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森垣説明員 それでは、お
手元にお配りいたしました
資料によって御
説明申し上げたいと思います。
お
手元に「
幹線系線区と
地方交通線」と書きました冊子がお配りしてございますが、まず一ページをお開きいただきたいと思います。一ページのところに、まず
線区区分という一番
左側に表題がございますが、この
線区の
区分というものを一体どういうふうに考えるかということをここに書いてございます。下のほうに
図面が書いてございますが、この
図面は、先般
総裁が御
説明いたしました
中身とほとんど変わっておりませんが、基本的な
考え方といたしまして、やはり
国鉄の
特性が十分に発揮できる
かいなかというような
意味から見て、
幹線系線区と
地方交通線という
二つの大きな
区分がなされるかと思います。
幹線系線区といいますのは、ここに書いてございますように、大量にして
高速輸送ができるような、いわば
鉄道の
特性が十分に発揮できるというもの、たとえば
都市間旅客輸送であるとか、あるいは中
長距離大量貨物輸送だとか、あるいは
大都市通勤通学輸送というものがおもな
使命となっているような
線区でございます。これを
幹線系線区と名づけております。
それから
地方交通線といいますのは、
地域におきます
輸送を主たる目的としております
線路でございまして、
現時点でいろいろ調べてまいりますと、たとえば
人口の
流動がかなりあって、
人口がだんだん減っておるとか、あるいは
道路の
整備がだんだん進んでまいりまして、いろいろ周囲の客観的な情勢から見ますると
鉄道の
特性が低下をしている、どちらかといいますと、経営的には非常に赤になっている線、こういうふうに見られるかと思います。しかし、こういう線の中にも
地域におきます
地方、
通勤通学というような
輸送がかなりございますので、そういう面から見て、
地方交通線といえ
どもかなり存続をしておかなければならない線があるのではなかろうかということで、いろいろ勉強してまいったわけでございます。
したがいまして、
現時点で考えますと、ここに図表がございますように、二万一千キロの
線路の中で、いわゆる
黒字線と
赤字線と大きく分かれていますが、
赤字線区と
黒字線区含めまして、下に書いてございますように、
鉄道の
特性が発揮できる
分野、これを
幹線系線区と名づけておるわけでございます。こういう
線区はおそらく
鉄道の
特性が十分に発揮できるという
線区でございますので、経営的に見ましても、当然
自立経営ができなければならないはずであるし、またできるであろうというふうに考えますので、この下に書いてございますように、
自立経営の
範囲というふうに書いてございます。
それから、
右側にございます、いわゆる
鉄道の
特性が低下しつつある、あるいは今後も低下するであろうと思われる線、それがいわゆる
地方交通の
線区でございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろな角度から見まして、いわゆる
公共事業といいますか、
国鉄の公共的な
使命から見ますると、やはり何らかの形でサービスを提供する必要があると思われる線、それがかなりあるだろうというふうに思われます。
それからもう
一つは、
現時点並びに将来を考えましても、おそらく
鉄道としての
使命はもう終わってしまって、他に
代替交通機関があるならそれに置きかえたほうが、国民経済的に見ても経済的であると思われるような線、これがあるであろうと思われます。そういう言うなれば、非有用とここに書いてありますが、
鉄道としての
使命が終わったのではなかろうかと思われる線がある。
こういうように大きく分けられるかと思いますが、そういう
意味で、大体全体的に見て
幹線系線区と
地方交通線に分けて、
地方交通線の中をさらにどういうふうに処理をしていくかというので、
総裁がこの間御
説明いたしたような
内容のものになっておるわけでございます。
それでは、いまのような
線区の
区分というものをどういう
基準によって分けたのかというのが
右側に書いてございまして、
一つは、
旅客の
流動による
基準という
考え方と、それから
貨物の
流動による
基準、大体
客貨の
輸送その他を見て分けました。
国鉄の
