきまして、特恵のためのUNCTADの特別委員会の最終報告書というのが出されておりますが、これを基礎として一応合意を見たわけでございますが、その中におきまして、受益国につきましては、供与国側のOECD諸国の共同の立場といたしまして、受益国について供与国はおおむね自己選択の原則に従う、ということを書いてありまして、それ以上に具体的なことは決定されておりません。と申しますことは、先ほど先生御指摘のございましたような、たとえば、国民所得であるとか、あるいは国民総生産、一人当たりの生産額であるとか、いろいろな問題について、特恵受益国の基準をずいぶん議論されたわけでございますけれども、各国の共同の合意を得るような基準がなかなか作成されなかった。したがいまして、基本的な原則として、みずから開発途上国であるということで自己選択をいたしますものを特恵受益国とする以外にないというような考え方に立ちまして、このような結論が出されたわけでございます。
  66. 松平忠久

    ○松平委員 七十七カ国については合意があるのじゃないですか。それ以外の国については希望によって与えるということになるけれども、七十七カ国の中には、やはり国連のUNCTADの中で何らかの定義のようなものがなければならぬと私は思うのです。これは政府でUNCTADの会議に参列をしておった者があるだろうと思うけれども、それらのときに一体どういう議論がUNCTADの会議で行なわれたのか。ただ、でたらめに手さえあげれば許すのだ、供与するのだ、そういうことではないと思うのです。やはりここに開発途上国と書いてあるのだから、開発途上国だったら、開発途上国とはどういう国なんだということがなければおかしいと思うのです。その辺は一体どうですか。
  67. 室谷文司

    室谷説明員 開発途上国の定義につきましては、国民総生産、あるいは一人当たりの国民所得とか生産のレベルとか、いろいろ考えるべきファクターがあろうかと思います。国際的にも、たとえばOECDの特恵に関する会議等におきましても、種々議論がなされたわけでございますけれども、これを客観的に一つの具体的な基準として示すということは非常に困難があるということで、原則として、発展途上国としてみずからが手をあげた国、つまり希望を表明する国に供与しよう、そして、それに対して供与国が判断をしてやろうという国際的な考え方になったわけでございます。ただ、いわゆる七十七カ国といたしましては、七十七カ国グループ、現実にはいま九十一カ国ございますけれども、これについては一応特恵をすべて供与すべきであるというのが、この七十七カ国グループの主張でございます。そして国際的には、この特恵特別委員会におけるこの七十七カ国が、そのUNCTADの席上で希望を表明したというふうに解されているわけでございます。
  68. 松平忠久

    ○松平委員 いまあなたの答弁の中に、開発途上国で手をあげた国、こういうことをおっしゃったけれども、開発途上国とはどういう国なんです。
  69. 室谷文司

    室谷説明員 先ほど申し上げましたように、具体的な基準を設けることは困難だということで、みずからがそういうふうに判断をして希望を表明する国に対して与えよう、こういうことになっているわけでございます。
  70. 松平忠久

    ○松平委員 UNCTADのいろんな決議なんかを見ますと、やはり開発途上国ということをいっているのですよ、文章で。そうであるならば、どこの国だって手さえあげれば開発途上国だということにはならぬでしょう。国際的な一つの暗黙の合意とか、そういうものがなければならぬと思うのだけれども、外務省、どうなんだね。どういうふうに考えているんだね、これに対して。
  71. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 いままで通産省のほうから御答弁がありましたように、開発途上国の定義というものは現在できておりません。できていないのは、ある基準をきめますと、それから漏れた国が出てきて、自分たらはどうしてくれるんだ、こういうことになるものですから、なかなかみんなに適応できるようなルールというものはできていないわけでございます。したがって、一応自分たちが開発途上国であると考えた国が手をあげて、それをこちらのほうで妥当と判断すれば、特恵に関しては開発途上国ということで受益国になる、大体こういう原則でやるほかないというわけで、外務省としてもそういうふうに考えているわけでございます。
  72. 松平忠久

    ○松平委員 私がなぜそうしつこく申すかというと、中華民国という国は、これは国際連合の中で安保の常任理事国なんです。だれが見ても、五つか六つしかない常任理事国なんだ。その国が開発途上国ですか。これは大臣、どう考えられますか。
  73. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 中華民国は、まあ国際連合のチャーターメンバーでございましたこともあって、常任理事国になっておると存じます。そのときに別に、その国の経済状態、発展の水準を、チャーターメンバーにするしないのときに基準にしたとは考えないのでございますから、この法律の適用の関係において、あるいはUNCTADとの関係において、中華民国がみずから開発途上国だというふうに申しますならば、私どもそれは十分に考慮する価値のある主張であろうと思います。
  74. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ伺っておきたいのは、UNCTADで、おれは供与国になってもいい、つまり開発途上国じゃない、同時に受益国にもなりたい、こういう国があったんじゃないですか、ブルガリアみたいに。こういうのは、開発途上国なんですか、あるいはそうじゃないんですか。どっちなんです。
  75. 室谷文司

    室谷説明員 先生御指摘のように、自分が供与してもいいが、逆に自分ももらいたいという国もございます。しかし、そういう国を特恵の面で、開発途上国だからやってはいかぬ、特恵を供与してはいかぬというふうにもなっておりませんので、その辺は、それぞれの国の経済の力関係で、供与し得る国があれば、できるだけ多くの国が供与をすることは望ましいわけでございますので、そうだからといって、一がいにこれを頭から、やるのだからもらう資格はないということにきめつけるのも、やはり一面問題があろうかと思っておるわけでございます。
  76. 松平忠久

    ○松平委員 ちょっといまの答弁はわからぬので、ぼくの言っているのと違う。ぼくは、そういう国は開発途上国だと言っているのかどうかということなんだけれども、そんな問題を言ってもしょうがないから追及しませんがね。昨年の十月六日のUNCTADの会議で、議事録を読んでみると、その中で、特恵的取り扱いをするという字句があるわけです。特恵的取り扱いというのは、どういうところまで言っているのか。特恵関税という一つのあれがあるけれども、特恵的取り扱いをするのだという。ことにこれは東欧の社会主義国に対してそういう発言が出ているわけだけれども、特恵的取り扱いというのはどういうことをさしているのか、どの辺までのことが特恵的取り扱いなのか、これを承っておきたい。
  77. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 昨年のUNCTADの特恵特別委員会で、社会主義国家のうち、ソ連、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ブルガリアは、自分たち特恵を供与する。その供与のしかたについて宣言をしたわけでございます。このうち、チェコ等一、二の社会主義国家は、自由主義国家と似たような関税制度を持っております。そういうものについては特恵関税を供与する。他方において、そういうものを持っていない国、いわゆる計画経済国でございますので、こういう国々においては、輸入計画の面で開発途上国に特恵的な配慮をする、こういうことを宣言したわけでございます。ただいま御指摘の特恵的な措置というのはそういうものをさしているのだと私どもは解しております。
  78. 松平忠久

    ○松平委員 ということは、関税をある程度特恵に準ずるような下げ方をするとかなんとか、こういう意味ですか。
  79. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 社会主義国家には、関税のない国がございます。ある国もございます。ある国は関税を下げます。私どもと似たような措置をとります。他方において関税のない国は、輸入計画で何か配慮してやる以外にないものですから、そういう言い方をしている、こういうことでございます。
  80. 松平忠久

    ○松平委員 そのときに外蒙古はどうしましたか。
  81. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 外蒙は、十月のUNCTADの特恵特別委員会に初めて代表を出席させました。若い女性の方でございましたけれども。この外蒙の代表はそのときに、特恵をほしいという発言をするかと、私ども注目していたのでございますけれども、実際にはそこまでいきませんで、将来特恵をもらいたいということを要求する権利を留保したいという程度の発言でございました。
  82. 松平忠久

    ○松平委員 もう本会が始まるようなあれだから、はしょって質問したいのですが、大臣にちょっと質問したいのです。  いままでの議論の中から、私どもが一つ問題にしたいのは韓国と北朝鮮の問題なんです。三十八度線で分かれておって韓国に手を出しておりますね。北朝鮮は必ずしも手を出さないかもしれぬし、また出すならどうやって出すのかわからない。こういう場合に、韓国には特恵をやるけれども北朝鮮にはやらないという結果になるわけなんです。そこに日本の近隣諸国において不公平が出てくるということは、日本の外交上、私は非常におもしろくないのじゃないかと思う。大臣は、希望すればやるのだ、こういうことをいままで予算委員会でもおっしゃっていました。私はそういう態度では、日本の外交はまずいと思うのですよ。韓国にやるならば北朝鮮にもやってもいいじゃないか、こういう自発的な、自主的な考え方というものがあってほしいと思うのだ。この点は何もUNCTADの決議にしばられる必要はないと思うのですよ。あるいは北ベトナムに対してもそうだと思う。中共に対しても同様であります。その点はどういうふうにお考えですか。やっぱりいままでの考えどおり、手を上げてくればやるのだ、こういうことであるのか。あるいはそうではなくて、日本の自主性に基づいて、日本の近隣諸国に対して不公平な外交はしない、不公平な関税をしないという考え方でものごとを処理しようと考えておられるのか。あるいは頭を下げてこなければやらないという、お高くとまっているようないままでの考え方を、あなたはずっと持っておられるのか、その点を伺っておきたいと思う。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御質問の御趣旨はよくわかるわけでございます。こちらから、あなたのところは発展途上国考える、こう申しますこともどうもいかがかと思いますし、そうかと申しまして、アメリカ合衆国にわれわれが特恵を与えるということは、これはまた考えにくいことでございますので、結局あちらのお申し出を待とうか。ただ、申し出の点でございますけれども、昔、日いずるところの天子云々というような話もございますので、何も、特恵をほしいということを恥ずかしいことだとか、自分の国が、人間として、あるいは国として非常に位の低い国であるというふうに考える必要はない。私どももまたそういうふうには考えませんので、自分の国の経済実情から見て特恵を求めたい、こういうお話がありましたら、私どもそれを私どもなりに考えまして、そうだと思いましたら与えることがよろしいのではないか。決して頭を下げていらっしゃいというような発想で考えているわけではございません。
  84. 松平忠久

    ○松平委員 その考えなら、非常にわれわれにも近いと思うのです、あなたの考えは。ただその場合に、ルートがないと思うのですよ。これは国交回復していないのだから。では、そういう意思表示はどういうルートで来るというか、どういう手続なりどういうことでやればいいのだと考えられる点は、どういうことをお考えになりますか。たとえて言うならばLT貿易もありますけれども、そういう場合に、周恩来なら周恩来から、台湾にやるならひとつおれのほうもということを言ったとすれば、それでいいのか。あるいは何か声明でも出すとか、何か知らぬが、そのルートが非常に問題だろうと思うのですよ、北鮮の問題でも。政府間の代表の折衝というものもほとんどないわけなんです。そうするとあなたは、どういうことをどの程度ならいいという予想をなさっておられるのですか、その点は。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず前提といたしまして、この御質問に対するお答えは、正式には外務大臣からお聞き取りをいただきたいという点を一点申し上げます。  次に、かりにそのような意思表示をわれわれが受け取りました後、現実に与えるか与えないかということを総合的にいろいろなことを判断してきめるという、この二つの前提を置いて申し上げますが、私自身といたしましては、先方の政府の確かな意思と思われるものが、われわれの確かだと考えられる方法によって表示されれば、私はそれをもって足りると考えたいと思います。
  86. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ伺っておきたいのは、これは十年間ということでありますが、開発途上国の考え方は、二十年という希望も言っておることは御承知のとおりです。そういたしますと、長い十年、二十年という年月になりますと、特恵というものを中心にしたところの一種の国際分業のようなものが再編成されていくという懸念もないではない。ところがそういう場合におきまして、これと一つの関連の深いものは経済協力だと思うのです。ことに技術協力。そういたしますと、技術協力と経済協力特恵との関係というものをレビューしなければならぬと思うのだけれども、このレビューは三年間に一度ずつやるということになるわけなんですか。その辺の、日本側の特恵という問題と経済協力という問題を、どういうふうに考えておられるのか。言いかえるならば、経済協力をますます増していくならば、特恵はむしろやめていくという考えになるのか。そうじゃなくて、経済協力経済協力でやっていく、特恵は十年間やっていく、こういうふうな考えで、さらに二十年とは申しませんけれども、その辺の長期の見通しはどう立てておられるのか、伺っておきたいと思う。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いまの御質問には実は両様の意味があると思いますので、私どもは、特恵を与えることによって、発展途上国先進国との関係をその状態において固定をしようというふうに考えておるわけではございませんで、発展途上国経済発展の段階をどんどん進んできてもらいたい、そう思いますが、いまとしてはさしずめ特恵がそれに役立つであろう、こう考えておるわけでございます。  次に特恵の将来でございますけれども、私自身は、ことにわが国の立場から申しますと、関税というものはなるべく低いほうがいいというふうに思いますので、なければないほうがよろしいわけでございますから、十年たった後にまた高いほうへ戻すというふうなことは、私はあまり好ましいことではないというふうに考えております。  それから援助との関係でございますけれども、発展途上国の間にも、エイドよりはトレードでという考え方をする人たらもございますわけで、それは健全な考えと思いますが、しかしそうかといってエイドというものを打ち切るべきものでもございませんし、ことにわが国のような国は、なおさらエイドをしていくべき国だと考えますので、両方のことは並行して行なわるべきものではないかというふうに思っております。
  88. 松平忠久

