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1971-05-19 第65回国会 衆議院 運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十九日(水曜日)     午前十時六分開議  出席小委員    小委員長 徳安 實藏君       宇田 國榮君    加藤 六月君       關谷 勝利君    箕輪  登君       久保 三郎君    内藤 良平君       松本 忠助君    和田 春生君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君  小委員外出席者         運 輸 委 員 細田 吉藏君         運 輸 委 員 斉藤 正男君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道経         営計画室長   森垣 常夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道に関する件      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会を開会いたします。  小委員会運営方針でございますが、審議原則として速記を付することとし、必要に応じて懇談の方式で進めたいと存じます。  傍聴につきましては、原則として許可することといたしますが、必要に応じてこれを許可しないこともございますが、その場合は、その取り計らいを小委員長に御一任願いたいと存じます。  なお、小委員以外の運輸委員からの発言の申し出がありました場合には、小委員長において適宜これを許可することにいたします。  以上、申し述べましたような次第によって審議を進めてまいりたいと存じます。  それでは、日本国有鉄道に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)小委員 先般、鉄監局長並びに国鉄総裁より、当面せる国鉄の問題についての大まかな事情聴取があったわけでございます。われわれは、今後の交通体系の動脈をなしますところの日本国有鉄道問題について鋭意勉強していきたい、こう思っておるわけでございますが、先般御質問いたす予定でございましたが、時間がなくて今回に持ち越したわけでございます。  まず、資料要求質問ということで進めさせていただきたい、こう思いますが、国鉄のほうからいただきました「国鉄経営に関する重要問題」一項目から七項目、それからまた、あと八から十一までということになっております。それぞれ私たちが平素国鉄問題を研究してきた内容でございますが、その中で画期的とも思われ、また、わが国の国政あるいは今後の地方事情に重要なる問題を提起いたすものとして、幹線系線区地方交通線の問題を総裁が御説明されました。一回目にいただきました資料の十四でございますが、全国鉄が約二万一千キロある。その中で、幹線系線区地方交通線に分ける、そうして新幹線ほか八線、約二千九百キロは黒字である。それから、羽越本線ほか幹線系約七千三百キロ、これは赤字であっても幹線系線区に入れられております。そうして地方交通線として国鉄運営というので赤で囲んであって、そうして国または地方財政による補償、あるいは共同経営または移管道路輸送への転換というふうに書いてありますが、この移管というのは、ちょっとまだ早過ぎるというような御説明がございましたが、この二万一千キロのうちの幹線系線区地方交通線とに分けた基準、方法、これについていまひとつ詳しく御説明いただきたい。このことが第一点でございます。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま御質問の点が、今度の問題の一番大きな点の一つであります。前回詳しく御説明する時間がございませんでしたけれども、きょうもしお許しがあれば御説明させていただくつもりで、実は資料を準備してまいりましたので、資料に基づきまして御説明いたしたいと思いますが、その資料説明に入ります前に、実はこの問題につきましては、私ども再建計画に入ります場合にいろいろ考えまして、実は一年がかりでいろいろ部内検討いたしました。部内だけの検討では十分ではございませんので、部外の交通学者、あるいは交通経済学者、あるいは大学の機械土木関係先生、並びに日本における地域開発の相当な専門家というふうな各サイドの方々にもお集まり願いまして、約半年かかっていろいろ検討いたした結果でございます。なお、私どもがこれをいま御説明いたしますことは、実は政府でいまやっておられますいわゆる総合交通体系の発表前に御説明することは、いささか政府に対して申しわけない気がいたしますけれども、せっかく勉強いたしましたものでございますから、一応御批判を仰ぐ意味で御説明させていただきたいというふうに思う次第でございます。  説明は、お許しを得まして森垣経営計画室長から御説明いたさせます。
  5. 森垣常夫

    森垣説明員 それでは、お手元にお配りいたしました資料によって御説明申し上げたいと思います。  お手元に「幹線系線区地方交通線」と書きました冊子がお配りしてございますが、まず一ページをお開きいただきたいと思います。一ページのところに、まず線区区分という一番左側に表題がございますが、この線区区分というものを一体どういうふうに考えるかということをここに書いてございます。下のほうに図面が書いてございますが、この図面は、先般総裁が御説明いたしました中身とほとんど変わっておりませんが、基本的な考え方といたしまして、やはり国鉄特性が十分に発揮できるかいなかというような意味から見て、幹線系線区地方交通線という二つの大きな区分がなされるかと思います。  幹線系線区といいますのは、ここに書いてございますように、大量にして高速輸送ができるような、いわば鉄道特性が十分に発揮できるというもの、たとえば都市間旅客輸送であるとか、あるいは中長距離大量貨物輸送だとか、あるいは大都市通勤通学輸送というものがおもな使命となっているような線区でございます。これを幹線系線区と名づけております。  それから地方交通線といいますのは、地域におきます輸送を主たる目的としております線路でございまして、現時点でいろいろ調べてまいりますと、たとえば人口流動がかなりあって、人口がだんだん減っておるとか、あるいは道路整備がだんだん進んでまいりまして、いろいろ周囲の客観的な情勢から見ますると鉄道特性が低下をしている、どちらかといいますと、経営的には非常に赤になっている線、こういうふうに見られるかと思います。しかし、こういう線の中にも地域におきます地方通勤通学というような輸送がかなりございますので、そういう面から見て、地方交通線といえどもかなり存続をしておかなければならない線があるのではなかろうかということで、いろいろ勉強してまいったわけでございます。  したがいまして、現時点で考えますと、ここに図表がございますように、二万一千キロの線路の中で、いわゆる黒字線赤字線と大きく分かれていますが、赤字線区黒字線区含めまして、下に書いてございますように、鉄道特性が発揮できる分野、これを幹線系線区と名づけておるわけでございます。こういう線区はおそらく鉄道特性が十分に発揮できるという線区でございますので、経営的に見ましても、当然自立経営ができなければならないはずであるし、またできるであろうというふうに考えますので、この下に書いてございますように、自立経営範囲というふうに書いてございます。  それから、右側にございます、いわゆる鉄道特性が低下しつつある、あるいは今後も低下するであろうと思われる線、それがいわゆる地方交通線区でございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろな角度から見まして、いわゆる公共事業といいますか、国鉄の公共的な使命から見ますると、やはり何らかの形でサービスを提供する必要があると思われる線、それがかなりあるだろうというふうに思われます。  それからもう一つは、現時点並びに将来を考えましても、おそらく鉄道としての使命はもう終わってしまって、他に代替交通機関があるならそれに置きかえたほうが、国民経済的に見ても経済的であると思われるような線、これがあるであろうと思われます。そういう言うなれば、非有用とここに書いてありますが、鉄道としての使命が終わったのではなかろうかと思われる線がある。  こういうように大きく分けられるかと思いますが、そういう意味で、大体全体的に見て幹線系線区地方交通線に分けて、地方交通線の中をさらにどういうふうに処理をしていくかというので、総裁がこの間御説明いたしたような内容のものになっておるわけでございます。  それでは、いまのような線区区分というものをどういう基準によって分けたのかというのが右側に書いてございまして、一つは、旅客流動による基準という考え方と、それから貨物流動による基準、大体客貨輸送その他を見て分けました。国鉄線路は大体二百四十六線からなっておるわけでございますが、しかし、同じ線路の中で部分的にかなり性格の違う線区がございます。したがいまして、本来からいいますと二百四十六線でございますが、これをさらにこまかく二百九十五線区区分をいたしました。その線区のそれぞれの現状並びに将来がどうなるであろうかというのを、先ほど申し上げましたように、旅客流動による基準あるいは貨物流動による基準というものを設けましていろいろ整理をした、こういうことでございます。  それで、旅客流動による基準といたしましてまず考えましたのは、人口が十万以上の都市間を結ぶ輸送密度が、一日一万人以上あるかないかというのを一つ基準にいたしております。それから首都圏並び京阪神地区通勤線区、それから観光線区として特に培養効果の高い線区というようなものを一つ基準にいたしまして、旅客流動から見ました基準を設けました。  それから貨物につきましては、輸送密度が一日二万トン以上の輸送があるかないか、あるいは将来こういう輸送になり得るかいなかというようなこと。それから二番目に、成長性の高い物資が集約的に輸送されているかいなかというようなもの、たとえばここに書いてありますように、コンテナ物資がかなり集約的に動いているかどうか、あるいは紙とかセメント自動車石油というようなものが、相当な輸送量として運ばれているかいなかというような問題、そういう問題を一つ基準といたしまして線区の実態をチェックしてまいったということでございます。それからもう一つは、国が定めましたいわゆる新産都市あるいは工業整備特別地域というようなものが指定されてございますが、そういう既成の工業地帯を経由するかあるいはお互いに結ぶ線というのが、今後の国土開発のために絶対必要であるということで、そういう条件を含めて検討してまいったということでございます。  ただいま申し上げましたような基準をなぜ設けたかといいますと、四ページ以下にそれの大略の付属資料がついてございますので、ちょっとごらんいただきたいと思いますが、四ページに地域別人口規模別都市人口増減状況という表がございます。この表で、赤く塗っておりますところと緑色に塗ってあるところがございますが、この赤く塗っておりますところは、三十五年から四十年の人口で見てまいりまして、全国平均伸び率が五・二%になっておりますので、したがいまして、五・二%以下の伸び率になっておりますところは流出をしている、あるいは流出超過であるというふうに見ていただきたいと思います。それから五・二%以上のものは流入超過であるということでございます。ここに書いてある数字伸び率の実数を書いてございます。たとえば、一番上の左側北海道の三十万以上というところを見ていただきますと三二・二%という数字が書いてございますが、北海道で三十万以上の人口のある都市というのは三二・二%の人口伸び率があるということでございます。これで見ていただきますと、大体十万人以上の都市におきましてはこの赤い範囲に入っておりまして、人口はかなりふえつつある、ふえておるということです。それから七万人以上の都市というのは、大体において緑色範囲に入っておりまして、これは流出超過になっておる。ただ一部、関東臨海あるいは東海、近畿臨海というような地区におきましては、人口四万人以上であってもかなりふえておるところはございますが、基本的には、十万人以上の都市というのは人口がかなりふえつつあるということであって、今後そういう地域につきましては、かなり旅客輸送量がふえていく原因になろうかと思われるわけでございます。  それから、五ページに貨物関係資料がつけてございますが、これは先ほど申し上げましたような一応の区分によりまして、幹線系線区成長物資というものは一体どういうふうに運ばれておるのかという資料でございます。鉄鋼、自動車石油セメントというようなものが書いてございますが、現在国鉄貨物輸送量で非常に伸びておりますのは、こういういわゆる第二次産業産品というものが非常に伸びておりますので、そういうものが将来とも伸び得るかどうかということの検討資料といたしまして、現在幹線系線区でこういう種類の貨物輸送量がどれだけ行なわれておるかということ、それから全線区に対して何%くらいのものになっておるかということがこの表でございまして、大体ごらんいただくとおわかりと思いますが、いわゆる成長物資といいますのは、全国鉄貨物輸送量の中で非常に大きな分野を占めておるということでございまして、しかも、それがほとんど幹線系線区で運ばれておるということがおわかりいただけるかと思います。  それから六ページが、先ほどちょっと申し上げました、国の新産業都市あるいは工業整備特別地域というものの配置図でございまして、これはすでにきまっておる地域でございます。こういうふうな赤で塗りましたような地域がそれぞれございますので、そういう地域お互いに結ぶということも幹線としての大きな一つ使命であろうというふうに考えて、貨物輸送の面からはこういうものを結びつけたということでございます。  それから一番最後に、石炭線区におきます輸送量がどうなっておるかという資料がつけてございますが、ここに一つの例といたしまして、北海道、九州の石炭線区がいかに輸送量が減りつつあるかという一つの証左としてお示しいたしたわけでございますが、こういうふうに現時点においてはかなりの輸送量は持っておりますが、将来のことを考えていくと、かなり減ると思われるような線がかなりあるのではなかろうかということの一つの例でございます。  そういうようなことで、先ほど申し上げましたような一つ条件をつくって、それによっていろいろ検討いたしまして、いま申し上げましたように、たとえば石炭線区のようなところにつきましては、将来の問題を考えますと、やはりかなり輸送量が減ると思われるし、それから、あまり輸送そのものに期待ができないという、非常に地域的な輸送になりつつあるという線区もございますので、そういう面を検討いたしまして、先ほど申し上げました旅客が一万人、貨物が二万トン以上という範疇から摘出いたしました線区につきまして、さらにいまのような条件をいろいろ検討して修正を加えたということでございます。その結果、二ページの一番下に書いてございますように、いろいろ検討の末、幹線系線区といたしましては、二万一千キロのうち約一万二百キロというのがこの幹線系線区であるというふうに判定し得るのではなかろうかというふうにいたしたわけでございます。この線区につきましては、先刻総裁お話ございましたと思いますが、三ページに資料がございまして、国鉄の全輸送量の中で幹線系線区地方交通線というものが、一体どういう輸送分野を持っておるかということが表にしてございますが、まん中に輸送量というものが書いてあります。幹線系線区というところに旅客貨物というのがございます。それぞれ九〇、九三という数字が書いてございますが、これは国鉄の全輸送量の中の、旅客につきましては九〇%、貨物につきましては九三%の輸送をしておるということでございます。その下の地方交通線につきましては、ここに数字が示しておりますように、旅客につきましては一〇%、貨物については七%の輸送しかしておらぬ、こういうふうな輸送分野になっておるということでございます。  これを、国鉄輸送ということばかりでなしに、たとえば全人口に対する鉄道ネットワークとしてのカバーがどうなっておるか、あるいは鉱工業の出荷額に対して幹線系線区というものがどういう位置づけになっておるかという意味で、出荷額をいかにカバーしているかという面からながめますと、大体全国の七〇%のものをカバーし得る線になっておるということでございますので、そういう意味からいいましても、この幹線系というものにつきましては、国の総合的ないろいろな政策面から見ましても、十分幹線系としての効果といいますか、ネットを組んでおるというふうに考えられますし、また、鉄道特性が十一分に発揮し得る線区であるというふうに考えられるのではなかろうかというふうに思います。  したがいまして、この幹線系線区以外の約一万一千二百キロという線は、いわゆる地方交通を主とした線であるというふうに区分して差しつかえないのではなかろうかというのが、この幹線系地方交通線区分についての考え方でございます。  以上でございます。
  6. 加藤六月

