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1971-05-14 第65回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十四日(金曜日)     午後一時三分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 丹羽 久章君 理事 後藤 俊男君    理事 坂井 弘一君 理事 河村  勝君       左藤  恵君    野中 英二君       古屋  亨君    山下 徳夫君       柳田 秀一君    宮井 泰良君       東中 光雄君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         運輸省航空局長 内村 信行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(産業航空関係航空機  の現状及び安全対策)      ————◇—————
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  まず、産業航空機現状及び安全対策について、政府より説明を聴取いたします。運輸省航空局長内村信行君。
  3. 内村信行

    内村(信)政府委員 それでは、いわゆる産業航空と申しますか、小型機の問題これにつきまして、大体の現況並びにその事故安全対策、そういったような点を説明申し上げたいと思います。  まず、一体、小型機とは何かということでありますけれども、大体われわれといたしましては全備重量五トン七百、これ以下の航空機を大体小型機といっております。具体的に申しますと、ビーチクラフトあるいはセスナ、そういうふうなもの、あるいはヘリコプターそれからグライダーというようなものでございます。なお、グライダーには若干五トン七百をこえるものもありますけれどもわれわれ小型機の中に入れております。  そして、四十六年一月一日現在の小型機保有状況はどうかと申しますと、固定翼機、これは事業用が二百四十六、それから自家用が二百十三、合計四百五十九でございます。それをなお単発双発に分けますと、単発が三百六十一、双発が九十八となっております。それからヘリコプターの場合は、事業用が二百三十七、自家用が五十八、合計二百九十五でございます。それからグライダーは、二百三十八というふうになっております。この自家用というのは、主として新聞報道でありますとか、あるいは企業などが持っております。中には個人で持っているものも若干あるというふうな状況でございます。  そこで、そういう小型機を使ってどういう事業をやっているのかというようなことでございますけれども、それにつきまして概略申し上げますと、まず操縦訓練、それから薬剤散布、これは農薬散布でございます。写真撮影広告宣伝報道取材、それからいろんな視察調査、それから建設協力といったようなことをやっております。それで、これらの業務の全体に占める割合、これを有償稼働時間で比べてみますと、四十五年には操縦訓練、これが三五・九%で一番多うございます。これは、いわゆる飛行クラブなどで行なっております小型機による飛行訓練というふうなものでございます。これはおもに固定翼機であります。それから続いて薬剤散布、これが一七・一%、これは主としてヘリコプターでございます。ヘリコプターで最も多い部門がこの薬剤散布部門でございます。さらに広告宣伝が一三・二%、それから写真撮影が一一・二%、写真撮影と申しますのは、斜め写真をとりますとかあるいは垂直写真をとる。垂直写真の場合には、これは主として測量、地図をつくりますとか、あるいは都市計画のときに上から写すといったような、精密測量に使う場合に垂直撮影を行なうものであります。こういったようなものであります。  なお、さらに、この固定翼機ヘリコプターパーセンテージを分けますと、大体固定翼機が六一・四%、それに対してヘリコプターが約三八・六%くらいの割合を占めております。  そこで企業状況でございますけれども、こういった産業航空企業と申しますのは、あまり大きな企業ではございません。大体十機以下のものが全体の七〇%くらいであります。それから二機ないし三機といったようなものが約半数を占めております。それから資本金一千万円以下のものが七社ぐらいといったような状況で、いわゆる中小企業と申しますか、比較的小さな規模でやっておる会社が多いわけであります。  そこで、こういうふうなことを行なっておる事業会社が本年年初において五十三社ございます。大体この多くはいわゆる産業航空と、それからいわゆる遊覧的な不定期、こういったものを兼業しておるものが多うございます。なお、十七社は、いわゆる産業航空を専業しております。  こういった企業が持っております小型機の数をもう一回申し上げますと、固定翼機が二百四十六、ヘリコプターが二百三十七、合わせて四百八十三機、これが現在こういった事業をやっておる会社保有機であります。  