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1971-05-11 第65回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十一日(火曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 天野 光晴君 理事 内海 英男君    理事 細田 吉藏君 理事 米田 東吾君    理事 瀬野栄次郎君       加藤 六月君    坂村 吉正君       塩谷 一夫君    高鳥  修君       羽田  孜君    服部 安司君       藤尾 正行君    古内 広雄君      三ツ林弥太郎君    村田敬次郎君       吉田  実君    卜部 政巳君       辻原 弘市君    中村 重光君       貝沼 次郎君    鈴切 康雄君       小平  忠君    小宮 武喜君       津川 武一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         消防庁次長   皆川 迪夫君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         経済企画庁総合         開発局山村豪雪         地帯振興課長  塚田  実君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省医務局総         務課長     木暮 保成君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 岩佐キクイ君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         林野庁指導部長 海法 正昌君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         郵政省郵務局集         配課長     野上  昇君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君         建設省道路局路         政課長     宮繁  護君         消防庁消防課長 青山 満夫君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   羽田野忠文君     坂村 吉正君 早稻田柳右エ門君     加藤 六月君   渡辺 武三君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   加藤 六月君   早稻田柳右エ門君   坂村 吉正君     羽田野忠文君   小平  忠君     渡辺 武三君     ――――――――――――― 三月三十一日  個人災害に対する救済制度の創設に関する陳情  書(第一七七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律  案起草の件  特別豪雪地帯対策に関する件  呉市における山林火災による災害対策  昭和四十六年四月及び五月上旬の凍霜害による  災害対策  小委員長からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、雪害対策に関する件について調査を進めてまいりたいと存じます。  本件について、雪害対策小委員長から、小委員会調査の経過並びに結果について報告いたしたい旨の申し出がありまするので、これを許します。天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 御報告申し上げます。  雪害対策小委員会におきましては、先国会懸案事項となっておりました特別豪雪地帯対策について、去る一月二十日設置され、以来数回にわたり、鋭意協議、検討を行なってまいりました。ことに三月十六日各党から起草小委員を選出し、特別措置立法化等につきまして作業を進めてまいりましたが、本日、先刻の小委員会におきまして起草小委員から報告が行なわれ、ただいまお手元配付いたしております豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案並び特別豪雪地帯対策に関する決議案委員会に提出するに決した次第であります。  簡単にその趣旨内容について御説明申し上げます。  まず、豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案についてでありますが、  本案の目的は、特別豪雪地帯住民の生活が、積雪により長期間にわたって交通が途絶する等困窮をきわめている実態にかんがみ、住民の安全と福祉の向上をはかるため、同地帯における基幹的な市町村道整備及び公立小・中学校施設等に対する国の負担割合特例措置を定めようとするものであります。  そのおもな内容は、  第一に、特別豪雪地帯における基幹道路整備として、特別豪雪地帯における基幹的な市町村道建設大臣が指定するものの改築については、昭和四十七年四月一日から昭和五十七年三月三十一日までの間に限り、道府県がかわって行なうことができることとし、この場合には道府県営事業に係る後進地域の国の負担割合特例の適用を受けることとすることであります。  第二に、特別豪雪地帯における公立の小学校及び中学校の施設等に対する国の負担割合特例等として、積雪による通学の困難を緩和するための公立小・中学校の分校の校舎及び屋内運動場等の新・増築又はこれらの施設構造上危険な状態にあるものの改築並びに特別豪雪地帯における公立小・中学校寄宿舎構造上危険な状態にあるものの改築に要する経費についての昭和四十七年度から昭和五十六年度までの各年度における国の負担割合は、三分の二とし、また、国は、積雪による通学の困難を緩和するための公立小・中学校寄宿舎の新・増築並びに積雪による通勤の困難を緩和するための公立小・中学校教職員住宅建築に要する経費については、昭和四十七年度から昭和五十六年度までの各年度において、その三分の二を補助するものとしたことであります。  第三は、本法の施行等についてでありますが、この法律は、公布の日から施行するものとし、この法律の改正後の規定は、昭和四十七年度分の予算に係る国の負担金又は補助金から適用し、昭和四十六年度分の予算に係る国の負担金又は補助金で翌年度以降に繰り越されたものについては、なお従前の例によること等であります。  次に、「特別豪雪地帯対策に関する件」について申し述べます。  特別豪雪地帯対策のうち行政及び予算措置を必要とする問題を中心に、政府において特段の配慮を行なうべき事項決議案として、委員会に提出することに決定いたしました。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     特別豪雪地帯対策に関する件(案)   政府は、特別豪雪地帯住民の安全と福祉を図るため、左記の事項について特別な配慮を行なうべきである。  一、冬期道路交通確保について    基幹的な市町村道改築を県が代行実施するに当っては、当該県財政負担が過重とならないよう特別に配慮すること。  二、公立文教施設整備について    特別豪雪地帯における義務教育学校施設建築単価を引き上げること。  三、医療体制強化について   (イ) 特別豪雪地帯における医療、特に医師の確保について特別な措置を検討すること。   (ロ) 往診用小型雪上車に対する補助率を引き上げること。  四、保育所等整備について   (イ) 特別豪雪地帯における保育所建築単価を引き上げ、同地帯小規模保育所設置認可の対象とし、地域実情に応じ児童館増設等について特別な配慮を行なうこと。   (ロ) 豪雪により就業の機会が制限される者の利用に供するため、市町村が設置する共同作業場等に隣接する保育所であって、市町村が設置するものの整備費について補助率を引き上げること。  五、消防力強化及び消防施設整備について   (イ) 消防団員確保のための特別な助成措置を検討すること。   (ロ) 雪上消火ポンプ等耐雪消防施設研究開発を促進すること。   (ハ) 特別豪雪地帯のうち通常の消防活動ができない家庭消火器購入に対して市町村助成等を行なった場合にその経費について特別な措置を行なうことを検討すること。  六、出稼労働対策について   (イ) 出稼労働者及び出稼留守家族に対する援護対策強化推進を図ること。   (ロ) 通年雇用設備融資及び通年雇用奨励金制度の拡充を図ること。  七、郵便配達確保について    特別豪雪地帯における郵便配達改善方法について検討すること。  八、ヘリコプター救急使用について    国のヘリコプター救急用使用について、関係機関関係市町村当局との間で事前に充分連繋をとり臨機応変に出動できるよう措置すること。  九、特別豪雪地帯対策のための地方債の設定について    特別豪雪地帯道路事業のための地方債を早急に設けること。   右決議する。 以上であります。  この際、お手元配付の「豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案」を委員会成案とし、これを委員会提出法律案と決定され、また、ただいま朗読いたしました「特別豪雪地帯対策に関する件」を委員会決議として決定されるようお願いいたす次第であります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて小委員長報告は終わりました。      ————◇—————
  5. 中井徳次郎

    中井委員長 まず、豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本草案の趣旨内容につきましては、ただいまの小委員長報告にありましたので、説明を省略させていただきます。  別に発言申し出もありませんので、この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見があればお述べを願いたいと存じます。経済企画庁長官佐藤一郎君。
  6. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 ただいまの法律については、特別豪雪地帯状況にかんがみ、政府といたしましてはやむを得ないものと考えます。     —————————————
  7. 中井徳次郎

    中井委員長 おはかりいたします。  豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、ただいまの小委員長からの報告のありました、お手元配付の案を委員会成案と決定し、これを委員会提出法律案とするに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 中井徳次郎

    中井委員長 起立総員。よって、さよう決定いたしました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     —————————————
  10. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、「特別豪雪地帯対策に関する件」についておはかりいたします。  ただいまの小委員長報告にありました、お手元配付案文のとおり本委員会決議とするに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 中井徳次郎

    中井委員長 起立総員。よって、さよう決定いたしました。  この際、経済企画庁長官佐藤一郎君から発言を求められておりまするので、これを許します。
  12. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 ただいまの決議につきましては、関係各省とも連絡の上、決議の御趣旨について十分検討し、特別豪雪地帯対策の充実につとめてまいりたいと存じます。
  13. 中井徳次郎

    中井委員長 ただいまの決議に関する議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  小委員長並びに小委員各位には、まことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  15. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、呉市における山林火災による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況等について、政府当局から説明を聴取いたしたいと存じます。消防庁次長皆川通夫君。
  16. 皆川迪夫

