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1971-03-23 第65回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十三日(火曜日)     午後二時三十七分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 菅波  茂君 理事 田川 誠一君    理事 前田 正男君 理事 石川 次夫君    理事 近江巳記夫君       加藤 陽三君    谷川 和穗君       森  喜朗君    綿貫 民輔君       山中 吾郎君    吉田 之久君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      西田 信一君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君  委員外出席者         外務省国際連合         局科学課長   堤  功一君         厚生大臣官房国         立公園部管理課         長       岡田 達雄君         水産庁漁政部長 田中 慶二君         通商産業省鉱山         石炭局開発課長 花岡 宗助君         海上保安庁水路         部長      川上喜代四君         建設省都市局公         園緑地課長   川名 俊次君     ————————————— 三月十八日  海洋資源開発振興法案矢追秀彦君外一名提出、  参法第一二号)(予)  海洋資源開発公団法案矢追秀彦君外一名提出、  参法第一三号)(予)  海洋資源開発技術総合研究所法案矢追秀彦君  外一名提出参法第一四号)(予)  海洋資源開発委員会設置法案矢追秀彦君外一  名提出参法第一五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海洋科学技術センター法案内閣提出第四三号)      ————◇—————
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  海洋科学技術センター法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  3. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 島国である日本としましては、海洋開発ということは日本の将来の発展に大きな期待がかけられると思うのでございます。いままで政府海洋開発仕事については熱を入れておやりになったことと思うのでありますが、大臣、いままで大体どういうふうな施策政府としてお進めになってこられたのでしょうか。ことに海洋開発科学技術関係についてお聞かせを願いたいと思います。
  4. 西田信一

    西田国務大臣 お尋ねにございましたように、周囲海をめぐらしておりまする日本といたしましては、海洋開発ということは非常に重視しなければならないと思います。従来から海洋開発のための必要な科学技術の問題につきまして、かなり研究なりあるいはまた推進をいたしてまいったところでございます。海洋開発につきましては、現在、わが国で、かなり進んでいる面もあり、必ずしもまだ十分でない面も多いわけでございますが、現在は海底石油天然ガス、このような分野におきましては、それぞれの行政機関がそれぞれの立場におきまして進めておるわけでございますし、その他養殖漁業なんかにつきましても、かなり進んでいる面もあるわけでございます。海中公園海上空港あるいは湾岸道路であるとか、このようなことも従来それらの関連におきまして進めてまいっておるわけでございますが、何と申しましても海洋開発を飛躍的に進めてまいりますための基礎になりますものは科学技術でございます。  そこで昭和三十六年に海洋科学技術審議会というものをつくりまして、この審議会中心となりまして、海洋科学技術の総合的な審議を進めてまいったのでございます。またこの審議会の検討の結果を受けまして、科学技術庁中心となって海洋開発科学技術に関しますところの推進のための方策を立てまして、そして科学技術庁中心となって各省にまたがりますところの海洋開発について総合調整を行なって、今日まで取り進めてまいっておる次第でございます。  具体的な問題につきましてはまたお尋ねによってお答え申し上げますが、とにかく基礎技術開発というようなこと、あるいは潜水技術、あるいは潜水調査船建造でありますとか、海中作業基地建設とか、こういったこともそのあらわれとしてだんだん具体化してまいっておる次第でございます。
  5. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 大体のお話わかりましたけれども、私、何かいままでの施策が全く計画的に効果的にいっておるのだろうかなという疑問を抱きましたのは、四十六年度の予算を拝見いたしますと、海中作業基地実験予算が組んであるわけです。と同時に、潜水シミュレーター建造予算が組んであるわけです。やはり海中作業基地実験はもちろんやらなければいけないことなんですが、潜水シミュレーターによる訓練だとか、あるいは潜水医学だとか、あるいは水中の通信だとか、こういうふうなものが作業基地実験に先行するものじゃないかと思うのでございますが、この辺はどういうふうに考えておられるでしょうか。
  6. 石川晃夫

    石川政府委員 お答えいたします。具体的な問題でございますので私からお答え申し上げたいと思います。  科学技術庁としましては、先般海中作業基地ができましたので、昭和四十六年度から三カ年計画海中居住実験を開始するわけでございます。この海中居住実験でございますが、これは四十六年度には水深三十メートルのところまで、それからさらにその次の年には六十メートル、さらに百メートルというふうに進むわけでございますが、当面四十六年度としては、三十メートルのところで大体四人のアクアノートを一カ月間居住させたいという作業でございます。したがいまして、ただいま先生御指摘のように、まずそういう人間を送るために潜水シミュレーター訓練をして、それから送るべきではないかという御意見でございますが、確かにそのとおりではございますが、ただわれわれといたしましては、この作業基地をつくります前に相当いろいろな研究調査を行なってきております。したがいまして、三十メートルのところまでもぐるには、医学的な問題あるいは基礎的な問題というものは十分解決いたしまして、四十六年度の三十メートルの居住実験にいどむわけでございます。しかし、さらにそれからだんだん深くなってまいりますと、従来行ないましたこの海中医学研究あるいは潜水医学というようなもの、あるいは従来の基礎研究というものではあるいは不十分かとも存じます。したがいまして、その時点には、四十五年度から建設を始めておりますシミュレーターが完成いたしまして、それによってさらに深いところのそのような問題が解決できるというふうに考えております。しかし御指摘の点につきましては、この三十メートルにつきましてもいわゆる座学的な地上の研究でございますので、その点は十分慎重にこの実験を行なって、万遺憾ないように行なう予定でございますが、現在までのところではおおむね三十メートルの点については確信を持っておる次第でございます。
  7. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりましたが、ちょっとお尋ねしますが、潜水シミュレーター、これはどの程度の深さまでやるつもりですか。
  8. 石川晃夫

    石川政府委員 現在設計中でございます潜水シミュレーターは、大体五十気圧ということを考えておりますので、海中にいたしますと大体五百メートルの深さのシミュレーション試験ができるというふうなことで設計いたしております。
  9. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 五百メートルというとたいへん深いのですが、いま世界で一番深いところまでの実験をやっておるのはどれくらいの水深ですか。
  10. 石川晃夫

    石川政府委員 世界で行なっておりますいわゆるバチスカーフというような潜水船を使いましてもぐったというのは、船がもぐったわけでございまして、これは一万メートルをこえているわけでございます。しかしこの居住実験という点につきまして、人間が直接海へもぐって海の中で作業するという点につきましては、アメリカでは百数十メートル、フランスではもう少し深くもぐっているようでございますが、おおむね百メートルを少しこえる程度まで人間作業しているという状態でございます。
  11. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 次に、これは大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほど海洋科学審議会のことについてお触れになりましたが、今度海洋科学審議会を解消いたしまして、海洋開発審議会というのに改組なさろうとしているわけでございますが、いままで海洋科学審議会はどういうふうな仕事をしてきたかということと、海洋開発審議会をおつくりになることもいいんでありますが、そのために海洋科学技術開発という点が軽視をされるというようなことになったらたいへんだと私は思うのでございますが、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  12. 西田信一

    西田国務大臣 まず、海洋開発審議会に改組いたしましたその結果として、海洋科学技術のほうがなおざりにならないか、こういうお尋ねでございますが、もちろん、先ほどもお答え申し上げましたように、海洋開発基礎に凍るところの科学技術の問題は、これは軽視できない事柄であると思います。  そこで、今度の審議会でございますが、審議会は国際問題からいろいろ各般にわたりまして海洋開発に関する基本的な政策なりあるいはまた方向なりを検討するわけでございまするが、その中におきまして海洋科学技術部会というものを設けまして、従来の審議会でやっておりましたような仕事をそのままその部会においてやっていくという考え方をとっておりますので、この技術のほうが将来改組の結果非常に軽視されるというようなことにはならないと存じますし、そういう方向でまいるつもりでございます。  それから技術審議会がやっておりました仕事内容につきましては局長から詳しく答弁いたさせます。
  13. 石川晃夫

    石川政府委員 海洋科学技術審議会で現在までに行なってまいりました状況につきまして御説明申し上げますと、この海洋科学技術審議会昭和三十六年の五月にできたわけでございます。その後三回答申を行なっているわけでございますが、諮問の第一号は、海洋科学技術基本方策についてということで諮問がございまして、そうしてそれに対する答申が三回に分かれて出てきております。それから諮問第二号は、三十六年の七月でございますが、これは緊急に行なうべき重要な研究及び調査についてという諮問がございました。これについての答申が同じく三十六年の十月に行なわれております。最近の諮問でございますが、四十三年の十月に諮問第三号というのがございます。これは海洋開発のための科学技術に関する開発計画についてという諮問がございます。これにつきましては一昨年の七月の四日でございますが、答申が出たわけでございます。現在わが国海洋開発計画というのはこの諮問第三号の答申に基づいて行なわれているわけでございまして、これには当面五カ年程度に行なわれるべき大きなプロジェクトを五つあげてございます。したがいまして、その五つのプロジェクトを受けまして、そうしてこの答申の中にございますような、たとえば先ほど長官から申し上げました深海調査船なり、あるいは潜水シミュレーター作業基地というようなもの、あるいは黒潮の国際共同調査日本海淵に関する総合研究深海底資源開発に関する基礎調査研究、このようなものが諮問第三号に対する答申の中に含まれておりまして、現実にこれについては進められているわけでございます。この答申を受ける機関といたしましては、海洋開発関係いたします各省官房長クラスの方をメンバーといたします海洋科学技術開発推進連絡会議というものがございます。ここでこのプロジェクトを受けましてこの実行計画を立てまして、現在それに基づいて各省で実行すべく予算要求をし、さらに計画を組んで進めているわけでございます。  このようにいたしまして、この海洋科学技術審議会からいただきました答申につきましては政府としては全面的に尊重いたしましてこの計画の遂行に遺憾なきを期しているところでございます。
  14. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま承りまして海洋科学技術審議会たいへん大きな仕事をやっていらっしゃるように私は思うのです。海洋開発審議会ももちろん必要だと思いますが、その中の一部会でうまく処理できるかなという疑問が私ちょっといたしましたけれども、これはしかしうまくやると大臣がおっしゃればぜひそういうふうにやっていただきたいと思うのであります。  次に、法案内容について若干お伺いしたいと思いますが、最初にこれは大臣にお伺いしたいと思いますが、今度の法案提案理由の説明には、海洋開発重要性にかんがみて海洋開発の促進に資するために海洋科学技術センターを設立する、こう書いてありますね。ところがその法案内容を検討いたしますと、この科学技術センターでやろうとしていらっしゃるような仕事は全部直接私は国がおやりになることのほうが適当ではないか、うまくいくんじゃないかという気がしてならないのであります。これはやはり国が自分でやらないでこういうふうなセンターをつくっておやりになるということにつきましては、それなりの、このほうがいいんだという御理由がおありなんだと思います。その辺をひとつはっきりと伺わしていただきたいと思うのであります。
  15. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発というのはまさしく国家的事業であるということはお話しのとおりだと思います。しかしながら日本の場合は特にそういうことがいえると思いまするけれども、周囲に海がございまするし、大陸だなを全部開発する、可能であるとするならば国土の面としては七割くらいふえることにもなるかと思いますが、そういう面から申しまして、やはり民間に積極的な姿勢を持ってもらうということは大事なことだと思います。また、最近におきましては、民間も非常に海洋開発に積極的な態度を示しております。そういうような点から考えまして、やはり民間主導的主役割りを果たすということがむしろ望ましいような気持ちもいたすわけでございますが、そこで民間と国とが相協力し合ってそうして海洋開発を進めるということが最も効果的であるし、そしてまた将来の発展民間が大いにひとつ海洋開発に乗り出してもらうということを考えましてもそのほうが適切であろうというふうに思われるわけでございます。そういう意味からいたしまして、幸いにいたしまして今回も民間のほうは非常に積極的な姿勢を示してくれました。  そこでこのような形におきましてセンターをつくり、官民一体となってひとつ推進してまいることがよりこの海洋開発を促進する上において効果があがろう、こういう判断に立っておるわけでございます。もちろんしかし、民間が協力していただくといたしましても、国が民間にのみ依存するとかいうようなことではございませんので、国自体も積極的にひとつ民間と提携して強力な海洋開発をやってまいりたい。冒頭に申し上げましたように、若干進んでいる面がありましても、総体的にはまだ諸外国に比しておくれをとっておりますから、このおくれを少しでも早く取り戻すための体制といたしましては、こういういま御提案申し上げておりますような形が最も妥当であろう、適切であろう、こういう判断に立っておるわけでございます。
  16. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 政府のお考えは一応わかりました。それでうまくいくかどうか若干懸念も残るような気がいたしますが、もう一つお伺いいたしますと、センター業務の中に、二十三条の一項、二項の辺ですが、総合的試験研究とか共通に用いられる施設設備、こういうふうなものをやるんだと書いてありますね。こういうものは将来民間のほうでも海洋開発が進むにつれましてだんだん自分のほうでやろう、またこれが企業ベースにも乗るんだというふうになってくるし、なってきたほうが日本海洋開発が進むんだと私は思うのですが、こういうものはセンターでおやりになれば民間ではできないことになるのでしょうか、どうでしょうか。
  17. 石川晃夫

    石川政府委員 具体的な問題でございますので私からお答え申し上げたいと思います。  この海洋科学技術センターにおきましては海洋科学技術の水準を向上させるということでございまして、ここにおきますそういうような活動すべてここで独占的にやろうというつもりではございません。したがいまして、在来の水産関係の問題あるいは船舶とか気象港湾というような個々の分野におきます試験研究の結果を踏まえまして、そういうものを総合的にいたしまして多方面の海洋開発というもののプロジェクトなどをつくりましたり、あるいは試験研究機関がまだ実施していない研究とかあるいはこれから新たな必要性が出てきた研究、こういうものをやろうということでございます。したがいまして、ただいまの共用設備等につきましても別によその民間企業でこのようなことをやるということを妨げるものではございません。しかし、このような設備としましては非常に膨大な経費もかかりますし、またその運用の経費等相当にかかるわけでございます。したがいまして、このようなところでまとめてこの施設を使ってやっていただくほうが国家的に見ましても非常にいいのではないかということで、われわれこのような施設計画するに至ったわけでございます。したがいまして政府機関はもちろん民間機関におきましてもこのような研究がある場合にはこのような施設を使うというほうがより有利かと存ずる次第でございます。
  18. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 民間のほうでやるのもこれで禁止をするわけじゃないということで私も一応安心したのですが、外国にこのセンターのようなものをつくっている例がありますか。
  19. 石川晃夫

