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1971-03-25 第65回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十五日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 宇田 國榮君 理事 床次 徳二君    理事 箕輪  登君 理事 中谷 鉄也君    理事 小平  忠君       國場 幸昌君    田中 龍夫君       本名  武君    豊  永光君       上原 康助君    桑名 義治君       安里積千代君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長 山中 貞則君         官)  出席政府委員         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 井川 克一君         大蔵省理財局次         長       小口 芳彦君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   大西誠一郎君         沖繩北方対策         庁調整部参事官 棚町 祥吉君         大蔵大臣官房審         議官      前田多良夫君         大蔵大臣官房審         議官      平井 廸郎君         通商産業省企業         局外資課長   藤原 一郎君         郵政省電波監理         局審議官    太原 幹夫君         国土地理院総務         部長      山北太十郎君         自治省行政局行         政課長     遠藤 文夫君         最高裁判所事務         総局総務局長  長井  澄君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 三月二十四日  沖繩における免許試験及び免許資格特例に関  する暫定措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第八五号)(参議院送付) 同日  沖繩渡航身分証明書交付手数料還付等に関す  る請願外五件(堀昌雄君紹介)(第二八七五号)は 本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩における免許試験及び免許資格特例に関  する暫定措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第八五号)(参議院送付)  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 郵政省お尋ねをいたしたいと思います。  かりに暫定的あるいは当分の間という条件がついたとしても、沖繩に現在あるVOAを返還後存置させるということになった場合には、それは電波法規定に反することになることは明らかでありますが、この点について、お尋ねするまでもないことでありますけれども、御見解を承りたい。
  4. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。先生承知のように、電波法におきましては第五条に「欠格事由」というのがございまして、第一項第二号に「外国政府」というものが欠格事由に該当するようになっております。これは暫定的にあるいは期間を定めましてこれを存置するといたしましても、現在の電波法におきましてはそのような措置がいたしてございませんので、そういう暫定的に現在の法律のままで認めるということはできない現状でございます。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 郵政省に次の質問ですが、電波法五条の法の趣旨はどういうところにあるわけでしょうか。
  6. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。電波特性からいたしまして、きわめて有限性でありますし、希少性ということが電波特性でございます。したがいまして、その限られたる電波というものを有効に利用するということからいたしますと、国民電波といわれておりますこの電波をどのように使うかということからいたしますと、外国性というものを強く排除する必要がある。このような見解のもとに立法されたものと承知いたしております。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、まさにそれは、第五条国民のための利益、そうして同時に国益を守るというそういう立法趣旨というふうに理解をさしていただきますが、そもそも郵政省の専門的な立場からごらんになって、非常に素朴な言い方をして恐縮ですが、VOAが、他に移転先をさがすという前提があるのでしょうけれども、これを撤上をするということに関しては、別に日数等は必面としないのではないのでしょうか、この点についてはどういうふうにお答えをいただけるでしょうか。
  8. 太原幹夫

    ○太原説明員 仮定の問題でございますので、どのような条件で撤去なりまた放送が行なわれるのかという点が不明確でございますので、お答えいたしかねますけれども、現在の沖繩においてVOAがやっております放送といいますのは、送信出力は千キロでございます。千キロの放送局というのは現在の日本にはございません。日本にありますのは秋田におきますNHKの第二の五百キロでございます。そういうことで千キロということにいたしますと、敷地の点において非常に広い敷地を要するようになっております。また機械におまましても、仮定の問題でございますのでわかりかねますけれども、現在の機械を持っていくということにいたしましても、あるいは新たにその機械をつくるといたしましても、これは短期間にその機械を作製し、あるいは持っていくというごとは非常にむずかしいことではないかと思います。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 暫定的にしろ、あるいはそれがごく限られた短い期間にしろ、電波法五条に反するような状態を認めるということは、電波法の体系を乱す、同時に、そのことは国益国民のための電波というふうな観点から見てはなはだ好ましくないことだというふうに考えておりまするが、その点について郵政省の御見解いかがでしょうか。
  10. 太原幹夫

    ○太原説明員 先ほど申し述べましたように、現在の法律のままで暫定的に認めるということは不可能なことであると存じております。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないのです。現在の法律のままでだれが見ても認められないことは明らかであります。そうでございますね。しかし、現在の法第五条立法趣旨というものは、国民のための電波を守っていく、国民利益を守る、しかも国益を守る、そういう立場電波法外国性を排除するという法規定があるとするならば、そのような法律を暫定的に認めるというふうなことになれば、法の改正という問題がある。これは明らかに改正ではなしに改悪ということになるのではないでしょうか。要するに、法の五条をいじるなどということは電波法のたてまえから考えられない、少なくとも電波法のたてまえから言うならば、そういうことがあってはならないというふうに郵政省はお考えになりませんか、という趣旨質問であります。
  12. 太原幹夫

    ○太原説明員 現在の法律のたてまえといいますか、法律解釈からいたしまして、いま御指摘の点のとおりであろうと思います。ただ、法律というものでございますから、全く改正できないということではないと思いますけれども、私ども考えておりますのは、現在の五条欠格事由、それを守ってまいりたいと存じております。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 もう一度念のために、しつこいようですけれども……。  改正できない法律なんというのはないことはよくわかります。しかし、法五条というものは、まさに電波法のたてまえからいって合理性を持った条文である。そういうふうなものの改正などということは容易にすべきではないし、そのような改正ということは電波法のあり方から見て好ましくない。改正できるできないというその理屈の問題じゃなしに、改正することは、電波法のたてまえから見て合理的ではないし、好ましくない、こういうことはあたりまえのことだと思うのですけれども、何かそういうふうなことが巷間伝えられているので、それはそういうことがあったらたいへんだと思うので、あらかじめお尋ねをしておくわけです。
  14. 太原幹夫

    ○太原説明員 ただいま御指摘のありましたように、改正できない法律というものはないということは考えております。必要に応じて改正するということは当然あり得ることだと思いますけれども欠格事由につきましては、私どもは法の制定されました趣旨、精神というものを考えなければならないというふうには十分存じております。  ただ外国性の問題につきましては、現在条約関係ではウイーン条約というのがございまして、外交使節団につきましての特例といいますか、恩恵、恩典という点があることは私ども承知いたしております。そういう点は私ども頭にございますが、現在の電波法欠格事由というのは、私どもがそれに該当するものにつきましてそのまま守ってまいりたいといまも思っております。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、従来から指摘されている点は、VOAに関しては電波法の問題として理解されているようでありまするけれども放送法関係で、私はそういうことを好ましくないことと思いまするけれどもVOAをかりに暫定的に認めるというようなことになると、放送法との関係で問題が生ずるとも思われますが、この点について郵政省はどうお考えになりますか。
  16. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。放送局につきましては、電波法放送法規定がございます。したがいまして、電波法で認めた場合におきましては、放送法というのが当然適用になるということになります。ただ、電波法適用除外ということになりますれば、放送法適用は受けない、こういうことになるのでございます。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 しつこいようですが、私、もう一度郵政省に確認をしておきます。  郵政省としては、VOAの問題について、電波法五条のみならず、法律というのは必要があれば改正ができる、必要であるならば改正をしなければならない、こういうようにおっしゃいましたね。ではVOAなどは明らかに電波法に違反をすることになりますね。そういうふうなものを改正をしなければならない必要性などというのは、郵政省立場から考える余地がありますか。郵政省立場からは、そういうふうな電波法五条改正しなければならない必要性というのは、前提として合理性がなければならないと思うのですが、そういう合理性があると思われますか。これはもう全然そういうものはないと私は思います。電波法立場からもそういうふうな改正の必要などというものはあり得ないと私は思いまするけれども、これはひとつ郵政省立場からお答えになってください。
  18. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。ただいま御質問の点につきましては、郵政省ということで御質問ございましたが、政府全体としての立場考え方もあろうかと思います。VOAの問題につきましては、郵政省といたしましては外務省と協議を重ねている現状でございます。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 どうもきょうは郵政省にばかりお尋ねをして恐縮ですが、重ねてお尋ねをいたします。  そうすると、あなたのほうは電波法五条改正される必要というのは、どんな場合を予想しておられるわけですか。そういう必要性があるというのはどういうふうに考えておられますか。どんな場合に必要があるというふうに考えておられますか。そういう必要性がしかも合理的に将来説明ができますか。
  20. 太原幹夫

    ○太原説明員 私先ほど申し述べましたように、ウイーン条約関係につきましては、この十年来外務省話し合いを進めておりますけれども、機会があればウイーン条約関係法律改正を、五条関係になるわけでございますけれども検討願いたいということを言われ、かつ検討を続けてまいっております。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 もう一度お尋ねします。質問は非常に単純に質問をしているわけです。政府として電波法観点から五条改正しなければならないような必要というものは、電波法立場からですよ、改正しなければならないような必要性、そうしてその必要性というのは合理的な理由を持っているというふうなことは考えられるのですかと聞いているわけです。
  22. 太原幹夫

    ○太原説明員 電波法改正の点を電波法それ自体の点で考えているかという御指摘だと思いますけれども、これは私先ほども申し述べますように、政府全体として考えるべき事柄でないだろうかと考えております。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 審議官お尋ねいたしますが、一体郵政省としては、政府全体としてどんな点が問題になる、改正必要事由というようなものにはどんなことが必要事由の中に入ってくるのか、郵政省としてはそんなことを何か検討され、あるいはお考えになっておられることはあるのですか。
  24. 太原幹夫

    ○太原説明員 私どもとしましては、電波法解釈、それから電波効率的利用という点で意見を申し述べておりますけれども、またそういう見解で先ほど来御質問の点にありますVOAの問題につきましても申し述べておりますが、これをどういうふうに政府として法定し措置するのかという点は、私どもには示されておりませんので、どういう理由でどうするかという点は、まだ明確にここでお答えできない状態でございます。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 郵政省けっこうです、その程度で。  要するに、政府というようなことをお持ち出しになったから、何か政府全体として郵政省もそういうことで御検討になっているかと思ったけれども、そういうわけではないわけですよね。あなたのほうは、だから電波法のたてまえの中で問題を把握しておいていただければけっこうなんで、ということでございますね。  条約局長施設庁長官お尋ねをいたしますが、その前に、最高裁に御出席をいただいておりますので、最高裁総務局長さんに外人弁護士の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  たいへん恐縮ですけれども外国人弁護士関係の旧弁護士法から現在の弁護士法に至る取り扱いの概要について、大体承知しておりますけれども最高裁のほうから御見解を述べていただきたいと思います。
  26. 池田清志

    池田委員長 この際、おはかりいたします。  最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明の要求がありましたので、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。長井最高裁判所総務局長
  28. 長井澄

    長井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  わが国におきます外国人弁護士制度は、御承知のように旧弁護士法に先例がございまして、戦後新しい弁護士法昭和二十四年法律第二百五号でございますが、これが制定されました際に、新しい弁護士法の第七条で外国人弁護士制度が新たに認められた次第でございます。  弁護士法第七条の成立の経緯につきましては、終戦後の特殊事情と申しますか、連合国日本占領とともにかなりの数の外国人法律家日本に参りまして、占領の終了に至りますまでの相当期間、それぞれ滞在して、占領軍事務占領政策の実施に関連する法律事務に従事いたしました。また国際軍事裁判にも弁護人として参加いたしました。このような人たちの強い要望が新弁護士法七条の設けられました有力な原因であると考えられております。  弁護士法七条につきましては、二種類外国人弁護士規定いたしておりまして、一つは一項弁護士と呼ばれまして、わが国法曹有資格者でございますところの弁護士と全く同様な弁護士実務を営み得る資格権限を認められております。また二項弁護士と申しまして七条二項に規定のございます弁護士は、外国人または外国法関係のある事務のみを行ない得ることになっております。  以上二種類弁護士外国人につきまして認められまして、最高裁判所承認のもとにいずれもその資格を付与されるという形になっておりました。これが戦後の新しい弁護士法の内容でございます。この承認を受けました外国人弁護士は合計七十七名にのぼっております。  なお、この新しい制度の先駆と申しますか、直接のつながりはないわけでございますけれども、旧弁護士法関係につきまして申し上げますと、旧弁護士法昭和八年法律第五十三号で制定されまして、その第六条に「外國ノ辯護士タル資格ヲ有スル外國人ハ相互保護アルトキニ限リ司法大臣ノ認可ヲ受ケ外國人ハ外國法關シ第一條二規定スル事項行フコトヲ得但シ前條二掲グル者ハ此ノ限二在ラズ」という規定が見えております。戦前弁護士法による外国人弁護士と戦後の新しい弁護士法による外国人弁護士の大きな差異は、戦前外国人という国籍を必要としたこと、及び相互主義をとりまして、相手国で同様の資格を認めない場合にはこちらも認めないという関係にございましたけれども、戦後の弁護士法におきましては、占領後の特殊事情という関係もございまして、相互主義がとられなかったということと、国籍要件とされていないという点が大きな違いであろうかと存ずるわけでございます。  なお、最高裁判所承認関係につきまして申し上げますと、一項、二項、二種類あることは先ほど御説明申し上げましたが、選考申し出をした者は九十二名、承認を与えられました者は七十七名でございまして、今日の司法試験合格率等から申しますれば、かなり寛大な選考と言えるかもしれませんが、占領後の特殊な状況を考えますれば、かなり選考を加えたというふうに考えられるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 詳細に御答弁をいただきましたが、外国人弁護士承認については、最初の承認昭和二十五年二月二十五日で、最後の承認昭和三十年六月十五日であるというふうに伺っておりますが、三十年六月十五日以降承認をしていないという理由はどういうところにあるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  30. 長井澄

    長井最高裁判所長官代理者 御承知のように、ただいま御説明申し上げました新弁護士法七条の外国人弁護士制度は、昭和三十年八月十日施行の法律によりまして廃止されたわけでございます。ただいまお尋ねの六月以降、希望者がございませんでしたので、選考も自然行なわれなかったという結果になっております。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 外務省お尋ねをいたしたいと思いますが、外国人あるいは外国企業権益保護に関して、外国人弁護士の問題が沖繩返還後の一つの問題になっておりますけれども、この問題については、いま最高裁のほうから経緯について詳細にお話がありました。そういうことを踏まえた上で、外務省としてはどのようにお考えになっておられますか、御答弁をいただきたいと思います。そもそも沖繩外国人弁護士についての学歴経歴氏名等外務省明らかでございますね。
  32. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。目下沖繩におる外国人弁護士を含めまして、あらゆる外国人関係のものを、職業その他について慎重に把握中でございます。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 アメリカ局長お尋ねいたしますが、外国人弁護士氏名学歴経歴等はもう実態を把握しておられますね。
  34. 吉野文六

    吉野政府委員 まだ実態を把握しておりません。したがって目下調査中でございます。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 実態把握してないことはないでしょう。きょうは午前中に日弁連とおたくのほうと会合をお持ちになっているんでしょう。そうじゃないですか。実態把握してないどころか、その点については話し合いをきょうはお持ちになっているのじゃないのですか。
  36. 吉野文六

    吉野政府委員 中谷先生の御質問のような詳細にわたる実態は把握しておりません。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 何名いるのですか。
  38. 吉野文六

    吉野政府委員 私の記憶では三十六名と記憶しております。
  39. 中谷鉄也

  40. 吉野文六

    吉野政府委員 米国人が三十二名でございます。あとはフィリピン人が二名、西ドイツ人が一名、日本国籍、これはおそらく二世だろうと思いますが、これが一名でございます。
  41. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、この外国企業取り扱いについては慎重に検討しておられる、それでけっこうなんです。そのことについての御答弁はけっこうなんですが、外国人弁護士取り扱いについて慎重に検討されている検討点はどういう点があるのでしょうか。
  42. 吉野文六

    吉野政府委員 御存じのとおり、沖繩に在留する外国人弁護士をはじめとして医者獣医その他の職業に従事している者、これらを沖繩返還後いかに扱うべきかということは、日米双方において非常に深い関心事でございます。したがって、その観点から双方においていろいろ調査をし、また折衝し、あるいは情報の交換をやっております。そういう意味でございます。
  43. 中谷鉄也

    中谷委員 そうではないのです。私が聞いているのは、医者とか獣医というようなことを聞いているのではないのです。外国人弁護士といわれている弁護士沖繩の県民であって沖繩弁護士資格を持っていた人の問題についても、当委員会ではずいぶん苦労いたしました。だから、特に弁護士というものの持っている特殊な職業上の性格から見まして、どういう点が検討事項として考慮され、配慮されねばなりませんか。慎重に検討しておると言われますが、弁護士は特殊な職業と申し上げていいと思います。そういうものから見まして、どういうふうな点を検討点として考えておられますかという質問です。
  44. 吉野文六

    吉野政府委員 弁護士につきましては、先ほど最高裁のほうからも答弁がございましたように、いろいろの資格要件を伴うものでございます。したがって、そういうようなことも含めまして、関係省と協議いたしまして、いろいろ調査を進めております。
  45. 中谷鉄也

    中谷委員 いや、そうじゃないのです。調査を進めておられるのはけっこうなんだけれども弁護士弁護士法による資格を必要とするということも、それはあたりまえのことでございますね。そうして先ほど最高裁が詳細に答弁をされましたけれども承認については二項承認というのもあるということだったわけです。結局、外国人弁護士というものについて、その資格を認めるのか認めないのかという点については、どんな点が問題点として浮かび上がってまいりますかということをお聞きしているわけなんです。
  46. 井川克一

    井川政府委員 アメリカ局長答弁されたとおりでございますけれども、一言づけ加えさしていただきますと、結局、先ほどアメリカ局長の申されましたとおり、三十六人の登録弁護士がおるわけでありまするが、実務に従事しておりますのはもっと非常に少数だと聞いております。そのようなことから、もし認めるとするならば、したがって、われわれが論議の対象とすべきような点を申し上げますと、結局どの範囲まで認めるのか、あるいは地域的な制限の問題もあるかもしれませんし、あるいは期間の問題があるかもしれませんし、さらにまた特別の新立法を必要とするかどうかというような問題もあるかと思います。そのような点を全部関係当局と慎重に現在打ち合わせ中でございます。
  47. 中谷鉄也

    中谷委員 時間が来たようですから、条約局長お尋ねしておきますけれども、一番すっきりするのは、これら外国人弁護士日本司法試験を受けさせれば一番いいわけでしょう。だからその前提をはずしてしまって、とにかく地域的にというのは沖繩に限ってという意味だろうと思います。あるいは暫定的にといえばせいぜい一年か二年ということになるのじゃなかろうかと思います。あるいはまた、何か簡単なほとんどの人が通るような試験というふうなものをしてというふうなことの以前に、そういうことじゃなしに、あらためてとにかく相当な試験、基本的にいえば司法試験を受けさせれば一番いいわけです。そういうことができないとすれば、とにかくかなり高度の試験を課するというようなことも検討しておられるわけですね。しかもそれは、単に外国法試験ではなしに、日本法試験というふうなものを検討対象としてお考えになっておられることだろうと思います。そうでなければ私は非常におかしいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  48. 井川克一

    井川政府委員 関係各省庁との話し合いがそこまで進んでおりませんで、私が申し上げました暫定性とかあるいは地域性というものは、必ず暫定的にするとか地域的にするとかということではございませんで、そのような問題点があり得るだろうということを申し上げたのでございます。それらの点について、これから慎重に検討して、関係各省と打ち合わせていかなければならないということを申し上げたわけでございます。  それから、最後の点の試験を受けさせるということは、これも検討対象とはなると思いますけれども、一般的な普通の試験ではとてもいけないということは、中谷先生よくおわかりだと思います。  いずれにいたしましても、佐藤・ニクソン会談が出ましたときに外務大臣が説明いたしましたように、正当に企業その他に従事していた者については公正な取り扱いをいたしたいというのが日本側としての方針でございまして、それらの条件をどのようにして満たすことができるかということを慎重に検討いたしている段階でございます。
  49. 中谷鉄也

    中谷委員 時間が来たようですから、もう一度お尋ねをしておきますけれども、公正な取り扱いをするということは、結局、日本法についての相当の知識も有するということでなければ当然承認対象にはならないだろうし、あるいはまた公正な取り扱いということが、かりに外国人弁護士資格が認められたとしても、それは地域的な限定あるいはまた期間的な限定ということも、決してそれは公正な取り扱いにならないのだということにはならない。逆に言うと、地域的に限定しても、それは公正な取り扱いであろうし、あるいはまた期間的に限定をしても公正な取り扱いということになるということで理解をしてよろしいですね。何も外国人弁護士が東京の裁判所のほうに行って裁判の弁護人あるいは代理人としての弁護士業務を行なえるというようにしてあげることが公正な取り扱いだなどということは、私は夢にも考えておりません。そういうふうに理解してよろしいですね。
  50. 井川克一

    井川政府委員 ただいま先生が申されましたもろもろの問題点のうちの一つをどうすれば公正でなくなるとか、一つを入れれば公正になるとか、そのような問題ではないと思います。やはりこれは全体として、私先ほど申し上げましたように、現在と申しますのは、ちょうど佐藤・ニクソン声明が出た時期でございますけれども、正当に従事していた者については公正な取り扱いをするというのが私ども考えでございます。したがいまして、沖繩外国人弁護士の方をどのように——全体として考えるならば、そのうちの一つ条件がどうだということでなしに、全体として公正な条件でやって、そのうち一つが入れば公正でなくなるとか一つだけ入れば公正であるというふうなことではないのではなかろうかと思っております。
  51. 中谷鉄也

    中谷委員 条約局長、先ほどお話があったように、実務をやっているのはたしか五人だけですね。うち一名が二世というふうな状態だと思います。そういうふうなことなんですから、いずれにいたしましても外国人弁護士の問題については事が非常に重大でありますから、これについては、いろいろな外国人弁護士の諸君が、外国人弁護士としての承認資格を与えてもらいたいということでかなり強い希望を持っておるようでありますが、これについて日本弁護士連合会がどのような見解を述べるか、あるいはまた法務省あるいはまた最高裁判所がこの問題についてどのように考えられるかという問題がありますけれども、少なくとも私は、外国人弁護士というようなものが軽々に認められるということについては、弁護士制度のあり方の問題からいって非常に問題があるということだけは指摘をさせていただきたいと思います。  最後に、午後の質問に関連をいたしますので、お尋ねをしておきたいと思います。  いわゆる土地家屋調査士または測量士の測量に関して、日米間の合意というものはどういうことになっているのでしょうか。この点について条約局長から御答弁をいただきたいと思うわけであります。  それから、施設庁長官お尋ねいたしたいと思いますけれども、重ねて予算委員会以来の質問です。測量士の測量、あるいは土地家屋調査士の測量、あるいはそれに準ずる図面というものが土地収用の場合には必要であることは法の明定しているところだと思いますけれども、間違いございませんでしょうね。
  52. 井川克一

    井川政府委員 測量士につきましては、申しわけございませんけれども、私全然存じておりません。おそらく外国人関係がないんじゃないかと思いますので……。
  53. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないのです。基地の中に自分の土地を持っている、それをとにかく登記の訂正だとか削除だとか、分筆だとか売買だとかいうふうなことをすれば、当然それは測量しなければ法務局は受け付けませんね。そういうような測量についての結局測量立ち入りの問題でございます。前回は裁判所の立ち入りについての日米の合意の問題についてお尋ねをして御答弁をいただきましたが、そういう測量についての合意はどういうふうになっていますか。この点をお聞きしているわけです。  なお、それではこういうふうに答えてください。一つ仮定質問をさせていただきますから、それを午後御答弁ください。  沖繩返還後の問題で一番大きな問題は、私は土地問題だと思う、基地の軍用地の問題だということを何べんも何べんも指摘しております。もしそういう測量士や土地家屋調査士が基地内においてその測量をするということについての日米間の合意がない場合は、そういう合意は当然お取りつけになりますね、こういう趣旨質問です。
  54. 井川克一

