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1971-05-21 第65回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月二十一日(金曜日)     午後二時三十八分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 丹羽 久章君 理事 坂井 弘一君    理事 岡沢 完治君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       左藤  恵君    佐藤 守良君       斉藤滋与史君    野中 英二君       山下 徳夫君    井野 正揮君       横路 孝弘君    宮井 泰良君       東中 光雄君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         内閣総理大臣官         房         交通安全対策室         長       須藤 博忠君         警察庁交通局長 片岡  誠君         海上保安庁長官 手塚 良成君  委員外出席者         水産庁漁政部長 田中 慶二君         通商産業省重工         業局車両課長  福田 敏南君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  内田  守君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 須賀貞之助君         建設省都市局街         路課長     今野  博君     ————————————— 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   河村  勝君     岡沢 完治君 同月二十一日  辞任         補欠選任   長谷部七郎君     井野 正揮君 同日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     長谷部七郎君 同月二十一日  理事河村 勝君同月十八日委員辞任につき、そ  の補欠として岡沢完治君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会審査に関する件  交通安全対策に関する件(海上交通安全対策に  関する問題等)  交通安全対策に関する件  請願  一 交通安全施策財源確保に関する請願(向   山一人君紹介)(第四七四号)  二 交通事故防止及び補償確立に関する請願   (北山愛郎紹介)(第三六七三号)  三 同(楯兼次郎君紹介)(第三六七四号)  四 同(横山利秋紹介)(第三六七五号)  五 同外一件(吉田之久君紹介)(第四一一〇   号)  六 同(麻生良方紹介)(第四三七五号)  七 同(小宮武喜紹介)(第四五三八号)  八 同(内海清紹介)(第四八二三号)      ————◇—————
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についておはかりいたします。  去る十八日、理事河村勝君が委員辞任されましたので、理事が一名の欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは、岡沢完治君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 本日の請願日程全部を議題といたします。  これらの各請願につきましては、理事会において慎重に検討いたしましたので、この際、紹介議員説明等を省略し、直ちに採否を決したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日の請願日程第一ないし第八の各語順は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  8. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣期間派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  12. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいま加藤六月君外三名から、四党共同提出にかかる交通安全対策に関する件について、委員会において決議をせられたいとの動議提出されております。  この際、提出者から趣旨説明を聴取いたします。加藤六月君。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 ただいま議題となりました交通安全対策に関する決議案につきまして、自由民主党日本社会党、公明党、民社党を代表いたしまして、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     交通安全対策に関する件(案)   政府は、このたび交通安全対策基本法に基づく交通安全基本計画を作成したが、今後は、この交通安全基本計画に基づき、総合的な交通安全施策計画的に推進して、所期の目的を達成するよう遺憾なきを期するとともに、とくに左に掲げる措置を強力に推進すべきである。  一 車両安全性の向上と公害防止を図るため、輸出のために製造する車両と国内における運行の用に供するために製造する車両についての保安基準上の差別をなくすること。  二 大型貨物自動車運転者席を低くすることによる他の車両および歩行者等安全性確保するうえにおける利害について検討し、早急に結論を得ること。  三 過積載防止するため、すべての大型自動車積載重量自重計の取付けをすすめること。  四 運転免許試験制度改善し、早急に路上教習および路上試験を義務づけること。  五 飲酒運転に対する罰則を強化するとともに、酒類を提供した者に対する罰則の付与について検討すること。  六 身体障害者用の車いす、小児用車等を使用する者、老齢者等が利用しやすい立体横断施設整備に努めること。  七 タクシー事故防止タクシー事業経営との関係を明らかにするため、タクシー事業について、料金収入従業員労働時間、賃金ならびに賃金形態、公租、公課等経営実態調査し、その調査結果に基づき、タクシー事業の適正な標準経営基準を作成し、これを明らかにすること。  右決議する。  次に、その趣旨について申し上げます。  近年における自動車交通の急激な伸展に伴い、道路交通事故は逐年増加の一途をたどっており、その防止は一刻もゆるがせにすることのできない問題であるとともに、いまや交通全般にわたる安全対策確立は、当面する政治上、社会上重要、かつ、緊急なる課題となっております。  交通事故防止対策としては、不断の技術開発によって、その構造、設備等安全性を高めていくことが要請されることはもちろんであるが、それとともに、その安全性を常時保持するよう義務づけるための措置を講じ、さらに必要に応じた検査実施し得る体制を一そう充実させなければならないのであります。  さらに、運転する人間の資質に即した安全対策については、安全運転の知識、技能、適性を保持、向上させるため、運転適格者の排除、教育訓練充実各種組織における管理の改善等を通じての労働条件適正化をはかるなど、各種施策実施するほか、交通の安全に関する教育国民運動等を推進する必要があり、また、交通環境については、基礎施設整備を進めることはもとより、安全施設整備交通管制システム充実交通規制強化等をはかる必要があります。  政府は、このたび交通安全対策基本法に基づく交通安全基本計画を作成し、施策の大綱を定めたが、この基本計画に基づき、施策を推進するにあたり、交通事故発生要因と各施策事故防止の機能を十分勘案して、効果的な実施方法を選択するとともに、交通事情の変動に対応して、常に交通の安全が確保されるよう配慮し、特に人命尊重の見地から、本決議案におけるそれぞれの措置について、強力に推進するよう特段の努力をすべきであるというのがその趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。
  14. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  おはかりいたします。加藤六月君外三名提出動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣
  16. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 輸送機関安全性確保は、輸送行政においてきわめて重要な問題であります。自動車事故防止対策についても、従来から諸施策を講じてきておりまするが、ただいまの決議内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意をもって実施に当たる所存であります。
  17. 伊藤卯四郎

  18. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ただいま御決議いただきました交通安全対策に関する件につきましては、きわめて緊要な措置であると信じておりますので、万全の措置を講じまして、遺憾なきを期したいと存じております。
  19. 伊藤卯四郎

  20. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま御決議をいただきました事項につきましては、各省全般に関することでございますので、政府部内の連絡調整を中心に、十分御趣旨を体して努力してまいりたいと存じます。
  21. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 なお、議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付につきましては、その手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  23. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井野正揮君
  24. 井野正揮

    井野委員 私は、この機会に、今日交通公害の問題、交通事故の問題が、わが国政治課題の重要な問題として取り上げられております機会に、これらの社会的要請にこたえて、民間のこれらの運動をみずからの発意によって起こすという団体が、財団法人として政府認可をもらって、実際はその仕事は何もしておらなくて、寄付行為だけを、この団体名前によって悪質な寄付金集めをしておるという事実を承知いたしましたので、まことに社会公共に名をかりる悪質な詐欺行為ともいう最も指弾さるべき行為とも考えますので、この機会にこの問題を明らかにして、質問を申し上げる決意をした次第であります。  実は、最近、私のところへこのようにたくさんの資料を持ち込まれまして、私もすべてこういう訴えが真実だとは思いませんが、約一カ月調査をして、それらの記録を詳細に突合してみたところ、間違いない事実であるということを確信をするに至りましたので、実はあえて本委員会に出しまして、お尋ねをしようという決意をしたわけでありますが、第一番にお尋ねをしたいのは、総理府がこの団体認可された経緯についてであります。全国児童交通安全協力会については、政府交通安全会議のほうから資料をいただきました。そこで、この役員名簿を見ますと、特に衆議院に長い間議席を持たれました著名の、しかも人格者として尊敬をされております政治家太田正孝先生、あるいは一時就任を承諾されて、協会内部事情を御承知なすってこれを断わられた小金先生、また最近は、現在の会長松澤雄藏先生でございますので、私は特にこの質問をする前に、これらの内容をもし政府がよく承知をしておるのであれば、これらの、今日までわが国政治の上にかくかくたる業績を残された諸先輩に十分御連絡をなさって、むしろ協会内部の問題として処断をされることが望ましいのではないかと御注告申し上げましたが、今日に至るも何らの連絡もございませんので、実はこれまたやはり質問をせざるを得ない、こう決心をした次第であります。  たくさんございますけれども、まず第一に、総理府がお出しになりましたこの事業計画を見ますと、元来この種の団体というものは、事業それ自体というよりも、会を運営をする基本的経費といいますか、職員人件費あるいは一般的事務諸費等については、協賛する団体があり、事前にそれらの歳入は明らかになっておって、少なくも事業推進のために集めた寄付金をこれに充てるというような性格を持つべきでないということは、この団体認可前提条件にならなければならぬと思うのであります。ところが、この安全協会事業計画を見ますと、実はこれらの固定収入はわずかに数十万円、しかも人件費のほうは九百万、一千万に近い金を予定いたしております。こうなってまいりますと、当初からこの法人は、事業推進のために集めた金から、収益として、これを人件費に充てるということが前提になっておりますので、もしこの団体事業を行なわないで寄付行為だけを先行させた場合には、羊頭を掲げて、まさに会長の知名な社会的地位を利用して、寄付を集めるという行為に相なるのではなかろうかと思うのでありますが、事実そうなっておるから質問せざるを得ないのでありますが、政府がこの法人認可されました根拠の中に、こういうふうに確たる収入を持たないでこういうことを認可されるというたてまえは、一体この法人性格に照らして正しいのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。これは総理府長官、湊さんですか、おいでいただいているのは……、お答えを賜わりたいと思います。
  25. 湊徹郎

    湊政府委員 実は、ただいまお話がございましたのもその一つでございますが、従来各種のいわゆる民法に基づく公益法人ということで、総理府の所掌に属するものがかなりございます。そういう中身については——これは四十一年認可当時の事情は、私自身つまびらかにいたしておりませんが、その後の経過等にもかんがみ、特に山中長官と私と就任以来、一つ一つ内容等についてひとつその総点検をし、全部洗ってみる必要があろうということでおりましたので、一般的にこの団体、いまおただしの団体について、その運営にいろいろ問題があるということは、具体的には私承知しておりませんけれども、いまお話しのように、主として行なうべかりし事業について積極的に仕事をやっておらぬということで、従来口頭で、ときに文書によって、その点を再々注意申し上げてきたという経緯の概略については承知いたしておりますが、おそらく設立当時、形式的にきめられた認可条件には当然該当しておっただろうと思いますし、この種の団体は実は中央——これはたまたま全国団体でありますから中央で扱っておりますが、府県段階で、知事に委任された形で設立されているこの種の団体も相当数多くあるやに承知をいたしております。
  26. 井野正揮

    井野委員 まず最初設立経過についてお尋ねをしたわけでありますが、その後この団体事業遂行その他については、総理府監督をせられるところだと思います。そうなってまいりますと、年々の事業計画と、これに見合う決意提出をされておるわけであります。したがって、いま湊副長官お答えになったように、設立経過においてはきわめて合法的なものであったにしても、自後の運営の中で、きわめていかがわしいものが発見をされている。こういう事実の中でいかような監督をなされたか、お尋ねをしたいと思います。
  27. 須藤博忠