    石川政府委員 外国におきましては、ことに海洋開発関係での先進国といいますと、アメリカ及びフランスというようなところが相当進んでいるわけでございます。ソビエトも進んでいるそうでございますが、ちょっとその辺は資料をとりかねますので具体的詳細はわかりませんが、アメリカにおきましてはわりあい民間ベースにおいて行なっておりますし、また大学の研究所というものが相当力を入れているようでございます。このセンターに類似するものと申しますと、フランスセンターがこれに類似しているものでございますが、これは国立でやっております。しかし独立採算的な内容になっておりまして、その点このセンターとは幾らか趣を異にしていると思いますが、ただ業務内容につきましては大体似たように存じております。
  20. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 大臣御所用があるそうですから、もう一問だけ。  といいますのは、このセンター役職員、これは公務員に準ずるようにしていらっしゃるですね、二十二条ですか。これは一体どういうことなんでしょうか。このセンターの性格というものがちょっと私わからなくなったのですが、この辺をひとつ大臣に所信のほどをお聞きしたいと思います。
  21. 西田信一

    西田国務大臣 このセンターは申すまでもなく認可法人でございます。しかしながらその行ないますところの事業内容がきわめて公共性を持って寄ります。そういう立場からいたしまして、その公正な妥当な運営というものが必要だというふうに考えるわけでございます。そういう立場から公務員に準ずる、こういうことにいたしておるわけでございまして、公務員と同じに扱うというわけではございませんけれども、その精神的な面において、また実際に仕事内容からあるいは国民全体に対する奉仕というような気持ちも持たなければなりません。そういう意味におきましてそのような準じた扱いをしていこうという考え方でございます。
  22. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま大臣のお考えはわかりましたけれども、これは事務当局でけっこうなんですが、一体認可法人役職員公務員並みにしておる例がほかにありますか。
  23. 石川晃夫

    石川政府委員 例といたしましてはやはり同じ認可法人でございますが、特定繊維工業構造改善臨時措置法に基づく繊維工業構造改善事業協会とそれから情報処理振興事業協会、この二つが同じようなみなし公務員規定をつくっております。
  24. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは私の勉強不足でしたが、どうもちょっと私は腹の底からいいのだなという気持ちになれないのですけれども、まあ質問ですから、けっこうです。  その次に、このセンターは、ここに書いてあります事業をおやりに在るわけですが、関係のある官庁はそれぞれに海洋開発をお進めになると思うのですね。それとこのセンターとの仕事調整はどういうふうにやっていかれるおつもりでございますか。
  25. 石川晃夫

    石川政府委員 この海洋開発に直接、間接関連ある試験研究はこれまでもいろいろの既存研究機関で行なっております。これらの機関におきましては、たとえば水産関係船舶関係あるいは気象とか港湾、こういうような分野ではそれぞれの研究所が個別的にその問題を解決するために研究を行なっております。しかしながら、こういう巨大なプロジェクトをやるという場合には、それぞれの研究所自体成果だけでは十分な海洋開発というものができませんので、今後はそのような意味合いにおきましては、このような研究を総合的に集めて、そうして進めるということが必要になってくるかとも存じます。ただ、ではそのような研究機関成果をどのように扱うかということになりますと、各研究機関先ほど申しました共用施設等を利用して自分たち成果をさらにあげたいという場合にはこの共用施設は十分利用していただいていい施設でございます。また研究施設につきましても、センターで設けました研究施設を活用し得る場合は、それぞれ既存研究機関でも十分活用できるものというふうになっております。しかしながら、このセンター自体といたしましては、そのような研究を総合的にやりていくということがたてまえでございます。したがいまして、今後既存研究機関とは十分緊密な連絡をとりながら新しい研究テーマ等に取り組んで進めていくということがわが国海洋開発にとっては必要ではないかというふうに考えております。
  26. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 おっしゃる意味は、やはり科学技術庁中心になって関係各省センターとの仕事調整をやる、こういうことなんですか。
  27. 石川晃夫

    石川政府委員 従来既設の研究機関で行なっております研究内容につきましては、これは科学技術庁といたしまして総合調整という立場でこの研究テーマにつきましてはいろいろ調整を行なっているわけでございます。しかし、このセンターにおきます業務というのは、そのような研究調整とはまた少し趣を異にするわけでございまして、この施設を使うか使わないかというのは研究機関の自主的な判断にはまかせるわけでございますが、ただ科学技術庁研究調整を行ないます際には、もしこの施設を使ったほうがその研究を効率的にあげ得るという場合には、われわれのほうとしてもこれを勧奨すると申しますかすすめて、こういう施設を使ってより成果をあげていただくという方向調整したいというふうに考えております。
  28. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 海洋開発の基本的な問題といたしまして、私はやっぱり海洋実態調査というものが大事だと思うのですがね。これはいままでどういうふうにやってきておられ、今後どういうふうにやっていこうというお考えですか。
  29. 石川晃夫

    石川政府委員 海洋開発を進めてまいります上におきましての調査でございます。これにはいろいろあるわけでございます。一例をあげますと、海上気象あるいは海底地震というものについては気象庁あるいは海象問題については海上保安庁というようなところで、従来からそれぞれの調査を進めております。そのほか通産省の地質調査部等におきましては海底地質の問題あるいは海底鉱物の問題という調査を進めております。このような調査の進め方につきましては、それぞれの研究機関におきましてさらに進めていただくということが人的な面におきましても、また機能的な面におきましても効率的だというふうに存ずるわけでございますが、ただ将来この調査というものがさらに高度化してくるということも考えられますので、それぞれの研究機関におきましても情報処理の問題あるいは観測網の充実の問題、こういうものについては進められていくと思います。それで科学技術庁におきましても、海洋科学技術センター等におきます研究に付随いたします調査というものは、このセンターで行なわれるということになっております。科学技術庁自体で新たな調査研究ということは現在行なう計画はございませんが、このセンターで行ないます研究に付随しての調査というものは推進していきたいというふうに考えております。
  30. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 海洋実態調査は非常に広範な分野にわたるわけですけれども、いま承っておりまして、ちょっと心細い気が私してきたわけであります。やはりそれぞれの目的に応じておやりになるので、なかなか計画的にということもむずかしいとは思いますけれども、やはり政府としては、何か海洋実態調査については各官庁の間で計画をきめて分担して進めていくというふうなことが必要じゃなかろうかと私は思います。これは私の意見でありますから、この程度でけっこうであります。  海上保安庁見えておりますね。海上保安庁にお聞きしたいのですが、旧海軍がいろいろな海洋調査をやっておったわけです。これはもちろん軍事目的でやったのでございましょうが、しかし旧海軍の海洋調査成果というものはなかなかすばらしいものがあったように私は聞いておるのですが、いま海上保安庁では旧海軍の海洋調査のデータは全部お持ちなのでしょうか。
  31. 川上喜代四

    ○川上説明員 海上保安庁の水路部は旧海軍の水路部の機構がそのまま移されております関係で全部資料を引き継いでおります。旧海軍時代にも軍機以外のものにつきましてはそれぞれ海図なりあるいはいろいろな海況図、潮流図、波浪図というような形において当時すでに公開されてございます。しかし、その後軍機に属しておったものにつきましては、私のほうで引き継ぎましたあとで、戦後にいずれも現在すでに公表いたしております。また終戦直後にアメリカ軍が資料の提出を命じていろいろなものを本国に持ち帰ったわけでございますが、それらの大部分は昭和三十四年、三十六年に返還されております。また提出を命じましたときも、全部出せというのではなくて、私のほうの、原備図誌といってずっと保存している資料がございますが、それは提出を命ぜられなかったわけでございますので、それらの資料は幸いにして今日伝わっております。そういう意味で、大正十二年の関東大震災以前の資料は実は関東大震災で焼失いたしましたけれども、それ以後のものは今日伝わっておりまして、大部分すでに公表されております。
  32. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 旧海軍の調査の結果が全部残っているということは非常にうれしいと思うのですが、その中で公表されない部分もまだあるわけですか。
  33. 川上喜代四

    ○川上説明員 今日資料として役立つものは全部公表してございます。ただ時間的な経過によって、もはや役立たなくなったというようなものについては公表いたしておりません。
  34. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうすると念を押すようですが、旧海軍の調査しました資料でいま秘扱いになっているものはないというふうに考えていいですね。
  35. 川上喜代四

    ○川上説明員 ございません。
  36. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 旧海軍のことはそれで私よくわかりまして、非常にけっこうだと思うのです。  日本の近海で外国の船がずいぶん来ていろいろ調査していらっしゃるようであります。それぞれ軍事目的のものも一部にはあるでしょうけれども、そうでない調査もいろいろあると思うのです。こういう外国の、日本の近海の海洋調査についての研究成果というか調査の結果、こういうものは日本政府でわかりますか。
  37. 川上喜代四

    ○川上説明員 外国が科学目的で調査している事項につきましてはほとんど私のほうに連絡がございます。したがって、もちろん学問的な調査でございますので、あとの解析に時間がかかりますが、おくれてほとんど入手いたしております。日本の周辺では、御承知と思いますが、ソ連、ソ連は科学アカデミーが中心になりまして日本の周辺でいろいろな海流、海底地形の調査をいたしております。アメリカの場合にはスクリップス、ラーモンド、ウッズホールというような海洋研究所あるいはアメリカの水路部、またフランスでは先ほどもちょっとお話が出ましたバチスカーフなどというものが調査に参っておりますけれども、これらの資料につきましてはいずれもわが国に送られております。一例を申しますと、昭和四十四年度に水路部に併置されております海洋資料センターに入りましたデータの数を申し上げますと、アメリカ日本近海で十九回の海洋調査を行ないまして百四十九測点を観測いたしておりますが、そのデータはすでにデータセンターに入っております。またソ連が日本周辺で大体七航海、四百九十七測点の観測を行なっておりますが、それらの資料も海洋資料センターにすでに入っておりまして、一般の方々に使えるように整備してございます。
  38. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまお話を承っておりましても感ずることなんですが、海洋開発につきましてはやはり国際協力というものが私は非常に必要だと思うのです。現在、国際協力関係日本政府としてはどういうふうにやっていらっしゃるのか。ことにアメリカとの天然資源会議などというのもあるようでありますが、それらがどういうふうに運用されておるかということについてお聞かせを願いたいと思います。
  39. 石川晃夫

    石川政府委員 海洋科学技術関係につきましては、その内容がいろいろ広範多岐でございます。さらに国によりましても、国の自然条件とかあるいは経済状況、そういうようなものによりましてもまたおのおの千差万別でいろいろ違うわけでございます。海洋開発に関する関心の度は違うわけでございます。したがいまして、かえってそういう意味での国際協力の意義というものは非常に大切だと存ずる次第でございます。したがいまして、各国とも国際協力を推進するという方向で進んでおりますし、また国連等の国際機関を通じましても多国間の協力が盛んになってきております。現在政府間のものといたしましては国連にIOCというのがございます。政府海洋委員会でございますが、そこにおきましては国際海洋共同調査というのが従来から相当多数計画されまして、わが国もこれに積極的に参加しております。たとえば、国際インド洋観測とかあるいは黒潮共同調査というのがこれに類するものでございます。わが国海洋科学技術分野におきましては、二国間の国際協力は現在アメリカ、西ドイツ、フランスというものを対象に促進をされてきておりますが、しかし、実際に軌道に乗って活動を始めているのは現在のところ日米協力だけでございます。引き続き日独協力というものにつきましても促進方を考えているわけでございます。日米協力につきましては日米天然資源会議いわゆるUJNRと称しておりますが、このワクの中において現在進められております。ここには海底鉱業、それから海洋構造物、それから海洋電子、そのほか七つほどの課題別の部会が設けられておるわけでございます。これは両国の政府試験研究機関の職員が中心になってこの活動を続けているわけでございますが、非常に活発に行なわれております。来年度はアメリカで三つの部会が日米合同部会を開催することになっております。海洋科学技術分野におきます国際協力といいますのはただいま申しましたように非常に重要でございますし、また非常に効果の上がるものでございます。したがって、われわれとしては、今後とも国際協力というものも海洋開発の大きな柱といたしまして強力に推進していきたいというふうに存じております。
  40. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 けっこうだと思います。国際協力を大いに推進していただきたいと思うのであります。  次に、瀬戸内海のことについてちょっとお伺いしたいのです。瀬戸内海は、言うまでもないですが、阪神から北九州に至る大きな基幹航路であります。この総合的な利用は非常に大事だと思うのです。ほかの海洋開発とはちょっと違うかもわかりませんが、政府のほうで機構の解明を目的といたしまして大型水流模型をつくる計画があるように聞いておりますが、これはどういうところをねらいにしてどういうふうな組織でやろうとしていらっしゃるのか、考えでやろうとしていらっしゃるのか。大まかなところでけっこうですからお聞かせ願いたいと思います。
  41. 石川晃夫

    石川政府委員 瀬戸内海の大型水流模型の設置につきましては、科学技術庁といたしましては海洋開発の一環ということで推進しているわけでございまして、この設置につきましては通産省が行なっているわけでございます。  概要を申し上げますと、この水流模型は瀬戸内海のように非常に島とか海峡が多くて地形が複雑なところでございますが、このようなところの水流状況を模型実験によって再現させてその水流状態を解明しようというのがねらいでございます。通産省において計画され、さらに実施する運びになっておりますが、模型の縮尺といたしましては二千分の一ということになっております。対象範囲といたしましては瀬戸内海の東の端の大阪湾、紀伊水道から西のほうは周防灘、豊後水道に至るまでの瀬戸内海の海域を対象にするわけでございます。二千分の一といたしますと大きさとしまして、長さが約二百五十メートル、幅が百メートルという大きさになるわけでございます。予算といたしましては約九億五千万という予算考えております。二カ年間で建設いたしまして、四十六年度分の予算としては四億円という予算を計上いたしております。この模型をつくる場所でございますが、四十六年度に広島県の呉市につくられます中国工業技術試験所という、これは現在予定されているわけでございますが、その試験所の中の施設として設置されるというふうに聞いております。
  42. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 大体のことはわかりました。これは四十五年でもう始めているわけですか。四十五年の予算から始めたわけですか。
  43. 石川晃夫