    井川政府委員 申しわけありませんけれども、私この点に関する基礎的知識をまず欠いておりますので、仮定の御質問にも何とお答えしていいか見当がつかない状態でありますので、午後までに一生懸命勉強いたします。  ただ、一言申し上げたいのは、これは条約局の問題でないような気がいたすのでございますけれども、いずれにいたしましても関係各省庁と十分連絡いたしまして、お答えができる状態にいたしたいと思います。
  55. 中谷鉄也

    中谷委員 午後まで勉強していただくほどのこともないと思うのです。条約局の地位協定の問題だと思うのです、要するに基地内での測量の問題だと思いますから。そういうことで、では午後あらためて質問させていただきます。  施設庁長官のほうから、条約局長答弁と関連がありますので、恐縮ですが一言だけお答えになってください。測量された図面が要るのでしょうね、という趣旨質問です。
  56. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 現在ございます地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の施行令によりますと、使用または収用の認定申請書を提出いたします場合に、その添付書類として「一 使用し、又は収用しようとする土地等の調書及び図面」というものが要件としてございますが、一応この施行令ではそういうふうに「調書及び図面」ということでちょっと書いてあるだけでございまして、その測量士のあるいは土地家屋調査士の資格等の問題につきましては、実はこの政令で規定してございませんので、私どもとしてはまだその点については夫検討でございます。
  57. 中谷鉄也

    中谷委員 どうもきょうは施設庁長官、私の質問を理解してないようですね。土地家屋調査士とか測量士ということを言っているのじゃないのです。私が聞いているのは、施設庁が、あなたのほうが、収用するほうが測量されるのですから、公的測量とかいうのでしょう。たしかそういう測量をされた図面が必要ですね。とにかく何か基点をとって、どういうふうな測量をするのか、方法はたくさんあるようですけれども、いずれにしても、土地を収用する限りは、その図面というのは正確なもの、要するに測量されたものでなければならない。測量されたものということは、結局現地へ臨まなければ虚偽の図面になりますね。現地へ臨まないで測量なんということはできないはずですから。そういう図面が必要ですね。だから何も土地家屋調査士の作製した図面だとか、測量士とか測量士補が作製した図面を言っているのじゃない。施行令で言っている図面というのは測量された図面でなければいけませんですね。あたりまえのことですが、これが一体どういうふうに日米間の合意が取りつけられるのか、将来どういうことになっていくのかということと関係いたしますから、そのことだけをお聞きして、時間が来ましたから、その点そうだということを簡単に答えていただけばけっこうです。
  58. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 土地の実態を十分に表現をしたといいますか表示したそういう図面が必要である、そういうふうに考えますので、かりに収用いたすといたしまして、その際に具体的にその土地の状況について正確に現状を把握した上で処置していきたいというふうに考えますが、明らかに現実の土地というものを正確に表現した図面が必要であろうというふうに考えております。
  59. 中谷鉄也

    中谷委員 では最後に一点だけ対策庁長官お尋ねをいたします。  かりに暫定措置によって土地を引き続いて使用する場合に、その使用する土地についても図面が必要でございますね。——質問を続けます。要するに、特別措置法によって土地を収用するという前提には、とにかく引き続き使用するという暫定措置があるということはもうほぼ予想できますね。そういうふうに私たちは理解しているわけです。そのことが適当かどうか、そのことが好ましいかどうかは別として、ある。引き続き使用する土地というものについては、測量された図面をもって、引き続き使用する旨を使用される人間、地主に対して通知をする必要がありますね。
  60. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 原則としてはさようだと思います。また普通の場合はそうだと思います。ただ沖繩の場合は、公簿等がなかったりして、いろいろの問題があると思うのでございますけれども、それらの問題は個々的に検討して、いまのような、原則的なそういうものにかわるべきもの、そういうふうなものをなるたけさがすということでやっていくということじゃないかと思います。
  61. 中谷鉄也

    中谷委員 午後になお質問をさせていただきますけれども、人の土地を引き続き使用する場合に、面積、範囲、位置等を確定せずに引き続き使用するなんということは、それこそ憲法上の問題だって起こってくるのではないでしょうか。そういうような点で、一体、かりに暫定的に引き続き使用する場合に、そういう場合の図面というのはどのような図面を必要とするのか、午後までにひとつ、私のほうもあらためて午後国務大臣に質問をさせていただきたいと思いますから、御検討いただきたいと思います。
  62. 池田清志

    池田委員長 桑名義治君。
  63. 桑名義治

    ○桑名委員 私はVOAの問題につきまして重ねてお尋ねをしておきたいと思います。   〔委員長退席、床次委員長代理着席〕  最初に郵政省関係でありますが、先ほどからの御答弁によりますと、電波法の第五条の欠格事項に該当すると思うので、郵政省としてはこれは好ましくない、しかしながらウイーン条約関係もございますので、政府筋、各省との連携を保ちながらいろいろと考えていきたい、こういうようなお話でございました。これを再度確認をして次の質問を進めていきたいと思いますので、御答弁を願いたいと思います。
  64. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。電波法五条には欠格事由がございまして、第一項第二号に「外国政府」というのが欠格事由に該当するようになっております。したがいまして、VOAの問題につきましては、現在の法律では欠格事由に該当するということで、私どものほうは、現在の法律を守っております郵政省といたしましては、欠格事由に該当するということを意思表示いたしております。  それから、私先ほど申しましたウィーン条約関係と申しますのは、外国使節団の問題でございますので、先ほど中谷委員からの御質問で私がお答えいたしましたのは、欠格事由五条改正するということがどんな場合にあり得るのか、そういうことはどういうときを考えておるのかという御質問がございましたので、ウイーン条約関係外務省からこの十年来、機会があったら電波法五条の点を改正してもらいたいという要望がありますので、機会がありますればその点を改正するかどうか検討いたしたい、こういうふうに申し述べたのでございまして、今回のVOAの問題がウイーン条約関係であるかどうか、こういうことではございませんので、その点訂正させていただきます。
  65. 桑名義治

    ○桑名委員 そこでお尋ねしたいことは、いわゆるVOAの問題につきまして、三月二十二日の報道によりますと、各社それぞれのとり方がまちまちでございます。ある社は、VOAの存続は一時的に認める。暫定的に認める、こういう意味の報道がなされておりますし、あるいはある新聞によりますと、VOAについては存続は認めない、こういうような報道がなされておるわけでございます。双方ともに、いわゆる政府筋の情報によれば、というような前提のもとに書かれておるわけでございますが、この点についてもう一度、ちょっとしつこいようでありますけれども郵政省としてのそれについての見解をお聞きしておきたいと思います。
  66. 太原幹夫

    ○太原説明員 先ほど来申し述べておりますように、VOAの問題をどのようにするか、いま御指摘がありましたように、暫定的に認めるとか、あるいはどこかに持っていくとかいうふうなことが新聞に載っておりましたことは承知しておりますけれども、私どもの段階においては、そういうことにしたとかあるいはするとした場合にどうしたらいいかとふうなことはまだ聞いておりませんし、関係外務省、総理府とどのようにするかを検討中でございます。
  67. 桑名義治

    ○桑名委員 ではVOAの問題について外務省見解お尋ねをしておきたいと思います。
  68. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。先ほど郵政省の太原審議官から説明があったとおりでございますが、この問題を含めまして沖繩返還に伴う種々の問題は、目下われわれとしては実態把握につとめております。
  69. 桑名義治

    ○桑名委員 ある新聞によりますと、この沖繩特別委員会において愛知外務大臣は一部用途の変更があるならば認めてもよろしいという意味答弁をなさったわけでありますが、いまのあなたの答弁とずいぶん違いますね。
  70. 吉野文六

    吉野政府委員 その点に関する愛知大臣の答弁の内容を私は不幸にして承知しておりませんが、いずれにせよ、われわれの承知している範囲では、まだ実態把握、それから先方との接触ということに尽きております。
  71. 桑名義治

    ○桑名委員 局長、いまの話は納得できませんよ。大臣の言ったことを局長が知らないなんて、そんなことがありますか。しかも、この問題はただ単なる日本だけの問題じゃございませんよ。これは重大な意味を含んでいるんですよ。しかも、この問題につきましては、米国筋では強力な存置の要請がなされている、こういうふうにも言われておりますし、それを受けて外務省筋としては、この問題が返還の問題に悪影響を及ぼしてはならないというような配慮までしているというようなことが書いてあるわけですよ。また、客観的にながめてみましても、そういうふうに理解をされるわけですが、大臣の発言をあなたが知らないで、そうしてここで答弁に立つなんて不謹慎じゃないですか。
  72. 吉野文六

    吉野政府委員 私の申し上げたことは、大臣の発言の内容につきまして、どのようなコンテクストから、どのような関連において詳細どのように申し上げたか、ただいま承知しておらないということを申し上げただけでございます。なお、先生指摘のとおり、本件は、日米双方にとって非常に関心の深い問題であり、かつ重大な問題であることはわれわれも十分承知しております。その意味実態把握及び関係省との協議も行なっております。
  73. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、私のお尋ねしたいことは、郵政省としては、電波法五条に該当するので、これは欠格事項として、法的には認めるわけにはいかない、そういう見解が明らかになっておるわけです。だから、外務省としてはどういう方向で考えているか、ではその方向を聞きましょう。
  74. 吉野文六

    吉野政府委員 この問題につきましては、非常に重大でかつ影響するところが大きいとわれわれは承知しておるものでありますから、先ほど申し上げましたように、目下実態を把握するのにつとめておりますとともに、わがほうの法律的な困難さについては、すでに郵政省から説明のあったとおり、十分承知してこの問題に対処しております。
  75. 桑名義治

    ○桑名委員 郵政省のお考えでは、わが国の法体系の中で見ると、これはもう非常に許せないことである、こういうふうな見解を示しているわけですが、それに対して外務省筋としては、いまあなたの御答弁によりますと、非常に重要な問題であるので鋭意検討中だ、こういうふうに言われております。郵政省は、これはもう法的な面からいうと完全にだめだという中で、外務省だけは、いやそうじゃないんだ、いまから、しかしこれは重要な問題だから、考えるということになれば、イエスかノーかというような答えは出てないわけです。イエスかノーかの答えが、片方ではノーと言い、あなたのほうはイエスかノーか言えないということになると、外務省ではこれを認めることもあり得るということになりますか。
  76. 吉野文六

    吉野政府委員 この点につきましては、政府部内において何ら意見の相違はございません。われわれも郵政省の意見は十分承知しております。政府全体としていかなる法定をこの点について最終的にするかということは、まだ先方と折衝中でございまして、ここで申し上げる段階に至っておりません。
  77. 桑名義治

    ○桑名委員 では、方向を変えますが、アメリカのVOA放送についての認識ですが、これはアメリカとしては四カ国語で放送しているけれども、これは友好関係を結ぶための放送である、こういうふうに言っているわけです。中国筋あるいは北朝鮮筋では、これは謀略放送である、こういうふうな認識をしているわけでございますが、では、外務省としてはどういうふうな認識をしているわけですか。
  78. 吉野文六

    吉野政府委員 先ほど申し上げましたように、VOAの活動自身につきましても、われわれはさらに実態把握につとめたいと思っておりますが、とりあえずわれわれの調査したところでは、VOA放送は、御存じのとおりアメリカ本国からの中継放送でございまして、その内容は主として音楽、ニュース、それからニュース解説のようなものからなっております。
  79. 桑名義治

    ○桑名委員 沖繩現地におきましては、第七心理作戦部隊と結合した機能を営んでおる、こういうふうに見ておるわけですが、この部隊はいわゆる全アジア地域での軍事宣伝活動を担当しておる。こういった立場から見ますと、ただ単に音楽を流しておるから友好関係を結ぶための宣伝活動である、こういうような認識はあまりにも甘いのではないか、こういうような客観情勢があるわけですが、あなたはやはりそういうふうな立場を固持しますか。
  80. 吉野文六

    吉野政府委員 先ほどたびたび申しましたように、まだ実態把握の段階にございますから、最終的なことは申し上げられませんが、少なくともわれわれの調査した範囲では、第七心理作戦部隊との関係はございません。
  81. 桑名義治

    ○桑名委員 沖繩の現地ではそういうふうに言ってもおりますし、それから日本を取り巻くアジアの諸国におきましても、やはり同じような認識をしておるわけです。そういった客観情勢の中で、あなたのいまの御答弁の中では、あくまでも実態をまだ完全に掌握をしていないので、そういう結論が出せない、こういうふうに言われておりますけれどもVOAというのはきのうきょうできた放送じゃないわけですからね。そうしてこの場においてまだ実態が把握できておりませんのでというような御答弁は、どうも納得いかないのですが、その点どうですか。
  82. 吉野文六

    吉野政府委員 たびたび繰り返すようで恐縮でございますが、実情は、先ほど申し上げましたとおり、いまだ実態把握の段階にございます。  なお、沖繩に住んでおられる方々のVOAの活動に対する気持ちとか感情とか、あるいは第三国がこの問題をどういうように見ておるかということもあわせて調査中でございます。
  83. 桑名義治

    ○桑名委員 大体いつをめどにしてこの問題が明確になるのですか。
  84. 吉野文六

    吉野政府委員 この問題のみならず、その他の問題もたくさんございまして、これらはいずれも協定調印までにはすっかり調べて、確信のある態度で政府はこの問題に臨みたいと思っております。
  85. 桑名義治

    ○桑名委員 私はほかの問題を聞いておるわけではない。VOAの問題を聞いておるわけです。ほかの問題は、いまの時点においては、私のいまの質問の範囲内においては必要ないのです。からませないで、VOAはいつの時点において明確にするか、そのめどがはっきりしておれば明確にしてもらいたいと思う。
  86. 吉野文六

    吉野政府委員 先ほど申し上げましたように、まだこの問題につきましても実態調査中でございまして、めどはなかなかつきかねます。しかしながら、何とか調印の前までにはこの問題について政府としては確たる確信を持ちたいと考えております。
  87. 桑名義治

    ○桑名委員 私は、今回のVOA放送が、米側の要求をそのままいれるとするならば、いわゆる本土並み返還というこの大原則の一角がくずれていくのではないか、こういうふうに思うのですが、かりにの話ですが、VOAを認めるという立場に立つならば、いわゆる本土並み返還の一角がくずれた、こういうように認識をしてよろしゅうございますか。
  88. 吉野文六

    吉野政府委員 この本土並み返還というものの内容自体については、政府全体として慎重に考慮していきたいと思っておりますが、とにかく日米間で沖繩返還について核抜き本土並みということで合意に達した以上、この線はわれわれとしてはあくまでも維持していきたいと考えております。
  89. 桑名義治

    ○桑名委員 これから先どんなに議論をいたしましても、答弁は同じ答弁しか返ってこないと思います。しかしながら、国内法との関係あるいは中国あるいは北朝鮮、こういった関係考えたときに、どうしてもこのVOAは拒否の態度を続けていくことが至当であろう、こういうふうに私たちは認識をするわけでございますので、その点十二分に留意をしていただきたいことをここで発言をして、この問題を一応終止符を打っておきたい、このように思います。  次にお尋ねしたいことは、沖繩の調整費はどのようなときに使われるように予算として計上されておるのですか。
  90. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 計上いたしてあります調整費は、年内に不測の出費を要するときに支出をするという観点に立って計上してあります。たとえば台風が起きた、その他突発的なことで措置をしなくてはならない経費に充てる予定にいたしております。現在まで支出いたしました例は、軍労務者の解雇問題につきまして、これが予期しない措置と経費を要しますので、出した前例を持っております。
  91. 桑名義治

    ○桑名委員 いずれにしましても、沖繩の県民のためにこの調整費というものは組まれているものだ、こういうように思うわけでございますが、来年度はどの程度の予算を組まれておりますか。
  92. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 十億計上いたしてございます。
  93. 桑名義治

    ○桑名委員 確かに十億組まれておるようでございます。そこで、沖繩の毒ガス移送道路に関する問題でございますが、この次の第二次における毒ガスの移送道路に関する問題について、立法院の案が決定した模様でございますが、この道路建設に要する費用はどの程度と積算されているのか明らかにしていただきたいと思います。
  94. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 正式ではございませんけれども、聞いておりますところによると、二十万ドルくらいかかるというふうに聞いております。
  95. 桑名義治

    ○桑名委員 その道路建設費につきましては、米側が出すのが至当かあるいは日本側が出すのが至当か、どのようにお考えでございますか。
  96. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 これは米側及び琉政両方でひとつじっくりお話しをしていただきまして、日本側としては、でき得べくんば軍のほうで出していただきたいという希望を持っております。
  97. 桑名義治

    ○桑名委員 毒ガスの移送道路の建設費用について、過日山中総務長官は、半額を本土政府が負担する、こういうふうに発表されているやに聞いておりますけれども、この点について伺っておきたいと思います。
  98. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 両者で協議をいたしまして、願わくは米軍のほうで出してもらう、あるいは琉政のほうで出すということになるかもしれませんが、そういうときに、いままで山中総務長官の御意図は、どうしても琉政が財政措置ができないという場合には何らかの援助をしてやりたいという御意図と拝聴いたしております。
  99. 桑名義治

    ○桑名委員 私はこの問題についてはやはり明確にしておく必要があると思います。これは別に沖繩の県民が好んでこの毒ガスを運んできたわけではない。アメリカの一方的な処置によってこの毒ガスが運び込まれた。そしてこの毒ガスによってどれほど住民が苦しめられたか。そういった立場考えてみると、当然この撤去については米側が全面的にこの支出をすべきである。こういうふうに私は考えるわけでございますけれども日本政府としてもその原則はあくまでも貫く意思でございますか、どうですか。
  100. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 そういう態度で琉政が向こうと折衝していただきたいと思いますし、また、あるいは本土の私たちのほうも、そういう点で理のあるところは外交折衝を通じて押していくということがいいのじゃないかと思っております。
  101. 桑名義治

    ○桑名委員 山中総務長官の半額本土政府が負担するやにも聞いたその発表と、また一部の報ずるところによりますと、この道路建設費については沖繩の調整費の中から出すのだというようなこともいわれているわけでございますが、その間のいわゆる不明点を明確にしておいていただきたいと思うのです。
  102. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 もしそういう場合に調整費で出すのか予備費で出すのか、そういうことにつきましてはまだ決定をいたしておりませんので、もしそういうことになった場合、事務当局といたしましては、それをどこから出すのがよろしいかという研究は、その時点でいたしてまいりたいと思いますし、現在ではそれを決定いたしかねる状況でございます。
  103. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどの御答弁によりますと、道路の建設費は二十万ドルほどかかるというお話でございます。調整費は一応十億組まれているわけです。それで、もしその中からこの費用をかりに日本側が出すようなことになれば、これはゆゆしき問題になると思うのです。  そこで、私がもう一点お尋ねしておきたいということは、過日のいわゆる毒ガスの移送のときに、その地域の住民は全部退避をしたわけです。退避をしたためにばく大な費用がかかっているわけです。あるいはまたこのことによって商店の人々はばく大な損害を与えられている、こういう問題が起こっておるわけでございます。この補償について、現在米側との交渉の段階がどういうふうに進んでいるか、これを明確にしてもらいたいと思うのです。何となれば、この問題とこの次のいわゆる道路の費用の負担の問題と、これは大きな関連が生まれてくると思うんです。そういった意味でまず最初にお尋ねをしておきたいと思うのです。
  104. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 その問題については、一つは安全基準の問題、避難を真にしなくちゃならぬのか、しなくてもいいのか、そこでひとつ議論が分かれてくるように思います。この問題が非常に技術的に、専門的にいっても、なかなかこうだという安全基準の根底的なものが出ておらないという点が一つございますような状況でございます。  それからもう一つ、私たちが知り得ている情報によりますと、米軍のほうが財政事情もたいへん困難になっておるということでなかなか出ししぶっておる、出ない、出しにくい、何かそこいら辺の状況であるように聞いております。
  105. 桑名義治

    ○桑名委員 政府としてはどのようなお考えですか。
  106. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 その点を琉政のほうでも盛んに折衝をいたしておりますような状況でございますので、その点の推移をただいま見ておりまして、願わくはアメリカのほうで負担をしてもらったならばいいなという感じを持っております。
  107. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、いわゆる第一次の移送の際にも住民の負担が非常に過重になっておりますし、いまだに解決がとれていないわけですが、とりわけ二次になりますと、約二カ月間にわたってピストン輸送をする、こういうふうなことが伝えられているわけです。そうしますと、一次と比較をした場合には相当な負担がかかってくるわけでございますが、あなたの先ほどからの答弁は、琉球政府と米側というこの関係説明をなさっているわけですが、日本政府としてはどのような手を打ったかというこの点をまずお尋ねをしておきたいと思うのですが。
  108. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 これは、問題がやはり第一次的には琉球政府と米軍との関係でございまして、その点の結論がまだ出ておりませんので、私たちは好転することを望みながら状況を見ており、状況によりましてさらにわれわれのほうで何らかの措置をすべきという問題につきましては、そのときにおいて措置をしていくという態度でおります。
  109. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、この沖繩の毒ガス移送の問題につきましては、日本政府あるいは琉球政府としては、極力道路の問題の負担、これは全額米軍に持ってもらいたい、あるいはまた全回の第一次の移送の際の住民の避難におけるいわゆる負担についても、これも米側に補償してもらいたい、こういう意向を強力に要請している、こういうことではあるけれども、現段階においてはなかなか困難な問題で、そのめどがまだついてない、こういうことですか。
  110. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 おっしゃる状況でございます。
  111. 桑名義治

    ○桑名委員 いずれにしましても、この毒ガスの問題が今後大きく沖繩県民の上にのしかかってくる、非常に負担の上からも、危険の上からもこれは大きな問題になってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この問題については積極的にこれと取り組んで、そして沖繩住民の負担軽減のために、あるいは生命保持のために全力をあげて取り組んでいただきたい、このことを要望しておきたい、このように思います。  そこで、もうお約束の時間が参りましたので、まだお尋ねしたい点も多々ございますが、午後の時間に譲っておきたい、このように思います。
  112. 床次徳二

    ○床次委員長代理 安里積千代君。
  113. 安里積千代

    ○安里委員 まず施設庁にちょっとお伺いしたいと思います。  施設庁におかれましては、沖繩返還に伴うてアメリカに提供せらるべき施設その他の調査がなされておると思いまするけれども、その御調査の範囲、御調査の基準、こういったものはどういうふうな範囲内において調査がなされておるかをまずお聞きしたいと思います。
  114. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩におきます土地の調査につきましては、いろいろ基本的な根本的な問題がございますので、昨年来調査団を派遣いたしましては、いろいろと実態の把握につとめておるところでございます。ごく最近におきましては、二月から三月にかけまして調査団を派遣いたしまして、借料班あるいは提供管理班、水域に関します水域班等を設けまして、その実態の把握につとめたところでございます。逐次調査ごとに土地等の実態についての資料が得られまして、われわれとしても今後の施策の上に参考になるものが出てまいっておるわけでございますが、今回の借料班の調査は、昨年の十月に引き続きまして実施したものでございますが、施設別の契約あるいは借料等の実態の把握を主といたしまして、あわせて復帰後の借料評価の資料収集を目的といたしまして、琉球政府を中心に調査を行なったわけでございます。すなわち、調査地域は数量的にも金額的にもウエートの大きな那覇市を含む中部地区十五市町村につきまして、それぞれの市町村の土地価格の実態把握につとめたわけでございます。  その結果は、沖繩におきましては相続税がございませんで、本土のようにその評価額がないということが判明いたしております。したがいまして、収集した資料をもとに路線価格を求めまして、それを参考として施設内の適切な土地価格を求めることができるというふうに考えておるわけでございまして、今後適切な土地価格の算定につきましては、慎重に検討していきたいと考えております。  また、農業関係の資料及び山林、原野等の開発の実態等を部分的に把握してまいっておりますが、各地目につきまして沖繩の土地事情を考慮した適正借料所要額の概要が今回の調査の結果の分析によりまして得られるものというふうに期待いたしておるわけでございます。土地の関係につきましては、大体以上のような状況でございます。
  115. 安里積千代