    須藤政府委員 それではお答え申し上げます。  全国児童交通安全協力会でございますが、これは昭和四十一年の十月に設立が許可されたわけでございます。その後役員人事等をめぐりまして紛争が絶えなかった、あるいは事業が必ずしも的確に行なわれていないというような状況でございましたので、昭和四十二年七月ごろから、私のほうで再三にわたり事業を行なうよう指示するとともに、事業実施が不可能な場合は、自発的に解散をしたらどうかというような示唆をいたしました。さらに四十三年の六月でございますが、私のほうにおきまして、六月十四日、この協会の事務所に立ち入り検査をいたしました。その結果、経理がずさんであり、また法定帳簿等にも不備が発見されたので、即日会長に対して善処方を申し入れ、また四十三年の七月三日に、文書をもって事業実施、資産の改善、会の適正な運営等について申し入れたという経過があります。さらにまた、ただいま湊副長官から答弁ございましたように、長官以下、法人監督を厳重にするようにということで、厳重に監督をしておるわけでございまして、特にこの会につきましては、四半期ごとにその報告書提出を求めるというような監督をいたしておるような次第でございます。
  28. 井野正揮

    井野委員 最初に申し上げましたように、この四十五年度の事業計画においてすら基本になる人件費はないんです。支出はありますが、歳入財源は固定的なものはない。したがって、この団体に対する明確な固定した協賛団体はないわけです。したがって、すべて事業に基づく寄付金、半額は例のオートレース益金補助金が見られておるわけであります。その中の一つ事業はこの交通旺論という新聞の発行、一つはこういう手帳をつくって子供に交付するという仕事一つ横断道路の旗をつくるという仕事、もう一つ大きな事業として取り上げておるのがこの会館建設になっておるわけです。世に問題になって言われているこの会館建設費東京都所有の土地払い下げ問題をめぐって、他人の土地を借りて協力会土地のように擬装して、これを種に隣接する土地の払い下げを受けようという計画、この計画自体東京都は全然否定をしているわけでありますが、これがまた賛助会員の募集の種になっております。その信用を得るために、オートレース益金補助配分を受けておるわけであります。  通産省おいでになっておりますね。通産省のほうでは、この協力会性格なり事業実態なりそういうものを十分御調査の上で、しかもここ二、三年来、この協力会の中に起こっておる数々の不正事件、現にこれは告訴されている。民事訴訟も起こっているわけです。検察庁のほうへも告発もされているわけです。ただ一つ信用ができるのは、会長さんが太田さんだということだけなんです。しかも副会長の小高某なる者は、これは私が言うのではなくて、国会にばらまかれた新聞には、保全経済会の幹部であり、また多くの倒産を引き起こした中央観光責任者であり、しかも読売新聞には、金もうけの名人として喧伝されたこの人が副会長実権者なんです。交通安全対策室のほうでお答えになりましたように、立ち入り検査をしても帳簿なるものはない。事務職員はほんの五カ月か八カ月で転々として変わって、いない。帳簿もなければ事務内容もわからない。このとおり政府設立認可を受けた法人としての事業運用がされていない。されている事実は、この太田先生名前を使って、しかも政府自民党員だ、こう言っているのですけれども銀行融資のあっせんをするかわりに、この協力会に金を出せということでやっている。被害者はここに名簿があります。これらの集めた賛助金は、半分はこれを仕事をした職員に分け与えられるようになっている。こういう実態を御承知の上でおやりになっている。それは私は名前は言いませんけれども、皆さんの部下の口から聞いて知っている。一体こういうような性格事業に、この怪しげな団体社会的に信用づけるためにギャンブル益金——ギャンブル事業が法的に認められているのは、これらの益金社会公共に役立つ益金として使えるからだということしかないのですが、その金の配分をするにあたって、ギャンブルでかせいだ益金詐欺、横領の悪徳団体に助成をして、これを政府が助成している団体だといって社会信用をつくり上げて、その責任者が元大臣で、今日自由民主党の中のりっぱな代議士だ、こういうことになったら、一体政府は何をやっているのだということになるのですよ。この点、そういうことをお調べになった上で、あるいは交通安全対策室ですか、と御相談の上でなさったのですか。ひとつお答え願いたいと思います。
  29. 福田敏南

    福田説明員 お答えします。  この安全協力会には、私ども四十四年から補助金を出しております。私ども補助金を出します場合には、まず、そのやっております事業が、社会公益上有効であるかどうかというのが第一の審査基準になります。それから第二点は、その事業主体がその事業を遂行する能力があるかどうかという点を見るわけでございます。その場合に、その事業主体が、その事業を遂行する能力があるかどうかという点について、本件疑問があるのではないかという御指摘だと思いますが、私ども補助します事業主体は、原則としまして民法三十四条の公益法人ということをたてまえとしております。その理由は、それぞれの監督官庁がありまして、そういった法人にはしかるべき監督を行なっておるという前提のもとに、信用できる団体でなければ補助金は出さないということから、そういう規定を設けたわけでございます。それ以上の具体的な内容につきまして、それでははたしてそれがしかるべき団体で、内容がそうあるかどうかという点につきましては、そこまでは私ども調査する能力もございません。したがって、それぞれの所管監督官庁監督を御信頼してやるという以外にはないという結果になっております。ただ、御指摘のような事実がもしありとするならば、私どもはあくまでもその行なう事業社会公益上有効であるという前提のもとに補助をいたしておりますので、そういういわば悪徳のものが、隠れみのにこういうことをするということでありますならば、非常に遺憾なことでございます。所管監督官庁の方と十分に打ち合わせをしました上で、しかるべく善処したい、そういうふうに考えております。
  30. 井野正揮

    井野委員 もっともそうだろうと思います。そうすると、室長さんにお尋ねをしますが、私が承知している限りでは、おたくの担当者は、この団体実質的責任者土地の取得問題あるいはこの法人の権利を売ろうとして詐欺行為を働いた問題等々を通じて、民事訴訟が起こっており、あるいは告発をされているという事実は、すでに二年前に知っているのです。そこでお尋ねをすると、監督責任はありますが、この補助金配分については通産省かおやりになるのですから、私どもの関知するところではありません、こう私に答えているのです。室長もそう思っておられますか。
  31. 須藤博忠

    須藤政府委員 補助金の問題は通産省の権限かと存じますが、会の運営というものが適正に行なわれるように監督するのは、私ども責任だというふうに考えております。
  32. 井野正揮

    井野委員 お聞きのとおり、それじゃ答弁おかしいじゃないですか。通産省課長のほうでは、公益法人の資格を持っており、監督が十分行なわれたものとして私のほうは金を出しておるというのですが、今度は室長のほうでは、金を出すのは通産省のほうでやるので、私のほうの知ったことじゃない。こういう答弁なんです。どっちなんですか。
  33. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 井野君、答弁者の氏名を指定してください。
  34. 井野正揮

    井野委員 湊副長官お尋ねをいたします。どっちなんですか。
  35. 湊徹郎

    湊政府委員 率直な話、先ほど申し上げましたように、一般的な総理府所管各種公益団体等概況等につきましては報告をもらって、おりますが、その決算報告書のいさい、収支の内容等については、実は承知したのは昨日でございます。ただいまお話しのように、現実にその収支の一つの大きな項目でございます寄付金あるいは補助金、そういう個々の問題等について、従来私どもタッチしていなかったことも、これまた事実でございます。そういう点で内部の連絡調整、まことにただいま御指摘のように残念な状態であるというふうに思います。
  36. 井野正揮

    井野委員 そうしますと、通産省のほうにお尋ねしますが、四十四年、四十五年、それは、ことしはまだ未交付になっておると思いますが、その補助金の項目、内訳についてお示しを願いたい。
  37. 福田敏南

    福田説明員 お答えいたします。  四十四年度は事業計画として三つございまして、それは交通安全手帳の作成ということと広報用の車両の購入ということ、広報宣伝といいますか、広報用の車両の購入、それから教材及び機材の購入という三点でございます。四十四年度の補助事業につきましては、交通安全手帳は現実に作成しておりまして、それで車両も現実に購入いたしておりますし、教材及び機材の購入もいたしておりましたので、その交付決定をしました金額をそのまま……。(井野委員「幾らですか」と呼ぶ)全額で三百十六万になりますか……。(井野委員「項目別には」と呼ぶ)項目別には、交通安全手帳が百八十八万でございます。車両が七十八万、教材及び機材が五十万でございます。計三百十六万、これを交付決定いたしました。(井野委員「半額補助ですね。大体において、これはこれの倍額になるわけですね。」と呼ぶ)大体倍額になると思います。(井野委員「大体ですか、そんなあいまいなものですか」と呼ぶ)私ども補助率は二分の一以下という形になっておりますので……。(井野委員「四十五年は」と呼ぶ)それから四十五年度は機関紙の作成、いまお示しになりました「交通旺論」それから指導車の購入、それから交通安全手帳作成というほかに、その他の事業として、実は協力会からさらに多額の要請がございました。たとえば交通安全帽子、旗あるいは映画をつくる、あるいは建物を建てるというふうな要望がございましたが、そういう要望は一切削りまして、いま申し上げました機関紙「交通旺論」の作成、それから指導車の購入と交通安全手帳の作成、その三件について一応の交付金額を決定をしております。  内訳は、機関紙が四百八十万、それから指導車の購入が三十万、それから交通安全手帳が九十九万、合わせて六百九万になりますけれども、そのうち機関紙とそれから交通安全手帳は現実に作成しておりますので、それに見合います金額は出しておりますけれども、指導車の購入はまだいたしておりませんので、これは金を出しておりません。  四十六年度は、これも三点についてのみ補助することに一応内定しております。一つは機関紙の発行でございますが、六百三十万円、交通安全手帳の作成百二十五万円、それから録音テープの作成八百九十万、計千六百四十五万円を一応内定いたしております。
  38. 井野正揮

    井野委員 そうすると、この交付金は先ほど言った公益法人として認可されて、総理府の対策室が監督しておるものだからという信用力によって、しかも、会長は現在は六期当選元政務次官の松澤雄藏先生、この二つが信用の保証となって、この多額の補助金社会公益に必要なる事業として認可なされた、こう理解していいわけですね。  そこで室長お尋ねしますが、実際に立ち入り検査をやってみて、いま言ったような新聞を発行したということは、印刷したことと、対象になる国民各位にわたっておらなければならぬということになりますね。手帳の場合も同様に、製作元がらの領収書もあるいは作成所の確認も、信用がない場合にやって、そうしていかなる団体のいかなる子供に支給されたか、これを確認されなければ検査したことにはならないと思いますが、この点、しかと確かめておられますか。
  39. 須藤博忠

    須藤政府委員 手帳なり機関紙も、実際につくっておるということは私ども存じております。しかし、どの程度に配付されておるかという点につきましては、まだ十分に調査ができておらないというのが実情でございます。私どものほうとしても、今後やはりこの点もできるだけ確かめるようにしたいというふうに考えております。
  40. 井野正揮