    石川政府委員 これは四十六年度から予算がついたわけでございます。
  44. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 四十六年度、四十七年でやるということですね。
  45. 石川晃夫

    石川政府委員 そのとおりでございます。
  46. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私の疑問としているところは大体これで終わったわけであります。西田長官に今後の海洋開発についての心がまえをお聞きしたいと思っておりましたが、おいでになりませんので、また別の機会に譲りまして、これで質問を終わります。
  47. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、山中吾郎君。
  48. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大臣がいないとちょっとぼくの質問の趣旨が合わないのですが、おいでになりますか。
  49. 渡部一郎

    渡部委員長 大臣はもうすぐ入ってこられますので、それまで局長に御質問をお願いします。
  50. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 いま加藤委員の疑問点と私の疑問点が大体一致しておるのでありますが、この海洋開発というのは、間違って開発をされれば取り返しのつかない問題になって、日本の領土を取り巻く海洋が汚濁にまみれてほとんど復活できない問題にもなるでしょうし、それから水産との関係その他について、海洋開発については、総合的に、しかも非常に緻密な技術開発というものがないと取り返しのつかないことが——非常に重要であると同時に、また失敗すればマイナス面ばかり出るという、国策としてたいへんな問題であると私は思うので、このセンターの理念というものを、長官から確固たるものをお聞きしておかないと、このセンターの運営の上に非常に危険なものが出ると思いますので、それをお聞きしたかったわけですが、大臣がおられないので、あとでお聞きすることにいたします。  そこで、局長に各論的なものをお聞きいたしますが、現代の日本海洋開発の水準は、ヨーロッパ水準からいってどの程度の地位にあるのか、どういうふうに分析されておるのか、お聞きしたいと思います。
  51. 石川晃夫

    石川政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、どのように分析したらいいか、ちょっとその分析の方法というのはわかりにくいわけでございますが、概念的に申しまして、日本海洋開発というのは、やはりアメリカフランスのあとを追いかけているというのが、概念的な分析ではないかというふうに存じております。  日本の従来の海洋開発から見まして、水産方面につきましては、これは技術を非常に高く買われておりまして、アメリカあるいはフランス、ドイツからも、日本の水産技術というものについては高い評価をもらって、そうしてかえって向こうのほうで指導を得たいということで、再三われわれのほうにも交渉がございます。したがいまして、水産に関する海洋開発関係技術というものは、わが国の地位は相当高いというふうに考えております。  それから、海洋の科学でございます。いわゆる理学的な内容のものでございます。これにつきましても、やはり日本海洋学あるいはそれと同じような理学的な面につきましては、この学問的な内容につきまして、研究その他につきましてもやはり高く買われているようでございます。  ただ、非常におくれておりますのは工学でございます。エンジニアリングでございます。これにつきましては、従来このような工学的な開発というものが行なわれなかったこと、さらに工学的な手法をもって行なうという習慣がなかったといいますか、そのようなプロジェクトがなかったというために、非常に工学的な面についてはおくれているというふうに感じられるわけでございます。  したがいまして、総合的に見ますと、やはりアメリカフランスからおくれまして、ドイツなどと大体同じぐらいの水準でいっているのではなかろうかというふうに考えております。
  52. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 よく日本海洋開発はヨーロッパ水準から十年はおくれておるということが、たいていの学者の論文その他に書いてあるのですが、あなた方はどう考えますか。おくれていないというような認識のようですが、私の見る限りたいていの海洋開発の論文は、少なくとも十年はおくれておると言っておるのですが、それはどうですか。
  53. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま申し上げましたように、部分的にはわが国といたしましても決しておくれていない面もあると思いますが、総合的に見ますと、やはりフランスなどにはおくれているということは認めざるを得ないと思います。ただ、ドイツにしましても、部分的にやはりある工学的な面につきましては進んでいるというふうにも聞いておりますが、われわれといたしましてはアメリカフランスには立ちおくれているとは思いますが、ほかの国とはそうひけ目を感じていないという感じでございます。
  54. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 長官がいないのでちょっとお聞きしたのですが、提案理由の一ページの終わりから二行目に「先進諸国に比してかなりの立ちおくれを示しています。」とわざわざ皆さんお書きになっているから、これで海洋科学技術センターをつくって取り返そうと思って出されたのかと思ってお聞きしたら、あなたはおくれていないと言うのですが、これはかなりの立ちおくれを示しておると書いておりますよ。それはいいですがね。おくれておるんじゃないですか。
  55. 石川晃夫

    石川政府委員 ここの先進諸国と申しますのは、アメリカフランス、まあソビエトがちょっと情報が不足でございましてどの程度進んでいるかわかりませんが、しかしソビエトなどの海洋測量船とかあるいはその他の海洋開発関係の機器等を見ますと、ソビエトはやはり日本よりも進んでいるというふうに受け取れるわけでございます。  したがいまして、そういう点を入れますと、やはり先進国アメリカフランス、ソビエトという国に関してはかなりの立ちおくれがあるということは事実でございます。
  56. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 ソビエトを例に出されたから何ですが、先般モスクワ大学の海洋国際会議でソビエトの若い学者が、日本にはわれわれソ連よりすぐれて世界一といえる五つの先進事項がある。第一は造船工業、第二は繊維工業、第三は精密工業、第四は電子工業、第五は光学工業、電子と光学というのは海洋開発に確かに大きい役割りを果たす先行条件だと思うのですが、こういう海洋開発に活用できる学術は進んでいるのだ、しかし開発はおくれているのだ、私はそういうふうに思うのでいまちょっとお聞きしたのですが、したがって、日本の場合には開発するだけの基礎的ないろいろな学術は進んでいるけれども、国が海洋開発に十分の関心を持たないし、予算その他についても努力をしないところに、洋上国家であるくせに、むしろフランスその他のように全部が海に囲まれていない陸上国家のほうが海洋に非常に深い関心を持っておる。洋上国家の日本は逆に海洋に関心がないところに、持っておる技術が活用できない、そこに現在の立ちおくれがあるのだと私は分析をしてお聞きしたのですが、ちょっと局長のお答えで満足しないのですけれども、それはそういう認識は正しくないのですか。
  57. 石川晃夫

    石川政府委員 私が先ほど御答弁申し上げましたのも大体同じような意味でございまして、理学、いわゆる理論的にはわが国はおくれていない。しかし開発というのはいわゆるエンジニアリングと申しますか、要するにシステマティックにそういう開発というものに組んでいくエンジニアリングは相当立ちおくれがあるということでございますので、先生と考え方としては同じだと存じております。
  58. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 そこで、私、長官が来たときにお聞きしたいと思うので、こういう海洋開発センター構想の場合、これこそ私は国立によって国がもう全責任を持ってやるべき構想が正しいと実は思ってわったわけです。ところが国のほうが若干出資をして民間のほうに依頼をして、そしてこういう構想を考えるということの中に、いまの認識からいえば、まことに遺憾なものがある。むしろ国立にすべきだという考えのものですから、いまちょっとお聞きしておいたわけです。これは長官にお聞きしたい問題であります。長官来たときにそこを聞きたい。  この法案の中の「業務」を見ますと、科学技術の教養とそれから技術者の研修、この二つが業務内容ですか。ちょっと私、このセンター業務内容というのを見たのですが、それが目的ですか。
  59. 石川晃夫

    石川政府委員 業務といたしましては、まずやはり総合的な試験研究というのが業務の一番の大きなねらいでございます。その次が研修でございますが、この教養といいますのは、総合的な試験研究を行なうためには教養施設というものが必要になってまいります。したがいまして、総合的な多数部門の協力を必要とする総合的試験研究というのが主体でございまして、そのための施設、特に教養施設につきましては個々に持つということが非常にむずかしいので、ここで設置してこれを使わせるということでございます。  なお研修につきましては、これは従来の国立の研究機関と趣を異にいたしまして、このねらいといたしますところは、従来の普通の技術者、研究者というものに海洋開発を行なうためにそのような学問なりあるいは訓練というものを身につけるために特に研修ということに重点を置いたわけでございます。先ほど例にあげました海中作業基地等におきましては、単なる潜水夫、ダイバーがもぐるというだけではその目的を達しないわけでございます。これは海洋につきましての研究者、技術者が実際に海へもぐって研究をするということが必要でございますので、そのような意味で、研修におきましては、いろいろな海洋に関する特別な学問の講義あるいはそのような研究者、技術者が実際に海へもぐる訓練、こういうようなものを身につけさせるための研修を行ないたいというふうに考えておりますので、当面の問題としましては、従来の技術者、研究者の再訓練というのが当面は主体になるというふうに考えております。
  60. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 そうすると、センター自身みずからの試験研究と、それからここに投資している各事業団のやりたいいろいろの試験についての施設を提供する、いわゆる共通して研究できる施設の提供、それから研修と、三つですか。
  61. 石川晃夫

    石川政府委員 大きなものとしてはその三つと考えております。
  62. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 この点について具体的に私が心配するのは、国立という一つの主体的立場をとらないために経済合理主義に基づいて採算のとれるものだけが試験をされる、採算のとれるものだけが利用される施設になり、研修自身もほんとうに日本の国策として間違いのない開発になるような研究、研修をすることが非常におろそかになるんじゃないか。間違えばこれは日本海全体が汚染あるいは水産そのものが今度は死滅する。これは間違った開発をするかどうかで日本民族全体が死ぬか生きるかという大きい問題に私はなると思うので、この法案をほんとうにわれわれが承認するかどうか。将来の運営について見込みを立てる一番大事な問題だと思うのでお聞きしたいのでありますが、こういう業務というものを内容にする基本的精神ですね、私はどうも短期的な経済合理主義、利潤を追求するということに必要な技術研究だけになるのじゃないか、それを非常に心配をするのです。国立という立場でないからですね。その歯どめはこの法案の中のどこにありますか。
  63. 石川晃夫

    石川政府委員 この海洋科学技術センターは、政府民間というものの協力の形で運営されるわけでございますが、先生御指摘のように、民間色が強くなればその経済合理主義というものでこの運営が左右されるのではないかという御懸念だと思います。この点につきましては、われわれもこの法律をつくる時点におきましては相当考慮いたしまして、そうしてそういうことのないような形に整えたつもりでございます。と申しますのは、民間団体が入ってまいりますし、そのときには当然政府の出資と民間の出資と両方でこの資本金ができ上がるわけでございます。ところがこの法文をお読みになっていただきますとわかりますように、出資者がその出資者に応じた特別な利益を得るというような内容のものはないはずでございます。したがいまして、われわれといたしましては、このセンターの運営については、民間の意向というものは十分反映さして、非常に自由度を持った運用にしたい。これはとかく政府機関、国立機関になりますとやはり活動が鈍くなるというのが一般の考え方でございますし、また民間の自由な考え方というものがなかなか国立機関には入りにくいということでございます。海洋開発になりますと、将来の問題といたしましてやはり海洋開発の主体性というものは民間が現実の利用問題と取り組むということになると思います。したがいまして、その利用というものを踏まえて、その意向をこのセンターで反映さしていただこうというふうに考えておりますが、その反映のしかたといたしましては、二十条にございます評議員会というものを通じましてこの意向を反映さしていただきたいというふうに存じております。  この評議員会でございますが、これは「その運営に関する重要事項を審議する機関」ということで、評議員を二十名以内で組織することになっております。この評議員といたしましては、海洋開発についての専門的な知識を有する方を選びまして、これを「科学技術庁長官の認可を受けて、会長が任命する。」という形になっております。したがいまして、これは決して出資者の意向を受けての評議員ではございませんでして、海洋開発に関する専門的な知識を持った方の集まりでございます。この中におきましてわが国海洋開発に必要な事項につきまして、またこのセンターにおいて行なわれますと非常に有益であるというものについて、いろいろ御審議を願いまして会長に意見を出していただくというものをつくりましたので、先生の御心配の点はこういう点におきましても御懸念ないものというふうに考えております。
  64. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 一応の歯どめがその評議員会制度、そして評議員は専門学識経験者で構成することで一つの歯どめがある、それは法案のその用意はわかりました。しかし、ただ海洋開発は将来に採算がとれるもので、先行投資と需用というのは現実には一致しないから、したがってどうしても、私の言うのは、その技術、採算に直接直結する技術だけが開発をされて、公害を予防するとかいう先行投資と需要が一致しないのですね。基礎技術の養成というものが軽視されてくるということは、結果としていわゆる公害と結びついた海洋開発になるおそれがあるので、その辺を非常に重視をすべきで、こういう総合センターの中にそういう研究部門というものがやはり入って、総合性がなければいかぬのじゃないか、そういうことをこのセンター発展方向で、やはり将来はこういう発展方向でもっと総合性を持たすんだ、いわゆる食料資源の開発技術あるいは海底の鉱業資源の開発技術あるいは海洋のエネルギーの開発技術のほかに、生態学的に人間と自然との関係から悪循環を来たすようなことのない、われわれの生存と海洋開発関係研究する技術という部門が、この業務の中にしっかりしたものがないと私いかぬのじゃないかと思うので申し上げたので、その辺を十分留意をしていただきたい。これは何かそういうことを皆さん内部で論議されておれば報告的にお聞きしたいし、長官にしっかりと聞きたいのでありますが、何かあればお聞きしておきましょう。
  65. 石川晃夫

    石川政府委員 このセンターにおきましては、先生御懸念の公害問題等についてどのように考えているのかという御質問でございますが、海洋開発に関するいろいろな技術を、総合的な研究を行なうというたてまえからいたしまして、従来からいろいろな研究所において行なわれております内容が総合されなかったというところに、やはり公害というものが出てくる問題点があったのではないかというふうに考えております。そのような点につきましては、このセンターのように総合的に試験研究を行なうという場合には、かえってその問題点が浮き彫りにされまして、そうしてその点についての公害対策というものも研究の一環として行なわれるということが可能でございます。われわれ検討の段階におきましても、確かに基礎技術基礎研究的なものが中心になって行なわれるわけでございますが、総合性というものをこのセンターから抜きますと、センターの意義を失いますので、その点につきましては十分考えているわけでございます。ただ現在、公害対策そのものの研究テーマというものは現実に出てきておりませんが、当然この研究が進むにつれましてそれに対する対策の研究もこのセンター研究内容に入ってくるというふうに考えております。
  66. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 入ってくると言われるけれども、提案理由の中にないものだから……。水産資源、それから海底資源の開発という狭い生産技術開発だけをうたっておられるので、非常に危険なんだ、日本民族の生存と海洋関係人間と海の関係をもっとしっかり持っていかないと総合性が出ないので、私はこのセンターのなには総合性ないと見てるのですよ。それを心配して申し上げたので、それは用心をしていただきたいと思うのです。  それからこのセンターはどこへ置かれるのですか、センターの設置される場所。
  67. 石川晃夫