    ○安里委員 返還にあたりまして、私がお聞きしたいのは、軍事基地としてアメリカに提供される地域、施設、あるいはまた返還される地域、施設、こういうことが当然考えられるわけであります。  そこで、返還されるものに対して調査、これはあまり問題ないと思いますけれども、問題は、アメリカに提供せられる施設、区域、こういったことがはっきりしなければ、施設庁としての調査対象ということも、これはばくたるものになると思うのです。  そこで、施設庁とされて沖繩の返還に伴う地位協定に伴うところのその地域、範囲、そういったものを前提にされて調査をされておるのでしょうか。それともそういうことは全然関係なく、現在あるところの施設を一応アメリカに提供せられるという前提のもとに調査が進められておるのですか。その基本的な問題だけをお答え願いたいと思います。
  116. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 調査は、現在の米側が使用しております区域につきまして、それを中心といたしまして借料を算定いたします。その基準を作成するための必要な資料を収集いたしておるわけでございまして、どの区域が返還になる、どの区域を提供する、こういうことを前提にした調査ではございません。
  117. 安里積千代

    ○安里委員 これは施設庁にお問いするのはあるいは無理かもしらぬと思うのですけれども、そういった範囲は、政府とされましていつごろまでにはっきりするというような見通しのもとになされておるのでしょうか。あるいは施設庁に対します質問としてはふさわしくないかもしれませんけれども、さもなければ、もうあと一年しかありません。あるいはまたその前に細目の協定が結ばれるかもわからぬと思うのでありますけれども、わずかな期間しかございません。そうでありまするならば、その点がはっきりしませんというと、仕事が具体的には進まぬと思うのですけれども、そういった点、施設庁としてはどのようにお考えでしょうか。
  118. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 今日までは防衛施設庁本庁から調査団を派遣いたしまして、いろいろな資料収集なり調査に当たってまいりましたが、四月になりますと、対策庁に出向いたします二十名の者が現地に常駐いたしまして、こういう問題について当たるわけでございます。そこでわれわれとしましては、来年度の予算要求の問題もございますので、できるだけ早くそういう一定の基準というものを定めまして、地元とも十分話し合いの上におきまして予算の要求をするということが必要になってまいりますので、詳細につきましてはその後も引き続き調査いたさなければなりませんが、一応のめどはその時点に置いて今後調査を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  119. 安里積千代

    ○安里委員 いままでなされた調査対象となったものの中で、あるいは調査の過程におきまして、これは本土においては例がないといったようなものに遭遇された点もあろうと思うのでありまするけれども、本土にはないところの、実際上アメリカが施設を使いあるいは利用しておるといったようなものが、調査の結果からあらわれておりませんでしょうか。
  120. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩の実情につきましては、いま具体的な実態把握につとめておるところでございますが、確かに御指摘のように、米国の施政権下における一つの特殊な制度というものがございまして、そういうものは本土にはございませんので、そういう制度をどういうふうにするかということは目下いろいろ検討いたしておるところでございます。たとえば黙認耕作地の問題、あるいは非細分土地の問題、あるいはいわゆる施設の地先水面の問題、あるいは那覇の港にありますところの水没地をどういうふうにするかという問題、そういういろいろな特殊なケースがございますので、それぞれにつきましていま個々に検討いたしておるというところでございます。
  121. 安里積千代

    ○安里委員 現地の新聞によりますと、施設庁調査の結果、いままであらわれてなかった海域における演習区域の問題、これが結局琉球政府にも知らされずに、単に漁業関係の人々に通知することによってアメリカが演習に使用しておるという面があるということが、施設庁調査の上から明らかにされたということが新聞に報ぜられておりますけれども、その点そのとおりでしょうか。何か報告が参っておりましょうか。
  122. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩におきましては、米国はかなり多数の場所におきまして水域あるいは空域を使用いたしております。今回水域の調査につきましては、本格的調査としましては初めての調査でございましたが、米軍の使用しておる水域につきましては、まだこの今回の調査におきましては全般的な実態の把握ということに至っておりすせんので、今後さらにその実態の把握につとめかいというふうに考えております。まだ地元にお寺ましては水産関係の各種資料、特に経済統計につきましては不十分であります上に、流通機構あるいは漁法等につきましても独特のものがございますので、今後相当の期間を要すると思いますが、そういう点につきましても十分実態の把握につとめていきたいというふうに考えております。
  123. 安里積千代

    ○安里委員 先ほどの御答弁の中にありました地先水面の問題、これは日本本土と違った状況のものがあるということでございましたが、どのように違っておりましょうか。
  124. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いわゆる千がたの取り扱いにつきましては、まだ実態を詳細に承知するという段階に至っておりませんが、今後とも十分実態調査いたしまして、その中に不要不急のものがないかどうか、また沖繩の民生なりあるいは経済開発、発展のためにその返還が望ましいというものがないかどうかという点も踏まえながら、また一面安保条約の目的にも照らしながら、関係省庁と協議の上、今後慎重に検討することにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  125. 安里積千代

    ○安里委員 私がお聞きいたしておりますのは、将来どうするかという問題ではなくして、本土と沖繩と違っている点がどうあるかということをお聞きしておるわけであります。
  126. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 本土におきましては、しいて申し上げますならば、水戸、芦屋、三沢等の対地射爆撃場さ先にあります水面、こういうものにつきましては、一定区域を定めまして告示をいたしまして、相当制限等を行ないまして、それに対する補償を払っておるのでございます。これがそのものずばり干がたと同じものであるかということにつきましては問題がございます。いわゆる干がたという形態のものは本土にはございませんので、この取り扱いについては慎重に検討いたしていきたいというふうに考えておるわけであります。
  127. 安里積千代

    ○安里委員 もちろん法律上干がたということばが出るのはアメリカの布令の関係でありまして、正しく言えばあるいは軍用地先の公有水面ということになると思います。本土におきまして施設の出入りに必要なところの近接の領水地域というものは提供する義務があるように地位協定の第何条かに示されておるように記憶をいたしております。沖繩の場合におきましては、これらをひっくるめて全部アメリカが管理権がある、こういうふうに布令で定められております。そこで、本土にないところの干がた、軍用地先の管理権まで現在沖繩におきましてはアメリカが管理いたしておりますが、この点返還されるにあたってどのように処理されるのであるか、これは外務省関係からお聞きいたしたいと思います。
  128. 吉野文六

    吉野政府委員 ただいま島田施設庁長官答弁いたしましたように、この問題については何ぶん本土にもない形態でございますから、実態を把握の上、適切な処理をしていきたいと考えております。
  129. 安里積千代

    ○安里委員 本土にないものなんです。ですから本土並み、あるいはまた安保条約に関連する法規がそのまま沖繩適用になるということは政府の基本的な方針だ、こう思います。そういうふうに言われておるわけです。そうしますと、これは本土にはないものなんです。これは考える余地はないと思うのです。本土の関係法規が何ら変更なく適用されるとなりますれば、これらの管理権というものをアメリカに与えておるということは、本土にないことなんです。ですから、これは検討するという余地はその方針からないと思うのです。当然開放されるべきものである、このように思うのですけれども、これもやはり検討して、場合によってはまたアメリカに提供する、いまの布令のような管理権あるいは使用権というものをアメリカに認めるというようなことも考えておられるわけですか。そうなりますと、本土とは違ったところの基地の態様、施設の態様というものが沖繩では生まれてくるということになりますが、これはやはり検討する余地があるのですか。
  130. 吉野文六

    吉野政府委員 安里先生の御説明は十分われわれも承りまして、なお実態把握につとめたいと考えております。
  131. 安里積千代

    ○安里委員 これは、隠された、場合によっては将来の沖繩の軍事基地拡大にも通ずるこの管理権が、返還の際におきましてアメリカに認められるということになりますと、沖繩の軍事施設というのはほとんど海に面しておりますが、その地先というものがアメリカの管理下に認められるということになりますと、単に現在ある軍事基地以上に基地の拡大というものがアメリカの権限の中に入れられるという可能性が生まれてきます。この点事前に強く申し上げておきますので、誤りのないようにしていただきたいと思っております。  時間の関係がございまするので、もう一つだけ。施設庁関係あるかと思います。那覇軍港あるいは那覇空港が返還されるという話も出ております。そこで、これまでアメリカが軍港のために使用するために、たとえて申しますというと、那覇港南岸でございましても、相当の土地をつぶしまして港にしております。これらの土地につきましては、本来、土地の姿は消えておるわけでありまするけれども、アメリカが港として管理して使用しておるという立場からいたしまして、現地におきまする軍用地問題に関するアメリカとの折衝の中におきまして、これら港に利用されておる土地につきましても、個別に賃貸契約を結んで地料を払っておるという実情にございます。復帰の段階におきまして、これらのつぶれたところの、海になったところの土地につきましては、依然として、やはり前にアメリカがやっておったように、賃貸借契約をして、存在した土地としての責任を負わされてくるかどうか。那覇港がもし返されないとしますれば、当然それに付随するほかにもございますけれども、そういった土地も契約の対象となって地料を払っていくか、それとも、もう土地がなくなったんだから、何らかの措置をとるというふうな方向にいくのであるか、その点を明らかにしておきたいと思います。
  132. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 那覇軍港内にあります滅失土地は、米軍の港湾拡張工事のために水没したものと承知いたしております。私どもの調べたところによりますと、その面積が約五万六千平方メートルでございまして、現在、御指摘のように、米軍は賃借料を支払っておりますが、この問題につきましても一つの大きな検討課題でございまして、われわれいろいろ検討いたしておりますが、このような土地に引き続き賃借料を払うということは必ずしも適当でないというふうに考えておるわけでございまして、現在われわれ施設庁といたしましては、いわば滅失補償というような形でこの問題を処理したいというふうに考えておるわけでございまして、なお、この問題につきましては、引き続き関係政府機関と十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  133. 安里積千代

    ○安里委員 大蔵省関係にお願いしたいと思いますが、沖繩におきまするところの国有あるいは県有土地、山林、そういったものがどのくらいあるかということを大蔵省は的確に把握されておられますか。
  134. 小口芳彦

    ○小口政府委員 お尋ねの点でございますけれども戦前昭和十七年三月三十一日現在におきまして、国有財産台帳の国有地の面積が三七八百万平方メートルあるわけでございます。現在この国有地につきましては、たとえば国有林野財産のように、米国の民政府から琉球政府が委任を受けて管理しているものというものもございますけれども、大部分は米国の民政府が管理しておるわけでございます。米民政府の管理している国有地につきましては、国有財産台帳に登載されていない、戦時中にたとえば旧軍が買収したものとか、そういうふうなものもございまして、いろいろ実態が錯綜しておりますので、この点は今後十分に調査をいたしまして、実態を見きわめながらこの問題につきましては検討してまいりたいというふうに存じます。
  135. 安里積千代

    ○安里委員 ただいまの国有財産台帳に載ったのは、昭和十七年現在だとおっしゃいました。確かにいまお話がありましたとおり、その後におきまする、しかも、それは特に戦争に関係するものとして軍の強制収用その他買収というような形においてとられたところの土地がございます。この政府が台帳上握っておりまするところの土地、戦争末期におきまする沖繩の農民たちから買い上げたところの土地、台帳には載っておらない、しかし、現実にはアメリカがこれを国有財産として管理しておる、こういうことでございまするが、その台帳に載らずにアメリカが管理しておるところの地域あるいは筆数、坪数、こういったものも数字的には調査されておられますか。
  136. 小口芳彦

    ○小口政府委員 何ぶんにも、ただいまの御質問の点につきましては、戦争末期のことでございまして、たとえば旧陸海軍が買収したというふうなものでございますけれども、大蔵省といたしましては、正確な報告と申しますか、引き継ぎと申しますか、そういうものを受けていないわけでございます。ただ、実態としてそういうふうなものがございますので、この点につきましては、今後十分に調査をいたしまして、その処理につきましては慎重に検討していきたいというふうに考えるわけであります。
  137. 安里積千代

    ○安里委員 陸軍あるいは海軍、空軍などがほとんど強制的に買い上げたものであります。これは御承知のとおり、ほとんど代金も支払われずに、あるいは形だけの小切手、金にもかえられない、すぐ預金させられるといったようなことで、実質的に地主の手に入らずに土地がとられております。そうしてこのものは、もちろん戦争協力のためになされておりまするから、戦争目的が済んでしまったということになりまするというと、これは原則的には、やはり元の地主に返すということが私はたてまえだと、こう思うわけであります。この問題につきましては、これまでもしばしば沖繩側から要請されたはずであります。特に戦後アメリカも使っていない、逆にその土地を沖繩の人人に貸しておる、こういったような土地も相当あるわけです。この返還問題につきましては、これまでもずっと要請されてきたわけでございますけれども、お聞きしたいのは、国の台帳に載ってない、しかし、アメリカは国有財産として管理しておる、しかも、現在アメリカも使っておらない、地位協定によってアメリカに提供しない土地もあるわけであります。そういったものを国有財産として処分をされる場合におきまして、国有財産台帳には載っておらない、それでもアメリカが、これは日本の国有財産である、あるいはまた、実際上地主が海軍に陸軍に空軍に買い上げられたんだといったようなことがはっきりしているものに対しましては、政府の台帳にも載っていない、国有財産にも記録上なっておらない、そういったものに対しましても、国有財産台帳に載っておると同様な立場において処理されますか。
  138. 小口芳彦

    ○小口政府委員 御質問のような件につきましては、登記の問題がございまして、この登記につきましても、移転登記が済んでいるもの、あるいは、本島におきますように、登記簿が消失しているもの等がございまして、その辺がいろいろ状況が複雑になっておるわけでございまして、やはりいずれにいたしましても、実態を把握するということが先決問題でございますので、実はただいまそういうふうな関係を極力調査したい、そういう目的をもちまして、沖繩調査に行っている最中でございます。その結果を見まして、いろいろその処理につきましては慎重に検討を重ねていきたいというふうに存じます。
  139. 安里積千代

    ○安里委員 もう一つだけお伺いします。  国有財産につきましては、アメリカの管理のもとに、アメリカが管理して、あるいは地料を取っておるものもあります。あるいはまた、軍用地でアメリカが演習時その他に使っておるものがあります。そこでお聞きしたいのは、復帰の段階におきまして、アメリカが無償で使っておるところの国有地、これまでこのように使用していたところの土地に対しまする使用料と申しますか、こういったものは返還の際におきまして清算されるものであるかどうか、またすべきものであるかどうか、これに対してどのようにお考えでしょうか。
  140. 小口芳彦

    ○小口政府委員 お尋ねの問題につきましては、国有地の問題ではございますけれども、平和条約条約上の解釈の問題にもなりまして、大蔵省のほうから責任をもってお答えすべき問題になるかどうかと存じますけれども、いずれにいたしましても、平和条約に基づきましてアメリカが施政権を持っておりますので、その施政権によりまして国有地あるいは県有地を管理し使用しているということであろうかと存じますす。
  141. 安里積千代

    ○安里委員 もちろんです。アメリカが管理使用しております。しかしそれは管理使用権があるから。そうすると、日本政府としては、その管理によって得たところの収益と申しますか、対価なんというものは請求すべき筋合いのものでない、これは管理しているのだから、どのように使おうと、ただで使おうといいのであって、金銭に換算されて管理使用に関するところの対価というものは清算されるべきものではないのだ、こういう考えでおられますか。
  142. 吉野文六

    吉野政府委員 ただいま大蔵省理財局次長が申し上げましたとおりに、施政権を第三条によって持っておりまするから、国有地を米側がみずから使用することについて、その費用の負担を、政府等が日本側が請求することはできないと思います。
  143. 安里積千代

    ○安里委員 条約局長がお立ちになりましたついでに、ちょっと私は最後に一つお尋ねいたします。  対策庁につきましては午後にお願いいたしたいと思いますが、いままで質疑がありましたVOAの問題、あるいは弁護士の問題、これは返還協定の中において私はアメリカ側の要求というものが相当強く出されておる問題じゃないかと思いますが、そればかりじゃなくて、あらゆる問題に対しまして、ことにアメリカの上院におけるところの承認を要するという立場になったところから見ましても、返還にあたりまして、協定の内容にはアメリカ側の要求というのが非常に強く出されてくるのじゃないか、こればかりじゃなくて。そうしますると、日本の法規の中において許されない、あるいは日本ではとても条理上いれられないところの問題でも、返還協定を結ぶためには、アメリカの無理な申し入れでも、これは一歩譲歩して認めなければ協定ができない、こういうようなことに追い込まれる立場にないか。これに対しまするところの外務当局のお考えをお聞きしたいと思います。いまのような状況でありますというと、アメリカ側の無理な要求でも、あるいは日本の法規において許されない問題でございましても、条約条件上のまざるを得ない。つまりアメリカが主体となったところの協定になりはせぬか、こういう心配をするものであります。この点に対する外務当局の所信を承りたいと思います。
  144. 吉野文六

    吉野政府委員 ただいまの安里先生の御質問、まことに現状をよく御理解なさっていてくださって、われわれとしても非常に感謝しておる次第でございます。しかしながら、われわれとしては、あくまでも日本政府立場から、あるいは沖繩に住んでいる方々の心情を十分考慮いたしましてこの交渉に臨んでおります。
  145. 床次徳二

    ○床次委員長代理 瀬長君。
  146. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に条約局長お尋ねします。  事前協議制度の問題と関連いたしまして、現在沖繩の基地と本土の基地と違っている点、これはどういう点が違っておるのか具体的に申し上げますと、事前協議制度の中における合衆国軍隊の日本への配置に関する重要な変更、さらに同軍隊の装備における重要な変更、並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動、こういったような三つに該当するものが沖繩基地にどのような態様で配置されておるか、この点を明らかにしてほしいと思います。
  147. 井川克一

    井川政府委員 申しわけありませんが、私、先生の御質問をほんとうに理解いたしましたかどうか、はなはだ自信がなくて申しわけないわけでございますけれども条約的、法律的に申しますと、事前協議という、いまおあげになりました三つの条項があるわけでございますが、これは沖繩返還とともに適用になるものでございますし。したがいまして、現在の段階においてどう違うかという、もし御質問がそういう趣旨でございましたらば、ともかく現在はこの安保条約自身が適用がないのでございまするから、その点ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  148. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 説明にならぬ。私の聞いておるのは、現在そういうような三つの項目に該当するような基地が沖繩にあるかどうか、これを聞いておるわけなのです。返還協定は外務省が主としてやっていることはわかります。その場合に、核抜き本土並みなどと言いながら、現実に沖繩にあって心理作戦を中心とする部隊もあるし、謀略部隊だと言っているわけなのです。さらにVOAその他本土の基地と違ったような基地になっている。そういった点をあなた方はいま明確にできるはずなのです。できないとすれば怠慢のそしりは免れません。そうなりますと、もしわからぬで返還協定が作成されるならば、アメリカの言いなりほうだいになるということが言えるじゃないですか。私の言っているのは、返還協定が実施されたX時における問題を聞いているのではなくて、現に沖繩にあって本土と違った基地はどういう態様であるかということを聞いているわけなのです。お答え願います。
  149. 井川克一

    井川政府委員 御質問趣旨がわかりました。しかしここで一言申し上げたいのは、そういう御質問でございますると、これはちょっと先ほどあげられました事前協議事項とは直接の関係がないように思います。たとえば、ある基地がございましても、それがX時、返る日になりまして、そこが戦闘作戦行動の基地として使用されるというときに初めて事前協議の対象になるわけでございますので、いまおあげになりましたような例は事前協議とは関係ないと思います。ただ、特別の部隊がいる云々の点につきましては、アメリカ局長から御答弁申し上げます。
  150. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。沖繩におりますアメリカ軍の部隊で、本土に駐留していないもの、ないしは特殊な性格を持っているもの、こういうものにつきましては、目下鋭意検討中でございまして、いずれその実態を把握の上、この問題についてさらに御説明できるかと存じております。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、現実に現在では全然把握してないというふうに理解していいのですか。
  152. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれの把握している知識なり情報なりは、まだ完全なものでございませんから、政府立場としてここに申し上げるわけにはまいりません。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩返還協定の作成の作業がきわめて順調に進んでいるということが、いかにでたらめであるかということが、いまアメリカ局長条約局長答弁ではっきりわかるような気がします。予算委員会あるいは分科会あたりでもすでにいろいろ明らかにされて、本土とは違った基地であるという点ははっきりしておる。にもかかわらず、まだ実態をつかんでいないということになりますと、この返還協定なるものは日本国民にとって実に危険な協定になる、屈辱的な条約になるといったようなことがだんだんわかるような気がするのです。  具体的に質問申し上げましょう。これは沖繩における米軍のスターズ・アンド・ストライプスという機関紙があるのです。その中で、アメリカの戦略空軍、SAC第九〇九空中給油飛行隊がカリフォルニア州のマーチ基地から移駐する、これはB52にかわる核戦略爆撃機の配備に備える処置であるとの見方が非常に強くなっておる。この九〇九飛行隊はKC価、空中給油機十五機で編成されて、兵員が四百二十、これは九月三十日までに移駐される。その次に説明してあります。B52の数倍の威力を持っておる、普通爆撃もできるし、さらに核兵器も搭載できるというFB111型戦闘爆撃機、これはすでに六十八年度に就役しております。このFB111はアメリカの戦略空軍のうちで、B52の次に、その数倍の力を持っておるような核爆撃機である。これがアメリカから沖繩に配備されるということはもう予想されておる。返還の時点でこのようなB52の数倍に及ぶ核爆撃機、こういったようなものが配備される場合には、日本政府としては事前協議制度の問題を出して——現時点でその事前協議制度の三項に該当するものがあるかどうか、そういった点についてお聞きしたかったわけであります。外務省として、返還の時点でこのようなおそろしい核爆撃機が配備される、あるいはすでに配備されていて引き続きそこに置くというような方針はないと思いますが、そのとおりと理解していいですか。
  154. 吉野文六

    吉野政府委員 先ほど御説明いたしましたように、沖繩におる部隊につきましては、なお実態把握中でございますから、先生の御質問に直接答えるわけにはまいらないのでございますが、先ほど条約局長が御説明したとおり、沖繩返還と同時に安保条約及びその付随取りきめが、そのまま本土と同様に沖繩にも適用されることになりますから、当然沖繩にその当時いるであろうアメリカ軍の部隊もそのワク内に入るわけでございます。なお、この点につきましては、愛知外務大臣もたびたび御説明しているとおり、軍隊の潜在的な能力というものは、これは兵器の近代化ないしはその他の事情で無限に発展し得る性格のものでございます。しかしながら、それはあくまでも安保条約ないしは地位協定その他の関連取りきめのワク内で押えるというのが、今日の安保条約のたてまえでございますから、当然その範囲内で押えられると考えております。なお、核抜き本土並み返還ということは、これは両首脳の間に確約された事実でございますから、核の持ち込みないしは核兵器の使用等につきましては、もちろん考えられないことでございます。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 考えられないということでありますから、このような、核兵器を運搬し得るような爆撃機、あるいはその機能を維持するための給油機などは、返還の時点では、ないということがはっきり言えるわけなんですね。
  156. 吉野文六

