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1971-03-10 第65回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月九日(火曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  エネルギー・鉱物資源問題小委員       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       進藤 一馬君    田中 六助君       橋口  隆君    藤尾 正行君       山田 久就君    岡田 利春君       中村 重光君    松平 忠久君       相沢 武彦君    近江巳記夫君       川端 文夫君  エネルギー・鉱物資源問題小委員長                 進藤 一馬君  流通問題小委員       石井  一君    稲村 利幸君       大久保武雄君    海部 俊樹君       鴨田 宗一君    北澤 直吉君       前田 正男君    増岡 博之君       武藤 嘉文君    石川 次夫君       加藤 清二君    横山 利秋君       岡本 富夫君    松尾 信人君       吉田 泰造君  流通問題小委員長       武藤 嘉文君 ————————————————————— 昭和四十六年三月十日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 進藤 一馬君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君    理事 吉田 泰造君       石井  一君    稲村 利幸君       遠藤 三郎君    小川 平二君       大久保武雄君    大橋 武夫君       神田  博君    小峯 柳多君       左藤  恵君    坂本三十次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       田中 六助君    藤尾 正行君       増岡 博之君    松永  光君       山田 久就君    石川 次夫君       岡田 利春君    加藤 清二君       横山 利秋君    相沢 武彦君       近江巳記夫君    川端 文夫君       米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         社会保険庁医療         保険部長    穴山 徳夫君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省公害         保安局公害部長 森口 八郎君         通商産業省化学         工業局長    山下 英明君         中小企業庁長官 吉光  久君         労働省職業安定         局審議官    中原  晁君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      中橋敬次郎君         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         労働省労政局福         祉共済課長   金丸  明君         自治大臣官房参         事官      首藤  堯君         中小企業信用保         険公庫総裁   長村 貞一君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     松永  光君   前田 正男君     塩崎  潤君 同日  辞任         補欠選任   塩崎  潤君     前田 正男君 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五一号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 きょうはわが党の同僚諸君の意向を体しまして、全員を代表した形でお尋ねをいたしたいと思います。中小企業関連をいたします問題について、多岐にわたって質疑をいたしますので、若干若干時間が長くなろうかと思いますが、ひとつあしからず御了承をいただきたいと思います。  信用保険法改正案につきましては、同僚委員諸公からいろいろと質問がなされておるようでございます。重複をできるだけ避けてまいりたいと思っております。  まず私は、中小企業庁長官お尋ねをいたしますが、この公害保険の二千万円の付保険限度算定基礎というものはどういうことなのか。率直に申し上げれば、私は若干、付保険限度が低いように思うわけです。したがいまして、これを適当とみなした根拠等について、ひとりお伺いをいたしたいと思います。
  4. 吉光久

    吉光政府委員 限度額を二千万円にするか、どうかという点につきまして、実は入手し得る資料、各方面からの資料を精密に検討いたしたわけでございます。  まず第一に、昨年東京商工会議所で行ないました、東京商工会議所管内におきます過去の公害防止投資額が一企業当たりどのようなものを使っておったか、そしてまた将来どういう公害防止投資を予想しておるか、それらの金額調査をいたした集計があるわけでございますが、それによりますと、今後の公害防止施設投資予定額は、企業当たりでございますが、千三百十三万円というふうな調査結果が出ております。それから、実は中小企業庁でもアンケート調査によりまして、中小企業者のほうから、公害防止投資としてどの程度のものを予想しておるかというふうなことについての調査をいたしました。おおむね同じような回答を得たわけでございます。それからさらに、中小企業金融公庫でやっております公害防止施設融資につきまして、一件当たり平均を調べましたところ、これは中小企業のほうでも上のほうの関係が多いかと思うわけでございますけれども、千六百万円程度というふうな数字が出てまいったわけでございます。それからさらに他方、現在三十二の信用保証協会で、御存じのように公害防止保険という特別の制度を設けているわけでございますけれども、それらの数字を見ましても、大体限度額五百万円あるいは一千万円、一千五百万円、二千万円というふうな数字が圧倒的でございまして、そういう観点からこの際二千万円というのが適当ではないかという判断をいたしたわけでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 まあ考え方はよくわかりましたが、ただ言えることは、金融機関において貸し出しておる実績というものは、それが算定根拠参考にはなりましても、この付保険限度を二千万円に決定する有力な参考にしてはならないというふうに思うわけです。それよりも、公害問題が非常に重要になってまいりましたし、なかんずく、その公害に対応する中小企業は弱いだけに、中小企業庁としても強い関心をもって私は対処していかなければならないと思う。したがいまして、中小企業におけるところの公害設備というものはどうなっているであろうか、どの程度公害防止設備をしたならば公害を出さないようなことができるであろうか、私はいろいろな実態調査というものがなされなければならないと思います。その実態調査の上に立って、付保険限度はこの程度が適当であるという、このようなことにウエートを置いた調査を行ないまして、それによって付保険限度が決定されていかなければならないのではないかというような感じがするわけでございます。  関連をいたしますからお尋ねをいたしますが、てん補率が七〇%になっているわけです。これは特別小口保険てん補率は八〇%であるわけであります。普通保険その他が七〇%でありますが、これと同率のてん補率七〇%というのは低過ぎるのではないか。なぜかというならば、公害設備というものは、私は重要な生産設備であるということは否定することはできないと思いますけれども、これは中小企業だけではなくて、大企業は言うまでもないわけでありますけれども公害設備というものを生産設備というように考えているのかどうか。これはうしろ向きだけれども、やらなければしかたないのだ、そういう気持ちが私はなきにしもあらずと思うわけであります。また、金を貸すところの金融機関の側におきましても、この公害設備をすることにおいて生産性が上昇するという受け取り方はしない。したがって、この融資についてはきわめて慎重であろうと考えます。だとするならば、危険負担というものをできるだけ低くしていかなければならないではないか。これを八〇%にてん補率をすることが適当ではなかったか、そのように考えるわけでありますが、その点、七〇%に下げた考え方をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  6. 吉光久

    吉光政府委員 さきにお尋ねになりました業種別実態調査関係でございますけれども、先ほどお答え申し上げました東京商工会議所あるいはまた中小企業庁でやりましたアンケート調査も、一応、業種別にどのような業種がどの程度公害防止投資を予定しておるかというふうなことにつきまして、設備費需要量というようなものを調査いたしたわけでございます。したがいまして、先ほど私お答え申し上げました平均値は全体の平均でございまして、大体、業種別に見ましても、最高二千万円程度というような結果が得られておるわけでございます。したがいまして、そういうようなところから、一応二千万円という限度額を設ければ妥当ではないであろうか、こういう判断をいたしたわけでございます。  それから、いまのてん補率の問題でございますけれども、このてん補率につきましての考え方もいろいろあろうかと思うわけでございます。七〇%で絶対だいじょうぶだと言い切れるかどうかという点もあるわけでございます。ただ、この公害防止投資というふうなものを、どういうふうに観念するかということによって変わってまいるのではないかと思うわけでございます。  いまも御質問の中にございましたように、公害防止投資というものは本来企業がやるべき責務を負っておる投資である、他の生産設備と同様に、本来そういうふうなものは企業の中に内包されるべき考え方で考えていかなければならない、こういうふうな感じのものであろうかと思うわけでございます。したがいまして、申し上げるまでもないわけでございますけれども、現在設けられておりますところの、特別小口保険でございますとか、あるいは無担保保険というふうな非常に危険率の高いもの、これにつきまして八〇%というふうなことを設けておるわけでございますが、そういうふうなものとして取り扱うか。むしろこれは、やはり企業自身が積極的にやらなければならない公害防止のための施設であるというふうなことを考えてまいりますと、一応七〇%という本来の原則というところでこの制度創設することでどうであろうかということで、実は七〇%を設定いたしたわけでございます。  もちろん、これは保険公庫保証協会との間の関係の問題でございますけれども、これがひいては、この保証業務自身を円滑に進め得るかどうかという点について非常に多くの関連を持っておるわけでございます。したがいまして、そういう点についてのそちらのサイドからの御批判ということもあろうかと思うわけでございます。現在、信用保証協会が、保険公庫との間で特別の保険関係ということに立たない上で、実はこういう保証制度を設けているところが、先ほどもお答え申し上げましたように、三十二協会あるわけでございますが、こういう制度が設けられるということ、そのことによりまして、保証協会としても、積極的にこういう公害防止のための保証ということに踏み出してくれるのではなかろうか、こういう判断もいたしたのであります。したがいまして、これは絶対的という性格のものではございませんので、さしあたり、てん補率七〇%ということで出発さしていただきまして、現実の運用がその後どうなってまいるか、保証協会に相当の影響を与えるものになるかどうか、そういう点につきまして、さらに実績をトレースさしていただきたい、こう考えるわけでございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのように、公害防止施設というものは当然企業がやらなければならない。そうした考え方の上に立って、てん補率特別扱いにするということはふさわしくないのじゃないか、特別小口保険のように、あるいは災害関係のように、危険負担というものが十分予想されるというものではないのだからというわけでございますが、私は、その公害問題がきわめて重要でありますだけに、政府も強くこれにバックアップしていくという姿勢がなければならないのではなかろうか。したがいまして、企業はその責任を負うからということではなくて、公害設備重要性ということをこの際認識をされて、そして公害施設に対する保険てん補率というものは八〇%にされる必要があった。これは絶対的なものではないとおっしゃるわけであります。もちろん法律は、前向きに改正をしていくということは十分予想されるわけであります。しかし私は、いま現に審議をしろということで、私どもの手元にこれが渡されてまいっております。その場合に、将来のことは将来のことといたしまして、現にこの公害問題がきわめて重要であり、公害施設をする中小企業が非常に弱いというような考え方からしますならば、私は、この保険というものは八〇%という形において、金融機関政府も、すべてのものが一体となって公害を絶対に起こさないのだというような姿勢が出てこなければいけないのではないか、かように考えるわけであります。したがいまして、てん補率というものは八〇%ということが、私はあえて絶対的と申し上げてもよろしいわけでありますが、そうすべきであったと考えます。  保証協会のこの後の実績を見てということでございますが、結局、金融機関危険負担が少ないということになってまいりますと、代弁をしなければならない場合に、保険公庫であるとか、あるいは保証協会というものに、それだけの負担というものが出てまいることは言うまでもありません。しかし、そうした保険公庫に与える影響というようなことは、いわゆるその他の方法、先ほど申し上げましたように、政府がこれをカバーしていく、あるいは、保証協会に対する都道府県であるとかその他関係方面出捐金であるとか、いろいろな形において、全体が総ぐるみになって公害を起こさないという姿勢が望ましいと考えるわけでございます。したがいまして、保証協会あるいは保険公庫の、そうした経営面というようなことを念頭に置かれたということはそれなりにわかりますけれども、七〇%、いわゆる普通並みだということについては抵抗を感じます。  それから保険料率普通保険と無担保保険中間に定めようというような考え方にまだ確定をしていないとも言われているのでありますが、保険料率確定をしているのかどうか。これはもちろん確定をしているはずであろうとは思いますけれども、お伺いをいたしたいと思います。
  8. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどの御質問の中にございましたように、国も、地方公共団体も、そうしてまた企業も、金融機関も、総力をあげてこの公害防止施設の積極的な設置についてお互いに促進すべきである、こういう御指摘に対しましては、全くそのとおりだと思うわけでございまして、私どももそういう意味で、新しく民間金融機関の資金を導入しやすくなるというふうな体制をつくるごとが、そういう趣旨にさらに沿うものであるということから、今回の制度創設に踏み切って御審議をいただいておるわけでございます。こういうふうな性格のものでございますので、いま御質問ございました保険料率につきましても、これはできるだけ安い料率できめるべきである、こういう考え方に立っておるわけでございまして、この保険料率が低ければ、おのずと保証協会中小企業者からとっております保証料率も安くなる、こういうふうな関係で考えたわけでございます。  いま御指摘の中にございましたように、普通保険と無担保保険との間でというふうなことでございますけれども、現在、普通保険が日歩二厘一毛、無担保保険が一厘五毛というふうなところで保険料率が設定されておるわけでございます。現在できるだけ安くということを前提に置きまして、大蔵省とも積極的に、この最終的な保険料率の設定を急いでおるところでございまして、おおむねこの中間地点にきまるのではないであろうかというふうに考えております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 てん補率の問題と、保険料率の問題について、大蔵省から考え方をお示しいただきたい。
  10. 近藤道生

    近藤政府委員 お答え申し上げます。  その二つのことにつきましての考え方は、ただいま中小企業庁長官から御答弁申し上げましたとおりに考えております。また、先ほど来先生からいろいろ御指摘のございました御趣旨も十分に踏まえまして、中小企業庁とよく連絡の上で、ただいま長官のおっしゃいましたような線で大体まとめたいというふうに考えております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 それから、同僚委員質問に対して、無担保保険であるとか、近代化保険付保険限度引き上げなかったということは、実績の面から据え置きというのが適当であろうということで、無担保保険近代化保険付保険限度引き上げることには手をつけなかったというわけでございますが、私はどうもそのことが理解できないわけであります。無担保保険というのは、これは二百万円から三百万円に付保険限度引き上げられてからまだ数年しかたっておりません。しかし、この無担保保険というものがより多く利用され、そしてまた、無担保保険が多く利用されることによって、代弁といったような形も無担保保険性格から出てくるのではないか、私はそのように考えるわけでありますが、もちろん無担保保険代弁比率は四二・二%でございますから、これは低いものではございません。それだけ利用されている。ならば私は、無担保保険付保険限度というものは引き上げられてこなければならなかった。これは、代弁比率というものが普通保険に次いで高いといったような点を配慮して、むしろ、保証協会のそうした負担面ということを、保険公庫経営面ということを頭に置かれたのではないかという気がしてなりません。この点についての銀行局長のお考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  12. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように、無担保保険につきましても、引き上げにつきまして検討をいたしてまいりました。確かに利用層は多うございます。それだけに、無担保保険現状のままに据え置くことにつきましてどうであろうかというふうな観点から、いろいろとこれは資料も集めまして、検討を加えたわけでございます。  いろいろ利用状況を見てまいりますと、現実の問題といたしましては、これはあるいは現状が三百万円だからということになるかもわからないわけでございますけれども平均利用額を見てまいりますと、一件当たり八十万円でございますけれども、ただ一企業者当たり平均利用回数が二・三件というふうになっておりますから、したがいまして、これを掛け算いたしますと、大体二百万円程度というふうなものが現実利用状況になっておるところでございます。これは限度が三百万というふうなことがあるところから出てくる制約の面もあろうかと思いますけれども現実利用につきましては大体二百万円程度。また、無担保保険利用層とおおむね同一でございますところの国民金融公庫の無担保貸し付けという制度がございますけれども、これも限度額が三百万円でございますが、どういう利用のされ方がされておるかというふうなところでございますけれども、大体一件当たり貸し出し金額が約九十万円程度というふうな数字が出ておるわけでございます。そういう意味から、実は上げることが可能であるならば全体を上げたいというふうに考えましたけれども、今回の改正法の段階におきましては、重点的に公害保険創設の問題でございますとか、あるいは特恵関係保証制度創設でございますとか、それにさらに一般の普通保険限度額につきまして、これを大幅に引き上げるというふうなことがより先決を要する問題である、そういうふうなところからの総合的観点から、無担保保険につきましては、今回は、引き上げにつきまして、そのまま据え置くというふうなことに相いたしたわけでございます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 長官がそういった御答弁をなさると、さらに私は納得がいかないのです。一件当たり貸し付けが八十万円である、国民金融公庫の無担保貸し付けというものが平均九十万円になっている、これはいかに押えているかということです。これはあと大蔵省お尋ねをいたしますが、環衛金融公庫は一千万円になっております。その平均がいかに低いかということは、御答弁の中で明らかになってこようと思うのであります。借りたいけれども貸してくれないのだ。押えている。これもあとお答えいただきますが、全体の中小企業に対する貸し付け政府機関が今日一〇%になり得ないという現実は、政府関係金融機関で金を貸すことは銀行もあまりいい顔をしない、極力押えていこうとするところにあるのじゃないでしょうか。そのことは、保険の場合も同じようなことが言えるわけです。だから一件当たりというものがこんなに低い。総負担を押えておるのです。実績によってこれが適当であるということについては納得がいかない。  無担保保険というものが、三百万円、まだそこまで届いていない、いま二百万円程度である、こうおっしゃった。一件当たりは八十万円だけれども。それじゃこれから、従来押えてきておった、引き上げないけれども、それに届くような形でできるだけこれをゆるめていこうと、信用力を強めてくる。政府関係金融機関に対しても、出資であるとか投融資をさらに強めるというような考え方があられるのかどうか。積極的にそういうことで対処していこうという考え方であるならば、私はこれで納得をいたします。ひとつこの際、銀行局長お見えでございますから、この後どう対処していくのか、この点についてお答えをいただきまして、納得がいきますならば、これを引き上げないという形でひとつ今回は了承をいたしたい、そう思います。
  14. 近藤道生

    近藤政府委員 無担保保険につきましての基本的な考え方は、先ほど中小企業庁長官から御答弁申し上げましたとおりでございまして、私どもも、中小企業庁と十分御相談の上、そういう方向にきめたところでございます。  なお、ただいまお示しのございましたような、将来、実際の金額が上がってきた場合にどうするかということでございますが、これは当然、そのような新しい事態が生じました場合には、それに応じて考えるということで、その際にはまた中小企業庁と十分緊密に御連絡を申し上げて検討をいたしたいと思っております。  なお、それまでに貸し出しを押える、あるいはその金額を押えるというような方向でやっておるのではないかという御指摘がございましたが、そのような事実は全くございませんし、今後もやるつもりはございません。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 銀行局長から、これを押えているという事実はないのだ、この後もそういうことはないとおっしゃった。あなたはそう思っていらっしゃるのかもしれません。しかし何といっても出資であるとか投融資の絶対額は押えられている。各支店に対する配当というものも、したがってそのワクの中でこれは配当されているわけです。第一・四半期ごと配当があるわけでありますから、それでちょうど消化していかなければなならい。繰り越すといっても、次の期の関係がありますから、限度がありますから、そう繰り越せない。どうしても申し込みをぶった切るのですよ。これは現実なんですよ。あなたのところの机に報告されてくるのは、そういうことは書いてありません。これが問題なんだから、だから私は、もっと実情を把握されて、その現実の上に立って対処してもらいたいということを言いたいわけです。そのことに対してのあなたの前向きの答弁を聞きたいわけですよ。いかがですか。
  16. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま仰せのように、実情を十分に調べて対処しなければならないというふうに考えておりますが、ただ、これはおしかりをこうむるかもしれませんが、私どもの調べました範囲内におきましては、大体におきまして、保険公庫のワクがあるために支障を生じておるという協会はほとんどございませんで、むしろ、協会自体の資金繰り等によりまして、ある程度制約が生じておるというところが全国で二、三カ所あるように私どもの調べでは考えられるわけでございますが、御趣旨の線に沿いまして、なお十分実情を調査いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係もありますから先に進みますけれども保険公庫保証協会の実態だけで申し上げておるのじゃないのですよ。融資と不可分の関係なんですね。これは保証協会民間金融機関貸し出しに対してのみ保証しておるのではないわけです。好ましいことでありませんけれども比率としては低うございますけれども政府関係金融機関の商工中金は言うまでもありませんが、保証というものが相当あるわけです。国民金融公庫貸し付けに対する保証協会保証だって相当あるわけです。政府の金を貸すのに政府の金でもって保証するというのはおかしいじゃないか。好ましい姿ではないだろうが、どうしても独立採算になっていますから、国民金融公庫といたしましても、経営面から安全性をとりたいというので、保証協会保証を頼まれるわけです。ですから、そういう政府機関に対するところの出資であるとか、あるいは融資であるとかということと、この保険の問題は不可分の関係にあるわけです。保証協会経営面が苦しいから実はその保証ができないのだ、これを押えているのだということもあるいはあるかもしれませんけれども、実はそのウエートは私は非常に低いと思うのです。問題は貸し付けの絶対額にある。それから保険公庫の場合は、総裁もお見えでございましょうから、経営がどういう実態にあるか、あとで御答弁をいただくことによって、保険公庫がいかに苦しい経営の状態にあるかということを私は知ることができようと思うのです。ですから、全体的にその面はひとつお考えおきをいただきたい、こう思います。  それから特別小口保険ですね。これは三十万円上げて八十万円にされたわけであります。おそらく長官はこれも、もろもろの実績をとってここらあたりが適当なところだと考えた、という御答弁が返ってくるのだろうと思うのでありますが、これは私どもが、百万に引き上げなければならぬということを附帯決議で決定いたしましたのがもう相当古うございます。小川元労働大臣が当商工委員会の理事をしておられた当時に、この附帯決議の問題は与野党一致をいたしましてつけた。もう忘散るくらい前でございます。これが依然として五十万円で据え置かれておったということにふしぎさがあるわけです。これを百万円になさらないで八十万円で御遠慮をなさったのはどういうところでしょうか、真意のほどは。大蔵省がまかりならぬとおっしゃったわけですか。
  18. 吉光久

    吉光政府委員 この問題につきましても、予算編成の段階におきまして、大蔵省関係当局のほうと十分に打ち合わせをいたしたところでございます。これもいま先に先手をとられたわけでございますけれども、過去の利用実績等いろいろと判断をいたしてまいりまして、現実に現在の特別小口保険利用平均、これは約四十万円程度でございます。これは、五十万だからそうだというふうなことであろうかと思うわけでございますけれども現実利用平均は約四十万円でございます。また、すでに申し上げるまでもないわけでございますけれども国民金融公庫でいろいろ出しておりますもののうちの、小規模零細層四人以下に対する貸出し平均をとってみました。そういたしますと、約六十万円でございます。それから現在、信用保証協会で五十万円をこえて保証特別小口制度を持っておるところが数カ所ございます。そこでどういう利用状況になっておるか。たとえば、限度額が八十万のところ、あるいは百万のところ等あるわけでございますけれども、そこでどういう利用状況になっておるかということを調べてみたわけでございますけれども、その場合の平均保証承諾額は六十九万円というふうに、これは限度額が五十万円を上回っております。平均承諾額も六十九万円というふうに、本来の特別小口制度よりも上回った線での実績が出ておるわけでございまして、これらのところを彼此勘案いたしまして、八十万円程度というふうなことであれば、現実の小規模零細層の方に、不満ではございましょうけれども、前進したものとして受けとめられるのではないか、また現実の需要を相当部分充足するのではないであろうか、こういうふうな判断に立ったわけでございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 どうも何を尋ねてみても、従来の実績だ、実績だ、こうおっしゃる。付保険平均が四十万だ、先ほどはまた、国民金融公庫の無担保貸し付けが一件当たり八十万円であるとか、そうした実績だけでお答えになるので、かみ合わないですね。銀行局長にも申し上げましたが、長官としては、そういうあなたの机に報告されてくるのはそうなってくるのだろう。これでまあまあじゃないかということだろうと思うのです。大臣のところに行ったときは、もっとその点が実感としてぴんと来ないと思うのです。それが適当だろうといって大臣も判こをお押しになるのだろうと思うのだけれども、私どものように、直接中小企業者にぶつかって、なまの声をいつも聞かされておる、現実の問題にぶつかっている者からいたしますと、いまのような答弁はいただきかねるわけです。申し上げることを十分念頭に置かれて、もう少し実態調査をひとつしていただく必要があるのじゃないでしょうか。大臣、じっとお聞きになってどんなお感じをお受けになりますか。
  20. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いま実績が六十九万円ということを申し上げたわけでございますけれども、その実績というものが、実際はかなり押えられた姿の結果出てきている実績であることはもう間違いありませんので、みんなが自由に頼んでできた実績が六十九万円であったということでは、実情から考えると、おそらくないのでございますから、そういうことはやはりいつも頭に置いておかなければいけないと思います。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 この保険を付せられる場合に、それによって保証協会保証が行なわれるわけでありますが、非常に長期な貸し付けである環衛金融公庫のような場合ですね、これがどの程度の付保険比率になっておるのであろうか。また、こうした長期貸し付けに対しては、この後どのような方針でお臨みになろうとしておられるか。これは、マル食貸し付けといわれる生鮮食料品の流通近代化資金の場合にも、同じようなことが考えられるわけであります。この点について比率をひとつお示しいただきたいことと、この考え方をお聞かせいただきたい。  それから環衛金融公庫に対する保険比率も、この生鮮食料品流通——小売りの場合でございますが、この近代化貸し付けに対するところの付保険の一件当たり比率はどの程度になっているのか。それからこの償還年限というものはどうなっておるのか。これは大蔵省からひとつお答えいただきましょう。
  22. 吉光久

    吉光政府委員 長期安定資金に関連いたします保証が現在どうなっておるか、さらにまた、どういうふうに推進するつもりであるかというふうな点、最初にお答えさしていただきたいと思います。  大体、長期資金の需要がだんだんとふえてまいっております。そういう関係から、三年超の長期保証のシニアを調べてまいりましたところが、実際、現実にどんどんふえておりまして、三十九年度に三年超の長期保証のシェアが四・八%でございました。逐年ふえてまいりまして、四十四年度におきましては一四・四%、それから四十五年度におきましては、これは上期だけの集計でございますけれども、一六・九%というふうに、三十九年度の四・八%に比べますと、金額ベースでのシェアは著しくふえてまいっております。  で、こういうふうな長期保証というふうなことを促進いたしますために、例の融資金の分配にあたりましても、そこらの線につきまして、遺漏のないよう配分基準の中で処理をいたしておるわけでございまして、こういう長期運転資金から設備資金への需要というふうなものが、中小企業界の中でもやはり相当活発になってきておる、その証左であろうかと思っておるところでございます。  なお、環衛金融公庫利用率の問題でございますけれども、後ほど御報告申し上げます。
  23. 近藤道生

    近藤政府委員 環衛公庫の貸し付け保証協会保証のございますものは、四十四年度で六億二千四百万円、全貸し付けに対しまする構成比は一・二%でございます。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 考え方はどうなんですか、銀行局長。この政府機関の——商工中金はちょっと事情を異にすると思うのですよ。中小企業金融公庫国民金融公庫貸し付け、これに対して保険を付すべきかどうかという問題ですね。それから、環衛金融公庫等の長期貸し付けに対して保険を付するということについて、保証協会でも、これをやっているところと、やっていないところとあるわけですね。大蔵省としての考え方はいかがでしょう。
  25. 近藤道生