    石川政府委員 現在このセンターの予定地といたしましては、横須賀市の追浜に設置したいということで、現地の横須賀市と交渉中でございます。
  68. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 横須賀市といっても、ちょっとわからないのです。畳の上の水練では意味がないので、海洋開発ですから。したがって、研究室なんというのは海底の中にあったり、研究者自身が海の中で親しみながら研究するというような、ほんとうの海洋開発研究者というものは研究の環境と方法というものが独自のものでなければ、私は生きた技術は生まれないと思うので、どこか東京のまん中あたりにセンターがあって、そこで会議を開いてというようなものであっては意味がないので場所をお聞きしたのです。
  69. 石川晃夫

    石川政府委員 さらに詳細に申しますと、横須賀市の追浜に前に米軍の駐留していた基地がございました。これが去る二月の十九日に日本側に返還になりまして、その土地をわれわれのほうでこのセンターの設置予定地ということで、横須賀市と現在交渉中でございます。  その土地は海岸に面しておりまして、その海岸のそばにセンターをつくりましてそこに本部を置きたい、そしてさらに海中作業基地等は、そこから適当な実験場所に移動できるようなところを考えております。  なお、先生御指摘のように、海に近いところということでございますが これは将来研究内容によりましてはそれぞれ適切な土地を選びまして、海の近くなり何なりに支部とか実験場というものが設けられるというふうに考えております。当面は本部としては横須賀市の追浜ということを考えております。
  70. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大体妥当なことをお考えだということはわかったのですが、むしろこういう海洋研究センターは半分は陸地、半分は海、それが海洋センターの場所であるというのでなければいかぬと私はしろうと考えに思っているわけです。共用施設というものもいわゆる調査船が必要であろうし、潜水船も必要であろうし、海底研究室も必要であろうし、そういうところに私は生きた海洋センターというものが生まれるものかと考えのでお聞きしたのであって、そういうことをお考えになるべきだと思うので、何か海に近ければいい、そんな陸上にだけ研究施設があるような海洋センターはおかしい。私自身が総合海洋大学構想というものを自分でいつも考えておるのは、研究者自身が海の中で研究し、みずから潜水技術まで持って育つ研究者でなければほんとうの海洋研究はできない。海底地質学、海底理学にしても、海底にみずから入って研究するような、そういうものがなければ生まれないから、陸上にあるキャンパスを持った大学ではだめだと思うので主張しておる。そういう意味からこのセンター自身は半分は海の上にあるのだ、一つの湾を研究センターの敷地の中に包含するくらいのものでなければならぬのじゃないかと私は思うのですが、そういう構想がおありなんですか。
  71. 石川晃夫

    石川政府委員 先生御指摘の点はごもっともでございまして、われわれとしても今後の海洋開発はそのようなかっこうで進まなければいけないというふうに存じております。その前段階といたしまして、先ほど御説明申し上げましたように、研修ということでも、既存の機械とか電子あるいは土木というような分野研究者、技術者を海洋開発の有力なメンバーにしたいということで、そのような人に海洋物理なりあるいは海洋化学あるいは海洋生物学というような海洋関係の学科を教授し、同時に、シミュレーター等使いまして、潜水技術を身につけてもらう、そして実際に自分で海へもぐって活動を行なうという体制をとることは、先生の御趣旨に沿っていると考えるわけでございます。
  72. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大臣おいでになったのでお聞きしますが、日本の学術研究とか技術発展は単純なる研究上からは生まれないので、大学から生まれてきておる、教えながら研究するという中から日本の学術の開発が生まれてきている伝統があると思うのです。単純に研究所になると、研究に安住してあまり何も出ないで、大学院とかという中で、教える中に日本研究というものがどうしても何か生まれてくるという、ヨーロッパと違った伝統があると思うのですよ。したがって、私はこの海洋開発センターの中に研修という一つの項目があるのは非常によろしい、研究者だけでなくて、その研究者について学ぶ者がある、学ぶ者と研究する者が一緒にある地域の中にほんものが生まれると思いますので、こういう総合開発センター発展方向には、研究と教育を兼ね備えたような日本の大学院というふうなものがだんだんと発展していくのが望ましい、こういうことを私は思います。そういう方向でひとつ御検討願いたい。  時間をあまりとりません。具体的な法案の中身についてはもう質問いたしませんが、大臣来られたので最後に一つ。  一番総合センターが生まれるときに、将来間違いのないために確定しておかなければならぬのは、こういう総合開発センターの基本的理念、これをしっかり責任者の長官がお持ちになって提案をされ、運営される伝統をおつくりになる必要がある。そこでこの総合センターの基本的理念を大臣にお聞きいたしたいと思うのです。
  73. 西田信一

    西田国務大臣 何と申しましても、島国日本といたしまして海洋開発と真剣な取り組みをいたしまして、そして必ずしも諸外国並みにいっておりません——水産や何かは別でありますけれども、ことに海洋工学的表面におきましてはかなりな立ちおくれであります。この立ちおくれを取り戻して、そして世界における海洋開発先進国とまでは行かなくても、そこまで行きたいものだと思います。そのためには審議会もつくっていただきましていろいろな角度からの御検討を願うわけでございますけれども、何と申しましても、海洋開発の先決問題はまず技術を身につける、技術開発していくということであろうと思います。これが一番基礎にならなければならぬと思うわけであります。そういう意味から申しまして、いままでフランスなんかにはりっぱなセンターができておりまするけれども、こういうものが今日までできなかったことは非常に残念に思うのでございまして、これは単なる技術開発だけでなくて、先ほど先生がお述べになりました人材の養成、研修、こういったこともその任務の大きなものの中に含まれておるわけでございますが、こういうようなセンターをつくり、しかも私どもの考え方といたしましては官民の力を合わせてりっぱなものをつくっていくということが適切であろうと考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、まず海洋開発科学技術の解明、そして研究開発ということと取り組む、そのためにはやはりこのようなりっぱな施設を持ち、これはとりあえず五年計画を持っておりますけれども、さらに将来五年後におきましてはもっとこれを充実させて、ただそこに一カ所置くだけではなくて、もう少しやはり国内におきましてもあるいは支所のようなものもつくっていくというようなことも考えていきたいと思いますが、要するに技術開発中心推進母体をつくっていく、こういうところに今回のこういうセンター設置の大きな目標があり、ねらいがある、こういうふうに考えております。
  74. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 抽象的にお聞きしたので、私の気持ちを十分にくみ取っていただいた回答にならないのですが、洋上国家としてわれわれが開発をする場合に海洋観というのですか、こういうものをしっかりと確立をして持っていくべきだ。だから海洋というのは日本民族の新しい領土として拡大していくくらいの考え方の中に進展をしないと間違いを起こす。したがって、この法案の中にも単なる生産技術開発ということが海洋開発のすべてであるようなことであれば、先ほど長官がおられないときに、誤って開発をすれば、これは海洋自体が民族を滅ぼすところのものになるのだという大きい危険のあるものですから、それをしっかりと持ってこういう構想をお立て願いたい。  われわれの人類の歴史の中からいっても、海というものは昔は単なる交通路であった。しかしそれが現代は新しい人類の生活の場になりつつあるんだし、また海洋が資源の供給源としては、食糧の供給源だけであったものが工業資源の供給源に在り、海底資源が大きい問題になってきておる。あるいはエネルギーの供給源にもなり、海中の発電施設まで生まれ、あるいはわれわれの生活のレジャーの供給地にもなってきておるので、人類の新しい生活の場なんだ。これをわれわれ人間が正しく支配するかどうかが、人類の生きるか死ぬかの問題ぐらいのそういう大ロマンチジズムを含んだ海洋開発があってこういう構想が出なければ、再び日本が公害列島になるような開発になるということをしっかりと行政庁の長官はお持ちになるべきだ。  ことに日本の進むべき道を考えたときに、私は海洋というものが活用されるという立場で人類の発展考えたときに、地中海というものだけが活用できる場合に地中海文明があった。大西洋というものを交通路に自由に開発できる技術が発達したときには英国を中心に大西洋世界ができたが、いまは太平洋がもう人類のいわゆる新しい場として生まれつつあるので、太平洋世界だと思う。向こうにはアメリカあり、南アメリカあり、南に豪州あり、アジアの海岸には共産圏の中国、ソ連がある。全体の中に新しい人類の第三の太平洋世界が生まれる。その中にあるアジアの側の岸べにあるところの洋上国家の日本だから、この太平洋の中核的な日本の進むべき国際的地位を考えながら、国策として海洋開発考えていくべきだ。単なる経済的合理主義による生産向上というようなちっぽけな考えの中に住むべきじゃないんだ。その中にこういう法案というものが出ないと、科学技術特別委員会で論議するのにあまりにも私はこそくだと思う。そこで長官にそういう意味の一つの構想をお持ち願い、やがてこれが単なるいわば海洋技術庁が個々の生産技術に隷属するようなものでなくて、この中から海洋省が生まれるくらいの一つの構想のもとに提案をされることが望ましいし、こういうものを案外持っておられないと、これは非常に弊害が出ると思うのです。  法案の構成の中に、私はちょっと読んでみましたけれども、監督する立場が投資をし、そして民間の投資を含んで、その中に先ほども疑問が出たのですが、準公務員立場役職員は国が出す。監督する者、される者が混乱をする中に、やはりそこにいろいろな間違いを起こす法案の構成だと私は見たのです。これはここではもう時間がないので申し上げませんが、何としても基本的な構想をひとつしっかりと立てて、そして科学技術庁の担当行政官その他が一つの高い理念を持って進めていかれることを切望いたしたい。長官の御意見を聞いて終わりにいたします。
  75. 西田信一

    西田国務大臣 十分御趣旨に沿うような答弁をいたさないで失礼をいたしましたが、全く先生の仰せになるとおりだと思うのです。地球の表面をおおっております陸と海とを比べれば海のほうがはるかに多うございます。そして昔は七つの海を制すればどうとかいったこともありますけれども、それとは全く違った意味におきまして、いまの先生の海洋観を持てという御意見は全く同感であります。私はある識者からこういう話を聞いたのであります。陸と海とを比べると陥没した海のほうに資源が多いんだ、こういう話をある識者から聞いたことがあります。私は非常にりっぱな識見だと思って伺ったのでありますが、全くこれは面積からいいましても、それからまた実際に資源量からいいましても、陸よりもはるかに多いものが海の中に賦存しておるというふうに考えて差しつかえないと思うのであります。大陸だなだけではなくてもっと深海全体について、一つの大きな夢を持って、これから開発していく。われわれの生活の場を海に求めるというぐらいの気持ちで、これから海洋開発に取り組んでいくべきであるというお考え、御意見は全く私も同感でございます。ちょっと先ほどは少しセンターにとらわれた御答弁を申し上げましたが、そういった気持ちでやはり海洋開発と取り組むという基本的な考え方が必要であると思います。そういう意味で、このセンターはもちろんでありますが、審議会も改組願いまして、そして広い立場、広い視野から、ひとつこれからの海洋開発をいかに取り組むべきかという課題から取り組んでいくということを、実は考えておるわけであります。その一環としてのセンターをつくるわけでございますが、全く先生の御意見のような気持ちで、私はじめ役所の者全体がそういう姿勢で取り組んでいきたい、かように考えます。
  76. 渡部一郎

    渡部委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。田川誠一君。
  77. 田川誠一

    ○田川委員 いま山中委員が言われました海洋開発と汚染といいますか、公害と申しますか、その関連はたいへん重要な問題でありますので、私は質問というよりも、もう一度大臣に要望を申し上げたいと思うのです。  最近、こうして海洋開発が非常にブームになっており、そして民間企業が海底資源の開発というものに非常に強く取り組んでおる。ところが、一方におきまして、世界海洋学者の中には、いま山中委員指摘したように、海洋開発によって海が汚染されるのじゃないか。それから、この海洋開発によって、これが軍事利用されるのじゃないかという懸念が非常に強いわけです。これはアメリカでも、フランスでもあるいはまたヨーロッパ各国でも、そういう心配がずいぶん出ている。日本でも水産業界の中にあまり海洋開発の関心が出ていないのです。なぜ出ていないかというと、海洋開発が進むと魚がとれなくなるのじゃないかという懸念があるわけです。そういう懸念というものを、十分ひとつ国は、政府は認識していただいて、海洋開発というものが広く海洋汚染の防止まで含めるのだという気持ちでやっていっていただかなければならないと思うのです。私は昨年世界民間の、海洋学者の会議に出てまいりましたけれども、そこで話し合いが行なわれたことも、海洋汚染というものを非常に心配しているのです。ですから、そういう意味で、ひとつこのセンター海洋汚染というものを十分研究していくのだということを、政府考えていっていただきたい。このことを要望かたがた申し上げた次第でございます。
  78. 西田信一

    西田国務大臣 開発によって汚染が増大する、これはもう非常に戒心すべき問題でございまして、海洋開発と申しておりますが、むしろ海洋開発の中にはいま先生のおっしゃいましたように、将来起きるであろう汚染の防止はもちろんでありますが、現在起きておるこの汚染も、これをひとつ排除していく、こういった心持ちでこの海洋開発に取り組まなければならぬ、かように考えます。したがいまして、審議会等におきましても、そういう問題を十分にひとつ審議していただくつもりでございますし、このセンターにおきましても、そういうような心がまえで運営をするというふうにいたしてまいりたいと考えております。
  79. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 いま田川委員も言われたように、水産業界もやはりそういうことで懸念をしておって、開発の阻害になる点もあるのですから、私、理事でも何でもありませんけれども、法案を採決されるときには、その運営について、できればそういうことが附帯決議その他でされることを御希望申し上げて終わりたいと思います。
  80. 渡部一郎

