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1971-01-20 第65回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年一月二十日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 天野 光晴君 理事 稻葉  修君    理事 細田 吉藏君 理事 米田 東吾君    理事 瀬野栄次郎君       小沢 一郎君    小澤 太郎君       奥田 敬和君    高鳥  修君       羽田  孜君    永山 忠則君      三ツ林弥太郎君    吉田  実君       卜部 政巳君    角屋堅次郎君       辻原 弘市君    松浦 利尚君       小川新一郎君    貝沼 次郎君       鈴切 康雄君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         警察庁警備局警         備調査官    室伏 増男君         国税庁直税部審         理課長     中村 平男君         厚生省社会局生         活課長     蝦名 眞一君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農林経済         局金融課長   渡邉 文雄君         水産庁長官官房         総務課長    樋貝  勇君         水産庁漁港部長 瀬尾 五一君         運輸省港湾局技         術参事官    竹内 良夫君         運輸省港湾局防         災課長     日下  宏君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         建設省河川局防         災課長     生瀬 隆夫君         自治大臣官房調         査官      河野 文雄君         消防庁防災急救         課長      青山 満夫君     ————————————— 委員の異動 一月二十日  辞任         補欠選任   服部 安司君     永山 忠則君   千葉 七郎君     角屋堅次郎君   内藤 良平君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   永山 忠則君     服部 安司君   角屋堅次郎君     千葉 七郎君   松浦 利尚君     内藤 良平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年一月上旬の暴風及び高波による災  害対策      ————◇—————
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十六年一月上旬の暴風及び高波による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況及び政府においてとった措置の概要について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長官湊徹郎君。
  3. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま議題になっております、先般の山陰北陸地方中心に発生いたしました一月上旬の暴風高波による災害について、御説明を申し上げたいと思います。  一月三日ごろから日本付近は、西高東低の冬型の気圧配置になってまいったわけでありますが、四日の早朝、朝鮮の北部のほうに発生した小低気圧が、五日、ちょうど深夜零時過ぎに、島根県の沿岸から内陸部のほうに入ったわけであります。この低気圧の移動に伴いまして、島根県を中心とする山陰地方は、四日の夜半から風が北寄りになりまして、最大瞬間風速は三十メートルをこえるかなり強い風が吹いたわけであります。それと同時に、沿岸では高波が押し寄せまして、その結果、港湾漁港施設及び漁船等に大きな被害をもたらしたわけでございます。  この暴風高波により山陰地方中心にして、大体被害が発生したのは七府県になっておりますが、その概況を申し上げますと、まず一般被害といたしましては、先ほど陳情でもお話がございましたように、島根県において死者一、行方不明一、そのほか富山県等においても小船から転落する事故がございまして、合計、死者・行方不明合わせて五名に達しておるわけでございます。負傷者は十五名、これは島根県だけでございます。それから建物の全半壊、流失十七棟、罹災者が九十九名、こういう報告になっております。  次に、施設関係被害といたしまして、これは現在まだ現地査定を行なっておりませんので、県の報告中心に申し上げますと、公共土木施設全体で約四十四億円になっております。その内訳を申しますと、建設省関係、これは海岸河川道路等でございますが、先ほど申しました七府県全体で十億円、うち、島根県は約一億五千万円、こういうことで、幸い、建設省関係海岸河川道路等については比較的少ない災害でございますが、反面、運輸省、これは総体の額は約十三億円ということでございますけれども、そのうち、先ほども話がありましたように、島根県が約十億。円、こういうことで、島根県に集中をいたしております。それから農林関係施設、これも主として漁港が大半でありますが、若干治山、海岸等を含めて二十一億円、そのうち過半の十二億円が島根県、こういうふうな状況になっておるわけでございます。そのほか、ワカメ、ノリ等養殖施設で約三億円、水産物等で約十億円、漁船関係は、数にしますと二千三百五隻であります。かなり小型漁船が多い関係等もございまして、金額からいえば約七億円で、五トン未満小型がそのうち三億二千万円というのが概数でございます。漁具について約四億円、その他約一億円、総計で六十九億円という状況であります。  政府といたしましては、直ちに関係各省担当者に数回お集まりを願って、各種対策検討をいたしたわけでありますが、当然これらの災害に対しましては、現地の準備の完了を待って、おそらく二月の上旬から中旬になると思いますが、現地査定を実施する。また、現地現地応急対策を講ずる。私どもとしましては、とりあえず各種災害関係法令による措置、これについて昨日も数時間にわたって内部検討を行ない、なるべく早く、現地に御安心をいただくように、その結論をはっきりさせたい、こういう態度で、いま作業を急いでおる最中でございます。  以上、御報告を申し上げます。
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府からの説明を終わりました。
  5. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありますから、順次これを許します。細田吉藏君。
  6. 細田吉藏

    細田委員 私は、質問に入ります前に、今回の災害で不幸にしてなくなられました方々に対しまして、心から弔意をささげたいと思います。また多数の負傷者、また被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。  そこで、今回の災害は、ただいまの政府当局報告、また先ほど陳情にもございましたように、何といいますか例の少ない幾つかの特徴を持っておると思います。通常、台風災害等でございますと、非常に大きな公共土木あるいは農地農業用施設災害、農作物の災害といったようなものが伴う、こういうのが普通の日本災害の型でございますが、今回の災害のきわめて特徴的なことは、地域的にも非常に限られておる。そして、それが非常に激甚である。そして、いろいろな被害がございますけれども、大きく見て漁船漁港、それから港湾、この三つに集中しておる、こういうことだと思います。そこで、最初政府当局総理府をはじめ各省お願いしておきますことは、こうした特徴を持っておる災害でございますから、これまでの例でどうであるとかこうであるとかいう話はしないようにしてもらいたい、こういうことを最初お願い申し上げておきます。  そこで、まず最初気象庁からお尋ねをしたいと思いますが、先はどの陳情にもございましたように、たいへんな高波が来た。現地では、気象庁予報がいつもよくはずれるといわれておるわけですけれども、あの波浪注意報だけという程度でけしからぬじゃないかという声が、現地にずいぶんあります。しかし、いまの気象というものは、相当限界もあるだろうと思います。しかし、港というものは、漁港、商港を問わず、船の休むところなんです。船を安心してとめておけるところが港なんです。入っておるものがやられたんじゃ港の用をなしておらない、こういうことなんですね。これは常識的にそのとおりだと思う。港へ入っておれば安全だ、外へ出ておればあぶない、こういうことだと思うのですが、港へ入ったまま正月の晩にやられておる、こういうことなんですね。  そこで気象庁にお伺いしたいことは、あと改良復旧その他にも非常に重大な影響がありますから、今回の風害というものは非常に特別なものなのかどうか、われわれもどうも見当がつかなかったという程度のものなのかどうか、あるいはこういうことはしょっちゅうあって一しょっちゅうはないはずでございますが、どういうことなのか、そこのところを率直にひとつ気象庁、私は責めるというような気持らでおるわけじゃないので、あとあとの問題がありますし、港をどう考えてもらうかという問題に関連しますから、そういう意味で、いや、こういうことがあろうとは思わなかった、私どもも実は意外でした、予報どもできなくて、どうも手落ちでしたと言ってもらうことぐらいは——手落ちはちょっと言い過ぎかもしれぬが、そういうことで、つまり前向きでこの問題をやらなければいかぬと思いますので、そういう意味で率直に、気象状況についてどういうような見解を持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  7. 大野義輝

    大野説明員 細田先生にお答え申し上げます。  率直に言いましてきわめて珍しい風系、風の方向でございまして、実は日本海の地形を考えますと、北東から南西の方向に非常に長い、いわば楕円形の形をした海でございまして、従来の季節風でございますと北西季節風、これは常に統計的にもはっきりしておるところでございます。そういたしますと、海を吹き渡ってまいります風でございますけれども、これは山陰方面を例にとりますと、大陸から数百キロ程度でございまして、吹き流れる距離は比較的短いわけでございます。最も長いところは、やはりウラジオから新潟方面にまいるところが一番幅が広いところでございまして、一般北西の風が強いということになりますと、北陸三県、新潟東北方面が、かなりの強い風並びに波が押し寄せるわけでございますけれども、今回の災害をもたらしました風害は、北西の風とは若干異にいたしまして、北寄りの風あるいは北北東の風、つまり日本海楕円形の長軸にわたって吹き渡ったというようなことで、二十メートルをこす強風が約千キロにわたって吹き流れたというようなことで、強風に伴う波がますます発達いたしまして、私どもの手元で計算いたしましても、うねりが十メートル程度、しかもこれが一番日本海のふところ深い島根中心とした方面、この辺が大きな被害を受けた、こういうふうに私ども考えておりまして、波浪警報を出すべきでございましたけれども予報的には、低気圧が抜けたあと北西に変わるであろうという判断を持っておりまして、その点、おしかりを受けても、私ども何とも弁解の言いようもございませんけれども、これは今後、私ども全国予報官が集まります予報技術検討会というものがございますが、こういうところで技術者を集めまして、これについていろいろこまかく検討してまいりたいというようなことを考えております。  それから、波浪予報というものにつきまして、本年度から予算もつきましたので、今後本格的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  8. 細田吉藏

    細田委員 大野予報官説明は非常によろしい。いかぬところは率直に認める。気象庁はそれでなければいかぬのだ。ですから、私は、責める云々、責めて済むことじゃないので、これからあとのことですが、これは運輸省港湾局水産庁漁港部に伺いたいのです。  これは島根県だけの問題じゃないのです。新潟だって、富山、石川だって、こういうことが起こってまいりますと、みんな心配なんです。そうすると、今後の港湾漁港日本海沿岸を通じて考え方を変えなければいかぬかもしれない。変えなければいかぬと思うのです。こういう点について気象庁のほうと一いまも最後にいろいろ、今後の検討その他ありましたが、これは徹底的に検討してもらわぬと、もう一ぺん起こったときにはもう許せないということになるわけですね。これは、あとでいろいろ改良復旧のことにも関連しておるし、それから島根県だけの問題じゃないのです。そういう点について港湾局水産庁漁港部のほうから、どういうふうにお考えになっておるか、とりあえず簡単にお答えいただきたい。
  9. 竹内良夫

