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1971-05-19 第65回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十九日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 大村 襄治君 理事 正示啓次郎君    理事 服部 安司君 理事 渡辺 栄一君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 内海  清君      稻村左近四郎君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    藤波 孝生君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    新井 彬之君       北側 義一君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省計画局宅         地部長     朝日 邦夫君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     松平 忠久君 同日  辞任         補欠選任   松平 忠久君     松浦 利尚君     ――――――――――――― 五月十三日  県道八幡佐久線主要地方道指定に関する請願(林百郎君紹介)(第五五七〇号) 同月十五日  国道一五六号線岐阜バイパス建設等に関する請願坂井弘一紹介)(第六〇四一号)  同(西中清紹介)(第六〇四二号)  同(松本忠助紹介)(第六〇四三号)  同(丸山勇紹介)(第六〇四四号)  同(宮井泰良紹介)(第六〇四五号)  県道八幡佐久線主要地方道指定に関する請願下平正一紹介)(第六二八三号) 同月十七日  県道入戸都城線改良整備等に関する請願池田清志紹介)(第六七六三号) 同月十八日  消費者保護を目的とする宅地建物取引業法の改正に関する請願白浜仁吉紹介)(第六九〇三号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願卜部政巳紹介)(第六九七〇号)  同(小川新一郎紹介)(第六九七一号)  同(北側義一紹介)(第六九七二号)  同(小林政子紹介)(第六九七三号)  同(松浦利尚君紹介)(第六九七四号)  同(渡辺武三紹介)(第六九七五号)  同(井上普方紹介)(第六九七六号)  共同住宅推進のための方策に関する請願中垣國男紹介)(第六九七七号)  同(中村梅吉紹介)(第六九七八号)  同(丹羽久章紹介)(第六九七九号)  同(石井桂紹介)(第六九八〇号)  同(辻寛一紹介)(第六九八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  国、県道改修促進等に関する陳情書(第二九八号)  下水道の完備促進に関する陳情書(第三四七号)  地代家賃統制令撤廃に関する陳情書(第三四八号)  地代家賃統制令廃止反対に関する陳情書(第三四九号)  公団住宅家賃値上げ反対に関する陳情書(第三五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。卜部政巳君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 第一点といたしまして、中国縦貫道の問題について若干の質問を行ないたいと思うのでありますが、建設省は、今度の高速自動車道路の第五次の工事区間などをきめるという、本年度の、いわゆる各路線整備計画並びに基本計画なるものを国土開発幹線自動車道建設審議会諮問すると思われるのでありますけれども、その策定というのはできたのかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。
  4. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘国土幹線縦貫自動車道基本計画整備計画の延伸につきましては、ただいま作業中でございますので、近く、六月初旬を目ざして、基本計画整備計画の案を審議会諮問したいというふうに考えておる次第でございます。目下のところはまだ確定までいっておりません。作業中でございます。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 あとのほうがちょっと明確でなかったのですが、目下のところどういうことですか。
  6. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 調査のほとんど完了している区間、つまり、基本計画、ないしは整備計画に必要な調査の完了している区間につきましてはできるだけ出したいということで、ただいま準備中でございますが、いろいろな政府部内におきます財政当局との打ち合わせ等もございますので、事務的には、ただいままだ全部確定しておる段階に至っておりませんが、先ほど申し上げましたように、われわれの希望といたしましては、六月の初旬に審議会諮問するように作業を進めておる次第でございます。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 参議院選挙思惑等関連をいたしまして、この基本計画に入るもの等についての若干の変更等はあるだろう。これはまあよくわかるのです。それはよくわかるのですが、諮問というのも、参議院選挙前に諮問を出されるだろう、私はこういうふうに考えるわけでありますが、そうなってくると、整備区間といわれる、いわゆる基本計画、この点についての対案というものはできておると私は思うのですね。ですから、その対案をひとつ示していただきたいと思います。
  8. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御質問全国的なものでございましょうか。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 そうです。全国的なものです。
  10. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま事務当局検討中の個所につきまして申し上げますと、整備計画を先に申し上げますと、整備計画につきましては、東北縦貫道で一部残っておる区間がございます。安代−十和田間、ここにつきましては調査がようやく完了いたしましたので、事務的には出したいというふうに考えております。  それから、中央自動車道のうち、甲府市の付近が整備計画がただいま残っておった区間でございますが、これは昨年基本計画を、甲府市の北回りの案を南回りに変更いたしました関係上おくれておったわけでございますが、このほうの調査も完了いたしましたので、これも今回の審議会諮問したいというふうに考えております。  それから、中国縦貫道広島県の千代田と山口県の鹿野というところの間が、やはり中国山系を越すためにたいへん難工事調査がおくれておりましたが、これもどうやら調査が完了いたしましたので、その区間についても整備計画準備を進めておるわけでございます。  それから北陸縦貫道につきましては、富山市と新潟県の長岡の間がまだ基本計画のままで整備計画はつくられておりませんが、これも鋭意調査を進めました結果、富山県内については、富山市と県境にあります朝日という町の間、それから新潟県内につきましては、長岡と直江津という町の間までが一応調査が完了いたしましたので、基本計画整備計画を出せる段階になっております。ただ、親不知子不知という難所と新潟の能生という町の海岸を整備するとともに、この区間調査が未完了のためにこの区間が残っておるわけでございます。  九州縦貫道につきましては、九州の南のほうのえびの市と鹿児島県の加治木の間がまだ残っております。この区間整備計画がどうやら今回出せそうな調査段階になっております。宮崎県につきましては、高原という町と終点の宮崎の間が整備計画がまだ完了しておりませんでしたが、今回出せるような状態になったわけであります。  それから、五道以外につきましては、北海道の礼幌と岩見沢の間が残っておりましたが、ここが調査完了いたしまして整備計画を出せる状態にあります。  同じく近畿自動車道の伊勢線という線がございまして、これが起点の亀山と津の間まで基本計画が出ておりましたが、この区間調査を完了いたしまして整備計画を出せることになっております。  それから関越自動車道がございますが、これの調査もかなり前からやっておりましたけれども、ようやく調査も済みましたので、新潟県の部分では、長岡というところから湯沢という町まで、それから群馬県につきましては、沼田から北のほうの月夜野という町がございますが、これは国道十七号線のブランチになる区間でございますが、その区間まで完了いたしましたので、この整備計画を出したいというふうに考えております。  以上、整備計画でございますが、ほかに基本計画がございますが、それはいずれまた……。   〔委員長退席渡辺(栄)委員長代理着席
  11. 卜部政巳

    卜部委員 基本計画についても、いろいろと今後の問題等もありますから質問をしたいところでありますが、それはあとから質問をいたすことにいたしまして、これから私の質問したい中国縦貫道との関連もありますのでちょっとお伺いをしておきたいのは、すでに開通したところの東名名神、さらに現在工事中の東北道の関係地区から出されているインターチェンジ等増設、こういうものもやはり諮問されるものだと思うのですが、この点は間違いないですか。
  12. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 今度の審議会におきましては、基本計画整備計画追加諮問のほかに、ただいま先生御指摘インターチェンジ増設につきましても諮問することになる予定でございます。すでに供用開始しております東名名神中央道のほかに、現在工事中の区間につきましてもインターチェンジ増設してくれという御要望全国からたくさんの数が出ておりまして、大体五十を越えておる要望がありますが、これを事務的に一応基準に従いまして振り分けておりまして、現在おおむね二十程度インターチェンジ増設でよろしいのじゃないかと考えまして、そのほうと鋭意折衝中でございます。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 現在大蔵省と折衝中であるということで私は判断をいたしておるわけでございますが、千代田鹿野間の中国縦貫道の、その他の部分でありますが、そうしたものについては、この整備計画等に入れるような現在の計画はございませんか。
  14. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘横断道路広島浜田線のうち、広島千代田から島根県の浜田までの間は昨年基本計画を決定したわけでありますが、以来整備計画のための調査を進めておりますけれども、地形山岳部に属しまして、たいへん峻険な個所も多く、地質調査路線調査等にだいぶ手間取っておりまして、ただいまの状態では整備計画を出せるような調査はまだ完了しておりませんので、今回は見合わせたいというふうに考えております。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 横断道の問題についてはまたあとで申し上げることにいたしまして、では、整備計画の中に入っております縦貫道路千代田鹿野間の百三キロについてでありますが、整備計画が出てから大体幾日くらいたてば着工するのか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  16. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 従来の例によりますと、整備計画ができたあと大体十日以内に建設大臣から日本道路公団総裁に対しまして施行命令が出されます。日本道路公団は、それを受けまして工事にかかるための調査を再度いたします。建設省調査整備計画をつくるための調査でございますが、実際にこまかい調査に入りまして、たとえば土地にしましても一筆ごと調査に入るわけでございますが、そういう調査を行ないまして用地買収にかかるわけでございます。従来の例ですと、用地買収のための折衝に入るまでにやはり約一年間程度経過しておるようでございます。したがいまして、ほんとうに用地折衝に入るのは整備計画ができたあとおおむね一年後くらいになろうかと思われます。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、この千代田鹿野間の完成目標というのはいつごろになるわけですか。
  18. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 千代田鹿野間の完成目標  というのは、ただいまのところまだはっきりした計画が立っておりませんが、従来の例で申しますと、東名名神中央道をはじめ、整備計画ができましてから大体七年程度かかっております。これは、先ほど申し上げましたように、用地買収折衝に入るまでに一年かかりまして、用地買収に通常三、四年程度かかっております。それから建設工事そのものはおそらく二年半ないし三年程度でございますが、そういうことから考えまして、従来の例ですと、大体七年ないし八年というのが従来の傾向であります。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、五十三年にはおそくとも完成をする、こういうことですか。よろしゅうございますね。
  20. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 五十三年ごろには完成さしたいというふうに考えております。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 完成させたいというんじゃなくて、目標というのは完成するということの明言がなされなくちゃならぬと思いますが、五十三年には完成をするということを目標にやるということでございますか。確認をしておきたいと思います。  また、この千代田鹿野間の区間のそれは四車線ですか。どうなんでしょう。
  22. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 千代田鹿野間におきましては、われわれの計算によりますと、交通量がきわめて少なく、当分の間二車線でよろしいんじゃないかというようなことから、現在の計画では、用地買収車線建設車線ということになろうかと思います。将来交通がふえた場合には別なルートになります。つまり、東名名神のように上下車線が併設されているわけじゃございませんで、トンネル等も多い地形でございますので、上り車線と下り車線が段違いと申しますか、全く別なルートになることになりますので、別々に建設するようなかっこうになろうというふうに考えまして、用地買収も二車線建設も二車線ということでただいま計画中でございます。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 交通量が少ないということがまず第一点あげられたと思うわけでありますが、御承知のように、山陽道なんというのはもうふん詰まりの状態でございますね。当然この縦貫道へ車が流れてくるという状態になるわけなのでありますが、二車線なんという用地買収よりも、過疎地帯でありますし、むしろ、用地買収というものについては比較的容易であろうという推測が成り立つわけでございます。根本構想なるものが土地の問題でこの間発表がされておるわけでありますが、そういう問題についても、土地値上がりという問題等に大きく左右されている。こういうことからして、将来交通量の増加を見計らって土地買収にかかりたいとか、また別個のルートを考えたいなどということはむだなような気が私はするのですが、その点いかがでしょうか。四車線というような状態の中では、地元のほうも協力体制がしかれているわけですから、いまは高くつくように見えるかもしれないけれども、将来に向かっては、その時点で、いま判断をした四車線というのがかえって適切であったということに相なろうかと私は思うのです。この点についてはどうでしょうか。
  24. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘のとおり、高速道路そのものは、二車線では高速道路ではございません。往復分離しました四車線以上を高速道路とわれわれは言っておりますので、そういう面においてはわれわれとしてもたいへん不本意でございますが、先ほど申し上げましたように、日本財政事情等から勘案いたしまして、全国的にできるだけ早く高速道路網を、ネットワークをつくることが急務でございますので、暫定的な措置といたしまして、そういう山岳地におきます部分、しかも交通量が非常に少ないと推定される部分につきましては二車線建設もやむを得ないということで判断しておるわけでございます。用地買収も二車線にしました最大の理由は、山岳地におきましては、都市部ないしは平地部と違いまして、用地値上がりがきわめて徐々であるというふうな判断に立ったことと、それから、たとえば十年先に四車線が必要になるようでございますれば、その二、三年前から用地買収を始めてもいいんじゃないかということから、つまり、道路公団の金は金利がかかっておるわけでございますので、そういうことから、財政的な事情からも、経済的な事情からも、将来において四車線が必要になるような、交通量の少ない山岳地におきましては、二車線用地買収、二車線建設という方針でただいま進んでおる次第でございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 私語が多いので、委員長、少し整理してください。うしろのほうで雑音が多くていけません。   〔渡辺(栄)委員長代理退席委員長着席
  26. 金丸信