    近藤政府委員 まず、公的な機関貸し付けにつきまして、同じく公的な機関保証するのはいかがであろうかということは、御指摘のとおりであろうかと存じます。私どもといたしましても、よほど借り入れ側の事情がそういう必要があるという場合以外には、そういう事態が生ずることは原則として好ましくないものというふうに考えております。ただ現在、借り受け側の事情等で、大体一%内外くらい、全貸し付けに対しまして保証のついた貸し付けがあるわけでございますが、もちろん個々に念査をいたしまして、非常に好ましくないものがあれば別でございますが、その程度であれば、まずまず現在のところは認めても差しつかえないのではないかというふうに考えております。  それから長期の問題につきましては、先ほど中小企業庁長官から御答弁がございましたところと、全く同様の考え方を持っております。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 政府関係金融機関からの融資に対して保険を付してはいけないということを、この際言い切るほどの自信を私自身持っていないのです。ということは、あまりにも国民金融公庫に対する融資を求めるものは零細であるからです。信用力が弱いんですね。ところが、国民金融公庫は独立採算ですから、どうしても、こげつきを出さないようにしよう、せめて保険がついておればという形で保険を求めておるわけです。そこで零細企業の方々が、どうにか国民金融公庫に期待をし、これを唯一のよりどころとして金を借りているというのが現実です。そうした中で、保険を好ましくないからだめだということで打ち切るということについては、よほど慎重を期していかなければならないと思います。好ましいことではない、私もそう思います。政府の金を貸すのに政府保証するというのは、ちょっとこれはおかしいですね。ですから、その点私は、国民金融公庫にあまり独立採算ということを強調しないで、少なくとも無担保、無保証という制度保険の場合あるわけだから、国民金融公庫貸し付けもその精神にのっとって、ある程度のこげつきはやむを得ないというくらいのかまえで貸し付けをしていただくのでなければ、零細企業の金融の道は開けないと思います。そこをこの際ひとつ、銀行局長に十分留意をしていただきたいということを要請をしておきたいと思います。  いろいろな問題についてお尋ねをいたしましたが、長村総裁お見えでございますが、先ほど、特別小口保険の問題があるとか、あるいは政府関係金融機関ですね、商工中金を除きましてのこの保証というもののあり方で、あるいは長期資金に対する保険保証のあり方等々、あなたが直接の業務に当たっておられるわけでありますから、あなたの立場から、いま行なわれました質疑応答に対してどのようなお考え方を持っておられるのか、参考までにお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 長村貞一

    ○長村説明員 お答えいたします。  保険公庫といたしましては、先生よく御承知のとおりに、一般金融機関から中小企業者が所要の資金を借ります場合、またこの場合も、現在の中小企業金融としては、一般金融機関からのお金の流れが圧倒的に多いわけでありまして、それをできるだけ円滑にするための措置、特に金融機関から中小企業者が金融を受けます場合の一番のネックは担保力が少ないということですが、それをささえるための施設保険制度でございます。あるいは信用補完制度でございますので、私どもといたしましては、中小企業金融のためには一番力にならなければならない施設と考えているわけであります。特に最近の情勢といたしますと、要求されておりますのが中小企業者に対する長期安定的な資産でございます。これの疎通の円滑をはかるために、保険の面におきましてもできるだけのお手伝いをしたい。先ほど中小企業庁長官からもお話がございましたかと思いまするが、そのために保証協会融資基金を融資いたします際に特別の配慮をいたしまして、それの促進をはかるというようなこともやっておるわけでございます。  特別小口、無担保は、これは御承知のように格別の物的担保を必要としない保険でもあり、あるいは物的担保のみならず、保証人さえ必要としない保険でございまして、現在の中小企業の実態から見まするならば、特にいわゆる小零細企業の面につきまして、これは非常にありがたい制度だろうと思うわけでございます、金融の上からいって。したがいまして、私どものほうも、諸般の情勢の許します限りにおいて、これを十分に活用するようなことで臨みたい、かように考えておるわけでございます。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 私は、先ほど吉光長官が、環衛金融公庫の問題についてお答えをいただこうとするときに、あなたの所管外であるということを申し上げましたが、実は申し上げたくなかった。あなたが非常に勉強されて、進んで御答弁をされようとされた態度には、私はむしろ敬意を表したい。実は環衛金融公庫の問題について私も当初からこれに取り組んでまいりました。その際、中小企業に対するところの融資は、中小企業庁というものを無視してはならぬということを当時私は大蔵省に強調したことを記憶しております。少なくとも、サービス業であろうとも、環衛事業というものは、これは少数のキャバレーであるとか高級料理屋というものを別といたしまして、零細企業が多い。中小企業で零細であることにこれも変わりがないんだ。したがって、いまマル食貸し付け、生鮮食料品小売りの近代化貸し付けと同じように、環衛金融公庫、これが先であったわけでありますが、この貸し付けワクを決定をいたします際は、少なくとも中小企業庁から予算要求というものがなされてしかるべしということを強調してまいりました。  当時、大蔵省銀行局はそういう態度でありました。あなたのほうでお出しになる政策資料の中に、当時は、環衛金融公庫出資が幾らである、財投が幾らである、貸し付け規模は幾らであるということを、三機関と同様に並べて実は書いておった。最近数年前から姿を消したわけです。ということは、あなたのほうが、そうした零細企業に対するところの貸し付けに、つんぼさじきに置かれておるということなんです。一般のプロパーの中小企業者と、そうしたサービス業者と質的に変わるものではございますまい。やはり必要な職業であろうと私は思うわけです。それならば、あなたのほうも十分それを見ていくということでなければならないと思います。現在のように無視され、つんぼさじきに置かれておるという事実は、私は決して好ましいものではない、そのように考えます。したがいまして、銀行局長としては、環衛金融公庫の資金ワクを決定するにあたり、今後、中小企業庁とどのような連携をおとりになるおつもりなのかどうか。いまのように、中小企業庁長官も通産大臣も、全くどうなっておるかということを知る由もなく、みずからこれに対する発言をする機会を与えられないということは私は問題があると考えます。その点についてひとつ御方針を伺っておきたいと思います。
  29. 近藤道生

    近藤政府委員 環衛公庫の業務の運営につきましての中小企業庁との連絡が必ずしも十分でないというおしかりを受けたわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ中小企業庁と十分協議をしてまいるという方針、たてまえではまいったわけでございますが、あるいは実際の運営上、ただいまおしかりを受けたようなことがあったかもしれないと反省はいたしておるわけでございます。関係省令の制定でございますとか、業務方法書の認可でございますとか、事業計画、資金計画の認可でございますとか、あるいは業務の委託についての認可、そういうことにつきましては、特に連絡を密にして今後ともやってまいりたいというふうに考えております。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 まあ、それで了承いたします。実はあったかもしれない——いま事実あるわけです。この環衛金融公庫発足当時は確かに、中小企業庁連絡をし、中小企業庁を形式的にも通しました。しかし、最近数年すっかりそれがないわけです。これはやはり適当でないと思います。やはりそうした零細企業に対するところの貸し付けです。それから窓口は、御承知のとおり国民金融公庫が環衛資金の八五%を貸し付けているわけでしょう。一般の運転資金と環衛事業の設備資金というものは、一緒に同じ窓口に書類を二枚もらって出さなければいけないんです。それならば、私は、中小企業庁が、国民金融公庫貸し付けと同じように、これに対して相談を受ける、発言をするというシステムがつくられてこなければならぬと思いますね。まあ、いまの御答弁考え方はわかりました。あなたが局長におなりになる前から実は消えておりますから、あなたになってからこれが姿を消したのではございません。ですから、その点いまの御答弁でひとつ納得をいたします。  次に、この環衛金融公庫貸し付けの問題に実は入りましたから、ここでお尋ねをいたしておきますが、厚生大臣と大蔵大臣との間に覚え書きが実は出されておりますね。そして、いまのところ、一千五百万円以上というものが、これは国民金融公庫関係じゃなくて、中小企業金融公庫貸し付けのワクの範囲でございますが、環衛金融公庫が直接これを貸し付けをするという形がとられてきているわけであります。ところが、厚生省としても、環衛金融公庫としても、環衛金融公庫が直接みずからこれにタッチする、決済をする、みずから処理する範囲をもっと拡大をしてもらいたいということから現在の覚え書きが出されている。しかし、その覚え書きの解釈は、それぞれ大蔵省大蔵省なりの解釈がある。厚生省、環衛金融公庫はそれなりの解釈をしておるわけです。やはり一つの問題点ということになっているわけですが、将来の御方針はどうなさろうとしておられるのかという点が一点であります。  もう一つは、民間の金融機関を窓口に拡大をして、いまの政府機関だけではなくて、いわゆる代理貸しというものの範囲を拡大をしてもらいたいということが環衛団体の大きな団体の要望であるし、また厚生省並びに環衛金融公庫の要請でもあるわけです。  しかし私どもは、今日までこの問題に対しまして意見を申し上げてまいりましたのは、民間金融機関というものはどうしても歩積み両建てというものがある。また、これが設備資金だけであるから、一般のいわゆる運転資金というものとの関連等もあるので、やはり政府関係機関でこれを処理していくということが、現状においてはやむを得ないところではなかろうかということ、私は自分の考え方としてそういう態度をとってまいりました。ところが、強い要望がありまして、いまのような両省の覚え書き交換という形に実はなっておるのでございますから、この後これが変更されるのかどうかという点であります。  それから離島に対して、そうした意見をそんたくするという気持ちからであろうと思うのでありますが、離島、僻地は、いわゆる環衛の代理貸しをする国民金融公庫の直接貸し付けではなくて、民間金融機関に対して再委託が行なわれております。これは、国民金融公庫が代理貸しをするものと、民間金融機関に再委託するものと、両者に分けておるのであるならばわかるわけでありますが、もうこれはオール再委託であります。どうしてそのような措置をおとりになったのか。この二点について、考え方と方針をお聞かせいただきたいと思います。
  31. 北田榮作

    ○北田説明員 お答え申し上げます。  ただいま環衛公庫の業務委託の関係でございますが、これは現在国民金融公庫中小企業金融公庫及び商工中金の三機関に委託をして行なっておるところでございます。ただいまお話のございました直接民間に委託するかいなかという点でございますが、これは四十七年度を目途といたしまして、そういった直接委託もするというような方向検討をいたすということになっておるわけでございます。そういたしまして、四十七年度からの直接委託等にも備えまして、現在一部のものにつきまして、公庫で直接審査をいたしておるところでございますが、四十五年度までは、一千五百万円以上の申し込みのものにつきまして直接審査をすることにいたしておりましたのを、範囲を拡大いたしまして、四十六年度からは、一千万円超の申し込みにつきまして直接審査をいたすというような方針でやっておるところでございます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 私は方針を聞かしていただくことが質問のねらいですよ。いまのお答えを私は知っているわけだ。これから一千万円超になるということは、直接審査というけれども直接審査ではないのです。形式的直接審査。やはり中小企業金融公庫等が審査をいたしまして、書類をあげますから、書類審査なんです。ですからほんとうに形式にすぎない。なわ張りの一つなんです、これは。それで時間がかかる。そういう問題があるわけです。だから、あまり形式にとらわれないで、役所間の問題ではなくて、それに影響を受ける中小企業者がどう考えるかということです。中小企業者のために、いわゆる借り主のために便利か不便利なのか、そこをひとつ念頭に置いて対処していただかなければならぬと思います。ですから、これからは一千万円超になるわけですから、それは国民金融公庫のものは入りません。国民金融公庫は一千万円以下でございますから、それは従来どおりの方針を堅持されるおつもりなのかどうか。さらにまた、これを拡大しようとするのかということを聞きたい。  それから、先ほどお尋ねいたしました離島に対しては、再委託を国民金融公庫はしておるわけであります。ですから国金が直接貸し付けをすることをやらない。二本立てでやったのです。これは非常に困っているのです。離島僻地等に行きますと、金融機関はほとんど一つです。そうすると、その金融機関は信用状態というものが一切わかるのです。ですから、二つあればもう少し金が借りられるものを、一つの金融機関で一切がっさいやっているものだから、実は金がなかなか借りにくいというのが現状なんですよ。だから、そこのところはケース・バイ・ケースで、国民金融公庫環衛金融公庫の代理貸しをしておるわけですから、それを直接という形でオール再委託にしないというような、二本立てでやはりおやりになる必要があるのじゃないでしょうか。その二点をひとつ聞きたい。
  33. 北田榮作

    ○北田説明員 ただいま御質問のございました離島の関係でございますが、これは国民公庫につきましては、現在、一般的には国民公庫の本支店のみで取り扱っているのでございますが、離島僻地等につきましては、やはり借り受け者等の便宜を考えまして、再委託をして民間金融機関の取り扱いをさせておるということでございます。  それから、今後の問題でございますが、ただいまおっしゃいましたように、やはり借り受け者側の便宜ということは十分尊重しなければならないと思っております。こういったことをも含めまして、四十七年度にどのような委託の形態にするかは、今後、厚生省当局等とも十分打ち合わせて、しかるべく措置をしたい、このように考えておる次第でございます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 借り主の便利とおっしゃるのだけれども、オール再委託にしていることが必ずしも便利じゃないのです。そんなに時間も縮まらないのですよ。なるほど離島には国民金融公庫の出張所がありません。支店がありませんね。ですから、年に何回かは調査に行く、そういう形になりますから、民間金融機関に再委託をすると直接やることができるわけですから、それだけ便利だという印象を受けますが、必ずしもそうじゃないのです。それから、先ほど申し上げました不便なことがある。一つの金融機関によって信用状態が全部わかってしまう。ですからチェックされてしまう。借りたい者は借りれないということがある。ほんとうに便利をお考えになるならば、そこらあたりも頭に置いて、ひとつやっていただきたいということです。机上で処理されるということにはやはり問題がありますからね。  それから、四十七年度において一千万超、どちらにすることが便利なのか。それをさらに今度は、国民金融公庫がいま担当しているものの範囲まで下げてくるというような形になるのかどうか。わかりません。もし民間金融機関に直接委託をするという形をおとりになる場合、政府資金でありますから、絶対に歩積みをやらさない、即時両建てをやらさないということが担保されなければならないと思うのです。それがない限り私は、民間金融機関に窓口を広げていくということには、必ずしも賛成はできません。ですから、その自信の上に立ってひとつ対処してもらいたいということを強く要請をしておきたいと思います。  次に、代弁の問題でお尋ねをいたします。これはこの前、予算分科会で銀行局長のお考え方を一応伺いましたが、これは中小企業庁長官にひとつお尋ねをいたします。代弁の全国平均比率はどうなっておるのか。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  35. 吉光久

    吉光政府委員 四十四年度の実績で見ますと、いわゆる承諾代弁率、これは保証承諾に対します代弁比率でございますけれども、これが二二九%でございます。それから平残の代弁率で見ました場合にはこの年が二・三五%でございます。それから四十五年度、本年度の見込みでございますけれども、承諾代弁率で二・〇七%、それから平残の代弁率で二・二八%、こういうふうな数字でございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 二・三五というのは平年度と単年度と違うわけです。それを区別してお答えをいただきたい。——ではよろしいです。これは単年度は二・三五ですね。平年度二・〇七ということになっているのだろうと私は思います。そうなってまいりますと、ここで代弁、いわゆる事故が発生をし請求があったならば、保険金は即時支払いをしておるのかどうか、この点いかがですか。
  37. 吉光久

    吉光政府委員 大体の手続関係でございますけれども保険事故が起こりまして代位弁済が行なわれますと、この際、法六条の冷却期間の三十日間を含めまして、保険金支払いを請求をいたしますまでに大体六十日程度かかっておるのが現状のようでございます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになりましたのは、先ほどお答えをいただきましたいわゆる単年度の全国平均二・三五、平年度二・〇七、その平均の範囲内においては、おっしゃるとおりに、六十日以内ぐらいに支払いがされておるかもし熟ません。全国平均を上回っておるものに対しても即時支払いがなされておるでしょうか。一年も二年もその保険金が押えられて、いわゆる保険公庫から保証協会にその支払いが延ばされておるという事実はございますまいか。
  39. 吉光久

    吉光政府委員 御承知のように、保険公庫といたしましては、保険金の支払い請求は一括して毎月十日を締め切り日といたしておるようでございまして、請求書等に不備な点がない限り、保険金は当該月の二十五日に支払うというふうなことでやっておるわけでございますが、ただ、御承知のように、四十三年度後半から四十四年度に保険事故が高水準で推移してまいりました時期に、保険公庫保険金支払いの原資の不足というふうな事情のために、保険金の請求につきまして、あらかじめ協会側に配分いたしました保険金支払いワク内に極力おさめるよう要請いたしておった時期がございましたけれども、最近におきましては、この原則に立ち戻りまして支払いをいたしておるというふうに報告を受けております。もちろん、これは早いほうがいいわけでございますので、できるだけ事務の迅速化に努力するよう指導してまいりたいと考えます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 私は、中小企業を無視しないように、中小企業全体についてあなたが把握をする、そうした中小企業庁が見識のある位置にあって中小企業問題を把握してもらう、またすべてがそれを尊重していてもらわなければならぬということで、先ほど、環衛金融公庫の問題についても、銀行局長にそれを強く求めたわけです。同時に私は、あなたのほうに要請をしたいことは、もっと中小企業全体の問題について把握をしてもらいたいということです。焦げつきの問題についてあなたは実情を御存じない。代弁が非常にふえてきた。代弁がふえてきたから大蔵省は押えてきたのです。予算分科会でも私は指摘をいたしましたが、保険公庫というものは保証協会を直接指導することができる機関ではない。そういうことも関連するのであろうと思うのでありますけれども平均値を上回るところの保証協会銀行局は直接呼びつけて、もっと押えろという強い指導をしてきたものです。そういうことで保証協会というものが、極力これを押えていかなければならぬという形で押えてまいりました。そのことに、先ほどの、無担保保険であるとか、あるいは特別小口保険であるとかの平均保険率が非常に低くなるということの関連も、実はあろうかと思うのであります。だから最近は原則に戻ったとおっしゃる。ずっと押えられてきた、したがって保証をそれだけ慎重にやるということは、より保証を求めておる零細企業に対して保証をやらないという形があらわれてきたという事実を、あなたは忘れてはならぬ。一年以上保険金が支払いを受けないで非常に困っておる保証協会があります。しかも、一つの保証協会で一億も二億もというような膨大な金額を、保険公庫から支払いを受けることができないで、非常に四苦八苦しておる保証協会があることを忘れてはなりません。全国に、私がいま指摘をいたしましたような、全国平均を上回って、保険公庫からその支払いを受けないで困っておる保証協会がどの程度あるのか、その額がどの程度になっておるのかということを、御承知になっていらっしゃいましょうか。
  41. 吉光久

    吉光政府委員 的確な数字につきましては、持ち合わせていないわけでございますけれども、私どもの報告を受けておりますところでは、おおむね順調に推移しておるという報告を受けておるわけでございまして、いまの御指摘にありましたように、特にある特定の協会で事故率が多かった、そういうところにつきまして、あるいはいま御指摘のような点があるのではないかと思いますけれども、いま的確なデータを持っておりませんので、後日、調査して御報告をさしていただきたいと思います。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 答弁としては、そういう答弁しかできないのだろうと思うのですよ。おおむね順調に推移しておるということは、あなたの認識が非常に甘い。そういうものではございません。非常に深刻だということを、長官としてこの際十分考えておいていただきたい。そうして銀行局に対しても、その他関係省に対しても、あなたは中小企業庁長官として、中小企業者の立場に立って十分ひとつ強い申し入れをするという態度がなければならぬと思います。  そこで、代弁の問題として、ここで時間の関係がありますから、私は小さくお尋ねをいたしませんが、長官、あなたに十分お考えおきをいただきたいことは、特別小口保険代弁平均率が三二%になっているという事実であります。無担保、無保証でございますから、これは件数はどうなっているのか。金額がどうなっているのか、金額だけでははかり知れないものがあろうと私は思います。件数は非常に多いのだけれども金額が五十万円以下。先ほどのお答えで四十万円以下ということになっておるわけでございますから、したがって、そういう面で低いのであろうというようには思いますが、件数としての比率はどうなっておるのかということをお答えいただきたい。  それから、無担保保険というのが、私は先ほど申し上げましたが、これは四二・二%になっている。普通保険が五二・九%。実はこういうことになっておるわけです。この無担保保険というようなものも、私はもっと率が高くならなければならぬと思いますが、これを押えてきている結果こうなっているのだろうと思います。一応のお答えがございましたから、この点についてあらためて御答弁はいただきませんが、いずれにしましても、これらの点に十分留意をしていただいて、調査を的確にされて、どうあるべきかということについて考え方をまとめて、私は、大蔵省その他関係省に十分長官としても発言をやっていただく、そういうことを要請をいたしておきたいと思います。  そこで、先ほどの代弁の問題から関連をして出てまいりますのは、準備基金の不足の問題があげられてくると思います。四十六年度と四十五年度、これは全く同じであります。全然伸びがございません。これはどうしてでしょうか。なるほど融資基金のほうは、先ほどの、四十五年度よりも五億の減になっておりますが、共同証券からの直接保証協会に対するところの出資が九十五億でございますから、そこで相当な伸びにはなっております。この点について、銀行局長からあらためて、共同証券の資金というものは絶対に引き揚げないということをお答えを、明確にしていただきたいということが一点。  それから、この融資基金については、これからの方針としてどのようにお考えになっておられるのか心中心の準備基金が四十五年度と来年四十六年度と同額であるということはどうしたことであろうか。公害保険があります。特恵保険が始まってまいります。付保険限度引き上げられました。結局そのことは、代弁の額というものはふえてくるのではないでしょうか。ならば、この準備基金というものが多くならなければ、結局どういう結果が生まれてくるでありましょうか。代弁をしなければならないような信用力の弱い企業には金を貸さないという形が出てくるのではないでしょうか。私はそうした行き方は、正しい信用補完制度のあり方ではないと考えます。この点に対しての銀行局長のお考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  43. 近藤道生

    近藤政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の、日本共同証券財団からの九十五億円が今後引き揚げられるようなことがないであろうかということに対しましては、先般の分科会におきましても、基金当事者からも、そのような引き揚げという考えは持たないということを申し上げたわけでございますが、同時に、財団法人日本共同証券財団の寄附行為の三十五条におきまして、「この法人の運営上の重要事項については、大蔵大臣の指導を受けるものとする。」という規定がございます。大蔵省といたしましても、これを一挙に引き揚げるという気持ちは全くございませんので、その点は特にはっきり申し上げておきたいと存じます。  それから第二点の保険準備基金の問題でございます。これは先般も御答弁申し上げましたように、四十三年度に二十五億円、四十四年度、四十五年度に各四十億円の出資がなされましたゆえんのものは、保険公庫の大幅な赤字に対する対策でございます。最近、保険公庫の収支は著しい改善を見ておりますので、従来のように赤字補てんという面からの出資は必要でなくなったわけでございますが、それにもかかわりませず四十六年度は、信用保険制度の健全な発展というところから、前年度及び前々年度並みの四十億円の出資を行なうということにいたしておるわけでございまして、そのような観点から、今後も信用保険制度の健全な発展ということを片方に頭に置きながら考えてまいる。だた、この保険準備基金そのもの性格が、ただいま申し上げましたような性格を持っておるということもございますので、その点は、私どもといたしましても、財政上の事情、片や信用保険制度の拡充の問題、その折り合いをどの辺でつけるかということは慎重に考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 もう少し明確にお答えできませんかね。要するに準備基金が低いということは事実ですよ。それから、今度は対象が非常に拡大をしてきたわけでしょう。そのことは、やはりこの事故率が増大をするということは間違いないんじゃないですか。四十五年度と来年度予算を同額にしたということは、これは、私がいまお答えを聞き落としたのかもしれませんが、どうしてなのか。これから準備基金をふやして、代弁を押えるようなことはなくて、信用力の弱い零細企業に対していわゆる融資の窓口を開いていくという考え方をお持ちなのかどうか、その点をひとつこの際明確に、方針としてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  45. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまお示しのような方向での信用保険制度の拡充強化ということは、私どもといたしましても、ぜひとも実現いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、片や財政事情等もこれあり、また、先ほど申し上げましたような、保険財政の赤字に対処するための方策であったという意味合いもだんだんと薄れてまいりましたので、その辺の折り合いをどの辺でつけるか、いま御指摘のございましたような点をも十分考慮しながら、今後考えてまいりたいというふうに考えております。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 それから、共同証券は保険公庫を通らないで直接保証協会貸し付けられることになるわけです。ですから、この貸し付け利率は幾らになるのかということをお聞きいたしたいことと、それから保険公庫の財政は最近著しく改善された。ところがやはり依然として苦しいと私は思うのです。この前利率を二・五%から三%に実は上げたんですね。これはそれなりの理由づけがあるようではあります。しかし決して好ましいものではない。やはり保険公庫の会計が苦しいからということが第一義であったのだろうと思うのです。ところが、共同証券のが保険公庫に入りまして、保険公庫から出るということになりますと、それだけ保険公庫の会計は楽になってまいりましょう。しかし、直接でございますから、全く保険公庫には関係はないわけですが、それを通すとなってくると、これは今度は保証協会に対する貸し付け利率が上がってまいるわけでありますから、それでは困るわけです。何か利子補給とかなんとかという方法が考えられないものかどうか。保険公庫の財政を健全財政にするために、特に大蔵省としての配慮というものはないのかどうか。この共同証券の貸し付け利率の問題と、保険公庫のいわゆる健全財政の確立ということについて、お答えをいただきたいと思います。
  47. 近藤道生

