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1971-05-21 第65回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月二十一日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 稻葉  修君 理事 内海 英男君    理事 細田 吉藏君 理事 米田 東吾君    理事 瀬野栄次郎君       小沢 一郎君    奥田 敬和君       高鳥  修君    羽田  孜君       別川悠紀夫君    村田敬次郎君     早稻田柳右エ門君    千葉 七郎君       辻原 弘市君    内藤 良平君       華山 親義君    小川新一郎君       貝沼 次郎君    小宮 武喜君       津川 武一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         食糧庁次長   内村 良英君         気象庁長官   高橋浩一郎君         消防庁次長   皆川 迪夫君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         警察庁警備局警         備調査官    室伏 増男君         国税庁税部審         理課長     中村 平男君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農林経済         局保険業務課長 川村 文雄君         農林省農林経済         局統計調査部作         物統計課長   福島 武雄君         農林省農政局参         事官      岡安  誠君         食糧庁業務部買         入課長     戸塚 金郎君         林野庁指導部長 海法 正昌君         林野庁指導部森         林保険課長   神宮司 守君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         気象庁観測部地         震課長     諏訪  彰君         建設省都市局参         事官      石川 邦夫君         建設省都市局都         市再開発課長  重元 良夫君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         消防庁防災管理         官       古郡 良秀君         参  考  人         (元ロスアンゼ         ルス地震政府合         同調査団長)  福岡 正巳君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   中村 重光君     華山 親義君 同日  辞任         補欠選任   華山 親義君     中村 重光君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  昭和四十六年四月及び五月の凍霜害による災害  対策  地震対策  請 願   一 特別豪雪地帯対策に関する請願(小沢辰     男君紹介)(第一四九三号)      ――――◇―――――
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地震対策に関する問題調査のため、本日、参考人として元ロスアンゼルス地震政府合同調査団長福岡正巳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ――――◇―――――
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 本日は、まず昭和四十六年四月及び五月の凍霜害等による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況及び政府においてとった措置等の概要について、政府当局から説明を聴取いたします。農林大臣官房参事官大河原太一郎君。
  5. 大河原太一郎

    大河原説明員 四月中旬以降五月上旬の降霜低温被害につきまして御報告を申し上げます。  さきの委員会におきましてとりあえずの御報告を申し上げたわけでございますが、四月中旬から五月上旬にかけて、北方の寒気団影響を受けて、特に東日本では気温が低目に推移いたしまして、各地でしばしば降霜を見、さらにこのため東北関東地方中心にリンゴ、ナシ、桜桃等と桑、あるいは低温のための水稲苗しろ、野菜等に相当の被害が発生したわけでございます。  被害額については、先般の当委員会において早急に調査いたせということでございまして、とりあえず県の報告を聴取しておりますが、中間的な五月十七日現在の取りまとめによりますと、総額約七十七億三千万円で、そのおもな内訳は、果樹約五十一億円、桑約十五億九千万円、水稲苗しろ約六億六千万円、その他三億八千万円となっておりますが、五月十七日以降、各県の報告がそれぞれ続いて入ってまいりますが、その被害額は逐次増大しております。  一方、国といたしましても、各種施策発動前提となります統計調査組織による調査を、天候が安定いたしました五月十二日以降早急に開始したわけでございまして、目下調査を取りまとめ中でございますが、五月下旬には数字確定いたしまして、各種施策発動基礎にいたしたいというふうに考えております。  対策につきましては、先般の当委員会においてもとりあえず御報告申し上げましたように、当初農林省におきましては、気象庁暖候期予報参考といたしまして、三月末には、四十六年度の春夏作技術指導について次官通達を出しまして、晩霜なりあるいは低温障害という、本年度の気候の予測の変動に伴います各種技術対策を十分講ずるよう各都道府県に指導してきたところでございますが、今回の低温による被害実情にかんがみまして、果樹につきましては五月中旬、十五日に関係局長から果樹不順天候対策について通達いたしまして、花粉の確保人工授粉労働力確保、今後の技術指導等に関しまして万全を期するよう指導いたしました。  一方、桑につきましても追っかけまして、五月十九日に凍霜害による桑の技術指導についての通達を出しまして、掃き立て時期の調整なりあるいは適切な肥培管理などによる蚕作の安定のための指導を強化しておるところでございます。  一方、水稲につきましては、苗しろの被害、苗の生育遅延状況等にかんがみまして、これまでに一部再播種の実施なりこれに必要な種子の確保低温性病害虫の防除、苗しろ期間の延長による苗の回復等技術対策による苗の確保のための指導をしてきたところでございますが、昨日、気象庁の六月から八月の向こう三カ月予報が出ましたところ、なお低温のおそれも強いということでございますので、近々、地方に対しまして総合的な技術対策通達いたしまして、万全を期する考えでございます。  なお、現地実情も早急に承知する必要があると判断いたしまして、最も災害が起きております東北農政局においては、五月十四日以降現地調査班を、五班を各県に派遣いたしまして、被害実情調査技術指導実施中であります。また北陸農政局においても、稲作中心といたしました対応策を検討するために、それぞれの施策を打っておるわけでございます。また農林本省におきましても、担当官を青森、岩手、山形等問題の多い県に派遣いたしまして、また蚕糸園芸局におきましては、東北農政局現地調査班に参加いたしまして、被害実情調査技術指導に万全を期しているところでございます。  さらに、今後の問題といたしましては、先ほど触れましたような、本年の気象の推移というものが非常に予断を許さない点もございますので、農林省といたしましては、近々総合的な災害対策の体制を整えまして、必要な措置あるいは事前的な措置について万全を期したいと考えておるわけでございます。  なお、後刻いろいろ御質問があるかと思いますけれども、災害に伴う所要措置天災融資法発動をはじめ保険関係その他各種措置につきましても、目下検討中でございまして、先ほど御報告申し上げましたとおり、五月下旬、これはできるだけ急いでおりますが、国の統計調査部被害状況確定をまって直ちに所要措置を講じたいというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  6. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  8. 華山親義

    華山委員 質問の方がたくさんいられますので、簡潔に要点だけをお聞きいたしますが、しばしば東北地方その他において、こういうふうな天候による災害があったわけでございますけれども、最近において、従来のやり方と変わった点がございますか。また、今後変えようとする点がございますか。
  9. 大河原太一郎

    大河原説明員 災害対策の改善なりあるいは推進という点についての一般的な御質問かと思うわけでございますが、先ほども状況報告等に触れましたように、気象庁等長期ないし短期の気象予測、それをできるだけ早期に把握いたしまして、それに伴う技術指導等による災害事前防止、これについて逐年指導を強めてきておるわけでございますが、今回の災害等にかんがみまして、さらにその点について一そう充実する必要があるのではないかという点が第一点でございます。それから第二点は、各種災害が起きました場合におきます有効適切な手段の発動等につきましても、被害の実際の確定というものがやはり前提になることは、先生案内のとおりでございます。したがいまして、常々当委員会等におきましても、被害の的確な把握について、やや農林省等調査把握もおそいきらいがあるというような点について御指摘もございますので、これについては、今回の災害で早急に、特に凍霜害等、各作物の作期が始まる時期における施策等についての災害把握等については、一そう十二分につとめていきたいというように考えております。
  10. 華山親義

    華山委員 従来この救済策につきまして、当面の救済策といたしましては天災融資法適用、それから自作農創設資金、そういうふうな金融面に大体限定されておるわけでございますけれども、そのほかに何か、最近のことといたしまして設けられたような救済方法がございますでしょうか。
  11. 大河原太一郎

    大河原説明員 農業関係に詳しい先生の御質問でございますが、御案内のように、昭和二十年代におきまして各種農業災害が頻発いたしまして、これに伴う各種災害制度を逐次充実してまいったわけでございます。三十年代に入りまして、さらにその施策の充実につとめられまして、たとえば天災融資法等についても、発動のつど一本一本法律を制定して融資をすると時期を失するというような問題がございましたので、これらにつきましては天災融資法という一本の法律を制定いたしまして、災害ごと政令指定でこれを行なうというような関係があるわけでございます。また、農業に限らず、御案内のように激甚災に関する法律等が制定されまして、被害激甚の場合にはさらに手厚い助成援助をするというような関係で、農業関係におきましても、その一環としての災害対策は充実してまいったわけでございます。  最近におきまして、昨年も集中豪雨なり、あるいは九、十号台風というようなもの、いろいろございまして、各地で大きな被害を受けましたが、やはり基幹天災融資法――施設災害暫定法その他は別でございますが、天災融資法なり自作農資金というような点を基幹といたしまして、被害農家の再生産の確保なり、あるいは自創資金でございますと生活資金までめんどうを見るというようなことで施策をやってまいりまして、ほぼその適切な運用によって達成できるのじゃないかというように判断しております。
  12. 華山親義

    華山委員 私なりにこういうことをやってほしいということもございますけれども、またいろいろな委員の方から御質問もございましょうから、それは抜きにいたしまして、現実の問題として、いまおっしゃったことを前提としてお聞きするわけでございますが、現在の見込み――先ほどのお話では、被害も次第に増加しつつ報告されているということでございますが、現在の状態、またこれからの見込み等によって、天災融資法適用されるかどうか、そういうお見込みはどうでしょう。
  13. 大河原太一郎

    大河原説明員 先ほど先生お話もございましたが、被害状況は県、報告でも逐次増加しております。五月下旬には国としての責任ある調査を完了したいと思いますが、われわれがただいま得ております心証では、もはやこれは前向きに対処しなければいけないというような状況になっておりますが、関係方面もございまして、それぞれ早急な協議をただいま行なっておるところでございます。
  14. 華山親義

    華山委員 そういうお見込みもおありのようでございますから、いま明白におっしゃれないと思いますけれども、ぜひひとつ実現するように、また早くそういう指定のありますように御配慮願いたいと思うわけであります。  それから、普通の果樹とか桑とかは、もう被害が出ているわけでございますし、見込みも立つわけでございますけれども、稲につきましては、まだ見込みがいろいろ立たないと思いますが、いま被害調査していられるということは、将来減収を来たすであろうという被害でございますか、天候がこのままの状態でそういう被害でございますか、それとも、そういうことのために苗しろをまたつくらなければいけないとか、それから、苗しろに対しまして肥料をまた新しく手配しなければいけないとかいうような、そういうことの被害でございますか、どちらでございましょう。
  15. 岡安誠

    岡安説明員 先ほど官房参事官からお答えいたしました、五月十七日現在におきます水稲関係の六億六千万円の被害は、苗しろの状態におきますときの被害ということでございまして、今後技術指導その他によりまして回復する余地は十分あるというふうに、私どもは考えておるわけでございます。
  16. 華山親義

    華山委員 天災融資法適用するというふうなことにつきましては、いまおっしゃった被害というものが基礎になるのであって、これから減収をするであろうというふうなことがその計画には入らないわけでございますね。
  17. 大河原太一郎

    大河原説明員 お話のとおりでございまして、果樹その他が中心でございまして、ただいま稲作については苗しろ期間、一番大事な時期でございますが、これについて最大限減収防止のための施策を行なうというのが中心でございます。
  18. 華山親義

    華山委員 それから、果樹等被害が一番いま顕著に、将来のことがわかるほど明白に出てきたわけでございますけれども、この損失というものは計算をされまして天災融資法適用基礎数字になるわけでございますね。
  19. 大河原太一郎

    大河原説明員 お話のとおりでございます。
  20. 華山親義

    華山委員 ひとつ天災融資法につきましては、そのことによって受ける額というもの、農民にとりましてそれだけの融資上のゆとりができるということが、最も大事なことでございますけれども、天災融資法適用されたかどうかということが、農民の今後の気持ちと申しますか、これから農業をやっていこうというふうな気持ちに非常に影響がございますので、ぜひひとつその適用のありますように、重ねてお願いをしておきたいと思います。  それから、自作農創設資金というものとこの天災法融資と、何か違いがあるのでございますか。
  21. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  前段の問題につきましては、先刻お答え申し上げましたとおり、早急な発動について最大限の努力をしたいというふうに、目下検討中でございます。  後段のお話でございますが、先生案内のところで、くどくどしく申し上げませんが、自作農維持資金天災、疾病、傷害というような、単に災害だけではなくて、農家の事故、しかも農地を売る以外にはなかなか資金の手当ての道のない方に対して措置する制度でございます。したがって金利も安く、二十年というような長期でございます。ただ、災害対策といたしましては、天災融資法発動するような大きな災害につきましては、自作農資金について別ワクを設けておきまして、これを発動し、被災した農家の方々に対してその面からの十分な資金援助をしたいということで、従来の災害対策ルールと申しますか、それとしては、表裏一体として運営しておるわけでございます。
  22. 華山親義

    華山委員 ほかの委員からの御質問もございましょうし、私、総論的なことだけにいたしますが、いま御承知のように、減反とかいろいろなことで農村が元気を失っておりますので、またこれに重ねてこういうようなことがあって農民気持ちを暗くすることは、たいへん困ると思いますので、この際はぜひひとつ特別の御配慮をお願いいたしたいと思いますし、特に東北地方稲作地帯でもございますので、その点に特別のお考えをいただきたいと思うわけであります。  次に、税の問題でございますが、米につきましては、共済のほうもございますから、どれだけの損害があったということがわかると思いますけれども、果樹につきましてはなかなかその算定がむずかしい、こういう点もございますが、そういう点につきましては、いまとにかく、できるだけ早く国税局のほうでも、農林省のほうと連絡をとりながら被害実態をつかんでおいていただきたい。そういたしませんと、あとでいろいろな紛議を起こすようなことがあってもどうかと思いますので、その点、国税庁のほうにもお願いいたしたいと思いますけれども、国税庁の御意見をひとつ伺っておきたい。
  23. 中村平男

    中村説明員 農業所得につきまして、特に果樹所得等につきましては、一般的に標準率課税をやっておりますので、こういう災害のあるときに個々によく調べておかないと、今後の問題として相当問題が起こるだろうと思いますので、特別にこれらにつきましては関係各省とも相談しまして、また実地にも、特にこの際損害額を捕捉しておくようにというふうに通達をしたい、こう思っております。  なお、この農業所得課税につきましては、先生すでに御承知のように、一般的な場合ですと、ことしの所得の問題でございますから、予定納税の問題がございます。一般的には七月でございますが、全所得の七割以上を十月以降に所得するというような特別農業所得になりますと、十一月に半分納める、こういうふうなことになるのですが、それらにつきましても、所得がなければ、来年の三月には、確定申告計算をして税金がないというようなことになるのですが、その前の予定申告の問題がございます。これにつきましては、七月なりあるいは十一月に減額申請というのをさして税額を少なくするというような方法があります。これらにつきましても、現地の税務署なり国税局を通じまして十分指導をしたい、こういうように考えております。
  24. 華山親義

    華山委員 実際を現在においてできるだけ早く調べておきませんと、各戸各戸の問題でもございますので、ひとつできるだけ早く実地調査をしていただきたいということと、それから、これにつきましては、農協その他いろいろの団体等もあると思いますけれども、そのほうともよく協議されまして、いろいろな紛淆の起きないように、税でございますから、そう申しますことはあるいはいかがかとも思いますけれども、とにかく、先ほど申しましたとおり、二重の嘆きを東北農民は受けるわけでありますから、その点につきましては国税庁のほうも十分に配慮していただきたい、このことをお願いしたいと思っておるわけであります。  何か御所見でもありましたら承りたいと思います。
  25. 中村平男

