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1971-02-17 第65回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十七日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君       金子 一平君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    廣瀬 正雄君       藤波 孝生君    古内 広雄君       森下 國雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    新井 彬之君       北側 義一君    内海  清君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  桜井 芳水君         消防庁予防課長 永瀬  章君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     後藤 俊男君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     松浦 利尚君 同月十七日  辞任         補欠選任   卜部 政巳君     八百板 正君 同日  辞任         補欠選任   八百板 正君     卜部 政巳君     ————————————— 二月十日  国道一六一号線西大津バイパス等建設促進に  関する請願草野一郎平紹介)(第五二三号)  地代家賃統制令廃止反対に関する請願東中光  雄君紹介)(第五二四号)  岡山市西大寺の公営住宅払下げに関する請願  (黒田寿男紹介)(第五八二号)  同(黒田寿男紹介)(第六二八号)  消費者保護目的とする宅地建物取引業法の改  正に関する請願石井桂紹介)(第六二九号)  同(砂田重民紹介)(第六三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、建設大臣基本施策に関する所信表明に対しまして、建設行政全般について御質問申し上げたいと存じます。  なお、予算委員会関係大臣は途中退席されるそうでありますが、そのときには中断をいたしますから、どうぞ予算委員会のほらに御出席いただきたいと存じます。  まず初めに、これは重要な問題でありますが、佐藤総理が本会議におきまして行ないました施政方針演説内容と、本委員会において所信表明をなさいました大臣内容とに若干相違点があるわけであります。その問題は、実は過密過疎の問題についての政府の把握のしかたであります。佐藤総理は次のように言っておられるわけであります。過疎地域人口の減り方が少なくなっていることが注目される、過疎現象というのは一応だんだんゆるやかになってきておる、こういう表現を使っておられるわけであります。ところが、大臣は、依然として過密過疎というものが進んでおる、ますます過密過疎は深刻化してきておる、こういう表現を使っておられるわけであります。過密過疎の問題で大臣総理とのこういう食い違いが事実だとすると、私は、建設行政にとって非常に大きな矛盾点問題点をつくり出すんじゃないかという気がいたしますので、いずれの考え方、いずれの所信表明が正確なのか、その点をお聞かせいただきたいと存じます。
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、表現の方法は若干食い違うと思いますけれども、総理が言われましたことは、過去十年に比べれば、従来の過疎地帯といわれておった県の人口の減り方が若干ゆるやかになってきた、スローダウンしたというところに焦点を合わせて言っておるのです。私のほうで申し上げるのは、建設行政をやる場合において、実質的に、人口移動はそうであるけれども、過密過疎対策というものを国土総合施策から見た場合において、特に、道路政策あるいはまたこれに関連する水資源開発等から見るならば、絶対数の移動はスローダウンしたにもかかわらず、依然として、社会問題として、過密過疎問題は深刻になっておる、これに対する施策をやらなければならない、そのために、道路住宅あるいは水資源開発等、そういうものに焦点を合わせて言っているので、あるいは文字の上からすればそういうふうにとられるかもしれませんが、私は、本質的に違うほどのことではないと存じておる次第でございます。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、いまの建設大臣発言が正しいと思います。そういう意味では、総理の言われた施政方針演説のこの過密過疎感覚というのは、やはりちょっと国民としては理解できない表現ではないかという気がしてならないのです。それで、この施政方針演説の真の意味は、そういう、いま大臣の言われたことであるという前提に立って、これからいろいろと御質問をさせていただきたいと思います。  そのまず第一点は、御承知のように、総理演説は、これから将来に向かっての十年間に市街地面積を二倍に広げる、こういうふうに言っておられるわけであります。これはもう御承知のように、新全総計画に従った総理発言だというふうにお聞きをするわけであります。しかし、いままでの大都市というものが、御承知のように東京大阪等を見てもおわかりになりますように、一点集中型の都市構造が急激に膨張してきておる。そのために交通問題あるいは住宅問題といったもろもろの問題が後手に回ってきているというふうに思うのです。しかし、そういったものを前提に踏まえて、総理はこれに対応する都市改造ということについても触れておられると私は思います。だとするなら、これから都市改造をしていくための、この都市部集中しておる工場分散という問題についてどのように考えておられるか。工場分散したあとあと地というものについての利用というものが、当然建設行政の中で重要な柱として言われておるわけでありますが、そういった工場分散というものが実際に現実問題として可能なのかどうかということについて、第一点としてお尋ねをしておきたいと思うのであります。  それから第二点といたしましては、何といっても、東京都を例にとってみますと、スプロール化現象というものが非常に広がってきて、住居というものが自分の職場より非常に遠距離になってきておる、そのために交通網整備というものも必要になってきておる、こういうことなんです。ところが、実際に東京都の建物階数を調べてみますと、平均の階数というのは一・七階だ、こういうふうにいわれておるわけでありますが、実際問題として、職住近接職場住居を近接させるための高層計画というものを実際に具体的に考えていく場合に、われわれ日本国民というのは、どうも土地つき住宅というものに非常に期待をする。土地つき住宅というものを希望する。そういうことを前提にすると、職住近接高層住宅という構想がはたして国民感覚に密着したものであるのか、あるいはそういうものを密着した上で高層化というものを考えておられるのか、その点について伺いたい。この二点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  6. 根本龍太郎

    根本国務大臣 都市集中型の傾向は、従来、これがある意味における経済的なメリットがあるというふうにみんなが考えて、そうした政策をずっとやってきたのであります。また、日本都市学者あるいはいわゆる近代経営学者という方々も、そういう観点から考えて、あるいは太平洋メガロポリスとか、あるいはいまの首都圏あるいは近畿圏、これに人口集中するんだ、それに対応するところの社会投資をしなければならぬという声は従来相当強かったのです。それを二年前から、これはおかしいということで、われわれが数次にわたりまして関係省庁に働きかけて、むしろ今後は大都市集中デメリットだ、人間生活がある意味においては非常に後退するという観点からこれを修正したのでございます。そうして、現実建設の面から見ましても、都市大衆交通としていまクローズアップされておる地下鉄のごときは、現在は一キロ六十億以上かかります。六十億かけてやる場合、それよりもむしろ、その程度の金を、首都圏でいうならば北関東方面にこれを投資するならば、道路もでき、かつ土地の安いところで、条件のいいところにやれるじゃないか、こういうことが端的に言えるわけであります。そういう意味で、従来の道路政策も、御承知のように、東名とか、こういうものだけでやっていた。これがかえって大都市集中してきた。そこで、道路政策も、あるいは七道、五道といわれる地方整備重点を入れ、かつ、これに関連するところの国道、さらに地方道整備していきますなら、そこにおのずからいままで比較的軽視されておった地方都市一つの核となりまして、そこにあるいは農工両全と申しますか、そういうようなもので、そこに都会においてデメリットになっておる工場並びに産業が展開していく、これは可能であると思います。  一方、今度は、都市内において、いま御指摘のように五十キロ範囲から通勤している。そうすると非常な疲労度であり、交通費がかかる。それよりむしろ都心工場あと地住宅をつくる。従来公団住宅等は四階、五階程度であったのを、そういうところならば十二、三階にしてけっこうやれるということで、四十六年度予算は、特に大都市における都心中高層住宅政策重点を置いておる。また、東京都とか大阪府とか、こういうところにはできるだけ都心公用地を使いなさい、いわゆる国有地を開放する、あるいは私有地、府有地を使え、その上に工場を疎開させて、そこに高層住宅をつくるというような指導をしていっているわけでございます。これはもう一つ意味においては、近郊にずっと出ていきますと、いろいろ問題になっている学校とか公共並びに公益施設がないためになかなか歓迎してくれない。行き詰まりを来たしておる。ところが、一方において、都心のほうは学校が、学生がいないために、いわば廃校にしなければならぬようなかっこうになっている、こういうところがありますので、むしろ積極的に都心に、少し単価が高いけれども高層住宅を建てるという施策をやりますならば——いままでの日本国民土地つきということを言いましたけれども、郊外に行っても土地つきができるほどの余裕がある公的施設はできないのです。それならばむしろ都心の、近いところで交通の便のあるところになれてくると思う。現実にそういう傾向がありますので、御指摘の点は、若干抵抗はあるかもしれませんけれども、私はやってしかるべきことだというふうに考えておるところでございます。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣も御承知のように、この新全総計画では、昭和六十年度における東京圏人口が二千五百万人だという推定をしております。札幌圏で二百五十万人、仙台圏が百二十万人、名古屋圏が五百五十万人、大阪圏千四百万人、広島圏二百万人、福岡圏で二百二十万人、あと十年、昭和六十年までにこれだけの人口集中というものを想定しておるわけでありますが、実際にそういう新全総計画に従った人口集中に対応して、都市改造というものがこれまでに間に合うのかどうか、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
  8. 根本龍太郎

    根本国務大臣 新全総のその数字は、一応の従来の人口増の、あるいはまた産業集中の過去の趨勢から推測したものであって、そうあることが望ましいとか、そうあるべきだとか、またそういうふうにする条件が整っておるということを私は裏づけていないと思っています。東京にそんなことをしたら、もっともっと困ったことが出てくる。まず第一に、水の問題でこれは処置できなくなります。それから交通問題で、これはデッドロックに乗っちゃいます。そういうところに、従来のいわゆる新経済学者とかあるいは都市学者とか、そういう人たち一つの理論を無条件に受け入れた傾向があるのじゃないか。むしろ、私は、そういう傾向のために起こる都市公害あるいは人間疎外の問題を、どうしたら快適にまた均斉のとれた国土開発をすることができるかということが政治の任務だと思うのです。そういうふうに私は考えまして、もうすでに御承知のように、四十六年度には相当の経費をかけて、北関東の三つの地点に農業工業両全の新しい大都市計画調査する。それから南関東ももう一回洗い直すというふうにしていかなければならない。それからまた、現在、北九州等においても、あそこも依然として水が問題です。この問題を解決していない。それから道路問題も、いま九州縦貫道路をやっていますけれども、道路問題の用地問題で、熊本のほうからは行っているけれども、福岡のほうは依然として停滞状況。こういう状況下において、あそこに二百万都市をつくるということは、私はどうも必ずしも適当ではないと思う。それよりも、現在、むしろ南九州のほう、このあなたの選挙区なんか、いままで非常におくれておるようであるけれども、フェリーが通る、空港ができる、水の条件はよろしい、土地条件がいいとなれば、あそこに産業がだんだん行っているのです。そちらのほうに誘導することが正しい、こういうふうに私は思うのでございまして、新全総というものは、これはある意味ではいままでの傾向性を一応計数にフォローして出しただけであって、それを確固不動一つのメルクマールとして、これにすべて合わせるということが正しいことは思わないのであります。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの大臣のことばでよくわかりましたが、私も、最終的な結論として、水の問題等をからみ合わせて、この新全総計画は改められるべきだという考え方に立っておるのですけれども、その問題についてはまた後ほど意見を申し上げたいと存じますから、ここでは大臣の御意見だけ承っておきたいと思います。  その次に過疎地域の問題と関連をして、地方生活圏構想という問題が建設省構想として打ち出されております。すでに建設省は全国百六十三の地域を設定をして、地域的なバランスのとれた公共投資等を進めておられるようでありますけれども、実際問題として、この地方生活圏構想というものについて法的な義務づけをして、道路、治水、住宅宅地開発あるいは公園、下水道等整備計画を総合的にやるということが、せっかくりっぱな地方生活圏構想というものを認めたわけでありますから、私は、地方住民の意思に沿った方向だと思うのです。そういった意味で、この地方生活圏構想というものを総合的に推進していくための法制化、こういうものについて大臣のお考え方を承りたいと思います。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでございます。ただ、これは、自治省その他関係省がいろいろありまして、総合的な立法をする段階までまだ合意が出ていないのです。そこで、われわれのほうは、まずそうしたわれわれの構想と、自治省のいまの広域行政の問題、広域市町村、これとだんだん調子を合わせながら、実績をもってこのほうに立法措置をすることが至当であるというような合意を得るまで持っていきたいと思っております。何ごとも法律さえできればいいということじゃなくて、やはりそれに対する地域住民合意関係各省の理解、合意というものが必要なのであります。究極的にはいまあなたが御指摘になったところに持っていきたいというのが私の気持ちでございます。さらに今後とも関係省庁連絡の上、そうした検討を進めてまいりたいと思っておる次第です。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最近各過疎地帯の首長、議会等によって、集落の再編成というものを積極的に推し進められておることは事実だと思うのです。そういう意味では、過疎地帯における集落の再編成という問題についても、何か法的なものがあれば各市町村の長というものは非常にやりやすいと思うのですね。そういう意味では、いま言われたように、広域市町村圏構想とか、あるいは農業立地条件とか、総合農政の問題とか、いろいろな問題が隘路となって法制ができないとするならば、大臣が言われたように早急にそういうものを調整していただいて、建設省が出されておるこの地方生活圏構想を中心とした法制化というものがぜひ早急にされるべきだ、かように私は思いますので、大臣の積極的な御指導と御協力をお願いいたしたいと思います。  次に、都市問題で、下水道問題について若干触れておきたいと思うのでありますが、第三次下水道整備五カ年計画が、第二次計画の約二・八倍に当たります二兆六千億の規模となっておることについて私は賛意を表するものでありますが、この問題についてはまた別途法案の審議のときにいろいろと御意見を申し上げるつもりでありますが、実際問題として、五カ年計画の初年度である昭和四十六年度が進捗率が一〇%ということで予算が押えられておる。そういうことであるなら、この五カ年計画を達成するためには、四十七年度以降相当ピッチを上げた進捗をはからなければならぬというふうに思うわけでありますが、実際にこれについての自信があるのかどうか、その点についても承っておきたいと思います。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 従来の第二次の下水道計画進捗状況からすれば、そういうふうに疑問と思われるのは当然だと思うのです。  そこで、御承知のように、本来は、新しい社会経済発展計画の想定した下水道投資額が実はこれより少ないのですよ。そこで、昨年あのとおりに与野党非常に一致して公害対策に当たり、これが出された今日、すでに数年前に想定した新全総計画の総投資額、これじゃおかしいじゃないかということで、実は新全総社会投資総額五十五兆円をきめるときに、私は特に発言をいたしまして、経済企画庁長官並びに大蔵大臣にくぎを打ったのです。この認識では、公害のうちのいま最大の隘路になっておる水の浄化はとうていできません。これは人間生活に最も密接に関係する問題である。できませんよ。だから、実際に予算配分するときにあたってはあらためて私は条件をつけますよということで、実は五十五兆円を私も承認した。そのかわり下水道計画は、そのワクをこえて私は要求して、総理もこれに賛意を表してくださいました。前例のないことです。経済企画庁が従来の総投資額を上回って全面的に私の要求どおり予算を出したということは、政府予算編成でいままで前例のないことです。しかも、そのときにあたりまして、現在これだけの公害のうち、大気汚染とか何かありまするけれども、直接人間生活関係する下水は何よりも優先しなければならぬということを大蔵事務当局も深く認識したようであります。  そこで、本年は約三三%増くらいでございますけれども、これが三五%程度ずつ毎年伸びていくということになりますれば、これは完全にできるのです。それは可能であると私は信じております。これだけの背景、社会的な要求を受けてのことでございますし、また、地方自治体も、現在は何よりもこの下水道対策をやらなければ地方自治体自身政治姿勢を弾劾される段階ですから、政府地方自治体もこれはやれる、またやらせなければならぬ。また、国会においても、これがもしダウンするようだったら、とうていこれは与野党とも承諾しないことであって、必ずこれは実現させなければならぬし、できると私は信じておる次第であります。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 よくわかりました。ぜひそういう方向で、五カ年計画が当初の目的どおり完成できることを期待をする、というよりも、ぜひそういうふうにできるということでお願いをいたしたいと存じます。  本委員会与野党委員が常に指摘をするところでありますが、やはり、下水道整備道路整備というのは常に並行して進めなきゃならない。ところが、道路投資が先行するために、下水道投資のコストが非常に上がってくるというようなことが考えられておるわけなんですね。それで、これは一つ提案でありますけれども、実際に下水道整備道路整備との財源調整の問題ですね。これを考えてまいりますと、いまの場合、都市計画税の五〇%以上が道路に持っていかれておる、そして残ったものが下水道公営などに持っていかれる、こういうアンバランスをやはり確かに——そのどれが重要かということを私はここで言おうとは思いませんけれども、下水道がこれほど公害問題とからめて重要だということが臨時国会等開かれて言われておるわけですから、そういう意味では、こういったものについてもある程度チェックをしてみる必要があるんじゃないか、こういうように思いますが、大臣のお考え方をお聞かせいただきたい。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 たいへん貴重な提案でございますので、これは特に地方自治体で問題でございますから、よく自治省とも連絡の上、財源と同時に事業の均衡をとるように、私のほうからも連絡いたしたいと思います。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それからもう一つ、これは事実かどうか具体的にいま確認をしてもらっておる段階ですから、おそらく建設省のほうでも調査をしておられるんじゃないかと思いますが、実は、これは茨城県の鹿島工業地帯県営共同汚水処理場の問題なんです。これが昨年十月操業を開始して、処理能力一日に三万三千トン、こういうふうにいわれておるわけでありますが、これがどうも当初の共同汚水処理場としての機能を発揮しておらない。臭気の強さを測定をすると、むしろ工場地域臭気率よりも共同汚水処理場から出る臭気のほうが非常に高い、こういうことがいわれておるわけなんですね。この問題は、この前公害国会のときに議論をいたしましたところの、例の下水路工場排水を流す問題、その流す工場排水について、届け出制にすべきか許可制にすべきかという議論があったのですが、ところが、実際には、建設当局は、この下水路には汚水を流すことが目的であるから、それは届け出制だけで、許可制にするのは現在の法体系からするとどうもおかしい、こういう御意見だったんですが、いろいろと調査をする過程の中で、工場側が出す排水を分析をして報告をすることは企業の秘密に属するというようなことで、届け出をしたより以上の、それ以外の工場排水を出しておったのではないかといううわさあるいは想像、こういうものが茨城県で行なわれておるわけなんですね。現在、このことについては、茨城県自体でも、公害対策委員会というのが県議会の中にあってチェックをしておる最中だそうでありますが、こうした問題について建設当局に御報告が来ておるかどうか。こういう問題について今後どういうふうに改めようとするのか。このことについては、これは事務当局のベースでありますから、局長のほうからひとつ知っておる範囲内で御答弁いただきたいと思うんです。
  16. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お答えいたします。  ただいまの御指摘は、鹿島深芝処理場関係の問題かと思います。御指摘のとおり、新聞等の報道もございまして、主としてこれを使っておりますところの三菱油化関係工場からの硫化水素関係の問題であったかと思います。  私ども、さっそく現地に担当官を派遣いたしまして実情を調査し、その後県にも今後の指導監督についての指示を十分いたして帰ってまいっております。まだ詳細なことはつかめておりませんが、現在のところでは、操業開始当時におきまして、御指摘のような基準以上の悪水が流れたという事実があったようでございますが、その後適切な措置をとりまして、ずっと改善されてまいっております。しかし、今後、御指摘のように監視を継続して厳重にやってまいりませんとまた問題が起こりますので、十分県と連絡をとりながらこの指導の徹底をはかってまいりたいと思います。  現在わかっております状況を申し上げました。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一度最後に大臣お尋ねをしておきたいのですが、昨年の法案審議の際に、これはやはり与野党を通じて疑問点にしたところが、はからずもここに出てきておるわけでありますが、届け出制でだいじょうぶだ、こういうふうに今後ともに行政面で指導していけばこういう事態は絶対に起こり得ないんだというふうに判断をしておられるのか、あるいは許可制に改めなければならぬと思われるのか、その点について、通ったばかりの法律についてまことに申しわけありませんが、お答え願いたいと思います。
  18. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私も、どうも法律のほうはあまり強くないほうで、弱いのですが、法律の体系からすれば、どうも届け出制のほうがしかるべき法体系だそうです。それで、問題は運営の問題だと思います。たとえこれを許可制度にしても、インチキされればこれはどうにもならないということになります。最近の国民世論からいって、監督行政官庁も、従来のように企業寄りでやるということはもうできなくなった、はっきりこれは言えると私は思います。行政官庁も、もしそういうミスが出てくると、それだけ強い社会的な指弾を受ける、こういう背景がもうすでに定着したと思います。その意味で、私は従来よりは改善されると思います。しかし、それでもなおかつ依然として、届け出制だからということで企業あるいは監督官庁がルーズであるならば、その時点において、これは断固たる法的措置というものも出てくるであろうと思いますが、いま当分の間は、せっかくつくったばかりのところでございますので、現状のままむしろ行政指導によって目的を達成するように努力したいと私は思っておる次第でございます。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣が決意を述べられましたから、これ以上私は申し上げる必要はないと思いますけれども、事実問題として、流したという結果がわからなければどうにもならないという法体系では、またぞろこういうことが起こり得る可能性というものが残っておると思う。そういう意味では、大臣が行政指導の面でそういうことの起こらないようにされるということでありますから、二度と再びこういうことが本委員会議論にならないように、建設省の御指導なりあるいは監督をぜひ強化をしていただきたいということを申し上げて、時間がこの問題だけに集中したのではありませんから、先に進めさせていただきたいと思います。  次に、いま一番問題になります住宅の問題について若干の質問をさしていただきたいと思うのです。  それで、私が一番最初にお尋ねしたいのは、実は、昨年の結果から見て、公営住宅というものが、全体の建設される建設戸数の中から毎年毎年だんだん率が低下しておるわけですね。昨年は三二%が公営住宅、残りが全部民営だ、民間依存だ、こういう状態がだんだんかもし出されてきておるのですが、この新経済社会発展計画を見ましても、最近では、自力で家をつくる、自分自身の力で家をつくるんだ、というようなことで、それ以下の、自力で家が建てられない人の部門について公営、公団等の住宅ということで、自力で家をつくる、持ち家ということが何か中心になってきておるのですが、基本的な問題として、大臣は、住宅というのは社会資本というふうにお考えになっておられるのか、それとも、これは個人資本なんだ、個人財産なんだというふうにお考えになっておるのかということについて、たいへん抽象的な質問ですがお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  20. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは、住宅についての考え方を、私はただ単に公的で建てたものが減っているのはけしかるとかけしからぬとかいうよ問題ではないと思うのです。これは、結局、現在の日本のいわゆる自由主義経済においては、原則として個人が快適な住宅を自分で持てるということ、自分の土地、自分の家を持つということが本来の理想です。そうして、しかしながらそれでもどうしても自分の力で持てないという人は、これは公的な機関でやるというたてまえでいくべきだと思います。そうでないと、賃貸で入っておることを考えるならば、現在の日本ではやはり結局定年になると収入が減ってきます。あるいは家族がふえた場合に分離しなければならない。そのときになって、むしろ非常なる生活難にいく可能性が出てくるのです。そこに、老人問題あるいはまたいろいろの社会的な不安が出てくる。そういう点からして、私は、むしろ、自分で持ち家を建てるという政策と、それからそれでもできない人とある程度まで分けて施策を考える。分けて考えるということは総合して考えるということでもあります。だから、最近は勤労者の方々に聞いてみると、やはり自分の持ち家を持ちたいという意向のようです。まして普通のサラリーマンでありますと、どうしても自分で持ちたい。ところがいままで絶望的であったということなので、今回から新たに、御承知のように、勤労者の財産形成の中で、勤労者の住宅の問題も出しました。それから、住宅の融資制度というものも拡大していっておる。そうして、自分で持ち家を持つ人が多くなればなるほど、今度は競争率が少なくなるわけです。昔でありますれば、相当の財産を持っている人やあるいは会社の幹部というものは、子供に自分の家を建ててくれてやったもんですよ。ところが、いまや財閥の子弟までみんな公団住宅に入居を要求するようになってきた。それは税制も悪いのです。そういうところに問題がありまするので、いま松浦さんの言ったような、どっちに重点を入れるべきかというような御質問には、端的に右か左かということを判断することは必ずしも適当でないのじゃないかという気がぼくはするわけでございます。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣は端的にお答えできないということでございますけれども、私の考え方をここで申し上げますと、従来は、社会保障、社会資本的なものとして、住居というものは公的なものも民間的なものも含めてそういうふうな感触できたのが、いつからとはなく、だんだんと個人的なもの、個人資産というか、あるいは個人資本というか、そういったものと政府は理解するような方向に進んできておるのではないか。大臣が意識するとしないとにかかわらずそういう方向に行くのではないか、行っておるのではないか、こういう気がするのですけれども、大臣はどちらか端的に割り切った御答弁はできないということでありますから、これ以上ここでいろいろと申し上げるつもりはございません。  これから少しいやみを申し上げて恐縮ですが、ちょっと数字をあげて質問をしてみたいと思うのですが、御承知のように、第一次五カ年計画が六百七十万一尺、一世帯一住宅というキャッチフレーズで、国民にたいへん期待と希望を与えたことは大臣も御承知のとおりだと思うのです。ところが、現実的に第二次住宅五カ年計画に入ろうとする現在、すでに三百六十万の住宅難世帯というものが現実に存在をしておる。このことは、当初の一世帯一住宅という計画のどこに一体そごがあったのか、すでに建設省としては十分分析、検討しておられるはずでありますから、なぜこういう事態になったのか、あれだけ国民にバラ色の期待と希望を与えた一世帯一住宅政策というものが、現実には三百六十万の住宅難世帯が存在し、現在第二次五カ年計画に入らざるを得ない原因はどこにあるのか、そのことについて、大臣並びに担当局長のほうからお答えいただきたいと思います。
  22. 根本龍太郎