    皆川政府委員 四月二十七日から四月二十八日にかげまして呉市で山林火災が発生いたしまして、三百四十ヘクタールを焼失いたし、十八名の消防職員のとうとい殉職犠牲者を出した、まことに痛ましい事故があったのでございますが、その概要について御報告を申し上げます。  出火いたしましたのは、四月二十七日午前十一時十分ごろでございます。その当時は呉地方におきましては、これは呉市の測候所の調査でございますが、最大瞬間風速が十一・四メートル、おそらく火災現場に一おいては十五メートル程度の風が吹いたこともあったのではないかと想像をいたしております。さらに、湿度は一九%というように非常に乾燥しておりまして、四月二十五日の十三時四十五分以来火災警報が発令せられておったのでございます。そういう状況の中で出火をしたことが、大火になった一つの原因であるかと思います。  出火いたした場所は、呉市の広町の通称門の口といわれますところでございまして、そこで災害復旧工事が行なわれておりまして、その現場で湯わかしのためにたき火をして、そのたき火の火が付近の枯れ草に燃え移り、さらに山林延焼をしたという状況でございます。  十一時十八分呉市消防局で、一一九番によりまして火災を覚知いたしました。発火後約八分程度ではなかろうかと思っております。直ちに東消防署から先遣隊を出発させまして、現地に到着をいたしましたところ、すでに三ヘクタール程度が燃えておりまして、さらに延焼拡大中でありました。このために市消防当局は、現場からの無線報告によりまして、急拠非番員全員出動をかげました。また、消防団員出動させ、続いて海上自衛隊また陸上自衛隊にも応援要請をいたしました。総力をあげて延焼防止鎮火作業に従事をいたしたのでございます。  二十七日当日における出動状況を申しますと、呉市の消防職員それから団員、応援に参りました広島市の消防職員、それから陸上自衛隊海上自衛隊、警察官、営林署の職員合わせまして約千五百名ばかりが出動いたしまして、鎮火に当たったのでございます。さらにまた、県からチャーターいたしましたヘリコプター一機が出動いたしまして、空中消火実施あるいは偵察等活動に従ったのでございますが、その二十七日には、ついに鎮火させることができません。夜間に入りまして警戒体制をとってまいりました。  二十八日は、早朝の五時から再び消火活動を開始いたしまして、陸上自衛隊増員要請をいたしました。ところが、十時三十分ごろから幸いにも降雨がありまして、これと消防活動と相まちまして、二十八日の十一時十分ごろようやく鎮火をいたしたのでございます。  その結果、先ほど申し上げましたように約三百四十ヘクタールの山林を焼いたのでございますが、その消火の過程において十八人の殉職者を出したのでございます。  この殉職者を出した状況でございますが、殉職されました方々先発隊としまして——発火地点の西北西でございますが、灰ケ峰という山のほうに通ずる山の稜線がございます。ここに林道がございまして、これが防火上の一つ防火線になる、こういう判断をいたしまして、そこに主力を配した。その先遣隊として、その下方にちょうど二、三年前にヒノキを伐採したあと地がございまして、ここがやや草地になっておったのでございますが、そこでここに進入をいたしまして、枯れ草等を処理して、ここで防火線を築こう、こういう判断のもとに作業を開始したのでありますが、二時三十分ごろでございますが、突然、いままで東南東に吹いておりました風が、やや風向きを北西に変えまして、このために、ちょうど現地すりばち状になったところでございますが、その飛び火が反対の山のほうに移りまして、急速に延焼してまいったわけであります。直ちに現地の指揮に当たっておりました東消防署の署長が、無電で、退去をするように連絡したのでありますが、ほかの部隊は退去しましたけれども、その先発隊として早く入っておりました十八名が、ついに連絡をとれません。その後十七名が焼死体として発見され、残る一名は、五月一日の早朝三時五十分ごろについに死亡をいたしたのでございます。  このように思いがけない人身事故が発生しましたことは、私たちも、消防のあり方として大いに反省をさせられ、また、今後これを一つの経験として近代的な山林消防体制を進めなければならない、かように存じております。山火事対策は、現在まだその方法等が非常に進んでおりません。近年消防審議会からの答申もございまして、林野庁と徐々に、これから先の山林消防体制について検討しておった最中でございます。昨年から多少基本的な、実験的な施策も試みてまいったやさきでございますけれども、遺憾ながら今回のような事故が発生したのでございます。今後さらに、いままで進めてまいりましたこの消防体制あるいは森林管理と申しますか、山における防火対策というものを一そう進めてまいりたい、かように存じております。  まことに簡単でございますが一応結果の御報告を申し上げます。
  17. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府当局からの説明を終わりました。     —————————————
  18. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。貝沼次郎君。
  19. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいま報告がありました呉市の山林火災について質問させていただきたいと思いますが、それに先立ちまして、先日殉職されました十八名の方々に対しましては、心から哀悼の意を表するものであります。  まず第一番は、山林火災につきましての消防体制でありますけれども、私も現地に行ってみまして、徳川時代とあまり変わってないんじゃないかという感じがしたわけでございます。そこで、この山林火災の現代的な意味というのは、昔とすいぶん違っていると思うのですが、どのようにこれを感じられているのか、その点をお伺いいたします。
  20. 皆川迪夫

    皆川政府委員 現在の山林火災の様相を見てまいりますと、まず、非常に火災件数が多くなっておる。これは一つには、最近、山の中にいろんな形で入る人間が非常にふえてまいった。現実に火災が発生している場所を見ましても、里山の近く、あるいは新しく道路が通ってレジャーで人が入ってくるというようなところに多くなっておりまして、そういった状況が昔と非常に変わってきた。それからもう一つは、山の管理が、従来は非常によく手入れがいっておったわけでありますけれども、現在は、木炭あるいは薪炭の需要が少ないというようなこともありまして、山が荒れておりまして、非常に火勢を強める、したがって、また延焼しやすい条件になっておるということがいえようかと思います。もう一つは、従来からやってまいりました消防団中心にした人海戦術と申しますか、いまお話のありましたような原始的な方法でございますけれども、こういう体制中心にしてまいったのでありますが、その消防団員がだんだんと山村において十分でなくなってきた、こういうこともあろうかと思います。
  21. 貝沼次郎

    貝沼委員 私はその認識の中に、どうしても一つつけ加えていただきたいことがあるのです。というのは、現在住宅難あるいは人口の増加に伴って、ことに瀬戸内海沿岸におきましては、山の中腹まで実は民家が建っておるわけであります。したがって、昔は山火事でよかったものが、現在は山火事そのものが、実はこれは民家に大きな影響があるというふうに変わってきておる。したがって、ただ昔のように、山火事に対しては人海戦術をやればいいという時代ではないと思うのですね。そういうようなところから意味が大きく変わっているので、単なる山火事という観念だけではなく、これは直接民家に関係するのである、こういうことに大きなウエートを置いて考えていただきたい、私はこう思うわけであります。  そういう立場から、この瀬戸内海方面、特に山火事の銀座といわれておりますけれども、この辺を見ますと、二十五日にもすでに、岡山県において山火事が起こっておる。こういうふうにぽんぽんと起こっておるわけであります。ところが、それに対する消火体制、こういうものが、先ほど話がありましたように人海戦術。きょうのこの説明を読みましても、ここには書いてありませんが、実際何か用意してあるか、なたとかかまとかあるいはのこ、それからのこぎりがま、といし、チェーンソーもありますけれども、これはのこぎりには変わりないのでありますが、こういうようなもので、あれだけ大きな山火事を防ごうとしておる。これは私は一番大きな問題だと思います。ところがアメリカのような場合は、たとえば森林警備隊であるとか、そして基地があり、望楼があり、常にそれに閉じこもって警備をしておるというふうな体制があります。日本においては、こういうことについて今後どのように考えておるのか、どういう方向で進んでおるのか、そして現在どの辺まで考えておるのか、この点についてお伺いいたします。
  22. 皆川迪夫

