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1971-03-03 第65回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月三日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 山本 幸雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君       伊藤宗一郎君    木部 佳昭君       浜田 幸一君    林  義郎君       森田重次郎君    阿部未喜男君       土井たか子君    古寺  宏君       西田 八郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議官      城戸 謙次君         経済企画庁審議         官       西川  喬君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       大塚 俊二君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         農林大臣官房技         術審議官    加賀山國雄君         農林水産技術会         議事務局長   立川  基君         通商産業省公害         保安局長    莊   清君         通商産業省公害         保安局公害部長 森口 八郎君         通商産業省化学         工業局長    山下 英明君         労働省労政局長 石黒 拓爾君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      遠藤 寛二君         文部省体育局学         校保険課長   橋本  眞君         厚生省薬務局参         事官      豊田 勤治君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         農林水産技術会         議事務局研究参         事官      川井 一之君         農林省家畜衛生         試験場長    藤田 潯吉君         水産庁漁政部長 田中 慶二君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         労働省労働基準         局安全衛生部長 北川 俊夫君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君     ――――――――――――― 二月十九日  環境保全基本法案細谷治嘉君外七名提出、衆  法第二号) 同月十七日  公害防止対策に関する請願田中武夫紹介)  (第六九五号)  公害対策基本法改正に関する請願加藤清二君  紹介)(第七八五号) 三月二日  姫路第一機関区のばい煙による公害解消に関す  る請願新井彬之君紹介)(第一四九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十日  自然保護基本法早期制定に関する陳情書  (第三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(大気汚染及び水質汚  濁対策等)      ――――◇―――――
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 きょう私がこれからお尋ねいたします質問は、世にいわゆる公害企業といわれる企業の中に働く人たちの人権にかかわる問題でございますから、公害行政考えた場合、非常に大事な問題をここに提起していると思われますので、関係当局皆さま方にあらかじめお願い申し上げたいことは、ひとつしっかりと御答弁をいただきたいということでございます。  まず初めに、私、大まかなところからお尋ねしたいと思いますが、厚生省通産省労働省、各省のきょうここにおいでをいただきました担当の方々からひとつお答えをいただきたいと思います。  公害問題を取り上げまして労働組合が活動いたします。さらに従業員公害問題を取り上げます。その際、企業側からそれを理由差別待遇をする、それを理由不利益処分をするという場合、これは不当労働行為を構成することになりはしないかどうか、このことについてあらましのお考えをいまここでまず承りたいと思います。
  4. 石黒拓爾

    石黒政府委員 ただいまの一般的な御質問でございますが、公害反対運動というものを労働組合がいたします場合、もちろんその方法態様等につきましては正当な範囲内でなければならぬわけでございますが、そういう労働組合としての正当な範囲内で公害活動をやったという場合に、不利益取り扱いをいたします場合には、これは労働組合法第七条の不当労働行為に相なります。
  5. 山下英明

    山下政府委員 私どもも、ただいま労働省からお答えになりました線で指導行政をしております。
  6. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 先ほど労働省政府委員の御答弁と同趣旨でございます。
  7. 土井たか子

    土井委員 それではひとつそういう前提に立って、具体的に、ただいまから問題について質問を開始したいと思います。  通産省の方にまずお尋ねを申し上げます。  山口県の新南陽市に設立されました東洋エチルという企業設立認可経過、さらにその際における問題点が那辺にあったかということ、後に工場閉鎖を自主的にやっておりますが、それに至る経過についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  8. 山下英明

    山下政府委員 お答えいたします。  お尋ね東洋エチル株式会社は、昭和四十二年三月以来会社として設立されて、いわゆる自動車のアンチノック剤生産するということで、それ以来技術導入許可、あるいは外資導入許可、あるいは工場立地調査に関する届け出劇物毒物取り扱いに関する許可等々手続を進めて、四十五年、昨年の暮れには操業を開始する予定でございました。ところが御承知のように、昨年五月、自動車排気ガスの中から鉛を取り除こうということで、産業構造審議会の答申に基づきまして、通産省ガソリン無鉛化計画を発表したわけでございます。この無鉛化計画によりますと、できるだけ早い機会にガソリンの中の鉛を少なくいたしまして、四十九年の一月には無鉛ガソリンを実現したい、こういうことでございますので、当然ガソリンに入れますアンチノック剤の需要は減ることになったわけでございます。そういう事態に対応しまして東洋エチル操業を開始するか、あるいは生産をやめるか、注目されておったところでございますし、通産省としても無鉛化計画実施は、断固完遂したいという方針を持っておりましたところが、ことし一月に入りまして会社側操業停止と決定したわけでございます。
  9. 土井たか子

    土井委員 企業設立するということから工場操業を開始するという段階に至るまで、一連の、通産省側としては認可が必要な問題はすべて済んでいたわけでございますか。
  10. 山下英明

    山下政府委員 認可は進んでおったわけでございまして、概略を申し上げますと、この東洋エチル合弁会社でございますので、アメリカエチルコーポレーション株式取得のために認可申請を四十年五月二十一日に出しまして、政府は四十一年の八月六日にこれを認可いたしました。また技術援助契約について認可が必要でございましたところが、四十年の五月二十一日に認可申請がございまして、四十一年の八月六日にこれを認可いたしました。また工場立地調査法関係でも届け出が必要でございましたところが、四十四年の六月十六日に届け出がございまして、それを同日付で受理いたした次第でございます。
  11. 土井たか子

    土井委員 いまおっしゃったのは、すべてそれは企業について設立のために必要な認可の一切だと存じますが、工場操業を開始するのについてはさらに新たな認可が必要ということにはなっておりませんか。
  12. 山下英明

    山下政府委員 このほかに高圧ガス取締法関係あるいは大気汚染防止法関係がございますが、とりわけ毒物劇物取り締まりに関する許可が必要でございまして、生産を開始する前にはその製造業としての認可が要る手はずでございます。これは申請はいたしましたがまだ許可にはなっておりませんので、製造開始前にはその許可を必要としておったわけであります。
  13. 土井たか子

    土井委員 毒劇法関係取り締まりについては、別にこれは労働省側認可の問題があると思いますので、ひとつ労働省労基局担当者の方から、その問題について御存じの限り御説明をいただきたいと思います。
  14. 北川俊夫

    北川説明員 四アルキル鉛につきましては、過去に大量に中毒で、たとえばタンク清掃で死亡された事例等ございますので、昭和二十六年に四アルキル鉛についての予防規則をすでに制定しておりますが、その後の実態に伴いまして、最近では四十三年に製造——それまでは製造されておりませんけれども製造関係につきましても規定を広げて改正をいたしております。  いま御指摘東洋エチルに関しましては、労働省関係には、昭和四十四年の八月に所轄の徳山労働基準監督署基準法五十四条に基づく事業所設置届けが出されております。これにつきまして監督署で、労働者中毒予防措置が十分であるかどうかいろいろ検討いたしましたところ、この設計書段階では適当であるということで、そのまま受理をいたしました。  しかし、その後いろいろ調査をいたしましたところ、先ほど申し上げました四エチル鉛予防規則では、密閉式にして、労働者がそれに汚染をされる、あるいはそれの蒸気を吸い込むようなおそれのないことを原則としておりますけれども装置関係でどうしても密閉にできない場合には、それ相応の予防措置、たとえば換気をするとか、あるいは保護具をつけさせる、そういうことを必要として、それを前提監督署長が、例外措置として認定措置で認めることにいたしております。その関係のことが判明をいたしましたので、除外認定というか、そういうものを出すように指導いたしました。  その結果、東洋エチルからは四十五年の十月二十六日にその申請書が出されまして、監督署は四十五年十二月二日に当該申請にかかりますところの施設の調査実施をいたしました。ところが、その申請の中身と実態が違いまして、違いました点は、申請によりますと、東洋エチル従業員そのものがその工程に当たるようになっておりますけれども実態を調べましたところ、下請山九運輸機工というところの従業員がこれに当たることになっております。したがいまして、申請書山九運輸から提出させるという指導をさらにいたしまして、その申請が四十五年十二月の二十二日に再度提出されたわけでありますが、その後調査を計画いたしておりましたところ、四十六年になりまして、工場閉鎖の発表がありまして、同年の二月の四日に、先ほど山九運輸からの申請は取り下げるという申し出がありました。  以上が基準局関係の経緯でございます。
  15. 土井たか子

    土井委員 いまの御説明で、もう少しはっきりしない点がありますから、再度お尋ねいたしますが、非密閉式構造になっている部分は、生産工程全体からどの部分に当たるわけでございますか。
  16. 北川俊夫

    北川説明員 密閉式になっておるのは製造工程のほとんどでございまして、非密閉は、いわゆる製造されました四エチル鉛ドラムかんに詰める、その工程密閉できないということで、その件に関しまして特に監督署長から除外認定ということが出たわけでございます。
  17. 土井たか子

    土井委員 先ほど来御説明をいただいた限りでは、非密閉式構造部分というのは、それだけ危険性が高いと一応考えてよいわけですね。いかがでございますか。
  18. 北川俊夫

    北川説明員 おっしゃるとおりでございます。
  19. 土井たか子

    土井委員 それでは、ここで再度通産省に対してお尋ねをいたします。  いま、労働省のほうからの御説明のとおりに、生産工程から考えまして、これは最終的かつ最も危険度の高い作業の部門に、下請労働者を用意していたということでございます。そうございますね。こういうふうな事実は、企業者としての責任回避ということになりはしないかどうか、御所見のほど伺いたいわけでございます。
  20. 山下英明

    山下政府委員 一般論で恐縮でございますが、特に化学関係では、危険かつ公害の発生しやすい部面に、往々にして下請関係従業員を利用している場合がございますので、私どもは、輸送も含めまして、そういうときの安全及び公害関係契約をはっきりするように指導してまいっておる次第でございます。ただ東洋エチルの、ただいま御質問の点につきましては、十分の実態報告を受けておりませんでしたので、生産開始前には特別の指導等をしてはおりませんでした。
  21. 土井たか子

    土井委員 どうもその辺がよくわからない。はっきりしないわけでございますが、こういう最も危険性の多い、危険度の高い部面に、下請会社下請企業者が働くというような実態が、こういう例にとどまらずあるということを予想しなければならないと思うわけですが、そういう場合における通産省指導としては、具体的に言うとどういう指導を心がけていられるか、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  22. 山下英明

    山下政府委員 若干重なりますが、現在通産省のこの種の工場に対します生産指導は、個々の法律に基づくものを除きまして、一般的な指導監督にとどまっておりますので、全体の工場から報告を受けるわけにまいりませんが、先ほど申し上げましたような輸送とか、下請公害発生、安全が脅かされるような事態が多々起こりますので、一般的な指導勧告をしておる状態でございます。
  23. 土井たか子

    土井委員 どうもその辺はもう一つ不確かだと思うのですが、ここで四エチル鉛危険性についてひとつ確かめておきたいと思います。  そこで、四エチル鉛危険性、特に人体に及ぼす影響について、具体的にはどういうふうな実害があるか、危険性があるかという点についての御説明を、ひとつこれは厚生省のほうからお伺いしたいと思います。  さらには、いままでにどういう事故があったかという、事故実態についてもひとつお聞かせいただければけっこうだと思います。
  24. 豊田勤治

    豊田説明員 四エチル鉛毒性につきましては、やはり有機鉛としての毒性がございまして、実際に中毒症状といたしまして、頭痛、吐きけ、目まい、腹痛、下痢、疲労感、それからどうき、言語障害、それから視力障害などがあげられるのでございますけれども中毒症状といたしまして、軽症の場合は数日で回復するのでございますが、重症の場合はやはり目が見えなくなったり、あるいはまた不快感、それから幻聴、錯乱、そういうような症状が起こるわけでございます。  現在では、厚生省といたしまして、実際に四エチル鉛によります毒性患者というものの把握につきましては、いたしておりません。  以上でございます。
  25. 土井たか子

    土井委員 いままでの事故については、掌握なさっている限りではどういうような事故がございますか。
  26. 豊田勤治

    豊田説明員 われわれのほうで実際につかんでおります事故というのはございませんで、労働統計によるものでございます。
  27. 土井たか子

    土井委員 御存じの方でけっこうですから、はっきりおっしゃってください。
  28. 北川俊夫

    北川説明員 労働省でいままで大きな四エチル鉛中毒事件としては、二件つかんでおります。  一件は、昭和三十三年七月に神奈川の米軍基地加鉛ガソリンを入れましたタンクの内部の清掃をいたしました労働者が、中毒にかかった例でございますが、これはその業務に従事しました後、一カ月ほどの間に異常症状を呈しまして、八名の方が入院をいたしました。その場合に、使用者一名を含めまして、その八名の方は興奮、不安、あるいは幼覚症状、最後には狂暴状態になってあばれられるというような状況を呈しまして、おなくなりになっています。  なお、それに付随しまして、二十一名の方の軽症事例が出ております。これは調査をいたしましたところ、当時まだ米軍のいろいろの指導のもとでそういう作業が行なわれておったわけでございますが、保護具着用につきまして、しみ込まない、不浸透性保護具を使わなかったという点が原因であるというふうにわれわれは調査の結果分析をいたしました。  第二の例としましては、昭和四十二年の十月にぼすとん丸という航海中の船が、四エチル鉛を入れましたドラムかんを運んでおりましたけれども、しけの際に、そのドラムかんの荷くずれが起こりまして、ドラムかんから四エチル鉛が船倉及び燃料タンクに流入をいたしました。船はそのまま大阪港に入りましたけれども大阪港に入りましてから清掃業者労働者八名がその清掃に当たりました。ところが、作業後二日から十五日の間に、先ほど申しましたと同じような症状を呈しましておなくなりになっておる、こういう事例でございます。この際も死亡者以外に七名の軽症患者が出ておる。この際は全く保護具をつけなかったというように、われわれは調査の結果、把握いたしております。  以上でございます。
  29. 土井たか子

    土井委員 非常に悲惨な状況で、場合によったら死亡する場合もあり得るということが予想されるくらいの猛毒を持っているのがこの四エチル鉛だという事実を御説明賜わったわけでございますね。そうしますと、先ほどから問題になっておりますこの非密閉式構造による作業でございます。これは、御説明の中に出てまいりました保護具をつけましても、なおかつかなりの危険性があると考えなければならないと一応判断できますが、その点はいかがでございますか。
  30. 北川俊夫

    北川説明員 四エチル鉛予防規則では、いままでの災害事例その他によりまして、先ほど申しましたように、昭和二十六年に制定をいたしまして以来二回ほど改正をいたしておりますが、非密閉式の場合には保護具着用のほかに、四エチル鉛蒸気、あるいはそれが労働者汚染するおそれがないように、たとえば換気をよくする、あるいはその清掃方法についてしさいに規定をする、さらにその後にからだの洗浄を義務づける、あるいは当該労働者につきまして特殊の検診を行なうということで、いろいろの手を打ちまして、必ずこれだけの措置をやっていただければ非密閉式の場合でも災害が防ぎ得る、こういう措置規定しております。したがいまして、規則どおりにやっていただきますれば災害は起き得ないもの、そういうふうにわれわれは確信いたしております。
  31. 土井たか子

    土井委員 東洋エチルの場合、そのいまの問題になっております非常に危険度の高い作業に従事するために予定されていた下請企業は、どこでございますか。
  32. 北川俊夫

    北川説明員 山九運輸機工というふうにわれわれは報告を受けております。
  33. 土井たか子

    土井委員 そういう事実をお調べになって、あと具体的にどういう指導なり、どういうそれに対しての申請を要求なさったということでございますか。
  34. 北川俊夫

    北川説明員 先ほど申し上げましたように、最初会社から出てまいりましたときは、本工みずからが非密閉式作業を行なうような申請でございました。実態調査をいたしましたところ、そうでなかった。結局、下請会社から申請を出し直させた、こういうことでございます。その後実態について、ではどういう保護具をつけ、あるいはどういう装置のもとでやるかという実態調査を行なおうとしておりましたところ、工場閉鎖になりましたので、下請労働者がどういう作業をやるかという実態調査にまでは至っておりません。
  35. 土井たか子

    土井委員 それじゃその点を再度、もうちょっと確かめたいと思うのですけれども、これは作業あり方自身が、申請書に従って考えた場合に事実が違反していたということと、もう一つは、そこに働く人たちの顔ぶれが、申請書によると、東洋エチル従業員であるということになっているのに、そうではなかったということと、これは事実について調べてみた場合、申請書内容と二重の食い違いがあったということなんでございますね。つまり、逆にいいますと、うそをつく申請書であったということになっているわけなんですね。そのことに対して、なおかつ当時どういう指導を具体的におやりになったかということをまずお尋ねします。
  36. 北川俊夫

    北川説明員 繰り返し申し上げますけれども調査の結果は事実と違いますので、事実どおり申請を出すように指導をいたしました。
  37. 土井たか子

    土井委員 その際は、企業者としての責任ということをどういうふうにお考えになりましたか。
  38. 北川俊夫

    北川説明員 事実と違った、言うなれば間違った申請行政官庁にいたしましたので、その点につきましては今後こういう誤りのないように、ということを強い指示をいたしました。
  39. 土井たか子

    土井委員 こういう申請の具体的な内容については、あらかじめ企業者としては、どういうことをどういうぐあいに申請しなければならないかということを知っておかなければならないというのは義務だと思いますけれども、いかがでございますか。
  40. 北川俊夫

    北川説明員 先ほどから御指摘のございますように、非常に危険な作業でございます。それにつきましては、例外中の例外として非密閉式を認める、こういうことでございますので、そういう申請について、間違いといいますか、虚偽の申請が出るということは非常に遺憾だ、こういうふうに考えます。
  41. 土井たか子

    土井委員 法律の上から考えると、義務怠慢ということになると思います。道徳上から考えると、まことに不道徳きわまりないということを、この際はっきり言うことができると私自身考えているわけでございますが、この点についてはいかがお考えでいらっしゃいますか。もう一回お尋ねします。
  42. 北川俊夫

    北川説明員 たいへん遺憾な事例だと私考えます。
  43. 土井たか子

    土井委員 その遺憾ということばは、どこへ行きましても、非常に都合のよいことばでございまして、答弁のときにいつでも、遺憾でございますとか、慎重に考慮いたしますとかいうことが続出するわけでございます。ひとつ、そこのところはっきりと、それは忌憚ない意見としてここへ出していただきたいと思います。遺憾だと思いますというのは、具体的に考えた場合にどういうことなんですか。
  44. 北川俊夫

    北川説明員 法律に反した行為、こういうふうに考えます。
  45. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、この企業には違法行為がすでに認められたということになりますですね。  さて、それでは次にまいりましょう。  この東洋エチル工場はすでに自主閉鎖をいたしておりますが、東洋エチルという企業自身は、いまどのようになっているわけでございましょうか。通産省のほうからお答えいただきたいと思います。
  46. 山下英明

    山下政府委員 会社はまだそのまま残っておると思います。
  47. 土井たか子

    土井委員 会社が残っているということになると、何らかの経営方針がこの会社にはあるということを前提会社は残っていなければならないはずでございますが、そのことについてひとつお答えいただきたいと思います。会社経営は、現在どのようになっておりますか。
  48. 山下英明