    ○松平委員 本会議が始まりますからこれで終わりますが、委員長に一つ申し上げたいのですが、この法律案は、関税定率法の一部改正というものとうらはらをなしていると思うのです。したがってこれは、共同審査をしなければならない問題ではなかったかと私は思う。私も理事にそれを言うのを忘れたのでありますけれども、委員長としても、この法律はうらはらなんだから、当然これは関税定率については共同審査をしなければならない。ところが聞くところによりますと、もう質問の打ち切りだということになって、もう上がるということになっているそうであります。ですからこういう問題は、委員長の採択によりまして、非常に関連の深い法律案でありますから、当然これは大蔵との間で、将来こういう問題が起きましたときには、率先してやっていただきたい、これを要望しておきます。  以上で終わります。
  89. 八田貞義

    八田委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時一分休憩      ————◇—————    午後二時十六分開議
  90. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井一君。
  91. 石井一

    ○石井(一)委員 中小企業特恵対策特別措置法に関連いたしまして、これを適用する直接の問題、並びにそれに関連した政府中小企業政策に関してお答えをいただきたいと存じます。  まず最初に、私、多少この問題に興味を持っておりまして、少し前からこの問題を取り上げたいということを表明いたしておりましたら、たくさんの業界の方々から要望やら苦情が集まってまいりまして、意外にこの法案の反響が大きいということを痛感をいたしました。私の地区にありますいわゆる輸出振興企業といいますか、そういう関係の特に中小零細企業には、決定的な打撃を与えておるようでございまして、私、最初に予想しておりましたよりも、その反響の大きいのに驚いたような次第なのでございますけれども、これを施行いたしまして、その後の見通しについてどういうふうに政府考えておられるのですか。
  92. 吉光久

    吉光政府委員 御質問の趣旨が、特恵対策臨時措置法の施行によってということでお答えを申し上げたいと思います。  いまもお話がございましたように、特恵供与によります影響は、わが国に直接輸入してまいる面での影響と、第三国が特恵を供与いたしますことによる、いわゆる発展途上国の追い上げというふうなことからまいりますところの輸出面での競合から出てくる影響と、両面影響考えられるわけでございます。  国内に直接上陸いたします問題につきましては、関税暫定措置法の一部改正法案の中に、いろいろの波打ちぎわ施策がとられておるわけでございます。したがいまして、こちらから来る影響というふうなことよりか、むしろ第三国輸出市場での競争が激化することによって起こってまいります影響というほうがより激しいのではないであろうか、こう考えておるところでございます。したがいまして、特にそういうふうなことを前提にいたしますと、基本的には、従来やってまいっております近代化施策を積極的に拡充運用してまいる必要があるわけでございますけれども、同時にまた、それでは太刀打ちできない、そういうふうな事業につきまして、この法案では転換対策等についての準備をいたしたわけでございます。  この法律の施行によりまして、中小企業がより成長性のある業種へとすみやかに事業転換を行なって企業体質の強化をはかってもらうということも、補完的には非常に重要な意味を持つのではないであろうかというふうに考えるわけであります。したがいまして、この法律運用よろしきを得ますならば、積極的に日本産業構造自身高度化し、あるいはまた企業体質を強化するのに役立ってくれるものと私どもは期待いたしておるところでございます。
  93. 石井一

    ○石井(一)委員 昭和四十二年十一月二十四日の閣議で、発展途上国に対して特恵を供与するということを決定なさっております。それから国内のいろいろな措置をとるというふうなことで今日にまで至っておるわけでありますけれども、それから三年以上の年月がたっておりますが、その間、特恵に対処する具体的な施策というのはどういうことをやって、準備をどういうふうに進めてこられたのですか。
  94. 吉光久

    吉光政府委員 特恵問題が起こりましてすでに長い時期がたっておるわけでございますが、いままでの政府の基本的な考え方は、中小企業の体質を強化すると申しましょうか、競争力を付与するというふうな方向で、全体としてこれに対応してまいってくる施策を展開しておったところでございまして、御承知の中小企業近代化促進法の運用につきましても、特に発展途上国の追い上げというふうなことを前提に置きまして業種指定し、そしてまたさらに、先般改正を認めていただきましたいわゆる特定業種指定というふうなことを通じまして、業界ぐるみで構造改善をやってまいるというふうな施策を進めてまいったわけでございます。現在までに、指定業種といたしましては、百三十三業種というものが、政令ベースでございますけれども指定されてまいったわけでございまして、また明年度におきましても、さらにこれに追加して指定をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、現在、指定されました業種全体の、中小企業性の業種に占めます割合と申しましょうか、製造品の出荷額で見ました場合に、約七〇%に相当するものが現在までに業種として指定されておる、こういう状況であるわけでございます。  また、先ほど、あとのほうで申し上げました構造改善関係の問題でございますけれども、四十四年に近促法の一部が改正されまして、いわゆる特定業種というふうなものが認められることになったわけでございますけれども、現在までに十七業種指定いたしておりまして、すでに十五業種につきましては構造改善計画の承認を行なっておるところでございまして、現在、組合員四万八千八百五十八企業のうち、四万四千四百二十七企業というものが構造改善事業実施いたしておるところでございます。なお、これらの施策そのものにつきましては、さらに次年度以降も積極的に業種指定を行なって構造改善を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  これらの措置によります成果でございますけれども、これは業種、業態によって違っておりますけれども、一番成績がいいような部類になりますと、五年間の計画期間中に二倍以上の物的生産性をあげておるというふうなものもあるわけでございます。ともあれ、そういうふうないわば競争力強化という観点を中心にいたしまして、そしてなおその中に一部、構造改善に伴いまして転廃業というふうなことを前提にいたしました税制上の措置その他を盛りまして、いままでの過去数年間、こういう発展途上国の追い上げというふうな問題に対処してまいっておったところでございます。
  95. 石井一

    ○石井(一)委員 もう少し具体的な問題について、後ほど近促法の適用なり効果ということで聞かせていただきたいと思っておりますが、まず最初に、観点を変えまして、先ほど話が出ておりました「事業の転換」というところあたりから取り上げさせていただきたい、こう思うわけであります。  先ほど木野委員の御質問も伺っておったわけでございますけれども、たとえば後進国の追い上げその他で、同じ仕事を継続するけれども品質を向上させ高度化していく、そういうことは、おそらく、何かほかの仕事を一生懸命さがすよりも、彼らはそれに生き続けてきたわけでありますから、最も適切な、彼らがやりやすい行動になろうかと私は考えるのでございますが、「事業の転換」といった場合には、高度化に対する転換であるとか、あるいはこれはまた別の問題でありますけれども、ある程度の部門はその仕事を継続しておる、ところが新しいトライアルを別の業種でやり始めたいので一部だけ転換をする場合がある。質問の第一点は、高度化に対する同じ業種での転換に対しても、この法律が適用されるのかどうか。第二点は、同じような規模で、同じような制度のもとでやっておるのだけれども、一部転換をして、それによって成功するという見通しがつけばだんだんと転換をしていく、こういう一部転換に対してもこれが認められるのかどうか。この「事業の転換」のことについて御説明をいただきたいと思います。
  96. 吉光久

    吉光政府委員 第一点の、品質の向上でございますとか、あるいは新しいデザインの採用でございますとかいう、いわゆる高度化事業につきましては、この法律の意図している「事業の転換」というところではなくて、むしろ従来やっております高度化事業施策運用の面におきましてそういう面を促進してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  実はこの点につきましては、この法律の第七条のところに「近代化施策の推進」という条項が入っておるわけでございますけれども、これは「国及び都道府県は、特恵供与による需給構造の変化に対処して、中小企業者事業の転換を円滑にするための措置とあわせて、中小企業近代化を促進するため必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする。」こう規定されておるわけでございます。この「中小企業近代化を促進するため必要な措置を適切に講ずる」というふうな範疇の中で、従来の施策をさらに拡充いたしまして積極的に助長してまいりたい、こう考えておるところでございます。  それから第二の御質問でございますけれども、一部の転換が「事業の転換」の中に入るかどうか、こういう御質問であったかと思うわけでございます。これはけさほどもお答え申し上げたところでございますけれども、この場合の「事業の転換」ということばの意味でございますが、普通の場合におきますと、ある特定の業種に属する事業をやっておる人が、他の業種に属する事業のほうに仕事をかわられるというふうなことを「事業の転換」と言っておるわけでございますけれども、その場合のある業種というのを、いわゆる標準産業分類表によります分類というふうなものに固定しないで、もっと弾力的に考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。たとえば、いままで同じ玩具でございましても、バネつきの玩具、普通のバネで動いていた玩具を、さらにモーターを中に取り入れるというふうな、これは高級化のほうに属しますけれども、そういうふうな意味で、玩具なんですけれども、それがはっきりとバネつきから何々つきというふうなものに区別して考えられるというふうな部類につきましては、実はこれも「事業の転換」という中で読み取りたいと思っておるところでございます。  さらに、その事業の中で部分的な転換の問題でございますけれども、おそらく発展途上国との競争等によりまして、当分はもてるといたしましても、長期的にはそれはもてないような業種もあろうかと思われるわけでございます。そういうふうなものにつきましては、おそらく企業の側におきましても、長期的な展望に立って、部分転換から全般転換へと、何カ年かの計画でいろいろな仕事を始められる場合が普通であろうかと思うわけでございますけれども、そういう意味部分転換でございますれば、当然に転換対策の適用対象にしなければならない、こういう感じに考えておるわけでございます。ともあれ、実は、そういうふうなことをすることによりまして、事業の転換を円滑にしてまいろうというのが本法のねらいでございますので、したがいまして、部分転換だからといって渋い態度をとるというふうなことは、いたしたくないというふうに考えておるところでございます。
  97. 石井一

    ○石井(一)委員 説明はよくわかるので、特に第二点に関してはそういうことで当然かと思いますが、第一点に関しては、製品の高級化という問題ですけれども、これは特恵を供与したことから起こる結果、企業がこうむらなければいかぬ一つの犠牲だと思うのです。そうでなければ、これまでどおりのものをつくっておって、当然それで成り立っていくものが、後進国から安いものが入ってくる、それだけに日本製品の特殊性をはからなければいかぬ、高級化をはからなければいかぬ、新しい商品というものを開発していかなければいかぬ、品質を高度化していかなければいかぬ、こういう結果が必然的に起こってくるわけです。長官のお答えは、しかしそういうものは転換ではないので、同じ範疇の場合にはこれでは救えないのだ、だから近促法その他で救う以外に方法がないのだ、実際、直接に特恵のインパクトを受けるのだけれども、一応そうしか法律の読み方はない、第一点はこういうことでございますね。ちょっともう一ぺん……。
  98. 吉光久

    吉光政府委員 特恵対策施策の面といたしまして、積極的に近代化高度化を促進してまいります面と、それから、積極的に近代化あるいは高度化を促進するよりも、事業によりましたら、むしろ事業者の方が事業の転換をおはかりになるというふうな面、二つの態様があろうかと思うわけでございます。そういう意味で実はお答え申し上げたわけでございまして、この法律の中にも、先ほど読み上げましたような条章のように、近代化を積極的に、しかも適切に講じていかなければならないということを国の責務といたしておるところでございます。そういうふうな高度化、あるいは品質の高級品化、あるいはいろいろな新しい技術を採用することによりますいろいろの近代化を必要とする業種も、確かにたくさんあるわけでございまして、そういうものにつきましては、そういう高度化施策その他を重点的に集中的に傾倒してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  99. 石井一