線路は大体二百四十六線からなっておるわけでございますが、しかし、同じ
線路の中で部分的にかなり
性格の違う
線区がございます。したがいまして、本来からいいますと二百四十六線でございますが、これをさらにこまかく二百九十五
線区に
区分をいたしました。その
線区のそれぞれの
現状並びに将来がどうなるであろうかというのを、先ほど申し上げましたように、
旅客の
流動による
基準あるいは
貨物の
流動による
基準というものを設けましていろいろ整理をした、こういうことでございます。
それで、
旅客の
流動による
基準といたしましてまず考えましたのは、
人口が十万以上の
都市間を結ぶ
輸送密度が、一日一万人以上あるかないかというのを
一つの
基準にいたしております。それから
首都圏並びに
京阪神地区の
通勤の
線区、それから
観光線区として特に
培養効果の高い
線区というようなものを
一つの
基準にいたしまして、
旅客の
流動から見ました
基準を設けました。
それから
貨物につきましては、
輸送密度が一日二万トン以上の
輸送があるかないか、あるいは将来こういう
輸送になり得る
かいなかというようなこと。それから二番目に、
成長性の高い
物資が集約的に
輸送されている
かいなかというようなもの、たとえばここに書いてありますように、
コンテナ物資がかなり集約的に動いているかどうか、あるいは紙とか
セメント、
自動車、
石油というようなものが、相当な
輸送量として運ばれている
かいなかというような問題、そういう問題を
一つの
基準といたしまして
線区の実態をチェックしてまいったということでございます。それからもう
一つは、国が定めましたいわゆる新産
都市あるいは
工業整備特別地域というようなものが指定されてございますが、そういう既成の
工業地帯を経由するかあるいは
お互いに結ぶ線というのが、今後の
国土開発のために絶対必要であるということで、そういう
条件を含めて
検討してまいったということでございます。
ただいま申し上げましたような
基準をなぜ設けたかといいますと、四ページ以下にそれの大略の
付属資料がついてございますので、ちょっとごらんいただきたいと思いますが、四ページに
地域別・
人口規模別都市人口増減状況という表がございます。この表で、赤く塗っておりますところと
緑色に塗ってあるところがございますが、この赤く塗っておりますところは、三十五年から四十年の
人口で見てまいりまして、
全国の
平均伸び率が五・二%になっておりますので、したがいまして、五・二%以下の
伸び率になっておりますところは
流出をしている、あるいは
流出超過であるというふうに見ていただきたいと思います。それから五・二%以上のものは
流入超過であるということでございます。ここに書いてある
数字は
伸び率の実数を書いてございます。たとえば、一番上の
左側の
北海道の三十万以上というところを見ていただきますと三二・二%という
数字が書いてございますが、
北海道で三十万以上の
人口のある
都市というのは三二・二%の
人口の
伸び率があるということでございます。これで見ていただきますと、大体十万人以上の
都市におきましてはこの赤い
範囲に入っておりまして、
人口はかなりふえつつある、ふえておるということです。それから七万人以上の
都市というのは、大体において
緑色の
範囲に入っておりまして、これは
流出超過になっておる。ただ一部、
関東臨海あるいは東海、
近畿臨海というような
地区におきましては、
人口四万人以上であってもかなりふえておるところはございますが、基本的には、十万人以上の
都市というのは
人口がかなりふえつつあるということであって、今後そういう
地域につきましては、かなり
旅客の
輸送量がふえていく原因になろうかと思われるわけでございます。
それから、五ページに
貨物関係の
資料がつけてございますが、これは先ほど申し上げましたような一応の
区分によりまして、
幹線系線区で
成長物資というものは一体どういうふうに運ばれておるのかという
資料でございます。鉄鋼、
自動車、
石油、
セメントというようなものが書いてございますが、現在
国鉄の
貨物輸送量で非常に伸びておりますのは、こういういわゆる第二次
産業産品というものが非常に伸びておりますので、そういうものが将来とも伸び得るかどうかということの
検討の
資料といたしまして、現在