    吉野政府委員 先ほど御説明をいたしましたように、軍隊の機能ないしは軍の装備自体は日進月歩の世の中でありまして、今後もいろいろと進歩するでありましょうし、したがって軍隊の持つ潜在的な能力というものは今後も発展していくだろうと思います。しかしながら、沖繩返還後におきましては、日米安保条約をそのまま適用するわけでございますから、あくまでも本土と同じように扱われることになるものであります。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 非常に回りくどい説明ですが、はっきり言ってください。いま申し上げましたのは本土にないのでしょう。ないから、本土並みと言われるから、安保条約も地位協定もそのまま適用する、事前協議制もそういう方向で適用される。いま私が申し上げました心理作戦部隊もある、謀略部隊です。私は、どこにいるか、いるところも知っているのです。そういったもの、それからいま申し上げた核戦略爆撃機、こういったものが配置されても——九月末には完了すると言っているのだが、もし来年四月一日にかりに返還という時点に達したときには、こういったものは本土にはないから当然なくなることが好ましいし、またなくならなければならないということになるのですな、ということを聞いているだけなんです。非常に簡単なんです。
  158. 吉野文六

    吉野政府委員 沖繩におります部隊ないしはその部隊の持っておる装備その他につきましては、目下実態把握に日本政府としてはつとめております。なお、たびたび繰り返すようで恐縮でございますが、軍隊ないしはその装備の持っておる潜在的な能力ということは、ここでは問題にしておりません。あくまでも安保条約のワク内で問題をしぼっていこう、こういうことでございます。  なお、本土に同じような部隊ないしは装備の武器があるかどうかというようなことにつきましては、もちろんこれも一つの重要な参考事項だと思いますが、要するに、法律的に日米間は安保条約及びその付随取りきめによってお互いに縛られているわけでございますから、それによってすべてが処理されるわけでございます。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日進月歩と言われましたが、非常に不安を感じます。これは非常に日進月歩ですから、来年の四月一日までに、より以上に日進月歩して核兵器が持ち込まれないとも限らないという印象を与えるのですね、明確な答弁ができないのは。目下実態調査中であるというのだが、一体どういうふうな実態調査をしておるのか。現地で外務省の係官は、あるいはこれはあとで関連して防衛庁もそれについて答弁していただきたいと思うのですが、どういう方法で実態調査するのですか、また、しておるのですか。この点を明らかにしてほしいのです。ただ、目下調査中、目下検討中でございますというふうなことでは、沖繩県民は死の恐怖に追い込まれておるのですからね。毒ガスもあるし、核兵器もある、いつどうなるかわからないから、私は真剣に聞いておるのですよ。ですから、実態調査をやるのであれば、一体どういう方法でやるのか、明確にしてほしいと思います。
  160. 吉野文六

    吉野政府委員 この問題は各省にまたがる問題でありまして、各省それぞれの担当部門につきまして実態把握につとめておる次第でございます。なお実態把握の方法につきましては、それぞれ所管部門によって方法が違うだろうと思いますが、もちろん米軍ないしは米施政権当事者に対し、ないしは米国政府に対し、必要な資料ないしは情報の提出等を求めることもその一つであると思います。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 防衛庁はこの点について、核問題について実態調査をされると思うのですが、どういうふうな実態調査をいまやるおつもりでありますか、御返事願いたいと思います。
  162. 大西誠一郎

    ○大西説明員 お答え申し上げます。ただいま外務省から御答弁がございましたように、核抜き本土並みの返還については、日米双方の相互信頼に基づいて、特に大統領とわが国の総理大臣との話し合いできまったことでございますから、これについて特に疑いを差しはさむ余地はないと思います。ただ、沖繩住民の方々のお気持ち等を考えますと、アメリカとの合意を前提にいたしまして、そういうような確認ができれば、それは望ましいというふうに考えております。  なお、自衛隊はいずれ沖繩に参りまして、ナイキ等の基地の引き継ぎというようなことも日程にのぼってまいりますので、その前にそういう機会が得られるのではないかと期待いたしております。
  163. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務省は主として返還協定——協定になるか条約になるかわかりませんが、外務省条約局あるいはアメリカ局はほとんど沖繩の基地の実態がわからないままに協定を結ぼうとしておる。実に危険です。国民はそんなような政府のために血税を払っているのじゃないと思うのです。国民に対する義務があるはずなんです。そのために沖繩が核基地といわれておるのですよ、あなた方すでに御承知のように。そういった核基地の上に毒ガスがまた貯蔵されておる。こういったことが目下実態調査中でありますなどという特に局長クラスの人からの話ですから、いかに返還協定の作業そのものが順調にいっていないかということを明らかにしておると私は考えておるのです。もしそれに反駁でき、あるいは説明できるようなことがあればやっていただきたいと思いますが、時間の関係がありますので、こういった点は後に回しまして、大蔵省に次の質問をいたします。  この前の委員会で大蔵省は、沖繩にあるアメリカ施設の有償引き継ぎ、買い取り、この有償引き継ぎは、四つの項目対象があると言われました。そのほかに疑問に思われるのが一つあります。いままで高等弁務官資金なるもの、沖繩ではゼネラルファンドと言っていますが、その中から一カ年で十万ドル出したり二十万ドル出したり、かってに宣撫工作費として出して、その弁務官資金は部落の公民館、あるいは簡易水道、これをつくるために出されております。アメリカは、山中長官も言っておりましたが、けちとけちとの取引で、非常にがめついのです。ですから、いままで出した弁務官資金、それでつくられた公民館、簡易水道、こういったものなどを買い取れと言っておるのか、あるいは買い取れと言っていないのか。いずれにしましても、大蔵省としてはこれを買い取るのか、あるいは有償引き継ぎの対象になるのかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  164. 前田多良夫

    ○前田説明員 お答えいたします。一般資金からそういう簡易水道や公民館等に金が出たかどうかという事実自体は、私たちのほうは実はまだつまびらかにいたしておりませんけれども、はっきりしておりますことは、私たちがいま交渉の対象としている資産というものの中には、そういうものは含まれておりません。この前申しましたとおりの四項目に限られておるわけでございます。
  165. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もし弁務官資金でつくられた公民館も有償で引き継いでほしいと申し出があったら、大蔵省はその四つの対象のほかに加えますか。
  166. 前田多良夫

    ○前田説明員 現実にそういうような要請が来ていないわけでございます。また私たちのほうとしても、そういう要請が来るとも現在のところ予想しておりません。
  167. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 現実に出しそうな空気があるから聞いているのです。アメリカは一ぺん出したものを貸与した、あるいはこれを献呈したと言いながら買い取りなさいと言っているでしょう、あの建物にしても。ですから、弁務官資金なるものが出ているわけですが、これでつくられたものは買い取れと言わないとは限らない。もし言うたらどうするかという問題を聞いているのです。仮定であるが、現実性を帯びた仮定なんです。
  168. 前田多良夫

    ○前田説明員 御承知のように、一般資金でつくられておりますところのいろいろな施設というようなものは、この前の四項目以外にもたくさんございます。しかし、そういうようなものにつきまして、現在まで何もアメリカ側のほうからそういう要請はございませんので、私たちのほうとしては、そういう要請はないものと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  169. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、国有財産が沖繩に、当然国有財産は大蔵省の管理になっているのだが、国有財産がどのくらいあるか。土地もあれば建物もあると思います。それははっきりしておりますか。
  170. 小口芳彦

    ○小口政府委員 先ほども質問のあった点でございますけれども昭和十七年の国有財産台帳におきまして三七八百万平米という土地があるわけでございます。その他国有財産として、たとえばいろいろな建築物、刑務所とかその他いろいろあるわけでございますけれども、そういうものも個別にはわかっておるわけでございますけれども、その後の状況につきまして、先ほども申し上げましたように、戦争の末期に旧軍が買収したもの、その他いろいろなものがございまして、その点につきましては、現在ではいろいろ調査をしなければ判明しない点があるわけでございます。したがいまして、その点を極力調査して実態の把握につとめておる最中でございます。
  171. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 国有財産は大体二つに分けられると思います。一つは、アメリカが管理しているもの、それからもう一つは、琉球政府の管理に移してあるもの、大別して二つになっておりますが、さらにアメリカが管理しているもののうち、二つに分けられると思うのです。アメリカが基地のために無償で使っているもの、それからこれこそ商売じゃないかと思われるようなものなんです、国有地でありながら、これを日本国民である沖繩県民に貸し付けて地代を年間取っている、このケース、二つに分けられております。このアメリカがただ使いしている面積は幾らあり、何々か。それから県民に貸し付けている面積やあるいは種類別、アメリカが一年間に幾らぐらい地代として取り上げているか。これは現在の軍用地主に払っている地代よりももっと高い値段でアメリカは取っておる事実を私は知っております。こういった点について、返還の時点で、こういう国有財産、いま第二番目にあげました琉球政府の管理に移管しているものは別として、アメリカが管理している二つの種類について、返還の時点でどのような取り扱いになるか。大蔵省としては、国有財産ですから、管理の省であるわけなんですから、もちろん国有林になれば林野庁とかということになりますが、財産としての処理についての方針があれば承りたいし、さらに県民に貸し付けておる地代がいままで幾らくらいあがって、何に使われて、幾ら余っておるか。余ったものがあれば、返還の時点には日本政府の財産として納めるのか。こういった点をお聞きしたいと思います。
  172. 小口芳彦

    ○小口政府委員 御質問が二つに分かれておりまして、第一は、米軍が琉球政府に管理を委託しております国有林野、そのようなものを除いて、直接使用しておるものについての問題でございますけれども、これは先ほどの御質問にもございまして、外務省条約局長から答弁もあったわけでございますけれども、この点につきましては、米軍が平和条約に基づく施政権に基づいて管理し使用しておる、そういうことであろうかと存じます。  第二の問題で、沖繩の県民、あるいはアメリカの民間人という場合もあろうかと存じますけれども、貸している場合でございますが、これにつきましては、返還の時点におきましてどのような処理をするかということでございますけれども、これは私どもといたしましても、いろいろ実態調査いたしまして、その結果を勘案しまして、納得のいくような処理をしたいというふうに考えておるわけでございます。  御質問の、有償で貸しているわけでございますけれども、どの程度の貸し賃をとっているか、その他の点につきましては、ただいままでのところ詳細は不明でございます。
  173. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので、残された問題は午後にやることにいたしまして、資料をお願いしたいと思います。  一つは、いま問題になりました国有財産、これの詳細な資料を、アメリカが管理しているもの、管理してさらにただ使いをしておるものと、それから県民に貸し付けておるものの面積や種類別、さらに地代、それから琉球政府に移管してあるものの種類別のもの。さらにもう一つは、これは本土における国有財産の特例法に基づいてアメリカの使用に無償で提供しておる国有財産の種類別のいわゆる面積、さらに使用方法、アメリカはこれを何に使っておるかといったような詳細な資料をぜひ早目に提出していただきたいことを要望いたしまして、私の午前中の質問を終わります。
  174. 小口芳彦

    ○小口政府委員 ただいまの資料の御要望でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、現在調査中で、不明のものも実は相当あるわけでございます。ただ、御要求がございましたので、現在わかっております範囲内におきまして、極力資料をまとめまして提出したいと思います。
  175. 床次徳二

    ○床次委員長代理 本会議散会後委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後三時七分開議
  176. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、第二次沖繩復帰対策要綱について山中総務長官より発言を求められております。これを許します。山中総務長官
  177. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいま第二次復帰対策要綱について説明を求められておるということでありますが、私のほうは突然説明をするようにということでございましたので、説明的な文書を一切持っておりませんので、お手元にございますでしょうか、この沖繩復帰対策要綱(第二次分)、それに基づいて私のほうで注釈を加えつつ御説明申し上げるという形をとりたいと思います。  まず初めに、沖繩県及び市町村の行政組織問題でありますが、これについては、知事並びにそれぞれの沖繩県の議会の議員についての規定でありまして、現在の主席を復帰の時点において知事とみなす、現在の立法院の議員を復帰の際において県議会の議員とみなすという要望に沿ったとおりのものでございます。  市町村については、これまた地方自治法の規定時よる市町村とし、議会の議員等も同様にするわけでありますが、これは奄美大島その他の先例どおりでございまして、別段のみなす規定その他は要らないわけでございます。ただし、ウにおいては、沖繩の市町村の合併促進法では補助金が出る制度がございますが、本土においてはそのような制度がございませんので、そこらの沖繩のいいところも本土の町村合併促進法にプラスしたいということで、従前の特例趣旨を尊重して所要の措置を講ずるという意味をもって表現しておるわけでございます。  琉球政府関係機関について、琉球電信電話公社の業務は、復帰と同時に引き継ぐ場合に、それぞれ日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が行なう。勤務している者はそれをそのまま職員として引き継ぎ、受け入れを行なう。表現は、電信電話公社と国際電電との性格が違いますから、「引き継ぎ」、「受け入れ」という表現になります。  土地住宅公社については、現在の琉球土地住宅公社というものを現在の本土の地方住宅供給公社法というものに基づく地方住宅供給公社というものでおやりくださればけっこうやっていけますということを言っているわけであります。  下水道公社、これは本土のほうも昨年から流域下水道という町村の境界を越えた新しい下水道が位置づけられましたので、幸い沖繩では現状がそれに相似ておりますので、復帰後、新しい概念の流域下水道として沖繩県の下水道とするということになるわけでございます。  沖繩放送協会の場合は、少し前置きがございまして「復帰により沖繩放送法が失効するのに伴い、」ということで、あとは日本放送協会がこれを引き継ぐということになっておりますが、この「放送法が失効するのに伴い、」ということばをわざわざ入れましたのは、NHKがこれは独立した純然たる報道機関でございますから、電電公社みたいに義務的に引き継ぐ性格のものとして規定するのは少し異質でございますので、そこで沖繩の現在のOHKの存在根拠法、もちろん公共放送でNHKと同じ性格を持つものとしても、根拠法の沖繩放送法が失効するから、NHKが引き取りますという表現を入れることにより、NHKの自主性、独立性を尊重した表現にしておるわけでございます。  観光開発事業団については、問題はないと思います。  それから、新全総、新経済社会発展計画の改定の場合の特徴は、普通でありますと、沖繩を今日までの概念では九州ブロックとしてとらえておったのでありますが、再々私が申し上げておりますように、沖繩を新しい一つのブロックとして、その本土列島にもたらす付加価値というものを評価したい。そのために、後段において「わが国の最南端に位置する亜熱帯地域の特性を生かし、産業の開発、環境条件の整備保全および交通通信体系の確立を図ることにより、」云々という、沖繩に対して新しい国土の付加価値としての立場から、新しいブロックとしての扱いをする、一ブロックとしての扱いをするという表現をいたしておるつもりでございます。  次の四の、沖繩振興開発公庫でございますが、これは詰めるまでに相当な議論がございましたし、本土政府の中においても議論がございました。しかし、最終的に合意いたしました内容は、ここに述べられておるとおりでございまして、開発銀行以下政策金融機関を全部一元的に総合的運用をはかるために沖繩振興開発公庫を置きたい。その沖繩振興開発公庫の中には、さらに現地琉球政府で現在持っておられる各種の大衆金融公庫から住宅建設資金融通特別会計あるいは運搬船建造等、本土にないそういう特別会計の行なっておる業務等をも引き継いで行ないますということを書いてございますが、アイウエオのエのところで、この「公庫の貸付条件は、沖繩の産業・経済の実情を勘案し「適切なものとする、」これは主としてアイのイのところの、本土における政策金融機関の恒例設定いたしておりまする金利あるいは償還期限その他の条件について沖繩には特例を設けよう、そういう意味で書いてあるわけでございます。もちろん特例はなるべく低金利、そしてなるべく長期という意味のことを前提にしてのことでございます。  「教育・文化」の学校制度は別段問題はございませんが、それぞれ本土の学校教育法による学校あるいはまた各種学校というふうになるということでございます。さらに卒業生のことも書いてございます。  私立大学は少し問題がございますが、「沖繩の私立大学(短期大学を含む。)については、復帰までの間に、本土の大学の水準に達することができるよう統合その他の必要な整備を図り、復帰の際、本土の学校教育法による大学となるよう措置するものとする。復帰までの間に所要の整備が行なわれていない大学については、復帰時の在学生につき、その者が卒業するまでの間に限り、本土の法令による大学とみなす経過措置を講ずることとする。」このところの意味は、現在沖繩に二つの、琉球大学並びに国際大学、それぞれ短期大学等を持っておるわけでございますが、そのいずれも水準が低うございますし、大学の基準に達しておりません。したがって、私立大学であっても、その基準に達するために復帰前に整備等の措置をとって努力をしてほしい、その努力の結果というものが出た場合において、なおかつ本土に復帰した場合に本土の私立大学に劣っていても、それは問うところではないという意味があるわけでございます。しかしながら、合併の手段も何もしない、統合もしないでそのままそれぞれ復帰の時点を迎える場合については、その当時に入学した学生の卒業までは大学の卒業生とみなすが、新しい新入生を募集することは、大学としては、学校教育法による大学として認めないので、実際上行なえないということを意味しております。これは相当ドラスティックな言い方をしておるわけでありますが、この前提には、琉球政府並びに立法院等の合意によって、沖繩の大学制度審議会が合併を勧告いたしております。これに対して一校は受諾し、一校は拒否いたしております。でありますので、沖繩県の一応の公的な機関の方針というものを踏まえて打ち出しておるわけでございますので、私立大学の経営者の同意を得ておるものではない。むしろ私立大学経営者は、これに対して非常な反発を持つ学校があり得るであろうことを予測いたしておりますが、どうしても琉球政府のそういう方針に従ってほしいと私どもも思いますし、これはやはり学校経営者のことではなくて、生徒たちの問題である、教育本来のことを大学経営者も自覚してほしいということを強くここで申し上げておるつもりでございます。ここのところが少し強烈な感じを与えるところでございます。  教職員の特別研修、これは内地並み、本土と一緒になるわけですけれども、なお教職員のレベルアップのための制度として、資質向上の制度として残します。  宗教法人等についても大体問題はございません。本土並みにみなすわけでございます。  社寺等の所有しておる国有財産は、本土と同じように、譲与または減額譲渡という処置でできるものと思います。  学校安全会もほぼ本土並びになれる。  琉球育英会については、すでに一次において現在の国費留学生などについての措置を定めて、暫定措置をきめておりますので、今度は育英会自体というものを民法法人ということで存続させる。  なお、日本育英会の沖繩支部というものを別途置く。これは本土留学以外の分野について仕事があるわけでございます。それも必要であろうということでございます。これは並立して、競合するものではございません。  私立学校振興会、これも大体民法法人として整備し、存続する。  厚生・労働関係に入りまして、福祉事務所、これは原則として本土並みということでありますけれども、必置しなければならない市でできないことがあります場合は、逐次これを設置していってよろしい、その間において、そのかわり沖繩県のほうで肩がわりしてその仕事をやつでほしいということでございます。  「結核および精神病に係る公費負担」のところで、一応現在の本土で行なわれておる公費負担よりも沖繩側において行なわれておる公費負担のほうが手厚うございますので、その従前の例に準じて公費負担ということを原則にいたしております。  ここのところで、まだきめておりませんが、沖繩県が復帰いたしますと、現在の琉球大学に医学部が復帰の時点ではまだございませんし、保健学部の付属病院が、国立大学として琉球大学が移管されて、その付属病院になったとしても、県民全体のための国立病院というものが沖繩県はない県になる可能性があります。もちろん琉球政府沖繩に国立病院をつくってほしい、あるいは現在南援のほうでやっております精和病院を国立にしてほしい等のいろいろの意見がございますが、沖繩における結核と精神病の本土に比べての異常な高い比率、あるいはまた推定の患者数に比べて収容ベッド数が十分の一にも満たないという現状等から考えまして、現在の琉球政府立の精神病あるいは結核の病院の運営等どう相談をいたすかはこれからの問題でありますが、できれば厚生省その他の関係省の了解を得て、沖繩に主として精神病、結核を中心とした国立病院をつくる必要があるのではないかということを考えておりますが、まだ合意に達しておりませんので、ここからは落ちておるわけでございます。  医療機関のところは、本土の十九人までとなっておりますものを、沖繩では二十九人までとなっておりますので、これらの制度は、当分沖繩において患者収容時間の制限その他の基準になります病院、診療所の区分について、これを二十九人までの現状を認めましょう、したがって、収容時間等もそれに従いますということにしてあるわけでございます  労災も大体本土の条件になれるわけでありますが、その際において、復帰前に生じた業務上の事故にかかる復帰後に支給すべき諸補償給付等は、原則として本土の労働者災害補償保険法によって行なうということでリスクを補完してございます。  失業保険についても、同じような考え方で引き継ぐことにいたしております。  外国人季節労働者は、パイン及び甘蔗の収穫時期における季節労務者としてほとんど台湾から参っております外国人の労働者、これをシャットアウトいたしますと、それぞれの離島のキビ作というものは立ち行かなくなる状況にございます。そこで、やはり本来ならば、これは労働省その他異論のあったところでありますが、労働、外務、法務等の協力を得て、沖繩においては基幹産業たるパインアップル、甘蔗の地位にかんがみ、そして現在恒久的にその台湾労務者の受け入れによってのみささえられている人手の現状から見て、これは一定期間特例として残したほうがいいということにしました。この一定期間もいつまでかということはすべての問題と関連いたしますが、合理化、近代化、機械化が進み、あるいはまた人手等が充足されるようなことがあれば、逐次、これは原則としては好ましくないことでありますから、少なくし、あるいはやめていかなければならないと思いますが、なかなかそのような条件をいまのところ展望できないという状態でございます。  次に「産業・経済」では、長年議論してまいりました含みつ糖対策について、結局、いろいろの議論もありましたけれども、さしあたり何とか対策をはっきりしておかなければ不安がいつまでも続くということでございますので、現在の琉球政府の講じてまいりました対策が実質的に継続できるように当分の聞いたします。すなわち、復帰と同時に本土の糖価安定法の適用範囲に入ってまいります分みつ糖と一緒にはできない。しかしながらら、現在沖繩において政府が原料価格を公示し、それによって企業側に補助金を出しておるその制度というものを、沖繩についてのみ継続をいたしましょう、そういう意味でございます。  農協、水産業協同組合は、これは本土の農協、水産業協同組合とみなすというものでありますが、ここで農林漁業の職員の共済に関しまして、これは他の公務員共済等の議論がまだ詰まっておりません。すなわち掛け金を掛けた期間とそれから給付をいたしまする金額との問題で、琉球政府の職員として勤務した期間と、権利の発生の前提となる掛け金を納めた期間というもの等が、ちょっといまのままでは解決を見そうにありませんので、農協、漁協のほうはわりとむずかしくないのでありますけれども、他の問題との関連において、これはここで触れてございませんが、三次においては明らかにするつもりでございます。  国有林野については、明治四十二年勅令第三二号に基づいて沖繩県に貸し付けた貸し付け期間がまだ残っておりますから、残りの期間は従前と同じ条件でそのまま県に貸し付けておくことにするというものであります。  それから沖繩の森林法に基づいて貸し付けられている国有林、これは原則としては一定期間従前と同一の条件で貸し付けを継続することといたしますが、西表島等においては、開拓地に戦争末期ごろ沖繩本島から半強制的に移住入植を命ぜられた人たちが現在定着をしておられます。これらの人々は、自分たちの耕しておる土地から収穫はし得ても、その土地というものは自分のものでありませんから、その土地を担保にした制度資金なり金融なりという道がないという意味で、ある意味では励みもなく、現実につらい立場にあるという実情でございますので、特別に、ここに「従前の経緯にかんがみ、国有林野事業に著しく支障を生じない限り、」とは書いてありますが、これは支障を生じるとは思いませんので、これを譲渡するということにいたしてあるわけでございます。西表でございますから、そう農家の方々が払えないような金額のものになろうとは考えておりません。現地においてもこれは非常に歓迎しておられるようであります。  なお、部分林契約は、自然保護、森林経営のあり方、こういうものを考えながら部分林契約もそのまま承継をいたします。  次は漁業でございますが、復帰後は本土漁業法が現在のまま沖繩実態どおりで適用を受ける。その他許可漁業その他について隻数等の問題がございますが、これは琉球政府の公示いたしました隻数というものを認めることによって、両者が合意いたしまして、こういう指定漁業の許認可隻数等の取り扱いについても、本土との間に意見の一致を見たものを文章にしたわけでございます。  次は、漁船保険についても、復帰後は本土法を適用いたすということでございます。  自由貿易地域、これも議論のあったところでありますが、結局は、沖繩において現在の自由貿易地域はあまりにも貧弱であり、やはり将来の展望として、先ほどの新全総の中の一ブロックとして沖繩を位置づけることにも大きな関連を持ちますが、新しく埋め立てもしくは立地等の計画をして、そうして日本における自由貿易地域と称するにふさわしい地域を沖繩に設定をしたい。しかしながら、税の取り扱いとして一応ここに「関税法上の保税工場として取り扱う。」という表現がいたしてございますが、これがやや誤解を招いておるようで、これは中途はんぱなフリーゾーンである、だから保税工場と同じではないかという御意見もあるようであります。しかし、現在のところ、こういう表現をしておりますけれども、これから自由貿易地域というものを明確にどのようなところまで日本としては打ち出していくか、それについて琉球側と、どのような場所に自由貿易地域を設け、どのような業種を本土資本あるいは現地資本あるいは外地資本等を受け入れていくことによって沖繩県民の所得向上、生活水準向上に役立てていくか、それらについては相当思い切った自由貿易地域の概念にふさわしい税制上、金融上の措置を講じてまいる必要があろうと考えておるわけでございます。  次は、伝統工芸産業でございますが、沖繩において紅型、織物、陶器、漆器等、非常に貴重な、いままで継承されてまいりました伝統の工芸品がございます。現在、沖繩に県立の琉球工業研究指導所というものがございますが、これをひとつ県立機関として、国が大幅に援助することによって、県立の伝統工芸試験場というような形で、やがてはそこを中心にして伝統的な工芸の振興をはかるとともに、その産業の販路その他についてもあっせんをしていくような措置を講じたらどうであろうかということでございます。  工業所有権制度、これは、本土と離れておりましたために、まともに本土法を適用いたしますと、いろいろと抵触する部分等がございますが、しかしながら、それらは、いままで現地において、たとえば商標権にかかるものについても、そういうものが通用しておって、そして本土のほうで特別に支障がないという実態を見きわめたしで、これはいままでどおりのものとして復帰後も認めていこう、所有権についても商標についてもそうしようということにしておるわけでございます。  琉銀株式についてでありますが、これは、「復帰前に地元住民に対し処分されるよう措置する」と書いてありますことは、本土の銀行資本も、本土の個人、商社等の資本も、一切この五一%の放出株について買い出動することを認めない、そして、米国のほうも確認をいたしておりますが、アメリカの金融機関もこれに手を出さないということで、沖繩県の人たちによって五一%の琉銀の株式を取得して、名実ともに沖繩の地方銀行の中軸にしてほしいということでございます。ただ、あとこの株をどれくらいで評価するのかという問題が残っておりますが、これは外交交渉の分野にも入っていくと考えます。  証券会社は、沖繩にはたして独立できるかどうかという心配もありましたけれども、一応本土の許可制の前に、経過的に登録制ということでつないでいこうという措置をとることにいたしました。  それから、運輸・通信で、港湾管理、これは御承知のように、沖繩における港湾は、管理者の問題あるいはまた格づけの問題等でいろいろ問題がございますので、それらの問題をここに、港則法の適用港とし、重要なものについては特定港に指定する。  さらに、港湾の管理運営については、「施設の効率的利用観点から、その強化を図る」云々と書いてありますが、要するに、那覇商港、泊港、那覇新港というものを、できれば一体で管理者が運営をしてもらいたいという要望を私どもは持っております。しかし、安謝港については、那覇市が苦心惨たんして、いま完成に近づきつつありますし、そこらのところの調整もなかなか困難なようでございます。できれば一本の管理者というものがおってほしいということを念願しておりますが、あるいはできないかもしれません。  空港整備、これも、那覇空港の民間航空路に占める重要性というものを考慮して、米側がいままで整備促進をいたしておりました工事は、本土政府のほうの責任で完成をさせるということを意味しております。  なお、空港の引き渡し、あるいはそれが共用か、あるいは自衛隊の管理か、純粋の運輸省管理の空港になるか、県営空港になるか、こういうもの等については、まだこれから対外折衝等の問題として残されておるわけでございますが、空港整備だけは中断することなく引き続き本土政府がやっていくということを示しておるわけであります。  次には離島空港のことが書いてありますが、これは離島空港の整備促進ということをやるわけでございます。  海運業、これもやや問題がございますが、これはむしろ本土のほうに問題があるわけでございます。沖繩の現在の運賃同盟は、復帰いたしますと内航貨物船扱いになりますので、本来ならば認められない取りきめになるわけですけれども、これを、やはり沖繩現状から考えて、運賃同盟は、本土との運賃同盟、さらに先島航路の運賃同盟というものを一応尊重していきませんと、本土の大資本というものが沖繩の船会社等になぐり込みをかけていくということが、今日のカーフェリーの競争一つを見ても容易に心配され、予想されるところでありますから、そういう意味をもって、本土側においてはいろいろ不満がございます。沖繩が帰ってきたら一緒じゃないか、こちらの船も出たっていいじゃないかという不満もございますが、これは当分がまんしていただきたい、そして、沖繩の船会社がりっぱに一人立ちできたころに一緒に競争したらいいではないかということできめたわけでございます。もちろん、近代化、大型化等のための必要な措置も講じよう。  次には離島航路、これは、本土の離島航路補助金というものが、一定の条件、すなわち、安易な経営をしていないことはもちろんでありますが、一つの航路に二社が競合して、そのために赤字を出しておるというような条件ではだめだというような前提があって、八〇%の補助金が国から出ることになっておりますが、現在では沖繩の離島航路は、ほとんど全部といっていいほどその条件に合いませんので、なるべく航路の集約統合を行なった上、離島航路補助制度対象になるように事前に措置をしてほしい、しかしながら、それができなかった場合については、現在の琉球政府が援助しております程度の航路補助については、本土の航路補助基準に達しなくとも、その制度を経過的に受け継いでまいりましょう、そういうことを申し上げておるわけでございます。  辺地、離島バス等、ここらについてはそう問題はございません。  車検制度、これは現在のままですと、本土に復帰した場合においては、昨年までは民営車検制度というものがなかったために、一応の現地側の要望としては、われわれは仕事ができなくなるのであるから、したがって補償をしてほしいという要望がございます。しかし、昨年の法改正によって、本土のほうにおいても民間に検査業務の委託をする制度ができましたので、現在の沖繩において車検制度を行なっておられる民間の業者の方々を指定検査人としてやっていかれるようにしようとするものであります。  なお、「並行して、国営による検査」云々と書いてありますが、これは新車とみなして検査を国がする必要のあるもの、と申しましてもごくわずかな分野で、本土でシャシーをつくりまして、現地で右左交通の違いからバス等のおおいをかぶせて完成車にする、そういう場合に国営検査が形式上必要であるということで、こういうことが付記してあるわけでございます。  公共放送はすみやかに本土並みにしたい。しかしながら料金については、「サービスの実態に応じ」というのは、時間送電のところもありますし、夕方に「おはよう」という番組を見させられるところもあるわけでありますから、ここらについては特例料金を考えなくてはならないということでございます。  司法・法務関係で、「民法、商法または有限会社法に基づく法人」、ここらのところは、つまり本土の社団法人、財団法人とみなすとか、それぞれの合資会社、合名会社、株式会社等もみなす。株式等も、大体現在の琉球政府のものを本土のほうで支障のないようにしようというこまかな措置でございますので、問題があるところはございません。  その次の登記についても、「沖繩の法令による不動産登記、法人登記、商業登記その他の登記」ただし「所有者不明土地登記および市町村非細分土地登記を含まない。」これは別途問題がございますので、この場合においては別に法令で定める場合を除いて——これは含まないわけでありますが、本土の法令によった登記とみなすのだということであります。  戸籍についても同じです。供託も同じであります。司法書士会も同じです。  免許資格、自動車整備士等、これも以下全部同じでございます。水先人も同じでございます。公証人、司法書士、また同じくみなすものであります。  海事代願人、これは登録を受けることによって海事代理士となれる、受けるまでの間は従前どおり業をやってもよろしいということでございます。  特級ボイラー技士、これも所定の講習を受ける仁とによって本土の法令による特級ボイラー技士免許を受けた者として取り扱う。  受胎調節実地指導員、これまた同じであります。行政書士も同じであります。  獣医師、製菓衛生師、ここらも小さな問題でありますが、大体本土の義務を行なうことができるような措置をここに書いてあるわけでございます。  消防設備士も同じでございます。  それから、最後の在沖外国人の在留資格、これは最後まで法務省、外務省等となかなか意見が詰まらなかったところでございますが、ようやくここに書いてありますように、「復帰の際、沖繩に在留する外国人に対しては、復帰後一定の期日までに在留資格取得の申請を行なわせて、出入国管理令に基づく在留資格を付与するものとする。この在留資格の付与にあたっては、居住経歴、家族の状況等を勘案して、できる限り従前認められていたと同様の法的地位を維持できるよう好意的に配慮するものとする。なお、平和条約規定により日本国籍を離脱した者で昭和二十年九月二日」ミズリー号調印の日、「以前から復帰の日まで引き続き沖繩に在留するもの(復帰の日までに出生したこれらの者の子を含む。)に対しては、特段の事情がない限り、永住を許可できるようにするものとする。」ここらのところが少し甘いのではないかという意見等もあったのでありますが、沖繩を甘くしたことによって本土のほうに悪影響をもたらすことはないだろうということで、実情に即した許可をするようにいたしたわけでございます。  以上が第二次分の要綱の概略の口頭説明でございまして、不足の分は質疑等によってお答えをいたしますし、なお第二次分で見送ったもので第三次分にいたしたいと考えておりまするものは説明を省略し、質疑にお答えをいたしたいと存じます。      ————◇—————
  178. 池田清志