    井野委員 副長官、これはギャンブルでもうけたあぶく銭だからということで、安易に支出をしているということはこれでお認めになりますか。  それは、機関紙を十万部つくるというところを二千五百部つくって、山中長官の厚真も載っておるし、また政務次官の方の写真も載っておりますけれども、これを持っていって配れば、なるほど山中さんの選挙に役立つでしょう。あるいはもう一人の、名前は忘れましたが、たくさんおられる政務次官で、覚えておりませんが、写真が載って対談まで載っているのですから、選挙運動になるでしょう。これが二千五百部であっても、おたくの室ではわからない。こういう手帳は十万つくったことになっている。実際は三万しかつくってない。これは私、製作元へ行ってきましたから間違いない。十万つくるといって、十万の半額の補助金をもらったわけです。室長のほうは、あなたのほうでやっているのだから心配ないというので、何も審査しないでやった。なるほど手帳もつくっています。これが一冊三十八円で銀行は買わされたでしょう。子供に交付するのじゃなくて、補助金をもらって、あと半額は寄付金を集めて取って、子供に交付しないで銀行に売っている。名前を言えといえば言いますよ。これは一体正しい行為ですか不正ですか、副長官答弁してください。
  41. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいままでの議論を通じてお聞きした範囲においては、はなはだけしからぬ行為であると思います。
  42. 井野正揮

    井野委員 私は、この行為が、平然としてなお松澤雄藏先生名前で続けられることをおそれるのです。本来なら佐藤さんに出てきてもらって、私、自民党の姿勢をただしたいと思う。こういうことが政務次官あるいは元大臣の肩書きを利用して、しかもその小島徳司なる男は、片はしから建設会社に自民党の小島だといって電話をかけています。証人を出せといったら幾らでも出します。そして、ここで時間があまりないのですから、それまで一々あげておるわけにいきませんけれども、証拠は全部提出をいたします。  佐藤総理大臣からも、政党責任政治ということばをたびたび聞かされております。その責任観念の旺盛なことに敬意を表します。それならば、この団体について、政府の行政責任もさることながら、当該団体理事長を引き受けておられる、そういう党員の所属せられる政党としても、十分これは責任をとってもらわなければならぬと思う。  そこで、これらはお調べになればわかることでありますが、私のここに持っておる資料寄付金は、半額はこれを集めた人に渡すようになっております。この総理府からお出しになった重役の中に、田中伸鳳という名前が載っております。これは、すでに内部であつれきのためにやめさせられた人です。ここに報告書なるものが書かれてあります。もと中央観光におった人です。そして中央観光の小島徳司さんの罪をかぶって、何カ月も留置場で苦しんで、出てきて再びこの協会に入った人なんだといわれております。これは警察のほうをお調べになればすぐわかる。当初雇われたときから、寄付金を集めたときに半分おまえにくれるということになっている。これが公益法人実態なんです。通産省おわかりですか。福田さん、これがあなたの信用する、通産省信用する公益法人実態なんです。しかも、この法人を売ろうとした事実があります。これには、御丁寧に太田さんの名前で領収証が出されているのです。ここにございますが、これが契約書、私がいうんじゃない、著名な弁護士が六人も署名されて、内容証明で小島さんに送達された署名の写しです。これは、きちっと太田正孝会長、小島徳司立ち会いの上で売ることにした、買うことにした。しかしその後、いわれた値段が違うので、五万円だけは内金として渡したけれども、私はそんな社会奉仕の団体を一千万も七百万も、あるいは三百万円でも買う気持ちはないからということでお断わりした。ところが、恐喝状が来たので、それはおかしいじゃないかという内容証明です。これは全部弁護士に登録された方々ですから間違いありません。太田さんの名前でちゃんと領収証が出ている。どうですか、これでもことしの一千万円の補助をお出しになりますか。これをひとつお聞きしたい。
  43. 福田敏南

    福田説明員 お答えいたします。  いま先生の御指摘のような点がおそらく事実であろうと思います。私どもそういうことを一切存じませんで、事業内容そのものだけを検討してきめたわけでございますが、もしそれがほんとうに事実でございますならば、内定しました補助の金額は一切打ち切りまして、交付しないことにさせていただきたいと思います。
  44. 井野正揮

    井野委員 さらに申し上げておかなければならぬことがございますのは、この会館建設資金の問題なんです。これは消してございますけれども東京電力に出した要請文書です。文書の中身のことを、これはうそっぱちばかりですからよしとしましても、最後にたいへんなことを書いてあります。「上記本部会館建設に伴い、全国支部づくり、企画懸案中であります。」こうして会長太田正孝元自治大臣、経済学博士、勲一等、勲一等が泣きますわ。その次が小島徳司、その次が理事住谷甲子郎、経済学博士、福田大蔵大臣のおいとなっています。一体、今日の長く続いた政権の弊害だということをよくいわれますけれども、大蔵大臣のおいと書いたら、寄付金が集まるわけなんですか。こういうところに非常な問題があるわけなんです。これを裏づけておるものが、何の調査もなしに出しておるこのばく大な補助金なんです。この新聞には、わざわざここのところでこう書いてありますよ。「オートレース益金補助により発行」と書いてある。事実そのとおりでしょう。そしてこれは月一回ですね。部数は三万ですか、ということになっておるが、実際は二千五百部。ところが、これに全部今度はこういうふうに建設会社の広告が入っております。熊谷組、そしてこちらの寄付金調査表を見ますと符節が合って、三十万、五十万、七十万、百二十万、こういう金額がずらり賛助金としてとられているわけです。出すほうも出すほうなら、取るほうも取るほうだということになりますから、これは刑事事件にならぬにしても、じゃあこの金が一体協会の基金に入っているのか。入っておらない。収支決算見れば明らかです。借り入れ金、未払い金、こうなっておるのですね。借り受け金というのはない。全部これは赤字になっておる。しかもこの決算の中には、手形手数料という項目がある。普通の法人会社の中に、手形手数料という項目はあるでしょうか。まして財団法人公益法人なんです。手形手数料とは一体どういうものなのか。これは、私のほうへ室からお出しになったんですから、御検討になったでしょう。手形手数料とは何ですか。教えてください。
  45. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 井野君、答弁者を指名してください。
  46. 井野正揮

    井野委員 室長です。
  47. 須藤博忠

    須藤政府委員 残念ながら私も詳細には存じておりません。
  48. 井野正揮

    井野委員 室長、詳細はわからぬというけれども、これだけのものを印刷して私のほうへ出しておいて、あなた検討したんですか。
  49. 須藤博忠

    須藤政府委員 検討はいたしましたが、非常に時間的に制約を受けまして、十分検討しないで差し上げた次第でございます。
  50. 井野正揮

    井野委員 だって重要な支出の項目ですからね。しかも小さい金額じゃありませんよ。公益法人として必要な勘定科目です。どうですか。中身はわからぬというんだったら、この事業を行なうのに、大体先ほどの補助金から見ても、この倍額でできることになるんですが、千二百万程度でいいはずなんですよ。ところがこの事業計画、そんな金額じゃないんですよ。ばく大な賛助金を集める計画になっているんですよ。事業収益というのはないんですから。あったって四、五十万のものですね。この新聞を通じたって十七万しか入らぬことになっておる。これが何千万と入っている。その金の行くえは一体どうするんです。その事件はどうするんです。あなた一体何を監督しているんですか。監督とはどういうことか教えてください。
  51. 須藤博忠

    須藤政府委員 監督は一応私のほうで、昭和三十五年の総理府令がございます。これは総理大臣の主管に属する、公益法人設立及び監督に関する規則というのがございます。これに基づきましてわれわれ公益法人監督をいたしておる次第でございますが、趣旨としては、当然この一つ法人が、その公益に合ったような、設立目的に合ったような事業が適正に行なわれる、このために必要な監督というふうに考えております。
  52. 井野正揮

    井野委員 適正に事業が行なわれるといったら、事業計画なり決算書を見なければならないでしょう。それを見ないで、どうして適正に行なわれたか、行なわれないか判断できるのですか。あなたの職務はそれで達成できるのですか、お答えください。
  53. 須藤博忠

    須藤政府委員 ただいまの御指摘の項目につきましては、さらに今後検討いたします。
  54. 井野正揮

    井野委員 その項目だけを言っているんじゃないですよ。私は一例を言っているんだ。あり得べからざる項目だから一例を言っている。全体を通じて、これはこの設立目的と違っていますよ。悪質な、社会事業の名を掲げて、著名なる政治家の名前を使って、いや、あるいは結託したのかもしれませんよ。この名簿の中には太田正光という人の名前が載っております。私の知っているところでは、静岡何区かの代議士候補、二回落選の候補だと思います。この文書のどれかには、その選挙のときにも金を出したという文書が載っておりますよ。また、大阪府の知事選挙にも、金を五十万よこせといって取りに行ったという話がちゃんと載っております。これにふさわしい行為をやっている団体です。私のところをお訪ねになった数人の人から、この小島というのが、自民党の小島だということでやって来て、おれは福田ともこういう仲だ、これもこういう仲だから、こういう金のあっせんをしてやるということで——もちろん金融業者ですが、そしてこの協会に巨万円出せと百万円出させて、いまないからということで手形を渡したら、ちゃんと裏書きして割って、今度その取り立てでひどい目にあったと聞かされております。事実そのとおりで、また告訴されております。こういう中身を検討しないで、どうして監督することができるのですか。こういうことで副長官実態がおわかりになったと思います。私はこれ以上あばき立てて、かつ、わめきちらしてりゅういんを下げようとは思いません。しかし、このケースが中央地方を問わず、競輪、オートレースあるいはモーターボート等々のギャンブルが、法律でもって保護されて事業が行なわれている第一の理由は、これらの益金を通じて、今日国民の負担にまでいかない仕事で公益的な事業、あるいは機械の振興、そのうち産業の基礎となるものの振興、こういうものの国家的利益を唯一のよりどころとして、あれらのギャンブルが許されているわけですから、この金がいま言ったようなことに使われている、そういう団体の隠れみのになっておるとするならば、私は、この政治責任というものはきわめて重要だと思うのです。しかも、その会長は、初代が太田さんであり、現在が松澤さんだとするならば、私の部下が知らぬうちにやったで済む問題ではないと思うのです。したがって、この問題は徹底的な究明をされて、この行政的な責任政治的な責任を明らかにされるということをお約束を願って、私の質問を終わりたいと思いますが、副長官の御答弁を願います。
  55. 湊徹郎