    近藤政府委員 共同証券からの融資の利率につきましては、ただいままだ最終的な決定は見ておりません。融資基金の利率に準じて定める、そして、先ほど来のお話のような、保証活動全体にプラスになるような水準できめるということできめられることと考えております。  それから第二点の問題につきましては、保険公庫自身、あるいは保証協会自体、いろいろと経営健全化のための努力を積み重ねておられるわけでございますが、それらの状態を十分見守りながら、私どもといたしましても、全体が円滑にいきますように考えてまいりたいと存じております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 信用保険の問題についても、まだお尋ねしなければならない点が相当あるわけですが、ここらでひとつ大臣に、いままで行なわれました質疑応答、信用補完のあり方について、あなたのお考え方をお聞かせいただきたい、これからの御方針を同時にひとつお示しいただきたいと思います。
  49. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この信用補完制度は、一見非常にじみな制度でございますけれども、実はたいへんに大切な役割りを果たさなければならない制度であるというふうに考えておるわけでございます。それで、この制度がほんとうにうまく動くか動かないかということは、これはもともと金の貸し借りでございますから、経済的な効果がおもではありましょうけれども、実は大きな目で見ますと、やはり社会安定のための一つの大きな安全弁になっておる、そうあるべきものだというふうに私はかねがね考えております。この制度がそのような役割りを円滑に果たし得るかどうかということは、結局は、その保険金の支払いというものが円滑に行なわれるかどうかということが全部末端まで響くわけでありまして、それがそうでありませんと、新しい信用保証というものも協会でなかなか渋りますし、そうなれば金融機関が貸し出さないということになるわけでございます。そういうことがあってはならないのでありますけれども昭和四十二年でございましたか、御承知のように保険財政が非常に悪くなりまして、それをきっかけにして、しばらくの間この制度がどうも円滑に動かなかったと思われる節がございます。それはすでに過去のことだけであるのか、あるいは、先ほど中村委員から御指摘がございましたが、現在でも、信用保証協会によってはいろいろ二の足を踏んでおるところが現実にあるのではないか。それは保険金の支払いが円滑でないということになるわけでございますが、そういう問題が絶対にありませんということは、私はなかなか言い切れないのではないかというふうに、率直に申しますと思っております。  こういう点につきましては、おそらく中小企業庁長官あるいは大蔵省銀行局長等々、政府におられる人々の把握のしかたと、中村委員、あるいは私もその一人でございますけれども、比較的末端の不平をじかに聞く者の観察とが必ずしも合わない場合があるのではないかということを、私は率直に思います。もとより信用でありますから、乱に流れるということがあってはならないのでございましょうけれども、また、事故率というようなこともわれわれ無関心ではあり得ませんけれども、やはりそこは、この制度が金融の制度であるとともに社会の安定ということに、ことに末端における不満の解消ということに果たしておる役割りを見のがすわけにはいかない、むしろそのためには非常に大切な制度であるというふうに考えております。  そういうふうに考えますと、決してこの運用をルーズにせよというつもりではありませんけれども、かつての保険財政の危機というものも一応乗り切れたと思われる今日、もう少し積極的に運営をしてもいいのではないだろうか。先ほど、保証協会の中で、なかなかおいそれと動けないものがあるのではないかというお話がございまして、中小企業庁長官から、現在そういうものはまずまずないのではないかと思いますという御答弁を申し上げました。役所でわかり得る限りは、私はそれが偽りでない答弁だと思いますけれども、末端の内部で事実上どういうことが起こっておるかということは、正式の報告をなかなかいたしませんでしょうから、ほんとうを言えばわからないのですが、私はかなりあるのではないだろうかとすら思います。つまり、なかなか請求が出てこないということになれば、これは事故がなかったように一応報告の上ではなってまいりますから、どうもその辺に問題がやはりひそんでおって、しかし正規のルートではなかなかわからないということがあるのではないかというふうに、私はまあこれは、通産大臣という立場よりは、末端にやや接触のある政治をやっております一人として思うわけでございます。ですから、この制度が従来、本来の役割りを十分に果たしておるかどうかということについて、もう少し中に立ち入って私ども行政をする者としては関心を持たなければならないと思いますし、また今後、結局、先ほど御指摘のような基金の問題にもなり、また付保限度の問題にもなるわけでございますけれども、この制度の果たしておる大きな社会的な役割りにかんがみてそれらの問題を考えていくという基本的な態度が必要ではないかというふうに私は考えております。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お答えのとおりだと私は思います。私は、いまの政府中小企業政策の中で最も生きている政策ではないでしょうか。私はほんとうに、この信用補完制度というものの重要性というのは、再認識をしなければならぬ。実はこの制度が発足をいたします際、これは大臣が一番御承知でございましょうが、社会政策的な立場から、これは相当額赤字になってもやむを得ないというような考え方があったわけですね。ところが、ずっとこの制度が時間がたつにつれまして、独立採算というような面が非常に強く出てまいりました。それで、先ほど申し上げましたようないわゆる代弁の事故が起こる。代弁があった、平均率を上回った。これの支払いがおくれておるために、銀行に実は払えないのですよ。銀行信用力のないものに融資しないということになってまいります。非常にこれは大きな社会問題であろう。せっかく生きている制度をもっと生かしていくということに留意しなければならないのではないか、こう思います。ですから私は、大蔵省はこれは直接の担当ではありますが、やはりどうしても締める立場に立つ。それを中小企業庁が、通産大臣が、特にこの点に対して大蔵省と強力な折衝というものがやはり行なわれる、そしてこの制度をさらに拡大をしていくということに十分な配慮が必要であろう、こう私は思います。  同時に、いつも私が指摘をしてまいりました、また特別の決議もいたしました、保証協会保証つき七〇%のてん補率、八〇%のてん補率は、それだけ金融機関危険率が低いのでありますから、したがいまして、保証つきの金融という、このくらい信用力があるものはありませんから、貸し付けの利率は保証料だけ引き下げることは言うまでもなく、もっと貸し付けの利率というものを引き下げる、こういうことによって弱い中小企業というものを強くしていくということでなければならぬと思います。この点に対しては、歴代大臣、もう絶対そういうことはさせない——私は突っこんで、そういう保証つき融資に対して利率を下げないような金融機関に対してはもう保証しないというような態度で臨むべきではないかという私の意見に対しては、同感であるという答弁をされた通産大臣がおられるわけであります。ですから、この点に対しては、あらためて宮澤通産大臣からもお答えをいただきたい。  もう一つ、特に銀行局長これをお聞きおきをいただきたいと思うのですが、長村総裁も配慮をしていただかなければならぬというのはこの一年契約なのですけれども保証料前取りなんですよ。そうすると、ずっと払っていくほうの元金は減るわけでしょう。減るのだけれども保証料は前取りしていますから、非常に高い保証料になるわけです。そうでしょう。これはもうまさしく高利貸しの行き方ですよね。そうではなく、毎月毎月はできないかもしれませんが、いま実行しているところもあるそうでございますが、少なくとも二カ月か三カ月おきくらいに計算をして、やはり元金が減ったら保証料を引き下げていくというやり方でなければならないのじゃないでしょうか。大臣、一年契約ですから、保証料を前取りするのです。元金が減っても先に取られておりますからね。これはもう保証料はそのままなんです。昨日は川端委員もその点は指摘をいたしておりました。これは私は矛盾だと思いますね。だから、これらの点をどう改善をするのか、通産大臣と銀行局長お答えをいただきたい。  まだたくさんありますけれども、公取委員長が時間の関係がありますから、今度は公正取引委員会関連の問題に質問を進めたいと思いますから、一応ひとついまの二点についてお答えをいただきたい。どのように改善をするのか。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはり役所におりますと、金を借りるというようなことが実際経験もない場合が多いものでございますから、どうもこういう制度がほんとうにうまく生きて動いておるのかということについて、理屈の上ではいろいろ報告を見たりいたしておるわけでありますけれども、実態はなかなかわからない、無理もないことと思いますけれども、ことがあるのではないだろうか。先ほど申しましたような心がまえで、この制度をほんとうに生きたものとして使うならば、たいへんにいい役割りを果たす制度だと思いますけれども、それにしても、先ほど御指摘のような保証料の問題、あるいはてん補の限度の問題、保険金の支払いの問題等々いろいろございます。十分御指摘のあった点を留意して運用してまいりたいと考えております。
  52. 近藤道生

    近藤政府委員 信用保証協会保証料の計算方法及び徴収方法につきましては、たいへん協会ごとにまちまちでございまして、現在いろいろなやり方があるようでございます。そのやり方につきまして、ただいま貴重な御意見をお示しいただきましたので、それを参考にいたしまして、今後できるだけ信用補完制度全体が円滑にまいるように運営していくようにつとめてまいりたいと考えております。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 いまの保証つき融資に対して利率を引き下げるという問題は……。
  54. 近藤道生

    近藤政府委員 保証つき融資につきましては、利率の引き下げにつきまして従来もだいぶん努力をいたしてまいりまして、御高承のように、ただいま〇・三五三%というところまでまいったわけでございますが、なお、このような問題につきましては、絶えず努力することが必要であると考えますので、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 谷村委員長お尋ねいたしますが、三月七日の新聞ですが、いま公正取引委員会が作業を進めております化粧品の表示に関する公正競争規約第五次案をつくっているのだろうと思うのですが、これを通産省との間にいろいろと話し合いをしておられるのだろうと思うのです。ところが通産省が、消費者保護の条項がこの中にあるわけですが、これを削れと言った。新聞には「通産省が横ヤリ」ということが報道されているわけですが、この真相をひとつお聞かせいただきたい。私は「公取委に文書つきつける」という見出しがあるので、これはまた何としたことかと思って実は驚いているわけですが、この点どうなっているのでしょうか。
  56. 谷村裕

    ○谷村政府委員 官庁間でいろいろと話し合いをしたり、折衝したりしておりますことが、あるいは口頭で行なわれ、あるいはメモといったようなもので行なわれ、あるいは正式文書で行なわれることがございますが、さようなことが一部の新聞に、きわめてまだ事務的な段階のところが出て、それがいかにもまた、通産省が何か消費者行政に対して無理解であるとか横やりを入れたかというようなことき印象を与えるように報道されましたことは、私はまことに残念なことであると思います。新聞のことでありますから、どういうソースで資料をどうとられたかは、私どもも追及のすべがございませんが、私どものほうから好きこのんで、さような文書があったというふうなことを意図的に新聞側に申すというふうなことは、毛頭あり得ないことでございますので、いかにしてそういうようなことになったか、はなはだ申しわけないことでございますが、私どもとしては、かりに私どものほうの内部から、そういうものが新聞の目に触れるような書類の扱いになっておったとすれば、それは十分注意しなければならないということが、部内でこの間うち議論になった点でございます。これがまず第一でございます。  第二に内容の点でございますが、これは「通産省が」ということばで出ておりますけれども、私も書類を見てみましたが、見てみますと、要するに、別に公印と申しますか、官印と申しますかを押しておるわけではございません。いわば課と課の間のメモといったような姿のものでございました。そうしてそれについて、疑問に思われる点とか、あるいはこういうのは逸脱しているんじゃないかといわれたような、そういう点の指摘がございました。  これは中村委員もよく御承知のとおり、公正競争規約、あるいは景品につき、あるいは表示につき業界がつくるわけでございますが、不当景品類及び不当表示防止法の第十条に基づいて公正取引委員会が認定するわけでございますけれども、従来、大体食品関係とか建物、不動産といったようなものにはございましたが、通産省系統のものでは、ただいま自動車の表示に関するものと化粧品の表示に関するもの、その二つがいま業界で問題になっております。いずれも従来の型に従いまして、たとえばこの公正競争規約はどういう目的のためにつくったんだというふうなことが、必ず冒頭に第一条に書いてございます。自動車の場合にもそういうことが書いてございますし、化粧品の場合にもそういうことが書いてございますが、たとえばそういうことが第一条に書かれてあるときに、それははたしていつもそういう書き方をしているのかどうか、景表法の十条からそういうふうな書き方に一体なるのだろうかといったような、ごく素朴な——私からいえば素朴なでございますが、議論を実は事務段階で、おそらく通産省の担当の方が初めてだったんじゃないかと思うのですが、提起されたんだと思います。  そういったようなことが、いかにも消費者保護について削れと言ってきたというふうに報道されておりますけれども、もちろん、「消費者の利益を保護することを目的とする」と景表法は書いてあるのでございますから、目的であることは当然なんでございますが、それは別に業者を代弁してとかなんとかいう問題ではなくて、純粋におそらく——さっき宮澤大臣が申されましたけれども、私もそういうことをよく思うのでございますが、どうも役人と言ってはことばが悪いのですが、官吏、行政官というものは、小さなことを、お互いの法律上のことをよく議論し合ったりすることがございます。私も官庁におりましてそういうことを感じたことがございまして、どうもそれは少しこまかいことばかり言っているんじゃないかと思うようなこともございましたが、若干それに類するような話がそこにあったようでございます。その他いろいろと何カ条か書いてございますけれども、ある意味では、きわめて素朴なお互いの議論をそこに書いてきているというような感じのものもあれば、率直に言って、私の立場から申せば、言わぬでもいいことを言っているなというようなものもございましたが、いずれもこれは、いわば事務的なところでお互いに議論していることでありまして、そういうことでちょいちょいと新聞に出ては、これはけしからぬというふうに言われますと、できる議論もできなくなるおそれもございますので、こういう機会に、私どものやっております仕事、通産省でやっております仕事も、お互いに十分言いたいことは言い合い、意見を交換し合って、そしてちゃんと仕事を進めていくようにする。何か書いたり言ったりすると、すぐ外へ出てしまってどうだというようなことで、しかも、それが悪く受け取られるということであっては申しわけないことだ。たいへん長々と申しましたが、そういう気持ちでございます。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 経過はわかりましたが、ひいきの引き倒しということばがよくあるのですが、どうも谷村委員長、お役所におられた関係から、お互いに役人同士かばい合おうというお気持ちがあるのでしょうけれども、それが過剰になるんじゃないでしょうか。とにかく通産省をかばおうとされる。再販のときしかり、いまもそうなんです。業者の代弁を通産省がやろうとしたんじゃないと思うのですなんて、あなたがおっしゃる必要はないのですよ。特にあなたがそうおっしゃるところに、何かおかしな感じを受けるのですよ。ですからあなたは、あなたのほうのベースで、分野でお答えをいただきたい。  それから、事は重大でございますから、宮澤大臣、あなたもいま初めて見られたんじゃないだろうかと思うのですが、私がいま公正取引委員会委員長の御答弁伺い、また新聞を見まして感ずるのですが、単にメモだとおっしゃった。ところが何カ条かについて書いてある、こういうことです。これは通産省がお出しになったのは二日二十五日、公正取引委員会が受け付けられたのは三月二日。そうすると単なるメモじゃない。受け付けですからね。正式文書として課長がお出しになっている。通産省の企業第一課、それから消費経済課、化学第二課、それが公正取引委員会の取引部景品表示課に出している。ですから、委員長に直接出したのではないという形では、委員長が、単なるメモだ、こうおっしゃったのだろうと思います。しかし少なくとも、その問題点ということについて、「第一条中、一般消費者の適正な商品選択を保護し」という目的は景表法第十条からみて広すぎるので削除することが妥当である」、「第三条中「五原産国名但し国産品を除く」は次の理由により削除することが妥当である」、これが単なるメモと理解をしてよろしいのでしょうか。通産大臣が、これは削除の必要はないとお感じになりましても、あなたのところに来るまでには、そうした事務当局の中において公正取引委員会との間で折衝される。そして、公正取引委員会が挿入したいものまでも、結局それが削除されるという形にならないとは言えません。それが消費者保護という点から逆の結果を生み出すという形にもなろうかと思います。いま公取委員長が、通産省は業者の代弁をするものではないということでしたが、語るに落ちるということばもありますけれども、ともかくそういうような形になりかねない。私はそれを憂えるわけです。したがいまして、どの程度の段階でこれが話し合いをされ、しかも、これを削れといったようなことが、正式文書をもって提出をされるという形になったのでしょうか。こういうことがあってもよろしいのでございましょうか。大臣どのようにお考えになりますか。
  58. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず基本的に通商産業省の立場を申し上げておきますけれども、今度のような公正競争規約を公正取引委員会がつくられようという、その規制の方向については、通産省としては基本的に賛成であります。けっこうなことであると考えております。  次に、いまの書類のやりとりのことでございますけれども、不当景品類及び不当表示防止法に基づいてこの公正競争規約を公取が認定をしようとしておられるわけでございますけれども、通商産業省として、家庭用品品質表示法であるとか不正競争防止法などを所管しておりますから、そういう意味で、このような公正規約の認定を公取がされるときには、あらかじめ協議をし調整をするということが二つの役所の間のかねてのしきたりになっておるわけでございます。そういうしきたりに基づいてお互いに相談をし合っているという段階で、通産省の関係の、三つばかり関係課があるようでございますけれども、事務レベルで考えておりますことを、一応まとめて紙に書いて公正取引委員会にお渡しをした、こういうことのようでありまして、その文書そのものは、見てみますと、課長といったような責任のある——逆に無責任という意味ではございませんが、課長というようなことでなく、課の意見といったようなことから、公正取引委員会の取引部景品表示課に対して書かれた文章であります。わざわざ書きましたところは、かなりこの文書の性格をはっきりさせるために配慮をしておるように考えます。したがって、公文書といったようなことでないことはもちろんでありまして、おそらく口頭で議論をいたしておりますことを整理するというようなことから、差し出したものというふうに考えます。一つ一つ項目をあげていろいろ書いてございますが、私も急なことで、これがどのような意味合いを持っているのか、はっきりただいま申し上げられませんけれども、まあ、おそらく一つは、法律の解釈論といったようなものからどういう表現が適当であるかといったようなこと、あるいはもう一つは、多少いま谷村委員長もいわれましたが、そこまで回り回った理屈を言わなくてもいいだろうというような部分も、ひょっとしたら入っているのかもしれませんが、いずれにしても、事柄自体に反対であるといったようなことを申しておるのではなく、これは私が先ほど申し上げましたように、通産省としては基本の方向はけっこうであります。けっこうでございますから、法律上誤りなく、また両省が十分調整、協議をした上でこの規約が認定されることが望ましい、そういう長い事務手続の一つの段階で起こったできごとであろう、このように考えております。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく競争制限というものをできるだけ押えていく、そこで条件の整備をはかっていくということがきわめて重要だ。いま私は、公取はこれに真剣に取り組んでいるであろう、そのように評価をいたしているわけですが、私は公取だけではなくて、政府全体が、総理も再三再四、国民に向かってその点についての意思表明をされたわけでありますから、私は、そうしたことが事務段階においてチェックされるということは、これはいささかも許せない、そのように思います。いろいろ事務的な問題ということにおいて、事務当局がこれを、話し合いの中におきまして是正をするということはあり得ることでございましょう。全くこれをやらないということでは、事務当局は何をするのかということになってまいりましょうから、それはそれなりに理解をいたします。しかし、少なくともいま大臣がお答えになりましたようなこと、また公取が委託しておるというようなこと、消費者保護、これがいささかも後退をするという形であっては、私はならないと思います。その点はひとつ、このことが漏れたことが、ある意味においてはいい方向に展開をするということになることを、私は期待をいたします。ただ御両者とも、これは公式文書じゃないものだ、こうおっしゃった。私はきょうは、その内容について、その扱いについて、これ以上追及をしようとは思いません。しかし、そう簡単なものでないということだけは指摘をいたします。少なくともこれは「昭和四十六年二月二十五日公正取引委員会の取引部景品表示課殿」という形で出され、しかもこれは正式に、四十六年三月二日、公取が受け付けをしておるわけです。公文書の扱いをしております。単なるメモのものではございません。したがいまして、山下化学工業局長もお見えでございますから、どの程度局長はこの相談にあずかったのか、いろいろとお尋ねをいたしてまいりたい、かように考えますけれども、きょうは時間的関係もございます。ひとつこの問題につきましてはあらためてお尋ねをいたしたい、かように考えます。したがって、いま大臣が言われたこと事務当局も十分体してやっていただきたいということを、私から強く要請いたしておきたいと思います。  次に、厚生省、労働省からもお見えをいただいておりますのでちょっとお尋ねをしなければなりませんから、公正取引委員会委員長の時間の関係もございますので、深く入れませんので、歩積み両建ての問題について、重要な問題でありますから、若干お尋ねをいたしておきたいと思いますが、公正取引委員会が歩積み両建ての調査、いわゆる拘束預金の調査をしていらっしゃるわけでありますが、新しい拘束という姿があらわれてきているというようなことで、何回も私どものほうに、その実態についての調査の結果を御報告いただいているわけでありますが、最近の状況といたしまして、簡単にひとつ公取から御説明をいただきまして、あとは局長並びに大臣にお尋ねをいたしてまいりたいと思います。
  60. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いわゆる拘束預金の実態につきましては、現在、十一月末でやっておりますのを集計中でございまして、新しいのがもうしばらくして出ると思いますが、ただいま中村委員がおっしゃったのは、昭和四十五年五月三十一日現在の十三回のアンケート調査結果報告などがお手元に差し上がっておると思います。私どもは、御承知のとおり、中小企業を抽出いたしまして、そこからアンケートというような形で報告をとっておりますが、回収率は三割足らずでありまして、必ずしも十分に全体の状況が把握できているかどうかについてはまだまだ未熟であるとは思っておりますが、しかし、銀行局のほうでやっております金融機関側の調査にちょうど対応する借り受け側のほうの調査としましては唯一のものでございますので、それなりの意味を持っておると思います。そして最近の新しい状況というふうに言われましたが、私は大きく分けて、三つのことを指摘することができると思います。  第一番目には、金融機関のほうを調査しておられる大蔵省調査と私どものほうとの違う点でございますが、いわゆる広義の拘束と申しますか、いわば銀行のほうから見れば、自発的にお話し合いでやっていただいているんだという気持ち、しかし借りているほうでは、それは拘束されているんだとして受け取っているようなもの、その差がかなり大きく依然としてございます。その問題が一つ。  それから第二に、十分いろいろ自粛措置をとったとか金利措置をとったとかいうことについての通知、あるいは拘束をしているとかしていないとかいうことの通知、そういったことが、私どものほうから見ますと、必ずしも十分に行なわれていない点が見られるということ。これは金融機関側の調査によると、たとえば金利自粛は一〇〇%であるというふうに出ておりますが、必ずしもそういうふうではないのではないかと思われるような結果が出ておること。あるいは、先ほど申し上げた拘束通知が必ずしも十分に行なわれていないというような点、この点が第二の問題。  それから、第三の問題といたしましては、これはいわば、どこまでが自由な営業と申しますか、経済活動であり、どこからはそれが行き過ぎになるかという問題にもなってくるのでありますけれども、いろいろな形での金融機関側の借り手に対する預金の勧誘と申しますか、させるという話。あるいはもう、社長さんでもいい、あるいは従業員さんのものでもいいというふうな形で集めてくる。それが自由な預金集めの活動でございますが、同時に、どこまで実態的に心理的圧迫なり何なりとして映っているかといったようなこと、それが三番目に新しい傾向としてあるというふうにここでは書いてございますけれども、これは、一般的にそういうことがある中で特に新しい傾向としてあるかどうか。そういった点が問題になろうかと思います。  以上、大体要約して申し上げました。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 私は私なりに調査を実はいたしているわけです。その調査、私の知り得ている実態という面からは、もうここら辺で、公正取引委員会は特殊指定に踏み切るべきであるという考え方を私は持っている。あなたが、時間が許します歌ば最後までおっていただきまして、私なりに把握いたしております実態をひとつ聞いてもらいたいと思いますが、時間の関係もあるようでありますから、そこであなたの考え方を確かめておきたいと思うのです。  現在までのところ、調査に基づいては特殊指定までいく必要は感じておられない、そういうことでありますか、もうここらで踏み切らなければならないというような気持ちをお持ちでございましょうか。
  62. 谷村裕

    ○谷村政府委員 特殊指定と申しますのは、御承知のように、不公正な取引方法についてのある業界における態様を、その業界を中心としてきめるというものでございまして、ちょうど景表法でいえば、先ほど問題になりました公正競争規約のようなものになるわけでございますが、これは業界の実態を見て、たとえば新聞業でも、あるいはみそ、しょうゆ業でも、そういったようなもので、たとえば景品を自粛するといったようなことについての特殊指定をいたしますというのは、いわば、それは昔の話でございますが、それは一種の自粛措置を私どもが特殊指定という形で裏づけする、こういう形の法制であるというふうに思っております。私どものほうで特殊指定をいたしましても、それを具体的にどう守っていくか、それに違反したことをどうやって追及していくかという問題は常に残る問題でございます。  その点では、私が見ておる一つの面では、金融機関は免許営業として、特にまたその公共的使命のゆえに、大蔵省から厳重な監督をしかれておるもとにある事業である。そしてまた、それはそれなりに、内部においても一つの組織を持ち、自粛措置をとることをきめてやっておる。それを私どものほうの形式に切りかえるということの持つ意味、また、それを切りかえることによってどれだけの実態との差を起こすことができるかといったようなことについて、私はもう少し勉強させていただきたいと思っております。  が、今度は、第二の観点からいたしますと、私も実は大蔵省におりまして、この話が出ましたころ、たまたま官房のほうにおりましたが、実ははなはだ申しわけなかったんですけれども、何か独禁法で特殊指定というと、とんでもないたいへんな恥ずかしい目にあったような、それだけはかんべんしてくれといったような気持ちが、何かそのころあったような気もいたします。私は、自粛するくらいならば、むしろはっきり特殊指定でやるという考え方だってできないわけではないというふうに、あとになって独禁法をよく勉強してみましたら、実はわかったのでありますが、自粛していればよくて、特殊指定になると何かみっともないことになったというふうな考え方は、必ずしもとらなくてもいい。もっとすなおにお考えになったっていい。そういうことも、そうもないとおっしゃいますけれども、いろいろ勉強してみたら実はわかったわけでございます。  そんなわけで、両方の面から見まして、私はいまの段階では、銀行局、大蔵省のほうでも十分監督機関としてやっていらっしゃいますので、この不公正取引の態様としての拘束預金という問題を、この話は、いわば公正取引委員会が、直接の自分の問題として、自分の権限の作用としてキャッチするか、それとも、監督官庁である大蔵省というものをいわば通じてやらしていくか——やらせると言うと、たいへん申しわけないんですが、やらしていくか。そういう、いわば行政の一つのやり方の問題ではないかというふうな感じも、実はしているわけでございます。たいへん長いことおしゃべりいたしましたが……。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 どうぞ委員長は適当な時間にお引き取りをいただきたいと思います。  銀行局長、いまお聞きの点ですね。あなたのほうで通達をお出しになって、拘束の内容について債務者に通知することを義務づけておられるわけですね。どうもそれが徹底していないというお話は、いまお聞きのとおりなわけです。いま私どもが聞いておる公取の調査の結果と申しましょうか、あなた方も同時にお受けになっておられるでしょうし、あなた方自体も年に一回御調査をしていらっしゃるのでしょうが、その点からどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  64. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま公取委員長から概要のお話があったとおりでございまして、私どものほうの数字では、一昨年の十一月と昨年の五月とで、拘束性預金の比率が一六・九から一六・二へと、ある程度下がっておるわけでございます。ただ、公正取引委員会の広義の拘束預金の調査では、逆に若干上がっておるということでございまして、その間にあるものが、まさに御指摘のとおり問題になるものであろうかと思います。そのうちには、あるいは実際に拘束されていないのに拘束されておると感じておるものもあろうかとは思いますが、しかし、やはりこの辺の違いが、社会的に見ましての、金融機関と借り入れもしくは債務者、預金をする者の側とにおける力関係と申しますか、そのようなことに基づいて起こっておる面があるわけでございまして、その辺から考えますと、私どもといたしましては、絶えず表面の数字の裏にある実際の動向というものに目をつけて、指導監督を厳正にやってまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。昨年度も実際に相当数の検査を、特にこの両建て歩積みのために専門にやりまして、その結果、かなりの改善を指導したわけでございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 現場調査を年に一回、書類調査を年に二回くらいおやりになっているということでございますが、通達によって拘束預金の解放、それから拘束分に対するところの金利措置、その他いろいろな通達が実施されているというようにお思いでしょうが、いまの拘束分についてはわかりましたが、金利措置が十分に行なわれているのか。それから、いま言う拘束分は完全に解放されておるというふうにお考えでございましょうか。
  66. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘の点は、一時に比べますとかなり改善は見ておると思いますが、ただ全体といたしまして、先ほども申し上げましたように、表面上に出てまいっております統計の数字どおりと受け取っていいかどうか、この辺はたいへん疑問がございますので、私どもといたしましては、検査に特に重点を置きまして、たとえば昨年の検査のしかたを申し上げますと、拘束預金比率が高い店、あるいは貸し出し取引の多いいわゆる貸し出し店舗、あるいは中小企業を主たる取引層とする店舗、そういうようなものを特に抽出いたしまして、それらについて歩積み両建て預金の臨検調査、それ専門の臨検調査を行ないまして、特に拘束預金比率の高い債務者を抽出いたしまして、大体一店舗三十名くらいでございますが、それらにつきまして、四十五年中で大体四百店近くのものを検査をいたしております。その結果、先ほどおっしゃいましたような点、不備な点がまだ非常に多い。そしてこの問題は、絶えずたいへん目を光らせておりませんと、すぐまたもとに戻るというような性質の問題でもございますので、私どもといたしましては、実際の検査をさらに強化してまいるというつもりでおります。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 公正取引委員会は直接調査できない。したがって、アンケート調査、こういうこと以外には現状においてはできないのであろう、私はこう思います。銀行局として十分の調査が行なわれているのかとお伺いしましたところ、いま銀行局長から率直にお答えがございましたように、きわめて制限された形においてなされている。そこで疑問をはさまれたのですが、私は非常に率直であると思います。確かに、大蔵省のあなたのほうの目をのがれて拘束がなされているというふうに、いろんな形で調査をいたしましたが、そういうふうに把握しているいま一六・九%から一六・二%くらいになったということですが、私はそうは思っていない。定期性預金というのが三〇%、それから流動性預金が一〇%から二〇%程度、四〇ないし五〇%の拘束が依然として行なわれておると思います。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)いかがでしょうか。
  68. 近藤道生

