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1971-03-19 第65回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十九日(金曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員   委員長 田中 榮一君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 永田 亮一君 理事 山田 久就君    理事 大久保直彦君 理事 曽祢  益君       石井  一君    大平 正芳君       佐藤 守良君    西銘 順治君       長谷川 峻君    村田敬次郎君       豊  永光君    久保 三郎君       斉藤 正男君    戸叶 里子君       中川 嘉美君    西中  清君       松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省条約局外         務参事官    山崎 敏夫君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君 委員外出席者         大蔵省関税局輸         出課長     片山  充君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      山野 正登君         運輸省海運局外         航課長     山地  進君         運輸省船舶局関         連工業課長   鈴木達太郎君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   中島 茂喜君     佐藤 守良君   勝間田清一君     斉藤 正男君   河野  密君     久保 三郎君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 守良君     中島 茂喜君   村田敬次郎君     鯨岡 兵輔君   久保 三郎君     河野  密君   斉藤 正男君     勝間田清一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  コンテナーに関する通関条約締結について承  認を求めるの件(条約第六号)  国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物  の国際運送に関する通関条約TIR条約)の締  結について承認を求めるの件(条約第七号)      ————◇—————
  2. 田中榮一

    田中委員長 これより会議を開きます。  コンテナーに関する通関条約締結について承認を求めるの件、及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ただいま議題になりました条約につきまして二、三伺いたいと思います。  コンテナ輸送というのは、たいへんメリットは大きいと思いますけれども、日本として、はたして往航復航の両方面に採算を維持するだけの十分な荷動きがあると思われるかということを、第一に伺いたいと思います。そしてまた、今後増大する可能性があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  4. 山地進

    山地説明員 お答えいたします。  ただいま、日本中心といたします航路北米アメリカ航路と、それから豪州航路にすでにコンテナ輸送が開始されておりますが、北米航路につきましては、往復航とも一〇〇%のコンテナを積むような状態が起こっておりまして、今後ヨーロッパ航路とそれからニューヨーク航路につきましてもコンテナ輸送をするわけでございますけれども、ニューヨーク航路に関しましては、往航は一〇〇%あるいはそれに近いような積み高が予想されておりますが、復航につきまして、帰りでございますけれども、帰りにつきましてはかなりの荷物が足りない。したがいまして、からのコンテナ輸送するということが起こり得るということが予想されております。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま御説明ありましたように、往航コンテナ輸送しても一、帰って来る復航というのですか、これではからのコンテナで帰ってくるような場合がある。そうなってきますと、コンテナによる国際運送メリットというものはあまりないように思うのですけれども、現在就航しているわが国コンテナ船往復荷物稼働率というものは、どのくらいになっているのでしょうか。これをまずお伺いしたいと思います。
  6. 山地進

    山地説明員 稼働率と申します点が、ちょっと私、理解が不十分かもしれませんけれども、いま申し上げましたように、現在やっておりますのは、太平洋荷物、サンフラシスコ、ロサンゼルスというところの荷物を積んでおるわけでございますが、往航は一〇〇%をこえ、帰り荷物太平洋岸から日本向け荷物というのは八五%ぐらいの荷物でございます。それから豪州航路につきましてもほぼ一〇〇%で、帰りは八〇%ぐらいというようなことでございまして、帰りは、したがって二〇%程度のものはからのコンテナを積んで帰ってくるということになっております。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それで十分採算はとれるわけですか。そういうふうな状態でも、なおかつ採算がとれて非常に有益であるというデータが出るわけですか。
  8. 山地進

    山地説明員 採算の点につきましては、荷物内容等、あるいは船の大きさ等によりまして若干の変動があるかと思いますけれども、六〇%から七〇%ぐらいの荷物が、往復平均でございますが、あれば採算は維持できるというふうに見られております。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうなことをいろいろ調査する機関というような一のが日本ではできておりますか。別に何もできていないのでしょうか。たとえば、いわゆる集配センターとかなんとか、そういったようなものをつくって、そこでいろいろデータをとりながら、さらに効果をあげていくというようなことは考えていらっしゃるのかどうか。
  10. 山地進

    山地説明員 いまの御質問のポイントは、コンテナがからであるものをほかの人が利用するならばさらに有効な効率的な利用ができるという御趣旨だろうと思うのでありますけれど一、日本からアメリカへ行きまして、それからアメリカからヨーロッパへそのコンテナでどこかが輸送する。それからヨーロッパからまた日本へというふうに輸送すると、いつもからでないような輸送状態が想定されるような場合には、そういったことをやる意味があるわけでございますけれども、いかなる国をとりましても、どちらかの道にからのコンテナ輸送ということをせざるを得ないというのが世界貿易実情だろうと思います。しかしそう言いましても、何か臨時的なことで、からのコンテナとかあるいは需要が非常に多くなるというような場合もございますので、船会社の間ではインターチェンジ、交換する協定というようなことを国際的にもやっておりまして、随時船会社のビジネスの感覚でそういったことをやっておるというのが実情でございます。  それから日本にそういった集配というような意味センターというものはございませんし、世界的にもそういうものはございません。ただコンテナリース会社というのがございまして、ある意味では需要のバランスというものを補うということはやっております。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、船会社でもってインターチェンジ協定を結んでいるというのは、各国の船会社インターチェンジ協定を結んでいる、日本もそれに加わっているわけですか。
  12. 山地進

    山地説明員 インターチェンジアグリーメントといいますのは、何か国際的な機関があってそれに参加するというようなものでございませんで、たとえばアメリカ船会社とドイツの船会社、それから日本船会社アメリカ船会社あるいは日本船会社同士というような個々契約等の集まりでございますので、それに参加するというようなことではございませんが、広く、どこかの起こりそうな場所においては、そういった個々船会社同士アグリーメントを結ぶというふうにお考えいただきたいと思います。
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本コンテナを使っているんですけれども、ほかの国で非常にコンテナを利用している、そして一〇〇%メリットをあげている国はどこにあるでしょうか。
  14. 山地進

    山地説明員 コンテナ海上輸送につきましては、いずれの航路もまだ最初のステージでございますので、非常に採算が悪くて、日本太平洋というのが、貿易構造等も非常にコンテナ輸送に適し、あるいはその輸送距離からも適しているせいもあったと思いますけれども、いま世界コンテナ航路の中で、唯一、利益を出していると申し上げて差しつかえないと思います。といいますのは、アメリカヨーロッパ航路というのは、先進国間の貿易航路でございますので、往復荷物があるはずでございますけれども、投入の隻数が非常に多過ぎたために、採算が悪くて、いずれの船会社相当のダメージを受けているというのが実情でございます。  それから内陸輸送に関しましては、ヨーロッパの国々の間の内陸輸送としては、コンテナはおそらくかなり成功率が高いのだろうと私、思っておりますけれども、海上輸送に関しましては、いずれも損害を出しているというのが実情でございます。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私もそういうふうに思います。ヨーロッパなどでは陸上輸送コンテナ相当効果をあげるんじゃないかと思いますけれども、では海上輸送では日本が一番であるというふうに政府としてはお考えになっていらっしゃるわけですね。今後の見通しはいかがでございますか。さらにさらに発展していくという見通し立てているかどうか。
  16. 山地進

    山地説明員 今後の見通しといたしましては、日本中心とする航路ではニューヨーク航路というもの、それから欧州航路というものをわれわれとしてはぜひ推進していきたい。現に船会社同士の相談では、かなり成功するように準備が着々と進められているわけでございますが、今後そういうものがうまくいくかどうかということにつきましては、要するに貿易の伸びと、それからコンテナ投入の状況というものが非常にマッチして行なわれるということがぜひ必要でございまして、それがないと、アメリカヨーロッパの間のような混乱というものが再び起こるということが懸念されるわけでございます。それから世界的に見ますと、イギリスとアフリカというようなところはコンテナにされるというような計画も聞いておりますし、将来は東南アジア日本というようなもの、あるいはシンガポールにもコンテナ基地がございますし、そういうものが徐々に発展していく。これは急速には発展しないと思いますけれども、徐々に発展するというふうに私どもは考えております。
  17. 戸叶里子

    ○戸叶委員 コンテナーに関する通関条約四条に、「著しく損傷したコンテナーは、その損傷が公式に確認された事故によるものである場合には、」というのがあるのですが、この「公式に確認された事故」というものはどういうふうなものであって、そしてだれがこれを認定するのか、このことをお伺いしたいと思います。
  18. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この「公式に確認された事故」といいます場合は、何らかの方法によりまして税関職員がその事故を確認できた事故をいうわけでございまして、必ずしも警察官の事故証明等は必要といたしませんが、必ず最後の事故の確認は税関職員が行なったも一のであることを必要とすると考えます。
  19. 戸叶里子

    ○戸叶委員 「公式に確認された事故」というのはどういうのですか。普通の事故じゃないのですか。
  20. 山崎敏夫

    山崎政府委員 私のことばが足りなかったかと思いますが、要するにこの条約にいいます問題を取り扱いますのはあくまで税関当局でございますから、そういう税関当局が確認する事故は公式のものであるという意味でございます。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで四条では、税関検査を免除することになっておりますが、二十条では巨大重量貨物というものに対しては税関検査がないというふうに了承しているのですが、これはどういうわけで巨大重量貨物には税関検査がないのでしょうか。
  22. 山崎敏夫

    山崎政府委員 お尋ねの点は、TIR条約の二十条だと承知いたしますが、TIR条約二十条によりまして——一般貨物条約の第四条によりまして、経由地税関において輸出入税納付または供託及び原則として税関検査を免除されることになっております。しかしながらこの巨大重量貨物につきましては、二十条によりますと、輸出入税納付または供託は免除されることになっておりますが、税関検査の免除については触れておりません。これは条約の二十六条によりまして「税関当局は、適当と認めるときは、次のことを要求することができる。」ということで、その(a)項として、「経由地税関において又は行程の途中で車両及び積荷を検査すること。」と書いてあります。したがってこの巨大重量貨物に対する税関検査を免除するかどうかという問題は、その経由地税関の判断にゆだねられておる次第でございます。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、この巨大重量貨物も、税関検査がないというのじゃなくて、時によっては、経由地税関でこれは見たほうがいいというときには検査する、こういうふうに解釈していいわけですか。「適当と認めるときは、次のことを要求することができる。」とあるのですから、これは見たほうがいいと思うときには経由地税関で見るのだ、そういうふうに解釈してよろしいわけですか。
  24. 山崎敏夫

    山崎政府委員 そのとおりでございます。巨大重量貨物の場合には完全な封印というものは行なわれていないわけでございますから、若干密輸とかそういうこともあり得ることを考慮して、適当な場合には検査できるという趣旨になっておるわけでございます。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 わかりました。  五条によりまして、この条約に加盟することによりわが国保証団体TIRカルネを発給して保証人として行動する権限を与えられるのでありますけれども、わが国の場合、この条約批准書を寄託するまでに保証団体は設立されるのかどうか、具体的にどういうような保証団体を予想されているのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  26. 片山充

    片山説明員 別途に、この両条約を実施いたしますために関税法等特例法というのを御提案いたしておるわけでございますけれども、それによりますと、TIRカルネを発給しようとする団体大蔵大臣認可を得なければならないということになっております。その認可条件といたしましては三つばかりございまして、その最初は、TIR関係国際団体があるわけでございますけれども、その国際団体に加入しておること、それから二番目は、その国際団体とその保証団体になろうといたします団体が将来関税あるいは内国消費税につきまして保証契約を結ぶことが確実であること、三番目といたしましては、そのほかTIR関係の業務を適正に行なう能力があることという、大体三つ要件があるわけでございますけれども、そういったような団体が出てまいりますれば、いま申し上げました認可の基準に照らしまして、われわれのほうではできるだけ早急に認可をいたしたいというふうに考えております。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまおっしゃったのはどういう名前の法律を出しておるのですか、これに関連して。
  28. 片山充

    片山説明員 正確に申し上げますと、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法等特例に関する法律でございます。
  29. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまこの国会に提出されていますか。
  30. 片山充

    片山説明員 はい。そうでございます。
  31. 戸叶里子

    ○戸叶委員 わかりました。  いま大体三つ条件があって、それにかなったものに対しては大蔵大臣認可をして保証団体のようなものをつくるというのですけれども、この保証団体保証責任というものは相当財政負担が伴うものではないかと思うのですけれども、日本の国で設立される保証団体というのは、どこかつくろうとされているか、いままだ全然白紙なのか、それとも大体計画をされているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。これに日本が加盟する以上は、この条約国会で審議して批准する以上は、やはりそういうものがある程度目安としてなければならないのじゃないかと思うのですけれども、まだ全然めどもつかないで、こういうものでありたい、こういうものをつくりたい、それから今度は特例法もつくってというようなことで、まだ全然その内容についてお考えになっておらないのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  32. 片山充

    片山説明員 保証団体のおもな仕事と申しますのは、御案内のとおりにTIR輸送をいたします過程で、何かの事故内国消費税あるいは輸入税納付をしなければならないような場合が起きた場合、あるいは税関関係のいろいろな手数料がございますけれども、そういったものを納付しなければならないようなことが起きました場合に、その国にあります保証団体輸送者にかわって、いわば立てかえ払いをいたしますことでございます。したがいまして、通常の場合には立てかえ払いをいたしましたものを当然それを負担すべき納税義務者からまた払っていただく、求償するというシステムになっておりますので、それほど大きな財政負担あるいは資金を要する仕事ではないというふうに考えております。  それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国際団体に加入することが必要になるわけでございまして、いま実際にTIRカルネ関係を扱っております団体三つばかりございますけれども、そのうちで八五%くらいなシェアを持っておりますのがIRUという、国際道路輸送連盟とでもいうような団体でございまして、その仕組みから考えてみますと、日本では現在それに加入いたしておりますものはトラック協会であります。もちろんトラック協会だけではございませんで、道路輸送関係いたします団体は、そのほかいろいろ要件はございますけれども、加入ができるわけでございます。現在主としてヨーロッパコンテナ輸送関係を持っております船社でありますとか、あるいは商社あるいはメーカー、そういった方々の間でTIR仕組みその他につきまして検討が行なわれておるというふうに聞いております。条約発効までには御案内のように寄託期間が三カ月あるわけでございますので、発効までにはおそらく間に合うようになるだろうと思っております。
  33. 戸叶里子