    湊政府委員 実は、私のほうからもお願い申し上げたいことがございますし、それから、私どもさっき申しましたように、就任以来山中大臣——この種総理府所管の、通称民法による公益法人といわれているものが相当多数ございます。府県知事等に委任したものを含めたら、これはもうえらい数だと思います。それについて、民法体系の中にこの種のものがあるということがひとつ問題だと思っております。というのは、御承知のように、民法というのは自由な当事者間の活動を徹底的に保障するというたてまえでできておりますから、通常の銀行あるいは各種農業団体法、あるいは商工団体法等による監督、これは一種の義務検査みたいなものが法律上義務づけられて、それに基づいて会計検査を中心にして、かなりきびしい定例的な検査が行なわれております。ところが、民法なるがゆえに、一部の学説では、行政権はなるべく介入しては相ならぬぞ、これは設立行為だけ便宜所管の主務大臣がやるけれども、その後の運用等については、あまり行政権は深入りしては相ならぬというふうな説もあるやに聞いておりますし、そんな関係からか、お手元に差し上げてございます総理府の規則、これについても、私、前々非常に疑問に思っております。ここで行なわれておりますのは、報告聴取と資料提出、それから続いて法人の業務及び財産の状況を検査させることができるというふうな書き方でございまして、この業務という文言の解釈いかんで、当然仕事をやれば会計経理にも関連してくることはおっしゃるとおりなのでございますが、現実に担当しておる安全対策室のほうでは、貸借対照表をきちっと見分けて、そうして、いわんやそのほかの関連帳簿等まで目を通して、会計的な観点から検査し得る能力を持った人は、卒直な話なかろうと思います。そういう点で私はいま二つのことを考えております。  その一つは、もうすでに発足させましたが、これはやはりここだけではございません。青少年対策本部あるいは各種の局に関連する法人等もございますから、管理室というのをつくって、そこで一切の総理府所管にかかる法人の会計的な側面からの監督を集中化してやる、それと当然セットになって、それぞれの担当部局も検査体制をとる、そういうふうにしないと、ほんとうの検査は、かりに立ち入り検査をやったとしてもできないのではないかということで、管理室が発足して以来、その後新設されてまいります法人の取り扱いは、許可条件その他についてもかなり厳格にやっております。そういう点で、既存のものについても見直していきたいのでありますが、この規則をごらんになっておわかりのように、民法七十一条には「設立許可の取消」という条項がございます。しかし、その取り消しの条件が、目的外の事業をやった場合とそれから許可条件に違反した場合と、それから公益を害するような行為があった場合、そうしますと、いわゆる通称睡眠法人といわれて、何にもやらないものについては、解散も許可の取り消しも形式上できないというふうな形になって、その種の法人もかなりあることは事実でございます。そういう点で、私見としては、願わくば行政法体系の一環として公益性が高ければ高いほどこういうものが取り扱うべきではないかと思いますし、それとこの規則の中で、検査までは書いてございますけれども、許可の取り消しに関する手続条項がございません。したがって、どういう手続でやるというふうな手続規定等も不足しておりますから、ただいま、まず書面でもって報告ないし資料提出を求め、次に検査をやる。書面検査の場合もあろうし、立ち入り検査ももちろんやる。そのあとずばり抜き打ちというのもひどかろうから、勧告か何かそういう指示があって、しかる後今度は許可の取り消しをやる。そういうたてまえでもう一ぺん法制局や法務省と相談をしながら、これ自体を検討し直しなさいということは、すでに数カ月前に言ってございまして、現在その手続を進めておる、こういうことでございますから、せっかくお話がございました機会に、いまお調べいただきましたものもひとつ私どものほうでお借りいたしますし、私どものほうとしても、十分検査をいたしまして、せっかくの機会でございますから、そういう公益法人全般について、いずれ——先般の閣議でも、各省に対して、行管が中心となって、ひとつ公益法人の洗い直しをやれというような総理大臣からの指示もつい最近あったところでございますから、総理府が模範的な形でひとつやろうというふうに思っておりますので、これから早急にその手続を固めて、御趣旨に沿うように措置したいというふうに思っております。
  56. 井野正揮

    井野委員 申し合わせの時間でございますからやめたいと思いますけれども、一般的な御答弁としては、私はうなづけないわけではございません。しかし、最初にも申し上げましたように、今日国家的な課題である交通安全の問題を幸いとして、しかも社会、公共の事業のような顔をして、しかもこの反面において、今日三百三議席を有する巨大な自民党を背景とする政治力を持って、業者の死活問題である金融へ立ち入って、寄付金を強奪しておる。しかも皆さんの同僚の自民党の代議士を会長にしておるところに問題がある。この責任を感じてほしいということを強く言っておきます。したがって、全体的な問題としては、副長官のおっしゃられたとおりの方向でよろしいかもしれませんが、現にこれは犯罪がどんどん進行している。欲と二人連れで広がっている。こういう状態の中で、告訴、告発も起こっておりますが、これを取り上げないということで警察に対する不信感すら起こっている。警察もきょうおいで願っておりますね。このオートレース審議委員の中には、警察の方も一人入っておるわけです。ところが、私も通産局の御答弁を聞いたときに、あきれ返って質問する意思がなくなった。こういうことならばまさに犯罪天国です。諸悪の根源が憲法にあるなんてとんでもない。諸悪の根源は、三百三議席の上にあぐらをかいた官僚独善がこういうことをやらしておるのだ、こういうことになるわけでありますが、私はこの際、この問題を一つの素材として徹底的な究明をされて、自民党の信頼を回復していただきたい、こう思うわけです。このことをお約束願ったものという理解で私の質問をやめます。  どうもありがとうございました。
  57. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 宮井泰良君。
  58. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、この際、いままで同僚委員から相当議論がされておると思いますが、海上における交通安全につきまして、若干御質問をしたいと思います。  御承知のとおり、浦賀水道におきましては一日七百九十隻、約二分間に一隻の割合で船が航行されておるということでございまして、これは海上保安庁長官もおいでになっておりますが、熟練の船長におきましてもこの浦賀水道を通る場合には食欲が減退する、このようにいわれております。それで、二十万トンのタンカーがただいま衝突いたしたといたしますと、この油が流れ出まして東京湾の生物は一日で死滅するということもいわれております。またそれに引火いたしますと、約千度くらいの熱が出まして、上昇気流に乗りまして、台風のような状態になり、東京都は全滅に近い被害を受ける、このようなおそるべきことがいわれておるわけでございますが、そのようなことが起こり得る可能性もある、こういうことでございまして、海上交通というものは、いま十年おくれておるといわれております。そして海上における交通法というものはいまだにきまっておらない。前国会などもいろいろと議論が出ましたけれども、いろいろな折衝等が難航いたしまして、いまだにでき上がっておらないというのが実態でございます。こういったことに対しまして、現在実態はそのような実態なのか。そしてまた、今後瀬戸内海あるいは伊勢湾日本全国にわたって、東京湾だけではなくして、ますますタンカーが大型化され、あるいは船舶が増強いたしまして、またカーフェリーなど、重要な海陸一貫輸送というものがこれから進められまして、ますます海上の交通というものがひんぱんになってまいると思いますが、そういった点におきまして、どのような対策を立てておられるか。  また、いまお話ししました、海上安全交通法なるものが最近検討されているように聞いておりますけれども、そういった面もどのようなところまで進んでおるか、こういった面を海上保安庁にお尋ねしたいと思います。
  59. 手塚良成

    ○手塚政府委員 浦賀水道におきます海上交通のふくそう度は、私どもの昨年末における調査によりますと、一日平均七百六十七隻の通航船舶ということになっております。この総数は歴年若干ずつ伸びておりますし、なかんずく大型船がふえておる。それからタンカーの数がふえておる。こういうのが概略の姿でございます。浦賀水道のみならず伊良湖、明石、備讃瀬戸、来島、釣島、いわゆる大阪、伊勢湾、瀬戸内、こういった名内海におきまして、大体総体的に同様な状態になってきております。  こういった姿の中で、衝突事故その他の海難が発生した場合、特に御指摘のありましたように、タンカーによる事故、あるいはまた一般不特定多数の旅客を運送いたしますところの旅客船あるいはカーフェリー、こういったものが衝突をいたしました場合の災害という問題は、御指摘のような大きな場合も想定されるだけに、私どもも最も心配いたしておるところでございます。  こういった姿に対処いたしまして、われわれとして常時とっております対策、これは、まずできるだけ船舶自体にそういった問題をよく認識してもらって、自分でとる措置というものを極力とってもらう。たとえば通航にあたって見張りを十分にする、あるいは船のそういった災害時における装備を十分にする、あるいはきめられた運行法規を順奉する、こういうようなことをまずもってやってもらうということにしております。  さらに、可能な限りの施設について考えなければならぬ。たとえば灯台あるいは灯浮標、そういったものの整備を十分にやり、機能の悪いものの機能の向上をはかる、そういうことをやる。さらにそれらを利用しての運行、航行自体にあたって、いろいろな交通整理の方式を設定いたしまして、それの順奉をしてもらう。その間において、海上保安庁の船なり飛行機なりがそういった整理にあたり協力をする、こういうようなこと。さらには船自体に新しい装備をできるだけ装備してもらうというような面も、また別途な施策としていろいろ考えております。  先般十月三十日に、小型タンカーと外国船の衝突事故がございました。浦賀で起こったわけでございますが、このときに、いま抽象的に申し上げましたが、それを具体的な内容で緊急対策ということで指示をいたしております。御必要がありましたら、なお、あとでその問題について御説明申し上げますが、概略やっております全般的な内容を申し上げたわけでございます。
  60. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、先ほども申し上げましたが、海上安全交通法というものが検討されておるということを伺っておるわけですか、大体実体というものはどんなものでございましょうか。
  61. 手塚良成

    ○手塚政府委員 法律自体で考えておりますことはいろいろございますけれども、一番その中で重点的に考えておりますのは、狭水道で当面十一航路につきまして、この法律によってそこを航行いたします船に、交通の流れを分離するという措置かとり得るような背景にしたい。分離しますにあたっては、一定の船は同一方向をとる。それから巨大船がきた場合には、特に、漁船などとの関係においては相互に避航し合うわけですけれども、巨大船という一定の特に大きな船については、漁労等をやっておる場合には、その衝突の危険に十分注意して航行する、あるいはこれをある時間に限って避けるというようなことをする。また逆にそういう巨大船の入出港にあたっては、航路の方向、予定時刻等を届け出をさせまして、そういった小型の船等の航行の状態との調整をはかる、つまり必要とあらば、そういった狭水道に入る時間等を延ばさせる、あるいは一定時間にきめるというようなことをやりたい。停泊の禁止あるいは航路の横断の方法、追い越しの場合の信号、そういった問題もその中できめよう、こういうようなことを主にいたそうとする法律でございます。  実は、これは三年ばかり前に、先ほど一般的にお話ししました狭水道における災害というものの実例といたしまして、英仏海峡において非常に大きなタンカーの事故がございました。その際に、非常に大きな被害が起こったわけであります。それに近い状態のものが、つい先般サンフランシスコ湾においても起こっております。そういった事故に徴しまして、先ほど先生も御指摘のような非常な災害が予想される狭水道、いまあげました十一航路の狭水道でそれを防ぐというような意味合い、それからさらに、将来の船舶航行の状態等を勘案いたしまして、いま申し上げたような法律内容を考えたわけでございます。現状、この法律はまだ国会の御審議を願うまでに至っておりません。政府部内において、関係方面との調整をはかっておるという状態で、その調整内容の一番眼目になっておりますものは、水産関係との調整でございます。つまり、漁労船というものと一般船舶の航行というものとの調整ということになっております。できるだけ私どもは早い時期に——やはりこういった法律の背景がありませんと、現状の船舶の航行状態から見まして、非常に危険が増大しておると思いますので、なるべく早いうちにこの調整を進めて、関係の方面の御協力を得まして、調整を終えた上で国会の御審議を仰ぎたい、かように考えております。
  62. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、ただいまもお話が出ましたけれども関係当局との話し合いということで、一般船舶と漁船との問題が一番大きな問題であるというお話がいま出ましたが、水産庁にお尋ねいたしますけれども、水産庁といたしましては、海上安全交通——仮称ですね。まだ法律になっておりませんが、こういうものの検討の段階におきまして、どのような見解を持たれておりますか。
  63. 田中慶二