    竹内説明員 運輸省といたしましては、従来、過去のそこにおける波浪実績であるとかあるいは計算値によって、波高等の標準をきめてまいったわけでございますが、今後、いま気象庁のほうでお話ししましたように、非常に異なった面からの波浪計算をしなければいけない可能性がございますので、十分研究をしていきたいというように考えております。
  10. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 ただいま運輸省のほうからもお話がございましたが、今回の災害は特異な波浪等によって起こったものでございますので、この災害原因等を私どものほうで徹底的にできるだけ究明をいたしまして、再度災害をこうむらないような施設の計画を立てまして実施をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  11. 細田吉藏

    細田委員 いまの両省のお話は、時間を短くするためになんですが、今後の港湾復旧については当然改良を加えた、いわゆる改良復旧でいくというふうに了承して差しつかえないと思いますので、そういうふうにぜひお願いを申し上げたい。時間の節約上、もうそういうことだと思いますから……(天野(光)委員「それはきちっとしておかなければいかぬ」と呼ぶ)改良復旧については、天野理事からそういうお話がありますから、どうですか、当然改良を加えた意味での復旧をしていただくということに了承して差しつかえないですか。
  12. 竹内良夫

    竹内説明員 運輸省といたしましては、今回の被災の原因を究明いたしまして、それに十分対応できるような施設改良にしていきたいと思っております。
  13. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 ただいま運輸省のほうから答弁がございましたが、原因を究明いたしまして、それに対応できるような復旧をはかっていきたいと思っております。
  14. 細田吉藏

    細田委員 簡単にひとつ答弁願いますよ。  総理府総務長官激甚災害法適用について、先ほど陳情もございましたが、いろいろ御検討いただいておるようですけれども、私は激甚法自体、非常にいろいろ問題があると思うのです。これは御承知のとおりだ。これができるまでは、伊勢湾台風とか大きなものが起こってそのつど立法措置を講じておった。これはいかぬというので激甚法ができたわけですが、この激甚という意味は、運用方針でいろいろきめられておるわけですけれども、これは、絶対的な大きさというものももちろん必要でしょうが、狭いところで起こりましても、受けた被害者というものはきわめて激甚——今度なんかいい例なんです。零細な漁業家が全滅するほどこれでやられておるわけです。そういうものは当然激甚法だ、こう思うのです。役所は、できた法律は解釈をいろいろなさるわけだが、これはどういうふうに考えておられますか。これは一番大事な問題だから、副長官、御答弁いただきたい。
  15. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまお話がございましたように、最初考えておりました当時の激甚というのは、御承知のように、国民経済全体から見てかなり甚大な影響があるということで、数百億円というふうなものを頭に置きながらやってきたのでありますが、その後災害の態様に応じ——今回も明らかに特殊な災害である。気象庁のほうが先ほど報告したとおりであると思います。そういう点から、いろいろ運用にあたっても局地激甚制度というふうなものをつくり、そして局部的に被害の大きいものについては特に拾い上げていこう、こういうふうな趣旨運用しておるわけでございます。  今回の場合も、現在まで県のほうといろいろ協議をしておりますが、県のほうでは、おおむね十一くらいが漁港中心にして局地激甚に該当すると思われるので、ひとつ早急に査定を実施してほしい、こういう御要望もございますし、私どもさらっと中を洗ってみただけで、たとえば島根町のごときは、これは県の報告だけで一億一千万円の被害標税額はわずか千九百万円程度、こういうことですから、これはおそらく該当するだろう。それから布施町の場合になりますと、逆に漁港被害は二百九十万円くらいしかございませんが、一般港湾二港ございまして、これの被害かなり大きいということで、その港湾のほうと漁港のほう、それから海岸のほう、いろいろ公共施設災害を組み合わして、できるだけ局地激甚指定に該当するようにという角度で現在検討を進めておるという状況でございます。
  16. 細田吉藏

    細田委員 ただいまの御説明では、いわゆる局地激甚調査の上でひとつできるだけ適用しよう、こういうことですね。政令できめる本物の激甚法指定というものは無理だ、そういうことですか。  それで、続けて承りたいんだが、この激甚法の六条、十一条、これは漁業関係のことですね。つまり、さっき私が言ったように、ほかのいろいろな被害一緒になった激甚ではないけれども、この六条や十一条の適用は、こういうときにこそ適用しないと、するときがないんじゃないか。ほかのものと一緒になっているときはやるが、そうでないときにはこれはやらぬ、こういうことですか。  それから、これも一緒に聞きますけれども、どうも十一条というのは、ほんとう個人被害を救いたいんだけれども個人被害に対しては、現在は農地以外実際はなかなかやらないという日本災害法制のたてまえで、これは団体に補助金を出すということになっていると思うのです。しかし実際は、個人被害について考えなければならぬ時期に来ているのですよ。したがって、法の適用上十一条というものは、今度なんかは相当ゆるく解釈して使われるべきだと私は思うのです。ところが、現地でいろいろ聞いてみましても、どうも十一条は、これは高知にもそういう例があるらしいけれども、十一条でやってもやかましいだけで、そして共同所有だからやっかいだから、せっかくやってもらってもあまり使わないんだというような声が出ておるようですね。今度われわれのほうでも出ておるのだが、いままででも、高知県なんかの場合そういうことは出ておったのだが、そういうことでは役に立たない法律だということになる。ですから、そのこともあわせてお答えいただきたい。そして、それでは、十一条は発動しないけれども、どういうふうに対処するんだということを伺いたいのだ。とにかく、非常に零細な漁業家が非常なひどい目にあっているわけなんで、この趣旨から言うとさしあたり、激甚なんだというのですね。だから、政府としてはこれをどう考えているかということを総理府からまず話していただいて、それからあと農林省からひとつ聞かしてもらいたい。
  17. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまの激甚指定の問題でありますが、さっきも申し上げましたように、政令で定めるという点では、いわゆる本激甚局地激甚も全く手続上同じわけでございます。そこで、いまの法十一条の、共同利用小型漁船建造費に対して補助を出すという条項がございます。ございますが、問題は、激甚指定というものが二階建ての構造になっておりまして、まず災害そのものを、これが激甚災害なりとして指定をする。指定をした災害に対して適用すべき措置はこれである。まさにその十一条は、適用すべき措置に関する規定でございます。  それで、適用すべき措置がたまたまこれに該当すると、私も思います。したがって、災害激甚としたらいいじゃないか、こういう御議論があるわけでございますが、これはまあ釈迦に説法になりますけれども、さっき申しましたように、従来は公共土木あるいは農地農業用等があったために、少なくとも百億円台以上のものを激甚災害という形で指定してきたというのが実績でございます。それじゃ局地的なものが救えないではないかというところから、局地激甚制度をつくったわけでございますが、しかし、現在当てはめてある局地激甚条項は三項目しかございません。公共土木農地農業用中小企業に対する特例、この三つだけが局地激甚。そうでありますから、ただいまの御議論をさらに展開すれば、局地激甚の中にこの種のものも入れてもいいんじゃないかというふうなことに、むしろ筋としてはなるのではないかというふうに思っております。問題は、この単発災害にひとしいような災害に対して、適用基準はあるけれども指定基準がないというところに一つ問題があるのだろうと私どもも思っております。  そこで今回の場合でありますが、この十一条の条項指定のいままでの実例をいろいろずっと洗ってみますと、たとえば去年の台風十号による土佐の高知漁船被害三千五百隻、相当な数でございます。そしてこの条項発動したのでありますが、それによって実際上適用対象になったのは四十五隻であった。こういうふうな実績もございますし、それで、共同利用小型漁船という性格上、やはり地元のほうと県のほうで十分御相談を願って、それでひとつ大体のめどをつけて、指定をするなら指定をしたいというふうに私は思っておりました。県のほうにお願いをして、現在調査を進めてもらっております。  そこで、そのほかの方法は一体何だ、こういうことになるのでありますが、まず第一は、御承知漁船保険であります。これについては、五トン未満加入率は大体まあ四〇%くらいで、非常に少のうございます。五トン以上になりますと七〇%くらい。そこで、その漁船保険でまずカバーをしていただくと同時に、天災融資法発動天災融資については、漁業の場合特に五トン未満のちょうど激甚対象になるような小型漁船、それから漁具、これも一応融資対象として含んでおりますので、まず激甚災指定ということについて検討する。それ以上に、その天災融資以上に効能がありますのが、天災融資発動になりますと、農林漁業公庫のいわゆる主務大臣指定施設というのがございます。これは一千万円を限度とする貸し付けということで、かなり大きくカバーできるというので、その両者を含めて考えております。そのほか、近代化資金運用等についても考える。こういうことで、大体現地のほうと相談を詰めて、そういう実態とあわせて検討していきたいというのが私ども考えでございます。
  18. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  ただいま総務長官からお答え申し上げたとおりでございまして、具体的な融資措置等については、資金需要を見まして早急に措置したいと思います。
  19. 細田吉藏

    細田委員 湊さん、あなた、十一条のようなものは局地激甚でもやれることになるかもしれぬという話だが、そんなことじゃ困るんだ。これは必ずやるべきであって、やると言っていただかぬと困ると思う。これはぜひひとつ考えてください。  もう一つ注文をつけておきたいのは、高知県で、もっとうんとあるはずだったものが非常に少かった。いま御報告があったように、四十数件しかなかったというようなことですが、これは私は、やり方が悪いからじゃないかというふうに、非常に疑問を持っています。これは、やかましく言うからそういうことになるのですよ。これは制度がある以上、ほんとうに使えるようにしなければおかしいのですよ。高知なんかもずいぶんやられたのだから、もっとあるはずなんだ。少なかったから、これはあまり役に立ちませんでは、政府は相すまないのだ。少なかったということは、やり方が悪いということなのですよ。ですから、それは反省する材料なんですよ、少ないということは。政府にとってはこれは非常に考えなければならぬ意味で少数だったとおっしゃるならばいいけれども、少数だったので、どうもこれはあまり役に立たぬから、今度やってもしようがないのだということになると、話は逆になるのですね。ですから、これは農林省でもぜひ考えてもらいたい。ほんとう個人被害でもやるべき時期に来ているのですよ。その個人被害のかわりに団体でやるのだ。これは大蔵省がやかましいとかいろいろなことがあるかもしれぬが、これは目をつぶらなければ、零細漁民は気の毒ですよ。この点は、ぜひひとつ今度の機会に考えていただきたい、これからあともあることだから。もっと利用ができるように制度を変えてくださいよ。七年間、何とかかんとかとむずかしい、しちめんどうくさい手続をさせて監督をするから、みないやがってしまうのですよ。どうですか、この点は。両方で考えて、いますぐ結論は出ないかもしれないけれども、私は何か方法があると思うのです。
  20. 湊徹郎