    ○戸叶委員 発効までには間に合うようになると言うからには、何か大体のめどはついていらっしゃるのですか。
  34. 片山充

    片山説明員 先ほどから申し上げておりますように、申請を待って処理する立場にございますので、はっきり私のほうでお答えするのはいかがかと思いますけれども、関係者のほうでもちろんこの両条約に入りまして、ヨーロッパでのコンテナ国際輸送が円滑にいくように着々準備が進められておるというふうに承知いたしております。
  35. 戸叶里子

    ○戸叶委員 何か少しその関係がおくれているように私は思われるので、いま私たちがこの条約を審議して、じきに批准されるかもしれない、そしてこの条約発効していくのに、その中で大切な保証団体というのがまだ申請を待って認可していくとかいうような状態では、少し順序がおかしいんじゃないかというような気がするのですね。むしろこういうものをある程度条約の審議と相並行してつくっていくということのほうが必要じゃないかというふうに考えますけれども、大蔵省としてはそういうものはおくれをとらずにじきにできるんだという自信をお持ちになっていらっしゃるわけですね。
  36. 片山充

    片山説明員 自信とおっしゃられますと非常にあれなんでありますけれども、私の個人的な感触を申し上げますと、必要が起きますまでには間違いなくできるというふうに信じております。
  37. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうあってほしいと思います。ただ、この条約を審議するうちに保証団体が必要であるにもかかわらずめどもついていないというようなことでは、たいへん何かたよりないような気がするものですから、私は念を押して聞いておいたわけです。  それから十二条と二十七条との関係ですが、コンテナ等国際運送をする場合に、各締約国経由地税関税関当局は他の締約国税関当局が施した封印尊重することが原則になっているわけですね。ところが、巨大重量貨物運送については、封印についてはできる限り尊重するということになっていますけれども、規定上の差があるのはどういうふうな理由があるのか。たとえば封印尊重しないということもあるのかどうか、それはどういうときであるか、そういうふうなときにどういうふうにしていくのかということが疑問に思われるわけですが、この点について説明をしていただきたい。
  38. 山崎敏夫

    山崎政府委員 御質問の点は、TIR条約の十二条と二十七条の問題だと思いますが、十二条で「封印尊重する」といっておりますのは、仕出し地税関封印をいたしました場合には、その貨物目録どおりであって、密輸品等がないことを十分確認した上で封印を施すわけでございます。したがいまして、経由地の他の税関は、このようにして施されました封印を信頼して、目録どおり貨物輸送されておるというものとみなしまして、これを解除して自分の税関封印を施すということを行なわないという趣旨でございます。これによって通関手続が非常に敏速にいくわけであります。しかるに、二十七条におきまして、二十七条は巨大重量貨物に関する問題でございますが、先ほども申し上げましたように、通常貨物コンテナ詰めの場合には、四条によりまして、経由地税関において、原則として、税関検査が免除されるのでございますが、巨大重量貨物につきましては、二十六条で、経由地税関において、税関当局が適当と認めるときは税関検査を行ない得るようになっておりまして、その取り扱いが違っておる。そのことから派生いたしまして、封印尊重に関しても、巨大重量貨物に関しては若干尊重の度合いが少なくなりまして、必要な場合には検査できるというようなことになっておりますので、ここでは、できる限り封印尊重するというように書いておるわけでございます。
  39. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、封印尊重しないこともあるというのは、必要なときには検査をすることができるんだ、こういうふうに理解をすればいいわけですか。その巨大重量貨物の場合には、いろいろな禁製品なんかが入っているということを見越してこういう規定を入れられたんですか。
  40. 山崎敏夫

    山崎政府委員 仰せのとおりでございます。先ほどから申し上げますように、巨大重量貨物というのは、具体的にいえば、発電機だとかタービンだとかボイラーのようなものでございまして、コンテナに詰めないで、結局、むき出しのまま運送されるものでございますから、まあ疑えば若干密輸とかそういう事例が起こる可能性もあるわけでございます。したがって、適当な場合には税関検査を行ない得るとなっておるわけでございますから、それの一つの続きとして、封印についてもできる限り尊重するというふうに規定してあるわけでございます。
  41. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ちょっと変なことになるかもしれませんけれども、これはコンテナ軍需品というのは運べるのですか、全然運べませんか。軍需品の範疇にもいろいろあるかもしれませんけれども、運べますか、運べませんか。ちょっといまふっと頭の中に浮かんできたんですけれども、どうなんでしょうか。
  42. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この条約は全く一種の商業的な輸送について書いてあるわけでございますけれども、もちろん商業的輸送である限りにおいては、内容物については軍需品も送れると思います。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうでしょうね。それで、コンテナ時代というのが進んでいきますと、相手方のほうの港湾だとか陸上の設備というものが完備されていなければ非常にやりにくいんじゃないかと思うのですけれども、アジアにある港、たとえば香港とかシンガポール、マレーシア、こういうものは日本からコンテナ輸送しても支障のないような整備がされているのかどうかということを伺いたいと思います。
  44. 山地進

    山地説明員 ただいま東南アジア地区のところでコンテナ基地の整備されておりますのは、香港がいま計画ができております。それから、シンガポールが十一月ごろできるというふうになっております。それからもう一つは、ナホトカのそばにございますウラングルというソビエトの地区でございますが、ここがコンテナ基地を整備するというふうになっております。その他の港につきましては、コンテナ船が行きましても、荷物をおろすだけの施設がございませんので、船のほうにクレーンをつけるというようなことをしなければ積みおろしができないというのが実情でございます。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまだんだんに整備されていこうとしているわけですけれども、整備されていないところもある。そうすると、いまおっしゃったように、たいへん不便があるわけですね。そういうふうなところに対しては、コンテナ輸送をよりよくするために、お互いの国同士で何か話し合って、そうしてその港湾施設等よくするというようなところまでには行っていないのでしょうか。それはそのままにして、まあ不便だけれどもしかたがないということでいくと、やはりその効率というものはだいぶ違うんじゃないかと思うのですけれども、日本コンテナ船をもっともっと利用していくということになると、やはりその辺まで話していかなければならないのじゃないかと思いますけれども、そういうふうなことに対してのお考えはどうでございましょうか。
  46. 山地進

    山地説明員 まずコンテナを配船するという基本的な前提といたしましては、それだけの荷物があるかどうかということが第一でございまして、いまのところ、香港シンガポールというところにはヨーロッパあるいはアメリカ向けの荷物ということに着眼しまして、コンテナのターミナルを整備するということが必要になってくるわけでございますが、その他の地域につきましては、漸次セミコンテナ船といいまして、コンテナの船のほうにクレーンをつけた船で配船しながら、そのコンテナのマーケットを広げていく、漸進的なことで済ませていかざるを得ないのが実情でございます。したがいまして、将来、荷物相当確保できて、コンテナターミナルをつくることによってより効率があがるわけでございますが、かたがた、採算の点が確保できるということになりましたことが見通せるようになりますれば、おっしゃるとおり、コンテナ基地東南アジアの基地にもつくるということが必要になってくるというふうに考えております。
  47. 戸叶里子

    ○戸叶委員 荷物をたくさん扱うか扱わないかによって港の整備のほうも考えていくというようなことでございまして、そこで、ソ連は、このコンテナ船の建造に乗り出す気配というのはいまのところないというふうに聞いておりますけれども、コンテナ運送についてどういうふうな動向であるか、つかんでいらしたら教えていただきたい。
  48. 山地進

    山地説明員 ただいまのところ、コンテナの建造の計画というのは、ソビエトは十八隻ございまして、七一年から七四年にかけまして約十八隻、そのうち、五隻が七百個型を積む予定でございます。そのほかは三百から四百個型の荷物を積むというふうな計画、これは、どういうふうな配船計画であるかはわれわれは詳細は存じませんが、かなり近いところの荷物だけじゃないか、近距離のところじゃないかというふうに考えております。
  49. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ソ連は近距離のを主としてやっておるわけですね。  そこで最後に一つ伺いたいのですが、四十七条で「いずれの締約国も、この条約の改正を提案することができる。」というふうになっているわけです。この改正をするには、「事務総長によるその配布の日の後三箇月以内にいずれの締約国からも異議の申立てがない場合には、承認されたものとする。」というふうにあるのですけれども、そうなってきますと、改正案というのは国会にかけられるのか、かけられないのか、この点をお伺いしたいと思います。
  50. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この四十七条の規定は、いずれの国も提案できる、それをいわば郵便によって各国に配るという形でございますが、それに対して、第二項に「1の規定に従って配布された改正案は、事務総長によるその配布の日の後三箇月以内にいずれの締約国からも異議の申立てがない場合には、承認されたものとする、」と書いてありますので、いずれの国も異議を申し立てなければ、その改正はそのまま承認されたものとして発効するわけでございます。ただ、第三項にございますように「事務総長は、できる限りすみやかに、改正案に対する異議の申立てがあったかどうかをすべての締約国に通告する。改正案は、これに対する異議の申立てがあった場合には、承認されなかったものとされ、いかなる効力をも有しない。」最後に「そのような異議の申立てがなかった場合には、改正は、2に定める三箇月の期間の満了の後九箇月ですべての締約国について効力を生ずる。」こういうふうになっておりまして、一国でもそれについて異議を申し立てれば、この改正の提案は発効しないわけでございます。したがいまして、日本について申しますれば、異議を申し立てないということ、そしてこれは行政府でわれわれとしては、異議を申し立てないという行為、不作為でございますが、これはできるものだと考えております。どこの国もそういうふうになれば、これは発効するわけでございますから、そういうこととしてこれは発効いたすと思います。
  51. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、どこか一つの国でも異議の申し立てがあれば発効しないし、もし異議の申し立てがなければ九カ月後には発効するということになるので、日本としてはたとえば改正を出しても、あるいはどこかの国が出しても、ほうっておけばその改正は通ってしまうわけですね、どこも異議を申し立てなければ。だから、国会にはかけない、こういうふうに考えていいわけですか。
  52. 山崎敏夫

    山崎政府委員 そのとおりでございます。ただ、そういうふうな性格のものでございますから、もちろんここでいうような改正はきわめて技術的なものであり、かなり重要なものであればもちろんどこかの国も異議を申し立ててくるかもしれない。日本も異議を申し立てるかもしれない。この手続によりますれば、国でも異議を申し立てればその改正はだめになるということになってしまうわけでございます。
  53. 戸叶里子

    ○戸叶委員 国民はどういうふうな形でこれが改正されたかということを知るすべがないわけですね。どうせこれに関係のある人たちのところへは通告が行くからわかるでしょうけれども一、一般は官報でも見なければわからないというようなことになると思うのです。どうしてこういうふうな条項を入れられたのでしょうか。何か理由があるのでしょうか。
  54. 山崎敏夫

    山崎政府委員 どこの国も異議を申し立てないでこの種の改正が発効いたしました場合には、先生御指摘のとおり、官報に外務省告示をもって国民にお知らせすることになると思います。もちろん官報のそういう告示は一般の人はあまり見ることはないかと思いますけれども、役所の手続といたしましては、それで一応国民にお知らせしたことになるわけでございます。  それからなぜこういう仕組みになっておるかということでございますが、この条約をつくりましたのは欧州経済委員会でございまして、当時は日本は直接これに参加いたしておりませんけれども、このごろはオブザーバーを出しておりますが、その事情はつまびらかにいたしません。しかし、国際条約の作成手続として、非常に技術的な改正につきましてこういうふうな規定を設けることは、実は先例もあるわけでございます。私がその点につきまして調べました条約では、すでに国会の御承認を得ておりますが、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約というのがございますが、これにやはり同じような手続が書かれており捜す。
  55. 戸叶里子

    ○戸叶委員 こういうふうな手続の方法をとるというのは、それほど重要な内容のものでないから手数を省いて簡単にするためにという意図をもってつくられたのでしょうか。その辺のところが私どもちょっとわからない。たとえば条約を改正するときには一応国会にかけるなり何なりするのが筋じゃないかというふうな考えを私たちは持っているものですから、こういうふうな形をとったことは了解に苦しむわけなんですけれども、どうなんでしょうか。
  56. 山崎敏夫

    山崎政府委員 こういうふうな簡易手続をとっておりますのは、要するに国際社会が非常に複雑になりまして、加盟国もふえ、また非常に技術的な条約の改正を必要とする事態も予想して設けたのでございましょうが、もちろん条約のかなり実質的な改正あるいは大改正の場合には、これは別の手続によるべきでありまして、この条約におきましても、その前条の四十六条には、この条約の効力発生のときから三年を経た後には、この条約を検討するための会議を招集する手続が書かれております。したがいまして、そういう根本的な改正というふうな場合には当然そういう検討会議を経て新たな条約がつくられることになるのであろうと思います。そうなれば、もちろんわれわれが引き続きそれに加入する必要が生じました場合には、そういう改正条約はあらためて国会にお出しして御承認を求めることになると存じます。
  57. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私の質問は、これで終わります。
  58. 田中榮一

  59. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 先輩議員の戸叶議員からお尋ねがありましたので、重複を避けて若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。  コンテナー条約並びに国際道路運送手帳に関する条約の中で、いまそれぞれお尋ねに対してお答えがあったわけでありますけれども、国連経済社会理事会の傘下にある欧州経済委員会、すなわちECEが一九五六年五月十八日にジュネーブにおいて本条約を作成し、最初の五カ国が批准をされて、一九五九年八月四日に発効をして、現在加盟国三十五カ国だということを配布いただきました資料で承知いたしておるわけであります。  そこでまずお尋ねいたしたいのは、ヨーロッパ中心にして、アメリカが加入して三十五カ国になっているわけでございますけれども、先ほどの答弁によりますれば、欧州諸国の中で共産圏の諸国も大かた参加をされておる。しかしコンテナ船建造に入っているソビエトが今日なお加盟していない。こういうことでありますけれども、この条約発効した場合、たとえば日本コンテナ船が、先ほどお話のありました沿海州沿岸の港にコンテナ輸送した場合、ソ連の大陸をこのコンテナが通過するということを想像した場合に、加盟していないソ連が、一体、日本コンテナに対して、こういう条約上の特権を認めてくれるのかどうなのか、やはりソ連も加盟しなければこれは適用にならないということなのか、その辺明らかにしていただきたいと思います。
  60. 山崎敏夫