    近藤政府委員 私どもも、いろいろ実際のなまの声をできるだけ進んで聞くようにいたしております。それらの声の中には、相当ひどいというお声がいまかかりましたが、そういう実情にあるものもございます。  そこで、たとえば先ほどの四百店の調査対象債務者が一万一千人を若干上回るぐらいの調査でございますが、それらにつきまして、たとえば即刻是正を指示したものとか、それからその銀行として歩積み両建て預金の再調査を行なわせたものとか、あるいは経営者に厳重注意を与えたものとか、あるいは本店及び営業店の自粛体制を強化するための具体的な措置をとらせたものといったようなものが、相当数にのぼっております実情から見まして、先ほど御指摘になりましたような声も、あるいは部分的には真実ではなかろうかという感じもいたすわけでございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 結局、裏拘束ということになるわけですね。裏拘束は表面に出せないわけです。表面に出せないから、今度は預金証書というものをお客さんからもらう。なぜもらうか。もらっておかなければ、こげついた場合に相殺ができないでしょう。したがってこれをお客からもらっている。それをあなたのほうは押え切れたら確実なんですが、それを押えることができないですね。私の調査したところによると、これは受領証はとってありますよ。とっておかなければ、いま言う危険、こげついたといったような場合との関連が出てまいるから、そういうことに実はする。ところが、あなたのほうが調査をするということはすぐわかるわけです。どうしてわかるのか。銀行のほうに知らせるのかどうかわかりませんが、わかる。わかるからどうしているとお思いですか。銀行はお客さんに数字でもって番号をつけております。そして、いま申し上げましたように、受領証をとっているかどうかということを、それは調査の対象になりますから、それをまず調べる。とっていない場合があるわけです。とっていなければ、これは調査で、債務者に対して通知もしていないし、債務者の了解のもとに金利措置等が行なわれていないというような指摘を受けますから、したがって、そういうものをまずその番号によって調べて、とっていなければとりに行くわけです。債務者は弱いから判こをすぐ押してしまうのですね。優越的な地位を乱用いたしまして、かってなことをやるのですね。  それから、先ほど私は、あなたのほうの調査はわかるのだと言った。わかるから行員が残業するのです。二週間も幾らも残業して、そしていま申し上げたようにいろんな調査をして判こをとっていないものは判こをもらうという最大限の努力をやっている。これが実態なんですよ。ですから、その証書というのは、こげつきの際に相殺をする関係からどうしても必要だからというので、それは確実なものなんです。すべての表面、裏面の拘束が明らかになりますから、これはなかなかあなたのほうの調査では出さないですね。それをどうかして押えるという方法はないのかどうか、そうしなければ、いまのような調査を何ぼ繰り返しても、何ぼ通達をお出しになっても同じことなんです。これが問題ですよ。  それと、お考えおきをいただかなければならぬことは、金利措置ということになってまいりますと、私も資料を持っていますから、金利措置による金利は何%ということは承知していますけれども、時間的な関係もありますからそこらは申し上げませんが、表面に出るものについては、金利措置によって金利が安いわけでしょう。ところが裏拘束のものは、金利措置を行なうことができないわけです。だから、拘束はされておるけれども、債務者は高い金利を払わなければならないのですよ。この点は非常に重要な問題ですね。こうした歩積み両建ての問題が大きく問題になる前は、すべてこれを担保にいたしますから、金利が若干安かったわけです。信用レートということになってまいりますと高くなるわけです。ところが、裏拘束分はいわゆる信用レートで金利をとられるわけです。だから、きびしくなったために、逆に債務者は金利負担というものが非常に強くのしかかってきているということが実態なんです。だから、いまのような状態だったら、もう全部表に出すという形にしなければどうにもならぬということになってこようかと思います。これをどうするのかということですね。局長どうお考えになりますか。これは私は大へんな問題点であろうと思いますよ。
  70. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘のとおりの面があろうかと存じます。大体銀行の検査の周期が、人手の関係その他からほぼ一定してしまう結果になりますので、検査のある時期近くになりますと、いろいろとそういうような意味での一種の粉飾の準備をするというようなことも、あるいはあろうかと存じます。そのような点を考慮いたしまして、特にこの両建て歩積みという問題は非常に大きな社会的な問題にもなりますので、私どもといたしましては、通常の検査とやや違った機動的な検査方式ということを昨年から研究いたしております。そして、必ずしも周期にとらわれないで、先ほど申し上げましたような、特に公正取引委員会との連絡あるいは一般からの通報等で、両建て歩積みという点で注目を要する店舗というようなものを、いわばねらい撃ちで検査をするというようなことを考えております。  金利措置が不適当というようなものの件数も、御指摘のとおり非常に多いわけでございまして、先ほど申し上げました検査の結果私どもの得ております事例でも、百四十五件にわたる金利措置不適当分が発見されております。これはいわゆる即時両建てに次いで最も多い件数になっておりますが、これらの点につきましては、そのつど、その店のみならず、その金融機関の全店にわたってさらに再調査をするように命じておるわけでございます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 とにかくあなたのほうで通達を出されたのは、金利措置は百万円超が地方銀行で五・七五%でしょう。それで百万円以下が六%、裏工作分、いわゆる込みレートになると八・五%から九・五%、拘束されながらこの込みレートで金を借りているというのが実態ですから、これはひとつ何とかして突きとめて解決をしてもらわなければならぬと思います。  それから、実に私が悪質だと思いますのは、政府の資金を貸し付ける場合、代理貸しですね。申し込み者に金を申し込ませるのですよ。五百万要る人には一千万というふうに申し込みをさせる。そしてそれをすぐ即時両建てにするのですよ。一応すぐわかりますから、流動性の預金にやらせるわけですね。今度はまた日にちがたったら定期性に持っていく。それから今度しばらく日にちがたって拘束にもっていくという三段階に分けてやっているということです。けしからぬ話です。要らない金を借りさせるのですよ。代理貸しですから銀行保証をいたしますね。保証をするから債務者は要らない金だけれども、申し込みをする。政府関係金融機関の絶対額が少ないのに、不必要な金を借りさして、そして銀行に即時両建てをやらせるのだから、ますますもって苦しくなってくるじゃありませんか。こういうけしからぬことがまかり通っているのですよ。言語道断というのか、こういうことをいつまで放置しておったらよろしいのでしょうか。これは申し上げても、御答弁をいただこうとしても、局長が先ほどお答えになったような答弁が返ってくるだけで、ともかく研究してこういうことをやらせぬようにしようということだろうと思うのですが、ともかく許せないですね。だから大臣、これは大蔵省だけの問題ではないのではないでしょうか。中小企業者にとってこれはたいへんですよ。大企業に対するところの貸し出しが大体普通で年率七%から七・五%くらいですね。中小企業は申し上げたように八・五%から九・五%です。こういう大企業は拘束預金に応じないですよ。担保はとりましょうけれども、そこは信用があるからそうきびしくない。金利は高い、担保はとられる、歩積みはさせられる、即時両建てはやられる、これでは中小企業は背負い切れないでしょう。いま物価対策の面から、生産性の低い中小企業を強めていこう、生産性を高めていこう、こういうことでいろいろな配慮をしておられましょうけれども、これではどうにもならぬではございませんか。勝負にならぬですよ。こういうことでは相撲にならない。大臣、これは閣議で問題にして、ひとっこうした面を改善をするということできびしくおやりになる。公正取引委員会委員長が帰りましたが、これでも特殊指定ということを公正取引委員会ではやらないです。大体、調査もろくろくできぬだろうと私は思う。直接調査なんかできないんだから。だから先ほどの谷村さんの答弁なんて、私は歯がゆくてしょうがないのですよ。おざなりです。ここらあたりでひとつ大臣、お答え伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 よく感じますことでありますけれども、何か会合がございますと、大体銀行の人が床の間にすわっておるわけでありまして、過去二十年間でそうでなかった時期が、私、注意して見ておりましたので覚えておりますけれども、一ぺんだけございましたが、それも非常に短期間でありました。そういう社会的なしきたりが続いておる限りは、やはりその裏では、いま言われましたようなことがあるということを推定していいのではないかというふうに思うわけであります。  ただこの問題につきましては、大蔵省も実は非常に真剣に、何とかしてこの弊風を改めたいという努力をしておられることは事実でありまして、決して金融機関だから大目に見ようというような行政態度でないことは、私も実は自分で確認をいたしております。先ほどもお話がございましたが、検査であるとか、調査であるとか、あるいはいわゆる拘束性に相当する貸し出しの部分についての金利の引き下げでありますとか、いろいろ指導をしておられるわけでありますけれども、結局、需給関係でございますから思うように習慣が直らない。幾らかよくなってきたことは確かと思いますが、直らない。でありますから、その方法としては、一つはそういう検査なり調査なりをいろいろ新しい方法でやっていただくということ。それから申せば、これは国全体の経済情勢にもよることでありますけれども、金の需給関係というものを、許すならば需給がバランスに近いような形に直していく。一つはこういう非常に具体的な検査、調査のやり方でありますし、一つは経済情勢のつくり方、持っていき方ということになるのではないかと思っております。  なおこれは、私はこういう悪い習慣を弁護するために申し上げるわけではないのでありますけれども、そういう意味に解釈していただくと困るのでございますが、わが国のような高度の経済成長が続いております場合に、おそらく、いま世の中でいわれておる表面金利というものは、実はそれが実態金利になることはなかなか無理であって、いわば金の需要家は、いま御指摘になりましたような形で、より高い金利を負担をせざるを得ない。また逆に申せば、それが経済全体の中に織り込まれているということになっているというのが、純粋の経済の見方からすれば、私はある程度は事実かもしれぬと思っております。銀行行政もだんだんいろいろ自由化をされていかれる方向に進んでおりますから、そういうことが進むこともこの問題解決の一つのいい方向だと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題は、一つはやはり検査、調査ということの励行、他方で経済情勢が許す限り、表面金利というものがほんとうに金を借りるための価格であるということのほうに近づけていくという長期間の努力が政策として要るのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 私も大臣がお答えになりましたように、大蔵省銀行局が決してあいまいにしておるとは思いません。それはいま銀行局長答弁態度の中からも十分うかがわれる。あいまいにしておるとは思いませんけれども、それはやはり銀行屋さんですから、そこは簡単にいくものじゃないですね。よほど強力な姿勢でもってこれを直していくということでなければどうにもならぬです。私が先ほど指摘いたしました代理貸し、これはすべての銀行がそうやっているとは申せません。しかし、代理貸しで必要以上に借らせて即時両建てをやらせるということは、許せない行為じゃないでしょうか。わずかの歩積みでもこれはけしからぬことです。しかし、不必要な金を借りさせ、即時両建てをやらせるのはいけない、これは犯罪です。いま申し上げたように、裏工作のために金利措置がとられない。ほんとうに弱い立場に置かれている中小企業のいかに大きな負担になるか。これは聞き流しておってはいけない問題である。したがって、銀行局もさらにひとつ決意を新たにして取り組んでいただきたい、そう思います。  なお、信用保険関連いたします高度化資金その他大臣にぜひお尋ねしなければならぬ問題が若干ありますので、厚生省と労働省にあとで来ていただきますのは恐縮ですから、ここで簡単にお尋ねをいたしまして、午後に若干時間をいただいて最後の質問にしたいと思うのであります。  中小企業の雇用対策について労働省の考え方をひとつお聞かせいただきたい。時間の関係がありますから、私から項目をあげてお尋ねをいたします。  若年労働力の充足というのが中小企業はなかなかむずかしい。したがって、若年労働力を充足させるための考え方というものが労働省にはないのかどうか。また、福利厚生施設とか、中小企業のための住宅の建設ということについては、どのように今後対処していこうとしておられるか。それから、中小企業の従業員の退職金共済制度というのが実はあるわけです。ところが、この退職金共済制度というのが、御承知のとおり、昨年でございましたか、三年以上十年未満が五%、十年以上が一〇%、そうして二百円の国庫補助対象が四百円になったということだけです。これとても問題になりません。やはり寄らば大樹の陰というところで、福利厚生施設もいい、退職金も十分保障される大企業のほうへ若年労働者は行ってしまう。何とかこれを国庫補助をふやして、中小企業に働いても退職金はひとり立ちができるような額がもらえるのだ、あるいは中小企業生産性が高まって賃金が引き上げられて、中小企業に働いても妻子を養っていくことができる、生計が営まれるというような方向へ持っていくのでなければならない。そのためには、最近の倒産も労働力不足の深刻化ということが倒産要因の一つになっているわけでありますから、ここらあたりはひとつ十分配慮しなければならない。きょう御出席になっておられる方では、こうした政策の面についての責任を持つお答えをいただくことはちょっと無理ではないかと思いますけれども、いまの労働省の考え方はお聞かせいただくことはできょうかと思いますから、ひとつ現状、将来の考え方というものをお聞かせいただきたい。  それから厚生省には、いつもいわれております五人以下の中小企業に対する社会保険の強制適用ということを、もうここらで踏み切らなければならないのではないか、そのように考えますが、この点はどうお考えになっておられるのか。  それから、中小企業団体の共済制度、これは農協の場合におきましては公的共済制度でありますけれども中小企業はどんどんふえつつある。したがって、中小企業団体の職員もふえつつあるのに、中小企業団体の職員に対しましては、任意共済のまま放置されておる。これではいけないのだ。やはり身分の安定という面から考えてみましても、公的共済制度の確立というものは遷延を許さないと私は考えるわけでありますが、これらの点に対してのお考え方を聞かせいただきまして、最後に大臣のお考えをいただいて、午前中の質問を一応終わることにいたしまして、午後にまたお尋ねをいたしたいと思います。
  74. 中原晁

    ○中原政府委員 中小企業の労働力不足の問題でございますが、これは先生御指摘のとおり大きな問題でございまして、昨年の十一月の調査を見ましても、中小企業の五八%は人手不足が経営上の隘路になっているということで、大きな問題になっているわけでございます。これに対しましては、根本的には協業化とか設備の近代化等を進めまして、人手依存の経営から、高い技術に裏打ちされました生産性の高い近代的な中小企業への脱皮をはかっていますとともに、企業が計画的に人材の養成、管理、確保を行なえるように、事業内の職業訓練の助成でありますとか、雇用管理の近代化に対する指導の強化をはかる。  特に先生御指摘のような福祉面でございますが、これにつきましては、雇用促進住宅の設置、貸与ということを進めております。それから雇用促進の融資の拡充ということも進めておりまして、この利率につきましても、大企業の七分に対しまして中小企業は特に六分五厘。それから融資率につきましても、大企業は七割ないし八割の融資率でございますが、九割までお貸しするということで進めております。その他、工場の周囲に、共同の福祉施設とか勤労者総合福祉センターというような、福祉施設の設置を促進いたしまして、また労働条件の近代化等を進めまして、中小企業を魅力のある職場にすることが肝心であると思いますので、今後とも、通産省その他とも協力いたしまして、この面の確保、推進をはかってまいりたいと思っております。
  75. 金丸明

    ○金丸説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生から御指摘のありましたように、中小企業の退職金共済制度につきましては、昨年の国会におきまして、最低二百円、この部分だけ国庫補助対象部分として考えておったところを、掛け金月額四百円までを補助金対象といたしたわけ  でございます。したがいまして、率としましては、先生御指摘のとおり、三年以上五%、十年以上一〇%、これは変わっておりませんけれども、それの要素となります掛け金月額が二百円から四百円ということになりまして、倍増になったわけでございます。しかしながら、この倍増をもって私ども決して十分満足すべきものだというふうには毛頭考えていないので、今後この制度につきましては、五年目ごとに掛け金の額なり退職金の額なりを再検討せよということが法律上明示されておりますので、その間におきます一般の大企業自体の退職金の水準というものは、当然上がってくると思いますので、そういたしますと、それに負けないような中小企業の退職金制度もつくらなければならぬ、こういう考え方を従来から一貫して持っておりますので、現在、いま申し上げましたような姿で国庫補助をいたしておりますけれれども、今後の退職金水準の動向等を勘案しつつ、これをできるだけ引き上げる、こういう前向きの方向で努力してまいりたい、かように考えております。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 五年に一回なんということになってくると、四百円が補助対象になっているわけですから、お話にならぬですね。大体、どの程度まで中小企業に働く従業員の退職金制度を拡充していこうとするのか。年次計画では最終目標はどうなっているのですか。
  77. 金丸明

    ○金丸説明員 具体的な数字的な計画は現在のところ持っておりません。ただ、私どもといたしましては、基本的な考え方としては、先ほど申し上げましたように、この制度そのものが、大企業におきますような退職金制度を、中小企業においても国の援助なり補助なりというものでつくらなければ、中小企業の振興なり中小企業の従業員の福祉にならない、こういう考え方からできている法律でございますので、そういう精神で対処していきたいと考えておるわけでございます。
  78. 穴山徳夫

    ○穴山政府委員 医療保険部長でございます。  第一番目の五人未満の適用の問題でございますが、先生おっしゃいますように、現在、健康保険の残されたいろいろな問題の中で、五人未満の適用の問題というのは非常に大きな問題でございます。したがって、一昨年健康保険の抜本改正の諮問をいたしました際にも、大きな重要な柱となっております。ただ現在、社会保険審議会におきましては、前提要件の中間報告が終わりまして、これからいろいろな抜本改正の対策にいよいよ審議が入っていくわけでございますが、その中で当然この五人未満の適用という問題が取り上げられるわけでございまして、したがって私どもは、この答申をいただきまして、この問題の解決に前向きに取り組んでまいりたいというように考えております。  ただ、非常にむずかしいのは、この問題を解決いたします前提といたしまして、たとえばいろいろな問題がございますけれども、御承知のように、ただいま健康保険が非常に赤字財政になっておりまして、したがって、五人未満の適用をいたします場合に、たとえば各医療保険制度間の財政調整でございますとか、そういった財政的な措置をどうやっていくかということが一つの大きな議論の中心になるわけでございます。それからもう一つは、現在、社会保険では、政府管掌の健康保険では大体六十五万事業所くらいを対象にしておりますけれども、現在五人未満で未適用になっております事業所が、これは推定でございますが、約百五十万くらいあると思われますが、いまの約倍以上のこういった事業所に対して適用していく場合に、事務的にもどういうふうに処理していくかという実施上の体制の問題もあるわけでございまして、こういったような問題を前提といたしまして、これから社会保険審議会で五人未満適用の審議が始まります。私どもも、この考え方、社会保険審議会の結論というものをいただきましてこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから二番目の中小企業団体の職員共済、これは私の所管外でございますが、聞くところによりますと、これは一言で申し上げますと、年金関係の問題は私どもが所管しております医療保険とちょっと違いますので、厚生年金という総合的な統一的な制度というものの中で運営していったほうがいいのではないかというふうな考え方が非常に強い面もございまして、そういったようなことが、これの考え方の前提と申しますか、になるというように聞いておりますが、これは私の所管ではございませんので正確にお答えができませんが、以上でお答えを終わらせていただきたいと思います。
  79. 吉光久

    吉光政府委員 中小企業団体の職員につきまして、農林漁業団体共済制度と同様の制度を設けよというふうな点につきましては、しばしば御指摘を受けておるところでございまして、かねてからその具体策につきまして検討を続けてまいっておるところでございます。御承知のように、中小企業団体はいろいろ多数ございまして、商工会でございますとか、あるいは中央会、各種の組合というふうに、それら多数のものにつきまして、これを一つの団体共済というふうなことで処理してまいることになるわけでございますけれども、この多数のそれぞれの団体の経営体質と申しましょうか、あるいは財政負担力と申しましょうか、非常に千差万別でございます。したがいまして、そこらあたりの実態につきまして、いろいろの差があります関係上、各種団体ともそれぞれいろいろ打ち合わせ会を持って検討を続けておりますけれども、なかなか利害が一致しない面が出てまいっております。同時に、そういうふうな問題につきまして、いまいろいろと具体的な詰めを行なっておるところでございます。それからさらに、いまお話がございました、社会保険体系全体との関連の中にどう位置づけていくかというような点も、やはり検討を要しなければならない大きな課題であろうかと思うわけでございます。  したがいまして、この問題につきましては、積極的に解決する心がまえでいろいろと検討を続けておるわけでございますけれども、当面の問題といたしましては、厚生年金保険でございますとか、あるいは厚生年金基金という既存の制度をフルに活用いたしていくということで、さしあたりの安定措置をとりたいということで扱っておるわけでございまして、たとえば商工会で申しますと、これは任意加入でございますが、大体、全体の七割程度がこれに加入しておるというのが現状でございまして、さしあたりの問題といたしましては、こういう制度の中にむしろ一〇〇%加入をしてもらうよう指導の努力を続けておるところでございます。制度全体といたしましては、いろいろの面を勘案いたしまして、さらに積極的に解決してまいりたいと考えております。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 商工会の全国連の会長が小川平二代議士ですから、私は小川さんの意見も実は伺った。それから中央会にいたしましても、現在の任意共済を公的共済制度に切りかえるということについては意見の違いはないわけであります。いろいろな団体がなかなか意見が一致しないというようなお答えですけれども、私はそうじゃないのじゃないかと思うのですよ。農業団体の職員が公的共済制度でしょう。国庫補助の対象になっておるのでしょう。どんどんふえておるのでしょう。ウエートは中小企業団体のほうへ移ってきておるのですよ。これはぜひ克服するというような姿勢で取り組んでもらわなければならぬと私は思うのです。そうしなければ優秀な職員が集まってこないですよ。身分の保障というものを公務員にせよということではないと私は思う。そういった点を十分考慮されていくということでなければならぬのではないでしょうか。こういうことで、ここにひっかかりはありましょうけれども、それを克服していくかまえがなければいけないと思うのですよ。税務記帳指導員の問題にしましても、大蔵省との折衝なんかで思うようにいかないのでしょうけれども現実に補助員と税務記帳指導員というものは同じなんです。これはパートタイマーのようなものではないのですよ。非常に事務が多い。税務記帳指導員ですから、納税に大きく役立っております。そういうものを、依然としてわずか一週間か八日分の日当を出して放置しておるというようなことは、あまりにも実情を無視している。そういうことであってはならぬと思います。大臣、ここでひとつお答えをいただきます。
  81. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、そのこと自身はまことにごもっともな御指摘でございまして、私どもも、指導員の待遇改善、身分の安定ということに毎年できるだけのことをやってまいりまして、その問題がいま解決しなければならない問題として残っておるわけでございます。先ほど中小企業庁長官が申し上げましたことは、事柄自身に疑問があるとかいうことではさらさらございませんで、商工会によりまして、地方によりまして、現に任意の制度がかなり育っておるところもございますので、こういうところは問題がございませんけれども、そうでないところもございます。そういたしますと、全体の共済の経済としては、いいところだけ集るというわけに——なるべく経済をよくするためには全体を一緒に連れてまいりたいという気持ちがございますから、現実に、熟しておるところと、熟しておらないところとの差がかなりございますときに、この制度を打ち立てることがはたしてできるかという、そういう現実の問顯にぶつかっておるように思います。でありますから、指導の方向としては、現在進んでおりませんところを進めていきまして、そうして、みんなで新しいものができるようなふうに向かっていくという、そういう指導の方向をとるべきだと思っております。
  82. 鴨田宗一

    鴨田委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することにして、この際休憩いたします。    午後一時四十分休憩      ————◇—————    午後二時四十分開議
  83. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業庁長官お尋ねをいたしますが、政府中小企業対策で、集約化の方向をとるのかと思うと分散化の方向である、またそれが、協業化という形で中間的な方向へと、二転三転するような感じがしてならないのです。そこで、これから構造変化の中で中小企業が大きな影響を受けるということは、私がいろいろ問題点をあげなくともおわかりと思いますが、これからの中小企業対策としては、集約化の方向を進めていくのか。協業化ということで、一部集約である、また一部は個人的な意欲というものを中心としてやる、いわゆる混合みたいな形で中小企業政策を進めていくのか。その点の基本的な考え方はどういうことでしょう。
  85. 吉光久

    吉光政府委員 中小企業施策の基本的な柱に関する御質問でございますが、中小企業施策を現在やっております基本的考え方は、中小企業基本法に示されました方向に沿って展開をいたしておるわけでございます。いま御指摘のございました、集約化であるか、協業化であるか、どちらの方向に重点があるか、こういう御質問でございますけれども中小企業は、御承知のとおり、業種、業態によってその近代化の方向が変わってまいろうかと思います。ただ、どの業種、業態を通じましても、一番太いパイプで結ばれておりますのは、やはり集団化効果というか、集約化効果というものが一番大きなウエートを占めている部分になろうかと思うわけでございますけれども、そこまでの施策までいかない段階で、協業化というふうなことで十分に近代化が達成し得る部分、あるいはそれがなじみいいというふうな部分もあろうかと思うわけでございまして、したがいまして、企業によりましては、個別企業の近代化だけを達成すれば、それで近代化効果が出てくるという部類もあろうかと思うわけでございますけれども、いまの客観情勢の中で判断いたします場合には、やはり中心をなしますものは、集約化であり協業化である、こういうふうに考えております。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、集約化の年次計画というようなこと。協業化の方向を進むにいたしましても、具体的には、近代化促進法から今度は構造改善業種指定という形になっていく。ずっと協業化が結局中心にはなっているわけですが、そういったいずれの方向をたどるにいたしましても、年次計画、一つの目標というものがあるのだろうと私は思うのです。基本的には中小企業基本法の上に乗ってやるのだ一それじゃ、その中小企業基本法で、経済の二重構造であるとか、あるいは格差を是正をするといったようなことについて、具体的にどうだという質問がいろいろ展開できるわけで、質疑応答が展開されていきますが、きょうは時間の関係もありますから、あらためてまたそれらの点へ深く入っていきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、場当たりでは私はいけないと思うのです。  いつも私は言うことですけれども、大臣がかわりますたびに、あるいは中小企業庁長官がかわりますたびに、新しいアイデアを進めていこうとする傾向が非常に強かった。宮澤通産大臣は、別に新しいアイデアというような形で方向づけをしようとはしておられない。まあ深く入っていこうとする考え方であろうとは思うのですが、それならば、やはりそれなりに一つの計画というものを置いて、それに乗った形でいろいろな施策が講じられなければならないと思います。その点についての考え方をひとつお聞かせいただきたい。
  87. 吉光久

