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1971-02-19 第65回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十九日(金曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 小峯 柳多君 理事 河野 洋平君    理事 丹羽 久章君 理事 後藤 俊男君    理事 坂井 弘一君 理事 河村  勝君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       左藤  恵君    佐藤 守良君       野中 英二君    古屋  亨君       山下 徳夫君    横路 孝弘君       宮井 泰良君    東中 光雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁交通局長 片岡  誠君         法務省矯正局長 羽山 忠弘君         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         建設省道路局長 高橋国一郎君  委員外出席者         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君     ————————————— 二月十三日  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第四六号) 同月十日  交通安全施策財源確保に関する請願(向山一  人君紹介)(第四七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第四六号)交  通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取することにいたします。根本建設大臣
  3. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま議題となりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近におけるわが国の自動車交通の急速な進展に併い、交通事故発生状況は、年ごとに深刻な様相を呈しております。  もとより、交通事故防止は、国民共通の願いであり、国及び地方公共団体が一体となって交通安全対策に取り組んでいるところであります。政府におきましては、その施策の一環として、信号機、歩道その他の交通安全施設を緊急に整備する方針のもとに、昭和四十一年度以降、二回にわたる交通安全施設等整備事業三カ年計画を策定し、鋭意その実施につとめてきたところであります。  この結果、交通安全施設も大幅に整備され、かなりの成果をおさめてまいりましたが、道路整備を上回る自動車交通量の著しい増加のため、遺憾ながら交通事故発生状況は依然として憂慮すべき状況にあります。これに対処するためには、交通安全施設を飛躍的に整備することが緊急の課題とされております。  このような現況にかんがみ、昨年制定された交通安全対策基本法に基づき、交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を示す交通安全計画が策定されることとされており、これとの関連において、現行交通安全施設等整備事業三カ年計画を拡大改定し、新たに昭和四十六年度を初年度とする交通安全施設等整備事業五カ年計画を発足させ、総合的な計画のもとに交通安全施設等整備事業を充実することとし、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法に所要の改正を加えることといたしました。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次に、この法律案要旨について申し述べます。  まず、第一に、昭和四十四年度以降の三カ年間において実施すべきものとされておる、現行交通安全施設等整備事業に関する計画を改定し、新たに昭和四十六年度以降の五カ年間において実施すべき交通安全施設等整備事業に関する計画を作成することといたしました。  第二に、都道府県公安委員会が行なう交通安全施設等整備事業の範囲を拡大し、新たに道路における交通規制を広域にわたって総合的に行なうため、必要な交通管制センター設置に関する事業をかえることといたしました。  第三に、現行都道府県総合交通安全施設等整備事業に関する計画指定区間内交通安全施設等整備事業に関する計画とを統合し、都道府県ごとに、都道府県公安委員会道路管理者とが協議して、総合交通安全施設等整備事業に関する計画を作成することといたしました。  第四に、北海道の区域内の道路管理者が行なう交通安全施設等整備事業に要する費用について、国と地方公共団体との負担割合の特例を定めるとともに、関係法律改正をすることといたしました。  以上がこの法律案提案する理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  なお、本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に、交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野中英二君。
  6. 野中英二

    野中委員 私は、自由民主党を代表して、交通安全対策関係予算について質問をいたしたいと思います。  御存じのとおり、予算は政策の顔であり、体格だと信じております。予算を通して、政府の姿勢が明確に浮き彫りされるものであります。しかし、四十分という短時間でございますので、これを論究することは竜頭蛇尾に終わるうらみなしとはいたしません。よって、踏切道立体交差化等三百二十七億一千九百万円の予算案にしぼり、これに関連する諸問題につき、関係大臣あるいは担当官に順次質問をいたしたいと思います。なお、時間の関係から簡にして要を得た答弁をお願い申し上げます。  昭和四十六年二月八日付、交通対策本部から出された踏切事故防止総合対策を見ると、昭和四十六年度以降五カ年間において、鉄道路線約百キロを、連続立体交差による踏切除去計画し、なお、単独立体交差化によって六百カ所の踏切を除去しようとしております。国鉄営業キロ数は二万八百三十三・五キロ、私鉄営業キロ数は六千四百三十九・九キロ、これは昭和四十五年七月現在でありますが、そのうち踏切の数は、国鉄が三万二千九百九十五カ所、私鉄は一万九千五百五十二カ所であります。交通対策本部から五カ年計画によって踏切が除去できるのはわずかに千二百であります。これは踏切数のわずか二%除去できるにすぎません。これでは、踏切道改良促進法の一部改正を今国会に提出して、五カ年間延長をはかっておりますが、いつをめどに完全に踏切を除去するおつもりですか、山村政務次官にお尋ねしたいと思います。
  7. 山村新治郎

    山村政府委員 このたびの踏切道改良促進法、これは四十六年から五十一年で、三十六年から始まったことでございますので十五年間かかった。そうして全力をあげてこれにかかり、踏切整備というものを完全に行なっていきたい。運輸省の基本的な考え方としましては、最近の踏切事故重大化にかんがみまして、踏切立体交差統廃合を強力に進めてきたわけでございます。自動車通行を認めるところ、これには踏切遮断機を極力整備して、事故防止全力を尽くしていく、そして少なくとも、このたびお願いしました五年の延長によってこれを完全に整備していく、そのつもりでございます。
  8. 野中英二

    野中委員 ただいま聞いておりますと、さらにこれを保安設備によって補っていきたい、保安設備によって事故を減少させるお考えのようでありますが、保安設備が整っている第一種踏切における事故件数は、昭和四十年四百五十三件、四十一年五百二件、四十二年五百三十件、四十三年五百八十三件、四十四年六百五十七件と年々増加をたどっております。してみれば、保安設備は完全な事故防止対策ではないと私は思います。やはり、立体交差以外に抜本的な解決策はないのではなかろうか。そこで国鉄踏切除却数は、昭和三十六年から四十年までに四百四十六、昭和四十一年から四十五年までに千二、計千四百四十八。私鉄昭和三十六年から四十年までに百五十六、昭和四十一年から四十五年までに二百七十九、計四百三十五除去されております。試みに第一種踏切の数は、国鉄が六千七十一、私鉄は四千百六十三で、これを分母として、踏切除去をした数を分子とすれば、国鉄はわずかに二割三分、私鉄九分踏切が除去できたにすぎません。  そこで、お尋ねを申し上げますが、私鉄除却数が少ないのは、一体どういうわけなのか。これは鉄監局長にお聞きしましょう。
  9. 山口真弘

    山口(真)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、鉄道事故一種踏切におきましてもまだ依然としてあるわけでございまして、これは先生指摘のように、根本的には踏切を除去する、立体交差その他の方法によって踏切を除去するということが根本的な対策でございます。それにつきまして、立体交差を進め、あるいは立体交差をしない場合でも踏切の数を減らしていく。  ちなみに日本におきましては、踏切道の数が、私鉄の場合には約三百メートルに一カ所ございます。国鉄の場合には約六百メートルに一カ所。ところが諸外国におきましては、アメリカにおきましては約千六百メートルに一カ所、欧州におきましても大体千メートルに一カ所ございまして、日本踏切は非常に数が多いわけでございます。したがいまして、この踏切整理統合を進めていかなければならぬわけでございます。ただ、この整理統合につきましては、一つには立体交差化促進という方法にいたしましても、立体交差をいたしますとばく大な費用がかかるということと同時に、地元との話し合いを十分にしなければならないという問題がございます。  それから立体交差しない場合の踏切整理統合につきましても、地元関係等がございまして、地元といろいろお話し合いを進めていく、それに時間がかかるというようなことでございまして、その点で、特に私鉄のほうが国鉄の場合よりも話し合いの度合いがどうしてもむずかしいというようなこともございまして、整備がおくれているということであろうかと思います。
  10. 野中英二

    野中委員 さらに質問いたしますが、これは踏切道改良促進法施行令第一条の制約があるために、私鉄除去数が少ないのかというふうに考えるわけでありますが、もしそうだったとすれば、この制限を撤廃する御意思があるかどうか。それによって、私鉄に対する補助金増額する意思があるかどうか、お答え願いたい。
  11. 山口真弘

    山口(真)政府委員 踏切道改良促進法施行令の第一条は、補助対象とする地方鉄道業者等についていっておりまして、これは主として保安設備に関するものでございまして、直接立体交差の問題と関係ございません。
  12. 野中英二

    野中委員 ぼくは立体交差質問しておるのじゃないのです。第一種踏切についていま質問しておるところなんです。  それで、昭和四十六年度一億一千七百万円しか出ておらぬ。それは、結局この第一条による制約があるからなんです。私は、そう信じておるのだ。わずか九%にしかすぎないということは、これははなはだ遺憾です。したがって、運輸当局は、ぜひこれを増額していただくなり、この第一条の制約を撤廃してもらうように考えるかどうか。  時間がないから次に続けます。今度は、いま鉄監局長からの説明がありましたが、私鉄の場合は市町村道が多いためなのであります。したがって、私は道路局長にお尋ねしておきたいのでありますが、建設省市町村道立体交差のために、これは三分の二の補助金を出しておりますが、現在までにどれだけ該当した数があるか、お知らせ願いたい。  なお、もう一つあわせて聞いておきますが、市町村道の場合には、市町村自己財源が非常に乏しいのであります。したがって、この踏切除去はなかなかできない。自己財源がないために、三分の二の補助金はもらえるけれども、実際にできない、こういう場合がありますので、これに対する増額をお考えになるかどうか、あわせてお尋ねしておきたいと思います。
  13. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、第一条は、踏切保安設備整備に関する補助対象のことでございまして、これは、政令によりまして、一応原則として固定資産に対する営業利益割合が五分、それから全業をとりまして七分という一応の規定を置いております。この規定がございまして、それによりまして現在予算がついておりますので、したがいまして、先生指摘のとおり、この制限を撤去して、そうして踏切補助対象事業者をふやすということは必要であろうかと思いまして、四十六年度予算におきましてもいろいろ問題にいたしたところでございますが、今後もさらに問題にいたしてまいりたいということでございます。
  14. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 市町村道におきます立体交差とか踏切除却事業でございますが、四十一年から四十五年までに、市町村道につきましては十九カ所実施しております。四十五年度におきましては十四カ所実施しておりまして、一カ所完成の予定になっております。  なお、御指摘のように、ただいま踏切除却事業といたしましては、県道ないしは市町村道に対する補助率は三分の二になっておりまして、したがいまして三分の一が地元負担ということになっておりますが、御指摘のとおり、市町村によりましては、財政上必ずしも十分にまかないきれないような非常に弱い市町村も多うございます。今度の新しい自動車重量税等市町村に配分される場合には、その一助となろうかと思いますが、今後の市町村道路財源といたしましては、検討していく必要があろうかというふうに思います。
  15. 野中英二

    野中委員 今度は事故件数にしぼって考えていきたいと思います。  国鉄私鉄とも昭和四十二年度には減少いたしております。しかるに、国鉄昭和四十三年千九百六十八件一四十四年二千百六十九件と増加しております。私鉄を見ますと、四十三年は千五百八十五件から四十四年には千四百四十七件と減少しております。国鉄はふえ、私鉄は減っている。保安設備費用というものがないにもかかわらず私鉄は減っている。国鉄はふえている。これはどういうわけですか、鉄監局長
  16. 山口真弘

    山口(真)政府委員 先生指摘のように、踏切事故件数は、国鉄の場合には四十二年を境といたしまして、再度増加傾向をたどっておるということ、それから私鉄につきましては、四十二年後も依然として減少の傾向をたどっておるわけでございます。  そこで、これはいろいろ考えられるわけでございますが、全体的に申し上げますと、事故大型化といいますか、自動車通行が非常に多くなったこと並びにダンプカーその他の事故が多くなったことというようなことに原因するわけでございますが、特に私鉄等につきましては、輸送力増強運転保安工事の進捗というものが非常に進められてきたということはいえるのではないかと思います。  国鉄につきましては、若干投資費用というものが横はい的でございますが、私鉄の場合には、保安工事の推進というものは非常にございまして、それがこのような効果を生んできたというように私ども考えております。
  17. 野中英二

    野中委員 さらに追及したいのでありますが、時間がありませんから、飛ばしていきます。  昭和四十五年十月九日、東武伊勢崎線踏切事故が発生すると、にわかに十月二十七日、交通対策本部決定、同二十八日閣議了解踏切道緊急対策が決定されました。首都圏及び近畿圏の五十キロ圏内中部圏三十キロ圏内踏切道緊急措置を、昭和四十七年度末までに講ずるよう通達を出しております。その内容は、踏切保安設備整備交通規制強化であります。  その第一点から聞いてまいりたいと思いますが、その第一の踏切保安設備整備について、若干の質問をしていきます。  これが整備にあたっては、私鉄の場合は開銀融資五〇%に待つところが多いのであります。昭和四十年度の踏切保安設備工事に対する融資額は五億九千八百万円、四十一年六億円、四十二年は九億八百万円、四十三年は十四億八千六百万円、四十四年は十二億八千三百万円、計四十八億七千五百万円となっておりますが、これによって整備された踏切数は幾つになるのか、ほんとうは民鉄部長に聞きたかったのですが、鉄監局長しか来ておりませんので、鉄監局長にお尋ねします。
  18. 山口真弘

    山口(真)政府委員 お答え申し上げます。  具体的な融資に関しまする、その融資によりまして何カ所整備されたかという数を本日準備いたしておりません。
  19. 野中英二

    野中委員 それでは資料で提出してもらうことにして、それはそれでやめますが、続いてもう一つお聞きします。  昭和四十五年の融資見込み額は一体どれだけになりますか。
  20. 山口真弘

    山口(真)政府委員 踏切保安設備、これは立体交差化の金も含みますが、それも含めまして八十億を一応開銀融資の要求といたしております。
  21. 野中英二

    野中委員 昭和四十四年度は、四十三年に比較しまして、十四億八千六百万円から十二億八千三百万円に減少している。こんなぐあいで、私鉄踏切保安設備整備がいつ完成するとお考えになるのですか。鉄監局長にお尋ねしたい。
  22. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ただいまのお話は、踏切保安設備融資とそれから立体交差化融資を合わせまして、四十三年度時点では三十七億、それから四十四年度時点でも三十七億でございまして四十五年度は、先ほど申しましたように八十億でございます。これは開発銀行融資でございまして、立体交差運転保安工事というように、具体的に融資のワクをきめて個別にやるわけでございませんので、各工事によりまして、その決算額に対する融資ということでこういうかっこうになっておるわけでございます。  なお、踏切に対します踏切保安設備整備につきましては、先般行ないました踏切道整備緊急対策によりまして、今後五年間に抜本的に整備をしてまいる、その考え方は、原則として六・五メートル以上のものは全部踏切をつける。それから二・三メートルから六・五メートルにつきましては踏切道を選別いたしまして、残すものは全部踏切をつけ、残さないものにつきましては交通規制をして、それからさらに二・三メートル以下のものにつきましては、原則として整理統合あるいは交通規制をする、こういう形でいたしますので、今後五年間には、危険な大型車通行できる踏切は、すべて遮断機整備されるということに計画いたしております。
  23. 野中英二

    野中委員 さらにこれを追及していきますけれども、昭和四十六年度の予算から見ますと、踏切保安設備開銀融資は二十四億、総工費が四十八億、こういうことになっている。それで、いま交通安全対策本部から出ている計画、これはおたくから聞かなくてももうわかっておりますけれども、計算していくと総需要に追いかかない。  さらに聞いていきますけれども、一体この開銀融資私鉄側需要というものは充足されているのですか。鉄監局長にお伺いしたい。
  24. 山口真弘

    山口(真)政府委員 開銀融資につきましては、実はこの数年前から、私鉄につきまして重点的に開銀融資をいたすということにいたしておりまして、近年非常に増大をしております。特に本年度につきましては二百二十五億でございますが、さらに補正予算によりまして、これを非常に増額をいたしたわけでございます。来年度もそういうことで、開銀融資につきましてはこれを努力してまいるということにいたしております。  それで開銀融資の使い方でございますが、これは輸送力増強と、それから踏切を含めた運転保安工事というものに重点を置きまして、特に踏切なり立体交差に関する運転保安工事につきましては、融資比率五〇%それから利率七%という優遇措置を講じまして、さらに先般の運賃改定等にお夫まするところの公約工事といたしまして、踏切保安あるいは立体交差化促進ということをいたしておるわけでございます。
  25. 野中英二

    野中委員 これについて、利子補給点等について追及したいのですけれども、時間がありませんから、省略させていただきます。先ほどいった資料は提出してください。  次に、第二の交通規制強化でありますが、これを実施するためには、地元住民の説得と協力かくしては成果をあげることができないと思います。そこで、各都道府県踏切改善促進協議会運営活動状況はどうなっているのか。なお交通安全対策基本法第十六条、十八条に基づく、都道府県並びに市町村交通安全対策会議作業はどの程度進渉しているのか、せっかく山中総務長官がおいででございますから、長官に聞くような質問ではかかったのでありますけれども、お聞かせ願いたいと思います。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 現在の都道府県踏切道改善促進協議会は、いわば実際はあまり働いていないという感じが率直にいっていたします。でありますので、昨年、これを活発に知事部局が責任を持ってやるようにという指示をいたしておりますが、野中君の言われるように、交通安全対策基本法に準拠して、都道府県必置制市町村任意設置という対策会議ができますと、その中で踏切道改善対策のための部会ができることになると思いますから、系統立った、中央ともまた地方ともバランスのとれた会合が持たれるようになる、しかも計画的になると思います。
  27. 野中英二