    根本国務大臣 計数的なことは事務当局から御答弁いたさせますが、御承知のように、日本住宅問題が戦後非常に重大な問題になったということは、とにかく戦争で日本都市の大半はやられてしまって、しかも、あの窮乏の時代にやられてしまったから、ようやく四、五年たってから建てたものはみんなバラックで、しかも、それが完全に老朽スプロール化してしまった。それは一面において、戦後日本において非常に核家族化したということが住宅の量的な需要を増したということ、それから先ほど御指摘がございました過疎化現象のために、一方でどんどん家を捨てて出てくる。持ってこれない。そうして都市に、条件の悪いところに集中したというところに日本住宅問題の特異性があると思うのです。そして、従来は、家を建てるということは、所得の関係もございまするが、その金が一体どこから出てきたのかというような追及が税務当局からやられるものですから、それよりはむしろ公団なり公営住宅に入ったほうがよろしいということで、公的住宅にのみ政治的な関心も社会的関心も非常に出てきておる。こういうことで、いま御指摘になりましたように三百何十万戸というものの差が出てきたというのは、一つは、核家族化したために従来の予想よりも住宅需要が満たされない、それからもう一つは、戦後もう二十年たった戦後の民間住宅が使えなくなってきた、狭隘、あるいは住宅として適当でなくなったから、やはり別のものを建てなければならぬ、こういうものが集まって三百五十万戸程度現在でもなおかつ足らない、これをやらなければならぬ、こういうことでございまして、これは非常に総合的な原因で出たものと私は思います。そこで、われわれとしましては、それはそれとして、現実住宅政策を推進するために九百五十万戸、これも大蔵省は予算とか財政上ということでいろいろ抵抗がありましたけれども、これは認めよう——そこで、ただ、いままでのように公的資金だけでこれを充足するということは必ずしも適当ではない。むしろ、これは大きな企業等において持ち家政策を推進せしむることが、企業のためにもよいし、それからまた入る人もよろしい。それから農住政策、これはほんのちょっとでありまするが、そういういろいろな手法を講じて、この住宅問題を推進させたいと考えておるわけでございます。  計数その他の経緯については、事務当局からお答えをいたさせます。
  23. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 第一期五カ年計画と、これから発足いたします第二期五カ年計画の御質問の中で、数字についての御説明だけを申し上げます。  趣旨はただいま大臣がお答えいたしたとおりでございますが、第一期の計画につきましては、全体の計画では六百七十万戸の建設計画いたしましたが、全体として六百七十二万戸ということで、計画以上の達成率ということになっておりますが、御指摘のように、公的資金による住宅につきましては九五%の達成率ということで、全体としては計画を達成いたしましたが、公的資金につきましては五%程度計画のそごがあるということでございます。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま局長が補足された点についても、これからの問題についてちょっと疑問がありますので、ここで明らかにしておきたいと思うのです。  第二次五カ年計画で九百五十万戸建設をすると、一人一室の住宅政策になるんだ、こういうふうに言っておられるわけでありますが、公的住宅、実際には九百五十万戸のうちの三百八十万戸ですか、これが東京大阪、名古屋の周辺に建設される予定だというふうにお聞きをしておるわけでありますが、三百八十万戸のうち約三十万戸が公務員宿舎で、一般の国民が住めない宿舎です。残りが三百五十万戸ということになるわけでありますが、そのうちの約七割の二百七十万戸を東京大阪、名古屋周辺に建設をする。この第二次五カ年計画では、土地の値上がりを一応一二・三%という値上がり率で見込んである。ところが、現在の土地の値上がり率というのは二〇%ですね。また、建築費の値上がりは六%ないし七%にこの計画は押えられておる。ところが、現在の建築費の値上がり率というのは一〇%。だから、現実的にこの住宅政策を実行するためには、土地の値上がりは全体を通じて十二・三%、建築費の値上がりは六%から七%に押えない限り、この計画は成り立たないのですね。逆に言うと、そういう予算措置をしておいて、それからはみ出す部分については、言うなら自治体のほうにその超過負担というものが押しつけられる。そういうことになってくると、公的住宅というのは、また九五%、九〇%ということに結果的になるのではないか。そのことを端的に指摘したのが四十六年二月の行政管理庁の住宅に関する行政監察結果報告だと思うのです。  この際大臣お尋ねしておきたいのは、公的住宅建設について計画した値上がりですね。さっき言った土地並びに建築費の値上がり率に押えるという根拠が明確であるのかどうか、あるいは予想した以上に土地、建築費が値上がりした場合には計画を縮小するのか、それとも超過負担という形で地方自治体にその分を負担させるのか、この点について明らかな御答弁をいただきたいと思うのです。
  25. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いろいろとウイークポイントがあることを指摘されましたが、従来からすればそうだと思います。しかし、政府計画として、物価や、いまの土地が二〇%以上上がるという計算をすることは、これはみずから一つの物価をプッシュするということになり、適当じゃないと思います。ただし、御承知のように、現在、公営住宅はできるだけプレハブ化するための指導をいたしております。何と申しましても、資材費よりも大工、左官等、労務費の高上がりが、現在一番大きいコストプッシュになっております。今後それがますますひどくなると思います。その意味において、これはどうしてもプレハブ化しなければならない。そこで、公団住宅のごときは、従来プレハブ化はせいぜい四、五階であったのを、十二、三階までプレハブ化してしまう。これで相当コストダウンができる。     〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 それから、従来日本では、御承知のように住宅の規格が非常にまちまちでした。関東と関西ではみんな違う。畳の寸法も違うし、障子の寸法も違う。これが非常に高上がりになるのです。それで先般、通産省とわがほうと大体合意ができたのは、住宅の規格の統一をはかっていく。これに伴いまして、今度はファーニチャー、いわゆる家具もこの規格に合うようにする。これでかなりのコストダウンができる、こう考えております。  それから、先ほど問題になりました都市の地価の問題ですが、これも高層化することによって、実質上土地が上がっても、一戸当たりの土地費用負担というものを押えもしくは下げることができるのではないかという考え方。  それからもう一つは、近郊についても、従来は、実は、公団が土地を入手するときに、あるいはまたできてから後も、公的並びに公益負担が非常に大きいウェートを占めておりました。今度は、学校等の費用については補助を出すこともきめましたし、さらにまた、いままでは住宅公団が何でもやらなければならなかったのを、道路、それから河川等も、建設省として総合的に、それぞれの分野における公的負担といいますか、財政資金をつぎ込むことによってそういう問題も解決していきたい。  しかる後になおかついま御指摘になったような問題がありますれば、その時点において、これは超過負担が地方にいかないように、財政当局と建設省がその年度年度の予算の実質的査定において折衝していきたい。現実に、単価については四十六年度は相当上げておるわけであります。そういうふうに、一応いま計算しておることと現実にやることは、やはり政治的努力で解決してまいりたいと考えておる次第でございます。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 住宅局長のほうからも御答弁いただければと思いましたが、時間がございませんので、大臣の答弁だけでけっこうだと思うのです。ただ、この監察結果に基づく勧告の中にも、「実施工事費等が標準工事費等の二倍をこえるものもみられ、そのため、事業主体である地方公共団体に著しく負担をかける結果、公営住宅建設等に消極的な地方公共団体がみられる。」という指摘がされており、今度の予算単価というものを見たときに、値上がりというものを非常に低く押えた形で予算単価が計上されておりますから、第二次五カ年計画でまた超過負担とか、あるいは公営住宅が一〇〇%に到達しなかったというような結果が出ることをおそれますので、私は大臣の決意をお聞きしたわけであります。これは出発点でありますから、いまいろいろ御批判をしてみても、結果がよければいいわけであります。五カ年後に私が申し上げたようなことが出たとすれば、私が議員でおるかどうかは別にいたしまして、そのときにこの問題についていろいろと御批判を申し上げたいと思いますから、一応ここで質問は打ち切っておきたいと思います。五年先にひとつやらしていただきたいと思います。  次の問題は、その問題と関連をして、今度の第二次住宅五カ年計画の九百五十万のうち、五百二十万戸が持ち家であって、四百三十万戸は借家だ、こういうことになっておると思うのです。ところが、家賃の値上がり率というのは、昭和三十八年から四十三年の五年間を平均してみますと、約七〇%近く家賃というのは上がっておるわけですね。四百三十万戸の借家の問題について、私は、国民にとっては非常に重大な関心事だと思うのです。それで一体、公営住宅の家賃というのは平均幾らに押えるという試算が建設省にあるのか。民間、公営住宅の家賃は平均幾らになるというふうに試算をしておられるのかということが一つでございます。  それからもう一つは、公団住宅の家賃の値上がりが、この七月、林総裁がやめたあと、三二%から五二、三%の値上げを計画しておるという新聞報道が出されておるわけであります。私は住宅公団に聞いたことがありませんから、事実かどうかわかりませんけれども、新聞報道に関する限り、公団住宅の家賃というのは三二%から五三%の値上がりをする、こういう計画があるというふうにお聞きしております。また月収十万円から十五万円の収入のある者については一万円程度の家賃の値上げがあるかもしれない、こういう報道がなされておることも事実だと思うのであります。  それからもう一つは、これは本委員会で、井上委員だったと思いますけれども、あるいは小川委員だったかもしれませんが、公団住宅のあき家の家賃ですね。二DKで、現在の新しく入る家賃については一万三千四百円だけれども、古い住宅のあき家に入る者には九千円程度に値上げしたい、三十二年完成の古いあき家の公団住宅国民が入ろうとした場合に、それはもう頭から九千円に値上げをしたい、こういう提案がなされるだろうというふうに言われた。国民はこの家賃というものについては非常に敏感だと思うのですね。この点について、値上げがあるのかないのか、値上げがあるとすると一体幾らになるのか、私は詳しくひとつお聞かせいただきたいと思います。
  27. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。  公団住宅の家賃の問題について二つ御質問がございましたが、あき家の家賃につきましては、現在公団でルールをきめてすでに実施いたしております。これの考え方は、あき家になりました場合に、あいた家につきまして改良を加えまして、それに要するコストを家賃に算入をするということで、通常の建設費の償却の半分程度を家賃の計算の中に算入するということで計算いたしておりますので、金額は、いま御質問の中にございました金額かどうかはっきりしませんが、大体、推定再建設費の五割程度の償却費を見込んだ家賃になるということにいたしております。  それから、公団家賃全体の値上げの問題でございますが、これは新聞紙上その他でいろいろ報道されておりますが、現在公団でいろいろ検討いたしておりますが、われわれといたしましては、古い年度に建設されました住宅につきましては、用地費、それから建築費その他、単価としては非常に安い単価で、これを七十年で償却するという計算でやっておりますが、新しい住宅につきましても同じような計算方法でやっておりますので、その間に非常な不均衡があるということで、社会公平の見地からこの不均衡を是正すべきではないかということから、それをどういうふうに解決するかということで、現在検討している段階でございます。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 検討しておる段階だと、こういうふうに言われたわけですけれども、私は、検討ということにはやはり一つの公団側の資料があると思うのです。ですから、公団側が幾ら値上げしようと検討しておるのか、そのことを聞かせていただきたい、こういうことなんです。
  29. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。  まだ、具体的にどういう値上げのしかたをするかという結論は出ておりませんが、先ほど御説明申し上げましたあき家住宅の家賃の再計算の方法、これが一つの参考になるというふうには考えております。ただ、そのとおりいくかどうか、これからの検討によって決定いたしたいというふうに考えております。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの局長の答弁によりますと、あき家住宅の場合は五割程度の値上げを考えておるということですが、現在、二DKの三十二年完成の公団住宅家賃については五千八十円だというふうに承知をいたしております。ですから、それの五割ということでございますから、大体想像はつくと思うのです。ところが、いま言われたように、全体の公団について、新しい住宅と古い住宅とのバランスをとるという考え方で五割程度の値上げをするということが現在検討されておるのだということになると、いまここで概算しても、計算しようと思えば出てくるわけですね。ですから、その五割という数字については間違いないかどうか、もう一ぺんおっしゃってください。
  31. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 ちょっと私の説明が足りなかったのでありますが、償却費の計算の中で、償却費の償却の年数その他をそのまま計算して新築した場合の建設費を基準にして、再建築した場合にどうなるかという計算をして、その差額の半分程度は上げられるのじゃないかという、その点はまだ検討中でありまして、最終的にはまだ結論が出ておりませんが、あき家の家賃の値上げの場合の計算が一つの基準になるであろうというふうに考えておるだけでございまして、それについてどうするかということはまだ結論を得ておりません。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 くどいようですが、これは大切なことなんです。もう一ぺん私はお尋ねさせていただきたいのですが、具体的にいま言われたことで想像はつくのですけれども、やはりそういった計算をしたら何%上がるのか。推定何%の間で検討しておるのか。ゼロと五〇ということになれば、これはわかりますよ。全然値上げしない場合もあるわけですからね。しかし、あなたの言っておられるのは、もう値上げをするという前提で検討をして何%と、こう言っておられるから、その値上げをする幅というのは、一体どのくらいの幅で検討しておるのか、この点もう一ぺんおっしゃってください。
  33. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 実は、新旧住宅の家賃の均衡ということで検討しているという段階でありまして、値上げの幅を何%というところまではまだ結論が出ておりませんので、ここでわれわれが計算しております家賃について、何%の値上げを目標にやっているのかということについては、まだ結論が出ていないということしかお答えできません。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは簡単にお尋ねいたします。値上げをするということは事実ですね。その点だけお尋ねいたします。
  35. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 値上げをする、しないという結論はまだ出ておりませんけれども、ただ、新旧住宅の間に家賃の非常な不均衡があるということで、建設省令にもございますように、家賃の不均衡是正のための家賃の変更ということは、省令上やれということになっておりますので、これについて、われわれとしては、この省令の精神に沿って、家賃の不均衡のないように、社会公平の見地から家賃を改定したいということで検討をしておるということでございます。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これ以上局長と話し合っても水かけ論で、家賃の不均衡是正のため値上げをするということだけはわかりましたけれども、どれくらいの幅ということは現実の問題としてわかりません。で、大臣に私はこの際お尋ねをしておきたいのですが、公団側の家賃の値上げについて、いま局長が答弁したような形で、古いものと新しいものとの均衡をはかるということで家賃の値上げをするなら、しょっちゅう値上げをするだろうと思うのです。先ほど言ったように、建築単価が二〇%ずつ上がっていくのですから、建築コストというのは毎年上がっていくわけですね。そうすると、新しいものと古いものの均衡ということになれば、その不均衡が生じたらしょっちゅう値上げをしていくということに結果的になると思うのです。そのことは、佐藤総理公共料金の値上げはしないと言ったこととうらはらで、私は、住宅については、やはりこれからも値上げをすることがあるんだということになるという気がしてならぬのですがね。しかも、新聞に報道するように、それが三二%から五〇%というと、これは大幅な値上がりになると思うのです。そういう点について、大所高所から建設大臣としてどのようにお考えになるか、お伺いいたします。
  37. 根本龍太郎