    皆川政府委員 先ほどお話のありましたように、人家がだんだんと山の中腹まで及んで、山火事が一転して大規模な住宅火災になると、私たちもそのように認識いたしております。そのためにどのような体制をとるべきかというお話でございますが、いろいろな角度から考えてまいらなければならないと思いますが、まず一つには、いま御指摘のありました設備近代化でございます。すでにヘリコプターによる空中消火の実験をいたしておりまして、部分的には成功した事例もございますが、まだこれによって、すでに拡大した山火事を消すということは非常に困難なようでございます。アメリカの例を見ましても、ヘリコプターは、単に消火だけではなくて、たとえば可搬式の動力ポンプを運ぶとか、あるいは水を山中に設けました貯水槽に運搬する。その貯水槽動力ポンプとそれから接続する非常に長いホースを持ってまいりまして、そこを基地として、人間を投下させ消火活動をする、こういうことが実際に行なわれておりますが、そういうことも日本においてできるかどうか、これもまず第一の研究課題であろうかと思っております。  それからもう一つは、山を歩くのが、いま人間だけで行動しているわけでございますが、これか非常に疲労するわけでございます。そこで去年から万能工作車——森林火災工作車と称しておりますが、かなりの急角度の山野でも行動のできる自動車にいろいろな器材を積みまして、これを、全国のモデルとして一定の地域を定めまして、地方実情なり体制に応じまして配置する。その工作車には、たとえばブッシュクリーナーあるいはチェーンソーあるいはジェットシューター、こういったやや進んだ消火道具を積んでまいる。あるいはオートバイを改造して、もっと簡単に動けるようなものにする、これも現在研究をいたしておりますが、そうした設備近代化がまず第一であろうと思います。  それからもう一つは、消防体制の問題でございます。現在は市町村消防がそれぞれ単独で行なうことになっておりますけれども、これをもう少し広域的にやる。特に県あるいは自衛隊にどういう機能を果たしていただくか。自衛隊にはこれはどうしてもお願いしなければならぬが、現在地域防災計画に基づきましていろいろな計画は立てているわけでございますが、それが具体的な消防計画までにはおりていない状況でございます。それを、ぜひ下の地域に応じた具体的な計画にまで下げていきたい、こういうことが第二点であります。  それから第三点は、山自体防火上の設備といいますか、森林計画の中に、たとえば特に道路が一番大事でございますので、道路をある程度計画的に配置してもらう。あるいは防火樹林地帯を設ける。こういう森林施業の上において、消防上の大火災が起こらないようなことをしていただくというようなことが中心であろうかと思いますが、そのほかに、もちろん隊員の充足あるいは訓練、こういうことが考えられると思います。
  23. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまヘリコプターとかいろいろ話がありましたが、今回もヘリコプターは実は出ております。ここに書いてあります。ヘリコプター一機によって空中消火を実施したとなっております。ところが、散布したのは消火剤となっておりますが、あれは農薬だそうですね。それはいろいろ意見があると思いますが……。そうして、その農薬の比重というものと、それから火が燃えているときの上昇気流によって、それがはたして火の上に落ちるのかどうか、この点一つ疑問であります。さらに風が吹いておるわけですから。  それからもう一つは、時間がありませんからまとめて申し上げますが、ヘリコプターは、消防とは所管が違います。したがって、ヘリコプターは上のほうからながめておるわけでありますから、どこに飛び火をしたということがよくわかるわけですね。しかしながら、実際下で働いておる消防職員は、無線を一応持っておりますけれども、これは消防署からの無線となっておるわけですね。したがって、ヘリコプターで、うしろのほうに飛び火したから、あなた方の下のほうに火が移ったから、上のほうへ燃え上がるからすぐ逃げなさいという指示を出したくても、これは出しようがないわけです。そういうところから、みすみす十八名の方が焼け死んだわけでありますけれども、こういうものは、私は体制の上から考えたら非常にまずいのじゃないかと思うのです。どこの所管のヘリコプターであろうと、あるいは、場合によっては飛行機を使う場合もありましょうけれども、そういう場合の連絡の問題ですね、これは何とかならないのか。その場合だけ、たとえは他の所管のヘリコプターであっても、下におる隊員と直通で連絡のとれるような無線機などを持ち込むことはできないのか、その点についての見解をお願いいたします。
  24. 皆川迪夫

    皆川政府委員 まず最初に、ヘリコプターから散布したのは燐酸アンモニウムの溶液でありまして、これは農薬というよりも肥料になるものでございます。これが難燃の効果がございますので、これを普通使っております。ただ、今回の場合には、火災の規模に比べて非常に小さなヘリコプターが一機だけでございましたので、ほとんどそういう消火上の効果はなかったと思います。  それから、次の警戒あるいは地上との連絡でございますが、確かにお話しのように、今回その点が十分でございませんでした。これは先ほど申しました昨年から始めました山林火災の特別対策事業の中では、無線機を充足させることにいたしまして、この無線機をヘリコプターに載せて地上との交信ができるようにいたしたい。現在消防自体が持っておりますヘリコプターは、東京と大阪、それから、ことし神戸が持ちたいという希望を持っておりますけれども、こういう消防独自で持っておるものには、すでにその設備が十分ついておるわけでございますが、チャーターしましたヘリコプターにも十分機能ができるように、現在その開発といいますか研究中でございます。
  25. 中井徳次郎

    中井委員長 関連しまして天野光晴君。
  26. 天野光晴

    天野(光)委員 いまの山火事の問題ですが、いま次長の言われておる道路網の整備強化というのは、初期防火にしか役に立たないと思うのです。やはりこの間のような大きな山火事になってしまっては、とてもじゃないが、山が燃えて人が十八人も死んだという事故になるとたいへんですから、そこで、科学消防を強力に推進できるような措置を講ずるということが大切じゃないかと思うのです。ヘリコプター一機出動したといっても、それはチャーター機である。チャーター機でもいいのでしょうが、やはり化学消火剤で十分消火できると思うのです。だから、新たに強力な対策を講ずるという考え方はないかどうか。ヘリコプターというのは大体超特急ぐらいのスピードのようですから、全国を割ってみて、北海道は北海道、東北は東北と、各ブロックにいつでも出動できるような体制と、その隊員等の準備をしていただければ、今度のような大火で、何時間も燃えているようなことになりますれば十分間に合うわけですから、そういう点、今後の考え方を消防庁として持っているのかどうか、その点お伺いしておきたいと思います。
  27. 皆川迪夫

    皆川政府委員 ヘリコプター消火は——結局、大火災になりますと周辺から消していかなければならない。その場合に、一つの目標になりますのは山の稜線でありまする特にその稜線に道路がありますと、行動にも便利ですし、そこに地上と上空と両方合わせまして防火帯が設けられる。アメリカあたりでもそのようにしているようでございます。  お話のありましたヘリコプターにつきましては、数年前からこの消火実験を繰り返してまいりまして、自衛隊の大型ヘリコプターによりまして、二トン程度のものを落とすのがかなり効果がある。しかし、このヘリコプターは木更津にしかありませんので、中型のヘリコプターをお願いする。これは一トンぐらい消火液を積めるわけでございます。これですと、幅百メートル、長さ三百メートルぐらいの効果があるようでございます。ただ、これにつきましても、消火液をどういう方法で運搬するか、現在水嚢を下げる方法研究しておりますが、風が強い場合には危険があるということもいわれております。そこで、一部ではドラムかんをつるしてそこから出す、こういうことをやっているところもございます。それが最も効率的な、安全な方法ということでございます。  お話がありました、ヘリコプターを全国ブロック的に自衛隊にお願いをして、それに消火剤を準備するということは、十分に考えてまいらなければならないことだと考えております。
  28. 天野光晴

    天野(光)委員 少しも訓練をしていない者が、ヘリコプターを操縦して消火に行ってみたところで、ドラムかんから出すなんていうことでは、私はしろうとですからよくわかりませんが、空の上のことでもあるから、とてもじゃないが、そんな程度のことでは危険でもあろうし、やはりチャーターをする場合には、何トンかの消火剤の入っているものを簡単に操作のできるようなことをひとつ研究をして、そういう異常大火の場合にこれを利用する。これは山火事だけでなしに、一般の町の火事だって十二分に役立つことであろうと思うのですですから、本来なら——いま東京と大阪というお話で、今度神戸に置きたいというお話があったのですが、それは消防庁直轄のヘリコプターですか。もしそれができるのだったら、九州は福岡に置くとか、東北は仙台に置くとかということで、予算の問題で解決できるものじゃないかと思いますが、その辺の見解はどうですか。
  29. 皆川迪夫