    野中委員 またせっかくでございますから、重ねてお願い申し上げます。  いままでのこの踏切道改善促進協議会というものができておりながら、なかなかその運営活動してなかったということを率直にお認めになっておられますが、そのとおりでありまして、なぜこれが運営活動をしなかったか、休止状況にあったかということを反省してみますと、私は、やはり補助金がなかったからじゃないかというふうに考えるのです。したがって、基本法制定を機会に、都道府県市町村交通安全対策会議補助金をつけてやる、補助金を国から流すことによって、県はこれに県会協力を得て予算をつける。さらにまた、県が市町村補助金を出していく、こういう連鎖反応が起きてくると思う。それによって、私はこの会議というものが非常に円滑な運営ができると思うのでありますが、これについて長官の御意見を賜わりたいと思います。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 現段階では、法律によって必置制になっておりますから、野中君の意見も耳を傾けるに値するものだと思いますが、反面、地方に何かやってもらうと全部補助金——補助金というのでは、いわゆるこれなどは非常に零細補助になると思います。一年に何回開きますか、なるべくひんぱんのほうがよろしいのですが、それの会議費補助、せいぜい事務当局費用くらいなようなことになるでしょう。したがって、なじむとすれば、補助よりもむしろ、これは自治省とこれから相談していかなければなりませんが、交付税の中でそういうものを見てあげるというようなこと等が一番地についた措置じゃないだろうか。また、都道府県も、自分たち活動するということが交付税算定基準の中に入っていくんだということによって、かえって活動するんじゃなかろうか、そういう感触もありますが、補助制度一つのきめ手であることは間違いありませんので、これらは今後検討してみます。
  29. 野中英二

    野中委員 ありがとうございました。  続いて、踏切除去改善作業の中で、これからは市町村道が私は花形になるであろうと思います。この解決市町村道、農道の統廃合にあると思いますが、従来統廃合の実があがらなかった大きな理由は、地元住民協力が得られなかったことにあります。基本法による交通安全会議を設けられるにあたり、十二分にこれを活用するとともに、この統廃合について、きょうは農林省のほうからは農地局の参事官がおいででございますから、二点ほど質問をしておきたいと思います。  その第一点は、鉄道線路によって横断され、出耕作になる農地を積極的に交換分合する処置をお考えになっているかどうか。
  30. 住吉勇三

    ○住吉説明員 農業交通の安全確保につきまして、ただいまお話しのございました、鉄道をはさみました出入り耕作地域などにおきましては、地元農家の機運がまとまるということが前提でございますが、地元関係農家の機運がまとまりました場合には、農地の集団化事業等、その他いろいろの事業がございますので、できるだけ交換分合を徹底するようにいたしたいと考えております。
  31. 野中英二

    野中委員 もう一点あるのだけれども、時間を急ぎますからそこにいてください。  第二点は、土地改良事業、区画整理事業の認可条件にこれを加味するお考えがあるのかどうか。
  32. 住吉勇三

    ○住吉説明員 別に認可の条件というものはございませんけれども、現在も、これを含めまして実際に実施しておるというような例はございます。
  33. 野中英二

    野中委員 これを条件にしなければ、なかなか統廃合市町村財政だけではやっていけない。ですから、農民の協力でやる、土地改良区の協力でやる。そのためには、安全対策農林省はもう少し積極的な姿勢を示して、これができなければ認可しないのだ、こういう姿勢をとってもらわなければ、総務長官がおられるけれども、とってもできない。もう少し安全確保に対しても大いに協力してもらいたいと思う。このごろ農林省は、おれのほうは、安全対策は知らないのだというような顔をしているから、ちょっと申し上げておきますけれども、ぜひそういうふうに指導してやっていただきたい。こう思います。  第三点は、道路局長にお尋ねしますが、統廃合による連絡道路の新設にあたって、積極的に財政的援助を市町村にする意思があるかどうか、それを承っておきたい。
  34. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの道路市町村道である場合につきまして、たとえば三本の踏切を一カ所にしぼる場合には、しぼられた他の二カ所の道路からその道路まで達する道、それにつきましては今後検討したいと思います。
  35. 野中英二

    野中委員 第四点は自治省にお尋ねをしたいと思います。  固定資産税課長が見えておいでのようでございますから、承っておきます。出入りに時間を要しますので、一括して、三点ございますが、お聞きしておきたい。  その一つは、市町村が農道及び市町村道統廃合するわけでありますが、そのためには非常にお金がかかる。したがって、特別交付税の中に織り込んで考えていただくことができるかどうか、これが第一点。  第二点は、今国会で審議中の自動車重量税がありますが、このうちの四分の一を市町村に還元することになっております。これをひもつきにするお考えがあるかどうか。  第三点は、国鉄からは納付金を取り、私鉄からは固定資産税を取っているわけでありますが、これを、市町村統廃合に要するための財源として、ひもつきにする意思があるかどうか、尋ねておきたい。
  36. 山下稔

    山下説明員 御質問の第一点の統廃合に伴う市町村の財源措置でございますが、総合的に市町村財政全般を勘案いたしまして、財政的に非常に苦しいということであれば、特別交付税で、財政全般を考慮しながら配慮してまいりたいというふうに考えます。  第二点の御質問の、自動車重量税の今回地方に譲与されます百億円の問題でございますが、これは道路財源として目的別に使うようにいたしたいというふうに考えております。第三点の、国鉄納付金あるいは私鉄から入ります固定資産税を目的財源とする考えはないかという御指摘でございますが、この点につきましては、固定資産税は、申し上げるまでもなく、現在普通税といたしまして一般財源として取り扱っております。国鉄納付金も固定資産税的性格を有するものといたしまして、やはり一般財源として取り扱っております。そこで、この際、私鉄等にかかわります部分だけを、一般の固定資産税から引き離しまして目的税にするということは、固定資産税の性格からいって困難ではないかというふうに考えます。
  37. 野中英二

    野中委員 次に、山村政務次官がおいでになっておりますのでちょうどいいんでありますけれども、質問を続けさしていただきます。  立体交差あるいは踏切保安設備等、外的要因がかりに充足されたといたしましても、内部的な要因によって思わぬ事故を惹起する憂いなしとはいたしません。内部的要因とは、通勤者を過剰に輸送すること。乗客数に比較して小さなプラットホーム、そして狭い連絡通路、加えて鉄道従業員の勤惰等であります。私鉄各社は昭和四十五年十月、平均二三・一%運賃値上げを実施し、その理由として輸送力の増強、安全対策の充実となっております。  そこで、一例を東武伊勢崎・日光線にとれば、小菅−北千住間で七時三十分から八時三十分にかけての輸送力として二万二百六十人でありますが実際には五万五千三百六人輸送されております。これは山村政務次官もすでに現地を視察されておりますが、このすし詰めの状況昭和四十五年十二月十日、朝の八時半のNETのモーニングショーの司会溝口さんのことばを借りれば、「これが人間を運ぶ輸送機関かと怒りさえ覚えました。乗るときに黄色い帽子をかぶった押し込み部隊の人がいましてはみ出しそうな三人か四人を詰め込むんです。私がどうやらからだ半分だけ入ったときにドアがしまったんですが、左足のかかとだけはさまれたんです。すると黄色い帽子が何をするかと思ったら、足でけ飛ばすようにして押し込むんですよ。あちこちからうめき声があがっていました。」以下省略します。  これは私鉄でなく、国鉄も同じことであります。  そこで、これは政務次官は体験されてきましたから、鉄監局長にお尋ねしておきますけれども、一体鉄道、バスには定員というものがあるにかかわらず、これを厳守しないで、それであなた方の逃げ口上は、鉄道営業法二十六条の鉄道係員が旅客をしいて定員をこえ車中に乗り込ましたときには、罰金または幾らの科料に処す、とある。「強ヒテ」とある。ここであなた方は乗客の任意性に訴えてこれを逃げておりますが、そこで旅客の任意とはいえ、交通安全対策上その許容量というものを私は定めてもらいたい、こう思うわけでありますが、鉄監局長、どう思いますか。
  38. 山村新治郎

    山村政府委員 ちょうど私関係しておりましたので、一言答弁させていただきます。  先生指摘のように、この冬に入りまして東武線の北千住駅は一番混雑しておる。それで、おまえ運輸政務次官だから、実際どのくらい混雑しているんだか来てみろということで引っぱり出されました。先生おっしゃったように、確かにたいへんな混雑でございます。二五〇%をこえるんじゃないかといわれておりました。それでそのとき、いま先生がおっしゃいましたように、政府では法律を守れ守れといっておる。ところが自分でこういうぐあいに法律違反しておるんじゃないか。定員を守らない、それこそ過剰に乗せて、政府のやっておることならいいのか。いわゆる鉄道だけが別物なのかということで、私ぐうの音も出なかったわけでございます。しかしこれは現実の問題としまして、冬になって着ぶくれラッシュということにもなってまいります。また少しでも長くふとんの中に入っていたいというようなことで一時に乗客が殺到する。そして、もしこれを定員ということできめまして、それ以上乗ってはいけないということになりますれば、これはおそらく三倍から四倍の時間が必要になってくる。現実的になかなかむずかしい。そこで先ほど先生おっしゃいましたように、この前私鉄運賃値上げのときも、二三・二%というので、いろいろ皆さん方からお小言を食いました。しかしこれによりまして今度の第三次五カ年計画、これを四千八百億円をもって輸送力の増強、また安全施設の増強、これらに全力を尽くしてまいるつもりでございます。しかし先生おっしゃったように、何はともあれ、政府がいわゆる法律違反をするというようなことは絶対許してはならないことでございますが、徐々にではございますが、一生懸命、いわゆる定員というものに近い線というものをやってまいるように指導してまいります。
  39. 野中英二

    野中委員 わかりました。そこで、運輸省のほうは、すぐに今度は時差出勤なんということを頭のいいところで考えてくる。しかし時差出勤というのは人間性を実際は無視している。だれもがいつまでも寝ていたい。時間一ぱい寝たい。ですからこれは解決策にならぬ。その次に運輸省の頭のいい連中が考えるのは、ダイヤ変更による増発ということなんです。しかし悲しいことには、これによって東武伊勢崎線の場合解決できなかったのであります。  春日部武里団地の清原満夫さんの「遅延日記」朝日新聞の昭和四十五年十二月六日付をお読み願いたいと思いますが、このダイヤ増発によってどういうことになったかという実態がわかると思います。こうした状態にありながら、輸送力増強工事の実績及び計画によると、第一次、昭和三十六年から三十八年度、二万五千人、第二次が昭和三十九年から四十一年度まで二万七千人、昭和四十二年から四十三年度まで二万三千人と減少し、加えて私鉄の場合は赤字が出てきますので、その利一益減少を宅地開発によって私鉄は補おうとしておるわけです。したがって、沿線は急速に宅地化が進んで人口は過密化し、利用人口というものは急速なテンポで増加してきているわけです。これに対して要するに鉄監局長、安全対策というものを十分考え、しかもこの輸送力増強というものも考えていただきたいと思います。これは答弁要りません、もう時間がありませんから。  続いて、これは道路局長質問しておきますが、これはもう長くなりますから、骨だけにしておきましょう。  これは、いまも申し上げましたように東武線の問題でありますが、仮の伊勢崎線において、ダンプカーが花崎駅というところで衝突いたしまして、非常な犠牲者を出したわけであります。これは一体どういうことかといいますと、これは警報機がある。そのときに遮断機がなかった。しかし遮断機というようなものはあんな竹の棒だけで、これは心理的な作用なんです、実際は。こういう心理的な作用というものが大きな事故を引き起こすものであるという仮定に立つならば、あの工事現場というのは踏切にくっついて、工事現場への誘導路をつくった。こういうことはどうしてできたか。それから三十メートルほど行きますと、用水が走っておる。ですから橋をかけなければならぬ。ですから、架設費がかかってくる。業者はおっくうだ。橋をかける費用があるならここから持っていけというようなものです。ですから、これは今後おたくのほうで積算基礎をつくる場合に、鉄道線路から何メートル離れたところでなければ誘導路をつくってはならない、そこから工事現場への誘導路をつくってはいかぬというような規制が私は必要だと思うのです。そのためには非常に金がかかると思いますけれども、ぜひ積算基礎というものを考えていただきたい、そう思います。これは答弁も省略します。  そこで最後の結びは、踏切事故件数を見ますと、国鉄の場合、鉄道の責任によるものが昭和四十年十七件、四十一年が十五件、四十二年が十五件、四十三年が十一件、四十四年が十一件となっております。これは国鉄の場合です、鉄道に責任のあった踏切事故というのが。この内容はどういうことになっていますか。踏切警手によるか運転手によるか、あるいは信号手によるか、転轍手によるか、ちょっと簡単にお答え願いたい。
  40. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ごく簡単に申しあげますと、四十四年度におきます踏切二十件ございますが、その中で降下遅延が七件、つまり遮断機をおろすのがおくれた踏切警手による降下遅延が七件、三五%、それから踏切警手が間違えて早く踏切遮断機をあげた、早期開扉でございますが、これが三五%、七件でございます。その他が六件ということになっております。
  41. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 野中君、約束の時間がだいぶ超過していますから……。
  42. 野中英二

    野中委員 もうすぐ終わります。  そうして、特に二月十一日栃木県那須郡におききまして、国鉄東北本線の急行列車が逆戻りいたしまして、後続の貨物列車と衝突し、乗客三十二名が重軽傷を負った事故がございます。これは国鉄の職員の綱紀に関する問題であり、国民ひとしく激怒いたしておるところであります。政務次官、これに対する綱紀粛正をどうやっていったらいいか、そうして人的安全対策というものをどう樹立されていくか、お伺いしたい。  さらにもう一点、乗務員の乗務直前に、私は次のような検査を厳重にしていただきたいと思う。それは医者による健康診断、同時にわれわれにしたって酔っぱらい運転をするかどうか、風船をふくらませられるのです。そういうことを厳格にやっていただきたい。乗務直前の検査を徹底的におやりになる意思があるかどうか、お尋ねします。
  43. 山村新治郎

    山村政府委員 先生おっしゃられるように、何とも申しわけありませんという一言でございます。去る十二日、大臣から総裁あてに厳重な警告を発したところでございます。いままでに例のない厳重なものでございます。そしてさらに具体的なものとしては、運転関係従業員の資質の向上、そして職員管理の強化徹底をはかるとともに、緊急自動停止装置、——事故原因につきましては、先行旅客列車の機関士が酒気を帯びて乗務、仮眠したために、上り勾配線上で列車が自然退行し、後続の貨物列車に衝突したものでありますということでございまして、ほんとうにこれは何とも申しわけないという以外に言いようがありません。しかし、先生おっしゃいましたように、今後はもっと現場での、いわゆる職員が酒を飲んでいたとか、そういうのをチェックと申しますか、そういうような面も厳重にやっていきたいというぐあいに考えております。
  44. 野中英二

    野中委員 二度と同様な事故を起こさぬように、徹底した職員教育を国鉄当局に強く要望するとともに、私鉄各社も他山の石として、事故防止に邁進していただきたいと思います。関係各省もペーパープランだけでなく、また国鉄私鉄も通達だけでなく、身をもって安全第一主義に徹するよう努力していただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  45. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 後藤俊男君。
  46. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま東北線の国鉄事故の問題で質問がありまして、関連として、最初にひとつお考えを聞きたいと思います。あの事故がありまして、運輸省としては、いまだかってない国鉄総裁の指名のような形で厳重に警告と申しましょうか、これが出されたことも私十分承知いたしております。そこで、去年でございますけれども、これは国鉄労働組合とさらに国鉄当局なり、運輸省との関係において、二名乗務を一名にするかどうか。諸外国においても二名乗務を一名にしておるところがあるから、一名にしてもいいではないか、それで安全だという態度で、国鉄当局なりさらには政府関係としては出られたと思うのです。ところが実際現場で働いておる国鉄の職員の気持ちからいえば、事故のあった場合等を考えるときには、二名乗務を一名にするということは安全の点から考えてもこれはたいへんなことだ、そういう論争がありまして、この東北線の問題については一名であったと私は記憶しておるわけですけれども、これが万一機関助手が乗っておりまして、機関車乗務員が二名乗っておったとするならば、この事故は防げたのではないかというふうに私は考えるわけでございます。二名を一名にした、さらに今度の東北線の事故とこのことについて、どういうふうにお考えになっておるか、これは前の人が質問されましたので、関連として最初にお尋ねいたしたいと思います。
  47. 山口真弘