    山崎政府委員 お答え申し上げます。  現在、仰せのとおり、ソ連はこれに加盟しておりません。われわれとしては、ソ連もこれに加盟してくれることによって、ソ連の港を通じてヨーロッパへの荷物がスムーズに動くことを非常に希望するわけでございますが、いまのところ、ソ連がこれに加盟するかどうかということについては、承知しておらないのでございます。
  61. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私のお尋ねとちょっと違うのでありまして、ソ連が加盟していないことは承知をいたしておるわけであります。その場合、先ほど説明がありましたように、沿海州の沿岸に、ナホトカの近くに何とかという港をつくってコンテナ施設をやろうとしている。船も、三百、五百、七百型、いずれも運ぶような十数隻の船を建造中だ。したがって、やがてソ連も加盟するでありましょう。しかし私のお尋ねしたのは、そうした港ができて、日本コンテナ船がナホトカの近くの港からコンテナを上げるという場合に、この条約は、ソ連が加盟しない限りソ連国内では適用されないのか。これはあたりまえじゃないか、加盟していないのだからだめだよということであろうかと思いますけれども、その点をはっきりしていただきたいと思うわけであります。
  62. 山崎敏夫

    山崎政府委員 条約のたてまえからいいますと、ソ連は、加盟していない以上はこういう便益を与える義務はないわけでございますから、それをわれわれは要求する権利はないわけでございます。ただ、ソ連が、条約に加盟していないにもかかわらず、そういう免税一時輸入とか保税輸送について向こうの自主的判断で便益を与えてくれるならば、それはわれわれとしては非常にけっこうなことだということでございます。
  63. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 すでに三十五カ国が加盟し、わが国がこれを批准いたしますと三十六カ国になるかと思いますけれども、一体、こういう条約に国際的に加盟をする場合、加盟促進をはかるような機関が国連の中にあるのかどうなのか、あるいはわが国が加盟した暁には、わが国の外交の問題として、ソ連などへ加盟の促進を要請するような運動といったようなものができるのかどうなのか、また、できるとするならば、その意思があるのかどうなのか、その辺は、国連の機関として進める方法、あるいは国連加盟国であり条約に加盟しようとしているわが国としての能動的な働きは働くものなのか、あるいはそんなことは全然やらなくて、各国の自主性にまつというものなのか、外交行政の中ではどのようにお考えになっておられるのでありましょうか。
  64. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この条約は、説明書でも申し上げておりますとおり、欧州経済委員会が中心になってつくられた条約でございます。この欧州経済委員会と申しますのは、現在三十一カ国が加盟しておりますが、ソ連もその欧州経済委員会には入っております。したがいまして、もちろん欧州経済委員会としてはソ連にもこの加盟を呼びかけているのだろうと思いますが、われわれはこの委員会の正式なメンバーでもございませんので、そういうことには直接いままで参加しておりませんけれども、この欧州経済委員会が作成母体となってできたこの条約に加盟した以上は、もちろん欧州経済委員会を通じ、あるいはまた直接にでもソ連にもぜひこれに入ってほしいということを呼びかけることは十分可能であると思います。
  65. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そこで、先ほどの御答弁によりまずと、加盟していないソ連も、わが国コンテナが沿海州沿岸から上陸をした場合には便宜を与えてもらいたいというような希望的な観測であり増したけれども、加盟してなくても便宜を与えると言えば、この非常にコンテナ輸送には恩恵の深い条約が、一体ソ連の判断で同じような恩恵を受けさせることができるというように御判断でありましょうか。それは全く不可能だと私は思うのでありますけれども、条約の性格というものはそういうものでございましょうか。その点、希望的観測ではなくて、いかがでございましょうか。
  66. 山崎敏夫

    山崎政府委員 条約の立場からいたしますと、その点についてはっきりしたことは何も言えないのでございますが、この条約の第二条の最後にも書いてございますが、これは念のための規定でございますけれども、「また、この条約規定を適用しない国から輸入されるコンテナーについても、同様とする。」つまり、便益を与えない権利を有するということになっておるわけでございます。これはあたりまえのことでありまして、条約に入ってない国から来るコンテナについては便益を与えなくてもいいというわけでございます。もちろん日本についてもそういうことは言えるわけであります。ましてや向こうのほうとしてはこの条約の存在をまだ認めないといいますか、あることは知っておりますが、加入してないのでございますから、それについてわれわれが要求する権利はないわけでございます。  ただ、一言つけ加えさせていただきたいのは、これは大蔵省のほうの問題かと思いますけれども、この条約の精神としましては、この最後に署名議定書というのがございますが、署名議定書の第三項に、四五ページでございますが、「条約は、最小限の便益を定めるものである。特定の締約国によりコンテナーについて認められており又は認められることのある一層広い便益を制限することは、締約国が意図するところではない。締約国は、むしろ、最大限の可能な便益を認めるように努めるものである。」こういう精神規定がありまして、わが国としましても、その趣旨を受けまして、非締約国コンテナであっても免税一時輸入を認めるという方向で検討されておりまして、別途大蔵省のほうから提案されております特例法には、それに関する規定があると承知いたしております。
  67. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大蔵委員会の質問に答えて大蔵当局は、いま御答弁いただいたような答弁をされているわけであります。したがって、このケースには二つあって、非加盟国から加盟国へのコンテナの扱い、加盟国から非加盟国へのコンテナの扱いという二通りがあると思うわけでありますけれども、この署名議定書の精神規定といいますか、というようなものの理解、運用によって、非加盟国から加盟国への扱い、加盟国から非加盟国への扱いというのも、精神訓話的に扱うべきだということはわかるわけであります。しかし非加盟国から加盟国へのコンテナの扱いと、加盟国から非加盟国へのコンテナの扱いというのは全く違うと思うのですよ。何となれば、その国が批准をし、加盟をしているならば、これは非加盟国のものであっても同様に扱うという気持ちは当然強いわけであります。ところが非加盟国が加盟国からのコンテナを扱う場合には、加盟国が非加盟国のものを扱うのとはかなり違うと思うのであります。しかしそんな論議をしてもしかたありませんので、わが国関係の深い、貿易の取引の多い、あるいはこれから多くなるであろうというような諸国に対しましては、極力、欧州経済委員会はもちろんのことでありますけれども、批准をするわが国も当然積極的な働きかけをすべきだというように思うわけでありますが、もう一度念のため御答弁をいただきたい。
  68. 山崎敏夫

    山崎政府委員 仰せのとおり、われわれはこの条約に加盟いたしました以上は、ソ連経由のコンテナ輸送も今後の現実の問題になってくるわけでございますから、われわれとしても欧州経済委員会を通じ、できるだけまた直接にソ連に対して本条約に加盟するように働きかけたいと存じます。
  69. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 第三条によりますと、輸入後三カ月以内に再輸出されなければならないという規定がございまして、それ以上時間が経過した場合にはこの条約は適用されないということになるのですけれども、この三カ月というのは一体何から起算して三カ月というのですか。根拠じゃないのですよ。たとえばきょう三月十九日から起算いたしますと、四月が三十日、五月が三十一日というように合わせていくと、満三カ月というのは一体国際的にはどういう解釈をするのでありましょうか。三カ月という基準、たとえば一月一日から三カ月といいますと九十日でありますけれども、七月一日から三カ月といいますと九十二日になる。月でいくと大の月、小の月ございますから。非常にこまかい話でございますけれども、国際慣行上たびたび使われておると思うのでありけれども、この三カ月というのは何を基準におやりになるのでございますか。
  70. 山崎敏夫

    山崎政府委員 仰せのとおり条約には三カ月でとか三カ月以内、いろいろそういう言い方がございますが、そういう場合にはカレンダーで考えるわけでございまして、要するに七月一日に入ったのであれば十月一日になりますが、十月一日までということで、要するにそれに当たる日でございます。だから条約の場合で九十日というふうに書けばはっきり九十日を数えるわけでございますが、三カ月とか一年というような場合にはまさにそれに当たるカレンダーで数える、カレンダーで見るということでございます。
  71. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうすると、七月一日の場合は九月三十日じゃないですか。十月一日ですか。
  72. 山崎敏夫

    山崎政府委員 これはコンテナの輸入の日でございまして、ここのところはごく実務的なものでございますが、条約発効なんかの場合にはまさに先生のおっしゃった点が非常にこまかく問題になります。われわれの普通の解釈といたしましては、何々の日から三カ月という場合には、その日は起算に含まれるわけでございます。その日から起算されるわけです。そうすればおっしゃるとおり、七月一日から数えるのであれば九月三十日の午後十二時まで、こういうことになるわけでございます。
  73. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 了解しました。  そこでこのコンテナ輸送の実態について、この条約が批准をされればずいぶんメリットがあるということが先ほどからの御答弁でわかるわけでありますけれども、わが国コンテナについてのみ考えますれば、一九六八年アメリカ向けコンテナ船が初めて就航をし、一九六九年豪州向けのコンテナ船が動き、そして七一年欧州向けコンテナ船の就航が予定をされている。こういうように聞いているわけであります。一番問題は、この条約に加盟をしてメリットの多いのは欧州向けのコンテナではなかろうかというように思うわけでありますけれども、いま申し上げましたようなアメリカ、オーストラリア、さらに欧州といった三方面を考えましたときに、欧州向けがことし始まるということでありますけれども、比率といたしましては、アメリカ、オーストラリア、欧州というように分けますとどんな比率になっておりますか、伺いたいと思います。
  74. 山地進

    山地説明員 比率を数えます基準でございますけれども一、コンテナ貨物の量がどれくらいあるかということが一つございます。それで申し上げますと、太平洋岸に四百万トン——ちょっと正確ではございませんけれども、三、四百万トンの貨物が動いております。それからニューヨークを足しますとさらにそれが大きくなるわけでございますが、ヨーロッパ荷物といたしましてやはり三百万トン前後が考えられております。それから豪州がやはり二百万トンから三百万トンの間ぐらいでございます。  それから、そのほかに船腹としてどれくらい動くかということが別にあるわけでございますが、日本船といたしましては、ただいまアメリカ太平洋岸に九はいのコンテナ船、それから豪州には四はいのコンテナ船が動いております。それから欧州には五はいのコンテナ船を就航させる。それからニューヨークには七はいのコンテナ船を就航させようということが考えられております。それから太平洋岸にはさらに三ばいから六ばいの船を近く増配するというふうな計画でございます。
  75. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 コンテナ条約については私のお尋ねしたいことは大体理解できたわけでありますけれども、ここで港湾行政なり海運行政との関連において、この条約批准と同時に考えなければならない一、二点をお伺いしたいわけであります。  先ほど東南アジア諸国のコンテナ荷役施設についての御答弁がございました。わが国におきましても、重要港湾コンテナ対策を終わりあるいは着々と進めているというような状態であることは間違いないと思うわけでありますけれども、このコンテナー条約に加盟をし、いよいよ本格的なコンテナ輸送が始まるというときに、あの荷役施設をフルに使うというような場合にはかなりの労働力を要求をする。しかもそれが短時間に集中的に行なわれるということが一点あると思うわけであります。もう一点は、港湾における荷役施設が完備をいたしましても、内陸部のコンテナ輸送につきましては道路あるいはコンテナを積むトラック、あるいは荷さばきをするターミナル等々においてきわめて不十分ではなかろうか。せっかく条約は批准をし、加盟をし、恩恵を受けることになったけれども、わが国がこれをコンテナ輸送として完全に消化をする場合には、その労務対策において、その労働力の確保において、その輸送の技術、方法あるいは設備において、きわめて不十分だというように考えざるを得ないわけでありますけれども、運輸省として、この条約批准に伴うコンテナ対策といったようなものはいかがになっておられましょうか。
  76. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生の御質問でございますけれども、仰せのとおり、わが国の主要な港につきましてコンテナ施設は配船計画に合わせるように着々準備してございますし、港湾の扱いから見ますと、支障のないようにということでつとめてございますけれども、先生の御質問は二点あろうかと思います。まずコンテナターミナルの港湾荷役の労働問題でございますが、現在稼働してございますコンテナヤードと申しますと、一つコンテナのバースにクレーンが二基というのが一応一般的な基準でございますが、現在これを動かしておりますのは、クレーン二基に対して三人運転手が張りついておる。それからなお、ヤードの運営形態によりますけれども、いわゆるストラッドルキャリアと申しまして、コンテナを抱いて移動させる、そういうものが一つのバースに大体五台。これは一台について運転手が一人おりまして、五人。これが基本的な人の配置でございますが、一つのヤードにはこれを二組用意してございます。したがいまして、これは休憩時間、勤務時間の状態はまちまちだと思いますけれども、大体この二組が交互に勤務するということに相なろうかと思います。それからなお、現在の状態を見ますと、ウィークリーサービスということばがありますように、大体一週間に一隻入ってくる。多い場合には二隻来るということも間々ございますけれども、その間はクレーンの運転手は、一隻来た場合はフルに動きます。あとの間はクレーンの点検とか修理とかいうことをやっておるわけでございます。したがいまして、荷役が集中する、船が着いたときは集中いたしますが、その他のときは比較的余裕がある、そういうふうな状態でございまして、この要員の確保その他につきましては、現実に荷役業者と申しますか、そういうところで事前にいろいろ訓練するなり何なりして要員の確保につとめてございますし、現在の時点ではそれほど大きな問題ではなくて、順調に対応しておるというふうに理解してございます。  それからなお、後者のインランドデポの関係でございますが、御指摘のございましたように、港頭地区と内陸部との連絡輸送をいたします道路の強さの状況とも関連がございますけれども、普通の状態でございますと、トラックで小口の貨物を港頭部、港に集めましてそこでコンテナに詰めるというような状態でございますし、あるいはまとまった貨物でございますと、一つの工場からコンテナに全部まとめて入れてそっくり持ってくるというケースもございますが、第三のケースとしまして、ただいま御指摘のございましたように内陸部の工業地帯と申しますか、そういう場所では、やはりそこでまとめて港頭部に輸送するという形態が起こってきつつございます。現在のところではそういう計画が出始めたという段階でございますが、御指摘のように私どもの対応のしかたも、まだ完全にその事実をつかんではございませんし、全国的にどうだという御質問に対しては、まだ不十分な点はございますけれども、場所によりまして、そういう計画のある場合には、私どもとしては、直ちに港と直結する施設でございますので、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  77. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 輸送界の革命といわれているコンテナでございまして、決してわが国先進国ではございません。船そのものも、コンテナそのものもこれからという段階でありますときに本条約が批准をされるわけでございますから、鋭意勉強されて、おくれないような御配慮をお願いいたしたいと思うわけであります。  そこで、この条約によりますと、国産コンテナの輸出の振興にもなる、こういう説明がございまして、コンテナの中に入れた貨物が非常にぐあいよく扱われるということがメリット一つで、国産コンテナの輸出にも貢献する、こういうことが書いてあるのです。したがって、コンテナの構造につきましてもいろいろな規制がなされております。わが国コンテナの製造、これは通産行政でございますので、ここでお尋ねしてもおわかりいただけるかどうか明らかではありませんが、一体世界コンテナ需要というのは自国産のものでまかなっているのが多いのか、あるいは主たる生産国はアメリカであるのか、一体どういうコンテナそのもの、あの箱そのものの実態になっているか、どなたかおわかりでしたら御答弁を願いたい。  同時に、わが国コンテナの輸出にも非常にぐあいよくなるというようなことが書いてあるのですが、わが国コンテナアメリカコンテナに追いつき追い越して、国際市場に雄飛できるような条件にあるのかどうなのか、この辺教えていただきたいと思います。
  78. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 大体自国産というのが多いのでございまして、わが国では昭和四十三年ごろから本格的に生産に入りまして、現在四十四年度で約百五十億円ほどの生産をあげております。輸出のほうは約六十六億円、四四%くらいに当たっております。値段のほうも一大体ヨーロッパ並み、米国よりは約一割くらい安いくらいでございまして、これからの輸出増進という点では大いに希望が持てる、こう思っております。
  79. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 たいへん力強い答弁で、けっこうだと思いますが、もう一点関連して伺いたいのは、アメリカがベトナム戦争その他に軍需品を運んでくる、しかし帰りが全く荷物がないということで、きわめて激烈な過当競争が続いているということも聞いているわけであります。軍需品を満載したコンテナ東南アジアに来て、一部分は日本にも上がるでしょうし、沖繩にも上がるでしょうし、ベトナムにも上げる。しかし帰りがからなものですから、日本貨物をねらって激しい競争が行なわれているということも聞いているわけでありますが、軍需品を行きに持ってきたアメリカコンテナ帰りにどういう行動に出ておられるのか、この辺、どのような把握をされておりましょうか。
  80. 山地進