    皆川政府委員 これは国のほうで三分の一補助をいたしまして、大体県も三分の一の補助をしているようですが、市の消防当局が持っております。それで常に訓練をし、また近傍の応援をする。たとえは大阪府下で先般も、ちょうど呉と同じ日に実は山火事がありましたが、これによって消しとめております。  そういうように、確かにお話のように、消防当局の訓練が非常に大事でございます。どこに落としたら一番効果があるのか。非常に貴重な消火剤でございますから、地上と交信しながら落とさなければならぬという訓練の問題がございますが、一番望ましいのは、胴体の中に格納する。たとえばカナダに、飛行機の中に二トンぐらいの水を格納して散布する飛行機があります。これは一機四億円ぐらいいたすわけであります。そういう多額のものでなくても、ヘリコプターの中に格納できれば一番安全であろうかと思います。ただ、現在民間で使われておりますヘリコプターは非常に小型でございまして、搭載能力が非常にわずかだ。どうしても自衛隊ヘリコプター出動をお願いしたい。自衛隊とは常に連絡をとって、一緒に実験もいたし、訓練もいたしておるわけであります。
  30. 天野光晴

    天野(光)委員 もう少し前進的に、前向きで考えたらどうですか。いわゆる格納する設備を用意したヘリコプターを用意するのは、経費上なかなか容易でない。できれば自衛隊か国の機関で持っておるヘリコプターを利用して消火作業に当たる。その場合、ごく簡単に操作のできる容器をつくって研究をして、そうしてその操作を消防隊員ができるようにして、そして消防隊員に熟練せしめて、これを同乗せしめて消火作業をやるということになれば、ただドラムかんにがたがたつけていって、口をあけておろすなんということは、危険でどうにもなるまいと思うのです。まるで軽わざ師のたぐいしかできないわけでありますから、この取りつけば自衛隊なら自衛隊ヘリコプターを借りる自衛隊ヘリコプター構造を十二分に検討して、今後そういう場合にはどこにつけるかというくらいの検討をして、そういう設備消防庁のほうで用意して、その操作する訓練も、消防隊員によく教え込んでおいて、そして同乗せしめていってやるというくらいまで積極的にやってみたらどうですか。三分の一の補助では、東京、大阪のような大きなところでないと用意できないと思いますし、もう少し補助率をアップして、大都市にそれを用意せしめておいて、その近隣、それから片道一時間くらいのところまで距離などが延びれば、相当役に立つと思うのです。やはりそういうところまでやることのほうが望ましいと思うのですが、その点どうですか。
  31. 皆川迪夫

    皆川政府委員 一々お話のとおりであろうと思います。現在消防研究所におきまして、鋭意いろいろ研究をしておるわけでございますが、実は全国の数カ所に、こういった山火事あるいは石油コンビナート火災というようなものを対象にした防災資機材センターというようなものを設けまして、そこで広域的なそういう体制をとりたいと考えたわけでございますが、また機材等について十分な目安が立っておりませんので、予算化する段階に至っておりませんけれども、お話のありましたように、十分研究をして——アメリカあたりではかなり進んだ方法もあります。何かヘリコプターに足でかちゃっと押えてすぐ運ぶというようなものがあるようでございます。その辺も十分に研究して、一刻も早く開発をいたしたいと思っております。
  32. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまもいろいろ話が出ましたけれども、総理府副長官にちょっとお尋ねいたしますが、自衛隊ヘリコプター出動していただいた場合に、ただいま消防庁のほうでは、通信機械などは積み込むように願いたいというふうな話がありますが、これは可能ですか、その点についてお願いいたします。
  33. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ただいま、先ほどからお話がございました山林火災につきまして——実は最近の火災の実態から見まして、石油コンビナートあるいはガス等を中心にする都市災害、あるいは世上伝えられておる地震災害、そういうことになりますと、従来の消防体制ではきわめて不十分なことは、御指摘のとおりです。特に最近の山火事は非常に大規模にもなり、また頻度も高くなってまいっておりますので、国の基本的な防災基本計画、その中にそういう特殊な災害を取り上げて、具体的に——実はいままで考えていなかったわけであります。近々改正したいと思います。改正の上で、今度は基本計画もできます。それから消防なら消防、建設省は建設省、各省でもって業務計画というのがございます。それから都道府県市町村中心にした地域計画、そこまで全部、森林火災に対してはこういう対策を講ずるんだという具体的な計画を下までおろすように、早急に検討してみたいと思っております。  そこで、ただいまお話がございました自衛隊のことでありますが、過般の閣議におきましても、防衛庁長官がかなり積極的な発言をいたしまして、自衛隊所属のヘリコプターは積極的に提供したいと思う。それと必要な訓練等についても連絡をいただけば、一つの予防訓練みたいなものも実施してみたいと思う。そこで難点は、一つは、さっきございましたように、化学消火剤を使う場合、その備蓄がないし、また研究開発も不十分である。そこら辺を何とかひとつ防災会議中心に、特に消防庁が主体になって考えていただけぬものであろうかということを、防衛庁長官のほうから発言がございまして、そういうものも今度の計画の具体化の中に入れていこう、こういうことなんですが、いま消防庁の次長にちょっと聞きますと、自衛隊の使っておる無線と、それから消防関係で持っおる無線の周波数か何かが違うそうでございまして、そこら辺をうまく合わせながら、一つの搭載無線のような形で自衛隊のヘリに載せる、こういうことも検討していきたい、こう言っておりますので、今後ひとつそういう方向でやっていきたいと思います。
  34. 貝沼次郎

    貝沼委員 その周波数が違うので同じ周波数のものを載せるように何とかお願いしたい、こういうことであります。  それから、殉職された方に対して賞じゅつ金が出ると思うのでありますが、この賞じゅつ金が、実は法律に定められたとおりがなかなか出ないというのがいままでの定評なんです。そこで、今回はどういう見通しなのか。最高三百万というふうになっておりますが、これがはたして出るのか出ないのか。もし最高でなければ、死ぬところまで一生懸命やった以上のものというのは何があるのか。私はこれは最高額でいいのではないかと思いますが、この点についてお願いいたします。
  35. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ただいまのお話でございますが、先ほどの閣議において、賞じゅつ金は最高三百万を出すということ、さらに総理大臣の特別報償金という形で百万円を出すということが、予備費支出まで含めて決定をいたしましたので、御報告を申し上げます。  なお、その叙勲その他褒賞の点についてはたぶん次の閣議になると思いますが、現在手続を進めておる次第でございます。
  36. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、この賞じゅつ金が、実は法律に定められたのは三百万という額でありますけれども、現在は、交通事故にあっても自賠責は五百万です。そうすると、命を張って毎日働いているこの人たちが、命を落とした場合三百万というのはもあまりにもこれは少ないと思うのです。この点について今後どのように改正をする考えがあるかどうか、この点について伺います。
  37. 皆川迪夫

    皆川政府委員 お話のとおりでございまして、私たちとしても、なるべくこういった方々に十分報いたいという気持ちがあるのでございますけれども、実は賞じゅつ金は、去年まで最高二百万でございましたが、ことしから三百万にいたしてございます。相当のアップをしてもらったのでございます、さらにこれに準じまして県あるいは市におきましても、今回同額を出すように決定をいたしました。したかいまして、賞じゅつ金、総理の特別報償金合わせまして一千万円だけは各人に支給できる。そのほかに、もちろん法律に基づきました補償金が出るわけでございます。
  38. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、今回なくなられた方々の年齢などを見ますと、やはりかなりの年であり、そしてまた経験も豊富な方ばかりであります。ということは、逆に申しますと新しい人が少ないということであります。すなわち、こういう待遇であるがために消防の職員になる人が少ないということ、こういうことは大きな社会問題になる。そしてまた、呉の東消防署ですか、ここに働いている人たちも、四十数名のうちの十八名までが一回の山火事でなくなったわけでありますから、翌日火事があった場合の体制というものは半減しておおるわけであります。こういうようなところから、定員不足あるいは応募者がいないということはさらに考えなければならない問題だと思います。  それからもう一つは、自衛隊出動要請の件でありますが、大きな火災にならないと出動要請はしないというのが普通のようでありますけれども、初めから大きな火事というのは実はないのであります。どの火事でも全部ぼやから始まる。そのぼやのうちに消火すれば小さくて済むし、それをほっておけば大火になる。したがって、大きくならなければ出動要請ができないということについて、私は大きな疑問があります。この点について、消防庁としてはどういうふうに指導されておるのか。あるいは緊急を要する場合に、わざわざ県などを通さなくても、直接要請することはできないのか。法律によりますと、ちょっとそこのところはむずかしいようでありますけれども、その点については今後どう考えておるのか、この点についてお伺いいたします。
  39. 皆川迪夫