    池田委員長 次に、沖繩における免許試験及び免許資格特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————     —————————————
  179. 池田清志

    池田委員長 まず政府から提案理由説明を聴取いたします。山中総務長官
  180. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいま議題となりました沖繩における免許試験及び免許資格特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  沖繩の本土復帰を控え、本土と沖繩の一体化をはかり沖繩住民の経済的社会的福祉を増進するための各般の施策の一環として、昭和四十四年に沖繩における免許試験及び免許資格特例に関する暫定措置法の制定を見、沖繩と本土との各種免許資格の一体化措置が講ぜられ、これにより十八種類の本邦試験沖繩で実施し、二十七種類沖繩免許資格者に本邦の免許資格を与える等の措置をとることといたしております。  ところで、法制定当時に措置しなかった免許資格のうち、沖繩の税関貨物取扱人法の規定による税関貨物取扱人については、沖繩の本土復帰により通関業務が大幅に減少することが見込まれるに至ったため、沖繩の通関業従事者の間で転職の問題が取り上げられ、本土との免許資格の一体化の要望が高まっております。また、選考により沖繩の測量法の規定による測量士または測量士補の免許を受けることが認められた者については、選考の基準等、選考実態から見て試験合格者と技術的能力において遜色がないものと認められます。よって、これらの者に本邦の免許資格を付与する等の措置を講ずることとし、ここに改正のための法律案提出することとした次第であります。  この法律案による措置の内容は、沖繩の税関貨物取扱人となる資格を有する者で大蔵省令で定める講習の課程を終了した者は、本邦の通関士試験に合格した者とみなすこと、沖繩の税関貨物取扱人の業務または沖繩の行政機関における本土の関税に相当する税その他通関に関する事務に従事した期間は、本邦の通関士試験試験科目の免除対象期間とすること、並びに選考により沖繩の測量士または測量士補の免許を受けることが認められた者で国土地理院長が行なう講習の課程を修了した者は、それぞれ本邦の測量士試験または測量士補試験に合格した者とみなすものとすることであります。  以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  181. 池田清志

    池田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  182. 池田清志

    池田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
  183. 國場幸昌

    國場委員 さっき長官のほうからいろいろ第二次復帰要綱に対して説明を受けましたが、まだ十分に理解のいかない点に対してお尋ねいたします。  私立大学の取り扱いに対してでございますが、御承知のとおり沖繩の私立大学を復帰時にどうするかということが、五千二百名余りの私立大学生を持つところの——設立基準には達しないといえども、現実に五千二百名おるわけでございます。大学基準、それはきびしいこともよく存じております。現実としてこの四つの大学、沖繩大学、国際大学、沖繩女子短期大学、キリスト教大学、これは短期大学でございます。この四つの大学を、長官のほうでおっしゃったのは、四年制に対しての合併基準に整備するように、こういうようなことを承っておりますが、陳情もいろいろ聞いてみまして、また大学の先生方とも身分保障とかいろいろな問題で直接話しておるわけでございますが、直ちに合併ということに対してはなかなか困難さがある。よって、最低基準とするものは、一応基準が一〇〇%と見た場合に、何%まではみなし規定をもってできるか、このほうをお尋ねしたいわけでございます。
  184. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは何%ということは実際はないわけです、大学設置基準に合格したものが私立大学として認可を受けるわけでありますから。しかしながら、沖繩の場合は合併した後もなお足らないと思います。それでも沖繩の場合においては、合併等の自主的な努力が沖繩の大学制度審議会の勧告に従って行なわれ、良心的な行為をとった後、なお基準に達しない場合でも、沖繩の場合は大学法によって認められた学校としようとする措置をとるわけでありますから、両校それぞれ残ってみようとしても、それは結論から言えば不可能であり、困難である、迷惑を受けるのは学生たちであるということを申し上げたいと思うのです。
  185. 國場幸昌

    國場委員 わかりました。  それでは、この短期大学の四百名に三百名、女子短大とキリスト教大でございます。そのほうに対してはどういうような御処置をお考えでしょうか。
  186. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは短大を含めて四つあるように聞こえますけれども、実は経営主体から言えばやはり二つです。したがって、その母体の大学のほうの話が進めば、短大についても話は進むものと考えておりますが、短大については、同じように只短期大学を含む。)」と書いてございますのはその意味でございます。
  187. 國場幸昌

    國場委員 確認を得たいと思います。琉球大学も設置基準の一〇〇%、私立大学も一〇〇%でなくては、それにはみなし規定も経過措置というのは考えられない、こういうようなことでございますか。
  188. 山中貞則

    ○山中国務大臣 違うのです。琉球大学はもちろん復帰時点において国立大学の設置基準に達しません。しかしそれでも琉球大学は国立に移管をいたします、ということを一次できめておるわけであります。この私立大学についても、おそらく統合、合併いろいろな手段をとられても、なお基準に達しないだろう。しかしそのような現在の琉球政府のもとにおいて勧告されておる措置を実行されたその結果、私立大学が沖繩に残ったけれども基準に達しておらないという場合には、それは良心的な努力を最大限にされた結果でありますから、それは本土の法令に若干満たなくとも、それを正規の私立大学として認めるという特例措置を講ずるわけでございます。
  189. 國場幸昌

    國場委員 学校問題はこの辺にしておきまして、漁業問題に対してお尋ねいたしたいと思います。  御承知のとおり、沖繩は耕地も少なくて、一次産業としてはとても立地条件に悪条件を持っておるわけでございます。しかし水産業に対しましては、おそらく日本の国土の中で一番いい条件を持つということは地理の示すとおりでございまして、私はここで、沖繩を、他の都道府県と同じような形態の中で、その配分率をもって、沖繩に対してのマグロ・カツオ漁業、またトロール船とか底びき網とか、こういうようなことでお考えでございますか、それとも、基地が縮小するについて職場を失う、しかも条件の整った、海洋民族としての沖繩住民の祖先伝来からの漁業に対しての立地条件を勘案されて、特別なる措置を講ずるおつもりがございますか、その点に対してお尋ねいたします。
  190. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは特別な措置を講じた表現でございまして、これについては、本土のほうのカツオ・マグロ業界なり、あるいはまた沖繩の漁業実情をよく知っております鹿児島、宮崎とか高知とか、そういうところからは、沖繩に対して本土のほうのきびしい制限、すなわち新規の許認可は原則として行なわない、それも新しく船を建造する場合には、スクラップ・アンド・ビルドしか認めない、そういうような措置で漁業資源の保護をはかっておるわけでありますし、原則として漁業権の転売等も禁止されております。しかし、沖繩においては、本土法令がそのまま適用されておりませんから、琉球政府の判断で一応琉球政府が公示いたしました隻数がございます。昨年の十月公示されました大型カツオ・マグロ漁業については、遠洋カツオ・マグロ漁業が八十一隻、トロール、遠洋底びきが六隻という公示の隻数がありますので、これは本土側から見れば、沖繩県の復帰後の形態、漁業従事者の人口あるいは漁業の規模とその許可隻数の対比を考えました場合に、本土では考えられない非常に大きなウエートの実績をもってそれを公認されたものとして返ってくるわけでございます。沖繩は、私が前々から申しておりますように、漁場の中に島があるという有利な条件でございますから、これを生かすために水産庁等の大幅な了解をいただいたわけでございます。しかし現地では、自分たちは琉球政府の公示した大型カツオ・マグロの八十一隻について不満なのだ、九十一隻ということを自分たちは要望しておるのだ、したがって九十一隻を認めろ、こういう要望のあることも承知いたしております。しかし八十一隻そのものも、まだ完全に船が八十一隻あるわけではないということ等を考えますと、やはり政府の権威ある公示隻数というものを認めていく、その後復帰して、沖繩漁業というものの未来が洋々たることはわかり切ったことでありますから、これが本土行政の中に入って、そしてさらにこの八十一隻でもなおかつ沖繩では不足であるという実態があります場合は、当然沖繩に対して特別の配慮を示す時期がまたあろうかと考えておりますが、現在考えておりますものも、本土各漁業団体の反対を、言うならばあえて押し切って認めようとするものでございます。
  191. 國場幸昌

    國場委員 よくわかりました。カツオ・マグロにつきましての八十一隻に対して九十一隻の要求、長官のお考え方に対しまして、よく理解いたしました。  トロール船の六隻でございますが、いま琉球政府としましては、あと二隻の追加を農林省に申請しておるわけでございます。このトロール船は、御承知のとおり、いま沖繩島内とかあるいは日本の本土の近海でやっておるわけではなくして、ほとんどが海外においての基地を持ってやっておるのが実情でございます。これはもちろん海洋資源の保護ということも考えるわけではございますが、国際的にこのトロール業としての漁獲に対して制限があるのかどうか。と申しますのは、沖繩の割り当てをもらっておる六隻のうち四隻が、ほとんど海外で、アフリカ、大西洋岸において操業しておるというのが現状でございます。としますと、あと二隻をもって、しかもある会社においては、本土から一人指導者が来たばかりで、船長以下船員全部、沖繩の若い漁夫の養成、それからその操業に対しての——失業対策といえばそれにもなるでしょうが、しかも優秀なる漁獲をもって成績をあげておるわけでございます。そのトロールのあと二隻に対しての増配、これに対しまして長官はどうお考えでございますか、御見解を承りたいと思います。
  192. 山中貞則

    ○山中国務大臣 トロール漁船は、基地に帰投する以外には、遠く海外の洋上において操業するのが大体常識でありますから、実態はそのとおりでありましょう。しかし現在、琉球政府の公示しておりますのは六隻でありますから、その後さらに二隻要求してきたという話は、私は伺っておりません。
  193. 國場幸昌

    國場委員 では、御要望を申し上げておきます。業者のほうで、トロール船を持っておる会社は二社ございます。片一方のほうが四隻、片一方のほうが二隻、現在六隻になっております。この四隻を受けておるほうが、さっきも申し上げましたとおり、いまアフリカ、その南大西洋方面でやっておるわけでございますが、琉球政府水産課としましては、あと二隻どんなふうにしても追加していただきたい。そこの配船が、いま農林省のほうであと二隻というのは困難である、その困難視されておる理由としては、海洋資源という点で他の都道府県に対しての配船からすると復帰後の隻数としては多過ぎる、こういうようなことでございますが、長官もおっしゃるとおり、いわゆる海外においての漁獲でございますし、鯨みたいな国際条約のもとでやっておるわけでもない。日本がふやさなくてもいずれかの国でまたふやすということもありますので、それには限定地区をもちまして、日本本土かいわいの競合するようなところではやらないという条件のもとでもかまいませんので、あと二隻の配船を、いま申請をやっておることでございますので、そのほうに対してもよろしくお願い申し上げたいわけでございます。  次に、第三次要綱の中で、今度一番困難視されておるところの税制の問題でございます。御承知のとおり、パインの加工原料とする砂糖、あるいは菓子、パン、清涼飲料水、それに対して使用する沖繩においての砂糖はほとんどノータックスということになっておりまして、これに使用する砂糖を量的に見ました場合に、約一万八千トンくらいの所要があるわけでございます。その従業員、その企業、これが日本並みの租税を課した場合には、いま進駐軍に対しての製パンを供給しておるのはほとんど沖繩の業者がやっておるわけでございまして、その他の製菓、これが直ちに島内企業として維持できないようなことになりますが、この問題はなかなかむずかしい問題だというようなこともよくわかってはおりますが、しかし企業に対しての死活の問題、従業員に対しての問題もございますので、それに対して第三次要綱の中で、総理府長官としましてはいかなるお考え方をお持ちでございますか、お尋ねいたします。
  194. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまその点の考え方を表明するのはたいへん困難な状態にあるわけであります。しかし関税に限って言えば、沖繩県内に定着したものであって、沖繩県内の企業がどうしてもその原材料について必要とし、かつ県民に供給しなければならない原材料については、なるべく現在の沖繩の物品税という名の関税をそのまま特典を残したいと思います。あるいは製品等についても、学校給食あるいは離島の人たちの軽便食にまで普及してしまっておりますランチョンミート等の製品についても、本土等への横流れ防止等のチェックができますれば、何らか考えたいと思っておりますが、ただ例をあげられました中のパイン加工業、菓子のほうももちろんそうでありましょうが、砂糖を加工用原料として安く海外から輸入させろという要求について、ごもっともな点もございます。しかしながら、一方やはり沖繩のキビが国内甘味資源において大宗をなすわけです。そのキビを保護するために、もちろん北海道のビートも入りますけれども、関税、消費税それぞれの操作によって糖価安定法が成り立っております。したがって、一般の人たちの砂糖も現在のまま安くしておけという要望もあるわけでありますが、ことに加工用原料についてパインアップルの販売価格が約二%、業界の試算によれば一〇%くらいになるといわれるわけでありますけれども、上昇要因になる、こういうことも無視はできないことではありますが、しかし問題は、沖繩産のパインアップルというものを市場において、ほとんどが本土市場でございますから、その処理のしかた等についてくふうをこらしていけば、それは市場で吸収できるものであると私は一応思っているわけです。というのは、現在でも一応そういう配慮をして沖縄産パインアプルのかん詰めが本土においてほぼ出回ってしまった、いわゆる沖繩側に価格の影響がないと見られた時点以降において、初めて数量割り当てによる外国産のパインアプルかん詰めを本土に入れているわけです。この措置は今後も一そう明確に継続できるわけでありますし、現在は一応LCを組んで商社との間において取引をせざるを得ない立場にありますパインアプル加工.業界も、これを一つの業界の立場で自由に本土のほうのどの県のどの市場にも販売できるという点は、今度はコストの低減につながるわけであります。ここらのところをいま業界でも試算をしてもらっておりますが、特例の中に砂糖というものは別途国内甘味資源保護という意味の関税でもありますので、パインアプルの原材料並びに菓子の原材料としての砂糖について、引き続き別ワクの保護関税輸入を認めるかということは非常にむずかしいのではないかと思っております。しかし原材料については全面的に好意的な態度をもって配慮したいとは思っております。
  195. 國場幸昌