    ○石井(一)委員 念を押すようですけれども、したがって私が申し上げておるように、企業自体の体質改善やら近代化をするには、かりにそれが特恵から起こる影響があるとはっきりしておっても、転換をしない場合には対象にならない、そういうことにならざるを得ないわけですね。おそらく、営々と企業をやってきておられる人の立場から見れば、特恵供与のために起こり得る結果なんですから、この暫定措置法の対象としての恩恵を受けられなくても、そういう時点に、近促法の運営の方針を変えるなり何なりして、手厚い保護を与えていただきたい。私はそういう声が当然出てくると思うのですが、その点に関してそういう御理解を賜わりたい。私は業界を代表して御要望申し上げたいのですが、この点いかがですか。
  100. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、特に特恵影響をこうむり、そのために近代化高度化を促進されなければならない、急がなければならない業種につきましては、先ほどお答え申し上げましたような、中小企業振興事業団高度化資金のみならず、近代化資金、あるいはまた機械貸与その他の制度につきまして、集中的に、重点的に施策を投入してまいるという必要があると思うわけでございまして、十分御指摘の線に沿って施策を進めてまいりたいと考えております。
  101. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは次の問題に移ります。  次の問題は、先ほどあちらの大先生からいろいろ言っておられた問題でありますが、要するに、開発途上国にどの国がなるか、はっきりした定義がないというふうなお話がございました。私は、一つは中共に対する特恵の問題、それからもう一つは香港に対する特恵の問題に多少の興味を持っておるわけでございまして、実際、開発途上国という定義が非常にむずかしいと思いますが、私の個人的な感触としては、中国には何らかの方法で与えてやるべきだという考え方を持っておりますし、香港にはそんなものを与える必要は全然ない、そういう考え方を個人的に持っております。しかし調べてみると、政府の態度はどうもその逆のようでございますけれども、そういう点に関して、どういう経過でそうなったか、またどういう考え方かということを、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  102. 室谷文司

    室谷説明員 現在、大蔵委員会で御審議をいただいております。特恵の内容について規定をいたしました関税暫定措置法の一部改正案におきましては、第一に、国連貿易開発会議の加盟国につきましては、希望がありました場合に一定のスキームで供与する、しかしながら、加盟国以外の地域にあっても、希望がありました場合に限定的に供与を考えていく、供与する場合もあり得るという規定になっているわけでございます。もっとも、加盟国以外と申しましても一応の限定がございまして、固有の関税貿易制度を有する地域という一つの限定はございます。  先生いま御指摘の点でございますが、その場合に、中共と香港については特に何か違った扱いをするのではないかという御指摘がございましたけれども、私どもとしては、特にそこに両者に区別を設けるという考えはございません。ともに、一応、両方から希望の表明がありました場合に、特恵制度の趣旨を考え、また同時に国内中小企業等に及ぼす影響、それからその前提となります両国の経済的な競争力というものを総合的に十分慎重に検討いたしまして、いかなる形での供与をする場合にはいかなる形のスキームになるかということを検討してまいりたい。原則的には、一応国連貿易開発会議の加盟国につきましては、UNCTADに提出いたしましたスキームによるわけでございますけれども、その場合には、その地域については、一応作業仮説としまして、含めることの前提のスキームではございませんでしたので、そういった申し出がありましてから慎重に配慮していきたい、こういうことでございます。
  103. 石井一

    ○石井(一)委員 非常に官僚的に水の漏れぬような答弁でありましたが、非常にわかりにくい面があります。いまのお答えだと、希望するかどうかということが一点と、国内の産業等に対する影響がどうかということと、その国の国際力ということを考えると、私は両方とも中国には将来与える姿勢でいくべきだという結論が出るだろうし、香港へは与えなくてもいいという結論が出るような気がしてならなかったのですが、まずその中国の問題を一つ取り上げてみたいと思うのです。  私が調べましたところでは、非常に政治的制約があります。私は、これはイデオロギーで言っておるんじゃないのです。国内産業を保護するという立場から、中小企業、零細企業の立場から私はものを言っているつもりなんですが、中国に六九年度は総額二億三千四百五十四万ドル、品目で五百九十八というものが実績として出ているわけです。これは多少資料が必ずしも中立とは言えないかもしれませんが、「友好と貿易」という日本国際貿易促進協会の資料から私は申し上げておるわけですけれども、しかし、必ずしも私は中共側に立ってものを言っておるわけじゃありません。  そこで、データはおそらく正しいと思うのですが、今度この特恵制度日本の国会で通ったという場合に、国内に対する影響というものを想定いたしますと、これはかなり大きいのです。その五百九十八品目の中で三百十九品目というものが、中国からの輸入ということを考えるとたいへんな打撃を受ける。中国はまだ国交がないからその国のことまで考えなくてもいいかもわからないけれども、それに関連しておる商社があり、それに関連しておる弱小の企業というものが非常に多いわけです。特に関西地方に多い。そういう場合に、これは何もこの法律の対象にはなりません。もちろん、ならないということはこの法案が明らかにしておるわけですけれども、ただ、特恵ということが供与されることによって国内の産業にそういう影響が与えられることは、これはやはり確かなんです。  それで、原則論に返りますけれども、ロケットを打ち上げたり何かしているところを見ると先進国みたいに見えますけれども、基本的に中国は、こういう特恵の本質的な筋から考えると、これは供与してやるべき国であるに違いないと私は思います。台湾と比べるとえらいことですよ。それは、中国のほうがよほど特恵を供与してやらなければいかぬ国であると思いますけれども、それはいろんな政治的な理由でそうならないとしても、その結果出てくる、国内の中共とやっておるいろいろの企業というものがたいへんな——日本人です、これは。日本の人々の企業に対しては、特恵から間接的に出てくる一つの問題だと私は思うのですけれども、これは何ら政府施策として善後措置をとられないのかどうか、この点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  104. 室谷文司

    室谷説明員 お答え申し上げます。  中共と他の近接の発展途上国との間における関税面での差が生ずる、そこで特に中共の商品を扱っておる業者に非常に競争上大きな問題を生ずるのではないかというような御指摘だったと思いますが、かつてケネディラウンドにある関税引き下げにつきましては、それらの間の格差を是正するという意味で、国内のいわゆるケネディラウンドにある協定税率の適用できない国に対して、中共であるといなとを問わず、いわゆるガット加盟国とか、あるいは協定税率の適用されていない国に対しまして、暫定税率というものを協定税率に合わすことによりまして、実際上そういう格差の是正を今日まではかってまいった事例があるわけでございます。ただ、特恵関税の場合にこういう形における是正ということは、実は技術的に困難がございまして、わが国としてはガットの原則に従って、関税につきましては、特定の国に対して特定の扱いをするという考えをとっておりませんで、一応グローバルな原則にのっとってやってまいっておるわけでございます。したがって、もしこの特恵関税につきましても、KRの均てんと同じ措置を一方的にとってまいりますと、どうしても中共だけあるいは北鮮だけというようなかっこうにはまいりませんで、結果的には、いわゆる特恵関税ということでなくて、固定関税あるいは暫定関税、税そのものを変えていくという形になりまして、それは同時に先進国に対する関税も変えていくということにならざるを得なくなりまして、そういう形になりますと、特恵制度意味がなくなるわけでございますので、KRの均てんというような形でのあれはできない。したがって、もしその間を差を縮めるという前提に立ちまするならば、やはり特恵関税を供与するかどうかという考え方にならざるを得ないわけでございます。そこでその場合には、やはり午前中にも議論がございましたけれども、国際的な自己選択の原則に従って、やはり特恵を供与する場合には、その原則のもとにおいて検討していくという結果にならざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。
  105. 石井一

    ○石井(一)委員 私が聞いておりますのは、それじゃ中小企業庁長官、要するに特恵を供与するということが決定されることによって、少なくとも国内の業者にある程度の被害をこうむるという、これまた第二の例なんです。ところが、この法律には全然関係がないわけで、この法律ではいまの場合救いようがないわけですね。  もう一ぺん説明しましょうか。原則的ないまの政府委員説明、非常に抽象的ですが、やはりいろいろな関係から、グローバルないろいろのこれまでの経過から、中国は一応対象にしてないし、また希望もなかろうということが推察されるのです。そういうことをおっしゃっておりませんけれども、私はそういうふうに理解をまず第一点でいたしました。その次に、そのことによって、これまで特恵という問題さえ出てこなければ、それに関係していろいろやっておったこの商社なりいろいろの関連の企業なりというふうなものがたくさんあるわけですが、この制度が成立することによって、確かに被害をこうむる、しかしそれはこの法律の対象にはならない、そういうことですね。ちょっとお答えいただきたいと思うのです。
  106. 吉光久

    吉光政府委員 中国に特恵が供与されますれば、この法律の対象になるわけでございますけれども、一般的に、あるいは輸入自由化でございますとか、輸入関税引き下げとか、そういうふうな形で自由化体制が進んでおりますけれども、そのことのみによる理由の場合には、この対象にはならないわけでございます。
  107. 石井一

    ○石井(一)委員 いまの政治情勢で私はそれ以上、言いたいことはありますけれども、そういう政治問題を抜きにいたしまして、やはりそれだと、これに関連したいろいろな中小企業に対する非常に大きなあらしといいますか、波が押し寄せてくるわけでありますから、先ほどの第一点では、近促法その他でカバーするということで予解しましたけれども、この第二点に関しても、やはり全般的な通商政策といいますか、中小企業政策の中に、そういうふうなものも法律でどうこうしてくれというのではありませんけれども、十分にひとつ彼らの立場というものを理解して、中小企業政策を進めていただきたい、こう思うのでございますが、いかがですか。
  108. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどのお答えがちょっと舌足らずであったかと思いますので補足さしていただきたいのでございますが、中国から輸入される中国固有の物資と申しましょうか、ほかの国にはございませんというふうなものでありますと、実は中国に特恵が供与されませんとこの法律の対象にならないわけでございますけれども、たとえば中国には特恵は与えられなくても、これはたとえばの話でございますが、他の国から同じような産品が入ってまいっているというふうな状況でございましたら、実はどの国からの影響というその影響先までの考慮はしておりませんので、特恵の供与による影響というふうなことで読み込めると思うわけでございます。これが第一点、さっきのお答えをちょっと補足さしていただきました。  それから第二の、いま御質問ございました、一般的に関税を引き下げる、あるいはまた輸入を自由化するというふうなことにつきましては、従来一般的な転換対策というふうなものを準備いたしておったわけでございますけれども、これはたとえば中小企業金融公庫で申しますならば、限度額五千万円に対して三千万円を上のせいたしまして八千万円までとか、あるいはまた構造改善準備金等の積み立ての問題でございますとか、それでさらにその準備金から転換交付金を出すというふうな制度そこらのところの制度は準備されておったわけでございます。したがいまして、現状におきましては、それらの制度を活用していただくというふうなことになろうかと思うわけでございます。  ただ、いまから後のいろいろの国際環境の変化、その他非常に目まぐるしい動きも出てまいろうかと思います。したがいまして、そういうふうな事態を前提に置きまして、現行制度の拡充につきましても、私どもとしてはやはり配慮してまいらなければならない面も多分にあろうかと思っております。
  109. 石井一

    ○石井(一)委員 いまのに関連いたしまして、他の先進国ですね、アメリカとかEEC諸国あたりが中国に対して特恵を与えようとしておるかどうか、この動きをごく簡単にひとつ教えていただきたいと思います。
  110. 室谷文司

    室谷説明員 現在、中国に対しまして公式に特恵を供与をするということを表明した国はございません。また、絶対供与しないということもはっきりわかっておりませんで、まあそういう段階でございます。
  111. 石井一

    ○石井(一)委員 私が調べたところでは、たとえばカナダが非公式に特恵を与えるということを表明したようでございますし、それからヨーロッパの諸国が非常にそれに同情的である、そういう動きがあるというのですが、その点はいかがですか。
  112. 室谷文司

    室谷説明員 カナダにつきましては、公館筋の情報で、公式見解というよりも個人的な見解として、当方が接触いたしました向こうの相手方が、特恵供与についてカナダとしては考えざるを得ないのでなかろうかという感触を漏らしたというように聞いております。  EECにつきましては、私としましてはそういう情報を持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  113. 石井一

    ○石井(一)委員 それじゃ次に香港の問題でございますけれども、これはまあ国じゃない、地域で、地域もやはりその対象にはなっておるようでありますが、どこから考えてもちょっとデベロッピングカントリーとはとれない地域だと私は思うのです。一番重視しておられるのは、おそらく国際親善という意味か、あるいは向こうが希望しておるというその条件を非常に重視しておられるか。しかし先ほど、えんきょくに、中国との特恵問題について、もっともっと調べれば問題がたくさんあると私は思いますししますが、ごく一部そういう非常に苦しい状態を訴えられた業者があったものですから、私、先ほど取り上げたのですけれども、この香港はもっと日本の中小零細の生産企業に大きなダメージを与える非常に大きな問題だと私は思うのですが、この香港に対する特恵の問題の見通し、また考え方はいかがですか。
  114. 室谷文司