    加藤(六)小委員 それにつきまして、ひとつ資料要求をいたしておきます。  それは、いま幹線系地方交通線との区分、その基準について御説明がございましたが、七十六線区一万百九十九キロ、地方線区二百十九線区一万一千百八十キロに分かれておりますが、これを国有鉄道地図の上ではっきり色分けして提出してもらいたいと思います。そして、そのうち新幹線ほか八縁約二千九百キロは、黒字ですから黒で描いてもらいたい。それから、その次の幹線系線区の七千三百キロの分は青で描いていただきたい。それから、地方交通線は赤で描いていただきたい。それから、特に幹線系線区の中の修正をしたところ三百五十五キロ分、二百三十八キロ分、この二つがございますが、これは特別のしるしで提出していただきたいと思います。  その次に、この幹線系線区の問題でネットワーク関係がございますから、この地図を見て一目でわかるようにしていただきたいのですが、別に要求いたしますのは、過去十年間、貨物の統合駅をいろいろ着手されておりますが、これをどこどこにどういうふうにされておるかということをあわせて地図の上に明示し、別表をつくっていただいてこれを提出していただきたい。これをまず御要望いたしておきます。  第二点は、あまり時間もございませんので簡単にいきますが、先般同じく総裁がこの項目で御説明されました中に、償却問題にお触れになりました。これはたいへん重要なる問題でございますが、当委員会てこの償却問題について詳しく検討したことは最近はないのじゃないかと思います。そこで、この小委員会におきましては、国鉄のこの償却問題についても十分なるメスを入れなくてはならないと思います。そこで償却について、いまこの場ですぐ御質問申し上げるのもどうかと思いますので、これも詳しい資料を提出していただきまして、それに基づいて十分なる議論をやっていきたい、こう思いますので、国鉄償却に対する諸規定、それから償却の物件、内容、こういったものにつきまして、ひとつできるだけ詳しい資料を出していただきたいと思います。  それから三番目に、これは答弁は要りません、要求しておきますが、常磐線複々線化三百三十億おやりになったということでございますが、この常磐線線増工事をやるについて、国鉄本社計画をした収支計算その他の問題について、常磐線線増工事をおやりになったときのなるべく詳しい計画書、これをあわせて提出していただきたいと思います。  委員長、きょうは私は主として資料要求中心とした内容にとめておきますので、これで終わります。
  7. 山口真弘

    山口(真)政府委員 御要求資料につきましては、提出いたします。   〔小委員長退席加藤(六)小委員長代理着   席〕
  8. 加藤六月

    加藤(六)小委員長代理 關谷勝利君。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 私は、前回のこの小委員会に欠席をいたしておりますので、この小委員会の進め方その他については承知をいたしておりませんが、いまのところ、国鉄をどうして再建するかということが中心でなければならぬと思います。しかも、それは八月の終わりにはもう予算要求いたしまするために、結論を得ていなければならないはずであります。そういたしますと、これは集中的に審議をして進めなければならないと思っておるのでありまするが、いまの幹線系線区地方交通線というような御説明を承っておりますと、国鉄としましては、幹線系線区には重点を置いてやっていこうという意欲はあるけれども地方交通線はもう切って捨てたいということがありありとここにあらわれておるのでございます。  そういたしますると、国鉄性格というものが変わってまいります。公共企業体ではなくなってまいります。公共性のたてまえから地方交通線も経営し、そして国土の均衡ある開発、発展をはかる、これが国鉄使命でございます。その上に立って再建策を考えなければならないのが本来でありまするのに、どうやら地方交通線は切って捨てて、大事なと申しまするか、いいところばかりを残してやっていきたい、こういうふうな考え方のようで、国鉄の立場のみから考えたまことに安易な行き方であると思います。公共企業体としての行き方ではないという感じがしてならないのでございます。  従来から考えておりまするこのような案は、どこから出たもので、そして何らかの事情でこの案でなければならないのかどうか、その点をまず承っておきたいと思います。これは鉄監局長のほうから伺っておきたいと思います。
  10. 山口真弘