    湊政府委員 さっき申し上げましたように、今回の災害は非常に特殊であり、局地的に非常に激甚である、そういう前提に立って、できるだけこれを救えるような方法ということで今日まで検討してきたわけでありますから、決して過去の例が少ないからもうこれは初めからだめだなどといってやっている気持ちは、いささかもありません。  そこで問題は、本激甚指定基準の中にも、公共土木農地農業用施設のようにかなりまとまったものについてはある程度、これは一種の財政援助法でございますから、財政援助法という前提に立って大体の基準がきまっておりますが、こまかいものは、たとえば中小企業であるとか、あるいは社会福祉施設であるとか、あるいは公立文教施設であるとか、あるいは社会教育施設であるとか、小型漁船養殖施設等については、率直に申しまして、単発の災害としてのはっきりした指定基準は現在ないことは、御承知のとおりであります。  そこで、そういう単発のものも予想しながら基準をきめることがいいかどうかという議論が、まずあると思います。これは、やってできないことはございません。そういう方向でも検討してみたいと思いますが、問題は、単発のものでもって基準をきめるとすると、かなり高い基準にきめざるを得ない。その結果、総合された災害の中で、相乗りのような形で従来指定できたものが、逆に単発になったために本激甚指定対象にならぬというふうなおそれも、実際問題として一つございますし、それからもう一つは、局地激甚の三項目以外に拾える項目はなかろうか、そういう方向検討していく。それからもう一つは、実は、過去において一件例がございまして、おおむね激甚に準じたような予算補助の方法を考えたこともございます。そういう方向での検討と、大体三つ方向でこれから検討してまいりたいと思いますが、いずれにしろ前提は、先ほど申しましたように、現地の地元のほうでさまざまの方向——ほかに融資制度その他あるわけでございますが、それらでもってさばけない程度の実際の需要というものがあるのだというある程度の確かめを前提にしながら、いま申し上げましたような方向検討してまいりたいということでございます。
  21. 細田吉藏

    細田委員 農林省の参事官にもう一度確認しておきたいのですが、天災融資法発動については早急にやるということで、これは了解していいですか。
  22. 大河原太一郎

    大河原説明員 お話しの件につきましては、四十二年、当委員会の御意向を体しまして、政府側でも、三十億円という一般基準に対しまして特殊天災、御案内のように十億円というケースに該当すると思いまして、ただいま水産関係被害は、水産庁指導のもとに調査しておりますところでは約十六億、これは精査しておるわけでございます。したがいまして、前向きの方向で早急に結論を得たいというように考えております。
  23. 細田吉藏

    細田委員 そのほか近代化資金の問題とか公庫資金の問題については、先ほどの湊副長官の答弁がありましたから、時間を節約するためにこれ以上伺いません。いずれにいたしましても生産の手段を失っておるわけです。生活の基盤を失っておる多数の零細漁民でございますので、できるだけすみやかな措置をとっていただきますように、十分現地と連絡をとりつつ、政府として万全を期していただくようお願いを申し上げる次第であります。  それから次に、港湾局並びに漁港部のほうで、港湾並びに漁港の今後の改良について、現地にも行っておられると思いますが、査定にお出かけいただくとか、どういう手順でこれをおやりいただくか。先ほど改良復旧だけの点は伺いましたが、これもできるだけ早くやっていただかぬと困ると思いますので、今後の心づもりを両省からひとつ御報告いただきたいと思います。
  24. 竹内良夫

    竹内説明員 運輸省といたしましては、すでに一月十二日に、災害査定官を三人の調査団の先生方に同行させまして、一応の応急対策等の指示を与えてございます。また、県のほうの準備ができ次第直ちに災害査定にかかりたいというふうに考えております。
  25. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 漁港被害につきましては、被害後係官を派遣いたしまして実情を調査し、応急工事の必要なもの等につきましては、そういうことで実施をすることにいたしております。また、緊急に査定を要するものにつきましては、県の当局及び地元の準備ができ次第査定をしようということで、現在のところ三月に入ってからということになると思いますが、できるだけ早く査定をいたしまして復旧をいたしたい、かように考えております。
  26. 細田吉藏

    細田委員 あと一点だけ自治省関係先ほど陳情もございましたが、つなぎ融資についてはとりあえず七億ほど出たようでありますが、交付税交付金の繰り上げ交付。  それから特交は、ちょうどいま時期が来ておるわけです。四十五年度特交をやっておるわけですが、通常自治省では、年末までのいろいろな災害については見るが、新年のものについては見ない、年がかわると見ないということもあるようですけれども、一月四日ですし、特別に地方自治体として、県、市町村は金を出しておると思うので、ぜひひとつ今年の、いまいろいろ査定をしておられる特交で見ていただくということにお願いをしたい、こう私たちは思うのですが、この点、自治省からお答えいただきたいと思います。
  27. 河野文雄

    ○河野説明員 自治省でございます。  普通交付税の繰り上げ交付という第一点でございますが、これにつきましては、四十五年度の普通交付税はすでに全部交付済みでございますので、御了承いただきたいと思います。  特別交付税につきましては、従来とも、災害に伴います財政需要に対する措置は最優先で行なってまいっておりますので、御要望に沿いまして、査定を待ちまして十全の措置をいたしたいと考えております。
  28. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 先ほど緊急査定のことにつきまして、できるだけ早く、三月に入ってからということを申し上げましたが、実は二月十五日から入ることになっておりますので、先ほどの答弁を訂正いたします。
  29. 細田吉藏

    細田委員 私は以上で質問を終わりますが、先ほどから何回も申し上げましたように、非常に局地的な被害でございます。しかし、実際はもう生活の手段を失っておるという非常にたくさんな零細な漁民がおるわけでございまして、港湾復旧についても漁港復旧についても、それから特に漁船を一日も早く——現物が手に入らなければだめですからね。船が出せませんからね、かいたものやなんかじゃ。本物でなければだめです。本物が入るように、十分に政府で善処していただくよう重ねて要望を申し上げて、私の質問を終わります。
  30. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、卜部政巳君。
  31. 卜部政巳

    ○卜部委員 まず、質問に先立ちまして、このたびの被害でなくなられた方に心から弔意をささげ、同時に、負傷された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  さて、まず第一でありますが、気象庁にお伺いをいたしたい。  先ほど総理府の湊副長官からの気象に関するお話どもありましたけれども、御承知のように死者、行くえ不明、重傷者というのは、高波から漁船を守りたい、こういうことから出た犠牲です。今回の場合、その予報なり警報というものは、九時過ぎにはこの風はやむだろう、こういう予報です。だから、船を緊急避難をさせることがなく、常時のような強風に備えただけだという。ところが、逆に九時半ごろからこの風は吹き荒れてきた、五日の未明まで吹き荒れていた、こういう状態が出てきております。そうなってまいりますと、気象業務法の十四条、さらには同施行令によるところの八条関係その他を適用されていなかったということが言えると思いますが、気象庁は一体この点について、どのようにそのときの気象を把握されていたのかを、まず説明してもらいたいと思います。
  32. 大野義輝

    大野説明員 気象庁でございます。  実はあの予報は、先ほども申しましたように、確かに結果的には十分ではございません。これはただいま二省も三省もいたしておりまして、今後技術的な検討を重ねまして、このようなことの起こらないように、また事前に予想がはっきりできるように、技術をこれからさらにみがいてまいりたい、そういうふうに考えておりまして、先ほども申し上げましたとおり、全国予報技術検討会その他でこれを取り上げまして、これをさらにもう少し早く、また的確に予想ができるように、技術的な観点からでございますけれども、これをみがいてまいりたい、かように考えているわけでございます。  注意報その他随時更新してまいりますので、これはそのつど県あるいは一般の市民の方々に、ラジオ、テレビその他を通じてお知らせしておりますけれども、あるいはそういうところに手抜かりなんかがあったのかもしれませんけれども、しかし、県当局には、注意報を出すあるいは警報を出すその瞬間から直らに伝達されておりますし、一般の報道関係にもこれをお願いいたしまして、一般に周知徹底をはかりたい、こういうふうに考えておりますが、放送方面の時間、どの程度に放送されたか、その辺はただいまつまびらかにしておりませんので、お入り用とあれば、その点もよく調査いたしまして後刻御報告申し上げたい、こういうふうに考えております。
  33. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまあなたがおっしゃったことですが、報道機関や各省のほうにいろいろ連絡をしておかなければならぬということは、これはもう気象業務法の中ではっきりとうたってあることで、これはあたりまえの話なんです。ところが、今日なお、それがどのような状態であったかわからないということは、これは私は実際残念なことだと思うのです。だから、先ほど冒頭に申し上げたように、湊副長官の言うように、夜半から、などということばが出てきます。風が北に変わったから、などということになる。現実には、九時過ぎから急に風が強くなり高波が押し寄せたということになっているわけでしょう。そこら辺が、実際問題として、もう政府のとらえ方が違う。  しかし、私はそういうことばかりを言おうとしているわけじゃないのです。その、あなたたちが当然行なわなければならなかったところの予報、そして警報、その警報というものは、たとえば高波にするならば、施行令にもありますように、海面が異常に上昇をしたときという、こういう項目がありますけれども、当然そういうものを連絡をしてNHKに報道をしてもらうとか、さらにその警報をつまびらかにしておけば、そういう犠牲者というものはなかっただろう、私はこう思うわけです。だけれども、その中で一つ、これからの問題に私はやはり大きなウエートを持つと思いますが、気象庁は、この気象をただ単なる北の風だとか、単なる高波だけだとお思いになっているのか、津波の現象というものが出てきていないのか、ちょっとその点を聞きたいと思います。
  34. 大野義輝

    大野説明員 結果的に申しますと、先ほど申しましたように、季節風の吹き渡る距離が約千キロにも及ぶということを考えて、十分にその辺について警戒すべきであったわけでございますが、予報といたしましては、低気圧の通過直後次第に北西の風に変わるであろうというような判断を持っておりましたので、たいへん申しわけございませんが、結果的にはあのような災害になりました。これは技術的に、今後詳細に技術をみがいていくというようなことに力点を置いて、あのような災害のないように今後私ども技術をみがいていきたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  35. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの答弁でございますが、そういう技術をみがくとか云々という問題は出てきておりますが、私の質問しております問題は、そこに津波現象が起きていたかどうかということを把握されていたかということを聞いています。その点をひとつ答えてください。
  36. 大野義輝