  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回海洋科学技術センター法案が出まして、センターが発足するということになったわけでございます。この海洋開発推進については、国際的にもまたわが国としても非常に大きな世論の高まりとここ数年なってきたわけであります。政府も、非常に遅々とした取り組みのようには思っておったわけでありますが、ようやく重い腰を上げられた、そうして今回こういうセンターができた、それについては非常に評価をしておるわけであります。  しかしながら、この海洋開発の体制づくりの上からはまだまだ十分とはいえないのじゃないか、このように思うわけです。そこで、そういう体制づくりの一環としてこういう認可法人の形式で海洋科学技術センターを発足させようとなさっておるわけでございますが、その今回の発足についての意義といいますか、それについてひとつ簡潔に長官からお伺いしたいと思います。
  82. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発は、ここ約十年間、政府も積極的な姿勢で、まず海洋開発に必要な科学技術開発ということから取り組んでまいったことは御承知のとおりでございます。科学技術審議会を設けまして、それぞれ三回の答申をちょうだいし、その答申基礎にいたしまして、政府部内におきましても推進会議をつくって、具体的な基本計画もつくってやってまいりました。しかしながら、先生が申されましたように、海国日本としての海洋開発に対する国民の世論というものは非常に高まってまいりました。また民間の動きも非常に積極的になってまいりました。  そこで、一方におきまして、海洋開発全般に対するところの各般の基本方針をひとつ定める必要がありますので、すでに御審議をちょうだいいたしました開発審議会に改組いたしまして、このような海洋開発基礎的、基本的方策の検討を急いでいたしたいと考えておるわけでありますが、何と申しましても、いままでは科学技術審議会が、科学技術に関していろいろな検討、審議を続けてきたわけでございますが、いよいよ実行段階に入ったというふうに思うわけであります。実行段階に入った、その実行の第一の方策といたしまして、こういうセンターをつくって、ここで従来国の予算でつくってまいりましたいろいろな海洋開発の基金その他もございますが、それを総合的にひとつまとめ、しかもこれを民間の協力を得まして、そして要するに、海洋開発技術開発に関しますところの中心をつくっていこうというのが、今回海洋科学技術センターをつくることになった理由でございまして、ぜひともセンターを活用いたしまして、そうしてさらに海洋開発科学技術面におきますところの積極的な振興をはかってまいりたいというのが率直な気持ちでございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 この海洋科学技術審議会が、今回法案が出まして、海洋開発審議会と、いま内閣委員会でかかっておりますけれども、私はこれについては非常に評価をするわけであります。われわれがかねて主張していたことをそこまで持っていかれた、これは評価をしておるわけです。そこで、こういうセンター自体に限って言っても、審議会海洋開発審議会となっておるわけですよ、海洋科学技術審議会から。それではこのセンターだってもっと大きなビジョンに立って、ほんとうにわが国海洋開発を進めていこうというのであれば、総合的なセンターとするならば、海洋開発センターと、もっと大きくとらえることできなかったのですか、これ。その点についてはどうですか。
  84. 西田信一

    西田国務大臣 われわれはいままでは科学技術ということを審議会の場においていろいろ検討して、そしていろいろ推進してまいったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、いよいよ実行の段階に入ったというところでこういうセンターをつくることになったわけで、名称は、あるいは技術という名前が危くて海洋開発センターということでもよかったかもしれません。しかしながらこれはまず何といっても技術が将来の開発基礎をなす、基本をなす、先決の問題であると考えますので、範囲が狭いようにお感じになるかと思いますけれども、海洋開発に対する科学技術の面におけるセンターということにいたしましてスタートさしたいということになったわけでございまして、海洋センターと申しますと非常に窓口が広いようでありまして、そこでいかにも海洋開発に関することを全部やる認可法人をつくるということがはたして適当かどうか。そこら辺は国の政策としてはいろいろやっていかなければなりませんが、まず技術に関することを中心としたセンターをつくり上げて、しっかりしたものをつくって、そうして海洋開発の土台にしたい、こういった心持ちからこういうものをつくることにいたしたわけであります。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 外国の例を見ましてもたとえばCNEXOにしてもアステオにしても、そんなただ技術だけという狭い観点にはとらえていないわけですよ。やはり少なくとも海洋開発中心としてのセンターとしてのやはり意義づけがあるわけですよ。最初から科学技術に限るのだというような、審議会海洋開発審議会としておいて、そして実際のセンター海洋科学技術だ。そういう大体ビジョンが私は政府に薄いと思うのですね。壮大な、これからの海洋をいかに調和ある開発をし、人類に貢献していくか、そういう観点からすればもっと大きく——発足はなるほどそれは資金の点もあるでしょう。しかし十年後、二十年後にはこうしていくのだ、そういう最初のスタートから夢も何にもない、現実面のほんとにちょっと先をやっていくのだ、私は今回何もないところからこういうようにされたことについては、それはそれなりに評価をするのですよ。しかし同じやるならもっと大きなビジョンに立って、なぜそういう将来計画を立てた上での第一歩であるというような構想はできなかったのですか。局長さん簡潔に答えてください、だいぶんまだ質問するわけですから。
  86. 石川晃夫

    石川政府委員 海洋科学技術センター科学技術という問題でございますが、われわれの考え方といたしましては、海洋開発というものは相当大きいものであるということは先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、今後の海洋開発というものが、やはり科学技術というものを中心に進めなければ、いわゆる諸外国で行なっているような海洋開発に対応し、さらにそれを追い抜くことはできないということで海洋科学技術ということをつけたのでございまして、現在の海洋開発というものは科学技術がなくしてできないということでございますので科学技術ということをつけただけでございます。したがいまして考え方としましては相当大きなビジョンというものは、この海洋科学技術センターが将来育っていく上において出てくることは当然だというふうに考えております。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術の重要さはわかるわけですよ。そのしんになることはわかるのです。ただ、ただつけただけだというような非常に安易な、名前ひとつつけるにしても、その名前からまた将来の土台といいますか、芽生えていくものがあるわけです。出発の当初からそういう何となしに限られたような、大きなとらえ方の中で重点的にどれをとらえていくかとやっていけばいいのですよ。その辺のところを非常に安易に政府は流されておると私は思うのです。  まとめて長官答えてもらいたいのですが、もう一つ私は体制のことで申し上げておきたいのは、当初われわれは海洋局をつくってもらいたい、宇宙局もつくるべきだ、このように言っていたわけです。そこで政府としても原案を研究調整局と宇宙海洋局というのに分けて、研究調整局には調整課、総合研究課、環境科学技術課、宇宙海洋局には次長を置いて、宇宙海洋政策課、宇宙調査国際課、宇宙開発課、海洋開発課と、私は、本年度は科学技術庁も非常に前向きに取り組んでいただいておる、いよいよ政府も本腰を入れてやっていただくようになったなと思ったのだが、何もできていないじゃないですか。長官として本気になって努力していただいたのですか、どうでございますか。
  88. 西田信一

    西田国務大臣 宇宙海洋局というものをつくる予算要求を出しまして、努力はいたしました。努力はいたしましたが、先生御承知のとおり政府の基本的な方針がございまして、残念ながら今回は実現できなかったのでございますが、われわれは決してこれで挫折したわけではございません。どうしても私どもは宇宙海洋、ほんとうは別につくることができればなおけっこうですが、なかなかそう急にまいりませんので、宇宙と海洋と合わせた局をつくりたいのでございます。しかしながら、これはたいへん申しわけないのでありますけれども、御存じのような基本方針がございますし、人の関係もございます。今回は各省定員の削減ということが実際に各省にわたって行なわれておりますが、これは特に海洋のほうにふえたということではございませんけれども、科学技術庁全体で、よその各省が減っておりますのに対比いたしましては、わずかでございますが、何名か定員が実質増があったというようなことでございまして、ぜひ引き続いてそういうような機構の整備もはかってまいりたい、かように考えております。  それから先ほどの、なぜ海洋開発センターという大きな構想を打ち立てなかったというおしかりでありますが、これは局長申しましたように、何と申しましても中心科学技術であるということから、まず科学技術と真剣に取り組んでいこうという以外に理由はないのであります。こんなこと・を申すとおしかりを受けるかもしれませんが、海洋開発の科学技術審議会も十年間やってまいりまして、そこで今度は広範な海洋開発審議会に今回改組させていただくことになりましたように、この科学技術に関しますところのセンターで十分な機能を発揮して、そして効果をあげました暁におきまして、さらに将来の問題としましてはもう少し広範なセンターに切りかえていくということも十分考えられることでございますが、まずひとつ中枢的な科学技術と真剣に取り組みたい、しぼっていこう、こういうところにあることを御了承願たいと思います。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官の前向きなお気持ちはわかりました。われわれ議員の一人といたしまして、特に宇宙なりあるいは海洋につきましても、原子力につきましても、われわれとしては非常に今後の重要性をみな感じております。その点は各党も一致した考えを持っておるように私は受け取っておるわけでございます。われわれとしても今後できるだけの努力をやっていきたいと思っております。さらに来年度予算においては宇宙局なり海洋局なりつくってもらいたいと思いますが、少なくとも今年度予算で努力なさった宇宙海洋局、これについては全力をあげて発足をさせていただきたい、このように思うのですが、それと現在の海洋科学技術センター海洋開発センターへ早く持っていけるようにやっていただきたい。この二点について、いまのは長官の抱負でございますけれども、さらに強い決意を簡単にお聞きしたいと思うのです。
  90. 西田信一

    西田国務大臣 両方ともそういうように鋭意全力をあげて努力したいと思います。
  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからこれは認可法人になりまして、産業界からも相当な資金というものが出るわけであります。いままでの、たとえば宇宙開発事業団とか石油公団とかに比べますと形態が非常に違うと思うのです。それだけに産業界のそういうような力が従来のそういう事業団に比べると強く働くのじゃないか。そうしますと、これを設立した、ところが産業界の要請にとにかくこたえていくのだということで、研究なり業務なりが、言うならば海洋開発なんかに従事しておるのは大企業が主なんですけれども、そういう大企業サイドに立つものになりがちじゃないか、引っぱられるのじゃないか、本来国がこうやっていくのだという方向がそれでくずされていくというようなことを私は非常に心配するわけです。真に国民の利益につながるものであるかどうか、そういう研究を進めてもらわなければならぬわけです。その点今回のこの法人というのは非常に心配でありますので、その点政府としてはどう受けとめておりますか。これは局長長官にひとつお聞きしたいと思います。
  92. 西田信一

    西田国務大臣 今回民間の協力を得てこういうセンターをつくることになりました。ともすれば政府だけにたよりがちであるという民間姿勢は私は必ずしも歓迎できないと思うのです。やはり民間もみずから持っている力を出して協力してやっていくという心がまえを持ってもらうことは、私は必要だと思います。その意味におきまして今回は非常に協力的でありますし、その点は私どもはたいへん経済界の御協力を多としております。しかしいま先生がおっしゃいましたように、そういう資本を出したとかいうようなことで業界の経済主義に引っぱられて、そうして十分な当初の目的を達しないことになりはせぬかという御心配でございますが、十分に歯どめをしておくつもりであります。  その歯どめはいろいろございますが、まず十分な監督をやる。先ほども御議論があったようでありますけれども、役職員公務員に準じた扱いをするということもそこら辺に考えを及ぼしておるわけでございますが、まず人事の認可あるいは業務方法書あるいは業務計画、こういったものも十分にひとつ監督をいたします。そうしてまた業界もそんなけちな考えを私は持っておらないと思います。大いに国と一体になって日本海洋開発のための中心になる技術開発に積極的に協力する、こういう姿勢だと存じますから、そういうことのないようなことにつきましては十分配意をしてまいるつもりでございます。
  93. 石川晃夫

    石川政府委員 この海洋科学技術センターが発足する段階になりますと、監督の問題につきましてはたぶん研究調整局がその担当になるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、ただいま長官からも答弁いたしましたように、このセンターの運営につきましては、十分そのような御趣旨に沿うようにわれわれも努力してまいりたいというふうに存じております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで水産資源なり何なり、いろいろな研究所海洋開発についてはたくさんあるわけでございますが、特に大学にも、たとえば東大なんかにも海洋研究所もございますし、そういうような各大学のそうした海洋研究というものとそういう基礎研究といいましょうかそういうものと、海洋科学技術センターとの関係というものについてどう見たらいいわけですか。
  95. 西田信一

    西田国務大臣 私は大学と各研究所、これも研究所の一種だと思いますが、研究所というよりももう少し実務的なものを持った研究所考えていいと思いますが、私はもう少し大学とこれらの機関とが密接な関係に立つべきだと思っております。そういう意味で実は文部大臣ともこういう問題につきまして会談を行なったことがごく最近にございます。大学に対しましてこの研究機関等もでき得る限り活用してもらいたい、大学にも必要な、可能な限りこれを共用的に開放する。開放というのは少し行き過ぎかもしれませんが、そうさせるということを申しておるのでありまして、今回の場合におきましても大学あるいは研究所等と十分密接な関係をもちまして十分これを活用してもらいたい、こう思っております。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから国際協力という点についてですけれども、外国研究者等、これの受け入れ等についてはどう考えておるか。さらに共同調査、共同研究等についてどのように考えておられるか、この点について簡単にお聞きしたいと思います。
  97. 石川晃夫

    石川政府委員 現在このセンター自体において国際協力でどうこうという計画はまだ現実の問題として作成をしておりませんが、海洋開発を行なうにあたっては当然そのような国際協力が必要になってくると思います。したがいまして、今後そのような状態になりましたときには十分前向きの姿勢でこれと取り組んでいきたい、このように考えております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで海洋開発といいましても、非常に大きな水産資源あるいは鉱物資源あるいは海の持つエネルギーの利用とか、そのスペースの利用とか、さまざまな問題があろうかと私は思うのですが、この間水産庁長官が漁場総点検の中間報告を参議院の予算委員会で明らかにされたわけですけれども、今後の海洋開発を進めていく上において水産資源に及ぼす影響とかあるいはスペースの利用等の問題とか、さまざまな影響を与えてきておるわけです。この点についてきょうは水産庁も来ておられますし、その海の汚染状態の問題点について簡潔にひとつ御説明願いたいと思います。
  99. 田中慶二