    中村説明員 仰せのとおりでございますから、できるだけの配慮をしまして善処したいと思います。
  26. 華山親義

    華山委員 終わります。
  27. 中井徳次郎

  28. 千葉七郎

    千葉(七)委員 四月、五月の凍霜害実態の御報告をいただいたわけでございますが、この報告に対しまして二、三御質問を申し上げたいと存じます。  この手元に配られました報告これは県の報告ということになっておるわけでありますが、農林省、四十六年の五月の十七日に作成をされた報告でございます。したがって、今日までに判明をいたしました被害状況とは変わっておることだろうと思うのでありますが、この報告によりますと、被害の額が七十七億三千余万円、かようになっておるわけでありますが、私、けさ手元に届きました東北六県自治協議会会長さんからの要望書によりますと、被害の額は百二十七億余万円、かようになっておるわけであります。先に配られました報告とこの本日の要望書金額は、実にばく大な差があるわけであります。最初報告から見ますとほとんど倍に近い被害状況となっておるわけでありますが、ただいま華山さんの質問に対する御答弁によりますと、農林省自体としての調査はまだ完了していない、かような御答弁でありますが、まだ完了はしていないのでしょうけれども、中間的な何かがあるのではないかというようにも考えられますが、それによりますと、一回目の報告ときょうのこの要望書金額にあまりに差があるものですから、第一回目の調査と現在の調査でこんなにも差があるということに対しましては、何か割り切れないものがあるわけであります。  そこで、農林省自体で調べておる現在の時点における被害状況はどうなっておるか、これをお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  先ほど冒頭に概括的に申し上げました七十七億は、われわれのほうで五月十六日までにまとめた数字でございます。これは県報告でございまして、県が、災害を受けまして逐次被害の程度がはっきりしてきて進んでいるというものについての中間的なものを取りまとめて報告したものを、そのまま集計したものでございます。その後各県とも、なお実情調査してみたら被害が逐次大きくなっておるということで、数字が出てまいりまして、先生ただいまおっしゃいましたように、東北関係においても百億をこえるような数字になっておるというようなことでございますが、いずれにいたしましても、ただいま申し上げている関係数字は、県報告そのままの数字でございます。農林省調査は御案内のように、被害調査等統計調査組織を通じまして、末端の統計調査事務所あるいは支所等を通じまして、一定の災害調査組織網をもちまして被害調査をしておるわけでございまして、その調査は、各関係県のデータがただいま中央に集まってまいりまして、その集計を急いでおるということでございます。したがって、私も冒頭に、県報告でも七十七億であったが、その後県報告でも非常に被害がふえておる。そのために、国といたしましての責任をもって行なう調査につきましても、できるだけ早くこれを取りまとめたいというふうに申し上げたわけでございます。
  30. 千葉七郎

    千葉(七)委員 答弁によりますといま調査中、こういうわけですが、農林省当局調査では――この東北六県、北海道だけでも、最初報告と比較をすると、現在倍近い被害になっておる。さらに東北六県以外の群馬、栃木あるいは茨城、長野、埼玉等を加えれば、これはもちろん百二十七億以上になるだろうと思うわけです。あまりに違いがあるのですが、農林省当局として、国当局としての見通しはどうかということなんです、私の聞いていることは。あるいは百二十七億以上になるかもわからぬ。きょうの要望書もやはり県で集計したものでしょうから、そこを聞いているわけなんです。あまり違いがありますから、したがって国としては、いまの段階における見通しはどうか、こういうことです。
  31. 大河原太一郎

    大河原説明員 数字でございますので、統計調査組織ルールに基づきます数字が出ませんと確たることは申し上げられませんが、現在の被害状況、大きくなっている状況から見ますと、国としての調査も七十七億等の数字にとどまらず、相当大きな数字になるだろうということだけは申し上げられると思いますが、具体的数字につきましては、調査が出た暁でないと申し上げられないというふうに考えております。
  32. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いずれにいたしましても、当初の報告の七十七億以上には間違いない、かように了承いたしていいのではないかと思いますが、そこで私感じますことは、被害を受けた県の調査は、これはもちろん、急いで調査をするという関係もありましょう。ありましょうが、県のほうの調査は非常に早く出てくる、国のほうの調査は非常におくれているというような感じがするわけなんです。こういう急激に起きた災害に対する対策というものは、特に農業関係対策は早急に立てていただかないと、事後の処理をする上において非常な支障を生ずるということは、これは言うまでもないところだと思うのです。そういう緊急に対策を立てる必要があるにもかかわらず、国のほうの調査が非常におくれる。これは御承知のとおり、四月の末から五月の初めにかけて起きた災害なわけなのですから、災害のあった当時から見ますと、すでに二十日になんなんとする時日を経過しているわけでありますから、したがって、国の調査があまりにおくれているのではないかという感じがするわけです。いろいろ調査方法等、ルール等もあるでありましょうから、したがって、ある程度の日数を必要とすることは、これは言うまでもないところでありますけれども、いずれにいたしましても、県の調査から見ると国の調査が非常におくれて、対策が緊急に立てられないというきらいがあるわけでありますから、したがって、こういう災害の際には、ぜひ調査を急いで対策を立てていただきたいと思うわけであります。これは答弁は要りません。  私も一週間ほど前に、先週の火曜日からずっと現地を回ってみました。写真にも出ておりますが、実にひどい、激烈な被害でありまして、岩手県だけ回ったのですから、他の県のことはよくわかりませんけれども、苗しろ等は、病虫害でありますれば部分的な被害というようなこともあるわけですけれども、これは霜害ですから、全部の面積がやられておる、こういう状態でありまして、したがって、ことしの田植えに支障を生ずることは言うまでもないところで、まき直しをしなければならぬというような状態なわけでありまして、非常に驚いて帰ってまいったわけであります。  そこで、こういう霜害予測については、気象庁のほうで、これに対する観測の業務を、農業気象関係についてはもっと強化していく必要があるのではないか、かように考えるわけなんでありますが、この災害対策特別委員会で、昭和四十三年の九月に、気象の業務を整備拡充せよという決議をしておるんですが、これに対して気象庁当局といたしましては、この決議に対応するような施策をどういうふうに講じたかということを、ひとつお伺いをしたいと思うのであります。
  33. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点にお答えいたします。  気象庁におきましても、災害を防ぐということは非常に重要な問題でございまして、この点について大いに努力をしてまいりましたし、これからも続けていきたいと思っております。  この問題につきましては問題点が二つございまして、一つは、実際の状況をつかむということと、もう一つは、災害を防ぐための警報なり注意報を出すということで、それはひいて申しますと予報を正確に出すという、こういう二点であろうかと思います。  災害の防除に関しましては、たとえばレーダー網をだんだん整備していくことだとか、これはまた将来の問題でございますけれども、静止気象衛星を上げまして状態をしっかりつかむというようなことを現在考えております。  予報の問題につきましては、非常に技術が進んでまいりまして、電子計算機を駆使してやっていくという方法が世界的に進んでいます。そういう面につきまして、電子計算機は入れてございますけれども、さらに高性能の計算機を入れて、さらに精度を向上していくというようなことも考えております。  さらにまた、日本はまわりを海に囲まれておるわけでございますので、船の観測というようなことも非常に重要になってまいります。こういう点につきまして、一昨年でございましたか、新しい啓風丸をつくるというようなことで、そういった方面で大いに努力しておりますし、これからもそういった面で続けていきたいと思っております。
  34. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いろいろ施策を講ぜられておるという御答弁でございますが、いろいろこの観測の技術も、機械化をして進歩しておるでありましょう。したがって、そういう面からは、この観測の技術等は一日ごとに進歩をしておると思うのでありますけれども、聞くところによりますと、この気象観測の仕事全体を縮小するというような話が伝えられておるのであります。そのあらわれとして、気象庁関係の職員を、三年間で二百三十七名も定員を減らしたということを聞いておるのでありますが、これは事実ですか。
  35. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 そのとおりでございます。
  36. 千葉七郎

    千葉(七)委員 さらに第二次の定員の削減をするということも聞いておるんですが、この第二次定員削減というのは、大体何名ぐらい削減しようという計画になっておるわけですか。
  37. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 その件につきましては、具体的にどうなるということについては、まだよくわかっておりません。また、計画も立てておりません。  なお、その削減をやっていく場合に、単に仕事を縮小するということではなくて、先ほども申しましたように、いろいろ技術が近代化してまいりますと、それに対応したやり方があるわけでございまして、そういう点は十分に取り入れまして、そうして気象予報ないしその注意報なんかの発表につきましては、むしろ前より進歩したようなかっこうで進めていく方向で、そういった問題に対処したいと思っております。
  38. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いろいろ技術が進歩しておるからして、職員を削減しても仕事の縮小にはならぬ、こういう答弁と承ったわけですが、この第二次定員の削減は、まだはっきり計画が立っていないということですからどうなるかわかりませんけれども、いずれにしても、第二次の定員の削減も行なうだろうといわれておるわけですが、今度のこの霜害などは、もう少しきめこまかく予報の仕事をしていただいたならば、それに対する苗しろの予防の措置などは完全にとれるんです。要するに、あした霜が強く降るということが前の日にわかれば、苗しろの苗の上までかん水をするというようなことさえしておけば、苗しろの霜害なんかも防げるんです。果樹園なんかについても、たとえば夜火を燃やすというようなことをやれば、ある程度防げるんです。ですから、気象予測を確実に、もう少し早く、霜害があるだろうと思われる地域に対して徹底して通報をすれば、そういう災害はある程度防げるんです。ところが、今度の災害等被害を見ましても、そういうような予防の措置が徹底してとられなかったのではないかというふうに考えられるわけなんであります。  そういう点から考えますと、いろいろな観測の技術は進歩しましても、そういう末端に対する、進歩した技術から得た結果を徹底させるというような機構がおろそかにされておるのではないか。それはどこからくるかというと、政府の方針として人を減らすんだということで、定員を削減していくというようなところからきておるのではないかという感じがするんです。  いまから四十年ぐらい前のことですけれども、私も役場の職員をいたしておりまして、気象庁のあの地域地域における測候所の観測の仕事をやったことがありますが、その当時から見ますと、この観測の仕事それ自体、技術それ自体はいろいろ進歩しておるでありましょうけれども、何か――いま、もちろんテレビ等もありますから、したがって、テレビ等による通報といいますか、そういうことも行なわれておるわけですから、そういう面も考慮の中に入れれば、当時よりは、もちろんこの気象に対する通報、普及の方法が発展をしている、進歩しているといえばいえますけれども、何か末端に対する予防措置についてのきめこまかい措置というものが欠けているのではないか、そういう感じがするわけでありますから、したがって、いたずらに職員の数を減らして、そうしてわずかばかりの人件費を節約するというようなことは――一ぺん災害が起きますと、今度の災害なんか、東北大県だけでも百二十数億円の損害。たとえば千人の職員を削減をしましても、あれでしょう、人件費としましても、一人二百万ずっとして、千人減らしたとしても二十億円にしかならないのですね。そういうわずかの人件費を節約するために大きな災害が生ずる。これは霜害ばかりではない。いろいろな災害が起きるわけですけれども、わずかの人件費を削減をし節約をするために大きな災害が起きるというようなことであってはならぬと思うのです。ことに、この農業気象関係とか海洋気象関係とか、そういう関係の仕事というのは、直ちに仕事に影響してくる問題でありますから、そういう点も十分考慮をして、いたずらに定員を削減する、そうして気象業務なり気象予報業務等を縮小するということのないように、ひとつお願いをしたいと思うわけであります。これは別に答弁は要りませんけれども……。  そこで、お伺いをいたしたいのでありますが、ことしの気象見通しはどうなんでありましょう。ことしの気象長期見通しですね。この夏はどういうことになるか、この夏の気温はどういう見通しになっているかということをひとつお伺いしたいと思います。
  39. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 大野主任予報官が来ておりますので、そのほうから答弁いたさせたいと思います。
  40. 大野義輝

    ○大野説明員 千葉先生にお答え申し上げます。  一昨年以来、やはり異常気象含みの天気が持続しておりまして、ごく大ざっぱに申しますと、今後もなおそういう傾向が続くであろう、こういうふうな予報でございまして、とりあえず本年のつゆの予報でございますけれども、六月に――つゆのはしりは、大体現在そのような徴候が出ておりますけれども、つゆのはしりが始まりまして、本格的なつゆはやはり、平年は十日前後でございますが、関東付近でございますが、それが多少ことしは早まりまして、六月上旬ごろから本格的なつゆに入るだろう。しかし、そのころはまだ長雨が続くというわけではなくて、ときおりかなり晴れる日もあるというようなことでございまして、一番注目しなければならないのは、やはり六月の下旬から七月の上旬あたり、この辺は、たまたまオホーツク海方面からかなりの冷たい寒気団が南下してくるであろう。したがいまして、つゆも非常に活発になりまして、集中豪雨をはじめといたしまして、北日本方面はかなりの低温にもなるのではないだろうか、こういうふうな見通しでございまして、その後、七月がわりあいにつゆが活発でございまして、平年よりおくれてつゆが上がるのではないだろうか。平年でございますと、大体七月の十七、八日ごろでございますけれども、場合によりますと、ことしは二十日過ぎにつゆがおくれて終わるというようなことでございまして、その後本格的な盛夏季を迎えるわけでございますが、やはり北極方面の冷たい寒気団におおわれまして、盛夏といえども、北日本を中心にしてときおりやはり寒気が入りまして、かなり涼しいと申しますか、寒いと申しますか、そういう天候になるのではないだろうか、こういうふうに考えております。  それからなお、台風でございますけれども、台風は、この間に一、二個ぐらい本土に接近、あるいは場合によりますと上陸というようなことを考えておりまして、北日本方面については、本年の見通しとしましては、天候から見ますとあまりよくないという結論と、こう思っているわけでございます。  なお、西日本方面は、逆に非常に気温が高温になりまして、場合によりますと雨不足というようなことも、この夏は起こるのではないだろうかというような長期予報でございます。  以上でございます。
  41. 千葉七郎