幹線系線区でこういう種類の
貨物輸送量がどれだけ行なわれておるかということ、それから全
線区に対して何%くらいのものになっておるかということがこの表でございまして、大体ごらんいただくとおわかりと思いますが、いわゆる
成長物資といいますのは、全
国鉄の
貨物輸送量の中で非常に大きな
分野を占めておるということでございまして、しかも、それがほとんど
幹線系線区で運ばれておるということがおわかりいただけるかと思います。
それから六ページが、先ほどちょっと申し上げました、国の新
産業都市あるいは
工業整備特別地域というものの
配置図でございまして、これはすでにきまっておる
地域でございます。こういうふうな赤で塗りましたような
地域がそれぞれございますので、そういう
地域を
お互いに結ぶということも
幹線としての大きな
一つの
使命であろうというふうに考えて、
貨物輸送の面からはこういうものを結びつけたということでございます。
それから一番最後に、
石炭線区におきます
輸送量がどうなっておるかという
資料がつけてございますが、ここに
一つの例といたしまして、
北海道、九州の
石炭線区がいかに
輸送量が減りつつあるかという
一つの証左としてお示しいたしたわけでございますが、こういうふうに
現時点においてはかなりの
輸送量は持っておりますが、将来のことを考えていくと、かなり減ると思われるような線がかなりあるのではなかろうかということの
一つの例でございます。
そういうようなことで、先ほど申し上げましたような
一つの
条件をつくって、それによっていろいろ
検討いたしまして、いま申し上げましたように、たとえば
石炭線区のようなところにつきましては、将来の問題を考えますと、やはりかなり
輸送量が減ると思われるし、それから、あまり
輸送そのものに期待ができないという、非常に
地域的な
輸送になりつつあるという
線区もございますので、そういう面を
検討いたしまして、先ほど申し上げました
旅客が一万人、
貨物が二万トン以上という範疇から摘出いたしました
線区につきまして、さらにいまのような
条件をいろいろ
検討して
修正を加えたということでございます。その結果、二ページの一番下に書いてございますように、いろいろ
検討の末、
幹線系線区といたしましては、二万一千キロのうち約一万二百キロというのがこの
幹線系線区であるというふうに判定し得るのではなかろうかというふうにいたしたわけでございます。この
線区につきましては、先刻
総裁も
お話ございましたと思いますが、三ページに
資料がございまして、
国鉄の全
輸送量の中で
幹線系線区、
地方交通線というものが、一体どういう
輸送分野を持っておるかということが表にしてございますが、まん中に
輸送量というものが書いてあります。
幹線系線区というところに
旅客、
貨物というのがございます。それぞれ九〇、九三という
数字が書いてございますが、これは
国鉄の全
輸送量の中の、
旅客につきましては九〇%、
貨物につきましては九三%の
輸送をしておるということでございます。その下の
地方交通線につきましては、ここに
数字が示しておりますように、
旅客につきましては一〇%、
貨物については七%の
輸送しかしておらぬ、こういうふうな
輸送の
分野になっておるということでございます。
これを、
国鉄の
輸送ということばかりでなしに、たとえば全
人口に対する
鉄道の
ネットワークとしてのカバーがどうなっておるか、あるいは鉱工業の
出荷額に対して
幹線系線区というものがどういう位置づけになっておるかという
意味で、
出荷額をいかにカバーしているかという面からながめますと、大体
全国の七〇%のものをカバーし得る線になっておるということでございますので、そういう
意味からいいましても、この
幹線系というものにつきましては、国の総合的ないろいろな
政策面から見ましても、
十分幹線系としての
効果といいますか、ネットを組んでおるというふうに考えられますし、また、
鉄道の
特性が十一分に発揮し得る
線区であるというふうに考えられるのではなかろうかというふうに思います。
したがいまして、この
幹線系線区以外の約一万一千二百キロという線は、いわゆる
地方交通を主とした線であるというふうに
区分して差しつかえないのではなかろうかというのが、この
幹線系と
地方交通線の
区分についての
考え方でございます。
以上でございます。