    國場委員 ありがとうございました。時間がございませんので、これをもって質問を終わります。
  196. 池田清志

  197. 中谷鉄也

    中谷委員 第二次復帰対策要綱と法案の両方にわたって質問をいたしたいと思います。すでにこの点は明らかになっている点ではありまするけれども、念のためにお聞きをいたしておきたいと思います。  たとえば教職員の特別研修の場合には、「復帰後も一定期間」というふうな表現がございます。七の産業・経済の含みつ糖対策については、「当分の間」という表現がございます。さらにたとえば十の免許資格の海事代願人については、「一定の期日までに」というふうな表現がございます。さらに消防設備士については、「暫定期間経過後」という表現がございます。これらはそれぞれどの程度の日時、年月を予定していることばなのか、これをひとつ御答弁ください。
  198. 山中貞則

    ○山中国務大臣 当分の間が一番長いと思います。それから一定期間というものが、一区切り一応五年と考えておりますので、五年で済むものは五年、さらに必要な場合にはその五年を延長して十年ということもあり得ると思います。  それから一定の期日については事務当局より説明をいたさせます。
  199. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 海事代願人につきましては、六カ月間程度と考えております。
  200. 中谷鉄也

    中谷委員 暫定期間説明してください。消防設備士です。
  201. 山中貞則

    ○山中国務大臣 事柄によっていろいろ違いますが、消防の場合は一年ということであります。
  202. 中谷鉄也

    中谷委員 これも念のためにお聞きをすることになりますが、当分の間というのは少なくとも五年を下回ることはない。一定の期間が五年を考えておられるということで、一走の期間よりも当分の間がより長いということは、少なくとも当分の間というのは五年を下回ることがないというふうに理解してよろしいんですね。
  203. 山中貞則

    ○山中国務大臣 当分の間が最も長いと予想していただいてけっこうでございます。
  204. 中谷鉄也

    中谷委員 先ほどその答弁はいただきましたが、それは年数で言えば、したがって、五年を下回ることはない、こういうふうに理解してよろしいんですね。
  205. 山中貞則

    ○山中国務大臣 明確に申し上げます。五年以上の期間でございます。
  206. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうふうなことで大体その表現はわかりました。  そこで、次にさっそく那覇空港の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、那覇空港を民間空港としての整備に努力をされる。「所要の整備の促進を図る」ということが対策要綱の中に記載されているわけでありまするけれども、最初外務省お尋ねをいたします。  那覇空港が完全に民間空港として、すなわち、全く完全に日本に返還をされるという場合、そういう場合を先ほど長官は御答弁になりましたけれども、そうでないとすると、地位協定の関係においてはどんな場合が想定されるのでしょうか。あたりまえの質問ですが一応……。
  207. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。目下この問題は先方と……(中谷委員「違うんです。どんな場合が想定されますかと聞いているんです。地位協定の問題として聞いているんです」と呼ぶ)いろいろの場合が想定されるだろうと思います。先生のおっしゃったのは、米軍が一部那覇空港に居残る場合のことだろうと思いますが、われわれとしては、目下那覇空港に関する限り、全部米軍は撤去してほしい、こういうラインで交渉しております。
  208. 中谷鉄也

    中谷委員 私の主張は、那覇空港について米軍が使用するというようなことはおかしいという前提があるのですけれども、地位協定の関係においては二条の4(a)から4(b)か、この以外に、米軍が那覇空港を使うという場合、4(a)と4(b)以外の場合というのは考えられるのでしょうかという質問なんです。その点について外務省まず御答弁ください。
  209. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。その二つの場合以外にないと思います。
  210. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで長官お尋ねをいたしますが、共用共管というおことばを長官はお使いになりましたけれども、これはやはり那覇空港のあり方の問題として、そういう場合もあり得る、まずとにかくそれはもう全部返還を求めるのだという場合を大前提としてお話しになったと思うのです。しかしこの問題は、共用共管という場合もあり得るというふうにお答えになったと私は理解いたしますが、そういたしますと、共用共管ということばと若干4(a)、4(b)は違うような感じもするわけなんです。4(a)という場合はもう説明は要らないと思いまするけれども、合衆国軍隊が一時的に使用していない場合、こういうふうな場合は日本政府が臨時にそのような施設及び区域を使用することができる云々とある。那覇空港を民間空港として整備する場合に、私は4(a)の場合なんというのは想定すべき場合としてちょっとおかしいように思うのです。4(a)という場合はやはり問題として、想定として残っているのでしょうか。この点いかがでしょうか。
  211. 山中貞則

    ○山中国務大臣 外交交渉の分野については私のほうから申し上げる立場にございません。私としては、那覇空港は返してもらいたい、そして運輸省の管理する空港にしてもらいたい、したがって、自衛隊がこれを管理することも遠慮してもらいたいということで運輸大臣とも合意し、大体防衛庁長官も、米側との折衝の間によほどの変化がない限り、異議がない旨の話し合いはいたしております。このようなことを前提に、外務省に対して、こういうわれわれの立場においての希望的な合意を得ておりますから、そのつもりで交渉を願いたいということを言っておるわけでございます。
  212. 中谷鉄也

    中谷委員 外務省にもお尋ねいたしますけれども、少なくとも外務省の交渉は、全部返せ、こういうふうな交渉でありますから、4(a)という場合は万が一にも生ずる余地はないというふうに理解をさしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  213. 吉野文六

    吉野政府委員 先ほども申し上げましたとおり、原則として全部返してほしい、こういうラインで交渉しております。しかしながら、理論的には、先ほど指摘いたしましたように、4(a)と4(b)の二つの方法があり得るわけでございます。しかしながら、4(a)のほうは多少理論的にも無理でないか、このように考えておる次第でございます。
  214. 中谷鉄也

    中谷委員 要するに全部返せ、また全部返ってきたということと、それに質的には違うけれども、その次に来るのは4(b)であって、それから4(a)が来るのであるから、4(a)というのは外交交渉の中でもこれはほとんどもう落ちてしまっている、こういうふうに理解していいわけですね。
  215. 吉野文六

    吉野政府委員 大体そのとおり御理解していただいて差しつかえないと思います。
  216. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、総務長官お尋ねいたしまするけれども、総務長官は4(a)というのは、私も問題にならないと思っているのですが、4(b)というものについても、結局これはとにかく沖繩県の発展のために、民間空港としての那覇空港のあり方から見て、4(b)というものについても問題はある。これは長官先ほど明確に御答弁になりましたけれども、そういう御趣旨でございますね。
  217. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は外交交渉について、この条項ならばいいでしょうとかいうことは申してはおりません。われわれは沖繩県民のためにこう希望しますということを外務省以外の閣僚とは大体において了解しており、運輸省はもちろん異存はないわけです。それを前提にして外務省に交渉をしていただきたい、こういうお願いをしておるということであります。
  218. 中谷鉄也

    中谷委員 局長のほうにお尋ねをいたしますけれども、4(b)についての可能性というのはまだ残っているわけですか。
  219. 吉野文六

    吉野政府委員 何ぶん先ほど申し上げましたように、まだ交渉の段階でございますから、確定的にいかなる形で落ちつくか、あるいはいまいかなる段階にあるかということは申し上げられません。
  220. 中谷鉄也

    中谷委員 那覇空港については4(a)が落ちていることは当然、4(b)についてもおかしい。地位協定の中で4(b)というものは、これが認められた場合に那覇空港の機能が一体どうなるのかという点についてずいぶん問題があります。野党としては、4(b)というものは非常におかしなものだということだけは申し上げておきたいと思います。  そこで、長官お尋ねいたしたいと思いますけれども、空港の問題について復帰要綱の中に出ておりますが、いわゆる那覇軍港についてはどういうことをお考えでしょうか。
  221. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私どもとしては、那覇軍港も返してほしい、日本側に全面的に返してほしいという要望をしております。
  222. 中谷鉄也

    中谷委員 外務省お尋ねをいたします。  那覇軍港についての交渉はどういう要求をしておられますか。空港と同様なことでひとつお答えいただきたい。
  223. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれといたしましては、那覇軍港に限らず、できるならば、沖繩に住んでおる方々の民生安定ないしは経済発展に利益するものはできるだけ返してほしい、こういう態度で交渉しております。
  224. 中谷鉄也

    中谷委員 もちろん那覇軍港は民生の安定、経済の発展の上で沖繩県民にとっては必須不可欠のもの、こういう認識を持っておられる。那覇軍港は、当然返せというものの中に入っておる最大のものだ——最大かどうかといえば話はオーバーになりますから、やや答えにくくなりますので、返せということをおっしゃっておられるものの中に入っているのだというふうに理解してよろしいですね。
  225. 吉野文六

    吉野政府委員 さように理解していただいてけっこうでございます。
  226. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで那覇軍港についても、おおむね那覇空港同様、その見通しについては返還のめどがついていると理解してよろしいか。
  227. 吉野文六

    吉野政府委員 この点につきましてもまだ交渉中でございまして、まだ先方の態度は全然つかんでおりません。
  228. 中谷鉄也

    中谷委員 それでは同じようなこまかい質問、短い質問をしていきますけれども、特に那覇軍港について返還の要求を外務省として強く主張しておられるということは、そういうふうにお伺いしてよろしいのですね。
  229. 吉野文六

    吉野政府委員 さように理解していただいてけっこうでございます。
  230. 中谷鉄也

    中谷委員 国土地理院の方においでいただいておりますので、お尋ねをいたしたいと思います。  測量士のみなしを含む法案を審議いたしておりますが、測量法という法律によりますと、基本測量と公共測量、そして基本測量及び公共測量以外の測量というふうに測量が三つに分類されているようでございます。そこで、測量法十五条によりますと、基本測量に関して、「国土地理院の長又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、基本測量を実施するために必要があるときは、国有、公有又は私有の土地に立ち入ることができる。」それが第一項。そうして、その立ち入りについては、第二項で、あらかじめその占有者に通知をして立ち入ることになっております。それは測量法規定のとおりでございまするけれども、この占有者の中には、軍用地、すなわち米軍を含むというふうに、測量法上当然理解してよろしいですね。
  231. 山北太十郎

    ○山北説明員 お答え申し上げます。現在、地理院がお尋ねの基本測量を実施する場合におきましては、当該地域の防衛庁と連絡をとりまして、依頼をいたしまして測量を実施しております。それでよろしゅうございますか。
  232. 中谷鉄也

    中谷委員 いや、このことだけをお聞きしたいのです。占有者の中には米軍を含むと理解してよろしいのですね。
  233. 山北太十郎

    ○山北説明員 占有地域といたしましては、含んでおります。
  234. 中谷鉄也

    中谷委員 したがって、そういたしますと、外務省お尋ねをいたしますけれども、測量法十五条と地位協定の三条とは一体どういうふうな関係になってくるでしょうか。外務省お答えをいただきたいと思います。
  235. 井川克一

    井川政府委員 この問題、少し勉強いたしましたけれども、私、やはり実態的な国内手続をよく存じませんので何でございますが、地位協定上及び合意議事録を見てみましたけれども、そのような場合に立ち入りに関する合意というものはできておりません。
  236. 中谷鉄也

    中谷委員 条約局長お尋ねをいたしますが、その前に国土地理院にお尋ねいたします。  立ち入りを拒んだ場合には、測量法によりますと、罰則の規定がございましたね。
  237. 山北太十郎

    ○山北説明員 はい、ございます。
  238. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、外務省お尋ねをいたしたいと思いまするけれども、国土地理院の基本測量というのは、測量法にいう「測量の正確さを確保する」、そういう測量法の目的に合う基本的な要請であろうかと思うわけです。そうだといたしますると、午前中の質問に戻りますが、基地内に、すなわち十五条二項の「占有者」である、この場合は地位協定によってこの区域の提供を受けたところの米軍が、立ち入りを原則的に拒むことはできないというふうに理解するのが一般的な理解ではないでしょうか、合意があるかないかは別として。
  239. 井川克一

    井川政府委員 私、その国内法の知識を持っておりませんけれども、まず第一に、日米間に安保条約というものがございまして、安保条約に基づきまして米軍の駐留を認めているわけでございます。さらに、外国の軍隊に関する一般的な国際法の規則もございます。そのような場合に、軍隊の特質に基づきまして、わが国が基地を提供し、そしてその中に日本法律がありまして、立ち入りをするというふうなお話がございましても、また、その入るときに拒否するというふうな場合がございましても、これは一般国際法上の本質的問題でございまするけれども、外国軍隊自身に罰則がかかるというふうなことは絶対にございません。
  240. 中谷鉄也

    中谷委員 軍隊に罰則をかけるわけにはいかないでしょうね。この罰則は、自然人が罰則の対象になっているわけです。軍隊の構成員がかりに実施を妨げた場合は、処罰の対象になる場合が十分にあり得るでしょうね。
  241. 井川克一

    井川政府委員 国際法的に見まして、そのようなことはあり得ないと私は思います。
  242. 中谷鉄也

    中谷委員 国際法的にというのはどういう意味でしょうか。正当な理由がなくして基本測量の実施を妨げた者は処罰されますよと書いてある。その点について、かりにそうすると、一つの想定としては、基地の中に入ってくれてもいいといった場合に、構成員Aがそれを妨げたというような場合は、これはもう当然処罰の対象になりますね。だから、国際法上罰則六十三条が適用されないんたという理由は一体どういうことなんでしょうか。さらに国際法上というふうなお話をされずに基本的にその点について解明をしていただきたい。
  243. 井川克一

    井川政府委員 私といたしましては、これは国際関係の国際法と申し上げるよりほかにお答えのしようがございません。たとえば安保条約がございませんでも、たとえば軍隊の治外法権、不可侵権というふうなものは国際法上厳として存在するものでございます。また、まして日米安全保障条約に基づきまして、わが国の防衛及び極東の安全のために、第六条に基づきまして米軍の駐留を許し、また、そのためには基地の貸与を認めているわけでございます。また、基地の使用を認めているわけでございます。
  244. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、そういう局長答弁というものを発展さしていくと、正当な理由なくして国の公権の行使である基本測量を、提供した区域については拒否することがあり得るというふうな、はなはだ不当非礼なことがあり得るということになるわけですか、米軍の場合。
  245. 井川克一

    井川政府委員 中谷先生、ただいま不当非礼とおっしゃいましたけれども、日米両国政府が安保条約に基づきまして、合意によりまして提供している施設、区域でございます。
  246. 中谷鉄也

    中谷委員 局長お尋ねいたしますけれども、合意に基づいて提供している区域というのが、聖域なんでしょうか。それが基本測量という基本的なものさえも拒否するという権限、そういう力を持っているものなんでしょうか。
  247. 井川克一

    井川政府委員 施設、区域は聖域ではございません。しかしながら、軍隊の施設、区域でございます。軍隊に伴うところの特質というものは当然持っているものでございます。
  248. 中谷鉄也

    中谷委員 前回私は、裁判所の検証についての立ち入りについての合意はあるということを御答弁いただきましたね。そうすると、基本測量という国の公権力の行使について、裁判所の立ち入りがあって国土地理院の立ち入りがあり得ないなんということは、論理的にもおかしいし、実態的にもおかしいし、提供しているからそれが排除されるということがなぜストレートに言えるのでしょうか。理解できません。
  249. 井川克一

    井川政府委員 確かに御指摘のとおり、第十八条、第十七条、さらに演習地、港湾関係、関税関係でございましたか、そのような点につきまして、基地への公権力としての立ち入りが認められております。それは合意に基づいて成り立っているものでございます。
  250. 中谷鉄也

    中谷委員 だから、局長お尋ねいたしまするけれども、そういう基本的な基本測量という国土地理院の公権力の行使について、合意がないことがおかしいわけですね。そういうことができる前提として合意をするということであっていいですが、そういうことの合意をするということは当然のことじゃないでしょうか、いかがですか。
  251. 井川克一

    井川政府委員 民事裁判十八条、刑事裁判第十七条に合意ができておりますのは、中谷先生まさしく御存じのとおり、両国の法益がこのようにしてうまく調和される、お互いの国の利益というものがうまく守られるところでございまして、しかも検証でありまするとか、そういうふうなことでございまして、そこに入って測量するとかいうふうな問題ではございません。私全くしろうとで何も存じませんけれども、私の感覚といたしましては、その場所に入って測量するというふうなところは最も合意が成り立ちにくい点ではないかと思います。
  252. 中谷鉄也

    中谷委員 けっこうです。さて、そこで、そういうことになってまいりますと、棚町君にお尋ねをいたしまするけれども、土地の特別措置法による収用ですか、それから暫定措置法による土地の暫定使用に基づく区域の指定ですか、こういうものについては範囲、位置、面積を確定しなければなりませんね。そうですね、条約局長。私をして言わしめれば、基本測量ということよりはもっと軽い基本測量、公共測量以外の軽い測量、そういうようなものについても、どうも合意がしにくいということになっておりますとおっしゃっている。そのことの不利益は一体どちらがこうむりますか。暫定的に使用しようとする国が範囲と面積を確定できなければ不利益をこうむる。実証責任の問題も関連してまいりますね。法務省御出身ですから、それは法律問題として答えてください。それでけっこうですよ。条約局長の御答弁で、範囲も確定できないところを、測量もできなくて人の土地をひったくるわけにはいかぬでしょう。そうですね。それならそれでこちらも考えようがあるというわけです。ですからいずれにしても、不利益をこうむるものは国なのか、地主なのか。これは法律論として、実証責任の問題として率直にお答えになってください。
  253. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 ただいまの点につきましては、土地を収用しよう、使用しようとする場合におきまして、これを物理的に確定する方法と、それから登記簿あるいは公図等によりまして権利的に確定する方法と二つ、あるいはその中間的な形態があると考えられますが、沖繩の場合、これをどのような方法で解決すべきかは今後の研究の課題であると考えます。
  254. 中谷鉄也

    中谷委員 棚町君、そういう政治的な発言をしてはだめですよ。区域、面積、位置が確定しなければならないという場合に、それの不利益はどちらがこうむりますかと聞いているのですよ。そうでしょう。あなた自身にこんな方法があるとか、あんな方法があるとか、要するに人の財産をふんだくるための政治的な方法というようなものを法務省出身者としてお答えいただこうとは私思っていないのです。区域、位置、面積を確定しなければならないという場合に、それが確定できないという場合に、不利益はだれがこうむりますかと聞いているのですよ。わかり切ったことじゃないですか。
  255. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 これは国側がこうむらなければならないものかと存じます。
  256. 中谷鉄也

    中谷委員 総務長官お尋ねをいたします。結局、暫定措置法については、施設庁実態的にこれの運用に当たっているわけですが、小笠原等の暫定措置法についての所管庁は総理府でございます。そこで、軍用地等についてはそれを引き続き使用するということに、私の予想するところそういうふうなかっこうに、われわれは好ましくないと思うけれども、そういうかっこうになるだろう。そうでございますね。そうして、その後土地の特別措置法がかぶってきて、拒否する人には特別収用という問題が出てくるだろう。引き続き使用するとしても範囲、面積、位置等が確定しなければならない。裁判等になれば当然そうだということになってまいりますと、国土地理院の諸君が基本の測量について、測量をするということは、これは経済の発展、民生の安定の上からも当然の要請だと思うのです。土地の引き続き使用について具体的な個々の人の権利を守るという問題がある。こういうふうな場合に、軍用地の中に入って、そうしてその地主の範囲、面積が確定できない、測量できない状態というふうなものは好ましくないと思う。この点について長官はどういうふうにお考えになりますか。
  257. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは日米安保協議会の議題そのものでありますから、外務大臣、防衛庁長官答弁を待ちたいと思います。
  258. 中谷鉄也

    中谷委員 長官お尋ねしておきますけれども、少なくとも常識的に考えまして、自分の土地がどこにあるのか、どこに何坪かということについて疑義があれば、それを確定したいというのは所有権者の持っている基本的な要求でしょうね。私はそういうように思います。それについて、返還をされても、なおそういうことについての自分の基本的な要求が満たされないなんということは、これは私はなはだおかしいと思う。そういうようなことで、区域の提供以前にそれならば測量すべきだという、そういう議論だって当然出てまいります。この点についてひとつ所見を伺いたい。
  259. 山中貞則

    ○山中国務大臣 所見は外務大臣、防衛庁長官から伺ってほしいと思います。ただ、現実に沖繩の旧読谷飛行場等を一部返還をしましたね。ところが、返還を受けて自由にしろといわれても、それすら土地の面積、所有権の確定ができないで、非常に困難をしておるということ等が現実にあります。返されたものさえもそうですから、この問題は非常に困難な問題であろうという所感は持ちます。
  260. 中谷鉄也

    中谷委員 返されたものについてそれができないというのは、能力の問題とそれから結局複雑さの問題。しかし幾ら複雑であっても、その点についての測量士あるいは土地家屋調査士が少ないということによってそれがなかなかできないので、それらの専門家集団の能力の問題というものがあったとしても、そもそもそれをとにかく確定しようというものを、提供した区域という名によってそれを拒むということは、私は許されていいことじゃないと思います。そんなことがあって、それはだから読谷が返ってきたけれどもはっきりしないということと、現に使用されておるところの区域について一歩も地主が入ることができないというふうなことは、私はなはだおかしいと思う。これは尾を引く問題ですから、私は予算委員会でもこの問題を取っかえ引っかえやっておるから、きょうはこの問題はこの程度にしておきたいと思いますが、私は、提供された区域という名によって地主の権利が一方的に制限をされる、あるいはまた土地が収奪をされるというようなことがあった場合には、はなはだおもしろくない事態が生ずるということだけは申し上げておきたいと思います。  そこで、次に復帰対策要綱のほうに戻りたいと思いますが、「十一 在沖外国人の在留資格」の問題でありますけれども、この問題についてお尋ねをいたしますが、この「復帰後一定の期日」、ここに書かれてある「一定の期日」というのは、もし管理令がそのまま返還時において改正されずに存在するという前提において理解をいたしますと、例の二十二条の二ということで理解してよろしいでしょうか。
  261. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 この「一定の期日」につきましては、どの程度の猶余期間を置くべきかにつきましては、まだ法務省におきましても意見が固まっていないようでございます。若干の猶予期間考えなければいけないのではないかとされているようであります。
  262. 中谷鉄也

    中谷委員 令に書いてある三十日、六十日というのとは必ずしも一致しないというふうに理解しておいていいわけですね。
  263. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 そのとおりであります。
  264. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、この外国人の中には、地位協定の場合は九条でございますね、地位協定の九条の合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は返還時にそうだった場合にはこの外国人から除かれる。それ以外の外国人すなわちたとえば民政府の職員などというふうなものは、先ほどもお話がありましたけれども、返還時にはもう民政府というものはないんだから、そういう人たちについては当然出入国管理令の適用を受けると理解してよろしいのですね。
  265. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 そのとおりであります。
  266. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると十一の在沖繩外国人の在留資格については、「出入国管理令に基づく在留資格を付与する」ということは、出入国管理令を全面的に適用するというふうに理解をしていいのでしょうか。それとも何か、在沖繩外国人に対しては出入国管理令の改正特例等を予想しての十一の規定なんでしょうか。
  267. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 原則といたしまして、出入国管理令に基づく在留資格を付与しようとするものであります。すなわち運用面で原則として解決をしようとするものであります。
  268. 中谷鉄也