    吉光政府委員 御承知のように、いまも御指摘の中にございました中小企業近代化促進法の体系に乗っております業種でございますけれども、現在までに政令指定業種として百三十三業種を指定いたしたわけでございます。製造業の出荷額にいたしまして大体七〇%に相当する部門でございますが、この近代化促進法に基づきます指定業種につきましては、御承知のとおり、五カ年間という年次計画を組みまして、五カ年間にどこまで近代化を進めていくか、そのためにどういう手段を準備するかというふうなことにつきまして、基本計画及び毎年度の年次計画におきましてこれを具体的に示しておるところでございます。  なお、特に最近の国際環境の変化等に伴いまして、急速に構造改善を進めなければならない業種につきましては、これも御承知のとおり特定業種として指定いたしまして、これもまた、五カ年間という基本的な目標をもちましていろいろの計画を組んでおるところでございまして、特定業種に乗り移りましたものが現在まで十三業種ございます。これはさらに逐次追加していく予定でございますけれども、その重要な、特別構造改善の促進をはからなければならない業種につきましては、あるめどを持った計画のもとにおける構造改善の推進ということが必要でありますこと、御指摘のとおりでございます。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 近促法によるところの近代化促進計画というものをお立てになった、それはよく承知しております。業種指定百三十三。ところが今度は、その中心が構造改善業種指定、構造改善計画という形にウエートが移っておるような感じがいたします。指定業種はいま十三とおっしゃいましたが、私どものいただいております資料では、十七ということに実はなっておるわけです。そこで、この構造改善の業種指定をされ、構造改善計画をお進めになりましたが、それではその実績というものはどういう姿であらわれているのであろうか。近促法の場合にも同じようなことが言えると思うのでありますが、具体的に生産性というものはどうなっているのか、指定前と指定後では。そういったことがお示しいただかなければならないところであろうと、こう私は思うのですが、いかがでございましょう。
  89. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお答えの中で十三業種お答え申し上げましたのは、私の間違いでございますので、訂正させていただきます。現在までに指定されておる業種は十七業種でございます。  ところで、この計画のトレースの問題でございます。実は近促法も、指定されましてからすでに、一番古いものでは七年、あるいは八年。三十八年からの指定業種でございますので、ことしで八年目を迎えるというふうなことになるわけでございますけれども、この五年後におきます現実の成果がどうあがっているか。結果の問題につきまして、各指定業種別に現在トレースをいたしておるところでございまして、おそらく今月一ぱいには、主要な、古く指定いたしましたものにつきましての結果が出てまいると思っております。したがいまして、その後全体的なお答えを申し上げたいと思うわけでございますけれども業種によりましてこれはいろいろと違っておりますが、五年間の計画期間に二倍以上の物的生産性をあげておるというふうななものもございます。  しかし、これは抽出でございまして、まだ全面的な作業を継続いたしておりますので、全体としてのお答えにはならないわけでございますけれども、たとえばマッチなんかは、五年間で生産性が二三五%というふうな結果が出ております。またメリヤス製品につきましては二〇一%、あるいは縫製品につきましては一八〇%というふうな生産性の向上が出ておりますけれども、さらにこまかく業種別に、全体としてこれらの効果を追跡してまいるということが必要でありますこと、御指摘のとおりであります。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 私は先般も、業種指定をおやりになる、そうして税制の面あるいは金融の面で特別措置を講じられるわけだから、そのことが生産性の低い部門の生産性を高めていくという方向にあるのだから、その成果があらわれてこなければいけないのだということを指摘をしてまいりましたが、その線に沿って作業を進めておられるということは、私はそれは評価をいたしたいと思います。いずれにいたしましても、やみくもであなた方もおやりになったのではどうにもならないわけで、やはり成果を絶えずつかんでいく、その上に立ってこれはだめであるというような場合は、法律を廃止するということも必要になってまいりましょう。方針を変更されるということが適当であろう。どうも、いままでの中小企業対策というのは、そういう方向でないわけですね。たくさんの法律をせっかくつくったけれども法律は全く働いていないというようなことが幾つもあるわけです。だからそこに、しっかり大地に足を踏み締めた中小企業対策が講じられないという結果になっているんであろうと私は思うんです。どうも形式的に流れ過ぎるというふうに私は感じることがたくさんあるわけですが、高度化資金の融資についての考え方というのが、どう中小企業庁はお考えになっているのかさっぱりわからないという感じを、実は私は受けることが多いわけです。  具体的な事例で私が申し上げませんとおわかりにくいと思いますが、長崎市に戦時中、公設市場というのがたくさんあったわけです。生鮮食料品の公設小売り市場、それが戦後、民間に払い下げになっているわけですが、そういうことがまだ進められつつあるわけです。そうなってまいりますと、民間のいわゆる小売り市場というものがたくさんできる。それは、魚であるとか、てんぷらであるとか、野菜であるとか、あるいはくだものであるとかいう、そういうものにほとんど限られているわけですが……。ところが、これは集約化の方向、いわゆる構造改善といったような方向で進めていくということになってまいりますと、ここにやはり力こぶを入れていかなければならない。なかんずく生鮮食料品の占めている物価上昇のウエートが高いわけですから、そこには力こぶを入れなければならないのですね。ましてや零細企業の方々が多いわけです。中小企業振興事業団の融資というものが、製造業の中にいままでともすると傾斜してきた。やはり流通政策というものが非常に重要であるということを考えてまいりますと、ただいま指摘をいたしましたような方向に相当ウエートが置かれなければならないと私は思います。  それで、長崎市の公設市場がたまたま払い下げになりまして、協業組合をつくって、そこで引き続いて小売り市場を組合が経営をしていくということに実はなっているわけです。それに対して高度化資金の融資をされる必要があるのではなかろうかというようなことを実は申し上げて、調査をしてみてもらいたいということを要請をいたしたことがあるのです。それに対しまして、中小企業庁は熱意をお示になりまして御調査になった様子でありますが、建ち上がっておりますところの小売り市場に高度化資金が貸し付けられたのかと聞いてみますと、そうではないのですね。環衛資金が使われているんです。大臣、ここをお聞きいただきたいのですが、環衛資金にしても国家資金でしょう。高度化資金にしてもそうなんです。ところが、いずれの資金を使うかということによって非常に影響が出てくるわけです。環衛資金というものは、個々の事業主に貸し付けをするわけですね。建物をつくります場合、おのずから建築基準法によるところの制約というものが出てくるわけです。高度化資金を組合の事業という形において行なわれる、それに対して融資がされるということになってまいりますと、そういう制約条件というものが実はございません。しかしでき上がった品物が変わってくる。その建物が変わる。単なる建物ではない。その中に事業を営む上について大きな影響が出てくるわけでありますが、これは以前に、この問題について質問をするということも申し上げておったわけでありますけれども、どうして高度化資金というものがこれに使われなかったのか、どうして環衛資金というものにこれが切りかえられたのか、その経過をひとつお聞かせいただきたい。  私は、これは例として申し上げたわけでありますが、これは全国的な問題であります。国家資金をいかに有効に効率的に活用するかという点にとって問題でございますから、このことはひとつ的確にお答えをいただきたいのです。
  91. 吉光久

    吉光政府委員 最初に、現在、八百屋百貨店あるいは共同スーパーといっておりますもの、正確に申しますと、小売り商業店舗共同化事業というものについての高度化資金融資実績でございますけれども、現在までのところ、これは四十四年度末まででございますが、百六十八件、貸し付け総額にして四十一億円というものがこういうものに向けられております。  それからいま御指摘の具体的案件についてでございますけれども、この八百屋百貨店あるいは共同スーパーという範疇に入ります小売り商業店舗共同化事業につきまして、やはりこれが集団化、集約化の実をあげますために一応の基準を設けておるところでございまして、その基準は、まず参加する中小小売り商の数が五人以上であること、あるいは組合員の七〇%以上が中小の小売り商、または出資総額に占める小売り商の出資比率が七〇%以上であること、あるいはまた、共同店舗の売り場面積につきまして二百平米以上であることというふうな、これが主たる基準でございますけれども、これらの基準は一言で申し上げますと、こういうふうに小売り店が集団化いたします場合、品ぞろえを豊かにすることによりましてお得意先を吸引するというふうなことが必要になってまいりますし、また、そうすることによりましてスケールメリットが享受できるというふうなことになるわけでございますので、そういうふうな基準を一応設けておるわけでございます。  そこで実は、その中でさらにこの基準に基づきまして振興事業団のほうで、実際に効率的にこれらを運営するにはどうしたらいいかという意味で指導方針というものを制定したわけでございまして、その指導方針の第一といたしまして、旧店舗の廃止を伴う全部移転を指導原則にいたしております。これは、旧店舗がそのまま残っておって新しくまた集団化の店舗ができるということになれば、お互いがお互いをじゃますることによりまして、八百屋百貨店、共同スーパー等の運営がなかなかうまくいかないというふうな問題がございますので、やはりこのような指導が一つ入っております。  それから第二は……(中村(重)委員「わかっているのだ。具体的な事例を出したのだから、どうしてそれが融資されなかったのか」と呼ぶ)具体的に事例に即して申し上げます。いまの基準につきましては、指導方針について問題はなかったわけでございます。一番大きく問題になりましたのは、まず具体的な事業は、協同組合によってやるスーパー事業である、こういうことであったわけでございます。共同スーパーによりましては、原則として協業組合によるということを——これは一原則であります。原則といたしまして協業組合によるというふうなことを指導方針にいたしておるわけでございまして、スーパーとして全体として統一的な運営が行なわれるということが、共同スーパー等の事業運営上都合がよろしいというふうなことから、こういう原則ができておるわけでございます。  ただ、これはあくまでも原則でございまして、協同組合によること自身を否定しておるわけではございません。同一の運営方針がとられれば協同組合でもよろしいというふうなことでございまして、これも当該事業については、そういう心組みであるということで一応パスいたしておるわけでございます。  ところが、一番問題になりましたのは、この寄り合い百貨店でございますとか、あるいは共同スーパーなどにつきましては、これらをつくります意図からいきまして、特別の場合を除きましては、ワンフロアにつきまして間仕切りはしないこと。そのほうが、品ぞろえ、あるいは顧客等のために便利であるというふうな意味から、間仕切りは原則として認めないというふうな指導方針があるわけでございます。私の伺っておりますところでは、具体的な案件につきましては、間仕切りをしないのでは困る、必ず間仕切りをしたいということで、これらの間仕切りをしないという指導方針と、間仕切りをそれぞれしたいというふうな具体的な話とがかみ合わなくて、したがいまして、高度化資金のほうからの関係の仕事から、環衛でございましたでしょうか、国民金融公庫を通じまして資金が配付されておる、こう伺っております。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 事実に反するのだ。私は、直接現場に行って調査をしてきたのだから、間違いはない。間仕切りをしたくない、いわゆるデパート方式でやりたいというが組合側の主張なんです。いいですか。その他の条件は全部合格しているとおっしゃる。ところがあなたは、間仕切りをしたいという者と、しないという者と、両者があって意見が合わなかったというが、間仕切りをしないでデパート方式でやりたいというのが全員の希望であったということです。ところが、その希望というものが何によってひっかかったかというと、共同事業をやれということでひっかかったのです。高度化資金というものは、共同事業をやらなければならないというのです。  共同事業とは何ぞや。これはいま長官から、一つもひっかからなかったということでございますから、その点について私がいろいろ申し上げるまでもないと思うのです。いわゆる一つの建物に入って、隣は魚屋を、あるいはその隣は肉屋を、八百屋をと、こういう形でいって、お客が非常に便利に物が買いやすいようにするということ、それがすなわち私は共同化の方向であろうと思うのです。しいて共同仕入れといえば、肉屋さんと魚屋さんと、どこから何を共同仕入れができるのでしょうか。できるものではありません。包装紙等くらいのものじゃないでしょうか。それは私は共同事業としてけっこうであろうと思う。ところがこの指導に当たった者は、共同食堂をおやりなさいという要求をされたわけです。ところが一戸当たりわずかに三坪ですよ。そこでやらなければならぬ、共同食堂を。だれが食べるのか。お互いにその食堂に行って食べるのが共同食堂だそうでございます。それを要求されたというのです。そんなばかげた話はありません。わずか一戸当たり三坪しかないところを、わざわざさいて食堂をつくらせるというような、そんなばかげた指導がございましょうか。それをやったのです。それでひっかかった。それで計画は五階建てだ。一階をデパート式店舗、二階を貸し室、病院とかなんとか、あるいは倉庫にも使う。三−五階はアパートという計画であった。一、二階は、言うまでもなく倉庫等に使うのですから、高度化資金でこれは使えるということになってまいります。あとは中高層の建築資金というのが借り入れられるわけでありますから、自己資金と組み合わせてこの五階建てを建設することが実は可能であった。  ところが、そんなものをデパート式にやろうとすることをやらせないようにやったのは、組合ではございません、それは金を貸し出す側であったわけです。ところが、環衛公庫ということになってまいりますと、これは一事業主当たりに出さなければなりませんから、建築基準法によって、当然これは間仕切りをしなければならないわけです。ブロックで間仕切りをしなければなりません。でき上がったものは四階であります。一戸当たりの間仕切りでございますから、十二店舗入っているわけでございますが、何と階段を四十八つくっております。間仕切りしてしまわれたから、四十八つくらなければならないのです。そうしなければ、今度は建築基準法にひっかかって許可がおりないのです。高度化資金ならば、階段が二つあればよかったのです。したがって、ブロックで間仕切りをするために相当な面積がとられたわけです。そういうところが、もう全く形式的な指導をするわけです。  そして私は姿勢がよくないと思う。金を貸してやる、こうしてこなければ金は貸してやらぬのだという姿勢があるのです。そうではなくて、高度化資金をお使いになる、こういうようにされたらどうか、こうしたら借りられますよというような、そういう指導がなされないというのです。金を借りる者は弱い立場に立ちます。四人も五人も役人が前に立って、組合の幹部の方が二人か三人やってくる。まるで尋問するような形で、ああだこうだとやる。もう言いたいことも言えないのですよと、組合長は、そのときの気持ちをしみじみと私に語っておりました。私は憤りを感じたですよ。あなたのほうで、どういう報告から全く事実に反する逆な報告をされたのか、私は驚いているわけですけれども、私は事実はこの目で見、そしてまた、直接、組合長からつぶさに事情を聞いて、お尋ねをしておるわけです。で、あなたのほうにも、こういう問題について質問をするということをわざわざ御連絡申し上げた。正確な調査をして御答弁をしていただきたかったからです。こういうことがあるぞといって、何かいじめようとする考え方が毛頭ないからです。生きて金を使ってもらいたい。ほんとうに有効に、この高度化資金というものを生かしてもらいたい。そこに願いがあるから、私はこのように申し上げているわけです。あらためてお答えをいただきます。
  93. 吉光久

    吉光政府委員 私ども調査いたしましたのは、振興事業団を通じまして県のほうの意見をお伺いいたして、その報告に基づきましてただいまお答え申し上げたのでございますが、いまお話を伺いますと、もう全然内容的に食い違っておるという事実を伺って、実は私もここで驚いておるところでございます。もし、いま先生の御指摘なさいましたような指導が行なわれておったとすれば、これはたいへんなことでございます。  おことばの中にもございましたように、こういう高度化事業は、特に中小企業にとってまさにやってもらわなければならない、そういうふうな事業でもあるわけでございます。したがいまして、こういう場合には、県の指導員あるいは振興事業団の指導員等によりまして、必ず事前診断が行なわれ、その診断結果に基づきましていろいろの計画が具体的に立案され、それが提出されるというふうな段取りで、そういう仕組みで仕事をやってまいっておるわけでございます。したがいまして、指導員の心がまえといたしましても、懇切丁寧に、あるいはそれを乗り越えまして、積極的にいい近代的な経営が成り立つようなアドバイスをするという役割りを持っておるわけでございまして、単純に、金を貸してやるというふうな態度でこういう仕事が指導されているということは、お話の中にございましたように、全くあってはならないことであると、私どもも考える次第でございます。  いまの共同施設事業として、共同食堂というこうなことを強く指導員が指導したというお話でございます。この共同施設事業につきましては、いまの集団化事業の中で、共同店舗事業の中でとり得る共同施設事業をとればよろしいというふうに考えておるわけでございまして、食堂を必置しなければならないとかどうとかいうふうなところまでの指導方針は、確立していないものだと私どもは考えております。したがいまして、たとえば空地を利用いたしまして共同の車庫をつくるということ、あるいはまた共同で宣伝事業をやるということ、これらはすべて共同施設事業の中に入り得るものというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、先ほどのような共同食堂々つくらなければだめだというふうなところまで言い、それができなければこの計画はだめであるというふうに言ったとすれば、これはたいへんなことであろうと思っておるわけでございまして、早急に、また具体的事実につきまして、いまのお話を前提にいたしまして調査させていただきたいと存じます。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 私は別に、そのことをさらに追及してもらいたいと言っているのじゃないのです。一つの例として申し上げたのですよ。階段が四十八と申し上げましたが、一戸に対して三カ所階段があります。四十カ所となっているようであります。高度化資金であれば二カ所でよかったわけです。こういうむだができましたね。そこでまた、高度化資金でやった場合には、いまお示しになったような、地下に駐車場がつくられた、それから一階はデパート売り場、これはお客さんも便利なんです。間仕切りがなくて非常に買いやすいですね。それから三、四階はアパートということになる。こうなってくると、住宅なんですね。非常に土地が高いから、住宅がずっと場末のほうへと延びていっているのですね。その上を住宅に使えるのですから、有効に土地が活用できるわけでしょう。高度化資金ならばそれができたのです。これがだめになってしまった。実にばかげたことだと私は思っているのです。それから高度化資金であれば、利率も二・七%の金が使えたわけですよ。それから償還期限だって、十二年から十五年ということになるわけですね。コスト低下になります。したがって、生鮮食料品の価格も引き下げていくことにつながったのじゃないでしょうか。このようなメリットがあるものを、指導の誤りという形によって、実にうしろ向きの形になってしまった。同じ国家資金が使われるものが、いかに有効に生かされなかたっのかという一つの事例であると思います。  それから、考え方はともかく、その小売り市場というものの中に入る、そういうことがすでに寄り合い百貨である、共同スーパーであるという考え方の上にお立ちにならなければむずかしい。いまもお話ございましたが、共同駐車場をつくりなさいというような——なさいとおっしゃらなかったでしょうけれども、そういうものが共同化の一つでございますとお答えになったわけですから、それは了解いたしますけれども、ともすればそれが条件だというふうにとられます。もろもろのそういう事業が一カ所に集団化するのだ、それが共同化だ、そういうふうなゆるやかな、弾力的な考え方というものを中小企業庁はお持ちにならなければ、ともかくずっと末端にいくに従ってこれが締められてまいります。それを御注意を申し上げておきたいと思います。おそらくはかにもあるのじゃないでしょうか、そういうことは。だから大臣、お聞きになって、むしろ意外なのに驚いておられるのじゃないかと私は思うのですが、どのようにお考えになりますか。
  95. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども中小企業庁長官自身が、むしろ指導方針と反対のことがなされたようで非常に驚いておったようでございますので、言われますように、ほかにもあるいはそういうことがあるかもしれません。具体的なケースを言うのではないとおっしゃってくださいますけれども、そういうことがほかにもございますとすると、これはたいへん困ったことでございますので、さっそくこれは私どもの責任として調べなければならないと思います。  それから一般論としまして、国の金を使うということが、一つの方針に基づいて乱に流れないようにということは、これは当然配慮すべきことでございますけれども、いろいろ地方、地方によって事情も違うようでございますから、基本のところさえしっかり押えておきましたら、あまり煩瑣にわたりますようなことは申さないほうがいい。わかりやすいように例をあげましても、それが必須条件のようにとられたりすることはありがちでございますから、文書によるもの、あるいはときどき会議等に来てもらいまして話をいたします場合等々、いろいろな機会に、大綱はこうだ、あと制度の目的を達するようなことであれば地方の実情に応じて弾力的に考えていい、そうあるべきではないかというふうに、ただいまお話を伺って思っております。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 長官お答えになりましたことで、私はちょっと感じることがございます。それがやはり食い違いというような形に県が報告したのではないかと思いますが、全く当たっていないのではないかと思う節がございます。ということは、組合の中に、間仕切りをしないでデパート式ということになってまいりますと、大きい鉄筋コンクリートで計画したのですから、大きい柱が必要だということです。そうなってくると、一つの店舗がつぶれるという形になるのではないかというようなことを考えた者もおったらしい。それが、かみ合わなかったというようなことにとれば、とれるような感じがいたします。  そこで、それが指導だと私は申し上げるのです。大きい柱は何本も要りません。わずか二百平米ということになりますと、七十五坪でございますから、これは十分その条件にかなっているのです。そのくらいの面積でございますから、柱というものはたいしたことない。それよりも、一軒一軒ブロックで間仕切りをいたしますことのほうが、いかに面積を広くとるかということ、階段は二戸当たり三カ所とらなければならないということ——三カ所ということは、一階、二階、三階ですから、そういうことになるわけですね。そのむだ、いろいろなことを考えてまいりますと、大きい柱を建てるということよりも、むしろ面積は間仕切りをすることのほうがたくさんとられるということ、そうした問題がある。そこらあたりを、しろうとですから、建物を建てる側も指導していく、そうして国家資金を有効に活用していくということでなければならぬと思います。だからして、組合長は私に対しまして、以上申し上げたことに対しまして、そうした考え方というものを持っていきましたが、ともかく、中には柱が大きくなるぞという意見の人もありました。  しかし、ひっかかったのは共同食堂でございます。何か共同事業をやれということで、どうしても応じてくれませんでしたということから、隘路はやはりそこであった。過程では、いま申し上げた大きい柱、それをつくることでもって店舗が一つつぶれることになるということで、いろいろと意見があったことは事実であります。そのことを県はおそらく報告をしたのだろうと思います。ですからそこらを、金を貸す側が、指導する側が、ほんとうに有効適切な指導をする、そういう知識をみずから持つということでなければいけないのじゃないでしょうか。そこらあたりが私は大切だと思います。これはお聞きになりましても、そうだなというふうにお考えになるか、間違っているというふうにお考えになりますか。調査調査として、参考になることでございますからしてください。そうして、ほんとうに有効にこれからこの計画を進めていただく、そのことを要請いたしておきたいと思います。  いろいろお尋ねしたいこともたくさんございますが、大事なことで、カルテルの現状がどうなっているのか。私は先ほど近代化構造改善計画というものを年次的に進めていかなければならぬということを申し上げましたが、そういう方向であるということもわかります。そしてカルテルの問題というようなものは、これはうしろ向きの姿でございますから、これもやはり一つの目標を立てて、カルテルをなくしていくというような方向でなければいけないのではないかという感じがいたします。一挙にできないことはよくわかります。これに対する考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  97. 吉光久

    吉光政府委員 中小企業団体法に基づきます中小企業カルテルの現状でございますけれども、昨年の十二月末現在におきまして、安定事業を実施しておりますのは五十七業種、四百十六組合でございます。これは昭和四十二年当時と比較いたしてみますと、百十六業種、六百三十二組合あったわけでございますので、相当大幅な減少ぶりを見ておるわけでございます。そのうち、さらに安定命令を発動いたしておりますものも、昭和四十一年当時、四十六業種、三百六十六組合あったわけでございますけれども、これが四十五年十二月末におきましては、三十一業種、二百七十五組合に整理されております。  こういうふうに逐次整理を見てきておるわけでございますけれども、近く近代化審議会を開きまして、さらにカルテルの整理に関します基本的な方針を定めてもらうつもりでおるわけでございます。  この基本的な考え方は、結局、このカルテルが安易に利用されまして、結果として近代化意欲をそぐ、あるいはまたカルテルの中に眠るというふうなことがあってはならないわけでございますので、少なくとも三年以上たっておるようなカルテルにつきましては、全面的な見直しを行なうことにいたします。そして、いま現在安定命令を持っております業種の中には、繊維関係業種が圧倒的に多うございまして、特に構造改善事業等を積極的に進めておる、そしてその成果について見込みがあるというふうなものを除きましては、逐次これを整理してまいる、こういう方針で考えておるところでございます。なお、その他の細則につきましては、あわせその際、いまの基本線に沿いまして整理基準というものをお示しいただくつもりでおるわけでございまして、特にこのカルテルの整理につきましては、そういう方向で積極的に整理基準を示して整理してまいるということにいたしたいと考えます。同時に、これは毎年一回見直しの機会がございますので、基準に基づいてチェックいたしますことは、毎年一回必ずできるわけでございます。そういう方針でチェックをしてまいりたいと考えます。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどの集約化の計画的推進ということと関連をいたしまして、ここで問題として出てまいりますのが、俗にいう農協スーパーというようなことになるんだろうと思うのですが、十二回全国大会で生活の基本構想というのを決定をしておるわけです。これは大臣にひとつお答えをいただきたいのですが、組合員の事業または生活に必要な物資の供給を行なうとしているようであります。そして多角的な販売事業を活発に展開しつつある。これは大臣もお聞きになって、御承知になっていらっしゃるところであろうと私は思うのです。ところが、これに対して中小企業は非常に反発をしているわけです。  そこで、これは長官からあとお答えをいただきますが、農協法十条の「事業」の解釈ということについて、中小企業庁長官はどのようにお考えになっていらっしゃるのか。大臣からお答えをいただきます前に、長官の解釈をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  99. 吉光久

    吉光政府委員 農協法第十条のいまの御指摘の場合は、第一項第三号の条項に該当する事業として行なおうという意味であろうかと思うわけでございますが、「組合員の事業又は生活に必要な物資の供給」ということになっておるわけでございますし、さらに員外利用につきましては、第六項で「利用分量の額の五分の一をこえてはならない」という線があるわけでございます。したがいまして、農業協同組合法の事業の範囲内で行ない得る事業であれば適法でございますけれども、それを逸脱したものであるということになれば、農協法自身からすでに違反してまいるということになろうかと思います。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 逸脱をしていない、適法に行なわれている事業ということになってまいりますと、どういうことになりましょうか。
  101. 吉光久