    大野説明員 お答え申し上げます。  私どもの検潮儀でございますが、これが外浦というところ、浜田のすぐそばだと思いますが、ここにございまして、この資料から見ますと、当時の干満潮の関係から平均の予想される水面から七、八十センチ程度、吹き寄せ効果あるいは強風合わせましてその程度の高さに上昇しておりました。これにさらに波浪が加わりまして、実際には、先ほど申されましたように、七メートルをこすような大波になってしまった。私どもは確かに、注意報ですと四メートル程度考えているわけでございますが、現実的には、予想を間違えまして七メートルをこすような大波になってしまった、こういうふうな結果がそのいきさつでございます。
  37. 卜部政巳

    ○卜部委員 おことばの中にいまの北の風云々というのがありましたけれども、私は気象庁をいま責めているわけじゃないんですよ。ただ問題なのは、あとからでもいいんですけれども、湊副長官政府の対策を述べられるときにも、津波の津の字も出てきていないという現状なんですね。その点、政府総理府のほうとしましては、そういうふうなことが把握されておるかどうかをひとつお聞きしたいと思うのです。されていないでしょう。副長官どうです。
  38. 湊徹郎

    湊政府委員 率直、政府部内の打ち合わせといたしましては、この気象状況等については気象庁を全幅に信頼申し上げておりますので、そこで、今回の災害をどういうふうに名づけるかという過程において、一月上旬の暴風高波による災害、こういうふうなとらえ方をした。その過程において、その波浪状況等はお聞きをしておりますが、それをあるいは津波と言い高潮と言い——そういう点についてまでは、私ども承知しておりません。
  39. 卜部政巳

    ○卜部委員 細田委員が指摘をされたように、気象庁のそれは当たらないということばがございました。ただいまの答弁を聞いておりましても、きわめて私は遺憾に思います。だけれども、そのあとの事後処理の問題でもそうなのでありますが、私たちは、ずっと島根県の被害地を視察をしてまいりました。一軒一軒、その被災の方々ともお会いしました。話しておりますが、これは鹿島町の御津でございますね、この辺の漁民のお年寄りが言うことなんですが、全部潮が引いたというんですね。潮が引いている。その証拠には、皆さん——あとからぼくは質問をいたしますが、運輸省のほうから調査に行ったという方もおられますから、その人からひとつ聞きたいと思うのですが、テトラポットというのが防波堤の先に、消波装置として出てきている。そのテトラポットが、高い防波堤を越えて湾内にぱっと定着している。こういう事実がある。これは明らかに津波ですよ。そうすれば、私は、いま細田委員が指摘をしていた激甚災の問題、さらには十一条の適用の問題などというものも容易に解決つくと思う。単にこれは高波だ、季節風だなんて——島根県が取り上げておる冬季季節風災害ということ自体にも、私はかなり疑問を持っている。もう津波と言ってもいいんですよ、局部的には。津波だったら当然、そういう被害が出てきた、それならば激甚災指定なんていうのはあたりまえの話だ。あたりまえの話というのはこちらの言い方でありますが、その点では副長官、どうですか。  これは私は残念なあれなんですが、これはあとから委員長にも質問をしたいところでありますが、衆議院のほうは視察に来ていただけません。それは何かの配慮があったと思うが、参議院のほうが時期おくれに、十二日に来られています。十二日の時点ではもう四日目ですから、もう船を焼いていますよ。陸にあがった、湾内に打ち上げられた、民家の付近まで来ているところの船は、みんな、どんどん焼き払われている。こういうときに来てももう話にならぬのですが、衆議院の災害対策委員会としましては、この点については、それよりもむしろ政府に対して措置をさせるのだという、こういう配慮があった、こう私は思うから了解をしておりますが、しかしながら、そういう問題等もからみ合わせまして、湊さん、どうでございますか。いまの激甚災適用などは当然やってしかるべきだと思うし、そうしてまた、現地調査された方がもしおられましたら——おられなかったら、その人の報告を聞いておられる方はよくわかっておると思いますが、その人たちの答弁も、あわせてひとつやっていただきたいと思います。
  40. 湊徹郎

    湊政府委員 先ほど細田さんの御質問にもお答えしたのでありますが、当然激甚災害である、こういう前提で私ども考えております。おりますけれども、さっきも申しましたように、激甚法そのものが財政援助法的な性格でございまして、県なり市町村なりが、実際に災害復旧事業を具体的な事業について行ないます場合に、県や市町村の負担が容易じゃなかろう、それを援助しよう、こういう性格でありますために、激甚というふうに考えましても、個々の適用する措置によって、ものさしが一つ一つ一応きまっておる。今回の場合、特に漁港漁船、一部養殖施設もございますが、そういう災害でありますために、率直に言って、従来そういう適用するためのものさしがない、こういうところに問題がある。だから、そこら辺は三つ方向検討いたしたい、こう、さっきお答えをしたのでありますが、そういう点で、災害の性格そのものが局地的な、しかも激甚災害である、こういうことは、当然私どもも認めてかかっておるわけであります。
  41. 卜部政巳

    ○卜部委員 ですから、奥歯にもののはさまったようなことではなくて、少なくともそういうような、自分たちがまだ把握をしていない現状というものが、この島根災害の中に出てきておる。いわゆる津波も引き起こしておる。それは気象庁も把握し得ないような現状が、事実としてあらわれてきておるわけなんです。だから、細田委員のほうからの指摘もありましたそれに付加して、これは激甚災適用を職を賭してもやるぐらいのことは、私は言っていいと思うのです。どうなんですか。前向きにだとか姿勢を云々だなんということではなくて、ひとつこの災害に関する限りは、政府はもう激甚災適用するのだ、天災融資法適用する、こういうようなことをはっきり言ってくださいよ。どうですか。
  42. 湊徹郎

    湊政府委員 さっきから、実はきわめて具体的に申し上げておるつもりでございますが、激甚災指定適用するという前提であるし、天災融資法発動する前提である。ただ、その同じ激甚の中で局地的な被害が多いから、漁港等については市町村単位の局地激甚、これも激甚に変わりございません、同じ政令によってきめるわけでございますから。漁港災害等については局地激甚適用するという前提で、災害査定等も、これから二月上、中旬にかけてやらせたい。天災融資法等についても、さっき申しましたように、従来の運用の基準はおおむね三十億ということでありますが、前にひょうが降ったときに、こういう特殊な局地激甚については十億まで運用の基準を下げてもよかろうぜという前例が昭和四十二年にございまして、それと同じような考え天災融資法発動しようというので、いま大蔵省も含めて内部で実際の数字等を詰めておる、こういうことでございますから、趣旨は全く、卜部さんおっしゃるとおりでございます。
  43. 卜部政巳

    ○卜部委員 二月初旬から中旬にかけて査定をする、こういうことでございますが、それは技術的にはそういうかっこうになろうかと思いますが、参議院の調査団が来たときでも、もう港湾はほぼ、いわゆる整理されておるという状況です。ということは、決して台風がなまやさしかったから整理されたというのではなくて、飛び散らかった船なんかをほったらかしておきますと通行ができませんから、これはクレーン車で揚げて、油をぶっかけて焼いておるという、こういう状態です。そういうふうな状態の中で、そういう船なども全然、焼却して、ない状態をつかまえて、ただ、おまえ、県から出ている何隻というのは、これは架空の数字であろうなんというようなことでもって査定してもらっては困ると思うのですよ。ですから、私もずっとこの県のあれを歩いてまいりましたし、それなりに県の資料も見てまいりましたが、はったりだとか上積みをしたような資料でない、私が現実に調べた数字でも。その点は的確に把握していただかないと、船は道路上まで上がってきているのですから、焼いてしまっていますからね、そういうようなこともひとつ考えてもらいたいし、さらに、先ほどちょっと申し上げた、現地に行かれた方の、運輸省ですか、その報告をちょっとお伺いしたいと思います。
  44. 竹内良夫

    竹内説明員 現地に行きました査定官の話によりますと、先生おっしゃるとおりに、鹿島町におきます中国電力の三十二トンのテトラポットが散乱をしている状態でございます。そこら辺につきまして、やや調査を進めてまいりますと、大体三十二トンのテトラポットは、波高が六メートルないし七メートルの波力に対応するものでございまして、それ以上になりますとやはり動くという傾向が考えられます。なお、先ほどからのお話によりますと、気象庁お話だと、フェッチといいますが、海の長さが千キロメートル、そこのところに二十メートルの風が吹いてまいりますと、気象庁では先ほど、たしか十メートルの波が出たとおっしゃっておりましたので、これは十分動くのじゃないか。津波現象がなくても動くという感じを、私は抱きました。
  45. 卜部政巳

    ○卜部委員 やはり現地を視察をしていないおことばだと私は思うのですが、動くのじゃないのです。防波堤を越えて湾内に入ってきておるのです。ただくずれるだけの問題じゃないのです。それを波が押し上げてきておるという、こういう現実があるということですよ。そこら辺に大きな違いがある。くずれる、それはあたりまえの話ですよ。くずれるなんというのは、皆さん方が——写真にありますように、防波堤なり堤防なりというのはもう全部やられていますね。二百キロに及ぶ島根県の沿岸港湾施設はやられていますよ。だけれども、局地的にそういうような津波現象があったところは、そういうテトラポット自体が、その高い堤防を越えて湾内に入ってきておるということを指摘しておるわけですね。よろしゅうございます。それはまたあとから、調査をしてからやっていただきたいと思います。  そこで、ちょっとこれは逆になるかもしれませんが、ひとつ厚生省のほうにお伺いをします。  これは平田の小伊津でございますが、重傷者という方がおります。その重傷者の二人というのは親子です。私がたずねていった家庭の中では、奥さんが一人、家庭を守っていらっしゃる。親子が重傷を受けたら、結果的に食えないことはわかっているわけです。これはもちろん世帯更生資金のワクの増額の問題もありますが、こうした、ほんとに自分の子供とおやじ——おやじということばは悪いのですが、この二人を同時に重傷として病院に送り込む、あすの日からもう食えないという、こういう状態について、ひとつ何とかする考えはあるのかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  46. 新津博典