    山口(真)政府委員 前回の御審議に際しまして、私どもからは「国鉄現状」と題しまして、収支状況国鉄に対する国の財政措置国鉄輸送現状国鉄設備投資並びに他の交通機関に対する設備投資との比較、国鉄設備投資重点パイプライン計画というようなものを御説明申し上げました。さらに国鉄から、現在の問題点に対する考え方といたしまして、「国鉄経営に関する重要問題」という資料に基づきまして、各般の、この資料に大体書いてございますような内容のことを御説明申し上げました。その中身として、幹線系線区地方交通線という問題を国鉄側から御説明申し上げたということでございます。  ただいま先生御指摘の幹線系線区地方交通線の分け方の問題につきましては、現在、政府といたしましても、総合交通体系の形成という見地で経済企画庁のほうでもいたしておりますし、私のほうの運輸政策審議会でも審議をいただいておる段階でございます。さらに閣僚会議等も持つ予定になっております。そういうわけで現段階では、総合交通体系結論というものは、まだ政府としては決定をいたしておりません。ただいま総裁が申し上げましたことは、国鉄諮問委員会の意見を中心として、ただいま国鉄側検討をしておるという性格のものでございます。政府としては、今後、そういうような問題等を踏まえて検討の上、さらに御審議をいただきたいと考えております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 いまいろいろお話がありました資料というのは、国鉄を再建するために必要な資料ということで御説明があったのであろうと思いますが、その再建策を考えます際に、いままでやってきております地方線幹線系線区とを分けるというこの考え方、これはだれが考えて、この方針ばかりで進んでおるのか、また、この案でなければならぬという何らかの事情があるのかということをお尋ねしておるのに、それに対してのお答えじゃないと思います。それは再建策として必要な材料としての説明があったのだと私は推察をいたします。その再建策の行き方についての方向づけを私たちは非常に重要視しておるので、それについて、こういうふうな考え方はどこから出ておるのか、そしてこれは、何らかの事情でこういうふうな分け方をしなければいかぬのかということをお尋ねしておるのですが、その点どうでございますか。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 事柄がまだ政府段階でございませんで、私のほうの段階でございますので、私から御説明申し上げます。  この点、実は前回、一昨日、この一四ページの御説明に入る前に、いろいろ地方計画を申し上げたわけでございます。  まず第一に、去年これを外へ出しましたときには、何か国鉄赤字線を全部捨ててしまうんだというふうな印象が非常に強かったわけでございます。そうでなしに、一四ページの表をごらんくださいますとわかると思いますが、私ども、財政再建計画に入りましてから思うようにいかない。実際、各線別にいろいろ検討してみた結果、いまのままでは国鉄全部がだめになってしまう。国鉄全部がどんぶり勘定でいきますと、全体的にいえば、収入はあまりふえない、また経費はどんどんふえている、これではもう国鉄に幾ら金を入れたってだめじゃないかというふうな印象が、全般的に、国鉄内外に非常に強い、また世論的にも非常に強いというふうなことから、それじゃいけないので、ここでもってもう一ぺん、百年たった国鉄を見直さなければいけないという意味で、いろいろな角度から見直してみますと、結局、大きく分けて、大量高速輸送をやれる分野と大量高速輸送のできない分野二つに分けられると思います。大量高速輸送をやれる分野につきましても、もちろん赤字がたくさん出ておりますけれども、大量高速輸送がやれるところ、すなわち、鉄道特性がまあまあ発揮できるという分野をずっと検討いたしてみますと、それだけならばどうやら収支は成り立っている。国鉄赤字赤字といっても、その赤字が出てくる原因というものは、大量高速輸送ができない、鉄道特性が発揮できない分野から出てくる赤字、これが結局鉄道全体の赤字になってくる。そして世の中に対して、鉄道はもうだめなんだ、米と同じように政府から無限に金をもらわなければ成り立っていかないんだというふうな印象を与えているんじゃないかということが、この一四ページの表にもございます。  それで一五ページに、それを実証的に示しました。これは前回説明申し上げましたけれども、調べてみますと、昭和三十九年からの、国鉄赤字に転落して以降の——三十八年度まではとにもかくにも全体として黒字だった。三十九年度以降国鉄赤字に転落したわけでございますので、それを詳しく、いまの二つに分けて検討いたしてみますと、地方交通線分野は全然収入がふえていない。経費は約二倍にふえている。運賃は四割上げても、収入は三割弱しかふえていないということで、鉄道特性が発揮できない分野については、これはよほど考え方を変えなければいけない。いわゆる公共企業体という名前がございますが、やはり公共企業体でなくて、純粋の公共事業であるというふうに思わざるを得ないと思ったわけでございます。したがいまして、この一四ページの表に赤いカッコでくくっておりますね、これは国鉄が捨てるという意味ではなしに、むしろ、非常に極端に申しますれば、国鉄というものはこの赤い四角をやるためにあるんだ。端的にいえば、上の幹線系線区は別な会社でやったって一応やれる分野だ。端的にといっても、これは非常に極端な発言でございます。国鉄は、いわゆる公益事業、公共事業としてやるためには、この赤いワクの中をやるべきなんだ。しかし、これは絶対収支償わない。これから出てくる赤字というものは、当然国なり地方から補償してもらわなければいけない。逆に申しますれば、国なり地方から経営を委託されてその運営をやるのが、純粋の公益事業としての国鉄なんだというふうな見方をしなければいけない。そういう意味で、むしろこれは赤ワクの中をどういうふうにしてやるかということが国鉄使命である。上半分は会社経営でやっても、税金が払えるかどうかは別といたしましてもやれるんだし、企業体としても十分やっていけるけれども、いま国鉄赤字赤字といわれておる大きな問題は、この赤ワクのところから出てきておるということは非常にはっきりしておるわけでございまして、国なり地方団体なりから経営補償をしていただかない限り、この赤字はもう無限にふえていく。将来大体推測してみますと、五十三年時点では収入の約三倍くらいの経費がかかる。これを上半分にしょわせることはできないということに在れば、結局この赤ワクの中をどう見るかということが、国鉄についての一番大きな問題じゃないかという意味であったわけでございまして、私ども考え方が、たとえば組織を分けるとか経営を分けるという意味ではなくて、国鉄赤字の発生の原因を、きわめて鉄道特性の発揮できるかできないかという分野から見るとこういうことになる、今後の再建の一つの方向としてこういうことをぜひ考えていかなければならないのじゃないかということを申し上げたわけで、これ以外に再建方法がないという意味でもなければ、これをぜひやってもらいたいという意味ではなしに、過去の実績を分析するとこういうことになりますという一つの見方を申し上げたわけでございます。  その点、前回たいへん詳しく御説明しましたけれども先生おいでにならなかったので、あるいは去年と同じようなことを言うじゃないかというふうにおぼしめすかとも存じますが、だいぶ去年とは考え方を変えまして、いわゆる鉄道特性の発揮できるかできないかという物理的な、技術的なものから考え出した一つの案であるというふうに御了承願いたいと思うわけであります。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、これからの再建策というふうなものについての考え方は白紙であると考えていいわけですね。その点はっきり。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 さようでございます。  ただこの前の、二年前にやっていただきました再建特別措置法は、国鉄全部を一つにして見ている。それを大きく分けまして、自立できる面と、どうしてももう未来永劫自立できないけれども、どうしてもやっていかなければならないものと、その二つに分けてやろうじゃないか、そこが議論の分かれ目だと思います。いまのままでいきますれば、赤ワクのほうが国鉄全体の経営の足を引っぱってしまって、さながら国鉄全部が斜陽化し、国鉄全部が地盤沈下しているというふうな感じがある。そうじゃないので、未来まだまだ鉄道というものは伸び得るのだということをはっきりさすために、幹線系線区では、新幹線の問題あるいは全国道路網との関係等々考えた上でやるべきだ。それで下のほうは、これは国鉄が運営するけれども、これから出てくる赤字については、国鉄の経営上それを背負うのは無理じゃないか、こういう考え方でいくことが一つの方法じゃないかという意味でございまして、これ以外にないという意味では決してございません。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 お話を聞いておりますと、やはり昨年やろうとしたその案が、そのままの姿で出てきておるような気がしてならないのでございますが、昨年やろうとしてそれが実現ができなかった、しかたがないので一年ころがそうじゃないかというような結果になったのですが、あの案をどうしても押し通したいと、こういうお気持ちではなく、今度は白紙で、これから新しい方法もあればそれも考えていこう、こういうふうなお考えであるかどうか。この点くどいようですが、はっきりしておきませんと、これからの議論の基礎になりますので、お尋ねをいたします。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 もちろん、今回の小委員会では私どもはもう赤裸々に全部を申し上げまして、諸先生方にいろいろ御検討願うわけでございまして、決して私のほうの考え方を無理やりに押しつけるというふうな力もございませんし、そういう考え方もないということは、はっきり申し上げます。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 私はこの表を見ても、はや、いやな気がいたします。大体国鉄運営と書いて、国または地方財政による補償と書いてある。地方財政による補償というようなことは、これは相手のあることで、地方行政委員会あたりは真正面から反対をいたします。これはできないことなんです。こういうふうなことを、できないことを含めての再建策というようなことはまた挫折する、こういうことになってまいります。また、その下に書いてあります共同経営または移管、これは切り捨てということなんです、こんなことは。これもまたできることではございません。こういうふうなことをやるのなら、これは国鉄公共企業体という性格を変えなければなりません。道路輸送への転換、これはまあできるところがあればけっこうですが、これもなかなかできません。それは短い、道路に並行した区間だけを考えますとそういうふうなことはできるかもわかりませんけれども貨物その他の長距離輸送ということを考えた場合に、それはその部面だけを見て判断するわけにはいかないのでございます。  そんなことから、この地方交通線というような書き方自体、やはり昨年と同じようなことをやろうと考えておるのではなかろうか。それではまたもう一年ころがそう、次から次ところがして後には国鉄が破産してしまった、どうにもならなくなった、こういうふうなことになろうと思いますので、この際できる方向へ考え方を変えなければならぬのだと私は思いまするが、ほかに何か、総裁、これなら名案だというふうなことで、こうしてくれればいいんだがというようなお考えはありませんか。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 たとえば、ここに書いてございませんけれども、これは一つ考え方としまして、利子を全額たな上げするとかということも一つ考え方でございます。しかし、これは千六百億ないし二千億ぐらいのものでございまして、いわゆる将来の人件費の増加その他、将来の経費増加に対応していつまで続くかという問題になってくる。いわゆる利子たな上げを一ぺんやってしまえば、それでおしまいになってしまう。しかも利子のたな上げにつきましては、全額かりにたな上げできるといたしましても二千億前後で、今後は利子負担がなくなるといたしましても、結局単年度で二千億の救済ができるだけであるということになると思います。したがって、その翌年からの救済策はもうそれがなくなってしまう。しかし、私どもといたしましては、国なり何なりから補償していただくことは、毎年毎年の経費増を何とかめんどう見ていただくということになりますので、問題は、これから未来、国鉄がどうしても赤字経営を続けていかなければならない分野については、単に単年度で終わる公共負担の是正とか、利子補給だとか、利子のたな上げだとかだけでは、問題が一年間解決するだけであって、その後の経費増、収入減はカバーできない。したがって、いま地方公共団体の問題は別といたしまして、部外から補償していただくにしても、毎年毎年補償していただくようにしていかなければいかぬというふうに思うわけであります。  そういたしますと、かりに方法といたしましては、利子補給なり公共負担の是正は、単年度としては、一年間は確かに効果はございますが、それから先はもうそれが根っこに入ってしまうということになりまして、その後の経費増、赤字増加に対するカバーにならないというふうに思っております。  その他、運賃の問題等いろいろございますけれども、結局その補償の問題と今後の経費増加の問題です。もちろん、経費増加を極力抑制しなければいけない。抑制しなければいけないけれども、経費増加はやむを得ないということになりますれば、毎年毎年出てくる赤字をどうやって補償してもらうか、補うかということが一番問題点です。単年度財政状態がよくなっても、すぐそれを一年間で食いつぶしてしまうようなことでは、結局長い間の再建にならないというふうに思いますと、いまここにあげました毎年毎年の補償問題あるいは何年に一ぺんかの運賃問題ということ以外に、経営をカバーしていく方法としては考えられないのじゃないか。去年一年間、いろいろ専門家にも教えていただきましたけれども、どうも民間会社などに行きましても、結局単年度の赤字補てんの問題と、今後民間会社ならばやめてしまう、未来永劫赤字が続くという事業、それと穴埋めの問題とは考え方が多少違うのじゃないかというのが経営者側の御意見でございまして、私のほうは、民間事業と違うところは、關谷先生がおっしゃったようにやめるわけにいかない、未来永劫、たとえ赤字であろうと何であろうと続けなければいけないということになりますと、その分を毎年毎年どこからかお金をもらわなければいかぬ。それをカバーできるのは結局補償と運賃、この二つ以外にないのじゃないか。しかし運賃は先ほど申し上げましたとおり、こういう線区について上げて広効果がないということになれば、どうやって毎年毎年の政府なりその他から補償をもらう考え方を樹立するかということがポイントだというふうに思うわけでございます。  その点ちょっと、ごたごたしておわかりにくいかと思いますが、結局単年度の問題と毎年毎年どうやって金を引き出すかという問題と、二つの点を考えなければいけないというふうに思います。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 いろいろ考えておられるその御努力はよく了解をいたします。しかし、もう少し広く考えてみたらどうでしょう。これは山口局長のほうにお尋ねするのがほんとうかもわかりませんが、運輸省の中で再建策をやったのが国鉄以外のところにもあるのですが、そういうふうなもののやり方、はっきり言いますと海運の再建策をやりました。あの海運再建策をやったときの事柄とこの国鉄の状態とをにらみ合わせて、そして、これはあのときのどれに該当する、これはどれに該当する、こういうふうなことを当てはめての考え方をしてみたことがありますか。
  20. 山口真弘

    山口(真)政府委員 海運再建策の大きな柱は、既存の債務に対する利子の支払いの重圧というものを除去するための利子のたな上げというのが一つの柱でございまして、いま一つの柱は、将来の投資に対する利子負担の軽減ということで大幅な助成をやったというのが、その二つ目でございます。  それで、国鉄再建問題につきましても、当然その二つの面があるわけでございまして、昨年実は予算要求をいたしましたのも、基本的にはそういう考え方に立っておったわけでございます。しかし、現在の予算としては、なかなかそこまでいけなかったわけでありますけれども、問題は、海運再建がなぜ成功をしたか。いろいろな見方があると思うのでございますが、一つには、やはり投資の経済性という問題が相当にあったのではないか。海運再建によりまするところの新規造船についての設備投資の採算性が非常によかったということが、景気の上昇との関係におきまして非常にいい作用を及ぼしまして、それが海運再建の大きな柱になっておると私ども実は考えておるわけでございます。  国鉄につきまして、そういったような問題も当てはめていろいろと検討をいたしておるわけでございますが、国鉄につきましては、事業自体としての収益性が非常に乏しいというところにやはり問題があるわけでございまして、そういった点もいろいろと突き合わせて検討をいたしておりますが、今後も他の事業のやり方というものを十分考えて、計画を立てていかなければならぬと思います。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 いま局長が言われたこと、よくわかるのです。私はそのとおりだと思う。私はこの中心でやったのだから、一番よくわかっておるのですが、これは旧債のたな上げ、元利金等のたな上げをやった。それから先、新しい建造に対するものも利子補給をやった。そしてこれを、あなた投資効果の点と言ったのでありますが、それをかっちりと当てはめてみたならば、これはこれからやる新幹線とかあるいは電化、複線化というふうなこと、それの投資効果は出てくることは間違いないのだし、それから旧債をたな上げをしてやるというようなこと、それを検討してみたことがあると言いますが、数字的に当てはめて実際に計算してみたことがありますか。これはただ口だけで言っておる、国会答弁でやっておるだけであって、実際にやってみたことがないはずだと思いますが、それがあるのなら資料がほしいのですが、それを当てはめてやったことがありますか。それをやったら、そんな議論は出ないはずです。
  22. 山口真弘