    金丸委員長 御静粛に願います。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 そこで政務次官、いま局長答弁をお聞きになってよくおわかりと思いますが、私は四車線を主張した。それから根本構想も、今後の土地値上がり問題等に対する土地対策という問題を出されておるわけですが、こういう中国縦貫道を初めとする主要道路の問題に対する取り組みとして、局長指摘したように、高速と名がつく以上は二車線なんというのはあり得ない、四車線だということがわかりながらも、現在の経済状態から云々だというこの問題について、少なくともやはり四車線にして状来への布石をしていくというのが正しいと思うのですが、この点はどうなんでしょう。
  28. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  先般、各地のそういった問題で現地視察もさせてもらいましたが、地域道路を利用する住民といたしましては、仰せのように、やはり二車線よりは四車線、四車線よりは六車線というように、最近のカーラッシュに伴います全くの交通渋滞に対して切実な要望がございます。ただ、問題は、御承知のように、つけろと言われまして行ってみますと、案外用地買収でかかってまいります。せっかく予算を組んで実施しようとしても、用地買収の折合いがつかないためにどんどん引っぱられる。そうすると、そのことによってまたその地域道路整備がおくれていくというようなこともありまして、できるだけ四車線という規模でやるのが当然でありましょうが、とりあえず二車線でも早く抜けたいという地域要望もございます。そういうものを彼此勘案いたしましてこういう状態で進んでおりますが、御案内のような、最近の道路網交通渋滞状態を見ますと、やはり金と、そして地元折衝ないし受け入れ体制の御協力をいただいて、理想的な四車線整備された道路網をすみやかに仕上げるということが建設省道路行政の理想的な目標でなければならぬ、それに向かって協力をしていくべきだというように私は考えております。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 局長、この千代田鹿野間において用地買収トラブルがありましたか、その点まずお伺いしたい。トラブルがあるかということは、いま局長の言うように、とてもじゃないが、土地値上がり等によって四車線ということは無理だから、現在のところ二車線でやっていきたいという条件があるのかどうかということです。千代田鹿野間においては、地元受け入れ体制と相まって、この問題については積極的だと私は思うのです。そういう問題について局長のほうから明快な答弁をしていただきたい。政務次官もお話しがありましたように、土地買収について問題があるから二車線でも早く抜けたいということがあるけれども、四車線というかっこう地元協力するならば当然四車線に向かって努力をしたいということなんですから、その点について、そういうような土地に対するトラブルといってはおかしいですが、四車線にできないような事情が、全国的では別ですが、この区間に限ってはあるのかどうか、ちょっとお伺いしてみたいと思います。
  30. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま地元のほうから四車線に対してトラブルがあるというふうに私たちは聞いておりませんし、われわれもそう考えておりません。   〔委員長退席服部委員長代理着席〕 むしろこちらの建設省側の問題でございまして、先ほど御説明いたしましたように、全国高速道路ネットワークを早く建設したいという考え方から、交通量のきわめて少ないと考えられる区間につきましては当分の間二車線でわれわれは建設したい。  それから、先ほど用地買収の問題でございますけれども、平地部におきましては、先ほど申しましたように、大体上下車線が併設されております。したがいまして、用地買収は同時に行ないませんと後の追加買収は非常に困難でございます。ところが、山間部上りと下りが完全に分離されまして、一単位ずつの道路として設計もされますし、将来は共用されるわけでございますので、そういう面から一体として買う必要はないというふうに考えられます。  それと、先ほど御説明いたしましたように、用地値上がりがないとは申しませんが、平地部や市街地に比べてきわめて少ないという状況判断もございまして、われわれといたしましては、単にいまの千代田鹿野間のことだけではございませんで、それ以外にも、山地部道路につきましては、二車線用地買収、二車線建設という方針でただいま進んでいる次第でございます。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 山地の場合はわかりましたけれども、そうすると平地の場合には四車線買収する、この千代田鹿野間は四車線になるということでよろしいのですか。
  32. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 平地部におきましては四車線用地買収で、交通量によりまして暫定的に二車線建設するというような方針をとっているところもございます。ただ、千代田鹿野間は、これは山地部というふうにわれわれは考えまして、今度の整備計画につきましては二車線用地買収、二車線建設ということで施工したいというふうに考えております。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 では横断道の問題に入っていきたいと思いますが、先ほどもちょっと触れましたように、岡山から出ている横断道、さらに浜田広島間の横断道でありますが、この横断道の場合におきましては、率直に言って、過疎地帯中国総合開発等関係からいきまして、縦貫道にも増して切実なものがあろうかと思うのです。こういうような状態にあるわけでありますが、先ほど局長からちょっと御答弁がありましたけれども、今度の基本計画の中にも入っていない、また入るような予定もないということでありますが、大体どういう目標で進んでいくものかお示しを願いたい。来年なら来年にはぜひとも入れるとか、そういう問題についてひとつお答え願いたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  34. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 千代田広島間でございますか……。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 いや、きまっているところがありますね。横断道路におきましても、そのきまっていないところです。
  36. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 中国横断自動車道広島浜田線におきましては、北のほうの半分だけ、千代田から浜田まで基本計画がすでに昨年出たわけでございますが、南のほうの広島千代田の間につきましては、ただいま三本程度ルート比較検討を行なっております。したがいまして、まだルートが確定しておりませんので、基本計画を出せるような状況になっておりませんので、ただいま延びておるわけでございますが、これもできるだけ早く調査を完了いたしまして、基本計画だけは早く出したいというふうに考えております。  なお、北のほうの千代田浜田間でございますが、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、山岳地道路でございまして、ルートにつきましても選定になかなか困難しておりますけれども、整備計画が出せるまでにはまだ一、二年かかるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 千代田から広島までの間でありますが、そのルートの問題についてまだきまっていないという話でありますが、この千代田から広島、それから落合から岡山へのルートなのでありますが、これは大体何年かかっておりますか。もたもたし続けておりますね。こういう点について、この原因は一体どこにあるのだろうかということを私らは疑問に感ずるわけでありますが、その原因は一体何でありましょうか。
  38. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、落合、米子、松江線ですかの区間につきましても、同様に山岳地を通る横断道路でございますので、平地部と違いまして、調査がなかなか十分に参りません。たとえば平地部でしたら、主として図上でも相当の調査ができまして、なお、地質調査等につきましても、簡単なボーリング程度で済むわけでございますが、山岳部になりますと、トンネルがもし必要になるということになりますと、そのための調査が非常にたいへんになります。それから、橋で渡る個所が多くなりますと、それのための深い調査も必要となります。あるいは気象条件の変化がある場合には、それに伴って気象調査を行ないましてルートの選定を行ないます。そういうようなことで、平地部に比べまして、山岳地は相当の調査を必要とするわけでございます。われわれ建設省がなまけておるわけではございませんで、一生懸命調査をやっておりますけれどもたいへんおくれておるという現状でありますので、できるだけ早く調査が完了するように督促いたしたいと思いますが、以上のような事情でおくれておる次第であります。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 政務次官も聞いておいていただきたいのですが、今度の本州−四国の架橋の問題にしましても、技術者は地下をもぐらしたほうが一番安上がりだという主張をしておるわけでありますが、今日、日本の政治の中でたいへん悪い点は、そういう技術者の意見が取り上げられないという状態であることです。たとえば鉄の需要等の関連からしまして、鉄橋にして架橋したほうが鉄の供給会社というものはもうかるわけでありますから……。そういう面からいたしまして、このルートに対しましても、技術者が良心を持ってこれがいいということになりますと、この問題についてやはりルートをきめるべきだと私は思うのです。政治的な配慮から云々ということで建設省が振り回されるようなことがあってはいけないと思うのです。この点は十分肝に刻んでいただきたい、こういうふうに思います。  その点は、また別の角度から順次これからの問題として指摘をしていきたいと思いますが、では、当面きまっております基本計画の中に出ております千代田浜田間、それから落合−米子間、これは基本計画の中で明確にされておるわけでありますが、局長は、トンネル等山地地帯であるから、まだルートもきまっていないので整備計画のほうには云々だということでありますが、この整備計画に入っていく道のりでありますが、来年あたりは完全に整備計画の中に入るというふうに理解をしてよろしいですか。
  40. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの調査状況から判断いたしますと、来年に整備計画を出すほどまで精度がまだ高まらないのではないかと思います。整備計画までにはやはり二、三年調査を必要とするのではないかというふうに私は考えます。
  41. 卜部政巳

    卜部委員 この中国の横断道路について、全国的なネットワークの中ではこれは切実である、完成を急がなければいかぬ、そのためには四車線を二車線にしてまでも貫徹をしたい、こういうことを言っておるわけでありますが、建設省が出しておる生活圏構想との関連もありまして、過疎地帯の島根とそれから広島を結ぶいわゆる中国総合開発という観点からしても、この横断道路というものはやはり早急に取りつけていかなければいかぬと思うのです。いまの局長の話ですと、それは無理でありまして、三年や四年だということをおっしゃっておりますが、そんななまぬるい説明では理解できない。何としてもこれを一日でも早く縮めていく努力がなされなければならぬと思いますが、そういう面で、三年、四年といういまの答弁をひとつ取り消していただきまして、これからの建設省の取り組みもあろうかと思いますから、その御答弁は、一日も早くこれを整備計画にのせたいというふうに改めてもらいたい。三年、四年なんということを議事録に残しておきますとたいへんなことになる。その点で、いまのおことばをひとつ撤回をしてもらいたいと思います。
  42. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほどの御質問で、来年整備計画を出さないかという御質問でしたものですから、来年は出せませんと申し上げましたので、三、四年というのはちょっとオーバーかと思いますが、いままでの実績を申しますと、基本計画ができてから整備計画が出るまでは最小限三年はかかっております。ところが、山地部になりますと四、五年かかっておるのが常識でございまして、たとえば、千代田鹿野間につきましては、ずいぶん急かしたつもりでございますが三年半ぐらいたっておりますし、上越の国境におきます関越自動車道につきましては、いまだに整備計画が出ておりません。それから、最近ようやく今度出そうとしております東北の安代−十和田間、これも奥羽山脈を抜くところでございますが、三年以上、四年かかったと思います。それから、いまだに四年かかってもまだ出せないところが、縦貫道で申しますと、九州の南のほうに、八代から人吉を通りましてえびのまでの間がございますが、これは肥後峠という峠を抜きまして加久藤峠という峠を通る。この二つの峠を通るわけですが、これがすでに五年以上かかっておると思いますが、いまだに調査を完了しておりません。親不知、子不知という難所も同様でございます。したがいまして、そういう実績から申しまして、三年以内に整備計画が出せる自信がございませんので、少なくとも来年は出せませんと申し上げたのでございますが、御趣旨のように、一日も早く出したいというふうに考えております。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 局長からのいまの御答弁で、大体三年だということでありますが、幸いにしまして、この基本計画も四十五年に出たわけでありますけれども、四十五、四十六、四十七年というように来年が三年目になるわけであります。そういったことになりますと、来年ないしは再来年には整備計画にのるわけだ。いろいろな九州状況等もお話しになりましたが、現実に過疎地帯で、しかもこれが日本一というようなありがたくない島根県の現状でありますから、こういう面については特別な配慮が必要かと思います。そうした面で、「あした待たるる宝船」ということばじゃありませんけれども、私は、いまの答弁は最低四十八年には整備計画にのるものだということを確認をして次の質問に移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  44. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 四十五年度に基本計画が出ましたので、三年間だと四十八年度になることは間違いございませんが、ただいまの調査状況から申しますと、ほかとのバランスもございますので  一がいに申し上げられませんが、四十八年度に出せるということはちょっと困難じゃないかと思うのです。できるだけ努力はいたします。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 困難ではあるけれども努力をしていただいて、ひとつ早急に実施をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、県道の選定基準について若干お伺いをいたしたいと思いますが、現行の都道府県のいわゆる県道の選定、これは二十九年の七月二十二日の道路局長の通達によって行なわれておるわけですね。この通達が出されて以来すでに十数年を経過しておるわけですが、全国的な自動車道路の普及だとか、過密過疎などの問題だとか、さらには社会情勢の変化等から見てこれは適当でなくなっている。これは建設省もお認めだと思うのです。そういう意味におきまして、建設省でも、この基準を改定して現状にマッチするように改めようとする空気があるということを聞くわけでございますが、その基準を策定したのかどうかをお伺いしたいと思います。
  46. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘県道認定基準につきましては、昨年ですかの一般国道の昇格に伴いまして、さらにことしの主要地方道の県道からの昇格に伴いまして、市町村道から県道にも昇格する必要があるというふうに考えております。つまり、日本国道から市町村道に至るまでのネットワークがきわめて調和のとれたものにならなくなってしまいましたので、これを調和のとれたようなことにするためには、現在の市町村道の認定基準を変更いたしまして、約二、三万キロ程度の市町村道を県道に昇格すべきじゃなかろうかという議論が前からなされておりまして、そういう考え方のもとに、昨年来、市町村道の認定基準につきまして検討を重ねてきているわけでございますが、ただいままだその成案を得るに至っておりませんが、おおむねの試案はでき上がって、目下関係各省とも折衝する予定になっておる次第でございます。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、全国道路課長会議というのはいつごろ開かれるわけですか。
  48. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 この問題のために全国道路課長会議を開く予定はございませんが、昨日、新年度初めての道路課長会議を開いて、この問題もあわせて説明をしておる次第でございます。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 私が聞いている情報では、きょうは十九日ですが、建設省は五月二十日前後に道路課長会議を開くということでありますが、それまでには道路基準を策定して説明したい意向であるということを私たちは聞いておるわけです。このために会議を開いたのじゃないといういまの局長のお話でありますが、では、全国道路課長会議には、そういう基準というものが策定されて説明されたのじゃないということになるわけですか。
  50. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 昨日の道路課長会議には、建設省の原案を説明しております。いままで申しましたように、道路課長会議は五月の連休明けに毎年開くわけでございますが、主として四十六年度予算の執行についてが主体になりまして、ことしは、そのほかに、新しく制定されました交通安全の五カ年計画の説明その他たくさんの議題がございまして、十六議題ございますが、そのうちの一つとして、ただいまの県道認定基準についての建設省原案を説明しているようでございます。
  51. 卜部政巳

    卜部委員 そうしますと、書面でまたあとから委員会外においていろいろな点について質問をしてみたいと思いますが、内地と北海道との集落の問題についての大きな違いがありますね。こういう問題についてかなり問題があると私は思うわけでありまして、またそういうふうに考えていたわけでありますが、この点は道路課長会議にはどのように報告されたのか、この点を明確にしてもらいたいと思うわけです。
  52. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御指摘の内地と北海道の集落の違いというのは、どんな内容か私もちょっと知りませんが、そういうふうに内地と北海道によって特別な区別はつけていないと私は思いますが、なおよく調べてみたいと思います。  都道府県道の認定基準につきましては、先ほど先生から御指摘のように、二十九年につくったものでございまして、すでに十七年も経過しておりますので、確かに、現代の道路体系上非常におかしな面も出てきておりますので、これの修正が主体になりまして、特に、認定基準の一つに地方開発路線というものがございますので、これに対する定義づけをわりに明確にいたしまして、市町村道でも、地方開発に特に必要なものにつきましては県道に昇格させたいというふうなことで主として作業を行なっている次第でございます。
  53. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどから、中国縦貫道路、横断道路、それから県道の基準の緩和と関連をして質問しておりますけれども、御承知のように、島根県の道路事情というものを勘案したときに、過疎地帯の人事の交流、またさらに文化、産業の交流というふうなかっこうの中で、中国縦貫道路それから横断道路、そして県道への基準の緩和の問題というものとからみ合わせまして、主要地方道の問題についても、やはり一般県道を主要地方道に上げていただいたわけでありますが、こうした問題についても島根県独自のいろいろな要求もございましょうが、そうした一つの道路網完成といいますか、道路網の拡充というものを急かなければならぬ現状にいま置かれているのではないかという意味で、全国的にも統計をとってまいりまして、中国管内での一つの形を見てまいりますと、島根県というのが実にお粗末な状態になっているわけですね。こういう点で、ひとつ早急にこの整備をはかるための努力をしてもらいたいということでいま質問を続けておるわけでありますが、そうした意味におきましての主要地方道への昇格の問題等についても十分な配慮をいただきたい、こう思います。同時に、中国縦貫道路、横断道路についても、先ほど四十八年云々とかいう問題がありましたけれども、これを骨幹としながら、肋骨としながら道路網を拡充していきたいと考えておるわけなんですから、その点もひとつ十分配慮をしてもらいたいと思います。  そこで、次に、道路からは離れまして、公園の問題で御質問をしたいのでありますが、東京や大阪、名古屋などの大都市での住民一人当たりの公園面積は幾らになっておるか、お示し願いたいと思います。
  54. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ねの大都市の一人当たりの公園面積の現状を申し上げますと、東京では一人当たり〇・九九平方メートル、名古屋で二・八八平方メートル、大阪で一・三七平方メートルでございます。全国の平均を御参考に申し上げますと、二・四〇平方メートルという現況でございます。
  55. 卜部政巳

    卜部委員 では、わが国の公園行政がその範としているアメリカの人口五十万以内の都市では、一人当たりの公園面積は幾らになっているか、ちょっとお示しを願いたいと思います。
  56. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ちょっと手元にアメリカの五十万未満の都市の公園面積の状況の資料を持ち合わせておりませんけれども、いま私の手元に持っておりますもので申し上げますと、ニューヨークの例で申し上げますと、一人当たり十九平方メートル、それから欧州の主要都市で申し上げますならば、ベルリンが十四・四平方メートル、ロンドンが二十二・八平方メートル、モスクワが九・七平方メートルという状況でございまして、わが国の大都市に比較いたしまして一けた違うような現状でございます。
  57. 卜部政巳

    卜部委員 いま東京や大阪、名古屋などの大都市の住民一人当たりの公園面積と、さらにわが国が公園行政の範としているアメリカの公園面積との比較の問題がいみじくも出ておると思うのですね。まさにこれは格段の相違だと思うのですが、こういうような公園行政とでもいいますか、公園の設置の不十分さという点について、将来一体どういうふうに公園を広げていこうとする努力があるのかということをお伺いしておきたいと思います。
  58. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 確かに御指摘のとおりでございまして、わが国の、ことに都市公園の整備の現況というのは、欧米諸国と比べましてまことに貧弱でございます。なぜそうなったかということについていろいろ言われておるわけでございますが、公園行政といいますものが、現行の行政の体系の中におきましては、市町村の固有事務であるということで位置づけされまして今日までまいっております。それから、戦後今日に至りますまで、日本の都市施設の関係整備すべてが社会資本という面では立ちおくれておりますので、道路でございますとか、昨今問題になっております下水道とか、そういう方面には非常に高い重点が置かれて都市行政が進められてまいっておりますが、公園はどちらかというとなかなか伸び悩んで今日までまいっておるということでございます。下水道に比べますと、公園の場合は、まず用地を、要するにオープンスペースを確保するということに尽きるわけでございます。そういう用地が確保できれば公園のようなものはほとんどでき上がったようなもので、その土地を都市の中にいかに確保していくかということが、この公園事業が非常に伸び悩んでおるということの大きな一つの問題点となっております。したがいまして、昨今のこういう人口の都市集中、それから都市の生活環境という点から申しまして、これからは都市にそういう緑のあるような環境を大いに整備してまいらなければならぬということは、これからの私どもに課せられた大きな使命の一つであるというふうに私どもは自覚をいたしております。こういう意味から、目下立ちおくれた公園をいかにこれから緊急に計画的に整備していくべきかということについて私ども鋭意研究、勉強いたしております。一つの成案があげられますならば、四十七年度以降、そういう具体案につきまして、いろいろとまた国会の場で御批判なり御指導、御鞭撻をいただきたいと思っておりますが、具体的には、要するに、市民一人当たりの公園面積をレベルアップするということになるわけでございます。現行の都市公園法におきましては六平米という目標がございますが、この六平米といいますものはかなり古いところの一つの目標でございますので、私どもは、そういうものも根本的に検討し直しまして、日本の置かれております都市環境からいってどういう公園の整備水準が望ましいかということについて、それの検討並びにそれに対する財源対策なり推進策ということを目下いろいろと鋭意研究いたしておる段階でございます。
  59. 卜部政巳