    ○田中説明員 最近お話しのように漁業公害が進行している際でもございまして、漁場環境の悪化が見込まれている水域につきましてその現状を把握いたしますとともに、適正な水質の保持と漁場環境の維持、回復に必要な対策の推進をはかることが必要でありますので、四十五年度において各都道府県に委託費を交付いたしまして、全国二百二十七の水域、その内訳といたしまして、海面は百三十七水域でございますが、内水面が九十水域となっております。そういうものについて水質、底質及び水産動植物への重金属類の蓄積について調査を実施いたした次第でございます。カドミウム、水銀など重金属類の分析がまだ終わっておりませんので、総体的な判断を下すのにはなおしばらく時間が必要であると思いますが、いままでの中間的取りまとめによりますればCODまたはBODで見る限りにおきまして、おおむね半数程度の水域において水質汚濁が進行しているように思われます。今回の調査の結果の取りまとめを待ちまして、さらに必要な調査検討を深めていきますとともに、都道府県に対しまして、水産業の立場から必要な措置を講ずるよう、十分指導助言を行なってまいりたいというふうに考えております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 中間報告で、約半数以上の海面がそのように汚濁をしてきておる。そうしますと、これはさらに調査が進めば汚染状態というものが地域的にもあるいは内容的にも拡大していくということはこれは火を見るより明らかです。一番海がきれいというときに調査した時点で半数以上がこのように汚濁してきておるわけです。こういう点から考えていきますと、水産資源に与える影響というものはこれははかり知れないものがありますし、重金属等のそういう汚染がさらに進んでいけば今度はさらに人体に与える影響等、はかり知れないものがあるのじゃないか、私は非常にその点を心配するわけです。さらにスペースの利用等からいきますと、たとえば建設省なんかも全国的に約二十カ所ほど六十年までに非常に大規模のレクリエーション構想を立てていらっしゃるわけです。この内容をずっと見てみますと、ほとんど海を取り込んだそういうセンターですよ。この地域には海中展望塔、海中牧場、キャンプ場、周遊港などの施設を配置する、また土地利用を進めていく上で、農林水産業など地場産業の振興という立場からフィッシングセンターや養殖場などの建設を通じ、レクリエーション都市としての整備を積極的にはかっていく。これだって、そんなに海がどんどん汚染されて汚濁していけば大きな曲がり角に立つのじゃないか。さらに厚生省も海中公園をいま二十カ所ですか、二十カ所を指定なさっておりますが、これだって今回の発表から、大体BOD、CODが非常にふえてくれば汚濁していくにきまっているのですから、少なくとも海中公園というのは透明度が高くて、そうして海の熱帯魚なり何なり、魚が泳いでおる海中景観ということが一番大事になってくるわけですよ。それが根本的にこわされてくる。そうすると、海中公園を幾ら指定したって、濁ったようなところでは海中公園意味も私はないと思うのです。きょうは建設省も厚生省も来られておりますから、両立場からこの海の汚濁についてどのように今後考えていかれるか、お聞きしたいと思います。
  101. 川名俊次

    ○川名説明員 私どもただいま先生からお話がございましたように、全国で二十カ所程度の大規模レクリエーション都市の構想を持っております。この構想は、すでに東京湾なり大阪湾なりといった地域におきましての海水浴等、海域利用のレクリエーションが不適当になっておるという実態がございます。これは何から起こったかと申しますと、主といたしまして装置性工業によります工業化でございます。したがいまして、そういった工業化がさらに延伸いたしまして、海域をレクリエーションの場からとっていくということを未然に防ぎまして、レクリエーションとしての地域を先取りをさせていただきたい。特にそれは最近レクリエーション需要が非常に爆発的にふえておりますこと、それから都市内になかなか緑地がとり得ないという実態、それからもう一つは、かなりモータリゼーションによりまして利用圏域が広域化している、こういった実態を踏まえまして、できるだけ清浄な海域におきましてレクリエーション都市をつくっていこう、こういう考え方でございます。したがいまして汚染した海域を利用するということではございませんので、清冽な水域を利用させていただく、その場合におきまして、レクリエーション都市でございますから、かなりのレクリエーション人口がそこに集中する。集中いたしますと勢いまたそういった人口によりまして、人工的な汚染が起きるのじゃないかという懸念もございますので、私どもといたしましては従来の観光乱開発的な問題を阻止をいたしまして、一定の都市計画法に基づきます土地利用の規制のもとにおきまして、土地の適正な利用をはかる。それから一つの団地といたしまして、下水処理場でございますとか、その他のじんかい焼却的な施設等を併設をいたしまして、これが汚染なりあるいは汚濁なりといった問題を防止しようということの計画でございます。大体におきまして現在は内湾地域はすでにむずかしい状態でございますので、外洋地域につきましてそういう計画を進めておる次第でございます。
  102. 岡田達雄

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  厚生省におきましては、先生御指摘海中公園につきましては、先般の第六十三国会でございましたか、ここにおきまして法律を改正いたしまして、海中公園の制度を設けた次第でございます。これに基づきまして、昨年の七月一日に十カ所、それからことしの一月二十二日に十二カ所、合計いたしまして二十二カ所の海中公園を設けたわけでございますが、この海中公園は先生御指摘のとおり相当の透明度を有し、それからまた見るに足るべき動植物を有する区域について指定を行なったわけでございます。問題は、この海中公園地区の景観維持、一つにはその条件でございます水質、透明度、そういったものをいかにして確保するかという点が問題になるわけでございまして、先般の国会におきまして法律を改正いたしまして、海中公園地区に対する排水の規制を行なうことにいたしました。国立公園内の海中公園にありましては厚生大臣、それから国定公園の海中公園につきましては都道府県知事、それぞれの許可を必要とするというふうに規制を設けた次第でございます。今後この海中公園地区内のそうした水質をいかに守るかという問題がさらに大きな課題になってまいるわけでございますけれども、現在のところたとえば水質汚濁防止法であるとかあるいは海洋汚染防止法であるとか、さらには廃棄物の処理及び清掃に関する法律でございますとか、先般の臨時国会でもって成立した各般の法律がございます。これらの法律の施行の状況を見守りました上で、さらに実態を詳細把握した上でもって的確な措置をとるように検討してまいりたい、さように考えておる次第でございます。
  103. 近江巳記夫

    ○近江委員 この厚生省の場合などは二十二カ所指定なさっていらっしゃるわけですが、建設省はこの熊野灘ですか、これから全国二十カ所を進めていかれるわけです。しかし汚染がどんどん進んでいけば、私は海中公園としての機能を発揮できないのじゃないか、このように思うわけです。その点早急に、実態調査を水産庁が進めていらっしゃいますけれども、共同なさるなり何なり、どういう形をとられるか知りませんけれども、早急に調査をなさってやらないとこれは全然意味がないことになると思うのです。その点については両省どのようにお考えでございますか。
  104. 川名俊次

    ○川名説明員 レクリエーション都市の構想につきましては、御承知のとおり全国総合開発計画、新全総の構想に基づきまして大型プロジェクトといたしましての観光レクリエーション基地の建設ということを課題といたしましての具体策でございます。したがいまして、現在経済企画庁のほうから国土総合開発調査調整費をいただきまして、候補地という地域につきまして調査を実施いたしております。二十カ所というのは一応の概定でございまして、まだどこにするかということはきまっておりませんが、今後そのような調査費を十分活用さしていただきまして調査を進めてまいりたいと思います。  ちなみに、現在調査をいたしておりますのは九十九里の地域を中心とする地域、それから瀬戸内海の地域、それから鳥取県の地域、それから四国西南の地域、こういう地域につきましては調査を進めております。あとの一カ所につきましては内陸でございますので、直接海洋問題には関係ございません。  以上でございます。
  105. 岡田達雄

    ○岡田説明員 厚生省といたしましては、四十二年に設立を見ております海中公園センターという法人があるわけでございますが、この海中公園センターが和歌山県に研究所を設けまして、水質の汚濁、汚染、それから水質の変化、水質のどのような形でもって動植物が変化してまいるかというような研究を四十六年度以降行なうという予定になっておる次第でございます。しかし先生御指摘のとおり、この海中公園、さまざまな区域に設けられておるわけでございまして、それぞれ事情は違うわけでございますので、そういった点も並行しながら、先生御指摘のとおり全国的にこの調査を行なうよう今後ともさらに努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の水産庁の中間報告を見ましても、いま建設省がおっしゃったように瀬戸内海とか四国とか、これはやはりダブっているわけです。現実に汚染が進んできておる。これから減るということは——政府としては、これは前国会も十四法案を通したわけですから、いろいろ対策はとられると思うのですけれども、そんなもの、急にブレーキがかかってなくなるわけはないのですから。むしろどんどん生産が進んでくれば、希釈されたものを流すけれども、絶対量としては海へ流れていく。そうなってくれば、さらに汚染は進んでいくわけです。そういう点を考えていった場合、現実に建設省なり厚生省がお考えになっていらっしゃるところも、その実態調査の結果によっては変更せざるを得ないような状態にもなるんじゃないか、このように思うのですが、そういう状態になった場合になお濁ったままでそれをさらにやっていかれるのですか。その辺についてはさらに別の場所を設けるとか、そういう柔軟性のあるお考えに立っていらっしゃるわけですか。
  107. 川名俊次

    ○川名説明員 私どもといたしましては、大規模レクリエーション都市、特に海洋性の大規模レクリエーション都市につきましては海水を利用した、まあ水浴でございますが、水浴を中心といたしておりますので、汚染度が非常にはなはだしい地域を対象とするということは現実の問題としては考えられないというふうに見られます。ただ一般の都市公園的な処理といたしましては、すでに大阪の浜寺公園でごらんいただいているかと存じますが、内陸部に大型プールを設けまして水浴に供するというような方法もございますので、場合によりましては計画の一部縮小ということによりまして、別の方途によりまして対策を講じていく、こういう考え方でございます。
  108. 岡田達雄

    ○岡田説明員 この海中公園地区におきます水質の変化を含みます汚染状況につきましては、厚生省、関心なきを得ません。したがいまして先生御指摘のとおり、これがせっかく指定したものでございますので、この自然公園と申しますか、国立公園、国定公園の本質的な考え方は、できるだけその地域あるいは水域、これを自然のまま保っていくということに本旨があるわけでございまして、この点につきまして必要な規制、必要な調査、先生御指摘調査でございますが、そういった点につきまして、今後遺漏のないように努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 海というのは動くわけですよ。ですから、その地域だけを幾ら規制しても、もちろんほかの関連法案があるから全国的な規制は進むわけですけれども、この汚濁の進行度からいきますと、いまよりかきれいになるということはないわけですよ。全国何百カ所の水域を調査して半分以上は濁っているわけですよ。そういう点からやって、努力されることはよく理解できるのです。ところがこういう状態で現実に十カ所を指定なさっていますけれども、調査の結果濁りがきておる、しかしまだ資金もそこまで投下しておらないというような場合等においては変更等を考えられるわけですかと、こう聞いておるわけですよ。
  110. 岡田達雄

    ○岡田説明員 現在指定しております点につきましては、現在のところはこれを変更しなければならないといったような状況にはなかろうというふうに判断しておりますけれども、しかし今後、開発等が進みまして汚濁がひどくなるという場合は当然考えられるところでございます。こういう点につきましては、十分その際に地域の変更等につきましては検討さしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 建設省さんもこのレクリエーション都市構想ということで、われわれも緑在り青い海なりあるいは太陽なり、いま一番失われつつあるものがよみがえるということで非常に喜んでいるわけです。ところが、ごらんのように大阪の場合などは、現実に海がそばにありながら一つ土手をつくって、そしてプールで泳がなければならぬ、海がありながら泳げない、そういうように非常に構想というものが後退してきておるわけです。私はスペースの利用を一つ考えても、今後海洋開発を進めていく上において、この汚染問題というものは非常に大きい問題だと思うのです。ましてや、われわれのこの水産資源というものが、そのように重金属におかされておるかわからぬ魚を食べさせられるかもわからぬわけです。これは現実に含んでおると思うのですけれども、調査が進めばショッキングなそういう数値がさらに発表される、そういうことを思うだけでもおそろしいわけです。そういう点で、やはり科学がそのように進み、産業が進み、それとともに自然破壊が起こっておる、これについては非常にわれわれ人類すべてがえりを正して考えていかなければならない問題だと思うのです。  この点、科学技術の先頭を切っていらっしゃる長官として、こういう現状をほんとうにどのようにお考えになっていらっしゃるか、またこの海洋汚染対策として、このセンター等において今後こういう汚染対策をどのように扱っていくか、あるいは今後、汚染の水産物に与える影響とかあるいは環境調査とか、そういうものについては科学技術庁長官としてはどのようにお考えでございますか。
  112. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発が進むにつれて海洋の汚染の問題が心配されることは私ども同感でございまして、何としても防止しなければならないところでございます。そこでこの海洋開発審議会を今度つくっていただきますと、その審議会ではいろいろなことを検討いたしますが、その中に当然のこととしてこの海洋汚染の問題、開発と汚染との関係、こういう問題を当然究明することになります。そして、その審議の結果によりまして、各省の間において総合調整というのをはかっていかなければなりませんし、また前国会以来いろいろ御検討いただきました公害立法等も十分活用いたしまして、海洋におきますところの公害、汚染、こういうものを防止していかなければならないという立場でございます。  そこで、この海洋科学技術センターにおきましても、単なる開発のみに没頭する、開発研究だけに没頭するということではないのでありまして、海洋汚染の防止、こういったことも当然研究課題として取り上げまして、そして開発と汚染防止ということは並行して取り上げてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 ひとつこの海洋汚染の問題を、やはりこういうセンターもできるわけでありますし、総合的にほんとうに真剣に取り上げてもらいたいと思うのです。ですから、海洋開発センターということにしていけば、あらゆるものを包含したそういう点で進めていける、そういう点で将来こうやってくれ、長官もそのようにおっしゃっておりますので、それは了解します。  それから、この海洋開発でいま非常に大きな目玉になっておるのは石油開発なんです。御承知のように、いま資源が日本は非常に不足であるということで脚光を浴びておるわけでございますが、ざっとこれを見ても、現在もうほとんどが大陸だなからとっているわけですね。三井石油開発、アブダビ石油、合同石油開発、カタール石油、アラビア石油、エジプト石油開発、中東石油あるいはインドネシア石油資源開発株式会社、九州石油開発、ジャパン・ローサルファ・オイルあるいはジャペックス・オーストラリア、サバ海洋石油、あるいはアラスカ石油開発、コロンビア石油開発、これを見ても、開発をやっている八割、九割はもう大陸だなの開発をやっているわけですよ。わが国の場合も、長官も御承知のように、島根沖ではシェルとの合弁会社が、これはフィフティー・フィフティーでやっているわけですが、もう試掘やっているわけです。ボーリングやっているわけです。そういうふうに非常に大陸だなの開発ということが脚光を浴びてきておるわけです。今後日本としても、海外の海底資源の開発あるいは日本近海の資源開発を進めていかれるわけですが、その場合に大陸だな条約をはじめとして海洋法の国際的なそういうわが国政府の取り組みの姿勢ということが非常に薄いわけですよ。大陸だなだって現実に入っておりませんし、領海問題にしたって、ああいう中南米の国などは二百海里が領海だなどと言っておりますし、そういう一連のその辺の海洋に関する国際法、そういうところのものも非常にわが国の政策はないし、ばらばらに、もうなすがままに流されておるという感じを受けるわけです。この点、きょうは外務省も来ておりますし、大陸だな条約については一体どう考えておられるか、あるいは領海問題についてどう考えていらっしゃるか、この辺のことについてまずひとつお聞きしたいと思うのです。
  114. 堤功一

