○北川
説明員 いま先生の御
指摘の点は、非常に私たちも痛感をいたしております。千九百名近くの基準監督官を総動員をいたしまして一万三千の
事業所を点検はいたしましたけれども、特定の物質、特にカドミ等につきましては、その測定能力がきわめて不十分でございます。これは監督官が不十分であるばかりでなくて、日本のいまの産業医学で測定が正確にできるところというのは、おそらく、たとえば岡山大学のこの前御発表になりました小林先生とか、あるいは富山の先生とか、そういう、それこそ十指を屈する方ぐらいしか、正確にはかられることはできないのではないかと思います。
そういう点で、われわれがそこまでいけるかどうかは別としまして、先生御
指摘のように、量的な面でなくて質的にそういう総点検の中身を充実をしていきたいとかねて考えておりまして、実は昨三日から、一斉総点検の結果等も踏まえまして、労働衛生専門官を全国から労働研修所に集めまして、これはとりあえず十日足らずの研修をいたしておりますが、これではまだまだ不十分でございますので、新
年度は大蔵省からも専門的な研修予算も認められておりますので、一カ月近くの研修を、
労働省の部内だけでなくて、各専門的な諸先生方に講義あるいは指導等もお願いをしてやりたいと思います。それから、中央で基準監督署あるいは局の専門官を集めまして、それが先生になりまして地方でどう伝達させるか、その伝達研修といいますか、講習というものにつきましても地方でやれるようなことをぜひ考えたいと思っております。
それから、これはいまの御質問の前の点でございますけれども、先生のおっしゃいますように、いままでの健康診断の場合には、尿中のカドミの含有量だけでわれわれはチェックをしておりましたけれども、いま御
指摘のように、
中村さんのように、検診その他では尿中のそういう異常がなかった、しかし、普通の吸収した場合は、じん臓あたりに来る前に肺に相当カドミが蓄積しておるにかかわらず、
中村さんのおからだの分析のあれを見ますと、肺にはほとんどなくてじん臓、肝臓に集中をした、どうしてこういう現象が起きたか、そのためのチェックが、いまおっしゃったように、尿中のカドミの量だけでいいのかどうかというような点につきましては、今後考えを新たにして専門家の意見も聞きたいと思っております。
なお、私たち、いろいろ対策あるいは今後の措置を考えておりますが、
中村さんがおなくなりになっておりますので、当時御一緒にお働きになりました方について、実はすぐに
検査を会社側にいたさせまして、それを一つの参考にいたしたいと思いましたけれども、現在まで報告が来ておりますのでは、カドミ箔の作業につきまして、男の方二名、女子の方三名、これの検診の結果が来ておりますけれども、
中村さんと同じ作業を、むしろ
中村さんより長くやっておりましたにかかわらず、尿中カドミの量が一番高い方で一五ガンマ、一番低い方は一・二ガンマ、まあ、われわれと同じくらいということで、
平均いたしまして六・九ガンマであるというような点からも、私はこの点につきまして、やはりわれわれのチェックのしかたにつきまして再検討、あるいは
中村さんの場合につきましても非常に慎重に検討いたしたい、こう考えております。