    卜部委員 いま都市局長がお話の中にもあげられましたように、オープンスペースをどのように獲得するかという土地の問題でありますが、これにはいろいろ手があろうかと思うわけですね。たとえば、将来予想される埋め立て地だとか、さらにまた現在の米軍が使っておる施設の返還等に伴う用地だとか、さらには、極端な言い方をしますとゴルフ場などというものもあるわけですね。これを開放するとか——このことはまあ別としまして、そういう問題について今後十分検討して計画を立てたいというようなことでございますが、現在の状況の中でそういうことが可能なのかどうか。いまの土地問題等とからみ合わせて、さらにこういうオープンスペースが少なくなってきておる現状の中で、それを拡大することが可能なのかどうかということをちょっとお聞きしたい。
  60. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 確かに非常に困難な問題があります。市街地の中におきましてそういうオープンスペースを確保していくためにはいろいろな問題がございます。そこで、先生御指摘のように、既存の国公有地をできるだけ活用いたしまして、そういったオープンスペースを公園とか緑地に転用するというふうな方面に私どもも極力努力をいたしておりますし、公共団体にもそういうふうな指導をいたしております。東京におきましても、たとえて申し上げますれば、いろいろな米軍の返還基地といったようなものも若干ございます。そういうものの返還の暁におきましては、千載一遇のチャンスでございますので、他の行政目的もございますけれども、そういうものをまず公園とか緑地に極力確保するという方向で関係方面に対して要請なり努力を続けてまいっておるわけでございます。
  61. 卜部政巳

    卜部委員 オープンスペースの問題について、局長のほうから、いま一つの具体的な案としてそうした提案がなされておるわけでありますが、私はたいへんけっこうなことだと思うのです。ただ、一つ、私たちが公園行政を考えていく場合におきましても、児童公園等に対する予算が御承知のようにわずかである。ところが、一昨年ですかに行なわれました明治百年記念の大森林に三十億も出ておるようですが、こういう面で、飛鳥の問題もからめてでありますが、極端な言い方をすると、何か片寄った形の中ではそういうように金が十分に投下をされていく。片寄った形でというのは、たとえばそうした国家的な記念行事みたいなものについては重点的に投資がなされていく。しかしながら、一般の住民の方々のしあわせにつながるこういう問題についてはわずかな予算でこれが進められていくということについても私は疑惑があるわけであります。そうした面がありますが、これは局長のほうから、軍用地の返還等に伴っては今後十分にひとつ配慮していきたいという構想も発表されておりますし、さらに、将来に向かっては、児童公園等公園行政も大きく進展していくだろうということに期待を寄せて、この問題については私は終わりたいと思いますが、ただ、これからの問題といたしましては、都市生活の発展と労働様式の変化に伴って、一般市民が対象とする、いわゆる日々のいこいの場となるその地区内の公園、さらには近接公園、それから季節ごとにそれぞれ月に一度利用する都市外の大公園とか大緑地というものもあってもいいだろうと思うのですね。そういうことについて何か構想があるのかどうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  62. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 公園、緑地に対する需要というものは非常に多岐でありまして、いまたまたま先生がお述べになりましたように、下は児童公園から上は森林公園、それから地区公園、中央公園といったように、利用の目的ないしはその地域との関係において公園の態様が種々あるわけでございます。私どもは、やはり公園というものは片寄ってはいけない、こういうものをやはりワンセットで地域に応じて計画して整備していくべきだと思うのでありまして、しからば従前は片寄っておったのじゃないかという御指摘がございましたけれども、決してそうじゃございませんで、私どもは、どちらかというと児童公園とか少年運動公園とかいうものに重点を置いて、四十六年度の予算で申し上げれば、約半分近いものを児童公園とか少年運動公園とかにさいておるというような実情でございます。そこで、そういうものももうこれからどんどんやっていかなければなりませんが、都市生活の非常な広域化と申しますか、レクリエーションの広域化と申しますか、そういうことからいたしまして、ブロック的な公園、いわゆる広域公園と私ども申しておりますが、そういうものをこれからは各府県単位に数カ所設定いたしまして、そういう公園は市町村ではなくて、やはり広域的な立場でございますので、都道府県が中心となってその整備をはかっていくことも必要だと思いますので、今後はそういう広域公園というものを大いに伸ばしていきたい、かように考えております。
  63. 卜部政巳

    卜部委員 いま都市局長のほうから広域公園の問題が出ましたが、先ほども申し上げた季節のそれによって利用していく都市外の大公園等もあわせて広域公園について触れてみたいと思います。  先ほどから、中国縦貫道横断道の中で島根県の過疎の問題が出てまいりましたが、しかしながら、いま、過疎といわれる島根の中で一番誇れるものは、きれいな水ときれいな空気と、さらにはその環境だと思うのですね。そうした意味におきまして、いま局長指摘をされております広域公園、国府から波子にわたるいわゆる広域公園というものを計画しておるわけであります。これは、全国の人々がそこにつどい、いこうところのかっこうな場所だと私は思っておりますが、こういう問題についても、ただ市町村が中心になって云々といっても、いわゆるかぼそい財政事情もあろうと思いますので、こういう具体的な公園等に対しましても援助というものをぜひしていただきたいと私は思うわけでありますが、いかがでございますか。
  64. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いま具体的に島根県のお話が出ましたけれども、確かに、日本の中で残された唯一の美しい自然環境だと思います。そこで、山陰、島根地区につきましては、その残された美しい自然環境をこれから保護していかなければならないということがやはり大事なことじゃないかと思うのでありまして、これを保護する方法はいろいろございますけれども、私どものほうの仕事の面からいきますと、そういう地域に環境に合ったような公園を整備していくということじゃないかと思います。幸いにいたしまして県御当局も非常に御熱心で、島根地区におきましては、たしか出雲地区と石見地区だと思いますが、この一カ所に、いま申し上げましたような趣旨の広域公園を、四十五年、四十六年度からすでに着手をいたしております。それに対しまして私どものほうが積極的な助成をはかっていくような体制にいまなっております。これを今後とも計画的に早期にその整備が終わるように努力をしてまいりたいと思っております。
  65. 服部安司

    服部委員長代理 卜部先生、予定の時間がかなり過ぎていますので、ひとつ御協力願います。あとたくさんありますので……。
  66. 卜部政巳

    卜部委員 では、委員長のせっかくのそういうことばでございますから、公共下水の問題について若干質問いたしたいと思います。  四十五年現在の公共下水道事業についてでありますが、全国都市三千二百八十都市中、公共下水事業が行なわれていない都市が幾らございますか。
  67. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 全国の総都市数三千二百八十五都市のうち、公共下水道の実施をいたしておる都市を申し上げますと、四十五年の四月一日現在におきまして二百五十一都市でございます。
  68. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、その未実施の都市は十万未満の小都市、このように理解してよろしゅうございますか。
  69. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 確かに、実施しておらない都市は、御指摘のとおり十万未満の都市が大部分でございます。それ以外の十万以上の都市につきましても、公共下水道を実施していない都市もかなりございますけれども、大部分は十万未満の都市であろうかと思います。
  70. 卜部政巳

    卜部委員 建設省の出しておりますこの「下水道事業の動向」という中に明確に示されておるわけでありますが、これからもそうした未実施都市を含めて下水道を進めていく必要があるというふうにいわれておるわけでありますが、その方針を今後はどのように貫いていくのか、ちょっと具体性がありません。ただ進めていかなければならぬということで区切っておるわけでありますが、今後はこれをどういうふうに貫いていくのか、この点を若干お示しを願いたいと思います。
  71. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この問題につきましては、先般来の関係法案の御審議におきましてたびたびお答え申し上げましたとおりでございます。私どもの当面の五カ年並びにその前提になりますところの長期の考え方といたしましては、新都市計画法によりまして現在線引き作業を鋭意やっておるわけでございますが、この対象市町村が約八百八市町村ございます。その後町村合併等で町村数は少し減っておるかと思いますが、この市街化区域の設定の市町村をまず中心にいたしまして、そういう都市から下水道の整備をはかってまいりたい。むろんこの市街化区域の設定は今回が第一次でございます。いずれ第二次、第三次のそういう線引き作業が行なわれる都市が今後ふえてまいると思いますので、新全総によりますところの昭和五十五年、六十年の人口の都市集中の状況等を踏まえまして、ごくマクロ的に申し上げますならば、六十年時点におきますところのいわゆる市街化区域というものが想定されておりますので、この市街化区域に関しては、下水道は六十年までには一〇〇%普及させるというふうな長期の目標で当面の五カ年計画を進めておるという考え方でございます。
  72. 卜部政巳

    卜部委員 これは、先般の国会の中で下水道法の改正が行なわれたときには、公害を中心にして論議を集中したために、私はこの問題はあえて触れなかったわけでありますが、この建設省のいわゆる「下水道事業の動向」の中にも含まれておりますように、現在「最も普及率の高い大阪府の五四%から島根県、佐賀県の〇%まで地域的に非常にアンバランスであり、」と書いてあるのですね。こういうふうな関係の中で、この間のいわゆる地方統一選挙の中では、各市長がこぞってこの下水道の問題を取り上げておるわけでありますが、現在の公共下水道は何としても市町村が事業を行なっていく固有のものであるというふうな取り組みがなされておるだけに、かなり財政上の困難がある。この点からいたしまして、率直に言って、島根県みたいな貧乏県はゼロ%という現状なんでありますが、これはやはり何としても取り組んでいきたいという姿勢で、いまゼロ%の地域の島根県においても取り組んでおるわけでございます。こうした面において、このアンバランスを是正するためにこういうゼロであるところの地域から重点的に取り上げてもいいのじゃないかと私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
  73. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先ほど申し上げましたとおり、長期的にはそういう考え方を持っておりますが、当面の五カ年計画は、たびたび申し上げておりますように、大都市地域等を中心にしました水質環境、環境対策というものに重点を置いて、流域下水道とか、そういうものを中心に進めてまいりたいという考えでおります。しかしながら、日本全土の都市化の傾向というものは、やはりこれはもう異論のないところでありまして、たとえ島根その他のいわゆる人口の過疎地域におきましても、やはり都市地域には人口が集まっておるわけでありますから、そういう都市地域に対しましては、生活環境の基盤としましては、やはり下水道は完備してまいらなければならないというふうに私ども考えております。したがいまして、関係の市町村におきましてそういう計画等をお立てになり、事業をやりたいということになりますれば、私どもは、現在の計画の中においてできる限りそういう都市に対しましても御援助してまいりたい、こういう考えでおります。
  74. 卜部政巳

    卜部委員 いままでの私の質問は過疎という問題をとらえての質問が多かったわけでありますが、いま局長の御指摘のように、島根県の過疎地帯の中でも、県庁所在地であります松江、これが過密状態ということになっている。特に、喜々と戯れた宍道湖の水は、いまごろは大腸菌がうようよしていて泳ぐこともできない。ことに堀川の水なんというのはきたない。魚なんかも——魚といっても、きたなげな、食べられないような魚でありますが、全部浮き上がっておるという現状なんです。こういうような状態等をも勘案して、先国会の中で審議をされた下水道法の改正の中では、流域下水道の関係とか、公害関係にからめていろいろな問題もありましたが、しかしながら、こういうゼロ地帯の問題についても、局長からいま、そういう地区についても十分に配慮したいというおことばがありましたからこの程度で終わりますが、そういうゼロの地区もひとつゼロでなくなるように何としてもやっていただきたいと思います。そういうことで、いまの局長のことばを私たちは十分に理解をしながら、各市町村に対しての指導を強めていただきたいし、そういう点についてはひとつ十分なる配慮を賜わりたい、このことをお願いをいたしておきます。  さらに、埋め立ての問題、広域水面の問題等々いろいろな問題もございますが、大臣が不在でありますから、大臣が来てからひとつこの問題等には触れさせていただくことといたしまして、ずいぶん長いこと時間を費しましたが、時間がきたようでありますから——当初私はそういうようなことを聞いておりませんでしたのでゆうゆうとやっておりましたが、私のほうの理事からの要望もございますので、これをもって終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  75. 服部安司