    ○新津説明員 一般的な災害を受けました方の立ち上がり資金の問題は、世帯更生資金の問題になりますので、これは、担当の蝦名課長が来ておりますので後ほど申し上げるとして、ただいまのようなほんとうにお気の毒な例は、これはもう直ちにその生活を保護する、いわゆる生活保護法の適用を即座に考えなければいけませんし、これは現地の市町村あるいは福祉事務所で、さっそくにも手の打てる問題でございます。
  47. 蝦名眞一

    ○蝦名説明員 厚生省の生活課長でございます。  ただいまのケースは、施設課長の答えましたように、生活保護法の問題になろうかと思いますが、たとえば生活の手段を失って生活に困っておる、その生活の手段を得たいというふうな場合等におきましては、したがって、それによって世帯の自立更生が行なわれるというケースにつきましては、世帯更生資金の貸し付け等によりましてその世帯の更生をはかってまいることになります。
  48. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの答弁を聞いていても、私はとっても冷ややかだと思うのですね。それは市町村がやりますよと言う。あんな小さな——小さいと言ったらおかしいですが、少ない生活保護の適用を受けるだけでもって事足りるものかという、こういうことでございます。少なくともそうしたような、予報も間違っておる、警報も間違っておるという——本来ならば、緊急避難をさせておけばいいのですよ。恵曇港なんかのほうへ緊急避難させておけば、そういうことはない。ところが、たまたまにして、おそってくるから、それを守ろうとして一しかも、それは自分の船じゃない、よその人の船ですよ。それを守ろうとしておって負傷された。それを生活保護法だ、そんなちゃちなことでいいのかということを聞いておるのですよ。政府はもう少しそれにあたたかい措置を加えようとしないのかということを言っておるのですから、公式ばったような答弁をするのじゃなくて、もう少し思いやりのある答弁をしてもらいたいと思うのですね。
  49. 新津博典

    ○新津説明員 私の答弁が不十分だったかと思いますが、いわゆる災害救助法の適用自体が今度の災害にはなかったわけでございますけれども、個人的に被害を受けた方はもうほんとに、いまのお話のとおり、非常にお気の毒なケースもございますので、いわゆる個人の救済につきましては、承りますと、調査費なども総理府のほうにもついておるようでございまして、そういうものの結果をまって、そういう、災害救助法の適用にはならなかったけれども、個人的には非常に気の毒だというものをどういう形で救っていくかということは、十分総理府等とも連絡をとりまして検討してまいりたいと思っております。
  50. 卜部政巳

    ○卜部委員 十分検討じゃなくて、ひとつその点については的確な措置を確認をして、この問題を終わりたい、こういうふうに思うわけです。  それで、細田委員のほうから指摘されておりました天災融資法の問題等、時間の関係もありますから省きますが、湊副長官、ひとつこの激甚災天災融資法、これは切っても切れない状態ですね。ですから、この点もよろしゅうございますね。天災融資法適用するということも、よろしゅうございますね。——わかりました。確認をされましたので、議事録に明確に書いておいてくださいよ。  次に進みたいと思います。  そこで、今度の問題でございますが、ちょうどこれは細田さんが副長官をやっていたときに、島根県には三十九年災害がありました。それで、三十九年の災害は山ですね。そして農民たちが田畑をやられたということになりますが、今度の海の場合、二百キロに及ぶ島根県の沿岸が全部やられたというかっこうになっておるわけです。そういうかっこうになりますから、三十九年災害とあわせ、この海の場合においても激甚災天災融資法、さらには近代化資金の貸し付け云々という問題は、三十九年災害と同じような措置をしてもらいたいと私は思う。それは海と陸との相違はあっても、これは一緒なんだから。ところが、なお悲惨があるということは、生産手段を奪われておるということです。船がこっぱみじんにやられておるということ。ことに港、港によりまして、いろいろな港がございますけれども、歩いてまいりますと、塩津の港なんかは、港湾施設がくずれて、全部港をふさいでいます。船ができても、船は出られませんよ。もう二重にも三重にはやられておるわけなんですから、当然にこういう問題についての措置は、三十九年災害と同じような基準を全部当てはめていくということ、これも湊さん、どうでございましょうか、よろしゅうございますか。
  51. 湊徹郎

    湊政府委員 これも先ほど細田委員にもお答えしたところでございますが、災害激甚である。さて、その激甚災害に対してどういう措置を当てはめていくか、こういうことについては、一つ一つの項目について適用のためのものさしがございます。今度の場合は、特に集中的に漁港あるいは港湾漁船養殖施設漁具、こういうふうにかなり限られた対象になっておりますので、それらの対象に対しては、従来の各種激甚と同じような気持ちで、ひとつできるだけ適用になるようにというふうな腹づもりで進めていきたいと思っております。
  52. 卜部政巳

    ○卜部委員 自治省にちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、御承知のように、六十三国会において過疎法、いわゆる緊急措置法が通過をしました。その中の条文にもありますように、いろいろな、二分の一を三分の二に補助金の引き上げ等を行なっておるわけでありますが、この災害に対して政府のあたたかい措置がないということになれば——漁村を歩いてみますと、漁民が言っています。何としてもわれわれは、あすから食わなくちゃいかぬ。だから私たちは出かせぎに行かなくちゃいかぬ。もう漁民なんかはやめたなどと言って、やけばちな漁民も出てきています。いよいよ人口流出が激しくなってくる。こういう点を考えたときに、過疎法の中にありますような三分の二の補助率引き上げ問題もさることながら、自治省として、先ほど答弁があったような特別交付税の配慮云々ということがあるけれども、この点についてはひとつ具体的に——具体的にというよりも、細田委員の質問に答えられたような、十分検討して配慮するというようなことじゃなくて、緊急措置法との法のからみあわせの上からしても、ひとつ十分な配慮をしてしかるべきだと思うけれども、どうでしょう。自治省、ひとつ答弁してください。
  53. 河野文雄

    ○河野説明員 御指摘に沿いまして十分な配慮をいたしたいと考えております。
  54. 卜部政巳

    ○卜部委員 簡単明瞭な御答弁があって、私は、あした待たるるその宝船ということばがありますが、そのことばは、私のそのことばに適用されるものだと信じております。したがいまして、その中に、特別交付税におきまして私たちが若干でも不満のようないわゆる交付があるということについては容赦できないということを明確にして、私は、これは確認をしてまいりたいというふうに思います。  そこで、一部の地域における津波状況というものはありました。しかしながら、全般の高波という状態の中で明らかにされたのは、細田委員が指摘をされていたような、島根県の港湾が実に貧弱であったということがわかるのです。実に貧弱、この点が今度の災害で明らかになったと思います。今日水産庁は、沿岸漁民なんというのは、これはそこに、漁港などに投資をするということはどぶ川に金を捨てるくらいの態度でおるのではないだろうかということは、いままで農林水産委員会の中で指摘をされたところです。大企業にのみ、港湾にのみ重点を指向しておるということは、これはいわれておるところですが、今回の災害の中では特に顕著です。ですから、りっぱな防波堤のあるところは被害も僅少ではあるけれども、石垣を積んだような防波堤のあるところはどうでしょう。平田市の佐香などでは、波によって川に漁船が押しつけられておる。自動車が三台もその中に埋没するなんという、こういう貧弱なのが出てきております。こういう点について、先ほど細田委員の質問に対して、港湾関係は早急にこれを改良し、直ちにこれに対する措置を行なうということを言っておりますけれども、この点は、大体いつごろまでにこの査定をして、いつごろまでに改良するのかをひとつ明らかにしてもらいたい、こういうふうに思います。
  55. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 先ほど申し上げましたように、緊急に現地調査もいたし、査定もいたしまして、当面の問題としましては、予備費をもちまして緊急なものを実施していきたいと思っております。それからあとの問題につきましては、できるだけ早く、再度災害をこうむらないように復旧をし、改良をしていきたいと思っております。
  56. 卜部政巳

    ○卜部委員 時間が十二時までということをだいぶ迫られておりますから、あれなんですが、いまの問題でありますが、率直に言って、いまの漁民は、船をつくるまでの期間のつなぎ資金、それでまた船をつくっても、この間ようやく資金を借りて新造船ができ上がった、その借金を返さない間にまたやられたという現状があるわけですね。そしてまた、先ほども言ったような港湾関係もあるから、皆さん方の中には、まあその船ができるまで、また、その船ができたあとぐらいにひとつ港湾施設をしてやったらいいじゃないかというような、なまやさしい考え方では私は困ると思うのです。現実に平田の小伊津、唯浦などというところでは、ビニールの合成樹脂の船を買いまして、どんどんと出かけておる。もうあすからの生活に困って出かけていくわけですから、そういうようなときに、港湾施設のまん中に石がごろごろ浮かび上がっておったというのでは話にならないと思います。ですから、ひとつこの問題についても緊急に措置をしてもらいたい、このようにお願いをしておきたいと思います。  いろいろと申し上げました。まだいろいろとありますが、要は細田委員のほうから指摘された問題、天災融資法激甚災指定、これは湊長官が胸を張って確認をしていただいたので、私はほんとうに胸ふくるる思いがいたしますが、これをまず適用していただく。同時に、三十九年災害と同じような形、これも踏襲していただく、こういうことを私は確認をした。たいへんうれしいことであります。同時に、港湾施設も早急に行なっていく。特につなぎ資金の問題、さらに長期融資の問題、港湾施設改良の早期の措置という問題についても、これも政府のほうにおいて可及的すみやかにその措置をとるという答弁がありましたので、私は早急な措置がとられることを期待して、私の質問を終わりたいと思います。どうかよろしくお願いします。
  57. 中井徳次郎