    皆川政府委員 自衛隊消防当局の連絡は、地区地区におきまして、過去の火事の度合い等を考えまして、非常に密接にやっていただいております。特に広島県の場合には、非常によくその間をやっていただきまして、今回も、正式の出動要請が出る前から、すでにヘリコプターを飛ばしあるいは状況を偵察をされまして、いつでも応じられる、こういう姿勢を自衛隊のほうでもとっておられたわけであります。したがって、正式の要請があった、間髪を入れず出動していただいたのでございますけれども、いまのたてまえからいたしますと、非常に小さなときに要請するということはむずかしいのでありまして、これはなかなかたいへんな火災件数でございますし、全部が全部そのようにすることも困難であろうかと思いますが、林相とか当時の気象状況というものを考えまして非常に拡大する危険性があるという場合には、なるべく早期に出動してもらえるように防衛庁ともよく相談をいたしまして、法律の運用を最大限に活用してまいりたい、かように思います。
  40. 貝沼次郎

    貝沼委員 それはそのとおりだと思います。それで、こういう話がある。非常に拡大するおそれがある、こういう見通しで出動をお願いした。たちまち火は消えてしまった。そうしたら、あんなに小さな火事で出動要請するとはとんでもない、今度要請があったときは考える。——これは出動したから消えたのであって、ほっておけば大きくなるわけです。そういうような無言の圧力みたいなものが実はあるようですね。そういうようなことがあると、消防署の署長さんとかそういう人たちが非常にやりにくいのじゃないか。大きくなれば自分の責任が問われる。早く手を打とうとすれば、またそこでいやみみたいなものがある。こういうことでは非常にやりにくいと思うので、その人たちがほんとうにやりやすいような体制をつくってあげなければならないのじゃないか、こう思いますが、この点どうですか。
  41. 皆川迪夫

    皆川政府委員 その点は、現地現地にまかせるのも確かにむずかしい点があろうかと思いますので、よく検討いたしまして、そういった逡巡が起こらないように措置したいと思っております。
  42. 卜部政巳

    ○卜部委員 関連。時間がありませんから簡単に質問をいたしますが、この6の「消火活動状況」の中に、先発隊現場に到着したときはすでに三ヘクタールを焼いていたという、このおくれの原因は一体何であるか、これをまず第一点お伺いしたい。  そしてまた、殉職者の逃げおくれた原因についてひとつお伺いをいたしたいと思います。  それから、いま貝沼委員のほうからの発言もありましたように、ヘリコプターがまいたいわゆる消火液、これが農薬であったという事実について、どうであったのかという点が第三点。  それから、殉職者の賞じゅつ金の問題でありますが、いまのお答えによりますと一千万円くらいになるということでございます。具体的にどこどこが何、どこどこが何、計何ぼ、遺家族の方々にその金額を明確にしておきませんと、その点があいまいではいけないと思います。ただ抽象的に、出るであろうというクエスチョンマークではいけませんから、この点をはっきりしていただきたいと同時に、この問題については、貝沼委員のほうからの発言にもありましたけれども、自動車事故でも、御承知のように強制は五百万でありますが、私たちが掛けております任意の保険の場合には、一千万というのが常識になっておる状態です。私もいまここに来る前に、ちょっと交通事故の問題で相談にあずかっておりますが、この問題についても、五百万は問題なく出すというその水増しについての論議が行なわれておる中で、三百万というのはナンセンスでありますので、これはいまから五百万なら五百万にすべきだ。今日は三百万でありまして、将来は云々ということはおかしいと思います。この点はやはり、今国会から遡及にでもさせるような措置をひとつ湊副長官にお願いをいたしたい。  それから、山林警備隊の問題と自衛隊の問題とのチャンポンな問題が出ておりますが、その自衛隊を利用するなんという考え方を持つこと自体、私はおかしいと思う。今度の逃げおくれの原因の中にもありますが、山林警備隊等々のものがありましたならば、訓練がなされておりますから、ヘリコプターでなくて、飛行機からパラシュートでおりていってその措置をするなどという総合的な訓練がなされておるので、ちゃちな自衛隊出動要請して——自衛隊の任務なんというものはここで論議をしたくありませんが、そんな消防の任務なんか持っておりませんから、そんなものをチャンポンにすることがそもそも誤りであって、そういう基地を五カ所くらい設けるというのであれば、それに伴った一つ設備、それから機材、そういう機材の中には飛行機も入りましょうけれども、そういうものをぴちっと確立しないと、こういう問題についての憂えが将来残ってくる。  また、副長官のほうから、防災計画云々というようなことをおっしゃられておりましたけれども、この防災基本計画自体の中で山林の——私は若干ことばはきびしいようでありますが、防災の関係においてさえ、東京都よりもぐんと下がったような基本計画みたいなものがあるような状態の中で、ぼくはそういうぺてんみたいなことを言ってもらいたくない。むしろそういうことをやるよりも、こういう山林警備隊というくらいな形をつくって、それでこれに対する対策をとってもらいたい。  時間がありませんから、一応問題を羅列して私質問を終わりますが、発言によりましてはさらに私の意見を述べたいと思います。  以上、まとめて質問をいたします。
  43. 皆川迪夫

    皆川政府委員 第一番の賞じゅつ金関係でございますが、国のほうは、総理の特別報償金を含めまして四百万円支出することに、本日閣議で決定いたしました。それから市も、これは七日であったと思いますか、全員協議会で支出を決定いたしました。県は、つい土曜日でしたか、臨時県会で三百万支出することに決定いたしました。そのほかに公務災害補償法等に基づくもの、これは機械的に計算をされて出てくる金額でございますが、この特別賞じゅつ金合わせて一千万のほかにそういうものを含めますと、多い人で千五、六百万円から少ない人で千二、三百万円くらいの範囲において、一時金なり退職金か支給されるわけでございます。そのほかに遺族年金が、これも計算によりまして支給をされます。これも人によって、勤続年数あるいは扶養家族等によって違いますので区々でございますけれども、年額四、五十万円から七、八十万円まで支給をされております。  それから、お話のありました山林警備隊という構想でございますが、確かにそういうことが一番望ましい姿であろうと思いますけれども、なかなかそこまで一気にまいりませんので、当面、現在から一歩でも二歩でも前進させるという意味で、先ほど私が申し上げましたようなことを現在検討し、計画をしておるわけであります。  それからもう一つ火災現場先発隊が到着した当時すでに三ヘクタール焼けておったのはどういうわけかというお話でございますが、十一時三十五分、覚知をしてから約十五分ぐらいで現場に到達いたしております。これは山でございますので、出動は非常に早くいったものであろうと思いますが、何ぶんにも、当初に申し上げましたように、湿度が一九%というように非常に乾燥しておる、かなり強い風が吹いておったということのために、延焼の度合いが激しかったということであろうかと思います。  そのほか、お話の点につきましては私たちも今後十分検討して、できるだけ御趣旨の線に沿って検討を進めていきたい、かように考えます。  逃げおくれました原因は、先ほど申しましたように、斜面をおりて開豁地帯において作業をしておったわけでございます。したがって、火が進んでくるのはかなり遠くから見えるはずでございます。十八名全員が死亡されましたので、適確な状況はつかみがたいのでありますけれども、生き残った一人の重傷者が病床で話をしたところによりますと、一キロぐらい前方で火が燃えているところで作業した。おそらく飛び火ではないかと思いますが、火が急速にはってきまして、稜線の上をおいて指揮をとっておりました消防署長が無線で連絡をしたときは、その殉職をされた方々だけが応答かなかった。すでにその当時火に巻かれてしまったのか、あるいは何らかの理由で無線機の通信ができなかったのか、その辺は詳細にわかりませんけれども、常識的に考えれば、少なくとも七、八百メートル離れておる地帯において作業しておったのでございますので、逃げおくれることはない、こう判断しておったのではなかろうかと思いますが、外国の例などを見ましても、午後の二時ごろというと一番気温が上がり、乾燥し、風も出てくる、こういう時間でございますので、かなり強い突風によって火が急速に飛んできたのではなかろうか、このように一応、いまのところ判断をいたしております。
  44. 卜部政巳