    服部委員長代理 小川君。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 不動産鑑定士の特例試験の廷長についてお尋ねいたします。  今回、不動産鑑定士の試験が行なわれたのでございますが、何人受験して、どれくらい鑑定士、鑑定士補が合格し、そのパーセントはどれくらいでございますか。当初建設省予定しておりました不動産鑑定士、不動産鑑定士補の合格者数はどれくらいなのか。
  77. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生のお尋ねの件は、不動産鑑定士の試験の合格者数及び士補についてでございますが、合計いたしますと、現在までで二千八百五十八人合格者がございます。先生御承知のように、これは合格しただけではいけないので、登録をする必要があるわけでありますが、このうちで、この登録をした数が、ことしの四月現在で二千十八人ということになっておる次第でございます。  それから合格率でございますが、試験は、御承知のように、特例試験も入れますと、三十九年から行なわれておりますので、毎回合格率は違うわけでございますので、ごく最近のを申し上げますと、四十五年が、第一次試験が一七%、第二次試験も一七%、三次試験は、御承知のように第二次試験を合格した士補が受けるわけでございますが、これは五四%。それから、昨年やはり行なわれました不動産鑑定士の特例試験がございますけれども、特例試験の合格率は、受験申し込み者数から見ますと、不動産鑑定士特例試験のほうが約三・三%。ところが、これは実際の受験者数は半分くらいでございますので、受験者数の合格者を見ますと約七%ということになっております。  それから不動産鑑定士補のほうは、これもやはり受験申し込み者数と合格者数との比を見ますと約四%でございますけれども、実際の受験者数が約半分でございますので、これは、それを比較いたしますと約八%ということになっておる次第でございます。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、今度の新都市計画法の線引き等による市街化区域並びに調整区域、また、これからの都市問題で一番大事な不動産鑑定士が必要とされる数というものは、建設省でもあらかじめの目標というものはあると思うのですが、その特例試験について例をとっても、合格率が大体七%程度ということは、当初充足を予定しております建設省目標からしてはどれくらいの格差があるのですか。大体この程度の合格率であるということを目標にして特例試験並びに普通試験というものを設けてきたのかどうか。巷間聞くところによりますと、これは非常にむずかしいかったそうです。むずかしいのは、厳格であって、また、それだけ程度が高い重要な仕事であるということを勘案すればやむを得ないと思いますが、市街化区域の不動産鑑定並びに地価公示制度について、建設省がこれから何万件と地点を設けていき、そういった地価の安定政策の中から地価の公示値段を定めるのに、この鑑定士の充足というものは、現在のような、この程度の合格の充足率ではたして不足を来たさないのかどうか、こういう点を私はお尋ねしたいのです。
  79. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 お尋ねの不動産鑑定士及び士補がどのくらいおればいいかという問題でございますが、これにつきましては、まず、先生のいまお触れになりました地価公示制度というものが現在ございまして、この地価公示制度によりまして、地価の公示をいたす場合に地価調査をいたします。これは土地鑑定委員会が不動産鑑定士を使って行なうわけでございます。  この数がどのくらい必要かということをまず最初に申し上げますと、御承知のように、市街化区域内におきまして、平均一平方キロメートル当たり一地点というものを、四十九年四月一日には全部これを公示しようということでございます。そうなりますと、大体一万一千八百カ所ということが標準地の数になるわけでございます。したがって、それに必要ないろいろな調査をするわけでございますが、この一地点を調査する場合に、新しいものは不動産鑑定士を大体三名使う、それから一度調査したところは二名使うというようなことで、大体そういう原則は基準でやっておるわけでございます。そういうことからいろいろ計算いたしますと、地価公示のために必要な不動産鑑定士の数というものは、過去のことは別としまして、四十六年に七百十五人、四十七年に千人、それから四十八年に千四百八十人、これが一番ピークでございます。あとになりますと、さっき申し上げましたように、すでに調査は二度目でございますから数が二人で済むわけでございますので、四十九年は千百八十人という不動産鑑定士が必要になってくるということになるわけでございます。   〔服部委員長代理退席、大村委員長代理着席〕 一応の目標として、四十九年四月一日はそういうことで目標をきめておるわけでございますが、その後のことはさらにまたいろいろ検討しながら、また、御指導をいただきながらきめてまいるわけでございます。  それから、実際の不動産の取引に当たりまして不動産鑑定士を利用するという傾向が、この不動産鑑定士制度の法律が三十八年にできまして以来相当ふえてきておるわけでございます。現在、大体六万件ばかりこの不動産鑑定を求める件数があるわけでございますが、御承知土地建物の取引というものの件数が相当多うございます。最近では、この件数を登記面で見ますと、土地建物の売買の所有権移転の件数が、昨年が全国で二百九十万件でございます。その前年が二百六十数万件ということで、大体一割ぐらいずつふえているのでございます。ただし、そういう所有権移転のものについてすべて不動産鑑定をする必要はもちろんないわけでございます。したがって、現在は六万件ということになっておるわけでございますけれども、これをどれぐらいにしたらいいかということは、もっぱら需要の問題と関連がございます。したがいまして、私どもは、これを何人にという目標を定めて作業をしたことはいままでないわけでございますけれども、この不動産鑑定士制度の制定されました趣旨というものを考えますと、そういうものを大いに利用して、そうして地価の安定がはかられるということがもちろん大事なことでございますので、相当程度はこれは必要であろうかと思うわけでございます。したがいまして、御質問の、何名を標準としてきめて、その格差はどのくらいかということについては、私、お答えする資料を持ち合わせていないわけでございます。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私がただいまお尋ねしているのは、そういう需要と供給ですね。この供給ということばはおかしいのですけれども、必要量を確保するだけの不動産鑑定士並びに不動産鑑定士補が必要なわけですが、これがいまのままで不動産鑑定士の特例試験というものが行なわれた場合——なぜこういう特例が設けられたかというと、ただいまも申されましたように、六万件もの需要を満たすだけの不動産鑑定士を必要とするような日本土地の流通市場と申しますか、そういうマーケットが当然それだけの人を必要とするということで試験にその特例というものが設けられた。ところが、これが四十五年と四十六年の二カ年間だけでございますね。そうしますと、私がいま心配しておりますのは、四十七年に一千人、四十八年に一千四百八十人、ちょっと下がって四十九年には千百八十九人必要であるということでございますが、この特例試験というものを四十五年、四十六年の二カ年間で打ち切ってしまったら——いま言ったような七%程度の合格率しか出せないようなむずかしい試験でございますが、多くの人材を集めて試験を行なわなければならぬということから考えていきますと、来年度、四十七年も特例試験を設ける必要があるのではないか。いま局長のほうからお話があったが、充足率がどれくらいで、必要量がどれくらいで、これだけは足りないのだという数字はお示しをくださらなかったので、私も迫力のある質問ができないのですけれども、そういう点を考えたときに、現行法のまま特例法を廃止して充足率が満たされるのかどうか、この点をもう一度お尋ねします。
  81. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、地価公示制度のためには、いますでに登録者数も二千十八人おりますから、これはまあまあのところでございますけれども、今後不動産鑑定に対する需要というものがどんどんふえてまいりますと、もちろん相当数が必要であろうということを申し上げておるわけでございます。この特例試験につきましては、先ほど申し上げましたように、昨年の秋におきましても試験はいたしまして、不動産鑑定士補につきましては三百六十三人、それから不動産鑑定士につきましては二百六十六名という合格者が出ております。これは先生御指摘のとおり、ことしもさらにこれの試験を行なうことになっておりまして、第二回目の試験を、士補の試験は八月、それから鑑定士の特例試験が十月ということに予定されております。この試験におきましてどのくらい合格するかということになるわけでございますので、そういう結果を見ながら、慎重に、先生のおしゃったような四十七年以降はどうするかということにつきまして検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  先生の御質問の中にも触れておられましたように、この法律で特例試験ができました趣旨からいたしますと、やはり十分に実務経験というものを持った方々にも不動産鑑定士及び士補になっていただいて、そうして増大する鑑定評価に対する需要を満たしてもらうということであったわけでございます。したがいまして、この特例試験におきましてはいろいろな特例がございまして、受験資格の問題でも、御承知のように実務経験というものを相当重んじておるわけでございます。普通の試験であれば一次試験、二次試験、三次試験ということになるわけでございますが、それを一回の試験で、しかも実務経験をおもに見ております。さらにまた、試験科目も三科目ということになっております。それから合格の決定にあたりましても、実務経験というものがその年数に応じまして点数に参酌されるという制度もできております。  それから、最初に先生の御質問にございましたところの、試験が相当難解であるということでございますが、これにつきましても、今度の試験にはもちろん十分これを検討いたしまして、実務者向けの試験問題というものを考えまして、この法律の趣旨に沿うように今後も検討してまいりたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 政務次官、これはこの前の理事懇のときにも話題が出たのですけれども、特例試験は二年だけ。普通の試験は毎年行なわれているわけです。いまもお答えいただいたのですけれども、これはほかの国家試験と違いまして、実務経験というものを非常に大事にしているといま言われているのですが、高齢者が非常に多いわけですね。ところが、高齢者は若い人と違って、記憶力などの面において非常に格差が出てきておる。そのために、実務のほうは確かにできるのでありますけれども、難解な法律の問題とか、記憶を必要とするような答えを出す問題についてはやはりハンディキャップがある。そこで、この人がなったらいいなと思うような人が実際は試験にばたばた落ちておる。そして、若い頭のよい人で、実務はよくわからないけれど記憶力はいいという人が一通っておる。これは逆に言うと、今度はマイナス面が確かに出てきておりますので、いまも事務当局からお話があったように、これらを勘案してやるということでありますが、政務次官、そういう立場から、これの法の運用についてはもう少し妙味が必要だと思うのです。他の弁護士とか、公認会計士とか、医者等の国家試験においても相当長期間この特例というものはあったのでございますから、不動産鑑定士だけを昭和四十五年と四十六年だけで打ち切ってしまって、あとは普通の試験だけであるというのではちょっと気の毒なような気がいたしますので、この点については、ただいまも御検討くださるという御答弁があったのでありますが、政務次官の立場から、これは本来大臣にお尋ねしたい問題でありますが、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  83. 田村良平

    田村政府委員 お答えいたします。  すでに御承知のように、急激な都市化に伴いまして、宅地、建物あるいは不動産の激しい動きがある。したがって、不動産鑑定の仕事をできるだけスピードアップして需要にこたえるという意味で、特別な試験制度を設けるというようなことで委員会に御協力をいただいてまいったのでございます。お話しのとおり、ただ記憶力がいいだけで、いわゆる筆記試験には通るが実際にはさっぱりわからぬというようなことでは困るわけで、実務に詳しく、問題のてきぱきした処理ができるということが今日の生活に直結をした一番正しいことだと思います。したがいまして、おっしゃるような、実務に対して非常に鋭敏な処置のできるような有能な人材を得るということもあわせて、これらの問題に協力し得られるような範囲において検討を加えながら、この制度のより前進をはかるべきだと考えますので、局長からもただいま御答弁いたしましたように、単なる試験オンリーという意味でなくて、これらの不動産鑑定業務がスムーズにいけるような権威のある試験制度にするというような方法をとりたい、こう考えておるということを御答弁申し上げます。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、政務次官の立場を通して、前向きにこの問題を延長してくださるというふうに私どもとしては期待したいのですが、この点については、大臣に、また閣僚会議等に特ち出していただけるかどうか。いま局長からは、ただ御検討くださるということだけでしたが、いま一歩前進した御答弁はいただけませんか。
  85. 田村良平

    田村政府委員 いま御答弁申し上げました趣旨に変わりありませんので、前向きに検討し、また、延長問題につきましては、大臣とも相談いたしまして慎重な態度で臨んでいきたいと思います。御了承願います。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ひとつよろしくお願いいたします。  次に、話題を変えまして、道路問題並びに地「街の問題について二、三点お尋ねいたします。  いま、東京、大阪、名古屋、九州等の各大都市圏において建設省が掌握しており、また、建設省に申請があり、許可を願い出ている道路の地下ですね。この地下の商店街もしくは駐車場等の、地下の都市再開発というものは、どれくらいの面積、どれくらいの件数がいま建設省に出ておりますか。
  87. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま申請中のものの面積とか、許可したものの面積等については手元に資料がございませんので、後ほど調べましてお答えいたしたいと思いますが、手元にあります資料でもって申し上げますと、許可されているものは、個所数で申し上げますと、地下街が四十一カ所でございます。東京都で六カ所、横浜市で六カ所、名古屋市で十カ所、大阪市で七カ所、神戸市で二カ所、その他十カ所でございます。なお、申請中のものは八カ所ございまして、札幌、川崎、横浜、小田原、京都、堺、それから岡山に二カ所出ております。以上八カ所が申請中でございます。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 地下の都市の再開発という問題は、地上にあるところの過密の解消——道路、住宅、商店街または工場用地等を、再開発して、これを襟度ある調整のとれた町づくりにするということが当然必要であります。そして、それに伴って、空中の空中権というものがいま非常に問題になってきておりますね。たとえば都市再開発法では、空中権、床権というものが、この前の法案審議のときにも非常な問題になりました。しかし、地下権については、あの都市再開発の問題にも法案として出てきていないように思っておるのでありますが、都市再開発法では、地下権のことも、空中権、床権と同じような問題のとらまえ方をした条文があったのでございましょうか。ちょっと私記憶がないのでございますが、その点いかがでございましょうか。
  89. 大津留温

    ○大津留政府委員 都市局の主管でございますので、都市局長をいますぐ呼びますから、ちょっとお待ちください。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、その問題はあとで都市局長にお尋ねするといたしまして、官房長は前の再開発のときにいろいろとお骨折りをいただきましたので、それではこの考え方について大津留官房長を指名するわけですが、たとえばここに二階建ての建物があるとして、空中を利用してこの二階建てを八階建てにする場合、そこにある五十坪の土地は、八階建てだと約八倍になるわけですね。逆に地下の場合、地下一階、地下二階、地下三階と行くとすると、地下何階くらいまでがこの地下という問題が出てくるかという問題ですね。これはこれからの都市再開発の技術、また、国土全体の災害、地震等の問題も含めながらこれから勘案されていく重大な問題でございますが、同じような再開発をすると、床権というものは地下においても当然同じようにわれわれは考えなければならないと思いますが、これは、専門家である都市局長が来るまでお考えをまずお聞きしておきたい。
  91. 大津留温