    中井委員長 では、貝沼次郎君。
  58. 貝沼次郎

    貝沼委員 私も、低気圧による島根、鳥取、また北陸方面のこの災害について、これから質問をいたします。  質問に先立ちまして、今回おなくなりになった方々に対しましては、衷心より哀悼の意を表するものであります。なお、被害にあった方々に対しましては、心からお見舞いを申し上げるものであります。  さて、副長官が時間の都合で長くおられないようでありますので、初めに二点だけ伺っておきたいと思います。  その一点は、個人に対する救済の問題でありますが、現在、個人に対する救済法というものがないのであります。そこで、前国会から、各党の委員が集まりまして、そうして個人救済法をつくることを検討されたと思うのであります。この中に副長官も入っておったと思うのでありますが、この経過はどのようになっているのか。これがちゃんとできておれば、こういう個人に対する救済というものはできるわけでありますけれども、現在まだ、できたということは聞いておりません。これについての経過をお願いしたいと思います。  それからもう一点は、時間の都合で二つ申し上げますが、ただいまの世帯更生資金の貸し付け、こういうものについてどれだけの積極性をもって臨むのか、この二点についてお答え願いたいと思います。
  59. 湊徹郎

    湊政府委員 第一点の個人災害についてでございますが、同じく個人災害といった場合でも、主として生業を持っている、あるいは農家であり、あるいは漁民であり、あるいは中小企業であるという方々の生業を通じての救済措置、こういうことについては従来の制度の中にもあるわけでございますが、たまたま、先ほどございましたように、生命について、おなくなりになったり、けがをなすったり、こういう方に対する救済制度はない、これはおかしいじゃないかというので、去年調査費を取って、九月から始まって十二月までかかって、いろいろ調査をいたしました。その調査の結果は一応まとまってございます。  いま、それを内部的に検討しておる段階でございますが、その中の一、二判断に迷う点等を申し上げますと、たとえば実施の主体を市町村にするか、県にするか。それに対して、再保険のような形で、国もどういう形で参加するかというような場合に、市町村の方々の御意見は、それは県でやってほしいというのが圧倒的に多うございます。それから県のほうは、それは実際の分布の状況から見て、特定の市町村に集中しているのだから、市町村が主体になって県がカバーする、それでいいじゃないか、こういう御意見が、県の場合は非常に多うございます。それから、個人について調べたものによりますと、どの程度の負担で加入するかどうかというふうな意向については、地域によって非常なばらつきが実はございます。  そういうふうなことで、どういうふうなまとめ方をするかということについては、今後、当委員会等も従来からタッチしてきた経過もございますので、あるいは適宜相談するような機会を設けていただいて御検討いただきながら、できる限りそういういままでの、個人被害を救済するという趣旨が実るようにしていきたい。そういう意味で、四十六年度の予算にも、若干でございますが、継続して、その、いままで調査した内容を分析するとか、あるいはどういう形でやるかということについていろいろ御相談、御意見等を伺う、そういう経費も、若干ではございますが組んでございます。そういう進行状況であります。  それから、その世帯更生資金あるいは生活保護。先ほど厚生省のほうからお答えがございましたように、いままでもかなり事例がございますし、そういう点についても末端まで、政府としても、県を通じ、ものによっては市町村を通じて、先ほど御質問にございましたように、政府としてできるだけ御相談に乗り、めんどうを見ていく、そういう趣旨が通るように、ひとつ大いに厚生当局等も督励してまいりたいというふうに思っております。
  60. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまの副長官の答弁によりまして、私は、積極的に進むと思うのでありますけれども、進む進むというだけで進まないのではこれはいけませんので、本格的にこれは取っ組んでもらいたい。  今回、私は、ちょうどこの災害が起きたときはたまたま島根に行っておりましたので、災害状況はよく知っております。そしてまた、その後各漁村をずっと回りまして、一人一人のいろいろな意見等も聞いてまいりましたし、現地を見てまいりました。その結果、あまりにも個人に対する救済というものが乏しい、このことを痛切に感じてきたわけであります。そこで、この点につきましては、島根、鳥取あるいは北陸にかかわらず、日本の全漁民に対して、あるいは農村に対して、これは大きな問題ではないか、むしろこれは政治の欠けている点である、こう思いますので、さらに積極的にひとつお願い申し上げたいと思います。  総務長官には、以上でございます。  それから、ただいま申し上げましたように、私は、実際に災害の問題につきまして、現場を見て、そして現場の人たちの声を聞き、どのように対策を講ずべきであるか、こういうことが中心にならないで、ただ法律だけを振り回しているようではほんとうの対策にはならない。法律自体は、これは法律によって対策はされますけれども、対策をするための法律でありますから、その点の立法精神というものをはき違えないようにして官庁のほうもひとつ取っ組んでいただきたい。  それで、先ほどから話になっておりますこの災害は、私は、根本的にたくさんの重要な問題をかかえていると思うのです。たとえば、このたった十キロ程度の低気圧がこれだけ大きな災害を起こした、これは一体どこに原因があるのか、こういうことを考えた場合に、いま副長官はいなくなりましたけれども総理府として一体具体的に、この原因というのはどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  61. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先ほど気象庁からも、高潮、暴風についての御説明がございましたが、このたびの災害は、たまたま北のほうから1普通は北西のほうから吹く。それが北から吹きまして、そのために吹送距離が非常に長くなった、そのために起こった高潮であるというふうな、きわめて特異な、特殊な自然現象によって発生した災害であるというふうに考えております。
  62. 貝沼次郎

    貝沼委員 そんなことではどうしようもないですよ。そんな分析のしかたでこの災害の対処をされようと思うならば、何にもできない、そんなことでは。風の方向が変わったから災害が起きました、そんなことが一体どこの国に通るのですか。ぼくは、そういう答弁に対しては非常に憤りを感ずるのです。何のために官庁があるんだ、こう言いたくなってくる、実際。  だから、原因は、それは予報もあるでしょう。あるいは風の方向も変わったでしょう。だけど、港湾施設というものがきちっとしておるなら、これは災害を防ぐことだってできるのです。また、予報が悪いから悪いからといって——予報が的確に出たって、あの状態では災害は起きます。皆さん方は見たと思うのですけれども、船をどこへ揚げたらいいのですか。あれは揚げるところなんかないですよ。その施設ができないのです。だからあれだけの災害が起こっている。予報がきちっとしていても災害は起こるのです。また、さらにその上に予報が、先ほどから聞いておりますのに、あまり的確でない。ところが、予報を出すほうとしても、これはそんないいかげんな予報を出したくて出しているわけではないと思う。誠心誠意、出していると思います。私も地球物理をやったことがありますので、大体それはわかります。だけれども、その予報を出すだけの準備がないのです。その辺に大きな問題をかかえている。  大体気象の観測の出発は、海洋航海というものがスムーズに行なわれるためから出発しておる。それがこの漁船問題に大きな被害をもたらしているということは、おかしなことなんです。国と国がにらめっこをして、ミサイル一つ飛び出してもわかるくらいのレーダーがちゃんと発達しておる。ところが、十キロにも臨むこの大きな低気圧の動きというものが的確につかめないなどということは、日本の政治の方向が問われるのではないかと私は思われるのです。こういうような観点から考えまして、現在のこの総理府の答弁は、私は実に不十分だと思うのです。もう一回やり直していただきたいと思います。
  63. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 ことばが非常に少なくて、不十分な御答弁を申し上げたわけでございますが、自然の暴威に対する対策としては、防災基本計画におきましても、先生おっしゃるとおり、予防措置として特に気象観測の十分な整備というところに、日ごろ努力を置いているわけでございますが、今後ともそういう線で努力してまいりたいと、このように思います。——どうも答弁が不十分でございまして……。  このたびの災害の特殊性にかんがみまして、その経験を生かしまして、今後の気象情報、それから港湾防災、漁港防災、こういうものについての対策を担当各省がそれぞれやっているわけでございますが、さらに連絡を密にしてその実をあげるように努力いたしたい、このように思っております。
  64. 貝沼次郎

    貝沼委員 その答弁がはたしてどれだけ実行に移されるか、私は、この災害特別委員会にいる限り、じっと見てまいりたいと思います。そのたびにあなたの答弁を伺いたいと思います。  さらに、時間もあまりかかってもいけませんので、具体的な問題に入ってまいりますが、この災害の根本的な問題というのは、これは裏日本に対する政府の力の入れ方というものが足りなかったということだと思うのです。台風のしょっちゅう来るところにおいては、漁港もよく整備されております。完全ではありませんけれども、比較的されている。ところが裏日本の場合は、これは非常にまずい。あるいは東北方面、小さな漁港、これはもう全部通じる問題であると思いますが、非常に冷遇されておる。したがって、このような実例を見て、ただいまの答弁のとおり、ただ島根、鳥取だけでなく、あらゆる漁港に対して、もう一度これは検討をし直す必要があるんではないか、こう思います。  結局、これは天災とはいうものの、実際私は人災ではないかと思うのです。それで、この結果を見ますと人的被害、たとえば、人は一人しか死んでおりません。人的な被害は比較的少ないのでありますけれども、これが少ないから被害が小さいということにならない。というのは、たまたま正月であった。したがって、漁に出ている人はおりません。また、夜であった。そして、停電をしておった。したがって、漁港は非常に暗いのであぶない。漁民はその船に近寄ろうとしなかった。1そのために人的な被害が起こっていないのであって、これが実際昼であったり通常の日であったならば、相当の被害が起こっているはずです。こういうようなこともひとつ考慮に入れていただきたい。  そこで、水産庁にお伺いいたしますが、漁船の問題です。この漁船の問題につきましては、こわれたもの、流失あるいは中破、いろいろありますが、船をつくらないことには漁民は生活ができないわけです。ほかの仕事にかわればいいという考えの人もあるかもしれませんが、しかしながら、四十、五十にしてほかの仕事に、そう簡単にかわれるものではありません。そういうようなところから、これは漁業をやっていかなければならないわけですが、船一そうつくるにしても、これは相当のお金がかかる。それだけではなくて、大工自身も、島根県ではもう十数人しかいないと聞いておる。しかも港ごとに、船のつくり方が全部違う。自分の手がけた船は直すけれども、ほかの人の手がけた船は直さないというような、いろんな条件が重なって、実際船ができるということはたいへんなことなんです。したがって、先ほどからいろいろと質問が出ておりますように、これに対して手厚い保護を国として考えていただきたい。激甚法あるいは天災融資法、こういうものをいろいろといわれておるわけでありますが、私もこの点で、それを強力に推し進めていただきたいと思いますし、さらに水産庁といたしまして、漁船の建造あるいは修理、こういうことについて具体的にどういうお考えを持っておるのか、その点を伺いたいと思います。
  65. 樋貝勇