    山口(真)政府委員 乗務員の一人乗務の問題でございますが、これは先生御存じのとおり、昨年の十月一応解決をしたのでありますが、この問題は、四十二年の春ごろから労働組合に提案をいたしまして、約数十回に及ぶ交渉があったわけでございます。そして四十四年の十一月に問題の大筋の解決があったわけでございます。その間に国鉄当局、それから国労、動労、この三者からなる、乗務員と安全についての調査委員会というものに対して調査依頼をいたしまして、この調査委員会の結果等をめぐりまして、労使間におきまして紛争が非常に起きました。その紛争の起きました結果、昨年の秋に至りましてこれか三者間で完全に了解に達しました。その了解に基づきまして、現在の一人乗務が実施されたわけでございます。そういうことでございまして、これにつきましては、安全面につきましての十分な学識経験者等の御意見も聞いておりますし、また労使双方の完全なる了解のもとに、また合意のもとに行なわれたものでございます。  なおその際に、最後の条件の一つに、緊急整備、エマージェンシーブレーキと称します緊急列車停止装置でございますが、これの整備につきままして、労使間で協議の上、早急につけるというような形になりまして、両者間で協議をいたしましてこれの整備を進めておるという段階でございます。したがいまして私どもといたしましては、今後職員の精神的な訓練、あるいは先ほどお話がございましたような、各種の心理学的ないろいろの検討というようなものとともに、このEB装置というものを早くつけるということで、酒飲みのみならず、不時の病気等によるところの事故の発生というものを防止していくという方向で進みたいと思います。
  48. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまの経過は、私は大体承知しておるわけなのです。三者できめて話がついたから実行をいたしておる、それは最終的にはそのとおりでございますけれども、やはり合理化の一環として二名乗務を一名にするかどうかということは、かなり長い間の論争であったことはご承知のとおりでございます。今度の国鉄のああいう事故考えましたときに、二名乗っておったとするなら、おそらく防げたのではないか、こういうことも考えられるわけなのです。ものは考えようで、二名おっても二名が酒飲んでおったら同じじゃないか、これはそういう言い方もあるかもしれませんが、案外一名よりかは二名、機関助手かおればこの事故というのは、ああいうふうなことにならずに終わったのではないかということも考えられるわけなのですね。ですから私の言いたいのは、いま山口さんが言われましたように、三者できちっと話をしてきめて、しかも自動制御装置ですか、これを設置するのだとその時点においてきめられておるけれども、そのことも実施されておらない。それが実施されておるとするなら、おそらくあの事故防止できたのじゃないかと思うのです。  その問題もありますけれども、少なくとも何千人という乗客を乗せた列車が、長い間二名乗務ということでやっており、それが一名にはずされた、このことをもう一ぺん検討する必要があるのではないかと私は思うわけなのです。もう一ぺん検討をしてみる——検討するということは、必ずしもまた二名に戻すということを私言おうとしておるのじゃないのですよ。そのことは政務次官いかがでございましょうか。
  49. 山村新治郎

    山村政府委員 先生おっしゃられるのももっともでございます、安全の上にも安全ということで。しかし、もしここで自動制御装置というものがついていた場合は、そのようなことがなかったということもいえると思います。そこで、われわれとしては一日も早く、はっきり申しますと自動制御装置というものを完備する、そしていわゆる綱紀の粛正と申しますか、これは何と言われてもしょうがないことでございますので、そのようなことが二度とないようにという面でやってまいる、その方針でやってまいりたいと思います。
  50. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまあなたの言われたことはわからぬことはないが、私の質問は、二名を一名にしたことをもう一ぺん検討するという気持ちがあるのかないのか、そんなことはもう絶対に考える必要ないのだ、これで安全なんだ、こういういふうに言われるのかどうかということを質問しておるわけなのです。
  51. 山村新治郎

    山村政府委員 いわゆる乗務員を含めたこの三者の相談として、そういうようなことが全部一名でよろしいというようなことになり、また内容については詳しいことは存じませんが、しかしそれで了解をしたという時点で、そしてそこへ自動制御装置さえつければだいじょうぶだというようなことがあるときに、またでは二名に戻るというようなことは、私としてはちょっとまだいまのところ考えられないことでございます。
  52. 後藤俊男

    ○後藤委員 この問題であまり時間をとりたくないのですがね。これは山口さんに——山口さん、うしろでいろいろ言っておられるのですが、ただ、三者できまったからもういいんですということは、三者できまったというのは三者三様に、お互いに納得できぬけれども譲り合った点があって、最終的にこれはきまったわけです。だから、現在といえども国鉄労働組合としては、一名で安全ですという気持は持っておらぬと思うのです。だけれども、その時点で、合理化問題ですったもんだやって、最終的にこの問題も解決せなければいかぬということで、妥結点に到達してこれはやったんです。ところが今回こういう事故が起きたんです。それならやはり二名を一名にはずしたことが一体いいのかどうか、これも、一つの検討材料として、やるのに値する問題じゃないかということを私は言っておるわけなんです。別に、あなたが検討するとか、そのこともやはり考える必要があるなんて言われたから、一名が二名に戻るんだと私は言っておるわけじゃないのですよ。これも一つの検討材料となるのではないかということを申し上げておるわけなんです。そこをひとつ誤解のないように、おおらかな気持ちで御回答いただきたいわけなんです。
  53. 山村新治郎

    山村政府委員 先生の言われるのもほんとうによくわかるわけでございますが、しかし、現在のいわゆる国鉄再建、どのようなぐあいにしようか、再建案というものをお願いしまして、それが出てまいりました案を見ましても、まだまだ赤字の連続である。その合理化というところを考えまして、そこで、またそこまでの三者の——先生は、おそらく労働者側としては、不満のままにこれをのんだんだというような表現でございましたが、しかしそれにしましても、そこまで出た案を、またじゃ二名はどうだろうというようなところへ戻すのは、私は妥当ではないと思うのです。
  54. 後藤俊男

    ○後藤委員 よくわかりますと言いながら、わかった回答がこないもので……。ただ私、別に一名になったものを二名に戻そうという気持ちで言っておるわけじゃないのです。  たとえばあの問題を考えた場合に、もう一名おった場合には、一名がああいうていたらくでありましても、一名の者かあの事故を防ぐということもあったのではないかということを考える場合には、やはり二名を一名にしたということは、もう一ぺん検討する材料として大切なことではないでしょうか、これを申し上げておるので、別にあなたがこう言ったから、これまたそいつをあれにしてどうしようこうしようというような、ちゃちな気持ちで申し上げておるのじゃございませんから、その点はひとつわかっていただけましたか、いただけないか、その点だけでけっこうです。
  55. 山村新治郎

    山村政府委員 先生のおっしゃる意味はよくわかりました。
  56. 後藤俊男

    ○後藤委員 じゃ山中長官にひとつお尋ねいたします。  今度の交通安全施設等整備事業五カ年計画でございますが、この計画の規模、さらに交通事故防止上の効果というのは一体どうだろうか、これをひとつお尋ねいたします。
  57. 山中貞則

    山中国務大臣 規模としては二千九百三十億、大体まるめて考えておりますが、そのほかに地方単独の安全施設等の事業費として、公安委員会の九百二十億、道路管理者約一千五百億、こういうように中身はそれぞれこまかいものがございます。  これが効果でございますけれども、一応私たちとしては予測的と申しますか、そういうもので一応考えてはいるわけですが、四十五年の交通事故の実績と申しますか、現実は歩行者が五千九百三十九名、その他が一万八百二十六名、計一万六千七百六十五名の死亡者を出しておるわけであります。これらを、もしいまの程度で何にも設備をしないで、そして自動車がふえるにまかせる。保有台数が一万七千台から、昭和五十一年に約二万九千台ぐらいまでふえるだろうという見通しだけでほっておいたらどうなるだろうかという、試みの趨勢値をはじいてみますと、四十五年の死亡者のトータル一万六千七百六十五人は、二万一千人ぐらいになるのではないか。そして内訳は、歩行者が八千三百名でその他が一万二千七百名に達する、のではなかろうか、こういうふうに一応予想いたしまして、今回の諸般の施策、まあこれには、規制面とか教育分野までを考えていかなければならないと思いますけれども、一応安全施設の問題だけで見ますと、今回の計画を実施していった場合には、昭和五十一年には、ほっておけば二万一千名の死亡者が出るはずのものが、一万四千五百名にとどめられるのではなかろうか。したがって、いまの一万六千七百六十五人の実績よりも減らしたいという願望であります。その際に歩行者は、歩行者事故半減ということを政策目標にいたしておりますので、われわれの期待値は、三千六百人ぐらいにとどまってもらえるのではなかろうか。したがって、差し引きの一万九百人がその他の死亡事故となって出てくるであろう。これの減少率はトータルで三〇・八、歩行者で五六・一、その他で一四・一のそれぞれパーセントというぐらいの、一応の見通しを持ってやっているわけでございます。  これらのことが、私たちの期待どおりまいりますることを念願いたしておりますし、期待どおりまいりましても、なおかつ死亡者というものは相当数出るわけでございますから、この平和なわれわれの日本において、公害がいろいろやかましいのですけれども、これも死亡者という最悪の事態から見ればそうたいした数の問題ではありませんし、今後そういうことはゼロにしなければならない。しかし、交通事故だけは、わが平和な日本において、やはり交通戦争という名前をわれわれがつけて挑戦しなければならない実態がなお残るということは、これに対して、単に交通安全五カ年計画を立てたから、それで事が終わるものではないんだということをわれわれに示しておる、無言の教訓をたれておるものと考えておるわけであります。  したがって、各省それぞれの行政も総合しつつ、たとえば道路等については、道路建設だけを重点にいたしておりましたが、それもこれからは五カ年計画で、一年ずれた安全施設の四十六年度を初年度とする五カ年計画を策定すると同時に、警察庁の主として公安委員会関係の五カ年計画も、来年からは計画自体も一緒にドッキングすることにいたして、対応する五カ年計画にいたしております。  さらに運輸省踏切道、これは建設省と両者合わせた計画でありますけれども、これもやはり五カ年計画というものと対応して、それぞれの三者を、私どもの交通対策本部で総合的に年次計画を調整しつつ、これらの目標値の達成に全力を傾けてまいりたいと思っております。
  58. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま非常に詳しく御説明いただきましたが、去年交通安全対策基本法が制定されまして、それ以来、各市町村なり県なりにおいては対策が立案されておると思うのです。そうしますと、それらの施策と今度のこの整備事業に関する緊急措置法の一部改正ですか、これとの関連は一体どういうことになるのか、その点をお尋ねいたします。
  59. 山中貞則

    山中国務大臣 交通安全対策基本法は、文字どおり基本法でございますから、陸海空それぞれ私たちの国の交通の安全のために、基本法に基づいた会議を持ち、それらの計画を策定して進んでいくわけでありますが、ただいまの五カ年計画は、さしあたりそれの骨となるべきそれぞれの五カ年計画、しかもそれを総合的に効果が測定できるような予算上の措置、年次計画の配慮をしたいということでございますから、いわば、全体の基本法考え方の中に柱を立てていく際の、骨格になるものがこの五カ年計画であるというふうにお受け取りいただきたいと思います。
  60. 後藤俊男

    ○後藤委員 今度の警察庁関係予算でございますが、去年の予算分科会でございますか、山中長官といたしましては、来年については、交通安全の問題、たとえばこのままいくと、先ほど言われましたように五十一年か二年でございますか、一万二千人に到達する、あるいはその他いろいろ六通傷害の問題、これらについて半減したい、そこまでがんばって持っていくのだ、これは公明党のある代議士の質問にお答えになっておりました。また、四十五年の八月でございますか、そういり意気込みのもとに、警察庁としましても、三千数百億の予算を組みまして、五カ年計画が設定と申しましょうか、立案された。これは私以上にあなたはもっと詳しいわけでございます。  ところが、今回出されておる予算の内容等を目ますと、総額でも千六百億余りでございますか、予算的にも半減以下でございます。そうなってまいりますと、昨年あなたがお答えになったような諸計画、いわば交通安全に対する施策そのものが、はたして実行できるのかどうか、この点にやはり危倶を持つわけなんです。この点について、山中長官といたしましては、少なくともその決意というものは変わっておらぬと思うわけでございますけれども、予算的に、さらに中の施策といたしまして、どういうふうな考え方でやろうとされておるのか。私の聞くところによりますと、警察庁関係も、この交通事故防止に対しましてはほんとうに熱心に取り組んで、とにかくひとつがんばろうというようなことで、昨年ああいう膨大な子算を計上されたと思うのです。  さらにその当時のこの五カ年計画の内容を見ましても、とにかく交通事故防止するためには、思いきって財源を投入することである。これはその中にも書かれておるようなわけでございます。その辺のところが、われわれといたしましてもどうもはっきりしない点があるし、しかも所信表明を読んで見ましても、りっぱにこれは書いてあるわけなんでございます。別に、去年の五月のあなたの考え方と、今回の所信表明とは変わっておらぬと思うのです。ところが、予算的に見ると半減されておる、こういうふうに見受けるわけでございますけれども、そのことについて御説明をいただきたいと思います。
  61. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、まさに数字上は、言われるとおりの結果になりました。しかしながら、これが八月末の予算締め切りのあとに、追加で警察庁としては持ち出さざるを得ない予算要求になりましたので、大蔵としても受け取らないわけにはいかないし、受け取るとしても、対前年の予算実績の増加のワク内では、とても警察庁予算に入りませんので、特別会計ということででも受け取ろうかということで、まず大蔵に受け取らせました。ところが、特別会計は歳入というものを伴わなければなりません。現在のところ警察庁では、自動車トン税の何%かをもらうという見通しは立ちましたけれども、それは結果論でございまして、予算編成の過程においては、単独の交通安全施設のための歳入というものを持ち得ないということ等が具体的になるにつれて、やはりこれは、建設省道路の安全施設の五カ年計画とドッキングさせるのがよかろうということで、それも間に合わずに、来年から計画としては一緒になることになりました。ことしは両方五カ年計画は始まったが、予算はそれぞれ別についたような形になりました。その結果、総額においても、おっしゃいましたように、たいへん不本意な金額になったのであります。ただ、予算要求の際の計画の中身においては、でき得べくんばそこまでいきたいという、警察のいろいろな安全施設の近代的な装置の理想像というものも描いておりましたので、それをある程度は落としても、交通事故、ことに歩行者の事故件数の半減ということの目標だけは達成したい。また、その意味で可能であるということもございまして、私のところにたびたび道路局長あるいは警察庁の交通局長、あるいは両者同時にまいりまして、何回も何回も大蔵との間に調整をいたしまして、現在のようなスタートを切ったわけでございます。しかし、私としては、やはり施設というものはどうしても金を投じなければなりませんし、また国の金だけでは、先ほど内訳でも申しましたとおり、地方に対しても相当な負担をしいることになりますから、これから特定財源というようなものをもっと考えていく必要があると思うわけでございます。  ここで申し上げるのは少しまだ早過ぎると思うのですけれども、現在の自動車の免許証を持っております人たちというものは、自動車を実際に運転しない人も、持っていない人もおるわけですけれども、しかし、交通事故から見れば、いつ加害者の立場になるかもしれない、その意味のライセンスをとっておるということも言えると思いますので、これらの発行手数料以外に、年当り一千円とかなんとかという金額のものを、交通安全施設のために賦課するということもあっていいのではなかろうか。そういうような特定財源を持ちますと、この五カ年計画も、もう少し金額的に見ても実のある仕事ができるようになるのではなかろうか。いまの歳入の体制だけでは少し困難であろうという気もいたしております。  しかし、われわれの悲願である、何としてでも走る凶器から守るべき命、自転車に乗っておる人も含めた歩行者、総括的に歩行者の死亡事故件数を半減したい、この挑戦目標だけは絶対におろさないという決意を持っておるわけでございます。
  62. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま長官説明されたのは、警察庁から出てきました予算が八月ないし九月になって間に合わなかった。間に合わなかったけれども、できるだけのことはひとつやっていきたい。来年度については、自動車新税がまあ何とかなるだろうから、その時点においては十分考えていきたいというふうな説明であったかと私も聞いておるわけでございます。  さらにいま運転免許の話がありましたけれども、それはそれで別問題にしておいていただいて、はたしてこの半減された予算で、いま長官が思っておられるような、交通安全に対する熱意を持っておられる警察庁そのものの方策というものが推し進められるかどうか。長官の先ほどの話のように、この交通安全対策の問題は、公害と匹敵して国民としても重大なる問題だと私は思うのです。交通戦争といわれるゆえんもそこにあろうと思うわけでございますけれども、いまのように、予算は半減されるとなってまいりますと、交通安全問題を特に先頭に立ってがんばろうとしておられる警察庁といたしましても、その気持ちの上で半減されてしまう。一体、なぜ国が思い切って予算を投入しないのだ。三千七百億要るのなら三千七百億円出せばいいと思うのです。国民の多くの皆さんを、交通安全でお金を使い過ぎるというような批判はないと思います。一体なぜ国が思い切って投資をしないんだろうか。半減されてしまって、このまま死亡事故なり傷害事故か、さらに増加の一途をたどるというようなことになってまいりますと、重大な問題になろうと私は思うわけでございます。財源のことでございますから、いろいろ考え方もあろうと思います。いろいろな考え方があって、四十六年については、財源は少ないけれども、こういう方向で強くやっていけるのだというような説明の材料があれば、具体的にひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
  63. 山中貞則