    山口(真)政府委員 海運の再建の場合には、具体的な設備投資をやります場合に運輸省が関与いたしまして、その設備投資の方法等をきめまして、そして、それによりまして利子補給をいたしました。したがいまして、それによるところの効果が非常に多かった。  そこで、国鉄設備投資でございますが、設備投資内容といたしましては、幹線輸送あるいは電化、複線化その他近代化等ございまして、各般のものそれ自体についての設備投資の経済効果を、一工事一工事ごとにこれを計算するということは非常に困難でございます。特に通勤輸送への投資のような場合につきましては、これはそれによるところの投資効果というものを判定することが非常にむずかしいわけでございまして、また、それによるところの大きなプラスの面というものはあまり期待できない。そこで、そういう前提に立っておりますものですから、国鉄の投資自体としての全体、そういう投資をやった場合に全体としての国鉄の経営内容がどうなるかということは、これは当然私どもは試算をしております。で、結局、そういう投資とそれから既存の設備によるところの事業の運営ということが組み合わさったものが、再建計画等で御審議をいただきました十年間の国鉄の損益状況でございまして、そういう意味ではそういう計算を実はしておるわけでございます。その計算の上に立っていろいろやってまいりましたが、先ほど総裁から申しましたような点がございまして、それを線区別に考えてみると、先ほどのような実態が生じてくるということでございます。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 おかしいですね。これを当てはめて長期的に考えてみた場合に、これは海運の再建の場合と何ら変わりはないのです。それから、既存の分と将来のものとを合わせてと言いますが、海運でも既存の船とあとからの船両方合わせての経営と同じことなので、私企業であるこの海運企業に対してあれだけのことをやれたのでありますから、公共負担等もやったりいろいろ国の経済に寄与いたしております公共企業体である国鉄に対して、海運再建策でやった事柄が当てはまらないのならともかくでありますが、当てはめてみるというと、それはよくできるのです。ただ時間的に短い期間、期間的に短いものだけを見ると、そこには途中経過的にはそれはやりにくい点もあるかもわかりませんが、総体的に長期的に見通して、そうしてそれで立ち直れる、やっていけるんだという、ここのところへ持っていかなければ再建策というものは、あなた方のように、言うなれば目の前ばかりにとらわれてやっておって、それで再建策ができようはずはないのでございますから、大所高所の大きな観点からやって初めてこの再建策はできるのであります。  そういう点から、国鉄でも皆さんきょう専門家が来ておられるのだから、あの当時の海運再建策、これはどこへ当てはめたらいいのか、こういうふうなことで、ああいうふうな方法でなければ、地方公共団体にたよってみたり、これを分割してどうこうするんだとか、道路と並行しておるのがどうだというような、そんな小さいことを考えておったのでは、国鉄の再建というようなものはできるものではありません。そうして、この際思い切ったことをやらなかったならば、国鉄というものはいつまでたっても栄養不良児みたいなことになって何にもやれない。ここで思い切った政策をやってこそ初めて将来の国鉄が伸びるわけであります。あの海運再建策でも十年間それをやって、そうして十年たって払えるようになるであろうということで、それから、配当を一割なり一割二分以上やるものについてはこれを払っていけ、それがやれないものは切り捨ててやろうということにまでなったのです。  国鉄でやった場合に、私は具体的に申しますというと、四十五年末で赤字が五千七百三十六億あります。四十六年末になりますと八千二百一億になります。こういうふうなことでありますが、これをまず第一番に、これは累積の赤字でありますので、元利金ともに十カ年間たな上げをする、そして、これからやっていきます輸送の近代化それから安全確保という面については、これは新幹線であろうとも、電化であろうとも、複線化であろうとも、これはでき上がった上においては利益を生んでまいります。そういうふうなものにつぎ込みます成算借金というものは、これは何もおそれることはない。私も事業をやった経験がありますが、借金することがこわいのであったならば事業なんかやめなければならぬ、こういうことになるわけでありますが、これらのものはやがては利を生んできて、そして国鉄の体質改善に役立つものであります。そういうふうなことになりますので、一応のあの累積赤字だけをたな上げして、そして、これからやるものについては、これは何もおそれることはない。ただし、それの利子は高いものでは困るから、あの海運再建策でやったように最低三分五厘とかあるいは五分というようなことにして、これ以上のものは政府が負担してやる。そしてこれを十年間やっていこう。十年間たったならばそれらの投資効果が出てきますから、それらの収益によってこれは支払いすることができる。黒字に転換することができる。黒字に転換することができるようにならなければ国鉄再建策というものはやめたほうがいいのですよ。だから、そういうふうなことで黒字に転換することができる、それからは払うことはできるのだという、その数字がいまの計画で出てこなければならぬのであります。  もちろん、その中には合理化というふうな面、そういうふうなきびしい合理化をやらなければなりません。人件費の削減というふうなこと、これについてはあなた方がいろいろ努力しておられまするが、そういう努力もかみ合わせてやったならば、十年後には黒字が出だす。黒字になって、それからそれを支払っていくのであって、何も国鉄がそれを借りっ切りにしてもう返さないというのでもなければ何でもないのでありますから、そういうふうなところを検討して、そうして数字的にこういうふうになるのだからこうしろよという、その数字を出してみてはどうですか。それならなるほどということでみんな納得をいたしまするが、そうでない限り、妙な案を出したところでだれもついてくる者はございません。前のような案が出たらこれはできるものじゃない。できないことをやるのなら、労して効なしなら、最初からやめたほうがいいのですよ。そうして、ほんとうにできることで、将来国鉄がやっていけるのだというものにしなければなりませんが、それについても私は前から言うのですが、一向そういうふうなことをあなた方は取り上げようとはしない。ばかの一つ覚えのようなことをやって、そうしてできもせぬことを、地方公共団体が負担せい、国と地方公共団体と国鉄の三本方式でやるのだ、比率はもちろん違うにしても。そんなことでできるはずはないので、貧乏するところはいつまでも貧乏しろというような、過疎地帯はますます過疎化しろというのでは、そんなやり方は公共団体としてやるものではありません。  そこで、私はこの際、思い切ってあの海運再建策をやったときと同じようなことで計算をしてみたならば、必ず十年後には黒字に転換ができると思う。黒字に転換ができないのならもう国鉄をやめて、みんなブロックごととかあるいは何かで、もうみんな地方公共団体に払い下げをしてしまって、国鉄というものはなくしてしまったらいいということになるのでありますが、そんなことをしないでも私はやれると思う。よく計算してみたならばそんなふうな計算が出るのですが、実際にあなた方はやってみたことはないのです。いまのすべての新幹線計画、あるいは電化、複線化というもの、そうしてこれからの合理化を含めたもので、この計算になります、十年後にはこういうふうに立ち直れるのです、だからそれまではこれだけのめんどうを見てください、それから後はこういうふうに払っていきます、十年たったらここまで払いますというようなことの数字が出なければならぬのです。その作業は一つも進めていない。運輸省と国鉄と両方でその作業をひとつ早急に進めてみてください。そうしなければ、ここで小委員会を開いてああでもない、こうでもないという議論をしてみたところで、できないような相談をやってみたところで何にもなりはしません。大蔵省というところは、一たん金を借りても払えるのなら金を出します。それでなければ、大蔵省はなかなか金を出すところではございません。大蔵省が出せるような説明のできる案をつくらなければならぬと思うのです。  私は、これについてきょうはこれ以上のことを——まだいろいろ言いたいこともありますが、私一人がしゃべったのではいけませんが、いまの海運再建策と同じように、今度再建策をやるのでありますから、四十六年度末の赤字の推定額の八千二百一億というこれを元利金たな上げをする、これから先の新しくやるものについては、五分なら五分でもけっこうでしょう、あるいは五分では黒字に転換ができないから三分五厘にしろというなら、それは三分五厘にしてもいいわけですが、それ以上のものは利子補給をする、そうしてやっていったならば、十年間たったそこから黒字が出るのだ、その後にこれを払っていくのだ、それは何年計画で払えるのだという、この計算はできなければならぬのです。その計算をしてみてこうなりますというのを、これは一週間要りますか十日要りますか、それくらいで大体の見通しがつくと思いますので、その作業を進めて、ここへ資料として提出をしていただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を打ち切ります。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 關谷先生のおっしゃることは、私よくわかるのです。御承知のように、いまの経営上の累積赤字償却費を食ったかっこうになっておりますので、借金になっていないわけでございます。いまの六千億なり八千億という累積赤字は帳簿上赤字として計算が出ておりまして、その赤字は借金で埋めていないのでございます。借金になっておりますのは、二兆何千億と申しますいわゆる建設費と申しますか、工事費の借金、これが借金として残る。そしてその利子を払っておるわけでございますが、経営上の累積赤字は、ちょっと民間会社と違いまして、その赤字を借りて利子を払っているというかっこうになっていないわけでございまして、赤字のままでたれ流しにしておるかっこうになっておるわけでございます。ということは、償却費を食っておるかっこうになっております。したがって、現実に現在の利子のたな上げ、元本のたな上げをいたしましても、いまの累積赤字には全然影響がないわけでございます。その点、ちょっと普通の会社との経理のやり方の相違だと思います。  それから、私、海運再建の数字その他よく存じませんが、海運の場合の一番大きな問題は、古い、能率の悪い船をどんどんスクラップ化した、そして新しい船を建造したという意味で、先生方がなされましたあの再建計画実施後の、いわゆる赤字の出る面というのはうんと減ってきたわけです。たまたま海運市況の好況等もあったと思いますが、赤字がうんと減ってきたわけです。ところが、うちの地方の、下の半分というのは、赤字が減る見込みがないわけでございます。ただ、あるとすれば、新幹線その他の上半分でうんともうけて、この赤字にこちらをつぎ込むということになるわけですが、実はその計算は十年先まで出ております。それでもやっていけないというのが下の半分でございます。ちょうど全体の中の半分が赤字線区、いわゆる地方交通線でございますが、これから出てくる赤字を上から出てくる黒字でもってカバーすることは、十年後には、国鉄全体から見ますとまだ不可能なことです。それができますれば私どもといたしましてもあれですけれども、十年後に、そういうことをいたしましても、償却後約六千億くらいの赤字償却前で三千億くらいの赤字、その際の利子が四千八百億ございますので、その利子を全部たな上げいたしましても、まだ実はその時点で千四百億くらいの赤字になる、こういう五十三年度の計算までやっております。これは一定限度の人員の減その他ベースアップを全部検討いたしましてやった数字でございますが、もう一ぺんこれは詳しく御説明させていただきたいと思いますが、非常に下半分のウエートが重いということでございます。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 まことに融通のきかぬ御答弁ですね。これは償却費を償却してないので償却費を食っておるのだ、こういうことですから、償却を普通にしたことにすれば八千二百億という赤字が出てくることは間違いないのでしょう。そうすると、償却をしたことにして計算に出た八千二百倍の元利金をたな上げしてやっていくというとよいはずでしょう。これはもう一度考えてみたらどうです。償却してないからこれは実際の赤字にはなっていないのだと言いますけれども、この償却をしておったならば、いま借金して総額がこれだけ、すなわち八千二百億だけ減ってくるというふうなことになるわけでしょう。ここでそんなそろばん勘定までせぬでもいいですけれども、実際にいまどれだけ、何兆円借金があるか知りませんけれども、その中から八千二百億、これだけをたな上げして、その残りがいまの成算借金ということになるわけなんですが、それでやってみてどうなるか。それででき上がったもので、その収入で赤字の分もカバーして、それでもできないということはないはずなんですが、もしできないならできないという資料をひとつ出していただきたいと思います。これから進めますのに、そういうふうな方向で進めないことには、これはどうにも動きがとれないことになりますからね。だからそのつもりで、八千二百億をたな上げして、そして全借金からこれだけ引いたものでやった場合にどうなるかというようなその試算も計算をして、資料を出していただきたいと思います。
  26. 加藤六月

    加藤(六)小委員長代理 内藤良平君。
  27. 内藤良平

    ○内藤小委員 鉄監局長、この前要求した資料はこれですね。資本の関係
  28. 山口真弘

    山口(真)政府委員 はい。
  29. 内藤良平

    ○内藤小委員 私は最も単純化して考えますと、国鉄は大きいのだけれども小さく圧縮して考えますと、どれだけのいま資本金があって、どれだけ商売やって、どれだけ借金があるか、こんなようなぐあいに考えていってみたほうがわかりやすいのじゃないかと思ったんです。一般の国民も、東京周辺などは、これだけこんでおって国鉄赤字云々ということはふに落ちないというぐあいになるわけですし、地方へ行きましても、盲腸線のように行きどまりの線ならあれだけれども幹線のようなところは決してサービスのいい輸送を受けているわけでもないし、運賃また安いわけでもないし、いろいろ国民の群盲撫象のような感じがあるわけですけれども、私の言いたいのは、いまの国鉄の、これは大ざっぱな私のあれですから多少の違いはあっても、国鉄は資本金は百億程度、それから四十六年度の予算は一兆二千億円程度、それから借金は二兆円程度、こういうぐあいに大ざっぱに私、考えているんです。それはあまり違いないでしょう、端数は切って。百億程度の資本金で、年間の事業予算が一兆二千億、借金が二兆円くらい、単純化してですよ。これをぼくらの一般社会人の事業的なものに比較してみますと、資本金がばかに少なくて、借金が多くて、支払い利息だけでも二兆円の場合で年六分の場合は一千二百億円です。こういう企業というのはあまりないんだろうと思います。  そこで、戦後二十六年になりましたが、ぼくもしろうとの部類ですけれども、インフレーションその他の問題等ありまして、資産の再評価等もやったり、経済事情に合わせてそれぞれの今日の企業体、会社は資本金というものをそのつど是正して増資をして、そうして企業の規模にふさわしい状態、日本の企業は借金が多いということがいわれておりますけれども、それなりに適正な資本金というものを充当して、その見合った仕事をやっておる、これが常道だと思うのです。それから見ると、どうも国鉄の場合は、いま申し上げたような資本なり事業なり借金なりの状態なんですね。だから、かりに自己資金、資本金が経済事情に応じて、あるいは事業に応じてそのつど増資をされておった場合には、素朴な考えでいきますと、二兆円の借金に対する利息だけでも払わなくてもいいような状態が今日なくちゃならぬじゃないか。そういうのが、独立採算制という面が非常に前面に出ており、公共企業体だけれども、独立採算ということをいわれておりながら、いま申し上げたような状態はまことに不可解なことじゃないか。  それで国鉄の場合は、一般会社と同じように経済事情に合わして、事業量に合わして、あるいは社会的な要望に応じて、施設をする際、いわゆる一般的な増資をしなくちゃならぬわけでしょう。それは国鉄の場合は増資をすべき株主は国ですね。それにかわるべきものは大蔵省といいますか、そっちのほうは、増資という見方から見ますと、いままで二十六年の間に、適正に国鉄の事業に合わして、あるいは社会の要望に応ずる施設に合わして増資を順当に行なってきておるものかどうか。私はこの点は非常に欠陥と言いたいんです。それに対する答弁は、それにかわるべき財投がある、そういうことでしょうけれども、財投はやはり利息を払っているわけです。無利子じゃありませんからね。だから、こういう企業、公共企業体にはなったわけだが、独立採算という面は非常に強く出されたわけです。  私はこの例を申し上げますと、例の三十年ころに地方財政が非常に圧迫されまして、悪くなりまして、それを援助するために国でも助成した。国鉄、当時は黒字でありましたために、国鉄はいわゆる独立採算制、一般の企業、営利を追求する企業と同じだ、だから固定資産税にかわるべきものをこの際出すべきだ、そこで地方公共団体に対して納付金というものが法制化された。あの当時などは明らかにもう独算という考え方が前面に出まして、言いかえると、一般の営利会社のようなことであの法律が論じられて、そうして法律ができた。だから、当時から政府部内にはそういう思想で今日まできておるのじゃないかと思うのです。すると、今度逆に増資の問題はどうした。増資問題はほとんど関係者も触れておらない。こういう点を見てまいりますと、何か非常に矛盾した資本構成といいますか、そういう実情のままに放置されてきておる。  だから、これについて鉄監局長、二十何年前の責任者じゃないのですけれども政府部内の統一見解のようなものはあるのですか。ぼくのような素朴な疑問に対して、それはこういう見解でこうきたのだ、だからこうなったのだということが、もしありましたらひとつ示していただきたい。
  30. 山口真弘