    室谷説明員 香港につきましては、先生御指摘のように、香港政庁あるいは英国等から非常に強い要望がなされていることは事実でございます。また御指摘のように、香港製品につきましては、ものによりますが、雑貨繊維等につきましては、かなり強い競争力を持っているものがあることは事実だろうと思います。したがって、先ほども申し上げましたように、香港に対する特恵供与について検討いたします場合には、それらの点を特に慎重にやはり考慮していかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  115. 石井一

    ○石井(一)委員 そうすると、香港は対象にしない、こういうふうにとってよろしゅうございますか。その辺はいかがなんですか。
  116. 室谷文司

    室谷説明員 ちょっと舌足らずで誤解がございましたようでございますが、香港島の地域につきまして特恵を供与する場合には、関税暫定措置法の、現在御審議いただいております内容によりますと、一般のUNCTAD加盟国に対するスキームと違いまして、やる場合には限定的な適用をする、つまり現在一般的な特恵スキームでは例外品目が計上されておるわけでございますが、限定適用という意味は、逆に申しますと、先ほど申し上げましたような観点からさらに例外措置考えてまいるということでございます。
  117. 石井一

    ○石井(一)委員 私は、この香港に関しては、私の地元のクリスマスデコレーションとかクリスマスイースターの業界からの苦情を聞きまして、これはほんとうに政府施策で救えるものなら救ってあげたいという気持ちを非常に強く持ったのですが、おそらく、先ほど人造真珠の話がございましたけれども、これに与えるか与えないかということでこの業界は壊滅状態に入るかというふうなことになり得ると思うのです。したがって、やはり対象になる国というものに対して、なかなか開発途上国という規定がむずかしいようでございますけれども、その辺はひとつ、国内産業を中心にしたほんとうに実質的な調査と、その後のそれが与えられた場合にどうなるかという調査のもとに、これに対してはこういうふうなんだということを、少なくともこの法律を審議する過程には、一つの見通しとして私はやはり考えていただきたい。いまずっと聞いておりまして、私は何も政府委員を困らせるつもりは一つもございませんけれども、まだはっきり言えないというふうなものの言い方にうかがえる。ある人に聞くと、これはもう香港に与えざるを得ないのだ、これは政治的配慮だ、こう言われます。ある考え方から言いますと、これは香港に与えるのは問題だ、そういう状態で、業界がただ右に左にどうしようかとさま、よっておるというのが、私は現在の香港に対する問題だと思うのです。したがって、いまこの席で右か左かという回答を求めるのじゃございませんけれども、香港の、日本軽工業雑貨品に対する影響は非常に大きいものであるから、この点に対しては十分な配慮をしていただきたい。おそらく通産省から雑貨関係政府委員が来ておられると思いますけれども、その影響の大きさということについて一言見通しをおっしゃっていただけませんか。
  118. 和田裕

    ○和田説明員 お答え申し上げます。  クリスマス製品の対日輸入でございますけれども、四十五年度におきましては十三万一千ドルということでございまして、生産に対する割合で〇・八%というようなことになっております。現在までのところ、輸出市場におきましては、おおむねこれまでのシェアを保っておるというのが現状でございます。
  119. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは、私先ほど要望いたしましたから、その線に沿って、日本雑貨市場が、香港特恵を供与した場合にどういう影響があるか、ただ一つクリスマスイースター〇・八%だとかなんとかおっしゃいましたけれども、ほかの品目も全部そろえて、一ぺん香港からどれだけのものが入っているか、それを資料として拝見させていただきたいと思いますので、これをひとつ要望をしておきまして、次の問題に移ります。  そこで三番目に、やはり私の同じ地元の産業で非常な苦悩を訴えてこられたのは、ケミカルシューズという業界がございます。これは私、前にも一ぺんミルズ法案が通るというときに問題として取り上げましたけれども、去年でも大体五百億くらいの生産をあげておる。そのうちの二百億、五百億のうちの四〇%がアメリカの市場で売られておる、こういう製品なわけであります。それで現在のところ、政府の方針としては、これを特恵例外品目指定されておりますので、一見何ら問題がないように思えるわけでありますけれども、将来アメリカで、この例外品目の取り扱いというものをはずした場合に非常に大きな打撃をこの業界はこうむらなければいかぬ、こういうことに相なるわけです。それで、私が問題にいたしておりますのは、国内では国内の産業を保護する形で特恵業種をきめ、いろいろな施策をいたしましても、外国先進国でのいろいろな動きというものが、輸出を中心にしておる産業では直ちに影響してくる。ところが、その産業はこの法律では適用の対象にならないんじゃないですか。外国でたくさんの先進国がある、それぞれいろいろな方式をこれからやっていく、その場合に、国内だけの問題ですから、この問題は救えないんじゃないかと思うのです。想定の上での質問ですけれども、こういう問題はいろいろほかの業種にもたくさん出てくると思いますから、お教えをいただきたいと思います。
  120. 吉光久

    吉光政府委員 日本のみならず他の先進諸国のすべてが、特恵から除外しておるというようなことであるといたしますれば、特恵影響ということにはならないと思います。
  121. 石井一

    ○石井(一)委員 しかし、いまそうだとしますけれども、将来、他の国がどういう方向でやるかわかりませんですね。だから仮定の話ですけれども、いま特恵の対象になっておるけれども、将来それからはずされるというふうなことになった場合に、国内では四割なり六割なり八割、その輸出にたよっておった産業は非常にダウンしますね。しかしそういう場合、これは法律の対象にならないでしょう。どうなんですか。
  122. 吉光久

    吉光政府委員 いまアメリカ日本輸出シェアとしては一番大きいわけでございますけれども、将来どこかの国で特恵の対象にするということになれば、やはりこの法律の適用対象になってまいります。
  123. 石井一

    ○石井(一)委員 そういたしますと、そのときどきに通産省のほうでは、業種指定というものをどんどん変えていかれて、先進国での動きに対応して——日本国内では特恵例外品目に最初から指定しておる、ところがそれの市場というものがアメリカであって、非常に大きなシェアを占めておるアメリカの方針が変わった場合、日本では品目に指定しておるわけですから、現在のこの法律の対象にならぬわけですけれども、その先進国が政策を変えた時点からこの法律の対象になる、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  124. 吉光久

    吉光政府委員 そのとおりでございまして、一ぺん指定をされますと、一ぺん特恵影響を受ける。それが将来はずされましても、これは特恵影響というので後遺症が残ってまいると思います。したがって、そのままこの転換対策等の対象になるということでございます。同時にまた、あるいつかの時点で、たとえば三年ごとのレビューとかその他の機会を通じまして、ある時点でどこかの国を特恵の対象に新しくつけ加えるということになりました場合には、やはりその情勢に応じまして、こららのほうで状況によりまして特定業種指定してまいる、こういうことになろうかと思います。
  125. 石井一

    ○石井(一)委員 そのときどきに応じた適切な運用といいますか、これが非常に大きな問題になると思いますので、その点、特に要望しておきたいと思います。  そこで、先ほど長官からお話のございました近促法の問題について、ほんのちょっと触れておきたいと思います。  これの運用によりまして、事業近代化しどんどん体質が改善しておる、政府はそういうお気持ちであるかもわかりませんけれども、業者のほうの立場から見ますと、これの適用というものがなかなか受けにくいという面があったり、あるいはその期間が短過ぎてどうしても使いにくいというような問題。それからその次に、中小企業あたりでは、もうほんとうになけなしの金をつくって輸入した機械その他を使って仕事をしておるわけですけれども、その機械というふうな設備がなかなか担保として認められないとか、近促法の業種指定を受けて非常に喜んでおるけれども、運営の面においてなかなかそれのレベルに合うという企業が少ない、こういう声が非常に強いのです。  それで、私が申しておるのは、資金ワク、それから法律上の規制というものもございますけれども、最近の特恵の問題であるとか、最近のいろいろ共同化というような問題などで、最初の試みから非常に時間もたってきておるわけでありますし、近促法がほんとうに中小企業、零細企業のかゆいところに手の届くような方向に——運用上あるいは都合が悪ければ内容を変えてもいいから、私はそういう方向に中小企業政策として進めていかなければいかぬと思うのですが、これまでそういう苦情をお聞きになったことがあるか。これまでの方法で問題点というものをそういうふうにお考えになったか。それとも、最初にお答えになったように、近促法というのがあるから、それでどんどん近代化が進むんだというふうにお考えになっているか、この辺をひとつお願いしたいと思います。
  126. 吉光久

    吉光政府委員 近促法関係の大体の概要につきましては、先ほどお答え申し上げたところでございますけれども、現在までの成果でございますけれども、この近代化促進特別貸し付け制度が設けられましてから現在までの間に、件数にいたしまして九千百七十七件、それから融資額にいたしまして千三百七十八億三千万円というものが、この近代化貸し付けということで貸し付けを行なわれております。  先ほど御指摘の中にもございましたように、まず資金ワクの問題でございますけれども、私どものほうにも、資金ワクが少し窮屈である、もう少し思い切って貸し出しワクをふやしてもらいたい、こういうお話をしばしば承っております。特にこれは年度の境のときにそういうような話が多うございます。したがいまして、できるだけ弾力的な措置によりまして金融をつないでまいるというようなことを考えておりますけれども、やはり基本的には近代化促進関係ワクそのものを大きくするということが必要になってくるわけでございます。年々、この指定業種に合わせまして、予算編成の段階におきましてこの近促の指定ワクにつきましても拡充をはかってまいっておるところでございます。もちろん来年度関係につきまして、これでもう十分足りるというほどのことではないと思いますけれども、しかし従来の資金量に比べますれば、相当豊富な量を準備いたしたというふうな感じがしておるわけでございます。  それから、三十八年度にこの制度が出発したわけでございますが、そろそろ全体として見直すべきじゃないか、こういう御意見でございます。実は、私どものほうで追跡調査をやっております。過去に一番早く指定して、すでに五カ年経過したもの、そういうものをまず先に取り上げておるわけでございますが、この五カ年にどれだけの効果をあげ、そしていまどうなっておるかというふうなあとづけの調査を現在やっておるところでございまして、この月末までぐらいには一応の処理がつきますので、それを前提にしまして全体の集計作業にかかってまいりたいということで、実はこの計画が立てられ、それに従って実行が行なわれておったわけでございますけれども、厳密な意味でのあとづけ調査、追跡調査というものはできておりませんので、これをいま急いでやっておるところでございまして、そこらの総合的な結果を見まして、さらに改めるべきところは改めてまいりたいというふうな方向で処理さしていただきたいと思っております。
  127. 石井一

    ○石井(一)委員 ぜひそれをやっていただきたいと思います。おそらく七、八年の間には、これだけ経済情勢も変わってきておるわけでございますから、新しい国際情勢、自由化の問題、特恵の問題というようなことも考えまして、私はここで大きく中小企業政策を転換していただきたい。近促法も十分そういうところまで行き届いたものになっておるかどうか、多少疑問だという時期に来ておる、こういうふうに私は判断をいたしております。  それと、この特恵問題に関連いたしまして、いまのケミカルシューズ、ケミカル産業の業界の問題でございますけれども、結局これは高級品化を進める以外にしかたがないです。いままでどおりやっておりましても、例外品目にされておりますけれども、結局生きる道はそうだという先の見通しをしております。技術なりなんなりはできるのですけれども、結局、中小企業者というのは力が弱いために、資金面その他の面でどうしてもできない、大企業のようにいかないという弱さがあると思うのです。だから結局、高級品化なり、差別化を進める。この暫定措置法でなくても近促法で、十分その近代化の体質がどんどんと進んでいくということを私は進めていただきたい。  それと同時に、さっき言っております、いわゆる担保の問題であるとか返済の問題というものに対しても、思い切ったワクを広げていただかぬと、いま近促法の適用をうんと受けて企業がうまくいっておるというのは、その業界の中でもごく一部、よほど資産内容のいい、中小企業の中でも非常にA級でないといかぬ、こういうふうな結果になってきておるようであります。ひとつその点で中小企業政策の再検討ということを、私、特にお願いを申しておきます。  それからもう一つ、特恵関係して業界が問題にしておりますのは、海外の市場調査、それからその商品のPR、見本市その他、これもいろいろジェトロを通じたりそのほかいろいろなことを通じてやっておられることはわかります。私のほうにも資料は十分届いております。そこで、また、同じような中小企業の代弁ばかりするようですが、どういうことかといいますと、大企業なりその他のものは、どんどんと先手先手と遠く離れた海外へも投資もでき、調査もできるんです。ところが、そういう小さい企業だと、いまの制度では、どうもジェトロの場合でも半分は業界が持たなければいかぬというような制度になっておるようです。そういたしますと、結局何といったってそこまでの余裕がない、その場その場のどんぶり勘定で仕事を繰り返していかなくちゃいかぬということなんですが、このジェトロを中心とした輸出振興、海外へのPRというものに対して、中小企業の問題はどういうふうにやっておられるか、考えておられるか、ひとつお答えいただきたい。
  128. 原山義史