    根本国務大臣 算術的に毎年スライドして均衡をとる、そういうことは適当でないと思います。やはりそれは、あまりにもひどい格差が出たときにこれは取り上げるということがぼくは至当だと思うのです。今日までもうたいへんな長い間現状維持になってきているのですから。  ただ、一つ言われることは、審議会のほうからの答申がありましたように、現実に、都心の、しかもわりあいに環境のいいところのものに三千円、四千円で入っている。ところが、今度は、条件の悪い、遠いところのものが一万数千円している。これはやはり非常な不公平感があるのでありますから、そこをひとつ均衡をとっていくという発想でいま研究しているということでございます。私から言わせれば、本来は環境のいいところにだいぶ老朽化した建物があるところは、それをこわして、そこに高層の住宅をつくりたいのですよ。ところが、今度は、そうやると入居者が全面的に抵抗して、それもできない。これもまた私は残念でならぬのです。私は、本来ならば、そういう老朽化したところに先に入ったから既得権があるというようなことで、せっかくの公的資産をたまたま偶然に入った人が独占するということも、これは考えてもらわなければならぬと思うのですよ。東京都あたりでもかなりのいわゆる公営住宅を持っています。これをぜひ高層化して、条件のいいところにしたいと言ってもだめなんです。やはりこれは、人間がみんな利己主義に徹するとそうなりますから、一切の責任は今度は政府だけが負わなければならぬということになると、住宅政策はエゴイズムとエゴイズムのけんかになっちゃう。そこで、ある程度まで是正するということは、これはやはり適当である。そういう意味でこれは検討している段階でありまして、いずれ私のところまで——まだ具体的な検討のあれは来ておりません。現在公団あるいは事務当局で検討しておるようでありまするが、ただ、私が言いましたことは、昨年そういう動きがあったけれども、今度四十六年度予算編成のときに公団住宅を値上げするという前提予算編成はやめたほうがよろしいということで、これは大蔵省には相当そういう意図があったようですけれども、四十六年度にはそれはやらないということでありまして、その間十分慎重に検討した上……(「四十六年は上げないんだな」と呼ぶ者あり)四十六年度は公団住宅は私は上げないつもりでおります。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 四十六年度は上げない、こういうことでありますから、その大臣の御答弁をそのまま了解をして、家賃の値上げをする場合は、こそこそとやらずに、早く本委員会等で結論を報告していただいて、そしてできるだけわれわれもそういう家賃の値上げについての議論ができるように、ぜひ局長のほうでも御配慮をいただいて、大臣のほうで、いま四十六年度は上げない、こういうことでありますから、そのことで了解をして、次に移らしていただきたいと思います。  次に、農住構想の問題であります。この農住構想の問題については、法案審議の際に議論をするつもりでありますが、大体線引きが終わりまして、市街化区域に入る農地では三十万ヘクタールというふうに予想されておるわけであります。ところが今度の農住構想によりますと、大体五万戸が五カ年間に建設をされる。これが中層一月当たりの宅地面積は百平米でありますから、大体五百ヘクタール程度がこの農住構想によって農地として救われる。そうすると、実際にある約三百万ヘクタールの農地については今後どのように利用し、どのようにしようとして計画しておられるのかということについて、大臣のほうから御答弁をいただきたいということが一つであります。  それから、時間がありませんからもう一つ関連をしてお聞きしておきますが、この農住構想による賃貸住宅以外の、都市部なり都会にたくさんあります老朽化した木賃アパートですね。この木賃アパートの再開発等について、敷地建設の規模等の制限、こういったものを緩和するというようなお考えがあるかないかということもあわせて御答弁いただきたいと思います。
  39. 根本龍太郎

    根本国務大臣 農住構想はいま御指摘のとおりでありまするが、初めてのことでございまして、一体それがどの程度まで現実に成功するか、あるいは定着するか、これがはっきりわかりません。そこでまず御指摘程度でやっておるわけでございます。これが来年度あたりで相当の成果があがって、農家の方々もこれならいけるということになって、相当のそういう雰囲気が出てきますれば、いま一応五年と考えておりますが、もっと拡大すべきかどうかもその時点でさらにこれはあらためて検討したいと思います。  それからもう一つは、これが一つの動機になりまして、私は、ある場合においては、農家の方々と民間デベロッパーとの協力による宅地開発がかなりできそうなような気もいたします。実は、この構想を、昨年来私が全購連あるいは農業協同組合中央会の幹部の諸君と話したときも、自分たちも、今後農業政策の大きく転換するときに、しかもいわゆる市街化区域に指定された場合におけるあり方として検討すべきだということを言っておりましたが、ただ、そのときに問題になるのは、管理並びに運営についてちょっと自信がないと言う。そこで、しかるべき民間デベロッパーと協力してやらないとあるいはうまくいかぬかもしれぬという意見も出ておりました。  そういうようなことで、これが一つの契機になりまして、農民の方々が自分の土地を提供することによって、現在の農業経営とかハウス園芸とかをやるよりも収入が安定しておるというようになるならば、政府施策のいわゆる利子補給をしなくとも、これはかなりいくかもしれない。あるいはまたもう一つは、御承知のように、この政策をやらない前から、すでに茨城県、千葉県等においては、農業協同組合自身が地方自治体と共同で一つ住宅政策をやっておる。こういうこともありまして、市街化区域に入っておるところの農地の宅地化ということも、そういう面で一つの道を開くのではないかと考えております。  それからもう一つの点は、これは専門的なことになるようでありますから、事務当局から答弁いたさせます。     〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
  40. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 いわゆる農住とわれわれ呼んでおりますが、農住構想につきましては、現在、法案の提案理由を御説明いたしてありまして、内容につきましてこれから御審議をいただくわけでございますが、確かに、言われますように、これのシステムによりまして、都市化される農地八百ヘクタールくらいが最高限であろう、かように考えております。したがいまして、市街化区域内の全農地の広さに比べますと非常に微々たるものであるということは、農林省等もそういう御意見もあるようでございますが、われわれといたしましては、住宅政策の面からのアプローチと水田の宅地化という面からの両面の柱としてこの制度を有効に活用されればということで考えておりまして、ただいま大臣がお答えいたしましたように、これからのこの制度の運用なり反響なり見まして、できればもっと伸ばしていきたいということで今後運用したいというふうに考えております。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一点、木賃アパートの再開発に融資があるのかという問題、それから敷地や何かの制限が緩和されるのか。
  42. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 公明党の住宅総点検の結果を拝見いたしまして、確かにあの総点検の結果に出ているような現実の姿がございます。ただ、木賃アパートにつきましては、われわれ自体、従来からこれをどう改善すればいいのかという点についていろいろ検討しているわけでございますが、一番難点は、一つのロットが非常に狭いというのがこれに対する対策を実施する場合の難点でございまして、できれば、こういった木賃アパートの所有者が共同してもう少し広いロットで建築するように考えていただければ、この建築については、特定の融資なりあるいは援助の措置なりをやってこれを改善させるということが考えられるというふうに現在考えておりますけれども、ただいまの現状におきましては、そういった動きがなかなかむずかしいということで、それぞれの個人が小さなロットで自分の木賃アパートを持ち家として持っているという状況でございますので、これについての何らかの改善策を講じたいというふうに考えておりますが、なかなかむずかしい問題であるというふうに考えております。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間がありませんから、いまの問題等についてはまた後ほど意見も申し上げ、また建設省の御意見も承りたいと思うのですが、消防庁の永瀬さん来ておられるので、ちょっとお尋ねをしておきたいのです。  六十三特別国会の本委員会でも、火災の問題が非常に議論をされておるわけなんでありますが、御承知のように、昨年の暮れからことしにかけて、非常に大きな旅館等の火災が頻発をしておるわけであります。新和歌浦の寿司由楼、それから水戸市のビル、こういったような火災が、あとからいろいろと実施検証した結果では、全部新建材から出る有毒ガスによって非常に事故が拡大をしておるということが報道されておるわけなんです。本委員会でも建築基準法が改正をされまして、防煙設備等に対する建築基準というものが明確になったわけでありますが、既存のこうしたものに対する防火体制というものについては、一体消防庁のほうではどういう指導をしておられるのか。また、水戸市のビル火災のときには、あれだけの高層ビルがあるにかかわらず、避難をするための避難ばしごの配置がなかった。七階建てなのにはしごが三階までしか届かずに、救出するのに非常に苦労をした、こういったことも報道されておるわけでありまして、極端に言うと、からからにかわいた東京砂漠といわれるこの期間中に、非常にたくさんの火災、その火災による煙による被害、こういったものが多発をしてとうとい人命が失われておるわけです。  本委員会でも、再三消防庁の皆さん方に来ていただいて議論をするのですけれども、一向に改まらない。改まらないどころか、むしろ災害というものがふえてきておる。こういう現実を踏まえて、新建材に対する防煙対策なり、あるいは先ほど大臣が御説明になりましたような市街地の再開発——だんだんと住居そのものが高層化されてくればくるほど、火災に対する人命という問題については非常にウエートが高くなってきていると私は思うのです。これに対して消防庁ではどういう考え方でおるのか、これからどうしようとしておるのか、少しはっきり建設委員会の皆さん方にお知らせをお願いしたいと思います。
  44. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、ついこの間まで、たくさんの人が一どきになくなるような火災が頻発いたしておりますことは、私どもといたしましても非常に残念なことと存じております。  御指摘になりました水戸の中央ビルの場合等におきましては、あの建物は御承知のように鉄筋コンクリートの建物でございます。内装がどのようになっていたか、この点につきましては明確には把握いたしておりませんが、新建材がある程度使われていたことは想像はできるわけであります。しかしながら、鉄筋コンクリートの建物でございますと、新建材の使われない部分もかなりございます。それで、あとの新和歌浦の寿司由楼でございますが、この火災では、木造三階建てに相当します建物の三階部分におられました十九名のうち十六名がおなくなりになった。この部屋は木造で非常に古い建設でございまして、内装にはおそらく新建材等は使っていなかったと考えられる建物でございます。この場合にも、その木造三階の一階付近が出火点と考えられますが、それの直上階であったために、火の回り及び煙の回りが早くて逃げ得なかったようでございます。事故の調査では、大部分の方は起きられて行動を起こしておられる形跡がございます。不幸にしておそらく煙に巻かれてなくなられたものと考えているわけでございます。  これらの死者を出します火災につきまして、常に煙の問題が論議され、提起されているわけでございますけれども、この煙でございますが、御承知のように、木材等が不完全燃焼いたしますと一酸化炭素という有毒ガスを出します。そのガスを吸いますと、しまいには中毒でなくなりますけれども、ある程度の量で、意識はあるけれどもからだの自由を失うというような現象があるようでございます。そのようなことから、自由がきかなくなって逃げ得ない状態が生ずるんではないか、かように考えておりますが、この煙の問題は、単に新建材だけの問題ではなくて、現在の住宅あるいは建物が次第に密閉度が上がってまいっております。また、それ以外に、一般の住宅等では核家族化等がありまして、やはり火災の発見がおくれる、あるいは逃げる場所を前もって考えていなかったというようなことからなくなっておられるんではないか。こまかい調査がなかなかできませんので明確なことは言えませんけれども、そのような見方をいたしております。  これに対しまして、新建材の発煙性、これは建設省のほうで防火材料の認定基準を改められまして、単に燃えやすい、燃えにくいという問題のほかに、煙の量について規定を強化されております。この強化された規定によりまして、今後の新建材におきましては、かなり煙の発生量は押え得るであろうと考えております。この認定された新建材が多く使われることを私どもは望んでいるところでございます。  なお、それ以外の問題につきましては、煙対策といたしまして、普通の火災を覚知します感知器は熱式のものでございましたが、これを煙によってより早く火災を覚知するために煙の感知器が開発され実用化されてまいりましたので、これを廊下だとか、その他、煙を多く発生して避難を早める必要のある場所につけさせるように規定を改正いたしました。  そのほか、旅館、ホテルあるいは病院等におきましては、従来の規定でございますと、火災を覚知しますところの自動火災警報装置と申しますか、この装置につきましては、既存建築物に対する適用がございませんでした。これを一昨年の改正で既存建築物に対する適用に踏み切りまして、本年の三月三十一日一ぱいで、旅館、ホテル等には全部既存のものにも火災感知器をつけなければならないことになっておりまして、猶予期限が間もなく切れるわけでございます。これの設置につきましては、現在、極力融資等の方法を講じながら、完全な実施をさせるべく努力をいたしております。  なお、避難に関しましては、避難のために廊下に誘導灯というのがございますが、これも、高いところにございますと煙のために非常に見にくくなりますので、床から一メートルちょうどというところまで下げていただきまして、煙の際にもこの誘導灯が見えなくなるということのないように、法令の改正をいたしました。  なお、これらの誘導灯、あるいはそのほかの施設もございますが、それらの施設が、火災になりましたときに有効に動くために非常用の電源も付置することを義務づけまして、ほとんど猶予期限が切れております。現在その整備をはかって、特に抜けたところを促進するべく努力をいたしておる次第でございます。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 予防課長さん、あなたの言われることはよくわかるのです。本委員会でも、先ほど申し上げたように、基準法改正等のときに相当突っ込んだ議論がなされているわけです。ところが、実際に人が死んでおるわけですね。ですから、いま言われたような対策が遅々として進んでおらない。進んでおれば人命というのは守られていくと私は思うのです。ところが、現実にはなくなる人の数がふえてきておるわけでありますから、やはり私はどこかに欠陥があると思うのです。予防体制、消防体制の欠如、欠陥というものが暴露されておるのではないだろうかというふうに私は思います。法を改正して、新建材の規格その他をいろいろときちっとし、あるいは防煙対策等を幾らしてみても、実際にそれが実行されておるかどうかということをチェックする、あるいは予防的にそれぞれの家庭をチェックする、そういった予防体制というのがまだ不十分ではないかというふうに私は思っておるのです。だから、先ほども、水戸の火災のときもはしご車が出動して、しかも届かないはしごがあったというようなことを具体的に例として申し上げたわけですけれども、そういう問題についてどのようにしようとしておられるのかということを実は質問しておるわけです。簡単でいいですから答えてください。
  46. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答え申し上げます。  いまお答え申し上げましたのが、少しポイントをはずれていたようでございますが、まず、水戸の火災の例でございますが、この場合のはしご車は、現実にはあの国道筋じゃなくて、サイドのほうに入りましたので、高圧電線が通っていたので、高圧電線の送電を停止していただくために多少の時間がかかりまして、活動の開始がおくれておりますが、ある新聞に写真が出ておりますように、サイドからかなりの人を救う活動はいたしております。ただし、そういう電線がありましたために、斜めに延ばしたものですから、普通ならば五階近くまで届くはしごが三階程度までしか届き得なかったのでございます。この点、御了承願いたいと思います。  そのほか、はしご車を各都市整備させるべく、従来から補助金の制度をもちまして促進をしてまいってはおりますけれども、水戸の前の宇都宮のデパートの火災及び水戸の火災のあとで、いままで推進してまいりましたはしご車の整備市町村の財政等の関係からなかなか進みませんでしたけれども、これが非常に機運が起こりまして、次第にこの整備が進められる機運にだけはなってまいってきております。この機運をさらに醸成し、一そうの推進をはかりたいと思います。ただ、この場合、私どものほうに消防力の基準というのを持っておりまして、市街地の面積あるいは人口、これらに応じましてポンプ車はここに何台くらい、あるいは可搬動力ポンプは何台という一応の基準は持っております。この中ではしご車の基準も最近改正をいたしまして、さらに整備の強化をはかるよう指導いたしたいと考えております。  なお、御指摘の、人が現実になくなっているじゃないかというお話でございますが、これは不特定多数の方がたくさん集まる場所につきましては、私どもの消防法の中で、これは政令に人数の規定がございますが、五十人以上の方が常時勤務しあるいは出入りする施設に対しましては、防火管理者という制度を置いております。この方に防火の点につきまして責任を持っていただいて、そして消防の計画、いわば火災の防止に関する計画及び火災が起きました際の措置に関しての計画をつくっていただいて、それを十分に実施していただく。なお、この中には、避難の計画、あるいはその中にいる人たちに知らせる通報の計画もございますが、これらを含めました避難訓練あるいは通報訓練を実施していただいて、火災が万一起きました場合に人命の損傷を少なくするように努力していただくことになっております。  不幸にして、水戸の場合は、いろいろ消防署が勧告いたしましたけれども、実際に訓練が行なわれていなかったという弱点が暴露いたしております。これは非常に遺憾なことでございますが、私どもとしては、できるだけこういうことのないように、他の施設に対しましても必ず励行するよう関係機関の努力を望んで、通達等も出しております。ただ、寿司由楼の場合におきましては、非常に熱心な旅館でございまして、いままで避難訓練も率先して何べんもやっておるところでございます。また、最近の桐友学園、これは千葉県でございますが、あのからだの十分でない身体障害者の方たちの入っておられる施設でも、非常に訓練はよくやっていた。しかも、その前の岩沼の精神病院もそうですが、非常に訓練のいい、管理のいいところが何か最近ねらい打ち的に火災になりまして、いずれも死者を多少出しております。岩沼の場合などは百四十名の患者がおりましたけれども、一応精神病患者を全部出しております。ただ、個室に入っておられた六名が、個室のかぎがあき得なかった。これは出火した場所が個室の並んでいるところのある一室からでございますので、看護婦がそこまで行けなかった。こういうことがございますので、私どもとしては、防火管理の面から者をなくする方向に進みたいと思っております。  先生御指摘の家庭の問題でございますが、家庭のほうは、いままでの死者の例を分析してみましても、実のところ、死者が昨年は大体千六百名ばかりにふえておりますが、その中で、一件の火災で一人か二人なくなられたものが八〇%でございまして、三人以上なくなられるというのは、人員として二〇%に満たないわけであります。でありますので、これは一般の国民の皆さんの防災に対する認識を上げていくほかないのであります。この点をいかにPRしていったらいいのか。予防運動等はやっておりますけれども、なかなか御関心を向けていただけないようですので、宣伝の方法になお一そうくふうを加えていきたい、かように考えております。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 丁寧に説明していただいたわけですが、ただ、あなたの言っておられる端々に、ちょっと私は疑問があるのです。もう答弁は要りませんけれども。水戸の火災の場合、高圧線が通っておったので三階までしかはしごが行かなかったからひとつ御了解をお願いいたしますとか言われるが、だれも御了解する人はおらぬのです。初めから高圧線を切って五階まではしごをやればいいんだからね。ただ、私が言っているのは、要するに、いろいろ消防庁のほうでやっておらないということを言っておるわけじゃない。一生懸命やっておるということは認めておるのです。しかし、それでもなおかっこういうことが起こっているということは、やはりどこかに欠陥があるのです。そのことをもっと消防庁の皆さん方は研究してもらいたい。特に予防課長さんは担当なんですから、積極的にどういうことを国民にPRすればいいのか——模索をしておるのだと言えば国民のほうはなお困っておるので、もっと自信を持って、的確な指導というものを、予防体制というものをやってもらいたいと思うのです。いつも避難訓練をしておるところに火災が多いというけれども、いつも形式的に避難訓練をやっていたって起こるのだから、形式的にやっていたのかもしれないんだから、そういう点は徹底的に原因を分析していただいて、効果ある予防体制というものを国民に向かって指導していただきたいということをつけ加えておきたいと思うのであります。これをぜひお願いしておきたいと思います。  もう時間がなくなりましたから、あとは一気かせいに急ぎますので、それでは次に土地対策についてお尋ねをします。  御承知のように、四十四年に地価公示法が出されまして、実際に同年七月から地価公示制度というものが実施をされておるわけでありますが、この地価公示制度というものは、実際に地価安定の効果というものを発揮しておらぬのではないか。確かに地価がある程度落ちついてきておるというのは、景気の後退である程度鎮静をしておるだけであって、それが具体的に地価公示の効果であったかどうかということについては、なかなか疑問があるところだと思うのです。実際に今日低価格で土地を買い取るということは依然としてむずかしいというふうに思います。宅地の実勢価格というのは依然として高まってきておると私は思うのです。そういう意味で、公共用地というのは少なくとも公示価格で買い取るという考え方政府にあるのかどうか。地価公示制度というものがせっかくあるわけですから、政府自体が買う公有地については公示価格で買い取る、こういう考え方に立っておるのかどうか。そういうものの採用ということを考えておられるのかどうか。そのことが私は地価の高騰を鎮静する第一歩だと思うのです。ただ公示したから地価が安定するというものじゃないと思うのです。その点について大臣の御見解を承りたいと思います。
  48. 根本龍太郎