    山口(真)政府委員 まず、先ほど先生おっしゃいました国鉄の財政の内容を、ごく大ざっぱな点でございますが、収入が年間大体一兆、それから資本金が約百億、それから長期負債が約二兆ということでございますが、大体収入と長期負債はそのとおりでございます。ただ、資本につきましては、自己資本といたしましては約八千億でございます。おおむね百億、これは八十九億でございますが、これはいわゆる狭義の資本金でございます。狭義の資本金以外の自己資本といたしまして、資本積み立て金がかなりございます。八千億ぐらいあるわけでございますが、これは資産再評価等によりますところの国鉄自体の内部的な留保でございます。それで通常の会社の場合には資産再評価法等がございまして、この資産再評価の資本金への繰り入れ等がございまして、そういうことで資本構成を是正し、その他の一般的な増資と比べて資本金がふえておるということでございます。そういう意味で自己資本という点で見ますと、ただいまお配りしております表の一番右のところをごらんになっていただきますと、日本国有鉄道の総資本に対する自己資本の比率というのは二四%ということでございまして、その場合に大手十四社の平均は一五%ということでございます。したがって自己資本という点から見ますと、資本構成はまだ国鉄のほうがいいということは言えるわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、国としての出資金というものが、日本国有鉄道創設当時の出資金のほかに二回程度の若干の増資があっただけでございまして、そういう意味の国の出資の機会がなかったということについて、それは適当ではないのではないかという点につきましては、これは今後やはり国の出資をふやしていくという必要はあろうかと思います
  31. 内藤良平

    ○内藤小委員 ちょっと愚問かもしれませんが、八千億の自己資金というのはどういうのですか。もう少し詳しく……。
  32. 山口真弘

    山口(真)政府委員 現在の貸借対照表におきましては、資産の合計が三兆三千億ございます。そしてそれに対しまして負債の合計が、先ほどの長期負債等含めまして二兆五千億ございます。その差額が資本でございます。その資本が八千億でございまして、その中身が、ただいま先生御指摘の資本金が八十九億ございまして、その残余の約八千億くらいのもの、再評価積み立て金等から繰り越し欠損金を差し引いたものが約八千億くらいあるわけでございまして、これは自己資本ということになるわけでございます。
  33. 内藤良平

    ○内藤小委員 これは局長、実際は八十九億が本物の金で、八千億は帳簿上のただ数字だけじゃないですか。そういうぐあいに理解しているのですが、違いますか。
  34. 山口真弘

    山口(真)政府委員 八千億のおもな内容は再評価積み立て金でございますから、したがいまして、再評価積み立てで評価がえを土地、建物等についてやっておるわけでございます。それで、その評価がえの額を中心としたものが八千億でございます。
  35. 内藤良平

    ○内藤小委員 そこでぼくが疑問に感ずるのは、それは結局、土地とか不動産とかいろいろな、動産もあるかもしれませんが、そういうものを再評価したものですね。これは会社の経理でもあるわけですけれども、八千億といっても、これは実際には、売ってみた場合に初めてこういう金が出るかもしれぬけれども、売らなければ、これは計数的なものだけであって、国鉄の今日動いておる中においては、何も意味のない金じゃないかと思うわけだ。だから、こういうものを引き合いにして、国鉄が相当、八千億も金があるようなぐあいの印象でもし政府の皆さんがおるとするならば、私はこれはたいへんなことになるのではないかと思うわけです。実際は八十何億の自己資金、いわゆる出資金でしょう。だから二兆円の借金をせざるを得ないわけです。だから六分にしても千二百億円の利子を無条件で払わざるを得ない。先ほど關谷先生お話を承っておっても、ぼくたちも同じように感ずるわけですけれども、元金と利息をたな上げすることも、これはあらゆる一般会社の再建の場合には出てくる方策ですね。だけれども、いまもし二兆円の出資金があって、これは自己資金で、自分の金で利息を払わなくてよかったのなら、それだけでもう千二百億円の赤字はなくなるわけだ、単純に考えまして。二十何年間これだけの施設をして国民の皆さんの負託にこたえておって、それで労働金庫からも金を借りているというぐあいにぼくは聞いておるわけです、真偽はわかりませんけれども。あらゆるところから金を借りて全部利息がついておるわけでしょう。そして施設をしてここまで来ている。もう二十何年になる。その間に単なる帳面上の八千億というものがあるということだけで、一千何百億円の利息を払わしておるというこのやり方、これは一般の会社の場合だったら、こういう会社なら重役になる方はおらぬじゃないですか、こういうことだからやってくれと言われても。  だから、国鉄の財政を私なりに見ますと、何かとんでもないものを引き受けさせておる。余談になりますけれども、それが幹部なり全従業員にしわ寄せだけしてきておって、肝心のほうはさっぱりで、財政問題につきましては進まない。だから、いま私が話しておるようなことをやって、それから關谷先生お話もあるように、古いものにいろいろ手当てをする。まだ矛盾点がありますよ。たとえば納付金の問題でもあるいは赤字路線を増加せしめる出資金の問題でも、こういう、いわゆる経営者から見ると妙なものがたくさんくっついておりますけれども、こういうものも整理して、いまの出資金の問題も整理して、その上で国鉄の今日のいわゆるシェアですね。民鉄なり航空なり海運がどんどん進んできたために、国鉄の独占がなくなってきておる。そこで、国鉄の持っておる範囲内でどれだけの仕事ができ、どれだけの収益があがるか、そこでどういう規模の経費でやっていくか、剰余が出ればこれは償還していくか、やはりそういう単純な考え方になると思うのです。  だから、私はこの表もいただきましたが、もっとこの小委員会でざっくばらんにいろいろお話しするとするならば、ぼくらも運輸に出まして何年かになりますが、国鉄の財政関係、予算関係の帳票をいただきますけれども、あれは一般の株式会社のような帳票に移しかへてやってみて、そして議論してみたいと思うのですね。あの国鉄から出てくるものも何かわかりにくい帳票なんですね。だから一般の会社の、新聞に出るような貸借対照表、これは損益表は出ていないようだけれども、損金問題も出して、そういうぐあいにやってみて、そして議論させていただければ、われわれももっとわかりやすいと思うのでございます。その点いかがですか。
  36. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ただいま申し上げました点は、資本構成という点につきまして、二四%というものが自己資本比率であるということを申し上げたわけでございまして、そのこと自体が国鉄の経営が健全であるということではございません。これはそういう資本構成という面だけから見たところの一つの指標であるというだけのことであります。  それで、ただいま申しました再評価積み立て金等が具体的にはどういう形になっておるかというと、それは固定資産の価格ということで表現をされているわけでございまして、問題は、そういう固定資産その他の資産を運用いたしまして、国鉄がどういう損益状況になるか、どういう経営をなし得るかというところにあるわけでございまして、それが総資本に対しましてのいわば利益といいますか、そういう形で、総資本に対する収益率という形であらわれてくるわけでございます。この表でごらんになっていただきますように、総資本に対する収益率が赤字でございます。つまり、三兆三千億の資産を持ち、そしてさらに八千億の資本を持っているところの事業の収益が、三角であるというところに問題があるわけでございます。  したがって、そういう問題をどうするかということにつきましては、いろいろと考え方があるわけでございます。一つは、先生御指摘のように借り入れ金の利子を安くする、あるいはもっとまけるというようなこともありますし、その他収益の増というようなことも考えなければならない、あるいは資本構成をさらに実際上の政府からの出資金をふやすということによりまして、利子の減少ということを実際上もたらすというようなことも、当然の一つ考え方であろうかと思うわけでございます。
  37. 内藤良平

    ○内藤小委員 きょうは、あまり時間も長くやれないということだし、あなたとここでいろいろやりとりしたくはないのだけれども、収益率だって、これも割引しているのでしょう。よほどになるのではないですか。やりたくないけれども、原価を割って割引しておるわけだ。最近は一千億ぐらいになるのではないですか。商売でこんな商売はないでしょう。だから、割引しなかったらもっと収益率はよくなるかもしれない。だから、これは商売としてみると、私は成り立つ商売だと思うけれども、どうもあちこちから割引せよとか、あるいはやったってもうからない線をつくって、さあ、おまえこれを引き受けろとか、何かめちゃくちゃなんだな。これを引き受ける総裁総裁なんだよ、ほんとうは。私はそう思いますよ。現に地方交通なんかでは、——高知県交通なんかは、株主総会を開いても重役のなり手がいないのだから。国鉄総裁は、佐藤さんから任命されたからやむなくやっていると思うけれども、株主総会をやっても、高知県交通じゃもう重役のなり手がいないのですよ。  だから、これ以上山口さんと話し合いしたって、これはなかなからちあかないですけれども、私、率直にもう一ぺん、この資産の関係を含めてといいますか、もっとわかりやすく、一般の株式会社が新聞に出すでしょう、あのような貸借対照表あるいは損益計算書ですね。いまの国鉄の帳票はちょっとわかりにくいです。あれはできないわけないでしょう。そういう作業をやってみて、それをひとつ見せてくれませんか。一般の株式会社のようにやった場合に、一体どのようなあれが出るか、これは資料要求をして、きょうはこれで終わります。
  38. 山口真弘

    山口(真)政府委員 国鉄の予算なり損益計算が非常にわかりにくいというのは、一つは、国会に提出をいたしまする収入、支出予算の形が、国の予算の一部として考えられておりまするために、そのほうに引っぱられた姿で、そういう形の収入、支出予算が出ていて、それが非常にその経営内容の把握というものを困難にしているということは、これはもう先生御指摘のとおりだと思います。  なお、国鉄の予算等につきましても、先生おっしゃいますような会社の損益計算書並びに貸借対照表等の考え方でのものも組んでおりまして、それによっての経理もしておりますので、したがいまして、先生御指摘のような姿のものを、この次に提出させていただきたいと思います。
  39. 加藤六月

    加藤(六)小委員長代理 松本忠助君。
  40. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 先般、鉄監局長から国鉄現状に対しまして御説明を聞いたわけでありますが、この最後のところに、国鉄パイプライン計画というのが載っております。いろいろこの問題に対しましては論議があったわけでございますが、通産省の諮問機関であるところの総合エネルギー調査会の算定によりますと、わが国の石油需要は、昭和五十年度には三億四千三百万キロリットル、こういうわけでありますから、現在の約二倍になると思います。六十年度には約四倍の約七億キロリットルに達するといわれているわけです。このふえ方、これは異常なものだと私も思うわけでございますが、何せ、石炭の使用というものは衰微する一方でございますし、原子力の利用というものもまだ実用段階に入っておりませんし、石油が燃料資源としてのトップの王座を占めることは当然だと思うわけでありますが、そういう点から、いまの見通しなどももっと上回る可能性があるんじゃなかろうかどいうふうにも思います。  そこで、釈迦に説法でありますけれども、原産地から巨大なタンカーで日本に陸揚げされたこの石油が、精製されそうして消費者の手に渡る、これまでの輸送については、いわゆる内航海運、それからタンク車によるところの列車の輸送、それからまた自動車のタンクローリーの輸送、こういった大体三本立てが普通の考えられる輸送の方法じゃないかと思うわけです。  ここで、内航海運についても将来問題があるとは思いますけれども、当面タンク車によるところの列車の輸送、あるいはタンクローリーによるところの陸上内陸輸送が問題だと思うわけです。中でも、タンクローリーのほうは、御承知と思いますが、道路輸送は、これはもうえらい渋滞に達しておる。しばしばそのための事故なども路上に発生しております。私ども、街頭でよく見かけるわけでありますけれども、満タンに積んだあのでっかいスタイルのタンクローリーが、交差点でちょうど赤信号になってしまった、今度青になってすぐスタートしようとしても、なかなか力が出ない。前進できない。あとに乗用車がつかえていて、その前のタンクローリーは非常に黒い煙を出してブーブーやるけれども、少しも進まないということで、渋滞を来たしている大きな原因になっていることもしばしば見受けるわけです。こういう危険物の道路輸送という点については、私も前に交通安全対策特別委員会質問いたしましたけれども、大いに将来都市交通の面から考えなければなるまいと思うわけです。それが、勢い全体的な輸送の効率を低下させている。そしてまた、危険度を増加させているということがいえると思うのです。  一方、国鉄が現在やっております列車によるところの輸送も、全く危険なしとはいえないと思うわけです。何年前でございましたか、新宿の駅構内でタンク車が火災を発生した事件もありました。現在山手線から中央線にかけて、このタンク車の運行が連日連夜行なわれていることを、私も国電の窓から見ております。   〔加藤(六)小委員長代理退席、内藤小委員長   代理着席〕 非常に危険だと思います。こういう状態を考えてみたときに、この陸上輸送は限界点じゃないか。特にいま製油所が密集しておるところの横浜、川崎方面からの関東内陸部に対するところの輸送というものに対しては、たいへんな問題点をかかえておるように思うわけです。  そこで、一つの例としてけっこうでありますけれども、横浜、川崎、こういった地帯から関東内陸部に列車によって輸送している石油類の総量、あるいはこれが五十年ごろまでにはどんなふうになるのか、見通し、それからもう一つ、これは鉄監局長としては自動車局長でないから、自動車輸送のほうの数量までわかっているかどうかわかりませんけれども、タンクローリーによるところの輸送の実態、こういうものを把握していらっしゃれば答えていただきたい。今後の輸送対策について、私たちはやはりパイプラインによるべきではないかというふうに思っているわけでございますが、このパイプラインの利点、こういうものについても応われわれも十分調べはしてありますけれども、また新しい面からもこういうものが洗い直されなければならないと思いますので、ひとつこの点について答えてみていただきたいわけであります。
  41. 山口真弘