    ○卜部委員 消火状況の件でありますが、三ヘクタールを焼いて、さらに拡大中であった、この問題は——いま御答弁のように、かけつけたときにはそうであった、これは文書どおりです。しかしながら、新聞等においてもすでに騒がれおりますように、何だ、またぼやか、たいしたことはなかろう、そういう一つのたるみから拡大がなされたということが指摘をされています。これは商業新聞にもそういうふうに指摘されておるわけでありますか、そういう点にもやはり所管のズレとでもいいますか、自分の任務ではないなどという、そうした心のすきもあるんじゃないか。たとえば、先ほどの貝沼委員の話じゃありませんが、そんな小さなぼやで出動なんか要請したら今度は出てやらぬぞというような、そういう所管外という認識が私はあると思うのです。これは私がつくったことでもないのです。新聞にそのことが書かれておりましたから、明確にしておきたい。  さらに、この殉職者の逃げおくれの問題でありますが、アメリカなどは、火の壁が三百メートルくらいになったときにそれを消火するというのは、当然山林警備隊の仕事です。しかしながら、その背後には常に、右に逃げろ、左に逃げろ、さらにそれを終わったら次に退避をせよというような、明確な指令が飛んでおるわけです。これなんかでも、司令官か無線でやったけれども応答がなかったというのですけれども、そこら辺にも欠陥があるのじゃないかという問題を、新聞がついていました。ここら辺にもやはり訓練の不十分さ、さらに山林警備にほんとうに取り組むための訓練不足という問題が、この二つの問題の中に残されているような気がするのです。ですから、この点はこれから十分配慮してもらいたい。  それから、これからはひとつ、山林警備隊というところにならないけれども、全国に数カ所の基地を置いて云々、一気になりませんから云々ということでお話がありましたけれども、そういうことを言っていつまでもやっておっても話になりませんから、いつごろまでにめどをつけるのか、この点をひとつ明確にしておいていただきたい。  私の質問は以上で終わりたいと思います。
  45. 皆川迪夫

    皆川政府委員 出動状況判断が甘かったのではないかというお話でありますが、呉市は非常に山林火災の多いところでございまして、過去数年をとってみましても、四十件前後の火事が毎年発生しておるわけであります。したがって、山火事の通報があれば直ちに非番招集をする。その規模にかかわらず、通報があれば直ちに非番招集をする。したがって、この先遣隊も、実は第二先遣隊でございますけれども、殉職されました十八名中十二名まで非番人であった。したがって、状況判断に甘くて出動がおくれたということは、私はなかったのではなかろうかと思っております。ただ、状況を見ませんと、どういうところに部隊を配置したらいいのか、なかなかむずかしいわけでありまして、山火事の原則は、山の下のほうから、攻めて左右に広げないこと、それから山の峰においてとめる、こういうのが一つの鉄則でございます。そうしますと、主力部隊が回りましたのは、ずっと迂回して背後に、灰ケ峰の上から登っておるわけです。部隊の配置も非常に判断を要しますので、まず先遣隊十六名を派遣してすぐ連絡をさせた、こういうことのようでございます。呉市としましては、山火事には非常に注意をしまして、いままでにも何べんか、そういう作戦で成功したこともあったわけでございます。それが、山の頂上から下のほうに下がってくるということが、多少危険性があるわけでございますけれども、かつて成功したということもありましてそういう作戦をとったのではなかろうかと考えております。  それから、抜本的な山林対策の目標でございますが、できるならば私もここで、何年ごろにこういうことをいたしたいということを申し上げたいのでございますけれども、何ぶんにも、技術的にまだ解決しなければならぬ点がたくさんございます。現在は地域的に山林耕作者、それからかなり進んだジェットシューター、ブッシュクリーナー、こういった機械、資材等は現在五カ年計画で去年から始めまして、逐次火災の多発地帯に配置をしているわけでございますけれども、いまお話がありました抜本的な、大規模な山林火災警備隊につきましては、もう少し期間をおかしていただきたいと思っております。そのめどは五年なり何なりということを申し上げたいのでありますけれども、これはなかなか陣容なり機材なりそういったことがございますので、いまここでにわかには申し上げられないのでありますが、できるだけ早期にそういうようにいたしたいと思います。  先ほどちょっと、自衛隊との連絡のことについて不十分な点があったので、補足させていただきますが、自衛隊ヘリコプターは実は積載が非常に限度がございまして、これ以上いろんな機材を積むのはむずかしい状況もあるようでございます。したがって、先ほど申しましたように、地上との交信の無線が簡単にできるかどうかということか、なお検討を要する点もあるようであります。ただ、今回は全然交信が不可能ではなかったのでございまして、自衛隊の持っている波と地上の波が一致すればいいわけでございますから、現在消防の無線の波を再割当てをいたしておりますが、そういう波の割り当ての際に共通波というものをつくれば、これはどこまでも一緒に使えるのであります。今回も完全に連絡がとれなかったというわけではないのでありますけれども、さらにその点を検討いたしたい。ただ、県でチャーターしましたヘリコプターとの間には十分でなかったということを、先ほど申し上げたわけであります。
  46. 貝沼次郎

    貝沼委員 以上で終わります。     —————————————
  47. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、昭和四十六年四月及び五月上旬の凍霜害による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況等について、政府当局から説明を聴取いたしたいと思います。農林大臣官房参事官大河原太一郎君。
  48. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 四月下旬におきます凍霜害等の災害につきまして、目下把握しております概況について御説明を申し上げます。  御案内のように、本年は四月上、中旬まで比較的順調に、むしろ高目に推移してきた気温が、十五日以降低温の状態を続けておりましたが、特に二十四日以降二十八日まで並びに五月の九日前後におきまして、各地に凍霜害が発生したわけでございます。これによります被害につきましては、なお災害の作物その他の回復状況その他を把握いたしませんと、詳細申し上げることは困難でございますが、ただいま県等の報告によりますものをまとめましたものについてとりあえず報告さしていただきますと、四月下旬以降における低温と数次に及ぶ降ひょうによりまして、東北、関東を中心に果樹、桑、野菜、水稲苗しろ等に被害が発生しておるわけでございます。五月十日現在、われわれの承知しておりますところにおきましては、農作物被害が約三十億三千万円でございまして、そのおもなものは果樹、これはリンゴ、ナシ等でございますが、約十五億一千万円、桑が約十三億一千万円、その他苗しろ、野菜その他工芸作物等を含めまして、二億二千万円ということになっておるわけでございます。
  49. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府当局からの説明を一応終わりました。     —————————————
  50. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。天野光晴君。
  51. 天野光晴

    天野(光)委員 いま大河原参事官から御報告がございました異常気象の問題ですが、この前の災害の理事会か小委員会かで私申したことがあるのですけれども、大規模な凍霜害ではないという考え方で私たちもおったし、地元の農民もそう思っておったし、農林省当局もそう思っておったのじゃないかと思うのですが、この傷は非常に深いような気がするのです。例年ですと、桑にたとえて申しますと、桑の芽が出たところでやられるのですが、大体桑の芽が出ていなければいけないのに、いまだ芽が出てきていない、その芽自身もすでにやられているという結果になったわけでありまして、おそらくまだそこまで気がつかないで、気候が非常に寒いものだから、それで発芽がおくれているのだというような考え方で農民はおるようでありましたが、ここ二、三日前から桑の芽をつんでみますと、全部枯れ切ってしまっておる。いまついておる芽は絶対発芽しない状態のようだ。出れば副芽的なものが出てくる。それを見なければ掃き立てができないといったような状態にあるわけであります。  それから、くだものも、桃が相当大きな被害をこうむったのじゃないかと最初思ったところが、これは案外たいしたことはないのじゃないかということであったのですが、最近になって寒さと雨との連続で、私のほうの地域では花粉の媒介ができない。それでここ二、三日前、一日非常にあたたかい日があったものですから、媒介をやってみたが、どうも雌しべ雄しべが死んでおるのじゃないかというような状態だとなってきますと、これは全滅ということになるわけであります。かりにこれが結実したとしても、おそらく満足なものができないのじゃないかという心配が出てきたわけであります。  ことに苗しろは米の関係ですから、とれないほうがかえっていいのじゃないかという人たちの声もあるようでありますが、生産する農民にとっては生命線です。そういう点で、おそらく全国平均十日以上植えつけがおくれているのじゃないかという感じがするのです。東北地方あるいは北陸、新潟あるいは長野あたりを除いた県では、植えつけは順調に行なわれているのかどうか。私たちのほうは、とてもじゃないが二週間くらいおくれて、苗しろはみな黄色くなってしまっておる。いまもうすでに植えつけをやるたんぼは相当あるのですが、ことしはまた、苗しろの発育がとまったという状態ですから、植えつけをする時期が非常におくれております。そういう点非常に問題があると思うのです。  いまの参事官の御報告によりますと、まだ完全に調査が行き届いていないようであります。ですから、ひとつ各県に農林省のほうで連絡をとられまして、ほんとうの状態はどうなっているのか、多種多様にわたると思いますが、至急調査を命じていただきたいということが第一点。  それから、その被害をこうむった作物に対する手当てをどうすればいいかという問題、いわゆる対策ですね、今後の対策についてもひとつ研究をされて、至急対策を講じてほしいと思うのですが、その点どうですか。
  52. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 ただいま先生御指摘のように、凍霜害と低温がからまりまして、さらに相当な降雨の連続というようなことがございましたので、お話しのような作物等についての被害が生じておりますし、まだ進行中で、なかなか的確に、どの程度の深さと幅を持ったものであるかという点について、必ずしも現段階で断定できない面もございますが、お話もありますとおり、われわれにおきましても、その後の推移を見まして、早急に被害の実態を把握したいと思うわけでございます。この種災害につきましては、過去におきましても、所要の施策を適宜適切に打ってまいる方針でございますので、それにのっとりまして、実態の把握と即応いたしました対策を講じたいというふうに考えております。
  53. 天野光晴