    山下政府委員 アメリカの資本が四〇%以上入った外資会社でございまして、生産は停止した後も、エチルコーポレーションというアメリカ会社と結びました技術提携特許実施契約に基づきまして、今後日本で使います四エチル鉛輸入販売等に関与した事業を続けていくものと聞いております。
  49. 土井たか子

    土井委員 また、その点についても少しお尋ねを進めたいと思いますけれども、時間のかげんがございますから、質問を少し先に展開したいと思うのです。  この東洋エチル工場閉鎖に伴う労使関係は、現在どのようになっておりますか。この点についてお答えいただきたいと思います。
  50. 石黒拓爾

    石黒政府委員 東洋エチル工場閉鎖に伴いまして、一月二十日付で従業員全員任意退職もしくは解雇、双方の形がございますが、すべて辞職をいたすことに相なったわけでございます。  その後会社は、親会社及び関連会社就職あっせんを行なうということで採用試験をいたしまして、その採用試験の結果、受験者百三名中八十七名が合格、十六名が不合格に相なりました。不合格者につきましては、さらに東洋エチルが再就職あっせんをいたしまして、会社に対して就職あっせんを希望している者九名中、五名については再就職が決定しているという報告を受けております。  なお、会社就職あっせんを依頼していない者のうちから、東洋曹達を相手方とする不当労働行為の申し立てが山口の地労委に対してなされております。
  51. 土井たか子

    土井委員 まだ私が、そこまでお尋ねしてないところまで御答弁をいただいたわけなんでございますけれども、いまの御答弁前提にございますところは、おそらくこうではないかと私思いますので、ひとつお尋ねをしてまた御答弁をいただきます。  工場閉鎖に伴って職場がなくなる場合、しかしながら、企業そのものはなおかつ存続をしているという場合、まさしく東洋エチルの場合がそういう場合だということになると思いますが、雇用上の責任というのは企業の側にあるということを前提としていまの御答弁がなされた、そういうふうに理解してようございますか。
  52. 石黒拓爾

    石黒政府委員 雇用側の雇用上の責任ということばの意味を、私ちょっとはっきりわかりかねるのでございますけれども工場閉鎖がされました場合には、そこの従業員というものは、配置転換をするかあるいは解雇をするかということは、労使の話し合いできめるべき事項になると思います。
  53. 土井たか子

    土井委員 端的に言いますと、従前のそこに働いていた人たちについては、すべてその生活を保障するということにおいて企業者責任をとるべきだ、企業側責任を持つべきだということになると私は思うのでありますが、こういうことについてはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
  54. 石黒拓爾

    石黒政府委員 工場閉鎖等によりまして離職のやむなきに至りました場合にも、そこの従業員であった者の生活等につきましては、会社としては当然できるだけの配慮をなすべきものであると考えます。
  55. 土井たか子

    土井委員 私もそのとおりだと思います。  そこで、具体的には就職あっせん等々が考えられるということが事例としては必ず出てくるわけでございますが、この就職あっせんが行なわれる場合に、組合の役員や活動家であったということを理由に差別取り扱いをするという場合、これ自身不当労働行為になりはしないか、こういう問題についてはいかがお考えでいらっしゃいますか。
  56. 石黒拓爾

    石黒政府委員 就職あっせんという行為は、労使のほかに就職先という第三者が介在する行為でございます。事実認定その他については、非常に問題がむずかしい点があると思います。理論上から申しますならば、就職あっせんという会社行為につきましても、労働組合の正当な行為をしたことのゆえをもって不利益な差別待遇をいたしますれば、不当労働行為に相なると思います。
  57. 土井たか子

    土井委員 私もそのとおりだと思うのです。  そこで、先ほどの御答弁の中に出てまいりました、試験を受験した結果、試験の結果によって再就職あっせんされる組と、試験の結果再就職あっせんから漏れている組と分かれております。この再就職についてのあっせんのあり方が試験の結果によって左右されているということでございますが、試験の内容が、組合の役員であったとか、活動家であったということによって差別取り扱いがこの際なされているのではないかという事実が確認された場合、これはやはり不当労働行為というふうに認識してよい例ということになりはしませんか。いかがでございますか。
  58. 石黒拓爾

    石黒政府委員 先ほど申し上げましたように、就職あっせんをする場合に、あっせんをしたけれども受け入れ先に断わられたということになりました場合に、一体だれに責任があるかというのは、非常にむずかしい問題があるわけでございます。したがいまして、あっせんの過程におきましての差別待遇不当労働行為になるわけでございますが、その結果就職が現実にできたかどうかということにつきまして、就職できなかったことについて、あっせん上の差別待遇があったかどうかという事実認定は非常にむずかしいと存じます。そういう意味でむずかしい問題があると先ほど申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、就職あっせんという行為そのものについての差別待遇は、不当労働行為になると思います。
  59. 土井たか子

    土井委員 そこで、少し論点を変えてお尋ねいたしますが、むしろ通産省の方にお答えをいただいたほうが適切かと存じます。  この東洋エチルという会社は、設立された当初から合弁会社として存在することになっておりますけれども東洋エチル自身合弁会社であるという背後関係、株式がどういうことになっているか、あるいはその資本金がどういうことになっているか、そのあたりの点をひとつ御説明賜わりたいと思います。
  60. 山下英明

    山下政府委員 株主は、先ほど申し上げましたエチルコーポレーションが四七・五%でございます。東洋曹達株式会社が二三・七五%でございます。三井物産株式会社が二三・七五%でございます。株式会社野村事務所、浅野ケミカルズ株式会社、それぞれ二・五%ずつでございます。
  61. 土井たか子

    土井委員 そうしますと、エチルコーポレーションというのはアメリカ会社でございますから、日本の国内に目を移しますと、東洋曹達と三井物産が資本金の点からいいまして大きいといわなければならないわけでございますね。特に三井物産という会社は商社でございますね。そうしますと、いわゆる生産工程から考えてまいりまして、東洋曹達東洋エチルという会社の相互関係というのはどういうことになりますか。
  62. 山下英明

    山下政府委員 大株主のひとりでありまして、南陽町の敷地もごく隣合わせでございますし、東洋エチルの社長は、同時に東洋曹達の会長を兼ねておりまして、化学会社として多年四エチル鉛の技術開発に生産技術上研さんしてきた会社でありますから、生産した後も実質的な技術指導アメリカエチルコーポレーションとともにやる立場にあった会社でございますので、きわめて密接だと存じます。
  63. 土井たか子

    土井委員 単に密接というだけではなくて、親会社、子会社関係にあるということが言えないかどうか、この点いかがでございますか。
  64. 山下英明

    山下政府委員 私どもの表現をすれば、大株主の一人でございます。親会社、子会社の定義がどうなるか存じませんが、一〇〇%株を持っておる場合、あるいは過半、五〇%以上持っておる場合は、当然親会社、子会社ということになると思います。
  65. 土井たか子

    土井委員 親会社、子会社の問題については、少し勉強していただきたいと思うのです。実は、判例でも親会社、子会社関係をどう考えるかというのは、もうすでに明らかにされているところでございまして、単にそれは株の一〇〇%を持たなければいけないということのみによって親会社である、親会社に対する子会社関係であるというのは、認識としてはずいぶん片寄った認識だと思ってお伺いしているわけですが、これは判例を示せといわれると昭和四十二年にすでに仙台の地方裁判所から親会社、子会社関係についてはある一定の判示が出ているわけでございます。それからいたしますと、親会社は子会社の業務を一般的に支配し得るに足る株式を所有していることにまず第一番の株式問題については認識をしております。それからさらに、親会社が子会社企業活動の面において、相互の業務がお互いに混同される、同一であるということ、子会社従業員の人事、労務対策などが親会社の意思によって決定されるということ、さらには人事問題について親会社、子会社が強力に提携をしているということ、これなんかが認識の基準として考えられているようでございます。  それからいたしますと、先ほどももうすでに御説明賜わったのですが、東洋エチルに対しては片や東洋曹達の取締役会長が社長になっているわけでありまして、以下重役といわれる方々のお顔を見ましても、東洋エチルの五〇%が東洋曹達から出てこられているという関係にございます。さらにいうと、取締役十名のうちの三分の一が東洋曹達から出てこられるということでもございますし、さらに工場内に目を移しますと、工場長はじめ管理職はすべて東洋曹達から出てこられているという関係にある。こういう事実を見ました場合、東洋曹達東洋エチル関係は、単に一株主という関係にとどまるとはいえないと私は思うのですが、この点いかがお考えでいらっしゃいますか。
  66. 山下英明

    山下政府委員 親会社、子会社の問題は、私どもももうしばらく研究してみたいと思いますが、東洋エチル先ほど申し上げましたように四七%ものエチルコーポレーションの株が入っておりますので、実際これが操業を開始して、その後会社運営になりましたときに、会社の経営の基本が、だれが主導権をどういうぐあいに持っていくかというのは、私どもも大ざっぱにいってエチルコーポレーション東洋曹達がやっていくであろうと推測しておった次第でございます。いまお尋ねの、東洋エチル東洋曹達関係につきましては、従来とも非常に密接なものであると私ども判断しております。
  67. 土井たか子

    土井委員 私は、東洋曹達東洋エチル関係について聞いているので、エチルコーポレーションという外国の資本については、この際少し横に置いておいていただきたいと思います。東洋曹達東洋エチル関係についてのみお考えいただくということで御回答をお願いしたいと思います。  私ここに写しをちゃんと持っているのですけれども東洋エチル労働組合との団交の結果、文書できちんとしたためてある。これは昭和四十四年の一月二十七日とここに日付が書いてございますけれども、これは東洋エチル株式会社のほうがしたためておる文書でございます。「組合員諸君の身分に就て 我々経営陣は諸君の身柄を心配しておる事は今に始ったことではありません。特に着工が遅延している現在に於て、万一本事業を断念したり無期延期の様な事態に立至った場合を考慮して、諸君が今から身分の保証をして貰い度いとの気持は判りました。万が一左様な事態になった場合何よりも先に諸君の身分をどうするかという事を考えましょう。」という一札がちゃんとあるのです。それに従って同じ昭和四十四年の四月十二日にこれは文書で回答しているわけなんですが、南陽工場の建設本部長を通じて、「会社工場建設が大巾延期または中止となり組合員の身分の問題について交渉中でも昇給および賞与の支給は組合と協議決定し遅滞なく支払う。」ここまでは別問題、「会社は万一工場建設中止または大巾延期の結論が出た場合組合員の東洋曹達への就職あっせんについて交渉を行なう。就職の条件については組合の要求を充分考慮する。」というふうに答えているのです。現にこれは重役陣が大体五〇%も東洋曹達から出てきているというわけでございますから、当然こういう措置はなされるべきであるということを確認したということになるかもしれませんけれども、こういう状況から推しましても、東洋曹達東洋エチルとの関係というのは、単に一株主であるという関係にとどまるものじゃないと私は思いますが、こういう点からお考えになって、親会社、子会社という関係を確認できはすまいか、いかがでございますか。
  68. 山下英明

    山下政府委員 親会社、子会社につきましては、先ほど土井先生より判例もお示しいただきましたので研究さしていただきますが、今回東洋エチル工場閉鎖に伴いまして、工場関係全員解雇という事態になりましても、通産省としましては、責任者に、就職あっせんに全力を尽くすよう申し述べて、その際に、何といっても東洋曹達日本における緊密な会社であるのだから、しかも歴史もあり、従業員規模も大きな会社であるから、東洋曹達が率先再就職に努力するよう格別東洋エチルから依頼してほしいということは申し述べてございます。その際、東洋エチル責任者は、もともとが東洋曹達の会長職もしておる立場でございますので、私は東洋曹達の会長職としては最善を尽くすつもりですというお答えをいただいております。
  69. 土井たか子

    土井委員 特に密接な関係にあるということを認識なすって東洋曹達のほうに依頼なすった、また東洋エチルのほうにもそのように努力をなさるようにというふうなことを申し述べられているということがありますなら、単に一株主に対する取り扱いでなかろうと私は思うのです。一株主としての取り扱いならば、東洋曹達以外にもあるわけでございますから、同じように、特に密接な関係があるということを認識なすっておっしゃらなければならないはずです。  ところが、とりわけ東洋曹達に対してそういうふうに申し入れをなすっているということには、一株主という点の立場より以上に何らかの関係を認識なすっていると私は思うのです。親会社、子会社という認識がそこにありはしないか。同系列の会社であって、しかも、その関係は同系列より以上に親会社、子会社関係ということ、このことに認識しなければならないのじゃないか、そういうことを私は思うわけなんですが、その点の認識というのは、どういうぐあいで特に密接な関係ということをお思いになったのですか。
  70. 山下英明

    山下政府委員 ちょっと誤解があるといけませんので、もう一度申しますが、東洋エチル責任者に私から申し上げたので、できるだけの再就職に努力してほしい。それで、その際に、先ほども申しましたように、二三・七五が東洋曹達でございまして、あと三井物産その他が持っておりますが、三井物産が同額、それからあとはわずかでございますが、何といっても、再就職をお願いするとすれば東洋曹達が一番の就職先である、こう思って、東洋エチル責任者に対して、東洋曹達には格別よく連絡をとって、お願いしてほしいということを申したのであります。
  71. 土井たか子

    土井委員 現在、そうして東洋曹達には何人再就職が決定しておるわけでございますか。
  72. 山下英明

    山下政府委員 私ども報告を受けておりますのは、八十八名中八十名以上が東洋曹達就職ということに決定になっております。
  73. 土井たか子

    土井委員 その八十名以上が東洋曹達に再就職をいたします場合に、採用内定承諾書というのを書いておるのは御存じになっていらっしゃいますか。
  74. 山下英明

    山下政府委員 私どもは、正式に聞いておりません。
  75. 土井たか子

    土井委員 それは、特に密接な関係があるところに対して考えてほしいという申し入れまでをなすっていて、あとどういうぐあいにその状況が進展しているかということについては、逐一やはりこれは御存じになるというのが、私は責任ある態度じゃないかと思うのですよ。そういう点から、申し上げましょう。採用内定承諾書というのは現にあるのです。それに対して住所と氏名を書きまして、捺印をしなきゃ正式には再就職は決定しないということになっておるわけです。  ところで、その採用内定承諾書でございますが、これを見ますと、「貴社に採用内定のこと承諾します。ただし、次のような事態が生じました場合はいついかなる処置をとられましても異存はありません。」という一札がございます。その中に、第三、「東洋エチル社在籍期間中における所属組合からの脱退がすまないとき」というのがあるのです。つまり、組合から脱退をしない限りは就職を認めないということでございます。組合から脱退をしない限りは、いついかなる処置をとられても異存がないということに対して同意をしないと、就職を認めないということでございます。この点は、明らかに不当労働行為を構成すると私は思うのです。その点についてはいかがでございますか。
  76. 石黒拓爾

    石黒政府委員 ただいまのような一札をとるということは、不当労働行為に該当いたします。
  77. 土井たか子

    土井委員 先ほど通産省のほうは、特に密接な関係があるということを認識して、東洋曹達のほうにあっせんを、力を入れろということをおっしゃっておるわけでございますから、この点について、どの程度察知なすっているかということを再度お伺いしますし、また、これについて不当労働行為になるかならないか、その辺の判断はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
  78. 山下英明

    山下政府委員 私どもは、会社側から再就職の進行状況報告は受けておりまして、そのこまかい数字等は承知しておりますが、ただいまの御指摘の文書は承知しておりませんでした。これが不当労働行為になるかどうか、これは労働省の御判断を聞きまして、私どものほうは善処したいと思います。
  79. 土井たか子

    土井委員 通産省ともあろうところが、こういうことについて一々協議の上で不当労働行為に当たるかどうかということを御判断になるというのを聞いて、私は心外の至りなんです。大体こういうようなのは、しろうと判断からしましても、現にございます労働組合法の第七条第一号及び第三号にひっかかるところの不当労働行為だということは明々白々なんです。だれが考えてもこれくらいのことは明白にわかると思うのです。法律専門家に問いただす必要もことさらないように明白な事実だということをいわなければならないと思うのです。どうしてわざわざこういうことに対しては労働省に問いただす必要がおありになるわけでございますか。     〔発言する者あり〕
  80. 小林信一

    小林委員長 お静かに願います。
  81. 山下英明

    山下政府委員 私も、ただいま伺いましたことの範囲では、不当労働行為だと存じます。ただ、政府全体の取り扱いとしまして、また、現在、不当労働行為に対する申し立ても出ておりますことですし、所管官庁たる労働省の御判断を最重点に置いていきたい、こう存じております。
  82. 土井たか子

    土井委員 これはまことにゆゆしい問題だと私は思うのですが、こういうことの結果、採用されまして、東洋曹達で以後働きまする労働者についても、私は、やはりこの労働者としての身分保全、労働条件のあり方、第一、労働者としての人権というものがどの程度確保されるかというのは、これはなかなか心配の種になると思うのです。社会的に見まして、経済的に見まして、その東洋曹達の系列下にある東洋エチルでございますから、その東洋エチルでこのたび自主閉鎖工場についてなされて、そして自主閉鎖の結果、全従業員に対しての解雇ということを前提に再度再就職に対してとられた措置が、この問題とは決して無関係だとは言い切れないと私は思うのです。そういうことからしてまいりまして、試験の結果、具体的に差別的な取り扱いがあったということが事実明るみに出れば、この再就職、再雇用について不当労働行為があった事例とはっきりいわなければならないのじゃないか。となりますと、不当労働行為の結果、このことに対する処分、そのことに対する取り扱いは、一体どのように労働省はお考えになる予定であるか、何らかのそれに対するお考えがいまここでおありになるなら、はっきりとひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  83. 石黒拓爾

    石黒政府委員 その一札につきましては、私どもの手で確認はいたしておりませんが、至急取り調べまして、その条項それ自体は、すでに不当労働行為に該当いたしますので無効でございますけれども、そのことを何らかの方法で確認いたすというようなしかるべき措置をとりたいと思います。その点につきましては、いましばらく研究さしていただきたいと思います。
  84. 土井たか子

    土井委員 これは、いましばらく研究とか、いましばらく検討という御答弁が続いておりますが、私は、これは公害ということを考えます場合に、公害企業に働く労働者人たち、あるいは、公害企業の周辺に生活をいたしております国民、それから考えますと、この一事例の成り行きというものは、たいへんに影響が大きいと思うのです。そういうことからいたしまして、ここに関係人の出席をひとつお願いいたします。その一人は、東洋エチルの会長並びに工場長、さらには、対象になります組合側からは委員長、書記長等々の関係人をこの公害対策委員会にひとつ御出席をいただきまして、次回いろいろ意見をお聞かせいただく機会を委員長にお願い申し上げますが、与えていただきたいのですが、いかがでございますか。
  85. 小林信一

    小林委員長 いずれ理事会で協議いたしまして、御意見ははからうつもりでございます。
  86. 土井たか子

    土井委員 一時間という時間が参りましたので、私の質問はこれで終えますが、ひとつこの問題、理事会で重々御討議の上、ぜひとも関係人をここにお呼びして、そして意見を聞くことができますようにお取り計らいを再度要求いたしまして質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  87. 小林信一