    山中国務大臣 具体的には警察庁のほうから答弁させますが、これはやはり施設面だけでなくて、いろいろな規制面その他も相当効果があります。昨年から、昭和五十年に半減という目標を立てたわけでありますが、過去の死亡事故の実績を見ますと、総死亡者に対する歩行者の死亡者件数というものは、昭和四十年に四七・七%でありましたものが、逐年ふえ続けて、四十四年には四八・  一%まで上がりました。死亡件数の中で、まさに二分の一近く走る凶器から被害を受けておる。そういうきわめて危険な、放置できない状態にあったのですが、昨年からいろいろの施策対策本部で打ち出しまして、それが、警察行政でございますので、末端までおりるのには、警視庁なり各県の公安委員会等いろいろ順序がございまして、なかなか一ぺんには実現をしないものもございましたし、おくれたものもありましたが、その結果として、四十五年の実績は、死亡の件数は若干ふえましたが、全体の比率から見れば、四十四年の四八・一%、また四十年、五年前の実績も下回りました四七%にダウンをいたしました。ですのでこれは予算としては、新しい五カ年計画を立てる前の年次の減少率でございますが、やりよういかんによって、このような数値を求め続けていくことは可能であるというふうに私は考えます。しかし、金がなくては、設備をつくれなくては、それも気力だけではだめだという点もよくわかりますので、これは、警察の実務官庁と今後も十分相談をしてまいるつもりでございます。
  64. 後藤俊男

    ○後藤委員 この問題については、これからの長官をはじめとする努力と申しましようか、このことも非常に大事なことであろうと思いますので、ぜひひとつお願いをいたしたいと思うわけです。  その次には、この交通安全施策の中で、新しく交通管制センターというのがあるわけなんです。この交通管制センターの持つ効果と申しましょうか、一体どういうききめがあるのか。さらに、この交通管制センター整備は一体今後どういうふうになっていくのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  65. 片岡誠

    ○片岡政府委員 交通管制センターと私ども申しておりますのは、今日の都市における複雑な交通状況の刻々の変化に即応しまして、科学的かつ体系的な交通の管理を行ないたいということで、設置することにいたしたわけでございます。  機能と申しますのは、交通の量あるいはその交通の混雑の程度あるいは交通事故など、道路交通上のいろいろな情報を一元的に集約して把握をする、そしてそれを分析いたしまして、一つには、信号機なり道路標識なりを自動的に制御いたします。あるいは遠隔手動制御をいたしまして、交通が安全であるとともに円滑に流れるというようなことをやりたい。それからまた、現場の警察官に対しまして、一斉に指令をして交通整理をするなり、あるいは事故の処理の応急措置をとっていく、こういう機能も負わしたい。  さらに、その管制センターに、報道機関からの人の派遣も求めまして、ラジオを通じて、カーラジオに交通情報を広報する。そうして自主的に道の選択もしていただく。さらに、その交通管制センターで集積されましたいろいろなデータを整理し分析いたしまして、それを関係の行政機関、これは道路管理者なり、あるいは運輸行政の担当者あるいはその他に通報いたしまして、それによって、それらの行政機関がこれからの行政をやっていくのに参考になる資料も提供したい、そういうものを考えております。  先般の、先ほどお話がありました三千七百億構想の場合には、五カ年で全国にそのセンターをつくろうという夢を持っておりましたけれども、約半分ばかりに規模が縮小いたしましたので、とりあえず、都市的形態の強い大都市をかかえておる府県から、逐次整備していきたいということで、現在千六百億の規模の計画の中では、二十八都府県を考えております。
  66. 後藤俊男

    ○後藤委員 時間があと二、三分しかございませんので、また予算的な問題で長官にちょっとお尋ねするわけですが、第六次の道路整備五カ年計画、これは四十五年から四十九年までの五カ年計画があるわけです。この予算は十兆三千五百億円でございます。これと、今度道路管理者計画しておられるところの交通安全施設等整備事業五カ年計画、これは予算的には三千七百五十億円でございますか、これとの関連は一体どういうふうになるかということが一つ。  それからもう一つの問題といたしましては、先ほどから長官は、歩道の問題その他いろいろ言っておられまして、それもまことに大事な問題だと思いますけれども、自転車道の問題です。この自転車道を今後どのように整備していかれる方針であるか。この二つをお尋ねいたします。
  67. 山中貞則

    山中国務大臣 道路整備五カ年計画十兆三千五百億というものと、今回の道路交通安全の予算との関係でございますが、四年目までは、これは表裏一体をなすものとしてセットできるわけですけれども、一年ずれると私が申しましたとおり、安全のほうの五カ年計画の五年目は、現在の道路五カ年計画では、その年次が、一応計画上は切れた六年目に当たるわけでございますから、そこらのところは、まとめて安全施設の予算では五カ年間の総額をきめましたけれども、その六年目、道路五カ年計画でいえば、六年目に当たる最終年度の安全施設の予算は、予定される次の道路五カ年計画を拘束するものではないということで、大蔵省に一応予算として五カ年計画をセットすることを認めさせておるわけであります。これは逆に言うと、現在の道路五カ年計画の済んだあとの一年分の安全施設の予算が、次の道路五カ年計画を策定づけるものではない、その比率でもって、新しい五カ年計画が、当然のこととして大蔵省を拘束するものではないという大蔵省の立場を認めることにいたしました。しかしながら、反面、大蔵省は、そのことを条件として、安全施設の五カ年計画はずれ込んだ一年も含めて認めましたので、その意味では前進であろうかと思いますが、その食い違いは、いずれ道路五カ年計画が完全に五年間続いた例はどうもないようでございますし、かりに続いたとしても、やはりよりよき五カ年計画になるわけでありましょうから、先細りをするおそれはないだろうと考えておる次第でございます。  第二点は、ちょっと専門的でございますから、事務当局からお答えさせます。
  68. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 第二点の自転車通行者の安全確保ということでございますが、御承知のように、わが国の交通事故によります歩行者、自転車通行者の死亡事故は、ここ数年来、交通事故死亡者全体の約半数を占めております。昭和四十五年におきましては、警察庁の統計によりますと、歩行者で五千九百三十九名、自転車通行者でもって千九百四十名の大きな数字になっております。このため、交通安全施設等整備事業五カ年計画におきましては、道路交通において弱い立場にあります歩行者の安全性を確保をするために、歩道の整備に最重点を置いているわけでございます。同時に自転車通行者の安全確保につきましても、特に配慮いたしまして、自転車道法の制定を行ないましたり、それから道路構造令の改正を行ないまして、車道に接続して設けます自転車道であるとか、あるいは自転車・歩行者道路整備、それから自転車の専用道路とかあるいは自転車・歩行者専用道路というふうなものを大幅に取り入れまして、整備をすることにいたします。そういうことをいたしまして、先ほど長官からお話がございましたように、歩行者の事故を半減する目標とともに、自転車の通行者の事故死も、できるだけ少なくするように配慮したいと思っております。
  69. 後藤俊男

    ○後藤委員 終わります。
  70. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 宮井泰良君。
  71. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、先ほどからも議題にのぼっておりますが、近年交通事故が年々急増しておるということにつきまして、欠陥ドライバー、そういったところにしぼりましてお尋ねをいたしたいと思います。  その前に最初に、ことしに入りましてから、全国の交通事故死者は、昨年の時点よりももうすでにはるかに上回っておると私は聞いておるわけでございます。この出足から見ますと、本年は、また昨年を大幅に上回る史上最高になるのではないか、かようにいわれておる。まことに残念なことでございますが、この点どのように見られておるかお伺いします。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 基本的に私から考え方を申し上げます。  道路、ことに高速道路等の発達、さらにドライバーを含めた自動車運行数の増加というものが、必然的に、やはり走る棺おけ型の交通事故の激出をいま見せておるわけでございます。アメリカでは、すでに走る棺おけ型の交通事故であるということは定着してしまっておりますが、わが日本も不幸にしてそういう方向に進みつつあるわけでございまして、そのようなことを考えますと、この死亡者の絶対数というものを減らしていくということは、今日の時点で、残念ながら現実にはむずかしいのではなかろうか。うかうかすると、毎年毎年史上最高という数字を積み上げていくことになりはしないだろうかということを現実に考えているわけでございますので、これからの道路をつくります場合等については、当然安全施設というものが、新設道路はもちろんでありますが、既設の道路等についても、指定道路の市街地部分については五カ年で一〇〇%の歩道をつくれば、実際上曲芸みたいに自動車が飛び込んでこない限りは、大体そこの個所においては死亡者はないといということは常識であります。また自動車についても、これからの話の問題に入っていくわけでありましょうが、自動車そのものの事故を減らすためには、酔っぱらい運転等の昨年のきびしい法的正を踏まえた、発生を予測できる事故防止にみんながつとめること、そしてさらに、自動車そのものが新しい高速道路その他に乗り込んだ場合に、運転の上の心がけもずいぶん違うんだそうでありますけれども、自動車の構造等からも、そういう事故が、不測の事故件数として積み上げられていくことのないように、あらゆる面から努力をしてまいらなければならないと思います。  ただいまのお話のように、毎年史上最高を繰り返すことは、死亡者数でありますから、文明国家としてまことに恥ずかしいことでありますので、われわれは、それを断じて退けるあらゆる手段を行使しなければならぬという覚悟だけを、冒頭に申し延べさせていただきます。
  73. 宮井泰良

    ○宮井委員 せっかくの総務長官のお答えでございましたので、重ねてお伺いします。もちろん交通安全施設その他の整備、これはもうもっともでございます。いままでおくれておったわけですから、これから取り戻していかなければならない道路整備、また警察庁の交通管制システム、これが先ほどからも議題になり、ほとんど予算化されてない、これは私は非常に残念に思っておるわけであります。確信をもって死者を半減できるということでもって進めておったのが、全く予算がないということです。  そういう安全施設ももちろんですけれども、せんだってこの委員会で、私は、もう一つの観点で、車の増加に従って死傷者数もふえてきておるということで、車の生産台数は、昭和五十年までに三千五百万台あるいは二千九百万台と各省によってばらばらであって、全然まとまってない、このように話をしたわけでございます。そういったものを総理府として、大体五十年までのびをどのように一本にまとめて見られておるか。あるいは車の規制について、生産を、マイカーをこれ以上野放しにしておいていいのかどうか。外国においてこのような例がないから日本ではできない、そういう考えがあるそうでありますが、アメリカなどは広大な土地があって、そしてその中での車ですが、日本はもう狭い土地の中で車がひしめき合っておるということで、東京都でも一たび地震があれば、この車が次々に火を吹いて、非常な重大事故につながっていくということでございます。この二点について、車の生産台数はこのままでいいか、あるいはこの五十年まで、どの辺までの伸びを目途とされて、そうして交通総合体系の交通事故絶滅に対して計画を立てられておるか。この点をお伺いします。
  74. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、実は交通反則金制度をつくりますときに、一体それの収入が幾ら見込めるかという議論をしまして、通産省と運輸省建設省から、それぞれ自動車の台数の伸びをとりましたところが、各省全部違うのですね。これはそれぞれの役所によって見方が違うわけでありましょうし、通産省はメーカー側の強気といいますか、そういう生産計画の見通し等を立ててのことでありましょうし、それぞれ違います。しかし、大体において各省の意見を調整しまして、いまのところ二千九百万台もしくは多くても三千万台、これは推測でありますからそれぐらいのところであろう。それを前提として、われわれとしては交通事故の減少に対して努力をするということを目標にしておるわけでございます。  御質問のもう一点は、これは高度の判断の問題でありましょう。車の生産を規制するかという問題は、これは国民のある意味の、カーつき何とかつき何とか抜きということを夢として言っておりますように、月賦であっても、自分も自動車を持てるようになりましたと故郷にたよりを書く子供たちがいることは、これはもう否定のできないことでありますし、やはり、みんなが快適な生活を求めるための手段として、自動車というものは切っても切れないものとしてほしがる、それを押えることはなかなかむずかしいと思います。  そこで、国の政策判断として、自動車の生産台数そのものも押えていくんだということはなかなか言いにくい、決定しにくい事柄かと思います。しかし自動車産業をめぐる環境は、アメリカのマスキー法案の一九八十年の、ニクソン大統領の懸案であったものか、七五年と全会一致でもって上院で決定されたものを、最終的に大統領が決裁せざるを得なかった。それ一つを見ましても、国内の自動車の輸出産業の、アメリカにおける分野というものは、単にアメリカの市場だけを締め出されるわけではなくして、カナダやあるいはヨーロッパにまで波及するところでありましょうから、日本自動車産業というものは、国内の各種の新しい自動車トン税等が加味されることに対する国内の需要の若干の頭打ち、あるいは成績の下降というようなことに伴って、対外的にもきびしい公害からの環境改善を求められておる業種の一つでありますから、自動車産業は、いままでのようなスピードで、客観的に恵まれた産業として成長を続けていくこと、そのことはなかなかむずかしい産業ではなかろうか。しかし、日本人の英知でそれを克服することも可能でありましようから、そういう意味では、客観的な情勢は、今日までのような自動車台数の伸びは鈍化するであろうという、ある意味の期待値はあろうかと思います。
  75. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、先ほども申し上げましたが、ことしも史上最高になっておるということでで、政府交通安全対策の実効というものがあがっていないんじゃないか、私はこう思うのですが、本年末あるいは来年に至って、ほんとうに実績が必ずあがるということをはっきりと言い切れるかどうか、その点をお伺いします。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、もうそうしなければならな、至上命題でございます。いつだれがどこで加害者になり、被害者になるかわからない。しかも運転している人も大体若うございますから、加害者も被害者もともに悲惨な結果として、交通遺児の問題等も議論されておりますので、これは、われわれは政治家として絶対に逃げてはならない、対決していく目標であると考えます。  先ほど御答弁にも申しましたように、自転車を含めた、いわゆる自動車の走る凶器としての犠牲者のパーセンテージが四十年の四七・七%から、四十四年は四八・一%まで上がってまいりましたが、われわれのあらゆる、各省を通じての努力というものによって、一応四十年の実績をも下回る比率の四七%にダウンせしめた結果が出ておりますので、これに力を得て新しい予算計画その他等も、これは強力にドライブをかけることによって、われわれはぜひともこの悲願を達成したい、しなければならぬと考えておる次第でございます。
  77. 宮井泰良

    ○宮井委員 その議論はその辺までにいたしまして、具体的にお伺いしますが、公明新聞二月十七日号に「千葉県市原市の交通刑務所をたずねて」という記事が出ております。この交通刑務所に、三十八年以来今日までやっかいになったといいますか、そういう人が延べ約三千人。過失内容は酒酔い運転、前方不注意、無免許、無理な追い越しということになっておりますが、大体酒酔い運転が最も多いわけでございます。全体の約三分の一を占めておるということで、昨年度道交法改正で酒酔い運転が非常にきびしくなったわけでございますが、あの時点から今日まで、この酒酔い運転の違反がどのような実態になっておるか。非常に減少しておるかといったことをお尋ねします。
  78. 片岡誠

    ○片岡政府委員 酒酔い運転の検挙の状況を申し上げます。四十三年には十一万六千九百八十七件でございます。四十四年にはそれが一三万五千百四十一件、一五・五%増でございます。四十五年には十二万六千二百二十三件で、これはマイナス六・六%でございますけれども、単純な酒気帯び運転が、法改正によりまして処罰されるようになりました。これが四万八千百五十二件でございます。そういう件数でございます。
  79. 宮井泰良

    ○宮井委員 それではまあ数が減っておると見ていいと思いますが、この酒酔い運転というのが非常に多いわけでありまして、私も、せんだってこの交通安全対策委員会の視察で、新宿の酒酔い運転の取り締まりのところを見せていただきましたが、見ておりますと非常に罪の意識がない。非常にりっぱなスポーツカーに乗って、りっぱな服を着て、生活が豊かで、もう見ておりますと女性を乗せて、十一時ごろになりますとどんどん新宿のほうから出てくる。こんなスポーツカーがどこにあったのかというようなものがどんどん出てきまして、飲んでおったって、平然として風船をふくらませておるということで、まあ罰金を払えばいいんじゃないかというような一般のドライバーの感覚。この市原の受刑者でも、大半が過去に行政処分程度の違反歴を持ちまして、中には三十三回の違反者もいる。罰金を、運転者が払う税金くらいにしか思ってないようなことでありまして、そういうことに対して、ドライバーへの教育のシステムに問題があるのではないか。酒を飲めば、もう車自体が凶器になるのだということを、もっと徹底して教えていかないといけない、私はこのように思うわけでありますが、その点の見解をお伺いします。
  80. 片岡誠