    ○堤説明員 現在大陸だな条約につきましては、その条約自体に二つの問題点がございまして、これがわが国の加入を妨げているわけでございます。  その一つは大陸だな条約におきましては大陸だなの範囲がいま一つ確定しておらないわけでございます。その範囲はどういうふうに規定されておりますかと申しますと、第一条におきまして、深度二百メートルまでの海底あるいはそれ以上にわたるときは技術的に開発可能な範囲まで、その技術的に開発可能な範囲までということがきわめて不確定であるということであります。  いま一つの問題点は、大陸だなの資源というものはいかなるものが含まれるかということで、大陸だな条約の規定とわが国立場と根本的に相いれないところがあるわけでございます。それは漁場資源に対してでありまして、大陸だな条約では、収穫のときにおいて定着種族に属する生物資源はこれは大陸だなの資源である、こういうふうに規定しております。その点はわが国の従来の伝統的な漁業上の立場と全く相反するものでありまして、この二つのためにわが国は大陸だな条約に入っておりません。  これに関して、私どもは、大陸だなにおける鉱物資源の開発という観点から見ますと、この権利は鉱物資源の探査並びに開発に対する沿岸国の主権的な権利の行使はすでに一般的な国際法で認められたものである、そういう立場をとっておりますので、その点について大陸だな条約に加入しないことによって何らマイナスはこうむらないという解釈でありますし、事実そう判断できる次第であります。  国際的にその点についていま少しくつけ加えますと、この大陸だな条約ができまして、その範囲が技術的に開発可能なところまでということをきめたのは、実はずいぶん前のことでございます。その後具体的に海洋開発技術が進展して、さらに深いところの鉱物資源の開発もできるようになったという客観的な情勢を踏まえて、国連におきましては大陸だなより深いところの深海の海底は国際的な人類共同の財産である、国際海底であるということにいたしまして、それを開発する法制度を、これは従来の国際法では全然つくられておりませんでしたので、新たにこの深海海底の開発の法制度をつくろうという動きがございます。これは結局七三年に行なわれます海洋会議できめられるわけでございますが、その中の最も重要なポイントでございますところの国際深海海底の外側の範囲ということは、実は大陸だなのまた範囲でもあるわけでございます。深海海底の範囲がきまるにつれて大陸だなの範囲もきまってくるということでございますから、この方面の動きを見きわめてから大陸だな条約に対する態度を確定するのが妥当左手順であろうと思いますので、現在のところ、わが国といたしましては、大陸だな条約そのものに加入するということは考えておりません。  それで、先生の御質問の領海の幅員の点でございますけれども、これもただいま申し上げました七三年の海洋会議の非常に重要な問題の一つでありまして、その七三年の海洋会議におきまして、この領海の幅員ということが国際的な合意を見ることを切に希望しておるものでございます。と申しますのは、日本は漁業資源、海運等の観点から海洋国家でございまして、海洋法については安定した制度というものができているということがわが国の利益と存じております。その点から申しますと、現在の領海の幅に対する各国の動向というのはきわめて不安定で、御承知のとおり、中南米の数カ国は二百海里という広い範囲にわたって領海を主張しておる。こういうことは、わが国の漁業上、開発上の立場から見てはなはだ好ましからざるところでございます。で、領海につきましては、いろいろな国がいろいろな主張をしている中で、十二海里という幅を主張している国が実は一番多数であります。わが国は現在のところ、伝統的な三海里という主張を行なっている国の一つでありまして、これが第二番に大きなグループ。このようにいろいろな幅を主張している国が入りまじっているのが遺憾ながら現状でございますので、これもその国連の場で討議を経たあとで七三年の海洋会議でまとまるものと思っております。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 何か非常に、諸外国がどういう動きをするか、国際関係がどういう動きをするか、そういうことを待っておってわが国政府としてはやるんだ、特に海洋法についてはそういうルールというものが確立されておらない、たとえば東シナ海の開発にしたって、もう島根沖のときだって韓国とものすごくもめてきておる。尖閣列島にしても、あれは日韓台、さらに中国がまた大陸だな、こういうことも政府は大体はっきりしたルールを知っておかないからこんなことが起きるわけですよ。  具体的に島根沖のあの辺の鉱区の設定について韓国ともめておった、あれはどうなったのですか。それから尖閣列島の中国の申し入れ等がいまあるわけですけれども、あれについても、この三国の共同開発は六月には具体化する、中国の非難を押し切ってやるんだ、こういう動きを民間がやっているわけです。民間がやると言われても、当然三国の連絡員の構成あるいは共同開発には関係法規の調整など、政府の関与というものが不可欠になってくるわけです。そうした場合、六月ですよ。そんな何もなしに政府はぼっと見ておるわけですか。具体的にしぼって、島根沖の韓国との問題と尖閣列島の六月に共同開発を進めていく問題について、政府としてはどう対処するのですか。
  116. 堤功一

    ○堤説明員 韓国との間の話し合いにつきましては、双方の法律的な立場を文書にして交換するということになっておりまして、これはまだ交換は見ておりませんが、その点については双方が合意しております。このラインで話し合い、交渉に入るものと思います。  片一方の尖閣列島に関しましては、その周辺の大陸だなの開発ということ以前に、その島の領有権自体につきまして、実はまず解決されなければならない問題がある。この領有権については解決されておりませんので、日本側は領有権並びに周辺の開発につきまして、お互いに話し合おうという希望を表明しておりますけれども、これについては先方からまだ回答を得ておりません。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府考えの一端はわかったのですけれども、六月にすでに三国連絡委員会による共同開発の構想、これを具体化していく、こう言っているのですよ。中国は非難しておるけれども、その非難を押し切ってやっていく、こう言っているのです。幾ら民間だといったって、政府関係せざるを得ないじゃないですか、関係法規の調整とかいろいろなこと。このままずっと成り行きで見ておって、もしもこれが重大な国際問題に発展して紛争してきたらどうしますか。政府としてはどうイニシアチブをとっていくのですか。何でもかんでも国際的には外国の動きでそれを見てやりますと言うが、身近な自分のところの台所に火がついているわけですよ。そんなのんきなことを言っていられるのですか。今後具体的にこれはどうなさるのですか。六月に動くと言っている。
  118. 花岡宗助

    ○花岡説明員 六月の会合は民間の会合でございまして、これがどういう具体的な動きになるかはその結論を待ってみなければわからないわけでございますが、これは具体的には鉱業権者と申しますか、日本政府に対して鉱業権の申請をしておるものはこの会合には入っておりませんので、具体的に政府との関連はいまのところは出てまいらないという状態であります。  それから先ほど先生おっしゃいました島根沖の西日本石油の開発でございますが、これは韓国との紛争の地域には入っておりませんので、問題はないと思います。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産省ですか、これを受け付けなさってるのは。通産省のところに具体的に出てないからいいんだ。ところが六月に動き出すのですよ。国際的な紛争になりますよ。そんな傍観でいいのですか。現実にもう沖繩は返還になるのですよ。そんな手も足も出ない、腕をこまねいてぼうっと尖閣列島のほうを見ておっていいのですか。しかも島根沖も、韓国が入っていないというけれども、ほんとうに石油が出たら、どんどんあの鉱区はこれから掘っていくのですよ。そんな目先の、いま掘っておる井戸一本だけのことを言ってもらったらこれは困るのですよ。なぜもっと先のそういうようなことを手が打てないのですか。どうしますか。これは海洋開発を進めていかれる上において長官どうなさるのですか。海洋開発、そのための審議会をつくってやっておるわけでしょう。やはり少なくとも科学技術庁長官調整機能といいますか、大きく全部の責任を持つわけですよ。現実に火をふいておる、こういうことを傍観されておっていいのですか。——傍観されておると私は思いませんが、それは失礼があればあやまりますけれども、傍観されてわらない長官の見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
  120. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発審議会が、法案を通していただきまして、動き出すのは七月からになっております。したがいまして、いま先生が御指摘の問題は、時期的にそれから先に在るわけでありますが、もちろんこの問題に限らず、国際関係の問題も海洋開発審議会のそれぞれの部会におきまして検討されるわけであります。大陸だな問題、領海の問題等、深海、海底利用の問題も、もちろんその審議の対象になるわけでありますが、いまの問題は私のほうの責任と申しますより、やはりそれぞれの各省が所管されておるわけでありますから、そういう海洋開発審議会等の場において審議されたその結論につきましては、私どもとして善処いたしたいと思いますが、いまの問題は私の責任と申しましても、ちょっとお答えが直接しにくいのであります。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう長官にお答えしにくいと言ってこられると困るわけですよ。やはりこういう問題はがっちりとだきとめてもらわなければ困るわけですよ。全部関係各省、少なくともここに集まっていらっしゃる方々はもう課長さん以上であり、第一線に立たれる責任者の皆さんばかりですよ。日本の国がこれで国際紛争を巻き起こして、政府の無策のために、何も考えていない、そういう紛争に巻き込まれていくのを傍観しておっていいのですか。これはどこで一体真剣にこれの検討をやっているのですか。権益の問題であれば通産省あるいは外務省、海洋開発という点からいけば科学技術庁でしょう。
  122. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発という立場におきまして私どもは連絡調整立場にございます。したがいまして、その立場から関係省庁と十分連絡をして努力をいたしたいと存じます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 連絡調整ということをあくまで強調されて今後なさっていく、わかるわけですけれども、こういう問題ほんとうに真剣に私は取り組んでもらいたいと思うのですよ。これは実際にいまは何というか、じっと縮こまって見ておるという感じですよ。  もう一つ具体例申し上げますと、この間資源協会が第二次の調査隊を南太平洋に出したでしょう。去年と一昨年と、かなりの成果をあげてきているわけですよ。アメリカなんかから共同で開発しようじゃないかという声もかかってきているわけですよ。そうすると、いま国際法では海底の平和利用なりあるいは海底の利用条約なりができかかってきておるわけです。これなんかどうなんですか。アメリカはすでに手を差し伸べて、ばく大な資本も出してやろうじゃないか、日本のそういう採取法は非常にいい、これは具体的に出ているでしょう。こういう問題は政府としてはどう受けとめてどう指導なさっておるのですか。それは担当の方にお聞きしたいと思います。
  124. 花岡宗助

    ○花岡説明員 アメリカから共同調査についての提案があるというお話でございますが、これについての詳細は承知いたしておりませんけれども、個別の問題につきましては世界的な共同調査の条件等もよく調べました上で検討することにいたしたいというふうに考えておりますが、一般論といたしましては、たとえばアメリカとマンガン団塊に関する共同調査というような問題について申しますと、アメリカにおいてはこういった調査はかなり進んでおるようでございますし、技術面あるいは資金面でわが国よりすぐれておる面があるということでございますので、御指摘のように、日米の国際協力という方向は一般論として好ましい方向であろうというふうに考えております。
  125. 堤功一

    ○堤説明員 いま御指摘のマンガン団塊の開発につきましても、国連において現在審議中の海底開発と申しますか平和利用条約というものができて、その上で初めて企業的に開発が可能となるという順序でございますので、現在は科学的な調査は進めております。そのような科学的な調査という実績の上に立ってわが国の国益が十分に反映されるよう、国連における条約案の審議に際しては積極的に取り組んでいくつもりでございます。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、科学的なそういう採取であれば問題はない、そして十分企業化していけば、その海底条約に基づいて大規模な開発をしていく、こういうことですか。
  127. 堤功一

    ○堤説明員 海底開発条約の全貌というものはほとんどできておりません。どういう形になるかまだわかりませんが、しかし深海海底の開発ということは全人類の共同の財産の開発ということから、すべての国の利益のために行なうということでございますので、従来の資源開発と異なりまして、ある程度開発国の収入になるけれども、ある程度は国際社会のために供出しなければならないというそういう原則だけはきまっております。その程度しかきまっておりませんので、具体的にはどういうことになるかわかりませんが、少なくともこの条約ができますまでは企業化ということは不可能であるというたてまえと存じております。
  128. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、この企業化は不可能であるから、民間がどのくらいやるか、それを政府としては大規模でないから見ておこう、政府としては本腰を入れない、こういうことですか。
  129. 花岡宗助

    ○花岡説明員 先ほど外務省のほうからお答えいたしましたように、現在は調査段階でございますが、通産省といたしましてはこういった調査には本腰を入れてまいりたいという考えでございます。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術庁はどうですか。
  131. 石川晃夫

    石川政府委員 海底マンガンの採取につきましては、科学技術庁といたしましても従来から特調費をもちまして四十四年度から三カ年計画でこのような研究については促進方をはかっているわけでございます。ただ、これを本格的に企業としてやるかどうかという問題につきましては、その前に明年度までこの研究が進んでおりますので、この研究成果が出ましてから検討したいというふうに考えております。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 何だか話全体を聞いておって不安になってきますね。へっぴり腰で何となしに手さぐりをしながら、それでもちょっと手をつけようか。ですから要するに政府としてのはっきりとした態度というものが何もないわけですよ、いろいろなことにしても。  もう一つ心配な点、もちろんこれは念押しで聞いておくのですけれども、島根県の沖で、要するに日本の大陸だなでシェルの資本が五〇%入って掘っておるわけですよ。われわれは期待しますけれども、もしもすばらしい低硫黄の石油が出た場合——五〇%向こうの資本が入っているわけですよ。これは外国に持っていかれるというようなことはないでしょうね。その点政府としてはきちっと歯どめしていますか。
  133. 花岡宗助