    山地説明員 御指摘のとおり、米船は非常に軍需品に依存する運航形態をとっておりまして、いま米船の全コンテナの荷動きに占める軍需品の比率は、大西洋において九・五%でございます。それから、日本だけではございません、極東向けの全コンテナ荷物のうちの四三%だと記憶いたしますが、相当高い量が軍需品であるというふうに理解しております。それから、そういった軍需品のバックを受けまして、米船の積み取る全コンテナにおけるシェアでございますが、大西洋でも太平洋でもいずれも六〇%になっております。御指摘の帰り荷物についての、からのキャパシティの利用ということについては、米船はきわめて積極的でございまして、今後の日米航路の安定という問題からは非常に重大な問題であろうと思っております。先生の御質問の、帰り荷物をどうやって取っているかというのは、東南アジア荷物とそれから日本荷物、両方とも非常に積極的に集荷しているというのが実情でございます。
  81. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ここでベトナム戦争論議をやるつもりはございませんので、説明を了といたしますが、最後に、先ほど叶委員質問に答えて、国際道路輸送手帳の問題でありますけれども、この条約によりますれば、保証する機関として各国内に保証団体を設立をし、手帳の発行と保証をする、こういうことになっておるわけであります。戸叶委員がかなりしつこく片手落ちではないのかということでお尋ねをしたんですが、なお明らかになっておらないと思うわけであります。この大蔵大臣認可をする民間団体国際団体に加盟している団体であることが望ましい。国際団体といえばいろいろあるけれども、輸送関係団体としては国際道路輸送協会なるものがある。この国際道路輸送協会に入っている国内団体としては日本トラック協会がある。したがって申請を待って認可をするとはいっておりますけれども、大蔵省がほぼ予想しているのは、この日本トラック協会が手帳を発行し保証をする民間団体になるだろうというように思うわけでありますけれども、そう思って差しつかえないかどうか。それは民間団体から申請を待って認可するんだからあれこれ言えませんというのか、あるいはすでにそういうものを予想されておられるのか、大蔵省から御答弁をいただきたい。
  82. 片山充

    片山説明員 先ほど認可の基準といたしまして三点申し上げたはずでございまして、その第一が先生御指摘のような国際団体への加盟ということでございます。それからその国際団体関税内国消費税についての保証契約を結ぶというのが第二点でございます。第三番目には、TIRカルネの発給業務その他いろんな業務がございますけれども、それを適正に遂行する能力があるというのがございまして、これは非常に抽象な規定でございますので、具体的にはどうなるかはこれから詰めていかなければならない問題でありますけれども、たとえば実際にカルネの発給の需要が出てまいりますれば、おそらくは主要港湾においてだろうというふうに思います。そういたしますと、そういった主要港湾にそういう需要にこたえるための組織を持っておるというようなことが、さしあたって具体的な要件になってこようかという気がいたすわけでございます。おっしゃいましたIRUへの加盟団体は全日本トラック協会でございますけれども、これは港湾その他にはそういう施設を持っていないというふうに承知いたしております。  それからなお、もう少し正確に申し上げますと、IRUと、そのほかの一五%ばかりのシェアになりますけれども、それを分担しております団体といたしましてFIA、AITという二つの団体がございます。この両団体に加盟いたしておりますのは日本自動車協会というのがございます。略称JAFと申しますけれども、これは自家用自動車の一時輸入の場合の保証業務、カルネの発給その他の保証業務を現在も行なっております。現状はそういうことでございますので、先ほど私も申し上げましたのですが、IRU——大部分のシェアを持っておりますIRUへは全日本トラック協会だけでございませんで、そのほか道路輸送関係いたします団体あるいは会社も含みますけれども、加入できることになっております。おそらくそういう条件もお考えになりながら、いま関係者の間で検討が行なわれておるというふうに承知いたしております。
  83. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 やや具体的になってきたわけでありますけれども、一体この指定団体になればどういうメリットがあるのか。仕事はたいへんきびしい仕事でありますし、そうして保証もしなければなりませんし、かなりの団体でなければやれないことはわかります。しかしその団体に指定されればどういう利益があり、どういうもうけがあるか。もうけがばく大となれば、みつに寄るアリのごとく関係団体が押し寄せてくると思う。なに、手間がかかって何ももうけはないのだということになれば、いやがると思うのです。これはもう当然です。一体これは利権にからむようなことがあるのか。たいへんうまみのある仕事なのか。それともやっかいばかりでたいしたメリットがないのか。よく条約だけではわかりませんので、これは実務をやるようになるとたいへんな利益があるのかないのか、一体その辺はどうなんですか。
  84. 片山充

    片山説明員 たいへんむずかしい御質問でございますが、仕事の性格はすでに御承知だと思いますけれども、むしろ公共的な色彩が強い。したがってそんなにもうけになる、利権につながる、あるいはもうかるといったような性格の仕事ではなかろうと思います。われわれのほうで承知しておりますデータで、やや不確実ではございますけれども、現在IRUに入りまして、フランス、イギリスその他では、この種の団体が同種の業務を行なっておるわけでございます。それのデータによりますと、IRUがまずカルネを発行いたしまして、それを購入いたすわけでございます。購入という形をとりますのは、これは分析いたしますと、もちろん手帳でございますから手帳の印刷費その他の経費をカバーしなければならない。そのほかに、先ほど申しました立てかえ払いではございますけれども、やはりいろいろな事故によって回収ができない。立てかえた関税、内国税その他の経費を回収できないというケースがございます。いわばこれは保険に近いような業務かと思いますけれども、それをカバーする経費を、売るという形で回収をIRUはいたすわけでございます。これは手帳が二種類ございまして、経由国が一カ国であります場合は六枚つづりでありますが、六枚つづりのカルネは約六百円弱、それから二カ国以上の場合は十四枚つづりでございますけれども、これもやはり五百九十円弱、先ほどのは五百七十円弱ぐらい、それくらいの価格で購入をいたしまして、それにいろいろな手数料その他をカバーいたしますものをプラスして最終的な需要者に売るわけでございますが、フランスの例、これは少し資料は古いかと思いますけれども、六枚つづりのほうを八百円弱、十四枚つづりのほうを九百円弱ぐらいで売っておる。それからイギリスでは六枚つづりのほうを千円強、十四枚つづりのほうを千三百円弱ぐらいで売っておる、そういったような業態であると承知いたしております。
  85. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これはやりようによっては非常に妙味のある仕事でございますね。したがって、これは大蔵省が民間の申請を待って指定をし、認可をするわけでございます。この申請認可仕事を始めるという段階で、これは国民一人一人が知悉する問題じゃないのですね。どういう方法で公募するか知りませんけれども、大体こんな条約関係をしてきて、外務でも審議をし大蔵でも審議をし、私は運輸に所属しておりますけれども、運輸でも出張ってきて、ものを言うなんということは非常に珍しいケースということじゃないのですけれども、関係するところの多い条約だと思うわけなんです。特に今後飛躍的に発展するであろうコンテナ関係しての問題だということになれば、コンテナ輸送の革命だといわれ、内陸コンテナ基地等もハイウエーの沿線には日本でもつくられ、港湾の延長だというような解釈もあるわけでございますから、おそらくこれはいろいろな問題に発展をするであろうというように思うわけでございます。したがって、邦貨に換算をして、フランスでは八百円から九百円である、イギリスでは千三百円だということになってきますと、わが国では一体どのくらいに売るのが適当とお考えになっているのか。仕入れ原価はきまっているわけですね。国々によって売捌価格は違ってくるということになってくるとかなり弾力性のある、含みのある仕事だというようにも解釈せざるを得ないわけでございますが、この辺の指導はどうなさるおつもりか。同時に、この団体が自主的に運営をすることになって、もうかりもしないけれどもとんとんにはいくだろうというようなことならば助成をする必要はないと思うのでありますけれども、大蔵省はこの団体に対して助成する意思があるのかないのか、運営をしてみて赤字ならば助成をしますというのか、あるいは赤字にならぬように運営をせよという指導をされるのか、あるいは不当なもうけはいかぬというような指導をされるのか、その辺はいかがでございましょうか。
  86. 片山充

    片山説明員 まだ実はその辺のお尋ねのこまかなことにつきましては、われわれのほうとしても具体的には詰めていないわけでございますけれども、先ほど申し上げました数字に若干補足して申し上げますと、先ほどのはヨーロッパの国の場合でございまして、わが国の場合にはおそらくそれに郵送料その他を若干積み増しをしなければならないような状況にあるのではなかろうかと思います。  そんな状況も考えまして、おそらくは海運関係者あるいは港湾関係者、そういった関係者がむしろ公共的な性格の強い仕事として運営をされていくのではなかろうかというふうに想像いたしております。
  87. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 最後に政務次官がいらっしゃいますから見解を伺うわけでありますけれども、いま御答弁いただきましたように、あるべき姿というのは、この団体の指定にあたっては大蔵、外務、運輸等が緊密な連携のもとに行なわれなければならぬというように思うわけでありまして、運用いかんによっては妙味のある仕事であるし、あるいは運用いかんによっては手間ばかりかかってどうにもならぬ仕事であるというようにもなると思うわけであります。したがって、次官会議等ではもちろんのこと関係各省の緊密な連絡の上に、いやしくも不当な利潤を追求するだとかあるいはこの申請、指定をめぐってトラブルが起きるだとかいうようなことはあってはならない問題であると思うわけであります。次官の見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  88. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま大蔵省のほうからも御答弁がございましたように、私どももできるであろうそういう保証団体は公共的なサービスをする性格が望ましいと思います。その意味におきまして、これからの実際の審査に当たりましては御注意の点十分配慮してまいりたいと思います。
  89. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 終わります。
  90. 田中榮一

  91. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 コンテナ輸送の国際的増加ということにつきましては、近年大きな話題になっておるわけでありますけれども、この条約わが国が参加するということになりますと、このコンテナ輸送を円滑にするのみならず、かなりコンテナ輸送に対する加速度的な役割りを果たすのではないか、このような考えがあるわけなんですけれども、この点についてまず冒頭にお伺いしておきたいと思います。
  92. 山崎敏夫

    山崎政府委員 仰せのとおりでございまして、この条約に入りますことによりまして、コンテナ輸送が非常に容易になると思います。ことにヨーロッパに対するコンテナ船の配船がことしの秋ぐらいには始まるということになりますと、ヨーロッパ方面へのコンテナの利用が非常にふえるわけでございまして、その意味ではこの両条約への加入がコンテナ輸送を大いに促進する。さらに先ほどからもお話が出ておりますように、この条約に基づきましてわが国の国産のコンテナ条約上の承認を受けるようになりますと、コンテナ自体が売れる、ヨーロッパにも売れるしアメリカにも売れるということになりまして、その面でも輸出がふえるという意味でこの条約メリットは非常に大きいものと私ども一は考えております。
  93. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 コンテナ輸送が増大するということになりますと、年々その関係国間における新しい問題等が出てくると思うのですけれども、この点につきましては先ほど同僚議員から御質問がありましたので割愛をしたいと思いますが、同時に国内行政との関連というものを見のがして考えるわけにはいかないのではないか。この条約に対してわが国が批准をするということにつきましては当然関係各省との連携があったと思うのですけれども、その関係各省の感触なり意向というものを外務省はどのようにつかんでおられるか。もしあれば伺いたいと思います。
  94. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この条約ヨーロッパの経済委員会でつくられた条約でありましたけれども、こういうふうな条約に加入することはもともとわれわれとしては望ましいと考えておりまして、ただコンテナ輸送が始まりましても、先ほどからお話のありましたようにアメリカとか豪州向けの配船の場合には、この条約に加入しても必ずしも多数国間を通過する輸送というものがないわけでありますから、特に大きなメリットがないということで、いままで関係各省でも差し控えておられたんだと思いますが、いよいよヨーロッパへのコンテナ船の配船という問題が現実の問題となりまして、関係各省とも御相談しましたところ、非常に積極的にやっていただけるということで、この条約関係各省の意見がぴったり一致しまして、今回これをお出しするようになった次第でございます。むしろ実はこれを今国会で御承認いただいてすぐ承認手続をとりましてやりませんと、秋には間に合わないというような事態になっておる次第でございますので、その点は関係各省とも非常に積極的にこの問題については取り組んでおると承知しております。
  95. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 わが国輸送事情を見てみますと、大体コンテナ輸送は全体の輸送量の約四、五%、百万トン前後ではないかというふうに認識をしておりますが、これはコンテナ輸送そのものがまだ国際的にそんなに大きなウエートを持っておるとは考えられない。しかし私自分で経験した立場から、コンテナを使用しての輸送というものは非常に不可欠のものであるという品目がかなりふえておると思います。こういった面から今後コンテナ輸送に対する需要がどの程度起きてくるか、これはどの程度見通しを持っておられるか。
  96. 山地進