    中谷委員 出入国管理令が出入国管理法になるなどということは、私たちはその点についてはすでにもう立場を明確にしておりますが、出入国管理法の場合は、永住権については、永住資格については五年ということになっておりますが、そういう場合かりに返還時に出入国管理令にそういう規定が入れられたという場合には、それがそのまま適用されるということになるのでしょうか。
  269. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 要綱で申しますと、イの本文に当たる場合、すなわち一般の外国人の在留資格の付与につきまして、沖繩で永住許可を受けている者に出入国管理法に基づく永住許可を与える必要が生じることも考えられますので、この場合五年未満の者のあることも考えられます。したがいまして、イの本文のほうにつきましては、暫定措置法等によりまして、在留五年の要件をはずす立法措置が必要あるかどうか、この点につきましてはまだ目下検討中で、方針はきまっておりません。ただし、このなお書きでありますが、なお書きは終戦前より引き続き沖繩に在留する台湾人、朝鮮人等につきまして特段の事情がない限り永住許可ができるようにするものとするわけであります。カッコ書きにあります「(復帰の日までに出生したこれらの者の子を含む。)」とされておりますので、五歳未満の子供のことを考えます場合に、このなお書きにつきましては入管法の在留五年の要件につきましては暫定措置法等で特例を設ける必要があると考えております。
  270. 中谷鉄也

    中谷委員 では長官にこの点について一点だけお尋ねをしておきますけれども、そうすると、これは当然のことでありますけれども、在留資格の付与についての対策であって、永住許可、永住権を与えるというようなことは在留資格の内訳の話であって、とにかく在沖繩外国人に対して永住権を与えるというようなことはどこにも書いてないわけです。この点については私もそういうふうに正確に理解をしているわけですけれども、問題は、永住権の与え方が管理令所定の、現に本土で行なわれている運用と異なった運用の中で在留資格や、特に永住権が与えられるというふうにこの在沖繩外国人の在留資格のアとイは読んでいいのでしょうか。そうだとすると、私は、はなはだ問題を残すと思いますが、いかがでしょうか。
  271. 棚町祥吉

    ○棚町説明員 ただいまの点につきましては、法の運用の許される限度で「好意的に配慮するものとする」あるいは「特段の事情がない限り、永住を許可できるようにするものとする」とありまして、法律的に特別に永住許可その他を与えようとするものではないと御理解いただきたいと思います。
  272. 中谷鉄也

    中谷委員 長官お尋ねいたします。最後の質問です。  沖繩復帰対策要綱に対する要請書というものがすでに三月に出されているわけであります。先ほど測量の問題について一点だけお尋ねをいたしましたけれども、軍用地関係の問題、すなわち地籍の整備であるとか、軍用地の契約の問題であるとか、所有者不明土地とか、非細分土地だとか、土地裁判所訴願事案の処理とか、こういうふうな問題、さらに復元補償、滅失地の補償、通損補償その他等々については第三次要綱の中で処理されることになるのでしょうか。それともこれらの問題は、その前提として返還交渉の中でまかなっていくということになるのでしょうか。返還交渉、協定の中だけでまかない切れない問題がたくさんあるように思いますが、この点いかがでしょうか。
  273. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず返還交渉で米側に対して請求をさせるべきもの、すべきもの、また米側が補償すべきもの等は外務省から要望してもらって、交渉してもらっております。それが原則的な請求権放棄等の範疇外のものと内のものとありますが、最終的に外交折衝が終わったという段階において、今度は私のほうで、国内的にどのようにそれを措置補完すべきかという問題について取り組んでまいらなければならぬと考えます。
  274. 中谷鉄也

    中谷委員 外務省実態調査につとめておられるということで、十項目程度の分類を当委員会において示されたことがございました。あるいは予算委員会においても請求権の内容について分類をされました。その後、実態調査につとめられるということでありますけれども、現在、請求権の前提となる損害額、請求額あるいはそれらの名称別の実態調査はどの程度進んでおりますか。これらの問題について外務省としてはどのような方法で実態調査につとめておられるのですか、お答えをいただきたい。
  275. 井川克一

    井川政府委員 大臣が申し上げました十項目と申しますのは、琉球政府、地主連合会の方々より寄せられました要望書をまとめたものでございます。その後、実態調査も、各方面に依頼いたしまして、着々進行しておる部分もございますし、数字的に完全には非常につかみにくいというふうなものもございます。一方、これらにつきましては、そういうふうな状態におきましてもそろそろ交渉段階に入っておるわけでございます。したがいまして、それを、どういうふうな成り行きであるかということを現在のところまだ申し上げる段階に達しておりません。
  276. 中谷鉄也

    中谷委員 申し上げる段階というのは、交渉の内容を話をしてくれと言っているわけではないのです。どのような資料が集まりましたか、こう聞いているわけです。それについての集まった部分について御答弁をください。請求十項目の分類はすでに何べんもお聞きしましたから、それについての件数と請求金額のわかっている分について、お答えください。それで質問を終わります。
  277. 井川克一

    井川政府委員 先ほど申し上げましたように、あの十項目も、琉球政府をはじめといたしまして、立法院及び地主連合会というふうに、各種の方面から寄せられておるものでございます。したがいまして、その中にもちろん権威ある数もあると思いまするけれども実態をほんとうにもう一ペん把握し直さなければならないというふうな数字もございまするし、また全然数字が入ってない項目もございます。いままでにさらに聞き直しましても数字が出てこないのもございます。したがいまして、現在はっきりした数字というものをいまだつかんでおりませんし、またここで私がある種の数字を申し上げますことは、いろいろ差しつかえがあるのではないかと思いますので、お許しを願いたいと存じます。
  278. 中谷鉄也

    中谷委員 地主連合会、それから琉政、それらのとにかく分類に基づくところの損害金額等についてはわれわれも承知しているわけですね。それについてそうすると外務省はまだ心証を得ていない、それについての大体この程度のことだろうというふうなことで発表できる状態にない、そんな状態で請求権交渉をやっておられるということになるわけですか。はなはだ遺憾だといわざるを得ない。何かここで大体こういうふうな数字だと思う、相手に対してそれをどういうふうに請求するかということは別個の問題として、外務省としてはこの程度の金額を把握しましたということをここで言うことがどういう差しつかえが出るのですか。
  279. 井川克一

    井川政府委員 大蔵省を引き合いに出して恐縮でございまするけれども、たとえば国有地の問題につきましてもなかなか把握できない。ましていわんやこの請求権の問題は非常に微妙な問題でございますので、また非常に把握できませんし、また交渉段階にあるときに、こういうことの数字を申し上げていいかどうかということについてもちゅうちょするわけでございます。ただ、どうしても、たとえば地主連合会が私どものほうに提出いたしておりまする数字を言えとおっしゃるならば、申します。
  280. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると局長、こういうことになるのですか。返還協定の調印の日まで結局請求金額については不明のままでとにかくいく、しかしこのような項目については、その後確定されたものについては払うというふうな協定のしかたもあり得るということですか。
  281. 井川克一

    井川政府委員 これは申しわけございませんけれども、まだそこまで話が詰まっていないわけでございます。したがいまして、もしアメリカ側がどうしてこういうふうに払うというふうなことを協定に書くか、あるいはその前に自分の措置で取るということもあり得るわけでございます。自分の措置といたしまして、たとえば地主さんに払うというふうなこともあり得るわけでございます。したがいまして、何もこれはすぐ請求権というものが直ちに直接協定にどうしてこうしてというふうにはならない問題となることもあり得るわけでございます。
  282. 中谷鉄也

    中谷委員 どの程度御調査になって、どの程度取り組んでおられるのか、はなはだどうも疑問であるし、請求権については放棄するのじゃないかなどというはなはだ不穏当な情報もある。きわめてそういうことは許容できないことです。そこで、軍事裁判無罪判決について、金城トヨ子さんの問題について、外務大臣は、この外国補償法についての適用を最大限に生かして損害賠償については努力をする、そういう趣旨答弁を外務委員会でされました。補償金の問題についてずいぶん局長はいろいろなことを知っているのだけれども公にすることはできないと言われている。金城トヨ子さんについてはどんな補償が米軍から出されましたか、外務省知っていますか。
  283. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。これについては、まだ補償要求が本人から出ていないそうでございます。
  284. 中谷鉄也

    中谷委員 本人は死んじゃったのですよ。
  285. 吉野文六

    吉野政府委員 本人ないしはその遺族、正当なる承継人……。
  286. 中谷鉄也

    中谷委員 遺族は一体だれとだれか御存じですか。
  287. 吉野文六

    吉野政府委員 残念ながら私は、この問題、まだ自分自身で取り扱っておりませんものですから、承知しておりません。さっそく調べることにいたします。
  288. 中谷鉄也

    中谷委員 質問を終わりたいと思いますけれども、外務大臣御自身が、この問題については、戸叶委員の質問に答えて、全力をあげて補償の問題については解決に努力をするというふうにおっしゃった。この人の遺族は一体だれか。沖繩弁護士金城君はこの問題については非常に努力しておりますが、そういうふうな問題について外務省お答えになるくらいの知識は持ち合わせておいて当委員会に御出席ください。請求権の問題等についても、地主連合会がどうだとか、請求権の内容についてはこの委員会で言うことはちょっと差しつかえるだろうというふうなことで、実態を何も御存じないように私は思う。それは外交交渉だ、外交の専権だということで、そういうことについて明確な御答弁がない。念のために金城さんのことを聞いたら何も御存じない。交渉経過についても御存じないというふうなことでは、はなはだ遺憾であります。  以上をもって質問を終わります。
  289. 池田清志

    池田委員長 桑名義治君。
  290. 桑名義治

    ○桑名委員 午前中にVOAの件につきましてお尋ねをしたわけでございますが、一応その中の経過は、郵政省といたしましては電波法の第五条におきましてこれは拒否をする、大体こういう態度のようでございます。しかしながら外務省の御答弁の中では、この問題についてはまだ検討事項であるので、明快なお答えはなかったわけでございます。  そこで私は、このVOAの問題につきましては、国内法にも適合しない、あるいはまた、現在日本を取り巻く各国がどのように評価しているか、この点に着目をしてみますと、中国並びに北朝鮮は、これは謀略放送である、こういうような認識をしているわけでございます。そういったいろいろな立場から考えましたときに、これを暫定的にも存続させるということは、これは適当でない、このように考えるわけでございます。山中大臣はどのように認識をされ、そしてまたこのVOAに対してはどのような態度をとられておるか、この点をお答え願いたいと思います。
  291. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ソ連や中国は、日本に対し、そういう意味の謀略等は、こちらから言っては失礼かもしれませんが、相当などぎつい放送をいたしておりますが、日本は何らそれに対して反発するような電波を出しておりません。そういう意味において、沖繩日本本土に返ってまいるわけでありますから、本土並みという意味においてVOA日本の本土として好ましくないものとして、私は撤去してもらいたいということを外務省にお願いをしております。
  292. 桑名義治

    ○桑名委員 山中大臣の御答弁によりますと、外務省筋には強力に撤去の要請をしているというお話でございますが、現在煮詰まった段階で言える範囲内というのか、限定があるとは思いますが、煮詰まった段階でどのような方向で進んでおるか、その点について御答弁を願いたいと思います。
  293. 山中貞則

    ○山中国務大臣 煮詰まった段階と言われると、外務大臣から答弁してもらわないといけないと思いますが、アメリカも、新聞等で伝えられているように、そう強硬に、絶対にこれらは残すのだというようなことを言っているとは私はうかがえない節を感じております。ということは、これは軍の施設ではございませんで、国務省でございます。したがって、軍のその他のいわゆる問題になっているような特殊な部隊というものと性格を異にした施設であるということでありますから、やはり国務省の施設として、日本電波法というものはそれを認めないのだということはアメリカ側もわかってきたようでありますから、そうかたくなな問題として固執していないようであるという感触を持っております。
  294. 桑名義治

    ○桑名委員 では次の問題に移りたいと思いますが、次の問題は沖繩の毒ガス輸送の問題でございます。  第一次の毒ガス移送のときに、地域住民が危険を感じまして、退避をしたわけでございますが、そのときに雑費の負担が地元住民にかかっております。それと同時に、商店を営んでおる人々に対しましては損害が起こっておるわけでございますが、この損害要求が琉球政府のほうに強く要請されておる、こういうふうに報道されておるわけでございますが、この点についての米軍との交渉関係、これはどういうふうになっておるか。その点についてお伺いしたいと思います。
  295. 山中貞則

    ○山中国務大臣 琉球政府は、米側に対して現地で高等弁務官にあてて、自分たちの第一次撤去の際に要した、ただいま言われたような直接間接の費用について支弁してもらいたいということを要求しておるようでございまして、アメリカ側はそれに対して、自分たちは、何らその地域を撤去しあるいは遠くまで避難するという必要も認めていないし、安全であると言ったのであるから、そのことについて補償する立場にないということを明確に言っておるようであります。あとすみやかに撤去が望まれる第二次の問題について、ルートの問題は別の問題としてありますので、これについても米側はやはり同じような立場をとっておるやに聞いておりますが、蓋然性の問題としてもというような表現ですけれども、万々が一という意味でしょう、事故が起こったというような場合においては、補償の責任にも任ずるし、そういう場合における避難その他の援助について、アメリカ側がまず自分たちが当たるというようなことについては言っておるようでありますが、いまの琉球政府の一次分に対する要請の姿勢は、一次と、さらに予想される二次についても、米側は、安全であるから避難する必要はないのだ、したがって、そのないことをやるのであるから補償する必要はないのだという態度であるように一応私どもとしては受け取っております。
  296. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、第二次の撤去のいわゆる計画が決定したようにも言われておりますが、このことを実施するためには新しい道路をつくらなければならないということで、この道路の予算をどうするかということがまた問題になっておるわけでございますが、この問題について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  297. 山中貞則

    ○山中国務大臣 道路をつくりましても、かりにそこを搬出ルートとして使えないということになりましたら、全く何にもならないことになりますので、やはり道路建設に着手いたします場合は、その道路ならば、地域住民、関係市町村を含めて、やむを得ないことである、真にやむを得ないことである、早く沖繩から物騒なものを全部撤去してほしいという最大公約数の希望のために自分一たちの立場においてがまんしようという合意が地元において成立をしている、そしてそれが立法院の軍事問題特別委員会では一応第二次A案というものをきめたようでありますけれども、琉球政府としても、主席が先頭に立って、関係部落と話し合いをしておられるようであります。かりにこの合意が成立いたしますと、私どもとしては、今日まで明らかにしておりまする態度は、日本政府も、米側のジョンストン島の受け入れ施設等に対する相当多額な支出についての特別な努力があったことは認める、そしてアメリカ側の現在の財政上の緊縮の態度というものも承知しておるから、二分の一はわれわれのほうで持ってもよろしいという申し出を現地で私がランパート高等弁務官との会見の際に示唆し、帰って総理以下関係閣僚の了承をとっておる範囲でございます。しかし、はたして二分の一を本土側が持った場合、逆に言うと、米側は、では残りの二分の一は私たちが持って新しい道路をつくらなければならないのかという問題もありましょうから、私どもとしては、そのときはそのときとして、要するに一番の目標であるすみやかに沖繩から撤去させるために本土政府が全力を払うということで、財源措置についても同じ姿勢をとっていきたいと考えます。しかし、一義的には、琉球政府の主張されておるとおり、かってに持ち込んだものであるから、撤去に要する経費についても米側が負担をすべきであるという主張については、理論的に正しいものと思います。
  298. 桑名義治

    ○桑名委員 そのようになりますと、一部巷間伝えるところによりますと、沖繩の調整費の中からその金が支出をされるようなうわさがあるわけでありますが、せっかく沖繩復帰対策のためのこういった予算が組まれたのに、その調整費の中から支出するということはどうも妥当ではない、このように考えるわけでございますが、この点についての見解を承っておきたいと思います。
  299. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは財源をどこから出すかの問題は、あまり関係はないのですが、調整費といわれますと、三月三十一日までの会計年度の分は、もう残りがありましても、執行不用になってしまうわけです。ですから、そっちは絶対使うなということも、感触としては別な一般会計の予備費で出せということでしょうけれども、これは財源がいずれにあるかを問わず、調整費は沖繩のためにのみ使われるべきである、それがこのような外交上の問題としても考えられる範囲の問題に使われることは好ましくないという御意見はよくわかりますが、財源をどこから持っていくかについては、これはおまかせ願えればよろしいのじゃないかと考えます。
  300. 桑名義治

    ○桑名委員 時間がございませんので、スピードを出してやりたいと思うのですが、沖繩復帰対策要綱の中で市町村分でございます。「沖繩における市町村の実情にかんがみ、」云々とあって、最後に「従前の特例趣旨を尊重して所要の措置を講ずるものとする。」こういう条項があるわけでございますが、この「所要の措置」というものはどういう処置なのか。たとえば日本の市町村合併のときの処置をそのまま適用するのか、あるいはそれ以前の問題として特別に取り扱うのか、その点明らかにされる分があれば明快にしていただきたいと思います。
  301. 山中貞則

    ○山中国務大臣 本土の市町村合併促進法の恩典に加うるに、沖繩においてさらに琉球政府が一般の補助金を出すことができる仕組みがあります。この点は、本土の市町村合併促進法が大体において有利なのですけれども、補助金を出す制度はありませんので、やはり沖繩の市町村の数、あるいは国民健康保険の実行単位等を考えてみますと、沖繩においては市町村合併は、これからがやはり援助し促進しなければならない新しい時期だと思いますので、沖繩側で最近においては名護市の誕生のときにとられました措置等について、実際は金額がはたして支出されたかどうかは、ちょっと追跡してみて途中で疑問に思える点があると思うのですが、琉球の法制では補助金を出すことになっております。そのようないいところは残そうということで、したがって、本土に帰りまして、沖繩が市町村を合併いたしますときに、市町村合併促進法プラス沖繩においてのみとられている制度のいい点を残していくということでございます。
  302. 桑名義治

    ○桑名委員 ま次に移りたいと思いますが、本日出されました免許試験の問題でございます。これはまず通産省にお伺いしたいのですが、沖繩でいわゆる通商業に従事する人員の数はどのくらいなのか、お答えを願いたいと思います。
  303. 藤原一郎

    ○藤原説明員 お答えいたします。通商業と仰せられますと、実ははっきりいたしませんが……。
  304. 桑名義治

    ○桑名委員 通関業です。
  305. 藤原一郎

    ○藤原説明員 通関業は、私どもの所管ではございません。大蔵省の所管でございます。
  306. 桑名義治

    ○桑名委員 法律が出ておるから、大蔵省、来ておるでしょう、関係の方は。
  307. 平井廸郎

    ○平井説明員 お答え申し上げます。現在、内地の通関業者に当たります者が税関貨物取扱人という資格になっておりますが、この業者数は三十二でございまして、これに従事しております職員数は三百十二名でございます。
  308. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、本土に復帰した場合は、本土との交易関係が、これは当然その分だけ業務が減る、こういうふうに一応考えられるわけですが、おたくのほうで推定して、どの程度の減があるか。いわゆる現在の貿易の金額ですね、あるいは件数はどの程度の減があるのか、その点について伺っておきたい。
  309. 平井廸郎

    ○平井説明員 お答え申し上げます。大ざっぱに言いまして、輸出入ともに大体件数にして二割ぐらいが対外貿易として残るであろう、本土との関係は大体八割前後であるというふうに考えていただいてけっこうでございます。
  310. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、今回の法律の中で、「大蔵省令で定める講習」というふうにあるわけでございますが、どういう講習をするのですか。どの程度の期間あるいはどの程度の内容のものですか。
  311. 平井廸郎

    ○平井説明員 御承知のように、現在では、沖繩におきましては、輸入物品に対して物品税、砂糖消費税、酒類消費税等がかけられておりますが、これに対しまして、本土側におきましては、関税定率法とかあるいは外国為替及び外国貿易管理法の関係の仕事もございますし、そのほか通関業法等の所要の法律もございます。さらに基本的には関税法等の知識についてもあらためて研究をしていただく必要があろうと思いまして、これらのものを含めまして、七項目につきまして、那覇において約二十五日間の研修をいたしたいと考えておる次第でございます。
  312. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、日本の五大港につきましては、通関業を営む場合には通関士が必ずいなければならないというような規定があるわけでございますが、それ以外の場所で、たとえば通関業を沖繩の方が営む場合、これはやはり日本法律と全く同一に認可をするのかどうか、この点について伺っておきたいと思うのです。
  313. 平井廸郎

    ○平井説明員 本土におきまして五大港とその他について差をつけておりますのは、通関業を営みます際に、五大港におきましては、必ず通関業務につきまして通関士を設置しなければならないという点でございますが、その他の点につきましては、五大港地区であろうとその他の地区であろうと同じでございまして、通関業を営むには、その地区を所管する税関長の認可が要るということになっておるわけでございます。
  314. 桑名義治

    ○桑名委員 五大港の場合に、通関業を営む場合には通関士がいなければならない。ところが、それ以外の場合には、通関業を営む場合にも、それに順応できるだけの能力あるいはそれに適応するだけの業務があれば認可をする、こういうようになっているはずでございますが、そこで、五大港以外の場所で、現在沖繩で通関業を営んでいらっしゃる方が、かりにこういう講習を受けないで落ちた、何かの事故で通関士の講習を受けなかった、しかしながら、現在、業務としては沖繩ですでにやられている、そういった方が、本土で五大港以外のところで通関業を営みたいという申請があった場合に、これを認可するかということなんです。
  315. 平井廸郎

    ○平井説明員 先ほど御説明申し上げました税関長の許可にあたりましては、通関業法第五条規定による条件がございまして、経営の基礎が確実であること、業務の適正な遂行能力と十分な社会的信用があること、当該通関業の開始が、その地域において必要かつ適当なものであること、というようなことを条件にいたしております。したがいまして、これらの条件に適合するかいなかということを税関長が判断いたしまして許可するわけでございますが、沖繩の復帰に際しまして、これらの方々が五大港以外において申請をお出しになる場合は、できるだけ好意的に処理するようにいたしたいと考えている次第でございます。
  316. 桑名義治

    ○桑名委員 時間が来ましたから、以上で終わります。
  317. 池田清志

  318. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど中谷議員の御質問のときに、復帰後におきまする一定期間という問題について質問がありましたが、第一次復帰要綱の中の「国費沖繩学生制度」の中におきましても、「復帰後も一定期間」ということばがございますが、その一定期間はやはり同様に見ておるわけでありますか。
  319. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは復帰のときまでに国費留学の待遇を受けた者については、その残存期間について国費のめんどうをずっと見ていく、卒業するまでですね。それから、それ以外の新しい復帰後の者は——失礼しました。「復帰後も一定期間」となっておりますこの一定期間は、おおむねこれもやはり五年間くらいでございますが、かりにこの期間が切れても、この制度によって入学をしておる者は卒業までめんどうを見るということであります。
  320. 安里積千代

    ○安里委員 同じく第一次の要綱の中に、食管制度もやはり一定期間という同じようなことばが使われておりますけれども、この場合の一定期間は、どのくらいを見ておられるのでありますか。
  321. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大体一定期間というのは五年とお考えくださっていいと思いますが、しかし、本土食管法もあらしの中に立っておりまして、五年の間にどのようになりますか、これはほとんど見通しはいまのところ確定しかねる状態でございます。でありますから、五年間の、一定期間の食管法の特例を設けておきますと、おおむねその時点における、かりに全く変化がなければ、これは主食でございますので、そのまま存続しなければならない状態になる典型的な一つの例かと思いますけれども、本土食管法の推移等にかんがみ、五年のうちには沖繩のほうにそう不利にならない本土の食管体制というのもでき上がるのではないかと考えておりますが、いまのところ、農林大臣も、食管法が二年後になるか五年後になるかの見通しはつきかねているのではないかと思いますが、要するに五年間はいまのままいきますということでございます。
  322. 安里積千代