    山口(真)政府委員 石油類の内陸輸送につきましては、先生御指摘のように、鉄道のタンク車による輸送、それからタンクローリーによる輸送があるわけでございます。それで、その中でごく近距離のところあるいは末端的な輸送につきましては、これはタンクローリーによらなければどうにもしようがないことでございますが、少なくとも油槽所等に対しまするものにつきまして、鉄道輸送が実際非常によけい行なわれております。   〔内藤小委員長代理退席、加藤(六)小委員長   代理着席〕  ただいま先生御指摘のように、関東内陸部のタンク車輸送ということを考えてみますと、現在ではほとんどが国鉄に依存をしております。関東内陸部に京浜地区から参ります、たとえば群馬県等に参りますのは約九九%、栃木県も同様に九九%、山梨県が八九%、長野県は九九%、埼玉県が五五%というように、もう大部分の内陸部におきまする油槽所に対しまする内陸輸送というものが、鉄道のタンク車によって行なわれておるというのが現状でございます。これは現在の道路事情から考えまして、タンクローリーで輸送するということは非常に困難なことであろうということは、この実績から見てもわかることだろうと思います。  それで国鉄では、こういう輸送を、現在では専用の列車を設けまして輸送をいたしておりますし、また一般の貨物列車の中に連結をいたしまして、そして輸送の確保をはかっておるという両方の道がございます。それで、ただ問題は、こういう国鉄輸送をいま九〇%ないし九十何%というようなものが利用しておりますが、この輸送経路は、高島線だとか鶴見線というようなところから、現在は品鶴線などを通りまして、おもに品鶴線を通りまして、あるいはそれから都市の山手の貨物線を通りまして、そしてさらに東北、高崎あるいは中央線というようなものを使って輸送をするというので、非常に都心部を通過する輸送であるとともに、非常に輸送が混雑をしているところの主要幹線を使った輸送であるということでございます。この線区は、非常にこのタンク車以外の輸送量自体も多いわけでございまして、これの輸送の隘路というものが非常に大きくなってまいったわけでございます。したがって、こういう線路容量の限界に達してまいりましたので、これはこのままほうっておきますと、もうどうにもならなくなるということになるわけでございます。  なお、現在関東内陸部に輸送しておりますところの石油輸送量は、四十四年度は二百五万八千トンでございます。ただいま先生、五十年とおっしゃいましたが、五十年の数字は実はございませんで、四十七年度の推定でございますが、四十七年度で三百四十三万三千トンということでございまして、現在の鉄道輸送力ではほとんどもうできないということでございます。  その具体的な一、二の線を申し上げますと、たとえば品鶴線では、現在の線路容量が百七十九本に四十七年度にはなるわけでございまして、それが二十一本ぐらいも不足してしまうということになりますから、もう今後鉄道でこれ以上の石油類を輸送することは、困難だということに相なるわけでございます。  そこで、こういう困難になった場合に、それではタンクローリーに戻してふえた分を輸送したらいいじゃないかということでございますが、これはまた非常に現在の道路混雑にかんがみまして、それを輸送することはまず不可能といっても間違いないんじゃないかと思うわけでございまして、そのためには、パイプライン輸送というような非常に技術的にすぐれた方策でこれを輸送して、鉄道輸送と一貫的な輸送をするということにいたすのが一番いい方法であろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  42. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 いろいろお話がありましたが、とにかくパイプラインの輸送の利点というものは、われわれがざっと考えてみただけでも、要するに安定供給ができる。これは道路線路のいろいろの障害がないわけでありますから、安定供給ができることは当然な話であります。また比較的安全だということも、これはいえると思うわけですね。地震のようなものがあればこれはまた別かもしれませんけれども、激増している陸上の交通事故、こういうものにあうおそれはまずないということがいえるわけですから、比較的安全ということもいえると思いますが、その輸送のコスト、これはまた安くなるということをいわれておりますが、どの程度まで安くなるものか、具体的な数字を私も承知しておりませんので、簡単でけっこうでありますが、これをお知らせ願いたいと思うわけです。  いずれにしても心配になるのは、この輸送コストの面と、もう一つ安全かどうかという点であります。アメリカあたりでも、三十五万五千七百キロというようなパイプライン網があるということを聞いておりますが、この間のロサンゼルスの地震のときに、一体向こうのパイプラインがどんな影響を受けたのか、事故があったのかなかったのか、こういう点などもお知らせいただければけっこうだと思います。  それから問題は、電車区間における電食の問題というのがいわれております。こういう問題に対しても、これを防止する方法が確実にあるのかどうか。いわゆる安全上の問題について確信があるのかないのか。  この点、つまり輸送コストの面が他の面と比べて安いということがいわれているが、どの程度まで安いのか。それからもう一点、安全上のいろいろな疑点、これに対する明確な答えをひとつ伺いたい。
  43. 山口真弘

    山口(真)政府委員 輸送コストでございますが、パイプラインは連続的な輸送ができる施設でございますし、しかも人件費が非常に安くなる、人があまりかからないというようなこともございまして、私ども少なくとも、ごく大ざっぱでございますが、二割以上の輸送コストの減少になるというふうに考えております。  それから安全の問題でございますが、これはやはりパイプライン問題では一番の大きな問題であろうと思います。そこで、この安全につきましては、国鉄のほうといたしましてはかねてからこれを研究いたしておりまして、欧州、アメリカ等にも調査団を派遣したりして研究をいたしておるわけでございますが、先般この安全問題につきましては、技術者の方々のお知恵をもう一ぺん拝借する必要があるということで、土木学会に研究を委託いたしまして、土木学会では非常に御熱心な研究をしていただきまして、それに対する安全に関する答えを出していただきました。その中身というのは、非常に各般にわたっておるわけでございます。  まず第一に、パイプライン自体の安全といいますか、たとえば導管の材質、構造はどうしたらよいかとか、あるいは導管の接続方法はどうしたらよいか、あるいは導管の敷設の方法だとか、あるいは導管の運転設備に関する事項だとか、そういうふうにパイプライン自体に対する施設上の安全というもの並びに運行上の安全というものを、第一に問題といたしましていろいろと検討をいたしていただいております。  それから第二に、パイプラインと他の機関との接触の問題としての安全問題でございまして、その最も大きな問題は、鉄道線路下に敷設をするということになりますと、当然鉄道輸送との関係ということでございまして、鉄道の列車の振動あるいは動揺というようなものによりまして、パイプラインが危険にさらされるというようなことがないかどうか、あるいはパイプラインのほうからの鉄道に対する危険というものがないかどうかという面がございます。これにつきましても十分検討はいたしていただいております。  それから、さらに電食でございますが、電食の問題といいますのは、実は日本では鉄道の電食というのが最も従来から大きな電食でございます。と申しますのは、あれほどの大きな電流を使って広い範囲に電食を起こすような施設というのはほかになかったわけでございますから、したがいまして、国鉄はこの面は非常に古くから検討をいたしております。ただ、これにつきましても土木学会が検討をいたしております。それで電食の場合に問題は、やはり保守との関係がございまして、その保守につきまして、鉄道の場合には鉄道だけが自分の力で保守をすることができます。したがいまして、またそこの通行の規制等もできるわけでございます。ところが、一般の道路等につきましては第三者の車が通るということもございますし、場合によっては第三者がいろいろな工事をするということもございまして、非常に問題があるわけでございますが、そういった面の電食防止の検討というのをいたしております。  それで、そこいらの各般の問題を全部検討いたしまして、土木学会としては、これはもう国鉄がパイプラインを敷設する場合には、こういう基準でやればだいじょうぶであるという意味の御答申をいただきまして、今後国鉄が敷設するとすれば、そういう形で安全を期していくことができるというふうに考えております。  ただ、これをやります場合に、国鉄だけの安全という面では、私どもやはり不十分だと実は考えておるわけでありまして、政府の目から見てもこれは安全だというふうにしたいということで、国鉄がこれを行ないます場合には、政府としても何らかの基準をつくりまして、その基準に沿った敷設あるいは運転というものをやってもらおうということで、実は同じ土木学会に、監督をする運輸省の目から見て安全上の配慮はどのようにしたらよいかというのをいま諮問をいたしまして、その検討をお願いをしておるという段階であります。いずれにいたしましても、私どもパイプラインの鉄道線路上の安全性というものは非常な研究をいたしておりますので、間違いなくやることができると考えております。  なお、ロサンゼルスでございますが、ロサンゼルスにおきましても、パイプラインにつきましては、何ら異状が生じなかったというふうに聞いております。
  44. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 いろいろ局長の説明によりますと、総括的に結論づけてみると、いわゆる安定供給、それからまた安全輸送、この面もだいじょうぶだ。輸送費の面についても低廉である。基本的な考え方は、いずれもパイプラインというものが、国民経済的に考えても非常にプラスになるというふうに考えられます。どうしてもこれは早期に実現すべきであると私ども考えるわけでございます。  そこで伺いたいことは、四十四年九月でございましたか、この問題に対しまして閣議決定がなされていると思うわけであります。国鉄の財政再建に関する基本方針、この中に、国鉄はパイプラインをやるべきだということの閣議決定がなされているわけですね。その閣議決定は一体どのようになってしまったのか、この点を私、非常に疑問に思っているわけでございます。国鉄といたしましても、四十六年度の予算の中には工事費が四十億でしたか、組んであるわけですね。これらの点から考えても、すみやかに着工すべきではないか、着手すべきではないか。いろいろお伺いしてみますと、四十七年に関東内陸部のほうは輸送がパンクしてしまうということが、局長のお話でもわかったわけでございます。そうならば、時間的にも一年ないし一年半この工事にかかるということから考えても、当然早い時点においてこれに踏み切らなかったならば、四十七年の秋の時点になったらどういうことになるか、これを考えてみますときに、やはりすみやかにこの着工をすべきではないかと私は思うわけです。そこで、国鉄当局から工事の認可申請が提出されたときに、運輸省としては一体どう考えているのか。  その前に総裁にも、きょうおいでになりますので聞いてみたいのは、国鉄のほうでは用意ができているのか。工事の認可申請をする書類上の用意といいますか、部内の協議といいますか、そういうものは一切済んでいて、いつでも出せることになっておるのかどうか。その辺のところと、あわせて、国鉄からそういう工事認可の申請が出た場合に、当局としてはどのようにお考えになるのか、この点をひとつ御両所から伺っておきたい。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、国鉄のパイプラインの問題はすでに閣議決定を経ておりますので、私ども実は一昨年の秋ごろから、通産省並びに関係業界と実施方についていろいろ打ち合わせをいたしております。実に数十回にわたって関係の係官、あるいは関係者と話をしてまいりました。昨年の六月末まで大体一応の見通しがつきまして、いよいよ部内にもパイプライン部をつくりまして建設を始めようとしたときに、突如として話が切れまして、それが今日まで至っておるわけでございます。過般の予算委員会その他でも御質問がございましたが、したがって私どもといたしましては、いつでも工事認可の申請ができるように全部準備はできております。  ただ問題は、鉄道線路敷に敷設しますいわゆるパイプラインの幹線と、それから幹線まで油を集める集油ラインと申しますか、ギャザリングのライン、この二つが問題でございます。幹線のほうは問題なくやれる準備ができております。ギャザリングのほうは昨年の六月までの時点では、国鉄と業界とで共同出資した会社をつくって、そして各製油所からポンプステーションまではその会社のものにしようというふうな話ができておりましたが、ギャザリングについては、まだ具体的な形の話は進んでおりませんが、万が一その共同経営ができなければ、私のほうは、直接現在タンク車が行っております製油所までパイプラインを持っていって、そこから専用線の下を使ってギャザーをしようかということまで考えております。それの計画はまだ具体的には青写真書いておりませんが、幹線筋につきましては全部準備ができております。いつでも認可申請ができるようになっております。
  46. 山口真弘