    ○田中説明員 現在、海上交通関係いたしましては、御承知のとおり、海上衝突予防法におきましては、漁労に従事している船舶の進路を避けるというようなことが原則になっておるのでございますが、これからの海上交通の規制を考えてまいりますと、どうしても漁船は劣弱な立場に立たされるわけでございます。そういうこともございまして、私どもといたしましては、今後のこういう交通規制に関連いたしましては、漁場なりあるいは漁業者の立場をどのように守っていくか、そういうことを法律ではどういうふうに表現すべきものであろうか。またそれに加えて、実態といたしまして、どのような措置をとることがいいのかというふうなことを検討いたしまして、海上交通の円滑にどういうふうに役に立てていったらいいかということで、漁業ないし一般船舶とのそれぞれの立場の調整がとられるということの検討をしているところでございます。
  64. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、これは運輸省の方に——むしろ大臣に聞かなくてはならぬのですが、一応おわかりでしたらお答え願いたい。  いわゆる小型船、漁船の安全も考えて、海上安全交通法という名前に変えて、漁業組合と交渉を始めるというふうな橋本運輸大臣の談話を私はある雑誌で読んだ。大臣の談話の中にそういう点が出ておるわけですけれども、この漁業組合との交渉という点は進んでおるのか。その実態をお知りだったらお答え願いたいと思います。
  65. 手塚良成

    ○手塚政府委員 この法案を進めてまいりますのには、やはりそういった場があるいは必要かと思っております。私ども自体がそれに当たるのが適当か、あるいは水産行政をおやりの向きにお願いをしてやっていただくのがよろしいか、いろいろ問題なりやり方等が考えられるかと思います。従来、今日までのところ、何がしかそういう接触をやってまいっております。その結果につきまして、必ずしも前進した姿にはなっておりませんが、接触は過去においてやったように聞いております。今後は、そういう面をやはり相当精力的にうまくやらなければならぬということで、先般、運輸大臣もそういう決意をお述べになった次第だと思っております。
  66. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、たとえば海上安全交通法をやる以前に、もっとやる仕事かあるのじゃないか。もちろんこれもきめなくちゃいけませんが、大型タンカーがあまり狭いところへ入ってきて危険になる、そういった面を規制するとか、あるいはこれは海上保安庁のあれじゃないと思いますが、シーバースあるいはパイプライン、その他大型タンカーがそこへ入ってこないでもいいように、そういった面をまず検討するべきじゃないか。また、この大型タンカーの規制というような面を検討するべきではないか。こういうこともいわれておるわけですけれども、その点は海上保安庁としてどのように考えていらっしゃいますか。
  67. 手塚良成

    ○手塚政府委員 いまの御質問お答えするのには、先ほどもちょっと触れましたが、先般の浦賀水道における海上交通に関する緊急安全対策の御説明を申し上げる必要があろうかと思います。  これは、昨年の十月三十日夕刻発生した、リベリアのタンカーと日本の第一新風丸という小型タンカーとの衝突であったわけですが、この直後に緊急安全対策を出しました。この緊急安全対策の中には、将来の抜本的な対策という考え方のものを一緒に併置しております。  緊急対策といたしましては、まず船舶にレーダーを装備させるということで、これはきょう船舶局のほうからもおいでになっておりますから、詳細はそちらで御説明があるかと思いますが、要するに、そういったレーダー施設の装備というものを拡大推進をする。それから船舶の標識の形質について、特に危険物の積載の船舶について、他船に視認容易な形質の危険物標識を義務づける。それから浦賀水道の強制水先、これは港の中では現在そういう強制水先なり何なりは非常にたくさんあるわけでありますが、浦賀水道にはないわけであります。この水道にも強制水先を置くという指導をすることを検討する。特に外国船につきまして、非常に事故が多いわけでございますので、こういった法制の改正前に、外国船に対して行政指導をもって、できるだけそういう指導を進めるということ。それから航行指導を強化する。これは現在あそこに推薦航路を設定いたしまして、私どもの高速巡視艇でパトロールして、強力に推薦航路を保持をさせておりますけれども、そういった面をさらに強化をする。具体的に申し上げますと、他船の追い越しについての制限あるいは通航時——そういったいまの浦賀水道を通航しますときの速力の制限、こういうものをさせる。それから先ほど、冒頭申し上げた、見張りを強化する、あるいは引き船等の警戒船を、特にタンカー等には強制的に配備をさせて運航をする、あるいは船舶のオイルフェンス、油処理剤というものを船上に準備させる。視界不良や交通混雑のとにきは通航を制限する。従来これは大きな船、二十万重量トンをこえるタンカーに対しましてそういった検討をしておりましたが、この事故以降におきましては、この対象船舶を十万重量トンに下げまして、対象船舶をふやしましてそういうふうにする、こういうようなことを当面の対策として打ち出しました。このほかに、やはりいまお触れになりましたように、将来の抜本対策という問題といたしまして、この浦賀水道の狭い湾口をできるだけ通りやすくするということで、湾口航路そのものの整備をする、それから海上交通情報システムの確立をする、それから原油のパイプライン輸送という問題を検討をする、そしてそれの整備と相まって、原油タンカーの入湾の禁止を考える、こういうような問題をひとつ抜本的対策ということで考えていこうではないかというふうに考えております。先ほど出ました海上安全交通法(仮称)という問題も、こういった一つの抜本的な対策の一環である、かように考えるわけでございます。  海上交通情報システムというのは、これ自体としての効果はもちろんありますが、これは施設をいっておりますが、この施設の運用をやっていく上には、いまの法的規制が背景になければならぬ、こういうような位置に安全法はあるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった総合的な抜本対策、私ども東京湾の総合安全対策と呼んでおりますが、こういうものについて同時に検討され、総合的に整備される必要があると考えております。
  68. 宮井泰良

    ○宮井委員 いずれにいたしましても、大事なことでございますので、その点はひとつ強力に安全対策の面をさらに進めていただきたい、かように要望いたします。そして、ただいまも出ました、この浦賀水道における緊急対策、こういった推薦航路を設ける、右側航行あるいは速度制限、そういった内容でございますが、これは伊勢湾、瀬戸内海でもやるという考えがあるかどうか。その点もひとつお伺いしたいと思います。
  69. 手塚良成

    ○手塚政府委員 伊勢湾、大阪湾それから瀬戸内海、こういうところに、こういった内容について、事の大小、緩急、優先順位はございますけれども、同様なことを実施いたしたい。現状におきまして、すでに瀬戸内海等におきましては、一部についてではありますが、こういった内容の特定のものについて、すでに実施もいたしております。
  70. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで運輸省の船舶局にお尋ねします。  先ほども話が出ましたが、この緊急安全対策の中でも述べられておりますように、五百総トン以上の一般船舶と三百総トン以上の原油、重油、ガソリン、液化ガスのタンカーに、レーダー装備を将来義務づける、このようにあるわけでございますが、レーダー以外にも、死角の解消をするためにテレビカメラとかいろいろなものが述べられておりますけれども、特に一般漁船などの衝突等を考えました場合に、レーダーというものがどうしても必要になってくる。ちょうど漁に出ておりまして、突然霧が発生して、避難でき得ずして帰る途中に衝突事故が起きる、こういうような場合に、レーダーがありますと非常に安全対策に役立つということで、この点をどのような形でやられようとするか、その点をお伺いします。
  71. 内田守

    ○内田説明員 ただいまのお話のございましたレーダーの問題につきましては、先ほど長官から御説明がございましたように、浦賀水道における安全対策に含まれておるわけでございますが、それを受けまして、私どものほうといたしましては、義務づける前にとりあえずの措置といたしまして、その後直ちに各船主関係者に通達を出しまして、さらにその範囲も、いまお話のございましたように、浦賀水道ばかりでなく、伊勢湾あるいは瀬戸内海等の狭水道を航行する船舶に対しまして、その対象船舶は五百総トン以上の一般船舶、それから三百トン以上の危険物積載タンカー等に対しまして、レーダーを備えつけることを慫慂したわけでございます。一方、単にそういう指導のみならず、いまお話のございましたように、将来これを義務づけるということに関連いたしまして、部内でも検討を始めまして、現在われわれのほうでやっております船舶安全法に基づきます省令でございますけれども、それに取り入れて、いまお話のございましたような対象船舶に対して強制するという方向で作業を進めております。
  72. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、先ほど海上保安庁長官のほうからも話がありましたが、特に外国の船舶、これは非常に航行がふなれでありまして、事故が起きやすい、こういうことでありまして、水先人を乗船させることになっておる。しかし、これも義務、何と言いますか、絶対しなければならないという拘束力も何もないわけでありまして、できるだけやってもらいたい、このようなことで、これを厳重にチェックするということはむずかしいと思いますけれども、極力そういう方向でするためにどういう方法をとられておるか、その点をお伺いします。
  73. 手塚良成

    ○手塚政府委員 一つは、外国船の入港につきまして、入港しようと思う港の港長に、その時間、船舶の内容につきまして届け出をする制度になっております。この届け出を事前に入手いたしました際に、その外国船一々につきまして、水先をどうするかという質問をし、水先を乗せるようにその場において慫慂をする、こういう具体的なことを現在やっております。  全般問題といたしまして、そういう外国船の、また代理店の業界に対しまして、この安全対策趣旨一般を説明をし、そうして特にこの水先人乗船の実施について協力を頼む、こういうような姿で実施をいたしております。しかし、いずれにいたしましても、これは任意の行政指導でございますので、やはり限界がございます。  この対策の実施以降につきまして、私どもいろいろ統計を見ておりますけれども、必ずしも現在のところまだ十分な実績をあげておりません。将来、やはりこれは強制水先という法的裏づけを必要とすると思いますが、それ以前のいまの指導によりまして、なお一そうこれを強力にやり得るように、さらに検討いたしたいと考えております。
  74. 宮井泰良

    ○宮井委員 このことも、事故を防ぐ意味におきまして、非常に大事なことでございますので、十分推進をしてもらいたい、かように要望するものでございます。  また、船長協会におきましては、自主規制をして、通航分離水域を自分たちでつくってやっておるようでございますが、これはどのくらいの効果があがっているものか。また、それは非常な関係当局との折衝もあり、瀬戸内海あるいは東京湾、伊勢湾では、そういう方法はとられて自主規制は行なわれてない、このように聞いておるわけですが、そういった点は、瀬戸内海あるいはその他の湾におきましてやることは無理なことなのか、その点はどのように実態を把握されておりますか。
  75. 手塚良成