    山地説明員 いまの先生の四、五%あるいは百万トンくらいじゃないかという御指摘でございますけれども、先ほど申し上げましたように、日本中心として北米ヨーロッパ、豪州をトータルいたしますと、わが国とそれから豪州なりヨーロッパなりのコンテナになる荷物でございますが、これは二、三百万トン流れると見通されておるわけであります。したがいまして、それらにつきましては、かなり貿易の伸長に見合った伸びがあるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。
  97. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 コンテナ輸送の増大ということは、コンテナ輸送におけるメリットがあるからだんだんふえていくのだと思うのですけれども、このコンテナ輸送メリットというのは、運搬される品物そのものが非常に安全に保護されるという面と、これはポートからポートだけではなくて、ポートでばらさずにそのまま国内に搬入される、搬入されたものがすぐその地点からポートに返るのではなくて、国内の他の地点を経由してそしてまたあるポートから輸出をされる、こういうケースもあり得るのではないか、そのためにコンテナ輸送メリットというのはだんだん拡大されているのではないか。私は、単純に二点考えられるわけですけれども、さらにメリットとしてあげられる点があればお伺いしたいと思います。
  98. 山地進

    山地説明員 御指摘のように、いろいろなメリットがあるわけでございますが、私どもが普通考えますときに、まず、コンテナに入れますと、普通の船荷のときと違いまして、包装が非常に簡易化されるということ、それから盗難とかそういったことが非常に少なくなる、それから、港湾におきまして荷役するときに、雨が降ったり何かする悪天候の場合でも荷役ができるというようなことは、荷主のほうに非常にメリットのあることでございます。たとえて申しますと、トランジスターというようなものの場合に包装費が八〇%も減ったとかいう例もございますし、米国の統計によりますと、包装費の四〇%が節減されるというような例もございます。それから船主サイドのほうでは、港湾の荷役時間が非常に短縮されるということ、これは港湾の労働関係でございますが、一人当たりの荷役作業の能率というのが四、五十倍になるというような統計もございます。それから船員費でございますが、船の回転率が非常に高くなりますので、一隻当たりの——一隻といいますか、運賃収入当たりの船員費というのは、非常に低減するわけでございます。さらに、御指摘のように、内陸から内陸というような点で陸上運賃を考えますと、アメリカにおきましては、鉄道輸送におきましてはコンテナのレートというのが非常に安くなる場合が多うございます。そういった点がさらに荷主のメリットとして加わってくるというふうに考えております。
  99. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 そのコンテナの規格が問題だと思うのですけれども、天地八フィート、左右八フィート、長さ五フィートぐらいのものから長さ四十フィート程度のものまである。小型のものであればさほど問題ではないと思います。ただ、四十フィートになりますと、これを積むトラックは三十トン級でなければそのコンテナは積めないのではないか、このように思いますが、天地、左右八フィート、長さ四十フィートのコンテナがたとえば横浜に持ち込まれた場合に、それを国内で運搬をするトラックがはたして間に合うのかどうか、こういった点が非常に疑問でございますけれども、いま現在二十五トン級以上のトラックは何台くらい国内にはございますか。
  100. 山地進

    山地説明員 ただいま八フィート×八フィート×四〇フィートのコンテナはトレーラーによって運搬されておるわけでございますが、これらのものはわが国に七百九台ございまして、京浜地区には三百十八台、それから関西に三百七十八台、その他清水とか中京に若干ございます。  これらのものが十分かどうかの点でございますが、従来日本コンテナは二十フィートというものが大宗を占めておりますが、今後は四十フィートの大きなものに転移すると思います。したがいまして、こういったトレーラーというのは逐次その情勢に合わせて整備する必要があるというふうに考えております。
  101. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 米国国内基準でも四十フィートは認められておりますね。また欧州でもそのようなものが認められております。それで、いま答弁がございました二十五トンのトレーラー、これは三十フィートまでしか積めないと私は認識しておりますけれども、もし最大級のものが持ち込まれた場合には三十トンでなければ運搬できないのではないかと思いますが、三十トン級のトレーラーは何台ぐらいありますか。
  102. 山地進

    山地説明員 ただいま申し上げました七百九台といいますのは、四十フィートのものを運ぶに適するトレーラーでございまして、三十トン以上のものが積めるというふうに御了解いただきたいと思います。
  103. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 これから日本がいろいろな展覧会でありますとかまたはいろいろ文化交流等の促進をされまして、音楽会、演奏会等が開かれるようになりますと、この四十フィートのコンテナを使って大道具ですとかまたはいろいろな展示物が搬入される可能性はずいぶんあると思うのです。これがもし羽田へ着いて、全国的にエキシビションの企画があった場合に、全国をコンテナのままで輸送できるという点に非常に大きなメリットがあるのではないか。これをばらして一々運搬するのは非常に困難である、こういうことになりますと、この三十トン級のトレーラーが通行可能な道路というのは非常に制限があるのではないか。  初めに、東名は通れますか。
  104. 山地進

    山地説明員 ただいま道路法の改正を建設省のほうで準備されておるわけでございますが、現状におきましては、道路法に基づく車両制限令というのがございまして、トン数につきましては、重量二十トン以上のものは特別に認可する特認ということで、経路を一々申請いたしまして、この経路の道路は相当の重量に耐えるかどうかということを道路管理者のほうで検討いたしまして、特別の許可を与えた路線についてだけ走れるというのが実情でございます。ただし、建設省といろいろ私どもも話し合いをしておるわけでございますが、それによりますと、今度道路法の改正をいたしまして制限令の制限を大幅に緩和するということを計画中でございますが、それが実現いたしますと、高速道路につきましては三十四トンの、つまり四十フィートのコンテナが運べる、これは許可なくて運べるということになると私どもは聞いております。
  105. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ここで山崎参事官に伺うわけなんですけれども、そういった国内持ち回りの輸送をする場合に、三カ月間という免税期限が非常に問題になるわけですが、これを越えた場合に、正当な理由がある場合にはこの期限を延長することができる、こういうふうにうたってございますが、この正当な理由というのはどういうことが考えられるのですか。
  106. 山崎敏夫

    山崎政府委員 われわれが想定しております正当な理由というのは、まず第一は、天災のような不可抗力の場合でございます。そのために再輸出できないような場合でございます。二番目に、交通事故等にそのコンテナが巻き込まれて、いたんだとか、その関係のいろいろな手続があったような場合には再輸出が若干延びることはやむを得ないであろう。それから、ちょっと想像しにくいのですが、そのコンテナ自体が盗まれたような場合とか、そういうような場合なんかも含まれると思います。われわれとしては一応そのくらいのところを想定しておる次第でございます。
  107. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 国際見本市等が日本で各所に開かれたとしますと、そのスタートから終わりの期間が百日だとします。ここでそういう十日間の誤差が出てくるわけですけれども、こういった場合にはこの条約の適用はどういうふうになりますでしょうか。
  108. 片山充

    片山説明員 コンテナの再輸出期間と申しますのは、申し上げるまでも一ないと思いますけれども、通常の場合ですと、コンテナの中に荷物を入れて運んでまいりまして、それを目的地まで運んで取り出す。取り出したあとで今度は輸出貨物の積み込み地まで持っていってそこで積み込んで輸出する、こういった仕事が典型的であろうかと思うのでございますが、これが、先ほど山崎参事官のほうからも申し上げましたような理由で、何らかの形で延ばさざるを得ないという事情がある場合には延長を認めるという趣旨でございます。お尋ねの場合にいかがなことに相なりますかは、具体的にケース・バイ・ケースに検討してみなければわからないわけでございますけれども、おそらく見本市のような場合には、百日間コンテナバンを遊ばせておくというのもコストバールな話であろうかと思いますので、おそらくはかのものに転用して、また運び出す場合には別のコンテナを使うというケースが多いんではなかろうかと思っております。
  109. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 たとえばオペラなんかやった場合に、もし日本国じゅうをオペラで回るとします。その場合のコンテナの使用というのは、たとえばある一カ点に一週間、ある一カ点に一週間というように一々港に戻して、次の港に回してそこでスタンバイするというようなケースでない場合、いわゆる国内をそのままで運搬していくというような場合で、あらかじめ当初からの契約が百日というふうになっていた場合は、どういうことになりますでしょうか。いま御答弁になったのは、ここでおろしてまた出すところへコンテナを出して待っている、こういうケースであると思うのですが……。
  110. 片山充

    片山説明員 先ほど申し上げました別途われわれのほうから御提案申し上げております関税法等特例に関する法律の第四条規定がございまして、政令で定める手続をして、税関長の承認を得れば三カ月をこえる期間使用することができるわけでございます。ただいまの御質問はそれの具体的なケースかと思うのでありますが、私、オペラの場合にどういうふうな使われ方がされ、どういうふうな事情があるのか、(大久保(直)委員「大道具をそこへ詰めていくのですよ」と呼ぶ)その辺は具体的にそのケースに当たって検討してみませんとはっきりはわかりませんけれども、私の個人的な感触では、おそらくそういう場合には承認しても差しつかえないのではなかろうかと思っております。
  111. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 最後にお伺いいたします。  先ほど同僚委員からも御質問ありましたけれども、コンテナ輸送が増大するに伴いまして、相手国との関係が一番問題になってくると思うのですけれども、当面ソビエト、近い将来中華人民共和国との問題を考えた場合に、先ほど参事官の御答弁では接触できる可能性はある、そういったことを要望する可能性はあるということでございましたが、もう一歩突っ込んで、やはりわが国としてはかなり積極的にアプローチをしたほうがいいのではないか、すべきではないかという考え方を持っておりますけれども、この点についてはいかがでしょう、ソビエトについて。
  112. 山崎敏夫

    山崎政府委員 仰せのとおりでありまして、われわれもコンテナ化が進むに従いまして、ソ連経由ということも大いに起こってくるわけでございますから、いろいろなチャンネルを使ってやりたいと思います。これは先ほど欧州経済委員会というものが一つの従来からの経過を見ても一番適当な場であろうということを申し上げましたが、こういう問題は国連の経済委員会その他でも取り上げ得る問題でございますから、そういうところでまた議論をし、そういうコンテナ輸送を容易にするために努力する、各国に必要な条約には入ってもらうということをアピールするということも十分考えられると思いますので、関係各省とも相談いたしまして、外務省としても積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  113. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 終わります。
  114. 田中榮一

    田中委員長 曽祢益君。
  115. 曾禰益

    ○曽祢委員 最初に二つの条約関係といいますか、違いといいますか、これをひとつお伺いしたいのです。  私の見るところでは、コンテナ条約のほうは、陸送ばかりでなくて海の輸送と両方含んでいる条約だ。それから国際道路輸送手帳による云々、こちらの条約は、これはもう当然に国際的な道路、陸上輸送だけに関連した問題、そういう違いがあるんじゃないかと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  116. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この二つの条約関係といいますか、違いといいますか、そういう問題でございますが、コンテナ条約は一言で申せば、貨物輸送のための容器としてのコンテナ、その容器のコンテナに対してまず免税一時輸入を認めるということと、それから条約上の承認を得たそういうコンテナが保税運送のために受け入れられるということでございまして、つまりコンテナ条約は要するに容器に主眼を置いたものでございまして、このTIR条約と申しますのは、そういうコンテナによって輸送される貨物、ただしこれにはもう一つ道路走行車両によって輸送される貨物も入っておりますが、要するに貨物に重点を置きまして、道路走行車両または一定のコンテナによって運送される貨物について、経由国の税関において一時輸入に関する税金を納付することが免除される、また税関検査原則として免除されるということでございます。両条約ともあわせてわれわれは今後大いに拡充に努力したいと思っております。コンテナ輸送の円滑化には大いに役立つと思うわけでございます。  それから最後のお尋ねの、TIR条約は陸の問題ではないかということは御指摘のとおりでございますが、ただその途中にフェリー、コンテナないし道路走行車両がそのままフェリーなんかで運ばれる場合はそれも含み得るわけでございます。
  117. 曾禰益

    ○曽祢委員 むろんこのコンテナー条約のほうはコンテナそのものの、要するにいわゆる通関行為の便宜に資する一時無税輸入または無税輸出を認めるということにあるし、第二のTIR条約のほうはコンテナに含まれあるいはその他の特殊の重量輸送形態をとったところの貨物の通関国における免税輸送を認めるということに主があるということはわかっているのですけれども、ただわが国の利益で考えて、この条約わが国が入るそのメリットから考えてみると、コンテナ条約のほうは必ずしも、たとえば日本からヨーロッパに行きますね。大体主としてヨーロッパ諸国がこの加盟国になっているので、むろん中南米も入っていますけれども、それからコンテナ条約のほうはオーストラリアも入っていますけれども、これはやはり日本から海で輸送する、船でコンテナのまま運んで、それでヨーロッパならヨーロッパの港に行って、その国がデスティネーションだ。イギリスならイギリス、ベネルックスならベネルックスで、それらの国々の国内で三カ月以内、最後の仕向け地まで行って、それから別の、そこからの輸出、日本に対する輸入貨物を積んで帰ってくる。そういうときに非常にメリットが多いので、必ずしも日本コンテナが、たとえばロンドン港ならロンドン港に行って、それからさらにハンガリーまで陸送するということがこの条約のおもなるメリットじゃない。それはむしろTIR条約になるのだが、ヨーロッパの中の陸送というものを主にした場合、陸送と実質的に同じような場合が、たとえば英仏海峡をフェリーでやる場合もされは一種の陸送みたいなもので、そこに違いがあるのじゃないか。つまり現実の問題として、片方は日本から特にヨーロッパ諸国にコンテナのまま船で輸送するところにメリットがある。そこから先へヨーロッパの陸路でさらに行くということは、むしろ第二の条約のほうに主としてかかってくる問題じゃないか。そうでなければ、たとえばオーストラリアがコンテナ条約に入っているけれども、こっちのTIR条約に入ってないということの、そればかりじゃないけれども、そういう意味の違いがそこにあるのじゃないかと考えられるのですが、これは外務省だけじゃなくて、運輸省のほうからも説明願いたい。
  118. 山崎敏夫