    根本国務大臣 地価公示が、現在のところ直ちに地価の抑制にぴっちりと反映しているとは言われないと思います。ただ、しかしながら、一つのめどとして、これをかなりの程度に、民間の各機関等においても参考にしてきたということは事実のようであります。  なおまた、公的な用に供するために国が買収する、あるいは地方自治体が買収する場合に地価公示法のそのもので買い取れという御提案のようですが、これは、強制収用するような場合あるいは裁決のときにそれを利用してもらえばいいのでありますけれども、現在、地価公示法で買い上げるということまではっきりと法的には措置できないようであります。ただし、公的土地の取得にあたっては、できるだけそれを標準として折衝するような方向へ持っていきたいと思います。去年あたりから、国会のほうにおきましても、収用法をもう少し強化して、住宅等についても先行取得あるいはまた公示法に基づく買収という、いま松浦さんから提案されたような意見もぼつぼつ出てきておるようであります。これはやはり国民のコンセンサスがなければなかなかできないことでありますが、前向きでひとつ検討してみたいと思います。  従来の地価公示法による公的土地の取得がどの程度までいっているか等は、これは事務当局から御説明いたさせます。
  49. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御説明申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいましたことは、大臣の御答弁申し上げたとおりでございますけれども、地価公示法の第九条におきましても、公共用地を取得する際には「公示価格を規準としなければならない。」と書いてあります。したがって、その地点——これは一平米ごとに地点がきまっていますから、その価格でありますが、そこを具体的に用地取得する場合には、それがイコールそのままになります。しかし、それ以外のところはそれを基準として行なうということになっておるわけでございます。  それから、この効果でございますけれども、先ほどから御説明申し上げておりますとおりに、九百七十地点を昨年の四月一日に公示いたしたのでございます。今後これを逐次ふやしていくわけでございます。この効果でございますけれども、一般の目安になるわけでございますが、これについては市町村役場でも閲覧件数が非常にふえておりまして、先生のおっしゃいましたお尋ねの件の公共事業につきましては、調べましたところによりますと、昨年において百九十一カ所これを実施いたしております。その用地費、補償費の総額は千四百四十六億ということでございまして、九百七十カ所のうちの三百三十三地点につきまして、これを基準にして用地を取得したということになっておる次第でございます。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公示価格で三百三十三カ所を基準にして買った、こういうことですね。わかりました。  それから、これはいまたいへん新聞をにぎわしておる問題ですけれども、建設大臣は、いま土地の値上がりというものについて非常に頭を悩まされておられて、地価公示法という法律もつくられた。ところが、今度、御承知のように、接収国有地、国が買い上げた農地について二円五十三銭で旧地主に売り戻すということが実は農林省から発表になったわけですね、この問題は、私が調べた範囲によりますと、四年か五年前に、公明党の黒柳議員が、江戸川区の約一万坪に及ぶ農地払い下げの問題をめぐって、国会でたいへん議論になったことがあるのです。そのことと全く同じことが今度ここで起きて、一坪当たり二円五十三銭で払い下げられる、こういうことなんですね。建設省としては地価公示法によって地価を安定させなければならぬという努力をするほど今日地価というものは高騰を続けておるわけですね。ところが、片一方では、国が二円五十三銭という安値で旧地主に戻す。ところが、旧地主に対しては、すでに補償措置というものがちゃんととってあるわけですね。ただ、最高裁の判決が出たからということだけで、旧地主に、二円五十三銭という、地主でもびっくりするくらいの安いというか、ただみたいな形で戻す、こういうことが一体常識的に正しいのかどうか。大臣も閣僚でありますから、そのことの決定に参加しておられると思うのですが、建設大臣として、公有地確保に対して、非常に高いところばかりを頭を悩ませながら取得しなければならぬ、先行取得したり、あらゆる手段を使って取得しなければならぬという御苦労をなさっておるときに、こういったことがはたして正しいのかどうか、ひとつ大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  51. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、農地法は、自作農を創設するという方針をもちまして、あれは強制買収したわけです。おそらく世界の歴史で、血を見ないでこんな思い切ったことがやれたというのは、占領下なるがゆえにできたと思います。ところが、残ったのは農地として適当じゃないところで、自作農としてそこをやろうとする人間がいなかったということであれは残っちゃったわけですね。その当時から、政府が農地として使わなければ返せといういろいろの運動があったことも事実のようであります。そこで、たしか昭和四十一、二年、松野農林大臣のときでしたか、これは農地法の解釈からいけば、農地として政府が使わなければもとの地主に返さなければならぬということになりましたね。そういうことで、払い下げをしようということをやったことがたしかあったと思います。ところが、事務次官会議のときにこれが問題になりまして、一方においては訴訟をされておるこのときに、公共の用地にだけこれをやるということでそのまま踏み切ったのでは、一審、二審は勝っておるけれども最高裁はどうもあぶないぞということでストップになって今日まできたわけなんです。ところが、最高裁でああいう判決が出たものだから、事務次官会議においても、どうもこれはやむを得ないということですっときたもののようです。閣議の席上で初めて私はあれを聞いたのですが、大部分の閣僚もそうだったと思います。  ただ、そのときに農林大臣から、最高裁の結審が出た以上、従来のように公共用地だけにこれを振り向けるということもどうもできないようであるし、しかも、法の解釈からすれば、当然もとの所有者に払い戻すという形にはなりますけれども、いわば復権、そういう形だ、だから普通の払い下げと違う、しかも、従来そうしたやり方をもって、相当の面積、六千ヘクタール以上ですか、すでに時価で払い下げておるという事実、これから見てやむを得ないことだ、が、しかし、これは法律上どうこうできないけれども、土地事情並びに国民感情もあるから、払い下げを受けるべき権利を持っておる旧地主に対しては、できるだけ公共用に協力してほしいという強力な行政あっせんをする、こういうことでございます。  われわれのほうとしても、こういうようなものはできるだけ土地政策あるいは住宅政策に活用したいと思って実は前から調べておったのでありますが、大部分はワンブロックが非常に小さいようです。公団住宅等、大規模な土地開発にはどうも適当でないものが多いようでございます。しかし、これも、いわゆる都市公園とか、ちびっこ広場とか、子供の運動場にはしかるべきところがあるだろうということで、私のほうからも農林大臣にお話をして、国自体、建設省自体で、すでにこれをどこそこに使うからということで取得するにしても、必ずしも適当なものはないようであるが、少なくとも東京都あたりの区等において都市公園あるいはちびっこ広場等に利用するには適当なものがあると思うから、それにはぜひひとつ積極的なあっせんをしてほしいということを申し入れておる段階でございます。  これはもうすでに予算委員会等でいろいろと論議になり、また、与党自体においてもこれについていろいろ議論があるところでございまするが、閣議においては、いま申し上げたような理由をもちまして、これはやむを得ない措置であるということで、あの政令を改正することにわれわれは賛成したということでございます。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 建設大臣として、本問題についての再考について、閣議に提案をして再検討をするというようなお考えはありませんか。もう閣議決定どおり、こういうふうに理解していいですか。
  53. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在のところ、私は、この政令を撤回すべきだという提案をする気持ちはございません。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この問題については、さらに農林水産委員会あるいは物価の連合審査等で議論をすることだと思いますから、その機会に譲って、ここでは省略させていただきたいと思います。  もう予定された時間がきましたので、まだ道路、河川の問題についてたくさんお聞きしたいことがあったわけですけれども、次回の一般質問のときにすることにいたしまして、道路問題で一つだけ建設大臣お尋ねをしておきたいと思うのです。  今一度の総理施政方針演説では、新全総計画に従って、昭和六十年度を目途として七千六百キロの新幹線自動車国道を完成させる、こういうふうに発表しておられるわけであります。そして、今後四年間に一千三百キロの供用開始ということで、数字もあげて強調しておられるわけであります。大臣も、道路網については、国土開発幹線自動車道を骨格とした道路整備を行なうんだということを本委員会所信表明で申されておるわけでありますが、たいへんけっこうなことだと思うのです。ただ、ここでお尋ねをしておきたいことは、今度の道路五カ年計画の期間中に全線について着工されるものというふうに理解してよろしゅうございますか。
  55. 根本龍太郎

    根本国務大臣 具体的な点については道路局長から御説明申し上げまするが、現在その方針で、五カ年計画で御指摘になりました点については少なくとも着工はしたい、こう思っております。
  56. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御指摘のとおり、七千六百キロメートルの国土開発幹線自動直道につきましては、昭和六十年度までに完成することを目途にいたしまして第六次道路整備五カ年計画を立案しておるわけでございます。この計画では、すでに供用になっております路線及びすでに着工している路線を含めまして約四千五百キロメートル工事を行ないまして、昭和四十九年度までに千九百キロメートルの供用をはかる予定にしておるわけでございます。  いま御指摘の、国土開発幹線自動車道の全予定路線が着工するかどうかということでございますが、これは現在検討を加えております。四つか五つ残るかもしれませんが、全体で三十二路線でございます。大部分の路線について着工できるのではないかというふうに考えております。
  57. 松浦利尚

    松浦(利)委員 道路問題についてはまだお聞きしたいことがあるのですが、時間がありませんから、そのことだけをお尋ねしておきます。  それから河川問題について、重要なことですから、この際ぜひお尋ねをしておきたいのは、先ほど冒頭に建設大臣も申されましたように、新全総計画はやはり改定する必要があるのじゃないかと私は思うのです。それはどういう点かといいますと、これに水の問題についてはあまり触れられておらないわけであります。御承知のように、治山治水の問題は、国の発展、産業経済の発展にとって非常に重要な問題を含んでおるわけでありますけれども、残念なことに、水利用、利水の問題について非常に立ちおくれておる。一つの例を申し上げますと、御承知のように、通産省あるいは建設省のほうでも連絡が来ておると思うのですが、周防灘の大工業団地あるいは東北の陸奥湾の開発問題、こういった問題については、全部工業用水の不足だということがいわれておるわけです。工業開発その他については確かに計画どおりですけれども、事実問題として、水の利用というものについて非常に不十分だったために、水不足というものが出てきて、計画の縮小というものをせざるを得ない。また、御承知のように、集中的な人口の増加という問題、たとえば神奈川の人口が今後五年間に、これは新聞報道ですから新聞報道どおり申し上げますと、二三%の人口が増加をする。ところが、これに対する飲料水についての利水というものについての計画が非常に不足をしておる。計画がなされておらない。こういったことを中心として、本全総計画の中で利水計画というものが立ちおくれているのではないかという気がしてならないのです。  そういった意味で、大臣のほうにぜひお聞きをしておきたいのは、そういった利水の問題を関連させて、この全総計画を改定する。人口集中密度についても先ほどお話がございましたが、そういったものも含めて、建設省サイドで経済企画庁の本問題については再チェックをする必要があるのじゃないか、こういう気がするのですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘の点は確かに検討しなきゃならぬと思います。なお、新全総については、私がもうどうしても必然的に若干補正というか、改正しなきゃならぬと思いますのは、沖繩が復帰してまいります。これは沖繩が、実際のところは新全総には全然いま——あの当時のことでございますから、入っていないわけであります。きょうも実は沖繩のほうからいろいろ陳情がありましたが、やはり一番水の問題を解決してやらないと、あそこは非常に困るところです。それから、道路計画もやっていかないと、沖繩のあれにはなりません。そういう意味もありますし、それから、いま御指摘になりましたように、従来ややもすれば、水というものは何とかなるという考えがどうもあったのではないかと思われるのです。そうして、先ほど申し上げましたように、人口というものは、いままでの過去の趨勢からして、ここに集まるのだということを頭からきめちゃって、そこで足らないものは何とかして今度は持ってくるという、こういう手法が再検討さるべきだと私も思うのです。むしろいまのところでは、水のあるところ、土地のあるところに社会資本を投入することによってバランスのとれた国土総合開発をするということの発想ももう少し加わってよろしいと思います。そういう意味で、御指摘の点は、われわれのほうで、特に水資源の現在の潜在能力とその開発の可能性ということも十分検討の上、その観点から、新全総について、治水、利水の投資を再検討しなければいかぬのです。それに基づいて、新全総全体に対して修正すべきものなりとの結論を出しますれば、われわれのほうからそれを要請したいと思います。
  59. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あと二つで終わります。  一つは、これは河川局長お尋ねをしておきたいのですが、四十六年度、来年度は第三次治水五カ年計画の四年目に当たると思うのです。予算関係その他から見ますと、建設省計画達成率は七〇%の予算要求をしたにかかわらず、最終的には六八%に押えられておるわけです。四十五年度に比べて二〇%の増加、こういうことなんです。こういうことになりますと、最終年度の四十七年度には、実は治水計画の四九%増の事業をしなければいけない。これは数字的なものです。これは私の計算ですから間違っておるかもしれませんが、そういう結果になると思うのです。だとするなら、この治水五カ年計画は、完全に最終年度に一〇〇%達成する見込みはむずかしいのではないかという気がするのです。その点、一〇〇%達成の見込みがあるというふうに局長はお考えになるのか。私はおそらくないという返事だと思うのです。だとするなら、この第三次治水五カ年計画というのは、あらためて第四次治水五カ年計画というものを設定する必要があるのではないかという気がするわけですが、局長並びに大臣の御答弁を承っておきたいと思います。  それから、もう質問時間が過ぎましたので、最後にもう一つ、これは大臣お尋ねをしておきますが、昭和四十五年八月十四日の地価対策閣僚協議会決定事項の中でどうも気にかかることが一つあるのです。それは、四番目の「優先的宅地開発地域制度の創設」について、これを先ほど私が質問をして、公示価格で買い取るという問題について、大臣は、私権の制限についても、国民のコンセンサスを得られるならばそういう方向で進みたいという御発表があったのですが、その発言は、この地価対策の「優先的宅地開発地域制度の創設」というものを受けて大臣発言というものが出ておるのかどうかということについてだけお尋ねをしておきたいと思います。  以上です。
  60. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しのように、四十六年度の予算に計上いたしておりますのは、昨年から見まして約二〇%の増を見込んでおります。しかし、私どもが現在の治水五カ年計画内容といたしております一兆五千億に対しまして、この四十六年度の予算を消化いたしましても達成率が六八%というようなことで、なお三二%の事業量が残るわけでございます。私どもの、当初四十三年度からスタートいたしましたときの、四十六年度が終わった時点の計画の達成率は七一%でございました。しかし、急に相当の伸びを示すということは困難であろうということで、四十六年、四十七年を通じて同じ率で伸ばせば、七〇%にすれば達成できるのではなかろうか、こういうことで、七〇%達成を目標にいたしまして予算要求をしたわけでございますが、その後の折衝の結果六八%にとどまったわけでございます。したがいまして、今後さらにこの三二%を確保するというようなことは、事務的に見ますと非常に困難が予想されるわけであります。  なお、現在の治水の五カ年計画内容を見ましても、水資源の問題、あるいは最近の都市環境を控えました都市河川の問題等内容的にもいろいろ変化をいたしておりますので、そういった点でも、事務的には今後どういうふうに進めるかというようなことにつきましていろいろ検討をしていきたい、こういうふうに考えております。
  61. 根本龍太郎