    吉光政府委員 これが適法な事業ということになってまいりますと、結局、同じ小売り店相互の関連におきます調整の問題というものが、地域的には起こってまいる場合も出てこようかと思うわけでございます。たとえば、需要があまり伸びていない地域で、そこにいわゆる農協スーパーが進出してまいる、しかもそれは、協同組合法の範囲内の活動だけしておるということでございましても、現在法律規制がございません。一般スーパーがどこかに立地いたします場合、地元小売り商との間にいろいろともんちゃくを起こす場合が多いわけでございます。こういう場合、そういう地元小売り商の健全な発展、そしてまた消費者の利益を害さないという基本的な原則に基づきまして、小売り商相互間の調整問題というものも起こってまいろうかと思います。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 それは調整の問題でありまして、逸脱をしていない、商法に行なわれているというのはどういうことかという法律解釈——あなたは法律は専門家だから、的確にお答えができるだろう。そういった問題があるのにどうするのかということになってまいりますと、いまのお答えがぴったりしてくるわけですが、それはむしろあとで大臣からお答えをいただく筋合いのものでございますから、あなたはひとつ法律解釈のほうを——よろしいです。  いずれにしても、先ほどお話がございましたように、「組合員の事業又は生活に必要な物資の供給」を行なうというのは、農業を営むに必要な物資である、こういうことになるのではないか。それから「生活に必要な物資」とは、きわめて限られた範囲の生活物資ではないのか。これが適法ということになるのではないか。それからいまの員外利用の問題にいたしましても、これが適法か、適法に行なわれていないかということは、その実態によってつかんでいただかなければならないというように私は考える。  それはおくといたしまして、そういったような事業ということになってまいりますと、それは販売事業ではなくて、むしろ購買事業ということになっていくのではないかという感じがいたします。本来それが農協の姿でなければならないような感じがいたします。それで、私から申し上げると言いましたから、ここで具体的なこととして申し上げてみますが、生活基本構想の中に、理美容、結婚式場、葬祭施設、食堂、学校給食、娯楽施設、建築建設業、不動産業、その他各業種に至るまで手を伸ばす、こう示してあります。それはいわゆる適法ということになってくるのか。逸脱をしていないという形のものであるのかどうか。先ほど私が申し上げました「組合員の事業又は生活に必要な物資の供給」という形と関連してまいりますから、ここでひとつお答えをいただきたい。
  103. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどは失礼いたしました。協同組合法の法令を手元に持っておらなかったものでございますので、条文を見ながらお答えをさしていただきたいと思います。  いまの御指摘の点でございます。これは、いまの基本方針を宣明しました内容につきまして、はっきりとした具体的な説明を受けておりませんので、ここでの、いまお伺いした感触と申しましょうか、そういうことでお答えを申し上げるといたしますれば、私の感じでは、法律の十条の、できておる精神にいささか逸脱をしている点がありはしないだろうか、こういう感じが率直な気持ちでございます。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 まあ、そうだろうと思います。私も、どうもいわゆる適法ということにならないのではないかと思う。  ところが、こればかりによれないところに、今日の消費者の置かれている実態というものがある。農協は税金がかからないということになってまいりますと、個人事業税を徴収され、それからいま言う所得税その他重税にあえいでいるところの、あるいは資金難にあえいでいるところの零細な地方の企業というものは、もう立ち行かない、いま深刻な打撃を受けているという実態があるわけでありますから、ここらの調整をどうするのかということが、やはり問題になってくるのではないかというふうに私は考えるわけです。その点に対しての一つの考え方ですね。農民といえどもこれは消費者であるわけだ。その利益は守っていかなければならないということになってまいります。ところが、こうした農協法を拡大解釈をいたしまして、いろいろな事業をやっていくということでなければどうにもならないのだ、そうしたことでおやりになっておるでありましょうし、また生鮮食料品の流通機構を強化拡大をしていくということから、農協、生協を強化していこうという方針を佐藤総理は明らかにしてまいっておりますから、ここらあたりのかね合いというものが一本また出てまいりますから、調整をどうするかということになっていくのではないでしょうか。この点ひとつ大臣、たいへんむずかしい問題でございますけれども現実にいま、商工会等は決起大会等開きまして、これに抵抗をいたしておるところでございますから、大臣が何とかこれを調整しなければならない立場に追い込まれるであろうことは、避けることはできないと思います。したがいまして、ひとつ大臣のお考え方をお聞かせをいただきたい。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは御指摘のように、非常に気の重い問題でございまして、そもそも農協という名前がついておりますけれども、土地によりましては、地域の変貌によって、もう農という部分は実際上ちょっと似つかわしくないような、それでも農協という名前になり、たいへん金を持っておるところもございますし、半ば金融機関であったり、半ばデパートであったりするようなふうに、現実の問題として変貌してしまったようなところが多々ございます。それでも、員外利用は一定の制約があると法律上なっております。それから消費生協につきましても、県境を越えてはならないという問題、これは規定もあるわけでございますけれども、生協のうちには、非常に大きくなりまして、法人格は別であるが、実際上系列のものをよその県に出そうというような動きもあったりいたします。  御指摘のように、片方は税金を納める、片方はある程度納めないということでございますから、いわゆる中小企業の純粋の商店とイコールフッティングで競争をするというのでございませんから、その点はどうも公平だということはなかなか言えない。他方で消費者運動から申しますと、なるべく便利なほうが消費者にとってはいいということでございますから、そして小売り商が、先ほど御指摘もありましたような、近代的な寄り合い、スーパーにでもみんななっておればよろしいと思うのでございますが、必ずしもそうではなくて、二月建ての、昔ながらのお店というものが農協と同じ地域にあるというのが、いまの変革期の実情でございます。  もっと申しますと、スーパー、あるいはさらにデパートのところまで話はいくわけでございまして、非常に正直なことを申し上げますが、私もどう考えたらいいか、実は思いあぐんでおるところでございます。小売り店がほんとうに高度化をし、集約化をしていくということでありますと、これは商品の専門家でございますから、何といっても農協や生協よりはお客さんの要望にこたえるサービスができるはずでありますけれども、小売り店の高度化というのが、私ども思うようには早く進まないということで、いまのような状況になっております。この問題は、私ども企業局のほうに、ひとつ根本問題として考えてみるようにということを前から申しておるわけでございますが、いわゆる消費者的あるいは企業局的な考えになっていきますと、中小企業の高度化しようとしてまだ高度化されない部分が多いために、意見の調整がすぐにむずかしくなるというのが実情でございます。  ですから、おまえどのようにするつもりかとお問いがありますと、実際、私も気が重うございまして、物価安定政策会議などは、どっちかといいますと消費者の立場から、こういう協同組合は育てていくようにという傾向の意見なんでございますけれども、片方で、こういうなかなか高度化されない中小企業の流通機構ということを考えますと、徐々に徐々にというくらいしか私もこれという考えが浮かばないというのが、まことに正直なことを申し上げますが、実情でございます。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 率直なお答えだと思います。しかし、いずれにいたしましても調整をしなければならぬ問題であるということは言うまでもないわけです。員外利用にいたしましても、世界的な育成が促されている生協の場合、日本の場合は員外利用がなされていない。農協は員外利用が許されているわけですね。認められているわけです。ここらも私は矛盾しておると思います。生協というものの性格というものがまた世界的なものであるということが、日本の一般国民、中小企業者の中にもようやく理解されてまいりました。あまり反発はないようです。いろいろな面で調整がまた行なわれているようです。いわゆる反発はあるのですね。あるのですけれども、いろいろ協調的なことも並行して行なわれてきているというような点が実はあるわけですが、最近の農協が、大臣お答えになりましたような形で行なわれておる。しかも零細な地方の中小企業に直接影響が及ぶというところに——生協はともすると中心が都市部になってまいりますので、その点の影響というものは少ないわけでありますけれども、どうしても農協の場合は、もろに弱い零細企業がその影響を受けてきておるというところに深刻な問題がある、こういうふうに思います。一つの思いつきみたいな言い方でございますけれども、農協と地方の商工会、協同組合というようなものが話し合いをされて、そうしてそれに委託経営をするといったような形等が考えられるならば、その間の調整というものは、両者が立つような形で何か方向づけができるのではないかというような感じもいたします。いずれにしても避けて通れない問題でございますから、この点はひとつ積極的にこれに対処していただきたいということを要請をしておきたいと思います。  倒産の問題、その他いま大臣からお答えございました百貨店、擬似百貨店あるいはスーパーの問題等々についてお尋ねをしてみたいと思いますけれども、また別の機会にお尋ねをいたします。  次に、どうしてもきょう中小企業関連をする問題としてお尋ねをしておきたいと思いますのは、繊維の自主規制の問題についてでありますが、御承知のとおり、実は繊維業界が自主規制の宣言をいたしました。政府はアメリカに対して政府間交渉の打ち切りの通告をなさったやに伝えられているわけですが、この点はどうなっているのでございましょうか。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 牛場大使とフラニガン氏との間でいわゆる政府間交渉が行なわれておりましたので、業界の自主規制の宣言が出されました直後、牛場大使からフラニガンに向かってその旨を伝えますとともに、交渉の客体は、われわれの見るところでは、これで解消をするので、従来続けておった政府間交渉はここで終止符を打つことが適当と考える、こういうことを申したわけでございます。それに対して先方は、わがほうのそのような意思表示、説明を上層部に取り次ぎます、こういう答えをし、いずれ米国政府の正式の立場は声明あるいは回答の形で明らかにすることになるであろう、こういう返事でございまして、私の知っております限り、ただいま現在まだ、どのような声明にも、あるいは回答にも接していないというふうに承知をいたしております。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 これはどういう形になるのでございますか。大臣、いまお答えになりましたように、日本からそういう意思表明をされる、アメリカがこれに同意をするという形がとられて、政府間交渉は打ち切り、こうなるのでございますか。アメリカからこれに対する同意という意思表示があるまでは、政府間交渉は打ち切りにならないでそのまま生きておるという形になるのでございましょうか。
  109. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、ごく限られた時間の中でいずれかになることではございましょうけれども、ただいまの時点について、きわめて正確と申しますか、あるいは厳密に申し上げますと、私どもとしては、もう政府間交渉を続ける客体というものは解消をしたという立場をとっておりますし、先方はそれに対して、牛場、フラニガンの間では正式に意思表示をしないまま、いずれアメリカ政府の意思表示を何らかの形でする、こう申しまして、ただいまの時点までまだそのような意思表示に接していないというのが、厳密に申しますと、ただいままでの姿でございます。
  110. 中村重光

    中村(重)委員 意思表示がなければ打ち切りにならないのかどうかということはお答えいただけなかったのですが、それはお伺いしたい。  それから、新聞を読みましてちょっとメモしておるのですが、ミルズ委員長が、極東三国が早急に日本の動きにならえば輸入割り当て法案は不以要、こう述べているのですが、この談話から見ますと、韓、台、香港の三カ国が自主規制に応じなければ繊維輸入制限法の再燃というのもあり得るというように受け取られるわけですが、この点はどうなるのでありましょうか。
  111. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、ミルズ委員長の声明にはそのように述べられておることは、私どもも公電で受け取りましてそのとおりでございますけれども、どうもそこらに多少いろいろ含みがあるようでございまして、わが国の業界自身の宣言の中にも、韓国、台湾、香港という名前すら実はあげておりませんし、そのすべてが日本と同様の自主規制をすることが条件だということも、明らかには述べられておりません。業界の自主規制の申しておりますことは、主たる輸出国が類似の規制云々というふうに述べておりまして、かなり幅を持たせての宣言のように思います。おそらくミルズ委員長の申しましたことも、それと同様の趣旨において言っておるのであろう。すなわち、すべての主要輸出国が日本と同じ措置をしない限りは法律を出さざるを得ないぞと言ったのではございませんで、私の推量も入りますけれども、その幾つかがその国情に応じて最善を尽くして、似たような協力をしてくれればそれでいいのだということを言おうとしたのではないかというのが、私がミルズの声明を読みましたときに受けた印象でございますけれども、これは公に確かめたわけではございません。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 もう一つ伺っておきたいのですが、ミルズ委員長が、自主規制の結果さらに被害がある場合に備えガット十九条による措置をとり得るということを示唆したと伝えられているのですが、そういった懸念もあり得るのでしょうか。ここらあたりを考えて、例の業界の宣言の際にいわゆる留保条項というのをつけた、こういう形になっていくわけですか。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おそらく、ミルズ委員長がいま十九条云々と述べましたことは、米国内の業界等から声が起こるであろう、いわゆる市場撹乱、マーケットディストラクションがかりに起こったときには——そういうことは日本業界も気をつけるであろうが、起こったときには、ガットの原則に返るならば十九条というものの発動ができるではないか、これは今回の宣言あるなしにかかわらず、ガット固有の権利があるではないか、したがって市場撹乱というのはそういうことで防げるではないか、そういうことを国内の業界に向かってミルズ委員長が申したものと考えます。私どもも、日本政府も、あるいはわが国の業界も、ガット十九条というものがガット加盟各国の固有の権利としてあるということを当然の前提にいたしておりますから、そのような権利が乱用されることがない限り、これはお互いの固有の権利だ、こういう見方に立っておりますから、その点、ミルズ委員長考え方のプロセスなり何なりは、同じことを考えておるというふうに思っております。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 内輪向けであるということであるならばわかるわけですが、ところが、さあ自主規制をやった、さらに業界の反対があった、いろいろ被害条項をあげてきたというところでまた同じような形になったのでは、これは話にならないということになろうと思うのでありまして、必ずしもこれは国内向けだというふうなことだけで簡単に考えてよろしいものであるかどうか。この点は非常に重要でございますが、業界も、一応自主規制宣言はしたけれども、いつでもそれを取り消すことができるのだというような留保条項みたいなものをつけておるわけです。そういう混乱がまた起こることは、決して好ましいことではないだろう、私はかように考えますから、この点は十分ひとつ確かめていただかなければならないことだ、こう思います。  それから通産大臣は、香港と台湾は日本に同調する、しかし韓国も同調するであろうという意味のことを語っておられるわけですが、これは情報の出所と申しましょうか、そうした見通しの上に立っていらっしゃるわけですか。
  115. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨日私どもの党で会合がございましたときに、私、短時間出席をいたしまして、その席上私が、ただいま御指摘のようなことを申したという報道になっておるのでございますけれども、私は実はそのようなことを申さなかったのでございまして、出席も短時間でございましたし、申しもいたしませんでした。また、申したと伝えられておりますことは、実は、おまえどう思うかとただいまお尋ねがございましたら、私は、そのように簡単に楽観できないというふうにむしろ思っております。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、時間がありませんから終わりますが、繊維業界から、関係中小企業に対する救済策について具体的な要請があったように伝えられているわけですが、具体的な要請があったのかどうか。そこで、伝えられるような、特別融資であるとか、あるいは国庫補助、あるいは税の減免ということになってまいりますと、これは政府が党に言明をしてきたところでございます。額なんかのところはわかりませんけれども、内容としては常識的だ、受け入れるべきものであると私は考えているわけでございますが、この点は大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  117. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのような救済に関しましての要望は、自主規制宣言文を持ってこられましたときに、同時に私がお受け取りをいたしましたので、業界の正式な要望と心得ております。これにつきましては、規制の態様等々具体化いたしませんと、具体的には申し上げかねますけれども、基本的には、政府は業界の立場に同情と共感を表してできるだけのことをするということは、すでに総理自身が、国会の両院におきまして表明をしておられるところでございますので、私どもそれを体してやってまいりたいと思っております。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 もうこれで終わりますが、また、沖繩の中小企業の問題その他、中小企業全般についてあらためてお尋ねをいたしたい、そのように考えています。いずれにいたしましても、信用補完の問題というものは、何回も私も申し上げましたし、大臣の御答弁の中にも出てまいりました、非常に重要な問題であるわけであります。さらにこれを強化拡大をいたしまして、中小企業の振興、育成をはかっていただきたいということを強く要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 八田貞義

  120. 岡本富夫

    岡本委員 本論に入る前に通産大臣にお聞きしたいことは、最近の経済状況は、中小企業にとりましては倒産寸前というような状況になっておりまして、金融引き締めといったことによりまして景気が悪くなったというのですか、それで大体中小企業としては、いつごろ何とかこの底のような状態を切り抜けることができるのだろうか、こういう気を持ち、また日々の業務を営んでおるわけであります。通産大臣が、通産業務といたしまして特に中小企業対策を打ち出すためには、そうした景気の状態、変動をよく考えて、施策をされておると思いますので、大体の見通しについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  121. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、中小企業にとりましては非常にきつい金融の逼迫でございますので、昨年末、中小企業関係の三公庫の融資をワクをふやしましたほかに、この三月、異例のことでございましたけれども、年度末の融資対策を決定いたしたようなことでございます。これはすでに御承知いただいておると思います。これによりまして、まず年度末を越していけると思います。  これからの見通しでございますが、私は、四月になりますと、今度は財政も比較的早く動き出すような用意をいたしておりますので、四月の下旬、五月の連休がございますけれども、まずあのころにはかなり正常な状態に近くなったというふうに中小企業感じてもらえるのではないか。たまたま、引き締めからちょうどその時点がほぼ六カ月の時点に当たるわけでございますけれども、そうして夏に向かって、まずかなりの、気分的には楽になったなという感じが、中小企業にとりましても出てくるのではないか。他方で、今年は大企業設備投資意欲がかなり冷えておると感ぜられますし、在庫も相当ふえておることから考えまして、中小企業にとっては、その時点以後はあまり金融的にきつい年にならずに済むのではないかというふうにただいま考えております。
  122. 岡本富夫

    岡本委員 いまの見通しを聞きましたが、中小企業の倒産あるいはまた苦境というものは、大体三四、五%、景気変動によって苦しんでおるということが出ておりますが、そこで国のほうの財投とか一般会計、こういうものによって、社会資本、そういうものが出てまいるから、そうしたところの上向きがあるのか。あるいはまた貿易が、いま見ますと、繊維にしましても、今度、自主規制をするというふうな決定を繊維業界もしておりますけれども、あるいはそんなことで、いろいろの貿易による明るい材料があるのか。それとも、政府の今度の予算措置、そういうことによって上向くのか。その点についてのお見通しをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  123. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 金融面について申しますと、この三月は、政府が先般とりました特別な措置によりましてとにかく越してもらえるであろう。四月に入りますと、何によってと言われますから申し上げますと、やはり一つは財政と思います。ことに財政の中で公共事業が早く認証できるような準備をいたしておりますが、これが役に立つであろうと思います。それから、引き締め解除後、上流において引き締め解除が行なわれましてから、例の半年といういつもの時期が大体四月には参りますので、そういうことでも正常化に役立つであろう。さらには、もし私の見通しに間違いがなければ、一般的に大企業設備投資が冷えておるということは、金融としては中小企業に入っていける余裕がかなり大きい。見通しが正しければそういうことになるだろうと思いますので、それらの要素が貢献するものと見ております。
  124. 岡本富夫

    岡本委員 金融引き締め、あるいはいろいろな条件があったと思うのですが、いま大企業のほうも相当生産率が落ちておる。そういうことによって一番しわ寄せが来ておるのは中小企業、特に下請企業であります。そこで、公正取引委員会事務局長さんに、四十五年度の特に金融引き締めで非常に下請代金の支払いが遅延をしてきておりますが、この状況調査、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  125. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 御報告申し上げます。  公正取引委員会は、下請法の運用につきまして、親事業者からの報告の聴取、これは定期調査と特別調査がございます。それから立ち入り検査、監査業務、これを能率的にやってまいりまして、違反の親事業者に対しましてはきびしい態度で臨んでいるわけでございますが、昭和四十五年度におきましては、五千三十五の親事業所から下請代金の支払い状況等につきまして報告を聴取したわけでございます。それで、そのうち違反の疑いがあるというものに対しては、さらに下請業者のほうも調べまして立ち入り検査の対象事業所を選ぶわけでございますが、昭和四十五年度におきます立ち入り検査対象事業所数は四百八。定期調査、特別調査合わせまして五千三十五のうち、四百八の親事業者に対して立ち入り検査を行なったわけでございます。そのうち、四十五年度におきまして立ち入り検査を完了したものが三百六十件でございまして、その措置の内容は、下請法第七条に基づきまして、法律上の勧告でございますが、勧告をしたものが四十一件、行政指導により改善措置をとらしたものが二百五十四件、検査の過程で支払い遅延等が改善をされまして、不問に付したものが六十五件ということになっております。  なお、勧告等の措置をとりました親事業者に対しましては、毎月その改善状況等を報告さして監査をいたしているわけでございます。それで改善を指導しているということでございますが、この改善指導は、原則として三カ月から六カ月以内に改善をさせる。親の支払い能力等の関係もございますが、ただ、いま申し上げました親の支払い能力が不足したような場合には、これより延びるということもございますが、原則は三カ月から六カ月以内に改善をさしているということでございます。それで昭和四十五年度に、改善をされまして監査を打ち切ったものが百三十三件、現に監査を継続中の親事業者が二百六十件というふうになっております。
  126. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、そうした下請代金支払い遅延の不法行為のあった企業、これに対して、下請代金を早く払えという促進をしておるところの追跡調査をなさっているかどうか。その点について私のほうの調べたところによると、取り調べを受ける前は、公取が来てどうなるのだろうという心配をしておったけれども、来たけれどもたいしたことはない、金がなかったら払わなければいいじゃないかというので、結局また公取が入る前よりも延びているという事実を私はつかんでいるわけですが、そうしたことを見ますと、結局、公正取引委員会というのは何の効力もないのじゃないかということも言っておる人もいるわけですが、もう少しはっきりした取り調べ、あるいはまた勧告といいますか——勧告でも、金のないところへ何べん払え払えといっても勧告にならぬと思うのですよ。あなたのほうの立場じゃないと思いますけれども、こうした一つ一つについて通産省のほうに連絡もし、あるいはまた金融措置ですか、そういうこともやらなければならない。それでなければ、ただ勧告してやれやれといったところで、金がないということで、それだったら結局何にもならなかったということになりますが、そういった面について現在どういうふうにやっているか、それをひとつお聞かせ願いたい。
  127. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  確かにおっしゃるとおりに、勧告したけれども支払い遅延がなくなるまでかなり長期間にわたるというようなケースもございます。私どものほうといたしましては、親のほうも支払い能力がある限り、これは違反でございますから、できるだけ早く払えということで、毎月支払い実績の報告書をとっておりまして、毎月、毎月その支払い改善の状況を厳重に監視して、できるだけ早く支払い遅延がなくなるように心がけているわけでございますが、おっしゃるとおり、その期間が支払い能力等の点で少し長くなっているというようなケースもございます。もちろん、これは下請法の関係は、公取だけではございません、中小企業庁も共同で検査等をやっておるわけでございます。おっしゃられました点については、今後とも支払いの促進をきびしくすると同時に、関係官庁、中小企業庁等に連絡をいたしまして、資金面についてもめんどうを見てやるようにということに努力をいたしたいというふうに考えております。
  128. 岡本富夫

    岡本委員 この中小企業信用保険法、これはりっぱなものとはいえませんけれども、必要なものでありますが、こういうものが必要だということは、結局、売り掛け代金が入ってこないから必要になってくるのです。ですから、この法案を審議するにあたって、やはりその周辺のものを、要するに、そうした下請代金の遅延を防止するということにすれば非常に効力がある。したがって、そういった面をおろそかにしながらこっちばかりやっても何にもならない、こういうことを私は聞いているわけです。  そこで、中小企業庁長官は、公取のほうから、こういう会社がこうなっているというようなことを聞いて、そしてその親企業、要するに大企業に対して融資の道とか、あるいはこうしたらいいというような指導をなさったかどうか。いま私は事務局長さんから聞いて、中小企業庁のほうにも言ったといいますけれども、おそらくその下請企業に対してはいろいろなことをするかわかりませんけれども、そのもとであるところの大企業に対して、これはちょっとおかしい、もっとこういうふうにしたらどうだというような指導はしていないと思うのです。そこに、いまあなたがおっしゃったように、支払い能力がなかったらどうしようもない、こういうことになれば、これはどこも、支払い能力がありますということを言うところはないと思うのです。  そこで大臣に、ひとつ英断をもってやっていただきたいことは、こうした親企業、大企業中小企業、下請企業に対する支払いを促進するためには、やはりいろいろな指導が必要だと思うのです。この法案を見ましても、勧告するとか、あるいはまた罰金だって三万円です。罰金で三万円なんてたいしたことありませんから、一ぺんに済めばそれでいいじゃないかというようなことにもなりかねない。また、新聞の報道を見ましても、「不況のシワ寄せで苦境の下請保護に本腰 公取委」、こういうふうに言っておりますけれども、この法律によっては限度があるわけです。したがって、そういった大企業に対しての、支払いを促進するためにどういうような指導を今後なさるか、あるいはまた、それに対して力を入れていかれるかどうか、それについてひとつ。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは先ほどお話のございました、いわゆる歩積み両建てといったようなことと性質上似ている部分がございますので、いわゆる弱いといわれる者が、もうこれで自分は一切廃業するということを覚悟の上でこの事案を持ち出しますならば、かなり有効に法律の規定も働くのでありますけれども、なかなかそこまで思い切るということが、弱いものの立場としてむずかしい。そこで結局、ずいぶん公取もこれは御苦労願っておるわけですけれども、やはり抜き打ちで立ち入り検査をする、そういうことが、比較的有効な方法なのではないであろうか。そういうことによって現実の事案をつかみまして、それによって法律の規定を働かせる。これは大きいところを幾つかやりましたら、世間的にもかなり見せしめになることでございますから、そういうことが一番有効な方法ではないだろうか。他方で、これも歩積み両建てと同じようなことでありますけれども、そのような、いわゆる企業間信用というものが不当にふくらむような経済政策というものは、なるべくとらないでいくことがほんとうなのでございまして、そういう全体の経済政策のかじ取りも、非常に基本的に一つ関連をすることだというふうに思います。  それからもう一つ、中小企業がいろいろな意味で弱いものといわれる立場から脱皮をして、強いものになっていく。そのためには、御承知のような、いろいろないままで講じている措置もございますし、また法律もつくってまいりましたが、そういうことで、一方的な切り捨てごめんのような立場にあることを防ぎ、強くなるということ。数年前に比べますと、かなり現実には強くなってまいりました。それでも、今度程度の不況がございますと、前回ほどではないにしても、やはりそういうことになる。やはり強くなる、強くするということも、私は根本的な改善策ではないかというふうに思っております。
  130. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、外へ出られていたから、ちょっとわからなかったのかもわかりませんけれども、私の言ったのは、いま公取のほうでいろいろと調べたわけですよ。そして不法行為といいますか、なかなか払ってないところがある。払う能力のあるところは逐次やっているというけれども、払う能力のないところはしかたがないのだというような考え方なんです。それに対しては、その大企業、親企業に対して、ある程度——これは公取から、融資とかいろいろな、そういうものの指導はできないと思うのです。ですから、通産省としてその大企業に対して、こういうあれもあるのじゃないか、もう少しこういうようにしたらどうだというような指導と申しますか、これを行なっていただきませんと——いま大臣は、なかなか下請企業がそれを言ってこないからわからないというような話だったのですが、これはもうすでに調べてわかっているわけです。ところが、支払い能力かないといって引き延ばすところ——大体、いま手形は六カ月あるいは七カ月というように、ぐっとまた延びてきておるのです。やはり金融引き締めがきいておりますからね。そういう面で、公取が入ったところが、また延びておるというようなことでは、これは何にもならない。したがって、もう少し抜本的な、前向きな親企業に対するところの指導というものが必要ではないか、こういうように私は思うのですが、その点についていかがですか。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 法律に禁ぜられておることをやっておれば、これはもう法律で処断することが一番いいのでありまして、検収をおくらせるなんということは、もっともこれはどろぼうみたいな行為でございますから問題にならぬのでございますけれども、そうでない範囲のことになりますと、やはり一般的な金融財政政策といったようなものを適正にやるということに帰着をいたすのではないかというふうに思います。
  132. 岡本富夫