    小林委員長 島本虎三君。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 いまいろいろと不当労働行為の問題に入りまして、東洋曹達東洋エチル、いろいろな問題の御論議がありました。質問がありました。いろいろ疑問があります。その中で、産業公害関係についてひとつあまり触れられないような、よそ行きの答弁が多かったようでありますが、この点はひとつ私のほうからぜひとも質問さしていただきたいし、答弁してもらいたい。いまいった東洋曹達、この方面の徳山地帯一体に対しての廃液のデータ、塩化ビニールの廃液の処理、こういうような問題で公害関係で何らいままで指導していなかったのか、おったのか。こういうような問題が全然あったのかないのか。この問題についてひとつ通産省答弁願いたいと思います。
  89. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  当地区については、赤潮等が発生いたしまして、赤潮等によります漁業被害等についてのクレームがあるというような事情を聞き及んでおります。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 東洋曹達の廃液の処理について、どういうふうになっておりますか。
  91. 森口八郎

    ○森口政府委員 油分あるいはBODについて、廃液が問題がありますので、会社側のほうで処理装置を設けまして処理をしておるというような事情は聞いておりますが、現在、ただいま手元に資料がありませんので、こまかい処理の状況等については知悉いたしておりません。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 これは、そういうような処理機能を十分備えてあるのですか。または通産省はそういうふうにちゃんと指導していなさるのですか。いないままにそれを処理しているのですか。この点を聞いているのです。完全にこれを指導し、処理しているのですか、いないのですか。
  93. 森口八郎

    ○森口政府委員 完全に処理をするように指導はいたしておりますが、現在の処理の状況についてただいま資料がございませんので、どういうふうな状況になっておるかということについては、この席ではお答えする資料を持ち合わせておりません。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 資料によってじゃなくて、指導をどういうようにしたか。そしてそれによって完全に公害の排除、こういうようなもの、これを留意し通産省では指導したか。あなたは新しいからわからぬかもしらぬけれども、いままでどうしていたか、局長……。
  95. 山下英明

    山下政府委員 これは十分な指導をしてきたつもりでございます。安全とあわせてこの公害に関しては実地届け出の提出がありまして以来、指導を続けてまいりました。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 スラッジの廃液、こういうようなものはどういうようにしておりますか。
  97. 山下英明

    山下政府委員 沈でん助剤で急速凝集、沈でん装置に入れまして、そのあと、ろ過器の無機化触煤槽を通しまして、さらにろ過器に入れて沈でん池に送りまして、そこから海に上澄みの水を流すという仕組みで、私どもこれならばだいじょうぶという報告を受けております。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 だいじょうぶという報告を受けておられるようです。それならば、ほんとうにだいじょうぶですか。何のためにあすこにドラムかんが四千本も置いてあるんですか。その事実を知っておられますか。完全に処理して投げているならば、何のためにドラムかんが四千本も要るんですか。それとも何かほかの用途に使うためですか。どういう指導をなすっているんですか。  それと同時に、生産量の増大、大きいという意味で、去年だけでも一千万トンも出ておる。EECだけでもこれは百二十万トン、ほとんど変わらないほど出ておる。この廃液処理は不十分である。こういうようなことが住民からの声として上がっているじゃありませんか。完全に指導しているというならば、それでよろしゅうございます。またわれわれとして、十分これを確かめる必要もあろうかと思います。そこにある四千本のドラムかん、何のためですか。
  99. 山下英明

    山下政府委員 ものが劇物毒物でございますので、特別のドラムかんを使わねばならない。そこで輸入しました後の国内搬送とか、またその他の輸送等に要るものとして、格別米国から輸入したドラムかんが多量に積んであると聞いております。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 日本製のドラムかんが四千本もあるんです。アメリカ製のドラムかんじゃないんです。それ、はっきり言えますか、アメリカ製だということを。
  101. 山下英明

    山下政府委員 現場検証しておりませんので恐縮ですが、日本製のドラムかんもあるようでございます。それはほかの原料等に使われているものと存じます。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 どうも不分明であります。この点等においても、廃液の処理そのものも赤潮のもとになっているんじゃないか、こういうようなことで、なかなか住民からの声も強いのであります。この廃液の関係の処理がまことに不完全である、こういうようなことも聞かされているのであります。聞けば聞くほどわかりません。なお、こういうようにしているというはっきりしたデータ、これを要求いたします。出していただきます。  それと同時に、いま言った毒物劇物、こういうようなものの輸入の許可権はあろうと思います。許可があると大量のものを扱う。これも簡単なる輸入許可だけで何でもやっていいものだろうかどうか、いまのような状態からして当然疑問が生じます。通産省厚生省、この問題に対しての見解を伺います。
  103. 山下英明

    山下政府委員 輸入貿易管理令上は自由化品目でございますので、輸入割り当てはございませんで、従来三社ないし四社が自由な制度のもとに輸入いたしております。
  104. 豊田勤治

    豊田説明員 毒物劇物取締法に基づきまして、毒物劇物であれば登録の必要がございまして、量の制限はございません。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、登録を完全にしてございますか、これは。
  106. 豊田勤治

    豊田説明員 登録してございます。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 念のために、その写しを拝見したいと思います。  それと同時に、この輸入手数料、こういうようなものによって、いまつぶれた、操業停止になった東洋エチル、この会社等でも十分に権利金だけでやっていけるんだ、こういうようなことも聞いているのでありますが、そういうような事実は、そのとおりですか。
  108. 山下英明

    山下政府委員 十分やっていけるかどうか存じませんが、東洋エチルは、アメリカエチルコーポレーション技術提携、かつ特許の実施契約をいたしておりますので、その会社自身輸入いたしませんでも、アメリカエチルコーポレーションから日本に輸入します四エチル鉛については特許料をとれる立場にございます。またエチルコーポレーション以外の、デュポンその他の外国会社から買うものにつきましても、その特許に触れる部分については手数料がとれる立場にございます。  ちなみに現在までの輸入実績では、エチルコーポレーションからの輸入が六割を占めております。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 その操業停止後、その処理のために東洋曹達のほうから何名ほど出向し、どのような業務を実施しておりますか。
  110. 山下英明

    山下政府委員 現在、私どものほうは、今後その種の業務に何名ぐらいが必要であるかということは聞いておりません。
  111. 島本虎三

    ○島本委員 現在は、何名ぐらい出向してこの残務整理の業務に当たっておりますか。
  112. 山下英明

    山下政府委員 従来、先ほどお話がございましたように、百五十名強の職員がおりますが、そのうち約四十四、五名が出向でやってきたと聞いております。これら出向の方は、会社工場閉鎖とともに戻るかもしれませんが、今後東洋エチルの業務が、いまお尋ねのようなことで続けられる場合には、その出向者のうちからやるのではないか、これは私の推測でございますが……。
  113. 島本虎三

    ○島本委員 工場はつぶれても権利金はそのままで、これは二けたぐらいの、億がつくぐらいの金も入ってくる。四十八、九年までは、これは続く見込みではございませんか。そういうふうになるならば、これを首にする必要もないじゃありませんか。ちゃんともう出向して、二、三十人の人が残務整理をしているのだ。なぜそういうふうにしてさせないのですか。なぜ不当労働行為までして、これを排除しなければならないのですか。なぜ労働省も、そういうような状態であるのに黙って指導しないで見ているのですか。こういうような点は、まことに私は不可解です。この点についても、ひとつ明快な御答弁を願っておきたいと思います。
  114. 山下英明

    山下政府委員 東洋エチルという会社の現在から将来を見ますときに、生産は停止しまして、それにおっしゃるとおり、相当の投資をしてまいりましたので、その債務の返済、それから現在あります土地、建物の処理がございます。建物につきまして、設備につきまして、私どもが現在受けております報告では、その建物そのものを転換、販売をする見込みはございませんで、部品等について、もし売り先が見つかれば売っていこうという方針と聞いております。  最後に、その特許料の徴収をどうするかでございますが、これについても、東洋エチル自身としては、四エチル鉛の輸入、販売業務そのものをやるつもりはないと聞いております。したがいまして、生産を停止したあとの事後処理と、あとその特許料その他についての徴収業務が残る会社でございまして、業務としては、きわめて小さい範囲の業務しか残らないということになるわけでございます。
  115. 島本虎三

    ○島本委員 きわめて小さい範囲の業務でも、残っている以上、まだ首にしないでも、そういうような人を使ってやっていける道がある。そこへ、いわゆる親会社と思われる東洋曹達のほうから出向させていって、そして組合のいわば活動家である人を、指名するかのように排除してしまっている。それもほとんど不当労働行為に間違いのないような状態でこれを行なう、こういうような指導をしているということがおかしいのです。いままであなたも、いろいろ勧告しておられるようだけれど七、こういうようなことを、そのままにしておいてはいけません。ほんとうに中小零細企業で、つぶれてどうにもならないということとは違うのです。もう残務を何十人か親会社から出向してやっているにもかかわらず、思わしくないような人物を不当労働行為によって排除している、こういうようなやり方は、労働省がまごまごしているからこんなことになる。ほんとうにこういうような問題に対してもっと目を開いて、あなたもき然たる態度で臨まなければだめです。このごろ労働省はこの点でも弱い。社労でもこのような問題は、何回も追及しているが、ことばの上ではきれいです。しかし、実効は一つもあがっていない。そのうちにこういうような大きな問題が発生するじゃないですか。だめです。やればやれるのです。  いま第一組合と第二組合は、どれほどの数になっておりますか。
  116. 石黒拓爾

    石黒政府委員 一月二十日現在の時点におきましては、エチル化学労働組合が組合員数五十一名、東洋エチル労働組合が組合員数八十八名ということになっております。
  117. 島本虎三

    ○島本委員 もう一回ちょっと……。
  118. 石黒拓爾

    石黒政府委員 もう一度申し上げます。エチル化学労働組合、これは合化労連に加入している組合でございます。この組合員数が五十一名、それから東洋エチル労働組合、こちらは上部団体なしで、組合員数は八十八名でございます。その後、後者の東洋エチル労働組合のほうは解散をいたしております。
  119. 島本虎三

    ○島本委員 この組合と、東洋曹達労働組合との関係はどうなっておりますか。
  120. 石黒拓爾

    石黒政府委員 東洋曹達労働組合とは、組織的な関係にないと私ども承知しております。
  121. 島本虎三

    ○島本委員 私のほうもこれは十分調べないで聞いているのですが、急に質問していて疑問になって聞いてみたのです。こういうふうにして、やはり合化労連に加盟しているこういう組合よりも、いつの間にか東洋エチルのほうがよけいになってしまっている。第二組合がこういうふうに意識的に指導され、こういうふうにしてだんだんふやされているのです。労働省が存在する限りこういうことはないと思っていたら、いつの間にかこういうふうになってしまっています。まことに残念であります。  それと同時に、労働省、こういうような公害問題でいろいろ不利益な処分を、それも不当な処分を受けておる、こういう関係が、方々に見られるようです。今後組合活動として、いわゆる公害処罰法ができて以後、公害問題に対して協力する者は、社会的な犯罪という、過去のああいうようないわば労働協約あるいは就業規則、こういうようなものをよりどころにして、あるいは名誉棄損であるとか、機密の漏洩であるとか、こういう理由によって処罰することはいまやできなくなっているはずであります。こういうようなことは許されなくなっているはずであります。逆に、そういうような発生源を押えること、進んで摘発するということから公害の発生することを防止することは、社会的善行になっているはずです。公害を出すというその行為は、社会的犯罪行為であると、もうすでにらく印を押されているはずなんです。しかるにかかわらず、そういうようなことをやる者が排除され首にされている。こういうような実態に沿わないままの法律実施されるということは、これは労働省自身指導が立ちおくれている、こう言わざるを得ない。したがって、今後立法措置でも十分考える点が必要な時期になったのじゃないか。もう一つは、労働立法の手直しの点もこの機会に考える必要がないか、こういうふうに思います。この点、労働省当局どう考えますか。
  122. 石黒拓爾

    石黒政府委員 私ども指導の不行き届きの点につきましては、おしかりを受けましてまことに恐縮に存じております。十分反省いたしたいと思います。  公害反対という労働組合活動のゆえに不利益な取り扱いをするのは、現在の不当労働行為制度をもって一応カバーされておると考えておりますので、私どもいま直ちにこの点から労働組合法等の改正ということは考えておらない次第でございますけれども、なお十分検討いたしたいと思います。
  123. 島本虎三

    ○島本委員 その点においても、少し食い足りない。もうすでに昨年の暮れに十四の法律公害立法として成立しているのです。しかし、六カ月の期間を経て、今度政令、省令にゆだねられた部分もできるのです。行政指導もできるのです。そういうさなかに、それ以前の法律によって、もうすでにこういうような不当労働行為が平気で行なわれているのです。できた以後社会情勢も変わってきている、指導も変わらなければならない。こういう情勢なのに、それはもう考える必要がない、こういうことだったら、もうあなたの労政局長としての資格は私は考えざるを得ないことになる。依然としてあなたはそう考えていますか。これは今後十分いまのような情勢からして考慮をしなければならないというところまで行かぬのですか。こういうようなことが平気で今後も行なわれるのです。それを黙って、公害対策のように起きたものに対して手当てをしていればいいという考え方ですか。もう一回決意を聞かせておいてください。重大なる参考にいたします。
  124. 石黒拓爾

    石黒政府委員 最近の公害立法並びに公害に関して、種々の社会問題が発生している状況にかんがみまして、十分研究さしていただきたいと思います。
  125. 島本虎三

    ○島本委員 初めからそう言えばいいのです。  それと同時に、いまもうすでに問題になっている安全衛生関係規定、法規、こういうようなものに対しても今後十分考えてしかるべきものは改正して、これに当たらなければならないのじゃないか、こう思います。  いろいろいままで質問に出たように、企業の秘密だとか、公務員の秘密を守る義務であるとか、または直接労災職業病の関係であるとか、もうすでに何回も言うとおり、公害は犯罪である、こういうような社会的に犯罪だというらく印が押されている以上、こういうようないろいろな関係を考慮した上で企業秘密であるとか、公務員の秘密を守る義務、こういうものはまだあるのですから、そういうふうなものを安全衛生規則の一部分の中で十分考えていかなければならないのじゃないか。すなわち公害は犯罪であるというらく印が押される以上、公開すべきものは公開して、今後はそういうものも未然に防がなければならない、こういうようなことも当然あるはずであります。  それから公害の測定だとか検査能力等の体制とか、監督官の測定または検査能力、そういうような体制の確立、こういうようなものについてももっともっと情勢に合わせていかなければならない点があるのじゃないか。もうすでにこの点は具体的に指摘されている問題です。こういうような点についてもどういうふうな考えを持っているのか伺いたい。
  126. 北川俊夫

    北川説明員 最近産業公害の問題が非常に世論の中で関心を持たれておりますけれども、われわれの考えといたしましては、公害事業所外の方がいろいろ汚染され、あるいは病気になられる前に、中で働いておられる方の健康と安全、それが同時に汚染され、害されている、こういうふうに思います。したがいまして、われわれとしましては工場内の労働者の健康と安全を守ることによって、かなりの程度公害の防止にも寄与し得る、そういう観点からいたしますと、いまの労働基準法及びそれに基づきます安全衛生規則関係の諸規則につきましては、やはり立ちおくれを率直に認めざるを得ない、こう考えております。したがいまして、昨年の九月、全国一万三千の事業所につきまして総点検をいたしまして、どういう物質が危険である、あるいはそれがどう扱われておるかという実態の把握をいたしまして、それに基づきまして二月の上旬に、労働基準審議会に安全衛生関係の法令の改正の諮問をいたしております。近近にその御答申をいただきまして、おそくとも四月中には法令の整備をいたすつもりでおります。  なお、法令の整備とともに、いま先生御指摘のように、監督官の体制の問題特に測定能力、測定機器の整備というものがたいへん急務でございますので、その研修及び機器の整備につきましても格段の努力をいたしてまいるつもりでおります。
  127. 島本虎三

    ○島本委員 そのほかに、違反した場合の処罰の対象、こういうようなものはいつも問題になります。こういうような点についても使用者側、労働者側、それぞれいろいろな立場もあるはずであります。それが込み入っていつもこの問題になるともんちゃくの種であります。現在の法規の中で、この点なども特に十分考えて対処しなければならない点の一つだ、こういうような点も私は指摘しておきたいと思う。  それとあわして、医者の検診の能力というような問題もある。またその体制にも問題がある。水俣病、イタイイタイ病、過去のこういうような一つの体制内の医者の能力、この問題は逆に公害を増長してきた傾向があった、こういうようなことを思い合わして、十分その問題等に対しても対処をしていかなければならないのじゃないかとも考えます。  それともう一つは、監督権だとか検査体制の委託であるとか代行の制度、こういうようなものも当然いまのはやりですから、これもその可能性がある。この辺は下請みたいなことです。こういうようなことをやらせることはあまり好ましくない。あまり手を抜いてはだめだ、こういうようなことを言わざるを得ないわけです。十分この辺も考えて、改むるべきものは改めて、現在の公害行政、これを企業の外と内を問わず、完全に原因から、排出口からせん減するような体制を講じなければならないはずである、こういうように思いますから、こういうような点を十分対処していただきたい、またすべきである、こう考えますが、労働省側はどういうように考えますか。
  128. 北川俊夫

    北川説明員 御指摘の点、まことにわれわれもそのとおりと存じますので、十分念頭に置きまして、今後の法令の整備あるいは体制の確立の際も、その実現の方向で努力をしてまいります。
  129. 島本虎三

    ○島本委員 この問題はその程度にしておいて、日本製紙がこれまたやはり公害理由にして倒産の宣言を以前からされておるようであります。その理由の中には、労使双方の見解が完全に違っている。会社側では業績不振、それから公害に対する規制がきびしい、騒音防止その他の設備等によって工場の出す廃液の処理をあわせて負担にたえがたい、こういうような理由会社側では言う。組合側では解散の責任は放漫経営にあるのじゃないか、公害騒ぎの世論に便乗しての擬装解散じゃないか、こういうような疑念さえ出しておるようであります。そしてもうすでに騒音対策であるとか、こういうようなものは、前から当然それに対処すべきであり、前からそれを準備するように話し合っていた。それを手を抜いておった結果、いま急にやれといわれてできなくなる、こういうようなことなんだといわれておりまして、やはり依然として五百五十名、資本金五億だそうでありますけれども、こういうような点等についても、いまや擬装倒産、公害倒産のこのあらしの中で、一番困っているようであります。これは大昭和製紙の子会社ということになっているようでありますけれども、こういうようなものもまたできてくる可能性も十分ある。以前の公害国会を通じまして、行政的にも指導の完ぺきを期して、公害そのものが原因になって倒産または解散するようなことがないように、中小企業を中心にしての融資、こういうような体制の確立、たとえば公害防止事業団、こっちのほうには預託もよけいして、それによって貸し付けも昨年の二倍にし、この条件も緩和する、こういうようなことで臨んでいるはずであります。こういうようなことが平気で行なわれてくるならば、昨年暮れまでのあの公害国会を通じて政府のとった態度は、全部うそだということになってしまうわけであります。これはちょっとわれわれとしては理解することはできないわけです。金融関係が詰まっておるのか、これまた経営の放漫なためなのか、いずれにしても労働者のほうへ全部しわ寄せがいくわけであります。こういうような点は私どもとしてはまことに不可解きわまるものである。公害理由にして倒産するというようなことは、今後われわれとしては十分慎重に考えて、そういうようなことをさせるべきじゃないと思っております。この指導、それからその内容等について、厚生省通産省は、いままでの公害理由にしての解散、また倒産、こういうようなものの真の理由はどこにあるのか調べてありますか、この際はっきりこれを発表してもらいたいと思います。
  130. 山下英明