    ○手塚政府委員 通航分離水域というものを日本船長協会が自主的にきめておりますが、これは、昨年四十五年の六月からこれを実施をいたしております。通航分離方式といいますのは、船の往来が比較的多い、それから比較的に水路の幅に余裕のあるそういう沿岸水域におきまして、そういった船舶の通航を便利、円滑にするという目的のものでありまして、中央に約一キロメートル程度の分離帯を設けまして、船はその両側の一方通航、右側通航ということにしようとするものでございます。現在実施されておりますのは七カ所ございます。この方式は、私どもとしては相談は受けておりますが、実施の主体は、あくまでも船主と船長といった、自主的なたてまえということで、話を進めて実施をされてきております。この方式は、やはり相当に効果があるように聞いております。ただ、これがあるときとないときと、実際に海難がどうであるという数字的なデータは、現在必ずしもっかんでおりませんが、実際に運航される船長さんの御意見としては、非常にぐあいがいいというふうな御意見を伺っております。  この方式をさらに、現在の七カ所以外にも拡大をするという問題につきましては、ただいま申し上げましたように、中央に分離帯というものを設けるということになっておりますので、こういった分離帯が設けられるような幅のある場所ということになりますことが一つ。この点からは、狭水道のような可航の幅が、運航できます幅に相当な制約があるという水域では、必ずしもどれが実施できないということになり、こういう場所では、現在われわれが行なっておりますような分離方式、中央にブイなどを入れましたような、分離方式ということになるのではなかろうかというふうに考えております。  ただ、浦賀水道自体におきましては、御承知のとおり、あそこに三つの海保土がございますが、第二海保土の東側の航路のしゅんせつが完了しますと、この海保土を使っての左右の通航分離ということが行なわれて、一種の船長会方式のやり方が可能になるかというふうに考えます。  さらに、瀬戸内海等においてはどうだというふうなことが言われました。この検討も船長会等において行なわれたようでありますが、もしこれをやるとするならば、いまの浦賀で申し上げましたようなやり方、すなわち備讃瀬戸におきましての、北と南とを分離した通航方式、北の一方通航、南の一方通航というので、それぞれを行き、帰りというふうに使うということにいたしますと、これがやはり実質上の通航分離ということになるかと思います。この問題については、こういった自主的な規制にまかせるよりは、むしろ私どものほうで考えなければならない問題かとも思いまして、現在せっかく検討中でございます。
  76. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、昨年の海難事故のうち、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海におきましては、一般船と漁船の衝突事故は数字でどのくらいの件数になっておりますか。
  77. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どもの手元にありますのは四十四年でございますが、浦賀水道におきますところの事故は十七件、そのうちタンカーが三件、伊良湖水道におきましては五件、うちタンカー二件、明石海峡が四十件、うちタンカー四件、友ケ島水道で十九件、うちタンカー一件、備讃瀬戸で三十五件、うちタンカー十六件、来島海峡で十八件、うちタンカー五件、以上合計いたしまして百三十四件で、うちタンカー三十一件という狭水道におきます海難のデータが出ております。  以上あげました狭水道は、狭水道を全部網羅しておるわけではございませんが、私どもの手元で、従来一番事故が多いとされております狭水道の中身をあげたわけでございます。  それぞれ一般船舶の漁船との関係ということになりますが、その漁船との関係のデータがちょっといま手元にございませんので、必要とあれば、また後ほど御説明いたします。
  78. 宮井泰良

    ○宮井委員 四十五年においては、浦賀水道で漁船の事故が一件、それから伊勢湾においても一件、瀬戸内海で二件、今治においては一件、明石海峡はゼロ、このような数字を私も聞いておりますが、少ないとはいえ、漁船との衝突事故というものはかなりありまして、私も先日、下関の関門海峡、早鞆瀬戸ですか、このところを実態調査してまいりましたが、従来の海上交通法の論議が起きましたときは、この下関の海峡は対象になっておりましたですか。
  79. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これはなっておりました。
  80. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、この関門海峡では、本船航路のまん中が漁場になっておるわけでございます。それで、潮の満ち引きによってこの漁の時間もまちまちである。ここは港則法がありますから、みだりに航行を妨げてはならない、このようになっております。しかし、ここは唯一の漁場でありまして、これを全面的にとめてしまうと、漁師の人たちも食べていけない、このようなことでありまして、無理をしても出漁しておる。当たられてやられるのは漁船であるということで、めったにないですが、衝突事故などが起きておる。先日も、私も上件知っておるのは、いわゆる陸で言いますところのひき逃げといいますか、衝突してそのまま逃げちゃったというような事故がありました。特に、人命を守るために監視を十分してもらいたい。もちろん第七管区海上保安本部にも私、参りまして、いろいろとお話し合いもしてまいりましたが、船舶のほうでも——もちろん漁船も守らなくちゃいけません。港則法がありますから守らなくてはなりませんが、船舶のほうも無謀な運転をする場合があるそうであります。聞くところによりますと、陸でいう砂利トラ、ダンプカーのようなもので、わざわざ漁船の近くまで来て、上からばかやろうとどなりつけていく、そうして行ってしまうというふうなことがあるそうでありす、実際見たわけじゃありませんが……。そういった点もよく指導をしてもらいたい、このように思うわけであります。その点は十分要望いたしておきます。  それで、私もいろいろ話してみましたが、漁民も港則法を非常にわきまえております。それで自衛策も講じておるようでございまして、見張りをつけたりして十分気を使っておる。海上保安庁としても、絶えず安全対策について話し合いの場を持ってもらいたい、こういうふうな要望もそのとき出ております。水産庁だけではなくして、そういった面も十分勘案して、取り締まりの場合には直接そういった面が出てまいりますので、その点の配慮も行なってもらいたい、このように思うわけでございます。  この二件につきまして、一言だけ海上保安庁長官からお答えいただきたいと思います。
  81. 手塚良成

    ○手塚政府委員 関門海峡は船舶の交通量がこれまた非常に多い場所でございまして、一日平均約九百隻がここを通航いたしております。しかも、ここは潮流が御承知のとおり非常に激しい。最大流速は八ノットくらいあるということで、ここの通航、操業という問題はなかなかむずかしい問題がございます。  先ほどちょっと私間違いましたが、ここのところは名前は海峡となっておりますが、一定範囲が港になっておりまして、港則法が適用になっておるところでございます。したがって、これは海上安全交通法の対象外になります。あれは大体狭水道を対象にしております。ここは、実態はそれに近うございますが、実は港になっておるわけです。ここでやりますのは港則法が適用になりますので、本来港則法が適用になる。そうしてこういう交通量の多いところでは、航路上に漁業権というか、漁業のそういう実態ができるだけないというような姿を、特に最近の港の場合にはそういう措置を事前にとって、その上で港則法を適用するというようなふうにいたしておるわけですが、ここの関門海峡につきましては、一方で漁業権があり、また一方で航路の設定、港則法の適用がある、こういう状態で、両者が競合しておるわけでございます。そのために保安庁の出先といたしましては、ここに巡視艇二隻を常時配置をいたしまして、航法指導及び警戒というものに当たりまして、一般の船舶の通航と同時に、漁船自体の安全操業ということに気を配って指導をしておるわけでございます。ただ、いまお話しの一部にあったかと思いますが、一般船舶の航行の数が非常に多うございますので、その指導の過程におきましては、ややともすると、漁船のほうに不利な指導があるかというふうな懸念をいたすわけでございますが、やっております気持ちは、やはり双方が成り立つようにということでやっておるつもりでございます。いろいろ具体的な事態、事象につきましては、そういった点で不都合があるかと思いますが、現地の監部といたしましても、できるだけ双方がうまくやれるようにということを心がけておるようでございまして、私どもも、できるだけそういう方向でいろんな場合における話し合いの場等を多数持つことによって、円滑に両者がなり得るようにというふうな考えと指導をいたしておるわけでございます。
  82. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、最後に二点だけ水産庁にお尋ねしまして私の質問を終わりますが、一点は、ただいまもお話にありましたが、港則法と漁業権と両方が競合しておる、こういった場所において、漁業従事者も遠洋漁業に切りかえるという考えも持っておるようですけれども、思い切った方策もない。大きな荒波を乗り越えていった経験もないし、細々と先祖から受け継いだ漁業をいまだに続けておるといった実態でございまして、これから、漁業の近代化ということが最も必要である。航行船舶の安全ということも考えていくならば、こういった点も最も必要であると思うわけですが、そのような港における、港則法と漁業権の両方があるようなところでは、今後どのような行政指導をされていこうとしておるのか。この点と、それからこれは小さなことになりますが、先ほども言いましたように、突然霧が出たときなどは、漁船は、せっかくレーダーをつけておってもそのレーダーに映らないという場合があって、その場合に、漁船のほうへ金属性の板を取りつけておけば——これは何でもいい、ブリキかんを切ったようなものでも何でもいいから、簡単なものをつけておけば、レーダーに影が映るということを聞いておるわけですが、そういった点は行政指導されておるか、またされていないとすれば、今後されるお気持ちはあるか、その点の二点をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  83. 田中慶二

    ○田中説明員 港則法によりまして定められております港の港域内につきましては、従来とも漁業の免許、あるいはまた漁業調整規則でそういうところの漁業を取り締まる。あるいはまた漁業の許可をする場合におきまして、この漁業区域の全部または一部——これは港湾法に定めるところもそうでございますが、そういう港則法に定められております港の区域内の一部に、あるいは全部にまたがります場合におきましては、そういうことをいたします場合に、都道府県知事が、そういう区域を管轄する海上保安庁の保安監部または海上保安部長、あるいはまた、特定港につきましては港長、それぞれに協議をいたしまして、十分調整をはかって、そういうところの漁業を行なわせるというふうに運輸省とお話し合いをいたしまして、そういう扱いをいたしておるところでございます。私どもといたしましても、今後こういうふうな協議を通じまして十分な調整をはかりまして、やはり漁業ないしは漁業者の守るべきものは守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。お話のとおり、漁業者の転換と申しましても、これはなかなか一朝一夕には事ができるものではございませんし、お話の例に出ておりますような関門海峡は、交通量も多うございますけれども、また水産の面におきましても瀬戸内の非常に恵まれた魚の宝庫でもございますし、そういう点の調整が、お互いの理解の上に立って円満に推進されていきますように、今後とも指導をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、そういう海難防止のためにどういうふうなことをやっているかということでございますが、水産庁におきましては、従来とも漁船乗り組み員の運航、機関取り扱い、無線通信等に関する技術修練会というものへの助成でございますとか、あるいは漁船保険中央会の行なう漁船機関の検診事業、あるいはまた漁船保険組合の行ないます事故防止事業というものに対して助成をいたしております。このほかに、漁船保険組合の中央会というのがございますが、そこに前に政府が資金を出しまして、それの運用益をもちましていろいろ事業を行なっておりますが、その中に海難防止助成事業というふうなものもございますが、これは大体漁協を中心に、できるだけそういう海難防止というふうな事業をやっておりまして、漁船につきまして、まだそういうところまでいっておらないようでございますが、いまお話しの御趣旨を承りまして、そういう点もこれから検討してまいりたいと思います。
  84. 宮井泰良

    ○宮井委員 終わります。
  85. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 東中光雄君。
  86. 東中光雄