    山崎政府委員 大体先生の御趣旨のとおりだと思いますが、ただ一つ申し上げたいのは、コンテナ条約コンテナの免税一時輸入だけを認めるわけじゃございませんので、第七条で書いてございますように、税関封印を施して行なう輸送、いわゆる保税運送の制度をコンテナについて適用している各締約国は、一定の基準に合致したコンテナをそのような運送のために受け入れて、かつ、非常に簡易化された承認手続をとるというわけでございますから、そういうコンテナについては、こういう多数の国にまたがる場合にも非常に簡便な手続で保税運送ができるという意味において、このコンテナ条約自体もそういうヨーロッパのような国においては非常に役に立つものだと了解いたします。詳しい点につきましては、運輸省のほうからも御説明願えればありがたいと存じます。
  119. 山地進

    山地説明員 先生の御指摘のとおり、一国だけ船で行きまして、たとえば英国だけに揚げるという場合にもコンテナ条約のほうはメリットがあるし、道路運送のほうも、国際運送のほうは一国だけ揚げるときにはメリットがないというような差は私もあると思いますけれども、ヨーロッパの大陸のほうを経由する場合に経由地を通るわけでございまして、幾つもの国を通るわけでございますから、そういう場合にはコンテナ条約ももちろん適用になるというふうに私どもは考えております。したがいまして、先生の区分けで、一国だけについてだけメリットをあげればコンテナ条約しかないというふうな理解のしかたでございます。
  120. 曾禰益

    ○曽祢委員 コンテナ条約もある船で行った国ばかりでないことは、第七条には特に明瞭に書かれているのですが、かりに船で日本からヨーロッパに行く場合にもこのコンテナ条約メリットがあることは間違いない。そういう点がこのTIR条約と非常に違っているということをぼくは言ったわけです。  第二の点は、ほんとうに日本の場合に、仕向け国が東ヨーロッパの諸国で、たとえばユーゴスラビアなんかやや近い、もっとあれすれば、オーストリアなんかの場合には完全に海のない国ですが、そういうところへ行く貨物の場合には、確かにコンテナの場合でもTIRの場合でも非常にメリットが多いと思うのですが、普通の場合、日本のおもなるヨーロッパの輸出国というものはたいてい船で行かれるので、現実にはこのTIR関係というものはそう多くないように思うのですが、大体それは量的にどのくらいの違いがあるのか。たとえばイギリス、フランス、ベネルックス、ドイツ、イタリアもそうじゃないかと思うのですが、ほとんど船で直接行く場合が多いんじゃないかと思うのですが、第二のTIR条約のほうにどれほどのインポータンスを置いているのか、その点を量的に説明してほしい。
  121. 山地進

    山地説明員 いまの量的なお話で、私ちょっと数字を持っておりませんので、量的に御説明できないわけでございますけれども、いま考えております欧州航路の同盟の寄港地でございますが、これはイギリスとオランダとドイツしか寄港しない。つまり、コンテナメリットといいますのは、たくさんの港を通るということはメリットが下がるということでございますので、共同して港を集中するということをやっております。そういたしますと、たとえばフランスに行くにはドイツで揚げるということになりますし、その他の例が随時出てくるわけでございますから、従来に増して経由地が多くなる。経由地が多くなるということは事実だろうと思います。したがいまして、TIR条約の必要というのは従来に増して必要になるというようにお考えいただきたいと思います。
  122. 曾禰益

    ○曽祢委員 その話はよくわかるのです。たとえば、何といってもロンドン港とハンブルグあるいはブレーメン、それからロッテルダム、そういうようなほんとうに世界的な大きな港、西ヨーロッパといってもそこに集中する。それでまたコンテナでいわゆるメリットがあるんじゃないかと思うのです。そういう意味で了解しておきますが、さっきの同僚委員政府とのあれで伺っていると、たとえば私はソ連がこの中に、当事国に入ることに賛成ですが、一体シベリアを通ってTIRヨーロッパのソ連なりあるいはヨーロッパ諸国に陸路輸送するというようなことがほんとうにメリットがあるかどうかということをちょっと疑いを持ったわけで、こういう質問をしたわけです。その点はどうなんですか。
  123. 山地進

    山地説明員 先生の御質問は、ソビエト経由でヨーロッパに行くメリットがあるかという御質問だといま理解しておりますが、欧州同盟の船でヨーロッパの港から奥地、特に奥地に行く場合の点が、ソビエト経由の陸路経由の汽車で参るやつとどちらが利益があるかということは、まず一つは運賃がどういうふうに設定されるかということ、それから到着時間がどれくらいかかるかということできめられるわけでございます。したがって、実際にソビエトのシベリア鉄道がどれだけの運賃をオファーしてくるかということを確かめませんとわかりませんが、非常にばく然としたお答えで申しわけございませんが、奥地になればなるほどソビエト経由のメリットはあり得るというふうに考えております。ただその前提として、ソビエトのシベリア鉄道が非常に正確に輸送し得るという能力があるということが前提になるだろうと思います。
  124. 曾禰益

    ○曽祢委員 コンテナというのは、日本法律上これはきまったことばになったのですか。どうも何でもかんでもあれする。たとえばトラック協会なんかとよく言っているけれども、そういうときには、幾ら何でも最近日本に外来語がはんらんし過ぎているという感じがするのですが、外務省がコンテナ条約といったようなものについては、すでにわが国の国内法で、法律上このコンテナという新しい品物に対して、はっきりとコンテナときめたのですか。
  125. 山崎敏夫

    山崎政府委員 コンテナということばがだいぶ乱用されておるのではないかというお話もございますが、関税定率法によります鉄道用コンテナということばは、すでに出てきております。われわれはそういうことも考慮いたしまして、今回の条約日本語の正文をつくりますときに、そのまま使っても誤解は生じないということを確認いたしまして、使うことにいたした次第でございます。
  126. 曾禰益

    ○曽祢委員 私はコンテナということばが乱用されているというのじゃなくて、どうも外国語がはんらんし過ぎているから、なるべくだったら日本語にしたほうがいいという意味で、文化的日本主義者だもので申し上げたのですけれども、もっともこれを見ると、フランス語の場合も、あれほど文化的に非常に国粋的なフランスのほうも、条約にコンテネールと書いているのだから、よほど困ったのだろうと思うので、その点はひとつかんべんしましょう。  それから次のTIRのほうですけれども、TIRが何のかしら文字か教えていただきたい。
  127. 山崎敏夫

    山崎政府委員 TIRといいますのはフランス語でございまして、トランンスポール・アンテルナショナル・ルーティエということばでございます。ですから、文字どおり国際道路運送ということでございます。この条約TIRという場合には、この条約の適用を受ける国際道路運送意味するということになるわけでございます。現実にヨーロッパあたりではTIRという、そういう標識を書いた板を張りつけて、トレーラーとかというものが走っておるわけでございます。
  128. 曾禰益

    ○曽祢委員 これもTIRということばは、なるほど見たところは、みんなTIRをつけるのだからいいのでしょうけれども、なぜ条約を正式にTIRのクーポンとか何とかこれは条約には出てこないのですが、カッコで出ているのか。これは、どうしてTIRということを特に強くいわなければならないのですか。  それからも一う一つは、手帳ということばなのか、クーポンということばなのか、どれが正式なあれなのだろうかも、その点も教えてください。
  129. 山崎敏夫

    山崎政府委員 この条約のタイトルに、カッコではありますが、TIRということばを使いましたのは、確かにあまり例のないことだと思います。ただ実はこの条約の正文をごらんいただきますと、そちらのほうにも長い標題のあとに、カッコしてTIRコンベンションということばが入っておるわけでございます。その条約を作成した段階におきまして、略称をそこでいわば定めたのであろうと思います。われわれといたしましては、この条約日本語文をつくりますときに、法制局とも協議いたしたのでありますが、やはり条約の正文にそういうものが書かれている以上、それはそのまま書くべきであろうということで、TIR条約というふうに書いたわけでございます。  それから手帳でございますが、これはカルネというフランス語を訳したのでございますけれども、これについてもたしか先例がございまして、正確なタイトルは覚えておりませんが、自家用自動車の一時輸入に関する条約でやはりカルネということばがございまして、これを手帳と従来から訳しておる次第でございます。
  130. 曾禰益

    ○曽祢委員 それで、いまの自家用自動車の一時輸入のものは何といいましたか、これは昔はトリブティック・アンテルナショナルといった、いまは条約上何というのですか。
  131. 山崎敏夫

    山崎政府委員 フランス語はあまりうまくありませんが、これはフランス語では、カルネ・ド・パッサージュ・アン・ドゥワンヌ、そういういうふうにいっておりまして、これを通関手帳というふうに日本語では使っております。
  132. 曾禰益

    ○曽祢委員 日本法律が、これによって幾つ、どういうものを準備されているのか。これは運輸省ですか大蔵省ですか、幾つかかっているのですか、教えていただきたい。
  133. 片山充

    片山説明員 この両条約を実施いたしますために、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法の特例に関する法律案と申しますのを御提案いたしております。これの特例法関係いたしますのは、関税法、関税定率法がおもなものでございます。
  134. 曾禰益

    ○曽祢委員 関税のほうだけでいいわけですか、日本のあれとしては。日本に入ってきた場合の——全部、これは関税だけになるのかな。たとえばさっきの、こういったようなTIRカルネを発行するような団体に対するような、何か既存の法律の中でできることは別に要らないわけですか、そっちの方面の立法は。運輸省関係だと思いますけれども。
  135. 片山充

    片山説明員 両条約趣旨が、主として税関手続の簡素化でございますので、関係いたしますのは関税法と関税定率法がおもなものかと思っております。御指摘の保証団体認可でありますが、これは先ほど申し上げました法律案の中に十一条と十二条で規定してございます。
  136. 曾禰益

    ○曽祢委員 これで終わります。
  137. 田中榮一

  138. 久保三郎

    久保委員 この二つの条約について二、三お尋ねします。  一つは、この条約が批准されれば、外国のコンテナ日本国内に入ってくるわけでございますが、御承知のように海上コンテナの大きさというか、こういうものは、日本では大体八×八×二〇というのが、標準といっては語弊があるかもしれませんが、大体大勢であります。ところが、この秋開始されるヨーロッパ航路においては、いわゆるヨーロッパ自体では、最近の傾向として八×八×四〇というのが多くなっているわけなんであります。そうしますと、当然日本のものもいままでどおり八×八×二〇だけでは事が足りないようになってくるだろうと思うのです。  そこで、日本国内におけるところの八×八×四〇の運送というか運搬ですね、そういうものに対して、たとえば道路運送車両の保安基準あるいは車両制限令というものの基準というか中身を直すというか、法律を直すこともさりながら、これに合った道路を考えなければいかぬだろうと思うのです。あるいは道路運送ばかりじゃなくて鉄道輸送によることを考えていかなければならぬと思うのでありますが、この条約批准にあたってそういう準備はどういうふうになっているのか。これは運輸省が中心だと思うので、運輸省からお聞きしたい。
  139. 山地進

    山地説明員 現行におきます道路法の車両制限令によりますと、長さが十二メートル、幅が二・五メートル、高さ三・五メートル、重量が二十トン、それをこえるものにつきましては運送経路とともに一々道路管理者の許可を必要とするわけでございます。ただいま建設省におきましては道路法に基づく車両制限令を一部改正いたしまして、特に高さというのが橋梁の高さあるいはトンネルの高さによって支配されるそうでございますけれども、この高さを三・五メートルより三・八メートルに、それから重量におきましては二十トンというものを二十七トンまで引き上げるというようなことを目下計画しているわけでございます。御指摘のとおり、四十フィートのコンテナになりますと重量は二十七トンでは少なくて、三十四トン以上の重量が必要になるわけでございますが、それらにつきましては日本の道路事情が改善されない限り、技術的にといいますか物理的にと申しますか不可能でございます。したがいまして、二十フィートにつきましては許可なく通れるところが非常に多くなったわけでございますが、四十フィートあるいは三十五フィートのコンテナにつきましては従来どおり許可を必要とするということになっております。
  140. 久保三郎

    久保委員 それでは、三十五あるいは四十についてはもちろん現状では道路事情が許しませんから、これを許容する道路にのみそのつど一々許可していくということだと思うのですが、そうなります前に一応日本としましてはもっとスムーズにやる必要があるとするならば、ヨーロッパ各国との航路同盟の中で現状の八×八×二〇を基準にして取りきめていくとか、そういうくふうでもするんですか。そのつどとおっしゃるが、そのつどそんなことを考えていったんじゃなかなかたいへんだろうとわれわれは思うのでありますが、どうなんです。
  141. 山地進

    山地説明員 コンテナ輸送というのはドア・ツー・ドアということになりますと、日本の国内では大きな特に電機関係の工場というようなものを御想定いただくといいわけでございますが、大体工場というものが出発点になるというふうにお考えいただいていいだろうと思うのでございます。したがいまして、コンテナの経路というのは非常に多岐多様にわたるということではございません。かなり定型的な路線を通るわけでございます。したがって、道路管理者のほうに許可を得る場合に、コンテナ輸送会社におきましては大部分こういう経路を通るということを事前に、三カ月なりあるいは今後は六カ月という期間を定めて許可をとるということが可能でございまして、日本へ四十フィートが来たら絶対通れなくなってしまうというのではございません。許可を得ることを前提にするわけでございますけれども、大部分の経路というものは通り得るというふうにお考えいただいていいのだろうと思います。したがって、同盟等で大きさを制限するということでなく、そういうことで不便がないかどうかという船社側の判断で差しつかえないかと考えております。
  142. 久保三郎