    山下政府委員 公害対策一般論でございますが、通産省としまして、特に私のほうの化学工業等におきましては、公害企業が多い現状からしまして、公害対策を鋭意進めておるわけでございますが、その結果、コスト要素が多くなる、また企業経営が苦しくなるという事態のために万全の予算措置、また事業団による協力、中小企業関係の金融機関の貸し出し等で、できるだけ企業公害対策をしながら倒産もしない、解雇もしないで済むようにしたいというのが私ども方針でございます。
  131. 島本虎三

    ○島本委員 方針はわかっているのです。いままでそういう方針は持っていないということを言っているわけじゃないのです。いままでそういう方針で臨んできて、昨年の暮れからの、体制も一変するほど変わってきているはずだ。にもかかわらず、本年になってなおさら公害倒産であるとか、公害理由にしての企業閉鎖が行なわれる、またそういう傾向にある、この内容はどうなんだというのです。はたしてそうなのか、通産省としてはどういうふうにつかんでいるのか、どういうふうに指導しているか、このことなんです。ただつかんでいるだけではわからぬのです。これはもう少し具体的にうそなのかほんとうなのか、また放漫経営なのかほんとうに公害の費用にたえかねるのか、この点はっきりしておるはずじゃありませんか。データはありませんか。
  132. 森口八郎

    ○森口政府委員 お話がございました日本製紙の件については、私ども報告を受けております。報告を受けておるところによりますと、会社はもともとわりあい過密地帯に位置しております企業で、立地的にはもともと無理があったわけでございます。しかし、下水道等の施設が近々のうちに行なわれるということを条件にして、比較的ゆるい規制できたわけでございますけれども、下水道等が敷設されますと、下水道料金が相当程度はね上がるというようなことから、下水道料金に払います金額と、現在会社側が生じております利益金の額というものを比較してみますと、会社の存立の基盤がなくなるというように判断をして、会社の解散を決意したというように聞いております。先生のおっしゃいますような会社側の経営の怠慢があったかどうかという点については、実は私どもが聞いております限りでは、そういうようなことはないというように判断をいたしておりますが、さらに経営の怠慢があったかどうかということについては調べてみたいというように思います。  なお、日本製紙以外に、そういうような事例について通産省、特に私のほうで聞いておるかということにつきましては、現在の時点では、特にそういう公害理由とする倒産で問題になったケースは個別的に聞いた事例は現在のところございません。
  133. 島本虎三

    ○島本委員 通産省では、いまの件については十分指導の徹底を期して、そして少なくともそういうようなことがないように、いま経営が苦しくなれば全部公害だ、公害をなにして擬装倒産を計画する会社もあるようです。こういうようなことは許されない。一つの社会的犯罪にもつながる行為である、こういうふうに思いますので、今後十分この点を指導するように私から要請しておきたい、こういうふうに思います。  それと同じ公害でありますけれども、最近の火災の激増によるところの死亡の増加であります。私はこれも何らかの公害関係がある、こういうようなことで、若干そのデータによって調べました。なるほど火災は多いのでありまして、四十四年度の全国の出火件数は五万六千七百九十七件、損害が七百二億で、死者が千三百三十四人、負傷者が約一万人近い、こういうようなことのようであります。そして死んだ人の六〇%以上は、新建材と化学繊維の燃焼によって発生する一酸化炭素と、そのガス状のものによるところの被害による死亡である、こういうような報告であります。そうなりますと、やはりこれも一つの公害の範疇に入ってくる大きな問題になりはせぬか、こう考えられるわけでありまするけれども通産省は特にこの点の指導の完ぺきを期しておられるとは思うのでありますけれども、この新建材によって一酸化炭素中毒におちいる、こういうようなことが再再あるのでありまして、本年の一月三十一日に、北海道の美唄市で、美容師が十名ほどこれによって死んだというようなのも、新建材による一酸化炭素の中毒、こういうようなことになってまいりますと、法的な規制があるのかないのか、あるならば、官庁は、そういうような建物に対してはっきり指導し、違反に対してははっきり摘発すべきじゃなかろうか。建築基準法によって、三階以上のものに対して、面積に対して、一定の不燃材の使用についてきめられてあるようであります。しかし、実際は、それ以下のものであっても、一般の住宅であっても、一切おかまいなしにこれが使われている。そして、そういうふうにだんだん使用範囲が拡大してくる結果による災禍、これが一酸化炭素の中毒死であります。そうなってまいりますと、今後、違法の建築材の使用に対する改善命令の問題であるとか、どういうような建材を認可の基準にするのかというようなことも大きい問題になろうかと思います。当然これは建設省関係にもなるのじゃないかと思うのでありますけれども、当然これは一酸化炭素の中毒であります。そうなりますと、これは通産省にも労働省にも関係してくるのでありまして、この問題一つをつかまえてみましても、十分対処しなければなりません。これも労働災害にも関係してくることになります。メタンガスの爆発であるとか、炭じんの爆発であるとか、ダイナマイト爆発、そのほか塗料、ペンキの乾燥剤というようなものの使用中毒によるところの被害、こういうようなのもあるわけであります。ことに、たばこ一個、ピース一個から五〇ccのCOが検出されるということなんだそうであります。私は幸いにしてたばこを吸いませんから、その被害だけは免かれる運命にあるわけであります。しかし、それにしても、自動車排気ガスであるとか、石油ストーブであるとか、こういうような方面、ありとあらゆるものが全部COの発生源であるというようなことになりますと、建材をはじめ、この対策は今後怠ってはならない重大な一つの対策であるということになると思うのです。どうもこの辺はノーズロースである、こう言わざるを得ませんが、どういうような指導をなすっておられるか、ひとつ御見解を賜わっておきたいと思います。
  134. 山下英明

    山下政府委員 御指摘の、建築材料が燃えますときに一酸化炭素を出すという点につきましては、特に最近プラスチック系の石油化学製品の新建材が出てきておりますので、通産省としても鋭意取り組んでおる次第でございます。  まず第一に、不燃建築材料の研究開発ということで、四十五年度にも相当の予算をいただいて、大阪の工業試験所及び合成高分子関係の研究所でやってまいりましたが、四十六年度も、五千六百万円の予算を現在要求して、続けていきたいと思います。この不燃建材は、実際には、コストの点ですとか、建築工法上の使い方ですとか、まだ多々難点がございまして、十分に普及いたしておりませんが、この点も研究開発によって進めていきたいと存じております。  先生御指摘のように、消防白書によりましても、六割は一酸化炭素の被害でございますので、まずこの点に集中していきたい。いままでにわかっております報告では、なるほど塩ビ系の新建材は多少有毒ガスが出るのですが、一般プラスチック系の新建材におきましては、従来の木材その他と、一酸化炭素そのものの量ではそう違いは一般的にはない状態でございます。ただ、非常に発煙量が多くて、特に有色の煙が出ますので、これがどういう被害をもたらすか、研究中でございます。  また、私どものほうでは、JIS規格におきまして、燃焼の発煙規格をつくっておりますが、これについても品目を拡大していこうとして検討中でございます。  なお、来年度は、住宅産業振興の一環としまして、プレハブ及び建築材料の工場生産されます建材素材の品質管理を強化しようという予算もとれましたので、その面からも実際の指導行政が深まるものと存じます。  ただ、先生御指摘の法による規制という点でありますと、一番効果がございますのは、建築基準法及び消防法関係だと存じます。
  135. 島本虎三

    ○島本委員 そういうようにして、やはりいろいろ関係もあるようですが、この点は特に今後の問題で、あったことに対する指摘じゃありませんから、この点等については十分ひとつ行政の完ぺきを期して指導してもらいたい、このことだけ強く要請しておきます。  最後に、これはもうきょうがく然としたのですが、やはり同じようなCOの発生源であるたばこの問題に関しても、WHOの総会の勧告、これは有害表示というような勧告を受けているはずなんです。日本では、特にこの勧告をどういうふうに思ったのか、有害表示をしないような決定がなされた、こういうふうに新聞で承ったのであります。もちろん、たばこを吸う人と吸わない人のガンで死ぬ割合、この違いを見ても二割方違っているし、全体的の死亡率を見ても三割方高いんだ、こういうのはもうはっきりとデータに出ておるのであります。しかし、この表示をするというWH ○の総会の決定、こういうようなものがあえて見送られたままであるということ、こういうようなことに対しては、私どもやはり共通の責任を負わなければならない立場にあるのかどうかわかりませんけれども、これはやはり重大な一つの勧告に対してのわれわれの非友誼的な行動になってしまうのじゃないか。今後、これを実施しているのかしていないのか、これをはっきり発表された場合には、日本は再び苦境に立つ。当然きめられたものでもやらない、表示さえもしない、専売公社に遠慮しなければならないほど日本の専売公社は強いのか、こういうようなことになってしまって、世界に恥をさらすようなことがあってはならない、こう思うわけです。この有害表示の勧告をなぜ実施できないのか、なぜこれを表示しないようになったのか、これは多分にわれわれの疑問とするところであります。せっかく公社から来ておられるようでありますから、この点をつまびらかにしてもらいたい。  今後やはりこの点等においては、日本としての世界に対する義務を果たす必要があろうかと思います。立法的に何らかの措置を講じなければならない点があろうかと思います。これに対してもあわせて聞いておきたいと思います。
  136. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  WHOの出しました勧告は、各国政府を拘束するような形で出ておる次第ではございませんで、こういうふうな措置をとったほうが利益になりますよということを示唆するというものでございます。まあ、それは形の問題でございますけれども……。  この問題について、WHOが指摘しまして以来、いろいろな議論が国内的にあったわけでございますけれども、大蔵省におきましてはこれを取り上げまして、専売事業審議会のほうに諮問をされたわけでございます。公社の事業運営一般に関して見ております専売事業審議会でございますので、事業運営上のたいへん大きな問題として諮問された次第でございまして、この喫煙と健康問題は、医学的な見解というものがかなり重要ではないかという配慮から、医学的な専門家の方々を特に特別委員として委嘱いたしまして、去年の八月以来十数回にわたって審議が重ねられてきた次第でございます。  審議の結論としての答申がきのう委員長から大蔵大臣の代理であります次官のほうへ提出された次第でございますけれども、検討の結果といたしまして、たいへん荒っぽくまとめますというと、疫学的、統計学的にはいろいろ関係があるという説は確かにあるけれども、病理学的には因果関係の究明ができていないという、まだたいへん研究の余地の多い問題であるということになっております。  そしてまた疫学的ないろいろな検討の中にありますいろいろな指摘のうちには、臨床学的に見てたいへん納得のむずかしい問題も含んでおりますし、有害表示というようなことをやりますというと、喫煙者に、場合によっては心理的ないい影響がない場合も起こり得るであろう。  わが国はアメリカや何かと違いまして、一番喫煙が健康に影響があると考えられます未成年者につきましては、法律をもってこれを禁止しているような状況にある次第でございますし、国柄の相違その他を考えれば、アメリカがとっておるような措置をとることはないのではないか。ただし、喫煙と健康の問題がたいへん社会の関心を呼んでおります現状におきましては、そしてまたそれがニコチン、タールの量というものと関係して考えられておる状況におきましては、いま公社は小売り店の店頭に銘柄別に平均のニコチン、タール含有量を掲げておりますけれども、それをもっとわかるように、一つ一つのたばこの包装にこれを書くべきであるという答申をいただいておる次第でございます。大蔵省に対する答申でございます。大蔵大臣のほうで指示がありますれば、公社はそれに従ってやらなければならぬと考えておる次第でございます。
  137. 島本虎三

    ○島本委員 これは勧告であるのだから、したがって義務はないのだ。ただ、たばこをよけい売ればいいんだ、未成年者へは、法によって禁止されているからたいした影響はないんだ、こういうようなことのようであります。  それと合わして、今後はやはり——かつてはチクロの禁止に踏み切った厚生省、その厚生省も今回の場合には衛生局長通達で、以前からやはり健康に害のある向きもあるからということで通達は出してある、こういうふうに承っております。今回の場合は特に大蔵省に対する答申である、こういうようなことであります。しかしながら、やはり厚生省でも、この害に対しては以前からはっきり通達を出しておるというたてまえもあるわけです。したがって、もうこれは各政府機関がばらばらな考えをもってこれに対処するということは許されないことなんであります。したがって、これは勧告であっても、義務はない。義務はないかもしれない。しかし、お互いにあなたも国民の一人として、今後はやはり有害なものに対しては注意する。注意することぐらいはあたりまえじゃありませんか。のめのめ何でものめ、煙にして金を出せ、こういうようなことばかりで、たばこを売ることばかりが能じゃなかろうと思うのです。厚生省も、衛生局長名で通達も出してあるようであります。これも今後やはり大きい一つの焦点になる問題だと思うのです。同じ政府部内で意見がまちまちであっては困るのであります。  きょうは産業公害対策特別委員会ですから、公害の点にしぼってこの問題を取り上げたわけです。財政対策ではないのであります。したがって、今後こういうような問題に対してのいわば勧告であって義務ではない、こういうような考え方をお捨てになって、これはいかなる方法によってでも有害の表示をし、あるいは気をつけさせるような軽い意味でも可能なんでありますから、義務はないんだ、こんなことで突っぱねるような、こういう無責任なことは今後しないように十分考えてこれは対処すべきであろう、こう思うのです。まず、厚生当局の意見を伺っておきたいと思います。これに対して厚生省関係者来ていませんか。
  138. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 私直接この問題の担当をいたしておりませんので、責任ある答弁を申し上げるのもいかがかと思いますので、先生の御趣旨よくわかりましたので、さっそく関係の局によくその旨を申し伝えまして、関係各省あるいは専売公社等と協議するようにお伝えしたいと思います。
  139. 島本虎三

    ○島本委員 時間になりましたから、最後に、せっかくこういうような機会でありますので、大塚専売監理官、いままでのWHOの出した勧告にもあるとおりでありますが、大蔵省としてはこの勧告を無視して一切答申のとおりにこれを今後強行するつもりでありますかどうか、一言その決意を承っておきたいと思うのであります。
  140. 大塚俊二

    ○大塚政府委員 答申は、昨日大蔵大臣に対してなされたわけでございますが、大蔵省といたしましては、先ほど副総裁からお答え申し上げたように、医学界の権威者を集めて特に特別委員ということで参加していただきまして審議をしてもらったわけでございまして、その結論でございますので、答申そのものは権威のあるものと考えておりますが、最近健康と喫煙問題というのは非常に社会的な関心も高まっております状況でございますので、答申の趣旨をよく検討いたしまして、適切な指示を公社に対してしたいというつもりでございます。
  141. 島本虎三

    ○島本委員 ではこれで終わりますけれども日本専売公社の佐々木副総裁並びに大蔵省の大塚専売監理官の答弁はまことに不満であります。今後この答弁議事録によってあらゆる機会にこれを追及し、皆さんをして完全に表示させるところまでこれはこぎつけることを表明いたしまして、私の質問を終わります。
  142. 小林信一