    ○片岡政府委員 全く同感でございます。運転者の教育の場として、入門教育としての教育もございますし、違反者講習もございますし、更新時の講習もございますので、そういう機会を通じて、飲酒運転の危険さとその無謀さ、また、多くの人たちに対して危害を与える可能性が非常に多い点を、今後も教育を続けてまいりたいと思っております。
  81. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点をひとつ具体的に、どういう書物を通じたり、どういう教育の場でやっておるということをお尋ねします。
  82. 片岡誠

    ○片岡政府委員 教育の場としては、先生御承知のように、一番初めに指定自動車教習所の教育がございます。指定自動車教習所に行かないで、直に試験を受けに来る運転者も若干ございますけれども、指定自動車教習所の教育の場において、あるいは免許の更新をいたしますときに、その更新時の教育、さらに違反または事故を起して行政処分を受ける人、その人たちに対する教育の場もございます。大体教育の場としてはその三つが考えられております。  それから内容なり媒体でございますけれども、先般の委員会でもたしかお配りいたしたと思いますが、「みんなが守る交通法規」といったようなパンフレットなり、あるいは、違反者教育に使っております交通安全の「安全運転の知識」というパンフレットもございます。さらに、これは地方によって異なりますけれども、更新時または違反者講習の場合に、交通事故にあったというそういうショッキングな場面の映画あるいはそのスライド、それから、飲酒運転の場合のそういうスライド、映画、そういう視聴覚教育を使いましての教育を現在いたしております。
  83. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、ひとつしっかり教育をしてもらいたいということを要望いたしまして、次に、同刑務所におきまして、受刑者を対象に、ドライバー適性検査を行なっておるわけでありますが、昨年六月、受刑者三百二十四人に対して行なった検査では、合格者が四三%、要注意者が三十八%、不合格者が一九%、運転適性に問題のある人が、これの実態でいきますと六割弱もいるということでございますが、この実態を御存じであったかどうかお伺いします。
  84. 羽山忠弘

    ○羽山政府委員 それは、市原刑務所におきまする科学的分類調査の結果判明いたしておることでございまして、承知いたしております。
  85. 宮井泰良

    ○宮井委員 このような不合格者が一九%もいる。このような者がどんどん免許証を取って運転してきておったということ自体、私はこれは問題だと思うのですね。だれでも免許証が取れるというふうな、そういうシステム自体が事故を多くしておる。このような実態ははっきりとまた後ほどでも申し上げますが、適性検査をして、そしてやっていかねばならぬ、このように思いますが、いかがですか。
  86. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私どもも従来からの懸案と考えております。ただ、免許を与える前の段階、つまり、試験の段階で適性の検査というのがございますけれども、御承知のように、現在、その適性検査は、視力あるいは手足が完全であるかどうかということを調べておるにすぎません。精神病者の問題あるいは性格的に運転に不適格な者、そういう不適格者をいかにして識別するか、しかも、大量な行政でございますし、わずかの時間の間にそれを識別するという問題でございます。それで、警察庁といたしましては、科学警察研究所に調査、研究を指示しまして、昭和四十一年以来ずつと研究を続けてきておりますけれども、現在まで一応ペーパーテストもできております。しかしながら、その信頼度は大体八十%ぐらいだというのが現状でございます。したがいまして、このペーパーテストだけによって、不適格であるときめつけるわけにはまいらないというのが現状でございます。将来とも不適格者の排除、しかも、それを大量に短時間中にテストできる方法の開発は続けたいと思いますけれども、まだ完全な域に達しておりません。ただ、しからば、全然それが役に立たないかと申しますと、そうではなくて、違反を繰り返したり事故を繰り返したりしている人、先ほど申しました行政処分を行なう対象になるような人については、このテストをして、テストの結果によって、この結果だけでは排除いたしませんが、欠陥のある点を指摘をして、再教育に使っていったり、あるいは業としてハンドルを握っている運転者につきましては、使用者からの依頼を受けて性格テストその他をやって、場合によって不適格ということが、相当過去の事実からしても、また、テストからしてもきめられる人については、配置転換をするとか、そういう面ではこのテストも現在利用価値があろうかと思っております。
  87. 宮井泰良

    ○宮井委員 詳しい御説明でありましたのであれですが、さらに同じ問題ですけれども、適性の不合格の人に、あなた、よく免許が取れましたねと、このように聞きますと、なに、七、八回受ければだれでも取れますよと、こう言ったというのですね。七、八回受ければばかでもちょんでも取れますよ、こういうことを言うこと自体、私は問題であると思うのです。運転不向きな人の中にも、出所しましたらまた運転したい、もうあなたは不合格というのに、運転したいと言う人が、全体の六割もいる。また乗るんだというふうなこと、こういう点についてどう考えられますか。
  88. 片岡誠

    ○片岡政府委員 先般の改正では、従来は取り消しというのは一年の効果しかございませんでしたが、それを三年にまで延長いたしました。それから、それは一般的な問題でございますが、精神病者であるとか、アルコール中毒者であるとか、麻薬常習者であるとか、そういう明らかな欠格者につきましては、免許証を与えないという制度もございますので、現在考えておりますのは、そういうことで抑制をしていきたい、そういうふうに考えております。
  89. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、くどいようですが、国語のテストですね、この人たちに国語のテストをやると、何回やっても、ゼロ、知能テストでは普通以上は半分以下の四三%、それで、また二度と運転しないという反省組が四五%しかいない。これは人権問題やいろいろな問題がありますからむずかしい問題であります。けれども、精神鑑定あるいは衝動反応ですか、私は詳しく知りませんが、衝動反応、そういったものが必要でないか、このように思いますが、いかがですか。
  90. 片岡誠

    ○片岡政府委員 いまお話しになりましたように、交通事故を起こして、しかも無謀な運転に上る交通事故を起こして刑務所で実刑を受けていろような人、そういう人たちがまた免許を受けにくるような事態になった場合には、私は問題があろうと思います。ただ、そういう大きな事故を起こした場合、特定の人については、専門の精神病の医師の診断を求めて、そうして一定期間の観察のもとに、これは不適格であるというような判断が医師から出た場合には、免許を与えることを留保していくというようなことは考えていきたいと思っております。
  91. 宮井泰良

    ○宮井委員 総務長官、ただいまの話で大体あれですが、こういった不適格者に対して、ここの交通刑務所の約六割おるこういった人々に対して、検討をしていただいて、そうして十分な処置をとっていただく、また、打たねばならない、かように思うわけですが、御見解をお伺いします。
  92. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほどから非常に興味深くその経過を聞いていたのですけれども、これはどうも聞きしにまさる実態ですね。ことに、知能指数の問題等もそうでしょうし、欠格者と明らかにわかっている者が免許を取っているというような実態等は、これは何らかの手段においてチェックいたしませんと、自動車そのものが、いつ人を死傷させるかわからない凶器としての性格があるということは、たびたび申しておりますとおりでございますから、それにハンドルをゆだねるということは、まさに人権の問題とは別な意味において、他の不特定多数の人権が侵されるということになるわけでありますから、これは十分それらの免許証発行業務、あるいは試験業務等に携わる者のあり方、あるいは現在の自動車教習所等のあり方というような問題について、メスを入れる必要があるということを痛感いたしました。具体的にいまここでどうしようという、お示しできるほどの対案は持ち合わせてはおりませんが、たいへん参考になりました。
  93. 宮井泰良

    ○宮井委員 この所の人たちも、私どもとしては服役中に安全運転を徹底的にたたき込んでおるけれども、再免許を取ればどうにも拘束できないというようなことも言われております。そこで、そういった交通刑務所内の人々だけではなくして、現行の免許制度の問題については、再三検討されておると思いますが、このたびの新しい道交法改正で、この免許制度を十分勘案しておられるか、この点をお伺いします。
  94. 片岡誠

    ○片岡政府委員 現在成案の作成を急いでおりまして、近く国会に提出いたしたいと思っております道交法の一部改正の中では、運転者の問題につきましては次のようなことを考えております。  一つは、運転者の入門教育であります。試験を受けるまでの教育を強化していきたい。と申しますのは、現在指定自動車教習所に行って教育を受けている人たちは約八〇%ばかりございますが、これは正規の教育を受けております。しかしながらどこかで練習をして直に試験場に試験を受けに行っている人たちは、いま御指摘ありましたように七回も八回も受けに行っておりまして、そういう人たちにつきましては問題がある。それで、現在指定自動車教習所では、路上教習を義務化いたしております。六時間ないし十時間の路上教習をやらしておりまして、現実に道路上で安全に運転できるかどうかということを見きわめていく制度をとっております。したがいまして、一発試験で受けてくる人たちに対しても路上試験を課す、しかも路上試験を受けるために、一定期間路上練習を義務化していこうというのが一つの構想でございます。  それからもう一つは、いま第一線では更新時に事実上の講習をやっておりますけれども、これを義務化していくということによって、三年に一回は講習を行なう。その三年の間に道路交通法の改正もございますし、交通事情も変化してまいりますので、更新時には講習を義務化していくというようなことも考えております。
  95. 宮井泰良

    ○宮井委員 問題があと先になるかもわかりませんが、また先ほども局長からちょっと話がありましたが、この人がドライバーとして適性を欠いているかどうかということを厳密にチェックする方法、これがいわゆる欠陥ドライバーであるという定義ですね。こういうものはできておるのですか。
  96. 片岡誠

    ○片岡政府委員 これは、学門的に詰めれば詰めるほど非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。ただ、それでは何が欠陥ドライバ一であろうかということを学者先生たちに伺いますと、非常に常識的な答えが返ってまいるわけでございますが、それは何かと申しますと、一定期間運転をしておって、違反も事故も一回も起こしたことのない者、それを一応安全な運転者と推定すべきである。違反なり事故を繰り返して起こしている人たちは欠陥ドライバー、危険なドライバーであると推定するのが、一番常識的であり正しいのではないかという状況でございます。しかしながらそれは、すでに免許を与えてハンドルを持たして、そのあとを見ていくことになります。それだけではどうしても問題が残りますので、まず、免許を与えハンドルを握らす前に、何らかの形でその欠陥ドライバーを抽出する方法はないであろうかということで、私ども研究を進めております。  先生いま御指摘の知能指数が非常に低い、精神薄弱者のような場合、これは現在の道交法の法令試験もなかなか通りません。四十回、五十回受けて通らないという人があるようでございます。そういう精神薄弱者の場合は、それである程度チェックできておると思います。  それから精神病者につきましては、御承知のように、一次試験を受けに来るときに精神病でないという証明を持たす方法をとったことがございます。しかし、これは非常に無理な行政であるということで、撤回した経験を持っております。精神病専門医に伺いましても、一回のテストで精神病者であるという判定をするのは非常に危険である、ある一定期間観察を続けなければ、精神病かどうかという判断はできないというのが定説のようでございます。いわんや、精神病者でもなし精神薄弱者でもなし、ただ心理的に不適格である、あるいは生理的に不適格であるという者につきましては、先ほど申しましたように、まだまだ科学的な研究も不十分であり、したがってそのテストにつきましてもも、信頼度の高い、これならだいじょうぶというものができないのは残念に思っておりますけれども、しかしながら、そういうものを開発するように今後も続けてまいりたいと思っております。
  97. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは総務長官にお伺いします。いま話がありましたようにむずかしい問題と思いますが、何か判断になるような基準を早急に——いま言うたように、事故をたびたび起こした者が欠陥者だといえば、事故が起きてしまってからのことでございますので、その点を検討して、早急にきめてもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  98. 山中貞則

    山中国務大臣 交通対策本部もそこのところまで指揮するわけではございませんが、しかしながら、事重大な問題でございますので、これは実際に運転をしないで、車を保有しないで、免許証だけ持っておる人たちを含めての潜在的な脅威に対する問題でございますから、基本的人権をそこなうことのない範囲で、チェックの手段として、どのようなことが行なえるものかどうかについては、警察当局を中心に十分検討さしてみたいと考えます。
  99. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、参考のために一点だけ法務省に聞きますが、市原の交通刑務所は、夏になりますと収容者が急激にふえるというのです。冬は少ないそうです。ところが事故を見ますと、夏のほうがやや多いですけれどもあまり変わりないのですね。そうしますと、これははっきりしたあれじゃないですけれども、夏休みのある裁判官が、休暇の前に裁判の決着をつけようとしてやってしまうのではないかというのですよ。事実だとは言っておりません。そういうわさもあるということで、したがって、夏になりますと収容者がだんだんふえてきますから、基準をきびしくして一般の刑務所のほうへ入れるというようなことはなかったか。そういうたとがあれば私は問題だと思うのですね。交通事犯だけの人を一般の刑務所へ入れる。私の知っている人で、交通事故の初犯で、本人は知らないのです。あとでその人が死んだということがわかった。車が行き過ぎてから、その人が転倒して死んだのを対向した車に目撃者がおって、たしかあの車が通ったということで、その人はひき逃げの犯人になってしまったのです。私は事実絶対はねてないというのですけれども、そこに通っておった車はその人しかおらなかったということで、本人は憤慨しておりますが、その人が一般の刑務所へ入っておるということになりますと、これは私は差別があるんじゃないかと思うのです。その辺は詳しくはわかりませんが、まあ普通の人は一般の刑務所へ行って、そして交通刑務所へいい人が来る、こうなっておって、刑務所でも二つに分かれておるというようなことも聞きましたが、その点はいかがか、お伺いしたいと思います。
  100. 羽山忠弘

    ○羽山政府委員 市原並びにこれに類似いたします交通事犯の集禁施設が、全国に約十ばかりあるわけでございます。御指摘のように、夏収容される人がわりあいに多いのでございます。これは、私どももどういうわけであろうかと思っておりましたところが、交通事犯を犯して禁錮等の刑になります方々は、保護環境等が別に特に悪いという人はあまりないわけでございまして、まあ、年末忙しいからとかなんとかというようなことで、もう少し延ばしてもらいたいというような御要望によりまして、刑の執行が陽気がよくなった時期に集中して行なわれてくる。そこで、たとえば市原でいたしますと約四百六、七十名の定員でございますので、陽気がよくなったころに殺到して入ってこられる。そこで市原がさばき切れずに、やむを得ず静岡とか宇都宮とかいうような、普通の刑務所のほうにお入りをいただくというようなことになっておるわけでございます。
  101. 宮井泰良

    ○宮井委員 まあ、これは私はこれ以上は言いません。しっかりひとつその点も十分見ていただきたいということで、最後に、時間が参りましたのので一言だけ……。  今回道公法の改正が新しく予定されておりまして、新聞で私あれしましたが、歩行者保護の観点から罰則を拡大していく、これはなかなかけっこうなことと思います。しかし急ブレーキをむやみにかけたり、あるいは不必要に方向指示灯を点滅したりということで罰則になるということですね。方向指示灯をむやみにやったりクラクションをむやみに鳴らしたり、急ブレーキをかけたりということですけれども、私考えるのは、こういうことは取り締まりのほうでどうしてそういったところを押えるかということですね。現場の警察官に対して十分な指導、それから人員ですね。それだけの人員の確保、こういったものがなければ、せっかく法をつくっても何にもならない、このように思うわけですが、その点をお伺いして終わりにいたします。
  102. 片岡誠

    ○片岡政府委員 法律改正をいたしますれば、第一線に対して十分改正の点の教育を徹底いたしまして、取り締まりに遺憾のないようにいたしたいと思っております。
  103. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 河村勝君。
  104. 河村勝

    ○河村委員 いま宮井委員が、欠陥ドライバーのことを実例をあげていろいろおっしゃっておられましたが、交通局長、免許を与える前に適切なる判定をする方法はないということを言われましたが、私は、それはないんじゃなしに、免許を受けるのが数が多いですから、それに間に合うようなものがない、そういう意味じゃないかと思うのですが、そうじゃないですか。
  105. 片岡誠

    ○片岡政府委員 仰せのとおりであります。一人の人に長い間時間をかけて徹底的にやるということであれば、相当効果はあろうかと思いますけれども、何ぶん量が多いことと、それから時間上の制約ということだと思います。
  106. 河村勝

    ○河村委員 それで、たとえば国鉄でやっておる運転考査かありますね。あれは精神機能検査をやる。あれでもって落第したらもちろん機関士や運転士にはしない。それの少し程度の悪い、合格はしても程度の悪いのは、やはり事故を起こす危険が多いですね。だから全部はとてもできないでしょうけれども、悪質な事故を起こした者は、刑務所に入るまでに至らざる者であっても、検査をやって欠格者はアウトにするということにすれば、それは一〇〇%免許前にはできなくても、それでもって再犯を防げるのだから、そうすれば十分実行可能じゃないかと思いますが、いかがですか。
  107. 片岡誠

    ○片岡政府委員 仰せのとおりだと思います。そのことにつきましては、御承知のように行政処分の対象となる人たち、それで免許の停止または取り消しをする際には、いろいろな機械を使いまししてテストはいたしております。それと、起こしました事故なり違反と両方から攻めて、どの程度の停止をするか、あるいは先ほど申しました一年、二年、三年と取り消し期間にも差がございますので、そういう判断の材料には使っております。
  108. 河村勝