    千葉(七)委員 東北地方は御承知のとおり米作地帯でありますが、この米作地帯の東北地方天候は、ことしは、つゆも非常に早く来ておそくまで上がらない、それから盛夏の季節になっても、北極の寒気団ですか、それがやってきて夏は非常に涼しい、こういう見通しだ、こういうわけですが、これはたいへんな、困ったことだと思うわけでありますが、そこで、そういう気象の予想からいたしますと、ことしは、例年のとおりの農作物の関係であったとしても、東北地方米作地帯においては、冷害によって相当不作の年になるのではないか、こういうことが心配されるわけなんであります。  そこで、これは農林省当局にお伺いをいたしたいのでありますが、霜害によって苗しろがほとんど全滅をした。岩手県では、大体苗しろの面積が全部で四千ヘクタールぐらいあるのではないかと思うのですが、この県の調査によりますと、二千四百ヘクタールほどやられているわけでありますから、したがって、大体六割近い苗しろが被害を受けていると、こういうことになるわけであります。そこで、この六割近い苗しろが、全部まき直しをするということではないと思いますけれども、私が見たところでは、ほとんどまき直しをしなければならぬではないか、大部分はまき直しをしなければならぬではないか。天候が回復して、被害もある程度は回復するかもしれませんけれども、非常に多くの面積の苗しろをまき直しをするということになれば、田植えが、したがって非常におくれるわけです。田植えがおくれて、ことしの夏寒いということになれば、当然秋には不作になる、こういう見通しになるわけなんです。そこで、そういう見通しと、いま政府のやっている水稲稲作の減反政策との関連をどういうふうに考えられているか、その点をひとつお伺いしたいと思うのであります。  農家としましては、そういう関係から、政府の要請、要求している二割三分の減反をやるということになれば、農家農業所得に大きな支障ができるわけです。そこで農家としては、あるいは二割三分の減反を――当初、霜害にかからない前は受け入れたとしても、政府の要請に従って二割三分、要請どおり減反をしようと思っていた農家も、苗しろの凍霜害あるいはことしの気候の長期見通し等による冷夏などからして、政府の減反要請を最初は受け入れたとしても、それに応じない農家が出てくるのではないか。たとえば、去年一割の減反、ことしは二割三分の減反でありますが、昨年どおり一割なら一割だけの減反にとどめて、そして九割の作付をするといったような事態が生ずるのではないか、かようなことも考えられるわけであります。そうしなければ、もちろん農家の農作物の収入が確保できないわけでありますから、そういうことも予想されるわけでありますが、その場合、最初には政府要請どおり二割以上の減反に応じたのだけれども、霜害の結果、さきに応じた減反をやめて、一割なら一割だけの減反をした、そういった農家政府に対する米の販売の予約については、特に、減反に応じなかったから、したがって予約どおりの米は買えないのだといったようなことのないように扱っていただかなければ、被害農家は非常に困る、こういう結果が免じないともいえないと思うわけであります。そういう関係はどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ当局の考えをお聞かせ願っておきたいと思います。
  42. 岡安誠

    岡安説明員 現在の苗しろの被害、あわせまして長期予報を踏まえまして、今後稲作が相当減るのではないか、特に被害が大きくなるのではないかということと関連しまして、生産調整をどう扱うかという御質問でございますが、御承知のとおり東北地方におきましては、現在の天候不順によりまして、稲作につきましては四〇%から二〇%程度の生育遅延というふうに私どもは考えております。したがいまして、その影響を受けまして、今後の田植え等につきましても、例年よりも一週間から十日程度はおくれるものというふうに考えておりますが、それらに対する技術的な対策等につきましては、今後万全を期してまいりたいというふうに考えておりますので、その技術、施策等が適切に行なわれますれば、収穫時におきますそう大きな被害にはならないものと考えております。したがいまして、現状におきましては、四十六年度におきましてお願いしております二百二十万トンの生産調整の数量というものは、変えるつもりはございません。現に、ほぼ九六%程度においては農家が生産調整を実施するということで、その事業といいますか生産調整の実施に踏み切っておりますので、私どもは当初の予定どおり、二百三十万トンの全量につきまして農家に出産調整のお願いをするというふうに、実は考えておる次第でございます。
  43. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  先生も御案内のとおり、今年の米穀の需給事情にかんがみまして、政府は、政府買い入れにつきまして、申し込み限度数量を農家に指示し、その指示の範囲内において予約をするという制度をつくったわけでございます。申し込み限度数量につきましては、これは今年度初めてのことでございますので、いきなり政令に基づきまして指示をするということになりますと、いろいろな問題も起こりますので、農林省といたしましては、まず府県別の数量を二月八日に、内示という形で指示したわけでございます。それが、最近の食糧庁の調査によりますと、末端の農家の方々の申し込み限度数量が大体きまって、きたという状況に現在なっております。これを受けまして、農林省といたしましては、政令に基づく正式の指示を五月の末ぐらいに行ないまして、一番末端の農家の方々の申し込み限度数量がはっきりきまるというのは、大体六月末でございます。そこで、ただいまのところ、食糧庁といたしましては、この内示の段階できまった数量を変更するということは考えておりません。
  44. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いずれにいたしましても、ことしの稲作の護実体予測されるところであります。いまのところ減反割り当ての数量が、九五%達成の見通しだということでありますけれども、今後において、苗しろの被害等から、あるいは減反のパーセントが下がってくるというようなことも予測されますので、そういうことが起きましても、ことに被害農家に対しましては実害が起きないような対策をひとつ立てていただきたい、かように思うわけであります。  時間も参りましたので、最後にお願いと申しますか要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、けさ、東北六県の自治協議会のほうから、今度の異常気象による被害に対しまして要望書が出ております。それによりますと、今度の被害、それはばく大な被害であります。百二十七億円にも達するのでありまして、この被害に対しては、天災融資法適用自作農維持資金融資、貸し付け限度の拡大、それから苗不足に対処するための追播種苗の確保に要する経費、あるいは果樹、桑の樹勢の回復に必要な資材の購入費に対する助成、さらには水稲大規模共同育苗施設設置の拡大、あるいは果樹の共同開荷施設、花粉の冷蔵施設等に対して助成されたい。あるいは果樹共済制度の早期の実現をはかれ――これはいま試験的に実施をしておるのでありますけれども、これを全面的に設置をしてもらいたいということ。あるいは税金対策、あるいはまた、被害地方の公共団体に対して特別交付税の増額をしてもらいたい、といったようなことなどの要望者が出ておるわけであります。この被害地域の各県の要望書に対しましては、当局のほうでは、ぜひひとつ前向きに被害救済策を講じてもらいたい、かように要望いたしまして私の質問を終わりますが、ぜひそういうふうにお願いいたしたいと思います。
  45. 中井徳次郎

    中井委員長 次は、米田東吾君。
  46. 米田東吾

    ○米田委員 私、最初農林省にちょっとお聞きいたします。  先ほどの説明によります今回の四、五月凍霜害による被害状況、このプリントの中には、北陸農政局管内のたとえば新潟県あるいは富山県、そういうところは入っておらないようでありますが、これは被害がなかったのか、あるいは落らておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  47. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  先ほど千葉先生から御質問がございましたが、冒頭に御報告いたしました数字は、十七日現在の数字でございます。その後、各県から被害が次々と入っておりまして、中間集計中でございます。したがって、報告のおくれたところとかその他を含めまして、最終的な県報告確定いたしますし、さらに、しばしば繰り返し申し上げましたような国としての調査東北、北陸各地方の国としての調査をまとめました上で確定したいというふうに考えておりますので、最終的に申し上げられますのは、国としての調査が終わりました段階ではっきりするというわけでございます。
  48. 米田東吾

    ○米田委員 わかりましたが、それにしても、私の手元には、新潟県の被害状況が資料として届いておりますが、これは新潟県は五月十七日でありますから、あなたのほうのこの調査と同じでありますけれども、しかし、先ほどの答弁によりますと、十六日までに各県から上がってきたものをここに出したのだということであります。東北六県、それから関東等が出ておりますが、新潟県の被害というのは、前回の委員会で私が申し上げたとき、すでに被害が出ておるわけでありまして、全然本省のほうに上がってきておらないはずはないと私は思う。私のところに来ておるのでは、大体十二億四千五百二十五万五千円、これも中間だと思いますけれども、とりあえずの被害額が十二億四千五百万円、こういうのが上がってきておるわけであります。全然なかったとすれば、新潟県はきわめて怠慢じゃないかと私は思いますし、これからさらにやるんだと言われましても、これらに対する対策の姿勢が問題だと私は思っておるわけでありますが、その点いかがでございますか。
  49. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  現在取りまとめております国の調査におきましては、北陸その他についても被害を認めておるようでございます。県の報告も凍霜害を主とした関係でございまして、果樹霜害、その報告が早く参っておって、その数字が比較的早く出た。それが十六日現在という県の限定があり、かつ金額が少なかった理由だというふうに判断しておりまして、最終的にわれわれのまとめました段階におきましては、実情がはっきりつかめると思います。われわれの調査も凍霜害中心とした調査で、当時十六日現在は、低温障害が十三日現在まで進行しておりましたので、その関係数字の取り上げがおくれておるというような関係と判断をしております。
  50. 米田東吾

    ○米田委員 大河原さん、新潟県でも凍霜害があるのです。もちろん冷害の被害もありますけれども……。特に新潟県では、果樹関係が六億一千九百万円、野菜が二億三千八百万円、この果樹と野菜は、ほとんどこれは霜であります。私も現地を見まして、それを確認しております。ですから、これはあるいは連絡の不行き届きかどうか知りませんから、ひとつ正確につかんでいただきまして、被害対策については遺憾のないようにお願いをしたいと思います。それから北陸農政局だって、調査指導はやっているのでしょう。これは答弁は要りませんが、よく指導をしていただきますようにお願いをしたいと思います。  それから、先ほどの千葉先生質問でほぼ明らかになりましたが、再度お聞きしておきたいのでありますけれども、要するに、ことしの生産調整に対する農林省の取り扱い態度であります。東北六県並びに新潟県を加えた東北七県等におきましては、この被害対策でいま一生懸命なのでありますが、この中で、特に県の責任者の皆さんが心配しておられますのは、先ほどの答弁にありましたように、生産調整の調整数量申し込み期限が五月末日になっておるが、この五月末日の期限は、数量がどこまでいくかいかないかは別といたしまして、若干でも被害県については延ばせないのかどうか、ここらあたりの取り扱いを、被害県としてはぜひ延ばしてもらいたいという前提で、そういうことを気にしておるわけであります。お聞かせをいただきたい。  それからついでに、前回の委員会で――減反の申し込みをした耕作農家が、減反に応ずるといって五アールなり、あるいは一ヘクタールなり申し込みをした。ところが、今回の凍霜害あるいは冷害で苗しろがつくれない。まき直しをやっても間に合わない。したがってこの際、減反あるいは生産調整という国の政策もあることだから、無理しないで減反をしようか、農民自身が割り切って、そういう意思でさらに減反の申し込みをするという場合には、これは認めていただけるかどうか。前回はたしか大河原参事官から、農民の意思がはっきりしておればいいのではないかという御説明があったようでありますけれども、もう一回はっきり確認をさせていただきたいと思います。
  51. 岡安誠

    岡安説明員 最初の、生産調整実施計画書の提出期限の問題でございますが、現在でも提出期限は三十一日ということになっておりますが、その後の事情によりまして、追加いたしまして実施計画を提出いたしたいという場合には、私どもは、それを奨励補助金の交付の対象にいたしたいというふうに考えておりますけれども、今回、広範にそういうような事情が発生いたしました場合に対処いたしまして、地方農政局とも都道府県のほうから御協議いただきまして、五月三十一日の提出期限を延期できるようにというような措置を講じたいというふうに考えております。  それから後段の問題でございますが、私どもは、災害によりまして稲が不足を生ずるということで、農業者が稲を作付をしないというような事態が発生いたしました場合には、当然それも、生産調整の奨励補助金の交付対象というふうに考えてまいりたいと考えております。
  52. 米田東吾

    ○米田委員 次に私、今度の災害に関連いたしまして、気象関係にひとつしぼって、私のいただいておる時間、主として気象庁長官に御質問をしたいと思います。  ことしに入りまして、一月には例の山陰の島根、鳥取の低気圧によるところの突風で、これは主として港湾と漁船でありましたけれども、大きな被害が出てまいりました。それから、今回の四月、五月にかけての異常な低温による凍霜害被害が出ておるわけであります。それはいままでも委員会では、いつでも災害の場合はそうでありますが、このような被害が出ますと、必ず気象状態――観測はどうであったのか、予報がどうであったのか、もっと事前に周知ができて、そして十分な対策というものが被害を受ける前にとれなかったのか、必ずこれが問題になりまして、気象庁にそういう点をただすとか、あるいは善処を求めるというようなことになっておるわけであります。  一般的に考えましても、先ほども話がありましたけれども、今度の凍霜害は大体百億をこえておる。これだけは間違いないと思う。一月の島根県、あるいは鳥取県のあの突風による被害でも、しかも零細な漁民が、たいへんな被害を受けておる。そしていつでも現地では、もっと気象庁予報なりそういうものが十分であれば、きめこまかければ防げたんだという声が、必ず出てくるわけであります。今度、私も新潟県なんかを回りましたが、たとえばこういう話をしております。  農村のおやじがちょっと用があって外へ出ておって、一ぱい飲んで夜の十時ごろ帰ってきた。たまたまテレビを入れたところが、気象予報が、霜があるとか、どうも低温だ、異常であるから苗しろの手入れをしなさい、水をためなさい、ビニールをかけなさい、あるいは果樹等についてはそういう対処する方法が報道されておる。これはたいへんだということで苗しろに飛んでいって、夜中にビニールをかけたり水を入れたりした。そういうところは被害が少なくて済んでいるわけです。そういうことで、夜遊びも決して悪いものじゃない、そういうようなことを言っておりましたけれども、とにかくそれ一つ見ましても、予報というものは非常に大事じゃないかと私は思うのです。  いままでの段階でも、予報関係はなかなかこれは――気象庁のほうから、こうやりました、ああしました、こういう予報を出しております、手を打ちましたと言われますと、それでもう私どもは、それ以上の追及ができない。それで、ああそうですかということで引き下がるわけであります。しかし、何かそこに、もう少し突っ込んで点検をする――気象庁予報の系統、あるいはそれを受けた報道関係や市町村の農業指導等の段階における指導あるいは周知、そういうものを総体的に含めまして、もう少しこれは問題にして、特に農業気象がそうだと私は思いますけれども、いわば対策を講じていかなければならぬのじゃないか。隘路や問題点があれば、これはもう災害対策の最大の問題として、特別委員会でももっと突っ込んで取り組んでいかなければならぬのじゃないか、そういう感じが実は私はしているわけであります。  したがって、今度のこの四月、五月の凍霜害、冷害につきまして、前回の委員会で大野予報官から答弁がありましたけれども、もう一回ひとつ長官から、今度の冷害あるいは凍霜害について、気象庁が、いつごろそういう気象の観測をされて、そうしてどんな予報を流して、それがどういうふうに東北や新潟県の関係農民に周知をされておるのか、いわばあなたのほうの予報の点検であります。それをひとつ私はお聞かせをいただきたい、こう思っております。
  53. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えいたします。  霜の予報につきましては、技術的に申しまして、予報という立場から見ますと、予報の中では非常に進んでいるほうでございまして、その霜の予報は、非常に大きな精度で予報が可能でございます。今回の場合につきましても、時間的には、かなりいろいろな点問題はあるかと思いますけれども、霜の注意報を出しております。その時間を申し上げますと、五月一日の二十二時三十分に出ております。五日の十七時三十分、それから九日の十七時三十分、それぞれ霜注意報を出しまして周知をしておるわけでございます。  その手段といたしましては、やはり大ぜいの農家でございますので、一番よい方法といたしましてはテレビ及びラジオでございまして、放送局にその模様を通知いたしまして、そのほうで放送する、こういう形態をとっております。そのほかに、霜の予報につきましては、これは気象庁というよりは、むしろ県なりあるいは農林省関係のことでございますので、そのほうに対しましても、こういう注意報が出ますと必ず通知いたしまして、霜注意報の徹底というようなことをはかっております。  ただ、一般に対しますところの周知に関しましては、先生おっしゃいますように、やはりいろいろ問題がございます。何ぶん相手が非常にたくさんあるものでございますから、周知する手段といたしましては、やはりテレビ、ラジオといったような、いわゆる一般のマスコミを利用するよりしかたがございません。それからもう一つは、一般からの問い合わせに対して返事をする、こんなような対策をやっております。
  54. 米田東吾