    小林委員長 午後一時十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  143. 小林信一

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、去年の年末の公害国会におきまして、十四本というような膨大な法案が出てきまして、わずか一週間余りの非常に短い審議過程において、まだまだ詰めなきゃならぬ問題がずいぶんあったわけでありますので、まず、今度の出てきた十四本の公害関係法令、これによって、各地方自治体はこれから条例をつくろうとしておりますけれども、この条例をつくるについて非常に疑義がある、こういうことで、地方自治体は非常に困っておるということを、私のほうの調査でわかったわけですけれども、それで、大体、みんなというわけにはいきませんが、時間の許せる範囲において詰めておきたいと思います。  それで、きょうは特に大気汚染防止法の問題を取り上げて、まず最初に明らかにしてもらいたいと思うのです。特に、政令事項が、今度の法案は十四とも非常に多かったということは、あわててつくって、そして公害対策をいかにも実行したかのごとく見えてしまう、これでは公害がおさまったのではないという認識の上に立って、政令事項、大体政令事項というものは、法案をつくるときには、政令で定めるものが全部できてなきゃならない。それでなければほんとうの法案ではない。私ども委員会において、かつて公害紛争処理法案を審議しましたけれども、あとの政令事項において、この紛争処理は水と大気のみになった。当委員会においていろいろと論議をするときには、典型公害が全部入るような話だったのに、結局政令においてゆがんでしまった、ゆがんだというのはおかしいのですけれども、結局、目的を達成できないところの法案になってしまった。それでは、当委員会において、いかに審議をしましても何にもならない。こういう面からも考え、また、これは現実の面からでありますけれども、大体昔は、政令事項で定めるものは、法案が出るときには、きちんと大体のものは出ておった。現在、それがなくして法案だけ出てくるということは、ほとんど官僚に政令委任してしまうということで、国会軽視であるというような意見さえ出ておるときでありますので、今後はこんなあわてて出してくるような、政令事項が多いというようなことではならない、こういうように、私はまず、政府の皆さんに特に注意を申し上げておきます。  そこで、まず最初にお聞きしたいのは、大気汚染防止法の定義の第二条、ここでこの第三号に  「物の燃焼、合成、分解その他の処理に伴い発生する物質のうち、カドミウム、塩素、弗化水素、鉛その他」と書いてありますけれども、その他政令で定めるもの、この政令の中には何が入るのか、ひとつもう一度はっきりとしておきたいと思いますが、まず、厚生省のほうからお聞きします。厚生省通産省の共管になっておりますからね。
  145. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 法律で例示をいたしております物質以外に一応、今後の指定対象として考えておりますのは、塩化水素、硫化水素あるいは窒素酸化物等でございますが、当面、今回六月の二十四日までに政令を制定し施行するにあたって、当面急を要しますので、規制基準等の対象としては、この法律にすでに例示になっております物質を考えております。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 公害対策本部の遠藤審議官来ていますね。——あなたのほうでは、今後環境保全庁ですか、こういうようなものができるようにいま法案が出てきておるわけですけれども、おそらくこの法案も将来環境保全庁のもとにいくのではないかということでありますので、環境保全庁の考え方、これをひとつ伺っておきたい。
  147. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 ただいま提出いたしております法律が認められますと、七月一日から、環境庁という名前になるかと思いますが、環境庁が発足いたします。その場合には、大気汚染防止法その他公害関係の主要法案は、先生お話のとおり私どものほうに引き継ぐわけでございます。  ただ、さしあたり対象といたしますものにつきましては、いままで各省で御検討いただいておりますような、いろいろな科学的なデータなり裏づけなり事情というものがございますので、さしあたって各省でおきめいただいたものを当座は引き継ぐことになろうかと思います。そのあとまた必要に応じまして逐次検討を重ねまして、必要なものはやっていくということになろうかと思います。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたは公害対策本部にいつ入ったのか知りませんけれども、先国会の当委員会の附帯決議をお読みになったと思うのですが、その中に、当委員会の決議として、窒素酸化物を入れるように、こういうように入っておりますけれども、それはやらないつもりなんですか、どうなんですか。
  149. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 仰せのとおり附帯決議の一番初めに、窒素酸化物等三つほどのものがあげてございます。そのものにつきましては、やらないということを申し上げておるわけではございませんで、逐次準備のでき次第やっていくという所存でございます。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、これは当法案を審議するときに、これだけは政令事項にしてもらいたいというところで私ども譲ったわけでありますので、窒素酸化物もこれは附帯決議のとおり政令事項の中に入れる、こう解釈してよろしいですね。
  151. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 六月までに制定いたします政令の中には、多少時間がかかるかと思いますけれども、将来の方向としては窒素酸化物は政令で指定する予定であります。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、これは時代の要求でありますから、この窒素酸化物は入れなければならぬ、こういうように思いますが、またあなたのほうもそうするということでありますが、そこで問題になってきますのは、今度この法案の二十三条の四項「都道府県知事は、気象状況の影響により大気の汚染が急激に著しくなり、人の健康又は生活環境に重大な被害が生ずる場合として政令で定める」ということは環境基準だと思うのですが、環境基準以上、そういう「事態が発生したときは、当該事態がばい煙に起因する場合にあつては、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、ばい煙」要するに、これはおそらく硫黄酸化物、こういうことだと思うのです。それから一酸化炭素が非常に多くなったとき、これは都道府県の公安委員会に対して「道路交通法の規定による措置をとるべきことを要請する」、こういうふうになっておりますけれども、要するにSO2がふえたときは、その発生源であるところの企業あるいはビル、それから一酸化炭素のふえたときは自動車、こういうことになろうと思うのですが、これは間違いございませんでしょうか。どうですか。
  153. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 そのとおりでございます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 一酸化炭素と亜硫酸ガス、この二つは仕分けはできると思うのです。ところが、窒素酸化物の場合はどういうように仕分けをするのか、その点が一つはっきりしてない、こういうように私、思うのですが、その点について……。
  155. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 先生御指摘のように、窒素酸化物については、そういう問題が事実ございます。当面私ども、ただ窒素酸化物について非常にいろいろ問題もございますので、ただいまのところは、緊急時の措置の政令の要件としましては、自動車排ガスの中における窒素酸化物については、これはたとえばオキシダントというような形において窒素酸化物を規制するというようなことを、ただいま検討いたしております。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境庁のほうへこの法案がくるわけですが、審議官、この窒素酸化物は車から出した分だ、この窒素酸化物は企業から出た分だ、こういうように分けることができますか。
  157. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 空気中における窒素酸化物が、排出発生源によりまして、これがどうかということは、従来のデータはございますけれども、具体的な場合にどうこうということは、なかなかむずかしい問題もあろうかと思います。  直接のお答えにならないかもしれませんが、実は窒素酸化物等につきましては、実はすでに厚生省の生活環境審議会の専門委員会で、環境基準設定の具体的作業に昨年から入っておりまして、ただいまのところ私どもは、いわば光化学シーズンの関係もございまして、できるだけ本年の早い機会に環境基準の結論をお出し願いたいということで、鋭意御検討を願っておるのでございますけれども、いろいろむずかしい問題がございまして、環境基準の数値としてあるいは結論が出ることは困難な場合も考えられますけれども、その場合におきましても、少なくともやはり、光化学スモッグの問題等もございますので、何らか暫定基準的な数値はお出し願いたい、そういうふうに実は期待しておるわけでございます。そういった専門委員会の結論等を見まして、政令等における規制については今後検討していきたい、そういうことでございます。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 こういう法律を都道府県知事に出しますと、非常に困るわけですよ。もしも車のほうに、君のところが窒素酸化物をよけい出しているのだ、こういうことになったときに、行政不服審査法というのですか、そういう訴訟を起こされたら、これは知事はどうしようもないわけですよ。だから、こういうところにやはりこの法案の不備があったのではないかということを私はつくづく——この審議過程において時間がなかったから、この問題を山中長官に詰めなかったのですけれども、あわててつくった法案ですから、いろいろ不備もあろうと思いますけれども、しかしそうした因果関係をはっきりとできないまま法律をつくられるでしょう。都道府県知事は非常に困るわけですよ。それについての公害対策本部、それから厚生省、それから通産省、それぞれの見解をひとつお聞きしたい。
  159. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 確かに先生御指摘の点は多々あろうかと存じます。地方公共団体に対しましていろいろ迷わせるような点もあろうかと思います。本部といたしましては、各省と協議をいたしまして、技術的な面もできる限り早く明らかにいたしまして、県が迷わないように何ぶんの指示をいたしたいというふうに存じております。
  160. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 窒素酸化物をばい煙の中及び自動車排出ガスの中に追加指定する件につきましては、今後の重要な検討課題として引き続き検討を行ないますが、当面私どもといたしましては、その前提ともいいます窒素酸化物等にかかわる環境基準の専門委員会作業をできるだけ促進をお願いいたしまして、何らかのめどが出ることを期待しておるわけでございます。
  161. 森口八郎

    ○森口政府委員 厚生省のほうで窒素酸化物についての環境基準がきめられるのに対応いたしまして、窒素酸化物に対する規制の作業厚生省と共同して至急検討を進めたいというふうに思っております。
  162. 岡本富夫

    ○岡本委員 法律を出しておいて、そうして附帯決議もつけて、窒素酸化物も入れますと、こういうように答弁もしておいて、そうして、これはあなた方が答弁したのじゃないけれども、山中長官だと思うのですが、あるいは厚生大臣もそうだった。そうしてこのまま都道府県知事に渡したわけですよ。これはどうしようもないんですね。これをこれから審議会にかけて、この法律に合わして何とかしてくれ、こういきましても、これは非常に問題があろうと思うんですよ。だから、ここであなたにとやかく言ってもしかたがないわけですけれども公害対策本部の審議官としては、ただいまのような簡単なことでなくして、やはり今後法改正というものをもう一ぺんやらなければいかぬと思う。そうでなければ、都道府県知事はどうしようもないと思う。これはどういうようなお考えを持っているか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  163. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 おくれて参りまして恐縮でございますが、窒素酸化物の問題ということでございますが、窒素酸化物につきましては、現在の大気汚染防止法でも当然規制はできるわけでございまして、法律そのものを改正することは必要ないわけでございます。ただ、規制の技術の問題その他もございますので、いま施行の当初からそこまでいかないというのが厚生省通産省答弁だと思うわけでございます。
  164. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに、気象状況の非常に悪くなったとき、緊急時のことを言っているんですね。緊急時に、この窒素酸化物が非常にたくさん出たときに、この二十三条の四項で規制できるのかどうか。これは都道府県知事が非常に迷うところなんですよ。もう一ぺん話しますけれども、城戸さんもこれはちょっとおかしいと思いませんか。
  165. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私、ちょっといま勘違いをいたしまして、常時排出規制のことだと思ったわけでございますが、緊急時の措置につきましては、当然そういう状態があれば、二十三条のそれぞれの条項に従いまして、都道府県知事が処置をする、こういうことで関係省から指導していきたい、こう思っているわけでございます。
  166. 岡本富夫

    ○岡本委員 城戸さん、あなたは初めから聞いてなかったからそんなことを言うのですけれども、確かに硫黄酸化物、SO2は、これはおもに大きな企業あるいはまた工場から出る。それからCO、これは自動車から出る。それはそれで、その量が多くなったときに、そのほうの緊急の措置をとるというのはわかるのですよ。ところが窒素酸化物については両方から出てくるわけだから、この二十三条の四項では都道府県知事が困るというのです。そうするとそれはまた別の条項が必要じゃないか、こういうふうに私は思うのですが、どうですか、その点について。
  167. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 先ほどお答えいたしましたように、先生の御指摘はまことにごもっともでございます。それで、私どもも緊急時の規制の基準の中に、NOXという形ではなくて、オキシダント等の基準という形で、この基準の数値を取り入れたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  168. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもはっきりしないのですが、こればかりやってもあれですが、窒素酸化物をこの中に入れたときに、ここで二十三条の四項に、都道府県知事がどうやっていいかということ、これがはっきりしないということをもう一ぺんよくひとつ検討していただいて、もう一項入れるか、要するに政令に定めるところの窒素酸化物が入った場合の、これを規制するときには、緊急時にはどうするかという一項目を入れなければ都道府県知事は困るわけです。きょうはもうこれ以上はあれですが、その点をもう一ペん検討し、そしてこの法に追加するか、あるいはまた改正するかということを検討するかどうかということを最後に一つ、これは城戸審議官にお願いします。
  169. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 窒素酸化物につきましては、これは常時排出規制も技術的に非常にむずかしいということもございますので、したがって、緊急時の措置についても、いろいろその辺が運用上むずかしい問題があるということだろうと思うわけでございますが、法律的には現在の法律の体系で私はいけるんじゃないかと思っております。したがって、この現行法を前提といたしまして、どういう形でやるのが一番、この窒素酸化物あるいはそれによって生じますオキシダントの問題、こういうことを前提にしました場合の緊急時の措置として適当であるかということは、十分関係省で相談をしてまいりたいと思っております。
  170. 岡本富夫

    ○岡本委員 城戸さん、あなたもよく知っていらっしゃるようにCO、すなわち一酸化炭素が減れば窒素酸化物がよけい出るのですね、これはよく御承知のように。いわゆる亜硫酸ガスは別だ。そういうように、特に一酸化炭素が減れば窒素酸化物がよけい出る。それを政令でこう規制していったときに、両方から出るわけですが、そうするとこの条項では、緊急時には取り締まることが、手を打つことができないのが現在の都道府県知事のあり方なんですよ。そういう意見、確かにそうです。ですからもう一つ、緊急時には、窒素酸化物が出たときにはこうするという確たるところの、あるいはこれに準ずる——準じてもだめだな。窒素酸化物を緊急時にはどういうふうにするということがもう一つここに特に必要になってくるのじゃないか、こういうように私は思うのですが、あなたはどうですか。あとから来てわからなかったらしかたないけど。
  171. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 政令で定める場合としまして、たとえばSO2の場合何PPM以上、COの場合何PPM以上、それと同じようにオキシダント、大体オゾンの、O3の形での基準になろうかと思いますけれども、O3何PPM、そういった数字を政令で定める場合で包括的に書けると考えております。
  172. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも話がかみ合わぬのですが、それはわかるのですよ。窒素酸化物の基準をきめるのはわかる。それがふえて、要するに気象状況の影響により緊急時にはどうするかということはここに出ているわけですからね。一酸化炭素の場合と硫黄酸化物の場合は、これではっきりしている。両方から出てくるところの窒素酸化物はどうするか、こう聞いているわけですよ。それを基準だけきめます、これじゃ話にならぬ、ぼくが言っているのと。だから、もう一度再検討するか、いまここで話してもしかたがないから、厚生、通産の両省とそれから公害対策本部で、もう一ぺん再検討するかどうか、これだけを最後にお聞きしておきます。
  173. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 ただいまのスケジュールは、先ほど来私が申し述べましたところでございますけれども、一方専門家委員会における環境基準設定の作業の推移も見ました上で、そのようなことが十分その時点までにできるということであれば、そのような方向で政令を定めたいというふうに考えています。
  174. 岡本富夫

    ○岡本委員 ほんとうは高辻法制局長官にやらなければいかぬところだったのですが、もう一ぺん検討してください。  これをやっているとおそくなりますから次に二十四条、都道府県知事は、大気汚染状況を公表しなければならない、こういうことになっておるのですけれども、この公表は一年に一ぺんなのか、十年に一ぺんなのか、あるいはまた一カ月に一ぺんなのか、ここのところがはっきりしていない、これはどうするのかということをはっきりひとつ。
  175. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 公表の時期、回数等でございますけれども、これはいずれ必要なら施行通牒で示すことになろうと思いますけれども、いまのところ別段、たとえば毎月やらなければいかぬ、あるいは年に何回やらなければいかぬということでなしに、原則的には知事にまかせようということでございます。
  176. 岡本富夫

    ○岡本委員 常時監視のほうも、これを見ますと、「知事は、大気の汚染状況を常時監視しなければならない。」ということになっておりまして、これも非常に抽象的なのです。こういったものの大体の基準を通達か、あるいはまたきめないと、公表しなければならぬのですから、十年に一ぺんぐらいするかということになるのだが、それじゃこの法律何にもならないということになるのですね。ですから、かってに知事にきめてもらったらいいのだというようなことでなしに、やはり一応の方向というものを示すべきだ、こういうように思うのですが、その点いかがですか。
  177. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 この規定の趣旨から見まして、年に少なくとも一回以上は当然という考えで、先ほど私年に数回と申し上げたのでございますけれども、何らかそういう点で誤解のないような基準的な考え方を通牒によって示したいという考えです。
  178. 岡本富夫

    ○岡本委員 御承知のように、大気汚染の姿というものは、一月それから八月と、秋、冬というように相当季節によって違うわけです。これは一々言ってもいいのですけれども。そうしますと、年に一ぺんということになりますと、正月の三日間というのはほとんど東京から富士が見えるくらいですから、こんなものを公表してもしかたがないし、また逆転層なんかできて非常に困るのが二月、これは去年でしたか、東京で四日間スモッグが続いておりますね。いつの時点に立って公表するのか、こういう面もはっきりしておきませんと、ただ年に一ぺんくらいの公表だけでは、それは一年じゅう全部公表するというのだったらよろしいけれども、また公表をした時点においてもう済んだ分だということになれば、これはそれによってその企業あるいはまたビル、そういったところから出すところのいろいろなものも検討しなければならぬと思うのです。それから緊急時の場合があるはずです。そういうときに公表しないということになっても、大気汚染防止の上から考えますと非常に話にならないのじゃないか、こういうようにも考えるのです。これを年に一ぺんだけやっておくというような、そんな簡単なことでなくして、やはりある程度の方向を示さなければならぬのじゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  179. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 監視測定自体は常時行なっておるわけでございますから、データとしては年間を通じてのものがあるわけでございまして、ただそれをどういう単位でくくって公表させるかという問題でございます。したがいまして、定期的にたとえば年に何回はやらなければいかぬ、その他こういう場合にはいわば臨時といいますか、随時といいますか、そういうような方向で、いずれにしましても先生の御趣旨に沿うように検討いたしたいと思います。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、第三条の排出基準につきまして、拡散方式をとるためにK値、要するに着地濃度を一本一本について計算をして出してくるようになっておる。そうすると、一本一本で出してくるところの計算でありますと、これは集合すると大気汚染の非常に大きな原因になるのです。ですから、たくさん出す場合は、煙突を分ければみな規制にひっかからない、こうなるのです。一つの工場でも一本で出せば相当ひっかかる場合も、分けると、一本一本で調べるとK値が低くなる、こうなるのです。それでは従来の環境基準というものを、ほんとうの大気汚染防止の目的を達成することができない。その点のところをひとつはっきりしてもらわないと地方自治体では困るわけです。それについての考え方をひとつ……。
  181. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 現在拡散方式によりまするK値規制をとっておるわけでございまして、さらに一般の基準で不十分な場合にはあるいは特別排出基準を設ける、あるいは今度の改正法におきまして、燃料規制というような考え方も取り入れたわけでございますけれども、しかしながら、先生御指摘のように、やはり相当汚染程度が著しくなってまいりますと、あるいはまた地区等によりまして必ずしもK値規制、拡散方式そのものが十分に働かないということも指摘されております。したがいまして、この問題は、いずれにしましても、私ども今後重要な検討課題でございますので、引き続き検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  182. 岡本富夫

    ○岡本委員 引き続き検討していただくのもよろしいですけれどもね……。  そこで、緊急時において燃料規制、燃料の転換、こういうことを知事が勧告したり命じたりすることができるわけですけれども、ビルあるいはまたそうした企業に、低硫黄の燃料を何日分くらい確保することを義務づけておるのか、あるいはかってにやれと言っているのか、この点について、何日分くらい調達すればいいのかということについて、これは城戸審議官のほうが一番よく御存じだろうと思うし、あるいはまた通産省のほうからでもいいです。
  183. 森口八郎

    ○森口政府委員 現在法律では、何日分持たなければいけないというようにきめてはおりません。ただ、製錬所等におきましては、六十日分を持つように指導いたしておりますし、大気の発生源におきます発電所等におきましても、備蓄を持つようにというような指導をいたしております。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは現実の証拠としまして東京でも四日間のスモッグがあったり、あるいはまた尼崎、各所でスモッグ警報がずいぶん出ておるわけです。その場合、なかなか燃料転換あるいはまた企業がきちっとしないわけですよね。これは非常に問題であると思うのです。よく調べると、低硫黄の燃料を確保していないところもある、あるいは確保していてもわずかというのでは、これから大気汚染のほんとうの行政指導というものはできないわけですよね。やはりそういうものの法規制というものは必要ではなかろうか。大体西ドイツでは八日間の原料を持つ、要するに低硫黄の重油を確保するというのが、きちっとしているわけです。なぜ八日間になったかというと、いままでの事態から見て八日以上の長いスモッグはなかったというような、過去五十年間、一週間以上スモッグは停滞しなかったという、その上からこうした八日間というものが出てきておるわけです。わが国においても、やはりこうしたところの規制というものがなければ、いかに都道府県知事が協力を求めましてもできないわけですね。そうしたきめのこまかい、やはり都道府県知事にある程度の権限を委譲するときには、国から指導をしていかなければならない。要するに地方自治体が、この大気汚染防止法をかわってやった場合に、きちんとできるようにしておかなければならない。それは法に入っておりませんから関係ありません、いつか通産大臣は、それは法律にうたわれていないからしかたないんだというようなことを参議院で答えられたこともありました。ですから、やはりこうしたところに、ほんとうに大気汚染を防止していこうという考えがなければならない。これは通産省として今後どういう指導をするか、あるいはまた法体系にしていくか、これについてひとつ荘局長にでもお答えいただきたい。
  185. 莊清

    ○莊政府委員 お答えいたします。  緊急時に対処するための計画の届け出制というのは現在もございまして、そこで企業から一応緊急時に講ずべき措置の計画をあらかじめ届けさせておくということで、一応省令上の書式等もあるわけでございます。ただ、御指摘のように、その措置内容として、一体低硫黄重油を何日分持つかというふうなことの計画の義務づけというふうなところは、実はいっておりません。結局、たとえば発電所の場合でございますと、低硫黄重油の確保も大切でございますが、同時に、たとえばなまだきをする、原油のなまだきをして、それによってS分を落としていくというふうなことも重要でございますし、それから一般の工場の場合には、何時間かの間であれば、ボイラーをフルの状態から一基か二基とめて能力をダウンする、それによってばい煙の濃度を押えるというふうなことをやったほうが実際的である。これは低硫黄重油の供給の実情とも関係いたしますが、各社現在くふうをいたしまして、都道府県知事から指令が出た場合には、一応届けてある計画に沿って誠意をもってやっておるものと私どもは実は見ております。今後、御指摘の点、低硫黄重油の確保の問題あるいはなまだき用原油の確保の問題等につきましては、全体の需給の関係もございますけれども企業指導いたしまして、そういう計画化をそこまで進めるような指導をぜひ検討し、つとめたい、かように考えております。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは大事な問題です。いまあなたおっしゃったように、機械をとめるとか、そういうことは無理なんですよ。特に化学工場なんかはそれは無理なんです。またビルの暖房にしたって無理なんです。この前私見たときに、厚生省だけとめておったですけれども。だから、いままでどこかしり抜けになっている。きょうの新聞を見ると、役人の天下りですかがずいぶんあるという。それは企業とべったりだというそこらにも問題があると思うのですけれども、やはりそうした計画というものをきちっと立てて、そして緊急時に備えていく。たとえば火災に備えて消火器を備えてあるのと同じだものね。いま荘さんから、そこまで今後計画しますということでありますから、これは一応了解しておきます。  次に十七条、ばいじんの中に、セメントのこういうものを入れておるのかどうか、これをもう一ぺんだけ確かめておきたいのです。
  187. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 セメント工場からの粉じんにつきましては、十八条の粉じん発生施設としてとらえることにいたしております。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 十八条を準用することになっていますね。セメントの工場の粉じんについても非常に問題になっておるわけですが、きょうはこれでおきます。  次に二十条、これは運輸省ですよ。自動車排気ガスについて、国は五・五%、それから東京都は五%、こういうようになっておるわけでありますけれども、これについての見解あるいはきめたときの状況というものをひとつ知らせていただきたい。
  189. 隅田豊