    樋貝説明員 お答えをいたします。  漁船の応急的な措置といたしましては、先生いま御質問になりましたように、船大工等が非常に不足をしておるというようなことでございますので、隣接県のほうに連絡をいたしまして、被害県とよく連絡をとりまして船大工の協力をするように、こういうような連絡を実はとっております。  それから、さしあたっての漁船の対策といたしましては、島根県自体としても、県内でいろいろと調達方をお考えになっているようでございますが、やはりこれまた、隣接県のほうに私どものほうから連絡をとりまして、遊休の漁船があれば、できるだけこれは島根県のほうに回すようにという連絡を、とりあえずとっておるわけでございます。  それで、建造なり補修についてでございますが、県のほうで、県の金を金融機関に預託をいたしまして、とりあえずの必要な漁業資金につきましては運用をはかっておられるようでございますが、私どもとしていま考えておりますのは、先ほども私どものほうの大臣官房の参事官から御答弁をいたしたわけでございますが、ともかく天災融資法発動につきまして、前向きの形で早急に処理をしてまいるということと、それから、それが発動になりますれば、漁船の建造、改造はもちろんでございますが、補修につきましても、公庫資金が出る。それからさらに、漁業近代化資金につきましては、本年度も若干の残ワクがございますし、それから、四十六年度におきましては大幅なワクの増大を期待をいたしておりますので、その金を使っていただきまして漁船の建造、改造をしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  66. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまの答弁で、大工が不足しておる。やられた船に対して、大工は何人おりますか、数字を出してください。
  67. 樋貝勇

    樋貝説明員 実は、関係県に連絡をとりまして、極力島根県と協力をするように、こういうことでございますが、船大工の絶対数が非常に不足をいたしておるということでございまして、残念ながら、私、いまここで何人という数字をちょっと申し上げられないのでございますが、ひとつ御了承願いたいと思います。
  68. 貝沼次郎

    貝沼委員 だから、そんな態度だからだめだというのです。船を直します、大工何人ですか、わかりません、それじゃどうしようもないじゃないですか。だれが直すんですか。直す以上は、何人の手で、何日かかる、そうすれば、その間漁民は生活ができない、その間生活をどうするか、それに対してどう考えるか、こんなこと、だれが考えたって、私はあたりまえのことだと思います。ほんとうに漁民を考えるという気持ちがあれば、それくらいのことはちゃんと計算ができるはずです。  それで、他県から大工を呼ぶという話もありましたけれども先ほど私が申し上げましたように、大工は、よその船で違うのです、県によって。そういうところから、非常に仕事がむずかしいという難点があります。だからこそ、この漁民の船を修理する、あるいはつくるということについて手厚い保護を考えてやるべきである、私はこういうことを主張しているわけなんです。よろしいですか。それで、船の話ばかりしておっても、これは時間が切りがありませんので、大体そういうことをくみ取って具体的にひとつ進めてもらいたい。  さらに、船は保険に入ることになっておりますが、現在漁民の使っている船で保険に加入しているもの、これはどれくらいの割合でありますか。鳥取県、島根県だけでもけっこうですから、お願いします。
  69. 樋貝勇

    樋貝説明員 お答えをいたします。  最初にちょっと全国平均を申し上げますと、これは四十四年度末でございますが、全国の漁船保険加入隻数が概数で十六万五千隻、これは隻数加入率で見まして約四四%でございます。ただ、無動力漁船の加入が非常に低いので、これを除きますと、動力漁船では六二・四%ということで、加入率は年々若干ずつ伸びておるわけでございますが、伸びておるのは五トン以上五百トン未満の階層でございまして、七八%から九一%程度、こういうふうになっておるわけでございます。それで、五トン未満の階層で加入率が、これは全国的にも低いのでございますが、この階層の漁船は、今度のような災害もございますけれども一般的に危険度の小さいものが多い。それから、休漁中のものとか出漁日数の短いものがこういう階層に多いということで、保険事業はないものが多い、こういうことになっておるわけでございます。  それで、いま島根県の加入率でございますが、これは総体で二八・九%でございまして、動力漁船だけでは四六・二%、こういうわけでございます。島根県の加入率が低いのは、五トン未満の階層の在籍漁船が非常に多いということ。五トン未満の加入が低いのは、いま申し上げました理由のほかに、島根県の特殊事情で、あそこには中海という内海がございまして、そういうところで操業上の危険が小さいというようなことも原因しておるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  70. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまの報告でも、この保険の加入率というものが非常に低い。このことはまた災害の深刻さを増しておる、こういうふうに私は思うのです。そこで、漁船損害補償法百十二条によりますと、組合員の三分の二の人が議決をした場合には全員がそれに入る、こういうふうになっているということを聞いておりますが、さらに政府あるいは各地方公共団体において、保険に加入するということですね、保険金自体は非常に低いのであるし、国庫補助も相当あるわけでありますから、こういうみじめな災害が起こらないように、これを推進する必要があるのではないか、こう思うわけでありますが、これに対する見解はいかがでございますか。
  71. 樋貝勇

    樋貝説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたように、百トン未満一トン以上の漁船につきまして、一定要件に該当いたしますものについては義務加入制度をとっておりまして、それに対しましては、義務加入漁船の保険料につきまして国庫負担を行ないまして、漁業者の保険料負担の軽減というものをはかっておるわけでございますが、最近、低いトン数階層の漁船の危険率が漸次下がっておりますので、この保険料率が低階層が高いということが、従来も加入の障害になっておったという事情もございますので、この保険料率の引き下げを今後三年ごとに行ないまして、加入を容易ならしめるようにいたしたいということで、今後も都道府県なり漁船保険組合を指導いたしまして、漁船保険への加入促進を十分推進してまいりたいと考えております。
  72. 貝沼次郎

    貝沼委員 先ほども話が出ていたと思うのでありますが、船を失った人の中に、新しい船を失った人、あるいは古い船を失った人、いろいろあるわけでありますけれども、新造したばかりの船を失った人は、そのお金が払えないうちに、償還できないうらに実はなくなっている。また借金をしてつくらなければならない。こういう人は、古い船を失った人とはちょっと様子が違います。こういうような方々に対しては、前の借り入れ金を返済することについて、ある程度の償還期間を延長してあげるとか、こういうようなことは、先ほどちょっと出ていたと思うのですが、もう一度確約をしてもらいたいと思います。
  73. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の既借り入れ金等につきまして、今回災害を受けたために非常に負担になる問題につきましては、従来の災害もそのように措置してまいったわけでございますが、償還の猶予等について、それぞれ関係機関を指導いたしまして、遺憾のないようにしたいというように考えております。
  74. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一つ、漁船関係でありますが、現在漁港で登録されていない漁港があるわけです。漁港というのかどうか、それも問題でありますけれども、そういうところにあった漁船、これに対しても同じように対策を考えられますか。その点を一言伺っておきたいと思います。
  75. 樋貝勇

    樋貝説明員 漁港指定がございませんでも、漁船自体は登録をされておりますので、その実態がはっきりさえすれば、他の措置と同様の措置をとり得るものと私は考えます。
  76. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、漁船関係はまだまだたくさんありますけれども、ひとつよく実態というものを見、それからまた現地の人の言うことを聞いて対処していただきたいと思います。  さらに、港湾関係でありますが、地元の人たちの話を聞きますと、港湾に対するいろいろな改良整備の五カ年計画、こういうものがつくられておるけれども、これが進まない。そして、たとえ金額がきまっても、物価がどんどん上がってくるために予定どおりの工事ができない。そういうようなことが重なって港湾の設備が整ってない。こういうふうな意見が圧倒的に多かったわけであります。  そこで、この五カ年計画がなぜおくれているのかということですね。これはいろいろ聞いてみますと、たとえば予算において削られているとかいろいろあるようでありますが、こういう五カ年計画なら五カ年計画というものが、ただ計画倒れにならないようにしなければならないと私は思う。そこで、この五カ年計画が現在予定どおり進行しておるのかどうか、この点、お願いいたします。
  77. 竹内良夫

    竹内説明員 港湾の計画につきましては、従来まで、昭和四十三年から四十七年までの五カ年計画を施行してまいったわけでございますが、工事の進捗状態は計画どおりに進んでおります。ただ、経済現象と計画との乖離がございまして、経済現象が非常に伸びてまいりましたために相対的におくれてまいりましたので、これを改定いたしまして、今回、昭和四十六年度を初年度といたしまして五十年度を目標値としますところの五カ年計画に改定するということに決定いたしております。
  78. 貝沼次郎

    貝沼委員 次に、漁港の問題でありますが、漁港は水産庁関係ですね。この漁港が、漁民の声を無視したものがいろいろつくられておるということであります。たとえば島根県の多伎町ですね、これは西と東とあるのですが、西のほうですね。川口のところが漁船が入るようになっておりますが、ここのところは、雨が降って水が出ても漁船は流される。津波がきても漁船は流される。どっちがきても流されるところが実は漁港になっているわけであります。さらに、その出口が非常に狭いもんですから、そこから出るときに、出方によって横波を食うわけであります。したがって、相当腕が確かでないと漁船が出にくい、ちょっと海がしけてくると転覆してしまう、こういうふうなことを盛んに言っておりました。そういうことは、地元の人の声をよく聞いておけば、たくさんのお金をかけながらそんなへんてこりんなものができるわけないと思うのでありまして、すべてがそうだというわけじゃありませんけれども、一例としてそういう話があった。そこで漁民は、大事なお金を使うのであるから、使用価値のあるものをつくっていただきたい、こういう意見が圧倒的に多かったわけであります。  そこで、この漁港の整備については、今回の災害を一つの経験にいたしまして、こういうことは今後もあり得るわけでありますから、いままで以上の改良をした設備というものがなされるように検討されると私は思うのでありますけれども、そうする場合に、漁民の意見を聞くという何か機関とかあるいは方法とかいうものをやっていくお考えはあるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  79. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 漁港の整備につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、計画を立てますときに、漁民諸君の漁港を利用することにつきましての意見も十分聞いてやっておるような次第でございます。しかしながら、数が非常に多いものでございますから、中にはそのようなものがあるかと思いますが、そのような点につきましては、従来からも私どもは非常に気を配っておったところでございますが、島根県のほうにそういうものがございました場合には、私のほうでも、今回の災害にかんがみまして、そういうことのないように進めていきたいと思います。  それから、そういう機関があるかないか、あるいはそういうものをつくって今後やっていくかどうかということでございますが、私ども漁港の整備をやっていきます場合には、漁港法で管理会というものがございまして、そこに関係の者がみな入っておりまして、そこで一応議論をしたりなどして、それが県を通じて水産庁のほうへ上がってくるということになっておりますし、また必要があります場合には、私どものところでも実際現地調査をやって、適正にやっていこうと思っております。したがいまして、今回のようなものが生じております場合には、二月十五日から、緊急査定で実際に現地調査することでございますし、そのようなことのないようにつとめていきたいと思っております。
  80. 貝沼次郎