    ○大津留政府委員 民法によりますと、所有権というのは地上、地下に及ぶということで、学者の説によりますと、地球の中心まで及ぶということを言っております。しかし、実際問題は、物理的あるいは社会的に利用できる範囲ということにおのずからなるわけでございますが、だんだん技術が進歩してまいりますので、ビルの地下五階、六階というようなものは現実にざらにございます。さらにこれが十何階というようなものに及ぶかと思います。したがいまして、そういう場合の床の価値というものは、地上であろうが、地下であろうが、利用価値におきましても同様であり、したがって、その権利としても、あるいは経済的な価値におきましても同様であろうというふうに考えます。
  92. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 都市局長、いま、都市問題に入って、地上、空中、地下、この再開発に伴うところの問題について質問しているのですが、たとえば地上が道路だったとする。道路の下は、道路専用敷の下ですから、道路を管理している者の権利になりますね。たとえば東京都の道路であれば、東京都の道路の地下を掘っていく場合には、これは東京都の管理者に地下に対する権利金というものを払わなければならぬ。そういうことを考えてまいりますと、再開発法では、開発で上に積んでいくほうの床権という問題が非常に問題になっておりましたが、再開発法では地下権の問題というものが法案の中にあったのかどうか、私はちょっと記憶がないので、その問題をあわせて聞きながら、都市再開発に伴う地下の開発についてのお考えをまずお尋ねしたい、こういうことなんです。
  93. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 官房長からどういうお答えがありましたか、私は存じませんけれども、お尋ねの点は、再開発法では、所有権とそれから地上権というものを主体にして再開発法の制度が組み立てられておりますが、所有権、地上権というものには当然地上、地下に及ぶ権利というものが含まれておる。したがって、再開発によりまして新たな施設建築物をつくります際には、当然地上あるいは地下にもそういうものをつくる場合があり得る。たとえば地下に駐車場をつくるとか、倉庫をつくるとか。そういう場合に、道路、公共施設との関係で地下を一体的に使うという場合は、道路の下は当然道路管理者の権限である。建築物の下は従前の権利者の権限であるということになるわけでございます。その辺の権限上の調整はあろうかと思いますが、権限的にはやはり従前の権利者が地上、地下に及ぶ権限を持っておるという考え方でもって、新たな施設建築物の計画において地上だけを使う計画になるのか、地下までも含めた計画になるのかということは、これはケース・バイ・ケースだと思いますので、実際の具体的な場合でこれはきめていかなければならぬと思います。私は当然に、従前の権利の中に地下使用権というものが入ると思います。
  94. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、その地下権利に対する法の規制が野放しにいまなっているように思います。個人の持っている土地の権利の下を掘っていった場合、地下というものはモグラのように横に広がっていきますと——たとえば小川新一郎の所有している地下だけに固定されないで、ぐんぐん横にモグラのように掘っていくと、その上には東京都の道路があり、その先には国鉄の用地があり、さらに進んでいった上には国道があったとする。そうすると、国の道路の地下に対するまちまちな権利というものが出てくるのですけれども、こういう点についての規制というものは考えられぬのですか。
  95. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 地下利用といいましても、地下五十メートルとか、百メートルとか、そういう深いところまで入っていった場合の地下利用権はどうかという議論は別にあると私は思いますけれども、通常の場合におきましては、地下利用は地上の権利の反映であって、その地上のお互いの所有権の限界の範囲において垂直におろした地下の利用権がその人の地下使用権である、地下権であるというふうに考えるべきじゃないかと思います。したがって、モグラのように横に自分の権利が及ぶということはちょっと常識的には考えられない、かように思います。
  96. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、たとえば東京の八重洲口の地下街の例を一つとりますと、これは権利がどことどこに錯綜しているのですか。
  97. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 具体的な八重洲地下街の件につきましては、東京都の都道と国鉄の所有地である敷地の中に地下街がつくられておるようであります。
  98. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その東京都の都道の地下の占用料と、日本国有鉄道の地上の権利の下を掘っての地下占用料とは同じなんですか。
  99. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 東京都の積算と国鉄の積算との基礎がどうも違っているようでありまして、国鉄のほうがかなり高くなっているようでございますが、逆に言いますと、東京都のほうが安過ぎるぐらいに安いように考えますが、国有鉄道のほうは坪当たり幾らになっておるのかということは、確認したのですけれども、はっきりしておりません。ただ、計算の根拠につきましては、サンケイという新聞に一応出ているようでございますけれども、御指摘の国鉄と東京都では積算の坪当たり単価が違っているようであります。
  100. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一平方メートル当たりの東京都道の下の占用地代というものは現在幾らなのか。また、国鉄のほうは幾らなんですか。
  101. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 八重洲地下街におきます平方メートル当たりの都道の下の占用料は、月額百五十円になっております。ただし、これは営業用の施設がいま申しました百五十円でございますが、営業用以外の施設、つまり通路に使った部分であるとか、それから機械室であるとか、そういった部分につきましては、月額十五円というふうに定められております。  それから、国鉄のほうでございますが、問い合わせをしたのですが、一平方メートル当たりの金額のはっきりしたことは教えてくれないのですけれども、新聞によりますと、月額二千円だというふうに書いてございます。
  102. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 同じ地下で、東京都の場合は百五十円、国鉄の場合は二千円、だから十倍以上になっていますね。十五円の機械室だとか通路のほうだと百倍以上ですね。地上の同じような条件にあるところの地下において、どうして十分の一なんという値段がついているのか。日本全国のこういう地方公共団体の所有している道路の下というのは、道路法か何かで算定基準というものが定まっているのですか。それとも、国鉄のような場合においては、建設省は何にもこれにタッチできないのか。また、個人の場合だったらもっとこれは大きな値段の差がついてくると思うのですが、先ほど都市局長からもお話があったように、地上、空中の権利が明確にされてきた今日、そういう地下の問題もはっきりしておかなければならぬ。同じ条件ですからね。かえって地下なんかのほうが、交通の繁雑がないから、いまは上のほうより売れるのじゃないですか。そういうときに一平方メートルの占用料が通路だったら一カ月十五円なんというのは、まるでただですね。三・三平方メートル、坪に直しても五十円足らずです。そうすると、あそこは地下工事値段は幾らですか。
  103. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 地下工事値段は平方メートル当たり百四十五万円になります。  それから、先ほど指摘のございました占用料の額は、道路法第三十九条の二項の規定によりまして、建設大臣が直接管理しております指定区間内の国道におきましては政令で定めておりますが、その他の道路につきましては、道路管理者であります地方公共団体が条例で定めることになっておりまして、その定め方について簡単に御説明申し上げようと思いますけれども、指定区間内の国道の地下に設置されます地下街の占用料の額につきましては、道路法施行令の別表に掲げてございますけれども、一平方メートル当たり年額でございますが、次のように定めております。まず、地下一階、二階、三階というふうにそれぞれ分かれておりまして、地下一階の、階数が一のものにつきましては土地の価格の一%、それから階数が二のものにつきましては土地の価格の一・六%、階数が三以上のものにつきましては土地の価格の二%というふうに定められております。  この地下街の占用料の額につきましては、国の庁舎等を使用させる場合の使用料等を参考にいたしまして、土地の使用が地下に限定されておるということと、それから占用主体に対し、地下街を設置する場合には地下駐車場等の公共施設を必ず併設することとか、それから道路の管理上必要な各種の規制に従うべきこと等の負担を課しておりますので、必要な補正を行ないまして、いま述べましたような額に定めておるわけでございます。  もうちょっと詳しく申しますと、国の庁舎等を使用させる場合の使用料率というのは、昭和三十三年に大蔵省から「国の庁舎等を使用又は収益させる場合の取扱の基準について」というふうな文書が出ておりまして、それによりますと、地上の二ないし四%というふうに定められております。それで、われわれのほうといたしましては、その最高額である四%というのを基準にいたしまして、さらに、地下に限定されており、使う場所が地下だということから二分の一の補正率をかけまして、さらに階層に応じまして、一階のものにつきましては十分の五、二階のものにつきましては十分の八、三階以上のものにつきましては十分の十の補正率を乗じて占用料の額を定めておるわけでございまして、たとえば地下一階、二階を占用する場合につきましては地価の時価、それに先ほど申し上げました最高の四%というのをかけまして、さらに地下だけしか使わないという補正十分の五というのをかけまして、それからさらに階層による補正、これは階層の二階でございますので、十分の八をかけまして計算いたしますと、二階の場合は土地の時価の一・六%、先ほど申し上げました数字になるわけでございます。  ただ、それにいたしましても、先ほどの月額百五十円というのはきわめて安い額でございまして、いろいろ検討してみますと、これは東京都の条例を見てみますと、千代田区と中央区の一級地につきましては、地下街の営業用の施設については一平方メートル当たり百五十円ということで一律にきめてあるようでございますが、昭和三十一年にきめて以来ずっと据え置かれたままになっております。したがいまして、先ほど申し上げました土地の時価というところが問題になるわけでございまして、時価が相当高くなっておりますので、ちょっと安過ぎるのではないかというふうにわれわれは判断しておるわけでございます。したがいまして、こういう点につきましてもう少し事情調査いたしまして、東京都に対しましても必要な指導をしたいというふうに考える次第でございます。
  104. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、これは借りているのはみんな事業法人だと思うのですが、東京都から非常なる恩典を受けているわけです。いま八重州口の地下街は面積が約六万五千平方メートルなんです。そのうち一万平米について、いま百五十円の地代でいきますと、いろいろ入れて年に二千万円ちょっとなんですけれども、その地下に借りている人たちから家賃収入二百二十何店舗、及び地下の駐車場その他八重洲口で営業している人から、昭和四十四年五月の決算報告書によりますと九億九千五百万円、そして駐車場の収入が二億八百万円、合計十二億円余り、地代の実に六十倍もあったと報ぜられているわけです。そうしますと、道路施行令の、地下街の占用料というものは地上の地代の一%、それに何だかんだ加えて、一階だったら一・五%になる、二階だったら二%になるというような計算でいきますと、いまのここはどれくらいが妥当なんですか。
  105. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほども御説明いたしましたように、たとえば二階であれば土地の時価に一・六%かけたものを占用料とするのが国の直轄国道の場合の基準になっておりますが、そういうふうにして計算してみますと、地価をたとえば相続税評価額ということにして計算してみますと、その辺の八重洲口付近は坪当たり直しまして二百三十万円ないし……。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 地価公示の値段でけっこうです。地下公示でいくと百七十万円……。
  107. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 地価公示でまいりますと、平方メートル当たり百四十五万円になります。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一坪幾らですか。
  109. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 それで計算してみますと、二千四百十七万という計算になります。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから、時価でいくと幾らなんですか。
  111. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 地価公示というのが大体時価だという感じでわれわれはおります。いま途中でやめましたけれども、相続税評価額とかあるいは固定資産税評価額というのがございますが、これは通常ちょっと時価よりも安いように積算されておりますので、時価というふうに考える場合には地価公示額でよろしいのではないかと思います。その場合には、いま申し上げましたように二千四百十七円程度になろうかと思います。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、これは東京都道ですから百五十円ですけれども、たとえば国道の場合だったら、一平方メートル当たり二千四百十七円取るということですか。
  113. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 建設大臣が直接管理しております指定区間内の国道でしたら、いま申しましたように時価の一・六%でありますが、その場合、時価は地価公示額をとらずに、現在われわれは固定資産税の評価額をとっております。その場合で計算いたしますと、八重洲口の固定資産税評価額は坪当たり二百三十万円ないし二百九十万円になっておるそうでございますので、積算しますと、千百六十二円から千四百六十五円程度になろうかと思います。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長、われわれが地価公示制度をこうやって設けて、地価公示された値段を算定しないで、前の大蔵省路線だとか固定資産税路線というのをわざわざとってくるのはどういうわけですか。地価公示制度をやったのは何も意味がないじゃないですか。それはどういうわけですか。
  115. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 地価公示の制度は発足して間もなくでございまして、全国的にはまだ普及しておりませんので、未決定の場所がたくさんあるわけでございます。したがいまして、従来われわれがやっておる方式は、固定資産税の評価額をもって、それを時価と考えまして計算しておった次第でございます。こういうことでございます。
  116. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、重ねてお尋ねしますが、大臣がこの間出した市街化区域内の農地  の先買いについては、地価公示値段でこれを買い取るという。これは根本さん個人の案だということで、この間もらってわれわれも検討したのですが、これは建設省が出したのではないと言われればどうしようもないのですが、たとえ一根本龍太郎個人の案であろうと——これは大臣がいないから言うのですが、そんなにたよりのない、まだはっきりしない地価公示の値段で先買いをできるとあなたはお考えになっていますか。時価の値段を、こういう算定でさえもまだあやふやなんだから、おれのほうでは固定資産税の路線に従って算定するというのに、たとえ根本龍太郎一個人であろうとも、建設大臣が、市街化区域内にある農地の先買いについては地価公示値段で買い取る、先買いすると言っておる。そこのところを私はいつも疑問に思うのです。こういった三本の路線があってたいへんだというので地価公示制度というものができた。だから、先ほど関連にもあるように、鑑定士が足りないとかいろいろな問題が出てきて「解決しないために、地価の鑑定値段がはっきりできなければ——地価公示というものはいま一千三百地点かそこらございますね。そういうものが三万件か四万件。どうしても一平方キロに一カ所は必要である。そうしますと、一平方キロに一カ所の地価公示ができた場合には、これからの公共用地の取得並びにこういった公共用地に準ずるところの値段の算定については、道路局としては、たとえば指導する場合に、今度地価公示でやりなさいということをはっきり言い切れますか。
  117. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 占用料につきましては、種の税金みたいなものでございまして、したがいまして、占用料の算定の場合の時価というものを何に求めるかというのは、いろいろ意見があろうかと思いますけれども、従来とってきた方法は、先ほど申し上げました固定資産税の評価額をもとにしたということでございます。大臣の構想の場合も、実際に用地を取得する場合には、これは法律によりまして地価公示額を基準にするというふうにきまっておりますので、これは当然これに従うべきかと思いますが、市街化外におきますただいまの占用料につきましては、ちょっと性格が違うんじゃないかというように私たちは考えまして、なおこれは十分検討させていただきまして、そのほうがよいというような判断に立てば、先生御指摘のように地価公示額に変えてもよいと思いますが、現在のところは、われわれのほうは固定資産税評価額を基準にして積算してよろしいんじゃ、ないかというように考えております。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長、へ理屈を言うようですが、国定資産税評価額の路線と、大蔵省の財産相続税の路線、法務省の登記によるところの路線、それと地価公示の値段とは現在どれくらいの差があるのですか。みんな一つずつ、たとえばA地点を、〇〇とすると……。
  119. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 それぞれ先生御指摘の評価額につきましては、確かに評価方法が違うわけでございます。固定資産税の評価などにつきましては、いまの大体三分の一といわれているわけでございます。したがいまして、これは、逐次これを適正評価に直していくという作業を大蔵省も続けておるわけでございます。昨年がそういうことで適正評価をいたしまして、今度は四十八年に適正評価をするのでございますが、次第にそういうようにしていくわけでございますが、地価公示との関係を申し上げますと、地価公示は、先ほどから申し上げておりますように、地点がまだ千三百五十カ所ということで少のうございます。しかし、四十九年は、先ほども御答弁申し上げましたように、一万一千八百ということで、相当ふえます。したがって、そういう時点になりますと、やはりほかの税の評価との関係も十分調整をはかっていくという必要があろうかと存じますけれども、現在におきましては、地価公示をされておる地区とそうでない地区とのいろいろな不均衡の問題その他がございますので、大蔵省の評価というものもまだ地価公示によっていない点があるわけであります。将来はこれは一本化していくということが理想的だと思いますし、また、そのように検討するつもりでございます。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、建設省が公共用地を取得するときに、いま地価公示値段でやると聞いたのですが、それは事実なんですか。
  121. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 法律の地価公示法の第九条で、土地収用法の適用になるところの事業をやる役所その他におきまして土地を取得する場合におきましては、地価公示の価格というものを基準にしなければならないということになっておりますので、そういうことになるわけでございます。現に、昨年におきましても、百九十一事業個所におきまして、そういう地価公示線というのを利用して、その値段で買っている事実がございます。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長、いまそちらのほうからお答えをいただいたのですが、聞いていてもこれは不都合を感じませんか。片方では地価公示した値段で、もう権威を与えて公共用地を取得している。ところが、いまの御答弁だと、地価公示というものは一千カ所ぐらいでまだ不完全なんだ。要するに、この土地の値段というものは、完ぺきにその地価公示で計算された値段じゃないんだ。だから固定資産税評価路線で税をかけていくんだ。たとえば大蔵省なんかは、財産相続税が支払えなくなって、今度大蔵省が民間に売り渡す場合、地価公示じゃ絶対売らないですよ。ところが、建設省は、民間から買う場合には、土地収用法の値段で、地価公示の値段で買う。一体国民はどっちを信用していいかということが出てくるのですよ。そうすると、お話によるように、まだ一千カ所しか出ていないんだから不完全なんだ。これが一平方キロ一カ所ずつ日本列島全部に将来は地価公示されるであろうとなったときには、これは完璧だからすべてこの地価公示の問題に当てはめていくのだというお答えなのにもかかわらず、昨年だけでも百九十一事業個所において地価公示値段で買ったのだと言う。片方を問い詰めていけば、まだ不完全だから固定資産税の評価路線でやると言う。片方は、これはもう地価公示法の第何条にあるからこれで買うのだと言う。まだ公示されていないところもあるのに、まだ不完全なのに、これは片方では生きている。それであれば、地価公示を全部  一番権威のあるものにしなければならないじゃないですか。その点がどうも納得できないのです。これはどうなんですかね。この点では、不完全なものを利用してどんどん買うのだったら、地価公示された値段のものを使ったらいいじゃないですか。三局長いらっしゃるから、どなたからでも……。
  123. 大津留温