    天野(光)委員 いまここでこれ以上、農林省当局と議論してもどうにもならないと思いますが、くどいようですが、農家の実態からいうと、私のほうですと、桑がやられてしまって養蚕ができないということになると、これはなかなか容易でありません。ですから、どの程度やれるのか、とてもいまの状態では予測できないという。養蚕組合の会合が二、三日前にありまして、私のほうの代表が見えられて、とても問題にならないという話でございました。たから、それに対する対策。  稲作に対しては一応生産規制をしておりますから、ほんとうなら、全然とれなかったら来年は食う米がなくって、古米がなくなってしまってかえって万歳するんだろうと思うのですが、そういうことでは、食うほうが万歳しても、生産農民がゼロではどうにもなりませんから、その補償はどうなっているのですか。植えつけなければ補償は取れないんでしょう。苗しろだけの災害補償ということになるのでしょうから、そうなると、作付をするまでは無理をしてもやるのじゃないかと思います。それではおそらく、問題にならない作柄になるのじゃないかと思いますので、それを取り急ぎやってもらうことをひとつ申し添えておきます。  それから、きょう気象庁から予報官が見えておりますので、本年のこれからの長期予報はどういう状態なのか、それをひとつ。
  54. 大野義輝

    ○大野説明員 天野先生の御質問にお答え申し上げます。  実はことしの四月でございますが、十九日ごろから非常に低温になってまいりました。十九日、二十四日、二十八日、それから五月になりましてからやはり五日、六日あるいは七日ごろ、この辺を中心にして非常に低温になりました。これの原因は、非常に珍しいことでございますが、つゆの一方の旗頭でありますオホーツク海高気圧が早々とあらわれておりまして、北海道、九州、東北一帯が非常な低温に見舞われたわけでございます。特に四月二十八日あたりが低温になったのじゃないかというふうに、今日私ども考えております。  それから、昨年からの経過を見てまいりますと、月々の周期でございますが、十一月の上旬あるいは十二月上旬、一月上旬、本年はとかく、下旬から上旬にかけて非常に低温に見舞われている傾向がございまして、私ども非常に警戒しておりましたところ、今回は四月の末から五月の初めにかけてオホーツク海高気圧が、先ほど申しました高気圧でありますが、これがあらわれまして非常に低温になった。  こういう経過でございまして、今後の予報でございますけれども、やはりこの五月は、例年のようにさつき晴れの日が非常に多いというわけではございませんで、しかし、十日あたりから北日本の低温もどうやら上向き始めまして、きょう現在も、かなり気温も上がりつつあるというような状況でございまして、今後日増しに気温も取り戻してくるか、こういう予想でございます。ただ、ただいま申しましたように、いま出ておる予報によりますと、やはり下旬ころから来月の上旬にかげて、季節が季節でございますので、つゆが早目にはしりに入りまして、六月上旬あたりを中心にかなりやはりつゆらしい——当然東北地方は、その梅雨前線の影響を受けまして曇雨天が多いんじゃないだろうかと思いますけれども、前線からはるかに遠い、千キロあたり北の北海道あたりは、逆に天気もよろしいわけでございます。  いまの見込みでは、東北地方は曇天で気温が低くなるかもしれませんけれども、北海道方面はそれほど低温になることはないのではないか。しかし、六月になりまして、やはり上旬あたりは、オホーツク海高気圧も当然あらわれるところでございますので、よく晴れた日は、極端な場合でございますが、凍霜害もないとはいえないというようなことでございまして、つゆ明けばことしは少しおくれまして、昨年は十七、八日ごろにつゆが明けたわけでございますが、今年はおそらく下旬ごろまでつゆじみた日が続くのではないか。北海道方面は、そのころ一時的にかなり曇雨天の日があると思いますけれども、夏がどうやらことしはおくれそうである、こういう見通しでございます。  夏の照り込みが非常に私ども心配でございますけれども、それから、この途中にまいります台風シーズンでございますが、このところは、いまだにはっきりした予報は出されておりませんけれども、今後、毎月二十日に出されます三カ月予報というものを中心にいたしまして、だんだんに天候予想をしぼってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  55. 天野光晴

    天野(光)委員 いまの話を聞きますと、来月の中旬ころまでは大体予測はできるが、それからあとはまだ予測できないというふうに聞いたのですが、そうですね。
  56. 大野義輝

    ○大野説明員 はい、そうでございます。大体つゆ明けば下旬ごろになるということでございます。
  57. 天野光晴

    天野(光)委員 来月の下旬ですね。そうしますと、例年より早くつゆが来て、おそくなる、こういうふうに聞いていいと思うのです。雨が降るときに温度が高ければけっこうですが、それがずっと低いというような状態が出てまいりますと、そうでなくとも現在異常気象で、低温で苗しろの苗が成育がストップしておるという状態からいくと、これは容易ならざる年ではないかという感じもします。そういう点十二分に気象関係と連携をとられて、農林省当局、手落ちのないよう措置をするようにひとつやっていただきたいと思います。  関連質問があるようですから、その点手落ちのないようにやるということで了承しておきますから、よろしくひとつお願いします。
  58. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お話のとおりでございまして、本年三月の中ごろの、気象庁のほうから出されました暖候期の中期予想におきましても、凍霜害なり低温という問題が出ておりましたので、私どものほうといたしましても、三月三十日付で、春夏作につきましての技術指導におきまして、この低温状況に対する稲作をはじめとする各種作物についての技術等の一般的な指導はすでにやっておりますが、さらに事態が相当慎重に準備するような状況にもなっておりますので、具体的な技術指導その他対策について万全を期したいと思っております。
  59. 中井徳次郎

    中井委員長 関連して米田君。
  60. 米田東吾

    ○米田委員 ただいまの質問に関連いたしまして、私も、これはお願いになりますけれども……。  新潟の地元の新聞なんかの報道で理解をしておるのでありますが、新潟県も相当苗しろがやられておる。特に新潟は米どころでございまして、この影響がことしの作に直ちに響いてくるわけでありますし、それが農民の経済、県の経済にも響いてくる、こういうことでございまして、私どもも重視しておるわけであります。  いまの情勢によりますと、大体新潟平場地帯中心にして、新潟周辺では、苗しろの約九〇%が霜の害でやられておる。みんな苗が黄色くなっているそうであります。それともう一つは、発芽したまま死んでしまっている、そういうことであります。それから、同じ新潟中心の下越地方、これが蒲原の中心でありますが、ここは大体八五%、佐渡は一〇〇%、長岡を中心にして中越地域が大体八五%程度、総体的にこの蒲原中心地帯が八五%から一〇〇%苗しろがやられておる、こういう状態のようであります。  こういうことになりますと、現にいまも農家のほうでは、この状態に対応して、例年の田植えの時期を繰り延べまして、そしていまからやはり人手をとっておかなければなりませんから、そういう対策は必要なんでありますが、大体十日から二週間ぐらいずらして田植えの時期を設定しておる。これは一つは苗が不足だということ、それから成長が不充分だということがあると思いますが、相当分けつを待たないと田植えができない。苗が分けつしませんと、苗が不足するわけでありますから、田植えができない。そういうことで十日から二週間ぐらいおくらすことになっているのじゃないかと思うのでありますけれども、いずれにしてもこれは、植えつけ後もまた病虫害の関係も出てくるでありましょうし、相当これは農林省のほうといたしましても対策を十分に立てていただきませんと、大きな被害になりはせぬかという気がするわけであります。したがって病虫害に対する事前の予防措置あるいは植えつけ後の作付のいろいろな指導、それから当面の苗しろ対策、こういうものにつきましても、遺憾のないようにぜひひとつ、これは調査をされると同時に指導を徹底していただきたい。  以上、お願いだけ申し上げておきます。
  61. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申しましたように、各地の稲作の低温によります障害状況等につきまして、ただいま詳細把握中でございますので、御指摘の新潟県下等についても詳しい実態を把握いたして、所要の施策については遺憾ないようにしたいと思っております。
  62. 中井徳次郎