    山口(真)政府委員 先ほど申し上げましたように、関東内陸部に対します石油輸送でございますが、これはもう現在の鉄道輸送力が限度になっておりますので、ほうっておくわけにはいきません。ほうっておきますとたいへんなことになりますし、石油輸送だけでなくて、その他の一般の旅客貨物輸送というものにも非常に大きな悪影響を与えますので、私どもほうっておくわけにはいきませんので、申請がございましたならばできるだけ早く処理をしたい、そのように考えております。
  47. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 要するに、国鉄から工事認可申請があれば、当局としてはすみやかにやりたい、こういうわけですね。国鉄総裁のほうは、もう準備は一部のものを除いてはできている、こういうことでありますので、なるべく早く、この問題は閣議決定もされていることでございますし、すみやかに実施されるようにお願いをいたしたいと私は思います。  そこで局長、確認の意味ですが、いまの局長のお答えですね、これは運輸大臣も同一のお考えであると理解してよろしゅうございますか。
  48. 山口真弘

    山口(真)政府委員 同一の考えでございます。
  49. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 わかりました。  それではもう一点だけでありますが、それは局長に伺います。大手私鉄が五月の十四日、十八日と二日間にわたって二十四時間ストをやったわけですね。こうなりますと、当然定期券を持って通勤をするという方は、通勤のためにやっている通常の方法がとられませんので、どうしてもこれは他の方法によらなければならない。近いところなら歩いても行けますけれども、そういうわけにはいきませんので、タクシーを使うとか国鉄へ振りかえて乗るとか、いろいろ方法をとられているわけですね。また、そのために特にホテルに泊まり込むとか会社に泊まり込むとか、こういう状態が新聞で報道されておりまして、私、承知しておるわけです。よけいな費用を全部自分で自腹を切っているわけです。そこで二十一日も三波のストが予定されているということを聞くが、いままで二十四時間ストということはあまりなかったんですが、とにかく一日乗ろうという意思があっても乗れない、動いておらぬのですから乗れないということになる。それがもうすでに十四日、十八日、あるいは二十一日も行なわれることになると思う。七十二時間という、いまだかつて考えられないような事態が発生するわけです。  そこで私、こう思うのですが、一人にすればわずかかもしれませんけれども、一日とにかく乗れない日がもうすでに十四日、十八日とあるわけです。一日何十円の計算になるかわかりませんけれども、この日割りの計算してもらって、そうして遠回りの国電とかタクシーとかホテルとか、これは埋め合わせなんかとうていできないわけです。しかし、できないけれども、乗客の感情としては、乗らないんだから戻してもらいたいということは、感情としては当然あると思うんですね。  けさも常磐線の視察に参りまして、国電の中で私、聞くとはなしに聞いておりますと、そういうことを話していらっしゃる乗客があります。当然ストで乗れないんだから、この分は戻してもらうのがあたりまえだということですね。そういうことになって、この乗客が一斉に各私鉄の払い戻しの窓口に殺到したとしたら、これはどういうことになるだろうかということですね。私鉄各社でどれくらいあるか、正式な数字は私も存じませんけれども、かりに百万人が乗りおりするとして、一日往復ですけれども三十円程度の払い戻しがあると考えれば、百万人が三十円になれば三千万ですよ。二日ですでに六千万の払い戻しを各社でしなければならないことになると思うんですね。これは当然払い戻すべきじゃないかと私は思うんですけれども、こういうものが一度に窓口に押しかけてきたということになったら、これはたいへんな問題になると思うんです。治安の問題としてもゆるがせにできない問題だと私は思います。  そこで、いずれにしても定期券を続いて買って通勤している方々なんですから、当然書きかえる機会がめぐり回ってくるわけですね。ですからその場合に、ストの期間、要するにここで十四日と十八日にあったわけですから、この期間を延長するということを、事前に張り出すなり何なりしてお客さんの御理解を得る、了解を得るということにしなかったならば、これはえらい問題に発展してくると思うのです。一度にこれだけの人がわっと、いやがらせということはないと思いますけれども、損得を度外視して、一日わずか一二十円でも二日で六十円、これは払い戻してもらうんだということで窓口に押しかけてきたら、たいへんな問題になると思うのですね。こういう点を考えますと、事前にこういう問題は私鉄に対して鉄監局長から、払い戻しをしなさいあるいは期間の延長をしなさい、こういった指示を与えてやるべきではないかと私は思うのですが、この点についてどのようにお考えになるか。
  50. 山口真弘

    山口(真)政府委員 私鉄の争議がまだ解決をいたしません。まことに遺憾でございます。すでに十四日並びに十八日のストライキが打たれました。中労委のあっせんに持ち込んだのでございますが、中労委自体もあっせんを打ち切るというような段階でございまして、まだ解決をされておりません。利用者の方々に対しましても非常に御迷惑をかけておるわけでございます。まことに残念なことに存じます。  ただいま先生の御指摘の、争議の場合の通用期間の延長の問題でございますが、まことに適切な御指示であると私も存じます。実は争議の問題は、争議行為が起こった場合に、それによったところの損害賠償というものをどうしたらよいか、争議行為によって受けた第三者の損害というものをどのように補償すべきがよいのかというようなことは、ある意味では労働法的にも大問題であるわけでございまして、それに対する確固たる確定したやり方というのは、実はまだないわけでございます。ただ、先生御指摘のように、それによりまして利用者の方々に非常に御迷惑をかけておるということもございますので、あるいは会社といたしまして払い戻しをするとか、あるいは通用期間の延長とか、従来もいろいろやっておる例がございます。何らかの形で通用期間の延長というような姿で問題を解決するならば、利用者の御納得、御理解というものも得ることができるというふうに思いますので、私ども先生の御指摘の点も十分に体しまして、関係の会社等につきまして適切な指導をしてまいりたいと思います。
  51. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 私は重ねて申し上げますけれども、とにかく千代田線の問題にしてみても、事前のPRが悪かったということは、これはもうはっきりしているわけですね。やはりこういう問題は先手を打って、皆さん方も払い戻しができるのだからどうぞおいでくださいといえば、そう押しかけもしないと思うのです。あるいは期間の延長ができますから、今度定期を書きかえるときにこうしてくださいということが、会社としてもまた従業員としても、お客さんに対する当然のサービスじゃなかろうかと私は思うのです。当然のことじゃないか。そういう点から考えまして、これはやはり事前にこういたしますというふうにすべきじゃないかと思うのです。確定的な意見がきまっていないとか、そういうことよりもやはり、これは二日間でもとにかく乗れなかったことは事実なんですから、そのためによけいな費用をかけていることも事実なんですから、これは事前にあらかじめこのストが何日で解決するかわかりませんけれども、早い時期においてこういうものの統一見解を発表して、そしてこれに対して、御迷惑をかけました、このようにいたします、こういうことをいうのが、国民の皆さんに対する公共機関としての責務じゃないかと私は思うのです。  こういう点をやらないで、おれたちがストをやっているのはかってだといわぬばかりの態度では、大衆の皆さん方から、私鉄の労働者の諸君はついに見放されてしまう、応援する人がなくなってしまう、こういうことになるのではなかろうかと私は思うわけでございますので、ぜひともこの問題はすみやかに手を打っていただいて、発表していただくということがよろしいんじゃないかと思うわけです。この点をひとつ念を押しておきたいと思うわけです。  それから、総裁にお伺いしますが、十八日から二十日にかけての国鉄のストについてでございます。明日の状態などは、ストになりましたら最悪の事態になってたいへんなことになるだろうと思って、私も心配しておるわけでございますが、このストに対して総裁としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点お伺いしたいと思います。
  52. 磯崎叡

    磯崎説明員 申すまでもなく、国鉄は公労法によりましてストライキ行為は禁止されております。私どもといたしましては、先般来そういう違法行為をすることのないようにということを、十分に末端まで浸透さしております。  しかし、いままでの例によりますと、相当なトラブルが起きておることは事実でございます。全力をあげて私どもの手による輸送の確保ということをいたしてまいりたいと思いますが、もちろん、一〇〇%の輸送の確保は非常にむずかしいと思います。しかし、それによって不測の災害等が起こらないように、あらゆる手段を講じまして輸送を円滑にするという努力をいたしますとともに、今晩から明日にかけましてのいろいろな事態に対しましては、きのうも委員会で御質問があったようでございますが、私どもといたしましても、極力平和裏に調停委員会でもって結論が出るようにということを期待しておる次第でございます。組合との間に、いろいろいままでのいきさつもございまして、端的にまだ土俵にのぼっていない問題もございますが、できるだけ早くそういう事態のくるようにということを祈っておる次第でございます。
  53. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 総裁の努力を多とするものでございますけれども、国民の足であるところの国鉄、これの動脈が切れるということはたいへんな問題になると思いますので、ぜひとも円満に解決をしていただいて、国民の皆さんに迷惑はかけないように、最大限の努力を払っていただくように特に切望しておきます。  なお、国鉄財政その他の問題につきましては、日をあらためましてまたお伺いすることにいたしまして、きょうはこれで終わることにいたします。
  54. 加藤六月

    加藤(六)小委員長代理 和田春生君。
  55. 和田春生

    ○和田(春)小委員 私のきょうの質問は、運輸省当局と国鉄一つずつです。国鉄財政その他の問題については、追って資料検討いたしまして、きょう一日で解決する問題ではございませんので、具体的にあらためてお聞きをいたしたいと思います。  実は、今国会の予算委員会の分科会で、私は運輸大臣と国鉄総裁質問をいたしました。それは大正年代につくられた鉄道敷設法という時代おくれの存在が、今日の国鉄の合理化に非常にいろいろ問題を引き起こしている、これを抜本的に改める意思はないかということをお尋ねしたわけであります。その際、国鉄総裁からは、きわめて明瞭に、国鉄の経営当局としてはこの問題をぜひ考え直してもらいたいという意思表示がございました。橋本運輸大臣も、こういう時代おくれの法律については、重要な問題であるから検討いたしたい、こういうことを答弁されたわけであります。大臣の口から、鉄道敷設法について、これを再検討するという言明があったわけですけれども、いかなる再検討をされておるか、鉄監局長にお伺いをしたいと思います。
  56. 山口真弘

    山口(真)政府委員 鉄道敷設法は、先生御存じのとおり、日本国有鉄道が将来敷設すべき予定鉄道線路は、別表に定めるところによるということを書いておりまして、これは予定鉄道線路を図示といいますか、それを具体的に書いたという性格を持っておるわけでございます。それで大臣が、先生御指摘のような答弁をいたしました。それで、私どもそれに対応いたしまして、いろいろと検討しておるわけでございます。  問題は、やはり先ほどから当委員会で御審議になっておられますように、国鉄地方線区というものの処置と直接の関係がございまして、地方交通線というものをどう処置するかということになりますと、先ほどお話がございましたように、道路輸送に転換すべき線区というものもある。そうであるとすれば、道路輸送に転換すべき線区と結びついたところの鉄道敷設法に基づく新線建設をどのように考えるかということになるわけでございまして、そういう意味で、全体の総合的な交通体系というものの中で、国鉄の将来の地方線並びにその地方線に関連する新線というものを、どう把握するかということに問題がくるわけでございまして、実は運輸省内部におきましても、そういう問題の取り上げ方をいたしまして、具体的な問題について検討しておる、こういうことでございます。
  57. 和田春生