    ○米田委員 長官、今度の四月、五月のやつは、前回の委員会では、大体四月二十八、九日ごろから一つの波があって、それから五月の上旬ということになっているわけであります。いまのあなたの御説明によると、五月一日二十二時三十分、これが最初になっております。あとは五月七日、九日。そうしますと、四月中にはそういう観測と予報は出しておりませんですか。
  55. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いま私が申しましたのは、いわゆる霜注意報といいます、何と申しますか実際の行動をとるための周知でございまして、このほかに普通の気象情報と申しますか、長期予報及び週間予報、こういうことで、この前に大野予報官が御説明したかと思いますけれども、そのように出ております。  ただ、それに対しましては、やはり精度の問題がございまして、週間予報と申しましても、たとえば一週間先になりますと、何日というぐあいに正確な予報はかなり困難でございまして、一、二日のズレがございますし、その程度につきましても差がございますので、実際の行動を起こすためにはやはり注意報というものを、たとえばその前日なりあるいはその日の間に出すという、こういうような体制をとっておるわけでございます。
  56. 米田東吾

    ○米田委員 あなたは、霜といいましても、どこの霜を言っておられるのですか。新潟県の場合は、四月二十九日が一番大きな霜だったのです。だから、東北の仙台の霜を言っているのか青森の霜を言っているのか。いま農林省は、大体この四月の下旬から五月の上旬にかけての冷害と凍霜害を含めての被害状況報告されまして、それを私どもは議論して、それに関連する気象関係予報関係はどうだったか、こういうことでお聞きしておるわけであります。新潟県の場合は四月の二十八日、九日であります。二十八日の夜中から九日であります。このときの霜が大きくて苗しろがやられたのです。ですから、その点は、どこの霜をあなたは予報されたと言うのでしょうか。
  57. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先ほど申しましたのは一般的なことでございますけれども、この予報につきましては、もちろん新潟におきましても、大体同じような方向で出ております。
  58. 米田東吾

    ○米田委員 それはわかりました。  それで長官、あなたのほうで予報というのはどこまでですか。もう少し私は、専門的、系統的にこの際聞かしてもらいたいのです。たとえば、あなたのほうで、測候所なりあるいは管区気象台ですか、新潟の場合は地方気象台、そこで観測をやる、直ちに予報を出す。その場合は、どこまであなたのほうの予報は、気象業務法によってなさることになるのでしょうか。その中には、たとえば県の農林部の中の、どういう役所になるかわかりませんけれども、指導課だとかなんとかそういうところにもいくようになっているのか。市町村段階のそういう農業指導のセクションにもいくようになっているのか。それから放送局には、確実にこの予報がいくようになっているのか。そういう関係は、系統があると思いますから、あなたのほうの予報というのはどこまでかということを、もう少し聞かしていただきたい。
  59. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いまの点についてお答えいたします。  予報の出し方につきましては、注意報、警報につきましては、一般の都道府県でございましょうか、それを単位に出しております。それを通知いたしますのには、放送局にもいろいろございますけれども、NHKに対しましては必ず通知をいたしまして、そこで一般に周知する、こういうたてまえをとっております。それから、そのほかの一般の農業団体とか何かございますけれども、これは要求がございますれば、そういうところに通知することになっております。その手段といたしましては、電話でお知らせすることもございますし、そのほかに気象通知電報というのがございまして、それでお知らせする、これは向こうの要求に応じて出すわけでございます。それから、一般に県関係農業関係の課でございますね。これは各県によって多少事情が違うと思いますけれども、そのほうには、こういう警報が出ますと必ず電話でお知らせする、こういう体制になっております。
  60. 米田東吾

    ○米田委員 ちょっとこれは関係農林省のほうで、どなたか答弁できたらしていただきたいと思いますが、いま長官がおっしゃるように、そこまでの大体の予報が出てまいりますと、かりに農業気象というふうに限っていいと私は思いますが、これを受けて、市町村の役場の農業指導課とか、いろいろそういうのがありますから、それから農協なんかの生産指導のそういうのもありまして、そういうところでは、有線放送を使ったりあるいは回覧板を回したり、いろいろな方法をとって生産農民に周知させていると思います。それらの関係については、総体的にどんな方法でどういうようにやらせているか。農林省として何か管轄といいましょうか、管理といいましょうか、指導といいますか、そういうようなものがもしあるのだったら、ひとつ聞かせていただきたい。
  61. 岡安誠

    岡安説明員 予報の徹底の問題でございますが、長期予報と、それから短期といいますか異常な場合の速報ということがございますが、長期的には、農林省関係気象状況につきましては、県がまず受けまして、県と地方気象台ともいろいろ連絡協議会を設けておりまして、技術その他方法を固めまして、県からは、一つには普及所がございまして、普及所、普及員という系統を通じまして農家への徹底をはかる、もう一つは、県から市町村を経まして、市町村から関係団体、農民という、二つのルートを通じまして指導の徹底をはかっております。特異に、たとえば霜がおりるというような警報が出ました場合は、そういうルートのほかに、直接県庁から担当のところの団体等にも、電話その他で急報を発するというのが例でございまして、最も早く確実に警報が伝わるようなルートを選びまして徹底をはかるという二本立てでもって現在やっております。
  62. 米田東吾

    ○米田委員 大体のそういうルートといいましょうか、方法はわかったのですが、そこで、そういう注意なり警報なりの予報、予告について、たとえば定期的に、それがどういうふうに徹底するかというようなことについての点検は、気象庁のほうでも、それから農林省のほうでも、制度的になされておるのでございましょうか。これは、この種の関係では非常に重要なデータになるのじゃないかと思うのでありますけれども、どうでございましょうか。これは両方から答弁していただきたいと思います。
  63. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この点につきましては非常に重要でございますので、定期的にチェックをするということはやっておりませんけれども、年に一回とか二回とかアンケートを出しまして調査をやっております。さらに、大きな災害がありました場合には、特別にそういった調査をすることもございます。
  64. 岡安誠

    岡安説明員 農業関係におきましても、定期的な点検ということはいたしておりませんけれども、やはりその成果があがるように随時指導しているというのが現状でございます。
  65. 米田東吾

    ○米田委員 わかりましたが、ぜひひとつ実効のあるように点検しながら、さらにそのいい方法考えて、きめのこまかい生産農民に対する気象の周知、予報ができるように、これはお願いしておきたいと思います。  それから、気象庁のほうでは、いま農業気象というものには、これは三十四年からでしたか、そういうことがあなたのほうにも制度的に予算的に認められて、そうしてこれに力を入れていただくことになりまして、相当全国に、農業気象の観測の委託の何か末端機構ができるようになった。これは農民には相当理解をされて、非常によいものとして受け入れられておるわけなのでありますけれども、聞くところによりますと、この農業気象関係というのは、農林省の米に対する政策が変わったということの理由から、最近は気象庁は、もう農業気象は力を入れない、なくしていくという方向に変わったように聞いておるのでありますけれども、長官、この点いかがでございますか。
  66. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 お答えいたします。  農業気象につきましては、見かけは、あるいは先生のおっしゃるように見えるかもしれません。しかしながら、農業気象そのもの自身につきましてもいろいろ進歩してまいりまして、特に農業気象は何が重要かと申しますと、やはり何と申しましても正確な予報あるいは状況を知らせることが必要なことでございます。もう一つの点は、情報化時代に備えまして、やはり速報でございましょうか、早く状態をつかまえて、それを早く知らせるということが重要かと思います。そういう観点に立ちますと、従来のやり方につきましては多少問題がございますので、そういう点を考慮いたしまして、新しく観測網と申しますか、そういう点をやり直して、さらによりよい農業気象を出すというようなことを現在計画中でございます。そのことは、決して農業気象を軽視しているということではございません。  それから、もう一つの問題点は、農業もいろいろ変わってまいりましたので、先生おっしゃいましたように、米の問題も非常に重要でございますけれども、それ以外の農業につきましてもいろいろ問題点がございます。そういう点になりますと、やはりいろいろ、やり方につきましても今後検討を要する面があるのではないかと思いますので、そういう点も踏まえて考えまして、十分これから、そういった方面につきましても力を入れていきたいと考えております。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 農林省のほうはどうですか。
  68. 大河原太一郎

    大河原説明員 お話のように、農業気象観測施設の整備については、農林省といたしましても、現在ございます四十七年までの五カ年計画についてもその充実をお願いしてきたわけでございますが、さらに四十七年から五十二年度の新業務計画を気象庁のほうで作成中でございますので、これにつきまして、米はもちろんでございますが、ますます多様化する農業事情に十分反映するような施設等の充実につきまして公にお願いを申しておりまして、その実現を期待しておるところでございます。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 それで農林省の方針はわかったのでありますが、私もぜひそういうふうに――米に限ってのこの問題は、確かにいま大きな問題が出ておりますから、それは議論はしませんが、別としても、農業というのは決して米だけではないわけでありまして、ことに、いま転作や何かで米かうほかのほうに、果樹だとか野菜だとか、そういうところにどんどん、農民は耕作の主体を変えていこうとしているわけでありますから、ますます一般的にいう農業気象というものは重要視されなければならない、私はこう思っておるわけでありまして、いささかでも予算を削ったり、あるいはいまの農業気象の観測所でございますか、名前は正確にはわかりませんが、そういうようなものが廃止されたり軽視されるというようなことは逆行だと思いますので、そういうことのないようにお願いしたいと思います。  それから、長官のいまの御答弁でちょっと気になるのでありますけれども、何か新しい方法考えて、もう少し合理的な方法でこれからやっていきますという御答弁のようでございますが、特に私、今度の災害に関連いたしまして、気象の問題が非常に重要だと思っていろいろ資料をとってもらったのです。気象庁のほうからも、職員の皆さんからも御協力いただいて資料をもらったのでありますが、あなたのほうには、さっきの千葉さんの御質問に関連しますけれども、予報業務の合理化ですか、あるいは系列化ですか、何かそういう新しい名前をつけて、何のことはない、どうせ政府はいま五%削減だ、三%削減だといって、また気象庁にも定員減の割り当てがくるだろう。それに備えて、いまから内部の機構をいじったり、あるいは観測の施設、精度を弱めたりして、人が減ってもいいようにあなたのほうではいろいろ準備をされている、あるいは検討をされている。そういう中に、気象台の観測が、二十四時間やるべきものが半分になったり、あるいは測候所からもう予報というようなものは取り上げてしまって、これは管区気象台が一本にやるのだというようなことで変えていこうとか、農業気象関係では、この観測所や、あるいは気象通報所というようなものもひとつこの際整理をして、何か中央一本あるいは管区気象台一本、そういうようなところでやっていけばこと足りるのだ、そういうような方向を考えておられるように私は聞いておるわけでありまして、これは全く逆行ではないか。専門的なことは私はわかりませんけれども、少なくとも気象台であろうと気象観測所であろうと、あるいは測候所であろうと、あなたのほうで、そこに必要があってそういう施設を置く限りにおいては、私は、たとえば新潟県の場合は相川だとか、あるいは高田だとか――相川ならやっぱり日本海の関係、あるいは佐渡を中心にした気象状態、これは新潟県の漁業や一般の面からいっても必要だということで置かれたのだろうと思うのです。高田ならやはり雪の関係、雪害の関係、豪雪の関係、あるいは富山県、群馬県を含めてのああいう山岳地帯の気象状態はどうか、こういうようなことで、あそこに測候所ができたのだろうと思うのです。したがって、測候所というのは、観測もやれば予報もやる。それぞれその地域の生活に貢献をしていく。そういうことが本来の姿だろうと思うのでありますけれども、何か近代化した、合理化したということに便乗して、予報はもう高田はやらない、相川はやらない、全部管区気象台一本でやってしまう。そういうようなことでだんだん――いわばあなたのほうでは能率化であり、合理化であるかしれませんけれども、住民の側や耕作農民の側からすれば、たいへんなサービス低下をなされようとしている。それが私は、こういう災害の多い日本列島の現状に照らしてみましても、決していいものではないと思うのでありますが、そういうことを意味して、あなたは先ほどの答弁で、いまいい方法、新しい方法考えておりますと、こういう御答弁になったのかどうか。そのことをひとつもう一回、私はあなたから直接お聞かせいただきたいと思います。
  70. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えいたします。  先ほど先生のおっしゃいましたのは、おそらく予報の系列化という問題かと思います。この問題につきましては、実は定員削減が起こるずっと前から問題になっていたことでございます。と申しますのは、いろいろな気象技術も非常に進んでまいりまして、やり方につきましても、いろいろ問題があるわけでございます。これは実は日本だけの問題でございませんで、世界的な問題になっておるわけでございます。現在世界気象監視計画というのがございまして、そこでいろいろな予報を出すにいたしましても、予報を出すのに、一カ所の測候所なりなんなりで空模様を見てやるということでは、近代的な予報としてはできないのでありまして、いろいろな資料を集めてそれを解析して、それに基づいて予想天気図を出す。その予想天気図に基づきまして、局地の状況を加味して最終的な予報を出す、こういう段階になってきておるわけでございます。言いかえますと、いろいろな気象事業をやっていきます場合にも、全体を組織化してやっていく、こういう方向が現在進んでおります。これはやはり近代化を進めていく場合には、ぜひともやっていかなければいけないことであると思います。  その場合、そう申しますというと、たとえば測候所では予報も出さない、観測もやらないということになるのじゃないかということを、すぐに頭に浮かべられるかもしれませんけれども、そういうことではございません。観測そのものは、やはり現地のところで観測はしなければならないわけですから、その観測はいたします。予報も、いわゆる一般の方に対しての予報、あるいは注意報、警報、こういうものは当然そういうところから出すべきでございまして、そういうものは出すわけでございます。ただ、注意報、警報につきましては、防災関係のことがございますので、これは県一本にしてやったほうがいろいろな対策上便利であるというので、県一本で出すことになっておりますけれども、それを測候所なりなんなりで統一することはするわけでございます。予報につきましても、予報基礎となりますものは、非常に世界的な大きなものにつきましては大体本省一本で解析いたしまして、それをファクスなりあるいは無線で各地に知らす。それに基づきまして、ローカルのことを管区気象台あるいは地方気象台で解析する。さらにこまかいことにつきましては、現地でその土地の状況を入れて予報を出すというわけでございまして、多少その点、予報の系列化という問題につきまして誤解があるのではないかと思うのです。
  71. 米田東吾

    ○米田委員 誤解もあるかもしれませんけれども、いずれこれはまた、あとで委員会をかえまして、運輸委員会でもお聞きしたいと思います。  ただ、きょうはもう災害関係で、時間も私はありませんから申し上げたいのですが、私の言いたいのは、たとえばレーダー一つ取り上げましても、弥彦山の山頂にレーダーがあります。あそこにいま、あなたのほうでは何名配置しておられますか。
  72. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 私は、はっきりした数字を現在覚えておりませんけれども、たしか六名であったかと思います。それは交代で、新潟から登りましてやっておるわけでございます。
  73. 米田東吾