これらの企業事業活動を見てみますと、まず四十一年から四十三年にかけて、年間有償稼働時間を比べてみますと、年々二〇%くらいの伸びを見せていたわけでございますが、しかし前年対比で四十四年には一三・二%、四十五年は六・五%というふうに伸び悩んでおるのが現状でございます。なお、不定期航空事業については、最近二カ年、逐次減少というふうな状況でございます。  そこで、事業内容別に見ますと、操縦訓練七こういったものは、最近パイロットに対する魅力があると申しますが、空に対するあこがれと申しますか、あるいはスポーツ航空、そういったような影響を受けましてしり上がりの伸びを見せております。しかし一方、先ほど申し上げましたヘリコプターでの薬剤散布、これが非常に大きいと申し上げましたが、この薬剤散布は、最近の農業の減反政策というふうなものに基づきましてもまた一方農薬公害というふうなものもございまして、逐次減っているというのが現状でございまして、この辺から、いわゆるヘリコプター事業者というものは非常に大きな影響を受けておりまして、これからの方向をやはり考えていかなければならぬというふうな一つの岐路に立っておるというふうなことでございます。  なお、それから広告宣伝というようなものも、従来はわりに伸びておったのでございますが、これまた、いわゆる飛行機の上から放送をやるわけでございますから、やかましいというふうな騒音公害になりまして、方々で規制されるというようなこともございまして、これまた下降線をたどっておるというのが現状でございます。  それで、ちなみに一機当たり年間稼働時間を見ますと、四十三年が四百三十七・五時間くらいでございましたが、大体現在は四百時間前後となっております。このうち、特にヘリコプターの場合は、この二カ年、四十四年、四十五年と逐年低下という傾向を示しております。これは先ほどの農薬散布が減るというようなことも一つ原因かと思っております。  こういった企業経営内容について見ますとも三十七社、報告のありましたのが三十七社しかございませんので、それだけをとりますともそのうちの二十二社が赤字、他の十五社は黒字でございますが、これもかろうじて黒字というところで、決して営業成績は楽観を許さないというのが、こういった企業現況でございます。  それから、事故状況でございます。先ほど来申し上げましたような背景におきまして、小型航空機業界にとりまして十分な注意を払っておりますが、しかし、事故はやはりございます。これは、大型の定期飛行機運送事業等に比べますと、やはり小型機事故というのは相当多いというのが現状でございます。  お手元に資料を差し上げてございますので、一枚目と二枚目に出ているわけでございますけれども、小型機事故は、昭和四十二年から四十五年までの四年間をとってみますと、百七十五件になっております。二枚目の一番左の総件数と書いてあるところでございます。その内訳といたしましては、昭和四十二年が四十四件、四十三年が五十六件、四十四年が三十二件、四十五年が四十三件でございまして、各年を通じまして飛行機が大体十四件から二十二件、ヘリコプターが十二件から二十五件、グライダーが一件ないし六件という程度に発生しております。一方、こういった事故によりまして、昭和四十二年に十六人、四十三年十九人、四十四年十人、四十五年二十一人というような死亡が出ておりますのは、たいへん遺憾なことだと存じております。  それでは、このような事故が、どういった原因で出てきたのかということでございますが、一応その原因別に分析いたしてみますと、まず、操縦士操縦ミスに基づくものが相当多うございまして、百十七件で全体の六六%、あと整備関係に基因するものが三件で二%、機材に基因するものが二十六件で一五%、その他が十九件で一一%、不明六件で四%、調査中四件、二%というふうに見られるわけであります。  そこで、ごらんのように、操縦士に基因するものが大部分であるということに一つ問題点があろうというふうに存じております。それからなお、その他として十九件と申し上げましたが、これは、おもに気象の急変等になかなか対応できないというのが原因のようでございます。  一方、小型機事故割合飛行機——固定翼ヘリコプターに分けて見てみますと、飛行機が七十三に対して、ヘリコプター八十七とパーセンテージからいいますと四六%対五四%で、ヘリコプター事故のほうが、固定翼事故よりもその率において上回っておるというのが現状でございますこの事故率有償稼動時間一万時間当たりについて見ますと、飛行機については四年間の平均で二回、ヘリコプターについては三・一回というふうに、単位時間当たり事故率も、やはりヘリコプターのほうが多いというふうに出ております。  そこで、こうした一万飛行時間当たり事故件数は、昭和四十二年に三・二、四十三年に三・二、四十四年に一・八というように横ばいもしくは下降いたしてまいったわけでございますが、昭和四十五年には、二%と若干上昇しておるようでございます。この原因ヘリコプターにあるようでございます。そこで、そのヘリコプターについての一番事故の多いのは農薬散布、この場合に一番事故が多いように見受けられます。