    根本国務大臣 河川の問題についていま局長が申し上げましたが、どうも河川事業に対する投資が少ないと私は思っているのです。しかも、二面においては非常に緊急性がある。そこで、もう少し詰めて事務当局に検討させた上、先ほどの新全総の改善ということと関連して第四次のものを考えなければならぬかと私は思っております。  それからもう一つ、優先的宅地化の地域の問題と公示価格で、これをいわば取り上げるというような問題は、これはなかなかむずかしい問題です。しかし、発想の中には若干あるわけです。というのは、すでに国会の方面においても、あるいはまた一般民間においても、土地政策についてはある程度までは私権の制限をすべきだということが相当強くいわれてきています。そういうような背景を受けて政府が一方的にやると、それこそ、やれ憲法違反だとか、国家権力がどうだこうだと大きな騒ぎになって、せっかくのことがかえってあらしの中に粉砕されるおそれもありますので、少なくともまずこれを適正な値段で買い取るという方向に持っていく。そのためには、地方自治体がやる場合に、できるだけ早くその土地が入手できるような行政上の援助をしてやるということで、まず一歩からやるべきじゃないか。そうして計画を立てて、それにいまの財投等からやって、地方自治体が、都市の再開発の新しい住宅と、それからいろいろの都市機能を持ったかなりの広い地域開発をやれるような措置を講じていく。そうするうちに、これは皆さん方の御同意と大いなる国民啓蒙の結果、いま申し上げたところまで持っていきたい、さように考えておる次第でございます。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は二時間ということですから、ちょうど二時間を過ぎまして、まだ河川の問題と道路の問題で質問することがたくさん残りましたけれども、残余の質問につきましては後の機会に譲らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  63. 大村襄治

    ○大村委員長代理 新井彬之君。
  64. 新井彬之

    ○新井委員 私は、第六十五回国会における建設行政基本施策に関する建設大臣所信表明演説につきまして、若干質問をいたしてまいりたいと思います。  初めに、先ほども松浦委員から指摘がありました問題でありますが、現在新聞をにぎわしております農地の払い下げの問題でございますけれども、大臣所信表明演説の中で、「土地対策につきましては、昭和四十年及び昭和四十三年の二回にわたり、地価対策閣僚協議会においてその基本方針を決定し、これに基づいて各般の施策を講じてきたところであります。」また、「昨年八月十四日地価対策閣僚協議会において新たな土地対策の基本方針を決定し、今後は地価公示制度の拡充その他従来の施策を一そう推進するとともに、」ということで、これからの一番大きな問題は土地問題である、それが解決されれば、ほかの道路の問題、住宅の問題、いろいろの問題が解決するというぐあいに見られておるわけでございますけれども、先ほど、閣僚会議での、閣僚としての、どういういきさつであったかということはるるお伺いしたわけでございますけれども、私の知る範囲一におきましては、確かに法律的には、最高裁で農地法八十条をとりましてああいうような決定になったわけでございますけれども、実際問題として、ここで法律論争をするつもりはございませんけれども、最高裁の判決によりましても、価格の決定をするようなことはしていないのです。そしてまた、価格の決定の要素となるような判決はされていないと思うわけであります。ほかのほうにおきましては、たとえてみますと、土地収用法の中には、やはり公共施設等に使われなければならないというような規定があるようでございますし、それに森林法であるとか鉱業法にも、土地収用法に準ずるというような規定があるわけであります。そういうわけで、現在、この土地の問題を考えましたときに、やはり何といいましても公共用地の取得ということが大事になってきているということがあるわけでありまして、そしてまた、過去の歴史からいきましても、この土地が収用されまして、それについての地代が払われている。そのあとまたいろいろ問題があったときは、報償金として千五百円のお金が出て、その当時、たぶん最高裁の判決だったと思いますが、それは適正な金額であるということで、この問題については一応の結着がついているというぐあいに見るのが妥当ではないかと思うわけであります。それからまた、現在いろいろいわれておりますけれども、これも法律の議論があるところでありますけれども、事情変更を取り入れて適正な価格で売るということが非常に問題になっておりますし、社会正義または公平の原則というような意味からも、当然農地法を変えていかなければならないというようなこともあるわけでございますけれども、そういうようないろいろなことから、大臣として再度そういうことを検討していく気はないか、もう一度お伺いをしてまいりたいと思います。
  65. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、これは国有農地をいわゆる一般の人々に払い下げて、その値段が二円五十何銭だということで、これは非常に問題です。ところが、御承知のように、これは終戦直後、従来のこういう土地を持っておった人たちに、政府が一片の法律をもちまして、農地法に基づいて強制買い上げしてしまったわけです。そしてそれは何を目的としたかというならば、自作農を創設するのだ、農地として保存し、そこで食糧増産に充てるのだということでこれをやったわけなんです。ところが、これが非常に小さくて、しかも散在しておって、自作農を創設しようとしても引き受ける人がいなかった。これを交換分合でやろうとしたけれどもそれもできなかったということで、散在してしまった。ところが一方、自作農として創設された人々は、どんどん地価が上がったので、今度どんどん宅地に売って膨大な利益を受けておる人もある。その間において、隣のかつて小作人であった人が、自分が農地法でもらってそれを今度どんどんやっておるということで、非常にやはり抵抗を感ずるわけです。それで、その当時から、いまから十数年前からこれはいろいろなトラブルがあったことは事実なのです。そこで、これは政府公共の用に使おう、農地でなくて公共の用に使うならばこれはいいじゃないかということでいままでやってきたわけです。ところが、それに対して旧地主の人が訴訟を起こして、一審、二審は政府の、公共用地に使うならそれはいいのだということであったのが、今度最高裁で、しかもこれが全員一致の結果、公共用地だけに使うということは、その法律は少し行き過ぎじゃないかということでこれが否定されたわけですね。そういう関係で、農林省はやむなく政令改正をいたしまして、旧地主に売り渡すという形にはなりますけれども、いわば返すということで、返すということになりますれば、もともと二十数年前に、そのときでも安かった、しかも本来ならば自分が所有すべかりしものが政府の一方的な政策で取り上げられていった、そして同じようなケースの人がすでにやはり買い上げ値段で払い下げされておる、しかもそれが数千町歩にわたっているということからして、やむを得ずこれはいまのような措置を講ずるということになったわけなのです。しかしながら、これは法律論として、旧地主の立場からすればまことにそのとおりでありますけれども、現在の土地の非常に値上がりしておるということと、土地の入手難ということ、それらがいま新井さんが言われたようなことで、これはやはり常識的な感情になってくるわけです。そこで、われわれも心理的には非常に抵抗があるけれども、法律的に、理性的に言われれば、最高裁の判定に基づいて法制局並びに農林省がこういう措置をとるという政令改正に対しては反対する根拠を持たなかったわけです。ただ、返す場合においても、この土地公共の用に使えるならば、法律上措置はできないけれども、せめて行政措置でできるだけそうしたところのあっせんをして、先ほど申し上げたように、公園、緑地とか、あるいはちびっ子広場等というものに、土地政策として利用する方法がありはしないか、これを農林省にもひとつあっせんを頼むということを言っている段階でございますので、いまこの問題を政令を撤回するというように私が閣議で発言する心理状況ではございません。
  66. 大村襄治

    ○大村委員長代理 午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  67. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新井彬之君。
  68. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどの問題でありますけれども、大臣の言われることはよくわかるわけでございまして、確かに、法的解釈からいきますと政令を変えなければならないということはわかるわけでございます。ただ、判決の中でございますけれども、この判決の中に、「農地改革のための臨時立法であった自創法とは異なり、法は、恒久立法であるから、」要するに農地法は恒久の立法であるから、「同条による売払いの要件も、当然、長期にわたる社会、経済情勢の変化にも対処できるものとして規定されているはずのものである。」だから「法八〇条の認定をすることができないとしたことは、法の委任の範囲を越えた無効のものというほかはない。」とあるわけでございまして、あらゆる法律というのは、国民に忠実に、現実に合ったようにどんどん変えられてまいるわけでございます。この自創法のできた精神と申しますか、その当時は、自作農を推進して、あの戦後から立ち直らなければならないということでつくったと思うわけでございます。したがって、農地をつくることが公共の用に供しておったという解釈でありますけれども、現在急激な変化がある、そこに大きな矛盾があると思うわけでございます。だから、この判決の中でも、農地法がいいとか悪いとかは国会のきめる問題であるわけでございますけれども、農地法そのものはやはり長期にわたってその計画が練られているものであるから、その八十条に違反する公共の用に供さなければならないということはおかしいのじゃないかというようなことが問題になっておるわけでございまして、したがって、こういうことからいきますと、過去に払い下げた人と、これから払い下げる人と、いろいろの調整をどうするかという問題があると思います。しかしながら、現実の問題として土地がこれほど重要な問題になってきて、急激な社会の変化があったということでございますから、今後土地問題からして、閣僚会議等で農地法八十条を改正してまいらなければならない、私はこう思うわけでございますけれども、そういう点について建設大臣の所見を伺いたいと思います。
  69. 根本龍太郎

    根本国務大臣 農地法は、御指摘のように、戦後の食糧事業が非常に逼迫して、かつ日本が海外から食糧を輸入する外貨も持っていないときにやったところの立法でございます。その状況から見ればだいぶ変わってきたのであります。実は、再三にわたって与党はこの修正を提案いたしておるのでありますけれども、なかなか野党の方々の合意を得られず、ようやく先年これが一部改正になった。それと同時に、都市計画法において市街化区域に編入したところはもう自動的に農地法を排除するというところまで土地政策重点を入れてきたわけでございます。そういう観点からすれば、現在の農地法そのものもまた、時勢の推移に一応じてこれは若干修正すべきことも出てくるとは思います。しかしながら、現在、この国有農地を判決に基づいて処分することに関連して、直ちに農地法を改正すべきだというような御議論でございますれば、これは現在の政府としてはそこまでは考えていない。ただ、いま私はよく知りませんが、報道に伝えられるところによると、自民党内においてもこの問題について慎重な検討をしておるということは聞いておりますけれども、現在、閣議においては、農地法をこれに基づいて改正するという態勢ではないと申し上げるわけでございます。
  70. 新井彬之

    ○新井委員 この問題についての質問は終わりますけれども、四十五年八月十四日の地価対策閣僚協議会決定事項、この中に「公的土地の保有の拡大と活用」という欄がありまして、この中にも「低利用の国有地・公有地及び返還される提供施設用地を公的住宅等の用地として活用するよう配意する。」とございまして、今後そういう事情変更によって、当時の立法精神ではなくて、それがまた逆の面で、それも個人の問題ではなくて、公のどうしても大事な必要になってくるような問題については、社会の発展というものが非常にスピードがあるわけでございますから、それに対応した法律をつくっていかなければならない。  もう一つは、先ほどの判決の中で、その払い下げの金額については、二円六十銭で払い下げなければならないという要素の判決はないわけでございます。したがって、これは国民の疑惑にならないように、正当な——いままでの経過等があるわけでありますから、そういうこと等についてもひとつ前向きに検討していっていただきたいと思うわけでございます。  次に、先ほども松浦委員から河川の問題について質問があったわけでございますけれども、建設大臣は、所信表明演説の中で、第四の国土保全の中で「さらには水需給の逼迫に対処するための水資源開発を一そう推進するとともに、」という一項目を今回入れられておるわけでございますが、その水需給についてどのような逼迫状態になっているのか、簡単でけっとうでございますから、お伺いいたしたいと思います。
  71. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答えいたします。  現在、全国の水需給計画調査いたしておりますが、昭和四十三年の暮れに一応その中間報告を私どものほうで取りまとめました。これは非常に概略の数字でございますが、それを見ますと、昭和六十年の時点では、全国で約十五億トンが年間不足するんじゃなかろうかというような数字が出ております。各重要な地域につきましては、それぞれ水資源開発基本計画等を策定いたしまして、事業の推進をはかっておりますけれども、需要に対応いたしまして供給のほうがかなり下回っておるのが実情でございます。
  72. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま水の状況について河川局長からお話があったのですが、昭和四十六年度のダムの予算は四百二十一億円で、伸び率は一九%になっておるわけであります。水の問題は、先ほど大臣から答弁がありましたように、これから国土開発をしていく場合においては、どうしてもやはり水があるところ、そしてまた土地があるところという条件がつくと思うわけでございますけれども、これからの国家百年といわなくても、国家三十年、五十年先のことを考えて、このダム建設予算というものを年々確実に予算化してまいらなければならないと思うわけでございます。特に、首都圏及び近畿圏における水需給の実態と、今後の水資源開発について、特に大規模住宅開発において生活用水の不足が伝えられておるわけでございますけれども、生活用水の確保の対策については万全であるかどうか、一言でけっこうですからお答え願いたいと思います。
  73. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在、特に水の逼迫しておりますのは関東地域でございます。これにつきましては、関東地域の主要な水源は利根川でございますが、そのほかに神奈川県等を見詰めますと、荒川だとか相模川等がございますが、利根川に例をとって申し上げますと、昭和四十五年から五十年までの需要の見通しが、毎秒にいたしまして大体百三十トンぐらいじゃなかろうかというような計画になっております。これに対しまして、私どもそれぞれ施設計画を立てまして供給の促進をはかっておるわけでございます。現在かなりおくれておるのが事実ではございますけれども、中にはかなり先を見通した需要等もございますので、ここ当面現実の水需要については支障はないかと思いますが、将来的には相当真剣に取り組む必要があろうかと思います。
  74. 新井彬之

    ○新井委員 大臣は、水の需要というものは、大体何年先ぐらいのことを想定して建設されていくのが理想的であるとお考えでございますか。
  75. 根本龍太郎

    根本国務大臣 的確に何年と言うことはなかなかむずかしいと思いますけれども、何しろ、ダムをつくるにも、大きいのはどうしたって四、五年から十年かかります。したがいまして、私は、水需要について言う場合には、少なくとも十年単位で見通しを立ていかなければならないと思っている次第でございます。
  76. 新井彬之

    ○新井委員 いまの答弁が非常に大事になるのでございますけれども、水というのは、先ほど大臣も話されておりましたように、幾らでもあるものではないというような国もありますでしょうし、また、非常に水が豊かな国もあるでしょうし、そういうところではだいぶ考え方が変わってまいると思います。それから、日本全体としては別に水不足ではなくても、東京のように人口の非常に集中するところ、工業が集中するところということになれば、当然水というのは足らなくなってくるのでありまして、どちらにしても、水のある国にしてもない国にいたしましても、世界の例を見ますと、水というのは二十一世紀を論じなければならないというのが常識になっておるそうでございます。ただいま大臣も、ダムをつくるにしても五年、十年かかるのだということですが、そこにいまの水の計画の非常に大事な問題があるのではないかと私は思います。  もう時間がないから一問一答をやめまして説明しますが、私の知っている範囲におきましては、経企庁が、水需給に関して総合的な基本計画をつくらなければたいへんだということで、昭和三十七年ごろからかかりまして、首都圏の水の問題、特に利根川水系水資源開発基本計画というのを立てまして、昭和三十八年から四十五年までの計画では、関係各省の要望の水量が毎秒百三十二・七トン、それから関係各県の要望が百八十五・一トン、それに対して需要想定量が百二十・四トン、こういうふうなことで経企庁では決定を見まして、それに対する供給施設の計画が、昭和四十六年の二月現在で七十トン幾らというふうに書いてあるわけでございます。このときに五十トンの違いがありまして、これが見込み違いであったのか、それとも、これからどんどん増加する需要量のために、各省の要望が多かったのか、いろいろあるわけでございますけれども、そういうことを踏まえた上で、今後の第二次計画昭和四十五年からの分が出ておるわけでございますが、先ほど河川局長からもお話があったように、各省関係が百六十七・三、それから関係各県が百六十九・九、そして経済企画庁の決定が百三十四トン、それに対する供給施設計画量というのは九三・九トンになっておるわけでございます。このことについてはそのとおりでございますか、経済企画庁
  77. 桜井芳水

    ○桜井説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいましたとおりに、三十七年からかかりました利根川水系の基本計画は、昨年七月に、その時点における水の需要と、それから供給というものの見通しを踏まえまして、先生御指摘のような基本計画になっております。
  78. 新井彬之

    ○新井委員 そういう計画でありますが、そこであと四十トンほどの水が足らない。現在のところはまあ十年、十五年先を見通さなければいけないわけですけれども、五年先の供給目標である百三十四トン自体が、どのように開発をしていけばいいかという問題がまだ残っておるわけでございます。  東京都の水需要等を見ますと、昭和四十五年七月閣議決定された国の利根川水系における水資源開発基本計画に依存している。この計画によれば、昭和四十五年から昭和五十年までの山都七県一の新規水需要百三十四トンを利根川河口ぜき、草木ダム等の開発によって九十三・九トン、その他により四十トンを生み出すことになっている。このうち、東京都は三十七・四トンの原水供給を受けることになっているが、昭和五十年までにこれらのすべての水源施設が完成すれば、この時点における東京都の水需要はほぼ充足される。しかしながら、二つの大きな問題がある。一つは、これらの水源施設は、利根川河口ぜきを除いて、いずれも昭和五十年度完成となっているが、昭和五十年に至る過程の水需要を充足するものではなく、昭和四十八年、四十九年ごろには約十トンぐらいの不足が生ずるおそれが見込まれている、こういう一つの問題があります。たとえて言いますと、ダムを開発してまいりますと そのダムができるために十トンなり二十トンの水ができるわけでございますけれども、水の需要というのは年々に増加いたすわけでございますから、その間、ダムができる三年なり五年なりの間というのは、いままでの水量しかない。できた時点においてはそれだけ急にまた供給がふえるわけでございますけれども、そういう間の水の不足というものについてどういう考え方をとっているのか、建設大臣にお伺いいたしたいと思います。
  79. 根本龍太郎