    ○米田委員 常態としては四名くらいなんです。この種のレーダー――この種のと言いますのは、この程度の施設の機械のレーダーでありますと、自衛隊あたりは、大体十三名から十五名くらい配置をして、二十四時間フルにレーダーを働かして気象をキャッチしているわけです。弥彦山あたりの状態を聞きますと、確かにりっぱなレーダーは据えつけられた。しかし人員の配置がないものでありますから、きびしいものでありますから、二十四時間レーダーは回っていても、人がつかないから観測できないと、こう言います。これが人員の配置さえつけば、弥彦山のレーダーの働きというものはもっと十分に機能して、蒲原平野の気象についても、あるいは雪に対する観測についても、十分な成果をあげることができるのだ。測候所の皆さんが、機械についている専門家の皆さんが、全くこれは惜しいのですというふうに言われているわけですね。私の言いたいのは、そういうふうにされては困るということなんです。せっかく予算をつけてレーダーをつける、あるいは気象衛星を打ち上げる。ところが、人の問題が充足しませんで、あるいは削減されたり適当にされまして、それが宝の持ちぐされになっておるようでは困るということです。  それから、気象通報所というのがあります。これは観測はしていないと思いますけれども、しかし、いろいろな面では、これもあなたのほうの一つの重要な官署だと思う。大体二名くらいの配置。二名くらいの配置で、そんな――いま郵便局でも、大体局長を中心にして最低二人くらい配置。そうすると三人。一人休んでも、もう一人がつく。ところが、こういうところは二名だという。しかもこれは、おそらく二名が完全に常時いるということは私はないだろうと思う。測候所の人員の削減も、私は相川測候所へ行って聞きましたけれども、そういうふうになってまいりますと、あなたのほうでは、りっぱな近代化あるいは機械化に基づいて、新しい施設や新しい機械を取り入れてどんどん近代的にやっていますと言いますけれども、それを操作するあなたのほうのオペレーターや、あるいは解析、解説、予報する関係者が十分にそろっておりませんと、これが災害のときには役に立たぬし、一般のそういう生産、産業の面に役に立つことは半分になるということにならざるを得ないのじゃないか。宝の持ちぐされ。予算の面でも、こんな使い方をするのだったら、考えなければならないのじゃないかと私は思う。  かつて、ここにおいでの稻葉先生が、気象庁の長官を呼ばれまして、この災害対策の面から、気象庁というのはどうも予算の取り方がへただ、もっとしっかりしなければいかぬじゃないか。災害委の私どもまで含めまして、呼んで、気象庁、しっかりせい、災害対策のために必要な予算なら、災害の特別委員のメンバーも協力するから、断固やれ、こういうことを言われたことがあるのですよ。私ども大いにけっこうだと思うのですけれども、そういう面の努力があなたのほろには欠けているのじゃないか。何か運輸省の外局で日陰者だというようなことで、よちよち歩きすることばかり考えておったのじゃ、災害対策には十分ならないと私は思うのです。そういう点で、ひとつ私は長官から十分考えていただきたい。  で、時間がありませんから――もっと私は、これは運輸委員会で、ひとつあなたの言う予報の系列化、これから考えておられる予報業務の合理化、それから人員削減という問題もあるそうでありますから――もうあなたのほうの職員は不安でしょうがないのです。これもひとつ私は十分ただしまして、一般行政官庁の減員と、気象庁の現場を持って、しかも人が足りないようなところにおける減員では、これはもうたいへんな問題でありますから、私はそういうことからいきましても、気象庁に協力する意味で、これはあとの運輸の委員会でまた御質問いたしますけれども、とりあえず、いま申し上げたことについて長官の見解だけ承って、終わりたいと思います。
  74. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 気象庁のことにつきましていろいろ御叱正あるいは御激励をいただいたと思うのでございまして、ありがたく思います。確かにいろいろな人員の面につきましては、必ずしも十分とはいえない面は多々あるかと思います。そういう点につきましてはさらに努力して、いろいろくふういたしまして、あるいは要求なり何なりして、防災に対して万全の策を講ぜられるようなふうに向けていきたいと思います。  ただ、わりあい災害に対しましては、災害が常にあるわけじゃございませんので、そういう場合につきましては、職員の方に非常に御努力願うわけでございますけれども、万全な観測体制をとりまして、災害を完全に防ぐことは不可能かと思いますけれども、最小限にとどめるようなふうに努力していきたいと考えます。
  75. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  76. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、津川武一君。
  77. 津川武一

    ○津川委員 この間の委員会で、天災融資法、激甚のこと、それから今度の災害と生産調整の関係委員長からも要請されて、生産調整に関しては前向きな答弁をいただいて、非常にけっこうでございますが、そこで天災融資法は、これは発動見通し、ございますか。各県ごととか地方局ごとにやるのでなくして、全国一本にしてやるわけでございますが、見通し、どうでございますか。
  78. 大河原太一郎

    大河原説明員 先ほど千葉委員の御質問にお答えしたとおりでございまして、国の調査を早急に確定いたしまして発動の準備をいたしたいというふうに考えております。
  79. 津川武一

    ○津川委員 天災融資法、自創資金、みんなこれは必要だと思うのでございますが、被害を受けた農民にとっていますぐ迫ってきているものは、系統資金の元利払いなんです。災害を受けて、なかなかこれが払えない。こういう状態に対して、系統資金の元利払いの一時延期が必要になってきていると思いますが、これはできましょうか。
  80. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げますが、農業近代化資金その他制度資金につきましては、それぞれ災害等を受けた農家の方々に対する償還猶予措置については、災害実情に応じまして措置し得るようになっております。一般の系統資金等につきましては、それはケース・バイ・ケース、それぞれの農協農協におきまして措置するということに相なっております。
  81. 津川武一

    ○津川委員 この間福島で、非常に皆さん一生懸命おやりになって、霜がおりてくるので、くだものを守るために火をたいて、三回やって、四回目が一番ひどかったのですが、三回目までで、十アールで二千円ばかりかかってしまって、最後の一番ひどかったときにやるお金が、人手がなくなってしまってあの損害を受けたわけですが、こうした場合の資材、今後これは援助できるか、こういうものに使った資材に対して、資金融資援助ができるかどうか。
  82. 大河原太一郎

    大河原説明員 凍霜害関係いたしまして、各種の資材関係の施設につきましては、過去五、六年前まではケース・バイ・ケースで行なった事例はございますが、その後、単位当たりの金額はほぼ農家負担にたえるというようなこともございまして、また実は零細なものでございますので、その使途その他についていろいろ問題等も、末端では各種事例が発生したケースもございます。したがいまして、これらはそれぞれ所要融資措置でまかなっていくというようなことに相なっております。
  83. 津川武一

    ○津川委員 でき上がった災害の補修やあと片づけでなく、災害を予防するためにこれに投資をする場合、援助の道があるかどうか。今後のことでございますので、ひとつ態度を明らかにしておいていただきたいのです。
  84. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  たとえば、今年度から農林関係稲作対策として、寒冷地等に重点的に取り上げました育苗センター、これらは、冷害その他に対する恒久施設というふうに取り上げたわけでございまして、その他、これが営農の合理化と災害保全というものについては、積極的に予算上も取り上げてまいりたいと思います。
  85. 津川武一

    ○津川委員 それから、今度の冷害、霜害農民の作業計画、スケジュールがかなり狂ってきたわけです。今度これからまた苗しろをやり直し、苗を集める、人を集めるなどということをやると作業が、非常に狂ってしまいますので、そこで、この作業の順序を円滑に運ばせるために田植え機、これを機械化しているのがあるから、これをまたいま買って援助するとか、あるものを集めて援助してあげることが非常に望まれておりますが、これはできましょうか、これが一つ。  出かせぎに行く期間がおくれてしまりておるので、この点で農業外収入がまた減るので、こうしたことも、農業外収入を守るためにも何かあるのじゃないか。  この二つの点を答えていただきます。
  86. 岡安誠

    岡安説明員 今回の災害によりましていろいろ作業がおくれて、いろいろな影響が出るのではあるまいかということでございますが、私ども、今回の災害によりましての影響につきましては、まず稲の成育遅延の問題でございますけれども、五月中旬から幾ぶん気温も上昇いたしまして、その成育は相当回復しておりますので、一部におきまして、後期の追肥等によります成育促進等をはかっております関係から、ほとんどの地域では、大体六月の初めごろまでには田植えは終わるのではなかろうかというふうに考えております。  また、苗が不足いたしまして追いまきをした苗しろにつきましても、相当気温の上昇期にあることもございまして、大体平年の一週間から十日ぐらいおくれということで田植えも行なわれるのではあるまいか。したがって、田植えの最終期も、六月十日前後で大体終了するというふうに見ております。したがいまして、大体この程度の遅延によりましては、その以降におきます農作業計画または夏季におきます出かせぎに対する影響というものも、あまりないのではあるまいかというふうに、私どもは見通しをいたしておるのでございます。
  87. 津川武一

    ○津川委員 田植え機、援助できますか。
  88. 岡安誠

    岡安説明員 それから、今後の農作業の促進のための機械の援助というお話でございますけれども、これにつきましては、従来、補助金という方法ではなしに融資ということを考えておりますので、たとえば近代化資金等の農協からの融資ということも考えられるのではなかろうか。これは実情に応じまして、できるだけ御要望に沿うような方向で対処いたしたいというふうに考えております。
  89. 津川武一

    ○津川委員 田植え機を、いま持っているのを被害農民に集めてやって、援助していくということをひとつ考えていただきたい。  それから、もう一つはこの被害調査方法でございますが、先ほど千葉委員、米田委員からも問題になっていますが、青森県の屏風山で、スイカが一億ばかりやられているのです。これを見ますと一千九百万円の損害で、こういったものをすみやかに調べてみる方法が、態度、手順が――一体どうして調べてわれわれに被害総額を出しているのか。この調査方法調査の機関、調査の能力、このことについてひとつお知らせ願います。
  90. 大河原太一郎

    大河原説明員 しばしば繰り返して申し上げておりますように、農業関係災害把握は、被害発生当時から県の把握した被害数字報告していただきまして、当委員会等におきましても、中間的にこれを御報告申し上げております。また、その報告も、二度三度にわたることがあるわけでございます。最終的に国の施策天災融資法その他の施策発動いたします必要な金額の推定その他助成等の基礎、これらは末端まで調査網を張っております国の統計調査組織におきまして把握した数字ということでございます。したがいまして、先生の御指摘の青森県のある地域のスイカでございますか、この被害把握等につきましては、市町村、農協その他関係者が応急の被害状況を見て把握したものを県に上げ、県でも、急ぐものですから、精査をするいとまもなく国のほうに報告してきた。それで、われわれとしては県報告をいじっておりませんので、これを計上したということで、その後県におきましても相当精度の高い、また低温が安定したために、大体被害の推定もできるというような段階になりましたので、あらためて調査をした報告があると私は思います。なお、特定地点については実情調査したいと思います。
  91. 津川武一

    ○津川委員 屏風山のスイカは、各市町村とも要求を持っているので、すみやかにこれを引き出して対策を講じていただきたいと思います。  そこで、農業気象観測について少しお伺いしますが、「農業気象業務の現況 昭和四十五年四月気象庁」これで、一道十四県に農業気象観測所をつくっているのですが、台風の銀座街である四国にない。業務計画で見ますと、四国につくるということも書いてない。新潟など一道十四県で終わるという意味にとれることが書いてあるのですが、これはぜひ必要だと思うので、あらためて長官の決意と方針、これは全国にやらなければならないと思うのですが、聞かしていただきたいと思います。
  92. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この点につきましては、先ほど、たしか米田先生でございますか、御返事を申し上げたことでございますけれども、やはり観測の方法なり何なり、それを通知する方法につきましては、だいぶ時代が進んでまいりましたので、新しく考えなければならない。そういう意味で、現在中城観測網と申しますか、それをいかにするか、そういうことを計画中でございます。その際、農業気象ということももちろん頭に入れまして、十分検討していきたいと考えております。
  93. 津川武一

    ○津川委員 長官が、電子計算機だとかいろいろな近代化することを言っておられる。これは私たちもぜひやってほしい。ところが、あなたたちのつくっておるこの計画によりますと、こうでございます。それだけでは不十分だから、「気象現象の細かな地域変化も農作物に対しては影響するので、県内を農業気候区に区分して、その区域に農業気象観測所および補助農業気象観測所を設置する。」これがあなたたちの方針なんです。ところが四国、あそこいらがとまってしまった。そして、ことしの農業気象観測の予算もふえていない。去年もふえていない。とすれば、長官のことばは私はいただけないので、もう一度この点やる必要があるのじゃないか。こういう立場からいうと、岩手県です。この間、私、ちょうどその事件の、霜の害のときに一関市におったのですが、岩手県には、宮古に測候所があるだけなんです。これはびっくりしました。一関ではどうかといったら、通報所が一関にありました。下のほうで零下四度、通報所は山の上にあって、気象観測はこちらではしていない。これでは、どんな電子計算機でも役に立たない。やはりもう一度この点はとくと考え直さなければならぬ。地域に即応したというあなたたちのこの計画を実施するために、予算も取らなければならぬ。人員もふやさなければならぬ。気象観測を、岩手県でいうと宮古一つ、これを直さなければならぬ、こういうふうに思うのでございます。少し具体的になりましたが、具体的に答弁していただいて、長官の方針を明らかにしていただきたいと思うのです。
  94. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いまの点につきまして、現在農業気象観測所と申しますのは、気象庁の職員がやっておるわけではございませんで、機械を備えつけまして、委託をしてやっておる状況でございます。  この点につきましてはいろいろ問題がございまして、委託をするということが非常に困難になってきております。そういう点で、できればテレメーターと申しますか、そこに観測機械を置きまして、それを電話線なり何なりを通じてこちらで知るというような、テレメーターの方式をとっていったほうが、いろいろな面でぐあいがいいのではないか。委託するにいたしましても、その場合電話で知らせることになりますので、観測結果がすぐわかるわけではございません。そういうような新しい考え方でやっていかなければほんとうの役には立たないのではないか、そういう観点をもちまして、現在そういった点を検討中でございます。  したがって、四国などにつきましても、現在は、農業ではございませんけれども、水害関係や何かでは何カ所かございまして、そのデータは入っております。それが必ずしも水害だけではなくて、その資料は農業面に役立つわけでございまして、そういう点で御了解いただければありがたいと思います。
  95. 津川武一