    ○河村委員 ですけれども、この精神機能に欠陥のあるのは、何カ月おいたからそれでなおるというものじゃないのですね。これはもう先天的なものでなおらないわけです。だからそういう際に、ただ参考資料にするのではなしに、それでもって欠格と認定して、もう免許を与えないということぐらいまでは、私はいまのやり方でできるはずだと思うのだが、そこまではできないのですか。
  109. 片岡誠

    ○片岡政府委員 精神病者の場合と精神薄弱者の場合には、欠格者として免許を与えない仕組みになっております。したがって、そこに至らない程度の不適格者については、欠格条項ではない、こういうことでございます。
  110. 河村勝

    ○河村委員 精神病者やてんかんや精神薄弱者、これはもう法律ではっきりきまっておるわけですね。だから、それはあたりまえであるけれども、普通の仕事をやらせれば常人並みにやるけれども、運転という仕事には全く向かないというのはあるわけですよ。それを選び出して、それはもう今後与えない、そこまで私はいけるはずだと思うのだけれども、それはまだ自信ありませんか。
  111. 片岡誠

    ○片岡政府委員 一つの企業に人を採用するかどうか、あるいはその企業の中でどういう任務につけるかという場合には、確かに非常に有効に使えると思います。しかしながら、運転免許証を与えるか与えないかというときには、私はやはり信頼度の問題が——一〇〇%の信頼度があれはいいと思いますけれども、信頼度が八〇%あるいは九〇%というときには、人権の問題が若干残って踏み切ることがちゅうちょされるのではないかと思います。
  112. 河村勝

    ○河村委員 いや、それは何事にも絶対というものさしはありませんよ。精神薄弱者だって、そういうことをいえばどこからが精神薄弱者なのかきわめてあいまいですね。だから、そのぐらいのものはいまできるはずだと思うので、ぜひ御研究をいただきたいと思います。いまの宮井さんの問題に関連して、それをちょっと先に伺ったわけであります。  次に山中総務長官にお伺いいたしますが、法律と行政との関係について。  最近政府では、むやみに順法精神を発揮されて、国有農地の旧地主に対する払い下げなどについては、最高裁が迷惑するぐらい厳格に法律を解釈をして、それで国民感情に全く反するやり方を採用しておりながら、片一方交通規制なんかになると、十分なる法的根拠がないにもかかわらず、いいことはいいんだということでやっておるということなんですね。はなはだ私は遺憾だと思うのです。どういうつもりなのか、まず山中長官に国務大臣として、国有農地の払い下げ問題に対する、いまおとりになっている態度、方針をどうお考えになるか、それを、お伺いいたします。
  113. 山中貞則

    山中国務大臣 私も閣議の構成員でありますから、その際に、私自身は農林大臣のそのような説明に対して、それは公共用地に転用させるよう指導するとなっているけれども、強制力を背後に持っていない、それは明らかだということを指摘いたしまして、ただ、最高裁の判例というものがあるので、判例に明らかに違反すると憲法上指摘をされた農地法の政令、省令等については、直さざるを得ないであろう。しかしながら、これをそのまま野放しで返すということについては問題があるということを発言いたしまして、私の提案としては、農地法そのものの政令を改正して、そして、何らかの適正な評価によるもとの持ち主に返す手段を講ずるか、あるいは税制上、これは本来国有に帰するということの前提になって、ただ所有者だけは名義人が明らかであったにずぎない。しかしながら、結果、国有地にならなかったということによって、その人に返される場合において、所有権はその返された瞬間から発生したものとみなして、現在の土地の譲渡所得の特例である、五十年までの一〇%、一五%、二〇%の分離課税の特例の対象外とし、れを短期間所有の譲渡所得として重税を課するか、いずれかの手段をそれぞれの役所においてとられることが正しいことであるという発言をいたしております。しかしながら、そのことは、閣議の外に漏らす漏らさないという問題ではなかったわけでありますが、まあ私も一言居士などといわれておりますので、あまり自分がしゃべったことを、記者会見で一々そう言わないことに最近はいたしておりますけれども、私としては、前の日に、その問題が閣議にかかることを承知いたしましたので、その問題点について、あらかじめ先入観と申しますか、認識を持って臨んだわけで、そのような見解を述べておきました。それについては、次の閣議においてもまた同じような議論になりまして、結局、落ちつく先はそのいずれかの手段をとる以外に道はなかろうということで、現在党のほうでとるか、政府のほうでやるかについて、話が進んでおる次第であると考えておるわけであります。
  114. 河村勝

    ○河村委員 総務長官が、もとは認めて、害悪を減らすことに努力されたことについては、一応敬意を表しますけれども、だがほんとうは、その解釈そのものが間違いなんで、私も予算委員会質問して、同僚議員が確認したところによれば、最高裁は価格の問題までは触れておらない、はなはだ迷惑である、そう言っておるわけですね。そういうところまでやかましく言って一方でやりながら、交通規制なんかになると、そうじゃないのですね。  長官に伺いますが、ただいまやっております都市のバスレーン、バスの優先通行ですね、それと歩行者天国、ああいうものはいかなる法律根拠に基づいてやっているか御存じですか。
  115. 山中貞則

    山中国務大臣 一応は道交法の拡張解釈ということでやっておりますが、しかし現実にはこれを基礎つける法律はありませんから、今度の道交法の中には、それを明確に根拠を示したいと思っております。それは、しかしいいことであって、悪いことをしようとしておるわけではないと思うのですが、たとえば交通対策本部で決定をして流しましたもので、全国の小学校単位——人口二十万以上の都道府県庁所在地の都市において、日曜、祭日に限り、最小限小学校単位一本の子供たちの遊戯道路をつくれという指示についても、東京の警視庁はもちろんのこと、末端の都道府県までなかなかこれがおりません。たびたび報告を求めても、遅々として進捗をしていない状態であります。いろいろ聞いてみますと、法の根拠の問題も一つありまするが、警察もやはり民主的な警察という立場で、地域住民には非常に気を使っておるようでございますから、強制的になわを張って締め出すということもしにくい。地域住民の方々からそうしてほしいという要請か、あるいは父兄たるPTAとか、教育委員会の要請があれば、そういうことは簡単に、遊戯道路とか日曜、祭日の子供たちのためのみの自動車通行を遮断された道路、そういうものができますということでございますから、文部省のほうに頼みまして、教育委員会のほうから、所轄の警察署に必ず小学校単位に一本ずつ日曜祭日には子供たちのために道路を提供してほしい、こういうお願いをしておりますが、なかなかどうも法の根拠がありませんと、おりにくい問題で、私の満足すべき状態で、普遍的に定着していないことをたいへん残念に思っておるわけであります。法の根拠のないことをあまり押しつけてやっておるつもりでございませんので、その意味では御了解を賜わりたいと思います。
  116. 河村勝

    ○河村委員 どうも話が少し矛盾しておるのですね。実際バスレーンなんかうまくいっているのです。悪いことではないと私も思います。いま、いいことなら拡張解釈をしてもいいじゃないか、こういう答弁ですが、いまの農地の払い下げだって、いいことなら拡張解釈をして、時価で払い下げたっていいじゃないですか、いかがですか。
  117. 山中貞則

    山中国務大臣 まあ交通対策特別委員会における交通対策本部長の答弁といたしましては、河村、委員の御意見を拝聴いたしまして、法にないことを、いいことだからといってかってにやるということはしない、しかしながら、自動車の脅威という日常の生活から、せめて人間らしい、道路を開放してあげる、そういうことにはなるべく配慮をしたい。バスレーンも、通勤者のための優先ということで、大量輸送の貴重な都市運送手段であるということから、やはり地域の了解を得つつやっていきたいということにとどめたいと思います。
  118. 河村勝

    ○河村委員 少し農地のほうは見当違いですからやめますけれども、ですが法律改正をするチャンスはあったのですね。去年の暮れ、公害関係法律改正がありましたでしょう、道路交通法の。そのときに用途別の規制とか、あるいはその他広域的な規制、そういうものができるように条文を入れておけばよかったのですね。それをあわ食って、公害公害といって、天下に冠たる公害法案をつくろうなんて、数ばかりかせごうとするから、公害防止のためとかなんとかいう抽象的な規制の根拠になる文句を入れるためだけにあの法律をつくったのですね。ああいうのはたいへんなむだだと思うのですが、いかがでございますか。
  119. 山中貞則

    山中国務大臣 これも見方の問題で、私も公害担当大臣を命ぜられて、二カ月半であれだけの法律を各省それぞれ異論のあるものを引っぱってつくったわけであります。でありますから、あるいは足らない点もあったかと思いますし、どうせ道交法を改正するならば、ついでに交通安全対策の見地からの根拠、基準等も、やっておることぐらいは法制化したらどうかというのが今日正論だと思います。しかし公害国会の場合には、公害の角度からのみの法律を拾い上げてまいりましたので、むしろそのような作業はわざとと申しますか、しなかったというのが事実であります。しかし道交法の改正が、毎年のように現実を追っかけて改正されざるを得ないような現状を、私は正しいとは思いませんけれども、やはり道交法は、少し一歩先に進んで、二、三年先までだいじょうぶだというような意味の道交法であってほしいものだということは私も考えておる次第でございます。
  120. 河村勝

    ○河村委員 私も、そのときに質問の際に申したのですけれども、道交法を公害のために改正するといいましても、実際は規制の根拠になる文句の中には、交通の安全と円滑という二つのことばがあるのですね。大体公害が生ずる場合には、道路の渋滞がすべて原因になっておる。ですから、道路を円滑にするという根拠法規があれば、それで間に合うのですよ。だからわざわざ改正することはないのです。そして今度出されるのでしょう。一緒にやればいいのです。これはたいへんなむだですよ。それは紙の枚数だってたいへんなものですよ。実際二回印刷物を繰り返して出す。  警察庁に伺いますけれども、実際公害防止のために法律改正しなければ−昨年の暮れのように公害で改正しなければ対処し得なかったような事態がありましたか。
  121. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとき片岡君は局長でございませんでしたから、私のほうで答弁いたしますがこれはやはり道交法の目的が交通の安全、円滑だけではなく、排気ガスの問題等が、結果的に因果関係で、渋滞その他で局地的に多量に発生することは御指摘のとおりですけれども、法律そのものの目的にも、道交法の自動車交通の安全、円滑の目的のほかに、公害というものの防止ということを入れなければならない位置づけの法律であると判断をいたしまして、目的から始まって一連の改正をしたわけでございますから、そのことは、私は間違っておるとは思いませんが、同時に、道交法をいじるならば、そのような今度の国会で出そうとする法律の一部は、もうすでにそのとき根拠法規として規定すべきものがあったのではないかというその分野は、たびたびいじる必要はないじゃないかという音心底では、私もある意味において正しいということは先ほど認めましたけれども、公害臨時国会というものは二度と開かれることはないでありましょうし、二度開かれるときには、私は政治の敗北であると思っておりますから、特異な国会でありましたので、その特異性から、公害の角度からのみ、すベての法律改正を行なったということで御了解を賜わりたいと思います。
  122. 河村勝

    ○河村委員 これ以上申しませんけれども、いいことなら拡張解釈してもいいじゃないかということになれば、いままでの法律で十分間に合った。今度出したものと一緒にすれば、ほんとうに事務的にもすらっといく。おそらく予算だって二千万やそこらかかったのだろうと思いますよ、二度改正するのに。およそむだなことで、しかも朝令暮改、一般の人は迷惑しますよ。もうかるのは、こういうのをつくる本屋ぐらいなものです。ぜひ御注意いただきたいと思います。次に、今度昭和四十六年度から始まる交通安全施設整備五カ年計画、これにつきまして、前からとにかく自動車の通る街路には歩道をつけてもらいたいというのが私再三申し上げておることで、それに対して今度の内容を見ますと、ずいぶん努力をされている、そのあとは見受けられます。そこで、これでもって国道ぐらいはおそらく全部歩道がつくのだろうと思いますが、あと府県道、市町村道まで入れて、とにかく自動車の通過道路になるところ、これは一体歩道が何%ぐらい完備するものであるか、それを伺いたいと思う。
  123. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 昭和四十六年度を初年度といたします新しい交通安全対策五カ年計画におきましては、総額八千七百五十億円の事業費をもちまして、道路交通安全対策事業を行なうわけでございますが、その内容につきましては、道路管理者から資料を徴しまして、その結果に基づいて最終的にはきまるわけでございまして、夏ごろに決定されることになろうかと思いますが、ただいまわれわれがこちらでもって一応積算いたしましたものによりますと、四十六年度から五十年度までに歩道を設置します道路延長は、国道につきましては市街部におきまして二千九百キロ、それから地方部におきまして千三百キロ、それから地方道につきましては、市街部におきまして八千六百キロ、地方部におきまして一千キロ、合計いたしまして一万三千八百キロになるわけでございます。  それは、御承知のように、この五カ年計画の実施の場合に、現在の指定道路というものが全国で七万キロございます。この七万キロのうち、市街部の道路につきましては、歩道の設置が必要な区間につきましては一〇〇%できることになろうと思います。指定道路につきましては一〇〇%ということになります。それ以外に、実は幹線道路等におきまして、人家が連檐しておりまして、幅員を広げて歩道をつくることが非常に困難な個所がございます。こういう場合には、その道路に並行するような市町村道なり、あるいは農道でもよろしいわけでございますが、ございましたらそれを舗装いたしまして歩道のかわりに使いたい。特に通学路についてはそういう方策をとりたいというふうに考えております。この数字については、現在まだはっきりいたしておりませんが、そういう方策をとりたいと思っております。
  124. 河村勝

    ○河村委員 指定道路については、市街地に関する限り、市町村道まで一〇〇%歩道がつく、こういうことですか。
  125. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 そうでございます。
  126. 河村勝

    ○河村委員 指定道路というのは、これは全部じゃないわけですね。いわゆる自動車のかなり通行する街路の何%ぐらいが指定道路なんですか。
  127. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御質問の、街路の中の何%を指定道路が占めるかということは、ちょっとただいま手持ちの資料がございませんので、はっきりお答えできませんのですが、大体日本道路につきまして概略申し上げますと、現在車の通れるような道路と申しますか、幅員が五メートル五十以上あります道路につきましては、大体二十二万キロ程度ございます。そのうち指定されます道路が七万キロでございます。したがいまして、三分の一程度が指定されるということになろうかと思います。そのうちの市街部におきましては一〇〇%が実施できるわけでございますが、地方部におきましては実は三〇%ちょっとでございます。
  128. 河村勝

    ○河村委員 私はいま地方部のことは聞いていないのです。とにかく市街地だけについて、せめて歩道がみんなつかないかどうかということを聞きたいのです。市街地は一〇〇%というのはどういうのですか。七万キロというのは市街地の五・五メートル以上の道路なら全部ですか。そうなんですか。
  129. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 指定道路につきましては基準がございまして、一日の自動車交通量と、それから事故率によりまして決定することになっております。なお、たとえ交通が少なくとも、また事故率が低くとも、保育所であるとか幼稚園であるとか、小学校または児童公園がある場合には指定することになっておりまして、現在指定されました市街部におきます指定道路の総延長は二万八千七百キロになっております。
  130. 河村勝

    ○河村委員 あまりこまかくなりますから、きょうはそれ以上聞きません。  総務長官、私の言いたいのは、これだけ意欲的な計画を立てられたのですから、街路の場合には確かに普通の歩道がつきにくいところもあると思うので、これは警察のほうの交通規制とあわせて一方通行と併用する。とにかく歩車道を、歩道といえなくても分離できるくらいのところもあると思うのです。いずれにしましても、これだけおやりになるなら多少無理してでも、場合によったら高速道路のちょっと長いやつをぶった切っても新設をする。この中で五カ年でとにかく普通の道路通行する市街地の歩道車道の分離くらい全部やってしまりというやりくりができぬものかなあと思うのです。そのことだけ総務長官に伺いたかったもので少し聞いたわけです。いかがですか。
  131. 山中貞則

    山中国務大臣 それはもうできれば、金が幾らかかっても、目的を達成するために必要な措置は講ずるというのが政治のほんとうの姿かも知れません。しかしながら、やはり予算編成になりますと、どうしても完全に理想的な予算というものは取りにくいことでもございますし、また道路財源というものにも、いろいろと一般財源以外の限定された特定財源等があることでございますので、一義的には言えないと思いますが、理想としては、われわれがいま交通事故に対して道路の安全の面から何をすべきかについては、あらゆる知恵を出していかなければならない、そのために、まず必要なものは金であることも十分わかっておるわけでありますが、建設省も、いま説明いたしております五カ年計画にしても、わが国において緊急三カ年計画を前期、後期やる途中で、りっぱな堂々たる五カ年計画というものを、国の計画として予算上認めるという一大収穫があったわけでございますので、これらの点の至らざる点は、これからもさらに改定なり、あるいは財源の新しい目安なり等によって、国民の期待に沿うような措置がなされていくべきである、また不断の努力をそういうことに集中すべきであろうかと考えます。
  132. 河村勝