    ○東中委員 今度発表されました交通安全基本計画によりますと「踏切道の立体交差化および構造改良の促進」ということを非常に努力して取り上げられておるわけであります。この計画によりますと「大都市過密地域等の列車運行回数の著しく多い区間における踏切道については、連続立体交差化することにより、」「踏切道の除却を促進するとともに、道路の新設、改築および鉄道の新線建設にあたっても、このような主旨をいかして極力立体交差を進める。」こういっているわけであります。ところで私たちも、いわゆる大都市における高架化、これを促進することは、交通安全上非常に必要なことだ、こう思うのですが、その費用の負担について、自治体に非常に大きな負担がかかってくる。都市計画事業の一環としてやられるというシステムの中で、自治体負担が非常に重くて、やらなければいけない、どうにもならない事態になっておってもなかなか促進しにくい、こういう事態がたくさん起こっておるわけであります。  それで、この費用負担についてお聞きしたいのですが、道路法の三十一条では、交差の方式、その構造、工事の施行方法及び費用負担について、あらかじめ国道に関しては国と日本国有鉄道あるいは当該鉄道自治体の場合もそれぞれ協議をする、もし協議が整わなければ、結局国に裁決を求める、こういうことになると思うのですが、その結果、昭和四十四年九月一日に、「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定」いわゆる基本協定が結ばれました。これでお聞きしたいのですが、この連続立体交差化に関する協定、基本協定で、鉄道側が負担することになっておる費用、それはどういうふうにきまっておるのか、その点をお聞きしたいわけです。
  87. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  踏切につきましては、道路と鉄道との交差の地点で、非常に費用負担等についてむずかしい問題があるのは御承知のとおりでございます。どちらが原因かということによっても、費用負担にいろいろアンバランスが生じてきておるというのが実情でございます。従来は言い出したほうがたくさん負担しなければならないということがあったわけでございます。そういう関係で、立体交差をはじめ、踏切の改善といったことがなかなか進まなかったといういきさつがあるわけでございます。そこで、何とかこれに一応の基準をつくるべきではないだろうかということで、建設省と運輸省とで協定を結んで、皆さんで基準を設けたわけでございます。  それについて御説明申し上げますと、従来は立体交差に要する費用は、鉄道事業者及び道路管理者が協議して負担することとされておるわけでございます。立体交差のうち、連続立体交差につきましては、お話のように、いわゆる運輸省と建設省の協定、運建協定をもちまして、四十四年の九月に締結したわけでございます。国鉄は高架工事の一〇%、私鉄は七%を負担するということになっております。逆にいいますと、道路側は九〇%ないし九三%を負担する、こういうことであります。単独立体交差につきましては、従来からありました国鉄について鉄道と道路との交差に関する建設省・日本国有鉄道協定という、いわゆる建国協定というものがございます。これに基づきまして、通常の場合は国鉄が三分の一、道路が三分の二の割合で負担するということになっておるわけでございます。これが現在でも続いておるわけでございます。単独のものにつきましても、私鉄については、一定の負担割合をきめず、鉄道事業者が立体交差化によって受ける利益の範囲内で負担しておるというのが実情でございまして、従来の実績は工事費の約七%ということになっておるわけでございます。
  88. 東中光雄

    ○東中委員 いまのお話ですと、鉄道が受益をする範囲内において、そして大体七%、こうおっしゃったのですが、運建協定の基本協定によると、そうはいっていないわけですね。この第七条を見ますと、「次に掲げるところにより負担するものとする。」、そして「(1)単純立体交差化の場合」として、高架施設費、鉄道既設分は鉄道受益相当額。以下なんて書いてないわけです。鉄道増強分は全額が鉄道事業者の負担、こうはっきり基本協定ではなっている。いまそれ以下というふうに言われたけれども、この基本協定を変更しておるのですか。
  89. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 協定につきまして、その細目の分について申し上げたわけでございますが、以下といったようなことを言ったかどうか、私ははっきり——まあ速記を調べればわかるわけでございますが、要約して申し上げたつもりで、以下でなくちゃいかぬということを申し上げたわけではないというふうに御解釈願いたいと思います。
  90. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、基本協定では、はっきりと鉄道側の負担する額というのは鉄道受益相当額、増設部分については全額、こうなっておる。それを今度は、細目協定ではいまおっしゃったように七条で、私鉄については七%をもって当該額とみなす、国鉄については一〇%、当分の間ということでこういうふうになっておるわけですね。七%が鉄道受益相当額というふうに見られた根拠は一体何ですか。
  91. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 従来もいわゆる受益額というものを基礎にしていろいろ交渉しておったわけでございます。受益額と申しますのは、これはその内訳をいろいろ申し上げますと、高架下の利用ができるではないか、この利益があるではないかということが一つ。それから踏切を除却することによって利益があるではないか。これは事故が起こらないとか、そういったこと、あるいはまた踏切の補修費が要らない、あるいはまた踏切警手の人件費が要らない、こういったようなことでございます。それから残存物件戻入ということで、これは踏切を除却することによって要らなくなったものがほかに転用できる、こういったものであるわけでございます。それから高架化することによって、そのときに新しくなる設備がある。こういった物件更新といったようなものを含めまして、従来のいろいろなケースに当てはめてみますと、そういう七%、国鉄については一〇%、こういうものが出る。これは十年間の計算でございますが、そういうことでパーセントをはじき出した、こういうように承っております。
  92. 東中光雄

    ○東中委員 私鉄は七%で安くて、国鉄が一〇%で高い。これはどこから出てきたわけですか。
  93. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 これは、設備をする場合の資金のコストといったものが大きな要素だというふうに聞いておるわけでございます。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 民鉄部長がいまそう答えられたのですが、国鉄関係の担当の鉄監の方にお聞きしたいのですけれども、国鉄は同じようなことを同じようにやって、そして私鉄よりも三%といえばあれですけれども、約五〇%、七%に対して一〇%ですから約五〇%高く負担をさせられる。それだけよけいな金が要るのだ、こういうことを認めておられるわけですか。
  95. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 東中君、担当の政府委員がほかへ行っておるらしいですから……。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 そうしたら民鉄部長に伺っておきますが、なぜこんな差が起こるのですか。明らかに親方日の丸の国鉄は——国鉄が安いか、高いかは別として、私鉄と比べればその負担額が多くなる。私鉄は特別に安くなっている、こういう状態が起こっているのは、一体具体的にどういう資料に基づく根拠があるのですか。
  97. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しました金利負担がおもな原因だということでございますが、国鉄の場合は平均金利約七分、私鉄の場合は一割、こういう計算でやっておるということでございます。その他いわゆる人件費と申しますか、踏切警手等につきましても、線路の幅が広いといったような国鉄の実情もあるわけでございまして、そういうものも加味されているんじゃないか、こういうように考えるわけであります。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 線路の幅が広いとおっしゃいますけれども、たとえば高架のあるというのはみんな大都市の中心部ですね。そうすると、国鉄だけに限らない。たとえば大阪の阪急で見たって、複複複線くらいになっていますね。どこがどう違うのですか。具体的にそういう違うところをはっきり示していただきたい、どうでしょう。
  99. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答え申し上げます。  高架化する部分は、国鉄につきましても都心部が、都会部が非常に多いように聞いておるわけでございます。そういう意味においては両方とも同じだ、こういうことでございますが、貨物線その他がある関係で、国鉄のほうは若干広いんじゃないか、こういうことが計算の中に入っているんじゃないかというふうに考えられるわけでございます。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 広ければ広いだけそれは全部、これは率の問題じゃなくて、額の問題はそれは違ってくるかもしれませんが、率を三%、五割増しにする、あるいは逆にいうと五割も私鉄を低くしている根拠にはならぬのじゃないのですか。どうしてそれが根拠になりますか。
  101. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほど申し上げましたが、金利が主たる理由であるわけでございます。
  102. 東中光雄

    ○東中委員 それでは具体的な例でお聞きしましょう。  昭和四十三年秋からことし昭和四十六年の三月末に完了した、阪急宝塚線石橋駅を出てすぐから池田駅の手前まで、約二キロメートル高架にされました。これは万博関連事業ということもあって急いでやられたわけですが、この総工費と阪急の負担額、これを明らかにしていただきたい。
  103. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答え申し上げます。  全事業費が十四億四千七百万円でございます。それで道路側負担が十三億二千七百万円程度でございます。鉄道側負担が一億二千万円でございます。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 鉄道側の負担は何%になりますか。
  105. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 約九%かと思います。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 それで高架下の土地は、ここでどれくらい利用できる土地ができたのですか。
  107. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほど約九%と申しましたのですが、改良費も含めてございますので、改良費を除きますと七%になるわけでございます。  それから、高架下をどの程度利用することができるかという御質問でございますが、現在のところ四百十メートルを考えておるようでございます。
  108. 東中光雄

    ○東中委員 何ですか、四百十メートルというのは。面積をメートルという長さでいわれたらどうなります。
  109. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 約四千平米程度というふうに考えられます。
  110. 東中光雄

    ○東中委員 現在使うということじゃなくて、高架下の利用可能な土地は、約一万五千平米あるんではないですか。
  111. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 長さで申しますと、全長で千三百五十メートルあるわけでございますので、先生お話しのように、一万四千平米程度はあるというふうに考えられるわけです。ただこれが使えるものであるかどうかということは、われわれは確認しておりません。
  112. 東中光雄

    ○東中委員 高架下の利用ということが受益額を計算していく上に非常に重要な意味を持つ、七%を出してきた根拠の重要なポイントを占めているということは、先ほど言われたとおりなんですが、その利益を受けるようになる土地がどれだけあるのかということさえもよくわからぬままで進められておる、こういうことになるわけですか。
  113. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 踏切につきましては、いわゆる建設省と運輸省との協定以前のものでありまして、たまたま七%ということになっておるわけでございます。
  114. 東中光雄

    ○東中委員 協定以前のものというとどういうことですか。協議できめた、だから裁決を申請してこなかった、こういうことをおっしゃっておるのか。しかし、これは万博関連事業で国がずいぶん経費を出していますね。国道もからんでいます。この問題について以前の問題というのはどういう意味ですか。
  115. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほども説明申し上げ、また御質問がありました建設省と運輸省との新しい協定によったものではなくて、計算してみると、たまたま七%であるということを申し上げたわけでございます。
  116. 東中光雄

    ○東中委員 四十三年から始まっているから、こういう意味ですね。ただ、この協定を見てみますと、ここに話し合いをして協定を締結した。分担をきめていくわけですけれども、この場合、高架下の土地の面積がいまいわれたように一万四千平米。ここで阪急が高架下から受ける、いわゆる土地の利用から得る受益を何ぼと見ておられるのか。どういう計算をして、幾らというふうに考えて七%という結論が出たわけですか。
  117. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 この問題につきまして、いつもやっておることでございますが、過去の例等を参考にいたしましてきめられたものというふうに考えておる次第でございます。
  118. 東中光雄

    ○東中委員 阪急が受ける利益は、十年間で賃貸料を計算して、そして四千四百万円という計算をされたのではないのですか。その点いかがですか。
  119. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 まことにおそれ入りますが、現在数字を持ち合わせておりません。
  120. 東中光雄