    中井委員長 関連して瀬野栄次郎君。
  63. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 北海道、東北、関東における凍霜害の問題について、関連してちょっとお尋ねをいたしておきたいと思います。  今回の被害が現在わかっているだけでも三十億三千万円ということで、果樹、桑、苗しろ等の被害がかなり出ているようでありますが、しばしは断続的に起きていることでもありますので、気象庁の予報によって、これに対する指導をどのようにしておられたか。霜害に対しては、かん水を苗しろにするとか、またいろいろ手当てもあったと思うのですが、その点はどんな指導がなされておったか、その点、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  64. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 先ほど天野先生からの御質問にお答え申し上げたわけでございますが、例年気象庁の暖候期における長期予報が出ますと、これに即応した技術指導ということを、われわれ農林省としても次官通達で指導しております。本年はやはり凍霜害なり低温というものが四月下旬から五月、六月等にかげて予測されるというようなこともございましたので、稲作を初めといたします各種の畑作物、果樹等につきましてそれぞれの施策を、たとえばお話もございましたように、稲作につきましては、苗しろにおきますビニールの被覆の除紙の時期をおくらすとか、あるいは夜間においては被覆を戻すとか、あるいは深水管理をするとか、あるいは桑につきましては、稚蚕共同飼育を中心とする稚蚕共同桑園におきまする凍霜害の危険のあるところには重油の燃焼とか、果樹等についても同様、霜害の防除、それらについて格段の注意を払う必要があるというような点について、その他いろいろございますけれども、かいつまんで申しますと、その種の技術指導を従来、本年も三月三十日の次官通達で指導してまいったわけでございます。さらに五月一日には、四月の下句からの低温も相当出てまいりましたので、重ねてこれらにつきまして、府県等に対して注意を喚起したというのが実態でございます。
  65. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次官通達で二回にわたっていろいろ指導されたということでありますけれども、現にこのような被害が出ているわけでありますが、こういったところのもっと末端に対する指導を厳格にやらなければ、農家はたいへんな心配な問題だと思うのです。この点は、今後もあることでございますので十分注意をしていただくということで、強い要望をいたすと同時に、苗しろがかなり被害を受けていますが、現在どのくらいの推定面積を考えておられるか。さらに、すでに被害を受けたものに対しては、種もみを確保してまたさらにまくとか、いろいろ苗の手当をするというような問題も起きてくると思いますが、こういったことについては現在どのような考えを持っておられるか、あわせてお伺いしたいと思います。
  66. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 先ほどお答え申し上げましたように、果樹その他の作物を含めまして、苗しろの被害の状況、遅延状況その他につきまして、実態的な面積も含めまして各県に照会中でございます。したがいまして、先生御質問の数字につきましては、若干の時間をお許し願いたいと思うわけでございますが、被害の実態が明らかになってまいりますれば、従来の例におきましても、苗しろの再播種とかあるいは再仕立とか、それらの施策を、その被害の程度によってそれぞれやっていただきまして、必要があれば、国もこれに対してしかるべき措置を講ずるというような点を考えておるわけでございまして、目下被害状況の早急な把握につとめておるわけでございます。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間もございませんので、一応のことはわかりましたが、早急な調査をしていただいて、おそらく苗しろの再播種の問題が起きてくると思いますから、種もみの確保、またこれに対する援助、こういったことについても十分な対策を講じられて不安がないように特に農政の大きな転換期も来ておりますし、生産調整によって農家もたいへんなときに立たされておりますので、十分な対策をされますよう心から要望いたしまして、私の質問を終わります。
  68. 中井徳次郎

    中井委員長 関連して津川武一君。
  69. 津川武一

    ○津川委員 ちょっと唐突で、何か返事もできないようでございますので、実態を話して、対策の検討をしていただくという程度でもけっこうでございますが、二点ばかり。  一つは、米田委員からも話されました苗しろの被害、予想外に多いのです。青森県の県議会でもすでに問題になっておるのですが、その場合、いますぐ、おくれてまた苗しろをつくる。その場合、田を植えるときに苗不足で困る。しろをかいて水を入れてしまったというときに、苗がないということが出てきまして、その場合、農業災害によってやるか休耕するかというので、もんちゃくが起きることになるのです。これは、しろをかいてしまって、多少植えてもだめだったと、うときに休耕とみなしていくことがあると、農民が安心して対策に出ていける、要らない労働をしなくても済むというので、この災害と休耕との関係、転換、これの指導方針、ありましたら話していただいて、なかったら、また検討していただいてけっこうでございます。  第二番目は、私もきょう県のほうに電話してみたら、いま気象庁で言われたとおり、かなり気温が上がってきたわけです。この間、一関で現場を見ましたが、青森県南部のリンゴでございます。一関のリンゴが一斉に花が咲いてくるのです。いままでですと、順繰り順繰り咲いてきて、それに対する人工授粉が間に合うのですが、一斉になりますと、人工授粉の人手が足りなくなってしまいまして、ここでどうするかという問題が出てくるのです。そこで問題になるのは、中学生なんです。これに手伝っていただく。そうすると、文部省のほうからこれに文句が出る。これはまた大事な話なんです。教育もしなければならぬ。生産もしなければならぬ。これが一つの問題です。もう一つは、失対の労務者、これを人工授粉に動員すると、労働省のほうから文句が来る。この二つの動員があると切り抜けられるというのですが、ここいらの調整——御意見、いまあったら述べていただいて、なかったら、二十一日にまた委員会やるそうですから、そのときにでも対策を出してはしい、こう思うのです。  この二点でございます。
  70. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 ただいま御質問の第一点につきましては、昨年もその事例がございまして、作付後に災害を受けて、生産調整扱いにしてほしいというようなお話もございましたが、生産調整のたてまえは、御案内のように、農家が自主的に稲作をやめるかどうかを選択していただくということでございますので、その地域の稲作可能な期間を前提といたしまして、そこで農家がきめていただいた、つくるかつくらぬかという点について判断した上で判断する以外にないというふうに考えております。  第二点につきましては、これも諸先生の御質問に対していろいろお答え申し上げましたように、水稲はもちろんでございますし、各種の今回の被害、それに対する人口授粉の促進というような問題等を含めまして、御指摘の地域等につきましても実態をわれわれ詳細に把握いたしまして、その遅延の程度その他判断して、別途農林省としての考えも申し上げたいというように考えております。
  71. 天野光晴

    天野(光)委員 いまの津川君の発言で、どうです、どこまでいけば休耕かということ、要するに、できれば休耕しないでやりたいという考え方でたんぼをつくってきた。しかし、凍霜害のために発育不良になって、苗がだんだんなくなって、植えたくても植えようがないという場合、それを休耕するという場合休耕と認めるかどうか。これは非常にむずかしいデリケートなところもあると思いますが、せめて苗があれば、植えて、収穫の状況に応じて災害補償をとる、こういうことがありますが、これは両方いけないということになると、農民がかわいそうだと思うのです。だから、そこらあたりの判断ですね。何だうまいことを言って、しろもかいたじゃないか、水をためて植えるばかりになって植えないのを休耕とみなすわけにいかないなどというようなことはないだろうと思いますが、そこらあたりも非常にむずかしいと思いますから、次回までに省内で意見を取りまとめてきていただきたい。これは非常措置ですから、そういう点、ある程度幅を持たせて考えるようにしていただきたい。  以上です。
  72. 中井徳次郎

    中井委員長 大河原君に申し上げます。  ただいまの発言、非常に重要な問題を含んでおりますから、十分慎重に御検討願って、御両氏の御意見がかなえられるように、ひとつ委員長からも特にお願いいたしておきます。  本日は、この程度にとどめます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十二分散会