    ○河村委員 私は、予算の総額をふやしておやりなさいと言っているわけじゃありません、道路予算としては一本ですから。金は無限にあるわけではありませんから、予算制約があることはよく承知しております。ただ、同じ道路予算の中でも、やはり道路をつくる人はつくったほうがおもしろいですからね。ですから、やはり新設のほうにどうしても回りやすい。だから総ワクの中で、もうちょっと新設を削ってこっちへ回したら、一ぺんで五年間で片づいちゃいますよ、そんなたいしたことではなくて。そういうことはできないだろうかということを伺っているわけです。
  133. 山中貞則

    山中国務大臣 これは建設大臣の判断すべき分野かと思いますが、また末端のほうになりますと、とにかく国道が完全舗装になった、次は主要地方道だ、県道だ、町村道だという、とにかく何でもいいからりっぱな道路にしてくれという要望もまた非常に熾烈なわけで、これは都市周辺と末端とは、非常な感触の差もございます。それらの要望というものも、建設省としてはやはり日本全体の道路の近代化率と申しますか、完全舗装率というものを高めていくという一方に大目標があるのだと思います。これは国際的に比較しても、日本はなお恥ずかしい水準にとどまっておるわけですから、それらの大目的と、時によっては、道路をつくればつくるほど死傷者がふえていく、交通安全施設とは意味を異にする、すなわち、つくればつくるほど安全施設という予算もふやしていかなければいかぬのだという面においては、若干まだ足らない点があるかと思いますが、これからは、そういう理論と実際とがかみ合うような方向に進むべきであろうと考える次第であります。
  134. 河村勝

    ○河村委員 きれいごとでなしに、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。  次に、昨年の十月二十八日に、東武の例のダンプカー事故のあとで、交通対策本部事故防止についての通達をお出しになっておりますね。この通達を見ますと、一体何でこんな通達を出さなれればならぬのかという疑問が起きるのです。といいますのは、何かあると、とにかく通達を出せば一応気が済んで、何かやったような気になる、言いわけにもなる。そういう感じで出しているんじゃないかと思われるのですね。このダンプカーに関する事故防止対策について書いてあることなどは、何か協業化の問題であるとか、あるいはそうした事故防止を目的とする団体の育成指導とか、これはみんな昭和四十三年にできたダンプ規制法の条文そのものなんですよ。それが通達になって出てきているということは、法律ができて以来、実際は何もしていなくて、事故が起きて初めて通達を出した、こういう感じがしてならないのです。これに対して、どういうつもりでこういう通達を出すのか、精神のほどをひとつお伺いしたい。
  135. 山中貞則

    山中国務大臣 河村君も国鉄の幹部でありましたから、事故が起こったあとの行政の対処のしかたについては御体験もあると思います。やはり何もやらぬというのも問題がありますから、二度とそういうことを起こさないために、何がいま必要なのかという点は、やはりそのつど事故のケースに応じて拾い上げて、再検討していく必要があると思います。ここに書いてあります事柄の一つ一つには、おっしゃるようなことも入っておりますが、これは運輸省が、ことに橋本運輸大臣も非常に推進して言っておられますことをさらに確認をしたものもございますし、各省集めて、私どもの本部でもって取りまとめて、とりあえず今回の事故にかんがみて、今回さらにこのような通達を出して、二度とこのようなことの起こることをまず防止する措置を緊急にとろうということの意味でやったのでありますから、あるいは言わなくてもいいことまで言っておることもあるかもしれませんし、事故が起こらなければ動かないのかという御批判も、あるいはそのそしりが正しいかも知れませんが、しかし、やらないでほうっておくべきことではないので、やはり繰り返しやらなければならないことはする必要があろうと思うわけでございます。
  136. 河村勝

    ○河村委員 あまり法律そのものが書いてあるものですから、これではたいへんなものだと思ったわけであります。  その中で、たとえばダンプ規制法第十一条に、協議化及びその経営の近代化を促進するため、税制上及び金融上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。」協業化を促進しろというのは、いまの通達の中の一つなんですけれども、実際現実に税制上、金融上の措置、その他必要な措置を講じた例があるでしょうか。
  137. 山中貞則

    山中国務大臣 私もその実例についていいますと、そこまで追跡して掌握しておりません。しかしながら、やはり協業ということで、そういう業者の人たちが自分たちでみんなして協業しようということになれば、国は、考えられるあらゆる現在の制度の中で、協業組合等に対する助成等、これもこの事項にも適用するのだということを明確にいたしておりますので、そういう希望の方々があった場合には、当然に対象にしていると思いますが、何件くらい事実そのような好ましい姿の協業に発展をしたかどうか、それは私、現在確認しておりませんことをおわびいたします。
  138. 河村勝

    ○河村委員 まず、件数があったとしても一、二件で、それも税制上、金融上の措置はやっていないと思うのですけれども、きょうは責任者いませんから、この話はいずれまたあらためて伺います。  質疑時間があと五分というのをいただきましたから、一つだけ。せっかく消防の関係の人も来ていただいておりますが、総務長官、高速道路の救急業務、ああいう閉鎖的なところでもあるし、それから消防の救急の業務というものは地域住民を対照としたもので、ああいう通過交通対象にするものでは元来ないのですね。どうせ公団で保守や警備のための。パトロールをやっておるわけですから、それを一緒にやったほうが、国民経済的に見てうんと得じゃないかということで、一時話がまとまったように聞いておったのですが、さっぱりその後動いていないような気がしますが、長官それは御存じありませんか。
  139. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、警察の取り締まり本来の規制権限と、道路の公団あるいは管理者等の管理体制の権限問題との接合点でもございますので、今回もだいぶ私のところで議論をしてもらいました。両者譲っていただいて、積載違反とかあるいは不当に駐車して弁当を食っていたり、立ち小便したり、ながめていたりするようなものは、これは公団のほうの自体の取り締まりでも、警察権と同じような強制権を持って行使するというようなところまでは話が進んでまいっております。しかしながら、消防体制というものについては、まだそこまで自治省と話が詰まっていませんが、いま調整の途中にあるということでございます。一方、また警察自体も、県境を越えた場合においては、相互に何キロメートルまでしか取り締まりができないようなことは、もう時代に合わなくなってきておりますから、もうやはりハイウェー。パトロールみたいなものを一本の高速道路に張りつけて、専門に行ない得るように検討をしてほしいということで、いま検討してもらっておるわけでございます。
  140. 河村勝

    ○河村委員 警察のほうはまだ私伺ってなかったので、返事のほうが先になったのですが、警察のほうはかなりむずかしいだろうと思うのですね、いろいろな犯罪捜査、検挙、そういうものがありますからね。ですけれども、救急のほうは、これはもう要するにけが人をどこかに連れていって応急手当をするだけでしょう。ですから、そうした法律関係の問題は何もないですね。どうしてこんなにまごついているのか、ちっとも私にはわからないのです。時間がまいりましたから、この問題どうせなわ張り争いだと思いますから、さっそく両方呼んでやれと言えばそれで済む話ですから、ぜひひとつお願いします。終わります。
  141. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 東中光雄君。
  142. 東中光雄

    ○東中委員 時間があまりありませんので、私は、きょうは欠陥車の問題に限って、交通安全という立場から聞きたいのですが、昨年の九月に本委員会でも取り上げられ、その後、運輸委員会あるいは参議院の交通安全対策特別委員会でも、欠陥車問題が大きく取り上げられておるわけですが、わが党の林議員が、昨年九月二十二日の衆議院の運輸委員会で、ホンダN360の事故例として、日本自動車ユーザーユニオンの公表した九十一件についていろいろ質問しました。ところが、それからあとも、今日までさらに事故例がふえてきております。ユーザーユニオンに自主的に届け出られかものだけで現在百五十一件、こういうふうにふえてきておるわけであります。もちろん、これは自主的に出されているもので、氷山の一角だと思うのです。さらにこの問題に関連して、このほかにも、たとえば読売新聞の一月十八日付によりますと、「十七日夜、東京・港区で、ホンダN360が転覆して燃え、乗っていた四人のうち二人が焼死するという事故が起きた。」しかもその運転しておった人は「五十キロぐらいのスピードで走っているうち、左側のガードレールに衝突しそうになった。あわてて右にハンドルを切ろうとしたが、スムーズにハンドルが切れなかった。このため、しばらくジグザグ進行、そのうち思い切って右にハンドルを切ったところ、反対側車線にはいり転覆した」こういうふうに言っているのですけれども、いずれにしましても、ホンダN360の操縦不安定性がこの事故になったというふうに言っているわけであります。  そのほか、ことしの一月七日付の神奈川新聞でも、夫婦重体、二児も重軽傷、これも報道されておりますが、やはり同じホンダN360だということであります。こういう状態が続いておるわけですが、その後、ホンダN360についてどういう調査をされたのか。九月九日のこの委員会における整備部長の答弁では「N360につきましては、技術的な解明はまだ全然済んでおりませんので、すべてそういう技術的な解明を待った上で処置をとりたいと思います。」こういう答弁をされております。また「N360の問題につきましては、これからすべて検討が始まると考えておりますが、いまのところ取り消すとか取り消さないとか、」要するに型式の指定の取り消しですが、まだそこまで申し上げるわけにはまいらないと思います。」こういう答弁ですね。九月二十二日の野村自動車局長の答弁でも、「私どもは、独自と申しますか、運輸省の立場からこれを調査する意思は十分持っております。」こういう答弁をしています。その後の調査はどういうふうにやられたか、その結果を明らかにしていただきたいと思います。
  143. 山村新治郎

    山村政府委員 ホンダN360の安全性については、現在刑事訴追の対象となっておりますので、これは検察当局の判断に待って措置するのが至当であると考えております。しかし、最近における軽自動車全体についての性能の向上という点を考えますと、新型式車の審査の際に、操従安全性について安全性の評価を実施することが必要となつたと考えられますので、これに関する評価試験の方法及びその判定基準の作成を、交通安全公害研究所に行なわせることといたしました。大体四月か五月ごろになると結果が出てくるというぐあいに聞いております。
  144. 東中光雄

    ○東中委員 警察ないし検察当局が捜査をやるというのは、これは具体的事故についての刑事事件の責任追及、こういうことであります。運輸省がやらなければいけないのは、刑事責任の個々の事件の責任追及ではなくて、交通安全という立場から見て、どういう事態になっておるかということを調査する。ここは交通安全委員会ですから、交通安全の立場からどういう、調査をやっているのかということを聞いているわけです。
  145. 山村新治郎

    山村政府委員 先生言われた、いわゆる警察庁からわれわれに送られてまいりましたホンダN360の走行安全性に関する検討依頼につきましては、現在事故調査書等の送付資料により、検討を加えておるところですが、別途交通安全公害研究所において、東京地検からの鑑定依頼に基づく現車試験も実施されておりますので、この結果をも参考として慎重に検討していきたいというぐあいに考えております。
  146. 東中光雄

    ○東中委員 それは違うんです。交通安全公害研究所が東京地検から鑑定依頼を受けた。これは捜査に対する協力ですよ。鑑定者としてやっているわけです。それは、運輸省交通安全についての運輸行政の内容でないわけです。運輸省の運輸行政の内容として、たとえば、車両法の百条に基づく調査権、立ち入り権、質問権、検査権、報告を求める権利とあるでしょう。それはやっているのかいないのか、これを聞いているのです。
  147. 隅田豊

    ○隅田説明員 お答え申し上げます。  ホンダN360の問題につきましては、警察庁といたしまして、まずその事故の実際的な調査結果というものを、詳細に調べられた結果を運輸省のほうへ送付していただいたわけでございます。その件数が七件ほどあるわけでございますが、それをもとにいたしまして、われわれとしてできる限りの検討をやってみたわけでございますけれども、先ほど政務次官が御答弁申し上げましたけれども、その調査結果だけでは技術的な結論は何とも申し上げられるような状態になっておりません。まだわかっておりません。  ただいま、先生も御指摘のとおり、交通安全公害研究所のほうにおきまして、鑑定という形で一つの実験をやっておるところで、これが事実進行しておりますので、私たちといたしましては、その結果、技術的な問題として交通安全公害研究所のほうでどういう結論が出ますか、これの鑑定結果としてどういうふうに出るかということ、それをまた私たちが行政機関としてどう使えるかということについては、若干の疑問があるわけでございますが、しかしそういう実験が現在行なわれておりますので、そういう結果を待って、われわれとしても技術的に聞かしていただけるならば聞かしてもらって、参考として判断をしたい、そういうふうに考えております。
  148. 東中光雄

    ○東中委員 私の聞いていることに答えていただきたいのですが、何かやっているということ、これはわかっているのです。警察に聞いたというのもわかっている。ところが、問題は、車両法の百条できまっているのは、要するに型式指定を受けたものに対する検査あるいは質問、あるいは報告を求める、これに対してはうその答えをしてはいけないということになっておりますね。警察の捜査では、うその自白をしたらいかぬということになっていないでしょう。任意の自白だけです。全然問題が違うのです。これは交通安全という立場から見たらそれの検査、これは罰則でちゃんとした報告をしなければいけない、そういうふうに業者は義務づけられているわけでしょう。その業者に対して、運輸当局としては何かの処置をとったのかとらなかったのか、聞いたのか聞かなかったのか、報告を求めたのか求めなかったのか、これを聞いているのです。事実を答えてください。
  149. 隅田豊

    ○隅田説明員 ホンダのN360が型式認定をした時点におきましては、私たち保安基準の運用の段階におきまして、高速時の操縦安定性というものにつきまして適用をいたしておりません。したがいまして、現段階でホンダのN360は、いまも私たちが新型の、新車の型式認定をしておりますときの基準から申しますと、保安基準が適用されていると判断しているわけでございます。ただ、先ほども政務次官から申されましたとおり、今後の問題といたしましては、確かに高速時の問題が今後の問題になりますので、その試験方法についての検討は、別途研究所に依頼いたしたい、こういうことでございます。
  150. 東中光雄

    ○東中委員 東京地検の鑑定依頼された、交通安全公害研究所の走行テストで、十二月十一日のテストでは車の左側後輪がカーブで浮き主がって危うく転覆しそうになった。十二月十三日には、実験の責任者である石川健三郎自動車安全研究室長がフィーリングテストをみずからやって、そして蛇行がひどくなってやぶの中に突っ込んだ。こういうことで、この操縦の安定性、安全性というのが非常に悪いということはわかっておるわけであります。そういう状態の場合に——型式認定したときはどうかということじゃなくて、現にこの車が動いておって、そして一月の十八日の読売新聞が報道しているように、二人の人がなくなっているわけです。一日も早くこれをなくしていく。そういうおそれ、疑いがあるということはあなた方も認められるのだから、独自にそういう調査を当然やって、安全性を確保していくということに努力しなければいかぬと思うのです。それについては一切、いまの後答弁では立ち入り検査、報告を求める、あるいは質問をする、法に基づいた執行身やっていないというふうに聞いていいわけですね。この点はどうですか。
  151. 隅田豊

    ○隅田説明員 おことばを返すようでございますが、その事故を技術的に調べるといたしますと、現在交通安全公害研究所でやっておりますような試験を実際にやらなければわからないわけでございます。先ほど新聞記事その他のお話がございましたが、私たちが知っている限りで申し上げますと、現在交通安全公害研究所におきましては、公式にまだN360が危険なものであるかどうかということの判定は下しておりません。いろいろなテストはしているようでございます。今後もまだ実際のテストをしなければならないと判断しておるようでございますので、そこら辺につきまして、技術的な結論がまだ出ていないということでございます。
  152. 東中光雄

    ○東中委員 あなたは何を言っているのですか。私の質問に全然答えていないじゃないですか。それで答えておるつもりですか。あるいは意識的に問題をそらしておるのですか。おそれがあるから、現に事故が起こっておるというときに、運輸省の当局者としては、それに対して調査をしなければいかぬようになっておるわけでしょう。その調査をやったかやらなかったか。やっていないことになるんじゃないか、こういっているのです。鑑定の結果でどうなっておるかということではなくて、調査のしかた、それはいろいろあるでしょう。しかし百条に書いてあるのは、その型式、要するにメーカーに対して質問する、あるいは報告を求める、こういう点で調査をすることが行政官庁としてできるということは、そういう事態が起こればやらなければいけないということを法律上義務づけられているのですね、車両法の一条の目的を達成するためにと書いてあるから。  たとえばこれを聞きましょう。ホンダN360の横ゆれ、蛇行という特徴については、当初の設計、試作、実験がよくやられておるならば、こういうものは起こらないのだ、チェックできたはずなんだという専門家の意見を私は聞いています。そうするならば、あなた方としては、現に事故が次々に起こっているのだから、メーカーに対して設計、試作、実験がいつどこで何回ぐらい行なわれて、その結果はどうなって、設計の訂正がやられたかどうか。こういうことについて質問をし、調査をして、そしてこの事故の原因を探究していく、あるいは耐久テストが行なわれていたかどうか、その内容はどうだったかということを調べるのは当然だと思うのですね。そういう調査を業者に対してあなた方はやられたかやられなかったか、どっちかということです。
  153. 隅田豊