    ○原山説明員 ジェトロは、従来とも中小企業輸出振興に最重点を置いていきたいというふうなことで運用しておりますが、先生御指摘のとおり、今後ますますこの問題は重要になってまいりますので、施策の最重点に置かしていただきたいと思います。具体的な方法といたしましては、まず海外で業界と共同の施設を持って、市場調査とか流通関係の取引調査、あるいは宣伝、アフターサービス等を行なわせたいということで、現在アメリカにおきましてニューヨーク、シカゴ、あるいはヨーロッパでハンブルグ、アムステルダムというようなところに、雑貨関係の共同施設を持っております。また軽機械関係では、ニューヨーク、ジュッセルドルフ、ロンドン、バンコク等の施設を運営しております。  それから次に、先生御指摘の海外のマーケッティングの問題ですが、来年度一億六千一百万円で予算を組んでおります。この中で二つございまして、商品の多様化、高級化あるいは市場の多角化をはかる、こういうふうな戦略的な目標に対しましては一〇〇%負担して実施していきたい。そのほか一般的な問題については、半分業界に持っていただいて、半分ジェトロが持っていこうという制度運用したいと思いますが、実情に応じまして、中小企業の負担能力等考えまして、一〇〇%の方法を活用いたしまして、商品の高級化、多様化につとめさせていきたいというふうに思っております。  なお、そのほか市場調査員の派遣の負担を半分持つとか、あるいは優良ディーラーの発掘、登録のためとか、あるいは輸入制限運動の早期発見をするとか、あるいは取引のあっせんをするとか相談を行なう。各方面の仕事を通じまして、中小企業のサービス機関としてジェトロを活用していただきたいというふうに思っておるわけであります。
  129. 石井一

    ○石井(一)委員 いまのお答えなど聞いておりますと、非常に適切で、ほんとうに通産省にいたしましても、中小企業庁にいたしましても、いま与えられておる予算なり法律ワクの中では、一生懸命そういう業界の伸展のために努力しておられる、これは私、正当に評価したいと思うんです。ただ、時代の流れも非常に早いし、国際化の動きも非常に激しくなっておるときに、そのいまあるワクだけではこれはだめだという時期がもう来ておるように思うんです。あらゆるところに中小企業がばたばたと倒れていかなければいかぬというのは、やはりそういうところの問題があるのであって、極端な言い方をしますと、特恵暫定措置法というのは、重患者になってしまって葬式を出すときの葬式代を出してやるというような文章にも見えるわけであって、それよりも患者の病気の程度がもっともっと改善のできるときに、先に先に政府が政策の中にそういうものを先行投資していく、そういう形に政策を転換していかなければいかぬ。そういう面では、何も政府委員にばかり文句を言うんじゃなしに、自民党も大いに反省しなければいかぬということを、私は業界のほんとうの末端の業者の皆さん方と話をしておって、つくづくそういう責任を私自身も感じておりますが、しかしそういう面で、法律内で、あるいは予算内でやっておられることに対しては高い評価をいたしますけれども、ひとつ角度を変えて、こうしていただきたい。それでなければ、いま政府はこれだけ物価でだんだんだんだん追い上げられますと、低物価政策をとらざるを得ない。どこからでもいい、安いものを買おうとする。それをまた輸入するような業者なり商社というものはたくさんある。そうなると、中小企業はもうつぶれる以外に方法はないというところに結果は追い込まれていく。私は、これがただ単なる小手先の解決ではいかない基本的な問題があると思いますが、政務次官、このことについて、いかがでしょうか。
  130. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 石井先生のおっしゃること、私もほんとうにそうだと考えます。確かに、予算面でも政策的にも、この変わり行く激動する経済社会の中で中小企業をどういうふうに救っていくかということは、非常に重要なことだろうと思います。また反面、中小企業もその激動する社会というものを十分認識する必要がある。これについては、政府も今後とも十分PRし、事態を十分認識していただく。そういう意味でも、政府、民間、中小企業政治団体等が一緒になってこの危機を乗り越えるということが必要かと考えております。先生の御意見、全く同感でございます。
  131. 石井一

    ○石井(一)委員 先ほどの基本的な問題はひとつ大いにお願いをしておきまして、次官の在任中にひとつ一歩一歩前進をさせていただきたい。強く要望しておきたいと思います。  先ほども申しておりますケミカル産業その他の、日本のそういう非常にいい技術を持った、あるいは新しく日本の力で開発をやったというものを、私はほんとうはもう少し海外進出をしていって、外地での安い労働力なり何なりを使うことによって、彼らが国内だけでひしめき合うということだけでなしに、そういうことを政府は今後さらに考えていくべきだ、こういうふうに考えておるのです。ここでもやはり、力がある企業というものはどんどんそういうことができますけれども、中小零細の場合には非常にできにくいという面がありますが、海外進出に対して調査その他、これはジェトロの活動にも大いに関連が出てくるわけですけれども、この辺について新しい今後の見通しなり何なり——今後は特恵その他で影響を受けてくる日本独特の産業に対しては、そういう方向へも持っていきたいという希望をお持ちですか、いかがですか。
  132. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのように、だんだんと経済社会が非常に開放的になってまいっております。そういう観点から申し上げますと、まさに海外の安い労働力をフルに生産の中に組み込んでおくというふうなことも当然に必要になってまいってくるわけでございます。これは大企業たると中小企業たるとを問わず、やはりそういう方向で、長期的な目で海外進出、発展というふうなことも考えざるを得ない段階にすでに来ておるというふうに考えるわけでございます。  そこで、中小企業に関しましての海外の市場調査その他等につきましては、あるいは商工会議所、あるいはまたジェトロ、それらの機関を活用していろいろの情報を集め——実は日本商工会議所でこれに相当した機能を持っておる部署もあるわけでございまして、海外から日本の企業の進出を望むそれらのリストを、日本商工会議所のほうに備えつけております。また同時に、海外に参りたいという中小企業者の方々も、日本商工会議所のほうに行けばそれらのリストが提供されるというふうな点もございます。そういうふうなことで、実はいま日本商工会議所を媒体として、あるいはまたジェトロを媒体として、そこらのいろいろの海外情勢等について情報を得ておるわけでございます。ただ、これが海外に出てまいります場合、その出てまいります国の経済情勢、あるいはまた法律制度、あるいは民情その他等につきまして十分に承知した上で、しかも相手国と協調して向こうで仕事をやってまいる、こういう心がまえが非常に重要になってまいるわけでございまして、そういう点につきましても、いろいろとこれらの機構を通じまして、あるいはまた、中小企業団体等の機構をもさらにあわせ用いまして、情報の提供につとめておるというのが現状でございます。
  133. 石井一

    ○石井(一)委員 これから本論の法律に入ろうと思っておりましたが、あまり時間がないようですから、簡潔にお答えください。私の二、三聞きたいところだけ聞かせていただきたい。  第六条の「課税の特例」について。減価償却資産の耐用年数の特例は認めておられますけれども、他の資産については何ら触れておられない。これはおそらく認められないと思われるのですが、これだけではちょっときびしいのじゃないですか。まだ少しありますから、どうぞひとつ簡潔にお答えいただきたい。
  134. 吉光久

    吉光政府委員 この「課税の特例」につきましてどういう制度を準備すべきかという点につきまして、準備の段階ではあれこれと検討をいたしたわけでございます。こういう償却の特例という問題もございましたし、あるいはまた準備金制度というふうな構想もございましたし、その他いろいろの税制、制度等につきまして比較検討を行なったわけでございます。そしてその結果、実は減価償却資産につきましての早期償却という特例措置を設けることにいたしたわけでございまして、これは事業用機械、装置、それから構築物、そのすべてが入るわけでございますが、これらにつきまして償却期間を短縮し、企業の内部留保の積み増しをはかろうというふうなことでやったわけでございまして、平年度ベースにいたしまして大体五億程度の減税額が現在見込まれております。これらの実効を見ました上で、新しい税制措置を併用する必要があるかどうかはさらに次の段階で検討させていただきたいと思っております。
  135. 石井一

    ○石井(一)委員 従来の事業を廃止した場合の清算所得に対しては課税を免除されないのですかね。転業計画が不可能になってくるのじゃないかと思うのですが……。
  136. 吉光久

    吉光政府委員 この場合におきましては、実は会社を解散して新しい会社をつくるというふうな感じではなくて、従来の会社組織のままで事業内容を変えていただくというふうな、また、それが通常ではないだろうかということで、したがって、先ほどの御指摘の点については準備をいたさなかったわけでございます。
  137. 石井一

    ○石井(一)委員 それから次に、さっきちょっと長官が触れられましたが、特恵で準備金制度通産省の方針として打ち出しておられるのですね、去年の六月に。特恵供与に備えて輸出にたよっている企業に対して税制上の優遇措置特恵対策準備金制度を設けることをきめ、近く大蔵省と折衝を始める。輸出額の一、二%というのですから、これは企業側にとっては相当あたたかい措置だと思うのですが、この制度はどこへ消えてしまったのか、その後どういうふうになったのか。
  138. 吉光久

    吉光政府委員 確かに昨年、特恵対策を準備いたしましたときに、税制面として準備金制度を検討いたしたことがあるわけでございます。実は結果的には、この準備金制度が現在御提案申し上げております償却資産の早期償却というふうな制度に変わったわけでございますけれども、準備金制度になりますと、これは御承知のとおり、一定の率を前提として相当長期にわたって金を積み立てていくというふうなことが必要になってまいるわけでございます。そういう場合、特恵対策として、どれくらいの期間かかればどれくらいの準備金がたまるかという期間の長さとの関連の問題がございます。むしろこういう早期償却制度にいたしますと、自分のほうで短期に償却ができるということで内部留保の積み増しができるというふうなことになるわけでございまして、いずれもよく似たような機能なんでございますけれども、財政当局とも御相談して、最終的にはこちらのほうがより有効であろうというふうな判断で、こちらのほうの新しい制度に切りかえ、現在御提案をいたしておる、こういう次第でございます。
  139. 石井一

    ○石井(一)委員 廃業のときの補償ということを、ほんとうに悲惨な話だと思うのですけれども、業者の人から今回も私は耳にしましたが、たとえば、どうしてももう店を締めてしまわなければいかぬ場合に、退職金資金であるとか、事業主に対する一時の生活保障の問題であるとか、そのほか、そこに置いてある機械だとか在庫品だとか、そういうものに対する買い上げだとか、これは彼らの立場から見ますれば、特恵という問題が新しく起こってきたために、自分たちがまじめに働いておって、別にミスもなくてやっておったのにこういう措置になってきたという印象になっていると思うのです、気持ちとしては。この法律では、なかなかそこまで実際の問題として見れない面もあるだろうということは、私よく理解できますけれども、そういう点について、私は食管会計と結びつけるわけじゃありませんし、都市議員だから言うんじゃありませんけれども、休耕しても政府はちゃんと補償しているのですね。そういうことから考えますと、特恵からくる一つの損害というものに対して、もう少し前向きに考えていただいてもいいんじゃないかと思いますが、その辺一括して簡潔にお答えいただけますか。
  140. 吉光久