    岡本委員 どうもこの下請代金支払遅延等防止法で取り締まりましても、たいしたことないのですよ。結局しり抜けになっているわけです。三万円の罰金なんです。ということは、大企業、親企業としても、支払いする能力があるところはするけれども、ないところはできない、いまの公取の調査によりますとこういうことなんです。親企業に対しての指導は、もっと強力に通産当局から——中小企業庁といいましても、中小企業庁は小さな下請の中小企業のそれしかできませんから、そのもとの大企業に対する行政指導というものは、やはり大臣のほうから、その局からやっていただかぬとできないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点について前向きに取り組んでいただけるかどうか、これをひとつお聞きしたい。
  133. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、下請代金支払遅延等防止法を適正に、厳格に守らなければならない、これは常に企業に言っているところでございます。さて、それ以上の指導ということになりますと、たとえば一見大企業を助けてやるような金融政策といったようなことになってしまうおそれがございまして、それはいろいろな意味でどうもやりたくない。支払い能力がないのに注文して、それをまたあとから政府が救ってやるというようなことは、どうも適当なことでないという面がございますから、罰金は何万円にいたしましても、大企業にとって下請代金支払遅延等防止法で罰則を受けたということは、非常な恥辱でございますから、これは罰金の多寡によりませんので、やはり具体的にそういう事実を発見して処罰していくということが、一番効果のある方法ではないかと私は思います。
  134. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ公取の事務局長さんに聞きますが、四十五年度中に処分をされて罰金を受けたところの企業は、何企業ございますか。
  135. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  下請法の罰則と申しますと、その支払い遅延等につきましては勧告をいたしまして、勧告に従わなかった場合に公表ということになっております。公表か罰則であるか——罰則的な意味を持っ  ておるのじゃないかと思いますが、罰金等の規定もございます。第十条にございますが、これは、  「第三条の規定による書面を交付しなかったとき。」とか、あるいは「第五条の規定による書類を作成せず、若しくは保存せず、又は虚偽の書類を作成したとき。」に罰則がございます。いま主で、勧告に従わなかった、勧告どおりにやらなかったということで公表した例はございません。それから、もし勧告に従わなかった場合、公表するか、あるいは場合によっては審判ということで審判手続を開始いたしまして、それによって違反であるということになれば、審決を出すわけです。審決違反に対しましては、懲役三年以下というような罰則はございます。ただ、いままでは公表を行なったことはございません。
  136. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、そういうことです。まことに簡単にお答えされたのでありますけれども、いままで一ぺんも公表されてないのです。それから、審決といいますけれども、そのときこそ、先ほど大臣がおっしゃったように、その会社の取引はもうやめだということになって初めて、審決とかそういう裁判のようなことはできます。大企業に対して、健全な企業に対して私はそれ以上の措置をするという考えはない、これはよくわかりますけれども、そういう下請代金の遅延防止を強力に、通産省のほうでいろいろと補助金を出したり——あるいは中には、よく見ますと、ほとんど通産省関係から天下っておるところがずいぶんあるわけですから、どんどんとそういうことを指導できない、あるいはまた勧告できないということはないと思うのです。したがって、大臣のほうでほんとうに、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、これは中小企業を守ろうという考えだと思うのですが、それと並行して、日本の国の九九・四%の中小企業を守らなければ、やはり日本の産業に大きなそごを来たすのじゃないか、こういうことを考えますと、大臣、もう一ぺんその点を一考していただきたい。考えて、そしていろいろ手段はあろうかと思いますが、これについての前向きの答弁をもう一ぺんいただきたい。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど私がちょっと法律を持っておりませんでしたので、罰則の関係を間違えてお答えいたしました。先ほど公取の事務局長が言われたとおりでございますので、訂正をいたしておきます。  で、たとえば毎年、私どもの産業構造審議会で、大企業設備投資計画というものはかなり詳細に検討するわけでございます。そういうときに、従来、資金の出どころというものについてはあまりせんさくをしない、何銀行から幾らといったような具体的なせんさくをほとんどしていなかったわけでございますけれども、昨年は、どうもこういう年になりそうだという感じがいたしましたから、資金の手当てはどうするのだということをある程度突っ込んで聞かせたわけでございます。と申しますのは、そうしておきませんと、最後のところは、銀行で金ができなければ結局下請へ押しつけるということになるわけでございますから、中小企業とか商社というのがみんなそれをしょうことになるわけで、そういう方向を少し強めてまいりますと、かなり効果のある対策がとれるのではないかというふうに思っております。昨年ある程度それをいたしましたが、もう少しそういうことを突っ込んでやる方法を考えていくことがいいのではないかと思います。
  138. 岡本富夫

    岡本委員 そういった金融面を突っ込んでやっていただくこともよろしいが、それと同時に、大臣、なぜ企業に対して遠慮なさっているのか知りませんが、こうした下請代金のあまりおそくならないようにというような指導が、あなたの口からやろうという、そういうお答えが出ないのか、非常にほくはふしぎでならないのですが、いかがでしょうか。
  139. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは幾らでも、何度もやかましく言っておりますけれども、ほんとうに岡本委員のおっしゃっているようなことをやろうといたしますと、それならば、一体政府がどんな金融的な措置をとってくださるのだとか、あるいは、現にこれだけの滞貨がございますけれども何かお考えがあるでしょうかとか、そういうはなはだけしからぬ話になってまいりますので、何も大企業にそんなめんどうを見てやる必要はないわけでございますから、それが全部中小企業に流れていく金だというふうにかりに考えましても、中小企業も助かりますけれども、大企業もそんな金を政府に世話をしてもらうなんということはよろしくないことだというふうに、私は思うからであります。
  140. 岡本富夫

    岡本委員 そんなことを言っていると、いつまでもこれは水かけになりますけれども、大臣、それはあなたが、大企業に対して融資をするというふうなことを考えていない、これはわかります。しかし、補助金とかいろんなものを見ますと、あるいはまた、企業に対しての指導、いろいろな許可事業だとか、認可事業だとか、そんないろいろなもので、通産省としては企業に対してもっとものを言えるのじゃないか。それをしたら金を貸してくれるのか、こう言われたときにどうしようもないというのではなくて、これは、大企業であれば銀行にも何とか借りられるのでありますが、銀行から借りると金利がかかる。下請代金にしてほっておけば金利がかからないのですよ。けしからぬ。銀行のほうで借りれば金利がかかる。下請のほうの支払いを延ばしても金利がかからない。そこで、下請企業は高いところへ土を持っていっておる、こういうようないまの現状でございます。  もう一つ、あなたがそう言われたとき、大企業が、そんなことを言うのだったら金を貸してくれるか、あっせんもしてくれるのか、こんなことを言われたら困る、そういうことは、これはここだけの話であろうと思うのですけれども、ほんとうはやはり通産省としては、いろいろな各企業に対するところの指導する力も持っていると思うのですよ。ですから、事この下請代金に対しては、あまりにも支払いのおそいところに対しては、公取が何ぼやっても、公表するぞ、公表するぞと言うたところで、結局一つもしていない。したところで、これはまた、それじゃ早く金を払おうかということも、なかなかないわけですからね。もう少し強力に、この下請に対するところの代金を払えというような指導ができないかどうか、またしなければならないのじゃないか、これは通産省として必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、もう一言。
  141. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはしなければならないことでございますし、必要なことでございますけれども政府が大企業に対して特別にそういう金融を見てやるということは、私はどうも適当なことではないというふうに思っておりますから、その他の方法で十分大企業に対してそういう注意をし、また、どう申しますか、行政指導する、それはいたさなければならないことだと思います。
  142. 岡本富夫

    岡本委員 金融面のことはさておいて、私はそれをやかましく言ったのじゃありませんが、その他の面で親企業に対して指導する、こういうことと了解しておきます。  次に中小企業の範囲です。中小企業基本法でこの範囲が、いままでは五千万あるいは三百人、こういうことでありましたが、これは十年前の法律であります。最近は非常に経済単位というものが下がったのか、そういうことを考えますと、どうしても私どもは、大企業と中堅企業と小規模企業、こういうように三つのグループに分かれてこなければならぬのじゃないか。そこで、小規模に対してはやはり若干の保護政策、中堅企業に対しては強力な育成政策、こういうような政策になってこなければならぬのじゃないか。  特に、私ども実際の状態を見ますと、ほんとうの小規模というのは、大企業から直接注文が入っておるのじゃなくて、大体中堅企業からの下請が多いということになりますと、今度は、ほんとうの小規模の人たちを守るためには、いわゆる中堅企業というものを相当やはり強力に育成をしなければならぬのじゃないかということを考えますと、ここで資本金五千万円、こういうことでは、そろそろいろいろな法適用が少ないのじゃないか、こういうことを最近考えておるわけですし、また、そういう要求が相当あるわけですが、いますぐというわけにはいかないでしょうけれども、将来、大臣はこの問題についてどういうふうにお考えになっているか、あるいはまた、長官からでもけっこうですが、この問題についてひとつお聞きしたい。
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 五千万、三百人、商業につきましては千万、五十人でございますけれども、これが現在のままでいいかどうかということは、何席も私ども内部でも議論をいたし、国会でも御議論のあるところでございます。これがこの時世に合わなくなっているということは、私ども感じているわけでございますけれども、心配しておりますのは、かりにその上限をうんと伸ばしていきましたときに、中小企業庁が毎年与えられる予算なり財投の額というものはある程度毎年伸びてはまいりますけれども、非常に大きな伸び方を突然するということは、現実の問題としてなかなかむずかしゅうございます。そういたしますと、守備範囲を広げてしまいますと、ほんとうに救わなければならない下のほうが薄くなってしまうということを、これは現実の問題でたいへんおそれ入りますけれども、心配しておるわけでございます。  そこで、方向といたしましては、私ども、かつて中小企業としてごめんどうを見て十何年来た中には、もう中堅企業になりまして、中堅企業としての施策というものがいろいろ一連がございますから、そっちのほうへ行ってもらう、すでに行きつつあるというものがかなり出てまいりましたから、中小企業対策というものは、あくまでやはり一番下のほうを救っていくということが本来ではないかという問題があるものでございますから、同じ基準が時世の変転に照らしていわばかなり小さいものになってしまったということはよく議論いたしますが、ただいま申し上げましたようなことも考えながら検討していきたいと思っておるところでございます。
  144. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、特恵対策、こういうことも考えますと、相当企業基盤というものを強力にしなければならぬじゃないか。また、通産省で、政府のほうでいろいろ考えているところの、協業化あるいは事業合併、こういうことになってまいりますと、どうしても中堅企業になってしまう。そうすると、そうしたところのいままでのような対策を受けられないということになって、ジレンマになってくるということで、非常に頭打ちが将来来るのではないか。そういうことを考えますと、中小企業の範囲を広げるとか、あるいはまたこれを三段階にするか、そろそろそういったところの施策が必要ではないか。大蔵の主計から来てますね。それで、いま大臣も非常に伸び率を気にしていらっしゃるわけです、一一・何%だったら非常に困るということで。いろいろな予算がある中の、中小企業に対するところの予算、それから農林漁業に対するところの予算、これについてひとつ比較、こういうことをお答え願いたい。
  145. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  中小企業関係の予算と農林関係の予算の対比、こういう御質問でございますが、御存じのとおり、一般会計予算の伸びは、四十六年度予算一八・四%でございます。このうち、農林関係の予算でございますが、これは食糧管理費四千六百三十三億円を含めまして一兆八百六十億円でございまして、前年に対しまして、伸びは一八・三%でございます。なお、これに対しまして中小企業対策費の伸びでございますが、全部で四十六年度予算では五百七十九億円でございます。この伸びは、一応総額で見ますと一五・一%でございますが、先生御承知のとおり、大蔵省所管の出資、補給金が若干いろいろございますので、その点を除きまして考えますと、前年の伸び一九・一%に対しまして、本年の伸びは二〇・八%になっております。なお、中小企業対策費の大宗を占めます中小企業振興事業団の出資は、二五%の伸びになっているわけでございます。なお、御承知のとおり、このほか財政投融資もございまして、これは三機関向けで五千六百四十二億円ございます。これは一八・八%の伸び、このようになっております。
  146. 岡本富夫

    岡本委員 私の言わんとするところは、農林漁業に就業していらっしゃる数は九百四十六万人、中小企業に就業しているのは二千七百三万。そうすると、それに対して予算が、食管を引きましても農林のほうは一兆三千億。中小企業のほうは五百七十九億、約五百八十億ですね。財投を見ましても、農林漁業のほうは二千百五億、それから中小企業のほうは五千九百、約六千億でありますけれども、全体を見ますと、中小企業のほうに就業している人が約二倍以上、二・八倍ですか、こういうことであるのに、中小企業に対するところの予算というものは、いままでの対策が非常に少なかった。そこで、伸び率、伸び率というようなことでは、話にならないと思うのです。したがって今後、いまも私通産大臣に話しておいたことをあなたお聞きになったと思うのですが、大中小というような三つのグループに分けなければならぬ時代に入ってきたわけですが、それに対する予算配分を今後相当考えなければならぬじゃないか。ただ、いままでの伸び率に対して何ぼ伸びました、何ぼ伸びました、これでは、五年、十年前と相当変わってきておるわけですから、その点についてあなたのお考えをひとつお聞かせ願いたい。
  147. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、確かに中小企業、特にいままでのような定義での中小企業につきまして、それが適当であるかどうかという問題はございますし、また中小企業、中堅企業含めまして、産業構造の高度化とか、あるいは経済の国際化の進展という基本的な潮流のほかに、先ほど先生御指摘になりましたように、特恵問題とか、あるいは最近の日米問題とか、不況産業とか、このような当面する諸問題が非常に多くあるわけでございまして、このような内外の経済情勢の変化に対処いたしまして、このような中小企業あるいは中堅企業の近代化、高度化を促進することは、非常に大事なことであると考えられます。このうち、特に中小企業につきましては、先ほど申し上げましたように、十分な配意をいたしまして、一応、伸び率という表現が適当であるかどうかわかりませんが、四十六年度予算につきましては十分な配意を行なったわけでございますが、しかし今後、先ほど申し上げました経済構造の高度化その他いろいろ変転もございますので、先生の御指摘趣旨を十分承りまして検討を進めたい、このように考えております。
  148. 岡本富夫

    岡本委員 その点、四十三年度を見ましても、農林漁業では総販売額が五兆六千億、中小企業では製造業が二十三兆九千億、それから商業では四十兆八千四百億ですか、これぐらい差があるわけですが、それに対して予算が少ない。これは中小企業庁に何ぼやかましく言ってみても、もとの予算が少ないと、これはいろんな対策ができないわけですから、特に次の予算編成についても考慮していただきたい、これだけを言っておきます。  そこで、今度の信用保険法の一部改正の第三条、この中に、「信用保証協会を相手方として、当該保証協会中小企業者銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫」、こういうようにずっといままで数がありましたが、今度変わりまして、「政令で定める金融機関」というのが入っておるわけですが、この「政令で定める金融機関」とはどういうものが入ったのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  149. 吉光久

    吉光政府委員 今回、法律で規定してありました事項を政令に委任することといたしたいということで、この提案をいたしておるわけでございますけれども、政令で規定してあります場合、現在法律で規定いたしております金融機関は、これはすべて指定するつもりでございます。そしてさらに追加いたしまして、現在、確実に追加することをきめておりますものは、信用協同組合連合会、これを追加いたしたいと思っております。この連合会は、すでに発足いたしまして、最近におきましては、中小企業者との間の金融取引というものが、相当量ふえております。したがいまして早魚に指定をいたしたい、こういう考え方でございます。
  150. 岡本富夫

    岡本委員 政令事項と申しますのは、法案を審議したときと、今度はいよいよ実行されるときとの非常な食い違い、こういうものを私は今度の公害国会でしばしば見ましたし、また、いままで審議してきた中で、せっかくいろいろと意見も言い、答えていらっしゃるのに、いよいよ政令事項になりますと変わっているわけで、「政令で定める」というふうに政令委任してしまいますと、これは憲法で保障されているわけですけれども、非常にぐあいが悪い場合がある。いままでのうしろに信用協同組合連合会をなぜ入れなかったのか。今度はじゃまくさいから政令にしてしまえというようなことになったのか。これではますます官僚政治になってしまう。その点についてどういう考えなのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  151. 吉光久

    吉光政府委員 確かに、最も厳密に規定いたしますとすれば、法律で規定いたすということが一つの方法であったわけでございます。ただ、信用保証関係の適用対象となる金融機関でございます関係上、やはりこのように経済情勢が激しく変動いたしてまいりますと、あるいは金融機関につきましてもいろいろの動きがあるわけでございます。また、中小企業者融資を受けておる金融機関も、だんだんと範囲を拡大しつつある状況でございます。そういうふうな事態に迅速に即応いたしたいという考え方から政令に委任をお願いいたしておるわけでございまして、実は現在これと同種の制度でございます農業信用保証保険あるいは中小漁業融資保証保険制度等におきましても、対象金融機関は政令で定めるということになっておりますので、そういう経済情勢に迅速に即応し得るよう政令に委任をお願いいたしたい、こういう考え方でございまして、これを縮小して運用するというふうな気持ちは、毛頭ございません。
  152. 岡本富夫

    岡本委員 私は悪く考えますと、いままで農林中金だとかいろいろな名前が出ているわけですけれども、政令委任ですから、もうかってにはずすこともできるし、非常にそういう心配があるわけですが、いまあなたの答弁では、ふやすことはあっても減らすことはないということは確約はなさったと思うので、 これはそれでけっこうです。  次に、ちょっと先ほどのに戻りますけれども中小企業基本法の中には公害防止対策というものが一つも入ってないわけですが、これはやはり将来基本法の中に入れなければならないのじゃないか。たとえば、これは大臣が一番よく御存じだと思うのですが、電気・ガス事業法の中に公害対策というものは入ってなかった。そのために今度お入れになって改正をした。こんなに公害対策がやかましくいわれるようになったら、この基本法の中にもこうした条項が必要ではなかろうか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  153. 吉光久

    吉光政府委員 御承知のとおり、中小企業基本法の定義の中には公害問題について触れておらないわけでございますけれども公害対策基本法の中で、第三条で全体としての事業者の責務等が書かれておるわけでございますが、特に中小企業に対します国の配慮というふうなことにつきまして、公害対策基本法のほうの二十四条に、国及び地方公共団体は事業者の公害防止施設の整備について金融上、税制上その他の措置を講ずるにあたり、中小企業に対し特別の配慮をしなければならない、こういう意味の規定がすでに触れられておるわけでございます。したがいまして、私どもは、この公害防止基本法の精神にのっとりまして、いろいろと金融、税制その他の助成措置を講じておるところでございまして、中小企業基本法の中に重複して入れるというところまでしないでもいいのではないであろうか。すでに公害基本法の中に十分にその方針が宣明されておるというふうに了解いたしておるところでございます。
  154. 岡本富夫

    岡本委員 そういうようにお答えになるだろうと思った。この中小企業基本法二十四条には——改正するときに、あの法案出すときに、私が主張して入れたのですからわかりますけれども、それならば、公害対策基本法の中に、企業公害対策を行なうことがきちっと明確になっておるのに、ガス・電気事業法の中になぜ入れたか、こうなるわけです。それは二重じゃないか、こういうことになるわけですから、やはり将来この中小企業基本法の中にも、公害防止政策というものを入れなければならぬ時代が来るのじゃないか。片一方は二重に入れて、片一方は入れなくてもいいというような答弁では、もう一つ私は納得いかない。いかがですか。
  155. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはちょっと理屈になりますけれども、電気事業法あるいはガス事業法、これらは一種の規制法でございますから、規制をする立場から申しますと、公害ということを特にはっきりいわなければならない、こういう意識がございましたことと思います。そのほかに電気、ガスというのは、ことに電力は公害を起こしやすいというのが現実の問題としてございますからなおさらでございますが、規制法としては、やはりそういう規定を持っておるのが適当ではないかということであったろうと思います。中小企業基本法は助成法でございますから、特に中小企業だけが公害云々というような問題ではありませんので、企業一般の義務でございますから、それを助成するという中小企業基本法、そういう性格があるのではないだろうか。だから、しいて申しますと、第一条に「中小企業者の自主的な努力を助長し」というところがございますが、こういうところで、企業として公害防止をする義務がある、そういうことに努力をする義務がある、それに国は助長をするのだ、こういうことの関連になるのではないかと思います。
  156. 岡本富夫

    岡本委員 これは、そういうことをやっておると、議論ばかりになりまして前に進みませんが、確かに、中小企業基本法は助成法です。そうすると、中小企業公害防止に対しての助成も、ここにうたうておかなければならない。なぜかなれば、それは基本法の中にそれは入っておるから、公害対策基本法の中に入っておるからいいじゃないか。しからば、私が先ほど言いましたように、電気・ガス事業法のほうにも、これは規制法ですけれども入っておる。ですから、これはそういうことになりますと、一つの理屈、議論ばかりになってしまいますけれども、こればかりやっておるとなんですから、次の機会に一ぺん慎重に考えていただく。基本法の改正ですから、私どももここでもう一ぺん考えてやらなければならぬと考えておりますが、これはひとつよく検討していただきたい。検討事項にしておきます。  そこで次は、公害防止保険を新設したけれども、この中身を見ますと、担保のないところの企業、こういうものに対する公害防止の助成、また、公害防止をしなければこれからは企業は動かないわけですし、そういうことを考えますと、担保力のないもの、もう一つは、担保にすでに入って二番、三番になっておるものに対してもその担保力を認めて、そうして信用保険法を適用することができるのか、この二点についてひとつお聞かせ願いたい。
  157. 吉光久

    吉光政府委員 公害防止施設につきましても、これがいわゆる特別小口として新しく限度引き上げを認められますれば、八十万円になりますけれども、その範囲内におきまして公害防止施設をつくるというふうなことでございますれば、これは当然に、現在の特別小口制度、これは無担保、無保証でございますが、適用されるわけでございます。また、三百万円までは無担保、担保がなくてもいいというふうなことになっておる制度がございますけれども、この無担保保険につきまして、これを利用して公害防止施設をつくるということであれば、これは当然に御利用願えることができるわけでございます。それから、さらに大きな額になりまして、二千万円を限度として別ワクでこれができるというふうなことを規定いたしておるわけでございますけれども、この際におきましても、たとえば担保の点につきましては、従前からも、保証関係におきましては、特にその点について注意をして運営をいたしておるわけでございますが、普通の金融機関が見ます担保価値よりか、より現実に即した担保価値の測定をしておるという点が第一点でございます。それから、後順位の抵当権を設定して担保をとるというふうなことも、保証協会保証の中で認められておるわけでございます。そういう意味で、こういう信用保証制度全体が実はそういう立て方になっておるわけでございますので、したがいまして、そういう担保力という点につきましては、中小企業者にとりましては、非常に有用に、あるいは有効にこの制度が活用できる、そういう仕組みになっておるものと考えております。
  158. 岡本富夫

    岡本委員 そういう仕組みになっておるということでありますけれども、実は三機関のほうでそういうことを認めるのかどうか。それから、たいがい不動産鑑定の鑑定書の七割から八割くらいしか担保能力として見ないのが普通なんです。公害保険の場合は、そうではなくして、十分にその担保力として見るように指導するのか。この点についてひとつお聞かせ願いたい。
  159. 吉光久

    吉光政府委員 ただいま私がお答え申し上げましたのは、この信用保証制度の中におきます担保の見方という点について、お答え申し上げたわけでございます。いま、三機関についてと、こういう御指摘がございました。現在、政府関係機関金融機関でございますので、一応原則として担保をとっております。もちろん国民金融公庫に、三百万円以下につきましては無担保で融資という制度があるわけでございますけれども、そういう例外的な措置を除きましては、三機関のほうも担保をとっておるというのが現状でございます。ただ、この政府関係中小企業機関は、ある一つの政策目的をもって設置された機構でございます。したがいまして、担保を設定するにいたしましても、一般の金融機関と違った、要するに中小企業者状況を十分に理解した上で担保を設定するというふうな方針で現在まで仕事をやってまいっておりますので、したがいまして、三機関関係が担保をとり過ぎる、あるいはまた、他の金融機関より甘くなっていると思いますけれども、よりきびしいとかいうふうなことはないものと信じております。
  160. 岡本富夫

    岡本委員 保証協会保証してもらうのも、無担保、無保証は別としまして、そんなわずかな金では、公害対策の機器とか、あるいはそういう設備は、なかなかできないわけです。あなたのほうの調査では、そんなにきびしくなっていないのだというような考えですが、ほんとうはそうではないのですね。先ほどあなたから答えがあったように、担保の設定、あるいはそういうものに対しては、十分にひとつ見てやるように指示をしていただきたい。これは要望しておきます。  それから次に、通産省が、中小企業公害をほんとうになくそう、こういうように考えておるならば、この際、公害保険てん補率につきましても、特別小口は、やはり少なくとも八〇%——ほんとは九〇%と私は言いたいのですけれども、そのくらいにしないと、なかなか保証協会保証も受けられにくい。その点について長官はどういうように考えておるか。先ほどの中村委員に対してのお答えは、一ぺん七〇%でやってみてということですが、やってみてそれからにしますというのではなくて、それならば、ここで大蔵ともう一ぺん折衝しててん補率をふやす、そのかわり公害対策をぴしっとやられるというふうな、かちっとしたところの法律をつくらなければならない、こういうふうにも思うのですが、その点についてのお答えを願いたい。
  161. 吉光久

    吉光政府委員 てん補率七〇%につきましては、けさほどもお答え申し上げたところでございますけれども、現在の保険体系におきましては、御承知のとおり七〇%というのは基本的なルールでございます。そしてその七〇%というものが、保険公庫保証協会との間に一応定着いたしておるというふうに考えておるところでございます。もちろん、御指摘の中にございましたように、特別小口あるいは無担保保険というふうな、特に小額で金額を小さく限定いたしまして、ある特定の場合のみに限定いたしまして、こういうてん補率八〇%というふうな制度を設けておるわけでございますけれども、これは、危険の発生度、事故の発生が非常に強いということを前提に置いて、てん補率を八〇%ということにいたしておるわけでございます。  公害防止施設につきましては、これは実は設置いたしますのは事業者のほうでございますけれども、その事業者の設備投資の一環として、本来公害防止施設を設置すべき責務を有しておるというふうに考えるわけでございます。そういうふうなものを設置いたします場合、事業採算なしにというふうなことは一応は考えられないのではないであろうか。これはもちろん設置しなければならないものでございます。そういうふうな観点等から考えました場合に、むしろ中小企業者にとって必要なのは、保証料率をどう低くしてやるかということのほうがより重要ではないであろうか、こういう考え方をいたしたわけでございまして、したがいまして、保険料率も通常の保険料率より安い料率を適用いたしたい、こう考えておるところでございます。  それから、現在三十二の協会ですでにその協会独自の公害防止保険というふうな制度をつくっておられます。これは現在は、こういう保険公庫の中における特別の保険制度がございませんので、普通の制度の運用としておやりになっておるわけでございます。そういう現在すでに三十二の保証協会でこういう制度をおつくりになっておられるものに対しましては、国で新たにこういう制度ができて低保険料率というふうなことでこの制度が運用されるということは、保証協会にとりましても一つの励みになるであろう、こういうふうな感じでございまして、そういうところから、この基本原則にのっとりまして七〇%というふうなところをきめたわけでございます。もちろん、これは運用した後におきまして、ほんとうに事故が多く出てきて保証協会自身の体質を弱体化するものであるかどうかというふうなこと、これはいまから後の試みでございますので、予測しがたいわけでございますけれども現状におきましてはこれで十分いけるのではないであろうか、こういうふうな判断をいたしておるわけでございます。
  162. 岡本富夫