    ○安里委員 そこで、先ほどの国費生の問題でありますけれども、いまのお話で、復帰後も一定期間、五カ年間——五カ年間というのは国費の制度を維持するという趣旨じゃなくして、その制度にかわった奨学制度を五年間維持するという意味ですか、その点何だか明瞭でないようであります。国費制度をそのまま五年間維持するというのか、国費制度を変えた形において一定期間やろう、こういうことでしょうか。
  323. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはいま検討中でございまして、琉球育英会の御意見としては、たとえば十億の資金をつくった、自分たちは、それを元金にして、償還その他の金を加えながら、大体いまの規模の学生を永続的に実質の待遇をいまと変わらないようにして本土の大学に送り出せるというような言い方をしております。これも、財政上の話し合いがつけば、一つの案かとも思いますし、他方また、沖繩の高校生にとって一番の大きな条件は、特別な選考によって入学が許されるという制度でございますから、これが一番もとでございますので、この制度もやはり五年間は残しておきたいということの中に入ります。あとの資金の貸し方等につきまして、普通の貸与方式の特例をもってすれば、全額見るかわりに、卒業して沖繩に帰って、そして沖繩県の発展のために何年か尽くした者は償還を免除する、しかし、本土に居ついてしまって、知らぬ顔をして郷土の発展に貢献しない者は償還を命ずるというような制度考えておりますが、いまのところ、まだ最終的な結論を得ていない次第でございます。
  324. 安里積千代

    ○安里委員 この中に前の国費制度、「これに準じた奨学措置」ということがありますので、復帰後は国費制度をそのまま維持するというのではなくして、それに準じた奨学措置をとられるというように制度を変えながら、しかしながら沖繩の教育の実態をごらんになって奨学措置を他の変わった形において考えておられるというのであるか、こういうふうに思ったわけであります。そしていまの形の変わったものとして、一定の奨学資金を基金として沖繩が出資することによって、もうこれを将来の奨学資金に充てようというところの要求、要請もあるようでありますが、いまのお話からは、そういうことも考慮の上において復帰後における沖繩の教育の問題を考えていらっしゃる、このように理解してよろしゅうございますか。
  325. 山中貞則

    ○山中国務大臣 おおむねそのとおりでございます。  さらに、先ほどの第二次要綱で「なお、日本育英会は、別途沖繩県に同会の支部を設置し、日本育英会法に定める業務を行なうものとする。」これは今度は、沖繩県民であって沖繩大学に入る者についても、本土の貸与制度、高校にもございますが、そういうものを対象にするためにこれをやるわけでございますから、沖繩県内についても、今後本土側のそういろ援助が及んでいくということでございます。
  326. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど國場委員からも触れておられたわけでありますけれども、私学の問題でございます。正直に言って、この第二次の要綱の中におきまして、私学の問題だけはと言ってもいいじゃないかと思いまするけれども、たいへん冷たい感じを受けるわけです。沖繩の教育が、もちろん地域的に分離されておったという関係もありまするから、教授陣の整備ということも隘路があったでございましょうし、またいろいろな中から生まれてきたことでございまするので、その間に本土の基準に合わないものも生じたということもやむを得なかったものだと思いますが、これらの問題を通じまして、復帰までの間に合併をしろ、合併をして基準に合うようにせよ、あるいはまた合併しないものがありましても、復帰までの間に基準に合致すれば認めよう、それまでにあれしなければ在学生だけでも認めようということでございまして、この点たいへんどうも冷たい感じを受けますとともに、私は、現実にこれは沖繩の企業合同あるいは企業の維持などとは違いまして、たくさんの子供たちの教育に関する、学生の教育に関する重大なる問題でありまするが、これでいいかどうかということに非常に疑問を持つわけであります。問題は、合併にしろ、それから本土の大学の基準に合うように整備しろと、こう申しましても、本土におきましては私学奨励の面でもずいぶんと政府の援助もあったのでございましょうが、沖繩においてはそれも少なかった。本土の予算の中に幾らか入っておりますけれども、復帰までの間にいまの基準に合うように整備していくということに対する財政的な援助とかあるいは何らかの方法をして、そうして若干期間この基準に合うものに整備していく配慮もすべきではないか、このように感じます。このままでは、これは次の機会からの入学問題にもたいへん影響してくるのじゃないか、こう思うのでありまするが、この点に対しましてもう一度少し考えていただけないだろうか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  327. 山中貞則

    ○山中国務大臣 今回の第二次要綱は、完全に琉球立法院と合意したものでございまして、合意しないものは三次に落としたわけです。ですから、冷たいとおっしゃるならば、それは琉球政府大学・私立大学委員会というものがきめました方針、そしてそれを両大学に勧告をしておる。その勧告に対して一大学は反対し、一大学は受諾をした。そのままになっておるということで、琉球政府側とも私どもは、やはり沖繩の私立大学は一校になるべきである、大浜試案その他等もいろいろ中にはあるわけですけれども、そういうことを根拠にして、そういうことが理想であるということで進んでおるわけでございますから、私どもが琉球側の意向を無視してやったわけではございません。ただし、先ほどもお答えしましたとおり、大学の経営者としては意見があると思うのです。しかしながら、沖繩の私立大学に学ぶ学生たちのためにどうしなければならないかという、経営者としてのそろばんを脱却した琉球政府の大学・私立大学委員会の勧告と申しますか、要請というものを受け入れる努力というものをしてほしいということを申し上げているわけでございます。
  328. 安里積千代

    ○安里委員 次の問題に移りますが、私は、いま一番復帰して心配になりますることは、いま復帰要綱の中において、沖繩の産業はどうするかという問題も確かにいろいろな考慮が払われております。それ以上に気になりますることは、復帰して一体沖繩の物価がどうなるかということが私は一番気になる問題であります。これは先ほどの食管制度の問題等もありまして、もちろん米一つをとりましても倍以上の価格になる。これは一定期間維持されるわけでありますけれども、これはその他のまた税法にも関係が出てくるでございましょう。いろいろな問題がくると思うのでございますけれども、一体概括的に考えてみまして、沖繩が復帰した後における全体的な沖繩の物価関係、それはどのようになるだろうか。上がることが予想されると思います。ドルの切りかえでございましても、おそらく端数は切り上げというようなことがあって、わずかな金額でありましても、そういうことも物価上昇の原因の一つになるのじゃないか、こう思うわけでありますが、復帰後の物価の見通しというものをどのように見ておられるか。また物価問題というのは、流通機構、生産機構、いろいろな問題に関連ありますけれども、この物価の維持ということに対しまして何らかの配慮というものが考えられておられるかどうか。また、それに対しまする見通し、対策といったようなことに対しまする御意見がありましたら、はっきりお聞かせを願いたいと思います。
  329. 山中貞則

    ○山中国務大臣 米の問題はすでに片づいて一応の御安心を願っておるわけでありますが、その他の物価問題については、先ほど私が申し上げました企業の保護、いわゆる沖繩の困難な還境の中において今日まで自力で築き上げられた既存企業と−いうものが、保護関税的な性格を持つ物品税というものを取っ払った場合には、おおよそ軒並みにつぶれるであろう、それもほっておくわけにはいかない。ところが一方、本土並みの税率になったならば、それはまた沖繩においては安くなるだろうと思うもの等もあるわけでございます。生鮮魚介類あるいはかつおぶし、みそ、しょうゆ、その他いろいろ日常のものがございますが、そこら辺がいま一番私も悩み、琉球政府も悩み、本土各省もきめ手を発見するのに非常に苦労をしておるという一番の問題点でございます。要するに相いれないもの、すなわち沖繩の既存企業を守ろうとすれば、その企業の製品にかかるものは依然として税金のかかったものを買わされる、いわゆる本土から行けば税金がかかりますから。沖繩においては、かりに沖繩は税によって保護された金額ですから、本土から行ったのと税金がかかるのと同じ品物を買うということになります。そういう点について消費者物価の立場から考えると、これはあまりのべつこのような措置をとることは非常にむずかしい問題がある。かといって、復帰しても輸入にかかるものについては、先ほど國場委員にも御答弁いたしましたとおり、なるべく横流れその他の防止等の措置を確認しながら、国内措置以外の輸入については、沖繩の生活を苦しくしないように努力をしたいと思っておりますが、ただいまのお尋ねの生活のための諸物価に関する問題については、一つ一つ問題がありますので、これらを今後さらに煮詰めていって、一致点の見出せそうにない問題でありますが、何らか一致点を見出すような策を講じたいと思っております。復帰前一年ないし三年間の本土から沖繩に行っておりました競合品目の数量もしくは比率等を、一定期間、五年なら五年、それ以上にふやさせないという法的な措置もなかなかむずかしいかもしれませんが、かりに法的な措置を独禁法の適用除外ということでとったといたしまして、そうすると、それらの関連業種にかかる製品を使い、食べる沖繩の県民は、本土から安い品物が入ってくるはずなのに、その数量は一向にふえない、そしてその数量が五年間固定されることによって、沖繩の産業というものが生産する割高な品物を使わされるということにまたなるおそれもありまして、そこらのところはいま苦慮いたしておりますので、明快な答弁をいたしかねますが、これからは何回も議論をし意見を交換する場もあると思いますので、お互いがいい知恵を出し合ってまいりたいものであると考えておるところでございます。
  330. 安里積千代

    ○安里委員 物価問題は、もちろん本土においてもむずかしい問題であり、非常に大きな問題として論じられるのでありまして、なかなかむずかしい問題だとは思います。いわんや今度沖繩だけの範囲内においての物価問題というのは、これはとても解決できる問題じゃないと思います。ことに復帰後におきましては、本土とつながってくるわけでございますので、この問題は一般県民の日常の生活に非常に影響しますのみならず、また相矛盾するものもいろんな制度にできてくるわけなんです。これをいかに調和するかということは、英知をしぼっていただきまして、復帰してよかった、復帰して物価も上がったと怨嗟の声があがらぬようにひとつ御配慮願いたいと思います。  時間がないようでございますので、この間も私、例の電力問題でちょっとお聞きしたのでありますけれども、まだ方針としてきまらない、第三次要綱に移されたということでございましたが、実はその後における現地におきます新聞を見ますと、もういかにも五社が一元化してやるのだ、そうしてやるために具体的にこういう要求をしているのだ、たとえば公社の職員は全部整理してやるのだとか、何はどうするのだという具体的なものが出て、しかもこれはいかにも本土政府とそういう方向がきまって、そのほうで具体化が進められておるような感じを受ける報道が現地新聞にもありますけれども、これは対策庁と通産省との関係もあると思うのでございますが、通産省との関係においてあるいは内諾を与えたのか、あるいはそのほうでいくということを定めたのかどうか、対策庁を抜きにして、そのことが通産省関係できめられておるのかどうか、もう一回その点を、これは沖繩の将来の電力事業の大きな問題だと思いますし、しかも第三次要綱に移されたほどのまだだいぶ議論のある問題でございますので、通産省との関係もあわせまして、その点をいまどのように考えておられるか、あらためてお聞きしたいと思います。
  331. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは通産省、大蔵省も、資産評価の問題で関係がありますが、これはある点までは明確であります。すなわち、どのような引き継ぎをしようとも、沖繩県に対しては無償でそのまま差し上げますということでございます。沖繩県に対しては無償で引き継ぐということですね。ところが、いまは配電部門だけで本島に五社あって、それが七月一日に一社に合併するばかりじゃなくて、沖繩電力というものを起こして、そして現在の民政府の預かっておる電力供給公社そのものを引き継ぎたい、ついては、琉球政府に無償で渡して自分たちに有償で払い下げてほしいという要望等もありますし、その他の原料、燃料の非課税等、いろいろな条件もあるようでございますが、問題は、離島電力についてそれは別だという考え方、あるいは今後起こるであろう、また起こさなければならない沖繩の将来のための新規の電源開発等については関知せずというような考え方等は、やはり問題があります。そこでいろいろな案が錯綜しておることは事実でありますが、さらに繰り返して明確に申しますと、沖繩県に無償でお渡しすることだけがきまっておる。だから県営でおやりになれば、発電、送電ともに非課税の運営として、公共団体でありますから運営ができろということであります。
  332. 安里積千代

    ○安里委員 終わります。
  333. 池田清志

  334. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 山中総務長官お尋ねします。  最初に、日本学術会議法を改正して、沖繩における学術会議会員に被選挙権と選挙権を与えるようにとの陳情が学術会議沖繩の学術会議の会員からあって、総務長官は学術会議の代表に、本国会に間に合うようにぜひ制定するとお約束をされたそうでありますが、いまだにここに出ておりません。聞くところによりますと、学術会議の会員のうちでいわゆる政府あるいは与党にとって好ましくないような批判的行動に出ておるとか、特定政党を支持するとか政治活動をやっておるとかいう問題で、だいぶ与党の間でそういった空気があるように聞いておりますが、これは基本的な問題で、真理追求の自由あるいは政党支持の自由という憲法に反するものでありますから、まさかこのようなことはないと思うのですが、いかがでしょうか。
  335. 山中貞則

    ○山中国務大臣 瀬長議員の御質問をもうしばらく伏せておいていただきたいと思いますが、いまそこに私の党の国会対策委員長も参っておりまして、非常に好意的に処理するために本日も走り回ってくれておるわけでございます。そういう意味で私は国会の答弁で、学術会議に、沖繩も、三年に一ぺんであるから、今度参加しそこなうと、復帰後も相当期間参加できない、権利行使ができないという状態が起こるのは好ましくない、したがって今国会に法案を提出したいと国会で言明をいたしておりますし、法律の準備もできております。それを提出するためにいま努力をいたしておりますので、しばらくその努力を見守っていただきたい。お願い申し上げます。
  336. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がお聞きしましたのは、そういったようなのが壁になって、せっかくの山中総務長官の好意もまだ実らないのかなといったことを感じたから、それをお聞きしたわけであります。したがって、今国会にぜひ間に合わせるように努力してほしいし、さらにここでもあらためてお約束していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  337. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまようやく明るくなりつつあるところですから、詰めないでおいてほしいと思います。話を詰めてとことん議論しないでほしいと思ういます。
  338. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その点はわかりました。非常に厚い壁が出ているなという事情はわかりましたので、せっかくの山中さんの要請もありますから、これでとめておきます。  次に、基地の買い取りの問題でありますが、総務長官はこの前本委員会で、大蔵省が有償引き継ぎにする対象の問題、さらにこれは防衛施設庁あたりの問題になると思いますが、そのほかに、この基地そのものは安保条約と地位協定がそのまま適用される場合には本土並みという場合、本土は施設、区域は全部アメリカに提供しておる、こうなりますと、沖繩での違いは、これまで統治権を持っていたアメリカがばく大な資本を投じて基地をつくった、ですから、そういった面から言えば、基地そのものもある一定の値段で引き継ぎで、あるいは買い取ってやるということが基本的な自然の姿勢ではないかといったような表現をなされたと思いますが、そういったようなことが実際行なわれますかどうか、お伺いしたいと思います。
  339. 山中貞則

    ○山中国務大臣 基地そのものを有償で引き継ぐなどということは絶対ないという方針のもとに大蔵省が当たっておることを承知いたしております。
  340. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、たとえば嘉手納基地あるいは辺野古の基地、そういったような重要なアメリカの基地がある。これはアメリカが金をかけてつくったものである。これをそのままにしておいて、アメリカにこういった基地の買い取りはしないでやっていこう、区域と施設を提供するというお考えだと承っておりますが、それでよろしゅうございますか。
  341. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は大蔵省の資産引き継ぎ交渉に臨む基本的な姿勢について述べたわけでありまして、具体的にどの場所をどうするという問題は、ちょっとこれは外務省、防衛庁の問題で、これがまた民間に有用に有益に使われるものであるという場合においては大蔵省が交渉するでありましょうが、しかし軍事基地は対象にしないということは明確にしておるようであります。
  342. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま明確になっておるのは、大体大蔵省で折衝しておる四つの対象、さらに施設庁あたりでやっている飛行場、その他大蔵省がやっているのは基地外の軍用道路であります。あと残る問題は、基地そのものになってきておるわけです。基地そのものを本土並みだということで区域と施設を無償で提供する場合には、アメリカがつぎ込んだこれまでの基地構築費二十億ドルとも言っておる、あるいは三十億ドルとも言っておる、そういったものについて支払わされるようなことになるとすれば、まさに屈辱的な条約であるだけではなくて、施政権の買い取りということになるわけであります。そういう意味でお伺いしたのでありますが、これについては総務長官としてお答えできるかどうか。残されているのは基地だけしかないのです。
  343. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そのようなことはないと思いますが、私、交渉の当事者でございませんので、正確な答弁をいたしかねます。
  344. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に自治省についてお伺いしたいのですが、もし軍用地地主が再契約を拒否した場合には、拒否した地主に対してどのような法的措置を講ずるかという問題の提起のしかたは、すでに仮定ではないと考えます。すでに出ております。もしではなくて、軍用地の開放を求めているのが知りおるだけでも十五カ村にわたっておりますが、その場合、基地をぜひ提供しないといかぬということで小笠原返還方式、これをとられると思いますが、いわゆる特例法が出る。この特例法が出る場合には、沖繩の市町村自治体、こういったような自治体にのみ適用される特例法。奄美の場合でも、小笠原の場合でも沖繩県とは違っております。そういった特例法が出る場合には、憲法九十五条に基づく住民投票というのが考えられますが、自治省の見解を承りたいと思います。
  345. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 実は憲法にいいますところの一つの地方団体に対して適用されるその特別法として一般投票が要るかという御質問のようでございますので、その点につきましてお答え申し上げますが、御了承いただきたいと思いますのは、実は新しく復帰に伴います特別措置に関する法律につきまして一般投票が要るかどうかという問題は、基本的には(山中国務大臣「そんなこと関係ないよ」と呼ぶ)御質問の内容につきましては、その地方団体に適用される特別措置法の内容という問題ではないように考えられますけれども、自治省所管の問題以外の、何か特別のほかの省の所管の問題のように考えられますけれども、その点でいかがでございますか。
  346. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私の申し上げているのは、いま憲法九十五条にうたわれておる「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、」云々とあります。この場合、土地を収用する特別法が、沖繩だけに適用される特別法ができたならば、この九十五条の住民投票の条項に必ず規制される。そこで、この住民投票の結果でなければ、このような特別法の立法そのものが、たとえつくった場合でも無効になります。そういった点を聞いておるわけなんです。
  347. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは防衛施設庁が答えるべきでありますが、私ども承知している範囲では、どういうことになるのか全くわかりませんから、いまの問題を一つ仮定の問題として議論いたします。  その場合においては、本土においても同じ特別法で措置をしておりますから、沖繩だけにやるというものではないと思いますが、これはやはり防衛施設庁の責任ある答弁がないと、私としては明確なお答えはできません。
  348. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点について自治省が詳しいというので自治省の係をお呼びしたのだが、自治省はわからぬということになると、だれもわからぬということになるわけだが、ただ、私がもし沖繩だけに適用するという特別法ができる場合、これを住民投票に付さないでもいいということになると、どうなるか。問題は、本土の沖繩化になっていくのです。この法律は全国的に適用されるという概念がそこから出てくるから、非常に重要視しておるわけです。もうすでに拒否する地主は出ておるから、必ず特別立法が出される。また政府もそういった場合には特別な法的措置を講じなければならないだろうということは、もうはっきり言っております、何々とは言っておりませんが。その点を聞いておるわけなんです。
  349. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 憲法にいう一つの地方団体に対して適用される特別措置法は、地方団体を対象としているものでございまして、御質問の問題は、私もわかりませんけれども、地方団体を対象とするものではなくて、何か一定の地域か、何かその辺を対象とするところの問題として御質問があるような感じもいたしますので、私どもとして御質問の中身がわからないので、確定的にお答えできませんけれども、どうも一つの地方団体に適用される特別法の問題の対象ではないような感じがいたすわけでございます。
  350. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんから、この問題は引き続き自治省の責任ある役人から聞くことにいたしまして、これはきょうは保留します。  次に、総務長官にもう一点お尋ねします。  沖繩のたばこ産業の問題ですが、これは第二次復帰要綱に書かれておりませんが、聞くところによりますと、現在の琉煙、沖煙、オリエンタル、この三つのたばこ製造会社は復帰の時点になると、これは大蔵省の専売公社の関係の役人から説明をお願いしたいのですが、第一にこのたばこ産業、三つの会社が仕事ができなくなるという場合には、及ぼす影響は非常に大きいのです。その意味で特に総務長官の御意見を承りたいと思うのは、いま従業員にいたしましても、琉球煙草、オリエンタル、沖繩煙草合わせて約七百名くらいおりますし、さらに葉たばこ製造、この植えつけ、作付面積は七〇年末現在で百九十ヘクタールになって、生産農家が百五十戸に及んでおります。さらに、たばこ三社の卸店が百三十軒で、小売り店は、無届けの小売り店を加えて二万五千軒に及んでおります。したがって、このたばこ産業三社が復帰の時点で専売公社法その他に基づいて全部仕事ができなくなる場合には一体どうなるか。したがって会社としては、資産を買い上げてほしいというので金額まで出されておると思います。さらに従業員としては、仕事と身分をいままでのとおり保障してほしいという要請も出ておると思いますが、これに対する山中総務長官の方針をお聞かせ願いたいと思います。
  351. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、第一次の要綱に葉たばこ耕作者については明確に「四十七年産以降の葉たばこについては、品質の向上と産地の集約化を推進し、耕作の継続ができるよう努める。」こうなっておりますから、耕作をされた葉たばこは専売公社が引き続き買います。ちょっと無用なことばがついておりますが、これは沖繩に適する葉たばこの品種があるようだという専売公社の専門家の検討がございました。すなわち低ニコチンの葉たばこで非常にいま需要の高いものが沖繩に適しておるのではないか、こういうような検討の結果が出たためにこういうことをいっているわけでありまして、葉たばこ耕作者の生産は希望どおり継続できるわけです。  そこで今度は「たばこ専売法が適用されることによる製造会社および従業員の取扱いについては、適切な措置を講ずる。」こうなっております。三つの会社の問題、これについては原則として専売法の適用を受けるわけでありますから、民営としての私企業の存続は不可能になるということについて、ただいま三つの会社それぞれが補償その他についての要求をしておって、折衝中であります。ただ、従業員七百名、直接の勤労者は六百五十名でありますが、そういう問題が一方においてございますので、大蔵省としても、これについては大臣以下相当な配慮をいたしております。したがって、これらの方々がなるべく現在の仕事を継続して職場を失わないでいくことができるようにいま検討いたしておりますので、これらの検討が適切になされるように努力したいと考えます。  さらに卸売り業者についても、本土には卸売りの制度はございませんが、有人島嶼だけで四十幾つもある沖繩の各地に専売公社が直接自分たちでおろして回ることを考えた場合には、むしろ現在の卸売り人を活用することのほうがかえって両者いいという結論から、一次要綱で、「卸売業者についても、指定小売人とする等、適切な配慮を行なう。」ということで、いままでどおりの営業を行なっていってもらいたい。小売り業者についても、本土のほうは小売り店開設のいろいろな前提条件、許可条件がございますが、沖繩については、現在の小売り店の形態をそのまま承認して本土の認められた小売り人とするということで、その意味においては明確になされておるものと考える次第でございます。
  352. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が切れましたのでやめますが、最後に大蔵省のそれに対する方針を述べてほしいと思います。
  353. 前田多良夫

    ○前田説明員 ただいま山中大臣の御答弁のとおりでございまして、大蔵省といたしましても、特に製造工場の従業員の方々の身の振り方などにつきまして、いかにすれば最もいいかというような点を、対策庁あるいは専売公社も交えまして、いろいろ鋭意検討をしておる最中でございます。ただいまの山中大臣の御答弁のとおりでございます。
  354. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、私、質問を保留しましたあの九十五条については、次の委員会でまたやることにしまして、きょうはこれで終わります。
  355. 池田清志

    池田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十五分散会