    ○津川委員 電話連絡けっこうでございますが、調べるところがなくて、もとがなくて、何で電話でいくかという問題。  そこで農業気象観測所、私も行って見ています。どころが、もっと委託の費用が多くなれば、これはやってくれるのです。お金を出し惜しんでいるのです。もう一つには、気象庁の方が一生懸命やることもいいが、一番いいことは、篤農家が見ることが一番いいことなんです。私が見ている気象観測所に行ってみますと、朝の九時に温度をはかっているのですよ。これで低温や霜の害を妨げるとはとうてい考えられないのです。ここのところが、気象庁としてどうしても考えていただかなければならない問題であるわけです。  先ほど米田委員からも、何か米を生産調整するようになって、米中心になった農業気象を打ち切るんじゃないかということが非常に心配になっています。あなたたちの労働組合の方たちも、とてもとても、これは一本化されたのでは責任が負えない、もっと人員をふやさなければならない、こう言っているのです。それで実際聞いてみると、気象庁なんだから、学問的にりっぱな役所であるから、入ります。ところが、こんな情勢だから、すぐやめてしまいますね。この若いエネルギーたちを吸収するにどうするのかということ。西海岸の深浦の測候所に行ったら、二人です。来たっきり転勤されない。山の上なんです。子供の教育も何も困ってしまっているのです。こういう状態に対して、若い層を吸収する。それから、こういう人たちの生活、レクリエーション、人生というものを保障してあげなければ、幾ら力んでみても、私は、農業気象観測ができないと思うのでございます。  こういう点で、先ほど問題になりました。昭和四十三年のこの災害対策特別委員会で決議しているのです。この決議の中にも、気象業務に従事する要員の確保をはかること、その待遇を特別にはかること――これで中曽根運輸大臣が何と答えているかというと、そのとおりでありまして、全力をあげてやるつもりですと答弁しているのです。したがって、長官がひるまないで、この立場でやっていただく、方針を聞かしていただいて、委員長にもこの点を――せっかくわれわれ決議していることがなおざりにされて、また人員整理がくるということに対して、委員会としても適当なときに御相談していただければと思って、委員長にこれはお願いしたいのです。もう一度ひとつ長官の答弁を……。
  96. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 まず、霜の予報の件について申し上げますと、これは非常にこまかい観測はなくとも、霜の予報、注意報ということは、これは可能でございます。そういう意味では、必ずしもこまかい観測所は必要ございません。ただ、問題になりますのは、たとえば新潟県なら新潟県で霜が降ると申しましても、県内で、起こる場所が非常に違うわけでございます。そういうところを調査するためには、やはりこまかい観測所が必要なわけでございまして、そういう意味で農業気象というものが、農業気象観測所というものができてきたわけでございます。その場合、予報という見地から申しますと、何点かはなるべく早く知る必要がございますけれども、非常にこまかい点につきましては、すぐもらわないでも、いろいろ篤志家がやっておるところがございますので、そういう材料を集めて調査をして、それに基づいていろいろなこまかい予報を出す、こういうことを現在やっておるわけでございます。  なお、もう少し詳しく申し上げますと、霜のようなものでございますと、非常にこまかい、気象条件が変わってまいりまして、同じ場所でありましても、畑が違うと違うというようなこともございます。そういった点になりますと、気象台といたしましても、あるいは気象庁といたしましてもちょっと手は出せないのでございまして、その点はやはり農家の方自身がよく経験されて、それに基づいて対策を立てるよりしようがないのじゃないかと思います。ただその場合の基本的な、霜が起こりそうだとかあるいはその危険性が非常に大きい、こういうことについては、気象庁で全責任をもって出すべきであろうかと考えております。  それから、人の点につきましては、先ほど申し上げましたように、気象庁全体の数を考えてみた場合に、必ずしも十分とはいえない面もあるかと思います。そういう面につきましては、今後大いに努力いたしまして、必要なところには人をつけていくというようなことを、いろいろ大蔵省なり何なりを通じまして皆さん方から御決定いただきまして進めていきたい、こう考えております。
  97. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりにします。  長官、霜の害はそういう小さな配慮をしなくてもわかると言っておりますけれども、きのう私たち、宮城県の共産党の県会議員から陳情を受けた。そうしたら、あなたたちが出した霜予報と地域地域で合わないのです。霜は土壌によっても違ってくるし、川一つ隔てても違ってくるし、林一つ隔てても違ってくる。この具体的なものなしに――これがあったならば防げたと言っている。これに対して、あなたは霜の予報なんかできると、こう言っている。だからこそ問題がある。ここの点がぜひとも考えていかなければならぬ非常に重要な問題になってきている。私たちは、コンピューターも電子計算機も大いにやるべし、これは大いに推進することに皆さんに応援しますが、同時に、具体的なものなしにこれをやると、あなた自体はやっておると思っても、被害を受ける人は具体的に受ける。予報もないし、考えもないところに被害を受けている。これが一つの問題。  それから、農林省農業改良普及員、いままでなら喜んで歩いて、あぶないからこうやろうこうやろうと言った人が、米がこうなったために情熱を失ってきている。篤農家から聞けばわかると言っているけれども、この篤農家農業改良普及員と結ばなくなっている。現実を踏まえればそういうことになっておりますので、ここのところを一番救うのは、やはり皆さんの計画、この計画の中にちゃんと、予報の計画を立てて入っていくと、あなたたちが書いているのですよ。農林省をまたないで、ちゃんと地域でやって調べて、予報して対策を講ずると書いてある。こういう業務をやるように求めて、時間も来ましたので、これは答弁があればよろしい、なければなくてもよろしいです。      ――――◇―――――
  98. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、地震対策に関する件等について調査を進めます。  先般のロサンゼルス地震に関する政府合同調査団の調査概要について、調査団長でありました福岡参考人から説明を聴取いたしたいと存じます。福岡参考人
  99. 福岡正巳

    福岡参考人 私は、日本道路公団の参与をしております福岡正巳であります。  二月九日にカリフォルニアに発生いたしました地震調査のため、日本政府の合同調査団の一員としてアメリカに派遣され、二月二十一日から三月四日の間に調査実施してまいりました。政府からは私のほかに十一名の人々が、さらに東京都からは河角団長以下七名、神奈川県並びに大阪府から若干名が加わりました。  調査は、これらの人々が一団となりまして、おのおの専門の立場から実施いたしました。帰国後は、現地調査の資料並びに知識を交換いたしました。さらに、天然資源の開発利用に関する日米会議の耐風耐震構造専門部会の合同部会が東京において開催された際に、アメリカ側の部会員によるセミナー並びに資料の提供を受け、現在も調査、研究を続けております。アメリカ側の話では、調査の取りまとめは約一年かかるとのことでありますので、私どもはその調査報告の検討をいたしました上で、最も正確な知識を得、そして結論を得たいと考えております。  しかしながら、わが国における地震対策は一日もゆるがせにできませんので、調査中に見聞いたしましたこと、また、はだで感じましたことをもとにいたしまして報告書を作成し、その中から得られました教訓を御報告いたしました。  三月五日に第一回の中央防災会議に対する報告、三月三十一日付の第二回の報告、これはお手元に配付されておるものと思いますが、これをいたしました。また東京都からは四月に、一九七一年二月九日サンフェルナンド地震調査報告書というものが発表されております。これらの報告書の内容をここで詳細に説明することは、非常に有意義だと考えますけれども、時間がありませんので、残念ながら割愛せざるを得ません。そこで、これは十分お読みいただくことといたしまして、以下簡単に私の所感を申し述べたいと思います。  まず第一に、今回の地震は、二月九日午前六時という非常に朝早く発生いたしましたこと、ロサンゼルス市の都心から四十ないし五十キロメートル離れた山の中に震央があったこと、地震の規模がマグニチュード六・六と比較的小さかったこと、地震の継続時間が約十秒と短く、かつ大きな余震がなかったこと、水害や火災のような二次的災害が起こらなかったなどのようなことが重なり合いまして、災害が比較的小さく済んだということは、全く不幸中の幸いでありました。それでもロサンゼルス市からの報告によりますと、被害総額はワン・ビリオン・ダラーズ、つまり三千六百億円に達する巨額になります。アメリカの過去の地震の歴史をひもといてみますと、被害額としては史上最大であります。現在都市における地震がいかに大きな経済的被害をもたらすものであるかは、これを見てもわかるわけでございます。しかしながら、耐震工学の発達とその応用は、建物被害の様相に変化を与え、死者の減少という形であらわれているように思われます。今回の地震の死者は六十四名となっておりますが、耐震建築のしてなかったベテランズ病院の死者四十六名、心臓麻痺と酸素吸入不能による死者十一名を除きますとたった七名になります。  私は、国内の地震の調査には、昭和二十一年の南海地震のとき以来たびたび参加しておりますので、地震のためにどのような被害が出るかというようなことは、経験的にわかるのですが、物がどういうわけでこのようなこわれ方をするのかということは、いまもって完全にはわかりません。なぜこのようなこわれ方をするのか、どのようにすればこわれないようにすることができるかということは、耐震工学によって解明されなければならない、また解明されるはずでございます。ところが、耐震工学というのが未発達であること、どんどん新しい産業が発達し、新しい土木建築構造物がつくられ、これらのものがまだ地震の経験を経ていないというようなことのために、実際には十分解明されないのであります。まことにお粗末な技術的判断にたよらざるを得ないというのが現状ではないかと思います。今回の地震は、よく記録された地震といわれておりますように、約二百台の強震記録がとれましたので、この記録を手がかりにいたしまして、物の破壊がどうして起こるのか、その防ぎ方はどうすればよいのかということが研究できると思います。  地震がおそろしいのは、どこのどの構造物、建築物がこわれるのかわからない、また、その防ぎ方をどうすればよいかわからないということからだと思います。物がこわれなければ、何も心配することはありません。ゆれるだけが大きい、これはたいしたことではないということは、私どもが船に乗ってみると十分経験ができるわけでございます。大洋の中で台風に出会いますと、船は大ゆれにゆれます。船が沈没しないということがわかっておれば、たとえしけが二日、三日続いておりましても、そう心配はありません。地震の場合、震動は短時間に終わりますから、建物がつぶれて死傷する心配がないとしますと、震動が終わった後に平静を取り戻し、火災はぼやのうちに消しとめられるはずであります。物がこわれない方法が見つかれば、それを実行するためにかかる経費もはじけますし、最小限、人命や大きな二次災害を防止することから順次手をつけて、経済的実力に応じまして、被害を最小にする方法が講じられます。  今回の地震の震央に最も近いところにパコイマダムという洪水調節用のダムがありました。この付近の地質は、花崗閃緑岩という結晶質の岩盤で、ダムの高さは約百メートル、堤頂の長さは約二百メートルあります。堤体はコンクリートでできております。形式は定角型アーチダムです。このダムが完成しましたのは昭和四年、一九二九年で、耐震設計がなされていなかったのです。ダムの左岸の台地に強震計が設置されておりました。この記録によりますと、重力の大きさと同じ大きさの加速度が上下、前後左右ともに加わったのであります。これは史上最高の値です。ところが、ダムには何らの被害もなかったのです。ダムの設けられた谷間の山腹は、土砂くずれを起こしており、この点からも、震動がいかに激しいものであったかということがうかがわれますが、ダムは安泰でした。どうしてこわれなかったのかという検討は、建設省の土木研究所でも実施しておると思いますし、当然アメリカでも実施しているはずであります。  一方、バンノーマンダムはすべりましたが、危うく大災害を免れました。これは日本にはない形式のダムで、ハイドロリックフィルのアースダムです。このダムは、新潟で起こったと同じように、砂の流動化現象のためにこわれたのではないかといわれております。この現象は、地震の際に必ずあらわれて大きな被害のもとになるのですが、その現象は、まだ詳しくはわかっておりません。  建築物、橋梁、地下埋設物などについても、全く同様なことが言えます。  最後に、今回の調査で得られました教訓並びにわが国で実施が望まれるもののうちのおもなものについて、一言申し上げます。  お手元にお配りしたと思いますけれども、ロサンゼルス地震に関する政府合同調査報告に書いてあります、三ページから八ページまででございます。時間がありませんので、一々の説明も省かせていただきます。そのほか、いろいろなこまかい見解並びに提案が、ロサンゼルス地震の調査団員から出されましたので、十分御検討くださいまして、採用すべきものは御採用賜わらんことをお願いいたします。  これをもちまして私の報告は終わります。     ―――――――――――――
  100. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬野栄次郎君。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 災害対策につきまして、根本建設大臣に質問をいたします。  ただいまは、一九七一年二月九日のロサンゼルス地震に関する政府合同調査のために、調査団長として参加されました福岡参考人から、中間報告がなされました。たいへん御苦労さまでございました。貴重な報告として、われわれも今後十分参考にして検討させていただきたい、かように思います。  本日は、時間がずいぶん制限されておりますので、大臣にはしょって若干の質問をいたしまして、所見をお伺いしたい、かように思います。  まず最初に、政府は、地震予知については、わが日本は最高レベルにある、こういわれ、事実地震対策では、そういわれておるけれども、実際立ちおくれというものが見られておるということは事実であります。また、地震王国という名前をいただいて、ありがたくないのも残念でありますが、都市の近代化、マンモス化というものは、一度地震が起これば、想像もできないほど大被害を起こすことは必定でございます。ただいまもロサンゼルス地震の中間報告がございましたが、あってはいけないが、やはりこれに対する対策というものも十分検討していかなければならない、かように思うわけであります。  そこで、政府は、去る三月五日、閣議で、地震による災害対策に本格的に取り組むという方針をきめられ、中央防災会議中心となって、都市防災緊急対策要綱を四月末を目途に作成する、こういうようにいわれておったわけでありますが、まず、このことについて大臣から見解を承りたい、かように思います。
  102. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ただいまのお話でございますが、中央防災会議中心になって今日まで作業を進めてまいっております関係上、私から、経過を含めて申し上げたいと思います。  実は、昨年の消防審議会の答申をきっかけにして、万が一地震が起きた場合という前提のもとに、それに対する総合的な対策をつくろうではないかという腹づもりで、各省間の話はその前から着々進めておったのでありますが、ロサンゼルスの地震をきっかけにして、ただいまお話しのように、閣議で三月五日にございました。さっそく閣議の午後、各省の局長をもって構成する局員会議を官邸に招集いたしまして、そのときのおよそのめどといたしましては、三月一ぱいに大体の素案をまとめてほしい。それを今度は、九つほどの部会に分けてございまして、その部会ごとにそれぞれ主たる担当官庁をきめ、そこが中心になってきめた案を、総括部会という形で四月に入って全体をまとめ、さらに各省間で調整を要する問題等を四月一ぱいかかってまとめていきたい。こういう腹づもりでおったのでありますが、その中でも特に都市防災化部会、これは建設省が主役になっておりますし、それから交通運輸部会、公益事業部会、これは特に最近危険物火災等の発生も心配されますので、そういう部会はもう少し検討するに時間がほしい。こういうこともありまして、大体半月程度、予定した時期よりも作業はおくれて、大体あと五、六カ所の細部の点を除いて原案がまとまりました。そこで、近々中央防災会議に正式にはかりたい。私ども、できれば来週あたりと実は思っておるのでありますが、そうして防災会議で正式に大都市震災対策推進要綱、こういうふうな形でまとめてみたいというふうに思っております。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ロサンゼルス市では、市の条例で、六階建て以上のビルには、強震計を建物の上中下の三カ所に設置するということが義務づけられておるようでありますが、地震国日本ではこうした制度はないわけであります。超高層ビルには、強震計の設置を法律なり地方公共団体の条例で義務づけてはどうかというふうに思うのですが、この点、大臣いかがでございましょうか。
  104. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは前向きに検討すべきだと思っております。従来日本では、関東大震災の経験がありましてからは、非常に耐震建築については強い規制をして指導してまいりました。したがいまして、現在では耐震工学の発達とそれから電子計算機の発達によって、設計上それからまた建築基準法上からは、関東震災程度のものについてはだいじょうぶだという裏づけがあります。しかし、かなり老朽化したものもあるのじゃないか。それからもう一つは、先般のロサンゼルスの経験から見ると、病院、その次に学校です。この学校では、最近財政上の理由からプレハブにしておるものが、首都圏にはかなりある。これは非常に危険であるということで、いま私のほうとしては、そういうものの総点検を要求し、橋梁、そういう公共用の建物等については、六月中に総点検の結果をまとめるということにしております。  その結果に基づいて措置を講ずるほか、ただいま御指摘になりました地震計については、建築基準法できめるということはなかなかむずかしいと思います。そこで、これはむしろ条例によって、各都道府県でやることがしかるべきではないかと考えております。ということは、地震の起こりそうな場所とそうでないところと、やや地域的なあれがありますから、主として首都圏とか中部圏とかあるいは近畿圏は、いまお示しのような方策をとるべきだと思いますので、前向きに検討して指導してまいりたいと存じます。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひこれはひとつ前向きに検討していただきたい、かように思います。  次に、一たび地震が起こりますと、負傷者が多く出て手当てが必要でありますが、さて病院へ行こうとした場合に、現在の状況では病院、学校、警察、消防署、行政機関の建物が、同じ地震によってこわれるということになりますと、行くにも行けないということも想定されます。そういったことから、こういったものについて、防災的見地に立って建築基準法を改正すべきではないか、こういうふうにも思うのですが、時間の関係で詳しくは申し上げられませんが、大臣、この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  106. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど申しましたように、現在の建築基準法でも、十分にそれにたえ得るような規制はいたしております。いたしておりますけれども、お示しのように老朽化したものもあるであろうし、それから今回のロサンゼルスの経験から見て、まずこれを総点検してみる。総点検して、どうもこれは怪しい、あるいは老朽化しているものについては、それぞれ管理するところに指示をして、改善するなりあるいは改築するなり、あるいは取りこわして新築するなり、そういうような措置を講ずべきであると考えておる次第であります。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 総点検をするということでございますので、ぜひそうしていただきたいと思います。  冬季に大地震が発生したとすれば、東京都内に三万件くらいの石油ストーブの転倒による火災が発生する、こういうふうにいろいろいわれておりますが、地震による火災の発生をいかにとめるかということは大切な問題であります。都市災害防止対策は、消防機関によって代表されるわけでありますが、このことについては、安全思想というものが日本より一歩進んでおるところの欧州なんかの例を見ましても、都市予算の大体一〇%が消防予算になっている。日本の現状では、東京都で二・六%、地方の町では、一%くらいの低額のところも少なくないわけであります。こういったことから、日本の都市災害が欧米とは比べものにならないほど多いにもかかわらず、こういった少ない経費であるということでございますが、国民本位の防災体制を確立するためにも消防への予算を考え直すべきである、かように思いますが、この点、大臣いかがお考えでございましょうか。
  108. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 消防関係は私の担当ではございませんけれども、当然だと思います。私、国務大臣として、しかもまた首都圏整備委員長もいたしております関係上、消防施設の充実は御指摘のとおりだと思います。これは財政当局にも十分話をした上その整備をはかるということ、それからいま一つ、今度のロサンゼルスの経験と、それから防災会議の研究の上――火事は地震が来たときに、ちょっと気をつけさえすれば、各自があわてなければ防げるのです。それを、地震ががらがらっと来ると、まず何よりもそのまま逃げてしまう。そして災害を起こし、火災を起こし、恐慌状況になるということで、ごくわかりやすい手引き書を、防災会議中心になってつくっていただいて、これを国民すべてに徹底するようにして、その手引きによって地区地区で訓練しておくべきである。全部やったのでは、これはなかなかできるのじゃありませんから、いまの行政区画でいえば区あるいは町内会程度のところで、そういう点を訓練しておくということが必要であろうということで提案して、防災会議においても、いまそれの検討中のようでございます。東京都においてもやはり、そういうことをやろうじゃないかという空気があるようですから、これについては、十分にわれわれも協力してまいりたいと思っております。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 手引き書の問題が出ましたが、これもいろいろ問題があるのですけれど、大臣の時間が制約されておるようですから、他の同僚議員が大臣に対する質問を先にやりたいということでございますので、ひとまず私は質問を打ち切りまして、またあとで質問を続けさせていただきたいと思います。
  110. 中井徳次郎