    吉光政府委員 この法案におきまして、そういう廃業だけを取り上げている規定は、実は八条の規定、いわゆる労働者対策と申しましょうか、これが廃業等を前提とした——これは廃業だけではございませんけれども、規定であるわけでございます。そういう意味での雇用対策等につきましては準備をいたしたところでございますけれども、御承知のとおり、一般的に廃業対策といたしまして——これは転廃業と申しますよりは、むしろ廃業対策というようなことで現在やっております。中小企業近代化資金等助成法、この体系の中に構造改善準備金を組合に積み立てまして、この積み立てについて税法上の優遇措置を与え、その積み立てられました準備金を廃業交付金として同業者内で交付する、こういうふうな制度の促進をはかっているところでございますけれども、もちろん業界いかんによりましたら、こういうふうな準備金制度だけではなかなかうまくいかない、こういう問題もあろうかと思います。たとえば繊維の織機の買い上げのような問題、あるいはまた石炭対策のような問題、その業界実情によりましては、一般的な施策だけでは処理し切れない、そういう問題も起こるであろうことは御指摘のとおりであろうと思うわけでありまして、特にそういう問題のあるような業種につきましては、やはり業種の実態に即しまして、あるいは特別の立法をするとか、あるいはまた特別補助金制度を設けるとか、そういうことが行なわれなければならぬ場面も出てくるであろうというふうには考えております。ただ、このような特別立法を設けたり、あるいは補助金制度を設けます場合には、いわゆる新規参入がどんどん行なわれ、そしてそれがどんどんやめていくというふうなことであれば、これはどうして補助金を出しておるのかという、出す根拠がきわめて薄弱になってまいるわけでございます。一般的な場合、営業自由の原則の中でそういうような制度がどこまでとれるか、非常にむずかしい問題があろうかと思います。むしろ、そういうような意味での新規参入をストップする、新しい事業者が入ってくることをストップするところまで準備して、そしてそういうふうな交付金等を交付するかどうかという問題にまで展開してまいる問題じゃないかと思う次第でございまして、今回の一般的な措置法の中にはそこまで含めるのは少し困難ではないだろうか、こう判断いたしたわけでございます。
  141. 石井一

    ○石井(一)委員 まだまだ聞きたいこともございますけれども、要するに私はごく短期間に、地元の産業のケミカルシューズなり人造真珠なりクリスマスイースター、それから一部の中共貿易商社の皆さんに聞いたんですけれども、まことに問題が多い。そしてこれはほんとうに氷山の一角だと思います。なお日本軽工業雑貨、そして中小企業、零細企業に、いろいろな意味で直接、間接に影響を与えると思うのです。先ほどからの政府の御答弁を聞いておりましても、まだまだ未確定的な要素を含んでおる面も私はたくさんあろうと思いますけれども、これまでも中小企業政策には非常によくやっていただいておることはわかりますが、特にこれは、法律がきまってしまったからこれしかどうにもできないのだというふうなことでなしに、運用面で十分に、その特恵影響を受けた人々の立場に立ってひとつ運用をしていただきたい、このことを特にお願いすると同時に、先ほどから申しております中小企業政策に対する基本的な考え方をもあらためて御検討をいただきたい、これも御要望申し上げまして、以上で終わらせていただきたいと思います。
  142. 八田貞義

    八田委員長 松尾信人君。
  143. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 重複を避けまして質問してまいりますが、まず農産品の関係で農林省に聞きますけれども農林省いらっしゃいますか。——いらっしゃらなければあと回しにいたします。  では、最初に関税行政の問題につきまして、二、三質問を重ねていきたいと思います。シーリング枠であるとか、または農産品につきましても特恵をやらなくてはならないとか、いろいろの問題が出てまいりますけれども、現実輸入された品物を、シーリング枠だとか、そういう面にからませてチェックしていくのが一体どういう機関であるか、それからどのようにしてそのようなチェックをしていくのか、こういう問題をまず総括的に関税局のほうからお答え願いたいと思います。
  144. 平井廸郎

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  現在のわが国特恵供与に関しますスキームは、農産物と鉱工業産物とによって差がございますことは御承知のとおりでございまして、農産物につきましては、特定の五十九品目に限って特恵を供与いたしました。ただしこれは、原則として無制限に供与いたしまして、特別に国内産業に被害が生じた場合にだけこれを停止するという形をとっております。これに対しまして、いわゆるBTNの二五類以降の鉱工業産品につきましては、御承知のようにシーリング方式をとりまして、一応品目別にそれぞれのワクを設けまして、そのワク内において特恵を供与するという形をとっているわけでございます。  そこで、具体的に一番問題になりますのは、農産物の場合ではなくて、鉱工業産品のシーリング方式の場合になろうかと思いますが、これにつきまして、私どもが現在考えております管理方式について申し上げますと、一応現在のところでは、各省から各種のデータをいただきまして、また貿易統計等を利用いたしまして、シーリング枠の計算を施行日に間に合うように品目別につくり上げてまいりたいと考えております。さらに、品目別につくられました全国ワクを税関別、支所出張所別に割り振りまして、おおむね従来の傾向から見て、入ってまいります港々ごとに、それぞれのワクを設定してまいりたいと考えております。出先の支所、出張所等におきましては、このワクを一応にらみながら、毎日の輸入につきましてワクの消化状況をチェックしてまいると同時に、御承知のように、ワクにつきまして日別管理と申しますか、ある日にワクに達しますれば、その翌々日には停止するというようなセンシチブ品目の管理につきましては、毎日、中央に設けられましたセンターにこれを報告いたすという形をとることになろうと思います。また月別管理品目につきましては、一応一月分をまとめまして中央に報告をいたす、こういう形をとることにいたしております。このようにして管理されましたワクに従いまして、中央のセンターにおきましては、一応品目別に出てまいりましたワクが満ぱいになりましたときに、それぞれ各品目別に、税関なり支所、出張所に通知をいたしまして、そこでこれをストップするという形になろうかと考えております。
  145. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 中央センターというのはどこかということと、それから全国税関、支所、出張所をつなぐわけでありますから、そのようなつなぎ方ですね。コンピューターを使うのか、どのようにしてやっていくのか。それから空港関係はどのようになるのか。毎日毎日、国別、品目別に出していくということであると、相当の労力がこれは要るんじゃないか。人員の増加も望めませんし、そうしますと、相当機械化していかなくちゃできませんし、そういう点の配慮は十分なされておるかどうか。予算的にも、または機構的にもきちっとなっておるかどうか。その点をもう一回お答え願いたいと思います。
  146. 平井廸郎

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  センターは一応大蔵省内におきたいと考えております。先生御指摘のように、確かに各税関の支所、出張所、ことに空港等のように、迅速に貨物の通関処理をいたすようなところにおきまして負担の増加を来たすことは事実でございまして、これを処理いたしますためには機械化をできるだけ進めていかなければならないということも、御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、本年度から本省で使っております電算機の高性能化をはかりまして、機械の入れかえをはかるというようなこともいたしておりまして、さらに輸入通関を全体として電算機に乗せ得るように、ここ二、三年のうちには実施段階に移していきたいと考えておるわけでございます。ただ現在の段階では、残念ながらまだそのところまで至っておりませんので、さしあたりは、日別管理品目の連絡等につきましては、一応基本的には電話連絡をもって処理いたさざるを得ないんではないかというふうに考えております。なお、本省と本館との間におきましては、一応テレタイプ等もございますので、これによりますれば、より正確なチェックができるということは事実でございます。いずれにいたしましても、定員の増加が非常に僅少でございます現状におきましては、負担の増加となることも事実でございますが、一方におきましては、事務の合理化等を進めながら、この仕事に遺憾なきを期してまいりたいと考えておる次第でございます。
  147. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そのセンターに集まった毎日のデータですね、そういうものは関係官庁にどのようにして伝達されていくのか。関係官庁もやはりすべての日々のそのデータというものを知らなくちゃいかぬと思うのですけれども、今度は関係官庁とセンターとのつながり、そういうことと、それから、いままでも話がありましたとおりに、特恵中小企業のほうへ非常に影響があるわけでありますが、関税政策の上において現在中小企業に対する配慮と申しますか、そういうものは現実にどのように実施されておるかどうか、まずその点を聞きたいと思います。
  148. 平井廸郎

    ○平井説明員 最初に関係官庁との連絡の問題でございますが、私どものほうで中央に集まりました統計につきましては、おそらくスタートの段階においては、毎日、毎日ということを御連絡申し上げる必要はまずまずあるまいというふうに考えておりますが、一応最初の段階においては、月報程度の処理をいたしていって足りるのではなかろうか。ただ品目によりましてはかなりの程度の緊迫性を持ってまいりましたような時点におきましては、毎日各省にも御連絡を申し上げますし、その間の各種の政策との関連上、遺漏のないように努力してまいりたいと考えております。  次に、確かに御指摘のように、特恵関税実施その他によりまして中小企業等に影響の生じてまいることも多うございますが、さしあたり私ども、特に中小企業のためということではございませんけれども、たとえば関税上の保税制度等につきましても、最近におきましても、かなり中小企業の保税制度の利用割合等は向上いたしておりまして、たとえば全体として見ました場合におきましても、現在、保税工場の数が全国で千四百四十ございますが、そのうち従業員三百人未満の工場が六百八十六、約半ばに達している状況でございまして、この面においてもかなり利用は進んでいるというふうに考えております。特に中小企業の多い食料及び飲料等におきましては三百八十四のうちで二百八十一、雑貨につきましては百二十四のうち六十四、繊維及びその製品については百八十二のうちで百七というような状況でございまして、こういった面においても中小企業の利用はかなり進んでいるのじゃないかと考えておるわけでございます。
  149. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま数字的なお話がありましたけれども、何か中小企業がこの保税工場制度というようなものの活用で非常にぐあいがよろしいというような具体的な例がありましたら、ここで一つ、二つ発表していただきたいと思います。
  150. 平井廸郎

    ○平井説明員 先ほどもちょっと業種別に申し上げたわけでございますが、その具体的な事例で非常によく利用されている例をあげますと、たとえば果実のかん詰め製造にあたりまして、原料の製造について保税作業をやるというのが非常に多うございまして、これらは大いに活用されているというように考えます。また砂糖、水あめ等を使用して菓子を製造しているという例も多うございますし、さらに、保税で輸入されました生糸を使用いたしまして、絹織物を製造してアメリカ等へ輸出しているという事例も相当多うございまして、こういう点におきましては、これらの業種が大体中小企業が多うございますので、活用されているというふうに考えてよかろうと思っているわけであります。
  151. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうしますと、原材料の輸入のときには、保税制度でなければ関税を取られてしまう。税金のかかった原材料を使えば、値段も高くなる、競争力も弱まる、こういうことでその保税制度があるわけですね。そういう観点から、今回特恵というものがしかれていくわけでありますけれども、この特恵関税が施行された後において、何か日本中小企業に対して、保税制度を利用して非常にぐあいがいい、そういうものも考えていかなくちゃ相ならぬじゃないかと思いますけれども、いまそういうことについて検討されておるかどうか、また将来検討を重ねていくのかどうか、その点を聞きたいと思います。
  152. 平井廸郎

    ○平井説明員 先ほど来御指摘がございましたように、特恵関税実施に伴いまして、一般的に日本中小企業に対して影響が生じてまいるおそれがあることは事実でございますが、その場合に、中小企業自体が近代化され、合理化されていくということが基本でなければならないと思うわけでございますが、それを助ける一環として、何らかの関税上の保護なりなんなりがさらに加えられることが望ましいということも御指摘のとおりでございますが、いまのところ現実にどのような業種にどのような形で影響が具体的に出てまいるかということが必ずしも判明いたしませんし、また、その程度というのももちろん明らかでございませんので、そういうものをにらみ合わせながら具体的な対策考えてまいりたい。私どもといたしましても、関税面でお役に立つことがあれば、できるだけ御協力を申し上げて検討を進めたいというふうに考えております。
  153. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 どうも従来、関税制度運用の問題と中小企業の結びつき、これが若干弱かったのじゃないかというような感じがいたします。大いにこの制度を利用しまして、特恵にも大いにしっかりした姿勢をつくり、また具体化していかなくちゃ相ならぬじゃないか、こう思いますが、いまお話しのとおり、今後しっかり研究してください。  話はちょっと飛びますけれども、非常に物価という問題がやかましくございまして、物価と関税関係でありますけれども、少しでも物価を下げるという面から関税政策上何かとられた施策があるかどうか。なお、今後相当いろいろの部門で物価と関税政策というものが関連してやかましく論ぜられると思いますが、今後の考え方ですね。いままでとったものと、今後はどういう部門に考えていくかという両方お答え願いたいと思います。
  154. 平井廸郎