    ○東中委員 数字を持ち合わせていない、これはあらかじめ言うてあるわけです。その関係は、よく調べてここへ持って出てもらうように言うてあるのですけれども。  私どもの調べておる範囲では、阪急が受ける利益、それは賃貸料を計算して、十年間の賃貸料の総計四千四百万という計算でやられておるようであります。そうしますと、平均一平米当たり年三百円弱、坪当たり年千円、月にしますと平米当たり二十五円弱になります。ところが、いまこの付近の土地、平均してみて大体一坪二十万から三十万というのが常識になっておる。坪二十万から三十万の物件の賃料といえば、特に高架があれば、要するに屋根があるわけですから、何ぼ少なく見ても坪当たり二、三千円、一平米当たり六百円から千円ぐらいの計算に当然ならなければいけない。これは付近一般の常識です。新聞だってそういうふうに取り上げておる。一平米当たり六百円から千円ぐらいにはつく。それだけの利益をあげることができるものを、一平米当たり二十五円弱の計算をすることによって受ける利益は四千四百万、これを基準にして七%に合うようになっている。七%というものは、そういう形でつくられておるというふうに言わざるを得ないのですけれども、そういう実際の賃貸料はどうなっているかというようなことをお調べになって、そして七%というのをきめているのかどうか。先ほど来非常に抽象的にしかいわれておりませんけれども、その点いかがでしょう。
  121. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 この建設省と運輸省との協定の七%というまた細目協定でございますが、これは数年間の検討の末、運輸省と建設省とまた問題が非常にむずかしいので、大蔵にも入ってもらって定めたものであります。これは間違いないというふうに考えておるわけでございます。
  122. 東中光雄

    ○東中委員 私鉄の利益を著しく守る協定になっているじゃないかということを私は言っているわけです。現実に地価が非常に高い。高架をつくられるようなところはみな都心地なんですから、坪二十万、三十万あるいは五十万、百万という土地はざらですね。高架下というのはどういう使用方法をされるにしても、たとえば商店にしたり倉庫にしたりいろいろされております。その賃料というのは非常に高いのです。それがいま言ったような計算でいくと、阪急宝塚線の場合は一平米たったの二十五円という計算になっている。こういうことで、七%というのは私鉄の利益を守る、そして立体交差を促進するのに自治体の財政をえらく圧迫する、こういう結果になっているじゃないかということを言っているのであって、問題は具体的なことを言っているわけです。いろいろ検討したのだから間違いありませんということでは答えにならぬわけです。その点はどうなんでしょう。実際にそういう検討をされておるかどうか、いかがでしょう。
  123. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 この高架工事につきまして、二キロメートルにわたっているわけでございますが、高架の部分が千三百五十メートルあるというのは事実でございますが、それが全部高架下として使用し得るものであるかどうか、そういったことについても研究してきめたものというふうに考えておる次第でございます。
  124. 東中光雄

    ○東中委員 それじゃもう一つ具体的な例で聞きましょうか。京阪本線の天満橋から野江間、高架複々線工事というのがありました。最近でありましたが、これの高架下利用による受益賃貸料は幾らと計算をされてこの工事が進められたか、その点いかがでしょう。これもあらかじめ資料を調べてきてくれということを言うてあるわけですが、どうでしょう。
  125. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答え申し上げます。  この工事につきましては、これも建設省と運輸省と協定した以前にきまったものということでございまして、この場合は、事業費六十八億に対しまして、鉄道側が四十九億五千万持っておるわけでございます。ただその中には、線路の増設、改良部分が四十六億入っておるということでございますので、率で申しますと一六%程度になるもの、こういうふうに考えるわけでございます。
  126. 東中光雄

    ○東中委員 改良部分をのければパーセンテージはどれくらいですか。やはり七%じゃないですか。
  127. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 改良部分を除くと一六%でございます。改良部分を含めますと七割が鉄道負担でございます。
  128. 東中光雄

    ○東中委員 それじゃ鉄道負担の受益部分になる受益相当額、それに相当する部分は、結局は賃貸料というものが大きな基準になっておるということ、これは変わりはないんでしょうね、その点どうでしょうか。
  129. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 受益部分は全部で三億四千万ということでございます。先ほど申しましたように、鉄道側負担四十九億のうちの改良部分が四十六億、受益額三億四千七百万ということでございます。その中身といたしまして、賃貸の部分が相当大きな部分を占めているということでございます。
  130. 東中光雄

    ○東中委員 高架下利用による受益算出の基礎資料を見ますと、たとえばこういうのがあります。京橋駅の京都方の高架下の利用状況について、商店の賃貸料は一階が坪当たり三千円、二階が坪当たり二千二百円という計算をやって、高架下利用の受益相当額というものをはじいてくる一つの基礎にしています。そのほかいろいろありますけれども、この例でいいますと、そうなっている。ところが実際にいま賃貸借されている現在の値段、これは十年間の計算をやるわけですから、これからどんどんまだ上がっていくでしょうけれども、現在の値段を見てみますと、一階が坪当たり五千六百十円、二階が三千九百六十円、大体いずれも二倍弱の値段で貸しているわけです。これは現実に貸している。私は、いまここに契約書を持ってきた。しかも権利金を見ますと、保証金というのはものすごい保証金を取っています。総額でいえば、私の推計では、保証金は四十数億になるのじゃないか、こういうふうに思われる。保証金を無利息で無担保で、それだけ私鉄が使えるわけです。こういうことによる私鉄の受ける利益というふうなものは一切考慮に入れない。賃貸料も倍にしている。言いかえるならば、逆に言うならば、半値にしているということで、負担をうんと軽くしている。こういう状態が起こっているのですが、そういう実態になっておるということについては、運輸省としてはどう思っておられますか。
  131. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 算定のしかたについていろいろあるわけでございますが、算定して、それよりも、いまお話のありましたように、非常に多額の収益をあげているかどうか、あげているだろうと思いますが、一回調べてみたいと思います。それから、中には算定しておる額だけの収益があがっていないところもあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 あがっていない部分があるなんということを、あなた何を根拠にして言うのですか。現実にいまあがっている例をあげているわけです。しかも高架をやっているところというのは、全部都心地区だということはさっきからあなた認めているでしょう。これは十年の計算をやるわけです。ほんとう言えば、もっと先まで計算しなければいかぬわけですけれども、十年の計算という形でやっている。それ自体が非常に少ないわけです。しかも、現在の価格といまの賃料の値上がりというのは、五年前と現在と計算してごらんなさい。うんと違ってきている。だから、受益するだろうと推定できる額というのはうんと高いものである。それを十年という計算の方法をとるということによって、まず私鉄の利益をあたかも受益が少ないかのようにする。しかもその基礎資料が、今度は値上がりするということは全然抜きにしている。しかも現実の賃料もまた低くなっている、こういう形、そういう計算方法をとることによって、七%というような線が出てきているわけですよ。七%が出てきた具体的な根拠というのは何も示されていないわけですから。いま市民があの高架、特に改良して大きなデパートなんかも一緒につくっているという私鉄の動きを見て、しかもそれに対して、自治体や国の出している額というものを知って、非常に大きな憤りを持っていますね。たとえば百億ぐらいのものを建てた。これは全部私鉄のものになる。ところが実際は七億しか負担していない。しかも保証金だということで、数十億の保証金を私鉄はとっている、賃料はどんどん上げている、こういう事態になっているわけです。七%なんというようなことは、だれもが了解できぬことじゃないですか。七%についての具体的な——いままでの実際がそうだったということだったら、いままで実際が私鉄あるいはその他に押されて、そうして進んでおるということになってしまう、こう思うわけでありますが、建設省にお聞きしたいのですが、都市計画を進めていく上で、こういう建運協定というものに縛られておって、私鉄の利益を守るという形で、これで一体やっていけるのか。実際進まないということがあちこちで起こっているじゃないか。大阪の場合でいえば東大阪なんというところはなかなかやれない。八尾市なんというのは、やろうと思ったって地方自治体それこそ財政がパンクしてしまう、こういう状態が起こっています。交通安全対策としては、基本的な方針として、立体交差、高架化ということを目ざしているわけですけれども、これで一体ほんとうに都市局としてやっていけると思っておられるか、変える必要があると考えていないか、実際上、具体的な検討をするというふうなつもりはないのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  133. 今野博

    ○今野説明員 お答えいたします。  ただいま運輸省のほうから御説明がありましたように、国鉄と私鉄の負担の率はやはり受益相当額ということできめられたのでありますが、ただ、従来でございますと、すべての高架の下は鉄道事業者が使っておったわけでございますが、この協定では、国あるいは公共団体が高架下を公共の目的のために利用できるというようにはっきり書いてございます。鉄道のほうでも業務に支障のない限り、できるだけそういうふうな利用の申し出があった場合には応ずるようにというように、協定にはっきり明示してございます。しかもその場合に、一〇%に相当する分は、使用料は公租公課相当額で使用させるというふうにも明定してございます。そういうことで、高架下利用を鉄道側と都市計画側で十分話し合って、ほんとうに正しい形で進めていきたい、そういうように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  また、お話がございました今後非常にたくさんの要望について、実際国あるいは公共団体が財政的にだいじょうぶかというお話がございましたが、ただいま私どものほうにまいっておりますものは、要望にしまして約七千数百億の工事費がかかる鉄道連続立体工事の要望が出ております。これにつきましては、現在の第六次の五カ年計画では、約千三百億から千四百億くらい考えたいと思っておりますし、残りの分につきましてもできるだけ早い機会にこなしていきたい。先生御質問の問題につきましての今後の問題としまして、よく検討はしてみたいと思っております。この協定でも「当分の間」というふうな表現にもなっておりますし、十分検討はしてまいりたいと思っておりますが、現在のところでは相当、数年間にわたって検討した結論の数字でもございますし、この数字でしばらく続けてまいりまして、できるだけ協定の趣旨に沿った形で事業を円滑に進めてまいりたいというように考えております。
  134. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間がありませんから質問を終わりますけれども基本協定では受益相当額、それから改良部分については全額を鉄道側が負担する、そうはっきり書いてあるのです。運輸、建設両次官が署名している。それにはそうなっている。ところが、細目協定で今度はしり抜けになっているのですね。七%というのは「当分の間」七%、これは相当額でも何でもない。「みなす」というのでしょう。事実と違うということが前提になっているから「みなす」、こうなっている。しかも、その七%になった根拠が、いま言われた地方公共団体や国が優先的に使うことがあるという、そういう十条の規定があるということを留意して、今度は相当額の額を下げた根拠にもいまなっているようなことを建設省は言っている。使うことができるというだけで使うとは限っていない。基本協定からいっても明らかに違う細目になっていくことによって、私鉄高架下を使うということは、大体独占企業の利益を擁護しているということになってしまう。しかも先ほど言われたように、国や地方公共団体が使うというのは一〇%までということであります。こんなものは使うときは使うで、きちっと使用料を払うものは払えばいいわけです。当然法の趣旨からいえば、費用負担は協議してきめる、個々にきめていくというたてまえのものを、こういう細目協定によって一つのワクをつくることで、私鉄の大きな利益を守っていくということになってしまっている。私は、高架を要求している地域の人たちの非常な不信をここでかもしているのだという事実をはっきり認識してもらって、高架化を進める上からも、当然負担すべき私鉄の負担、工事費のほとんど七割くらいまでも高架下を貸すことの保証金でまかなえることのできるような事態になっているわけですが、そういう条件でなおお賃料をうんと取っている。しかも負担は、実際上は七%くらいになっちゃう。協定に合うような話し合いが実際上されてしまうということになっておるのであって、これは非常に私鉄独占の利益を守る協定になっておるということを指摘せざるを得ぬわけですが、そういう点で早急に検討して、十分な負担を私鉄にさせるということを強く要求をして、私の質問を終わりたいと思います。
  135. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これにて質疑は終わりました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会