    貝沼委員 制度はそのようになっております。だけど、声はそうだということを私は言っているわけであります。やはり納得のいくようなことをしていかなければならない。意見を聞いてつくったのだということだけではなしに、こうなりますよということで相手の納得がなければ、これはまずいと思うから、いま申し上げたわけであります。  さらに、今度は漁民の生活の問題でありますけれども島根県のたとえば平田市とか大社とかいろいろありますが、一世帯の漁民の収入というのはどれくらいにお考えですか、水産庁、お願いします。
  81. 樋貝勇

    樋貝説明員 お答えをいたします。  これは階層によって違うわけでございますが、ちょっとお待ちください。——よく調べまして、後刻お答えいたします。
  82. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういう調子なんです。私は何も、それを聞きたくて聞いているわけじゃない。そういう漁民の生活というものを実際見ないで——対策対策と言うけれども、実際こまめに見てないということなんです。これじゃ幾ら方法論ばかり言ったって、どうしようもない。もうちょっと正確に調べてもらいたい。そして、何も島根県だけではなく、水産庁ならば、それに関係のあるところを、一世帯どれくらいの生活をしているのか、そうすれば船一そうやられたら何日間だけは食っていけるとかいけないとか、そういうことをひとつ真剣に考えていただかないといけないと思うのです。その点を問題提起をしておきますので、よろしくお願いをいたします。  次に、気象庁お願いいたします。  気象庁は、先ほどからいろいろ言っておりますけれども、松江のレーダーにはちゃんとひっかかっているわけでありますが、十キロぐらいのものと言っておりますね。ところが、十キロというと小さいという感じになるのです。しかしながら、山陰方面においては、これはまれに見る大きな災害なんです。ということは、松江のレーダーにおいてはかなり大きなものがひっかかったという感じがあったと私は思うのです。その点はいかがですか、気象庁
  83. 大野義輝

    大野説明員 貝沼先生に御答弁いたします。  これは、その大きさは十キロといいましても、気象現象からいいますと比較的小さいもの、台風のごときでありますと半径五百キロ以上にもなるというようなことで、一般的には小さい低気圧と、私ども表現したわけでございますが、低気圧であることには変わりございません。通常季節風が猛烈に吹き出すという場合には、低気圧の大小にかかわらず、何かそういうものを一つの引き金といたしまして、怒濤のごとく季節風が吹くというようなことでございまして、小さいから、大きいからといいまして、私ども警戒の手をゆるめるとか強めるとか、そういうことは全くございません。今回の場合も、四日の早朝から朝鮮半島北部の低気圧を追跡いたしまして、その後最後の資料その他で——途中でそれが行くえ不明になったとか、そういうことはございませんので、最後まで追跡したわけでございます。  以上でございます。
  84. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、これはある年配の方に聞いたのでありますが、この山陰方面には、大正年代にこういう災害があったそうであります。同じ正月のころあったそうであります。したがって、非常に珍しいというけれども、実は珍しさが、大正ですから何年もあまりたってないわけです。レーダーを基礎として出している予報が、その辺が加味されたとは思うのですけれども、これからひとつしっかりやっていただきたい。  さらに、漁民が安心して仕事ができるような予報を出すために、現在の体制ではちょっと無理だというのか、ほんとうに安心して、また当たる予報を出すためには、たとえばこれこれのものがある程度必要だとかというふうなこともあると思うのです。予報が悪いからと、そればかり追及するのはよくない。ほんとうに必要なものを与え、そうしてちゃんとしたものを出させなければならないと思うのですね。その辺の見解は、気象庁としてはどのようにお考えですか。
  85. 大野義輝

    大野説明員 ただいまの御質問でございますが、先生の先ほどからの御質問のように、日本海方面一般に船舶が少なくて、観測資料の配備が確かに少のうございます。しかし、気象庁ではそれに対応いたしまして、今年度までにすでに、ブイロボットと申すものでございますが、これを二基製作いたしまして、幸い本年度四十六年度からこれを日本海に、一つは西部、一つは東部に二基置きまして、船舶の少ないものをカバーいたしまして、これを四十六年度から運用してまいりたいということになりまして、日本海も、かなり観測体制は強化されるのではないか、こういうふうに考えております。  あわせまして波浪のほうでございますけれども、これもまた、本年度四十六年度から予算化されましたので、本格的に取り組んで、行く行くは波浪予報、これまでに発展してまいりたい、このように考えておるわけであります。
  86. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで気象庁、それだけやれば今度は当たりますか。その点伺っておきたい。
  87. 大野義輝

    大野説明員 予報かなり判断というものが入りまして、そこに正確無比ということが、残念ながら現在できない。ある程度の幅はございますけれども、やはりそういう施設が整えば、いまよりはるかに予報体制は楽になるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  88. 貝沼次郎

    貝沼委員 現在調べているところでは、その確率は何%になっておりますか。
  89. 大野義輝

    大野説明員 お答えいたします。  日常の予報でございますと、たとえば晴れと予報いたしまして雨が降った場合には、零点といたします。こういう方法論がいいか悪いかは別といたしまして、こういうふうな計算をいたしますと、七十五点をとりますと、一般の市民から可も不可もなく過ぎておるわけであります。これが八十点くらいになりますと、最近予報はわりあいに当たるじゃないか、こういうふうな声が聞こえてまいります。それから七十点をとりますと、最近予報はさっぱり当たらないじゃないか、こういうふうな声も聞かれるようであります。そういうことを私どもいつも注意いたしまして、予報の採点その他を考えております。  以上であります。
  90. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に私は、この災害に対してちょっと付随した現象が二、三ありましたので、これを申し上げて、そして通産省からは一言だけ答弁をいただきまして、大体終わりに持っていきたいと思いますが、通産省来ていますか。——では、総理府でもけっこうであります。公害対策のほうは総理府関係がありますから。  というのは、江津市に山陽パルプがあるのです。この山陽パルプの廃液が実は相当出ておった。そうして、あの高波のときに逆に岸のほうに打ち上げられて、黄色いような、土色みたいな、そうしてにおいを発散した、いわゆるアルカリ性の強いあわがもうもうと立ち込めた。そのために、道路にあった自動車が洗われて動かなくなってしまった。これはオイルが洗われたんだと思います。また、石綿の工場がやられておる。実際そういう廃液を出すことは、たとえばその辺に養殖のワカメとかそういうものがあった場合に甚大な影響を与えるわけであります。しかも、前回あれだけ公害国会をやりながら、現在そういうような現象が起こっておる。これは私は重大問題だと思うのです。山陽パルプは岩国と両方ありまして、ダブルパンチを受けたようなかっこうになっておりますけれども、その点をひとつ総理府のほうから、強力に指導徹底方をお願いしたいと思うのであります。  それからさらに、浜田港におきましては、貯木場の木が波でもって飛び出して、そして、その木によって船をこわしたという例が相当あります。こういうこともやはりちゃんと考えに入れておかなければならないということ。さらに鷺浦のところに下関の鉄船が、三百九十五トンだったと思いますが、貨物船が実は四十メートルくらい沖のほうに、少し斜めになってとまっております。これが非常にじゃまをして漁船が入りにくい。三十メートルか四十メートルのところを入ってこなければならないので、非常に危険である。そこで、その鉄船があるために、今度は港が埋まってしまって船が入れないようなところもある。こんなようなことで、地元は非常に困っております。したがって、すみやかにその船は動かしていただきたい。これは水産庁に関係があると思いますが、総理府のほうから総合的に、いま申し上げたような点につきましてはひとつよく依頼されまして、対処していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  91. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 御答弁申し上げます。  私の担当の範囲ではございませんので、的確な御答弁はいまできませんが、ただいま先生お話しの山陽パルプの公害の問題、それから下関の鋼船の問題等につきましては、その話を関係各省及び公害対策本部のほうにも連絡させていただきます。そのように取り計らいたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  92. 貝沼次郎

    貝沼委員 私、これでやめようと思ったのですが、きのう私は全部教えてあるのです。ですから、おそらく知っていると思うのです。鉄船などというのは、全部取らなければ困るのです。これは水産庁のほうはよく知っていると思いますけれども、公害のほうからやらなければならないことは、公害国会ではっきりしているのです。したがって、ただ相談するとかなんとかでなくて、必ずやるということをひとつ言ってもらいたい。それでは水産庁のほうから……。
  93. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 漁港内の沈船等につきましては、早急にこれを取り払って、漁港の利用上万遺憾のないようにしていきたいと思っております。  御指摘の点につきましては、昨日も県を通じまして関係のところへ連絡をとって、早急に片づけるように手配をしております。
  94. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまいろいろとこまかいことばかり申し上げましたけれども、私は、これは決して山陰あるいは北陸だけの問題として扱ったわけではありません。これは日本全体の低所得者、あるいは漁民、農民、こういう人に対する共通の、遭遇し得るような条件を幾つか備えておりますので、いろいろと具体的に申し上げたわけであります。したがって、ただこの災害だけに関しての考え方ではなく、日本災害を未然に防ぐという意味から、ひとつ積極的な姿勢をもって今後がんばっていただきたいと思います。  以上で終わります。
  95. 中井徳次郎

    中井委員長 それでは、本日の質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  96. 中井徳次郎

    中井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  本年に入ってから多発いたしております地震の対策のために、参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  99. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、小委員会設置の件についておはかりをいたします。  理事会の協議に基づきまして、本委員会に小委員十名よりなる雪害対策委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。  小委員の各会派別割り当ては、従来どおり自由民主党六名、日本社会党二名、公明党一名、民社党一名とし、小委員及び小委員長は、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、委員長において追って小委員及び小委員長を指名し、公報をもって御通知いたします。  なお、委員の異動等に伴う小委員及び小委員長辞任及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定をいたしました。  次回は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日は、これで散会をいたします。     午後零時五十七分散会