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  先生から貴重な御指摘をいただきましたが、従来の関税考え方の範囲にとどまらないで、関税政策を広く活用してまいります一端といたしまして、物価と関税の問題を積極的に取り上げなければならないということは、私どもの関心だけではございませんので、物価関係閣僚協議会等でもつとに指摘されているところでございまして、本年度はこの点については、一応関税改正の大きな柱として四十六年度に取り上げたところでございます。  たとえば一般的な施策といたしまして、ケネディラウンドの九カ月間の繰り上げを決定いたしまして、この四月から最終段階まで持ってまいることにいたしておりまして、これによりまして、一般的な対象品目の平均輸入価格は約一%程度下がるであろうということも期待されております。さらに、閣僚協議会等で問題になりました品目等を中心といたしまして、約三十八品目につきまして、物価対策の観点から関税引き下げをやっているところでございますが、ただ何と申しましても、これでもって物価対策が終わったというわけではございませんので、今後におきましてもその方針はさらに進めていく必要があるであろうというふうにも考えておりまして、生活関連物資を中心にいたしまして、今後とも努力を重ねてまいりたいと考えている次第でございます。
  155. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 先ほどいろいろの輸入品のチェックの問題、これはおもにシーリング枠の分であろうとおっしゃいましたけれども、農産物関係でありませんか。というのは、これは八条の三の緊急関税ですかね。緊急関税の発動をするとすれば、やはりちゃんと輸入数量というものをしっかりと把握していかぬといかぬのじゃないか。それと、過去にそのような八条の三の発動があったかどうか。それと、今後この特恵関係でいろいろ複雑なデリケートな問題、影響がありますので、今後はそのような八条の三、緊急関税の発動というものを考え、またそれを実行していく考えがあるのかどうか、この点、あわせて聞いておきます。
  156. 平井廸郎

    ○平井説明員 確かに先生御指摘のように、私ども説明に不足しているところがございまして、農産物につきましても、やはり輸入が急増し国内産業相当の被害を及ぼすような場合には、緊急関税ではございませんけれども、緊急関税的な関税措置をとりまして特恵を停止するという問題が起こってまいりますが、そのためには統計上常に管理を行なうことは当然でございまして、私どもといたしましても、もちろん、第一線の税関からの輸入状況につきましては、常に注目を怠らないようにいたしたいと考えております。  それから過去に緊急関税制度の発動があったかというお尋ねでございますが、現在まで、法律上定められております関税定率法第九条の二のいわゆる緊急関税制度につきましては、発動の事例はございません。と申しますことは、いずれかと申しますと日本産業構造自体がむしろ対外的に輸出を指向していくような形で推移してまいりまして、そういった必要が現実には起こらなかったということが基本的な原因であろうと思いますが、何と申しましても、一方では後進国等の追い上げ等もだんだんときびしくなっておりまして、今度は日本も、これから緊急関税を発動していかなければならない事態も出て使いろうかと考えております。したがいまして、最近、各省の連絡協議会等を設定するなど、その点の監視についてはおさおさ怠りないようにいたしたいと考え措置いたしておるところでございます。  なお、これとは別に、特恵供与の対象につきましては、ややゆるやかな形で緊急関税的な措置がとり得るようにいたしておりますのは、先生先ほど御指摘の農産物についての八条の三でございますし、さらに鉱工業産品については八条の五第二項という規定が、それぞれ関税暫定措置法で規定されておりまして、その規定の運用につきまして遺憾なきを期していきたいと考えておる次第でございます。
  157. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大体、関税関係につきましては以上で終わります。  農産品に移ります。これはいろいろ苦心があったろうと思うのでありますけれども、農産品に対する特恵実施国内農業の保護という関係でどのような配慮がなされたかということをまず聞きたいと思います。
  158. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 出席がちょっとおそくなり御迷惑をかけまして申しわけございません。  いま先生御質問の、国内農業と農産物についての特恵供与関係でございますが、特恵と申します考え方が、そもそもの出発点として、製品、半製品というようなものを中心にいたしまして特恵考えようではないかということから出発したという経緯もございまして、OECD等におきまして、いわゆるBTNの一−二四類に属します農産物については、先生御承知のいわゆるポジリストという方式をとりまして、国内産業等との関係を十分考慮して特恵を供与し得るものをポジリストとして供与をする、こういう考え方先進国の間の合意ができ上がっておるわけであります。そういう観点からいたしまして、わが国の場合におきましても五十九品目の農産品の特恵供与をいたしておるわけでありますが、この品目の選定あるいは関税のカット幅というものにつきましては、国内の農業この関係を考慮し、同時に後進国からの要望というものも配慮しまして、できる限りそういう後進国側の要望に沿いたいということで、たとえば熱帯産品のカカオバターでございますとかパ一ム油といったようなものを中心にいたしまして、できるだけ多くの産品について無税の供与あるいは五〇%のカットというふうなことをいたしておるわけでございます。この一次産品についてのわが国特恵供与は、米国はちょっと別でございますが、EEC、イギリス等の横並びの関係を見てみましても遜色はないであろうというふうに私どもは考えております。
  159. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 今度は少し角度が変わった質問になるわけでございますけれども、受益国という立場からながめてみますと、途上国の中にも先発と後発の国がそれぞれあるわけです。特恵の供与という点からいけば、同じ途上国といっても、先発の途上国、台湾だとか韓国だとか、そういうところが非常に特恵の恩恵を受けていくのじゃないか。その他の後発国というのは、むしろこの特恵による利益というものは少ないのじゃないか、こう考えられるのですが、はたしてそれが当たっているかどうかということと、それから、途上国の所得の増大、やがて工業化へ進めていこうというような考え方がもともと特恵にはあるわけですから、そういう観点からの、途上国の中での後発国に対する配慮、そういうものは今度はどのようになされたか、この点を聞きたいと思います。
  160. 室谷文司

    室谷説明員 今度の特恵供与による先発後進国と後発後進国との関係の御質問かと思いましたが、わが国特恵のスキームを策定するにあたりましては、特に後発であるから、あるいは先発であるからというような配慮はいたしませんで、一律に、平等に国内産業との関連を考慮しつつ全体的に考えてまいりました。ただ、先生御指摘のように、実質的には、先発後進国の競争力というものが、相対的に後発後進国よりはすぐれているという面がありますので、先発後進国に有利に働くということは事実かと思います。国際的な場におきましても、特にその点についてと申しますか、後発後進国から、後発後進国に対する配慮を十分にするようにというような意向が非常に強く述べられておったわけでございますけれども、具体的な形では具現しておらない。ただ、先ほど農林省からもお答えが出ましたように、特に熱帯産品については、日本をはじめてとして各国とも相当考えたという意味においては、後発後進国の立場をその範囲において考えていたというふうに申し上げていいかとも存じます。
  161. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大体考え方はわかるわけでありますけれども、結局、後発国というものに対する恩恵が特恵制度からいってないのじゃないかということですよ。そのためには、やはり一次産品というところに大きくウエートがかかっていかなくては、所得の増大だとか工業化ということを言っても、それは現実にはなされないことになる。でありますから、農産加工品というようなものと一般の工業製品というものの中に格差を考えたような考えがあるかどうか。そういう一次産品の少し進んだもの、後発国にあるようなもの、それを少しでも輸入をふやしてやろうというような配慮がなされたのかどうか。一律一体に、同じ途上国という中には何ら差別的な考え方はないのか。特に後発国に対する配慮というものは全然なかったかどうかということを聞きたいと思います。
  162. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 先ほど申し上げましたように、農産品についての特恵供与考え方というのは、いわゆるポジリストということで、国内産業と後進国側の要請を勘案しつつ特恵を供与する、こういうことなのでございますが、ただいま先生御指摘のような後発後進国ということになりますと、主として熱帯産品を産出をする国々というふうに、私どもの一次産品の立場から見るとなろうかと存じます。したがいまして、そういう観点を含めまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、ココアバターでございますとか、ココアペーストその他のココアの加工品、それからパームオイル、動植物性のろうとか、ココナットとか、こしょうとか、できるだけたくさんそういう熱帯産品を組み込もうという努力をいたしまして、五十九品目の一次産品の特恵供与をきめたわけでございます。
  163. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまのお話わかりましたけれども、では紅茶なんかはどうなっているのだということであります。これは日本国内でも産出はなかろうし、何か特殊な国でありますので、これをふやしてやったほうがいいのじゃないかというような気もするわけでありますけれども、紅茶が入っていない。いま熱帯産品については特別に配慮していくのだというお話がありましたが、これはどういうふうになるのでしょう。
  164. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 御質問の紅茶についてでございますが、実はこれは国内生産がございまして、四十五年で約千三百ヘクタールの面積の紅茶の栽培がございますし、農家戸数としては約七千八百戸ばかりが一応紅茶の生産をいたしております。  紅茶は、セイロン、インド、インドネシアといったところがわが国に対するおもな供給国でございますが、この紅茶については、いわゆるポジティブリストの考え方からいきまして、国内の農業との関係があるということも一方にございますが、他方にこれら後進国は、日本の紅茶の輸入の自由化というものを関税の問題と同時に非常に強く要請をいたしておりまして、そういう観点も含めまして、紅茶の自由化というものを政府ではきめておるわけでございます。したがいまして、国内農業生産者との関係から見まして、自由化と関税の引き下げを同時に実施いたすということは、国内産業にとってのショックとしてはやや強過ぎるというふうに考えまして、自由化を先行をいたす、こういう考え方特恵関税のほうは供与いたさなかったわけでございます。将来、国内産業との調整の関係も見て、さらに、レビューの段階がこれから先もあることでございますので、その段階におきまして、また後進国側の要請を勘案の上、検討いたすことにいたしたい、こういうふうに思っております。
  165. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 自由化になりますと、さらに大きな打撃を国内に及ぼすと思うのですけれども、やがて自由化のほうが先に来るというわけですね。それはどのような時期かということ。そうすると、特定国ですから、むしろ特恵のほうでやったほうがいいのじゃないかというような感じもするわけですけれども、そこは農林省の考えでそのような考え方で進んでおるのだ、自由化のほうで進む、こういうお話でありましたから一応理解いたしますけれども、ではいつごろ自由化されますか。
  166. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま政府が、本年末までに自由化を決定する品目として二十品目というのをきめておりますが、この中に紅茶が入っておりまして、このリスト全体を本年四月末までに自由化をすることを目途に努力をする、こういう決定が行なわれておりますので、農林省といたしましては、目下その方向で努力をいたすことにいたしております。
  167. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次に、今度はいよいよ中小企業等の関係でありますけれども、むしろ輸出産業のほうが打撃を受けるのじゃないか。その程度は、輸入によっての影響よりも、むしろ輸出産業のほうが影響を受ける程度が大きい、これはそのとおりだと思います。でありますから、特恵供与日本輸出がどのくらい影響を受けるのかというような推計はいままでされたことがあるかどうか、これをまず聞きたいと思います。
  168. 吉光久

    吉光政府委員 輸出面におきます影響をどのように推定するか、推計方式にいろいろと非常にむずかしい問題があるわけでございます。ただ単純に価格差だけというふうなことでございますれば、関税がカットされる分だけにつきまして、それぞれの商品について、たとえばアメリカ市場という場合、アメリカにおいてどれだけの特恵が供与されるかというふうな、一つ一つの商品の関税のカットされる額をはかりまして、現実輸出市場におきます商品価格に、それをあるいはプラスし、あるいはマイナスするというふうなことで推計ができるわけでございます。ただ、これはあまりにも単純な推計でございまして、むしろ現実輸出競争は、その品物の品質、あるいは価格、さらにまた消費国におけるいろいろの好み、あるいはまた発展途上国におきます生産力の限界と申しましょうか、いろいろの要素がからみ合って、これが輸出全体に影響を及ぼしてまいるというふうなことになるわけでございます。したがいまして、私のほうで単純に集計した時期もございますけれども、実はそのことずばり方法論からいって非常に問題があるというふうなことで、そういう意味で非常に計算のむずかしい問題であるというふうに私どもとしては心得ているわけでございます。
  169. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 輸入にしても輸出にしても、軽工業関係雑貨または繊維関係というものが影響を受けていくわけでありますけれども、すでに日米繊維の問題で長い間、石川とか福井の機業地は非常に困っております。そこへこの特恵ということになってくるわけでありまするので、ますますその影響は深刻になっていくのじゃないかと思います。それで、この石川とか福井などの機業地、そういう面については早くいろいろの手を打っていったらどうか。かつても要望しておったわけでありますけれども、現実にどのようにここであたたかい手を差し伸べたか、こういうことを聞きたいと思います。まず織物関係です。
  170. 大石敏朗