    根本国務大臣 首都圏の水の問題については、ただいま事務当局からそれぞれ答弁いたしておりまするけれども、それもそのとおりです。私はもう少し発想を変えなければならないのじゃないかと実は考えているんです。先ほど松浦さんにお答えしたように、いままでの趨勢からして、人口東京、埼玉、千葉、神奈川に集中する、これには何が何でも水を供給しなければならないという実は発想にいっているわけです。端的に言いますればそういうことです。ところが、水資源のあるところは全部、群馬であり、栃木であり、茨城なんです。そこの人たちに、下流で足らないから開発に協力せいと言っても、地域間の対立感情があってなかなかできないのが今日なんです。私はむしろ、政府が全体として協力して、しかもまた地域の責任ある方々と話せばできると思います。それは、この過密化している千葉なり、埼玉なり、東京では、実は、人口集中産業集中のためにもてあましているんです。であるならば、むしろ水のあるところの群馬に、適当なる施策をもちまして百万都市をつくり、産業振興をはかるということをすれば、今度その地域に、百万都市ですから相当の者が新しく入り得る。そうして、草木ダム、八ツ場ダムの補償だけで解決しようとしてもできないのが、そこに適当に措置せられたる農工の均斉のとれた団地ができて入るということになれば、非常に抵抗感が少なくなってくる。水源地の総合的な開発の一端として水資源の開発が出てくる。こういう手法をとるべきだ。そのほうが、現在の過密、過疎問題を解決し、かつ水の需給もより均斉のとれたものにすることができるじゃないかというような勘定をして、そういう意味から、実は本年中に北関東計画を綿密にひとつやってみよう、これと今度は対応して東京周辺の南関東のやり方をもう一ぺん再検討しよう、これくらいのことをやらないと——水の問題と公審の問題のほかに、いま一つ私が一番心配しているのは東京湾の麻痺状況です。いま浦賀水道は、御承知のように羽田空港並みになりまして、しかもこれが大型タンカーが入ってくる。さらに関東、北陸、東北から、原材料から製品が全部横浜、東京湾沿岸へ来るとどんなことになるかわからない。そういう意味で、私は従来の構想を変えたほうがいいと思いまして、これは私は閣議でも申し上げ、さらにまた去年栃木の一日内閣でその発想を申し上げ、大体総理もこの線がしかるべきことだというふうに感じつつあるように私は受け取っております。運輸大臣もこれに同調し、それから群馬、栃木、茨城県の知事並びに関係の国会議員の方々もそういうふうな私の説に賛成をしていただいておるから、だんだんそれを肉づけして、現実のプロジェクトに持っていきたい。そうしますれば、いま新井さんが御指摘になった問題が、もう少し新しい方向づけによって、より可能性が出てくると考えておる次第でございます。
  80. 新井彬之

    ○新井委員 いま大臣から、非常に前向きな、根本的な解決策をしなければならないというお話がございまして、それは非常にけっこうなことであると思うわけですけれども、経企庁の新全総を見ましても、それから新社会発展計画等を見ましても、現実都市人口集中化自体がどのような形で今後とめられていくのか。そういうようなことではなくて、今後の推移を見た場合は、やはりどんどんふえてまいるのじゃないかというような予測をしていると思います。そういうことで、少なくとも百三十四トンの水が今後五年間に必要であるということについて、先ほど、一つの具体例で、現実に水飢謹があるのじゃないかということを申し上げたわけですが、それについては、ダムをつくるときにおきましても、地元のいろいろな反対があるけれども、水系を全般的にもっと広域水系にして、ほかに水がないときでもこっち側の水がそこに流れていくようにする全体的な利用計画であるとか、大臣が前にもおっしゃっておったのでありますけれども農業水利権の転用とか、こういった余った水をどのように使うかというような問題、そういういろいろな具体的な施策がいま現実にあるわけですね。いろいろなことを言っていると切りがないわけですけれども、八ツ場ダムなら八ツ場ダム一つ取り上げても非常に問題が多い。これからのこういう問題の総合的な考え方についての計画はどのようになっているか、そういう点についてお伺いをしたいわけでございます。
  81. 根本龍太郎

    根本国務大臣 具体的な資料は経企あるいは河川局長から申し上げると思いますけれども、いま御指摘になりました点は、水の問題はやはり一つの手段だけで全部解決するということはできません。あらゆる手段をやらなければならぬと思います。そのために、現在は、去年以来続いて農林省と慣行水利権を調査の上、転用のできるものはできるだけやるように、相当前向きにこれは進んでおります。  それからもう一つは、今度流域下水道整備されてまいりますれば、工業用水等は再生した水をもう少し使うということが考えられていいというふうにも考えます。  それから、関東の水のネットワークをつくりまして、そして、一つの水系のみならず、他の水系からも連絡して活用できる方法等も検討させておるわけでございます。  具体的な問題については、事務当局が資料を持っておれば、そちらのほうから御説明いたさせます。
  82. 新井彬之

    ○新井委員 時間がないのでけっこうでございます。  私が申し上げたいことは、そういういろいろな今後の水の供給が必要であるにかかわらず、ダムの予算が非常に少ないのではないか、水と土地ということを言われているわりには、今後開発するのにダムの予算が少ないのじゃないか、そのことを申し上げたかったわけでございまして、そういうできる限りの利水、いままでは治山治水と言っておったわけでございますけれども、いまはもう水を使う時代に入っているのです。それをいかに合理的に使うかということが抜けておっては、これからの高度な土地利用もできないし、高度な生活環境もできない、このように私は思うわけでございます。  水の件についてもう一つだけ、琵琶湖の総合開発に関しまして経企庁にお伺いしたいのですけれども、淀川水系にたよっているのは近畿圏ほとんどだと思いますけれども、淀川水系についての水の需給計画はどのようになっておりますか。
  83. 桜井芳水

    ○桜井説明員 お答えいたします。  淀川水系につきましては、やはり水資源開発促進法に基づきまして基本計画を三十七年に立てまして、現在水源手当てのための事業を遂行しているところでございます。
  84. 新井彬之

    ○新井委員 私の知っておる範囲におきましては、いま遂行しているというお話がございましたが、この淀川水系については、確かに各県から需要の数量が出てまいっておりますけれども、それに対してこれだけの水を供給するのだということの明確な企画がまだないようでございます。現在ダム等の工事もいろいろやっておるわけでございまして、琵琶湖の開発もいろいろ調査費用が出て、いろいろなことをやっていらっしゃるようでございますけれども、現実は水が足らないために、維持用水というものがございますけれどもこの前もうちの小川委員から予算委員会の総括質問で質問をしたわけでございますが、水質の汚濁等の問題になる維持用水を半分くらい使ってしまっている。水利権がそれだけしかないわけですからどうしようもないわけでございますけれども、これを早急にやらないとやはり河川の汚濁等にもなりますし、もっとひどいときには水飢饉ということになってくるわけです。したがいまして、これらの各県との打ち合わせの結果、そういう問題については、五年計画なら五年計画で解決がちゃんとできるようになるのかどうか、もう一度経企庁にお伺いしたいと思います。
  85. 桜井芳水

    ○桜井説明員 お答えいたします。  実は、淀川水系の需給計画につきましては、何といたしましても琵琶湖が一番大きい水源になるわけでございます。琵琶湖の開発につきましては、従前から建設省でいろいろ御調査もいただいたわけでございますが、三十七年当時水基本計画を立てる段階では、琵琶湖の開発について十分なめどがまだ立っておりませんでございました。そのために、不十分な基本計画といたしまして、当分三十一トンを供給しようということで、琵琶湖には手をつけず、その支川の小ダムあるいは河川の河口ぜき等をつくりまして、ただいままで約二十七トンというような供給をやっておる状態でございます。  御質問のように、下流の、主としてこれは大阪府と兵庫県でございますが、この辺の方々からも水の供給に対しまして非常に要望が出ております。最近に至りまして、滋賀県のほうと国のほうでその開発の方向が基本的に一致いたしましたので、今後、これをもとにいたしまして、水の開発水量を織り込んだ計画を本年度中に作成いたしたい、こういう考えでおります。
  86. 新井彬之

    ○新井委員 いま経企庁からお話がありましたが、現実的には、兵庫県の各市に参りましても、大阪のほうに聞きましても、やはり水需要について安心感を持ってその解決には当たっておられない。要するに、琵琶湖は滋賀県にあるわけでございますけれども、それと各地方公共団体とがいろいろ話し合いをして進めていかなければならないのですけれども、そういう折り合いというものが現在なかなかつかないという問題があるわけです。そういうようなことで、国の何らかの広域行政的な施策というものももっと強力にやっていかないとこの問題は解決しないというようなことで、非常に希望等があるわけでございます。これは建設大臣もよく御存じなことと思いますけれども、そういう点についてひとつ所見を伺いたいと思います。
  87. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私は、いま御指摘になった中に二つ問題があると思う。それは、従来、大阪なり神戸なりで事業をやる人が、事業をどんどん拡大すれば水は当然来るのだというような非常に安易な考えでやっておるし、地方自治体も水の将来の供給をチェックしないでどんどん工場を設置さしておる。これが一つあります。それからもう一つは、水源地帯においては、下流に水を供給するために自分たちがいろいろの負担をするのはごめんこうむるという地域的な感情がございます。そこで、淀川の問題についてはずいぶんいろいろのいきさつがありますが、最近、滋賀県側も、これは琵琶湖の総合開発の一環として総合施策をやりますれば、それに応じて下流に対する水の供給については前向きで協議しようという段階になりましたので、ようやくいま具体的な折衝に入る条件を整えてきた、こう思っております。  それから現在、大阪府や兵庫県等でも、いまの状況で、工場なりあるいはその他の商業的な人口増をただ単にこのままにしておったのでは都市機能が喪失してしまう、むしろ公害のためにマイナス面が出てくるということから、工場とその他の過度の人口の流入を阻止しようというふうな傾向も若干出てきたので、ようやくここで両方が現実的な立場に立って調整しようとする空気になりましたので、これを一つのいい機会として、一方では都市政策、一方においては水資源の活用という両面から、十分に地方自治体連絡の上、均斉のとれた開発をしてまいりたいとわれわれは思っている次第であります。
  88. 新井彬之

    ○新井委員 水の問題につきましては、先ほど大臣から答弁がありましたように、五年、十年ではなくて、やはり長い期間の目標をもって開発に当たっていただきたい、このように思うわけでございます。  それから河川局長にひとつお伺いしたいのですが、河川浄化の問題につきましては、河川法の施行令が一部改正されたわけでございますけれども、いまでも非常にごみが川に投棄されております。そういう問題ではどの程度効力があったかわかりませんけれども、きのうもお聞きしましたけれども、国の管理する河川は全国で五百二十三本、それからキロ数に直しますと、八百二十三万キロメートル、それを巡視している方は約千名ということでございます。それは山とかいろいろありまして、全部が全部巡視しなくてもいいと思うのでありますけれども、どちらにしても、これは何か抜本的な解決策を持たないと、やはり河川にごみを捨てる傾向がだんだん多くなるのではないかと思うわけであります。したがいまして、現状の施行令を一部改正した結果こういうようなプラスがあったとか、それは一向に直っておらぬとか、そういう現状と今後の対策というものがありましたらお伺いをいたしておきたいと思います。
  89. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お答え申し上げます。  昨年河川法の施行令ができまして、十一月の七日に施行したわけでございます。それ以後、私どもといたしましてはようやく体制も整ったわけでございますので、各地方建設局を通じまして、河川の監視に対する態度なりあるいはこのやり方等につきまして、私どもから直接いろいろ指導をしてまいりました。したがいまして、いま先生のお話のように、約千名ばかりの巡視員がこれに当たっております。このほかに管理員といたしまして約六百名の人間がおりますが、これは役付でございますので、単なる巡視以外のことも兼務いたしておるわけでございます。それで十分かと申されますと、決して十分とは言いかねますけれども、やはり国の人員なり予算に限度もございますので、できるだけ機動化しまして、三日に一回は巡視するようにというようなことを現在励行させております。  それじゃどれだけ効果があがったかということにつきましては、まだ私どもも実態調査を現在させておる段階でございまして、何ぶん日も浅いことですから、法律の趣旨の一般に対する周知の徹底の問題、それからこういった環境保全が叫ばれておるおりでもございますので、河川を美化するとか、そういったような住民意識の向上等の指導方面に当面できるだけ重点を注いでまいりまして、実態を把握しました上で、悪質なもの等につきましては処置を適切に集中的にやるというふうに指導していきたいと思っております。
  90. 新井彬之

    ○新井委員 この問題も、具体的な例をひとつ取り上げて今後の参考にしようと思ったのですが、時間がありませんのでそれは省きますが、法律はつくっても一般の方はなかなかわからないということです。私も自動車の免許証を持っておりますけれども、道交法が変わりましても、どういうぐあいに変わったかというこまかい部分までそのつどわかるかというと、なかなかわからない。そういうようなことで、一般の方は、特に交通法規なんというのは命にかかわるような問題でありますけれども、なかなか常識の範囲を越えないわけでございます。そういうわけで、ちょっと法を改正しておいたらこれでだいじょうぶだろうというような考え方では、一般の方々はそういうわかり方はないわけでございますから、先ほども河川局長がおっしゃったように、よくそういうPRの方法も考えて、そういうことはしちゃいけないんだ——これは教育政策から始めなければならないような問題かもしれませんけれども、現実には川はよごされて、そうしてそのためにやはり河川の汚濁があるわけでございますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  その次に、住宅問題でありますけれども、公営住宅について特にお伺いをしてまいりたいと思います。  住宅宅地審議会の答申によりますと、第一次の計画においては見通しが甘かったことを指摘しております。また、総理府の住宅統計調査でも、政府みずからの公約の失敗を明らかにしております。このように、第一次計画において想定数に誤りがあった。つまり、住宅需要数で見れば、四十三年九月末までの四年半の間に想定した戸数の見込み違いは、世帯数で新規増五十四万、建てかえ増六十一万であったわけでありますが、それだけ政府計画は需要増を過小評価をしていた。また、結婚して親きょうだいと離れ、狭いながらもマイホームを持つ、あるいは地方から大都市に来て木賃アパートに入り込む、そういった新世帯の誕生が予想以上に大きかった。こうした住宅事情を的確に把握し、社会的な観点から見込み違いのないように取り組んでまいらなければならないと思うわけでございます。これは、先ほど大臣も、いろいろなそういう理由をあげてそれを認めておられましたけれども、公営住宅建設戸数の算出の根拠というものは何を根拠として算出されたのか、お伺いいたしたいと思います。
  91. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 御質問の前半にございました第一次計画のそご、これにつきましては、確かに、御指摘のように、住宅審議会からも想定が甘かったのではないかという御指摘がございました。確かに、都市人口集中、それから家族の核化等についての見通しが甘かったということについてはわれわれも反省をしておるわけでございます。そういった点を反省いたしまして、第二次住宅建設五カ年計画をつくったわけでございますが、現在策定中でございますが、公営住宅の戸数につきましては五十九五尺御指摘のとおりの数字を計上してございますが、これにつきましては、御承知のように、今後の都市人口集中、それから家族の核化等を推定いたしまして、そういった条件のもとでみずからの収入では住宅を確保できないという収入階層を、第二次計画では一応年間収入百九十三万円ということで想定いたしまして、公営住宅につきましては、四十六年度から五十年度までに、百九十三万円以下の所得階層につきまして公的な資金による住宅を供給する必要があるということで数字をはじいたわけでございます。
  92. 新井彬之

    ○新井委員 その問題はあとでまた関連してお聞きしますが、四十四年の住宅需要実態調査によりますと、困っていると答えた者が三〇%あります。それからたいへん困っていると答えた者が七%ある。合計いたしますと、全世帯数の三七%もの世帯が住宅困窮世帯である。また、四十五年版の建設白書によりますと、住宅建設戸数はわずかに増加しているが、人口都市集中、核家族化による世帯増の伸びにははるかに及ばず、なお三百六十万世帯が住宅難であるということを訴えております。また、住宅宅地審議会は、第二次住宅建設五カ年計画期間中の建設戸数を九百五十万戸とし、そのうち公的資金によるものを三百八十万戸としており、民間と公的資金による住宅戸数の比率は、従来同様民間六に対し公的住宅四の割合にしている。しかし、現在の住宅事情からすれば、公的住宅建設戸数をもっとふやすべきであるということがあるわけであります。それで、現在、四十六年二月には三百万世帯が不足しているということが審議会の指摘によってもあるわけでございますが、ほんとうに困っている人に住宅が与えられていない。また、行管の指摘によっても、今後公的賃貸住宅重点的に促進する必要があるということを指摘しております。  この前、公明党が木賃アパートの総点検を行なったわけでございますけれども、その中でも、月収が五万円以上で公営住宅入居基準を越えていると思われる世帯のうち、約六〇%が公営住宅に入りたいと要望いたしております。また、公営、公社住宅に申し込んだ世帯が三二・六%、申し込んだことのない世帯が五六・二%も占めております。しかも、申し込んだ世帯で約三分の一は六回以上申し込んでいるが、いまだに当選していないと答えております。十六回以上申し込んでもいまだに入居できない世帯が一割以上にものぼっている。申し込んだことがない理由については、申し込んでも当たりそうもないからと答えた世帯が四〇・四%を占めておる。将来他の住宅計画があるからという理由の世帯は八・二%に満たないわけであります。  今回の調査の際、意見欄でいろいろのことが言われているわけでございますけれども、ほんとうに公営住宅を望む声というのが一番多いわけでございます。したがって、今回は、公的住宅は九百五十万戸のうち三百六十五戸そしてそのうち公営住宅は五十九万戸という決定をされたわけでございますが、その場合に、いま所得の基準を言われたわけでございますけれども、実際問題として、それでもって今後五年間に一世帯一住宅、一人一室が実現できるのかどうか、その点建設大臣からお伺いいたしたいと思います。
  93. 根本龍太郎

    根本国務大臣 その目標に向かって努力してまいりたいと思います。できるかできないかといって、いやできないはずだと言われれば、私どもやるつもりだと言う以外に方法はありませんが、従来からすれば、今度は現実性が相当出てきたと思っております。
  94. 新井彬之