    ○和田(春)小委員 鉄道敷設法のたてまえはよく知っておるので、講釈は要らないのです。大正の年代というと私が生まれたころなんですけれども、そういう古い時代にできた鉄道敷設法というものが現在存在しておるわけです。法律で新線敷設の根拠を与えているわけです。もちろん、個々にやるときにはそれぞれ審議会にかかるにいたしましても、法律で根拠をきめているわけですね。現実には、国鉄としてはこの路線は赤字線でもう廃止したい、こういう考え方を持っている、その先に鉄道敷設法によって新線を建設する予定が定められているというようなことがあって、いろいろちぐはぐが起こっているわけでしょう。きのう国鉄総裁から御説明を受けました幹線系線区地方交通線という中で、どういう考え方でやっていきたいかという一つの案がありました。これはいいか悪いか、これから審議することですよ。しかし、こういう案が出てくるという形になると、現在の鉄道敷設法そのものが全くナンセンスだということになるわけでしょう。そういう点をついて私は予算の分科会で質問したのですよ。再検討すると言ったから、どういう再検討を具体的にやっておるかということをお伺いしておるわけなんです。こういう問題がある、こういう問題がある、というのはわかっておるのです。そういう問題を解決するために、運輸省当局としてどういう検討を進めておりますか、くどいようですが、そのことをお尋ねしておるのです。
  58. 山口真弘

    山口(真)政府委員 具体的な各線区の問題につきましては、地方線区に関連いたしまして現実に調査等もいたしておりますが、基本的には、どういう基準線区の分類をしていったらよいか、そして分類をした線区につきまして、どういう手段をとってこれを維持するなり廃止するなりしたほうがよいのかという、いわば基準並びにそれの対策という問題につきまして、部内でいろいろと検討をしております。その検討は、先ほど国鉄から申し上げました検討とは必ずしも致しておりません。一致しておりませんが、そういうような問題もいろいろと検討いたしておりまして、それをきめました上で、国鉄の主張というものとのあわせまして問題を処理していく、こういうふうに考えております。
  59. 和田春生

    ○和田(春)小委員 これからの非常に変化の激しい状況、また陸運、空運、海運を含めた総合交通体系というものについて、革新的な対策を進めていかなくてはいけないと思うのです。そういう状態のなかで、あの鉄道敷設法が時代おくれということは、だれの目にも明らかだと思うのです。あんなものはないほうが、かえって自由な考え方でやれるわけでしょう。したがって、個々にこれがいいとか悪いとか言っておったら、それぞれ地元に有力な代議士さんなどもおりまして、利害がからんでむずかしかろうから、むしろこの鉄道敷設法はやめることにして、次の国会くらいに提案する、新しく線をつくる必要があれば、具体的な事実についてそのつど審議してきめるというふうにしたほうが、これからの対応策としてたいへんいいと思うのです。これも、大臣がおれば大臣に伺いたいと思っておったので、まことに残念なんですけれども鉄監局長、そういう考え方について御賛成じゃありませんか。
  60. 山口真弘

    山口(真)政府委員 鉄道敷設法は、先ほども講釈がましいことを申し上げて恐縮でございましたけれども、敷設すべき予定路線をきめているという、ある意味では線を引いただけの法律でございまして、それに基づいて具体的にどれをどういうふうにやっていくかということは、鉄道建設公団の整備計画並びに毎年度の予算できめていくわけでございます。そういう意味で、敷設法自体をいまやめても、それがどうということには直接にはならないのじゃないか。やはり問題は、現在やっております線区も含めまして、将来の新線建設というものをどういう位置づけをしていったらよいかということを、国としてもう一ぺん再検討をする必要があるというふうに私ども考えておるわけでございます。  そういう意味で敷設法の検討をし、総合交通体系の中において新線建設の占めるべき位置と、どういうものをやったらよいかという基準をはっきりさせていきたいというふうに考えております。
  61. 和田春生

    ○和田(春)小委員 これは押し問答しておってもしかたがない。鉄監局長はそういうふうに説明されますけれども、あんなものがあるから、もう赤字になることがわかり切っておっても、今後の国鉄のことを考えた場合にそういう新線は敷設すべきではないというようなものにまで、圧力がかかってくる根拠になっていると思うのですよ。それはもうあなたがよく御存じのとおりなんです。あんなものがなくなっちまえば、これは全くフリーな立場で、やはり総合的に国鉄の役割りというものを考えながら、どういうふうにしたらいいかということを検討していく上に私はプラスだと考えるわけです。鉄監局長としてここで、やめますとか、やめることをお約束いたしますなんということは言えないと思いますから、これ以上は追及いたしませんけれども、これは国鉄の再建問題にとって、私は基本的に大事な問題だと思うのです。法律できめているのですからね、しかも大正時代に。昭和生まれの人間が半分以上おるという現在ですよ。そういう点についてはやはりすっきりした形に持っていく必要があるということを申し上げておきまして、この問題はなお引き続いて、この小委員会等でも、具体的な問題を検討する際に取り上げたいと思います。  それでは引き続いて、国鉄総裁一つお伺いいたしたいのですけれども国鉄を再建するという場合に、国や地方自治体や国民の協力が必要なことは申すまでもないと思うのです。しかし、何といっても再建策を実施する主体は国鉄だと思います。それは国鉄の労使だと思うのです。こういう点につきましては、民間の企業等においても、昔は、労使関係というものは全面的に対立をする、こういうような対立感から、経営者側からいわせれば、労働者の代表に経営参加をさせるということは経営権の侵害で、とんでもない、あぶないからできるだけ締め出そうという。一方、組合の側からいわせると、うかつにそういうことで相談に乗ると組合が御用化する、労使が協議をするとか労使の協調ムードというものは、組合の戦闘性にとって支障があるから近寄るなというような考え方が非常に強かったのですが、特に最近の技術革新の時代におきましては、民間企業では、相当広い範囲にわたって労使協議制というものが行なわれております。それが進んだ場合には、かなり重要な経営権の中身に至るまで、労使の十分な協議のもとにその円満な実施をはかるという風習がだんだん広がっていると思うのです。  そういう点、国鉄の労使関係を見ますと、組合が三つあるので非常にむずかしいということはわかりますけれども、実際問題として、経営問題、近代化、合理化問題に対する労使協議の体制というものは、はなはだ未熟だと思うわけです。この点について、鉄道労働組合等は積極的な要求をしておりますが、法律等の関係もありますけれども、重要な問題になると、これは経営権に関係する問題である、管理に属する問題であるという形で、組合側がその中にタッチすることをなかなか許さないという姿勢が、当局側にもあると思うのです。これだけ重大な場面に直面をしている今日、当局側も、国鉄に対する管理運営の権限であるとか経営権であるとかいう古い労使関係の中で考えられた考え方を、むしろこの際捨て去って、積極的にオープンに組合側と近代化、合理化の問題、そういう経営上の問題等を討議していくという姿勢を示すべきであると思いますし、そういう機運をもっと積極的につくっていくという体制がなければ、せっかく国民の税金から補助をしても、労使の間がうまくいかないために大きなむだが出てくるということもあると思うのです。そういう点についての総裁のお考えと、今後に対処する決意というようなものにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
  62. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに、国鉄再建の基本は、何と申しましても国鉄自体にあるというふうに思います。国鉄自体の中でも、物理的な問題ではやはり人の問題が再建の基礎になるというふうに考えます。いわゆる労使協議制につきましても、たとえばドイツの国鉄では、労働代表が理事に入っているというふうな現状もございますし、いま先生のおっしゃったように、最近における民間企業の協議制につきましても、いろいろ勉強をいたしておるわけでございます。  御承知かと存じますが、私のほうでも、終戦後間もなく、一、二年後、たしか昭和二十二、三年ころだったと思います、いわゆる経営協議会というものをつくりましてやったことがございます。私もそのときに委員として出席しておりましたが、結局はそれが労使対決の場になってしまいまして、三回ほどやりまして、いずれも何ら結論なしに、ただ言いっぱなし、聞きっぱなしというふうなことで、一種の団体交渉の場になってしまったというのでやめたというふうな例がございます。その後いろいろ組合の考え方も変わってまいりましたし、また私のほうの考え方も変わってきておりますけれども、いま組合の中でもニュアンスがございまして、いわゆる労使対決の姿勢でもって持っていくのだという考え方と、あくまでも企業を繁栄させるのだという考え方、いろいろ考え方にニュアンスがあると思いますので、それらを十分検討いたしました上で、労使協議制というものを実行するようにいたしませんと、結局昔の対決の場、団体交渉の場ということに戻ってしまう可能性もございますので、諸外国の例また民間産業の例等も十分検討いたしまして、そして公式の席上でやる問題と、それからそういう公式な場に至らないまでも、せめて気持ちと申しますか、ことばだけでもお互いに理解し合うという程度の、労使協議という形式には多少はずれますけれども、実質的に話し合いをしていくという方法も、ステップとして考えるというふうなことで、極力、やはり四十数万という大衆でございますので、これらの力を結集いたしまして、再建の基礎にいたしたいという考えでございます。
  63. 和田春生

    ○和田(春)小委員 この点につきまして、私はやはりもっと当局側が積極的に取り組んで、むしろイニシアチブをとるくらいにしてもらいたいと思うのです。やはり古い観念の中には、経営権力の中に労働組合が介入をして、これは悪いことばでいえば、引っかき回そうというような考え方で経営参加というようなことが主張された時代もあるわけです。いま総裁お話しになった戦後の初期の状況がそうであったと思うのです。いまはそうではなくて、産業民主主義の原則に立って、経営事項についてもお互いに影響を持つ資本と労働が、双方お互いに相談をし合って納得ずくでやることが、責任を分担し合うし、うまくいくゆえんであるという考え方に立った労使協議制が進んでいるわけですから、むしろそういう点を積極的に進めるためには、当局がもっと——これは総裁一人だけではございませんが、中間管理職の人までも含めて、積極的な意欲を持つことが必要だと考えます。特にこれからの国鉄の場合に大事だと考えますので、その点は要望申し上げておきたいと思います。  最後に、鉄監局長にこれに関連してお伺いするのですけれども、民間の場合には、株式会社の場合であれば取締役会、事実上は常務会でしょうけれども、こういう経営参加や労使協議制についてやろうということを決意すれば、その責任のもとに相当大幅なことができるわけです。しかし、国鉄公社の場合には、この管理運営に関する事項というようなものについては、国鉄当局においていろいろ労使の間の話し合いの結果やろうと考えましても、法律あるいは制度的な立場で、なじみにくいような規定があることは否定できないと思う。そういう中で、ほんとうに労使のガラス張りの中で協力をしていくという体制をつくるために、必要とあればそういう制約をはずすことが、私は大切ではないかと思うのです。そういう関係条項は、時間もございませんからここでは一々取り上げませんけれども、おわかりだと思うのです。そういう面も、この際国鉄の抜本的な再建とともに関連して、法律的、制度的な面でも改正しようというお気持ちがあるかどうか、伺いたい。
  64. 山口真弘

    山口(真)政府委員 問題は、公労法の考え方だろうと思います。公労法におきまして、管理運営事項というものは、国鉄がその責任でもってやらなければいかぬということは、ある意味では、国鉄というものは全額政府出資の法人でございますから、国の財産であり、国民の財産であるわけでございまして、そういう国民の財産を引き受けまして、そして総裁以下の管理者が責任者となってこれを運営していくという責任体制というものがやはり必要だということで、いまのようなことが規定されているというように私ども考えるわけでございます。  したがって、問題は、私は法律の改正という問題ではなくて、やはり運用上の問題であろうと思います。運用上の問題でできるだけ国鉄当局が組合あるいは職員の考え方を入れて、そして円満に事業を進める、そして事業を発展させていくということが必要ではないかというように考えております。
  65. 和田春生

    ○和田(春)小委員 ことばで言えばそのとおりですよ。しかし、お役所の機構や官僚機構というのは、そんなに簡単にいかないようになっていることは、あなた方自身がよく御承知のことだと思うのです。意外にそういうような法律上のきめとか、あるいは制度上の問題が引っかかるようになることがあるわけで、民間のように濶達にはいきません。こういう点は、日本よりも古い伝統を持っておるドイツあたりでも、御承知のように重要産業、鉄鋼とか石炭については、共同決定法という法律を設けて、そして従業員の参加の方式をきめているわけです。何もそこまでやれとは言っているわけではないのです。もっとやはりそういう点を前向きに一これはいままでの経験による規定なのです。これからの時代に向けて支障になりそうなものは、やはり取っ払っていく、あるいは改めていくということが私は必要だと思う。同時に、いま運用の面でということをおっしゃった。運用の面でやれるためには、やはり国鉄当局が、かなりそういう点について自由に動こうとすることについて、政府がよけいなおせっかいをしたりチェックをしないということが大事だと思うのですね。こまかいところをはしで突っつくようにやったのではいけないわけです。そういう点、特に今後善処と再検討を要望しておきたいと思います。  きょうは、このことを要望して私の質問を終わりたいと思います。
  66. 加藤六月

    加藤(六)小委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会