    ○隅田説明員 お答え申し上げます。  昨年八月に国が車両検査をやりますときの基準といたしまして、CO五・五%というものを定めました。これは定めました基礎は、車検場におきまして、規制に入る前に相当数の車両につきまして、実際の状態を調べてみまして、その結果、約半数の車は五・五%以上でございました。半数以下が大体合格する状態でございました。  それからもう一つ、その五・五%以上の車につきまして、どういう状態でこれを五・五%以下にできるかということを、あわせて同時に調査したわけでございます。その中で、これは約一割弱でございますが、その程度の車はキャブレーターまで交換するというような、何と申しますか、ある程度の大修理をやらなければ合格する状態にはならない。しかし、それ以外のものにつきましては、一応定期点検的な調整をやりますと入るであろうということのめどがつきましたので、そういう結果をもとにいたしまして、五・五%に定めております。  東京都のほうで五・〇%として指導しておられることは、私どもも承知しておりますが、これは確かに私ども五・五%として国の基準をきめました場合には、これは五・五%をこえたものは、一応保安基準違反になりまして、極端な場合には、これは走ることができないという強制的な権限があるわけでございます。それに対しまして、東京都が一つの行政指導として、それよりも〇・五%低い五%という数字を出して勧告をしておられますが、これは私どももけっこうなことだと思っております。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、大体諸外国の例はどうなんですか、ヨーロッパあたりの例は。ヨーロッパでは四・五%です。早稲田の先生が中心になって審議会みたいなものをやったわけですが、このときに大体外国並みにしょう、四・五%にしよう、しかし少しぐらいゆるやかでいいだろうということで大体五%にきまった。それを国が自動車局長の名前で、何か閣議にばっとかけて、さっそく発表してしまったというようないきさつを私は聞いているのです。あなたのいまの答えによると、実態調査して、そうしてその実態に合わそうとしている。大気汚染防止の上からの実態じゃないんだな。自動車産業のほうの実態に合わしている。そこらあたりが、どうもぼくは納得いかない。それについてもう一度……。
  191. 隅田豊

    ○隅田説明員 先ほど申しました五・五%という数字が、いま現在もうすでに使用者の手に渡っておるわけでありまして、世の中で使われている車に対する規制の数字でございます。そういう意味では、まだアイドル規制について全部をお話ししているわけではないのでございますが、メーカーから出る車に対しまして、要するに新車につきましては、これは四・五%で押える。先ほど先生がお話しになりました、たとえば外国の四・五%という数字、これは西ドイツにおいても、フランスにおいても一応四・五%プラスマイナス一%のあれを持っておりますが、これはいずれもメーカーの段階の、型式の段階での基準でございます。その点においては外国がよりいいということはないと思いますし、メーカーの実態を調べてということでもございませんで、現実にいま世の中に走っている車についての実態を調べてきめたわけでございます。したがって、これは保安基準できめておりますので、不合格な車は走れません。とにかく世の中から抹殺しても差しつかえないような車をつくるわけにはまいりません。それで実情に合わないということでございますが、そういう意味でメーカーのほうの車の質が徐々に向上してきておりますから、メーカーのほうもシビアになりつつあるわけでございますから、この五・五%をさらに下げることも可能になるであろうと思っております。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、この車が四・五%であるか、五・五%であるか、あるいは七%であるかという表示は、どういうふうにして——たとえば車が走っていますね、これを取り締まるのは、道交法によって警察官だと思うのですよ。一々持っていって調べなければわからないのか、いまやっていますけれども……。西ドイツでは全部車検に書いているのですね。そうすると、ばっとおまわりさんがわかるわけですが、そういうような規制については、あなたはどういうように考えておられますか。
  193. 隅田豊

    ○隅田説明員 現実に走っている車がどの程度のガスを出すかということは、これはユーザーの整備状況その他で非常に変わってまいります。したがって、私どもが、西ドイツでどういう数字を検査証に書いているか、ちょっと材料を持っておりませんので知りませんが、現実に走っている車が、メーカーの段階でどういう性能であったかということは、これは先ほど申し上げましたアイドル規制におきましては四・五%以下、いわゆるフォアモード測定では二・五%以下ということになっているわけでございまして、検査証にそれをどういうふうに書いているか、それは街頭の取り締まり実態がどうであるかということとはちょっと関係がないのじゃないかと思います。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに取り締まり官が、すぐ取り締まれるようなものでないと、この車の車検ですか、紙っぺらですからね、その間は野放しということになっているわけです。ぼくの調べたところでは、西ドイツの場合には、排気ガスの量を示す、騒音の量を示すというふうに車検にちゃんと書いてある。だから、取り締まり官が、これを見たらすぐわかる、こういうようなところまではっきりしている。あなたは帰って勉強してください。そのように親切にできているわけなんです。このいまの状態では、ほんとうに基準をきめただけであって、大気汚染の原因が非常に多くなってきているわけです。それをもっとすみやかに、もっと簡単に取り締まり、そして大気汚染の原因を防いでいく、そうした姿勢がなければならない、こういうふうに私は思うのですが、さらにひとつ検討をしていただきたい。これについて決意だけを伺っておきましょう。
  195. 隅田豊

    ○隅田説明員 御説のとおり自動車は、その使用状態によりまして、ユーザーの整備状況によりまして、ことに排気ガスにおいては非常に影響がございます。そういう意味では、走っている実情、使われている実態に合わせて、その基準をどういうふうに守らせるかということが大事なことだと思います。  また一方において、街頭においてどういうふうにその間チェックしていくかということも大事でございます。  もう一つは、ユーザーにどうやって定期的な点検整備をやらせるか、これも一つのやり方でございます。そういういろいろなやり方を含めまして、御趣旨に沿いましてこれからの措置を進めてまいりたいと思います。
  196. 岡本富夫

    ○岡本委員 こればかりやっていると何ですから、次に環境基準について最後にお聞きしたいのですが、亜硫酸ガスの環境基準が、年間を通じて〇・〇五PPM、一時間平均ですね。こういうことで、いまきまっておりますけれども、この環境基準については、先国会でさらに検討して変更するにやぶさかではないというように厚生大臣も答えておったわけでありますけれども、いまの〇・ ○五PPMでありますと、これは大阪府の成人病センターで調査した結果、〇・〇五PPMの場合は、三・九三%の有症率がある。そうすると、あなたのほうで、おそらくそうした気管支炎というものは普通でもあるのだ、こういうようにもお答えになるかもしれませんが、それに対して大阪府の北部あるいはまた淡路島、こういうところで五千百十一人を調査したところが、慢性の気管支炎の有症率は二・四八%ということになりますと、やはり〇・〇五PPMでは、これはまだ非常に病気になる率が多いのではないか。こっちの調査によると、少なくとも〇・〇三PPMまで押えなければならぬのじゃないかというような意見も出ているのですが、要するに、この亜硫酸ガスの環境基準についてどういうふうな考えを持っているか、また今後どうしていくか、それについてひとつ……。これは通産省通産がいいでしょうね。
  197. 曾根田郁夫

    曾曽根田政府委員 硫黄酸化物の環境基準は、先生御指摘のように、〇・〇五PPMという数字が採用されましたのは、一応専門委員会等の医学的な検討の結果に基づくものでございまして、当時いわれましたのは、慢性気管支炎等の疾病の有症率が、〇・〇五PPM以上になると非汚染対象地域に比べて有症率が約倍になる。それが大体五%であるという数字が基礎になっております。最近大阪等から出たデータでは三・九%という有症率も新聞紙上に出ておりますけれども、一応当時の五%という数字がその基礎とされております。問題は、そういったものが基礎になって定められた〇・〇五という環境基準を、今後も引き続き維持してもよいのかどうかということになるわけでございますけれども、一方現在の環境基準でも、なおかつこの基準達成までに五年あるいは十年というような期間を要するというような事態もございますので、そういった点も考えながら、この環境基準の改定問題は慎重に考えなければいかぬ。気持ちの上ではやはり逐次引き下げていく方向でなければならぬと思いますけれども、具体的に、いつの時点でどこまでということについては、いましばらく時間をおかし願いたいと思うわけでございます。
  198. 岡本富夫

    ○岡本委員 これではこの環境基準達成までまだかかるというところもあります。確かに尼崎なんかは〇・八四ですからね。しかし、このままほっておきますと、どんどん病気がふえるわけですよ。私の知っているのなんかは、西宮市から尼崎へ来て一年たつと、もう一家離散というような、いろいろな状況があるわけですが、それについて立地規制とか、いろいろなことをやっていかなければならぬと思うのです。あるいは工場分散もやっていかなければならぬと思うのですが、やはり国民の健康を一番に置いた面から環境基準というものを押えて、そしてそれに対するところのいろいろな対策をとっていかなければ、〇・〇五まで押えて、そしてこういうものをつくりました、やっとこうなりました、次は〇・〇三にします、こうやられると、困るのは企業なんです。私ずっと回りまして、せっかくつくった施設を、また基準が強くなったからもう一ぺんやり直さぬといかぬ。特にメッキ工場なんか困っておる。これは大気汚染とは関係ないですけれども、水質汚濁のほうですが、少しずつ規制をやられたのでは非常に困るのは企業なんですよ。だから通産省のほうも、ひとつ環境基準をきめるときに、厚生省のほうからここまでといえば、反対せずに、思い切って一応そこまで環境基準をきめる。それに対していろいろと対処していくということでないと、結局は困るのは国民であると同時に企業家もそうなんです。そこらは、少しずつきつくしていくという考えは大きな間違いだと思うのですよ。実態に合っていない。ですから、きょうは大臣がいないからあれですけれども、皆さん方もそうしたほんとうの実態を出していただいて、今後の環境基準の設定にあたって、もう一度、極力早い日に、患者が続出しているところの現在の国の基準を変えなければならぬというように、ひとつ強い決意で臨んでもらいたいと思います。  次に、公害防止をやかましく言っていくと、どうしても必要なのは費用でございますが、公害防止事業団の事業範囲というものは、いままで指定地域に限っておったわけです。これは、今度の大気汚染防止法でも、水質汚濁防止法にしましても、全国的に一律ということになれば、この事業活動の範囲もどうしてもやはり全国的に広げなければならぬ、こういうようなことにならないと、公害防止事業の活動ができないと思うのですが、この事業団法の改正、あるいはまた施行令の改正ですか、この事業活動の改正をやることができるかどうか、これは通産と厚生の両省の関係ですが、どうですか。
  199. 森口八郎

    ○森口政府委員 仰せのとおり、公害規制が全国的に拡大されることになりましたが、現在の公害防止事業団法では、指定地域等に存在をいたします企業公害防止施設しか配慮することができないという点で、若干そごをいたすことに相なるわけでございます。したがいまして、公害防止事業団の施行令を改めまして、企業者公害規制に対応し得るような形で融資ができるというようなかっこうに直していきたいということで、現在大蔵省と折衝をいたしております。おそらくそういう形でまとまるのではないかというような見通しでございます。
  200. 岡本富夫

    ○岡本委員 公害対策本部の城戸審議官、あなたもよく御存じだと思うのですが、いまの森口公害部長の話のように、これはもう厚生省通産省も総理府も一緒になって大蔵省を説得して、極力早くやっていただかないと、法案に出てくる、それからいろいろと条例も出てくる、今度は企業のほうも金を借りるために、あるいはそれをするために、やはり公害防止事業団の金が必要になってくるわけですから、それに合わせたような、ちぐはくでないように、そういう時期にできるようにちゃんと大蔵省と折衝して、大蔵省もけしからぬですけれども、ちゃんと答えをとり、その執行ができるようにしていただきたいと思うのですが、その点について決意を伺いたい。
  201. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 いま先生御指摘のように、現在指定地域がなくなろうという段階で、その範囲だけに限られるということも適当でございませんので、私どもぜひそういう広い範囲事業活動ができるように、事業団の方向づけをしたいと思っております。大臣も前にその旨を当委員会等でも表明いたしていると思うわけでございますので、できるだけ努力をいたします。
  202. 岡本富夫

    ○岡本委員 努力だけではだめですよ、ちゃんとやってくれないとね。  次に、通産省に、公害の防止の管理者、責任者を各企業に義務づけるようにということで、これはわれわれ三党の政審会長会談でもきめまして、申し入れをやったのですが、その後の経過あるいはまたどういうように考えておるか、その辺についてひとつ伺いたい。
  203. 莊清

    ○莊政府委員 産業構造審議会という機関が通産省にございまして、その中に、本問題について検討する特別の小委員会をつくりまして、せんだって答申をいただいたところでございます。それに基づきまして、企業の中に公害防止組織をつくることを立法化するということで、事務的な準備を進めておりまして、現在法制局と条文について御相談している最中でございます。できる限り今国会に出すということで、いま法制局でやっておる、こういう状況でございます。
  204. 岡本富夫

    ○岡本委員 それについてやはり国家試験を受けさせるとか、あるいはまたそうした、たとえば電気なら一種、二種、三種とあるように、そうしたところの試験、要するに技術のそうした資格を持った者でなければならない。ただ、この企業公害が出た、その責任者であるから罰せられるのだ、だれでもかまわぬというようなことになったのじゃ、こんなことではこの企業を総括しているところの社長、あるいはまた工場長、ここへ一つも責任がいかずに、その人が全部かぶってしまうというような、逆に悪用されるということでは相ならない。だからその点は、荘局長にもう一ぺん答弁をいただきたいと思います。そういうことのないように、きちっと国家試験の資格を持った者……。
  205. 莊清

    ○莊政府委員 申し上げましたような企業内の公害防止組織を法律で定めます以上は、専門の技術屋というものを置くということも、当然に企業に要求することに法律上なってまいります。その場合には、国の試験もしくは国が妥当と認めた資格要件に該当する者ということが、当然に他の立法例同様要請されるわけでございますけれども、私ども現在考えております考え方でまいりましても、そういう専門の第一線の技術屋の人にだけ責任を問う、そういうふうな立法では考えておりません。
  206. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、今国会に出てくるそうですから、それはあとで審議しましょう。  そこで約束の時間がきましたから結論を次に申し上げますが、次に質問したいことは、農林省来ていますか。——土壌汚染防止法が先国会でできましたけれども、この土壌汚染の中で、カドミウムの客土の入れかえというようなことも話があったわけですので、一つの提案といたしまして、ヘビノネゴザという植物がある、これはカドミを食う植物だ、これは東大の農学部の植物栄養肥料研究室で実験中である、こういうように私どものほうで調べてきたわけです。これについてのあなたのほうの御意見、あるいはまたこれが非常に有効であれば、安中だとか、黒部とか、磐梯地区、あるいは大阪あたりにも、このカドミに汚染された土地がだいぶありますが、これがほんとうにうまくいけばそれで全部とればいい。私も、これは一番最初イタイイタイ病の研究に神通川へ行ったときに、そういうものがあれば非常にいいのじゃないかということを考えておったわけですけれども、これについての御意見いかがですか。
  207. 加賀山國雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。ただいまの岡本先生御指摘のヘビノネゴザでございますか私も初めて伺ったわけでございまして、従来から、作物別にカドミウムの吸収が違うということがあるというのはわれわれも考えておりまして、たとえばカドミウム汚染地帯で、米からいろいろな作物に転換しようという場合に、口に入らないものでカドミウムの吸収のいいようなものがあれば、先生御指摘になりましたように転換するというのは非常に得策だとは思っておりますけれども、現在のところ、それについての試験がまだ十分でないということで研究いたさせておりますし、いま御指摘の東大の農学部でヘビノネゴザでございますか、そういうものを研究しているということも私初めて伺ったわけでございますが、さっそく連絡をしてみまして内容等について研究してみたい、かように思っております。
  208. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、農林省に一言言っておかなければならぬことは、かつて農地局長ですか、どのくらい全国に汚染されたところがあるのだといっても、ほとんど調査ができてない。いまどんどんこうしてあっちこっちで汚染された田畑があるわけですね。いま米がたくさんあるから、そんなところまで手をかけぬでもいいというようにいいかげんに考えておるのかもしれませんが、野菜についても、そういうことを考えたときに、もっと真剣に汚染された田畑の対策を考えなければならぬのではないか。これはヘビノネゴザをやると、約二年で汚染の田は生き返るというようなことも、一つの資料が出ておるわけですが、あなたそれは聞き初めだというようなことではほんとうにいろいろな対策をやってなかったのではないか、これはあなた関係ないとはいえないと思うのです。だから、もっと真剣にこの問題に取り組んでもらいたい、それを要求しておきます。  時間がないようですから、最後に、スモン病患者が全国で約八千人から一万人おるというように推定されておる。大阪のスモン調査会がサル実験の結果、キノホルム説が有力視されておる。この調査結果を尊重するか、また四十四年九月から厚生省でこうした調査研究をやっておるようでありますが、その成果はどうなっておるのかあるいは対策はどうか、これについて最後に公衆衛生局長から伺いたい。
  209. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 スモン病の患者数でありますが、実態調査によりまして四十三年度末は四千二百八十でございますが、四十四年度末で疑いの患者も含めまして七千八百という数字が出ております。  お尋ねのキノホルムの問題につきましては、昨年の九月八日にスモンの研究協議会のほうから一つの有力な見解としてキノホルムを多量に服用しておる患者からスモンが出るという見解の御発表がございましたので、厚生省といたしましては薬務局においてキノホルムの一般国民への影響を考慮してこれが販売を停止したわけでございます。実はキノホルムの問題を中心にいたしまして昨日、一昨日、スモン研究協議会が東京で会議を開きまして、七十七名の方々が各方面からこの問題を発表したのでございます。結論を申しますと、新聞等で御承知のように、キノホルムによる完全な原因説はまだ成立しない状態でございまして、ウイルス説あるいはその他の説がまだございまして結論は出なかったような次第でございます。  これに対する厚生省の従来の措置でございますが、四十四年度、科学技術庁から緊急的な研究促進費を三千万導入いたしまして、厚生省の五百万と合わせて三千五百万で、スモン研究協議会を全国各地の学者の先生方にお願いして組織し、実態と原因と病理と、それから臨床面からの研究を開始したわけでございまして、四十五年度はこれを、厚生省として独自に特別研究費を五千万いただいております。四十六年度はこれが対策といたしまして一億の特別研究費を用意してございますが、この中身は従来原因その他の追及を主といたしましたが、国民一般の世論等もございますし、またスモン患者の治療に多額の経費を要するという世論もございまして、治療研究の名目で重症患者等あるいは長期の療養者等に対する患者の負担の軽減をはかる必要があるというあわせた意味をもちまして、一部の患者を、治療研究という形で自己負担の軽減をはかってまいりたい。これを合わせまして一億でございますが、この中身の配分につきましては、昨日四十五年度の研究発表が終了したばかりでございまして、四十六年度の計画につきましては、今後打ち合わせた上研究費を配分することにいたしておりますので、引き続きこれが原因の追及につきましては、日本独自の疾患でございますので、われわれとしても、原因が明らかになるまでこの対策を続けるつもりでございます。
  210. 岡本富夫