    ○大津留政府委員 各局に関連いたしますので、便宜私から申し上げます。  ただいま計画局長がお答え申し上げましたように、地価公示というのは、現に東京、大阪、名古屋地区というところからだんだん実施をしてまいってきております。したがいまして、すでに公示が行なわれた地域につきましては、それに基準を置いて評価をして、その価格で買収されてまいります。したがいまして、これが近い将来に全国の市街化区域に及びますと、市街化区域内における公共事業に伴う土地買収は公示価格によるということに相なるわけでございます。しかし、公共事業は市街化区域外におきましてももちろんたくさんやっておりますから、それらにおきましてはよるべき地価公示というものはございませんが、そういう場合には鑑定士の評価によって適正な価格を求めるということになろうと思います。  そこで、先ほど道路の占用料、使用料の問題でございますが、これも御承知のように市街化区域内、市街化区域外を通じて道路がございますので、これらに対する占用料というのは、やはり統一した基準によるべきではないか。そうなりますと、まだ地価公示が行なわれていない地域地域として広うございますので現在のようなかっこうになっておりますけれども、これが行く行く公示価格地点がふえますと全国に及ぶ、そうしますと公示価格に準拠して占用料をきめる、こういうことになろうと思います。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは大事な問題なんです。東京都の八重洲口のところは地価公示されていますね。地価公示されているのだから、先ほどのあなたの答弁並びに大都留官房長の話を推測しますと、地価公示をされたところは当然地価公示で何でも買収もする。また、その占用料も、地価公示された土地の値段の一%というのは当然だと思うのです。ただし、東京都の八重洲口の上が地価公示がまだされていないんだったら、それは近傍類地の値段とか取引の事例に従ってやることもけっこう、また、固定資産税の評価基準に従うこともけっこう、また、大蔵省の財産相続税の路線に従ってもけっこうでありますけれども、地価公示をされた東京都の八重洲口の場合には、一平方メートル百八十万円という地価公示をされたんだから、地価公示のされた土地の評価に従った一%ないし二%、あるいはいろいろな算定基準によって一・五%になるのもけっこうですが、なぜその占用料にならないかということを私は聞いているのです。先ほどのように、一面においては、道路が全部そうなるまでまだ待っているんだ、片方のほうの公共用地の取得の場合には、地価公示をされたところの事例で買っているんだ、そんな矛盾した話が一体ありますか。どうですか。
  125. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま官房長もお答えいたしましたように、地価公示が全国的にまだ進んでおりませんで、全国の都市のきわめて一部分でございます。したがいまして、われわれといたしましては、全国的にと申しますか、大都市だけでけっこうでありますが、その地価公示が完了した時点においては、御指摘のように、地価公示をその時価というふうに考えまして積算の根拠に使いたいと思っておりますが、ただいま申し上げましたように東京、大阪をはじめすでに全国四十一個所、各地にあるわけでございますので、そういう地価公示のなされていない個所が多いわけでございますから、ただいまのところは、固定資産税評価額をもとにしまして、これを時価と考えまして、それの一・五%ということで積算しているわけでございます。御指摘の八重洲地下街につきましては、大臣直轄の国道ではございませんので、東京都条例に従ったわけでございますが、東京都条例は、先ほど御説明いたしましたように、中央区と千代田区の一級地におきまして一平方メートル月額百五十円というふうにきわめて簡単にきめてあるわけでございまして、この点がむしろ問題じゃなかろうかと考えておるわけでございます。
  126. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、大事な問題ですから大臣にちょっとお尋ねしますが、日本の国は地価公示がどんどん進んでいますが、建設省が公共用地を買うときには、地価公示された地点においては地価公示で買うのですね。これはいま聞きました。公共用地を買うときには、指定をされたときには地価公示で買う。しかし、その地下権のある上の土地が何万円しているか知らないけれども、とにかく一例を東京都の八重洲口の地点の地価に当てはめてみますと、一平方メートル当たり約百八十万円になっているのですね。それが地価公示された。だから、地価公示された道路の値段の一%が地下の占用地の値段なんだ。これは道路法の施行令に出ている。ところが、その算定をするのは固定資産税の評価額に従ってやるのだ。地価公示されたのだから、地価公示された土地の一%であるのは当然じゃないかというのが私の意見なんです。ところが、建設省の言い分では、まだ全部地価公示されていないのだから、日本じゅうの道路に全部地価公示されたならば今度地価公示の値段でやるのだと言う。ところが、地価公示は九百何十地点しかできていないにもかかわらず、建設省が公共用地を取得するときには、その地価の公示された値段で買っているのですよ。一面では地価公示が生かされない。   〔大村委員長代理退席渡辺(栄)委員長代理着席〕 こういう不当なことがいま現在行なわれている。全部できるまでは地価公示の値段では算定しないと言っているのですが、大臣、それではわれわれが法律をつくった地価公示というものの権威があまりにもなさ過ぎるじゃないですか。これが一点。  第二点は、これから地価が日本全国に公示された場合には、固定資産税の評価額とか、大蔵省の財産相続税のような路線というものがなくなるのか。全部地価公示一本にしぼるのか。何のためにこういう路線がまだ生きているのか。それから、法務省の登記によるところの、登記簿に載せるときの手数料の、財産の地価の値段の算定の法務省の路線。この三本ある。こういうものは複雑であるからといってわれわれは地価公示というものをつくった。これが現在生かされていないのです。これはどうですか。
  127. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 地価公示制定の趣旨は、これは貫くべきであります。従来それがなかなかできなかったということと、それからまた、現状においてまだ普遍的ではないということも事実でありまするが、そのためには経過措置を若干とらなきゃならないと私は思う。経過措置を含めて、そして地価公示を中心として、固定資産税その他のものもこれに近づくことをやらなければならないと思っております。  それから、いまの八重洲口の問題は、事務的なことでありまするが、直接の国の関係ではありませんけれども、東京都に対して、地価公示設定の趣旨にかんがみて是正するように行政指導すべきだと考えております。
  128. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これではっきり答えが出たわけです。東京都で一平方メートル百五十円、この上の値段でいっても、たとえばいま建設省が、これは国道上の場合どうかという算定でいきますと約二千四百十七円、それから千八百円くらいの間だと言われるわけですね。国鉄は二千円。そうすると国鉄の二千円というのは妥当であって、大体これに近づいているわけで、これでもまだ国鉄は一平方メートル四百十七円足りないわけです。大臣に対してお願いしたいことは、国鉄は赤字をかかえて大騒ぎしているのだから、こういう方面に対しては、こんなに安い値段じゃなく、もっと厳格に——私は何もよけい取れと言っているのじゃありません。法律に従って地上の地価の一%が占用料だというのですから、それをいま大安売りに計算しても二千四百十七円、ところが二千円しか国鉄は取っていないそうでありますから、この点も、運輸大臣に、閣僚会議にこの問題を出していただいて、団鉄の赤字の問題につきましては当然厳重にやらなければならない。  それとあわせて、地方公共団体がいま赤字である。東京都の場合は黒字でありますけれども、それにしても百五十円というのはあまりにも安過ぎる。国鉄の二千円にも及ばない。まだそれの十分の一ぐらいにしかならない。もっとひどいところは十五円というところがある。それは先ほども言いましたが、上が通路であるとか、駐車場であるとか、モーターの置き場であるとかいうような、直接そこから収入が上がってこないようなところは一平方メートル十五円で貸しているわけなんです。一般の店は百五十円で貸している。これに対して大臣は、東京都に対して行政指導をなさると言うが、重ねてもう一ぺんお尋ねいたしますが、間違いありませんか。
  129. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 そのつもりです。ただ、これは命令じゃありませんから、言っただけですぐやるかどうか——また、それに対して、知事は、いわゆる国民対話とか称して、やるべきこともなかなかやらないでおるような向きもありますから——その点はここで言うべきことではないけれども、これは条例でやっておると思いますが、条例の改正等、そういう手続が必要だと思います。それに基づいてやることでありますが、趣旨としては、私が先ほど答弁したとおり、これは法律に従って是正するように行政指導いたします。
  130. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は何も大臣の肩を持つわけでもないし、美濃部さんを非難するわけでもありませんが、あんな繁華街の下で営業していくというような人たちは、われわれの一般的感覚から言って、安サラリーマンとは違うのです。六畳の部屋で親子六人も七人も暮らしている人たちの家賃の値上げをしろと私は言っているのではない。あそこで不当にもうけているのです。たくさんもうけた分に対して、国で、こういう道路法施行令の中で、その地価の一%はどうしたって占用料として取るのだと定められているものを、昭和三十一年からその土地が上がってきたという算定を全然していないのです。これは革新であろうが、保守であろうが、そういうことを抜きにして、法律を守る立場からいってもこれは当然そのとおりやらなければならぬということについて、私は公平でありますから、その上がってきた分を住宅対策とか公共事業にもっと回すべきだ、何も一部の商人とか一部の会社をもうけさせてやることはないというのが私の意見なんです。これに対しては大臣が堂々と——別に地方自治に介入するということではありませんけれども、そういう一部の資本家に利潤を与えるというようなことについては、国会でこういうふうに問題になったのだし、これはだれが聞いてもあたりまえのことでありますから、ひとつよろしくお願いしたい。  そうすると、先ほど申し上げたように、たとえば大阪、名古屋、全部百五十円足らずですね。それから神戸もそうです。聞きましたところが、大体正規にとっておるところはありません。保守の首長のところもそうなんです。東京都だけ何だかんだ言っていますけれども、よその保守が首長をやっているところも同じですから、目に見えないところはいつも忘れがちなんです。でありますから、東京都ばかりではありませんで、ほかのところも全部お願いしたいのですが、その点いかがですか。
  131. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御趣旨に沿うように行政指導いたしたいと思います。
  132. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではこの問題はこれで終わらせていただきますが、大臣に最後に、都市の問題として、これからの道路法の問題をひとつお尋ねしたいのです。  こういうふうに地上、空中、地下といろいろなものにまたがる問題がありますが、道路の問題は空中という問題はちょっとありませんけれども、地下の問題があるわけです。そしてこれは国道の場合もあり得る。いま言ったように国有鉄道の権利を持っている敷地の下、地下権の問題も、いま出てきましたように、同じようにこれは国の管理している道路にも当てはまると思いますので、これからの道路法というものをもっと大幅に改正して、一%なんて言わずに、もう少し権利を縮小して、国や都道府県または市町村が財源に十分足り得るようなこれからの道路法の改正ということを考えられないだろうか。都市開発全体、都市問題全体として、道路の下を通っている地下権の占用という問題もこれから含めて考えられないだろうかということを……(「政令だ」と呼ぶ者あり)政令ですか。政令でございますが、私提案したいのですが、その点いかがでございましょうか。
  133. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは十分慎重に検討して、是正すべきものは是正してまいりたいと思います。
  134. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私はまだほかに聞きたいことがございましたが、お約束の一時間になりましたのでこれで終わらしていただきますが、先ほど大臣がおいでになる前にちょっとお尋ねしたのですが、不動産鑑定士の特例試験の問題について、政務次官並びに局長から、前向きに検討するということを承ったのであります。この問題について大臣の御所見をちょっとお尋ねいたしまして、私質問を終わらしていただきます。  不動産鑑定士の試験の特例が、昭和四十五年、四十六年の二ケ年設けられました。先ほどるると申し述べてきたのですが、詳しいことはもう大臣よく御存じですが、これを来年、再来年さらに延長してもらいたいという非常な願いがいま出ておりますが、この点についての御所見を承っておいて私の質問を終わらしていただきます。
  135. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 地価公示法ができてから、不動産鑑定士が非常に不足しているというか、急速に充足しなければならぬということも事実です。と同時に、これは財産の評価をする人でありまして、個人並びに一般の社会に対する影響が非常に多いから、やはりそれだけの高度の知識、見識、人格の要請されるところでございます。そういうわけで、特例的にこれを延ばすかどうかについては、そうした事情も含めて慎重に検討し、いまのところではやはりこのままで終わるということはなかなか困難だと思うので、十分にこれは——土地鑑定委員会のほうに大体まかしておるもので、そっちのほうの意見も聞いて措置したいと思っている次第であります。
  136. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 終わります。
  137. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 卜部君。
  138. 卜部政巳

    卜部委員 では簡単に一点だけ質問をし、要望したいと思います。  大臣もこの間島根入りをして事情は詳しいことだと思うのでありますが、中海の干拓の問題等についてとかくうわさされておるところであります。その中海の干拓の予定地の側面に、細々としてという表現が適切ではないかと思うのでありますが、貯木場があるわけであります。これはどう見ても漁民なんかの利害にも関係のないところにこの貯木場があったわけでありますが、私もこの間の知事選の中で美保関のほうへ車を走らせたときにあ然としたことは、宇井の海岸、いわゆる境水道ですが、その境水道までこの貯水場が今日延びている。しかも、くいを打ち込んで、公有水面であるこの地域に貯木場がずっと出てきておるわけであります。よく考えてみると、その対岸には、鳥取県側に合板会社があるわけであります。合板会社がありますから、当然この貯木場から運んできた材木を皮をむいたり何かするわけであります。そうなってくると当然公害が発生する。こういう現状にあるわけでありますが、調べてまいりますと、これは建設省が知事に許可権を与えておる。まあ管理組合なるものがこれを許可しておるという現状になっておりますけれども、これは私はゆゆしいことだと思う。これからの公害の問題もさることながら、公有水面の許可の問題等々からめて、こういう問題については規制をする必要があるのではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  139. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは実務のことですから、事務当局から答弁いたさせます。
  140. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答えいたします。ただいまお話しの境水道の材木の貯木場でございますけれども、私どものほうで承知しておりますのは四、五件、そういう件数があると思います。こういうものは港湾管理者である島根県知事において許可しており、それから、その後、最近に四十四年から一級水系になりましたので、これにつきましては中国地方建設局において管理をいたしておりますので、そこで事務的処理をいたしておるわけでございます。  その貯木の状況等につきましてどういう状況かは、私ちょっと詳しく存じませんが、ただいま現地のほうに、先生のおっしゃるような事実があるかどうか、あればどうすればいいかということを検討するように指示しておる次第でございます。
  141. 卜部政巳

    卜部委員 では、今後の問題として取り組んでいただくことで了解をいたしますが、これは当委員会の小川委員が、予算委員会で、千葉県の公有水面の問題を取り上げて、企業と癒着しておる知事の姿というものも追及をしておったわけでありますが、少なくとも、こういう公有水面に対するところの許可の問題について、知事の許可云々ということにおいて、合板会社、特殊の企業に利益を与えていく、そうしてそこに発生する公害等々については黙視をするということでは私は了解できない。こういう点について、事務当局のほうから調査をして、回答があるということでありますが、この問題については、この結果についての大臣としてのとるべき態度等々について後刻また大臣に私は意見を申し上げたいと思います。  以上、五分間の時間を割愛していただきましたので、簡単に意見を申し上げておきます。よろしくお願いいたします。
  142. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 浦井洋君。
  143. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、きょうは、交通騒音の問題について建設省の意見を聞きたいと思うわけですが、道路があって、そしてその上に自動車そのほかのいろいろな交通機関が通るというときに発生する公害には、排気ガス、それから振動、それからテレビ、電話の聴取障害、さらには日照権の問題などがあるわけなんですが、その中でも、特にきょうは、交通騒音といいますか、道路騒音といいますか、この騒音の問題についてお尋ねをしたいわけでございます。  特に、最近の大都会で、道路沿いの住民の方々からいろいろな苦情が持ち込まれておるわけでございます。生活環境が破壊されるという問題が全国至るところで起こっておるわけで、何としてでもこれは緊急に解決しなければならない問題であるというふうに思うわけなんですが、まず総論的に建設省のほうからひとつお答えを願いたいと思うのですが、現在いろいろ起こってきておる交通騒音について、建設省としてどの程度に事態を認識しておられるのか、そして、その対策についてどういうふうに考えておられるのか、こういう基本的な点についてまず最初にお伺いしたいと思います。  前に、前々国会に私が大臣にお尋ねしたときに、電気自動車につくるとか、いろいろなお話をされたのですが、自動車の構造の問題はきょうひとつ省いていただいて、それ以外の問題についてお聞きしたいと思うのです。
  144. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは騒音のみならず、何事も一つのバランスの問題だと思うのです。騒音を絶滅するというような立場からすれば非常にたくさん問題があります。しかしながら、それをやることによって道路としての機能を失わせるということになりますれば、これは何にも役に立たない。この前もたしかここの委員会だったと思いますけれども、問題になりましたが速度を制限するということになると、たとえば、現在の高速自動車道路で、あれは八十ホンぐらいの音響が出ているそうですが、これを少なくとも三十ホンか三十四、五ホン程度まで下げるということになりますと、高速自動車道というものはほとんどつくれないということになる。なぜかならば、現在の交通量三半分に減らしても、わずか三ホンの騒音を消す役割りしかないそうです。それが今度スピードでいきますと、時速三十キロ程度に落とさないと三十ホンまでいかない。こういうことになりまして、実質上日本においては高速自動車道というものはつくってはならないということになりますね。  そこで、結局、騒音というものも、社会の相対的なバランスの観点からどの程度まで制約するか、あるいはどの程度までがまんするかということの問題になってくると思うのです。それと同じように、都市内における騒音の問題も、そこの住民のよき環境という点からすれば非常に大きな問題でありますが、都市機能全体を動かすためには、やはり都内においてもある程度の自動車の交通量を認めていかなければならないということでありますので、これは建設省だけでなかなかきめかねることです。そこで、いわゆる騒音公害といわれるものは、現在では、交通対策あるいは災害の関係のほうの総合的な調整をしている総理府長官のところでやっておりますが、今度環境庁ができますれば、そうした観点から、騒音公害をどの程度に規制するかということ、しかもその場合には、もっとかなりこまかに、どういう環境においてはどういうふうな基準で押えるかという、そういうような地域的な段階を設けなければならぬじゃないかと思います。これはまだまだ研究が進んでおりませんので、データを集めて、そうした点をも十分検討の上で、国民の合意のもとにそうしたところの規制もしていかなければならないというふうに考えておる次第であります。
  145. 浦井洋

    ○浦井委員 いろいろな問題についてお答え願ったのですが、道路局長のほうでは、具体的な現在起こっておるいろいろな事例に対する手当ての方法として、基本的にどう考えておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  146. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ここ二、三年来、自動車騒音による公害ということで、各地の道路の沿線におきまして自動車騒音をなくすようにせよという要望が高まってきております。したがいまして、われわれのほうも真剣にこの騒音問題に取り組んでおるわけでございます。  二つの種類に分けまして、まず第一に新しく道路をつくる場合と、それからすでにでき上がった道路と、二つあるわけでありますが、新しくつくる場合について申し上げますと、昨日の全国道路課長会議でも指示したわけございますが、先日も地方建設局の道路部長会議でも指示したわけでございます。新しく道路をつくる場合に、学校、病院ないしは住宅地をできるだけ避けるルートを選定せよという強い指示をしております。どうしてもそういうところを通過せざるを得ないという場合が起きるわけでございますが、そういう場合には、騒音ができるだけ少なくなるような構造を採用せよという指示をしております。たとえば従来とられていた方法は、防音壁をつくるのが大部分でございましたが、今後はそれ以外にも、たとえば半地下と申しますか、掘り割り方式を採用したり、場所によっては、部分的には隧道、トンネルを採用したり、あるいは場所によっては、両側に緑地、グリーンベルトを設けて木を植えまして、音をなるべく遮音するようにせよというような指示を与えておるわけでございます。  第二点の、現在すでに供用されております道路につきましての騒音は、実は、これはたいへんむずかしい問題でございまして、われわれ道路管理者は最も頭を悩ましているところでございますが、これは道路管理者だけではとても解決しない問題が多うございまして、むしろ警察当局交通取り締まり当局と十分連絡をとって処置する以外にないんじゃないかというふうに考えております。それでも、われわれ道路管理者としてできますことは、たとえばトンネルの出口付近におきます騒音等につきましては、防音のための壁をつくるとか、そういうふうな方法でもって処置できるわけでありますが、一般の道路、特に市街地におきます道路につきましては、これはたいへん困難しております。われわれの考えられることと申します。われわれの考えられることと申しますと、先ほど申し上げましたように、取り締まり当局との相談によりまして、著しく音を多く出す車、たとえば大型車等でございますが、これにつきましては、深夜における交通の制限をするとか、そういう方法等があるかと思います。それにしましても、日本の経済社会活動等に及ぼす影響は非常に大きゅうございます。したがいまして、これらについては慎重に今後検討を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  大都市内の対策につきましては都市局長のほうからお話があろうかと思いますが、大都市内においても、われわれ道路管理者として一番困っているわけでございますけれども、特に都心部におきましては、これは建物の構造そのものも防音のように改良していただく つまり、これは都市の再開発になろうかと思いますが、そういうふうなことをしていただく以外にはちょっと手がないんじゃないかというふうに実は考えている次第でございまして、これらにつきましても、関係各省庁とも相談しまして、対策を今後も進めていきたいというふうに考えております。
  147. 浦井洋