そこで、農薬散布ヘリコプターのみをとらえて分析いたしますと、昭和四十二年には四・一、四十三年は四、四十四年は二・三、四十五年は四・八というふうに、昭和四十五年は過去四年間の最高の事故率となっております。そして、これが全体に反映いたしまして、下降ぎみであった事故率が再び上昇をしているというふうな、遺憾な結果に相なっております。  そこで、一体事故はどういうときに発生するかという点から見てまいりますと、飛行機関係七十三件のうち、地上事故が四件、六%、地上滑走中が四件、六%、離陸中が十一件で二八%、航路上、飛行機飛行中が三十件、四〇%、これが一番多うございます。着陸が二十四件で、三二%。航路飛行中とそれから着陸の際というのがわりに多いようでございます。  それからヘリコプターについて見ますと、一番多いのが農薬散布中五十件、五七%というのが一番多いようでございます。そこで、それはなぜであろうかということでございますが、昭和四十五年には、農薬散布ヘリコプターは、過去四年のうちで一番多い一万時間当たり四・八回、年に十五回といったような高率を示しておるわけでございます。この原因といたしましては、従来は、比較的散布しやすい平地あるいは原野といったようなところに薬剤散布をしておったわけでございますが、最近減反影響を受けまして、こういった平地部分水田から他のものに転作されるということになりまして、比較的山岳地帯と申しますか、山のほうの地帯水田が残っているということになりますので、いままではやらなかったような、そういうところまで行って薬をまかなければならぬために、飛行が非常に困難であるというふうなことから、農薬散布事故が多くなっているということが原因であるというふうに見ております。  そこで、こういうことに対しての対策でございますけれども、私どもといたしましては、常に事故発生のつど事故調査を行ないまして、事故状況を見まして、あるいは運航面整備面、各般の安全確保についての勧告を与えるというようなことをやってまいっております。特にヘリコプター農薬散布事故につきましては、離着陸場の選定をしっかりするとか、あるいは薬剤散布方式をきちっとする、あるいは、これはよく送電線にひっかかって落ちる場合が多いわけでございます。したがいまして、障害物をよく確認するようにする。事前に標識をつけるというようなことをして、そういう事故を防ぎたいということを考えております。  さらに、農薬散布ヘリコプター事故の過半数は、いま申し上げましたように、送電線等への接触、これが大部分でございます。これは農薬散布の場合には、七メートルないし八メートルというような低高度で薬剤散布するわけでございます。薬剤散布するにあたって、つまりヘリコプターがホバリングをいたしますと、その空気が地上へ当たって舞い上がります。それによって、その薬剤が葉の裏につくというようなことで、その農薬散布というものが無効になるというようなことのために、七、八メートルというような低空を飛びます。そのために事故が多くなるだろうということも考えられます。一そこで、これまで使用してまいりました粉剤の農薬をやめまして、微粒剤農薬にかえる。そういたしますと、高度十五メートルくらいに上げても効果があるというふうなことが最近わかってまいりましたので、そういう研究を続けまして、昨四十五年から約百五十ヘクタールの試験散布をいたしまして、大体好結果を得ております。したがいまして、ことしは約三万ヘクタールを微粒剤農薬散布するということに計画しておりますが、こういったことによりまして、さらにこういう農薬散布事故を減らしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  まだ申し上げたいこともございますけれども、本日はあまり時間もないようでございますので、大体事故現況並びにおもな対策というふうなものを申し上げたわけでございますが、結局、事故原因というものはいま言ったようなことでございますけれども、やはり根本的には、中小企業が多くて需要がだんだん減ってくる。そういたしますと、勢い過当競争にならざるを得ないというようなことがあり、やはり経済的に非常に苦しいという面があり、それによって無理をするということもあるのではないかというふうに考えられますので、やはり経済的な基盤というものを強化する、たとえば協業とかそういうようなことによって合理化をしてまいる、あるいは部品の共同管理をするといったように連携を保ちつつ、これを行なうことによりまして、やはり過当競争というものをなるべくなくしていくようなことをやって、経済基盤というものを整えることが、根本的な問題ではないかというように考えておるわけでございます。  きわめてざっぱくでございましたが、大体御指定の時間もまいりましたので、一応終わらしていただきます。
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これにて説明は終わりました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十分散会