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根本国務大臣 非常に大事な問題でございます。実は、これは参議院の内閣
委員会の前に衆議院の内閣
委員会でこの問題が出たのです。というのは、これは
宅建業法とは全然関係なく、設置法の問題の下水道の問題から関連して出たものです。そのときに、社会党の
大出俊議員から、現在の都市政策の最大の問題は土地問題じゃないか、土地問題について何か抜本的なことをやらない限りだめじゃないか、こういう質問がござました。これに答えて、私は
——私も実は二年前からこの土地問題については相当突っ込んで
研究してみたのですが、ところが、これが非常に複雑な社会的な問題と経済的な問題、法制上の問題の
三つがからんで、普通の対策をやると、対策をやったことによってかえって土地を値上げさせ、困ってしまう。たとえば今後の線引きにしても、線引きしただけであとは黙っておりますと、いま小川さんが御指摘のように、
不動産業者の連中がそこに集中し、それからまたそこに土地を持っている者は、これは値段が上がるのだということで、
計画的ないろいろの施策を地方自治体、国がやると、今度は私権の尊重を強く主張して抵抗してくる。そうすると今度は選挙にからんで、これらの連中のきげんをとったほうがいいというような者が出てくると、ますますこれが
混乱してくる。そうすると今度は土地を持ちたい者のほうから反撃するということで、これは社会的にも非常に問題がある。そこでこの際、政府だけでやるとなかなかこれはむずかしい問題だから、むしろこういう問題は、例の国有
農地の払い下げにあたって与野党相共同して例の価格の適正化をはかったという
一つのいい経験があるから、こういうような
発想で、むしろ与野党一緒になって、この
市街化区域に入っておるところの
農地並びに雑用地、雑地については立法措置で国に先買い権を与えたらどうか、そうしてその先買い権を与えても、財政上の裏づけがないとまたかえって土地所有者に迷惑を及ぼすから、交付公債で買い取る、その条件は、まだ私はよく
研究していないけれども十年くらいで償還するのだ、そして利子については少なくとも銀行預金程度の利子をつける、こうすれば私有権を一応押えても社会的な公平の面から見ればこれは是認されるのじゃないか、その
意味で、これは与野党ともに共同でこの問題を検討すべきではなかろうか、こういう点を私が申し上げたところ、そこにおられた社会党の議員の方も、公明党も、民社党の方々も、これはほんとうにひとつ考えようじゃないかという空気に実はなったわけです。そういうような前提を踏まえて今度は参議院の内閣
委員会に行ったら、やはり同様のことが出てきた。そのときにまた同じことを申し上げた。ところが、衆議院の内閣
委員会のときには記事にならなかったけれども、参議院の内閣
委員会で発言したことが記事になってばっと出てきた、こういうような段階でございます。いまでも私は、これこそイデオロギーを越えてやれる問題じゃないかというような気がするのです。参議院の
建設委員会の中でも、あの記事を読まれて、これをひとつやろうじゃないかという、私に対する指摘と申しますか、
意見の開陳が野党の一部の方からあったことも事実でございます。私は、この次の
国会までに、与野党ともにこの問題を真剣に取り上げるということで、ややともすれば、何でも政府提案だけでやって、これに対して政治的な
一つの攻防を重ねるという
国会から、むしろ
国会がリードして、本来の国権の最高機関である立法府こそこういう大きな問題を取り上げていいのじゃないかと思う。そうして、その意図を受けて、政府を持つわれわれのほうで事務的にその
法案の準備をして、そしてまた皆さんと御協議の上適当なものにしていく。こういうある
意味における七〇年代の
国会と政府との機能をここまで進めていいじゃないかという気持ちすらあるので、いま小川さんから出されたことは非常に適切で、かつ
建設委員会で正式に取り上げられたことに対して、私も全く同感である旨を申し上げておきます。