    ○浦井委員 そうしたら、大都市の中の対策として、都市局長にその問題をお願いしたいと思うのです。
  148. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま道路局長からお答え申し上げましたように、基本的にはそういうことなんでございますが、大都市の密集既成市街地にあります既存の二車線程度以上の幹線道路、これにつきましては、騒音対策との関係で私ども非常に頭が痛い問題で、今後どういうふうな対策を出すべきかということは、率直に申し上げまして現在模索中でございます。これはいつまでもゆるがせにできない問題で、御承知のとおり、騒音の環境基準というものが近くきめられるという時期に至っておりますので、これの設定に伴いまして、これの基準達成のために、われわれ道路関係の者は対策を講じなければならぬわけでございますので、そういう点をいま鋭意検討中でございます。  いろいろ考え方はあると思いますが、一つは、道路局長もちょっと触れましたように、そういう市街地の土地利用の現状からいきまして、幹線道路の沿道の建築物について、騒音の環境基準にふさわしいような方法で改築すると申しますか、そういったような方法を講ずるのが一つの方法じゃなかろうかと思うわけでございます。  沿道の土地利用の状況から、事務所建築物もあれば住宅もありますし、いろいろの用途のものが現存するわけでございますが、方向としましては、幹線沿いは路線商業と申しますか、やはり業務中心のそういう土地利用に変貌していくべきであろう、したがって、住宅等は、それ以外の閑疎な地域に将来は移転するとかいうふうな方向が考えられるのじゃないか、そういう場合に、騒音対策の見地から道路管理者としてどういう手を打つべきであるかという点が今後の私どもの研究の課題である、かように思います。
  149. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうお答えをいただいたわけですが、そういうような具体的な対策を現地に当てはめてどうされようと考えておるのか、ひとつお伺いしたいのです。  つい一週間ほど前も、たしか十二日でしたかの朝刊で各紙が一斉に取り上げた問題があるわけですが、たとえば埼玉県の上尾市の原市団地であるとか、世田谷の烏山団地であるとか、それから西のほうへ行きますと神戸の明舞団地、こういうようなところで、要するに幹線道路による騒音公害問題が起きている。原市団地の場合には、公団住宅のまん中を四車線県道が通っておる。そのためにいろいろな被害が出ておるわけなんですが、たとえて一つ申し上げますと、何べんも抽せんに漏れながら、やっとせっかく当たって入った公団住宅なんですが、その原市団地では、過去四年間に騒音の被害が及ぶところ四百六十戸中、百三十二戸がもうすでに転居しておる。家をかわっておる。騒音あるいは交通公害に耐えかねてかわっていっております。私もそこへ行ったのですが、ちょうどたまたま一人の御老人が藤沢のほうにかわるというようなところに出っくわして、非常にひどい実情を十分に見させていただいたわけなんです。  そこでひとつ具体的にお尋ねしたいのですが、公営公団住宅の中に県道が入っておる。もう初めから計画がきまっておったそうでございますが、これについては建設省としてどのように考えておられるか、ひとつお聞きをしたいのです。
  150. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御指摘の埼玉県上尾市におきます原市団地の件でございますが、これは昭和三十七年に、大宮と、同じく埼玉県の栗橋を結びます主要地方道、大宮−栗橋線の開発を開始したわけであります。これは国道四号線の栗橋と国道十七号線の大宮を結ぶ地方道の開発でありますが、当時はまだ全くの原っぱでございまして、住宅計画もなかったように聞いております。三十七年に着工いたしまして、完成いたしましたのが四十二年でございますが、途中の昭和四十年におきまして住宅の計画ができまして、道路工事中に住宅がどんどん建っていったように聞いております。したがいまして、おそらく当時は完全なるいなかであったところを、そういう道路建設を見込んで住宅計画あとからなされたように聞いておりますが、いずれにいたしましても、こういう幹線道路のことでございますので、御指摘のように多大の交通量がございます。したがいまして、住宅にお住まいの方はたいへん困っておいでになるというふうなことを聞きましたので、さっそく県当局に命じまして、道路管理者として住宅公団との間に十分に対策を講ずるように最近指示したわけであります。その対策につきましては、どういうふうになるかまだ返事は参っておりませんけれども、近いうちに何らかの対策が出てくるのではないかというふうに考えております。道路管理者といたしましては、先ほども申しましたように、でき上がった道路につきましては、防音の壁をつくるという方法しか実は残されていないわけでございますが、団地のような場合は、相当な高層になりますと、壁の高さに問題がございまして、完全に音を遮断するというふうな防音の効果を発揮することがなかなか困難な状況にございます。われわれ道路管理者といたしましては、できるだけの手当てをいたしたいと思いまして、道路管理者である県と住宅公団との間にただいま協議を開始させておる状態でございます。
  151. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一カ所、今度は大都会の中なので都市局長にお尋ねしたいのですが、神戸の鶴甲団地を御存じだと思うのです。これは住宅供給公社の分譲団地なんですが、そこで、そのまわりを取り巻いて、六甲山へ登る観光道路あるいは裏神戸に通ずる道路が同じ時期にでき上っておる。その中で、やはりこの上尾の団地と同じような問題が起こって、住民の方々が騒音対策協議会というようなものをつくられて、何とかしてほしいという運動をいま進めておられるわけなんです。最近私がお聞きしたところでは、二重窓であるとか防音壁であるとかいうようなこともあるけれども、抜本的にはふもとから山上に登る道路のつけかえをやってほしいというような要望をすることに落ちついたように聞いておるわけなんですが、これについて、都市局長としてひとつお考えを述べていただきたいと思うのです。
  152. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘の鶴甲団地の沿道の幹線道路関係につきましては、先生御案内のとおりに、あそこは非常に勾配の急なところでございまして、しかも、夏の夜間六甲山に登る車が相当多いということで、普通の沿道以上に昼夜を問わず交通騒音が非常にひどいというふうに私ども伺っております。しからばどうしたらいいかということにつきましては、現在、たしか神戸市だったと思いますが、神戸市当局と私どもの担当課のほうでいろいろ検討させております。お話のようにつけかえるということが簡単にできるのかどうか、あるいは、現状のままで団地内にグリーンベルトでもつくりまして、かなり密生した植樹帯をつくってどの程度騒音の軽減が達成できるのか、そういうようなことの考え方についていまいろいろ意見交換をしておる状況でございます。
  153. 浦井洋

    ○浦井委員 それで、根本的といいますか、具体的な手当ての問題として、道路局長は、防音壁をつくるとか、あるいは半地下にするとか、トンネルにするとか、あるいはグリーンベルトをつくるとかというふうに言われたわけですが、実験その他によって、どれくらい騒音が減るものなのか。技術的な問題でしょうけれども、そちらでわかっておったら一般的に教えていただきたいと思うのです。
  154. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 正確なデータを持ってきておりませんので、もしも誤っておりましたら後ほど訂正させていただきたいと思いますが、建設省全国的に調査した結果を申しますというと、道路の外側両側にグリーンベルトを設けた場合に、百メートル離れてようやく十ホンだそうでございます。したがいまして、十ホン下げるということは容易ではないということがわかりまして、事実上、両側に空地だけ設けまして音を下げるということは、言うべくしてほとんど不可能に近いというふうに考えております。  それから、グリーンベルトを設けまして植樹した場合でございますが、これはいろいろな木によって、密生度によっても違うかと思いますが、なるべく密生いたしますと三ホンから五ホン程度まで下げられるのじゃないだろうかという判断があるわけでございます。  それから、建設省で従来供用されております道路に一番用いておりますのは防護壁でございます。それは二メートルないし三メートル程度の高さのものをつくって病院、学校等を保護しておるわけでございますが、大体音の反響はずっと上のほうに逃げるものでございますから、場所によって違いますが、これが五ホン以上は可能のように聞いております。  それからトンネルを抜きますと、その区間は全く音が遮断されるわけでございますけれども、そのかわり、出口付近においてラッパ状に音響が集中するおそれがございまして、それによる騒音は相当な音になっておりますので、出口付近の対策のほうがむしろ問題になるようでございます。  それから半地下の方法につきましては、私も詳しく存じませんが、やはり反射音が上に逃げるというかっこうになりまして、いうならば両側に防護壁を完全につくって、かつ反射して上に逃がすというようなかっこうになるわけでございますけれども、その位置によって違うと思いますが、もし、ハーフカットしまして、まず二、三メートル下げたら、高さによりますが、あまり高くない家でしたら非常に効果が大きいというように考えておりまして、それがどういう数字になるか存じませんが、そういうことになろうかと考えられます。  これはある程度私の推測も入っておりますので、正確な数字がわかりまして、もし間違いがありましたらあとで訂正させていただきたいと思います。
  155. 浦井洋

    ○浦井委員 二重窓なんかはどうなんですか。
  156. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 これもむしろ住宅局長のほうが詳しいのかもしれませんが、私の聞いている範囲では、二重窓にしますと十ホン程度下がるというふうに聞いておりますが、十ホンと申しますと、耳の感覚では音が半減されたように感ずるそうでございますので、非常に大きな効果になるというふうに聞いております。
  157. 浦井洋

    ○浦井委員 なかなか一般的には困難だというようなお話なんですが、厚生省にお尋ねしたいのですが、そちらのほうの生活環境審議会が昨年の十二月二十五日に大臣に答申をされた騒音の環境基準のあれは一次案ですね。その問題についてお尋ねしたいのですけれども、これは内容も私持っておりますけれども、この案に対する厚生省の基本的な考え方をお尋ねしたいと思うのです。
  158. 山本宣正

    山本説明員 昨年の十二月二十五日に、厚生大臣の諮問機関であります生活環境審議会の第一次答申として出たわけでございますが、この第一次答申という意味は、公害対策基本法の第九条に基づく「環境基準」のうちでの、騒音の、一般的な騒音と道路沿いの騒音についての環境基準の専門的な知識による答申を得られた、こういうわけでございまして、その専門家の審議の過程におきましてどういうことを中心にして議論をしたかと申しますと、いろいろ生理学的な実験あるいは経験等を通じまして、騒音のどのくらいのレベルのものが人体に影響があるかということを、いろいろな内外の文献を集めまして調べました。その結果、諸外国におきましても、日本の騒音の環境基準と少し意味が違うのでございますが、スイスその他等で、やはり道路沿いの騒音等のある種の基準をつくっております。そういったようなことも参酌いたしまして、日本の環境基準として、どういったような場所ではこの程度のことがよろしいということをレコメンドしていただいたわけでございます。私どものほうといたしましては、それをどのような方途で達成していただくかということにつきましては、関係各省それぞれの行政的な問題もございますので、一応専門家としてある程度考えられる方法はこういうようなことだというようなこともつけ加えてレコメンドしていただいた、こういうことでございます。  私どもといたしましては、道路沿いその他でのいろいろな騒音による苦情、陳情というものがやはり公害問題の中で数多い割合を占めておりますので、やはり生活環境を保全するという意味での環境を達成することを必要とするのではないかということを基本的に考えておるわけでございます。
  159. 浦井洋

    ○浦井委員 それで、厚生省の方に具体的な数字でお尋ねしたいのですが、私は先ほど二つの例を出したわけですが、これはいずれも住宅地に相当すると思うわけなんですが、この答申の数字でいきますと、夜が五十ホン以下、それから朝夕は五十五ホン以下、昼間は六十ホン以下というように、道路沿いで五ホン上げるというようなことになるだろうと思うわけですが、そうですか。
  160. 山本宣正

    山本説明員 おっしゃるとおりでございます。道路沿いにつきまして五ホンずつゆるめたのは、建築物がございますと、二重窓でなくても、家の中ではある程度騒音がドロップするということを考えたためにそのような数値が出たと聞いております。
  161. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことで、この答申の一番初めに、「騒音の影響から人の健康を保護し、さらに生活環境を保全する観点から定められるもの」と書いてありますが、私から見まして、人体に対する影響そのほかから考えて、まだまだこれでは不十分だと思うわけなんですが、それでもこういうものがなかったときに比べて一歩前進だし、よりベーターだというふうに思われるわけなんです。厚生省は、この答申を一日も早く閣議決定してほしいだろうと思うわけでございますけれども、そういう努力をされようとしておるのかどうか、そういう決意をひとつお聞かせ願いたいのです。
  162. 山本宣正

    山本説明員 十二月二十五日に答申が出ましてから、関係各省の間で、この環境基準を守るためのいろいろな政策についての議論をいたしております。その間、公害対策本部のほうで、関係各省の調整役ということでいろいろ御努力をいただいております。現在の段階では、公害対策本部から各省に向けまして調整案が出されておりまして、近日中に最終的な調整の会議を持つということに相なっておるわけでございます。
  163. 浦井洋

    ○浦井委員 これは新聞の記事によるものなんですが、調整をされる段階建設省のほうがいろいろ主張をされておるようでございます。この答申の中に出ておる中間目標値の達成期間ですか、この五年というのをもっと延長せよとか、あるいは中間目標値を最終の目標に書きかえろとか、それから幹線道路沿いは適用除外にせよというような意見を建設省のほうから出されておると思うのですが、私は、先ほど申し上げたように、この答申というのは、医学的に申しましても、人体に対する影響からいきましても、むしろまだまだ不十分ではないかと思うわけです。ないときよりはよりベターかもしれないけれども、まだ非常に不十分だというふうに思うわけなんですが、それに対して建設省がそういうような意見を述べられておる。非常に遺憾だというふうに思うわけなんです。そこにもってきて、さらに厚生省のほうも、そういうような中であくまでもこの基準を貫いていくというような態度に相当確信を失われて、いろいろな点で妥協をされておるというような記事も出ておったわけなんですが、建設省、厚生省のほうから、ひとつこの問題について御意見をお伺いしたいと思うわけです。
  164. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いろいろ新聞等で、やりとりをやったことにつきましての報道がなされたわけでございますが、過去のそういうやりとりは別といたしまして、私どもは、そういう環境基準が設定され、その基準達成にわれわれのできる範囲での最大限の努力をしなければならないという、そういういまの基本的な考え方には変わりございません。問題は、基準値というものの内容もございますけれども、基準値が設定されましても、現状は、ことに道路騒音の場合ははるかにオーバーしておるわけです。これをいかにカットするか、このカットする方法、あるいはカットするための達成期間というものをどういうふうに考えるかということに尽きるのじゃないかと思います。せっかくつくりましても、それが守られないような環境基準では結局意味がないわけです。われわれ責任が果たせないわけです。つくる以上は、それが守られるようなものでなければならないという基本的な考え方に立っておりまして、いま交対本部が中心になりまして、鋭意調整をやっていただいております。  私どものいまの考え方は、そういう基準を設定することはけっこうでございますが、一般地域でなくて、道路に面する地域の環境基準の達成期間については、五年間ということではとうていわれわれは責任を負えない、したがって、五年を越える期間においてできるだけすみやかにこの基準の達成がはかられるよう、あの要綱にも書いてございますような各種の施策に関係の省庁が努力をしましょうという方向で環境基準をおきめいただきたい、こういう態度で進めております。
  165. 浦井洋