    ○岡本委員 こういったスモン患者、私の近所にもおるわけですが、岡山県の例を見ると、一人平均月に十二万から十三万かかっておる、また高額な人は三十万もかかっているというようなことも聞いているわけですが、このキノホルム説もまだはっきりしていないというようでありますけれども、サルの研究なんかを見ますと、大体はっきりしてきたのではないか。この薬を使うのを許可したのは厚生省だ。そういうことになりますと、やはりスモン病患者の救済を、この際公害病の認定患者のような救済の特別措置法をつくっていかなければならないのではないか。いまあなたのほうでは、患者に対して、入院した人に対しては何とか見ようという話でありますけれども、世論ではなくして——世論もあります。世論もありますけれども、実際困っているのはその人たちなのですから、この八千人になんなんとする人たち、まだふえるかもわからない、こういう点について、もう少し前向きな救済措置考えていただきたい。  これを要求いたしまして、きょうはこれで終わります。
  211. 小林信一

    小林委員長 古寺宏君。
  212. 古寺宏

    ○古寺委員 去る二月二十五日に、ただいまお話がございました厚生省のスモン調査研究協議会が、日本都市センターで今月の一日と二日に行なわれる予定になっておりまして、この総会に農林省家畜衛生試験場の本間惣太主任研究官が、犬の農薬中毒症状に見られた臨床症状、眼底、脊髄及び末梢神経の変化という研究発表を予定することになっておりました。これはすでにプログラムに印刷になっておりまして、出席を予定されておったのですが、二十三日に突然甲野会長から、農林省の要求によって発表を取り下げてほしい、こういう連絡がございまして、これは実現しなかったわけでございます。このことについて、私が厚生省にお願いしておったのでございますが、その後どういうふうになっておるのか、その事情について御説明を願いたいと思います。
  213. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生からただいまの問題の御指摘がございまして、その後研究協議会の甲野礼作会長と連絡をとりましたところ、御指摘のような事実がございました。  厚生省といたしましては、プログラムに掲載し、御発表があるというふうに会長も期待しておったわけでございますが、どういう事情に基づくものか、その点はわれわれも農林省の事務当局に、このような事実が先生からお尋ねがあり、先生のお考えとしては、やはり発表させるべきではないかというお考えであることもお伝えしたのでございまして、厚生省といたしましては、発表していただくように処置しておったというわけでございます。
  214. 古寺宏

    ○古寺委員 農林省にお尋ねをいたしますが、どういうわけで農林省がこれを取り下げたのか、事情を説明してください。
  215. 立川基

    ○立川政府委員 いまの点について経過を若干御説明申し上げます。  スモン調査研究協議会から、二月十日付で直接本間技官あてに研究発表の御要請がございまして、本間技官から家畜衛生試験場長に二月十五日付で研究発表の伺いが提出されたわけでございます。  先生御案内と思いますけれども、われわれの試験研究機関におきましては、大体、試験研究の結果が出ますと、部内で関係者が協議し検討をいたしまして、その上でそれぞれの専門の学会なり、あるいは外部の研究会に発表するようになっておるわけでございます。  そこで、家畜衛生試験場長に本間技官から二月十五日付でいまの発表伺いが出ましたものですから、従来の慣行によりまして部内で専門的な研究をやりまして、二十二日に場議にかけまして、場長以下関係の部長が集まりまして検討いたしました結果、その本間技官の研究の内容というのが有機燐剤の犬に対します投与実験でございまして、その研究内容が、獣医学の分野のうちで特に家畜中毒に関するものという考え方から、これはまず獣医学会に発表して、そこでいろいろと検討してもらって、結果を外部の研究会に発表するのが適当ではなかろうか、そういうことに判断されましたので、スモン調査研究協議会に発表中止のことを会長にもお願いをしますと同時に、もちろん本人の了解を得まして、発表の中止と、それから近く開かれますところの獣医学会にその研究を発表していただく、そこで獣医学的観点から十分に検討していただくことがまず必要ではなかろうか、そういうふうに考えていまのような措置をとったわけでございます。
  216. 古寺宏

    ○古寺委員 どういう理由によってそういう処置をおとりになったのですか。
  217. 立川基

    ○立川政府委員 ですから、先ほど申し上げましたように、本間技官の研究内容というものが犬に対します投与実験で、その点獣医学的観点からいたしましての研究でございますので、そういう趣旨からまず獣医学会で十分に検討していただいて、その上で外部にいろいろと検討していただくということが必要ではないかというふうに考えたわけでございます。
  218. 古寺宏

    ○古寺委員 あなたにもう一回お尋ねします。  それでは、スモン調査研究協議会の総会に犬の実験とか動物実験の研究発表をする場合には、獣医学に出てからでなければ出られないのですか。回答してください。
  219. 立川基

    ○立川政府委員 先ほどから申し上げますように、問題が問題でございますので、まず獣医学会なりあるいは内部の検討その他を十分尽くした上で外部に発表することが適当だというふうに考えたわけでございます。
  220. 古寺宏

    ○古寺委員 ですから、なぜ獣医学会で発表しないうちは、スモン調査研究協議会の総会で発表できないのですか、その理由を明らかにしてください。
  221. 立川基

    ○立川政府委員 こまかい点はあと技術的に川井参事官のほうから御説明させますけれども、研究の内容そのものが、疫学的な観点からではなくて、獣医学的な観点からの研究であるというふうに考えて、その獣医学的な観点についての検討を十分にやった上で、その上で外に発表するのが適当だというふうに考えたわけでございます。
  222. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、あなたはこの本間惣太先生の実験のデータをごらんになったのですか。
  223. 立川基

    ○立川政府委員 データそれ自体は、私は専門家でございませんので詳しくは見てはおりませんけれども、その概要につきましては、別途参事官から御説明させます。
  224. 川井一之

    ○川井説明員 ただいま局長から、発表の経緯について御説明をいたしたわけでございますが、この本間技官の研究の性格につきましては、農薬を家畜に投与してその影響を見るということが主眼になっておりまして、したがいまして、一種の農薬による中毒の現象を病理学的に解明するというところを研究のねらいにした実験であったわけでございます。  そういうことで、実は先ほどもございましたように、試験場で一つの研究成果を発表いたします場合に、その研究の性格、内容と、発表の方法というものを中心にいたしまして、これまで長い間家畜衛生試験場では一つの発表委員会というものを置いておりまして、その専門家による発表委員会の検討の場を経て、どういう方法、どういう内容で発表したらいいかというものを大体そこできめて発表するという仕組みになっておるわけでございます。  そこで、いろいろ各中毒関係、病理関係、その他の専門家が集まりまして、その研究の成果を検討した結果、まずその研究のオリジナリティーという面から申すと、やはり獣医学の中毒関係の性格である。したがって、家畜と農薬の関係が問題でございますので、獣医学会のその方面の病理学会に発表いたしまして、そういう専門家のいろいろ御批判を得るということがまず適当ではないかという結論になりまして、そういうふうに措置をせられたというふうに聞いております。
  225. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、人間と家畜と共通の病気の場合はどうなんですか。われわれはウイルス学会においても、あるいは寄生虫の学会においても、いろいろな学会に出ているじゃありませんか。そういう人たちは、みんな獣医学会を経て出ているわけじゃないですよ。今回のスモンの総会においても、犬の実験もあれば、サルの実験もあれば、みんな出ております。そういう方々は、それでは全部その獣医学会を通らなければ出席できないわけですか。
  226. 川井一之

    ○川井説明員 私の申し上げましたのは、家畜衛生試験場の研究者が、そこで行なった研究を外に発表する場合にどうされるかということについて申し上げたわけでございまして、特に家畜衛生試験場といたしましては、農薬が家畜に及ぼす影響という点を中心にして行なった研究でございますので、ただいま申し上げましたような内部の検討を経て、まず獣医学会で発表するのが学問的に適切であるという判断のもとに指導が行なわれたというふうに考えております。
  227. 古寺宏

    ○古寺委員 本間先生は、前にきちっと日本臨床眼科学会の総会にも出席しております。「医学のあゆみ」にもちゃんとデータが載っておりますよ。それを、なぜ今回に限って出席をさせないのですか。
  228. 川井一之

    ○川井説明員 今回につきましては、本間技官から研究の発表につきまして、場長に発表の伺いが提出されたわけでございます。したがいまして、発表の伺いが提出されたという意味は、その研究内容につきまして、従来、場の中で学問的に発表委員会を持っておりまして、かなりそこでの検討を行なっておりますが、そこの検討が必要であるということで行なわれたわけでございます。発表伺いが出されたということを一つの契機にして行なわれたということでございます。
  229. 小林信一

    小林委員長 古寺君に申し上げますが、家畜衛生試験場長が来ておりますよ。
  230. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、私はあなたに申し上げたいのですが、二十三日の時点で本間先生の上司である部長さんがちゃんと許可しているじゃありませんか、二十三日の朝に、スモンには触れないでくれ、そういうことを言ってきちっと許可しているじゃありませんか。それはどういうわけですか。
  231. 川井一之

    ○川井説明員 発表の最終的な許可は、場長が行なうわけでございます。おそらく部長としては、それをもし発表するとすれば、こういう点の配慮が必要ではないかという点の意見を申し上げたということではないかと思うのですが、発表を、よろしいという形での許可がおりたということはわれわれ聞いておりません。
  232. 古寺宏

    ○古寺委員 二十二日にきちっと場長さんも一緒になって相談しているわけですよ。そうして二十三日に検討することになっておるわけですよ。あなたそういう事情を知らぬでそういうことをおっしゃるわけでしょう。なぜ家畜衛生試験場においては、獣医学会を経なければそういう研究会には出席できないのですか。その根拠は何ですか。
  233. 川井一之

    ○川井説明員 私の申し上げておりますのは、獣医学会の発表を経なければスモン協議会に発表できないという趣旨を申し上げたのではなくて、学問的にまず獣医学会での検討を経ることが適当であろうという専門家の意見を、妥当であるというふうに考えて申し上げたわけでございます。
  234. 古寺宏

    ○古寺委員 あなたは、よく事情をお知りになっていないと私は思うのです。本間先生のおかあさんは、昭和四十四年の九月に発病いたしまして、スモン病になったのです。失明したのです。現在動けないのです。毎月二十万円も医療費がかかる。しかも、それが二カ月間農薬を使用している間にそういう病状になった。自分としては、農薬と家畜の関係を何とか究明したい。それが少しでも自分のおかあさんの病気に、あるいはまた同じ病気で悩んでいる人たちのためになればいい、そういうことを願って、自分の職務時間以外の貴重な時間をさいてこの研究を続けてこられたのです。しかも、このスモンの研究対策協議会ですか、この総会に出席をしてくださるように要請されているじゃありませんか。  いまお話がありましたように、八千人を超える患者さんにしてみなさい。自分が伝染病なのか、こんなに医療費がかかって、一日も早くよくなりたい、こういうふうに心から願っておる。そういうすばらしい研究成果もあるのに、なぜそれを引きとめようとするのですか。もう一回答弁してください。
  235. 川井一之

    ○川井説明員 スモン病につきまして、キノホルム説とか、あるいはウイルス説とかいろいろ学問的な原因究明の論議が進んでおるわけですが、本間技官が、この研究で、農薬の影響ということを考えてやられたという点は、意味としてはわかるわけでございますけれども、農薬を家畜に与えた場合にいろいろな影響が出てくる、私は専門でありませんのでよくわかりませんが、あるいはそれが何らかのファクターをなすかどうか、その点はこれからの究明事項であろうと思いますが、まずその農薬が家畜に及ぼす影響というものが学問的にどういうものであるかというものを究明すること自体、一つの研究の段階としては当然必要であろうというふうに考えます。それがさらにスモン病の原因になるのかどうかという点の究明が、おそらくその次の段階として学問的に究明されていくべき問題ではないかというふうに私自身は感じております。
  236. 古寺宏

    ○古寺委員 まだこの研究が、農薬がスモンの原因であるかどうかということははっきりしておりません。しかしながら、人間以外の家畜にスモンという病気が存在しているかもわかりませんよ。そういう場合はどうなんですか。
  237. 川井一之

    ○川井説明員 私は、その点についてお答えする専門的能力がございませんのでお答えできませんが、要するに家畜の持っているものがあるいは人間に共通する病気であるかもしれないというような意味でお話があったのかと思いますが、当然そういう場合も、科学的におそらくないという説明、解明がなされるまでは、可能性としてはおそらくあるのではないかと思います。しかしながら、試験研究の性格から見まして、家畜について、獣医学的な観点から行なわれるものにつきましては、まず獣医学的な観点からの評価を得るということは、研究の性格としては当然ではないかというふうに考えております。ただし、その専門家のいろいろな評価を経まして、それが、いま問題になっているスモン病との関連でさらにどういう点が問題であるかという点がだんだん明確になってくれば、これは研究の性格上、その要因をなすかどうかという研究が進められるということは当然あっていい問題ではないかというふうに思います。
  238. 古寺宏

    ○古寺委員 あなたは、何べん言っても、それで突っぱるでしょう。しかし、日本臨床眼科学会の総会というのは、このスモンの研究調査会の総会よりも大きいのですよ。日本国じゅうの眼科のお医者さんの総会ですよ。そういうところにはきちっと出席をしている。許可を得て出席をしておりますよ。なぜ厚生省のこういう協議会には出席できないのですか。どういう根拠に基づくのか、どういう道理によるのですか。まだ一回も、どこの学会にも出ておらない、あるいは「医学のあゆみ」等にも文献が発表になっていないというなら話はわかりますよ。すでにもう出席をし、発表しておる、しかも、この本間先生のおやりになった内容、データを、全部検討しないで、一部分だけを見て、そして一方的にこういうふうに中止したということは、私は納得いかない。どういうわけです。
  239. 川井一之

    ○川井説明員 この点につきましては、先ほど申し上げましたように、試験場の中に、それぞれ病理あるいは中毒その他専門の研究者がおるわけでございます。その研究者の段階で、研究内容を科学的、学術的に検討した結果そういう結論が出されたということをわれわれは聞いておるわけでございます。
  240. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、申しわけないですが、場長さんに御答弁をお願いします。
  241. 藤田潯吉

    ○藤田説明員 ただいまの件の眼科学会ですか、そこに発表してあるのに、なぜスモン協議会に発表させないかという御質問について、私御説明申し上げますと、これは本間技官の手落ちか、あるいは監督者の手落ちかしれませんですが、発表伺いは提出されておらない。従来の慣例で、衛生試験場の研究報告をいろいろな学会に出すときには、一応発表伺いを出すのが慣例になっておりまして、本間さんは、眼科学会の発表については、私の調べた範囲では発表伺いが提出されておりませんので、したがって、チェックすることができなかったのでそういうふうになったというふうに私は御説明を申し上げます。
  242. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど、あなたの前に川井研究参事官がそういうお伺いをちゃんと出しているというふうに説明したのです。あなたと違うじゃないですか。
  243. 藤田潯吉

    ○藤田説明員 それは今度のスモン協議会に対する発表伺いが出たのでございます。それを本人が十五日に持ってきて、毎週月曜日に行なっている場の部長関係者の集まりのところに発表伺いのことが出てまいったのであります。二十二日でございます。その点は御理解願いたいと思います。
  244. 古寺宏

    ○古寺委員 場長さん、私は調べました。全部許可を受けてやっているじゃありませんか。あなたはそれを監督する立場でしょう。少なくとも場長でしょう。しかも、あなたは本間さんの御家庭の事情というのを知っているでしょう。また、いままでどういう努力をしてこられたかおわかりでしょう。それをなぜそういうふうな答弁をなさるのですか。もう一ぺん言ってくださいよ。
  245. 藤田潯吉

    ○藤田説明員 私は手続のことをいま申し上げたのでございまして、私が中を調べましたら、本間技官は眼科学会のときには発表伺いは出ておらない、試験場のほうにはそういうものは上がっておらない、これは私はここではっきり申し上げます。
  246. 古寺宏

    ○古寺委員 それはどこまで行っても平行線ですから、それでけっこうですよ。だけども、私が調べた範囲では、きちっと許可を得て出席をしたということになっておるわけです。  そこで、あなたに申し上げたいのです。こういう貴重な研究がなされた場合、長年試験場の場長さんをやっておられるあなたが、かりに獣医学会との間がわずか一カ月の期間であっても、一日も早くそういう機会に発表していくことが研究者として、あるいはまた国民の利益という立場でどれくらい価値的かということはおわかりでしょう。どうでございますか。
  247. 藤田潯吉

    ○藤田説明員 ただいまの点で、これは私の見解を申し上げますと、先ほど以来局長、参事官説明と同じことを——私はこの問題については技術会議のほうに、こういう問題になりましたからこういう処置をとったのだということは、局長の御説明のとおり、まず獣医学会で検討すべきであろうという判断で、これは私の判断と、それから担当部長それから病理の専門の部長と協議の結果そういう処置をとった次第でございます。
  248. 古寺宏

    ○古寺委員 それはけっこうです。だけども、いずれにしても、これは私はまことに残念なことであったと思います。今後こういうことが繰り返されていくならば、これはたいへんなことになると私は思う。  時間がありませんので、次に移ります。  そこで、また農林省にお伺いしますけれども、佐久市に眼病が多発いたしまして、これについて東大のグループが研究をいたしました。それについて先日の予算委員会において農林省のほうでたしか反論が出ている、こういうような御答弁があったようでございますが、農林省、いらっしゃいますか。
  249. 福田秀夫

    ○福田説明員 私どもは、元来眼病とかそういうものにはしろうとでございますので、あまり詳しいことはわかりませんけれども、お話のように石川先生が佐久の眼病は有機リン剤が原因であるということ、そのような説を発表されましたことに関しまして、眼科の方面の学会がその後数回あったように聞いております。その席で、私どもが漏れ承るところによりますと、東大の共同研究者でありました鬼頭先生は、内科的症状の立場から有機リン剤の影響とは考えられないという御発表をなされたようでございますし、それから有機リン剤の中毒の権威者であられます東京歯科大学の上田教授も、専門的なことは私わかりませんけれども、有機リンの影響とは断定できないというような説をされておるようでありますし、最近は信州大学のほうでは、石川先生のおっしゃる眼病の奇病の実態というものについていろいろ御疑問があって、反論されておるように聞いております。
  250. 古寺宏

    ○古寺委員 その反論については私も資料を持っておりますよ。しかしながら、この反論の中には、たくさんの貴重な大事な基礎的な問題が抜けているわけです。いろいろ抜けております。そうしてこの反論の最後にも、私は農薬についてはあまりよくわからぬというようなことも書いてある。しかしながら、いままでのいろいろ農薬の中毒の実情というものを調べてみれば、有機リンの場合にはこういうような症状が出てくるということは、これはいまさらあらためて言うまでもないことでしょう。そしていま小学校や中学校あるいは幼児が目が見えなくなるのです。しかも、大阪の守口であるとか、堺であるとか、いろんなところに多発しておる。全国に広がっておる。しかも、そういう地域の中では、奇型の子供まで生まれておる。そういう現実の問題があるのに、どうして農林省はもっと一生懸命そういう問題に取っ組もうとしないのですか。たとえば、私は申し上げたい、メチルパラチオンは登録廃止になりましたけれども、それじゃメチルジメトンとか、エチルチオメトンというのは、このメチルパラチオンとどっちが毒性が強いのですか。
  251. 福田秀夫

