○諸澤
説明員 初中局の諸澤でございます。
ただいま西田
審議官から小学校の段階における教育においての個性の伸長という眼目について御
説明申し上げましたけれども、そのためには、一面において学校の教育をあずかる先生方の数をさらに充実して、一人当たりの受け持ち児童数をより適正なものにしていくという仕事、あるいは学校における
施設、
設備、教材等の開発、充実という意味における財政的な補助といったような仕事を
文部省としては計画的に進めてまいっておるわけでございます。
一方、小学校の教育はいわば国民としての基礎をつちかう教育でありますから、その
内容は単に知的な教育に偏重すべきものではなく、いわば全人的な発達を促す教育でなければならないわけであります。したがいまして、小学校の各教科のほかに道徳の領域を設けておりますわけでありますが、その趣旨とするところは、いわば人間尊重の精神というものを具体的な学校、社会、家庭等の場で実現し、さらに平和的な国家の形成者とし、あるいは、進んで世界の平和に貢献できるような国民としての基礎をつちかう意味における道徳性の涵養というその教育は、単に道徳の領域のみならず、各教科の教育を通じて実現すべきものであろうと思います。
そしてこのような教育活動の目安になりますものは、
文部省が定めますところの学習
指導要領でございますが、この学習
指導要領が御承知のように先般改正になり、この四月から新しい学習
指導要領に即して教育が行なわれるわけでありますが、この学習
指導要領の改定にあたりましても、いま申し上げましたような小学校教育における知育のみならず、徳育、体育、いわば全人的な発達を促すことを目標として改正を試みておるわけでございます。
また、学校の教育におきましては、最初に申し上げましたような物的な条件の整備というものももちろん大切でございますけれども、何といっても教育を担当するのは教員でありますので、この教員の資質を向上するということが非常に大きな問題であろうかと思います。
そういう意味におきまして、
文部省では近年、直接
文部省において学校の校長さんあるいは中堅の教員の方々を集めまして、数週間にわたって研修を行なう、あるいは各県で毎年新たに採用いたしますところの新規採用の教員を対象として研修会を行なう等の各種め研修活動を活発にいたしますとともに、先生方に広く世界に目を向けていただいて日本の教育を考えていただくということから、本
年度は五百人の教員の東南アジアあるいはヨーロッパ、米国等への海外視察の補助等の事業を行なっております。
また、先生方の教育の活動をより深めていくためには、それぞれの専門の領域の理解と知識をより一そう深めていただかなければならないわけでありまして、そういう意味において、現在全国的に各教科その他の教育活動の
研究を主体とする教員の団体が多数ございますが、それらの団体の活動をより活発ならしめるために、各般の財政的な援助をするというような仕事を行なっておるわけであります。要するに、そういったような活動を通じて、教育を担当する先生方の資質をより一そう向上させるということを一つの眼目といたしておるわけでございます。