    ○浦井委員 厚生省はどうでございますか。
  166. 山本宣正

    山本説明員 私どもといたしましては、健康を保護する、あるいは環境を保全するという意味できめられました環境基準の数値でございますので、この数値はぜひとも守っていただきたいと思います。ただ、この達成につきましていろいろ技術的に困難な点があるということも各省から十分承っておりますが、国民の側から考えまして、技術的に可能な限り一日も早く達成してほしい、こういったことを私どものサイドではお願いしておるわけでございます。
  167. 浦井洋

    ○浦井委員 両方の御意見を大体お伺いしたわけですが、この問題は、国民の、特に都会の住民の相当大きな関心を呼んでおるわけでございますので、今後、厚生省においても、建設省においても、できるだけきびしい基準をつくるようにひとつ努力をしていただきたいと私は思うわけなんです。  そのことに関連してさらに一歩進みますが、これはひとつ大臣にお聞きしたいわけなんです。  生活環境審議会から厚生大臣に対する要望書が四月十日に出されたが、この要望書には、この件について非常に重要な問題の提起があるわけなんです。簡単ですから、ちょっと読んでみます。「周知のとおり、既設の道路沿いの地域については、自動車交通量の増加等に伴い、騒音問題が深刻となり、その解決には相当な困難が予想される。このため、本答申においても、とくに新設道路における交通騒音対策の必要性を強調したところであるが、最近住宅団地等を貫通するかたちでの幹線道路の敷設が計画されるなど住民の生活環境保全の見地から十分な配慮が払われていないと考えられる事例も少くない。政府におかれては、今後新設される幹線道路については、あらかじめ住宅との関係等に十分な考慮を加えて、建設計画を樹立し、道路交通騒音対策に万全を期されるよう強く要望する。」こういう要望書が出ておる。さらに、この要望書が五月一日付で厚生省より建設省に回ってきたというふうに私は承知をしておるわけなんですが、この要望書についての大臣の御意見をお聞きしたいと思うわけです。
  168. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 新たに道路をつくる際には、住宅の密集地あるいは住宅団地等はできるだけ通らないように配慮いたすつもりでございます。なおまた、改善することの可能なところはできるだけ改善をいたしまして、道路の持つ機能と住宅とが真正面から相対立することがないように努力したいと思います。
  169. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣のいろいろな御意見に対して私は異論があるわけなんですが、ブキャナンレポートに——ブキャナンという方はアメリカ人なのかイギリス人なのかよう知らないのですが、最近、日本の国でも道路の問題について再検討すべきだというような意見が出ておるように私聞いておるわけなんです。いままでは、道路というのは、自動車をより速くより多く通すということで出発をされておる。そういう中で、自動車交通が外から住宅地の中にどんどん入ってきて町を分断するということで、いろいろな公害あるいは交通災害を生んできておる。これをやはり逆にすべきだというようなことを言っておるのがブキャナンレポートの一つの考え方だというふうに私承知をしておるわけでございますけれども、そういうような考え方が相当台頭してきておるということをひとつ十分認識していただきたいと思うわけなんです。  それから、これも、新聞で見たわけですが、これは交通騒音ではございませんけれども、イギリスでは、ほとんどきまっておったロンドンの新しい飛行場の予定地を、まず何よりもそこに住む人々の生活に重きを置くべきだということで変更しておる。イギリスはもちろん保守党政府でございますけれども、イギリスではこういう英断がなされておるという記事もあるわけでございます。わが国では、道路政策について、第六次五カ年計画で十兆三千五百億ですか、相当膨大な資金を投入されるわけですが、その資金の一部をさいても公害、騒音、あるいは排気ガスの問題を解決すべきではないか——また、総理論的にはもうすでに解決しているのではないかというふうに私は思うわけですが、そういうことも踏んまえて、もう一度大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  170. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 道路は、人のいないところにつくっても、これは意味をなしません。また、住宅だけがあって道路がなければ、これもまた困るのです。要するにこれは、公害のために人間生活が不利な形になる、不健康になるということを避けるのが問題だと私は思うのです。その意味におきまして、御指摘の点はよくわかります。したがって、住宅団地あるいは住宅のあるところに道路をつくらないというわけにいかないでしょうから、道路と住宅とはバランスのとれたつくり方をしなければならないと思います。そうじゃなくて、公害があるから道路をつくらなければいいという議論にはならないと思う。おそらくあなたもそうだろうと思う。アメリカのような、土地が非常に大きく、たくさん余地のあるところならまだやりやすい。日本は現実に密集地帯が多い。しかし、道路もつくってほしいし、改善もしてほしい、それから公害もなくすという二律背反的な要望が非常に多いのです。これをどうして解決するかということでいま苦慮しておるところであります。新しい道路の問題については、これはどんどんこれから改善していきますけれども、既設の住宅密集地と道路との関係をどう緩和していくかというところに問題がありますので、この点は十分に前向きに措置してまいりたいと考えております。
  171. 浦井洋

    ○浦井委員 前向きということなんで、私期待しておるわけなんですが、最後にもう一つ。  たとえば既設の幹線道路でこういう問題があるわけなんですね。大阪と神戸の間を結ぶ第二阪神国道と俗にいわれる国道四三号線ですか、ここでも非常に大きな騒音公害、排気ガス公害が起こっておるわけなんですが、そこの周囲に住んでおられる方の要望を聞きますと、やはりこうすれば解決するという方法を持っておられるわけなんです。道路を取りはずせというようなことは言っておらないわけです。たとえば、阪神高速道路公団の高速一号線が上を通る、その下を四三号線が通っておる、二重構造になっておるために排気ガスがトンネル状になってこもる、それから騒音が倍加されるというようなことになっている。この場合なんかは、時間的な規制あるいは車種別の乗り入れ規制も必要ですし、当面夜は下を通さないで上を通すというような具体的な方法を地域の住民の方々は考えて、市や県、あるいは道路公団などに陳情されておると聞いておるわけなんですが、そういう実際に被害にあっている方の切実な意見を取り上げて、それを勇敢に実行していくという姿勢を私は期待したいわけなんですが、その点についてはどうなんですか。
  172. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 具体的な問題ですから、道路公団あるいは地建、あるいは地方自治体の意見を聞いて、合理的にこれが解決できるならばその方法を思い切ってやらせます。ただ、それは住民の要望だけというわけにいかない。これは全体の関係者の意見を聞いて、そうして改善ができ、かっこれが全体として調和がとれたやり方があるというならば考えます。
  173. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 正示啓次郎君。
  174. 正示啓次郎

    ○正示委員 大臣、また委員の先生方、たいへんお疲れですが、きょうは最後の建設委員会の審議でございます。ですから、私は二問だけお願いしたいと思います。まず最初はモノレールの問題、これは総合交通対策としての都市モノレール、この問題と、それからあとのほうは、いわゆる根本構想についての私の考えを御参考に申し上げておきたい。この二つであります。  モノレール問題について三つの点を大臣からお伺いしたいのでありますが、先ほど来いろいろ御議論もあるように、都市交通政策、あるいは総合交通政策ということは、言うはやすいがなかなかこれはたいへんなことだと思うのですね。そこで、都電も取っぱずしてみたけれども、自動車の排気ガスその他で、やはり自動車を締め出してみたりして、また都電に、ノスタルジアというのですか、郷愁を感ずるようなこともあるようであります。しかし、これは逆戻りすることは絶対に許されない。そこで、これからの都市交通政策の一つの方法として、大都会あるいは中くらいの都会において、特にその中のいわゆる団地の住民の交通機関としてはモノレールが非常にすぐれておるという意見があるわけです。大臣もその点は非常に御同感のように私は聞いておるのでありますが、日本のモノレール技術は、申し上げるまでもなく非常にすぐれておりまして、各国から注文を受けておるような状況であります。  そこで、まず第一点は、こういう都市交通機関としてのモノレールは地下鉄なんかの三分の一あるいは四分の一のコストでできるということでございますから、道路あるいは街路の本来の使命に一支障がない限り、ここにモノレールの施設をしてやって、これから大いに活用するということはどうであろうか、これが第一点。  それから第二は、そういうことをやるにしても法規が要るのじゃないかという意見があるわけですね。しかし、私も実は若干研究してみたのですが、これは軌道法でさしあたりいくと思うのです。いわゆる道路の中の分離帯を使いまして、軌道法で施設していけば行政的にも可能じゃないかと思うのであります。  第三点は、現在地下鉄に国と地方公共団体で半額の補助をしております。先ほど申し上げましたように、非常に高いコストの地下鉄にそういう補助をしておるのでありますから、たとえば大都会においては環状線に使える、それから中くらいの都市においては、地下鉄のかわりにモノレールを敷設したほうがいい、こういうふうなことが専門家の大体の意見だと思います。そこで、これは私もまた大いに大臣の驥尾に付して努力いたしますから、この都市交通難の打開の方策としてのモノレール施設に国が公共団体と一緒に補助金を出すということも考えたらどうか。地下鉄に対する補助もたしか予算補助でありますが、そういうこともあわせ考えたらどうか。  この三つの点について建設大臣からお答えいただきたい。
  175. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいまの御提案、私も全面的に賛成でございます。その一端といたしまして、実は、例の地方道路公社の構想があちこちに出ておりますが、仙台がこの次に立候補しているような形です。ところで、私は、仙台の市長、関係者に対して、あそこで道路公社をつくる場合に、その中にモノレール構想も一つ入れてはどうかと、むしろすすめているくらいでございます。あそこは、周辺をぐっと回って一本通れば非常に道路関係が緩和される、用地関係も非常に楽だ、あれを地下鉄でいくと膨大な金がかかってなかなかたいへんだ、こう思っております。したがいまして、全体の構想については私は賛成でございます。  その次に、現在の法規でもやれると思いますが、これをいまの都市の交通体系の重要な問題として取り上げるためには、あるいは法の整備をする必要があるかもしれません。そこで、御承知のように、近く内閣で道路総合対策をやるということでありますので、その際に私はこれを提言したいと思っております。  その次に、予算補助、この制度も明定する。こういうふうにして、むしろこれは積極的に進めていったほうがいいではないかというような感じをすら持っておる次第です。
  176. 正示啓次郎

    ○正示委員 大体三点について全面的に御同意を得たようでありますから、これをぜひ推進していただきたい。この問題については、与党、野党を問わず、これは都市問題の非常に重要な問題です。特に団地の方々などの交通機関として非常に大事な問題でございますから、超党派で今後も皆さん方の御支援をいただきたいと思います。  次に、先般の根本構想ですが、私どもとしては、やはりこれは非常に進んだよいお考えであったと思います。連合審査会においても、大蔵大臣もこれは非常に積極的に賛意を表しておるわけです。ただ、大蔵大臣が心配しておるように、目的が特定しない場合の収用ということはなかなかむずかしいというのが在来の法律観念でありますが、私は、この点については、超党派で法律をつくることによって、ちょうどいまの国有農地問題と同じようにいけるというところに望みを嘱しておるということが一つであります。それからもう一つは、せっかく大臣がいわゆる先買い構想を出されまして、交付公債で公共団体がうんと買おうというところをねらわれたのでありますが、さて、肝心の農地の所有者が土地を出さないとこれはいかぬのです。そこで、先ほど来小川委員も盛んに責め立てておりましたが、この農地に対する課税の適正化ですね。これはすでに、四十七年にいわゆる固定資産税は評価をちゃんとするということを言っておりますけれども、まだこれは足らぬと思うのです。固定資産税の評価が非常に安いのですからね。そして、一方では、相続税とか、あるいは建設省にはプロパーのいわゆる公示価格というものがあるのでございますから、どうしてもこういう価格で売りなさいという、その価格を評価の基準にして税金を課すべきだと私は思う。それでも足らぬというなら当然保有課税を適正ならしめて——ちょうどいま自動車重量税法案が通ったそうでありますが、これも保有課税の一つでありますけれども、これを適正にしていかぬと、もう公示価格制度そのものが本来の趣旨を没却してくるんじゃないかと思う。先ほど盛んに責め立てられたのも私は同感であります。いわば根本構想に画竜点睛する意味で、水田の土地の課税評価について、建設省独自の調査をしたものに国に右へならえをさせ、そして、建設省調査には相続税も固定資産税も右へならえしなさいというところへ持っていくくらいの意気込みを根本構想の中で出していただくならば、ちょうど網を張って魚を追えば網の中に入るように、一方で保有者が税金というものの負担を感じて、これは土地を売らなければいかぬというインセンティブを与えることになって、根本構想が非常に生きてくる、私はこう思うのですが、大臣の所見をお伺いして私の質問を終わります。
  177. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、空閑地の保有税は前から論じられたことで、これは昨年私が地価対策閣僚協議会で強く要請して、踏み切ったところです。ただ、これがまだ必ずしも十全ではない。いわゆる激変緩和のためにいま一つの緩和措置を講じています。ところで、いわゆる土地の有効利用のために、国並びに地方自治団体の先買い権、あるいは場合によっては収用もなし得るということが、議員立法で各党の意見の一致でやれるということになりますならば、その中においてこの空閑地税等も付帯して改正していいと私は思うのです。そうすれば万全になるというような気がいたします。実は、先ほども、大蔵委員会に私が出席を求められて行ったときに、隣に大蔵大臣がすわっておりまして、この前連合審査のときに賛意を表したが、あれはさらに積極的にぜひやりましょう、交付公債だけでなくてもいいじゃないかと言うのです。そういうふうに、むしろ私が考えておった以上に積極的になっているのです。こういう時期に土地問題を本格的に解決しなければ、物価問題にしろ、あるいは公共事業の問題にしろ、それから現在のいわゆる新全総なるものも、計画としてはりっぱであるけれども、現実にはこれはたいへんちぐはぐなものになってしまう、予算をつければつけるほど特定の人間だけがもうかって、他のものはみんな困っている、自治体の首長も手をあげておろせない、こういう状況だからひとつやろうじゃないかというような積極的な動きもありますし、また、最近は、きょうも、ある有力なジャーナリズムのほうからの首脳部との会見を私は申しつけられまして会いましたが、非常に熱心な、自分のほうでもこれは全面的にやるというような申し出があり、また、この前首都圏整備審議会がありましたときも、審議会においても、これはぜひやるべきだという声が出てき、さらに近畿圏、中部圏の知事の方々からも、この際にぜひやらなければ、せっかく首都圏整備にいろいろの構態ができ、自分たちの地域計面があってもできませんから、この際がいいチャンスではないかというような御激励を受けておるわけでございますので、ぜひともこれはやりたい。しかし、この前お話し申し上げましたように、これは政府提案ということになるといろいろ問題があります。それで、私は、やはりこれは議を尽くして与野党一致してやるというところに意義があると思う。そこで、私は、新しい時代の、五十年代の国会の運営のしかたの一つのモデルとしてもこれはやるべきじゃないかということを申し上げ、実は、参議院のある委員会においても申し上げましたところ、大かたの野党の方々もそれを考えようじゃないかということになったのです。ここに役人の諸君もおられますけれども、そうじゃないと、立法というものは全部役人ペースでつくられて、そうしてそれに対して与党が一切の責任を負うということになり、野党はこれに対して対決的なものになる。現在の政党政治はそうなりがちなのです。一生懸命やったのが、そのために、国民から見るならば、全くこれは与野党のいつもながらのけんかだ、国民不在だと見られる。この風潮を一掃するためにも、そうした重要なる法案については、これからも——何でもやるというわけにはいかねけれども、重要なる法案についてはそういうふうにして、まず法案が出る前に、お互いに国会議員のそれぞれの政党の主張を入れつつ議論し合って、そこから一つの立法の契機をつかむということまで考えていい時代じゃないかと実は考え、そうした意味のことを党の首脳部にも申しつつあるところでございます。そういう意味においても、ぜひこの問題を——今度私が出したのは、根本構想と言うけれども、これは全く便宜上みんながそう言うだけであって、あれは根本構想でも何でもない。ほんとうを言うと、各党がいままで出したもの、日本の各識者の出したものを総合してみて、荒らっぼくいえばこんなものじゃないかということで、これを土台として、皆さんがきめこまかい検討をやってほしいという意味でございますから、よろしく御指導のほどをお願いいたします。
  178. 浦井洋

    ○浦井委員 どうもありがとうございました。
  179. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 次回は、来たる二十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時七分散会