    ○福田説明員 どちらも特定毒物に指定されておると記憶しておりますので、同じ程度かと思います。
  252. 古寺宏

    ○古寺委員 同じじゃございませんよ。メチルパラチオンよりもメチルジメトンとか、エチルチオメトンというのが、もっと毒性が強い。そういうものは規制してない。野放しなんだ。こういうことで、あなたどうやって農薬中毒を防ぎますか。  しかも今度の、二十七日におたくのほうから出した通達をごらんなさいよ。どうですか、これは。こんな人間を無視した通達はないですよ。動物に食べさせるものだけは規制しているのです。人間が食べる野菜やくだものとかそういうものは規制がないのです。農林省の考えというのはどうなんです。人間はあなた中毒になってもよろしいのか、どうですか、答弁してください。
  253. 福田秀夫

    ○福田説明員 若干先ほど答弁で間違いがありましたので申しわけございませんでした。メチルジメトンは特定毒物でございますが、エチルチオメトンは特定毒物にはなっていないということでございます。いずれにいたしましても、農薬として登録いたします際に、毒性につきましては厚生省のほうに御相談申し上げまして、急性毒性、慢性毒性につきまして厚生省の御指示を得ているわけでございますが、急性毒性の強いものにつきましては、いま例としてあげられました薬のように、特定毒物とか、薄物とか、劇物とかの指定を受けておりまして、そのランクによりましてそれぞれ使用の規制がなされております。したがいまして、特定毒物は特定毒物として、その使用者なり使用方法なり、あるいは使用前に保健所に届け出る等、毒物及び劇物取締法のほうにおいて使用の規制がなされておるわけであります。  それから後段の御質問でございます。家畜の食べるものは規制するが人間の食べるものは云々という御質問でございますが、今回の通達に出しました有機塩素系殺虫剤その他につきまして、食物に残留した場合、人間の口に入るものにつきましては、厚生省のほうでその慢性毒性から残留許容量というものがきめられておりますので、残留許容量をこえない範囲内において使うというようなことになっております。家畜のほうにつきましては、もちろん残留許容量はございませんけれども、家畜に食べられたものが、その中のある成分が家畜の脂肪に濃縮されていく。濃縮されまして、その家畜を人間が食用に供することによって人間に被害が及ぶということが考えられますので、そういったものについて家畜のえさとなるものには使わないというような規制を行なったわけでございます。
  254. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう考えだからいけないと思うんですよ。この中に、あなたのほうで、有機塩素系の農薬というのは土壌中に相当長期にわたって残留している、こう書いてあるじゃないですか。土壌はどうするのです。汚染した土壌をどういうふうにするのですか。
  255. 福田秀夫

    ○福田説明員 有機塩素系殺虫剤の中でアルドリンとかディルドリンというものは、土壌の中に長い間残留いたしまして、夏作の作物を汚染するということが最近わかってまいりました。したがいまして、そのような殺虫剤につきましては、最終的には農薬取締法の改正法が来月四月一日から施行される予定でございますが、新しい取締法の施行に伴いまして残留性農薬として指定しまして、その使用をきびしく規制することにしておりますが、とりあえずそのつなぎといたしまして、そのような土壌を汚染するおそれのある農薬はあと作に、そこに書いてございますように、ウリ類とかイモ類とかあるいは根菜類ですか、そういったものをつくる予定のあるところは使ってはならないという使用規制をしたわけでありまして、実質的には食用作物にはほとんど使えない規制だと思います。これは新法により規制を行なうまでのつなぎでございまして、春が近づきまして農薬を使用する時期が近づきましたので、新法の施行の前に  一応そういった注意をしておこうと思いまして、出した次第でございます。
  256. 古寺宏

    ○古寺委員 こういうのは全面的に禁止しなさいよ。しかも、回収した場合に、小規模な単位で埋没等の処分を行なうよう指導につとめること、小規模な単位です。八千トンぐらいあるのです、あるいはもっとその数倍あるというのです。そういうものを小規模に地下へ、しかも地下水やそういうものに影響ないように小規模に分けてこれを埋没しなさいといったって、これはとうてい不可能でしょう。どうですか。こういうものはやはりきちっとした処理方法というものを農林省が研究し検討をして、そしてそれこそ人畜に影響がないような処理方法というものを、通達を出すべきだ、私はそう思うんです。こういう点で、非常にこれはまだ問題が多過ぎます。きょうは時間がないからあまり申し上げませんけれども、二種以上の混合している場合でありますとか、いろいろございます。  そこで私は申し上げたいのは、研究は研究ですよ、因果関係は……。しかし、少なくとも農薬を散布して、小学校の生徒や児童が目が悪くなったというような場合の治療費は、これは当然企業が負うべきだ、私はそう思うのですがね。どうです。
  257. 福田秀夫

    ○福田説明員 その因果関係が明らかになりました場合には、先生御指摘のとおりなことと私も思いますが、先ほど来の目の奇病につきましては、いろいろな説がございますことと、農林省といたしましては、本来本質的にこの問題にしろうとでございますので、その黒白を判断する能力がございません。したがいまして、従来からもそうでございましたが、今後とも諸専門家の御意見を十分聞き、また厚生省のほうでも、食品衛生調査会でこの目の問題につきましても御討議があったように聞いておりますので、そういった専門家あるいは厚生省の御指示あるいは御意見等を十分拝聴いたしまして、慎重に配慮してまいりたいと考えております。
  258. 古寺宏

    ○古寺委員 これは文部省にお伺いしますが、こういう目の疾患については、学校保健の立場からどういう対策をお考えになっておられますか、また実施しておられますか。
  259. 橋本眞

    ○橋本説明員 お答えいたします。  文部省におきましては、従来から農薬の危害防止というふうなことにつきまして都道府県の教育委員会指導をいたしておりまして、疾病の早期発見とか、あるいは学校医とか、または保健所等と十分連絡をとるということ、それからまた、教師が日常子供の健康観察を強化いたしまして、それによって保健管理の一段の、保健観察を強化するように、配慮をするようというふうなことを指導しております。まあしかしながら、現在先生もおっしゃいますような、農薬の影響というふうなこともいわれております。そういうことにかんがみまして、現在学校保健法に基づきまして定期の健康診断とか、あるいは臨時の健康診断ということを行なっておりますので、その際に特にそういった面に留意するようこれからも指導を強化していきたいと考えております。
  260. 古寺宏

    ○古寺委員 指導強化だけじゃいけないのであって、目が、視力が衰えて見えなくなっちゃうのです。ところが、パムとかアトロピンとか、そういう薬を使えばなおるのですよ。これは早期に診断して、早期に治療すればなおるのです。盲学校に行かなくて済むのです。だから、佐藤総理も、反対するほうの、この農薬説はうそだということを主張するほうには五百万円も研究費が出ても、子供を一生懸命守ろうとしてまじめにやっている東大グループのほうには一銭も援助していない、まことに遺憾であるということを、総理もおっしゃっている。そういう子供を守るために文部省というのはもっと積極的にやらなきゃいけないでしょう。どうですか。
  261. 橋本眞

    ○橋本説明員 ただいま私は学校保健法という観点からお話しを申し上げたのでございますが、学校保健法の場合は、健康の管理ということと、それから疾病に対しまして、あるいは疾病の疑いがある、あるいは疾病にかかっておるというものにつきましての事後措置をやるというところまでが学校保健法の立場でございますので、そういう観点で申し上げた次第でございます。
  262. 古寺宏

    ○古寺委員 よくおわかりにならぬと思うのですが、私はいなかの出身ですからわかるのですがね。校庭からヘリコプターが飛んで薬をまいたり、学校の周囲に果樹園があったり、薬を散布しますと子供らがみんなやられるのですよ。中毒になるのですよ。ですから、そういうあなたみたいに誠意のないお考えではなくて、やはり子供らの目を守ってあげるという、そういう姿勢でやっぱり学校保健というものは考えていかなければならない、私はそう思うからいま申し上げているわけでございます。  じゃ、時間でございますので、次に移りますが、経企庁の西川審議官、いらっしゃいますか。——あなたは去年の十一月にこの委員会におきまして、青森県の八戸市の新井田川水系の水質基準を今年度じゆうに設定すると、こういうふうにここでおっしゃった。どうなりましたでしょうか。
  263. 西川喬

    ○西川政府委員 お答え申し上げます。  八戸につきましては、現在も部会を設けて鋭意審議中でございますけれども、先生もよく御承知のように、被害の原因になっておりますのが、大半が水産加工業、非常に零細な水産加工業でございます。そのためにこの水産加工業のほうの汚水の処理という問題をめぐりまして、非常に調整に難航いたしておりまして、現在まだ基準設定に至っておりません。しかし、私どもといたしましても、いま鋭意調整をはかっておりまして、目標の今年度じゆうには、何とかして設定にこぎつけたいということで現在努力しておる段階でございます。
  264. 古寺宏

    ○古寺委員 このときに私が新聞の記事を拝見いたしまして、新聞の記事によりますというと、水産庁が反対して水質基準の設定ができない、こういうような新聞の記事があったわけです。水産庁、いらしていますか。
  265. 小林信一

    小林委員長 おります。
  266. 古寺宏

    ○古寺委員 そのとぎに水産庁は同じように早く設定するというような、協力しますというようなお話だったのです。いかがでございますか。
  267. 田中慶二

    田中説明員 水産庁におきましては、こういう水産加工業は非常に零細である、そういう規制に伴いまして経営に及ぼす影響が多いということも考えなければなりませんけれども、しかし、それにはまた別途の対策を講ずることにいたしまして、できるだけこういう一般の公害の防止につきましては積極的に協力をするように説得を進めている、そういうふうにしていただくように県のほうに御指導を願っておるというところでございます。
  268. 古寺宏

    ○古寺委員 経企庁にお伺いしますが、松島湾はどうでございますか。
  269. 西川喬

    ○西川政府委員 ちょうど八戸と同じような状況でございましたのが松島湾でございましたが、松島湾につきましては、八戸よりも一歩先んじまして、先日の二月二十六日の審議会において審議を終了いたしました。で、現在告示の手続中でございます。御承知のように、松島湾につきましては、一応共同加工場もできております。それらの実績もございまして、やっと話がまとまったわけでございますが、この松島湾がまとまりましたのが一つの前提ともなりまして、八戸のほうも近々最後の決着がつくのではないだろうか、このように考えております。
  270. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、新井田川水系については、来年度の六月から今度は新しい水質汚濁防止法が発足するわけですね、それまでこれは放置しておくお考えなんですか。  それからもう一つ、青森県には坪川というのがございます。これはどうなっているのでしょう。
  271. 西川喬

    ○西川政府委員 ただいま申し上げましたように、現在審議しております水域といたしましては、私どもといたしましては、年度内に指定水域にいたしたい、このように考えておるわけでございます。  それで、現行法によりまして指定水域にいたしましたところにつきましては、新法が施行になりました場合におきましても、一応新しい新法によります上乗せ条例ができますまでは、全国一律の基準がきまるわけでございますけれども、それよりもきびしい基準が現行法によってきまっておりますところは、新しい基準がきまりますまでは、従来どおり、従来の例によるというような経過規定にいたしたいという方向で検討いたしておりますから、県のほうの上乗せ条例ができますまでは、近いうちにきまります旧法によります基準の数値が生きてくる、このようなことになるわけでございます。もちろん、一律基準よりもゆるいような基準が旧法できまっております場合には、これは失効いたしまして、新法による一律基準に乗りかわっていく。一律基準よりもきびしいものがきまっております場合には、その基準が当分の間生きていくということになるわけでございます。  新井田川につきましても、そのような形で、先ほど申し上げましたように、できますれば今年度じゆうに片をつけたい、旧法によりますところを発足させたい、このように考えておるわけでございます。  それからもう一点の坪川でございますが、これは昨年のこの委員会におきましても、私先生の御質問にもお答えいたしまして、今年度じゅう、四十五年度じゅうということを実は申し上げたわけでございますけれども、実は新井田川が非常にもめまして難航いたしまして時間がかかっております。やはり私ども担当者が、大体それぞれの地方として同じでございます、また県のほうも同じ青森県内でございまして、結局手が回せなかったということで、お約束申し上げましたのですけれども、結局今年度じゅうの作業は望み薄になっております。  ただ、坪川につきましては、主たる汚染源が鉱山でございます。この鉱山のほうにつきましては現在鉱山保安法によりまして一応通産省のほうがある程度、相当な規制をかけていっていただいております。そのような観点から、お約束を守れないでまことに申しわけないのでございますが、いまの時点といたしましてはもうすでに時間切れでございまして、坪川につきましては旧法によります指定は、やむを得ません、やめまして、六月以降の新法にゆだねたい、このように考えております。
  272. 古寺宏

    ○古寺委員 まさか企業との癒着があって時間切れをお待ちになったわけじゃないでしょうが、しかし、あなたがおっしゃったことは実際には実現できなかったわけです。  そこで、全国一律の水質基準については、今度の国会で、大体通産省としての考え方としてはB ○Dは一二〇ないし一五〇PPMを考えておる、こういう発表が委員会でございましたようですが、これはどうでしょうか。
  273. 西川喬

    ○西川政府委員 通産省のほうからそのような発表をしたというお話は私聞いておりませんですけれども、一律基準、これは経企庁のほうの考え方といたしましては、大体思想といたしましては一般家庭の汚水を勘案するということを念頭においてございます。一般家庭の汚水といいますのは、BODで申し上げますと大体一〇〇ないし二〇〇PPMの数値でございます。企業排水のほうは排水量も多うございますから、一〇〇ないし二〇〇PPMの間であっても、よりきついほうのところで決定いたしたい。そういたしますと大体一二〇PPM前後というものに一律基準はきめたいというような方向で現在企画庁といたしましては検討を進めております。これはもちろん関係各省に対しまして案を提示いたしましてコンセンサスに達しませんといけませんので、決定的なことは申し上げられませんけれども、企画庁といたしましては一二〇PPM前後というものを、一応BODで代表いたしました場合の一律基準の数値として考えております。
  274. 古寺宏

    ○古寺委員 今度一二〇PPMに基準がきまります。そうしますと、八戸の二百五十近い水産加工場あるいは石巻にしましても、気仙沼にいたしましても、全国至るところにそういう零細中小企業がたくさんあります。いままでは何とかこの水質審議会でもやもやしておって、基準がきまらぬというのでのがれてきました。しかしながら、今度は新法が発足いたしますと、待ったなしになってしまうわけです。その場合には、こういう業者というものはにっちもさっちもいかないわけです。倒産する以外にないわけです。なぜもっと早くそういう将来を見通して水質基準を設定して、これらの零細な企業を守ることをお考えにならなかったのか、こういうふうに私は非常に残念に思うわけでございますが、そういうことに一生懸命反対してきた水産庁は、その人たちを守るつもりのものが見殺しにするような結果になるのではないか、こういうことを私は非常に心配しているわけです。  そこで、水産庁としては今後こういった水質基準、環境基準が設定された場合に、これらの零細中小企業、いわゆる水産加工業者、そういう人たちをどうやって救済していくお考えか、その点を承っておきたい。
  275. 西川喬

    ○西川政府委員 ちょっとその前に、補足説明をさせていただきますけれども、全国一律基準を一二〇PPM前後と考えておるとお答え申し上げましたのですけれども、一応現在の技術水準をもってしては、どうしてもそこまでいかない業種というものがございます。その業種につきましては、ある程度時限を切りまして、暫定的にそれよりもゆるい基準をきめざるを得ないというものが、この数は非常に限定いたしたいと思っておりますが、現在考えられておりますものは、パルプ製造業の中におきますSP、SCP等の特殊の製法のもの、それからでん粉加工業——食品加工の関係に多うございますが、でん粉加工、水産加工、それから醸造関係、このようなものがどうしても一律基準では困難ではないだろうか。そのようなものにつきましては業種の実態に合わせて、技術水準に合わせてある程度ゆるめざるを得ないんじゃないだろうか。そのようなものにつきまして、これは私どもといたしましてはできるだけ範囲は限定いたしたい。基準値といたしましても、できるだけなし得る最大限度のものの基準といたしたい、このように考えております。水産加工につきましても、正直なところを申し上げますと一二〇というのは困難ではないか。現在松島湾できまりましたのはBODでいたしますと一五〇PPMであります。最近新しくどんどん指定いたしております水域につきましては、もうすでに一律基準というものも念頭に置きつつ作業を進めておるわけでございますけれども、水産加工につきましては、やはりすでに一二〇というものが念頭にありながら、今回共同処理場を持っておりましてかつ一五〇PPMというものをきめておるわけでございます。これが共同処理場ではない、一般の非常に微細な零細企業におきましては、とうてい一五〇というものも困難ではないだろうか。そのような問題がございますので、その点は一律基準設定の際に十分関係各省とも協議してきめたい、このように考えております。一応一二〇ということを申し上げましたのですけれども、補足的にお答えさせていただきます。
  276. 田中慶二

    田中説明員 水産庁におきましては、そういう零細な水産加工業者のこういう施設に対します経費につきましては、従来中小企業金融公庫でありますとか、中小企業振興事業団あるいはまた中小企業設備近代化資金というふうなものによります低利または一定据え置きの無利子の金融措置によって、企業によってそれぞれそういう対応する施設をつくっていただくということで指導してまいっておるところでございます。  なお、水産庁におきましては、現在行なっております流通加工センター事業等につきましても、できるだけ団地を共同化いたしまして、共同施設によりましてこういう施設をもうけまして、そして幾ぶんかでも共同化によって、少ない経費でそういう施設ができるようにということでやってまいりたいというふうに考えております。
  277. 古寺宏

    ○古寺委員 水産庁というのは、実に何と申しますか、まだ何にもできないんですよ。全然できないのです。ただいま経済企画庁のほうでは、最初からそんなに強い規制をしない。これは環境基準の閣議決定の中にも、目標を段階的に解消するというようなことを決定しておるようでございます。しかしながら、たとえばいまお話のあったパルプ工場にしましても、あるいは水産加工業にしましても、皮革工業にしましても、現在の技術をもってしては相当のお金がなければ、相当早いうちに手を打っておかなければ間に合わないのです。そういうことが水産庁は、青森県なら青森県にげたを預けて、そして今度新しい水質汚濁法がスタートを切りますというと、県知事のほうに権限委譲されますので、全部地方自治体まかせ、こういういままでの姿勢なんです。これでは私いけないと思うのですよ。ですから、もっとこういう零細中小企業の加工業者をほんとうによく考えてあげて、指導もし、あるいは積極的に援助してあげませんと、これはとんでもない事態になる。片っ方ではもう環境はどこまでいってもよくならない、片っ方の企業はだんだんつぶれていく、どっちを見てもにっちもさっちもいかぬというような状態になるということは予想できるわけです。ですから、そういう点につきましては、今後ひとつ積極的に、水産庁はいままで水質基準の設定を延ばしてこられたのですから、そういうせめてもの罪ほろぼしのためにも、中小加工業者が倒産したり将来困らないような対策というものを積極的に考えていただきたい、そういうふうにお願いして私の質問を終わります。
  278. 小林信一

    小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会