    久保委員 ただしそういう道路の事情が急速によくなるわけではありませんから、問題は八×八×四〇のような大きいものはっとめてレールに乗せるとか、そういう方向で指導をしていくということが一番適切だと思うんですよ。もちろんあなたの所管が全部ではないと思うのです。これは自動車局なり建設省というところもありますが、てまえどもはそういうふうに指導していくべきだと思うのです。ただ、道路がいまの道路でも四十のものが通れるからこれを許可していくということは、現況の道路交通の事情からいって必ずしも適切でないと思うのですね。だから方針としてそこらはきちんときめておかないと、国際条約が批准されたあとでがたがたやるというのではあまり上策ではないように思うので私は一言つけ加えておきたいと思うのですが、御意見ございますか。
  143. 山地進

    山地説明員 御指摘の点は、四十フィートのコンテナがやたらに走りまくるということが道路を損傷するあるいは道路渋滞になるというような御見解かと思います。そういう道路の渋滞とかあるいは道路の状態につきましては、道路管理者のほうでこれを十分考慮しながら四十フィートの通れるところについて許可を与えるというのが建設省の方針だと私のほうでは理解しております。したがって、昼間の道路の通過はやめて夜だけ通るというような許可条件を付する場合もあり得るでしょうし、それから道路の工事中は徐行するなりあるいは荷物を減らすなりして、短い区間でございますからそういったような処置もとり得るでしょうと思うので、日本の道路事情、これは構造上並びに通行の量というようなものも勘案しながら四十フィートを通していく以外にはないと私は考えております。  それから鉄道のほうの転移でございますが、これは経費並びに時間の比較の問題がございますので、一がいに鉄道に流すということですべてが解決し得る——もちろんそういったことを十分考慮しながらする必要はございますけれども、それがすべてではないだろうと私は考えております。
  144. 久保三郎

    久保委員 すべてが鉄道に乗るなどとは考えていませんよ。乗るものは乗せるのが原則で、優先的に乗せるように指導をすべきではないか、こういうのが私の主張なんで、誤解のないように指導をしてほしい。  時間もありませんから先へいきますが、コンテナ検査であります。今回の条約は、これはもちろん通関の問題でありますから大蔵省検査をなさることが当然だと思うのですが、ただコンテナの安全性の問題であります。これは将来いろいろな問題が起きてくると思うのでありますが、この面についてはどういうふうなことになりますかお伺いしたい。
  145. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 コンテナを運ぶ場合に、コンテナ船あるいは一般の船の暴露甲板の上に積む、こういう場合に航行上の安全ということを考えまして、コンテナ本体につきましてはその材料、構造、強度、それから表示、そういったことについての基準を四月目標ぐらいに考えたいということで現在、省令を作成中でございます。
  146. 久保三郎

    久保委員 これは当然のことだと思うのでございますが、この条約が通れば批准をされるわけでありまして、そうなると、輸出されるコンテナ検査はこれも大蔵省ですか。それとも運輸省の所管でおやりになるのですか。ものの入ったコンテナあるいは運送に直接使うコンテナの問題は、これはもちろん大蔵省だろうと思うのです、これがからであろうが荷入りであろうが。ところが、いわゆるコンテナそのものの輸出、これも今国会条約でやるわけでありますが、この検査はどちらでおやりになりますか。
  147. 片山充

    片山説明員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、大蔵省、具体的には税関でございますけれども、税関検査をいたしてコンテナ承認いたしますのは、そのコンテナが、物を詰めて運ぶわけでございますけれども、密輸等に使われるおそれがないという基準でコンテナを見まして合格のものを承認いたすわけでございます。御指摘の輸出される場合、これは貨物として輸出されるわけでございますけれども、その場合には、もちろん必要な場合には輸出検査法その他で検査が行なわれるということになろうかと思うのでございますが、そちらのほうは通産省のほうの所管でございます。
  148. 久保三郎

    久保委員 そうですね。通産省で製品としての検査をする。  それじゃ次に参りますが、これは海運局長にお聞きするのがいいかもしれません。いわゆる複合輸送貨物証券の問題であります。これは物はこの条約が通りますれば複合輸送というか、海陸一貫輸送になるわけでありますが、BLのほうは現状ではそう簡単にはいかないと思うのであります。これは当然早晩決着をつけなければならぬ問題だと思うのですが、わがほうとしてはどういう考えをいまなされているのかお聞きしたいと思います。
  149. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのスルーBLの件でございますけれども、一昨年東京でこの関係条約の話がございまして、それからさらに昨年ローマでもやはりやりまして、結局来年の暮れに最終的な条約の採択会議を行なう予定にしております。それはいまおっしゃいましたように、海陸あるいは陸空あるいは海空、そういった一貫輸送ができるような通し荷物証券を発行するということが最終的な目的でございますので、現在そういった二度の会議ではそういった手続関係につきましていろいろな面から検討しているわけでございます。わが国といたしましてもこれは積極的に取り取んでおりまして、これは航空もございますし海運もございますし陸運もございますので、ぜひそういった一貫した通しの荷物証券が発行できますようにわが国といたしましても一積極的な方向で取り組んでいきたい。ただそれまでの間事実上問題がございます。それで現在事実上といたしましては、荷主さんに迷惑のかからないように海運会社が荷主さんに対しましては、荷物を預かったという受領証でございますか、これを使いまして、事実上は荷主さんに対しましては船荷証券と同じような通しでできるというような事実上効果のある手を打っております。あとは内部関係といたしまして、たとえば海運会社あるいは陸上運送会社、鉄道会社等で、責任の分担を内部関係としてきめていくということでございます。将来船荷証券、通し証券の条約ができますと、これはもう外部に対しても内部に対しても一貫して一ぺんで輸送ができる、全部輸送の責任も負えるというふうに相なろうかと思います。  以上現状と見通しでございます。
  150. 久保三郎

    久保委員 いまスルーBLの問題とこの条約との関係でお話がありましたが、さらに総合運送取り扱い人の制度でありますが、これはもはや船荷証券というか貨物証券の問題がお話のようになってくれば、当然次の課題は総合運送取り扱い人の問題が問題になってくると思うのですが、これは政府はどういうふうにいま考えられているか、これは簡単にお答えいただきたいと思います。
  151. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 いわゆるフォワーダーのことかと存じますが、本件につきましては実際問題といたしまして、やはりそういった国際的な一貫輸送を行なう、フォワーダーという一貫運送取り扱い人が出ないとやわにくいと存じます。それでそういった新しい一貫輸送取り扱い人が今後流通の面におきまして育成されるように、これは十分そういった面での準備が必要だと思います。そのためには、まだその法律もございませんけれども、やはり国際的な責任を負いますものですから、事実上のそういった事業者をただほっておくというわけにはいきませんので、やはり何らかの国内的なある程度監督的な規定のある法律をつくって、それでそういったような資格を持つ一貫運送取り扱い業者というものを、免許かどうかまだきまっておりませんけれども、十分監督できるような意味の国内法律措置を近い将来つくる必要があるのではないか、こういうふうに存ずる次第でございます。
  152. 久保三郎

    久保委員 最後に、海運もそうですが、航空、そういうものを通じて隣の中国との関係の問題であります。いわゆる交通、運輸の問題としての中国問題であります。これは今月末にも海運関係の使節団が向こうに渡るそうでありますが、最近中国の海運も今までの様子からはたいへん変わってきているようであります。しかも、適切なたとえでないかもしれませんが、日本佐藤政府がこういう姿勢でいる限りは、日本の隣に座敷があるのに、その座敷にはもはや日本が行ってすわらせてもらえる座ぶとんがだんだんなくなってしまうのではないかという、そういう考えをする人もあります。一番隣でありまして、しかも国交回復というかそういう問題、これは前提でありますが、それに至る問題として、やはり道がつけられるというのが一番先だと思うのですね。そういうのはやはり交通、運輸だと思うのですが、それは佐藤政府の姿勢いかんにかかわらず今日進められつつあるわけなんです。しかもこれがスムーズであるかどうかは別にして、かなりいまの姿勢が障害になっているように見る向きが多いわけですね。たとえば貨物の問題一つとりましても、いま申し上げた海運の問題があります。それからもう一つは航空貨物の問題が先般話題にのぼっております。それから言うならば、途中で立ち消えになったり何かしましたが、たとえばさしあたり臨時便の航空機を飛ばすとかいうような問題もあるわけでありますが、これらに対してどういうふうに考えられておるのか、一ぺんお話をこの機会にお聞きしたいと思うのです。  まさに世界は、いまこの条約を二つ目の前にして、品物は国の色なんかついていないで、どんどん出ていったり入ってくるというかっこうになっているのに、一番近い国が、どうも何か節ができたかっこうでいることは、国民のだれしもがふしぎに思っているし困っていると思うのですね。だから海運のミッションが行くというのでありますから、まあ大臣が行けなければ次官が行くとか、あるいはそうでなければ海運局長があとからついて行くとかして、少なくとも佐藤総理もよく言っているようでありますが、向こうの話も聞いてみる必要がありはしないかと私は思うのですよ。そうして積極的にやらなければ、道も開けないままにいることは、私は国民としてほんとうに残念だと思うし、まあ佐藤内閣に交代してもらえば一番いいのでありますが、あした交代するというようなこともなかなかできないだろうから、さしあたりできることを先にやっていくのが一番大事だと思うのです。いかがでしょうか。
  153. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 北京政府との間にわが国が何がしかの政府協定を今日は結び得ないという事情については、先生も御案内のところだと思います。ただし、私どもも、実務官庁同士の間において、実際のそういう交流についての、特に技術的な障害を取り除くということについての話し合いが行なわれることは差しつかえないことだ、このように考えております。
  154. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、実務官庁同士が話し合うことはたいへんけっこうだ、そのとおりだと思うのです。まずそれから解決しなければいかぬ。  それでは、早速運輸省からそういう話を進めるべきだと思う。向こうでも、日本に向こうの船が来まして——これはみんなトランパーですね、きっと。ライナーではないですから。そういうものの港の使い方自体にも一不満があると思うのです。こちらの要求だけではなくて、向こうにも不満があるのです。不満というと語弊があるが、やってほしいことが非常にたくさんあるようにわれわれは認めているのです。  それから、われわれのほうで、余った船を回すというのは変でありますが、やはりコンテナがだんだんできてまいりますから、在来船というのは多少余りぎみだとわれわれは考えている。そうだとすれば、一番近いところにもっと便利になるように施策をめぐらすというのが当然だと思うのです。  実務官庁同士で話し合いをすることはけっこうだという政務次官からのお話ですから、海運局長、一言いかがですか。
  155. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  海運だけに限りまして申し上げますと、現状は、お話のように、不定期船がお互いに行き来しております。これはあくまでもいわゆる民間べースでやっておりまして、たとえば昭和四十三年を例にとりますと、日本から中国に輸出する物資のうち日本の船が運んでおりますのは約百五十二万トン、全体の六五%で、残りの三五%を中国の船が運んでいるというようなことでございまして、これは随時そういった輸送実績があがっておるような現状にあります。なお日本船会社としましては、四社、五社ばかりが、そういったことで、トランパーでやっております。  ただ、おっしゃいましたように、政府間での話し合いということにつきましては、実は海運関係はどこもそうなのでございますけれども、大体民間のベースで話し合っておりまして、なるたけ政府は干渉しないということがいままでの、日本もそうでございますし、全般的に海運国といたしましてはそういうような政策をとっておりますので、今回使節団が行くというような話を聞いておりますけれども、これも純民間の使節団が行かれまして、向こうでいろいろ向こうの港の事情等見聞する、なおその機会に、向こう側でも、日本のいろいろなことについて問題があれば話し合うということになるかと思いますけれども、これはあくまでも民間ベースでやっておりますので、今後とも、私どもがじかに行くのではなしに、やはり、現在やっておりますのですし、海運の自由ということで、政府が入らないでやっていくということがいいのではないかと考えておる次第でございます。
  156. 久保三郎

    久保委員 なかなか気がねしているようで積極的でないようなことばでもあるようですが、私はこの際やはり交通運輸のほうから先に道をつくるべきだと思っているのです。道は人が行き来すれば自然にできるのでありまして、そういう原理からいっても、やはり隣の国との関係などはそこでやらなければいけないんじゃないですかね。そういう意味では、私はぜひこの機会にそういう意思表明を——別に民間のミッションと一緒に行けとは言いませんけれども、政府部内で、さっきの政務次官の御答弁が政府のお話だと思いますから、もっと勇気を出して、運輸省全体としていらっしゃったほうがいいと思うのです。飛行機の問題もあるし航空貨物の問題もあるし、近い将来やはりコンテナの問題も出てくるのじゃないですか。そうなると結局条約にいま加盟していないようでありますから、条約に加盟してもらう、あるいは二国間条約でも一やらなければならぬ問題が出てくるのじゃないですか。そういうことを十分考えてもらいたいのです。  これはあなたも、きょうは運輸大臣いらっしゃらないから、単独で、それでは私が行きましょうというわけにはいかないかもしれませんけれども、外務省の政務次官がおっしゃることでありますから、もう少し実務官庁は実務官庁らしくドライに割り切って、そうかということで乗り出さないと吹っ切れませんよ。どうですか。  もう一ぺんお答えいただくと同時に、向こうでミッションが——なるほどそうですけれども、船の問題をあなたから聞かなくても、これは民間同士の話し合いでいつもやっておるのでありますからそれでいいのですが、対中国関係はまだそういう状態になってないんですよ。国交回復さえしてないのですから、だからこれはやはり政府が力こぶを入れなければうまくいかない。それから、少なくともミッションが向こう側から聞いてきた、さっきぼくが指摘したような、日本の港あるいは日本との取引で不都合の問題などがたくさんあると思うのです。そういう問題については、政府は直ちにこれを聞いて努力する考えがあるのかどうか、これをあわせてお答えいただきたい。
  157. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  私、海運しかやっておりませんので、航空関係は担当しておりませんので、これは航空も全部含めたものだと存じますけれども、確かにそういうことかと存じますが、海運はとにかくいま現在道が開けておりますのでやっております。しかし今後、おっしゃいましたように一貫輸送の問題等もございますので、そういう必要があるのではないかと存じます。関係の外務当局等と十分御相談しまして検討していきたいと思う次第でございます。
  158. 久保三郎