    ○花岡説明員 これは島根県沖の場合は地理的な条件から申しましても、経済原理から申しまして一番近いところにございます日本の市場に当然売られる状態になるということは考えられるわけでございますが、そのほかにも政府といたしましては、これは日本の市場に売られるということを前提条件としてこの開発を進めさしておるということになっております。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 その前提条件とおっしゃっていますけれども、それをはっきりとした契約書なり何なりはちゃんと政府としてとっているわけですか、単なる希望的な観測ですか、それは。
  135. 花岡宗助

    ○花岡説明員 はっきりした行政指導をいたしております。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 行政指導をして、そのシェルとたしか三菱でしたか、その両社はどういう回答をしているのですか。正式な回答書があれば見せてもらいたいと思います。
  137. 花岡宗助

    ○花岡説明員 正式に西日本石油から石油が出た場合には、これは西日本市場に販売をするという言質をとっております。
  138. 近江巳記夫

    ○近江委員 言質と文書なら文書ということとまた違ってくるわけですよ。確認しますけれども、文書はないわけでしょう。はっきりと向こうは言質を言っておるなら、きちっと契約さして、ちゃんと日本政府としては歯どめを打っておくべきじゃないですか。それについてはどうですか。
  139. 花岡宗助

    ○花岡説明員 文書についてはもう一度調べてみたいと思います。その点は事実としては間違いございませんけれども、正式な文書があったかどうかはもう一度調べてみたいと思います。
  140. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですからそういうあやふやな確認では困るわけですよ。ですからこの石油のこれについてはお聞きしたいということも先ほども申し上げているわけですから、そうしたことを担当の責任者の方がはっきりとつかんでもらわなければ困るわけですよ。何もかもそういうあやふやな状態ですよ。いま間に合わなかったら、あとで私にはっきりと提出してください。委員長、その件について委員長にお願いしておきます。
  141. 渡部一郎

    渡部委員長 その問題は後刻御相談したいと存じます。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから長官に。尖閣列島のこの問題については、六月から具体構想が進むわけです。これについて長官として関係各省集めてやるとか、あるいは閣議ではかるとか、その辺もう少し具体的に出していただかないと、私だけじゃないのですよ、横にいらっしゃる田川先生だって心配なさっていると思うのですよ。
  143. 西田信一

    西田国務大臣 国際紛争が起きては困りますので、国際紛争が起きないようにして開発が進むように関係各省と十分、鋭意打ち合わせを進めてまいりたいと思います。
  144. 田川誠一

    ○田川委員 関連して。外務省でも通産省でもいいですが、ちょっとお伺いします。いまお答えできなければ、あしたでもけっこうです。  大陸だなの排他的権限の及ばない地域に海洋調査をすることが可能かどうか。たとえば海底の地質調査をする、そういうことができるかどうか。つまり大陸だなの管轄区域がはっきりしてない地域で地質調査というものができ得るかできないか、これをちょっとお聞きしたいと思います。いまできなければ、あした調べてお答えいただきたい。
  145. 堤功一

    ○堤説明員 法律的な意味で可能か不可能かという御質問と思いますが、法的には何ら規制はございませんので、科学的な調査でございましたらいかなる国でも自由に、すべての国が自由に調査できることになっております。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、先ほど島根沖のこれを申し上げたのですが、今度秋田沖に五月からたしか石油資源開発公団ですか、第二日竜号を使ってやりますね、最新式の装置を使って。そのように、日本の大陸だなの開発というのはどんどん進んでおるわけですよ。ところが、調査がまだまだ行き渡っていないわけです。この前にお聞きしたところでは五カ年計画だ。私はアメリカのウッズホールに行ったときにエメリー博士ですか、あの人にお聞きしてびっくりしたのですけれども、日本の大陸だななんか全部調べていますよ。外国日本の足元まで、日本近海から世界じゅうみな調べ終わっておるわけですよ。これだけ進んでいるのにいまから五年間、しかもそれは年度ごとの計画どおりにいっていませんよ、いまお聞きしているところは。そういう状態でいいのですか。それについてはどう思われますか。どのように計画を進めていかれますか。
  147. 花岡宗助

    ○花岡説明員 大陸だなの基礎調査につきましては、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会答申で五カ年計画というものができておりまして、その計画に従いまして昭和四十五年度以来海域の調査を進めておるところでございます。それで四十五年度は石狩・礼文海域、それから下北・阿武隈海域の二海域を実施いたしまして、四十六年度は宗谷・網走海域、関東海域、南九州海域という三海域を実施するという計画にいたしております。このような調査計画は、物理探鉱の装置の運用の問題あるいは企業の開発計画というものとにらみ合わせてつくっておりまして、この答申が出た段階におきましては適切なものであるというふうに考えられたわけでございますけれども、最近の石油資源開発における大陸だな開発促進の必要性が非常に高まっておるという見地から、調査を早めることにつきましては今後検討いたしたいと思います。
  148. 近江巳記夫

    ○近江委員 この席で私もう一つ確認しておきたいのですが、通産省は五カ年計画とおっしゃっている。この前、科学技術庁にお聞きしたら十カ年計画ですよ。たしか四十五年度から発足したと思うのですが、六十二海域に分けて、今年度はたしか五海域くらいでしょう。通産省と科学技術庁の方針なり実施の食い違いというのはどういうようになっているのですか。
  149. 川上喜代四

    ○川上説明員 ただいまお話がございました六十二海域に分けてやりますのは海の基本図と申しまして、二十万分の一の地図をつくってまいる計画のことだろうと存じますが、このことにつきましては非常な御理解をいただきまして、今年度と明年度で新しい二千トンの船の建造をお認めいただきまして、明日起工式が行なわれますが、予定どおりでございまして、この船ができますと、船は明年の二月の末には私のほうに引き渡されることになっておりますので、その時限において、いま使っております船のほかにもう一隻それを投入いたしますと、昭和五十年度までにでき上がる。この計画は最初お認めいただきました線に沿って進んでおりまして、昭和四十二年度から行なっておりますが、現在すでに六組の地図を出しております。本年度は北海道付近、北海道の小樽湾付近を測量いたしまして、明年度はオホーツクのほうにかけて測量いたすという予定で、この計画はおかげさまで順調に進んで、五十年度には終わる予定にいたしております。  なお、外国日本の周辺の大陸だなにつきまして二十万分の一というような大きな資料は持っておらないはずでございまして、小縮尺の、たとえば百万分の一とかそういう小縮尺の地図はつくられております。これはわが国でもすでにつくって発行いたしております。そういう意味で、ほんとうのベースマップというものはまだこれからつくっていくわけでございますが、開発計画との関係は、私のほうがベースマップをつくっていく。したがって、どこに何があるということじゃなくて、日本周囲全部をつくるという計画で進んでおります。それから、その中で特にどこか資源があるというようなことになりますと、それは私どもではなくて、開発を担当される方のほうでおつくりになるというような考えでやっております。
  150. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、そういう基本製図といいますか、それは今後あらゆる海洋開発考えていく上においても基礎資料でありますし、片一方は十カ年計画、片一方は五カ年計画、それだったら困るわけです。ですから、その辺を、海象あるいは気象にしろ、いろいろ調査しなければならないことは山ほどあるわけですが、一刻も早くそういう基本的なことはそろえるべきではないか、このように思うのです。その辺の調整促進について、長官としてはどういう努力を払われますか。具体的に長官のお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  151. 石川晃夫

    石川政府委員 具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  このような促進調査につきましては、従来海洋科学技術審議会におきましての答申を受けまして、官房長ベースで海洋開発に関する推進連絡会議がございまして、その中で具体的な実行計画をつくっております。一昨年の四十四年の七月に第三号諮問に対する答申が出まして、それに基づきまして第一次計画を策定いたしまして、それをまた半年ほど後にさらに具体的な内容を少し改めまして計画を立てて、現在その計画に従ってやっております。したがいまして、現在海上保安庁の水路部あるいは通産省で行なっておりますそのような測量につきましては、この計画に基づいて、またこの計画に記載された内容に基づいて進めているというのが現状でございまして、ただいま御指摘のように年限の食い違いというような問題が起きて、そのために非常に調査にふぐあいを生じました場合には、さらにこの計画を改定しながら進めていきたいというふうに存じております。
  152. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間もありませんので、しぼっていきたいと思いますが、そこで、先ほど石油の問題も出したのですが、これはおもなところだけ私はずっと申し上げたのですが、その中で実際に成功しているのは、アラビア石油が千八百万キロリットル、北スマトラ石油開発協力KKが二百万キロリットルくらいなもので、あとはみな失敗ですよ。ばく大な金をかけてみな失敗しているわけです。私は何も失敗したことを責めるわけではありませんけれども、少なくとも半分は国の金が出ておるわけですよ。きのうかきょうの新聞でも出ていましたけれども、あれだって百億の金を投じて、半分は政府資金ですよ。結局アメリカ系の会社に渡してしまわなければならない。大体探鉱はリスクが大きいことは私はわかりますけれども、なぜ日本はこんな探鉱をやって失敗が多いのですか。時間の関係がありますから、簡潔にひとつ反省を求めます。
  153. 花岡宗助

    ○花岡説明員 ただいまの近江先生の御質問でございますが、現在二十企業が開発をやっておりまして、すでに開発段階に入っておるのが先ほどのアラビア石油と北スマトラ石油開発と二つでございますが、そのほかに試掘ですでに油を当てることに成功いたしておりますのが、インドネシア石油の東カリマンタン沖とアブダビ石油、さらに西アフリカのコンゴでも試掘に成功いたしておりますので、現在の日本開発の成功率は世界の水準から見ますと非常に高いわけでございます。石油開発世界の平均で見ますと〇・〇六%程度でございまして、一番適例といたしましては、たとえばナイジェリアにおきましてシェルが石油の探鉱をいたしました場合は、二十年間探鉱をやりまして一本も当たらなかった、二十年目に初めて一本当たったという例もございます。世界の水準から申しまして、日本の石油開発が成功率が悪いということは決してございません。
  154. 渡部一郎

    渡部委員長 近江君に申し上げますが、先ほど理事会で定められた時間になっておりますから、これにて質問を終局されるようにお願いします。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 はい、わかりました。  問題は残ってしまうわけですが、いま成功がかなり高いというお話でしたが、日本の場合情報のサーチにしても私は非常にまずいんじゃないかと思うのです。資金面の問題あるいは技術者の不足にしてもそうです。たとえば情報にしても、石油開発公団は一人しか海外に出していないでしょう。ベイルート一人ですよ。あとは現地のその辺のところで、——現地の人を悪く言うことはありませんけれども、はたしてどれだけの確度のある情報が得られておるかというような点からいけば、もっともっと情報網だって充実すべきじゃないですか、どうですか。  それでもう委員長から言われておりますので、あなたから答えをもらってこれで終わりますが、それから海洋調査船の問題ですけれども、私もこの間神戸に行って見てきたわけです。そうしますと、海洋調査船の「しんかい」の尾翼の溶接なんかぐらぐらですよ。聞いてみたら、沈んでいて岩に当たって溶接がはずれましたとか、あるいはもぐっている人に聞いたら、いつも水杯をかわして乗るんだ。なぜですかと聞いたら、窓がそのまま出ておるわけですよ、腹ぼてになったところへ。沈んでいって岩の角にでもぽんと当たって、六百メートルもぐるのですから、もうそれこそ即死ですよ、こう言っているわけです。私もフランスのクストーのあれなんか見てきましたけれども、SP三〇〇〇なんか小型の潜水艇ですけれども、みな目玉のおおいがついていまして、岩石に当たったって防げるようになっているわけですよ。そういう、人命を少なくとももっと尊重して考えるということが大事と違いますか。「しんかい」の両側のペラでもこんなですよ。乗っている人はほとんど効能を発しないと言っていますよ。しかもばく大な改装費を毎年出していますよ。五千万、六千万じゃないですか、これ。私やったことに何もけちばかりつけているのと違いますけれども、今後海洋開発を進めていく上において潜水調査艇なんかでも、もっといいものをつくればどうですか、設計やってですね。海上保安庁も来られているのですからね、どのくらい補修費を使っておるかということも最後にお聞きしたいと思うのです。  今後、海洋調査船のそういうことについて長官としてどのようにお考えか。これで私の質問を終わります。
  156. 花岡宗助

    ○花岡説明員 情報につきましては今後画期的に充実をする必要があると考えております。先生のおっしゃるとおりであると思います。しかし従来大使館、ジェトロあるいは商社等を通じて情報が入ってきてはおりますけれども、さらに直接の情報網というものを、もっと広範に広げるべきである、あるいはジェトロの機能を画期的に拡充をするという計画を持っております。
  157. 川上喜代四

    ○川上説明員 「しんかい」につきましては初めての船でございますので、いろいろの問題がわからないところで、今度実際にもぐってみましていろいろとわかりまして、一番本船の中で困っておりますのは電池の問題であります。この問題につきましてはいろいろと調査を重ねておりまして、大体電池の故障の原因についてもわかってまいりましたので、それを基本的に取り除くことはできませんが、それの起こる回数を防ぐことには十分自信ができましたので、明年はそれができるような改造というのをお願いいたしております。  それから御指摘の窓の件でございますけれども、この件につきましては外国のものももぐりますときにはあげておりまして、回航中にはやはりふたをしておくということになっておりますが、「しんかい」の場合には回航中には、沈みながら回航することはございませんので、必ず護衛船をつけて回航しておりますので、窓の防御板がございませんことにつきましては、私たちはそれほど心配いたしておりません。  それから補修費は、明年度におきましては特別に特別修理費といたしまして千百四十二万円の政府原案をつくっておりまして……(近江委員「いままで幾ら使ったのですか」と呼ぶ)いままでは、これはいずれ詳しく調査してあとで御提出申し上げます。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 ばく大な額ですよ、これは。あとで終わってからすぐ知らせてください。
  159. 川上喜代四

    ○川上説明員 はい。
  160. 西田信一

    西田国務大臣 調査船について不備な点を御指摘になりましたが、確かに海洋開発がまだ緒についたばかりでございますし、まだこれは未解決の問題が非常に多いのでありまするから、今後そのような経験をもとにいたしましてつくりますところのセンターをはじめ、各省庁の協力によりましてむだのないように円滑に海洋開発を促進するような努力をひとつ続けたいと思っております。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 一応保留して終わります。
  162. 渡部一郎

    渡部委員長 次回は明二十四日水曜日午後一時より理事会、午後一時十五分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会