    中井委員長 小宮武喜君。
  111. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は、ただいま御報告のありましたロス事件の調査報告に関連して、わが国の今後における地震対策について質問いたします。  そこで、いま瀬野委員からも質問がありましたけれども、この都市防災緊急対策要綱の検討の内容について、いま湊総理府副長官は、九つの部会で検討しておる、半月くらいおくれておるが、ひとつ近々のうちに防災会議でまとめたいという、いわゆる経過だけのお話があったわけですが、もっとわれわれが知りたいのは、その中で検討されておる具体的な検討内容はどんなものであるかということを知りたいのです。時間がございませんから、そう長々とやられても困りますけれども、もっと具体的な検討内容について御説明を願いたいと思います。
  112. 湊徹郎

    ○湊政府委員 それでは、内容の大筋について申し上げたいと思いますが、まず第一番目には、基本的な考え方といたしまして、従来の災害対策全般を通じ、都市災害――特に最近における高層建築物等の特殊建築物あるいは地下街等、かなりございます。それから石油あるいはガス等の危険物の集積、これも非常にございます。特にコンビナート災害という名でいわれておりますような工場等の事故も、実例が最近ございます。そういうふうな、いままでの対策上、どちらかというとあまり対策ルール確定していなかったような点を重点にいたしまして、全体としての防災都市化をはかっていくということを基本にして、それで当面のいろいろな対策考えておるわけでありますが、特にまず事前の対策としては防災体制、これを整えていく。地域、職域等を含めた防災の体制、それからその次は防災施設といいますか、耐震環境整備といいますか、そういう環境整備の問題を中心考えていく。それには建設省が中心になって都市の防災化事業、これを進めていく。その具体的なものをどうするかというようなことを、かなりこまかく実は検討いたしております。  それから、避難とか避難路あるいは交通規制、あるいは応急対策のための資器材等の準備等が内容になっております。そのほか付帯して、地震保険制度等についても検討することになっております。  その次には、災害の応急対策でありますが、それに対しては、まず第一番目に応急体制、これをきめる災害対策本部、あるいは当面の緊急措置、情報の収集と伝達というふうなことを中心にして応急体制を整える。  その次には、これは消防対策から交通確保対策、あるいは避難対策、救護対策、その中で特に公益事業等については、従前具体化されていなかったようなものを前進させよう、こういう考え方。  さらに警備対策あるいは自衛隊の応援というふうなことであります。  最後には、復旧を中心にした一種の事後対策といいますか、ある程度恒久措置を含めたその後のアフターケア措置、こういうこと。  大分けに言いますと、そういう内容で現在検討を進めてございます。
  113. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういった、たとえば災害時の手引きの問題だとか避難、救助、いろんな問題がありますけれども、特にそういった防災の立場からいろんな予算を必要とする問題がやはり出てまいります。したがって、せっかく防災会議でそういった総合対策が組まれるというのであれば、すでにこれは御存じのように、八年後にはわが国は、東京は大震災の危険期に入るというようなことがいわれておる関係で、そういった防災会議できめられた問題は、やはりそういった予算の問題も関連して、それをその前に完全に完了するという姿勢でなければいけません。その意味で、私が質問しておるのは、防災会議できめたならば、そういうような予算面等についてもけちけちせずに、やはり完全な防災体制をつくるということについて――八年後にはもう東京は大地震の危険期に入るわけですから、そういった意味で、そのようなことは万全の措置をとるというふうに理解してよろしいかどうかということです。
  114. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ただいま申しましたのは、防災会議で御決定を願う基本的な方針でございますが、さらに、ただいま話がありましたように、予算にそれをどうつなげていくかということのために、中央防災会議で方針が決定いたしましたならば、即刻それを各省庁ごとに具体化していくための措置、たとえば通信施設ならばどういう配置計画でやっていくか、これはひとつ郵政省のほうが中心になって御検討を願うとか、あるいは情報の収集、解析をどういうふうな要領でやるかとか、あるいは各機関の協力体制を具体的にどういう分担でもってやっていくかというふうなものを、一つずつ実は項目ごとに具体化して、それを骨にして、大体概算要求は御承知のように八月末大蔵提出ということでございますから、そこら辺をめどにした、予算を頭に置いた具体策を、さらに今度は詰めていきたい。  それと一緒に、実は七、八年前に、防災基本法に基づいてつくった防災基本計画というのがございますが、これも、さっき申したような最近の各種災害実態に対応して、これは修正していく必要があろうかと思うし、今度は、それに基づく各省庁の防災業務計画というものがございます。これもやはりいまのようなポイント、重点に即応した形で直す。さらに今度、府県、市町村では、地域防災計画というのがございます。そちらのほうまで縦には一方でおろしながら、横では各省間の予算を頭に置いたひとつ具体的なものを進める、こういう準備を即刻進めていこうという手はずでおります。
  115. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣、私は、大臣でなくてもけっこうですから、引き取ってもらってけっこうです。  それから、いまのロス地震の報告から見ましても、やはり地震による被害を最小限度に食いとめるということは、地震の予知が一番大事だと思うのですね。そうした場合に、副長官、わが国においてこの地震予知に対する体制は万全なのかということを一つお聞きします。これは気象庁でもけっこうですが……。
  116. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ちょっと一般的に……。  ただいま地震予知ということを、荒っぽく申し上げた中で具体的には申しませんでしたが、研究開発体制といいますか、その中で特に地震予知ということ、これを技術対策という意味で最重点に考えておりますし、さらに防災計画の修正の中でも、この地震の予知ということを一つの独立した項目として重視していこう、こういう考えのもとに、気象庁中心で御検討願っておるということでございます。  細部は、ひとつ気象庁のほうから申し上げます。
  117. 諏訪彰

    ○諏訪説明員 地震予知ということで、非常に皆さんにバックアップしていただいて感謝しておりますが、私は、地震予知ということばの定義といいますか意味というものがはっきりしないと、ある人はこれを予知だと言う、あるいは、ある人はこの程度すればいいと思うというようなことの混乱が起こっておるのが、現在の社会だと思います。  それで、そのためには、たとえばほんとうに地震予知を厳格にやるということになりますと、いつ、どこで、どの程度の大きさのものが、どういう形で起こるかということ、そういった要件をぴたっと言わなければ予知とはいえない、あるいは予報とはいえない、そういうような見方が一つあります。しかし、河角先生の六十九年説のように、いますぐそこまではいけなくても、たとえばスウェーデンのようなところでは、もう地震の災害考える必要はない。日本でこそ考える必要があるんだ。その日本の中でも、先ほどからお話が出ていますように、過去において、マグニチュード八だというような地震が起こったところもあれば、もうマグニチュード六でさえも起こらないような県もあるわけなんです。そういうようなところで、結局いつかというようなことははっきりは言えないけれども、起こるとすれば最大どのくらいの地震が起こるか、それから、それがまたどのくらいな頻度で起こるか、どのくらいの間を置いて起こるかというようなことがわかっただけでも、地震対策としては一つの役に立つということがあると思います。  で、こららで取り上げていただいておりますその六十九年説あるいは備えあれば憂いなしというための対策を進めていくというようなのは、いま申し上げたような立場の考え方だと思います。  それに対しまして、もっと厳密でなければ、ほんとうは予知と言うのはおこがましい。学会などでは特にそうなんですが、そうなりますと、結局、いま申し上げたようなことを素養として頭に置いた上で、さらに、ちょうどお医者さんが患者の診察をしていくように、脈をとったり血圧を調べたりというようなことで前兆現象をキャッチしていくということで、この程度の前兆がこうなっているから大地震に結びつくんじゃないかというようなことを見ていくのが、一般に地震予知のオーソドックスな行き方だということになっているわけです。それで、地震予知連絡会とか、あるいは地震予知研究計画といって国でいま取り上げていただいておりますのは、いま申し上げたような前兆現象をいろいろの角度からキャッチして、そして勘案してものが言えるようになりたい、こういうような行き方なんです。  実はこの周期説的なものも、周期説というのは、過去の実績にかんがみて、統計的確率的に将来を占っていく方法だと思いますが、それといま申し上げた前兆現象をつかまえていくというものは、両方とも、根本においては一つの地震の起こるメカニズムを考える、そういう立場に立ってスタートはしているわけです。地震の本質的な原因はよくわからないとしても、ある地域で地震が起こるということは、ある地域で大きな岩石の破壊が起こる。破壊が起こるためには、何か力が働いて、加えられてそこで破壊が起こる。そんなことで、たとえば破壊が起こるためには、ひずみがその地域の岩石には起こる。あるいは大きな破壊が起こる前に小さなひび割れが起こる。こういうようなことを、ひずみは地殻変動というような立場から、小さなひび割れば前兆地震、微小地震というような立場からキャッチしていこうというような立場なんです。  したがって、いま地震予知研究とかあるいは地震予知連絡会といいますのは、地殻変動の観測と微小地震の前駆的な地震を究明していく、こういう二つを最も主軸として、そのほかにそれに関連したいろいろの観測の項目を加えてやっていこうというわけで、大体地殻変動関係は建設省の国土地理院……。
  118. 小宮武喜

    ○小宮委員 地震予知の解釈は要らぬ。われわれが聞きたいのは、ほんとうにそういった地震が起きる場合に、われわれはそういった被害を少なくするために、そういうことも事前に察知してそれに対する対策を打つとか、事前に準備をするとか、いろいろな問題があるから聞いておるので、解釈は要らぬから。
  119. 中井徳次郎

    中井委員長 一般論をお聞きするのじゃない。具体的に答弁なさい。大体そんなことはみんな知っていますから。
  120. 小宮武喜

    ○小宮委員 私の質問しているのは、そういった意味で、地震が発生した場合に、被害を食いとめるためには地震に対する予知制度が完全かどうか、万全かということを聞いておるわけだから、そういった一つ一つの字句上の解釈だとかいろいろなあれはいいですから、とにかく、いまの場合にどうだということだけ言ってもらえばいいです。
  121. 諏訪彰

    ○諏訪説明員 そういう見地から地震予知連絡会というものがつくられておりまして、建設省国土地理院を事務局にして、三つのセンターから出てくるデータを持ち寄って検討していく、そういう体制がいまつくられております。
  122. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは副長官、そういった意味で防災対策について相当積極的に取り組んでおられるということはわかるのですが、八年先に東京都の震災も非常に危険視されているという場合に、それに万全の措置をとるために、その目標に向かって努力をしておるということに理解していいですな。
  123. 湊徹郎

    ○湊政府委員 先ほど申し上げましたように、各省庁とも本腰を入れて、全力投球の形で現在作業を進めております。
  124. 小宮武喜

    ○小宮委員 今度のロス地震と違って、わが国でもし大地震が起きた場合は非常に被害が甚大になるのは、やはり日本では木造建築の家が多いということなんですね。そうした場合の防災対策というのが、私は最重点に取り上げられなければいかぬと考えます。いま副長官が、避難とか警備だとか救助だとか、いろいろな災害の手引きだとか言われましたけれども、それでは、その防災会議では、たとえば地震が発生した場合に、ここの部落の、ここの辺の町内の人はどこに避難をしろ、避難路はここぞ、この道を通れというような具体的なものまで検討していますか。
  125. 湊徹郎