    ○新井委員 これは、住宅をこれから経済政策と見るのか福祉政策と見るのかということで大きな違いがありますけれども、先ほど住宅局長が答弁されましたように、所得から見てこれだけの公的住宅が必要ではないかということがありますけれども、今回四十六年の一月二十九日に公営住宅の入居資格の基準がアップされまして、これは大幅に伸びたことだと思うわけでございます。それともう一つは、戦後のベビーブームで五百万人の方々がこれから結婚するんじゃないかというようなことがあるのではないか。またそれから、いままで家を建てた方は、もう一軒も二軒も建てられるお金持ちの方もいらっしゃると思います。しかしながら、家を建てられない方は、土地もどんどん上がってくる、建築費もどんどん上がってくるというような問題がたくさんあるわけでございまして、先ほど建設大臣がおっしゃったように、ほんとうに建てられる人と建てられない人の層というものがはっきりしなければいけない。私が一番先に言いましたように、見通しを誤ったら計画はあってないがごとしだと思うのです。だから、これだけの人が家がないということはわかるけれども、国としては、住宅政策については、お金はこれしかないんだ、計画が国としてはこれしかできないのだというのと、これだけやれば全部一世帯一住宅になるのだということでは根本的に考え方が違うわけでございます。したがいまして、私の知りたいことは、五十九万戸の公営住宅を建てれば、それでもって足りるとほんとうに考えているのかどうか。建設白書であるとか、総点検であるとか、あるいは審議会からの答申等があって、いろいろそういうことを指摘されておるにもかかわらず、たった一つの所得基準で、それだけの要素だけで五十九万戸をきめているのかどうか。その点についてもう一ぺんお伺いしたいと思います。
  95. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 第二期住宅建設五カ年計画の策定の積算根拠の問題についてでありますが、われわれといたしましては、先ほど御指摘にありましたように、第一期計画におきまして、一世帯一住宅を実現するということで計画戸数をきめまして、そのとおりの実行をいたしたわけでございますが、その結果、目標であります一世帯一住宅は実現できなかったということははっきりしているわけでございます。この計画現実のそごというものがどこからきているかということは、住宅審議会の答申にもございますように、人口都市集中と、先ほどお話ございましたようなベビーブーム、家族の核化ということが想定よりも以上に進んだということで計画が実現しなかったということになっております。したがって、われわれといたしましては、第二期計画の策定にあたりましては、そういう点を十分反省いたしまして、先ほどお話がございましたように、四十三年に住宅統計調査を実施いたしました。四十四年に住宅需要調査を実施いたしました。四十四年の住宅需要調査といいますのは、需要についての指向といいますか、希望の調査がおもでございまして、端的な例を申し上げますと、借家より持ち家がほしいという需要動向が非常に強く出ておりまして、これが客観的な判断になるとは思いませんけれども、われわれといたしましては、四十三年度の住宅統計調査をもとにして、三十八年度の第一期計画を立てました基礎になりました統計調査との比較、その後の事情の変化等を考慮いたしまして、新しい第二期計画を策定いたしているわけでございます。今度の計画につきましては、この点についても十分な反省をし、積算もしているつもりでございます。
  96. 新井彬之

    ○新井委員 初め、公営住宅は六十九万戸、建設省が大蔵省とかけ合って、大蔵省の査定で十万戸削られてしまったというようなことを聞いているわけでございますが、所得とかいろいろの状態のことなど今後これからいろいろ調査を行なって、そういう公的住宅についてこれはやはり足らないというような結果が出てきた場合——出てくるというよりも、鋭意それを調査いたしまして、そうしてその調べた結果でそういう状態になった場合は、調整戸数は公営住宅に回すのだ、そういう決意で臨んでいるのかどうか、それを建設大臣にお伺いします。
  97. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現実にいろいろ調査した結果、公営の住宅が絶対的に足らないということになりますれば、調整戸数を繰り上げて、現実予算化をしてやっていくという決意であることは変わりございません。
  98. 新井彬之

    ○新井委員 それでは、時間ですから、あと一点だけ。  これもいろいろ資料があるわけでございまして、一つ一つ言わないとおわかりにならないのじゃないかと思うのですが、公的住宅予算単価、これの問題については、先ほども松浦委員から指摘されましたように、行管から指摘があるわけでございます。それで、建設省では、この超過負担をなくすということを、昭和四十三年から三年間かけて、すなわち昭和四十五年度までに超過負担をなくすというようなことを公約されているというふうにお伺いしておりますが、建設大臣どうでございましょうか。
  99. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 ただいまお話しのように、補助事業につきましての地方公共団体の超過負担、それは長い間国会でもいろいろ御議論がございまして、特に、公営住宅につきましてはその点非常に強い御議論がございました。われわれとしては、どうしても解消したいということで、財政当局その他関係当局と非常な努力をしたつもりでございます。その結果、先ほどお話がございましたように、四十三年度から三年間でこれを解消するということで、われわれといたしましては、われわれの目的を達成して、四十五年度には大体超過負担の問題が解消したというふうに考えております。  ただ、一言に超過負担と申しますが、中身について精査いたしますといろいろございまして、われわれとして、こういう住宅を建てさせるということで標準的な単価をきめまして、それについての補助金を地方公共団体に出すという場合に、その標準単価が非常に低い。これは典型的な超過負担でございます。これについては、四十五年度まだ決算が終わっておりませんのでわかりませんが、推定といたしまして完全に解消したというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  ただ、そのほかの事情で、地方公共団体の個々の事情で、補助金で認められました住宅以上の規格の住宅を建てたい、あるいは構造について、その地方独自の必要があるので特殊な構造にしたいというようなことで単価が上がりましたら、これは国としては地方公共団体の自主性を尊重いたしまして、そういった変更は認めるわけでございますが、これは地方公共団体の負担になる。そういう負担は確かにまだ残っておりますが、標準建設費につきましての単価不足という問題は四十五年度で完全に解消したというふうに考えております。
  100. 新井彬之

    ○新井委員 いま、解決をしたというお話でございますが、これは要するに、標準工事費と実施工事費の問題が解決をされなければ、やはり市町村としてはそれだけの負担がかかってくるわけです。したがって、その基準単価ですね。それが解消するという問題ではなくて、実際問題としての問題はどうかということになると思うのです。  これは時間がありませんから言いますと、札幌におきましては、公営住宅の第一期五カ年計画の当初の建設計画が四千戸あったわけでございますけれども、実際に市が引き受けたのは三千九百戸それが実際の割り当てがきまってから返してくる。これが初めからそうでございますけれども、四千戸の割り当て戸数がきめられたのをどうして百戸分が返上されているのか。これは結局は標準工事費と実施工事費との違いから返さざるを得なかったということであります。そういう問題がある。  そのほかにも住宅改良事業においては、経費項目別の実績額と標準除却費等との比率を見た場合には、たとえば東京牡丹町第一では土地整備費の標準除却費等が六百九十一万八千円に対して、実績額は四千二百五十九万四千円と六・一六倍、四十四年の大阪府八尾市の経費項目の一時収容では、標準除却費が五百七十九万九千円に対して、実績額二千三百七十万二千円と、約四・一倍もかかっている。このように、あまりにも開きが大き過ぎるということがあるわけであります。こういうわけで、この問題については行管からも指摘をされておりますから具体例がどんどんあがってくると思いますけれども、市町村が困っている。そうして公営住宅なり、そういう住宅を今後建てる場合の大きな支障になってくるのだ。これはやはり大きな住宅行政の一環として、その負担を考えていっていただかなければならないと思います。これは今後に待ちますが、どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。  それでは、まだあと入居に対する行管からのいろいろな指摘、そういう問題とかいろいろありますけれども、次の会に譲って、またお聞きしたいと思います。  ありがとうございました。
  101. 金丸信

    金丸委員長 内海清君。
  102. 内海清

    ○内海(清)委員 すでに同僚の委員諸公からいろいろ質問がございましたので、なるべく重複しないように、できるだけ簡単に質問申し上げたいと思います。  最初に一つ大臣にお伺いしたいと思いますのは、四十六年度の予算を見ますると、特に都市計画とか、土地対策、あるいは住宅対策というふうなものが予算の平均伸び率よりも非常に大幅に増額されておる。それらの中でも、特に下水道とか公営住宅とふうなことになっておりまして、このことにつきましては建設省当局の熱意に対しまして敬意を表したいと思うわけであります。しかし、たとえば下水で言うてみますると、非常な大きな伸びをしておるけれども、わが国の下水対策というのは非常におくれておる。裏を返せば、いままでの事業規模があまりに小さかったということに相なると思うのであります。さらに住宅建設にいたしましても、御承知のように第一期は確かに六百何十万戸だったと思いますが、これは完成されたといわれておる。ただし、公的なものは九五%で、いかなかったわけでありますけれども、民間の供給によってこれがいったという。しかし、国民全体から考えますと、まだ、住宅はこれで足りたという感じはさらにない。これは第二期の計画がさらに大きく展開されているということから考えてみてもわかるのだと思うのです。こういう点から考えますと、なるほどここまで事業規模というものは拡大されたけれども、国民の要望する域までこれらがすべていっていなかった、こういうことだと思うのであります。  そこで、そういった意味で、いままでの下水にしても、住宅計画にしても、少なかったし、あるいは今回大幅増額されておるけれども、これもまだ十分なものじゃないのだろうというふうに私は考えるのでありますが、その点についての大臣の御所見をまずお伺いしておきたいと思います。
  103. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま御指摘のとおりだと私も思います。  戦後の日本の状況は敗戦でひどい状況でございまして、明治維新以来の社会資本の蓄積がほとんど烏有に帰してしまった、こういうことです。     〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 しかも、その間に一億国民は食わなければならぬということで、どうしてもその日その日の生活、個人個人の経済の確保に少し追われ過ぎておった。ようやくこの十年間に経済が立ち直ってきましたけれども、私企業の資本の充実に比べるならば公的な蓄積が非常におくれたということは、これは争うことのできない事実だと思います。そういう観点からいろいろ財政当局に考えもあったけれども、この程度日本の経済が充実した今日、一番おくれておる社会資本の充実ということで、まず最初は道路重点を入れました。その次に住宅にいったわけでございます。最近に至って、今度は下水道というところに重点を指向してまいりまして、やや均斉のとれたものになりましたので、これの量的、質的拡大を今後計画的に進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  104. 内海清

    ○内海(清)委員 今度の建設省予算はかなり大幅に増額されておりますけれども、ただいまの大臣の御答弁、私が感じましたものと全く同様でございますので、今後より一そう国民のために、質の向上のために御努力いただかなければならぬ、かように思うのであります。  そこで、建設省関係予算で、これは事業費にいたしまして二兆九千三百六十六億強である。これは非常に大規模になったわけであります。ところが、このうち国費は、すなわち言いかえますならば一般会計予算でありますけれども、これは一兆一千九百七十七億強、こういうことに相なっておるわけであります。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、この差でありますけれども、残りの金額というものは、国費以外のものは財投かあるいは地方自治体の自主財源ということに相なると思うのでありますが、この財投なりあるいは地方自治体が負担いたしまする自己負担というのはそれぞれどのくらいの予算規模になるか、ひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  105. 大津留温

    ○大津留政府委員 昭和四十六年度の建設省関係事業に対する財政投融資の総額でございますが、一兆五百八十七億円でございます。また、地方の負担額でございますが、総合計六千六百十五億、こういう数字になっております。
  106. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、建設省関係予算が非常にふくれたけれども、同時に財投並びに地方の負担も増大した、こういうことだと思うのであります。たとえて申してみますと、道路整備について申しますと、これは地方の単独事業のものもございます。これはもちろん建設省予算に含まれていないことは当然であります。このような建設省関連の地方単独事業、これがどのくらいになるであろうかということ、これは四十五年度はもちろんわからぬのでございましょうけれども、四十四年度の実績はわかっておるのじゃなかろうか、かように思うのであります。  この点で私が特にお聞きしたいと思いますことは、国民経済全体として、中央、地方の財政の中におきまする建設事業費の総額がどのくらいになるのであろうかという、その総額のスケール、これが知りたいということで実はお尋ねするわけであります。
  107. 大津留温

    ○大津留政府委員 国の全体の予算規模が九兆四千余億ございます。これに対しまして、建設省が担当いたしまする公共事業の予算額は、先ほど先生から御指摘のとおりであります。これに対しまして地方単独でやります事業費の、これは四十五年度の実績でございますが、建設省関係の事業、つまり道路、河川、公園、下水道住宅、こういうようなものに関するものが五千九百二十五億円ございます。
  108. 内海清

    ○内海(清)委員 これを計算いたしますと、国の予算の中における建設関係の費用の総額は、大体スケールがわかるわけであります。ざっとこの数字を見ましても、いま社会資本の非常におくれておるわが国として、ことに今後多くの問題をかかえておるわけであります。道路の問題はもちろんでありまするし、今度の新しい下水道にいたしましても、あるいは河川の問題にいたしましても、住宅の問題にいたしましても、多くのものを控えておるわけでありまするが、そういうふうなものとして、大臣は、この総予算の中に占めまする建設の総額というものをどういうふうにお考えになっておるのか、こういう点をひとつ大臣のほうから伺いたい。
  109. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在、内海先生も御承知だと思いまするが、国の全体の予算の中に占める公共事業費は非常に大きくなっております。そのうちでも建設省が一番大株主でございまして、それだけ政府全体としても重点を入れてきていることは事実でございまするが、冒頭に御指摘になりましたように、世界の先進国に比べれば、国民総生産の伸び率に比べるならば、社会資本と申しましょうか、いわゆる民間投資に比べれば、それでもなおかつまだまだずっとおくれています。一応のぼくの推定でございまするが、大体アメリカの五分の一程度だろうと思います。それから西ドイツあるいはイギリス等に比べれば、半分程度じゃなかろうか、こう思われるのでございます。したがいまして、先ほど申しましたように今後財政当局ともよく話をいたしまして、建設行政予算をもっと充実していかなければ、せっかくの民間の経済成長が、実は逆にマイナスの作用になってくるおそれがなしとしないのであります。その意味におきまして、これは国会の皆さんの御支援を得て、都市の再開発、住宅道路さらに公園、緑地というようなもの、さらにはまた水の開発という問題を長期にわたって続けていかなければならないかと思っておる次第でございます。
  110. 内海清

    ○内海(清)委員 私は、この点につきましては大臣のいまのお話と全く同様でございます。われわれが諸外国を見ましても、いまお話しのような感をきわめて深くします。しかも、国民総生産は自由陣営二位といっておりますけれども、これがさらに民間経済の成長に伴うような社会資本の充実が並行するならば、なお国民総生産というものは大きな伸びを示したであろうと私は思う。むしろ、民間経済の足を国が引っぱった形になっておらぬか、こういうことも考えるわけであります。したがいまして、この社会資本の充実ということにつきましては、やはり万難を排しまして今後これを進めることが最も緊要なことではなかろうか、かように私は考えるのであります。したがって、ひとつ四十六年度はかなり大幅な伸びを——これは政府もひとしく認めたところであったと思いますけれども、今後の一そうの御努力を願うことがきわめて必要なことじゃなかろうかと考えるのでありまして、この点はひとつ強く要望申し上げておきたいのであります。  それから次に私がお尋ねしたいと思いますのは、地方の財政負担の問題です。さっきもちょっと申しましたが、いま、建設省関係の五カ年計画にしてもかなりのものがあります。今度は下水道が出てまいりましたし、いままでの道路もありますし、あるいは河川もあるし、あるいは住宅の問題もある。のみならず、このほか他省の関係を入れますと、かなりのものがあるわけであります。多くの五カ年計画がいま遂行されつつあるわけであります。そこで、この事業負担というものは、少なくとも五カ年計画を継続しておる間はそれぞれ継続されるわけであります。しかも、これはだんだんと多額の負担になりつつある。これはインフレ傾向があるということもございましょうけれども、多額の負担になりつつあるということはいなめない事実でございます。そこで、建設省も、建設省関係のかような計画をされるにあたりましては、地方の財政の負担能力につきましては、当然自治省と十分連絡協議して、見通しを立てて計画はされておる、かように考えるのであります。もし地方の自主財源が不足した場合、この五カ年計画は当然進まぬわけでございます。そういう場合に、地方債の起債ワクを増額するとか、あるいはまた国の負担率を引き上げるとか、いろいろな緊急の措置がとられなければ、当然事業が進んでまいりません。これが必要だと思う。こういうふうな場合に対しまする建設省当局の方針ですね、どういう構想をお持ちになっているか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  111. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりだと思います。主として、地方財源については特別起債を許すべきであるということで、大蔵大臣にも申し入れて、自治省もそういうふうな方向で今後いこうという一応の了解点には達しております。従来ややもすれば起債のワクを押えているがために、現実に事業が執行できない。その理由は、いわゆる物価の高騰を推進するという非常に観念的な考え方であります。そんなことをしておりますと、今度は地方都市機能が麻痺してしまって、自治体が運営できなくなるということの認識が出てまいりまして、普通の起債のワクのほかに、下水道等緊急に措置すべきもののための財源不足については特別ワクを設けようという一応の原則的な了解には達しております。
  112. 内海清

    ○内海(清)委員 物価問題ともからみまして、その辺は非常にむずかしい問題があると思いますけれども、そのために建設関係の事業がおくれることは、見方によれば、国の経済発展あるいは国民の福祉の面から申しますれば、かえってマイナスの面が含まれてくるのじゃなかろうかと私は思うのであります。これはもちろん自治省との関係もございまして、実はきょうも自治省をお呼びしようかと思いましたが、時間の関係もありまして大臣お尋ねするわけでありますが、この点は今後十分政府全体として考えていただきませんと、せっかくの事業の進展もいたしませんし、そのことがまた地方自治体にいろいろな問題を引き起こすことに相なると考えるのであります。この点はあまり深く論議いたしませんけれども、十分おわかりのことだと思いますので、この点またひとつ今後に処してお願いしたい、かように思うわけであります。こういうふうなものはすべて建設関係の事業を遂行する基本的な問題になると私は思うからお尋ねするわけであります。  それから、けさほど来いろいろ土地問題その他が出てまいりまして、すなわち住宅に関連した問題その他が出てまいりましたが、私は、建設省予算全体、すなわち建設行政全体の中に占めまする用地取得について、これまた少しお伺いいたしたいと思う。これは公共事業をやります場合一番中心的な問題になると思うからであります。  昭和四十五年度の建設白書を見てみますと、毎年公共用地の取得量は著しく増大しておる。これは当然だと思います。建設省所管の公共事業に占める用地費と補償費の比率も年々増加し、三十五年度には一二・四%であったものが、四十二年度には一八・六%に増大した、特に市街地とその周辺地域での増大の率が高いと報告しております。これは私どもが承知しておるのと全く同様だと思うのであります。でありますから、こういう傾向は四十五年度ももちろんそういう傾向になってきたし、四十六年も、いまの状態ではそういう傾向はとまらぬだろうと思うのであります。  そこで、いろいろこういう建設事業を行なうのには、用地をなるべく安くするということと、コスト安でこれを取得するということがきわめて大事な点であります。そこで、この点について建設省はどういうような検討をしておられるだろうか、こういうことでございます。さらに、今後の用地費の割合の増大の見通し及びこれが対策、双方についてひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  113. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、公共事業をやればやるほど、実はいままでの経験からすると土地の値上がりを促進しておるという傾向も確かにあったように思われます。そこで、土地取得の方法、時期等いろいろ問題がありまするが、現在のところ、あまりほめたことではございませんけれども、実質上各地方公共団体が公共事業を推進するにあたって、先行取得を実はお願いしておるわけであります。先行取得のできたところからバイパスでもその他国道等もやっていくという、ある意味においては窮余の一策でございます。これに相当成果をおさめておる。  それからもう一つは、先ほど来御指摘のありました公共用地の取得にあたって地価公示の制度をこれから活用する。先ほど御説明申し上げましたように、四十五年中も千数百億の取得ができておるというところから見ても一つのあれがあると思います。  それからもう一つは、国会内においても、公共用地の先行取得を相当大幅にやれるような収用法上の改正をしてはどうかという意見もありますので、今後これも検討してまいりたいと思います。  よその国では、欧米等におきましては、御承知のように、公共事業であればすぐにそれを取得できて、ただ価格の問題で、いまの日本のように収用委員会における裁定にゆだねる。それで不服だと裁判に行くというようなことで、かなり早く行ける。日本では現在逆で、予算化されて路線がきまって、それから入手するから、そのときにはだっと値段を上げる役をしておるということで、この点においても、日本においては、戦後の私権の優先、特に土地についての所有権絶対主義的な傾向が今日ここまで来ておるので、これも変えるべきではないか。しかしながら、これはただ単に法律だけを多数決で通したからできるというものでもございませんので、物理的抵抗がいろいろ出てくるから、やはりこれは国民の世論を指導しながらそういうところに持っていきたいと思っておる次第であります。
  114. 内海清