    ○大石説明員 特恵に関する影響、いろいろあるわけでございますが、これには大きく分けまして、積極的に企業の体質を改善する、いわばこれは正攻法でございますが、構造改善というものがございます。それからもう一つは、特恵による影響を受けまして企業が転換するといった場合に備える対策がございます。このどちらの対策もわれわれ必要だと考えるわけでございますが、現段階では構造改善がすでに実施中でございますので、既存の体系の中で、特に石川、福井のような影響を受けやすいところには重点をつけまして、いろいろ具体的なことをしております。こまかな数字については特に申し上げませんけれども、そういうことを十分配慮してやっておるつもりでございます。
  171. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 やっておるということでありますけれども、これは前々から要望しておったのでありますから、石川、福井については現在このようにやったというものを、いまその資料がなければあとでもいいですから、これは委員長を通じましてきちっと要求しておきます。いまお答えできますか。
  172. 大石敏朗

    ○大石説明員 現在こまかな数字、ちょっと持ち合わせておりませんので、あとで表にいたしまして提出申し上げます。
  173. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は金属洋食器の関係でありますけれども、これはアメリカのほうで関税割り当てを受けた。輸出額といたしましては、非常にきびしいワクの中で昨年の約半分くらいしか日本からの輸出はなされないということで、燕等の生産地は非常に困っております。これが特恵でどういうふうになるかという影響は、いま予測は非常に困難であろうかと思いますけれども、やはりその影響も受けていくのじゃないか。両々相まちまして、アメリカにおける関税割り当てでうんと現地が困っておる、さらに特恵の追い打ちを受けるというような問題からいっても、現在非常にどうとかしてくれと言うてきておるわけでありますが、その金属洋食器に対してすでにとられた措置、こういう面にこのようにやったということをまず聞いておいて、さらに今後はこのようにやっていくつもりだという具体的な計画があれば、それもここで述べていただきたいと思います。
  174. 藤谷興二

    ○藤谷説明員 金属洋食器製造業に対しまして現在までとられました措置といたしましては、昭和四十四年の九月に中小企業近代化促進法による特定業種指定を行ないまして、とれに基づきまして、企業の集約化、生産の省力化、品質の高級化を中心といたしました構造改善計画を推進しております。これは昭和四十四年度から四十八年度にかけて実施いたすということでございます。それから海外状況につきましては、ジェトロの補助を受けまして市場調査、海外展示事業といったものを実施しております。それから四十五年七月には輸出中小企業製品統一商標法、いわゆる統一ブランド法でございますけれども、その指定を受けまして、ただいまツバメマークの実施について検討を進めているということでございます。
  175. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 ブランド法につきましても、現地へ行ってみますと、ほとんどバイヤーブランドでありまして、非常に残念ながらこれはほとんど実現ができておりません。  それから、いまいろいろ四十四年にどうだとかおっしゃいましたけれども、現実にそういう業界は苦しんでおるわけでありますから、現実の問題としての、具体的にこのようなことをしてやったというものがあるかどうか、そのような要望が全然ないのかどうか、現実に何かの要望はないのかということ。全然ありませんか、金属洋食器の関係で。
  176. 吉光久

    吉光政府委員 担当部局のほうで何か数字を調査しておるようでございますので、私から総括的にお答えさせていただきたいと存じます。  いまの金属洋食器の問題につきましては、御指摘のように、関税割り当て制度の採用というふうなことによりまして、非常に業界としては多くのショックを受けたわけでございます。しかも、現実輸出数量よりも相当低いところで関税割り当てがきまるというふうなことになりました関係上、現地のほうでも相当の混乱が見えたかと思います。したがいまして、御承知のように、昨年の暮れにおきましては、特にいわゆる年末金融の対象といたしまして、金属洋食器関係相当強く金融対象といたしまして、この金属洋食器業界の現状に見合うよう、特に配慮を三機関に対して要望いたしたところでございますけれども、同時にまた、この余波はこの年度末にも参っております。したがいまして、この年度末金融対策といたしましても、金属洋食器業界の現状を十分に見定めまして、あるいは既存の債務についての返済条件の変更問題を含めまして、同時に新しい運転資金に対する融資需要にも配慮するよう、現在指示をいたしておるところでございます。
  177. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 要するに、日米繊維関係で非常に疲弊した、また関税割り当ての問題で非常に困っておる、それに特恵というような問題が出てくるから、特恵影響がわかってからどうするんじゃなくて、いまのうちに、こういう業種についてはきちっとした配慮がなされるべきである、こういう観点で言っているわけです。いま長官から答えがありましたので、それで了承しますけれども、今後ともにこの業界につきましては特別な配慮が必要であろう、これを重ねて要望しておきます。  さらに、先ほども話がちょっと出ましたけれども、労働力の関係または賃金格差の関係等で、海外に進出していく企業、それだけの力がある企業、ところが、出ていこうと思っても十分にそのような力がなくて国内にとどまってがんばっておる企業、こういうものがあるわけであります。今後さらにそれが特恵その他によりまして、むしろ海外に進出して、そしてつくって輸出競争力をつけたほうがいいんじゃないかというようなものが相当出てくるのじゃないか。それは一つの考え方としましては、そのような力のある海外進出するようなものと、国内に残ってがんばっていくものとがだんだんまた格差ができてきまして、そして国内に残っておる企業というものが非常に苦しくなっていく傾向があるのじゃないか。そういう面について、いまから業界別にきらっと見当をつけ、また指導もして、そして伸びていくものは伸ばす方向に持っていくべきだし、残る分については、それがそのために非常に苦しむというようなことのないような転換の政策、こういうものも立てておくべきじゃないかというのが第一点です。  次には、要するに途上国との関係でありますけれども、だんだんこららが技術を高度化する、デザインを進める。途上国が追いつこうとするけれども、いつもこちらはその上を行くというような配慮というものは、口先で言われておりますけれども、現実にはどのようにそれを考えて取り上げて検討していらっしゃるかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  178. 吉光久

    吉光政府委員 最初の御質問でございますけれども、ほんとうに御指摘のような事態が出てまいると思うわけでございます。海外立地いたしますれば、非常に安い労働力で生産ができるわけでございますし、また安い原料も入手し得るような、そういう場合も想定されるわけでございます。したがいまして、そういう意味国内の企業が海外立地しました場合、それらの有力な生産要素をそのままフルに吸収いたしまして、それを武器として競争を行なってくるというふうなことは、十分考え得ることであると思うわけでございまして、したがいまして、それだけにまた国内におります中小企業者も、製品の品質の高級化の問題でございますとか、あるいはまた、新しい技術を採用することによります生産性の向上その他等につきまして、従前以上の努力が要請されることになろうかと思うわけでございます。したがいまして、同時にまた一方におきましては、むしろ事業は他の成長性ある事業のほうに転換するというようなことが、むしろ積極的な対応策というふうな、そういう業種も出てまいろうかと思うわけでございます。したがいまして、基本的には、従来やっておりますところの近代化、合理化、あるいはまた高度化事業、その他の施策をフルに活用いたしまして、体質の強化をはかってまいるというふうなことが必要であろうかと思うわけでございますけれども、同時にその場合に、やはり技術力の向上というふうなことにつきまして、国の施策といたしましても相当配慮を払っていく必要があろうかと思うわけでございます。基本的な問題といたしまして、来年度施策の中にもそれらの要素を盛り込んだ予算、財投等の要求を行なっておるところでございますけれども、もちろんこういう時期でございますので、それらの施策が重点的、集中的に投入されるということが最も緊要ではなかろうかと考えるわけでございます。  それから、第二の問題といたしまして、いまのは、国内から海外に出てまいりましたものについて関連してお話し申し上げましたけれども、同じような事態が、やはり発展途上国製品との関係で当然に起こってまいるわけでございまして、特に昨今の発展途上国製品、これは単純に労働力が安いというのみならず、相当近代的な設備を導入して工業製品をつくっておる国がだんだんふえてまいっておりますし、その業種につきましてもだんだんと範囲を広げてまいっております。そういう点からいきまして、やはり日本の企業が海外に出ました場合と同じような、そういう意味での慎重な政策的配慮が特に要請されてまいる、このように考えるわけでございます。
  179. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 特恵のほんとうの影響は、アメリカ等が後進国に進出して、そこのいろいろな原料または労働力を利用して、現地で合弁等の会社をつくって、そして出てくるということになりましたら、これは防ぎようがないと思うのですね。何か、アメリカとの合弁企業であるならば特恵の適用は相ならぬとかいうような、阻止する方法があるかどうかですね。そういうことがなければ、先ほど申しましたけれども、やはり日本としては相当考えなくちゃいかぬのじゃないかということでありますが、そういう配慮はどうでしょうかね。
  180. 室谷文司

    室谷説明員 先進国の大企業が後進国に進出して合弁会社等をつくったときの特恵の扱い方について考慮すべきじゃないかという御質問と承りますが、一応現在のスキームの上では、その産品がその後進国において生産されたものであるという証明がなされる限りにおいては、その産品をつくりました企業体が、民族資本であるか、あるいは先進国の資本であるかとを問わず、一応特恵の扱いにされるようになっておるわけでございます。確かに先生御指摘のような、特恵を当てにした先進国の大企業の企業進出というものも予想されるところでございますけれども、発展途上国といたしましては、そういう形態の企業進出も、やはりその国の生産力の向上、経済の成長に寄与するものとして歓迎的な態度をとる限りは、わが国としてはそれを受け入れる。特恵上差別をするということはやはり困難ではないかというふうに考える次第でございます。
  181. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 最後に政務次官お尋ねします。これはお尋ねよりも決意を聞きたいというわけでありますけれども、中共に対する特恵の供与の問題でありますが、先ほど大臣も前向きなお答えがありました。しかし、かつては、去年の十一月には、当委員会で中共には当然適用するんだというような答えがありました。ところがあとで、ケネディラウンドの適用の分と特恵の適用では基本的に非常に異なる問題があるものですから、やや消極的になられたという経緯があります。きょうはまた、やや積極的なお答えがありまして、私たちも安心したわけでありますけれども、やはり中共に対しましてはいつも門戸を開いておくということですね。これは、手をあげるとかなんとかじゃなくても、特恵に関しましても、常に何かの機会にはそういうチャンスをわがほうからつくるというぐらいの姿勢もあってもいいのじゃないか、こう考える次第です。そしてこのままでありますれば、中共との関係ではやはり現在ケネディラウンドのほうでもまだ残りがありますし、特恵のほうの適用ができませんということになりますと、貿易というものはますます縮小していく傾向が強いですね。そういう面でも残念でありますので、門戸を開く。その開き方でありますけれども、よくひとつ政府部内で御検討願いまして、そうして次官においても、関係次官はそのような姿勢を強く持って、常に中共に関しては前向きに考えていく。機会あるごとに政府部内でも発言をしまして、やや消極的になりがちな面があるとすれば、それを押えて、そうして機会をつくるというような面でどのように考えるか。これが私の最後の質問でありますけれども、決意、あなたの態度というものをしっかり表明していただきたいと思います。
  182. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 中共に特恵を供与するかしないか。まあ特恵供与というのは自己選択の原則というのがございます。手をあげるか、あげないかという問題がございます。先ほど大臣もおっしゃっていましたように、アメリカ特恵を供与するようなことは考えられない。中共が発展途上国なのかどうなのかということは別といたしまして、私は、もし中共がその原則に従って希望するならば、前向きでほんとうに考えなければいけない。またそれに対して、もしそういうようなことがあるということならばどういうふうな対策をとるべきかということも、われわれは前もって考えておくべきだということでございます。  私、現在の気持ちとしては、中共がどういうふうな形で出てくるのか、われわれとしても想像がつかない。しかしわれわれとしては、それがもしそういう形で手をあげるようなことになれば、どういうふうな形で対策をとっていくのかということを考えておく必要があるということを申し上げるだけでございます
  183. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま日本政府の姿勢といいますか、非常にかたいですよ。国交回復の問題、貿易促進の問題でも。でありますから、やはりこれは、あと三年、四年、五年となれば当然開けていく問題だと考えます。そういう点においては、やはり若い次官等におきまして一つの部内における世論、そういうものを形成しながら、三年、五年の先を見通して、どうだ、やはりわれわれの言うたとおりじゃなかったかというようなものをおつくりなさることが必要ではないか、そういう決意を聞いておるのでありまして、向こうの出方がどうだとかこうだとかいうことではなくて、うんと今後のこうあるべき姿というものをやはり描いておいて、それにマッチするような決意で臨んでもらいたい、こういうことなんです。
  184. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃる意味も十分わかります。私の言う意味先生はよく御承知だと思います。私自身も中共を拒否するものでもございません。特恵を供与しようということをこちらから申し出るのがいいのか、その点はそういう形ではないのではないか。中共がそういうことで欲するならばわれわれは考えざるを得ないというところを申し上げておるのでございます。
  185. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 質問を終わります。
  186. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会