    ○湊政府委員 先ほど申し上げましたように、中央防災会議できめるのは、たとえばいまのように、避難路を具体的に図面の上で、ここにこういうふうに誘導して、警備体制はどうして、そしてどこに空間が必要だから――いまはない。都市再開発事業で、この辺に大体このくらいのスペースを持った空地をつくらなければいかぬ。特に東京の中でたとえば江東地区、これはもうすでにいまでも、単なる火災だけじゃなくて高潮の災害等予測されるし、また、ある意味で公害の集積場所でもありますから、そういう観点からも先に計画を急ぐとか、そういう順序等も含めて、具体的なものをそれぞれ各省に御検討を願う、こういうことでございます。
  126. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、そういった万全の措置をとるために、そういった避難場所も計画的につくっていくということですね。わかりました。  それから、もし震災になった場合に、地震があった場合に、建物なんかこわれますね。そうした場合に、これは消防庁にお聞きしますけれども、実際建物が破壊された場合に、実際のそういった避難場所まで行くまでの間に建物がこわれてしまう。そのために実際消防活動もうまくいかぬ。警備、また救護活動だってなかなかうまくいかぬという問題は、必ず予想されるわけです。特に消火活動について、従来のような考え方で、単に地上からの消火ということだけで考えておったら、もしこういうような事態が発生した場合にどうにもこうにもならぬのではないかという気がいたします。したがって、その意味では立体的な消火体制をとるべきじゃないのかということをしみじみ感じるわけです。この前の呉の山火事の場合でも、消防庁のほうの説明を聞くと、何かヘリコプターを全国五カ所ぐらい置いて、一機四億ぐらいするから高いのへったくれのと言っておりましたけれども、現在四十四年、四十五年の火災による損害だけでも、七百億以上損害を受けておるわけです。毎日一億九千万ぐらいの損害を受けておるわけですから、そういった意味では、そういうような立体的な消火体制、消防体制をつくるためにもっともっと力を入れなければならぬのではないかと考えるのです。  それでは具体的に、いまの火災による損害、死傷者、それから出火件数、これはどれぐらいありますか。たとえば四十五年度だけでいいです。
  127. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 四十五年は、まだ概数でございますが、火災の総件数が六万三千七百八十七、前年度に比べまして六千九百九十ぐらい増加しております。それから損害額は八百十億円余でございます。それから、死者は千五百九十四人でございまして、前年に比べまして二百六十人だけふえております。なお損害額は、前年に比べまして百億円余りふえております。
  128. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に最近の火災の特徴というのは、従来はやけどをして焼け死にするというような例が多かったわけですが、最近はそういったやけどによってなくなるという方々は、死亡者の大体三分の一なんです。あとの三分の二は、一酸化炭素だとか、それからいろんなほかの有毒ガスによって中毒をしたり窒息したりしてなくなる人たちが、三分の二ぐらいおるわけですね。したがって、いまの死亡者、千五百九十四名ですね、この中でいわゆる中毒死、窒息死、有毒ガスによって死亡された方はどれぐらいおりますか。
  129. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 四十五年度の死者の内訳については、実はまだ正確な資料をとっておりませんが、前年までの状況からいたしまして、大体六〇%程度が、いわゆる火傷以外の原因によってなくなっておるんじゃないかと思っております。
  130. 小宮武喜

    ○小宮委員 その有毒ガスの原因は、いまの新建材が一番大きな原因になっていますね。そうすると、いまのような形でいったら、新建材がどんどんできていく。その新建材を使ったために、そこで有毒ガスが火災の場合発生する。それで逃げ場を失う、窒息する、中毒をするというような事件が、いまいう六〇%も発生しているわけですけれども、そういったことから、この新建材に対しての問題をいままでのような形でいいと思っておるか、何かやはり新建材に対する規制というものは考えられないのかどうか、その点についてはどうお考えですか。
  131. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ガスあるいは煙による窒息死が多い理由といたしましては、御指摘にありましたような新建材の問題も一つであろうかと思います。ただしかし、これはいろいろ複雑な事情がからんでおりまして、たとえば、最近の建物が非常に気密性にできておる、あるいは空間容積が狭くできておる。反面、室内に煙あるいはガスを出す物質が非常に多い。加うるに、人間は、炎に対しては非常に恐怖心を持ちますけれども、煙のうちはまだそれほどに思わないというような、いろいろな事情が重なっておるかと思います。お話のありました新建材も、そういうものを助長している一因であると思いますので、この点につきましては、建設省が中心になりまして、消防庁あるいは通産省相協力をいたしまして、従来の新建材、どちらかといいますと燃えないということを中心にして研究あるいは指導しておったわけでありますが、これにガスあるいは煙の要素を加えまして、被害の少ないものを使うようにしていきたい、かように考えております。
  132. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は地震対策として、先ほど、建設大臣は、いま関東大震災程度の地震があっても、いまの日本の建物はだいじょうぶというようなことを言われたのですが……。
  133. 中井徳次郎

    中井委員長 小宮君、委員長に了解を求めてから発言しなさい。――小宮君。
  134. 小宮武喜

    ○小宮委員 それで、いままでの既設の住宅だとかビルだとか道路だとか、こういうような点について、ほんとうにそういうような関東大震災程度の地震が発生してもだいじょうぶという根拠は何でしょうか。たとえば、いまの建築基準法がいつごろできたのか、東京都内の建物の建築平均はどれくらい、何年くらいになるのか。ただ抽象的にだいじょうぶだいじょうぶと言われたけれども、いまの建築基準というものが、耐震度が、どれくらいに耐えるような建築基準になっておるのか、その点をひとつお伺いします。これは建設省から。
  135. 前川喜寛

    ○前川説明員 お答えいたします。  現在の建築基準法は、その前身である市街地建築物法からいいますと、約五十年前からずっときております。いずれにしましても、耐震技術その他の進歩につきまして逐次改正しております。今回建築基準法改正をいたしましたけれども、その点でも、特に人命中心ということにからみましても、瞬間的に建物ががっとこわれないようにというふうな点を含めましての改正をしているわけでございます。  先ほどロス地震のときの御報告にもございました、やはり何といっても地震の発生機構その他、いろいろな複雑な問題がまだまだございます。そういった意味でまだ検討しなくちゃいかぬ点もあるかと思います。従来のわれわれの経験でいきますと、ちょうど震度をある数字できめましてそれでやっていきましても、関東大震災等の経験、それからその後の大地震災が相当ございます、そういったことにつきましても、これでいいじゃないだろうかという見当を持っております。
  136. 小宮武喜

    ○小宮委員 時間がございませんから、最後に……。  もしガス管あたりが破裂したような場合には、これまた甚大な被害が起きるし、また火災も誘発するし、それに水道管が破裂したら、それこそ今度、肝心の消火する水がなくなるというような問題が起きてまいりますが、この水道管とかガス管の問題については、現在の構造上で耐震度は十分なのか、関東大震災程度の地震があっても、この水道管、ガス管はだいじょうぶなのか、そういう点も、最後に一点だけお伺いしておきます。
  137. 湊徹郎

    ○湊政府委員 これは実は通産の所管になっておりますが、通産省から来ておらぬようでありますから、便宜……。  私、技術的なことはよう存じませんが、実はおととし板橋のガスの爆発事故があり、続いて昨年御承知の、大阪でかなりの規模のガス爆発がございました。あれを契機にして――率直の話、いまのようにおただしいただきますと、十分とは申しかねる点があるように思います。と申しますのは、昨年のガス爆発の際も、実は明治時代から埋設されたものがございました。最近時のものは、大体どこの個所にどういう位置でガス管を埋設してある、そこの特に問題はガス導管の接続部でございますから、そういうのをいさい台帳につくっていく。それから、特に市街地等においては、御承知の共同溝というのがぽつぽつできております。これを今後できるだけいまのようにガス管だけでなしに、水道管等共同溝の形でやることを大いに促進しようじゃないかというので、具体的な対案を昨年作成した経過がございます。  そういうことで、現在東京とか大阪とかそういうところは、大体どういう状態で埋設されておるかということがわかっておりますし、そういう折損に備えての対策を含めて、今度の具体化の中でも、さっき申しましたように、石油とかガスのような危険物は特に念を押して、ひとつこれから未整備の部分は点検しながら整備していくというふうにいたしたいと思います。
  138. 小宮武喜

    ○小宮委員 これで私の質問を終わります。
  139. 中井徳次郎

    中井委員長 それでは、瀬野栄次郎君。
  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 地震対策で、先ほど根本建設大臣からいろいろ答弁いただきましたが、若干の質問を申します。  まず、先ほど大臣から言われた、災害時の手引き書を住民に対して発行するということでございますが、この災害時の手引き書というのはけっこうでありますけれども、中身が問題だ、こう私は思うのです。ただ、屋根からかわらが落ちているから逃げろとか、石油ストーブの火を消せというのでなくて、やはり何区の何町の人はどこへ避難していくべきだというようなことを、はっきりと具体的に明記していかねばならない、かように思うわけです。そういったことでどのように検討を進めておられるか、お聞きいたしたいと思います。
  141. 湊徹郎

    ○湊政府委員 さっき建設大臣が申し上げたのは、とにかく地震に対する関心というのは、いろいろなかっこうで調査などいたしますと、率直の話、非常に関心度は薄うございます。それともう一つは、ことばはちょっとまずいのでありますが、あまりおどかすような形でつくり上げることも、これまた、いたずらに不安を助長するということでまずかろう。したがって、一般的な手引き書と、もう一つは、さっきも申しましたが、地域の防災計画、東京都は特に熱心に現在地域防災計画、特に江東地区なら江東地区というふうにかなり詳細なものを検討しておりますので、その中で、いまおっしゃったように、具体的に避難路をどこに選んでどの辺の空間を使う、あるいは現在ないならば、そういう空間地を、どういうふうな再開発事業を優先的に取り上げてつくっていくか、そして、そのときの誘導責任者はだれになるか、あるいはそれぞれの施設の防火責任者はだれになるか、そういうところまで具体的におろしていきたいということで、これから検討を進めていくつもりでございます。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは消防庁関係にお聞きしますが、三月に東京消防庁で実施いたしました防災に関する意識調査の中で――東京都防災会議では、大地震が六十九年周期説で、十年くらいで危険期に入るというようなことをいろいろいっておられるようでありますが、このことに関連して、このアンケートの内容をちょっと見ますと、地震に対して、信用しないというのが六・九%、十年後になったらあらためて考えるというのが一二・三%、いまから用心して、できることはやっておくというのがほとんどで、七九%、その他〇・七%、答えなかったのが一・一%、こういうふうになっておりますが、いかに国民が地震について考え、また地震発生に伴う大被害というものをおそれておるかということが、これでもはっきりわかるわけです。政府はこのことについて、このような声をどのように地震対策に取り入れていくかということを検討しておられるか、これもこの機会にあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  143. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ただいまお話のありましたように、関心の度合い、いろいろあろうかと思いますが、かなりの関心を、特に東京都の場合は持っていると私たちも存じております。それに対して、先ほど総務副長官からお答えがありましたように、これから基本的な対策を進めていくわけでありますけれども、消防の立場から見ますと、とにかく、いつあるかわからない。特に軽い程度の地震であれば、かなりそういう可能性もあろうかと思いますので、少なくともいつでもその体制に入れるようにしなければならぬだろう、こういう角度から、十分なことはできなくても、少なくとも住民が避難できるための消防体制をどうするというようなことを検討しなければならない、かように考えているわけでございまして、東京消防庁では、地震が発生いたしますと、その震度、被害の程度に応じまして幾つかの段階に区分しまして、ある程度の体制をとる、こういうことにいたしておるわけでございます。もちろん、それが十分なものであるとは考えませんけれども、基本的にはそういう考え方で対処しているつもりでございます。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係ではしょってお尋ねしますが、総理府にお尋ねいたします。  どこの都市でも、建設工事であろうともガス管に遭遇したならば、定期的にガス管の漏洩というものの有無を調べるというのは当然でありますが、その責任はどこにあって、いかなる方法で検査をしていくのか、また、その規制というのはどういうふうになっているか、この点についてもお尋ねをしておきたいと思います。
  145. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ただいまのお話でございますが、地下埋設物のガス管の所管は通産省でございまして、続発するガスの爆発事故以来、かなり綿密な総点検ということでやっておりますが、特にそのガスの検知に関しましては、去年も議論があったのでありますが、非常に敏感な検知器でございますと、御承知のように自動車の排気ガス等もかなり蔓延しておりますので、どれがガス漏れによるものなのか、あるいは一般の地上のガスなのかというようなことで、使う検知器がどういうものがいいかということについても、今後大いに研究の余地があるようでございます。しかし、現在探知し得る程度の検知器は極力持ってもらいながら、通産のほう、消防のほう、いろいろ相談を願って、そういう検知の体制というのも逐次整備することにいたしております。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現在高層ビルがどんどん建ってまいっております。いまでは、地上二十階の事務所で働いて三十階に泊まるというようなことは、大都市では珍しくなくなってくる、こういうふうに思われますが、一たん火災なり地震なりこういった災害が起きますと、現在の東京の消防のはしご車は十一階までしか届かないということで、もし高層ビルの防火シャッターや消化装置が今後――このたびのような千葉のビル火災もあったわけですが、役立たないというようなことになってまいりますと、これはおそろしいことである。いわゆる大惨事になることが容易に想像できるわけであります。こういった防火装置、消防機器の問題、また安全への立ちおくれというものが現在表面化してまいっておるわけでございますが、予防対策を打ち立てるためにも、今後防災科学の開発に全力をあげなければならぬと思いますし、これに対して、政府はどのような対策を立てておられるか。また、この消防のはしご車が届かないという問題について、消防庁のほうはどのように考えておられるか。災害はあってはいけませんが、こういったことが相当心配になってまいりますので、この機会にお答えをいただきたい、かように思います。
  147. 湊徹郎

    ○湊政府委員 先ほどどなたかの質問冒頭お答え申し上げましたように、昔は、凍霜害とか風水害が中心でございましたが、最近は、都市災害と一括していわれるような各種災害が、かなり数多くございます。それに対応するためには、消防なんかでも科学消防ということで、最近特にその充実に力を入れておりますが、従来と違った手法で対応する、そういう新しい防災技術といいますか、そういう開発が必要になってくるであろうというので、今回の防災基本計画の改定にあたりましても、そういう防災に関連する科学技術の研究開発ということにかなり重点を持って進めていく、そういうことにしておるわけでございます。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、もう時間が参ったようですが、最後に一点だけお伺いして質問終わりたいと思いますけれども、私、途中で農林水産委員会に行っておりました関係で、途中の質問を聞いておりませんでしたが、気象庁にお伺いいたしますけれども、政府は、四十四年から第一次の定員削減をいたして、第二次の削減を今回行なおうといたしております。今後気象の重大性にかんがみまして、いろいろ問題があるわけですけれども、この第一次削減によって、三年間に二百三十七名の定員が減らされております。その結果防災体制の弱体化、気象サービスの低下ということを招いて、過重労働、労働強化が起きはしないか。また、そのようなことが訴えられておりますが、これについてお考えを承って、質問を終わりたいと思います。
  149. 中井徳次郎

    中井委員長 ちょっと瀬野さん、気象庁の人、先ほどみんな御質問が済んで――あなたがいらっしゃらないときに、同じような質問が三回ありました。ですから、この次の機会に譲っていただいたらと思いますが、いかがでしょう。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、私、きょう予定しておりました林野火災の問題については、時間がございませんので、次回に譲ることとしまして、本日の質問は以上で終わります。
  151. 中井徳次郎

    中井委員長 どうも御苦労さまでございました。本日の質疑は、この程度にとどめます。  参考人の方には、長時間にわたりお待たせをいたしまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。      ――――◇―――――
  152. 中井徳次郎

    中井委員長 この際、請願の審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は一件であります。  特別豪雪地帯対策に関する請願を議題といたします。  この取り扱い等につきまして、先ほど理事会で協議のとおり、紹介議員の説明等を省略し、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  おはかりいたします。  理事会において協議願いましたとおり、特別豪雪地帯対策に関する請願は、立法及び行政措置によりまして、その趣旨がすでに先般来達成せられておりますので、議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  156. 中井徳次郎

    中井委員長 なお、念のため御報告申し上げておきますが、本委員会参考送付されておりまする陳情書は、個人災害に対する救済制度の創設に関する陳情書の一件であります。      ――――◇―――――
  157. 中井徳次郎

    中井委員長 この際、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会におきまして協議いたしましたとおり、災害対策に関する件について、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定をいたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十二分散会