    ○内海(清)委員 こういう用地の取得ということが、ことに建設行政では一番大事な中心的なことになってきておると思います。そこで、いま大臣のお話しのような先行取得が行なわれておる、あるいは地価の公示制度が始まったということで、地価の公示制度につきましては、かねて私どもが地価抑制の法案を出してそれの中に示したところが実現しておるわけであります。  この先行取得について私は少しお伺いしてみたいと思いますが、いまお話しのように、最近地方公共団体がいろいろな開発公社というものをつくっておるわけであります。これは主として用地の先行取得というふうなことに当たっておる。私が最近聞きました東京の例を見ましても、東京のかなりの区はやはり開発公社をつくっておる。その一例として目黒区のものをちょっと調べてみますると、区の一般会計から二百万円を出資しておる。そうして、他の金融機関から十億四千万ほど借り入れをしておる。そうして、区でありますから、住宅などはございません。主として道路とか公園とかいうものだと思います。こういうふうにして先行取得をやっておるのでありますが、現状においてはこういう方法をとらざるを得ないということであります。私は、ここにやはり一つの問題があると思います。建設省関係予算を見ますると、住宅公団と、それから住宅公庫ですか、これらの宅地開発面積は約三万ヘクタール弱になっておる。その取得予算が一千四百五十九億ばかりで計上してあるのであります。この公営住宅等の公的な住宅建設のための土地の取得状況について建設省はどういうふうに掌握しておられるか。なおかつ、現在国及び地方公共団体が合計してどのくらいの面積の公共用地を取得しておるだろうか。少なくとも、住宅用地につきましてはこのくらいはわかっておらなければぐあいが悪いと思います。住宅建設五カ年計画の必要用地の何%ぐらいを先行取得しているだろうか、こういうふうな点について、わかりますればひとつお知らせいただきたいと思います。
  115. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 ただいまのお尋ねの数字についてお答えいたします。  国、それから地方公共団体、公団というお話でございますけれども、国は直接住宅建設いたしておりませんので、国が直接用地を取得しておるという例はございません。地方公共団体が現在先行取得といたしまして取得しております土地は全国で二千百ヘクタール、これが大体住宅建設戸数で申し上げますと、約二十一万戸分ということになっております。したがいまして、五カ年計画で想定いたしておりまする四十六年度公営住宅の  一万四千戸に対しましては、用地の手当ては、公共団体につきましては十分できておる。事住宅に関しましてはそういうことになっております。  それから住宅公団につきましては、現在約八百ヘクタールの先行取得をいたしておりまして、これが建設戸数で申し上げますと、約八万戸に相当するわけでございまして、大体計画どおりの建設ができるという先行取得をしているという状態でございます。
  116. 内海清

    ○内海(清)委員 いまお聞きしますというと、これは地方公共団体が取得するわけでしょう。四十六年度の住宅建設に関しては大体支障のない範囲で先行取得が行なわれておるということのようであります。これはたいへんけっこうでありますが、従来の例を見ますると、たとえば東京都で言えば、建設しようにも土地が得られないから、結局それがだんだんおくれていっておるという状況、こういうふうなのは大都市におきましては従来かなりあったと思う。そうすると、今後はそういうふうな問題はなくなりますか。
  117. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お尋ねの点は、本年度、東京都につきまして、用地の取得難から、公営住宅建設補助金につきまして二千七百戸分引き上げという問題がございます。これは確かに、用地について、当初の建設計画どおりいかなかったということで補助金を引き上げたわけでございますけれども、これは必ずしもできないという問題ではございませんで、用地の取得につきまして、いろいろ法律的な問題が混乱いたしまして時間がかかるということで、建設計画が多少ずれたということで、建設計画が当初の予定どおり進まなかったということで、予算といたしましては、年度で区切っておりますので、その年度の予算につきましては、計画どおりいかなかったということで二千七百戸分引き上げたわけでございます。けれども、これは、その後も用地取得について東京都において非常に努力をして進めておりまして、その結果、翌年度の年度当初にはこれに着工できるということで、これにつきましては、建設費について予算の手当ては十分いたすということで、われわれも、全体の計画といたしましては多少おくれましたけれども、全体計画に支障を来たすようなそこではないというふうに考えております。
  118. 内海清

    ○内海(清)委員 私の質問のことばが悪かったかもしれぬが、それはやはりずれるということで、それが全然実施されないということではもちろんないわけでありますが、そういうふうな用地の問題で、少なくともこれほど住宅不足の時代に、それがだんだんずれていく。ことに、最も需要の大きい大都市でずれるということはやはり問題だと思うのです。でありますから、いまのお話を承りますと、少なくとも今後においてはこういう問題は解消される、こう解釈してよろしゅうございますね。
  119. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。  御承知のように、公営住宅につきましては、地方公共団体が自主的に事業を実施するわけでございますので、われわれのほうで強制するというわけにはまいりませんが、ただ、用地事情について、大都市周辺で、ともすれば事業が計画に比較いたしましておくれているという事態が従来あったのは、現在の東京都の例のとおりでございまして、それにつきましては、われわれといたしましても相当強い指導をいたしまして、東京都も今後はそういうことのないようにということで非常な努力をいたしておりますので、これからは計画どおりの事業を実施するということで、われわれといたしましてはできるというふうに確信をいたしておりますけれども、今後とも、それぞれの関係機関について、そういった面についてのそごがないように督励いたしたいというふうに考えております。
  120. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの答弁を聞きまして大体安心いたしましたが、いまのお話を聞くと、従来はどうも指導が十分でなかったように聞こえるわけであります。こういう国民生活と密着した問題は、地方自治体が当たるのだから、地方自治体の責任だというふうなことでなしに、政府として特にそういう点については強力な指導をしていただかなければならぬと思うのでありますが、今後強力な指導をして、そういうことのないようにするということでございますから、この点はそれで了承いたしたいと思います。  私は、少なくとも公的な住宅用地の先行取得につきましては、この取得機関を一元化する、それによって取得価格のコストを低下する、さらに宅地の供給量を増大をする、こういうふうなことが考えられるのではなかろうかと思いますが、それらの点についてどういうふうにお考えになるか。各地方公共団体の外郭団体でありまする土地あるいは住宅の開発公社、これが当たらなければならぬと思いますけれども、それらについてどういう方針で指導しておられるか、あるいは監督しておられるかというふうなこともあわせてお伺いいたしたい。  特に、こういうふうな公社というふうなものができますと、とかく、役所を定年になったような人がそういう公社、公団等へよく天下りする。あるいは極端な表現をすれば、そこが隠居のたまり場になるというふうな国民感情なきにしもあらずであります。さらにいま一つ、私が心配いたしますのは、こういう公社というふうなものが収益をあげるというふうなこと。これは経営上赤字を出しても困りますけれども、収益をあげるというふうなことに片寄ってはならぬ。これは国の土地政策にきわめて逆行するものであります。そういういろいろ指導し、監督しなければならぬ問題がこれはきわめて多いのであります。そういう点につきまして、これはひとつ大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  121. 根本龍太郎

    根本国務大臣 公共用地取得のために一元化したことをやれということは、あるいは、現在住宅公団に宅地並びに工場用地をも取得させる権限を与えているので、住宅公団で全国の公共の用地取得をして、必要なものは市町村等に分けてやったほうがいいのではないかという意味かもしれませんが、これは発想としてはそういうことも考えられるけれども、実務をやるとなると、これはたいへんな人員を要するし、土地の入手というものは、これは人間と人間との関係でございますからなかなかむずかしい。そういう観点から、やはり土地勘と申しますか、地主やその土地との関連のある公共事業体がやることが実質上いままで効果をあげているということで、各都道府県等、あるいはまた区等が開発公社をつくっているということだと思います。  問題は、その人員をいかなる人間をもってやらせるかということに問題があると思います。これが単なるそれぞれの地方公共団体を退役した人々をそこに便宜的に押し込んでやらせるということになると、これは問題があると思いますけれども、公社方式で地方自治体がやるということについては、運営についてはまだまだ検討する余地があるけれども、これを一挙にやめて一本の機関で全国的に土地取得をやるということは、これはなかなかむずかしいと思いまするので、その点はなお検討を進めてまいりたいと思う次第でございます。
  122. 内海清

    ○内海(清)委員 これは大臣のお話しのとおりに、一元化ということは非常に困難だということはわかりまするが、これが可能になれば、確かに、用地の取得でコストを安くするということは出てくると私は思うのであります。したがって、これは私の思いつきみたいなことでたいへん失礼でございますけれども、やはり十分研究するに値するものではなかろうかというふうに考えておりますので、今後なお御研究いただきたいと要望しておきたいと思うのであります。  それからまた、宅地などの用地の先行取得が行き過ぎるのも、これまた困ったものだ。どうせ借り入れ金その他が主になりますから、これは金利がふえるということにもなります。その辺の指導、監督というものは当然建設当局で十分行なわなければならぬと思うのでありますが、現在、こういうふうなものについて、何か特別に指導、監督に意を用いられておることがありますかどうか。
  123. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 私からお答えするのは適当かどうかわかりませんが、住宅用地に関しましてはそういう問題はございません。当然、建設する住宅の家賃に用地費は加算されますので、行き過ぎの用地先行というふうなことは事業主体としてはやらないはずでございます。これは公共団体、公団、全部同じでございます。ほかの用地につきましては私からお答えできませんけれども、事住宅につきましてはそういう問題はないと思います。
  124. 内海清

    ○内海(清)委員 そういう問題がなければたいへんけっこうでありまするが、こういうふうな場合にはとかくいろいろな問題が起こりやすいわけであります。したがって、これは過去においてもいろいろな問題を起こした例は多くあるわけでありますから、その指導、監督は、建設省としましては厳重にやられるべきものである、かように考えます。  それから次に一つお伺いしたいと思いますのは、土地の収用に関してであります。これは御承知のように、現行法では土地収用法というものがございます。それといま一つは、公共用地の取得に関する特別措置法と、この二つがいままであることは御存じのとおりであります。ところが、本日承りますと、少なくとも住宅につきましては、その宅地の先行取得は大体あまり心配ないということで、けっこうでありますが、その他の公共用地についてはなお問題がかなりある、私はこう考えておるのであります。もちろん、特別措置法によりまするといろいろ規定されておりまして、「公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要する」ようなものについてそれぞれ指定されておるわけであります。これらにつきましては、私は、公的な住宅にしましても非常に困難なところはなおかつあると思うのです。こういうふうな場合には、公的の事業として大臣で指定ができぬものであろうか。これでやる、ことに時間的に急ぐ、緊急だということよりも、一つは、国の政策上緊要であり必要なものについてはこれを適用する、こういうような措置がとれぬものであろうか。いまの収用法ではなお多くの困難がある。これを救うためにこの措置法を活用したらどうだろうかという一つ考え方でありますが、それに対する御所見をひとつお伺いいたします。
  125. 根本龍太郎

    根本国務大臣 従来はほとんどこれは住宅問題については適用していないのですけれども、私は、御指摘のとおり、今後住宅政策のために必要欠くべからざる状態になればこれは発動していいと思いますが、どうも私はあまり法律に強いほうではありませんから、事務当局から、この解釈でいいかどうか、ひとつ補足説明させます。
  126. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御説明申し上げます。  ただいまの御質問につきましては、現在すでに収用権が付与されております住宅建設事業が御承知のようにあるわけでございます。これは国であるとか地方公共団体等が行ないます五十戸以上の住宅経営の場合には収用権があります。それについて、先生のおっしゃるとおり、特別措置法によって収用をしたかということでございますが、先生の御指摘になりましたように、法律にもそういう項目がございまして、第二条の第八号に「公共の利害に重大な関係があり、かつ、その整備の緊急性があるもので政令で定めるもの」というのがございまして、政令ですでに、第一条八項の第四号に、首都圏とか近畿圏の既成市街地におきままして、住宅難を緩和するために必要があるならば、そういう新住宅市街地開発事業につきましては、一定の規模以上のもの、また緊急性のあるものにつきまして、また公共用地その他を三分の一以上を持つ、そういうものにつきましてはすでに認められている次第でございます。実際に現在までにやりましたものは三件ございます。  ついでに申し上げますと、明石舞子の新住宅市街地開発事業、それから堺の泉北の新住宅市街地開発事業及び豊中の千里丘陵の新住宅開発事業ということについて、すでに三件行なわれた例がございます。
  127. 内海清

    ○内海(清)委員 私ども勉強が足らぬで、それが十分承知いたしておりませんでしたが、それが実際に適用されておればけっこうだと思います。  なおかつ、私をして言わしむれば、やはり各地で非常に問題が起きております。収用法適用の場合にいたしましても、収用法がなお弱いのではないかという一部の人の声さえある。そういう際でありますから、もう少しこの点を研究されまして、あるいはこの措置法の適用範囲を広げますとか、その他の、いわゆるこれは緊急の措置でございましょうけれども、そういうものをとっていただくならば、いろいろな公共用地の取得ももっとスムーズにいくのではないか、国民の要望に沿っていくのではないか、こう思いますので、ひとつ重ねて御要望申し上げておきたいと思います。  大体これで終わりますが、けさからのいろいろな質問を聞いておりましてただ一つお伺いしておきたいと思うのは、いわゆる新全総の開発計画であります。これは経済企画庁でやっておりまして、いまの新しいものができます当時、私は実は審議会の委員をしておったのでございます。なかなか私どもの意見どおりにもいかなかったわけでありますけれども、これは少なくとも国の総合開発の最上位の計画である、私はかように考えておるのです。ところが、けさ来大臣もお話しのように、この新全総計画というものは、今日までのいろいろな傾向性というものを基礎にして、それを数字的に集約し、あらわしたものであるというところに確かに問題があると思うのです。しかしながら、これが少なくとも国の総合開発の最上位計画であるとするならば、これは常に社会情勢の変遷その他の問題を基礎にして、部分的にはやはり改変されていかなければならぬのじゃないか、私はそう考える。新全総にはこうあるけれども、これはいま社会情勢はそうでないんだから、それと全く違う方向へいくんだというのでは——全総というのは、御承知のように、法的な規制力を持ちませんから、きわめて弱いものでありますけれども、少なくとも国の開発の最上位計画でございますから、これは政府としても考えられて、部分的に改変するのもたいへんだと思いますけれども、やはり今後のわが国の進むべき道というものを示すわけでありますから、これは時代に即応し改変されるべきではないかという感じを持ちますが、これに対しまして大臣の御所見をひとつ伺います。
  128. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私もあなたと大体同じ考えを持っております。ただ、これを部分的に改定するにしても、一年一年やるということになるとこれはたいへんなことですから、適当な期間において修正するというような方向でいくべきだと思いまして、今後、私も、経済企画庁等に対しまして、そういう意味の進言あるいはまた要望をしておきたいと思います。
  129. 内海清

    ○内海(清)委員 これはいまお話のように一年一年変わるものではありません。従来これは、かなりある期間、一たんつくればそれが使用されたというところに、この全国総合開発の計画が実際と遊離して浮いたものになったという一つのあれがあると思います。しかし、少なくともこれは国の開発の最上位の計画でなければならぬはずである。そうすれば、適当な期間においてこれを修正していくということは当然だと私は考えるのでありまして、この点につきまして、ひとつ大臣の今後の御努力をお願い申し上げたいと思います。  それからいま一つ大臣、先ほど、土地の取得の問題につきまして、公示制度の問題がございました。私どもは、これが実施されていることが確かに公的な用地の取得に一つの役割りを果たしておるであろうということは考えるわけです。しかし、これがまだ十分いっておりません。いままでは三大都市で、四十五年度は九百七十地点ぐらいの公示をやる。それから本年度は千三百五十件程度の公示をやる。さらに北九州を加えると四十七年度には五十万人以上の都市をやるということであります。しかし、こういうふうになってまいりますならば、これは、ただ公示をして公的の機関が取得する一つの標準ということでなしに、すでにこの段階へくれば、公的な機関は用地取得はこの公示価格による、その辺まで法改正をすべきではなかろうかという気が私はいたすわけです。この点についての大臣の御所見をひとつ伺いたいと思います。
  130. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、現在はまだ発足したばかりで、密度も範囲も非常に荒いので、ほんとうの意味における公示制度の効果はまだなかなか薄いと思います。しかし、これが整備されてまいりまして、少なくとも全国の大半の土地が公示制度によって調査ができておるという段階になりますれば、公的の土地取得について、これを基準としてやるということから一歩進めて、これによるという法改正までいくという発想はわかりますけれども、はたしてそこまでいけるかどうか、これは私は検討が必要だと思います。その前に、むしろ国の各機関で、たとえば固定資産税の評価という問題もこれに出てきます。これもいま相当違っております。そういうものとの関連づけが今度は出てくるために、法的にこれをやるとなりますとそこまでぶつかっちゃう。そうすると、これは各省関係自治省意見調整がなかなかむずかしくなってくるので、発想については私は同感の気持ちがありますけれども、そういうときだったらば、公共用地は全部公示価格で買い上げるということを法律できめるということまでちょっといま言いかねるのでありますが、ひとつ勉強して、そういう方面にできるだけ近づけるような努力をいたしたいと思う次第でございます。
  131. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん、いまお話しのように、いま直ちにそれをやるということはきわめて困難かもしれません。しかし、これが少なくとも全国の二十万都市あるいは十万都市以上にいきますまでにはかなりの時間が今後必要だと思います。したがって、いまこれが厳格に行なわれておれば、これは「各標準地の本年一月一日現在の正常価格である。」と白書にもはっきり書いておりますね。「何人にも共通する客観的・普遍的な交換価値を表示するものである。」とはっきり示しておるわけですよ。建設省がこれほどまでに自信を持っておるのであるならば、少なくともいまお示ししたようなところは、これをやれば、あるいはその付近の土地は大体これに準じて評価はできるだろうというふうな気もいたします。したがって、いまのような土地事情であるならば、できるだけ早くそういうところまで研究を進めて、少なくとも公的機関が買い上げるおりでありますから、政府がやりました公示価格でそれが取得できるというところまでいかなければこの意味がきわめて少ないのだ、こういうふうに私は思うのであります。重ねてひとつ御所見をお伺いいたしまして、これで終わります。
  132. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申したとおりでありますが、十分にこれは前向きで検討して、そういう方向に近づけたいと思います。
  133. 金丸信

    金丸委員長 次回は、来たる十九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十二分散