    久保委員 終わります。
  159. 田中榮一

    田中委員長 松本善明君。
  160. 松本善明

    ○松本(善)委員 TIR条約四条によりますと、例外的な場合や違法の疑いのある場合には税関検査をしますけれども、その他の場合には税関検査を免除するということになっております。  このことに関連して若干お伺いしたいのですが、これはどういう場合が具体的には予想されるのか、どういう場合に行なうということになるのか、その点を説明をしてもらいたいと思います。
  161. 山崎敏夫

    山崎政府委員 このTIR条約につきましては、通関手続を簡易化するということに主眼を置いておるわけでございますが、もちろん乱用を防止するという見地から、例外的な場合に、特に違法な疑いがある場合には貨物の一部または全部の検査を行なうことができる、こういうわけでございますから、まあ具体的に考えますと、コンテナに施されております税関封印に異状が発見された場合とかあるいはコンテナ自体に明らかに損傷が加えられておる場合とか、それからコンテナ承認証明書が偽造されている疑いがある場合などで、特に密輸等の違反があるんではないかというふうな場合に、この検査をいたすわけでございます。
  162. 松本善明

    ○松本(善)委員 武器の輸出入、そういうことに関しては、この検査についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  163. 片山充

    片山説明員 コンテナ条約によります場合には、御案内のように税関でシールをいたしまして、シールがされておりますものにつきましては原則として輸出の検査はしないということになるわけでございます。が、一般の貨物について申し上げますと、これも御案内かと思いますけれども、輸出秩序の維持と申しますか、大体そういった趣旨から必要な限度において検査をしておるというのが現状でございます。
  164. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、このコンテナの中に武器が入っているというような疑いがある場合にはどうなるのですか。
  165. 片山充

    片山説明員 コンテナ条約発効いたしましてそれを運行してみませんとはっきりしたことはわからぬわけでございますけれども、一般的に申しまして輸出の検査というのは、先ほど申しましたように輸出秩序の維持という観点からの検査でございますので、それほど多くのものを見ておるわけではございませんで、たとえば減免戻税という制度がございますけれども、そういうものは輸出したという事実に基づいて関税なりあるいは一部内国消費税を減税をしたり戻税をしたりするわけでございます。そういうものを主体にして現在は検査をいたしております。
  166. 松本善明

    ○松本(善)委員 私がよく聞いていなかったのかどうかわかりませんが、武器が入っているというふうに思われる場合には、これは黙って通過さすと、こういうことですか。
  167. 片山充

    片山説明員 輸出につきましては、一般的にまあ武器でございますと、銃砲等の取り締まり関係法律規定で、携行したりあるいは運搬したりするのが規制をいたされますし、そのほかに輸出貿易管理令というのがございまして、そこでやはり通産大臣の書面による承認を必要とすることになっておると承知いたしておりますが、税関といたしましては、そういったほかの法令で踏むべき手続がちゃんと踏まれておるかどうかというチェックはいたします。
  168. 松本善明

    ○松本(善)委員 この問題については、そうすると武器の輸出入ということをチェックをするというのは税関の責任ということになりますか。それともそのほかにこの問題については責任を負うところがありますか。
  169. 片山充

    片山説明員 私、輸出の場合ばかりをお答え申し上げておりまして、輸入の場合にもやはり武器の取り締まり関係あるいは火薬の取り締まり関係の法令がございまして、それで輸入することがいいかどうかという規制を受けるわけでございます。もちろんそれから、そのほかに輸入貿易管理令で武器弾薬のたぐいというのはすべてほとんどのものがいわゆるIQ物資になっておるはずでございますので、そっちのほうの手続も必要になるわけでございます。そういった手続がちゃんと踏まれておるかどうかというのをチェックするのは税関の責任になっております。
  170. 松本善明

    ○松本(善)委員 武器輸出入の点についての税関検査実情ですね。現在はそれほど重視をしていないのか、どの程度にどういう点に重点を置いてやっているのか、そういうあたりを話してもらいたいと思います。
  171. 片山充

    片山説明員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、税関検査、鑑定というのをやるわけでございますが、輸入の場合について申し上げますと、主としては関税あるいは内国消費税の賦課徴収のために見るというのが主とした目的でございます。輸出のほうは輸出秩序の維持というのが主とした目的でございまして、そういった目的に照らしまして必要な限度における検査をやっておるわけでございます。特に御指摘の武器弾薬のたぐいというのは非常にケースも少のうございますし、特にそれを重点にチェックをせよというふうな指導は現在いたしておりません。
  172. 松本善明

    ○松本(善)委員 これでこのTIR条約税関検査が免除されることになるわけですけれども、税関検査が免除される場合というのはどういう場合があるか、ひとつ列挙して話をしてもらいたいと思います。
  173. 片山充

    片山説明員 あるいは御質問の御趣旨を取り違えておるかもしれませんけれども、私が先ほどから申し上げておりますのは、輸出入とも全部を見ておる、検査をいたしておるわけではございませんで、検査をいわば省略しておるものが相当多数ございます。あるいは御指摘のように免除というふうにはっきり法律的にいわば規定しておるものもございまして、これは私いま網羅的には申し上げかねますけれども、たとえば安保条約関係でございます、例の地位協定と俗称されているものがありますけれども、そこで米軍関係のものが、これは一定の条件がありますけれども税関検査が免除される、それを受けましてそれの実施のための特例法というのがございます。これでも同じような趣旨規定してございます。
  174. 松本善明

    ○松本(善)委員 地位協定十一条のような場合というのはほかにどのくらいあるかということを、すべてでなくてもいまわかっておる範囲だけでもお答えいただけますか。
  175. 片山充

    片山説明員 現在のところほかにはあまり例がないかと承知いたしております。
  176. 松本善明

    ○松本(善)委員 先ほどのあれに戻りますけれども、武器については重点としてはやっていないけれども、チェックはするという話ですが、武器の輸出入、他国へ輸出をするという目的で輸入する場合ですね、これはチェックができますか。また実際やっておりますか。その点を伺いたいと思います。
  177. 片山充

    片山説明員 御指摘のようなケース、いろいろなケースがあるわけでありますけれども、先ほど来私が申し上げております武器あるいは火薬類の取り締まり関係の法規ですと、陸へ揚げますと規制が働くということでございますので、そういう場合には規制するということになろうかと思います。
  178. 松本善明

    ○松本(善)委員 次官にお伺いしたいと思うのですけれども、日本を通過をして送られる武器の場合に、そのチェックは十分でないようでありますし、それから地位協定十一条による税関検査も免除されておるという関係がありますが、私どもはそういう状態でありますと、かなりの武器の輸送基地に日本をすることもできるのではないかと思いますが、この点については、政府は武器輸送についてどういうふうな考えでおるのか。そしてまたこの通過をして武器が輸送されるということについてはどういうふうに考えておられるのか。この点について伺いたいというふうに思います。
  179. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 地位協定関係からの点は事務当局からいま御説明申し上げたとおりでございますが、まあ一般論的に申しまして、日本の米軍基地が公然とそういうような輸送の基地にされているということであれば、私は国民感情上はなはだおもしろくないと思います。ただしかし、日本の立場は御承知のように安保条約その他によりまして基地、施設を提供しておるわけでございまして、米軍が必要とする限りにおいて武器の輸出入があることは、これはいわばやむを得ないことだと思います。
  180. 松本善明

    ○松本(善)委員 インドシナへの、いわゆるベトナム特需といわれておりますが、インドシナ全体、ベトナムだけではなくてラオス、カンボジアも含めてインドシナへは軍需物資はいまどのくらいいっておりましょうか、実情を報告していただきたい。
  181. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいまのところ不分明でございます。
  182. 松本善明

    ○松本(善)委員 この武器でありますとか軍需物資の輸出入、そういうことについては政府はあまり関心はないのですかね。
  183. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 関心がないわけではございません。しかし先ほどもお話し申し上げましたように、米軍が必要とする限りと申しますか、そういう意味での武器の輸出入はやむを得ないところであろうと思っております。
  184. 松本善明

    ○松本(善)委員 大蔵省も、それから通産省も来ているわけですが、だれもわからないのですか。
  185. 山野正登

    ○山野説明員 武器の輸出につきましては、一般的に申しまして、わが国から武器を輸出することによりまして国際紛争を助長するということは厳に避けなければならないということで、ケース・バイ・ケースに慎重に処理をするということにしております。軍隊が使用いたしまして直接戦闘の用に供しますものにつきましては、いわゆる武器輸出三原則によりまして、これに抵触する場合は原則といたしまして輸出を許可しないということにいたしております。
  186. 松本善明

    ○松本(善)委員 金額、総額ですね、そういうものはわかりませんか。どのぐらいの量の特需がなされているかということ。
  187. 山野正登

    ○山野説明員 武器関係の特需実績につきましては、昭和三十四年まで、これは過去八年間約四百七十億円の特需がございますが、昭和三十五年以降は武器関係の輸出特需はございません。
  188. 松本善明

    ○松本(善)委員 一九六九年度百八十五億、これは武器だけではありませんが、特需があると、私どもの調べではそういうふうに思っております。船舶、航空機、車両、武器弾薬、電気通信機器、石油製品、石炭、繊維製品、医薬品、糧食、その他で百八十五億、そのぐらいの数字ですか。
  189. 山野正登

    ○山野説明員 武器につきましては先ほど説明申し上げましたとおりでございますが、それ以外の物資につきましてはただいま手元に持っておりませんので、ちょっと御答弁いたしかねます。
  190. 松本善明

    ○松本(善)委員 日本は戦争を放棄をしたということで平和な国家だということを宣言をしましたし、それから総理大臣もことばでは平和に徹するということを言われるわけなんです。この武器の輸出というようなことについては、こういう問題についてもたいへん普通に知っておらなければならないことではないかと思うんですけれども、たいへん政府側は不勉強といいますか、不勉強というよりも無感心というか、そういうことは当然だというふうに、別に問題にならないことだというふうに思っておるのではないかと思うぐらいの意外なことでございます。こういうようなことは、国会での答弁ですから、当然に何を聞かれてもわかるようにして出てくるのだろうと思っておりましたけれども、私はこの実情はきわめて遺憾なことであろうというふうに思います。  政務次官、お聞きしたいのですけれども、そういうようなことで日本が実際問題としてインドシナ戦争に対して補給の基地になっているという、そういうことについてはどうお考えになっておりますか。これはやはりなくさなくちゃいけない、そして武器輸出というようなことについては禁止あるいは制限、何らかのそういう方法をとらなければならないというふうにお考えになっておるかどうかですね。政府としてはそれは野放しなのか、この辺を伺いたいと思います。
  191. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま通産当局のほうからも説明がございましたように、武器輸出についてわれわれは原則を持っておるわけでございまして、当然にこの問題についてはわれわれはナーバスでなければならぬ、このように考えております。  なお、この際先ほどの答弁を若干補足させていただきますが、私は米軍が必要とする限り云々と申し上げましたが、これはもちろん米軍が安保条約の目的に照らして、駐留の目的に照らして必要とする限りという前提があるので、ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  192. 松本善明

    ○松本(善)委員 南ベトナムへYS11を輸出するという問題が問題になっておりますが、南ベトナム政府から打診があったということもいわれております。これについてはどういう方針になっておりましょうか。
  193. 山野正登

    ○山野説明員 ベトナム政府から十二機のYS11を供与してほしいという要請があったということは外務省当局を通じて承知いたしておりますが、現在慎重に検討をしておるところでございます。
  194. 松本善明

    ○松本(善)委員 民間航空機輸出について通産省は空軍向けのものを認めるという方針をとっておるということが報道されております。たとえばスウェーデン空軍からの川崎重工の大型ガスタービンヘリコプターV107、それからスウェーデン空軍から富士重工の軽飛行機FA200、それからオーストラリア空軍、マレーシア空軍などからきているということが報道されております。YS11ももちろんベトナムへ送るならば軍事用にも使えるわけであります。空軍向けの輸出ということが問題になってきておりますので、これはやはり軍事援助、いわゆる武器輸出についての三原則にも触れる問題であろうかというふうに思います。このYS11の南ベトナムへの輸出というのはやめる、あるいは軍事輸出になるような航空機の輸出というのはやめるというふうにすべきだというふうに思いますが、この点についての政務次官と通産省との答弁をいただきたいと思います。
  195. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生も御案内のように私のほうが南ベトナムに援助を考える際は、あくまでも人道的な立場に立って、当該の地域住民の福祉の安定向上に役立つものというのが大原則でございます。ただいまのYS11云々につきましては、通産当局もお答えしたとおり、慎重に検討中でございます。
  196. 山野正登

    ○山野説明員 YS11そのものは純然たる民間用の旅客機でございますけれども、今回のベトナムの件につきましてはその使用目的等も含めましてこれは今後慎重に検討すべき問題であるというふうに考えております。
  197. 松本善明

    ○松本(善)委員 通産省に聞いておきますが、私が先ほど言いましたスウェーデン空軍その他から来ております航空機の輸出を空軍向けに認めるという方針をきめたということは事実でありますか。
  198. 山野正登

    ○山野説明員 スウェーデン空軍向けのヘリコプターの輸出商談につきましては、私どものほうにも非公式に話はございましたが、現在まで伺っておりますところでは海難救助用のヘリコプターということのようでございます。しかしながらこれも正式に輸出申請のございました時点で慎重に検討したいと思っております。
  199. 松本善明

    ○松本(善)委員 質問を終わります。
  200. 田中榮一

    田中委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後、直ちに再開いたします。    午後一時三十六分休憩      ————◇—————    午後四時十五分開議
  201. 田中榮一

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  コンテナーに関する通関条約締結について承認を求めるの件外一件について、引き続き審査を進めます。  両件に対する質疑は先刻終了いたしております。     —————————————
  202. 田中榮一

    田中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  コンテナーに関する通関条約締結について承認を求めるの件及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の締結について承認を求めるの件、以上両件について採決いたします。  両件はいずれも承認すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、両件はいずれも承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  205. 田中榮一

    田中委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる二十四日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時十八分散会