    岡本委員 これは企業がしっかりしておって、そして公害防止をするのではないのです。公害防止をしないと企業はやっていけない。たとえばメッキ工場にしましても、どんどん告発されて、そしてやむにやまれず公害防止をしなければならぬというような現状ですね。これは確かに長官言ったように、公害防止もしないで企業をやっているのはおかしいのじゃないかというようなお話でありますけれども、そうではなくして、それは確かにそうですけれども、こうして現実を見ると、やはり公害防止をしなければ営業はできない。同時にまた、それをしてもらわないと、一般の住民がたまらない。要するにそのほうに危険がいくわけです。ですから公害倒産がどんどん出ておる。こういうことになれば、災害あるいはまた、あなたがおっしゃったように、危険な状態、そういうところに対してはてん補率を上げているのだということでありますが、大体同じ趣旨ではないかということになるわけですが、それでなければ、現実保証協会でなかなか保証しないですよ。てん補率が多ければこれは何とかやろうということでして、少ないとなかなかやらない。ということは、先ほど私が申しましたように、結局公害対策が進まぬ、こういうことでありますから、これもなかなか考えを変えないというようなお考えのようでありますけれども、先ほどあなたから話があったように、保険料もまだきまっていない、これはさまってなくても低いほうにきめようと考えておるということでこの法律案審議しておる、こういうことになれば、これはきめなくたって同じことになるじゃないか。てん補率だけきめておいて保険料率は低いほうにきめましょうというのであれば、結局同じことじゃないかと思いますので、このてん補率につい、ては再度考慮する考えがあるか、その点についてひとつ伺いたい。
  163. 吉光久

    吉光政府委員 保険料率をできるだけ低い率でというふうに先ほどお答え申し上げたわけでございますが、現実にいま関係方面と折衝いたしておりますのは、現在の普通保険、これが日歩二厘一毛でございますけれども、無担保保険は日歩一厘五毛でございます。この中間くらいにおさまるよう料率を定めたいというふうなことで、したがいまして、これは、近代化保険を下回ります、そういうふうな中間的な段階の保険料率を設定いたしたいということで、現在折衝をいたしておるところでございます。
  164. 岡本富夫

    岡本委員 これもほんとうは、特別小口の一厘、これくらいの保険料ですれば、保証協会のほうも非常にどんどんと貸し付けができるわけですよ。ですから、公害防止に対する態度、根本の基本方針というものが定まってなくて、いままでと同じような金融の考え方であれば、これはほんとうの公害防止にならないから、それを言っておるわけです。  もう一つ、ずっと聞いておりますと、小口保険の無担保、無保証の件もありましたが、これなんか見ましても、現在五十万ですけれども、いま平均四十万ぐらいだ、というのは全部値切られているのです。五十万申し込んで、二十万とか三十万とかに値切られておる、そういうところもあるのです。そうすると、必要な設備、あるいは必要な資金の半分ということになりましたら、結局、高利のものを借りてこなければしかたがなくなる。そういうものによってとうとう事故を起こして保証協会に迷惑をかけている、こういう現実もあるわけです。したがって私は、事公害対策ということをほんとうにあなたがお考えになるならば、これはてん補率引き上げ、それから保証料にしましても、最低の一厘、ここらあたりに、大蔵省とも折衝して、あるいは関係方面とも折衝しておさめてこなければならぬじゃないか。公害対策のことですから大事な問題なんだ、だからいままでのような考え方では相ならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、長官の御意見はいかがですか。
  165. 吉光久

    吉光政府委員 公害防止施設の積極的な設置につきまして、あらゆる手段、方法を尽くしてこれを助成してまいるというお考えは、全く私どもも同じでございまして、あらゆる手段、方法を尽くしまして、積極的な助成をはかってまいりたいと考えておるところでございます。いまのてん補率あるいは保険料率、そういう点につきまして、これはいろいろの角度から判断いたしまして、同時にてん補率につきましては、信用保証協会保険公庫との関係でもあるというふうなことから、保険公庫のほう、あるいは保証協会のほうの御意見もお伺いいたしたわけであります。したがいまして、私はこれですべて十分だと腹をたたくというふうな、そういう気持ちではなくて、むしろやはり、できるものをできるところから早くスタートいたしたい、そうしてそれを実際に早く使っていただきたい、こういうことを念願しておるわけであります。したがいまして、出発いたしました後に、事故その他の点におきまして、普通の保険に比べて相当事故率があるというふうなことであれは、これは当然にその段階で、それらの資料に基づきましてこれを改正していくという点には、やふさかでないわけでございまして、したがいまして、さしあたりのところ、早くこれらを出発させ、早く利用していただきたい、こういう感じで御提案申し上げておるところでございます。
  166. 岡本富夫

    岡本委員 一歩譲りまして、早くこの金融をして公害防止をしたいという考えであれば、ほんとうはそこまで下げて万全を期してやるべきが普通であります。  それからもう一つ、あなたは事故率を見てと言われるが、これは大きな考え違いだと私は思うのです。要するに、事故のあるようなところは、保証協会はなるべく保証しないようにするのです。よ。そうではなくて、どれだけ必要だという——そうした中小企業の、たとえばメッキ工場とかいろいろなところがずいぶんあるのです。そうした必要なところを調べてやらなければ、事故率で見たのでは、これは全然話が違います。要するに、保険協会がしぼったために貸してもらえなければ事故は出てこないのですから、その点ひとつ考えをあらためていただいて、そうして再検討していただく、こういうふうにお答え願いたいのですが、いかがですか。
  167. 吉光久

    吉光政府委員 私の説明が少し舌足らずであったかと思います。事故率というふうに申し上げましたのは、現実公害防止保証を受けて、そしてそれで金を借り防止施設をつくって、それで返せなくなってまいるというふうな意味での事故率、これが信用保証協会の経理に影響してまいります。したがいまして、そういうふうに公害防止保証を受けた人に限って特別に事故が多くなるようなことはないであろうというふうな感じでおるわけでございますけれども現実にはこれがどういうふうな事態になってまいりますかわからない事項であるわけでございます。そういう観点から私は事故率ということを申し上げたわけでございまして、あくまでもこれは経理上の意味で申し上げたわけでございまして、何も公害防止施設をつくった人に事故が多く起こるとかいうふうな意味で申し上げたわけではないわけでございまして、その点は訂正させていただきます。  同時に、何も私どもも、七〇%で、先ほどもお答え申し上げましたように、すでに絶対だいじょうぶだと言い切るだけの自信も実は——いまの段階ではこれでいけると思っておりますけれども、将来ともこれでいけるというふうな性格のものではないであろうというふうな点につきましては、お説のとおりでございまして、したがいまして、将来のそういう運用状況等を見ました上で、上げるべきものは上げる、こういう態度ははっきりさしておく必要があろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  168. 岡本富夫

    岡本委員 中小企業に対するところの育成、助成の法律がたくさんありますけれども、結局、現実の姿は、ほとんど使えないような三機関、わけても信用保証協会が一番有効に働いておるようにも思われるわけですが、それが非常にしぼられたのじゃ、これはもうほんとうに何もしていないのと同じことであるということで、中小企業は相当税金を払っておるわけですが、今度は、補助なりそうした育成になりますと非常に少ないということを考えますと、若干事故が起きるかもわからぬけれども公害対策になりますれば、これはひとつ相当前向きな姿勢でやらなければならないということを強く申し入れをしておきます。  そこで、この貸し付けに関しまして、公害部長、公害防止機器のリースをあなたのほうはやっておるわけですけれども、これは融資期間が三年、したがって三年で回収するということですが、ユーザーのほうには五年ということになりますけれども、大体中小企業では、こういう公害防止機器を償却するについては、どうしても十年から十五年、たとえば一千万の機械をつけまして、年に百万しか利益がなかったら十年かからないとこれは返せないわけですよ。そうすると、そんな商売はやめてボーリングでもやろう、こういうことになってしまう。したがってほんとうに公害防止をやろうとすれば、この融資期間というものをやはり考えなければならぬのじゃないかというように私は思うのですが、いかがですか。
  169. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  中小企業公害防止設備をいたします際に、いろいろな制度がございます。まず、公害防止事業団から必要な資金の貸し付けを受けることもできますし、あるいは中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫等につきましても、設備資金の貸し付けについては中小企業者に特別な配慮を払っておるところでございます。公害防止機器のリースは、特に中小企業者を対象としてつくられておる制度ではないわけでございますけれども、機器リース自体は、一つの経費が損金で落ちるというようなメリットもありまして、中小企業者の間で利用する人が多いこともまた事実でございます。  先生御案内のように、防止機器のリース等については、現在リース会社の中小企業に対する融資期間というのは五年が最高のようで、大体三年ないし五年というような間できめられておりますが、現在の段階では、リースの制度自体としては、他制度との均衡から見てこの期間でほぼ十分でなかろうかというように考えられるわけでございますが、なお御指摘の趣もございますので、本制度の運用の実際を見まして、必要があれば検討を加えてまいりたいというように思っております。
  170. 岡本富夫

    岡本委員 これは現実の問題ですけれども公害防止機器というものをリースするということは非常にいいことです。特に中小企業はそうしてやらなければ、資金を融通していただいても、どんなものをつけていいかわからない。完全なそういう技術者がいないわけです。したがって、この公害防止機器のリースは中小企業だけではないということですが、中小企業に対しては公害防止の機器のリースが一番いいことでありますが、しかしそれに対して、住宅だったら十五年から二十年、こういうことになれば、なぜ大事な公害対策に対して、どうしてもやらなければならぬ国全体の施策としまして環境庁をつくろうという時代に、ちょっとこういう政策をやっています、使えないものをやっていますということでは、これは話にならないと思うのです。ですから、完全なものをやはりやらなければならぬ、やるならばやるで。こういうことで私は提案を申し上げたわけですが、まあ、あなたのほうももう一度考える、そして考慮してやるということですから、これ以上は言いません。  大臣、先ほどから実は、この公害防止保険融資、こういうことで長官にも意見を申し上げ、またいろいろ聞いたわけですが、公害防止に関するところの融資制度を見ますと、融資期間が十年以内、据え置き期間が、これは公害防止事業団ですけれども、一年以内。それから、たとえば国民金融公庫から借りますと十年以内であるとか、それから据え置き期間が二年以内とこうなるのです。この以内ということばは、これはどうでも金融機関判断ができるのです。たとえば、公害防止の機器をつけるにつきまして融資していただきましても、これはすぐに利益が出るものじゃないのです。ところが、いよいよ融資していただくときにおいては、金融機関と借りるほうの中小企業との力関係で、銀行のほうから、あるいは金融機関から、どうしても以内に返せ、こうなりましたら、据え置き期間というものが、以内ということでずいぶん差がある。そう言うと、いや、これは早く返したほうがいいのだから、返せる能力があるところは返したらいいというように考えられますけれども、返せる能力がなくても、金融をしてもらうときに、据え置き期間は二年以内だから一年から返せと、こう言われますと返さざるを得ないことになるのです。したがって、この以内ということをひとつここではずしたほうがいいのじゃないか。そうでないとかえって保証協会にも迷惑をかける、また金融を受けているところに対しても迷惑をかけるということになるのではないかと思うのですが、この点についてのお考えはいかがですか。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般に中小企業公害防止のための施設に関するところの貸し出しが、いままで考えております金融のベースに乗るか乗らないかということには、確かに私は、御指摘のように問題がいろいろあるのではないだろうかと思っております。思っておりますが、ただいまのところ、とにかく金融に乗っけてみようということでこういうことをいたしておるので、したがいまして、先ほどからてん補率の問題も御指摘がありましたし、期間につきましても、同様の御観点から御指摘であろうと思います。それは、おそらく私と同じように、公害防止施設に対する金融貸し出しというものが、いままで考えておった金融というものとかなり性格的に違うのじゃないかというお考えをお持ちだからではなかろうか。私自身も、そういうことを実は一方では考えておりますので、御質問意味はよくわかります。しかし、さしずめこういう制度で出発をしてみたい。それによって、これがうまくいくようでしたらたいへんけっこうなことでありますし、もっと条件を緩和しなければならぬということであれば、またそれも考えてみなければなりませんが、とにかくてん補率七割というのは従来の標準でございますから、こういうこともやり、また以内ということは、いま御指摘の御趣旨にもかんがみまして、できるだけ有利なほう、というのはいつばいということでございますけれども、そのように指導してまいりたいと思っております。これを、以内をとりまして何年と確定をいたしますことは、貸し出しの内容によりまして、必ずしもそれを固着しないほうがいいという場合があろうかと思いますので、法律案としては以内ということにお願いをいたしておきまして、指導は実際上は、なるべく借りるほうに有利な、そういう指導をいたしてまいってはいかがかと考えております。
  172. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、実際に私も中小企業をやったことがありますので、よくわかるのですけれども法律は以内になっていますから、これでないとあなたのところは貸しません、こうなりますと、やはり公害防止をやらなければ告発されるので、結局無理するのですね。無理をして、結局、金融が回らなくなって倒れてしまう、そして保証協会に迷惑をかける、こういうことにならざるを得ない。ですから私はいま提案をしたわけですけれども、いま大臣が特に、この以内ということについては指導する——逆の指導をして、早くしてしまうということでは全然話にならないのですが、そうじゃないと思いますが、時間もあれですから、いま大臣がお答えになったが、私どもは、現実はどうなるのかという推移を見守りたい、こう思っております。  それからもう一つ、この公害保険ができましても利用されにくいのは、定款倍率の問題で、結局基金が五億しかなければ二百五十億の保証能力しかないわけです。大体、いま見ておりますと、四十倍とか四十五倍とかいっておりますけれども公害防止がやかましくいわれておりますから、今後この公害保険が活用されてくるようになってくると、一般の保証に支障を来たすのではないか。そういうことを考えると、この基金を大きくするか、定款倍率を大きくするか。この二つしかないわけですが、まずこの基金をふやすというように指導し、あるいはまたその基金の増額について自治省はどのような助成をするのか、これに対してひとつお聞かせいただきたい。
  173. 長野士郎

    ○長野政府委員 信用保証協会の問題につきましては、これは地方団体の出指金を協会にどういうふうに出すかというようなことで、私ども常に中小企業庁ともよく御相談を申し上げまして、そして目的は、お話のございましたように、保証業務の充実をはかりますために行なうわけでございます。四十六年度におきましても、これらの出捐金についての財源措置の強化をはかることにいたしまして、中小企業庁との話し合いの上で、交付税措置といたしまして、府県、市町村合わせて三十二億円の措置をいたしております。これは結果におきまして、中小企業庁と十分お話を遂げた上でのことでございます。今後とも充実につとめてまいりたい、こういうことでございます。
  174. 岡本富夫

    岡本委員 長野財政局長、この三十二億円——三府四十三県と昔は言いましたけれども、一都二府四十三県あって、各県に保証協会があるわけです。いま兵庫県の場合を見ましても大体五億円、これに一億も入らぬようなことでは非常に少ないのではないか。それでは、この公害防止保険ができましても保証ができないということになりますれば、結局は使えないのじゃないか、こういうことを非常に心配するわけですが、それ以外に何かほかの指導あるいはまた助成措置、こういうものがあるのかどうか。
  175. 長野士郎

    ○長野政府委員 四十六年度の最高保証債務残高は一兆六千三百三十二億円ということになっておりまして、そういうことと基本財産に見合いまして、そして貸し出しのワクというものを中小企業庁とも御相談といいますか、むしろ中小企業庁の御方針に私ども従いまして、そうして措置をいらしておるわけでございます。したがいまして、その点では一応保証はできるものと考えております。
  176. 岡本富夫

    岡本委員 長官、何か中小企業庁の意向に従ってやるそうですが、いまのわずかな各自治体に一億も出ないようなことでは、保証協会の基金というものはできないと思うのです。この基金を集めるのに保証協会理事長がどんなに苦労していますか。この基金がふえないと、大蔵省で定款倍率を押えておるわけですからね。何かほかの原資をふやしても保証ができない。したがって架空の法律をつくるということになる。だから、その点を中小企業庁としては、どういうふうに自治省に対して要求もし、自治体に対して指導するか、これについてひとつ聞かしていただきたい。
  177. 吉光久

    吉光政府委員 地方公共団体保証協会に出損をしておるわけでございますけれども、この出損を促進いたしますために、毎年度私どもは自治省のほうと、いろいろ交付税の算定基準等につきまして御相談を申し上げておるところでございまして、従来とも自治省とよく連絡をとりながら、現実の実情に合うような額をきめてもらっておるわけでございます。したがいまして、これもさらに将来とも積極的に推進をしてまいりたいと思っております。  それから現在の定款倍率でございます。これはお話のように保証の規模が定款倍率できまっております。そういうふうな関係があるわけでございますが、現実の姿から見ました場合の定款の倍率、五十倍に近いところというのは大阪府が一つだけございます。その他につきましては、まだ余裕を残しておるような状況でございます。しかしながらこれは、ほんとうに保証の実需に応じて実際に切りかえていく必要があるわけでございますので、保証実需のあるところにおきまして、定款倍率があるからこれが妨げになるというふうなところにつきましては、申請を待ちましてその実需に合うように措置してまいりたいと考えております。
  178. 岡本富夫

    岡本委員 それは強く要望しておきます。  次に自治省の首藤参事官に。ほんとうに国あげて公害防止をしなければならぬという時代に入ってきましたので、不動産取得税、あるいは公害防止機器の固定資産税の非課税、こういうものの措置について、騒音、振動、悪臭、こういうものの公害防止施設についてはまだ適用されていないのですが、これについての将来の考え方、これをひとつお聞かせ願いたい。
  179. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答え申し上げます。  公害防止施設に関します地方税の減免関係でございますが、これは御承知のように、一次的には当該企業が持つものではございますけれども公害の実情にかんがみまして地方団体も大いに援助すべきもの、こういう考え方で従来からも努力をしてきたところでございます。  やり方は二つございまして、非課税にいたしておりましたものと、それから課税標準の特例ということで税額を減税いたしておりますものと、二つ主として固定資産税であるわけでございまして、非課税になっておりますのは、法令上、たとえば義務設置でなければならぬ施設であるとか、当該企業の利益に直接に関係のない施設、そして非課税にすることによってその普及の促進ができると思われるもの、こういったものを非課税にいたしておりまして、その他の施設で特に必要があると認められるものは、課税標準の特例、従前は大体二分の一にまけておったわけでございます。それを今回四十六年はさらに強化をいたしまして、非課税関係の規定に、ばい煙防止施設、水質汚濁の防止施設、そういったものを加えてまいっております。それから課税標準の特例につきましても、この範囲を拡大をしてまいっているところでございます。  それから御指摘の不動産取得税でございますが、この不動産取得税は、御案内のように、償却資産にはもともと課税が適用されないものでございますので、わりに該当が少のうございます。しかしながら、現在、不動産取得税におきましても、公害防止事業団等がその設置、譲渡をいたしましたばい煙処理施設、こういうものについては不動産取得税を非課税としている、こういうことでございます。
  180. 岡本富夫

    岡本委員 時間もあれですから、これはひとつ大臣に要求をして、また交渉をしていただきたいのですけれども、この公害防止については、たとえば不動産ですが、私、実態を見ますと、たとえばメッキ工場、これはもういま場所がないわけです。そうすると、どうしてもそれだけの場所を買わないと公害防止施設ができない。それから公害防止施設というものは、これは利益を生むものでありません。したがって、強力な非課税の処置をしませんと、結局中小企業が行き詰まってこの保証協会に御迷惑をかける。あるいはまたそれ自体が倒れてしまうということでありますから、ほんとうに公害防止に取り組むということになれば、これはいまのところ、さしあたってそうしなければならぬじゃないか、こういうように私は考えるのですが、大臣のお考えをひとつ。
  181. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 自治省のほうもいろいろ御理解を持っておられるようでありますので、なお協議をして、御指摘のような目的に沿うようにやってまいりたい、努力をいたしたいと存じます。
  182. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、この歩積み両建てがやはりまだ行なわれている。たとえば商工中金の姫路支店なんかでは、私は実態を握っておるわけですが、今後特にこういうところに対しては調査をして、そうして中小企業を守っていく。それでなければ、結局いろいろなところにしわ寄せが来るということもひとつ意見を申し上げて御意見を承りたい。
  183. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、先ほど中村委員から詳しく御指摘があり、私並びに大蔵省政府委員からも詳しく申し上げましたとおりでありまして、遺憾ながらそういう実態がなお存在していると考えられます。そこで大蔵省においても、いわゆる抜き打ち検査等々の方法によりましてその現状を把握するとともに、改善方に鋭意努力をいたしておられますので、私どもも、中小企業庁あるいは公正取引委員会等々と御一緒に、そういう実態をできるだけ早く解消いたしたい、こういう努力を続けてまいりたいと思います。先刻実は詳しくその辺申し上げましたので、速記録等により御参照願いたいと存じます。
  184. 岡本富夫

    岡本委員 これはさいぜんのを参照せいと言われても、私あまり参照にならないので、特にもう一度強力に調べてやっていただきたい。あとでまた次の委員会のときに聞かしていただきます。  そこで次に、せっかく大蔵省からおいでになっているのに、いままで待ってもらってきょう帰っていただくわけにいきませんので、そこで簡単に申しますと、個人事業の事業主控除が今度四万円引き上げて三十六万円になった。しかしこれを見ますと、民間の給与に準じた、公務員の独身初任者の年収、まあ本俸と賞与だけを比較をしても、中卒で四十七万円、高卒で五十六万円、大学卒で六十二万円、こういうような年収であるのに、個人企業でやっておるところの事業主の控除は三十六万という。これはどうも私、納得がいかない。したがって、この本法を適用していろいろと中小企業に対して施策を講じましても、こうした矛盾があればまずいのではないか、こう思うので、ひとつこの点をただしておきたいと思うのです。
  185. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 ただいま先生のお話しのは、おそらく地方税の事業主控除のことではないかと思います。ただ事業主報酬のお話でございましたので、むしろ私、大蔵省といたしましては、ことし提案をいたしております事業主特別経費準備金について申し上げたほうがいいかと考えております。  これは準備金を、所得の五%、十万円を限度として、老後の保障のために準備をさすという制度でございます。むしろ、事業主報酬につきましては地方税でございますので、自治省のほうから御説明さしていただきたいと思います。
  186. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答え申し上げます。  御指摘の点は個人事業税におきます事業主控除のことかと思うわけでございます。本年の改正によりまして、御案内のように、事業主控除は、四万円引き上げまして三十六万円ということにいたしたわけでございます。この三十六万円は、現在、青申におきます専従者控除の実績等を勘案をいたしまして定めたものでございまして、御案内のように、事業税そのものが、法人税とか所得税と違いまして、所得課税の形態ではございません。地方団体における受益の度合いに応じた物税という性格を持っております関係上、できるだけ低所得者の税負担を軽減をいたす方針でおるわけでございますが、その方法として事業主控除を採用しておるわけでございます。
  187. 岡本富夫

    岡本委員 事業主の控除について、これは考え方が個人事業者の勤労所得高じ——ほんとうはこれは撤廃してもらいたいくらいなんです。したがって、いまあなたのお話を聞くと、私ども考え方とずいぶん相違がある。ひとつこの点はもう一度再考してもらいたい。−あまり外野席やかましいからあれしますけれども……。  次に大蔵省に。事業主が所得税を申告する、すなわち青色申告者ですね。これに対する控除が、給与所得者との間に非常に問題があるのではないか。青色申告者の事業主の控除と給料の所得と、どういうように差別があるのか。事業主のほうは、なるほどいろいろと必要経費を引いておりますけれども、個人的な必要経費、こういうものが引かれてない。したがって、事業主控除について再考する考えがあるか。これはよくわかっておると思いますから、ひとつこの点についてお聞かせ願いたい。
  188. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 事業主報酬を認めよという御趣旨かと思います。ただ個人事業者につきましては、必要経費といたしまして、事業の収入を得るに必要な経費は、これを経費として控除することにいたしております。給与所得の控除につきましては、給与所得者が給与を得るに必要な経費を概算的に控除しておるという制度でございまして、両方それぞれの目的に従ってその制度をつくっておるわけでございます。事業主報酬につきまして、さらに給与所得控除を認めるということにつきましては、これは現在の所得税制の基本に触れる問題でございますので、今日のところこれを認める考えはございません。
  189. 岡本富夫

    岡本委員 それはけしからぬことですよ。給与所得者は必要経費として引いているのを——まあ、こまかく言うとあれですが、たとえば、友だちのつき合いだとか、あるいはまた冠婚葬祭のいろんな費用、こういうものが控除の中に入っておる。ところが事業主にはそれが入ってない。事業主のほうは、それ以外の、税金を払った中からそれをやらなければならぬ。したがってこれは再考する必要がある。——またやかましいですから、これは次の機会にがっちりとこの問題については論議をしたいと思います。  最後に大臣に。本法を施行されましても、いま実際において、保証協会に申し込み、あるいはまたそうしたものを利用しようとしましても、非常に制約をされる。あるいはまた手続が非常に繁雑であります。したがって十分活用ができるように取り扱うことについて大臣の御決意をお聞かせ願って終わりたいと思います。
  190. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この制度は、中小企業者に対していろいろ経済的な金融上の援助を与えるという効果はもちろんといたしまして、もう少し深く社会の安定ということに非常に貢献し得る、じみでありますけれども、生きて使える制度だというふうに考えております。それにしてはじみでありますので、世の中からあまり注目を浴びておりませんけれども制度としては非常に大切な制度であります。これを円滑に動かしますためには、やはり何といっても公庫が遅滞なく保険金を払うということが大切なことなんでありますけれども、過去に保険財政上危機を招いたりしたことがあったりいたしまして、なかなかその運営が必ずしも円滑でない例があるのではないか。私どもがわからない隠れたところに、いろいろあるのではないかというふうに、実は観察をいたしておりますので、そういうことをよほどよく私ども気をつけながら、ほんとうに生かして使いますならば、たいへんに役に立つ制度である、こういうふうに考えておりますから、そういう心がまえで運営をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。この点も午前中中村委員にやや詳しく申し上げたわけでございますけれども、そのような心がまえで運営してまいりたいと思います。
  191. 八田貞義

    八田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  192. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  193. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  194. 八田貞義

    八田委員長 次に、本法律案に対し浦野幸男君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。中村重光君。
  195. 中村重光

    中村(重)委員 簡単ですから読ましていただきます。  ただいま議題になりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。   一、公害防止保険てん補率を百分の八十に引上げ、特別小口保険の付保限度額を百万円に引上げるよう検討すること。  二、中小企業信用保険公庫の融資基金及び保険準備基金の拡充に努め、また保険金支払事務の迅速化を図るとともに、日本共同証券財団の信用保証協会に対する融資については、その安定性を確保するよう十分配慮すること。  三、信用保証協会保証付き貸付金利について、その引下げを確実に実施するよう厳重に指導すること。  四、信用保証協会について、保証料率の引下げ及び保証料徴収方法の改善を指導するとともに、事務能率の向上を図ること。 以上であります。  附帯決議案の各項目につきましては、質疑の過程におきましてすでに御了承のことと存じますので、説明を省略させていただきます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 八田貞義

    八田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  197. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣
  198. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして善処いたします。
  199. 八田貞義

    八田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  201. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明後十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会