    ○隅田説明員 私たち考えますのに、業者に聞くということよりも、一番信頼のできますわれわれの研究所が、現在そういう実験をやっておりますので、その技術的な結果をもらうのが最大間違いのない問題だと考えております。
  154. 東中光雄

    ○東中委員 業者に対してあなた方が自主的に動くということはしない。たまたま、地検から依頼のあった鑑定のその結果だけにたよっておる。依頼がなかったら何もやらぬことになるじゃないですか。そういう姿勢でおるのかということです。特にホンダの場合は、ホンダNシリーズパーツリスト、N360、LN360、N600、巻(3)、こういうのを見ますと、わずか一年から三年ぐらいの間にフロントダンパー、ステアリング、ギヤー、ブレーキドラム等々、事故とかかわりの深い部分のパーツの設計が数回にわたって変更されておるという事実がある。こういう部門について、こんなにたくさん数回にわたって設計が変更されるというようなものは世界でも例がない、非常に珍しい、こういわれているわけです。これは結局開発時に設計、試作、実験が十分に行なわれていなかった。軽自動車だからということで型式認定がいいかげんに進んできたということを、ここに一裏づけているのではないかと思うのです。こういう問題が出ているのだから、そうしたら設計なり試作なり実験なりがどういうようにやられたのかということを、あなた方は百条の権限があるのだから当然調べるべきじゃないですか。この点について知っているかどうか、そして調査をしたかどうか、この点を答えてください。
  155. 隅田豊

    ○隅田説明員 先ほどから調査の点で申し上げておりますが、たとえば一応口頭のヒヤリング程度はやっております。しかし実際問題として、メーカーに安全かどうかという資料の提出を求めまして、最終的な信用の置けるものかどうかということが疑問でございますので、技術的な実験としての研究所の実験にたよっていきたいというのが私たちの考え方でございます。
  156. 東中光雄

    ○東中委員 ホンダはどうせうそを言うだろう、いいかげんなことを言うだろう。聞いたって信用できぬから、だからやらないのだ、いまあなたのおっしゃったのはこういう答弁ですね。法はそうじゃないじゃないですか。正確に答えなければいけないとなっている。答えなければ、これは犯罪になりますよとあの車両法の百条に書いてある。これは捜査とは別の方向でいくのだ、捜査のたてまえとは違うのだということを百条の四項に書いてあるでしょう。全然別個の体系としてやらなければならぬことになっているでしょう。それをあなた方は、ホンダはどうせうそを言うのだ、信用できないのだということで何にも調査をしていない、こういうふうにいま答弁されたことになるのですが、そういう姿勢ですか、どうなんです。
  157. 野村一彦

    ○野村政府委員 所用のためにおくれまして申しわけございません。  ただいま整備部長から答えましたように、法律の百条に基づく調査ということで、何といいますか向こうに法律に基づく権限の行使としての出頭要求、資料の提出ということはいたしておりません。ただ事実上この事故が起こりまして、私のほうの専門家のところに向こうも参りましたし、また資料も提出してまいりました。したがいまして、事実行為としての調査はいたしております。それから、たまたま検察庁からそういう鑑定の依頼が安全研究所のほうにあるであろうということが私ともわかりましたので、その安全研究所の実験の結果を参考にさせてもらう、それが技術的に最も正確であるというふうに考えまして、いままで整備部長が答えましたような方法で調査をやっておる、こういう状態でございます。
  158. 東中光雄

    ○東中委員 いずれにしても、整備部長は、あんまり信用できないんだと言っている。局長は、事実上聞いたと言っておる。法律に基づいてやれば、うそのことを言うたら処罰されることになっている。あえて、そのほんとうのことを言うように強制づけられている法を使わないで——大体行政官というのは、法に基づいてやるんでしょう、法治国家なんだから。事実上聞いたなんということは、何にもやらなかったのと一緒じゃないですか。結局、局長の答弁も、正式には何にもやっていないということになる。しかも、いま申し上げたような、世界でもまれな例が起こっているのですよ、このホンダのNシリーズについては。それも知っておって、なお調べていないといわざるを得ないのですが、そういうことですか。知っておるのですか、知らないのですか、このNシリーズの問題について。
  159. 野村一彦

    ○野村政府委員 本田の製品が事故を相当起こしておるということは、私ども承知いたしております。その点につきましては、私どもも調査をいたしておりまして、ただいままで整備部長が答えましたことと、私がいま申し上げましたことと食い違っておるとは思いませんが、ただ、要するに、法律何条に基づく資料を出せ、あるいは、法律何条に基づく調査をするという言い方はいたしておりませんが、事実上報告も求め、資料も求め、調査はいたしておりますし、先ほど申し上げましたような交安研の調査の結果が、最も技術的に信頼できると考えて、それを待つということで、たまたま検察庁からの御依頼もあるというようなことでございましたので、その技術的な試験研究の結果を参考にしようということでやってまいったわけでございます。
  160. 東中光雄

    ○東中委員 いずれにしましても、設計、試作、実験についての成規の調査はしていないという——したとは一言も言われないのだから、していないということにならざるを得ぬわけですが、それとあわせて、九月の運輸委員会で、わが党の林議員が、例のTN360のサービス作業要領——ここにありますけれども——本田のマル秘で出した、本田自身が欠陥を認めてこっそりと修理をしよう、そういうことをやった、あるいは交換をする、あるいは調整を指示した、それが書いてある、この資料は、場合によっては提供してもよろしいということを言いましたけれども、あなた方のほうでこれについて検討したのですか、しなかったのですか、どうですか。
  161. 隅田豊

    ○隅田説明員 検討をいたしました。
  162. 東中光雄

    ○東中委員 それで、結果はどうですか。
  163. 隅田豊

    ○隅田説明員 構造変更をいたしましたところにつきましてのユーザーに対するサービスのことにつきまして、一応資料として流してあるということは了解いたしました。マル秘になっているということにつきましては、私たちいままで、やはり業界の競争の問題といたしまして、何と申しますか、構造変更したものは一応社内でマル秘で扱っていく習慣があることを存じておりましたので、マル秘であったからということだけで、これを世の中に隠したというふうには考えておりません。
  164. 東中光雄

    ○東中委員 欠陥を認めて、サービスといま言われましたけれども、日本ではそういうことばを使っているようですけれども、その欠陥部分の修理をやっているのでしょう、そうじゃないですか。欠陥を本田が認めておったという事実はあったのか、なかったのか、どうなんですか、これの内容を検討して。
  165. 隅田豊

    ○隅田説明員 欠陥ということばの問題でございますが、普通モデルチェンジないし構造変更で行なわれますことは、それによって車が確かによくなる方向に変わるということは事実でございます。そういう意味でものを見れば、前のほうが悪くてあとのほうがいいということはそのとおりでございますが、それが直ちに事故につながるような欠陥の修正であったかということになりますと、それだけで単純に判断するわけにはいかないだろうと思います。
  166. 東中光雄

    ○東中委員 構造は変更しなければいけない、モデルチェンジをしなければいけないというふうな事実があったことは、確かに本田自身が認めておる。あなた方も認めておる。事故につながっているかどうかということについてはわからぬ。それならそれで、そのことをなぜ発表させないのですか。いままではずっと発表しないじゃないですか。刑事事件で一方でやっているから発表しない、そんなばかなことはないですよ。運輸行政というのは、運輸行政の立場で、交通安全の立場でちゃんとやらなければいかぬことじゃないですか。明らかにすべきだと思うのです。  それで、今度は、時間がないのですが、アメリカで欠陥車だといわれていることについて、ここに各年度ごとの発表されたものも持ってまいりましたけれども、ところが、日本では発表していない。ある新聞では隠しているというふうに報道していますけれども、この点については、一昨日あなた方、隅田さんが運輸委員会で答弁された状態を聞いておりました。そんなことはない、左ハンドルと右ハンドルの違いだ、そういうふうなことを言われましたが、どうですか、時間がありませんから、簡単に言ってください。
  167. 隅田豊

    ○隅田説明員 アメリカのそういう資料につきましては、私たち日本運輸省と、アメリカの運輸省で相互交換をいたしておりますので、その資料は全部、発表されると直ちに私たちのほうへ送付されてまいります。そういう意味では、その内容は全部わかっておりまして、そのつど、もし日本の車でまだリコールしていないものがあれば、直ちにメーカーを呼びまして、なぜしないのかという点の追及をいたしております。いままで調査をいたしましたところでは、やっておりませんものは、国内で発売されていないとか、あるいは、先生もおっしゃいましたが、左ハンドルのためにそういう部品が日本の国内にはないとか、あるいは、全然輸出用だけで使われている部品であるとか、そういうものだけでございまして、それ以外は全部リコールが行なわれております。
  168. 東中光雄

    ○東中委員 たとえば、トヨタのコロナマークII、六九年型と七〇年型について、七〇年の一月九日に、急ブレーキ時にブレーキぺダルが曲がるというような欠陥を指摘して、アメリカではリコールした。この車は日本でも販売されている。ただ、これはハンドルの位置が違うんだ、こういうふうに言われるかもしれぬけれども、ハンドルの位置と関係がない。日本の場合は全然リコールされていない。欠陥車とはされていない。ところが、名古屋で実際にブレーキを踏んだらきかなくて、曲がっておってだめだ。それで衝突したということで裁判になった事件があります。これは自動車局のほうへ問い合わせて、ぺダルを踏むときの力は、トヨタは、四十キロぐらいだと言っているけれども、おたくの回答は、六十から場合によっては八十ですかの力が要る。だから、それなら四十までで強度があると言っているけれどもだめだということになって、欠陥を事実上認めた形で和解できた。しかし、これは欠陥車にされていない。アメリカでは欠陥車になっている、こういう問題があります。  あるいは、ダットサンのブルーバード510、これは七〇年七月二十八日にアメリカでリコールされています。シールドビーム後部にどろが付着して、降雨時に電気回路にトラブルが発生する、こういうことであります。わが国だつて同じ問題が起こっておる。向こうでは欠陥車としてリコールしている。日本は、国内ではそのままほうりっぱなしにしているじゃないですか。  さらに、ダットサンL521トラック、これはステアリングシャフトがナイロンブッシュになっている。これはすぐ抜けたり何かして問題が起こるということで欠陥車としてリコールしている。アメリカでは六九年十月三十日にしている。日本ではこれはリコールを全然発表していないのですね。事実上書いたかもしれぬけれども、発表していない。だから、リコールされたことにならない。被害者のままの人がいる。  あるいは、オートバイ関係では、ホンダのオートバイCL350、これは溶接不良でブレーキがきかないということでリコールされている。  あるいは、ホンダのオートバイ350、450は、スロットルケーブルが戻りが不良だということでやはりアメリカでリコールされている。ところが、こっちは全然何もしていない、こういう形でずいぶん問題がある。日本の運輸行政としては自動車についての欠陥、それを安全の立場からチェックしていくことについて何にもやられていないのじゃないか。少なくとも私がいま申し上げたホンダのオートバイ、あるいはトヨタコロナマークII、トヨタカローラ六九年型あるいはダットサンのPL510ブルバード、あるいはダットサンWPL510ワゴン、こういった問題、これ全部アメリカでリコールされたわけですが、運輸省としてはこれについて車両法百条による調査をやったかどうか。そしてまた欠陥車としてのリコールを通知したことがあるかどうか。その点どうでしょう。
  169. 隅田豊

    ○隅田説明員 個々のものとして一つ一つお答えするのはあれですが、全体を申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、われわれはアメリカのリコールのデータは全部入手しておりまして、そのつど呼び出しましてその事情を全部検討しております。その結果、たとえば、いま先生幾つか具体的な例をおあげになりましたけれど、われわれの調べた結果で申しますと、たとえばアメリカでリコールをされておりまして、日本でまだリコールをされていない車が型式で十七ございます。その中で、たとえば国内車とは完全に仕様が異なるためにリコールをしないでいるものが二件、それから国内車と仕様部品がその状態で違うためにリコールの必要のないというものが九件ございます。それから国内車には元来ついてないというものがございます。これが一件でございます。それからアメリカの工場でその部品をつくっているために、こちらでは関係ないものが一見でございます。それから、たまたま製造上のミスでございますが、そのミスというものは一社の段階においてだけ出てきた、国内販売のものには絶対出なかったというのがわれわれの調査で確認できたものが  一件ございます。その場合には、そのかわり、メーカーの管理体制としては、一つに管理体制を強化するということはやっております。それから、国内より先に外国で販売するというケースがございまして、外国で、たとえばアメリカで先に販売をして、その際にリコールをし、全部手当てが済んでから、国内で販売をする、こういうケースでございます。
  170. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 東中君に申し上げますが、申し合わせの時間が過ぎていますから、結論を適当にひとつ急いでください。
  171. 東中光雄

    ○東中委員 急いでおるのですけれども、どうも答えがうまくかみ合わぬものですからおくれてしまうのです。問題は、いま言うたたとえばトヨタのコロナマークII、これはアメリカで欠陥車として指摘されておる。それと同じ問題が日本で起こっておる。現に裁判になっている。そしてトヨタが損害賠償を払っておるのです。損害賠償か和解というのか知らぬけれども、とにかく金を払っておる。そういう事実が報道されておる。それについて、あなたのほうで調査をしたことがあるか、リコールを指示したことがあるかと聞いておるのです。あるかないか答えてください。
  172. 隅田豊

    ○隅田説明員 ただいまの、具体的な裁判になりましたものについて、ちょっとここにデータを持っておりませんので記憶がございませんが、アメリカでもって、——ただいまのはカローラでございますか、コロナでございますか、コロナマークIIの部品規格でもってアメリカで使われている部品と、それから国内の場合の使われておる部品と部品が違う、同じ部品と申しましても違うということで、アメリカでリコールして日本でやってないということでございます。
  173. 東中光雄

    ○東中委員 もう水かけ論はやめますけれども、部品が違うというのは、あなたは調査したかどうかということについて私が聞いているのに、調査したとは言わない、そして部品が違うと言うけれども、いままで鋳型であったものを打ち抜きにした、プレスにした、だから非常に弱くなった。それが曲がっているのですよ。アメリカでも一緒ならばアメリカでもそうだし、名古屋で起こった事故もそうなのですから、そういう材質は一緒だということもはっきりしている。そういう問題を調査をしないで業者の弁護をするようなことばかり言っている、安全の立場にひとつも立っていない。ほんとうに許されぬことです。その点を強く指摘して厳重な反省を求めたい。  最後に申し上げておきたいのですが、ホンダのST70というオートバイです。前とうしろ、前車輪とハンドル、それから後車輪と車体、これを分けて運搬できるようにしてある。あるときはこれをくっつけられようになっている。そのくっつける棒が、シャフトがこれなのです。すぐはずれるようになっている。ところがこれが折れているのです。私の手元に入っているのではぽんと折れている。これを見てみるとおそろしいみたいなものなのですね。こんな細いものです。これが前の車輪とハンドル、これがうしろの人間の乗っているほうの車輪と車体、これをつなぐのにこれ一本なのです。これで組み合わすのです。組み合わして、ここがゆるんでおったから折れたのだということらしいのであります。業者でなくて、ドライバーが自分で組み合わすようになっている。こんなものを、自分で持ってみてもわかるけれども、がたがたです。折れるのあたりまえなんですよ。こんなものがようまかり通っているなと思うのですね。現に折れて、これで二カ月間入院している人がいるわけです。それが持ってきたのです。こういうオートバイについての安全性、型式指定をやるときの、そういうようなものは運輸省としては一体どうされておるのか。ずいぶん大がかりな宣伝をされているでしょう。二つに分けられるなんということが宣伝のポイントになっている。ところがそこにこんな危険な問題がある。こういうものについてどうされているのか、型式指定をやるときに、そして今後どうされるのか、それをひとつお聞きして質問を終わりたいと思います。
  174. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御指摘になりました件につきまして、私ども実情と申しますか、その型式指定の対象になるものであるかどうか実はわかりませんので、よく資料を拝見いたしまして、調査をいたしまして検討いたしたいと思います。現状では残念ながら、それがどういう型式指定の対象になっているか、どういう試験が行なわれておるかちょっとわかりません。
  175. 東中光雄

    ○東中委員 N360にしましても、現に事故が起こっているという問題があるのだから、結果を待っいるだけじゃなしに、あらゆる手段を尽くして、そういうものをなくするために運輸行政独自に警察とは別にやるべきだ、法もそうなっているし。その点がやられていないというのは、業者との何か癒着が非常にあって、事実上来てもらう——そんな関係になっておるように思うのだけれども、そうじゃなくて、安全をはっきり確保していくというかっこうでの厳正な行政というものを強く要請しておきたいと思います。  これで質問を終わります。
  176. 山村新治郎

    山村政府委員 先生言われましたように、安全性というのを第一に考えまして、運輸省としてできる限りのことをやっていきたいと思います。業者との結びつき、そういうようなことは絶対ございませんから御安心いただきたいと思います。
  177. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次回は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会